alongside of you

1 名前: 投稿日:2002年06月24日(月)21時09分35秒
吉澤さん中心にいきたいと思います。
なにぶん不慣れなもので至らない点があると思いますが、
アドバイス等頂けたら幸いです。

まず本編の前に、肩慣らしの意味もこめて
短いやついきます。
2 名前:罪ーSIDE.Hー灰色の欠片 投稿日:2002年06月24日(月)21時12分51秒
「好きにならなければよかった。」

それはとても深く、深く。
傷ついたとかそんなんじゃないよ。
それは、当然の事だから。
ただ、見えない涙がこぼれ落ちただけ。
どんなにきみを愛しても、きみを幸せには出来ないと思うから。

きみはうちの背中に腕をまわし、
まるで存在を確かめるかの様に力をこめる、大きく息を吸い込んで。


「でも、大好きなんだもん。」

半ばあきらめを含んで、呟く。
3 名前:灰色の欠片 投稿日:2002年06月24日(月)21時14分21秒
たとえ、きみを苦しめるとしても、
この手は離さないよ、きみが離さない限り。

たとえ、この先どんな困難をむかえようとも
きみが傍にいてくれれば頑張れるよ。
そう思えることが、大切だったりするから。

もし、渇いた涙で溺れそうになったら
代わりにきみが本物の真珠を流して欲しい。
それを拭うことで救われるから。

「ひとみちゃん、時間だよ。」
「うん。」

今度はいつ来れる?瞳だけで訊ねるきみに、
うちは微笑んでまたねと返す。
彼女の元に帰るうちを笑顔で送りだすきみ。

梨華ちゃん、ごめんね、約束の言葉はあげられない。
約束なんてものは、まるで意味を持っていないから。

春色の生暖かい風を身にまとい、愛情と罪悪感の狭間の帰り道、
確実に一歩また一歩と足を進める、うちを待つ純粋な存在の為に。

愛情をきみに、すべての罪をうちに、そして幸せは彼女に。
4 名前: 投稿日:2002年06月24日(月)21時17分12秒
とりあえず、 罪ーSIDE.Hー 終わりです。
また後で、SIDE.R書きます。
5 名前: 罪ーSIDE.Rーぬくもり 投稿日:2002年06月24日(月)22時50分39秒
あなたが彼女の元へ帰った後、
抱きしめあったぬくもりを逃がさないように、そっと目を閉じる。

私がもう終わりにしたいと言っても、
愛して欲しいと言っても、
あなたはきっと頷いてくれるでしょう。

このままでいい、あなたが私だけにならなくても。
それでもいいと言ったら、あなたはそんな事は言ってはダメだよと
少し困ったように、それでも優しく抱きしめてくれるでしょう。

あなたの傍にいたいだけ。
それがどんなに苦しくても、あなたを失うよりはまし。
たとえ真実をくれなくても、そのぬくもりを感じていたい。
6 名前:ぬくもり 投稿日:2002年06月24日(月)22時51分52秒
ここにいる時だけは、あなたの瞳には私しか写っていない。
あの大きな瞳で私を見つめてくれる。
だから抜けられなくなる。
あなたが私を愛してくれてると信じさせてくれるから。

「またね。」
いつかも分からぬ無意味な言葉だって、
ウソをつかないあなたの優しさ。

月明かりに照らされたあなたがくれたおやすみを胸に抱いて、
今夜も夢の世界へ。

―――「罪」SIDE.R 終わり
7 名前: 罪ーSIDE.Mー雨降り 投稿日:2002年06月24日(月)22時54分04秒
玄関のガチャリという音で居眠りから目が覚めた。

「おかえり。」
「起きててくれたんだ、先に寝ててもいーよって言ったのに。」
「うん、でも。」
 
前に言ってたよね、帰ってきて部屋に明かりがついていると嬉しいって。

「嬉しいけどさ。」
「でしょ。」

手を洗うために洗面所に消えていく、あなたの背中に抱きついた。

「んーどした?」
「うん。」
 
どこに行ってたの?なんて訊かない。
だってあなたはウソをつかないから。
きっと、んーとか言って答えないだけ。
それでいい、それがいい。
8 名前:雨降り 投稿日:2002年06月24日(月)22時55分03秒
「着替えてくるね。」

そう言い残し、あなたはあの娘におやすみのメールを、
あたしにはおやすみのキスを。
そんな事に優越感を感じてしまう自分が淋しくなった。

ベッドに滑りこんできたあなたに腕をまわした。

「よしこの心臓の音、聴こえるよ。」
「そりゃ生きてるからねぇ。」

「太陽のにおいがするよ。」
「今日フトン干したからねぇ。」
 
違うよ、あたたかい太陽のにおいはあなたの香りだよ。
9 名前:雨降り 投稿日:2002年06月24日(月)22時56分32秒
あたしにはあなたが必要、
そしてあの娘にもあなたは必要。
だからあの娘からあなたを奪わない、
あたしからも奪えない。

太陽の光は誰にでも平等に降り注ぐ。
分かっているよ、分かっているから、だから。
だから、ちょっとわがまま言ってもいい?

月明かりの夜とお休みの雨の日はあたしだけを見ていてね、
あたしだけを抱きしめていてね。

「ごっちん、おやすみ。」
「うん、おやすみ。」

ねぇよしこ、明日さぁ、雨降りだといいね。

               ―――「罪」SIDE.M 終わり
10 名前: 投稿日:2002年06月26日(水)19時18分50秒
それでは、本編始めます。
一応、よしごまの予定です。
11 名前: 投稿日:2002年06月26日(水)19時22分56秒
「ごっちん用意できた?」
「うん。」
「「じゃ、お先でーす。」」

まだ仕事の終わっていないメンバーのうらやましそうな顔を見てみぬふりして
二人はギュッと手を繋ぎ事務所を後にした。
せっかく早く終わったんだからショッピングに行きたかった後藤だが、
「うーん、疲れたからまったりしたい。」
という吉澤の希望で家でビデオでも見ようと言う事になった。

「何借りる?」
「猿の惑星、もしくはラピュタ。」
「ラピュタってまた見る気?本当に好きだよねぇ、でもビデオ持ってんじゃん。」
「そうだけどぉ。」
「そんな甘えた声出してもダメ、却下。あーこれにしよう。」
 後藤が手に取ったDVDはパールハーバー。
「えーそれ長いよ〜、猿にしようよ。」
 隣で納得いかなさそうにしている吉澤を無視して後藤は
「はい、決まり〜。」
 とレンタルカウンターへ向かった。
12 名前: 投稿日:2002年06月26日(水)19時32分29秒
 ベッドに寄りかかって見る体制ばっちりになっている吉澤。
後藤はイチャイチャとかいっぱいしたい気持ちを
よっすぃー疲れてるって言ってたし‥‥、
我慢しようと黙って隣に座った。

 そんな後藤の気持ちを察してか吉澤は、
「おいで。」
 両手を広げて笑った。
 後藤は後ろから抱きついている吉澤の体温を感じてすごくドキドキしていた。
 いつも一緒にいて、こういうことだっていっぱいしているし、
 それ以上の事だって……、でも、なんか照れくさい。
 吉澤に触れられるだけで大好きな気持ちが溢れでてくるから。
13 名前: 投稿日:2002年06月26日(水)19時35分13秒
「ごっちんもしかして照れてる?」
 耳元で意地悪そうに訊く。
「照れてないもん。」
「ふーん、でも耳赤くなってますよ。」
 吉澤はその耳にキスを繰り返す。
 後藤は嘆く、せっかく我慢してるのにと。

 あったかくて優しい時間が二人を包んでいた。
 そんな時間に後藤は幸せを感じていた。
 
 ―――よしこに抱きしめられて指を絡ませ合って、
 あたしの肩に顎を乗せている彼女に時々キスをしたりして……。
 
 そんな幸せは電話によって遮られた。
14 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月26日(水)22時01分56秒
甘いよしごまイイ!
勝手な想像ですが、
もしかして始めの短編が本編の展開を示唆してるのでしょうか?
続き期待してます。
15 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月27日(木)17時46分00秒

よしごま新作ハケソ!!
△関係の緊張感がありつつ甘いよしごまがイイですね。
期待してます、更新頑張ってください。
16 名前: 投稿日:2002年06月27日(木)22時22分17秒
 テーブルの上に並べて置いてある携帯からよく耳にする着信音が流れる。
「ごっちん取って。」
 吉澤はそれを受け取ると器用に片手で開き通話ボタンを押し話し始めた、
 彼女と。

『もしもーし。』
『うん……うん、家だよ。』
『うん、来てるよ。』
『大丈夫、ちょっと待ってて。』

 そんな言葉の後、吉澤は「ごっちん止めといて。」と小声で後藤に言いベランダへ出た。
後藤は言われた通り停止ボタンを押して、ガラス越しに見える彼女の笑顔を見ていた。
17 名前: 投稿日:2002年06月27日(木)22時26分58秒
―――大丈夫ってどういう事だよぉ、あたしより大切なのかその電話は。
   それも外に行く事ないじゃん、聞かれちゃまずいのかよぉ。
   第一その相手はあたしが一緒にいるのを知ってて掛けてきてるんだぞ。
   それになんなのその着メロ、なんで彼女専用に設定してんのさ、
   あたしなんてよしこ以外のメンバーは全員同じ曲だよ。
   あーだんだんむかついてきた、もう限界。早く切れ!

 そうとう怖い顔をして睨む後藤にやっと気付いた吉澤は
『ごめんね、また明日。』
 という言葉と同時に外気を連れて帰ってきた。
18 名前: 投稿日:2002年06月27日(木)22時32分39秒
「うわー半袖じゃやっぱり寒いねぇ。」
 吉澤は何事もなかった様にまた同じ位置に座り後藤に抱きつこうとした。

「冷たいからくっつかないでよ。」
 それは後藤の強がり。
 心の中ではかわいくない事言っちゃった、と後悔するのはいつもの事。

「でもくっついちゃうもんね〜。」
 そんなのは毎度の事とかまわず抱きつく。
 その行為に気を良くした後藤だったが何か釈然としないのは当然のことで、
 原因を追求し始めた。
19 名前: 投稿日:2002年06月27日(木)22時36分10秒
「梨華ちゃん?」
「うん、あまりにも月がきれいだったからって。」
「ふーん。」
「かわいいよね、『くだらない事でごめんね、でもちょっと感動したから
 よっすぃーにも伝えたくて。』なんてさ。」
「へぇー。」
「別々の場所から同じ月を見て電波飛ばして繋がってるなんて、
 すげーと思わない?」
「別に。」
 
 ますます不機嫌モードまっしぐらの後藤。
あまりにも嬉しそうに語る吉澤を見てイライラはつのるばかり、
彼女の前で他の娘の話を平気で出来るキミの方がある意味すげーよ、
と思っていた、だから。

「続き見るよ。」
 そっけなく言い放つ。
20 名前: 投稿日:2002年06月27日(木)22時38分21秒
 そんな気持ちのままこの映画を見てしまった後藤は、
一層モヤモヤした気分になってしまった。
戦争映画ながら恋愛モノ、それも三角関係。
自分達は別に三角関係ではないのだけれど、なにか引っかかる。
こんなことなら猿にしとけばよかったと後悔したがもう遅い。

「ごっちん、何ぶつぶつ言ってんの?」
「へっ。」
「ぶはっ、その顔やばい、マジやばい。」
「やばいって失礼じゃない?……ほんとにやばかった?」
「うん、やばすぎ。」
「うぅ。」

「やばいぐらいかわいすぎだよー。これ以上よしこを惚れされてどーするよ、
 ごっちんは。」
「よしこー。」

 後藤は嬉しくて勢いよく抱きついた。
21 名前: 投稿日:2002年06月27日(木)22時56分21秒
更新しました。

>14 名無し読者様
 レスありがとうございます。甘いですか?嬉しいです。
 短編とこの本編の繋がりはどうなんでしょう?
 期待に添えるよう、頑張ります。

>15 名無し読者様
 緊張感出せるような展開にもっていけるよう、頑張りますので
 今後もヨロシクお願いします。

22 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月28日(金)18時06分49秒
(・∀・)イイ!
健気なごっちんとうまくかわすよすぃの駆け引きがとても(・∀・)イイ!
描写も丁寧で、期待大です。がんがってください。
23 名前: 投稿日:2002年06月29日(土)23時10分40秒
 ……ら、ベッドと後藤に挟まれた吉澤から
「グヘェッ。」
 と聞いたこともない声が漏れる。
「ごっち〜ん。」
「ごめん、大丈夫?」
「うーー、一瞬息できなかったよー。」
「ごめんね。」

 吉澤が本当に痛そうな顔をしていたから後藤は申し訳なさそうにしょんぼりした。
 それを見て吉澤はまたごっちんってかわいいなぁと思うわけだが。
「で、姫は何が不満なのさ。」
 原因は解っていたがあえて訊ねる。
「んー。」
 後藤だって吉澤が分かっていることぐらい承知。

「さっきの電話でしょ。」
「分かってんなら訊くな。」
「なんかやきもちとかやいてくれちゃって、かわいーなと思ってさ。」
「かわいーって言えば済むと思ってない?」
「思ってないよ〜、本当にかわいいって思ったから言ってるのに。」
「んー。」
「よし分かった。はい、立って。」
 
 なかなか機嫌の直らない後藤をニヤニヤしながら無理やり立たせてベランダへ。
24 名前: 投稿日:2002年06月29日(土)23時13分25秒
「なに?いったい何しようとしてんの?」
 後藤は少々キレ気味。本当はワクワクしているのに
 不機嫌を装ってみたりしている。

「よし。」
 吉澤は周りをキョロキョロ伺って後藤の頬に手を。
「‥‥んっ‥‥‥。」
 不意打ちのキス。
 それもはじめから濃厚なやつ。

「へへっ。」
 悪戯っ子のような微笑の吉澤。
 はてな顔の後藤。

「梨華ちゃんが教えてくれた月にうちの彼女を紹介してみました。」
「‥‥‥。」
「ごっちん、嬉しくないの?」
「‥‥嬉しいにきまってんじゃんよぉ。」
 今度は後藤のほうからキス。
25 名前: 投稿日:2002年06月29日(土)23時15分33秒
「あのさ、ごっちん。」
「うん?」
「帰ってくる時だって月は出ていたのに、全然気付かなかったのはどうしてだと思う?」
「どうしてだろう?」
「それはぁうちはごっちんのことしか見てないから。ごっちんの事で頭いっぱいで
景色なんて見てる余裕ナシだから。」
 普通ならさむーい台詞も恋する二人には甘く、ひたすら甘―く。

「よしこー。」
「はい。」
「かっこつけすぎ、でも許す。だってかっこいいもん。」
「あれ、今頃気付いたの?」
「バーカ。」
「なんだとぉ。」


「でもバカは嫌いじゃないよ。」

「そうかぁ、じゃぁ‥‥中に入って続きしよ!!」
26 名前: 投稿日:2002年06月29日(土)23時27分24秒
今日は少しだけ更新しました。
なんかちょっと失敗してしまい、読みにくくなってしまって
すいません。

>22 名無し読者様
 健気なごっちんいいですよね。うまく書けているといいんですが…。
 はい、頑張ります。
27 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月02日(火)18時43分03秒
「今日は二人部屋なので親睦を深めるという事で、くじで部屋割りを決めたいと思いまーす。」
 リーダーが張り切って発表。
 皆の反応はふーんって感じ。しいて言えば5期メンがいささか緊張の面持ち。
 早速くじを引く。結果は
   飯田・新垣/保田・小川/安倍・石川/矢口・吉澤
   後藤・加護/辻・紺野/高橋

「高橋がひとりはダメだべ。」
「そうだよねぇ。」
「じゃぁ、なっち達と矢口のとこと高橋でグーパーするっしょ。」
 安倍が高橋においでと手招きをする。

28 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月02日(火)18時45分24秒
「大丈夫です、私ひとりでも。」
「ダメだよ高橋、こういう機会に先輩から色々話聞いたり学ばなきゃ。」

「オッ、リーダーたまにはいい事言うね。」 
 すかさず矢口が飯田をおちょくる。が本人は誉められてると信じ胸を張る。
 うわっ本気にしてるよ、それもたまにはって言われたのに。
 その場にいる誰もがそう思っていた。
 
 そして最終的な組み合わせは、
   安倍/矢口・吉澤/石川・高橋  となった。
29 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月02日(火)18時48分18秒
「でもさぁ、矢口とよっすぃーって気が合うというか何と言うか、ずっと同じの出してなかった?そんなに一緒がいいのかってくらい。」
 保田がふともらす。

「そう言えばそうだべ。」
「愛の力だよね、よっすぃー。通じ合ってるんだよ矢口たちは。」
 矢口が吉澤の腕に絡みつく。

「ははっ。」
 吉澤は苦笑いするばかり、その視線の先にで愛しの後藤が睨んでいるから。
 そしてその隣で俯いている石川の姿。
 こちらには吉澤は気づいていない様子。
 いつもだったら無理やり吉澤と同じ部屋にしてもらう後藤だったが、
 今日はそうもいかない訳で。
 そして吉澤の同室が矢口ということも気に入らないことのひとつだった。
30 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月02日(火)18時58分32秒
「なにむくれてんのさ、仕方ないじゃんくじだし。わざとやった訳じゃないよ。」
「そーだけどぉ、なんでやぐっつあんかなぁ。」
「だからわざとじゃないって。それにどうせ加護は辻達の部屋に遊びに行くでしょ。だから帰ってくるまで、ねっ。」
「うん。」





「どーしてこうなるかな〜。」
 
 吉澤と後藤は甘い時間を過ごそうと……。
31 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月02日(火)19時01分14秒
 少し時間をさかのぼって。

「やっぱ、よっすぃー来とった〜。トランプしよ〜。」
「だっていっぱいのが楽しいんだもん、ねー。」
 と、辻達の部屋に行ったはずの加護がこともあろうか辻と紺野を連れて帰ってきた。
 そして騒ぐだけ騒いだら「眠い」と言いパッタリと寝てしまった。


「じゃぁ辻を部屋まで連れてって、うちも自分とこ帰るわ。」
 すでに寝息を立てている辻を抱きかかえた吉澤が紺野に
「ドア開けて」と行った後、振り向いて後藤に告げた。
 
 後藤はかなり不満だったが、紺野の手前何も言えずに
「うん、おやすみ。」
 と返した。
32 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月02日(火)19時05分29秒
 吉澤が部屋に帰ると矢口の姿はまだなかった。
「だったらこっちに呼べばよかった。」
 コンサートの疲れとさっきの子供のお守りでベッドに入るとすぐに眠りについた。


「よっすぃー寝ちゃったの?なんだつまんないの。
 それにしてもよっすぃーってまつげ、ながっ!寝顔もきれいだねぇ。」
 矢口は、多分帰ってくる矢口の為に付けられていたベッド脇の暖色のライトに
 照らされている吉澤の寝顔を、まじまじと見つめる。
 
 ―――うわっ、なんかキスしたいかも。

 そんな衝動を必死でおさえ
「矢口も寝よーっと。」
 と、あえて口に出し二つ並んだベッドの空いている窓際の方のベッドに体を沈めた
33 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月03日(水)18時25分26秒
「よっすぃーおやすみー。」
 矢口がベッドに入ると隣でゴソゴソという音がしたと思ったら、
 いきなり後ろから抱きしめられた。
 しかも思いっきり胸を手のひらで包み込むかのよ様に。

「あれ。……んーごっちんおやすみー。」
 しかもこいつはまるで当然の事とばかりに、かなり間抜けな声を発し眠りにつこうとした。

「えっっ。」
 一瞬何が起こったが分からなかった矢口だが、これってよっすぃーだよね。
 そう理解した後、
「よっ、よっすぃ〜。」
 奇声をあげながら飛び起きた。
34 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月03日(水)18時29分59秒
「はい?」
 その声にビックリして目を覚ました吉澤。

「矢口さん?」
 吉澤はしばらく目を白黒させていたが、やがて自分のしでかした事に気付き慌て始めた。

「えっと、あれ、もしかして。えーー矢口さん、すみません。あーマジごめんなさい。」
 ベッドの上に正座してただただ謝るばかり。
 その姿があまりにもかわいらしかったので矢口は思わず笑ってしまった。

「矢口さん?」
「あぁ、ごめん。うん、もういいよ、よっすぃー。」
 矢口は笑って許した。
35 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月03日(水)18時32分19秒
「よっすぃーさ、ごっつぁんと間違えたんだよね。」
「はい、つい。でも、あれ、何で……?」
「だってごっちんおやすみーって言ってたし。」
「ははっ。」
 吉澤はもうここは笑ってごまかすしかないと感じていた訳で。

「ってことは、いつもそういうことしてるって事だよね。」
 しかし矢口の追求は続く。

「そーいう事?」
「だから……、バカ!言わなくても雰囲気で分かれ!。」
 矢口は照れ隠しなのか、怒り口調で吉澤を責める。
36 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月03日(水)18時36分14秒
「えーっと、たまに。」
「ふーん。まぁ仲いいとは思ってたけど、そこまでいってたか、クソ。」
 吉澤はとりあえず、最後のクソは聞き逃す事にした。

「あーでも、いつもしてる訳じゃないですよ。一応次の日の仕事の事とかも考えてますし。ただ抱き合って眠るだけの事の方が多いです。」
「誰もそこまで聞いてない、つーの。」
 吉澤は自分の言った事があまりに恥ずかしかった事に気付いて、顔を真っ赤にした。

「照れるくらいならいうなよ。」
 すかさず矢口のつっこみが入る。

「ほんと、すいません。」
「まじでそう思ってる?」
「思ってますよぉ。」
「じゃぁ、お願い聞いてもらっちゃおうかな。」
 矢口の笑みに吉澤の背筋に悪寒が走る、本能が拒否しろと命じる。
37 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月03日(水)18時39分17秒
おそるおそるその要望をたずねる。
「お願いって?」
「そんなにびびるなって、簡単だから。あのさ、今日は矢口をごっつぁんだと思ってしよ!!。」

「しよ!!って、………えっーー。」
「矢口、ずっとよっすぃーのこと……。」
 矢口はいままで見たこともないような乙女チックな顔で迫る。

「ちょ、ちょっと待ってください、まじで。それはちょっとムリっす。」
 吉澤の動揺は隠せないも何も、誰が見ても分かるほどの狼狽っぷりで。

「じゃぁ、キスだけで我慢するから。」
「いや、だから、ムリですって。」
 吉澤はズリズリと微妙に後ずさる。
38 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月03日(水)18時45分33秒
「えっー、じゃぁ何ならいいんだよー。」
 何を言っても無理だと言う吉澤にちょいキレ気味。

「何ならって、パシリとかそういうのでお願いします。」
「ダメ、そんなの普通すぎる、つまんない。ムリばっか言ってるとごっつぁんに言いつけるよ。」
 言いつけるって言われても〜と吉澤は普段使ってない脳みそまでフル稼働して解決策を考える、そして決心する。


「はい、分かりました。」
39 名前: 投稿日:2002年07月03日(水)18時49分31秒
本日の更新終了です。
40 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月04日(木)05時04分57秒
よしごまやぐ。たまんねーっす(w
我が侭矢口さん(・∀・)イイ!!
感想ってやっぱ難しいんすけど、この雰囲気大好きっす。
41 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月04日(木)18時56分16秒
ちょっと頭の足らなそうなよっすぃがかわいいなぁw
そりゃ気が気でないですなぁ、後藤さん。

更新かなり楽しみにしてますよ。
がんばって下さい。
42 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)21時55分41秒
「じゃ、しよ!!。」
 早速とばかりに矢口は壁際に追いつめる。
「あーそうじゃなくて、どうせ隠しててもいつかボロがでると思うので、正直に話すつもだから言いつけてもいいッスよ。」
「はぁ?」

「だから矢口さんとは……そのー出来ません。そりゃ矢口さんのこと正直好きですし、自分にとってラッキーな展開だという事も分かってます。」
 矢口はいったいこの子は何言ってんだ?という顔をしているが、吉澤はなおも真剣に話しつづける。

「でも、ダメなんです。だってさっきのは、寝ぼけてたっていうかごっちんだと思ってした訳で。でも今矢口さんとキスしたら、それは矢口さんと分かっててする訳で、だがらごめんなさい。」
43 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)21時59分10秒
「キャハ。」

「や、やぐちさん?」
「冗談だって、よっすぃーまじになるんだもんなぁ。もしよっすぃーがその気になってたら、ぶっとばしてたよ。」
「ははは。」
 吉澤の乾いた笑いが部屋に響く。

「いやーよかったよ、うん。よっすぃーはごっつぁんに惚れてるねぇ。」
「はい。」
「は、はやっ、即答かい。ごっつぁんは幸せ者だね。」
 
 矢口の顔は一応笑顔だが、心の中では、
―――くっそー失敗だったか、ちょっとは本気で期待してたのに、チェッ。
と呟いていた。
44 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)22時01分43秒
「じゃぁ、寝るか。」
「はい。」

『チュッ。』

「うわぁ〜!。」
 吉澤は矢口の不意打ちに逃げきれなかった。
「キャハ、いいじゃん減るもんじゃないし、あいさつだよあいさつ。いつも辻・加護にされてんじゃん。
「それとは違いますよぉ。」
 矢口にいいように翻弄されっぱなしの吉澤。

「同じだって。」
「あいつらのは遊びですけどぉ……。」
「矢口のは違うって思ってくれるってことは、キャーよっすぃーってば。」
 吉澤がまじめになればなるほど、矢口はそれが楽しくってはしゃぎまくる。
45 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)22時13分10秒
「矢口さ〜ん、ふざけないで下さいよぉ。」
「ごめん、でもさ、なんか、ますますよっすぃーのことスキになったよ。」
「えっ?」

