See you again

1 名前:なな 投稿日:2002年06月16日(日)02時28分29秒
吉澤主役で、アンリアルな娘。小説を書きたいと思います。
大学&バイトが忙しいんですが、なぜか書きたい衝動に駆られまして(w
ちなみに初小説なので、色々見苦しい点、間違いがあると思いますが、
その時はちゃんと指摘してもらえると助かります。
2 名前:プロローグ 投稿日:2002年06月16日(日)02時43分38秒
あれはどれくらい前だったっけ…。

あたし達はまだ幼稚園児だった。
あたしは、ある女の子ととても仲がよかった。
家が隣だったこともあって、その子とは毎日遊んでいた。
あたしを、「よっすぃー」と名づけたのもその子だった。


3 名前:プロローグ 投稿日:2002年06月16日(日)02時51分27秒
幼いあたしはなぜ彼女がそう呼ぶのか
わからなかった。

お母さんに聞いてみたら、
「吉澤の吉からとってよっすぃーなんじゃないかな?」
って教えてくれて、そうか〜って納得したのを覚えている。

じゃああたしも、と思って彼女を「ごっちん」と呼ぶことにした。
彼女の名前が「後藤真希」だったから。
4 名前:プロローグ 投稿日:2002年06月16日(日)03時06分32秒
普通に名前で呼んでもよかったんだろうけど、
なぜかあたし達はそうしなかった。

―何となく、そのほうが特別"な感じがしたのだ。

幼稚園にいてもお互いそうやって呼び合っていたから、
ほかの子達もあたし達をそう呼ぶようになっていった。

…でも、あたしには彼女―ごっちんが発する「よっすぃー」
という言葉は、他の子のとは響きが違って聞こえたんだ。
それほど彼女はあたしの中で特別な存在だったわけで…。
5 名前:プロローグ 投稿日:2002年06月16日(日)03時13分26秒
―別れは、突然やって来た。

あたし達が小学校に上がる前に、
彼女は遠い所へ引っ越してしまった。

「いつかまた会おうね」って約束して。

あたしはさみしくてさみしくて、毎日泣いていたけど、
時がたって、そんな気持ちもだんだん薄れていった。

―そして、彼女と離れ離れになってから、11回目の春が訪れた―
6 名前:なな 投稿日:2002年06月16日(日)03時23分31秒
更新終了です。

すでにのところ間違ってて鬱です。
微妙な間違いなんですけど、自分ではかなり気になります。
…まあいっか!ポジティブに行こう!


あと、感想や意見なんておっしゃってくれると
とても参考になります。小躍りします。まじで。
その前に誰かこんな駄文を読んでくれるんでしょうか。ハハ…。
7 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月16日(日)03時27分55秒
よしごまキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
読んでますよー
期待してますので頑張って下さい。
8 名前:にゃん 投稿日:2002年06月16日(日)11時04分32秒
よしごまですか?嬉しいなぁ〜。吉後大好き相謦」って下さいね。
9 名前:なな 投稿日:2002年06月16日(日)14時01分19秒
≫名無し読者さん
ありがとうございます!あ〜読んでくれる方がいた…。
ご期待に応えられるよう、頑張りたいと思います。

≫にゃんさん
そうです、よしごまなんです。
そうなんですけどね…。

それでは、調子に乗って更新したいと思います。
基本的に更新は土日orバイトのない日になると思うんで、
そこら辺はご了承下さい。
10 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月16日(日)14時16分32秒
「よっすぃー!」

四月。新しい季節の始まりだ。とは言っても、あたしは高2で、
学校は中・高・大のエスカレーター式だし、周りは知ってる子ばかり。

でもクラス替えはあるんだよなぁ〜。そういえばクラスどこだろう。
まだ見てなかったな…。

そんな事を考えていたら、独特の高いアニメ声の子に名前を呼ばれた。
(そんな事言ったらすぐ怒るから言わないけどね。)

振り向くとそこには息を切らしながら、ある女の子が立っていた。
11 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月16日(日)14時27分09秒
「よっすぃー!…もぅ、探したんだよ〜。」

梨華ちゃん―石川梨華は、中学のときずっと同じ
クラスだった、あたしの親友だ。

「どうしたのー?そんな息切らしちゃてさぁ。」

「あのね…ハァ…ちょっと待って…。」

そーとー疲れたんだろう、梨華ちゃんは2,3回深呼吸してから、

「あのね、よっすぃーと私、同じクラスになれたんだよ〜!」

12 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月16日(日)14時38分04秒
「まじでー!去年は離れちゃったからさぁ、今年は
 一緒だったらな〜って思ってたんだよねー!」


梨華ちゃんの他にも仲のよい子はいるけど、やっぱり
親友が同じクラスってのは嬉しい。

3年のときはクラス替えがないから、二年間一緒なんだ。
楽しくなりそうだ。


―なんて事考えてたら、

「ちょっとそこの二人ー!私のこと忘れないでよ〜!」


って、かわいい顔をちょっと歪ませて怒ってる子がいた。
13 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月16日(日)14時43分44秒
「やだ〜柴ちゃん!忘れてないよー。」

「そうそう、そんな怒んなってあゆみ〜。」

「いいもん!どうせ存在感ないもん!」



そう言って頬を膨らましているのは、
あたしのもう一人の親友、柴田あゆみだ。
14 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月16日(日)14時56分47秒
「まぁまぁ、せっかく3人同じクラスになったんだし、
 最初からけんかすんのもね〜。…それにあゆみさぁ、
 平家先生と付き合うことになったらしいじゃん。
 おめでと〜!」


「え〜!!なにそれ、ほんと?柴ちゃん!!」


「!!!!なんで知ってんの、よっすぃー!!!!」



そう言って、カーッと顔を真っ赤にしちゃったあゆみ。
ほんと、すぐ赤くなるんだから。


梨華ちゃんは、「柴ちゃん、ほんとに?ほんとに?」って
何回も聞いてて、あゆみはさらに顔を赤くして俯いてる。


あたしはクスクス笑ってその様子を眺めていた。







  
15 名前:なな 投稿日:2002年06月16日(日)15時02分55秒
少しですけど、更新終了です。


書き方って言うか、行間のあけ方とかが
いまいちわかりません。
見にくいようでしたら、ご指摘お願いします。


それでは、もし時間があれば今日の夜にでも
また更新したいと思います。…調子いいこと言って、
結局更新しなかったらすいません…。
16 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月16日(日)18時29分47秒
しばみちっすか!?そっちサイドの展開もあったら嬉しいなぁ・・・
期待してます。がんがってくださいね。
17 名前:皐月 投稿日:2002年06月16日(日)20時00分19秒
よしごまっすか?それとしばみちですね・・・
期待してマース!
18 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月16日(日)22時05分05秒
後藤さんの登場が楽しみです!
19 名前:なな 投稿日:2002年06月16日(日)22時31分16秒
≪16 名無しさん
しばみち…やりたいんですけど、そっちは
本編が終わってからになると思います。
気長に待ってもらえると助かります。

≪17 皐月さん
よしごまなんですけど…よしごまになるのは
まだまだ先になると思います。色々あるんですよ…。
でも期待してもらえて嬉しいです!頑張りますよ〜!

≪18 名無しさん
後藤さんの登場楽しみですか!
…すいません、後藤さんが出るのは結構先なんですよね〜。
でもそのうち出てきますんで、もうちょっとお待ち下さい。


更新…しようと思ったんですけど、明日提出の課題が終わらないんです(w
終わり次第、更新したいんですけどね。平日になるとこればっかりも
やってられないんで。といいつつ毎日更新しそうだYO!
20 名前:なな 投稿日:2002年06月16日(日)22時37分15秒
ああもういやだ!!!
≫ じゃなくて ≪ になってるYO!!
すいません…抜けてる作者で。
そのうち他の作者さんのところに更新したりしそうで恐い…。
21 名前:なな 投稿日:2002年06月17日(月)22時23分44秒
今日は自主休講してきました。いわゆるサボリです(ニガワラ
明日ももちろんそのつもりですが何か?



だ っ て 明 日 は 日 本 VS ト ル コ で す よ !



サボるに決まってるじゃないですか。
午前中はいけるんじゃない?とか言わないで下さい。



ということで、時間があるので更新します。
時間のあるうちにできるだけ更新したいので。



22 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月17日(月)22時31分51秒
あゆみは、相変わらず顔を真っ赤にして俯いている。

梨華ちゃんは、あゆみから聞き出すのをあきらめたのか、



「ねぇ〜、よっすぃーなんで知ってんの?
 もしかして、私だけ知らなかったのー?」


「あのさぁー、実は…。」



あたしが言おうとしたら、一人の女の人が
いきなり会話に乱入してきた。
23 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月17日(月)22時44分10秒

「それは〜矢口がよっすぃーに教えたからだよ〜!!」



それはあたしたちの学校の先生である、矢口先生だった。



およそ先生らしくない金髪に、その小さいカラダからは
想像もつかないほどのパワーを持つ人だ。



「矢口先生!」


「え〜じゃほんとなの?まりっぺー。」
と梨華ちゃん。



矢口先生はその明るく誰とでもうちとける性格から、
生徒にもとても人気がある。


そのせいか、梨華ちゃんのように「まりっぺ」とか、
「やぐっちゃん」なんて呼ぶ生徒も少なくない。


本人も、特に気にしてないようだ。
24 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月17日(月)23時11分02秒

先生も先生で、自分のことを「矢口」なんて言うし。
ちょっと変わってるかも。


…ほんと、先生らしくないよなぁ〜。
でも、まぁそんなとこも…。いやいや、何でもないです、ハイ。



「ほんとだっつの!矢口、圭ちゃんといっつもみっちゃんから相談受けてたし。
 …みっちゃんが柴ちゃんに告白されたときとかね。」


そう言って、矢口先生はいたずらっぽく笑った。



「それにさ〜、みっちゃんもマジメだから、ほんとに自分なんかが
 柴ちゃんにふさわしいのかとか、柴ちゃんを幸せにできるのか、
 とか…すごい悩んでたんだよ〜。ま、結局うまくいったみたいで
 よかったけどね。」



「…あたし、そんなに先生に思われてたんだ…。前に断られたのも、
 先生があたしのこと、色々考えてくれてたから…だったんだ。」



そう言って、柴ちゃんは少し涙目になっていた。



「うん、矢口はみっちゃんって柴ちゃんのこと、
 すごい大事にしてると思う。」



 
25 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月17日(月)23時28分59秒


…そして、そんないい雰囲気をぶちこわした人物がいた。




「も〜!!保田先生ったらな〜んで石川には言ってくれなかったの〜!?
 まりっぺはよっすぃーに言ってるのにー!!」




…梨華ちゃん、場の空気を読めよ…。




「ハァ…石川、あんたがそんなんだからだよ。」



矢口先生はふぅ、とため息をついて、
圭ちゃんも苦労するなぁ、と呟いた。



「え〜?どういうことー?…あっ、保田せんせぇ〜!!
 何で石川にはあんな大事なこと黙ってたんですか!?」



ちょうど近くを通りかかった保田先生を見つけ、
梨華ちゃんは駆け寄って行った。



保田先生は最初は「?」って顔だったけど、あたし達の顔ぶれを見て、
何のことか悟ったようだった。


そして、苦笑いしながら「何で?何で?」としつこい
梨華ちゃんを連れてどこかへ行ってしまった。



26 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月17日(月)23時41分39秒


まぁ、保田先生のことだからきっと何かうまいこと言って
梨華ちゃんをまるめ込むんだろう。



梨華ちゃん、騙されやすいからなぁ〜。
ちょっとからかうと、すぐ本気にしたりしておもしろいんだよね〜。
そういやこないだも…。



「よっすぃー…?」




ハッと我にかえると、あゆみが少しは赤いのがおさまった顔で、
あたしに話し掛けていた。



ヤッベー、圭織先生の交信グセ、うつったかも。



「ん?何あゆみ。」


あたしはあせったのがバレないように、
平静を装って返事をした。



あゆみはあたしの様子をうかがうように、聞いてきた。



27 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)00時08分37秒


「あのね…私が平家先生のこと好きだってみんなに言ってなかったこと、
 怒ってない?…私達、親友なのに。」



「何〜そんなこと気にしてたの?バッカだな〜。」



あたしがそういうと、あゆみはへっ?って顔で
あたしの顔を見てきた。



「あゆみ、あたしらって親友だよ?確かに。だからって、
 全部何もかも話さなきゃダメ、ってことはないんじゃん?
 …でもさ、あゆみがまじツライ時とかは、力になって
 やりたいと思う。―だから、そんな時はだまってないで
 話してほしいな。」



「―うん、ありがと、よっすぃー…。」



あゆみはひとことそう言って、ようやくいつもの笑顔を見せた。



何か―いいな、友情の再確認、って感じ?



そして、お互いなんか照れくさくなって照れ笑いを浮かべていたら、



「お〜い!矢口のこと放置すんなよ〜!」
って言って、あたし達の間でぴょんぴょん飛び跳ねてる、矢口先生。



うぅ…ヤバイ…かわいすぎ。
あたしにどうしろっていうんですか?先生。



28 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)00時26分03秒


「それじゃー邪魔者は退散しますか!…平家先生のとこにでもいこっかな。」



そう言って、あゆみは行ってしまった。



―気ぃきかせてくれたのかな。…つーか、始業式のこと覚えてる?




そしたら、矢口先生がいきなり抱きついてきた。



「へへ…よっすぃ、やっと二人っきりだね。」

そう言って、あたしの腕にさらにぎゅ〜っと抱きついてきた。




―もうわかったかもしれないけど、実はあたしと矢口先生は付き合っている。
そして、梨華ちゃんと保田先生もだ。




普通に考えれば、こんな事ばれたら大変なんだけど、
この学校は普通じゃないらしい。


あたし達みたいなカップルが、結構いるのだ。



なぜそんなことが許されるのか、話せば長くなるんだけど、
それは、この学校の理事長のおかげだったりする。




29 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)00時43分01秒


この学校の理事長は少々変わった人で、一度理事長室の掃除をやったとき、
部屋がヒョウ柄であふれていたことをあたしは強烈に覚えている。


それはまぁいいんだけど、理事長―中澤裕子さんは、実はまだ30前で、
この学校にはよく出没する。
ここの生徒で、彼女を知らない人はいないだろう。




―あれは、あたしと矢口先生が付き合い始めてから三ヶ月位のときだった。



あたし達は、だれもいない教室で、キスを交わしていた。
しかし、実はその光景を見ていた人物がいたのだ。



よりによってその人物は、学校で一番厳しいとされる、
生徒指導の先生だった。



この事は、すぐ職員会議で問題になった。



そして、矢口先生が責め立てられていた時―理事長は、いきなり
職員会議に乱入してきたらしい。



そして、こう言い放った。







30 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)01時08分45秒


「お前ら、ガタガタうるさいんじゃあ!教師が人を好きになって何が悪いんや!
 しかも一人を大勢で責めよって…ホンマ情けないわ。それにぶっちゃけなぁ、
 アタシもこの学校に付き合ってる子おるんやけどな。ん?何か言いたそうやな。
 なんか文句ある奴は言うてみぃ、…ま、すぐこの学校やめてもらうけどな。」



そしたらあたし達のことを目撃した先生までも、おとなしくなったらしい。
…確かに、ここ給料いいらしいし。



そして、しまいには「この学園内での恋愛は全て個人の自由とする(教師を含む)」
なんてとんでもない校則を作ってしまった。



かなりありえないんだけど、このおかげであたしと矢口先生は
何の処罰も受けずに、今に至るという訳だ。



―あとから知ったことなんだけど、理事長の彼女というのが、この学園の
大学4年の安倍なつみさん、というひとで、実は矢口先生の後輩だという。
世間は、狭いもんだ。


一度だけ見たことがあるけど、とてもかわいらしい感じのひとだったなぁ。




…矢口先生が一番だけどね。




31 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)01時19分17秒


「よっすぃー、どうしたの?」



あたしを現実に戻したのは、矢口先生の声だった。
あたしの顔を下から覗きこむようにして見ていた。



あぁもう…その上目使いは反則っすよ…。



あたしはたまらず、その形のいい彼女の唇に近づいていった。




ちゅう…。








32 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)01時33分19秒


「…ん…よっすぃー…。」



先生はうるうるした目であたしを見ている。
もしかして、感じちゃった?
…あたしはこれくらいじゃ、許しませんよ?




「先生…。好きだよ…。」



あたしは先生の耳元でそう呟くと、もう一度顔を近づけていった。



「だめだってばぁ…誰かにみられちゃうよぉ…。」



口ではいやがってるみたいだけど、なんかカラダ、熱くなってません?
…先生もほんとはもっとほしいんでしょ?



そして一瞬の隙をついて、あたしは舌を滑り込ませた。




33 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)02時06分39秒


―やっぱり何回キスしても、この感触は飽きることはない。
先生の舌はすごくやわらかくて、あたしは優しく舌を絡め始めた。



「んぅ…はぁ、よ…すぃ…。」
とたんに、先生は甘い声を出し始める。



あたしはその甘い声にあたまがしびれるような感覚に陥りながらも、
先生と絶え間なくキスをし続けた。



…ヤバイ、止まんないかも…



あたしは、そっと先生の服の中に手を差し込んだ。



その瞬間、先生はビクッ、と身をすくめた。





34 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月18日(火)02時35分51秒


「あっ…よっすぃー…ほんとにダメだって…。」



そうは言うものの、先生はすでに体に力が入らないようだった。
確かにここじゃ人に見られるかもな、と思って、
あたしは先生の手を引っ張ってある場所へと向かって行った。




あたしが向かった先は、トイレだった。そして個室に入り、カギを閉めた。


「え…ちょっとよっすぃー、ここで、するの?」


「うん。だめ?」


「ダ…メじゃないけど…誰か来るかもしんないじゃん。」


「だいじょうぶ!…だからさ、しよ?あんま長引かせないし。
 それに…あたしもうガマン、できない。」



あたしはそう言った瞬間、先生の背中に手をまわし、
素早くブラのホックをはずした。



そして―先生のきれいな形の整った胸に手を伸ばしかけた時―



「え〜全校生徒の皆さん、始業式を始めるので、体育館に集合して下さい。」
という放送がかかった。



…忘れてた、今日は朝早くから始業式があるんだった…



あたしと先生はお互い顔を見合わせて、ハハッと苦笑いをした…。





35 名前:なな 投稿日:2002年06月18日(火)02時44分18秒


一応更新終了です。

えーと…


すいません、とりあえず謝らせてください(w
なんつーか自分でもよくわかりません。
考えながら打ってるから(w
内容は変だわ異常に打つの遅いわ…。


そしていつ後藤さんが出てくるのかと
思っていらっしゃる方もいると思いますが、
もうすぐです。私の予定では(w



36 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月18日(火)05時36分15秒
このまま吉やぐで行って欲しい!このCPも最近、少ないんで(泣
37 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年06月19日(水)18時00分31秒
はじめまして。

私もこのままよしやぐでいってほしいです。
そして、保石なんかも書いてくれるともっと・・・(笑
おもしろそうなので、この後も読みたいと思います
38 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月19日(水)19時40分23秒
よしごま大好きっす!ごっちんの登場ももうすぐらしいので、かなり
期待しちゃいます♪
39 名前:なな 投稿日:2002年06月19日(水)23時53分36秒
>名無し読者さん
吉矢、私も大好きなんですよ〜!いや、まじで。
…でもそれ以上に吉後が好きなんですよね。
ということで、申し訳ないんですけど吉後、ってことで(w

>やっすぅ推しさん
保石ですか…。本編が終わったあとになりますが、
短編で書けたらなぁ、と思ってます(みちしばも)。
…そんな簡単に言っていいのか、自分。書けなかったらすいません…。

>名無しさん
よしごま大好きですか!(ニコーリ
ごっちんもきっともうすぐ…出てくるはずです(アセアセ
とにかく、期待してもらってかなり嬉しいです。


レス、ありがとうございます。ほんとに、励みになりますよ〜!

更新ですが、もうちょっとお待ち下さい。
さっきようやく家に帰ってきたので、疲れ気味です。
授業サボって友達と遊び歩いていたので…。
すいませんすいません。


何が大学忙しいだよ、ヴァカかおめーは。


そんな声が聞こえます…。
土日、どっちかバイトが終わったら更新させてもらいます。たぶん、いや絶対に。

40 名前:なな 投稿日:2002年06月22日(土)20時32分50秒
バイト、終わりました。
そっこー帰ってきたんで息上がってるんですけど
今から更新させてもらいます。



41 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月22日(土)20時41分36秒

「えーと…じゃ、いこっか?よっすぃー。」

「…そうですね。先生、一緒に行きましょう?」

「あ、矢口職員室に寄って行かなきゃダメだから、途中までね。」

「職員室?始業式もう始まりますよ?」


あたしがそう尋ねたら、


「へへ…実はね、矢口のクラスに転校生が来るんだよ〜!それで、始業式の間は
 職員室で待っててもらこと言うの忘れてて。」


転校生か…珍しいなぁ。この学校エスカレーター式だからあんまり来ないのに。
そこで、あたしはふと思い出したことがあって先生に聞いてみた。


42 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月22日(土)21時07分21秒

「先生、そういえば担任どこになったんです?」


とあたしは聞いてみた。自分でクラス見てなかったからわかんないんだよね。
すると、矢口先生はへへっと笑って言った。


「よっすぃーのクラスだよぉ〜知らなかったの?」

「そうなんですか〜!?うれしいな〜矢口先生と一年間も一緒なんて。
 じゃああたし転校生と同じクラスなんだ。…かわいい子かなぁ〜。」

「ん!?浮気は許しませんぞ!!そんな悪い生徒には成績1つけてやる〜!」

「まじっすか〜!勘弁して下さいよ〜。」


そんな風に、ふざけながら歩いていたら職員室に着いた。
そこで、あたしは矢口先生と別れて体育館に向かおうとした…けど、
転校生のことが少し気になったから職員室を覗いてみた。






43 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月22日(土)21時20分49秒

そこには、見慣れない制服の女の子がいた。
でもここからじゃ後姿しか見えなかった。


どんな子か顔を見てみたかったけど、どうせ同じクラスなんだし…。
あたしはそう思って、体育館に向かった。


でもその途中、あたしはほんの一瞬…しかも後姿しか見ていない、
あの女の子のことが気になってしょうがなかった。



―なんでこんな気になるんだよ…ただの、転校生じゃん。
…ただ単に転校生が珍しいから気になるんだよな、きっと―



あたしはムリヤリそう納得して、体育館に向かい、
自分のクラスのところに並んだ。




44 名前:なな 投稿日:2002年06月22日(土)22時47分55秒

すいません、途中まで打ってたら親に


「ビデオ返して来い」


と言われ、ツタヤに行ってました。
両親ともに酒飲んでたんで、運転できないからってことで私に行けと。

その後すぐ帰ってくればいいものを、いつ行ってもなかった
「ウォーターボーイズ」を発見しまして(w
えぇ、もちろん借りました。


その後、立ち読みとかして気づいたらこんな時間…
すいません、ほったらかしにしてしまって。
再度、更新します。


45 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月22日(土)23時20分51秒

体育館には、梨華ちゃんとあゆみがすでに並んでいた。


「よっすぃー、遅い〜!まりっぺといたんでしょ?どうせえっちなことでも
 してたんでしょー!」

「ちょっと梨華ちゃん!そんなこと聞いちゃだめでしょ〜!第一、梨華ちゃんだって
 保田先生とどこ行ってたのさ〜?」

「え〜そんなこと聞かないでよ、柴ちゃんのえっち!」

「なっ!それはアンタでしょー!」


あたしは、そんな二人のやり取りを苦笑しながら見ていた。


「ちょっと、何笑ってんのよっすぃー!だいたい、よっすぃーが遅いから
 こんな話になってるんだから!…で、ほんとのところはどうなの?」

「あ〜柴ちゃんてば私に聞くなって言っといて〜!」







         
46 名前:Chapter1.始まりの季節 投稿日:2002年06月22日(土)23時38分29秒

あたしは、突然話を振られ、ちょっととまどったけど


「別に何もないから〜!…あ、そうそう矢口先生言ってたけど、
 うちらのクラス転校生来るんだってよ。」


と、あたしが言うと、二人とも驚いたようだった。


「転校生?めっずらしぃ〜!どんな子だろーね?」

「…友達になれるかなぁ…」


…やっぱ、転校生ってここじゃ珍しいんだよね。


二人の話題は転校生のことに変わったようだった。


あたしは話の矛先が変わってホッとしつつも、
頭の中は転校生のことでいっぱいだった。



さっきから、あたしはオカシイ。




しかも…




あたしはあの女の子の後姿を、ずっと前から知っているような…



―そんな気が、していた。








47 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月22日(土)23時53分20秒

始業式が始まった。


さっきから妙に前の方がザワザワしてるなぁ、と思ったら、
どうやら、新任の先生がいるようだった。


でも、それにしたって騒ぎすぎじゃないかぁ?異常っていうか…。
梨華ちゃんと、あゆみも気になっているみたいで、背伸びして前の方を見ようとしている。


あたしのそんな疑問も、その先生が壇上にきた時に解消した。


ふぅん…みんなが騒ぐワケだ。





48 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月23日(日)00時04分50秒

その先生の名前は、市井紗耶香、だった。
そして新任の先生が挨拶をしている。当たり前の光景だ。


でも市井先生が自己紹介をしている間、体育館は異様な熱気に包まれていた。


何ていうか…市井先生は美少年、って感じなのだ(もちろん女の人なんだけど)



梨華ちゃんとあゆみまでもが、


「かっこいいね…」


なんて、頬を赤らめていた。
…二人とも、平家先生と保田先生はいいのか?












