インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

いちばん?信頼できる人

1 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月17日(月)19時58分54秒
前作(緑板の倉庫にあります)のつづきというか番外編的なものをやらさせていただきます。
もちろん、メインはいしよしですが、他のカップルも登場する予定です(笑)
どうぞよろしくです。
2 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月17日(月)19時59分33秒
「ちょっと、ソレどういうこと!?聞いてないよ!!」
「だって、今初めて言ったもん…」
ここは、ひとみの部屋。
木曜日の夜、ひとみがボクシングジムから帰ってきてこれから仕事に向かおうとしたところに、
やってきた梨華からとんでもないことを聞かされ、珍しく大声で怒鳴った。
梨華の方は、眉毛を八の字にしながらも、口を尖らせていた。

「なんで、先にウチに相談してくれないかなあ?」
「だって、なっちさん、本当に困ってたから…」
3 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月17日(月)20時00分16秒
この口論の原因は、ひとみの働く店の姉妹店店長の安倍なつみにあった。
なつみは、ひとみと梨華の住むマンションの近所に住んでいる。
数日前、梨華はスーパーで買い物をしているときに偶然、なつみに出会ったのだ。
梨華は以前、なつみがひとみの店に来たときに何度か会っているし、
なつみから店で働かないかとスカウトされたこともある。
お互い顔と名前はわかっていたので、挨拶をした。

そのときに、この週末に、なつみの店の中でも人気の子が2人休むことになったので、
人手が足りなくて困ってる話しを聞かされた。
『梨華ちゃん、よかったら手伝ってくれないかな?この週末、金、土の二日間だけでいいの!
バイト代も奮発するから、ね?』
と、天使のような笑顔でお願いされてしまっては、お人好しの梨華が断れるわけがない。
4 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月17日(月)20時00分59秒
「なんで、梨華ちゃんがそんなことしなきゃならないワケ?
ウチがなっちさんに断っておくから!」
「ダ、ダメだよ!だって、明日のことだよ。今から断ったら、なっちさんに迷惑かけちゃうよ…」
「でもさぁ…」
ひとみが梨華を見ると本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
そんな表情を見ては、ひとみもコレ以上強く言えなくなってしまった。
「とりあえず、なっちさんに他にできる人を探して欲しいってお願いしてみるよ…」
「うん…」
「じゃ、仕事行くから」
ひとみが部屋を出るとき一緒に梨華も出た。

「あ、コンビニ行くから」
ひとみの半歩後ろに梨華が付いてエレベーターに向かう。
「…怒ってる?」
「…怒ってないよ」
「ごめんね…」
「だから、怒ってないって!」
ひとみは明らかに怒っていた。梨華がおびえたような表情になる。

(あー、もうなんでこんなことぐらいで、こんなにイライラするんだろ!)
梨華がお店に出れば、お客さんに気に入られるのは明らかだ。
単なる嫉妬心であることにひとみ自身気付いていない。
5 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月17日(月)20時01分39秒
エレベーターが来たので、二人で乗り込む。
ひとみはあえてボタンの前に立ち、梨華に背を向けていた。
「ね、よっすぃー…」
「何?」
ひとみは、すぐ後ろにいる梨華の方を振り返りもしなかった。
「こっち見て」
仕方なくひとみは顔だけを梨華の方に向けた。
「!!」
梨華の唇がひとみの唇をふさいだ。
突然だったし、外でこういうことをするのがはじめてだったので、
ひとみはすごく驚き、エレベーターの中にある監視カメラを気にしはじめた。
梨華はひとみの背中に抱きつく。
「よっすぃーが本当にバイトして欲しくないなら、私、しないから…」
「・・・」

間もなく、一階に着いた。梨華は何事もなかったかのように降りた。
「じゃ、いってらっしゃい」
「あ、ああ…」
最寄のコンビニは駅とは反対方向なので、梨華はスタスタと行ってしまった。

(うぅ、梨華ちゃん・・・かわいすぎるっ!)
すっかり怒りも忘れてしまって、顔を緩めるひとみであった。
6 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月17日(月)20時02分13秒
その日、ひとみの店になつみがやってきて、いきなり頭を下げられた。
「よっすぃー、ホントにゴメンね!梨華ちゃん貸して!」
確かに週末の忙しさはわかるし、涙ながらにお願いするなつみを見たらひとみも断れなくなってしまった。
(ウチ、情けないなぁ…)
かくして、梨華は2日間、レズビアンバーで働くことになったのだ。
7 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月17日(月)20時03分38秒
更新しました。更新時期はまちまちになると思います…
8 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)20時51分23秒
この話好きだったんで嬉しいっす!がんがってください!!
9 名前:オガマー 投稿日:2002年06月18日(火)02時49分33秒
ラッキーさま…
おはつです
この話大好きで何度も読み返したぐらいなので
トテーモ嬉しいです
初回から梨華たむにノックアウト…
10 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月18日(火)08時47分25秒
あれ?どっかで見たタイトル…と思ったら続編なんですね。
前作も大好きでDLして自分倉庫(笑)にとってあるくらい…
期待してます、楽しみが増えました。
11 名前:名無し男 投稿日:2002年06月18日(火)11時12分02秒
   ζ                                  
       / ̄ ̄ ̄ ̄ \            
      /          \         
     /\    \   /  |        
     | |    (・)  (・) |    
     (6-------◯⌒つ |  
     |    _||||||||| |   
      \ / \_/ / キタ━━(゚∀゚)━━!!!
        \____/          
       /     \
     .ィ⌒ヽ i⌒ii⌒i ィ⌒ヽ
    ((、、、(((\ニニニ/))), , ,))
       _~l |(Θ)| l~_     ドルン ドルン
      (   _.l l ⌒ l l._   )
      \ I |i⌒i|. I /
       ⊂ニUl  lUニつ  ヴオン
          .i___j
12 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時06分49秒
「梨華ちゃん、ホントに大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「ホントにホントにホント?」
「大丈夫だってー、高校生のときファミレスでウェイトレスしてたしー」
「えー、全然違うよぉ…」
翌日、ひとみはいつもならもっと遅く家出るのだが、今日は梨華に付き添って、
なつみの店に向かっていた。

「よっすぃーのお店でお客さんの雰囲気もわかってるからー」
「でも、ウチんとことなっちさんとこはちょっと違うんだよぉ」
そう、ひとみの店の店員は男っぽいので、客はそういう人を好きな女の人。
逆になつみの店は女っぽい店員が揃っているので、客層は男っぽい感覚の女の人が主なのだ。
「でも、なっちさんも早く来てくれるっていうし、他の店員さんもいるんでしょ。
そんな心配しなくてもいいよー」
「で、でも、無理だと思ったら今日だけでいいからね!明日は断ってもいいから」
梨華は首を振った。
「2日間だけだからこそ、ちゃんとやるから、ね」
ひとみは不満そうに梨華を見ていた。
13 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時07分52秒
お店の前に着く。ひとみが渋々ドアを開ける。
「あ、ヨシさん、お疲れ様です」
掃除をしていた紺野あさ美がこちらを見る。
「おう、お疲れ〜なっちさんはまだ?」
「はい、さっき電話があって、あと30分くらいで来るそうです」
あさ美の視線がひとみの後ろにいた梨華の方に向いた。

「あ、聞いてると思うけど、こちら、梨華ちゃん」
「石川梨華です。今日から2日間よろしくお願いします」
梨華が頭を下げると、あさ美も慌てて頭を下げる。
「紺野あさ美です。よろしくお願いします。
私もまだ新人なんでいたらないところがあると思いますが、
わからないことがあったら何でも聞いて下さい」

「あさ美ちゃんはね、東大生なんだよ」
「えーーっ!?すごーい!!」
ひとみの言葉に梨華が驚いて、あさ美をマジマジと見る。
あさ美は顔を真っ赤にして首を何度も振る。
「そ、そんな、別に…」
こんなおとなしそうな、しかも東大生がなんでこういうところで働いているんだろうと
梨華はすごく疑問に思った。
14 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時08分29秒
ひとみが自分の店に向かったので、梨華はあさ美と開店準備をしながらいろいろ話をした。
あさ美の出身地はなつみと同じ北海道で、2人はいとこどうしなのだ。
あさ美は大学に合格し、上京することになったが、他に東京に知り合いがいなかった。
入試のときにもなつみのところに泊めてもらったりしていたので、
大学に入ってからも何かあったらよろしくと、あさ美の親からもなつみの親からも頼まれ、
あさ美はなつみの住むマンションの近くにアパートを借りることになったのだ。

なつみは、自分の親にはバーの店長をしているということを言ってあるが、
離れているのをいいことにどういうバーということまで話しをしたことがない。
でもやはり、近くにいるといろいろあるだろうから、あさ美には自分の働いてるところを見せようと
一度お店に来てもらったのだ。
15 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時09分06秒
はじめは驚いていたのかいつもよりもボーっとしていたあさ美だったが、
なつみのいとこだと紹介すると、店員や他のお客もとてもかわいがってくれた。
あさ美も慣れてくると、お酒が入っていたせいもあるのか、
いろいろと自分からも話しをはじめたりして、かなり楽しんでいた。
独特な自分の世界を持っているような子なので、まわりも面白がってくれたし、
顔もカワイイためか、『ココで働きなよー』とみんなに言われた。
ちょうどバイトを探そうと思っていたときではあったし、ふとなつみを見ると
『ホントにウチで働くかい?』
と笑顔で聞いてくれたので、お世話になることにしたのだ。

「梨華さんは、ヨシさんとお付き合いしてるんですよね?」
「うん、そう。あさ美ちゃんは付き合ってる人いないの?」
「え…いませんけど…」
顔を真っ赤にしてうつむくあさ美に、梨華は微笑みかけた。
「でも、好きな人とかはいるでしょ?」
「はい…でも、私なんて全然相手にしてもらえなくて…」
あさ美は、どこか遠くを見ていた。
16 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時09分43秒
一方、ひとみが店に出勤すると―

「おっはよー」
「おはようございます」
「ヨシさん、おはようございます!!」

ひとみの挨拶に対して、愛の5倍の大きさの声を出したのは、
こちらの店の新人の小川麻琴だった。

「今日早いですね、どうしたんですか」
お酒の在庫を確認しながら、愛はひとみの方を見た。
「ま、ちょっといろいろとあって…」
「あ、梨華さん、あっちの店で今日と明日働くんですよね!!」
麻琴は掃除の手を一旦止めて、うれしそうにひとみを見た。
「うん、そう」
「あ、梨華ちゃんのこと心配で送ってきたんでしょー?」
愛はニヤニヤとしてひとみのことを見る。
17 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時10分15秒
そう、下が2人になったので、ひとみは開店準備を基本的にはしなくてよくなったのだ。
最近は開店してから出勤していたのだが、今日は梨華のことがあって早く家を出てしまったから、
一緒に開店準備もすることにした。
本当は向こうの店で梨華の様子を見ていたかったのだが、
それでは梨華もやりづらいだろうから仕方なくこちらに来たのだ。

「それにしても、ヨシさん、梨華ちゃんが働くの、よく許しましたねー」
愛が不思議そうにたずねる。
「許すもなにも、勝手に決めちゃってたんだから」
「イチさんだったら、真希さんが働くなんていったら、絶対、許さなそうですけどねー!!」
麻琴の声は本当に大きい。
18 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時11分27秒
そもそも、麻琴がこの店で働くことになったのは真希の紹介なのであった。
真希の大学の後輩、学部も同じなので、受ける授業も同じものがいくつかある。
実は、麻琴は真希に一目惚れをして、積極的にアプローチしていた。
同じ授業のときは必ず隣の席をキープして話しかけていたし、
真希が休んだときは自らノートを貸してあげたりもしていた。
もちろん、真希の方もカワイイ後輩として仲良くしていた。

真希が付き合っているのが紗耶香だと知ったときに、麻琴は真希に告白をした。
『市井さんと別れて、付き合って下さい!』
と。もちろん、あっさりフラれたのだが、それでもあきらめずにずっと追いかけていた。
追いかけるというか、じゃれているというカンジなので、真希もそれまで通りに、
麻琴とは仲良くしていた。
紗耶香は当然面白くないわけだが、真希が全くその気がないのもわかっていたし、
麻琴は元々人懐っこい子のため、紗耶香にとってもかわいい後輩には違いなかった。
19 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時12分02秒
『しっかし、麻琴、かわいそーじゃん。誰か他に好きな人でも作ればいいのになぁ』
『あ、じゃあさー…』
お店で働けばモテるだろうし、キレイなお客さんにも出会えるから、
真希以外の子にも興味を持つだろうと、お店に紹介することになったのだ。

そして、元気で明るい麻琴はお店でもかわいがられることになった。
でも、まだ、真希への気持ちは残っているようなのだが…
20 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時12分34秒
「こんばんぅわー!!」
元気よくなつみの店に現れたのは辻希美だ。
「いらっしゃいませー」
「あ、のの、相変わらず元気だねえ」
あさ美となつみが笑顔で迎える。
「いらっしゃいませ」
梨華にとってのお客第一号だったのだが、こんなかわいらしい子のためホッとしていた。

希美はカウンターのあさ美の前の席に座る。
何も聞かなくても、あさ美はオレンジジュースを出していた。
「今日、あいぼん、お休みだよ」
「うん、知ってる。今日はあさ美ちゃんに会いに来た」
ジュースを飲む子供のような笑顔に、梨華も自然と笑顔がこぼれていた。

すると、希美が不思議そうに梨華を見つめた。なつみがそれに気付く。
「あ、こちら、梨華ちゃん。ののはね、あいぼんの友達なの」
「よろしくね」
「はい、よろしくです」
希美がペコリと頭を下げたので、梨華もそれに習った。
21 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時13分20秒
希美はもともと、亜依の友達でこの店に来ていたが、
最近ではあさ美のことがお気に入りで、知的な会話に目を輝かせて聞いている。
自分が知らないことをいっぱい知っているので尊敬しているようなものだ。

「あ、梨華ちゃんって、もしかして、よっすぃーの彼女ですか?」
「えっ?うん、そうだけど?」
「あー、あいぼんからよく名前を聞いてたんで…」
亜依は相変わらずひとみのことが好きで、梨華にはだいぶライバル心を燃やしている。
「そうかぁ。あいぼん、怒ってるでしょ」
「うん、でも、こんなカワイイ人がよっすぃーの彼女なら、しょうがないです」
「うふふ、ありがとう」
恥ずかしそうにうつむく希美は本当にかわいらしかった。
22 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時13分56秒
「ごめーん、遅くなっちゃったぁ」
店に飛び込んできたのは、戸田鈴音。
昼間はOLをしているが、週末や余裕があるときはココでアルバイトをしている。

「あっ、梨華ちゃんだよねー。はじめまして、りんねです」
鈴音はカウンターの中にいた梨華を見ると微笑んだ。
「はい、梨華です。よろしくお願いします」
鈴音は、希美の頭を撫でると更衣室に入っていった。
ちなみにココの制服は上はバーテンダースタイルで下がミニスカートになっている。



そして日付が変わる頃になると、店も満員になっていた。
梨華の働き振りはもちろん、客からの評判もよくなつみは大満足であった。
23 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時14分35秒
「はーい!」
「あ、圭ちゃん!いらっしゃーい」
扉が開くと保田圭が入ってきたので、なつみが笑顔を向ける。
「あれ?あいぼんはー?」
「ごめーん、今日、あいぼんと亜弥ちゃん、お休みなの」
「なんだよー、あややもいないのかよぉ」
保田圭は不満そうにしながらもカウンターの端の席に座る。

