あねおとうと2

1 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時46分23秒
同じ雪板『あねおとうと』

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=snow&thp=1003855965

のつづきです。

登場人物は>>2-4で。使いまわしれす・・・

なんとなくやってきたら、なんとなく2になりました。
2 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時50分57秒
【梨華】 二歳
この物語の主人公。
チャームポイントは必要以上にぴかぴか光る瞳。
たまに色気を醸しだします。
よく見ると心持ちアゴがしゃ(略。 (〜^◇^〜)<アゴン、アゴン!
不思議な事に小指が曲がらない・・( `.∀´)<立ってるのよっ!
たまにコウモリにしか聞こえないような、超音波なみの高い声で
話す時がある。また、一生懸命話しているのにつまらないと
言われてしまう。(T▽T)<人間って悲しいね
しかしあまりにも可愛らしい容姿なので、誰からも好かれている。
そのチャーミングなしぐさは世の男達を魅了し、
虜にしてしまうほど。(楊貴妃もビクーリ)
好きな色はぴんく。特技は笑顔らしい。
宝物はピンクのプーさん。
(いとしいあの人(0^〜^O)に貰ったの。)
(#^▽^#)< あの人がいない時は、代わりに抱きしめて
寝ちゃってるんですぅ
数年後太らない事を祈る。色黒。
3 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時51分25秒
【一夢(ひとむ)】 二歳
この物語のもう一人の主人公。
トレードマークはくりくりのどんぐりおめめ(すこしタレ気味)。
そして頬袋。(●´ー`●)<何がはいってるんだべ?
心の師はガッツ石松。(0^〜^O)<かっけ〜!
何の前触れも無く雄叫びをあげることがたまにキズ。アフォではない。
テンパルと寒い言葉を口走ってしまう。しかしアフォではない。
実はクールボーイのナイスガイ。
ちょっぴり舌足らずで不器用なのが母性本能をくすぐる。
その甘いマスクで泣かした女は数知れず・・・・・・っていくつだよ!
誰にでも優しすぎるのが長所であり短所でもある。
(〜^◇^〜)<勘違いさせるなよな!
クールな時とボ〜っとしている時の差がはっきりしている。
(最近はパンダと見間違えられるほどボーっとしている時間が増えているらしい)
名前と関係なくニックネームはよっすぃー。( ^▽^)<なんで〜?
好きになった年上の女性には、二人っきりになるとついつい甘えてしまう。
(#´▽`)´〜`0 )(ё)<ラヴラヴ
数年後、おそらくゆで卵とベーグルにはまるであろう。色白。
4 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時52分12秒
【裕五郎】 二十八歳
梨華のパパ。
トレードマークは金髪と豹柄。コワモテ関西弁なので最初は人に怖がられる。
しかし本当は義理と人情に厚く涙もろい。
得意技は、糸屋の娘のごとく女性を目でころす事ができる。(自称)
甘いものが苦手。大好物はビール。最近オナカの出っ張りが
気になるので控えているそうだ。
もうすぐ三十路の運動おんち。座右の銘は弱肉強食。


【なつみ】 二十歳
よっすぃーのママ。
お菓子や料理を作るのが好き。だが、いつの間にか料理に
自分の名前をつけてしまう。
いつもテンションが高いので、たまに
从 ~∀~ 从<なっち作ってる?と聞かれてしまう
・・・・・・が、これが素です。ホントです。
一人称はなっちです。(●´ー`●)<なっちはなっちだべ。
そういえば、最近少し痩せたらしい。

(年齢は現在のものです。
また、これらは後々付け足しされていく予定です。)
5 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時53分47秒
-160-

そんなこんなでもう十二月。
そして、今日は裕ちゃんが待ちに待ったクリスマスイブ。
なぜなら今日は裕ちゃんとなっち、初めての二人っきりのデートだからだ。

日曜祝日暇があれば、いや、無理にでも暇をつくっては、そそくさと
合っていた裕ちゃんなっちとその子ども達、梨華よっすぃー。
夕食を共にする事なんて毎度の事。遊園地も行った。動物園も行った。
山登りにもハイキングにも行った。一泊二日の小旅行も何度か行った。
しかしそれは必ず四人で。四人揃って仲良くお出かけしていたのだ。

子ども達がじゃまだとか鬱陶しいとか思った事は、裕ちゃんもなっちも
当たり前だが、一度だってない。梨華とよっすぃーがいて、それで
自分達がいて。それがあたり前だと思っていた。

しかしそれを見かねた裕ちゃんの下で働いている保田君が言った。
「そのままじゃ家族ごっこで終わってしまいますよ」と。
裕ちゃんだってこの四ヶ月、ただ何も考えず、楽しいという思いだけで
過ごしてきた訳ではない。将来のことを考えては、朝まで一睡も
出来なかった事なんて何度あるかわからない。
梨華に「目の下にクマさんいるよ」と人差し指で突付かれた事もある。
6 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時54分57秒
-161-

お互い一児の親同士で、独身時代と違って自分ひとりの決断では
何もかもを決められない身。いや、よっすぃーと梨華はおそらく
賛成してくれるだろう。しかしなっちはどう思っているのだろう。
いくら考えたって、こんな経験は今までした事なかったし、というか、
しようと思っても簡単に出来る事じゃないし、参考になる人が近くに
いるわけでもないし。かといって、早々といいかげんな答えを出して、
もし今の四人の関係が崩れたらと思うと恐いし。
裕ちゃんはそんな目先の事ばかりに頭をめぐらすだけで、いつまでも
動けずにすべてを先延ばしにとしていたのだ。

そんな裕ちゃんを見て、保田君は助け船を出してくれた。
「一度だけでもなつみさんと二人だけで過ごされてはどうですか?
梨華ちゃんと一夢くんの事は私に任せてください」
と、自ら申し出てくれたのだ。
7 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時56分09秒
-162-

保田南湖津(なんこつ)君は、京都の本店で働いていた時から裕ちゃんの
秘書兼運転手をしてくれている。年は裕ちゃんより十歳近く上なので、
人生の先輩として、その方面では裕ちゃんによくいいアドバイスを
してくれるのだ。奥さんまだ二十一歳で圭さんといって、平日の昼間は
梨華の面倒を見てくれている。そして二人の間にはケメ子ちゃんという
五歳の娘さんがいる。

南湖津君の思いも寄らないこの提案に、裕ちゃんは甘える事にした。
クリスマスは子ども達と一緒に四人で過ごす事にするけれども、
イブはなっちと二人、行きたいところに行ってしたい事をして、
食べたいものを食べる事にした。

このことを裕ちゃんがなっちに切り出した時は、最初こそ少し戸惑って
いたものの、その夜電話した時には快く承諾してくれた。
よっすぃーも梨華もそれを聞いてなぜか喜んでいた。親たちが二人で
デートするという意味が分かっているのか、はたまた誰にも見張られる
事無く、自分たち二人の世界に入り込めるからなのか。
とにかく子ども達が寂しそうにはしていない事に、裕ちゃんは
とり合えず胸を撫で下ろした。
8 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時56分59秒
-163-

今まではほとんどの決定権を梨華とよっすぃーが握っていたので、
子ども達に合わす形で、普通に映画館に行ったり、ショッピングを
したり、お酒を飲んだりは出来なかった。
今までのは“お出かけ”で今日のは“デート”。
裕ちゃんは一週間も前から今日のプランを練り、何度も何度も
頭の中に思い描いていた。

そしてついに本番、クリスマスイブ。
裕ちゃんは今日朝の六時に起きた。普通の人なら緊張して昨晩は
眠れなかったと言うのだろうが、裕ちゃんはぐっすり眠った。
梨華と一緒に二十時にはベッドに入ってそのまま十時間も。
今までの疲れが出たというのもあるのだろうが、裕ちゃんは
「明日は絶対決める。決めたるでぇ」
と、もう心では結論が出ていたので、焦りも不安もなくすぐに
眠りにつく事が出来たのだ。

裕ちゃんは朝から梨華と近くの公園までゆっくり散歩し、そして
梨華と自分の分の朝食を作って食べ、何を思ったか、冬は止めている
はずの朝シャワーを浴びた。
「一応な、いちおー。キレイにしとかな」ごしごし。
9 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時57分45秒
-164-

十時に保田さん一家(南湖津、圭、ケメ子)が裕ちゃんの家に
来てくれた。
「すまんなぁ。南湖津君、圭坊」
裕ちゃんが二人に頭を下げる。
「いえ、どうせたいした予定なんてありませんでしたから」
「いえ、お昼は餃子食べ放題なんて何よりも嬉しいですから」
「こら! 圭」
南湖津が圭をそっとたしなめる。

そんな二人をおいといて、裕ちゃんは今度はケメ子に向かって言う。
「ケメ子ちゃんもありがとうなぁ。今日は梨華と一夢のこと頼んどくで」
「大丈夫でちゅう。ケメ子はお姉ちゃんなんでちゅう」
ほっぺに人差し指を立ててそう言うと、ケメ子はいつも遊びにきた時と
同じように梨華のところへかけて行った。

「「「キショッ」」」
10 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)00時58分58秒
-165-

「じゃあそろそろ行ってきます」
十一時になっち達と駅で待ち合わせしている。
裕ちゃんがまず駅まで二人を迎えに行って、家に案内する。
そして、よっすぃーを保田さんにあずけてから、改めて
裕ちゃんとなっちのデートが始まるのだ。

梨華、ケメ子、圭、南湖津が門前に立って裕ちゃんを送り出すその前で
裕ちゃんはマイカーに乗り込む。
「パパぁ、あたしもおむかえいっしょにいっちゃだめ?」
梨華が寂しそうに言う。昨日も電話でたっぷりよっすぃーの声を聞いた
けれど、早く合いたくて合いたくてしょうがないのだ。
「う〜ん梨華。パパも連れてってあげたいけどな、梨華が行ったら
よっすぃーの乗る席無いやろ?」 
裕ちゃんはいつもは梨華の指定席をぽんぽんと叩く。
「だからケメ子ちゃんとお留守番しててや」
「・・・は〜い」
「りかちゃん、ケメぴょんとあそぶでちゅう」
やっぱり少しはお姉ちゃんなケメ子。梨華の頭をなでなでする。

「うおっ、もうこんな時間や。そしたら頼んどきます」
裕ちゃんは保田君たちにもう一度頭を下げる。
11 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)01時00分11秒
-166-

そして慌てて車チェックを始める。
「ドライバーの基本やな」

おなかぽんぽん「ガソリンよ〜し」
足をぱんぱん 「エンジンよ〜し」
軽く踏み出し 「ブレーキよ〜し」
「後方確認。右よし、左よし。いしよし」

「それじゃぁ行ってきま〜す」
「「「「いってらっしゃ〜い」」」」

裕ちゃんは力いっぱい漕ぎ出した。
足の間には子供用の椅子を着け、後ろの荷台にはなっちのために
座布団を括り付けたママチャリを。

♪父さん母さんありがとう    大切な人が出来たのでっす

 「やったネ!」

 パラッパラ パラッパラ パラッパラッパッパ
 パラッパラ パラッパラ パラッパラッパッパ

少し外股で歌いながら自転車を漕ぐ裕ちゃんの後姿は、今日の気候と同じく、
すっきり爽やか ♪今 私 気分爽快だよ〜 だった。
12 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)01時01分04秒

今回はこのへんで・・・・・・。

13 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)01時02分22秒

そっとくちづけて

14 名前:puppu 投稿日:2002年06月07日(金)01時03分28秒

ぎゅっとだきしめて

15 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年06月07日(金)21時55分28秒
>保田さん一家(南湖津、圭、ケメ子)
カナーリワラタ!!楽しそうな一家です。(w
ついにデートですか。。。いしよしも、なっちゅうも、気になるけど
楽しい保田一家が楽しみだったりします。(笑)
16 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月08日(土)00時31分09秒
初めまして。本編では初レスです。
前スレの頃から読んでました。

(O^〜^)ノ<ママチャリ、カッケー!

>保田さん一家(南湖津、圭、ケメ子)

よすこ大好き読者。さんと同じく、期待(w


17 名前:1111 投稿日:2002年06月08日(土)00時41分34秒
新スレおめ!&更新おつ!
ケ、ケメ子が来た・・・。いよいよもって登場キャラが濃くなってきたわけだが(w。
しかし、裕ちゃん何故にママチャリ(涙)。
自転車は「マイカー」とは言わないことを誰か裕ちゃんに教えてあげて。

>何を思ったか、冬は止めているはずの朝シャワーを浴びた。
>「一応な、いちおー。キレイにしとかな」ごしごし。
 男としてのマナーです。ハイ。

さぁ、いよいよ「あねおとうと」なる時が来るんですね。ドキドキ・・・。
プロポーズの言葉に激しく期待!!
18 名前:名無し男 投稿日:2002年06月09日(日)15時28分27秒
マイカーがチャリンコってとこに激しくワラタ
チャリンコで後方確認するくらい安全第一でフェアな心を持ってる事にも激しく感動した!!
19 名前:( `.∀´) 投稿日:2002年06月12日(水)23時53分55秒
( `.∀´)<新スレおめでて〜〜〜!!ゴージャスです!!松野じゃないです。
        チャコ海岸ね、なんて。。。
        ってか私結婚してるーーー!!ってことは裕ちゃんとは不倫??
        私は悔し涙はごぼさないわよ。ムフフ。
        でもようやく私がでたわね、主役の座も近いわ。
       
20 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時11分22秒
-167-

自転車でなら裕ちゃんの家から五分もあれば駅に着く。
人のじゃまにならないように端のほうに自転車を止めると、
裕ちゃんは改札口に向かって歩き出した。
(まだ十分ちょっとあるなぁ。ちょっと早かったかな)
そんなことを思いながら腕時計から顔を上げた瞬間、

「裕ちゃん。中澤裕五郎っ!」

♪何から伝えればいいのか分からないまま時は流れて
       浮かんでは消えてゆくありふれた言葉だけ♪

「はいっ! あの、オレですっ・・・・・・」
裕ちゃんは少しだけきょろきょろして、声の主を人ごみの中から
見つけ出した。
「かんちー」裕ちゃんの頭の中には小田和正の「ラブ・ストーリーは
突然に」が鳴り響き、目の前を横ぎる通行人で見え隠れするなっちが
一瞬、鈴木保奈美に見えた。

「裕ちゃ〜ん」

♪あの日あの時あの場所で君に会えなかったら
       僕等はいつまでも見知らぬ二人のまま♪
21 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時11分54秒
-168-

「いるんなら早く言ってよ〜」
笑いながらそう言うなっちに裕ちゃんは近づいていく。
「なっち、反対や。オレが迎えに来たんやから・・・」
(なっちは織田裕二好きなんかな・・・そういえば裕五郎の裕と
織田裕二の裕は一緒や。ふふふ。ん? でもちょっとまてよ、
織田裕二の織田と織田無道の織田は一緒やんか。
a=b、b=cならばa=c。ということは・・・オレと織田無道は
イコールやったんか・・・・・・)

「あかんあかん。また裕ちゃん意味不明な事考えてしまったわ」
頭を二、三度ぶるぶると振って、鈴木保奈美と織田裕二、ついでに
織田無道を脳から追い出すと、裕ちゃんはなっちと手をつないで
こっちを見てニコニコしているよっすぃーに目を向けた。

まだ首と呼べるものがない程幼いよっすぃー。でもそこには、なっちが
編んだと思われる真っ白でふわふわのマフラーがくるくると巻き付け
られていて、それにこの冬、梨華とお揃いで買ってもらったパンダ
(梨華のはウサギ)の模様の毛糸の帽子と、上に着ているクリーム色の
ダッフルコートにベージュ色の毛糸のミトンも手伝って、よっすぃーは
まるでちっちゃな雪だるまみたいに見える。
22 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時12分56秒
-169-

「おっ、よっすぃー。今日もカワイイなぁ」
よっすぃーのその愛らしさに、裕ちゃんはいつも何よりも先に
この言葉が出てしまう。
「りかちゃんのパパ、こんにちは」
「おう。こんにちは、よっすぃー」
裕ちゃんと挨拶を交わすと、よっすぃーはにこにこ顔をもっともっと
嬉しそうにくちゃくちゃにして、それからパンダの耳をぴこぴこ揺らし、
裕ちゃんに背中を向けて顔だけくるっと振り返る。

裕ちゃんが、なんやなんやと見てみると、よっすぃーの背中には
アンパンマンがいた。オナカの中に物が入れられるようになっている、
ぬいぐるみのようなアンパンマンのリュックを、よっすぃーは背負って
いたのだ。それを裕ちゃんに見て欲しくて、挨拶そうそう振り返ったと
いう訳だ。

このアンパンマンは、梨華からよっすぃーへのプレゼント。
クリスマスだからという訳ではなく、八月によっすぃーからピンクの
プーさんを貰った梨華が、やっとお返しのプレゼントを出来たのが
この前四人で合った時だった。
23 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時14分11秒
-170-

梨華はよっすぃーにプーさんを貰ってから、
『あたしもよっすぃーみたいに一生懸命パパの言う事を聞いて、
それでよっすぃーの大好きなアンパンマンを買ってもらおう』
と思ったのだ。
裕ちゃんはそんな梨華を見て嬉しく思い、さっそく言った。
「そんなら梨華、お人形やおもちゃで遊んだ後はちゃんとお片づけする事と
あともう一つ。むやみやたらと小指を立てない事。お約束できるか?」
「は〜いっ!」

しかし梨華はもともと三日坊主で整理整頓が苦手。本人は片付けている
つもりでも、他の人には隅っこに寄せているようにしか見えない。
裕ちゃんはかわいそうだと思いつつも、約束した手前アンパンマンを
買うわけにはいかず、梨華がちゃんと出来るようになるまで待った。
そしてやっと裕ちゃんがOKを出したのがついこの間。
梨華と裕ちゃんはさっそくアンパンマンを買いにいき、その日のうちに
梨華はよっすぃーにプレゼントした。

そのアンパンマンを背中に背負って、よっすぃーは初めて裕ちゃんに
合うのだ。
24 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時15分00秒
-171-

「あっ、よっすぃー。さっそくアンパンマン使ってるんやな、梨華喜ぶぞー」
「うん! ぼくね、ずっとずっとね、アンパンマンといっしょにいるんだよ」
裕ちゃんはよっすぃーを抱き上げ頭を撫ぜると、なっちの顔を見て微笑む。
「そうだべー。よっすぃーったら寝る時もずっと、この梨華ちゃんから
もらったアンパンマン放さないで抱きしめてるんだべ」
なっちも裕ちゃんに微笑み返して言う。
裕ちゃんは思わずよっすぃーの顔を後ろから覗き込んで、
「よっすぃー・・・・・・カワイイなぁ」・・・ぶちゅ。
「キャッ」ばたばた・・・ふきふき。
「そんな喜ばんでもええやんか」ぶちゅっぶちゅ。
ばたばたばたばたふきふきふきふき。ばたばたばたばたごしごしごしごし。

「もう。裕ちゃんはホントにチュウが大好きだべなぁ」
なっちはいつもの事と少し飽きれながらも、二人の事を隣で微笑ましく
見つめている。
「よっすぃー、こら、じっとしてい!」ぶちゅっ。
「キャー」ばたばたばたばた。
しかしそうやってあばれるよっすぃーの顔は、全然嫌という感じではなく
むしろ、嬉しさ半分恥ずかしさ半分でピンク色に染まっていた。
25 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時15分54秒
-172-

「クルマすぐそこに止めてるから」
裕ちゃんはまだ足をばたつかせているよっすぃーを抱っこしたまま、
なっちを“マイカー”の止めている所まで案内する。

裕ちゃんが歩きながら腕の中のよっすぃーに話し掛ける。
「よっすぃー、アンパンマンのオナカふくれてるなぁ。何が入ってるんや?」
「ん? あのね、ゆでたまご」
さっきのお返しとばかりに、ミトンで裕ちゃんの金髪をかき回しながら
よっすぃーが言う。
「三時のおやつにと思って朝からいっぱい茹でてきたんだべ」
よっすぃーの言葉になっちが補足する。
「ホンマかぁ、なっちありがとう。梨華も最近よくゆで卵食べるように
なったんやけどな、やっぱりなっちの作ったのが一番おいしいゆうて
オレがせっかく作ってもぶーぶーいいながら食べてるんや。
『よっすぃーのママがずっとおうちにいてくれたらなぁ』っていっつも
ゆってるわ」
「よっすぃーだっていつも雷とか大雨の夜に、『ママ、だいじょぶだよ』
とか男の子らしい事言いながら『でもりかちゃんのパパがいてくれたら
こんなのへっちゃらなのにね』って言うんだべよ」
26 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時16分51秒
-173-

・・・・・・「ははは」
・・・・・・「ははは」
裕ちゃんとなっち、二人とも言ってしまってから少し恥ずかしくなって、
照れ隠しに笑い合う。
「はははははは」
二人を見て意味はわからないけれども、よっすぃーも笑った。
「ん? よっすぃーもおもしろいか?」
裕ちゃんがそう聞くとよっすぃーは、
「うん! なんかね、りかちゃんのパパとね、いっちょにいるときの
ママってね、すごくたのしそうでね、ぼくもすごくたのしくてね、
それでね、すぐにわらっちゃうの」
そんなよっすぃーの言葉を聞いて、裕ちゃんもなっちもとてもとても
幸せな気持ちになる。
「よっしゃ、そんならよっすぃーもっと笑おうか」
「ポンポン痛くなるまで笑うべよ〜」
一足先にそこだけ春になったように、ケラケラと楽しそうに笑う
ホンワカした声が駅前に響いた。
27 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時18分32秒
-174-

