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霧が晴れた時―BAD KIDS―
- 1 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年06月11日(火)19時37分01秒
- 「…ここね。」
時は2002年、4月3日。
麗らかな春の陽気漂い
桜が舞い散る中、
金八っつあんに憧れてアタシ、保田圭は
念願かなって…とうとう先生になれた。
そして今日からここ
『ピース☆学園』
に赴任が決まって。
…なんで学校名に☆がついてんのかは
よくわかんないけど。
ピース☆学園は今年に出来た新しい学校で。
全校生徒が100人と少ないわ。
今のアタシにピッタリ(?)じゃないのよぉ♪
とにかく嬉しくて嬉しくて…
3日3晩眠れなかったわよ〜!
金八っつあんが言ってたわね。
生徒を愛する事が大切だって。
,,,でも愛し過ぎて恋に落ちたらどうするよ?
「って…イヤァ〜ン♪」
ダメよ!急ぎ過ぎちゃ…
何度も失敗してるでしょ?アタシ。
研修の時期、アタシ一人の生徒と仲良くなったわ。
もしかしたらアタシのこと…って、てっきり思ってたっけ。
で、1週間付きまとったら、ストーカー扱いされて…(泣
それでね…
- 2 名前:桜の木の下で 投稿日:2002年06月11日(火)19時39分26秒
- 「保田先生…ですか?」
「え…?」
誰かしら?このコ?
いつの間に居たの?
これからアタシの人生ストーリーを聞かせて
あげるってときに邪魔しやがって!
…制服着てるから先生ではないわね。
スラっと背は高くて…
白い肌に大きな瞳。
短めで、外側にはねた少し茶色かかった髪。
凄い清楚な感じ、プンプン漂わせてるわ…。
…それにしてもイイ女ね…。
ア、アタシの足元にも及ばないけど!フン!!
「生徒会長の吉澤ひとみと言います。保田圭先生ですよね?」
「え、ええ…。そうですけど。」
初めて先生と呼ばれる事に、少し抵抗と恥かしさを
感じ、背筋がムズ痒くてたまらない。
その生徒はニッコリとはにかんだ。
その笑顔は凄く優しくて、少し安らいでしまっていたアタシ。
- 3 名前:桜の木の下で 投稿日:2002年06月11日(火)19時39分54秒
- …ちょっとちょっと!!
ヤバいわよ!アタシ!!
こんな子供にトキめいちゃってるわ!
「校長先生に、案内を頼まれまして。本当は安倍先生が
貴方を案内するように頼まれていたのですが…
どうやら遅れるらしいので、代わりにあたしが職員室まで
ご案内します。…あのなぜ、カメラを?」
え?
あらヤだ!!
何、構えちゃってるのよ!!
ってか何で生徒が迎えに来るのかしら?
普通、違う先生とかじゃないの?
そんな事はこの際いいんだけど。
「いいいいいや。その桜があまりにも美しすぎて…
あ…自然!自然大好きキューティーヤッス〜よ!吉澤!ヨロシクね!」
「そうなんですか…。いい事です。自然が大好きなんて…。
…優しいんですね。」
静かに目を瞑り桜を見上げる吉澤。
その時、静かに風が吹いた。
サラサラな髪の毛がなびく。
「さ。そろそろ行きましょう。もう少しお話がしたいとこですが
時間も迫ってきてますし。」
…本気でヤバいわ、アタシ…。
―…
- 4 名前:現実とは…? 投稿日:2002年06月11日(火)19時41分09秒
- 「…じゃあ、あたしはここで。失礼します。」
「あ、ありがとう。」
「いいえ。では。」
…。
す、素晴らしいわ!この学校!!!
ここの生徒って、みんなあんな感じなのかしら?
ホントお嬢サマ学校だわね。
やだわ。いい歳こいてヨダレタレ流してる場合じゃないでしょ!アタシ!!
「保田圭先生でしょ?」
「は、はいぃ!!」
何よ!いきなり!!
ビックリするじゃないのよぉ〜!
普通に声かけなさいよ!
っつーかかけてるわね…。チ!
まぁ〜た知らない間に知らない生徒が
立っていたのよ。
何よ?この田舎クサイガキは!
「そんな驚かなくていいべ…。なんかなっち、
悪いことしたみたいだべさ。ゴメンね?迎えに行かなくて…。
なっちも今着いたんだ。へへ…。まぁたやっちゃったよ。」
ニコニコ笑ってるわ、このコ。
あらあら…。ホッペ真っ赤にしちゃって。
しかも今時、オカッパ頭なんて…。
可愛いわ…。
- 5 名前:現実とは…? 投稿日:2002年06月11日(火)19時41分40秒
- でも…
「ゴルァ!もう入学式始まるでしょ!早く教室戻りなさい!」
「な…!何て事ゆうんだ?!
なっちは生徒じゃねぇ!先生っしょ!うぅ…。幼いからって
頭ごなしに叱る事、ねぇっしょ…。エ〜ン!!」
えぇ!!せ、先生?!
どう見たって生徒でしょ!!
大人の色気ナッシングだわよ!
と、とにかくなっち…だっけ?
わ、悪いことしちゃったわね…。
泣き止んでもらわないと困るわ…。
「ご、ゴメンね!ほら…飴あげるから。」
「…飴?」
「えぇ。美味しいわよ。しかもこの飴ね?昨日、巣鴨まで
行って買ってきたのよぉ?泣かない泣かない…。」
「…うん。グス…。」
ウルウルした目で口の中に飴を放り投げた。
…うう。あの飴、中々買えないのよ。
予約注文なのに。しかも直接行ってしなきゃなんないのよぉ。
また巣鴨まで行ってこなきゃ…。
「美味しい!圭ちゃん、この飴なまら美味ぇべさ!」
「そ、そう。良かったわ。さ、早く職員室入りましょうね。」
「うん♪」
前途多難ね…。
―…
- 6 名前:変わってしまったあたし達… 投稿日:2002年06月11日(火)19時45分51秒
- (あの先生…、自然をカメラに撮るのが好きって言ってたっけ。
面白そうな人だったし。でも何で網タイツはいてたんだろ?)
さっきの先生を思い出していた。
クスっと微かな息が漏れる。
自分の教室に戻ろうと、あたしは長い廊下を
歩いていた。
「朝から何か楽しいコトでもあったの?生徒会長さん?」
「梨華…。」
ふいに後ろから聞こえて来る甘ったるい声に
あたしは目眩がした。
石川梨華―。
「…何か用?」
「酷ぉ〜い。冷たいなぁ…よっすぃ〜は。」
- 7 名前:変わってしまったあたし達… 投稿日:2002年06月11日(火)19時46分21秒
- 台車の上に今にも崩れそうな積み重なった荷物。
そこに飛び乗り、スラリと伸びた足をばたつかせる彼女。
窓を開けてるせいか風が入り込み、彼女の長い茶色の髪が、
顔にまとわりつき細い指でかきあげた。
少し大きめの真新しいブレザーの下の解禁シャツは胸が見えそうな
くらいはだけていて、その黒い肌からキラリと光るネックレスに
あたしは妙にエロさを感じてドキリとし目を背ける。
幼い顔と、その色っぽさのギャップはとても
差がありすぎる。
小、中と、同級生だった梨華。
部活も一緒であの頃はとても仲が良かった。
何をするにも、よっすぃ〜よっすぃ〜って着いてきて。
「…何、イっちゃってるの?私のこと見て、
ヘンな気分になっちゃたかなぁ〜?」
「何言ってんの?梨華こそ…あんな連中と付き合うのやめなよ!」
途端、ムっとした表情になった。
- 8 名前:変わってしまったあたし達… 投稿日:2002年06月11日(火)19時47分37秒
- 「…よっすぃ〜には関係ないでしょ!!」
パチンと廊下に響き渡る音―。
そして教室がある方向とは反対に走り去ってしまったのだ。
叩かれた頬が痛い。
「梨華…。関係...あるよ。
…まだあのネックレスしてくれてたんだ。」
窓からは、柔らかな風に押されるだけで
淡雪のようにふってくる花びら。
顔に一枚ついた。
あたしはそれをそっと前歯で噛んで見る。
何だか微かに甘かった―。
―…
- 9 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年06月11日(火)19時49分15秒
- こんな感じで進めていきたいと思っています。
駄文ですが、お付き合いのほど
よろしくお願いします。
名前の通りマターリで逝かせて頂きますです、ハイ。
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)22時19分51秒
- なんかホンワカあったかな感じですか?
