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LOVE GOES ON...2

1 名前:ユウ 投稿日:2002年06月10日(月)14時21分17秒
新スレッド立てました。
前回のLOVE GOES ON...からの続きです。
今回も中澤さんと矢口さん中心です。
でも、ちょっと他の方たちのも書いてみようと思っています。
例えば、前回挫折した、吉澤さんと石川さんとか、とか・・・。
あくまでも、予定ですが。
2 名前:ユウ 投稿日:2002年06月10日(月)14時25分55秒
以前ほどマメに更新できるか分かりませんが、また読んで下さい。
では、更新です。
前回の続きから。
矢口さんのです。
3 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時27分12秒

「裕ちゃーん。タオル、これ使っていいのー?」

好きなの使ってええよ。って裕ちゃんが言う。
ほーいと返事してから、バスルームのドアを閉めた。

・・・・はぁ。

閉じたドアにもたれて、その場でずるずるしゃがみ込んだ。

どうしよう。
心臓がどきどきしてるよ。

ダメだって。意識しちゃ。
せっかく裕ちゃんと二人でいるのに、変に意識してぎくしゃくなんてしたくない。

それに・・・。
裕ちゃんのことだから、矢口が緊張してるなんて分かった日にゃあ。

「ふ〜ん、なに考えてんの矢口?」

なんてにやにや笑うに決まってるんだ。
矢口には、そんときのにやけた顔が手に取るように目に浮かぶよ。
やだやだそんなの。
絶対、恥ずかしい。

4 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時27分59秒
それに、別にさ。
別に、泊まるからって。
そうゆうコトを必ずするってわけじゃないし。
そんなのはなくたって、裕ちゃんと一緒に過ごせればいいんだもん矢口は。





・・・・はい、ウソです。ごめんなさい。

矢口は、裕ちゃんと、そうゆうコト。
・・・・したい、です。


キスだけじゃもう、矢口はダメなんだよ。

5 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時28分53秒
裕ちゃんに抱きしめてもらうと、安心する。
でも同時にわき上がるもう一つのこの気持ち。
気付かないふりしようとしたけど、もう限界かも。

自分の気持ちをごまかすように裕ちゃんに強く抱きつき返す。
今ここにあるぬくもりだけで、満足しようと。
そうやって、もやもやしたものを抱え込んだまま、いつも裕ちゃんの腕の中に治まってる。

膝の上に座って、首筋にぎゅっとかじりついて。
でもその先に見える白い首筋に、ここ最近はどきどきするばかり。

ねえ、その先には何があるの?

背中を撫でてくれるその手が、直接矢口に触れてくれたなら。
それは、どんな感じなんだろう。

6 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時29分52秒
もっと裕ちゃんに触れたい。
もっと裕ちゃんに触れてもらいたい。
それはホントに純粋な気持ちなんだ。

それをエロだとかエッチだとか呼ぶんなら、もうしょうがない。

だって、触りたいんだもん。
もっと、裕ちゃんを知りたいんだもん。

でも、勢いこんで裕ちゃんちに上がり込んだのはいいけど。
二人きりになると、沈黙が怖くてやけにはしゃいでる自分がいる。

7 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時30分31秒
ふぅ〜・・・・。

裸になって、自分の体をしげしげ眺めてみた。
洗面台の前にたって、鏡に姿を映してみる。

ちっこいなあ、矢口ってホントに。
胸から上しか見えないや。

自分の体を見て、ちょっと落ち込む。
もうちょっと、ごっつぁんみたいにボーンとなってキュッてなってればかっこいいのに。
姿形だけで、裕ちゃんが参りましたって矢口にめろめろになるくらい。
あ〜あ〜、惜しかったな。
ま、でも。
ないなりにそれなりに、ねえ。

8 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時31分21秒
肌は・・・っと。
うん、大丈夫。
つるつるしてるよね。

胸は・・・っと。
・・・・う〜ん。
大きくはないけど、悪くはないんじゃない?
ちょっと横を向いたりしてみる。

って、オイラは一人で何やってんだ。
一人鏡の前で赤面する。

ここでそんなこと考えててもしょうがないっか。
そうゆうコトをするって決まったわけじゃないしね。

お風呂から上がったら、裕ちゃんが待ってる。
とりあえず、お風呂はいろっと。

9 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時32分05秒
-------

「あ"ー気持ちよかったー。」
裕ちゃんが上気した顔でお風呂から出てきた。

「裕ちゃん、はいこれ。」
用紙しておいたビールを渡す。

「おっ、ありがとう。矢口は気がきくな。」
目を細めて嬉しそうに頭を撫でてくれた。


裕ちゃんと並んでテレビを見る。
なんか不思議。
でも何でもないことなのに、こうして二人でいられるってことが、
矢口にはすっごく嬉しい。
楽屋とかで二人っきりになる時はあってもさ。
すぐ時間は過ぎちゃうし。
うっかりしてるとすぐ誰かに持ってかれちゃうし。

でも今の裕ちゃんは矢口だけのもの。

10 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時34分23秒
隣を見ると裕ちゃんはおいしそうにビールを飲んでる。
時々、矢口の方を向いて、笑いかけてくれる。
言葉はないけど、裕ちゃんも矢口がいることを喜んでくれてるように感じる。

なんで、そんなに、にこにこしてるの?
矢口がいるから?
だったら、いいのにな。

ちょっとビールもらっちゃお。

「ぅおい!あんたなに飲んどんねん。」
裕ちゃんがびっくりした顔で見てる。

「えっ?だって裕ちゃんが飲んでるのおいしそうだったんだもん。」

う〜んでも、何でこれがおいしいのかな〜。
何回か飲んだことはあるけど、やっぱりまだ矢口には分からない。

「ああもう、大丈夫なん?それだけやで。外ではあかんからな。」

「うん、でも、も、いいや。・・・まずい。」

裕ちゃんにビールを返した。
矢口はこっち。
オレンジジュースでいいです。

11 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時40分03秒
なんだって顔して、裕ちゃんがビールを飲む。
裕ちゃんが酔っぱらったら、また甘えた裕子が見られるのかな?
寝起きの裕ちゃんも甘えん坊で、そーとーかわいかったもんね。

「なに?」

裕ちゃんが怪訝そうな顔で矢口に聞く。
あり、もしかして矢口にやついてた?

「裕ちゃんさ〜、酔うとかわいいんだよね〜。なんか急に甘えたになっちゃって。」

裕ちゃんは平気そうな顔をしてるけど、自分の頬をさすってる。
ちょっと視線を泳がせて、それから矢口に聞いてきた。

「・・・矢口に甘えたろか?」

やった!

もう、しょうがないなぁ、裕ちゃん。
矢口にそんなに甘えたいの?
もう、もう仕方ないなあ。
甘えて甘えてどんどん甘えちゃってよ、裕ちゃん。

自分の肩をばんばんと叩いた。
ここ、ここ。
ちょっとここ頭のせてってば裕ちゃん。

12 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時40分46秒
裕ちゃんは矢口の肩にゆっくり頭をのせてきた。
腕を回して裕ちゃんの頭を撫でて上げる。

裕ちゃんが気持ちよさそうに目を閉じる。
う〜ん、やっぱりかわいいよ、裕ちゃん。

普段はなかなかこんなとこ見せてくれないもんね。
気を張って、強そうな裕ちゃんももちろん好きなんだけどさ。
こうやって甘えん坊な裕ちゃんが見られるのは、矢口だけの特権って気がして嬉しいんだ。


裕ちゃんが矢口の腰に両手を回してくる。

一瞬どきっとした。

裕ちゃんは猫がすり寄ってくるみたいに、矢口の体に頬をすり寄せてくる。

ちょっと、ちょっともお〜、どきどきするじゃんよ。
落ち着け、まあ落ち着けってば矢口。

13 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時41分41秒
・・・・・・・・・。
って、あれ?
もしかして、裕ちゃん寝てない?

ウソでしょ?
せっかく矢口がお泊まりに来てるんだよ。
オイラを置いて先に寝ちゃうってことはないよねえ。


「裕ちゃん?」

あ〜、やっぱりだ。
裕ちゃん、目つぶってるじゃん。

「ん〜?」
思いっきり、眠そうな声で返事をしてるし。

そんなあ・・・。

「あのさ、・・・今日さ・・・。あの・・・。」

考えるより先に、言葉が出ていた。
こんなこと、矢口から言うなんて、恥ずかしいけど。

14 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時42分31秒
「えーと、だからぁ、・・・あの・・・。ね?」

気付いてよ裕ちゃん。

「なんやの矢口?はっきり言い?」

裕ちゃんは体を起こして、ホントに分からないって顔して聞いてきた。

もう、このドンカン。

「あー、もう、だからあ。こーゆーこと女の子から言わせるなっつーの。」

ベシッ
手刀してやった。

「いたっ。何すんのあんた。大体女の子って。二人とも女の子やんか!」

「・・・裕ちゃんはもう『女の子』じゃないじゃん。」

あーあー、また言っちゃったよ。こうゆうこと。
でも、裕ちゃんが鈍感だからいけないんだからね。

15 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時43分18秒
「うわっ、ゆうてもうた。そうゆうこと。」

「こんにゃろっ」

裕ちゃんは言葉とは裏腹に笑いながら矢口を抱き寄せてくれる。
・・・・伝わったのかな?

でもふざけて首に腕を回してしめるふりするから、じたばた暴れてみた。

「こら、じっとしい。」

「や〜だよ〜。」

「じっとせんと、ちゅうできひんやん。」

「いいよ〜、ほらっ。」

裕ちゃんが口をとがらしてキスをしようとしてくる。
でもそんな簡単にさせたげないよ。
矢口すっごい緊張したんだからね。

16 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時44分13秒
裕ちゃんはちょっと悔しそうな顔をしている。
かわいっその顔。
なんて得意になってたら、急に裕ちゃんの指が矢口の耳に伸びてきた。

ゆっくりと指で耳の表面をなで上げる。
ん、ん?
なに、これ。
ぞくっとしちゃったよ。

いつの間にか真剣な顔で矢口を見つめてる裕ちゃん。

なに・・・?

裕ちゃんの顔がどんどん近づく。
キスされるのかと思ったら、唇には一切触れないでそのまま
矢口の顔の横に顔を寄せてくる。

17 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時44分55秒
ぺろっ。
!!

耳元で音が聞こえた。
くすっぐたいような刺激が走る。
それを意識する間もなく今度は軽く耳たぶを噛まれた。
噛んだり、そのまま柔らかく口に含んだり。
裕ちゃんが何回かそれを繰り返す。

耳元で、裕ちゃんの吐息と湿った音が大きく響いて、心臓をどきどきさせる。
体が動けなくなる。

体を離して、裕ちゃんは矢口にささやいた。

「ちゅうしても、ええの?」

なんでそんなにやけた顔してるんだよー。
でも、矢口はなんにも言い返せない。
気付いたら素直に頷いてた。

18 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時45分50秒
目を閉じて裕ちゃんのキスを待つ。

チュッ

えっ?おでこ?

目を開けたら、それを狙ったかのように口にキスされた。
裕ちゃんがまた得意気な顔で笑ってる。

「ああ、もう。」
不意打ちしないでよもう。


ぐっと裕ちゃんに腰を引き寄せられた。
矢口の頬に手を当てて、今度はさっきより長目のキス。

柔らかく包み込まれるような、ながぁいキス。
裕ちゃんのキスって何でこんなに気持ちいいんだろう。
体が宙に浮いちゃうみたいに感じる。

だから裕ちゃんの肩をぎゅっと掴んだ。

19 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時46分59秒
唇が離れても、頭と体がぼーっとする。
熱に浮かされたってこうゆうこと言うのかな。

「・・・ベッド、いこか?」
矢口の耳に裕ちゃんの低く囁く声が聞こえた。
ちょっと真剣な顔してる裕ちゃんにますますぼーっとなる。

何だかうまく動かない自分の頭を必死に回転させる。
ベッド、いこか?ってことはさぁ・・・。
えーと、それはつまり・・・。

理解したとたん、心臓が激しく主張してきた。

でも。
矢口も、そうしたい。


小さく、小さく、頷いた。

20 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時48分14秒
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21 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時49分12秒
「あれ、ゆうちゃん・・・・?」

ぼんやり目を覚ますと隣には一人分のぽっかり空いた空間。

あれ?
あれ?
シャワーかな?

ちょっとだるい自分の体を起こすと、上半身が裸なのに気付く。
慌てて周りを見ると床にTシャツが落ちていたのでそれを着た。

ふぅ〜。

そのまままたベッドにつっぷした。

このベッド、裕ちゃんのにおいがする・・・・。
シーツに頬をすりよせると、愛しくて愛しくてあま〜い気持ちが胸を満たしていく。

抱きしめたいその人がいないので、かわりに枕をきゅっと抱きしめた。

22 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時49分59秒
ゆうちゃん・・・。
口に出して小さく呼んでみる。

体中がとろけそうなほどしあわせな気持ちと愛おしい気持ちでいっぱいになる。
想いがあふれて、あふれて、今この場でその本人がいたなら
この小さな自分でもその人を壊してしまうのではないかと、思うほど。


昨夜のことを思い出して、胸がどきどきしてきた。

ベッドの端で裕ちゃんにキスされたとき、体中が好きって気持ちであふれた。
今すぐ出さないと自分がどうにかなっちゃいそうだった。

言ったら自分の気持ちの大きさにつぶされそうで、
ずっとずっと言えなかったのに。

何かから押し出されるように、気が付いたら「好き」って口からこぼれてた。
抑える間もなく、ホントに自然に。
裕ちゃんが一瞬切ない顔を見せた。

23 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時50分39秒
矢口の中に、宇宙が生まれたみたいだった。

好きで好きで、自分でこの気持ちに押しつぶされちゃうって思ってたのに。
でも裕ちゃんに「好き」って告げるたび、矢口の中に宇宙が広がるんだ。

それは限度なんてなくて、いくらでも大きくなっていく気持ち。
もうダメだ、もういっぱいだって思っても、それはまたきっと大きくなる。
好きって告げるたび。
どんどん、どんどん、大きくなる。

矢口はもう怖くない。
いくらでも裕ちゃんに自分の気持ちを伝えるんだ。
裕ちゃんを想う気持ちは押さえつけなくても、もう大丈夫。

24 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時51分21秒
裕ちゃん。
矢口、欲情するって感覚、初めて分かったよ。

ぼんやりと暗い部屋の中、裕ちゃんの白くてきれいなきれいな体を見たとき。
・・・・ぞくぞくしたんだ。

触りたいって思った。
触ってほしいって思った。
色々考えるのを放棄するように、
矢口の本能が、裕ちゃんを欲しがってた。

細くて、壊れそうで、その体にこわごわ触れた。


裕ちゃんが矢口に触れたとき、全身が反応したんだよ。
触れられた場所に一気に血液が集まるように。

体中が嬉しいって言っていた。
もっともっと。
裕ちゃん、もっと触ってよって。

25 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時52分10秒
『あたしの・・・・ものやろ?』

口の端をあげて裕ちゃんが笑う。
矢口が大好きな自信たっぷりな裕ちゃん。

はぁ〜、かっこよかったなあゆうちゃん・・・。

ああ、もう。
好きだなあ・・・・ちくしょー。

あたしの、もの・・・・かあ。

・・・・くぅ。ダメだ。
顔がにやける。

26 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時52分46秒
自分の唇をなぞる。
腕を上げて、それからTシャツごしの自分の体を眺める。

自分のからださえ、こんなに愛しい。
裕ちゃんのものだと思うとこんなにも愛しい。

嬉しくてもう一度、ぎゅっと枕を抱きしめた。

『あたしのもの』、だよ?
もうどうしよう。
嬉しくてたまらないよ。

にやける顔が押さえられない。
枕を抱きしめたままベッドの上で右へ左へばたばた転がった。

っくぅ〜〜〜〜。
ゆうちゃん、好き〜〜〜。

27 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時53分33秒
「なに暴れとんの?」

急に裕ちゃんの声がして、ぎくって動きも止まる。

バスローブ姿の裕ちゃんが髪の毛を拭きながら部屋に入ってきてた。

「まくら、抱えて。かわいらしいなあ矢口。」
裕ちゃんが笑いながらベッドに腰掛ける。

笑顔にぽーっとなる。
はあ・・・。好き。

「ごめんなあ、矢口よく寝てたから起こさんとこ思て。シャワー浴びてきたわ。」

・・・ゆうちゃん。・・・大好き。

「ん?矢口?」
なんにも言わずに裕ちゃんを見ていた矢口に、裕ちゃんが怪訝そうに聞く。

28 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時54分14秒
「あっ、はは。何でもないよ。」

「そお?なんで顔赤くしてんねん?」

裕ちゃんが矢口の頬に手寄せる。
そんなちっちゃな仕草さえ、矢口はどきどきする。

もう、もう。
いちいち反応するなってば。

「いいじゃんよー。・・・・裕ちゃんもう出ちゃうの?」

今日午後からって言ってなかった?

「あ〜、まだ大丈夫やねんけどな。ちょっと集合早くなったみたい。」

「そっか・・・。」

まだ離れたくないよ・・・・。
横から裕ちゃんの腰に抱きついた。

29 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時54分59秒
ふぅ。
本物の裕ちゃんのにおい。

裕ちゃんは矢口の髪の毛を撫でてくれる。

・・・んん。もう我慢できないよ。

「・・・・ねえ、おはようのちゅうしても、いい?」

矢口の言葉にびっくりして見てる。

「へっ?・・・もちろんええけど。矢口からしてくれるん?」
嬉しそうに裕ちゃんが笑う。

「あっ・・・うん。」

頷いてからすごく恥ずかしくなってきた。

「嬉しい。・・・・おいで。」
裕ちゃんが両手広げて、そんな矢口に優しく笑いかけてくれる。

30 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時55分40秒
裕ちゃんの膝の上に座って、両手を裕ちゃんの首に巻き付けた。
裕ちゃんの手が矢口の腰にしっかり回される。

真剣な矢口の表情と正反対のにこにこ顔の裕ちゃん。

「・・・じゃあ、いくよ。」
何で、こんなに気合いが入ってんだオイラ?

「ん。」
頷いて、んーって口を出して裕ちゃんが目を閉じた。


チュッ

おでこにキスをした。

31 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時56分26秒
あれって裕ちゃんが目を開ける。
構わずに昨日裕ちゃんがしてくれたように、まぶた、はな、ほっぺたにキスをする。
最後に口にキス。

足りないや。
もう一度。
チュッ

「や・・・ぐち?」

目をぱちくりさせて驚いてる裕ちゃんにもたれかかる。

「はぁ〜・・・・・ゆうちゃん、・・・好き。」
あっまた宇宙が広がった。

裕ちゃんが矢口の顔をのぞき込む。
裕ちゃん、口がぽかんとしてるよ。

32 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時57分13秒
「なんか・・・あんた。・・・どおしたん?そんなに素直で。」

むっ。
「何だよそれ。いつもは素直じゃないみたいじゃん。」

「いや、だって。いつもはそんな・・・なあ?
『好き』なんてゆうてくれへんやろ?昨日からなんか素直やなあ・・・。」

裕ちゃんが不思議そうな顔をしている。
でもちょっと嬉しそう。

へへ。
「だって宇宙ができたんだもん。」

「なにそれ?宇宙って。」

「ここにあるんだよ。」
裕ちゃんの胸をとんとんと叩く。

「ふ〜ん。・・・・その宇宙に裕ちゃんはおるの?」

「・・・・・ないしょ。」

「なんやそれ。」
裕ちゃんが矢口の腰をきゅっと引き寄せて笑った。

33 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時58分00秒
バカだな裕ちゃん。
そこには裕ちゃんしかいないんだよ。
裕ちゃんでいっぱいなんだよ。
でもそれは教えてあげない。
まだ矢口はそこまで素直じゃないからね。

チュッ
今度は裕ちゃんが矢口のおでこにキスをしてくれた。

「さて、と。こうしてたらいつまでも離れられなくなりそうや。
そろそろ準備せな。な?矢口も後でシャワー入っといで?」

ぽんぽんと矢口の背中を叩いて、裕ちゃんが立ち上がる。

チュッ
立ち上がるときに、名残惜しそうにもう一度キスしてくた。

あ〜あ〜。おろされちゃったよ。

34 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時58分46秒
クローゼットで何を着るか悩んでる裕ちゃんの背中をぼんやり見てた。
着替えるために裕ちゃんがバスローブをするっと上半身だけはずす。

うぁ、ダメだ。
昨日のこと思い出しちゃうよ・・・・。

きれいなきれいな白い背中。
すべすべなんだよなあ。

・・・あれっ。

「裕ちゃん、背中・・・。」

「ぅあ?ああこれ?しばらくは肩出す衣装は着れんなあ。」

ちょっと笑って裕ちゃんが言う。
背中の左肩のちょっと下。
裕ちゃんが自分で撫でたそこには、短く赤くなってるひっかき傷。

35 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)14時59分38秒
「あっごめん・・・・ごめんなさい。」
矢口がしがみついた時のだ。

「ええって。・・・矢口のしるしやろ?」
首だけひねって裕ちゃんがにぃっと笑う。

・・・矢口のしるし。
やばい、嬉しくなっちゃったよ。

「どれくらいで消えるかなあ?」

「ん?ま、4、5日で消えるんちゃう。気にせんでええよ。」

「4、5日かぁ・・・・。」
がっかりした矢口の口調に裕ちゃんが苦笑する。

36 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)15時00分18秒
着替え終わってベッドに腰掛けた裕ちゃんに抱き寄せられた。

「ええやん、消えても。また、しるし、つけて?」
おでことおでこをくっつけて裕ちゃんが言う。

えっ、また、しるしってことはさあ・・・。
矢口の頬が熱くなる。

「でも今度はもうちょっと目立たない場所に頼むわ。」

チュッと軽いキス。
口の端をにぃっと上げて笑うのは、ちょっと意地悪言う時の裕ちゃんの顔。

ちっくしょー。
やっぱりまだかなわないなあ。

37 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)15時01分13秒
裕ちゃんは鞄から何かをごそごそ探して取りだした。

「はい、これ。」

手渡されたのは一枚のカード。


「ん、うちのキーや。あたし今日先に出なあかんし。」

「あっうん。今度会うときでいい?返すの。」

「ええよ、返さんで。」

「えっ?」

「だからそれ、矢口の。」

それって・・・。

「あたし10年間一人暮らししてきて、誰かにキー渡すのなんて初めてやねんで?」
照れくさそうに裕ちゃんが視線をそらす。

そうなの・・・?

「なくさんといてや?」

「うん。うん。うん。」

すっごい嬉しい。
手の中のカードキーを見てにやにやしていた。

38 名前:しあわせなからだ 投稿日:2002年06月10日(月)15時02分06秒
「・・・矢口だけ、やし。」

裕ちゃんが矢口をじぃっと見つめる。
にやけてる矢口の頬をすっと撫でる。

「ちゅうしても、いい?」

「何で聞くの?」
何だよ。さっきまでは自信満々だったくせに。

「好き・・・・・やから。」

つらそうに眉をちょっと寄せて、裕ちゃんがゆっくり顔を近づけてきた。

39 名前:ユウ 投稿日:2002年06月10日(月)15時05分12秒
はい更新です。
前回の続きの話です。
40 名前:ユウ 投稿日:2002年06月10日(月)15時05分48秒
新スレッドを建てられたのも、皆さんの暖かいレスのおかげです。
ありがとうございます。
お礼と言っちゃあなんですが、大量更新しました。

待ってもらえた甲斐ってものがあるといいのですが。
期待に応えられてるか、はなはだ不安です。
41 名前:ユウ 投稿日:2002年06月10日(月)15時06分19秒
ではまた。
42 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月10日(月)23時44分14秒
やっぱりユウさんの小説はホカホカ(w
戻ってきてくれて嬉しいなー。
ヒマな時はどんどん書いて下さい。(w
43 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)00時16分48秒
出てくる言葉は、あのフレーズばかりなり。
でも言い過ぎると効果がなくなりそうなので(w

あぁもう・・・幸せ!
44 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年06月12日(水)00時42分45秒
「やぐちゅー」という名の
地雷をふんで爆死寸前です♪
大量更新ありがとうございます。
45 名前:らん 投稿日:2002年06月13日(木)01時43分30秒
ヤグチ視点、公開ありがとうございます。
裕ちゃん視点と並べて、平行して読みました。
二人の気持ちが丁寧に描かれていて、読んでいて楽しかったです。

あー、私もこんな恋したいなー。
忘れていた想いを思い出させてくれるような内容でした。
幸せなやぐちゅー万歳!

これからもどんどんお願いします。
ほんとに「ユウ」さん大好き!!
46 名前:ユウ 投稿日:2002年06月13日(木)13時47分12秒
更新します。
47 名前:特別編1 楽屋にて 投稿日:2002年06月13日(木)13時49分00秒
「ねぇ〜ゆ〜ちゃ〜ん。」

「ん〜?」

「あのさ、裕ちゃんってさ、一目惚れで恋をするんでしょ?」

「なんやの急に?」

「だってラジオとかでもよく言ってんじゃん。第一印象で大体決まるって。」

「ああ、そやな・・・。」

「じゃ、矢口は?」

「へっ?」

「だから。矢口のことはどお思ってたのかって聞いてるの。
もしかしてさ、会った時から、・・・ずぅっと好きだった?」

「いや。」

「何だよーそれー。」

「や、だってホンマやもん。矢口のことなんとも思っとらんかった。」

48 名前:特別編1 楽屋にて 投稿日:2002年06月13日(木)13時50分06秒
「そ〜なのぉ〜?」

「うん。」

「少しも?」

「少しも。」

「ちょっとくらいは?」

「ちょっとくらいも。」

「かわいいなあこいつ、とかも?」

「ああそれは思ってたで、なんやちっこくてかわいらしいなあって。」

「何だよそれ、ちっこくてって。」

「そ〜ゆわれてもなあ。ちっこいやん?自分。」

「むぅ。」

「ほなら、矢口はどおなの?」

「へ?」

49 名前:特別編1 楽屋にて 投稿日:2002年06月13日(木)13時51分19秒
「だから。裕ちゃんのこと。
最初っから、もう矢口にはこの人しかいない!って思っとった?」

「・・・・いえ。」

「こんなにきれいな大人の女にあこがれちゃうわっ!っとは?」

「・・・・いや。」

「なんで、笑ってんの?」

「だってぇ〜。」

「なんやそれ。」

「こんなにきれいな大人の女にあこがれちゃうわ!」

「うわっむっちゃ棒読みやし。むかつく。」

「うそうそ。」

「もうええわ。」

「うそだってばあ。ゆ〜ちゃ〜ん。」

「急に甘えたってだめですぅ。」

50 名前:特別編1 楽屋にて 投稿日:2002年06月13日(木)13時52分29秒
「・・・・・・・・・好き、だよ?」

「はいはいありがと。あたしも好きやで。」

「うわっむっちゃ棒読み。むかつく。」

「ホンマやって。」

「・・・・・・・。」

「やぁ〜ぐ〜ちぃ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・きらいになった?」

「・・・・・・・・・・・・ならない。」

「そっ。」

「ん。」

「・・・・好きやで、矢口。」

「・・・・ん。」

矢口がこつんと肩をぶつけてきた。

51 名前:ユウ 投稿日:2002年06月13日(木)13時54分39秒
会話だけだからって、手を抜いてるとか言っちゃダメです。
52 名前:特別編2 ある休日1 投稿日:2002年06月13日(木)13時55分29秒
「・・・ちょっとさ。」

「なに?」

「さっきからすっごい視線感じるんですけど・・・。」

「ん、だってめっちゃ見てるもん。」

・・・・・・・・・・・・・・・。

「あの、・・・・そんなに見られるとひっじょおーに食べずらいんだけど?」

「ん?そお?」

「そお?じゃないよ〜!なんなんだよもお。」

53 名前:特別編2 ある休日1 投稿日:2002年06月13日(木)13時56分26秒



「エロいなあ・・・。」

「はあ?」

「いやだから、矢口の体ってなんかエロいよなあ。」

「なに言ってんの?ちょっこら。なにす・・。ボタンはずすな〜〜〜〜。」

「っいたっ。殴らんでもええやん。」

「殴られて当然ですぅ。」

「減るもんじゃな・・・」

「ああ?」

「・・・なんもないです。」

「もう裕ちゃんとは一緒に寝てあげない。」

「ええっ、そんなあ〜。」

「今日裕ちゃん、ソファね。」

「やぁ〜ぐ〜ちぃ〜。」

「そんな声出したって、ダメですぅ。」

54 名前:特別編2 ある休日1 投稿日:2002年06月13日(木)13時57分05秒
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「あり、落ち込んじゃった?」

「・・・・・やぐちぃっ。」

「うわっ、っちょっ、ちょっ、こら〜、さわるなぁ〜。」

「だって、したいねんもん。しゃーないやろぉ!」

「逆ぎれ?ねえそれ逆ぎれ?」

「したいねんもん。」

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・お皿洗ったら・・・ね。」

裕ちゃんが小さくガッツポーズをした。

55 名前:ユウ 投稿日:2002年06月13日(木)13時59分23秒
更新しました。

*注:本編の中澤さんはこんなに野獣ではないです。
そうです。そのはずです。
ああでも、書いてて楽しかったこのキャラ。

56 名前:ユウ 投稿日:2002年06月13日(木)14時00分21秒
皆さん、レスありがとうございます。
更新の原動力です。

>>42 名無し読者さん
戻ってまいりました。
とりあえず、今日から一週間は連続更新する予定です。
またレス下さいねー。

>>43 名無し読者さん
ええもう、私も書いてる側からあのフレーズが。
こんなにいちゃついてて、飽きられないでしょうか、ねえ?
でも、また書いちゃおっと。

>>44やぐちゅー中毒者セーラムさん
私もよくその地雷を各所で踏んでいます。
もちろん、セーラムさんのところでも。
森板の更新、待ってますよ〜。(超私信)