49 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月23日(日)00時19分39秒

あたしは、ふと矢口先生のことが気になって探してみた。


…市井先生って、結構矢口先生のタイプっぽいんだもん…
りかちゃんとあゆみみたいになってたら、あとで覚えてろよ〜


そして、遠くのほうに矢口先生の姿が見えた。


あれ?おっかしいな〜?



予想に反して、先生は表情一つ変えずに市井先生の話を聞いていた。




むしろその顔は少し青ざめていたんだけど…あたしはその美しさに見とれていた。




50 名前:なな 投稿日:2002年06月23日(日)00時30分28秒

更新ageです。

ごっちん、出てきませんね〜。…違う人なら出てきましたけど。

う〜ん…なかなか話が進まなくて困ってます。
こんな駄文を読んでくださっている方(いるのか!?)に申し訳ないです。

ハァ…ほんと、文章を作る才能がほしいです…。



51 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月24日(月)07時02分12秒
読んでます...動機は不純ですがw
(たまにある石川さんと保田先生を待ちつつw)
こんな読者はど〜でしょ?
やっぱ自分が推してる組み合わせ好きな人がいいかな?と思いつつ。w
これからもこっそり読んでいくのでがんばって下さいねw
52 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年06月24日(月)14時29分13秒
名無し読者さんと同じく、
たまにある、石川と保田先生をとっても期待しつつ(笑


>本編が終わったあとになりますが、短編で書けたらなぁ、と思ってます

うれすぃ〜♪がんばってくださいね♪
53 名前:にゃん 投稿日:2002年06月24日(月)20時48分23秒
もうすぐ転校生(ごっちんですよね?)が出てくるんで楽しみです〜 吉後押しなんで、楽しみに待ってますよ(^〜^〇)頑張ってくださいね
54 名前:なな 投稿日:2002年06月24日(月)23時19分36秒

>名無し読者さん
やすいし推しですか…あの師弟関係がいいですよね。浮気発言(w
でもわたしはやっぱりよしごまで!

>やっすぅ推しさん
皆さんやすいし結構お好きなんですね。
よし、短編がんばりますよ〜。正直どうしようか迷ってたんで(w

>にゃんさん
はい、そうですごっちんなんです。
ネタバレなんですけど、もうみなさんわかってらっしゃると思いますし。
私も早くごっちん出したくてイライラしてたんで(w


レス、ありがとうございました。たとえ少数でも反応があると嬉しいものです。
これからも更新は不定期ですが放棄だけは絶対しないので、気長にお待ち下さい。




55 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月29日(土)01時29分49秒

おかしいなぁ〜…絶対キャーキャー騒いでると思ったのに。
タイプじゃなかったのかな?



あたしは首をかしげながら矢口先生を見ていた。
気が付けば、すでに市井先生の話は終わっていた。



…まぁいっか。そっちの方があたし的にはイイし。
すぐに校長の話が始まり、その事はすぐにあたしの頭から消えた。


校長の話長いんだよな〜。しかもワケわかんないし。


あたしは、いつものようにしばしの眠りにつき始めた。



「よっすぃー、始業式終わったよ?また寝てたの〜?」

「もー寝すぎだから〜!」

「うぅ〜ん…。もう終わったの?あ〜ねむ…。」


あたしはどうやらしっかり寝てしまっていたらしい。
梨華ちゃんとあゆみに起こされた。



56 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月29日(土)01時36分15秒

「教室行ったら、二時間目の時間始まるまで掃除とHRだって。」


「あ、そうなの?じゃあそろそろ行こっか〜。」



あたしはまだボーっとする頭をブルブルと振って、教室にむかいだした。




その途中、あたしは春休み中に会えなかった先輩・後輩達に次々とつかまった。



「よっしざわ〜今度遊び行こうねー。」


「せんぱぁ〜い!休み中さみしかったですぅ〜。」



あたしはまたか…と思いつつもそれぞれに何とか笑顔で返した。




「よっすぃー、あたし達先行ってるね?」



あたしのそんな様子を見て、二人はそそくさとその場から逃げて行った。
まぁ、確かにいつ終わるかわかんないしね…。



あゆみが前言ってたけど、あたしは女の子に人気がある部類らしい。


確かに背はでかいけど。
去年測ったときで168cmだったから、今はもっと伸びてるかも。


この学園で唯一同じ目線で話せる人は、圭織先生だけだったりする。



57 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月29日(土)01時43分50秒

まぁ人に好かれて悪い気はしないからいいんだけどね。
でもさすがにそろそろ時間ヤバイか?掃除サボっちゃったかも。


あたしはちょうど話していた先輩達をうまくかわして再び教室にむかった。




そして一人になってふと思い出すのは…やっぱりあの転校生のことだった。




やっぱ変だ、あたし。




今まであたしが一人のことばかりこんなに考えることなんてなかった。


…矢口先生のことは確かに好きだ。けど、こんな風に彼女のことを想ったことはない。




いつも思う。あたしは、人として足りないところがあるんじゃないか。


何をしてても、どこからか客観的にその様子を見ている自分がいる。




いまいち、熱くなりきれない。




でも、昔たった一度だけ感情的になったことがある。
と言っても、まだだいぶ小さい頃だったが。


58 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月29日(土)01時53分20秒



―仲の良い女の子がいた。あたしは、その子のことが大好きで大好きで。




「大きくなったら結婚するの!」




なんて言っては、親達を困らせていた。


あたしは女の子同士は結婚できないなんて知らなかったし。






でもあたしがそう言うと、その子はとても嬉しそうに笑ってくれた。



あたしはその笑顔が何よりも好きだった。




―初恋、だったのかな。






あたしは毎日楽しくてしょうがなかった。ずっと一緒にいれると思っていた。





でも、突然その子は引っ越してしまった。



お父さんの転勤という理由だったけど、あたしにはそんなことまだよくわかんなくて。




ただ、その子がいないことが苦しかった。辛かった。



毎日泣いて、親を困らせて。でも、いつからか涙が出ることもなくなった。





その頃からだ。あたしは感情を表に出すことをあまりしなくなった。




そんなことしたって、あの子が戻ってくるわけでもないんだ。




59 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月29日(土)01時58分01秒


…やな事、思い出しちゃったな。何年前のことだよ?…もう、遠い昔の事だ。






ふと手を広げて見ると、少し汗ばんでいた。



―何も、考えるな。いつものあたしに戻るんだ。






でも、あたしの意識からはなかなかあの子のことが消えなかった。





何なんだよ…ほんとに。





あたしは正体不明なこの感情を振り切るように、走り出した。




60 名前:なな 投稿日:2002年06月29日(土)02時30分45秒

ものすごい短いですけど、更新しました。
今回は少しマジメな雰囲気で。
次回更新時にはようやくごっちん登場…の予定です。
61 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月29日(土)05時40分40秒
お、ついにごっちん登場ですか。楽しみにしております☆
62 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時25分24秒


教室に着くと、やっぱり掃除は終わっていた。
クラスの子に「よっすぃー遅いよ〜!」と言われ、「ごめんね〜」と謝った。


あたしが悪いワケじゃないんだけどね、と思いながらも。




新学期が始まったからには、また毎日先輩・後輩の相手をしなければならない。
はぁ〜とため息をつきつつ、梨華ちゃんとあゆみの姿を見つけたので寄って行った。



「あ、よっすぃーごくろーさん!」


「毎回大変だよね。ほんと、モテる女は辛いね〜。」


「ほんと、あたしなんかのどこがいいのかね…。」


「え〜顔がいいとこ?」


「ん〜基本的には優しいとこ?」


「ハハ…ありがと。」



二人は、あたしには興味がないようだ。ま、二人とも恋人いるしね。


あたしを慕ってくれる子達も本当のあたしなんて見てはいない。表面だけだ。
―見せようとしない、ってのもあるけど。


63 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時28分18秒

「そういえば二人ともなんでそんなとこ座ってんの?」



たいてい、新学期って出席番号順に席が決まってるものだ。
それなのに二人とも適当に座っているみたいで、ちょっと疑問に思った。


よく見ると、周りも友達同士で固まっているようだ。



「あぁそれね、掃除のときにまりっぺがどこでもいいよって言ったから。」


「その方がお前らもいいだろ〜って。でね、そこたぶん転校生が来るんだと思う。」



そう言って、あゆみは窓際の一番後ろを指差した。



「そうそう、まりっぺがそこは空けとけって言ってたし!絶対そこだよね〜。」


「あ、よっすぃーの席はそこの隣に取っといたから。」



二人は、あたしの席とその席の前に座っていた。



「…っなんで、わざわざあたしの席転校生の隣にしたの!?」


「え?だめだった?よっすぃー女好きだから喜ぶと思ったのに。」


「梨華ちゃん、そんなはっきり言っちゃダメだよ〜。確かに女好きだけど。」



いや、オマエも言ってるだろ、あゆみ。



64 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時34分18秒


「それにまりっぺが隣はよっすぃーがいんじゃん?って。」

「は?何で?」

「女の子の扱い上手いからだって。」

「よくわかってるよね〜。さすが彼女!」

「ハハ!ほんと、先生も苦労してると思うよ〜。」



そう言って、二人は楽しそうに笑った。
…や、笑えないし。

それに、あたし矢口先生にそんな風に思われてたわけ?
ちょっとショックだったり。



いろいろな考えが頭の中をめぐっていたけど、とりあえず席に着いた。
でも…そこでふと、気が付いた。
隣に転校生が来るってことは…あの子が来るってことだよね?
えーと…あたしの隣の席に、来るんだよね?隣に…。




―ヤバイ…何か、異常に緊張してきた。




65 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時37分09秒

そんなあたしの様子を見て、梨華ちゃん不思議そうに見てきた。



「よっすぃ―、どうしたの?すごい汗かいちゃってるけど。」


「え?いや、別に大丈夫ですよ?全然問題なしです!」


「おかしいから。なんで敬語?」



怪訝そうな表情で、二人があたしの顔を見てきた。



「ほんと、何もないです!」


「でも汗が…」


「今日は暑いですからね〜!」



そう言って、ガタッと席を立ち窓を開けようとした時―


「はーい、みんなHR始めるよ〜!…ん?吉澤、何してんの?」



矢口先生が、来た。





先生は、みんなの前ではあたしを吉澤、と呼ぶ。
梨華ちゃんとあゆみの前ではよっすぃ―って呼ぶけど。
付き合ってるからって、ひいきしてると思われたくないらしい。



「えーと…窓開けようかな〜って…。」


「今日、いつもより寒いんじゃなかった?ま、とりあえず座って。それじゃあ、HR始めまーす!
まず、さっきも来たから知ってると思うけど、このクラスの担任の矢口真里です!よろしくな!」



みんなが口々によろしく〜とか言っていた。
66 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時42分33秒


「あと、これもすでに知ってる人がいると思うけど…。」




そう言って、先生はあたしのほうをチラッと見た。




「このクラスには、転校生がいま〜す!」


「え〜まじでー?先生、どんな子!?」




同じクラスのうちの一人が、尋ねた。




「今自己紹介してもらうけどね…かーなーり、かわいいよ!
 でもね〜、誰とは言わないけど、浮気は許さないからね?」




先生の一言で、クラスの子らの視線が一斉にあたしに向けられた。




「ハハ…(くそ〜…先生、朝の仕返しのつもりかよ…)。」


「(ざま―みろ、仕返しだよ〜)でも、慣れない転校生の相手するのは、
 女慣れしてる人がいいと思ったからさぁ〜吉澤の隣、転校生の席ね。」




その言葉に、またもやクラス中の視線があたしに注がれた。
…学校で先生に手出すのは、これから控えよう。




「じゃ、細かい連絡事項は転校生に自己紹介してもらってからね。」




先生は一言そう言うと、ドアの方に歩いて行った。
転校生にだろう。入っていいよ、と声を掛けている。



67 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時46分05秒


転校生はゆっくりと入って来た。俯いているため、顔が見えない。


あたしは緊張感は消えていたけど、今度はなんとも言い難い感情に支配されていた。
強いて言うなら胸騒ぎ、のような。


そして…その子はついに顔をあげた。




「はい、じゃああいさつよろしく!」


「…はい。えーと…はじめまして。後藤、真希です。よろしくお願いします。」


「後藤さんは、昔この辺住んでたらしいから、知ってる子もいるんじゃない?」


「そうですね…でも、すごい小さい頃に引っ越したんで…。」




そう言うと、彼女はきょろきょろとあたりを見回した。


―そのきれいな瞳は、あたしのところでピタッと動くのをやめた。


しばらく、あたし達は見つめあっていた。
…と言うより、あたしは彼女から目をそらす事ができなかった。


68 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時48分31秒


「ん?知ってる子いた?」


「あ…いえ、勘違いかもしんないし。」


「そう?ま、声掛けてみればいーよ!じゃ、席はあそこでいいんだよね?」




矢口先生は、あたしの隣を指差した。




「何かわかんないことあったら、隣のあのタラシっぽい奴に聞いて?」


「ちょっ、タラシはないんじゃないですか〜!?」




あたしは思わず席を立って抗議した。




「え〜みんなもそう思うよねー?」


「思いま〜す!」




再びクラス中が笑い声に包まれた。…仕返しはまだ続いていたようだ。




「あの、名前…何て言うの?」


「へ?名前って?何?…あ、あたしのか!?」




思いがけず声を掛けられ、アホな返事をしてしまった。




「あ…あの…吉澤ひとみ、っていいます。よ…よろしく。」




そう答えたとき、彼女がピクッ、と反応したように見えた。


69 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時53分04秒


「キャハハ!何どもってんの?タラシのくせに〜!」




矢口先生は心底おかしかったのか、おなかを抱えて笑っている。
チクショウ…いいかげん仕返しやめて欲しい…。




「吉澤…ひとみ?…って、その…、もしかしてよっすぃーって呼ばれてる?」


「へ?あれ、もしかして知り合い?」




矢口先生はようやく笑いが収まったようだ。




「覚えて、ない?あたしのこと。…そうだよね、10年くらい前のことだし。」




あたしが答えれないでいると、彼女はさみしそうな表情を見せた。



―あたしが覚えてないわけがない…忘れるはずがない、あの子のことを。
ただ彼女はとっくにあたしのことなんて忘れてると思ってたから、あたしは少々とまどっていた。




「覚えてるよ…ごっちん、でしょ?」




やっとあたしがそれだけ答えると、彼女の表情が少し緩んだ気がした。


70 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)04時56分40秒


「覚えててくれたんだ…嬉しいな。あたしのことなんて、忘れちゃってんのかなぁって思ってた…。」




そう言って、彼女はあたしの様子をうかがうように上目使いで見てきた。
その瞬間、あたしの中で、何かが壊れた。




「…あたしがごっちんのこと、忘れるわけないじゃん!あたし、ずーっとごっちんに会いたいって思ってた!
 ごっちんが突然遠くに引っ越しちゃって、あたし毎日毎日、すっごいさみしかったんだからね?」




あたしはそれだけまくし立てる様に言うと、俯いてしまった。




こんな感情的になったのも、久しぶりだ。




何やってんだあたし…。いつもの吉澤ひとみは、どうしたんだよ?




クラスの子も…矢口先生も、そんなあたしに声を掛けれないようだった。
どうしようかな、と思ってふと顔をあげると、ごっちんにいきなり抱きつかれた。


そして、小さな声で一言だけ彼女は言った。



71 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年06月30日(日)05時00分53秒


「…あたしの方が会いたかったもん…。」


「…あたしの方が会いたかったってば。」




すぐさま言い返し、あたしも負けじとギュッと抱きしめた。
そしたら、彼女は無言でもっと強く抱きついてきた。



ごっちん、かわいい…。イイ匂いするし…つーかごっちん、柔らかすぎ。何かやばい…。



あたしがそんなアホな事を考えていたら、




「こら、そこ!二人の世界つくんな〜!あと、いつまでくっついてんだよ〜!?」




二人とも、矢口先生の言葉で我に返り、慌てて離れた。
やば…先生の目の前でこんなこと…。
…タラシって言われても、否定できないじゃんか。




ふいに、ごっちんが少し寄ってきた。




「…ごめんね?いきなり抱きついちゃったりして。」




そして彼女は初めてまともに、アハッ、と笑った。






―あたしの大好きだった、ごっちんの笑顔。






それを見た瞬間、あたしは不覚にも彼女にときめいてしまった。




72 名前:なな 投稿日:2002年06月30日(日)05時20分36秒

更新です。

いつもより頑張って更新してみました。
でも人としてどうなんだ?って時間です。
これから寝ます。


>名無しさん
やっとごっちん出せました〜!
お待たせして、申し訳ありません。


これから忙しい時期になるので、しばらく更新できないかもしれません。
でも何だかんだで更新する可能性も(w


あと、これはいつも思うことなんですけど、こんな駄文、読まれている方は
少ないと思いますが、数少ない読者さんのためにも放棄はしません。絶対に。

私自身、楽しみにしていた小説が放棄されていたこともあって、ショックを
受けたこともあります。作者さんにも色々都合があることと思いますが…。


ということで、どんなに更新が遅くなっても見捨てないでやって下さい。


73 名前:名無し娘。 投稿日:2002年06月30日(日)09時29分29秒
ごっつぁん登場記念初レス!!(謎)
いよいよ、人間関係が複雑に…なりそうな展開。
吉澤→タラシのようですが、後藤の性格がどんななのか気になります。
74 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年06月30日(日)13時53分28秒
よっすぃはタラシれすか?(笑
なんか、ごっちんが非常に気になる。(w
では、いろいろとがんばってくださいね〜

見捨てませんよ♪(w
75 名前:なな 投稿日:2002年06月30日(日)15時03分47秒
>名無し娘。さん
ようやく、話が動いてきました。
吉澤さんは本人はその気がないんだけどハタから見りゃタラシ、ってことで(w
後藤さんは…どんな人なんでしょう?
私にもわかりません(w

>やっすぅ推しさん
はい、タラシです。それも無意識です。タチ悪いです。
ごっちん気になりますか?
あ、あの、あまり期待しないで下さい。プレッシャーが(汗

今起きました。これからちょっと本気モードで勉強します。
では次の更新時まで、少々お待ちください。


76 名前:なな 投稿日:2002年07月01日(月)23時59分06秒

ちょっと気が変わりました。
Chapter2、全部アップしたいと思います。
ただの逃避行動です。
勉強ばっかしてると気が狂いそうです。

それでは、更新です。





77 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時02分04秒

あたしがボーっとしていると、矢口先生の鋭い声が聞こえた。




「…どうでもいいけど、とりあえず二人とも席着いて。」


「は、はい!」





ヤバイ…怒ったかな?





あたし達が席に着くと、梨華ちゃんとあゆみが話し掛けてきた。




「ねぇ、二人とも知り合いなんだ?」


「あ、うん。小さい頃、家が隣でさぁ〜。まさか転校してこっち戻ってくるなんてね。」


「ごっちんって呼んでるんだ〜。あ、後藤だから?よっすぃーも吉澤だからだしね。」


「そうそう、よっすぃーってごっちんがつけたんだ。」


「へ〜後藤さんが名付け親だったんだ〜。」






ふと、あの頃の思い出がよみがえった。あたしの隣りには、いつもごっちんがいた。


まだあたしが、自分に素直だった頃…。懐かしさに、胸の奥が少し熱くなった。




その感情に埋め尽くされないようにあたしはごっちんに話を振った。



78 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時04分40秒

「いや〜それにしてもほんと久しぶり、ね?ごっちん!」




ごっちんのほうを見たら、何か様子がおかしい。下向いちゃってるし。
さっきまでのあたしに対する態度と違うって言うか…。



梨華ちゃんとあゆみもどうしたものかと困っているようだ。




「ごっちん?どうした?」




するとごっちんは少し顔をあげてあたしのほうを向き、小さい声で言った。




「あのね…あたし、すごい人見知りするんだよね。…き、緊張しちゃって…。」




そして、顔が真っ赤になった。






その言葉を聞いた途端、あたし達3人は吹き出してしまった。




「なんだ〜私てっきりウザく思われてるのかなーとか思ってたぁ。」


「そうそう、下向いてムスッとしてるしさ〜。」


「何も緊張することないだろ〜。」


「みんな…そんな笑わないでよぉ〜。」




あたし達の周りの空気が、一気に和んだ気がした。




79 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時07分04秒

「ま、最初は慣れないのはしょうがないけど、二人ともいい子だから大丈夫だって!」


「そうそう。私は柴田あゆみ。柴ちゃんでもあゆみでも、適当に呼んで。あと…ごっちんって呼んでいい?」


「あ、柴ちゃんずるい!えっと、私は石川梨華。私も、ごっちんって呼んでいい?」


「…うん、いいよぉ。二人とも、これからよろしくね?」




ごっちんは緊張が解けたようで、やわらかく笑った。








やっぱ、かわいい…。








「よっすぃー、どうしたの?何かーごっちん見てヤラシイ顔してる〜。」


「あ、ほんと。何考えてるのよ〜?」




無意識に、顔がニヤけていたらしい。






「や、やらしいことなんか考えてないよ!ごっちんかわいいな〜って思ってただけ!」




思いがけず、本音を言ってしまった。しかも、クラス中に聞こえる声で。
まったく、調子が狂いっぱなしだ。



みんながあたしのほうを見た。…もちろん矢口先生も。
ごっちんは、恥ずかしがって俯いてしまった。




80 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時09分56秒

「よっすぃー、彼女の前で堂々と浮気〜?」


「まりっぺ〜、やっぱりよっすぃータラシだね〜。」





二人は冗談のつもりで言ってるんだろうが、あたし的にはそうとうヤバイ。
矢口先生の顔を見るのが恐ろしい…。


勇気を振り絞って顔を上げたんだけど…矢口先生に特に変わった様子はなかった。




「まったく、お前ら〜遊ぶのは休み時間にしろよ〜。それじゃ、HR終わり!」





そして、何事もなかったように教室を出て行った。






あれ?いつもの先生なら怒りそうなもんなのに。
しかも、連絡事項言わないで行っちゃったし…。


おかしい。絶対変だ…と考えていると、




「よっすぃー、まりっぺどうしたの?いつもならああゆうことあればめちゃくちゃ怒るのに。」


「ほんと、どうしたんだろーね。しかも珍しく上の空だったよね。連絡しゃべんなかったし。」




梨華ちゃんとあゆみもそう思ったようだ。




81 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時14分09秒

すると、ごっちんがあたしの制服をちょっと引っ張った。




「ん?何ごっちん。」


「あのね…さっきから浮気とか怒るとか、何のこと?」


「あ…そのぉ…。」







何となくごっちんには知られたくないような気がして、あたしは口ごもってしまった。




「あ、よっすぃーと矢口先生ね、付き合ってるんだよ。」




あたしが答えるのを躊躇していると、さらっと梨華ちゃんが言ってしまった。




「…え?」


「あたしも付き合ってる人いるんだ〜。保田先生LOVE!」


「…へ?」


「あ、ついでに柴ちゃんも最近平家先生と上手くいったんだよね〜。」


「ちょっと、ついでって何よ!」


「…。」




ごっちんは、唖然としていた。そりゃそうだろう。
先生と付き合ってる奴がこんだけいたら。


前の席では、梨華ちゃんがあゆみ相手に保田先生の事を語りだした。
こうなると、もう誰も止められない。


あゆみもいつものように聞き流しているようだ。



82 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時18分53秒

ヤレヤレ、と思っているとごっちんがあたしの顔をじっと見ているのに気付いた。


心なしか、その目は潤んでいるようで。






…何か…色っぽい…。








あたしが、ドキドキしているとごっちんはゆっくりと口を開いた。




「矢口先生と付き合ってるって、ほんと?」


「へ?…あ、うん。一応。びっくりした?」


「…うん、まぁ。それで…好きなの?」


「え?」




ごっちんがあまりにもまっすくにあたしを見てるから、何か妙に緊張して、気付いたら聞き返していた。




「だから…矢口先生の事、好き?」








―矢口先生の事、好きか、って?





そりゃ、付き合ってんだから嫌いなわけない…けど。



83 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時29分32秒

あたしは矢口先生に告白されて、それもアリかな、なんて軽い気持ちでOKした。




先生となんて付き合ったことなかったし、正直、興味もあった。





考えてみれば、今まであたしから好きになった子なんていなかった。







―ただ、一人を除いて。





でもそれも小さい頃の話だし、恋愛感情として好きだったかと言えば断言はできない。








…できない、けど。








そこまで考えてあたしはごっちんを見つめた。





何を、迷ってる?あたしが好きなのは、矢口先生だろ?





ごっちんはあたしがいつまでも答えないのと、じっと見つめてきたのとで戸惑っているようだった。




「―うん、好きだよ。」




それに対して、ごっちんは「…そう。」とだけ答えた。







84 名前:Chapter2.再会 投稿日:2002年07月02日(火)00時33分29秒

あたしは、このときのごっちんの微妙な表情に気が付かなかった。



あたしは自分の中に生まれてきた、新たな感情を否定することに必死だった。






…そしてもうひとつ、あたしは気付いてないことがあった。








四月。始まりの季節。新しい季節。



あたしとごっちんは10年ぶりに再会した。
戸惑いもあったけど、あたしはそれ以上にその思いがけない再会が嬉しかった。






でも…あたしは気付かなかった。ある人の微妙な変化の理由を。
自分のことで、頭がいっぱいだったのだ。









―この春…再会を果たしたのは、あたしとごっちんだけじゃなかったのである。







85 名前:なな 投稿日:2002年07月02日(火)00時40分31秒

更新です。

Chapter2.再会、アップしました。
そろそろまともに話が動き始めてくれないかな、と思う今日この頃。

それでは、次回からは ”Chapter3.変化 ”です。
気長にお待ちください。


86 名前:なな 投稿日:2002年07月02日(火)00時53分20秒

あの、読み返してみたら誤字発見でかなり鬱です。
文章も何気に変だし。読みづらくてすいません。



87 名前:にゃん 投稿日:2002年07月02日(火)21時00分58秒
ごっちんが出てきましたねー。吉子、昔を思い出せ!新たな感情(ごっちんLOVE)を自分で受けとめてくれー!ごっちんの今後の行動と、さやまりが気になりますね 更新が遅くなっても見捨てませんよ〜!作者さんのよしごま好きなんで、頑張って下さいね。
88 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月06日(土)17時03分04秒
なんだかシャイな、ごっつあんがいいですね。
続きが気になります。がんがってください!!
89 名前:名無し作者 投稿日:2002年07月07日(日)03時21分23秒

黄板でよしごま駄文を書いている者です。
やっとごっちんが出てきましたね。これからの展開がとても楽しみです。
特によしごまの絡みに期待してます。(w
お互いにがんばりましょう!