一方その頃。

「ねえねえ、りかちゃん」
「なにぃ? けめこちゃん」
南湖津と圭がキッチンで昼食の用意をしているその隣のダイニング兼
リビングで、二人揃ってちょこんとソファに腰をかけ、梨華とケメ子が
話をしている。
「一夢くんってどんな子でちゅか?」
ケメ子はよっすぃーとなっちに会うのが今日が初めてなのだ。
「どんなこって?」
「ほら、かわいいとか、かっこいいとか、そういうことでちゅ」
ああそういうことならまかしてとばかりに梨華はしゃべり出す。
「よっすぃーはぁ、かわいくてかっこよくて、目がくりくりしてて
いろがしろくて、すこしあまえんぼうなところもあるんだけど、
でもやっぱりたよりになって、つよくてゆうきがあってどりょくかで、
ゆでたまごとべーぐるがだいすきで、たまにろうかでひとりで
さけんでることがあるんだけど、そんなところもいっしゅみりょく
てきで、いみふめいのことをいいだすときもあるけど、それがまた
あたしのぼせいほんのうをくすぐるし、雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おみこしかついでワッショイワッショイワッショイ
ワッショイetc・・・」
28 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時19分46秒
-175-

隣で梨華のよっすぃー像を黙って聞いていたケメ子。
しかし、
「しょうぶでちゅう。あたしのかわもちくんとしょうぶでちゅう」
そう言うが早いかケメ子は玄関に向かって駆け出した。
「あっ、けめこちゃん」
「こらっ、ケメ子。どこいくの!」
「ケメ、ここにいなさい!」
梨華や南湖津、圭の言葉も聞かずにケメ子は靴を履き外に飛び出して
いってしまった。
29 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時20分37秒

今回はこのへんで・・・・・・。

30 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時21分51秒
>よすこ大好き読者。さん
ご期待にそえるよう、保田さん一家に活躍してもらいたいと
思ってます。
傍から見てる分にはこの保田さん一家、とても楽しそう
ですけど、一員にいわれるとちょっと嫌ですね(w


>ごまべーぐるさん
ありゃりゃ、保田さん一家大人気みたいで(w
ごまべーぐるさんの作品読んでます。雰囲気が凄く好きです。
更新ペースも速いし見習いたいです。


>1111さん
保田さん一家、まだたいした言動もないのにキャラも濃いし
大人気なのはどうしてだろう(w
プロポーズの言葉はもう考えてます。ふふふ。頭の中で。
でもそこまでいくのにどれくらいかかるだろう・・・
なるべく早く終わらそうと思ってるんですけど、書くのは
遅いしその上、変なネタを盛り込んでしまうのはなんでだろう。
31 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時22分34秒
>名無し男さん
名無し男さん。あなたも自転車に乗るときは後方確認
ちゃんとして下さい。さすれば必ずや人から
(#^▽^#)<「キャッ、この人きっと心が美しいのねステキ」
と思われるでしょう。しかし、一つ間違うと
( `.∀´)<「ケッ、とろとろしてんじゃないわよ、ケッ」

インドネシアに着いたなっちと保田。
キョロキョロ(●`―´●)<名無し男さんはどこにいるべ
ブツブツ( `.∀´)<ケッ!
ガーピー( ゜皿 ゜)<ナンキョクナンキョクナンキョクナンキョクイケイケナンキョクナンキョクイケ
と言うわけで飯田が仲間に加わった。
次回『名無し男とゴマキペンギン』お楽しみにね!


>ゴージャス( `.∀´)さん
ああヤッス―・・・ああヤッス―やヤッス―や。
声も出ないよヤッスー・・・。
まだ裕ちゃん諦め切れないのかよ!っていうか、
“あんた主役狙ってんのかよぉぉぉぉーーーー!!!!”
ワタシビク―リました(w
32 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時24分00秒
長い間口唇できなくてすみません。
性格的に一つの事しか出来ないもので・・・不器用ですから。
それプラス、スランプらしい・・・。
ストーリーは決まってるんですけど、思うように文章が
書けなくて。もうやんなっちゃう
33 名前:puppu 投稿日:2002年07月04日(木)00時26分03秒

おしまい
34 名前:( `.∀´) 投稿日:2002年07月04日(木)01時57分27秒
( `.∀´)<ケンさん、口唇ごくろうさま!!
       え?ドロドロの裕ちゃんとの不倫の後、
       吉澤となっちの殺害を石川に押し付けて(もちろんやったのはワ・タ・シ♪)
       裕ちゃんと逃避行する話でしょ?
       私、主役なんじゃないの?
       あれ?話が食い違ってる?おかしいわね。
       裁判官!どうゆうこと???    
35 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月04日(木)23時22分36秒
梨華ちゃんのよっすぃー像にワロタ
対抗心バリバリなケメコにも萌え。
読んでくださってたのですか(恥
(♯´D`)<ほめられて照れるれす
36 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月06日(土)15時08分26秒
次回はかわもち君も出てくるんですかね?(w
すげーたのしみです。
ちっちゃい吉が、かわうぃすぎる。。。。。(笑
37 名前:1111 投稿日:2002年07月07日(日)01時22分32秒
更新お疲れ様です。
く、来るのか、かわもちが・・・。
いや、男っぷりなら一夢の方が上だろう。
大丈夫だ。ちびいしよしに勝てる奴らはいないさ。

そして、なち裕最高ーーーーーーーーーー!!!!

やるのかなぁ、夫婦漫(r。
38 名前:名無し男 投稿日:2002年07月14日(日)16時15分46秒
ひとむくんとかわもちくんのタイマンって
想像すると可愛い
39 名前:慎吾 投稿日:2002年07月22日(月)11時35分03秒
初めてよみましたよ〜。
ちびいしよしかわいすぎです。
続き楽しみにしてます。
がんばってください\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
40 名前:puppu 投稿日:2002年07月22日(月)23時52分43秒
某超有名いしよし板の死にスレでちょっとしたものを始めました。
次の口唇の時にでもと思ってたんですけど、上げてくれててちょうど良い機械なので。
それにタイムリーなものなので、後から読まれるよりもその時その時の方が
何分私(わたくし)の文章の拙さを補ってくれるかと思いまして・・・・・・。
あねおとうとの方は出来れば早いうちにと思っています。ケドォ(ダニエル)・・・スランプ・・・。
「もうこんなヤツ知らねえよ」及び「放置だと思ってたよ、ケケッ」はたまた
「夜は眠れるしご飯も喉を通るけど、実は先が気になって心にぽかんとミクロの
 穴が空いている」という方、どのような理由でも構いませんので、少しでも興味を
持たれた方は、ほのぼのしたオイラの日記を探してみてください。
顎オールスターズさん、じゃないさん、もしこの書き込みを偶然見つけられて、
こんなもん削除じゃぁと思われたなら、ばっさりやってください。すみません。
41 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月23日(火)02時31分14秒
さがしきれないっすよ
42 名前:ミニ 投稿日:2002年07月24日(水)01時58分39秒
たしかなに探すのは困難。
板名カキコ希望〜〜
そして あねと…まってるよ〜
43 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月24日(水)08時18分50秒
「〜一家」の知の日記ですかね?
44 名前:難しいね 投稿日:2002年07月25日(木)00時08分45秒
読者が切に希望しているなら教えても良いのでは?<場所
まぁ作者の主張も有るだろうが。
読者有っての作品
作者有っての作品
気長にまつなり
45 名前:puppu 投稿日:2002年07月25日(木)05時12分22秒
ヒントを所々に散りばめたつもりだったんですけど、分かりにくかった
みたいですね。ごめんなさい。待ってくれている方がいればほんのお詫びに
と思って、もしよかったらという感じで書き込んだんですけど、こんなに
皆さんが探してくれるなんて思ってもみなかったんです。
ありがとうございます。

>41さん
ごめんなさい。

>ミニさん
ごめんなさい。
あねおとうとももうすぐ再開します。

>43さん
その通りです。

>難しいねさん
仰る通りです。
でも私は書かさせて頂いてる身なので・・・。
46 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時32分42秒
-176-

ケメ子を追いかけるようにして、靴まで履いて門の所まで来た
梨華、圭、南湖津。しかしケメ子の姿はもう既に、ありんこくらいの
大きさになってしまっていた。
「しょうがないヤツだなぁ」そう南湖津は呟くと、圭に、
「ちょっと行ってくる」と、していたエプロンを預けてケメ子の後を
追って走っていった。

一先ず安心と胸を撫ぜ下ろした圭は、そこでやっと、コートも何も
羽織っていない梨華に気付いて、風邪をひいては大変と抱きしめる
ようにして抱っこした。
「梨華ちゃん、ケメがどこにいったのか知ってる?」
「んとね、あたしがよっすぃーのおはなししたらね、『かわもち
くんとしょうぶでちゅう』っていってはしってっちゃったの」
「そっか・・・梨華ちゃんごめんね、びっくりしたでしょ」
「うん、でもだいじょうぶだよ。それよりけめこちゃん、とおくまで
いっちゃったのかなぁ・・・・・・」
圭は、そうやってケメ子を思ってくれる梨華が可愛くて、
もっとくっ付くようにして梨華の頭を優しく撫ぜる。
47 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時33分15秒
-177-

「心配ないよ、梨華ちゃん。多分ケメ子が向かったのは、ここから
そんなに遠くない所にあるかわもち君っていうケメ子の幼稚園の
お友達のお家だよ。ケメ子は梨華ちゃんや一夢君に、かわもち君とも
お友達なってほしいんだよ」
近くにある圭の口元のホクロを興味深げに観察して、(よっすぃーのホクロと
ちょっと違う)とか考えていた梨華だが、それを聞いたとたん手を叩いて
喜びだした。
「わあ、そしたら、きょうはいっぱいたのしいね」
「そうだねぇ、じゃぁおばちゃんも頑張っていつもよりおいしいお菓子
たくさんたくさん、もう、オナカがぱんぱんになるくらい作ってあげるね」
「やったぁ、やったぁ、おばちゃんだいすきぃー」
梨華がそういって自分から抱きついてきてくれるから、圭も嬉しそうに
抱きしめ返す。
「よーし、じゃぁ梨華ちゃん、お菓子の生地作るの手伝ってくれるかな?」
「は〜い! 梨華がんばるー」

そして圭は梨華を抱っこしたまま、家の中に入っていった。
48 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時33分57秒
-178-

一方その頃・・・。


 ♪しぇいくしぇいく ぶぎぃなむーなさわぎぃ

            ちょーべりべりさいこぉひっぴはっぴしぇいく


 ♪だからぁ好きだと言って 天使になっって 

        そして笑って もう一度 せつない胸に波音が打ちよせるぅ


「ふたりともおんなじ歌うたうべよぉ・・・なっち耳がおかしく・・・
よっ、よっすぃー、ちりんちりんって歌に合わせて鳴らさないべっ、
ご近所迷惑だべよ! あっ、どうもすみません・・・ホラ、そこの
なにげにものすごいカップルさん達がとってもびっくりしてるべよ、
よっすぃーもちゃんと謝りなさい」
「ごめんなちゃぁい」チリンチリン

・・・・・・「さっきの何かな? アーサーさん」
・・・・・・「さぁ・・・祐実ちゃん」
49 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時35分56秒
-179-

「だからよっすぃー! 謝りながらも鳴らさないの! 裕ちゃんも
歌に合わせてふらふらとジグザグ運転やめるべよぉ、あぶないべ・・・
って裕ちゃん前! 前! 電柱! でんちゅうぅぅぅ!」
「大丈夫やなっち、きわどいターンでこんなもんちょいちょいや」チョイチョイ
「そんなこと言って裕ちゃん! あぁぁぁ! 今度は怪獣ぅぅぅ」
「だいじょーぶだよ、ママ」チリンチリン
「大丈夫やって、なっち」チョイチョイ「・・・ん? さっきのケメ子ちゃん?」
「あぁぁぁぁ! こんどは柔らかそうなおじさんだべさぁぁぁぁ!」
「だいじょーぶだよ、ママ」チリンチリン
「大丈夫やって、なっち」チョイチョイ「・・・ん? 今のは南湖津君?」

そうこう言っている間になんとか3人は事故も無く、無事に裕ちゃんの
家に到着した。
50 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時36分46秒
-180-

「オレちょっとガレージに車止めてくるから、なっちとよっすぃーは
先に家入っててくれるか」
裕ちゃんはよっすぃーを抱っこして地面に降ろしながらなっちに言う。
「わ、わかったべ・・・なっちちょっくら車酔いしてしまったべよ」
「ママ! はやくはやく!」
ふらふらしながらもよっすぃーに手を引っ張られて玄関に向かう
なっちを見て、微笑みながら裕ちゃんはガレージに向かった。
51 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時37分25秒

少ないですけど今回はこのへんで・・・・・・。


52 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時38分34秒
長い間休んでて、読んでくれている方ホントにホントにすみません。
それと、〔ねずみのココロ〕の方は一から出直します。
二つの事を一度にするって事自体私には無謀でした。
不器用ですから、あっち考えて、こっち考えてって出来ませんでした。
実はどうしようもういいや!ってなってました。ごめんなさい。
レスしてくれていた方本当に申し訳ありませんでした。
謝ってばかりですみません。ホントに。申し訳ないです。
で、今言える事は、見ておれよ、です。
53 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時39分15秒
>( `.∀´)ヤッスー
・・・・・・ねえ、ヤッスー・・・。生々しいよ、表現がさ・・・。
ドロドロの不倫、殺害、逃避行って・・・恐い、恐いよ・・・。
それにまだ主役だと思ってるし・・・・・・。全てが恐いよぉ・・・。
大当たり、高倉健さんでした。


>ごまべーぐるさん
恋は盲目と言いますし。でも殆どホントの事なんだけどね。
でも、“みんな仲良く”がこの物語の基本です。
ごまべーぐるさんを見習いたいって言ってしまった自分が恥ずかしい・・・。
全然見習えてないです・・・。


>よすこ大好き読者。さん
かわもち君登場です。やっぱ2対2じゃないと、なんでも面白く
ないですもんね、なんでも。
ちっちゃいよっすぃー可愛いですか?そう思って貰えてホント嬉しいです。
54 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時40分38秒
>1111さん
く、くるんです、かわもちが・・・。
でもね、勝ち負けはないです。そこに愛があれば勝ち負けなんて。
そして、忘れてたぁ!夫婦漫(r ・・・。
どうしよぉ・・・。


>名無し男さん
ひとむくんとかわもちくんのタイマン、確かに可愛い・・・。
本物見てみたいね。

名無し男さんと、なぜか一緒に箱詰めにされているゴマキペンギンを
救出するために、南極に着いたなっち、圭、カオリ。
( ゜皿 ゜)<ツイタヨ。
( `.∀´)<ケッ!
(●´―`●)<オナカへったべ。
しかし、たた『白玉なっちスペシャル』を名無し男さんに食べてもらう
為だけに、南極まで来てしまったなっちって一体・・・・・・。
次回、「あーらあら、こーんなところに名無し男が』お楽しみにね!


>慎吾さん
一気に読んだんなら、もしかして引いてしまったかも・・・。
がんばってくださいっていう言葉はストレートに心に響きます。ありがとう。
それと、ココハココ、アナタハアナタ。こんなんでいいのかな。
55 名前:puppu 投稿日:2002年08月07日(水)02時41分34秒

おしまい


56 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時28分04秒
-181-

「ぼくが、おすー」というよっすぃーをなっちはまだ少しふらつき
ながらも抱き上げてあげる。

ピンポ〜ン ピンポ〜ン 

「こらこら、よっすぃー、一回でちゃんときこえるべよ」
「うん、でもね、おすの」
そうやって嬉しそうによっすぃーが振り向いて言うから、
(よっすぃー・・・その顔は反則だべよぉ・・・、でも分かってる
なら・・・・いいべか)と、きつく叱れないなっちであった。

ピポピポピンポ〜ン

「あっ、よっすぃーだ!」
梨華はチャイムが連打される音を聞くやいなや、小麦粉で真っ白に
なった手のまま、ぱたぱたと玄関に走っていった。
そして一段下がった上がりかまちの上に降りて、
「どーぞー」とドアに向かって大きい声で言う。
「おじゃまさんだべぇ」
なっちがドアを引いたとたん、その少しの隙間からちっちゃい体を
滑り込ませるようにして、よっすぃーがするりと入ってきた。
57 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時28分42秒
-182-

よっすぃーの顔が見えて梨華も嬉しさ倍増で、両手を大きく開いて
待ち受ける。
「りかちゃ〜ん」
「よっすぃ〜」
よっすぃーはキティちゃんのピンクのエプロン姿の梨華を見て、
なぜかいつもより嬉しそうに力いっぱい抱きしめた。
「梨華ちゃ〜ん」ウーウー
そうやってよっすぃーは少し高い場所にいる梨華の腰に腕を回して、
オナカにぎゅっと自分の顔を押し付けた。けれども、いつまでたっても
いつものように梨華は頭を撫ぜてくれたり、優しく抱きしめてくれたり
しない。よっすぃーは不思議に思い、そして同時にハッとした。
(あ・・・も、もしかして・・・りかちゃんはぼくがあまりにも
あまえんぼだから、ぼくのこときらいになっちゃったのかな・・・
ぼく、ぼくどうしよう・・・もっと、もっとかっけくなんなきゃ・・・)
よっすぃーはそぉーと顔を上げて梨華を見た。すると少し困った顔で
梨華がこっちを向いている。
(あ、や、やっぱり・・・りかちゃんぼくにあきれてるんだ・・・)
よっすぃーは悲しくなって、そしてそれと同じくらい恥ずかしくなって、
梨華から腕を放し、そっと離れて下を向いた。
58 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時29分46秒
-183-

すれ違いのちっちゃいカップル達の横では、なっちと圭が話しだす。
「今日は一夢がお世話になりますべ」
なっちが腰から頭を下げる。その礼の仕方に性格がにじみ出ていて、
(ああ、この人はホントにいい人なんだな、裕五郎さんが惚れた
だけの事はあるわ)と、圭は小さく微笑んだ。
「いえいえ、カワイイ子は大歓迎ですから」
「何分やんちゃなもので、悪いコトしたら遠慮なさらずガツンと
叱って下さいべ」
なっちはそう言いながら、よっすぃーの帽子に付いているパンダの
みみを片方ずつ左右の手で摘んで引っ張った。最初にちょっと
みみが伸びて、すぐに帽子の部分がぴょょょょ〜んとくっ付いてきた。

よっすぃーは急にすかすかになった頭の部分を、下を向いたまま
自分でくしゃくしゃとかき回した。
「よっすぃー、圭おばさんにご挨拶は?」
「・・・・・・こんにちは、ぼく、ひとむです・・・」
「こんにちは、今日はよろしくね」
そうは言ったものの、圭は下を向いたまま元気の無いよっすぃーが
心配になった。
59 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時30分36秒
-184-

なっちも(よっすぃー、ほんのさっきまであんなにはしゃいでたのに・・・)
と、今日この後よっすぃーを残していくのが不安になった。
(しっかりしているように見えても、よっすぃーはまだ二歳だべ。
なっちがいなきゃ淋しいんだべな・・・。やっぱり今日裕ちゃんとの
お出かけは・・・)

そして梨華はさっきのよっすぃーの思ってもみない行動に驚いていた。
なっちと圭が話している間もずっと考えてこんでいた。
(どうしたんだろよっすぃー・・・もしかして・・・。あたし、おててが
こむぎこでまっしろだから、よっすぃーのことだきしめたくても、
できなかったのに・・・よっすぃーきっとかんちがいしちゃったんだ・・・
よっすぃー・・・)
梨華は怒られるのを承知で靴下のまま玄関に飛び降りた。
そんな梨華を見て、なっち、圭は(まさか梨華ちゃんが)とびっくりして
何も言えなかった。
しかし、よっすぃーは気付かず下を向いたまま。
60 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時33分51秒
-185-

「ちがうの、ちがうのよっすぃー。みてっ」
梨華は自分の真っ白な手をよっすぃーに見えるように差し出した。
「あたし、あたしね、おててがまっしろで、それで、それでね
よっすぃーのことよごしちゃったらだめだとおもってね、だからね、
・・・・・・よっちぃ・・・」
最後の方は鼻声になりながらも、梨華は一生懸命よっすぃーに訳を話した。
すると下を向きっぱなしだったよっすぃーが、顔を上げて息を呑んだ。
「りかちゃん・・・りかちゃ〜ん」
よっすぃーはさっきよりも思いきり、強く強く梨華を抱きしめた。
「ぼく、ぼくね、りかちゃんがぼくのこと・・・きらいになっちゃった
のかとおもったんだ。ごめんね、ごめんね」
「あたしこそ。よっちぃ、ごめんね」
梨華は手をつかえない分、ほっぺや口をよっすぃーの肩に押し付けた。
「りかちゃん」
「よっちぃ」
「りかちゃん」
「よっちぃ」
61 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時34分51秒
-186-