>>45 らんさん
ああああ、らんさん。
よくレスを下さるのはらんさんだったんですね。
良かった、この前、『初めまして』って書きそうになっちゃいました。
いつも丁寧な感想ありがとうございます。
こんな恋がしたい。そう思ってもらえたら、書いた甲斐がありますホント。

57 名前:ユウ 投稿日:2002年06月13日(木)14時00分51秒
中澤さん誕生日記念までこうした小ネタを一週間連続更新したいと思います。
できるかな・・・・。
ネタは出来てるのであとはアップする時間があるかどうかなんですが。
頑張ります。

ではまた明日。
58 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月13日(木)17時22分13秒
わ〜い!一番乗り〜!!
ヒマやなぁ自分(w

会話だけでも二人の幸せぶりが目に浮かびます。
どんどん書いちゃって下さい!
毎週の楽しみが毎日になるのが、嬉すぃ〜。
59 名前:ユウ 投稿日:2002年06月14日(金)14時33分15秒
更新します。
60 名前:特別編3 ある休日2 投稿日:2002年06月14日(金)14時34分05秒
「ゆ〜ちゃん、なんかしゃべってみて?」

「あ〜〜〜〜〜。」

「うわっははははは。すっごい響く。すっごいよ裕ちゃん。」

「あんたさっきからなにしてんの?重いで。」

「ん〜?だってここ気持ちいいんだもん。」

「あたしはベッドかい。」

「裕ちゃんは矢口のベッドじゃん。」

「・・・あんた・・・ようそんなことさらっと・・・。」

「ん〜寝ちゃいそう。」

「なあ、寝返りうちたいねんけど?」

「ダメ。」

「ダメってあんた。」

61 名前:特別編3 ある休日2 投稿日:2002年06月14日(金)14時34分53秒
「いいから、次のページめくって、ほら早く。」

「あたしはあんたのメイドか?じいやか?」

「じいやぁ〜。早くぅっほら。」

「はいはいって、ホンマにもお。どこの子やこのわがまま娘は。」

「ここの子。」

「こんなでかい娘いらん。」

「あっここ、いいねぇここ行こ!ここいいよ、裕ちゃん。うまそ〜。」

「痛いっ痛いって矢口。暴れるなや。」

「いいなあ、うまそぉ〜。」

「あんた本格的にくつろぎだしたな。ホンマに人の背中で何やってんねん。」

「へへ。いいね、裕ちゃんここ。落ち着くよ。ここ矢口の指定席ね。」

「え"〜〜。」

62 名前:特別編3 ある休日2 投稿日:2002年06月14日(金)14時36分03秒
「なにその不満そうな声は?矢口がくっついてちゃ嫌だっつーの?」

「ちゃうねん、この姿勢、腰にくんねん。」

「・・・・・・・・・。」

「なに笑ってんの?」

「何で分かったの?すごい!裕ちゃん。天才!」

「分かるわ。あんたの腹筋めちゃめちゃ震えてるやんか。」

「あ〜楽し〜。」

「もお、なんやのあんた。」

「ん〜、気持ちい〜な〜 ・・・・・・・・・・・・。」

「やぐち?」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「ちょっ、ホンマに寝るなや。」

「ちょっとだけ。」

63 名前:特別編3 ある休日2 投稿日:2002年06月14日(金)14時36分54秒
「うそやろ?」

「ちょっとだけ、だから。」

「え〜、裕ちゃん。腰、限界。」

「じゃ、うでまくら。」

「はっ?」

「よし、はい腕伸ばして。」

「あっはい。」

「頭撫でて。」

「あっはい。」

「ん〜。ごくらくごくらく。いいねえ、裕ちゃんここ。ここ矢口の指定席ね。」

「・・・・・まあ、好きにし。」

あたしはあんたのベッドでも枕でも何でもなったるわ。

64 名前:ユウ 投稿日:2002年06月14日(金)14時38分21秒
更新しました。
だから、手抜きと言っちゃダメですって。

この体制、想像つきますかね?
けっこう腰にくるんですよね。
65 名前:ユウ 投稿日:2002年06月14日(金)14時39分15秒
>>58 名無しさん
ありがとうございます。
良かった、手抜きって言われなくて。
会話シリーズ、結構書いてて楽しいです。
ほんのちょこっとずつですけど、毎日のせますので、見て下さいね。

66 名前:ユウ 投稿日:2002年06月14日(金)14時40分02秒
ではまた明日。

にっぽん、がんばれ!!!
67 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月15日(土)14時08分09秒
ユウさんの書くやぐちゅーめっちゃ好きです。
矢口さんがすごい可愛い。
もっともっと甘いの書いてくださいね。
68 名前:ユウ 投稿日:2002年06月15日(土)15時00分21秒
更新します。
69 名前:特別編4 ある休日3 投稿日:2002年06月15日(土)15時02分54秒
「いたっ。」

「動かないで。」

「・・・いっ。」

「あっおしい。今落ちちゃったよ。」

「もうええよ。・・・怖いもん。」

「え〜、ダメ。もうちょっとできれいになるからさぁ。」

「だってあんた奥までがりがりぃって。絶対勘でほってるやろ?」

「ちょっと暗くて見づらいんだもん。」

「やっぱり・・・。もうええって。あたし自分でやるし。」

「ダメ。矢口がやってあげる。」

70 名前:特別編4 ある休日3 投稿日:2002年06月15日(土)15時03分36秒
「えー、・・・じゃあもう痛くせんといてや?」

「オッケオッケ。任しといてよ。」

「ほんまかいな。」

「はい、早く寝て。」

「ほんまに痛くせんといてや?」

「しつこいなあ。大丈夫だってば。
矢口さ、けっこううまいって言われるんだよ。
前うちのお父さんとかにやってあげてたんだから。」

「それ、なにでやってあげてたん?」

「ん?綿棒で。」

「そら痛ぁないわ。あんたな、その綿棒と同じ力加減でやったらあかんで?
これ、木やねんからな?もっと優しく、・・・・いっ。・・・いったいわアホォ。」

71 名前:特別編4 ある休日3 投稿日:2002年06月15日(土)15時04分28秒

「もうちょっと。」

「・・・・・。あたし耳掻きしてもらうって、もうちょっといいものかと思っとった。」

「気持ちいいでしょ?」

「怖いです。」

「あー、裕ちゃんそれ矢口のこと信じてないからだよ。もっとリラックスして、ほら。」

「・・・・・・・・・・・。」

「ひどい、裕ちゃん。矢口のこと信用してくれてないのね。」

「いや、信用してるんですけどもぉ。」

「ねっ、ねっだんだん、うまくなってきてない?」

「ん〜、まあ、ちょっと。」

72 名前:特別編4 ある休日3 投稿日:2002年06月15日(土)15時05分11秒
「気持ちいい?ねえ気持ちいいでしょ?」

「あ〜、う〜ん。まあ。」

「気持ちいいでしょ?」

「・・・・・・・。」

「なんで笑うの?」

「うん、気持ち良かったから。反対もやって。」

「ほらっ、ほらっ。やっぱり気持ち良かったでしょぉ?ねぇ?
じゃ、はい反対。寝て寝て。」

「なあ、その前に・・・」

あんたそれかわいすぎ。って、裕ちゃんがキスをしてきた。

73 名前:ユウ 投稿日:2002年06月15日(土)15時06分16秒
更新しました。
今日も短かっ。
74 名前:ユウ 投稿日:2002年06月15日(土)15時06分50秒
>>67 名無し読者さん
毎度、どうもです。
短い中にも頑張って甘いの盛り込みます。
75 名前:ユウ 投稿日:2002年06月15日(土)15時07分50秒
日本、万歳!です。
さて、ごくせんスペシャル見よっと。

ではまた、明日。
76 名前:読んでる人 投稿日:2002年06月16日(日)10時31分01秒
今日、初めて全部読ませていただきました。
今までこんな面白い小説の存在に気づかなかった自分に、ちょっと鬱。
これからも期待してます。
77 名前:ユウ 投稿日:2002年06月16日(日)16時41分57秒
更新します。
78 名前:特別編5 ある休日4 投稿日:2002年06月16日(日)16時42分59秒
「ゆ〜ちゃん、これ飲んでいい?」

「ん・・・どれ?オレンジ?あ〜・・・・大丈夫かなぁそれ。ちゃんと賞味期限見てやぁ?」

「えっ、なんでそんなぎりぎりなの置いてるのさ?」

「だってそれ前に矢口が来たときに買ったやつやもん。
あたしあんまりジュースとか飲まないし。」

「・・・・・・・・。」

「飲まへんの?」

「5日前に期限切れした果汁100パーはさすがに飲めません。」

「あっ5日前やった?そしたらそれ捨てといて。後で一緒に買いに行こ?」

79 名前:特別編5 ある休日4 投稿日:2002年06月16日(日)16時44分28秒
「ん。裕ちゃんまだ終わんないの?」

「もうちょい。あと薬指と小指。」

「ふ〜ん。」

「・・・・うわっ。ちょっ、なにすんのあんた。」

「だってつまんないんだも〜ん。」

「もうちょい待ってて。って、そこに座られるとひっじょおに塗りずらいんやけど?」

「大丈夫だって。」

「ああもう。指、見えへんやん。何でわざわざ今膝にすわるのよ?」

「いいじゃ〜ん。」

80 名前:特別編5 ある休日4 投稿日:2002年06月16日(日)16時45分29秒
「せっま〜。」

「ふふん。いいでしょ?」

「おっも〜。」

「なんだとぉ?」

「こらっ暴れるなっ。塗りずらっ。ちょっ、ごめん。やっぱ今だけどいて?あとでだっこしたるから。」

「え"〜〜〜。」

「はい、どいたどいた。」

「は〜い・・・・。」

「はい、ええ子やね。」

81 名前:特別編5 ある休日4 投稿日:2002年06月16日(日)16時46分29秒
「・・・・きれいだねぇ。裕ちゃんやっぱり上手だよ。」

「そお?ありがとお。」

「うん、すごいきれい。ねえあとで、矢口にも塗ってよ。」

「ええよ。どんなの?」

「裕ちゃんとお揃いの。」

「お揃いでええの?」

「お揃いがいいの。」

「はいよ。ごめんちょっとそれ蓋あけて?ん、それ。トップコート。」

「あいあいさー。」

82 名前:特別編5 ある休日4 投稿日:2002年06月16日(日)16時47分05秒
「これ、塗ったらな。」

「うん。」

「だっこしたるから。」

「えっいいよ。それより矢口にマニキュア塗ってよ。」

「え"〜〜〜。」

「だっこはもういいって。」

「そんなぁ、つまらん。だっこさせてぇや〜。」

「わがまま言わないの。」

「どっちがわがままやねんな、まったくもう。」

「しょーがないなあ、裕ちゃんは。じゃあさ・・・。」

だっこして塗ってよ。って矢口が言った。

83 名前:ユウ 投稿日:2002年06月16日(日)16時48分17秒
更新しました。

いやー、昨日のベッカムはかっこよかった。
84 名前:ユウ 投稿日:2002年06月16日(日)16時48分53秒

>>76 読んでる人さん
どもども初めまして。
全部って、もしかしたら前のから全部読んでくれたんですか?
大変じゃなかったですか?
でも嬉しい。ありがとうございます。
頑張りまっす。また読んで下さいな。
85 名前:ユウ 投稿日:2002年06月16日(日)16時49分52秒
ではでは、また明日。
86 名前:ちぃ 投稿日:2002年06月16日(日)16時53分59秒
いいなぁ。
さいきん話の流れからして甘いの書けないからここ来るとほっとする。

自分も好きですねぇこういう感じの。
楽しみにしてます。
87 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月16日(日)19時50分40秒
のほほんさがいいですね。
幸せな気持ちになります。
88 名前:ユウ 投稿日:2002年06月17日(月)15時24分05秒
更新します。
89 名前:特別編6 ある休日5 投稿日:2002年06月17日(月)15時24分55秒
「好き?」

「好き。」

「大好き?」

「大好き。」

「ふ〜ん。」

「なんやその気のない返事は?」

「だって。」

「だって?」

「好き好き言うんだもん。」

90 名前:特別編6 ある休日5 投稿日:2002年06月17日(月)15時25分57秒
「だってかっこいいやんか。あんたかて好きやろ?」

「・・・・好きじゃない。」

「そおやった?」

「・・・・うわきもん。」

「はは。あんたハリウッドスターに妬いてどおすんねん。」

「もうこんなビデオ見ないっ。」

「あっちょお、や〜ぐ〜ちぃ、途中で切るなや。」

「・・・・・・だってさ。」

「うん。」

「はぁ〜とか色っぽいため息つくし。」

「そんなんしとった?」

91 名前:特別編6 ある休日5 投稿日:2002年06月17日(月)15時27分48秒
「なんか、テレビに熱い視線送ってるし。」

「送ってへんわ。あんたそれ考えすぎ。」

「矢口の方全然見てくんないし。」

「だって字幕追わな、すぐ分からなくなるんやもん。」

「せっかく二人でいるのに、さ・・・・。」

「・・・・・・ん〜あ〜・・・ごめん。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ごめんて。やぐち。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・怒らんといてぇや。裕ちゃんどうしていいわからんやんか。」

92 名前:特別編6 ある休日5 投稿日:2002年06月17日(月)16時49分10秒
「・・・・・・・・・うっそっだよ〜ん。」

「・・・・・・・・・・・。」

「へへ、驚いた?ホントに拗ねたかと思った?」

「ごめんなぁ、矢口。あたしはホンマあんただけやねん。」

「えっ、だから、冗談だってば。」

「ホンマにホンマにあんただけが好きやねん。あんたしか目に入らないんや。」

「あの・・・裕ちゃん?ごめっ・・・ちょっと拗ねたらどおなるかな〜って・・・。」

「ちゃんと二人でできることしよおな?ごめんな矢口。」

「えっ、・・・裕ちゃん?・・・ちょっと、ちょっ何してんのぉ〜?」

「ん?二人でできること。裕ちゃんもう止まらへんからな。」

「えっ?えっ?だって、さっきも・・・。」

あ"〜、矢口もビデオの続き見たいぃ〜・・・。

93 名前:ユウ 投稿日:2002年06月17日(月)16時50分37秒
更新しました。
繰り返しますが、本編の中澤さんはこんなに野獣ではありません。

会話編はこれで打ち止めです。
でもどうなんですかねこれ?私的には純粋に楽しいで書いてますけど。
お腹いっぱいにはならなさそうですね。

94 名前:ユウ 投稿日:2002年06月17日(月)16時51分32秒
>>86 ちぃさん
あっ、すっごい早いレスだ。ありがとうございます。
こうゆうの好きですか?やっぱり!ちぃさん、私とツボが似ているのかも。
なごんでってください。そして早くあっちを甘くしたって下さい。(切実)

>>87 名無し読者さん
ありがとうございます。
ふたりのまったりとくつろいでる姿を想像しながら読んでもらえると
なおいっそうおいしく召し上がれると思います。

95 名前:ユウ 投稿日:2002年06月17日(月)16時52分09秒
うあーそろそろ私の悪い病気が・・・・。
甘いのばっかり書いてると・・・・。

とりあえずまた明日。

96 名前:ユウ 投稿日:2002年06月17日(月)17時01分35秒
ちなみに私も中澤さんと一緒で某J・トラボルタが大好きです。
97 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)22時07分08秒
ユウさんの痛いのも大好きです。(w
だって最後は甘い結末だから(w
98 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年06月18日(火)02時32分56秒
お腹いっぱいにならないなんて事はないですよ
毎日更新してくださって(w
痛いものでも構いませんよ
99 名前:らん 投稿日:2002年06月19日(水)00時01分45秒
甘い甘いお話が一杯ですね。
こっちまで溶けちゃいそうです。
裕ちゃんとヤグチの会話だけなのに、情景が浮かんできて、
ふんわりとした優しい気持ちになります。
相変わらずの、巧い「ユウさん」の文章ですね。

今日は、裕ちゃんの二十代最後の誕生日。
生まれてきてくれて、ありがとう。
出会わせてくれて、ありがとう。
同じ時代にいてくれて、ほんとうにありがとう。
そして「やぐちゅー」でいてくれて、ありがとう。

ユウさん、大きな「やぐちゅー」伝説を・・・
100 名前:ユウ 投稿日:2002年06月19日(水)01時53分00秒
更新します。

すいません。
日本が残念で惜敗酒飲んでて、昨日更新できませんでした。
なので、今日2日分、更新します。
101 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)01時55分05秒
-------------------------
「・・・やぐち?」
圭ちゃんが荷物をテーブルに置くのと同時に声をかけてきた。

「おっ、圭ちゃんじゃん。おはよー。」

「いや、矢口?おはよーって、さっきから声はかけてたから。」

あれそうだったの?

「・・・あんたさっきから怖いよ。」
矢口の顔をのぞき込みながら苦笑いしてる圭ちゃん。

へっ?何でよ?

「何がだよ〜。怖いってなに?」

「顔。」
間髪いれずに応える圭ちゃん。

「むっ。ケメ子に言われたくないぞ。」
ぐーで圭ちゃんに顔をぶにってされた。

「どうでもいいけど、一人で思い出し笑いするのやめてよね。」

「えっ?そんなんしてた?」

102 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)01時55分52秒
やっばいなあ。やっぱり顔に出ちゃうのかな。
でもさ、しょうがないじゃん。
だってさ。
だって。
裕ちゃんが・・・。

「すっごいしてた。っていうか今もにやけ気味。」
にやけてる矢口のほっぺを軽く引っ張る。
あででで。

「そっかなあ・・・。」
ほっぺをさすりながらつぶやいた。

そりゃあね。思い当たる節はあるけどさ。

・・・・話しちゃおうかな。
実はうずうずしてたんだよね。
のろけって言うの?
してみたいじゃん、やっぱりさ。

103 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)01時56分33秒
「なんかあったっしょ?」

「「うわっ、なっち。」」
矢口と圭ちゃんの背後から急になっちが顔を出した。

急に出てこないでよ。って圭ちゃんの言葉は毎度のこと耳に入らないようで
なっちは矢口の背中にくっついてくる。

「で、何があったの?」
背中からなっちのかわいい笑顔が顔を出した。

・・・・なっち。

何だかなっちの笑顔があんまりにもストレートで。
それがすごく、嬉しくて。
矢口の心の底に、小さく残っていたわだかまりみたいなものが
さらさらと溶けていくようだった。

「ああそうよ、何かあったんでしょ矢口。」
圭ちゃんも思いだしたように矢口に笑いながら問いつめる。

「あー、なになに?カオリも入れてよー。」

3人で固まっていたのを見つけたカオリも側に座ってきた。
興味津々って顔で矢口を取り囲む年長組。
矢口が口を開くのをにやけた顔で待っている。

104 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)01時57分27秒
えっと。
そんな大げさに発表することでもないんですけど。
っていうか、これって普通みんなに言うこと?

だって。
・・・・なコトがあったんだよ、なんて。

「・・・・・・・・・・・。」

「あっまた思い出し笑いしてるこいつ。」
すかさず圭ちゃんがつっこんでくる。

「何だべー、矢口。こらっ言え白状しろっ。」
なっちが背中に覆い被さる。

「どうせ裕ちゃんのことでしょ?」
後から来たのに、ズバリと当てるカオリ。

「へっ何で分かったの?」
すごいねカオリ。

「分かるっしょそりゃ。」
なっちが当たり前って顔して続ける。

「で?で?」
圭ちゃんがせかすせかす。

105 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)01時58分15秒
「・・・・う〜ん。・・・誰にも言わない?」
今さらこの4人を前にしてこの台詞もないだろっとは思うけど。

「「「はいはい。」」」
おざなりだし。

「っていうか、話したいんでない?」
なっちにしてはするどいつっこみだし。

「そぉなの〜!!さっすがなっつぃ!」
こうなったら話してしまおう。
だって、嬉しいんだもん。

「うんとね。・・・・・じゃ〜ん。」

鞄の中から裕ちゃんからもらった『愛の合い鍵』を大きくかざした。

「「「???」」」

「さてこれは何でしょう?」
もう、矢口は得意満面。
自分でも分かってる。このにやけ顔。

106 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)01時59分02秒
「どっかのカードっしょ?」
そりゃ見たまんまだろ、なっち。

「違うよなっち。これあれでしょ、クレジットカード?」
それで何で矢口がにやけるんだよ、カオリ。

「あっこれ鍵だよ。カードキーだよ。でしょ?矢口。」
さっすが、圭ちゃん!

「へへ〜。」
みんなの前でふりふりカードを振った。
裕ちゃんちのキーなのさ、これ。

「ああ〜。」

「ほぉ〜。」

「なるほどねえ。」
三者三様の納得をしてる。

「・・・・・もらっちゃった。」
誰からなんて言わなくても、もう分かるよね。

「あっそ。」
あり、それだけ?圭ちゃん。

「良かったねえ、矢口。」
ありがと、なっつぃ。

「それでさっきからにやついてたわけ?」
そうなの、カオリ。

107 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時00分37秒
みんなが納得してる中、なっちの目がきらんと光った。
「ふ〜ん、裕ちゃんちに行ったんだ?で、どした?なんかあったかい?」

「なっちそんなににやけないでよ。」
いや、言ってるカオリも相当にやけてるよ?

「いや〜だってさ〜、ねぇ〜。嬉しいじゃんよ〜やっぱり。」
なっちにそう言ってもらえる方が、矢口にはすっごい嬉しいよ。

「まあねぇ、裕ちゃんが誰かを家に呼ぶっていうのも珍しいのにね。」

「えっそなの?」
圭ちゃんの言葉にびっくりする。
矢口が『行きたい』って言ったときはすぐにオッケーしてくれたよ。

「そうだよ。あたしだってさ、何度か裕ちゃんちに行きたいって言っても
『今度な』って言われてまだ行ったことないもん。」

「圭ちゃん、それ初耳。いつ?」
何それ?いつの話?
裕ちゃん、そんなこと言ってなかったよ。
・・・ちょっと、ジェラシーかも。


108 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時01分20秒
「ああ、だから飲んだ後とか。あの、別にあれよ?何にも他意はないわよ?
お店が閉まった後だから裕ちゃんちで飲み直す?ってことだよ。」
何だかいいわけするように圭ちゃんが慌てて矢口に言う。

「ふ〜ん。」
まあ、圭ちゃんも裕ちゃんとよく飲みに行くしね。

こうゆう時、まだお酒をおおっぴらに飲めない矢口はちょっと寂しい。
早く裕ちゃんと一緒に飲めるようになれればいいのに。

「で、何があったんだい?」
カオリがしつこく食らいつく。
いやでも、それは言えないでしょ。
っていうか、分かる・・・よねぇ?

「えっ、まあ・・・・。別に何も・・・。ねえ?」

助けを求めるようになっちを見た。
なっちは矢口の視線だけで、納得したように頷いてくれた。

109 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時02分02秒
「ふ〜ん、まっそうゆうことにしとこう。」
圭ちゃんもにやけた顔でそう続ける。

「え〜何だよそれ〜。カオリだけが分からないのぉ?」
そう言われても、さぁ。

なっちがカオリの耳元で何かを耳打ちする。
途端にカオリの顔がぱっとはなやぐ。

「そっか、そっか、矢口。良かったな、ホント。」
カオリが矢口の顔を見て、肩をばんばん叩いてきた。

「良かったね、矢口。」
なっちが満面の笑みで言う。

良かったね。
なんかその言葉がすぅーっと、心に染み込んでいった。
誰から言われるよりもさあ、
ねえ、なっち。
なっちから言われたのが、矢口には何よりも嬉しいよ。

なっちの笑顔が以前のものに戻ったような気がした。
ほっとするって言うのもおかしいけど。
でも、矢口の大好きなこの親友の笑顔がまた見られるのは
やっぱり矢口だって嬉しい。

110 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時02分33秒
カオリが矢口の肩をつついてくる。
圭ちゃんが矢口の頭をぐしゃぐしゃにする。
なっちが。
優しそうに笑ってくれてる。

・・・・ありがとう。

「おーい、おはようさ〜ん。」
タイミングがいいんだか、悪いんだか。
裕ちゃんが楽屋に入ってきた。

4人が一斉に裕ちゃんの方を向く。

「おっ、や〜ぐ〜ち。会いたかったでぇ。」
視線の意味にも気付かずに、裕ちゃんが矢口に抱きついてきた。

でも、この状況。
矢口が恥ずかしいよ。

3人がにやにやしたまま、矢口の側を離れていく。

「あれっ、なんやのあんたら?何でそっちに行くん?」

一人、場の空気が読めない裕ちゃんが不思議そうだった。

111 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時03分17秒
-----------------------------
収録までの短い時間。
あれから裕ちゃんに連れられて、裕ちゃんの楽屋に来た。

「会いたかったぁ、矢口。」
とろけるような顔をして裕ちゃんが言う。
矢口だって・・・・。

「矢口も会いたかったよ。」
矢口の言葉に目をきゅっと細めて小さく笑う。

抱きしめてこようとする裕ちゃんの腕から逃れた。
裕ちゃんの腰に腕を回して、耳を背中に当てる。

「ふふ。矢口。何してんの?」

裕ちゃんの声が自分の中から出てきたように響いて聞こえる。
こんな風に体さえくっつけてれば、考えてること全部分かればいいのに。

112 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時03分53秒
そっと手をほどかれて裕ちゃんが振り向いた。
矢口を正面からきゅっと抱きしめる。

「もう、ダメ。逃さへんで。」
そんな言葉なのに、裕ちゃんが抱きしめる腕は、優しく、優しく。
壊れ物を扱うようだった。

もっと強く抱きしめたって、矢口は壊れないよ?

チュッ

目をじっと見つめると、裕ちゃんがキスをしてくれる。

ズキッ。
あっまただ。

キスなんてもう何回もしてるのに。
どうしてかな?
いつだって胸がちょっと痛くなるんだ。

113 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時04分27秒
矢口からぎゅっと抱きつくと、裕ちゃんがちょっとびっくりした顔をした。

裕ちゃん。
もうちょっと、もう少しだけ、
強く抱いていてよ。
この痛みが止まるまで。

でも、裕ちゃんに強く抱きしめられると、矢口の心臓はさらにスピードを上げるから、
いつまでたってもこの腕から離れることなんて出来ないんだけどさ。


裕ちゃん。
裕ちゃんが矢口にする キスのやり方が好きだよ。
包み込まれるような ながぁいキス。

唇が触れている間は、
チクチク チクチク
胸が甘い痛みを訴える。

だから同じように矢口も訴える。
もっともっと もっともっと。
痛くてもいいよ。
もっと長くこの痛みを感じていたいんだ。

114 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時05分05秒
裕ちゃん。
裕ちゃんが矢口を呼ぶ 優しい発音が好きだよ。
裕ちゃんの口から「やぐちぃ」ってこぼれると、
自分の名前が特別なものになったような気がするんだ。

矢口がそう言うと、
「そしたらあたしは矢口が『裕ちゃん・・・好き』って言う照れた声が好きや。」
って裕ちゃんが言う。

そんなこと言わないでよ。
顔が赤くなる。

「ん、言ったあとの恥ずかしそうな顔も好き。」
裕ちゃんが楽しそうに矢口の顔をのぞき込む。
赤くなったほっぺたをすっと人差し指でなぞる。

・・・いじわるだなあ。

でもそんな風にいじわるを言う時の口の端をちょっと上げる
ずるいすました顔はけっこう好き。
・・・これは言わないでおこっと。

115 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時05分49秒
裕ちゃんの肩の上にあごをのっけて ほけっとする。
そのまま眠れそうなくらい、いい気持ち。

裕ちゃんが矢口の髪を撫でる。
矢口の首筋に顔を寄せて、息を吸い込む。
矢口のにおいを、いつもそうやって確認するんだよね。
それから安心したように「ふぅ。」って小さく息を吐く裕ちゃんが
すごくすごく愛おしい。


裕ちゃん。
どんなときも両手広げて抱きしめてくれる裕ちゃんが好きだよ。
矢口がわがまま言っても、拗ねても、怒っても。
全部をひっくるめて、まるごときゅぅっと抱きしめてくれる。

裕ちゃん。
矢口はその抱きしめてくれる腕が 好きなんだ。
細くて華奢な腕なのに、矢口が一番安心できる場所。

116 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時06分47秒
裕ちゃん。
裕ちゃんが矢口にする 話の仕方も好きだよ。
使う言葉たちもそれに柔らかいあの関西弁も とても好き。


休みの日は裕ちゃんの腕の中で、うずくまって眠りたい。
ぽぉっとあったかくて、そして顔を上げると裕ちゃんがいる。
矢口が大好きな、子供みたいな無防備な寝顔で。

裕ちゃん。
裕ちゃんが矢口にする 甘い顔もずるい顔も無防備な寝顔も 好き。
裕ちゃんが矢口にする キスも抱擁も名前呼ぶ声も何もかも 好き。

ねえ。
こんなに好きで どうしよう。

117 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時07分30秒
「やぐち?裕ちゃんによく顔を見せて?会えへんときも忘れないように。」

くっついてる矢口の体をちょっと離してから裕ちゃんが言う。
裕ちゃんが両手で矢口の頬に手を当てる。
ちょっと手が冷たい。

裕ちゃんが顔をどんどん近づける。
近付きすぎて裕ちゃんのまつげが矢口の頬に当たる。
くすぐったくて、くすくす笑う。

うぉ〜い、そんなに近くて矢口の顔が分かるのかよ〜。

肩をすくめて逃げようとする矢口の頬を鼻でつんつん押してくる。
まあるいかわいい鼻。
鼻じゃなくて口でしてよ。

裕ちゃんの鼻から逃げるように、裕ちゃんの首筋にかじりついた。
白くて柔らかそうなほっぺたに噛みつく。
おいしそうなんだよねぇ、これ。

今度は裕ちゃんがくすくす笑う。

118 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時08分05秒
裕ちゃん。
2人でいるといつでも笑いあっていられるね。
こんなに素直に こんなに自然に。

矢口の胸をこんなにも痛くさせたり、暖かくさせたり。
そんな風にさせるのはさ。

裕ちゃん。
裕ちゃん一人だけなんだからね。

胸の中で小さくつぶやいた。

「ありがと・・・。」
生まれてきてくれて。
矢口と出会ってくれて。

119 名前:DARLIN' 投稿日:2002年06月19日(水)02時08分39秒
Happy Birthday........

