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Happy Time

1 名前:たむ 投稿日:2002年07月08日(月)01時22分56秒
初めて書きます。
自分の好きなCPをハッピーに(?)
書ければと思っています。

2 名前:たむ 投稿日:2002年07月08日(月)01時27分34秒
〜一年前〜

−バサバサ
不意に聞こえた音に振り返ってみると、小さな女の子が更に小さくなりながら
散らばった物を拾っていた。

なんとなく見過ごせなくて、落ちている物を拾って声をかける。

「だいじょうぶ?」
3 名前:たむ 投稿日:2002年07月08日(月)01時32分08秒
「・・・」

その子はあたしの顔を見上げて固まった。
しかし、それは一瞬のことでスグに
「すいません」と差し出していた落とし物を手に取る。

すべて拾い終わってみると、その子の膝には血が滲んでいた。
「擦りむいてるやん」そういってハンカチを渡す。

荷物を拾うのに必死だったのか、本人は気づいてなかったみたいで
「うわ、ホントだ・・・」と顔をしかめた。
4 名前:たむ 投稿日:2002年07月08日(月)01時39分40秒
ちょっと心配だったけど、急いでいたことを思い出し
「じゃ、気をつけて」と歩き出した。

「あのっ」
声をかけられて振り返る。

「ありがとうございました」
がばっと頭を下げた後、笑顔で手を振ってきた。
そのヒマワリのような笑顔に一瞬見とれてしまったけれど
急いでいたこともあり、アタシも手を振ってスグに歩き出した。

何となく過ごす日常の中での出来事として、その笑顔も
いつの間にか忘れていたけれど・・・。
5 名前:たむ 投稿日:2002年07月08日(月)01時42分35秒
とりあえず、こんな感じで。
ちなみに、やぐちゅーが好きです(w
6 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月08日(月)02時00分46秒
おお、やぐちゅーですかね? 期待!
7 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月08日(月)02時11分40秒
自分もHN通りのやぐちゅー好きです
やぐちゅーだったら、嬉すぃ
8 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)00時33分20秒
〜現在〜

「はぁ〜今日も一日ご苦労さん!」
一日の疲れをとるには、風呂上がりのビール!!
社会人の醍醐味やね〜。

そんなことを思いながらビール片手にソファーに座る。
テレビを見ながらビールを飲んでいると

ぴんぽ〜ん

・・・うちの部屋か?
・・・空耳やろ

ぴんぽ〜ん

・・・うちの、部屋やな

時計を見たら10時過ぎ。
こんな時間に誰やねんっ!
怒りモードでインターフォンにでる。

「・・はいっ」

9 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)00時42分30秒
「あっあの・・・」

どうやら女性らしい。

うちの顧客の誰かか?
でも住所教えるほど親しい人は
数えるほどしかおれへんし・・・


エステシャンをしているアタシは
一人のお客さんと接する時間が長いため
人生相談をしたり、飲み仲間になったり
時には職場ではなせない相談事を
自分のマンションで聞くこともある。


「どちら様ですか?」
さすがに顧客の誰かだったらマズイので
いつもの営業トークばりに優し〜く聞いてみる。

「私、矢口っていいます」

10 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)00時49分52秒
矢口・・?はて?
そんな名前の人、顧客におったかいな?
うちが忘れてるだけ?

とにかく、こんな時間に来るっちゅ〜ことは
なんや大事な相談事でもあるんやろうなぁ・・
はぁ〜しゃあない、とりあえず話を聞いてみるか

覚えのない名前だったけど、女性だし顧客の誰かかもと
あまり深く考えずに部屋へ入るように言って鍵を開けた。

「こんばんは、こんな時間にすいません」

ドアを開けたそこには、金髪のお人形さんみたいな女の子が立っていた。
11 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)00時57分30秒
「・・・こんばんは」
アカン、全然見覚えないわ・・
子供みたいやし・・顧客やないよな・・

・・どないしよ

とはいうものの、玄関で立ち話もなんなので
入ってもらうことにした。
「とりあえず、あがってください」

「・・お邪魔します」
アタシが一瞬固まっているのを不安げに見えいた女の子は
神妙な顔つきで靴を脱ぎだした。

戸惑いながらも、アタシの瞳は別の物に釘付けになっていた。

・・・何センチあるんや?
       そのブーツ・・・。
12 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)01時03分59秒
「とりあえず座って」
ソファーを指さし、キッチンへコーヒーを入れに行く。

女の子は何となくという感じで部屋の中を見回しながら
ソファーへ座った。

矢口といった女の子の前にコーヒーを置いて本題に入る。

「で、矢口さんやったけ?どういう用件なんやろ?」

女の子はコーヒーを一口飲んで、少しだけ顔をしかめた後
一呼吸おいて話しだした。

「私、矢口真里っていいます」

13 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)01時08分32秒
一応うちも自己紹介しとかなアカンよな
「あ・・え〜と中澤裕子です」
ペコリと頭を下げる。

女の子は一瞬だけ戸惑いを見せたが、同じように
ペコリと会釈をしてから話を続けた。

「矢口俊介っていう名前に聞き覚えはないですか?」

「え?」
14 名前:たむ 投稿日:2002年07月09日(火)01時20分10秒
更新してしまいました!
ようやく登場人物の名前がでたよ。みたいな(w

>>名無し読者さま
 やぐちゅーでっす!
 やぐちゅー好きな人、ダイスッキ〜(w 

>>やぐちゅー中毒セーラムさま
 レス頂けて、非常に嬉すぃ〜
 セーラムさんの小説、読ませていただいてます!
 自分もカッコイイ裕ちゃん書いてみたいですわ。



15 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月09日(火)12時20分01秒
自分の作品見てくださっているなんて嬉しいです
これからも、ちょくちょく来させて頂きます(w
16 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)02時17分36秒
≫セーラムさま
来ていただけるんですねぃ!嬉すぃ〜
自分もバスが来るまで(いや、来なくても)
ガンガン寄らせていただきます(w

ほんじゃ、今日の更新いってみよ!
17 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)02時23分13秒
矢口俊介・・。
名前を聞いて固まっていたアタシの前に
一枚の写真が置かれた。

「矢口俊介、私の父です」

その写真には、今よりも更に小さい真里が
俊介に抱っこされて笑っている姿が写っていた。


「うぁ・・メッチャかわいいなぁ自分」
固まっていたことも忘れ、写真の中の女の子に
釘付けになってるアタシに

「いや・・私じゃなくて・・」
父を見てください。苦笑いした真里が促す。
18 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)02時32分12秒
「あぁそうやった、ごめんな」
今度は真剣に真里を抱っこしている男性を見てみる。


お父さんか・・
写真を見ながら幼い頃を思い出す。
19 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)02時44分00秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「ねぇおかあさん、うちのおとうさんってどんな人?」
「裕子のお父さんはね、この人やよ」
そう言って母が見せてくれた写真には
ちょっとヤンキーっぽい母と完璧ヤンキーな父が写っていた。

父と母はお互い二十歳の時に結婚をして、アタシが一歳の時に離婚。
その後、母は女手一つでアタシを育ててきてくれた。

一歳で両親が離婚したため、父親の記憶が全くなかったアタシは
自分の父親がどんな人なのか知りたくて、母によく話を聞いていた。

そんな話も中学にあがる頃には、頭の片隅にしまったまま
思い出すこともなくなっていた・・。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
20 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)02時49分10秒
いま目の前にある写真には、それなりに年は取っているけど
どことなく面影の残る、写真でしか逢ったことのない父がいた。


・・あら?
ってことは・・?

いま目の前にいる、このちっちゃい子は・・
もしかせんでもアタシの・・?

まぁ・・有り得ん話でもないよな。
とはいえ、今頃なんの用があって来たんやろ?

いろんな考えを巡らせながら、またも固まっていたアタシに
矢口が話しかけてきた。
21 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)02時54分44秒
「あの・・」

「あぁゴメンな
 で?お父さんは元気にしてるん?」

その言葉に、矢口は少し微笑んで答えた。
「父は・・亡くなりました」

「え?亡くなった・・?」

矢口は小さく頷いて
「先週、仕事中に事故に遭って・・
 それで、いつも父から自分に何かあった時には
 お姉さんを訪ねなさいって言われていたので・・」


・・そんなことを勝手に言われても
アタシは妹がいることすら知らなかったわけで。
22 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時07分22秒
お姉さんを訪ねなさい言われてもなぁ。
オカンも死ぬ前に言うといてくれたらええのに・・。
どないせぇ〜っちゅ〜ねん!

そんな事を思いながら、アタシは疑問を投げかける。
「なんで?」

その言葉を聞いた矢口は一瞬表情を強ばらせたが
一気に言葉を吐き出した。
「ごめんなさい。
 いきなり訪ねてきて妹だって言われても
 なんで今更?って思いますよね?
 いくら両親がいなくなったからって
 逢ったこともないお姉さんを訪ねるなんて
 図々しすぎるのは分かってるんですけど」

懸命に話し続ける矢口の言葉を遮るように
アタシはもう一度言った。
「なんで?」
23 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時18分30秒
矢口は言葉に詰まってる。

「なんでアンタは笑ってるん?
 お父さんが亡くなって、まだ少ししか経ってないんやろ?」

矢口にしてみれば予想もしていない言葉だったのだろう
「え?」っと驚いた顔でアタシを見た。

「そんな辛そうな顔してまで笑わんでええやん
 泣けるんやったら、泣いたらええよ
 誰も責めたりせんから・・」


驚いた顔のままで固まっていた矢口は
見る見るうちに眼に涙を浮かべ、顔をクシャクシャにして泣き出した。
 
24 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時24分29秒
小さな身体を震わせて泣いている矢口の隣に座り
そっと頭を撫でる。
そのまま矢口はアタシの胸にしがみつき泣きじゃくった。

よほど気を張っていたのか、今日まで泣くことが出来なかったのか
涙は溢れるばかりで止まる気配がない。

自分の胸で泣きじゃくる小さい子が愛しくて切なくて・・

アタシは一緒に涙を流しながら、矢口を抱きしめ頭を撫で続けた。
25 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時36分27秒

どのくらい時間が経っただろう?
ようやく矢口の涙も収まり、二人並んで水分補給をする。

コーヒーを飲みながら、矢口のしかめっ面を思い出した。

「真里ちゃん、もしかしてコーヒー・・?」

そう聞いたアタシに、コクンと頷く。

「コーヒー苦くて・・」
少し照れくさそうに答える。

「ごめんな、ほな紅茶でええかな?」

「うん、ありがとう」


一緒に泣いたせいか、会話も少しだけ馴れてきた感じがする。

新たに紅茶を入れて、座り直した。

「さっき両親がいなくなってって言うてたけど
 お母さんは?」

紅茶を美味しそうに飲みながら矢口は答えた。
「お母さんは私が12歳の時に病気で死んじゃった」

「そうか・・」
ん?12歳の時に?
したら、この子は今いくつなんやろ・・?

26 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時41分06秒
どう見ても今12歳くらいにしか見えんのやけど。
でも金髪の12歳てどないやねん!

しかも12歳くらいと思いながら
コーヒーをだすアタシも間違うてるよな・・。

独り突っ込みながら、思い切って聞いてみる。

「真里ちゃんは今いくつ?」

矢口は、え?という顔をしながらも馴れた様子で答えてくれた。
「16歳です。見えないでしょ?」
27 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時49分56秒
16歳?高校生か・・それにもビックリやけど
それでもアタシと10コも違うんかい!

高校生やったら、両親おらんなったらキツイよなぁ・・。


「親戚は?」
機械的なアタシの口調に戸惑いながらも矢口は答える。

「いるけど、私を引き取る引き取らないで
 お葬式の時に親戚同士が言い争いになって・・」
矢口の表情が曇る。

・・なんかのドラマみたいやね。

矢口は硬い表情のまま紅茶を飲んでいる。

・・一人っ子やっただけに独りには慣れてるし
6年間も一人暮らししてきたしな〜
(二人暮らしになったときもあったけど
 もう昔のことやし、忘れたわ!!)

高校生か・・今からが一番楽しいときやんな。

この子がどんな風に成長していくかも見てみたいかもしれん。

・・よっしゃ!覚悟決めるで中澤裕子!!
28 名前:たむ 投稿日:2002年07月11日(木)03時54分53秒
はい。てなわけで覚悟を決めた中澤さん。
そんなに簡単に決めていいのか?(w

前置き長すぎですわ。
自分が書いたくせに・・
29 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月11日(木)04時04分50秒
覚悟を決めた裕ちゃん。カッコイイ!
30 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)11時43分07秒
やぐちゅー発見。
楽しみにしてます。
31 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)02時16分42秒
≫セーラムさま
ここの裕ちゃんは、浪速魂炸裂気味です(w

≫名無し読者さま
楽しみにして頂けて嬉すぃ限り。
ホントに楽しくなればいいけど・・(w


そんじゃ、今日も更新いってみよ!
今回は中澤さんが覚悟を決めてる最中の矢口さん視点で
話はそのまま繋がっていきます。
32 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)02時26分38秒
お父さんに言われたとおり、ここに来たけれど・・・。


高校生になって間もなく
父から自分には腹違いの姉がいることを聞かされた。

父はその人が住んでいる所は聞いていたらしく
いつも『自分に何かあったときには訪ねるように』と言っていた。


姉がいることを知ったとき
スグにでも会ってみたいという思いはあったけれど
今更という気もしたし何となく怖いというのもあり
実際に会いに行くことはなかった。

父が死ぬまでは・・・。
33 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)02時38分42秒
『自分に何かあったらお姉さんを訪ねなさい』
父のその言葉に従い、ここに来たけど

姉であるはずの彼女は、妹の存在すら知らなかったみたいで・・・。

でも中澤さんは
いきなり訪ねてきた私を受け入れてくれたうえに
父が死んでから、流すことすら出来ずに凍っていた
私の涙をアッサリと溶かしてくれた。

泣けなかった私を簡単に泣かせてくれて
優しく包み込むように抱きしめてくれた人


でも・・まさかお姉さんがこの人だったなんて・・・。
34 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)02時49分07秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

一年前
私は並木道で人にぶつかって散らばった荷物を拾い集めていた。

不意に荷物を差し出されて見上げたとき
一瞬その綺麗な顔立ちに釘付けになった。

いわゆる一目惚れ。

差し出されたハンカチ、聞き慣れないイントネーション・・・。

去っていく後ろ姿を見ながら、もう一度振り向いて欲しくて
呼び止めて思いっきり手を振りお礼を言った。

また、会いたいな・・・。

そんな想いから、毎日のようにあの並木道を
行ったり来たりしたけれど、振り向きざまに優しく微笑み
手を振ってくれたその女性と二度と会うことはなかった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
35 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)02時55分57秒
それから今日まで、彼女への思いは募るばかりで
自分でもおかしいとは思っていたけれど。

でも認めるしかなかった・・・。
私は、あの並木道で会った彼女に恋してるんだ。

ずっとずっと会いたかったのに・・・。

まさか、こんな形で再会するなんて・・・。

ようやく会えたと思ったら、彼女は私のことを覚えてなくて
しかもお姉さんでした!なんて、笑えないオチだよね・・・。
36 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時06分11秒
独りブルーになりながら紅茶を飲んでいた私は
真里ちゃんと呼ぶ声に、ふと我に返った。

中澤さんが私の様子を気にしながらも話し出す。

「お父さんの初七日が済んだばかりで
 スグには考えられんとは思うけど・・・
 真里ちゃんさえ良ければ一緒に暮らさへん?」


え?今なんて言った?一緒に暮らす・・・?
中澤さんと・・・?

驚いて固まっている私を見つめたまま、中澤さんは続ける。
「真里ちゃんが一人で生きていくっていうんやったら
 それはそれでええねん
 
 ただ、まだ保護者がおらんと出来んこともいっぱいあるやんか?
 今日初めて会ったわけやけど、血ぃ繋がってるし
 バリバリのキャリアウーマンな姉ちゃんやし
 保護者としては申し分ない思うで」
37 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時12分18秒
中澤さんと暮らす?
嬉しいけど、まだ気持ちの整理がつかないよ・・・。

女の人だけど、確かに私は一年前に出会ったこの人に恋してた。
会いたくて会いたくて。
やっと出会えたと思ったら、その人はお姉さんで。

でも親戚の人たちと住むくらいなら、中澤さんと住みたい。
一緒に住めば、この恋心も家族愛に変わるかな・・・。
これも運命なのかもしれないね。

でも中澤さんは迷惑じゃないの?
38 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時19分16秒
そう言った私に中澤さんは当たり前のように
こう付け足した。

「迷惑やったら最初からこんなこと言わんし
 話を聞いた時点で帰らしてるわ!
 なんや、アンタとやったら一緒に暮らすんも
 楽しいんちゃうかな〜思ってん」

良いのかな?良いんだよね?
私も中澤さんとなら楽しく暮らせると思うよ!

「ホントに?ホントに良いの?」
たぶん、いま私の顔はどんどん笑顔になってるはず。

「ホンマに。大歓迎やで」

その言葉を聞いて、私の笑顔はMAXに達した。
39 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時23分50秒
こうなったら、あの時のことを話してみよう。

「実はお姉さんに会うの初めてじゃないんだ」
私は笑顔のまま話し出した。

「へ?」
中澤さんはホケっとしている。

ホントに覚えてないんだ・・かなりショックかも・・・。

一目惚れしたなんて事は口が裂けても言えないので
そのときの状況を説明しながら話を続ける。

一通り話し終えた後、豹柄のハンカチを差し出す。

40 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時28分55秒
中澤さんはハンカチを見て、何かを思いだしたみたいに
「あんときの子かぁ」と呟いた。

ハンカチで思い出したのかよっ!
なんか、ずっと想ってた自分が可哀想になってきた。


そんな私に気づくこともなく、中澤さんは問いかけてきた。
「真里ちゃん、今日は帰るん?」

あ、そうか。
もうこんな時間だし、これ以上いても迷惑だよね。

私は笑って頷いた。
「まだ電車もあるし、家のこともしないといけないから」
41 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時37分53秒
そう言った私を見ながら、ふむと考え込んで。
「でもこんな時間やったら、電車も危ないよなぁ」
独り言のように呟いている。

「そうや、うち明日休みやから今日は泊まっていき!
 明日の朝、真里ちゃんの家に一緒に帰ろ
 親戚の人たちとも話せなアカンしな」

え?でもそこまで迷惑かけられないよ・・。
「でも、いいの?そこまでしてもらって・・・。」

なに言うてんねんと言わんばかりに中澤さんが笑う。
「なんも問題あるかいな、この先一緒に住むんやで
 この世で二人きりの姉妹やんか〜」

「お泊まりは、その予行演習や!!」

なぜか胸を張って言い切る中澤さんがおかしくて

「なにそれ?運動会じゃないんだから」
キャハハと笑いながらいうと、中澤さんも笑ってた。

うん!この人となら楽しくやっていけそうだ!!
42 名前:たむ 投稿日:2002年07月12日(金)03時48分51秒
やれやれ・・・
マジで前置き長すぎっすね・・
ようやく初日の夜、終了です。

また次回から「浪速魂炸裂娘。」の中澤さん視点に戻ります。
たぶん・・(w
43 名前:名無し読者。 投稿日:2002年07月13日(土)03時55分19秒
おっと・・・やぐちゅーで姉妹ですか(w
どうなるのか・・・楽しみ〜。
44 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)17時31分38秒
「浪速魂炸裂娘。」の中澤って(w
期待してます。
45 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)02時38分13秒
≫43・名無し読者さま
姉妹ですが・・
何が何でもやぐちゅーです(w
楽しみにして頂けるだけでも嬉すぃ〜。

≫44・名無し読者さま
必要以上に関西風味の中澤さんです。
お気に召していただければ良いんですけど(w

それでは、今日の更新参りましょ!
46 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)02時44分58秒
翌日、午前中のうちに矢口の実家に行き
親戚の人たちと話し合った。

言い争いをしていた割には体裁があるのか
なかなか了承を得ることが出来ない。

そんな親戚達にキレた矢口が
「お姉さんと暮らせないなら、公園の段ボールで生活する!」
と言い出した。

矢口にここまで言わせて黙ってるわけにはいかんよな・・・。

固まっている親戚の人たちをよそに
アタシは突然矢口を抱きしめ泣きながら言った。
47 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)02時54分09秒
「真里ちゃん、そんなところで生活するなんて・・・
 ひもじい思いしたり、怖い思いしながら生きていくつもりなんか
 酷すぎる・・可哀想すぎるわ〜」

矢口は何が起きたのか分からない様子でポカンとしている。

さすがにここまでやると、親戚の人たちも気が引けたのか
しぶしぶながらも了承を得ることが出来た。
ただし矢口が結婚するまでは、矢口の姓をそのままにするという条件付きで。


やっぱこういう時は泣き落としに限りますな。
帰り際、こう言ったアタシに矢口は驚きながらも
おぬしも悪よのぅと言いながら笑っていた。

とりあえず、お父さんの四十九日や家の片づけもあるため
一緒に暮らすのは二ヶ月後ということになった。
48 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)03時00分13秒
そして二ヶ月後・・・

「なんや、えらい荷物少ないなあ」
あまりの荷物の少なさに驚いてると

「たくさん持ってきたら、私の寝るとこなくなるじゃん」
と笑いながら答える。

「大丈夫やろ、真里ちゃんやったら隙間さえあれば寝れる寝れる」

「どうせ矢口はちっちゃいよっ」

そんな会話をしながら部屋に入り、荷物をおいてリビングでくつろぐ。

前もって送られてきたタンスやドレッサーなどは
既に矢口の部屋に収まっているので、引っ越しというほど大変なことはなかった。

49 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)03時04分59秒
ソファーに座り、ビールとオレンジジュースでまずは乾杯。
「ようこそ真里ちゃん、これからよろしくな」

「こちらこそ、よろしくお願いします!お姉さん」

そう言われて、ちょっと苦笑い。
う〜ん、やっぱ・・・なんかイヤかも・・・
「なあ、真里ちゃん・・・」
矢口が不思議そうな顔をしてアタシを見る。

「そのお姉さんって言うのやめてくれへんかなぁ?
 なんや妹できて嬉しいねんけど、呼ばれ慣れてないから
 むず痒いんよね」
50 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)03時10分46秒
矢口は、え〜って言ったあと
「じゃあ何て呼べばいいの?お姉ちゃん?おねいちゃん?」

う〜ん、どっちもむず痒いな〜
そんな返事に矢口が首を傾げて必死に考える。
カワイイやんけ・・・。

「じゃあ・・・姉さん!」
事件が起きそうやん・・・


「・・・姐さん?」
なんで極道やねんっ!

ピッタリじゃん!なんて言われながら・・・

「裕ちゃんって呼んで」
と言ってみた。

51 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)03時16分03秒
「裕ちゃん?で良いの?」
裕ちゃん、裕ちゃんかぁ・・・そう呟きながら
なんか友達みたいで良いね!と笑った。

その久々に見たヒマワリのような笑顔に
なぜか胸がドキッとした。

おや?なんですか?今のは・・・
妹相手に何ときめいてんねん自分!
まぁ・・10コも違うし、カワイイもんはカワイイんや!