しかもいしよしに・・・期待しちゃって良いのかな?
マターリと、続き楽しみにしてま〜す。
- 11 名前:りか 投稿日:2002年06月11日(火)22時25分04秒
- はじめまして。読ませていただきました。
ん〜と、主な人物はけいちゃん、よっすぃ、りかちゃんですかね?
ごっちんも出てきそうな気配だけど・・・(笑)
けいちゃんとよっすぃは大好きなんでこれからも読みたいです。
では、ガンバッテください。
- 12 名前:梨華っちは文麿の応援団 投稿日:2002年06月11日(火)22時42分32秒
- はじまして〜♪カナ?
噂の●●●●かな?と思ったんでレスしてみました。
間違ってたらスンマソン
期待sageです♪
- 13 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年06月13日(木)14時15分29秒
- >名無し読者さん。
ホンワカ…それは秘密です(w
マターリ待っててください。
出来るだけ間をあけずに更新したいと思ってます…。
>りかさん。
はじめましてです。
中々痛いトコをつきますな(w
圭ちゃんもよっすぃ。も自分も大好きです。
頑張りますのでお付き合いくださいね。
>梨華っちは文麿の応援団さん。
噂の●●●●??誰か気になりますが
きっと私ではないと思います(w
期待sageどうもです(w
- 14 名前:…保田です! 投稿日:2002年06月13日(木)14時19分16秒
- 「いったぁ〜い…。」
檀上に上がり、挨拶するときにさぁ…
アタシ、緊張のあまりコケちゃったのよ。
ってか転がったっていった方がいいわね。
端から端までさ…。
しかも青タンできちゃってる!
何?傷物なっちゃった??
出荷(=結婚)はムリなの???
…花札大好きっコなアタシにはピッタシあってるかしら?
でもねぇ...あれって中々揃わないのよ。
モー一枚ってときに取られちゃってさ。
って意味わかんない!
何よ!生徒も先生方もさ…
あんなに腹かかえて笑わなくったっていいじゃん!
しかし…人ってあんなに転がるもんなのね。
一つ賢くなった気分だわ♪
人生、七転び八起きね!!
せっかくこの日の為に新調した紫のスーツが
切れちゃった…。
でもチャイナドレスみたいでいいわね(ポ)。
そぉとう即死…じゃなかった
セクシ〜かも♪
・・・即死の方に近いと思ったヤツは…
- 15 名前:…保田です! 投稿日:2002年06月13日(木)14時20分52秒
- と、とにかく無事に入学式も終わり、アタシは自分が受け持つ
クラス『1−A』の教室の前まで来ていた。
けど…足がすくんで中へ入れないわ…。
「あ〜…!!緊張するぅ〜。」
ドキドキしてきたわ。
アタシ。
こんなに気の小さいヤツだったかしら?
こんなことなら…小さい缶(ビール)飲んでくればよかった。
まぁいいわ。いつでもカバンに入ってるし、HR終わったら
隠れて花見しながら飲もうっと♪
昨日の夜に、挨拶の練習3時間もしたから
失敗はしないと思うけど…。
でもずいぶん酔ってたから記憶があまり
定かではないわね…。
なるようにしかなんないし。
「とにかく早く入らなくちゃ!」
―ガラ―
- 16 名前:…保田です! 投稿日:2002年06月13日(木)14時22分08秒
- な、何よ!
みんなアタシのこと見てる!!
お、おかしいのかしら?
もしかしてアタシのチャームポイントでもある
このセクシ〜丸だしホクロが
気にいらないのかしら?
やだ!!さっき行ってきたばっかだってゆーのに
またトイレ行きたくなってきたわ〜!!
今日、何回目かしら?
…圭!まず落ちつきなさい!!
ここで焦って墓穴掘ったらこの先、舐められるわよ!
最初が肝心なんだから!
まずは朝の挨拶しなきゃ…。
「お、お、お、あはよう。」
とちったわ!
しくじったわ!
どもったわぁ〜!!
- 17 名前:…保田です! 投稿日:2002年06月13日(木)14時24分39秒
- しかも何で『お』から『あ』になるのよ!
作者のキーミスじゃないわよ!
って何言ってんの!
ホ、ホラ!みんなキョトンとしてるじゃないの!
普通に『おはよう』で、ニッコリだったのに!
春のそよ風のように爽やかなイメージで登場するはずだったのにぃ〜!
悔しい!悔しいわ!自分に渇よ!
(…先生頑張って!)
「あら!吉澤…。」
一番前の席に座ってた吉澤が小さくウィンクして
ガッツポーズを作ってくれていた。
アタシのクラスだったのね。
知らなかったわ…。
そうそう!アンタ!
さっきの新入生代表挨拶良かったわぁ…。
隠れて写真撮っちゃったわよ。
フイルム3本分ね。
帰って早速、待ちうけ画像にしなきゃ♪
でもね…その後、言うまでもなく怒られたわ。
そんな心配そうな顔で見ないでよ…
そうよ。
普通にやればいいじゃない。
- 18 名前:…保田です! 投稿日:2002年06月13日(木)14時26分53秒
- 「…ゴメンね、みんな。先生、緊張しちゃってさ。」
吉澤のおかげで何とか落ちつきを取り戻せたアタシは
フーっと息をつき、
真新しい黒板に自分の名前を書く。
「今日からみんなを受け持つことになったキューティー保田圭、24歳。
まだ独身よ。みんなの中で、お兄さんとかいたら紹介してちょうだい。
24時間、受けつけOKだから。それと何か相談事があったら
小さいことでも何でも言ってちょうだい。ヨロシクメカドッグ。ワンワン。」
………。
ハズしちゃったわね。
氣志團、アタシの中で今ベストなのに。
千葉の誇りよ?熱いヤシ等なのよ?
寒い雰囲気を引きずったまま、その後はみんなに
お決りの自己紹介してもらい
何とかアタフタしながらもその日は何もなく
無事終わり。
…今日、仕事が終わったら
金八っつあんのビデオ見直さなきゃ。
- 19 名前:…保田です! 投稿日:2002年06月13日(木)14時27分55秒
- でもね…?
一つだけ気になることがあったの。
吉澤の隣の席が空いていて。
席番号を見ると
『石川梨華』
って生徒がいるハズなんだけど…。
休むって言う連絡もなかったしさぁ。
ここのコは?って
聞いてもみんなが口を揃えて知りませんって…。
で、おかしいことにその口調が
何かを隠してるって感じがすんのよ。
よくは知んないけどさぁ。
まぁ、明日は来るでしょ。
――――――――…
- 20 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時33分47秒
- 時がたつのって早いものね。
あんなにキレイに咲いていた桜の木々も
すっかり今じゃ見る影もなくなっていて。
アタシが先生になって、1週間が過ぎようとしていた。
その頃には、生徒がアタシに馴染んでくれたみたいで。
『圭ちゃん』と呼ばれるようになったわ。
ま♪アタシの人柄がいいからだわ、きっと。
…でもムカつく事に一部では
『オバちゃん』
とか
『ヤッス〜』
なんて呼ぶヤツ等もいんのよ!