120 名前:ユウ 投稿日:2002年06月19日(水)02時09分58秒
はい更新です。
実を言うと、この話の、ある一部分が書きたいがために
これを書き始めたんです。
ようやくのせることが出来て良かったぁ。
121 名前:ユウ 投稿日:2002年06月19日(水)02時13分39秒
>>97 名無し読者さん
>だって最後は甘い結末だから
あっよまれてる。
でもまだそれは書きません。書き出すと長くなりそうな予感なので。

98 名前 : やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日 : 2002年06月18日(火)02時32分56秒
ありがとうございます。
痛いのはもうちょっと後から・・・。(書くのか?自分。)
今日のは頑張っておかわり分も想定してのせてみました。
いかがですかね?

>>99 らんさん
ありがとうございます。
もう、ホントに、ねえ。
甘ったるいですよね。ま、自分が好きで書いてるんですけどね。
会話編は私自身も相当楽しんで書かせてもらいました。また機会があればやるかも。

122 名前:ユウ 投稿日:2002年06月19日(水)02時16分28秒
中澤さん、お誕生日おめでとうございます。
一週間、連続更新。
一日さぼりましたけど、みなさん楽しんでもらえたでしょうか?

すみません。
ちょっとこれからはしばらく更新できないと思います。

もうちょっとストックをためたら戻ってきますので
それまで、忘れないでください。

多分、レスが多いとそれだけ、戻ってくるのも早まると思います。
いえ?あおってるわけじゃないですよ。(おい。)
123 名前:ユウ 投稿日:2002年06月19日(水)02時52分39秒
うわっすいません
やぐちゅー中毒者セーラムさん。
『さん』を付け忘れてました。
失礼しましたー。
124 名前:ミニマム矢口もえ 投稿日:2002年06月19日(水)03時48分42秒
はやり甘い!!
だって6.19ですもんね
中澤裕子さん「Happy Birthday」

そして続きもわくわく
125 名前:読んでる人 投稿日:2002年06月19日(水)19時34分24秒
甘々で読んでるコッチまで甘い気分になってきますね〜。

裕ちゃん、誕生日おめでとう♪
126 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月19日(水)23時34分00秒
裕ちゃん、ユウさん、そして愛し過ぎるやぐちゅー
生まれてきてくれてありがとう!!ってカンジです!!

続き、のんびりマッタリ待ってま〜す。
127 名前:ユウ 投稿日:2002年06月20日(木)02時34分29秒
皆さん、レスありがとうございます。

>>124 ミニマム矢口もえさん
中澤さんが甘いの苦手だとは思いましたが、つい書いてしまいました。
甘甘なストロベリータルト(もちろん生クリーム大盛り) ばりの話を。
続き、待っててください。
さらに甘さ増量で帰ってきます。(いやもう、いいって。)

>>125 読んでる人さん
ありがとうございます。
甘くて、頭痛くなりませんでした?
読み直した私は、がんがん痛くなりました。
ほどよい甘さだったらいいんですけど、ね。

>>126 名無しさん
わぉ。私にまでもったいないお言葉、ありがとうございます。
続きね、はぁ、続きですよね。
何かネタはぽつぽつ浮かぶんですけど、 うまくまとまらなくて。
どうしたもんですかねえ。
って、いきなり相談するのもなんですが。
頑張りまっせ。
128 名前:ユウ 投稿日:2002年06月20日(木)02時35分34秒
このスレッドのタイトルにもなっている、私の大好きな歌の中に
『まつげが頬にふれる距離でいつも一緒にいようね。』ってフレーズがあるんですが。
実はこの状況が、この一文が書きたいがために、始めた話でした。
一体いつになったら書けるんだぁ〜なんて常に思いながら、
気が付いたら、2スレッドを使ってしまいました。
はぁ、長かった。でも中澤さんの誕生日にも合わすこともできたし、スッキリです。

スッキリしすぎて、書く気力が落ちてしまったんですが。
ちょっとまた何か新しい書きたいものを見つけてみます。

あまりにも間が空くのもあれなので、いくつかのせる機会を逃したものを
折を見てアップしたいと思います。

ではまた、その時まで。
129 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年06月21日(金)01時04分21秒
更新ありがとうございます
いや〜お腹一杯でございます。ご馳走様でした
おかえりをお待ちしています
130 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月26日(水)02時59分03秒
ユウさんの大ファンです(w
痛さあり・・・最後に甘い×10倍
痛さがあるから甘さが際立って・・・
もうトニカクユウさんバンザイ〜!!
早いお帰りを心よりお待ちしています!!!
131 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月26日(水)23時32分14秒
うぉー!!
ユウさんのやぐちゅー不足で命陽炎状態っす(w
こんな私に愛しすぎるやぐちゅーを・・・
132 名前:ユウ 投稿日:2002年06月28日(金)18時45分27秒
更新します。
133 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時46分58秒
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「お疲れさん。矢口。」

「あれ?どしたの裕ちゃん。まだ帰らないの?」

楽屋の中はさっきまでの喧噪が嘘のように、静かなただの箱になっていた。
撮影が終わった順から一人一人と帰っていって、今部屋にいるのは、あたしと裕ちゃんだけ。

おかしいなあ、裕ちゃん。
確か先に撮影終わったよね。

「あー・・・・矢口のこと、待ってた。」
ぽつりと視線をはずして裕ちゃんが言う。

「えっ、なんで?」
言われた言葉にどきっとする。
すっごく嬉しかったけど、でも動揺してるのがばれたくなくてとっさに平静を装った。

「う〜ん・・・。」
矢口の荷物と裕ちゃんの荷物が投げ出されてあるテーブルを
裕ちゃんがゆっくり手でなぞる。

134 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時48分07秒
いつもの裕ちゃんとは違う。
何だか落ち着きがない。
声からもいつもの強気な口調が消えている。

帰るに帰れなくて、裕ちゃんの隣に腰掛けた。

「裕ちゃん?」
顔をのぞき込むと、慌てたように目をそらされてしまう。

どして・・・?

瞬間、もしかしたらって甘い期待が矢口の胸に浮かび上がる。

「裕ちゃん、矢口に・・・なにか・・・話があるの?」

思い切って聞いてみた。
ごくりとつばを飲み込む音が自分の中で大きく響く。

135 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時49分31秒
裕ちゃんは観念したように一つ深呼吸をした。
俯いてた顔を心持ち上げて、矢口の目をじぃっと見つめる。
力強いけど、でもどこか訴えるような視線。

金色の髪の間から裕ちゃんのグレーの瞳がのぞく。
上目遣いのその視線に胸が大きく高鳴る。

・・・・・やばい。

とっさにそう思った。
裕ちゃんの目を見ているだけで、そわそわしてくる。
ずるいよ。
そんな目で今まで見つめてくれてたことなかったじゃん。

意識しだした途端、どきどきしてくる。

136 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時50分32秒
「あたし・・・。」

ほんの少し潤んだ裕ちゃんの瞳から目が離せなくなる。

「あたしな・・・矢口のこと・・・・。」

裕ちゃんが矢口の頬に手を滑らす。
それからゆっくりとその手で、頬を撫でる。
焦らすように、ゆっくり、ゆっくりと。

心臓が強く早く、主張する。
口の中が渇いてくる。

矢口のこと・・・・?
その言葉の続きが聞きたくて裕ちゃんの手を自分の手で押さえて、促すように頷いた。

裕ちゃんも、もしかして、矢口のこと・・・?

137 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時52分13秒
裕ちゃんの口がゆっくり開く。

「あたし、あんたのこと・・・ずうっと前から。」

ずぅっと前から・・・・?

「ずぅっと前から・・・・・・・・。」

「・・・好きやねん。」
裕ちゃんは絞り出すようにそう言った。


裕ちゃん!!

「裕ちゃんっ。矢口も・・・矢口も・・・・。」

「大好きだよ。」

嬉しくて、嬉しくてぎゅって裕ちゃんに抱きついた。
とまどったように裕ちゃんもきつく抱きしめ返してくれる。

138 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時53分00秒
「矢口・・・。」

裕ちゃんの顔がゆっくり近づく。
両手で頬を押さえられ、矢口は動けない。

裕ちゃんの目がゆっくり閉じられた。
きれいにカールしたまつげが少し震えてる。
裕ちゃんも緊張しているの?

矢口もぎゅっと目をつぶった。
もう少し・・・・。

もう少しで裕ちゃんと・・・。



♪♪♪♪〜♪♪♪♪〜♪♪♪♪
139 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時54分05秒
ぱふっ。

ぱふっ?

裕ちゃんの柔らかい唇をどきどきして待っていた矢口の唇は、
抱きしめていた安眠まくらに吸収された。
このあとの甘いラブシーンは枕じゃ相手にならない。

・・・・なんだよ・・・。
夢かよ〜〜〜〜〜!!!!

抱きしめてる枕を投げ捨てた。
目の前をひらひらと羽毛が飛んだ。

心臓がまだばくばくいってる。
裕ちゃんの手の感触が頬に残ってるみたいで、両手で頬を押さえた。

あたしってば・・・・。
なんちゅうリアルな夢を・・・。

見事なまでに今の希望を夢で見てしまう、自分の器用さに嫌気がさす。

140 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時54分57秒
「あ〜もう。うっさい。」
しつこく鳴り続く目覚ましを乱暴に止めた。

枕抱きしめて、朝からラブシーン。
今日も矢口はテンション高すぎます。
何とかして下さい。呆れちゃうよ。
せめて初夢だったなら、まだ喜べたのに。

でも、あの目。
もし実際にあんな目で見つめられたら。
矢口はそれだけで、理性がふっとんじゃいそうだよ。

はぁ。

枕元に置かれた写真には、夢の主が無邪気に笑ってる。
抱きしめられてる腕の中には、これまた無邪気な笑顔の自分の顔。

「おはよ。ゆーちゃん。」

ぴしっとでこピンしてやった。
写真に当たってもしょうがないけど、何だかやっぱりしゃくに触る。
とっとと矢口の気持ちに気付いてよ。

夢の中の裕ちゃんは、まだ娘。のままだったなあとぼんやり思った。
-----------------------

141 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時56分10秒
「はぁ〜。」

思わずもれてきたため息とともにテーブルに顔を押しつけた。
ほてった頬にこの冷たい感触が気持ちいい。

今日の収録は心臓に悪かった。
普通に立ちトークしている時に裕ちゃんが矢口の腰に手を回してきた。

がばって抱きつかれるのはとっくに慣れてるけど。

矢口の髪を撫でていた手をそのまますっと下ろして、腰にそっと腕を回されて、
軽く裕ちゃんの方に引き寄せられて。
さりげなくああゆうことやるんだもんなぁ〜。

・・・・はあ。
今までだったら普通にしてられたのに・・・。

142 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時57分14秒
夢で見たせいか、いつも以上に裕ちゃんを意識してしまっている自分がいる。
この手が、この目が。あの唇が。
ああっもう・・・。

裕ちゃんの腕が回ってるところだけ、血液が集中しちゃったよ。

変に意識してトークも空回り。
顔、赤くなってなかったかなあ。

裕ちゃんはそんな矢口を見てにやにやしてるし。
裕子のやつ。
矢口のそんな反応を見て楽しんでるんだ。
たち悪いなあ。

ふぅ〜。
腰に残ってる腕の感触を思い出しながら、もう一度ため息をつく。

143 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時57分56秒
今日も裕ちゃんに伝えられなかった。
相変わらず困ったあの人は、人の気も知らないで簡単に抱きついてくるし。
「好き好き。」言うし。

その言葉一つがどれだけあたしを動揺させるかってこと。
どれだけ喜ばせて、その後にどれだけ落ち込ませるかってこと。
絶対に分かってないんだ。
自分の言葉の影響力のすごさを分かってないんだ。

確信犯と、無自覚。
どっちが一体たちが悪いんだろう。

まったくもう。

いつまでも机につっぷしていてもしょうがないので、帰る支度をする。
いつのまにか、矢口が最後か・・・。
そーいえば、ぼーっとしながらみんなにバイバイ言った気がする。

144 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時58分42秒

トントン。
遠慮がちなノックの音の後、顔を出したその人を見て驚いた。

「裕ちゃん!」

裕ちゃんも一人残ってる矢口を見てびっくりした顔をする。

「あれっ、矢口だけか?カオリは?」

「あー、さっき帰った。」

矢口がそう告げると、なんやあいつは・・・とかぶつぶつ言いながら
矢口の横に腰掛けた。

また、ご飯でも食べる約束してたの?
いいなあ。

静かな楽屋で二人っきり。
今朝の夢が思い出される。
この後裕ちゃんは矢口の頬に手を寄せて・・・。
って、ダメだって。そんなこと思い出しちゃ。

145 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)18時59分32秒
「・・・ぐち?やぐち?」

「あっ、ごめっ。なに?」
いけない。ぼっーっとしてた。
夢の続きが起こるわけないじゃん。

「まだ、帰らんの?」
顔をのぞき込むように聞いてくる。
ちょっと近づいたその顔にどきどきする。

・・・うん。裕ちゃんと一緒にいたいから。

喉元まで、でかかった素直な気持ちをのみ込んだ。
そんなことは言えるわけもない。

「うん、ちょっと考え事してた。もう帰るよ。」
笑顔を作って応える。
ちょっとぎこちなかったかな?

裕ちゃんの顔を正視できない。
のぞいてきた顔から視線を背ける。

146 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)19時01分06秒
裕ちゃんの手が優しくあたしの頭を撫でた。
「矢口?どした?しんどかったら、何でも言いや?」

ちょっと心配そうに眉を寄せる。

・・・この目じゃない。
もっとこう、色っぽいっつーか、誘惑するような目。

今ここで、裕ちゃんが好きなのって告げたら、その目はどんな風に変わるんだろう。
夢の中のように矢口を見つめてくれるかな。

黙ってしまったあたしに裕ちゃんが静かに話し出す。

「えーと・・・。矢口?ホンマになんかあったんか?」

「ううん。何にもないよ。」
ダメだ。言えないよ。

147 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)19時02分55秒
「悩み事とかあったらいつでも聞くで?あーもしかして恋の悩みか?だったら裕ちゃんにまかしとき。」

ちょっとちゃかした口調で裕ちゃんが言う。
とっさに顔を上げてしまった矢口を見て、裕ちゃんも目をちょっと大きくする。

「あれっホンマか。矢口。・・・好きな人とか・・・おんの?」

いるよ。
すぐ側に。
今、目の前に。

「裕ちゃん・・・・」
裕ちゃんの眉がぴくって動く。

「・・・・・は、好きな人、いるの?」

裕ちゃんはちょっとほっとしたように軽く息を吐いて、笑った。

「なんや。裕ちゃんが好きってゆうかと思って、今むっちゃどきっとしたわ。」
焦らせんなやーって笑ってあたしの髪をくしゃくしゃにする。

148 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)19時03分45秒
矢口の質問には答えてくれないんだね。
でもいいよ。
どっちの答えだって、きっと今の矢口にはショックだからさ。

---好きな人、おるよ。
---好きな人なんて、おらんよ。

どっちにしたって、矢口にはショックだからさ。

今はまだ言えない。
だってまだまだ裕ちゃんの心に矢口はいないから。

もうちょっと。
もうちょっと。

裕ちゃん。
矢口はこれから、もっともっと強くなるよ。
裕ちゃんが思わず振り返っちゃうくらいの、
裕ちゃんが夢中になるくらいの、いい女になるよ。

149 名前:過去編2 夢で逢えたら 投稿日:2002年06月28日(金)19時04分23秒
だからさ、
もうちょっと、待っててよ。

今はまだ、誰のものにもならないで。

大好きだよ。裕ちゃん。

矢口が自信を持って、言える日まで。

150 名前:ユウ 投稿日:2002年06月28日(金)19時06分33秒
更新しました。

やっぱり片想い真っ最中の矢口さん、大好きです。
個人的にえっらい書きやすいです。

中澤さんは、どうなんですかね。
まだ自分の気持ちに気付くちょっと手前ってとこですかね。
151 名前:ユウ 投稿日:2002年06月28日(金)19時07分29秒
皆様、レスありがとうございます。

>>129 やぐちゅー中毒者セーラムさん
いえいえ、お粗末さまでした。
まだ本格的に始められそうもないので、今日は軽めの食前酒程度で。

>>130 名無し読者さん
大ファンとはこれまた。奇特な方がいてビックリです。
でも嬉しいです。
もうちょっとお待ち下さい。すみません。

>>131名無し読者さん
うぉー!!命陽炎状態ですか?そんな・・・大丈夫ですか?
ただいま、愛しすぎな二人をせっせと書きためております。
でもまだまだなんですけど。
なので、前に書いてみた過去編でお茶を濁してみたり・・・。

152 名前:ユウ 投稿日:2002年06月28日(金)19時08分53秒
どうしても自分の中で消化したい話があって、ただいまそれに難航しています。
しょせん、自己満足なんですけど。

はあ、うまく書けない・・・。
他の方のを読んでひたすら感心する毎日です。

次回更新も未定です。すみません。

ではまたその時まで。
153 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月29日(土)01時23分13秒
やっぱいいなぁ〜ユウさんのやぐちゅー!
おかげさまで、命陽炎から命陽まで復活しました(w

自分も一途で切ない矢口さん好きです!!
ユウさんの自己満足に浸らせて頂ける日を心待ちにしてま〜す。
154 名前:ユウ 投稿日:2002年07月05日(金)14時45分56秒
更新します。
ちょっと話がさかのぼっています。
頭の中で巻き戻して読んで下さい。

前スレ内の安倍さん編『この手をほどけば』からの続きの話です。
155 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時47分17秒
--------------------------------
初めての恋は報われなかった。
その人は私のことを妹としてしか見てくれなかった。
追いかけて追いかけて、精一杯背伸びした。
少しは並べたかな?って思った時。
その人は私の前からいなくなってしまった。

言えば良かったのかな。
好きだよって。

言えば何かが変わったのかな。




それでも毎日は過ぎていく。
たくさんの笑い声と歌声と、それに、少しばかりの葛藤を連れて。
156 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時49分17秒
挑む相手は一つじゃないから。
相手にとって不足はないよ。


だけど。
不安にも、なるんだよ。

今いる場所が正しいのか。
目の前のことさえ、かすんで見えて。
誰かの手をつかみたくなる。
それでいいんだよって言ってもらいたくなる。

泣きたくなるぐらい不安な夜なんて何度も越えた。
でもみんな、それを当たり前のように抱えて進んでいくから。


せめて一緒にいたいって思うのは、いけないことじゃないでしょ?
--------------------------------
157 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時50分29秒
いちぃちゃん。
後藤ね。
今、気になる人がいるんだよ。

身近にいすぎて気付くのが遅くなったけど。

何で楽しくないのにいつも笑ってるんだろう。とか。
いまだに「だべ。」はないだろ。とか。
そんなにはしゃいで話さないでよ。とか。

実はちょっと苦手だと思ってた。
同じクラスだったら話しかけないで、きっと敬遠しちゃうようなタイプ。

自分の魅力をよく理解して、見事に演じきっている彼女を、
ある意味斜めの目線で見ていた。

彼女が一生懸命になってやればやるほど
やりすぎじゃないの?って思ってた。

158 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時51分11秒
あはっ。
こんなこと言ったらまたいちぃちゃんに叱られちゃうね。
『こら、ごとぉー。一生懸命やって何が悪い。』

ああでも。
なんかちょっと叱られたいかも。
懐かしいなぁ。

今はさ。
なかなか叱ってくれる人がいないよ。
それがちょっと寂しかったりするんだな。

それでね。
どうしてこんなに目につくんだろうって、思ったときにはもう遅かった。
彼女が気になってしょうがないんだ。

159 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時51分57秒
どうしたっていつも目で追ってる。
「そんなに急いだら転ぶって。」なんて、
落ち着きのないその人を、いつも見ている。

はらはら して。
どきどき して。


「また見てる。」
なんて自分の中で苦笑いしながらも、彼女から目が離せない。
楽屋の中で彼女の話し声が聞こえるとすっごくリラックスして
気持ちよく眠れる。
えっいつも寝てるだろって?
違うよ。もっと気持ちよく眠れるの。

160 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時52分47秒
でもね。
時々、心配になるんだ。

裕ちゃんが卒業してしまってから。
彼女は、後藤たちの前で涙を封印してしまったから。

--大切な人が側からいなくなること。

いままで自分を支えてくれた人が、大好きだった人が、
これからはいつでも隣にいてくれるわけじゃないってこと。
後藤はそのつらさを知ってる。
だって、いちぃちゃんの時にイヤってほど経験してるからね。
あっ責めてるわけじゃないよ。
拗ねないでよ、お姉ちゃん。

161 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時53分38秒
はー、心配なんだよ。本当に。

いつもいつもそんな笑顔で疲れないの?
後藤たちの前じゃ、つらいことがあっても泣けないの?

裕ちゃんじゃないから?
裕ちゃんがいないから?
後藤じゃ裕ちゃんのかわりになれないの?

聞きたいことは山ほどあるんだ。
でもあの笑顔を見ていると、聞いちゃいけないような気がして。

聞いたら、彼女が壊れちゃうのかもって。

目で見える荷物なら後藤が持ってあげるのに。
力だったらちょっとは自信があるんだよ。

でも、見えない荷物を一人で抱え込む彼女を
どうやったら助けてあげられる?

162 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時54分37秒
後藤はさ、こう見えても意外と鋭いんだよ。
よっすぃーと梨華ちゃんのことだって、ずばりと当てたし。
やぐっつあんと裕ちゃんのことだって誰よりも先に気付いたんだから。
あっでも、圭ちゃんには負けるか。

だから、彼女がここんとこ元気がない理由も、
後藤には分かっちゃうんだな、これが。

一生懸命笑ってるけど。
その笑顔は泣き顔にしか映らない。



---どうして泣かないの?なっち。

163 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時55分37秒
「ごっち〜ん、窓。閉めてぇー。」

背中から聞こえたよしこの声で現実に戻された。

湿った外の空気にまどろみながら、うつらうつら考え事をしてた。
夢の中でいちぃちゃんに話しかけるように、ぼんやり思う。

窓を閉めて振り返ったら、普段無意識に姿を探してしまうその人が見当たらなかった。

あれ?

梨華ちゃんとよしこが不思議そうにこっちを見てる。

「ごっちん。口、開いてる。」

「まさか立ちながら寝てたの?」

「そいつは無理だぜベイベー。」
笑ってよしこの頭をはじいた。

はたかれた場所を梨華ちゃんにさすってもらってにやけ顔のよしこ。
はいそこ、空気ピンク色です。
もう勝手にいちゃついてなさい。

「ジュース買ってくる。」
一言だけ告げて楽屋を背にした。

164 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時56分23秒
ジュースを買いに行くなんて口実だった。

・・・・どこ行ったんだろ。

そりゃ、楽屋で待ってれば確実に会えるけど。

胸騒ぎってやつ?
今探さなきゃって、なぜだか思った。

楽屋を出てすぐ、けわしい顔のやっぐつぁんとぶつかりそうになる。
「ごめっ。」
やぐっつぁんは固い声で小さく言って楽屋に入っていった。


胸騒ぎがちょっと大きくなる。

165 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時57分11秒
ぼーっと廊下を練り歩いた。

「なっち?」
探してたその人は閉じられた扉に背をもたれてかけて、俯いてた。
髪の毛が顔にかかって表情が見えない。

とっさに声をかけたことを後悔した。
顔を上げたなっちの顔は涙で濡れてたから。

「あっ。ごめっ。」
なっちは誤魔化すように小さく笑って、目元の涙をすばやくふき取る。
そのまま顔を隠すように後藤の横を走って通り過ぎた。

なっちにまで謝られちゃった・・・。

なっちが寄りかかってた扉の壁には「中澤裕子様」の札。

・・・やっぱり。
ほらね。
後藤の勘は良く当たるんだ。

166 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時58分30秒
考えるより早く体はなっちを追いかけてた。

なっちはいた。

誰にも見つからないような、階段のはしにうずくまっていた。

「なっち・・・?」

肩がびくっと動く。

「どしたの?ごっちん。」
ゆるゆると顔を上げて、
なっちは笑った。

胸がずきってする。

無言で横に座った。

何て言ったらいいか分からないけど、
無性に腹が立った。

まただ。
また、そうやって笑うんだ?

167 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)14時59分13秒
「・・・なっちはいつもそうやって『なっち』を演じるんだね?
ごとーたちの前でも、・・・・そうなんだね。」
怒ったような、突き放したような声が自分から出てくる。

「ごっちん、なに言って・・・。」
思ってもみない後藤の言葉に驚いた顔のなっち。

そうだよね。
驚くよね。
後藤だってこんなこと言うつもりはなかったもん。

でも。
「後藤、そんなに頼りない?・・・裕ちゃんの前じゃないと、なっちはやっぱり泣けないの?」

言葉は止まらない。

違う。
責めたいんじゃない。
ホントは。

----なっち大丈夫だよ。ごとーがいるから、さ。

伝えたいのに。

168 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時00分25秒
ごとーのそんな気持ちが伝わったわけじゃないけど
なっちは一瞬目を大きくして。

それから。

初めて、笑顔を作るのに失敗した。

ぼろぼろ、ぼろぼろ。
なっちの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「あれっ、何でだろ・・・?」
涙がこぼれたことに心底びっくりしたように
半笑いでなっちが涙をふきとる。

照れくさそうな顔で後藤を見て、「こら」って言う。

169 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時01分25秒
それから視線を床に落として、なっちは話し出した。

「はー、なっちさー。失恋しちゃったよー。まいったねホント。」

「そっ・・・か。」

さすがに、裕ちゃんに?とは聞けなかった。

「うん、そう。まいった。ホントに。自分で決めたことなのに。
どうしよう。まいったよ。どでかいぞー、この痛みは。」

足下を見ながら独り言を言うみたいにまいったを繰り返すなっち。
サンダルからのぞくきれいに塗られたなっちのペディキュアを
後藤はぼんやり見ていた。

170 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時02分10秒
「なっちがさ、好きになった人はさ。」
言葉を区切って息を吐くように小さく笑う。
なっちがその人のことを考えてるのが表情から分かる。
つかの間、優しそうな顔になる。

「なーんかさ、変なとこに子供で、わがままで小心者で。
そのくせいばるしぃ?ほんっとどっしよーもないんだけど・・・。
でも・・・誰よりもなっちのことを支えてくれてた。
自分だって弱いのに、強がっちゃってさ。・・・一生懸命守ってくれた。
・・・大好きだったんだぁ。」

「うん。」

なっちの口から出る好きな人の話が、胸に鈍い痛みを与える。
階段のひんやりとした空間になっちの言葉がいつまでも残る。

171 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時02分55秒
「でもね。その人、なっちのことを妹のようにしか見てくれないんだ。」

なっちは苦しそうに眉間を寄せる。

「そりゃあね、最初はそれでもいいって思ったよ。
だって、妹ってポジションも結構いいっしょ?
側にいられるし、いつも気にかけてもらえるし。
でもさ。ダメだった。苦しかった。
その枠を飛び越えたかったけど、
やっぱりどこまでいってもその人には、なっちは妹だった。」

いもうと・・・か。

「あっ、ごとーも・・・。ごとーも、そうゆうのあったよ。」
なっちが後藤の方を見る。
それから目を細めて何かを思い出すような表情をした。

「ああ、そだねー。ごっちんなら、そのつらさは分かるかぁ。」

「同志ってやつ?」
なっちはおちゃらけたようにそう言って、後藤に握手を求める。

172 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時03分36秒
握られた手を、後藤はそのまま離さなかった。
ん?って不思議そうな顔をしたけど、なっちはその手をほどくことはしない。

妹つながりの二人はお互いの出方を待つように黙り込んだ。

ひんやりとした空間で繋いだ手だけが、温かい。

『なっちとごっちんの手って似てるよね?』
『ええ?そっかなあ?ごとーの方が大きいよ。』
『そうなんだけどさ。何となく。うん、似てるよやっぱ。』
いつした会話だっけな。

言葉だとうまく伝えられないから。
繋いだ手からなっちの心に、するすると流れ込んでくれればいいのに。

ただ、単純に。
なっちの笑顔も泣き顔も、一番側で見ていたいって思うだけなんです。
一緒に笑って、一緒に泣きたいだけなんです。
子供じみた欲望だとしても。
ただ、単純に。

173 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時04分32秒
「好き、なんだ。まだ。」
なっちは小さくつぶやく。

「うん。」
ただ頷いた。

「困ったよホントにさ。つらいよ。・・・ちくしょー!!」

最後のちくしょーは笑って大声で言ってたけど、どんな泣き声よりも悲しく響いた。

「・・・大丈夫だよ。」

ああもう、どうして。
もっと気のきいた言葉はないの?

