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過去の夢たち

1 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時45分24秒
短編をいくつか書いてみました。
お暇な人だけ読んでみて下さい。
っていうか、短いですので。
よろしくおつきあいください。
2 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時47分01秒
窓から空を眺めてみる。
今日もいい天気だ。
真っ青な青空だ。
でも、・・・私の心は・・・

「のの!」
「ん、梨華ちゃん、何?」
「また、ため息ついてたでしょ。幸せ逃げちゃうよ。」
「い〜よ〜、別に。」
「またそういうこと言う〜〜」

それなりに、高校生活は楽しい。
部活に授業に。そう、それなりに。
ただ、恋だけが、上手くいかない。
恋って、人が言うほど簡単じゃない。
恋するもんじゃない、いつの間にかうっかりしてしまうもの、
とは言うけれど、
うっかりものの私なのに、
なぜか、

恋しないんだよね・・・。
いや、過去には一回や二回はあったはず・・・

そんなまま、彼女は、
過去の夢へと落ちていった・・・。
3 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時48分20秒
Case 1 センセイ
あれは・・・中学校の時。
塾のセンセイだったかな。
たしか、春期講習だった。私とセンセイのマンツーマン。
センセイは大学生で。
あの頃は、大学生がすごく大人に見えたな。

お兄ちゃんができたみたいで、うれしくて、うれしくて。
休み時間は一緒に遊んでもらったな。
チョークで、点線を早く書く方法教えてもらったんだ。
できると、「希美ちゃんうまいね。」なんて褒めてくれて。
すっごい嬉しかったんだ。
でも、5日間しか一緒にいられなかったんだ。
センセイはたぶんバイトだろうし、私もその後はほかの先生に
つくことはわかっていた。
もう、2度と会えないだろうってことも何となく、わかっていた。
4 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時49分48秒
最終日に、センセイの授業が終わりに近づいた時、
もう、なんだか涙が止まらなかったよ。
人前で泣きたくないから、テキスト立てて顔を隠した。
人前って言っても、センセイしかいないし、
テキストで顔を隠しても、センセイにはバレバレだったけど、
その時の私はセンセイに子供だって思われるのがイヤで、
また会いに行ってもいい?なんて言うほどのずうずうしさも
持ち合わせてなくて、

思いっきり嗚咽しながら泣いてしまった。
結局、好きの2文字は、センセイは気づいてたかもしれないけど、
言えなかった。

でも、ちゃっかり手帳に名前書いてもらったりしたっけ・・・。
5 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時51分13秒
「はっ!寝ちゃったし!」
「も〜、今日はどうしたの、希美?」
「えへへ」
「あれ、泣いてる?」
「何でもないよっ」

10才も年上だったあの人、今頃どこで何してるんだろ・・・。

センセイ、今度好きな人できたら、無理でも、
私、好きって言うよ。センセイから学びました。
アリガト、センセイ。

屋上に走って空を見ると、
ちょいとせつない、青空、だった。
6 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時56分53秒
Case1は終わりです。
いや、短かすぎて失礼。(汗)
娘。は出てくるような出てこないような、微妙な感じ。
それでは、また。
7 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時58分17秒
ざわざわ・・・人の喧騒から離れたい時がある。
そして、人の喧騒に紛れていたい時もある。
人って、勝手だな。
気持ちひとつで、回りのすべてが違う物のように見えるし、
物事が上手くいったり行かなかったりしだす。
言葉ひとつで、思わぬ展開になる。

ベンチに座っていると、業者の人が校舎に新しいものを運び入れている。
その中で、、ふと、ロッカーが目にはいった。
ロッカー・・・かぁ。
そういえば、あの時・・・

またまた、過去の夢に落ちていった・・・。
8 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)03時59分31秒
Case 2 カンチガイと友達
あれは、中学校のある日の放課後。
ロッカーで帰り支度をしている時だった。
あまり親しくない友達が、話しかけてきた。
「吉澤ぁ。」
「ん?」(珍しいな〜)
それも、何人か引き連れてるし・・・イヤな予感。

「あの・・・さぁ、」
「うん。」
(体育館裏とかの呼び出しですか?なんかしたかな?)