「よっすぃー。」
 矢口は吉澤の顔を覗き込む。

「ごっつぁんと別れたら、矢口と付き合おうね。」
「な、なに言ってるんですか。それはありえないですよー。」
「ちょっとよっすぃー、それはあまりに失礼じゃないか?矢口はイヤだってか?」
 何気に失礼な発言にちょっとムッとしつつも、
 吉澤に悪気が全くない事は分かっているうえで、
 からかいまくっている矢口に吉澤は慌てて言い訳をする。
46 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)22時30分38秒
「あ〜、違います、違いますって、そっちじゃないッス。ごっちんと別れる事はありえないって事です。」
「いったい何なんだ?その自信はどこからくるんだ?」
「かなりはまってますからごっちんに。離れられないッス。」
 さっきまでおどおどしてたはずなのに、後藤への気持ちを堂々としかも自信満々で語る目の前の彼女に矢口はもう笑うしかなかった。


「はぁ、なんかばかばかしくなってきた。もう寝る。」
「………おやすみなさい。」
 さんざん矢口に振り回された吉澤は、これからはズルをしてでも後藤と同じ部屋になろうと心に決めた。
47 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)22時38分42秒
次の日

「よしこ、おはよ。」
「おはよう、ごっちん。よく眠れたかい?」
「うん、でも寂しかったよぉ。」
「ごっちんかわいすぎ。」
 “ギュー” 人目も憚らず抱き合う二人。とはいっても周りは相変わらずこの二人は仲いいな程度しか感じていない。実は付き合っている事は一部を除きあまり知られていない。もともと仲がいい二人だし娘。達はスキンシップ大好き、抱き合う事は日常茶飯事、フレンチキスぐらいなんてことないのだから。しかし、

「おい、そこのバカップル。朝からいちゃつくな。」
 いい加減にしろ!と矢口登場。彼女は二人のけっして浅くない関係を知りたくもないのに知ってしまった人。
48 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)22時41分41秒
「おはよー、やぐっつあん。」
「おっはーごっつぁん。ん〜よっすぃーちょっと。」
 後藤への挨拶もそこそこに矢口は吉澤を手招きしてかがませ内緒話。

『昨日の事は言わないから安心していーよ。』

「でも隠し事はしない約束なんで。」
「よっすぃーはバカ?」
「ちょっとやぐっつあんバカはないでしょ。」
 言われた吉澤はキョトンとしているのに、隣にいた後藤が矢口に反論する。

「なんでごっつぁんが怒るんだよ。」
「だってぇ。」
「はいはい、ご自由にどーぞ。まぁよっすぃー頑張って。」
 もうバカップルには付き合いきれないと矢口は手をヒラヒラさせてその場を立ち去る。
49 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月04日(木)22時44分56秒
「よしこ、どうしたの?」
「あぁ、うん。」
 どう言おうか迷っていると

「あんた達早くしなさい、集合!」
 保田が呼んだ。

「ごっちん、後で話すね。」
「うん。」
 話すならなるべく早く話さなくちゃと吉澤は思っていた。
 バレた時の事を考えると自分の口から真実を述べた方がいいに決まっている。
 矢口の事だから、ついポロッという事がないことがないとも言えないから。
50 名前: 投稿日:2002年07月04日(木)22時54分25秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>40 名無し読者様
 大好きな雰囲気なんて、嬉しすぎます。ありがとう!
 今後も御贔屓にお願いします。

>40 名無し読者様
 かなり楽しみなんて言っていただけると、頑張っちゃいます!
 はい、後藤さんはこの後も…。
 



51 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月05日(金)14時33分40秒
いいですねぇよしごま。よっすぃーモテモテみたいで、ごっちん大変だ。凪さんのよしごま好きなんで頑張って下さい。
52 名前:カム 投稿日:2002年07月06日(土)04時32分28秒

モテモテで、ごっちんにバカ正直なよっすぃが素敵です(w
とても面白くて続きが気になって仕方ないです!
影ながら応援してますんで、更新頑張ってくださいね〜
53 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月06日(土)18時11分47秒
「ごっちん朝の話なんだけど。」
「何?」
「うん。」
「なんだよもー。」
「うん、かくかくしかじかで。」
「エッーーー!!」
 あまりの後藤の声の大きさに、その場にいた全員が振り返った。

「ごっちん声でかいって。」
「だってぇ。だからやぐっつあんは嫌だったんだよぉ。」
「ごめん、でもわざとじゃないし、自分の意志でもないというか。あと矢口さんは被害者な訳で。」
「・・・。」
 ―――分かってるよ、そんな事。やぐっつあんは被害者で、
    加害者は今情けない顔して目の前にいるキミだってこと分かってますよ、
    わざとじゃないって事も。でも、でも〜!!
54 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月06日(土)18時14分17秒
 納得いかない後藤に、ただひたすら謝る吉澤。
 そんな所にもうひとりの登場人物が歩み寄ってきた。

「ごっつぁん、許してあげなって。」
「矢口さ〜ん。」
 吉澤は一層もめるじゃんか、そっとしておいてよぉと少し涙目になって訴える。
 
「まぁまぁ、よっすぃー任せとけって。」
 変に自信ありげな矢口、その自信はいったいどこからくるのだろう。

「よっすぃーってさ、本当に失礼な奴なんだよ。その後、冗談でよっすぃーの体で返せって迫ったんだけど、真剣な顔して出来ませんって断りやがったんだよ。冗談でも無理って。」
「・・・。」
「ごっちん傷つけられないって、マジ顔でさ。」
「・・・。」
「だから許してやれって。」
「やぐっつあんがそこまで言うんなら、分かった。」
 やっと後藤の許しが出てホッと胸を撫で下ろす吉澤に、更なる試練が。
55 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月06日(土)18時15分58秒
「あっ、それとよっすぃー、ちょっと聞きたいことがあるんだけれど。」
「はい?」

「オイラの胸さわった時、なんで『あれっ』って言ったのさ。」
「言いました?」

「言った!『あれ。……んーごっちんおやすみー。』って。」
「そうでした?」
 必死にとぼけようとする吉澤の額から汗が噴出し始める。

「ねぇ、なんで?覚えてないとか言うなよ!」
 矢口に釘を刺され、もはや後がない吉澤は真実を告白する事を決意した。

56 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月06日(土)18時17分05秒
「うーん、何て言いますか、えっとさわり心地がですね微妙に違いまして、ごっちんにしては手のひらに余裕を感じてですね、あはっ。」
「なんだとー、小さいって言いたいんか、くっそー、そりゃごっつぁんはデカイさ、あぁデカイさ、でもよっすぃ〜なんかにゃ言われたくな〜い!!。」
 今度は矢口の大声。またみんな一斉に振り向く。そして

「あんたらうるさい。」
 保田のひと言。


「「「ごめんなさい。」」」
57 名前:親睦を深める二人 投稿日:2002年07月06日(土)18時18分58秒
「今回だけだからね。」
「はい。」

「間違いでもダメだからね。」
「はい。」

「よし、では許してあげましょう。」
「あのーひとつ提案があるんですけど、後藤さん。」
「なんでしょう、吉澤さん。」

「そのー間違いを起こさない為にも、今後はどんな手を使っても同じ部屋になろうね。」
「うん。ずっと一緒だよ。」


「はぁ、また始まったよバカップルが。矢口もイチャイチャしたいよ、まったくもう。」
 そんな矢口の呟きなんて、全く聞こえていないふたりだった。
58 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月06日(土)18時24分21秒
 取材が思いのほか早く終わった後藤は、
 ―――よしこも今日は早く終わるはずだから、いっぱい一緒にいられるよぉ。
 と張り切って吉澤に電話をかけた。

「もしもーし。」
『ごっちん?』
「仕事終わったよ〜。」
『そうなんだ、随分早かったね。』
「うん、だから今日はいっぱい遊べるよ。嬉しいでしょ。」
『あぁ、うん。』
 さっきから何か歯切れの悪い吉澤に、後藤は疑いを持ち始める。
59 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月06日(土)18時25分58秒
「今、ドコ?」
『………梨華ちゃんち。』
 吉澤の返事が一瞬遅れたのは、この後、後藤がどういう反応するかが手にとるように分かったからだった。

「・・・。」
『ほら、今日のロケ梨華ちゃんと一緒だったじゃん。それに丁度おフロ場の電球切れちゃったって困ってたから。あれっ、ごっちん聞いてる?』

「そんないい訳しなくてもいいよ。」
『いい訳じゃないよ。』
 だって悪い事なんてしてないもん、そう続けようとして吉澤はやめた。
 今何を言っても後藤を怒らせるだけ。
 
 梨華ちゃんちにいるだけで何故にごっちんはこんなに不機嫌になるんだろう、訳わかんないよ!と心の中で呟く。
60 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月06日(土)18時29分00秒
しばらく、お互い沈黙が続く。
「もーいい、じゃぁ。」
『あーちょっ。』
 言い終わらないうちに後藤は電話を切った。
 でもすぐに吉澤からコールバックが。

『なんで切るかなぁ。』
「もう話す事ないから。」
『・・・。』
「切るよ。」
『今ドコ?』
「・・・。」
『ごっちん。』
「・・・。」
『もーいい、分かった。勝手に怒ってなよ!』
 
 吉澤は何だか分かんないけど腹が立った。
 理不尽に怒っている後藤に対してなのか、怒らせてしまっている自分になのか。
61 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月06日(土)18時30分41秒
「なんでよしこが切れる訳?怒ってんのはこっちなのに。」
『・・・。』
「よしこー。」
『・・・。』
 立場は逆転。吉澤の無言の攻撃に後藤はついに白旗を揚げる。

「………逢いたいよぉ。」

『はじめから素直にそう言えよ。』
「ごめん……グスッ。」
『泣かないの。んーじゃぁ今すぐごっちんち帰るから、ごっちんもダッシュで家に帰ってって。』

「分かった、待ってる。」
62 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月06日(土)18時32分21秒
 電話を切った後、後藤の頭の中で吉澤の台詞が繰り返されていた。
『今すぐごっちんち帰るから。』

 ―――行くじゃなくて帰る。
    深い意味はないかもしれない。
    けど、自然に出てしまったものだとしたら、なお嬉しいよ〜。
    よっすぃ〜ってこういう所あるんだよね。
    さりげなく幸せくれるんだよね。
    
 さっきまで怒っていた事なんてすっかり忘れている後藤だった。
63 名前: 投稿日:2002年07月06日(土)18時39分57秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>51 よしごま好き。様
 自分はよっすぃーモテモテが大好きなもので。
 これからますます後藤さんは大変かも。

>52 カム様
 はい、カムさんにレスもらえるなんて光栄です。
 更新頑張ります!見守ってやってください。
64 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月06日(土)22時56分01秒
おぉ、今度はいしかーさんか・・・本当に波乱の幕開けですね。
自分もモテよっすぃー好きです。でもやっぱりごっちん一筋でいいですね♪
65 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月08日(月)20時38分38秒
“ガッチャ”
 吉澤がインターフォンを押す前に勢いよく扉が開き、後藤が飛び出してきた。

「うわっ。」
 吉澤は驚きながらもそれを受け止める。

「おかえりー。」
「ただいま。」
「よしこ今ただいまって言ったよね、ねっ?」
 満面の笑みで後藤は吉澤の顔を覗き込む。

「言ったけど、何?」
 なんでただいまって言っただけでこんなにはしゃいでいるのか理解できない。

「ううん、なんでもな〜い。」
「なんだぁ?」
「んー嬉しいよー。」
 ひとりで勝手に喜んでいる後藤に吉澤の頭には?が浮かぶばかり。
 それにいくら待ってってって言っても玄関で待つことないのに。
 だけど、ごっちんが喜んでるならいいか!と考えてしまうのは楽天家の吉澤のいいところ。
 
66 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月08日(月)20時40分13秒
「よしこ、お腹は?」
「ペコペコ。」
「よし、ゴトースペシャルオムライス作ってしんぜよう。」
「おぉ、それは楽しみですね。」
 後藤の妙なハイテンションにつられて吉澤のテンションもヒートアップし始める。

「早くあがって、手を洗って待ってってね〜。」
 そう、この二人玄関でイチャイチャしていた訳で。

「なんか、その言い方お母さんみたい。」
「やだー。」
「はぁ?」
「お母さんじゃ嫌だ。」
「はぁ、ああそうね、はい、奥さんみたいだね‥‥でしょ?」
「いやーん、照れる。」
「言わせたくせに。」
「なに!!」
「いえ、何でもないです。」
67 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月08日(月)20時42分25秒
 吉澤は自分の家の様にくつろいでいた。ある意味もう自分の家同然。というのも自宅にまっすぐ帰るよりこちらに寄る事の方が多いくらいだから。

「おまたせー。」
「うーん、いい匂い。いっただきまーす。」
「どう?」
 心配そうに後藤は尋ねる。

「すげーうまい!ごっちん天才。」
「ほんとに?」
「うん、すっごいおいしい。お嫁さんにしたいくらいだよ。」
「あはっ、なってあげてもいいよ。」

 そんなたわいもない会話だけど、それで充分愛情は伝わってる。
 そりゃ直接、好きだとか愛してるとか言って欲しい時もある。
 でもそういう言葉達を使わなくても大丈夫だって事、後藤は吉澤と一緒にいて始めて分かったし、それは吉澤も同じだった。
68 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月08日(月)20時44分34秒
 だけど……。またあの着信音がなる。でも今その持ち主はおフロ。
 やがて止まるメロディ。後藤は溜息をつく。そしてふと誘惑に駆られる。
 恋人達の永遠のテーマ、携帯チェック。

「やっぱりダメだよね。」
 そう呟いた時、髪をワシャワシャ拭きながら持ち主登場。

「よしこー電話あったよ。」
「ふーん、誰から?」
「多分、梨華ちゃん。」
「でてくれればよかったのに。」
 のん気に吉澤は言い放つ。

「でれる訳ないじゃん。」
「そう?」
「そうだよ。」
「でも、うちの携帯握り締めてるのは何故?」
 後藤の手には紛れもなく吉澤の携帯が。

69 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月08日(月)20時47分44秒
「えっ、いや、見てないよ、本当に。」
 慌てて言い訳。

「なに慌ててんのさ。いーよ別に見ても。」
「いいの?」
「やましい事ないもん。もしかして浮気チェックとかしたい?」
 堂々と見てもいいと言われると見たい気も失せる訳で。

「ううん、信じてるもん。」
「うん、よろしい。」
 嬉しそうに吉澤は後藤の頭を撫でた。

「あっ、梨華ちゃんいいの?」
「んー、先に髪乾かさないと。ごっちんやって。」
「いいよー。」
70 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月08日(月)20時49分54秒
 ドライヤーの風でサラサラ揺れる吉澤の髪。ふたりとも同じシャンプーを使っているから、同じ香りのはずなのにどうしてよしこの香りはこんなに甘いのだろうと後藤が考えていると、

「ごっちん、どした?」
 吉澤が振り向いて言う。

「いやー、よしこの香りだぁと思ってさ。」
「なに言ってんだよ〜。」
「あは。」
 そのままじゃれあいながら髪を乾かすために移動した洗面所から部屋に戻ると、吉澤は躊躇いもなくコールバックした。
71 名前: 投稿日:2002年07月08日(月)20時55分50秒
更新しました。

>64 よしごま好き。様
 レスありがとうございます。
 読んでいる方がいると思うと頑張らねばと気合が入りますね。
 はい、波乱はまだまだ続きます。
 よろしかったら今後もお付き合いください。
 
72 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月08日(月)21時10分27秒
あ〜やっぱ甘いですvもちろん最後まで付き合いますよぉ。
あ、そういえばドラマってなんのことですか?
73 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月09日(火)19時49分07秒
手料理・浮気チェック・同じシャンプー…
新婚萌え〜。若奥ごちん萌え〜w
罪悪感ゼロな天然よすぃこさんの飴とムチがたまりません。
しかもすげぇイイところで更新寸止めで…
毎回ホント楽しみにしてます。
74 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)19時45分18秒
「もしもーし。」
『よっすぃー今大丈夫?』
「うん、大丈夫だよ。」
『やっぱり、来ちゃったみたいなの。』
「そっか。」
『うん、でもごっちんといるんでしょ?』
「うん。」
『邪魔しちゃ悪いから……。ごめんね。』
「いいって。それより今すぐ行くから。」
『平気だよ、ひとりで大丈夫だから。』
「平気じゃないから電話してきたんでしょ、大丈夫な訳ないじゃん。」
『いいの?』
「当たり前じゃんか。じゃ待ってて。」
『うん、待ってる。』
75 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)19時47分44秒
「ごっちんゴメン。ちょっと梨華ちゃんち行かなきゃならなくなった。」
「なんで?」
 その口調はあきらかに怒っていると思われ、ウソをつくのがもともとうまくない吉澤は正直に話す事にした。

「最近、梨華ちゃんいやがらせ?みたいの受けてて、本当はひとりで帰るの怖いって言うから一緒に帰ったんだ。で今も誰か来たみたいで。あーでもおフロの電球も本当だよ。」
「・・・。」
「さっきその事を言わなかったのは、もしかしたら勘違いかもしれないし、あまり大げさにしたくないって梨華ちゃんが。」

「なんで?」
「だからー。」
 正直に話したにもかかわらず、まだ怒っている後藤にちょっとうんざりしてしまったことが吉澤の声に表れる。
76 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)19時51分06秒
「違う。なんでよしこなの?」
「はっ?」
「だって他にもいるじゃん。マネージャーとか家族とか、圭ちゃんとかカオリとか。なんでよしこなの?」

「友達だからでしょ、そんなの。」
「違うもん。梨華ちゃんはよしこが好きだからだもん。あたしと一緒にいること分かってて、わざと邪魔してるとしか思えない。」
 最近ことごとく石川に邪魔されていると感じていた後藤の噴出した不満は、言っちゃダメだという気持ちを押しのけて止まる事を知らなかった。

「そうじゃないと思うけど。」
「そうだもん、あたしとよしこが付き合ってるの知ってるくせに梨華ちゃん卑怯だよ、きたないよ!。」
77 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)19時54分12秒
「ごっちん!!」
 吉澤のいつにない声に後藤は一瞬体をビクッとさせて下を向いた。
 
 それを見て吉澤はゆっくりと言葉を選びながら話始めた。

「大きな声出してごめん。でもさ、仮に梨華ちゃんがうちの事好きだとして、うちとごっちんが付き合ってるの知ってるっていうのは、梨華ちゃんを責めていい理由にはならないよ。」
「・・・。」

「誰もさ、計画して人を好きになる訳じゃないし、恋する気持ちをコントロールするなんて不可能でしょ、違う?」
 後藤は吉澤が言っている事はまさに正論で、違わないと思っていた。
 吉澤の怒っている原因は我儘を言ったとかそんなんじゃなくて、人を悪く言った事でそういう行為を吉澤が一番嫌っているって事も分かっていた。
78 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)19時55分59秒
 だけど、吉澤の優しさが自分以外に向けられている事がくやしくて思わず、
「そうやって梨華ちゃんかばうんだ。本当はよしこも梨華ちゃんの事好きなんじゃないの。」
 なんて言ってしまった。
 自惚れとかそんなんじゃなく吉澤が自分の事を大事に思ってくれている事ぐらい分かってるのに。

「ごっちん、それ本気で言ってるの?」
 吉澤は静かに少し淋しそうに訊く。

「・・・。」
「分かった、なら、そう思っとけば。」
「・・・。」
79 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)19時59分33秒
「ごっちんは梨華ちゃんのこと心配じゃないの?ひとりにして平気なの?」
 吉澤はさっきまでとはあきらかに違う口調と声で訊いた。

 後藤はその声から吉澤を失望させてしまったと気付く。
 自分のいらない嫉妬心で吉澤の信頼を失ってしまったのだ。

「じゃぁ、梨華ちゃん待ってるから行くよ。」
 吉澤は後藤から視線をはずさずにいたが、一度も目が合う事はなかった。
 
 後藤は下を向いたまま、涙を必死に堪えていた。
 今謝れば、吉澤はきっと笑って抱きしめてくれるに違いない、
 そう思っても出来ない自分に涙はついに溢れ出てしまう。
 
 やっと顔をあげて見た部屋を出る吉澤の後姿はまるで自分を拒否しているように後藤には見えて、声をかけることは出来なかった。
80 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)20時01分28秒
 なんでそんなに石川にこだわってしまうのか。
 石川だけにこだわってしまうのか。
 その理由は簡単。自分と吉澤の間にはない特別を彼女だけが持っているから。
 
 『同期というキズナ』
 
 それは加護と辻もだけれども、石川と吉澤のそれはより強く見える。
 保田と矢口を見ていても同期という、同じ試練を共に乗り越えてきた者同士の結びつきは固く強い。
 後藤は同期がいないその事がよりそう感じさせてしまうのだろう。周りから見れば吉澤と後藤こそ同じ歳という共通項は最強で誰もが羨んでいるのに。
81 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月10日(水)20時02分51秒
 ―――他の人だったら、梨華ちゃんじゃなかったら、
    きっとけんかにはなってなかった。
    なんで行かないでじゃなくて一緒に行くって言えなかったんだろう。
    きっとよしこはそれを望んでいたのに。
 

 ふたりの関係は愛とか恋だけではなく、友情とか仲間とかいろんなものが複雑に絡み合っているだけに、一度抱いた不安を消し去ることは難しいように思えた。
82 名前: 投稿日:2002年07月10日(水)20時11分05秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>72 よしごま好き。様
 はい、よろしくお願いします。
 今後はちょっと甘くない展開が…。

>73 名無し読者様
 新婚さんっぽいところ伝わった様で。
 うちの吉澤さんは後藤さんを前にするとデレデレになってしまうみたいです。
 今後もヨロシクです。

 
83 名前:名無し娘。 投稿日:2002年07月10日(水)21時20分17秒
同期はなー…どうしようもないよなあ、ごっちん…(涙
と独り言をほざいておいてから何なんですが、初レスです、楽しみに読んでます。
吉澤も嫉妬するような相手が出来たら、後藤の気持ちが分かるのでしょうが…(w
更新頑張ってくださいね。
84 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月10日(水)21時59分46秒
やっぱりいしかーさんが絡むと波乱ですねぇ・・・。ちょっと甘くない展開、う〜んどうなってしまうんでしょう。でもこれを乗り越えてまた甘い二人に戻って欲しいです。
85 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時03分39秒
 吉澤が石川のマンションに着くとそれらしい人影は見あたらなかった。
「梨華ちゃん着いたよ、開けて。」
『うん。』
 オートロックの扉が開く、そんなにキョロキョロしていたら吉澤の方が怪しい人物に見えてしまうくらい警戒して部屋へ急ぐ。

「ごめんねよっすぃー。」
 石川は部屋のドアを開けるなり謝る。

「いいって。それより大丈夫?」
「うん、しばらく無視してたらいなくなったみたい。」
「そっか、今も誰もいなかったみたいだよ。」
「うん。」
 それでも石川はまだ安心してはいない様子。
86 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時05分44秒
「やっぱりさぁ、事務所とかに相談した方がいいんじゃん?」
「うーん、それよりごっちんは?」
 石川はあいまいに返事をし、話をかえた。

 吉澤も周りに心配や迷惑を掛けたくないという石川の気持ちを分かっていたのでそれ以上そこに触れる事はしなかった。だから、ごっちんは?という問いにだけ答える。
「あーうん、平気。」
 その答えは余計な気を使わせない為の吉澤の優しさだと石川にはすぐに分かってしまい、途端に表情に出てしまった。

「あーやっぱ、平気じゃないかな。」
 と、その表情に気付いた吉澤は、でもあくまでもたいした事じゃないよという感じを含めて明るく言った。

「ケンカしてきちゃったよ。でも気にしないでって言っても気になるよね、やっぱり。」
「ごめんね。」
 石川はいくら明るく気にしないでと言われても、どう考えたってケンカの原因は自分で。
 だからといってどうすればいいのかも分からず、謝る事しか出来なかった。
87 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時10分13秒
「違うって、梨華ちゃんのせいじゃないから。」
「帰った方がいいんじゃない?」
「来たばっかじゃん。まぁ梨華ちゃんが帰れって言うんなら帰るけど。」
 石川がそんなことは言わないのを分かっているうえで意地悪を言う。それは吉澤と石川のいつもの会話。相手の声やちょっとした表情でお互いの気持ちを先読みしていたわりあうような、でもそれは苦ではなく優しさが伝わるような会話達。

「言わないよぉ、帰れなんて。」
「んじゃいてもいい?」
「いて欲しい。」
「了解しました。」
 紅茶でいい?石川はキッチンへ飲み物を用意しに行く。
88 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時12分40秒
「よっすぃーごっちんのこと本当にいいの?」
  ここまで心配性だとうんざりするのだが、石川の性格を理解している吉澤はそんなところもかわいく見える。

「いいんだって。うちは自分の意志でここに来たんだから。」

 ―――それはごっちんより私を選んでくれたってこと?
    石川は自分の気持ちを伝えようか迷っていた。
    吉澤が後藤を大切に想っていることは百も承知。
    そして告白したとしてもありがとうって笑ってくれるだろう、
    友達として。
    いっそ拒否された方がましって考えも浮かんできたが、
    きっとそうなったら堪えられない。
    だって今も友達としてでも隣にいたいと願っているのだから。
89 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時14分42秒
「どうした?」 
 不自然に止まったままの石川を心配して吉澤がやって来た。

「ううん。これ持っていって。」
「うん。」

 吉澤も複雑な想いを抱えていた。
 石川の気持ちに全く気が付いていない訳ではなかった。だからって友達として大切だということには変わりはなく、石川がこのままでいいと望むのならばズルイ考えかもしれないが、それがベストなんじゃないかと考えていた。
 石川の気持ちや周りの事に左右されるほど、後藤への想いは弱いものではないから。それでどうかなってしまうなんてことある訳ないという自信さえ持っていた、この時までは。
90 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時21分30秒
「今日、泊まってくれるよね?」
「あぁ、うん、梨華ちゃんさえよければ。」
「いいに決まってるよ。あのオフロとかは?」
「あー、ごっちんちで入ったから。梨華ちゃんは?」
「入ったよ、よっすぃーに電球替えてもらったし。」
「そっか。」
 