半ば開き直りな状態で
「もうカワイイな〜真里ちゃんはっ」
ガバッと思いっきり抱きしめる。

52 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)03時27分58秒
「苦しいよぉ裕ちゃ〜ん」
腕の中でジタバタもがくちっこい子が可愛くて可愛くて・・・。

妹ってこんなにカワイイもんなんやなぁ・・と
しみじみ思い、ため息をつく。

「これでも16なんだぞー!」
くぐもった叫びにようやく我に返った。

「ごめんな、真里ちゃんがあまりに可愛くてついつい・・・」
一応、素直に謝っておく。

「別にいいけど、真里ちゃんってキショイから矢口って呼んでよ」
相当苦しかったのか、顔を赤くしたままの矢口が上目づかいに言う。

もうホンマにカワイイなぁ、うちの妹は〜
そんなことを思うアタシは親バカならぬ姉バカなのか・・

まぁカワイイもんはカワイイでええねん。

「よし、矢口!とりあえず夕飯の買い出しに行こっ」

こうしてアタシと矢口の二人暮らしが始まった。

53 名前:たむ 投稿日:2002年07月15日(月)03時31分25秒
少量ですが更新終了です。
ようやく二人暮らしが始まりました。
次は東京美人で(w

また明日更新できたらいいな〜・・・。
54 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月15日(月)10時54分47秒
どんな状態でもやぐちゅー(W
やぐちゅーフォーエバー
55 名前:読んでる人 投稿日:2002年07月15日(月)18時41分16秒
やぐちゅー発見!!
う〜ん姉妹ですか・・・この先、2人の関係はどうなっていくんだろう・・・。
続き楽しみにしてます。
56 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時01分54秒
≫名無し読者さま
ホンマやぐちゅーは永遠でいて欲しいっす!
自分の話はワケもなく延々続きますが(w

≫読んでる人さま
ありがとうございます。
この先は有りがちな展開になったりならなかったり(w


ってなわけで、更新いきましょか〜
57 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時09分39秒
「裕ちゃ〜ん、起きて〜」
ボンっと勢いよく真里が裕子の上にダイブする。

「げほっ」
突然の衝撃に裕子は布団の中で呻いている。

「や〜ぐ〜ち〜」
眉間に皺を寄せて睨む裕子にびびることもなく

「早く起きてよ、コーヒー冷めちゃうから!」
真里はにこやかに言いながら部屋を出る。

一緒に暮らし始めて一年。
最初は裕子の寝起きの悪さにかなりびびっていた真里だが
さすがに毎朝そうだと慣れてくるもので。
58 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時17分10秒
初めのうちは、とにかく怖いし起きないしで
毎朝ビクビクしながら起こしていたのだが

いつの間にか、どうすればすんなり起きてくれるか
色々な事を試すようになっていた。


その中でも効果的だったのは・・・
「裕ちゃ〜ん朝だよ・・お・き・て」
と裕子の耳元で甘〜く囁くというもの。

これにはさすがの裕子も身震いをして飛び起きるようになった。
59 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時25分14秒
が、しかし・・・その効果も長くは続かない。

ある日いつものように真里が裕子の耳元で囁きながら起こしていたら
寝ぼけた裕子に布団の中へ引きずり込まれ、キスされそうになったのだ。


それ以来、裕子の寝ている上にダイブして起こすのが
別の意味で安全かつ効果的という結論に達し、今に至る。

「ったく、毎朝毎朝なんやねん
 もうちょっと優しく起こしてくれてもええやんか・・・」
ダイブの原因が自分にあるという事を全く分かっていない裕子であった。
60 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時35分36秒
「裕ちゃん今日は早く帰れるの?」
部屋を出る前、真里が突然聞いてきた。

「ん?せやなあ・・
 たぶん何にもなければ早く帰れる思うけど、何で?」
珍しくそんなことを聞いてくる真里に問い返す。

その問いに真里がニコニコしながら答える。
「たまには外で夕飯食べない?
 裕ちゃん帰る頃に駅で待ち合わせしてさ〜」

「そうやな、たまには矢口にも楽させたらなな
 そしたら帰る頃に電話するわ」
いつも矢口には夕飯作ってもろてるし、日頃の感謝の気持ちを込めて
美味しいもの食べさせたろ。

「やった〜!!」
大喜びで行ってきま〜すと部屋を出ていく真里の後ろ姿に
裕子は眼を細めコーヒーを飲みながら行ってらっしゃいと呟いた。
61 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時43分16秒
なに食べ行こうかな〜。
カワイイ妹との外食を考えながら上機嫌で出勤する。

「おはよ〜さん、今日も一日がんばりまっしょい!」
店に入るなり元気に挨拶をした裕子を見て
スタッフ全員が驚いたように立ちつくしている。

「チーフ、どうかされたんですか?お体の具合でも・・・?」

「なんでやねんっ
 うちが元気に挨拶したらアカンのかいっ!」
裕子の眉間に徐々に皺が寄り始める。

「そんなことないですけど・・・
 ねえさんいつも朝はクールな感じで(って実は不機嫌なんやけど)
 今日みたいに元気に挨拶してくるなんて滅多にないですやんか?
 大雨降りますからやめてくださいよ」
サブチーフの平家みちよが苦笑いしながら言う。
62 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時52分01秒
「そうだよ裕ちゃん、大雨どころか雪が降るからやめてよね
 ・・・雪かぁ、かおが住んでたとこは
 雪が降ると二階から外に出なきゃいけなくて
 よく窓からダイブして埋もれたまま凍死しそうになってたっけ・・・」
延々と続きそうな飯田圭織の交信は無視して

「今日は傘持ってきてないんですよ、どしゃ降りになるかも・・・
 雷が落ちたらどうしよう〜
 あ!雷はここにいるから落ちないか〜!」
まだ降りもしない雨の心配に加え、一言多い石川梨華が言う。
63 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)01時57分22秒
「うっさいわ!
 ちょっと機嫌がええだけやのに、何でそこまで言われなアカンの?」
あまりに失礼な同僚たちに少々キレ気味に反論する。

しかし、それは逆効果でもあるわけで・・・。

「え?何?なんで機嫌がええの?何かええことでもありました?」
すかさず平家がつっこむ。

「いや・・ええことっちゅ〜か・・・」
言葉に詰まりながら今日の夕飯の事を考え、ひとりニヤニヤする裕子。
64 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時13分40秒
「なんやねん今日のねえさん、どっか線切れとんちゃうかな
 ごっつ怖いわ・・・」
平家は悪寒を感じ、これ以上追求しないことにした。

しかし・・・
「中澤さん彼氏でも出来たんですかぁ?今回は年を越せると良いですね!」

季節は春。
やはり一言多いらしい。

「石川、なに朝から裕ちゃんにケンカ売ってんの?」
一人遅れて入ってきた安倍なつみが笑いながらやってきた

「なっち〜聞いて〜や〜、この子ら酷すぎる〜」

裕子が泣き真似をしながら安倍に今までの話をする。
安倍は話を聞き、そりゃあ酷いべさと言いながら
「裕ちゃん、なっちも傘持ってきてないんだよね今日・・・」

・・・・・・・。

神も仏もおらんのかあぁぁぁぁ
裕子の叫び声だけが虚しく響いていく。
65 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時23分27秒
とはいえ、今日は上機嫌のまま仕事をする裕子に
やはり理由を知りたくなる同僚たち。

「やっぱ、ねえさん何かあったんやな」

「雪積もるかな?久々にダイブしたいかも・・・」

「だから彼氏が出来たんですよ、きっと!」

「え〜?でも裕ちゃん、彼氏出来てもあそこまで機嫌良くならないべ」

仕事中なので裕子に聞こえないように会話する。
内容が内容なだけに、聞こえでもしたらホントに雷が落ちる可能性があるのだ。

「こりゃ飲みに連れて行って聞き出すしかないな」
自分が飲みたいのもあるだろう、平家が呟く。

「じゃあ今日はみんなで居酒屋に集合だね」

「やった〜なに食べようかな〜」

「石川あんた未成年やろ?それに誰が連れていくって言うた?」
66 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時29分34秒
「やだな〜居酒屋って言ったって、お酒以外にも色々あるじゃないですかぁ
 いくら平家さんより遙かに若いからって苛めないでくださいよぉ」

「あんた、なに言うても一言多いなホンマ
 ま、ええわ!とにかくねえさんや」


「ねえさん、ちょっといいですか?」
平家が裕子を部屋の隅へ連れていく。

「なに?みっちゃん、深刻な顔してどうしたん?」

「今日仕事終わったら飲みに行きません?」

「なんか相談事なんか?
少々堅い表情の平家に裕子は心配そうに問いかける。
67 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時39分08秒
「いえ、ただ飲みに行きたいなって」
なんやねんな・・・思いっきり肩すかしをくらう。

「それやったらゴメン、うち今日は早く帰りたいんよ」

「なんでですの?やっぱ彼氏出来たんですか?」
逃げられないように腕をつかんで問いただす。

「そんなんちゃうわ!」
思わず声が大きくなる。

「ねえさん、力一杯否定すんのも寂しいでっせ・・・」

もっともな意見に肩を落としながらも
「うっさいな、とにかく今日は早く帰りたいんや」
と裕子は呟いた。
68 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時47分31秒
「なんなんですか?めっちゃ気になりますやん
 アタシらの間に隠し事は無しですよ」
それでも食い下がる平家に、しゃあないな〜とため息をついて
裕子は今日の真里との約束を話した。

「ねえさんホンマに真里ちゃんの事カワイイんやなぁ
 それやったら、いい加減そのカワイイ真里ちゃんに会わせてくださいよ」

ことある毎に真里の話をしていた裕子だが
実はまだ一度も平家にも他の同僚たちにも会わせたことがなかった。
「そやなぁ・・でも今日は矢口が言い出した事やし未成年やしな〜」

「居酒屋やったらお酒以外でも色々ありますやん」
平家は先ほど石川に言われた言葉をそのまま言う。
69 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時54分06秒
「う〜ん・・矢口、居酒屋でええって言うかなぁ?」
裕子が眉間に皺を寄せて考え込む。

「一応、矢口に聞いてからでええ?」
っていうか、うちが機嫌良かった理由が分かったんやから
別に飲みに行く必要もないんちゃうの?

あくまで逃げ腰な裕子に
いつの間にか話の輪に入っていた同僚たちが口々に言いだす。

「外食の約束しただけで裕ちゃんが上機嫌になるなんて
 よっぽどカワイイ妹なんだろうね」

「今日こそ会わせてくれてもいいんでないかい?」

「カワイイカワイイって、私より可愛いんですか?
 ライバルね!負けられないわ!!」
70 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)02時58分59秒
最後の石川の言葉は無視して、裕子がお手上げ状態で言う。
「分かった分かった。でも矢口がええって言うたらやで?
 ま、うちのカワイイ矢口が嫌って言うわけないけどな〜」

「はいはい、ほな楽しみにしてますから
 顔戻してきてくださいね」
にやけ顔の裕子を残し、それぞれ仕事に戻っていった。
71 名前:たむ 投稿日:2002年07月16日(火)03時06分09秒
ってなわけで、更新終了でっす!

ようやく二人以外のメンバーが出てきました。
他にも何人か出てくる予定。

が・・この先、その人物たちの年齢などは気になさらないよう
お願いします(w


72 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)03時13分09秒
更新お疲れ様です。
キャリアウーマンの裕ちゃんカッケ−。
矢口の他に裕ちゃんに想いを寄せてる人はいるのだろうか?
73 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)11時07分11秒
矢口はどうでるのかなぁ〜。
裕ちゃんと二人っきりがいいのか?
会社の人みたいのか?
いろんなメンバーがでてきて嬉しいです。
74 名前:読んでる人 投稿日:2002年07月16日(火)18時25分47秒
今のところは"姉妹愛"なんだろうぁ〜
やっぱり、それを超えてしまう日は来るのかな?
75 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)00時32分56秒
≫72・名無し読者さま
深夜のスローリーな更新にも関わらず
読んで頂いて、嬉しい限りでございます。
やっぱ裕ちゃんにはキャリアウーマンみたく
自立した女性ってのが似合いますよね。
矢口の他に〜ですか・・・まあ有りがちな感じで(w

≫73・名無し読者さま
矢口さんは人見知りしないそうで(w
もう少ししたら、まだ出てないメンバーも出ます!
年齢はおかしな事になってますが・・・。

≫読んでる人さま
どうなんでしょ?
矢口さんは早くから越えまくっちゃってますが(w
中澤さんは・・・?

レスをくださる皆さま、本当にアリガトウございます。
読んでもらえてると思うだけで頑張って更新するで〜という気になります。
ありがたや・・ありがたや・・なむなむ

ほんでは今日も更新はりきっていきまっしょい!
76 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)00時38分08秒
その日は上機嫌のまま、そつなく仕事をこなした裕子だが
帰る時間になると一変して不安げな表情になっていた。

真里は嫌がらないと言い切ってはみたものの
実は10コ下の妹に頭が上がらない。


矢口怒らへんかな〜・・・裕子は怖々と電話をかけた。

そんな裕子の心配をよそに
「矢口も同僚さん達に会ってみたい」
元気な声が帰ってきた。

やっぱアタシの矢口はええ子やな〜
再びにやけ顔になった裕子をおいて、同僚たちはさっさと居酒屋へと向かった。
77 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)00時45分36秒
「かんぱ〜い」
それぞれが飲んだり食べたりしながら自己紹介をする。

「平家みちよです
 ねえさんにはいつも蹴られたりしばかれたり
 お世話になってます」

どんな世話やねん!


「飯田圭織です
 裕ちゃんにこんなカワイイ妹がいたなんて
 もっと早く知ってたら牛乳たくさん飲ませて
 かおぐらいにしてあげたのに」

デカイ矢口なんか見たないわっ!


「安倍なつみです
 なっちより小さい人って久々に見た気がするよ
 ホントにカワイイねぇ・・中学生だっけ?」

何気に失礼やで、なっち・・・


「石川梨華でぇす
 ピッチピチの18歳!負けないわよ!!」

なんの勝負や、なんの!

78 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)00時50分31秒
一人一人につっこむ裕子を横目に
「矢口真里です
 いつも裕ちゃんがお世話になってます」
ペコリと頭を下げる。

「いや〜ホンマに可愛いな〜
 こんなに可愛い子やったらアタシも妹に欲しいわ〜
 ねえさんと住むんが嫌になったらいつでもウチにおいで」

笑いながらいう平家に続いて

「平家さんと暮らすより私と暮らした方が楽しいわよ
 二人で世界一チャーミーな姉妹になりましょう!!」

瞳をキラキラさせながら石川が言う。
79 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)00時58分11秒
「なに言うてんねん!
 矢口はウチのもんや誰にもやらへんで」

そう言いながら自分を引き寄せる裕子に
一瞬複雑な表情を浮かべた真里だが

「っていうか、この人もらってください」

にっこりと笑って裕子を押し返した。


「矢口まで酷いわ〜」

真里に押し返された裕子は
うぇ〜ん、なっちぃ〜と安倍に抱きつく。

そんな裕子の頭をよしよしと撫でながら
「どっちが妹か分かんないね」
安倍が笑いながら言う。

「「「確かに」」」
他の三人がハモリ一斉に笑いが起きた。
80 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時06分25秒
普段から人見知りをしない真里は、この同僚達ともスグにうち解け
楽しい時間を過ごしていた。

しばらくは裕子の職場での話などをして盛り上がっていたが

「ねえさん寝てしもうたんか?」
しゃ〜ないなぁという感じの平家の表情に全員がその視線の先を見る。


そこには安倍の肩に凭れたまま気持ち良さそうに眠っている裕子がいた。

「裕ちゃんって酔うと必ずなっちの肩で寝るよね
 なんか〜ラブラブって感じ〜?」
飯田が半ば呆れ気味に言う。

「単になっちの肩の高さが丁度いいだけっしょ?
 な〜に言ってんの〜もう」
赤くなりながら否定するも裕子を見る安倍の表情は優しい。
81 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時09分05秒
『必ずなっちの肩で・・・』
飯田の言葉が頭をぐるぐる巡り、胸がチリチリと痛む。

そんな胸の痛みを押さえながら
「いつもこんなになるんですか?しょうがないな〜」
真里は苦笑いを浮かべながら、そう言うのが精一杯だった。
82 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時09分54秒
−−−−−−−−−−−−−−
83 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時17分20秒
同僚たちとの夕飯も終わり
かなり酔っていた裕子は部屋に帰るなりソファーに倒れ込んで熟睡している。

そんな裕子の傍に座り寝顔を見ながら
真里は居酒屋での出来事を思い出していた。


安倍の肩に頭を乗せている裕子と当たり前のように肩を貸していた安倍。
あまりに自然だったその光景に飯田の言葉が真実味を増す。

裕ちゃんは安倍さんのこと好きなのかな・・・
そっと頭を撫でる。

だったら冗談でもあんなこと言わないでよね・・
『矢口はうちのもんや誰にもやらへんで』
うちのもん・・か・・・そう呟いてため息をついた。
84 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時24分18秒
一緒に暮らし始めて一年。
寝起きの悪さを除けば本当に良いお姉さんである。

しかし裕子色々な面を見れば見るほど
初めて会ったときの気持ちが大きくなるばかりで。


血が繋がってるのにおかしいよね・・・。
一緒に暮らしてれば家族に感じるような愛情に変わっていくと思ってたのに。


悩みを聞いてくれるときの真剣な表情とか
酔ったときのフニャ〜としたカンジとか
年齢のこと言われて本気で怒っちゃうところとか
ふざけて抱きしめてくる腕の感触とか
幼い寝顔とか・・・

裕ちゃんのこと知れば知るほど好きになってる。
どうすれば良いんだろう・・・?
85 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時28分03秒
いつの間にか考え込んで固まってしまっていた真里だが

「う〜ん、矢口カワイイ〜・・ムニャムニャ」

そんな裕子の寝言で一気に脱力する。

・・・世の中こんなもんだよね

お気楽な姉に苦笑いしながら、真里はお風呂に入る準備を始めるのだった。
86 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時36分13秒
朝、いつもの並木道を歩いていく。
以前は裕子に会いたくて通っていた道だが
実は学校への近道だったことが判り殆ど毎日通るようになった。

「おっはよ〜矢口」
肩をポンと叩かれると同時に元気な声がする。

振り返るとショートカットにさわやかな笑顔の男前
市井紗耶香が立っていた。

「おはよ〜紗耶香」
今日も元気だね〜と言いながら再び歩き出す。

「なに?どしたの?何か元気ないじゃん」
珍しく暗い表情の真里の顔を紗耶香が心配そうに覗き込む。
87 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時46分26秒
「元気だよ、昨日ちょっと眠れなかっただけ」
そういって少しだけ微笑む。

「ふ〜ん、何か悩み事?もしかしてお姉さんのこととか・・?」

紗耶香は以前の並木道での出来事や今の状況、そして真里の気持ちも知っている。
真里にとっては何でも話せる親友である。


真里は昨日のことを思い出し、ふぅ〜と深いため息をつく。


「ねぇ紗耶香・・・
 いくら何年も離れて暮らしてたからって
 実際に血が繋がってるお姉さんにこんな感情持ったりするものなのかな・・?」

悲しげな瞳で、それでも笑いながら話す真里に
紗耶香はどう答えて良いか判らなかった。

血の繋がりさえなければ、意外と簡単に答は出るかもしれないのに・・・

そんなことを思いながらも紗耶香は何も言えないまま
真里の頭をポンポンとするのが精一杯だった。
88 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)01時55分33秒
そのまま無言で並木道を歩いていると
「い・・・・ちゃ〜〜ん」
後ろの方から声が聞こえ、何かが二人に(正しくは紗耶香に)向かってくる

「い〜ち〜いちゃ〜〜ん」
振り返らなくても分かる、紗耶香めがけてもの凄い勢いで走ってくるのは
一つ年下で紗耶香の幼なじみ、後藤真希。


「ヒドイよ、いちいちゃん!ごとーをおいていくなんて」
ゼーゼーと肩で息をしながら真希が抗議する。

「おまえが起きるの待ってたら市井まで遅刻しちゃうよ」
お昼過ぎても困るしなと笑いながら紗耶香が言う。

そんな紗耶香の背中に抱きついて
「いくらごとーでも昼までには起きるもん!」
自信満々に言い切る。

「威張っていうことじゃないだろ〜」
そんな会話をしてじゃれ合っている二人を真里は微笑みながら見ていた。
89 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)02時03分01秒
「ところでさ〜矢口のお姉さんって、市井会ったことないんだけど・・」
授業も終わり、帰り支度をしながら紗耶香が何気なく言う。

「へ?」
いきなりの言葉に真里は少々間抜けな声を出した。

「並木道で探してた時も一緒に暮らし始めてからも
 ずっと話を聞いてただけで実際に会ったことないんだよね〜」

「そういえば紗耶香、会いたいってずっと言ってたね
 裕ちゃんも同僚さんたちを紹介してくれたんだから
 矢口も友達を紹介しないと!」

そうそうと頷きながら紗耶香は、いつがいいかな〜と呟いてる。

「紗耶香が良ければ今日ウチにおいでよ」
真里が少し考えたあと言い出した。
90 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)02時12分49秒
「え?今日?いきなり行って大丈夫なの?」
遠慮がちに言う紗耶香に

「大丈夫だよ!明日は学校休みだし、どうせなら泊まってけばいいじゃん」

そうして今からの予定が決まりかけたとき・・・

「いちいちゃ〜ん」
いつものように真希が教室にやってくる。

「いちいちゃん帰ろう〜」
紗耶香の手を取りブンブン振っている真希に

「ごめん今日は矢口と約束があるから一緒に帰れないや」
紗耶香が申し訳なさそうに言う

「え〜っ」
と言いながらほっぺを膨らませる真希。

「いいよ紗耶香」
ふくれっ面の真希を見て笑いながら

「今日、紗耶香がウチに泊まりに来るんだけど
 ごっつぁんも来れるなら一緒においでよ」
真里が真希に言う。
91 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)02時18分49秒
すると破裂しそうだった頬をプシュ〜としぼませながら
「え?やぐっつぁんち?ごとーも行っていいの?」
驚きと喜びの表情をごちゃ混ぜにしながら真希が聞き返す。

大歓迎だよ!
笑いながら頷く真里に真希も笑顔で答えた。
「行く〜絶対行く〜お母さんにダメって言われても〜」

それだけは止めなさい!紗耶香が真希の頭をこつんと叩く。

とりあえず紗耶香たちは一度家に帰り、泊まる準備をしてから
真里と駅で待ち合わせることにした。

一応、裕ちゃんにメールしとこ・・・
今日の夕飯何にしようかな〜

朝の沈んだ気持ちは何処へやら、ウキウキしながら家路につく真里であった。
92 名前:たむ 投稿日:2002年07月19日(金)02時22分01秒
ほい更新終了でっす。
ついに、あの方達も登場しました。
やっぱ往年のCPは良いですな〜(w

それではまた・・・
93 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)02時31分26秒
更新お疲れ様です。
リアルタイムで読ませていただきました。(w
裕ちゃんにはじめて会ういちごまの反応が楽しみ〜。
94 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)23時59分19秒
大量更新〜最高〜♪
いちごま&やぐちゅーも懐かしくていい感じ。しかもなちゅーも・・・
95 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月20日(土)13時08分21秒
お疲れさまです
いちごま出てきましたね(w
自分、やぐちゅー以外てんで、扱いがへタレなんで
結構、手を焼いている始末。
たむさん、頑張って!
96 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時10分49秒
≫93・名無し読者さま
あんなマッタリペースの更新なのにリアルタイムで
読んでいただけたなんて・・・うぅ嬉すぃ〜
ここの市井さんと後藤さんは少々バカップルかも(w

≫94・名無し読者さま
往年のCPなだけに懐かしいですよね(w
なんせ定番のCP好きなもんで・・・
また読んでいただけたら嬉しいです。

≫セーラムさま
セーラムさんとこにも書きましたけど、大丈夫ですか?マジで。

エヘ、いちごま出しちゃいました(w
何気にこの二人のどちらかがキーパーソンになりそうです。
自分はやぐちゅーすらもヘタレな扱いになりそうな今日この頃(w
でも頑張りま〜す!

うっし!気合いを入れて更新するぞ〜!
97 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時21分06秒
【お疲れさま!
 今日、矢口の友達が泊まりに来るから早く帰ってきてね〜】

仕事が終わって携帯を見てみると、真里からこんなメールが届いていた。

ん?友達が泊まりに来るなら
普通はゆっくり帰ってこいっていうんちゃうか?

みっちゃん飲みに誘ったらええだけやし、そのまま泊まることもできるけど・・

平家の都合など全く考えず、そんな事を思いながらメールをする。
【友達来るんやったら、うちはおらんほうがええやろ?
 みっちゃんとこにでも泊まるから心配せんとき】

そう送信すると、すぐにメールが返ってきた。
【ダメ!!矢口の友達に会わせたいの!早く帰ってきて】

そういえば、昨日は矢口をみっちゃんらに会わせたんやったな〜
ほな遠慮せずに帰るか!

【分かった、したらすぐ帰るし】
そう送信して携帯をバックにしまい、急いで職場を後にした。
98 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時26分03秒
「ただ〜いま」

玄関に入ると楽しそうな話し声が奥の方から聞こえてきたが
裕子の声に気づいたのか真里が玄関まで迎えに来た。

「お帰り裕ちゃん、もう友達来てるんだ」
真里に急かされるように部屋に入ると

「初めまして、お邪魔してます!」
と妙に気合いの入った声と

「はじめまして〜」
と妙に力の抜けた声が聞こえてきた。

「あ、初めまして
 矢口がいつもお世話になってます」
思わず緊張して堅苦しい挨拶をしてしまった。
99 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時37分01秒
「裕ちゃん、なに緊張してんの?
 矢口の友達の紗耶香とごっつぁんだよ」
真里が笑いながら二人を紹介する。

あぁこの子が紗耶香ちゃんか・・矢口がよく話してる。
んで、その横にいるのがごっつぁん?紗耶香ちゃんの幼なじみってやつやな。
ホンマに仲ええんやな〜。

そんなことを考えながら、じぃ〜と見ていたせいか
紗耶香と呼ばれる男前な子がぴき〜んと固まり
「い・・市井紗耶香です。やぐ・・真里さんにはお世話になってます」
完全にびびった状態で自己紹介をしてきた。

うちはメデューサかいっ!
裕子は心の中で苦笑いをする。

しかし、そんな紗耶香の後に続き
「後藤真希です。いち〜ちゃんの幼なじみで
 やぐっつぁんにもお世話になってます」
真希はフニャっと笑い先ほどと変わりない状態で自己紹介をした。
100 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時42分40秒
この子はびびってないんか?
ぱっと見、逆なカンジするのに・・・。
おもろい子ら〜やなぁ。

「あ、ごめんな。別に睨んでたわけちゃうよ
 いつも矢口から話に聞いてて、そのまんまの子たちやな〜って
 思って見てただけやから」
裕子が申し訳なさそうに弁解する。

そんな裕子を見て笑いながら真里が付け加える。
「ごめんね〜。裕ちゃん見た目はすっごく怖いけどホントは優しいんだよ!
 人見知りで小心者だけど」

「全然フォローになってへんやないのっ
 それに小心者はよけいや、まったく!!」

「え〜だってホントのことじゃん」
真里の頭を小突こうとする裕子の手を避けながら真里が笑う。
101 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時49分37秒
そんな二人のやりとりを見て紗耶香の緊張(誤解?)も解けたのか
その後は和やかな雰囲気で夕飯を囲んでいた。


夕飯も食べ終わり、リビングで真里たちはお菓子を食べながら
裕子はビールを飲みながら色々な話をしていた。

「ごとーそんなに食べたらまた太るぞ!」

「またって何〜?そんなこと言って
 いち〜ちゃんのほうがいっぱい食べてるじゃん」

子供のような言い合いを笑いながら見ていた裕子だが
ビールを一口飲むと二人に話しかけた。

「紗耶香ちゃんと真希ちゃんはホンマに仲がええんやなぁ
 でもケンカしたら真希ちゃんの方が強いやろ?」

「え?裕ちゃん何でそう思うの?」
裕子の言葉にビックリした様子で真里が反応する。
102 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)01時57分21秒
「いや・・なんとなくな
 真希ちゃんは紗耶香ちゃんに甘えたりもするけど
 自分ってものをちゃんと持ってて、自分がこうや!って思ったことは
 絶対に譲らへんような気がすんねん」

そう言って、またビールを一口飲む。

「逆に紗耶香ちゃんは普段はしっかりしててオットコ前やけど
 相手のこととか考えすぎて自分の言いたいことを
 半分も言えずにいるようなカンジがするんや」

「せやからケンカの理由が何であれ、最終的にはいつも紗耶香ちゃんが
 先に折れてしまうんちゃうかな〜っと」

そこまで言って一気にビールを飲み干す。


「すご〜い!会ったばかりなのに何でそこまで解るんですか〜?」
真希が尊敬の眼差しで裕子を見る。

「ホントすごいや・・市井ってそんなに解りやすいのかな?」
紗耶香はビックリした様子で真里に呟いている。
103 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時02分07秒
そんなに解るなら、矢口の気持ちにも少しは気づいてよ・・・。
裕子の観察力に驚きながらも寂しさを感じる真里であった。

その後も4人でいろんな話をして盛り上がっていたが
翌日も仕事があるため、真里たちをリビングに残し裕子だけ先に寝ることにした。

「やっぱ同じ年くらいの子たちと一緒にいると
 矢口もメッチャ楽しそうやな〜
 うちには見せたことない顔で笑ってたし・・・」

部屋の外で聞こえる笑い声を聞きながら
少し寂しげに呟いて裕子は眠りについた。
104 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時03分48秒
−−−−−−−−−−−−−
105 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時12分28秒
「昨日は何時まで起きとったん?」
夕飯を食べながら裕子が話しかける。

「え〜とね〜3時くらいかな?
 ごっつぁんが裕ちゃんのことスゴイスゴイってずっと言ってたよ
 紗耶香は裕ちゃんみたいなお姉さんが欲しいって言ってたし」
真里は自分が誉められたかのように嬉しそうに話す。

そんな真里を裕子も嬉しそうに見ていたが・・・

「あの二人って・・ただの幼なじみやないやろ?」

裕子の突然の言葉に真里は驚いて聞き返す。
「え?どういうこと?」


「う〜ん・・なんていうかな〜、二人の雰囲気がな
 幼なじみっちゅ〜よりも恋人同士みたいなカンジに見えたんや」

でも間違うてたらゴメンやで?
頬をポリポリ掻きながら裕子が呟いた。

やっぱり裕ちゃんの人を見る目は半端じゃないな・・と感心しながらも
「もしそうだとしたら、裕ちゃんは紗耶香たちを軽蔑する?」

真里は探るような目で裕子に聞いた。
106 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時19分24秒
「軽蔑?いんや。
 恋愛は人それぞれやと思うし、若いうちはいろんな恋愛したらええねん
 相手が男でも女でも自分にとってこの人や!って思える人が出来たら
 それだけでも幸せなことやと思うしな」
優しく微笑んで真里の頭をクシャっと撫でる。

その優しい微笑みに真里の胸が締め付けられる。

・・・いま裕ちゃんの心の中には誰がいるんだろう?