まだ24よ?酷くない??
そりゃあさ?アンタ達にしてみれば
いい歳かもしんないわ!
でもアタシの心はいつでも10代なの!!
…頭の中はお子チャマだねとか言ってるヤツは
逝っ(r
…寂しい事に、いくらキューティーって呼びなさい!おまいら!
って言っても誰一人として呼んでくれないわよ…。
鼻で笑われるくらいだし!
結構、本気入ってんだけど。
ったく!!失礼しちゃうわ!!
- 21 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時34分50秒
- そんな話はどうでもいいんだけど、
石川…まだ学校に来てないのよ。
一度も見たことないわ。
電話しても出ないし、何の連絡もなし。
いったいどーゆーコト?
で…アタシ、とうとう吐かせたの。
ある生徒に。
呑みすぎてゲロ〜
いつものアタシ〜じゃないわよ?
え?汚いって?
ヤッス〜が汚いのはわかるけどって?
そんなの分かってるって?
シャレじゃないのよ!
しかもアタシ、誰と喋ってんのよ!キショ!!
『石川さんと、よっすぃ〜って仲良かったよねぇ?』
って…。
だから吉澤を図書室に呼んであるの、今♪
…懐かしい匂いがするわね、図書室って。
どーゆー風に?って聞かれても
うまく答えれないけどさ。
- 22 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時36分15秒
- 一人でいるとこの静寂が息苦しいこともあるけど
何だかいいの…。
やだ?アタシって詩人っぽくない?
…。
...何か言ってよ。
で、でもってここに吉澤が来るのよねぇ。
しかも二人っきりよ?
も、もしも、
『先生…そんなコトより、あたし。先生のことが…』
なぁ〜んてなっちゃったらどうするよ?ええ???
そして二人は見詰め合うの。
そしてゆっくりと…
「…先生?」
「うぉう!!!よ、吉澤!!いつのまに!!」
「さっきからいましたけど…。(何で目、瞑って口尖がってるんですか?)」
「そ、そう…。」
またやっちゃったわ!
まだまだ現役か(r
…おまん等。アタシの過去には触れないで(ボソ
って何言ってんのかわかんなぁ〜い!!!!
- 23 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時37分45秒
- ...とにかく本題に入ろうと、アタシは吉澤を
椅子に座らせ、コッソリ自販機で買ってきた
牛乳パックを渡したわ。
「吉澤はバレーやってんだっけ?骨が折れないように
カルシウム取らなきゃね。ってワケで牛乳。」
「でも図書室では…」
「いいの!溢さなきゃバレないんだから!飲みなさい!」
ちょっとの間、何かを考えていたみたいだったけど
ジ...っと牛乳を見つめたのちに
『いただきます』って言ってストローを挿し込み
飲み始めた。
ってかさぁ。
そんな自殺覚悟したみたいな顔しなくても
いいんじゃないの?本当にマジメ子ちゃんね…吉澤は。
…これでアンタも共犯よ?
ふふ…。
それにしても…キレイな顔してんよね。
いつ見てもさ。
アタシもこんな風に生まれてれば人生変わってたかも。
「ところで先生?何かお話があったんじゃ…」
「あぁ、そ、そう!…石川のこと。聞きたいんだ。」
- 24 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時39分00秒
- 『石川』と言う言葉が出た瞬間、吉澤は
体をビクっと反応させ、ゆっくりと牛乳を置いた。
ってゆーか顔が真っ青だわよ!
どーしたのよ!!
アタシ?アタシが牛乳飲ませちゃったから?
賞味はまだ大丈夫だったわよねぇ…
ふと自分のパックに目をやったわ、アタシ…。
「…え?」
ああああ!!!!!!
一週間も過ぎてんじゃないの!!
そ、そーいえばお腹の具合が…
ってか普通にそんなの売るの?
この学校って!!
お腹がゴロゴロしてきたわよぉ!
…今日はアブトロニックできないわね。
余計にお腹が(r
「あ…あたしは何も知りません。」
ポツリとたしかにそう言った。
この保田イヤーが聴き取ったわよ!
- 25 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時40分22秒
- 「…吉澤。先生、石川のことが心配なの。大切な生徒なの。
アンタから聞いたなんてそんなの言わないわ。言う必要ないもの!
何を聞いても、アタシは何でも受けとめるわ!カマ〜ン!よ!!
知ってるコト、全部教えてちょうだい。ね?」
「…先生。(…?何でお股を押さえてるんですか?)」
…ウルウルと涙ぐむ吉澤も可愛いわね!!
何て考えてる場合じゃないわ!アタシ!!
何でこんなに発情しちゃうのかしら?
...答えは簡単♪
春だもの…。猫と一緒ね…。(鬱
「…きっと、先生はこの話を聞くと…あたしのこと。軽蔑します。」
え…?
軽蔑?
大きな瞳からはポタポタと涙がこぼれだし、
ワっと声をあげ泣き崩れてしまった。
そっとアタシは吉澤の肩に手を置き、
「…腐ったミカンはうまくにゃい。」
「…???」
- 26 名前:ハート・コール 投稿日:2002年06月13日(木)14時44分56秒
- やだ。
何言ってんのかしら?
この台詞って今使うんじゃなかったのかしら?
意味もわかんないで使うのってやっぱムリだったわね。
…やっぱり金八っつあんのビ(r
そんなことはどうでもいいの!
今は吉澤…
一、生徒の悩みを聞いてる大事な時間なんだから!
「…軽蔑なんてしないわよ。絶対にね?苦しかったでしょ?
全部、話して石川のこと…迎えに行ってやろうよ。」
「先生ぇ〜...」
吉澤はまるで子供が泣きじゃくってるみたいに
ワンワン激しく泣き、アタシに抱き付く。
…そんなに悩んでたなんて。
アタシの心臓はどうかしちゃったんだろうか。
苦しいほどにしめつけられていて。
何度も何度も吉澤の頭を撫であげた。
―――――――――…
- 27 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年06月13日(木)14時46分07秒
- 更新しました。
梨華ちゃんの登場は
もう少し先になるかもです。
- 28 名前:梨華っちは文麿の応援団 投稿日:2002年06月13日(木)23時33分41秒
- スイマセン、某方の小説と勘違いしてました。
スンマセン
●●の正体は、いしごまです。^^;
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月14日(金)03時57分48秒
- 良いです。w
ここ読むの楽しみですきゃら。
続きまっとりま〜す。
- 30 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年06月14日(金)16時20分56秒
- >梨華っちは文麿の応援団さん。
●●の正体はいしごまでしたか(w
作者さんと勘違いしてますた(w
スマソ。。。密かにその小説が気になる今日この頃(w
>名無し読者さん。
うおー!(W
何とも嬉しい言い方!
ちとコーフン。。。
がんがりますとも(w
- 31 名前:それぞれの思い― 投稿日:2002年06月14日(金)16時23分32秒
- 「…ふぅ。」
窓は閉めきっていたはずなのに
部屋はなぜか桜の花の匂いが充満していた。
吉澤の話を全部聞いて帰らせたあと、
アタシは鍵を返すために職員室へと足を運んでいた。
吉澤の話の内容はこうだった―。
―中学のとき、石川の両親は大きな会社をやっていて。
まぁ、お嬢サマだったのね。でも高校合格してすぐのこと、
会社は倒産。
両親は石川だけを残して蒸発し…
今は叔父さん夫婦と暮らしてて。
でも一緒に住んでるじゃないみたい。
叔父がマンションを経営しており、そこに彼女は一人暮し。
学費も生活費も十分に貰ってて、何不自由なくやってる。
…とまぁ、こんなトコね。
でも、吉澤が何で軽蔑するって言ってたそのワケを、
アタシまだ言ってないわね。
- 32 名前:それぞれの思い― 投稿日:2002年06月14日(金)16時25分26秒
- 『…あたし。梨華ちゃんのこと。裏切っちゃったんです…』
…さすがのアタシもビックリしたわよ。
アンタもやるわねぇって肩でも叩けばよかったかしら?