「彼氏いる?」
「ぃや、いるわけないじゃん!」
(なんだ?なんだ?)

「彼氏欲しい?」
「へ?何で?」
「ちょっと聞いてるだけだから。で、どう?」
「いいよ、いいよ。じゃっ、バレー行かなくちゃ」
妙に早口で答えてしまった。
は、恥ずかしいじゃんか。早く逃げよう。
顔が赤くなっちゃうしっ。
9 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)04時02分56秒
前のラストが見えてしまうので、
ここまで書いてしまいました。
Case2はよしざーさんです。
10 名前:Case 2 カンチガイと友達 投稿日:2002年06月21日(金)16時19分09秒
部活の友達の希美に、その事を話してみた。

「やっぱ、からかわれてるのかな?何でそんなこと聞いたんだろ?」

「さぁ〜?聞いてきた人が人だからね〜。あ、お菓子食べるぅ?」

「ん〜、や、いいよ。」

「あ、そう。ダイエット?変なよっすぃ〜・・・」
(やっぱそうだよね。みんなに聞いてるのかも。意識調査とか?)

ちょっと不思議だったけど、私はその事を忘れることにした。
11 名前:Case 2 カンチガイと友達 投稿日:2002年06月21日(金)16時22分19秒
それから一週間後、放課後・・・
あまり親しくない後藤さんが、話しかけてきた。

「吉澤っ。」
(うげっ、出た!つーか、な、なんだろ・・・)

「あ、後藤さん、・・・何?」

「この間のことなんだけど、今日の放課後、校舎の裏に来てくれない?」

「え゛っ!?何で?」(何でそういう展開に・・・)

「だって、彼氏欲しいんじゃないの?」

(ぬわんですとーー!?何をどうするとそういう話に!!)

「だって、いいよって言ってたし・・・」

「いや、いいよ、いらないよ、って意味で言ったんだよっ」
12 名前:Case 2 カンチガイと友達 投稿日:2002年06月21日(金)16時23分36秒
「・・・・・」
「・・・・・」
どうも、双方で行き違いがあったらしい。
吉澤は、イラナイって意味で「いいよ」と言った。
しかし、後藤は「(彼氏紹介してくれて)いいよ」という
意味に取ったらしい。

お互いに間抜けな顔で、数秒間みつめあってしまった。

「・・・えっ?あっそ〜なの?じゃあ、いいや。今の忘れてっ。」
「は?」
「じゃーねー。」

ああ、もう何だったんだ!誰かぐらい言ってくれないと、
決めようもないじゃんっての。

・・・・・・・
・・・・・・
13 名前:Case 2 カンチガイと友達 投稿日:2002年06月21日(金)16時25分30秒
「何なんだよも〜、くすっ」

「よっすぃ〜?何や、気味悪いわぁ。」

「ああ、あいぼん、ごめんごめん」

「それよりな、食堂行こっ!
今日はビビンバ定食があるんやって!」

「ベーグル買ってきたんだけど・・・。」

「貸して!もぐもぐ・・・」
(ああっ、私のベーグルがっ!!)