「りかちゃん」
「よっちぃ」

「はいはい、梨華もよっすぃーも分かったから、こんなとこで
じっとくっついてらんと、はよ中入り」
そうしてる間に裕ちゃんが玄関に入ってきた。
「梨華はちゃんと靴下脱いで新しいのに代える事。今のは洗濯
カゴに入れとくんやで。よっすぃーはマフラーとコート脱いで、
後で圭おばちゃんにわたす事。はい行った行った」
「「は〜い」」
ふたりともうれしそうにして、手を繋いで家の中にかけて行った。
手くらいなら後で洗えばいいものね。

「それで圭坊、あれは?」
「裕五郎さんがなつみさん達を迎えに駅に向かうのと入れ違いで、
信田さんが持ってきてくれましたよ」
圭はそう言うと、エプロンのポケットから車のキーをだして
裕ちゃんにわたした。
62 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時35分21秒
-187-

クリスマスは田舎に帰るといっていた信田さんに、裕ちゃんは前々から
この日のために、自慢の2シーターのスポーツカーを貸してくれるよう
頼んでおいたのだ。
「おお、これこれ。ほんで美帆造さん何か言ってた?」
裕ちゃんは受け取ったキーをポケットになおしながら言う。
「『修理代は自費でよろしく』と」
「それだけ?」
「その他は・・・あ、そうそう、何の事か分かりませんけど、
『するな』って言ってました」
その意味深な言葉は裕ちゃんにしか伝わらなかった。
「ん、分かった・・・」

「それはそうと・・・圭坊、ちょっと」
裕ちゃんはさっきから横で黙って二人の会話を聞いているなっちを、
チラっと横目で見て、圭を玄関の端の方に連れて行った。
そして小さく耳打ちする。
「今夜は・・・・・・帰られへんかも」
「えっ・・・」
予想はしていたものの、まさか今言われるとは思ってなくて、夜に
電話か何かで言われるものだと思っていて、圭は素っ頓狂な顔を
してしまった。
63 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時36分07秒
-188-

しかし、裕ちゃんはそんな圭ウインクすると、
「そんじゃ、なっちそろそろ行こうか?」
普通の顔してなっちの手を取る。
圭は思った。(さすが、裕五郎さん。もう決めてるんですね)

「梨華ー! よっすぃー! 行ってくるでー!」
裕ちゃんが家の中に向かって叫ぶと、子ども達が手を繋いでふたりして、
とことこと楽しそうにかけてきた。
すっかり元通り元気になったよっすぃーを見て、なっちも一安心。
「よっすぃー? ママがいなくても大丈夫だべか? 淋しくないべか?」
「だいじょーぶだよ、りかちゃんがいるもん。それにおばちゃんたちも」
ニコッとしてよっすぃーは圭を見る。
「そうだねぇ、こんなに元気だもんね。ママ居なくても大丈夫だよね」
「うん」
圭はよっすぃーの頭を撫ぜると、よっすぃーも嬉しそうに返事をする。
なっちは一度ぎゅっと、よっすぃーと梨華をふたり一緒に抱きしめた。
64 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時36分46秒
-189-

そして、「すみません、お願いします」と、入ってきた時と同じ
くらい深く深く圭に頭を下げた。

「じゃぁ、圭坊、頼んだで」
「はい、楽しんできてください」

「ふたりとも、パパ達もう行くな」
「いってらっしゃい、パパ、」
「いってらっしゃい、りかちゃんのパパ」

「ふたりとも圭おばさんの言う事しっかり聞いて、いい子に
してるべよ」
「わかってるよ、いってらっしゃいママ」
「いってらっしゃい、よっすぃーのママ」

そして手を振りながら、裕ちゃんとなっちは玄関を後にした。
65 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時37分36秒

今回はこのへんで・・・・・・。


66 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時38分35秒

おしまい
67 名前:puppu 投稿日:2002年08月09日(金)02時39分55秒

おひとつおしまい


68 名前:名無し29歳 投稿日:2002年08月10日(土)00時22分18秒
か・・・かわいぃ〜・・・
こんな子供だったらほしいよほ・・・  よっちぃとりかちゃんだけでいいけど(w
嵐のように去って行ったけめこちゃんも気になる・・・

・・・しちゃだめなんですね。了解。
69 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時22分34秒
-190-

「えーと・・・確か美帆造さん、裏の道の電柱のあたりに車つけといて
くれるって言ってたはずやけど・・・どこやろ?」
裕ちゃんがいくら周りを見渡しても、それらしきスポーツカーは
どこにも無い。
「美帆造さんのことだから、きっと勘違いして言ってたのと違う道に
止めてるんだべよ」
なっちも隣でキョロキョロしながら言う。裕ちゃんと信田さん夫妻が
知り合いということを聞いてから、同じマンションに住んでいるという事も
あり、なっちも夫妻と行き来するようになったのだ。だから、美帆造さんが
どんな人かも知っている。
「裕ちゃん、携帯に電話してみるべよ」
「そやな、ちゃんとキーはあるんやし、この辺に止めてる事は間違い
ないもんな」
裕ちゃんはそう言いながら、自分の携帯を出して美帆造さんに電話する。
「ええっと、『信田 美帆造』っと・・・・・・あったあった」ピッ

プルルルルルルル プルルルルルルル プルルルルルルル プルルルルルルル
70 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時23分11秒
-191-

『もしー?』
「おお、美帆造さん?」
『んん、裕さんどうした?』
「美帆造さん、その『もしー?』ていうのんやめてくれへんか?
気持ち悪いねん」

しかし向こうからは、
『「こら! めぐみ、雅恵、瞳、うるさい! 貴子、そいつらに
弁当でも買ってやれ」
 「なんやねん、あんた買っちゃりよ、あたし知らんわ』
 「愛してるって」
 「・・・そんなん分かってる・・・あ、すいません、幕の内弁当五つ」』
という、怒声や罵声、その他不快な囁きがきこえてくるだけ。
どうやら、田舎へ帰る新幹線の中らしい。どこの家でも、パパの
電話している横では子どもが騒ぐようだ。

『ごめんごめん、裕さん。それで? 何かあった? 車にもう
乗ってるの?』
「ああ、そうやそうや」
突っ込みどころ満載だが、裕ちゃんは話が違う方向へそれる前に
本来の目的を思い出し、早くすましてしまおうと思った。
71 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時23分56秒
-192-

「なぁ、美帆造さん。車どこに止めてくれたん?」
『え? 裕さんが前に言ってた所に止めといたよ?』
「でもな、そこにないねん。美帆造さん道間違えてないか?」
『そんな事ないよ。ちゃんと裕さんが言ってた、曲がって最初の
電柱の脇に止めて置いたよ」
「曲がって最初?」
「そう」
「そこには・・・・軽トラが・・・」
そこでまた電話は中断。

『「お箸割ってよ、貴子」
 「そんなん自分で割ったらええやろ」
 「だから愛してるって」
 「そんなん分かってる」パチン』

『あったでしょ? 俺のスポーツカー』モグモグ
「・・・・・・軽トラ?・・・」
『そうともいう』モグモグ
「美帆造さん・・・自慢の2シーターのスポーツカーって・・・。
確かに2シーターやけど・・・」
『マニュアルだし、後ろはオープン。完璧、スポーツカー』モグモグ
「・・・・・・」
72 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時24分57秒
-193-

(こんなことなら、普通車でもいいからトヨタレンタリースで
借りればよかった、そうじゃなくても、社名が書いてあるけれど、
会社の車を一台用意しておけばよかった・・・。
そう後悔した裕ちゃん。しかし美帆造の次の言葉で少し考えが
変わった。

『裕さん、何か勘違いしてるようだけど、俺のスポーツカーは
見かけだけじゃないぞ。ちゃんとスポーツエンジンを搭載してる』
「え?」
『俺が改造した。だからホントは軽じゃないんだけどね。維持費が
高いからね。うちはマンションのローンとかあるから、少しでも
節約しなきゃと思ってさ』
「それじゃぁ・・・」
『いい走りするぞ。それにエアコンもついてるし、カーステレオに
テープデッキにCDデッキにMDデッキ、全部充実してる。助手席の
ダッシュケースには美帆造セレクションのが入ってるから、後で
つかってくれたらいいよ。それにナビまでついてる。こりゃ凄い。
だから自慢のスポーツカー』
「凄い凄い。凄いやんか、美帆造さん」
『まあね』
「ありがとう、恩にきるわ。今度何か奢るから」
『当たり前だ、裕さん。・・・今日は頑張れよ』
73 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時25分52秒
-194-

「分かってる。・・・ありがとう美帆造さん・・・」
『うん』
「あっちゃんや三つ子ちゃん達にもよろしく」
『分かった』
「じゃぁ」
『じゃぁな』  プチッ
裕ちゃんはこの日改めて物や、もちろん人も、見かけでは判断
してはいけないと、いや、できるものではないと思わされた。




裕ちゃんとなっちは、さっそく美帆造のスポーツカーに乗り込んだ。
「なっち、これはただの軽トラちゃうんやで、スポーツカーや。
見かけよりも中身は大切やからな」
「うん、裕ちゃん・・・・・・」

ブル ブルルルルルル
「お、さすがスポーツエンジンや。ええ音してるわ」
「裕ちゃん運転できるべか?」
「ペーパードライバーやったんやけどな、今日のために会社の車で
ちょっと練習したから大丈夫や。なっちシートベルト締めてや。
よーし! 後方確認、右よし、左よし、いしよし。しゅっぱーつ!」
74 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時26分31秒
-195-

「うんうん、快調快調」
最初はギヤチェンジに、少しおぼつかないところがあった裕ちゃんだが
だんだんと余裕が出てきた。
「なっちどうや? 気持ちいいか」
窓を開けて子どもみたいに顔を出しているなっちに裕ちゃんが
問い掛ける。
「うん、爽快だべぇ。父ちゃんの横に乗って田舎道を走ってた昔の
事思い出すべ」
「北海道の父ちゃんか・・・。なっち、今度よっすぃーや梨華も連れて
なっちの実家に行きたいなぁ」
「いくべいくべ。きっとうちの父ちゃんと裕ちゃんは気が合うべよ。
それに、よっすぃーは男の子だから、きっと女の子の梨華ちゃんを
連れて行ったら父ちゃんも母ちゃんも、すっごく喜んで可愛がるべよ。
ああ、楽しみだべなぁ」
「ほんまやなぁ」(それに報告せなあかん事もその頃にはあるやろうし)
裕ちゃんはますます今日は気合をいれて頑張らないと、と自分を
奮い立たせた。
75 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時27分02秒
-196-

住宅街から国道にでた裕ちゃんとなっち。

「まずご飯食べに行こうか。オレ、前から一回行ってみたかった
カフエエあんねん。なっち、そこでええかな?」
「いいべいいべぇ、カフエエなんてハイカラなとこ裕ちゃん
知ってるべなぁ、すっごくいいべぇ」
「いやぁ、たまたま通りがかっただけなんやけどな。よーし、
じゃぁそこ行こうか」
「なっちどっさり食べるべよぉ」
「おうなっち、負けへんでぇ、裕ちゃんもどっさり食べるでぇ」
そこで、ふたりはお互い顔を見合って笑い合った。
76 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時27分58秒
-197-

その頃新幹線の中では・・・・・・。

「さっきの電話裕ちゃん?」
「そう。オマエや子供達にもよろしくって」
「まあ、それはいいけど・・・・アンタあんなウソ言ってええの?」
「いいのいいの。人間、思い込みは大切だからね」
「でも裕ちゃんホントの事知ったらめっちゃ怒るで。アンタ
ただじゃすまへんで」
「エンジン以外はホントの事だなんだし。それに、そんなの、
オマエが言わなきゃばれないよ」
「あたし言うかもしれへんで?」
「オマエは言わないよ」
「何で分かるん?」
「・・・愛してるから」
「知ってるって」
「でも本当は、“なんでも見かけでは判断出来ない”っていう
俺からなつみさんへの陰のメッセージだよ」
「・・・アンタええ事いうねぇ、あたし惚れ直したわ。でも
見かけ通りあの車はまんま軽トラやんか」
「だから人間、思い込みが大切なんだって。・・・ちゃんと
メッセージ伝わるかな・・・」
77 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時29分50秒

今回はこの辺で・・・・・・。

78 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時34分31秒
>名無し29歳さん
初めてですか?ありがとうございます。
どうか、どうか、けめこちゃんも貰ってやってください。
いい子なんですよ、あの子。

次回はかわもち君も登場です。こちらもかわいいね
79 名前:puppu 投稿日:2002年08月13日(火)00時35分28秒

おしまい
80 名前:( `.∀´) 投稿日:2002年08月14日(水)00時47分20秒
( `.∀´)<日記読んだわ。フフフ
       それより、この展開、ついに私の天下になってきたわね。
       このまま人質にとって、裕ちゃんを…グフフ
       それにしても信田達の出現にはびっくりたまげたわ。
       裕ちゃんったらバカなんだから♪でも…
       そんな所もス・テ・キ☆ウフフー
       主役の私がかわいがってあげるわ
81 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年08月14日(水)16時46分18秒
ついに、次回かわもち君登場ですね!!たのしみです。
梨華たんの「よっちぃ〜」に、萌え!
82 名前:1111 投稿日:2002年08月15日(木)14時23分59秒
更新お疲れ様です。
しきり直しをする決断は勇気ある行動だと思います。
その分期待してお待ちしております(ニヤーリ)。

>『するな』
(^▽^)<しないよ!ね、よっちぃ〜?
(0^〜^;)<りかちゃん、しってるの?ここは「ねずみのこころ」じゃないYO!

次回、奴が来る・・・。てってけてってんて〜んっていいながら。
しかし、ちびっ子4人が集まったら、危険な化学反応が起こりそう(w。
83 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時23分26秒
-198-

裕ちゃんとなっちが出かけて、殆どすれ違いで帰ってきたらしい
ケメ子達。梨華、よっすぃー、圭がリビングへ戻ろうと歩きかけた
瞬間、小さな声たちが家の中に聞こえてきた。

「ケーメ子ちゅわ〜ん、待ってくださいでしゅー」
「かわもち君だらしないでちゅね、これくらいどうってことない
でちゅよ。西村知美さんを見習ってくださいでちゅ」
「だってボク、さっきまでパジャマのままコタツでテレビ見てたん
でしゅよ。急に走れないでしゅよぉ〜」
「ほんとにだらしないでちゅねぇ。でも今日はかわもち君は
いつもより男らしくしてほしいんでしゅよ」
「どうしてでしゅかぁ? ケメ子ちゃん」
「今日は、かわもち君の男気が試されるひなんでちゅ」
「おとこぎぃ?」
「そうでちゅ。しっかりかっこよくしてるでちゅよ」
「・・・・・・どういうことでしゅかねぇ・・・。あ、だから
まってくださいでしゅよぉ、ケーメ子ちゅわ〜ん」
84 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時24分01秒
-199-

バタン! っと勢いよく玄関のドアが開かれた。
しかし入ってきたのはケメ子ひとり。どうやら、かわもちは
置いてけぼりを食らわされたらしい。

「ただいまでちゅ!」
ケメ子が一番最初に言う。
「こらケメ子! 梨華ちゃんを見習って、もうちょっとおしと
やかにしなさい。あんたはお姉ちゃんでしょ。一夢君も居るって
いうのに。お手本になるような事しなさい!」

ケメ子は圭のそんな言葉も聞こえているのか、聞こえていないのか、
返事もせずに、梨華と手を繋いでその横にちょこんと立っている
よっすぃーを見つめる。

(うっ、これは・・・かわいいでちゅ・・・。顔はかわもち君と
いい勝負でちゅね・・・。まあ、背はかわもち君の勝ちでちゅ。
・・・でもこの子、将来高くなりそうでちゅ。・・・ブルンブルン
ちがうでちゅよケメ子。今のかわもち君と、このひとむ君を比べ
なきゃダメなんでちゅ。というわけで、かわもち君に一本でちゅね。
・・・でもまだ勝負の行方はわからないでちゅ・・・・・・)
85 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時24分39秒
-200-

そうやってケメ子がひとり思考している間、その目の前で梨華は
よっすぃーにケメ子を紹介する。
「よっすぃー初めてだよね。けめこちゃんだよ」
梨華がよっすぃーの顔を見て言う。
よっすぃーは「けめこちゃん?」と一度名前を梨華に確認するように
首を傾けて言うと、にっこり笑って、
「はじめまして、けめこちゃん。ぼく、ひとむです。よっすぃーって
よんでください」
それからぺこりと頭を下げる。

(うっ、うっ、かわいいでちゅぅ・・・・・・。
さっき>>174で梨華ちゃんが言ってたみたいに、母性本能を
くすぐられまちゅぅ・・・・・・。
・・・よっすぃーに一本でちゅ・・・・・・。)

「えらいねぇ、一夢君。ちゃんとご挨拶できるんだねぇ」
圭はしゃがんでよっすぃーの頭をよしよし撫でる。
「うん!」
よっすぃーが嬉しそうに、サラ毛を揺らして振り返ると圭に返事を
する。それを見て梨華もとっても嬉しそう。自分の事のように隣で
微笑んでいる。
86 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時26分32秒
-201-

「ケメ子も一夢君にご挨拶は?」
圭がそう言うと、ケメ子は思い出したように背筋を伸ばし、こちらも
負けずと(自分の中では)最高の笑顔を作り、とびっきりのスタイルで
よっすぃーに初めましてのご挨拶。
「こんにちは、よっすぃー。けめぴょんでちゅ」
両手で左右のプリーツスカートの裾を摘み、右足を半歩引いて
左の足とクロスさせ、腰を落とす。もちろん、顔はカワイク右っかわに
傾けて。
しかし、ケメ子はすぐに気付く。
(す、すべった・・・・・・)
誰も何も言ってくれないから、ケメ子はそのままの格好で、頬と
左足のふくらはぎ筋肉が痙攣しかけたちょうど時、梨華がおめめを
キラキラさせて、
「けめこちゃん、そのごあいさつのしかたかわいいー。あとで
あたしにもおしえてね」
そう言って自分のコットンのピンクのオーバースカートの裾を、
よっすぃーと繋いでいない空いている方の手で、ケメ子と同じ
ように摘んで引っ張ってみたり、足をクロスさせたりしている。
87 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時27分04秒
-202-

そんな梨華の横ではよっすぃーも梨華を見て、ふざけて自分の
コットンのライトブラウンの長ズボンの横っちょを、同じく
空いている手で持ち、にこにこしながらおもしろそうに引っ張ったり
している。
梨華とよっすぃーがふたりでキャッキャ騒いでいるその少し後ろ
からは、
「もう! ケメ子は普通にしていなさい! 変な事教えないの」
そう言って圭がケメ子をたしなめる。

と、その時、また玄関のドアが開かれた。
「あ、あのぅ・・・ケメ子ちゃん?・・・」
かわもちがそっと玄関のドアから顔だけ出した。
「あ、やっぱりここだったんだ」
ケメ子がいるとわかると、かわもちは安心して中に入ってきた。
「ケメ子ちゃんひどいでしゅよ、おいてくなんて。ボク、ちょっと
迷ったんでしゅよ」
どうやらかわもちはケメ子に置いてけぼりを食らわされたらしい。
だいたいケメ子が入っていった家は分かっていたけれど、初めて
くる家なので、少し緊張していたらしい。
88 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時27分38秒
-203-

「ケメ子ちゃんのママ、お久しぶりでしゅ」
「かわもち君ごめんね。ケメ子がいきなり押しかけていちゃって」
「いえ、だいじょうぶでしゅよ。ボク慣れてましゅから」
ぺこっとかわもちは圭に頭を下げると、今度は梨華とよっすぃーに
向き直った。
(ふたりとも、かかかかかわいいでしゅ〜)
「ボクはぁ、かわも・・・・・・」
しかしケメ子は自己紹介を仕掛けたかわもちを、パンッと横に
押しのける。
「ケケケ、ケメ子ちゃん、なにすんでしゅかぁ」

ケメ子は何事もなかったように、かわもちと腕を組んだ。
そして梨華に向かって、
「彼がかわもち君。あたしの・・・」
と言って親指を立て、
「コレでちゅよ」
と、自慢げにその指を前に突き出した。
「それであたしはかわもち君の・・・」
そこで今度は小指を立てて、
「コレなんでちゅ〜」
89 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時28分13秒
-204-

しかし梨華もよっすぃーも、もちろんかわもちも、その意味が
分かるはずもなく、三人そろって黙り込んでしまう。
その上、ケメ子は笑って言うから、体がむずむず拒否反応を
起こしてしまう。

「ケメ子! 余計な事教えないの! それにその言葉はもう
死語なの。使っちゃいけないのよ」
圭がそうやってケメ子を叱っている間、こちらではもう一度
自己紹介のやり直し。

「ボクはぁ、かわもちでしゅ。ケメ子ちゃんとは幼稚園で
同じクラスなんでしゅよ。ボク、今日はうれしいでしゅ。
ボク、お姉ちゃんしかいないから、妹と弟ができたみたいでしゅ」
かわもちが笑いかけると、梨華が嬉しそうに微笑んで、
「あたし、りかです」
そう言って、ケメ子スタイルでスカートの裾を摘んでかわもちに
お辞儀をする。でももちろん左手はよっすぃーと繋いだままだし、
少しぎこちないけれど。しかしそれはやっぱり可愛い。
90 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時28分46秒
-205-