「裕ちゃんもそういう人いるの?」
聞きたくないけど聞いてみたい・・そんな気持ちで
真里は恐る恐る裕子に聞いた。

「ん?矢口はどうなん?好きな人とかおらんの?」
とぼけた口調の裕子に真里の心がツキンと痛む。

はぐらかしたってことは、やっぱりいるんだ・・・
一昨日の居酒屋での光景が頭をよぎる。

それを振り払うようにわざと明るい口調で答えた。
「裕ちゃんが教えてくれないなら矢口も教えな〜い」
107 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時28分47秒
「うちのことはええやん、なぁ教えて〜な〜矢口ぃ」

駄々っ子のような口調になった裕子に
笑顔を保つことが出来なくなった真里は
「嫌です〜、ごちそうさまでした!矢口お風呂に入ってくる」
と食器をキッチンへ運び自室に入っていった。

なんやねん・・教えてくれてもええやんか・・・
そうかぁ〜矢口、好きな人おんのか〜
まぁ・・おって当たり前かもしれんよな、年頃やし?
でも何でこんなにムカムカするんやろ?

裕子はモヤモヤしながらも、深く考えることを拒むように
ビールをもう一本取り出し飲み干した。

そのころ矢口は・・・
「なんだよ裕ちゃん
 安倍さんと付き合ってるならそう言えばいいのに・・なんで隠すんだよ」

勝手に裕子が安倍と付き合ってると思い込み
ベッドに突っ伏して独り涙を流していた・・・。
108 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時42分45秒
翌日、前回より更に暗さがパワーアップした真里から
ことの次第を聞いて、放課後の教室で紗耶香は独り悩んでいた。

そこへ、いつも通り真希が入ってくる。
「ごめ〜ん、いち〜ちゃんお待たせ〜
 ん?ど〜したの?珍しく真面目な顔して〜」

「珍しくはよけいだろ、まぁいいや・・とりあえず帰ろう」
紗耶香は男前な笑顔を作り、席を立って教室を出ようとする。

「ちょっと待ってよ、何か悩んでるんだったら
 ごとーにも話してよ!いち〜ちゃんの暗い顔なんかみたくないもん」
真希は紗耶香の手を掴んで問いただす。

紗耶香は一つため息をつき真希の頭をポンポンとして話し出した。
「なぁごとー、実は市井とごとーは血が繋がってて
 しかも市井が他の人と付き合ってるってことが判ったらどうする?」
109 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時48分57秒
「え?なにそれ?
 いち〜ちゃん、他に付き合ってる人いるの?
 血が繋がってるってど〜いうこと?」

いきなりの言葉に真希が泣きそうになりながら聞き返す。

「違うよ、たとえばの話だよ
 もしそうなったらってことだけど、考えらんないよな〜?」
紗耶香が慌てて真希をなだめる。

「そりゃ〜いきなりそんなこと言われても考えらんないけど
 ごとーは、いち〜ちゃんがいち〜ちゃんなら
 どんな事があっても、たとえ血が繋がってても
 やっぱり好きになると思う」

何を考えてるのか、何も考えてないのか・・
真希の揺るぎない言葉に紗耶香は戸惑いを感じるが
そんな真希の内に秘めた強さに、今まで何度も助けられてきたのだった。
110 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)02時53分56秒
こいつには勝てないよな・・・
苦笑いを浮かべ、紗耶香は真希を抱きしめた。

いつもは真希の方が抱きついたり引っ付いたりするため
紗耶香からそんな風にされることなんて殆どない。

・・・いち〜ちゃんどうしたんだろう?大丈夫なのかな?

思いもよらぬ紗耶香の行動にかなり驚いたが、滅多にないことなだけに
真希は何も言わず紗耶香の腕の中で心配しながらも嬉しそうに瞳を閉じた。

「いち〜ちゃんホントに大丈夫?
 それよりさっきの話って、もしかしてやぐっつぁんのこと?」

紗耶香が抱きしめていた腕を解いたのを残念に思いながらも
先ほどの話で心当たりがありすぎる人の名前を出した。
111 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)03時00分22秒
「うん、矢口は自分のお姉さんだと知らずに裕子さんのこと好きになって
 血が繋がってるって判ってからもその想いは変わらなかったんだ
 そんな自分にずっと悩んでた・・・」
紗耶香が苦しそうな表情でポツリポツリ話し出す。

「でも昨日、裕子さんに付き合ってる人がいるって判って
 一緒に暮らすことすら苦しくなってきてるって・・・」

自分にはどうすることもできない・・
紗耶香は悔しそうに両手を握りしめ呟いた。

「やぐっつぁん、裕子さんから直接聞いたの?付き合ってる人がいるって」
真希が不思議そうに紗耶香に聞いてくる。

「え?なんで?直接聞いたから判ったんじゃないの?」
紗耶香が何でそんなことを聞くんだと言わんばかりの表情で言う。

「そうなのかなぁ?」
真希は納得がいかない様子で考え込んでいる。
112 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)03時05分38秒
「裕子さんには付き合ってる人がいるって、矢口が言ってたわけだし
 普通そう聞いたら本人から聞いたって思うでしょ?
 なのに何でそんな風に思うわけ?」
紗耶香も真希の態度に納得いかない様子で質問する。

「だって裕子さんのやぐっつぁんを見る目って
 いち〜ちゃんがごとーを見る目と同じだったもん!」
真希が怒ったように答える。

「でもカワイイ妹を見る目なんてみんな同じだろ?」
当たり前のように言う紗耶香に真希の顔が一瞬にして曇った。

「いち〜ちゃんはごとーのこと、ずっと妹として見てたの?
 ごとーの好きといち〜ちゃんの好きは違うものだったの?」

真希が訴えるような瞳で紗耶香に問いつめる。
そんな真希に紗耶香は戸惑いの表情を浮かべた。
113 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)03時13分18秒
妹として見てた・・?
違う・・な、妹じゃないよな、こいつは・・・
誰にも渡したくないし、いつでも傍にいて守りたいって
でも実は守られてたりするんだけど・・
ふとしたときに抱きしめたいって思うのもこいつだけだもんな・・・

そう思いながら、今にも泣き出しそうな真希を再び抱き寄せる。

「ごめん、違わないよ・・・
 市井の好きも、ごとーの好きも・・・」

「いち〜ちゃん・・・」
くぐもった真希の声に抱きしめてた腕を緩め顔を覗き込む。

泣きながらもフニャっと笑う真希の額に軽くキスをして・・

「好きだよ、ごとー」
そういって今度は唇にそっと触れるだけのキスを落とした。
114 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)03時19分09秒
その後しばらくは照れて下を向いたままだった紗耶香だが
「ごとー、裕子さんに直接聞いてみる!」

真希の突然の発言にビックリして顔を上げた。
「なに言ってんの?聞くって何を聞くんだよ?
 しかも泊まりに行ったとはいえ、まだ一回しか会ってないのに」

もっともな紗耶香の意見ではあるが、真希は何がいけないの?
と言わんばかりにキョトンとしている。

「会った回数なんて関係ないじゃん
 このままじゃ、やぐっつぁんが可哀想だもん」

言い出したら聞かない真希と折れるしかない紗耶香。
真希が言い出した時点で勝負はついていたのである。

「でもどうやって話す?家に行ったら矢口もいるし」
協力体制になった紗耶香に満足しながら真希がニッコリと笑う。

「裕子さんの仕事は何だっけ?」
115 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)03時28分10秒
「?・・エステシャンだろ?
 ・・・え?エステ行くの?そんな金どこにあんだよ」
慌てる紗耶香を横目に真希は笑顔のまま

「いち〜ちゃんは行かなくて良いよ、アタシ一人で行くから
 それにやぐっつぁんに聞いてもらえば体験コースとかあるかもしれないし」
そう言ってウィンクをする。

「え〜っお前一人で大丈夫か?
 でも市井がいてもしょうがなさそうだしな・・・
 じゃあ頼むよ、矢口には裕子さんにコースのこととか
 聞いといてもらうように行っておくから」

「うん、分かった!任せといて!!」

よし、じゃ〜帰ろうか?
そう言って真希に手を差し出す。

うん!と言って、その手を握り教室の出口へ向かった。


帰りながら・・・
やぐっつぁんの話も聞けるし、ごとーも綺麗になれるし〜
綺麗になって、もっといち〜ちゃんに好きって言ってもらうんだ!
よ〜し!頑張るぞ〜

何気にちゃっかりしている後藤さんなのでした。
116 名前:たむ 投稿日:2002年07月23日(火)03時32分19秒
うっし!更新終了です。
思いっきりいちごまになってしまった(汗
だっていちごまも好きなんだもん!!

開き直ったまま、これにてドロン。
117 名前:ユウ 投稿日:2002年07月24日(水)16時49分10秒
一途な矢口さん、いいですね〜。かわいい。
天真爛漫な後藤さんも魅力的です。
頑張って下さいね、たむさん。

ん?たむさん?
ん?ん?
と思っていたら、たむさんってあのたむさんだったんですね。
あっちではいつもレスありがとうございます。
最近自分でこの二人を書いていないので、ここで補給させてもらいます。
早く私もあの『愛しすぎな二人』を書かないと・・・。
118 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)18時45分19秒
うぉっ!ユウさんや!!
ユウさんにレス貰えるなんて超嬉すぃ〜。

あの愛しすぎなやぐちゅーの足下にも及びませんが
ユウさんが『愛しすぎな二人』を書く気満々になるように頑張りマッスル(古っ

あまりの嬉しさに、こんな時間にちっとだけ更新します(w
今回は中澤さんと後藤さんが中心です。
あ、おまけで誰か出てくるか・・・。

119 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)18時57分11秒
「いらっしゃい真希ちゃん、よう来てくれたな〜」

あれから真里に聞いてもらったところ
時間の空いてる日なら無料体験コースをVIP仕様でやったるわ!
と、裕子が言ってくれたらしく真希は学校帰りに裕子の店に来ていた。

「こんにちは〜裕子さん
 今日はありがとうございます!でも良いんですか?無料体験なのに・・・」
真希が申し訳なさそうな顔をする。

「かまへん、かまへん!矢口がいつも世話んなってるし
 一応これでもチーフやから、ちょっとは融通きくねん
 それにアタシもまた真希ちゃんたちと話したいと思ってたからな〜」

そう言って笑いながら真希をマッサージ用のベッドに促す。

「ほな、とりあえず洗顔してパックするから寝ててええよ
 どうせ喋られへんしな」
裕子は手際よく真希の顔を洗い、パックを塗っていく。
120 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時06分10秒
パックしてる間に身体全体のマッサージをされ
あまりの気持ちよさに真希は遠慮なく寝ることにした。

「真希ちゃん、真希ちゃん」
自分を呼ぶ声に意識が段々とハッキリしてくる。

「よう寝とったな、気持ちよかったか?」
裕子の問いかけにホケ〜としながらも、ハイ!と答える。

「したら次はネイルするから・・って高校生にネイルアートはアカンか・・・
 でも真希ちゃん指が綺麗やからメッチャ似合うと思うんよね〜」

そう言って真希の指を残念そうに見る裕子にニッコリと笑う。
「大丈夫ですよ、うちの学校そんなに厳しくないし
 爪とかまでいちいちチェックされないから」

「今頃の学校はえらい自由になったもんやな〜
 そういえば矢口もピアスしてるか・・・んじゃ、遠慮なくやらせてもらうわ」
裕子は嬉しそうに準備を始めた。
121 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時17分05秒
左手を終え、右手の人差し指に取りかかったとき
「裕子さんって付き合ってる人とかいるんですか?」

真希の突然の問いかけに爪へ描いていた模様が乱れる。

「え?なに?いきなり・・・
 あんまビックリさせんといて失敗するやんか」

確かに突然話しかけたけど、そこまでビックリする事じゃないよね?
やっぱいるのかな?こうなったら絶対聞いてやる〜!!
真希は使命感半分・興味半分で、必ず聞き出そうと決意した。

「ごめんなさい、で?いるんですか?付き合ってる人」
目をランランと輝かせる真希。
どうやら既に興味の方が勝っているらしい。
122 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時25分06秒
「そんなん聞いてどうするん?なんも面白い話なんてないよ」
そう言って裕子は爪への作業を再開する。

「え〜だって〜・・裕子さんって綺麗だし〜カッコイイし〜スタイル良いし〜
 だから付き合ってる人もやっぱカッコイイのかな〜って」
真希は爪に飾られていく模様を見ながらゆっくりと話す。

「なに言うてんの?おだてても何もええことないで?
 それに今は付き合ってる人もおらんしな」
模様を描き終え裕子は苦笑いしながら真希を見た。

「え?いないの?じゃ〜好きな人は〜?」
真希は少しビックリしながらも更なる攻撃をする。

「ん〜?好きな人くらいはおるよ?
 真希ちゃんだってメッチャ好きな人おるやろ?
 真希ちゃんがもっと綺麗になったら喜ぶやろうな〜紗耶香ちゃん」
裕子がニヤニヤしながら応戦する。
123 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時32分11秒
その瞬間、真希の顔が真っ赤になった。
「な・・なんで裕子さんが知ってるの?やぐっつぁんから聞いたの?」


「いや、矢口は何も言うてないよ
 でも普通見てたら判るやろ?自分らラブラブやもんな〜」

更に追い打ちをかける裕子に真希の表情が一瞬にして曇る。

「え?そんなに判るの?ごとーたちって・・・
 裕子さんじゃなくても誰にでも判っちゃうの?」

真希の沈んだ声に裕子は少々やりすぎたと反省して言い直す。

「心配せんでも普通にしてたら仲のええ女子高生にしか見えへんよ
 この前は矢口もいたしリラックスしてたっちゅ〜ことやろ?
 嬉しかったで!初対面なのに心許してくれたみたいで」
124 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時41分51秒
裕子は柔らかく微笑みながら話を続けた。


「やっぱり周りの人たちに二人のこと知られるのは嫌なん?」

その問いかけに真希は両手をぎゅっと握りしめ噛み締めるように話す。
「ごとーは知られても構わないよ
 でも、それでいち〜ちゃんが何か言われたり
 嫌な思いするのは耐えらんない・・・」


しかし何かを決意したようにふっと顔を上げると
「本当はみんなにいち〜ちゃんはごとーの大好きな人なんだよって
 言っちゃいたいくらい!
 ごとーはどんな事があっても、どんないち〜ちゃんでも
 いち〜ちゃんが大好きだから!!」

そう言うと同時に曇ったままだった真希の表情が
とてもとてもキレイな笑顔に変わった。
125 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時48分11秒
どんなことがあっても、どんないち〜ちゃんでも、か・・・

真希の芯の強さに改めて感心しながら思いを巡らせていた裕子に
真希が笑顔のまま話しかける。

「裕子さんの好きな人ってどんなひと?」

何気に諦めてない真希に苦笑いしながら
「そうやな〜大人か子供か分からんとこがあるんやけど
 でも真っ直ぐな心を持ってて、実は結構頼れる
 ・・・そんなカンジの人かな〜」

「顔は?カッコイイの?どんなカンジの人?」
更なる真希の追求に苦笑いをしたまま

「顔か?顔はな〜笑顔がメッチャ素敵?」
その人の顔を思い出してるのか、裕子の顔が優しくなる。
126 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)19時56分23秒
「ふ〜ん、でも何で付き合ってないの?
 裕子さんだったら告白すれば即OKなハズなのに」
真希は不思議そうに裕子に聞いた。


「まぁ色々あんねん大人の事情ってもんがな
 ええやん、この話はこれで終わり!さっさと仕上げるで」

そう言われては、さすがの真希も食い下がることも出来ず
その後は他愛もない話をしながら時間を過ごした。


「ホントにありがとうございました
 すっごく気持ち良かったし楽しかったです」
真希が笑顔でペコリと頭を下げる。

「喜んでもらえて、こっちも嬉しいわ
 アタシも真希ちゃんと色々話せて楽しかったし
 良かったら今度は紗耶香ちゃんも連れておいでや」
裕子が優しく笑いながら言う。
127 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)20時02分29秒
「はい、じゃあ今度はいち〜ちゃんと一緒に来ます」

もう一度ペコリと頭を下げて出口へ向かう真希を裕子が呼び止める。

「もう帰るんならウチ寄っていけば?矢口も帰ってきてるだろうし」

「いえ、今日はもう帰んなきゃいけないんで・・・
 また家にも遊びに行きますね」

そういって真希が答えたとき
「あれ〜裕ちゃん何ナンパしてるんだべ〜?」

スタッフルームから出てきた安倍が笑いながら裕子に話しかける。

「ナンパて失礼な!
 彼女は矢口の友達で今日はお客として来てくれたんや」
裕子が安倍の頭を叩く真似をする。
128 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)20時07分07秒
「そうなんだ〜真里ちゃんも可愛いけど
 真里ちゃんの友達も可愛いんだねぇ」
安倍は裕子の手を避けながらそう言って笑った。


わ〜この人、すごくいい顔して笑うんだな〜
この笑顔が自分だけに向けられたら幸せだよね〜
・・・ん?笑顔がステキな人??

え・・・?裕子さんの好きな人ってまさか・・・。

真希は嫌な予感を抱いたまま、裕子と安倍に手を振って店をあとにした。
129 名前:たむ 投稿日:2002年07月24日(水)20時09分30秒
ちっとばっかし更新しちゃいました。

何だか矢口さんが出てきてませんが・・・
やぐちゅー好きなんですよ!いやホントに(w
130 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月25日(木)00時57分15秒
やぐなちゅーなのかな?(w
笑顔がステキって・・・なっちも矢口も(w
どうなるなかな?
131 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)02時29分02秒
この小説、最近知ったのですが面白いです。

でも、矢口と裕ちゃんが姉妹っていう展開はちょっと残念。
やぐちゅーファンとしては、幸せな甘い二人になって欲しいんです。
しかし、家族なら別れもなく、一生一緒にいられるからいいのかも・・・
やぐちゅーは、ちょっとエッチなのもいいけれど、
まったりとお互いを支えあうっていうのも、似合うんですよね。
たむさんの「やぐちゅー」伝説に期待します。
132 名前:読んでる人 投稿日:2002年07月25日(木)18時44分45秒
裕ちゃんの意中のコは、なっち?矢口?
でも作者さんがやぐちゅー派というコトは(以下略
133 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月26日(金)02時41分39秒
どうも、向こうでとてつもなくお世話になっております
たむさんのやぐちゅーに期待しております
134 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)18時45分43秒
≫名無しさんさま
やぐなちゅー・・・なのかな?(ヲイ
でもここの三人、ツナギは着てないハズ(w
このまま読み続けて頂ければ嬉すぃです!

≫名無し読者さま
面白いだなんて・・ありがとうございます!!
最高の誉め言葉ですわ。

これだけは言い切りましょう!
自分は、なにが何でもやぐちゅー!です(w
これからも時間つぶしにでも読んでくださいね・・。

≫読んでる人さま
なっち?矢口?
作者がやぐちゅー派ということは(以下略 w
バレバレですか?(w

≫セーラムさま
おかえりなさいませ(w
そろそろ完全復活も近いのでしょうか?
心よりお待ちしております。
自分の方はご期待に添えられるように頑張りま〜す!

レス、本当にありがたき幸せです。
何気に日にちが空いてしまっていたので、こんな時間に更新です。
135 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)18時52分10秒
真希の後ろ姿を見送り、スタッフルームに戻りながら
安倍が裕子に話しかける。

「裕ちゃんマジでナンパじゃなかったんだべ?」

「違うって言うてるやろ!
 それにあの子には付き合ってる子もおるしな」

「あ〜やっぱりナンパしようとしてたんだ〜」

「してへん、してへん!
 うちは、なっちだけやって言うてるやんかぁ〜」

そう言って抱きつこうとする裕子を安倍は笑いながら軽くあしらう。

「はいはい、ところで裕ちゃん今日仕事終わったら
 なっちの家に来ないかい?」

「ん?ええけど・・なんかあったんか?」
136 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)18時57分38秒
裕子の問いかけに安倍は首を横に振る。
「そうじゃないけど・・・
 裕ちゃんさぁ、真里ちゃんと暮らし始めてからは
 ちゃんと家に帰るようになったじゃない?
 昔はよく泊まってたのにさ・・・
 だから、たまにはゆっくり話したいなって」

「せやなぁ・・確かに朝まで飲むこともなくなったし
 当分なっちともゆっくり飲んでないよな〜
 よし!ほな今日はとことん話そうか?」
でも家には絶対帰るけどな〜

そう言って笑いながら安倍の頭をポンポンと叩いた。
137 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時03分15秒
夕方、真里が夕飯の準備をしようとしたとき
携帯がメールの着信を告げた。

【今日はなっちの家で飲んでくるわ、遅くなるから先に寝ててや〜】

安倍さんの家・・・?
真里の胸がズキンと鈍い音を立てる。

真里は携帯を持ったまま立ちつくしていた。

やっぱり付き合ってたんだ・・・。
涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。

今日は帰ってこないよね・・・
そう呟いて真里は自室のベッドに潜り込み、ひたすら涙を流し続けていた。

その後、真里は泣き疲れてそのまま眠ってしまい気づかなかったが
裕子は夜中過ぎにちゃんと家に帰ってきていた。

とはいえ、次の日も裕子が先に出たため
夜になるまで顔を合わすことはなかったが・・。
138 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時08分38秒
「ただ〜いま」
今日も一日ご苦労さん!
そう言いながら部屋に入っていく裕子に

「お帰りなさい、もうすぐゴハン出来るからね」
昨夜、思いっきり泣いたお陰で幾分スッキリとした真里が
精一杯の笑顔で迎える。

やっぱカワイイな〜矢口は・・
この笑顔見たら一日の疲れも吹っ飛ぶっちゅ〜ねん!

何も知らない裕子はのんきにそんなことを思いながら
部屋に入り服を着替える。

「そういえば昨日、真希ちゃん来てくれたんやで」
夕飯を食べながら裕子が嬉しそうに話す。

「そうみたいだね、ごっつぁんから聞いたよ
 すごい気持ちよかったって言ってた」

無料なら矢口も今度行こうかな
そんなことを言いながら箸を進める。
139 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時14分26秒
「しかし真希ちゃんてホンマにマイペースな子やなぁ
 あの子のペースで話してたらホンマいらん事まで言うてまうで」
裕子が苦笑いをしながら話す。

「え?何か聞かれたの?」

「ん?いきなり付き合ってる人いますか?って聞かれてな
 誤魔化したつもりやってんけど、いつの間にか話す羽目になって
 全部聞かれてもうたわ」

「ごっつぁん、そんなこと聞いたんだ?
 で、裕ちゃんは矢口にも教えてくれなかったことを
 ごっつぁんには話したと・・・?」
真里の顔がどんどん険しくなってくる。

「や・・せやから違うて・・アタシが話したんやなくて
 喋らされたんや・・」
裕子の顔がどんどん青ざめ冷た〜い汗が背中をつたう。
140 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時20分20秒
「ごっつぁんに話したんなら矢口にも教えてよ
 それとも矢口に話すのは嫌なの・・?」

聞かなくても分かってるけど・・・
真里の顔が険しいものから悲しいものへと変わる。

「別に矢口に話すのが嫌なわけやないけど・・・
 矢口だって教えてくれへんかったやん!」
裕子はオロオロしながらも反撃を試みた。

「だって矢口が先に聞いたのに
 裕ちゃんがはぐらかして教えてくれないからじゃん!
 なのに・・ごっつぁんには簡単に教えて・・・
 なんで矢口じゃなくて矢口の友達が先なんだよ・・・
 なんで安倍さんなんだよ・・・」

もはや真里は涙目になっている。
141 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時27分22秒
「ちょ・・なに言うてんの?なっちがどうしたん?
 なっちは関係あれへんやん?」
裕子がビックリした様子で真里に問いかける。

安倍さんが関係ないわけないのに・・なんで隠そうとするの?

そんな裕子に真里は更に悲しくなって
昨日あんなに流したはずの涙がまた零れ落ちてきた。


「確かに矢口に話してへんのに真希ちゃんに話したのは悪かったと思ってる。
 ・・けど、あれは不可抗力や。
 それ以外に矢口に秘密にしてる事なんて何もないし・・」

裕子は訳が分からないといった感じのまま話を続ける。

「結婚するならまだしも・・・
 ただ付き合ってるっていうだけの人が誰かなんて
 そんなんどうでもええ事やんか!」
裕子にしてみれば真里が泣いていることの方が不可解で
つい口調が荒くなってしまった。
142 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時31分30秒
「どうでも良いことなんかじゃないよっ
 矢口にとっては、どうでも良いことなんかじゃない!!」
そこまで言って真里は泣きながら自室に入っていった。

「あ・・・矢口・・」
真里の部屋のドアが激しく音を立てて閉まる。

そんなに知りたかったんか?でもあんな泣くことないよな・・・
やっぱ真希ちゃんに先に話した事がアカンかったか〜

はぁ〜っとため息をついて真里の部屋のドアをノックする。
「矢口?」

何の返事もない。
143 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時37分24秒
「矢口?入るで」
裕子はそっとドアを開け中に入り
矢口が潜り込んでいるベッドの端に腰掛けた。

するとベッドの中からくぐもった声が聞こえてた。

「・・・ごめんなさい」
泣き声のままの真里の言葉に胸が締め付けられる。

「いや・・・うちも悪かったんや・・
 不可抗力とはいえ、先に真希ちゃんに話してしまったんやからな。
 ホンマごめんな・・・」
真里の頭の部分であろう辺りの膨らみをポンポンと叩く。

そんな事で泣いてるんじゃないのに・・・
なんで分かってくれないの?