「いらっしゃいませ」
梨華がおしぼりを出す。
「あれ?新人さん?」
「はい、梨華です。よろしくお願いします」
「へぇー、超カワイイじゃん!なっち、イイ子、見つけてきたね!」
「うん、まあねっ!」
24 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時15分10秒
圭はワインを飲みながらもジロジロと梨華を見つめていた。
「梨華ちゃんは学生さん?」
「いえ、会社員です」
「ふーん、OLさんかぁ」
「えっと、圭さんは何をなさってるんですか?」
梨華は圭の視線に戸惑っていたが笑顔で聞いた。
「うーんとね、いわゆるメイクさんだねー」
「メイクさん?女優さんとかモデルさんのですか?」
「うん、そうだよ」
「へぇ、すごーい!!」
梨華は感心していたが、そういえば、ひとみの店でも芸能人に会ったことが何回かあった。
業界にはそういう人が多いという話しを、ひとみから聞いていたのを思い出した。

「あー!ね、ね、なっち!」
なつみはソファーの方のお客の相手をしていたが、ちょうど飲み物のお代わりを作ろうと席を立っていた。
「なに?圭ちゃん」
「この子、絶対、カオリのタイプじゃない?」
「あー…うん、わかるわかる!カオリ、好きそうだね!」
「でしょー?ちょっと電話するわ」
25 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時15分54秒
圭は携帯電話を取り出し、何やら会話をはじめた。
「カオリ?アンタ、今すぐおいでよ!」
梨華は何が起きているのかわからず、ぼんやりと見ていた。
「まだ仕事中なの?終わってからは?…あー、あのカメラマンだと何時になるかわかんないねー」
圭はワインを一口飲んで、梨華を見た。
「アンタが好きそうな新人さんが入ったんだけどー」
梨華はどう反応してよいのかわからず、とりあえずニッコリとした。
「明日!?…ね、梨華ちゃんは明日入ってるの?」
「あ、はい」
「OK!じゃ、明日ね。また電話するわ!」

圭は電話を切ると、微笑んで梨華を見た。
「また明日、私の友達と一緒に来るから、よろしくね」
圭はワインをグッとあおると、席を立った。
「あれ?圭ちゃん、もう帰るべか?」
なつみが驚いて声をかける。
「うん、明日、カオリとまた来るからさー。明日はゆっくり居させてもらうから、今日は帰るわ」
「あ、ありがとうございました」
梨華は慌てて、圭を店の外まで見送った。
26 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時16分36秒
圭は梨華の全身を眺めると、
「アンタ、スタイルもいいねー。OLなんかもったいないよ。
モデルでもやったらいいのに。あ、身長がちょっと足りないかな」
「いえ、私なんてー…」
圭は梨華の肩を抱いて、頬にキスをした。
「!!」
「じゃ、また明日ねー!」
圭は手を振って行ってしまった。
頬とはいえ、キスをされたことに驚いてボー然としてしまっていた。

「りっかちゃーん!」
梨華の目の前にニヤニヤしたあゆみが現れた。
「あゆみちゃん!」
梨華はホッとして笑顔になった。
「やっぱ、モテモテだねぇ。よっすぃーが心配するのも無理ないか」
「も、もう、見てたの?あれ、そういえば、こんな時間までどうしたの?」
「あ、さっきまで向こうのお店にいたの。今日はタカちゃんのこと泊めてもらうから」
愛の家は、店から歩いても20分くらいで行ける。

「そうなんだー。向こうも忙しそうだった?」
「うん、お客さんいっぱいになったし、タカちゃんに頼まれたから、
梨華ちゃんの偵察に来ました!」
「何それー?」
「いいからいいから、ホラ、お店戻るよ」
あゆみに背中を押されて、梨華も店の中に戻っていった。
27 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時17分06秒
「いらっしゃいませ」
あさ美が言うと、なつみもこちらを見る。
「いらっしゃい、アレ、梨華ちゃんの知り合いかい?」
「はい、会社の同僚なんです」
「こんばんは」
「あ、向こうのお店に梨華ちゃんと一緒に来てた子だべ?」
なつみの問いにあゆみはニッコリと頷く。
「そっかそっか、ま、こっちでもゆっくりしていってね」
「はい、ありがとうございます」

あゆみは、カウンター席に座って、しばらく梨華の働き振りを観察していた。
お客への気の配り方やあしらい方は、とても今日はじめての人とは思えないほどだった。
(梨華ちゃん、会社辞めてもココで働いていけそう…
むしろ、こういう仕事の方が向いてるんじゃないかなぁ)
あゆみは感心すると同時にうらやましくさえ思っていた。
28 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時17分38秒
「「「おつかれさまでした〜」」」
「うん、お疲れ様。あ、梨華ちゃん、ホントによく働いてすごく助かったよ」
閉店後、なつみが梨華の肩を叩く。
「いえいえ、とんでもないです。明日もよろしくお願いします」
従業員一同で店を出ると、ひとみが店の前で待っていた。
ひとみがみんなを見て「お疲れっす」と頭を下げる。

「よっすぃー!お疲れ様!迎えに来てくれたの?」
梨華が笑顔でひとみに駆け寄る。
「ん、何か食べてこっか?」
「うん!」
梨華はひとみの腕をとって、並んで歩きはじめた。

仲良さそうな2人の様子を、なつみ、鈴音、あさ美で見ていた。
「まったく、おアツイね〜」
「なっちー、そういういい方、オバサンくさいよ」
「悪かったわねっ!りんねの方が年は上じゃん!」
「でも、気持ちは若いもーん。あ、あさ美ちゃん、ウチらも何か食べてこっか?」
「はい、そうですね」
鈴音とあさ美だけで歩き出したので、なつみが慌てて追いかける。
「ちょ、ちょっと待ってよ〜。店長を置いていくなぁ!!」
29 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時18分28秒
ひとみと梨華は、駅前の牛丼屋で定食を食べると電車に乗り、家に帰った。
それぞれの部屋に一旦戻るが、シャワーを浴び、寝る準備をした梨華はひとみの部屋に行く。

梨華が大きなあくびをしながらベッドに入ると、すぐにひとみも横に入った。
「昼間も普通に仕事してたんだもんね。寝てないし、大変だったでしょ」
「うん、でもホントに楽しかったよぉ…」
梨華はそう言いながら目をつぶるとすぐに眠りにおちてしまったようだ。


実は、あゆみが、明け方のお客が落ち着いた時間に、またひとみのお店の方にやってきた。
『梨華ちゃん、かなりいい働きしてたよ〜あ、お客さんからチューされてたし』
『ふーん・・・』
ひとみはそう見せなかったが、かなりショックをうけていた。
そりゃ自分も客からされてるから、梨華がされても仕方ない。
それはわかっていても、胸の中にフツフツと湧き上がってくるものを感じていた。
30 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月19日(水)01時19分08秒
(そりゃ、梨華ちゃんはカワイイから、お客さんに人気が出るのもわかるよ…)
ひとみは、自分の横でスヤスヤと眠る梨華の髪を撫でていた。
そして、頬に触れ、唇にも触れて、耳元に口を寄せた。

「でも、こんなことまでできるのはウチだけだよね…」
ひとみは梨華にキスをして、そのまま下に下がっていき胸に顔をうずめた。
(やわらかいなぁ…)
「う…ん…」
梨華は寝ぼけているのか、ひとみの頭をそのまま抱き寄せた。
(く、苦しい…でも、気持ちいいよぉ…)
ひとみは赤ん坊のように梨華の胸に抱かれながら眠った。
31 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月19日(水)01時25分36秒
更新です。梨華ちゃん、バーで働くの1日目の巻。
キリのいいとこまでと思ったら、大量になってしまいました。(汗)
前回登場しなかった人もたくさん出してます。

>8さん、11さん
ありがとうございます。ご期待に添えるようがんがりたいと思います(笑)

>オガマーさん
ありがとうございます。何回も読み返していただくなんて、うれしい限りです。
ご自身も書かれてますよね?お互いがんばりましょう!

>10さん
ありがとうございます。今回もDLしていただけるようになれるようがんばります(笑)
32 名前:オガマー 投稿日:2002年06月19日(水)01時38分31秒
おお、はやくも更新されている!!
タカちゃんとあゆみちゃんカップルもw
この小説、キャラがとても活きてますよね!
市さんの男前っぷりとナンパぶりも好きですよw
がんがっていきまっしょい!w(僕の方は更新終了ですが@笑
33 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月19日(水)02時40分22秒
前作が大好きだったのでつづきが読めるのがめっちゃうれしいですよ〜♪
それと最近しばっちゃんが好きなのでしばっちゃんが小説に出てくるのは単純にうれしいです^^
34 名前:10です 投稿日:2002年06月19日(水)09時26分23秒
うわーい。
高橋以外の五期メンも登場ですね。
自分、小川推しなんです。
しかも、よっすぃー系のオトコマエキャラになって欲しいと思ってたり…
なので、よっすぃーの店の後輩って設定に大喜びしてます。
今回もDL保存の予感が!
35 名前:ルーク 投稿日:2002年06月19日(水)18時17分09秒
前回のいちばん信頼できる人から、読んでいました。
ほんっとに、面白いです。
かなり大好きです。
個人的に、保田さんと加護の絡みがあればいいなと・・・(希望)
石川のことを心配する吉澤が、可愛らしくていいですね。
二日目がどうなっていくのか、これから楽しみです。
がんばってください。
それでは失礼します。
36 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時04分27秒
翌日、昨日と同じように、ひとみは梨華を店まで送った。
ひとみは心配で心配でしょうがなかったが、今日1日のガマンと思い、
梨華の前では何事もないようにふるまっていた。

今日は開店直後に、圭がやってきた。
「「いらっしゃいませ」」
「圭ちゃん、いらっしゃーい」
梨華とあさ美、なつみが声をかける。
圭はニッコリとするとカウンターではなくソファーに座った。
「あ、今、カオリ、タバコ買っててすぐ来るから」

梨華がおしぼりを二つ用意してると、扉が開いて、飯田圭織が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「カオリー、久しぶりだね〜」
「うん、ごめんね、しばらく来てなくてー」
圭織はなつみに微笑んで答えると、圭の隣に腰掛けた。

梨華は圭織の姿を見て驚いていた。
圭織は梨華が愛読しているファッション雑誌のモデルであり、
最近ではドラマや映画でも活躍しているタレントなのだ。
そんな憧れの人が目の前に現れて、梨華は緊張してしまっていた。
37 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時05分09秒
「あ…い、いらっしゃいませ」
梨華がソファーの方に行き、圭、そして圭織におしぼりを渡す。
圭織はその間、じっと梨華の顔を見つめていた。

「あ、昨日話した子、梨華ちゃん。どう?カオリ好きでしょ」
圭が圭織の視線に気付き、梨華を紹介した。
「は、はい、梨華です。よろしくお願いします」
梨華は圭と圭織の間に座り、ペコリと頭を下げる。
今度は圭織は梨華の全身をなめるように見た。
そして視線が顔に戻り、梨華と目が合うとニッコリと微笑んだ。

「うんっ!超カワイイ!!カオリのタイプ〜」
そう言うなり、梨華に抱き着いてきた。
「あ…ありがとうございます」
梨華はこんな有名人に抱きしめられるなんてと、純粋にうれしく思っていた。
38 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時06分34秒
一方、ひとみの店では、お客が入りはじめた頃に、愛が冷蔵庫を見てつぶやいた
「あ、レモンがもうなくなりそうっす…ヨシさん、すんません、買出しいってもらっていいっすか?」
「えっ?」
ひとみは、愛がなぜ麻琴ではなく先輩の自分に頼んだのかと怪訝そうな顔をした。
そんなひとみの耳元に愛がささやく。
「ついでに向こうの店の様子見てきていいっすよ」
ひとみはそんな後輩の気遣いに感謝して、愛の頭を撫でてすぐに店を飛び出した。
39 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時07分51秒
ひとみがそっと店の扉を開けて覗くと、客はカウンターに一組とソファーに一組だけであった。
あさ美が「お疲れ様です」というと、ひとみは唇の前に人差し指を立て「シーッ」とささやいた。
なつみもそれに気付き、ニッコリ笑って、ソファーの方に視線を送り合図をする。
梨華、圭、圭織はこちらに背中を向けているため、こっそり入ってきたひとみに気付かなかった。
しかも3人はすごく盛り上がっていて、梨華もお酒が入っているのかかなりテンションが高い。
圭織は梨華の肩に腕をまわしているし、圭も梨華の太ももを触っていた。
さらに圭織が梨華にキスをするところまで見てしまい、ひとみはそっと店を後にした。
(そりゃ、あの飯田圭織からキスされたらうれしいよな…)

その後、ひとみは沈んだままで仕事があまり身に入らずにいた。
その様子に気付いていた愛と麻琴はどうしたんだろうと首を傾げていた。
40 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時08分26秒
少し店が落ち着いてから、麻琴がなつみの店に電話をかけると、出たのはあさ美であった。
「あ、マコトですけどー」
『・・・』
「もしもーし?あさ美ちゃんいますかー?」
『えっ!?あ!ああ!!お疲れ様ですっ!!私です!!』
「あ、よかったー。あのね、聞きたいことがあるんだけどー…」

麻琴は、そっちの店にひとみがいったときの状況を聞き出した。
愛にもその話しをしたが、原因はわかったものの、どう対処していいのかわからない。
「どうしようもないか…」
結局、愛と麻琴はひとみにはなるべくカウンターの中の作業をするようにしむけて、
接客は自分たちでがんばってひとみのフォローをするしかなかった。
41 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時09分12秒
そして閉店後、なつみは梨華にバイト代を渡した。
「梨華ちゃん、本当にありがとね」
「お世話になりました。とっても楽しかったですよ」
「そう?よかった!あ、これから、何か食べていこうか?もちろん、ごちそうするから」
なつみが笑顔で言うと、
「えー、ホント?なっち、ありがとう!!」
鈴音がそう言って、なつみの手を取った。
「ちょ、ちょっと、誰がりんねにごちそうするって言った?」

すると、あさ美もなつみの背中に抱きついてきた。
「お寿司がいいなあ…」
「も、もうなんなのよぉ。しょうがないなあ、みんなで行くぞ!」
なつみも困りつつも、人手が少ない中、がんばった従業員たちを慰労することにした。

あさ美の一言で、なぜか築地までやってきて、朝から寿司を食べる4人。
梨華は来る途中にひとみに今の状況をメールしたところ、
『お疲れさま〜いっぱいごちそうになってきなよ』と返ってきた。

その言葉があってか、梨華は次から次へと注文していた。
鈴音ももちろんなつみもすごい食欲であった。
あさ美もスローペースだが、ずっと食べ続けていた。
42 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時09分57秒
「ね、梨華ちゃん、評判いいし、よかったら続けてバイトしてくれないかな?」
ここぞとばかりに、ニコニコと優しい目でなつみは梨華を見た。
「うーん…よっすぃーと2日間だけって約束しちゃったんで…ごめんなさい」
「よーし、じゃよっすぃーを説得するかぁ!あ、今日連れてくればよかったぁ」
「じゃ、また一緒に連れてきて下さーい」
梨華が寿司を頬張りながら答える。

「あ、そんときはアタシも付いて来てあげるよ〜」
「私も」
鈴音とあさ美が言ったのを、なつみはにらんで見ていた。
「だったら、もっとシフト入ってよね〜」
「あ、サーモン、サビ抜きでお願いします」
「あ、アタシもサーモン!」
「ちょっと、なっちの話し聞いてる?」
「えーっと、あとトロもサビ抜きで…」
梨華はニコニコと3人のやりとりを見ていた。
(こんないい人たちばっかりに囲まれての仕事だったら楽しいよねぇ)
43 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時11分13秒
ひとみは閉店後、梨華のメールを見てさらに落ち込んでいた。
(なんだよー、一緒に帰れないのかよ…)

「ヨシさーん、何か食べていきませーん?」
店を出てまっすぐ駅の方に向かおうとするひとみに愛が声をかけた。
「ん、いいやー。お疲れー」
ひとみは振り返りもせずに、手だけ振って帰っていった。