(か、かわいいでしゅ〜・・・)
「梨華ちゃんでしゅね。よろしくでしゅ」
そう言ってかわもちが今度は隣のよっすぃーを見る。
「こんにちは、ぼく、ひと・・・・・・」
そこまで言うと、どうしたのだろうよっすぃーの口の動きが
止まった。と思うと、次に口にした言葉は、
「マ、ママ?・・・・・・」
確かによっすぃーのママことなっちとかわもち君は瓜二つ。
でもそんなわきゃない。
「ちがうよ、よっすぃー。そう言えば、かわもちくんは
よっすぃーのママとにてるけど・・・」
梨華はそこまで言いかけて、もう一度かわもちを見た。
「でも・・・・・・ほんとににてるね・・・」


「ハイどうもー」パチパチパチパチパチパチパチパチ
そこでいきなり、さっきまで圭に絞られていた筈のケメ子が
割り込んできた。
腰をかがめて手を忙しげに打ち鳴らしている。
91 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時29分35秒
-206-

「お父ちゃん、メガネメガネ。人相変わってますがな」
「ああ、ホンマやホンマや。やっぱりこれせんと調子でまへんな」
かわもちはそう言うと、ポケットから黒ぶち眼鏡を引っ張り出した。
「今日は一日そうしてなはれ。もっかい最初からやりますで」

「「ハイどうもー」」パチパチパチパチパチパチパチパチ
「なぁ、おとうちゃん。今日は何の日か知ってはりますか?」
「知ってるも何も今日はイブやがな」

圭とかわもち、ふたり交互にちっちゃい空手チョップのような
ものを繰り出しながらなにやらおかしな事をやり始めた。

「イブってなんのイブか知ってはりますか?」
「当たり前やがな。イブ、ゆうたらあれや。モンタンに
きまっとるやろ」
「お父ちゃん、そのモンタンってなんですの?」
「モンタンゆうたら、みのもんたに決まっとるやがな」
「その、みのもんたってなんですの?」
「オマエはみのもんたも知らんのんかい?」
92 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時30分07秒
-207-

「知らんからこうしてお父ちゃんに尋ねてるんでっしゃろ」
「よっしゃしっかり聞いとけよ、みのもんたってゆうたらなぁ、
もんたよしのりみたいなもんや」
「じゃぁ今日は、もんたよしのりみたいなもんの日ぃちゅう事
でっしゃろか?」
「まぁそう言うことや。だから今日はダンシングオールナイトを
してもいい日っちゅうことや」
「ああ、そう言うことかいな。だから今日はみんなでパーティ
しますんやな、踊ったり騒いだりしてみんなで楽しみますんやな
・・・・・・ってなんでやねん!」

「「ありがとうございました」」パチパチパチパチパチパチパチパチ

それから圭とかわもちが、また腰をかがめて手を小さく打ち鳴らす。


「ねぇ・・・よっすぃー・・・」
「うん、りかちゃん・・・・・」
そこでよっすぃーは改めてかわもちに自己紹介し直したのだった。
93 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時31分13秒

今回はこのへんで・・・・・・。

94 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時31分48秒
また一週間あいちゃったよぉ・・・。でもがんばる。
それから、今日のネタあまりピンとこなかった方すみません。
なぜかこんなネタしか浮かばなかった。
面白いのが浮かんだら、また夫婦漫才いれていきます。
っていってももう終わりが・・・見えている。ような気もする・・・。

〔ねずみのココロ〕は時期を合わせて、12月くらいから
始められたらなぁと思っています。
それまでにはここを終わらさないと。
95 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時32分52秒
>( `.∀´)やっすーへ
だからやっすー・・・怖いよ、おそろしいよ。
やっすーにはホラ、南湖津さんがいるでしょ。まだ家に帰って
来てないけど。あなたたちが愛し合ってケメ子ちゃんがお産まれに
なったのですよ。あなたたちが愛し合ってね・・・。
フフフ、これでどうだ!
日記読んでくれてありがとう。
でもこのヤッスーの書いてくれてるレスだけでも一つの日記が
できるね。恐怖の日記が。フフフ、これでどうだ!


>よすこ大好き読者。さん
次回からはかわもち君にもうちょっと活躍してもらいます。
いろんな所で。・・・と予定してます(w。
よっちぃ・・・これはちょっと反則な言葉ですよね。これを出せば
どんな状況でも萌えてしまう。よしこヲタの運命(さだめ)です。
そしてそれを使ってしまう作者・・・。
96 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時33分26秒
>1111さん
(ニヤーリ)・・・しないで下さい・・・恐いです(w。
期待に添えるかどうか分かりませんけど、出きるだけ一生懸命
書きます。でも上手く手を抜いたり・・・あ。
最近会話文が多(ry。・・・いしよしシーンを書くときはなるべく
これは避けたいと思ってるんですけど。
危険な化学反応・・・これからです。
上に書いた通り、〔ねずみのココロ〕12月に復活目指して
やっていきます。
97 名前:puppu 投稿日:2002年08月20日(火)01時34分11秒

おしまい

98 名前:( `.∀´) 投稿日:2002年08月20日(火)23時03分46秒
( `.∀´)<そうよ。ケメ子を産んだわよ…でもね、本当の気持ちは裕ちゃん。
       裕ちゃんにあるの・・罪な私…ケメ子は私の本能でできた子。
       愛は裕ちゃんよ!!これでどうだ!!
       日記終わってヤッスー大パニックよ!ショックよ!
       私の日記?いやん、裕ちゃんとの愛の日記?
       照れちゃう…モジモジ 私はいいんだけど、公表しても…
       裕ちゃんが照れ屋さんだから〜 ウフフー
       あ〜早く私と裕ちゃんの絡みを書いてね。フフフ。
       子供もいるからソフトにね。裏では・・イヤァン♪ 
99 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時10分53秒
-208-

梨華とよっすぃーが、手を繋いだまま先にリビングに駆けていき、
その後をケメ子とかわもちが靴を脱いで付いていく。
圭は四人を見守るようにして、一番最後に歩いて行く。
「南湖津さん遅いわねえ」とぼやきながら。
その頃南湖津は、ケメ子を見失い、その上道に迷っていた。
ハクション!「誰か噂しているのかな。それにしても・・・
ここはどこなんだろう・・・・・・」


子ども達が四人揃ってソファに座ろうとしたけれど、その前に
ケメ子だけ圭に呼び止められた。
「ケメ子、餃子を皮に包むの手伝って。あと少しだけ残ってるから」
「え〜、ブーブー、どうしてあたしだけでちゅか?」
ケメ子が下唇だけ突き出して反論する。
「あなたは女の子でしょ」
「りかちゃんはどうなんでちゅか?」
「梨華ちゃんはさっきまで手伝ってくれてたの。それにあんたが
パパを置いてくるから悪いんでしょ」
「だってケメ子、パパ知らないでちゅよ」
ケメ子はなぜかキッチンの隅で体育座りをして、イジイジと
人差し指の先どうしをくっ付けたり離したりしている。
100 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時11分39秒
-209-

「あなたを迎えにいったまま、まだ帰ってこないの」
「そんなの、そんなの・・・・・・」
(せっかく、せっかくでちゅよ、あたしがかわもち君をわざわざ
呼びに言って連れてきたって言うのに、そして今から今世紀最大の
熱いバトルが勃発しようとしているというのに、あたしがそれに
立ち会えないなんてどうかしてるでちゅよ)
ケメ子は圭に向き直り、
「そんなの、そんなのあたししらないでちゅよー!」
と大声で叫んだ。
が、それもむなしくやはりケメ子はむりやり引っ張り立たされ
餃子の皮包みを手伝わされる事となった。


リビングでは、焼きたてのクッキーをつまみにして、オレンジ
ジュースを飲みながら、楽しい会話がすすんでいる。
「じゃぁ、りかちゃんもよっすぃーも二歳なんでしゅね。
ボクは五歳だからぁ、えっとぉ・・・・・・ボクはぁ・・・
きみたちより三つも上って事になりましゅね」
101 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時12分22秒
-210-

かわもちが片手で眼鏡を上げながらそういうと、梨華がぺちぺち
両手を叩いて、
「わあ、すご〜い! かわもちくんって、けいさんができるんだあ」
と、尊敬の眼差しでかわもちを見る。
「たいしたことないでしゅよ。こんなの初歩的な事でしゅから」

へへへと笑うかわもちと、すご〜いと目をきらきらさせている
梨華を見て、やっぱり少しよっすぃーは面白くない。
普段は素直なよっすぃーだから、自分も一緒にすごい、かっけー!
と言うところだろうけれど、それに梨華がからんでくると
話は別。やはり自分は何であってもは梨華の一番でいたい。
オレンジジュースをストローでぶくぶくさせながら、隣の梨華と
斜め前のかわもちを交互に見る。
「かわもちくんって、すごいね。ね? よっすぃー」
と梨華が自分に話し掛けてきても、
「う、うん・・・」
という曖昧な返事しか出来ない。
102 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時12分53秒
-211-

キッチンの方からは
「こら、ケメ子! どうして舐めてするの、切手じゃないんだから。
ちゃんと水つけなさい、」
「こっちの方が早いでちゅよ」
という、“まさか・・・”と思わせるような会話が聞こえてくる。

リビングの方では、
「りかちゃんはぁ、きっとぉ、すごくかわいいお嫁さんになりましゅよ。
ボクが保障しましゅ」
「わぁ、かわもちくんがいってくれるんだったら、ほんとだね」
「ほんとでしゅ、ほんとでしゅ。今もこんなにかわいいんでしゅから」
と、かわもちがかわいいを連発している。

そんな中、よっすぃーは悔しいような悲しいような、どうともいえない
気持ちになってきて、自分の右手をソファの布地に這わせるようにしながら、
すぐ近くにある梨華の左手の所に持っていき、そしてそっと握った。
103 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時13分30秒

少ないですけど
今回はこのへんで・・・・・・。

104 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時14分51秒
これ以上あくとだらだらと一ヶ月でもいっちゃいそうなので
少なくても口唇します。
いち、にー、いち、にー、ワン、ツー、ワン、ツー。
105 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時15分30秒
>( `.∀´)やっすーへ

絡み、カラミ、からみ・・・気持ち悪いよー。・゜・(ノД`)・゜・
ソフト?ハード? コンタクトかよーヽ(`Д´)ノ
この本能の塊め、いつか成敗してやる・・・
恐怖日記を公表して・・・ふふふ。

やっすーがこんかいは、“モジモジ”とか、“イヤァン♪”とか
とてもとてもすてきなことばをつかっているので、
どっきんどっきんしてしまいました
ほんとうはやっすーってかわいいんですね。
106 名前:puppu 投稿日:2002年08月27日(火)00時16分13秒

あしまい

107 名前:1111 投稿日:2002年08月27日(火)22時52分16秒
短い!短いぞぉぉぉぉ!!
そんなことで全国18万6千人と犬800頭を満足できると思っているのか!
それから一夢!男なら惚れた女を信じるんだ!!
かわもち君は俺がもらうから・・・・、アレ?

そんなわけでまた来週、お待ちしております(ニヤーリ)。
108 名前:( `.∀´) 投稿日:2002年08月29日(木)02時38分10秒
( `.∀´)<気持ち悪いとはなによ!!欲望のままに生きる。これがワ・タ・シ。
       愛の詰まった、愛の塊の日記しかないけど、その、それでよければ
       ポッ 裕ちゃんとの秘め事が…ウフフ。
       『ほんとうは…かわいいんですね』とはどうゆうこと?
       プリティ保田だっての!気が付くのが遅いわよ!!
       口唇は無理しないで。私と裕ちゃんのあれやこれやだもの。
       濃すぎて時間がかかるのはしょうがない事よ。マイペースにね
       
       ”まさか…”と思わせる会話、かなり笑ってしまったわよ! 
109 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時39分16秒
-212-

お目当てのカフエエに到着し、席についた裕ちゃんとなっち。
そこは自家製のパンに、フレンチテイストの具をコーディネイトした
サンドウィッチが自慢のお店。早速ふたりしてメニューを覗き込んだ。
「なっち、どれにする?」
なっちはメニューに載っている写真をみているだけで、既におとがいが
落ちそうになっている。
「ん〜、ん〜。みんなおいしそうだべなぁ・・・。裕ちゃんはどうするべ?」
「そうやなぁ・・・・・・そや! なっち」
裕ちゃんはメニューから顔を上げてなっちを見た。
「幾つかの種類頼んで、ふたりで分けようや。そんならいろんなん
食べられるやんか」
「そっか! そうだべな裕ちゃん。なっちもそれがいいと思うべよ」
メニューを置いて、嬉しそうになっちも小さく手を打って賛成する。
「そうと決まれば・・・と」
裕ちゃんとなっち、ふたり揃ってメニューを端の方から読み上げる
ようにして注文していく。
裕ちゃんはどちらかというと小食だったけれど、なっちと出会ってからは
合わせるようにしていっぱい食べられるようになってきたのだ。
110 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時39分52秒
-213-

「ローストビーフサンドと、スモークサーモンサンドと、チキンサンド」
まずは裕ちゃんがウエイトレスさんに注文する。
「それに、エビカツサンドに、白身魚サンド、お願いするべ」
なっちも続けて注文する。
「それから野菜も摂っとかなあかんから、えっと、生ハムとトマトと
モッツァレラチーズサンド・・・・・・そんなもんかな。なっち、他に
食べたいのある? ん、どうした? なっち」
裕ちゃんが隣のなっちを見ると、メニューの一点を見つめて、少しだけ
淋しそうな顔をしている。
ほんの今まで、にこにこ嬉しそうにしていたなっちだから、裕ちゃんは
余計に気になる。
「なっち、オナカの調子わるいんか? そんならまた今度、・・・」
「違うべよ、裕ちゃん。なんでもないべ。ただ・・・・・・」
なっちはそのまま裕ちゃんの方に静かに顔を上げた。
111 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時40分24秒
-214-

「ただ?」
「ただ・・・このタマゴサンド、よっすぃー好きそうだべなぁ、と思って」
裕ちゃんは、なっちの指差すメニューの写真を見た。
「うん・・・ホンマや・・・。よっすぃー、これ見たら顔くちゃくちゃに
して喜ぶやろなぁ。ほんで両手に持って大きな口開けて、タマゴぽろぽろ
落としながら夢中でかぶりつくんやろなぁ・・・」
なっちは小さく頷いて裕ちゃんに答える。
「それに、ホラ」
なっちは次に、タマゴサンドの斜め上の写真を指差した。
「このステーキ丼サンド。梨華ちゃんが喜びそうだべぇ・・・」
「ホンマや・・・。梨華は、おにくおにくってはしゃいで、それから
ちっちゃい口のまわりソースでべたべたにして、服にまで食べさせ
ながら、一生懸命かじるんやろなぁ・・・」
裕ちゃんとなっちは顔を見合わせて、ふふふと微笑み会う。

せっかくの、ふたりっきりの初めてのデートだけれど、やっぱり
何かに付けて出てくるのは自分達の可愛い子どもの事ばかり。
裕ちゃんとなっちは、子ども達と保田さん一家のために、持てるだけ
サンドウィッチをお土産に買って帰ることにした。
112 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時40分57秒
-215-

「あのう・・・ご注文は以上でよろしいですか?」
裕ちゃんとなっちが感傷に浸っていた間、ずっとウエイトレスさんは
待っていてくれていたのだ。
「あ、すみません」
お昼のちょうど忙しい時刻に悪いと思い、なっちは慌てて頭を下げる。
裕ちゃんも頭を下げて、それから最後の注文をする。
「それと、ホットコーヒーお願いします。なっちは?」
「じゃぁ、なっちもホットで」
「はい分かりました。ご注文の方繰り返します。ローストビーフサンド、
スモークサーモンサンド・・・・・・、ホットコーヒー二つ、ご注文
以上でよろしいでしょうか」
「はいだべ」
なっちが返事をしたので、ウエイトレスさんは頭を一つ下げて厨房に
行こうとするのを、裕ちゃんは念のために引き止める。
「あ、ちょっと待って」
「はい?」
「サンドウィッチも二人前ずつやで」

・・・・・・ウエイトレスさんは、最初のふたりの会話、
「幾つかの種類頼んで、ふたりで分けようや。そんならいろんなん
食べられるやんか」
「そっか! そうだべな裕ちゃん。なっちもそれがいいと思うべよ」
・・・・・・なんだったのだろうと頭を傾げるのだった。
113 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時41分47秒

またまた少ないですけど
今回はこのへんで・・・・・・。

114 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時42分59秒
なんかほんとに最初の頃みたいにネタが浮かんでこないんです。
ずっと一つのもの続けるって大変ですね。
じゃぁ早く終わらせろよというツッコミはなしで。
お暇な人だけどうぞ。
http://members.tripod.co.jp/puppu55/sasagemono.htm
115 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時44分39秒
>1111さん
全国18万6千人と犬800頭・・・。
こ、これはどういう経緯ではじき出された数字なんでしょうか?・・・
って、ていうかよっすぃーはまだ2ちゃいでちゅから、惚れた腫れた
なんてことわかんないんだよほ!グスン。
かわもち君はあげられませんね。すでにケメ子ちゃんのものだから。ふふふ。


>( `.∀´)やっすー
や、やっすーが夢にでてき、そ、う・・・。
くっそー! ようしつくってやるぞ、愛、じゃなくて恐怖の塊日記を・・・。
プリティ保田ってのはあれですよね、プリティ長嶋の仲間か何かだよね?え?
やっすー。やっすーは優しいんだか恐いんだかわかんないよ。
なんかアメとムチで操られてる感じが・・・するのはなぜだろう。
116 名前:puppu 投稿日:2002年09月03日(火)05時45分34秒

おっちまい

117 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月27日(金)15時43分17秒
保全
118 名前:ミニマム 投稿日:2002年09月30日(月)02時49分02秒
ねずみもね!w
さてURL不明でっせ〜〜(泣)
保全っす。今後も期待。告知も希望
119 名前:保全 投稿日:2002年10月15日(火)21時36分30秒
保全
120 名前:ななし 投稿日:2002年10月27日(日)14時33分23秒
二人ともかぁいい〜ニヤけまくりれす。
121 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月02日(土)21時36分08秒
miniいしよしほぜん。
122 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時11分01秒

素面ではなく、酒を一杯ひっかけて(未成年者は飲んだつもりで)
読んで下さい。そうでないと、あなた、引きますよ……。

123 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時12分56秒
-216-

南湖津が散々道に迷い走り回ったあげく、ヒーヒー言いながらも
何とか帰ってきたので、中澤家でもみんなそろってさっそくランチを
摂る事にした。
「今夜は雪が降るかもなぁ」
そう言って手を擦りながらリビングに入ってきた南湖津は、余程
寒かったのであろうか鼻の頭が真っ赤っ赤。
子ども達に「赤鼻のトナカイさんだ〜」と、からかわれ背中に乗って
こられても、言い返す事も出来ずただただされるがままになり、
ずりずり垂らした洟をかんではティッシュの山を高くしていた。

餃子のオードブル、鶏ガラスープに餃子を浮かべた餃子スープ。
そしてもちろん、メインも餃子。つまみも餃子、おかずも餃子。
あんたも餃子。あたしも餃子。モーニング娘も餃子餃子餃子……。
しかし、みんなでホットプレートを囲みわいわい言って食べる
焼きたて餃子は、その雰囲気も一つの調味料となり、とても
美味しいものだった。
124 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時13分29秒
-217-

オナカがふくれた子ども達は、後片付けは南湖津と圭に任せ
さっそく遊ぶ事にした。

「シンデレラごっこするでちゅぅ」
待ってました、とばかりに、ケメ子が自分のほっぺに人差し指を
差し込んで、可愛く顔を傾けた。
よっすぃー、梨華、かわもちも特に異存はないようで、
「うん、いいよ」と、ケメ子の周りに集まった。

「それじゃぁ……まずは、ケメぴょんがシンデレラでぇ……」
ケメ子は自分のほっぺで人指し指をくりくり回しながら、
周りの皆を見渡した。そして嬉しそうに続ける。
「梨華ちゃんとよっすぃーは、魔法で馬になるねずみさんでちゅ。
 それでぇ、かぼちゃの馬車はケメ子のパパにやってもらうとして、
 妖精さんはママでちゅね」
「あれ? ボクはボクは?」
と心配そうに尋ねてくるかわもちには、
「もう、野暮な事は聞かないで。決まってるでしょ、
 ケメ子がお姫様なんだから、かわもち君はもちろん
 “王子様”でちゅ〜」
125 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時14分05秒
-218-

