インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

恋はきっと人をずるくする。

1 名前:オガマー 投稿日:2002年06月22日(土)12時15分41秒
カップリングはいしよしテイストってことで。
おもっきりいしよしやん!って言うツッコミはなしでお願いします(笑)。
面白いものかどうかはわかりませんが、お付き合い頂けると嬉しいです。
2 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時17分47秒
彼女が泣いているのを見掛けた。公園のペンチ。
次の日、廊下ですれ違った彼女は、笑っていた。

それから彼女に惹かれていったのかもしれない。

一人、泣く、彼女を見て、こんな感情沸いてしまったのかもしれない。
3 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時18分23秒

調子はずれな歌が響く。
夜8時、我が家の風呂場。

「君を守るたぁめ そのためにうぅまれてぇきたんだぁ〜♪」

また、これも調子はずれな思いなり。

彼女はきっとあたしをまだ知らない。

知りたいことはたくさんありすぎて、だから何から先に知りたいのかなんて思い浮かばない。
どうすればあたしを知ってもらえるのかも…。

「片想いですか?カァー青春だね、こりゃ♪」

まだまだ呑気でいられる幸せ者のあたし。
4 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時19分41秒


「ねー、今度いちーちゃんがさ、前の彼女と会うらしいんだよねー。」
「え?」
学校に着くなり、クラスメイトのごっちんはあたしの席までやってきてそう言った。
「ごっちん、それっていいの?」
「ヤだよー。だからー。アタシも行くの。」
「ほぇ〜。ま、そんくらい当然でしょうね、その彼女には悪いが。」
「で、」
真希が突然キラキラした目であたしを見つめてくる。
ヤ・な・よ・か・ん♪
「よしこも一緒に着て♪」
「ゲッ、なんで?」
「ん〜、数が合うから?あはっ」
「ヤだよ!絶対ヤだ!あたし部外者じゃん!!」
5 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時20分23秒

ぜってーヤだよ。
冗談じゃないよ…結局連れてこられるなんて。
となりで笑ってるごっちんに気づかれないようにジロリ。
朝から家の前で騒ぎやがって…コイツ。

ま、ごっちんも不安なんだろー、って思うから。
優しい親友は付いていってあげますよ。さんざん文句は言うけどね。

「いちーちゃーん♪」
市井さん発見!と同時に隣から瞬間移動したのかと思わせるようなスピードで走り寄って行った真希。
ほんとかぁーいーよ。ったく、今日会うソイツはどんなヤツだ。
泣かせるよーなことするんじゃねーぞ!!
6 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時20分53秒

「もぉ、来てるんだよねぇ。」
あたしに困った表情を向けながら市井さんはカフェの中を指差した。
どこのどいつだぁー?ああ?
あ、れ??
なんで彼女がここに?
まさか、まさかとは思うんだけど…

「こちら、石川梨華さん。」

ぎょえええ―――――――!!

そこにいるのは確かにあたしが思いを寄せているあの彼女で。
石川梨華さんは一瞬顔を上げて、そしてペコリと一礼した。
7 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時21分37秒
「ちょっとアンタ、今更いちーちゃんになんのよう?」
「ご、ごっちん…。」
「なに?」

ガラの急に悪くなった親友を止めにかかる。
でも、一睨みされて

「い、いえ、なんでも。」

あたしはすごすごとひきさがった。

こういう時のごっちんは強い。愛の力か?市井さんも大変そう…そう思って市井さんを見たら
やっぱり困った顔で視線をテーブルへ。
そして口を開く。
8 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時22分12秒
「こいつ気にしちゃって着いてきちゃったんだ。ごめんね。」
「ううん、いいの…。」

ポツリとしゃべった石川さん。やっぱかわいい声…。
真希は偉そうに腕を組んで口をとがらせてそっぽ向いてる。

「あの、これ返しにきただけだから…。」
「ああ。うん。そんなの捨ててくれてよかったのに。」

彼女が差し出したのは紺色のハンカチ。
あ…あの日、彼女が泣いてた日。手に持ってたのは、これだった…。

「でも、やっぱり悪いと思って。」
「そっか。梨華そういうとこあったもんなぁ、ハハッ。」

市井さんはあっけらかんと笑ったけど、
市井さんが梨華って呼んだことに一瞬ピクッと反応してしまった。
もちろん、元カノなのが大前提でこの席にあたしは座っているのだけれど…。
9 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月22日(土)12時22分59秒
「それじゃ、帰るね。」

そう言うと、石川さんは席を立った。

「わざわざ返しに来るなんてしらじらしぃー。」
とごっちん。
「アイツはああいうヤツなんだよ。」
と優しい微笑みをごっちんに向けた市井さん。

彼女はもう吹っ切れたのだろうか??
あたしは黙って席を立った。
10 名前:オガマー 投稿日:2002年06月22日(土)12時24分17秒
今回はここまで。

ん〜、どうでしょう(何)。
11 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月22日(土)13時18分33秒
いすぃよすぃ期待。ほろにが〜な感じですな
12 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年06月22日(土)13時45分50秒
少々切ない。
これからどうなるか大きく期待です♪
13 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月22日(土)18時11分02秒
某板の更新情報でタイトルを見たとき、もしやと思ったらやはりオガマーさんでしたか。
微妙にいちいしも入ってるのも奥が深いかと。。。
14 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)02時28分28秒
「あの…。」
店を出たところで彼女に話しかける。
「…なんですか?」
「いや、ちょっと心配だったもので…。」
「彼女の元彼女の心配するなんて優しいんですね!」
「はぁ!?」
さっきから話し方がつっけんどんだと思ったら…
「あははははは!!」
「なっ、なんで笑うんですか!」
ヤベっ…また怒らせちゃう。
「い、いや、ハハッ違うんですよ。あたしと市井さんが付き合ってるように見えます??」
「へ??」
今度は彼女が素っ頓狂な声。

「付き合ってるのはもう一人の方。あたしはただ連れてこられただけですよ。」
そう言うと石川さんは真っ赤になった。
15 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)02時29分23秒
あたしはなんだかすんごく嬉しくてまた沸きあがってくる笑いを堪えきれない。
好きな彼女とまぁ、先制 パンチはくらったものの、こうやって自然に話しができているのだから。

「私…勘違いしちゃって。」
「いや、大丈夫です。」

「一緒に歩いてもいいですか?」
あたしはなんだかとても自然に彼女に近づくことができる気がして、そう言ってみた。
彼女はただこくりと頷いた。
そんなに落ちこんでる様子もないし、吹っ切れたっぽいよな。
16 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)02時30分00秒
「でも、石川さんって律儀な方なんですね。」
「そんなことないよ。」
「ありますって。」
「……。」

急に黙りこんだ彼女に視線を向けてびっくりした。
泣いていたから。

「ど、どーしたんすか?」
「…私、ちょっと期待してたの。…今日、紗弥香が一人で来てくれて…もしかしたらまだチャンスはあるんじゃないかって。ずるい女だよね…。口実なんて作って。」
「ずるいですね。」
「えっ。」
「ずるいですよ、それはー。」
「…こういう時って普通は、そんなことないですよ、とか優しく言ってくれるもんじゃないの?」
「そーかもしれませんね……でも、それなら先輩、よけい自分を責めるでしょ?」
あたしが先輩の顔を覗きこんで言うと、
「……もぅ、どっちが年上なんだかわからないよね。」
彼女はちょっと切なげに笑った。
17 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)02時30分40秒
それから、いろんな話しをして彼女とあたしの家の分岐点で別れた。
大半は、市井さんとの思い出話。
まだ、忘れられてなかったのか…。
つらかったけど、あたしもずるい。市井さんがもうごっちんに夢中だってわかってたから、
痛みは最小限だった。
それよりも、彼女の隣に今いるのは、話しを聞いてあげてるのはあたし。なんて変な充実感を感じてた。

あたしはケータイのディスプレイを見つめている。
今日、「何か話したくなった時のために。」ってあたしが番号を差し出すと、彼女も教えてくれたんだ。
まるで見張ってないと逃げちゃうものみたいに目から離せなくなっている自分に少し苦笑。
こんな時に近づこうとするあたしはずるい。
18 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)02時31分10秒
恋はきっと人をずるくするんだな。
そんなことを悟った1日だった。

19 名前:オガマー 投稿日:2002年06月23日(日)02時39分10秒
更新終了!
レスが三つもついてる!!(T-T)
ありがとうございます!

>11 名無し読者さん
ほろにがい感じ!まさにそうかもしれません。

>12 名無しどくしゃさん
あまり期待しすぎないよーに…(笑)

>13 ごまべーぐるさん
タイトルで僕だとわかってくれたんですか?
それってなんか嬉しいですけど、かわるもんですかねぇ?(笑)

今回は思春期吉澤さんの苦悩を描こうと…
がんがってます。
今後とも、どうぞよろしく。
20 名前:PUNK 投稿日:2002年06月23日(日)08時15分01秒
新作開始でございますか。
続き楽しみにしております。
吉の苦悩っていう響きだけで、もう、もう、もーう…お腹いっぱい。
21 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月23日(日)09時49分04秒
弱ってるとこをですか…うーん、確かにずるいけどアリかなぁ。
22 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年06月23日(日)11時39分44秒
なんか、大人な考えのよっすぃーに感動(笑
23 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時39分08秒
「紗弥香どうしてる?」
「ん〜、残念だけどごっちんとめっちゃ上手くいってるよ。」

あの日から、たまに呼び出し合っては先輩と話をするようになった。
放課後の教室でとか、下校しながら。
彼女はずるい。あたしに聞きこみをする。
あたしもずるい。嬉しくて2人のハラのうち探ってやった。
でも、もっとあたしの方がずるいんだ。
ほんとは2人ケンカ中。
その事実を伝えない。

「そっか…。」

悲しい思いさせてゴメンナサイ。
胸が一つ、チクリと痛む。
24 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時39分41秒
「先輩、忘れられないんですかぁ?」
わざとあっけらかんと聞いてみる。
「…まだちょっと。」
「そぉーっスか。」

ああ、ヘヴ―。ノックアウトされちゃいそう。

だ、だけど!!
ずるい同盟を組んだ(あたしが勝手に決めた)あたし達はいけるとこまでいってやる!!
25 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時40分27秒
「気晴らしにどっか行きません?」

あたしは貴方と遊びたいだけです。

「うん。いいよ。」
「どこがいい?」

いきなり敬語とっぱらったりして…。

「どこでも…吉澤さんいきたいとこないの?」

ああ、なんかごっちんとは違う。この人。

「じゃ、適当にブラブラします?」
「そーだね。」

貴方のその笑顔をあたしだけのものにしたい。
26 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時41分02秒



「その後どう?」
「先輩の思うよーな展開にはなってませんよ。」
「そっか。」

また、とある日。の先輩とあたし。
胸は前みたく痛まない。真希と市井さんは仲直り。

「じゃ、今日も気晴らしコースいきますか?」
「そーね。」
27 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時41分41秒
あたしはあたしの知っている限りの彼女が楽しめそうな場所へ
彼女を連れていく。
パスタが好きといえば、知ってる店の中で一番おいしいパスタの店へ案内するし、
ショッピングが好きと言われれば、満足するまで付き合う。

会う度に自然になる彼女の態度と
増えていく笑顔で、あたしはとても嬉しくなれるから。
28 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時42分21秒
いつもみたく、その日も気晴らしコースと名打ったコースを回る。
あたしはクレープを買いに少しの間、先輩と離れた。

彼女の好きなクレープを買って、あたしもそれと一緒なものを買ったりなんかして、
先輩の元へ戻ろうとしたとき、
先輩の回りに2人連れの男が立っているのが見えた。

ナンパかよ?
ゲッ、肩に手ぇ回してるし…
あたしの先輩に…コノヤロォ!!
あたしは、丁度思いきりボーイッシュな格好をしてたから、

「梨華!!」
っていつもより少し低い声で先輩を呼んで、
それから笑顔になってこちらへ歩いてきた彼女の肩に手を回した。
男たちは「男いんのかよー!」なんて言いながら、まんまとひっかかってくれちゃったわけで。
29 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時42分55秒
「ありがと。」

って先輩が笑う。
あたしは意識的に肩に回した手をそのままにしていた。
心臓はドクドク言ってる。

「ひとみちゃん、男のコだと思われてたね。」

先輩が楽しそうに笑うから、調子に乗っちゃって

「ナンパされそーになったら呼んでくださいね〜♪どこへでも飛んで行きます!」

あたしがふざけた口調でそう言ったら、

「ほんとに?じゃあもう安心だぁ!」

なんて先輩も笑ってくれた。
彼女との距離がまた少し近づいた気がしてとても嬉しかった。
30 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月23日(日)12時43分30秒



「その後どう?」
「まだ、ちょっと。」

そしてまた…。
だけど、何時の間にかさぐりを入れるのはあたしからのようで。
忘れられたかな?どーだろう。
でも、彼女の表情は心なしかすぐれない。
市井さんのこと忘れて欲しいのに、それでは口実が見つからない。

彼女の答えに安心したり、グサッときたり…。
だんだん、ただ励ますだけのこのカンケーに
満足できなくなってることも確かだった。

だって、笑顔を見せられる度、前よりずっと貴方が好きになってんだよ…。
31 名前:オガマー 投稿日:2002年06月23日(日)12時49分52秒
暇だったので更新しますた。
ってかベタな上に面白くない更新内容ですね…(汁)。
大丈夫なのか、自分

レスどうもです!!

>20 PUNKさん
少しでも期待に沿えればと思いまふ・・・

>21 ごまべーぐる
ずるい同盟を組んでしまったので、ウザくても
見守ってあげてください(笑

>22 名無しどくしゃさん
よっすぃ〜はね、なんであんなことが言えちゃうんでしょうね。
ここの吉は恋愛に関してはまったく無知なハズなのに(爆)

ネガ爆発…
ずるずるしてませんか、大丈夫ですか。
がんがります…
32 名前:吉澤ひと休み 投稿日:2002年06月23日(日)18時21分47秒
読ませて頂きました。
いや、面白いっす。ずるずるはまっちゃいましたよ(w
がんがって下さい。
33 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月23日(日)23時01分05秒
ヽ^∀^ノヲタです。ごめんなさい。
紗弥香の「弥」、間違ってます。
紗耶香です。ごめんなさい。
34 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時21分56秒

そろそろ誘ってもいいのかな?
遊びに誘ってもいいのかな?
友達ぐらいにはなれたかな?
35 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時22分31秒
「あ、吉澤ですけど…。」
「ふふっ、なんでそんなにかしこまってるの?」

電話をかけたら彼女は笑ってそう言った。
だってさ、市井さんのことなしで今日は遊びに誘おうと思ったんだもん。
それはキンチョーするでしょ。

「いや、なんとなく…。」
「ふふっ、で、今日はどうしたの?」
「あ、…あっ、友達の誕生日が近いんだけど、そのコ女のコらしいコだから先輩に付き合って貰っちゃおうかなぁ、なんて…。」

咄嗟にしてはいいいい訳。あながち嘘でもないし。
36 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時23分06秒
「うん、いいよ!」
「えっ、ほんとに?」
「クスクス。そんなに驚くこと?」
「いや、こういうのはじめてだから。」
「あー、そう言えばそうかもね。」

先輩と、場所と時間を示し合わせて電話を切った。
あたしはキンチョーの糸がプツッと切れてベッドに寝転がった。

「フハハ!」

なんか変なの、変な自分。嬉しくてクスクスするよ。
37 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時23分44秒

「ひとみちゃん!」

待ち合わせ場所に手持ち無沙汰で立っていたら先輩がやってきた。

「こんにちわ。」
「こんにちわ。」

彼女は微笑みながらペコリと頭を下げた。

「だいたい考えてたりするの?」
「え?」
「クスクス。その友達のプレゼントだよー。」

あ、目的を忘れてた。いや、目的は先輩を誘うことだったんだけど、、ゴメンよ柴田(友達)。
38 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時24分19秒
「まだ全然。ってゆーかほんとにわかんないんですよねぇ。」
「そのコはどんなコ?好きなブランドとかー、いつもこんなの身につけてるよー、とか。」

なんだか真剣に考えてくれる先輩が嬉しくて、可愛いなって思った。

「うーん…。」

あたし、実は友達にプレゼント渡すのはじめてだったりして…ごめんよ柴田。完全にダシだけど。プレゼントあげるから許して。

「じゃ、ブラブラしながら決める?」

煮え切らないあたしに先輩が提案してくれる。

「そーっスね!」
39 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時24分55秒
先輩とショーウィンドウを覗きながらあれがいいんじゃない?とか、あれかわいいかも、なんつって歩いて…こういうのってなんか…デートって感じだよね。
自然とニヤけて先輩を見つめてしまう。

「あっ、アレよくない?」

うわ…
先輩に腕を掴まれた。

「あ、ほんとだ。」

なんていいながら、意識はずっと掴まれたままの腕に集中してたりして…。
40 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時25分29秒
「ねぇ、ちゃんと考えてる?」
「はっ…。」

はっ、って馬鹿じゃんあたし。先輩に笑われてるし…。
気を取りなおして今度は真剣に先輩の指したものを見る。
あ〜いいかもしんない。
そのシルバーのブレスは柴田の白い手首にピッタリマッチしそうで、値段も手ごろだった。

「あ〜、ほんとにいいかもしんない。すっごく似合うわ、柴田に。」
「柴田さんって言うんだ?」
「あ、うん。マジでこれにしますよ!」

店に入り、レジで店員さんにそのブレスのことを告げて包んでもらった。これで柴田にもバッチリお返しができるってもんだ。
41 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月24日(月)05時26分03秒
「…先輩、まだ時間あります?」

あたしは勇気をふりしぼったんだけど…

「あ、ゴメン!私、用事あるんだぁ。」

なんて言われてしまった。

「ああ…そうですか。」
「ゴメンね?」
「いえっ。」
「また今度、プレゼントの結果知らせてよね!」

笑顔でそう言うと先輩は走って行ってしまった。
…口実バンザーイ。悲しすぎ…。
42 名前:オガマー 投稿日:2002年06月24日(月)05時28分57秒
更新終了。
レスどうもです!!

>32 吉澤ひと休みさん
そう言っていただけるとほんとに嬉しいです。
ありがとうございます!

>33 名無し読者さん
…ほんとだ。
ヲタのみなさま、ほんとに申し訳。
次回からは間違えないようにしたいと思います!
指摘、ありがとうございました!
43 名前:オガマー 投稿日:2002年06月24日(月)05時34分21秒
ああ、だけど、
一応言っておくと、市井さんの出番はほんとに少ないです…。
44 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年06月24日(月)16時10分28秒
本日一気に読みました。面白いです。
梨華ちゃんに何の用事があったのか気になります。
更新楽しみにしています。
45 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月24日(月)17時27分44秒
柴ちゃん好きなので、ちょっと嬉しいです(w
よすこ大好き読者。さんと同じく、いしの用事が気になる。。。
46 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年06月24日(月)20時16分18秒
キンチョーしちゃってるよっすぃーがカワイイ(笑
meも梨華ちゃんの用事が気になるなぁ。
47 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時33分34秒
「よっ!柴田。」
学校へ着くと、あたしは柴田に話しかける。

「どうしたの?よっすぃ〜。」
「ほい、これ。」

綺麗にラッピングされた小さな長細い箱を柴田に差し出す。

「なになに、それぇー。」

あたし達のやりとりに気付いたごっちんが手元を覗いてきた。
48 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時34分09秒
「ん?柴っちゃんにプレゼントさぁ〜。」
「「……。」」
「何、2人ともその視線は。」

2人は何かコソコソ話をはじめている。
ま、だいたい予想はつくけど。

「どうしたの?よっすぃ〜、熱でもあるんじゃない?」

それはひどくない?柴田。

「ほんとだよ〜。あたしにもくれよ〜。」

それはちょっとズレてない?ごっちん。
49 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時34分51秒
「何があったの?」
「まー、いーから見てみてよ!ちょー似合う気がすんだよねぇ〜。」

口実です!なんて言うわけにもいかず、
あたしが誤魔化すためにそう促すと、柴田がゴソゴソと紙をはいで箱を開ける。

「あ〜、マジいいじゃん。ありがとー。」
「いや、いんだけどねん♪」

なんか嬉しいぞー。プレゼントって案外いいもんだねぇ。
50 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時35分24秒
「で、誰が選んだの?」

…前言撤回。

「あ、あたしですよ?」
「嘘だ。」
「…柴田…取り上げるよ?」
「あ、ごめんごめん。で、誰?」
「…いや。」

あたしばごっちんをチラッと見た。まー、この際隠してたって仕方ないよね?ズバッといくぞ、よしこ。
51 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時35分54秒
「石川先輩…。」

あたしは柴田に言ってんだけど、ごっちんを見つめてた。
一瞬、ごっちんの表情が強張った。すぐに戻ったけど…。

「誰?それ。」
「あたしの好きな人…。」

これまた柴田に聞かれたんだけど、あたしはごっちんに言った。
通らなきゃいけない道だもんね。

「「えっ…。」」
2人同時に声を上げる。

「そうなんだ…。」

ごっちんはそれだけ言った。
52 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時36分26秒
「よっすぃ〜の好きな人??ね、どんな人?どんな人?」

柴田はすごい勢いで問い詰めてくる。

「あ、けど、2人でお出かけってことはもう付き合ってんだ?」
「いや…。」
「まだなの?嘘。なんで?」

まさか、市井さんの元カノだからです…とも言えず。

「なんでってねぇ…それはぁ〜…。」
「はっはぁ〜ん。」

あたしが返答に困っていると、何やら柴田は一人で納得した様子を見せる。
53 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月25日(火)04時36分57秒
「じゃ、今度会わせてね!」

柴田は笑顔にウィンクでそう言った。なんか不敵…

「なんで…。」
「なによぉ、あたし協力したでしょ?」
「わ、わかりました。」

見ぬかれちゃったよ。今気付いたけどあたしってわかりやすいんですかね…。
あたしはごっちんにさりげなく視線を向ける。

「…いーよ、そんな目で見なくても。気にしないって言ったら嘘になるけど、友達の恋は応援してあげたいもん、あたしだって。」

ごっちんはたよりなく微笑みながらそう言ってくれた。

「なに?なんの話?」

いろいろ悔しいから、この際柴田は放置…。
54 名前:オガマー 投稿日:2002年06月25日(火)04時51分07秒
更新終了!!
今回いしかーさんの出番なし。
次回は出ます。

>44 よすこ大好き読者。さん
面白いと言っていただけるとほんとに嬉しいです。
ありがとうございます!!

>45 ごまべーぐるさん
柴っちゃんはキーパーソン!?(笑)

>46 名無しどくしゃさん
今回の吉はそんな感じです(どんな感じだよ

石川さんの用事についてはそっとしといてください、とだけ言っておきます。
てへてへ(氏
55 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月25日(火)17時34分37秒
柴っちゃん、いしかーの親友としてはよく出てくるけど、よすこの連れってのは初めて
見るかも。放置、ワロタ
56 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時30分07秒
だけど…やっぱり柴田に愛の時間感謝感謝♪
だってさ、

「あたしが会いたいって言えばまた一つ口実できるんじゃない?」

いやぁ、持つべきものは柴田だね、なんて調子よく言ったあたしは今度おごらされることになったけど。
なんで柴田にこんなにタイマイはたかなきゃならんのかはこの際目をつぶっちゃおう。
57 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時30分47秒
ってワケで柴田のことを先輩に話したら、
「へぇ、私も会ってみたいな!」なんて先輩は言って、
そんなこんなで、日曜日、あたし達三人は駅前で待ち合わせをしたんだけど。
自己紹介が終わった途端に柴田が先輩にコソコソと何か話しかけていた。

しばらく喫茶店で親睦を深めよー、なんて柴田が言って、行く場所も決めてなかったし、
丁度よかった、なんて思ってコーヒーを飲んでいたんだけど…。
なんだか2人はとても気が合っちゃったみたいで柴田を放置する気マンマンだったあたしは
逆に2人に放置されてたりして…。
58 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時31分22秒
なんだよこれぇ…あたしはアイスコーヒーの氷を掻き回して、相づちを打つ程度…。
やっぱり柴田なんて…

「よっすぃ〜、今から遊園地いくよ!!」

好き♪でもでも、

「なんで?」
「これなぁーんだ。」
「あ、チケットじゃん。」
「そぉ、柴田さん貰ったんだって。」

と、先輩。ん?さっきのコソコソ話はこれだったのかなぁ??

電車に乗ってたら柴田が腕を掴んで耳打ちしてきた。

「ちゃんと後で払いなさいよ。」
「はぁ〜い。」

なんとなくわかってましたよ。丁度3枚なんてハンパなチケット貰ったにしちゃちょっと変だな、って思ってたし。
59 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時32分16秒
遊園地はほどよい人の量で、スムーズにいろんな乗り物に乗ることができた。
途中からあたしはスネてたんだけど。だってさぁ、先輩と柴っちゃんが必要以上に仲良く見えるんだもん。あたしの方、チラチラと気にしてるんだけど、やっぱ2人で盛り上がってるようにしか見えない…。
あたしはきゃーきゃー騒ぐの得意じゃないしなぁ〜。


「じゃ、最後は…アレだね。」

と言って柴田が指したのは観覧車。
60 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時32分53秒
でもどーせ…なんて思ってたあたしは次の瞬間、もう柴田にキスしちゃおうかと思った。
だってさ、

「あ、でもあたし高いところ苦手なんだよね、だから2人で乗ってきてよー。」

なんつーんだもん。もちろん、嘘。富士登山だってしたっつってたよ、柴田。
その後、先輩が

「え、柴っちゃん乗らないの?」

なんて言ってたのは聞かなかったことに…しましょう。
61 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時33分33秒
「ほら!仲良くいってらっしゃーい。」

なんて柴田に背中を押されて観覧車に仲良く2人で乗りこんだはいいけど、先輩は全然無口になっちゃって…
窓の外なんかをボーッと眺めていた。

「綺麗ですね…。」

あたしも窓の外だけを見つめて。

「うん…。」

会話が止まる…。
沈黙が続く…。
自分の不器用さがはがゆくなる。案外、観覧車の中って会話が見つからないもんなんだ…。鼓動だけがやけに大きくて…。
この密閉された空間があたしを締め付ける。
なんだか疲れてきてしまった。
雰囲気最悪じゃん。無理っぽいよ…なんか。
そう考え出したら止まらなくなって…
なんとなく目が合わないように視線を逸らされてる気さえしてきて…
62 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月26日(水)04時34分04秒
「ど、どうしたの?」

観覧車から出てきたあたし達を柴田は目を丸くして見てたけど。
その後、みんなで電車に乗って、帰るまでの間の記憶はほとんどない…。
ずっと考えごとをしてたんだ。
あたしと先輩が仲良くなったキッカケは市井さん。
あたしといれば、きっと彼女は市井さんのことを思い出してしまうのだろう…。
今日でハッキリしたかもしれない。
市井さんを思い出させてしまうあたしよりも、柴っちゃんといる時の方が楽しそうな先輩…。
考えないようにしてたものを、嫌でも目の前につき付けられた気分だった。

柴田がなんかよっすぃ〜って馬鹿だよね、なんて言ってた気がするけど怒る気にもなれなかった。
63 名前:オガマー 投稿日:2002年06月26日(水)04時36分12秒
更新終了!!
なんかヘタクソですよねぇ、この辺…。

>ごまべーぐるさん
僕はどこかで見たことあるよーな気がする…
柴&吉…けど忘れました(爆)

ラストが上手くかけなくて思い悩んでいる昨今…。
64 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月27日(木)19時46分33秒

会いたくない時に最悪のタイミングで人って合っちゃうものなのかな?
だってさ、先輩が市井さんの彼女だったってことだって、そうだったし。

休み時間にごっちんはどっか行っちゃってるし、柴田はとなりのクラスの大谷さんと弁当食べるなんて言うからあたしは一人でつまんなくて、なんとなぁーく、体育館なんかに行ってみようかなー、なんて思って歩いてたんだ。
体育館にはたまに人が集まってて、バレーなんかをして遊んでることがあったから。
体を動かせば、続いてるこのモヤモヤもちょっとは解消されるかと思って。
65 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月27日(木)19時47分05秒
1年の校舎を出て、渡り廊下を歩いてたら…

先輩が向こう側に立ってて、一点を見つめてた。

あたしは先輩が見つめてる方を見て血の気がひいた。
だってそこには…キスしてるごっちんと市井さんがいたから。

あたしはいろんな気持ちが破裂しそうになって、2人の間に割って入ってやろうがなんて考えだけど、
すぐに先輩があたしに気付いたから頭の中は真っ白になってしまった。

蒼白だったあたしに向かって、意外なことに先輩は微笑んで…
66 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月27日(木)19時47分39秒
あたしは胸がぎゅうって痛くなるのを感じて…気付いたら先輩の腕をひいて体育館の裏にきてた。
上履きのまんまだったけど。
「どうしたの?」って聞いた先輩の顔には不安の色も見えたけど、微笑みを浮かべていて…
少しの沈黙の後、あたしは口を開いた。

「先輩さ、市井さんに気持ち言ったら?」

あたしがそう言ったら、先輩は泣きそうな顔になってしまった。

「私もういいもん。」

消え入りそうな声で先輩がそう言う。そんなわけないでしょ。そんな辛そうな顔してなんで嘘つくの?あたしほんとのことも言って貰えないんだ?市井さんのことだけは…
少なくとも先輩になんでも言って貰えると思ってた。
カッと頭に血が集中して…