「ヨシさん、相当落ち込んでるなあ」
「大丈夫かなあ、あんなヨシさんはじめて見た」
愛と麻琴が心配そうにひとみの背中を見送っていた。
「自分の女のことになるとあんななっちゃうなんて、すごく意外…」
44 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時11分49秒
「なんや、よっさん、やっぱり女絡みかいな」
二人の背後に、裕子が立っていた。
「うわっ!店長、驚かさないで下さいよ!」
麻琴が思わず声を上げる。

「よっさん、いつもはクールなのに今日は暗いってカンジやったからなあ。
ま、お客さんに対してはそう変わらないでやってたから、とくに注意もせえへんかったけど」
「たぶん、今日一日、梨華ちゃんと一緒にいれれば元気になるとは思うんですけどねえ」
「そうか、ま、よっさんも女で悩むようになったかぁ、なんかうれしいわ」
裕子はひとみに彼氏がいることも知っているので、本当にこっちの道に入ってくれるのがうれしいのだ。

「なんすか、店長、人の不幸喜ぶなんてー」
麻琴が少し怒ったような声を出す。
「ま、ま、いいやん、ほれ、帰るぞ」
裕子はニヤニヤしたまま、愛と麻琴の背中を叩いた。
45 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時13分19秒
梨華は、自分の部屋に帰ると、疲れと満腹感のためか、
そのままソファで寝てしまっていて、気が付いたら、もうお昼を過ぎていた。
「あーっ!!よっすぃー!」

梨華は慌てて電話をした。
『…はい』
ひとみはかなり不機嫌そうな声を出した。
「あ、寝てた?ごめんねー。帰ってきてそのまま寝ちゃってた」
『うん…』
「これからシャワー浴びて、そっち行くね」
『ん…』
「じゃ、あとでねっ」

ひとみは実は寝てなんていなかった。
梨華がこのまま来てくれなかったらどうしよう、なつみたちとではなくて、
圭織と食事に行ってるのではないかと疑ってさえいたのだ。
そんな状態で眠れるわけがなかった。
46 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時14分35秒
小一時間程して、梨華がひとみの部屋にやってきた。
「ごめんねー、お寿司すっごい食べちゃったから、お腹いっぱいで眠くなっちゃった」
「そう…」
ひとみはベッドに腰掛けていたので、その横に梨華も座った。
「あさ美ちゃん、面白いのー!気が付いたら次の食べてて、とにかくずっと食べてるんだもん…」
寿司屋でのエピソードからだんだんお店の話しになっていった。
梨華は昨日も早く寝てしまっていたから、ゆっくり話しをしていないせいもあり、
興奮してずっとしゃべりまくっていた。

「そうそう!飯田圭織が来たの!!」
「…ああ、そっちの店の常連だからね」
ひとみは、素っ気なく答えた。
「私聞いてなかったから、ホントびっくりしちゃって、緊張して最初しゃべれなかったのー。
だって、あの飯田圭織だよ!すごいと思わない?」
「そう?」
「私、モデル時代からずっとファンだし、ホントうれしくってー…」
延々と圭織の魅力について語る梨華に、ひとみはイライラしてきた。
47 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時15分38秒
「…飯田圭織も梨華ちゃんのこと気に入ってくれたんでしょ?」
「うん!あんなキレイな顔して、オヤジギャグとかまで言ってくれるんだよ〜」
「ふーん、キスもされたでしょ?」
「ああ、うん…お客さんだから…」
「でも、あの飯田圭織にされたらうれしいよね?」
「うーん、そりゃ、うれしいことはうれしいけど…」

ひとみのイライラは最高潮になっていた。
「じゃ、付き合っちゃえば?」
「え?な、何言ってるの?」
「どうせウチなんかただの一般人だし、飯田圭織みたいにキレイでもないしスタイルよくもないよ!」
突然、大声を出したひとみに梨華は目を丸くしていた。

「どうしたの?よっすぃー?」
「・・・」
ひとみは何も言わずに、梨華に背中を向けてベッドに横になった。
「キスしたこと怒ってるの?」
「・・・」
「よっすぃーだって、いろんな人としてるじゃん」
「だって、それは!」
ひとみが起き上がって、梨華を見る。
「お客さんだからでしょ?私だって一緒じゃない?」
「・・・」
ひとみは何も言い返せず、梨華から目をそらした。
48 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時17分04秒
「私もよっすぃーがいろんな人とキスするの、最初はすごくイヤだったよ、でももう慣れちゃった。
いちいちそんなことで怒ってるのもバカらしくなっちゃって」
「どうせ、ウチはバカだよ」
「そんなこと言ってないでしょ」
「梨華ちゃんは、ウチのことそんなに好きじゃないから、ウチが誰とキスしようが構わないんでしょ?」
「だから、違うってば」
「ウチにあきたなら、そうハッキリ言ってくれればいいじゃん」
ひとみは思ってもいない言葉が口から出てしまった自分自身に驚いていた。
49 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時17分37秒
「…よっすぃーこそ、もう私にあきたの?」
「・・・」
梨華はうつむいてるひとみの目を覗き込んだが、目を合わせてはくれなかった。
「よっすぃーこそ、私のことなんて最初からどうでもいいと思ってたんでしょ?」
「なん…」
「だから彼氏とも別れてないし」
「それは梨華ちゃんがいいって…」

「いいワケないでしょ?2股かけられてるってことだよ!
そりゃ、全然会ってないとかわかってるけど、なんか私、愛人みたいじゃない!」
「…なんで最初からそう言ってくれなかったの!?」
「そんなの言えないよ!そんなこと言ったら、私と別れるって言われるかもしれないじゃない!」
「…えっ?」
ひとみが梨華を見ると、目が涙で溢れていた。
「もういいっ!」
梨華はそのまま部屋を出ていってしまった。
50 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月20日(木)21時18分16秒
ひとみは、梨華を追いかけようか迷ったが、自分にそんな資格がないことに気付いた。
(ウチは確かにバカだよ…梨華ちゃんの気持ち、全然わかってなかった…
それなのにくだらないことで嫉妬なんかしちゃってさ…)
「梨華ちゃん・・・」
ひとみは梨華の代わりに枕を抱きしめた。

梨華は自分の部屋に戻ると、ベッドに飛び込んだ。
「よっすぃーのバカバカバカ!!」
枕元に置いてあったひとみからのプレゼントのピンクのプーさんのぬいぐるみにパンチする。
気が済むまで殴ると、プーさんをギュッと抱きしめた。
(あーあ、ついに彼氏のこと言っちゃった…よっすぃー、あきれてるだろうな…
ホントに私と別れる気になっちゃったかもな…)
「よっすぃー・・・」
51 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月20日(木)21時19分39秒
更新です。波乱中です(笑)

>オガマーさん
ありがとうございます。今回は圭織と紺野のキャラを立たせてみました(笑)

>33さん
どうもです。しばちゃんはこれからもでてきますが、
実はあまりしばちゃんのキャラを知らないので、全くの想像で書いてます。
結構クールというか、自分の意見をはっきり言うようなことは聞いたことがありますが…

>34さん
自分は5期メンでは紺野推しです(笑)
なので、紺野の恋話も絡めていこうと思ってますよ〜小川も…(笑)

>ルークさん
ありがとうございます。保田と加護の絡みは今のとこ考えてなかったですが、
どこかで出せればと思っています(笑)
52 名前:ルーク 投稿日:2002年06月20日(木)22時43分55秒
更新お疲れ様です。
よしといし修羅場ですねー。
んー、確かに二股はいけないぞ吉と(笑)。
気持ちのすれ違いが、もどかしくて、そこがまた甘い感じでいいです。
これからが楽しみです。
そして、やすとかごの絡み、淡く期待しております(笑)。
それでは、失礼します。
53 名前:8 投稿日:2002年06月21日(金)01時30分27秒
よっすぃー彼氏と続いてたんですね、てっきり…(略
コソーリおがこんに期待(w
54 名前:オガマー 投稿日:2002年06月21日(金)03時44分04秒
嗚呼、波瀾…
切ないぃ
55 名前:. 投稿日:2002年06月21日(金)18時28分35秒
あぁ・・続編始まっていたんですね。
うれしいけど、また泣かされちゃうのか・・(w
56 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年06月21日(金)19時35分25秒
師匠、お久しぶりです。続編始まっていたんですね!
また楽しみが増えました。でも、なんだか波乱のようで。
こちらもハラハラドキドキです。
57 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月22日(土)01時02分20秒
やっぱ寿司にワサビはいるよなー。
58 名前:ステキカット 投稿日:2002年06月22日(土)08時03分33秒
前作が大好きだったので、続編が始まってかなーり嬉すぃです。
今回はタイトルに?がついてるとこが気になりますが(笑)
楽しみにしてますので、がんがってくださいませ。
59 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時12分10秒
結局、その日はもちろん、その週はずっとひとみと梨華は顔を合わせなかった。
電話もメールもしていない。
ひとみの落ち込みようは相当なものだった。
愛も麻琴も心配していたし、仕事に支障をきたす、と思ったのだが、
なぜかそんな憂いをおびたひとみもイイと、変に客の方が盛り上がっていた。

梨華は、会社の仕事はソツなくこなしていた上に、残業はすすんでやったし、
飲み会があれば参加していた。
まっすぐ帰るとひとみに会ってしまう可能性が高い。
朝も出勤時間をずらして、ひとみが仕事から帰ってきそうな時間を避けていた。
お互い、会いたいけど会いたくない、複雑な気持ちのままであった。
60 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時12分45秒
そして、その週の金曜日。
ひとみは心ここにあらずのままだが、一応仕事をしていた。
ため息も一日何回ついているのだろうか。
店の電話が鳴る。近くにいたので、ひとみが電話をとった。

『あ、その声はよっすぃー?』
「あ、なっちさんっすか?おつかれさまです」
ひとみは気の抜けた挨拶をした。
『この前は、梨華ちゃん貸してくれてありがとね!ホント助かったよぉ』
「はあ…」
(そのおかげでウチらの関係は今最悪ですけど…)

『またお願いしたいんだけど、ま、それはまた改めて、ね』
「はあ…」
(今の状態で梨華ちゃんにバイトするなとか言えないよ…)

『で、今って、梨華ちゃん、そこにいたりする?』
「いえ、来てませんが…」
(つーか、来るわけない。来てほしいけどさ)
61 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時13分16秒
『そっか、そこにいたらすぐ来てもらえると思ったんだけどな…
じゃ携帯にかけてみるわ』
「あ、あの、どうかしたんですか?」
『いやー、カオリが来ててね、梨華ちゃん呼べってうるさくてねー。
ま、来てくれたら、こっちも助かるし。ホント、梨華ちゃん、大人気だったんだから』
「そうっすか…」
『うん、ごめんねー、ありがと!あ、ゆうちゃんによろしく!じゃあね〜!』

なつみの明るい声に反比例してひとみの気持ちはさらに暗くなっていった。
(…梨華ちゃん、絶対行くよ。だってあの飯田圭織に誘われてるんだよ!
もしかしてホントに付き合っちゃうかな…付き合わなくてもHくらいしちゃうんだろうな…)
ひとみは、今にも叫び出しそうな気持ちになった。
(梨華ちゃんはウチのもんだー!絶対誰にも渡さないっ!!)
でも、実際そうは叫べないどころか、梨華に電話をする勇気すらないひとみであった。
62 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時13分47秒
その翌朝、ひとみはぐったりとした状態で家に向かっていた。
体よりも梨華のことでの精神的にかなり疲れていた。

「!!」
自分の駅で降りると、少し先を梨華が歩いていた。同じ電車だったようだ。
(…やっぱり、飯田圭織とHしちゃったんだろうな…
梨華ちゃんがこんな時間に帰ってくることなんてないもん)

梨華はなんだか足元が弾んでいるように見えた。
(ちっきしょー!そんなに楽しかったのかよ!!)
本当はすぐにでも梨華のことを抱きしめて、キスしたい。
だけど、ひとみはこうして梨華の少し後を歩くことしかできなかった。

梨華はまっすぐマンションに入っていったので、ひとみはコンビニに寄ることにした。
朝ゴハン用にベーグルとゆで卵を買い、少し時間をおいてからマンションに向かった。
63 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時14分21秒
梨華は自分の部屋に着くと、メールを打ちはじめた。
『お疲れさま〜楽しかったね!私たちもがんばろうね(笑)』
すぐに返事がくる。
『お疲れ〜同期揃ったの久し振りだもんね!
梨華ちゃんはがんばってもよっすぃーじゃ結婚はできないぞ(笑)』
(よっすぃー、私とは結婚できなくても彼とできるんだもんね…)

メールの相手はあゆみであった。
昨夜は会社の同期の女の子が寿退社をするということで、送別会をしていたのだ。
かなり盛り上がって、朝までカラオケをしていたというわけである。
なつみを通じて圭織のお誘い電話をもらったが、そういう状態では行けなかった。
『また今度お願いします』と社交事例を言ってみたりした。

(行くなって言ったら行かないからね、よっすぃー…でももうそんなことも言ってくれないか…)
梨華はひとり寂しく笑った。
すると、隣の部屋のドアが閉まる音が聞こえた。
(あ、よっすぃー、今帰ってきたんだ…お疲れ様…)
64 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時14分57秒
(梨華ちゃん、今頃、昨日の夜のことでも思い出してるんだろうな)
ひとみはやるせない気持ちになって、カベを蹴飛ばそうとしたが、そのままカベに寄り添った。
(…梨華ちゃん、会いたいよ…)
このカベの向こうには梨華がいる、そう思うだけで涙がでてきそうだった。

そしてひとみは何か考えながら、部屋の中をウロウロしはじめた。
「よしっ!」
意を決してひとみは携帯電話を取り出した。
65 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時15分32秒
その頃、梨華はシャワーを浴びていた。
体を洗いながら、自分のお腹の辺りを見る。
(赤ちゃんかぁ…)
同期の子は寿だが、いわゆるできちゃった結婚であった。
ひとみといくら体を重ねても、こればっかりはありえないことだ。

(よっすぃーが彼氏と子供作って、それを2人で育てられたらなあ…
でも一人っ子はさみしいし、私も誰かの子供作って…
誰がいいかなぁ…あー、課長とかいいかも…かっこいいしやさしいし。
いい子供ができそう。しかも不倫だから未婚の母でも全然おかしくないし)
梨華は、自分たちの二人の娘が成人するところまで妄想していた。
(…別に考えるだけならいいよね、よっすぃー)
66 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時16分06秒
梨華はお昼頃まで眠ったあと、実家に帰った。
もともとこの週末に帰る予定であって、夜は地元の友達数人と居酒屋で会っていた。

「梨華、最近、全然帰ってこないじゃーん」
「えー、でも、この前みんなに会ってから1ヶ月くらいしかたってないでしょ?」
梨華は確認するため、自分の手帳を取り出して、先月のページを見ようとした。

「あれっ!?今の写真、彼氏?」
梨華の手帳に挟んであったのがチラリと見えたらしく友人の1人が声を上げた。
「えっ?梨華、彼氏できたの?」
「ちょっと、見せてよー」
「え、いや、あのね…」
梨華が戸惑っていると、手帳をとられ、その写真をみんなに見られた。

「かっこいいじゃーん!」
「大学のときの人とは別れたんだよね?」
「会社の人とか?」
「いや、違うんだけど…」

その写真は前に旅行に行ったときに撮ったもので、ひとみが梨華の肩に腕をまわして、
カメラをちょっとにらんでいるような顔のものであった。
確かに男の人に見えるし、2人は普通にカップルに見える。
67 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時16分37秒
「何?じゃ、どういう風に知り合ったの?」
「あ、おな…近所に住んでる人なんだけど…」
同じマンションと言ってしまいそうになり、慌てて訂正した。
何せ女子専用のマンションである。
前の彼がストーカー状態になり、家の前まで来られたときに助けてくれたのをきっかけに
付き合うことになったという話をした。