 さも当たり前の様にごっちんちで入ったという言葉を聞いて石川は苦しくなった、嫉妬というひと言では片付けられない気持ち。
 大好きな人が隣にいるのにその人の心の中は他の人でいっぱい、
 そんなやり場のない切なさで胸は苦しくなるばかりだった。
91 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時22分43秒
 しばらくTVを見ていたが吉澤があくびをしたのをきっかけに寝る事にした。

「もう寝ちゃった?」
 ベッドの上から下にひいた布団で寝ている吉澤に訊いた。

「ううん、起きてるよ。どうかした?」
「うん。」
「なに?言ってみ。」
 石川がもじもじしているとガバッと起き上がった吉澤に優しく先を施される。

「うん、一緒に寝てもいい?」
「あーなんだ、そんなことか。いいよ。こっち来る?」
 笑いながらスペースを空ける。
 石川は恥ずかしそうに隣へ。
92 名前:波乱の幕開け 投稿日:2002年07月12日(金)19時24分53秒
「梨華ちゃん変だよ〜、一緒に寝るなんて初めてじゃないじゃーん。なに照れてんのさ。」
「そうだけどぉ。」
 本当は抱きつきたかった、抱きしめて欲しかった。でもさすがにそれはひかれてしまうかもと我慢した。手とか繋ぐぐらいならとさらにもじもじしていると、

「いいよ。」
 吉澤が石川の手をギュと握った。

「ひとみちゃん。」

「あーそれ、なんか久しぶりじゃない?」
「そうかも。」
 いつも心の中ではそう呼んでいるんだよ、と言えるはずもなく。

「おやすみ、梨華ちゃん。」
「おやすみ、ひとみちゃん。」
 石川はこの幸せな時間が少しでも長く続けばいいと思っていた。
 明日になれば吉澤はまた後藤の元に帰ってしまう。
 だから寝るなんてもったいない、ずっとこの寝顔を見ていたい、そう願っていてもすぐに眠りについてしまった。あまりにも心地よいあたたかさに包まれてしまったから。
93 名前: 投稿日:2002年07月12日(金)19時35分57秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>83 名無し娘。様
 初レスありがとうございます、嬉しいです。
 同期はねぇ、自分の力じゃどうにもならないから辛いんですよねぇ。
 はい、頑張ります。

>84 よしごま好き。様
 いつもありがとうございます。支えられてます、ほんと。
 自分は石川さんも好きなんですよね。
 乗り越えさせられるように…プ、プレッシャー(w
94 名前:YUKI 投稿日:2002年07月12日(金)19時36分28秒
リアルタイム更新で読みました(感動
更新おつかれさまです。
早く続きが読みたいっス。
95 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月12日(金)19時46分16秒
自分もリアルタイム!ん〜、私はほんとに大好きになると他の人との絡みはダメになるんですよ・・・。よしごま狂なんで。いしよしは苦手なんです(謝
プレッシャーかけちゃいますよぉ(笑
96 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月12日(金)20時53分53秒
でもいしよしをささやかに・・。
は、置いといて、この話はかなーり好きな雰囲気です。
がんばって下さい。
97 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月12日(金)23時08分46秒
切なすぎる展開にどんどん、はまっていきます。
しかし、>84 の「この時までは」ってなんだ?
よっすぃ〜、頼むからふらふらしないでよぉ(泣)
98 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月13日(土)01時33分41秒
うーん、優しすぎるってのも罪ですな…。そこが魅力なんでしょうが。
よすぃこのアフォー!w
99 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月14日(日)20時00分05秒
 次の日から数日が過ぎても、吉澤と後藤の冷戦状態は続いていた。
 前のように仲良く話してはいないものの、なぜかいつも隣にいるという不思議な現象にメンバー達は困惑していた。こんな事初めてだったから、辻や加護でさえも近寄りがたそうにしていた。
 どうにかしようと保田らが何度かアプローチを試みるも、後藤のほっといてオーラがでまくっていたので結局誰も触れられなかった。

 そしてまた……。
100 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月14日(日)20時01分21秒
「梨華ちゃん、ちょっと。」
 
 控え室に入ってきた石川に吉澤が駆け寄る。
 ドア付近で話しているうえに、こんなに騒がしくては何を話しているかなんて全く聞こえない。後藤は気になってじっと様子を窺っていると、なんと吉澤が石川の肩を抱いて外に出て行ってしまった。ケンカ?しているとはいえ吉澤は後藤の隣にいた、それだけが今の後藤の支えだったのに、今目にした光景に頭の中はパニックになってしまう。
 
 そして考えるより先に体はふたりを追いかけていた。

 
 ふたりは廊下に設置してあるベンチに座っていた。
101 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月14日(日)20時03分00秒
「大丈夫?熱は?」
「少しだけ。」

「薬とかは?」
「朝飲んできたから。」

「そっか、でも休んだ方がいいんじゃん。」
「でも、迷惑かけたくない。」

「んー、それは分かるけど今無理してもっと熱でたらやばいでしょ。」
「そうだけど、今日は後少しだけだし。」

「とりあえず、マネージャーに相談しよ?」
「・・・・・。」
102 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月14日(日)20時04分41秒
「けど、梨華ちゃんが風邪ひくなんてねぇ。」
「バカは風邪ひかないって言いたいの〜、ひどいよぉ。」

「違うよ〜、だって体調管理にはうるさいじゃん、圭ちゃんの弟子だけあって。あー髪かわかさないで寝たでしょ、時々そうやって鼻グズグズさせちゃうくせに。」
「うん、うたた寝しちゃって。」
 
 そんな会話にはふたりの仲の良さが感じられた。
 後藤は自分だけがどこか別の場所に取り残された感覚に襲われた。

「よし、マネージャー呼んでくるからここにいて。」
「イヤ。」
「梨華ちゃ〜ん。」
 子供みたいにイヤと言う石川に吉澤は困ってしまう。

「一緒に行く。」
「ん?」
「ひとみちゃんに傍にいて欲しい。」
 吉澤は声にはしなかったが、差し出した手が石川を受け入れたと後藤には見えた。
103 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月14日(日)20時06分45秒
 それからどうやって控え室に帰ったのか、どれくらいの時間が経過したのかも分からないでいた。
 次に後藤の時間が流れ出したのは、

「あれっよっすぃ〜石川は?」
 という、矢口の声がきっかけだった。

「あーちょっと具合悪いらしくて休んでます。」

「「「えーっ!」」」
104 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月14日(日)20時08分19秒
「大丈夫なの?」
 と保田が。
「本人は大丈夫だって言ってます。」

「カヲリ全然気が付かなかった、ちょっとショック。」
 とリーダー。
「迷惑かけたくないって隠してたみたいなんで。」

「でもよっすぃーは気付いたんだよね。」
 と安倍。
「なんか様子が変だったんで、さっき問い詰めたんですよ。」

「愛の力なのだ、なのれす。」
 と加護、辻。
「そんなんじゃないよ。」
 まんざらでもなさそうな吉澤。
 
 そんな様子を黙って見ていた後藤だが、居たたまれなくなって部屋を出た。
105 名前: 投稿日:2002年07月14日(日)20時26分43秒
ちょっと少なめですけど、更新しました。
レスありがとうございます。

>94 YUKI様
 早く続き読みたいですかぁ?
 努力させていただきますので、また来てね。

>95 よしごま好き。様
 よしごま狂って(w 
 ご期待に添えるよう頑張ります。

>96 名無し読者様
 いしよしをささやかにですね?
 かなーり好きな雰囲気なんて、嬉しいお言葉ありがとうございます。

>97 名無し読者様
 もっとはまっていただけるよう、がんばります。
 吉澤さんにはふらふらしてる自覚がないのが困りもんなんですよねぇ。

>98 名無し読者様
 そうなんです、吉澤さんは優しすぎなので、後藤さんが…。
 今後もヨロシクお願いします。


106 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月14日(日)21時05分34秒
やっぱり優しすぎるのも大変ですよね、ごっちん・・・。でも大丈夫かなよっすぃーは一途だし(自分の中では)
続き期待です。よしごまぁ〜がんばれ!
107 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)21時25分53秒
吉子は優しすぎるよ。お願いだからごっちんの隣にずっといてくれー。
108 名前:YUKI 投稿日:2002年07月14日(日)23時07分38秒
なんかもぉ、悶えながら毎日読まさせていただきます(笑)。
連載モノを読む読者の身悶えっぷりが、痛感できました(笑)。
これからもがんがってください!
109 名前:brett 投稿日:2002年07月15日(月)00時58分40秒
初レスです。この小説大好きです。これからもがんばってください。
応援してます!
110 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月15日(月)19時23分48秒
「ごっちん。」
 部屋を出てすぐに、後ろから伸びてきた手に腕をつかまれた。

「・・・・・。」
「・・・・・。」
 
 追いかけてみたものの何を言えばいいのか戸惑っている吉澤に後藤が口を開く。

「梨華ちゃんの傍についててあげなよ。」
 その冷たい言い方に吉澤も少し不機嫌になる。

「うちがついてても何もしてあげられないし。」
「でも好きな人に傍にいて欲しいでしょ、こういう時は。」


「はぁ?」
「梨華ちゃんのところ行きなよ。」

「ごっちんはそれでいいの?ごっちんはいったいどうして欲しいの?」
 吉澤もイライラしてきて後藤がただの我儘を言っているようにしか思えなくなり、ついつい乱暴な言い方になってしまう。
111 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月15日(月)19時25分32秒
「どうせ何を言っても、梨華ちゃんのことほっとけないとかって言うくせに。」
「そ、そんなこと。」

「そんなことないって言える?」
「確かにごっちんの言う通り梨華ちゃんのことはほっとけないよ、でも。」
 
 ここで『そんなことはない』と言うことは難しいことではない。
 でもそれは真実ではない。
 吉澤はウソの多い世界で生活しているからこそプライベートでは極力ウソをつかないでおきたいと心に決めていた、特に後藤には。
 例えそれが優しいウソだとしても。

「だったらよしこがしたいようにすればいい。あたしには関係ない。」
「はぁー、………分かった。」
 関係ないと言われた吉澤は、深い溜息をついてその場を去った。
112 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月15日(月)19時27分00秒
 後藤は石川が言った

『ひとみちゃんに傍にいて欲しい。』
 
 と言う声が頭の中で何度も何度もリピートされていた。
 素直になれない自分と素直に気持ちを告げた石川。 
 吉澤の気持ちが信じられない訳ではなかった。
 だた言葉が欲しかった、自分を好きだと言う言葉じゃなくって、
 石川を好きではないという言葉が。
113 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月15日(月)19時28分49秒
「撮り終わった順に解散だって〜。」 
 リーダーが叫んだ。
「「「はーい。」」」

「石川ひとりで帰れそう?」
 飯田が心配して声をかけた。

「なんならあたしが。」
 と保田が言い終わらないうちに、
「梨華ちゃんお待たせ〜。」
 妙にハイテンションの吉澤が。

「よっすぃーが一緒に帰ってくれるから大丈夫です。」
 石川がふたりに答えた。
 『大丈夫』その自信に満ちた言葉は、他の誰でもなくて吉澤が一緒をいう事が意味しているのを皆分かっていた。
114 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月15日(月)19時30分17秒
「よっすぃー、襲うなよ。石川は病人なんだから。」
 矢口がちゃかす。

「圭ちゃんじゃあるまいし、襲わないっす。」
「ちょっとよしこ、それどういうことよ。あたしだって病人は襲わないわよ。」
 『病人はって言ったよ今、病人じゃなかったら襲うのかよ!!』
 と心の中でつっこみを入れた凸凹師弟コンビはお互いの顔を見合わせて笑った。

「ちょっとあんた達、笑ったでしょ!人をコバカにした笑い方したでしょ!。」
「してないって。ほらよっすぃーも早く石川連れて帰ってあげな。」
 危機を感じた矢口が吉澤に目配をする。
115 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月15日(月)19時31分37秒
「はーい、じゃぁ梨華ちゃん帰ろう。ではお先に失礼します、お疲れ様でした。」
 
 そんなやりとりを隅の方でボンヤリみていた後藤。
 自分の撮りはまだ残っていた。
 吉澤が自分以外の誰かと帰って行く姿を見るのがこんなにつらいなんて初めて知った。
 
 どうなっちゃうんだろう?絶え間なく襲ってくる不安に必死で耐えるしかなかった
116 名前: 投稿日:2002年07月15日(月)19時41分21秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>106 よしごま好き。様
 今吉澤さんの優しさのベクトルが石川さんに向いてしまってるので…。
 一途なんですけどね。

>107 名無し読者様
 優しさが長所なのですが、過ぎると罪になるんですよね。

>108 YUKI様
 悶えて下さい、痛感してください(w
 これからも応援ヨロシクです。

>109 brett様
 初レスありがとうございます。嬉しいです。
 はい、頑張りますので見守ってやってくださいね。


117 名前:名無し読者。 投稿日:2002年07月15日(月)20時10分22秒
吉澤のバカッ!アホッ!
いくら優しさからとはいえ、ごっちんがかわいそすぎるよぉ。
素直になれないごっちんの気持に気付いてあげる優しさはないのか!

以上、吉澤さんへの怒りのひとことでした。(W
118 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月15日(月)21時16分42秒
ごっち〜ん・・・、素直になれればよっすぃーも戻ってくるんだよぉ。
よっすぃーも自分の気持ちに素直にならないと、ごっちんが好きならがんばれ〜。
119 名前:YUKI 投稿日:2002年07月15日(月)23時19分43秒
うー!!
よしごまのケンカ、見たくない……。リアルでは(笑)。
なんか、一時期離されてた時とか、見ててつらかったなぁ。
なんか、そんな時期のことを思い出して……。痛いよぉ。
やっぱりごっちんはよしこのそばにいてほしい(願望)
早く謝れ、吉澤ぁぁ!(笑)
120 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)02時21分38秒
ごっちん素直になってくれー!
よっすぃーもすぐに不機嫌になっちゃダメぢゃーん!
ああ、でもすんなり行かないのが恋愛の面白いところ(と面白がってみる)
いしかーさんの心中も気になるトコロ…
121 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)21時04分59秒
このままいしよしで(w
作者様頑張って下さい。期待してます。
122 名前:名無し娘。 投稿日:2002年07月17日(水)23時18分07秒
何故だろう…よしごまだと、喧嘩してもどこか安心感があるのは(w
喧嘩するほど仲が良い、などと自分を落ち着かせつつ、そわそわしながら
見守っています。フタリトモスナオニナレヨー!
123 名前:お願い 投稿日:2002年07月18日(木)10時21分18秒
うーん高校時代に彼氏に纏わり付く石川タイプの後輩にキレて
別れた経験有り。
ここの小説読んであの時の苛立ちを思い出してしまった。
くっそー!!
ここは絶対絶対絶対絶対、ごっちんに頑張ってもらいたい。
124 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月18日(木)18時30分09秒
 ひとり部屋に帰った後藤は、
「あーつまんない。」
 誰に言うでもなく、ベッドに乱暴に倒れこみ叫ぶ。

 その理由は分かりきっていた。
『隣に―――いないから。』
 最近一日がとてつもなく長く感じる、夜だってかなり長い。
 そして吉澤がいない自由時間なんて、まるで意味がないことを知った。
125 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月18日(木)18時33分36秒
 ―――今までどうやって過ごしてきたんだろう。  
     あなたと出逢う前は、どうやってこのつまらない時間を
     楽しんでいたんだろう。
     どうやって笑ってたんだろう、息をしていたんだろう。
     
     こんなに淋しいのに苦しいのに辛いのに、不思議と涙はでなくって。
     
     ねぇ、よしこは知ってた?
     あなたがいないとあたしは笑い方も息をする事さえ
     忘れてしまいそうになるってことを。
126 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月18日(木)18時36分03秒
 ひとりで横たわるベッドの広さが一層淋しさを誘う。
 そして思い出した、矢口に言われたことを。

『前からね、変な癖だなぁって思ってたんだけど、
 よっすぃーってね、寝るとき必要以上にベッドの端に寄って寝てるんだよね。
 最初はたまたまかなと思ってたんだけど、どうやらいつもなんだよね。
 圭ちゃんも不思議な癖だなって思ってたらしいよ。
 でも今解決した。ごっつぁんも端に寄って寝てた。
 それもよっすぃーはいつも右に寄ってたし、ごっつぁんは左側なんだね。
 なんか羨ましいよ、隣にいなくても一緒なんだね、ふたりは。』
127 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月18日(木)18時38分05秒
―――でもね、やぐっつあん、一緒にいたいよ。
    温もり感じてたいよ、手を繋いでいたいよ、指絡めていたいよ。
    キスして欲しいよ、抱きしめて欲しいよぉ。
    よっすぃ〜、ごとーはよしこが傍にいないとダメだよぉ。
    もうどうにもならないくらい好きなんだもん。

    そうだ、そうだったんだ。
    あたしはよしこが好きなんだ、それでいいんだ。
    梨華ちゃんがとか、そんなのどうでもいいことだったんだ。
    ごめんねよしこ、もう大丈夫だから。
   
    だから、だからね、ケンカすると大抵はよしこが折れてくれたよね、
    そうじゃない時は謝るタイミングくれてたよね、
    だからそれをあたしに下さい。
    
    そうしたら、大好きって言えるから。
128 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月18日(木)18時40分18秒
 ところ変わって石川の部屋。

「よっすぃー。」
「うん?」

「・・・・・。」
「何?また手繋いでとか言っちゃう?」
 いつものように吉澤は石川をからかう。

「違うもん、そんなことしたら風邪うつちゃうし。」
 手を繋いだぐらいじゃ、うつりはしないだろうが。
129 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月18日(木)18時41分18秒
「んーでも同じ部屋にいるんだから同じじゃん。」
「ごめんね。」
「違うって、そういう意味じゃないって。」
「・・・・・。」
「なんだよ〜、おーい梨華ちゃ〜ん。」
 最近は影を潜めていた石川のネガティブモードのスイッチが入ってしまわないように、吉澤は慌てて明るく振舞おうとするが、もう間に合わなかったようだ。

「梨華ちゃ〜ん。」
「・・・・・。」
 吉澤はどうしたらよいものか思いつかず、石川の髪を撫で「おやすみ」と小さく言った
130 名前: 投稿日:2002年07月18日(木)19時06分41秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>117 名無し読者。様
 そのお怒りのお言葉、しかと頂戴いたしました(w
 今はお互いの気持ちがすれ違ってしまってるので…。

>118 よしごま好き。様
 いつも、ありがとうございます。
 ここの二人は、分かり合いすぎていて、
 うまくいかないみたいな感じでして、もうしばらく…。

>119 YUKI様
 自分も見たくないです、よしごまケンカ、リアルバージョンは。

>120 名無し読者様
 レスありがとうございます。
 石川さんの心中は複雑みたいです、そこうまく書けるといいのですが。

>121 名無し読者様
 いしよしも好きなんで…。
 はい、ありがとうございます、頑張ります。

>107 名無し娘。様
 ケンカすることによって、よりいい関係になったりもしますよね。
 そうなる事を祈ってっていただけたら…。

>107様
 苛立ち思い出させてしまってすいません。
 ごっちん頑張りますので、今後も応援していただけるとありがたいです。
 
131 名前: 投稿日:2002年07月18日(木)19時10分50秒
間違えました、本当に申し訳ないです。

>122 名無し娘。様
>123 お願い 様    です。失礼しました。
132 名前:皐月 投稿日:2002年07月18日(木)20時58分53秒
吉澤どうしちゃうんでしょうかね?
もしや浮気とか????
133 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月18日(木)21時32分57秒
やっとごっちんが!後はよっすぃー次第だ、がんばれー!!
134 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月18日(木)23時33分40秒
ううっ・・・間に合ってくれー。
ごっちんの気持ちがよっすぃ〜にちゃんと届きますように。
135 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月19日(金)19時38分15秒
 吉澤は喉の渇きに目が覚めた。
 枕元に置いた携帯に手を伸ばす。
 まだ四時。
 真っ暗な部屋、自分の記憶を頼りに寝室を出てキッチンへ向かう。
 案外スムーズに冷蔵庫までたどりつけた自分が何だか笑えた。

 ―――そういえば梨華ちゃんと出会ってもう二年以上経つのかぁ。
     でももっと一緒にいるような気がするな、
     幼馴染ってやつでもおかしくないくらい。

 そんなことを思いながら冷蔵庫の冷たい空気があまりにも気持ちがよくってドアを開けたまま、それだけの明かりの中に座り込んでしばらく涼んでいた。
136 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月19日(金)19時39分58秒
 すると急に背中に感じるあたたかさと重み。

「んーどうした?」
 前からは冷気、後ろからは体温。
 なんともいえない不思議な状況に戸惑うと同時になんかいいかもなんて思ったりもしたが、さすがにきつくなってくる。

「いなくなったかと思った。」
 聞き取るのがやっとの弱々しい声。

「いやー喉渇いちゃってさ。」
 吉澤は立ち上がって中から紅茶のベットボトルを取り出して石川に見せると、石川は黙ってコップを用意した。
137 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月19日(金)19時42分08秒
 石川はソファに移動する間もよっぽど不安なのか、ずっと吉澤のシャツのすそを握ったまま離さないでいた。

「目覚ましたらいないんだもん。」
 吉澤は瞳に涙を浮かべる石川の肩に手を置いた。身体の震えが伝わってくる。

「怖い夢でも見た?」
 優しく微笑む吉澤の顔を見た途端、石川は堪えきれず「怖かったよぉ」と吉澤の腕の中に飛び込んだ。

 シーンとした部屋の中、石川の涙の音だけが響く。

「もう大丈夫だから、ちゃんとここにいるから。」
 吉澤は子供のように泣く石川を抱きしめる腕に一層力を込める。
138 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月19日(金)19時44分13秒
 少し落ち着いたのを見計らって、石川の顔を覗き込んで尋ねる。
「もしかしてここ最近ちゃんと寝れてない?」
 ここのところ時々楽屋で居眠りをしている石川に気付いてはいた。
 自分や後藤は暇さえあれば寝ているが、石川の寝る姿を見ることはあまりなかった。それなのにめずらしい、疲れてるのかなとさして気に留めていなかったことを吉澤は後悔した。

「この前言っていたいやがらせみたいの続いてたの?」
 怖い夢を見るなんて子供のようだが、身体が震えるなんてよっぽどの事なんだろうと思えた。
 その原因を想像するに吉澤が思い当たる事といえばこの事で。

「ううん、もうないけど。時々夢見ちゃうの、だから眠るのも怖くて。」
「そうだったんだ。ごめんね、気付いてあげられなくて。」
139 名前:隣にいて欲しい 投稿日:2002年07月19日(金)19時47分21秒
 吉澤はただ単純に守ってあげたい、傍にいてあげたいと思った。
 目の前にいる彼女がとても愛おしく感じた。
 
 だけど目を閉じて想うのは別の彼女のことだった。
 あたしには関係ないと言った時の後藤の顔が浮かぶ。
 
 ―――ごっちん、ごめんね。苦しめてるよね、泣かしてるよね。
     でもね、ごっちん。
     ごっちんが言ったとおり、
     やっぱり梨華ちゃんの手を離すなんてこと、
     今は出来そうにないよ。
140 名前: 投稿日:2002年07月19日(金)19時49分24秒
「よっすぃーごめんね。」
 吉澤の心の迷いが伝わってしまったのか、石川が申し訳なさそうにする。

「なに謝ってんだよ〜、ほらまだ時間あるし寝よ!」
「うん。」
 
 石川にしても素直にこの状況を喜んでいる訳でもない。
 後藤に対して後ろめたい気もしている。
 
 が、私は大丈夫、ごっちんのところに帰っていいよ、とは言えなかった。
 吉澤がここにいてくれるのは、友情でしかないと痛いくらい分かっていても、
 その手を自ら離す気にはなれなかった。

 やっと手を掴める位置までこれたのだから。
 
 たとえその瞳が他の誰かしか見ていなくても。
141 名前: 投稿日:2002年07月19日(金)19時59分50秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>132 皐月様
 どうしちゃいましょうか?(w
 今も見ようによっては浮気チックなんですけどね。

>133 よしごま好き。様
 はい、あとは吉澤さん次第なんですが…。

>134 名無し読者様
 吉澤さんの気持ちはどんどん複雑になってしまったみたいです。
 ごっちんのまっすぐが伝わるように、見守ってやってください。


142 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月19日(金)21時09分28秒
よっすぃー!守ってあげるのはいいけど愛情はダメだぞ!!愛情はごっちんにだけだYO!
143 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)21時26分54秒
だんだん吉子が梨華ちゃんワールドに填まってゆくー。吉子〜、ごっちんだけを守ってあげようよ〜。相手が違うよ!
144 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)21時42分14秒
んむー、胸が痛みます・・・。
こりゃヤパーリごっちんに肩入れしてしまうですね。

毎回悶えながら更新待ってます。
焦らし上手です、作者さんw
145 名前:お願い 投稿日:2002年07月19日(金)21時58分17秒
ごっちんがんばってー!
なんか出来る事あったら手伝うから!
146 名前:YUKI 投稿日:2002年07月20日(土)01時38分58秒
ごっちん、がんばれー!
なんつーか、これからの展開を考えると、痛いです……。しくしく。
ゴノレゴを派遣して、石川暗殺?とか思ってしまう(笑)。
優しさも、時に人を傷つけてゆく……。はぁぁ。
147 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)18時57分49秒
 次の日、後藤は吉澤にまっすぐに自分の気持ちを話そうと思ってチャンスを窺っていた。
 しかし、十三人という大所帯、自然に二人になるなんてことは無いに等しい。
 以前だったら目で合図して抜け出したり、部屋の隅で寄り添うことは簡単だった。
 だから、いざやろうと思っても、どうすればいいのかが分からない。
 
 それに今、吉澤の横にはいつも石川がいる。それは石川が、とういよりも吉澤の意思が感じられた。
 
 昨晩の決心が揺らぐ。
 頭では理解していても、心がザワつく。
148 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時00分56秒
 そんな後藤の様子に吉澤が気付いていないはずはなかった。
「ごっちん。」
 帰る間際になってようやく、ずっと何か言いたげにしていた後藤に吉澤は声をかけることが出来た。