「なんでだよ!先輩って意気地なしだね。」

あたしは気付いたらそう吐き捨ててその場を去っていた…。
67 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月27日(木)19時48分17秒
渡り廊下を早足で歩いて、
校舎に入る寸前でピタッと足は止まった。
…あたしなんであんなこと言ったんだろ…。彼女と仲良くキスしてる人に、告れなんて。
ひどいヤツだな。
でも…今更、後悔したってもう遅い。
先輩傷つけて、意気地なし!なんてめちゃくちゃなことはき捨てて…

変だね、悲しいはずなのになんか笑えてくるよ。完全に一人よがりだった。
自分の手で最悪な結末を迎えた恋。
…笑うしかないじゃん。ひどいあたしにはぴったりだ…。
68 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月27日(木)19時48分51秒


「よっすぃ〜、」

授業だって上の空で、もうなんにも考えらんなくなってたあたしに放課後声をかけてきたのは柴田。

「あれ?まだ帰ってなかったの?」

あたしはわざとなんでもない声を出した。

「先輩に会ってた。」
「へ、へぇ…。」

動揺を悟られまいと、わざと軽い声を出したけど明らかに不自然だったな。ま、今更柴田に隠したってしょうがないけど。
69 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月27日(木)19時49分26秒
「先輩、泣いてたよ。ちょっとひどくない?よっすぃ〜。」
「…あたしはもうカンケーない。」
「何言ってんの?よっすぃ〜の言葉に傷ついて泣いてたんだよ?」

違うでしょ、先輩はそれだけでなんか泣いたりしてないんだよ…。柴田は知らないかもしれないけどさ。

「あたしもうカンケーないし!ほっといてくんないかな?」

強い口調でそう言ったら柴田はすっごく怒った顔をしたけど、小さくそう、って呟くと鞄を掴んで教室を出ていった。
70 名前:オガマー 投稿日:2002年06月27日(木)19時50分11秒
更新終了…
71 名前:オガマー 投稿日:2002年06月27日(木)19時55分29秒
いい忘れましたが、次回がラストです。
72 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月27日(木)20時20分13秒
もう終わりなんて残念です〜。
次回が楽しみなような、寂しいような・・・。
ラスト、頑張って下さい!
73 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年06月27日(木)22時00分40秒
えぇっ!次ラストッスか…
う〜ん更新楽しみにまってますぅ。
74 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時00分58秒

あたしは馬鹿だ。
あたしはずるい。
あたしは馬鹿だ。
あたしはずるい。
75 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時01分37秒
今更、どうしようって言うの、イライラしてたから、さっきはゴメン。
とでも言うの?
許して欲しいって土下座でもしようか。なんか泣けてくる。
結局、アレって嫉妬だったのかな…傷つけるつもりなんてなかったのに…。
だけど、そんなに上手くできてないし、このまま笑顔でただの友達続けて、彼女は市井さんを引きずり続けて…。
グチャグチャな自分が哀れでかわいそうで涙が滲んで…。
だけど、先輩のことが心配でしょうがなくて…滑稽過ぎるよ…。

あたしは結局帰れずに2年の校舎に向かってる。

先輩の教室に行くと、先輩は机に突っ伏していた。たった一人。
76 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時02分29秒
「…帰らないんですか?」

あたしと気付いたのかハッと顔を上げた先輩の目は赤くて。
あたしはまた泣きそうになった。

「なんで?…あ、心配してくれたの?いいのに…そんなことしてくれなくて。」

痛い。痛いよ。
笑顔をムリヤリ作ってる先輩も。あたしのことなんて必要ないみたいに言われることも。
痛い。痛くてしょうがないけど、

だけど、どうしても…あたしには先輩が必要だよ…。
77 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時03分00秒

「心配だったんだから、しょうがないじゃないですか…。」

あたしがぽつぼつと呟くのを先輩は無表情で見つめてた。

「あたしはずるいから。先輩をほおっておけない。」

意味がわからないって顔してる。なんかもう頭のどっかの線が切れちゃったみたい。
足は勝手に動いて手は勝手に先輩の机に乗って、あたしは先輩にキスしてた…。

「……っく…。」

ほら、泣かせちゃった。
ジ・エンド

「ごめんね。先輩。ごめん…。」

やっと全てを吐き出せた気がして涙が零れた。
先輩のしゃくりあげる声と、あたしの静かな息だけが響いてる教室…。
78 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時03分35秒

「好き…。」

先輩が小さくやっと搾り出した言葉の意味をしばらく掴めずにその涙が机に模様をつくるのを
ボーッと見つめていた。

「私、ひとみちゃんが、好きなの…。」

動けなかった。金縛りみたい。泣いてるのに。胸がなんかギュッてなるのに動けない。
目と目は合っていて、貴方は泣いていて…

ただ、吸いこまれた。あたしはまた無意識に先輩に顔を寄せて、キス、した…。

「あたしも…。」

唇を離して言った声は随分擦れていたけど、先輩が嬉しそうに微笑んだから、伝わったんだ、って理解した。
79 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時04分08秒

先輩、あたしは上手く笑えてた?

後で聞いたら泣きそうな顔にしか見えなかったよ、って言われた。

80 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月28日(金)18時04分45秒

「ねぇ、先輩。」
「なに?」

先輩は清清しく笑って、あたしは言葉を繋げなくなった。
”好き”ってそのたった2文字の言葉を…。意気地がないのはあたしだ。
あんまりさ、キレイだから。なんて言葉で片付けようとするあたしはズルイかなぁ?
だけど、
あたしがそう言う風な態度に出た時だけ、

「ひとみちゃん、好きだよ。」

なんて言って目を逸らしてしまう貴方だって、充分ずるいと思う。だけどさ…だから、かな…

「先輩!」
「なに?」
「…好き。」

貴方はなんたがくすぐったそうに微笑んで…





〜Fin〜
81 名前:オガマー 投稿日:2002年06月28日(金)18時07分32秒
ふぅ…
せめてもの苦し紛れにサクサク完結。
82 名前:オガマー 投稿日:2002年06月28日(金)18時08分08秒
レスすごい嬉しかったです!ありがとう!!

>72 名無し読者さん
ラスト頑張りました!
しかしこの程度(爆)

>73 名無しどくしゃさん
陳腐な結末で申し訳。
83 名前:オガマー 投稿日:2002年06月28日(金)18時08分42秒
一応ネタバレ防止してみるものの…
うあー
完結のときってどうしてもネガ入るなぁ〜…
どうだったのでしょう?
うーむ…(凹
84 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
85 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年06月28日(金)20時51分52秒
ハッピーエンドでよかった!!
完結お疲れ様でした。
でも、梨華ちゃんが、いつ吉に心が動いたのか、
梨華視点の番外編を……と、言ってみるテスト。
86 名前:オガマー 投稿日:2002年06月28日(金)21時02分27秒
みんなの反応をコッソリと確認していたりして(氏
>84 名無し初レスさん
そういってもらえるとほんとに嬉しいです。

>85 よすこ大好き読者。さん
そこなんですよねー。その部分がちょっと自分でも悩みました。
梨華ちゃんがナンパされるシーン、はじめはなかったんですが、
2人が楽しくデートまがいをしてるところをかいてみたりと、
してみたのですが…
番外編と言うか、続編もダラダラと続けていくつもりもあるのですがw
87 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年06月28日(金)22時19分45秒
ドキドキですた。
短い文だけどちと泣きましたよ。
続編、もちろん期待&待ってます♪
88 名前:84 投稿日:2002年06月28日(金)22時24分18秒
ネタばれになるかと思い削除依頼したのです
スレ汚し済みませぬ。

改めまして、
読み終わった後にも何か楽しい
一作でした。

続編期待しています。
89 名前:PUNK 投稿日:2002年06月29日(土)05時17分09秒
ども、お疲れ様でございました。
更新が楽しみな作品が終わってしまい残念レス。
85の方同様、梨華ちゃん視点を見てみたいものです。
もしくは市石の頃の話なんかも見てみたいものです。(ワガママ)
市後も見てみたい気もしますが、続編も見てみたいものです。(言いたい放題)
90 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月29日(土)08時06分35秒
いつの間にか終わっててビクーリ(w (;^▽^)<ハヤイ…

確かにいしかーさん視点も読んでみたいです。

お疲れ様でした。
91 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月30日(日)01時08分51秒
初めて レスいたします。
吉澤さん視点 楽しく読ませていただきました。
で、他視点の 石川Ver. 
若しくは短編で 柴ちゃんVer.を キボンヌ。
楽しみにしています。『もう 書けと言わんばかり(w』
92 名前:オガマー 投稿日:2002年06月30日(日)07時50分13秒
レスありがとうなのれす!!

>87 名無しどくしゃさん
ドキドキ&泣いたと言ってもらえるとほんとに嬉しいですw

>88 84 名無し初レスさん
気にしていただいてありがとうございます!
イキナリ消えたときはちょっとビックリしますた(笑)
スレ汚しとかは気にしないでくださいね!
それと、あのくらいのレスだったらたぶん平気だと思います。
だけど、心遣いはとてもうれしいです♪

>89 PUNKさん
更新が楽しみとな!(何
嬉しいです!!ありがとうございます。

>90 ごまべーぐるさん
サクサク更新しましたw
どうもありがとうございます!

>91 名無し読者さん
柴ちゃんver.は少し難しいかも…
あまりキャラを知らなかったりする罠…
レスありがとうございます!
93 名前:オガマー 投稿日:2002年06月30日(日)07時51分39秒
さて、
みんながみんなそう言ってくださるので、
rikaver.書き上げました。
サクサク更新です(そればっか
94 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年06月30日(日)07時53分19秒
「梨華、別れたいんだ…。」

紗耶香がそう言うの、なんとなくわかってた。
呼び出された公園のベンチ。

95 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年06月30日(日)07時53分56秒

付き合いはじめたのはまるで映画みたいなキッカケだったよね。
私が先生に頼まれた重い荷物を持っているところを紗耶香がサッと半分拾い上げてくれて…
1年の時、同じクラスだった私達は、三学期の最後の最後に急接近した。

「あたしのこと嫌いかなぁ?」

思えばあれが告白の言葉だったのかなぁ?
その後、私達は初めてのキスをした。
96 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年06月30日(日)07時54分33秒


「…なんで?」

わかってたのに聞いてしまった。
最近は、あんまり会うこともなくなってて、そんな予感はしてたんだ。
紗耶香は困った顔をして、それから

「ハッキリ言うと、気になってる子ができた…。」

地面を見詰めながら言った。
一番肝心な時に意気地がないのが悪い癖だよ、紗耶香。
それじゃ、私あきらめきれないじゃない?
97 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年06月30日(日)07時55分21秒
涙が溢れた。

「わかった…。」

私はそう言っていた。

「これ使いなよ、捨てていいからね。じゃ…。」

紗耶香は紺色のハンカチを私に渡すと、公園を出ていってしまった。

私は泣いた。初めて付き合った人だった。
今も紗耶香が好き?
うん。じゃなんでうなずいたの?
困らせたくなかった。
あきらめられるの?
わからない…。
手に持ってるハンカチが私の気持ちの行き場をもっとなくした気分だった。
ハンカチなら、持ってたよ、紗耶香…。
最後まで優しくしないでよ…。
98 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月30日(日)07時56分42秒
それから、数十分でスッカリ涙は止まった。
悲しかったけど、もう泣くのはやめようと思った。紗耶香のハンカチがそう言ってる気がした…。

明日も学校だ。
目がはれちゃうと大変だし…。
夜になるとそう思ったけど、やっぱり少しだけ泣いた。
泣きつかれて、すぐに眠ることができてよかった。


学校にいる時は、紗耶香とは階も違うクラスなので、顔を合わせることがほとんどなかった。
クラスに仲のいい友達もいたので、学校にいる時間は結構なにも考えなくて済んだ。
99 名前:恋はきっと人をずるくする。 投稿日:2002年06月30日(日)07時57分38秒
一週間以上が経って、なんだかモヤモヤした気分も抜けなかったけれど、私はなんとか立ち直れそうな気がしてたんだ。
だけど、木曜になって、洗濯された服を手にとった時に、あの日のハンカチがポトリ床に落ちた。


私の中、私が囁いた。
これ渡すためにもう一度会うことができるじゃない?
でも、私はもう…
忘れてる?ほんとに忘れられてる?
わからない…
でも、紗耶香はもう他の子が好きなんだよ?
…でも、取り敢えず会ってみようか、何か変わるかもしれない…。
100 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年06月30日(日)07時58分48秒
私は、紗耶香に電話した。
『…もしもし?』
コールは結構長かった気がした。ためらったのかな?
「あ、ゴメンね。」
『梨華?…何かあった?』
少し前となにもかわらない、優しい声に少しだけ涙が滲んだ。
「ううん。ただね、ハンカチ返そうと思って、会えない?」
『ん〜…あー、いいよ。梨華、そういうとこちゃんとしないと気が済まないもんな。』
違うよ、私はそれだけで紗耶香を呼び出したんじゃないよ…。
胸がとっても複雑だった。

日曜に会う約束をして、電話を切った。
学校でもいいのに、私はそう言ってた。
紗耶香も頷いてくれた。
すごくすごく複雑な気分でその夜はあまり眠れなかった。
自分で傷口を広げたような気がして、後悔もした。
だけど、もしかしたら…って思ったり…
101 名前:オガマー 投稿日:2002年06月30日(日)08時02分43秒
少し中途半端な気もしますが、
とりあえず序章と言った感じで…。
吉が出てくるとこまで更新したかったけど、
長くなりそうなので。
102 名前:オガマー 投稿日:2002年06月30日(日)08時06分14秒
間違いハケーン

>96
「ハッキリ言うと、気になってる子ができた…。」

正しくは
「ハッキリ言うと、他に気になる子ができた…。」
です。
103 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)01時07分20秒
あれから、3日。
紗耶香に会う日の朝は誰にも言われなくても、起きようと思っていた時間の前に目が覚めた。

鏡の前、少し疲れたその顔は、そのまんま私の心を映してる気がした。
104 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)01時07分52秒
学校近くの喫茶店に向かう。
喫茶店の前で、紗耶香を見付けた。
思ったより、私の心臓は冷静だった。
私が、立ち止まっていると、紗耶香がケータイに目をやりながらふと、こちらを見た。

「久しぶり。」

紗耶香特有の苦笑いになってるよ…。
そんな表情も、嬉しいのか切ないのかよくわからない気分。

「ゴメン、ちょっと先入ってて。」

紗耶香がそう言った。しきりにケータイを気にしてる様子だった。
105 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)01時08分47秒
私は喫茶店に入って、適当な席に座る。

外で紗耶香が何かあたふたメールしてるのが見えた。

しばらくすると、オーダーをとりにウェイトレスが来たけど、私はなにも頼まずにいた。
紗耶香…何してるんだろう…。

!!?
ボーッと見詰めていると、紗耶香の元にかわいい女の子が駆けよってきた。
あれ?二人いる。一人は最初に紗耶香に走り寄った、ロングの髪のなんかこういうのもなんだけど、容姿とはちょっとギャップがある犬みたいな雰囲気のかわいい子。
もう一人はショートヘアの大人っぽい女の子。
紗耶香がその大人っぽい子の方を見て、私の方をチラッと見た。あの子が紗耶香の好きな子かな…。
ショックだった…。見たくなかったよ。
106 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)01時09分33秒
2人を連れて入ってきた紗耶香は、私を2人に紹介した。

「こちら、石川梨華さん。」

彼女達2人の視線を感じて、私はなんだかものすごく悪いことをしている気分になった。
なんでだかわからないけど…
ペコリと一礼だけして、また席に付いた。

「ちょっとアンタ、今更いちーちゃんになんのよう?」
ロングの子がなんだかすごく怒った顔をして詰め寄ってきた。
「ご、ごっちん…。」
「なに?」
「い、いえ、なんでも。」
ショートの子は、止めようとしたけど、引き下がった。

気が弱いのかな?…そこは私と一緒かも…。
ロングの子は
この子のために怒ってるんだな、きっと。
107 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)01時10分26秒
すごく居心地が悪い…。
紗耶香もそんな顔をしてる。
はやく帰りたい…。自分がとっても惨めに思えてきてしまった。

「こいつ気にしちゃって着いてきちゃったんだ。ごめんね。」
「ううん、いいの…。」

話しかけてきた紗耶香に精一杯笑って答えた。

「あの、これ返しにきただけだから…。」

バッグからハンカチをごそごそと取り出す。
私はとにかく逃げ出したい気持ちで…。
108 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)01時10分58秒
「ああ。うん。そんなの捨ててくれてよかったのに。」

紗耶香がそう言うの、どっかではわかってた気がするけど、やっぱりギュッてなった。

「でも、やっぱり悪いと思って。」
「そっか。梨華そういうとこあったもんなぁ、ハハッ。」

またギュッってなった。
違うよ…あたしは、ちょっと期待してたんだよ。
ずるい女…。

「それじゃ、帰るね。」

それ以上その場にいられなくて、そう言うとすぐに店を出た。
109 名前:オガマー 投稿日:2002年07月01日(月)01時13分46秒
こーうしーんしゅうりょー
やっとヨシ登場ーー
眠い(爆)
確認がおろそかになって変なところがあるかもしれませんが…
おやすみなさい…
110 名前:PUNK 投稿日:2002年07月01日(月)01時59分58秒
おお、梨華タン視点だぁー!
続き楽しみにしておりやす。
111 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月01日(月)20時00分55秒
ほぉ、梨華ちゃん視点だ。ドキドキ
作者様はいい所でお切りになりますね(w
112 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時42分10秒
一人になってホッとして、少しだけ切ない気分が押し寄せた時だった…。
「あの…。」
振りかえると、紗耶香の彼女…。
「…なんですか?」
出すつもりはなかったけど、少し不機嫌な声になってしまったかもしれない。
「いや、ちょっと心配だったもので…。」
は!?なんなの?私はその言葉でカッと頭に血が昇って
「彼女の元彼女の心配するなんて優しいんですね!」
って最高に嫌味な言い方をしてしまった。
「はぁ!?」
彼女は目を丸くして驚いた後、豪快に笑い出した。
113 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時42分40秒
「なっ、なんで笑うんですか!」
私がそう怒鳴ると、彼女は情けない顔になる。イタズラをしてしかられた子供みたい…。
「い、いや、ハハッ違うんですよ。あたしと市井さんが付き合ってるように見えます??」
「へ??」
「付き合ってるのはもう一人の方。あたしはただ連れてこられただけですよ。」

嘘…私ってばなんで勘違いしちゃったんだろう…。
自分でも顔が赤くなるのがわかった。

「私…勘違いしちゃって。」
「いや、大丈夫です。」
そう言う彼女はまだ少しだけ笑っていたけど、なんだか嫌味な感じには見えなかった。
114 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時43分12秒
「一緒に歩いてもいいですか?」
一瞬、驚いたけど、一人でいるより気が紛れるかもしれないと思って頷いた。

「でも、石川さんって律儀な方なんですね。」
「そんなことないよ。」
そう、そんなこと全然ない。
「ありますって。」
「……。」

ヤだ…。涙が出てきちゃった。おかしいな…。
だけど、なんか自分を否定したくなったの…。苦しくて…。
115 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時43分50秒
「ど、どーしたんすか?」
「…私、ちょっと期待してたの。…今日、紗弥香が一人で来てくれて…もしかしたらまだチャンスはあるんじゃないかって。ずるい女だよね…。口実なんて作って。」
私は半ばやけになって、彼女にそう打ち明けた。

「ずるいですね。」
「えっ。」
「ずるいですよ、それはー。」
「…こういう時って普通は、そんなことないですよ、とか優しく言ってくれるもんじゃないの?」
そうだよ、ちょっと期待してたのに否定してもらうのを…ああ、やっぱりずるい。
「そーかもしれませんね……でも、それなら先輩、よけい自分を責めるでしょ?」
彼女は私を微笑んで見て、そう言った。
ハッとした。確かにそうかもしれない。その笑顔と言葉に少しすくわれた気がしたんだ。
「……もぅ、どっちが年上なんだかわからないよね。」
ほんと…、もうずるいのも終わりにするよ。
終わりにしたいもん。なんだか、ふっきれそうな気がしてきた。
116 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時44分25秒
彼女はそれからの道でもいろいろ話しかけてきてくれた。
私は何故だか、紗耶香の話しをいろいろ聞かせた。
彼女になら、話していいんじゃないかと思った。
少しだけ泣いてしまいそうにもなったけど、
「話し聞いてもらうだけでスッキリしちゃうときもありますもんねー。」
彼女がそう言ってた。その通りだと思った。

「あ、」
「ん?」
「私、貴方の名前知らないよ。」
117 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時45分00秒
そうだった。この子の名前知らない…。

「あはは!ほんとだ。吉澤です。吉澤ひとみ。」
目が大きいからひとみかな?なんてチラッとどうでもいいようなことを考えて
「じゃ、改めてよろしくね、吉澤さん。」
私がそう言うと、彼女は何か思い立ったようにケータイを取り出した。
「何か話したくなった時のために番号交換しましょう。」
「うん。」
私はなんだかホッとした。
もう一人で悩まなくていいんだな、って思えた。
118 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月01日(月)23時45分34秒


眠りにつくまでは、今日起こったことがグルグルしてた。
紗耶香のこともまだ好きなんだ、って思った。けど、後藤さん(吉澤さんに聞いた)と紗耶香のことを引き裂くほど紗耶香を好き?
そこまではわからなかった。

その日の夜はなんだか久しぶりによく眠れた。一大イベント(私の中で)が終わってホッとしたのかもしれなかった。
119 名前:オガマー 投稿日:2002年07月01日(月)23時49分15秒
更新終了!!
ちょっと少ないかな??

レスありがとうございます!!

>110 PUNKさん
いつもありがとうございます!
意外にスラスラと梨華ちゃんver.が書けて自分でもビックリ(笑)

>111 名無しどくしゃさん
今後もよろしくお願いしますねぃ!
区切りのいいところで切ってるつもりなんですがw
意外なところを褒めていただけるのも素直に嬉しいです。
120 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月02日(火)20時27分19秒
いゃぁ、少なかありませんよ。
ん〜梨華ちゃんはひょんなこと考えていたんすねぇ〜
つづき期待します。
121 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時54分03秒

私はケータイを手に取って吉澤さんの番号を見詰めてる。
あの日から3日経ったけどあの日のことばかり思い出す。
よくわからないけれど、彼女が言ってたように、話しを聞いてもらうだけで楽になるかも、と思って
電話してみることにした。
この際だから、おもっきり甘えさせて貰おうなんて…ちょっとずるいかな?やっぱり。
122 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時54分33秒
電話をかけると、彼女は快くうなずいてくれて一緒に下校することになった。
挨拶程度の会話を交わしたら、なんだか急に何を話していいかわからなくなった。

「紗弥香どうしてる?」
「ん〜、残念だけどごっちんとめっちゃ上手くいってるよ。」

急に確信をついた私の言葉に彼女は苦笑いで答える。

「そっか…。」
複雑な気分だね。なんか2人が仲良くてよかったのかな?とも思う。
忘れなきゃ、私は。
123 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時55分13秒
「先輩、忘れられないんですかぁ?」
そんなことを考えていたら吉澤さんがそう言ったからちょっとビックリした。
「…まだちょっと。」
「そぉーっスか。」
正直に答えたんだけど、何故だか吉澤さんがちょっと悲しそうな顔になる。
それを見て私は少し頬が緩んだ。優しい子なんだな…。

「気晴らしにどっか行きません?」

ほら、優しい。
124 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時55分51秒
「うん。いいよ。」
私は甘えさせてもらいます。
「どこがいい?」
「どこでも…吉澤さんいきたいとこないの?」
吉澤さんは少し考えた後、言った。
「じゃ、適当にブラブラします?」
「そーだね。」

彼女はほんとに優しい。
いつも気を使ってくれてる。だけど、それもすごく自然な感じで。笑わせてくれたり、なんだかとても楽しい時間が過ごせた。
125 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時56分47秒

「その後どう?」
「先輩の思うよーな展開にはなってませんよ。」
「そっか。」

何度か呼び出しあって話しをするうちにそれはお決まりの文句になってきたみたい。
ひとみちゃんはそう言ったけど、私の胸はそれほど痛まない。
そろそろ忘れられたのかもしれない。

「じゃ、今日も気晴らしコースいきますか?」
「そーね。」

ひとみちゃんはほんとに優しい。
私はちょっと嬉しくなって、パスタが食べたい!とかお買物に行きたい!とかワガママを言ってみるのだけれど、嫌な顔一つせずに付き合ってくれる。
ひとみちゃんと過ごす時間は楽しい。
126 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時57分22秒
「先輩、クレープ食べる?」
いつもみたいにブラブラと街を歩いてるとひとみちゃんがそう言った。
「おごり?」
私がそう言ってみると、
「仕方ないなぁ〜、ちょっと待ってて!」
彼女はそう言って走って行った。

その後ろ姿を見詰めていたら
「あ、かわいーじゃん。」
いきなり男の人に声をかけられた。
ヤだ…ナンパかなぁ??
「ねぇ、一人?」
「遊びに行かない?」
「いえ、人と一緒ですから。」
「友達?かわいいの?」

…あきらめてくれない。ひとみちゃん、まだかな?
127 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)00時58分01秒
「梨華!!」
いつもより少し低かったけど、ひとみちゃんの声だってすぐにわかった。
私は安心してすごく笑顔になってたと思う。
ひとみちゃんが肩を抱いてきた。
後ろでさっきの男の人たちが、「男いんのかよー!」って言ってはじめて、ひとみちゃんのその行動の意味に気付いた。

「ありがと。」
私が言うといつもみたいに優しい顔してひとみちゃんは笑った。

「ひとみちゃん、男のコだと思われてたね。」
私がそう言うと、ひとみちゃんはイタズラっ子ぽい表情になって、
「ナンパされそーになったら呼んでくださいね〜♪どこへでも飛んで行きます!」
なんて言った。
私も調子を合わせて
「ほんとに?じゃあもう安心だぁ!」
なんて言って、二人で笑った。
なんか楽しいな、ひとみちゃんと一緒にいると。
128 名前:オガマー 投稿日:2002年07月03日(水)01時00分55秒
今回はこの辺でw

>120 名無しどくしゃさん
いつもレスありがとうございます!!
そして今回はこのようなことを梨華たむは考えておりますw

最近、市後&柴ちゃんの番外編をねっていたり…w
でも、もしうpするとしたらとーい先の話…
129 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月03日(水)04時00分33秒
梨華ちゃんバージョンもいいですね♪

>市後&柴ちゃんの番外編
…!!!?めっちゃ楽しみです!!待ってますよほ〜
130 名前:91です! 投稿日:2002年07月03日(水)07時42分15秒
>128
>柴ちゃんの番外編
そうでしょう!? やっぱり あれだけ二人に振り回された
(だしにされた)柴ちゃんなら 裏事情にも詳しいハズ!
書きたくなってきたでしょう?  『柴ちゃん Ver.』!
131 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月03日(水)19時08分47秒
ん〜梨華ちゃんもずるいれすね(笑
そして、番外編にも期待ぃ。
132 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時42分29秒

また少し経ってからひとみちゃんと一緒に下校した。
しばらく、今日あった授業の話しなんかをしてたんだけど、
ひとみちゃんが

「その後どう?」
って聞いてきた。
私は途端に胸がギュッっていたくるのを感じた。ああ、そっか。ひとみちゃんは私のこと心配してこうやって一緒に帰ってくれてるんだよね…。
「まだ、ちょっと。」
私は…さっき気付いた。
ひとみちゃんと会うって事実にハシャイでた。でも、ひとみちゃんは…
そう思ったら自然とそう言ってた。
133 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時43分04秒


ひとみちゃんにとって私ってどんな存在なのかな?
一人になるとそんなことばっかりを考えていて、私は気付いた。
私、ひとみちゃんのことが好きだ…。
気付いたら少し胸がドキドキしたけど、少しだけ切ない気分になった。
134 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時43分34秒
自分の気持ちに気付いたら、なんだか急にひとみちゃんのことを誘い辛くなってしまった。
彼女は、きっとまた紗耶香のことだと思うんだろう…。
そう考えるとやりきれなくなって、なるべく考えるのをやめておいた。


休日に、自分の部屋でテレビを見ていると、ひとみちゃんから着信がきた。
ドキドキして受話器を取る。通話ボタンを押す直前、無意味に咳払いをしてしまった…。
135 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時44分20秒
「あ、吉澤ですけど…。」
「ふふっ、なんでそんなにかしこまってるの?」
なんだか、ひとみちゃんの様子がおかしくて、さっきまでのドキドキはすごく軽くなった。

「いや、なんとなく…。」
「ふふっ、で、今日はどうしたの?」
「あ、…あっ、友達の誕生日が近いんだけど、そのコ女のコらしいコだから先輩に付き合って貰っちゃおうかなぁ、なんて…。」

どうしよう…私今日は従姉妹が来るからって親に家にいるように頼まれてるんだけど…。
でも、着くの3時ぐらいって言ってたから、それまでぐらいならいいよね?