後藤の前でも泣いてほしいって思ったのに。
でも実際にそんななっちを見ちゃうと何にもしてあげられなくて。

ひどくもどかしい。

174 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時05分32秒
「大丈夫だから。」

バカの一つ覚えみたいに、何度も言う。
繋いだ手に力を込める。

「いたた。いってーべ、ごっちん。」

なっちが空いた手で後藤の肩をぺしぺし叩く。
泣き笑いのような、なっちの顔。

「なっち?」

「ん?」

「ごとーが、いるから。」

後藤の目を見るなっち。
迷子の子供のように、黒目がちの目が不安そうに揺れている。

「・・・ごっちん?」

「なっちのこと、ちゃんと見てるから。ごとーがずっと見てるから。
ずーっと側にいるから。だからさ・・・・。大丈夫。ねっ?」

気がきいた言葉一つ言えないけど。

「バカ。もうこれから収録なのに、泣かせんな。ごっちんのバカ。」

繋いだ手から、思いは伝わると信じて。

175 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時06分30秒
--------------------
「まだ・・・無理だよ?」
ちょっと赤くなった目をこすってなっちが言う。

「ん。分かってる。でもごとー気が長いから。」
今日は泣き顔が見れただけでも満足しよう。

「気が長いっつーかマイペースだもんね?」

「そう。それでいつかなっちをモノにするのだ!」

「おっ言ったね?意外と手強いよぉなっちは。」

「だいじょぶ。ごとーも結構しぶといからさ。」

顔を見合わせて、にかっと笑う。
繋いだ手をほどいて大きく伸びをしながらなっちが言った。

176 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時07分19秒
「さぁーて。そろそろ時間っしょ。戻るべ?」

「『べ』はないでしょ、なっちさんよー。」

お互いのおしりをぱたぱた払って、埃を落とす。
ちょっと強くおしりをはたいたら、なっちに怒られた。

それから笑ってなっちは手を差し出す。
「さっ行くぞ!我が同志よ。」

後藤よりちょっと小さいその手を、しっかり握った。


今はまだ、ただの同志の私たちでも。
一緒にいたいって思うのはいけないことじゃないでしょ?

177 名前:繋いだこの手を。 投稿日:2002年07月05日(金)15時08分08秒



がむしゃらなんて柄じゃないけど。
なっちが一緒ならそれも悪くないかも。


毎日はやっぱり過ぎていく。
たくさんの笑い声と歌声と、それに、少しばかりの葛藤を連れて。

挑む相手は一つじゃないから。

相手にとって不足はないよ。


繋いだこの手を、

やすやす離すわけにはいかないんだ。

178 名前:ユウ 投稿日:2002年07月05日(金)15時09分20秒
はい、更新です。
最近けっこうこのお二人さん、好きです。
まだなにも始まっていないけど、何かを匂わす形でこの二人を書いてみたかったんです。
179 名前:ユウ 投稿日:2002年07月05日(金)15時09分58秒
>>153 名無しさん
ありがとうございます。
一途な矢口さん、相当かわいいですよね。
すみません、でも今回は違うお二人で。
命の灯火が消える前に矢口さんと中澤さんのも早くUPしたいとは
思っているんですけど・・・、しばしお待ちを。

180 名前:ユウ 投稿日:2002年07月05日(金)15時10分46秒
私の中での後藤さんは「内に秘めた闘志」ってイメージです。
安倍さんの目で見える闘志に対して、静かに燃えたぎらせてるって
感じでしょうか。

それにしてもここで『ごまなち』って需要があるんでしょうかね。

ではまた。
181 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月05日(金)16時04分05秒
なちごまよかったス。
気が向いたらでいいのでユウさんの書くやぐなっちゅーが読みたくなったです。
182 名前:kily 投稿日:2002年07月06日(土)00時23分45秒
ごまなちはサイコー。
やっぱ、この二人がいいわ♪
183 名前:ユウ 投稿日:2002年07月11日(木)15時54分23秒
更新します。

今回も時間かせぎのためにまたも過去編ですが。
184 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)15時55分14秒
「あら、よく寝てますね〜。」

「ほんとですね〜奥様。」

「あらあら、見て下さいよ。あの姿。いじらしいですね〜。」

「「ね〜。」」

こいつらホントに・・・。

「うっさいわ〜お前ら〜。」

「あー、しぃーしぃー。」
わざとらしく、口の前に指を持ってきて勝ち誇った顔をする悪ガキ2人。

「矢口さん。そんな大きな声出したら、中澤さん起きちゃいますよ。」
加護が憎たらしいまでの天使の微笑みで言う。

はっとしてあたしの肩に頭を預けてすやすや寝ているこのかわいい人を見た。

・・・良かった。起こさなかった。

まだにやにやしている、辻と加護を手でしっしって追い払った。
あいつらのひやかしに乗ってたら、ホントに裕ちゃんを起こしちゃうよ。

せっかく。
今の裕ちゃんは矢口だけのものなのに。

185 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)15時56分09秒
楽屋に入って来たと思ったら
「あ〜ねっむ〜。」って矢口に抱きついてきた裕ちゃん。

「じゃあ、寝れば?」っていつものようにかわいげのない矢口の言葉に
裕ちゃんはにやって口の端を上げてこう応えた。

「そうかぁー?じゃあ、お言葉に甘えて。」

こつんと矢口の肩に頭をのっけてきた。

「ちょっとぉー、裕ちゃん。重いよ〜。」
一応こうやって嫌がるポーズはしてみる。

「ええやん。動かんといて。矢口の側だと安眠できるんやもん。」
裕ちゃんは両手を矢口の腰に回してくる。

ちょっとぉ。
そんな子供みたいにきゅってしがみついてこないでよ。
矢口の側だと、とか嬉しいこと言わないでよ。
こっちにだって心の準備ってもんがさぁ・・・・。

186 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)15時57分10秒
「ああもうっ。」

矢口の言葉なんて聞かないふりして、そのまま寝ちゃう裕ちゃん。
どかそうと思えば出来るけど、もちろんそんなことはしません。
他の誰かの肩で寝られたら、矢口だっていやだもん。


・・・・裕ちゃん、この姿勢でつらくないかな?
裕ちゃんの首がつらくならないように、なるべく矢口も背筋を伸ばしてみる。

そんな微動だにしない矢口の姿を見て、早速辻と加護がひやかしてきた。

あいつら、あとで覚えとけよ〜。

187 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)15時58分07秒
裕ちゃんの顔にかかってる、その細い髪の毛に触れてみた。
そのままゆっくり頭を撫でる。

きれいな色。
裕ちゃんの柔らかい髪を自分の指にからめた。

・・・好きだなぁ、やっぱり。

裕ちゃんの頭に、こつんっと自分の頭をのせてみた。

圭ちゃんがにやにやしてる顔が目に入ったけど、別にもういいや。
裕ちゃんが寝てる時ぐらい、素直な矢口にならせてよ。

188 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)15時59分30秒
裕ちゃんに頭を預けたままぼんやり考える。

矢口、もしかしてちょっとは自信を持ってもいいのかなあ・・・・。
裕ちゃんがこうやって甘えてくるのは矢口にだけだし。
なっちにもしょちゅうちょっかいを出してるけど、
こうやって、子供じみたことをしてくるのは矢口にだけ・・・だよね?

矢口は裕ちゃんの側にいると、安心する。
いや、違う。
裕ちゃんが矢口の側に来てくれると安心するんだ。
他の誰かじゃなく、矢口を選んでくれると安心するんだ。
裕ちゃんに選んでもらいたい。
こうして、いつもいつも。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

189 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)16時01分26秒

「矢口!矢口ってば。」

ぼんやりとした視界が徐々にはっきりとしてきて、
目の前にはカオリの顔。

「ふぇ・・・?」

「起きた?もうすぐ収録だからね。目、覚ましてね。」

だんだん、頭がしっかりしてきた。
ああそうだ。
ここ、楽屋だ。

あれっいつの間に矢口も寝ちゃったんだろう。
気が付いたら、矢口は裕ちゃんの肩にもたれかかっていた。
慌てて頭を上げると少し高いところから視線を感じる。
裕ちゃんはすでに起きていて、矢口の頭を撫でながらそんな様子をにやけた顔で見ていた。

190 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)16時03分38秒
「・・・なんだよう。」

早速反抗期。
寝起きの顔って恥ずかしいじゃん。
そんなじろじろ見ないでよ。

「矢口の寝顔、かーわい。」

「・・・うっさいもう。」
・・・だぁっもう、ほっぺたつんつんするな。

「あー、裕ちゃんもよく寝た。やっぱり矢口の側だと安眠できるわ。ありがとおなあ。」
さらっとまた、そんな嬉しいことを言ってくれちゃって。

191 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)16時04分39秒
「どーいたしまして。」

「矢口があたしのまくらやったらええのに。」

矢口の髪に指をからめながら裕ちゃんは言う。

「はい?」

また、突拍子もないこと言い出したよこの人は。

「だってそしたら、毎日気持ちよく眠れるやん?」

当然でしょ?って顔して言われても。

「裕ちゃんのまくらなんて、ずえったいにや、ですぅー。」

心臓がどきどきしちゃって、大変だよそんなの。

「なんでー?ええやん。毎日抱きしめて寝たるでぇ?」

「アホォ。そんなことばっかり言って。」

192 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)16時06分16秒
「だって、本心やもん。あーもう、毎日矢口を連れて帰りたいなぁー。
矢口はあの、・・・なんやったっけ?スヌーピーの・・・。ほらあれ。いつも毛布持ってる子。」

「・・・ライナス?」

「そう!それ。矢口はあたしのライナスの毛布やねん。」

「なんだよそれ。」

「ん?」

ちょっと顔を近づけてきた裕ちゃんに耳元でささやかれた。
「・・・あんたなしじゃいられへんってこと。」


「なっ・・・・。」

ちょっとぉ。
急に真剣な顔でそんなこと言わないでよ。

193 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)16時07分50秒
最近の裕ちゃんは時々、真剣な顔でこうゆう冗談を言うから
その度に矢口はどきどきする。

裕ちゃん・・・どこまで本気なんだよぉ。

矢口の表情を読みとったように裕ちゃんは言う。

「ウソ、冗談やって。そんな顔するなや。」

くしゃって矢口の髪をかきまぜた。
誤魔化すように小さく笑って裕ちゃんは立ち上がった。
行こうとする裕ちゃんの服の裾を引っ張る。

「裕ちゃんが矢口のまくらだったら、いいのにね。」

いつも矢口ばっかりどきどきさせられるから、ちょっと反撃。
どうだっ!

194 名前:過去編3 ライナスの毛布 投稿日:2002年07月11日(木)16時08分37秒
上目遣いでちらっと見ると裕ちゃんはふわっと笑った。

「ええよ。矢口のまくらでも、毛布でも、何でもなったるよ?
どおする?今日にでもあたしを連れて帰るか?」

嬉しそうに顔を近づけてくる。
その顔はいつものいじわる言う時のちょっと得意そうな顔。

チュッ
そのまま、ほっぺにキスされた。

「ごちそーさん。」

にやけた顔で立ち去る裕ちゃんの後ろ姿を見送った。

っくっそ〜。
言ったね?今言ったね?
絶対に忘れないからね、その言葉。

絶対に今度持ち帰ってやる。

覚悟しといてよね、裕ちゃん。

195 名前:ユウ 投稿日:2002年07月11日(木)16時13分23秒
更新しました。

矢口さんの宣言通り、すでに特別編で中澤さんは
まくらやベッド扱いされてますね・・・。

また過去編でごまかしたな!と思ったあなた。
正解です。
でも、おかげでちょっとは書きためることができました。

196 名前:ユウ 投稿日:2002年07月11日(木)16時14分13秒

>>181 名無し読者さん
ああ良かった。ここでは需要がないかと思ってましたので。
え〜と、ご要望のものですが。実は書きたいと思ってましたそれ。
このスレッドの容量に余裕があれば短編で挑戦しようかな。

>>182 kilyさん
おっ、初めましてですね。レスありがとうございます。
どうやら好物だったようで、良かったです。
はー、良かった良かった。

197 名前:ユウ 投稿日:2002年07月11日(木)16時18分29秒
次回はえーと、今度はそんなに間を空けずに更新します。

前スレで挫折した吉澤さんと石川さんのに、だーいぶ手間取ってまして。
なら、書かなきゃいいって話なんですけど。
でも、なんかこう、やり残した感があってすっごく気持ち悪くて。
で、ようやく書けました。

矢口さんと中澤さんの話と微妙にリンクしてるので
良かったら読んで下さい。

ではまた。
198 名前:らん 投稿日:2002年07月11日(木)19時08分33秒
PCの調子が悪くなって、しばらくこちらを覗けなくなっていた間に、
たくさんのお話ができていて、
幸せをたくさん感じました。

過去編以外にも、また新しいお話があるようですね。
「ユウ」さん、本当にありがとう。

新しいPC購入のための出費で、だいぶ凹んでいたけれど、
こうやって「ユウ」さんの小説読めるなら、
甘〜い「やぐちゅー」読めるなら、
元は取れたようなものです。

これからも、暑い夏に負けず、熱い二人の楽しいお話、期待してます。
199 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月12日(金)03時21分07秒
ほのぼのやぐちゅー・・・言葉がないっス。
200 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月12日(金)04時01分06秒
あぁ嬉すぃ〜
命の灯火が消えかけて、ロウソクでいうところの
芯だけの状態になっていたので助かりました(w

ユウさんのやぐちゅーが自分にとっての
ライナスの毛布ですわ。いや、ほんとに。
201 名前:ユウ 投稿日:2002年07月12日(金)20時20分01秒
更新します。

実は矢口さん告白までの裏側ではこんなことが。
202 名前:中毒 -Addicted to you 投稿日:2002年07月12日(金)20時22分28秒


始めたのは私の方だった。







203 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時24分00秒
----------------------------
ツアー先のホテルで先にシャワーを浴びて部屋に戻ると梨華ちゃんがうたた寝していた。

・・・疲れたんだろうなあ。

ベッドの毛布もめくらず、洋服のまんまですーすー寝息を立てている。

でも起こさなきゃ。洋服しわしわになっちゃう。
それに梨華ちゃん、シャワーも浴びてない。

「梨華ちゃん、起きて。シャワー空いたよ。」

軽く体を揺すってみた。

「ん・・・。」

声とともに軽くしかめられる顔。

でも梨華ちゃんは起きない。

きれいな顔だなあ。
THE女の子って感じ。
いつもの生真面目すぎるほどの真剣な顔が今は穏やかな表情に変わってる。

204 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時25分11秒
眉間をすっと撫でると、一瞬だけ眉がよる。

ふっと笑ってしまった。
起こしてシャワー浴びさせないとって思うのに、体が動かない。
その寝顔から目が離せなくなってた。

恋心があったわけじゃない。
ただの仲の良い同期なだけだし。
梨華ちゃんがふざけて、「私たち付き合ってます。」って言っても
いつも笑ってかわしてた。

なのにどうして。



どうして、あんなことしてしまったんだろう。

205 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時26分18秒


梨華ちゃんが最初の呼びかけで起きてくれたなら、
私たちは友達のままでいられたのかもしれない。


梨華ちゃんがあんなにも無防備な顔で眠っていなければ、
その唇に触れることなんて考えもしなかったのかもしれない。


206 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時27分20秒
そっとそっと起こさないようにベッドの端に腰掛けた。
ぼんやりとしたルームライトの灯りが梨華ちゃんのまつげに影をつくる。

顔を近づけても梨華ちゃんは起き出さない。

軽い呼吸音が私の耳をくすぐり背中を何かが走っていく。
きゅっと結ばれた唇を中指でゆっくりなぞり、それから髪の毛に指をからました。

梨華ちゃんはそれでも起き出さない。


207 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時29分21秒
今度はゆっくりと唇に唇を当ててみた。
ただ押し当ててるだけ。
メイクの取れた乾いた唇の感触。
それでも柔らかくてその弾力に目眩を起こしそうになる。
舌でその唇をちょっと舐めると、閉じられていた梨華ちゃんの唇がかすかに開いた。
一度だけゆっくりと舌を差し込んで、それから同じようにゆっくりと抜いた。

首筋に唇を移動させ、梨華ちゃんのにおいを体に満たす。
ふつふつと今までにない感情が湧き起こる。
自分の中で何かが高ぶってくるのが分かった。
ふくよかな梨華ちゃんの胸に手を当てたところで、頭の上から声が聞こえた。

208 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時30分12秒

「よっすぃー、こうゆうことがしたかったんだ?」

梨華ちゃんの声は少しも怒っていなかった。
すぐに体を起こし、悪びれずに笑って見せた。
慌てたら格好悪いって、そう思ったから。

「ごめん、ごめん。梨華ちゃん起きないからさ。ちょっといたずらしたくなっちゃったよ。」

なにか言いたそうな梨華ちゃんを見ないふりして続けた。

「あっシャワーあいたよ。早く浴びといでよ」

さぁって私は寝よっかな。なんて、わざとらしく大きく伸びをして。
自分の方のベッドに腰掛けた。


俯いて下唇を噛んでる梨華ちゃん。
体を起こしてシーツをぎゅっと握りしめてる。
赤い顔とハの字になった眉。
その顔がかわいくて、もっと困らせたいって思った。

209 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時31分01秒
「それとも、続き・・・・する?」

意地悪く聞いてしまう。

梨華ちゃんがはっと顔を上げた。

「よっすぃ・・・。」

みるみる泣きそうな顔になる。

ああ・・・・そっか。

梨華ちゃんは私のことが好きなんだ。


自分が優位に立てた気がした。


好きだったわけじゃない。
強いて言えば、興味があったから。

始めたのは、私の方だった。


なのに・・・。

210 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時32分00秒



吉澤ひとみ。17歳。

今、梨華ちゃんのからだにはまってます。




211 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時33分31秒
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あのホテルでの一件以来、私はよく梨華ちゃんの家に泊まりに行くようになった。
家に帰るより梨華ちゃんちの方が近いし。
梨華ちゃんもそうすることが自然なように、いつも「今日は?」とだけ聞いてくる。

私専用の歯ブラシ、パジャマ、タオル、お箸。
梨華ちゃんちに私の持ち物が徐々に増えていった。


当然行けば、することはする。

私と梨華ちゃんは、こういったらあれだけど、体の相性がとてもいいみたいで、
何度しても飽きるってことはなかった。
すればするほど、お互いの『いい』ところがよく分かって。
疲れてるのに夢中でお互いを求めたりもした。
すべすべの体が気持ちよくて、そのまま裸で抱き合って眠りについた。

コトが終わって私の腕の中で眠る梨華ちゃんを見ていると
守ってあげたくなるような、むずがゆい気持ちにもなる。

212 名前:中毒 投稿日:2002年07月12日(金)20時34分15秒
それでも。

私が梨華ちゃんに恋をしているのかと言うと・・・。

よく分からない。

梨華ちゃんのことは大事だと思う。
かわいい、とも思う。

好きかって聞かれれば、好きだって思う。
でも、どこが好き?って聞かれたら。

迷わず「からだ。」って答えてしまいそう。

それぐらいはまってる。

だから梨華ちゃんが「よっすぃー、好き。」って言ってくれても。
例えそれがベッドの中での甘い囁きであったとしても。
私はそれに、笑って答えることでしか、出来ないでいた。

「私も好きだよ。」

---梨華ちゃんのからだが、ね。
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213 名前:ユウ 投稿日:2002年07月12日(金)20時35分12秒
更新しました。
こんな出だしですが、ひかずに読んでいただければと思います。

まあ、ね。
若い内はしょうがないやね・・・。なんてつぶやいてみたり。

214 名前:ユウ 投稿日:2002年07月12日(金)20時36分12秒
レス、どうもです。

>>198 らんさん
PC、えっらいお気の毒です。
私の話ごときで元が取れてしまっていいんでしょうか?
期待に添えるか分かりませんが、おNEW PCも砂糖漬けになるほど
甘ったるい話が待ってる・・・かも、しれません。


>>199 名無し読者さん
微妙に動き出す前の二人ってところでしょうか。
こういう「どうなの?ね、どうなの?一体あなたはどう思ってるの?」
ってもどかしい状態の二人が個人的に、好きですねー。


>>200 名無しさん
危ない危ない。新たにロウをつぎたさないと・・・。
ええもう、こんな薄っぺらい毛布で良ければ、何枚でも。
私にとってのライナスの毛布は、皆様のレスでございます。

215 名前:ユウ 投稿日:2002年07月12日(金)20時42分54秒
やぁっと、前スレから言ってた、吉澤さんと石川さんのを
アップできるので、ちょっとホッとしてます。

書き上げてしまったのは、どんどん載せたいので、
時間がありしだい更新してきます。

にしても、からだからだって、うっさいなあ吉澤さん。

216 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)06時52分11秒
吉澤エロすぎます(w
217 名前:ユウ 投稿日:2002年07月15日(月)12時30分51秒
更新します。
218 名前:ユウ 投稿日:2002年07月15日(月)12時31分40秒
あっまただ。

背中から中澤さんに抱きつかれてる矢口さんの顔。
憎まれ口を叩きながらも、しっかりその腕をつかんで嬉しそうに笑ってる。

中澤さんがこちょこちょ矢口さんの耳元で何かをささやいた。
矢口さんは「アホッ。」なんて言いながら、ご機嫌な顔で中澤さんの
おでこをぴしっとはたいてる。
はたかれた中澤さんは笑いながら「いったいわ、こら。」ってさらに腕で矢口さんを締め付ける。
楽屋の中に矢口さんの大きな笑い声が響いた。

二人とも、幸せそう。

219 名前:中毒 〜Addicted to you 投稿日:2002年07月15日(月)12時32分57秒

腕の中の矢口さんはそのままに、今度はなっちさんにもちょっかい出し始めた中澤さん。
あ〜あ〜、矢口さん。
その表情、微妙ですってば。

あっ腕から逃げ出した。
中澤さんが苦笑しながら、腕を伸ばして自分の方に引き寄せてる。
けっこうすぐ捕まるところにいるんだなあ。


くくっ。
かわいいなあ。
矢口さんって、ほんっと分かりやすいかも。

でも、いいなあ。
あんなに素直に愛情を表現できて。

220 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時34分03秒
それにしても、あの二人って。
どうなってんだろ?
圭ちゃんに聞いても「まあ、裕ちゃん。へたれだから。」としか
教えてくれないし。

今後の参考のために「えっそれって?」って食い下がっても
「大人は色々あるのよ。」ってうまく誤魔化されちゃった。


・・・・付き合ってないってこと?

えー、なんでぇ!!!!
中澤さん、あんなかわいい矢口さんを目の前にしてよく、まあ・・・。

周りから見れば一目瞭然のことでも、当の本人たちには分からないのかな。

でも、まっ。
願うことはただ一つ。

矢口さん。
幸せになってくださいね。

221 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時35分19秒
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「イタイイタイイタイイタイタタタタ。」

梨華ちゃんが楽屋から私を引っ張っていく。

いてて、痛いってば、梨華ちゃん。

普通に引っ張ってってくれればいいんだけど、
梨華ちゃんは私の耳をきつく掴んでぐんぐん先を歩いて行くから。
私より背が低い梨華ちゃんに引っ張られると背中を丸めなくちゃいけないし、
耳は痛いしでほんとに大変。

でも、彼女がご機嫌斜めな理由も分かっているから。

222 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時36分32秒
ここ最近の矢口さんの様子がおかしい。

いつもは騒々しいくらいに賑やかなあの矢口さんが
たまにふとため息をもらす。
その顔はそれまで見たことがないくらい、大人びた表情。
携帯をぼーっと眺めては、諦めたように折り畳む。
かと思えば、何かをふっきるように痛々しいぐらいにはしゃぎだす。

でもその笑顔がとぎれるほんの一瞬。
泣きそうな思い詰めた表情をのぞかせる。

私はそんな矢口さんに興味を持った。
いや、もちろん心配でもあったけど。
教育係としていつも私を気にかけてくれてた、大切な先輩だし。

幸せになって下さいねって冗談まじりでも、いつも伝えてた。


223 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時37分26秒
いつか見た光景が頭を横切る。
あの時の二人は、確かに無邪気に笑っていたのに。
あんなに幸せそうだったのに。

多分、原因は、そう。
中澤さんに彼氏が出来たっていう。
あの噂。


矢口さんは恋をしている。
それは私が想像してたのより、きっともっと真剣なやつ。

矢口さんの様子がおかしいのは私だけじゃなく、周りのみんな気付いてた。
圭ちゃんとよく話し込んでる二人の姿も見たし。

224 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時38分11秒
そっか。
そんなに、苦しいもんなんだ。

私にはよく分からなかったから、何だかドラマの中の出来事を見るように
ちょっと涙目になりながら圭ちゃんと話してる矢口さんをぼんやり見ていた。

 
誰かのことを思ってそこまで落ち込んだり笑ったりできるものなんだ?
そこまで誰かのことを深く想えるものなんだ?

私には、自分があんな痛いくらいの切ない表情が出来るとは、
とても思えない。

225 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時38分55秒
何だか不思議だった。

『恋をする』というその気持ち。

私にはその気持ちが、梨華ちゃんとこうなった今でも。
 
よく分からなかったんだ。

226 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時40分18秒

目の前ではむうっとした顔で梨華ちゃんがにらんでる。
そうだった、お説教の最中だったんだ。

腕組みをして上目遣いのちょっと芝居がかったような表情が苦笑を誘う。

まいったなあ。
そんないかにもな顔で怒られても。

面倒な事は嫌い。
早く終わらそう。

何かを言おうとして口を開き、でも何にも言わずに梨華ちゃんは俯いてしまう。
そう、いつもそうだ。

不満や悩みが爆発する直前の梨華ちゃんは、言葉をうまく操れなくなってしまう。
そして、沈黙。

はは。
もう、分かりやすいなあ。

227 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時41分19秒
「どうしたの?梨華ちゃん。」

廊下の壁にもたれてる梨華ちゃんの顔をのぞき込んだ。
顔を近づけてのぞき込むだけで赤くなる梨華ちゃんの反応が面白い。

「・・・よっすぃー、最近、誰を、見てるの?」

一つ一つの言葉を区切るようにそう言う梨華ちゃん。
ちょっと苦しそう。

「誰って?別に誰も見てないよ。」

キッと梨華ちゃんが顔を上げる。

あっますます眉がハの字になっちゃった。
しまった。
お望みの答えじゃありませんでしたか。

「梨華ちゃんを、見てるよ。」

言い聞かせるように私も言葉を区切ってそう言う。
堅く強ばらせてる梨華ちゃんの肩に手を置いた。

228 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時42分10秒
「嘘だよ。最近のよっすぃー、矢口さんのことばっかり見てるもん。」

ぱしっと手を振り落とされた。
いってぇ。

予想通りの言葉が梨華ちゃんの口から出てくる。
ほんとはきちんと説明して、他意はないことを分かってもらおうと思ってた。
ただ純粋に、矢口さんが心配だったって。
だから、変なこと考えないで安心していいよ、って。

言おうと思ってた。

だってこれはようはヤキモチって奴でしょ?
恋人同士のかわいい痴話喧嘩。

でも、目の前の今にも泣きそうな顔で私を見ている梨華ちゃんを見ていたら
とたんにめんどくさくなってしまった。


229 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時43分02秒
痴話喧嘩、ねぇ・・・。

梨華ちゃん、ごめん。
ほんとーに、ごめん。
私には、やっぱりまだ分からないんだよ。
「誰かに恋をする」っていう、その感情が。

私は矢口さんみたいな、あんなため息はつけない。
梨華ちゃんを想って、切なくなったりもしない。

私にとって梨華ちゃんは、恋焦がれてる相手ではなく
体の関係もある親友って方がなんだかしっくりくるんだ。


でも、梨華ちゃんはその感情を私に持ってくれてるんだよね?
誰かに想われたり、頼りにされるのは悪い気分じゃないけど、
こんな風にごたごたするのは、何て言うか、その。すごく苦手なんだ。

230 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時44分22秒
--すっと自分の中でなにかが冷めていくのを感じた。

ああもう。
ダメだ。
私には、重すぎるよ。

今までみたいに恋人ごっこは、もう出来ない。

だってそもそも私は、梨華ちゃんのからだが好きだったわけで。
そのからだにはまってしまったわけで。
心まで欲しいとは思ってなかったから。


冷静に自分を見ているもう一人の自分がいる。
不安そうに俯いてしまった梨華ちゃんの表情が私の背中を押した。

231 名前:中毒 投稿日:2002年07月15日(月)12時45分22秒
加虐的?
精神的S?
私はよっぽど梨華ちゃんの困った顔を見たいらしい。

「梨華ちゃんが信用してくれないんじゃぁね。・・・じゃあ、もう終わりにしよっか。」

簡潔で短い言葉。

梨華ちゃんが何かを言う前に私はその場を離れた。

始めたのは私の方。

終わらせたのも私の方。

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232 名前:ユウ 投稿日:2002年07月15日(月)12時51分11秒
更新しました。
233 名前:ユウ 投稿日:2002年07月15日(月)12時51分41秒
レス、ありがとうございます。

>>216 名無し読者さん
まあ、この年頃は・・・ってことで。大目に見てやって下さい。

234 名前:ユウ 投稿日:2002年07月15日(月)12時55分22秒
思ってたより、今回の吉澤さん&石川さん話が長くなってしまいました。
私が書く吉澤さんはどこまでも自分勝手です。

さくさく更新します。
次は、多分、明日。

ではまた。
235 名前:ユウ 投稿日:2002年07月17日(水)14時26分40秒
更新します。

昨日できなかったので、今日がっつりと。
236 名前:中毒 〜Addicted to you 投稿日:2002年07月17日(水)14時27分35秒
あれからすぐに撮影が始まった。

・・・梨華ちゃん、大丈夫かな。

自分勝手に始めてそして自分勝手に終わらせてしまったので、多少なりとも心が痛んでいた。
誰かに恋する気持ちは持っていなくても、誰かを気遣う気持ちぐらいは私にだってあったから。

梨華ちゃんは私が全てだったからなあ・・・・。

二人の関係が友達を超えてから、目に見えて私に全てをゆだねてきた彼女。

心と体のケアする。

彼女にとって『よっすぃー』の存在は相当大きなものだったはず。
これは自惚れじゃなく、ね。

ちょっと心配になって梨華ちゃんの方を見ると、意外なことにいつものように
梨華ちゃんは楽しそうに笑っていた。

237 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時28分50秒
何だ、全然平気そうじゃん・・・。

正直拍子抜けした。
思ってたより気丈な彼女に安心したという以上に。
先にわき上がってきたのは、面白くないっていう感情。

私ってば自分勝手?
うん、そうかもしれない。

だって私は、仕事が手につかなくなるほど落ち込む梨華ちゃんが見たかったから。
矢口さんが見せたような、こっちが苦しくなるくらいの切ない表情が見たかったから。

梨華ちゃんは私に恋をしているんでしょ?
私の一言一言で落ち込んだり、笑ったりするんでしょ?