ケメ子ちゃんは一人で盛り上がってしまっている。
そんなケメ子は置いといて。

梨華がよっすぃーに話し掛ける。
「よっすぃー、よっすぃー。あたしたちねずみさんだって。
 ちゅうちゅう。みてみて、あたし、ねずみさんにみえるかなぁ?
 ちゅうちゅう」
梨華が嬉しそうに、ねずみのみたいにおちょぼ口をもっとちいさく
とがらせて、ちゅうちゅうちゅうとよっすぃーに抱きつく。
「りかちゃんのねずみさん、かわいいよ」
よっすぃーは、一応笑ってこたえるけれど、なぜだか心の中は
ちょっぴりブルー。
しかし梨華はそれに気付かずに、よっすぃーのこたえにますます
嬉しくなって飛び跳ねてよっすぃーの顔を覗き込む。
「かわいい? やったぁ。ねぇ、よっすぃーも、ちゅうちゅうって
 やってみて? ちゅうちゅう」
「うん……、ちゅーちゅー……ちゅーちゅー」
よっすぃーはやってはみるものの、心の中のわだかまりが邪魔をして、
梨華のように上手に鳴けない。
126 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時15分02秒
-219-

「よっすぃーちがうよ、ちゅうちゅうだよ」
「うん……ちゅうちゅー……ちゅーちゅー」
「ちゅうちゅう、だよ」
「ちゅーちゅう」
「ちゅうちゅう」
「ちゅ、ちゅう」




そうこうしている間に、洗い物が終わった圭と南湖津を
ケメ子が呼んで、配役やらを説明する。

「さぁ、みんなやるでちゅよぉ〜。妖精さんが、ねずみさんと
かぼちゃをかぼちゃの馬車にかえるところからでちゅ。ティモテ〜
シンデレラは髪が命」
二つ括りにしていた髪をほどき、手で梳きながらケメ子が皆を促す。

しかし、そんなケメ子にかわもちは、
「ケメ子ちゃん、『シンデレラ』は、お掃除している場面とか、
ママやお姉さん達に苛められている所から始まるんでしゅよ」
黒ぶち眼鏡を知的に触り、意見する。
「だからボクは二役という事で、ケメ子ちゃんを……」
かわもちはどこからホウキを持ってきて、ケメ子に向かって
振りかぶった。
127 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時17分25秒
-220-

「そこはカットでちゅ。いいところだけ、やるんでちゅ」
「いいところだけ……でしゅか……」
「そう。いいところだけ それはそうとかわもち君、手にある物は
 なんでちゅか?」
「これでしゅか? これは、お姉さんがシンデレラをぶちのめす
 ためのホーキ……が、心を入れ替え真面目に働くようになったという
 ありがたいほうきでしゅよ……」
「ふ〜ん……」
ケメ子は、ありがたい箒を早々と放り投げ(“いいところ”とは
どういうところなんだろう)と、頭の中で整理しているかわもちに、
軽くメンチをきって、まだねずみさんの練習をしているふたりに声をかけた。
「よっすぃー、梨華ちゃん。本番いくでちゅよ」
「は〜い」
「……はーい」
乗り気な梨華の声と、それとは反対に暗いよっすぃーの声。

それに気付いた、ねずみさんの近くにいるかぼちゃ役の南湖津は、
(よっすぃーは初めて合う人たちばかりで、ママがいなくて心細く
なってきたんじゃないか)と、少し心配になった。
128 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時18分06秒
-221-

「よっすぃーは眠くなってきたのかな? 少し元気ないね」
南湖津がしゃがんでよっすぃーの顔を覗き込む。けれどよっすぃーは
南湖津の顔を見つめ返して、自分の頭をぶんぶん左右に振るだけ。

隣の梨華がよっすぃーに代わって南湖津に言う。
「あのね、よっすぃーね、ねずみさんのなきごえがじょうずに
 できないから、ちょっとおちこんじゃってるの」
それから今度はよっすぃーに、
「よっすぃー、だいじょーぶ、だいじょーぶ。だって、
 よっすぃーのねずみさんは、すっごくかわいいもん」
と言って抱きついた。
よっすぃーは、そんな梨華が可愛くて、そしてとても愛しくて、
梨華を一回ぎゅっと抱きしめ返すと、何かを決心したように
下唇を噛んだ。

「けめこちゃん」
突然のよっすぃーの大きな声に、梨華はどうしたのだろうと、
頭を傾げながら抱きついていた手を緩め、よっすぃーの顔を
見た。
しかし、よっすぃーの瞳は梨華ではなく、一直線にケメ子に
注がれている。
129 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時19分53秒
-222-

ケメ子は、南湖津が心配そうによっすぃーに話し掛けたのも
知らずに、一生懸命、圭に魔法の使い方を指導していた。
そこを突然名前を呼ばれたのだ。少しびっくりして
よっすぃーの方を振り向いた。
「どうかしたんでちゅか? よっすぃー」
よっすぃーは梨華の手を取ると、改めてケメ子を見つめ、続けた。
「あのね、けめこちゃん」
「どうしたんでちゅか?」
「あのね、お姫さまのやくは……りかちゃんじゃだめかな?
 ぼくは、ねずみさんのままでいいから、りかちゃん、
 お姫さまじゃだめかな?」

そんな真剣なよっすぃーの横顔を、梨華は「よっすぃー……」と、
一言ちいさく呟いただけで、それ以上その他の言葉を口に出す事が
出来なかった。
(よっすぃー、さっきから、ずっとずっとそのことばかりかんがえて
 くれてたんだ……。それなのに、それなのに……あたし、ちゅう
 ちゅうってないてばっかりで……)
130 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時20分26秒
-223-

よっすぃーの大きなおめめにみつめられ、さすがのケメ子も少し
あたふたしている。
「で、でも……やっぱりお姫様は、それに一番ふさわしい人が……」
言いかけたケメ子をさえぎったのは梨華の声。
「よっすぃー、あたし……あたし、ねずみさんのままでいいよ。
 ううん、ねずみさんがいいの。あたし、よっすぃーといっしょの
 ねずみさんがいいの、ちゅうちゅうって。あたし、よっすぃーと
 いっしょだから、すごくうれしいんだよ」
梨華はよっすぃーの腕にすがりつくようにして、よっすぃーの長い睫を
見つめた。暫くすると、前を向いたままだったよっすぃーがゆっくりと
梨華に向き直る。
「りかちゃん……。でも、でもぼく、りかちゃんはお姫さまじゃなくちゃ
 いやだよ」 
「よっすぃー……」
「やだよ……」
梨華とよっすぃーは、お互いに困ったような、それでいてとても
嬉しそうな顔をして、じっと黙ったまま見詰め合っている。

「あのー……」
(“いいところ”とはどんなところか、という難問を、どうにか
消化してしまったかわもちが、その場の沈黙を破るように、
小さい声できり出した。
131 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時22分47秒
-224-

「あのー……、ボクもぉ、シンデレラの役は梨華ちゃんがいいと
 思うんでしゅけど……。あっ、あの、梨華ちゃんが決して
 幸薄そうな顔とか、原題の通り灰を被ったみたいに少し色黒だとか
 そんな事、全然思ってないでしゅよ。だってシンデレラは、お掃除
 がちゃんと出来なくちゃ……、ああっ、ボク今、余計な事言った 
 でしゅかね。全然そんな事、思ってないでしゅ。えっと、えっと、
 ホラ、俗に言う“お姫様”っていうのはでしゅねぇ、
 “可憐で優雅で品があって、おしとやかで、慈しみの心があって、
 笑顔がチャーミングで、あたし脱いだらすごいんですよボインボインボイ〜ン。
 「特技はY字バランスです!」そんでもって、関白宣言大いに結構
 三歩下がって歩きます、亭主元気で留守がいいなんてくそ食らえだっちゃ。
 貴方になら付いてゆくわどこまでも例え火の中水の中、たまには
 健康ランドもいいわねぇ、あたしお背中流すわよ、え、貴方も流して
 くれるの? そんなもったいない事できません。ああいもうまい。
132 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時27分59秒
225-

 いいではないか、いいではないか、嫌よ嫌よも好きのうち、もう少し
 こっちへ来なさいハアハア、ん? 恥ずかしがる事はない、もっとよく
 お前の体を見せておくれハァハァ。いいんですか? じゃあ一寸だけ……、

 と控えめなところも忘れずに。アタシ、アナタのお嫁さんになったら、
 毎朝早起きしてハートをあしらった可愛いお弁当作っちゃう
 だからアナタも帰ってきたら一番にアタシをお姫様抱っこして、そして耳元で
 そっと囁いて。「愛してる」って。キャッ でもあたしホントは知らない人と
 話してはいけないんだけど……”
 とまあ、簡単に言うとお姫様とはこんな人なんでしゅ」

かわもち必死だな。そして作者も……必死だな。
133 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時28分55秒
-226-

(なんでちゅか、なんでちゅか! かわもちくんもよっすぃーも
 りかちゃんばっかり見ちゃってさ。ケメ子もここにいるんでちゅよ!
 ケメ子の方が梨華ちゃんよりも三つも熟しているんでちゅよ! 
 このケメぴょんの体中から醸し出ている“オトナの色気が
 分からないなんて、ふたりともまだまだコドモでちゅねぇ……。
 ここは一発、ケメ子の妖艶な所をみせてあげるでちゅか……)
「あっは〜ん あせばむワぁ〜」
 ケメ子はその場に片手を付いてしなだれて、自分のセーターの襟首を
 もう一方の手で摘み何気なくを装いながら引っ張った。
 立っているかわもちやよっすぃーからは、ケメ子の胸元が丸見えだ。
(ふふふふ。ふたりとも見てるでちゅ見てるでちゅ、もう一押しでちゅ)

「あぁ〜ん ほんとに熱いワぁ〜 ケメ子ほてってきちゃった
 かわもちさん、セーター脱ぐの手伝って下さる?」
「え、あ、あの、ボク」
134 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時29分51秒
-227-

     アッポー

戸惑うかわもちを救ったのは、やはりケメ子の母である圭が我が子の
頭に放った馬場チョップ。アッポー
「ケメ子、あんた何やってんの。さっきからばかな事ばかりしないの。
 あなたはもう五つなんだから、シンデレラの役は梨華ちゃんに譲って
 あげなさい」
「そうだぞ、ケメ子。今日はお前はお姉ちゃんなんだから、ちゃんと
 梨華ちゃんと一夢くんが楽しくなるような事をしてあげなさい」
そばで見ていた南湖津までもケメ子に注意する。


母と父のw攻撃に最初はケメ子も反省した。けれどだんだん腹が
立ってきた。
(なんでちゅか! みんなケメぴょんのこと、お姉ちゃんお姉ちゃんて。
 ケメ子は“もう”じゃなくて“まだ”五歳なんでちゅよ! 正直に
 言ったらいいじゃないでちゅか、薄幸そうな梨華ちゃんに、一時だけでも
 夢をみさせてあげたら? って。こうなったらもうやけくそでちゅ
 開き直ってやるでちゅよ!)
135 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時32分39秒
-228-

ケメ子が髪を振り乱す。
「よく聞くがいい、皆のもの。梨華ちゃんは美しく、優しい娘に
 育ち、あらゆる人から愛されるであろう。
 しかし、
 十六歳の誕生日の日が沈むまでに、糸車の針で指を刺すだろう。
 そして、しぬ……ハハハハハハ」
ケメ子の指先からは青い炎がほとばしった、かもしれない。

「ひどいよ、けめこちゃん」よっすぃーが叫ぶ。

「ハハハハハハ」笑い続けるケメ子。

そして俯いた梨華のおめめからは一粒、涙が零れ落ちた。
136 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時33分26秒

今回はこのへんで・・・・・・。

137 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時34分40秒
長い間、というか、もう作者は氏んだと思った方もおられるでしょう、
すみません。一つ言い訳をするとすれば、今学校の行事が・・・
という訳です。そしてこれが終われば多分・・・という事です。
連載をはじめてから一年が過ぎてしまいました。
早く抜け出そうっと……
138 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時35分25秒
>117さん >119さん >121さん
保全ありがとうございます。

>ミニマムさん
不明なのは>>114のURLですか? それでしたら、またそのうちに。
えと、ほったらかしですみません。がんばります。
ホントいうと、はやくねずみの方を書きたいんですけど(w
でも二重生活はまた放置しちゃいそうなので、こちらを先に
終わらせます。ねずみは少しずつだけどストックしていってます。

>ななしさん
そう思ってもらえて嬉しいです。あねおとうとはズバリそれが
テーマですから。でも段々違う方向にいってる気が……。
139 名前:puppu 投稿日:2002年11月03日(日)23時38分00秒

おっちまいまいかたつむり

140 名前:1111 投稿日:2002年11月04日(月)03時49分27秒
おひさしぶり〜、よかった生きてた(w。

>かわもち必死だな。
確かに・・・・。
>そして作者も……必死だな。
否定の余地すらないな(w。

ハロモニ。のモーママコント。
裕ちゃんと結婚したなっちはまさにあんな感じなのではと・・・。
た、たまらん・・・。ハァハァハァ
141 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年11月08日(金)23時06分27秒
う〜ん。ちびっ子なよっすぃ〜&梨華ちゃん可愛いい!
すっごく面白いです。
続きも期待して待ってます。
142 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時26分15秒
-229-

「大丈夫よ、可愛いお姫様」
梨華に声をかけたのは妖精役の圭。

よっすぃーは黙って梨華の頭を小さな手で撫で続けていた。
幼いよっすぃーの脳みそには、こんな時、女の子に何て声を
かければいいのかなんて、まだインストールされていない。
しかし分からないながらも一生懸命、梨華を慰めようと努めていた。
その隣では南湖津がしゃがんでケメ子の両手を掴み、何事かを
言い聞かしていた。
「ケメ子はもっとお友達の気持ちを考えて、物を言うように
 しなさい。もしケメ子が梨華ちゃんの立場だったらどうする?」
「……泣いて、怒って、それから風呂敷に荷物をまとめて実家に
 帰らせて頂きまちゅ」
南湖津はケメ子の両手首を掴んだまま、暫く下を向いて考える。
その様子を見てかわもちはあたふたしていた。
南湖津は再びケメ子の目を見つめると言う。
「……それはケメ子的に嬉しいコト? 悲しいコト?」
「悲しいコトでちゅ」
143 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時27分05秒
-230-

ケメ子は自分が梨華に言ってしまった事を後悔し始めたのか、
急にしゅんとなって泣き出した。……すごい顔で。
「ケメ子。分かってるなら、もうパパは何も言わない」
南湖津は、すごい顔で泣いているケメ子を抱きしめた。しみるねぇ〜。

「ホントにケメ子は余計なことばかり言うんだから」
圭は小さくため息をつくと、まずはよっすぃーに、――後は
おばちゃんにまかせて、と――ぽんぽんと頭を軽く叩き、あやゃ
ウインクすると、自分の目をゴシゴシ擦っている梨華をそっと
抱き上げ、涙を拭ってやりながらにっこり笑った。
「もしもあの魔女(ケメ子)の呪い通りになってしまっても、
 希望の光が一筋残るような魔法を、おばちゃんがかけてあげる。
 しぬのではなく、しばらくの間楽しい夢をみながら眠るだけ。
 そして大好きな王子様のキスで、梨華ちゃんは呪いがとけて
 眠りから覚めるんだよ。えい!」
                     
( `.∀´)/              (^▽^#)(^〜^o)
144 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時27分37秒
-231-

ケメ子は梨華に謝った。
「梨華ちゃん、ごめんなさいでちゅ。あたち、かわもち君と
 よっすぃーの前で、いい格好したかっただけなんでちゅ」
「きにしないで、けめこちゃん」
梨華はまだ少し赤く腫れた目を手の甲で一回拭うと、ケメ子に
向かってニコッと微笑んだ。
「だってもう、あたしには、だいすきな王子さまがちゃんといるもん」
お姫様の為に濡れたタオルを持ってこようと、ちょこちょこと
妖精さんについて行く大好きな王子様の後姿を見て、梨華はもう一度
にっこりと微笑んだ。





それから、子ども達がすっかりお昼寝に突入してしまったのを
見計らって、圭と南湖津は夕飯の買出しに行く事にした。
平仮名くらいなら、かわもちとケメ子はどうにかこうにか読めるので、
手紙を残していくことにした。
145 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時28分09秒
-232-


  こどもたちへ

  いいかい。これからでかけてたべものをかってこなくては
  ならないの。おおかみにはきをつけて、なかにいれては
  いけませんよ。おおかみはよくへんそうするからきをつけてね。
  でも、がらがらごえとくろいまえあしでおおかみとわかります
  からね。ようじんをおし。
  おおかみがひとたびいえのなかにはいったら、おまえたちみんな、
  たべられてしまいますからね。

                                 圭 南湖津
                                          』

「これでよし、っと。これだけ脅しとけば大丈夫」
それから、圭と南湖津は出かけました。

この一通の手紙が後々問題を起こすなんて、この時の二人には
思いもよらない事でした。
146 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時28分43秒
-233-

圭と南湖津が家の戸締りをし、中澤家の近所のスーパーマーケットに
出かけてから暫くして、最初に目覚めたのはケメ子。
「あれ? ……パパとママはどこでちゅか?」
ケメ子は圭と南湖津を探すべくリビングに行ってみた。しかし、
二人の姿はどこにもなく、代わりにテーブルの上に何か文字が
書かれた紙切れが置いてあった。
「家出でちゅ……」

ケメ子はその紙切れを握り締め、慌てて梨華やよっすぃー、
かわもちがお昼寝している子ども部屋へ走りこんだ。
「みみみみ、みんな、おきるでちゅー!!」
ふかふかのホットカーペットの上で毛布に包まってまだ眠っている
三人を、ケメ子は大声張り上げ起こしにかかる。
「み、みんな大変でちゅ。パパとママが……」
「どうしたんでしゅかぁ〜、ケメ子ちゃ〜ん」
かわもちはよっすぃーに顔をみられて、「……あ、ママ」と言われる
前に、慌てて黒ぶち眼鏡をかける。
147 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時29分30秒
-234-

「かわもちくん、パパとママが手紙を残して家出しちゃったでちゅよー」
ケメ子はかわもちに圭と南湖津の手紙をみせる。
「ちょっと待ってくだしゃい、ケメ子ちゃん」
こんなにくしゃくしゃにしちゃって、と呟きながらも、かわもちは
なんとか両手で皺をのばしてその手紙を読み始めた。
もうその頃には梨華もよっすぃーも周りの騒がしさによって
しっかりと目が覚めていた。ふたりとも何が起こったのか訳が
分からず、ただただ、お兄ちゃんとお姉ちゃんの様子を窺っていた。

半泣き状態のケメ子に見つめられながら、かわもちは真剣に
手紙を読む。
「ケメ子ちゃん、ちゃんと読んでから騒いでくだしゃい」
「え? かわもちくん、それじゃぁパパとママは家出したんじゃ
 ないんでちゅか?」
「大丈夫でしゅよ。買物に行っただけでしゅよ」
ケメ子は一先ず胸を撫で下ろした。しかし眼鏡の奥のかわもちの目は
いつもと違い、少し動揺している。
「でもボクたち、気を付けないと狼に食べられてしまうそうでしゅ」
148 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時30分24秒
-235-

この後の四人の子ども達の脅えようといったらなかった。けれども、
狼に食べられないようみんなで知恵を出し合い、作戦を練った。
「大丈夫、簡単にドアを開けなきゃいいんでしゅよ」
一番がくがく震えているかわもちだけれど、やっぱりまともな事を
言っている。
梨華はよっすぃーの手をぎゅっと握って、ひたすらみんなの
言うことを聞き、一つ一つ頷いている。
そんな梨華の手をしっかり握り返しているよっすぃー。
「おおかみなんて、ぼくが、がっついしまつぱんちで、やっつけてやる」
ガッツ石松が何のことか分からないけれど、あいた手をぶんぶん
振り回しているよっすぃーが、梨華にはとても頼もしく見える。
そしてケメ子は……。
「狼なんて、ケメ子が噛み付いて今日のディナーにしてやるでちゅよ!」

そしてそんな四人の恐怖のボルテージを一気に頂点に追い上げる悪の鐘が、
“ピンポ〜ン”と間抜けに響いた。
149 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時31分42秒
-236-

子ども達はばたばたばたと慌てて玄関に向かい、四人並んで
あがりかまちの上に立つ。
左から、よっすぃー、梨華、ケメ子、かわもち。

「荷物が沢山あって開けられないの〜。ケメ子ー、手伝ってー」
確かに“圭らしき声”が玄関のドアの向こうから聞こえてくる。
しかし子ども達も簡単にはドアを開けられない。四人、顔を見合わせ
頷きあう。
「本当のママなら、あたち達の後について綺麗な声で歌うでちゅ」
ケメ子のその言葉を合図に、子供達は手に手を取って歌いだす。

  ♪僕らはまだ夢の途中 みんなみんなそうなんだ♪

しかし、暫く待っても歌声が返ってこない。
聞こえなかったかもしれないと、子ども達は先ほどよりも大きな声で
もう一度歌う。

  ♪僕らはまだ夢の途中 みんなみんなそうなんだ♪

「……Wow Wow Wow」

確かに“圭らしき歌声”が玄関のドアの向こうから聞こえてくる。
けれども子ども達はまだ全てを信用したわけではない。
次の作戦に移ることにした。
150 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時32分21秒
-237-

もう一度お互いの顔を見て頷き合うと、ケメ子がしゃべり出した。

「パンスト穿かなきゃ?
 @案外冷える
 A脛毛が伸びる
 B顔がばれる
 Cブラブラする     さあどれ?」

暫くすると、扉の向こうからイライラした感じの低い声が返ってくる。
「……ライフライン」
「50|50、オーディエンス、テレホンがありまちゅ」ケメ子が言う。
「……50|50」
「50|50。どれとどれが消えて欲しいでちゅか?」
ケメ子の問いかけに何も返ってこない。子ども達はますます脅え出した。