「うん、いいよ!」
「えっ、ほんとに?」
「クスクス。そんなに驚くこと?」

ひとみちゃんってなんかおかしい。自然と笑いがこぼれてしまう。

「いや、こういうのはじめてだから。」
「あー、そう言えばそうかもね。」

今日は、紗耶香のことはカンケーなく、誘ってくれたんだ?
ドキドキした。
でも、友達のプレゼント、かぁ…。
136 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時45分00秒
ひとみちゃんと場所と時間を決めて電話を切った。
私は急いで支度をする。少しメイクなんかにも気合を入れて、あ、でもあくまでナチュラルに。
お気に入りのワンピースを着て。



「ひとみちゃん!」
待ち合わせの場所にひとみちゃんを見付けて、私は嬉しくなって少し大きな声を出してしまった…。

「こんにちわ。」
「こんにちわ。」

ひとみちゃんの挨拶に少し照れくさいのもあって、わざとペコリと頭を下げて挨拶を返す。
今日はまかせといてよ!ひとみちゃんのためにもいいプレゼント一緒に選びましょう♪
137 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時45分39秒
「だいたい考えてたりするの?」
「え?」
「クスクス。その友達のプレゼントだよー。」

ほんとおかしい。ひとみちゃんって。

「まだ全然。ってゆーかほんとにわかんないんですよねぇ。」
「そのコはどんなコ?好きなブランドとかー、いつもこんなの身につけてるよー、とか。」
私、ちょっとハシャギ過ぎかなぁ?
「うーん…。」
「じゃ、ブラブラしながら決める?」
でも、楽しいんだもん、いいよね?
138 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時46分14秒
ひとみちゃんとショーウィンドウの前をいくつも通りすぎる。
ひとみちゃん、真剣に考えてるのかなぁ?でも、なんだか楽しそう。
「あっ、アレよくない?」
私は目についたブレスレットを指して
ひとみちゃんの腕を掴んだ。
掴んでから気付いたんだけど、友達なんだし、このくらいいいよね。

「あ、ほんとだ。」
ひとみちゃんはそういいながらもボーッとしてる。
「ねぇ、ちゃんと考えてる?」
「はっ…。」

ほんとになんでこんなにボーッとしてんのかな?この人は…。
ドキドキしてた気分なんてとんじゃうよ。

「あ〜、ほんとにいいかもしんない。すっごく似合うわ、柴田に。」
「柴田さんって言うんだ?」
「あ、うん。マジでこれにしますよ!」

私はひとみちゃんがそう言って嬉しそうに笑うのを見て、
少し柴田さんというお友達に嫉妬してしまった。

ひとみちゃんは私をその場で待たせると店の中に入って行ってそのブレスを包んで貰っていた。
139 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時46分52秒
「…先輩、まだ時間あります?」

え!?時計を見たら2時半を過ぎてた。こんな時間!もう来ちゃう!!

「あ、ゴメン!私、用事あるんだぁ。」
私がそう言ったら、
「ああ…そうですか。」
ひとみちゃんは残念そうに言った。

…ほんとは一緒にいたいよ、私も。だけど今日は…
従姉妹を外で待たせるわけにもいかないもんね…。

「ゴメンね?」
「いえっ。」
「また今度、プレゼントの結果知らせてよね!」

私はさり気なく次の約束をとりつけて走り出した。
もう亜依が来たらおもっきしほっぺたひねしってやろうかな!
140 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時47分38秒

私が急いで帰ると従姉妹の亜依はもう門の前に座り込んでいて…

「ごめんね!」
ってあやまったんだけど、
「何?梨華ちゃん、ひょっとしてデートかぁ??」
なんて人差し指をグルグル回してニヤニヤしながら言われてしまった。

そう!もとはと言えば!亜依が今日にさえ来なかったら、私はひとみちゃんと1日中一緒にいられたのに!

そう思って亜依のほっぺたをぷにっと摘んでやった。

「痛い!痛いって!なんやねんっ、30分近く家の前で待たされてあげくがこれかいっ。」
「…ああ、そうだった。ゴメンね。」

そう言えばそうよね。でも、タイミングの悪さだけは褒めてあげられないわ。
141 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月03日(水)23時48分11秒
「で、その人はどんな人なん?」
「なにが?」
「だーかーらー、今日のデートのお相手♪」
「もぅ、いいでしょ!ほら、入ろうよっ。」

…デートじゃないんだよねぇ。ほんとは言っちゃいたいけど。背が高くて可愛くて優しくて、たまにボーッとして…たまにじゃないかな?

「なにニヤニヤしてんねん…。」
「えっ…。」
「えっちやなぁ〜。」
「……。」

何よ、それ。亜依は玄関の鍵を開けてやると
まるで我が家とでも言わんばかりに自然に上がりこんでリビングで「麦茶ー!!」なんて叫んでた。
142 名前:オガマー 投稿日:2002年07月03日(水)23時53分40秒
更新終了!!
梨華ちゃんの用事が明らかに!!(笑)

>129 名無し読者さん
ありがとうございます!
番外編はちょっと先のことになりそうですけど…

>130&91さん
柴ちゃんには、この2人が落ちついてから
きちんと自分の恋愛をして貰おうかと考えておるのですがw

>131 名無しどくしゃさん
でも、こういうずるさって誰でも持ってますよね〜。
待ちくたびれるかもしれません…(笑)<番外編

レスありがとうございました!!
143 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月04日(木)02時14分37秒
@ノハ@
( ‘д‘)ノ<麦茶ーッ!!

加護、ただのオッサン(w
なるへそ、いしかーさんの用事とはコレだったのですね。
いちごま&柴っちゃんの番外編も楽しみれす。


144 名前:PUNK 投稿日:2002年07月04日(木)02時54分28秒
ああ、もうこの頃から梨華タンはすでに…
いとこのあいぼんおもろいです。
145 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月04日(木)14時56分21秒
用事って。。。。あいぼんだったのね(泣
これで、スッキリ!!
続き楽しみにしています。
146 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月04日(木)19時29分27秒
うん。うん。同感です(w
梨華ちゃんの用事が…あいぼん目。。。(毒
番外編はマターリ待ちます。マターリ。いしよしヲタですが(ww
147 名前:オガマー 投稿日:2002年07月05日(金)23時15分10秒
昨日あれから亜依とはしゃぎ過ぎてちょっと疲れていた私に
放課後の教室でひとみちゃんから電話がかかる。

なんでも、この間話をしていた友達が私に会ってみたいんだそうだ…。
私はドキッとする…。柴田さんって何者なんだろう…。
まさか「ひとみちゃんを取らないでね!」とか言われないかなぁ…。
「へぇ、私も会ってみたいな!」なんて言っちゃったけど、
私が会いたいのは…ひとみちゃんです。
148 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月05日(金)23時16分45秒
日曜日が来た。私がひとみちゃんと柴田さんと会う日。
駅前で待ち合わせをしてたら、向こうから、ひとみちゃんと柴田さんらしき女の子が歩いてくるのが見えた。

「へぇ、やっぱりかわいいですね!」

柴田さんは自己紹介が終わると私に向かってそう言った。その笑顔には邪気が少しも感じられなかった。柴田さんもかわいい子。
でも、ひとみちゃんとはただのお友達みたいだな。
149 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月05日(金)23時17分27秒
「先輩。」
「ん?」
柴田さんに何故だかコソコソと話しかけられる。
「よっすぃ〜のこと好きですか?」
「へ!?」
イキナリ予想もしてなかったことを言われてしまったので、声が裏返った。
「よっすぃ〜、なんか自分から行けないみたいだから、ちょっと後押ししますけど、いいですよね?遊園地のチケット貰ったんで。」

「何話してんの?」
勝手に進んでいく話しを掴めずに私がオロオロしているとひとみちゃんが少し面白くなさそうに呟いた。

「なんでもないって。よっすぃ〜、ちょっと喫茶店で親睦を深めようー。」

柴田さんは誤魔化すためかそんなことを明るく言ってひとみちゃんの手を取って歩き出す。
いいな…。って何考えてんだろ…。
ひとみちゃんがチラッと私を見たので恥ずかしくなってしまった。
150 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月05日(金)23時18分01秒
でも、柴田さん、後押しとか言ってなかった?ひとみちゃんが自分から行けない??
それって…私のこと好きってことぉ!?
私はそう解釈して顔がボッと熱くなった。

どうしよう…
意識しちゃってひとみちゃんのことまともに見ることさえできないよ。
柴田さんが話しかけてくれるのに感謝しながら、なんとか平静を装う。

その後、遊園地に行っても、なかなかひとみちゃんと一緒に乗り物に乗ることができない。
どうしてかな?素直じゃない私はつい「行こう!柴っちゃん。」なんてスッカリ仲良くなった柴っちゃんの腕を掴んじゃったりして…。
151 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月05日(金)23時18分32秒
「どうしよう…ひとみちゃん退屈そう。」
私がポツリと呟いたら。
「なに?やっぱり先輩も好きなんだ?」
「あ、うん…。」
「もっと一緒に乗ったりしたらいーのに。」
「だって、なんか意識しちゃって…。」
「よしっ!まぁ、あたしにまかせといてよ!先輩!」

…なんか不安。後押しとか言ってたよねぇ?
何するんだろう…。
152 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月05日(金)23時19分07秒
「じゃ、最後は…アレだね。」

って柴っちゃんが指差したのは観覧車。

「あ、でもあたし高いところ苦手なんだよね、だから2人で乗ってきてよー。」
と、柴っちゃんが付けたして。来たんだってわかったけど、私はつい

「え、柴っちゃん乗らないの?」
って聞いてしまった。
これじゃ、2人を嫌がってるみたいじゃない…。
ほんとはすごく嬉しいのに…。
ひとみちゃんの方をチラッと見ると少し寂しそうだった。
153 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月05日(金)23時19分37秒
やっぱり勘違いされちゃったのかなぁ??
観覧車に乗り込んでから、ひとみちゃん、なんか無口だよ…。

「綺麗ですね…。」
「うん…。」

ああ、どうしよう。せっかく話しかけてくれたのに…。
会話とまっちゃった。心臓がうるさいよ。
ひとみちゃん、私のこと好きってほんとかな?
ほんとなら、何か言ってくれるのかな?

そんな期待とは裏腹に、観覧車はすぐに地上まで私達を運んでしまった。
すっかり無口になってしまった私とひとみちゃんを見て柴っちゃんはビックリしてた。

帰りの電車でもひとみちゃんは無口で。
ああ…やっぱり励ましてくれるだけのカンケーだったのかな。
ひとみちゃんにとって私はそれだけの存在だったのかな?
私が柴っちゃんにコッソリ話すと、「そんなことないですよ!」って否定してくれたけど…
気まずくなっちゃったよ…。
154 名前:オガマー 投稿日:2002年07月05日(金)23時24分36秒
ぐえ…
最初のタイトルのとこが名前になってしまった…
更新終了!!

>143 ごまべーぐるさん
そう、これだったのれす(笑)

>144 PUNKさん
梨華たん、ちょっと切なげ??

>145 よすこ大好き読者。さん
スッキリしていただけてよかったw

>146 名無しどくしゃ さん
まぁ、あまり悪気のないヤツなので責めないでやってください(笑)

たくさんのレス嬉しかったですw
155 名前:PUNK 投稿日:2002年07月06日(土)03時05分18秒
おお、柴ちゃんと梨華タンにこんな会話がされてたとは。
156 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月06日(土)12時24分43秒
柴ちゃんっていいヤツ(泣笑
 (T▽T)<心臓がうるさいよ。
なにげにツボですた(w
157 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月06日(土)15時50分59秒
しばっちゃん。いい子だぁー!
二人の心のすれ違いにドキドキします。
続き楽しみです。
158 名前:オガマー 投稿日:2002年07月07日(日)02時42分15秒
自分でもビックリ
今回がラストですぞ
159 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時43分05秒
遊園地の次の日の学校は、なんとなくモヤモヤとした気分が抜けなかった。
クラスメイトのあさみがさっき行ったからと思って、体育館にでも行ってみようかな、なんて歩いてた。

私はふと、視線を運んだ先の光景にビックリしてしまう。
だってそこには、キスしてる紗耶香と後藤さんがいたから。
なんか恥ずかしくなって、視線を逸らしたら…

ひとみちゃんがすごく心配そうな顔で私の方を見詰めてた。
そんな顔しないでよ。私は昨日のこともあったので、精一杯ひとみちゃんに笑顔を見せた。
160 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時43分36秒
けど、ひとみちゃんはちょっと怒ったような顔になって、
私に近づくと、腕をとって体育館の裏に連れていく。
上履きのまんまだよ?
「どうしたの?ひとみちゃん。」
私がなんだか普通じゃないひとみちゃんの様子を心配して尋ねると、少し間をおいてひとみちゃんは言った。

「先輩さ、市井さんに気持ち言ったら?」

…なんで?ひとみちゃんはやっぱり私のことなんて好きじゃなかったのかな…。
私は、ひとみちゃんが好きだよ。さっきのキスシーンだってもうショックじゃなかったもん。
変だな、涙が出そう。
161 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時44分06秒
「私もういいもん。」
私が必死で涙を堪えながら言うと、ひとみちゃんは一瞬、すごく寂しそうな顔をして
それから怒った顔になって

「なんでだよ!先輩って意気地なしだね。」
って言って走って行ってしまった…。

私って意気地なしかなぁ?ひとみちゃんに嫌われたかなぁ??
もっとはやく自分の気持ちを伝えたらなんか変わってた?
ポツンとその場に残されて私は涙が溢れた。


162 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時44分56秒

柴っちゃんが放課後教室にやってきた。

「先輩、なんかあったんですか?」
柴っちゃんは教室に入るなり、そう聞いてくる

「なんで?」
「いや、よっすぃ〜がなんか変なんですよ。」
「ひとみちゃんが?」

ひとみちゃんの名前を聞いたら、なんだかいろんなことがこみ上げてきてまた泣けてきた。
なんでいつもこんなに不器用にしかなれないのかな?
悔しくて悲しくて…。
「意気地なしって言われちゃった…。」
私は軽く笑い飛ばすつもりだったけど、涙が止まらなくなってしまった。
「先輩…。」

「ごめん、柴っちゃん、一人にして。」
「わかった…。また電話でもしてください。」

私は涙が溢れたけど
「ありがと。」
それだけは机に突っ伏して言った。
163 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時45分44秒

しばらくすると、涙は止まった。
ひとみちゃんに気持ち言った方がいいのかな?
でもあんなこと言うぐらいだし…。それに今日ので嫌われちゃったかも…。

「…帰らないんですか?」
!?
ひとみちゃんの声がいきなり聞こえてビックリして顔を上げる。

「なんで?…あ、心配してくれたの?いいのに…そんなことしてくれなくて。」

弱虫…まともに顔が見られなくて、泣いていた事実も恥ずかしくて心にも思ってないことを言ってしまった。
164 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時46分14秒
「心配だったんだから、しょうがないじゃないですか…。」

ひとみちゃんがそう言ってきたから、彼女の方を見ると、すごい泣きそうな顔をしてた。
なんで?なんでそんなに悲しそうな顔するの?

「あたしはずるいから。先輩をほおっておけない。」

…どういう意味だろう?
ひとみちゃんが近づいてくる。なんか切ない瞳してるな…ボーッとその瞳を見詰めてた。
!?
気がついたら私はひとみちゃんにキスされてた。

嘘…なんで?…柴っちゃんが言ってたこと…ほんとうだった?
165 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時46分51秒
「……っく…。」
嬉しくて嬉しくて涙がまた出てきた。

「ごめんね。先輩。ごめん…。」
なんで謝るの?
ひとみちゃんは涙を流していて、声もたてずにそうしてる様子がなんだかずこく悲しくて
私はまた泣いた。

「好き…。」

わけもわからないまま、涙を溢れさせながら呟いていた。
ひとみちゃんはなんだかボーッとしてる。

「私、ひとみちゃんが、好きなの…。」

ひとみちゃんの目が私を映して…
しばらく見詰め合っていたんだけど、ひとみちゃんの顔がゆっくり近づいて、もう一度キス、された。

「あたしも…。」

唇を離してひとみちゃんが言った声は随分と擦れてた。
私はすごく嬉しかった。ひとみちゃんに向かって微笑むとなんだか彼女は泣きそうに顔を歪めた。
166 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時47分33秒

後で「あたしあの時、笑えてましたかね?」
ってひとみちゃんに聞かれたから。
「泣きそうな顔にしか見えなかったよ。」
って言ってやったわ、ふふっ。
167 名前:恋はきっと人をずるくする。Rver. 投稿日:2002年07月07日(日)02時48分37秒



「ねぇ、先輩。」
「なに?」

貴方はたまに張り詰めた様子で私を呼ぶ。
振りかえると言葉を飲みこんでしまう。

意気地なしね…。
でも、私ひとみちゃんのそういうところも好き。

「ひとみちゃん、好きだよ。」

言いたくなって、言っちゃうけど、恥ずかしくなって目を逸らす。
だけど、ほんとは聞きたいな、ひとみちゃんの口から”好き”って言葉。

「先輩!」
「なに?」
「…好き。」

そう言った貴方の顔はすごく真っ赤で…





恋はきっと人をずるくする。Rver. 〜Fin〜
168 名前:オガマー 投稿日:2002年07月07日(日)02時49分39秒
更新終了!!
梨華ちゃんバージョン完結おめ!!
…と自分でゆってみる(笑)。
169 名前:オガマー 投稿日:2002年07月07日(日)02時52分25秒
>155 PUNKさん
ひとみちゃんはヤキモキしちゃったみたいですがw

>156 名無しどくしゃさん
ツボですかw
僕が自分でツボなのは、
>私が会いたいのは…ひとみちゃんです。
ってとこww(爆

>157 よすこ大好き読者。さん
完結いたしましたぞぉ〜!
ドキドキして頂いてありがとう(変?笑)
170 名前:オガマー 投稿日:2002年07月07日(日)02時53分28秒
さて、番外編ですが、
もうすぐにでも、うpしていく予定なので
まだ愛想がつきなければお付き合い願いたいと思いまふ…。
171 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月07日(日)08時27分22秒
完結おめでとうございます。
梨華ちゃんver.良 か た で す。
作者様はお仕事が早い!番外編、心待ちにしとります。
お疲れ様でした。
172 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月08日(月)23時46分23秒
あぁ!
もうRverが完結してるじゃないですか…完結おめ!
壊れ気味なPCで、えっちらおっちら読ませていただきました。
番外編もマターリと待ってます。
173 名前:オガマー 投稿日:2002年07月10日(水)02時37分01秒
番外編いきまーす。
まずはいしよしの続編。
174 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時37分34秒
「好き。」
そんなたった2文字の言葉をほんとうに好きな人に伝えることって
あんなに大変なことなんだ…。
照れくさくて、結局あれ一回っきりだよ、言ったのは。
175 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時38分24秒
あたしの手には遊園地のチケットが2枚。
さっきから、外から吹いてくる風にヒラヒラと揺れるそれをジッと見つめている。

あたし、デートって誘ったことがまだ一度もなくて。
いつも呼び出してくれるのは先輩の方で。
電話はかけるんだ。でも言い出せないんだよねぇ〜…。そしたら先輩が今からどこか行こう?なんつって誘ってくれる。
情けないよなぁ…。
176 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時38分58秒
「はぁ…。」
無意識にため息が零れる。

「恋煩い!」
そういいながらあたしの手の中のチケットをさっと奪ったのは、柴田。

「あ、ここあの時の遊園地じゃん!」
そう。買ったのは柴田と先輩と三人で行った、いまいましくも思えるあの遊園地のチケット。

「もう誘ったの?」
「……。」

あたしはきっと最高に情けない顔で柴田を見てたと思う。

「その様子じゃまだみたいね?」
「ああ〜、どうしてかなぁ〜。なんかこうズバッといっちゃえないんだよねぇ〜。」
「よっすぃ〜、完璧にハマっちゃってんだねぇ。」

何やら感慨深そうな顔で柴田があたしを見下ろした。
177 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時39分35秒
「頑張りなよ!今度こそはさぁ、観覧車でぶちゅっとぶちゅっとだよ!」
「ああ…。」
「この間だって、せっかく2人っきりにしてあげたのにーよっすぃ〜黙りこんじゃったなんて先輩から聞いてビックリしたんだよ〜。」
「へ?」
「ま、あの時は私も悪かったんだけど。」
「え?なんで柴田が…?」
「ま、その辺はおいとこう。とりあえず先輩がさー、意識しちゃって恥ずかしいって私にばっか話しかけてくるから、これじゃよっすぃ〜もいけないと思ってさ、気ぃ効かせたのに。」
「は?ちょっ、ちょっと待って柴田、なんの話し?」
「ん?だからこの間の遊園地の話し。」
「はぁ!?」

ちょっと待って!
あたしがあんだけ落ちこんだ先輩が無口だった原因ってそれだったの??
…そう言えば帰りの電車で「よっすぃ〜って馬鹿だよね。」なんて柴田に言われた記憶が…。
178 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時40分05秒
「あはははは!他人から見てればすぐにわかっちゃうのに、どうして当人はこうも鈍感なのかねぇ〜。」

だってさ、普通好きな相手が無口になっちゃったらつまらないのかな?とか思わない?
好きだから、なんて答えるのは、単なる自意識過剰だと思う…。

「ま、頑張って!今日こそは誘ってあげなよ?先輩不安がってんだから。」
「え…マジ?」
「よっすぃ〜だって気付いてるでしょ?ビシッといきなさい!」

柴田は人差し指をあたしの顔の前に立ててそう言うと、頑張ってね〜、なんて手をヒラヒラ振って帰ってしまった。
179 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時40分44秒
よ、よ、よ、よ、
…よし!!!
いくぞ…
馬鹿みたいに震える指でボタンを押す。

プルルルルルルル
どうして電話のコール音ってこんなにキンチョーを増幅させるんだろう…といつも思う。

「もしもし?」
「あ、先輩?」
「うん。どうしたの?」
「…。」
なんて言うんだ?なんて言えば…
「ひとみちゃん?」
そうだ、ズバッと行くんだっ。ズバッとぉ!
「遊園地行きましょう!!」
「……。」

あ、れ?
ズバッといったのはいんだけど…ハズした?なんか間違えた??
180 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時41分18秒
「クスクス。」

ほどなくして聞こえてきた先輩の笑い声。

「ひとみちゃん、窓の外見て。」
「え?」

先輩に言われるがままに、窓の外に目をやると、2年の校舎の窓でこっちに向かって手を振ってる先輩が見えた。

「いいよ。」
「へ?」
「遊園地、でしょ?」
「ああ、ほんとに?」
「クスクス。だって私達付き合ってるんだよね?」

先輩が向こうからあたしをジッと見つめてきたから、胸がドキドキ言い出すのがハッキリとわかった。

「じゃ、靴箱のところまで迎えに来て!」

またもや何も言い出せなくなったあたしにそう言って、先輩はヒラヒラと手を振ると、教室に入って行った。

あたしはなんだか魂が抜けたみたいにボーッとしていたけど、すぐに先輩が鞄を持って廊下に出てきたので急いで自分の鞄を持って、2年の靴箱に向かった。
181 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時41分56秒

「ひとみちゃん、聞いてる?」
「へ?」
「クスクス。ねぇ、ひとみちゃんがこんなにボーッとしてる人だとは思ってなかったよ。」

違うんですよ、先輩。
だってさ、繋いでる手が気になって気になって…。

「今度は、全部隣に乗ろうね。」

先輩がそう言って微笑んだ。胸がドクドク言う。
眩暈なんてしちゃいそうな感覚に襲われる。

あたしはなけなしの勇気を振り絞って、繋いだ手に少しだけ力をこめた。
先輩が嬉しそうに微笑む…。


あたし達はお互いの家の分岐点で別れて、着替えをしに一旦家に帰る。
ほんとは手を繋いで先輩を家まで送りたかったけど、ただでさえ半日なんだから、時間はできるだけ遊園地に費やしたいもんね。
182 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時42分35秒

「……。」

待ち合わせの駅で先輩の姿を見付けると、さっきまで涌いてた勇気は一気に凹む。
先輩はサクラ色のワンピースを着てあたしに手を振る。
綺麗…

並んで電車に乗って、ふとした瞬間に触れてしまった手を、ギュッと握ってみた。
怖くて先輩の方を見れなかったけど、先輩は手を握り返してくれた。


遊園地に着いてから、先輩の機嫌はやけによくて、あたしの手を引っ張って、いろんなアトラクションに連れていく。
普通、こういうのってリードした方がいいのかな?なんて考えるけど、まぁこれはこれで嬉しい。
183 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時43分08秒
そろそろ夕暮れが近づいた頃、あたしの頭の中にはグルグルと回る一つの言葉が…。

『今度こそはさぁ、観覧車でぶちゅっとぶちゅっとだよ!』学校で柴田に言われた言葉。
キス…してないもんな。告白をし合ったあの日以来。
『先輩不安がってんだから。』

あたしは足を止める。
突然のあたしの行動に先輩は不思議そうな顔で振り返る。

「先輩、観覧車、乗ろう。」

そう笑顔で言って、先輩の手を掴んだ。
184 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時43分42秒

「キレイだねぇ〜。」

先輩がそういう横顔を見つめてる。
心臓が張り裂けそう。
きっと、先輩にもあたしの決心なんて見ぬかれているんだろうな…
そう思ったら、なんだか少しだけ気分が軽くなって、
あたしはごく自然に先輩のとなりに座りなおして、手を握ることができた。

しばらく見詰め合ってたんだけど、急に先輩が

「ほら、ひとみちゃん!学校が見えるよ!!」

なんてあたしの肩の後ろを指差したから思わずクスッと笑ってしまった。
そうだよね、あたし達付き合ってんだもんね。先輩だってきっと、ドキドキしてくれてんだよね…。
185 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時44分25秒
「どうしたの?」
「先輩、かわいい。」

あたしは先輩をギュッと腕に閉じ込めた。
先輩の手が背中に回るのがわかる。

あたしが少し腕の力を抜くと、先輩も腕を下ろして、
あたしは先輩の肩に手を置いて、その瞳をジッと見つめた。
ああ、またこの感覚。

この黒い瞳に、あたしは吸いこまれるんだ…いつも。

先輩の目が閉じられると同時に柔らかい唇に唇を当てた。
186 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時45分00秒
「いつもさぁ、」
「ん?」

あたしは照れくさいのと恥ずかしいのとで先輩を抱き寄せて

「先輩にばっか気ぃ使わせてゴメン。」
「…ううん。いいよ。」

ああ…素直になれる瞬間って、なんでこんなに気持ちがいいんだろう…。

「好きだよ…。」
「私も…。」

あたし達は、体をそっと離して今日2回目のキスを交わした。
187 名前:素直になれる瞬間 投稿日:2002年07月10日(水)02時45分36秒


素直になれる瞬間〜Fin〜

188 名前:オガマー 投稿日:2002年07月10日(水)02時46分39秒
更新終了!!
これは…面白いんですかねぇ?(笑)
189 名前:オガマー 投稿日:2002年07月10日(水)02時50分02秒
レスどーもです!!
いつもいつもありがとうございますm(__)m

>171 名無しどくしゃさん
面白かったと言っていただけてよかった!!
仕事がはやいのはただ暇なだけというのはないしょですw

>172 名無し読者さん
そーなんです!完結です。
ありがとうございます!
番外編、うpしましたー。
190 名前:ナナシー8 投稿日:2002年07月10日(水)16時05分17秒
おお、番外編うpされてる!!
二人とも(^▽^)<「幸せ?」そうでなによりです。
191 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月10日(水)17時42分04秒
初々しぃなぁ、甘いなぁ。
甘過ぎて涙でそうです(ww
いしよしサイコーです。はい。
さ、次々ぃ〜w
192 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月11日(木)09時48分02秒
気がついたら番外編まで終わってた…。(;〜^◇^)/<早ッ!

柴っちゃん、いいヤツだ。
いつもアカンタレなよすこの背中を押してくれてありがとう。
そういうわけで柴っちゃんバージョン期待sage



193 名前:オガマー 投稿日:2002年07月12日(金)20時38分46秒
続編って感じでポンポンうpしていいすかねぇ
(できねぇかもだけど)
毎日とはいかないかもですが、それなりに柴ちゃんver.までつっぱしっていきたいと思っております。
194 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時40分46秒
「あのさ、」
「ん?」
「きょ…」
「きょ??」

ひとみちゃんはなんだか目を落ちつきなく泳がせてる。

「今日も、かわいい…。」

ひとみちゃんは小さな声でそう言った。
私は思わずふふっ、って笑いが漏れてしまう。
恥ずかしいなら、別に言わなくてもいいのに…。
とっても嬉しいんだけどね…。
あんまり貴方が真っ赤になるから。

嬉しかったから、あたしがひとみちゃんの手を取って歩く。
なんでこの人は見掛けとこんなにもギャップがあるんだろうな…ふふ。
かわいい。
195 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時41分24秒
でも、だけど、もう少しだけ強引になってくれたっていいと思う。
キスだって…触れるだけの軽いやつしかまだしてないんだもん…。
ひとみちゃんはしたくないのかな?
でも、となりを見て私は確信するんだ。だってこんなに真っ赤になってる恋人が
あたしのこと嫌いなんて、地球がひっくり返っても思えないんだもん…。

何回目かのデートの時、貴方に「不安にさせてる?」って聞かれたよね。
それから、会うたびにさっきみたいなおもっきし恥ずかしいセリフなんかを懸命に言ってくれるようになったんだけど。

私はきっと勘違いじゃなく、貴方に好きでいてもらえてるよね?
確かになかなか「好き」とかそう言うたぐいの言葉は言ってもらえないけれど。
信じてるよ…。
196 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時41分55秒
ショッピングをしようと手を繋いで歩いく。

「あ、あれ先輩に似合いそう。」
「そう?」
「あ、あれも似合いそう。」
ひとみちゃんはニコニコしながら、目に付くピンク系の服を次々に指差す。
さっき、私がひとみちゃんが選んだ洋服にしようかな?って言ったから、はりきってくれているみたい。
でも…
「あ、あれもいいかも!」
「…ねぇ、ちゃんと考えてる?」
「うん、考えてるよ。」
そう言ってまたニコニコ笑う。
「あっ、あれも似合いそう。」
「……。」
ひとみちゃん、結局のとこどれでもいいんじゃない?
197 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時42分44秒
「どうしたの?」
黙ってひとみちゃんを見詰めていた私に無邪気な笑顔を向ける。
「ほんとに決めてくれるの?」
「うん、まかせて!」
…さっきもそう言ったのよ?ひとみちゃん。

結局、ひとみちゃんは三つにターゲットを絞ったみたい。
丁度見渡せる三つのお店のショーウィンドウをキョロキョロと見比べる。
「あ〜駄目だぁ〜。」
「どうしたの?」
なんだか急にがっくりと肩を落とす。
「どれにするか決められない…。」
「えー、パッと決めちゃってよぉ。」
「だってさ…」
「ん?なに?」
ひとみちゃんはチラッと私を見る。
「先輩、どれ着てもかわいんだろーなぁー、って…。」
視線を逸らしながらそう言う。
耳が真っ赤だよ、ひとみちゃん…。
198 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時43分26秒
「ん〜、じゃまた今度にする?」
「えーっ。」
「じゃ、決められる?」
「う〜ん…。」
もぅ…。
「ほら!お腹空かない?取り敢えずなんか食べよう!」
時計を見ると丁度お昼時。
「うん。そーだね。」
ひとみちゃんもいつもの笑顔に戻る。

「あ〜あ、決めるつもりだったのになぁ〜。」
ひとみちゃんがブツブツと呟くのを笑って聞きながら、私達は手をつないで歩く。

「あ!!」
貴方がそう言って立ち止まった。
「ん?」
目線を辿ってみると…紗耶香と後藤さんがそこにはいて。

え??
ひとみちゃんは何故だか繋いでいた手をパッと解いてしまった……。
199 名前:もう少し強引に。−吉澤視点− 投稿日:2002年07月12日(金)20時44分28秒
あー
あー
どうしよう
あたしなんであんなことしたんだ…。市井さんのことはもう吹っ切ってるってわかってたハズなのに…。気がついたら先輩の手を離してて
隣には不安そうな顔した先輩の顔…

何かいわなきゃ…
何か…

沈黙が続いて、先輩は泣きそうな顔をして走り出す…

あたしはポカンとその様子を目で追ってたけど、
背中が遠ざかるのを認識して走り出した。

あたしは足がはやかったし先輩はミュールを履いていたから、すぐにおいついて。
あたしはグッと先輩の肩を掴んで振り向かせた。
200 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時45分07秒


なんで、なんでこんなにショックなのかな…
ひとみちゃんが手を離しただけ…私のこと好きでいてくれてるってわかってる。
ただ単に動揺しただけなんだって、どっかではわかってる…

でも、こみ上げてくるものが押さえ切れなくて私はひとみちゃんに背を向けて走り出した。

涙が零れそうになるのを必死で堪える…
だけど、結局、一粒だけ頬に零れ落ちてしまった。
ほんとはもっと強引になって欲しかったのかもしれない。
ずっと…。
201 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時45分41秒
ひとみちゃんは追いかけてきてくれないの?