スマソ…。
吉澤に石川から電話が来た。
『梨華?』と、呼びかけても何の返事もない。
おかしいと思い、急いで吉澤は石川の家に出向いたわ。
部屋の中で裸のまま、激しく泣いてる彼女がいた。
薄い唇からは、薄っすらと血が出ていて、
可愛い顔には所々青い痣が残っていた。
吉澤はすぐに察したみたいだったけど、
どうしたの?って一応聞いてみたらしいわ。
けれども混乱してる石川は
『ひと…ちゃん…おとう…んが…だれに…いわ…ないで…ね…』
『…梨華。誰にも言わないよ!だから泣かないでよ…!』
石川は吉澤のこと、信頼していたし、かけがえのない親友
だと思っていた…
1ヶ月が経ち、石川も何とか少しは落ちつきを取り戻しかけた頃、
吉澤はとても仲良かった先生にその事を話した。
ずっと一人で抱き持っていた不安な気持ちを
誰かに聞いてほしかったんだね。
- 33 名前:それぞれの思い― 投稿日:2002年06月14日(金)16時26分55秒
- 『…全部、あたしが壊してしまったんです。』
吉澤が図書室を出るとき、
…アタシ、何も言えなかった。
ただただ唖然とバカみたく口を開いたまま
黙っててしまっていた。
全部、受けとめるって言ったのに。
口だけじゃないのよ…。
握り締める拳が痛い。
吉澤も...
「…明日から2連休か…。休みってったってやることないしね。
石川のマンション行ってみっか。」
――――――…
- 34 名前:それぞれの思い― 投稿日:2002年06月14日(金)16時28分14秒
- あたしは保田先生に全部、胸の内を話した。
話してる途中に、物凄い吐き気がして―。
目の前が真っ暗になった。
…そして一つ。
あたしは先生にウソをついたんだ。
…今更、後悔しても...もぉ遅い。
あの先生もあたしを避けるようになるんだ。
中学の時、凄い仲良かった女の先生がいて。
あたしはこの先生ならって思って全部を話した。
都合のいい話だが、
きっと何とかしてくれるんじゃないかって
…少しの希望を持って。
やっぱりそううまくはいかない。
…次の日からあたしと梨華を見る先生の目は違った。
何か汚いものでも見るような…
そんな感じだった。
「…うぅ!」
突然の吐き気。
歪む視界―。
うるさいくらいの周りの騒音も耳に入らない。
- 35 名前:それぞれの思い― 投稿日:2002年06月14日(金)16時29分21秒
- 何とか電柱に体を預けることが出来たあたしは
その場へ座り込んだ。
(あれ…?)
体に力が入らなくなり、急激な目眩が襲う。
最悪なことに、いきなり大粒の雨が落ちてきて。
黒い大きな染みがアスファルトをどんどん塗りつぶして行く。
あまりの雨の冷たさに、あたしの意識は朦朧とし始める。
髪から滴る雨の雫がとてもウザくて…
震える指でかきあげようと、あたしはそんな些細な仕草に
必死だった。普段なら、すぐにやって出来ることなのに。
どうして今、それが出来ないの?
「…くしょう。」
雨は段々、強さを増して行く。
硬い地面にあたし自身が叩き付けられているようだった。
膝を抱え、あたしはその場にうずくまる。
「梨、華…。」
―――――――…
- 36 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時29分59秒
- あたしは夢を見た―。
梨華と自転車に乗って
真っ赤に染まった空を見る。
今日も疲れたねって―。
やっぱり、ひとみちゃんは凄いなぁ。
そう言ってニッコリ微笑む梨華。
あたしはいつもこう答えていたよね。
『そんなことないよ!』
練習で疲れていたはずなのに
ペダルを漕ぐ足は軽かった。
後ろで足をバタつかせ、
ギュっと腰に手を回す手は微かに震えていた。
『ひとみちゃん』
いつからだろう…。
あたしを『よっすぃ〜』って呼ぶようになったのは。
そう呼ばれることに、梨華との距離が
離されていく感じがしてたまらなかった。
あの頃に戻りたい。
一緒に笑い合い
苦をわかちあったあの頃へ―
―…
- 37 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時30分58秒
- 「…梨 華…。」
ツー...と頬を伝わる涙。
それは凄くキレイに私の目に映った。
私はひとみちゃんのそのキレイな涙を
指で拭い、口に含んだ。
どうしてこうなってしまったの?
あの頃へは戻れないの?
「…ひとみちゃん。」
私はいつものように、あの人の家から
帰る途中、電信柱でうずくまっていたひとみちゃんを
見つけた。
…そのまま見て見ぬふりをしようとしたけど、
心がそうはさせなかった。
呼びかけても何の返答なしだったので、
おかしいと思った私は、額に手をあてがると物凄く熱かった。
私より背が大きいひとみちゃんを、
マンションまで連れてくるのは一苦労だったけど、
さほどあそこからは、あまり離れていない所にある
私のマンション―。
意識がなかったけど、ひとみちゃんはふるふると
まるで捨てられた子犬のように体をよせてくる。
そんな彼女からは雨の匂いがして。
グシャグシャになった制服を脱がせ、
私のTシャツを着せてベットへ寝かせる。
さっきまで苦痛に満ちていた顔が、
見る見るうちに安心しきった…
何とも言えない、表情に変わる。
- 38 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時32分03秒
- 前にもこんな場面があったね。
覚えてる?ひとみちゃん。
あの時は私が熱出して…
ひとみちゃんが看病してくれたっけ。
私もあなたも...変わってしまったね。
見た目も関係も―。
もぉ…戻れない、ね…。
―…
- 39 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時33分19秒
- 「う…うぅん。」
うっすらと重い瞼を開けると、梨華の顔。
…なワケないか。
でも何だか懐かしい梨華の匂いがする。
あぁ。きっと夢なんだ。
…夢なら、このまま覚めないでほしい。
「気がついた?」
「…え?」
信じられない光景に自分の目を疑った。
そしてゴシゴシと乱暴に目を擦る。
少しベットから離れた場所にあるソファーに
彼女が腕を組んで座っている。
あたしはゆっくりと体を起こすと、梨華をマジマジと
眺めていた。
「…なんで。」
「よっすぃ〜何やってたの?あそこで。」
「あそこで…?…あ!」
甦る記憶。
そうだ。
あたし…
目眩がして…
意識がなくなって…
そこからどうしたんだ?