「違うっ違う違う違う!」
起きあがって裕子の背中にしがみつく。
144 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時42分22秒
「そんな事で矢口は泣いてるんじゃない!
 矢口は裕ちゃんが・・・裕ちゃんが・・・」
涙が後から後から溢れ出て声にならない。

言いたい、言ってしまいたい・・・でも言ってしまったら
もう裕ちゃんとは一緒にいられなくなるかもしれない・・・

そう思うと、言葉に出せず泣くことしか出来なくなっていた。

そんな真里の手に裕子の手がそっと重なった。
「なぁ矢口・・・
 うちな・・実家に帰ろうと思うねん」

「・・・え?」
突然の言葉に真里が顔を上げる。
145 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時48分59秒
「実家に帰るって・・・もう矢口とは一緒に暮らせないってこと?
 なんで?矢口がこんな事で泣いちゃったから?
 嫌だよ、裕ちゃんがいなくなったら矢口はどうすればいいの?」
真里は泣きじゃくりながら、しがみつく腕を更に強くする。

「矢口・・・そんな泣かんとって」
重ねていた手を離し腕を解こうとするが真里はそれを許さず
更に強くしがみつく。

「嫌だ!嫌だよ裕ちゃん。
 もう泣かないから、わがままも言わないから・・・
 矢口を独りにしないでよ・・・」

「矢口、矢口聞いて」
裕子は泣きじゃくる真里の腕をそっと解いて
涙でグシャグシャになった顔を覗き込む。
146 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)19時58分09秒
「別に矢口と暮らすのが嫌になったとか、そんなんやないねん。
 うちの言い方が悪かってんな、ごめんやで」

真里が泣き顔のまま裕子を見上げる。

「帰るって言うても2〜3日くらいや・・
 心配せんでもちゃんとここに帰ってくるから」

そう言って裕子は真里を優しく抱きしめた。

−−−−−−−

リビングに戻りコーヒーと紅茶を飲みながら・・・

「でも何で急に実家に帰ることにしたの?」
ようやく落ち着いた真里が裕子に問いかける。

「ん?いやな、お母さんが死んでから一度も帰ってないし
 ちょっと整理したいこともあるからな」

そう言ったあと今度は裕子が真里に問いかけた。
「ところで矢口は何で泣いたいん?なっちと何か関係があるんか?」

当然と言えば当然の質問に真里は一瞬ためらったが
「うん・・・ごめんね。・・・でも今は話せないや。
 裕ちゃんが実家から帰ってきたら話すよ」

真里の決意したようなスッキリとした表情に
裕子もそれ以上、聞こうとはしなかった。
147 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)20時00分09秒
−−−−−−−−−−−−
148 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)20時06分36秒
「ほんじゃ行って来るわ、ちゃんと戸締まりするんやで!
 なんやったら紗耶香ちゃんたちに泊まりに来てもらってもええし」

玄関先で裕子が二泊分の荷物を積めたバッグを持って
真里の頭をポンポンと叩きながら言う。

「大丈夫だよ、子供じゃないんだから。
 それに紗耶香たちにはもう言ってあるから夕方には来ると思うし」
真里が笑いながら答える。

「それなら安心やな、とはいえ高校生だけになるんやから
 十分気ぃつけえや?何かあったら携帯に連絡するように!」

「うん分かった。気をつけて行って来てね」
手を振って裕子を見送る。


裕ちゃんが帰ってきたら・・ちゃんと言おう!
もうこんな気持ちのままでいるの嫌だもん・・・

よし!紗耶香たちが来るまでにやることやっちゃおうっと!!

真里は元気よく紗耶香たちを迎える準備を始めた。
149 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)20時16分55秒
ぴんぽ〜ん

「矢口〜来たよ〜」
陽も陰り始めた頃、元気な声がインターフォンに響く。

「いらっしゃい!紗耶香、ごっつぁん。
 さあ、入って入って」

笑顔で出てきた矢口を見て紗耶香は不思議に思う。

あれ?なんか矢口スッキリした顔してるな・・・

「ねぇいち〜ちゃん、やぐっつぁん何かスッキリした顔してるね」
真希も同じことを思っていたらしく小さな声で呟いた。


「途中コンビニに寄ってお菓子を買ってきたよ」
紗耶香がお菓子がたんまり入った袋を見せる。

「あ、ありがとう!でも夕飯出来てるから先に食べちゃおうよ」

「え?やぐっつぁん夕飯作ってくれたの?やった〜!
 やぐっつぁんのゴハン好き〜」

「あはは、ありがとう
 じゃ、準備するから手伝ってくれるかな?」

「「は〜い」」
矢口の元気な姿を不思議に思いながらも
二人は子供のような返事をして手伝いにかかった。
150 名前:たむ 投稿日:2002年07月29日(月)20時21分17秒
ほいっ!ひとまず更新終了です。
めっちゃ中途半端なところで切りましたが
日にちが空いてた分、もう少し更新したいと思ってます。

続きは今日の夜中にひっそりと・・・(w
151 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月29日(月)22時58分15秒
今夜が楽しみです
152 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)00時31分13秒
≫名無し読者さま
ありがとうございます。
楽しんでいただければ、これ幸いです。

さて、本日二度目の更新です。
一度目の更新分は誤字脱字が多くてチョット切なげ(w

ひっそりってことでsageでいきます。
でも内容的にはageですが(w
153 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)00時38分55秒
夕食後、リビングでお菓子を広げ三人でくつろいでいると
真希がお菓子を頬張りながら真里に聞いてきた。

「ねぇやぐっつぁん、なんか良いことでもあったの?」

「え?なんで?」
真里がキョトンとして真希に聞き返す。

「だって、やぐっつぁん最近あんまり元気なくて
 ごとーたちの前でも空元気っぽかったのに
 今日は何かスッキリした顔してるんだもん」
真希が探るような表情で真里を見る。

「あ〜やっぱ、ごっつぁんたちにはバレてたか・・・
 確かに最近は考え事ばかりしてて眠れなかったし
 正直笑うのも辛かったけど、でももう大丈夫だよ」
真里が元気に答える。

「その矢口の元気と裕子さんが実家に帰ったのって
 なんか関係あるわけ?」
ずっと二人の様子を見ていた紗耶香が口を挟む。
154 名前:あほ作者 投稿日:2002年07月30日(火)00時43分28秒
自分でageてしまった・・・アホすぎる・・・。
自分のアホさ加減に凹みつつ更新再開。
155 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)00時49分54秒
「もしかしてやぐっつぁん、裕子さんに告白したの?
 それで裕子さんは実家に帰っちゃったけど
 やぐっつぁんは吹っ切れたとか・・・?」
裕子の好きな人が安倍と思っている真希は思わずそんなことを口にしていた。

「うぅん告白はしてないよ、思わず言いそうになったけど・・・
 裕ちゃんは実家に帰って整理したいことがあるんだって言ってた」

「ふ〜ん整理したい事って何なんだろうね?
 まぁとにかく市井は何があっても矢口を応援するよ」

「ごとーも応援する〜やぐっつぁん頑張ってね!」

「うん、どんな結果になったとしても後悔だけはしたくないし・・・
 もう自分の気持ちにもケリをつけなきゃ」
真里は自分に言い聞かすように呟いた。
156 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)00時59分45秒
その頃、裕子は・・・

「しっかし恐ろしいほど何も変わってないな〜この部屋は。
 まぁ誰も使ってへんのやから当たり前か・・・」
実家の自室に佇み独り呟いていた。

今日はお母さんのいる居間で寝ようかな・・・


そして居間にある仏壇に向かいながら母に語りかける。

「お母さん、うちな今めっちゃカワイイ妹と一緒に暮らしてるんよ。
 でも最近その子のこと妹として見れなくなってきてんねん・・・
 なぁお母さん、なんで死ぬ前にちゃんと話してくれへんかったん?
 矢口はホンマにうちの妹なんか?血ぃ繋がってるんか?」

うちはどうしたらええんやろ・・・
157 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時05分36秒
仏壇に線香を灯したあと、布団に入り天井を眺めながら真里のことを考える。

真里が昨夜泣き出した理由、言いかけた言葉・・・。
それが何なのか裕子も薄々は気づいている。
だからこそハッキリさせるために実家に戻ってきた。


矢口はうちが帰ってきたら話してくれるって言うてたけど
うちはそれに応えることが出来るやろうか・・・?
応えられるだけのものを見つけられるんやろうか・・・?

沸き上がる不安を抱いたまま裕子は眠りについた。
158 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時12分05秒
翌日、裕子は実家の近くに住んでいる叔母を訪ねた。

「まぁ裕子ちゃん久しぶりやねぇ、えらい綺麗になって・・・」
叔母が嬉しそうに裕子を迎える。

「お久しぶりです、ご無沙汰してすみません
 家の方も任せっきりにしてしまって・・・」
申し訳なさそうに言う裕子に、叔母は気にせんでええよと笑顔で肩を叩く。

「とりあえず入って、お茶くらい飲んでいき」

「はい、それじゃ遠慮なく」

居間に通され、程なくしてお茶を入れた叔母が入ってきた。


「ホンマ綺麗になって・・・姉さんが亡くなって以来やから
 もう5ねんくらいになるんやねえ」

「ええ、ホント何の連絡もしなくて・・・」

もう一度頭を下げる裕子に、ええのよ〜と言いながら叔母が話を続ける。
159 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時18分38秒
「姉さんの家は、たまに使わせてもらってるし
 裕子ちゃんが元気で暮らしてるんなら・・・
 でも何で急に帰ってきたん?もしかして、ええ人でも出来た?」
最初は普通に笑顔で話していた叔母の顔が嬉しそうな顔に変わる。

「いや・・・残念ながら結婚はまだですけど
 当分帰ってなかったし、整理したいこともあったんで・・・」
苦笑いをしながら答える裕子に

「そう・・・それは残念やねぇ、でも整理したいことって・・・」
少し残念そうな顔をした叔母がそこまで言って
何かを思いだしたように席を立った。


「そうそう、裕子ちゃんが帰ってくることがあったら渡すようにって
 これを姉さんから預かってたんよ」
部屋に戻ってきた叔母がそう言って封筒を裕子に差し出した。
160 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時23分22秒
裕子が不思議そうに封筒を受け取るのを見ながら
「自分が死んだ後に
 もし裕子ちゃんが突然帰ってくるようなことがあったら渡して欲しいって」

帰ってこなければ渡す必要はないとも言うてたけど
叔母はそう言いながらお茶をすする。


お母さん・・こんな形で知らせてくれるんか?
妹のこと知ってて言わんかったのは何でなんや?

裕子の鼓動が激しくなる。

震えそうになる手を必死で押さえ、封筒の中身を取り出し読み始める。
161 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時33分57秒
そこには懐かしい母の字が綴られていた。

【裕子へ
 ごめんなぁ裕子。
 お母さん、アンタにずっと黙っとったんやけど
 アンタには腹違いの妹がおるんよ。

 アンタが一歳の時に別れたお父さんの子供や。

 お父さんもお母さんも既に別々の道を歩んでたから
 会わす事もないと思ってずっと言わずにおったんや。

 でもな、アンタが東京で生活していくうちに
 もしかしたら妹の存在を知ってしまう可能性もあると思うようになって
 こうして手紙に書き残すことにしたんよ。

 会わなければ何の問題もないことや。
 でも・・・この手紙を読んでいるということは
 もう妹には会ってしもうたんやろなぁ・・・。


 一度その子の写真を見せてもろたけど
 目がクリっとしてて、めっちゃ可愛い子やったで。
 何や背が標準よりも低いとも言うてたわ。
 アンタとは10歳離れてるから、妹というより子供みたいやな。

 その妹とどんな風に接しているのか分からんけど
 姉として優しくしたらなアカンで!
 そして、こんなお母さんを許したってや〜】
162 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時37分24秒
お母さん・・・

なんでこんな緊張感のない手紙なんや・・・?
さすがうちのお母さんってことなんか・・。

でも・・やっぱり矢口とうちは血が繋がった姉妹なんやな・・・

疑いようのない事実に打ちのめされる。

こんなんで帰って矢口から何を聞くんや?
応えられることなんて無くなってしもうたのに・・・。
163 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時38分39秒
−−−−−−−−−
164 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時44分22秒
「ただ〜いま」
少々テンションの低い感じで裕子が玄関に入ってきた。

「お帰り裕ちゃん!なんか疲れてるみたいだね
 お風呂入れるから先に入ってきなよ」

その間にゴハンの準備しとくからさ!
真里がそう言いながら裕子の荷物を取り部屋へ入っていく。

「あぁせやな・・したら先に風呂入らせてもらうわ」
真里の笑顔にほっとした表情を浮かべたが
これから話さなければならないことを考えると、それも一瞬のことで。

とりあえず、お風呂に入って心の準備をするか・・・
そう思いながら裕子はバスルームへと向かった。
165 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)01時51分38秒
「ええ匂いやな〜」
髪を拭きながら裕子がキッチンへとやってくる。

「うん、今日はねぇ裕ちゃんの好きなものばかり作ってみました!」
エッヘンと真里が得意げに笑う。

「あっホンマや!うちの好きなもんばっかりやんか
 ありがとうな〜矢口」
そう言いながらビールを冷蔵庫から取り出す。

「じゃ〜食べようか」
真里が準備を終え、裕子のコップにビールを注ぐ。

「「いただきま〜す」」

「う〜ん、やっぱり矢口の作った料理は美味しいな〜
 これからもずっと食べていけたらええのに・・・」
思わず口から出てしまった言葉にハッとして黙り込む。

「なんで?ずっと食べられるじゃん!
 裕ちゃんが結婚しない限り、矢口毎日作るよ?
 なに?どうしたの裕ちゃん?」
真里が心配そうに裕子の顔を見る。
166 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)02時00分57秒
「なんでもないで?大丈夫やから」
そう言ったあと黙々と夕食を食べていた裕子だが
突然、箸を置いて話し出した。

「なぁ矢口・・
 うちが帰ってきたら言うって言ってたことって・・・なに?」

「・・・え?」
不意に聞かれ一瞬固まってしまったが
真里はお茶を持ってリビングの方へ歩いていった。

裕子もビールを持って後に続き、ソファーに二人並んで座る。

そして二人黙ったまま時間だけが過ぎていった。
167 名前:たむ 投稿日:2002年07月30日(火)02時05分47秒
ってなわけで、二度目の更新終了でござんす。

次週、怒濤の急展開!AS●YAN風(w
になればいいけど・・・(汗
ちなみに更新は明日できればしますので(w
168 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月30日(火)02時15分45秒
どうなるのかな?ってやぐちゅーって分かってるけど(w
怒涛の展開待ってます(w
169 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)02時08分10秒
≫名無しさんさま
どうしましょう?(w
怒濤の展開にはならないかも(ヲイ
でも、ようやくやぐちゅーになりそうですわ!

ってなわけで、本日も更新するのだぴょ〜ん(かっか
170 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)02時27分17秒
しばらく経って、ソファーに座ったまま黙り込んでいた
真里がようやく口を開いた。

「あ、あのね・・・
 裕ちゃんは安倍さんと付き合ってるの?」
真里がコップの縁をなぞりながら聞いてきた。

「へ?なんで?
 なっちとは色々相談ごともするし飲み明かしたりもしてるけど
 同僚というか仲間みたいなもんやで?」
いきなりの質問に裕子は惚けながらも答える。

「じゃあ、この間も安倍さんの家に行って話してただけなの?」
付き合ってたわけじゃないんだ・・・

真里の表情が少しだけ明るくなった気がした。
171 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)02時33分45秒
「そうやで〜この間なんか、なっちから愚痴を散々聞かされた挙げ句に
 のろけまできかされたんやからな〜」
ホンマ勘弁して欲しいわ〜

裕子が笑いながらビールを飲む。

「じゃあ、裕ちゃんが実家に帰って整理したいことって何だったの?」

「矢口が言いたかった事って、うちに対する質問やったんか?」

またしても予想とは違う言葉に思わず呆れ口調で聞き返す。


「違うよ、違うけど・・・」
そんな簡単に言えるわけないじゃんか・・・

そう呟いて真里は俯いてしまった。

やっぱり、そうなんか・・・
矢口が言う前にハッキリさせといた方がええよな・・・
172 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)02時40分27秒
なぁ矢口・・裕子がそう言いかけたとき


「・・・好きなの」
真里が膝に置いた両手を握りしめてポツリと呟いた。

「え?矢口?今なんて・・・?」

予想していたとはいえ、不意に告白されて裕子は思わず聞き返してしまう。

「好きなの裕ちゃんが・・初めて会ったときからずっと」
真里は涙目になりながらも顔を上げ裕子を真っ直ぐ見つめる。

「でも裕ちゃんが矢口のことを妹としてしか見てないのも分かってる。
 別に裕ちゃんを困らせたいわけじゃないんだ・・・
 けど、もう言っちゃわないと苦しくて・・・」
173 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)02時50分12秒
矢口には、うちの気持ち気づかれてないんや・・・
したらこのまま・・妹としてしか見てないって言うてしまえば・・・
そしたら矢口も諦めてくれる・・?

そんな逃げ腰な考えばかりが浮かんでくる。

「裕ちゃん何か言ってよ・・・
 裕ちゃんの口から無理だって、矢口は妹だって
 ハッキリ言ってくれたら・・・矢口、諦めるから・・・」

真里はそう言いながら、弱々しく裕子の腕を掴む。


『矢口、諦めるから・・・』

言えばええんや・・“矢口は妹や”って
そしたら、このまま姉妹として暮らしていける・・・。
174 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時03分15秒
でも・・矢口が諦めてくれたら、それでええんか?

うちの気持ちは?うちはどうなんや?
この気持ちを隠したまま姉妹として暮らしていけるんか?
矢口のこと諦められる・・・?


「無理や」
裕子は思わずその言葉を口にしていた。

それを聞いて真里の身体が強ばる。

「無理やで矢口・・うちが矢口のこと諦められへん
 うちも矢口のことが好きなんや」

もう引き返せない・・・たとえ血が繋がっていても
それで罰を与えられるというのなら重んじて受けよう。
矢口と一緒にいられるのならば・・・
175 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時11分46秒
そう思いながら、裕子は真里を優しく抱きしめる。

真里は最初、何を言われたのか分からずにいたが
抱きしめられた腕の強さと暖かさを感じ、嬉しそうに瞳を閉じた。


真里を抱きしめたまま裕子がポツリポツリと話し出す。
「うちな、矢口のことを好きって思えば思うほど
 もしかしたら矢口と血ぃ繋がってるっていうのは
 間違いかもしれへんて・・・
 そしたら堂々と好きって言えるって・・・
 そう思って、確かめたくて実家に帰ったんや」

そう言って真里から身体を離し封筒を真里に差し出す。

「でもやっぱり、うちと矢口は血ぃ繋がった姉妹やった・・・」
176 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時17分01秒
真里は手渡された封筒と裕子の顔を交互に見ながら
ためらいがちに中身を出し読み始めた。

そのとき・・・

ぴんぽ〜ん

不意にインターフォンがなった。

誰やろ?こんな時間に・・・

いつもならインターフォンで確認してから出るのだが
なぜか裕子はそのまま玄関へと向かった。

後ろで真里の呼び止める声が聞こえたような気がしたが
振り返ることもなく鍵を開ける。

ドアを開けると、そこには一人の少女が立っていた。
177 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時24分49秒
「中澤さんですか?」

「そうですけど・・?」
全く見覚えのない少女に戸惑いながら答える。

それと同時に
「裕ちゃん、コレ・・コレ・・」
真里が手紙を手にしたままやってきた。

「なんや矢口、お客さんの前で」
慌てた様子の真里を一瞥して少女に向き直る。

「ごめんなぁ・・で?うちに何か・・・?」
真里の様子も気になるが、とりあえず何の用なのかを知りたかったので
謝りながら話を進める。

「初めまして、わたし福田明日香といいます」
少女がニッコリ笑って挨拶をした。
178 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時30分02秒
「福田明日香〜〜?」
横にいた真里が突然、素っ頓狂な声を出した。

「なんや矢口、いきなり大声出して・・ビックリするやんか!
 しかもお客さんの名前を力一杯叫んでからに」
裕子が心底ビックリしたように真里に言う。

「だって・・だって・・」
真里は言葉が続かないのか口をパクパクして
福田と名乗る少女を見ている。

「矢口の知り合いなんか?それにしてもえらい驚きようやなぁ」
全く見覚えのない少女に戸惑ってはいたが
真里の知り合いかもしれないと思い少女を部屋へ通す。

真里はビックリしたまま固まっていた。
179 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時38分19秒
「矢口大丈夫か?アンタも一緒に紅茶でも飲み〜や」
紅茶を入れながら固まったままの矢口に話しかける。

それにしても、なんかこのシチュエーションって・・
前にもあったような・・・

紅茶を入れて、固まっている真里を運び三人ソファーに座る。

「話を聞く前に、この子呼び戻すからちょっと待っててな?」

そう言うなり真里の腕を掴み激しく揺らし耳元で叫ぶ。
「矢口ぃ〜どこ行ってんのや〜?帰っておいで〜」

何度か揺らした後に、真里の顔に赤味が戻ってきた。
「あれ?矢口どうしてたんだっけ?」

「アンタ玄関先でこの子の名前聞いて叫んだあと
 どっか行ってしもうたんや・・圭織に連れて行かれたかと思ったで」

ずいぶん失礼な例えだが、真里は思い出したように
目の前に座る少女を見たあと慌てて裕子に向き直る。
180 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時44分38秒
「そうだった!裕ちゃんこれ見て!!」

真里がずっと握りしめていた手紙を裕子に差し出す。

「これって・・これはさっき、うちがアンタに渡したもんやんか
 なんでまた見なアカンの?」
裕子が不思議そうな顔をして真里を見る。

「違うの!いいからこれっ」
真里が手紙の一枚を裕子に無理やり渡す。

なんやねんな・・・ホンマ大丈夫なんか?
マジで圭織に連れて行かれたんちゃう?

「ちょっとゴメンな・・」
目の前の少女にそう謝ってから渡された手紙に目を落とす。

・・・・。

・・・ん?な・・なんやて〜っ?
181 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時50分41秒
「こ・・これ・・矢口、これ、どっから持ってきたん?」
裕子は半ばパニック状態になりながら真里に問いかける。

「裕ちゃんがくれた手紙だよ、裕ちゃん全部読まなかったの?」

「え?読んだで?二枚とも全部」

「違うよ、手紙は全部で三枚だよ?
 矢口もそれ見てビックリしちゃって
 裕ちゃんが玄関に行くときに呼び止めたのに・・・」

裕子が手にした三枚目の手紙には、こんなことが書いてあった。

【そうそう、書き忘れてたけど
 アンタの妹の名前は福田明日香ちゃんって言うんやで!
 もう知ってるとは思うけどな〜          母より】


お母さん・・・何で一番肝心なこと忘れて三枚目に書くねん・・・
うちの・・矢口の苦悩の日々を返してやー!!
182 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時54分14秒
ってなわけで、怒濤の連続更新(?)終了です。

とりあえず一区切りってとこですかね。

いろんな疑問がありましょうが、徐々に明らかになっていくハズ(w
183 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)03時58分27秒
この先また、メンバーも出てきますので。

あまりにも出番少なすぎやったからね〜。
184 名前:たむ 投稿日:2002年07月31日(水)04時02分02秒
まだ出てないメンバーも出せたら良いな〜
と思いつつ、しもてはけ〜。
185 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年07月31日(水)10時22分42秒
三枚目の手紙にかなり笑いました(w
これでようやくわだかまりが完全に消えるのかな?
楽しみに待ってます
186 名前:読んでる人 投稿日:2002年07月31日(水)20時07分48秒
いや〜、ちょっと意外な展開ですね〜。
いろいろ疑問がありますが、それが解明されていくのを
楽しみに待ってます(w
187 名前:やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者 投稿日:2002年08月01日(木)01時25分10秒
風板で戦闘機を飛ばしてばかりで、
全くCPのない、やぐちゅ〜小説を書いている作者です。

やぐちゅ〜怒濤の姉妹編・・・と思ったら実は妹は明日香?
じゃあ、矢口と裕ちゃんの関係は・・・?
188 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時02分27秒
≫セーラムさま
完全復帰ありがとうございます(w
「バスくる」矢口さんの過去が分かるのを
ドキドキしながら待ってま〜す。

≫読んでる人さま
レスありがとうございます。
やはり疑問ありありですか?(w
努めて解明していきたいと思います(w

≫やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者さま
レス頂けるなんて・・ありがとうございます。
パイロット裕ちゃん、実は思いっきり読ませていただいてます(w
戦闘機を飛ばしながら、時折やぐちゅーになるのがツボです(w

矢口さんと中澤さんの関係は・・・
続き読んでいただければ嬉しいかも(w


後藤さんと保田さんの事に動揺しながら、ちょっとだけ更新します。
189 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時08分29秒
今度は裕子が固まり、落ち着くまで時間がかかるということで
真里が明日香と話をすることになった。

「福田さんのお父さんって・・?」

いきなり核心をつく真里に苦笑いしながら
明日香は淡々と話し始める。

「矢口俊介ですよ?矢口さんのお母さんと結婚する前に
 うちの母と付き合ってたそうです」


「え・・?じゃあ矢口のお父さんは・・」
明日香の話に素朴な疑問が沸き上がる。

「今度は矢口が確かめに行く番やな」
ずっと惚けていた裕子がようやく口を開いた。
190 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時19分32秒
「ところで明日香ちゃん、今日ここに来たのは
 もしかしてお母さんが亡くなったとか・・・?」

「いいえ、母は元気ですよ。
 高校あがってから、初めてお姉さんがいるって聞いて
 ずっと会ってみたいなって思ってたんです。
 そしたら最近仲良くなった友達のお姉さんが
 中澤さんと同じ職場に勤めてるってことが分かって・・・」


高校生の妹がおるっていうたら石川か・・・
あいつも聞いてビックリしてんのちゃうかな?
明日、職場行ったら何て言おう・・?