「えー、超カッコイイ!ケンカも強いんだ!!」
「うん、ボクシングジム、通ってるから…」
「いいなあ!ウチんとこなんか、この前、殴り合いのケンカしたら、私が勝っちゃったんだから」
みんな笑うが、梨華はかなり微妙な気持ちだった。

「自慢の彼氏だねぇ。今度紹介してよ」
「あ、うん、そうだね」
確かにこんな自慢できる恋人はいないだろう。
優しくて、強くて、ルックスもよくて…ただし女の子だけど。
それでも、梨華は幸せだと思っていたし、実際自慢したいくらいだ。
(これから先もずっと一緒にいたいのにな…)
今のひとみとの状況を思い出すと、切なくなる梨華だった。

その日もまた遅くまで遊んでいたため、
次の日に梨華が目覚めたのは母に起こされた昼前であった。
68 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時17分13秒
久し振りに家族で食卓を囲んでの昼食。
それはそれでやはり梨華をすごく安らかにさせた。
(よっすぃーと別れることになったら、実家に戻ってこよう…)
あのマンションで、ひとみの側にいるのは辛すぎる…梨華はそう思った。

食後もみんなでテレビを見たりしながら、まったりと過ごしていた。
「梨華、夕食も食べていくんでしょ?」
「あー、うん、そうしようかなぁ」
母親の問いに答えたとき、梨華の携帯のメール受信の音が鳴った。
(えっ!?)
その音はひとみからのものだった。慌てて、携帯の画面を見る。

『今日、部屋に来れる?話しがあるんだ』
梨華はメールだけなのに、すごくドキドキしていた。
ひとみに会える喜びと、別れを告げられるのでは?という不安とで。
「お母さん、ごめん、やっぱ夕飯いらない」

『うん、7時くらいなら大丈夫』
『じゃ待ってるね』
梨華は携帯を抱きしめたまま、マンションに帰っていった。
69 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時17分49秒
ひとみは今朝、仕事から帰ってきて、梨華の部屋のインターフォンを鳴らしたのだが、
反応がなかった。
睡眠をとってから、もう一度部屋に行ってみたが、これまたダメであった。
(電話やメールじゃなくて、直接話したいんだよな…)
それで、今日の予定を聞くのにメールを打ったのだった。
とりあえず、梨華との約束にこぎつけることはできた。

「よしっ!がんばるぞぉ」
ひとみは、今日はジムには行かずスーパーに向かった。
そして時間をかけて腕によりをかけて夕食の準備をした。

気合を入れたせいか、食事の仕度が早く終わり、
意味もなく部屋の中をウロウロしているところにインターフォンがなった。
ひとみはダッシュで受話器を取る。
「はい」
「あ、私…」
「カギ開いてるから、入ってきて」
「…うん」

梨華は正直戸惑っていた。
(いつもなら、玄関まで来てくれるのに)
沈んだ気持ちのまま、リビングまですすんだ。
70 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時18分22秒
「梨華ちゃん…」
梨華が顔を上げて、ソファに座っているひとみを見るが、言葉が出ない。
「とりあえず座って」
ひとみが体をずらし、自分の隣にスペースをつくる。
梨華はコクンとうなずくと、座った。
そして、テーブルの上に並べられた料理が視界に入った。
「うわぁ…」
梨華は小さくつぶやいた。すごく豪勢な食事であるとともに、梨華の好物ばかりなのだ。

ひとみは、そんな梨華の表情を確認して、少し微笑んだ。
「食事の前に話しがあるんだ」

梨華はハッとしてひとみを見た。
(最後の日だから、こんな食事用意してくれたとか!…)
またすぐにうつむいてしまう梨華であった。
「…うーんと、あのさ…」
ひとみも正直どう話していいかわからなくなっていた。
71 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時18分54秒
「ああ、もう!簡単にいうとね、彼氏と別れたから!」
「えっ!?」
梨華がひとみの方に向きなおすと、ひとみは頭をかきながら照れくさそうにしていた。

「ごめん、ウチ、梨華ちゃんの気持ち全然わかってなかった。
彼氏にも、別に好きな人ができたって話したんだ。
…やっぱ、ウチが一番好きなのは、梨華ちゃんだからさ」
梨華はヒックヒック言い出して泣きはじめた。
ひとみは、梨華の頭を優しく撫でる。

「梨華ちゃんが、こんなウチのこと、もう好きじゃなくなって当然だよ。
とりあえず、今の自分の気持ちだけははっきり言っておきたかった。
都合いいかもしれないけど、できれば今まで通り付き合ってたい」
梨華は泣き続けるだけで何も言い出さない。

「はぁ、やっぱ、こんなヤツじゃ付き合ってらんないよね…友達としてでもダメかな?」
梨華はただ泣いているだけだ。
「じゃ、じゃあ、お客さんとしてだけでも、これからもウチの店に来てくれないかな?
あゆみちゃんと一緒のときでいいからさ。月に一回くらいでいいから、ね?」
梨華が黙ったままなので、ひとみは頭を抱えて困っていた。
「あー、なんか未練がましいなぁ!こんなんじゃもっとイヤになるよね…」
72 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時19分30秒
ひとみが立ち上がろうと腰を少し上げた瞬間に、梨華がひとみに飛びついてきた。
ひとみはソファからはみだしながらも、押し倒されるカタチになった。
「うわっ!」
「わ、私だって、私だって…」
梨華はグズグズ言いながらも、言葉を発した。
「へっ?」
「私だって、よっすぃーが一番好きだもん!!
よっすぃーが私のことを思ってるより、ずっとずっと私の方がよっすぃーのこと好きだもん!」

ひとみは梨華から体を少し、顔を覗き込んだ。
そして、頬の涙を親指でぬぐうと同時にほっぺたを引っ張った。
「何言ってんだよぉ!ウチの方が絶対梨華ちゃんのこと好きだよ!」
「そ、そんなことないもん!私の方だもん」
ムキになってる梨華を見て、ひとみはより一層この子が好きになってると感じていた。
「…じゃ、勝負しよっか?…」
ひとみは、ゆっくりと梨華と唇を重ねていった…
73 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時20分04秒
約2時間後―
「あー、もうせっかくのごちそうがすっかり冷めちゃったね」
シャツのボタンをはめながら梨華がつぶやく。
「うーん、ウチはごちそう食べちゃったからなあ」
ひとみもTシャツに袖を通しながら、梨華が着替えるところを見ていた。
「えっ?先に食べてたの?ずるーい」
「つーか、ウチの一番のごちそうは梨華ちゃんだから」
梨華がひとみを見ると、ニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「…もう、バカ…」
梨華は真っ赤になって、ひとみに背中を向けて、着替えを続けた。

「ね、よっすぃー」
「ん?」
梨華はひとみの方は見ずに、言葉を続けた。
「あのね、さっきの言葉すごくうれしかったよ…
私のこと、すごく好きでいてくれてるんだなあって」
「うん、ダイスキだよ」
ひとみは当然のように言い切った。

梨華は着替え終わり、ひとみの方を向くが、恥ずかしそうにうつむいていた。
「これからもね、よっすぃーの気持ち、どんどん話してほしい。
別にワガママ言ってくれてもいいから…」
74 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時20分46秒
ひとみは梨華の側に行くと、立て膝になり、梨華の胸に顔をうずめた。
「…しばらくこうさせて」
「うん…」
梨華はひとみを抱きしめ、頭を撫でた。

「梨華ちゃんのおっぱい、ダイスキ…」
「えっ?よっすぃーのエッチ!なんで、そういうこと言うの?」
梨華がひとみの頭を軽く叩いた。
「だってー、ウチの気持ちどんどん話してほしいんでしょ?」
「う、うん、そうだけど…」
「大きいし、やわらかいし、気持ちいいし大好き」
「へっ?あ、ありがとう…」

「あとねー、髪の毛も好き、このサラサラなとことか・・・」
ひとみは、梨華の体のどこがどういう風に好きかをずっと語りはじめた。
(そういう意味で言ったんじゃないけど…ま、いいか)
梨華は、ひとみの言葉を単純にうれしく思っていた。
75 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月22日(土)10時21分22秒
次の日の夜、出勤したひとみはこの一週間がウソのようにご機嫌だった。
「あれ?ヨシさん、梨華ちゃんと仲直りできたんですか?」
愛がうれしそうに聞く。
「まあね。ウチが勘違いしてただけだったからー」
圭織とは会ってもいないことを聞かされて、ひとみは安心していた。

ハナウタを歌いながら更衣室に入ったひとみを見て、愛と麻琴は顔を見合わせた。
「梨華さんのことでこんなに左右されて、これから大丈夫なのかな?」
「とりあえず、元気になったってことで、仕事もしやすくなるからいいっしょ」
「それもそうか」
あきれながらも安心した二人であった。
76 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月22日(土)10時22分47秒
更新です。相変わらずベタな甘々シーンですんまそん…

>ルークさん、8さん
ありがとうございます。
よっすぃーの彼は北海道に行ってますが、「東京に帰ってきたら結婚しよう」という言葉に、
よっすぃーは頷いています。
とはいっても、放任主義の彼なので、北海道に行ってからはほとんど連絡をとってません。
彼の方も、そんな自分に愛想がつかされても仕方ないと、あっさりあきらめたようですね(笑)

>オガマーさん
どうもです。波乱は軽く済ませました(笑)

>55さん
ありがとうございます。こんな駄文で泣いていただけるのでしょうか(笑)

>名無しベーグル。さん
ご無沙汰してます。楽しみといっていただけて光栄です!

>57さん
紺ちゃん、お子ちゃまなんで(笑)うたばんでの発言をそのまま使いました(笑)

>ステキカットさん
ありがとうございます。『?』はあまり意味がないかもしれません(笑)
77 名前:オガマー 投稿日:2002年06月22日(土)11時59分26秒
う〜ん(´ー`*)
やはりこの2人はこういうのがよい♪
78 名前:のびえもん 投稿日:2002年06月22日(土)13時21分29秒
甘くて最高です。いしよしなんだから、砂糖100個入れてもいいじゃんってことでこれからも甘甘でお願いします。
79 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時03分56秒
その数日後。
梨華が仕事から帰ってきて、駅の改札を出ようとしたとき、前の人がひっかかっていた。
定期券の磁気がおかしくなってしまっているようだ。
ふとその人の顔を見ると、
「あれ?あさ美ちゃん?」
「あー、梨華さん!どうもこんにちは」
あさ美はなつみの家の近くのアパートに住んでいる=ひとみと梨華のマンションからも近いのだ。

二人とも夕食がまだだったので、近くのパスタ屋で一緒に食べることにした。
「今日はお店お休みなの?」
「はい、レポートの提出が明日なんですけど終わってなかったんで、さっきまで図書館でやってたんです」
「そっか、学生さんで、バイトも忙しいとなると大変だね」
「いえいえ。私はなっちゃんに結構融通きかせてもらってるので、大変なんかじゃないです」
あさ美はいとこのなつみのことを『なっちゃん』と呼んでいる。
80 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時04分34秒
「あ、なっちさん、元気?」
「はい。あ、梨華さんに続けて働いてほしいってよく言ってますよ」
「うふふ、よっすぃーが許してくれないと思うからムリ」
ひとみのことを思っているせいか、梨華はうれしそうな表情をした。

「お2人は、本当に幸せそうですね」
「この前、大ゲンカしたけどねー。でもそれを乗り越えたから余計うまくいってるってカンジかな」
「いいなぁ…」
あさ美はどこか遠くを見つめていた。

「あさ美ちゃんは、その後好きな人とは何か進展ないの?」
あさ美はブンブンと首を振った。
「…お話すらしてないんで…あ、この前ちょっとだけ電話で話したくらいで…」
「でも、電話できる仲ならどんどんアプローチしたらいいのに」
「たまたま仕事のこと、あ、ちょっと違うか…ま、仕事のことのようなことで電話もらって、
そういう事務的な話ししかしてないんで」
梨華がニヤッとする。
81 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時05分05秒
「あれー?仕事のことっていうと、お店絡みの人?もしかして、私も知ってる人だったりする?」
あさ美は自分の失言に気付いて、一気に顔が赤くなった。
「…あの、えっと…ごめんなさい!」
さらに頭まで下げる。
「別に謝ることじゃないよー。もし、私も知ってる人なら、協力できたらしてあげるのに…
って、もしかして、よっすぃーじゃないよね?」
「それは違います。絶対違いますから!」
「そう、それなら大丈夫…もしかして、タカちゃん?」
あさ美は首を振る。
「ヨシさんもタカさんも素敵だとは思いますけど…」

「ま、まさか、中澤店長!?」
「いえ、それはありえません」
あさ美はきっぱりと言い切った。
「そ、それはそうだよね。ま、それだったら、ある意味すごく応援したいけど…
あー!!わかったー、まこっちゃんでしょ?」
梨華が自信満々に言った。
82 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時05分57秒
あさ美の顔が、より一層赤くなる。
「えっ、あの、その…」
「いいって、いいって。誰にも言わないから。
まこっちゃん、イイ子だもんねー。うん、あさ美ちゃんが好きになるのもわかるよ」
「あ、あの、好きっていうか、いや、好きなんですけど、
付き合いたいとかそんなことまで考えたことないですから。
だいたいまこっちゃんには真希さんがいるし…」
あさ美はしどろもどろになっていた。

「真希さんはイチさんと付き合ってるんだし、まこっちゃんの片思いでしょ?
だったら可能性は全然あるじゃない!がんばろうよ」
「いえ、私のことなんて相手にしてくれないですから」
「何言ってんのー。あさ美ちゃん、すごくかわいいし、イイ子だもん。
まこっちゃんだって、きっとあさ美ちゃんの魅力をわかってくれるよ」
83 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時07分46秒
あさ美と麻琴は同い年で大学生どうし。店に入った時期もほぼ同じだ。
そのため、お店が合同で開いた歓迎会で、二人ははじめて顔を合わせた。
麻琴の元気のよさ、愛想のよさが自分にはないものだと感じて、
あさ美は自然と麻琴に惹かれていった。
もちろんこの恋心は自分の心の中に閉じ込めておいたので、誰にも話したことがないのだった。

「私なんて、絶対ムリです」
「もっと自分に自信持とうよ〜って、私も、人からよくそう言われるんだけど」
「梨華さんは、キレイだし、やさしいし、女らしいし、完璧ですよ」
「全然だよー。私だって、最初、よっすぃーのこと無理だと思ってあきらめてたんだよ」
梨華がひとみとのことを思い出して、微笑む。

「そうだったんですか?」
「うん、ずっと友達ではあったけど、それ以上にはなれなくて…
付き合うきっかけになったのは、タカちゃんとあゆみちゃん、あ、タカちゃんの彼女ね、
の2人に誘われて4人で行った旅行だったの」
「4人で行ったんですか?」
84 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時08分20秒
「うん、あの2人がきっかけ作ってくれたようなもんだよ。
あ!今度、じゃあ、よっすぃーとまこっちゃんと4人でどっか行く?」
あさ美は黙ってうつむいた。
「…そんな…無理です…」

「無理なんてことないよー!あ、でかけるっていうか、ウチにゴハン食べにくるっていうのはどう?
ウチっていうかよっすぃーの部屋だけど」
「で、でも、まこっちゃんと私が行くのって不自然じゃないですか?」
「じゃ、タカちゃんとあゆみちゃんも誘おう!
よっすぃーが、後輩たちに日頃の感謝をこめて手料理をふるまう企画ってことで」
「で、でも、やっぱり…」
あさ美はまだ心配そうだ。