90 名前:なな 投稿日:2002年07月09日(火)17時28分00秒

>にゃんさん
いつもレスしてくれて、本当にありがたいです。
これからの皆さんは…どうなるんでしょうね。
自分でも良くわからなくなってきました(笑)

>よすこ大好き読者。さん
シャイなごっちんいいですか〜。
何か、私の中のごっちんってそういうイメージなんですよ。
自分を出すの苦手っぽい感じじゃないですか?

>名無し作者さん
黄板のよしごま小説の作者さんですか。
きっとあのお話に違いない。
いつも楽しく読ませていただいてますよ〜。
レス、ありがとうございます。お互い頑張りましょう!


しばらく更新できなくて申し訳ないです。
今度の土日辺りにできたら…と思ってはいるんですが。
では、レス本当にありがとうございます。
次の更新まで少々お待ち下さい。



91 名前:なな 投稿日:2002年07月13日(土)23時45分10秒

あの、ほんの少しで申し訳ないんですけど
更新させてもらいます。

92 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月13日(土)23時47分55秒


今日から新学期だ。
二時間目は健康診断の予定。


それまで休み時間だから、皆でごっちんに学校案内をすることにした。


梨華ちゃんとあゆみが前を歩いて色々な教室を見て回る。
あたしはごっちんと昔話に花を咲かせながらそのあとをついて行った。




周りには、休み時間だから当然生徒がそこら中にいる。
ごっちんを見て、キャー!なんて悲鳴を上げる子もいた。


確かに転校生は珍しいけど、悲鳴あげんのは…どうかと思うよ?


93 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月13日(土)23時51分16秒


あたしが首をかしげていると、あゆみがおかしそうに笑った。



「なんだよ?」


「ごっちんとよっすぃーってさ、昔かなり仲良かったの?」


「へ?…まぁ、ちっちゃい頃は。」


「うん。よっすぃーとはいちばん仲良しだったよぉ。」



ごっちんは、最初より表情がだいぶ柔らかくなった。
人見知りするって言っても、あたしがいるから幾分気が楽なんだろう。



94 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月13日(土)23時53分21秒


「一番の仲良し、ね。石川さん、どうしましょー?」



急に呼ばれた梨華ちゃんはえ?と言いながら振り向いた。
そしてあたしとごっちんを見たとたん、何故かこう言った。



「よっすぃー、浮気?まりっぺに言っちゃおっかな〜。」



意味がわかんなかったけど、あたしは先生の名前が出て少しドキッとした。





…別に、やましい事はないはずなんだけど。



95 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月13日(土)23時55分15秒


「何言ってんの?意味わかんねーし。」



あたしは少々動揺したことは顔に出ないように言った。
表情を隠すのは元から得意だけど。

ごっちんも?という表情を浮かべていた。




「よっすぃーのファンもかわいそ〜に。」


「っていうか…よっすぃー素なの?」


「いや…だから、何?」




あたしは二人がもったいぶるので、イラついてきた。




96 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月13日(土)23時58分19秒


「手。」


「は?手?」





あたしとごっちんは同時に手を見て、そして真っ赤になった。





「ぅうわ!ごめん!」



あたしは、無意識にごっちんと手を繋いでいたらしい。





あ、それでか…。
先輩・後輩達が妙に騒いでいたのを思い出した。


あの悲鳴は…あたしのせいでもあったってことね。



「まじで気付いてなかったの〜?」


「無意識に手つないじゃうほど仲良かったんだ〜。」


「よっすぃーが人前でそういうことするのって珍しいよね。」


「ねー。皆びっくりしたんじゃない?」



二人はおかしそうに笑っている。



97 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月14日(日)00時02分30秒


…確かにごっちんとはよく手つないで歩いてたけど。
そんなの、10年も前のことだし。何してんだあたし。


自分で自分の行動が理解できない…。





「あは。何かちっちゃい頃みたい。昔は、よくこうしたよね。」



あ…ごっちんも覚えてたんだ…。



「でも今こんなことしたら矢口先生に誤解されちゃうね。…もう、あの頃とは違うんだし。」




そしてあたしと先生が付き合ってると聞いたときと同じように、少しさみしそうな表情で笑った。






その顔を見たとき、あたしは何故か胸がズキッ、と痛んだ。








そして、体が勝手に動いた。



98 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月14日(日)00時11分47秒


あたしはごっちんの手を引っ張り歩き出していた。



「え、よっすぃー?」






そして、独り言を言うようにボソッと言った。





「今も違わないよ、全然。…ちょっと空白の時間はあったけどね。」




ごっちんは一瞬きょとんとした表情を浮かべたあと、嬉しそうに笑った。


「…うん!」





繋いだ手が、いっそう強くなった気がした。








「何か親睦深めちゃった?」


「私たちも混ぜてよ〜。」



梨華ちゃんとあゆみがあたしとごっちんの両脇に走って寄ってきた。





「私たちも、もう友達でしょ?」



そう言って、二人はごっちんにニコッと笑いかけた。



「…ん、もちろん!」


「よし、じゃそろそろ健康診断に行こー!」


99 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月14日(日)00時18分36秒


あたし達はじゃれ合いながら歩いていった。




あたしはなんだか嬉しくて、自然と笑顔が出てきた。
こんなに素直に自分の感情が出るのは、随分久しぶりな気がした。







ごっちんに再会してから…あたしの中で、少しずつ何かが変わりつつあった。









そして、あの人にも…



100 名前:なな 投稿日:2002年07月14日(日)00時27分23秒



更新終了です。そして更新ageです。


自分、やればできるじゃん!なんて思った一週間でした。
ただの思い込みです。自画自賛です。誰もほめてくれないし…。


次の更新はいつになるんでしょう。
気長にお待ちください。
それにしても話が進まない。…困った。

  



101 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)21時22分01秒
手をつなぐよしごま良いですね〜!
102 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月22日(月)21時59分18秒


場所は変わって体育館。
中学から大学までの学園の生徒がいっせいに健康診断を受ける。


さすがに保健室だけじゃ不可能だというわけで。
体育館で身体測定、その他の教室で他の検査をすることになっている。




あたしたちは途中で教室に寄り、検査をするためのカードを持ってきていた。
あたしは身長を測ろうと思って列に並ぶ。


ごっちんもあたしの後ろにピタッとくっついている。
落ちつかなさそうに、辺りをきょろきょろ見回している。
それ以上に自分が周りに見られている事には気付いていない。


そしてふと前のほうを見ると、そこには矢口先生がいた。
身長の記入係りをしているようだ。


何故かわからないけど、朝二人でいた時の先生とは違う感じがした。
やっぱり先生の様子はどこか変だ。
ちょっと、落ち着きがなく見える。
103 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月22日(月)22時03分58秒


そしてあたしの番になった時だった。
あたしは、生徒の身長を測っている人が新任の先生であることに気付いた。




確か…市井先生だっけ?
近くで見ると、いっそう美少年な印象を受けた。




市井先生に身長を測ってもらい、すぐ隣りの矢口先生に記入してもらった。


でも先生はあたしに気付いてなかった。



「矢口先生?」


「…あ、よっすぃー。どおりで大きいと思った。つーかデカすぎ!」


「先生がちっちゃいんすよ〜。」


「あ、それ禁句だって言ってるだろ〜!」



先生、いつもと同じように振舞ってるつもりらしいけど…目が泳いでる。
そう思っていたら、ふと誰かの視線を感じた。


104 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月22日(月)22時06分51秒


視線を感じた方を見ると、どうやらそれは市井先生のものだったらしい。
その冷めたような表情からは、何を考えているのか読み取れなかった。




「…何すか?」


「ん?いや〜君さぁ、すっげぇキレ−な顔してるな〜と思って。」



さっきまでの顔を崩して、市井先生はニカッと笑った。



「は?」


「名前は?」


「…吉澤ひとみ、ですけど。」


「ひとみね〜目でかいから?つーかさ、絶対もてるっしょ?」


「…先生だってすでにすげー人気みたいじゃないすか。」


「うん、まぁねー!」



そう言って、ケラケラと笑う。



105 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年07月22日(月)22時08分51秒
>「先生がちっちゃいんすよ〜。」
 「あ、それ禁句だって言ってるだろ〜!」

このやりとりに萌えます(w
106 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年07月22日(月)22時13分04秒


「彼女いるの?」


「…まぁ。」



矢口先生の方をチラッと見たら、朝と同じように少しだけ顔がこわばっていた。
ごっちんも、何やら複雑そうな表情を浮かべている。



「ほ〜やっぱ彼女持ちか!」




さっきから感じていたこと。
市井先生は常に笑ってるんだけど…。
何か、本心がつかめないというか。





「あの…あたしまだ他の身体検査終わってないんで。」



あたしがそう言って立ち去ろうとした時、市井先生はボソッと呟いた。



「…彼女、大事にしろよ。」


「え?」






市井先生は何事もなかったかのように次の生徒の身長を測っていた。





今の言葉…別に変なところはなかった、と思う。
ただ、この時の市井先生は何かに挑むような目をしていて。




あたしはその目の鋭さに、ゴクッ、と息を呑んでいた。




107 名前:なな 投稿日:2002年07月22日(月)22時32分38秒


かなりちょっとですが更新です。
もはや勉強からの逃避行動となっています。
どんなに忙しくても更新したくてしょうがないんです。


>名無し読者さん
よしごまいいですか。
力が足りなくて上手く書けてないのに…。ありがたいです。
何かこう、無意識の行動ってやつが書きたくて。
二人に十年かそこらの月日は関係ないんです。ええ。

>やっすぅ推しさん
こんなんで萌えてくれてありがたいです。
でも、身長差っていいですよね…。見上げられる感じが、ねぇ(何だよ


レス、ありがとうございます。
何だかんだで週一くらいで更新し続ける自分がいやです。
そして単位落としそうな勢いです。
でも人生長いしそれくらい別にいいか、なんて思ったり(氏ね


それでは次の更新をお待ちください。



108 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月27日(土)21時59分48秒
いちーいちゃん本心は一体・・・。
109 名前:なな 投稿日:2002年08月01日(木)02時08分12秒

はぁ…気分転換にネット繋いでみたら知りたくもない情報が…。
まじですか…しかも二人一緒ってどういうことですか。
よっすぃーたった一人でこれからプッチはどうなるんだよ〜!
入れ替えなんていやだー!今のプッチが好きなのに…。
てかごっちん!よっすぃーと離れるなんてどういうこと!?

もうやる気が出ないです…更新は意地でもしますが。
八月入ったら更新はできると思います。
こんな駄文に需要があるのかと言ったら怪しいところですが。


>名無し読者さん
市井先生は…どうしたいんでしょうね。
これから彼女がどう動くかによって話が変わるんじゃないかと。


レスありがとうございます。
今ちょっと動揺しててあまり気の利いたこと言えません。
次の更新までには何とか落ち着いてればいいなと思います。
それでは、また。

110 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時10分42秒

しばらくその場から動けずにいたら、ふいに制服の袖が引っ張られた。



「よっすぃ…行こ?」

「あ…うん。ごっちんも身長測った?」

「うん。158センチ。去年と一緒だったよ。」

「へ〜じゃあたしと10センチ差だ。」

「え?168!?よっすぃーそんなおっきいんだ!」

「はは…去年よか伸びてるよ。」

「そういや昔から大きかったよねぇ〜。」



あたしの動揺を知ってか知らずか、ごっちんは明るく振舞っていた。
あたしは矢口先生のことも気にはしていた。
それから、市井先生の事も。




何か急に色んなことが起こりすぎて、わけわかんねーなあ。
思わずため息が出てしまう。




それに…ごっちんは突然転校してくるしさ。


111 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時13分19秒

でもごっちんとこうやって話していると不思議と心が落ち着いた。
10年間も離れていたはずなのに、まるでずっと一緒にいたかのような錯覚に陥る。


あゆみと梨華ちゃんも、もちろん親友だけど。
あたしは、ごっちんといる方が自然に感じることに気付いていた。




もう一つ、気付いてしまったこと。


こうやってあたしにくっ付いてくるごっちん。
昔よりはいくぶん低くなったけど、見た目よりも高い声。
身長差のせいか自然と上目遣いになる大きい目。
昔と変わらない、ごっちんの笑顔。



そのどれにも、あたしは間違いなく心を動かされていた。





…やばいな…そうとうやばい。あたしには矢口先生がいるのに。
ごっちんのことが、気になってしょうがない。



当り障りのない会話をしながら、頭の中はそんなことでいっぱいだった。


112 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時17分57秒

とりあえず、全ての身体検査をやり終えた。



「じゃあ教室行こっ!」


「えっあぁ、うん。」



ごっちんがあたしの手を引っ張り歩いていく。





…ごっちんの手って柔らかいなぁ…。何か、強く握ったら壊れちゃいそう。



そんな事をしみじみ思っていたら、ごっちんがこっちに振り向いた。



「ん?何?」


「…あのね、あたしよっすぃーとまた会えて、ほんとに嬉しいんだよ?」



そう言って、照れくさそうに笑う。
…うわ…今のかわいすぎ、ごっちん。



そう思ったら、急に手を繋いでることが恥ずかしくなってきた。
気付くと、あたしはごっちんの手を振りほどいてしまっていた。



「えっ…。」


「あ、あの…。」


「…ごめん調子のりすぎてた?あたし。」


「や、あのさ、ごっちん…。」


「あはっ、10年も離れてたのにいきなり友達面されたくないよね。
 行こ?あの二人待ってると思うよ。」


「あ…。」



ごっちんはそう言うと走って行ってしまった。


113 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時21分15秒

そのときごっちんは寂しそうな表情をしていた。
その顔は心なしか泣きそうにも見えて。あたしは胸がチクッと痛んだ。



あんな顔させたくないのに…。傷つけちゃった…かな。





何してんだあたしは。まったく、調子狂いすぎだよ。





あたしはふぅ…とため息をついて、三人の後をわざとゆっくり追った。
…ごっちんにどうやって接すればいいかわからなかったから。



教室に向かう途中、やっぱりいろんな子につかまったけど、今はそれがありがたかった。
その分教室に行くのが遅くなるし…。



なんでごっちん相手だとあたしはこんなにも臆病になるのか。
10年ぶりに会った女の子に振り回されている自分。
らしくないな…そう思って少し笑ってしまった。



「吉澤先輩何笑ってるんですか〜?」


「またえっちな事考えてたんですか〜?」


「先輩えっちだもんね〜こないだだってさー…。」



後輩達はさも楽しそうにあたしの事を話している。
どうでもいいような話題。あたしがいつ君らに手ぇ出したよ?

114 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時24分36秒


でも告白してきた子にはなかなか引き下がらない子もいて…。
(矢口先生と付き合ってると知っていても)



そんな子は…キスして「皆には秘密だからね?」
なんて言って断ると大抵諦めてくれた。


ほんとに諦めたのかというとあやしいとこもあるけど…。





なかには抱いてください、なんてのもあった。
本気になられたらめんどうだからそれはしないけどね。





あたしがこんな奴だってことは、矢口先生は知らない。
別にいちいち告白された事なんて言ってない。


だって、知らなくてもいいことってあると思うし。
嘘ついてるわけでもない。


平穏に暮らせれば、それでいいんだ。



「先輩、どうしたの?」


「…いや、かわいいから見とれてたんだ〜。」



あたしはそう言って、肩に腕を回した。


「あっずるい!先輩あたしにも〜!」


「ははっ、じゃあ順番ねー。」



うまくごまかせたようだ。





そのままふざけて後輩に付き合ってたら、予鈴が鳴ったから。
もう行かなきゃ、と言って教室に向かった。

115 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時26分54秒


教室に入って席に着く。ごっちんのほうをあまり見ないように。
どっちも何も言おうとしない。


そんなあたしたちの微妙な空気を読み取ったのか、あゆみが明るく話し掛けてきた。



「よっすぃーまたつかまってたの?一日に何回も大変だね。」


「…別にもう慣れたけどね。」


「うわ慣れたって!モテる人は言う事が違いますね〜。」


「私は保田先生だけでいいもーん。」


「いや、誰もアンタに話振ってないから。」


「柴ちゃんひどい!でも梨華負けない。ハッピー!」


「何それ。ウザッ!保田先生こんな人のどこがいいわけ?」


「そういうこと言うんだ〜平家先生との仲取り持ったの誰だと思ってんの?」


「保田先生。」


「違うもん!私だもん!」


「梨華ちゃんは引っ掻き回しただけじゃん。」


「…うっ。で、でも結局上手くいったよね!」


「保田先生のおかげでね。」







「はぁーい、ストップ!」



あたしは、いつまで続くかわからないコント(?)を止めさせた。


116 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時30分28秒


「よっすぃー聞いてた!?柴ちゃんひどいー。」


「あーはいはい。」


「ひどいよ二人とも…私のこと嫌いなんだ…。」



あー…やっべ〜…。
梨華ちゃんはよくネガティブモードに入る。
扱いづらくて…周りにはいい迷惑だ。



あゆみも既に『石川放置モード』に入ってる。






「梨華ちゃん、そんな落ち込まないでよ。ね?」


「ごっちん…。」


「梨華ちゃんは、あゆみのためにがんばったんだよね?」


「うん…そのつもり。」


「あゆみも本当はわかってるって。」


「…ごっちん、優しいね…。あの二人にも見習って欲しいよ。」


「二人も梨華ちゃんのこと好きだから意地悪するんだよ、きっと。」


「…やっぱり?うん、わかってた!よっすぃー、柴ちゃん、私も好き〜!」



あたしとあゆみは、あっけに取られてその様子を見ていた。
梨華ちゃんのネガティブモードをすぐさまポジティブモードにするなんて…。

117 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時33分12秒


「ごっちん、すごいよ。今まで梨華ちゃんのネガティブモード解消できるの、
 保田先生だけだったのに。」



あたしはごっちんと気まずかったことも忘れて、話し掛けていた。
ごっちんは、力なく笑うとそのままあたしと目を逸らした。


あっ…。
やっぱ、さっきの事気にしてるよね…。
あたしは、またため息をついた。



「ねぇねぇ、そういえばごっちんはこっち来る前付き合ってる人とかいなかったの?」


「えっ?」



女の子はどうしてこういう系の話が好きなんだろう。
あきれつつも、あゆみが気を使って話を変えてくれたことに感謝した。



「だ、誰かと付き合ったことなんてないよぉ。」



ごっちんは、恥ずかしそうに俯いた。
その時、その言葉を聞いてあたしはホッとしていた。





ん?ホッとした?…何でだよ。






「ごっちんかわいいのに!皆もったいないことするね〜。」


「ハハ…でも告られたことはあるよ。」


「やっぱりね〜。でもなんで付き合わなかったの?好きな人とかいたの?」





あゆみのその言葉に、あたしはピクッと反応していた。




118 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時35分25秒


「好きな人っていうか…ずっと忘れられなかった人がね、いたの。」


「こんなかわいい子が忘れられなかった人って!そいつ罪作りだね〜!」


「柴ちゃん他人のことになると元気だよね。自分の事言われるとすぐ赤くなるくせに。」


「う、うるさい!今はごっちんのこと話してるの!」




あたしは二人の会話に笑いながらも、ごっちんの言葉が気になっていた。





―ずっと忘れられなかった人がね、いたの―





…誰だよ、そいつ。ごっちんにそんなに想われてるなんて…。
あたしは、訳もわからずイラついていた。



「よっすぃーどうしたの?顔こわいよ?」



あゆみが、顔を覗き込むように聞いてきた。



「…別にぃ…。」


「どこが別に、よ。すごい不機嫌じゃん。」


「んな事ねーよ!」



思ったより大きい声が出てしまった。


あゆみが、ビクッとしたのがわかった。
梨華ちゃんとごっちんも、表情を硬くした。


119 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時38分15秒


「あっ…と。ごめん、いきなりでけぇ声出して。でも何でもないからさ。」



そう言って少し笑うと、あゆみは安心したように微笑んだ。



「あ〜、うん。よっすぃー怒らしちゃったかと思ったよ。」


「も〜うよっすぃータラシなんだから、女の子には優しくしないと!」



梨華ちゃんがふざけたように言う。
この場を和まそうとして言ってるのがわかった。
タイミングの悪い梨華ちゃんに気を使わせるなんて…。


今のあたし…そうとう、重症と見た。
でも切り替えが速いのが、あたし、吉澤ひとみ。



「そんなこと言う?襲っちゃうよ?」


「いや〜よっすぃー見境なさすぎ〜!」


「梨華ちゃ〜ん、まだ言う?」


「そこ、いつまでもバカやってないで!次の時間始まるよ。」


『はぁ〜い』



見事に梨華ちゃんと声がハモる。





ごっちんがあたし達を見て、フフッと笑った。
でもあたしと目が合うと、すぐ俯いてしまった。


120 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時40分37秒


すると突然チャイムが鳴った。三時間目が始まり、教室に矢口先生が入ってくる。
これからの予定について話している。


ふと、矢口先生の様子がどことなくおかしかったことを思い出した。
でもこのときのあたしは、ごっちんをどうしようかで頭がいっぱいだった。
横をチラッと見ると、彼女はやっぱり下を向いたままだった。


このままじゃどうしようもない、と腹を決めたあたしは、
無言でごっちんの腕をガシッと引っ張った。



「えっ?何…。」



そして、耳に顔を近づけていった。



「…さっきさ、ごめん。いやだったんじゃなくて…ちょっと、照れくさかったんだ。」



ごっちんにさえ聞こえなさそうなほど小さな声で、あたしは言った。



「それと…あたしもごっちんに会えて、まじで嬉しいよ。…これからもよろしくね?」



ごっちんはそれまでこわばっていた顔をふにゃ〜っと崩した。



「よっすぃー、口上手いね?そんなんだからみんなにタラシ、って言われるんだよ。」


「お?ごっちんまでそんな事言うか?」



あたしは、ごっちんとの気まずさがなくなってほっとしていた。

121 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時43分40秒

そのまま小声でずっと話してたら、いつのまにか三時間目が終わった。
あたしは、めずらしく時間が過ぎるのがとても早く感じていた。
もっと話していたい、とも思った。



でも、今日は三時間で終わりだから帰る準備をする。
ふと、思いついたことがあった。



「そういえば、ごっちんの引越し先ってどこ?」


「んとね〜、学校の近くの新しいマンション。」



新しいマンションね…。


「じゃあこの近くなら途中まで一緒に帰ろっか?」


「いいの?」


「悪いわけないじゃん!あっ、あゆみ、梨華ちゃんまたね〜。」


「ばいば〜い!」



二人は、急いで走って行った。


「あの二人は一緒に帰んないの?」


「あぁ、うん。二人は電車なんだ。あたしは近いから歩きだけどね。」



電車組と違って時間に気を使わなくていいあたし達は、ゆっくりと歩いて行った。
すると途中で、平家先生に会った。


122 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時45分46秒


「お〜ぅ吉澤やないの。その子が例の転校生か?」


「例のって。何すか〜?」


「いやぁーやぐっつあんがなぁ、気にしてたんよ。昔馴染みにしては
 よっすぃーとやけに仲がええ子やった、ってな。」


「…矢口先生そんなこと言ってたんですか?」


「まぁそれでか知らんけど、今日なんかおかしかったなぁ、あの子。
 上の空っちゅうか…。そういや後で吉澤に電話しよかな?って言ってたなぁ。
 …ちゃんと安心させたり?」



そう言って笑う平家先生をみて、あたしは場違いにも綺麗だなぁ、なんて思っていた。



「吉澤?何ボーっとしてん。」


「あっ、いや、あの、わざわざすいませんでした。」


「いやいや。でもな〜やぐっつあんの心配する気持ちもわかるわ。
 後藤さん、やったっけ?めっちゃかわいいもんなぁ。」


「…先生、浮気はダメですよ?あゆみにばれてもいいんすか?」


「いや、それは困るなぁ。まぁ、そういう事やから二人とももう帰り?
 ほんじゃ、またな〜。」


『さよ〜ならぁ。』



平家先生と別れて、あたし達はようやく学校から出た。


123 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時48分36秒


「ごっちん、マンションってこっちでいいの?」


「うん。もう少し、かな。」


「へ〜じゃあたしんちに近いね。」


「何か、この辺も昔と変わっちゃってよくわかんないや。」


「確かに10年前とは違うくなったよなぁ。」





10年。長いようで、短いような。



でもごっちんは昔とあんま変わんないな。
彼女の横顔を見つつ、そう思った。



そうしているうちに、家に着いてしまった。




「あ、ごっちん。あたしんち、ここだよ。」
「よっすぃー、あたしんち、ここ。」




あたし達は、同時に言葉を発していた。



新しいマンションって聞いて、まさかとは思ったけど。
そう、それはあたしの家の前のマンションのことだったのだ。



「よっすぃーんち、ここだったんだ!周りに家とか建っててわかんなかったよ。」


「ごっちんが昔住んでた家もなくなってるしね。」


「…ほんとだ。」



ごっちんは少し切なそうに、昔の自分の家があったであろう辺りを見ている。
あたしまで、昔を思い出して何か切ない気持ちになった。

124 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時51分30秒


「でもさ、あたしんちは昔のままだよ?…いつでも来ていいからさ。」


「…うん、ありがと。でも今日は片付け残ってるから、帰るね。じゃあね。」


「あぁ、うん。じゃあ。」




ごっちんがマンションの中に入って行ったのを見届けてから、あたしも家に入った。
自分の部屋へ行き、ベッドに寝転がる。





何か…濃い一日だったなぁ…。半日しか学校行ってないのに。
それにごっちんと再会したなんて、嘘みたいだ。
あたし10年前に離れたとき、もう永遠に会えないような気がしてたんだよね。


でも…ごっちんは戻ってきた。
あの時の『また会おうね』って約束は、ちゃんと果たされたんだ。




でも…ごっちん、すごくかわいくなった。
ていうかきれいになった、って方が正しいかもしれない。





そう言えば、忘れられない人って誰なんだろう…。
気になるけど…そんなこと聞けないっつーの。


125 名前:Chapter3.変化 投稿日:2002年08月07日(水)04時52分43秒


何だろう、この感情。イライラするっていうか。
まるで、得体の知れないごっちんの想い人に対して、嫉妬しているかのような。




…は?嫉妬?何で、あたしが?
そんな訳、ないって。ある訳、ない…。





昼間からあたしは布団に潜り込んだ。
自分の中に渦巻く感情を閉じ込めてしまうように。








その数時間後。
あたしの頭がさらに混乱する事が起こるなんて…。


もちろん、この時のあたしには知る由もなかった。


126 名前:なな 投稿日:2002年08月07日(水)04時54分48秒



更新終了です。


127 名前:なな 投稿日:2002年08月07日(水)05時07分31秒

今回、ごっちんと圭ちゃんが脱退する、ということで。
私も色々考えました。


その結果わかったことがあります。
私は、どうやらこの二人が大好きらしいです。
自分が思っていた以上に。
もちろん、よしこも大好きです。
というか、プッチが大好きみたいです。


まぁ、悲しいと言えば悲しいんですが。
でも、二人とも芸能界引退するわけじゃないんですよ。
ハロプロにもいることだし、この先もしかしたら
何らかの形で絡むこともあるかもしれない。
反対に一緒にいる姿はもう見れないかもしれない。


でもいいんです。私の脳内では、三人はいつも一緒なんです。




よしごまは不滅なんですよ!