「そうか・・それならいつでも遊びにおいで
 矢口とも同じ歳やし、仲良うしたってな」
そう言って笑いながら二人の妹を見ていた。


「それじゃあ、今日は帰ります」
そう言って立ち上がる明日香を裕子が引き留める。

「え?帰るん?もう遅いから泊まっていったら?」
191 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時28分15秒
「いえ、今日は帰ります
 またお二人が落ち着いた頃に遊びに来ますから」

明日香の妙に落ち着いた言い回しに苦笑いしがら

「ほな駅まで送るわ、矢口も行くやろ?」
そう言って真里に笑いかける。

「うん」
真里も笑顔で答えた。

明日香を駅まで送った帰り道、真里が裕子を見上げて呟く。
「ねぇ裕ちゃん、矢口たちって血繋がってないのかな?」

そんな真里の呟きに裕子は頬を掻きながら答える。
「どうなんやろうなぁ・・・
 とりあえず、矢口の実家に行ってみようや
 それで多分ハッキリするハズやし」

そうだね・・・とりあえず確かめないと・・・
不安そうに呟く真里の手を取り、裕子は優しく微笑んだ。

そして二人は手を繋いだままマンションへと帰っていった。
192 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時29分34秒
超、短っ!更新終了です(w
193 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時31分37秒
いちお区切りのいいところなんで・・・

謎解明は後々ぼちぼちと(w
194 名前:たむ 投稿日:2002年08月01日(木)02時34分08秒
それでは、またの更新まで・・・
195 名前:読んでる人 投稿日:2002年08月02日(金)11時23分29秒
姉妹なのか姉妹じゃないのか・・・どっちなんだぁ〜!!
というワケで続き楽しみです(w
196 名前:名無し読者。 投稿日:2002年08月03日(土)23時55分37秒
楽しく読ませていただいてます。
やぐちゅーはやっぱりいいですね。
197 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)01時54分28秒
≫読んでる人さま
どっちなんでしょ〜(ヲイ
というわけで続きも読んでいただければ嬉しいです。

≫名無し読者。さま
。がポイントですねぃ(食いつくトコちゃうやろっ)
楽しく読んで頂けてるなんて・・ありがとうございます。
ホンマ、やぐちゅーは良いですよね!

ここ二・三日、二人のラジオでの涙に心も沈みがちでしたが
月曜の仙台ラジオ「矢口大好き」発言で一気に浮上しました(w
こんな自分も嫌いじゃないぞ(w

ってなわけで、元気に更新いきませう。
198 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時01分30秒
「中澤さん!大変です!!中澤さんの妹が・・妹が・・」

翌日、職場に行くと予想通り石川が慌てた様子で駆け寄ってきた。

「おはよう石川、まぁ落ち着き〜や・・」
そう言って石川をなだめる裕子に他のメンバーも集まってくる。

「妹って、真里ちゃんどうかしたんですか?
 とうとう家出しはりました?ウチに来るように言うといたのに」
平家がウチにはまだ来てませんよと心配そうに言う。

「真里ちゃんが家でしたってぇ?裕ちゃん何したんだべさ?」
珍しく裕子より早く来ていた安倍が疑惑の目を裕子に向ける。

「そんなことより早く探さなきゃ!
 ちょっと待って、かおが真里ちゃんの居場所みてみるから」
本当に探し出せそうな雰囲気で飯田が瞳を閉じて瞑想に入る。
199 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時07分39秒
「なんやねん、誰が家出や誰が・・
 石川が大声で叫ぶから変な事になったやないか!」
裕子が眉間に皺を寄せて石川を睨む。

「え〜石川のせいですかぁ?ひどいですぅ〜
 石川はただ中澤さんにお知らせしたかっただけなのにぃ〜」

石川が泣きそうな顔をして訴えるが、裕子は眉間に皺をよせたまま

「泣き落としは通用せんで?
 それより、妹いうんは福田明日香ちゃんのことやろ?」
片方の眉を器用に上げ石川に聞き返す。

「そうです!なんだぁもう知ってたんですね。残念!」

何が残念なのか・・石川が笑いながら言う。
200 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時13分59秒
「ねえさん、妹って真里ちゃんのことやないんですか?
 福田って誰ですの?まだ他にも妹が?なんで今まで黙ってたんです?」
頭に疑問符をいっぱいつけて平家が不満そうに問いつめる。

「いや・・黙ってたもなにも・・
 うちも昨日初めて知ってん・・・」

まぁホンマやったら、もう少し早く判ってたハズなんやけどな・・
母からの三枚目の手紙を思い出し苦笑いする。


「したら、その子は真里ちゃんの妹になるのかい?
 あ、でもお姉さんってことも考えられるべさ」
安倍が素朴な疑問に首を傾げる。


妹?お姉さん?そういえば昨日はパニくってて
そんなことまで考えてへんかったわ・・
201 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時22分10秒
「うちと10コ違いで矢口とは同い年なハズやで
 誕生日どっちが早いか分からんけど、雰囲気でいえば
 明日香ちゃんの方が断然お姉さんやね!」

あんな落ち着き払った高校生、見たこと無いわ。

そう言いきる裕子に石川が同意する。
「そういえば、福田さんってスゴく落ち着いてますよね〜
 家に遊びに来てた時に話したんですけど
 何だか自分の方が年下みたいって思っちゃいました!」

「なに言うてんの?
 うちが見る限り、石川は矢口よりも完全に年下やで」
落ち着きがなさすぎんねん!

裕子が間髪入れずに突っ込む。

「ん?梨華ちゃん気づいてなかったのかい?」
安倍が更に追い打ちをかける。

「ひど〜い!安倍さんまで・・・
 でも裏を返せば、いつまでも子供みたいでカワイイってことですよね!」
さすがチャーミー・・転んでもタダでは起きないらしい。
202 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時30分08秒
「しかし全く同い年っていうのは、どういうことなんでしょう?
 それって真里ちゃんのお父さんが完全に浮気してたってことに
 なるんちゃいますのん?」

石川のチャーミーぶりは無視して平家が話し出す。

「そうやなぁ・・普通はそう考えるよな・・・
 でもな、明日香ちゃんの話では
 矢口のお母さんと結婚する前に付き合ってたっていうことやから
 別れたあとスグ結婚したってことなんちゃうかな?」

「それにしても別れてスグやなんて・・・」

「まぁ・・いろいろ事情があったんやろ?」


そう無理にでも納得させておかないと
また新たな疑問が出てくることになる。

矢口の本当の父親は誰なのか・・・?
203 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時38分28秒
これ以上、矢口に辛い思いはして欲しくない・・・
裕子はそう心で呟きながら誰に言うでもなく話し出した。

「せやから、次の休みに矢口と矢口の実家に行ってみようと思ってんねん
 何か判るかもしれへんしな・・・」


「そんな面倒くさいことしなくても戸籍見たらいいじゃん」
それまで交信していた飯田が突然そんなことを言い出した。

「え・・・?」
そういえばそうやな・・一番簡単なこと忘れとった・・・

飯田の当たり前とも思える発言に裕子は目からウロコ状態である。

「ありがとうな〜かおり〜
 かおりの交信もたまには役に立つんやな〜」

「たまにはってどういうことよ!
 かおは無駄な交信なんてしたことないんだから!」
飯田が得意そうに胸を張って言う。
204 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時46分08秒
「でも、それで真里ちゃんが・・・
 その・・裕ちゃんのお父さんの子供じゃないって判ったらどうするの?」
そう言って安倍が心配そうな顔で裕子に尋ねた。


「ん?別に今まで通り、一緒に暮らしていくよ
 矢口が結婚するまでは矢口はうちのもんやからな」
裕子が当たり前のように言い切る。

「でました、ねえさんのオヤジ発言!
 ホンマ真里ちゃんにはウチにくるように言うといたほうが良さそうやな」
平家が笑いながら裕子の背中を叩く。

「うっさいな〜矢口が出ていく言うても
 アンタんとこだけには絶対やらんわ!」

平家の腰に見事な蹴りが入る。
お約束のように床に倒れる平家・・・悲しい習性である。 
205 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時50分51秒
その頃、真里も同じように学校で紗耶香たちに
昨日あった出来事を話していた。

「「え〜?他に妹がいたぁ〜?」」

見事にハモった二人の声に真里が慌てて口の前に人差し指をたてる。

「ちょっと、おっきい声ださないでよ」

「ごめん矢口、ちょっとビックリしちゃってさ」
紗耶香が申し訳なさそうに言う。

「それって裕子さんとは血が繋がってないってこと?
 良かったね!やぐっつぁん」
真希が嬉しそうにフニャっと笑う。
206 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)02時57分40秒
そんな真希に苦笑いしながら真里が答える。

「まだそうと決まったわけじゃないよ・・・
 お父さんがお母さんと結婚する前に付き合ってた人のことだし
 裕ちゃんのお母さんはその頃に話を聞いただけかもしれないから・・・
 だから・・実家に帰って調べてみようと思ってる」


「そっか・・・」
どっちにしても矢口にとっては辛いことなんだよね・・・

紗耶香の呟きに真希もそうだよねと俯いてしまう。

「大丈夫だよ!
 どんな結果になったって、矢口には裕ちゃんがいるから」

真里は曇りのない笑顔で二人に向かって言った。

「うん!それにごとーたちだっているからね!!」

「ま、市井たちじゃ頼りないかもしれないけどな」
真里の笑顔を見て安心したのか、そう言って二人とも笑った。
207 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)03時03分03秒
数日後、裕子は一人で戸籍を取りに行った。

本当は二人で行くはずだったが、学校が休みの日は例外を除けば役所も休み。
そのため、平日に休みを取れる裕子が取りに行くことになったのだ。

そして裕子は戸籍を取り寄せ家に帰ってきた。

先に見てしまいたい衝動に駆られたが
真里が帰ってくるまでどうにか我慢する。


矢口、早く帰ってこんかな〜我慢は身体に良くないねん・・・

テレビを見ながらもテーブルの上に置いてある戸籍が気になって
チラチラとそっちばかりを見てしまう。

そして、そろそろ痺れを切らしかけた裕子の耳に
鍵の開く音と元気な声が届いた。
208 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)03時06分59秒
「ただいま〜」

「お帰り矢口〜」
裕子が玄関まで迎えに出る。

「どうしたの裕ちゃん?わざわざ迎えに出てくるなんて」
真里が不思議そうに裕子を見る。


「どうしたもこうしたも・・・とにかく早くあがって!
 で、服も着替えておいで」
裕子が急かすように真里の背中を押す。

「なんだよ、なんでそんなに急いでんの?」

「なにって、戸籍を取ってきたんや
 矢口と一緒に見よう思って、帰ってからずっと我慢してたんやで」
でもそろそろ我慢の限界やねん
そう言いながらリビングのテーブルを指す。
209 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)03時13分10秒
「え?今日行ってきてくれたの?ありがとう・・・」
なんか見るの怖いけど・・・
驚いたあと、そう呟きながら自室に入っていく。


なんや矢口はあまり見たくなかったんかな?
・・・そりゃそうか、これで血が繋がってないってことになれば
矢口は自分の父親が誰なのか判らなくなってしまうわけやし・・・


そんなことを考えてるうちに真里の着替えも終わっていた。

二人、コーヒーと紅茶を持ってリビングのソファーに座る。


「ほな矢口、アンタが自分で開けて見るんやで」

「え?二人で見ようって言ったじゃん!それで待っててくれたんじゃないの?」
真里がキョトンとした顔で裕子を見る。
210 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)03時18分38秒
「いや・・でも・・・うちも一緒に見てええんかな?」

先ほどまで我慢の限界と言いながら、見たさ100%だった裕子が
なぜか遠慮がちに言う。

「当たり前じゃん!矢口と裕ちゃんの問題でもあるんだよ」
それに矢口一人じゃ怖いからさ・・・
そう言って真里が裕子を見上げる。

せやな・・ここでうちがビビってどうすんねんな・・・


「よし、ほな開けるで」
戸籍の入っている封筒を手に取り中身を取り出す。

なんか・・お母さんの手紙見たときよりも緊張するんやけど・・・

裕子は真里と目を合わせ、ゆっくりと用紙を開いた。
211 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)03時25分49秒
ってなわけで、用紙を開いて更新終〜了。

中途半端なところで申し訳・・・
212 名前:たむ 投稿日:2002年08月06日(火)03時29分58秒
気がつけば200越えてるし・・・。

こんなに長くして良いんでしょうか?

中途半端な上、ポロリ星人にノックアウトされたので
明日また更新します!(意味なし
213 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月06日(火)03時54分07秒
長いの、大歓迎ですよ(w
あぁ〜用紙にはどう書いてあるんだろう?
明日、楽しみにしています
214 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)01時13分58秒
≫セーラムさま
大歓迎だなんて・・ありがと〜ごじゃいます。
楽しんで頂けるように頑張りま〜す!
まだ出てないメンバーもいるのでホンマに長くなったりして(w

ほんでは今日も更新するんだポロリ〜
215 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)01時22分55秒
一時の沈黙・・・。

裕子は戸籍に目を落としたあと真里の方に向き直す。

真里はとても複雑な表情をしている。

「矢口?」
その問いかけにゆっくりと顔を上げ裕子を見る。

「ねぇ裕ちゃん・・矢口は誰の子なのかな・・・?」
戸惑いの色を浮かべ真里は小さく呟いた。

用紙には当たり前のように、裕子の父・真里の母
そして真里の名前も書かれている。

ある見慣れない文字を除いては・・・
216 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)01時36分30秒
「養子」

裕子の父が本当の父親ではないかもしれないという疑問はあった。
しかし、母親への疑問は全くなかっただけにショックは大きい。


裕ちゃんと血は繋がってなかった・・
じゃあ・・矢口と血が繋がってるのは?
矢口の本当の両親は?

様々な思いが真里を複雑な表情にしている。

「矢口・・・」
そんな様子を見ていた裕子が真里の頭をそっと撫でる。
217 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)01時49分20秒
「やっぱ実家にも帰った方がええみたいやな
 もしかしたら何か手がかりになるものがでてくるかもしれんし」

そう言ったあと、裕子は真里をそっと抱き寄せた。
不安で押しつぶされそうになっていた真里は裕子にギュッとしがみつく。


「ごめんな・・矢口・・・」
突然、真里を抱きしめたまま裕子がポツリと呟いた。

「なにが・・?何で裕ちゃんが謝るの?」
いきなりの言葉に驚いて真里が裕子を見上げる。

「・・・ん?だってな、本当のこと知って矢口がめっちゃ不安になってんのに
 うちは矢口と血ぃ繋がってへんってことが判ってめちゃめちゃ嬉しいんや!
 これで堂々と矢口のこと好きって言える・・・
 こうやって態度にも出せるって!」

そう言って真里の頬にチュッとキスをした。
218 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)01時53分20秒
「え・・・?な・・なに?」
不意打ちのキスに真里は頬に手をあて
真っ赤な顔をして裕子を見る。

「ごめんな・・こんな時に・・・
 でもな、ホンマに嬉しいんよ・・・」
申し訳ないけど嬉しい・・そんな顔をして真里を見る。

「だからって、矢口の気持ちはお構いなしなの?」
真里の怒ったような口調に裕子の表情が曇り始めた。

「そうやな・・・やっぱ不謹慎やよな・・」
ごめんな・・そう言って抱きしめていた腕を解く。
219 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)01時59分57秒
「ちが・・そうじゃなくて・・裕ちゃんが嬉しいのと同じで
 矢口だって嬉しいよ?かなり複雑な気分だけどさ・・・」

いきなり腕を解かれて焦った真里が今度は逆に裕子に抱きついた。
「ねぇ裕ちゃん・・矢口たちって両思いだよね?」

「あ?・・・うん」
真里の言いたいことが解らずキョトンとする裕子。

「両思いなのに・・なんでホッペなのさ・・・?」
真里はそこまで言うと、恥ずかしさのあまり裕子の胸に顔を埋めた。


ようやく真里の言いたいことが解り裕子の顔は少々にやけ気味。

「そうやな・・両思いなのにホッペじゃアカンよな」
裕子は改めて真里の腰に腕を回しギュッと抱き寄せた。
220 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時04分54秒
お互いが少しだけ腕の力を緩めて見つめ合う。

「好きやで・・矢口」

「矢口も裕ちゃんが好き・・」
瞳を閉じると同時に裕子の唇が真里の唇に触れた。


そうして触れるだけのキスをしたあと
照れて目を伏せる真里の頬を両手で包み込む。

真里は一瞬だけ目を合わせたが
すぐまた恥ずかしそうに逸らせてしまった。

もぅ〜矢口、可愛すぎっ!
心の中でにやけながら、裕子はもう一度ゆっくり顔を近づけた。
221 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時12分42秒
そっと唇を重ね、何度も何度も角度を変えながら
ありったけの思いを込めて長く深く・・・。


「んっ・・」

ようやく唇を離すと、真里が甘い吐息を漏らし裕子に凭れかかった。

裕子は凭れたままボーっとしている真里の頭を撫でる。

「矢口好きやで・・・」
真里を抱きしめながらポツリとまた呟いた。


初めてなのに・・いきなりあんなキスしないでよ・・・
頭ん中、真っ白になっちゃったじゃんかっ
でも悔しいから何も言ってやんない!

そんな事を口に出せるわけもなく、真里は顔を真っ赤にしたまま
裕子の腕の中で瞳を閉じた。
222 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時13分43秒
−−−−−−−−−−−−
223 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時19分50秒
次の休みの日、真里は一人で実家に向かっていた。
本当は裕子と一緒に来るはずだったが、今度は裕子の休みが取れず
一人で戻ることになったのだ。

「はぁ〜やっぱ裕ちゃんがいないと心細いな〜」
でも矢口の両親が誰なのかハッキリさせなきゃ・・・

真里は自分を奮い立たせるように鍵を握りしめ実家の前に立っていた。


何年も住んでた家なのに、なんだか他人の家に来たみたいだな・・・

今では裕子のマンションが自分の家だと言い切れるほど
真里は実家に妙な違和感を感じていた。

お父さんの部屋のものは、そのまま残していったんだよね。
そう思いながら父の書斎に入る。
224 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時24分47秒
入ってすぐ、机の上の写真が目に入ってきた。

そこには父に抱かれている幼い頃の自分と
その横で幸せそうに笑っている母の姿があった。

これが本当の家族じゃないなんて信じられないよな・・・
そんな事をぼんやり思いながら、写真立てに手を伸ばし写真を出して裏返す。

【三人で。真里一歳】
写真の裏には見覚えのある文字。

矢口がここの子になったのはいつなのかな・・・
これよりも前の写真ってどこにあるんだろう?

部屋を見渡して本棚に向かう。
父が仕事で使っていたのか、難しそうな本が並んでいる。
その中にアルバムが数冊置かれていた。
225 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時29分45秒
しかし、そのアルバムにも写真立ての写真より昔のものはない。

小さい頃から見てたはずなのに・・・
なんで不思議に思わなかったんだろう?

ため息をついて椅子に座りぼんやりと部屋を眺める。

そして思いついたように机の引き出しを開けた。
中には仕事関係のものばかりが入っていたが
ふと、その中の赤い冊子が目に留まった。

父の日記帳だった。

ぱらぱらとページを捲っていると、あるところで真里の動きが止まる。
それは真里がこの家に来た日の日記。
226 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時45分11秒
【今日、妻が子供を連れて帰ってきた。
 家に帰る途中、公園で泣いていたので連れて帰ってきたという。
 籠の中には真里とだけ書いた紙が置かれていた。
 捨て子だということは明らかだった。
 いちお警察にも届けたが親が見つかるまではウチで預かることにした。

 もともと妻は身体が弱く、子供を産むのも困難と言われていたため
 私たちは子供を諦めていた。
 だから一時的にでも妻に子供と過ごす時間を味わってほしくて
 親が見つかるまでこの子をウチで預かることにしたのだ。】

捨て子・・?矢口は捨てられた子供だったの・・・?

震える手でページを捲っていく。

【真里がウチに来てから明日で一年が経つ。
 毎日、妻は真里を連れて公園に行っているが
 母親が戻ってくる気配はない。
 警察からも連絡はない・・・

 しかし、そんな状況でも真里の笑顔を見ているだけで
 幸せな気分になる。
 明日、真里を正式に養子として私たちの娘にする事に決めた。
 真里が二十歳になった時、必要ならば真実を話そう・・】
227 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時50分44秒
日記を読むにつれて、色々なことが明らかになってきた。

真里の母が死んで、行く末を不安に感じた父は
自分にもしもの事があったとき、血の繋がりのない真里を
親戚が引き取らないだろうと危惧し
別れてから一度も会うことは無かったが
本当の娘である裕子に全てを託そうと考えていた。

そして、高校生の真里に本当のことを話すには
まだ早すぎると思い、腹違いの姉妹として裕子を頼るように
言い聞かせていたのだった。


でも結局、本当の両親のことは
お父さんも判らないままだったんだ・・・

真里は日記を閉じ、ふらふらと外へ歩き出した。
228 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)02時56分29秒
そのまま近くの公園に行き、ベンチに座る。

ここに矢口は捨てられてたんだ・・・
どうして捨てられなきゃならなかったんだろう?
矢口、独りぼっちじゃん・・・

ぽろぽろと涙が零れ落ちる。
「・・っく・・ひっく」

裕ちゃん・・寂しいよぉ・・矢口独りぼっちだよぉ・・・
ベンチに座ったまま真里は泣きじゃくっていた。

「矢口?」
突然、声をかけられ真里は顔を上げた。
229 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時02分29秒
「やっぱり矢口だ!こっち帰ってきてたの?」

一人の女性が最初は微笑んでいたが、真里の泣き顔を見た途端
心配そうな表情を浮かべ歩み寄ってきた。


「圭ちゃん・・・」

真里に話しかけてきたのは保田圭。

近所に住む三つ年上のお姉さんで小さい頃はよく一緒に遊んでいた。
真里が裕子のところに行ってからは連絡を取っていなかったが
昔から何でも話せる良き友人でもあった。

「どうした?なんかあった?」
いつものお姉さん口調で真里の隣に座り頭をポンポンと叩く。
230 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時12分05秒
圭ちゃんは知ってるのかな・・・?
矢口が捨て子だったってこと・・・

「圭ちゃんは矢口のお父さんとお母さんのこと知ってる?」
真里が地面を見つめたままポツリと呟いた。

「は?当たり前じゃない、何を今更・・・
 昔は家にもよくお邪魔してたっていうのに」

「違うよ、矢口の本当のお父さんとお母さんのこと!
 圭ちゃんはずっとココに住んでたんだから知ってるんでしょ?」
真里の真っ直ぐな瞳に圭は戸惑ったが、すぐに納得したように頷いた。

「そっか、もう矢口も知って良い歳かもね・・・
 小さい町だから、矢口がココに来たときは
 そりゃあスゴい騒ぎだったよ、その時はアタシもまだ小さかったから
 何で騒いでるかは判らなかったけどね」
圭は肩を竦めて笑う。
231 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時22分31秒
「でも矢口のお父さんとお母さんが矢口を養子にする事を決めてからは
 誰もそのことを口にしなくなった。
 だって誰が見ても本当の親子にしか見えないくらい
 三人とも凄く幸せそうだったから・・・」
そう言って笑いながら真里を見る。

「アタシが言うのも変だけどさ・・
 矢口は矢口のお父さんとお母さんを幸せにするために
 ココに来たんだと思うんだ」

「でも・・・」
真里が何か言いかけるが、それを遮るように圭が話を続ける。

「それとも矢口は血の繋がりがないと家族じゃないって思う?
 今まで一緒に暮らしてきた時間は全く無意味?」

圭の大きな瞳に見つめられ、真里はこれまで家族で暮らしてきた
たくさんの日々を思い出す。
232 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時28分57秒
「そっか・・そうだよね・・血の繋がりなんて関係ないよね」
そう言うと、真里は心のつっかえが取れた気がした。

「ありがとう圭ちゃん、今日ここで圭ちゃんに会えて良かった」

「いいよ、お礼なんて
 何か困ったことがあったらいつでも帰ってきな」
圭が笑いながら真里の頭を撫でる。

その後、二人でこれまでのことなど色々な話をしていたが
そこへ突如現れた人物に真里の動きが止まった。

・・・え?

その人物は、いつもの優しい微笑みで真里に向かって手を振っている。

「・・裕ちゃん?なんで・・・?」

真里が驚いて立ち上がる。
圭は不思議そうにその様子を見ている。
233 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時32分59秒
「矢口の事が気になってな、仕事どころやなかったから
 早めに切り上げてきてしもたわ」
困ったもんやろ?そう言いながら情けなさそうに笑う。

「裕ちゃん・・裕ちゃん・・」
嬉しさのあまり真里は裕子に駆け寄り抱きついた。

なにも言わずに裕子は真里の頭を撫でながら
ベンチに座っている女性に目だけで挨拶をする。

真里は裕子から身体を離すと裕子の手を引き
圭のところまで連れていった。
234 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時38分41秒
「矢口の家の近所に住んでる圭ちゃん」
圭が立ち上がってニッコリと微笑む。

「で、こっちがいま一緒に住んでる裕ちゃん」
裕子も圭に微笑み返す。

「今日は圭ちゃんのお陰で矢口救われたんだ」
真里が裕子を見上げて嬉しそうに言う。

「そうなんか?ならお礼をせなアカンやろ?
 え〜と・・もう二十歳は過ぎてるんかな?」

「ええ、去年なったばかりですけど・・」
いきなりの裕子の質問に不思議そうな顔をしながら圭が答える。

「よっしゃ、ほな飲みにいこ飲みに!
 この辺に居酒屋なかったっけ?」
裕子が嬉しそうに手を叩き、真里に聞く。
235 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時44分28秒
「え〜裕ちゃん飲んだら帰れなくなるじゃん
 それに圭ちゃんの都合だって聞いてないのに・・・」
真里が不満そうに叫ぶ。

「アタシなら大丈夫だよ、お酒飲むの好きだし
 それに矢口の大好きな裕子さんと色々話してみたいしね」
圭が真里に向かってウィンクをする。

「だ・・誰も大好きなんて言ってないじゃん
 変なこと言わないでよ・・・」
真里が顔を赤くして抗議する。

「言わなくたって一目瞭然だって!」
ね?裕子さん!そう言って笑いながら裕子を見た。

「え?まぁとにかく、都合もええみたいやし
 とりあえず行こうや」
裕子は頬をポリポリと掻きながらそう言って歩き出した。
236 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時47分21秒
更新終了ポロリ〜。

今回ので一気に疑問が解明されたハズ(w
237 名前:たむ 投稿日:2002年08月07日(水)03時50分20秒
次回は居酒屋でグダグダ編です(w

そろそろ終わりが見えてきたぞい!