「よっすぃーには話ししておかなきゃならないけど、タカちゃんとあゆみちゃんには秘密にしておくから。
別にその会でどうこうなれってワケじゃなくて、今までよりも少しでも仲良くなれたらうれしいでしょ?」
「…はい」
「じゃ、決定!あさ美ちゃんは、何も考えなくて大丈夫だからね。
あとは私たちに任せて!」
「…はあ…」
なぜかヤル気満々の梨華に、やはり不安を隠せないあさ美であった。
85 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時09分01秒
そして、その会当日。
あさ美は早めに来て、梨華の部屋で2人でケーキをつくっていた。
これもポイントアップ作戦のひとつである。

ケーキができあがり、ひとみの部屋に行くとほぼ料理ができあっていて、テーブルにいっぱいになっていた。
「さっき、マコトから電話あって、あと10分くらいで駅に着くらしいから、
あさ美ちゃん、迎えにいってくれる?」
「えっ!?私がですか?」
ひとみの言葉に、あさ美が驚く。

「そうだよー、今日はなんのための会だと思ってるのー?」
梨華が笑って、あさ美を玄関まで引っ張る。
「り、梨華さんも一緒に行きましょうよ」
「ダーメ。私はよっすぃーのお手伝いがあるし。がんばってね!」
あさ美は、追い出されるように、ドアの外に出た。
ため息をつくが、仕方ないと割り切って、駅まで向かった。
86 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時09分50秒
あさ美が駅に着いて、少しすると麻琴がやってきた。
「あー、あさ美ちゃん!迎えにきてくれたんだ!ありがと」
「い、いえ!私もこのすぐ近くに住んでるので」
「そうなんだー・・・」
ほとんど麻琴が一人で話して、それにあさ美が相槌を打つ状態だったが、
二人は楽しそうに歩いていた。

マンションに着くと、ちょうど、別の住民が帰ってきたところだったので、
部屋のチャイムを鳴らさなくてもオートロックが解除された。

あさ美と麻琴は、部屋のカギも開いていたので、そのままリビングの方に向かった。
リビングには誰もいず、キッチンから、ひとみと梨華の話し声が聞こえた。
あさ美が声をかけようとすると、麻琴がそれを制し、こっそりと二人の様子をのぞいた。
87 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時10分25秒
「ねー、いいでしょー?」
「ダメ!ほら、そろそろまこっちゃんも来るから」
梨華が洗い物をしている背中に、ひとみがピッタリと抱き着いて、甘えた声を出している。
「ね、ちょっとだけだからー。夜までガマンできないー!」
梨華は困りながらも、どこかうれしそうな表情だ。
「じゃ、ちょっとだけだよ」
梨華が、首だけを後ろに向けると、ひとみが顔を寄せて、キスをした。

「あっ!」
つい、あさ美が声を出してしまった。
ひとみと梨華も体を離し、あさ美と麻琴の方を見る。

「い、いつからいたの?」
梨華が驚いて、たずねる。
すると麻琴が、あさ美の後ろに回り、背中から抱きついた。
「!!」
あさ美はハッと息をのんで、身を固くした。
88 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時11分12秒
「『ねー、いいでしょー?夜までガマンできないー』」
麻琴はひとみの真似をして、あさ美の耳元でささやいて笑った。
梨華とひとみも自分たちのことを見られていたことももちろんだが、
その麻琴の行動にも驚いていた。

「ヨシさんって、梨華さんに対してはそんな甘えん坊なんですね」
麻琴があさ美から体を離した。
「バ、バカ!うるせーよ」
「はっきりいって、キショかったです」
「なんだとぉ!」
ひとみは麻琴に軽くパンチをした。
「痛いです!ヨシさん、バカ力なんだからっ」

ひとみと麻琴がじゃれあっている横で、あさ美はまだ硬直状態であった。
梨華があさ美の肩を叩く。
「大丈夫?」
「えっ?ああ、だ、大丈夫です、はい、なんとか」
やっと我に返ったあさ美は、さっきのことを思い出し、今度は顔を真っ赤にした。
89 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時11分51秒
その30分後くらいに、愛とあゆみがやってきた。
愛はあゆみの家まで車で迎えにいっていたので、遅れてしまったのだ。

「すんません、遅れちゃってー」
「いや、いいよ。先にはじめちゃってたから」
ひとみが、冷蔵庫から飲み物を取りにキッチンに向かった。

「あー、タカさん、聞いて下さいよー!ヨシさんって、超甘えん坊なんですよー」
「マコト、お前、余計なこと言うな!」
「何それ?何があったの?」
ひとみがキッチンから怒っていたが、あゆみも興味津々だ。

麻琴があさ美の後ろに回って、抱きしめた。あさ美はまた固まっている。
「あさ美ちゃんが梨華さんだとするでしょ。
『ねー、ちょっとだけいいでしょ?夜までガマンできない』」
90 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時12分31秒
「おえーっ!なんすか、ヨシさん!幻滅ですよぉ」
愛が吐く真似をして大げさに顔をしかめた。
「うるせー」
ひとみが、缶ビールを愛に渡しながら、首を締めた。
愛が苦しそうにバタバタともがいていた。

「それからねー」
麻琴があさ美の顔に自分のを近づけていく。
あさ美も思わず、そちらに顔を向けてしまった。
麻琴は唇が振れる直前まで一瞬顔を近づけた。
「って、こんなカンジでキスまでしてんのも見ちゃいましたー」
麻琴はすぐにあさ美から、体を離したが、あさ美はまたその体勢のままだ。

「うわー、はずかすぃー!!『もう、よっすぃーの甘えんぼさん』」
愛が梨華の真似をして、自分の首を締めているひとみに向かって言った。
ひとみが愛の腹を軽く殴ると、今度は麻琴の方に向かった。
「お前だけは、ホントに許さん!」
麻琴は慌てて逃げたが、馬乗りされ背中にパンチを数発くらった。

「大丈夫?」
梨華が肩を叩くと、やっとあさ美は我に返った。
「は、はい。問題ありません!」
梨華は今日の計画はうまくいきそうだと、うれしい予感がしていた。
91 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時13分13秒
食事もお酒も楽しくすすみ、梨華とあさ美の手作りケーキの評判も大変よかった。
そして夜の11時になる頃、麻琴が帰る準備をはじめた。
「そろそろ帰りますね、明日、朝から学校なんで」
「あ、あさ美ちゃんも明日学校だよね?送ってってもらったら?」
梨華がさりげなく言う。
「でも、私、家近いですし、学校も午後からなんで…」
「とにかく!マコト、あさ美ちゃんのことちゃんと送れよ」
あさ美の言葉をさえぎるように、ひとみが言った。

「はい、わかりました。じゃ、あさ美ちゃん、帰ろ」
「え、あ、は、はい。本日はありがとうございました」
あさ美はひとみと梨華に頭を下げる。

梨華はこっそりあさ美に耳打した。
「部屋に寄ってもらいなよ。『時間まだ大丈夫でしょ?お茶でもどう?』って」
「えっ!?」
あさ美が驚いていると、梨華がガッツポーズをしていた。
「がんばって!」
92 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時13分50秒
あさ美の家は、ひとみたちのマンションから歩いて10分くらいのところにある。
あっという間にアパートの前に着いてしまう。
「じゃあね。駅はこっちでいいんだよね?」
麻琴があさ美にたずねる。
「あっ、あの!」
「ん?どうしたの?」
「時間まだ大丈夫でしょ?お茶でもどう?」
あさ美は、梨華に言われた言葉をそのままセリフのように一気に言った。

麻琴は、腕時計を見る。
「うん。ちょっとお茶飲みたいなあって思ってたから、お邪魔しよっかな」
「・・・」
あさ美はこう簡単にOKされると思っていなく、
断られたときの言葉しか考えていなかったので、何も言えなかった。

「?…ね、あさ美ちゃんの部屋ってどこ?」
無反応のあさ美に不思議そうに、麻琴が聞く。
「えっ?あ、ああ2階の一番奥です」
あさ美は手と足が同時に出ながら、階段を上った。
93 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時14分49秒
「へー、和室もいいね」
あさ美の部屋は、和室の1Kで決して広い方ではなかった。
入ってすぐにキッチンがあり奥に和室。
テーブルというよりもちゃぶ台というのがふさわしいものが置いてあり、
その前には座布団と回転もする結構しっかりとした座椅子がある。

「あー、コレ気持ちいいねー」
座椅子を後ろにリクライニングさせ、麻琴はうーんと伸びをした。
「あ、何飲みたい?」
あさ美が、テーブルの上に置いていた教科書や参考書などを片付けながら聞く。
「あさ美ちゃんはいつも何飲むの?」
「だいたいカフェオレとか、ミルクティーとか。でも、他にもいろいろあるよ」
「ん、じゃ、カフェオレ、お願いします」
「はい」

あさ美はキッチンに戻り、冷蔵庫から牛乳を取り出し、鍋にかけると、
大きく深呼吸をした。
(いろいろお話したいし、時間ないから緊張なんかしてられないぞ)
自分に気合を入れるため、頬を両手でパシッと叩く。
何か軽く食べられるお菓子なんかがないか、探しているうちに、牛乳が沸騰しはじめた。
94 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時16分22秒
カップにそそぎ、部屋の方に持っていくと、麻琴は座椅子に寄りかかったまま、
スースーと寝息をたてていた。
あさ美はそっとカップを置くと、自分は麻琴の正面に座り、
麻琴のことを観察しながら、カフェオレを飲んだ。

普段はニコニコしているから、そういうイメージはなかったが、凛々しい顔つきをしている。
(まこっちゃんのこと、こんなにじっくり見たのはじめてかも)
もともとあまり会えることもないし、一緒にいるときは、
恥ずかしくて目を合わせることもなかなかできない。
好きだからこそ、あまりジロジロ見ることすらできないのだ。

30分くらい見ていたが、はっと思い立って布団をかけてやる。
そして、冷めてしまったカフェオレを麻琴が起きてから温めようと、キッチンに運んだ。
そーっと運んだつもりだったが、カップを置くとき、思いのほか大きい音を出してしまった。
95 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時17分12秒
「ん…あ、寝ちゃったぁ」
麻琴が目を覚ましたので、また鍋に火をかける。
「うん、気持ちよさそうに寝てたよー。今、温めてるから、もうちょっと待ってね」
あさ美は微笑みながら、首だけを麻琴の方に向けた。

「しっかし、このイス、すっごく気持ちいいねー」
「うん、私もよく寝ちゃうんだ」
あさ美がカップを麻琴の前に置く。
「ありがと」
ニコニコとしながら、麻琴はカフェオレを飲む。
そして、お互いの学校の話しなどをしていた。
96 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時17分48秒
「あっ!ヤバッ!!」
カフェオレを飲み終えた麻琴が叫んだ。
「?どうしたの?」
「…電車、もうないよ〜」
腕時計を見て、まいったなあという顔をしていた。
「じゃ、泊まったら?明日朝、早く起きればいいし」
「いいの?じゃ、そうさせて下さい」
麻琴が頭を下げると、あさ美はニッコリしてカップを片付けるためキッチンに向かった。

(…あ、私、すごいこと言っちゃった…)
無意識に言っていた『泊まって』。今更ながら、あさ美は赤面してきた。
(ど、どうしよ。そういえば、お客さん用の布団ないんだった…)
布団圧縮機で小さくしてあるので、あらかじめ誰か泊まるとわかっているときは、
キチンと布団を干して用意しておくのだが、今日は急にだ。
(い、いっしょの布団で寝るってこと!?…)

二人ともそれぞれお風呂に入り、布団を敷いた。
「ごめんなさい、お布団、ひとつしかなくて…」
「ああいいよー、こっちこそごめんね」
97 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時18分23秒
二人で並んで布団に入る。あさ美が部屋の電気を消す。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
あさ美はこんな側に麻琴がいると思うだけで、ドキドキが止まらず、
とりあえず、麻琴に背中を向けて横になった。

「あさ美ちゃんってさぁ…」
麻琴があさ美の肩を掴み、体を寄せてきた。あさ美のドキドキ度は倍増である。
「な、なに?」
「なんか、ミルクみたいな匂いするよねー。シャンプーとかかと思ってたんだけど、
違うみたいだから。なんか香水つけてるの?」
麻琴がクンクンと犬のように、あさ美の首筋あたりの匂いをかいでいた。
「な、何もつけてないけど…」

「そうなんだー。何かこの匂い好きだなー、すごく落ち着く」
麻琴はあさ美の首筋に顔をうずめた。
麻琴もそれ以上何かをしようというわけでもなく、ずっとそのままでいた。
あさ美は、頭がクラクラするほど緊張して、どうしていいのかわからなかった。
98 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時18分55秒
「あ、あの!」
「ど、どうしたの?」
あさ美が突然大きな声を出したので、麻琴も驚いて体を離す。
あさ美は麻琴の方に体を向ける。
電気は消してしまったが、カーテンの間からもれる月明かりが、二人の顔を照らしていた。

「…まこっちゃんは、真希さんのことまだ好きなの?」
「あー、うん、付き合えないのはわかってるけど…
真希さん以上に好きになれる人がいなくて」
あさ美はちゃんと麻琴の目を見ていた。
麻琴も真剣な表情をしているあさ美を不思議そうにだが見ていた。
99 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時19分36秒
「…2番目、ううん、3番目、いや、10番目とかでもいいです」
「へっ?」
「わ、私のこと、好きになってもらえませんか?」
突然の告白に麻琴も驚いたが、あさ美自身もよく言えたと驚いていた。
少し間をおいてから麻琴はため息をひとつついて、ニッコリとした。

「…あのさー、あんまり順位とかつけたくないけどー、
たぶん、あさ美ちゃんは2位だと思う」
「…えっ?」
「もしかしたら、今ので1位になったかも…」
麻琴はあさ美を抱き寄せて、頭を撫でた。
「もっと、自分の気持ちに確信が持てるようになったとき、ちゃんと告白する。
だから、それまで待っててくれる?」
あさ美は麻琴の腕の中でコクンとうなずいた。
100 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時20分11秒
一方、その頃、ひとみの部屋では―
食事の後片付けも済んでいたが、飲みすぎた愛が、
ひとみのベッドで勝手に熟睡してしまい、全然起きる気配がない。

「あー、これじゃあ、車の運転なんて無理だね」
「あゆみちゃん、うち泊まっていったら?明日一緒に会社行こう」
「うん、そうさせてもらう」
あゆみと梨華が、そんな愛を見て話していた。

「ちょ、ちょっとぉ、梨華ちゃん、部屋帰っちゃうの?」
ひとみが慌てて、引き止めた。
「だって、あゆみちゃんも泊まるんだから、こっちの部屋じゃ寝るところないじゃない」
「そうだけどぉ…」
ひとみがさみしそうにつぶやく。

「あはは、よっすぃーって、本当に梨華ちゃんの前では甘えんぼなんだね」
「そ、そんなことないよ!」
あゆみに笑われたので、ひとみは強がってみせた。
101 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時20分44秒
「じゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」
梨華とあゆみが玄関までいったので、ひとみが追う。
「あ、あのさ、朝起きたらこっちおいでよ。ゴハン用意しておくから」
「うん、ありがと」
そんな二人のやりとりを見て、あゆみはひとみが本当に梨華に惚れているんだなあと
つくづく感じていた。

ひとみは、ベッドに上り、愛の背中を思いっきり蹴った。
「もう!タカのせいで、梨華ちゃんと何もできなかったじゃんか!」
愛は本当に熟睡中で、ピクリともしなかった。
102 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時21分17秒
梨華の部屋。
お風呂に入ったあと、ベッドの横に布団を敷き、梨華とあゆみはしばらく話していた。
「ねー、よっすぃーって、前から梨華ちゃんにはあんなに甘えてたの?」
「ううん、この前ケンカしてた話はしたよね?それで仲直りしてからは、甘えてばっかりなの」
梨華はクスクス笑っていた。

「へー、なんで?そういう話しでもしたの?」
「うん、『思ってることもっと話して』って言ったら、
すごくストレートにいろいろ言ってくるようになっちゃって…」
「…もしかして、エッチするときとかも?」
あゆみがうれしそうに言う。