そう思ってたら、強い力に掴まれて振り向かされた。
わかってたの…
泣いたりしたら、貴方にまたそんな顔させるって…
見せたくなかったの…

!!?
気がついたらあたしはひとみちゃんに引き寄せられてキス、されてた…。
しかも…ひとみちゃんの舌が私の唇を割って侵入してくる!
人がいるのに!?
焦って一回引いてしまったけど、なんだか私はフワフワしてきて…。
柔らかいそれに自分のを当ててみた…。
202 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時46分24秒
「ごめん。ごめん!!」
キスはほんの少しで解けて、ひとみちゃんはそう言いながらあたしを力強く抱きしめて…
その声が少し遠く聞こえる…

「あっちぃー。今日はあっついねぇ、ごとー。」
ひとみちゃんの背中の向こうから聞こえてきた声に顔が一気に熱くなるのがわかった。
紗耶香がニヤニヤしながらあたし達を見てた。後藤さんも笑ってる…なんだか少しホッとした。

ひとみちゃんは…
やっぱり真っ赤な顔をしてバツが悪そうに視線を下におとしてる…
だけど、私の手をギュッと繋いで…

「吉澤も梨華も案外だいたんだねぇ〜。」

次の瞬間、私は耳を疑った。

「市井さん、梨華って呼ぶのやめてもらえません?」

膨れっ面で、ひとみちゃんがそう言ったから…。

「え?ああ、ごめん。吉澤、そんなに怒るなって。じゃあ、石川って呼ぶ!」
紗耶香はあっけらかんとそう言った。

「後藤もその方が嬉しいかも♪」
後藤さんはそう言って紗耶香の腕にしがみついた。

「じゃ、あんまりお熱い2人を邪魔するのもなんなんで…。」
紗耶香はもう一度ニヤッと微笑むと、ひとみちゃんの肩をポンッと叩いて後藤さんを連れて歩いて行った。
203 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時47分03秒
私達は2人で取り残されて…
私はなんだか急に恥ずかしくなった…ひとみちゃんとのさっきのキスのリアルな感覚が蘇ってきちゃって…。

「こんなとこであんなことすることないのに…。」

私は恥ずかしくてついそんなことをつぶやいて一人歩き出す。

「梨華!!」

ふいに呼ばれたその名前に心臓が飛び跳ねる…。
ひとみちゃんは隣に並んで、

「梨華って呼んでいい?」
真剣な目をしてそう言ってきた。

もう…なんで急にそんなに大胆になっちゃうの?この人は…
私は照れくさくて顔が真っ赤になって、上手く貴方を見れなくなる…。
204 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時48分00秒
「沈黙は、了解ととりますけど?」
そう言うと、ひとみちゃんは私の手をスッと取って歩き出す。
チラッと横目で見ると、その顔は、いつものように真っ赤で…。
私はやっぱり微笑んでしまう。

…なんだか少し悔しいけど…私、この人のこと大好きだな…。
ひとみちゃんと繋いだ手にギュッと力を込めた。




もう少し強引に。〜Fin〜
205 名前:オガマー 投稿日:2002年07月12日(金)20時52分40秒
吉はカッとなると力を発揮してしまうようですw
更新終了!
206 名前:もう少し強引に。 投稿日:2002年07月12日(金)20時56分48秒
>190 ナナシー8さん
(^▽^)<幸せ!>(0^〜^0)

>191 名無しどくしゃさん
次うpしてすたぁ〜
涙がでそうですがw
そう言って頂けると僕も涙がw

>192 ごまべーぐるさん
ごまべーぐるさんも更新ははやいでないですかぁー(笑)
長編と、中篇?短編の差です(笑)。
207 名前:オガマー 投稿日:2002年07月12日(金)20時58分28秒
あ、↑の名前が(^^;)
ま、いっかw
この後の予定を綴りますとー

次が市後編
その次がいしよし中篇?
そして柴ちゃんの恋

となっております。これからも読んでいただけるとよろこびますw
208 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月12日(金)21時32分10秒
まぁ、よっすぃ強引ナリ。でもその方が萌える(w
イパーイイパーイうpしてください。こちらもよろこびます(爆
209 名前:姫子 投稿日:2002年07月13日(土)02時44分57秒
(0^〜^0)<「市井さん、梨華って呼ぶのやめてもらえません?」
よっすぃーかっこいいなー。
もう少し強引に・・・いくとこまでいきませんか?(w
210 名前:オガマー 投稿日:2002年07月13日(土)18時14分57秒
市後いきまーす。
211 名前:いちーちゃん!! 投稿日:2002年07月13日(土)18時17分08秒
よしこ達があっついキスをしている場面に遭遇してから、いちーちゃんはなんだか考えている様子で黙って歩いてる。

「どうしたの?」

ふいに顔を起こして立ち止まったいちーちゃんに聞く。

「ごとー、屋上でもいこっか。」

隣にそびえていたデパートを指して笑顔でそう言ってきた。
その笑顔に少し安心した。
ちょっとだけ、不安だったんだ。だってさ、石川先輩は元カノなワケだし。
いちーちゃんは急に黙りこんじゃうし。

屋上までエレベーターで上がって、ベンチに腰を下ろした。
子供が何人か、100円で動く乗り物に乗ってハシャイでいる。

「市井さ、今までごとーにちゃんと言ってなかっただろ?」
「…ん?」

なんとなくわかってたけど聞いてみた。

「その、好き、だとかそういうこと。」
「うん。」

キスだって何度もしたけど、いちーちゃんはハッキリそういうことを言ってくれたことはなかったんだ。
212 名前:いちーちゃん!! 投稿日:2002年07月13日(土)18時17分58秒
「さっき…ハッキリ言って安心した。」

目だけで続きを促したあたしにいちーちゃんは続ける。

「吉澤とさ、梨華が上手くいってるみたいでさ。ずるいかもしんないけど、よかったって思った。」

苦笑いを浮かべるいちーちゃん。

「ずるくなんかないよ、優しいんだよ、いちーちゃんは…。」
「そっか。でもさ、傷つけちゃったんじゃないかって…まぁ、傷つけたのは事実だろうけど、梨華はなんでも真剣に悩んじゃうとことかあったからさ、自分だけなんかしあわせっつーか、そういう風になっちゃうことに少し遠慮してたんだ。…ま、そんなことされても梨華も嬉しくないだろうけどさ。」
「うん。」

気付いてたよ、だから無理に催促しなかった…。
いちーちゃんがなんだかとても切ない顔をして話すから、あたしも少し悲しくなってしまう。

「でも、もう大丈夫だってわかったから…ごとー、」
「ん?」

いちーちゃんが真剣な顔してあたしに向き直るからドキドキしてしまう。

「あたしはごとーのことが好きです。付き合ってください。」
「……。」
213 名前:いちーちゃん!! 投稿日:2002年07月13日(土)18時18分56秒
「おま…何泣いてんの!?」
「嘘!?」

ほんとだ…。あたしの頬には涙が伝っていた。

「アハハハ!」
「笑うことないじゃないー。嬉しかったんだもん。」
「いやぁ、かわいいなぁって思って。」

そう言ってあたしの手をさり気なく掴んできた市井ちゃんのほっぺたは少しだけ赤かった。

「ね、いちーちゃん。」
「ん?」
「キスして!」
「バッ…子供がいるだろー。」

驚いてあたしに向かってそう言った顔は今度は真っ赤だった。

「いーじゃんー。子供だよ?」

いちーちゃんはそういうところ、妙にシャイだからあたしは半分あきらめて拗ねていたんだ。
そしたら…

いちーちゃんがチュッとキスをしてくれた。

「今日だけだからな。」

そう言った顔はそっぽ向いて照れ隠ししてんのがバレバレで、あたしは笑った。

「笑うなよ…。」

「ちゅーしてどぅ。」
「「え!?」」
214 名前:いちーちゃん!! 投稿日:2002年07月13日(土)18時19分28秒
前を見ると、小さい男の子があたし達を指さしていた。

「ちゅーだちゅーだ。」

何時の間にかあと2人、男の子と女の子まで駆けよってきた。

「う、うるせーぞ。」

いちーちゃんが困っているのがおかしくて、あたしは他人事みたいに笑った。

「ごとーまで何笑ってんだよー。もう、行くぞ!!」
「あはっ。」

いちーちゃんが手を引いて、あたしはその手に引かれて黙って後をついていく。
なんだかとても嬉しい気分だから…いちーちゃんの腕にギュッてしがみついた。
215 名前:いちーちゃん!! 投稿日:2002年07月13日(土)18時20分03秒
いちーちゃん!!−終了
216 名前:オガマー 投稿日:2002年07月13日(土)18時23分49秒
いやはやなんかベタベタな上に面白いのか?これ(笑)
まぁ、ほのぼの感と、それから市後の方の幸せ感を出してみますたw

>208 名無しどくしゃさん
ちょっと展開にムリありますた?(^^;)
次はいしよしムフフ編をw

>209 姫子さん
次でいくとこまでいっちゃうのかもw

レスありがとうございまーす。
次はいしよしのちょっと長めのエロも入った話ですw
217 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)02時14分35秒
かわいいお話でおもしろかったです。

特に『〜強引に』の方に感情移入しまくりで
凄いドキドキしました。次回はちょいエロありですか…
 期 待 し て 舞 っ て ま す 。(w
218 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月14日(日)15時17分03秒
( ´ Д `)<いーじゃーん!子供だよ?

萌えますた(w
次回に備え、期待sage
219 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月15日(月)01時03分57秒
浴槽の中、
あたしは自然に顔がニヤけるのを自分でも認識する。

だってさ、今日は…
キスを2回もしちゃったし…しかもディープ…。
思い出すとドキドキした。

自分も案外やればできるじゃん!
ハプニングはあったけど、きっとあのおかげだもんね。
市井さんに一応感謝…一応なんて言っちゃってるとこがまだまだガキだよな…。
220 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月15日(月)01時04分30秒
ぶくぶくとお湯に鼻までつかる。

「梨華、か…。」

あたしはそう呟いてまたニヤけた。
次のデートではもしかしたら…

なんて考えてブンブンと頭を振った。
エロめ…。

ザバン!!
と勢い良く立ちあがって風呂場を後にした。

221 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月15日(月)01時05分23秒


なんてことを考えてたこの前のデートからもう6日が経った。
なんだかわかんないけど、先輩は補習があるとかで、あれから全然会えてない…。

「よ・し・こ♪」
「わっ!!」

2年の校舎…先輩の教室の辺りを見つめていたら、ごっちんに急に声をかけられて心臓が止まるかと思った。

「そんなに驚かなくていいでしょお??」
「だ、だっていきなし話しかけるんだもん。」
「ふ〜ん。」

真希はそういいながらあたしがさっき見てた方を見つつ、ニヤリと笑った。
そしてクルッとあたしに振りかえって一言。

「Hした?」
「はぁぁああ??」
222 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月15日(月)01時05分58秒
あたしはついでかい声をあげてしまった。

「え、まだなの?なんだ、てっきりもう…。」

そう言ってつまんなさそうに足をブンブン振る。

「何さ…。」
「だってさー、街中でぶちゅーってしてんの見せつけられちゃったしー、あれから一週間だしー。」
「あれから…一回も会ってないもん…。」
「そーなの?あ、もしかしてあんなことしたから嫌われたとか?あはっ」
「……。」
「嘘だってばぁー、よしこって面白いー。」
「うるさいなぁ、もう。」

そう言ってあたしは机に突っ伏した。
そこに

〜〜〜〜〜〜〜♪
聞きなれた着信が響いてあたしの胸は飛び跳ねる。
223 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月15日(月)01時07分30秒
「先輩??」
急いでケータイを耳に当てる。

「ひとみちゃん、今日補習終わったの!でね、」
「うん。」
「その、よかったらなんだけど…ウチに来ない?」
「へ?いんですか??」
「うん…。」
「行く!もう帰れるの??」
「うん。」
「じゃ、靴箱で待ってる!」

ケータイをきると、真希がニヤニヤしながら、側に立ってた。

「聞こえちゃったんだけど、家行くの?なんかよしこノリノリで返事しちゃってるしー。絶対ヤらしいって思われたよ。」
「え!?…あたしそんなにノリノリだった?」
「うん、すごい。」
「マジ?」
「一つ、いいこと教えてあげよっか?」
「う、うん、何?」

真希の不敵な微笑みにゴクリとツバを飲む。

「気になって市井ちゃんに聞いたんだけど、」
「う、うん。」
「先輩、はじめてらしいよぉ♪」
「マぁジで!?」
「うん、じゃ、頑張ってねん♪」

そう言うと真希は教室を出ていった。
市井さんとはそこまでいってなかったのか…。
いかん、キンチョーしてきた…。
224 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月15日(月)01時08分02秒

ん?でも別に先輩の家って言ったって、家族とかいるよねぇ?
ああ、そうだよねぇ〜。何テンパってんだか、アハハ。

あたしはそう考えると気分が軽くなって、ただ単にヒサブリに先輩と過ごせる喜びに足取りも軽く靴箱に向かった。


225 名前:オガマー 投稿日:2002年07月15日(月)01時10分34秒
少し短いかもしれませんが更新終了!!
次からはちょっと長めの更新かもw

>217 名無し読者さん
ドキドキして頂けてよかったw

>218 ごまべーぐるさん
萌えて頂けて何よりですw
226 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月15日(月)04時46分21秒
いいとこで切りますなぁ…!
ムフフこれからの二人に期待してますぞ
227 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月15日(月)21時53分15秒
まぁ、大好きなムフフだぁ(爆
次の更新…ハラハラでまってますよほ。。。
228 名前:オガマー 投稿日:2002年07月16日(火)02時06分57秒
「お、お邪魔しまぁ〜す。」

先輩と仲良く手をつないで先輩の家までやってきた。

「そんなにキンチョーしなくて大丈夫だよ?今誰もいないし。」
「へ!?」

だ、誰もいないって今先輩言った?
誰もいないって??

…って別にそういうつもりで言ったんじゃないよな、普通だし、先輩。

「上がって!」
「うん。」
229 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時07分41秒
しかし…キンチョーするなといわれても…やっぱり2人きりはキンチョーするんですけど。
先輩は紅茶を入れに下に言ってる。
あたしは今先輩の部屋。
なんかピンクのものがいっぱいでほんとにかわいらしくて顔が緩みそう…。

「お待たせ〜。」
先輩はそう言って紅茶の2つ載ったトレイを運んできた。

「持つよ。」
あたしはそう言って、先輩の手からトレイを受け取る。

「ありがと。」
そう言ってはにかむ先輩はほんとにかわいい…。

あたしは紅茶を口に運ぶ。
「おいしい?」
「うん。」
230 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時08分24秒
「でも、先輩片付け苦手なんて言ってたわりには部屋きれいだね。」
あたしが何気なく、そんなことを口にすると、
先輩は何故だか俯いてしまった。

「あ、ごめん。別にけなしたつもりとかじゃないんだけどさ…。」
「梨華って呼んでよ…。」
「へ?」

あたしは顔が真っ赤になるのを感じた。
先輩が赤い顔してそんなこと言うから…。

む、無性にキスがしたくなってきた…。
でも、こんなとこでそんなことしちゃったら…その後は…なるようになるしか??
231 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時09分14秒
「マンガ好きなの?」

あたしが目についたもので突拍子もないことを言ったから先輩は目を丸くした。

「うん…。」

あちゃ…会話とまっちゃった。

もう…我慢ができないんですけど…。

あたしは先輩に四つん這いで近づいて、そっと肩を抱いた。

「梨華…。」

そう呼んで、そっと口付ける。鼻をぶつけながらぎこちなくキスの角度を変えて…
先輩の吐息の隙にキスを深いものに変える。先輩は、ぎこちなく、舌を絡めてきてくれて…
頭はもうショートしそう…。

「ん…。」

甘い声が先輩から漏れる…
それだけで、なんだか理性がふっとんでしまったみたいで…
手を先輩の胸へずらす、もう片方の手は先輩の背中を押さえて…
232 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時09分53秒
「…ぁ…。」

軽くその膨らみを掴むと、先輩は声を漏らした。
頭が痺れた…
優しく手を動かしてみる…

「…んっ…。」

体がフツフツと熱を上げる…吐く息も荒くなってく…息づきをしては深いキスを繰り返す。

−ガチャ
233 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時10分40秒
「へ!?」
あたしは急に聞こえた音に素っ頓狂な声を出した。
バッと体を起こしたから、頭がクラッとしてしまった。
先輩はサッとあたしから離れて制服の乱れを直して髪を梳かす。

「お母さん、帰ってきたみたい…。」
「あ、そうなんだ?」

なんだか、先輩の顔が見られない…。
顔が…熱い。
なんだよ…。いいとこだったのに…ちくしょ。
234 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時11分41秒
−梨華視点−

お母さんが、さっき用意してくれたケーキをひとみちゃんは嬉しそうにほお張ってる。
あたしは…なんだかそれどころじゃない…。
なんか恥ずかしいんだけど、下半身が…気持ち悪い…。

「ちょっとトイレ行ってくるね…。」
「あ、うん。」

案の定、私の下着は濡れてて、急いでバスルームから換えの下着を取って着替えた。
235 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時12分19秒

「はぁ…。」
先輩の足音が遠ざかるのを聞いて後ろのベッドにもたれかかる。

変なフォローいれるのもなんだから、なんでもない顔して全然さっきのことには触れないようにして過ごしてたけど…意識しないわけないし…。

先輩…もしかして…濡れちゃったかな…。
考えて顔がボッと熱くなった。何考えてんだよ!!
こんなんじゃ戻ってきたときどうするんだぁぁ!!!
でも…あたしも責めてただけで…濡れた。ちょっと気持ち悪いな…。

駄目だ…
駄目だぁ〜。したくてしょうがない…。
でも、今日は無理かなぁ??
先輩の声…可愛かったなぁ……。
そう考えただけで下半身が熱くなった。
236 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月16日(火)02時13分26秒

カチャ

先輩がちょっと赤い顔をして部屋に戻ってきた。
ますます下半身が…どうしよう…こういう時の対処法がわかんないよ……。

「あ、あたしそろそろ帰ろうかな…。」
「えっ…。」

ああ!目が合っちゃった…逸らされたし…。

「ほら、ケーキも食べちゃったし…。」

ってかこのままここにいるのがなんかものすごくキツイ…。お願いだから帰らせてぇー。

「じゃあ、送ってくよ。」
「え、いいよ…。」
「ううん。送られて?」

ああ、そんな顔で見ないでよ…。きっと顔すごい赤いよ…。
誰か、助けて…。
237 名前:オガマー 投稿日:2002年07月16日(火)02時17分07秒
今回はこの辺りでw
更新終了!!
長くなるとか言っといて全然長くないし(汗

レスのお礼でーす!
>226 名無し読者さん
そうですかねぇ、てへてへ(氏
次回の更新をどこで区切ったらいいのか思い悩んでおります…w

>227 名無しどくしゃさん
ちょこっとエロw
よっすぃ〜はもうそれしか(ry…w
238 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月16日(火)20時43分34秒
も、萌えぇ。萌え氏ぬぁ。
なにげに最後までいかなかったのがグット!(w
次の更新にキタイ期待。
239 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時26分54秒
結局、先輩と一緒に家までの道を歩いてる…。
!?
急に先輩が手を繋いできた…。
慣れてるはずのその感触も…何故だか今は妙に柔らかく感じて、そんなことだけで興奮してしまう…。何考えてんだ!ひとみ!!

「ん?」
先輩が急に立ち止まる。

「ど、どうしたの?」
先輩は立ち止まって真っ赤な顔をしてる。
240 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時27分30秒
「あ、あのね…。」
「うん…。」
「私、なんか変なの…。」
「変って何が?」
「なんか…このまま離れたくない……。」

先輩はあたしに抱きついてきた…。
脳みそと先輩に触れている部分がカッと熱を上げていく…。
それってさぁ…

「あたしも…。」

あたしはそう言って先輩を抱きしめ返す…。
241 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時28分04秒
「どっか…行こうか。」

声は震えた…
それはあたしなりに「誘った」つもりだったんだけど、
先輩はコクンって頷いた。
でも、何処行こう…
あたしは視線をいたるところに向ける。
あっ…

「あそこでいい?」

あたしが指差したのはビジネスホテル。少しボロっちぃからお金も足りる…。
ラブホなんかはさすがに無理だから、しょうがないよね…。
242 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時28分39秒
「うん…。」

先輩は真っ赤な顔で俯きながら返事をした。
あたし達はギュッと手を繋ぎ合ってビジネスホテルまで行き、中に入る時はさすがに手を離したけど…よく考えたら、2人とも制服でこんなとこくんのはおかしくないか?
でも、今更引き返せないよね…。

カチャ−
普通の鍵が開く音なのにその音だけで心臓はビクッと高鳴った。

ドアが閉まるのを確認すると、あたしは思いっきり先輩を抱き寄せた。

「シャワー浴びてきていいよ…。」

先輩はコクンと頷いてバスルームに消えた。
243 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時29分18秒
あたしは部屋を見渡してカーテンを閉めると、おちつかなくてソワソワソワソワベッドに座ったり立ったりを繰り返す…。
外の明かりだけがうっすらと漏れる部屋には、シャワーの音が響いていて…
それが妙に生々しくてツバを飲みこんだ…

はやく…
抱きたい…

あたしってこんなに節操ない人種なのかな…
なんかすごく滑稽に思えた。
女のコにここまで欲情するとは思わなかった…

さっき触った先輩の胸の感触がリアルに思い出される。
時間は無限に続くかと思われるほどゆっくり流れた…
244 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時30分50秒
シャワーの音がやんで、先輩が出てくる…
覚悟していたけど、心臓にカッと火がついたみたい…
先輩はバスタオル1枚で…

あたしはもう抑えられなくなって、先輩まで歩み寄ると少し乱暴に口付けた。
深いキスは慣れる毎に頭の芯を痺れさせる…先輩の柔らかい熱を感じる度に頭はチカチカして…。
唾液が厭らしい音を立てて、また下半身に熱が灯り出す。

手探りでバスタオルをはがすと、無心で先輩の体をまさぐる。
「あっ…。」
先輩は声をあげた後、下唇を噛んでしまった。

あたしは先輩を抱き上げて、ベッドに寝かせた。
先輩は恥ずかしいのか、ギュッと首にしがみついたまま…

「声、我慢しなくていいから…。」

そう言って、首筋を貪る。
245 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時31分28秒
「ん…ぁ……。」
先輩の肌はすべすべで胸を揉んでるあたしの手は少し湿ってる。
柔らかくて心地いいその感覚に自然と唇が吸い寄せられる。

「ぁんっ…ああ…んっ…。」
突起を口に含んで舌で舐めあげたり軽く噛んだりしてみる。
真希と借りて見たビデオでしかこういう行為は知らなかったけど、実際その状況になってみると、欲望のままに体が動くものなんだ…。

先輩が、あたしの行動に答えるように吐息を漏らすから…
「はぁ…。」
あたしの息も何時の間にか熱く、荒くなっていく。
唇を少しずつ下へ下へとズラす…。
お腹の辺りに唇を何度も触れさせる。
246 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時32分15秒
「梨華…。」
「ん…ひとみちゃん…。ひゃっ…。」
薄い茂みをかきわけて、敏感な部分に触れる。
指で触れると、先輩のあそこはもうグシャグシャだった…。
先輩は、驚いたように腰をひく。
「いや?」
あたしは精一杯優しい声で尋ねる。その声は、興奮と緊張で少しだけ震えた…。
先輩はフルフルと首を振って、そっと力を抜いて、あたしの腕に背中を預けてくれた。
もう一度、その部分に指を滑らせる。
先輩の耳やら、首やらにキスを落としながら…
「んん…あぁ…んっ…。」
声に胸が絞られ…熱い…
「はぁ…。」
247 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月17日(水)01時32分46秒
「あんっ…ぁぁ…。」
「かわいい、よ…梨華…。」
「ゃだ…あんっ…ゃぁあ…。」
あたしが指でその部分を弄ぶと、彼女は震えた声をあげる。
その声とその感触、その表情にどうしようもなく興奮する…
冷静なようで…何も見えなくなったような…
梨華の前に…あたしがイきそうなくらい…。
「ひとみちゃん…ひ、とみちゃ…ん。」
そう言って梨華はあたしの体をグッと抱き寄せた。
「梨華…。」
「あっ…ああんっ…ゃあ!……。」
先輩は私の肩に一度爪を立てると、グタッとなった。
248 名前:オガマー 投稿日:2002年07月17日(水)01時34分43秒
こーうしーん終了!!
ちょっと中途半端な気もしますが…
こういう展開はどうなんでせう??