では、またの更新まで。
238 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月07日(水)04時46分38秒
お疲れマッスル(w
ワードで作ってからこのスレに貼り付けたらいかがでしょうか?
間違えても書きかえられるし(w
居酒屋編楽しみ〜。
239 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月07日(水)14時46分36秒
圭ちゃんイイ事言いますねぇ〜、さすが圭ちゃんって感じですね。
240 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月10日(土)15時16分20秒
やっぱ、保田さんはいい人ですねぇ
居酒屋編を楽しみに待ってます。
241 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)01時39分38秒
≫名無し読者さま
良いこと教えていただきありがとうございマッスル!
早速やってみよう・・ってワード入ってないじゃん、これ(w
居酒屋編はホンマにグダグダです(w
楽しんでいただければ良いのですが・・・。

≫読んでる人@ヤグヲタさま
自分の中では圭ちゃんって、こんな感じなんですよね〜。
そして最近、圭ちゃん走りがマイブームです(遅っ

≫セーラムさま
ホンマ圭ちゃん良い人ですねぇ(w
居酒屋編、実は後にまたあったりします。
飲んでばっかで困ったもんですな(w


てなわけで、居酒屋編いってみよう!
242 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)01時44分35秒
「まずは乾杯や!」

居酒屋で裕子がジョッキ片手に嬉しそうに言う。

真里はジュースだが、圭は同じくビールを頼んだ。


「裕子さん、仕事は何してるんですか?」
圭がビールを美味しそうに飲みながら訪ねる。

「うちか?うちはエステシャンしてんねん」
そう言って名詞を取り出し圭に渡す。


渡された名刺を見て圭が驚きの声を上げる。

「え?ここって本店ですよね?
 アタシもエステシャンしてるんです、ここの支店で!
 裕子さんチーフなんだ、すごいな・・・」
243 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)01時50分11秒
「でもね裕ちゃんはチーフなんだけど
 仕事は真面目なのか不真面目なのか分かんないんだよ
 いっつも同僚の人たちに迷惑かけてるし」
真里が笑いながら裕子を見る。

「なに言うてんの?真面目に決まってるやんか
 しかも誰が迷惑かけてるって?」

裕子が真里を小突く真似をした後、圭に笑いかける。

「そうか〜圭ちゃんも仲間なんや〜
 したら本店勤務もあるかもしれへんな
 もし出てくることがあったら必ず言うてや?」

裕子はビールを一気に飲み干し、お代わりを注文する。

「本店勤務かぁ・・・希望出してみようかな・・
 もしホントにそうなったらヨロシクお願いします」
圭が深々と頭を下げる。
244 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)01時55分25秒
「おう!まかせとき!! 
 それより、敬語やめへん?なんや落ち着かんわ
 うちも初対面なのに圭ちゃんて呼んでるんやから
 うちのことも裕ちゃんて呼んでな?」

「わかった!じゃあ裕ちゃん、今日はとことん飲もうぜ〜」

「お?言うたな?つぶれても知らんからな」

お姉さんビールどんどん持ってきて〜裕子が意気揚々と叫ぶ。


「ちょっと圭ちゃん、あんまり裕ちゃんを煽らないでよ
 お酒入るとスグ調子に乗ってオヤジになるんだから!
 しかも裕ちゃんキス魔なんだよ!」
245 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時02分58秒
「まあまあ、せっかくお近づきになれたんだし
 カワイイ矢口を任せるんだから・・・キス魔ですって?大歓迎よ!」

「大歓迎て・・・うちは酔ってても人、選ぶんやで?
 なぁ〜やぐちぃ」

裕子はそう言いながら真里に抱きつき頬にキスをしようとする。

「ちょっと、それどういう意味?
 そんなこと言うならアタシもキス魔になってやるっ
 矢口、アタシにもキスさせなさいよ!」

勢いづいた圭が真里にキスを迫ってきた。


「い〜や〜だぁぁぁぁぁぁぁ」


いい大人、しかも女性二人に挟まれた真里の悲痛な叫びが
店内に虚しく響き渡る。
246 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時09分16秒
そして自分たちの間でジタバタもがく子供を散々からかったあと
二人は何事もなかったかのようにまたビールを飲み始めた。

その飲みっぷりは周りの客が見事に引いてしまうもので・・。


そんな事はお構いなしにご機嫌な大人二人と
恥ずかしさで超不機嫌な子供が一人
今まさに居酒屋の名物になろうとしていた。


「圭坊!アンタ酒強いな〜うちと張り合えるなんて
 よっぽどのもんやで」
裕子が感心したように圭を見る。

「裕ちゃんだって強いじゃない、アタシと同じくらい飲める人なんて
 滅多にお目にかかれないよ」
圭が裕子に向けてウィンクを放つ。
247 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時14分42秒
「おぇ〜っ
 ・・と、冗談はそのくらいにして
 ホンマに本店勤務になったら毎日飲みに行こうな!」

「そんなこと言ってたら矢口に怒られるわよ」

「心配ないって!矢口、優しいもんな〜」

酔っぱらいモードでご機嫌の裕子は向かうところ敵なし状態である。


「うん、矢口そんなことで怒ったりしないよ
 圭ちゃんと毎日好きなだけ飲んできてね!」
に〜っこりと極上の笑みを浮かべる真里。

しかし・・・

目・・目が笑ってない・・・怖いで矢口・・

今まで熱かった裕子の体温が一気に下がっていく。
248 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時19分16秒
「い・・いや、あの・・ごめんなさい
 毎日は行きません、たまにで良いです・・・」

先ほどの大きな態度はどこへやら
裕子はその場で真里よりも小さくなっていた。


「はい!矢口の勝ち〜って事で、そろそろ帰ろうか?」

そんな二人の様子を笑いながら見ていた圭が言う。

「え?もうそんな時間か・・・
 やっぱ楽しい時間は早く過ぎるんやな〜」
裕子が残念そうに呟く。

「で?今日は矢口の実家に泊まるの?」
圭が立ち上がりながら真里に聞く。
249 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時23分50秒
「うぅん、裕ちゃんも大丈夫そうだし
 まだ電車もあるから裕ちゃんちに帰るよ」
真里が裕子の様子を見ながら答えた。

「裕ちゃんちやなくて矢口の家、やろ?」
裕子が真里の手を掴んで微笑む。

「裕ちゃん・・・うん!そうだね、矢口の家だね」
真里は嬉しそうに裕子の手を引っ張り立ち上がらせた。


裕ちゃんなら安心して矢口を任せられるね・・・

圭は安堵の表情を浮かべ二人を見ていたのだった。
250 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時25分56秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−
251 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時31分40秒
それから数週間が経ったある日、裕子の勤める店に圭の姿があった。


「圭坊!なんや、わざわざ会いに来てくれたん?」
裕子が嬉しそうに圭に駆け寄る。

「裕ちゃん、元気そうだね!
 今日はね〜会いに来たっていうか・・・
 希望出したらOK出ちゃってさ、来週から本店勤務になったんだ」
圭が笑いながら辞令書を裕子に見せる。

「ホンマか?やったな〜!
 希望出しても普通はなかなか異動させてもらえんのに
 よっぽど腕がええんやな、圭坊は」

とにかく、また楽しい職場になりそうや!
そう言いながら圭の背中をポンポンと叩く。
252 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時38分10秒
「なんや新しいスタッフさんかいな」

「かおより目が大きい・・・もしかしてあの人も交信が・・・?」

「え〜圭織みたいな人は一人で良いべさ」

「中澤さんと対等に話してる・・・キレ者に違いないわ
 ライバルってことね!容赦はしないわよ」


階段の隠し窓からその光景を見ながらメンバー達がコソコソ話している。


そんなメンバー達に気づかないハズもなく・・。

なんやねん全く・・仕事せぇよ仕事・・・
「アンタらそんなところで見物しとらんで仕事しいや仕事!」

後ろから視線を感じまくっていた裕子は階段に向かって叫ぶ。
253 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時43分08秒
その声にピキっと固まったメンバーは渋々と表に出てくる。


「そんなん言うたかて、今日の予約はもう全部終わりましてん」

「そうだよ、それに新しい仲間がくるんならウチらにも紹介してよ」

「仲良さそうだけど、どっかから引き抜いてきたのかい?」

「私よりも腕が良いんですかっ?
 はっ!まさか代わりに私がどこかにとばされるとか・・・?
 いやっ!そんなの悲しすぎるっ」

相変わらずの石川の暴走には触れることなく裕子が話し出す。

「ほな紹介するわ
 来週からウチらの仲間になる保田圭さんや
 ほれ、自己紹介」
裕子が圭を促す。
254 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時48分09秒
「あ、はい・・・
 来週から皆さんと一緒に働かせていただきます
 保田圭といいます、ヨロシクお願いします」
圭は少し緊張した面もちで挨拶をする。

「「「「ヨロシクお願いします」」」」

「いろいろと説明せなアカンこともあるけど
 それはまた来週、圭坊が来たときに歓迎会を兼ねて
 どっかで一杯やりながらでええやろ?」

メンバーに尋ねながら裕子が不適な笑みを浮かべる。

「今度こそ勝負つけたるで!覚悟しいや圭坊」

「裕ちゃんこそ、また矢口に怒られても知らないからね!」


二人のそんなやりとりをメンバーは不思議そうに見ていた。
255 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時51分49秒
ほいっ更新終了でやんす。

居酒屋だけではなく、全体的にグダグダでしたな(w
256 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時56分19秒
そして次回、また居酒屋編になったり(w

終わりも近くなってきたので、そのツナギってことで。
257 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)02時58分44秒
やっぱりツナギは永遠に不滅です(w

本編には全く関係ないけど(ヲイ

では、またの更新まで・・
258 名前:たむ 投稿日:2002年08月12日(月)03時04分11秒
>242
《名刺》でした。あぁ切な・・・
259 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月15日(木)12時49分44秒
居酒屋編、面白いですね(w
楽しみに待っておりますんで・・
某所で張ってあったラジオ聞かせてもらいました
ありがとうゴザイマス
260 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時19分44秒
≫セーラムさま
いつもレスありがとう〜ございます。
ラジオもお役に立てたみたいで良かったですわ。

セーラムさんとこの矢口さん、カッモ〜ン(w


ほな、更新いってみよか〜
261 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時25分16秒
そして圭の本店初出勤の日。

「さすがスグに異動希望が受け入れられただけのことはあるなぁ
 かなり仕事が出来るで圭坊は」

「ホンマですわ、石川が二人おっても敵わんくらいの
 働きしてくれますやん」


「ひど〜い!私だって一生懸命やってるんです!!
 見ててください、必ず保田さんを追い抜いてみせますから!」


「「追い抜く前に追いつき〜や!!」」

裕子と平家の見事なハモリ突っ込みに石川を除くメンバー全員から笑いが起きた。
262 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時31分45秒
「ねえさん、今日の歓迎会はどこでやりますか?」
昼休み、サンドイッチを食べながら平家が裕子に尋ねる。

「せやな〜いつもと同じ所ってのも芸がないかなぁ?」
裕子がおにぎりを頬張りながら答える。

「保田さんって真里ちゃんの幼なじみなんでしょ?」

「ん?そやで?うちもそれで知り合ったんや」

「そしたら真里ちゃんも呼んだらどうです?
 せっかく、ねえさんと同じ職場になったんですし」

「そうやな〜でも矢口呼ぶんなら
 やっぱりいつもの居酒屋になってまうで?」
263 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時35分19秒
「ええんちゃいますの?
 これからも飲みに行くようになるんですから
 保田さんの顔見せってことで」

「そうか?そんなら矢口も呼ぶわ〜」
喜ぶで〜矢口!そう言いながら裕子は嬉しそうに携帯を取り出し
メールを打ち始める。


ホンマに真里ちゃんのこととなると嬉しそうにするんやから・・・

そんな裕子の様子を平家は微笑ましく思いながら眺めていた。


その後のメールのやりとりによって、紗耶香たちも誘うことになり
場所はいつもの居酒屋となった。
264 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時42分03秒
「よっしゃ、みんな揃ったか〜?
 って・・なんで、よっさんまでおんねんっ!」

「すいません中澤さん、梨華ちゃんが『来てくれないと泣いちゃうから!』
 って言うもんで・・・」
石川の隣で申し訳なさそうに吉澤が頭を下げる。


「だって〜せっかくみんなが揃うんなら
 マイダーリンも呼ばなくちゃ!って思ったんですもん」
吉澤の腕にくっつきながら笑顔で石川が言う。

「せっかくって、意味が分からん!
 わざわざ圭坊の歓迎会で公表することでもないやないか」
裕子が眉間に皺を寄せて石川に冷たく言い放つ。


「まあまあ、とりあえず乾杯しましょう
 今日は保田さんの歓迎会なんですから」

「そうだよ裕ちゃん、それに矢口だって紗耶香たち呼んでるんだし
 人数多い方が楽しいじゃん」
その場を納めようとする平家に真里が加勢する。
265 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時49分10秒
「あぁせやな・・・ごめんな圭坊
 石川には後でたっぷりとお仕置きしとくからな」
裕子は申し訳なさそうに圭に向かって言った後、にやりと笑いながら石川を見た。

「いや〜っ!そんなことされたら
 私、うなされチャーミーになっちゃうっ助けてよっすぃ〜」
ムンクの叫びのようなポーズをしたあと、吉澤に抱きつく石川。


ごめん梨華ちゃん、アタシには無理・・・
中澤さんより梨華ちゃんを止めることが・・・

吉澤は心の中で謝罪しながら、ひたすら苦笑いを浮かべていた。

「わかるよ吉澤・・アンタも大変なんだねぇ 」
吉澤の心を読んだのか、飯田が突然吉澤に話しかけた。

「圭織、こんなところで力使っちゃダメだべ」
それを当たり前のように注意する安倍。
266 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)01時54分26秒
「いち〜ちゃん、なんか楽しい人たちばっかりだねぇ〜」

「楽しいっていうより、おかしいんじゃないのか?」

そんな社会人たちを楽しそうに眺める真希と
こんな社会人にだけはなるまいと心に誓う紗耶香。

二人の未来は明るい・・・。


その後は予想通り裕子と圭の飲み比べ(オヤジ比べ)となり
被害は真里と安倍が被ることになる。

「矢口〜この前にみたいにキスさせなさいよ〜」
本領発揮なのか、圭が真里に襲いかかる。

「いやだ〜!この前だってキスさせてないじゃんかっ
 裕ちゃ〜ん助けて〜」
真里が圭の顔を押さえ裕子に助けを求める。
267 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時03分22秒
「ちょっと〜うちの矢口に何すんねん!
 ・・・でもなっちもカワイイな〜!なっち〜チュウしよ、チュウ〜」
助けを求める真里に手を差しのべかけた裕子だが途中で脱線・・
こちらもオヤジと化していた。

「まだ裕ちゃんの方がマシだべさ・・・」
圭にキスされることを考えたら裕子の方がまだマシと
失礼な考えを持った安倍は大人しく捕まることになる。

「あぁ・・真里ちゃんもなっちも気の毒にな・・・
 でもアタシらにはどうすることも出来ひん」
そう言って平家が酒を煽りながら二人のオヤジに捕まった
子供のような二人を見ている。


「中澤さんたちに負けてられないわ!
 よっすぃ〜私たちも幸せビーム飛ばしまくるわよっ」

どうせならセクシービームにしようよ、梨華ちゃん・・・
暴走チャーミーに諦めモードの吉澤が溜息を吐く。

この状況の中でも飯田は交信を怠らない・・。 
268 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時08分04秒
「いち〜ちゃん、なんかおかしい人たちばっかりだねぇ・・・」

「おかしいっていうより、怖いんじゃないのか?」

先ほどより少しだけ実状が見えてきた真希と
更なる恐怖を感じる紗耶香。

二人の未来はやっぱり明るい。

そして圭の歓迎会は異常な盛り上がりを見せ、居酒屋の伝説となった。
269 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時08分47秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−
270 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時13分18秒
「あ〜さすがに疲れたな〜
 しっかし圭坊はホンマに酒強いわ〜」

ご機嫌のままの裕子に真里がキッチンから水を持ってくる。

「お!ありがと矢口!矢口も疲れたやろ?
 みっちゃんたちと飲むのも久しぶりやったもんな」
裕子が水を美味しそうに飲みながら言う。

「うん、裕ちゃんと圭ちゃんのお陰ですっごく疲れた」

「え〜!そんなん言わんといて〜な、やぐちぃ〜」
ハッキリとした口調で言い切る真里に裕子は情けない顔をする。


「でも久しぶりにみんなと会えて楽しかったよ」

そう言ったあと、真里は突然まじめな顔をして話し出した。
271 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時18分53秒
「ありがとう裕ちゃん・・・
 矢口、裕ちゃんがいなかったら今日みたいにいろんな人たちと
 楽しく過ごす時間なんて、ずっと知らずにいたと思う」

「なんやの急に・・・改まって」
真里の突然の言葉に裕子はキョトンとする。


「あの日・・矢口が実家に帰った日
 自分が捨て子だって知って、訳わかんないくらいショックで・・
 でも圭ちゃんと話して受け入れることは出来た。
 けど、もし裕ちゃんがいなかったら・・帰る家もなくなって
 矢口の居場所さえもなくなってたって思うんだ」
真里が泣きそうになりながら呟く。

「アホか・・今更なに言うてんの?
 矢口の家はココやろ?そして矢口の場所は・・・ココ!」
そう言って裕子は真里の手をおもむろに引っ張った。
272 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時24分52秒
「わぁっ・・・」
不意に手を引っ張られ、真里はバランスを崩しながら
裕子の膝の上に座る格好になる。


「な?」
そう言って後ろから抱きしめ裕子は真里の頬にキスをする。

「もう〜裕ちゃんオヤジ〜」

「どうせオヤジです〜」

裕子はそう言いながら、振り返り真っ赤になって抗議する
真里の唇に自分の唇を重ねる。


「んっ・・・」

唇を重ねたまま真里の身体を自分の方に反転させると
真里も裕子の首に腕を回し、キスを受け入れる。
273 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時31分52秒
真里の弾力のある下唇を挟んで、やんわりと吸い上げる。
その柔らかな感触を更に追い求めるように角度を変えながら
何度も何度も重ね合わせた。

この前とは明らかに違うキスに呼吸もままならない真里は
息苦しさも手伝い、徐々に唇を開いていく。

その薄く開いた唇に裕子はゆっくりと舌を滑り込ませる。

「ふっ・・んんっ・・・」

突然入ってきた舌に真里は一瞬身体を固くしたが
優しく歯列をなぞられ、逃げ腰だった舌を絡み取られると
戸惑いながらもそれに応えるようになる。


「ぅんっ・・ん・・」

軽く歯を立てらたかと思えば吸い上げられ
離れたかと思えばまた絡め取られる。

どんどん激しくなるキスに真里はいつの間にか
誘うような甘い吐息を吐くようになっていた。
274 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時37分17秒
しかしそれも長続きはせず
裕子の首に回していた腕の力が段々と抜け始める。

それに気づいた裕子がようやく唇を話した。

力が抜けかけていた真里は、そのまま裕子に凭れかかり
息も絶え絶えでクタ〜となったまま動かない。


あら?激しすぎたんかな?
アカンな〜矢口の唇、気持ちよすぎや・・・
ブレーキ壊れかけてもうた・・・

心の中で苦笑いしながら真里の髪に顔を埋める。


この前といい今日といい、裕ちゃんのキスはヤバすぎるよ・・・
気持ちよすぎて意識が飛んでっちゃうんだもん・・
ずっとこんなんだったらどうしよう・・慣れる日がくるのかな・・・
275 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時42分44秒
「大丈夫か?矢口」
あまりに動かない真里に心配になった裕子が顔を覗き込む。

「・・・うん」
真里は頬を上気させたままコクンと頷く。


アカン・・むっちゃかわええ・・・
またキスしたくなるやんか・・いや、我慢や我慢!

目を潤ませた真里の表情に危機感を感じながら平静を保つ。

「なぁ矢口、うちな今めっちゃ幸せやねん
 一人でいるときの幸せも結構楽しかったけど
 矢口と一緒に暮らし始めて二人でいるときの幸せが
 こんなにも楽しいものやって改めて感じることが出来た
 矢口と出会えてホンマに良かったと思ってる」
裕子が微笑みながら真里に言う。
276 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時47分59秒
「裕ちゃん・・・
 矢口だって幸せだよ、裕ちゃんがいなかったら
 こんなに幸せな気持ちなんて知らずに過ごしてたよ
 矢口こそ裕ちゃんに出会えてホントに良かった」
そう言って真里はヒマワリのような笑顔を見せた。


このヒマワリのような笑顔を曇らせることないようにせなな・・・

そう思いながら裕子は優しく真里を抱き寄せる。
真里も裕子の背に腕を回しギュッと抱きしめた。

「矢口・・・」

「裕ちゃん・・・」

引き寄せられるように二人の顔がゆっくりと近づいていく。 
277 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時51分25秒
その時・・・

ぴんぽ〜ん


「「・・・」」

「誰やねん、こんな時間に」

「裕ちゃん、矢口なんかイヤ〜な予感がするんだけど・・・」

「なんや?イヤな予感って?とりあえず、出なアカンやろ」

玄関に向かう裕子の後ろに真里もついていく。

「は〜・・い?」
278 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)02時58分01秒
そのこには双子のようなちびっ子が手を繋いで立っていた。

「「こんばんは〜、中澤さんですかぁ〜?」」

「そうやけど・・・」
見知らぬちびっ子二人に裕子が戸惑いがちに答える。

矢口の知り合いか?
目で真里に問うが真里も知らない様子。


「私、加護亜依って言います」

「辻希美れす」


「「初めまして、お姉さん!」」


「「はぁ〜っ?」」
279 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)03時01分38秒
『またかよ・・・』
『またかいな・・・』


新たな姉妹の出現に途方に暮れる裕子と真里。

二人の幸せな時間は始まったばかり。


『ねぇ裕ちゃん
 これからも幸せな時間、過ごしていこうね!』



『それにしても・・なんで妹ばっかりなんや・・・』

                        −END−    
280 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)03時03分13秒
ほい!終了です。

更新終了、本編も終了みたいな(W
281 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)03時05分16秒
読んで下さった方、誠にありがとうございました。

そして何よりもレスをくださった方々、本当に感謝してます。

レスがなければ、終わりまで書くことできなかったかも・・・
282 名前:たむ 投稿日:2002年08月17日(土)03時11分38秒
どれだけレスに励まされたか・・本当にありがとうございました。

これで終わろうと思ったんですが、まだ半分くらい残ってるんで
新しい話、載せてもいいですかね?(w

てなわけで、近々また出てくるかもしれませんので
よろしければ、おつきあいください。
283 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月17日(土)10時54分15秒
お疲れさまでした!
新しい話?大歓迎です!
また、しっかり読みに来させてもらいます(w
284 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月17日(土)10時56分00秒
お疲れ様です。
これからもやぐちゅーかきつづけてください。
次の作品も楽しみにしてます。
285 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月17日(土)18時29分59秒
やぐちゅー大好きなので、
楽しみに読ませてもらってました。
新作もヨロシクです。
まずは、お疲れさまでした。
286 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月19日(月)19時30分14秒
脱稿お疲れ様でした。
裕ちゃんに妹はまだまだ居そうですね(w
では、次回作も楽しみにしてます。
287 名前:やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者。でも♀よ♪ 投稿日:2002年08月19日(月)20時37分52秒
アマアマに円満解決!いいお話でした。
たむさんも私のパイロット裕ちゃん読まれてたんですねw
CPが無いぶん、せめて会話だけでもやぐちゅ〜にしようと・・・
なんて言いながら、夏のCP祭りと称してミキアヤ、ケイゴマを書いた私っていったい・・・
終盤には激甘やぐちゅ〜を書くぞ〜!

それにしても、ポロリ星人・・・萌え♪
288 名前:たむ 投稿日:2002年08月23日(金)01時30分14秒
≫セーラムさま
せっかく来てくれてた矢口さんも帰っちゃって・・
また連れてきてくださいね(w
新しい話の方も感想頂けると嬉しいです。
ホンマいつもありがとうございます。

≫名無しさんさま
最後まで読んで頂きありがとう〜ごじゃいます。
これからも自分はやぐちゅーしか書けないと思うので
今後ともヨロシクお願いします(w

≫名無し読者さま
ありがとうございます。自分もやぐちゅー大好きなので
新しい話も必然的にやぐちゅーに(w
またお暇なときに読んでくださいね〜。
289 名前:たむ 投稿日:2002年08月23日(金)01時30分58秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
このラストを先に思いついて書き始めたもんで
途中がかなり苦しかったっす(w
新しい話もやぐちゅーですが良ければ読んでくださいまし!

≫やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者。でも♀よ♪さま
やぐちゅー好きは皆、姉弟です(w
でも♀の方で戦闘機のことあれだけ詳しいなんてカッケーっす!
激甘やぐちゅー激しく待ってます(w

自分はポロリ星人にノックアウトされたままだったり・・・

ホンマに皆さまレスありがとうございました。
皆さまの温かいお言葉に調子こいて新しい話やっちゃいます。
また感想など頂けたら嬉すぃ〜なっと!

ほないってみましょか〜。
290 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)01時34分10秒
いつもと変わらない毎日、いつもと変わらない仲間。
でも、それが一瞬にして変わることもある。
291 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)01時40分21秒
相変わらず忙しい日々・・・

今日も頑張って仕事するぞ〜!
なんて気合いを入れながら事務所に向かう。


今日は久々に全員揃っての仕事が入ってるんだよね〜。
最近は別々の仕事が多くて裕ちゃんにも当分会ってないから
ちょっと楽しみなんだ。

いつもみたく矢口がドアを開けた瞬間に抱きついてくるかな・・・
裕ちゃんの嬉しそうな顔を思い浮かべて少々にやけ気味。


そんな矢口の身体が突然なにかに弾き飛ばされて地面に倒れた。
その瞬間、なにかが地面に落ちたようなスゴい音がした。

弾き飛ばされたとき裕ちゃんの声が聞こえたような・・・
そんなことを思いながら矢口の意識はそこで途切れた・・。
292 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)01時42分13秒
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293 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)01時48分14秒
「良かった〜矢口、無事やったんやな〜」

病室のベッドで眠っている矢口の側に立ち安堵の溜息をつく。

それにしても、なんでメンバー誰も来てへんの?
いくら軽傷とはいえ、えらい事故に巻き込まれたいうのに。


そんなことを思っていると、矢口がゆっくりと目を開けた。

「矢口?大丈夫か?」

矢口と目があったので、そう言って笑いかける。
と同時に病室のドアが開いた。


「矢口?大丈夫?」
なっちが心配そうにベッドに駆け寄ってきた。

「なっち・・矢口どうしたの?」


「事務所に来る途中で事故に巻き込まれたんだよ」
続いて部屋に入ってきた紗耶香の後ろで
ごっつぁんが泣きそうな顔をして立っている。

「紗耶香・・ごっつぁんも来てくれたんだ?」


みんな来るの遅いで・・・
294 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)01時52分08秒
「でも矢口、どうして助かったの?
 そういえば誰かに突き飛ばされて・・・」

そこまで言うと矢口は何かを思い出したように顔を上げた。


「そうだ、裕ちゃん・・・裕ちゃんは?」

「なに言うてんねんな、さっきからココにおるやないか」

「突き飛ばされたとき、裕ちゃんの声がしたような気がしたんだ」

「こら矢口、なんで無視すんねん!」
矢口の頭を小突こうとした手が虚しく宙を舞う。

あら?なんでや?