「…うん。でも、すごくうれしいんだ。
だって、他の人にはあんなとこ見せないし、私だけに甘えてくれてるから」
「そうだよねー、よっすぃーってクールでかっこいいってイメージだもん。
やっぱ、好きな人の前では自分を出せることができるんだね」
「うん、私もそうだから…」
梨華が本当にうれしそうな顔をしていたので、あゆみは二人の幸せを心から願った。
103 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時22分05秒
ひとみは、昨日ジムに行かなかったのもあり、結局寝ずに空が明るくなってから、
ジャージに着替えジョギングをしに行った。
近所の公園を回り、縄跳びやシャドウボクシングなどをして、
歩いたら30分くらいはある24時間営業のスーパーに寄ってマンションに向かった。

途中、駅の近くで、あさ美を見かけた。
「あれー?こんな早くどうしたの?」
ひとみが声をかけると、あさ美は本当にうれしそうに微笑んだ。
「あ、ヨシさん!昨日は本当にありがとうございました」

あさ美は、駅まで麻琴を送ってきた帰りであった。
昨日の出来事を説明すると、ひとみはすごく喜んだ。
「よーし、マコトのケツをもっと叩いておくから」
「あ、ありがとうございます」
104 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時22分36秒
部屋に戻ったひとみはシャワーを浴びてから、4人分の朝食の準備をすると、
梨華にモーニングコールをして、あさ美の話しを聞かせてやった。
「ホント!?よかったぁ!!」
梨華も自分のことのように喜んでいた。

梨華とあゆみがやってきたので、ひとみは愛を起こしにいった。
「オラー!タカ、起きろって言ってんだよ!」
「は、はいっ!」
愛はひとみのドスのきいた声に驚いて、慌てて起き上がった。

テーブルの方に行くと、梨華とあゆみが食事中であった。
「「おはよう」」
「あ、あゆみちゃん、昨日、ごめん。途中から記憶ない…」
「いいよー、梨華ちゃんとこ泊まったし、全然大丈夫」

愛はホッとして、テーブルに座ると、腰のあたりをさすった。
「あー、なんか痛いんすよ。昨日、どっかにぶつけたのかなあ」
「ホント?大丈夫?」
あゆみが心配そうに言う。
「腰は大事だから、気をつけないとな」
自分の蹴りが原因だとわかってるひとみは、ニヤつきながらそう言った。
「そうっすよねー…あ、二人は何時に出社なの?」
そして、愛はあゆみと梨華を車で会社まで送ってあげた。
105 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月23日(日)22時23分12秒
その日、ひとみが店に行くと、愛と麻琴から御礼を言われた。
「マコトは、他にも話しあるんじゃないのー?」
「えっ!?いや、そのことはちゃんとしてから、話ししますから!」
慌てる麻琴にひとみがクスクスと笑う。
「なに?なんのことっすか?」
事情を知らない愛は、まだ腰をさすりながら、きょとんとしていた。
106 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月23日(日)22時26分22秒
更新です。今回はおがこんメインでいかせてもらいました(笑)

>オガマーさん、のびえもんさん
甘々大好き派なんで、今後もこんなカンジでいきます(笑)
107 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月23日(日)23時32分40秒
甘々いい!
顔にニヤニヤが張り付いてしまいますたぁ。(w
108 名前:ルーク 投稿日:2002年06月24日(月)00時20分49秒
すっごい、すっごい、すっごい(・∀・)イイ!!です(笑)。
甘えたなヨシさんが、ツボでございます。
そして、おがこん・・・いいですねぇ。
可愛らしい感じで。
次の更新が、楽しみなのです。
109 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月24日(月)01時46分00秒
おがこんってカップリング初めて見ました。
でもこの小説だと違和感ないですね^^

あーあと甘える吉坊が最高にツボでした(w
これからも続き楽しみにしてます!
110 名前:オガマー 投稿日:2002年06月24日(月)03時22分09秒
コンちゃんにさり気ない後おしをする梨華たん萌え〜w
オガコン、かわいらしいですなぁ♪
なんかドキドキしました(笑)
111 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時34分14秒
その週の水曜日。ひとみと梨華は夜、食事に出かけていた。
今日はひとみは仕事を休みにしてもらっていた。
というのも、梨華が会社の社内旅行で温泉に行くためこの土日はいないのだ。
この前の日曜日は愛がひとみの部屋で寝てしまったため、
梨華と二人で過ごすことができなかった。
しかもこの週末には全然会えないとなると、ひとみは梨華が早く仕事が終わる日に休みをとり、
こうして二人で過ごすことにしたのだ。

「どっか飲みに行こうか」
中華料理店を出たあとで、ひとみが言う。
「うん、そうだね…あ、なっちさんのとこ行かない?」
「いいよー。さすがにウチの店に行くと働かされそうでイヤだからな」
112 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時34分47秒
まずひとみが店に入ると、あさ美が気付いた。
「お疲れさまです。あ、今日はお休みですか?」
ひとみは頷いて、後ろを振り返ると梨華が笑顔で手を振っていた。
「あー、梨華さん!デートですか?いいなぁ!」
ニコニコしながら、二人はカウンターの席に座った。

店の奥にいた亜依が、ひとみの声が聞こえると飛び出してきて、ひとみに抱きついた。
「なんや、ウチに会いにきてくれたん?」
「おー、あいぼん、何か久し振りだね」
「こんばんは」
梨華が声をかけると、亜依は不機嫌そうな顔になった。
「なんや、いっしょなんか…」
亜依は一応梨華に会釈だけして、ソファにいるお客の方に向かった。
ソファには3人組の客がいて、亜弥が相手をしていた。
113 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時35分23秒
亜弥も、ひとみと梨華と目が合うと笑顔で会釈をした。
「ね、あの子が亜弥ちゃん?」
梨華が小声でひとみに聞いた。
「そう。梨華ちゃん会ったことないっけ?」
「うん、ココでバイトしたとき、お客さんから『あややは?』って何回も聞かれた」
「あはは、たぶん、今、この店で一番人気なんじゃないかな?」
「確かにカワイイもんねー」
梨華は、お客と楽しそうに話しをしている亜弥を見ていた。

しばらく、あさ美と3人で麻琴の話しなどをしていた。
あの日以来毎日メール交換はしているようだが、まだ付き合うまではいってないらしい。
「マコト、ウチが聞いても何も言わないからさー、
どうなってんのかちょっと心配だったんだけど、大丈夫そうだね」
「はい、おかげさまで」
ひとみの言葉にあさ美は笑顔で返した。
114 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時50分12秒
お客も多くなってきて、そろそろ帰ろうということになり、その前にひとみがトイレに立った。
そして店の扉が開くと、圭織と圭が入ってきた。
「あ、いらっしゃいませ」
あさ美が言う。
圭織はすぐにカウンターにいる梨華に気付き、抱きついて頬にキスをした。
「梨華ちゃーん!会いたかったよぉ」
「ど、どうもです」
梨華は戸惑いながらも、答えた。
「バイトじゃないよね?一人なの?じゃ一緒に飲もうよぉ」
「あ、あの、一人じゃないんで…」
ソファの方に連れて行かれそうになり、梨華が拒むが聞こえてないようだ。

「すみません、もう帰るところなんですよ」
ひとみが現れて梨華の腕をとり、圭織に声をかける。
「…もしかして、梨華ちゃんの彼氏?」
「はい、そうです」
ひとみはしっかりと圭織の目を見ていた。
圭織も見返してしばらく二人は睨み合うようなカンジになり、梨華はオロオロしていた。
115 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時51分00秒
圭織はひとみの顔、そして全身をじっくり見たあと、すごい笑顔になった。
「…かっわいいー!つーかキレイ?いいじゃん、さすが梨華ちゃんが選ぶだけあるね!」
「…は!?」
圭織は今度はひとみに抱きついた。
ひとみはすっかり戦闘体勢に入っていたので拍子抜けした。
「もう帰っちゃうの?カオリと一緒に飲まない?」
圭織はひとみから体を離すと、ソファに座って、隣に座るようにうながす。

「あ、あの、今日はもう帰りますので」
ひとみが何とか声を出した。
「そうなのー?残念だなぁ。家に帰るの?」
「はい」
梨華が頷く。
「エッチとかしちゃうんだぁ」
「べ、別に関係ないでしょ?」
ひとみが慌てて言う。
116 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時51分49秒
圭織がニヤッとして立ちあがり、ひとみと梨華の肩を抱き、コソコソと話し出す。
「ね、今度、3人でしない?カオリ、タチでもネコでも大丈夫だからー」
「なっ…」
ひとみが反論しようとしたが、言葉が出ない。
「たまにはさー、いつもと違うことするのって、すごく刺激になるよー」

圭織は座り直し、コースターの裏に数字を書き始めた。
「コレ、カオリの携帯番号。あんまり人に教えないんだけど、
二人のことは気に入ったから、その気になったらいつでも電話してね」
それを梨華が受け取った。
「あ、もちろん、今日でもいいからね」
圭織がクスッと笑って、手を振った。
117 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時52分25秒
ひとみと梨華は狐につままれたように、あまり言葉を交わすこともなく、部屋に帰ってきた。
それぞれお風呂に入り、布団に並んで入る。
いつものように愛し合ったあと、ひとみがつぶやいた。

「…梨華ちゃん、もっと刺激が欲しい?」
「えっ?さっきの飯田さんの言葉気にしてるの?」
「…ん、いいや…おやすみ」
「あ、おやすみ…」

そう、ひとみは気にしていた。梨華は自分とのエッチに満足しているのだろうか?
それこそ、他の人とエッチをしていろいろ勉強した方がいいのだろうか?
本当に圭織に頼んでみるのもアリかもと考えはじめたひとみであった。
118 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時53分14秒
そして、その週の日曜日。
梨華が旅行から帰ってくるのを、ひとみは駅まで迎えにきていた。
「おかえり」
「あ、ただいま」
ひとみは、梨華の大きめのカバンを持ってやる。
「ありがとう」
梨華はひとみの腕に自分のを絡めて歩き出した。
マンションに着くまで、梨華は旅行の話し―主に上司の飲んだときの失態を楽しそうに話していた。

「梨華ちゃんは飲みすぎたりしなかったの?」
「うん、何とか。後輩の男の子がやたら私に飲ませるから困ったけど、
私も飲ませてたから、先に向こうがつぶれてくれたし」
ひとみは、見たこともないその後輩にすごく嫉妬した。
(梨華ちゃんの浴衣姿、色っぽいもんな…ちょっとはだけたりしてたら、
かなりムラムラくるだろうな…くっそー!うらやましいぞ!)

梨華は荷物を置き、お風呂に入ったあと、ひとみの部屋に向かった。
「梨華ちゃん、ゴハンは食べたんだよね」
「うん」
「じゃ、なんか飲む?」
「うーん、アイスティーとかがいいかな」
「OK!」
ひとみは、キッチンで飲み物の準備をしていた。
119 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時54分30秒
梨華はソファに座ると、テレビの上にレンタル屋の袋があるのが目に入った。
(よっすぃー、何借りてきたんだろ?)
袋を開けてみると、ビデオが3本入っていた。
一番上に、ついこの間まで公開していたアクション映画があった。
(あ、コレ、私も見たかったんだよねー)

ひとみがちょうど、飲み物を運んできた。
「うわわわ、梨華ちゃん、見ちゃダメ!!」
「え、いいじゃん、コレ、私も見たいよ」
ひとみが慌てて、梨華から、ビデオテープをとりあげようとすると、
他の二本が落ちて、タイトルが見えた。

とたんに梨華が、真っ赤になる。
「…コレって…よっすぃー、こんなの見てるの!!」
「いや、あの、ごめん!いや、違くて…」
120 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時55分07秒
そう、ひとみが借りていていたのは、18禁のしかも同性愛モノであった。
「ひどいよ、よっすぃー…私じゃ満足できないの?」
「い、いや、そういうんじゃなくて!」
梨華がメソメソしはじめたので、ひとみも弱ってしまい、事情を話した。

圭織の言葉が気になってしまい、確かにエッチがマンネリ化しているのかもしれないと。
それで、ひとみは自分なりに研究しようと思って、ビデオを借りてきたのだった。
「ホントに飯田さんに頼もうかとも一瞬思ったんだ…」
ひとみは恥ずかしさでがっくりとうなだれていた。

「よっすぃーのばかぁ」
そんなひとみの気持ちをうれしく思い、梨華は微笑みながら言った。
「私は、飯田さんに10コ新しいこと教えてもらうより、
よっすぃーといつものことを1回した方がずっとうれしいし、その…気持ちいいと思う」
ひとみの困っていた表情が一気にニヤケ顔になった。
121 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時55分46秒
「キャッ!」
突然、ひとみは梨華をお姫様だっこすると、そのままベッドに連れていった。
「じゃ、いつものことしよっ」
ひとみがうれしそうに、梨華にキスをした。

「あ、でも…」
ひとみが思い出したようにつぶやいた。
「あのビデオ、まだ見てないんだ。二人で見て、一緒に勉強しようよ」
「…うん、あとでね」
梨華はクスッと笑い、ひとみの背中に腕を回した。
122 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時56分26秒
一戦終えた後に、リビングに戻り、ビデオを見ることにした。
ビデオのラベルのまじまじと食い入るように梨華が見ていた。

「梨華ちゃん、学生んときとか、みんなで見たりしなかった?」
「えー、私は見たことないよぉ」
「えっ?そうなんだ?でも、私も女の人どうしのははじめてなんだよな」

ビデオが始まる。
女子校を舞台にしたもののようだが、ストーリーはあってないようなもの。
かなり過激なシーンが繰り広げられていた。

ひとみは隣りの梨華の肩を抱き寄せ、耳元でささやいた。
「…またしたくなってきちゃった…」
ひとみが梨華に唇を重ねる。舌を入れようとしたら、梨華が身を引いた。

「と、とりあえず、このビデオ見終わってからにしない?」
「…そ、それもそうだね…」

ひとみが梨華を優しく両腕で包み込む。
「…じゃ、終わるまでこうしてていい?」
「…うん」
梨華はそんなひとみに体をあずけた。
画面の中の行為が激しくなるごとに、ひとみの腕に力が入ったが、何とか最後まで見通した。
そして、停止ボタンを押すやいなや、ひとみは梨華に覆い被さった・・・
123 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時56分59秒
一応ビデオの内容も参考にしたものの、いつもとさほど変わらなかった。
「…なんか違ったかな…」
行為のあと、ひとみは梨華の髪を優しく撫でながらつぶやいた。
「ん?どういうこと?」

「いや、ビデオ見て確かに新しい発見はあったんだけどさあ…」
ひとみは梨華から体を離し、天井を見上げた。
「…わ、私じゃダメとか…?」

「そんなワケないでしょ」
ひとみは梨華を再び抱き寄せた。

「うーん、Hそのもののことじゃなくてさ、
あのさ、今したくなったのって、ビデオで他の人がしてるのを見たからじゃない?」
「うん」

「別にソレがよくないってことじゃないんだけど、
何だろ?うまくいえないけど、そういうことって、自然のなりゆきでしたいっていうか…」
「その場の雰囲気で、ってこと?」
「そうそう、ビデオ見てそういう気持ちにさせられた自分がなんか情けない…」
「…よっすぃーって意外とロマンチストなんだね」
ニコニコと梨華がひとみの頭を撫でる。
124 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年06月28日(金)00時57分34秒
「つーかさ、相手が梨華ちゃんだからだよ。
一緒にいることに意味があるっつーか、
一緒にいて、そういう雰囲気になったらHするのはいいけど、
Hしたいから一緒にいるワケじゃないからね」
梨華が照れたようにひとみの胸に頭を押し当てる。
「なんか、よっすぃー、カッコイイこと言ってる…」

