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監察医 『飯田圭織』

1 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時01分44秒
海板で「安倍なつみの事件簿」という小説を書いているものです。
この中で出てくる監察医の飯田圭織の話です。
この小説で自分自身2作目になります。
まだまだ未熟者でいろいろ不都合等あるかもしれませんが、
よろしくお願いいたします。

海版の方もよろしくおねがいします。
2 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時04分45秒

「あー、なっちー。進路どうするの?」

ここは北海道のある高校である。
今、安倍を呼んだのは飯田圭織。

二人は今高校二年生で、おんなじクラス。
小学校中学校は違う学校で過ごしたが、高校で同じクラスになる。
誕生日が二日しか変わらないこと、しかも同じ病院で生まれた事もあって、
今では親友と呼べる中でもあった。

先ほど先生から高校卒業後の進路に付いての話があってその話を始めていた。

3 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時05分51秒
「ん?かおりはどうするー?」
「えっとね、笑わないでね。」
「笑わないから言ってみるべ。」
「かおりはね、お医者さんになりたかったの、ちっちゃい頃からさ。」
「あぁ、そうなんだ、なっちとあんまり変わんないねぇ」
「あれ?なっちもお医者さんになりたいの?」
「んん。違うべ、でも似たようなものなんだー。」
「うーん、なんだろ?」
「なっちはね、おまわりさん」
「ふふふ。」
「あー、笑わないでって言ったのそっちだべさー。」
「ごめんごめん。じゃあね、大学は行くんだよね。」
「うん。」
「どこ?」
「じゃあ一緒に言おうよ。」
「東京大学!」「東大!」
「あはははは。」「ふふふふ。」
「また一緒だね。」
「うん、またなっちと一緒だね。」
4 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時06分48秒

こうして二人は大学受験も一緒だった。
ふたりとも第一志望である東京大学に無事合格した。
飯田は医学部、安倍は法学部にそれぞれ進学した。
こうして二人はそれぞれ医者と警察官を目指して勉学にいそしんだ。
飯田は人を治す医者すなわち臨床医を目指して勉強する毎日だった。
5 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時08分36秒
そんな努力も実り、もうじきインターンも終えるという時。
飯田は不安を抱いていた。
『卒業したばかりの私が本当に人を救えるのだろうか?』という疑問。
『いろいろな科があるが何を専門にし自立していけばいいか?』という疑問である。
外科、内科、小児科、産婦人科、精神科・・・etc.
どれも一長一短で決められないでいた。
飯田はその不安を乗り切るために、自信が持てるトレーニングみたいなものが必要と考えていた。
6 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時10分19秒
そこで、医学そのものを別の視点で見るのが一番ではないかと考えた。
人が死ぬ・・・そういうことはどういうことなのか。
医学、医者の立場で一度見直してみるべきではないのか?
そうする事によって命の尊さ、いかに人は生きるべきかがわかって来るだろう。
その後に患者と接していけば、自分は名医に少しでも近づいて行ける。
そう考えた飯田は死の学問である法医学を2、3年やってみようと決心した。
臨床医としては遠回りの道を選んだのである。

そうして東京都監察医務院に就職した。
7 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時11分38秒

監察医務院とは、異状死体を検死したり、解剖して、死因がなんであるかを決定し、
警察官の検視に医学的協力をし、社会の秩序を守ると同時に公衆衛生の向上や
予防医学に貢献するという役割を担っている所である。
8 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時13分54秒
そこでは毎日、無数の変死体の解剖をしていた。
基本的には監察医が行う解剖は(行政解剖と呼ばれるもの)
犯罪とは関係無い死体である。

犯罪死体の解剖(司法解剖と呼ばれるもの)は主に大学の法医学教室で
警察官の立会いのもと行われる。
犯罪現場で行われる検視は検死官が行う。
検死官は各都道府県警察本部の刑事部に所属する役職名である

しかし検死官は医学部を出た者でも無く元々は警察官であり、
2〜3年でどこかの警察署の署長として赴任してしまう。
そのため検視の精度を上げるために、監察医が検死に同行する事が少なく無かった。
9 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時15分43秒