「あのさ。」
 吉澤が言いかけたとき、
「よっすぃー、帰ろ。」
 石川がタイミングよくなのか悪くなのか、吉澤の後ろから呼んだ。

「あぁ、うん。」
「よっすぃー昨日DVDとコンポつなげてくれるって言ったよね、だから帰りに。」
 石川には後藤の姿が吉澤に隠れて、丁度見えなかったらしく、
 吉澤の隣に歩み寄って初めてその存在に気が付き、少し申し訳なさそうな顔をして、

「あっ、ごめんね。外で待ってるから。」
 と、ひとり先に出て行ってしまった。
149 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時02分52秒
 残されたふたりはどこか気まずい空気のまま、ただ黙っていた。
 それを先にたえられなくなったのは、後藤だった。

「梨華ちゃん待ってるんでしょ、早く帰れば。」
「………うん、そうだね。じゃまた明日ね。」
 
 後藤は、こんなことを言いたかったのではなく、
 吉澤だって答えたいことはこんなんじゃなかった。
 
 なぜかふたりとも素直になれず、目を見れば分かりあえたなんて、はるか昔のことのようだった。
150 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時03分53秒
 吉澤と石川が帰っていった後、後藤はなかなか帰る気になれず、ひとりポツンと残っていた。
 
 ―――なんであんなこと言っちゃたんだろう。
     昨日ちゃんと言おうと決めたのに。
     梨華ちゃん見たら、言えなかった。
     当然のようによしこに寄り添う梨華ちゃん見たら、言えなかった。
151 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時06分08秒
「あれっ?ごっつぁん、まだいたんだ。」  
 そこへ、セクシー隊長登場。

「うん。」
 あきらかに元気のない声に矢口は気付かない振りをしつつ、バタバタと帰り支度を始める。

「あのさぁ、もし時間あるならゴハンつきあってくれないかな?おなかペコペコでさ、家までもちそうにないんだよね。」
「うん。」
 肯定的な返事をしたものの、全く乗り気でない後藤に矢口はどうしたものかと頭を悩ます。

「ほら、行こうよ。」
 矢口の元気な声にほどこされ重い腰をようやくあげた後藤の頭の中は、またもや吉澤のことでいっぱいだった。
152 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時08分31秒
―――そういえばよしこ言ってたよね。
   
    『矢口さんは周りの空気の色を変えられる人なんだよねぇ。
     それは気を使ってるってとこが大きいのだろうけど、
     そこにいるだけで周りの色が明るくなる、
     うちは矢口さんを尊敬してる。』って。

     うん、あたしもそう思う、今やぐっつあんに会えて救われたかも。

「ごっつぁ〜ん。」
「うん、行こう。」
 後藤は矢口のさりげない明るさによって、意志の強い瞳を取り戻した。
 明日、明日こそちゃんと吉澤に話せる気がした。
153 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時11分48秒
 眠れない。
 吉澤は寝返りを打とうとしてやめた。体は疲れているのに頭がさえる。
 あまりに疲れすぎているとそうなる場合があるというが、それとは違う。
 
 原因はひとつ。
 
 夜明けにはまだ早い。
 カーテンの隙間からこぼれる月明かりに照らされている彼女の寝顔を眺める。
 気持ちよさそうに眠っている、いやそう思いたいだけかもしれない。
 
 そんな彼女から右腕を引き抜き、ベッドから抜け出した。
154 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時13分57秒
 寝室を出てリビングのフローリングに横になる。
 そのままじっと天井を見つめる、ひんやりした板が気持ちいい。
 
 何か言おうとしていた後藤の顔が浮かぶ。
 分かっていたのに、そのきっかけを作れなかった自分がくやしくてならない。
 
 こんなことでダメになるはずはないと思っていた。
 けど、今はもうそんな自信はない。
 というよりも、自分の我儘で自分勝手な行動で後藤を苦しめているのを分かっていても、自分を変えることが出来ないから………きっとこれからだって傷つけてしまうから………。
 
 でも………。
155 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時16分31秒
 そういえば後藤と一緒の時は眠れない夜なんてなかったんじゃないかと気付く。
 
 うつ伏せで寝るのが好きな吉澤の背中に、いつも張り付くように後藤は抱きついていた。
 いくら暑いって言っても「いいんだもん」って言う後藤がすごくかわいくて、わざと意地悪を言ったりもした。
 
 『誰かのぬくもり感じてるとね、安心してよく眠れるんだって。』

 そう言った後藤の言葉を思い出した。

 
156 名前:言えない言葉 投稿日:2002年07月21日(日)19時18分08秒
 ―――ごっちん、それは誰かじゃダメみたいだよ。
 
 そんなことはじめから分かっていた、そう誰もが分かっていた。
 ただ口にしなかっただけ。
 何かを壊してしまうのが怖かったから。
 
 
 眠れない夜は色々なことを考えすぎる。

 ただ月明かりを浴びたいだけなのに。
157 名前: 投稿日:2002年07月21日(日)19時33分36秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>142 よしごま好き。様
 愛情はごっちんにだけそう出来ればいいのですが…。

>143 名無し読者様
 梨華ちゃんワールドはかなり手強いです(w
 書いてる人が、かなりはまってるので。

>144 名無し読者様 
 後藤さんを応援している人が多いようで。頑張らせるつもりでおります。
 焦らし上手ですか?なんかスゲー嬉しいです。

>145 お願い様
 手伝ってやってください。応援していただけるだけで、もう。

>146 YUKI様
 石川さんを責めないでやってください。
 悪いのはすべて、この私ですので。
 オイラを暗殺するなら、この話が書き終わったらにしてね。


 



158 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月21日(日)21時42分05秒
今回はごっちんが素直に言うのかと思っていましたが・・・焦らしますねv
続きがんばって下さい。
159 名前:YUKI 投稿日:2002年07月22日(月)02時56分49秒
あーもぉ。お互い素直になってくれーー!
あとは矢口さんだけが頼りです。がんがれ矢口!

あ、ゴノレゴはネタってコトで(笑)。
160 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時26分49秒
「よっすぃー何してんの?」
 矢口がドアを開けると、目の前に吉澤の長い足が。

「あっ、矢口さん。なにって見ての通りですけど。」
「見ての通りってお前はあばれはっちゃくか!」
「何です、それ?」
 吉澤はそのままの体勢で矢口を見る。

「父ちゃん情けなくって涙でてくらぁい、だよ。」
「はぁ?」
 吉澤には何のことだか、さっぱり分からない。

「で、閃いたの?ちなみに矢口は二代目が一番好きかな。」
「だから、何ですかそれ?」

「まぁ、いいよ。それよりもういいかげんにやめない?逆立ち。」
「はい。」
 吉澤はやっと逆立ちをやめて、矢口と向かいあって座った。
161 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時28分56秒
「何で逆立ちしてたの?」
「あーなんかつまっちゃった時とか逆立ちしたくなるんです。」
「ほぉ。」
 矢口は心の中でやっぱりこいつ、はっちゃくじゃんと呟いた。

「逆立ちすると、再確認できるんです。二次元じゃなくて三次元的思考で解決しようって。進む方向は前か後ろだけじゃなくて、上にも下にもあるぞって。」
「はぁ、よっすぃーって案外考えてるんだ。」
「案外って失敬ですね。」

「あーごめん、ごめん。それで考えはまとまったの?」
「いや、まだです。」
 吉澤の頭の中は、どう考えても同じ場所をグルグル回っている感じでちっともスッキリしない。
162 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時31分34秒
「ごっつぁんとのこと?」
「・・・・・。」
「たいしたアドバイスは出来ないかもだけど、話してみなよ。よっすぃーが悩んでるの見るの矢口も辛いよ。」
 そうなのだ、矢口は吉澤の笑顔が好きなのだ。
 あの、きっと周りの人から愛されて大切にされて育ったんだろうなと思わせる
 まっすぐな笑顔が。
 でも最近はそれを見ることが出来なかったから。
 
 そんな優しい言葉をもらって、吉澤は矢口にならと思い話してみることにした。
 石川の傍についていてあげたいと思っていること、
 その為に後藤を傷つけてしまっているということなど、今心にあるすべてを。
163 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時35分05秒
「あのさ、何か勘違いしてない?」
「はい?」
「自惚れすぎだよ。」
「・・・・・。」
「だってそうじゃん、ごっつぁんを想っているよっすぃーなんかに優しくされても、石川だって苦しいんじゃない?それに今、誰か幸せになれてる?」
 矢口の言い方は少し乱暴だったが、それがかえって吉澤の目を覚まさせた。
 
 矢口にははじめから分かっていたのだろう、今の吉澤に必要なのは力強く背中を押してやることだと。
164 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時36分47秒
「よっすぃーはさ、梨華ちゃんの力になりたいだとか、そんなことばっかり考えてるけど、よっすぃーは誰と一緒にいたい訳?誰に隣にいて欲しいの?」
 吉澤は矢口に言われて自分の考えがひどくひとりよがりなことに、改めて気付いた。

 ―――自分の隣にいて欲しい人なんて考えなくったって決まっている。
     ごめんね、ごっちん。
     ごめんね、梨華ちゃん。

「石川はレッスン室、ごっつぁんは屋上、さっさと行ってこい、この色男!」
「はい。」
 吉澤は深々と頭を下げ「ありがとうございました」と告げると、走り出した。
165 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時37分59秒
「よっすぃー。」
 矢口が叫ぶ。

「はい?」
「今度、焼肉おごってね〜。」

「はい、もちろん石焼ビビンバ大盛りもつけますから楽しみにしてて下さい。矢口さん愛してますよ〜。」
「バーカ。」
 矢口はこの愛すべきバカ弟子にいつものとびっきりの笑顔が戻って一安心した。
 そして矢口っていい奴じゃんと言ってみた。
166 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時40分00秒
「梨華ちゃんごめん、今日一緒に帰れない。」
 ドアを開けるなり言う。
 石川の顔を見てしまったら、きっと言えなくなってしまうから。

「うん、………ごっちんだよね。」
 石川だって目をつぶっていた訳ではない。
 誰よりも吉澤を目で追っていたのだから。

「うん。」
「………ごっちんには、いっぱいいるのに?」
 石川は負けると分かっている試合でも、最後まで諦めるのはよそうと誓っていた。
 かっこ悪くても足掻いてみようって。
 今まで勇気を出せずにいたから。 
 いつも後悔してたから。
167 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時41分55秒
「えっ?」
「ごっちんはたくさんの人に守ってもらえてる。保田さんも安倍さんも……市井さんもいる、いるのに。私はひとみちゃんだけいてくれればいい、だから。」
 前に後藤も同じこと言ってたよなぁ、なんて思い出しながら吉澤はゆっくりと話し始める。

「うん、そうだね。ごっちんはうちじゃなくっても守ってくれる人はいるよね。」
「だったら。」
「でも、でもね。うちが、うちがごっちんじゃなきゃダメなんだ。自惚れかもしれないけど、お互いが支え合ってるって思えるから。そういうのって大切だから。」 
 
 吉澤が発したその素直な気持ちは吉澤自身の中に染み渡っていった。
 声にすることで一層その想いは強くなっていった。
168 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時43分53秒
「ごめんね。それでも梨華ちゃんがうちを必要としてくれるなら。
 ………ごめん、残酷なこと言ってるよね。」
「ううん。」

「梨華ちゃんは大切な親友だから、娘。っていう枠を取っ払ったとしても、それに変わりはないし失いたくない。自分勝手だけど。」
「ありがとう、よっすぃー。うん、親友だよ、ずっとずっと親友だよ。」

 石川の心の中は案外落ち着いていた。
 こうなることがあらかじめ予想されていたこともあるし、親友としてだけど失いたくないって言ってくれたことが嬉しかったから。

「早くごっちんのところ行って、抱きしめてあげて。」
 
 これは石川の精一杯の強がり。
 
 そして愛する人の元へ向かう親友の背中を見送った。
169 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時46分15秒
 ドアの閉まる音がやけに響いた。
 するとそれはすぐに開かれた。

「石川、よく頑張ったね。」
 優しい声が降りそそぐ。

「もっと褒めてください。」
「うん。よく頑張った、えらかったよ。」
「やぐちさ〜ん。」
 もうそこからは涙がとめどなく溢れ出てきた。案外大丈夫なんて思ってたのに。

「あんなヘタレはごっつぁんにくれてやれって。石川にはさもっといい人現れるって。」
「でも〜、よっすぃ〜がいいんだもん。うえーん。」

「うえーんって今時、幼稚園児でもそんな泣き方しないぞ。」
 矢口は苦笑いしながらも、石川の髪を撫でつづける。
170 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月22日(月)19時48分16秒
「だって〜、うわーん。」
「うえーんとかうわーんとか五月蝿い奴だな。はい、はい、分かってますって。いい人ちゃんと紹介するから。」

「ほんとですか?」
「うん、よっすぃーなんかよりもっと頼りがいあるし、大人だし。気前いいし、一途だし。そろそろ来ると思うよ、さっき呼んどいたから。」
 
 すると、恐ろしいリズムを刻みながら近づいてくる足音。



「はぁはぁ、石川が大変ってどーいうことよ!!」

「じゃ、あとはヨロシクね、圭ちゃん。」
171 名前: 投稿日:2002年07月22日(月)19時56分02秒
更新しました。 
レスありがとうございます。

>158 よしごま好き。様
 はい、書いている本人もいい加減にしろよ!って思ってましたから(w

>159 YUKI様
 矢口さん頑張ってみました、どうでしょう?


172 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月22日(月)21時29分32秒
やっとよっすぃーも気付いた、てかやぐっちゃん・・・ありがとぉー!やっぱいしかーさんには圭ちゃんがいいなv
次くらいでラストですか?もっといろんな凪さんのよしごま読みたいです。
173 名前:YUKI 投稿日:2002年07月23日(火)00時26分19秒
わーい、やすいしだーーー!と展開に期待大!
今日も嬉しい更新だ♪
174 名前:カム 投稿日:2002年07月23日(火)04時04分20秒

更新お疲れさまです。
雨ふって地固まるっていうか、適材適所っていうか(w
みんなしやわせになれそうでホっとしました。
さ、あとはヨスィの頑張りに期待して待ってます(w
175 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月23日(火)07時23分29秒
収まるトコロに収まってくれそう…ほっ
しかし、はっちゃくって…このネタがまる解りなぢぶんが哀しい気もする。

>>すると、恐ろしいリズムを刻みながら近づいてくる足音。

馬みたいにタカタッタカタッ……って?(笑
176 名前:お願い 投稿日:2002年07月24日(水)18時32分41秒
矢口さん感謝します。
ああ…、馬鹿みたいに感情移入しっちゃってる自分がいる。
もう、私はほとんどごっちん!
……ずうずうしいか、やっぱ。
177 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)19時51分30秒
 吉澤は屋上に向かう途中、いったい何をどう話せばいいのか必死に考えた。
 けれどもいい言葉が見つからない、彼女との物理的な距離はどんどん縮まっていく。
 
 そして屋上に到着。
 
 そっと重い扉を開ける。

 きれいな長い髪をサラサラと風に揺らしている後姿に、躰の奥底から痛いほどの切なさが湧き上がってくるのを感じ、しばし見とれる。
 その今にも消えてしまいそうな、そんな彼女を抱きしめたい、純粋にそう思った。

 「よし。」小さく気合を入れる。
178 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)19時53分53秒
「ごっちん。」
 
 はじめから吉澤が来るのを知っていたかの様な微笑で振り向いた後藤を見て、吉澤から自然にこぼれ落ちた言葉。


「ごっちん、ただいま。」
 

それを受けた後藤もごく自然に答える。


「おかえり、よしこ。」

 
 お互いが欲していたぬくもりをふたりで分け合う。
 心にあった灰色がスーッと消えていく。
179 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)19時56分42秒
「よしこ。」
「うん?」 
 
 言いたいことはたくさんあるのに、声にすることが出来ない後藤を腕の中にすっぽりと収めた吉澤が、優しく耳元でささやく。

「好きだよ。」
 
 身体を少し離して右手で上を向かせる、最初は軽く、だけど何度も何度も。
 おでこに頬に瞼に鼻にそしてまた口唇に。
 
 ふたりの体温が混ざり合った時にはもう、すべてが解決していた。

「‥‥‥んっ‥‥。」
 
 どちらのものともとれない声の後、お互いの存在を確認するかのようなキスを終えて、顔を赤くしたふたりは見つめ合った。
180 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)19時58分55秒
「伝わったよね?」
「うん、伝わった。」
「なら、よかった。」
「うん。」

「でもね、いろいろ考えたからちょっと聞いてね。」
「うん。」
 
 吉澤はひとつ大きな深呼吸をした。そして始める。

「例えばさ、メンバーが溺れてたとするじゃん。ごっちんは誰から助ける?」
「はぁ?」
 
 聞いてね、と言ったくせに突然質問。当然、答えられるはすもない。
 話の展開が急すぎる。まぁ吉澤にはよくあることだが、いくら一番の理解者の後藤であってもしばしばついていけない事がある。

「だから、仮にロケバスかなんかが横転して海にドボンってなっちゃたとして、ごっちんは誰から助ける?」
181 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時02分30秒
 そんなありえない状況を想像しろって方が難しいのに、質問した吉澤は真剣な面持ち。したがって後藤も真剣にならざるを得ない。

「うーん、そうだなぁ。まずは、加護か辻かな。」
「その後は?」

 中途半端な答えじゃ納得できないらしい吉澤にいよいよ本気でこの問題に挑む後藤。

「新垣・紺野・高橋・小川。」
「うん。で?」
「梨華ちゃん・圭ちゃん・カヲリ・やぐっつあん・なっち。」
「最後にうち、ね。」
「‥‥ごめん。」
「ううん、うちも同じような順番だったし。」
 
 なんだかとても嬉しそうな吉澤に後藤は戸惑うばかり、
 それを見透かしたように吉澤はまだ質問を続ける。
182 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時04分42秒
「じゃぁ、どうしてそんな順番になったか言ってみて。」
「うん。・・・まずはね小さい子達からって、で一番近くにいる子って考えたの。ということはいつもあたし達の側にいる加護と辻かなって。」
「うん。」

「あとは、小川は水泳得意らしいからとりあえず最後の方かなぁって。梨華ちゃんと圭ちゃんは泳げなさそうだから先で、やぐっつあんはこういう時も冷静に対処できそうだからその後で大丈夫かな。でなっちは泳ぎ得意って言ってたし。よしこはね、どっちかと言うと助けられる側じゃなくて助ける方にまわってると思うの、だから。」

「うん、よく出来ました。」
「ふぇ?」

 ニコニコと頭を撫でてくる目の前の彼女を理解するのはとても難しい。
183 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時08分37秒
「それってさ、まぁ多少愛情が絡んでくるとは思うけど、弱いものから助けていこうって事だよね。好きとか嫌いとか言ってる場合じゃないよね。」
「うん、そうだけど。」
「そういうことだよ。」

 どういうことだよ!思いっきし、つっこみをいれたくなる後藤だが、ここは我慢して次に出てくるだろう解説に耳を傾ける事にした。というより解説しろと念じてみた。

「うちは、梨華ちゃんが困ってたらすぐに飛んでって助けてあげたい。
 加護が泣いてたら傍にいて肩を抱いてあげたい。
 辻が悩んでたら話を聞いてあげたいし一緒にバカやって笑わせてあげたい。
 もちろん、ごっちんもさ。
 うちを必要としてくれる人がいたらその手をしっかり掴んであげたい。
 その為にごっちんに寂しい思いさせちゃうかもしれない、
 けどね、それはうちがうちである限かえられない、
 そんなの嫌だけど辛いけど…。」
184 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時11分06秒
 さっきまでの真剣ではあるがどこかのほほんとした雰囲気とはうって変わって少々重い空気に変わる。
 きっと一所懸命考えたんだろう吉澤の心からの言葉に後藤の心も熱くなる。
 吉澤の優しさが充分に伝わってくる。

 そして後藤の頭には最初から吉澤との別れなんて存在すらしていなかった、
 だからいつもの笑顔でこう答えるのだ。

「もし、ごとーがよしこを呼んだら真っ先に来てくれるんだよね?」
「もちろんじゃん、つーか、誰かがうちを呼んでないときはずっとごっちんのところにいたいし。本当に自分勝手だと思うけど。」
「なら、いいよ。」
「ん?」
「そんな時には寂しいけど、ちょっとやきもち妬いちゃうかもしれないけど、よしこの事貸してあげてもいいよ。誰にでも優しいよしこにはちょっとムカツク事もあるけど、そんなところも好きだから。」
185 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時13分54秒
「ごっちん。」
「あはっ。」
 
 微笑んだ後藤の瞳から真珠が落ちた。

「泣かないで。」
 
 吉澤はたまらず抱き寄せた。

「鼻水付いちゃうよ。」
「ごっちんのなら大歓迎です。でも、目腫れたら怒られるよ‥‥‥うちが。なにごっつぁん泣かしてるんだよって。」
「いいんだもん、泣くんだもん。」
 
 後藤は泣いているのにもかかわらず、嬉しそうで。
 だから吉澤は怒られてもいいかなと思えた。
 保田の的確で厳しいひと言も、飯田の例え話の長いお説教も。
186 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時15分47秒
「あのね、わかったことがあるんだよ。」
「なに?」
「よしこはあたしを泣かせることが出来るんだよ。」
「ダメじゃん、それじゃ。」
「違うよ、いいことなんだよ。」
 
 訳わかんないです、後藤さん、これは吉澤の呟き。

「だってよしこがいるから泣けるんだもん。」
「ん?」
「よしこが傍にいないと泣くことも笑うことも、息をすることさえ出来なくなるんだよ、ごとーは。
 
 ‥‥‥だからずっと一緒だよ。」
 
 顔をあげた後藤の頬を濡らす涙は何よりも美しかった。

「うん、一緒だよ。」

 見慣れた街の景色も、周りのビルの明かりも、ふたりの髪を揺らす風も、いつだって見守ってくれていた月も、ふたりを包むすべてが祝福していた。
187 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時16分52秒
「帰ろっか。」
「うん。」
 
 そしてふたりは手を繋いで家路を急ぐ。
 
 もちろん帰るは後藤の家。ふたりのあるべき場所。

「ごっちんのオムライス食べたいんですけど。」
「じゃ、買い物して帰ろうね。吉澤くんあなたを荷物係に任命します。」
「はい、料理長。とびきりおいしいやつ頼みますよ。」
「まかせなさい。愛情たっぷり入れちゃうもん、あはっ。」
「もう、ごっちんかわいすぎ。」
188 名前:言いたかった言葉 投稿日:2002年07月24日(水)20時21分00秒
 ―――もう大丈夫、これから何があってもこの手は離さないよ。
     誰よりもごっちんが好きだから、大切だから、必要だから。
    
     そう、キミと並んで歩いていこう。
 

 ―――もう大丈夫だよね、これから何があってもこの手を離さないでね。
     誰よりもよしこが好きだから、大切だから、必要だから。
    
     そう、あなたに並んで。


  THE END
                           
189 名前: 投稿日:2002年07月24日(水)20時40分20秒
最後の更新でした。
応援してくださった方、ありがとうございました。
初めてだったので、うまくいったか分かりませんが…。

レスありがとうございます。

>172 よしごま好き。様
 いつもありがとうございました、感謝しています。
 そう言っていただけて、光栄です。書けたらいいなとは思っています。

>173 YUKI様
 ごめん、やすいしはないです。
 途中削った、なっち編なら書けますが。

>174 カム様
 はい、やっぱりなな展開ですが、一応まとめられたのでホッとしてます。
 カムさんのも楽しみにしてますよ!

>173 名無し読者様
 歳の話は触れない方向で…。
 はい、足音は想像どおりです(w

>176 お願い様
 感情移入ですか?それ、スゲー嬉しいです。
 いえ、ごっちん気分でお読みください(w

これにて終了です、ありがとうございました。

 

 
190 名前: 投稿日:2002年07月24日(水)20時43分58秒
あー最後にやってしまってました。

 >175 名無し読者様 です。ごめんなさい師匠。
191 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月24日(水)21時40分29秒
感動しました〜なんか涙が出てきます。ナッチ編も読みたいなぁ(w
もっとよしごま読みたいです、バカップルよしごまとか(w
192 名前:ルパン4th 投稿日:2002年07月24日(水)22時06分26秒
完結お疲れ様です!連載当初から楽しみに読んでいました。
三角関係にハラハラしてましたが、よっすぃ〜とごっちんのヨリが戻ってホッとしました。
すばらしい作品をありがとございました。
193 名前:YUKI 投稿日:2002年07月25日(木)00時12分47秒
あぁ、よかった………。
なんか、ホッとしました。
つーか、やすいし編が抜けてるのは………(笑)。

また書いてください。ぜひ読みたいッス!
194 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)00時38分40秒
完結お疲れ様です。
毎回楽しみに見てました。途中よしごまファンとしては
どうなるのかハラハラでしたが
最後にちゃんとお互いにわかりあって
よかったですねぇ〜
次回作も期待してます。自分もがんばらねば(笑)
195 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)07時38分06秒
よかった、やっぱよしごま鉄板!
次も期待してますんで、よろしく。

ええ、もう歳の話は忘れます…忘れないとヲタなんてやってられん(w
あ、それと………………師匠いうな!(笑)
196 名前: 投稿日:2002年07月28日(日)18時06分05秒
レスありがとうございます。

>191 よしごま好き。様
 感動したなんて、ありがとうごさいます、嬉しいです。
 なっち編次回載せる予定なので、その際はヨロシクです。

>192 ルパン4th様
 うわぁ、読んでいただけてたなんて、ありがとうございます。
 私も楽しみに読ませていただいてます、応援してます!