>238 名無しどくしゃさん
期待にそえられますたでしょうか?w
249 名前:PUNK 投稿日:2002年07月17日(水)02時42分54秒
こんな時間に、ご馳走様でした。m(__)m
もう寝れません。。。
250 名前:わく 投稿日:2002年07月17日(水)21時54分29秒
やばいっす!かなり期待大で。。。はぁ〜続きが読みたいっす(#^.^#)
251 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月17日(水)22時36分06秒
上 出 来 で す(爆
ビジ(rでってのがちと笑いましたが。
石川さんがかわゆ過ぎます(w
252 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時26分01秒
イッたんだ…。
あたしは少し開いている先輩の唇に軽いキスをおとすと、先輩の隣に寝転ぶ…
崩れおちた、と言った方が正しいのかも。
「梨華…。」
先輩を強く抱き寄せる。
先輩の顔は真っ赤だった。目をギュッと瞑ってる。
手には…先輩から出た液体がついてる。ネトネトしててなんかすごくヤらしい…。
なんだかまだ変な気分が抜けない…。
253 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時26分31秒
「…ひとみちゃんは、いいの?」
「ん?」
擦れた声でそう尋ねられて、あたしはドキッとする…
下半身は妙な疼きをしたままだ…
「だって…気持ち悪いでしょ?」
「あ、うん…。」
「…一緒にお風呂行こう?してあげる…。」
少し潤んだ目で見詰められながらそう言われて、また下半身に一気に火がついた。
今から知ることになるであろう未知の快感にどんどん熱くなる…


先輩は裸で…足にはさっき出た液体がつたってる…
あたしはもうほとんど理性なんてなかったから、迷いもなく服を脱いで、先輩を抱き寄せた。
離れて、シャワーを出す
「あ…」
また体も洗ってないのに、先輩に首筋にキスされて声を出してしまう…
なんだこれ…
変な気分…
「まだ洗ってない…」
「大丈夫だよ…」
先輩はそう言って、あたしの胸を揉み始める
254 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時27分05秒
先の突起に指がひっかかる度にそこから下半身に駆けて、なんだかピリッと刺激が走る
くすぐったような…なんか…変な気分…
「ん…」
先輩があげる声にまた興奮してくる…
突起を舐められてあたしの頭は真っ白になりそうになる…
「ハァ…」
あたしは先輩の体に腕を回して、彼女の尻を揉む
「あんっ…」
喘いだ彼女の吐息が胸にかかる。
シャワーはあさっての方向を向いてずっと出つづけてる…
耳の奥がその音だけに支配されてる感覚…
彼女の手が恥ずかしい部分に下りて…
「あ…んん…」
微かな刺激だけでさっきまでの熱はもっともっと増殖された…
「梨華ぁ…」
あたしは彼女に口付ける深く、深く…
「ん…」
「はぁ…」
彼女の指は動き続けて…あたしの頭はチカチカしはじめる
「んん…ぁ……梨華ぁーー…んんー!!……ハァ、ハァ…。」
255 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時27分39秒
あたしはイッた…。一瞬頭の中が真っ白になった。
これがそういうことなんだ、ってはじめてわかった。
無意識に握りしめていたバスタブが指と擦れて音を立てた。
あたしは首筋に唇を当てている彼女をギュッと抱きしめる。
ドクドクドクドク心臓が脈打ってる…。体が全部心臓になったみたい…。
抱きしめてる彼女の少し黒い肌も、サクラ色に染まっていて…
シャワールームには出つづけるシャワーの音と、熱い吐息だけが響く。
「…ねぇ、」
だいぶ、心臓もおちついてきた頃、
「ん?」
抱きしめてる、彼女の暖かくて柔らかい肌が心地いい…
「ひとみちゃん、先に体洗っていいよ。」
「なんで?」
あたしは名残惜しかったけど、少し体を離して言った。
「恥ずかしい…ひとみちゃんの前で洗うの…。」
先輩はすごく真っ赤になってしまう。
「じゃ、先輩洗っていいよ。あたしトイレに座ってる。」

256 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時28分11秒
あたしは一緒にいても大丈夫だったけど。
半ばボーッとしたままの頭で備えつけのバスタオルで軽く全身を拭くと、ビニールのカーテンをひいてトイレに座った。
これ以上、彼女のこと見てたらまた変な気分になっちゃうし…。
今日は、その…いれてないけど…また次でもいいよね…

「ね、ひとみちゃん…」
あたしがそんなことを考えてると彼女に呼ばれた。
「ん?」
「こっち来て…」
「なに?」
あたしはカーテンをさっととっぱらってバスルームへ

と、急に口付けられる…
「どうしたの?」
「やっぱり…今日を、はじめてにしたい…。」
あたしに抱きついてきた彼女の体はやっぱり心地よくて…
257 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時28分44秒
あたしは返事の変わりに彼女にさっきよりなれた愛撫をほどこした。
シャワーは切られているので、あたしが彼女の体にキスする音が浴室に響いて…
なんだかよけい卑猥な気分になった…

焦ってるかとも思ったけど、彼女の秘部に手を伸ばすと、そこはもうグショグショで…
あたしも人のこと言えないけど…その事実にまた興奮した…
「ね、舐めていい?」
「え?」
彼女の返事を待たずに彼女をバスタブに腰かけさせて、足を開く…
彼女には抵抗する力はもうほとんど残っていないみたい…
「汚いよ…さっきの、まだ洗ってないもん…」
あたしの肩を弱い力で押し戻そうとするけど…
その部分に口付けた瞬間にその手はあたしを抱え込むように引き寄せた
「あんっ…ゃぁ…」
「チュッ…」
その部分はなんか少し酸っぱい匂いがして…先輩の匂いだと思うと、すごく興奮した
258 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時29分39秒
「あんっ…やだぁ……んっ…っく…気持ちいいよぉぉ…。」
皮を舌でめくって舐める。その部分からはまた液体があふれ出てきて、少しヒクついてる…
あたしはその部分に舌で触れた
「ぁんっ…」
「…入れるよ?」
あたしが言うと先輩は弱くうなずいた。
体勢が少しきつそうだったので、だっこして床におろす
「ああんっ…」
指は少し押し戻されかけたけど、液体のせいでニュルっとすいこまれる…
ああ…すごい…あったかい
指が先輩の中で溶けてしまいそうな感覚…
「んっ…」
先輩の体がビクッとなる
ああ
「いたい?」
「だいじょ、うぶ……んっ…。」
あたしは無心に指を抜き差しした…
259 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時30分23秒
「あっ…ああ…ぁ…っ……んん…。」
あれ?なかなかいけないみたい
…そうか
ここが一番感じるんだよね…
その部分に舌を当てた
「あっ…んっ…気持ちいい…はんっ…あぁ……」
「梨華ぁ…。」
「んんっ…ああーーー……。」
先輩の体がガクガク小刻みに震えると、力を失った。
「ん…。」
そっと抜いた指には少し血の混じった体液がついてた…
「痛くなかった?」
「大、丈夫だよ…。」
先輩は真っ赤な顔で、少し肩を揺らしながら微笑む…
あたしはそんな先輩をなんだかすごく愛しく感じて、夢中で口付けた。
裸の体を重ねて…しばらく抱きしめ合って、キスして…
260 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月18日(木)03時31分44秒

それからまた順番にシャワーを浴びて、
服を着ると、ベッドに横になった。
はやくで過ぎるのも変かな、って思ったから

「照れくさいね…。」
先輩が隣でそう言う
「うん。でも、すごい、もっと好きになった…。」
「あ、私も…。」
手が触れてあたしはその手をギュッと繋いで、先輩の顔の横に腕をついてそっとキスをした
触れるだけの
でも長いキス…
261 名前:オガマー 投稿日:2002年07月18日(木)03時35分38秒
更新終了
エロも終了w

レスありがとうございます。

>249 PUNKさん
眠れたでしょうか?
なんて聞いてみる(藁

>250 わくさん
初レスですかね?ありがとうございます!!w

>251 名無しどくしゃさん
そーなんですよねぇ、そこが作者としてもちと気がかりだったのですがw
他に思いつかなかったw

もうちっとだけ続きます。
262 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月18日(木)12時42分37秒
ビジ(ryは壁が薄いぞ、と逝ってみるテスト。

(;`.∀´)つ凸<ッたく!隣はお盛んねッ! 
263 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時48分11秒
「梨華、」
「なに?」

備えつけの冷蔵庫からジュースを取り出す彼女に声をかけた。
彼女のことを梨華って呼び捨てにすることが、はじめはすごく照れくさくて、、
だけど今はなんか嬉しい。あたしはきっと今すごく幸せそうな顔をしてるだろう…

「今日、ここに泊まろう?」
「いいけど、制服シワにならないかなぁ?」
「ある意味、それもいいね。」
「え?なんかひとみちゃんキャラ変わってない?」
「そー?」
「うん。」
「あ、あたしの家近いからジャージとTシャツ取ってくるよ。」
「私も行く?」
「いいよ、ほんとすぐそこだし。」

そう。すっごい近い。なんかそんな場所ではじめてのHをしたと思ったらなんだか恥ずかしいような変な気分になったけど。
264 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時48分51秒


「取ってきたよぉ〜。」
あたしがビニールを掲げて部屋に入ると、彼女はスヤスヤと寝息を立てていた。

「ふふっ。」
あたしはその寝顔を見て、自然と笑いが漏れる。

「すごいかわいい…。」
ベッドの側に座って、寝顔を見つめる。
ちょっとイタズラしたくなってきて、体を起こしてそっとキスをした。

「ん…。」
彼女がゆっくりと目を開いた。
「あ、起こしちゃった…。」
「おかえりなさい。」
寝ぼけた様子でそう言う彼女の声は少し擦れていて…
265 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時49分27秒
「なに笑ってるの?」
あたしは何時の間にか頬が緩んでいたことに気付く。
「いや、おかえりなさいって響きがくすぐったい。」
「ふふっ…。」

彼女はそう言うと、布団を顔にかぶった。
「なにぃ、照れてるのぉ?」
あたしはほんとにキャラが変わったかも。
今朝までは、意気地なしの甲斐性なしだったのに…
なんか梨華とこうしてることがとても自然なことに思えて
それから嬉しくて仕方ない
266 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時50分03秒
「梨華ぁ、」
「ん?」
彼女が布団から顔を出す
「好きだよ。」
目を見つめてそう言う
「なによ…いきなりぃ。」
「ん?そう思ったから。」
「やっぱりキャラ変わったぁ…。」
そういう貴方も随分自然にそうしてると思うけど?

「ほら、着替える?せっかく取ってきたのにもう寝てんだもんなぁ。」
「ほんとだ…。」
あたしはサッと着替えると、彼女が着替えるのを眺めてやった。
267 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時50分41秒
「もぅ、見ないでよぉ…。」
「なんで、恥ずかしがることないでしょ?」
「前のひとみちゃんの方がかわいかったぁ〜。」
「あ、そんなこと言うんだ?」

そんなこと言われたら、前だったら凹んでただろうな…
けど、なんだかあたし達は大丈夫なんだ、って不思議とそう思える
あたしがちょっと凹んだ振りしたら彼女はだまりこんでしまった。
ズボンスカートのままで真剣な顔…

「ふふっ…。梨華、そのカッコかわいい。」
「あー、騙したぁ。」
そう言いながらもいそいそとスカートを脱ぐ彼女をほんとにかわいいと思った。
268 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時51分18秒
「おいで…。」
そう言って手を差し出すと、彼女はあたしの手に手を重ねた。
その手をグッと引き寄せて、背中を抱きすくめる。
らっこだっこってやつね、これが…

「ん〜、同じ匂いがする…。」
さっき同じシャンプーで洗ったからなぁ〜
「ふふっ…。」
そう笑う声がくすぐったい。
269 名前:愛しい気持ち。 投稿日:2002年07月19日(金)02時52分30秒
「もう痛くない?」
「え?…もう、えっち…。」
「なんでそうなんのぉ。」
「ん、大丈夫だよ…ありがと。」
「どういたしまして。責任はあたしにあるから、ね。」
「もぅ…。」
そう口では言うけど、先輩も嬉しそう。
「ずっとこうしてたいな…。」
あたしがそう言うと
「そうだね…。」
って腕の中の彼女が言った。





愛しい気持ち。〜Fin〜
270 名前:オガマー 投稿日:2002年07月19日(金)02時55分15秒
更新終了ー!!

レスどうもですー!

>262 ごまべーぐるさん
ヤッスー隣で一体何をw
そうなんですよねぇ、普通に隣のため息とか聞こえますもんねビジ(ry

次は柴ちゃんの恋編…
キリキリいくわよ!!w
271 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)08時06分40秒
おもしろかったっす!!確かにキャラ変わったなぁ〜♪
柴ちゃん編も期待してます。
272 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月19日(金)11時54分26秒
うん。うん。ヨカタ、ヨカタ。
このふたりは何時見てもサイコぅですな。
次の柴ちゃんにも期待してまふ。
273 名前:オガマー 投稿日:2002年07月21日(日)14時13分03秒
では、柴ちゃんの番外編を…
274 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月21日(日)14時13分37秒
「先輩、昨日なにしてましたぁ?」

あたしは先輩の教室にやってきて、先輩の顔を見付けた途端に聞く。
あたしはだらしないほどニヤニヤしてることだろう。

「え?」

おお、いい反応…。

「昨日、ケータイの電源ずっと切ってたでしょ?」

ほらほら、だんだん顔が赤くなってきますよ〜。

「あ、じゅ、充電が切れてたのかな?おかしいな…。」

バレバレですよ?その態度。
275 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月21日(日)14時14分13秒
「うっそー。よっすぃ〜といたでしょ?」
「へ!?」

ほら、図星。目を丸くして、可愛そうなくらい真っ赤になった。

「大丈夫、よっすぃ〜は言ってませんよ?」
「ちょっ、なんでひとみちゃんが出て…くるのよ…。」

あたしのニヤニヤしてる顔を見てだんだん俯いて小声になる先輩。
かわいいなぁ〜。

「…なんでわかるの?」
「勘です。」

なぁ〜んて。よっすぃ〜が朝からおかしかったんだもん。
ボケーっとしちゃってさ。
276 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月21日(日)14時14分47秒
でも、この様子じゃ、ほんとにHしちゃったんだなぁ〜…。
はぁ、うらやましい…。

あたしなんて昨日さ、いいなって思ってた大谷さんに「柴田も恋人つくればいーのに。」
なんて言われちゃったし。

「はぁ…。」
「どうしたの?悩み事??」

あたしはちょっと悔しくなって意地悪をしてやろうかなー、なんて

「先輩、首筋にキスマークついてるよ。」
「へ!?嘘!!なんで??」

先輩は、あわてて首を両手で押さえた。Hしたの確定〜。

「嘘…。」

そう言うと、恨めしそうにあたしの顔を見上げる。
うん。かわいいな。こういう子が彼女なんだから、よっすぃ〜幸せもんだね。

あたしも恋したいよ。

「柴っちゃん?」
277 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月21日(日)14時15分22秒
ボーッとしてたせいか先輩に呼びかけられる。

「ん?」
「なんかあるんなら私聞くよ?」
「ううん。大丈夫。」
「そう?」
「うん。じゃ、帰りますね!そろそろよっすぃ〜指導室から帰ってくるんじゃない?」
「そーかも。」

先輩は微笑みを浮かべた後に少し真剣な顔をして、

「柴っちゃんには感謝してるんだから。ほんとになんかあったら言ってよね!」

と、そう言ってくれた。
嬉しいよ、素直に。
だけれど、今のあたしはなんだか素直にお礼を言える心境じゃない。
そもそも、よっすぃ〜が指導室に呼び出されたのだって、授業中お昼寝をしていたからであって。
隣の席だったあたしには聞こえちゃったんだけど、「梨華…。」って寝言で呟いて口元を緩めてた…。
色ボケ…。
278 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月21日(日)14時15分55秒
はぁぁ…
いいことないかなぁ??


「おう!柴田じゃん!!」

ゲッ…よっすぃ〜

「先輩んとこ?」
ダークな気分を悟られないように、わかりきっている質問を投げかける。

「うん♪」

さんざん怒られてきたはずなのにこの清清しい笑顔は一体何!?

「そう。じゃ、明日ね。」
「うん。まったね〜♪」

あたしはそうそうにその状況をきりぬけた。
279 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月21日(日)14時16分51秒
「はぁ…。」
廊下を歩いていると自然にため息がこぼれる。

「どうした?柴田よ。」

ん?声が聞こえて振りかえると、でっかい定規片手に数学の平家先生。

「なんか悩みか?みっちゃん聞くで?」
「そーゆうわけでもないんですけどぉ。」
「まぁ、なんでもええわ。暇やったら茶せぇへん?科学準備室で。」

そう言ってチャリと準備室の鍵を振りながらニヤリと笑った。

「ん〜、いいですよ。」

こんな気分の時に家に帰って一人になったって、よけい落ちこむだけな気がするし…。

「ほな、ちょっと先行っててくれる?先生これ片してくるから。」

平家先生は、今度は定規を掲げてそう言うと、あたしの手にポトリと準備室の鍵をおとして行った。
280 名前:オガマー 投稿日:2002年07月21日(日)14時20分55秒
更新終了!
ちょっと短いかもだけど、前編ってことで。

レスありがとうございます!!
>271 名無し読者さん
キャラはねぇ、なんか変わっちゃったみたいですw
柴ちゃん編も更新〜

>272 名無しどくしゃさん
いしよしはほんと何しててもいーすよねw
柴っちゃん編はこのような按配ですw
281 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月21日(日)19時40分30秒
柴ちゃんカワイイ!
この先どうなるんだろぉ、ワクワク。
282 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月22日(月)16時08分57秒
ガラ−
当たり前だけど、準備室には誰もいない…。
ん〜、独特の変な匂いが漂ってる。あたしは別に嫌いじゃないんだけど。

「お待たせ!」

平家先生が、カップを2個もって入ってきた。

「でも、なんでここなんですか?」

平家先生が、何故だか置いてあった小さなコンロでお湯を沸かしてる様子をみてそう尋ねる。

「ん〜?あっちゃんとよく大人の話し、してるからなぁ〜。」

上の棚からティバッグを取り出しながら、棚が高いせいでちょっと苦しそうな声を出して先生は言う。
あっちゃんとは、科学の教師で稲葉先生のこと。
2人とも関西出身なこともあってか仲は良さそうだ。
283 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月22日(月)16時09分28秒

「柴田部活とかやったらどぉなん?」

紅茶を口に運んでると、窓の外を見詰めながら先生が言う。

「なんでですか?」
「ん〜、退屈そうやで。最近のあんた。」
「…仲良かった友達に彼女ができたんですよねぇ〜。」
「ほぉ!」
「…なんですか?」

イキナリ話に食いついてきた先生をジロリと見る。

「人の色恋沙汰はいつ聞いても楽しいやんか!それで?」
「それでって?」
「せやから、やったって?」
「……。」
284 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月22日(月)16時10分02秒
この先生いつもそう。3年を受け持ってる中澤先生とこの平家先生はエロ教師で名高い。
ただ、中澤先生はキス魔の異名をとるようなセクハラで、この平家先生は言葉のセクハラ…。

「で、柴田もやりたいってわけかぁ。」
「はぁ!?」

何言い出すのよ。

「あ、ちごたか。恋人が欲しいっちゅーヤツね。」
「まぁ、そんなとこです。」
「でも、やりたいと。」
「……。」
「すまんすまん。いやー若いかわいい子みとったらちょっとからかいとーなるやん。」

なんだかイタズラっぽいのにすごく優しい笑顔で平家先生は言った。
285 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月22日(月)16時10分40秒
そして真剣な顔をして

「柴田な、」
「はい?」

なんだろう…。

「暇やろ?」

……。

「…だからここにいるんですけど。」

もっと何かすごいアドバイスをしてくれるのかと思ったよ…。この人に期待したあたしが馬鹿だったわけね…。

「せやな、ははっ。」

しかも、それで終わり?
286 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月22日(月)16時11分17秒
「じゃ、言い方変えよか。…ズバリ寂しいやろ?」
「…まぁ。」
「やっぱりな。よかったよかった。」
「何がですかぁ?」
「いや、寂しい仲間ができてよかったっちゅう話。」

笑顔でそう言って先生は紅茶を口に運んだ。

「もしかして、先生たまってます?」
「ぶっ!!」

先生は口に含んでいた紅茶をキレイに噴射した。

「おまえなぁ、イキナリ何言うねん!!」
「きたないなぁー、でも、図星ですかぁ?」
「うっさいわ!」

先生は机を拭きながらちょっと赤い顔をしてる。
なんかかわいいな。
287 名前:せんせっ!! 投稿日:2002年07月22日(月)16時12分09秒
「何わろてんねん。」
「いやぁ、平家先生にもこんなにかわいいところがあったのかとっ。」
「だぁれがや。」

そう言う先生の顔はもっと赤くなった。

「あたし、そろそろ帰ります。」
「はいはい、はよ帰れ!」

先生が照れてそう言ってるのがわかる。あたしはなんだかもっと話していたい気分になったんだけど
これを決めゼリフにしたかったんだよねぇ〜♪

「せんせっ!」
「何?」
「寂しかったら呼んでくださいね♪あたしが相手してあげますから♪」
「なっ…コラー!柴田ー!!」

あたしはそれだけ言い残すと、先生の怒鳴る声を尻目にさっさと教室を後にした。



せんせっ!!〜Fin〜
288 名前:オガマー 投稿日:2002年07月22日(月)16時15分00秒
ちょっとまだ続きそうな雰囲気で終わってますよねぇ(ニガワラ
とりあえず終了!!
後、一回いしよしのエピローグ的なみじかぁーい話しで
この話、ほんとの完結にするつもりです。

>281 名無しどくしゃさん
レスありがとうございます!!
こんなんなりましたー(笑
289 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月22日(月)22時56分31秒
うわー萌えましたよ 柴ちゃん編!!
平家さんの相手してるとこも見たかったですけど(w

>この話、ほんとの完結にするつもりです。
そうなんですかぁー…残念です。でもラストめっちゃ楽しみにしてますよぉ!
290 名前:オガマー 投稿日:2002年07月22日(月)23時11分19秒
実は柴ちゃん編にはまだ続きが一応あったりして…
うpしようかどうか迷ってたんだけどせっかくだからしてみようかなぁ?
もしこのスレ見た人がいたらレス頂けると嬉しいです。
あ、ちなみにエロではありませんがw
291 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月23日(火)19時01分06秒
エロ教師ミチャーソ、萌え(w ( `◇´)<やったん!?
それに負けてない柴っちゃんも(・∀・)イイ!!
やっぱりここの从#~∀~#从も金髪でちっこい女生徒に迫ってたりするのでしょうか。
柴っちゃん編、続きキボーン
292 名前:オガマー 投稿日:2002年07月23日(火)22時17分40秒
>291 ごまべーぐるさん
レスありがとうございます!
一人でも望んでくれる人がするのならばうpしますw
あいにくキンパツコンビは出演予定なしですが…(汗
293 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時18分53秒
「せんせっ!」
誰もいない教室で窓の外を眺めていた平家先生に声をかける。

「なんや、柴田か。」
「なんて言っちゃってー、ほんとは嬉しいクセにー。」
「はいはい。」

こうやってあしらうのは照れ隠しってあたしは思ってる。
先生はすごく照れ屋だ。
ここ数日、あたしは放課後になると、嬉しそうに先輩の元へ急ぐよっすぃ〜&市井さんの元へ向かうごっちんに挨拶を交わして、学校内を探索する。
294 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時19分32秒
平家先生を見付けるためだ。
この人は何故だから知らないけど、いつも決まった場所にはいない。
たまに科学準備室で稲葉先生と話してる時は、気づいた時点で声をかけることもやめて、
学校を後にするのだけれど。
そんな日は、少しつまらない。

平家先生をからかうのが最近のあたしの楽しみ。

「柴田なぁ、」

外を見詰めながら先生が話しかけてくる。
295 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時20分07秒
「なに?」
「恋人はできたかぁ?」

最近、いつもこんな感じ。
先生はあたしの前だと教師って言う意識を無くすのか、間延びした声で話しかけてくる。
誰にでも不思議なほど平等だったこの先生がこういう風に接してくれるのはあたしだけの特権って思ってていいかな?

「できました!」
「え!?」
「って言ったらどうします??」
「……。」

瞬時にあたしの方に向き直った先生はガックシとうな垂れて、また外に視線を送った。
296 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時20分37秒
「なんや。」
「今、焦ったでしょう?」
「なんでやねん…。」

…何よぉ、焦ったクセに。
先生にとってさ、あたしって、もうその辺の生徒とは違う存在になってるってあたしは思ってるんだけどなー…。

「なぁ、」
「ん?」
「最近、まだ寂しいか?」

ああ、伝わってくる。
間延びした声から感じる、先生の優しさ。

「最近はそうでもないよ。」
「そか、ほなよかった。」

寂しくなくなった理由はね、先生が相手してくれるからだよ。
もしかしたら、あたしみたいな子供、眼中にないかもしれないけどさ…。
297 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時21分13秒
「…先生は?」
「ん?ウチか?ウチもあんまり寂しくないな。」
「そーなんだ。…まさか恋人できた??」
「ん〜、アホか。どこぞのかわいいガキんちょが飽きずに相手してくれるからなぁ。」
「……。」
「どないしたん?」

「…ガキって言わないでよ。」

なんだかすごく寂しくなった。

「ん?」
「あたしそんなに子供かなぁ?」
「……いや、かわいらしい女の子やと思うよ。優しいしな。」

そう言って微笑みながら振り向いた先生の顔にドキドキしてしまう。
298 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時22分24秒
「せやからな、はやくええ恋人できたらええ思うねん。ほんとに柴田を大切にしてくれるええ恋人に。」

胸がギュッて締め付けられた。

「…先生、ほんとに寂しくないの?」
「…ほんとはちょっとだけ寂しいけどな。」
「なんで?」
「そのかわいいガキんちょがそのうち自分の相手してくれんなると思うとな…。」

「あたし…前に言ったよね?」
「ん?」
「寂しい時はあたしを呼んでって。」
「あ〜、そう言えばゆってくれたな。」

先生は優しい顔して微笑む。
そして真顔になって
299 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月23日(火)22時22分59秒
「けどあかんで、柴田。」
「なにが?」
「もうこうやって会わん方がええかもしれんな、ウチら。」
「…なんで?」
「なんでもや。」
「なんでよ!?」
「とにかく、もうこういう風に柴田とは会わん。もう決めた。」
 
先生は横顔しか見えなかったけど、マジなんだってその表情が言ってた。
あたしはなんだか泣きそうになったから、教室を飛び出した。
300 名前:オガマー 投稿日:2002年07月23日(火)22時25分31秒
更新終了!!
あと、2回ぐらいかな?

>289 名無し読者さん
レスがちょっとわかりずらいところにきてしまってすみまんせ(^^;)
エピローグはこの柴みち(?)が終わったらうpしますね〜。
301 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月24日(水)11時49分16秒
しばっちゃんがんがれ!!
と言ってあげたい!!ヘケ姐さんは、大人ですね。(w
更新楽しみにしています。がんがってください。
302 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月24日(水)16時57分29秒
アリャ、見ぬ間にこんなに。
平家さん切ねぇコト言うなぁ。
柴ちゃん…がんばれぃ。
次の更新楽しみにしてます。
303 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月24日(水)20時48分12秒
−平家視点−

「はぁ…。マジかいな。」

まさか、あんなセリフを言うだけのことがこんなにヘヴィーやとはな。
みっちゃん気付かへんかったわ…。
初めはかわいい子だけですんどった。
けど、毎日あの子がああやって純粋にウチに懐いてくれんの見てたら、
なんや離したくなくなってきてもうた…。

柴田は…同じ年ぐらいの子と幸せな恋愛して欲しいんや。
ウチのワガママだけで、これ以上、あの子の気持ちを加速させるわけにはいかん。
ウチはどっちにしたってあの子を傷つける気がしてならんのよぉ。

現にさっきも衝動が…おさえきれんなりそーやった。

純粋でかわいい、ほんとにかわいらしいウチの…生徒やねん…。
304 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月24日(水)20時48分43秒

暗い気持ちをひきずったままの次の日の学校。

「柴田♪」
「…よっすぃ〜。」
今はひょっとしたら一番会いたくないよ。死神より会いたくないかも。
そのダラけた顔には…

「なぁに?」
話しを聞いて欲しそうな目に問いかけてあげる。

「それがさ、聞いてよ!先輩がさぁ〜…」
よっすぃ〜が話す声がやけに遠くに聞こえる。
幸せな話し、聞きたくないって言ってる。
305 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月24日(水)20時49分08秒
「柴田聞いてる?」
「ん?よかったじゃないっ。」
「ありがと、へへっ。」

…噛み合った。
聞いてなかったのに。
でも、ま、幸せでよかったじゃない。嫌味じゃないよ。うん。嫌味じゃない。
306 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月24日(水)20時50分04秒

あれからもう一週間か…平家先生とはああいう風に会うことをしなくなった。
さり気に探してみたりとかもしてた。
でも、見付けても、何もしゃべらないまま、口を開くチャンスすらくれないで平家先生はその場を去ってしまう。
無理にでも声をかければ何か変わるのかもしれないけど…。

あたしは前にもましてどんよりした気分だ…。
寂しい…狂おしいほどの寂しさ。

やっぱり先生と生徒だから?
それともあたしがやっぱり子供過ぎるから?
ねぇ、先生。
307 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月24日(水)20時50分53秒
「はぁ…。」
ほとんど息を吐き出しただけに近いため息を一つ、教室に残して廊下へ出た。
いつの間にこんなに好きになってたんだろう…。



「おっ、柴田やんっ。」

後ろからかけられた声にドキッとする。
平家先生だ…。
振り向くと、はじめてお茶したあの日と同じ格好で先生は立ってた。
あたしは思わずクスッと笑ってしまった。

「奇遇やな。暇やったら茶でもせぇへん?科学準備室で。」

最初を除くと、まったく同じセリフ。
同じ態度。それはあたしにとって、嬉しいことなのか、寂しいことなのか…。
でも、なんで?会っちゃっていいの?先生。

「じゃ、例のごとく先いっといてなぁー。」

先生は鍵をポトリとあたしの手に落として行った。
308 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月24日(水)20時51分43秒

切ない話はもうしたくないよ。
ちょっとは期待してもいいの?
ねぇ、先生。
309 名前:オガマー 投稿日:2002年07月24日(水)20時54分31秒
何気にこれだけで更新終了…
ああ、切り方間違えたかな?(汗汗
ま、気にしない(爆

>301 よすこ大好き読者。さん
ヘケさんのオトナであるがゆえの葛藤…

>302 名無しどくしゃさん
関西弁ってすごく味があるから、
僕は書くの好きだったりしますw

柴ちゃん編にもこんなにレスして頂いてほんとに嬉しいです。
ありがとうございます!!
310 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時46分48秒
「柴田ー。」

準備室の椅子にちょこんと所在なく腰掛けていたら、先生が来た。

「ウチなー、」

あの日と同じコンロでお湯を沸かしながら。

「もしかして前に進めるかなぁ、って思てたんよぉ。」
「なに?」
「まぁ、黙って話しを聞きなさい。」

高い棚からティバッグを取り出しながら。
311 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時47分27秒
「ウチ、どうしようもなく惹かれた人がおってな…前に。」
「……。」
「もう卒業してったけど、その子は生徒やってん。
結局はな、ウチが壊した。
子供やってことをな、意識しすぎてたんよぉ、それで手を出さずにいた。
せやけど、なんやその子の様子がおかしなってきてな、
よそよそしいっちゅうか…。
あん時はもう何も考えられんなってたわ。
誰もおらへん教室で半ば強姦やわ。」
「……。」
「彼女は抵抗することもなく、ただ涙を流したんよぉ。
それが逆に苦しかった。
その子は涙ながらに気持ちを全部吐き出してくれたんよ。
『もう遅い』って、子供やから相手にされないのかと思うて、
あきらめようとしてたんやて。でも、ウチにそういうことされて、
ハッキリ言って今は怖ぁなったってその子は言うた。」
312 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時48分01秒
先生は一息おいて続ける。