ということで、無理矢理ですがそう思うことにしました。
小説はこれからも吉後一筋にがんばります。


…たまに浮気もありますが。






128 名前:なな 投稿日:2002年08月07日(水)05時16分31秒

スレ隠しプラスageなんてしてみたり。


次回更新はまだ未定です。
一週間以内には更新したいと思ってますが。


ていうか、毎回毎回話が進まなくて申し訳ないです。
いまだに一日すらたってません。


そして言うの忘れてましたが「Chapter3.変化」終了です。
次回からはChapter4が始まります。
題名がいまいち決まらなくて困ってます。


129 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年08月08日(木)13時06分09秒
おおおおお〜!!!!続きが気になる〜!
ごっちんとよっしぃ〜も気になるけど、矢口さんも気になる〜!
更新楽しみに待ってます!
130 名前:吉澤ひと休み 投稿日:2002年08月08日(木)23時41分02秒
面白い!
また〜り交信・・・もとい更新楽しみにしてます!

(0^〜^)<また〜り基本だね、ごっちん。

( ´ Д `)<・・・・・・・・

(0^〜^)<・・・・・・・・・ねっ?

( ´ Д `)<zzzZZZ

(0;^〜^)<しすぎだYO・・・・
131 名前:なな 投稿日:2002年08月09日(金)03時12分11秒

レス、ありがとうございます!!いや〜やる気でてきますよ、ほんとに。

>ヒトシズクさん
矢口先生…次からは本格的に絡んでくると思われ。

>吉澤ひと休みさん
どうぞマターリお待ちください。私、更新遅いですよね。
…でもこれが自分としては精一杯の速さ(w

(0^〜^)<………。
( ´Д `)<………。

……ごめんなさい、嘘です。もっと頑張れます。
時間ならあるんですが。……サボってただけです。
せめて、次の題名だけでも考えよう…。
でも、なかなかしっくり来るのがないんですよね。


132 名前:なな 投稿日:2002年08月09日(金)03時18分49秒

最悪だ…顔文字崩れてるよ…。
コピーしたのそのまま使ったのが良くなかったのでしょうか…。


もういや。寝てやる。


133 名前:なな 投稿日:2002年08月09日(金)03時32分07秒

( ´ Д `)<よっすぃー、元気出して?

(0^〜^)<…うん。ありがとね、ごっちん(ナデナデ

( ´ Д `)<…んあー(ニコーリ

(0^〜^)<…えへへ…(ゴッチンカワイスギ


懲りずに再チャレンジ。
小説の中でもいつか甘々に…なるんでしょうかね(え?



134 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月09日(金)23時16分31秒
すっごく面白いです!!
やっぱよしごまイイなー。
更新頑張って下さい!楽しみにしてます!!
135 名前:都古 投稿日:2002年08月13日(火)21時52分47秒
読みましたー♪ご、ごっちん・・・。
照れ屋さんなごっちんは犯罪的に可愛すぎますYO!!
はー・・・よしごまは永遠ですッ(0^〜^(´ Д `*)
この調子で頑張って下さいっ!!
また来ますね〜(w
136 名前:なな 投稿日:2002年08月13日(火)23時46分47秒


更新します。



 
137 名前:chapter4.過去 投稿日:2002年08月13日(火)23時49分49秒

突然携帯が鳴り、目が覚めた。
起きたばかりでボーっとしていたらすぐ音が途切れた。


メールかな…そう思って携帯を開いて見ると矢口先生だった。




<九時に、いつものとこで。ダメなら連絡よこして。>




いつものとこというのは、あたし達のお気に入りのカフェのことだ。
時間を見ると八時を過ぎたころだった。


…八時間近く寝てたってこと?


いくらなんでも寝すぎだよ…自分に突っ込みながらも、メールの返信をする。




<いいですよ。じゃあ、九時に。>




そして、軽く腹ごしらえをしようと思って一階に降りて行った。




138 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月13日(火)23時52分34秒

リビングに行くと、母親がテレビを見ていた。



「あら、やっと起きたの?」


「起きたのって…起こしてくれてもいいじゃん。」


「起こしても起きないからねぇ…あきらめた。」



…あたしは一回寝るとちょっと声掛けられたくらいじゃなかなか起きない。
母親もそれをわかってるから、諦めが早いのだ。



「あ、ご飯そこにあるから。食べるでしょ?」


「うん。食べたら、矢口先生に会ってくる。呼び出された。」


「あら、そう。迷惑掛けないのよー。」



139 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月13日(火)23時54分43秒

あたしが矢口先生と付き合ってるっていうのは、母親は知っている。


もちろん最初は隠してたんだけど、…女の勘?っていうか…。
何となく、わかったみたいだ。問い詰められた時は焦ったけど。


やっぱ…世間的に女同士、ってマズイしね。


うちの母親も女子高だったから、その辺は普通よか寛容だったってわけ。





…一回だけ、女の人とも付き合ったことがあるらしい。


それを聞いたときはさすがにあたしも驚いた。


そのあとお父さんにはナイショね?なんていわれて、ハイ、としか言えなかった。




母親とあたし、女同士の秘密というわけだ。
どこの家でも父親なんてそんなもんだろう…。


140 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月13日(火)23時56分40秒

少し昔の事を思い出しながら、ご飯を食べていた。


ふと、矢口先生にしては素っ気無いメールだったなあ、なんて思った。
何か急いでたのかな?ま、新学期って何かと忙しいしなあ。


あまり気にも留めずに、行って来ます、と言って家を出た。






そこのカフェはうちからチャリで十分くらいのとこにある。
カフェといっても夜はバーになるんだけど。


そこを経営してる夫婦とは知り合いだから、未成年のあたしでも入れるのだ。





―さすがに、酒は飲ませてもらえないけど。


141 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時00分03秒

「こんばんはー彩さん。」


「おぅ吉澤じゃん。矢口と待ち合わせ?」


「はい。あ、カウンター座っていいですか?」


「いいよ〜。今すいてるしね。」



そういって笑うのは、彩さん。ここのマスター、真矢さんの奥さんだ。


そして、夜来る時には決まってレモンティーを出してくれる。


この時間にここに来る人はみんな酒を飲みに来るから、あたし専用ってわけだ。




ここのレモンティーは他のとことちょっと違う。
一回作り方を聞いてみたけど、企業秘密といって教えてくれなかった。




142 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時01分17秒

「いつもすみません。」


「いいっていいって。矢口はかわいい後輩だしね。あ、吉澤もね?」



彩さんはあたしの通う学校の卒業生だ。
大学で矢口先生と同じサークルで、よくつるんでたって聞いた。


真矢さんとは、他の大学との合同サークルで知り合ったらしい。
今彩さんのおなかの中には赤ちゃんがいる。


その事を教えてくれたとき、二人はとても幸せそうだった。



143 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時02分50秒

「それにしても約束の時間っていつ?矢口来ないじゃん?」


「九時ですけど?」


「え!?まだ八時半じゃん?」



彩さんはそういって時計を見る。



「いや、だって待たせるのって悪くないですか?」


「それにしたって早すぎ。…相変わらずだねぇ。」



まったく…そういって笑う彩さんは、大人の女、って感じ。


実際、矢口先生と上手くいってないときはよく相談にのってもらったりする。
その意見は的確で…頼れる姉御といったところ。あたし達の、よき理解者だ。


そんな彩さんに矢口先生もいろんな事を相談しているみたいだ。


144 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時05分41秒

そうだ…矢口先生、どうしたんだろう。何か話でもあるのかな?



「あの…彩さん、矢口先生から何か聞いてません?」


「何かって、アンタ何かしたの?…浮気とか?」


「えぇ!?そんなんするわけないじゃないですか!」


「まぁそれは冗談として…でもこんな平日に呼び出すなんて珍しいじゃん。今日って何かあった?」


「今日ですか?実は、幼馴染っていうか…昔仲良かった子が転校してきました。びっくりしましたよ〜。」


「へ〜、感動の再会ってやつ?…で、その子どんな子?」


「どんな子って…可愛い子ですよ。」


「ふ〜ん…可愛い子ねー…。へ〜…。」



意味ありげにニヤニヤ笑う彩さん。


145 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時09分51秒

「何なんですか…。」


「いや、ひょっとしてヤキモチでも妬いてるのかなと思ってさ。」


「ヤキモチ?」


「感激の再会ねぇ…今日一日の自分の行動を思い出してみれば?」


「う〜ん…。」



考えてみれば今日はごっちんとずっと一緒にいたような。
でもそんなんでヤキモチ妬かれても…久しぶりに会ったんだし。
いろいろ案内とかしたしさぁ…。



「そんな。一緒にいたくらいですよ。」


「ほんとに?必要以上にひっついてたとかは?」



…そういえば、思い当たることが…あるような、ないような…。


146 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時12分40秒

あたしの微妙な変化を感じ取ったのか、彩さんはやっぱり、と一人うなずいていた。



「いくら女同士っていってもさ…あんた達の場合、その辺はよく考えないと。」


「…はい。」






確かに、考え無しなところがあるよな…あたしって。


もしかして…告白してきた子にキスして断ってることも…バレてたりして…。
でもいちいちマジメに相手すんのってめんどくせーし…。


「まぁ吉澤の場合、無意識の浮気みたいなのもいっぱいしてそうだけどね〜。」


「…ハハ…。」



彩さんは冗談のつもりで言ったんだろうけど、当たってなくもないから…笑えない。


「あ、そろそろ九時じゃん。矢口来るかな。…ちゃんとフォローしときな?」


「ハイ…。」


147 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月14日(水)00時13分34秒

そういや、平家先生にも似たようなこと言われたなあ…。


とりあえず謝ろう、うん。それしかない。






あたしはすっかり氷が溶けて薄くなったレモンティーを一気に飲み干した。


148 名前:なな 投稿日:2002年08月14日(水)00時14分29秒



更新終了です。


149 名前:なな 投稿日:2002年08月14日(水)00時24分04秒

>名無し読者さん
よしごまいいですよね〜。二人のあのマターリとした雰囲気がたまりません。
おもしろいだなんて…調子に乗っちゃいますよ。ウザイくらいに(w

>都古さん
照れ屋なごっちん可愛いですよね!!
ほんとあたしも何度血を吐きそうになったことか…(w


レスありがとうございます。
毎回言ってることですが、ほんとに励みになるんですよ。
見てくれてる人がいるのといないのとでは全然違いますからね。


150 名前:なな 投稿日:2002年08月14日(水)00時51分23秒

(0^〜^)<照れ屋なごっちん、可愛いってさ。

( ´ Д `)<………。

(0;^〜^)<……ごっちん?(…寝てる!?

(#´ Д `)<……んあー。

(0^〜^)<あ…照れてる……(…ヤッパリカワイスギダYO!

151 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年08月14日(水)23時23分32秒
更新お疲れさまです。
よっすぃ、、、ごっちんのことすき?
矢口先生は?(笑)

次も楽しみにしてます。
がんばってください。
152 名前:なな 投稿日:2002年08月15日(木)01時52分10秒

>やっすぅ推しさん
お久しぶりですね〜。
吉澤君ね〜今ちょっと…混乱してるというか、振り回されてるというか。
矢口先生のことももちろん好きだけど…っていう。
要するに基本的にタラシなんですね、はい。



思うこと。

題名つけるのって難しいですよね。
いつも的外れな自分がイヤ。


次の更新は今週中にはなんとかいけそうです。
あせらずマターリお待ちください。



153 名前:カム 投稿日:2002年08月15日(木)02時28分54秒

はじめまして、更新お疲れさまです。

最初から一気に読みました。
吉矢で吉後ですか!?……すんげぇ(・∀・)イイ!!(w
普段はもっぱらROM専(小心者なので…)ですが
これからも影ながら応援してます!お互いに頑張りましょう。
154 名前:なな 投稿日:2002年08月18日(日)23時07分34秒

>カムさん
カカカカムさんじゃないですか!びっくりしたぁ!
あの、初めまして!…まさか書き込みしてくれるなんて。
すんげぇイイなんて、とんでもないです。
カムさんのお話、いつも読ませて頂いてます。
影響受けまくりなんじゃないかと。
後藤さんが可愛すぎて何度命を奪われそうになったか(w
いやー…ほんと、書き込みありがとうございます。
私も今度勇気を振り絞ってお邪魔させていただきますね。


あと、今週中に更新できそうと言っておきながら無理っぽいです。
突然バイト先から電話が来て
「今日出れる?っていうか出て。」
…今日は休みだから駄文書く予定だったのに!
しっかり稼いで来ました。
その代わり火曜が休みになったようなので、その頃には更新したいです。



155 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時00分20秒

―カラン


入り口のドアに掛かっている鐘が鳴った。
そっちを見ると、矢口先生が息を切らせて立っていた。



「ごめん、待った?」



そう上目遣いで尋ねてくる矢口先生には、いつもドキッとする。
そりゃ、身長差があるから自然とそうなるんだけど。
こんな時…素直に可愛いな、って思う。


そう…やっぱあたしが好きなのは矢口先生。
ごっちんのことは…懐かしい気持ちがあるだけだよ。
特別な感情があるわけじゃない…きっと。



「いや…ちょうど九時ですよ?」


「でもよっすぃーいつも早く来るから。」



そう言ってあたしの隣に座る。



「彩っぺ、久しぶり。」


「久しぶりって…一昨日来たばっかじゃん?」


「あぁそうだっけ?ハハ…。」


「どうした?矢口何か変だよ?」



あたしも…そう思う。いつもの元気な矢口先生じゃ、ない。



156 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時02分30秒

「別にどうもしないよ…。彩っぺ、何かちょうだい?」


「…ん、わかった。カシスオレンジでいい?真ちゃん、お願い。」




OK、そう言って他の客の相手をしていた真矢さんが手早く用意した。




「はい、真里ちゃん。酒強くないだろ?あんま飲んじゃだめだよ。」




そして一見するとジュースのような液体を置いた。
確かに矢口先生は酒にあまり強くない。飲むとやたら人に絡んでくるし。


でも自分から飲むことなんてめったにないんだけどなぁ。
やっぱ、あたしのせいだったりして…。
テンション低い矢口先生なんて、めったなことじゃ見れないし。


…どうしよう。とりあえずあやまっとく方がいいかも…。


157 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時04分36秒

「あの、矢口先生。」「…よっすぃー?」


『え?』




あたしたちは、同時に声を発していた。




「あ、そうだ。矢口先生が話あるんですよね?どうぞ。」


「いや…うん。そうなんだけど…。矢口のは後でいいから、よっすぃー先に言って?」




そう言う先生は明らかに作り笑いで。
でも、その事に触れちゃいけない気がしてあたしは気付かないフリをした。




「あのですね…ごっちんのことなんですけど…。いきなり抱き合っちゃったりして
 矢口先生にヤな思いさせちゃったかな、と思って。」


「え?…なんだそんな事か。別に気にしてないよ。」


「へ?」




そんな事、って言った?




「だって久しぶりに友達に会ったら、矢口だって抱きついちゃうと思う。」


「ハハ…そうですよね…。」




…うわ、なんか自意識過剰だったんじゃん?あたし。
恥ずかしいな〜。バカみたいじゃん。


158 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時06分16秒

少し顔を上げるとちょうど彩さんと目が合った。
彩さんはニッと笑い、あたしの耳元に顔を寄せて小さい声で言った。


(よかったじゃん。浮気が問題じゃないみたいだね?)


(…そうすね。)




…てか、浮気したって決め付けられても。




(でもさぁ、じゃあ何で矢口の様子おかしいんだろうね。…吉澤絡みじゃないのかな?)




そう言って、チラッと矢口先生の方を見る。


先生はあたし達のナイショ話には関心を示さず、黙々と酒を飲んでいた。
よく見たらもう二杯目だった。ペース、速すぎ。
すでに顔が赤い。酔いが回ってきたんだろう。




「先生、真矢さんも言ってたけどあんまり飲んだら後で大変ですよ?」


「う〜…大丈夫、らもん…。」


「どこが大丈夫なんですか。」




そう言ってグラスを取り上げた。


159 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時07分30秒

「あぁ〜まら飲むぅー!」


「ダメです。ちゃんと喋れてないですよ?」


「………。」




む…反抗的な目だな。
ちょっと意地悪するか…。




「酒癖悪い矢口先生なんて、嫌いです。」




…いつもこう言うとすぐ大人しくなるんだよなぁ。
で、嫌いにならないでよ〜って泣きついてくるんだよね。
目うるうるさせちゃってさ。その時の表情がたまらなく好きなあたし。


ちょっと、S入ってるかも。




「…よっすぃー…。」




へへ…さっそくかな?




「何ですか?」




わざと、素っ気無い態度をとる。


このあとの先生が可愛いんだよ〜。
あたしの腰の辺りに抱きついて、それから…。


160 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時09分45秒

「ごめんね。」


「え?」




意外な反応だった。その声ははっきりしていて。
さっきまでのふにゃふにゃな先生はすでにいなかった。




「こんな矢口いやだよね。」


「…先生?」


「…ちょっと向こうの席行こうか。ごめん、彩っぺ。」




そして、立ち上がってはじっこの方に行ってしまう。
あたしは彩さんに軽く頭を下げてから矢口先生の方へ行く。




「まぁ、座って。」


「はぁ…。」




何だろう。やっと本題に入るのかな…。






「ところで、よっすぃーってさぁ…もてるじゃん。こないだも…
 春休み入る前だったかな。一年後輩の子に告られてたでしょ?」


「…知ってたんですか?」


「まぁ、たまたま目撃しちゃっただけなんだけどさ。」




…先生にはばれてないと思ってた。
ん?ってことはもしかして…。






「でさ、見ちゃったんだ。…よっすぃーがその子にキスしてるとこ。」





…やっぱり…。



161 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時11分16秒

「でもね、その事自体にたいしてショックは受けなかったんだ。」


「…どういうことですか。」


「うん…何ていうかさ…。春休みの間もうちら結構会ったりしてだじゃん?
 その時もずっと考えてたんだけど…。…今日の朝とかも。」




今日の朝、と言ったとき矢口先生は少し恥ずかしそうだった。
まぁ…あたしのせいなんだけど。




「何、考えてたんですか?」


「そういうことに矢口が気付かなかったってことが、ショックだったっていうか…。
 付き合ってるのに、よっすぃーのこと…何も知らないんだなって思った。」


「…。」


「それでさ、今までの自分たちのこと思い出してみたんだ。で、気付いたんだ。
 矢口達って一度も本気でケンカしたことないの。…オカシイよね?」


「…仲がいい、ってことじゃないんですか。」


「違うよ。」




あたしの言葉に、矢口先生はきっぱり答えた。



162 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時16分53秒

「それは…違うよ。今まで本気でぶつかったことなんてなかったんだ、うちら。
 キスしたりエッチしたりはするけど…お互いのこと、まるで知ろうとしなかった。違う?」


「それは…。」




反論、できなかった。その通りだったから。
そんなあたしを見て、先生はふふっと笑った。




「いつもさぁ、よっすぃーって矢口に合わせてくれてた。優しくしてくれた。
 でも…よっすぃーの気持ち、見せてくれたことはなかった。」


「…そんなことないですよ。」


「嘘!」



それまで俯き加減に話していた先生は、突然顔を上げた。




「いつだってよっすぃーは自分を作ってた!自分の気持ち出さなかった!
 …吉澤ひとみのほんとの姿、見せてくれなかった!」




あたしはそれに対する言葉が見つからなくて。
ただ先生の顔を見ていることしかできなかった。




「…ごめん、叫んだりして。よっすぃーだけが悪いんじゃないよ。
 今までそんなことにも気付かなかった矢口も悪いんだ。」


「先生…。」


163 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時20分29秒

「それで…後藤さん、いるでしょ?」


「…ごっちんですか?」


「今日の朝教室でさ…よっすぃー、話してたじゃん。」


「はい…。」


「矢口さ、その時初めてよっすぃーが感情を表に出してるの見たんだ。
 二人が抱き合ってたことよりも、よっすぃーが後藤さんに本音見せたことに嫉妬した。
 矢口には見せないのに…って思った。」




…確かにその通りだった。


あたしは、あの時自分の感情を抑えることができなかった。
自分でもよくわからないけど、あの時のあたしはどこかおかしかった。




「久しぶりに会った幼馴染相手に恋人の矢口は勝てないんだ、って思った。」




それでも、と先生は言った。




「矢口はよっすぃーのことが好きなの。…誰にも、渡したくない。」




そう言った先生は少し目が赤くなっていて。真剣だった。




「よっすぃーは矢口のこと、どう思ってるの?…遊んでただけなの?」


「そんな…。」



164 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時22分59秒

それが何故かはわからないけど。日常が変わるのが、嫌だったのか。
このときのあたしは、先生とまだ別れたくないと思っていた。


ただ、矢口先生ほどの気持ちをあたしが持っているのかというと。
自信を持ってそうだとは言えなかった。


それで…あたしは、小さな嘘をついた。




「あたしは…先生のことが一番、好きです。」




…一番かどうかなんて、わからなかったのに。
先生が嬉しそうに笑ったから、そんなことはどうでもいいことだと思った。




「うちら、やり直そう?…これからはさ、もっとよっすぃーの気持ち、見せて欲しいな。」


「先生…不安にさせて、すいません。」


「ん…いいよ。もう大丈夫。」


「じゃあ、彩さんとこ行きましょ?矢口先生のこと心配してましたよ。」


「いや、お前のせいだろっ!」


「ははっ、そうすね〜。」




矢口先生のツッコミが入る。よかった、いつも通りだ…。




「何?そこのバカップル話終わったの?」




あたし達の空気を読んで、彩さんが軽い感じで話し掛けてきた。


さっきまでの思いつめたような矢口先生の表情が明るくなって、
ホッとしていることだろう。


165 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時29分13秒

「バカップルは彩っぺ達じゃん?」


「ん?まあね。ね、真ちゃん。」


「うわラブラブだよ!」


「ははっ。羨ましいか!」




真矢さんが照れくさそうに笑う。


それからあたしたちは他愛のない話をしていた。
でも明日も学校だし、何より教育者が生徒と夜遅くまでいるのは
何かとマズイってことで、あたし達は帰ることにした。




「じゃあねー彩っぺ!また来るから!」


「それじゃ、彩さん。お邪魔しました。」


「おう、また来なよ〜。二人仲良く、ね。」




あたし達はそれに笑顔で答えて、店を出た。







あたしはバスで帰る矢口先生をチャリを押しながらバス停まで送って行った。
さっきのこともあるし、何となく二人とも黙ったままだった。


あ…そういえば。朝のアレ、なんだったんだろう。
あたしは、ある出来事を思い出した。


166 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時31分39秒

「んー…。」


「どうしたの?」


「あ、いや。朝健康診断のときなんですけど…市井先生っているじゃないですか。」


「え…あ、うん。」




先生は何故かあたしと目を逸らした。
あたしは特に気にせずに、話を続けた。




「何か、色々話したんですけど、最後に彼女大事にしろよって言われてガン飛ばされたんですよ。
 あたし何か気に障ることでもしたのかな〜。でも今日初めて会ったのにそれはないか。」




うん、そうだよな。考えすぎだよ。
一人で納得する。




「あ、バス停見えてきたっすよ?」




そうして矢口先生の方を見た。正しくは、先生がいるであろう方を見た。
でも、そこには先生はいなかった。




「あれ?先生?」




後ろを振り向くと、先生が俯いて立っていた。


167 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月21日(水)02時33分24秒

「…先生…?」



声を掛けると、先生はあたしに抱きついてきた。




「どうしたんですか…。」




できるだけ優しく、尋ねる。




「…よっすぃー。実は、実はね。話っていうのは…。」




先生は何故か切羽詰った様子で、何かを言おうとした。


そして、ちょうどその時だった。






「あれ、矢口じゃん?」






あたしが振り向くと。
そこにいたのは、市井先生だった。


168 名前:なな 投稿日:2002年08月21日(水)02時34分06秒


更新終了です。


169 名前:なな 投稿日:2002年08月21日(水)02時37分04秒

非常に微妙なところで切ってますが。
申し訳ない、の一言です。

しかも日付変わっちゃってます。
火曜日のうちに更新する予定だったのに…。
有言実行な人間になりたいです。

170 名前:なな 投稿日:2002年08月21日(水)02時49分47秒

24時間TVのビデオ鑑賞


(#´ Д `)<…よっすぃー、スパイクかっこいい…(ドキドキ

((((0^〜^)<………。

(#´ Д `)<んあ、よっすぃー?(見られてた!?