「そ、そう?なんか自分で言ってて、よくわかんなくなってきたけど、
つまり、あれだよ、梨華ちゃんとは一緒にいられるだけでいいってことだから」
「ふーん、じゃ、H全然しなくてもいいんだ?」
梨華がイタズラっぽい目をひとみに向ける。

「えっ?そ、それは困る…た、たまにはさ、ほら、そういう雰囲気になったら、しないと!」
ひとみが、また梨華にキスをした。
「えーっ?今、全然、そういう雰囲気じゃないよぉ!」
梨華が反論する。

「いや、梨華ちゃんはいつでもウチのことをそういう気にさせるから」
ひとみは、そのまま、唇を梨華の首筋にまで持っていく。

「よっすぃー、言ってることが矛盾してるじゃ…ん…」
結局、梨華もひとみに流されてしまうのであった・・・
125 名前:ラッキー 投稿日:2002年06月28日(金)00時59分05秒
更新です。あと、1、2回で終了予定です。

>107さん、ルークさん、109さん、オガマーさん

どうもありがとうございます!
おがこんはハロプロセルフ写真集の紺野のページに小川のコーナーがあるのを見て、
紺野は小川が好きだと思い込んだので書きたかったのです(笑)
ミュージカルの二人の歌も、照明がピンクになったりしてかわいかったし。
126 名前:オガマー 投稿日:2002年06月28日(金)01時53分16秒
あと少しで終わるんですか?
寂しいです…
でも、やっぱり甘い♪ラブラブですなw
オガコンはどうなるんだろふ…
127 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月02日(火)01時46分58秒
いしよしもオガコンも(・∀・)イイ!!
もうすぐ終わるそうで、最後はどうなるんでしょう♪
上手くいくといいなぁ♪(w
128 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月08日(月)14時56分35秒
まだかな〜まだかな〜(w
129 名前:ラッキー 投稿日:2002年07月11日(木)03時11分03秒
本編の途中ですが、他のカップルのサイドストーリーを3本ほど書いてみました。
よろしかったら、ご覧下さい。
130 名前:あいぼんの気持ち 投稿日:2002年07月11日(木)03時11分58秒
「うえええー!」
「アンタ、ホント、お客に向かってその態度は何よ!」
保田のオバチャンが、ウチ目当てでお店に来てくれるのはうれしいねんけど、
キスされるのだけは、たまらん。
本気でイヤがってるのに、オバチャンは冗談だと思って、怒ってる口調でも顔は笑ってる。

「あいぼん、じゃ、カオリがしてあげよっか?」
飯田さんがそう言ってくれたので、ウチは唇を突き出して飯田さんのチューを受けた。
こんなキレイな人からやったら、いくらでもされたいわ。

「あいぼん、失礼でしょ。ごめんね、圭ちゃん」
なっちさんが言うと、今度は、オバチャン、なっちさんにキスをしようとした。
「あ、ちょっと…」
なっちさんはさりげなーく、よけよった。

「なによ!アンタたち、ホント失礼じゃない?
梨華ちゃんはよかったわ!私からキスされても恥ずかしそうにうつむいたりして…
梨華ちゃんがちゃんと働いてくれたら、あいぼんやめて一番のお気に入りになるのにっ」
131 名前:あいぼんの気持ち 投稿日:2002年07月11日(木)03時13分03秒
そうなんか、梨華ちゃん、すごいやんか。
さすが、よっすぃーの彼女だけあるなあ。ちょっと見直しといたるわ。

ん?オバチャンと梨華ちゃんがキス→梨華ちゃんとよっすぃーがキス…
つまり、オバチャンとよっすぃーが間接キスしてることになるやんかぁ!!

「そんなんいややぁ!!」
思わず涙が出てしまった。オバチャンとよっすぃーが…オバチャンとよっすぃーが…

「あら?やっぱり、あいぼんってば、カワイイとこあるじゃない」
オバチャンは何を勘違いしたのか、ウチのことを抱き寄せて頭を撫でてきよった。
キスされるのはカンベンだけど、頭を撫でてもらうのは嫌いやない。

オバチャンはオバチャンだけあって大人やからな。
なんか安心すんねん。
あんまり梨華ちゃん、梨華ちゃんって言わんといてや。

fin
132 名前:あややの片思い 投稿日:2002年07月11日(木)03時14分12秒
あの人とはじめて会ったのは、お店の合同の飲み会だった。

閉店後のお店でみんなで大騒ぎしていた。
その日、私は仕事でミスをして落ち込んでいた。
もちろん、みんなの前ではそんな姿は見せないようにしていたつもりだった。

「どうしたの?なんかイヤなことでもあった?」
トイレを出て手を洗っているときに、ついため息をついてしまった私に、
トイレに入ろうとしていたあの人が声をかけてきた。

「いえ…」
鏡ごしに見たあの人の目はとても優しくて、心配そうにしてくれていた。
「あ、今日、ちょっと、仕事で失敗しちゃって…」
普段人に弱いところを見せるのが苦手な私が、こんなことを言うなんて自分でも驚いた。

「そっかー、でも、失敗はしないと成長しないからさ。
逆に全てがうまくいくなんてことはないからね、失敗に気付いただけでももうけもんだよ」
あの人はニッコリと笑って、私の頭を軽く撫でた。

その言葉だけでなくあの人の笑顔、手の感触が、直接私の心に響いた気がした。
133 名前:あややの片思い 投稿日:2002年07月11日(木)03時15分21秒
それからしばらくして、あの人に恋人ができたという話しをあいぼんから聞いた。
あいぼんは、ストレートに気持ちをぶつけられてうらやましい。
それにひきかえ私は、何も言えないどころか態度にも出さないように、
心の奥底にこの気持ちをしまっておくことだけを考えていた。
自分の心の中で思っておくだけなら、傷つくこともない。
そう自分に言い聞かせてきた。

ある日、あの人がうちのお店にやってきた。
あさ美ちゃんが声をかけていて、どうやらお休みをとっているらしい。
そして、あの人の後ろに、一人の女性がいた…

それが、あの人の恋人だとすぐにわかった。
あの人が、彼女を見る目は本当に優しくて、私なんかに見せたものよりもずっとずっと…

できれば、この人には会いたくなかった。
あいぼんと私がお店を休んだときに、彼女が手伝ってくれたらしいけど、
実は会わずに済んで、心の底からホッとしていた。

134 名前:あややの片思い 投稿日:2002年07月11日(木)03時17分16秒
そんな二人を意識して見ないようにしていたのに、向こうが私を見ていた。
視線を感じて、つい見てしまうと目が合ってしまった。
私は無理矢理スマイルをつくって、二人に会釈する。
あの人はニッコリ微笑んでくれた。
そして、彼女の方も…すごく素敵な笑顔だった。
二人は本当に幸せなのだと思った。

胸の奥から何かがこみ上げてきそうな感じがする。
失恋ってこういうものなのかな?
そういえば、私って失恋らしい失恋ってしたことなかったかも。
失恋は恋を失うって書く…恋の失敗でもあるのかな?
これで私も少し成長できると思う。

どうもありがとう、よっすぃー……

fin
135 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時18分13秒
明日は、あさ美ちゃんのハタチの誕生日だ。
告白するのはこの日と、ずっと前から決めていた。



真希さんのことはずっと好きだったけど、
無理なのはわかっていたし、憧れっていうカンジでずっと見ていた。

たぶん、ウチの好きなタイプって、見た目とか雰囲気は大人なんだけど、
実際は子供だったりする人。
そのギャップがよかったりする。

あさ美ちゃんは見た目も大人っぽいし、実際頭もよくてしっかりしてるんだけど、
結構ドジなところもあって、なんかほっておけない子。
第一印象からそんなカンジだったな。
136 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時19分11秒
今日は二人ともバイト…
とりあえず、0時、日付が変わった瞬間にメールを送る。

『お誕生日おめでとう!今度、二人でパーティーしようね!』
とりあえず、軽いジャブといったカンジかな…
本番は仕事が終わってからだからな。

仕事が終わるとすぐに、ウチは荷物を持って店を飛び出した。
ヨシさんやタカさんに何があるか聞かれたけど、ごまかしておいた。
あさ美ちゃんのアパートに向かう。
よかった、まだ帰ってない。

1時間経過―
おっそいなあ…何か予定あったのかな???
うー、それくらい確認しておけばよかったよお。
とりあえず、階段に座って待っておこう。

さらに30分経過―
しかし、今日、店忙しかったよなあ…
ゴールデンウィーク明けなんだから、みんな家でおとなしくしててもいいのに…
137 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時20分10秒
「ま、まこっちゃん!?」
突然、頭の上から名前を呼ばれた。
うわ、寝ちゃってたよ。
驚かせるつもりが、こっちが驚いたよ。

「…どうしたの?」
「あ、えっと、た、誕生日おめでとう!!」
手に持っていた花束を差し出したら、自分で寝ている間につぶしてしまったらしい。
形のくずれた花は、とってもカッコが悪かった。
それでも、あさ美ちゃんは本当にうれしそうにニッコリとしてくれた。
「…どうもありがとう」

あさ美ちゃんの部屋に入れてもらう。
ちなみに今日は、なっちさんはじめお店の人たちが誕生日パーティーを
閉店後のお店でしてくれていたらしい。
そうだよな、なっちさん、いとこなんだしそれくらいするよな、
なんで気付かなかったんだろ。
138 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時21分06秒
あさ美ちゃんが、ウチのあげた花束を花瓶に移し終えたところに、箱を差し出した。
「あ、コレ」
昨日の夜のうち、小さなホールケーキを買っておいた。
ちゃんと『あさ美ちゃん誕生日おめでとう』って入れておいてもらったし。
店の冷蔵庫に入れておいたから大丈夫。

「わぁ!ケーキだぁ!どうもありがとう。一緒に食べよ?」
あさ美ちゃんが、キッチンに行ってケーキを切り分けようとしてくれた。
「アレ?」
不思議そうな声がした。

「ど、どうかした?」
花と一緒でくずしちゃってたかな?
慌てて覗き込むと、ホールのはずが半分なくなっている…
もちろんせっかくの文字も『あさ美ち、誕生日』しかない…
「な、なんで…?あー!!ヨシさんとタカさんだぁっ!!」

思い出した!ヨシさんがなんか冷蔵庫の前でコソコソしてて、タカさんに耳打してた。
そのあと、チラッと見たときタカさんの口になんかチョコクリームみたいのがついてたっ!
「あの人たち、何てことするんだよぉ…」
本人たちがいないから、怒ることもできず、がっくりうなだれるだけだった。
139 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時22分05秒
「あさ美ちゃん、ごめんね…」
「ううん。ここのケーキ好きだから、ちょっとだけでも食べられるのうれしいよ」
あさ美ちゃんはうれしそうに、その残りのケーキを半分に切った。

あさ美ちゃんの入れてくれた紅茶と一緒にケーキを食べる。
はぁ…なんか今日はついてないかも…
こんな日に告白なんてして大丈夫なのかなぁ…
で、でも、今日しないと!!

「あさ美ちゃん!」
「は、はい!」
ウチが正座をしたら、あさ美ちゃんもそうした。
「ちょ、ちょっと、目つぶっててもらってもいいかな」
「う、うん…」
あさ美ちゃんが目を閉じたので、もう一つのプレゼントを取り出す。

あさ美ちゃんの左手を握り、薬指に指輪をはめる。
よかった、サイズが間違ってたなんてオチにはならなかった。

「はい、目開けて」
あさ美ちゃんは、自分の左手を見ると、目を輝かせた。
「…うわぁ、キレイ…ありがとう!」
140 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時22分53秒
「えっと…今、一番好きなのはあさ美ちゃんです。
ウチと付き合って下さい!」
ちゃんと、あさ美ちゃんの目を見て言った。
あさ美ちゃんの顔はみるみるうちに真っ赤になって、目もウルウルしてきた。
うわー、なんてカワイイんだろ!
「…はい、こちらこそよろしくお願いします」

やったー!!
ウチはあさ美ちゃんの側に行って、そっと抱きしめた。
ビクッと体が震えたけど、そのあとはウチに寄りかかるようにしてくれた。
キ、キスくらいしても、いいよね。うん、大丈夫大丈夫。
少し体を離し、あさ美ちゃんの顎を軽く上に向けた。
あさ美ちゃんは一瞬おびえた目をしたけど、すぐに目をつぶってくれた。
よし、OKってことだよな。い、いかせてもらいます!
141 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時23分47秒
ピンポーン

…なんてタイミングで鳴りやがるんだ、このチャイム。
あさ美ちゃんはハッとして、すぐに玄関に向かってしまった。
大丈夫。あせんなくても、まだまだ時間はあるんだし。

「はっぴーぶーすでー!!」
「おめでとー!!」
クラッカーの音とともに、ハイテンションな二人の人物が入ってきた。
コイツら…今、最も顔を見たくないと思ってたのに!

「ちょっとぉ!ヨシさん、タカさん、なんでケーキ食っちゃうんっすか!!」
「いやー、ごめんごめん。ウチ、誰かお客さんのもらいものかと思ってさー。
手つけちゃって、よく見たら『あさ美ちゃん誕生日おめでとう』って書いてあって、
もう、よっすぃー、ビックリだよ」
こんなテンションを高くしてごまかそうったってそうはいかないぞ。

「自分はホントに知らなかったんだよー。
ヨシさんが取り分けてくれて、食べたら『共犯ね』ってあとで言われてさー」
…百歩譲って、ケーキのことは許す。
しかし、なんで、このタイミングでココに来るワケ?
142 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時24分36秒
「お詫びに…ジャーン!!」
ヨシさんとタカさんは箱を出して、開けた。
そこには、おそらくさっきまで店で作っていたのだろう、
おいしそうなショートケーキが入っていた。
しかも、ご丁寧に『誕生日&交際おめでとう』の文字が、チョコペンシルで書かれていた。
ちくしょう、ウチのあげたケーキよりなんかかっこいいぞ。

「誕生日はそうですが、『交際』ってなんで?」
「いやいや、どうせこれを機会に告白するつもりだったんでしょ」
ヨシさん、スルドイ…たしかにその通りだ。

「しかも、コレはプレゼントでしょ?」
タカさんがあさ美ちゃんの手の指輪を指差す。
「…な、なんで?」

「マコトのしそうなことはバレバレだからー」
「ちょっとベタすぎるけどね、あ、あの花束もプレゼントでしょ?」
…こいつら、よく考えたら、失礼極まりないよな…
人の一世一代の日を、コケにしやがって…
143 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時25分28秒
「あ、あの、立ち話もなんですから、よかったら座って下さい」
あさ美ちゃん、こんなヤツらに気遣わなくていいのに。
「せっかく、ケーキもあることだし、一緒に食べましょう」

「そう?じゃ、せっかくだから…」
ヨシさんが座ろうとしたのを、ウチはすごい目でにらんでやった。
「あ、あ、でも、せっかくの二人の時間をジャマするのは、ねー?」
タカさんが慌ててヨシさんの腕をつかんだ。
いや、もうすでにジャマしてますから。

しかしまだヨシさんは全然気付いてない。
「え?でも、あのケーキ、食いたくない?」
ウチは無言のまま、タカさんもにらんだ。

「と、とにかく、今日は帰りましょ!ケーキはまた作ればいいんだし!
じゃ、おジャマしましたー!」
タカさんが、ヨシさんをひきずるように玄関に向かった。
「お、おう、じゃ、お幸せにー」
ヨシさんの大声が響く。

バタン
144 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時26分15秒
「あ、あれ?なんで帰っちゃったの?」
あさ美ちゃんは、ケーキを切り分けてる最中だった。
「いいよ、ほっておこう」
ウチは超不機嫌な顔になってたようだ。

「でもー、優しい先輩たちだね」
「どこが!!」
「だって、わざわざこんな風にケーキまで作ってくれて、持ってきてきれて。
きっと、まこっちゃんのことが心配だったんじゃない?」
…あさ美ちゃんは本当にイイ子だ、そんな風に考えられるなんて。