「ウチは…怖なった。純粋な子の涙がこんなに痛いもんやって知ったから、
怖くなってしもたんや…。
歯止めがきかんなるに間違いない、自分の純粋な筈の気持ちもな。」

平家先生の目には、涙が少し滲んでいるように見えた。
その表情が儚くて、あたしは先生を抱きしめた。

「柴田?」
「先生…。」

今、自分でしゃべって気付いた。すごい鼻声。あたし泣いてる。
313 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時48分33秒
「それって、どこにでもある失恋話だよ。」
「そうか?」
「うん…。タイミングが合わずに駄目になっちゃっただけじゃない。
こんなこと言うと先生は辛いかもしれないけど…合わなかったんだと思う。
最初から、その子と先生は…。」

あたしは先生の頭を抱きしめたまま。

「それは辛いなぁ…。」
「…先生、あたしじゃ駄目かなぁ?子供かなぁ?そういう目で見れない?」
「柴田…。」
「もっと気持ちぶつけていいと思う。あたしは先生に気持ちぶつけるからっ。だから先生にもほんとの気持ち全部あたしにぶつけて欲しいよ…。」
「……ウチは傷つけん自信がないんや。わかってくれ、柴田。」
「わかんないよっ!逃げてるだけじゃん!そんなのっ。」

あたしは先生から離れて目を見詰めて行った。
泣き顔を見られるとか、またガキくさいとか言われてもそんなのはどうでもよかった。
314 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時49分04秒
「あたしは先生が今ここであたしを抱いたって怖くないよ。」
「……。」

先生はあたしの目を見ようとしない。
そして急に立ちあがってあたしを抱きしめた。

「もう遅いで…傷ついても柴田のせいやから…。」
それだけ言うと、先生はあたしに少し乱暴にキスをしてきた。
!?
舌も入れてきた。

…すごい。キスってこんなんなんだ…。あたしの知らない大人のキス…。
頭がクラクラするよ…。荒荒しいキス…でも…

「…ごめんなぁ、柴田。ウチはやっぱアホやな。同じこと繰り返すだけやなんて…。」

唇を離した後、椅子にストンと腰を下ろして先生は呟いた。
315 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時49分41秒
「…甘いよ、先生。全然、甘いんだから。」

わけがわからない様子の先生を見つめてから、窓に歩いていき、カーテンを引いた。
先生は振り向いたあたしのことを呆然と見詰めてた。
あたしは制服のボタンに手をかける。
Yシャツのボタンを一つ一つはずして…。

「柴田?」
「怖くないって言ったでしょ?あたし先生好きだもん。守りたいもん。」
あたしは今のあたしがあげられる精一杯優しい表情を先生に向けた。

瞬間、先生にギュッと抱きしめられる。
「先生?」
「ウチはほんとにアホやなぁ…。」
「そんなことないよ…。」
「何が繰り返すやねん。もっと悪いっちゅうねんなぁ。
大切にしたいって思った子にこんなことさせてもうた…。」

抱きしめてくれる腕は少しだけ震えていた。痛いほど優しさが伝わってきた。
316 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時50分11秒
「なぁ、柴田。」
「ん?」

あたしも先生の背中に腕を回す。

「ほんまにウチなんかでええの?」
「先生こそ、あたしなんかでいいんですか?」
「なにゆうてんねんっ、」

先生は体をそっと離して、あたしのおでこにコツンと自分のおでこをぶつけた。

「こんなええ女、惚れんわけないやん。」

あたしはその一言で、今まで止まっていた涙がまた溢れ出した。
先生の目にもうっすらと、涙が浮かんでる。
317 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時50分42秒
「なぁ、柴田。アンタのその涙はキレイやで…。わかったわ。ウチはアンタのこと汚すかもしれへん。
傷つけるかもしれへん…。
でもな、アンタのそんなにキレイな涙も、ウチは流させてあげられるって気付いた。」
「先生…。」
「ほんまに、ほんまにな、大切にせなあかんっ、ってなんか戒められるわ…。」

先生の顔にやっと笑顔が浮かんだ。

「ウチがもし…アンタのこと急に襲ってもキライにならんでくれるか?」

その表情は優しくてでも、壊れそうに儚くて…
あたしは涙を溢れさせたまま、微笑むことしかできなかったよ。


318 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時51分18秒

ねぇ、せんせっ!
あたしきっと先生があたしに何したって好きだよ。
だってそこには愛があるじゃない?
ねぇ、せんせっ!!
あたしのこともっと信じていいよ。
確かに馬鹿だし、まだまだガキだし、大人な先生にとっては
心配でたまらない存在かもしれないけどさぁ…
319 名前:せんせっ!2 投稿日:2002年07月25日(木)23時52分15秒

「ねぇ、せんせっ!」
「ん?」
「ところでHはいつしてくれるの?」

先生は口に含んでいた紅茶をまたもやキレイに吹き出した。
だから先生は甘いって言ってるんだよ?
あたしだって、先生が思ってるほど子供じゃないんだから♪



せんせっ!2〜Fin〜
320 名前:オガマー 投稿日:2002年07月25日(木)23時53分05秒
よっしゃ!!(何
柴ちゃん編終了!!
次回の更新がラストの予定w
321 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月26日(金)19時54分53秒
しばっちゃん編よかったです!!
ありがとうございました。
最後のオチに、私も飲んでいたお茶を噴出しそうになってしまいました(w
322 名前:名無し姫(金色) 投稿日:2002年07月27日(土)15時04分59秒
柴みち小説って初めて読みましたー!!
なんか新鮮な組み合わせでハマりそうです。
2人でやってたラジオ思い出しちゃいました(^_^)
323 名前:オガマー 投稿日:2002年07月28日(日)00時14分29秒
恥ずかしながらショボですが(爆
いしよしのエピローグ的な話しうp開始
324 名前:エピローグ 投稿日:2002年07月28日(日)00時15分18秒
「ひとみちゃん!はやく!!」

前を走って行って、波に遊ぶ貴方を見てる。

授業が終わって、なんとなく思い立った海。
ふと立ち止まって貴方を誘うと、嬉しそうな顔で「行きたい!!」って繋いでた手を揺らした。

夕日が辺りを染める。
まだ暑くないこの辺りの海には、人影もない。

あたしは近くの岩が乾いてることを確かめて、その上に腰掛けた。
325 名前:エピローグ 投稿日:2002年07月28日(日)00時16分03秒
「もぉ、なんで一緒に遊ばないの?」

笑顔でそう言いながら歩いてくる貴方。

「ん〜、梨華見てる方が楽しい。」
「なにそれ。」

あたしが好きな、ちょっとはにかんで笑うその表情。

「キレーだねぇ。」

沈みかけた夕日を見て、貴方が言う。
326 名前:エピローグ 投稿日:2002年07月28日(日)00時16分38秒
「座ったら?」

あたしは隣を指して言った。
梨華はあたしに肩を当てて座る。
あたしはそんな梨華の腰に手を回す。
貴方はあたしの肩に頭をあずけて…

「今日は…離れたくないな…。」
「えっ…。」

イキナリそんなことを言うから顔がボッと上気してしまう。
327 名前:エピローグ 投稿日:2002年07月28日(日)00時17分15秒
「好きだよ…。」

梨華はあたしの肩に頭を預けたままそう呟いた。

「…あたしは愛してるよ。」
「なにそれ、じゃあ、私はひとみちゃんより愛してる。」
「あはは!梨華の方こそなにそれ、じゃん!でも、あたしより愛してくれてるなんて嬉しいなぁ〜。」
「あー、せこい。」
「ふふっ。もう遅いー。」

あたしは彼女の細い腰を優しく抱き寄せた。
328 名前:エピローグ 投稿日:2002年07月28日(日)00時22分47秒
夕日が沈むまで言葉少なめにジッと見詰めて…
もう離れることができないみたいに、2つの影はずっとずっと寄り添ったままで…。


「ほんとはあたしの方が愛してるよ。」
「え〜、あたしだよ〜っ。」

また子供っぽいじゃれ合いを繰り返しては笑う。

「じゃ、とりあえず一緒ってことにしときますかっ!」
「そうね。」



〜Fin〜
329 名前:オガマー 投稿日:2002年07月28日(日)00時23分44秒
我ながらショボ!!爆氏
完結でーす。
情けない(汗
330 名前:オガマー 投稿日:2002年07月28日(日)00時27分57秒
レスありがとうございます!!

>321 よすこ大好き読者。さん
いえいえ、こちらこそ、ありがとうございますたw
キーボードが無事だったようで、よかったです(w

>322 名無し姫(金色)さん
柴みちって言うのも、あるとこじゃある話しみたいですよ(謎)
そのラジオも聞いてないようなものがかきましたがw
ハマりそう、と言って貰えて嬉しいです^^
331 名前:オガマー 投稿日:2002年07月28日(日)00時30分01秒
しかも梨華たんのセリフなのにあたしってなってる…(鬱
332 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月28日(日)01時40分57秒
めちゃくちゃ面白かったです^^
柴みち萌え〜
いつHしてくれ(ry
自分も柴みちのラジオがあったこと自体知りませんでした…何に出てたんですか?
あとオガマーさんのほかの小説がよかったら教えてください!
333 名前:332 投稿日:2002年07月28日(日)01時42分19秒
なんか最後の一文変になってしまってすみません。
オガマーさんのほかの小説よかったら教えてください
と、言いたかったのですが(^^;
334 名前:オガマー 投稿日:2002年07月28日(日)02時00分34秒
>332 名無し読者さん
早速レスがついててビクーリw
ありがとうございます。
ラジオのことは僕は知らないんですよねぇ
小説ですが、黄板の「まるでおとぎばなし。」がそうです。
335 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年07月28日(日)11時31分46秒
すばらしかったですYO!
甘々で、いろんなお話読めてヨカタです。
次回作マターリ待ってます(ワラ
お疲れ様でした
336 名前:姫子 投稿日:2002年07月28日(日)13時01分55秒
えー。もう終わっちゃうんですかぁ。
寂しいなぁ。
いつも楽しみに読ませてもらってたのに。

次回作期待しております。
おちかれさまでちた!
337 名前:紫の庭達 投稿日:2002年07月28日(日)19時26分44秒

いつも読んでおりました。
オガマーさんの甘甘は大好きなので、
これがしばらく味わえなくなると、寂しいかぎりです
次回作期待して待ってます。
おつかれさまでした。
338 名前:名無し姫(金色) 投稿日:2002年07月29日(月)02時14分27秒
柴みちって、あるとこにはあるんですか?!^^
ハマりそうだったのですが、すでにハマッてたみたいです(w
ラジオはかなり昔に一ヶ月限定で放送しまして、いろんな対決とかしてて
面白かったですよー!ウォーキンオンザストリートという二人の名前を
文字ッた番組名でした。確か…

完結お疲れ様でーす!!オガマーさんの作品大好きですよ^^
またマイナー?!なカップリングを私に発見させてくださいね!
339 名前:オガマー 投稿日:2002年07月30日(火)17時32分33秒
たくさんのレスありがとうございます!!

>335 名無しどくしゃさん
いつもレスありがとうございました。
禿みになりましたYO!
今回は自分もいろんなCPに挑戦できた楽しかったです。

>336 姫子さん
レスありがとうございます。
寂しいと言っていただけるとヒジヨーにうれすぃ。
姫子さんの小説、楽しみにみてますね〜

>337 紫の庭達さん
初レスありがとごぜーます。
>大好きなので、
喜びますw

>338 名無し姫(金色)さん
ほぉ、そういうタイトルだったのですねー。
貴重な情報をどうもですw
ヲイラ的にはおどる11のヅラ柴ちゃんがツボですたw

次回作の予定は今のところありませんが、
連載をはじめて際には、是非また読んでいただけると嬉しいです。
ほんとにたくさんのレスありがとうございましたー!!
340 名前:オガマー 投稿日:2002年09月03日(火)09時16分29秒
痛めの加護が主役の話し書きます。
登場人物は加護の他に吉澤、石川です。
短編です。
341 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時17分22秒
「うわっ!」
亜依は抱えた水槽から漏れる生臭い匂いに顔をしかめた。
「ん?あはは!重い?変わろっか?」
ひとみがその様子を見て言う。
「ええってウチが縁日で釣った金魚やもん。ウチが世話したる。」
「いー心掛けや。」
「慣れん関西弁使いなやー。」
そう言いながら、上半身を折り曲げて水槽をぶらさげて亜依は歩く。
ひとみは夕刊を取りに玄関に向かった。
342 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時17分56秒
ガシャン!!

大きな音が響き、ひとみは慌てて音の聞こえた方へ戻った。
「亜依!?」
部屋が見渡せる位置に付くと、亜依が呆然と突っ立っている足元に、割れたガラスとそれから水溜り、そしてその上を跳ねる金魚が目に飛びこむ。
「もぉ、だから変わろっか?っつったのにー。」
呆然としていた亜依も、ひとみが膝をついて床を片付けようとしたので、それに続いた。
「亜依、いーから洗面器に入れてる水出して。死んじゃう。」
ひとみの視線は跳ねる元気を若干無くしたと思える金魚に向けられていた。
「亜依!亜依??」
亜依がその場をボケーとしたまま動かないのでひとみは肩を揺すった。
「あ、はい!」
亜依は我に返って、すぐに風呂場から水の入った洗面器をもってきた。
「ちょっとよくないかもだけど…我慢してねー。」
ひとみはそう言って金魚を柔らかく手で掴み、洗面器の中に入れる。
亜依がひとみの背中にギュッとしがみついた。
343 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時18分28秒
洗面所の中を泳ぐ金魚。
ヒラヒラとオヒレを揺らして…。
最初にいたよりも、2匹減ってしまった。

「ウチが殺した…。」

背筋が凍るほどの無機質な亜依の声は、ガラスの破片を拾っているひとみには聞こえなかった。
344 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時19分00秒
ひとみの従姉妹の亜依は、2ヵ前ひとみの家にやってきた。
理由はひとみには話されなかったが、ひとみは『家庭内が複雑なのかな…。』などと考えて、深く追求することもない事実だと決めつけていた。

「金魚、一匹ずつ死んでいくねん…。」
亜依が覗きこんだ水槽にひとみが目をやると、鮮やかに赤いまま堅くなった生きていたものが今日もまた一匹、水面にプカプカと浮かんでいた。
水面は、必要以上に揺れていた。
345 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時19分36秒
「ん〜…やっぱりあたしが手で触っちゃったからかなぁ?」
ひとみがすまなそうな顔をしてそう言うと、
「ウチが殺したねん。」
亜依がそう言った。
ひとみはわけもわからず背筋が冷たくなるのを感じる。が、すぐに何故?と思いなおし、
「殺したとか言うなよー。責任感じることないよ?亜依は。」
確かに命だけれど、亜依が苦しむよりかはそっちを犠牲にする方がひとみには楽だった。
「埋めてくるわ。」
亜依がそう言う後ろ姿をボーッと見詰めていた。

(最近、あんまり笑わないな…。やっぱり悲しいんだろうか…。)

「お前は頑張れよ。」
ひとみは新しい水槽で泳ぐ一匹になってしまった金魚に言葉をかけた。

346 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時20分06秒


水槽は空になった。

347 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時20分39秒
いつからだろう…
亜依がわからなくなってしまったのは…。
最初、この家に来た時はよく笑っていたし、昔に会ったまんまのかわいい亜依で、そいつに闇があるなんて考えもしなかったけど…。
今は確かに見えるのだ。他でもない、その瞳に…。
ひとみまでもが吸いこまれ囚われてしまいそうな深い…それとも、ただ一面しか持ち合わせないような闇が…。

「花火、行こうか?」
ひとみはそんなことを考える自分が嫌だったし、亜依が笑う方法をきちんと与えてやれば自然に笑えるものだ、と思い、朝刊に入っていたチラシを見せながら言った。

亜依は頷いた。
「めちゃ嬉しいでよっすぃ〜。」
背中からかけられた声。ひとみは笑顔になってそちらを振り向く。
が、そこで笑っているはずの亜依は、なんの表情も浮かべてはいなかった。
348 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時21分28秒
「亜依ー?」
綿菓子を買ってくる、と自分の元を離れた亜依の姿を探す。
「あー、いたいた。」
亜依は河川敷の上の道をまたいだ芝生の生える場所に佇んでいた。
「何してんの?こんなとこで…ゲッ!」
ひとみは亜依が視線をおとしていた場所を辿り、怪訝な表情を浮かべる。
そこには、小さな鳥の死骸が在った。
「亜依?こんなん見てないではやく帰ろうよ。」
「まだ、足りんと思うか?よっすぃ〜…。」
「え?」
既に背中を向けていたひとみは亜依の言葉がよく聞き取れなかったのか
「帰ろうって!」
そう言って亜依の腕を引っ張り、強引に家に連れて帰った。
349 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時22分10秒

「ねぇ、お母さん、やっぱ変だって!」
亜依が眠った後のリビング。ひとみが母の肩を掴む。
「何言ってるの?仲良くしてあげなさいよ。貴方、お姉さんでしょ?」
ひとみがただ亜依との仲をつめあぐねている為についている嘘、とでもいいたそうだ。
「なんか最近、気味悪いもん…あたし。」
〜〜〜〜〜♪
夜の10時。ひとみのケータイが着信を知らせる。
「あ、梨華ちゃんだっ!」
さっきまでの危機迫っていた表情とは打って変わって、口元を思いきり綻ばせる。
「『会いたい』…、お母さん行ってくる!」
「もう!気をつけるのよぉ?」
「はぁーい。」
ひとみが玄関を出て行く音がまもなく響いた。
350 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時22分44秒
登校ルートの河川敷、結局昨日家には帰らず、ひとみは梨華の家に泊まりそのままここで二人、昼食をとっている。

「それでさー、まだ足りないの?とか意味不明なこと呟いてるの!あ゛ー!もう頭、変になりそう…。」
ひとみはそう言うと、芝生の上にベタンと寝転んだ。
「ん〜、でもまだ信じられないな…。」
梨華がそう言うと、ひとみは勢いをつけて起き上がる。
「え゛〜…。」
「だって、その子に会ったことないし…。」
「会わない方がいいよ。気味悪いから。」
ひとみは手をフラフラと振りながらぶっきらぼうにそう言った。
351 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時23分17秒

「よっすぃ〜。」
ふいに背後から掛けられた声に背筋にツーと何かが這った。
「その人が梨華ちゃん?」
ひとみは拍子抜けしていた。
目の前にいる亜依は少し前と何もかわらない、明るい笑顔を見せていたから。
「貴方が亜依ちゃん?」
梨華が頷いた後にそう聞き返す。
「あー、よっすぃ〜ウチのこと話してくれてたんかぁ?嬉しいなぁ。」
「かわいい子だね。」
梨華は何やら勝ち誇った様子でひとみにそう言った。
ひとみは腑に落ちない顔で亜依に気付かれないように一つ、首をひねった。
352 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時23分54秒
「えー、じゃあ、今日はおウチの人いないの?ダメじゃないひとみちゃん。」
「あ、うん。知らなかったから…。」
ひとみは流れについていけずにいる。
亜依はかわいい亜依で?梨華とはもうスッカリ打ち解けて…
証拠に今、ひとみ達三人はひとみの家にきていた。

「よっすぃ〜、ジュースついできてやー。」
何故自分が?と思わないこともなかったが、梨華が嬉しそうに自分を見て微笑んだので、言われるがままにキッチンまで降りた。
353 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時24分36秒
ゴロゴロバタン!!

「!?」
ひとみは急に聞こえてきた音に頭が真っ白になる感覚を覚える。
が、すぐに駆け出した。
ビーズの暖簾をかきわけて、廊下を見ると…
丁度階段の真下、梨華がふにゃりとくずれながら横たわっているのが見える。
「どうしたの!?」
梨華の隣に何故か転がっている、2回の父の部屋にあったゴルフバッグ。
それをおしのけて、梨華の側に寄る。
「亜依!?」
叫んで上を見上げたひとみは、今度こそ、頭が真っ白になる。
亜依は腕を組んで立っている。
その右手には果物ナイフが握られていて…。
その口元は、少し上がっていて…目は…何も映してはいない?
354 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時25分12秒
「はぁ!?おめー!何したんだよ!?」
「どうでもいいけど、死んじゃうよ?ひとみちゃん、救急車呼んであげてよ〜。」
死ぬ?救急車!!
ひとみはポケットのケータイからすぐに119番へ電話を掛け、救急車を手配した。
ホッと一息ついて、梨華の様子を見ようとした時、氷のような声が降ってきた。
「なぁ、ひとみちゃーん。梨華ちゃんはかわいいなぁ。ビクビクビクビク震えて。追い詰める時の快感ったらなかったで。」
口元を歪めたまま…。
「殺す…。」
ひとみは低く呟いて、階段をゆっくりと上った。
(逃げないだろう?あたしが行くの待ってんだろう?)
そんな確信があった。
亜依はひとみが目の前に辿りつくまで、動きはしなかった。
355 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時26分09秒
「ほな、これ。」
笑顔を浮かべて差し出したものは…。
さっきから手に握られていたくだものナイフだった。
「ここやで。」
亜依は心臓の辺りを指差していう。
「でも、痛くないのも、ひとみちゃんとしたらつまらんやろ?どこでも好きなとこ、なんぼでも刺しや。」
亜依の態度全てがひとみを激しく駆り立てて、ひとみはグッとくだものナイフを使む。
「ほんとに殺してやんよ。おめー、梨華ちゃん返せ!!!」
ひとみがそう叫んでナイフを振り上げた瞬間だった。
「ひとみちゃん!!」
甲高い声が下から突き刺さってきた。
「は?」
ひとみは一気に我に返る。
見下ろした先には、梨華が涙を流しながらこっちを見上げている。
356 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時26分54秒
「亜依ちゃん!」
ひとみは梨華のその言葉を聞いて亜依に目をやる。
「なんでや…まだやっぱり足りんかったんか…足りるわけないもんな…ののの命にそう簡単に足りるものがあるかっちゅうねん…。あるとすれば…ののの命を全部背負った…ウチのこの命だけかもな…。」
脆くて儚くて崩れ落ちそう
形をなしていないその表情は次々と零れ落ちる涙を止める術も知らない
幼い子供のよう…
「…なんだ…亜依…なんだ??」
ひとみは亜依に言葉をかけた。
「ごめんな、よっすぃ〜梨華ちゃん、それからのの…ごめんな…。」
「オイ!!」
ひとみがそう言って腕を伸ばすより1秒先にその体は階段をずりおちていった。
「キャーーーーーー!!」
梨華の悲鳴が聞こえて…
357 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時27分30秒

なんで…なんであんなに嬉しそうに笑うんだよ…。
なんで…。
ひとみには亜依が最後に見せた笑顔が忘れられなかった。

外には緊急事態を知らせるサイレンが響いて―――――――――――
358 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時28分20秒


359 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時29分01秒

なぁ、ののがそういうニュース見る度に言うてたのはな
なんの罪もない人が死ぬことはおかしい、
やった

ウチのまちごうたかなぁ?
罪のなかったののは死んでしもた…
罪を犯したって
誰もウチを愉しく殺めてくれる人はおらんかったよ

やっぱりウチ
まちごうとったみたいやな
ののの顔、
めっちゃ怒って見える
あの温厚なののが…

ウチ、ののを殺したアイツらと一緒なことしたもんな…
許されんよ…
どうしたらええ…
どうしたら…

朦朧とした意識の中で
サイレンが聞こえてる
遠のく意識の中で…
ののが「亜依ちゃんは生きてよ」ってわろとった…
360 名前:勘違いの同等 投稿日:2002年09月03日(火)09時29分34秒

勘違いの同等 −完−

361 名前:オガマー 投稿日:2002年09月03日(火)09時30分47秒
一遍にうpしました。
レス頂けると喜びます…
362 名前:ナナシー 投稿日:2002年09月03日(火)11時08分30秒
脱稿、乙でし。

うぅぅ、痛いっす。
過去、ののと亜依の間に何があったのか・・・

こりゃぁ、長編で読みたいかも。    ・・・トカイッテミル(w
363 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月03日(火)15時36分23秒
正直、意味わかんないです。
作品として成り立ってるのか、個人的には疑問。
映像で見てみれば違うのかもしれないけど、これは小説だしね。

こんな感想でスマソ。
364 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月03日(火)20時20分49秒
あいぼんの背景になにがあったのか?前半はゆっくりとしたペースで進んでたのが後半になって一気に話が進んだのでよくわからない点がありました。
面白かったんですが、まだ序章に過ぎない気がします。
よかったら続編読みたいです。
365 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月03日(火)20時34分36秒
ミステリアスっぽくて不思議でmeはイイと思います。
ちょと難しかったなぁ。でも、なんか色々感じます。
ウン。あいぼんは優しい子。
366 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月04日(水)10時23分46秒
怖かったです。
実際にあいぼんも憂鬱そうな表情を時折見せますけど。
こんなこと考えているんだろうか・・・・・(って事実と小説を一緒にするなと起こられそうですけど

あいぼんの心の奥にはののに対する思いがあるようなんですけど何か凄く気になります。
まあ謎を残したまま終わるってのもそれはそれでよいと思いますけどね。
367 名前:オガマー 投稿日:2002年09月06日(金)07時18分11秒
レスありがとうございます。
正直な意見を言って頂けて、勉強になりました。
作者の頭の中に、筋書きがあっても、読者の皆さんに伝わらなければ
いけない。
難しいですね。

今の段階では、続編等は考えておりません。
不消化なままの方には申し訳ないです…。
368 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時20分35秒
日本は荒れていた。
政府はつぶれ、権力者達が其々に陣地を持つようになった。
元埼玉県の北部一帯…現在は『YOSHIZAWA』の陣地…。
争いは、組織同士でも、組織内でも絶えないようになっていた---―――

369 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時21分09秒

「殺しさえしなければいいそうだぞ…。」
「あはは!あのオヤジもよっぽどクレイズィだな…。」

2人の男の声と足音が遠ざかる。

「はぁ、はぁ、はぁ…。」

ひとみはズルズルと壁を伝いその場に座りこんで荒い息を吐いた。

「クソオヤジ…今度こそはぜってー逃げてやるから。」

肩からは真っ赤な鮮血が腕を伝っている。

「ちくしょお…。」

それだけ呟くとひとみは再び立ち上がり駆け出す。
370 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時21分43秒

もうどれくらい走っただろうか。途中の街で腕は手当てしてもらった。
今日は、野宿かな。
傷を負ったことに追っては気付いてないらしく、病院では何の問題も怒らなかった。
けれども、それも不信なことである。ひとみはもう自分の行動なと全て把握されているような気分にしかなれなく、額から冷たい汗をいくつもこぼしていた。


「…っ。」

林に足を踏み入れて、今日の寝床を探そうとしたときに水辺に揺らめく人影を見つけた。
女?
ひとみはゆっくりと近づいていく。
木の陰から様子を伺おうと顔を覗かせた途端だった。
371 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時22分14秒
「痛いっ…。」

その女の声。
女が抑えている胸の辺りからは真っ赤な血が流れおちている…。

「ちっ…。」

ひとみは舌打ちしてその女のところまで駆け寄る。

「大丈夫?」

女はひとみを見つけると安堵したような表情を浮かべ、「すみません。」と小さく呟いた。

「どうしよっか。とりあえず手当てしてやるよ。」

ひとみはさっき立ち寄った病院で衣料品を少量だがかっぱらっていた。ほんとうなら病院へ連れていかなきゃならないかもしれないが、ひとみにはそれができない。
372 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時22分52秒
「お願いします…。」

女の顔を見てひとみはハッとする。鼓動がはやくなる。
吸いこまれそうな瞳…しばらく動けなくなっていると、その女が素早く唇を重ねてきた。

(!!?)