>193 YUKI様
 ホッとしましたか(笑)
 やすいし編は…無理です、ごめんなさい(笑)

>194 名無し読者様
 ありがとうごさいました。んー次回作ですか?
 お互い頑張りましょう。

>195 名無し読者様
 なつかしネタであなたの心をゲッチュー出来るように、頑張ります(w
 生温く応援してやってください。

それで、補足という訳ではないのですが…。
もう少しお付き合いいただきますよう、お願い申し上げます。

 

197 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時08分31秒
「よしこの部屋、久しぶり。」
「そう?」
「そうだよ〜。」
 後藤は吉澤の香りがする部屋を躰いっぱいに感じながら、ぐるりと辺りを見まわした。

「あっ。」
「えっ、何?」
「ううん、何でもない。」
 
 何でもないと言ってはみたものの………。
198 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時11分41秒
 机の前に飾られていたコルクボードから、ふたりで並んだ写真が消えて、
この前みんなで撮った写真に替えられていた。

 ―――同期四人で写ってるやつ、仲良さそう。
     松浦とふたりで顔寄せ合ってるやつ、少しムカツク。
     やぐっつあん抱きしめてるやつ、こんなの飾るな!
     プッチ三人のやつ、あんた達だけくっつぎすぎって怒られたっけ。
     
     なんで、あの写真だけがなくなってるの?
    
     あの写真が思い出なのは、あたしだけなの?

 

 それは、ふたりが付き合うきっかけになった出来事。
199 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時14分05秒
「圭ちゃん、『alongside of you』ってどういう意味?」
「んー、あなたに並んでとか、一緒にって感じじゃない?」
 サラッと答えられる保田カッケー。

「ふーん。」
「それが、どうしたの?」
「よしこが持ってた写真の裏に書いてあったの。」

 先日、吉澤の家に後藤が遊びに行ったときに、机の上に置かれた数枚の写真の中にそれはあった。
200 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時15分31秒
「それには誰が写ってたの?」
「よしことあたし。」

「ほぉーごっちんよかったじゃん。」
「何が?」
 保田の言葉を全く理解できない後藤。

「分からないの?」
 まるで分かっていない後藤に保田はヒントねと何やら楽しげ。

「他の写真には何か書いてあった?」
「全部は見てないけど、多分その一枚だけ。」
「でしょ。」
  
 この娘はまだ分からないのかと、保田は少し呆れて溜息をつく。
201 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時17分33秒
「吉澤はなんであんたと写ってるのだけに書いたんだろうね、それも
 『alongside of you』なんてさ。」
 
 なんとなく理解した後藤の頬はほんのり桃色に染まる。

「………でも、なんで圭ちゃん……ごっちんよかったじゃん、」
 後藤のその言葉の続きを保田が奪う。

「なんで知ってるかって言いたい訳?あたしを誰だと思ってんのよ。」
「誰って、もしかして圭ちゃん宇宙人とか?」
「あんたそれ、バカにしてんの?」
 至って真面目顔の後藤はどうやら本気らしい。

「まぁ、いいわ。あのね、あんた自分では気付いてないかもしれないけど、思いっきり顔に書いてあるわよ。」
「えっ。」
 思わず顔を触って鏡を覗き込む後藤。
202 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時18分46秒
「うわっ、ごっちんそのリアクションあまりにもベタすぎ、さむっ。」
「圭ちゃんにさむいとか言われたくない。」
「あんたさっきから何気に失礼よ。」
「ごめん。それよりそんなにバレバレ?」
「いつも眠そうにしてるくせに、よっすぃーの前ではニコニコしてるもん、誰が見ても分かるわよ。」
 
 ますます後藤の頬は赤くなっていく。

「でも、早くしないと誰かに先越されるかもよ、ライバル多しだから。」
「えっ?」
「気付いてないの?」
 ブンブン首を縦に振る後藤。

「あんたらしいといえばあんたらしいけど。まぁ頑張りなさい。」
「でも………。」
「恋愛にカタチはないわよ、自信持って!」
「うん。圭ちゃんありがと。」
「どういたしまして。」
203 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時20分17秒
「お疲れ様です。」
 そこに別撮りをしていた吉澤らが合流した。
 保田は後藤に行け!って目で命令する。

「あの、よしこ。」
「何?」
「えっと、その。」
「ん?」
「今日泊まりに行ってもいい?」
「なんだ、そんなことか。いいに決まってんじゃん。ごっちんならいつでも大歓迎だよ。」
「よかった、あはっ。」
 
 この時、後藤がとろけそうな笑顔をしていたことは言うまでもない。
 
 しかし、そんなにすんなり事が運ぶ訳もなく。
204 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時21分24秒
「辻も行く〜。」
「加護もよっすぃーの家に泊まる〜。」
「オイラも〜。」
 いつの間にかいた矢口も加わって大騒ぎ。

「あんた達はダメ。」
 保田が必死の形相で割って入る。

「なんで圭ちゃんが断ってるのさ、もしかして圭ちゃんも行きたいの?」
「なんでそうなるのよ。それに辻・加護は学校でしょ!」
「明日は日曜だもん、なのれす。」
「もう!とにかくダメなもんはダメなの。」
205 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時23分38秒
「なんで圭ちゃんの許可がいるんだよ。よっすぃーいいよね?」
 矢口はもうすでに吉澤の腕に自分のそれを絡ませている。
 いまいちこの状況を把握できない吉澤は間抜けな声しか出せない。

「えぇまぁ。」
 その答えに保田が吉澤をひと睨みする。
 なんで保田が必死でダメと言っているのか分からない吉澤は隣にいる後藤を見た。
 さっきとはうって変わってしょんぼりしていた。だから。

「あの〜、うち狭いんで……。」
「そうよ、そんな大勢で行ったら迷惑でしょ!」
「圭ちゃんはなんでそんなにムキになってんだよ。でもまぁそうだよね、うん。それにひとりで行った方が矢口もいろいろと都合がいいし、分かった。また今度にする。」
 
 吉澤はなんの都合がいいのか分からなかったが、とりあえずよしとすることにした。
206 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時25分53秒
「すいません、矢口さん。辻も加護も今度ね。」
「「えーーー。」」

「ほら、よっすぃー困ってるよ。」
 さっきからその様子をみていた石川がふたりを宥める。

「だって〜。」
「じゃぁうちに来る?」
「「うん。」」

「梨華ちゃんありがとう。」
「うん、今度私も誘ってね。」
「もちろん。」 

 という訳で一件落着。
207 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時27分39秒
 その日の帰り道。

「今日はごめんね。」
「何が?」
「突然泊まりたいって言っちゃたし、なんか大騒ぎにはなっちゃうし。」
「いいよ、それにうちもごっちんとふたりきりのがいいし。」
「えっ?」
 
 後藤は思ってもみない返事にビックリして、吉澤の顔を見た。
 少し照れたように笑っていた。

「遠回りしてもいい?」
「うん。」
 
 それからふたりはしばらく黙って歩きつづけた。
 
 この世界にふたりしかいないんじゃないかと錯覚してしまうくらい、
 静かな夜だった。
208 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時29分25秒
 もう少しで家についてしまうその時、後藤は勇気をだして訊く。

「さっきのことだけど。」
「ん?」
「期待してもいいのかな?」
「いいんじゃない?」
 
 そして吉澤は後藤の手を取り、
「もう少し歩こうか?」
 と前を向いたまま言った。
 
 その横顔は月の明かりに照らされて、いつもにもまして綺麗だった。
 
 後藤は手を繋いで並んで歩いたこの夜の景色も風の薫りも吉澤の横顔も手の温かさも、一生忘れないと心に誓った。

 

 そして着いた吉澤の部屋のコルクボードの真ん中にはふたりで笑っているあの写真が飾ってあった。
209 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時30分43秒
 

 その思い出の写真がなくなっていた。




 「どうしたの、ごっちん。」
 
 持ってきたおかしと麦茶をテーブルの上に置いて、吉澤は後藤に声をかけた。
 
 振り向いた後藤の瞳には涙が光っていた。
210 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時32分04秒

「なに、なに泣いてるの?どうしたの?」
 吉澤は訳が分からず、慌てふためく。

「だって。」
「だって?」
 
 吉澤は後藤が見ていたであろう場所に視線を移し、泣いている原因を考える。
 机、教科書、充電器に置かれた携帯電話、パソコン、コルクボード、写真。
 

 分からない。
211 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時33分18秒
「ごっちん、何で泣いてるか教えてよ。」
 吉澤の情けない声。

「写真。」
「写真?」
 吉澤はもう一度写真を見る。
 

 分からない。


「写真がどうしたの?」
「なくなってる。」
 
 写真がなくなってる、その言葉でようやく吉澤は泣いてる理由が、

 分かった。
 

 吉澤は自分の横にあるコンポの置かれたオーディオラックから写真立てを取る。
212 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時35分14秒
「これのことかな?」
 
 吉澤が差し出したそれを、
 後藤は潤んだ瞳で確認する。


「あそこだと色あせちゃうし、ネガはあるけど焼き増しするのもなんかね。だから。」
 
 透明なガラスに挟まれた写真。シンプルな写真立てに飾られた写真。
 

 後藤はそっとそれを裏返す。
213 名前:alongside of you 投稿日:2002年07月28日(日)18時37分41秒
 そこには。

 
 『alongside of you』


 あの時見た言葉。


 
 そして、新たに書き加えられた言葉。


 
 『alongside of you

          ・・・・Eternally』

 

 一生忘れない思い出がまたひとつ増えた夏の日。
214 名前: 投稿日:2002年07月28日(日)18時44分58秒
更新終了です。

とりあえず次回は、途中ダラダラ感が出てしまうかもと削った、
安倍さんとのエピソードを載せられたらいいなと思っています。

その後もサイズに余裕があるので、ちょこちょこ短編でも書けていけたらと、
思っています。
その際は、またよろしくお願いします。

215 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年07月28日(日)20時00分12秒
続き〜v なんかよっすぃーカッケーですv
短編とかあるんですか?やった〜!よしごまですかね?
楽しみにしてます。
216 名前:YUKI 投稿日:2002年07月29日(月)02時29分11秒
よしこ、カッケー!(笑)
これからの短編も期待しております。
この話のキッカケがおいらって知って、驚きますた(笑)。
がんがってね!
217 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月29日(月)16時51分44秒
憎いぜ!よっすぃー、カッコよすぎ!
短編も楽しみにしてますんで、これからも頑張ってください。
218 名前: 投稿日:2002年08月06日(火)20時05分37秒
レスありがとうございます。

>215 よしごま好き。様
 吉澤さんのかっこよさが伝わったようで何よりです。

>216 YUKI様
 自分の文才のなさに反省しつつ、書いてみました。

>217 名無し読者様
 頑張ります。

やっと少し落ち着きました。
なので、これからもぽちぽちと吉後など吉澤さん中心に書いていこうと思います。
よろしくお願いします。
219 名前:たんす 投稿日:2002年08月06日(火)20時08分07秒
「えーやっぱりアクセサリー系じゃないの?」
「そうだよね〜。」

いつものように騒がしい控え室の今日の話題は。


「なんの話ですか〜?」

 後藤と連れ立ってやってきた吉澤が訊いた。

「今までもらった中で一番うれしかったプレゼントの話。」
 矢口が答える。

「ふーん。」
「あれ?なんかよっすぃーは興味なさそうだべ。」
「そんなことはないですけど。」
「じゃぁ、ごっちんは?」

 話をふられた後藤は吉澤の顔を見て思いっきりの笑顔で

「たんす!」
 
 と言い放った。
220 名前:たんす 投稿日:2002年08月06日(火)20時10分50秒
「「「はぁ?」」」

 その場にいたほとんどのメンバーが同じリアクションをした。

「なにそれ?ごっつぁん、マジで言ってんの?」
「うん。」
 
 少し照れて赤くなっている後藤の横で吉澤も赤くなっている。

「去年の誕生日によしこがくれたの。」
「よっすぃーならありえるかも。」
「それってどういう意味ですか?矢口さん。」

 まぁいいからいいからと吉澤を軽くかわし、矢口は後藤に訊ねる。
221 名前:たんす 投稿日:2002年08月06日(火)20時15分14秒
「それが一番うれしかったプレゼントなの?」

 お前本気で言ってるのか?と言わんばかりの質問。

「そうだよ〜。」

 もちろんじゃん、と後藤は何故だか得意げに、本当に嬉しそうに答える。

 そして、続ける。
 
222 名前:たんす 投稿日:2002年08月06日(火)20時17分03秒
「誕生日は家族と過ごした方がいいってよしこが言うから、
 前の日によしこの家に一緒に帰ったんだ。12時過ぎてすぐ、 
  
 『誕生日おめでとう、これプレゼント』

 ってたんすを指さしたの。
 あたしもさすがによっすぃーの考えについていけなくて
 頭の中?でいっぱいで。そしたら
  
 『いいから一番下の段開けてみて』
 
 って。とりあえず言うとおりにしてみたら、
 中にパジャマがあってパジャマのポケットに指輪が入ってたんだぁ。
 そしてよっすぃーが言ってくれたの。」
223 名前:たんす 投稿日:2002年08月06日(火)20時19分29秒
 今まで黙って聞いていた吉澤がその続きを。

「パジャマは用意したから着替えいっぱい持ってきてそこに入れて。
 一番下の段はごっちん専用だから。それはいつでも泊まりにきていいんだよ、
 つーか、来て欲しいってことだから。」

 テレながら言う吉澤はまさに恋している顔な訳で。

「指輪もすっごいうれしかったけど、たんすなんて貰ったの初めてだったから
 すごく感動したんだぁ。」
 
 そんなラブラブバカップルはさっきから手を繋いでるというよりも
 指と指を出逢わせていた。
224 名前:たんす 投稿日:2002年08月06日(火)20時22分28秒
 そんなふたりの甘さにあきれたメンバー達は、ひと言述べてから散っていった。

「まぁ、そんなプレゼントはふつう貰わないわよね。」

「つーか、よっすぃーキザすぎじゃん。」

「普通の思考じゃ思いつかないっしょ、よっすぃーならではかもね。」

「いいなぁ、ごっちん。」

 

 そんなことを言いながらも、

「「「「今度、それ使おーっと。」」」」
 
 心の中でつぶやいたメンバー達だった。
225 名前: 投稿日:2002年08月06日(火)20時23分17秒
更新終了です。
226 名前:シューヤ 投稿日:2002年08月06日(火)22時07分27秒
以前よりヒソーリコソーリROMらせて頂いてますv
気障過ぎなよっすぃーかっけー!! 箪笥を喜ぶごとーさんも素直に可愛いです。
突っ込みながらも持ちネタ(?)にするメンバーが良い感じです(w
227 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月07日(水)07時14分11秒
一番嬉しかったプレゼントが‥タンス…。なんか吉子なら納得してしまう。ここの吉子はカッケーすね。甘すぎる吉後が良いです!
228 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年08月07日(水)10時28分10秒
キザなよしこもカッケーです!
やっぱよしごまはバカップルが1番ですな。
229 名前:YUKI 投稿日:2002年08月09日(金)00時28分39秒
たんすかぁ……。カッケーなぁ。
いいなぁ、現実を忘れるような、甘いよしごま最高!
これからもがんがってください!応援してます!
230 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時39分47秒
『その時ふたりの景色は重なった4489』


「矢口さん、散歩行きませんか?」

 収録の合間、ポッカリ空いた待ち時間。
 周りを見渡せば、愛しの矢口さんが買い物行きたいって騒いでた。

 
 矢口は買い物行きたかったのに、ってブツブツ言ってますけど
 かなり楽しそうですよ、矢口さん。

231 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時42分01秒
「「あっ。」」
 
 うちらの目の前で五歳ぐらいの男の子がころんだ。
 矢口さんがすかさず走り寄って、助けようとする。

「矢口さん、待って。」
 
 うちはゆっくり近づく。何で?って寂しそうな瞳しないで下さいよぉ。

「男の子だもん、ひとりで起きられるよな。」
 そんなうちの言葉に力強く頷いて、男の子は立ち上がった。

「よし、偉いぞ。」
 うちは頭を撫でて、服についた砂埃を軽く叩き落とす。
232 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時43分27秒
「お母さんは?」
 矢口さんが少ししゃがんで男の子に目線を合わせて訊いた。

 なんか、かわいいその風景。

「あっち。」
 男の子の指差した方向に幸せそうな家族の図。

「じゃぁね、おねぇちゃんたち。」
 男の子は手を振りながら、そこへ向かって走り出す。
 途中また転びそうになって、矢口さんと同時に、

「「あっ。」」
 
 と、声を揃えて言ってしまい、顔を見合わせて笑った。
233 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時45分06秒
「子供はね、簡単に助けちゃダメなんだって。ギリギリまで自分でやらせて、うまく出来たら褒めてやる。それが成長に繋がるんだって。」
「そっか。」
「うちには弟がふたりもいますからね。」
「優しく、厳しい、お姉ちゃんな訳ねよっすぃーは。」
「一応は。」
 
 
 うちが行きましょうかと手を差し出すと、矢口さんは嬉しそうに
 その手を取ってくれた。
234 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時46分45秒
「あのさぁ。」
 
 矢口さんが上目使いでうちを見る。その目やめてください。
 まぁ身長差があるから、うちと話すときは当然そうなってしまうんだけど、
 いつまでたっても慣れることはなく、その度にドキドキしてしまう訳で。

「なんですか?」
 だからそのドキドキを悟られないように、なんでもない風を装ったりする。

「オイラが転んだら、よっすぃーはどうする?助けてくれる?」
「いいえ。」

「じゃぁ、立ち上がるのを見守ってくれるんだ。」
「いいえ。」
 
 うちが『いいえ』を言うにつれ、段々顔がこわばる矢口さん。
 …………も、かわいいです。
235 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時48分44秒
「よっすぃーのバカ!普通は
 『当然じゃないっすか!助けますよ。』とか言うだろ!」
 
 怒ってる矢口さんもキュートです。
 でも今は、そんな事言ってる場合じゃないみたい。
 
 矢口さんはうちの手を離して、ズンズン歩いていっちゃてる。

「待ってくださいよ〜。」
 うちは小走りで追いかけて、手を繋ぐ。
 矢口さんもそれを待っていたはず。
 だってその証拠にきっちりと、指と指で繋いでる。
 矢口さんの小さい手、大好きなんだよね。
236 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時50分36秒
「ごっちんや梨華ちゃんが転んだら、助けるかもしれません。
 ののやあいぼんだったら、見守ります。」


「・・・・・。」
 

 睨まれた。
 
 手も振り解こうとしている。
 
 けど離しませんよ。
 
 話はまだ終わってません、怒るなら最後まで聞いてからにして下さいね。
237 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時51分43秒
「矢口さんが転んだら。」
「転んだら?」

「吉澤も一緒に転びます。」
「はあ?」

「だから一緒に起き上がりましょう!」
「なんだそれ?」
 
 口ではそう言ってますけど、お怒りは収まりましたね。
 手をギュッと握りかえす。

「ダメですか?」
「ダメじゃないけど。」

「なら、笑ってくださいよ。
 吉澤は矢口さんの笑った顔、大好きですから。」

「そんなこと大声で言うな、恥ずかしいだろ。」
「だって本当のことですもん。」
238 名前:その時ふたりの景色は重なった4489 投稿日:2002年08月14日(水)17時53分42秒
 なんでかな、なんだかすごく声にしたい気分だったんです。
 
 ありふれてますけど、矢口さんの苦しみや哀しみは半分背負います。
 喜びや嬉しさは倍にしましょう。

 どんなときも、同じ景色を見ていきたいんです、矢口さんと。
 矢口さんとなら出来る気がするんです。
 きっと出来ます。
 
 
 入道雲と木々の間から吹く風のまぶしさに目を細めて笑った、ある夏の日。
239 名前: 投稿日:2002年08月14日(水)18時05分08秒
レスありがとうございます。

>226 シューヤ様 
 後藤さんなら素直に喜びそうな気がしたんで。
 作者もいつか使ってみたいと野望を抱えていたりします(w

>227 名無し読者様
 吉澤さん、カッケーですか?そう言っていただけると嬉しいです。
 甘すぎる吉後、書けるように頑張ります。

>228 よしごま好き。様
 いつもありがとうございます。
 バカップルな吉後、自分も好きです。
 今回はちょっと浮気して吉矢だったりしてますが(w

>229 YUKI様
 はい、これからも頑張ります。
 


240 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年08月14日(水)19時04分44秒
吉矢ぁ・・・実は完全によしごまにハマるまでは好きでしたv
やっぱりよしこカッケーですv次は吉後期待v
241 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)15時58分28秒
『その時ふたりの景色は重なった1444』

「梨華ちゃん、散歩行こうよ。」

 収録の合間、ポッカリ空いた待ち時間。
 周りを見廻して、愛しい彼女の姿を探す。

「よっすぃーずるいよ独り占めはー。」
 
 後ろからするブーイングは聞こえない振りをして、彼女の手を取り脱出。

 
 日焼けを気にして日陰を選んで歩く、そんなことすら楽しくて。

 風薫る公園の並木道は永遠に続いているようで、夏の暑ささえ心地よかった。
242 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時01分48秒
「「あっ。」」
 
 目の前で五歳ぐらいの男の子が転んだ。
 うちらは走り寄って、助け起こす。

「大丈夫?」
 
 梨華ちゃんが服についた砂埃を軽く払い落としてあげている。
 今にも泣き出しそうな男の子につられて、
 梨華ちゃんまで泣きそうな顔になっている。
 
 ―――――――かわいすぎる。
243 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時03分27秒
「ひとみちゃん、なに笑ってるの?」
「あぁ、うん、かわいいなと思って。」
「うん、かわいいよね。」
 
 梨華ちゃんはどうやら、男の子のことを言っていると思ったらしい。

「違くて、梨華ちゃんが。」
「バカ。」
 
 照れた顔もかわいいよ、ホント。今すぐ抱きしめてキスしたいくらいに。
 でも子供の教育上よくないもんね、我慢、我慢。
244 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時04分10秒
 男の子の方に視線を移すと、うっすらと涙を浮かべて、だけど必死で堪えていた。

「よし、偉いぞ、男の子だもんね。」
 
 うちが頭を撫でると男の子はVサインを出した。
 だからうちらもVサインを返す。

 
 こういうのっていいね。
 梨華ちゃんも同じ気持ち?
245 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時06分01秒
「あっ、ママ〜。」
 
 男の子は元気に走り出す。
 その先にはママとパパの姿。

 途中転びそうになったが、無事にご両親の元に辿り着いた男の子は、
 こっちを指差しながら、一所懸命なにか話している。
 
 すると、ご両親がお辞儀をしてきた。
 うちらも軽く頭を下げ、男の子に手を振った。

 
 そして、うちらはしばらくの間、肩車された男の子と、
 手を繋いで歩くパパとママの後姿を眺めていた。
246 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時07分21秒
 その微笑ましい光景は、
 うちの心の中に、温かいものと不安とを一緒に連れて来た。
 

 さっきまで気にならなかった蝉の声が、やけに耳障りで苛つく。

 
 
 うちには見せてあげることの出来ない、未来。
 だけど一緒に見たい、未来。

 
 なんだろ、胸の奥のほうをギュっとつかまれた、痛み。
 どうしたんだろう、目の奥がツンとなる、痛み。
  
 歯を食いしばって、ドンドン押し寄せるそれに耐える。
247 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時08分36秒
「ひとみちゃん。」

 梨華ちゃんが心配そうにうちの名前を呼ぶ、あのやわらかい声で。


「大丈夫、私はどこにも行かないよ。」

 
 繋いだ手から梨華ちゃんの大丈夫が流れ込んでくる。
 さっきまでの不安が徐々にかき消されていく。
 
 きっとうちのなんだかわからない不安や焦りも梨華ちゃんに伝わってしまったんだね、ごめんね。
248 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時10分28秒

「それに?」
「ん?」
「子供はひとりで充分だから。」
「はい?」
「この、やんちゃ坊主だけいてくれれば、私は幸せだよ。」

 梨華ちゃんはうちの手を連れて、自分のそれをブンブン振りまわす。

 うん、うちも梨華ちゃんと一緒ならいつでもハッピーだよ。



「梨華ちゃん。」
「何?」
「でも、子供はひとりだけじゃないみたいよ。」
249 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時11分41秒
「「梨華ちゃ〜ん、よっすぃ〜。」」

 手を繋いで走ってくるふたりを、ふたりで迎え入れる。


「「あっ。」」
 
 目の前で辻がこけそうになる。
 それに引っ張られて加護もこけそうになる。

「ったく、ケガしたらどうすんだよ。」

 ギリギリセーフでうちの手が彼女達を支える。
250 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時12分36秒
「「だってー、梨華ちゃんとよっすぃ〜にもアイスあげようと思って。
 溶けちゃわないように、走ってきてあげたんだよー。」」


 いつだってユニゾンで聞こえてくる答え。

 
 加護の手にはオレンジ色のアイスが2本。
 辻の手にはソーダ色のアイスが2本。


「おいしーね。」
「「でしょ。」」
「ありがとね、のの。」
「ありがとね、あいぼん。」

 ありがとう、梨華ちゃん。
 うちは心の中でそう付け加えた。 
251 名前:その時ふたりの景色は重なった1444 投稿日:2002年08月15日(木)16時14分47秒
 夕暮れのオレンジ色とソーダ色が綺麗に重なった空を眺めながら、
 
 
 ベイ・シティ・ローラーズのI Only Want To Be With You を口ずさみ、
 
 
 四人で並んで帰る、夏の並木道。
252 名前: 投稿日:2002年08月15日(木)16時18分59秒
いしよし編を書いてみました。

>240 よしごま好き。様
 レスありがとうございます。
 次回は吉後の予定なのでもうしばらくお待ちいただけますでしょうか?
 頑張って書きます!
 