「あ、そうだ…」
「どうしたの?」
「このケーキ、まこっちゃん、全部食べられる?」
いや、一人で食べるには大きすぎるでしょ。
…あ、そうか!ウチはちゃんと知ってたからなぁ、ちゃんと計算済みですよ。
145 名前:マコトの決心 投稿日:2002年07月11日(木)03時27分05秒
「いちご、ダメなんだよね?」
「…うん。もし無理なら、いちごのところだけでも…」
「うん、もちろん、いいよ」
何かちょっと優越感。あさ美ちゃんの好みをちゃんと知ってたってことと、
いちごごときとはいえ、あさ美ちゃんに頼られてるような気がして。


しかし、調子に乗って、そのケーキをほとんど一人で食べてしまい、
その後は苦しくて身動きできなくなってしまった…
キスも…ホントはそれ以上のこともしたかったのに…
やっぱり、あの先輩たち、恨んでやる!!
146 名前:ラッキー 投稿日:2002年07月11日(木)03時28分21秒
以上です。
本編の方もなるべく早めに更新したいとは思ってますので、よろしくです。

>オガマーさん
いつもありがとうございます。
おがこんはこんなカンジでうまくいったようです(笑)

>127さん
どうもです。とりあえず、おがこんはうまくいったようですネ(笑)

>128さん
ありがとうございます。お待たせしてすみませんでした。
147 名前:ルーク 投稿日:2002年07月11日(木)13時53分15秒
更新お疲れ様です。
加護がめっちゃかわいかったです。
ご馳走様でした(笑)。
松浦は、切ないですねぇ・・・いい人が見つかってくれればと思います。
そして、オガコン。
いいですねぇ。
かなーりかわいらしいです。
相思相愛。よかったよかったです。
ヨシとタカがまた、絶妙なタイミングで邪魔してしまうところが、
またイー感じでした。
本編のほうも楽しみに待っています。
それでは。
148 名前:わく 投稿日:2002年07月18日(木)18時39分49秒
この話いい!!ファンになっちゃいましたよ☆彡いしよし、おがこん、たかしば
最高!!
149 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月24日(水)11時43分16秒
3つのお話スゴーくよかったです!!
あいぼんかわうぃし、あややの切なさが(・∀・) イイ!
本編楽しみにしています。がんがってください。
150 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)01時56分29秒
その後のある金曜日。
梨華が珍しく連絡もせずに一人でひとみの店にやってきた。

「梨華ちゃん、どうしたの?」
ひとみが驚いてたずねる。
「うーん、今日、会社でちょっとイヤなことがあったの。
だから、少しでも早くよっすぃーの顔見たくなっちゃってー」

そんな梨華の言葉に仕事中ということも忘れ、顔を緩めるひとみ。
「うわぁ、ヨシさん、えっちい顔してる!」
麻琴がひとみの顔を見て、つっこみを入れる。
「う、うるさいっ!仕事しろっ!」
ハッと我に返り、麻琴の背中を叩こうとしたら、逃げられた。
「ヨシさんも、梨華ちゃんにみとれてないで、仕事して下さいね〜」
梨華におしぼりを出しながら麻琴はひとみをからかった。
151 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)01時57分10秒
「おはよー」
パンツスーツを着た紗耶香が疲れ切った様子で入ってきた。
大学を卒業して、会社に勤め始めたが、週末はこの店で働き続けていた。
根っからこの仕事が好きなので、本職にするか迷ったのだが、
親の経営する会社に半ば無理矢理入社させられてしまったのだ。
普段の仕事のストレスを、ここのバイトで発散させているというところだ。

「おっ!梨華ちゃん、久し振り!元気してた?」
紗耶香が声をかけると、梨華はニッコリした。
「はい、元気です。イチさん、なんかお疲れですねえ」
「いやいや、梨華ちゃんの顔見たら、疲れが一気に吹き飛んだね」
紗耶香は梨華の肩を軽く撫でて、更衣室に向かっていった。

紗耶香は制服に着替えて戻ってくると、ひとみを押しのけてカウンターの中の梨華の前に立った。
「ヨシはいつも話してるんだからいいだろ?梨華ちゃん、久し振りだしさ、話ししようよ」
「…え…はい」
梨華は一応ひとみの反応を見てみるが、不満そうな顔をしただけだった。
152 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)01時57分47秒
「おはようさーん」
「「「おはようございます」」」
裕子が店に入ってきた。今日は、裕子の昔からの友人の平家みちよと一緒だ。

「お、よっすぃー、元気そうやな」
「はい、ごぶさたしてます」

実は、みちよは、昼間OLをしながら以前はこの店で働いていた。
しかし忙しい部署に異動させられてからは、
夜にバイトをする余裕がなくなってしまったので、
今ではこのように、お客としてたまに店に顔を出している。

みちよは、ふと梨華に目をやった。
「アンタ、かわいいなあ!一人か?お姉さんと一緒に飲もうや」
「あ、一人というか…」
梨華が戸惑っていると、愛がみちよにおしぼりを持ってきた。

「ミッチーさん、ヨシさんの彼女に手出したら、後でコワイですよ」
「おぉっ!!この子がウワサのよっすぃーの彼女かいな!ふんふん、さすがやな!
全然彼女つくってなかったよっすぃーを夢中にさせたのわかる気ぃするわ」
みちよが、楽しそうに梨華の全身を眺め、ひとみを見て言った。
「ま、隣りに座るくらいはええやろ?」
みちよは、ひとみの返事を聞く前に梨華の隣りに座った。
ひとみはまたもや先輩には何も言えずに、口をとがらせるだけだった。
153 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)01時58分34秒
「「「おつかれさまで〜す」」」
店の扉が開くと、あさ美、亜依、亜弥がやってきた。

「ど、ど、ど、どうしたの!?」
麻琴があさ美の姿にかなり動揺していた。
あさ美はニコニコしながら麻琴の目の前のカウンターの席に座った。

今日、なつみの店は開店準備中に、水道の調子が悪くなり、床が水浸しになってしまったのだ。
それで、管理人さんと業者さんを呼んで、なつみが立会いの元、只今清掃中。
稼ぎ時の金曜だし、片付いた時点でお店もやる予定で、
それまでの時間、店員はこちらの店で待機していろとのことだったのだ。
154 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)01時59分07秒
「よっすぃー、こっちきてよー!!」
梨華の姿にも気付いてる亜依がソファに座り、叫んだ。
亜依の隣りでは亜弥がニコニコとしてひとみのことを見ていた。

「ほら、ヨシ、お客さんとこいってやれよ」
紗耶香がここぞとばかりに、ひとみを梨華の側から離そうとする。
みちよも手を振って、向こうに行けとばかりな態度だ。
「…わかりましたよ」
ひとみは一応、紗耶香とみちよをにらんだあと、ソファに向かった。

亜依と亜弥の間に座り相手をしながらも、紗耶香とみちよの話しに楽しそうに
笑っている梨華のことが、ひとみは気になって気になってしょうがなかった。

「よっすぃー、ウチとも今度デートしようやぁ」
亜依がしなだれかかってくる。
「ははは、そうだね、今度ね」
155 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)01時59分41秒
また店の扉が開くと、今度は圭と圭織が入ってきた。
「あいぼーん!」
「グェッ!なんでオバちゃんが来んねん!」
圭は、亜依の隣りに座った。
「向こうの店でなっちから、こっちにいること聞いたから来たんじゃないの!」
「なっちさーん!余計なこと言いよってからに〜」
「何よ、せっかくアンタに会いに来たんだから!とりあえず飲むわよ!」
圭にはなんだかんだ言っても敵わない亜依だった。

圭織は、もちろんすぐに梨華のことを見つけた。
「梨華ちゃん!また会えたね」
「あ、こんばんは…」
梨華はなんとなく、『ひとみと3人でしよう』と言われたことを思い出し恥ずかしくなった。

圭織が梨華の隣りに座ると、ひとみはさらにあせりだした。
亜依が圭と話しをしているし、亜弥はとくに話しかけてこないのをいいことに、
梨華の方に意識を集中させていた。
156 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時00分15秒
しばらくすると、なつみから店に電話がかかってきた。
お店の方が片付いたので、従業員は戻ってこいとのことだった。

「えー、よっすぃーと離れるのいやや〜」
亜依がひとみに抱きついた。
ひとみはぎこちなく笑っていた。

「なに言ってんの!これからそっちの店で飲み直しよっ!」
圭がはりきって亜依の手をとって立ちあがった。

「じゃ、よっすぃー、がんばってね」
「お、おぅ」
亜弥が意味ありげに微笑んで、ひとみの肩を叩いて出ていった。

「カオリはどうすんの〜?」
「ん、どうしようかなぁ」
圭と圭織が話しをはじめたので、梨華がトイレに立った。
すかさずひとみが追う。
157 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時00分45秒
梨華がトイレから出ると、ひとみがドアの前で待ち構えていた。
「梨華ちゃん、モテモテだね」
「そんなことないよ〜」
ひとみはニコニコとしている梨華に腹が立ってきた。

「すごいうれしそうにしてんじゃん!」
突然、声を荒げたひとみに梨華は驚いた。
「よ、よっすぃーだって、カワイイ子に囲まれてうれしそうにしてるじゃん!」
「そんなことない!」
「ありますぅ!」
「ありませんー!!」
二人はふくれっつらのままにらみあった。

「梨華ちゃーん!」
圭織の呼ぶ声がした。
「は、はい」
梨華が慌てて席に戻っていった。
158 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時01分15秒
「ね、これから向こうの店で飲まない?」
「えっ?」
梨華が答えに困っていると、ひとみがテーブルの上を片付けながら、
梨華のことをちらっとにらむように見た。

「い、いいですよ!行きましょう!きょ、今日は飲み明かしましょう!!」
「あはは、うれしいね〜。じゃ行こうか」
圭織は梨華の肩を抱いて店を出た。

そのあとのひとみはというと、不機嫌極まりなくて、愛と麻琴がフォローするのに一苦労だった。
159 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時01分50秒
(ちっきしょー、梨華ちゃん、まだ飯田圭織と一緒なのかよっ!)
ひとみは仕事が終わって、まっすぐ家に向かってる途中に梨華の携帯に何度か電話をしていたが、
全然出なかった。

マンションに着き、まずは梨華の部屋のインターフォンを鳴らしたが無反応。
もう一度電話もしたがやっぱり出ない。

(そりゃウチがつまんないことで嫉妬したのが悪いんだけどさ…)
ひとみは無性に飲みたい気分になり、マンションを出てコンビニに行ってサワーを数本買った。

念のため自分の部屋に入る前にもう一度、電話をするがやはり出ない。
ひとみは大きなため息をつく。
(今日中になんとかして梨華ちゃんに会って、ちゃんと謝ろう)

ひとみは沈んだ気持ちのまま、部屋のカギを開ける。
玄関に自分のではない見覚えのあるサンダルがある。
(!!り、梨華ちゃん?)
160 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時02分24秒
隣り同士に住んでいるから、別に合鍵とかはいらないのだが、
例えば鍵をなくしたとかいうようなトラブルのとき用に、それぞれの部屋に鍵を置いていた。
そういうつもりで鍵を渡していたから、お互い部屋に勝手に入ってることは今まで一度もなかった。

ひとみはリビングの方に慌てて向かうがいない。
「梨華ちゃん?」
部屋に向かうとベッドの上に、ピンクのパジャマを着て猫のように丸くなって寝ている梨華がいた。
ひとみは安心しうれしくなって目を細めて梨華を見つめた。
(やっぱりカワイイなぁ…)

しばらく見ていたが、丸くなっているせいで顔があまり見えない。
ひとみは梨華の耳元に口を持っていった。
「梨華ちゃん、梨華ちゃん」
ささやくようにして名前を呼ぶ。
161 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時02分57秒
「…ん…あー…よっすぃーだぁ…おかえりなさい」
梨華はうれしそうにひとみの背中に腕を回す。
「ん、ただいま」
ひとみは梨華の髪を撫でる。

「ごめんね、部屋勝手に入っちゃって」
「ん、全然いいよ。帰ってきたの早かったの?」
「うん。なっちさんのお店で少し飲んで、そのあと飯田さんの部屋に誘われたけど、
行かないで電車あるうちに帰ってきたから」
「そうだったんだ…」
「お店でもあんまり話できなかったし、よっすぃーに少しでも早く会いたかったから、
こっちで寝てようと思って」

ひとみは梨華の言葉にうれしくなり、ギュッと抱きしめた。
「…昨日は、つまんないことで怒ってごめん」
「ううん、私の方こそ」

ひとみは梨華にやさしくキスをすると、梨華の方から激しく求めてきた。
162 名前:いちばん?信頼できる人 投稿日:2002年08月01日(木)02時03分32秒
「…あ、シャワー浴びてくるよ…」
ひとみはそのままベッドになだれ込みそうになったのを、ガマンして言った。
「…ん、また汗かくしあとで一緒に入ろうよ」
「え?あ、うん、梨華ちゃんがいいなら…」
ベッドの上で愉しんだあと、2人は一緒にシャワーを浴びて、
そのあとは寝るためにベッドに横になりひとみは梨華に腕枕をしていた。

突然、梨華がクスクスと笑い出した。
「ん?どうしたの?」
「なんか、すごく『幸せ』だなって思っちゃった」
梨華がひとみの腰に腕を回した。
「ああ、ウチも梨華ちゃんといるときが一番『幸せ』だよ」

ひとみが梨華を抱き寄せると、2人は微笑み合った。
「ずっと」
「一緒に」
「「いようね」」


Fin
163 名前:ラッキー 投稿日:2002年08月01日(木)02時06分35秒
更新&終了です。遅くなりましたが…
いしよしのその後のバカップルぶりを書きたかったので、こんなカンジになってしまいましたが(笑)

>ルークさん、よすこ大好き読者。さん
ありがとうございます!
この3つの話しはつけるかどうか迷ったのですが、喜んでいただけたようで安心しました(笑)
以前に何人かの方に「やすかご」を希望されてて、軽く書いてみようかなと。
おがこんは本編で続けてもよかったのですが、小川視点で書きたくて独立させてみました。
あややはせっかく登場させたのに、出番がなさすぎたので何か書こうかと。
おまけみたいなもんでしたが(笑)

>わくさん
どうもありがとうございます。
せっかくファンになっていただいたのに、終わりにしちゃってごめんなさい(笑)

長い間ずるずると更新しないままですみませんでした。
また何かは書きたいとは思っているのですが、どうするか決めてません。
明日の記者会見を見てから考えたいと思っています(笑)
こんな駄文を読んでいただいた方、どうもありがとうございました。
164 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月01日(木)09時52分51秒
甘々がとても嬉しかったです。
お疲れ様でした。
ぜひぜひ次回作もお待ちしております。
165 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月02日(金)18時25分02秒
前作からずっと読んでいました者ですが、始めてレスします。
他とは少し違った甘さのあるこの作品好きです。
164さんと同じく次回作、お待ちしております。
脱稿おつかれさまでした。
166 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月02日(金)21時04分01秒
おつかれさまでした。
登場人物の台詞回しが好きでした。
167 名前:夜叉 投稿日:2002年08月07日(水)22時19分05秒
お疲れさまでした。
やっぱりラッキーさんの作品ってすごくいいですね(月並みな言葉ですいません)。読めば読むほどため息が出てくる…(恍惚)。
また他の作品でお会いできるのを楽しみにしてます。有難うございました。
168 名前:よっすぃー大好き! 投稿日:2002年08月10日(土)17時45分13秒
よっすぃーがかっこよくってかわいくって、この作品大好きですはあとはあと
りかちゃんもかわいいし、また続編書いて下さい
169 名前:マーチ 投稿日:2002年08月22日(木)01時52分24秒
ラッキーさんのこんまこがすごく好きです☆

Converted by dat2html.pl 1.0