「はぁ〜、ヨシッ。これで食堂行ける。いっくぞー」

ダッシュで行ってしまった・・・。

「ちょっと、ヨシッて、良くないよ。ベーグル代、か〜え〜せ〜!」

そんなこともあったっけな。
この間誰だったのか聞いてみたら、バスケ部の結構もてるやつだったな。

ちょっと、惜しかったかなぁ・・・な〜んてね。

今度は、肯定の「いいよ」、言ってみようかな。

・・・でも、告白の場所に現れたのが、
学年一のがり勉君とかだったら、どうしよう。
うーん。

彼女に恋の花が咲くのは、もう少し先かもしれない・・・。
14 名前:訣別者 投稿日:2002年06月21日(金)16時28分48秒
Case2おしまいです。
次は明るいあの人かな?
それではまたいつか。
15 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月25日(火)20時47分20秒
いい感じです。期待!
16 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月27日(木)16時44分27秒
最近、退屈だよ。
あ〜あ、かっこいい人でもいれば、少しは
楽しい毎日が送れるかもしれないのにな。

「って、どわっ!!」

・・・階段で、つまづいた。

もう、イヤんなる。・・・階段か。
ふと、階段を見上げてみる。ただのぼろい階段だ。
何で、見上げたんだろう・・・。

・・・彼女も、過去の夢の中に落ちて行ったようです・・・。
17 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月27日(木)16時50分51秒
Case 3 ヒトメボレ

初めて彼を見たのは、中学2年の時。
階段をのぼろうとしたら、
笑い声が聞こえたから、
フト、上を見てみた。

(すごいもの、見ちゃったぁ・・・。)
そこには、私が今まで見たこともないような
笑顔の男の子が、いた。

(か、かっこいー・・・)
思わず、俯いて、早足ですれ違った。
同じクラスになったこともなくて、初めて見た人。
だいたい、一目惚れなんて馬鹿馬鹿しい、
子供ジミテル、と思ってた。
自分には、起こり得ないと思っていた。

それなのに、

しばらく、胸のドキドキが、止まらなかった・・・。
18 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月27日(木)16時54分07秒
その後、彼のクラスはわかったけど、あとはわからなかった。
あまりにも、接点がなさ過ぎて・・・。
月日だけが、流れていく。


私は中学3年になった。

「真里ぃ、図書委員になったんだってー?似合わないなぁ。」

「私だって、好きでなったんじゃないしっ。」

「ま、頑張れよっ!図書委員さん♪」

「ひとみめ〜、ムカつく〜」

放課後の係になってしまったので、部活は一日つぶれてしまうし、
最悪だと思った。
第一、本なんて今までほとんど読んだことないしっ。
と、威張れることではないけどさ。

だけど、意外なことに、ちょっと聞いたことある本とか、話題の本とかが
置いてあって、私は本を借りるようになった。
19 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月27日(木)16時56分47秒
そんなある日、昼休みに図書館に本を返しに行った。
そしたら、いたんです、彼が。

あ゛〜!あの人、図書館に!?似合いすぎるっ!

いかにも、文学青年って風貌なんだよね。
でも、笑ってなかったなぁ・・・。

彼の名前も、とうとうわかってしまった。
後藤君っていうのか。

名前しか、知らない人。
それでも、彼を見た日は、幸せな気持ちになれた。
20 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月27日(木)17時00分10秒
それから進展はなく、私は高等部に進学した。
クラス替えで、とうとう彼と同じクラスになった。

どうしよう、目で追ってしまう・・・。
らしくないのは、十も承知してるんだけど、ダメ・・・。
私は、まるで方位磁針のように
彼の方向ばかり向いている。

「何でそっちのほう見てるの?」

なんて、友達に言われちゃって、ドッキドキ。

「ん?いや、別に。それより、今日、ひとみ暇?」

・・・本当に、必死です。
21 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時12分43秒
体育の時とか、男子は教室で着替えるんだけど、
彼が一番最初に出てくるんだ。

話しかけたくて、

「ね、後藤君、もう教室入っても大丈夫かな?」

とか、話しかけちゃったりして。
彼は無口だから、

「ああ」

とか言って、頷くだけ。

ぜんぜん、距離が縮まらない。
(そっけないところもいいんだけど、
少しだけ、苦しいよ・・・。)
22 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時16分44秒
そんなある日、ゴミ捨てに行く時、
彼が話しかけてくれたんです。

「一個、持つよ。」

「え?あ、ありがと・・・」
(思わず、小声でお礼言ってしまった。らしくないよ)

「あ、あのさ、後藤君って、図書館よく行くんだねっ」

「ああ、まあ・・・・・・」
(ちょっと怪訝そうな顔してるゾ)

「私、図書委員でしょ?たまに見るから・・・。」

「ああ、そうか。」
23 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時18分18秒
「・・・・・・」
(どうしよう、こっち見て、ちょっと微笑んだ!)