- 40 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時34分25秒
- 「…ほっとこうと思ったけど、死んじゃったら後々ヤバいかなーって。」
「…梨華が連れてきてくれたの?」
あたしが不思議そうな顔をしていたので
察したのだろう。淡々とした顔で説明してくれたのだった。
長い髪をかきあげ彼女は立ちあがる。
フワリとベットで寝ているあたしまで、香水の
いい香りがした。
「…だからここにいるんじゃないの?」
「…そ、そうだね。」
シーンと静まり返る部屋の中。
「…ねぇ。」
「…なに?」
「…あの頃には…戻れない…よね。」
布団を強く握る掌が、うっすらと汗ばんでいた。
何を言ってるんだろう…あたしは。
重苦しい重圧に何だか押しつぶされそうな感じがした。
- 41 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時35分37秒
- 「…戻りたいよ。」
「え?」
「…戻りたいけど…ムリなの!よっ…ひとみちゃん。私、あの頃に戻りたい!」
―ひとみちゃん―
たしかに梨華はそう言った。
形の整った眉を八の字にし両手で顔を隠し
彼女は号泣した。
時間が逆戻りしたような,,,
そんな感じがした。
ジーンと何かがこみ上げてきて、あたしはその場で
知らず知らずに涙を流していた。
すると彼女があたしの目の前までやってきて―
梨華はあたしを真っ直ぐに見つめた。
あたしもジ,,,っと梨華の潤んだ瞳を見つめる。
あたし達は かなり長いこと見つめ合っていた。
どうしてだろう…
不思議なほど照れくさくない。
どちらからともなく、そ...っと顔を近づけていく。
梨華が目を閉じるのを見て、あたしもそうした。
頭の中が真っ白になり溶けそうになった。
梨華のふっくらとした唇に触れて初めて、
自分の唇がずいぶん乾いていることに気づく。
- 42 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時36分18秒
- 「…あ。」
静かに唇を離されたあたしは、小さな声を出してしまった。
…何も言わず梨華はまた、あたしの唇にキスを落とす。
何度も何度も…
形を味わうかのように…
あたしの唇を優しく優しく包み込むかのような
熱いキス。
熱い吐息がお互いの顔に触れる。
そしてあまりにも…梨華の妙な色気…。
頭の芯がビリビリとして、今にもあたしは
気絶しそうだった。
―…最後の6回目のキスは長かった。
息が出来ない苦しさからか
あたしから口を離してしまったのだ。
黙ってお互い顔を見つめ合ったまま。
そして彼女が口を開く―。
- 43 名前:キスまでの距離 投稿日:2002年06月14日(金)16時37分21秒
- 「…でも、戻れない。」
「…な、何で キ、ス…。」
あたしは強い絶望を感じた。
心の中にあった小さな希望は見事に打ちのめされた。
…ここにいることが
何だかあたしは凄く恥かしくなった。
なんと虫の良い話…。
今更になって、自分の言った言葉に嫌悪感を覚える。
腰をあげるとき、フラフラと倒れそうになったのを
懸命に堪え,梨華の脇を素通りし、
ハンガーにかかっている制服を取った。
それは完全にはまだ乾いていなかったけど、
あたしはTシャツの上から羽織り、玄関までやってきた。
「ごめんね。都合良すぎるよね…あたし。…ありがとう。洗って返すから。」
「…」
何も答えない梨華の後姿を
あたしは少しの間、見つめていた。
華奢な体が震えていて。
あたしはすぐにでも彼女を抱きしめたい衝動にかられた。
こんな関係になっても、あたしは梨華が好きなんだなと
つくづく思った。
そしてドアノブに手をかける。
―あたしはもう二度とここに来ることはないだろう―
「…バイバイ。梨華。」
―――――――…
- 44 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年06月14日(金)16時38分50秒
- 梨華ちゃんの登場です。
次の更新は、ちょっと少し間が開くかもしれないので
今回、多めにしてみました。
ではまた。
- 45 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月15日(土)20時04分53秒
- 今日初めて読みました。
いや、面白いです。
ヤッスーがいい感じです。
いしよしの今後も気になる。
では続き楽しみにしてます。
- 46 名前:名無し虫。 投稿日:2002年06月22日(土)16時51分37秒
- なんとなくただ者ではない雰囲気のヤッスー最高!メチャワロタ…
石川吉澤を救える事は出来るんでしょうかねぇ。
楽しみにしてます。
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月30日(日)21時45分52秒
- 今日はじめて読みました。
いやー面白い!!
保田視点の面白さと、 石川、吉澤視点の面白さ。
それぞれ堪能いたしました。
続き、期待してマターリ待ってます。
- 48 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月01日(月)20時10分03秒
- >>ごまべーぐるさん。
ありがとうございます。
素直に嬉しいです(w
がんがりますね。
>>名無し虫。さん。
ヤッスーは只者ではないと私も思ってるんで(w
更新、遅いですが見捨てずにお付き合いください。
>>名無し読者さん。
ありがとうございます。
これからはもっと堪能(?)してください(w
マターリ待っててくださいね。
期間あいちゃって申し訳ありません。
これからは頑張って、更新早くするようにします。
- 49 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時11分37秒
- ひとみちゃんが帰ったあと、私はベットに身を
投げた。微かな温もりと、彼女の懐かしい匂い。
ギュっと布団を抱きしめる。
素直にあそこで今の関係を修復したかった。
少しづつでもいいから、前に進みたかった。
「…こんなつもりじゃなかったのに。」
―♪♪♪〜...―
。。。ソファーの上に置いてあった携帯。
きっと...あの人だろう。
のそりと、私はまるで熊が冬眠から目覚めたように
気だるさを感じながらベットから置きあがり、
携帯のディスプレィを見つめた。
「…あれ?」
誰だろう?
見た事の内番号が映し出されていた。
私の心とは裏腹に、軽快に鳴る音が
部屋中に響き渡る。
- 50 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時12分26秒
- 「…あ」
通話ボタンを押すつもりはなかったが
無意識な内に指は動く。
ゴクリと唾が乾いた喉にゆっくりと伝わって行く。
…取り合えず電話を耳元へ近づけた。
『…あれ?』
聴いたことのない声―。
『もしもし〜? …石川?』
「…え?」
名前を言われ、私は咄嗟に声を出してしまった。
『石川でしょ?担任の保田よ!』
「…どうも。何で…私の番号知ってるの?」
『…あのさぁ、ちょっと話しがあるんだけど…』
「…。(ってか聞いてないし。)」
―…
- 51 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時13分04秒
- 「…お待ちしてます。」
耳にあてがったまま、私はその場で軽く会釈をしていた。
今から私の担任がここへ来るらしい。
話しは圧倒的に進められ、私は呆然とただ
携帯を見つめていた。
いきなりの訪問。
...こうなる事はわかっていたハズだったの。
高校に入学したのはいいが、
一度もまだ私は授業を受けてはいなかったのだから。
ってゆーか…何で私の番号知ってるの??
―ピンポーン―
「…来た。」
一度も顔を見た事のない担任が来る。
何だか少し緊張していたけど
玄関まで私は早足で向かい、穴を覗く。
(…あれ?)
真っ暗で見えない。なんで?
先生じゃなかったのかしら?
ドアノブに手をかけ、私はゆっくりと
回しながらドアを押してみた。
誰もいない。
イタズラなのだろうか。
…。
…もぉ!
緊張していたのがバカみたいじゃない!
誰よ!いったい!何なの!何よ!!
- 52 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時13分54秒
-
「ウマ―――(゜д゜)――――――――!!!!」
「きゃ――――――――――!!!」
いきなりその人はドアの影から顔を出し、
私はビックリしてその場に座り込んでしまった。
何がウマーなのかは全くわからなかったけど、
指はしっかり穴をふさいで見えなくしていたのだった。
…腕長すぎだよ。
「だ、誰ですかぁ!警察呼びますよ!!!」
「ち、ちょっと!アタシはアンタの担任なのよ!警察なんて
呼ばないでよ!こんなトコでまだアタシの人生終わらせたくないわ…。」
…担任?
この人が?私の?
「…ウソ。」
- 53 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時14分43秒
- 私は座り込んで、彼女を呆気に取られたまま
見つめていた。その人は頭をポリポリかくと
申し訳なさそうにペロっと舌を出したのだった。
「…ホント。っつーかさぁ、ポカンと口開けてないで中に入れてちょうだい。
雛鳥みたいよ、石川。残念ね…今日はミミズ持ってないのよぉ。」
「え?いつも持ってるの?」
「持ってないわよ!ホラ!さっさと案内しる!」
グイっと私の腕を掴み、置きあがらせてくれたその担任は
ニッコリと笑った。
そして制服についた砂ぼこりを優しく払ってくれて。
そんな些細な温もりが凄く嬉しかった。
「石川? !!!何泣いてんの?アタシそんなに恐かった?