「パンスト穿かなきゃ?
 @案外冷える
 B顔がばれる     AとCが消えました」

「……@の案外冷える」
「ファイナルアンサー?」
「……ファイナルアンサー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(L・O・V・E LOVELY 保田)正解!」
151 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時33分05秒
-238-

「次の問題」
まだあるのかよ!とは突っ込まないで。

「おじいちゃんが作ったのは?
 @ハムハムランド
 Aふたりの愛ランド
 B無農薬野菜
 Cお父さん      どれ?」

「……ライフライン」と、扉の向こうから低い声。
「オーディエンス、テレホンが残ってまちゅ」ケメ子が言う。
「……オーディエンス」





玄関の前で圭と南湖津は二人とも両手に荷物を抱え、家の中から
聞こえてくる子ども達の問いかけに、寒い寒いと震えながらも
応えている。
「圭が手紙に“おおかみ”とか書くから、子ども達は恐がって
 こんな事するんじゃないか」
「だってあの子達がここまで用心して問題を考えるなんて
 思わなかったんだもの。それに普通、私達って分かるでしょ」
こんな所でぶつぶつ二人で過ぎたことをぼやいても埒があかないので、
とりあえず問題を解くことにした。

「ねぇどれだと思う?」
オーディエンスを使ったので圭は南湖津に尋ねる。律儀だねぇ。
「う〜ん……Cのお父さん、だろ。だって俺は、ケメ子からみて
 おじいちゃんである俺の親父とお袋が、(略・・・・・・・・・だぞ」
152 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時33分43秒
-239-

「Cのお父さん」
家の外から玄関を通して応えが聞こえてくる。
「ファイナルアンサー?」ケメ子が言う。
「……ファイナルアンサー」
「本当に、ファイナルアンサー?」

暫く沈黙が続いた。
家の中も家の外も、緊張の渦がくるくると巻いている。
それもそのはずこの問題一つに、子ども達は狼に食べられるか
否かがかかっているし、圭と南湖津に関しては、このままここで
凍え死んでしまうかもしれない命に関わることなのだ。
雪もちらほら降ってきた。

圭はもう一度ライフラインを使うことにした。
「……テレホン」
圭は言うが早いか携帯電話をプッシュし始めた。もちろん、中澤家の。

家の奥のほうから電話の音が聞こえてくると、子ども達四人は
そちらに向かって一斉に走り出した。
153 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時35分24秒
-240-

「はい、もしもし」ケメ子が電話に出る。
「おじいちゃんが作ったのは?」聞こえてきたのはもちろん、圭の声。
「Dのセンチュリーランドでちゅ」
「………ケーメー子ー!!」
ケメ子以外の三人にも聞こえるような圭の大きな声が、受話器から
聞こえてきた。と同時に、玄関の扉にガチャガチャと鍵が差し込まれる
音がして、すぐに扉が開けられる。子ども達がなかなか家に入れて
くれないし、それどころか四択のはずが、答えがDなんていうふざけた
問題をふっかけてくるのに痺れを切らした圭が、荷物を下に置いて
合鍵を使うことにしたのだ。
しかし子ども達は狼が入ってきたのだと思っている。

「………ケーメー子ー!!」
ドタドタと大きな音を立てて、圭が廊下を疾走する。
「みんなー、隠れるでちゅよー! 食べられるでちゅー!!」
切羽詰ったケメ子の声。

かくして、子ども達とおおかみ(圭、南湖津)の戦いはもう暫く……
……続くことになった……とさ。
154 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時37分41秒


今回はこのへんで・・・・・・。

155 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時38分19秒
>1111さん
お久しぶりです(w 
安倍花子……そうかもしれません、いやかなりそんな感じです。
ちょっとおっちょこちょいだけど、あったかいお母さんって感じですね。
まさしくそうです、今自分で書いてて思いました。いもなっち
なっちママ像がイメージしやすくなりました。

>ななしのよっすぃ〜さん
ちびっ子という言葉に私はいつも助けられています。想像だけでも
可愛い感じがするから(w。へへへ。
期待してます、というその一言が救いです。ありがとう。
156 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時39分07秒
今回のミリオネアや、ところどころに入っている眠れる森の美女の
ストーリーなどは、本編と全く関係なく、作者が趣味で入れたと
お思いでしょう。がしかし、そうではないのです。後々、重要な
役割を果たしてくれるのです!よ……。
がしかし、糸車の針は他のものに替えればよかったよ……。鬱
でもそこのあなた、怖がらずについて恋。いや、ついてキテ。
157 名前:puppu 投稿日:2002年11月18日(月)22時40分19秒

いましお

158 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年11月26日(火)23時27分05秒
更新お疲れさまです。
ちびっ子の梨華ちゃんやよっすぃ〜は、想像いや妄想するだけでも可愛いに違いないですよね。
でも、圭ちゃんの幼少期はどうなんでしょうね?いまと変わらなかったりして(w

続きも楽しみに待ってます!!
159 名前:名無し娘。A 投稿日:2002年11月27日(水)02時23分46秒
初めて全部読みました。文も楽しくてハマリました!梨華ちゃんと
よっすぃーの恋が上手くいけばいいと思っています!
出来るなら大きくなった所も書いて欲しいと思いました。
(短編、番外編でも。)
160 名前:名無し 投稿日:2002年12月08日(日)07時29分36秒
続きキボンヌ!
作者さん戻ってきて!!
161 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月08日(日)17時23分00秒
おもろいおもろい♪
162 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月20日(金)08時43分19秒
保全
163 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時38分13秒
-241-

「みんなー、隠れるでちゅよー! 食べられるでちゅー!!」
切羽詰ったケメ子の叫び声を聞き、梨華、よっすぃー、かわもちは
慌てて今居るリビングから廊下に飛び出した。もちろんケメ子も
そのすぐ後に続く。後ろに注意すると、曲がり角の向こうの方から
“パカパッ パカパッ”というケモノの様な足音が響いてくる。
「「「「キャー!!!!」」」」
子ども達四人は廊下の先にある一室に飛び込んだ。その部屋は
なぜか裕ちゃんの仕事部屋。

なるべく仕事を家に持ち帰らない様にしたい裕ちゃんだが、支店長とも
なるとそれも致し方ない。それに裕ちゃんは京都から東京に来てまだ
三年ちょっとで、支店の方も同い年。調度頑張り時なのだ。
裕ちゃんは梨華にベッドで絵本を読んであげて寝かした後、静かにこの
仕事部屋に入る。そしてひと月の三分の二はここで夜を明かすのだ。
たまに梨華が真夜中にパジャマ姿のまま、よっすぃーに貰ったピンクの
ぷーさんの手をぎゅっと握って目を擦り、「ぱぱぁ」と泣きそうな声を
出して入ってくる事がある。そんな時裕ちゃんは暫く仕事を中断し、
梨華を自分の膝の上に乗せていろんなお話をするのだ。
164 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時38分46秒
-242-

裕ちゃんの子どもの頃の事や学生時代の事、そしてみちよの話を。
梨華はぷーさんを抱きしめ、黙って裕ちゃんの話を聞いている。
この子は顔も知らない自分の産みの母親について、何を思って
いるのだろう。裕ちゃんは思う。もし自分がなっちと結婚したとして、
梨華もなっちの事が大好きだから、そのまますんなりなっちを母として
受け入れる事が出来るだろう。でもそれとは別に、いつでも心の
片隅にでもみちよを置いていて欲しいと思う。話した事がなくても
触れた事がなくても、みちよも梨華の母には違いないのだから。


会社関係のファイルが幾つも並んだ天井まである本棚、きちんと角を
そろえて束ねてある今手掛けている仕事の資料やパソコンが置いてある
大きな机、ジャージーやパジャマ、下着など簡単な着替えの入ったチェスト、
その他には裕ちゃんの仮眠用のソファベッドがこの部屋の主な家具。

部屋に飛び込んだ子ども達は、そこまではいいのだが、大変な事に
気がついた。この部屋のドアには鍵がないのだ。たとえあったとしても、
玄関の大きなドアを壊したおおかみの事だから、この部屋のドアなんて
簡単にぶち破られてしまうだろう。
165 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時39分27秒
-243-

よっすぃー、梨華、ケメ子、かわもちは輪になってお互いの顔を
見合った。しかしゆっくりと話し合っている時間なんてこれっぽっちも
無いのだ。“パカパッ パカパッ”がもうすぐそばに聞こえている。
その時、よっすぃーが泣きそうな顔なのを一生懸命歯を見せて、
梨華を見てニッと笑った。
「だいじょぶだよ、りかちゃん。……おぼえてるかな、まえにぼくが、
 りかちゃんにいったこと。ぼくがまもってあげる、ぼくはりかちゃんが
 たいせつだから、ってさ」 
「……よっすぃー」
よっすぃーはもう一度引きつった笑顔で梨華に微笑み、かわもちを見た。
「かわもちくん、りかちゃんとけめこちゃんをたのんだよ」
「よっすぃー! だめだよ、なにするの」
涙をぽろぽろ流して抱きついてくる梨華を、よっすぃーは力いっぱい
抱きしめ返し、それからおでこにキスをした。
「ぼくがここでドアをおさえてるから、みんなはそのあいだに隠れて」

真剣な顔でしゃべるよっすぃーの横顔は、かわもちに嫉妬して拗ねていた
昼食前のよっすぃーとはもう別人だった。
166 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時41分31秒

少しですけど
今回はこのへんで・・・・・・。

167 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時42分04秒
>ななしのよっすぃ〜さん
そうです、そのみなさんの妄想力に頼った物語ですから(w
圭ちゃんの幼少期とな……、案外今と変わらないかもね。
しっかりしてそう。

>名無し娘。Aさん
こんなだらだらな話を全部に読んでくれてありがとう。
"ねずみのこころ"は書きかけだけど(私のだらしなさのせいで
海板倉庫在住) 、もっと大人になってからですか?うむむ、
初期の頃は考えてたんですけど、今は何とも言えないです。
ごめんにゃ。

>名無しさん
ごめんなさい、がんばる!

>名無しさん
けけけけけ、おもろいありがと♪

>162さん
いつも保全してくださる方、ありがとうございます。
とてもとても感謝しています。
この二文字だけでも、待ってくれている人がいるんだと
励みになります。
168 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時43分02秒
もうこのままだと時期はずれになりそうなので、わたくし再び
強化習慣に入ります。もちろん、この「あねおとうと」で
ぴったしのシーズンである今を逃したら、もう完結できないかも
しれないから。……宣言してしまったからには頑張ります。
169 名前:puppu 投稿日:2002年12月22日(日)22時43分42秒

おちまい

170 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時40分17秒
-244-

一方その頃……。

昼食を食べ終えた裕ちゃんとなっちは、自動車を区営の駐車場に預け、
腹ごなしも兼ね町の中を少し歩く事にした。店のウインドウはすっかり
赤や緑そして白などのクリスマスカラーで綺麗に飾り付けがされている。

「おなかいっぱいやオレ。もうこれ以上はいれへんわぁ」
膨れたお腹をさすりながら、裕ちゃんは隣を小またで歩いている
なっちを見る。
「裕ちゃん、あんなにたくさん食べたらそりゃそうだべよ」
「何ゆうてんや、なっちオレより多く食べてたやんか」
「そ、そんな事ないべさ、裕ちゃんなに言うべ!」
なっちは怒って、裕ちゃんの背中を平手でバシバシ連打する。
「こらこら、周りの人みんななっちの事見てるで。あー恥ずかし」
「そんな事ないべ! ぷ〜っ」
周りをキョロキョロ見回して確認してから、なっちがほっぺを子どもみたいに
大きく膨らませ、裕ちゃんの腕を掴む。
171 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時40分50秒
-245-

確かになっちの言う通り、周りを歩く人々はカップルばかりで
自分達の会話に夢中。裕ちゃんとなっちには目もくれていない。
斜め前のカップルは高校生くらいだろうか。しかし、それなのに
それなのに、男の子が女の子の肩を抱いて、いっちゃいっちゃしている。
まぁいいよ、そこまではいいとして……。
「文麿さまぁ」
「石川さん」
「文麿さまぁ」
「石川さん」
「文麿さまぁ」
「石川さん」
見つめ合って、ちゅうまでしようとしちゃってる。

(近頃の高校生は……。まぁいいさいいさ、オレには関係ないんやし)
と思う裕ちゃんであっったが、女の子の顔を見たとたん、そんな考えは
吹っ飛んじまった。
「あ、あの子梨華に似てるやん、そっくりやんかーーー!!」
思わず声に出して叫び、指までさしてしまった裕ちゃん。
172 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時41分32秒
-246-

「裕ちゃんどしたべ? 裕ちゃん!」
驚いて振り返ったその高校生達に、「ごめんなさいね」と頭を下げて、
なっちは放心状態の裕ちゃんの腕を掴み、一生懸命振る。
「なに言ってるべ裕ちゃん。梨華ちゃんは大丈夫だべよ、なっちが
 ついてる。なっちが責任持って梨華ちゃんをきちんとした女の子に
 育てるべ。立派なレディにしてみせるべよ、だから裕ちゃん、安心するべ」

今度はさすがに周りの人も、暫く裕ちゃん達をちらちらと見ていたが、
やがてまた元通り、人々の笑い声やどこかからもれ流れてくる
クリスマスソングの音、車の騒音だけになった。

裕ちゃんは、真剣な表情で力いっぱい自分の腕を握ってくる
なっちの目を見て、照れくさそうに少しだけ視線を外した。
「なっち……ありがとうな」
似合わない小さな声で呟くと、裕ちゃんはクスンと鼻を鳴らし、
恥ずかしそうになっちに向かってへへっと笑った。
「らしくないべ、裕ちゃん」
そんななっちも、こんな道の真ん中で勢い余って出てしまった
自分の本音にはにかみつつも、裕ちゃんの言葉に元気に応えた。
173 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時42分29秒

またまた少しですけど、
今回はこのへんで・・・・・・。

174 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時44分47秒

ホントに少ないですけどやっぱ
(〜^◇^)<オイラやってます、
という充実感って、かい・かん。

175 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時45分45秒

(〜^◇^〜)<ホイサッサーーー!!

176 名前:puppu 投稿日:2002年12月24日(火)00時46分29秒

(〜^◇^〜)<もひとつおまけにホイサッサーーー!!
177 名前:南風 投稿日:2002年12月24日(火)18時29分38秒
おお!!更新されてる!!
待ってたかいがありました(大号泣)
作者様ペースでまったりと頑張って下さい。
影からこっそり応援させていただきます←どうやってだろう・・・汗
178 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時08分27秒
-247-

裕ちゃんとなっちは店に入って子ども達へのクリスマスプレゼントや
保田さん達へのお土産を買ったり、それから自分達の服を選びあったり
した。
「なっち、これええやん! これにしーや」
裕ちゃんが後ろから手をまわし、豹柄のブラウスをなっちの体に
合わせてみる。
「だども裕ちゃん、やっぱりなっちにはちょっと派手すぎるべよ」
なっちは振り返ってすぐ後ろにある裕ちゃんの顔に訴える。
「そんなことない、なっちによう似合ってるやん」
「んだども、なっちはどっちかってゆーと、こういう派手派手な物よりも、
 シンプルな方が合ってると思うべよ。だってなっちは……いもガールだべよ」
なっちはそこで困ったように一人笑った。

裕ちゃんはなっちにも自分の好きな豹柄を着て欲しくて、だから勧めて
見たのだけれど、言われてみれば確かに自分で言うだけあってなっちには
豹柄が全くと言っていい程似合わない。しかしその事から、なっちに
自分自身の事をいもガールと卑下させてしまったのだ。
179 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時10分46秒
-248-

なっちは亡くなった旦那の家族にさんざん、イナカッペいもガールなどと
罵られ、もう少しでよっすぃーを連れて行かれそうになった。
裕ちゃんは無意識でもなっちにそのように言わせてしまった自分の行いを
後悔した。嫌な事を思い出させてしまった自分の軽はずみな行動を恥じた。

「なっち、ごめん。確かになっちにはあんまり豹柄は似合えへんかも
 しれへん。でもなぁ、いもガールとかそんなん関係ないで。それと
 これとは話が別や。都会育ちの人でも、なっちみたいにシンプルな
 服装が似合う人なんて仰山おる。それとは反対に田舎に住んでても
 派手なんが似合う人やって山盛りおる。用は自分の似合う服や好きな服
 着たらええって事や。都会とか田舎とか関係ない。オレは、外見で
 なっちと付き合ってるんちゃうで、なっちの中身が好きやから、
 こうやって一緒にいてるんや。それに田舎者やからって、そんなに
 自分を謙遜せんでええ。なっちのそういうとこも、裕ちゃんすんごい
 カワイイと思うし……」
言ってしもた、言ってしもた ポッポーーー!!
180 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時11分23秒
-249-

なっちは、真っ赤になった顔を隠すように手のひらで包みこんで
沸騰しているすぐ目の前の裕ちゃんに、何かが吹っ切れたような
すっきりした顔でにっこり微笑んだ。
「裕ちゃんは、裕ちゃんはとっても豹柄が似合うべよ」
なっちは優しい裕ちゃんに、こんなにも自分を思ってくれている
裕ちゃんに何か言いたかった。でも本当に伝えたいことは素直に口から
出てこない。それでも裕ちゃんは笑ってくれる。
「そうかぁ、オレ豹柄好きやからなぁ」
そしてまだ少し赤い顔のまま自分の豹柄のジャケットの裾を持って、
なっちの前でターンした。
「ファッションショーや」

しかしやっぱり運動音痴の裕ちゃん。調子に乗ってくるくる回るから、
四周して五周目に入ったとたん、バランスを崩し尻餅を付いてしまった。
「もう、裕ちゃんはどじだべなぁ」
なっちが手を差し出すと、裕ちゃんはその手を握り、あいた手で
恥ずかしそうに頭を掻いた。
「五回転半や、伊藤みどりもビクーリやな」
181 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時11分55秒
-250-

そうやって笑ってオシリを払う裕ちゃんに、なっちは小さく微笑み呟いた。
「なっちもそんな裕ちゃんが大好きだべ」
「ん? なっち何か言った?」
「何もないべよ……それよりも裕ちゃん、なっちも挑戦してみるべ」
「え? 伊藤みどりに?」
「もう、違うべよ」
なっちは裕ちゃんの腕をバシッと叩いた。
「冗談やんか、冗談」
気を取り直してなっちは裕ちゃんの顔を見上げた。
「裕ちゃんの大好きな豹柄、なっちも大好きだべ。……でも、パジャマ
 だけにしとくべよ」
なっちはそのまま裕ちゃんと腕を組むと、パジャマ売り場に向かった。

裕ちゃんには悪いけど、やっぱり人前では……と思うなっち。
しかし裕ちゃんは、パ、パジャマー! おそろのパジャマー!とただ
無償に喜び、そして、なっちと腕をくんで歩いている現実に昇天しそうに
なっていた。お〜い お〜い。
182 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時12分59秒

いつも少しですけど
今回はこのへんで・・・・・・。

183 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時13分36秒
>南風さん

待っててくれたんですか?ありがとう。
泣かないで泣かないでさよならはまちがいだよ。
こんなバカボンペースですけど、ぼちぼち読んでやって下さい。
えっとそれからね、もうね、“陰からこっそり”こんな表現大好き(w
ひしひしとパワーを感じます(w
私も陰からこっそり口唇していきます。←どうやってだろう・・・汗



「強化習慣とは何ぞや」と問われれば、
「次回の口唇まで、一週間以上あけない事」でひとつよろしく……。
「強化習慣でもなんでもないじゃねえか!プンプン」と仰る方、
「御尤もでも精一杯」
184 名前:puppu 投稿日:2002年12月29日(日)23時15分10秒

(〜^◇^〜)<ホイサッサーーー!!