おかしいなあ。
その笑顔は・・・・やっぱりおかしいよ。

それまで私の一言で一喜一憂してきた梨華ちゃんを見てきたので、
今日の梨華ちゃんの振る舞いが不思議でしょうがなかった。

238 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時30分00秒
だって、軽い諍いならまだしも。
私は『終わり』を告げたんだよ?



撮影はそのまま順調に進んでいった。
239 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時32分09秒
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「よしこ〜。お茶して帰ろ?」

撮影が終わって、帰り支度をしてたらごっちんが誘ってくれた。

ん、お茶かぁ。
どうすっかな・・。

さっき、結局梨華ちゃんは何も言わなかったけど、
何か私に話があるはずって。そう思ってた。

例えば・・・そう。
「そんなのやだよ。」とか、
「考え直して、よっすぃ。」とか。

目には大きな星をたくさん光らせて。
うるうると私をその目で見つめる。

う〜ん、そしたら何てかわせばいいんだろう。
とりあえず、すぐに折れるべきじゃないよね。

なんてことを考えてると、ごっちんの顔が目の前に近付く。

「おいこらっ。」

「ぉおっ、あっ・・・ごめん。今日はやめとくよ。」

「ありゃ残念。まっ、また明日ね〜。」

ごっちんが近づけてた顔を離して、ひらひらと手をふる。

240 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時33分17秒
ちらっと梨華ちゃんの方を見たら、圭ちゃんと話してた。
今日はあれから一度も目があってない。

気にしてるのが私の方だなんて。

うん、これはやっぱりおかしいよ。
なんかこれじゃ立場が逆転してるもん。

ごっちんは圭ちゃんと話し終わった梨華ちゃんをお茶に誘ってる。
笑顔でうなずく彼女。

えっ?

え〜〜〜〜〜!?
ちょっと梨華ちゃん。
私に話はないんかい?!

「じゃーねー、よしこ。お疲れさーん。」

ごっちんに手を振られてはっと我に返る。
あ・・・お疲れさまって言ったところで、
ごっちんと一緒に楽屋を出る梨華ちゃんと目があった。

「じゃあね、よっすぃ。ばいばい。」

梨華ちゃんは言った。

私を見て、笑顔で、そう言った。

なん・・で?

241 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時33分54秒
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お風呂から上がってちょうど0時。

携帯の着信をチェックした。
誰からも着信がないのを確認して今度はメールをセンターに問い合わせする。
それでも、誰からも、いや梨華ちゃんから、なんにも連絡が入っていなかった。

ほぼ毎日会ってるのに、送られてくるメールの数々。
仕事が終わった後、うちについた時、会えない日はもちろん、
仕事の合間合間にちょくちょくメールをくれていた。

私の携帯には、昨日までの梨華ちゃんのメールがぎっしり残っている。

ベッドにねっころがって、一番新しいメールを開けてみた。
着信は昨日の夜中。

『お疲れさま。おやすみなさい。大好き。』

簡単なメールの内容。

オツカレサマオヤスミナサイダイスキ・・・。
舌の上でその言葉をころがした。

242 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時34分38秒
電話もよくした。
私が自宅に帰る時はほぼ毎晩かかってきた。

梨華ちゃんからの電話は決していやじゃなかった。
疲れてる時でも、『よっすぃーの声を聞くとほっとする。』なんて、
そんな甘い言葉のやりとりは疲れたときに食べたくなるチョコレートみたいで
何度も私を癒してくれたから。

『早く会いたいよ。』って言葉に『何言ってんの。さっきまで一緒だったじゃん。』
なんて意地悪いってみたり。
頼られてる、って感じが嬉しかったのかもしれない。


「ふ〜ん、梨華ちゃんも結構さばさばしてんじゃん・・・。」

鳴らない電話を手にして思わず独り言が出てくる。

ま、これなら仕事中もぎくしゃくしないで済むから、いっかぁ。

そのまま枕に顔をうずめた。

無性に寂しかったのは、毎日の習慣がなくなったせい。

ただ、そのせいだと、思おうとした。

243 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時35分09秒


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244 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時35分50秒
仕事をこなしてへとへとになって家に着いて。

そんな毎日が過ぎていく。

梨華ちゃんとはあれから膠着状態。
表面上は何も変わってないようだけど、二人の間に微妙な空気が流れてる。
必要な会話は交わすけど、そこに以前のような甘さはなくなった。

もう「よっすぃ」ってあの甘い声で私を呼んでくれない。
毎晩の電話と、うるさいくらいのメールもこない。

あんなに夢中になって求めた梨華ちゃんの体にも
もう、触れることはない。

そうもう、きれいさっぱりと。
梨華ちゃんとは、『ただの』同期になりつつある。

245 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時36分33秒
でも、それに逆らうように、私の中でも変化が起こりつつあった。

その変化が現れるのは、主に夜。
一人ベッドに入ると、・・・・・無性に寂しい。

なかなか眠れなくて、考えるのは梨華ちゃんのこと。
正確に言えば、梨華ちゃんのからだのこと。
梨華ちゃんのあの柔らかいからだの感触を思いながら目を閉じる。
あの時の、さらに高くなった声を知らずに反芻している。

はぁ。
やっぱり、体の関係だけでも続けておけば良かった。
なんて、考えてる私は最低ですか?

かと言って今さらどの面下げて、そんなことが言えるかってもんだよね。

「ごめんなさい。せめて、体だけでも。」
言ったら、間違いなく命はないな・・・。

246 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時37分16秒
結局なにもできない私は、一人もんもんと夜を過ごすはめになる。

目を閉じれば梨華ちゃんのあられもない姿。

堪えきれないって顔で「よっすぃ・・・もう・・。」って切れ切れの声で懇願する。
「やらしーね。梨華ちゃん。」
そうささやくと、ますます泣きそうな顔して眉をハの字にする。

「恥ずかしいよ、よっすぃ・・・。」

「何言ってんの?梨華ちゃん。ほら、もっと・・・。」

そのうち、恥ずかしさよりも快楽の方が勝ってこぼれ出る喘ぎ声。

・・・・うあ〜〜〜〜〜!!!!!!

頭の中で梨華ちゃんが私を誘ってくる。
やばいって。
もうやばいって。

247 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時38分00秒
男の子が言う、『たまる』って感覚はこれのこと?
そっか、すげー。
あたし、今たまってるんだぁ。
ふ〜ん、こりゃつらいわ。
こりゃ、忍耐だわ。

なんて心の底からしょうもないことで感心してしまう。


神様。
出来るなら、夢の中であんなことやこんなこと。

吉澤ひとみ、17歳。
人肌が【すっっっごく】恋しいんです。

248 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時40分56秒
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最近楽屋で、圭ちゃんと二人でいる梨華ちゃんをよく見るようになった。

梨華ちゃんは圭ちゃんをからかうように、
「ケメピョン、ケメピョン」ってまとわりついてる。
しょうがないわねって、圭ちゃんも格好だけでも怒った顔する。
何だか楽しそう。

梨華ちゃんが圭ちゃんに甘えてるのがよく分かる。
以前のうちらもあんな風にみんなに映ったのかな。


窓から入る静かな風で、梨華ちゃんの髪の毛が小さく揺れた。
気の早いキャミソール姿の肩がつやつや光ってる。
さすが色黒さん。
こんなこと本人に言ったら、それこそ大目玉だけど。

249 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時42分10秒
不意にのどが渇いたような感覚になって、つばを飲み込んだ。

やばっ・・・。

あっぶねー、今あたし。
梨華ちゃんの胸元に、くらくらしちゃったよ。

いや、正直に言えば、むらむら、だけど。

ケモノかまったく。
いくら『たまって』るからって。

うぅ、でも・・・。
「うあ〜っ」って大声で叫びだしたい。

落ち着け、落ち着けってば。
よし、大きく深呼吸してみよう。

「んあ〜、よしこ、何してんの?」

やばっ、見られた。
ごっちん寝てたんじゃないの?

「えーと・・・精神統一?」

「統一?って聞かれても。」

よく分かんないって顔して、再びごっちんはテーブルにつっぷした。

250 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時42分57秒
一人ずつの撮影が終わって楽屋に戻ると、また梨華ちゃんと圭ちゃんが話してた。
二人で、楽しそうに。

「保田さ〜ん。いじわる言わないで下さいよぉ。」

例の甘〜い声が耳に残る。
あやすように圭ちゃんが梨華ちゃんの頭をぽんぽんと撫でた。

なんでか見ていられなくて、視線をそらした。

やっぱりむらむらする。
うんでも、今回はむらむらって言うか、もやもや?

もう、『むらむら』でも『もやもや』でも何でもいい。
圭ちゃんが梨華ちゃんの頭を撫でたことが、妙に気にかかる。

251 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時43分35秒
・・・・私が、そうしたい。
梨華ちゃんのその髪に指を滑らしたい。
梨華ちゃんのお寒い言葉をからかいながら、
「もう、よっすぃのいじわる。」って、
あのアニメ声でまた言ってもらいたい。

はぁ。
でも、それはもう無理なこと。
恋人ごっこを重荷に感じたのは私の方だから。

こんなに側にいるのに。
手を伸ばせば、その髪だけでなく、頬も唇にも
手が届くのに。

もう、私には許されていないんだ。

252 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時44分17秒
今までにない感情が、急にどっと湧いてきてとまどった。

なんだ?
なんなんだこれ?
どうしちゃったの、私?

胸が苦しい。
息するのさえ、つらい。
梨華ちゃん。
圭ちゃんから離れて・・・。

253 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時45分33秒
「・・・しこ、よしこってば。」

ごっちんに体を揺すられた。

「え・・・・、なになに?どした?」

「どした?じゃないよ。大丈夫かぁ?」

ん?心配そうな顔。

「へっ?大丈夫だけど?」

「なら、いいけどさ。」

--よしこ泣きそうな顔してたから。
ごっちんの声がぼんやり耳に入った。

254 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時46分44秒
「あのさぁ。」

再びごっちんの声。

「なんだいベイベー。」

今度は笑って答えられた。

「今日、やぐっつあんたちとご飯食べに行こって言ってんだけど、よしこも行こうよ。」

周りを見ると矢口さんとなっちさんがすでに支度を終えてこっちを見ていた。
その奥でまだ梨華ちゃんと圭ちゃんが楽しそうに笑っているのが見える。
梨華ちゃんが圭ちゃんの腕に自分の腕をからます。

「あ〜、う〜ん。ごめん、ちょっと今日はいいや。」

「ううー何だよー。最近付き合い悪いぞぉ。
今日はカオリも圭ちゃんも梨華ちゃんもみんなで行くのにー。」

梨華ちゃんと圭ちゃんも・・・?
そんな・・・とてもとても。
今あの二人を目の前に落ち着いて食事できる心境じゃないよ。

255 名前:中毒 投稿日:2002年07月17日(水)14時47分39秒
なんなんだよ、これ。
すっごいもやもやする。

心にぽっかりと深い穴があいた気がした。


梨華ちゃんと圭ちゃんの姿を見ていたくない。

256 名前:ユウ 投稿日:2002年07月17日(水)14時48分22秒
更新しました。
257 名前:ユウ 投稿日:2002年07月17日(水)14時52分16秒
ちょっと忙しくなってしまって次の更新まで間が空いてしまいそうなので
本日、大量更新です。

これ、不評っぽいですね?
感想なんぞいただければ、ありがたいです。

ま、すみませんが、もうしばらくお付き合いを。
258 名前:ユウ 投稿日:2002年07月17日(水)14時55分13秒
これをのせおわったら、次こそは矢口さんと中澤さん、いきます。

今日MUSIX見て、危うく矢口さんと某さんに
浮気しそうになりましたけど・・・。

やっぱり私は中澤さんと矢口さんが好きだなあとぽつり独り言。

ってことで。

ではまた。

259 名前:たむ 投稿日:2002年07月17日(水)18時58分03秒
ユウさんのやぐちゅー不足でロウソクの芯になってたのに
ユウさんのいしよしでもロウをつぎたせた。やばい(w

石川さんに対する自分の想いに気づいてるようで
気づいてない吉澤さんがスキです(w
260 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月17日(水)23時01分32秒
不評?
いやいや、息を詰めてどきどきしながら読んでおります。
昨日も仕事の隙を見ては更新チェックをしておりました。(w
次回楽しみにしています。
261 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月18日(木)02時17分48秒
不評なんて、とんでもないです
かなり、ハラハラしますよ(w
次の更新を楽しみに待ってます
262 名前:ten 投稿日:2002年07月18日(木)03時02分04秒
不評どころか、すごく楽しみにしてますよ。
吉が予想以上に梨華ちゃんにハマっていく感じに、激しく萌えますた。
続きをマターリとお待ちしてます。
263 名前:ユウ 投稿日:2002年07月22日(月)13時31分11秒
隙をついて更新。
264 名前:中毒 -Addicted to you 投稿日:2002年07月22日(月)13時32分17秒
きーもーちーいーーーー。

思わずそう叫びたくなるほど天気がいい。

4月の空はいつもちょっとくすみがかってるのに、
今日はまるで台風の後のようなきれいな青空だった。

ん、う〜ん。

思いっきり伸びをする。
ついでに首なんかもぽきぽきならして。

こんな風に太陽の下にいれば、自分のどろどろとした
感情に巻き込まれることもないから。

久しぶりに穏やかな気持ちになりながら、
一人テラスでぼうっとしていた。

265 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時33分25秒
そらーはすーみーあおぞらー、ってか。

つい鼻歌なんかも出ちゃうぐらいに、ご機嫌。

そう、ようは簡単なことなんだ。
梨華ちゃんと圭ちゃんの姿を見なけりゃいいんだ。

仕事中だったら、あの二人だってじゃれついてないし。

もやもやしてた原因はって?
そんなこたぁ、知らないよ。

暖かい陽気と優しい風が、難しいこと考えんなって
私にそう言ってる。

266 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時34分27秒
は〜ここまぢで気持ちいいわ。
ごっちんと今度昼寝でもするかな。

大きなあくびが一つ。
なんだかホントに眠たくなってきた。


あっ飛行機雲みーっけ。




267 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時35分46秒
「風、気持ちいいね。」

背後から聞こえた、たった一言が私を現実の世界に引き戻した。

こんな声出す人物は、一人しかいない。

ゆるみきってた全身がかっちーんって音を立てて固まった。

ふわって髪の毛を揺らしながら、梨華ちゃんは私の横に並んだ。
その動きがあまりにも自然だったから、今までぎこちなかったのは夢?
なんて一瞬思ってしまったほど。

「あっ、ああ、そだね。」

んなわけないっか。
思い直して、そして今さらながらの遅い返事を返す。

梨華ちゃんはなんにも聞こえてないような顔で、手摺りに頬杖をついた。

268 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時37分05秒
こんなに近付いたのは、仕事以外では久しぶりだった。

・・・・・・・・・・。

沈黙が、続く。

どうしよう。

緊張してる、なんて絶対に思われたくない。

ねえ奥さん?
だって『ただの』同期が横にいるだけなんですよ。
どうしてそれが緊張する?


でもこの間。

・・・・・・・・つらい。


269 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時38分09秒
何かを話すか、じゃなかったら今すぐこの場から逃げ出したい。

それなのに口ばかりか私の体はぴくりとも動かない。

なんかいや〜な汗かいてきた。
さっきの眠気も秒殺された。


どうする?

どうする?

さあ、どうする?

・・・・おなか痛くなりそう。


270 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時41分12秒
はぁ〜。

気付かれないように細く息を吐いたら梨華ちゃんの声が聞こえた。

「も、楽になりたいよ・・・・。」

小さな声小さな声。

へっ?

「はい?」

梨華ちゃんの方を向いた私は相当まぬけな顔をしていたと思う。

だってさっぱり訳が分からない。
一体、なにが、どう、楽になりたいの?


梨華ちゃんはやっぱりなんにも聞こえてないような顔で、
自分の時計にちらっと視線を落として「もう時間だよ。」
って背を向けて行ってしまった。

271 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時43分07秒


はぁ?

急激に体全体の力が抜けていくのを感じる。

ずるずるずるずる・・・ぺったん。

手摺りに背を預けて、タイルの上におしりをついた。



なんだ?

なんだったんだ今の?

日常ではありえないくらいの緊張感だったぞ。
生で新曲を初めて歌う以上に緊張した。


272 名前:中毒 投稿日:2002年07月22日(月)13時43分46秒
楽になりたいって・・・?

梨華ちゃん、そいつは私の台詞だよ。


風が頬を撫でていく。
それなのに、もう私のもやもやを吹き飛ばしてくれなかった。

273 名前:ユウ 投稿日:2002年07月22日(月)13時50分12秒
短いですが更新しました。
274 名前:ユウ 投稿日:2002年07月22日(月)13時52分06秒
レスありがとうございます。
じつはとってもほっとしています。
中澤さんに負けず劣らず小心者ですので。

>>259 たむさん
名前、かわいいですね。
中澤さんと矢口さん。書いてる私も不足気味だったので、細かいところでちらちら入れました。
今回は体が先行しちゃうとどうなんだろう?って思いながら書いております。
特にあの辺は『たまり』やすい年頃ですから・・・。(おい)

>>260 名無し読者さん
呼吸してください。
いえ、ウソです。その言葉に喜んでおります。
ホントはじゃんじゃん更新できるはずだったんですが、間が空いてすみません。
ぼちぼち頑張ります。

275 名前:ユウ 投稿日:2002年07月22日(月)13時52分40秒
>>261 やぐちゅー中毒者セーラムさん
ハラハラ、ですか?
あまり言われ慣れてないので、嬉しいです。
楽しみにしているって言葉が更新の原動力です。

>>262 tenさん
不評どころか・・・。そう言ってもらってモニタの前で小躍りしました。
吉澤さんには、ムラムラモヤモヤした後は思う存分『メロメロ』になって
もらいたいんですが、ね。

276 名前:ユウ 投稿日:2002年07月22日(月)13時55分15秒
少なくてすみません・・・。
なにも進展ないし。

今日の夜にもう一度更新できればしたいと思います。
私も出来ればじゃんじゃんのせてしまいたいので。

出来なかったら、次は水曜ですかね。

ではまた。

277 名前:ten 投稿日:2002年07月22日(月)19時20分34秒
やった!更新されてる〜
気持ちのいい外の風景とは対照的な、ものすごい緊張感に
読みながらドキドキでした。
梨華ちゃんの真意は???
278 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月22日(月)23時48分03秒
梨華ちゃん中毒の吉サイコーです。
見ないように見ないようにってするほど見てしまう罠・・・
青春っていいね〜
279 名前:ユウ 投稿日:2002年07月23日(火)19時45分29秒
ほんの一瞬の隙をついて、今日も更新。
280 名前:中毒 -Addicted to you 投稿日:2002年07月23日(火)19時47分02秒
今日はハロモニの収録日。

相変わらずもやもやした気持ちを抱えたまんま、スタジオに着いた。

イスに座りだらしなく両足を放り出す。
あの気持ちのいいテラスに行く気にもならない。

せっかく二人を見ないで済む場所を見つけたのに・・・。
梨華ちゃん、私に恨みでもあるのかよ。

冷静に考えれば恨みだらけだろうと思われるが、
今は自分のことは棚の奥底の方に上げたい気分だった。

大体さ、言いたいことがあればはっきり言えっつーの・・・。

これもまた、自分のことを棚に上げてるのは薄々気付いたけど、
もちろん深くは考えない。

考えたら自分にとって不利になるって、動物的勘が信号を送ってくるから。


俯いて雑誌に目を落とす。
大して真剣に見ているわけではなくぱらぱらとただページをめくるだけ。

それでも二人が視界に入るよりはましだった。

281 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時48分00秒
それなのに、俯いてなにも見ないようにしてるのに
周りの声をやぶって二人の話し声が耳に届いてくる。


--昨日見たビデオさ・・・・・。

--あっ見ました?あれ面白かったでしょ?

--っていうか、あんたが全部ストーリー先に・・・。

--だってぇ、保田さんだってこの前・・・。

耳に残る楽しそうな笑い声。


282 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時48分56秒
うっさいなあもう。

大体そのビデオって最初私が梨華ちゃんに教えてあげたやつじゃん。
『絶対に犯人言わないでよね、よっすぃ。』
自分で当てるからって、最後まで見当はずれな人を犯人だと
決めつけて得意になってたくせに。
見終わってから、えっどうして?なんて言いながら
結局何度も巻き戻しながら私の説明付きで見たくせに。
あげくに怖いから泊まっていってって私を引き留めたくせに。

くせに。
くせに。

くせにぃぃぃぃ。


・・・・・いらいらする。

この間の『楽になりたい』と言い、なんだっつーんだよもう。

楽になりたいのは私の方だってんだ。

283 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時49分56秒
いらいらするこの気持ちを誰かに聞いてもらいたくて、顔を上げた。
こうゆう時頼りになるのは、そう矢口さん。

今までも落ち込んだり、悩みがあったりするとそのちょっとした変化に
気付いてくれて「どした?」って話を聞いてくれてた。

でもその矢口さんは、一人思い詰めた顔してイスに座ってる。
とても、何かを相談できるような空気じゃなかった。


んじゃ、ごっちんは。

・・・いた。

楽屋のすみでご丁寧に自分のジャケットをかけて、丸まって寝ていた。
起こしてバカ話でもしたい気分だけど、ごっちんの眠りを妨げるのは
中澤さんとお酒を飲むよりおっかない。


284 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時51分44秒
いいなあ、何の悩みもなさそうで・・・と思いかけたところで、はっと思い出した。

『ごとーはね、けっこうしつこいんだよ。だから大丈夫。
全然へっちゃら。待つことぐらいどうってことないよ。』

そう言っていつものようにふにゃっと笑った彼女の顔を。

ごっちんの家に泊まった時、缶チューハイ一本で饒舌になった私たちは
修学旅行の夜のようにお互いの話をした。
自分を見てくれてない相手のことをからっとした表情で
それでいて意志の強そうな目で語ってくれた。

『いつか絶対、モノにするのだ!』
空になったチューハイを高々掲げて、ごっちんは笑ってた。

285 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時52分19秒
・・・・なんだよ、みんな。

恋だの愛だの。
私にはわかんねーよ。

置いてきぼりされたような気分になる。

楽になりたい?
わかんねーよもう。

まだ続く笑い声から逃れるように楽屋を抜け出した。

286 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時53分08秒
自販機で紅茶を買って、そのまま近くにあるソファに体を沈める。

--分かんないなら考えるな。私にはもう関係ないこと。
危険を感じた理性が考えることを放棄しようとする。

--じゃあどうして?どうしてこんなにもやもやするの?
それでもそれに逆らう強い力が心でぐるぐる回ってる。

本能の声が理性の声を段々と小さくさせていく。


そうなんだ。
頭を占めるのはたった一つのこと。

このもやもやした気持ち。

ずぅっと考えてる。

くらくらして

むらむらして

もやもやする

その理由。


287 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時53分44秒
私。
梨華ちゃんと・・・・・(自主規制)したい。

考えて考えてようやく出た結論がこれって言うのも情けない話だけど。
もうそれ以外に理由が考えられない。

やっぱり私には梨華ちゃんのからだが必要なの?

自分のものだとかいかぶってた人が他の誰かに取られそうになったから。
おもちゃを取られる子供のように惜しくなっただけかも、ってそうも思った。


それとも?

いや、でも。
この私が・・・?

まさか、ねえ・・・。

・・・・・・・・・・・・。

288 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時57分58秒
「どしたん、性少年?」

聞き覚えのある低い関西弁が聞こえて顔を上げた。

「あっ・・おはようございます・・・。」

目の前には腰に手を当てて、中澤さんがモデル立ちしてた。
それにしても『青少年』って、この人が言うと違うニュアンスに聞こえるのは
どうしてだろう?


「あんたの周り、ごっつい負のオーラが出てんで?うっわ〜うつさんといてな、それ。」

なにが楽しいのかにやにや笑いながら横に座ってくる。

負のオーラ?
失礼だなあ。
だったら離れて座って下さいよ。

もちろんそんなこと言えるわけないけど。

289 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)19時59分17秒
「なんや?失恋でもしたんか?」

負のオーラの次は、しつれん?

「いえ・・・。あの、そんな風に見えますかね?」

「う〜ん、せやなあ。少なくとも脳天気に体だけ求めてる奴の顔には見えんなぁ。」

!!

なんで?
私と梨華ちゃんのこと、知ってるの?

「ついでにゆうと、今の顔は何で知ってるんですか!って顔やね。」

ますます得意そうにそう続ける。

--あたしの情報網をなめたらあかんで?
そんなこと言いながら私の手から紅茶を奪って勝手に飲む。

「あまっ。なんやこれ?」

あげくに文句まで。

290 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時00分15秒
「梨華ちゃんとは、別になんでもないですよ。今はもう。」

何かを言われる前に先手を打つ。

「多分、中澤さんも知ってるだろうことは、
確かに、以前にありましたけど。
でも、もう・・・・・・。今は、な〜んも、ないです。」

「ふ〜ん。」

中澤さんは興味なさそうに相づちを打つ。
立ち上がって自分の分の飲み物を買ってる。

「ほな、何でそんな苦しそうな顔してるん?」

自販機の方を向いたまま、そう聞いてくる。

「う〜ん、何でですかね・・・。」

そう、苦しいんだ。
認めたくないけど、すっごく苦しい。
でもその理由が分からなくて、余計にいらいらする。


291 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時00分58秒
「なんでか・・・・苦しいんですよねぇ。」

苦しいって言葉に出してみたら、少しだけ楽になった。
誰かに話せば少しは楽になるって言うのは本当だ。
私は今、こんなにも聞いてもらいたがってる。

もうちょっと。
今喉元まで出かかってる、このもやもやとした気持ちの正体。

やっぱり?
まさか?
いやでも・・・。

さっきからぐるぐる回ってるこの気持ち。

292 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時03分29秒
今はもうたまにしか会う機会のない、この大人な女性に。
ちょっと怖いってまだ抵抗があったこの人に。

年長組の皆様には「へたれ」だ「小心者」だ「うちらより子供」だ
「セクハラ親父」だって言われているこの人に。
・・・言い過ぎ?


気付いたら、私はぽつりぽつり自分の気持ちを話してた。
始まりのホテルでの出来事から、この前自分でそれを終わらせてしまったことまで。

中澤さんはなんにも言わずにただ黙って聞いてくれる。

293 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時04分25秒


「で、色々考えたんですけど、やっぱり私。
梨華ちゃんのからだだけが・・・目当てなのかなって。」

夜になると、人肌恋しいし。
梨華ちゃんを見ると、むらむらするし。
圭ちゃんと話してる梨華ちゃんを見ると、もやもやしてくるし。
おまけに胸元見て、くらくらした。
これがマンガだったら鼻血の一つも出てるだろう。

・・・さかりのついた猫かってんだ。

「なんか『たまってる』って言うか、・・・したいんですよね。」

「なっ。」

それまで黙って聞いていた中澤さんがお茶にむせてる。

「・・・・あんたゆうなあ。」

中澤さんは、けほって小さく咳き込む。

それから私の方に体を向き直して、何かをたくらんでる顔。

294 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時05分03秒
「なぁ、そんなに人肌恋しいん?」

妖しい微笑みを浮かべながらそう聞いてくる。

「ええ・・・まぁ。」

夜な夜な、梨華ちゃんのからだを思い浮かべてるんだもん。
重症だよねえ?