その時、また病室のドアが開いて圭織と圭坊が入ってきた。
295 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)01時58分06秒
「かおり・・圭ちゃん・・・ねぇ裕ちゃんは?」

そう聞かれて二人の顔が強ばる。

「せやからココにおるっちゅ〜ねん」


「裕ちゃんは・・まだ眠ったままだよ・・・
 今夜が・・峠・・だって・・・」
圭坊が声を詰まらせながら答えた。


「・・・どゆこと?」
矢口が声を震わせて言葉を吐き出す。

「どういうことやねん?ウチここにおるやんか」


「矢口が事故に遭った現場に裕ちゃんもいたんだ・・・」
圭坊が涙声のまま呟く。

「落ちてきた鉄骨から矢口を助けようとして
 裕ちゃんが矢口を突き飛ばしたんだよ・・それで自分が下敷きに・・・」
圭織が圭坊の身体を支えるようにして付け足した。
296 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時02分45秒
「え・・・?」
矢口はそう言ったまま動かなくなってしまった。

「へ・・・?」
どういうことや?ウチここにおんのに。

てことは・・・?

ウチ幽霊なん?いや・・まだ死んでへんのやから生き霊か?

怖っ!・・・って、そんなん言うてる場合ちゃうやん。
とにかく本体に戻らんとホンマに死んでまうわ。


でもウチの本体はどこにおるんやろ?
とりあえず部屋から出よ。
297 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時08分10秒
・・・・。

ドア開けられへんやん・・・。


ん?もしかしたら壁を通り抜けられるとか?
昔、映画で見たことあるで・・あれは良い映画やったよな〜。
って、そんなことはどうでもええねん。

とりあえず壁抜けや・・・。

でも・・確か主人公は最初痛がってへんかったっけ・・?
ええい!とにかく本体に戻らな話にならん。
こういうのは勢いや、勢いっ。


よし・・い、いくで・・・。

勢いでいくにしても、怖いもんは怖いわけで。
小心者のウチは目を瞑って壁に体当たりをしてみた。
298 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時14分08秒
「い゛っ」

身体が引っ張られる感覚がしたあと、恐る恐る目を開ける。

で、出れた・・・。
よし、部屋探しに行こ。


その時、矢口の部屋から大きな声が聞こえてきたので思わず足を止めた。

「矢口、ちょっと待って!」

「軽傷だからって、いきなり動いちゃダメだよ」

なつみと紗耶香が真里の身体を懸命に押さえている。

「いやだ!裕ちゃんとこに行く!」

それを振り切ってベッドから降りると真里はドアへと駆けだした。

「「矢口っ」」


矢口を呼ぶ声と同時にドアが開いたと思ったら矢口が出てきて
その後を残りのメンバーが追っている。
299 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時20分45秒
これについてったら、ウチの部屋に行けるよな。
闇雲に探すより手っ取り早いわ。

そんな暢気なことを思いながらメンバーの後についていく。


普通の病室を通り過ぎ、見えてきたのはICUと書かれた部屋。


「裕ちゃんっ」
矢口がガラス越しに叫びだした。

「矢口、落ち着いて・・裕ちゃん眠ってるだけだから・・・」
なっちが矢口を抱きしめて宥めている。

「眠ってるって・・じゃあ、いつ目を覚ますの?
 ねぇなっち、裕ちゃんいつ目を覚ますの?」
矢口がなっちにしがみつきながら泣いている。


矢口・・そんな泣かんとって・・・。
ウチは矢口が無事やっただけでもえかったって思ってるんやで?

でも、矢口を泣かせたままでおるわけにはいかんよな。

早いとこ戻ろ・・・。
300 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時27分31秒
『それは無理やで』

「あん?何て?いま誰か喋ったか?」
突然、届いた声にキョロキョロと辺りを見回す。

『アンタはもう自分の身体には帰られへんよ』

また聞こえた・・どういうことや誰もおれへんのに・・・。
っていうか、なんでウチに話しかけれるん?

「誰や?姿見せんかいっ」


『えらく威勢のええ姉さんやな』
そんな声と同時に目の前に女性が一人フッと現れた。

「なんやねん?アンタ何?誰?」

訝しげにその女性を見ていたが
そんなことはお構いなしに女性はニコッと笑った。

『うちか?うちはこの病院に住み着いてるもんやねん』
301 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時35分47秒
「はぁ?それって幽霊ってことか?しかも関西人?
 背ちっちゃいなぁ〜っていうか、その頭なに?」

思わず突っ込んでしまったのは、爆発に巻き込まれたんか?
と言いたくなるようなアフロヘアー。


『せや、幽霊やし関西人やで!
 この頭もなぁ・・生きてた頃は鳥が巣と間違えて
 よう卵産みにきとったもんや・・って、そんなわけあるかいっ
 れっきとしたファッションやファッション!』

さすが関西人・・見事な突っ込み返しや・・・。

「ふ〜ん・・それより、さっき言うてた自分の身体に帰られへんって
 どういうことやの?」

『そのまんまの意味やで?
 アンタは、もう死んだも同然なんやから』

「な・・そしたらあれは?まだ心臓動いてるやんか」

『医者も今夜が峠って言うてたんやろう?
 今日中には止まるで、アンタの心臓』
302 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時42分55秒
「そんな・・でも、まだこうやって喋ってるし
 みんなの事も見れてる」

段々と自分の置かれてる状況が分かりだして
パニックを起こしかけそうになる。


「ウチは・・まだ死にたくない・・・
 まだ矢口に言うてないことがあるんや・・・
 他のメンバーにだって何も残せてない・・・
 ウチがモーニングを守っていかなアカンねん」

『死ぬ前に悔やむのは皆同じやって
 でもな、どんなに悔やんでもアンタの心臓は今日中に止まる・・
 今日中にな』


「もう・・ダメなんか?
 矢口にもみんなにも何にも言われへんのか?
 何も残すこと出来ひんのか?」

流れているハズの涙が頬を伝う感触すら感じられない。
絶望感だけが頭の中を支配する。


『方法がないわけやないで?』
303 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時49分59秒
「え?どういうこと?」

『アンタが今まで生きてきた過去・家族・仕事
 それらを全て捨てられるなら、この世に留まることは出来るんや』

「それって、アンタみたいに成仏できずに
 どっかに住み着くってことなんか?」

『うちは別に成仏できん訳ちゃう、わざと成仏せずにアンタみたいに
 この世に残してきたものが多すぎる人間の手助けしとんのや』

「手助け?」

『まぁ手助けいうても、いつもいつも出来る訳やなくて
 ごく稀にある条件が揃ったときだけなんやけどな
 アンタは、あまりにも残してきたものが多すぎた
 そんで今その稀な条件が運良く揃ってるんや
 それもアンタの運の強さなんやろね〜』

「ホンマに運が強かったら、今頃そこで目ぇ開けてるわ」
ウチは苦笑いしながら本体が眠っている病室を見た。
304 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)02時57分21秒
『とにかく、アンタの気持ち次第でうちは手を貸すことも
 このまま見送ることも出来るっちゅ〜わけや。
 アンタが全てを捨てられるんなら、また生身の人間として
 この世で生きていくことも可能やねんで?』

「全てを捨てる・・・」


家族を捨てて、仲間も友達も捨てて・・・
モーニング娘。の中澤裕子であることも捨てる・・・。

そこまでして生きていく意味あるんやろうか?

グルグルと自問自答する中で
それまで聞こえてなかった矢口たちの声が突然耳に入ってきた。


「裕ちゃん、裕ちゃん起きてよ・・・
 矢口ここにいるよ、いつもみたいに笑って矢口って呼んでよ
 ねぇ裕ちゃんっ」

「矢口、傷に障るよ・・裕ちゃんなら大丈夫だから」

「なんで?なんでなっちはそんなに落ち着いてんの?
 裕ちゃんが目を覚まさないんだよ?
 このまま起きなかったら・・矢口・・どうすればいいの?」
305 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時04分23秒
「叫んで裕ちゃんが起きるなら、なっちだって叫んでるよ・・・
 ホントは・・これっぽっちも落ち着いてなんかない
 でも、これで矢口が倒れたりしたら・・・
 裕ちゃんが命がけで守ったのに、それすら意味がなくなるじゃないっ」

なっちが流れる涙を拭おうともせず矢口を見ている。

「裕ちゃんがいなくなったらって考えるだけでも怖いよ
 みんな矢口と同じ気持ちなんだよ」

それまで黙ってみていた圭織が矢口の方に手を置き呟く。


やっぱり・・まだ死ぬわけにはいかんみたいやな・・・。
どんな形でも、あの子らを最後まで見守って行くべきや。

思い直して関西女の方に向き直った。

「アンタ・・今までに何人の人をそうやって救ってきたんや?」

『うちか?うちはまだここに来て5年くらいやけど
 それまでに条件が揃ったことが1回しかなくてな
 今日で2回目やねん』

「そんな未熟なやつにウチの再起を任せて大丈夫なんか?」

『失礼なやっちゃな、イヤなら無理にせんでもええねんで?』
306 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時10分25秒
「う・・せやな、躊躇してる場合ちゃうな
 ほな、お願いするわ」

『なんや簡単に言うてるけど、ええんかいな?
 今ほど楽しい人生やないかもしれんで?
 ただ、今のアンタよりも少しだけ長く生きられるかもしれへんけどな』

「矢口を・・あの子らを残して逝くこと考えたら
 これ以上辛いことなんて何もないよ」

『よっしゃ、そうと決まれば話は早い
 それに急がんと時間がなくなってまうわ』

こっちやと手招きされて関西女の幽霊と一緒に歩く。

・・・歩く?あ、足ちゃんとついてんねんな〜。
こんな時なのにそんなことを考えてたウチに
関西女がそうそうと言いながら振り向いて話し出した。
307 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時16分05秒
『アンタは今から赤の他人の人生を受け継ぐことになる
 でもな、アンタの記憶はそのままやねん!
 その人の家族には記憶をなくしたとでも言えば大丈夫やろうけど
 アンタが今日まで関わってきた人たちにも決して正体をバラしたらアカンで』

「もし・・バレてしまったら・・・?」


『バレたらか?・・バレたら消滅や』

「消滅?」

『バレたときに一人でも信じられないと思うものがいた場合
 文字通り、消えてなくなんねん』


はぁ〜そら・・バレたらヤバイよな・・・。
ウチが反対側の人間なら絶対に信じひんもん。

辛いけど、あの子らのことは一ファンとして応援するしかないな・・。
308 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時22分22秒
『ホンマに、ホンマにええんやな?覚悟できてるな?』

「なんやねん、そんなこと言われたら決心が鈍るやろ」

『いや・・うちも久々のことやから緊張してんね
 ま、失敗したら少し早く成仏出来るだけやから大丈夫やろ』

「全然、大丈夫ちゃうやん!
 同じ関西人のよしみって事で信用してんで?」

『おう!任せときっ!!着いたで、ここや』

そう言われて壁をすり抜けて入った部屋には
機会の中で静かに眠っている少女の姿があった。


「お?めっちゃカワイイやんか!しかも若いで!!」

『さっき言うたやんか、いまのアンタより長く生きられるかもって
 この子は今15歳で昨日事故に遭ったばかりなんやけど
 魂は既に消滅してるんや』

「消滅?もう死んでるってことか?
 死ぬ前にアンタやウチみたいに抜け出さへんかったん?」
309 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時27分33秒
『普通は事故とかに遭うと自分が死んだことが理解できずに
 魂だけが抜け出したりするんやけど
 この子は自分が死んだことをすんなり認めてしまったんやな
 やり残したこともあったみたいやけど、その思いも届かんかったって訳や』

「そんなこともあるんか・・・」

『まぁアンタみたいに、あまりにも残してきたものが
 多すぎると消滅したくても出来ひんやろうけどな〜』

「この子がやり残した事って何やったんやろ・・・?」

『とりあえず、そういうことは生き返ってから考えて
 はよせんとホンマに時間がなくなってしまう』

「わ、わかった・・・んで?どうしたらええの?」

『アンタさっき壁の通り抜け普通にしてたよな?
 初めてやったとき痛なかった?』

「痛かったで?でもそれどころやなかったし・・」
310 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時34分25秒
『ふ〜ん、まぁええわ・・壁抜けと原理的には同じやねん
 通り抜けたらアカンけど、対象が人間っていうだけやから
 ただ、壁を抜けたときとは比べもんにならんくらいの痛さやで!
 それに耐えられへんかったら弾き飛ばされるからな』

「ホンマ?めっちゃ痛いん?どないしよ・・」

『なんで、いきなり弱気やねんな?
 そんなんやったら止めた方がええんちゃうか?』

「え?イヤや、止めへん!
 もう一度、矢口を抱きしめな死んでも死にきれんわ」
抱きしめるのは無理かもしれへんけど・・・。


『したら、この子の心臓の上に手を置いて』

「置く?さっき矢口の頭を叩こうとしたらすり抜けたで?
 普通の人間には触れられへんのんちゃうん?」

『この子はもう魂が抜けてんねん、普通の人間とちゃうがな』

「そうなんか?・・・よし、ほないくで?」

そう言ってウチは恐る恐る少女の心臓の上に手を置いた。
311 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時40分23秒
その瞬間、緑色の眩しい光がウチと少女を包み込む。

「い゛〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

痛い!痛すぎる!!もうアカン・・裕ちゃん死ぬわ
って、半分死んでんねんけどな・・・。


「ちょっと〜、い・・いつまで耐えてたらええの?これ」

『もう少しや、もう少し頑張り〜そろそろ入れるハズやから』

「そういえば、アンタの名前聞いてへんかったな〜
 教えてくれるか〜?」

『痛い言うてる割には余裕やな〜
 聞いてどうすんねんな?もう会うこともないで多分』

「ええやん、命の恩人なんやから聞いときたいねん」

『命の恩人か〜、ええ響きやな・・うちは稲葉貴子っちゅ〜ねん』

「・・・あっちゃんか、ウチは中澤裕子や」
312 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時45分01秒
『その名前ももう使うことはないで?』

「そうやったな・・ま、覚えといて〜
 いつか一緒に酒でも飲もうや」

『会えたらな、でもうちメッチャ酒弱やで?
 ほな頑張りや〜、第二の人生・・・・・』


あっちゃんの言葉は最後まで聞き取れへんかったけど
どうやら弾き飛ばされることなく、ウチは15歳の少女として
この世に戻ることが出来たらしい。

これから、この子とどんな人生を歩んでいこうか?


しかし、しんどかったな・・・どうせ寝てるんやから
このまま寝とこ・・・。

そんなことを思いながら、ウチは自分の本体がどうなるのかさえ
考えずに眠りに落ちていった。
313 名前:turning point 投稿日:2002年08月23日(金)03時47分54秒
とりあえず、こんな感じです。

メンバーの構成とかはそのままですが
話自体はパラレルものなんで細かいことは気にしないで〜(w
314 名前:たむ 投稿日:2002年08月23日(金)03時52分45秒
何気に自分で書きながら、昔ドラマで見たことあるかも・・・
なんて思っちゃったりして(w

315 名前:たむ 投稿日:2002年08月23日(金)03時57分22秒
関係ないけどポロリ星人の続きが早くみたいっす(w

では、またの更新まで・・・。

316 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年08月23日(金)11時39分42秒
新作おめでとうございます。
裕ちゃんが15歳の女の子として第二の人生ですか・・
これからもしつこくチェックさせてもらいます(w
317 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月23日(金)20時59分22秒
新作待ってました。
今後どーなるか非常に楽しみです。
318 名前:たむ 投稿日:2002年08月26日(月)01時26分12秒
≫セーラムさま
ありがとう〜ごじゃいま〜す!
これからもしつこくチェックしてください(切実
自分も毎日バスが来るまでバス停で待ってます(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
いつもレスありがとうございます。
今後どーなるか・・たぶん貴方の予想通りの展開に(w


そりでは、更新がんばりマッスル!
319 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)01時32分58秒
「裕ちゃんっ裕ちゃんっ」

あ〜何やねん矢口・・裕ちゃん眠いんや
もう少し寝かせといて〜な・・・。


ぼんやりとする意識の中で、矢口がウチを呼ぶ声が聞こえた。

え?矢口・・?泣かんといて、矢口・・・
なんで矢口が泣いてんねんな?誰や矢口を泣かしたんは!

そう思いながら重たい瞼を無理やり開く。
ここは・・病院?夢やなかったんか・・・。


アカン・・身体が動かへん・・・。
あっちゃん・・あっちゃんとはもう話できひんのかな〜?
そう思った瞬間・・・

320 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)01時39分45秒
『呼んだか?』
あっちゃんがベッドの側に立っていた。


「おわっビックリした!急に出てこんといて、怖いやんか」

仰向けで目ぇ開けたまま口閉じて話してるウチのが怖いけど・・・。


『なんでやねん、自分で呼んどいてビックリすんなや』

「もう会われへん言うてたのに、ちゃっかり会えとるやないかい」

『この病院内ならな。
 うちが見る限り、この子の身体は丈夫そうやから
 目ぇ覚ましたらもう病院にくることもないと思ってたんや』

「そうか、そないに元気な身体なんか?なんや得した気分やで
 って、違うがな・・矢口や!矢口の声が聞こえてん
 夢やと思ったけど・・なんかあったんか?」
321 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)01時46分35秒
『あぁ・・アンタの・・裕ちゃんの心臓が止まったんや』

「え・・・?」

『そらそうやろ?別人とはいえ、裕ちゃんは生身の人間として
 またこの世に舞い戻ったんやで?もう元の身体は用なしやんか」

「それで矢口が・・・」

『見てるこっちが辛くなるくらい泣いてたで
 あの子・・立ち直れるんかいな?』

「矢口・・・」

『様子、見てみるか?』

「どうやって?さっきから動かそうとしてんのに
 全然動かへんねんで?この身体」
322 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)01時55分32秒
『一度でも入ってしまえば抜けることは簡単や!
 しかも、ちゃんと元に戻れる・・ただし時間は短いけどな』

「とりあえず、矢口が気になるわ!あっちゃん抜け方教えて」

『抜け出したいって強く念じながら上半身だけ起こしてみ?』


あっちゃんい言われた通り、強く念じながら上半身を起こす。

あ・・・抜けれた。

『な?出来るやろ?とりあえず、はよ行くで』

「で?どのくらい抜けたままおれるん?」

『長くて一時間や』

「たったの一時間か?」

『幽体離脱っちゅ〜のはな、慣れてきたら瞬間的に
 どこにでも行けるようになるんや。
 その一時間いうたら、かなりの時間やで?』

「へぇ凄いな〜・・これってずっと使えるんか?」

『いや、今だけや・・・
 新しい身体に完全に入ってしもたら簡単には抜けられんし』

「ふ〜ん・・そうや、矢口」


そう言った瞬間、ウチはウチの本体が眠っている部屋に移動していた。
323 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)02時02分35秒
「裕ちゃん起きてよ・・・矢口を置いて行かないでよ
 矢口、まだ裕ちゃんにありがとうって・・
 助けてくれてありがとうって言ってないんだよ?
 ねぇ目を開けてよ・・・いつもみたいに抱きしめてよ
 裕ちゃん・・ねぇ裕ちゃん・・・」

「裕ちゃん・・裕ちゃんがいなくなったモーニングなんて考えられないよ・・
 ヒドイよ、みんなを置いていくなんて・・・」


そこには既に機械を外され、瞳を閉じたままのウチの本体と
それに覆い被さるようにして泣いている矢口

その側で泣き崩れている、なっち・圭織・圭坊

そして泣きながら紗耶香の胸に顔を埋めるごっつあんと
必死に泣くのを堪えながらごっつぁんを支えている紗耶香がいた。
324 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)02時09分39秒
「ごめん・・ごめんな矢口・・・
 でも裕ちゃん矢口のことちゃんと見守ってるから・・
 もちろんみんなのことも」


出来ることなら、今すぐ矢口を・・みんなを抱きしめて
ウチはスグ傍にいるんやでって言いたい。

また感触のない涙が零れ落ちた・・拭うこともできないけど
気持ちを切り替えて笑ってみる。


「やっぱり・・ウチはこの子らのこと残していくことは出来んみたいやわ
 ありがとな・・あっちゃん」

そんなウチに頷きながら、あっちゃんが言う。
『そうみたいやな・・
 裕ちゃんの気持ちがこの子たちに伝わるとええんやけど・・』

「そうやな・・・」


矢口、ごめんな・・でも・・いつか会えるから・・・
そう呟いた瞬間、目の前が真っ暗になった。
325 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)02時12分01秒
−−−−−−−−−−−−−−−
326 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)02時19分50秒
意識が段々と戻ってきて目を開けると、知らない顔がウチを覗き込んでいた。

ビックリして声を上げたかったが上手く出せない。


「ひとみ・・・?ひとみ?」

ひとみ?この子の名前はひとみ言うんか?
お母さんやろか?やっぱ若いんやな〜。


・・・お母さんかぁ
ウチ、最後まで心配かけてばかりの娘やったなぁ・・・
親不孝でごめんなぁ・・・

そう思った途端、鼻の奥がツンとして泣けてきた。
今日は頬を伝う涙の感触がある。


その感触が別人として生きていくこととなった証。

もう中澤裕子は死んだんや・・・
ホンマこのれからの人生、辛いことしかないかもしれへんな。
327 名前:turning point 投稿日:2002年08月26日(月)02時24分09秒
「ひとみ?どうしたの?どこか痛いの?」
お母さんらしき人が心配そうに涙を拭いてくれる。

それに答えるようにゆっくりと首を振った。
身体も少しやけど動かせるようになってる・・・。

それから首をフルに動かしてベッドの上に張られている名前を見た。

【吉澤ひとみ】

これがこの子の・・いや、今日からウチの名前になるんや。


そうして、中澤裕子の死が全国的に知れ渡った頃
ウチは吉澤ひとみとして生まれ変わり生きていくこととなった。
328 名前:たむ 投稿日:2002年08月26日(月)02時27分33秒
ちょいと少ないですが更新終了です。

続きは明日か明後日に書ければと思っとります。
329 名前:たむ 投稿日:2002年08月26日(月)02時33分08秒
本編とは全く関係ないんですが・・・

今日の無表情対決の時も、前の辻ちゃんバースデーにらめっこの時も
どうして矢口さんは裕ちゃんの右肩の後ろに立つんでしょう?
330 名前:たむ 投稿日:2002年08月26日(月)02時36分39秒
ポロリ星人の弱々しい姿にノックアウトされつつ
やぐちゅー満載のこの番組にニヤケっぱなし(w

それでは次回の更新まで。
331 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月26日(月)03時20分17秒
更新待ってました!
いや、それにしても今日のハロモニ、
やぐちゅー好きにはたまりません、って内容でしたねぇ。
もちろん、私もニヤけっぱなし(w
332 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月26日(月)15時41分37秒
いよいよ第二の人生が本格的に始まったようですね。
333 名前:たむ 投稿日:2002年08月28日(水)02時22分06秒
≫名無し読者さま
お待たせしてました(w
今回のはやぐちゅー好きにはホームランでしたよね(w
自分の話もクリーンヒットくらいになればいいのにな〜

≫読んでる人@ヤグヲタさま
言ってみれば中澤裕子第二章ってとこでしょうか?(w
いつもレスありがとうです。


東京美人発売記念ってことで更新するぞー!みたいな(w
334 名前:たむ 投稿日:2002年08月28日(水)02時29分05秒
あれから1ヶ月・・・
ウチは吉澤ひとみとして、どうにか上手くやっている。

ひとみの家で普通に生活しながら、断片的な記憶が抜けているということで
今のところは済んでいるけど・・・。


それより、ウチの死が影響しているのか
モーニングのメンバーたちをテレビで見る機会があまりない。

それでもメンバーの様子が知りたくて、普段はあまり見ることのない
週刊誌を手当たり次第に読みあさった。

でもそこにはウチがいた頃の元気で無邪気なメンバーの顔がどこにもなくて・・。


まだ一ヶ月しか経ってへんのやから、しょうがないんかな・・・。
335 名前:turningu point 投稿日:2002年08月28日(水)02時37分11秒
どうやら、ひとみという子はウチらのファンやったみたいで
部屋には娘。のポスターやCDが結構あった。

ポスターにはウチの隣で無邪気に笑ってる矢口がいる。
それをぼんやりと眺めていると、ノックの音とともにお母さんが入ってきた。


「ひとみ、受かったわよ!」

いきなり言われた言葉にキョトンとする。

「このことも忘れてるのね・・あなた事故に遭う前
 モーニング娘。になりたいってオーディションを受けてたのよ」

「へ?・・・えぇっ?」
なに〜?モー娘。やて〜?冗談やめて〜な・・。

「受かったって・・一次?」
この顔やったら書類審査は受かるやろ。
336 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)02時44分19秒
「違うわよ、最終審査!モーニング娘。になれたのよ!!
 事務所の都合で発表が延び延びになってたから
 お母さんも忘れてたけど、いま連絡が来たの」

お母さんは自分が入れたかのような喜びようで教えてくれた。


「うっそ〜」

そんなアホな・・・こんな奇跡みたいな事があってええんか?