飯田はそういうことを積み重ねるうちに、
事件の現場に立って検死や解剖を行う実戦法医学の方が、
自分に合っているような気がすると思いはじめていた。

以来、この道にのめりこみ、気付いた時には臨床医に戻る気持ちは無くなっていた・・・。

10 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月08日(土)09時19分22秒
こんな感じではじめて行きます。
どうかよろしくお願いします。

何か変な点、お気づきの場所ございましたらお気軽に書いてくださいね。
11 名前:名無し 投稿日:2002年06月08日(土)18時10分54秒
相変わらずの作者さんの知識に脱帽。
この話もがんばって!
12 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月10日(月)15時35分32秒
こちらでは初レスです。
いいらさんのメール欄本音が奥深いです。
続き楽しみにしてます。がんがってください!

13 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月10日(月)18時37分43秒
『安倍なつみの事件簿』ともども頑張って下さい。
期待しております。
14 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)07時44分57秒
カオリン&なっち、微笑ましいなぁ
良い感じです。
15 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)01時03分22秒
両方読ませて頂いてます。
私も作者さんの博識ぶりに脱帽!
面白いのに勉強にもなるっていいね(笑)
私の好きな「きらきらひかる」っぽくって期待してます。
16 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時50分27秒

―1―
私は飯田圭織。
今は東京で監察医をしています。
小さい頃の医者になるという夢は、
半分は叶い半分は違う道に入ってしまいました。
大きな道で言えば同じ道ですが、
生者を見るのと死者を見るのが入れ替わっています。
死者を見るということに興味を持ってしまったのですが、
ある意味良かったと思います。

死体解剖保存法。
こういう法律があります。
この法律に沿って監察医は検死や解剖を行うわけです。
この第八条にこう書いてあります。
《政令で定める地を管轄する都道府県知事は、
その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体、
その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き
これに検案させ、または検案によっても死因が判明しない場合は解剖させることが出来る。・・・以下略》

これが監察医制度の基盤になっています。
そして東京には監察医務院があり私はそこで働いています。

17 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時52分03秒

私のここでの一日をちょっと書いて見ます。

私は毎日電車に乗って医務院に行きます。
満員電車に乗るのが嫌なので、朝7時頃家を出てだいたい8時過ぎには到着します。
電車の中では今日の予定をどうするのか段取りを考えています。
9時ぐらいまでは書類などの整理をします。

一週間のうち検死当番が3日、解剖当番の日が1,2日あり、
残る1日はフリーになっています。
フリーの日は解剖記録の整理や、報告書、意見書を書いたりです。
余裕のある日は自分の研究日として大学で研究したり、学生に講義などしています。

18 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時52分41秒

検死当番の日は朝、医務院に行くと、今日の検死予定が書いてあります。

池袋警察(病死)
目白警察(刺殺事件)
上野警察(交通事故)
新宿警察(飛び降り自殺)



このように、一覧があります。
19 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時54分01秒
これを五つの班に分け検死にあたります。
一つの班は3人です。
それを5台ある検案車に各3名(監察医、運転手、補佐)が乗り、
検死に出発します。

大体1日4〜5件の検死をします。
順調に行けば一件、一時間余りで検死を終えることが出来、
15時ごろには帰院出来ます。
警察に行くと、検死の責任者として警部補が立会官として、
部下一名と鑑識係の一名の二名を従え、死体の場所に案内してもらいます
20 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時55分44秒
本来、立会官は検察官検事が行うことになっていますが、
検事の数が少なく多忙なので、大事件は別として、
法律上問題のなさそうな小さな事件に立ち合いません。

そこで、所轄警察の警部補以上の者に、
代行検視を行うことが出来る規定を作り、だいたいは警部補が検視に立ち合います。
そして、遺体を全裸にしてはじめます。
まず、全身状況を観察し、死斑の状態から死体硬直の度合い、
頭部、顔面、軀幹部、四肢の異常は無いかチェックします。
外傷があればこれもチェックします。