253 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年08月15日(木)18時59分27秒
わ〜い、次吉後!待ってまーす!
254 名前:よしごまファン 投稿日:2002年08月19日(月)21時04分28秒
ごっちん切ないですぅ
よしこ〜って罪なヤツですね。
そんなよしこもイイっす。
255 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時17分42秒
『その時ふたりの景色は重なった4450』

「ごっちん。」
「うん。」

 収録の合間、ポッカリ空いた待ち時間。
 うちらはそれだけでお互いの思ってることが判ったりする。
 自惚れではないよ、うん。

 本当は出来るだけ皆と過ごさせてあげたいんだけど、
 ごめん今日は独り占めさせてね。

 夏休みも終わったというのに、まだ暑い日が続いていて。
 緑の木々の隙間からこぼれる光を集めて、
 まぶしそうに瞳を細めるごっちんが綺麗すぎて、
 涙がこぼれ落ちそうになった。
256 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時18分40秒
「「あっ。」」
 
 うちらの目の前で五歳ぐらいの男の子が転びそうになった。

「セーフ!」

 ごっちんが彼の危機を救った。
 さすが、娘。一の運動神経の持ち主。

「気をつけてね。」

 ふたりでその後姿を見送ったあと、うちらは手を繋いでまた歩き出した。
257 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時19分32秒
「もし、うちが転んだらごっちん助け起こしてね。」
「もちろんじゃん。」

「もしあたしが転んだらよしこはどうする?」
「うーん、とりあえず笑う。」
「・・・・・。」

 あっ、怒った。
 って言ってるそばからごっちんは転んだ。
 まるでコントのように。

 転んだままなかなか顔をあげないごっちんがかわいくて、
 思わず本気で笑ってしまった。
 
「バカ、バカ、バカよしこ、本当に笑うことないじゃん。」

 どうやら本気で怒っている彼女。
 どうしよう。
258 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時20分55秒
「ほら。」
 ごっちんに背を向けてしゃがむ。
「なに?」
「おんぶしてあげるって言ってんじゃん。」
「いい。」
「いいじゃないでしょ、どうせ後で痛いっていうくせに。」
「言わないもん。」
「いいから、ほら。」

 半ば強制的におぶる。
 うちの背中でジタバタあばれるごっちん。
 でも降りる気はないみたい。

「どう、乗り心地は。」
「最悪。」
「そうですか。」
259 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時22分02秒
ほらね、ごっちんの鼓動が聴こえてくるよ。
 いつもより少し速いかな。
 
 ほらね、うちらの相性はやっぱりピッタリだね。
 だってハートが奏でるメロディーまで同じリズムだよ。

 ごっちん、誰よりも一緒に時を過ごしたよね。
 そしてその密度も誰よりも濃かったはず。

 だから、だから、少しだけ焦りや不安を感じてしまうんだ。
 
 こんなにいつも一緒にいるのに、キミに逢いたい気持ちは増える一方で。
 
 もうキミなしじゃいられないほどに。
260 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時23分31秒
 ずっと同じものを見ていると思っていた。
 だけど、ごっちんはもっとずっと先まで見ていたんだね。
 なんだか口惜しいな。

「よしこぉ。」
「うん?」
「あのね、なんか今ひとつだね。」
「うん。」

 これから先、キミが見たもの感じたこと、うちも一緒に感じたいから、
 だから、いっぱい話をしようね。
261 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時24分19秒
「ごっちん。」
「なに?」
「知ってた?うちらには算数の定義は通用しないってこと。」
「ん?」
「普通はさ1+1=2じゃん。」
「うん。」
「だけどうちらは違う。後藤真希+吉澤ひとみは2じゃなくて、
 大きな1になるって思わない?」
「大きな1かぁ。いいね、それ。」
「でしょ。だからさ、うちらひとりひとりが大きくなれば、
 大きな1はもっと大きくなる。」
「うん。」
「頑張ろうね。」
「うん、頑張ろうね。」
262 名前:その時ふたりの景色は重なった4450 投稿日:2002年09月09日(月)19時26分33秒
 背中から伝わるごっちんのあたたかさも、
 耳の後ろから聞こえるごっちんの声も、
 
 ふたり瞳に映る、夕空に浮かぶ三日月も、
 夏の中に秋を感じる夕風も、
 ふたりを包むキラキラした空気も、
 
 それは、ふたりの景色。


 そう、それは、ふたりだけの景色。
 
263 名前: 投稿日:2002年09月09日(月)19時32分04秒
レスありがとうございます。

>253 よしごま好き。様
 お待たせして申し訳ございません。
 なかなか書けなくて…。
 今後もヨロシクお願いします。

>252 よしごまファン様
 よしこは罪なヤツですか(w
 吉澤さんには今後ももっと頑張っていただくので、
 よろしかったら覗いてやって下さい。
264 名前:よしごま好き。 投稿日:2002年09月09日(月)20時02分56秒
よしごまいいっすね〜、2人にしかない雰囲気が。
ごっちんをおんぶするよしこかっけーv
265 名前:秋良 投稿日:2002年09月15日(日)09時59分34秒
ずっと、ROMってました。
いやーん!よしこカッコ良すぎ!!
こんなにオトコマエでかっけーよしこに
素直になれないごっちん・・・かわいいなあ
このバカップルは永遠に不滅ですね。
私もよしこにおんぶしてもらいたいわ・・・はぁ(うっとり♪)
266 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
267 名前:紫雲 投稿日:2002年09月20日(金)11時51分34秒
凪さんの文体、なんだかあったかくて、ほんわかしてて好きです。
情景が浮かんできて、だから感情移入しやすい。
で、今度はいつ更新?(w
268 名前: 投稿日:2002年10月01日(火)19時36分38秒
レスありがとうございます。

>264 よしごま好き。様
 よしごまはほのぼのする雰囲気がいいですよね。
 いつも、ありがとうございます。
 レスいだたけると、頑張ろうと思いますもん。

>265 秋良様
 吉澤さん男前ですか(w
 一応、ソコ目指してますので…(w
 これからもヨロシクお願いします。

>267 紫雲様
 嬉しいお言葉ありがとうございます。
 次回作はちょっと違う感じになると思いますが、
 お付き合いいただければ幸いです。



269 名前:Honey 投稿日:2002年10月01日(火)19時52分59秒
Chapter1 トラブルバスター

 吉澤と石川が連れだってTV局にやってくると、
 モーニング娘。様と書かれた部屋から言い争う声が聞こえてきた。

「うーん、どうする梨華ちゃん。」
「どうしようか?」
 ふたりが顔を見合わせて戸惑っていると、

「もういい。」
 一際大きい声がして、高橋が飛び出してきた。
 高橋はふたりの姿を確認すると小さく
「おはようございます。」
 と、お辞儀をして走り去った。
「あーおはよう、って高橋〜。」
 そんな吉澤の声は届かず、高橋の背中はあっという間に見えなくなった。
270 名前:Honey 投稿日:2002年10月01日(火)19時56分23秒
「とりあえず、中に入ろう。」
「そうだね。」
 
 楽屋の中に入るとギュッと拳を握って下を向いている小川と、
 少しオロオロしている新垣、いつもとあまり変わりない紺野がいた。

「どうしたの?」 
 そんな石川の問いに誰も答えようとしなかったが、
 先輩を無視するのは失礼だと思ったんだろう小川が
「別になんでもないです。」
 小さく言った。
271 名前:Honey 投稿日:2002年10月01日(火)19時57分57秒
「うーん、何でもない訳ないじゃん、外まで聞こえてたし。」
「・・・。」
 吉澤の言葉にみんな下を向くばかり。
「あのさ、言いたくないのは分かるけどこれから仕事だよ、早いとこ解決しとかないとさ。」
「そうだよぉ、私達じゃ頼りないかもしれないけど。」
 当事者と思われる小川をさけ石川は新垣に視線を送った。

「あのー。」
 その新垣が小川の様子を伺いながら声を発した。
「言ってみなよ、新垣。」
 吉澤が先を促す。
「愛ちゃんがあさ美ちゃんにもっとしっかりしなきゃダメだよって。それじゃ頑張ってる様には見えないってよって。そしたらまこっちゃんが言いすぎだよ、謝りなってケンカになっちゃたんです。」
272 名前:Honey 投稿日:2002年10月01日(火)19時58分58秒
「そっか。」
 
 吉澤は頷きながら繋いでいた石川の手にギュっと力を込めた。
 その意味をなんとなく理解した石川は、
「どっちが高橋の方に行く?」
 と、小さな声で訊いた。
「やっぱり、ここは梨華ちゃんでしょ。」
「私なの?」
「梨華ちゃんの方が高橋の気持ち分かってあげられるでしょ?」
「うーん、分かった。行ってくるね。」
「こっちは任せて!」
 
 楽屋を後にする石川を見送ると吉澤は「よしっ」と気合を入れて皆に向き直った。
273 名前:Honey 投稿日:2002年10月01日(火)20時00分58秒
「んーじゃとりあえず座ろう、ね、小川。」
 立ちつくしたままの小川を座らせると自分も近くのパイプ椅子に腰をかけた。

「小川は間違ってないと思うよ、うちは。」
「・・・・・。」

「かといって高橋が悪いって訳でもないよね、うん。高橋はさ五期メンの中で一番年上でしょ、だから自分がしっかりしなきゃって気負っちゃってるんじゃないかな。」
 黙っている三人を見回して吉澤は話を続ける。
「とりあえず云い過ぎたなぁと思ってるなら謝っちゃえ。時間が経てば経つほど言いにくくなるからさ。ねっ?」
 小川に向けて言葉を送る。

「はい。」
「うん、うん。」
 吉澤は嬉しそうに頷いて、今度は紺野を見た。
 そういえば事の始まりは紺野だったんだっけと思い出し話し掛ける。
274 名前:Honey 投稿日:2002年10月01日(火)20時02分27秒
「紺野はさ、紺野のペースでやっていけばいいよ。大丈夫、ちゃんと見てるからさ。高橋だって、紺野が頑張ってる事分かってるから見ててはがゆいんだよ、きっと。」
「はい。」
「うちもさぁ頑張ってるのにそう見えないらしくて悩んだんだよねぇ、最初の頃。でも梨華ちゃんが大丈夫ちゃんと私は知ってるからって言ってくれて、かなり楽になったんだぁ。」
 その後、思わず抱きしめちゃったんだよね。と抱きしめた感触までも思い出し、しばしにやける吉澤。
 

 その頃、石川は。
275 名前: 投稿日:2002年10月01日(火)20時04分47秒
新しいやつ始めました。
ありがちな話なんですが…。
よろしかったら読んでやって下さい。
276 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月01日(火)23時23分23秒
なんかいいですね・・・
実際にもありそうですし。
頑張ってください
277 名前:ROM専 投稿日:2002年10月02日(水)08時54分26秒
ちゃんと読んでますよ!(メ−ル欄も・・)
安心して執筆されてください。こういうまったり
リアル系大好きです。
278 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時01分12秒
「高橋。」
 石川は人気のない階段で膝を抱えて座り込んでいる高橋の姿を見つけた。
「石川さん。」 
 高橋は顔をあげて石川の顔を確認した途端、涙を溢れさせた。
「泣かないでぇ。」
 石川のその優しい声が高橋の心に届いてしまうと、一層涙は止める事は出来そうになかった。
「目、腫れちゃうよ?」
 
石川は高橋の肩にそっと手を置き、そのまま落ち着くのを待った。
 高橋のその姿が二年前の自分と重なって見えていた。
 
 ―――ひとみちゃんは私が泣き止むまでただ黙ってずっと傍にいてくれてよね。
 
 なんて思い出して思わず顔がほころんでいた。
279 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時02分57秒
「石川さん?」
 泣きやんだ高橋は不思議そうに石川を見つめている。
「なんだかね、思い出しちゃって。今の高橋見ているとね、入ったばかりの頃の自分を見ているみたいで。」
「自分をですか?」
「うん、私って同期の中で一番年上でしょ、だから私がしっかりしなくっちゃって気負っていて、それが時に空回りしちゃってね。ケンカっていうか言い争いみたいな事も時々あったんだぁ。」
「石川さん達が?」
 
 信じられない、という顔をしている高橋。
280 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時04分53秒
「うん、大抵は私とあいぼんかののとあいぼんだったけど。」
「吉澤さんは?」
「よっすぃーは大人だから笑ってかわせちゃうんだよね、そういう事があっても。それに結局いつもよっすぃーに誤魔化されちゃうんだよね。」
「誤魔化されるって?」
「そういうと聞こえは悪いけどね。私とあいぼんが言い争いしてると、
 ののとテーブルいっぱいにお菓子とか広げて、
『おいしーねーのの、あいぼんも梨華ちゃんも早く食べなよ、
 なくなっちゃうよー』
 なんて笑うの。そんな事されたらケンカしているのバカらしくなってきちゃうでしょ。そうやっていつの間にかその場を収めちゃうんだよ、よっすぃーは。」

「なんかかっこいいですね、吉澤さん。」
 
 高橋も自然に笑顔になっていた。
 吉澤をかっこいいと言われて、石川も自分が褒められた時のように嬉しくなって更に饒舌になる。
281 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時06分42秒
「あとね、急にしりとりし始めたり。
 『梨華ちゃんしりとりしよう!』
 って普通に言い出して、自分がつまると本気なのかわざとなのか、
 『あいぼん、ムだって。んー何かある?教えてよ!』とか、
 『じゃぁ、次はののの番ね。』とか、
 結局それにあのふたりも巻き込まれて四人でしりとりしちゃってたりするの。」

「いいですね、そういうの。」
「でしょ。」
 
 得意満面でそういった後、石川はこれじゃ解決していない事に気付いた。
 せっかく笑顔を取り戻した高橋にケンカの話を蒸し返すのは心苦しかったが、これでは吉澤の自慢話で終わってしまう。
 このまま帰ったら吉澤に何を言われるか分からない。
 石川は小さく深呼吸して話を切り出した。
282 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時08分43秒
「それでね、高橋。ケンカの原因はなんとなく聞いたんだけど。」
「はい。」
「大丈夫だから、みんなが頑張っている所ちゃんと見ているから。」
「はい。」
「前にね、私が言われた事なんだけど。早く先輩達に追いつかなきゃって思っていた私にね、保田さんが言ったの。
  『追いつく訳ないでしょ。』
 って。」
「そんな酷い。」
 
 高橋の表情が曇る、逆に石川の表情は穏やかに微笑を浮かべている。
283 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時09分44秒
「うん、私も最初はそう思った。けどね違うの。
 『私達も頑張っているんだから、そう簡単に追いつかれる訳にはいかないわよ。』
 って。そう言われてハッとした、そして少し楽になったの。」
「・・・・・。」

「今、私達もそう思ってるよ。高橋達に負ける訳にはいかないもん。」
「・・・・・。」
「たいしたアドバイスは出来ないかもしれないけど、私達も同じ経験をしてきてるんだから相談してね。」
「はい、よろしくお願いします。」
 
 高橋はペコリと頭を下げた。
284 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)00時10分44秒
「そろそろ戻ろっか?きっとよっすぃーの事だからお菓子広げてほのぼのとした雰囲気になってると思うよ。」
「はい。」
 
 先に立ち上がって楽屋に向かおうとする石川に高橋が後ろから声をかけた。

「石川さんって。」
「何?」

「本当に吉澤さんの事、好きなんですね。」
 
 高橋のそれに石川は自信を持って答える。


「うん、大好きよ。」
 と。
285 名前: 投稿日:2002年10月03日(木)00時16分00秒
レスありがとうございます。

>276 名無し読者様
 実際にありそうですか?そう言ってもらえて光栄です。
 はい、頑張ります。

>277 ROM専様
 ありがとうございます。メール欄まで…。
 安心しました!まったり感が出せるといいなと思っていたので、
 嬉しいです。頑張りますので今後もヨロシクお願いします。
 
286 名前:YUKI 投稿日:2002年10月03日(木)02時52分24秒
いやぁ、いしよしはヒサブリです(笑)。
なんか、凪さんのを読むと、自分も書きたくなってくるなぁ(笑)。
続き、がんがってください!
287 名前:ROM専 投稿日:2002年10月03日(木)15時27分34秒
なんか、カフェ・ウッドストックの4期メンのト−クを
思い出しました。何気にそれぞれ役割があるんですね。
とってもいい感じです。
(毎回出てきたらROM専じゃないし・・)
288 名前:HTTP://WWW. 投稿日:2002年10月03日(木)22時12分26秒
石川が高橋に吉澤話をしている頃、楽屋では。
「でもさぁ、みんなってよくケンカとかするの?」
 のほほんとした吉澤が誰にとなく訊いた。
「ケンカって程じゃないものは、時々。」
 ようやく落ち着いたのであろう小川が答えた。
「ふーん。うちらもっていうかあいぼんと梨華ちゃんも前はよく言い争いしてたよ。」
「それ聞いた事あります。」
 興味津々という感じで新垣が食い付いてきた。
「梨華ちゃんは高橋と同じで一番年上って立場だからね、自分がしっかりしなくちゃって思ってたんだろうけど上手く伝わらなくてね、うん。でも実際はあいぼんがムキになって相手をしてくれる梨華ちゃんに甘えてただけなんだけどね。」
289 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)22時15分22秒
「そういう時、吉澤さんと辻さんはどうしてたんですか?」
「うーん、ただ見てた。ののはオロオロしてたけど。」
「えっ、でも。」
 新垣が何かを言いかけたが、口元を抑えて言葉を飲み込んだ。

「冷たいって思う?」
「いや、そうじゃないです。」
 慌ててフォローしようとする新垣の姿が無性に吉澤にはおかしく見えた。

「あはは、いいって新垣。でもさなんていうのかな、ケンカとかってしちゃうとなかなか引っ込みつかなくなるでしょ、悪いの分かっててもみたいにさ。だから仲直りするキッカケというかタイミングを作ってあげる事がうちの役割だと思うんだよね。」
 
 いまいち納得できていない様子の三人。

「まぁうちらの場合はね、うちとののがお菓子広げておいしいね〜ってじゃれあっていれば自然とふたりも一緒にお菓子食べてたりするかな。」
「はぁ。」
 
 それは、吉澤さんと辻さんだからかもしだせる技なんではないだろうかと、紺野は冷静に分析してみる。
 そして吉澤の話は続く。
290 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)22時44分00秒
「それにあいぼんの気持ちも分からないでもないしね。」
「といいますと?」
「梨華ちゃんの怒った顔かわいいし、その後のどーしよーってオロオロするところもかわいいから。だからツイね怒らせてみたくなっちゃうんだよ。」
 
 なんだよ、結局ノロケかよ!と心の中でツッコミを入れる者、二名。
 吉澤さんも加護さんもいじめるのが面白いとはやっぱりSなんですねと、ちょっと観点が違う者、一名。

「吉澤さんと石川さんはケンカすることないんですか?」
「そりゃあるよ。」
 
 吉澤はそう言いながらここにくる前に寄ったコンビニの袋からゴソゴソとお菓子やジュースやらを取り出し、テーブルの上に広げ始める。

「んーでもその話は今度ね。そろそろふたりが戻ってくるよ、部屋に入ってきたら小川は謝る、紺野と新垣はお菓子を勧める。オッケー?」
「「「はい。」」」
 
 そして図ったように石川が楽屋のドアを開け、後ろにいた高橋に入るよう促した。
291 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)22時44分56秒
 高橋が何かを言いかけた瞬間、小川が高橋に歩み寄り
「愛ちゃんゴメン、言い過ぎた。」
 と、謝った。
「ううん、こっちこそ。あさ美ちゃんごめんね、麻琴。」
 高橋も謝る。
「うん、愛ちゃんもお菓子食べよう、吉澤さん達買ってきてくれたコレおいしいよ。」
 紺野が笑顔で答える。
「まこっちゃんも愛ちゃんもほら、座って食べよ?」
 新垣がふたりを誘う。
「「うん。」」
 
 そんな後輩達の姿を並んでみていたふたりの手はすっかり繋がれており
「お疲れ様でした。」と吉澤が石川の耳元で小さく言えば
「よっすぃーも。」と石川は嬉しそうに微笑んだ。
292 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)22時46分03秒
「そういえばさ、梨華ちゃん今日ゴミの日だったの忘れてたでしょ?」
「あー、忘れてたぁ。」
「うちがちゃんと出しときました。ついでに冷蔵庫の整理もしといたよ。つーか賞味期限切れ多すぎ。ヨーグルトとかなんであんなに買ったのさ。」
「あれはよっすぃーが食べるってスーパーで買ったんでしょ!安売りだーとか喜んで。」
「そうだっけ?」
「そうだよぉ。なのにデザートはこっちのほうがいいとかって…。」
「だって〜。梨華ちゃんだって期待してるくせに。」
「してないもん。」
「えー、目が誘ってるし。」
293 名前:Honey 投稿日:2002年10月03日(木)22時47分05秒
 仕事前の楽屋にはすっかり後輩達がいることを忘れているふたりの世界に入っている先輩二人と、
 そんな先輩の会話を聞こえない振りをしつつ、

「あれが夫婦喧嘩ってやつ?」
「だだじゃれあってるだけでしょ。」
 
 と、昼メロを見ている主婦のようにお菓子を食べながらジュースをすすりまったりとする仲直りした四人の姿がありました。
 
294 名前: 投稿日:2002年10月03日(木)22時52分59秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>286 YUKI様。
 はい、頑張ります。
 是非書いてくださいね(w

>287  ROM専様
 ありがとうございます。
 次のお話はただただ甘くなる予定ですが、お付き合いください。
 毎回…出来ればお願いします、レスいただくと力湧きますので…。
295 名前:ROM専 投稿日:2002年10月04日(金)01時49分27秒
あの・・前回のレス、かなりフライング気味でした。
ごめんなさい。
296 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月04日(金)02時10分14秒
さり気にカッケーよっすぃーそして、
メチャクチャ可愛い梨華ちゃん、どこまでも可愛い梨華ちゃん
二人のラブラブっぷりに五期ちゃんたちは悪影響を受けないか
ちょっと心配です(笑)
奥歯が痛くなるくらい甘々な展開を期待してます(笑)
297 名前:Honey 投稿日:2002年10月07日(月)20時00分20秒
Chapter2 恋をすると息をすることさえ意味を持つ

「石川さん、明日泊まりに行ってもいいですか?」
「いいよ、前から来たいって言ってたもんね。」
「はい。」
「じゃぁ明日ね。」

 翌日、約束通り石川の家を訪れた高橋は玄関を入るなり感激の声をあげる。

「おじゃましまーす、うわー。」
「どうぞ、ごめんね汚くて。」
「えー全然きれいじゃないですか。やっぱりかわいい感じなんですね。」
「そう?適当にその辺座って。紅茶でいい?」
「はい、あーすいません、私の事は気にしないで下さい。」
「私も飲みたいから。ちょっと待っててね。」
 
 高橋は物珍しそうにキョロキョロ部屋の中を見回した。
 最近は少なくなったというピンクはまだあちらこちらに見えていたが、割とこざっぱりしていて整理整頓がきちんとされているという印象を受けた。



298 名前:Honey 投稿日:2002年10月07日(月)20時05分07秒
「あんまり見ないで恥ずかしいから。」
 石川は運んできた紅茶をコトリとテーブルに置いた。
「あれ。」
 高橋の指さした先には写真立てが。
 もちろん吉澤と並んでいう写真が飾られている。
「シドニーに行った時撮って貰ったやつなの。」
 
 写真の中の二人はいかにも幸せそうに笑っている。
 見ているだけでなんだかこちらまで幸せになる、そんな感じの写真。

「いいなぁ。」
 高橋の口から思わずそんな声がもれた。

「高橋はいないの?好きな人。」
「今はまだ、仕事だけで精一杯です。」
「でもいいなと思う人ぐらいはいるんでしょ。」
 あっという間に高橋の頬が染まる。
299 名前:Honey 投稿日:2002年10月07日(月)20時07分18秒
「あのー石川さんはどうやって吉澤さんと……。」
 
 高橋の次第に小さくなる声に石川はなんか初々しいなぁと感じた。

「どうやってっていうこともないかな、二人でいることが自然だから。」
「あーそれこないだ吉澤さんも言ってました。」
「えっ、よっすぃーはなんて?」
300 名前:Honey 投稿日:2002年10月07日(月)20時11分47秒
「『うちにとって梨華ちゃんを好きっていうのは、
  ごく自然な事というかほとんど無意識というか。
  なんて言うんだろう、そうだなぁ。
  例えば息をする事と同じ事で、呼吸って普段意識なんてしないでしょ、
  眠っていてもしてるし。でも時々あえて深呼吸したりして、
  意識的に酸素を肺に送ってやることも必要で。
  そして呼吸が止まるときっていうのはさ、人生が終わるときだから。
  ごめん分かりにくいよね。』
 って言ってました。なんか羨ましかったです。
 そんな風に想われている石川さんが、そしてそう想える吉澤さんも。」

「よっすぃーそんな事言ったんだ。あたしには言ってくれた事ないのに。」
 嬉しいけど本当は高橋の口からじゃなくて吉澤から直接聞きたいという素直な石川の言葉だった。
301 名前:Honey 投稿日:2002年10月07日(月)20時13分18秒
「じゃぁいつから付き合ったとかそういうのはないんですか?」
「ない訳じゃないけど。」
 
 高橋は、勿体つけるなよ!と矢口さんだったらつっこんでただろうなぁと思ったが、

「是非聞かせて下さい。」
 と大きな瞳をキラキラさせて石川の続きを待った。
302 名前: 投稿日:2002年10月07日(月)20時20分54秒
少しですが更新しました。
レスありがとうございます。

>295 ROM専様
 あまり気になさらないで下さい。
 あんな書き方をした自分の力量不足です(汗
 レスいただくとホント嬉しいんで、はい。

>296 名無し読者様
 さり気にカッケーよっすぃーそれが書ければいいなと思っています。
 奥歯痛くさせられるよう、頑張ります!
303 名前:ROM専 投稿日:2002年10月07日(月)22時30分31秒
なんだか、自分の初恋の頃を思い出すような妙な気持ち。
(何十年前だか・・)ちょっと酸っぱめのドキドキ感が
ふつふつと湧き上がってきました。
304 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月07日(月)22時39分05秒
この作品好きです〜♪
なんかホンワカしてて好みw
高橋の好きな人って誰だろう・・・?
305 名前:Honey 投稿日:2002年10月09日(水)22時37分20秒
石川は、ちょっと大きめのマグカップからこの間吉澤が見つけてきたレッドラズベリーティーを一口飲んで話し始める。