「ぺっ!!!」

ひとみは女を引き剥がし、女の舌によって自分の口内に落としこまれた小さなカプセルをはきだした。

…毒…か。

「なんで!」

この作戦で失敗したことがないのか?女は悔しそうにひとみを睨んで言った。
373 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時23分45秒
「残念。あたし、女だからこれでも。」
「えっ…。」

よくあることだ。初対面の人は大抵自分を男だと思う。暗がりでは特にだろう。それを狙って声色まで変えたのだから…。
この女もそうだったのだろう。

ひとみはすでに女の手首を締め上げている。

「男には通用しても女のあたしにはねぇ〜。ご愁傷さま。いてぇ!!!」

女はひとみの肩口に噛みついた。スルリとひとみの腕を抜け、今度はひとみの手首が女に締め上げられる。

「ちっ…。」

すぐに鎖のようなものでしばられ、今度こそは形勢逆転もあり得なさそう。
(はぁ、馬鹿だよ。殺されるのかなぁ?コイツもオヤジの手下?その方がどちらかといえば助かる??)
374 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時24分17秒
「アナタ、吉澤のもの?」

(は?知らないのか?ならなんで…。)

「違う。」
「ほんとうに?」
「うん。」
「そう…。」

女はしばらく腕を組んで考えていた。

「アンタ、いっつもさっきみたいなことしてんの?」
「…なんでアンタにそんなこと答えなきゃならないわけ?」
「ん〜、いや、かわいいのにもったいねぇと思って。」
「……。そんな言葉吐き気がするわ!」

(…なんだよ、人が素直に誉めてやったのに。)

女はしばらくひとみを見つめていた。と、言うより睨んでいた、に近いが。
375 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時24分47秒
「あの街の人?」

街の明かりを指して女は言った。

「まぁ。」
(あの街の人には違いない。…主だけど。)

「なんでここに?」
「…さっさと殺せば?」

女は黙りこむ。
(この人人殺したことねぇのかな…。)

「役に立つわよね。」
「は?」

ひとみの目を見据えて女は言ってきた。
376 名前:after... 投稿日:2002年09月06日(金)08時25分21秒
「力も強かったもの。男じゃない方が安全だし。」
「はぁ?え??」

女はそう言うと、ひとみの左手首にカチャッと音を立てて何かをはめてしまった。

「これ…。」
「知ってるの?ま、当たり前か。あの街に住んでるのに知らない方がおかしいわよね。」

そう言うと寂しそうに笑った。
ひとみが手首にはめられたのは吉澤の奴隷ブレスだった。電磁波にかけないとはずれることはない。
(…この人奴隷だったのか?知らないぞ。あたしは。…でもこれでハンパに逃げてもすぐに通報されて檻の中か…やっかいなことになった。)

「私なら、それ解けるから。」
「…わかったよ。」
(自分から離れない方がいいってことね。OK了解しましたよ、ボス。)
377 名前:オガマー 投稿日:2002年09月06日(金)08時26分34秒
更新終了。
今回は大丈夫かな?とちょっとビクビクしております。
きちんと小説になってますよーに。。
378 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月06日(金)18時34分09秒
イイ!雰囲気がイイです。いままでに無いですね。
期待してます。頑張ってください
379 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時37分04秒
あれから何分こうしていただろう。
ひとみと女は岩の上に腰掛けている。
女はジッと何かを考えているようだった。

(でも、ほんとかわいーよなぁ。奴隷っつーのも悪くないかも…。って何考えてんだ…。)
ひとみは女の横顔を見ながらそんなことを考えていた。その時、何かいい考えが浮かんだのかひとみはニヤリと微笑んだ。
380 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時37分47秒
「あのさぁ、」
「なに?」

立ち上がったひとみに女はゆっくりと顔を上げる。
(確認ついでにいっちょやったりますか♪)

「なに?」
「ただでさぁー、アンタのこと助けるっつーのもなんか損した気分じゃん?」
「…。」
ひとみの厭らしい目つきに女は黙りこんで息を呑む。
「だからさー、」
「…なに?」

女が口を開いた瞬間、ひとみは女の腰をグッと引き寄せ、女の唇に自分のそれを押し付けた。

「ちょっ…。」

抵抗する女は無視して、吐息が吐き出される隙をついて口内に舌を滑り込ませる。
381 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時38分27秒
「ん…。」

(なんだ…全然慣れてないじゃん。息だってうまくできてない。ってことはさっきのだって「賭け」みたいなもんだったのかな…でも、なんか…いいや。)
ひとみは逃げようとする女の舌にムリヤリ自分のそれを絡めながら、仕掛けたのは自分なのに頭の中が真っ白になる感覚を覚えた。

「んっ!ちょっと!!」

頭が真っ白になったと同時に女に強く突き飛ばされる。

「なにやってんの?」

キッとひとみを睨む。

「ふぅーん。」

ひとみはわざと余裕ぶった笑みを浮かべた。
(これであたしにも勝算はありそう。)
382 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時39分12秒
「あっ!!」
(なんで忘れてたんだよ…よっぽど錯乱してたのかな。)
「…なに?」

突然大声を出したひとみに女は怪訝な表情を浮かべた。

「アンタさー、なんなのかしんないけど、行くところないんでしょ?」
(さっきからずっとここでこうしてたぐらいだからな。)
「だったらさー、一緒に来る?…っつーか決めるのはあんたか…。」
「安全なところ?」
「アンタが奴隷なら、大丈夫だと思うよ。」
ニヤリと笑っていったひとみに女は一瞬表情を固くした。
「…案内して。」
「OK♪」
383 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時39分44秒

「ほら、降りて。」
ひとみはマンホールのタガを回して引き上げ、その中に入るように女に促した。
「え?」
「ああ、服とか汚れちゃうけど、ま、そんなことはこの際言ってられなくない?それとも、降りるの怖い?」
「だっ、誰が…。」

女はふくれると、はしごに手をかけ降りて行く。
「キャッ…。」
「え!?」

暗闇に女の姿が吸いこまれはじめた頃、小さな悲鳴が上がる。
ひとみは急いで自分もマンホールの中へと降りて行った。

「いったぁーい…。」
「ぷっ。」

はしごに手をかけたままでひとみは吹き出してしまう。
女はどうやら足でも滑らせて落ちてしまったのだろう。地面に尻をついて腰の辺りをさすっていた。
384 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時40分19秒
「大丈夫?アンタって意外とどんくさいな。」
「うるさいぃ…。」
「あはは!!」
「もう!笑わないでよ!」
「あはははは!」

ムキになる女がおかしくてひとみはまた声をあげてしまう。

カチャ−
ふいに頭に硬いものが押し付けられたのに気付く…。
385 名前:after... 投稿日:2002年09月07日(土)01時40分49秒
「キャッ…。」
どうやら女にも。

「どこのどいつ人やねん。」
「…亜依かよ。」
「おお、ひとみ?」
「驚かすんじゃねーよぉー!!」

ひとみは銃口を頭に着き付けていた少女と言葉を交わすとその少女の頭をこぶしでぐりぐりとやってジャレはじめた。

「ちょっとぉ…。」
そう言ったのは女。

「あ、忘れてた…のの、それあたしのご主人さまだから離してあげてくれる?」
女の頭に銃をつきつけていた少女は、何も言わずに銃を下げ一歩下がった。
386 名前:オガマー 投稿日:2002年09月07日(土)01時43分43秒
更新終了!

レスありがとうございます。

>378 名無しどくしゃさん
がんがりますw
387 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月07日(土)17時37分52秒
よっすぃーは何をたく(r
続きがカナリ楽しみです♪
388 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月07日(土)21時28分43秒
なんか新鮮で気になりますね〜(w
続きが楽しみです♪
389 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時13分56秒
「元気してたか?」
「のの、相変わらずクールやねん!な?」
「……。」
「そっか、そっかー。」

女は不思議そうな顔をして三人のやりとりを見ていた。
「今日はなんもないんかぁ?」
亜依がひとみの背中にとびついて何かをねだっている。
「今日はちょっとワケありでさぁ、悪いけど部屋一個貸してくれる?」
「え、一個でええんか?」
「あたしは二つでいいんだけど、ご主人様がうるさくてねー。」
「ほぅ。」
亜依とひとみはニヤニヤと女を見た。
「なにそれ…。」
女は半ば呆れ気味。
390 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時14分39秒
「おっちゃーん、ここ使ってええやろ?」
しばらく歩くと亜依が20代半ばだろう女性に声をかける。
「おっちゃん言うな!!ええで。別に誰も使ってへんし。ゆっくりしてきやー。」
おっちゃん、と呼ばれた女性はひとみと女に向かってそう言うと、棚から酒のボトルを握ってどこかへ言ってしまう。

「じゃ、入ろうか。」
ひとみが女に向かって笑う。
女は素直にドアに入る。
「なぁ、亜依は駄目なん?」
「今日はあきまへんー。」
「へぇーんな関西弁!のの、いこ!」

そう言ってののと亜依は走って行った。
391 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時15分11秒
「ここ、どこ?」
「ああ、まぁ、座りなよ。」
ひとみが先にベッドに腰掛けて、隣に座れと手で促したのだか、女は少し離れたパイプ椅子に腰掛ける。ひとみは笑いをこらえながらも続ける。

「ここは、奴隷の収容所。」
「……。」
女の顔面は蒼白になる。
「だぁーいじょうぶだって。お払い箱になった奴隷の収容所。ってゆーか、誰かがお払い箱になるように仕向けたんだけどねぇ。」
(このあたくしがねぃ♪)
392 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時15分53秒
「……。」
女は固い顔で一点を見つめている。
「アンタ、名前なんて言うの?あたしの名前はもう割れたでしょ?ひとみ。アンタは?」
「…梨華。」
「梨華かぁ。名前までかわいい。…ってかわいいって言う言葉が嫌いなんだったっけね。」
ジロリと睨まれてひとみは目を反らす。

「どうする?もう寝る?梨華ボスなんだからなんでも決めていーのに。」
「…お風呂ないの?」
「あはは。あるよ。背中流してあげよっか?」
「いいです!!」
「あはは!」
「この部屋丁度ついてんじゃないかなぁ?」
そう言うとひとみは部屋をグルっと見回し「あったあった。」とリモコンのようなものを手に持ち、ピッとボタンを押した。
すると、鉄の壁に見えていたところが機械的な音を立てて開いた。
「ほら、どーぞ。」
「…ありがと。」
「タオルとかは一式そなえつけてあるはずだから。」
梨華はさっとバスルームへ消えた。
393 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時16分28秒
「変なことになったな…。」
ひとみはベッドに横たわってつぶやいた。

「奴隷…。」
奴隷が何をされるのか知ってる…。あのクソおやじに。性欲を満たすもの…。
だけどオヤジは奴隷には指一本触れないと言う。
奴隷はオヤジがやとった人間達の手で辱められる。
それも全て女性だと言う。奴隷には男もいると言う話を聞くけれどごくまれなことだ。
アイツはそれをただ鑑賞する。ワインなんかを片手に。
あたしもいつか見せられたことがある。その後は吐けるだけ吐いた。悪趣味な父親だ…。
けど、あれを見てなかったら今、この場所もなかっただろう。
亜依はその一歩手前で助けられたが…ののは……。
あれからアイツは口を聞かない。心は少なからず開いてきてるようだけど…。
ひとみは下唇をかみ締めた。
394 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時16分59秒
バスルームからは水の打ちつけられる音が聞こえる。
梨華も…?
あたしは何も知らない。だけど、梨華も奴隷と言うことは…。
ひとみは頭に血が上るのを感じていた。不思議な感覚だった。


「ひとみも入ったら?」
何時の間にか梨華がすぐ側に立っていた。
「うん…。」

返事はするものの動こうとしないひとみを梨華が覗きこむ。
「あ、あのさ…。」
「なに?」
「…あ、いやあたし他の部屋で寝るわ。」
395 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時17分40秒
そう言って立ち上がろうとするひとみの服の裾を梨華が掴んだ。
「どうしたの?」
ひとみがたずねる。
「怖い。」
「……。」
(…どうすればいんだよ?)
「で、あたしはどうすればいい?」
「ここにいてよ。」
「……ここにいるってことはそれなりに報酬を貰うことになるけどそれでもいいですか?」
梨華の顔が真っ赤になる。
「嘘だよ。」
(半分、本気だけど。っていうかガマンできそうにないってのが本音。)
396 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時18分17秒
「これ…。」
ハッとした顔で梨華がひとみの肩口を指差した。
黒いTシャツだったけれど、怪我していたところから血が滲んで固まっているのが確認できた。
「あ、私…。」
梨華が口元を手で抑えた。
(そう言えば噛まれたっけ…。)
「だいじょーぶだよ、こんなのしょっちゅう。」
(奴隷を逃がすたびにね。その事実はばれてないけど、その時間だけぽっかり勉強をさぼっちゃうとやっぱり報復があるし。)
「…ごめん。」
梨華が濡れた瞳でひとみを見つめる。
ひとみは吸いこまれるように梨華に顔を近づけていく…。
397 名前:after... 投稿日:2002年09月08日(日)04時18分47秒
「ひとみぃーーーーー!!」
ガチャッ
ドアが勢いよく開く。
「平家さん…なんですか・・…。」
「おお、ジャマやった?なぁなぁ、邪魔やった??」
先ほど亜依たちにおっちゃんと呼ばれていたこの女…
絡み酒だ。

「別にそーゆーんじゃ…。」
「じゃ、おっちゃんも混ぜてやぁ、なぁなぁ。」
「平家さんはもう寝たらどーですか?もう一時まわってますよ?明日もはやいんでしょ?」
「ああ、ほんとや。寝な!!」
時計を指差してやると、さっきまでの様子が嘘のようにサッと立ち上がり、部屋から出て行った。
398 名前:オガマー 投稿日:2002年09月08日(日)04時21分53秒
更新終了!
ちょっと多めの更新になりますた。

レスありがとうごさせいます!

>387 名無しどくしゃさん
こういう展開であります

>388 名無し読者さん
どもどもw
というか..ベタな道を歩いていきそうな気がしてますが(汗)
399 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月08日(日)09時56分17秒
ア゙、平家さん…イイとこだったのにぃ…(爆
オォウよっすぃーの親父さん酷いことを(泣泣
400 名前:after... 投稿日:2002年09月10日(火)05時43分49秒
「そろそろ、ウチらも寝ようか…。」
「うん。」
セミダブルのベッド。梨華が奥。ひとみはその隣。座った姿勢で梨華が話し掛ける。
「ひとみって…そーゆーこと好きなの?」
「へ?なに?」
「その…キ、キス、とか…。」
「はぁ?別に好きってワケじゃ…。」
(あ?好きだって言った方がよかったか?そうしたら別に梨華じゃなくてもやってるってことになって…でも、そう思われるのもなんか嫌っつーか…とりあえず心臓がうるさいんですけど。)

「好きかな…。」
ひとみは何故かそう口にしていた。
「じゃ、いいよ。」
そう言うと梨華はひとみの唇に軽くチュッとキスをして、布団を頭までかぶってしまった。
「…。」
ひとみは他人事のように梨華を目で追いながら、無意識にそっと自分の唇を指で触れた。
401 名前:after... 投稿日:2002年09月10日(火)05時44分21秒


「ひどい顔やなー、ひとみ。」
「うるさいなー。亜依ぼんぼり。」
「また変な名前つけよってからにぃ。ところで昨日あの子とはどやったん?」
「はぁ!?」
「いたぁ!でかい声出すなや!鼓膜破れるやろぉ?」
「ごめん…。」
「で、どぉやったん?」
「べ、別になんもなかったよ?」
「ホンマにぃ?」
「ほんまほんま。」
「なんや、つーまらん!」
それだけ言うと亜依はののの方に走って行った。
この施設では健康的にも朝の7時から朝食。教職免許を持っている奴隷の人もいたりするので小さな学校みたいなことまで行われている。
街の下水以外のマンホールはすべてここにつながっている。
と、言ってもこの街にそのマンホールは3個。見掛けは下水道のものと変わらない。
下水の間を縫うようにして、またこの施設を縫うようにして下水が流れているのだ。
402 名前:after... 投稿日:2002年09月10日(火)05時46分02秒
ざっと数は30人ってところだろうか。
その中に今、梨華の姿はない。なんだか体調がすぐれないようでもう少しだけ寝かせてやることにした。ひとみも寝不足なのだか、朝食を梨華に届ける役目を放棄するわけにはいかない。
梨華はひとみのボスだ…。それ以外の感情もあったのだが、今はそのことはなるべく考えない。
403 名前:after... 投稿日:2002年09月10日(火)05時47分12秒

「あ…。」
ひとみが部屋に戻ると梨華はおきあがろうとする。
「ああ、いいって。寝てて。それからこれ服。昨日の血のりついてたし。こんなんでいい?」
「うん。ありがとう…。」
「ご飯も貰ってきたけど、もっとお腹に優しいヤツの方がいいかな?」
「…ごめんね。」
「なにが?」
「いろいろ、迷惑かけちゃって。」
「何言ってんの。ご主人の癖に。弱気だなァ。」
ひとみはわざとおちゃらけて言った。梨華も少しだけ微笑んだ。
「でも、何もしてない私。」
「あたしはー、梨華を助けるためにやとわれたんでしょ?んならピッタリじゃん。」
「…そんな気もする。」
「あはは!」
ひとみが笑うのを見て梨華も笑い出す。
404 名前:after... 投稿日:2002年09月10日(火)05時47分50秒
「その…。」
笑うのを急に止めた梨華が俯いて呟く。
「ん?」
「いつでもいいから。」
「なにが?」
「…したくなったらする。」
「ああ…。」
梨華が真っ赤になったので気付いた。キスのことを言っているのだろう。
ひとみは申し訳ない気分になる。なんか変わりに体を要求しているような気分になるからだ。ま、変わりはないけれど…。
「じゃ、今して。」
「えっ?」
「今、したい。」
「うん…。」
そう言うと梨華は体を起こしてひとみに口付けた。
ひとみは自分からそっと梨華の唇を舌でなぞり、口内に舌を滑り込ませる。
梨華が今度は必死にそれに答えようとしているのがわかる。
ひとみは柄にもなく、そんなことで泣きそうになる。
ひとみは梨華の背中に回した腕に力を込める。「それだけ」じゃないことを少しでも感じとって欲しかった…。
405 名前:オガマー 投稿日:2002年09月10日(火)05時49分45秒
更新終了!
レスありがとうございますです!!

>399 名無しどくしゃさん
そうですね…
よっすぃのオヤジさん…
406 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月10日(火)09時09分19秒
ポッポー!!萌え。でも切ない。最後の行で涙。
凄いですよ作者様。
407 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月10日(火)20時22分53秒
どーもー♪
一気に読ませて頂きました♪
ヨッスィーかっけー!!!もう、ハンパじゃないかっこよさです!!
オガマー様の書かれるいしよしは、いつも私のツボをついてくれるんですよね〜v
続き、期待してまっす☆
408 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時50分53秒


ここに来てから一週間が経った。
ここにいる限り、見つかることはないだろう。
あの人はこの場所を心底嫌っているから。部下にも立ち入らせないことをひとみはよく知っている。

ひとみはずっとひっかかっていることを朝からずっと考えていた。
梨華のことだ。
その梨華は最近あゆみと言う友達ができたと言って昼間は遊びに行っていることが多い。
夜は隣で眠る。ひとみの気持ちが大きくなるにつれて、触れ合うこともしなくなった。
愛を知らずに育った自分が誰かにそんな感情を抱くなんて…正直戸惑っていた。
409 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時51分30秒
奴隷は…オヤジが好んで集めるのは、街でもキレイどころの処女だけだ。もしくは童貞。
綺麗な体を開けさせることに快感を感じてるらしかった。
…梨華はもう開かされた?
ひとみには一つの確信がある。
もし、開かされてないのならば、自分が梨華を抱けばもう奴隷には戻らなくて済む。
その方法で亜依を助けたことが過去にあったから。

だが、自分の気持ちだけで梨華にそれを強要することはあのオヤジと同じ類の行為だと思い、ずっと思い悩んでいる。
自分の気持ちは…足りてる。
充分過ぎるほどに。
それ故に軽く手を出せないなんて…ひとみは軽く嘲笑を浮かべた。
410 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時52分01秒
「梨華?」
ドアが開きかけたので声をかける。
入ってきた梨華を見て、ひとみは言葉を失う。

「……なんで泣いてるの?」
梨華は目を真っ赤にして、涙を溢れさせていた。
「あゆみちゃん…あゆみちゃんが…。」
「は?あゆみになんかされたの?ちょっと行ってくる!!」
ひとみが勢いよく立ち上がってドアを引こうとすると、梨華に腕を掴まれた。
411 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時52分35秒
「違うの…。」
「何が、あったの?」
「話しを、聞かされた…。何をされたのか。」
「……。」
ひとみは梨華を抱きしめていた。
「ねぇ、ひとみ…。」
「なに?」
「…抱いて欲しいの。」
「え??」
「お願いします…お願いだから…。」
泣きながら梨華は言う。
ひとみは下唇をグッと噛んだ。
力任せに梨華に口付ける。
412 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時53分32秒
「ん…。」
梨華から甘い声が漏れる。
「梨華…よく聞いて。あたしは、梨華が好きだよ。あたしが梨華を抱きたい。梨華は何も自分のこと責めなくていいから…。」
それだけ言うと今度は優しく口付ける。ついばむようなキスを交わすと、梨華はそっと涙を零していた。

ひとみは無心で梨華を抱き寄せる。ただ愛しい、愛しい…。
413 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時55分23秒
ワンピースのファスナーをゆっくり下ろす。梨華が少しびくッと反応する。
大丈夫、という代わりにできるだけ優しいキスを首筋に落とす。
ブラもとっぱらって、そっとその膨らみに顔を寄せる。

「ぁ…。」

梨華はひとみが何か動きを起こす度に声を吐き出した。
それがますますひとみの頭を真っ白にしていく。
下腹部にショーツの上から触れると、もうそこは充分過ぎるほど湿っていた。
そんな事実だけで涙が出そうになるのをひとみは堪えた。

「好きだよ…。」
呟いてはキスを落とす。耳たぶを甘噛みしながらショーツの中に指を滑らせる。
414 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時56分01秒
「んっ……ぁ…はっ……。」

蕾を優しく撫でるだけで梨華の体は何度も震えた。

「ひとみ…。」
そう言って背中にしがみついてくる。
ひとみはその腕を優しくはがすと、梨華の下腹部に顔を寄せ、そっと唇を着けた。

「ぁんっ…っく……はぁぁ……。」
厭らしい音を立ててその部分を舐めまわす行為でさえ、背筋がゾッとするくらいに自分の中に正を感じる。

「ぁぁ…はぁ……んっ……ひとみ……。」
ひとみはそんな梨華の様子を見て、敏感に察するとさっと耳元に声を落とす。

「入れるよ?」
「…ぅん……。」
415 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時56分35秒
ひとみは指を愛液で充分に濡らすとそっと挿入する。キツク締め上げてくるその部分は熱い。

「っ…。」
「痛い?」
梨華は小さく首をブルブルと振った。

「ぁぁ…はぁ……ぁんっ……ひとみ……ひとみぃ………。」
中と蕾を指で刺激してやると、梨華はすぐに達してしまった…。

ひとみはまだピクピクと痙攣している梨華のその部分から血の混ざった愛液を全て舐めとってやる。
416 名前:after... 投稿日:2002年09月11日(水)11時57分17秒
「ん……。」
「梨華…。」
(…はじめてだったんだ。)
安堵感とどうしようもない愛しさが奥から奥から溢れてくる。
「もう大丈夫だから。梨華は誰にも渡さない…。」
ひとみはそっと梨華を抱きしめた。
涙をそっと零しながら…。
417 名前:オガマー 投稿日:2002年09月11日(水)11時58分26秒
更新終了!
コワイです。コワイです。ageながらエロをかいたシマタ…
418 名前:オガマー 投稿日:2002年09月11日(水)12時00分42秒
レスありがとうございます!!

>406 名無しどくしゃさん
涙だなんて…
うれすぃです。ありがとうございます。

>407 クロイツさん
どうもどうもw
めずらしくカッケーよっすぃ〜をw

あと、2回ぐらいでラストかも…。
419 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月11日(水)17時42分09秒
エローッ!!(つД`)良かった。良かった。
な、何もされずに済むのだね。フー
420 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月12日(木)13時38分08秒
エロ〜vvv(大喜)
梨華ちゃんが可愛い・・・v
しかも想いが募るほど、梨華ちゃんに触れられないヨッスィーもツボです!!
でもって・・・よかった〜!!
コレで安心ですね♪
続きが楽しみだ〜♪
421 名前:after... 投稿日:2002年09月12日(木)19時24分13秒
ひとみは梨華の髪をそっと撫でている。梨華はあの後、スッと眠りについてしまって、今はひとみの腕枕で気持ちよさそうに眠っている。
「ん…。」
梨華がうっすらと目を開けた。
「起きた?」
「…うん。」
梨華はひとみの存在に気付いて顔を真っ赤にした。
「あの…。」
恥ずかしそうに梨華が話し掛ける。
「なに?」
「昨日の、ことは…忘れて。」
「へ?」
「私、もう大丈夫だから…。」
(何が?なんで?)
ひとみは混乱する。
(やっぱり恐怖からあんなことを??…それでも仕方ない。でも、あたしは忘れるなんてできないよ…。)
梨華がそれ以上何も話そうとしないので、ひとみは朝までもう一度眠ることにした。
すぐに眠ることなどできなかったが…。
422 名前:after... 投稿日:2002年09月12日(木)19時24分48秒

「ん…。」
ひとみはゆっくりと目を覚ます。
「ん?」
先ほどまで腕に感じていた重みが感じられない。
「梨華??」
バッと起きあがって、部屋を見まわす。
(嫌な…嫌な予感がする。)
バスルームにもいない。
そして、ひとみはもう一つの違和感に気付いた。
(なんで…なんでだよ…。)
手首にはめられていた奴隷ブレスが取られてる。
(なんで気付かなかったんだよ…梨華はどこに?まさか…)
ひとみは部屋を勢いよく飛び出した。
423 名前:after... 投稿日:2002年09月12日(木)19時25分40秒
「おう、ひとみ。」
部屋を出るのと同時にいつもの場所に座っていた平家に呼ばれる。
「平家さん!梨華見なかった?」
「ああ、あの姉ちゃんなら見たで。」
「どこ行きました?なんかゆってた?」
「…やっぱりそういうことか。」
「へ?」
「アンタのその焦りようハンパじゃないもんな。変やと思ったんよぉ、あのコ、奴隷ブレスつけてたから。」
「え?梨華が?なんで!!」
「ちょっと落ち着けぃや。」
ひとみは頭に血が上って平家の肩を強く掴んでいた。
「すいません…。」
手を離す。
「それでな、おかしいと思ったから、亜依とののに尾行させた。」
「え?」
「さっき連絡入って、3のB辺りにおるゆーてたわ。」
「ありがとうございます!!」
ひとみは平家に頭を下げると、走り出す。
「ひとみ、これ持ってきや!」
「あ、どうも!」
ひとみは渡されたものを受け取ると高くかがけて言った。
424 名前:after... 投稿日:2002年09月12日(木)19時26分18秒
「はぁはぁ、!!?」
ひとみが走って平家に言われた辺りに来てみると、ののが倒れてる。
ひとみは駆け寄り、ののに呼びかける。
「のの!のの!?」
「……。」
ののはゆっくり目を開いた。と同時にがくがくと震え出す。
「ちくしょお・・・。」
ひとみは呟いて辺りを見回す。
「のの、とりあえず、施設戻ってな!!」
力なくののが頷くのを確認するとまた走り出す。
(ののはきっと何かをされたワケじゃないだろう。ただ、昔のことを思い出しただけ…。だとすると、あの人が??)
「チッ…。」
ひとみは舌打ちをした。
425 名前:after... 投稿日:2002年09月12日(木)19時27分02秒

いない。
どこを探しても梨華と亜依の姿がない。
それに、おかしくはないか?警備兵の姿までなくなっている。
この街にはつねに警備兵がいるはずなのに…。
嫌な予感に膝がガクガクと震え出す。
「ちくしょお・・・。」
ひとみは呟いて下唇をかみ締めた。
ひとみは小さな覚悟を決めると、また走り出した。
426 名前:オガマー 投稿日:2002年09月12日(木)19時30分26秒
更新終了!
急展開過ぎですかね?(汗

レスありがとうございます!!