「そしたらな。」

すっと、中澤さんの細い人差し指が私のあごに触れた。
そのままちょっと顔を上にあげられる。

へっ?

「あたしが相手したろか?」

誘惑するようにすっと目を細め、いつもより低い声でささやかれた。

295 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時05分37秒
!!!

言葉を失ってると、顔がどんどん近付いてくる。

うわっ、やばい。この状況はひっじょーにやばいっ。

やられる!!

「えっ、あの・・・・いや。・・・そ、いうんじゃなく・・・。えっと。・・・。
いやホント嬉しいんですけどでも・・・・。」

「すいませんっごめんなさいっ!!」

いやいや、ホント。
それは困りますって。
まーぢーで、困りますって。
そんな簡単に中澤さんと、ねえ?
あんなことやこんなこと・・・なんて。

296 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時06分30秒
中澤さんは俯いてしまい、その肩が小刻みに震えだす。

もしかして傷つけちゃった?
これでもやんわり断ったつもりなんだけど。

そっとその肩に手を置いた。

すみません、気持ちはありがたいんですけど。
でもやっぱり・・・・。

「中澤さんのことは、好きです。でもやっぱりそれはまずいと・・・。」

「くっくっくっくっくっく・・・・。」
ぱんぱんと肩を叩かれる。

297 名前:中毒 投稿日:2002年07月23日(火)20時07分02秒


「ふははははは・・・・はぁ〜おもろい。あんた、もうええ反応するなあ?」

・・・・笑ってやがる。

しかもご丁寧に涙まで浮かべて。

吉澤のこんな慌てた顔初めて見たってひーひー笑ってる。

なんなんだよ一体!?

一瞬でもどきっと反応した自分が恨めしい。

298 名前:ユウ 投稿日:2002年07月23日(火)20時07分54秒
更新しました。
299 名前:ユウ 投稿日:2002年07月23日(火)20時08分31秒
レスありがとうございます。

>>277 tenさん
あーゆー気まずい空気ってあったよなあと、懐かしくなりながら
あのシーンは書いてました。梨華ちゃんの真意はさていかに。

>>278 名無し読者さん
中毒。まさにそう思ってつけたタイトルです。
腹が立つくらいなら見なければいいのに。
青春ってよいですな〜。

300 名前:ユウ 投稿日:2002年07月23日(火)20時11分23秒
この後、矢口さんから聞く不幸な知らせも知らずに
中澤さんは呑気に相談なんぞ受けてます。

ゴールが見えてきました。
残すはあと2回か3回。
頑張りまっす。

吉澤さん、もうじたばたしないで。

ではまた。


301 名前:皐月 投稿日:2002年07月23日(火)20時35分56秒
吉澤どうするんでしょうね・・・・。
つーか中澤さんやりすぎですよ。てゆーかおもしろすぎ!!!
作者さんがんばって!
302 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月24日(水)02時53分16秒
中澤さんのいたずらっぽい微笑みスキです(w
303 名前:ユウ 投稿日:2002年07月24日(水)16時21分31秒
じゃんじゃんいきます。
304 名前:ユウ 投稿日:2002年07月24日(水)16時25分23秒
ひとしきり笑い終わった後、涙を拭って中澤さんは話し出した。

「あんなぁ、迷路あるやろ?紙に書かれた。鉛筆でつーっとゴールまで辿ってくやつ。」

はっ?
今度はなに?
この人は急に何を言い出すんだろう。

「あっ、はい。」

「あれな、あたし小さい頃好きでな。時間も忘れてよう熱中しとったんや。
そしたらおかぁさんがな、『あんた、それゴールからやったら簡単やで。』って
教えてくれてな。そん時あたし、ああそうか。おかぁさんはやっぱかしこいなあ。
ってめっちゃ感心したんやけど。あれ、今よう考えるとちゃうやんな?
ゴールからやったって、スタートからやったって、道のりは一緒やねんから。
どっちからスタートしたって、結局は変わらんよな?」

中澤さんは迷路を辿るように空中で指を動かす。

305 名前:中毒 -Addicted to you 投稿日:2002年07月24日(水)16時26分30秒
「はあ・・・・。」

まあそうだけど。
私の話と一体何が・・・?
急に飯田さんのようになってしまった中澤さんを見つめる。

分からんか?って顔して中澤さんはにやっと笑う。

「あんたはな戸惑ってるだけやって。体が先に手に入ったからやろ?
いきなりゴール地点やもんなぁ。まぁ、普通でゆうたら順番逆やん?」

あたしも若い頃はそら・・・。
なんて余計なことを言いかけて、うぅんって咳払いしてる。

「まあ。だからおかしいとか、これは恋じゃないとか。
自分の気持ち、押さえつけたらあかん。
体から始まる恋、かてあるやろ?
体が先か、心が先か。
あんたのはたまたま体が先になっただけや。」

306 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時27分54秒
--体から始まる、恋。

恋が、始まってる?
人生じゃなくて?
私は、梨華ちゃんに・・・?

「ええやんか。ゴールから始まったって。
一つやないやろ?恋愛の形は。」

さっきの笑い声がウソのように、ゆっくりと言葉が続いてく。

「いい加減、自分の気持ち認めたり?
目先の欲望に囚われないでよう考えて。
どうして自分がそうしたいのか?
ホンマはあんたかて分かってるはずやで?」

307 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時28分58秒
自分の気持ち。

くらくらして

むらむらして

もやもやする

この気持ち。

私は梨華ちゃんが・・・。


「----しゃーないやん。好きなんやから。」

最後の一言は何だか自分に言い聞かせてるように中澤さんはつぶやいた。

308 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時30分15秒
そう、やっぱり私は。
「梨華ちゃんを・・・抱きたいん・・ですよね。」

ぽつりと言葉が出てくる。

他の誰かじゃなく、梨華ちゃんを。

中澤さんが小さく笑う。

「ははっ、ええなあストレートで。」

くしゃっと頭を撫でられた。
あっこれすごい久しぶりだ。

「そやけどな、気付いてまうと今度はますます大変なんやで?
ま、でも男らしく腹くくり?あんたはもうゴールから進み出てんから。」

ちょっとひっかかる言葉もあったけど、
その通りかもしれないって素直にそう思った。
私はとっくに進み出してしまっている。
最初の一歩を。

309 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時31分22秒
「それにな。」

中澤さんはちょっと真剣な顔になる。

「心に到達するのが、ホンマのゴールかもしれんで?」

言ってから器用に片眉だけちょっと上げる。

「こころ・・・ですか?」

「そや。」

「まあ、それにゴールしたって、次から次へと新しい迷路は出てくるねやけどな。
やっかいやねん、これがまた。」

言いながらちょっと苦しそうな顔をする中澤さん。
恋する人特有の、切なくてきれいな横顔。
さっきの矢口さんとおんなじ表情だ。

「でもだから、おもしろいんやろな。
一回ゴールしてゲームオーバーなんて恋、つまらんもんな?」

中澤さん。
今、誰のこと思いながら話してるのか私にだって分かりますよ。

310 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時32分47秒
「中澤さんは。」

「ん?」

「もう、ゴールしたんですか?」

矢口さんの心には。

あんなに凹んじゃってる矢口さんを見る分じゃ、まだだろうけど。

「はぁ〜っ。そんなん聞いたらあかん。・・・っておい、あんた誰のことゆってんの?」

そんな急に慌てなくても。
気付いてないのかな。
みんなに中澤さんの気持ちなんてばれてますよ?
気付いてないのは、矢口さん本人くらいじゃないのかな。

「あ、あたしのことはええねん。」

ちっちゃくなってぶつぶつ言いながら、お茶をすすってる。

311 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時33分52秒
おっ。
圭ちゃんが言ってたのはこのことか。
ちょっと嬉しい。こんなへたれなところが見れるなんて。

いじめたくなる。
矢口さん。いつもいじめてる気持ち、ちょっと分かりました。

「まあ、頑張って下さいよ。得意なんですよね?迷路。」

「んん〜。あんたに言われたぁないわ。もうなんやの。せっかく慰めたったのに。」

あっち行き。って笑いながら手でしっしって追い払われる。

312 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時34分42秒
私も笑って立ち上がった。
放っておくと今度は自分が物思いに沈みそうな中澤さんに最後に一言。

「中澤さん。」

「なんや?」

「やっぱり飲み物の趣味も似てくるんですね。」

持ってるお茶の缶を一瞬見つめて、私を見上げた中澤さんは苦笑していた。
その顔を確かめてから、大げさにぺこりとお辞儀をした。

「ありがとうございましたー。」

中澤さんは肩を軽くすくめてた。

313 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時35分38秒
中澤さんほどの大人の女性でも(失礼?)あんなにじたばたしてるんなら。
まだほんの小娘の私がじたばたもがいたって不思議じゃないはず。


目の前に迷路があったら、抜けたくなる?
それとも、逃げたくなる?
負けず嫌いじゃなかったらこの世界じゃやっていけない。
その迷路に、挑んでやろうじゃないの。

梨華ちゃんを攻略してやろうじゃないの。


スタート地点、からだ。
目指すはゴールのこころまで。

一度は手にしてたはずの、梨華ちゃんのこころまで。


からだには、からだで攻略したんだから。
じゃあ、こころには?

314 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時36分21秒
楽屋までの道のり。
ちょっと来るときよりは足取りも軽くなってる。


そっかそっか。

やっぱりそうか。
もしかしたらとは思ったけどさ。

やっぱりそうだった。

認めたらこんなにすっきりした。

315 名前:中毒 投稿日:2002年07月24日(水)16時37分21秒
梨華ちゃんのからだが欲しくてたまらないって思ったのは。
胸元を見ただけで、むらむらどうしようもなくなったのは。

人肌が恋しかったからじゃない。
だってただの一度だって、他の誰かのからだを欲しいなんて思わなかった。




----梨華ちゃん、好きだよ。

316 名前:ユウ 投稿日:2002年07月24日(水)16時38分34秒

更新しました。
ちなみに中澤さんの『迷路云々』の話は某アーティストが言ってたのを
ちょっと拝借しました。
確か元は恋愛には全然関係のない話だったんですけどね。
317 名前:ユウ 投稿日:2002年07月24日(水)16時39分14秒
レス、どうもです。

>>301 皐月さん
吉澤さんようやく腹くくりました。
皐月さん、たくさん書いてるんですね。同時進行なんて器用なこと出来ない私には
ただただ尊敬です。頑張って下さい。楽しみにしています。

>>302  名無し読者さん
中澤さんの場合、吉澤さんの気持ちを気付かすためにやっているのか、
はたまた単に自分がそうしたかったからなのか、微妙なところですが・・・。
前者だと思いたい。

318 名前:ユウ 投稿日:2002年07月24日(水)16時41分57秒
ラスト1回かな?
頑張ります。

ではまた。
319 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)18時22分47秒
ようやく吉澤さんが気づきましたね。
やっぱ石川さんにもハァッピィ〜になってもらわないと!

自分の気持ちに蓋をしながらも
吉澤さんの背中を押してあげる中澤さんがス・テ・キ(w
320 名前:オガマー 投稿日:2002年07月24日(水)21時26分00秒
初レスです。
アーティストさんの言葉だったのですねぇ。
感動しました。
次がラストかな?楽しみにしていますw
321 名前:ナナシー 投稿日:2002年07月24日(水)23時25分50秒
昨夜一気に追いつきました…

私の娘。小説にのめりこんだキッカケはやぐちゅーでした。
今はいしよしも好きなんですが。
甘々やぐちゅー堪能しました。夢に見ちゃうぐらい(w

結論:ユウさん最高。がんがってください!
322 名前:らん 投稿日:2002年07月25日(木)00時44分38秒
いつもながら、哲学的なお話の中、説得力のある構成ですね。

私は、「ユウさん」の文章を、時々、自分に当てはめてみたりします。
そして反省したり、苦笑いしたり、時には勇気付けられたり・・・。
「やぐちゅー」での楽しみのほかに、身近な人生行路的な役割もあります。

なんだか、痒いところに手が届くというのか、
(言葉が上手く見つけられないので、失礼にあたったならごめんなさい)
自分では表現できないことを、無駄のない、そして必要以上に難しい言葉を
使わないでスマートに伝えてくれるのが、いつも感心と感謝です。

本当に「ユウさん」大好きです。
私の好きな作家さんの、ベスト2の中のお一人です。

この小説はもうすぐ終わりらしいですが、これからもいい作品を読ませてください。
よろしくお願いします。




323 名前:ユウ 投稿日:2002年07月29日(月)13時59分06秒
ラストまで一気に大量更新
324 名前:中毒 -Addicted to you 投稿日:2002年07月29日(月)14時00分41秒
仕事が終わって、今私は梨華ちゃんの部屋にいる。

ちょっと散らかってるけど、適当に座ってって
梨華ちゃんは散乱していた雑誌を慌てて床に山積みにし
座れるスペースを作ってくれる。

部屋の散らかり具合もちょっと漂うお香?芳香剤?みたいな香りも
この部屋に最後に来た2週間前からなんにも変わってないけれど。

その間にも二人の関係はこんなにも変わっていて。


ぎこちなく過ごした時間は私に梨華ちゃんへの想いに気付かせてくれた。
じゃあ、梨華ちゃんは?
私の気持ちが変わったように、この数日で梨華ちゃんの気持ちが変わっていっても
それは全然おかしいことじゃない。

だってあんなにひどい別れ方をした。
むしろ、変わってない方がおかしいのかもしれない。

325 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時17分08秒
「よっすぃ、話ってなぁに?」

梨華ちゃんが紅茶を入れて、私の前におく。

ほら、だからその証拠に。

梨華ちゃんは私から微妙に距離をとって座る。
今までだったら家の中でも腕を組んできたのに。


326 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時17分58秒
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「今日、行ってもいい?話があるんだ。」

中澤さんと話した後、すぐ梨華ちゃんを捕まえてそう言った。
細かい手回しが出来ない私は、こうやって直球で勝負するしかないから。

梨華ちゃんは助けを求めるようにきょろきょろ視線をさまよわせる。
その視線の先には・・・。

圭ちゃん。

圭ちゃんが梨華ちゃんに黙って頷く。
その穏やかな圭ちゃんの顔を見たら、もう手遅れなのかもしれないって。
そう思った。

--梨華ちゃんを、取られる。
そんな、とてつもない大きな不安が襲ってきた。

決定的な言葉を聞くぐらいなら、いっそ話なんてしない方がいい。
自分から梨華ちゃんに『終わり』を告げた時には、あんなにあっさりと
言ってのけたのに。

私は本当に弱くてずるい人間だ。

ゆるゆると梨華ちゃんを掴んでいた手をほどいて
梨華ちゃんから離れようとしたそのとき、「うん。」って、
ただ小さく頷く梨華ちゃんが見えた。

327 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時18分32秒
「あの・・・、元気だった?」

沈黙が怖くて、どうでもいいことを口に出してしまう。
ホントこの期に及んでなに聞いてんだ。
毎日仕事で会ってたじゃん。

「元気そうに見えた?」

梨華ちゃんがこわばった口調でそう言う。
少し怒ってるみたい。

「あっ、うん。そうだよね。うん。」

私は訳もなく、ただ頷く。
気まずくて紅茶に口をつける。

はぁ〜。
沈黙の中、梨華ちゃんのため息が聞こえた。

328 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時19分13秒
「最近さ、・・・圭ちゃんと、仲いいよね?」

一番聞きたくて、でも一番聞きたくないことを自分から切り出してしまった。
以前の私だったら「よっすぃ、ごっちんと仲良すぎじゃない?」って
聞かれることが何よりイヤだったのに。
今、私はおんなじことしている。

はぁ。
完璧、自爆モード。

「そう?前からだけど。・・・でもそれがなに?よっすぃに何か関係あるの?」

梨華ちゃんは相変わらず怒ったような口調。

「いや、別に・・・ないけど・・・。」

今になって分かることがたくさんある。
梨華ちゃんが私にどんな気持ちでごっちんとのことを聞いたのか。
矢口さんばかり心配している私が、梨華ちゃんの目にはどう映ったのか。


こんなに苦しいなんて、知らなかった。

329 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時19分56秒
なんて言えばいい?
あの話を今さらなかったことに?
やっぱり私は梨華ちゃんが好きでしたって?

「この前の、話だけど・・・。」

とりあえず口に出したものの、何て続けていいか分からない。

「あぁそうだっ。よっすぃの荷物ね?」

梨華ちゃんは私が言葉につまってる間に立ち上がってそう言う。

「えっ、ちがっ。」

「すぐまとめるから。今日持って帰るの?」

「違うって。」

梨華ちゃん、話を聞いてよ。

「けっこうあるから、大きい紙袋一つで足りるかなあ。」

「違うってだから。」

だから、私は・・・。

「でも、よっすぃ、力あるから大丈夫だよね?」

梨華ちゃん、意地でも聞かない気?

330 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時20分32秒
「だから、聞いてってば!」

立ち上がってる梨華ちゃんの腕を引っ張って無理矢理座らそうとした。

きゃっ。

態勢をくずして、梨華ちゃんが私の胸の中に倒れてくる。

「なにすんのぉ・・・。」

キッときつい目で私を睨み付ける。
怒ったり困ったりするとハの字になる眉。
睨み付けてた視線をふとそらして梨華ちゃんがつぶやく。

「いやだよ・・・もう。気まぐれとか、寂しいからとか、そんなんじゃ・・・・んっ。」

卑怯だと思ったけど。
でも。

私は梨華ちゃんの口をふさいでた。
自分の口で。

逃げ回る梨華ちゃんの舌を追いかけた。
甘い痛みが駆けめぐる。
もう少し・・・。

331 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時21分20秒
「や、だっ。」

梨華ちゃんに突き飛ばされる。

「梨華ちゃん・・・。」

「なんでぇ?なんなの?よっすぃ。」

梨華ちゃんの目には今にもこぼれ落ちそうな涙がたまってた。

「もうやめようって言ったり。急にキスしたり。
もう分かんないよ。ふざけてるんならやめてよ。
・・・・もう、やだよ。・・・私は楽になりたいのに。」

楽になりたい・・・。

梨華ちゃん、私も楽になりたいんだよ。
だからお願い。
お願いだから・・・。

332 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時21分57秒
梨華ちゃんは涙を我慢するように、下唇をかみしめて睨み付けてくる。

「よっすぃ・・・私のことどう思ってるの?」

とてもとても苦しそうな顔でそう聞いてくる梨華ちゃん。

好きだよ。
大好き。
最初はからだだけかと思ったけど。
でも、今は・・・。

都合のいいこの自分の気持ちをなんて伝えればいいんだろう。
今さら受け入れてもらえるだろうか。
言葉に一瞬つまってしまった。

梨華ちゃんはそんな私を見て、すっと立ち上がって離れようとする。
慌てて立ち上がり、梨華ちゃんの腕を掴んだ。
このまま、梨華ちゃんを失うなんて。
そんなのいやだ。

333 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時22分33秒
「やっ。やだってば、離して。」

梨華ちゃんに振りほどかれてバランスを崩した私は
床にしりもちをついてしまう。
倒れた拍子にぶつかった、不安定に重ねられた雑誌の山がどさどさと崩れる。
リビングに広がるたくさんの雑誌。

「やだっ」
きゃっとも悲鳴ともつかない声を上げて梨華ちゃんは散乱した雑誌たちにかけよる。

「あっごめっ。」
梨華ちゃんが必死になって片付けようとしている雑誌の一冊を手に取った。

334 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時23分05秒
ん?

anan『あなたの恋、こうすればうまくいく』

ん?ん?

SAY『カレの心をギュッとつかむ恋愛レッスン』

ん?ん?ん?

美輪明宏『愛の話 幸福の話』

ん?ん?ん?ん?

『うまくいかない恋の処方箋』

『別れた彼を取り戻すには』

『倦怠期の二人に』

『いい恋をする女・ダメな恋をする女』

『最後に笑うのはこんなタイプ!!』

335 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時23分47秒
ありとあらゆる雑誌や恋愛ハウツー本らしきものが出てくる。
やめてーって私が見ていく雑誌を必死になって片っ端から奪っていく梨華ちゃん。

これって・・・。

梨華ちゃん、この短期間にどうやってこんなに集めたんだろう、とか
popyeの「彼女と初H特集」は関係ないんじゃないだろうか、とか。
疑問は色々浮かんだけど。

はっ。ははっ。

体からへなへなと力が抜けていく。

梨華ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまっている。
もう私から雑誌を奪う気力も残ってなさそう。

「これって・・・。」

「・・・・見つかっちゃった。」
私の言葉にかぶるように梨華ちゃんがつぶやく。

336 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時24分21秒
「梨華ちゃん?」

「そうだよ。・・・ぜーんぶ、よっすぃを取り戻すためのもの。」
はあ、とため息ひとつ。
怒ってるんだか泣きそうなんだか分からないような口調でそう言う。

・・・・よかった。
よかったよぉ。

ん、・・・あれ?

ぼんやりと梨華ちゃんの姿がゆらゆら揺れる。
そんな中、梨華ちゃんの顔がびっくりした表情に変わっていく。

「えっちょっとよっすぃ?やだ。どうしたの?泣かないで。」

「へっ?あっ・・・、はは。なんかほっとしたら・・・。」

必死になってその雑誌を読んでる梨華ちゃんの姿を頭に描いたら
嬉しさと申し訳なさが混ぜ合わさって、ぼろぼろぼろぼろ涙が出てくる。

337 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時24分55秒
「ごめっ。梨華ちゃ・・・・ごめんね・・。」

梨華ちゃんはおろおろと指先で私の涙を拭く。
近付いてきた梨華ちゃんの体にぎゅってしがみついた。

梨華ちゃんはびくっとして最初ちょっと抵抗したけど、
それでも構わずに抱きついてたらすぐに諦めてくれた。

梨華ちゃんの感触に心が、ゆっくりと満たされていく。
香水のにおいが、ひどく懐かしく感じた。

ふぅ〜。

安心したと同時に堰を切ったように、涙がどんどん出てくる。

338 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時25分56秒
うっ・・・うわぁぁぁぁ〜〜〜ん。

梨華ちゃんがますますびっくりした顔で私を覗き込むけど、
子供のように、その胸の中でわんわん泣いた。
流れてくる涙の量が、こんなにも梨華ちゃんに触れたかったんだってことを
私に思い知らせる。


梨華ちゃんの手がいつしか私の背中に回されて、優しくさすってくれる。

言わないと。
今すぐ、伝えないと。

「あの・・。ウッ・・・り"が・・ぢゃんが・・ヒッ・・・。」

胸がしゃくり上げて、うまく言葉にならない。

「やっぱり・・・ズズッ、・・すっ・すき・・なん・・。」


私の初めての告白は鼻水すすりながらで、かなり格好悪いものだった。

339 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時26分48秒
落ち着くように梨華ちゃんはずぅっと背中を撫でてくれる。
その手が気持ちよくて、梨華ちゃんのからだの感触がとても
安心できて、また涙が出そうになったのをぐっとこらえた。

「わた・・し・・りかちゃ・・の・かっからだ・・・すき・・なん・・けど。
でも・・・ヒック・・・りかちゃんも・・・すごっ・・すき。」

胸にしゃっくりみたいな変な癖がついて、うまく話せない。
背中を撫でる手が、とんとんって優しく叩いてくれるものに変わってく。

耳元で、ふぅって息を吐く気配がした。

「・・・やぁっと、言ってくれた。」

梨華ちゃんは私の顔をのぞきこみながら、そう言った。
久しぶりに見た柔らかい微笑み。

340 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時27分28秒
「保田さんにね、ヨシザワが自分の気持ちに気付くまで
あんたは何もしない方がいいって言われてたんだ。」

「ふぇ?」
圭ちゃんが?

情けないその私の表情に「かわい、よっすぃ。」って梨華ちゃんが笑う。

今日の私、梨華ちゃんにもってかれてる。

もしかして、あの雑誌も圭ちゃんから・・・?
涙でぼろぼろの顔のまま無言で雑誌を指さしたら、うん、それもって梨華ちゃんが頷いた。

圭ちゃん、美輪明宏って・・・。

341 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時28分02秒
「でも、それだけで何も言わなかったわけじゃないよ?
私もずぅっと不安だったんだから・・・。
よっすぃって、きっと私のからだだけが目当てなんだろうなって。」

なにげにさらっとすごいこと言ってる梨華ちゃん。

でもすごいです。
それ図星です。

「図星、でしょ?」

鬼の首を取ったように梨華ちゃんは得意気。

すげー、女ってすげー。
同じ生き物とは思えないくらいの勘の良さ。

「だから、私も賭けに出たんだ。」

「か・け?」

「そっ。」

梨華ちゃんは人差し指をぴんと立てる。

342 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時29分21秒
「これで、よっすぃが何にも言ってこなかったら、その時はホントに
よっすぃのことを忘れようって。・・・・つらかったよ?私だって。」

「でも、私はよっすぃが好きだから、大好きだから。
信じたかった。体だけじゃないって、そう思いたかった。」

「だから、この2週間。意地でも頑張ってこれたんだ。」

それに雑誌にも、たまには引いてみることが大切って書いてあったし・・・。
梨華ちゃんはごにょごにょとそう続ける。

はは。
梨華ちゃんすごいよ、それ見事大成功。
私はそんな梨華ちゃんの態度が気になってしょうがなかったもん。
さすが、マガジンハウス。
さすが、保田大明神。

でも。
「んじゃ、この前は?あのテラスでは?」

「う〜ん。あれは・・・・私が我慢出来なくなっちゃったから。」
梨華ちゃんが視線を落とす。

343 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時29分57秒
「どうしてもよっすぃに近付きたかったの。」
その時のことを思い出してるのか苦しそうに眉間を寄せる。

そっか。
梨華ちゃんもつらかったんだ。
だからあの時、わざわざ他に誰もいないときに。

「ごめ・・・。」

もう一度謝ろうとする私の唇を、梨華ちゃんは立てた人差し指でふさいだ。

「もういいよ。しゃべってたら、キスできないもん。」

そう言って、梨華ちゃんの長いまつげがゆっくりふせられた。

さっきのキスよりちょっとだけしょっぱかった。

344 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時30分31秒



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345 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時31分13秒
ベッドの中。

相変わらずの私たちは、明日も早いっていうのに。

・・・してしまった。

だって、ヨシザワ『たまって』たんだもん。
そう言ったら、梨華ちゃんは顔を真っ赤にして
「もう、ばか。」って、甘〜い声で私に言う。

ひゃあ、かわいっ。

でもさ、それにしてもさ。
「ちょっと圭ちゃんといちゃつきすぎじゃなかった?」

わざと怒った顔でそう言う。

「だってよっすぃ、保田さんと話してるといっつも気にしてくれるんだもん。
ちらちらってこっち見て。」

うあ、ばれてら。
でも梨華ちゃん。
知っててやるなんて、あーたもそ〜と〜いい性格してるよね?

346 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時31分51秒
「そしたら、それ見た保田さんが『まあ、あれなら時間の問題でしょ』って。」

手っ取り早く吉澤の前でキスでもしてみる?って言われて、返事にしぶってたら
なぜかよっすぃがいない場所で奪われたって梨華ちゃんは続ける。

ちっくしょー、ケメコめ。
確信犯じゃないか。
おぼえてろっ。

「んふ。でもこうしてまたよっすぃと一緒にいられる。」

梨華ちゃんが私の首筋にチュッとキスをする。

それで私もまあいいか、なんて思ってしまう。

我ながら、単純。

347 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時32分28秒
--たかが恋や愛、なんて思うけど。

いいじゃんいいじゃん。
悪くないじゃん。

人類史上、どんな流行り廃りがあったって、
『恋する気持ち』だけは廃れてこなかった理由、よく分かる。

どんなに痛い目にあっても、こんなに幸せなら、ねぇ?

348 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時33分07秒

吉澤ひとみ。17歳。

『恋する気持ち』ってのが分かって、一つ大人になりました。


349 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時33分38秒
「そだ。楽になった?」

腕の中の梨華ちゃんに聞く。

「う〜ん・・・ならない。」
ふるふると首をふる。

へっ?梨華ちゃんまだダメなの?