「オーストラリアに行ったときね、すっごく星がきれいでだったの。
 だからふたりでずっと見てたらね、
  『いつか好きな人とふたりでオーロラを見るのが夢なんだよね。
 紺青の星空に青や緑や紫のグラデーションに彩られた光のカーテンをさ。
 同じものを見て同じ感動をさ、胸に刻めたら最高じゃん。
 うちはさ、オーロラをいつか梨華ちゃんと見に行きたい。』
 ってよっすぃーが言ってくれたの。だから私も
  『一緒に行こうね。』って。」

 普通ならくさすぎて笑っちゃうような台詞も吉澤と石川なら絵になる、
いつの日か自分も言われたいなぁと高橋は夢をみる。
306 名前:Honey 投稿日:2002年10月09日(水)22時40分55秒
 その時玄関から鍵の開く音と共に「ただいま〜。」という吉澤が帰ってきた。

「おかえり。」
「お邪魔してます。」
「おっ、高橋、いらっしゃい。」

 吉澤のその様子はまるで自分の家のようで。

「梨華ちゃん、あれは?」
「洗濯しちゃったから、他のをたんすの中から出して。」
「はーい。」
 
 一度奥の部屋に引っ込んだ吉澤はTシャツに短パンに着替えてきた。
 するとさも当たり前のように吉澤の前にハーブティーが置かれる、石川とおそろいのマグカップで。
 それら一連の動作は長年連れ添った夫婦みたいと高橋は思った。
307 名前:Honey 投稿日:2002年10月09日(水)22時46分35秒
「これ結構おいしいじゃん。」
「うん、おいしいね。」
 石川のその言葉を聞き、吉澤は満足そうにその甘酸っぱい味を楽しんだ。

「高橋はハーブティ飲める?」
「えっ?」
「結構ダメな人がいるし、これおいしいか分からなかったから、
 さっきは普通の紅茶にしたんだけど。」
「多分、大丈夫だと思います。」
「じゃぁ新しいの入れてくるね。」
 石川が高橋のカップを持ってキッチンに向かう。   

「で、何を話してたのかな。」
「石川さんと吉澤さんの馴れ初めを聞いちゃいました。」
「馴れ初めって…。梨華ちゃん何話したのさぁ。」
 キッチンにいる石川に振り向きながら吉澤が訊く。
308 名前:Honey 投稿日:2002年10月09日(水)22時52分11秒
「別によっすぃーがオーロラ見に行こうって言ってくれたなんて話してないよ。」
 そう言いながら戻ってきた石川の笑顔はなんだか悪戯っ子のようでかわいいという表現がピッタリくるような表情だった。

「まいったなぁ。」
 吉澤の照れた表情は相変わらずかっこいいと高橋は改めて思った。

「さてと、オフロ用意してくるね。」
「うん、お願い。」
 吉澤はこの場から逃げるようにバスルームへ消えて行った。
 
 高橋はふたりの生活を垣間見てしまったことが、なんだか気恥ずかしいかった。
 仕事場でのふたりも充分甘い雰囲気を放っているが、それとは明らかに違う空気がここには流れていた、なんともいえない日常の空気が。
 ふたりが仕事場では素を出していないという訳では決してない、ないが、高橋には何もかもが新鮮に映っていた。
309 名前:Honey 投稿日:2002年10月09日(水)22時54分50秒
「いただきます。」
「どうぞ、召し上がれ。」
「石川さんは?」
「うん。」
「あぁ、吉澤さんを待ってるんですね。あー私食べちゃいました。すいません。」
「いいの、食べて。作りたてのほうがおいしいから。」
「すごくおいしいです。」
「よかった〜、よっすぃーはおいしいって言ってくれるけどあんまり料理の腕に自信ないの。それにこれは料理とは言えないけどね。」
 
 高橋は吉澤の『梨華ちゃんが作ったものなら何でもおいしいよ。』という声が聞こえてきそうな気がした
 実際、高橋だってどんな料理が出てきたって石川が作ったものなら、おいしいですと平らげる自信があった。それほど今日の石川は魅力的だった。
 
 だから、このふたりがどういうプロセスでこんなに甘い関係を築いてきたのか、とても興味があった。
310 名前: 投稿日:2002年10月09日(水)23時02分00秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>303 ROM専様
 初恋の思い出しますか?初恋って甘酸っぱい感じですよね。
 嬉しいお言葉ありがとうございます。

>304 名無し読者様
 高橋の相手ですかぁ、決まってはいるんですけど…。
 ホンワカいきたいです、頑張ります。 
311 名前:ROM専 投稿日:2002年10月10日(木)07時11分09秒
・・甘い関係のプロセスって・・
すいません。変な妄想を(w
312 名前:Honey 投稿日:2002年10月11日(金)19時02分41秒
「あのー。」
「なに?」
「石川さん達は、えーっと女同士…。」
「理解できない?」
「そ、そうじゃないです。」
 
石川は高橋がそうじゃないと答えることは分かっていた。
だって高橋の想い人に心当たりがあったから。

「そりゃ抵抗が全くなかった訳じゃないのよ。でもね、よっすぃーが
『例えば薔薇はその名前を失ったとしても、
その美しさや馨りは変わる事がないように、
うちらだって名前とか性別なんてどうでもいい事なんだと思う。
うちは梨華ちゃんが好き、それ以外の何ものでもないよ。』
って言ってくれたから。」

「ロミオとジュリエットですね。さっきのオーロラといい吉澤さんって意外にロマンチストなんですね。」
313 名前:Honey 投稿日:2002年10月11日(金)19時04分25秒
「意外って失礼だなぁ、たかはすぃー。」
 
吉澤がお風呂掃除から戻ってきた。

「あっ、別にそういう意味じゃなくってですね…、あの、えっと…。」
 高橋の慌てっぷりに吉澤はお腹を抱えて笑い出す。

「あはは、高橋は面白いねぇ。」
 それにつられて石川も笑う。
314 名前:Honey 投稿日:2002年10月11日(金)19時05分18秒
 吉澤はドカッと座って目の前にあるごちそうを口に運ぶ。
 どう?と言わんばかりの石川においしいよとやわらかく笑う。
 高橋は石川さんじゃなくてもそんな顔をされたら一所懸命お料理しちゃいそうです、と呟いた。

「ん?高橋、何か言った?」
「いいえ、何でもないです。」
 
 高橋は残りのベーグルを口に押し込んだ。
 そしてそれをハーブティーで流し込み、次の質問へと取り掛かる。
315 名前:Honey 投稿日:2002年10月11日(金)19時06分32秒
「えっと、おふたりは一緒に住んでるんですか?」
 高橋はいつでも直球勝負。
「うーん、どうなのかな。」
 石川がチラッと吉澤を見る。
「うちが勝手に押しかけてきてるってとこかな、なにかと便利だから。」
「ふーん、便利だから来てるんだ。」
 石川は吉澤がわざとそう言っていることをちゃんと分かっていたので、吉澤が望んでいるだろう返答をした。
「まぁねぇ〜。」
 それを受けた吉澤もニコニコと満足そうにしている。
 
 普通に会話しているだけなのになんでこのふたりは、
 こんなに甘い雰囲気が作れるのだろうと高橋は感心する。
 それはふたりで言葉遊びをしているかのような会話達で、
 言葉だけじゃなくて声の色とか心の様子や温度など、
 相手のすべてを感じながら会話を楽しんでいるといった感じだった。
316 名前:Honey 投稿日:2002年10月11日(金)19時07分47秒
 その時、ピピッという音がした。

「オフロ準備出来たね、高橋入ってきなよ。」
 吉澤が言う。

「私は…。」
「うちが洗った風呂には入れないってか?」
「いえ、そんな。」
「じゃぁ入って来い!」
「はい。」

「使い方分かると思うけど。着替え私のでいい?」
 そう訊きながら、石川が高橋を誘導する。
「持って来ました。」
 高橋はカバンから着替えを取り出し石川に続く。
317 名前:Honey 投稿日:2002年10月11日(金)19時08分33秒
「よっすぃータオル用意してあげて。」
「あいよ〜。」
 吉澤はそそくさとタオルを用意し石川に渡す。

「高橋、ちゃんと隅々まで洗えよ。」
 吉澤は口唇の端を少しだけ上げて笑う。

「その笑い方なんかやらしいよ、よっすぃー。」
 少し口を尖らせて石川は吉澤の耳を引っ張って高橋から引き離す。
 そういういやらしい目は私にしかしちゃダメといってる様だ。
 それを感じた吉澤は、痛い痛いよ〜と大げさに言いながらも嬉しそうだった。
 
 そして高橋はやれやれと溜息をついた。
318 名前: 投稿日:2002年10月11日(金)19時14分28秒
更新しました。

>311 ROM専様
 いつもありがとうございます、ホントに励まされています。
 どんな妄想ですか?(w 是非聞かせていただきたいです。
 
 
319 名前:ROM専 投稿日:2002年10月11日(金)19時48分25秒
>どんな妄想ですか?
そんな・・愛ちゃんの前では言えません!でも、これから
どの様に絡んでくるのかが楽しみです。(いゃ−変な意味
じゃなくて・・・)
320 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月12日(土)01時44分09秒
うーん、たかはすぃになりたい…(笑)
こんな二人を目の前にじっくりと観察したいぞ、と!
まだまだ序の口ですよね?もっと甘々になるのですよね?
おかげさまでだんだん奥歯も疼いてまいりました(笑)
(それはポッキーの食いすぎ!?)
期待してますー。
321 名前:Honey 投稿日:2002年10月16日(水)20時27分49秒
 高橋がお風呂から戻ってくると、リビングでは…。
 とっさにそこに能天気に足を踏み入れてはいけないと悟った高橋は静かに耳を傾け、閉められたドアの向こうをそっと覗いた。


「ほら、高橋もう出てくるんじゃん?」
「まだ大丈夫だもん。それともひとみちゃんは高橋に見られちゃ困る?」
「困らないけど、普通見られたくないでしょ。梨華ちゃんは見られたいの?」
「私とひとみちゃんは愛し合ってまーすって言いたいもん。」
「うーん、それは何か違う気もするけど。それに高橋には刺激強すぎるでしょ。」
 
 ソファに座る吉澤の膝に乗っている石川。
 もちろん石川の腕は吉澤の首に回され、吉澤の腕は石川の細い腰を支えるように回っている。
322 名前:Honey 投稿日:2002年10月16日(水)20時29分13秒
「いい刺激になるかもよ。」
「大胆発言ですね、石川さん。」
「だって、私とひとみちゃんがこうなった時ひとみちゃんは高橋よりも年下だったんだよ。」
 
 そう言いながら石川は吉澤の口唇に自分のそれを近づけている。
 ふたりは触れるだけのキスを何度か繰り返した後、幸せそうに微笑みあっていた。

「ほら、梨華ちゃん降りて。」
「ヤダもん。」
「あのね〜。高橋が、」
 そう言いかけた吉澤の口をまたもや石川が塞いだ。
 
 今度は深く、深く。
323 名前:Honey 投稿日:2002年10月16日(水)20時30分28秒
 すっかり出て行くタイミングを失った高橋はオフロあがりだからなのか体が熱くなってしまっていたと同時にビックリもしていた。
 
 石川が吉澤を好きで好きでしょうがないってことは知っていた。
 が、こういう行為を積極的にリードしているのは吉澤の方だと思っていたから。
 

 しかし、いつまでもこうしている訳にはいかない。
 
 高橋は意を決してドアを開ける。
324 名前:Honey 投稿日:2002年10月16日(水)20時32分29秒
「お先にいただきました。」
「うわっ、高橋、その言い方おばさん入ってるよ。」

 吉澤はまたしても高橋をからかってケタケタ笑った。
 そしてふたりはさして隠す様子もなく、くっついたままどっちが先にお風呂に入るかじゃれあっている。

「一緒に入れよ!」高橋は心の中で言った。


 ………つもりが声にしていたようだ。
 

 ソファのふたりは高橋に負けないくらいのビックリ顔をしていた。
325 名前:Honey 投稿日:2002年10月16日(水)20時33分53秒
「た、たかはし?」
「は、はい。」
「今のは何?」
「えっ、何か言っちゃいましたか?」
「はい。いえ、空耳だと思います。」
 
 吉澤は変な敬語を使いつつ、冷静さを取り戻そうとしている。
 
 それに対して石川は。

「高橋もそう言ってることだし一緒に入ろうか?よっすぃー。」
「は、はい?」
 
 思いっきり声が裏返ってしまった吉澤。かなりのヘタレっぷりだ。

「よっすぃーかわいい。」
 
 石川はクスっと笑って、立ち上がりバスルームへ向かった。
326 名前:Honey 投稿日:2002年10月16日(水)20時37分19秒
 石川に翻弄されている吉澤がやけに可愛くて高橋は笑ってしまう。

「笑うなよ〜。」
「すいません。」
「まぁ、いいけど。」

 
 そんなこんなで一日が終わった。
 

 次の朝、石川が用意した朝食を食べ三人で仕事場へ向かった。

「あのー、ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
「また来なよって言って梨華ちゃんちだけど。」
「はい、是非。」
「今度は小川も一緒にね。」
「あ、はい。えっ、石川さん?」
 
 石川は何も言わずウインクをした。
 吉澤は、何で小川?って石川にしつこく訊いているが内緒と言われてた。

 
 『私もはやくお二人のようになれるように頑張ります。』
 と高橋が決意したある日の出来事。
327 名前: 投稿日:2002年10月16日(水)20時44分10秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>319 ROM専様
 高橋の前では言えない妄想……、とても気になります(w
 書いている人自身もこれからどう絡ませようか悩んでます。
 頑張ります!

>320 名無し読者様
 何気にプレッシャー?ありがたくお受けします(w
 もっと奥歯を……よし、はりきっちゃう!
 ポッキーうちにもたくさんあります、ほとんど主食の勢いです(苦笑

 
328 名前:ROM専 投稿日:2002年10月16日(水)21時10分24秒
いやぁー、愛ちゃん最高!久しぶりに大笑いさせていただきました。
モニタ−バシバシ叩きながら・・。私の妄想もこの程度です。(嘘
329 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月17日(木)18時49分33秒
ほのぼのアツアツいい!!♪
そうか〜小川か〜w
頑張れーー。

自分の家にも未だにポッキーが沢山有ります。
太りそうで怖いです(w
330 名前:ROM専 投稿日:2002年10月28日(月)15時08分00秒
丁度いい具合に下がってきたので、そろそろ
妄想の具現化でも・・(ゴメンナサイ
331 名前:Honey 投稿日:2002年11月04日(月)18時34分52秒
Chapter3 その時天使は舞い降りた


「あのー吉澤さんちょっといいですか?」

「なに?どうした?」
 吉澤が控え室の隅でボーッとしていると小川が寄って来た。
 吉澤は隣にあった椅子をひいてそこに座るよう促した。
332 名前:Honey 投稿日:2002年11月04日(月)18時42分15秒
「あのー。」
「なんだよ、言ってみな。」
「はい、えっと、吉澤さんと石川さんって長いですよね?」
「うん。」
「今でもドキドキってしますか?」
「はい?」
 
 突然の思ってもみない質問に吉澤の頭はついていかない。
 それでもなんとか会話を成立させようと頑張ってみる。

「うーん、小川はドキドキしないの?」
「いえ、します。しすぎて困ってるんです。」
 
 吉澤にはいったい小川は何を聞きたいのか理解不能だが、とりあえず答えておこうと辻と加護と遊んでいる、いや遊ばれている石川を視線の先に据えて語り始める。
333 名前:Honey 投稿日:2002年11月04日(月)18時46分12秒
「ドキドキしまくるよ、そりゃ。
 心臓がありえないくらいの速さで動いたりさ、
 これでもか!ってくらい熱くなったり、
 痛いくらいの切なさに包まれたり。
 梨華ちゃん次第で舞い上がりもするし、
 再起不能と思われるくらいのダメージだって受ける。
 長く付き合っててもそれは変わらないよ………

 …好きな人の傍にいるだけで、常に新しいドキドキがやってくるんだからさ。」
 
 小川はそれを聞いて吉澤が真剣に自分の問いに答えてくれた事を嬉しく思った。
 そして本当に石川のことが好きなことが伝わってきた。

「それで小川はうまくいってんの?」
「えっ。」
 途端に顔が真っ赤になる小川。
「あはは、小川分かりやすすぎ。」
 とは言っても本当のところは石川に教えてもらった吉澤なのだが。
334 名前:Honey 投稿日:2002年11月04日(月)18時48分44秒
「でもなんでドキドキしますか?、なの?」
「いえ、あの、普段は普通に話せるのになんか肝心なところになるとドキドキしすぎてうまく言えなくなるというか。」
 
 そんな小川はやっぱり女の子なんだなぁと可愛く思えた。

「うちだって同じだよ。今小川に偉そうなこと言ってても、いざ梨華ちゃんを前にすると想いの十分の一も伝わればいいくらいだし、『好き』っていう二文字でさえ満足に言えてないよ。」

「吉澤さんがですか?」

「おいおい、小川。それはうちがいつもクサイ台詞ばかり囁いている様に見えるってことですかね?」
 吉澤がおどけて言う。

「いえ、そんな………。」
「小川は可愛いな。」
 気まずそうにうつむく小川の頭を吉澤はクシャクシャと撫でた。
335 名前:Honey 投稿日:2002年11月04日(月)18時50分08秒
「あのさ、うまくなんて言わなくていいんだよ。伝えたいって気持ちがあればちゃんと相手には分かるから。」

「気持ちですか?」

「そう、気持ち。それに伝える方法は言葉だけじゃないよ。思い切ってブチュとブチュとしてみるなんていうのはどうよ?案外相手もそれ待ってるかもよ。」
 
 吉澤はよからぬ悪戯を思いついたかのような笑みを浮かべている。
 だけどそれにつられて小川も自然に笑ってしまっていた。
336 名前: 投稿日:2002年11月04日(月)18時57分41秒
少しですが更新しました。
レスありがとうございます。

>328、330
 いつもありがとうございます。笑っていただけたようで何よりです。
 チェックしていただけてるなんて光栄です。
 なるべく早く更新できるように頑張りますので……。

>329 名無し読者様
 はい、小川さんにしてみました。
 ほのぼのアツアツ!ここのふたりはやわらかい感じにしたかったので、
 伝わっていればなによりです。
 ポッキーホントにどうしましょうか?(w
337 名前: 投稿日:2002年11月04日(月)20時02分29秒
やってしまったぁ。

>328、330 ROM専様 です。
 大変失礼しました、スミマセン。
338 名前:みょ 投稿日:2002年11月05日(火)07時50分07秒
すっごくおもしろいです♪
これからも応援してます。
石吉も大好きですが、小高も大好きなので、この小説をいつも楽しみにしてます
頑張ってください♪
339 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月05日(火)18時31分49秒
おがーかわいい、おがー!
でもたかはすぃと組むと受けなのかな、おがーさん(笑)
なんか、相談を受ける梨華ちゃんとよっすぃーはすっかりお姉さんモードですな、
成長したもんだ…しみじみ(笑)
期待は膨らむばかり…ぜひ砂糖吐かせていただきたいです、お願いします。

ポッキーの処理は完了!
値段が安いので途中から切り替えたプリッツの方に移行いたします!(笑)
340 名前:ROM専 投稿日:2002年11月06日(水)02時05分21秒
今のふっくらしてる麻琴っちゃん、可愛いと思う。すごく純粋
で優しい子なのね。1年も経てば何気に個性も見えてきますね。
341 名前:Honey 投稿日:2002年11月09日(土)00時35分11秒
「イテテ、何すんだよ、もう。」
 
 その時、吉澤の後ろから耳を引っ張る手が伸びてきた。
 吉澤には振り向かなくてもそれが誰の手かは分かっていて。

「こらっ、変なこと教えないの!」
「変なことじゃないよねー。」
「はい、勉強になりました。」

「ほらー、つーか石川さん痛いんですけど離してもらえませんかね。」
 石川は納得がいかないという顔をしたけど、その手を離し吉澤の肩に置いた。

「梨華ちゃんさ、最近凶暴化してきてない?」
「よっすぃーにはこれくらいが丁度いいんじゃない?」
 
 そんな石川に素直にごめんなさいと謝る吉澤はすっかり尻にしかれている様で、そんな姿でさえも小川には羨ましく映る。
342 名前:Honey 投稿日:2002年11月09日(土)00時36分24秒
「なに笑ってんだよー、おがわぁー。」
 
 少し照れながら言うと吉澤は一呼吸置いて真面目な顔に戻った。

「それで、さっきの続きなんだけど。告白の瞬間、緊張とともに胸がドクンドクンと鳴るのは天使が背中を押しているからなんだって。『ほら、今だよ。』って。きっとさ今小川の後ろには天使がいてタイミング教えてくれてるんだよ、ねっ。」

「はい。」
 
 そう答えた小川の背中を石川と吉澤は同時に押した。
 まるで合図したかのようにピッタリのタイミングで。
343 名前:Honey 投稿日:2002年11月09日(土)00時37分32秒
 小川は立ち上がり新垣や紺野と騒いでいる彼女の元に歩を進めた。



「梨華ちゃん、ちょっと。」
 
 その小川の後姿を見守っている石川に手招きする。

「なに?」


『チュッ。』

 
 石川が吉澤の方へ顔を向けた瞬間すばやくキスがやってきた。
344 名前:Honey 投稿日:2002年11月09日(土)00時38分57秒
「ちょっと、ひとみちゃん。」
 
 不意打ちに慌てたのか思わずひとみちゃんと呼んでしまう石川。

「だってさぁ。」
 
 悪びれもせず顔をニヤケさせる吉澤。

「だって、なによぉ。」
「だって、うちも今背中押されたんだもん。」
 
 そう言いながら無邪気な笑顔をする吉澤に石川の胸も鳴る。
345 名前:Honey 投稿日:2002年11月09日(土)00時39分59秒
「うちはさ梨華ちゃんといるといつも天使に背中押されっぱなしかも。いつだって胸がドクンドクンっていってるし。」
「うん、私も同じだよ。」

「そっか。」
「うん。」

 

 そんなふたりを見つめるのは恋を運ぶ天使と、
 いつか私達もああなりたいねと肩を寄せ合う若者ふたり。
346 名前: 投稿日:2002年11月09日(土)00時50分37秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>338 みょ様
 ありがとうございます。
 楽しみにしていただけてるなんて……、
 頑張りますのでこれからも覗いてやって下さいね。

>339 名無し読者様
 お姉さんな梨華ちゃん可愛くないですか?
 自分お姉さん梨華ちゃん大好きなんですよぉ。
 砂糖!頑張らせていただきます、があまり期待なさらぬようお願いします。

>340 ROM専様
 小川さんは何気にかわいいです。
 もう1年も経つんですよねぇ、でも話を書く上で特徴を掴み切れないのが
 悩みどころです。自分に文才がないからなんですけどね(w
 
347 名前:ROM専 投稿日:2002年11月09日(土)10時55分38秒
>自分に文才がないからなんですけどね(w
とんでもない!ROM専門の私も思わずレスをせずにはいられなくなる程
良い雰囲気を持っていらっしゃると思います。作者様の後ろにも天使が見
えますよ。
348 名前:ROM専 投稿日:2002年12月15日(日)00時57分30秒
おがわっしょい!
349 名前:ROM専 投稿日:2003年01月08日(水)07時15分58秒
どした?
350 名前: 投稿日:2003年01月26日(日)01時50分28秒
間あけてしまってすみません。
言い訳ですが色々と立て込んでおりまして。
少し余裕が出来たら続き書きますので‥‥。
場繋ぎにといってはなんですが、短いの書きました。
もしよかったら読んでみてください。
351 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)01時51分48秒
 昔うちがまだ小さい頃、ママは魔法使いだった。
 ママのやさしい手がふれるとおなかが痛いのもふっ飛んだし
 ケガだって平気になった。


 いつの頃からかママの魔法はパパにしか効かなくなって

 そして、うちは梨華ちゃんと出逢った。
352 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)01時53分16秒
「大丈夫?」
「多分。」
「でもまだ熱ちょっとあるね。」
 
 梨華ちゃんの手がふれるたび痛み和らぐ。
 傍にいるだけで、安心する。


「もっとさわってて。」
「今日のひとみちゃんはなんだか甘えん坊ですね。」
 
 やさしく笑って梨華ちゃんは手を繋いでくれた。

353 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)01時55分03秒
「病気のときぐらいいいじゃん。」 
「いいよ、なんだかひとみちゃん可愛い。」
「可愛いって言うなよぉ。」
「あー照れてる、可愛い。顔赤いし。」
「違うよ、熱のせいだよ。」
 
 梨華ちゃんは嬉しそうにうちのほっぺたをつついている。

「でも、ごめんね。うちに帰ったほうがいいの分かってるんだけど。
 梨華ちゃんに風邪うつしちゃったらマズイのにさ。」
「いいのに、そんなこと気にしなくても。」
 
 恥ずかしいから言わないけどさ、梨華ちゃんに傍にいて欲しかったんだ。
 風邪のせいかもしれない、
 でもね、無性に梨華ちゃんと離れたくなかったんだ。
354 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)01時56分11秒
「飲み物取ってくるね、のど渇いたでしょ?」
「うん。」
 
 梨華ちゃんはすごい、うちののどの渇きまで分かるんだから。


「はい。」
 
 手渡されたコップの中身を一気に飲み干す。
 水分を欲していた身体に冷たい液体が行き渡るような感じが心地よい。

「もっと飲む?」
「ううん、もういい。」
 
 
 だって水分よりももっとうちが欲しているものがあるから。
355 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)01時57分53秒
「梨華ちゃん。」
「何?痛いの?苦しい?」
 
 そういいながらうちのおでこに手を当てて心配そうにしている梨華ちゃんがたまらなく愛しい。

「ううん、大丈夫、梨華ちゃんがいてくれれば大丈夫。」
「どうしたの急に。今日のひとみちゃんおかしいよ、やっぱり熱あるからかな。」
 
 照れ隠しにそんなことを言う梨華ちゃんが大好きだよ。
 でもね、これは熱の所為じゃないよ、いつも想っていることなんだよ。
356 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)02時00分01秒
「そうかもねぇ、じゃぁついでに言っちゃおうかな。」
「うん。」
「昔ね自分の母親は魔法使いなんじゃないかなって思ってたんだぁ。」
「魔法使い?」

「うん、おいしい料理をあっという間に作れるし、
 ドロンコになった洋服も真っ白に出来るし、
 おなか痛いって言うとさ優しくさすってくれて、
 そうするとさ不思議と治るんだよねぇ。」
「素敵なお母さんなんだ。」

「うん。関係ないけどあのねケガとか手当てするって言うじゃん、
 『手当て』の語源ってね本当に手を当てて癒す事なんだって。」
「えっそうなの?」
「うん、でね、お母さんてすごいなぁって思っていた訳よ。」
「そうだね、お母さんってすごいよねぇ。」

 
 握っていた手に力を込める。
 梨華ちゃんもギュって握り返してくれた。
 繋がっているのは右手だけだけど、梨華ちゃんに抱きしめてもらっているような気がした。
357 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)02時01分23秒
「でもね、いつの日からかお母さんの魔法はうちには効かなくなっちゃったんだ。」
「えっ。」
「っていうか、もっと偉大な魔法使いに出逢っちゃったからね。」

 うちが微笑むとちゃんと梨華ちゃんは解ってくれて‥‥。

「ちゃんと魔法届いてるのかな?」

 なんて訊いてきた。
 何言ってんだよ梨華ちゃん、もう一生覚めないくらいの魔法にかかってるよ。
 だけどさ梨華ちゃん、うち以外にその素敵な魔法はかけないでね?