あううう!よく言われるのよね!笑った顔が恐いって…
…うう。アタシ的にはマリア様意識してんだけど…。って聞いてないわね。」
「ちが…違う…。」
私は額に薄っすらと汗が滲み出しながら、オロオロしてる
先生の手を引っ張りお部屋へと案内した。
―…
- 54 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時16分06秒
- 「へぇ〜...中々キレイにしてんじゃない。」
「そう…かなぁ?」
「うん、キレイよ。」
…キレイなのはいいわ。
いいんだけど、この部屋。
何でピンクだらけなの?落ちつかないわ!
「先生?」
「ひゃい!」
「?」
何がひゃいよ!アタシ!
石川が紅茶を入れてきてくれたわ。
気がきくわね。
テーブルの上にカップを置く。
…もちろんそれもピ(r
まぁいいわ。人の自由だもの。
- 55 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時16分40秒
- 「石川、アンタ何で学校に来ないの?」
「…行きたくないから。」
ま!唐突ね!!
…わかってたわ。
えぇ、わかってたこと。
「…じゃあ辞める?」
「…え?」
「だって来たくないなら仕方のないこと。
それに高い授業料払ってんの勿体ないじゃん。」
「…そ、それは。」
…このコ見てるとからかっちゃいたくなるわね♪
や!ダメ!アタシ!!
何て意地悪なのかしら!
真面目に石川の事、考えなくちゃ!
…ただイジはってるだけね。
学校に来たいんでしょ?
アタシもそんな時代があったわ。。。
- 56 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時17分13秒
- 「…アタシね。高校の頃、グレてたの。よくピーナツ畑で麦畑…。
地元の地引網漁には毎回参加。
お〜圭ちゃん、凄いなぁ!大漁じゃあねぇかなんてね…。
アタシの肌みたいにピチピチした鯛や平目にキハダマグロ…
でもそんなに黒くはなかったわね。って大きなお世話よねぇ!ほほ♪
なぁ〜んて獲れる訳ないじゃん!マグロは地中海!!これ掟!!」
「は、はぁ…(何?いったい何が言いたいのかしら?)。」
石川...困った顔してるわね。
保田列伝話したかったけど、失敗に終わったわ…。
ってか今回はマジでアタシも作者も逝きたいわけ!
…やっぱり単刀直入に喋ったほうがいいみたいね。
「…冗談は終わりよ。吉澤から…聞いたわ。」
「…!ひと…よっすぃ〜から何聞いたんですか?!」
乱暴に手に持っていたカップを置き、立ちあがる石川。
急激に顔色は真っ青になり、アタシを睨みつける。
- 57 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時18分07秒
- 「…アンタ達、凄く仲良かったらしいじゃない。…吉澤に裏切られちゃったんだっ てね、石川は。で、石川は吉澤を恨んでる。許せないよね、そんなの。」
「…。 ゆ、許せません。」
「そうよね。あんなヤシの事なんかみんなに言ってハンチケくらうといいわね?」
「…そ、そうですね…。(ヤシって...?ヤツってことかしら?それも千葉語?)」
「じゃ、そうと決まれば休み開け、吉澤のことバラして、石」
「やめて!…ひとみちゃんのこと悪く言わないで!何でそんなふうに言の!!
あなた先生でしょ?何でそんなふうに…」
顔を真っ赤にし、拳を握り締めながらボロボロと涙を溢す石川。
やりすぎちゃったわね…。
「…アンタさぁ。意地張ってるだけじゃん。やっと本心ブチまけてくれたわね?
ちょっとやり方が汚かったわね。ホラ…座んなさいよ。」
アタシは立ちあがり、石川の肩を擦りながら座らせる。
この小さくて細い華奢な肩に...やりきれない大きな思いを背負って今まで
生きてきた石川。自分の手が微かに震えているのがわかった。
アタシも思わず泣きそうになったわ。
でも、こんなトコでこのアタシが泣いてちゃいけない。
- 58 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時20分32秒
- 「…吉澤ね。アンタがいつ来てもいいようにノートに今までの
授業の分、詳しく書き写したりさ。コピー取ったり、色々やってるわよ。
あのコも随分苦しんでたみたいね…。何て言っていいかわかんないけど…
石川…。逃げれば逃げるほど、苦しみはただ重く圧し掛かるだけよ。
アタシ...。まだセンコー生りたてで、どうやって接していけばいいのか
わかんないけどさ…アタシに出来ることあったら
何でも言ってほしいの。アタシなんかに頼りたくないっての、あるかもね。
でもそう思っててもいいわ。アンタがアタシのこと
少しでも信じられるようになったら何でも話して…楽になろうよ、ね…?
アタシは絶対に裏切らないわ。」
「…せ…んせぇ…。」
- 59 名前:謎の…訪問者? 投稿日:2002年07月01日(月)20時21分07秒
- ワー!っと声を出し、彼女は前にも増して激しく泣き出した。
そ...っと石川の隣に座り、アタシは優しく包み込み、頭を撫でる。
石川はアタシに抱き付いてきて…今まで心の中に貯めておいた
苦しみや寂しさ...孤独感、いろんな感情が一気に爆発したみたいだった。
…マジでアタシも目が潤んで、そのまま涙が流れそうだったけど。
必死で面白いことや、楽しいことを思い浮かべてはニタニタ笑ってたわ。
…キショイわね…。でもそうしないとホンット泣きそうだったのよほ!
泣き疲れたのか、石川はそのままスースー...と小さな寝息をたてて
寝てしまっていたわ。顔に貼りついた涙の跡を、濡らしたハンカチで拭いてから
目頭にあてて、アタシは起こさないように石川を寝かせた。
『明日からカモーナ!よ!!』と手紙を書き残し、マンションをあとにしたわ。
「…明日から来てくれるかしら。」
少しは金八っつあんに近づいたような…
そんな気がした夜だった。
「やだ!!明日からお休みじゃないのよぉ〜!ハズイわ!アタシ!!」
―…
- 60 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月01日(月)20時22分20秒
- …圭ちゃんが痛いですね(w
更新しました。
明日も出きる限り更新します。
- 61 名前:夜叉 投稿日:2002年07月01日(月)21時18分39秒
- さすが海の女、やっす(爆)。
素潜りでわかめを頭にのせて這い上がってくる姿が目に浮かんできます(←勝手な想像
作者様、がんがって下さい。
- 62 名前:オガマー 投稿日:2002年07月01日(月)21時41分57秒
- 大声で笑ってしまいますた(w
初レスですが、初めから読ませて頂いています。
梨華ちゃんの初登場シーンが妙に色気あって気にイってまふw
- 63 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月02日(火)20時32分52秒
- >>夜叉さん。
海の女・やっす…ワラタ。
いえいえ、勝手な妄想ズワーイですよほ(w
がんがります。
>>オガマーさん。
マジメに進めたいなと思いつつも
私の中でヤッスーは…こんな感じになってしまう(w
- 64 名前:教師失格…逝ってよし! 投稿日:2002年07月02日(火)20時34分35秒
- …つまんない休みだったわ。
一人、家でビール呑んでさぁ、しかも真っ昼間からよ?