「だって、やっぱり苦しいもん。」

梨華ちゃんが私の胸元に指で円を描く。
そんないかにもな仕草さえ、かわいいって思っちゃうんだもんな。

やっぱり恋は盲目だ。

でもそう言う梨華ちゃんの気持ちが、今の私になら分かるから。

350 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時34分31秒
--好きすぎて、苦しい。


中澤さん。
早速新しい迷路が登場しちゃいましたよ。

逃げる気?
そんなつもりはもちろん、さらっさらありません。
迷路は結構はまりそうです。


梨華ちゃんを抱きしめる腕にぎゅっと力を入れた。

背中を撫でて、今確かにここにある梨華ちゃんの体の感触を楽しむ。
腕の中の梨華ちゃんもとろっとろの笑顔を浮かべてる。

351 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時35分05秒
その笑顔を見ていたら梨華ちゃんってすごい。って、そう思った。

実は、私なんかより何倍も強いのかもしれない。
腹をくくった梨華ちゃんは、私なんかじゃとてもたちうち出来ない。

やきもちやきで、頑張っていてもどこかピントがずれていて。
たった一言で場を寒くすることが出来るし、林家○ー子に負けず劣らずピンクが好きだし。

まだまだ、不可解な部分が多いけど。
(梨華ちゃんに言わせれば『よっすぃの方がよっぽど不可解』らしい)

でも、好き。
このからだに負けないくらい、甘〜いかわいさを持ってる彼女が。

大好き。

352 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時36分06秒
「好き?」

梨華ちゃんが腕の中で私を見上げてそう聞く。

「好き。」

満足そうに梨華ちゃんが笑う。

「どこが好き?」

おっと、お嬢ちゃん。
そんなの今の私には愚問ってもんでしょ?

353 名前:中毒 投稿日:2002年07月29日(月)14時37分12秒
梨華ちゃんの耳元に口をよせてささやく。

「か・ら・だ。」

梨華ちゃんが笑っておでこをぶつけてきた。

354 名前:ユウ 投稿日:2002年07月29日(月)14時38分07秒
はいはいはーい、終了です。
うわっ思ってたより長かった。50レスぐらいで終わらせる気でいたのに。

矢口さん中澤さんに続いて、吉澤さん石川さんと。
ベタ、好きです。
ハッピーエンドはもぉっと好きです。

女の子は恋してなんぼです。

355 名前:ユウ 投稿日:2002年07月29日(月)14時38分49秒
レス、多謝多謝です。

>>319 たむさん
多分これで石川さんもハァッピィ〜?でしょう、きっと。
私の中で中澤さんはあんまり人のことにしゃしゃり出るイメージは
なかったんですけど・・・。第三者視点で矢口さんに恋してる彼女を書きたくて、つい。


>>320 オガマーさん
初レス、どうもです。ええと、あの言葉は確かヒッキー宇多田さんが
『父親にゴールからやったら早いぞって言われたけど、どっちからでも一緒じゃん。』
(たしかこんな内容。超うろ覚え)ってなこと言ってたんですよ。
それを、これもらった!とこの話にあうように都合良くねじ曲げてしまいました。
でも感動していただけたとは。その言葉で私が感動です。ありがたいありがたい。

356 名前:ユウ 投稿日:2002年07月29日(月)14時39分21秒
>>321 ナナシーさん
おっこちらも初レス。どうもです。
一気にとは・・・。それはそれは、もう嬉しくて頭が上がりません。
血糖値あがりませんでしたか?大丈夫ですか?
夢でうなされないことを願ってます。
あんまりおだてないで下さいな。持ち上げられるのは得意な単純者なので。


>>322 らんさん
あわわわわわわ。えらいこっちゃ。モニタの前で正座して読みました。
哲学的とは、いやいや。お願いです。一刻も早く正気に戻って下さい。
そんなところからは最も遠い話です。ただの私の脳内妄想ですから。
でも今回の話が今までの中で一番自信がなかったものなので、そう言ってもらえると
嬉しいです。私もいつもいつもらんさんのレスに励まされております。
ホント毎回丁寧な感想が聞けて、書いて良かったなぁ、また書こうと気力をもらっています。
ベスト2から圏外へ落ちないように頑張りますので今後もよろしゅうに。

357 名前:ユウ 投稿日:2002年07月29日(月)14時40分20秒
で、次こそは中澤さん&矢口さん、いきます。
私も早くのせたくてうずうずしてました。

ではまた。
358 名前:オガマー 投稿日:2002年07月29日(月)16時50分55秒
いしよしほんとによかったです。
ごちです。
ジーンとしました。
359 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)18時20分20秒
多分ではなく完全に石川さんはハァッピィ〜になったハズ。
でも読んでる自分が一番ハァッピィ〜になったり(w

そして・・とうとうくるんですねぃ!
ユウさんのやぐちゅーが!!愛しすぎるやぐちゅーがっ!!
超〜嬉すぃ〜、めっちゃ楽しみに待ってま〜す!
360 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月29日(月)20時59分34秒
ぎゃ〜〜〜〜!!
面白すぎです!!
しかも、次はやぐちゅー!!
楽しみに待ってます〜〜〜〜〜〜!
思わず、初レスつけちゃいました。
361 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月30日(火)01時01分17秒
やぐちゅークルー!!
待ってました(w
吉澤さん&石川さんもハッピーになれてよかったです。
362 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月31日(水)10時10分51秒
やぐちゅーだー!
期待して、楽しみに待ってます(w
363 名前:ちぃ 投稿日:2002年07月31日(水)12時02分30秒
セリフのかぶりとか気にしんといてください。

気持ちを外に出すときの言葉はけっこう悩むところです。
慎重に選んだ言葉がかぶるのはたぶんいいたいことが一緒だからでしょう。

とりあえず矢口さんと中澤さんが仲良しだということで。

では楽しみにしてます。
364 名前:ユウ 投稿日:2002年08月05日(月)11時58分41秒
暑いですね。からだとけそうです。
こんなの書いて脳味噌はすでにとけてます。
さて、今回の更新はちょびっと前の話です。
また読んでいただけたらなと思います。

365 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時00分00秒
んっう〜ん。

ずっと座っていて凝り固まった体を大きく伸ばした。
ついでに背骨もぽきぽきならす。

よっしゃ。
今日も一日、終わったぞぉ〜〜〜。

時計の針が新しい一日を少し過ぎた頃、ようやく本日の仕事が終了。
慣れてきたとはいえ、生放送はやっぱりまだ緊張する。

なんだか体がちょっとだるい。
んー、疲れがたまってんのかぁ?

あー、のど痛っ。

お茶をごくごく流し込んだら、それはちょっと生ぬるくなっていた。

366 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時01分19秒
軽く来週の打ち合わせを終えたら、帰り支度。
鞄の中に放り込んだままの携帯の着信を調べた。


・・・・なし、か。

何だよ、裕ちゃん・・・・。
心の中で今一番会いたい人の名前をつぶやいた。


ここ最近はいつもよりも割と会えてる方。
すごく嬉しい。
すごく楽しい。
でも、余計。
会えない日が少しでも続くと途端に寂しくなる。

この前会ったのは4日前。
最後に電話で話したのは2日前。
前は2週間会えない時だって、ざらに会ったのに。
矢口、どんどん我慢がきかなくなってる。

367 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時02分34秒
今なにしてんだろ。
今日も話せなかったね。
忙しいのは分かってるんだけどさ。
せめて声だけでも聞きたいって思うのは矢口のわがままなのかな。

昨日から電話しても聞こえるのは無機質な留守電の案内の声ばかり。
結局メッセージも残さないまま、何度かそのまま切った。
かと思えば矢口の仕事中に裕ちゃんからの着信があったりして。
まったくタイミングが合わない。


別にさ、落ち込んでるってわけじゃないけど。
誰かに怒られたってわけじゃないけど。
それでも、こうして仕事が終わった後、
充足感より疲労感の方が強く残る時。

裕ちゃんに会いたくなる。
矢口を抱きしめてくれるあの甘い腕にただただ埋もれたくなる。

368 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時03分56秒
・・・2日も声を聞いてないよ。

たった2日なのに。
矢口の心は水をあげ忘れた花瓶の花のようにしょぼしょぼと枯れていく。

あーもーう、会いたいよー。
誰かオイラに水をくれー。
いや誰かじゃだめなんだ。
裕ちゃん。あなたよあなた。
どうしてメールの一つもくれないの。

胸の中の相手に一人ぼやいてもしょうがないので再び携帯を手にとった。
送信フォルダを見ると送信先はぎっしりと一人の名前。

369 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時05分17秒
いつもいつも。
矢口ばかり。
矢口ばかりが思っている気がするよ。
メール送るのも、電話かけるのも矢口からのが圧倒的に多いもん。

愛情の大きさを計るものさしなんてないかもしれないけど。
目に見えるやり方で愛を求めているのはいつも矢口の方。
裕ちゃんもたまには矢口が思うみたいに、会えなくて寂しいって思ってくれてるのかな。


うっダメだ。
こんな風に疲れてる時は、余計なこと考えちゃダメ。
一人で考えるとろくなことはないもんね。

--思いはきちんと、不満でも、愛情でも、相手に伝えよう。

これは裕ちゃんと二人でした約束。
お互いが忙しい身だからなおさら。
ためこむのは止めようと。

370 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時06分51秒
『矢口。会いたい時は我慢せんと会いたいってゆうてや?
たとえそれが無理でも、ゆうてくれな伝わらへんし。
それにな、そゆふうに思うてくれてるって思うと、力、出るやろ?
次会える時まで頑張ろって。』

この前会った時に帰り際に言われた言葉。

次の仕事に向かう裕ちゃんの服の裾をとっさに掴んでしまった。
裕ちゃんはマネージャーさんに、5分だけ待ってって言って、
そんな矢口を廊下の隅に引っ張っていった。

『矢口、寂しいん?』
単刀直入に言われると素直に頷けないのは矢口の悪い癖。
裕ちゃんはちょっと笑って、我慢せんとゆうてな?って。

寂しいよって素直に言えない矢口をあっさり包み込んでくれる言葉。
ゆってくれなあたしが寂しいやん?
笑いながらそう言ってくれたけど、矢口はすっごい嬉しかった。

371 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時08分01秒
こういうのを聞くと、やっぱり裕ちゃんは大人なんだなって思う。
照れくさかったり、言ったら負担になるかもって思ったり。
矢口がそんな風にごちゃごちゃ考えてること、裕ちゃんは全部分かってくれる。

だから矢口も大人にならなきゃって思うんだよ。
少しでも裕ちゃんの負担を減らせるようにさ。


今日はもう遅いし、明日にするか・・・。

諦めて携帯をしまおうとしたら、手の中で震え出した。

裕ちゃん!!

ディスプレイには今まさに想っていた人の名前。

372 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時09分17秒
「はいぃっもしもしぃっ。」

「うわっなんやのん、あんた。うっさいなあ。」

言いながら話口でころころと転がる裕ちゃんの笑い声。
だって、嬉しかったんだもん。

「あー今な、仕事終わったぁ。」

「うん矢口も今だよ。」

「うん、だと思って電話してみた。お疲れさんやな、矢口。」

「裕ちゃんも。お疲れさまぁ。」

「あ〜、う〜ん。・・・・・・や〜ぐ〜ちぃ。」

「ん?どした?」

2日ぶりに聞く裕ちゃんの声は少し鼻にかかったように甘えた声。
つられてこっちは優しい声で返事を返す。

373 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時10分11秒
「・・・・さみしいよぉ〜。」

裕ちゃん・・・・。

「会いたいなぁ〜。矢口に会いた〜い。」
「ホンマ今すぐ会って矢口を抱き締めたいわ。」
「あ〜もうアカン。そろそろ栄養きれてきたあ。」

矢継ぎ早に出てくる裕ちゃんの言葉を黙って聞いていた。
その甘えた声が心地よかったから、なんて言ったら彼女はなんて言うだろう。

「やーぐち?聞いてる?」

「あっうん。聞いてるよ。」

「なんや、急に黙ったから。・・・・あー・・・・ごめんなあ。
あの・・・会えへんの分かってるのに無理なことゆうて。
裕ちゃんのが大人やのに、あかんな、わがままゆうて。」

ま、あとちょっと我慢したらまた会えるもんな・・・。我慢せな。
自分に言い聞かすようにそうつぶやいてる。

374 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時11分10秒
じわじわと胸に温かいものがやどってくる。

「裕ちゃん?」

「ん?」

「ありがと。」

「なんやの、あんた。甘えてんのはあたしのほうやのに、ありがとって。」
おかしな子やね、と裕ちゃんも小さく笑う。

へへ。裕ちゃん。
ほんとだね。
会いたいと思ってくれるそれだけで、力が出ることもあるんだね。
ありがとう。
会いたいと思っているのは矢口だけじゃなかったんだ。

乾いた土にぐんぐん水が吸い込むように、矢口の心も裕ちゃんの愛をぐんぐん飲み込む。
会いたい気持ちがどんどん加速していく。

375 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時12分18秒
「裕ちゃん。」

「はいー?」

「もうすぐ家?」

「ん、あとちょっとで着くかな。」

「・・・今日、行く。」

「えっ?」

「今日。そっち。行くから。」

「あんた、そんなええねんで?あたしに気ぃ使わんでも。」

「違うよ!矢口が裕ちゃんに会いたいの。それとも行っちゃ・・・ダメ?」

「いや、・・・ダメなことないけど。だってあんた明日早いんちゃう?」

「そだけど・・・。」

どうしても会いたいんだもん。
声だけじゃ我慢できないんだもん。
それどころか、声聞いたらますます会いたくなっちゃったよ。

376 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時13分34秒
う"〜。
なんて裕ちゃんを説得しよう。
うまく言わないと裕ちゃんは来ちゃダメって言い出しそう。
しまった。
明日は午後からって言えば良かったかな。

矢口が色々考えていると、電話越しに小さく笑う声が聞こえた。

「・・・ありがと。じゃあ、お言葉に甘えて。待ってるで?」

裕ちゃんが柔らかく言う。

「うん!すぐ行くから。待っててね。すぐ行くよ飛んで行くよ。寝ちゃやだよ?」

「はいはい。分かったから。気ぃ付けておいで?」

377 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時14分55秒
電話を切ったら「顔にやけてる。」ってスタッフの人に早速言われた。
そりゃ、にやけるってもんよ。
オイラに会いたがってる裕子が待ってるんだもん。

よおっし。
矢口が行ったら、思う存分甘えさせてあげるからね。

待ってろよ。ゆうこ。

378 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時16分37秒
---------------------------
タクシーからおりて、エントランスで少し考えた。
裕ちゃんに開けてもらわずに、この前もらったキーを使ってみる。
おっ、本物じゃんこの鍵。
開いたよちゃんと。
小さな喜び。

同じように部屋の鍵ももらったキーで開けた。

「来たよ〜。」

玄関で大きく声をかける。

「おっ、来たんか?なんやゆってくれたら開けたったのに。」

奥から裕ちゃんの声がする。

「いいの。矢口にはマイキーがあるからね。」

靴をぬぐのももどかしく、声のするリビングに向かった。

379 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時17分44秒
「おかえりぃ。」

ほの暗い照明にテレビの明かりがちかちかしている中、
裕ちゃんはソファから矢口に手を伸ばす。

おかえり、かぁ。
いいねぇそれ。

「ただいまっ。」

荷物をぼすっと床に投げ捨てて、その手を握った。
そのまま軽く引っ張られて、裕ちゃんの隣へ。

「お疲れさん。待ってたで。」
矢口を抱きしめながら裕ちゃんが言う。

はぁ〜。
裕ちゃんだ。
腕にすりすり顔をこすりつける。


「ゆうこぉ。会いたかったよぉ。」
裕ちゃんに言われる前に先に言ってやった。

「あたしも。」

裕ちゃんがくすぐったそうに笑いながらそう言う。
それから、いつものように矢口の首筋に顔を埋めて、息を吸う。
矢口の匂いを確認するように。

380 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時19分03秒
「眠たくなかった?」

裕ちゃんの耳たぶをいじりながら聞いた。
ちょっと暖かいから、これって眠たいんじゃない?

「うん、大丈夫。・・・なあ?なんかこうゆうのって、いいね。」

裕ちゃんが矢口の髪を指でもてあそびながら言う。

「こうゆうのって?」

「ん〜ずっとな、矢口のこと考えながら待っててん。
矢口今どのへんやろ?とか。今日はどんな格好してるんやろ?とか。
あたしに会いたいから疲れてるのに来てくれるんやな〜とか、さ。
色々考えながら待っててん。そしたらなんか、こうやって好きな人のこと思いながら
その人のこと待つってええなあって思って。
・・・・ほんで、めっちゃ早く会いたくなった。」

目を細めて、きれいな笑顔で裕ちゃんが笑う。

381 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時20分07秒
ああっ、それずるい。
また、どきってさせられた。

矢口もなのに。
矢口だって、タクシーの中でずっとそんなこと考えてた。
うちで何やって待っててくれるんだろう?とか。
寝ちゃわないかな?とか。
こんな夜遅くに行くって言っても許してくれたのは、矢口に会いたいからだよね?とか。

すっごくすっごく、会いたい気持ちが大きくなってた。


たった数日会えない日が続いただけなのに。
やっばいなあ、矢口。
『ゆうこ』っていう薬が切れる間隔、絶対短くなってる。



382 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時21分09秒
裕ちゃんは抱きしめていた腕をほどいて、矢口の髪の毛をゆっくり撫でてる。

う〜ん、それも気持ちいいんだけどさ。
なんか足りない。

もぞもぞと体を動かし、裕ちゃんの膝にのっかった。
首に手を回すとそれが合図のように、裕ちゃんも矢口の腰に腕を回してくる。

「へへ。オイラの場所。」

「うん、せやで。」

うん、やっぱりこの態勢の方が落ち着く。
ぴたってくっつけるもん。

383 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時22分05秒
裕ちゃんが矢口の肩に手を滑らす。

「矢口。やっぱりちょっと灼けたな。」

矢口のキャミソールの胸元をちょっとずらして裕ちゃんが言う。

「うん、リハの合間に灼いてるからねえ。ちょっと跡ついたかな?」

「うん、うすーくな。」

裕ちゃんは指でその跡をたどる。

「裕ちゃんは相変わらず白いねえ。」

矢口も裕ちゃんの白い首筋を指でなぞった。

「やっぱ美白やろ。灼くと後でしみになんでぇ?」

「大丈夫、矢口まだ若いから。」

「なんやて?」

軽く睨まれた。
裕ちゃんは鼻にしわを寄せるように笑って、矢口にこつっとぶつけてくる。
二人してネコみたいにすりすりこすりつけた。

息が届くほど近い距離。
ね、このまま二人で動物になっちゃお?

384 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時22分53秒
「黒いの、イヤ?」

「イヤなことないよ。」

そう言って矢口の肩に裕ちゃんはチュッとキスをする。
むき出しの肩を優しく手で撫でて、そこに軽く歯を当てる。

「おひさまの子供みたいで、矢口によう似合うてる。」

矢口が溶けちゃうような優しい笑顔でそう言ってくれる。


裕ちゃんは肩をさすってた指を滑らして矢口の鎖骨を撫でる。

今日の裕ちゃんは動作も話し方も何だかゆっくりしてるから、
時間の流れさえもそんな風に感じれて、とても心地いい。

裕ちゃんはただ黙って矢口の鎖骨に何回も指を滑らしてる。


ちょっとぞくぞくする。
・・・う、ん。やばいかも。

385 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時24分14秒
「ゆうちゃん?」

なに?って顔で黙って矢口を見る。

うーんと・・・ね。

「・・・・・・してよ。」

「えっ。なっ・・・。なにを?」

とたんに少し慌てた顔。
裕ちゃんのこと慌てさせると、矢口はちょっと嬉しい。

「・・・もっとぉ、ぎゅうぅってしてよ。」

思ってたより甘えた声が出て自分でも驚いた。

おかしいなあ。
今日は裕ちゃんのことを甘えさせてあげようと思ってたのに。
矢口の方が甘えちゃってるよ。

「ええよ。こう?」

裕ちゃんの顔がくしゃっと崩れて、それからぎゅっと腰に手を回して抱き寄せてくれる。

「ん、・・・もっとぉ。」

裕ちゃんは回した腕に力を込める。
矢口の頬に裕ちゃんが頬をすり寄せる。

386 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時25分03秒
「好きやで。」

耳元で裕ちゃんがささやいた。

「矢口も・・・。」

「裕ちゃんのこと・・・好き?」

なんでそんなに心配そうに聞くんだよ。
好きに決まってんじゃん。

好きで好きで。
大好きで。
・・・狂おしいくらいだよ。

裕ちゃんから何もかもを奪ってしまいたい。
全てを取り上げて、裕ちゃんには矢口だけって。
そんな凶暴な気持ちにもなるのに。

「も・・・・頭が変になるくらい好き。」

裕ちゃんの頭をかき抱くように抱きしめた。
裕ちゃんが黙って回した腕に力を込める。

387 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時25分53秒
「・・・息・・・できひんやん。」

裕ちゃんがぷはっと顔を出す。

「こらあんた。・・・そんなころし文句誰に教わった?」

眉間にしわを寄せてちょっと泣きそうな顔で裕ちゃんが言う。

「ん?ころされちゃった?」

「うん。今むっちゃ撃ち抜かれたわ。」

はぁ〜ってため息とともに裕ちゃんが自分の胸に手を当てる。
その手の上に矢口の手を重ねた。

388 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時26分44秒
「・・・奇跡やねぇ。」

「へっ?」

「だってな、あたしはこんっなに矢口が好きで。
それで、矢口もあたしを好きでいてくれて。
こんなにたくさんの人がおんねんで?
何であたしは矢口を選んだんやろ。
何で矢口はあたしを選んでくれたんやろ。
なあ、それって・・・奇跡に近いと思わん?」

矢口の手を撫でながらそう言う。

「・・・うん。そだね。」

「・・・・ありがとな。」

「うん?」

「あたしを選んでくれて・・・好きになってくれて・・・ホンマにありがと。」

裕ちゃんは矢口の手を持ち上げて自分の頬に当てる。
照れ隠しみたいに俯いて、手のひらにすりすり頬をすりよせる。

389 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月05日(月)12時28分00秒
んぁ・・かぁいい。
裕ちゃん、ほんとネコみたいだよ。
ねえ、矢口にしか懐かない人見知りなネコになって?

チュッ
ちょっとずらして、裕ちゃんは矢口の手のひらに軽くキス。
それから上目遣いのいたずらっ子みたいな目で笑った。

--うん、こんなに幸せなのは奇跡なのかもしれない。

「裕ちゃん、今、幸せ?」

「ん・・・幸せやで。」

涙が出てくるほど。
小さい声が耳に届いた。

390 名前:ユウ 投稿日:2002年08月05日(月)12時29分07秒
お待たせしたので、大量更新です。
先日の矢口さんのANNSの帰りって設定に変えようかとも、ちらっと思ったんですけど。
こんな形で触れてはいけないような気がしてやめときました。
なので、ここの矢口さんはいつも通りです。

391 名前:ユウ 投稿日:2002年08月05日(月)12時29分45秒
皆様、レス、ありがたいです。

>>358 オガマーさん
いえいえ、お粗末様でした。
かなり苦戦したのでそう言っていただけると、ほんっと嬉しいです。

>>359 たむさん
そんなに喜んでいただけると、書いてるこっちも嬉しくなります。
今回の話もねえ、もうなんか、ただひたすら・・・。毎回代わり映えのしない話です。

>>360 名無し読者さん
初レス&素敵な悲鳴、ありがとうございます。
中澤さんと矢口さんの話も気に入ってもらえれば。
ぎゃ〜〜〜〜!!ともう一度お知らせ下さい。

392 名前:ユウ 投稿日:2002年08月05日(月)12時30分31秒
>>361 名無しさん
ええもう、ようやくです。お待たせしました。
私も書きたくてうずうずしてました。
冷めないうちにお召し上がり下さい。

>>362 やぐちゅー中毒者セーラムさん
毎度どうもです。
今回の話は書いてる私が一番楽しんでるかもしれません。(またかい。 )

>>363 ちぃさん
セリフ、いつも悩みます。
うまいこと書けないので、たまに良いのが浮かぶと静かに自画自賛しています。
だからちぃさんのを読むと、やっぱいつもすげーなーと感心もひとしお。
>とりあえず矢口さんと中澤さんが仲良しだということで。
それ、全面的に大賛成に1票。

393 名前:ユウ 投稿日:2002年08月05日(月)12時31分35秒
うだうだと続きます。
この続きはまた水曜にでも。
394 名前:名無し読者。 投稿日:2002年08月05日(月)13時35分38秒
12:30からの東北放送生ラジオ(ゲスト姐さん)NETで画像みながら聞いてたんですが・・・
やぐちゅー満載でした。(w
とお腹一杯のところ・・・またここでさらに満腹にしていただきました(w
ご馳走様です。ユウさんのマッタリやぐちゅーは毎回癒されます。
昨日のANNで姐さん泣いてて・・・ヘビーだったんで・・・本当にありがとうです。
395 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月06日(火)00時35分59秒
大量更新ありがとうゴザイマス!
おかげさまで、やぐちゅーパワーをを充電させてもらいました
水曜日を楽しみに待っております
396 名前:らん 投稿日:2002年08月06日(火)00時38分58秒
今回も、「ユウさん」の優しい表現満載で、気持ち癒されました。
この前の裕ちゃんのラジオで、みっちゃんのコメントでの泣きに、
一緒に泣いて、めちゃくちゃ凹んだもので・・・。

>こんな形で触れてはいけないような気がしてやめときました。

この言葉、「ユウさん」がどれだけ、やぐちゅーを大事にしているのかを
凄く感じます。
私も、やぐちゅーが愛しくて、大事で大好きだから、「ユウさん」が大好きです。
これからも、やぐちゅーの惜しみない愛情のお話を、お願いします。
397 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)01時44分59秒
矢口さんと中澤さんのラジオで涙して・・
仙台ラジオでの「矢口大好き」発言に喜んで・・
そしてユウさんのやぐちゅーで癒されました。
メール欄の歌詞にも癒されたり・・
癒されまくりでゴメンナサイ(w
398 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)15時57分00秒
裕ちゃんの胸元に頭をこつんと預ける。

「矢口も幸せ・・・。」

小さくつぶやいたの聞こえたかな?
裕ちゃんはただ背中を撫でてくれてる。

愛しくて愛しくてたまらない。
なんでこんなに好きなんだろう。やんなっちゃう。

「ゆぅちゃん?」

「ん〜?」

声がこもって聞こえる。

「・・・だいすき。」

息をのむ気配。
矢口の目をのぞきこむ裕ちゃんの瞳がゆらゆら揺れてた。

399 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)15時57分52秒
「あんたはホンマ・・・・凶器やね。」

ん?凶器?
目だけで問う。

「なあ、これ以上あたしを骨抜きにしんといてくれる?」

困ったような顔がかわいくて、むずむずしてくる。

「だってホントなんだもん。矢口は裕ちゃんが好き。
裕ちゃんがいればそれでいいの。他になんにもいらないよ。」

裕ちゃんは・・・?
矢口がいればそれだけでいいって思ってくれる?

「そっかぁ。ありがとぉ。・・・でもあたしは・・・・ちゃうなあ。」

「えっ?」
違うの?
思ってもみない答えが返ってきて驚いた。

「う〜ん。あたしはやっぱり・・・違うわ。」

うんって一つ頷いて、矢口の髪を撫でる。
冗談で言ってるんじゃないよね?
真剣な顔してるもん。

400 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)15時58分52秒
矢口は眉間にしわが寄ってたみたい。
裕ちゃんが軽く笑って矢口の眉間を指先でなぞる。

「あたしは、あんたみたいに『矢口がいれば他になんにもいらない』とは思わん、かな。」

何でもないことのように淡々と話す裕ちゃん。

そりゃ、人の気持ちには差があるだろうけど。
裕ちゃんが矢口とおんなじように思ってくれてた訳じゃないって分かって。
ちょっと悲しかった。

「そんな顔するなや。」

俯いてしまった矢口の顔をのぞきこんで裕ちゃんが微笑む。
それから矢口の両手をつかんで、ちゅっとキスをした。

401 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時01分44秒

「あんな、あたしは矢口が側におってくれたら、何もかもが楽しいねん。
周りのものが、どんなちっさいことでも素敵なことに見える。
おいしいもの食べたら矢口にも食べさせたいって思うし、
きれいな月見たら、矢口にも見せたいって、そう思う。
矢口がおるだけで、矢口とそのことを話せるだけで毎日が特別に思えるんよ。
些細なこと全部が大切なものになっていく、ってゆうの?
矢口がおってくれるんやったら、そんなちっさいこと全部、何もかもが大切。」

分かる?って矢口の顔をのぞきこむ。
うんって頷いた。

「でもな、反対に矢口がおらんのやったら、それこそもう他になんにもいらない。
だってどんなきれいなもん見ても、おいしいもの食べても、矢口がおらな意味ないもん。
・・・・心が反応せんやろなぁ。」

そう言って、自分の胸をとんとんと叩く。

402 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時02分59秒
「それこそ、歌さえ・・・・・うたえなくなるかもなあ。」

だからな。
そう言って遠くを見ていた視線を矢口に戻した。

「矢口がおってくれるからこそ。
あたしはきっと喜びを感じたり、苦しみを感じたりできるんやと思う。
あんたは・・・・あたしに全てをくれる、たった一人の、人なんやで?」

あたしなんやめっちゃ恥ずかしいこと言ってる・・・。
って、裕ちゃんは目をふせる。


裕ちゃんさえいれば何もいらない矢口と。
矢口と一緒になにもかもを欲しがる裕ちゃん。
でも矢口がいなかったらその全てに意味がないって言う裕ちゃん。

びっくりした。
それってさ。
それって。

裕ちゃんの方が大きくない?
矢口に対する気持ち、相当強くない?
歌さえうたえなくなっちゃうの?
矢口の存在って裕ちゃんの人生にそんなに影響しちゃってるの?