(0^〜^)<……違う。

(;´ Д `)<え…(な、何が…

(0^〜^)<カッケ―でしょ!これ基本!

(;´ Д `)<は、はい!


171 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月22日(木)00時15分15秒
えらいとこに市井さんが!
と思ったら更新終了なんて!
切るとこ上手すぎですよー。
でもその分楽しみが増します!
続き頑張って下さい!!

172 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月25日(日)20時58分33秒
うわ〜〜続きが気になっる!!
楽しみにしてます!
173 名前:なな 投稿日:2002年08月27日(火)15時44分25秒
レス、ありがとうございます。

>171 名無し読者さん
はい、えらいとこに市井先生登場です。
タイミング良すぎですね。…あやしいですねー。

壁]^∀^ノ<……矢口…。

>172 名無し読者さん
いやーそんなこと言われたら、調子に乗って
バク転とかしちゃいますよ?
174 名前:なな 投稿日:2002年08月27日(火)15時51分14秒
今、BSの娘。さん達の番組見てました。
飯田さんってきれいですよね。びっくりです。
そして妖怪話のとき、二人で何か話してる吉後を発見。
幸せいっぱいな気分です。
…欲を言えば矢吉後の席順にして欲しいです。
吉澤さんはぜったい真ん中で。
175 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年08月28日(水)10時50分00秒
私は、圭ちゃんがごっちんにハスカップヨーグルト?
を食べさせていたのに萌えました。

なっちにも食べさせていましたが、
今のマイブームはやすごまなんで、やすごまの方に萌えまくりれした(笑)

それににてもけいたんはキレイれすね(笑)
176 名前:なな 投稿日:2002年08月30日(金)00時00分42秒
更新します。
177 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時03分04秒

「お二人さんラブラブだねぇ〜。」




市井先生は、徐々に近寄ってきた。


その時、矢口先生が一層強くあたしの体を抱きしめた。


あたしは先生を抱きしめようとして、押して歩いていたチャリを
壊れるのもかまわずに道路にガシャン、と倒した。


あたしがぎゅうっと抱きしめると、矢口先生も抱き返してくれた。




「えっと…確か吉澤、だっけ?」


「そうですけど。何か用すか?」




朝も思ったけど、この人は何を考えてるのかわからない。


矢口先生の様子からすれば、とりあえずいい人ではなさそうだ。
あたしは矢口先生の腕をほどき、先生を守るように後ろに立たせた。




「いや〜用ってか、同僚に会ったから声掛けただけ。
 そんな怖い顔すんなよー。」




そして市井先生は矢口先生に近づき、なっ、と肩に手をまわした。
矢口先生は明らかにビクッと身をすくめた。

178 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時06分36秒

それを見たあたしは完璧にこの人を敵だ、と認識した。
市井先生の手を掴み、矢口先生の肩から離した。




「人の彼女に馴れ馴れしく触んないでもらえます?」


「お〜こえー!」




市井先生はふざけたようにそう言ったけど、目は笑っていない。




「大体、同僚って言ったってまだ会ったばかりっすよね?
 何でそんな親しげなんすか。」


掴んだ手はそのままに、市井先生を睨む。




「市井と矢口が会ったばっかり?」


ハハッ、と市井先生は笑う。




「何がおかしいんすか?」


「何がって…お前、何も知らないんだなー。」


市井先生はやんわりとあたしの手をほどいた。




そこでふと気付いた。
この人も、自分のこと名字で呼ぶんだ。


…矢口先生と、一緒?


179 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時07分52秒

「知り合いなんですか?」


矢口先生に聞いてみた。けど、先生は答えない。
俯いたまま、あたしと目を合わそうともしなかった。




「矢口とはさ、高校一緒だったんだよ。市井が矢口の後輩でさ。」


「あぁ…そう言えば矢口先生、大学からこっち入ったんでしたね。」




何でか前に聞いたけど、話をはぐらかされて理由を教えてくれなかった。




「そうそう。つーか、幼稚園から高校までずっと一緒だったんだ。
 矢口とは…いわゆる幼馴染、ってやつ。」


「幼馴染…。」




幼馴染。その言葉にあたしは反応していた。
あたしとごっちんがなるはずだったもの。


結局、なりそこなったけど。


180 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時10分08秒

…ん?そんなことなら、矢口先生何で黙ってたんだ?
言ってくれればいいのに。


あたしは頭の中である考えが浮かんだんだけど、
まさかな…と思ってその考えは頭の隅に追いやった。


矢口先生の方を見ると、また何か言いたそうな表情だった。
あたしがどうしたんですか、と聞こうと口を開きかけた時。




「矢口、バス来たよ。あれでしょ?信号で停まってるやつ。」




市井先生の言葉のほうが一瞬早かった。
矢口先生はやっぱり何か言いたそうだったけど、
市井先生の前だからか、言い出せない。そんな感じだった。




「先生…話の続きはまた今度しましょう?」


優しく頭を撫でると、先生は少し安心した表情になった。
それを見て、あたしもホッとした。


信号が青に変わり、バスが停留所に近づいてきた。




そしてあたしは、市井先生の方に向き直って言った。


181 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時12分07秒

「市井先生、いくら幼馴染って言っても矢口先生はあたしのですから。
 もう一度言いますけど、あんまり馴れ馴れしくしないで下さい。」


そして、バスに乗ろうとした矢口先生の顔をこっちに向かせて、
すばやくキスをした。


矢口先生は何が起こったかわからない、といった表情のままバスに乗った。




あたしはバスが動きだしたのを見届けると、そのまま帰ろうとした。




「待てよ。」




振り向くと市井先生はさっきまでとは違い、全くの無表情で立っていた。




「何ですか。」


あたしは市井先生から感じる威圧感に負けないように、
先生の目をしっかり見ながら返事をした。




「まぁ、そんな怖い顔しないで。」


「………。」


「ちょっと、言っておこうと思って。」


「…何をですか。」




クスッ、と市井先生は笑った。


「ふーん…。ほんとに何も聞いてないんだなぁ。」




そう言うと市井先生は煙草に火をつけた。


182 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時21分22秒

「市井と矢口さぁ…幼馴染ってだけじゃなくて、実は…付き合ってたんだよね。」


やっぱり、そう思った。
さっき浮かんだ考えがそれだったから。


ただの幼馴染だったら、矢口先生があんな反応するはずない。




「驚かないんだ。」


「まぁ…そうじゃないかな、とは思ってましたし。」


「ほ〜そうか。」




市井先生は、ゆっくりと煙草の煙を吐き出した。




「その関係さぁ…まだ終わってない、って言っても驚かない?」


「…は?」


「つーか、市井はそう思ってた。別れ話なんてしてないし。」




あたしはただ黙って市井先生の煙草の煙を見ていた。




「…市井さぁ、大学は関東じゃなくて、矢口と離れることになったんだ。
 市井が大学行ってる4年間は、矢口と数えるほどしか会えなかった。」




ゆっくりと、市井先生が近づいてくる。




「連絡はずっと取り合ってたんだ。だから市井は別れたつもり、なかったよ。
 でも、同じとこで教師できることは黙ってたんだ。矢口を驚かそうと思ってさ。」


「…市井先生はそういうつもりでも、今矢口先生と付き合ってるのはあたしです。」


183 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時27分26秒

「そうみたいだね。教員の顔あわせの時矢口いなかったからさ、
 今日久しぶりの再会だったわけ。」




何はおかしいのか、市井先生はクスクス笑っている。



「それで校内歩いて矢口探してたらさ…見ちゃったんだ。君ら、二人でいるとこ。」


「…もしかして…。」


「そう。ただの教師と生徒じゃしないようなこと、してたよな。」


「………。」


「さすがの市井もびっくりしたよ。矢口を責めてやろうかと思ったけど…。
 まぁ寂しい思いさせてた市井も悪いよなぁ、と思い直したわけよ。」


「…そんな言い方、矢口先生はあたしのこと本気じゃないみたいじゃないですか。」




市井先生は笑った。




「そんなこと、お前が言えるの?…矢口のこと、本気じゃないくせに。」




とたんに、市井先生は怖いくらいに無表情になった。




「何言って…。」


「わかるよ。…市井は矢口のこと、本気で好きだから。」




そう言って煙草をもみ消すと、市井先生はくるっと後ろを向いて帰ろうとした。


あたしは何も言えずにその後姿を見ていた。


184 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時29分57秒

ガードレールをまたいで越えたところで、市井先生は振り向いた。




「言うの忘れてた。」


「…何ですか。」


「もしも…仮に矢口がお前の事本気だとしても、そんなの関係ない。
 矢口は市井のものなんだよ。…絶対奪ってやる。」




それだけ言うと、道路の反対側に向かって素早く走っていってしまった。


渡り終わった後、市井先生は一瞬こっちを見て笑った。
その笑みには余裕が感じられた。






彼女に浮気(?)がばれ、その彼女の昔の恋人が登場…。


その市井先生の話によると、あたしはどうやら二股されてたらしい。
矢口先生の話って、このことだったのかな。


先生はあたしの事は本気だっていったけど…それも本当なのかどうか。

185 名前:Chapter4.過去 投稿日:2002年08月30日(金)00時53分58秒

人って何考えてるかわかんないもんだなぁ。


…あたしもそうか。


苦笑いをしつつ、ふと下の方に目線を動かした。
するとチャリを倒しっぱなしだったことに気付く。




矢口先生を抱きしめたときのあたしと、今のあたし。
その違いにあらためて人ってわかんないもんだ、と人ごとのように思った。




あたしが矢口先生と別れたとしても。
たぶん、あたしは傷つかない。そんな気がする。
だから市井先生と争う事もなく、矢口先生と別れても
いいとは思うんだけど…。


自惚れてたのかもしれない。
あたしは矢口先生があたしのことだけ見てると思ってた。
でも、実際は二股されてたわけで。


あたしは正直、騙されてたのが悔しかった。


簡単には別れてやるもんか…。




ここで変な意地を張らなければよかった。


あたしはものすごく、後悔することになる。


186 名前:なな 投稿日:2002年08月30日(金)00時55分05秒

更新終了です。
187 名前:なな 投稿日:2002年08月30日(金)01時13分49秒
言うの忘れました。
Chapter4.過去、更新終了です。

>やっすぅ推しさん
お久しぶりです。
…私はやすごま推しじゃないんですけど、あの二人には萌えました。
ヨ、ヨーグルト食べさせてる!と思って激しく動揺。
でもこれが吉後や吉矢だったら、自分間違いなく萌え死んでました。


BSといえば、吉矢にも萌え。
矢口さんじゃないですけど、吉澤さん普通にカッケー!
あれは誰が見ても男前ですよ〜!
後藤さんもきっと惚れ直したでしょう(w

188 名前:なな 投稿日:2002年08月30日(金)01時24分26秒

( ´ Д `)<…ごとー、しばらく出番ないねぇ?

(0^〜^)<…そうだね。

( ´ Д `)<………。

(0;^〜^)<えーと…(無表情だから何考えてるかわからん…。

( ´ Д `)<…zzz…。

(0^〜^)<……結局それか……。

189 名前:N・K 投稿日:2002年09月01日(日)00時00分21秒
さっそく一気に読ませていただきました〜。先生な平家さんに萌え(w
娘。さんだと やぐよし、よしごま推しなんで自分(w
どっちに転んでもオイシイかな…と(爆)

更新楽しみにしてます♪
190 名前:なな 投稿日:2002年09月11日(水)10時20分33秒
更新します。
191 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時27分36秒

目が覚めるともう八時過ぎだった。




「…やば、遅刻じゃん。」




がばっと布団から起き上がる。


昨日の夜これからどうしようか考えてたら、寝坊してしまった。
どうしようかと言っても、矢口先生と別れようとか考えてたわけじゃない。


昨日あたしは市井先生の話を聞いても別にショックじゃなかった。
ただ、これまで矢口先生と穏やかな関係を続けていた事が急にばからしくなった。


だけどこのまま別れたら、あの二人は遅かれ早かれ元に戻るだろう。
そんなの、あたしの立場ないじゃん?あたしにだってプライドってもんがある。



だったら、これからは…どう楽しむか、だ。


192 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時29分03秒

まるでゲームを攻略するかのように、あたしは考えていた。


もし昨日の市井先生の話が本当じゃなかったとしても。
あたしの中に矢口先生がいなかったことだけは、はっきりわかってしまった。


一瞬腹が立ってわけわかんなくなったけど、それも騙されてたのが悔しかったから。
市井先生がどう出てこようが、簡単に別れるわけにはいかない。




もう一度時計を見る。どう考えても遅刻っぽい…。ま、いいか。


リビングに行くと、もう誰もいなかった。当たり前か。
テーブルにベーグルが置いてあったから、それを手に取りそのまま家を出た。

193 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時32分38秒

時間が時間なだけに、同じ学校の生徒は誰一人としていない。
いつもは朝からみんな話し掛けてきて、疲れる。


ベーグルを食べながらゆっくりと歩いていく。
今日は誰にも邪魔されず、のんびり行けそうだ。




途中で喉が渇いて、コンビニで紙パックの野菜ジュースを買った。


そのままコンビニの前で飲んでいこうとストローを差す。
ふと前のほうを見ると、向こうから近くの男子高生が三人やって来た。


特に気にすることもなくジュースを飲み干したら、
その三人が話し掛けてきた。




「ねーねー、サボリ?俺らと遊ぼーよ。」




はぁ…ウザいっつーの…。


そう思って無視したけど、しつこく話し掛けてくる。

194 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時33分52秒

「つーかさぁ、まじかわいくね?スタイルすげーいいし。」


「ぶっちゃけ俺まじで好みなんだけどー。」


「あ、警戒してる?別に変なことしないって!」




そう言って、三人はニヤニヤしながらあたしの体を嘗め回すような視線を向ける。


説得力ないんだよ…下心丸出しだっつーの。


ゆっくりと三人があたしを取り囲むように近づいて来る。
いくらなんでも男三人に囲まれたら、さすがのあたしでも逃げれない。


ヤバイな…。そう思ったその時だった。




「あれ?よっすぃー何してんの?」




ふにゃふにゃと、気の抜けたような声が聞こえてきた。

195 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時36分26秒

「ごっちん!?何でこんなとこいるの?」




そこには、自転車にまたがったごっちんがいた。




「何でって、ここ学校までの通り道だし。」


「ああそうか…ってそうじゃなくて、学校は?」


「あぁ、寝坊しちゃったんだぁ。遅刻しちゃうかもねー。」




特に焦った様子も見せずに、にへっと笑う。
そして、少し眠そうに目をこすっていた。




転校したばっかなのに寝坊して遅刻かよ…。




昨日の緊張感は、一体どこに。


ごっちんって…意外に大物?
196 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時39分41秒

変な所に感心していたら、あたしの意識から消えかけていた
男子高生が話し掛けてきた。




「なぁ、あの子友達?…へぇ、すっげかわいーじゃん。」


「こっちの子といい、今日かなりアタリじゃねー?」




そして三人はさっきのようにニヤニヤしながらごっちんを見た。


その時ごっちんは初めてあたしの置かれてる状況がどんなものか理解したようで。


こっちを無表情な目でジッと見つめてきた。




あたしはその時ごっちんに対するそいつらの厭らしい視線に、
何でか無性に腹が立っていた。




あたしならまだいいけど…ごっちんを、そんな目で見んじゃねーよ…。

197 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時42分46秒

「キミさー、こっちの子と一緒に俺らと遊ばない?」


「ちょっ、あたしはアンタ達と遊ぶつもりなんて…。」




ないっつーの、と言おうとしたら、ごっちんの声に遮られた。




「遊ばない。」






ごっちんは一言そう言うと、自転車で黙々とあたしのところまで来た。




「よっすぃー、後ろ乗って。」


「えっ、あ、はい。」




なぜか妙な迫力があって、あたしはその言葉に素直に従った。


あたしが乗ると、ごっちんはゆっくりと自転車を走らせた。
その様子は妙に淡々としていて、三人も呆気に取られていた。


…ごっちんって、なんか…すげーな。


昨日の人見知りして顔を真っ赤にしていたごっちんからは想像もできない
その意外な様子に、あたしはまたもや何故か感心していた。
198 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時44分47秒

ちなみに、あたしの学校は家から学校まで一定の距離がないと、
自転車通学が許可されない。


当然家が近いあたしは許可されていない。


だからどう考えても、あたしと家の近いごっちんは
許可されてるわけないんだけど…。


この際それは気にしないでおこう。




「あ、おい!待てよ!」




後ろでゴチャゴチャ三人が言ってたけど、聞こえないフリをした。


その間にも自転車はどんどん進んで行って、そのうちそんな声も聞こえなくなった。


あたしの耳には、ごっちんが楽しそうに笑っている声が聞こえてくる。
あたしもそれを聞いてるうちに、何だかおかしくなって一緒に笑った。

199 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時46分44秒

そんな中ごっちんのサラサラの髪が風になびいて、
時折あたしの鼻を掠めていく。


シャンプーのいい香りがしてくる。
あたしは、まるで中学生の男の子のようにドキドキしていた。




「…ごっちん、助かった。ありがと。」


「ん、よっすぃーいやそうだったし。って、うわっ!」




それをごっちんは後ろを振り向いて喋ったから、
バランスを崩してよろけてしまった。


急ブレーキがかけられ、危なっ、と思った時には
あたしの体はガクッと前のめりになった。

200 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時48分59秒

「…よっすぃー、ごめんっ!だいじょーぶ?」


「あっ、うん。大丈夫。」




あたしの腕はしっかりとごっちんの腰に巻きついていたから。


大丈夫と返事をしながらも、あたしの意識は別にあった。




うわ、ごっちん腰ほそっ…。このままぎゅってしたら…折れるかも…。




実際それはないだろうけど、それほどごっちんが細くてびっくりした。
何つーか、女の子って感じだなぁ。守ってあげたくなるっていうか。


いや、今はあたしが助けられたんだけど。




「あの…よっすぃー、いつまでそうしてるの…?」




ごっちんは真っ赤になって、ちっちゃい声でそう言った。


さっきまでのごっちんとは同一人物に思えなくて、
あたしは思わず笑ってしまった。

201 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時50分17秒

「…何で笑うのぉ?」


「さぁ?何ででしょう?」




そう言って、ごっちんの腰に巻きついていた手を離す。




「もう、せっかくよっすぃーを救ってあげたのに!」


「ごっちぃーん、怒んないでよ〜。あ、今度はあたしがこぐよ。」


「ほんと?…良かった〜。実は二人乗りって苦手なの。」




ごっちんはへへっ、とはにかむように笑った。


あたしは後ろに乗るよりも、どちらかと言えばこぐ方が得意だったり。




「よし、まかせなさい!」




場所交代をして、あたしがこぎ出そうとしたら。






「へへっ、仕返し!」




ごっちんがぎゅーっと抱きついてきた。

202 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時52分24秒

これは…胸が当たって…。




「よっすぃー、行かないの?」


「へっ!?あ…。」




何考えてるんだ…これじゃ、さっきの奴らと変わんねーよ…。


自分がばかみたいに思えて恥ずかしくなった。




「い、行くよ。…ちゃんとつかまってて。」




赤くなった顔を見られないよう、前を見ながら言った。




ごっちんのやる事には、なぜか振り回される自分。
ごっちんにはなぜか気を許してしまうし、本音が思わず出てしまう。
矢口先生の言った事は、確かに当たっている。


なぜそうなのか、自分ではわからないけど。




でも自転車をこげばこぐほど学校に近づき、昨日の事が思い出される。


徐々にあたしの中には黒い感情が湧きあがってきた。

203 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時54分57秒

「ねぇ…どうしたの?疲れちゃった?…それとも、あたし重い?」




黙ったままのあたしに、心配そうな声を背中越しにかけてきた。




「ん、全然。ごっちんなんて軽いもんだよ?」


「ほんとー?…でも矢口先生なんか小さいから、軽いでしょ?」




あたしは、こんなとこで矢口先生の話題が出るとは思ってなくて。
思わぬ話題に一瞬動揺したけど、すぐに平静を装った。




「まぁ…結構小さいからね。」


「あんまり小さいって言えば、また怒られちゃうよ?」


「ごっちんだって言ってんじゃん。」


「うっ…でもさ、可愛い人だよね。」




ごっちんの声が、心なしか小さくなった。

204 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時56分08秒

「そういえばさ…彼女いるのに、二人乗りなんかしてても大丈夫?」


「別に…友達同士だし。…それにあたし達はそんなんじゃ、壊れないから。」




嘘を、ついた。


みんなには矢口先生とは仲がいい、ってことにしとかないと。
矢口先生とはまだ別れるわけにはいかないから。




「ふぅん…信頼しあってんだね。」




ごっちんのその言葉に心の中で苦笑する。


信頼か…。

205 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年09月11日(水)10時58分03秒

「ごっちん、もう着くよ。」




学校が見えてきた。生徒はもう歩いていない。




「…うん。自転車ってどこ停めるの?」


「ん?あっち。ごっちん、まだ乗ってていいよ。」




自転車置き場まで行く。


いつもなら先生がいて許可されてるかチェックするんだけど、
今日はさすがにもういない。


二人とも自転車から降りる。




それと同時にあたしの背中からごっちんの温もりが消えた。


少し寂しい感じがしたのは…きっと、あたしの気のせいだ。

206 名前:なな 投稿日:2002年09月11日(水)10時58分36秒
更新終了です。
207 名前:なな 投稿日:2002年09月11日(水)11時01分07秒
途中一回あげちゃって鬱です。

てか、題名無理矢理つけたのはいいけど…。
ちゃんとそういう内容になっていくか微妙です。
ストック全然ないんで(w

208 名前:なな 投稿日:2002年09月11日(水)11時11分07秒
>N・Kさん
先生な平家さん萌えですか(w
どの教科担当とかまだ決めてないんですけど、何がいいですかね。
あたし的には平家先生は生物担当で、保田先生はもちろん英語(w
矢口先生は…う〜ん。悩みます。

更新楽しみに待ってますだなんて…こちらこそですよ(w
いつも楽しみに待ってます。

209 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月02日(水)19時05分28秒
そろそろ更新されないかな?
なんて思ったりしてみたりして…

ほぼ毎日確認してます。
いつまでも待っているので頑張って下さい。
210 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月02日(水)19時07分30秒
ああ〜〜〜〜!!

ageてしまった。
作者様 ごめんなさい・・・。
211 名前:なな 投稿日:2002年10月02日(水)23時14分30秒
>名無しさん、名無し読者さん(同一人物ですか?
うわ〜ごめんなさい!
待っててくれてる人がいるなんて…。嬉しいです。
今、まだ書いてる途中なんですよ。
しばらく書き溜めたいなと思いまして。
今週の金曜あたりには少し更新できると思いますので、
見捨てないで待っててください(汗
あ、あとageてしまったとか別に気にしないでいいので(w
212 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月03日(木)00時26分52秒
209,210同一人物です。

今週の金曜日あたりですか、楽しみに待ってます。
でも、作者さんのペースで頑張って下さい。
作者さんに気を使わせてしまって申し訳ありませんでした。
213 名前:とみこ 投稿日:2002年10月03日(木)17時24分22秒
今日初めて読みました。
なんかすごい切なくていい小説ですね。久しぶりに純情感じちゃいました^^
これからも楽しみにしています。同じ板同士頑張りましょう^^
214 名前:なな 投稿日:2002年10月05日(土)10時21分53秒
>212 名無し読者さん
すいません…昨日更新するつもりが、大学始まって
一週間記念というわけのわからない飲み会でした。
朝帰ってきて4時間くらい寝て、今起きまして。
土日中には更新します。
こちらこそ気を使わせてしまって…本当申し訳ないです。

>とみこさん
うお!?とみこさんから書き込みが…感激です(泣
とみこさんの作品は全て読ませて頂いてますよ。
そんなお褒めの言葉をとみこさんからもらったら…調子に乗ります(w
とみこさんも更新頑張って下さいね。
215 名前:なな 投稿日:2002年10月07日(月)00時12分31秒

更新します。
216 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時16分57秒

ごっちんと二人、教室に向かう。


HRが終わって今は休み時間中だろう。
他の生徒がチラチラこっちを見てくる。


この学校じゃ、HRや授業に遅れてくる生徒はほとんどいない。
でも、視線を受ける理由がそれだけじゃないのはあたしの自惚れじゃないはず。


ちらほらと、「あの人、吉澤先輩の何?」なんて声が聞こえてくるし。


先輩に至っては露骨にごっちんに厳しい視線を投げかけている。
217 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時19分38秒