いいとも増刊号観て…
三平のマネしながら自分で爆笑して…
「なっさけな!」
「何が情けないの?保田センセ♪」
「い、飯田先生!いつから…。」
『保健室の魔女(又は宇宙の神秘)』こと飯田圭織ー。
長い黒髪に、スタイルばっちぐー、スラっとした長身の持ち主で
黒ぶちの眼鏡が印象的な先生。
なんでも、なっちとは幼馴染らしく、ヒマさえあれば
保健室でジャガイモを蒸かし、食べてるというちょっと変わった
先生なの。え?アタシも変わってるって?
しかもちょっとどころか変わりすぎだって?
えーえー...変わってるわよ!
変わりすぎよ!アタシは!!!
だって体も変形しちゃうんだからね!
- 65 名前:教師失格…逝ってよし! 投稿日:2002年07月02日(火)20時36分45秒
- うっそ!なワケないじゃん!!ほほほほほほほほほほ!!!!!!(ヤケ気味)
「…圭ちゃん?」
「何よ!!」
「…何で泣いてんの?カオ、何かした?」
「な〜んにも!」
「そ、そう…。 そう言えば修学旅行まであと一週間だね?」
「はぁ?」
修学旅行?いつ?何の話し?
「あれ?もしかして忘れてた?…なっちなんか凄い楽しみにしてるよ?」
「…ああ!そうだ!修学旅行!!」
そーいえば4日前の会議でそんな話が上がってたわよね…。
あの時、アタシ...あまりのも眠くてさ、目ぇ開いたまま寝てたっけ。
そして圭織に起こされて。。。
- 66 名前:教師失格…逝ってよし! 投稿日:2002年07月02日(火)20時37分22秒
- 「おっすぅ〜!圭ちゃんに圭織♪いやぁ〜楽しみだっしょ!
なっちなんか眠れなくてさ。困ったもんだべぇ。あ!お酒持ってく?」
…部屋割りとか決めなきゃいけないわよねぇ。
まぁ…あまり生徒の数が少ないから、すぐに決めれるとして…
あとは何だ?
何かあったっけなぁ…
「おっ圭!なぁ〜にボーっとしてんだ?あ…!圭ちゃんも楽しみで仕方ない
んだぁ…!なっちと一緒だべさ♪したっけ、なっちはこれで♪」
…なっち。
痛いわ。
そんな小さな体にこんな力があるわけ?
「け、圭ちゃん…!だ、大丈夫?」
「…見りゃわかんでしょ?」
…んげぇんげぇんげぇんげぇ…鼻血。
――――――…
- 67 名前:教師失格…逝ってよし! 投稿日:2002年07月02日(火)20時38分30秒
- 「はーい!おまんら席につかんかい!ゴルァ!!」
「圭ちゃん口悪―――い!!そして顔も!」
「おばちゃん、だからお嫁に行けないんだよ!ってか何その鼻せん?
やっだー!ダッサーイ!」
「うっさい!」
ホント、五月蝿いヤシ等!余計なお世話よね!!
ゲラゲラ笑ってる連中をグルリと睨みつける。
ホント、下品ね!これだから女子高は…。
あれ…?
(…石川…)
吉澤の隣には…石川の姿があったわ。
来てくれたのね…。
アタシの…説教(?)がきいたのかしら。
とにかく嬉しいわ…!
マジで嬉しいわ…!!
「いきなりだけど、今から部屋割り決めっから!
っつーかアタシが独断で決めるの!文句ある??
―――…
- 68 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月02日(火)20時40分35秒
- あたしの隣に…梨華がいる。
片肘ついてボー...っとしてる。
心臓がバクバクしてるよ…あたし。
ハハ…。
何一つ、言葉を交わすことはなかったけど、
とにかく梨華が学校に出てきてくれた事が
素直に嬉しかったんだ。
横目でチラチラ、あたしは梨華に気づかれないように
目配せしてた。
その度に、あたしの心臓は高鳴ってく。
もぉ…どーしようもなかったんだ。
きっと…保田先生が家に行ってくれて
そして…あたしに言ってくれた事を梨華にも
言ってくれたんだ。
…保田先生なら
信じられそうだ…。
- 69 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月02日(火)20時42分02秒
- 「…よっすぃ〜、何…見てんの?私の顔に何かついてる?」
「え…!あたし…見てた?」
「見てたよぉ〜?熱い視線でね。」
意地悪そうに笑う梨華。
でもそんな顔も凄く可愛くて。
あたし…ずっと梨華の顔見てたんだ。
恥かしいなぁ…。
「よっしぃざわ!!&石川!!あんた達、アタシの計画プランしっかり
聞いてた?修学旅行連れていかないわよ!!」
「あっちぃなぁ〜今日は!」
教室中がドっと沸いた。
あたしは真っ赤な顔をして俯き、モジモジしていた。
いまだに鳴り止まないみんなの笑い声は、どんどん高くなっていった。
- 70 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月02日(火)20時43分19秒
―バン!!―
(え…?)
ふっと顔を上げると、そこには怖い顔をして
立ちあがっている梨華。
何も言わず、スタスタとドアの方へ向かい、
激しく戸を開けると出ていってしまった。
「感じわりー!ちょっと可愛いからってスカしてんじゃねーよ!」
すぐさま一番後ろにいたおーやんこと、大谷雅恵が、これみよがしに叫んだ。
あたしはその一言に、カーっと頭に物凄い勢いで血が昇っていくのが
わかった。
「梨華のこと、そんな風に言うな!」
「ちょ…何だよ、よっすぃ〜...悪かったよ。そんな怒んなって…。」
「あたしに謝んないで梨華に謝ってよ!
…せっかく学校に出てきたって言うのに…」
シーンと静まり返る教室。
みんなが目を丸くさせていて、あたしとおーやんに
視線が集まっている。
さっきまでの笑い声など微塵もなかった。
- 71 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月02日(火)20時44分43秒
- 「はいはいはい。吉澤、その手を離しなさいな。…アタシが悪かったのよ。
ゴメン…。石川が出てきてくれて…ちょっと調子にのっちゃったわね。」
ハっとして、おーやんの胸倉を離す。
おーやんはゴホゴホと咳き込み、潤んだ瞳で
保田先生とあたしを交互に見ていた。
そしてバツが悪そうに頭をポリポリとかきながら
「…あとで謝るよ。」
「…おーやん、ゴメン…。」
心配で胸が張り裂けそうだ。
せっかく…せっかく学校に出てきてくれたんだよ?
今すぐにでも、あたしは梨華の事…追っかけたかったけど…。
また拒否されるのが恐かった…。
けど…
どうしよう…
(…梨華。)
「何やってんの!追っかけなさい!」
「は…はい!」
先生の合図(?)と供に、勢いよく
教室を出たあたしはすぐさま梨華の後を追った―。
――――…
- 72 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月02日(火)20時45分32秒
更新しました。
- 73 名前:オガマー 投稿日:2002年07月03日(水)01時07分21秒
- 相変わらず藁w
よっすぃ〜いけ!いくんだ〜(何
部屋割りが楽しみw
- 74 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月04日(木)22時03分50秒
- 部屋割り…懐かしい言葉(w
よすこ、GO!
- 75 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月06日(土)17時13分47秒
- ここのヤッスーに、カナーリノックアウッ!!(w
テンポがよくてすらすら読めました。
続き楽しみです。がんがってください。
- 76 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月21日(日)21時03分33秒
- >オガマーさん。
(O^〜^)<逝って吉っすか?
部屋割りは…どーなるんですかね(w
>ごまべーぐるさん。
部屋割り…確かに(w
(O^〜^)ノ<うぃ〜♪逝っちゃうよぉ〜!
>よすこ大好き読者さん。
ヤッスー…今、一番ハマってるかも...とか逝ってみるテスト。。。(w
(O;^〜^)<…いしよしよりも?
- 77 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月21日(日)21時04分42秒
- ああ!!!!!!!
あげちゃった!!