「届いてるよ、充分。」
「ひとみちゃんの魔法もちゃんと届いてるよ。」
「そっか、よかった。」 

 梨華ちゃんってやっぱり可愛いよ。
 再確認していると梨華ちゃんの表情がなんだか曇り始める。
358 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)02時02分56秒
「どした?」
「‥‥‥うん。」
「ん?」
「あのね、ひとみちゃん。‥‥私以外の魔法にかかっちゃイヤだよ?」

 バカだなぁ梨華ちゃんは、そんなこと気にするなんて。

「他の誰の魔法もうちには効き目ないよ、梨華ちゃんじゃなきゃダメなんだよ?」

 ね?って言いながら体を起こして梨華ちゃんの両手を取った。

「うん、あーあともうひとつ。」
「なに?」
「私以外の人に魔法かけちゃダメだからね。」


「‥‥‥はい。」


「あー!今返事遅れた、一瞬考えたでしょ!」
「違うってぇ。熱のせいで少しボーっとしちゃったんだって。梨華ちゃ〜ん。」


「もう、ひとみちゃんなんて知らない。」
359 名前:魔法 投稿日:2003年01月26日(日)02時03分49秒
 へそを曲げてしまった梨華ちゃんは部屋から出て行ってしまった。

 
 
 と思ったら、アイス片手に戻って来てくれた。

「はい。」

 スプーンに乗って差し出される甘いストロベリーのアイスクリーム。

「おいし。」

 梨華ちゃんはそれを自分の口にも運ぶ。

「おいしいね。」

 

 こんな何気ない日常も梨華ちゃんとだから楽しくて、
 そして梨華ちゃんとだからこそ何気ない日常なのだ。


 梨華ちゃんは魔法使い、ママよりすごい魔法使い。
 

 だってうちをこんなにも幸せに出来るのだから。
360 名前: 投稿日:2003年01月26日(日)02時08分40秒
短編を更新しました。

>347、348、349 ROM専様
 いつもありがとうございます。
 なんの挨拶もなしに間をあけてしまってすみませんでした。
 Honeyのほうも書いていきたいと思ってますので、
 もうしばらくお待ちいただければ幸いです。
361 名前:ROM専 投稿日:2003年01月27日(月)08時32分29秒
魔法すごく良かったです。時の流れが静かに感じられて
こちらも幸せになれます。(昨日のハロコンでボクも色々
な魔法にかかってきたし・・)
362 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月28日(金)00時56分33秒
ほぜん
363 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時08分51秒
Chapter4 時に嫉妬は素敵なスパイス

「おーい、高橋どうした?」

 スタジオの隅、怖い顔をしてパイプ椅子にひとり座っていた高橋に気付き、吉澤は声をかけた。
 脇にあった椅子を広げて自分も高橋の隣に腰を掛け、高橋の睨んでいた前方へ視線を移すと仲良さげに話している小川と紺野の姿があった。

「あー。」
 高橋のこわーい顔の理由が分かったところで、

「そんなに気になるなら行けばいいじゃんか。」
 と、結構気楽なことを言う吉澤。

「そんな単純なことじゃないよね。」

 吉澤を探しにきたのであろう石川が話に参加してきた。
364 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時11分43秒
 吉澤は少しおしりをずらしてスペースを空けそこに石川は座った、つまりひとつの椅子にふたりで座っている訳で。
 そしてすでに吉澤の右腕は石川の腰にまわされている。
 それは何も言わずとも流れるように行われていた。
 高橋にとってはこんなふたりの些細な行動もうらやましく感じてしまい、高橋から大きなため息が漏れてしまった。

「ため息つくなってぇ。」
「す、すいません。」
「いや、別に誤らなくてもいいけど。」
 相変わらす高橋はかわいいなぁと笑う吉澤を石川が少し睨む。

「でも、ため息つくと幸せ逃げちゃうよ。」
 吉澤の視線を高橋から外させようと石川が発言する。
365 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時22分12秒
「なんだよそれー、梨華ちゃんばばくさいよ〜。」
 吉澤は手をたたいて大笑いをした。

「でもよくいうじゃない。」
 石川は少しムキになって反論した。
 そんなところも吉澤には可愛く見えて、更にからかいたくなってしまうことに石川は気付いていない。

「おばさんがね。」
「みんな言うもん。」
 頬を膨らませる石川のほっぺたをつついて遊ぶ吉澤。
 
 そんなやりとりを見て高橋は一層大きくため息をついた。



「よっすぃーちょっときてー。」
 声がした方を見ると矢口と安倍が手招きをしていた。

「はーい、んじゃ行ってくるねー。」
 吉澤はにこやかに立ち上がり呼ばれたほうへ走っていった。
366 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時23分28秒
 残された石川は高橋の視線の先にいる小川と紺野を見ながら訊く。

「紺野が気になる?」
「そういう訳じゃないんですけど。」 
 高橋は一応否定してみるものの誰が見ても気にしているのは丸分かりで、そんな高橋を見ていた石川は自然に笑みがこぼれた。


「あのー石川さんはヤキモチとか妬かないんですか?」
「もちろん妬いちゃうよ、でもどうなんだろうね。」
 どうなんだろうねの意味がよく分からない高橋だけど、そこにはどこか余裕が感じられた。
367 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時30分05秒
 高橋はその答えが吉澤にあるような気がして、矢口たちとじゃれあっている吉澤に視線を集めた。
 

「マリー愛してるよー。」
「「キャー。」」

 それを聞いた高橋はいくらふざけているにしても彼女の前で普通それは言わないだろうと少し石川がかわいそうになってしまった。
 が、当の石川はそれを微笑ましそうに見ていた。
368 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時33分16秒
「あれくらいで動揺してたら身が持たないから。」
 高橋の気持ちを察した石川がさりげなく言う。


「はじめはね、嫌だったしケンカもしたよ。
  
  『なんで矢口さんに抱きつかれて喜んでんのよ!』
  『梨華ちゃんだって保田さんに肩抱かれて
   うれしそうにしてたじゃんよ。』
  『うれしそうになんてしてないじゃない、
   それにひとみちゃんさっきあいぼんにキスしてたでしょ。』
  『してないよ、されてたの。』
  『どっちでも一緒じゃない。』
 
 なんてね。お互い言い始めたら止まらなくなって、その後三日ぐらい口きかなかったこともあったんだけど。」


「どうして今は平気になったんですか?」
 高橋は大きな瞳をキラキラさせて石川を答えを待った。
369 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時34分39秒

「よっすぃーのことが好きだから。」

「へっ?」

「よっすぃーがもてるのは仕方ないと思うの、あんなに優しくてかっこよくてかわいいんだから。」
「はぁ。」
 
 結局はいつもそこかよ!
 
 と高橋は心の中で今回はちゃんと心の中でツッコミを入れた。
370 名前:Honey 投稿日:2003年03月19日(水)22時36分25秒
「ヤキモチ妬いちゃってもいいと思うよ。それってね好きだからこそ生まれる気持ちな訳じゃない?」
「そうですけど。」

「私はね、よっすぃーがヤキモチ妬いてくれたら嬉しいもん。程度にもよるとは思うけど。」
 そう言いながら石川は微かに思い出し笑いを浮かべている。

「だからいいと思うよ、素直に紺野とあんまり仲良くしないでーって言ってみるのも。」
「‥‥‥考えてみます。」
「うん。」
 ここで丁度石川が次の撮影に呼ばれ席を立った。


「はぁ‥‥‥。」
 

 高橋はどうもスッキリしない思いを抱えまたため息をついた。
 顔を上げたその先にはまだ楽しそうに会話をしている小川と紺野の姿があった。
371 名前: 投稿日:2003年03月19日(水)22時43分08秒
更新しました。
レスありがとうございます。

>361  ROM専様
 お待たせしました。
 そしていつもありがとうございます。
 時の流れが静かに感じられたなんて嬉しすぎです。
 今後も頑張りますのでよろしくお願いします。

>362 名無し読者様
 ほぜんありがとうございました。
 今後は早めに更新できるように頑張ります。
372 名前:ROM専 投稿日:2003年03月19日(水)23時30分13秒
待ってました。更新乙です。なんか、読んでてすごい笑顔になってます。
なんでだろ〜・・大人な梨華ちゃんがすごく素敵ですね。対照的にネガ
ティブ・モードのラブリーもまた初々しくて可愛いです。
373 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月20日(木)02時20分06秒
更新乙!
おねえさんキャラの梨華ちゃんいいなぁ…
相変らず甘々だし、奥歯痛くなっちゃうよー、
次回も更に甘く、痛みどめ用意してお待ちしてます。
374 名前:Honey 投稿日:2003年03月24日(月)19時54分11秒
 次の日。
 吉澤は自分の出番はないが愛しの彼女の仕事っぷりを見学するためスタジオに入ると、そこには口を尖らせている小川がいた。


   『それにしても可愛いなー高橋は。』
   『ありがとうございます、中澤さんも素敵です。』
   『ちょっと、チャーミーの中澤さん取らないでよー。』
    高橋と石川、両側から中澤に抱きついている。
   
   『中澤さんはいったいどっちが好きなんですか?』
   『そんなんラブリーに決まってるやろ!』
    中澤が石川を振り払って高橋を抱きしめ返した。
   
   『キャーやめてー。』
    石川の高い声が響く。  
375 名前:Honey 投稿日:2003年03月24日(月)19時55分33秒
「相手は中澤さんじゃん、大丈夫だって。」
「んあぁ、へっ!‥‥‥あっ吉澤さん。」
 小川が慌てたのは急に後ろから話しかけられたからだけじゃなく、自分のかっこ悪い姿を見られてしまったという恥ずかしさもあったからだった。


「っていうか、その格好ってどうなの?」
「そういう吉澤さんこそカラスって。」

「「プーッッ。」」
 お互いの衣装をマジマジと見合って思わず噴出してしまった。
 と、周りのスタッフの冷たい眼差しにふたりはペコペコと頭を下げながら隅のほうへと移動した。
376 名前:Honey 投稿日:2003年03月24日(月)19時56分34秒
「吉澤さんは平気ですか?」
「小川は?」
「・・・・・。」
 小川は何かを言いたげだがそれをためらってるようだ。


「小川はさ、もしかしてヤキモチとかってかっこ悪いって思ってる?」
「‥‥それもあります。それともし逆の立場だったらって考えると。」
「高橋にヤキモチ妬かれたらってこと?」
「はい。私のこと信用してないのかなぁって思ってしまうんで。」
「んー、それはちと違うんでないかい?」
「・・・・・。」
 
 吉澤は周りの雰囲気と時計を確認してちょっと場所変えようか、と人気のないロビーのソファへ小川を誘導した。
377 名前:Honey 投稿日:2003年03月24日(月)19時59分25秒
「さっきの話だけどさ、嫉妬ってのはさ、相手を信用してるとかしてないとかじゃないと思うんだよね、うちは。」
「はぁ。」
「だってコレって問題は相手な訳だからさ。例えばさ、いくら梨華ちゃんが中澤さんを何とも思ってなくても中澤さんが梨華ちゃんを好きかもしれない、そんな風に思っちゃうからヤキモキしちゃうんじゃん。うちはね、梨華ちゃんは信用してるけど中澤さんは信用してない!!」
 
 吉澤は立ち上がり拳を握り力いっぱい言い切った。
 

               ‥‥‥‥姿はカラスだけど。



「よっさん、今何か言ったか?」
 
 そこへ本人登場。
378 名前:Honey 投稿日:2003年03月24日(月)20時00分49秒
「いえ、あの、あはは‥‥‥。」
 途端に慌てる吉澤。

「ふーん、まぁええけど、よっさんがそういう気なら。」
「あー、わー、違いますって。あのー小川がそのゴニョゴニョ‥‥。」
 
 さっきまで頼りがいのある先輩だったはずの吉澤のヘタレ具合に少々がっかりした小川だったがここは一肌脱いで助け舟を出すことにした。

「中澤さんもう終わったんですか?」
「衣装チェンジしてもう一本って‥‥小川。」
 小川の衣装を見ただけでスイッチが入ってしまった中澤に追い討ちをかける。

「雪子おばちゃん、一緒に富良野に帰ろう。」
「ちょっとやめーって。」
 涙を流し後退りながら中澤退場。
379 名前:Honey 投稿日:2003年03月24日(月)20時01分54秒
「でだね。」
 さぁ気を取り直してとばかりに吉澤は話の続きをはじめようとするが、さっきのヘタレっぷりをみた小川は本当にこの人について行って大丈夫なのかと不安になってきた。
 が、吉澤は何もなかったかのように語りだした。


「まぁうちもヤキモチとかってかっこ悪いなって思うよ。
 でもね、この前もさ‥‥。」
380 名前: 投稿日:2003年03月24日(月)20時07分38秒
少しですが更新しました。
レスありがとうございます。

>372 ROM専様
 大人な梨華ちゃん好きなんですよー。
 これからも笑顔になってもらえるよう頑張ります!

>373 名無し読者様
 痛み止めを用意していただくほどは‥。
 甘く甘くですね?努力してみます。
 
381 名前:ROM専 投稿日:2003年03月30日(日)01時32分53秒
ひとみガラスに顔を書きまくった真琴っちゃんが真面目に
相談している姿って、姐さんじゃなくても涙が出そう。

382 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時37分56秒
『どうしたの?』
『なんでもない。』
『じゃぁ何で怒ってるの?』
『怒ってない、ただ疲れてるだけ。』
    
 そう帰ってきてからずっとこの調子。   
 吉澤は明らかに不機嫌でぶすっとしたままソファに座っていた。
   
『本当に疲れているだけ?』

 石川が吉澤の膝の上に乗り少し首を傾げて訊いた。

 こういう時石川は上手に甘えることが出来る。
 いつもだったらそれに救われる吉澤だったがこの日はどうもダメだった。
383 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時39分24秒
『重いし暑い。』

 いつもだったらここで石川を支えるために伸びてくる腕がソファに添えられたままいっこうに動く気配はなく、冬に暑いなんて無理がありすぎる言い方に石川も少々困り顔になる。
   

『よっすぃ。』

『ごめん、ちょっと散歩してくる。』 

 自分のせいで石川にそんな顔をさせてしまったことに更なる自己嫌悪を抱えて、吉澤は石川をやんわりと膝からおろし財布と携帯を掴んで夜の街に飛び出した。
384 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時40分28秒
 吉澤は怒っているのとは少し違っていた、イライラしていたのだ自分に対して。
 それは今日、石川と保田が仲良くしていた、というよりもイチャイチャしているのを見てしまったから。
 保田が一方的に迫っているならまだしも石川も「キャー、やめてくださーい。」とか嬉しそうに言って逃げるでもなくキスされていた。
     
 
 完璧なヤキモチ。
 

 それが分かっているから吉澤は自分に対してムカついている訳で。
385 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時43分01秒
―――――違うんだよ、圭ちゃんだから嫌なんだよ。
      だってあの目は本気入ってるって。
      あいぼんやのののそれとは違うって絶対。
      うわーでもこんなこと言ったら、
     
     「ひとみちゃんカワイイ。」
      ってをキラキラさせながら子ども扱いするか、
     「ひとみちゃんだって飯田さんといい雰囲気出してたくせに。」
      って反論をくらうかのどっちかだろうね。
386 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時44分27秒
 そんなことをウダウダ考えながら歩いているうちにあっという間に部屋を出てから一時間が過ぎようとしていた。
 春の訪れが近いとはいえ夜の街はまだ少し冷える。

「さてと、そろそろ帰らないと梨華ちゃん心配するよね、アイスでも買って帰るかな。」

 大きく独り言を言ってコンビニへ向けて足を進めた。 



 吉澤がコンビニの前まで来ると、レジを済ませて丁度石川が自動ドアを開けて出てきた。
 吉澤はその姿をチラッと確認すると足を止めずに、でもゆっくりと歩き続けた。
 
 するとミュールの音を響かせながら石川が小走りで追いつき吉澤の腕に摑まる。
387 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時45分24秒
『何買ったの?』
『アイス。』
『何味?』
『ストロベリーと抹茶。』
『ふーん。』
『半分こして食べようね。』
『うん。』

 吉澤は自分の行動が石川にはお見通しだったのかと思うと少しくすぐったい気持ちになった。悔しいような嬉しいようなくすぐったい気持ち。
388 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時46分17秒
『梨華ちゃんさぁ。』
『うん?』
『ありがとう。』
『うん、早く帰ろ。』
『そうだね、でもこうして梨華ちゃんともう少し歩いていたい気もするけどね。』
『私も。』

 
 
 ってなことがあったんだよね。
389 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時50分23秒
 梨華ちゃんはうちのことをすごく分かってくれている、言わなくてもちゃんと察してくれる。うちがさ、ヤキモチとか妬いちゃうかっこ悪い自分を隠そうとしてもさすっかりバレてて、
 
 『それって好きからくる気持ちでしょ、だからひとみちゃんに好きだよーって言われてるみたいで嬉しいよ。』
 
 なんて言ってくれちゃうんだよね。」

石川のことを本当に愛しそうに話す吉澤を見て小川は思う。


―――――吉澤さんの話を聞いていると
           耳から砂糖が出てきそうです。  と。
390 名前:Honey 投稿日:2003年03月31日(月)00時51分36秒
「でだ小川。甘えちゃいなさいな年上の恋人に。結構効果的よ、たまにはヤキモチも。」

 小川はこの吉澤を信じていいものなのかはまだ微妙だったが、実際石川との仲を見ている限り信憑性あるよなぁなどと考えていた。
 
「行くしかないだろ!」
「はい。」

 小川はなんだかんだ言っても親身になって相談に乗ってくれるちょっとヘタレな先輩が大好きだった、だからたまにはヤキモチを妬いてみる作戦を実行しようと決心した。
391 名前: 投稿日:2003年03月31日(月)00時56分47秒
更新しました。

>381 ROM専様
 レス有難うございます。
 少しコメディテイストもたまにはいいんじゃないかと思いまして、
 今回はこんな感じで書いてみました。
 クスッとでも笑っていただけたら幸いです。

 
392 名前:ROM専 投稿日:2003年03月31日(月)01時42分47秒
石川さんの洞察力は凄い・・と、以前メンバーだか関係者が
言っていたのを何かで見たような気がします。しかし甘さ加
減がとても良いですね。耳だけじゃなく、身体中の毛穴から
砂糖が噴出しそう・・
393 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月02日(水)01時46分09秒
痛み止めが切れてしまいました、親知らずが疼きます(笑)
よしざーさんもいしかーさんも相談に乗ってあげてるというより
惚気てる状態ですが、おがーさんとたかーしさんは本当に大丈夫なんだろうか…(笑)
甘々な二人に影響されえた後輩の動向も気になります…
394 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時35分22秒
 小川はあらかじめ使っていなさそうな部屋を見つけて仕事が終わってから高橋を呼び出した。
 何の説明もなく小川にどんどん手を引かれるまま連れて行かれる高橋はいささか不安になるが、こんな感じもたまにはいいかもと結構楽しんでいた。

 
 部屋に入るなり、勢いよく小川が口火を切る。
395 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時37分00秒
「嫌だった。」
「へ?」
「愛ちゃんが中澤さんと仲良さそうにしてるの見るとムカついた。」
「・・・。」
「冗談だって分かってっても中澤さん好きですー、なんて聞くと面白くないんだよね。」

「私も嫌だったんだから。」
「はぁ?」
「麻琴があさ美ちゃんとイチャイチャしてたの見るの私も嫌だったんだからね。」
 

 文句を言い合っているはずのふたりの距離は段々と近づき、その笑顔は窓から差し込んでくる夕日に負けないくらい赤かった。
396 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時38分53秒
 それを陰で見守る背中ふたつ。

「ひとみちゃん。」
「うん?」
「これってどっかで見たことない?」
「あのねー、ぶっちゃけ微妙なパクリだねー。微妙すぎて誰も気付かないよ、だから大丈夫でしょ、つーことでうちもいくね。」
「いくって?」
 
 吉澤は石川の手をとり少々顔を作って言う。
397 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時39分54秒
「うちも嫌だったんだよ。」
「えっ?」
「中澤さんに抱きついちゃったりしてさー。」

 あぁと吉澤の主旨を理解した石川もしっかりと相手役を務める。

「‥‥私も嫌だったもん、マリー愛してるよーなんて。冗談って分かってっても嫌だったんだからね。」
 
 こちらのふたりも今にもキスしそうなくらい顔を近づけてなにやら幸せそうな顔をしている。

「じゃ帰りますか。」
「うん。」
 
 しっかりと指を繋いで帰っていくふたりの後姿に夕日がまぶしく映っていた。
398 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時40分51秒
 それを覗き見している影がふたつ。

「なんや、そこでブチューとかしないんか、ちぇ。帰ってからのお楽しみってか。」
「バカなこと言ってないで帰るよ。」
 
 と手を引っ張られた中澤は何かを思いついたようでニヤニヤしだした。

「私も嫌だったんだからね、矢口とばっかり遊んじゃってさ。」
 

 しかしこちらの相手は‥‥。
399 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時41分46秒
「裕ちゃんサムイっしょ、それと標準語へん。」
「なんや、つまらんなぁ。標準語結構イケてると思ったのに。」
「‥‥置いていくよ。」
「ちょ、待ちーって、ねぇーなっちー。」
 

 小さい背中を必死で追いかける大人な背中、このふたつの背中も幸せの香りを放っていた。
400 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時42分35秒
 それを真似して遊ぶおこちゃまふたり。

「嫌だたんだからねー。」
「わたしもー。」
「ってアホらし。」
「おなかすいたのれすー。」
「お好み焼きでも食べ行くか。」
「賛成れすー。」
 

 そんなふたりにもいずれ訪れる恋の季節。
401 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時43分50秒
 それを見物している姿もふたつ。

「ってバカップルばっかかよ!」
「カップルじゃないのもいたけどね。」
「つーか圭ちゃんその羨ましそうな顔キモイ。」

「だってー。えっと、私も嫌だったんだからねっ。」
「おぇー。いくら言う相手がいないからってオイラに言うなよ。」
「なによ矢口失礼ね、あたしにだって恋人のひとりやふたりいるわよ。」
「にしてもさーこれいつまで続くんだろ、もしかして全員出すつもりかな。」
 
 さりげなく保田の微妙なボケをスルーする矢口に保田はなによノリ悪いわねと不満げに答える。
402 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時45分18秒
「そろそろしつこい感じよね。」
「つーか焼肉食べ行こうよ。」
「そうね。」
 

 ったくどいつもこいつもとブツブツ文句を言いながら帰っていくふたつの後姿‥‥。
 を見送る者ひとり。
403 名前:Honey 投稿日:2003年04月08日(火)22時46分31秒
「圭織も小芝居したいのに。圭織、リーダーなのに‥‥。」
 
 なんだか的外れな感じもするがとにかくポツンとひとり。

 と思ったら、

「「飯田さん私たちがいます!」」

「そうね、圭織には仲間がいる、仲間って素敵よね。」
「まゆげビーーーム!」
「完璧です!」

「うまくまとまったところで私達も帰ろうか。」
「「はい。」」

 そして今日も幸せいっぱい。
 そんな今日の出来事。
 そんな娘。達の出来事。
404 名前: 投稿日:2003年04月08日(火)22時57分12秒
更新しました、そしてこれにてChapter4終了です。
レスありがとうございます。

>392 ROM専様
 砂糖出ますか?(笑)
 そう言って貰えて光栄です。

>393 名無し読者様
 後輩の動向はこんな感じです、スイマセン。
 相談に乗ってるつもりで惚気状態、
 それでもココの二人はとても後輩思いなんです(笑)
405 名前:名無し読者79 投稿日:2003年04月09日(水)19時59分13秒
甘いですね〜。
おがたか、いしよし甘すぎて…いい先輩だいしよしは。
406 名前:ROM専 投稿日:2003年04月10日(木)09時12分04秒
いやぁ〜、6段オチ大笑いさせて頂きました。
娘。の日常って全て小芝居だったのか・・・
ピントのずれてるリーダーもいいですね。
407 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月23日(水)17時11分22秒
ホント耳から砂糖出るよー、と思ってたらこのオチ。
笑わせていただきました。
408 名前:ROM専 投稿日:2003年05月13日(火)13時22分03秒
保全
409 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月15日(日)20時34分07秒
410 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月09日(水)15時18分09秒
411 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月15日(火)03時47分41秒
412 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月15日(金)01時40分00秒
ほぜん
413 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/28(日) 01:07
ほぜん
414 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/19(日) 20:11
保守
415 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/25(日) 14:37
楽しみに待ってます
416 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/21(土) 22:58
待ってます
417 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/10(水) 00:42

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