まったく、あたしなんかのどこがいいんだろうね…。
周りのそういう態度に少し嫌気がさす。


ごっちんはというと、何か考えているような小難しい顔をしていた。
たぶんそんな声や視線には気付いていないだろう。


…どうかしたのかな。





教室に着いたら矢口先生がいた。


そうか…次、先生の授業だ。
218 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時21分43秒

意外なんて言ったら悪いけど、矢口先生は数学の先生。


先生はあたしとごっちんが一緒に遅れて来たのを見て、
あたし達に視線を動かした。




一瞬、あたしと先生の視線が交わる。


どこか二人の間の空気が昨日までとは違う気がした。






視線が交わったのもつかの間で、先生の視線はすぐにあたしから外された。


あたしを見たら何か反応するかと思ったけど、
全くそんな素振りが見られなかった。


予想外の展開に少し戸惑いを隠せない自分がいた。
そんな自分に気付き、あたしは一体どうしたいんだろうと思った。

219 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時23分31秒

「よっすぃー?入らないの?」



ごっちんがドアの所で止まったままのあたしを不思議そうに見ていた。



「んん?いや、入るよ。」





席に着くと雑談をしていたらしい梨華ちゃんとあゆみがあたし達に気付いた。



「よっすぃー、ごっちん、おはよ〜。」


「おはよー。」



そう言って、二人ともこっちに体を向けるように座り直した。



「ん、おはよ。」


「おはよう。」



あたしとごっちんはそれぞれ挨拶を交わす。



「どうしたの二人して遅れて来て。何かあったの?」



梨華ちゃんがそう尋ねてきた。


やっぱり聞かれるとは思ったけど。
220 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時25分01秒

「いや〜実は男三人に声掛けられちゃってさぁ〜。」




わざとふざけたようにそう言った。



「え〜よっすぃー女の子だけじゃなく男にも人気あったんだ。」



あゆみが茶化すように言う。



「はは。で、困ってるところにごっちんという救世主が。」


「救世主って!何、ごっちんに助けられたの?」


「んあ〜よっすぃー何か迷惑そうな顔してたから。そんな大したことしてないよー。」



ちょっと照れくさそうなごっちん。



「…ごっちんかっこいい〜。」



そんなごっちんを見て、何故か目が潤んでいる梨華ちゃん。
そうしているうちに授業が始まった。
221 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時28分06秒

ただ、やっぱりというか矢口先生は明らかにあたしを避けていた。
こっちを見ようともしない。




ふ〜ん…。


先生がそのつもりなら、あたしから行くまでだ。




授業が終わるとあたしはごっちん達にちょっと行ってくる、
と言って矢口先生の方に向かった。


先生はすぐに職員室に行こうとしてたみたいで、
前のドアから急いで出て行った。


あたしは後ろのドアから出て矢口先生の所まで駆け寄ると
先生の肩に手を掛けこっちを向かせた。




「先生、…ちょっと話しましょうよ。」




うっすら微笑を浮かべながらそう言ったことに、自分でも驚いた。


矢口先生はあたしを見てビクッと身を固くしたけど、
少ししてから首をコクッと動かした。
222 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時33分55秒

休み時間はそう長くない。


近くの化学室が空いていたから、そこに先生と二人で入った。
どう切り出そうか…と考えていたら、意外にも先生から話し始めた。




「紗耶香から聞いたんでしょ?その…矢口達のこと。」




あたしは声には出さず、軽く頷くだけで返事をした。




「紗耶香とはさ、小さい頃から一緒で…隣りにいるのが当たり前の存在だった。
でも…紗耶香が大学遠くに行っちゃって。アイツは離れてても大丈夫って言った。」




矢口先生は、そこで軽くため息をついた。




「けど、あたしはダメだった…。毎日寂しくて、しょうがなかった。」

223 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年10月07日(月)00時41分41秒

先生が自分のことをあたし、と言うのは珍しい。


…それがどういう意味を持つのかはわからないけど。




「それで、大学二年のとき…あたしはある人と付き合い始めた。
…もちろん、紗耶香には秘密で。」




「タイミングが合ったっていうか…今考えればお互い寂しかったんだ、きっと。
その人と付き合っても、お互いに何も得るものがなかった気がする。」




大学二年って言ったら、あたしじゃないことは確かだ。


…誰だろう。
ふとそう思ったけど、今はそんな事はどうでもいいと思いなおす。




でも矢口先生はその人の名前を口にした。






その名前は、意外にもあたしがよく知っている人のものだった。

224 名前:なな 投稿日:2002年10月07日(月)00時42分31秒

更新終了です。
225 名前:なな 投稿日:2002年10月07日(月)00時45分17秒

更新量少なくて申し訳ないです。
そして話もなかなか進まないという(氏ね

いつになったらよしごまになるのか…私にもさっぱりです(オイ
226 名前:なな 投稿日:2002年10月07日(月)00時49分39秒

スレ隠し&ageとかしてみたり。

どなたか読んでくださったら誤字脱字、その他何でも意見など
おっしゃってくれたら嬉しいです。久しぶりの更新なもので。

次の更新はいつになるかわからないので、
マターリ待ってもらえると幸いです。
227 名前:とみこ 投稿日:2002年10月07日(月)18時50分54秒
おぉ〜気になる展開ですね^^
よしやぐ?それともよしごま?楽しみですvv
228 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月08日(火)00時30分11秒
や、更新されてるー!
ずっと見てますよ。
そろそろよしやぐの関係も終わりなのかなー。
次の更新マターリ待ってます!
229 名前:ルパン4th 投稿日:2002年10月08日(火)00時56分10秒
おおおっ!矢口先生の付き合ってた人が誰なのか気になりますなぁ〜(w
マターリ待ってますんで、執筆がんばって下さい。
230 名前:なな 投稿日:2002年10月15日(火)00時02分04秒
>とみこさん
この後の展開は…ふふ…楽しみにしてて下さい(何
ていうか、とみこさんて中学生なんですよね?
はぁ…羨ましい文章力です。

>名無し読者さん
ずっと見て頂いてたんですか!?ありがとうございます!
更新のほうは…マターリ基本で待ってて下さい(汗

>ルパン4thさん
ヒー!!ル、ルパン4thさんじゃないですか!
ありがとうございます、こんな辺境の地まで…(泣
お互い更新頑張りましょうね。

皆さんレスありがとうございます。励みになりますよ…。
今、レポートの合間にここ来てます。
毎週レポート出す講義がありまして、悪戦苦闘の毎日です。
…それでなかなかこっちの方に手が回らない状況でして。
できるだけのことはしますので見捨てないでやって下さい。
231 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月27日(日)19時53分27秒
matemasuyo----!
232 名前:なな 投稿日:2002年11月06日(水)00時49分25秒
>名無し読者さん
こんな底の方まできた駄文を待ってくれてるなんて…(泣
ほんと、ありがとうございます。


更新の方はマターリすぎて申し訳ないです(汗
一ヶ月経つのが早くて早くて…。
でも来週あたりはまとまった時間が取れそうなので、
久しぶりに更新できそうです。
放置は絶対しません。見捨てないでください…。
233 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月14日(木)19時55分47秒
そろそろかな?
期待保全
234 名前:なな 投稿日:2002年11月16日(土)00時52分35秒
更新します(遅いし
235 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)00時56分58秒

「裕ちゃん。…中澤裕子。この学校の理事の。」


「え…でも…。」




確かあの人は、大学4年の安倍さんと付き合っているはずだ。




「そう…祐ちゃん、その時すでになっちと付き合ってた。」


「じゃあなんで…。」


「…ちょうどそのときなっちがさ、二年になったら海外留学する事になって。
 裕ちゃんも口では頑張れ、待ってるからなって言ってたけどさ…。やっぱり
 内心は寂しくてしょうがなかったんだよ。」


「…矢口先生は中澤理事長と知り合いだったんですか?」


「うん、まあ。なっちは後輩でも一番仲良かったし、なっちとよく遊びに連れて行って
 もらったりしててさ。なっちが留学するって言ってたときも色々相談受けてたんだ。
 あたしも紗耶香となかなか会えなかった頃でさ。…あたし裕ちゃんの気持ち、すごい
 よくわかった…。」
236 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)00時58分12秒

キーン…コーン…カーン…コーン…。




―チャイムが鳴った。


でも、あたしも矢口先生もそこから動けずにいた。




「…チャイム、鳴っちゃったね。矢口は次授業ないけど、よっすぃーはあるでしょ?
 …行かなくていいの?」


「…いいですよ。話、まだ聞き終わってないですから。」




矢口先生はハハッと軽く笑って、そうだよね、と呟いた。


こんな力の入ってない先生の笑顔を見ていたら、何故か胸がモヤモヤした。




「…じゃ、続き話すよ?」




あたしは、軽く頷いた。
237 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)01時00分04秒

「二人で飲んでてさ。いつもは裕ちゃん、そんなに酔わないんだ。でもその日は…。」




矢口先生はそこで言葉を切り、一瞬にして強張った表情になった。
…何かあったという事は、一目瞭然だった。



「その日、なっちは実家に帰ることになって。三人で飲むはずが、あたしと、
 裕ちゃんの二人で飲む事になった。裕ちゃん珍しくつぶれちゃって。そのあと…。」


「そのあと?」




先生が言う事はもうだいたいわかっていたけど、あたしはあえて聞いた。
聞かずにはいられなかった。


その理由も…認めたくはないけど、あたしはわかってしまったんだ。




さっきからの胸のモヤモヤの正体を。
238 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)01時02分58秒

「…初めて裕ちゃんちに行った。それで…あたし、裕ちゃんに抱かれた。」




矢口先生はそこまで言うと、はぁ…とため息をもらした。




「いつもだったらそんなこと絶対しなかった。…酔ってたせいもあったけど、
 でも、やっぱりお互い寂しかったからだと思う。どこかで期待してたのかもしれない。
 誰でもいいからあたしの寂しさを紛らわせて欲しい…そう思ってたんだ、きっと。」




「ほんと…バカだ、矢口。裕ちゃんの時でわかったはずなのに…。
 また、同じ事して。矢口はよっすぃーのこと、利用してたんだよ。」


「昨日だって…自分のこと棚に上げてよっすぃーのこと責めるような事言って…。
 自分の方が最低な事してるくせにね。」


「紗耶香とはもうだめだと思ってたし…だからただ自分が寂しいからって、
 よっすぃー騙して付き合い続けようなんて、思ってた。でも…やっぱ無理だよ。」


「…あたしはもう、誰とも一緒にいちゃだめなんだ。これ以上は。」




それだけ一気に言うと、先生はその場にゆっくりと崩れ落ちた。
239 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)01時05分04秒

―あたしは…そんな矢口先生の姿を見て、何故か怒りとか、
そういう感情は湧きあがって来なかった。




それよりも思ったことがあった。


この関係を無理に続ける必要はあるのか?




…先生はもう、十分苦しんでるんじゃないか?


先生がしたことは決して良いことではないけど。





でも、これ以上、あたしはこの人に何をしようとしていた?


もっと苦しめたい?傷つけたい?





そんな事しなくても…彼女はもうわかってる、自分のしたことを。


寂しさを忘れるために、恋人を、友達を裏切った事。





そしてあたしは…。
240 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)01時06分48秒

「…よっすぃー…。」


「…はい。」




先生は、一点を見つめて言った。




「…もう別れるべきだよね、矢口達…。」






…あたしは、矢口先生のこと、ほんとに好きだったんだ。





「…はい。」





今さらながら、自分の気持ちに気付いてしまった。


あたしは、先生が好きだったんだ。
自分の気持ちに気付かないフリをして…知らないフリをして…。


いきなり色んなことが起こりすぎて、自分でもどうしていいかわからなくて。
その結果、好きな人を困らせようとして。




あたしは、ただの子供だったんだ。
241 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)01時09分05秒

「…よっすぃー、矢口の事、殴るなりなんなり好きにしていいよ?
 矢口よっすぃーにひどい事、した…。」




矢口先生はまっすぐあたしを見詰めていた。




「…じゃあ…。目、つぶって下さい。」






あたしは徐々に先生に近づいて…抱きしめた。
腕の中で、先生が微かに震えた。




「よっすぃー…。」




「ひとつだけ。」




「え?」


「ひとつだけ…教えてください。先生はあたしのこと…一瞬でも、本気でしたか?」






最後の方は、少し声が震えた。


先生はゆっくりあたしの腰に腕を回し…。
242 名前:Chapter5.告白 投稿日:2002年11月16日(土)01時14分30秒

「…好きだったよ。でも昨日の言葉は、半分本気で…。…半分は嘘、だった…。」


「…そうですか。」




先生はあたしのこと、見てたわけじゃない。


先生は…ずっと、たった一人だけを…。








矢口先生はあたしからそっと離れた。




「じゃあ…ばいばい、よっすぃー。」


「さよなら…。」








そして矢口先生は二度とは振り返らずに、教室を出て行った。




「…好きでした、先生。」




その告白の言葉は、相手に届くことはない。









あたしの恋は…本当の恋だと気付いたそのとき、終わった。
243 名前:なな 投稿日:2002年11月16日(土)01時16分44秒
更新終了です。
244 名前:なな 投稿日:2002年11月16日(土)01時21分24秒
>名無し読者さん
はい。ごめんなさい。いくらなんでもマターリしすぎだろうと。
何でこんなにも遅いのかと自分自身に小一時間問い詰めたいです。

245 名前:なな 投稿日:2002年11月16日(土)01時27分07秒
ものすごい久しぶりの更新のわりにショボーイ更新でごめんなさい。
許してください。精一杯なんです。
いつ吉後になってくれることやら(無責任

次の更新もマターリマターリお待ち下さい(汗
246 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月16日(土)23時11分14秒
やった!更新だ。よっすぃーの恋が終わっちゃった。ってことは!?
次の更新マターリマターリマターリ待ってます。
247 名前:なな 投稿日:2002年11月21日(木)13時31分26秒
>名無し読者さん
レスありがとうございます。
こんな底の方にある駄文に目を通して頂けるなんて…。
次の更新もマターリマターリマターリマターリお待ち下さい(w
248 名前:なな 投稿日:2002年11月21日(木)13時32分55秒
最悪だ…こんな駄文をあげてしまった…。
鬱だ。逝ってきます…。
249 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)11時55分09秒
待ってます。
250 名前:なな 投稿日:2002年12月14日(土)00時46分11秒
>名無し読者さん
ありがとうございます。
待たせてしまって申し訳ないです(汗
次回更新は大学が冬休みに入ってからだと思います。
今年中に最低一回は更新したいと思ってますので。
251 名前:なな 投稿日:2002年12月30日(月)22時31分28秒
年内更新が出来れば、と思っていましたが
それを実行できそうにありません。
原稿の方は少しずつ書きためているんですけど…。
来年は更新速度をもっと速くしたいです。
大学の後期が終わる二月からはそれも可能になると思いますので。
…自分の不甲斐なさに嫌気がさします…。

待っていてくださる方には何とお詫びをすればよいか。
…そんな方がいるのか疑問ですが(汗
252 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月30日(月)23時19分19秒
大学、よくわかんないんですけど何か大変そうみたいで。
無理せずがんばって下さい。気長に待ってます。
253 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月09日(木)04時15分11秒
保全
254 名前:なな 投稿日:2003年01月28日(火)00時36分00秒

更新します。
255 名前:Chapter6.友情…? 投稿日:2003年01月28日(火)00時38分33秒

矢口先生と別れてから、早二週間が過ぎようとしていた。


でもあたしはまだ誰にもその事を告げていなかった。
どうしても自分から言う気にはならなかったのだ。
…言うたびに自分の不甲斐なさを思い知らされるのが嫌だったのだ。




何ていうか…思いのほか、ダメージは大きかったのである。


そんなあたしの中には後悔の二文字しかない。


256 名前: Chapter6.友情…? 投稿日:2003年01月28日(火)00時40分44秒

矢口先生とこうなったのは仕方がない。お互いに汚点があった。


ただ悔やまれる事は、本気で矢口先生にぶつかって行ったのが
最後のあの時だけだった事。


本気になるのが子供っぽいなんてカッコつけて。


バカな大人みたいに振舞って、自分の気持ちに気付きもしないで。
その結果が…これだ。


こんなあたしだから矢口先生も本気にはならなかったのかもしれない。




今さらながらに思った。そう、すべては今さらなんだ。

257 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年01月28日(火)00時43分14秒

そうやって頭を切り替えようにも、現実はそう上手くはいかない。
あたしの心の中はぽっかりと穴が開いたようで、どこか満たされないまま毎日を過ごしていた。


でも最近そんなあたしの心の隙間が、少しずつだけど埋められているような気がしている。
学校にくればもちろん矢口先生もいて…気分が沈むのも確かだ。
市井先生のことだって気にはなってる。


けど、学校には友達もいる。バカ騒ぎしてると少しはそんな事も忘れられる。
先輩や後輩とも、最近はよく話す。いたって普通にだ。


前までは…こう言っちゃあ何だけど…見下してた、少し。


あたしの見た目だけで寄って来てるんだろ?
…なんて考えて、自分を作って付き合ってた。

258 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年01月28日(火)00時44分57秒

自分は、何でそんな風だったのか。


それはたぶん…人とまっすぐに付き合うのが怖かったから。
本当の自分を見せて拒否されるのが怖かったから。




自分をさらけ出すのが怖かった、臆病な、自分。




でも、今少しずつだけど自分が変わってきたように思う。


先輩には「吉澤、なんかカンジ変わった〜。」なんて言われる。
後輩からは声をかけられることが多くなった気がする。

259 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年01月28日(火)00時50分41秒

あゆみいわく、


「ぶっちゃけ、よっすぃーは少しだけ近寄りがたいオーラみたいの出てたから。」


「でも本当は皆話してみたくて…それが最近トゲがなくなったっていうか。
柔らかい感じになったから皆話し掛けよう、って気になったんじゃん?」


…だ、そうだ。




梨華ちゃんはというと、


「なんか、最近よっすぃーのファン増えたっぽいよね〜。よっすぃーといると
前より視線感じるし…もしかして私のファン!?キャー!梨華困っちゃう!!」


…まぁ、放置の方向で。


あたしが変わったのは、矢口先生の事を無理矢理忘れようとして…
とか、そういう訳ではない。


あたしは、それはごっちんのおかげだと思っている。

260 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年01月28日(火)00時54分15秒

ごっちんがこっちに転校してきてから、あたし達は今までの時間を
取り戻すかのように毎日一緒にいた。


たまにあゆみや梨華ちゃんが加わることもあったけど、二人は家も遠いし、
ほとんどあたしとごっちんの二人っきりのパターンが多かった。


何をするわけでもなく、二人でお菓子を食べたりテレビを見たり。




あまり会話があるわけでもなかった。ただ、二人で一緒にいた。




そしてごっちんが笑うと、自然と笑顔になる自分がそこにはいた。




…それを退屈だと思ったことは無かった。
むしろあたしにとって心地よい時間であり、素直に楽しいと思っていた。




そしてそんな時間は、あたしの周りを取り囲んでいた壁を少しずつ壊して行った。


261 名前:なな 投稿日:2003年01月28日(火)00時55分38秒

更新終了です。


262 名前:なな 投稿日:2003年01月28日(火)01時02分34秒

>名無し読者さん
気付けば二ヶ月以上前の更新から経っています…(汗
待って下さる方がいると思うと、本当に頑張れます。
ありがとうございます。

>名無し読者さん
待たせてしまったようで、すいません。
読んでくださってありがとうございます。

263 名前:なな 投稿日:2003年01月28日(火)01時11分45秒

二月過ぎてから更新、と思っていましたが待って下さっている方に
申し訳ないと思い、少なめですが更新しました。
そしてやっぱり駄文…(もういや

あとから読み返すとどうも話がおかしかったりして、
少々疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
私も非常に疑問に思う箇所が(w
でもそこはあまり触れないでもらえると幸いです(おい
何しろ小説書くことは全くの初心者なもので。
矛盾だらけだよヴァカだな、おい。とでも思っててください。


それでは次の更新は二月の中旬辺りになると思います。


264 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月31日(金)20時27分05秒
またーり待ってます
265 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月15日(土)03時27分55秒
マターリ保全
266 名前:なな 投稿日:2003年02月19日(水)12時11分14秒

更新します。


267 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時13分07秒

しかし、そんなある日のHRの後。


いつものようにあたしは「ごっちん、帰ろ」と言ってごっちんの方を見ると。
なぜかあたしを取り囲むかのように立つごっちん、あゆみ、梨華ちゃんの三人。




「えーっと…あたし何かしました?」




あたしの問いかけにも無言の三人…あの…まじ怖いんですけど…。


すると突然あゆみがニッコリと笑った。

268 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時14分29秒

「え、な、何…。」


「捕獲!!」


あゆみが叫ぶと、あたしの両腕はごっちんと梨華ちゃんによってガッシリと掴まれた。
そしてそのままあたしはズルズルと引きずられて行った。




「ちょ、ちょっと!何する気!?」




あたしの言葉には誰も答えるつもりはないらしい…。


ごっちんを見るとあからさまに目を逸らされた。


梨華ちゃんはあたしが見ると「イヤ〜よっすぃーったらそんな見つめないで!」




…もういい。


269 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時16分13秒

そしてそれを先導するのはあゆみ。




「はい、ちょっとごめんね〜そこどいてね〜。」




…何、その企み顔は…。


そういえば今はちょうど帰り時で、生徒がそこら中にあふれてる訳で。
引きずられることで精一杯だったけど、妙に注目を浴びてる気が、します。




「よっすぃー何かしたの?」




興味津々といった感じで声を掛けてくる同級生に、苦笑い。


…何でみんなあたしが何かしたって思うんだよ…。



270 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時20分12秒

ガヤガヤと騒がしい廊下を引きずられながら、前方に発見したのは。


…平家先生に、保田先生だ。




「柴田!お前何してんの?」


「あ!平家先生!」




とたんにさっきまでのヤな感じの企み顔が眩しいくらいの笑顔に変わる。
怖いね、女の子って…。




「石川?」


「保田先生〜!」




こっちは…まぁ、いつも通り。




「石川、じゃれるなって!」


「照れてる保田先生もステキ!」


「圭ちゃん…大変やな、いつも…。」




心から気の毒そうな平家先生。てか…あたしのことにも誰か触れて…。


271 名前: Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時21分35秒

そんなあたしに気付いたのか、ごっちんが小さく「ごめんね…。」と呟いた。




「じゃあ腕、離してよ。」


「ダメ、大事な話があるから。」


「話するだけならこんな…。」




拘束しなくても、と言おうと思ったらあゆみの声に遮られた。




「ダメ!そうしてないとよっすぃー逃げるから!」


「はぁ?逃げないよ、別に。」


「い〜や、話し終わるまでそのままでいてもらうからね?」


「わけわかんねーよ…。」


「ん?何か言った?」



そのときあゆみは確かに笑ってたけど…目が笑ってなかったから、
おとなしく従う事にした。


272 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時23分55秒

「なんや?吉澤がなんかしたんかぁ、柴田。」




ニコニコと人の気も知らないで…平家先生、顔、緩んでますよ。




「まぁそんなとこです。じゃあ平家先生、私達急ぐからまたね!メールします!」


「おぅ、じゃあな〜柴田。」




そう言いながら平家先生はクシャクシャっとあゆみの頭を撫でる。


心底幸せそうな二人。
いつのまにこんな仲良くなったんだか。


しばらく自分のことで頭がいっぱいで、周りを見る余裕が無かったんだな、と気付く。




みんな、いつのまにか変わっていくんだな…。

273 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時24分49秒

「ほらほら、そんなとこでいちゃついてないで…行くわよ、みっちゃん。」


「べ、別にいちゃついてなんかないわ。」




保田先生はまったく、バカップルにはついて行けないわ…とため息をついた。




「保田先生、石川に挨拶はなしですかぁ〜?」


「ハイハイ…じゃあね、石川。あんたたちも、あんま遅くならないように。」




その言葉に頷くあたし以外の三人。




「さよなら〜保田先生!石川もメールしますからね〜!」




梨華ちゃんのそのハイトーンボイスに苦笑しながらも保田先生の表情はどこか優しい。


ここも何だかんだでうまく行ってるみたいだなぁ。


274 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月19日(水)12時25分43秒

ノンキにそんなことを思っていたら、あゆみのアップが目の前にあった。




「うわ!何、近いし!」


「何、そんな驚かなくたって。…保田先生のアップだったら驚く気持ちわかるけど。」


「ん?柴ちゃん今なんか失礼な事言わなかった?」




さすが梨華ちゃん…保田先生の事に関しては敏感だね…。




「ま、それはそうと…。吉澤さん、行きましょうか?」




そしてニッコリ笑ったあゆみは、やっぱり目が笑っていなかった…。


275 名前:なな 投稿日:2003年02月19日(水)12時27分31秒

更新終了です。

276 名前:なな 投稿日:2003年02月19日(水)12時29分49秒
>名無し読者さん
マターリすぎますが(汗 なんとか頑張ってます。

>名無し読者さん
保全ありがとうございます。

277 名前:なな 投稿日:2003年02月19日(水)12時33分00秒


今回の更新は二月の中旬と言いましたが…もう下旬ではないかと。
すいません、有言実行できなくて。しかも更新量も少ないときたもんだ。
何を言われても文句は言えません…。

次回の更新日は未定ですが、なるべく早く更新したいと思ってます。
それでは、また。


278 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月19日(水)23時22分15秒
まだ中旬だから有言実行できてるでしょ。
なるべく早くの更新まってます!
279 名前:なな 投稿日:2003年02月28日(金)02時08分01秒


更新します。


280 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時09分40秒


数分後、三人にあたしが連れてこられたのは屋上だった。
季節は春といえども、まだ風が冷たい。
校庭に目をやると、テニスコートで部活の準備をしているらしい生徒の姿が目に入った。