知らずに口元から笑みがこぼれてきた。

403 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時03分37秒
「よくばり。」

「知らんかった?」

裕ちゃんは矢口の腰をきゅっと抱き寄せる。

「あたしの方があんたのこと、ずぅっと好きやろ?」

なんでそんな風に得意そうに笑うかなぁ。

「・・・ばか。そんなことでいばるな。」

裕ちゃんの胸で顔を隠した。
だって今絶対矢口の顔、にやけてるもん。

じんわりじんわり、喜びが広がってく。
こんなことで負けるのは、結構いいかも。


「・・・矢口も。」

「ん?」

「矢口も、そう思ってたよ。裕ちゃんは矢口の喜怒哀楽全てを握ってるんだなあって。」

裕ちゃんが安心したように息を吐く。
ありがとって、耳元で聞こえた。

404 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時04分25秒
裕ちゃんの頭をもう一度、今度は優しく引き寄せた。
負けっぱなしじゃくやしいから、その白い首筋をぺろっと舐めると裕ちゃんがぴくって動く。
構わずに耳たぶを口に含む。
柔らかくかみついて息をふきこむ。

「っ・・ん、こら。」

真っ赤な顔して耳を押さえる裕ちゃん。

「こんな矢口に誰がしたの?」

「・・・・・あたしやな。」

苦笑いしている裕ちゃんの耳たぶにキスをする。

「ね・・・・・、キス、しよ?」

耳元にささやいた自分の声はちょっとかすれてた。

405 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時05分03秒
だってさ、そういえば。
今日は来てから一度もキスしてないよ。
裕ちゃんが肩と手にしてくれただけ。
矢口、全然足りてない。

「あかん。」

なのに裕ちゃんは無情にもばっさり断る。
なんでぇ?今すっごくいい雰囲気だったじゃん。
矢口なんて、もうとろとっろなんだよ。

「何でだよ〜。裕ちゃ〜ん。なんでぇ〜?」

裕ちゃんの目を見て訴える。

「ねぇ、チュウ、してよぉ?」

首に手を回して拗ねた顔をしたら、裕ちゃんがまた苦笑する。

406 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時05分59秒
裕ちゃんはきゅっと目を細めて、拗ねてとがらした矢口の唇に指を当てる。
輪郭をたどるように人差し指でゆっくりなぞられる。

矢口はもう知ってるんだよ。
裕ちゃんが唇を指でなぞってくるのはキスがしたい証拠。

抵抗したって無駄だよ。


裕ちゃんのその手を取って指先にキス。
そのまま口に含んで、チュッて吸って、軽く歯を当てる。
唇を滑らせて、指と指の間に舌を這わせて。
上目遣いでゆっくり裕ちゃんを見たら、泣きそうな顔してた。

「あんた・・・もうホンマに・・・。そんなんどこで覚えるの?」

知らないよそんなこと。

「あたしを・・・誘惑してんの?」

誘惑?
・・・・そうかも。

407 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時06分58秒
「でもな。」

ほらその顔。
裕ちゃんだって矢口とキスしたいはず。

「あたし、今キスしたら、それだけで終わらせる自信ないで?」

うっ、そんなこと言われたら。

「矢口、明日早いやろ?」

「・・・うん。」

「もう、こんな時間やし・・・。」

う"〜〜。
そうだけどさ。
いいじゃん。キスぐらい。
チュってチュってさ、
ほいで寝ればいいじゃんか。

「大丈夫だよぉ。ちゃんと矢口が止めてあげるから。」

ここまで来たら矢口だって引けない。
裕ちゃんを前にしてキス出来ないなんて、矢口にはつらすぎる。

408 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時07分49秒
「う〜ん・・・。」

裕ちゃんはまた矢口の鎖骨を指でなぞりだした。
もう。
ちょっと、裕ちゃん。
分かっててやってるの?
そこ触られるとぞくぞくするんだってば。

「ええの?」

ああもうっ。
どうしたっていうの。さっきまであんな得意そうに笑ってたのに。
この内気っぷり。いつものセクハラ親父はどこいったのさ?
かわいいじゃんよ。

409 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時08分27秒
裕ちゃんの視線を捕まえた。

「・・・・・・して?」

もう一押しかと思って、首かしげて聞いてみた。
言うこと聞いてくれないと矢口から襲っちゃうぞ。
首に回した手で裕ちゃんの頬を撫でる。
ゆっくりと何度も撫でるとくすぐったそうに裕ちゃんが目を閉じる。

色っぽい裕ちゃんの表情に、のどがからからに渇いてくる。
んん、・・・・襲っちゃおっかな・・・。


矢口の我慢も限界にきた頃、裕ちゃんがうめくように小さくのどを鳴らした。

「知らんで、もぅ。」

--あたしをちゃんと止めてな?
困ったような顔でそう言って裕ちゃんがゆっくり顔を近づけてくる。

410 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時09分15秒
チュッ

軽く唇が触れてすぐに離れた。

はぁ。
やっと待ってた感触に触れられた。
ずっとおあづけされてた気分だよ。

でも、足りない。

もっと。
唇がもう少しで触れ合うぐらいの距離でそう言った。

今の自分の顔、想像できる。
すごく物欲しそうな顔してるんだろうな。

裕ちゃんが泣きそうな顔で笑う。
それから目の色がきゅっと変わる。
獲物を狙う、動物の目のように。


裕ちゃんになら、牙をたてられても、いいよ。

411 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時10分09秒
頬に少し熱を持った裕ちゃんの手の感触を感じる。
優しくついばむようにキスがおとされる。
ゆっくり、何度も何度も。

んっ・・・あまい。

裕ちゃんのキス、だぁい好き。

軽いキスが徐々に変わっていく。
裕ちゃんは矢口の唇に噛みつくように柔らかく唇で挟む。
下唇に軽く歯をあてられて背中を何かが走っていく。

「ん・・・・ゆぅちゃん・・・・。」

唇が離れるとつい甘い声がもれてしまう。
何だかおねだりしてるみたいで恥ずかしい。

412 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時10分54秒
裕ちゃんの両手が矢口の脇腹を上下にゆっくり撫で上げる。
頭に膜がかかったみたいに、ぼんやりしてくる。

そのまま背中を辿って頭の後ろに手を添えられたとき、深く口づけられた。
裕ちゃんの手が矢口の髪の毛をくしゃっとかき回す。

裕ちゃんの舌が矢口の舌を探すように口の中で動きまわる。
舌をからめて、離して、上顎をくすぐられて。
甘い痛みが欲しくて矢口も裕ちゃんの舌を追いかける。

「やぐち・・・。」

唇が離れた合間に吐息のような裕ちゃんの声が聞こえる。
動く唇を唇で感じて、体がぞわぞわしてくる。

キスの間に名前を呼ばれるって、やばい。

413 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月07日(水)16時11分30秒
もう、なんにも考えられなくなりそう。
裕ちゃんのキスで体がふわふわになる。
離れたくなくて、矢口から裕ちゃんの唇を追いかけた。

矢口から裕ちゃんの中に舌を入れる。
すぐにからめ取られてさっきよりも強く激しいキス。

息するのももどかしいくらい、離れたくない。

脇腹を撫でていた裕ちゃんの手が、矢口の胸元にゆっくり上がってくる。
ぼんやりと体が熱を持ってくるように感じた。


優しく胸を包み込まれた時、矢口の体がぴくって動いた。

414 名前:ユウ 投稿日:2002年08月07日(水)16時12分45秒
レス、大変感謝です。

>>394 名無し読者。さん
満載だったんですか?あぁぁぁ、し、しまったぁ。聞けなかったんですよ私。
二人にこんな形でしか表せない歪んだ私の愛情表現ですが、
それでも癒されると言っていただけけて嬉しいです。
今回のは何が起こるってわけでもなく、マッタリ感を堪能してもらえれば。

>>395 やぐちゅー中毒者セーラムさん
いえいえ。充電できたようで良かったです。
前回が苦戦した分、この二人のは書いてる私も楽しくて楽しくて。
どんどん矢口さんが暴走して話の筋を乱すので軌道修正が大変です。
415 名前:ユウ 投稿日:2002年08月07日(水)16時13分32秒
>>396 らんさん
どうも。癒し系のユウです。ライバルは井川遙です。
ええもう、矢口さんと中澤さん、大好きです。(何の告白これ?)
惜しみない愛情ってやつ。
間違った注ぎ方かもしれませんが、じゃんじゃん注いでいきたいと思います。

>>397 たむさん
それ、聞いてないんですよ。相変わらず公共の電波を使って中澤さんは告白してたんですか?
聞けば良かった・・・。どこにいても矢口さんへの愛を吐き出してますね、あの方は。
想像だけで娘。さんたちの心情を察するしかない私には頑張ってとしか言えません。
あくまでも、前向きな気持ちを込めてあの歌を。
416 名前:ユウ 投稿日:2002年08月07日(水)16時14分43秒
更新しました。
まだうだうだしてます。

あと一回。続きは金曜日を目標に。
ではまた。
417 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)18時32分01秒
あぁ今日も癒された・・。
暴走矢口さんも結構好きかも(w

大きなお世話かもしれませんが・・・
このページでやぐちゅー満載のラジオが見れて聞けます。
見られるなら是非!是非!(w
http://www.hitplaza.netspace.or.jp/net_bokuhiru.htm
418 名前:たむ 投稿日:2002年08月08日(木)22時29分07秒
連続レスすいません。
上のアドレス、自分の所に張るべきでした。
ユウさんごめんなさい・・。
419 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時22分54秒
っあ・・・。
思わず声がもれる。

「うぁっ、ごめっ。」

裕ちゃんがはっとしたように体を離した。

はぁ〜、危なかったぁ。
ソファにぼすっと背中を倒して息を吐いてる。


う〜・・・。
っ、・・・ちょっと惜しかったかも。

矢口もまだなんか、・・・ほてったまんまだよ。
キスだけでこんなになっちゃうんだ、矢口の体は。

チュッ。

「ごちそーさん。おいしかったで。」

もう一度軽くキスをして、裕ちゃんが笑った。



「さっ。もう寝よっか?」

矢口の背中をぽんぽんと叩きながら裕ちゃんは言う。
くたくたと矢口の体は力が入らない。

なんで?
なんであんなキスしたのに、裕子は平気なんだよぉ?

んー。
起きあがるのだるい。

「歩けるか?」

「・・・ん。」

420 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時24分18秒
「シャワーどうする?」

寝室に入ると、裕ちゃんがタオルと着替えを用意してくれた。

「う〜。」

正直すごくだるい。
さっきのキスで体がくたってなってる。
動くのがしんどいかんじ。

でも汗かいてるしな・・・。
裕ちゃんとくっついて寝るなら汗くさいのはイヤだ。

「ん。軽く浴びてくる。」

「はいよ。」

着替えのTシャツと短パンを放り投げられたのをナイスキャッチ。
部屋から出る前にちょっと心配になって声をかける。

「あの・・・裕ちゃん?」

「大丈夫。起きとるよ。」

・・・ばれてる。

421 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時25分35秒
簡単に汗だけ流してさっさと出た。
髪の毛は明日の朝また洗えばいいや。
シャワーで少しはすっきりしたものの、まだちょっとくすぶってる感じ。
とにかく今は一刻も早く裕ちゃんのそばで丸まりたい。


「いただきました。」
部屋に入って、裕ちゃんにぺこりとおじぎする。

「いえいえ。はよおいで。」

ぽんぽんって自分の隣を叩きながら、ベッドで裕ちゃんが笑ってる。
呑気に手でおいでおいでってやってる顔からは、
さっきの目の色が信じられないほど、のほほんとした声。

もぉぉ、こんなにもやもやしてるのは裕ちゃんのせいなのに。

422 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時26分35秒
・・・っと。
普段、矢口はまっぱなんだよね。

でも今ここで脱ぐのは恥ずかしいなぁ。

「脱がんの?」

ベッドサイドでちょっと固まってる矢口を親父丸出しでにやにや見ている裕ちゃんに、
「エロジジイ」ってバスタオルをぶつけてそのすきにベッドにもぐりこんだ。

ジジイはやめんかって文句を言ってる裕ちゃんにぴたっとくっつく。

裕ちゃんは大きめのTシャツ一枚着ている。

自分だって普段は裸のくせにぃ。
・・・やっぱり恥ずかしいの?

「裕ちゃんこそ脱がないの?」

「矢口が脱いだらな。」

何だよそれ。

423 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時27分44秒
「なあ、なぁ?もしかして矢口、足らんかった?」
なんでか、うきうきしてる裕ちゃんの声。

「うん。」
こくって頷いた。

「うわっ、素直やなあ。」

「だってぇ・・・。」

なんかさ、体が・・・。
あんなキスしておいて。
裕ちゃん、ずるいよもう。

「かわいいなあ、ホンマにもう。」

裕ちゃんがぎゅって矢口を抱きしめる。

かわいいかわいいもうホンマにかわいい。
歌うようなご機嫌な声でそんな言葉が続いたあと、不意に言葉がとぎれた。

424 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時28分51秒
どしたの?

顔を上げようと思ったら、腕で頭を押さえつけられた。
それから、うぅんって軽くのどを鳴らす声がして。

「・・・好きやで・・・・真里。」

さっきの声より低いトーンでささやかれた。

!!

顔をがばって上げたら裕ちゃんが照れくさそうな顔で見つめてた。

「それ・・・いいねえ。」

ちょっと、いやかなり。
どきっとしたよ。
すっごい新鮮。
またきっと、矢口の顔にやけてるんだろうなぁ。

「もう一回っ!」

「えっいやや。そんなん恥ずかしい。」

425 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時31分09秒
裕ちゃんは矢口から目をそらしてしまう。
ちぇっ残念。

でもいいや。
かなりご機嫌だもんね。

真里、だって・・・。

くっくっくっく。
こみ上げてくる笑いを押さえきれずに、裕ちゃんの胸をどんどん叩く。

「もう何してんの?あんたえっらいにやけてんで?」

裕ちゃんも笑いながら矢口をのぞきこむ。

「え〜、だってぇ。ちょぉ〜うれしぃんだも〜ん。」

そんなに嬉しいん?って聞いてる裕ちゃんの顔も嬉しそう。

「そしたら、今度な?なんぼでもゆうたるから。」

それに今度は寝かせへんから、って裕ちゃんがにやっと笑う。

「アホッ。」
言いながら、返事のかわりにきゅっと抱きついた。



426 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時32分39秒
・・・・・・。

矢口からは・・・どう?


裕ちゃんのTシャツの裾から手を滑り込ます。

ん?って顔してる裕ちゃんに黙って笑いかける。
あくまでも、無邪気な顔でね。


背中、脇腹、お腹。
うん、すべすべして気持ちいい。

しばらくその肌触りを楽しんだ後、胸元へとゆっくり手を伸ばす。

えっ!!
こんな柔らかいの?

あまりに柔らかいその胸の感触にびっくりして何度も何度も触ってしまう。
うわっこれ、気持ちいいかも。

手のひらをくすぐる固い突起を感じた時、裕ちゃんが細く息を吐いた。

「っ・・・だから今日はあかんて。」

熱を持った言葉とともに、やんわり止められる。


427 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時34分04秒
ちぇっ。
じゃあせめて。

「ちょっ、あんたなにしてんの?」

見れば分かるでしょ?
脱がしてるんだよ。
この布一枚がすっごく邪魔なの。

この前、素肌で抱き合って寝たらすっごい気持ち良かったんだもん。

「これ、邪魔。」

「・・・あんたあたしに我慢大会させる気か?」

我慢するからいけないんじゃん。

「こらっこらっ。・・・・わーったから。自分で脱ぐから。」

あんたも脱ぎや?
横目でじろっと睨まれたって怖くないよ。
裕ちゃんのその目、潤んでるじゃん。


ベッドの中で二人してもそもそTシャツを脱ぎ捨てた。
目と目が合って何だか笑ってしまう。

それから裕ちゃんが腕を伸ばしてきたので、そのままそこに頭を乗せた。

428 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時35分21秒
すべすべの裕ちゃんの背中を撫でる。
背骨の骨を一つ一つ数えるように指でたどっていくと、裕ちゃんがため息のような吐息をもらした。

裕ちゃんがきゅっと体を押しつけてくる。
へへ。
柔らかい体のラインがぴったりはまる感じ。
裕ちゃんと矢口の体。
ぴったりしっとり、気持ちいい。


「気持ちええなあ。」

裕ちゃんの低い声。

「矢口とこうしてるのめっちゃ好きやあたし。」

そう言って裕ちゃんも矢口の背中をゆっくりたどっていく。

「・・・矢口も好き。」

裕ちゃんが嬉しそうに笑った。

429 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時36分21秒
裕ちゃんが枕元の時計に目を走らせる。

「ああっもうこんな時間やん。やばいで矢口。さっ、もういいかげん寝やな。」

ぽんぽんと矢口の背中を二回叩く。

「え"〜〜〜〜。」

またこんないいムードで?
ここでおしまい?
寝ちゃったらあっという間に朝になっちゃうよ?

「わがままゆわんと。な?」

チュッ
おでこにキスしてくれる。

んん〜。
そうだった。
裕ちゃんだって疲れてるんだよね。

ダメだなあ、矢口は。
わがまま抑えよう、大人になろうって思ってるのにすぐ我慢できなくなっちゃう。

430 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時37分06秒

「あのね、裕ちゃん。」

「ん?」

「大人しく寝るからさ、だからさ。・・・。」

「だから、なに?」

「うーんと。・・・・矢口にね、いっぱい好きって言って。いっぱい言って。」

裕ちゃんの顔がこれ以上ないってほど、とろける。

「ええよ?矢口が寝付くまで言ったろか?」

「ううん、ちょっとでいいの。」

「なんや、どっちやねんな。」

だって裕ちゃんだって眠たいのに。
それでも欲しがる矢口のわがままだもん。
だからちょっとだけ、いつもよりちょっとだけ多く言って。
幸せな気持ちのまま、会えない日もその言葉で乗り切れるくらい。

431 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時37分49秒
「あんた・・・ホンマにかわいいなあ。」

裕ちゃんは赤ちゃんを寝かしつける時みたいに矢口の背中を
とんとんとリズムをとって軽く叩いてる。

「好きやで、やぐち、すき。」

すきって言うたびおでこにキスが降ってくる。
目をつぶってそのキスを受け止めた。

何度言われても、飽きない言葉。
矢口を幸せにする魔法の呪文。

「すき。・・・だいすき、やぐち。ホンマにすき、すき。・・・すき。すき。だぁいすき・・・・。」

子守歌みたいに優しい小さい声で何度もそう言ってくれる。

うん、すごく安心する。

432 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時38分40秒
「・・・すき・・・。」

何回目の好きか、もう数え切れなくなってきた頃、
だんだんと背中を叩く手がゆっくりになって、裕ちゃんの胸が規則的に上下し始めた。

やぐち・・・すき・・・。
最後はほとんど聞き取れないような小さな声。


寝付くまで言ってくれると言ったその言葉は、
連日の疲れで途中で消えてしまったけど。
裕ちゃんの温かい気持ちがじんわり響いてきた。

大好きな人に好きってずっと言われながら眠りにつくなんて、
こんなに幸せな夜があるなんて、矢口想像もできなかったよ。

やっぱり、頭が変になるほど裕ちゃんが好き。


--ねえ、裕ちゃん。
運命の赤い糸、片結びしちゃうよ?

433 名前:おやすみのうた 投稿日:2002年08月12日(月)14時39分23秒
でも、今日はごめんね。
疲れてるのに甘えちゃってごめん。
今度は矢口が甘えさせてあげるからね。


チュッ
お詫びと愛情を込めて、裕ちゃんの鼻先にキス。

・・・腕枕、つらくないかな?
そっと腕をはずそうと思ったら、眠ってるはずの裕ちゃんが
きゅっと矢口を抱きしめた。

びっくりして裕ちゃんを見るけど、聞こえるのは穏やかな寝息。
へへ。眠ってても優しいね、裕ちゃん。

うん、一緒に眠ろう。


「おやすみ、ゆうこ。」

寝ている裕ちゃんに頭をこつんとくっつけて目を閉じた。

434 名前:ユウ 投稿日:2002年08月12日(月)14時40分24秒
更新終了。
久しぶりにこの二人を書いたと思えば、もう。
なんて言うか、ただのいちゃいちゃうだうだした話。

はは、わらとけわらとけ。
こんな話ばっかりで、すみません。
で、突然なんですけど、このスレはこれで終了します。
気が向いたりネタがあれば、またこの続きを書きたいと思いますが。

435 名前:ユウ 投稿日:2002年08月12日(月)14時42分49秒
>>417-418 たむさん
暴走矢口さん、私も好きです。
ラジオのアドレスありがとうございます。
全然。いいですよ。教えてもらえてめっちゃ感謝です。
でも悲しいかな、私はマックユーザー。WINをどこかで失敬して見てみますね。
436 名前:ユウ 投稿日:2002年08月12日(月)14時44分01秒
次回作は未定です。
頭の中だけで、ぼんやり考えているのはありますが、一体いつになることやら。
しかもそれはアンリアル物。
まだまだそれを文章に起こせてません。文章が固まるまで、遅いんです私。
もっとさくさく書けたらいいんですけどね。
437 名前:ユウ 投稿日:2002年08月12日(月)14時44分42秒
そうは言ってもまあ、大した内容ではございません。
しょせん、恋だの愛だのしか私は書けませんから。
もっと夢や勇気や感動やロマンやバイオレンスやサスペンスや涙涙の大団円を書けたらいいんですけど。
それは他の素晴らしい書き手さんにお任せするとして。
私は『たかが恋や愛』をちまちま書こうと思っています。
もし、よろしければ気長にお待ち下さい。
それでは今まで読んで下さった方々、本当にありがとうございました。

一人でも、こんな恋もいいかもって思ってもらえれば。

・・・にやり。
438 名前:ナナシー 投稿日:2002年08月12日(月)18時39分06秒
堪能しますた。
ユウさんの書く「たかが恋や愛」、めちゃめちゃ好きです。
読むたびにキュンてなったりドキドキしたり・・・ 
恋がしたぁい!愛がほすぃ!と身悶えておりますが(w

次回作、マターリお待ちしております。 ・・・( `.∀´)ニヤリ。
439 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月12日(月)20時51分58秒
お疲れさまでした〜!
440 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月12日(月)20時55分34秒
お疲れさまでした〜!ユウさんの作品でこのだるい暑さも
やぐちゅーの愛の炎の前ではたいしたことありませんな(w
次回作、首をなが〜くして待ってます(W
441 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月12日(月)20時58分06秒
>>439について
焦って二重投稿になってしまって、誠に申し訳ありません。
442 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月13日(火)03時41分58秒
幸せな時間をありがとうです。
これからもお待ちしております。(W
ちなみに今、裕ちゃんのラジオでかかったクラクションをリピートでききながら読んでたんですが・・・
ユウさんの文章と裕ちゃんの声で癒されました。
裕ちゃんの歌でクラクション・・・ダントツ1位で好き!!なんでこっちがC/Wなんだ?(W
443 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月13日(火)15時15分04秒
やー、ホント、
至福の時間をどうもありがとうございました!
毎回の更新が待ち遠しくて仕方ないくらい、
楽しんで読ませていただいてました。
次回作もがんばってくださいね。お待ちしております!
お疲れさまでした。。

444 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時12分19秒
愛しすぎるやぐちゅーありがとうございました。
ユウさんのお話、ホンマに大好っき〜!

新作が読めるまで、たむやんの毛布はユウさんに預けますわ(w
ユウさんがどんな話を考えてるのか想像して・・・にやり
445 名前:らん 投稿日:2002年08月17日(土)22時25分20秒
24時間テレビ観ましたか?
裕ちゃんが出たとき、ヤグチが「裕ちゃーん」って、
あの甘えた声で呼んでましたよね。
切ない目で見てましたよね。
なっちも圭ちゃんも同じように呼んでいたけれど、
やっぱヤグチには、違う感情があるように思ってしまいます。
ヤグチのANN−S、裕ちゃんのラジオでのゲストトーク、そしてハロモニ・・・
最近、やぐちゅーテイストがちらかっているので、気持ちフワフワです。
そして「ユウさん」の優しい「やぐちゅー」にもそわそわです。
次回の作品も、楽しみに期待しています。
偉大なる作者さんとやぐちゅーにエールを・・・
446 名前:ユウ 投稿日:2002年08月23日(金)13時07分30秒
とりあえず本日はレス返しを。
皆様ありがとうございます。

>>438 ナナシーさん
大いに身悶えて下さい。
保田さんにニヤリと笑われるとなぜか尻をはたかれてるような気がします。
さてと、さぼってないで次書かなきゃ。


>>439 -441 やぐちゅー中毒者セーラムさん
あの二人は当分熱帯夜です。
次回作も・・・はあ、どうなるんだろう。


>>442 名無しさん
そろそろマンネリではないかと心配していました。
中澤さんの歌声とともに読んでいただけたとは、ふふ。
なんかちっと嬉しい。

447 名前:ユウ 投稿日:2002年08月23日(金)13時08分57秒
>>443  名無し読者さん
何度も言いますが、マンネリじゃないですかねえ?それが心配で。
待ち遠しいとは、嬉しいお言葉。飽きずに読んで下さってとても感謝です。


>>444 たむさん
こちらこそいつもレスありがとうございました。それに素敵なフレーズまで。
次もそのフレーズが使えるのかなあ・・・。使えるといいなあ。
それよりも一刻も早くたむさんの毛布をお返しできるように頑張らないと。


>>445  らんさん
すみません。遊びほうけていて娘関係のテレビ、ほとんど見てなかったんですよ。
確かに矢口さんが「裕ちゃーん」って呼ぶ声、かわいいですよね。
次回作、今大いに苦戦していますが。・・・頑張ります。

448 名前:ユウ 投稿日:2002年08月23日(金)13時09分36秒
お盆休みの間、小学生の夏休みのように遊びほうけてしまいました。
今なお休みボケしている状態です。
しかもよせばいいのにサイトまで作っている始末。
のんびりまったりお待ちいただければ大変ありがたいです。
ではでは。
また会う日まで。
449 名前:らん 投稿日:2002年09月01日(日)00時14分16秒
>また会う日まで。
待ってます、待ってます、待ってます・・・
「ユウ」さんの小説に出会えるのなら、いつまでも大人しく待っています。
最近、TVやラジオで「やぐちゅー」があると、彼女達を通して、
『「ユウ」さんだったら、どう表現してくれるのだろう?』なんて、
自分勝手な期待もしてしまうくらいです。
「ユウ」さんの、優しく柔らかい「やぐちゅー」への愛情を、
いつまでも楽しみにしています。
450 名前:シーツのすきま 投稿日:2002年09月06日(金)16時21分35秒
のどの渇きで目が覚めた。

「ふぁ・・まだ5時やん・・・。」

まだ半分開かない目をこすりながら時計を見たらAM5:00。
たしか昨夜ベッドに入ったのが3時過ぎやから。
うわっ、まだ2時間も寝てないやん。
明日矢口が出るのが9時やから、8時ぐらいに起こせばええやろ。
何でこんな中途半端な時間に・・・。

カーテンからもれるすでに明るい光が今日も暑いんだろうってことを知らせてた。


「水、のも・・。」

隣で小さく丸まっている矢口を起こさないようにそろそろと体を起こす。
離れようとしたとき、背中に回されていた手が一瞬だけきゅっとしがみついてきた。


・・・かわええなあ。
大丈夫やで、すぐ戻ってくるから。

心の中でそう言って優しく、静かにその手をはずす。
足下に落ちているTシャツを着て、足音をころしてリビングに向かった。

昨夜、矢口を待ってる間に飲んだのは缶ビール1本。
それなのに散々飲んだ次の日の朝のようなのどの渇きだった。

・・・あんなくっついて寝とったら、そら汗もかくか。

思い当たる理由が随分と愛しいものだったので、冷蔵庫の前でちょっと笑ってしまう。
451 名前:ユウ改めシナノ 投稿日:2002年09月06日(金)16時23分13秒
ここでも更新は最後と書いたくせに、ちょびっとさわりだけ。
452 名前:ユウ改めシナノ 投稿日:2002年09月06日(金)16時25分03秒
このさぼっていた間何をしていたかと言うと。
サイトをしこしこ作っていました。
http://route145.fc2web.com/
アドレスはこれ↑です。
作ったはいいけど、新しい話はほっとんどありません。
だから申し訳なくて皆さんにお知らせできなかったんですけど。
上の続きもここで書いてあります。
良かったら見て下さい。(なんていやらしいやり方)

453 名前:ユウ改めシナノ 投稿日:2002年09月06日(金)16時29分42秒
>>449  らんさん
あっしばらく見ていなかったらレスが・・・。
ありがとうございます。お待たせしてすみません。
なかなか思ったように書けなくて、随分と苦しんでいます。
でも楽しみにしています、ってその言葉だけを頼りに頑張ります。
454 名前:ユウ改めシナノ 投稿日:2002年09月06日(金)16時30分52秒
ではまた。
455 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月02日(水)23時26分04秒
待ってます。
456 名前:シナノ 投稿日:2002年10月07日(月)16時02分05秒
>>455 名無し読者さん
ありがとうございます。
こちらにはある程度の量を書きためることが出来たならまたお世話になりにこようかと思っています。
それまでは上記のサイトで地味に更新していますので良かったら遊びに来て下さい。

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