185 名前:南風 投稿日:2002年12月30日(月)13時47分24秒
読みますとも!断られたって読みますとも!!
次回更新は一週間以内ッスか?
涙ではなくてよだれを垂らしながらまってます(握り拳つき)
186 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時08分33秒
-251-

自分達のと、梨華とよっすぃーの分まで豹柄のパジャマを買った
裕ちゃんとなっち。裕ちゃんは、『早く四人揃ってこのおそろいの
パジャマ着たいなぁ』なんて、おおはしゃぎしていた。なっちが
『裕ちゃん! みんな見てるべよ』と恥ずかしがって小声で注意
するのも聞かず、買ったばかりのパジャマをぎゅっと抱きしめていた。

二人はそれからそのパジャマや、子ども達や保田さん達へのお土産を
抱え、信田さんに借りた“見かけは軽トラ”スポーツカーの止めてある
駐車場へ戻って来た。荷物は後ろの荷台にきちんと整理して積み込む。
先ほど昼食をとった店で買ってきたサンドウィッチも、その荷台の一角を
占領している。そしてその上からしっかりと幌をかけ車に結びつけ、
中を見えないようにした。
そして二人は車に乗り込み、駐車場を後にした。

エアコンをいれると、だんだんと車の中が暖かくなってくる。
「荷台があってよかったべ。車の中だと、すぐにサンドウィッチが
 傷んでしまうべよ。ちょうどいい冷蔵庫だべな、裕ちゃん」
マフラーを外したなっちが、後ろの荷台の様子を窺うように首を後ろに
捻って言う。
187 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時09分17秒
-252-

「ほんまやなぁ、なっち。見かけはちょっとドライブ向きやないけど、
 ちゃんとこうやっていい所があるんや。美帆造さんありがとう、やな」
運転しながら裕ちゃんがちらっとなっちを見ると、なっちも微笑み
頷いている。そんななっちを見て裕ちゃんもにっこりと微笑んだ。

 
  ♪随分前に話してた    懐かしい映画を

   ようやく探して見つけたよ  小さな映画館


裕ちゃんの運転する車が、一方通行のような細い曲がりくねった
道に入って暫く立つ。両側には店などはなくもう普通の民家ばかり。
「裕ちゃん、道に迷っただべか? そんならなっち、ちょっくら
 そこの家の人にでも聞いてくるべよ?」
なっちがドアのロックに手を掛け、裕ちゃんの顔を見る。
「ん〜……、大丈夫やなっち。この辺りっていうことは確かやから
 すぐに見つかると思う」
188 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時12分13秒
-253-

裕ちゃんだってわざわざなっちを、こんな寒風が吹く路上へ
出したくない。それに自分達がどこへ向かっているか、その目的の
場所に着くまでなっちに秘密にしておきたかったのだ。
しかし裕ちゃん、自分が方向音痴だった事を忘れていた……。

裕ちゃんはノロノロと車を走らせ、どこかに看板や張り紙が
出ていないか、あっちを見たりこっちを見たりして探してみる。
なっちはといえば、少しは心配だけど、裕ちゃんと出会ってから
今までだってこんな事は何度かあった。しかし最後は必ずうまく
いっている。最初の予定通りにいかず、その場その場で対応して
予定以上に楽しくなった事だってある。そしてそんな事に
梨華とよっすぃーも、だれるどころか一層喜んではしゃいでいる。
なっちは裕ちゃんと一緒にいると、先の事など考えず今を生きていた
学生時代に戻ったみたいで、とても清々しい気持ちになれるのだ。
189 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時12分48秒
-254-

今もなっちは、きょろきょろして何かを探しているらしい裕ちゃんの
首の動きに合わせて、自分も同じように、何か変わった物はないか
顔を動かしながらも、ダッシュボードの“美帆造セレクション”の中から
CDを一枚選び出し、その中の一曲を口ずさんでいた。
『なんにも言わずにI LOVE YOU』を。

少しでも周りを見回しやすいようにとハンドルに凭れるようにして
運転し、そのまま暫く車を進めた裕ちゃんだが、何かを見つけたようで
突然顔を上げてなっちを見た。

「なっち、あったで、あれやあそこや」
なっちが裕ちゃんの指差した方を見てみると、そこにあったのは
古びた小さな映画館。
「裕ちゃんこれ……」
なっちは目の前の、その小さな劇場の外壁の上いっぱいに掲げ
られている、劇画チックな大きな看板を見つめた。
190 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時13分20秒
-255-

「そうや。なっちがこの前ゆってた映画や。なっち言ってたやろ、
『子供の頃、北海道で友達と一緒に見てすごいよかった。なつかしい』
 って。この前の忘年会の時たまたま映画の話しててな、ほんで偶然
 ウチの会社の社員さんがこのへんに住んでて、今調度この映画館で
 やってるって言ってたから。なっちびっくりさそうと思って黙って
 たんや」

なっちの言っていた映画とは、1949年のオリジナル版に、現代風の
アレンジが加えられ1994年にリメークされた定番のクリスマス映画。
なっちがまだ中学生になって間もない頃、友達数人と連れ立って
わざわざ札幌にある映画館に見に行ったのだ。

なっちは懐かしそうにその看板を見て、そして嬉しそうに裕ちゃんの顔を
見てと、忙しなく頭を動かしている。
「裕ちゃん、裕ちゃんありがとう……」
「何ゆうてんや。なっちがそんなにええって言ってた映画、オレも一回
 見たかったし、それにオレ……なっちが喜ぶ顔、好きやし」
「裕ちゃん。なっちは裕ちゃんといる時は、ずっとずっと嬉しくて
 楽しくて、こんな顔してるべよ」
なっちはもう一度にっこり微笑むと、運転席の裕ちゃんに抱きついた。
191 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時14分01秒
-256-

「あ、危ないって、なっち〜」
駐車場に止めようと車を徐行させていた裕ちゃん。考えてみると、
(今のちょっとおいしかったんちゃうん……ああ、裕ちゃんの
 バカバカ! ブレーキ踏んで抱きしめ返したらよかった……)
と、ちょっぴり後悔。

裕ちゃんは隣のなっちが俯いて、真っ赤になっているのがわかる。
「ご、ごめんだべ、裕ちゃん……」
そうやって恥ずかしがっているなっちがかわいくて、裕ちゃんは
助手席を抱きかかえるようにして後ろを見ながらハンドルを切り、
後ろタイヤがブロックにあたると言った。
「もういいで、なっち」
ハンドブレーキを引いたとたん、なっちは改めて裕ちゃんに抱きついた。
192 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時14分33秒

今回もこのへんで・・・・・・。

193 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時15分21秒
>南風さん

う、うう、すごい。よだれをたらして握り拳・・・。
想像できない姿です・・・キモチワリィ(w
そんな南風さんの姿をどうにか思い浮かべながら頑張ります。
ありがとう。


ずっと読んで下さっている方、今年の口唇はこれで最後です。
一年どうもありがとうございました。
それから、ウソつきなわたくしの>>94の発言について。
私が一番ビクーリしました。ごめんなさいもうしません。
今日一日できれいさっぱり忘れて下さい。そして真っ白な
新しい一年を迎えませう。それでは、良いお歳を。
194 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時17分50秒

(〜^◇^〜)<ホイサッサーーー!!

195 名前:puppu 投稿日:2002年12月31日(火)02時21分05秒

来年は、年になりますように。ナムナム

196 名前:南風 投稿日:2002年12月31日(火)12時47分44秒
更新お疲れ様です。
よだれは見事ひっこめることに成功しましたので、綺麗な正月を迎えようと
思ってます。
1年間お疲れ様でした。
来年も作者様ペースで頑張って下さい。
それでは良いお年を・・・☆
197 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月03日(金)14時37分25秒
puppuさま
明けましておめでとうございます。
また、更新お疲れさまです。
昨年中は、可愛いちびっ子の梨華ちゃん&よっすぃ〜、楽しませていただきました。
今年もよろしくお願いいたします!!!
198 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月03日(金)15時44分49秒
puppuさま
ななしのよっすぃ〜です。
お願いしたいことがあります。
最近、娘。小説の保存をはじめました。
ぜひ、puppuさまの『あねおとうと』も保存させていただきたいと思い、お願いにうかがいました。
こんな感じで保存していますので、除いていただいて許可いただければ幸いです。
URL http://kuni0416.hp.infoseek.co.jp/text/index.html

勝手なお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
199 名前:1111 投稿日:2003年01月05日(日)00時57分37秒
あけおめ〜、ことよろ〜みたいな♪
い、何時の間にこんなに更新を・・・。
がんばったね、puppu・・・。いい子いい子してあげよう!!

て、いうか正直とろけていますが。ヒョウ柄パジャマたまらん!!!!
今年もまったりマイペースで頑張ってください。
200 名前:puppu 投稿日:2003年01月06日(月)00時40分50秒
>南風さん
あけましておめでとう。
まだついてるよ、よ・だ・れ フキフキ(w 
今年ものろのろペースかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

>ななしのよっすぃ〜さん
あけましておめでとう。
私も去年は可愛いちびっこ梨華ちゃんとよっすぃーに助けられました。
でも今年こそは卒業しますよぉ。どうぞよろしくお願いします。
それから、誤字脱字の多いへんてこな物語ですが、こんなのでもよければ
どうぞ載せてやって下さい。もう、これで、ほーきはできない。フフフ。

>1111さん
あああ、あけおめ〜、ことよろ〜・・・
おじちゃぁん、おじちゃん!無理しないで。
頑張って覚えたんだね、その言葉(w
いい子いい子はいらないから、お年玉くれよぉ〜!!
っていうか、おじちゃんありがとう。
今年もまったり(もうはったりはしませんごめんにゃ)と
やっていこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
201 名前:puppu 投稿日:2003年01月06日(月)00時41分39秒
溜まっちまった宿題に  いたいたしくも怖気づき
溜まっちまった宿題に  なすところもなく日はくれる

。・゜・(ノД`)・゜・


ごめんにゃ、ごめんにゃ。
10日までには次の口唇します。恥ずかしいにゃ、ごめんにゃ。
202 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月07日(火)00時05分00秒
puppuさま
ありがとうございます。<m(__)m>
さっそく、保存させていただきました。
至らない点もあると思いますが、よろしくお願いいたします。
何かありましたら遠慮なくおっしゃって下さい。
これからも、更新、頑張ってください。
楽しみに更新を待ってます!!
203 名前:南風 投稿日:2003年01月08日(水)00時07分42秒
意外に大変な宿題。
頑張って下さい。
そして泣かないで下さい(;−;)
でも自分は泣きそうになった経験・・・多数有り
204 名前:1111 投稿日:2003年01月10日(金)01時40分48秒
よし、お年玉あげるから、私の間合いに飛び込んでおいで。
必殺ギャラティカ・マグ(ryをお見舞いしてやる。

ていうかな・・・・・
お、お、おっちゃんちゃうわぁぁぁぁぁぁぁ。
おじさまってよ・ん・でぇ♪
205 名前:puppu 投稿日:2003年01月11日(土)02時16分50秒

今日の夜必ず。

206 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時08分35秒
-257-

そしてカメラは切り替わり……舞台は緊迫状態の中澤家(>>165)。

「たのんだよ、かわもちくん」
泣きじゃくる梨華の小さな体を抱きしめ、その肩越しにもう一度
かわもちに言うと、よっすぃーはしがみつく梨華を優しく引き離し、
そっとその涙で濡れた赤いほっぺを自分の両手で包み込んだ。
「りかちゃん。ぼく、りかちゃんにあえてよかった……」
そして名残惜しそうに、ゆっくりと一本一本指を滑らし梨華の頬から
離していく。
「……よっちぃー」

“パカパッ パカパッ”

「えへへ、こえぇ」
最後まで涙を見せず、けれど寂しそうに少しだけ微笑むと、
よっすぃーは梨華をかわもちの方へポンッと押した。
そして他の三人に背を向けて、ひとり扉に向かうと両手を付いて
踏ん張った。
「よっちぃーーー!!!」
梨華の涙声が部屋中に響きわたる。
207 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時09分10秒
-258-

よっすぃーから梨華をしっかりと受け取ったかわもち。
しかしよっすぃーの言ったとおり、そのまま隠れようとは
しなかった。そんな自分に一番驚いていたのは、かわもち自身
だったかもしれない。

泣きながらよっすぃーの元へ駆け寄ろうとする梨華をどうにか
引き止め腕を掴み、そしてもう一方の手で自分の背中にへばり
ついているケメ子の腕を掴むと、ガクガクと震える体を抑え、
何とか声を搾り出した。
「よ、よっすぃーばかりにいい格好、させられないでしゅ。
 ボクだって……ボクだって男の子でしゅよ!」
そしてケメ子と梨華の手を繋ぎ合わせた。
「ケメ子ちゃん、……夫婦漫才出来なくてごめんなしゃい」
ぶちゅぅ。言うが早いか、かわもちはケメ子の唇にキスをした。
「か、かわもちくん……ケメ子、ふぁうすときすでちゅ……」
208 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時09分42秒
-259-

かわもちはよっすぃーの頭の上に両手をついた。
「かわもちくん! どうして?」
よっすぃーはびっくりしてかわもちを見上げる。
「ボクだって、守ってあげたい人くらいいるんでしゅよ」
「あ……そっかぁ」
かわもちの心情を察したようによっすぃーは呟いた。
よっすぃーとかわもちは一度だけ小さく頷き会うと、もうそれからは
扉を押さえる事のみに集中した。

“パカパッ パカッ”
そして、その扉のすぐ前でケモノのような足音が止まった。
「悪い子はいねぇが〜? ここは悪い子の臭いがするだよ」
209 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時10分46秒

ホント短いけど、
今回もこのへんで・・・・・・。

210 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時11分18秒
読んでくれている方、いつもちょっとずつですみません。
とぎれとぎれって腹立ちますよね・・・。



今回はどうしても入れたかった言葉があります。それは
 
     (o´〜`)<えへへ、こえぇ

これは去年最後のMUSIXのリストランテよっすぃーが言った
言葉です。ラストのアンサネーゼの直前。

     ( ^▽^)<心の準備はいいですか?
     ( 〜^◇^)<う〜……はい
     ( `.∀´)<いいです
     ( O´〜`)<えへへ、こえぇ

                         ・・・すごくかわいかった。
正直、これで短編一本書けるね。
211 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時11分52秒
>ななしのよっすぃ〜さん
こちらこそありがとうございます。m(__)m
さっそく覗かせてもらいました。
頑張ってどうにか完結させます(w

>南風さん
うん・・もう泣かない。
まだ提出期限まで少しあるので、どうにかしてやっていきます。
単位落とさない程度に力を抜いて。可ばっかりが並びそう・・・
多数どころか私は毎年・・・いや、毎学期かもしれない(w

>1111さん
おじさまぁ〜、ランランラン(スキップをして油断させながら間合いにはいる)
必殺スペシャルローリングサ(ry。
・・・こんなもんでっしゃろか?おじちゃん・・・(w
だんだん気持ち悪くなってきたね、おいらたち(w
212 名前:puppu 投稿日:2003年01月12日(日)03時13分14秒

そしてもうおしまい

がんぱる
213 名前:南風 投稿日:2003年01月16日(木)16時11分18秒
癒しなり。
少なくたって更新されてるのが嬉しいってもんです。
おつかれさまです。
外は寒くたって応援し続けます!
214 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月16日(木)20時03分48秒
更新お疲れさまです。
少しづつの積み重ねが、可愛いいちびっ子梨華チャンが生まれるんですよ〜。
こんな娘なら子供にしたいですね(まだ独身のななしのよっすぃ〜ですが...)

なっちと裕ちゃんも上手く行くこと祈りつつ、次の更新を待ってます!!
215 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)16時49分00秒
保全
216 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月24日(月)22時12分44秒
更新を期待しつつ保全!!
217 名前:南風 投稿日:2003年02月27日(木)10時38分48秒
保全。
218 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月13日(木)12時02分14秒
保全
219 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月23日(日)23時24分10秒
保田さん
220 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月09日(水)22時18分19秒
更新を期待しつつ保全!!
221 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時19分14秒


ひえぇぇぇ
222 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時19分56秒
-300-

「悪い子はいねぇが〜? ここは悪い子の臭いがするだよ」

扉の外からは、部屋の中の様子をニオイで探っているのだろうか
フゴフゴと鼻を鳴らす音がする。
「四人いるだぁ……フゴフゴ、フゴフゴ、男の子と女の子が二人ずつ。
 みんなそろって可愛い子ばかりだぁ。さぁ……そろそろ観念して
 おとなしくこっから出てくるだよ!」

背後からの『圭、もういい加減にしなさい』という南湖津の言葉も
聞かず、圭は“なまはげ狼”になりきってしまっている。
子ども達を少し懲らしめたいという気持ちもあるし、また、キャアキャア
怖がって逃げ惑う四人が愛らしくて仕方ないのだ。
「南湖津さん、ほら、カメラカメラ! 早くね」
こちらに向かって小声でそう告げ、再び子ども達に向かって掠れた
低音を響かせる圭に少し呆れながらも、南湖津はため息を一つ付くと
顔をほころばせ慌ててリビングに駆けていった。
223 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時20分37秒
-301-

「(フゴフゴ、フゴフゴ)おらは腹が減ってるだよ。このままだと
 何すんか分かんねぇぞ!」
そこで圭は扉に爪をかけガリガリと引っ掻いて、まるで爪を研いでいる
かのような野性味あふれる音を出す。



ドアにしっかり両手を付いて踏ん張っているよっすぃ−の額からは、
一筋の汗がこめかみをつたって流れ落ちた。
「……かわもちくん。ぼくが、ぼくがでていくよ」
よっすぃーのその言葉を聞いて、歯を食いしばっていたかわもちが
慌てて口を開いた。
「だめでしゅよ、よっすぃー! 何言ってるんでしゅか!」
梨華とケメ子に聞こえないよう、かわもちは声を押し殺し、
しかし必死の形相でよっすぃーに言う。女の子達は裕ちゃんの
仮眠用ソファベッドで毛布に包まって隠れているのだ。

けれどよっすぃーの決心は鈍らなかった。そのまま大きく息を
吸い込むと、震える声で扉の向こうにいるなまはげ狼に叫んだ。
224 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時21分09秒
-302-

「……お、おおかみ! ぼく、ぼくがおまえに食べられてやる!
 だから、だからやくそくしろ! ほかの三人はぜったいに
 食べないって!」
よっすぃーはドアに張り付くようにして狼からの応えを待っている。
しかしそれを止めるように、かわもちはよっすぃーを抱きしめ、
ひっくり返って背中でドアを押さえる態勢になった。
「バカなこと言うもんじゃないでしゅ、よっすぃー!」
成長期の三年とは大きいもので、五歳のかわもちの腕の中には
二歳のよっすぃーなんてすっぽりと収まってしまう。
そこから抜け出そうともがくよっすぃーをどうにか押さえつけて
かわもちは続けた。
「それに、狼が約束を絶対守るっていう保障なんてないでしゅ!」
「でもかわもちくん! それならぼくたち、どうすればいいの?!
 げんかんのドアもこわしちゃう、おおかみなんだよ!
 このドアだって、いつこわされちゃうか、わからないんだよ!」 
よっすぃーは大きい目を少し潤ませてかわもちに訴える。
225 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時23分01秒
-303-

玄関の扉は実際のところ南湖津が合鍵で開けたのだが、子ども達
四人はそれを知らない。狼が扉に穴を開けて、そこから入って
来たのだと思い込んでしまっているのだ。
よっすぃーはまだかわもちの胸で手足をばたつかせてもがきながらも、
もう一度狼に問うた。
「おおかみ! やくそくしろ! りかちゃんやかわもちくんや
 ケメこちゃんは食べないって、ぼくとやくそくしろ!」

しかし、そのよっすぃ−の必死の叫び声にいち早く反応したのは
狼ではなく梨華だった。
「よっちぃー! よっちぃのばかぁ〜!」
言うが早いか梨華が毛布から飛び出してきた。
「梨華ちゃん! ダメでちゅぅ〜!」
止めるケメ子の腕を引き剥がし、梨華は足をもつれさせ何度も
何度も絨毯の上でコケながら、それでもよっすぃーの所まで
行こうと夢中で自分の体を起こす。普段の梨華からすると
信じられないような事だ。いつもなら梨華は一度こけると、
よっすぃーや裕ちゃんやなっちなど、誰かが近くで声をかけるなり
起こすなりしてくれないとなかなか立ち上がる事が出来ないのだ。
226 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時23分42秒
-304-

「りかちゃん!」
よっすぃーも梨華がこちらに走ってくるのに気付き、慌ててそちらに
体を向ける。しかし現実は厳しいもので、梨華がよっすぃーの元に
たどり着く前に狼からの返事がきた。
「わかっただよ……だからお前、早く出て来い! ハラヘッタ」
「……うん。でも、ちょっとだけ……待って」
よっすぃーは扉に背を向けたままで狼に言うと、かわもちの腕を
するりと抜け梨華の元に駆け寄った。
「りかちゃん……」
「よっちぃ! よっちぃ、だめだよぉ」
梨華は床に手を突きコケた体を起こして立ち上がると、よっすぃーに
詰め寄った。しかしよっすぃーはそれには応えず、梨華の顔を見て
ただにっこり笑った。
「えらかったね」
「……え?」
「りかちゃん、ちゃんとひとりで起きれたんだ。もう、ぼくがいなくても
 だいじょうぶだね……ねぇ、どこもいたくない?」
よっすぃーは梨華の体を見回し、それから自分の服の袖を引っ張って
梨華の涙や鼻水を拭ってやる。
227 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時24分14秒
-305-

しかしそんなよっすぃーの優しさが反対に梨華を寂しくさせる。
そして、自分達を助ける為によっすぃーは狼に身を捧げるのだと
梨華に実感させる。
「よっちぃ、よっちぃ……あたち、おひざいたいよぉ、おてても
 いたいよぉ、おでこだっていたいもん、いっぱいいっぱいいたいんだよ」
梨華は目やほっぺまで両手でごしごし擦って真っ赤にしながら、
とめどなく溢れてくる涙を拭っている。
「だからあたち、あたち、よっちぃがいてくれないとダメだもん、
 よっちぃがいてくれないと、なにもできないんだもん」
「りかちゃん……」
「よっちぃ、りかのこと、まもってくれるっていったもん、
 ずっとずっとまもってくれるって、いったもん」
ぽろぽろと涙を流し少し怒った表情で自分を見つめてくる梨華を、
よっすぃーは少し困ったような顔をしながら包み込むように
ぎゅっと体ごと力いっぱい抱きしめた。
「困らせんなよ」
暫くよっすぃーは黙ったまま梨華を抱いていた。
228 名前:puppu 投稿日:2003年04月20日(日)17時26分33秒
レスくれた方、とてもとてもありがとうございます。
もう一度夜にきますので、そのときにお返事書かせて頂きます。
229 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時16分01秒
-306-