「で、話ってなんなの?」




あたしを呼び出した三人の表情は、さっきまでとは違い真剣なものだった。




「…思い当たる事、ないの?」


「別に…。」




あたしがそう言うとあゆみは少し悲しげな表情を見せた。




「…あっそ。まぁそう言うとは思ってたけどね。」


「はぁ?つーか訳わかんないよ!大体話しがあるって呼び出したのはそっちじゃん?」


281 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時12分12秒

「よっすぃー、ごめん。あたしが二人に頼んだの。」


「…ごっちんが?」




意外なその言葉に驚く。
てっきりあゆみか梨華ちゃんにそそのかされたのかと思っていたからだ。




「よっすぃーさ、何かあったでしょ?おかしいよ、最近。」


「え?別に…何もないけど?」


「…嘘。あたしといる時、何ていうか…時々、苦しそうな表情してる。何か悩んでるんじゃないの?」


「…何言ってるの、いきなり。別に何もないよ?」




口ではそう言いつつも心臓は正直で、徐々に心拍数が上がって来た。
矢口先生のことを言ってるんだ――きっと。


あたしは言いたくないと思った。


いや、知られたくないと思った。


矢口先生と付き合っていた頃のいいかげんな自分を知られたくなかった。
この三人にだけは…。


282 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時14分22秒

「…話ってそんなこと?」


「…そんなことって…。」


「なら別に話すこともないし。あたし、帰るから。」




このとき、ごっちんはひどく傷ついたような顔をしていたけど、
あたしはそれに気付かなかった。


とにかくこの場から去りたいという思いが強くなっていた。




「よっすぃー、そんな言い方しなくても!ごっちんがどういう思いで…。」




あゆみがあたしとごっちんの間に割って入る。




「何?だから何もないって言ってるじゃん!」




こんな剣幕で喋っては、何かあると言ってるようなものだ。
しかしあたしはすっかり頭に血が昇ってしまっていて、それどころじゃなかった。


そのままの勢いで、屋上の出口に向かおうとすると腕を掴まれた。


梨華ちゃんだった。いつもよりも眉毛が下がってしまっている。

283 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時16分04秒

「よっすぃー、私達友達だよね?だから、何でも話していいんだよ?」


「何もないって言ってるじゃん?」




自分がイラついてるのがわかる。




「つーか。」




…もう、止まらない。




「何が友達さ?あたしの何がわかってるっていうの?別にあたしに何があろうと、
皆には関係ないじゃん?そうやって詮索されたら、はっきりいって、迷惑―――。」




ハッと気付いた時には遅かった。


一瞬ごっちんと目が合って、あたしは何か言葉を発しようとしたけど…。
考えているうちにあたしの横をごっちんが走って行った。
…目には、うっすらと涙が溜まっていた。


ここまで言うつもりじゃ……。


284 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時18分24秒


「ごっちん!」




梨華ちゃんが叫んだ時には、すでにごっちんの姿はなかった。
あたしとあゆみ、梨華ちゃんが残った屋上の空気は今までにないくらいに
張り詰めたものになっていた。




「よっすぃー…ごっちん、言ってたよ?今もそうなのかわからないけど、小さい頃、
よっすぃーは何かあっても絶対自分からは何も言わない子だったって。ただ黙って、
自分の中に溜め込んじゃうって…。」




あゆみは諭すような口調であたしに語りかけた。




「必要以上に明るく振舞って、周りに気使って。あの頃は自分も小さかったから、
そんなよっすぃーに対してどうすればいいかわかんなかったって。」


「今と昔は違うよ…。」


「よっすぃー、人って大人になっても本質的なものは変わらないもんだよ?…あたしが思うに、
そんなよっすぃーのこと一番わかってるのは、今も昔もごっちんなんじゃないかな…。」

285 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時20分33秒

あゆみのその言葉を聞いて、あたしは突然小さい頃の事を思い出した。






…ごっちんは泣いていた。


あたしがどっか痛いの?って聞いたらごっちんは首を横に振った。
誰かにいじめられたの?って聞いてもごっちんは同じ反応をした。


じゃあどうしたの?って聞いたら、ごっちんは確か…こう言ったんだ。




「あたしじゃなくて、よっすぃーが何かあるんだもん…。」




その時、自分に何があったのかは覚えていないけど。
ただ、ごっちんが何でそんなことわかったのかと思った。
それにびっくりしたことの方が大きくて、自分の身に起こった事は忘れてしまったのだろう。


でも覚えてる。あたしはそのことが嫌だったんじゃない。
嬉しかったんだ。自分のこと、わかってくれた事が…。


286 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時22分27秒

急に後悔の気持ちが襲ってくる。


関係ないとか、迷惑とか…。
ごっちんも、この二人もあたしのことを心配してくれていたのに。
本当はわかってもらいたかったのに。自分を知って欲しかったのに。


本当に大切な人には自分の気持ち…本心を伝えなきゃ、後悔する。
矢口先生の時に身に染みてわかったはずなのに…。
同じ間違いを二度も繰り返そうとしていたあたしは…バカだ、ほんとに。




「…あゆみ、梨華ちゃん。あのさ…。」


「ああ、いい。あたしらよか、先にごっちんとこ行ったら?」


「そうだよ、よっすぃー。…ごっちん、泣いてたよ?」


「二人とも…。」




自分が情けなくなる。二人とも…あたしより何倍も大人だ。
あたしはごっちんの元へ向かおうとして、走り出そうとした。


でもその足を止めて、あゆみと梨華ちゃんの方に向き直ると、二人に近づいた。

287 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年02月28日(金)02時24分53秒

そして、二人まとめて抱きしめた。




「ごめん!それから…ありがとう。大好きだよ、二人とも…。」




それだけ言うと、あたしは二人から離れ今度こそ走り出した。








「…柴ちゃん。」


「…ん?」


「よっすぃーは、ああいうこと無意識にするからタラシって言われるんだよね…。」


「…そうだね。」








あたしは走った。ごっちんの元へ。

288 名前:なな 投稿日:2003年02月28日(金)02時26分51秒



更新終了です。



289 名前:なな 投稿日:2003年02月28日(金)02時29分57秒

>名無し読者さん
ありがたいお言葉…!
そういうレスをいただけると、もっと頑張ろうって気になります。
290 名前:なな 投稿日:2003年02月28日(金)02時32分56秒

なるべく早めの更新を目指したのはいいけど、内容が微妙(汗
もうメチャクチャです。こんなでも見捨てないでやって下さい!!(必死


291 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月28日(金)02時37分18秒

リアルタイム更新だぁぁぁぁああ!!!
更新が早くて嬉しいっす。次の更新も楽しみに待ってます!!
292 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月02日(日)22時47分35秒
待ってました!
やっと次からは、よしごまになるんですね?
楽しみです
293 名前:なな 投稿日:2003年03月22日(土)02時15分54秒

更新します。
294 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時17分29秒

屋上から校舎への階段を駆け下りる。
絶対いないだろうと思いながらも一応教室に向かった。


肩で息をしながら教室に駆け込むと、もう掃除も終わったようで数人の生徒しか残っていなかった。


その中の一人にごっちんが来なかったかと尋ねたが、ううん、と首を振った。
学校にはいないような気がして、あたしは自分とごっちんの鞄を掴むとそのまま玄関へと向かった。


廊下を走り、曲がり角を曲がった時だった。


あたしの視界の隅に小さな影が見えた。


あっと思ったときはすでに遅く、ぶつかってしまった。




「ごめん!今急いでて―――。」


「あ、いや。大丈夫…。」




そこでお互い口を閉ざす。




あたしの目の前にいたのは矢口先生だった。

295 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時19分46秒

あたしのクラスの担任だから毎日見てはいるけど、こんな近くで顔を合わすのはあれ以来だった。


何か話さなきゃ―――


そう焦っていると、先生の方が早く口を開いた。




「…吉澤、鞄二つも持って罰ゲームかなんか?」


「へっ?」




突然何を言い出すのかと思ったけど、あたしが言葉に詰まったのを見て気を使ったのだとわかった。




「まぁ…そんなとこです。」




自分を情けなく思いながらもそう答えた。




「ハハ、大変だね。…じゃ、先生教室に日誌忘れてきたからもう行くね?」


「あ、はい。」




そしてあたし達はそれぞれ歩き出した。


でも何か言いたい事があるような気がして、あたしは立ち止まった。
数歩戻り先生の後ろ姿を見つめる。


今さら…どうにもならないか。

296 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時22分21秒

ふぅ、と一息ついて歩き出そうとすると突然先生が振り返った。
まさか振り向かないだろうと思っていたあたしは、驚いてその場を動けずにいた。
先生はゆっくりとあたしの方に戻ってきた。




「あのさ、よしざ…よっすぃー?」




この時先生は教師ではなく、一人の女の人に見えた。




「…何ですか?」




先生は言葉を発するのをためらうように視線を下に落としたが、その後ゆっくり視線を上げた。




「あの…よっすぃーさ、矢口に言いたい事あるなら…何でも言って欲しい。」


「え?」


「どんな事でも聞くよ。好きなだけ罵ってくれていい。あの時、矢口自分のことばっかだった。
よっすぃーの言いたい事ちゃんと聞いてあげられなかった。学校中に聞こえる声で大嫌いだって
叫んでもかまわないから―。」
297 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時25分33秒

「……です。」


「え…何?」


「…嫌いじゃ、ないです。」


「本当…?」


「嫌いになんて、なりません…。」




自分の声の小ささにまた情けなくなりながらもそう答えた。




「それだけ、です。それだけをずっと言いたかった気がします…。」




そう言うと先生はふっと顔を緩ませた。




「矢口さ…よっすぃーとこのまま気まずいままでいるの嫌だな、って思ってた。勝手だけどさ。」


「あたしも、です。」


「…そう。よかった…同じ気持ちで。」




同時にこのところずっと胸に抱えていたものがすーっと消えていくような気がした。

298 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時27分31秒

「許してもらえるとは思ってないけど…普通に話して欲しい。これからは教師と生徒として。」


「もちろん。こちらこそお願いします…矢口先生。」




そしてあたし達は無言で微笑みあった。




「あ、そうそう。…それさぁ。」




先生はごっちんの鞄を指さしながら、何か思いついたように話し出した。
あたしはどうかしたのかと思って首をかしげた。




「罰ゲームとか、そんなんじゃないでしょ?」


「えっ?何で…。」


「やっぱり。勘だけどさ。…何かあったの?」




あたしは正直に言おうかどうか迷ったけど…言うことにした。




「実は…その…ある子を、泣かしちゃって。今その子を探してる途中だったんです。」


「はー、そういうこと…友達?」




友達か…


ごっちんはただの友達って訳じゃない。あたしとごっちんの関係ってなんだろう。
親友…ってのも何か違うような気がするし…。




ぴったりの言葉で表せば…大切な人、かな?

299 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時30分04秒

「ええと…まぁ、そうですけど。」




大切な人だとは思ってもそう言うのが恥ずかしかったあたしは言葉を濁した。




「ん?はっきりしないなぁ…。ま、とりあえず、何にせよちゃんと謝らなきゃね。
素直に伝えればきっとわかってくれるはずだよ。じゃないと、後悔する。」




自分に言い聞かせるように先生はそう言った。


気付くと、先生はすっかり教師の顔に戻っていた。
どこか寂しく思う自分がいたけど、これでいいんだと思い直した。




「ありがとう…先生。」




ふふ、と先生は笑うとそのまま歩き出した。


あたしも再び走り出す。先生とは違う方向へ。
頭の隅でもう先生によっすぃーと呼ばれる事はないだろうな、と考えていた。
それでも心はすっきり晴れていた。
先生の言う通り…素直に伝えよう。

300 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時32分09秒

玄関に行くとやっぱりごっちんの靴はなかった。
あたしは学校から飛び出して、ごっちんが行きそうな所がどこか考えた。


…一つだけ思い浮かべた場所があった。




「…あそこかもしれない。」




一人呟きその場所へと向かう。




走りながら最近ずっとごっちんの自転車に二人乗りして学校に通っていたことを思い出す。
それは短い期間のはずなのに、いつのまにかあたしにとって当たり前のことになっていた。




「…っはぁ…はぁ…。」




息が切れる。でも足を止めることなく走り続けた。


そしてたどり着いた。幼稚園に通っていたころ二人で日が暮れるまで遊んだ公園。
今もそのときと変わることなくその公園は存在していた。
301 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時34分09秒

「…懐かしいな。」




中に入ると、ブランコの前に見慣れた自転車が止めてあった。
そしてブランコに座りゆらゆら揺れる影が一つ。
ゆっくりと近づいて声を掛ける。




「…ごっちん。」




すると彼女はハッとしたようにあたしのほうを向いた。




「よっすぃー…なんであたしがここだって…。」


「何でだろ…なんとなく、かな。」




そう言いながらごっちんの隣のブランコに座った。




「…ごめんね。あたし、ひどいこと言った。」


「………。」


「あんなの…本心じゃないから。みんなの事あんな風に思ったことなんてない。
言い訳がましいって思うかもしんないけど。心配かけたくなかったっていうか…。」


「いいよ。わかってる。」


「え?」


するとごっちんはブランコを降りて、あたしの前に立った。

302 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時38分39秒

「よっすぃー、変わらないね。あの頃と同じ。もうぜんっぜん成長してないんだから。」


「う…その通りみたい、です。」


「よっすぃーさぁ、覚えてる?よっすぃーのおじいちゃんが死んじゃった時もさ、
あの時はあたし達死ぬってことがまだわかんなくて。でも漠然と悲しい事だってわかってた。
大好きなおじいちゃんが突然いなくなったんだもん。あたしもよっすぃーと二人で遊んで
もらってたから、二人で一生懸命探したよね。」




ああ、そうだ…大好きだった、おじいちゃん。


ごっちんはおじいちゃんとおばあちゃんと離れて暮らしてたから、あたしのおじいちゃんを
本当のおじいちゃんのように慕っていた。




「でも見つかる訳ないよね。よっすぃーはそのとき、もうおじいちゃんには会えないんだって
わかったんだと思う。夕方になってそろそろ帰る時間になったとき、明日からおじいちゃん探しは
やめようって言ったの。あたしはわかんなかったから何で?って聞いたらよっすぃーすごく辛そうな
顔した。でもね、絶対泣かないの。よっすぃーは。」




そう言ってごっちんは笑う。

303 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時42分45秒

「…確かに泣かない子供だったね、あたしって。」




自分でも可愛げのない子供だったような気がする。
そんなあたしの考えている事がわかったのか、ごっちんはふふ、と笑った。




「そう。あたしよっすぃー泣いたのって見た事ないもん。話は戻るけど…それから
お母さんたちが迎えに来たら、ごっちんまた明日ね!って急に平気そうな顔して
言うんだもん。あたし何だか悲しくなって泣いちゃったんだ。…よっすぃー、覚えてる?」




もしかして…さっきあたしが思い出した事だろうか。




「覚えてる…と思う。ごっちんが泣いてて…あたしはどうしたの?って一生懸命聞いた
んだけど。ごっちんは自分じゃなくて…あたしに何かある、って言ったんだよね。」


「うん、そう。覚えてたんだ…。っていうか、あたし何で泣いてたんだろうね。
なんかバカみたいだねぇ…へへ。」




そう言ってごっちんは照れたように笑った。

304 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時46分31秒

「…そんなことないよ。ごっちんが泣いてくれて、助かった。あの時あたしさ、
おじいちゃんのこと一瞬忘れてごっちんのことで頭いっぱいになったんだ。
あたしは…ごっちんが代わりに泣いてくれたような気がして嬉しかったんだ。
あたしのこと、わかってくれた気がして。」




自分で言ってしまってから、恥ずかしさがこみ上げる。
でも今日は自分の気持ちを素直に伝える、って決めたんだ。後悔しないように。




「ごっちん…本当、ごめん。あたしはごっちんのこと大切に思ってるから。
もちろん、あゆみや梨華ちゃんのこともさ。」




あたしがごっちんの様子をそっと窺うと、彼女はとても優しい顔で笑っていた。




「みんなだって、よっすぃーのこと大切に思ってるよ。それだけ…忘れないで。
言いたくない事は無理して言わなくてもいいから…。」




「うん、ありがと…。」




気がつけば夕日は沈み、公園にはあたし達だけしかいないようだった。




「そろそろ帰ろっか…。」




そう言うごっちんの腕を掴んで、あたしはもう一度だけ勇気を振り絞った。
305 名前:Chapter.6 友情…? 投稿日:2003年03月22日(土)02時48分14秒

あたしのことをわかってもらうために、話そうと思った。




「あのさ…。」






あたしは矢口先生とのことを話した。
そのときのあたしの気持ちを、全部話した。




声が震えて何度も言葉が詰まるあたしの話をごっちんは最後まで聞いてくれた。


大丈夫だよ、と言われながら優しく優しく背中を撫でられ…あたしの中で何かがプツっと切れた。




日が暮れて真っ暗な公園の中でごっちんに抱きしめられながら、あたしは彼女の前で初めて泣いた。


意識が朦朧とする中でごっちんの温もりを感じながらぼんやりと考えていた。








ずっとこの温もりを手放したくはないと。

306 名前:なな 投稿日:2003年03月22日(土)02時49分02秒

更新終了です。
307 名前:なな 投稿日:2003年03月22日(土)02時52分49秒

>名無し読者さん
レスありがとうございます。ただageるのはなるべくしないでもらえると…。
たまに自爆しますが(汗

>名無し読者さん
えーと…ごめんなさいまた微妙で(汗
なかなか思うように話が進みません…精進します。
308 名前:なな 投稿日:2003年03月22日(土)02時56分56秒

気付けばもう三月も終わりそうですね…。
おかしい。こんなはずじゃあ…(汗
更新いっぱいしようと思ってたのに…思うだけになってる…。
そろそろ大学始まっちゃうし…。
一つたりとも単位落とさないように、そして更新をもっと早く!
それが今年の目標です…。
309 名前:なな 投稿日:2003年03月22日(土)02時59分50秒

言い忘れました。Chapter.6、更新終了です。
310 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月29日(火)22時03分01秒
がんばってください。待ってます。
311 名前:なな 投稿日:2003年05月04日(日)02時02分39秒
ひ、ひとことだけ言わせて下さい。
放置じゃないです。放置だけはしません。
もう充分放置だと思われてるかもしれませんが(汗

>名無し読者さん
ありがたいお言葉…これでまた頑張れる…!
もうちょっとだけ、お待ち下さい。
312 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月16日(金)09時34分58秒
待ってるよ−
313 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月05日(木)23時46分53秒
まってます。
314 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月09日(月)22時26分32秒
保全
315 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月27日(金)23時21分19秒
まってますよ〜
316 名前:なな 投稿日:2003年06月29日(日)00時59分21秒
大学が夏休みになる頃には更新したいです…。
本当情けない作者ですいません。待っていてくれる方々に申し訳ないです。
時間が出来ればもう少し早く更新したいと思ってます。
317 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月17日(木)17時52分29秒
もうそろそろかな?
318 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月23日(水)18時03分45秒
待つ。
319 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月10日(日)01時54分17秒
夏だ〜っ!!
320 名前:なな 投稿日:2003年08月13日(水)03時39分41秒
更新です。
321 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時44分00秒

「やっぱ、海でしょう。」


突然あゆみが真面目な顔で言い出したのが始まり。


「当然。」


あたしがすかさず答える。
他のみんなもうんうん、といった感じで頷く。




夏休みがすぐそこまで迫ってきていた。
期末試験のことなんてすっとばして、その先のことしかあたし達の頭の中にはない。
受験生でもない、高校二年生の夏は遊びまくるしかない。


あたしと梨華ちゃん、あゆみ、そしてごっちんの四人は、夏休みの計画を立てているところだった。


「でさ、今年もぜひ来てくれだって。ほら、あたしのおじさんのとこの。」

「あぁ、民宿?」

「あゆみのおじさんて民宿やってんだ〜。」


ごっちんが興味津々にあゆみの顔を覗き込む。


「そうそう、海めちゃくちゃ近いとこでさ。去年も三人で行ってさ、二週間くらい住み込みでバイトしたんだよ。」

「へ〜え、楽しそうだねぇ。」


ごっちんが特徴的なそののんびりとした口調で答える。
322 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時46分03秒

「バイトって言っても、楽だったよね〜ほとんど遊んでるだけっていうか。」


梨華ちゃんが去年の事を思い出したのか、楽しそうに笑った。


「まぁね〜うちら客引きみたいなもんだからね。梨華ちゃんなんて立ってるだけで男寄ってくる寄ってくる。おじさんもそれが狙いなんだよね。」

「私だけじゃないよ〜。柴ちゃんとよっすぃーだってすっごい男の子達に声掛けられてたじゃん。」


体をくねらせながらそう言うもんだから、梨華ちゃんはすぐさまあゆみに「キショッ!」とつっこまれていた。
ごっちんはふにゃふにゃと楽しそうに二人の様子を見ていた。

それが突然あたしの方を向いてきたもんだから、そんなごっちんを見ていたあたしは一瞬固まってしまった。


「よっすぃー、そんなに声掛けられたの?」


でもごっちんはそんなあたしを気にした様子はなかった。


「そんなでもないけどさ…うざいだけだって、あんなの。」


一人でジタバタして馬鹿みたいだ、と思い素っ気無く答えてしまう。
気を悪くしたかもしれないと思ったけど、やっぱりごっちんは気にしてなんかいないようだった。
323 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時46分53秒

「ま、そう言わずに今年も行こうよ。海で遊んでて声掛けてきた男にどっか泊まってんの?って聞かれたらおじさんの民宿の名前言うだけでいいんだよ?楽な仕事だったじゃん。」

「私は行きたいなぁ。」

「あたしも行くけどさ。」


あたしと梨華ちゃんがそう答える横で、ごっちんだけが何やら小難しい顔をしていた。


「ごっちんも行くでしょ?」


あゆみがそう聞くと、ごっちんはやっと口を開いた。


「そういうのってなんか、騙してるみたい…。」


こう見えて意外とまじめなごっちん。
納得のいかない顔であゆみの発言に反論した。

あゆみはちょっとびっくりしたようだったけど、すぐに切り返した。
324 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時48分14秒

「ごっちん、そうやって声掛けてくる男はね、下心があって声掛けてくるわけじゃん?だからあたし達だってそれを利用させてもらってもいいと思わない?いや、利用する権利があると思うね。」

「…ん〜、まぁ確かに。」


あゆみがもっともらしいことを言って、ごっちんを説得し始める。


「それにね、ちゃんと民宿でも仕事はするし。簡単な仕事だけど。だからあたしたちに声掛けて泊まりに来た男の人達とも話す機会はあるわけ。要するにギブアンドテイクっていうか。向こうはあたし達と話せて嬉しい、あたし達は客が来て嬉しい、っていう。」


あたしはちょっと自信過剰なんじゃないか?と呆れながらも、あゆみの意見には賛成。
商売の世界はギブアンドテイクで成り立ってるもんだしね。

人間関係についてはそういう考えはしたくないと思うけど…。


「…そう考えると別に悪い事じゃないかなぁ。」


いまいち煮え切らないごっちん。


「ごっちんは深く考えすぎだって!」

「そうそう。てか、むしろ海で遊ぶことの方がメインだしね。気楽にいこうよ。」


あゆみに続いてもう一押しする。

325 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時49分26秒

「そうだよごっちん。海は目の前、柴ちゃんのおじさんは料理上手、遊びながら働ける。こんないい話ってないよ〜。」

「ふ〜ん、料理上手なんだ…あ、当たり前か。民宿やってるんだもんね。」

「ごっちん、あゆみのおじさんのゴハンは…まじでおいしいよ?」


ごっちんの眉毛のあたりがピクッと動いた。

よし。これで決まりかな。

ごっちんって実はおいしいものには目がない人なんだよね。
それに自分でもたまにお菓子を作るほど、料理好きでもある。


「うん…みんなと一緒に遊びたいし、あたしも行きたいな。」

「よ〜し、決まりね!じゃあおじさんに言っておくから!あたしもみんなで行きたかったし、ごっちんみたいに可愛い子ならおじさんも絶対大歓迎だよ。」


あゆみの言葉に、ごっちんは嬉しそうに笑った。


ちょっと照れたような笑顔を見て、あたしなんだかすっかり和んでしまった。

326 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時50分53秒

そんな雰囲気おかまいなしに梨華ちゃんが言った。


「あたし、日焼けしたいなぁ。」

「はぁ?」


あからさまに怪訝な顔をしてあゆみが突っ込む。


「もう十分じゃん。」

「え〜そうかなぁ。そんなことないよ、白いじゃん私。」

「あんたねぇ…よっすぃーと比べてみたら?」


あゆみが溜息まじりに言う。

梨華ちゃんはあたしの隣に来て自分の腕とあたしの腕とを見比べた。


「……………。」

「ね、わかったでしょ?」


どうでもいいような顔であゆみが言う。
まぁ、なんていうか…結果は一目瞭然だったわけで…。

ごっちんは下を向いて方を震わせていた。彼女なりの優しさだろうか…。
あたしは笑いたいのを堪えて、口をモゴモゴさせていた。


梨華ちゃんはそれから一日中ずっと静かだった。

327 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時52分48秒

その日の帰り道。


いつものようにごっちんを自転車の後ろに乗せてゆっくりと走っていく。
後ろで先生が二人乗りやめなさい!と叫んでいたけど、二人とも聞こえない振りをした。




家までの通いなれた道のちょうど真ん中のあたりに、例の公園がある。
そこを通り過ぎる前に、自転車をいったん停めてごっちんと顔を見合わせる。
ごっちんの目が、今日は寄り道して行こうと言っていた。


あたしはニッと口の端を上げて笑うと、公園の中へと自転車を走らせる。
邪魔にならないところに自転車を停めると、あたしたちはとりあえずベンチに座った。
あまりにも自然にそうしたことに、二人で顔を見合わせて笑う。


いつの間にか学校帰りにこの公園に寄って遊んでいくことが日課のようになっていた。
二人で何てことない会話をしたり、ブランコに乗ってみたり。


日が暮れるまでそれは続く。

328 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時53分48秒

二人の関係は表面上は子供の頃となんら変わらないように見える。


実際のところ、あたしには自信があった。
ごっちんが本当に気を許しているのは他でもない、あたしだけだって。


クールな子。ごっちんのことをよく知らない子達は彼女のことをそう言う。


転校生だということもあって、彼女のことを理解していない人は多い。
だからあたしだけが本当のごっちんを知っている、と。
自惚れだと言われても仕方ないけど、本気でそう思っていた。