「矢口さんは、本、どんなの読むの?」

「えっと、図書委員になってから読むようになったんだけど、
シャーロックホームズとか、赤川次郎とか、内田康夫とか・・・」

「推理物か。」

「う、うん、でも、戦国時代とかの時代小説もこの前読んでみたら、
面白かったよ。後藤君は?」

「太宰とか、三島由紀夫とかね・・・。」

「へぇ。」(イメージピッタシだ)

「でも、椎名誠も好きだったりする。」

「え〜?あはは、なんか意外だな。」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

急に、二人の間に沈黙が訪れた。
24 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時19分50秒
(どうしたんだろう?悪いこと言ったかな?)

「やっぱり、そんな風に思われてるんだな。」

「え、っていうか・・・」

彼を見ると、悲しそうな顔で笑っていた。
こんな悲しい笑顔、見たことないよ・・・。

「女の子から見て、近寄りがたいってのはあると思うよ、うん。
でも、後藤君、話してみると楽しいし、もっと
いろんな人と話してみるべきだと思うっ!」

「そっか。」

「矢口が、女友達第一号になってあげる!」
25 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時22分44秒
「・・・うん。」

その時、彼の視線と私の視線がぶつかって、
彼はほんの少しだけ、寂しそうに笑った。

・・・ように見えたのは、たぶん、気のせいじゃないと思う。

「じゃあ、ダチってことで!」

「お、おう。ダチ・・・ね(笑)」

「も〜、笑わないでよっ」
26 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時24分05秒
それから、後藤君と私は”ダチ”として、
本の話に花を咲かせることになる。

「群よう子さんも、爆笑できていいよ。
電車の中で読むと、噴き出しちゃってさぁ・・・大変なんだよ。」

「今度、読んでみるよ。矢口さん、詩とか読んでみたら?」

「詩、ねぇ、お勧めのある?」

「そうだな・・・矢口さんは小さいから〜」

「・・・後藤君、それ、関係あんの?」

「・・・はは、ゴメン。」

こんな感じで。
27 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時26分53秒
私は淡い恋心を抱きつつ、彼とは友達のまま・・・
高校を卒業した。
ギャグでも何でも、「矢口とつきあってみる?」とか、
言っちゃえば良かったなぁ。

そうすれば、最初に出会った時みたいな笑顔が、
見れたのだろうか・・・。

・・・・・・・
・・・・・
・・・
28 名前:Case 3 ヒトメボレ 投稿日:2002年06月28日(金)01時30分45秒
「それじゃ、最初で玉砕かもしんないしっ」

「何言ってるん?この子は。起きたと思ったら。」

「あら、裕ちゃん、ご機嫌いかが?」

「あほか。でも、かわいいから許す。んー」

「ぎゃ〜、裕ちゃん、チューしないで〜!!」

「ええやん、減るもんやないし。」

「減るの〜!」

(やっぱり、勇気って必要だよね。
あと、もうちょっと恋の空気を出せるようにしよ・・・。)

彼女は一歩、恋の階段を上った、

と信じたい。
29 名前:訣別者 投稿日:2002年06月28日(金)01時41分55秒
Case 3、終わりです。

>名無し読者さん
読んでくれた方がいらっしゃったんですね。
ありがとうございます。
もし、楽しんで下さったら、または
何か感じてくださったならいいなぁ。

次回のは、主人公をちょっと決めかねています。
決まったら、アップしたいと思います。
それでは、また。

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