狼は催促するかのようにドアをガリガリと爪で引っ掻いてくる。
よっすぃーの無言のメッセージは梨華に伝わったのだろうか、
幼い体と体をゆっくり離すと、ひっくひっくと喉を鳴らして
梨華はよっすぃーの顔を直視できずに俯いたまま小さく泣いている。
「ぼく、りかちゃんのこと、ずっと、お空からみてるから。
 ……あ、そうだ。りかちゃんのママにも会いにいくね、
 すぐにみつけられるかなぁ……へへへ」
よっすぃーはふとすると流れ落ちてしまいそうな涙をこらえて
一生懸命、梨華に話し掛ける。

待ちきれないのか今度は狼はドアをどんどんと叩いてきた。
「それじゃ、ぼく、そろそろいくね」
よっすぃーは、毛布片手にかわもちの手を握って立っているケメ子を見る。
「ケメ子ちゃん、ギョウザとってもおいしかったよ」
「よっすぃー……」
ケメ子は何も言うことができず、かわもちの手を強く握り直すと
寂しそうに一つ頷いた。
230 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時16分37秒
-307-

よっすぃーはケメ子ににっこり笑いかけると、今度は真剣な顔で
かわもちを見る。
「かわもちくん、頼んだよ」
長々と色んな事を言われるよりも、この一言はかわもちの心に響いた。
かわもちも同じく真剣な顔をして無言で頷いた。
そしてよっすぃーは最後に梨華を見た。
「だいじょぶだよ」
大丈夫、僕がきっと梨華ちゃんを助けてみせる。だから、大丈夫だよ。
梨華はよっすぃーが言ってくれるこの言葉が大好きだった。
迷子ルームで出会った時、一番最初に自分に掛けてくれた言葉。
そして、事あるごとに自分を慰めてくれた言葉『だいじょぶだよ』。
「よっちぃ……」
「りかちゃん、泣くなよ。りかちゃんが泣いてたら、ぼくも、
 泣いちゃうから……」
梨華は、涙や鼻水でびちょびちょなのも構わず、よっすぃーに
むかって無理やり顔をほころばせた。
「りか、がんばる」
「へへっ、うん」
よっすぃーも梨華に合わせて最後の微笑を返す。
231 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時17分08秒
-308-

そしてよっすぃーは、いよいよノブに片手をかける。
しかしそれを捻ろうとした瞬間、もう一方の手が後方に引っ張られた。
「ボ、ボクがいきましゅ、ボクが……だから、よっすぃーは、
 ここにいてくだしゃい!」
かわもちはここにきて、やはり年上の自分が行くべきだと考え直した
のだろうか、よっすぃーに力説する。
「ボクが一番しっかりしないといけないのに……ボクは、ボクは
 よっすぃーよりもお兄ちゃんなんでしゅから……。
 ボク、今日最初によっすぃーや梨華ちゃんと会った時、弟や妹が
 出来たみたいで、とっても嬉しかったんでしゅ。ボク、今思いました。
 お兄ちゃんって、ただ弟や妹を可愛がるだけじゃだめなんだって。
 しっかりと守ってあげなくっちゃいけないんだって」
少し頼りなげだけれども、よっすぃーもかわもちが本当の兄みたいに
思えて嬉しくなる。
「かわもちくん、ありがとう。ぼくもかわもちくんみたいな
 お兄ちゃんができて、すごくうれしいよ。
 でもね、大切なひとのまえでくらい、いいかっこさせてよ」
232 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時17分38秒
-309-

よっすぃーは最後にもう一度、ホンの瞬間、梨華を見つめると、
振り切るようにドアを開け、外に吸い込まれていった。
「よっちぃ、……よっちぃ、やっぱりやだよぉ」
「「ああ、梨華ちゃぁぁん!!」」
そして、かわもちやケメ子が止める間もなく、扉が閉まる前に
梨華もよっすぃーの後を追うように扉の外に出て行った。



「「きゃぁぁぁぁ!!」」
廊下からはよっすぃーと梨華の叫び声がもれ聞こえ、そしてドアの
隙間からは一瞬、まばゆい光が差し込んできた。
残されたかわもちとケメ子。
「ああ、うまかった」
狼が自分の口元を手の甲で拭ういやらしい音。
「さぁ、お次は誰かな?」
「や、約束がちがいましゅよ!」
憤るかわもちとケメ子。
「おら、約束なんてしてねぇ。『わかっただ』としか言ってねぇ」
「「……」」


大人なんてダイッキライだぁぁぁぁ!
233 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時19分21秒

今日はこのへんで・・・・・・。
もうだめ・・・

234 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時20分19秒
>南風さん
こんな拙ねぇ文章で癒されてもらってとてもとても恐縮です。
ありがとう。外はだんだんと暖かくなってきました。
寒いうちに口唇しなくてすみません。ちょこちょこ。
保全ありがとう御座います。

>ななしのよっすぃ〜さん
>少しづつの積み重ね
ううう、心に染みます。ホント何事も積み重ねですよね・・・。
なっちと裕ちゃんもきっとうまくいくようにこつこつ積み重ねます。
保全ありがとう御座います。

>215さん
>218さん
保全ありがとう御座います。

>219さん
保田さんをありがとう御座います。
235 名前:puppu 投稿日:2003年04月21日(月)01時21分04秒

おちまい

236 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月21日(月)21時39分58秒
puppu さま、更新お疲れさまです。
仕事の疲れが吹き飛びそうです。
かっこつける幼いよっすぃ〜&梨華ちゃん最高です!!
ここの二人を見ると自分にも子供が欲しくなります。(笑)
更新はpuppu さまのペースで頑張ってください。
保全ぐらいしかできませんが、これからも応援してますYO!!
237 名前:南風 投稿日:2003年04月22日(火)00時41分50秒
更新お疲れ様でした。
復活嬉しいです☆
作者様のペースで頑張って下さい。
ひっそりと堂々と応援させていただきます。
238 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月11日(日)04時33分21秒
面白かったYO!はぁとはぁと
239 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月12日(月)12時15分20秒
やっべ、ものすっご可愛い…。
自分がオオカミになってしまいそうな勢いです(w
こんな子供欲しいなぁ。
誰か僕の子供産んでくれませんか(爆
240 名前:名無し 投稿日:2003年05月29日(木)00時28分26秒
此方も、期待!保全!!
241 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年06月10日(火)20時35分07秒
更新を期待しつつ保全!!
242 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年07月03日(木)20時25分33秒
更新を期待しつつ保全!!
243 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時45分36秒

ぴえぇぇぇ

244 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時46分51秒
-310-

裕ちゃんの部屋から廊下に飛び出したよっすぃーと梨華。
狼の大きな口を覚悟して出て行ったものの、待ち構えてたのは
目もくらむ様なまばゆいカメラのフラッシュだった。
「「きゃぁぁぁぁ!!」」
そして、その後に見たのはかいじゅう……ではなく、優しい優しい
南湖津おじちゃんと圭おばちゃんの笑顔。
あっけにとられて、大きな目をくりくりさせているよっすぃーと梨華が
声を出してしまう前に、南湖津がその場にしゃがんでふたりと目線を合わし
「し〜」と人指し指を口の前に立ててにこっそり合図をする。
南湖津は、梨華とよっすぃーふたりを軽々と両手で抱き上げると、
そのまま足音を立てないように気を付けながらリビングに向かった。

南湖津は初め、『おじちゃんとおばちゃんが狼のお芝居をしていたんだよ』と
よっすぃーと梨華に正直に本当の事を言おうと思っていたけれど、
「おじちゃんと、おばちゃんが、おおかみをやっつけてくれたの?」
と真っすぐな眼差しで問うてくる子ども達に、それを言うことは
出来なかった。
245 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時47分23秒
-311-

よっすぃーはみんなを守る為に、自分の命まで犠牲にしようとしたのだ。
梨華だってしぬ覚悟でよっすぃーの後を追ったのだ。
ふたりの瞳は、南湖津が今日の朝会った時よりにも増して輝きに
満ちている。その輝きは幼いふたりのココロに新たに芽生えた勇気と
思いやりの賜物だろう。こうして一つ一つ子どもたちは成長して
いくのだと、南湖津は嬉しくなった。
「うん……そうだよ。でもね、おじちゃん達が来た時にはもう既に
 狼は逃げようとしていたんだよ。きっとよっすぃーと梨華ちゃんの
 優しい心に負けちゃったんだね」
よっすぃーと梨華は、まだ南湖津の言葉をあまりよく理解出来なかった。
けれど、自分達が褒められているのだという事だけはなんとなく
南湖津の表情から読み取った。

南湖津は、『ここでもうちょっと待っててね』とふたりにオレンジジュースを
出してあげると、自分の娘ケメ子と将来婿になるかもしれないかわもちにも、
よっすぃーと梨華のような瞳の輝きと成長ぶりを期待して、その姿をカメラに
収めるためにいそいそと裕ちゃんの書斎に向かった。
246 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時47分57秒
-312-

よっすぃーと梨華はリビングのソファに並んでちょこんと座っていた。
先ほどの自分達のやり取りで、よっすぃーも梨華も己の本心に
改めて気付いたのと同時に、自分に対する相手の思いも確認出来た。
しかしそれは余りにもストレートな表現で伝え合ってしまったので、
お互い今になって少し照れくさい。ふたりとも少しもじもじしながら
相手の顔を見合っては、その照れを隠す様ににっこり微笑みあう。

今更のように相手の体に触れていないことに気付いたよっすぃーは、
ソファに軽く置かれている梨華の左手に自分の右手をそっと重ねた。
「ほめられちゃったね、ぼくたち」
「ね」
梨華は手をひっくり返すと、甲に置かれていたよっすぃーの手を
ぎゅっと握った。そしてまたふたりは何も言わずにただ見つめ合い、
揃って頬をほんのり赤く染めている。うへへへへ。
247 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時48分32秒
-313-

「あ、そうだ」
大切な事を忘れていたと、よっすぃーは空いている手で裕ちゃん
みたく自分の膝をポンッと叩くと、「ちょっと待っててね」と
梨華に言い置き、まだ赤い頬をしたままキッチンの方にぱたぱたと
駆けていった。

よっすぃーはお目当てのものをキッチンのテーブルの上に見つけると、
自分にはまだ手が届かない場所なので、暫くどうしようかと腕を
組んで考え込んでいた。
「りかちゃん、まってるのにな……」
梨華を待たせてせっかく取りにきたのに、このまま手ぶらで帰ったら
オトコがすたるぜ。うんうんうなって、よっすぃーはようやく決心した。

まず、キッチンに置かれている椅子を一つ、背もたれがテーブルと
垂直になるように動かす。そしてもう一脚も背もたれをテーブルとを
垂直にして、先ほどのと座る所が向かい合わせになるように並べる。
「うんとこどっこいしょ」
よっすぃーは最初に動かした方の椅子によじ登ると背伸びをし、
手をあらん限り伸ばしてテーブルの真ん中あたりに置かれている
大きなガラスの器を掴み、自分のほうへ引っ張り寄せた。
248 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時49分07秒
-314-

中身をひっくり返さずに自分の元へ引き寄せられた。
「ふぅ」
第一段階クリアで、よっすぃーはひとつ大きく息をつく。
でも気を抜かずに、今度は両腕と胸を使ってその大きなガラスの器を
抱えてみる。
「むむむ。ちょ、ちょっとおもいな」
でも一度テーブルの上に戻すと、よっすぃーは歯を食いしばりもう一度
それを持ち上げ、一息に、でもゆっくりと下に降ろす為にしゃがんでいった。
「りかちゃんのためなら、えんやこ〜ら」
腕とおなかとふとももに力を込めて、よっすぃーはなんとかガラスの器を
後から並べた方の椅子の上に置いた。
ここまで頑張ったら後はもう簡単。
「とうっ」
よっすぃーはウキウキ気分で椅子から飛び降りると、今度は自分の
おなかに乗せるようにしてガラスの器を抱え、そのまま梨華の待つ
リビングへと急いだ。圭が、よっすぃーの大切なアンパンマンの
おなかからガラスの器へと移しおいてくれたもの――そう。なっちが
みんなのおやつ様にと茹でてくれたタマゴを抱えて。
249 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時49分48秒
-315-

よっすぃーがふらふらした足取りながらもようやくリビングに一歩足を
踏み入れ、今までガラスの器の中に入ったタマゴを見つめていた目を
ふと上げてみると、さっきと同じソファの上で梨華がびぃびぃ泣いている。
「り、りかちゃーん! どうしたの?!」
よっすぃーはガラスの器を投げ出すように慌てて絨毯の上に置くと、
梨華の所までダッシュした。
「りかちゃーん」
ソファの上に飛び乗るようにして座り込むと、よっすぃーは心配そうに
梨華の顔を覗き込んだ。
「りかちゃん、どうしたの?」
「ううん、なんでもないの」
梨華はそれだけ言って両手で目を擦ると、何事も無かったように
よっすぃーに向かってにっこりした。ただ真っ赤になった瞳だけが
梨華が今まで泣いていた事を物語っている。
250 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時51分20秒
-316-

「りかちゃん……ねえ、どうしたの?」
よっすぃーは俯きかげんの梨華の顔を覗き込んだままその小さな手を取ると、
問いただすようにゆるく振ってみる。それでも梨華は「なんでもないから」と
おちょぼ口を少し尖らすようにしてよっすぃーに返す。しかしそう言う梨華の
目のまわりは、よく見てみると泣いたすぐ後のように少し腫れている。
よっすぃーは梨華がなぜ泣いていた事を隠しているのかが分からなかった。
「ねえ、りかちゃん。ぼくにいえないことなの?」
しかし梨華は何も応えず、ただ俯いてよっすぃーの手をぎゅっと握り返している。
よっすぃーは待つことにした。梨華が応えてくれるまで。
暫くすると梨華はその沈黙に耐え切れず、「あのね……」と小さな声で話し出した。
「あのね、あたしね、よっすぃーがむこうにいっちゃって、いまひとりだった
 でしょ? そしたらね、きゅうにこわくなってきたの」

梨華は、裕ちゃんの書斎から出て南湖津おじちゃんにリビングまで連れて
来られた時は、まだ興奮していてそれによっすぃーも一緒だったから、
恐かったというよりも無事でよかったという感情の方が勝っていた。
251 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時51分50秒
-317-

しかし、ひとりになっていざ先ほどの事を思い出してみると、身の毛も
よだつとは正にこのことで、急にぶるぶると震えだし泣き出してしまったのだ。
「あたしね、ないてばっかりだから、よっすぃーにきらわれちゃうと
 おもったの。だからね……だから、なんにもないのってよっすぃーに
 ……うそついちゃった」
そう言いながらも梨華の瞳はもう既に潤んでいる。

梨華は、裕ちゃんの書斎での事は恐かったというのが大部分で、頭が混乱して
今すぐにはっきりとは思い出す事は出来なかった。しかし決して忘れられない
事が幾つかあった。
それはよっすぃーが「えらかったね」と褒めてくれた事。
それはよっすぃーが「困らせんなよ」と抱きしめてくれた事。
それはよっすぃーが「りかちゃん、泣くなよ。りかちゃんが泣いてたら、
ぼくも、泣いちゃうから……」と励ましてくれた事。
そして、よっすぃーがしっかり守ってくれた事。

「よっすぃーは、あたしのこと、いつもぎゅってしてくれるけど……
 あたしは、あたしは泣いてばかりだから……」
252 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時52分30秒
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よっすぃーは、恐いことがあったすぐ後なのに女の子ひとりおいてキッチンに
駆けていってしまった自分の鈍感さを反省した。しかもその女の子とは自分の
大切な大切な梨華なのだ。
「りかちゃん、ごめんね……ぼく、りかちゃんのこと、ひとりにしちゃって」

そしてよっすぃーは今になってようやく気付いた。
(りかちゃん、おおかみにたべられるかもしれないのに、ぼくのあとを
 ついてきたんだ……)
「りかちゃん!」
よっすぃーは改まったようにきちんと座り、梨華の両手を握りなおすと続けた。
「ぼく、りかちゃんが泣いてたって、きらいになんかならないよ。だって、
 だってこんなにりかちゃん……かわいいんだもん」
そこで少し照れたようによっすぃーは一旦、梨華から目線を逸らした。
しかしよっすぃーが視線を元に戻す前に、梨華がよっすぃーをソファに
押し倒す勢いで抱きついてきたのだ。
よっすぃーは、ちょっとずるいけど顔を見たら言えないからと、そのままで
梨華に伝えた。
253 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時53分14秒
-319-

「でも、ぼくのまえじゃないと、ないちゃだめだよ。
 りかちゃんは、ぼくが守るんだから。ぼくの大切なりかちゃんなんだから」
梨華は半分鼻声で、そして残りの半分はほころんだ声で、よっすぃーの首に
腕を回したままその耳元で小さく応えた。
「よっすぃー、ありがと」
「うん」
(りかちゃんってまだおっぱいのにおいがするんだ。やっぱりかわいいや、へへ)
よっすぃーは梨華の方が少しお姉さんなのも忘れて、梨華にばれないように
こっそり微笑んだ。
254 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時54分11秒
-320-

それからよっすぃーはもう一度、「ちょっとまっててね」とすぐそこに
見えている茹でタマゴの入った器を取りにダッシュしかけたけれど、
ほんの少しでも梨華と離れたくなかったので、戻って手を繋ぎ一緒に
取りに行くことにした。
ふたりは僅か四、五メートルの距離をぱたぱたとおててを繋いで駆けていき、
そして帰りは、梨華が手伝おうとするとよっすぃーが、「ぼくひとりで
だいじょうぶ。これかるいから」と、とてもそうは見えないように歯を
食いしばってガラスの器を持ち上げる。梨華はそれを見て笑いながら、
「よっすぃー、がんばって」と、とびきりの声援を送った。
しっかりとよっすぃーの服の裾を握り締めて。
255 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時55分01秒
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そして――

そう言えば……電話から聞こえてきたママの質問は、ケメぴょんが
玄関の外にいる狼にした質問と一緒でちゅ……。
あたちは自分でも知らず知らずの内に、外にいるのは狼じゃなくて
ママだって事が分かってたんでちゅね。だってそうじゃないとあたち、
“Dのセンチュリーランドでちゅ”なって言ってないでちゅもんね。
「ママぁ〜! ケメ子、とってもとってもこわかったでちゅ〜」

このケメ子の声に、圭とかわもちは疲れが倍増した事は言うまでも無い。
しかしそれとは関係なく、南湖津は子ども達の瞳の輝きを追い求め、
色んな角度から次々とカメラのフラッシュを焚いていた。
256 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時57分11秒

今日もこのへんで・・・・・・。
またもやもうだめ・・・・あかんたれですみません。

257 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時58分05秒
>ななしのよっすぃ〜さん
保全いつもすみません。
ななしのよっすぃ〜さんの疲れがとれるように出来るだけ
かわいいふたりを書いていけるよう精進します。
でもとろとろペースでごめんなさい。

>南風さん
くたばっては申し訳ていどの復活の繰り返して本当にすみません。
わたしもひっそりとそしてとろとろと……うっ……ぼそぼそですが
書いていきます。ありがとう。

>名無しさん
面白いと言ってくれるととても嬉しいです。
とても励みになります。ありがとう。

>239さん
お、狼の方になりたいんですか!それなら南湖津さん役でお願いします。
>誰か僕の子供産んでくれませんか(爆
それは……それはちょっと(w

>名無しさん
おお! きつい、きつい言葉が二つならんでる。
私のだらけた心に染みます。ありがとう。
258 名前:puppu 投稿日:2003年07月03日(木)23時59分12秒

がんぱる

259 名前:南風 投稿日:2003年07月04日(金)22時45分55秒
待ってたかいがありましたー!!!!
更新お疲れ様です☆
いやぁ〜可愛い・・・可愛いですYO!!!
相変わらずめろめろになります。
疲れた心に癒し効果抜群です!!
ごちそうさまです☆
260 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年07月06日(日)23時08分34秒
puppuさま、更新お疲れ様です。

仕事疲ればっちり癒されましたYO!!
だって、梨華ちゃんかわいいんだも〜ん!思わず読みながらニヤリとしてました。
では、次回更新も楽しみに待ってます!!!!!
261 名前:1111 投稿日:2003年07月13日(日)21時07分58秒
お疲れ・・・・
そして頑張れ・・・
おぢさん、草葉の陰、じゃなくって君の部屋の天井裏からそっと見守ってるよ〜。
262 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年08月08日(金)22時10分37秒
更新を期待しつつ保全!!
263 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年09月01日(月)23時06分54秒
更新を期待しつつ保全!!
264 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003/10/02(木) 21:28
更新を期待しつつ保全!!
265 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003/11/03(月) 20:07
更新を期待しつつ保全!!
266 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/01(月) 20:21
保全
267 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/03(水) 16:04
まちます
268 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 18:11
保全

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