>419 名無しどくしゃさん
まだ安心はできないようですぞ…。

>420 クロイツさん
楽しみにしていただいたのに…
このような展開に…

とか、思わせぶりなことを言ったり言わなかったり(何)
次回、ちょっと長い最終話のつもりです。
427 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月12日(木)21時49分29秒
オーノー波乱が…。心配だよほ。がんばれよっすぃー!
428 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月13日(金)13時01分32秒
どきどきっ!!わくわくっ!!
あああああ、続きが楽しみな展開になりましたねぇぇぇっ!!
どうしちゃったのか、梨華ちゃん!!
次回も期待してますよー!!がんばってくださいませ♪
429 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時28分41秒
(もうここに帰ってくることもないと思ってたのに…)
ひとみは家に戻っていた。
やっぱりおかしい。誰も人がいない何故??
「ひとみぃー、待ってたんやでぇ。」
!!一瞬、心臓が口から飛び出るほど驚いたが、その声に気覚えがあったので安堵する。
だが、振りかえってひとみはもう一度驚くことになる…。
「梨華…?」
亜依が拳銃を握り、梨華のこめかみにその銃口をつきつけているのだ。亜依にも梨華にも飛び散った血の跡…?
「亜依!お前なにやってんの?自分のやってることわかってんのかよ!!」
「うるさいわ!!黙ってついてきぃ。」
「……。」
ひとみはへたな動きをおこすこともできず、亜依の指示に従う。
自分の方を縋るような目で見てきた梨華には、大丈夫だ、と目で訴えながら。
430 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時29分16秒
ひとみは一度しか踏み入れたことのない場所に連れてこられる。
その部屋に踏み入った瞬間、吐き気を覚えたが、今はそんな場合ではない。
「おお、ようきたな。」
ひとみは声の主におもいっきり睨みをきかせた。
「話したこともあらへんのにそんな嫌わんといてやぁ。」
いらだつほどにのんびりとした口調でその女は言った。
「…中澤……。」
ひとみは低く呟く。
「あれ?あたしの名前知ってたん?」
中澤…彼女はひとみの父にやとわれ、奴隷を辱めていたその一人なのである。
「まぁ、あのひとみちゃんが知らんわけはないわな。逃がしたの全部あんたやろ?」
中澤はおおらかだった表情を一気に変え、冷徹な表情でひとみに視線を送った。
「…知ってたのかよ…。」
「気付かんわけへんやんか。それにしてもよぅ、そのオッサン、意外にあっけなかったで。」
中澤がアゴで指した先には…
「オヤジ!!」
ひとみの父が血だらけになって倒れている。
431 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時30分02秒
「全部なぁ、仕切ってたんあたしやったんよ。」
「は?」
「このオヤジもうほとんど自分で決断なんかでけへん。薬飲ませてたからな、あたしが。コツコツコツコツ。乗っ取るのがあたしの夢やってん。この吉澤をな!」
得意気にそう言った中澤にひとみは口元を歪める。
「そんなうまい話ないって。それに相続者はあたしでしょ?」
「それがなぁ、これなんやと思う?」
「……。」
中澤が一枚の紙をかかげた。遺書…そこには相続者を中澤にすると、確かに父の字でそう書かれてあったのだ。
「おおっと。変なことせんほうがええで?」
ひとみが銃を握りしめたのがバレたようだ。先ほど、平家から預かったものをズボンの背中のところにはさんであった。
「それ、こっちよこしや。」
ひとみはゆっくりと、銃を床に起き、中澤のもとまですべらせた。
432 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時30分45秒
「あははははははは!!これであたしのもんや!なにもかも!あたしの勝ちや!!!」
中澤はいきなり大声で笑い出した。
「なぁ、中澤さん、あたしにも半分くれるんやろ?」
亜依が猫なで声を出している。
「なんや、お前あんなん信じてたん?これやからガキは嫌いや。」
ニヤリと気味悪く笑って見せる中澤。
「う・・・嘘やったんか?…ののまで、ののまで傷つけたのに!」
亜依は表情を崩し、梨華につきつけていた銃を中澤に向けた。
ひとみはその瞬間を見逃さず、二人の元に駆け寄る。
梨華を引き寄せる。
「ひとみ…。」
梨華はひとみが抱き寄せると同時に気を失ってしまった。
433 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時31分29秒
−パシュ
!!!!!?
小さな銃声が響く。ひとみがハッとして顔を上げると、肩を抑える亜依の姿。
「馬鹿がぁ!!」
ひとみは亜依の背中におもいっきり叫んだ。
倒れこんできた亜依の目には涙が浮かんでる。
「ウチかて、あんなとこで一生終えたくはなかったねん。…でも許されるなら、もう一回、…ののと一緒に遊びたいなぁ。」
ひとみも涙を流している。
「青春やってるとこ悪いんやけど…もうバイバイや。」
中澤が銃口を向けたまま無表情でこちらを見ていた。中澤の肩からも血が流れている。

「梨華、ごめん…もう駄目かも。」
ひとみはそう呟いて目を閉じる。

−パシュ
434 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時32分06秒

………
ひとみはいつまでたっても襲ってこない衝撃に目をゆっくりと開く。
目の前には倒れてピクリとも動かない中澤。
「のの!!」
亜依の声が響き、やっと状況を理解する。扉のそばにののが立っていた。その手には銃が握られている。
「馬鹿だよ、あいぼん。」
ののが口を開いた。
「のの…声…。」
亜依の目からもののの目からも涙が流れていた。
「なんで?許してくれるんか?ウチのこと。」
「許すも許さないも、あいぼんはじめっからあたしのこと、逃がすつもりだったんでしょ?」
ののはあの場所で亜依に殴られていた。
「ごめんな…痛かったよな?」
亜依がかけよってのののお腹の辺りをさすっている。
「こんなの平気だよ。」
ののは涙を溢れさせたまま、笑顔を浮かべた。
435 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時32分55秒
ひとみはそんな光景をボーッと見ていたけれど、ハッと我に返り梨華を見る。
まだ床に倒れているままだ。
「梨華?」
優しく揺する。
「ん…ひとみ……。」
ひとみは梨華を強くギュッと抱きしめた。
「なんでこんなことになったんだよ?なんで?」
「ひとみ、お父さんが…。」
「は?あんなヤツいんだよ。いつかあたしの手で殺してやるつもりだったもん。」
「ごめん…もうこれ以上ひとみに迷惑かけれないと思って…。」
梨華はひとみの腕の中で泣き出した。
「何言ってんだよ…迷惑ってさぁ、かける人によったら迷惑になんかならねぇの!」
ひとみは言葉とは正反対の優しい動作で梨華の背中をなぜながら言う。
「ひとみ…。」
顔を上げた梨華と、まるでそれが自然なことのように唇を合わせた。


436 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時33分35秒


「ん〜、カーテンの色、どっちがいい?」
「私はピンクが好きだけどぉ、ひとみちゃんはこっち?」
梨華はグレーのカーテンを指さした。
「よし、じゃ、こっちに決まり!!」
今、ひとみの家の模様替えをしている。
あの施設にいた全員でだ。
全員で住むことにした。父がいなくなった今、この家をこのままにしておくのは難しいと思われたが、幼い頃から何か技術を持っていなければ生きていかれないこの時世で、施設には結構よりすぐりの腕を持ったものたちが集まっており、その人達の収入があれば、ここの存続など容易いものであった。
あの、イワク付きの部屋は完璧に改築してしまった。
少し、嫌な気分は残っても、時間が経つにつれ、ここで起こったトラウマなど、みんながほんとに過去にしてしまえる日がくるであろう。
精神科の医師である、他でもない平家がそう言ったのだった。
437 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時34分16秒
「ひとみぃー、聞いてやー、ののったらなー。」
「違うよ!悪いのはあいぼんだよ!」
「あー、うるさいのが来た。」
ひとみが言うと梨華はクスッと微笑んだ。

幸せだと思う瞬間―――――――
それを手放さないように、いつまでも続くようにと願いを込めて…
ひとみはギュッと梨華の手を繋いだ。



〜FiN〜
438 名前:オガマー 投稿日:2002年09月14日(土)18時37分16秒
更新終了!
そして完結ー!!
ってか全然長くなかったな。。
439 名前:after... 投稿日:2002年09月14日(土)18時37分56秒
レスありがとうございます!

>427 名無しどくしゃさん
(0^〜^)<がんがったよ!
↑ほんとは何もしてないかも(爆)

>428 クロイツさん
こんな展開に。
そしてこんな結末を…。
440 名前:オガマー 投稿日:2002年09月14日(土)18時39分07秒
ガオー…
タイトルをレスに使ってシマタ…
とか言いつつ、やっぱりネタバレ防止…
441 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月14日(土)19時19分52秒
よかったぁぁぁぁ〜!!
ナイスな結末ですよぉ〜〜〜!!!
ヨッスィーの台詞に感動しまくりでっす!!
ああ、本当におつかれさまでした!!
442 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月14日(土)20時22分53秒
(T▽T)おぉ良かった。。。感動です。
クロイツ様同様、ナイスでした!
よっすぃーカッケかったぞ!
お疲れ様でした。
443 名前:REDRUM 投稿日:2002年09月16日(月)00時48分44秒
お疲れ様でした!
作品の中に流れる空気が大好きでした。
よっすぃ〜素敵です!
涙が…涙が…
444 名前:オガマー 投稿日:2002年09月21日(土)04時27分48秒
レスのお礼です。

>441 クロイツさん
ほんとだ。
よっすぃ〜カッコイイこと言ってた(w
ありがとうございます!

>442 名無しどくしゃさん
ありがとうございます。
(0^〜^)<カッケー!やったー!!

>443 REDRUMさん
涙なんて…嬉しいですよほ。。
空気…またまた嬉しいですよほ〜
ありがとうございます!

このスレではもうないと思いますが、
また連載をはじめた際には読んでいただけると嬉しいです。
ありがとうございました!
445 名前:オガマー 投稿日:2002年10月31日(木)05時41分03秒
『勘違いの同等』の続きを書いてみました。

これも漠然としたものになるかもしれませんが。
きっと前よりは、少しはわかるようになってるかなぁ?と思います。
446 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時41分45秒
結局、梨華ちゃんのことはよっすぃ〜にウチを殺して貰う為の狂言やった。
もちろん、梨華ちゃんは何も知らんかったよ。
でも、わざわざトイレ行く振りしてゴルフバック用意したねん。
音がキチンと出るようにな。その方がハッキリとすごいことがあったって意識がよっすぃの中にできるやろ?

金魚も…
鳥さんも…
簡単やったわ…

今でも、夜中に目が覚めるねん…
金魚と鳥と…
『怖い』なんて言うのもおこがましいわな。
自分でやったことやのに…

はじめて、金魚を殺した時…
何かがウチの中に芽生えとった。
きっと気が狂ってたんや、って思う。
447 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時42分22秒

ののは動物も大好きやったよな...
いっそのこと、ののがウチを殺してくれたらええのに...

「亜依ちゃんは生きて」

ウチはいきとった。


448 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時43分06秒
病院のベッドの上で目を覚まして。
隣でカタカタと音がした。
「亜依ちゃんっ、目覚めた?」
横で優しく笑ってんのは、よっすぃん家のオバさんやった。

ウチは何故か涙が溢れて…
「ごめんなさい」って繰り返した。何度も何度も。

「どうしたの?亜依ちゃん、もう大丈夫よ?怖くないから…。」
オバさんはそう言うて、優しくウチの頭をなでてくれた。

どうやらウチはイイコのままの亜依ちゃんらしかった。
よっすぃや梨華ちゃんが事故、だと説明したらしい…。

449 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時43分37秒


1日中ポカーンと考える。
ののがいた、あの日々のことを
びっちり詰まってるようで…何にもわからん…あの時のことを―――――――――


450 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時44分16秒
「亜依ちゃん、」
「ん?なんや。」
「空ってどんなとこだろうね…。」
いつか脈絡なく、ののがそんなこと言うた。
すぐにおちゃらけようと思たけど、そう言った後、空を見上げてたののの顔は
簡単には馬鹿にできそうにない顔してて…

「ん?空は…わからへんわ…。何?」
「ううん。なんでもない。お菓子買いにいこっ!」
すぐにののはいつもの笑顔に戻った。

冬の出来事やった。
451 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時44分53秒
ウチらは中2になってから、クラスが分かれてもうてたから、遊ぶのもほんとにたまにやったんやけど、ウチはののの何も考えてないように見えて、でも、実はとても強くて優しいところが大好きやった。
やからクラスに友達ができても、ののと遊べるときはののの方を選ぶ。
だって、なんか好きやねんもん。一緒におったら、楽しいやん。

一番寒い時期を越えて…
制服がみんな春服に変わってきた頃やった。ののが変やって思ったのは…
だって、小学生の頃なんか、一年中半そででおったんやでのの。
なのに、冬服でおるねん。最後まで…最後の一人がののやった。
452 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時45分30秒
「亜依ちゃん?」
呼びかけてきたのは、ののと同じクラスで席も隣の亜弥ちゃんやった。
「ん?」
「ののちゃんしらない?」
「へ?知らんけど。」
「帰っちゃったのかなぁ〜。」
「何かあったん?」
亜弥ちゃんに聞いたねんけど、ののが教室を飛び出したらしい。
なんでも、いつまでも、冬服でおることを注意されて、明日からは絶対春服で来いって言われたらしくって。
でも、ののは嫌です、って言い張った。
それが続くうちに教室を飛び出してしもたって話しやった。
453 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時46分11秒
ウチはただ不思議やった。のの、そんなこと言う子違うのに…。
規則とかきちんと守る方やったやん。そんなん破っても仕方ない、とか言うてたやん。先生と言い合いになってまうほどなんで春服が嫌やねん?
とりあえず、さがそ!思うて、校庭に目をやったら、そこにののがいた。
ウチはわろてしもた。
今、気合入れたのに、ふと見たとこにののはいつもと同じボーッとした顔して校庭から空見上げてんねんもん。


「ののぉー!!」
「あ、亜依ちゃん。」
笑顔でかけよったうちに、ののは顔を曇らせた。
「こんなとこで何してんねんっ。」
でも、ウチはいつも通りの調子で話しかけた。
「気合入れてたの。」
「はぁ!?」
「ん〜、明日から、春服だから。」
「なんでそれで気合がいんねん。」
八重歯を見せてそう言うののは、キラキラした瞳をしてた。
結局、すぐにチャイムが鳴って、肝心なことは聞けんかったけど、ののも春服着る気ぃやったしまぁ、ええか、と思たんや。
454 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時46分46秒

次の日、ウチは校門の前で立ち止まった。
視線の先にののが見えたから。
呼びかけることはできひん…。
なんでか?って…声がでんのや…
だって…ののの腕には…紫色と黄色の痣があったから…
みんながコソコソと話しながらののこと見てた。

「ののちゃん!」
靴箱でののに声をかけたのは亜弥ちゃんやった。
ウチは気付かれんように、裏の自分のクラスの靴箱まで来てた。
「どうしたの?この腕。」
「あ、転んだんれすよ。」
「でも…。」
「気にしないで。」
ののがどんな顔して言うてるのか、ウチには手にとるようにわかったわ…。
キラキラ瞳を光らせて八重歯見せてわらっとるんやろ?
455 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時53分19秒
休み時間になって、ウチは覚悟を決めて、ののに傷のことを聞こうと思った。
あの、傷はコケたぐらいでできるもんちゃうやろ?
だとしたら…
いろんなことを考えた。家庭でのこととか、学校でのこととか…。
けど、ウチは思ってたよりずっとなんにものののことを知らへんかってん。
聞くしかなかった。
怖かった。
でも、ののが好きやってん。

どっかではわかってたんかもなぁ…。
ウチは意気地なしで…ののはほんとは強い子なのに、ののにどうにもできんことが
ウチにどうにかできるわけないって…。
それでも、聞かずにはおれんかった。

ののが好きやってん…。
456 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時54分05秒


「亜依ちゃーん。」
梨華ちゃんの声やった。
ウチはボーッと天井を見詰めていた。
「お見舞い持ってきたよー。」
梨華ちゃんがもってきたものはフルーツバスケットやった。
匂いで判断したんやけどな…。
梨華ちゃんがそれを開いてる椅子に置くのを聞いてウチは口を開いた。

「ごめんなさい。」

そしてもう一度、今度は梨華ちゃんの目を見詰めて。

「梨華ちゃん、ごめんなさい。」

梨華ちゃんは、一時的に気を失ってただけで、後は足を捻挫してるだけやった。
けど、ウチが普通じゃない神経で、追い詰めてしまったのは、最低なことや…。

これは一歩や。
まだ何をやらんといかんかはわからんけど、とりあえず、一番最初にしなあかんことはこれやねん。

梨華ちゃんはなんでか知らんけど、涙を浮かべた。
457 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時54分41秒
「なんで?」

ウチはつい聞いとった。
梨華ちゃんは尋ねたことがわかったのか涙をぬぐって鼻をすすって−



『亜依ちゃんがあんまり悲しそうな顔で謝るから…』

『気にしないでとはまだ言えない。時間をかけさせて。』
梨華ちゃんはそうもゆうとった。



ウチは、その時間も貰えずに…
違うな…かけんかったのは、ウチの責任や…
ウチはまた後ろの方に引っ張られそうになってブンブンと顔を振った

458 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時55分20秒



「のの、その傷どないしてん?」
弱虫やな…。声が震えてもうた。
「なんでもないよ。」
ののは笑ってそう言った。
ののの、キラキラの笑顔はな…
時にごっつぃウチを悲しい気分にさせるんよ…
知っとったか?

ののは強いねん…
強くあろうと頑張っててん…
けど、一人じゃどうにもならんことってあるやんか…

ウチは…弱かった。
ののにそれ以上聞けんかった…。

家に帰って布団に入ったら気になって眠れん癖になぁ…。

459 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時56分12秒

次の日やってん。
『ののが死んだ』って聞かされたんは…
机の上に花が置いてあった。

放心状態になって…過ごした。
学校もずっと休んどった。
何も知らな過ぎたねん。なんも、なんもわからへんかってん。
考えることにも疲れてきて…ひたすらボォーっとしとった。
そしたら、家の玄関の方でおかんが誰かと話してる声が聞こえて。
なんとなしに聞いとったら、

トントン
って部屋がノックされた。
「亜依?今な、希美ちゃんのお父さんが来て…」
ウチは最後まで聞く前にドアを開けた。
おかんはビックリした顔しとったけど、ウチが予想してたものは
おかんの手にあった。
それを奪って部屋にまた入った。

おかんが部屋から離れていく足音を聞いてから、
手に握った封筒をビリビリと破いて中身を取り出した。
460 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時57分04秒
『亜依ちゃんへ

亜依ちゃん、ごめんね。たぶん、ののはもうすぐ死ぬんだと思います。
ののは逃げないことしかできそうにないよ。
亜依ちゃん、悲しまないで。
ののはでもまだ信じています。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■
この手紙、ほんとは読んで欲しくないけど、読んじゃった時は
サヨナラかな。
何も言わずにごめん。
だってのの、亜依ちゃんが大好きだったから。
これからも大好きだよ。
  
                    ののより』

ののの文字やった。
「悲しまないでって…なんやねん…それ…。」
461 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時57分37秒
手紙の途中にマジックでグシャグシャに塗りつぶされてるところがあった。
妙に気になった。
『金…魚』?『大』…『できる』…『心か』…??
ちょっとだけ読めたんはそんだけやった。
けど、凝らした目もすぐに滲んできて…

泣いた。
けど、なんかわからへんねん。
なんもわからへんねん。
ののがおらんってことがあんまりわからへんねん。
そんなうちに、なんでか知らんけど、ウチは引っ越しがきまっとった。

別に普通やん。
ののは死んでないよな?
普通にしてたら普通の毎日やん。

ここにののがおらんのは当たり前やし。
だって、東京から埼玉来てんねんもん。

462 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時58分15秒


ユラリと揺れた。
真っ赤なオヒレがユラリと揺れた。
ツンと鼻をつく、生臭い匂いが遠のいて…

手紙の文字。ののがウチに届けた最後の言葉。
途切れ途切れに頭にインプットされとった。
ののがほんとはもっと伝えたいことあったんちゃうかって…
強かった頃のウチがボロボロになってきてる意識で思っとったこと…

真っ赤な塊…
ユラリと揺れるのをウチは側でみとった。
その日を思い出した−
「あーえさやってないよっ!!」
ののとウチにそんなこと言うて隣の席からたったのは…
亜弥ちゃんやった―――――――――
463 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時58分46秒

ガシャン!!

金魚…
苦しそうやな…
金魚…
このままにしとったら死ぬんかな…

何を思ってたか、あんまり記憶がないんよ、自分でも。
それからの記憶が…断片的にしかあらへん…。

464 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)05時59分38秒


亜弥ちゃん、かわいかったよな…
学級委員で優しかったよな…
違うよな?違うって信じてええよな。
だって、ののを心配しとったよな?
よっすぃんち来た後、ウチかて金魚飼ったもん。
金魚飼ってるとこなんていくらでもある――――――――

わかってんねん。
どうにかしたい、と思ってしまった。
もう、これ以上ウチは罪を犯したらあかんって…
わかってる。

わかってんねん。
きっとウチは許せんかったんや、ってことも。
イジメとか、そんなんじゃなかったとしても、
ののをそこまで追い詰めた、
追い詰めるものが迫ってたのに−

気付けんかった…
どっかで気付こうとせぇへんかった自分が
嫌で嫌で…
どうにかなってしまいたかったんや―――

465 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)06時00分24秒


「あいぼむ!きたでー。」
よっすぃやった。
「おっ、言わないんだ?変な関西弁使いなやーって。」
よっすぃはわろとる。

「ごめんなさい。」

そう、これははじまりやねん。
まだ何をやらんといかんかはわからんけど、とりあえず、一番最初にしなあかんことはこれやねん。
はじめの一歩や…。
466 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)06時01分00秒

あ、けど、大丈夫やで?のの
悪いことはもう絶対せぇへんよ。

だってののが笑てる顔見てたいやん。

でも、悔しいなぁ…。
苦しいなぁ…。
ウチもののもきっとアホやで。
もうちょっと賢かったら、もうちょっと上手く…

泣きそうになるのを止めた。
頭をブルブルと振った

467 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)06時01分34秒

…そう言えばのの、
聞くの遅なったけど
空はどんなところですか?
お菓子あるかなぁ?
今度、新しいののの住みかに行くから届けてやるわ。
わけてやるんや。
しょうがないからな。
楽しいことあるか?
友達できたか?

ウチのこと忘れんといてや。
悪いことせんように見張っててや。


468 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)06時02分17秒

「金魚さんと鳥さんにはちゃんと謝るんだからね!
それから、ののめちゃくちゃ心配したんだからっ!
もう、亜依ちゃん、悪いことしちゃ駄目だよ!」

あはは!のの怒りながら泣いとる。
…うん、わかってる。わかってるよ、のの。
ごめんな…。ありがとう。

のの、大好きやで…。


469 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)06時02分56秒

ウチが目を覚ました時には、外はもう白かった。
枕が冷たかった。
新しい朝やな…。

「亜依ちゃんは生きて」

ののの声が聞こえる


470 名前: 投稿日:2002年10月31日(木)06時03分28秒


空 〜FiN〜


471 名前:オガマー 投稿日:2002年10月31日(木)06時04分06秒
完結です。
472 名前:フライハーフ 投稿日:2002年10月31日(木)22時56分00秒
あいぼんの気持ちが伝わってきて、切ないっす。

これからも、執筆活動頑張って下さい。
473 名前:オガマー 投稿日:2002年11月16日(土)04時40分14秒
>472 フライハーフ さん
レスありがとうございます!
嬉しいス(w

ちょっとこのスレに収まるか不安&恐ろしく季節はずれなんですが、
恋はきっと人をずるくする。の番外編です。
474 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時41分06秒
「ごめん!待った…。」

あたしは先輩の姿を目にとらえた瞬間、動けなくなる。

「遅ぉーい。」

あの…かわいーんですけど…物凄く。

「きゃっ!」

あたしはいきなり彼女を腕の中に抱き寄せる。

「めちゃくちゃかわいい…。」
「そぉ?」
「うん。今すぐ襲っちゃいそーだよ。」
「ここではやめてよね。」
「あはは。」

腕をほどいて、手を繋いで歩く。
今日はここの地区の縁日。
待ち合わせ場所にいた先輩は薄紫の浴衣を着ていて…。
下駄の音が鳴る。いつもより歩幅の小さな先輩に合わせて歩く。
475 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時41分48秒
「でもよかった…。」
「ん?」
「似合ってないとか言われたらどーしようって。」
「そんなわけないじゃん。世界一似合ってる!」
「ひとみちゃん、大袈裟ー。」
「本気ですよ、ほら、この目を見て!」

あたしはわざと目を見開いてギラギラさせて見せる。

「あははっ、こわいよぉー。」

繋いでない方の手で肩をバンバン叩く。
そんな仕草もかわいくてたまらない。
この人はあたしの彼女なんだぞー!!ってみんなに自慢したいぐらいだっ!

「あっ見て!金魚っ。」
そう言って先輩は露店の金魚掬いの水槽を指差した。
「悪いけど、あたしめちゃうまいよ?」
「ほんとに?やろっか?」
「うん、いいよ。」
「私だって絶対負けないから!」
おっちゃんに200円払って掬った金魚を入れる容器と網を受け取る。
476 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時42分36秒
「よぉーいどんっ!!」
自慢じゃないけど、あたしほんとに上手いよ?
ほらっ、すげぇ、よっと♪
金魚が銀色の中に何匹も掬われていく。
先輩は?
「なんでぇー!!」
半泣き…手に持っていた網は破れてた…。
そして容器の中には…水のみ。
「えっ、なんでぇー!!」
今度はあたしの容器を覗きこむ。
「あははっ!」
あたしはそう言いながらも、また金魚を次々と掬う。
「ひとみちゃんすごーい!」
彼女はちっちゃな子供みたいに目をキラキラさせてあたしのその様を見てる。
かわいい…って!!
「袖!!」
「キャッ!」
「うわぁーごめん!!」
先輩の袖が水につかりそうになってたから慌てて防ごうとしたんだけど…
咄嗟に出した手は網を持ってる手で…網の水が先輩の顔と浴衣に飛び散ってしまった…。
477 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時43分08秒
「ごめんっ!!」
カッコワリィ…最悪じゃん。せっかくかわいかったのに…先輩。
あたしは自分のオーバーオールのポケットからハンカチを取り出して、先輩の顔や、浴衣を拭く。
「大丈夫だよ。」
先輩は優しい顔してそう言ってくれるけど…ほんとに情けない…何やってんだろ、あたし。

結局さっきので網は破けて、しかも手に持っていた容器は水にドボンっ…。
金魚はまた少し広い水槽に戻って、誰かに掬われるのを待つ運命になってしまった…。
478 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時43分41秒

神社の境内で先輩の浴衣が乾くのを待つことにした。
あたしが「いいよ。」って言う先輩をムリヤリ連れてきた。
だって…浴衣は濡れたせいで所々色が変わってるし…。

「ほんとごめんね…。」
「もう…大丈夫って言ってるのにぃ。」
「だって…せっかくかわいかったのに。」

あたしが何故だかちょっとふくれてそう言うと、先輩がふいに手を繋いできた。
そして、頭をあたしの肩に預けてくる。

「ふふっ。」
「ん?」
「ひとみちゃん、めちゃくちゃ焦ってたね。」
「そりゃ焦るってば…。」
思い出したら赤面するぐらい取り乱してしまった…。
「ハハッ、カッコワルイよねぇ…。」
あたしは力のない声でそう呟く。
「確かに、ちょっとねぇ〜。」
先輩はそう言ってクスクス笑う。
「ぶー、そんなことないよっ、ぐらい言ってよー、あ゛ー凹むぅー。」
「クスクス。だってさぁー、ちょー焦ってんだもんっ。」
「もういいよぉ…。」
どんどん力が抜ける。穴があったら入りたい気分になってきた。
479 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時44分17秒
「でも、カッコヨカッタよ。」
「今更、そんなこと言われたって遅いっスぅー。嘘にしか聞こえないスぅー。」
あたしも先輩の頭に頭をコツンと当てる。
「だってさぁ、いっぱい取れてた金魚を逃がしちゃって、まだ破けてなかった網を破いちゃってー、」
それのどこがカッコイイのさ…。
「そんなにまでしてさぁ、私の袖を守ってくれようとしたじゃない?」
「…そーなんだけど。」
なんかずっとくっつけてた体がだんだん慣れてきて、物凄く心地いい…。
「でも、結局よけい水浸しにしてくれちゃったよねぇー。」
ちょっと意地の悪そうな声でそう言う先輩。
「はぁ…。」
「何、本気で凹んでるのよぉー。」
先輩は体を離して腕を揺らす。
「だってさぁー。」
「ほら、浴衣もそろそろ乾いたよっ!」
「うん…じゃ続きいくぅ?」
480 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時45分02秒
あたしが重たくなった腰を持ち上げようとしたら、先輩にグッと押し戻される。
「ん?」
「ひとみちゃん、」
「どうしたの?」
「キス、して。」
「えっ…。」
彼女はそう言うと、目を瞑って少し顎を上げた。
あたしは心地よく高鳴る心臓の音を感じながら、
柔らかい先輩の唇に口付けた。
「ひとみちゃん、好きだよ?」
「ん。あたしも好き。」
あたしはまだ慣れることもなく真っ赤になる顔を見られないように逸らす。
「ちょっとは元気になったかなぁ?」
「…それで?」
「うん。」
彼女はちょっとはにかんで頷いた。その顔も少し赤い。
481 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時45分59秒
あたしは、細い肩を引き寄せてもう一度その唇に唇を重ねた。
「なんか、ほんとに自分が情けないよぉー。」
「なんで?」
「なんかわかんないけど…。」
「なにそれっ。」

だけど、先輩の笑顔を隣で見ているだけでそんな気分、どっかに飛んじゃうのはなんでかな?
きっと、これが恋のパワーってヤツですか?
…ってあたしクサイ?
ま、それも恋の成せる技ってことで。

482 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時46分32秒
「先輩っ、」
「ん?」
「なんか欲しいもんある?」
「買ってくれるの?」
「もちろんです。」
「じゃあ、じゃあ、一軒家…。」
「へ?」
「あっ、はずした…恥ずかしいよぉー。」
急に顔を真っ赤にして両手で覆ってしまった先輩に胸の奥がどうしようもなく刺激される。

「あははははははっ!!なんだよー、プロポーズかと思ったじゃん!」
軽いジョークのつもりで言ったその言葉に先輩は急に真面目な顔をして
「そうとってくれてもいいよ。」
「へ?」
「うっそー!!」
「はぁ!?」
先輩はキャラキャラ笑いながら走り出す。
「ちょっと待て!こるぁあ!!」
「ひとみちゃんこわーい。」
483 名前:恋のパワーってヤツですか? 投稿日:2002年11月16日(土)04時47分12秒

明日に流れていく、こんな些細なやりとりも、何年経ったって覚えていたい。
貴方のその笑顔をずっと隣で感じていたい。
そして、その側で自分も笑っていられるように…。
そんな願いを心で何度も唱えてみた。



〜FiN〜
484 名前:オガマー 投稿日:2002年11月16日(土)04時48分45秒
更新終了!完結!
このスレではほんとに最後ですかね。
吉澤さんの先輩の呼び方に多少、違和感があるかも…ないかも…?
485 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月16日(土)08時36分30秒
げふっ! ちょっと胸焼けしそうな位、甘々ですね。
この雰囲気は「いしよし」以外ではあり得ませんな。

ご馳走様でした、新作、期待してます。
486 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月16日(土)15時20分40秒
浴衣っ!!浴衣っ!!
鼻血噴きそうですよ、もう!!
ヨッスィー…自慢したいその気持ち、痛い程わかります!!
そして最後のいしよしに…悶絶。
くはー!!甘い!!
最高でした…!!!
487 名前:いしよし読者。 投稿日:2002年11月17日(日)00時32分10秒
すんげぇ良かったです。
リアルに脳内展開できたオレは逝っちゃってるんでしょうか?(汗

次の作品も期待しております。
488 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月22日(金)02時37分10秒
完結、お疲れ様でした。
続編、密かに期待してましたので、嬉しいです。
う〜ん、やっぱりこの二人、最高ですな。
次回作、また〜りとお待ちしておりまする。
489 名前:オガマー 投稿日:2002年12月23日(月)23時48分16秒
>485 ひとみんこさん
いしよしで痛い系ってあんまり思いつかないです(w

>486 クロイツさん
どんどん鼻血ふいてください(ぇ
ティッシュならいくらでもありますよほ(w

>487 いしよし読者。さん
それはとても素敵なことです。
リアルによりリアルに想像して逝きましょう(何

>488 名無し読者さん
そう言ってくださると書いた甲斐がすっごくあったてもんですよほ(w

レスありがとうございました。
読んでくれた人もどうもありがとうなのれす。

Converted by dat2html.pl 1.0