……(泣
…とにかく更新します…。
- 78 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月21日(日)21時05分26秒
- 中学の頃から梨華の隠れ場所は、決まって体育館倉庫だった。
高校生になっても、きっと変わってないと思い
あたしは必死にそこへ向かう。
まだ授業中ともあって、誰もいない廊下を走る。
タンタンタン...
はぁはぁはぁ...
あたしのけたたましい靴の音と荒い息の音だけが
響き渡る。
「…はぁはぁ。」
ゴクリと唾を飲み込む。
重たい鉄の戸を開けると、体育館独特の匂いで
あたしは咽返りそうになった。
目の前にあるバスケットゴールの網が
やけに鮮明にあたしの目に飛び込んできた。
窓から指し込む太陽の光りに映し出される埃達は
はながらチラチラと降る雪のように幻想的だった。
連なって出来る日の光のジュータンを歩き、
ゆっくりと第二体育館へと足を運ぶ。
さしかかった所にある倉庫。
- 79 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月21日(日)21時06分07秒
- ドキドキしながら、あたしはそこのドアに手をかける。
―ガチャ―
「…梨華。」
「……」
やっぱり梨華はいた。
何重に畳まれたマットの上に、膝を抱えたまま
蹲っている。
やっぱり変わってないね。
怒られたり、いじけたりすると、決まって梨華は
倉庫に隠れて膝を抱えたまま蹲っていた。
そんな梨華に、あたしは向かってゆっくりと歩き出す。
「…梨」
「来ないで。どうせ頼まれて来たんでしょ?」
「違う!頼まれてなんかいない!本当に…心配だった…から、だよ。」
一言一言…言葉を選びながら、吐き出すようにあたしは喋った。
突き刺すような梨華の視線。
一瞬、たじろんでしまったあたし。
今までこんな冷たい目…見たことがなかった。
- 80 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月21日(日)21時12分53秒
- 「…あ〜あ。やっぱ学校ってつまんない。辞めちゃおうかな…学校。」
「ダメだよ!辞めちゃ!…つまんなくないから。」
グっと握り締める拳。
ギュっと噛み締める唇。
あたしと梨華の間に言いようのない
ピーンと張った空気が流れ出す。
―♪♪♪〜...―
二人して体をビクつかせる。
いきなり鳴った梨華の携帯。
焦りながらも、梨華はポケットからそれを取り出し
ボタンを押す。
「…もしもし。…矢口さん。」
体が震え出す。
チラっと梨華は横目であたしを見た。
あたしはその場に固まって、梨華と矢口さんの
やり取りをただ黙って聞いていた。
そんな暑くもないのに、あたしの額からは
汗が流れ落ちる。何度も拭いながらも、あたしの視線は
梨華だけを見つめていた。
カーテンの隙間から指し込む光にキラキラと反射してるペンダント―。
それは故意ではないとわかっているのに、
なぜかあたしの心を苛立たせる。
- 81 名前:幼な心―。 投稿日:2002年07月21日(日)21時16分02秒
- 「…今から行きます。…はい。」
『ピ...』
どうやら話は終わったみたい。
あたしにチラリと目を配る梨華。
「…よっすぃ〜私、用事が出来たから。先生には体の具合が悪くなったとか
適当なこと、言っておいて。 …ばいばい。」
「ば…ばいばい。」
梨華がマットから降り、ポカンと口を開けたままの
あたしの横をすり抜けて行く。
あたしはその背中を追っていた。
梨華はドアの前に立ち、後ろを向いたまま立ち止まった。
今ここで…行くな!って強く言いいたかったけど
そんな勇気なんて今のあたしにはあるわけもなし…。
「…すぃ〜の…意気地なし!」
「…り、梨華!」
強く扉を閉め、梨華は走って出ていってしまった。
…涙交じりの声が、あたしの乾いた心に突き刺さる。
痛いほど…それはグサって...
TVにテロップがついて、しかも新説に
効果音もつくんじゃないかってぐらい突き刺さる。
冷静に…くだらない、どうでもいいような事を考えてたあたしは
ただただ呆然と...その場で動くことさえ出来ずにいた。
―――…
- 82 名前:マターリ作者。 投稿日:2002年07月21日(日)21時17分16秒
- …更新しました。
自分が情けない…。
逝ってきます。
- 83 名前:オガマー 投稿日:2002年07月22日(月)07時24分46秒
- ぐほっ(何
ペンダントが気になりまふ…
- 84 名前:ちゃみ華 投稿日:2002年08月10日(土)16時42分17秒
- 続きすんげぇ気になります!!
- 85 名前:理科。ヲタ作者。 投稿日:2002年08月18日(日)17時55分06秒
- 保全。続きお待ちしております。
- 86 名前:作者 投稿日:2002年08月19日(月)17時15分09秒
- えっと…。
某板に引越しいたします。
いきなりで申し訳ないです…。
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月19日(月)18時01分45秒
- 作者本人だったとしたら、移転の理由と移転先をはっきり言ってください。
違ったとしたら作者さんすみません。
- 88 名前:理科。 投稿日:2002年08月19日(月)18時43分34秒
- >名無し読者さん。
理由ですか…えっと、すみません。
ただ単に軽い気持ちで、です…。
ここで読んでくださってる読者様達には申し訳ない事をしたなと
思ってます…。だったら立てるなよ!と言う声が聞こえてきそうですが、
これからここでのスレ立ては一切しないつもりです。
早く完成させないと…という焦りもあってか、
最近、この作品を書いてて行き詰まっていました。
馴れ合いと呼ばれても仕方ないのですが、あっちの掲示板だと
書きやすくて。
移転先ですが、『よっさんねる』と言う新しく出来た
掲示板で続けさせていただいてます。
一、読者さんが立ち上げた掲示板です。
良かったら、この先も読んでほしいと思ってます。
本当に申し訳ありませんでした。
http://jbbs.shitaraba.com/music/2264/yoshizawaishikawa.html
理科。
- 89 名前:87 投稿日:2002年08月19日(月)19時43分31秒
- こういうレスが付くから移転しようと思われたんでしょうが、随分と勝手な方ですね。
私やその他の方が問いたださなければ黙ってるつもりだったのでしょうか?
どこで書くのも作者さんの自由だと思うし、書きづらい場所でこれからも書き続ける
ことを強要するつもりもありません。ただ、あなたにはこのスレを立てた責任があります。
せめてこの作品くらいここで完結させて欲しかったですね。
レス不要。
- 90 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月20日(火)02時42分25秒
- >89の方
確かにあなたの言ってることは正論だとは思いますが、
>こういうレスが付くから移転しようと思われたんでしょうが
正 解 !!
- 91 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月20日(火)03時04分37秒
- >>89
興奮してんなよ。バカじゃねえの?
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月08日(日)10時56分43秒
-
- 93 名前:afo 投稿日:2002年09月14日(土)01時24分11秒
- http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1835140&tid=a1fba1fb5hdf7a4ra4ha4dfa1fba1fb&sid=1835140&mid=9681
- 94 名前:通りすがり 投稿日:2002年10月08日(火)22時26分51秒
- >87 and 89
どこで書こうと、作者の勝手だろうが!
お前はサーバーの管理人か?
無料で、読まして貰ってるのに、がたがた言うな!
お前みたいな奴がいるから、移転されてしまうんだろが!
- 95 名前:通りすがり2 投稿日:2002年10月17日(木)20時17分50秒
- >94
禿しく同意!
作者は移転の通知をしているのに、それに、くそレスを付ける
アホがいるようなトコには痛くないよな。
ま、アホれす付けたヤシはもうここには来ないからどうでも良いが。
- 96 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月21日(月)16時54分42秒
- 終わったスレでageで書き込むようなやつが何を言ってんだ(ワラ
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