鑑識係はカメラに死体所見を記録します。
監察医は検死しながら死亡前後の状況を遺体所見から推理します。
立会官に捜査状況を聞き、自分の推理と状況がほぼ一致すれば、
死体検案調書(カルテに相当します)に記入します。
もう一つの書類、死体検案書(死亡診断書に相当します)も作成します。
このような流れで検死をしていきます。
21 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時57分12秒
解剖当番の日も黒板に解剖予定が書いてあります。

赤坂警察 三十六歳 ♂ 病死?
蒲田警察 二十八歳 ♀ 焼死?
新宿警察 五十三歳 ♂ 不詳


このような感じです。
検死をしても死因が分からなかった場合や、
後日トラブルにならないように死因を明確にする必要がある場合が
行政解剖になるわけです。

遺体が警察から搬入されるときには、遺体とその遺体を検死した監察医の
遺体検案調書などが一緒に搬入されます。
解剖担当の監察医は、これを読み死亡前後の状況や解剖したい理由を
把握して解剖します。

一時間ぐらいの解剖の後、家族の待つ家まで送り届けられます。
解剖班は監察医、解剖助手、補佐二名の四人で一つの班を構成しています。

22 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)10時58分32秒

その監察医になりたての頃ですが、
この仕事の意義を深く感じることになった事件を紹介します。
23 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年06月21日(金)11時12分41秒
今回はこの辺で・・・
ちょっと飯田さんが書いた文章っぽく書いて見ました。
結構難しいですねぇ。

>>11 名無し さん
ありがとうございます。
期待にこたえられるように頑張ります。

>>12 ごまべーぐるさん
いつも読んでいただきありがとうございます。
こっちも頑張ります。

>>13名無しさん
両方見ていただいてるんですね、ありがとうございます。
これからもがんばります。

>>14 名無し読者さん
かおなちいいですよねぇ。
もっと甘い何かも書いて見たいんですが・・・
褒めていただきありがとうございます。

>>15 名無し読者さん
両方読んでいただきありがとうございます。
きらきらひかるっぽいですね。
自分は見たことないんですが、そのうち見てみようかなぁ。
これからも頑張りますね。

なんだか硬い文章ばっかりになってしまいましたね。
説明調でちょっと読みづらかったかもしれませんね。

これからも頑張ります、よろしくお願いします。
24 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月23日(日)10時06分39秒
いいらさんが書いたって感じ、とても出てます。
彼女は結構理路整然としてそうなイメージがありまして…。
とても勉強になります。
がんがってください。
25 名前:名無し 投稿日:2002年06月24日(月)15時00分35秒
飯田さん視点が新鮮で良い!
これからの事件に期待!!
26 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年07月20日(土)23時23分38秒
かなり更新してなくて申し訳ないです。
牛印パソコンがあぼーんしてしまい
交信用の書きだめも消えてしまったもので・・・

だいぶ復旧したので、記憶を頼りにいま書きなおしております。
もうしばしお待ちくださいませ。
27 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月23日(火)12時35分16秒
( ゜皿 ゜)<パソコン アボーンシタラ モウオテアゲ。キモチワカル。
        マターリマツ。サクシャサン ガンガッテ。

28 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年08月09日(金)15時27分51秒
事故のため自分があぼーんして入院してました。
全然更新できずに申し訳ないです。
もうしばらくお待ちくださいませ。ごめんなさい。
29 名前:名無し娘。 投稿日:2002年09月18日(水)13時08分23秒
保全しとこう。
30 名前:名無し読者の一人 投稿日:2002年10月11日(金)12時24分15秒
「安倍なつみの事件簿」が落ちちゃった
こっちはそうならないように復活期待!
31 名前:Dr.マルッチ 投稿日:2002年11月14日(木)06時55分21秒
全然更新しないで申し訳ないです。
そして、保全していただきありがとうございます。
パソコンも本人も大体復旧できましたので、近いうちに更新いたします。
ご迷惑をおかけいたしておりますがよろしくです。
32 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)06時18分26秒
復旧オメッ!
身体の方も良くなっているようでなによりです。
更新期待してます。

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