329 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時56分35秒

「今日の梨華ちゃんおもしろかったよね〜今まで地黒だって気付かなかったのかねー。」

「よっすぃーはっきり言い過ぎだよ〜。」

「いや、ごっちんだって笑ってたじゃん。」


いつものように、まったりと会話をする。


「えへへ。でもせっかくだからあたしも日焼けしたいなぁ。」


ごっちんが細い腕をさすりながら言う。


彼女からすれば、何てことない動作。
でもあたしはその指の滑らかな動きから目が離せなくなっていた。




その細くて綺麗な指に触れられたらどんな感じがするんだろう。


彼女はどんな風に好きな人の体に触れるんだろう…。




「よっすぃーはね、ちょっと焼けた方がいいよ。白すぎます!」


いきなりごっちんの顔が目の前にきて、あたしはハッと我にかえった。
最近こういうことが多い。無意識にごっちんを眺めている自分。
その理由をあたしは意識的に考えないようにしていた。


…まだ、ダメなんだ。こんなこと、あたしには許されない。
330 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)03時58分14秒

「ん、そうだね…。」


自分の中に渦巻く感情を抑え込むために、あたしはごっちんから静かに目を逸らした。
話に乗らなくなったあたしを不審に思ったのか、ごっちんは鞄をごそごそ探るとどこかに行ってしまった。
あたしはというと、まぁいいかと思ってそのままぼーっとしていた。

ごっちんはたまに一人でどこかにふらっといなくなることがあった。
それは昔から変わらないところだ。


ふと空を見上げると春に比べて空の青さが濃いような気がした。
知らないうちに、すっかり夏なんだなぁと思った。
そんな感じであたしが一人でぼんやりしていると、ごっちんが走って帰ってきた。
何やら袋を持っていたけど、中身がわからなかった。


「よぉ〜っすぃ〜!」


無邪気な笑顔に癒されつつも、それが突然悪戯っ子の笑みに変わったのをあたしは見逃さなかった。


「覚悟!!」


でもいきなりのことに対応できず、ごっちんの手から放たれたものは見事あたしに命中。

331 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)04時00分20秒

「つっ…つめたぁ〜!!」


何なんだ、と思ってあたしに当たったらしきものの残骸を見た。
それは昔懐かしい水風船だった。
何でこんなもの、と思ってすぐに思い当たった。
この公園のすぐそばにはあたしが子供の頃から、いや、それよりずっと昔からあっただろう駄菓子屋さんがある。
あたしがぼーっとしている間に買ってきたんだろう。


「もう…いきなり何すんだよ〜。」

「今日暑いからさ、涼もうと思って。冷たくて、気持ちよくない?」


そう言って、もう一個作ってきたらしい水風船を顔に当てたごっちんは、とても綺麗な顔で笑っていて。


あたしの心臓は一回、どくんと跳ねた。




…不意打ちだよ…。




思わず目を逸らしたあたしを見て、ごっちんはあたしの様子を窺うように近づいてきた。


「…よっすぃー、怒ったの?」


頼りないその声の持ち主を反射的に見ると、やっぱり頼りない顔でこっちを見ていた。

332 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)04時01分50秒

あたしは胸の動悸が治まってくると、悪戯心がむくむくと湧いてきた。
頬が緩みそうになるのを抑え無表情にごっちんに近づく。

あと一歩のところであたしはニヤッとごっちんに笑って見せると、すばやく彼女の手から水風船を奪い取る。


「あぁっ!!…怒ったんじゃなかったの!?」

「あれくらいで怒るわけないじゃ〜ん。」

「も〜本気で焦ったのに…。」

「怒ってないけどさ、…これはお返しね!」


手に持つ水風船をごっちんに向けて投げた。

きれいな弧を描いて中を舞ったそれは、ごっちんに当たると勢いよく弾けた。


「ひゃっ!つめた〜い!」


そういう声も、どこか楽しそうで。


「よっしゃ、成功!」


公園にはあたし達の笑い声が響いていた。

333 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)04時03分12秒

ごっちんが買ってきたものの中には水鉄砲もあり、あたし達はいつのまにか水の掛け合いをして遊んでいた。


ごっちんと二人なら何もかもが楽しいことになった。
どんなに下らない事でも、隣にごっちんがいるだけでそれは素晴らしいことになる。
いつまでもこうしていたい…叶わないとわかっていても、願ってしまう。


気付けばお互い全身びしょびしょに濡れていた。
こうなる前に気付けよ、って感じでお互い苦笑い。


「ブランコ乗ろっか。」


あたしが手を差し出すと、ごっちんは優しく手をつないでくれた。

制服が肌に張り付いていたけど、不快だとは思わなかった。
むしろ心地良ささえ感じていた。


二人、それぞれブランコに乗って漕ぎ出す。

334 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月13日(水)04時05分42秒

あたしは横目で隣で楽しそうにブランコを漕ぐごっちんを見ていた。


いつからごっちんに対してこんな感情を抱き始めたんだろう。
気付いたら無意識に彼女の一挙一動を目で追っている自分がいた。
心を動かされている自分がいた。


でも彼女にとっての自分は、親友。そう思ってくれている自信はある。
あたしはこの関係を崩したいとは思わない。


だからこそあたしは、この感情に名前をつけちゃだめなんだ。
それにあたしには矢口先生が幸せになるまでは、そんな資格もない。
決して誰にも気付かれちゃいけない。あたしだけの秘密にするんだ。

そして、いつかこの想いが消えることを祈っていよう。




しかしそうやって無理矢理に抑え込まれた気持ちはどうなるのか。


行き場のない想いは、決して消えることはない。
それはいつしか限界に達して、溢れ出す。




いったん溢れ出した想いは、留まることを知らない。

335 名前:なな 投稿日:2003年08月13日(水)04時10分43秒


さっそくですが、誤字発見…。

332の「中を舞って」は「宙を舞って」です。
すいません、焦りすぎました。
他にもあったらそれは脳内変換の方向でお願いします(汗
336 名前:なな 投稿日:2003年08月13日(水)04時14分27秒

更新がありえなく遅くなって申し訳ありません。
こんなんじゃ言い訳もできません。
放置だと思われても仕方ないと思っていました。
だから待っていてくださる方、保全してくださる方がいたことは本当に嬉しかったです。
そんなありがたい方のためにも更新、頑張りたいと思います。
337 名前:なな 投稿日:2003年08月13日(水)04時20分03秒

レス、ありがとうございます。
前の更新からもう何ヶ月経っているんだろう…。情けない。
こんな私のスレにわざわざ目を通してくれる皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
まとめてレスしてしまって、申し訳ないです。
それでは、よかったら次の更新を気長にお待ちください。
時間はかかると思いますが、放置はしません。
338 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月13日(水)15時26分23秒
更新待ってました。
だんだんとよっすぃーの気持ちがごっちんに向いてきましたね。
これから楽しみです。
頑張ってください
339 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月17日(日)23時10分07秒
おっ。更新されてる。よかった。
気長に楽しみに待ってます。
340 名前:なな 投稿日:2003年08月27日(水)15時39分06秒
ちょっとだけ更新。
341 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月27日(水)15時41分55秒

苦しい期末試験もようやく終わった。


試験さえ終わればこっちのものとばかりに、みんな浮き足立っている。
夏休みまで残りわずかとなった授業の内容は耳に入ってくるわけがない。


たぶん夏休み中の予定についての手紙だろう。教室中至るところで回されている。

普段はみんな真面目なんだけど…夏だしね。

どの先生達もしょうがないといった感じで、半ば諦めているようだった。


その中でも矢口先生なんかは、彼女自身にやる気が見られなかった。
教室のドアを開けて姿を見せた矢口先生は、満面の笑みだった。



「みんなー!夏だよ!?海行かなきゃ!そして焼かなきゃ!旅行もしたいし!」



そう言いながら、いきなりレジャー雑誌を読む始末。

342 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月27日(水)15時43分33秒

「あっ、このことは他の先生には内緒ね!?じゃないと矢口クビになっちゃうかも〜。」


明らかにテンションが高い。

一人で「ここいいかも…あっ、こっちもいい!」と楽しそう。



「…まりっぺ、私たちより夏休みが待ち遠しそうだね…。」



梨華ちゃんでさえそのハイテンションぶりにひいている。


実際あたし達四人も休み時間から計画を練っている真っ最中だった。
一応授業中はひっそりと話し合うつもりだったのに。


生徒以上に不真面目なこの先生の態度はどうなんですか…。



「言い忘れてたけど、今日の授業は自習で〜す!適当にやっといて!」


「まりっぺ、教師としてどうなのそれ〜。」


誰もが思っていたことを、クラスメイトの一人が訴える。


「いいの!だって夏が矢口を呼んでるんだから!」


真剣にそんなことを言う矢口先生に教室では笑いがおきる。

343 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月27日(水)15時45分57秒

何にせよ、あたしにとって元気そうな矢口先生を見るのは嬉しい事だった。
自分でもそんな矢口先生を見ていて、頬が緩むのがわかった。


こんなふうに矢口先生が楽しそうな理由をあたしは知っていると思う。




市井先生と笑いあう矢口先生の表情が、前とは違う。


前まではどこかぎこちない感じがしていたのに、今は自然に笑っているように見える。
よく考えたらこの二人は好き同士なんだから、きっかけさえあれば元に戻るんじゃないかな…。

勝手にそんなことも思っていたけど、本音を言うと少し淋しい感じはした。


でも矢口先生のちょっと照れたような嬉しそうな笑顔を見たときに、
あたしにはこんな表情見せてくれたことはなかったな、と思った。
344 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月27日(水)15時47分02秒

今さらあたしがこういうことを理解できるようになったのは、きっと…。


そっと隣のごっちんを盗み見る。


物思いに耽っていたあたし以外の三人は、夏休みの計画を立てることに盛り上がっている。
ごっちんはあたしの視線に気付く事はなく、「水着どうしようね〜」とか話していた。


周りに気付かれないように、静かにふぅ…と溜息をつくとあたしも話に加わった。




「じゃあさ、今日学校終わったらみんなで水着買いに行こうよ!」


あゆみが提案する。誰も反対しない。


「よ〜し、決定!で、おじさんとこに行くのはさ…。」

345 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2003年08月27日(水)15時49分09秒

みんなで話し合ってあゆみのおじさんのところに行くのは、夏休みが始まってから三日後。
何だかんだ言って、みんなで海に行くのは楽しみである。


でもなぜかあんまり日焼けしないんだよね、あたしって。
二週間毎日海にいれば普通は焼けるはずなのに。
海に行ったって言っても誰も信じてくれないのがいつものこと。


オイルでも塗ってみるかなぁ…。




結局あたしも夏休みってことで浮かれていた。


時折自分に向けられる視線には、全く気付くことなく…。

346 名前:なな 投稿日:2003年08月27日(水)15時50分27秒

更新終了。…ほんとにちょっとだなぁ…。
347 名前:なな 投稿日:2003年08月27日(水)15時55分07秒

レス、ありがとうございます。

>338、名無しさん
更新待っててくれたなんて…ほんと、ありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいです。
少なくても更新を待っててくれる人がいると頑張れます。

>339、名無しさん
ええ、やっとで更新です…申し訳ない。
気長に待ってください、ほんと(汗
348 名前:なな 投稿日:2003年08月27日(水)16時03分08秒

さて。いつになったら吉後になるのやら(無責任
文章も最初の頃と雰囲気が大分違う感じになってまいりましたが…。
あまり気にせずやりたいようにやっていきたいと思います(エッ

そろそろラブラブな吉後を書きたいので無理矢理話を進めてしまうかもしれません。
いつまでもグダグダと引っ張るのもどうかと思いますし。
なので細かい事はあまり気にせずに読んでもらえると嬉しいです(無責任

では、次の更新をお待ちください。
349 名前:なな 投稿日:2003年08月27日(水)16時19分28秒
てか今気付いたんですけど書き始めてから余裕で一年過ぎてますよね。
ありえないですよ、これは。どうなの自分。
去年は事情があって試験前に実家に帰って、ついでに地元の奴らと遊んで、
そのうえ更新したりしてたのに…(わざわざ実家で
あの気力は一体どこに。それくらいの気持ちで頑張ります、はい。
350 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月27日(水)19時26分31秒
更新されてる♪
早く矢口さんが幸せになってほしいです・・そうすればよしこも。
ラブラブな吉後がみたいです。
351 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月27日(水)23時05分05秒
もう書き始めてから1年以上たってるんですね。
自分も見始めてから1年以上たつかもしんない。
ラブラブな吉後になってくみたいだし楽しみにしてるんでがんばってください
352 名前:名無し 投稿日:2003/09/26(金) 13:42
ああ
353 名前:名無し 投稿日:2003/09/26(金) 13:43
ああ
354 名前:名無し 投稿日:2003/09/26(金) 13:44
前二つのスレは全く気にしないで下さい。
今日初めて読みました!すごくおもしろいです。
今後に期待大ですのでがんばってください。
355 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/27(土) 16:08
あげんなよ
356 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/20(木) 00:12
作者さんがんばってください!
357 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/17(水) 18:13
がんばってください。待ってます。
358 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/18(日) 03:30
作者さんがんばってください!
359 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/12(木) 18:06
がんばってください
360 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/02(火) 00:23
保全
361 名前:なな 投稿日:2004/03/04(木) 14:26
まとめレスで申し訳ありません。
皆さんのお言葉、ありがたく受け取っておきます。

今続きを書いてる最中です。もう少しだけ、お待ちください。
362 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/07(水) 07:05
待ってますよーーーーーーーーー!
363 名前:マルタちゃん 投稿日:2004/04/10(土) 17:35
待ってます。ゆっくり頑張ってください。
364 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/25(日) 21:50
保全
365 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/29(土) 22:05
まだかな
366 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/21(月) 22:14
戻ってきてくれ
367 名前:マルタちゃん 投稿日:2004/07/18(日) 15:00
いつまでも待ってます。
頑張って下さい。しか言えませんが
とにかく応援してます。
368 名前:なな 投稿日:2004/07/19(月) 00:52

言い訳とかはしません。
とにかく更新します。
369 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:53
青い空、青い海。
どっかで聞いたようなフレーズだけど、そんな細かい事は気にしないで。
楽しもうじゃないか、せっかく海に来たんだから。

あたし達は海に着いた途端、荷物を投げ出して意味不明な言葉を叫びながら走り出した。
すでにビーチサンダルに履き替えていた足に、砂のザラザラとした感触。
あたしが調子に乗って三人に向かって水をかけると、それを合図に四人で水のかけ合いになった。

朝早く出発したからか、砂浜にいる人もまだまばらで、海を占領してる気分。
うん、いいね。夏プラス海、イコール最高。

十分ほどそうやって遊んでから、あゆみのおじさんの民宿へ向かった。
歩いてすぐのところにある民宿はまだ新しい。
370 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:53
あゆみが「雅ちゃ〜ん、来たよー!」と叫んで、みんなで裏口から入る。
ひょこっと顔を出したその人、雅ちゃんはあたし達を見てニカッと笑った。
黒く日焼けした肌に白い歯がまぶしい。まさに海の男って感じだ。
ただし金髪で、一見するとただの田舎のヤンキーって言ってもおかしくない。ここだけの話ね。

「おう、よく来たな!今年もバンバン働いてもらうぞ!」
「よろしくお願いしま〜す!!」
みんなで声をそろえて挨拶すると、さらにニコニコと笑う。
なんかこっちまでつい笑っちゃうような笑顔だなぁ。

「ところで…」
急に真剣な顔をして、ごっちんにずいっと近づく。
なんだなんだ、ちょっと近いんじゃないの?
あたしは少しムッとして雅ちゃんを睨む。
371 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:54
「君、初めて見る顔だね?」
「あ…はい。あたし後藤真希っていいます、はじめまして」
「真希ちゃんかぁ、顔も名前も可愛いね〜。可愛い子は何人来ても大歓迎!よろしく頼むよ?」
ぽんぽんとごっちんの肩を叩きながらそんなことを言う。
いやだから近いんだって、顔が。

「や〜それにしても若い子はやっぱいいね、心が潤うよー」
…相変わらず見境ないんだから。奥さんいるくせに…。
あたしは去年来たときに梨華ちゃんが餌食になっていたのを思い出す。
そういえば、確かあのときもこんな調子でいたら…。

「…雅ちゃん、うしろ…」
「ん?」
あゆみが青ざめた顔で雅ちゃんの後ろを指差す。
その先には雅ちゃんの奥さん、通称ひとみんがいた。
それはもう、恐いくらいの笑顔で。
372 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:54
「いや、あの、ひとみ?今のはあいさつっていうか、なんていうかね」
「あゆみ〜よく来たね!梨華ちゃんもよっちゃんも。あれ?そっちの子は?」
ひとみんは雅ちゃんの言葉を完全無視して、あたしたち四人の前に立った。
いきなり喧嘩が始まるかと思っただけに、拍子抜けする。

「後藤真希っていいます。これからよろしくお願いします!」
「真希ちゃんね〜よろしく!…あゆみ、あんたの友達は可愛い子ばっかだね」
ひとみんがそう言ったとき、雅ちゃんがビクッと身を竦めたのをあたしは見逃さなかった。

「えっと…ひとみ?俺の話を…」
「ほら、とりあえずみんな中入って。今スイカ買ってきたところなんだ」
ひとみんに促され、あたし達はひきつりながらも彼女の後に続いた。

ごめん、雅ちゃん。でも自業自得だと思うんだ。
少しかわいそうだけど、そう思ったのが正直なところ。
でも…責められるより放置される方が可哀相な気がする。
373 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:55
スイカを切りに行っていたひとみんの後を追って台所へいった雅ちゃん。
切り終わったスイカを持ってきたときは、すっかりラブラブな二人に戻っていた。
雅ちゃんは一体どんなマジックを使ったんだろう。

「ひとみ、あ〜ん」
「あ〜ん……うん、おいしー!はい、雅ちゃんもあ〜ん」
「へへっ、どうも…あ〜ん」
二人で食べさせ合っている姿を見て、あたし達は呆気に取られていた。

気まずい思いをしていた自分がアホらしい。
なんだかんだで雅ちゃんもひとみんのこと愛してるしね。
ま、いっか。スイカも甘くておいしいし。
細かい事は気にしないでおこう。
374 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:57
「今日は朝早く出かけて疲れたろ。ってことで、今日は一日自由時間だ!」
「えっいいの雅ちゃん?あたしたち働くよ?」
スイカまで食べさせてもらって、そろそろ仕事かと思っていただけに、雅ちゃんの言葉には驚いた。
あゆみの言葉に、全員がこくこくと頷く。

「あゆみ気にしないで。今日はあんたたちバイト以外、お客さんいないから」
「あっ、そういうこと…」
「ひとみ、せっかく俺が懐の広い男を演じたのに…それ言ったらおしまいじゃん…」
「バカなこと言ってないで早く今晩の夕食の材料取ってきてよ。あんた今日寝坊したでしょ」
「…はーい…」
その後姿が何か悲しかった。

「さ、せっかくだから泳いできたら?まだ人もそんなにいないし。お昼作って待ってるよ」
「ひとみんがそう言うなら…みんな行こっか?」
もちろんみんな笑顔で頷いた。
375 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:57



376 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:58
水着に着替え海岸に出ると、さっきよりも少し人が増えた程度だった。
家族連れが多く、子供のはしゃいだ声が聞こえる。

「さて、とりあえず海に入りますか?」
あたしがそう言うと、三人は顔を見合わせていきなり走り出した。

「えっ、ちょっとそれはないんじゃないの?」
一人出遅れたあたしにかまわず、三人は子供に負けずにはしゃいだ声を上げる。
…それにしてもみんなスタイルいいなぁ。
梨華ちゃんとあゆみの白黒コンビは、あまりに肌の色が違いすぎて笑いがこみ上げてくる。

何よりもあたしは、ごっちんのスタイルの良さに驚き目が離せなかった。
肌も黒すぎず、白すぎず、健康的な色で。
ほどよい胸の膨らみに、細い腰。…ビキニが眩しすぎます。

そんな風にぼ〜っと立ってたら、みんなのあたしを呼ぶ声が聞こえた。
はっ、やばいやばい。完璧に男の目線で眺めてた。…一応女なのに。
377 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 00:58
「よっすぃー早く!…ぎゃっ、口に海水入った、しょっぱいっ」
「置いていって早く来いはないだろ…って、ごっちんもうあんなとこいるし!」
あたしがようやく海に足を入れた頃、ごっちんは遠くの方へと泳いでいるところだった。

ごっちんて泳ぐの上手いんだなぁ。
あたしはと言うと、ゆっくりゆっくり水に体を慣れさせているところだった。
意外に慎重派なんです、はい。

そしてようやくおなかまで海面が来た頃、いつの間にかごっちんがすぐそばまで来ていた。

「よっすぃ、泳げないの?」
「泳げるよ!」
「だってうきわ持ってるじゃん」
「いや〜その、これは……そうそう、保険!海は危険がいっぱいだから!」
「なぁにそれ〜」
楽しそうなその笑顔にドキッとした。
378 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 01:00
夏は恋が生まれやすいってよく聞く。特に海なんか、一番そうじゃないかな。
どうしてかな…海に来ると自然とテンションが上がって、開放的になるから?
確かに誰もがみんな楽しそうで、どこを見ても笑顔、笑顔、笑顔。

それに…水着姿、ってのも開放的になる要因の一つかな、と思う。
普通に考えたらありえない状況。薄い布1枚しか身に着けていない人が、そこら中にいる。

実はさっきからあたし、ごっちんの…その、胸の谷間が気になってしょうがない。
自分はこんなにエロかったっけ?と、ちょっとだけ自己嫌悪。
だって胸の谷間なんて普段見ることないじゃん?
そんなもん自分にないし……あ、自分で言ってヘコんだ…。

気付くとそろそろ人も増えてきて、若い人も多くなってきた。
みんなでビーチボールをやったりして遊んでいたんだけど…。
正直あたし、みんなに話し掛けられても上の空だったよね。
ごめんね。だって…ずっと、ごっちんのことばかり気になってたから。
379 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 01:01
目線はずっとごっちんを追いかけて。
あたしを見て笑うその笑顔を見るたび胸が締め付けられた。

どうにかして、その笑顔をあたしだけのものにできないかな。
あたしだけを見てくれないかな。
みんなで遊んでいる中、あたしはそんなことを考えていた。

できることなら誰も知らない所に閉じ込めて、ずっと一緒にいたいくらい。
それくらい、あたしのごっちんへの想いは強くなっていた。
そしてその思いは日に日に強くなっていて、隠し続けるのがそろそろ…つらい。

でも、ごっちんはあたしの気持ちを知ったらどう思うだろう。
彼女は受け止めてくれるだろうか。
矢口先生のときのように、いいかげんな気持ちだと思うだろうか。

いや…ごっちんがそんな子じゃないってことはよくわかってる。
きっと、きちんと受け止めてくれるだろう。
380 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 01:02
ただあたしが気になっているのは、ごっちんがずっと思い続けているという人のことだった。
ずっと、恐くて詳しいことが聞けないままだった。
一体誰なんだろう。今でもその人のことが好きなんだろうか。

ごっちんがそういうことで悩んでいるようにも見えないし…。
あまりそういう恋愛絡みの話もしないし、ごっちんの恋愛については何も知らない。
もしかしたら、言わないだけでもう付き合っている人がいるかもしれない。
でも今はあたしは誰よりもごっちんのそばにいるつもりだ。
そんな人がいたら、嫌でも気がつくだろう。

…こういうことを考えても、結局いつも答えは出ない。
彼女がいつも何を考えて、何を思っているのか。やっぱりわからない。
そんなことは理解できるわけがないのに、知りたいと思ってしまう。
そういう風に、全部を知りたいと思ってしまうのは、だめなことかな。

二人の距離は近いと思う。それは、小さい頃を知っているせいもあるけど。
時間の長さで言えば、誰よりも一緒にいるし。
でもあたしが欲しいのは、ごっちんの時間だったり、ましてや体だけじゃないんだ。
あたしが欲しいのは…ごっちんの心、それだけなんだよ。
381 名前:Chapter7.夏の思い出 投稿日:2004/07/19(月) 01:03




382 名前:なな 投稿日:2004/07/19(月) 01:03
更新終了です。
383 名前:なな 投稿日:2004/07/19(月) 01:07
みなさん、レスありがとうございます。
更新がとてつもなく遅くなって申し訳ありませんでした。精進いたします。
ペースは遅いですが、必ず完結させます。
384 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/19(月) 01:15
更新待ってましたよ♪
放置じゃなくて嬉しいです。
吉子さんの気持ちがだんだん膨らんできましたね。
後藤さんの気持ちも気になります。
385 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/19(月) 22:21
更新キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!

ありがとう、待ってた!!
386 名前:385 投稿日:2004/07/19(月) 22:23
すんません興奮しすぎて下げるの忘れました。
すんませんすんません。
次の更新もマターリマターリ待ってます。頑張って下さい。
387 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/19(月) 23:03
待ってたよ。
嬉しい!!!!!
388 名前:マルタちゃん 投稿日:2004/07/24(土) 15:03
更新嬉しいです。
よっすぃとごっちんも気になるけど
矢口さんと市井さんも気になります。
二組両方のラブラブっぷりが見たいです。
ゆっくり頑張って下さい
389 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/10(火) 00:02
ほよ
390 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/28(土) 23:40
保全
391 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/13(水) 21:56
待ってるよー
392 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/01(水) 21:14
保全しとくよ
393 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/24(月) 21:54
保全
394 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/06(日) 16:47
待ってます
395 名前:ミッチー 投稿日:2005/02/14(月) 03:40
市井ちゃん見っけ☆
初めまして。
一気に読まさせていただきました。
お、面白い!続き気になりますネ。
マターリ頑張って下さい。。。。

Converted by dat2html.pl v0.2