ファンとして見守っていくつもりやったのに
またモー娘。のメンバーとしてやっていくことになるなんて・・・。


「とにかく明日事務所の方に来るようにって
 一応、事故のことも話してあるから大丈夫よ」

「うん・・分かった、ありがとう・・・」


どないしよ・・でも、これで矢口やメンバーの近くにいられる。
とりあえずバレんように気ぃつけんとな・・・。
337 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)02時45分47秒
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338 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)02時51分17秒
裕ちゃんが死んで1ヶ月が経った・・まだ1ヶ月しか経ってないのに
娘。たちは悲しむ間もなく仕事をしている。

そして今日もいるはずのない人に会いたくて、一番乗りで楽屋に着く。


『ウチせっかちやからな〜』
そう言っていつも一番に楽屋に来てた裕ちゃん。
矢口を見たらスグに駆け寄って抱きついてきた裕ちゃん。

ドアを開けたらいつものように
裕ちゃんが椅子から立ち上がり駆け寄ってくるような気がして
いつの間にか矢口一番乗りになっちゃったよ。


そしてドアを開けて、誰もいない楽屋に入り溜息をつく。
裕ちゃんはもういないんだって再確認するように・・・。
339 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)02時59分06秒
「おはよう矢口、最近早いね」

ドアを開けて今日も誰もいないんだって思った瞬間
隅の方から聞こえてきた声にビックリする。


「おはよう圭ちゃん、圭ちゃんだって早いじゃん」

圭ちゃんは他のメンバーよりは早いけど、裕ちゃんがいた頃は
裕ちゃんの次に早くて・・最近では矢口の方が早かったのに。

「うん・・今日さ、新メンバーと顔合わせじゃない?」
なんか落ち着かなくてね・・そう言うと、それまで呼んでた本を閉じて
矢口の隣に座った。


「あ、そうか・・今日だったね新メンバーが来るの」

裕ちゃんがいなくなって、モーニングを引っ張っていかなきゃいけないって
分かってるのに心がついてこなくて・・・。

ずっと何も考えずに仕事をこなしてたから新メンバーの事なんて頭になかった。
340 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)03時10分39秒
「しっかりしなよ矢口! 
 裕ちゃんがいなくて寂しいのはみんな一緒だよ・・・
 でも残りのメンバーで裕ちゃんの代わりに
 モーニングを守っていこうって決めたじゃない」

圭ちゃんが悲しそうな顔をして矢口を見てる。


「分かってるよ・・こんな矢口を裕ちゃんが望んでないって事も
 でも・・ダメなんだ・・何も考えられないんだよ・・
 裕ちゃんの代わりにモーニングを守っていこうって思えば思うほど
 裕ちゃんがいなくなっちゃったって事を改めて思い知らされるみたいで
 何も考えられなくなるんだ・・・」

裕ちゃんが死んでから体中の水分が全部無くなるくらい泣いたハズなのに
まだ涙が出てくる・・・。

そのときフワッと矢口の頭に圭ちゃんの手が置かれた。

「矢口・・裕ちゃんはさ、いつも言ってたよね?
 矢口の笑顔は元気の素って・・・
 裕ちゃんと同じで矢口の笑顔に元気を貰う人が世の中にたくさんいるんだよ
 もちろんあたしたちメンバーだってそう!
 今日から新メンバーも入ってくるんだし、しっかりしないと
 追い越されちゃうよ!!」
341 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)03時17分15秒
圭ちゃんは泣き笑いの顔で矢口の頭をポンポンとした。


元気の素か・・そうだ、矢口は裕ちゃんの元気の素だった。
裕ちゃんが天国でも元気でいられるように笑顔で頑張らなきゃ・・・。

「ありがとう圭ちゃん・・ごめんね、矢口甘えてたよ
 裕ちゃんが死んでから矢口だけが辛いんだって思ってた・・・
 でも、これからは笑えるようにする!裕ちゃんのためにも」

「それでこそ、矢口だ」

そう言いながら圭ちゃんは笑顔で矢口の頭をクシャッとした。


そうやって二人で笑いあってるうちに他のメンバーもやってきた。

「おはよ〜相変わらず早いね、お二人さん」

「「おはよう圭織」」

裕ちゃんがいなくなった今、リーダーとして娘。を
引っ張っていくことになった圭織・・しんどいハズなのに笑ってる・・。
342 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)03時24分35秒
「あれ?みんな早いね〜」

「「おはよう紗耶香」」

今年の始めには卒業すると言っていた紗耶香は裕ちゃんが死んで
まだ娘。を離れるわけにはいかないと今は卒業を留まってる。

「んぁ〜またビリちゃんか〜」

「おはよう後藤、遅刻じゃないだけマシだよ
 それに今日はなっちの方が遅いから」

圭ちゃんがごっつあんに笑いながら言う。

「おはようごっつあん」

「あ、やぐっつぁんおはよう〜今日は少し笑顔だねぇ」

ぼ〜っとしているようで実は鋭いごっつぁんも
裕ちゃんの死は相当こたえたようで、三日間くらい目を腫らせて仕事に来ていた。

でも今は裕ちゃんの分もソロ活動を頑張るんだって張り切っている。
デビューはもう少し先みたいだけど・・・。
343 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)03時30分51秒
ごっつぁんの強さに感心しながら頷いてると勢いよくドアが開いた。

「おはようございますっ」

「「「「「おはよう!なっち」」」」」

「うわっなんだよ〜
 そんなイヤミのように声揃えて言わなくてもいいじゃないさ!
 いや〜危なかった・・遅刻するかと思ったよ」

たぶん矢口と同じくらい裕ちゃんの死がショックなはずなのに
なっちは笑顔を絶やさない。
まるで裕ちゃんがそこにいるかのようにいつも笑ってる。

なっちは矢口なんかより遙かに強いんだね・・・。


なっちが来てスグ後にまたドアが開いてマネージャーが入ってきた。
344 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)03時35分23秒
「みんな揃ってる?そろそろ新メンバーも準備できてるから
 スタジオの方に集合して」


「「「「「「は〜い」」」」」」


「新メンバーか・・今回は2人って言ってたっけ?」

「後藤のときみたく金髪がいたら引くよなマジで」

「ひど〜い、あれでも凄〜く緊張してたんだからね〜」


メンバーそれぞれが期待と不安を胸にスタジオへと向かっていった。
345 名前:turning point 投稿日:2002年08月28日(水)03時37分25秒
うし!更新終了ですたい!

東京美人発売記念なんで(しつこい?)
明日また更新します。
346 名前:たむ 投稿日:2002年08月28日(水)03時40分23秒
次回は中澤さん側のお話です。

しかしコレ、やぐちゅーって言っていいんですかね(汗
347 名前:たむ 投稿日:2002年08月28日(水)03時43分57秒
今日はタイトル付け忘れるわ間違えるわで散々やったな〜。

それでは鬱のままフェードアウツ・・・。
348 名前:名無し読者。 投稿日:2002年08月28日(水)12時17分49秒
最高に面白いです。
昔、中澤と吉澤が入れ替わるっていうのは読んだことあるのですが・・・
吉澤になってモーニングのメンバーを一からするというのは・・・早く読みたいです(w
349 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月28日(水)15時47分36秒
いよいよ対面ですね。
裕ちゃんは、ちゃんと新人のフリを出来るのかな?
矢口を目の前にして平然としていられるのかな?
いろいろ楽しみ。
350 名前:たむ 投稿日:2002年08月29日(木)01時51分09秒
≫名無し読者。さま
ずっと読んでくださってたんですねぃ。
しかもまた嬉しすぎる讃辞を頂いちゃって・・。
めっちゃ張り切って書きますから〜(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
いつも読んでレス頂けて・・・ホンマ涙もんですわ。
いよいよ対面・・新人ですが中身は裕ちゃんなんで・・(w


そんでは東京美人発売一日目記念の更新いってみよ!
351 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)01時58分35秒
あ〜マジで怖いんやけど・・・。

やっぱ中身が同じやと一番に来てしまうのも変わらへんよな・・・。

矢口の近くにいられる!と喜んでココまで来たはええけど。
なんやオーディション終わった後に呼び出された時みたいやな・・
めっちゃ震えてきたで。


矢口たちもこんな気持ちやったんかな・・
あんときはウチもどう接してええか分からんかったし。
でも入ってくる側はもっと怖かったんやろな。

今だって、メンバーの性格は充分すぎるほど分かってるのに
めっちゃ怖いもん・・・。
小心者は死んでも治らへんってな・・・。

そんなことを考えながらボケ〜っとしてると
遠慮がちなノックの音と共にドアが開いた。
352 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時05分10秒
「あ・・ひとみちゃん、久しぶり元気だった?」

どっから出とんの?って思うほどのアニメ声を放ちながら
カワイイ色黒の女の子が笑顔で駆け寄ってきた。

「久しぶり、元気だった?」
確かこの子は石川梨華って子やな、この子も受かったんか・・・。


最終審査に受かったと聞いた夜、お母さんが一本のテープを渡してくれた。
それまでのオーディション風景をテレビ番組でやっていたらしく
それを録画したものやった。

そんで、ほぼ徹夜状態になりながら(肌の心配せんでええし)
全ての放送を見ることが出来た。

で、放送を見ながら予想を立て
受かりそうな子の顔と名前だけは覚えてきたんや。
353 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時11分44秒
でも、目の前にいるこの子は受かりそうというよりも
声が耳に残って覚えてたんやけど・・・。


「ひとみちゃんなら絶対受かると思ってたんだぁ・・・
 でも一緒に受かれてホントに良かった」

「アタシも石川さんと一緒に受かれて嬉しいよ、お互い頑張ろうね」

そう言って握手をしようとしたら、彼女の顔から笑顔が消えた。

あら?ウチ何か変なこと言うたんかな?


「合宿中はずっと梨華ちゃんって呼んでくれてたのに・・・
 なんで今更、石川さんになっちゃうの?」


ほ〜・・オーディション中やのに、そんな仲良うやってたんか?
354 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時19分14秒
甘いな・・この弱肉強食の芸能界でそんな甘いこと言うてられへんやろ?


おっとアカンアカン・・ウチは吉澤ひとみなんや、合わせとかんとな。

「ごめんごめん、これから一緒に頑張っていく仲間だからこそ
 礼儀はキチンとしなきゃと思って・・・
 それに緊張もしてるんだよ、他に誰が受かったか知らなかったし」

な〜んて・・ウチも言い訳が上手いよな〜。
男の身体に入ってたらジゴロになれたかもしれんで。

頭の中で全然違うことを考えながら笑顔で答える。


すると、それまで曇っていた彼女の表情がまた笑顔になり・・・

「そっか〜そうだよね・・芸能界に入るんだもん、礼儀は必要だわ!
 すごいね、ひとみちゃん・・・
 私の方が年上なのにそんなことも分からなかった・・・」

そして、また曇った。
355 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時25分53秒
なんなんや、この子・・・めっちゃ後ろ向きやないかいっ!
今はネガティブっていうんか?

アカンな〜こんなんでモーニングやっていけるんかいな?
とりあえずフォローしとこフォロー。

「そんなことないよ、アタシが考えすぎなだけで・・
 小心者だから凄く緊張もしてるし
 でも梨華ちゃんと一緒にモーニング娘。に入れるなんてスゴイ嬉しいよ!
 だってもう一度、梨華ちゃんと会いたいと思ってたからさ」

どうや?これだけ言うたらええやろ?
っていうか、コレが限界やで・・ウチめっちゃさぶいこと言うてへんか?

そう思いつつ笑顔のまま彼女を見つめる。


しかし彼女は頬を少〜し赤くすると、そのまま俯いてしまった。
356 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時31分44秒
うっそ!逆効果かいな?どないしよ・・・

予想外の反応にオタオタしながら次の言葉を考えていたら
これまた予想外の言葉が彼女の口から出てきた。


「私だって、ひとみちゃんにもう一度会いたかったよ
 でも私は受からないって思ってたから、テレビで活躍するひとみちゃんを
 応援していこうって決めてたの・・・
 私もひとみちゃんと一緒にモーニング娘。に入れて嬉しい!」


やれやれ・・やっと笑顔になったで。
全く子供の相手は疲れるわ・・ホンマ頼むで石川さん・・・。


ほっとしたのも束の間、また遠慮がちなノックのあとドアがゆっくり開いた。
357 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時36分15秒
「あ、こんにちは〜」

人なつっこい笑顔で入ってきたのは、矢口と同じくらいのちっちゃな女の子。

この子は確か・・関西出身の最年少で名前は加護・・・?


「こんにちは、これから一緒に頑張ろうね!」

アニメ声の石川が言うと同時にウチもちびっ子に笑顔で頷く。

「はい〜よろしくおねがいします」

やっぱ関西のイントネーション聞くとホッとするわ。


と思う間もなく、またドアがノックされた。

「しつれいします・・・」

恐る恐るドアを開けながら、またも矢口くらいのちびっ子が入ってきた。
358 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時41分48秒
ん〜?この子は・・・?ウチの候補者リストにもおれへんかったで?
つんくさんも何でこんなちびっ子を二人も入れたんやろ?

でも矢口にとっては強敵やな。

矢口たちのビックリする顔を思い浮かべてクスッと笑ったウチを
石川が不思議そうな顔で覗き込む。

「どうしたの?ひとみちゃん」

「ん?いや何でもないよ・・それより、もう挨拶したの?」

「え?あぁ辻さん?したよ?
 なのにひとみちゃん何の反応もしないで笑ってるんだもん」

辻さんか・・・。辻さんね、覚えたで。

「ごめん、ちょっと思い出し笑いしてたんだ
 挨拶おくれてごめん、よろしくね辻さん」
359 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時49分11秒
「はい、よろしくおねがいします」
最初オドオドしていたちびっ子も笑顔で答えてくれた。


これで最後かいな?しっかし最初2人って言うてなかったか?
なのに4人て・・・。

まぁ・・矢口たちが入ってきたときも3人やったし似たようなもんやな。

新メンバーの人数の多さに驚きながらも
暢気にそんなことを考えてたらマネージャーが入ってきた。


久しぶりやね・・・なんてな。


「全員来たみたいね?じゃあ今からスタジオに入ります
 まだメンバーたちは来てないから、細かい事はスタジオで説明します」
360 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時53分35秒
ドクン・・・

いよいよや・・いよいよ矢口に会える。

たった1ヶ月しか経ってへんのに、もう何年も会ってないような気ぃするわ・・。
上手くやれるやろうか?


矢口を見ると、どうしても抱きしめたくなるんやけど
我慢できるかな・・。

いや、とにかく我慢や我慢!
仲良くなっていけば、矢口を抱きしめる事も出来るかもしれん!!

そんな邪なことを考えながらスタジオへと向かった。
361 名前:turning point 投稿日:2002年08月29日(木)02時56分55秒
す・・すいません、更新終了です(汗

出し惜しみしてるわけじゃないんですけど・・・。
362 名前:たむ 投稿日:2002年08月29日(木)03時00分41秒
この続きは運が良ければ今日の夕方にでも(w

次回こそメンバーとご対面です。

363 名前:たむ 投稿日:2002年08月29日(木)03時02分57秒
それでは、またの更新まで・・。
364 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月29日(木)10時49分00秒
裕ちゃんは口が上手いですね〜、
後々女で苦労しそう(w
365 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月29日(木)21時56分47秒
これからの展開、非常に楽しみです。
やぐちゅー好きな私としては、ヤグチがよっすぃーに持ってかれるのは、
ちょっと心配です。
それと、中身は裕ちゃんなので、複雑な感じです。
裕ちゃんを愛していたヤグチだったら、抱っこされた時、
裕ちゃんって気が付くのでしょうか?
でも、そうなってしまったら、あっちゃんとの約束もあるし・・・
こういう、想像できそうでできない小説が好きです。
楽しませてください。
366 名前:たむ 投稿日:2002年09月02日(月)02時13分34秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
自分的には中澤さんは吉澤さんとは違った意味で男前かなと。
なので、おっしゃるとおり苦労すると思われます(w

≫名無し読者さま
矢口さんは外見重視か中身重視か・・・
やぐちゅー好きな自分も心配です(ヲイ
いろんな意味でお楽しみに(w


レス頂けたので今日も張り切って更新しまっせ〜!
367 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)02時21分16秒
スタジオに入り説明が終わった後、マネージャーが
それから・・・と言って話し出した。

「みなさんも知っていると思いますが、モーニング娘。のリーダーだった
 中澤裕子が不慮の事故で亡くなりました。
 彼女が亡くなってまだ1ヶ月しか経ってないこともあり
 メンバー達も完全に立ち直れてはいません・・・
 だからこそ、新しい風が必要です。
 早くメンバーに慣れて娘。を盛り上げていってください」


おぉ〜ええこと言うな〜マネージャー・・
身体は新しいけど中身は古いウチを許してな・・・


そうこうしている間にメンバーの到着が告げられた。
368 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)02時28分44秒
アカン・・倒れそうや・・・めっちゃ緊張する〜
他の三人は、もっと緊張してるんやろうな〜

でもウチがおらんだけ気ぃ楽なんちゃうか?
・・・って、自分で言うのも切ないわ〜。


「うぁ〜緊張するね〜メンバーの人たち怖くないかな?」

緊張を隠すように石川に話しかける。

「うん・・なんか保田さんが怖そうだよね・・・」


そうか、圭坊がおったな。そら怖いで!
なんつっても裏リーダーやからな、圭坊は。

どないしよ・・元々圭坊とは仲悪かったからな〜。
ケンカするだけして、ようやく分かり合えたんやもん・・
初対面で目ぇつけられんようにせんと・・・。
369 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)02時35分50秒
期待と不安が入り交じった状態の中
スタジオの扉が重々しく開き、メンバーたちが入ってきた。


あ、圭織・・圭坊・・なっち・・・元気か?

や・・矢口や矢口・・・アカン抱きしめたい〜〜〜〜〜
うぅ・・我慢や我慢・・・

紗耶香・・すまんな〜卒業延ばさせてもうて・・・

おっ!ごっつあん、今日も眠そうやね?ソロ活動はまだなんか?


目の前に並ぶ愛しいメンバーたちに心の中で呟きながら自己紹介をする。

メンバーたちは四人という数に驚いてるみたいや。
370 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)02時44分04秒
「初めまして吉澤ひとみです、よろしくお願いします」

全員を見渡してたつもりなのに、矢口のところで止まってしまい
矢口と完全に目が合ってしまった。


やばっ!思わず見入ってしもたわ・・・
どないしよ・・いきなり変な奴とか思われたやろか?

でも矢口は目を逸らすことなく笑顔でよろしくって言うてくれた。


そんな辛そうな笑顔せんといて・・・
ウチの元気の素やった矢口の笑顔やないやん
よし!ウチが必ず矢口の笑顔を元に戻したる!!

決意を新たに視線を他のメンバーに移すと、なんとなく皆の表情も痛々しかった。


ウチは親不孝なだけでなく、メンバー不幸な奴やったんやな〜・・・
こうなったらメンバー全員が心の底から笑えるように
頑張って盛り上げていくで!
371 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)02時50分10秒
「ひとみちゃん?どうしたの、ぼ〜っとして・・大丈夫?」

ひとり違う世界にトリップしていたウチは石川のアニメ声で現実に引き戻された。

「え?あ、大丈夫だよ・・矢口さん可愛いな〜って思って見とれてただけ」

「ひとみちゃんって矢口さんのファンだったっけ?」

石川が聞いたこと無いというように首を傾げる。


ヤバっ!そのまま思ったこと口に出してしもた・・・。

「えっと・・ファンって言うかテレビで見るより
 実物はもっとちっちゃいんだなって」

「ふ〜ん、まぁいいや・・それよりジャケットの写真撮るんだって」
372 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)02時56分32秒
「へ?ジャケ写?新曲でも出るのかな?」

新曲出るなんて聞いてへんかったで・・・
あ〜でも新メン入ったら出すいうてたかも・・・。


「でるみたいれすよ、それより皆さんカッコイイのれす」

「辻ちゃん、握手してもらいに行かへんか?」

「いいれすね〜行きたいれす、行きましょう」


は?握手やて?なにぬかしとんねん、この子らは・・・
自分らだってプロになったちゅ〜のに・・他でやったら大ひんしゅくやで!

「アカ・・ダメだよ!!」

お〜危ない、思わずアカンて言いそうになったやんか・・・。
373 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時01分00秒
「「え?」」

「ひとみちゃん?どうしたの?」


「握手してもらうなんて・・・
 仮にもアタシたちモーニング娘。のメンバーなんだから
 もう素人じゃないんだ、他の芸能人に会ってもやっちゃダメだよ」


「「は〜い」」

同期生とはいえ、一応年上なので渋々ながらもちびっ子二人は
ウチの言うことを聞いてくれた。


「ひとみちゃんって、芸能界入るの初めてだよね?」

石川が不思議そうな顔をしている。

「あ、当たり前じゃん!なに言ってんの?
 そんなことより、先輩たちを見て勉強しないと」
374 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時05分16秒
「勉強って何するん?」

ちびっ子の片割れが訳分からないという感じで聞いてきた。

「いま先輩たちがジャケ写撮ってるでしょ?
 その動きやポーズの仕方とかを見て覚えるんだよ」

「そんなスグに覚えられないれすよ」

もう片方のちびっ子が不安そうに呟く。

「う〜ん、覚えるって言っても完全に覚える訳じゃなくて
 先輩たちがどういう風にカメラマンの人たちと接しているかとか
 どうやって自分を表現しようとしているかとか・・・」


「そんな難しいことせなアカンの?」

やっぱり分からないといった風に加護も不安そうに言う。
375 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時11分44秒
「難しく考えなくて良いんだよ
 いまの時点ではポーズだって言われたとおりにすら出来ないかもしれないし
 カメラマンの人たちとの接し方は、たぶん先輩たちをよく見てれば
 分かるハズだから」

やっぱ難しいよな・・ウチかて最初は楽しくもないのに
何で笑わなアカンの?て思ってたくらいやもんな〜。


「そうだね、まずはお手本見て勉強しないと!
 それにしても、ひとみちゃんってホントにしっかりしてるんだね〜」

瞳をキラキラさせながら石川がウチを見る。

「いや・・こんなの常識だよ」

「常識・・そうよね・・・これくらい当たり前なんだよね
 私の方が年上なのに何も知らなくて・・情けないな・・・」
376 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時17分16秒
照れ隠しで言うたつもりやのに石川には逆効果やったみたいや・・・
また落ち込んでしもうたがな。

あ〜もうフォローすんのもイヤやわ・・・
こういう場合は、ほったらかしにしとこ。


「とにかく先輩たちを見ておこうよ」

「うん・・そうだね」
「せや、勉強しよ勉強」
「とにかく見るのれす」


「ふ〜ん・・真面目なんだね〜君たちは
 後藤なんかうちらの仕事ぶりも見ずに爆睡してたっていうのに」

そこへ撮りを待っていた紗耶香がやってきた。

相変わらず面倒見がええんやな〜紗耶香は。
377 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時23分08秒
「んぁ〜ひどいよ、いち〜ちゃん!
 ごとーだって好きで寝たわけじゃないもん」

紗耶香の言葉に反応してごっつぁんもやってきた。


そういや〜ごっつぁんは顔合わせ初日に楽屋で寝とったよな・・・。
あの頃から大物ぶりを発揮しとったっちゅ〜わけや。


「今から写真撮るのに注意しなきゃいけない事って、どんな事ですか?」

せっかく来てくれたんなら、先輩の口からアドバイスしてもらお。

「そうだな〜まずはカメラマンやスタッフの人たちに挨拶をきちんとすること
 あとは言われた通りのポーズをとりながら自分をアピールすることかな?」

さすが紗耶香、だてにごっつぁんの教育係してたわけちゃうな。
378 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時28分08秒
その後も色々とアドバイスをしてくれる紗耶香の言葉を聞きながら
ウチはセットの中でポーズをとっている矢口をじっと見ていた。


「吉澤さんは、やぐっつぁんのファンなの?」

突然ごっつぁんがウチの顔を覗き込むようにして聞いてきた。

「へ?いや・・あの・・はい」

至近距離のごっつぁんの顔にビックリしながら
否定するのも変かと思い素直に答えた。

「やぐっつぁんカワイイもんね〜ちっちゃくて笑顔も超カワイイし」

ごっつぁんが笑いながら言う。
379 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時31分33秒
「ホントにカワイイですよね・・・
 でも今の矢口さんて本当の矢口さんじゃないみたい」

ごっつぁんの意見に頷きながら、ウチは思わずそう呟いていた。


「それってどういう事?」

すると、ウチの頭の上から聞き慣れた声が降ってきた。

「あ、やぐっつぁん終わったの?」

ごっつぁんが振り向いて矢口に笑いかける。

「うん、いま紗耶香が入ったから次ごっつぁんだよ」

矢口が少し硬い表情のまま答えた。
380 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時37分35秒
「吉澤さんだっけ?いま言ってたのってどういう意味?」

なんか矢口、怒ってへんか?えらい怖いんやけど・・・。


「どういうって・・そのままの意味です
 さっき目が合って笑ってくれた時も写真撮ってる時も
 すごく無理して笑ってるようにしかみえなくて・・・」

きっと矢口だって気づいてるハズや・・。


「そんなことないよ、矢口はちゃんと笑ってるし
 写真だってNG出なかったしね」

そう言って笑う顔すら無理して笑ってるとしか思えへん・・・。

違うやろ矢口・・ウチはそんな矢口、見たないで・・・。


「NGが出なきゃ良いんですか?」

思わず言ってしまった一言に周りの空気が凍り付いた。
381 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時42分17秒
「ひとみちゃん、やめなよ・・・」

石川が不安そうに腕を掴む。

矢口はウチを睨んだまま動かない。


「そんな嘘の笑顔のまま仕事してて楽しいですか?
 アタシ、矢口さんはもっとプロ意識を持ってる人だと思ってました」

「な・・・」

矢口は何か言おうとしたけど上手く言葉に出せないらしい。

「中澤さんも可哀想ですよねぇ
 自分が抜けたら簡単に崩れちゃうようなグループを
 今まで必死になって守ってたなんて」

パーン


そう言うと同時に乾いた音が辺りに鳴り響いた。
382 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時48分16秒
なにすんねんな!

そう思って矢口の方を見ると、涙をポロポロ零しながら矢口がウチを睨んでいた。

「アンタなんかに何が判るのよ!
 矢口のことも裕ちゃんのことも何にも知らないくせにっ」

そう言って矢口は走ってスタジオから出ていった。


「やぐっつぁんっ」

ごっつぁんが矢口の後を追おうとしたが
セットの中にいた紗耶香に呼び止められる。

「後藤〜出番だよ」

「え・・でも・・・」

ごっつぁんは振り向いて立ち止まったまま動かない。
383 名前:turning point 投稿日:2002年09月02日(月)03時54分58秒
「後藤さん撮影に行ってください
 矢口さんはアタシが捜しに行きますから」

ウチのせいで迷惑はかけられへん、ごめんなごっつぁん・・・。


「わかった、でも話は後でちゃんと聞くから」

ごっつぁんはいつものごっつぁんとは思えないほど
しっかりしとした口調でそう言った後セットの方へ歩き出した。

ごっつぁん、めっちゃ男前やんか・・・。


「ひとみちゃん・・」

石川が心配そうな顔で見ている。

「ごめんね、雰囲気悪くしちゃって・・・
 ちょっと矢口さん探しに行ってくるから、撮りの順番最後に回してもらっといて」

石川に謝りながら、怯えきった顔をしているちびっ子二人に笑いかけ
スタジオを出た。
384 名前:たむ 投稿日:2002年09月02日(月)03時57分33秒
更新終了っす。

ようやくメンバーたちと対面できたよ(w
385 名前:たむ 投稿日:2002年09月02日(月)03時59分29秒
裕ちゃんのライブ最高でした!

やっぱ裕ちゃんには歌と矢口さんなんですかね(w
386 名前:たむ 投稿日:2002年09月02日(月)04時03分33秒
今日のラジオでも断言してたし。

またも本編と関係のない話になりましたが(汗

では、次回の更新まで。
387 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月05日(木)01時47分53秒
私も、渋谷AXに参戦しました。
娘。たちも観に来ていて、その中でやぐっちゃん、凄くノリノリでしたよ。
我々と同じ動きで、手拍子したり、手を上げたりと・・・。
裕ちゃんもチラチラ、娘。たちの方を見やったりしてたし。
「なんか通じてるなー」なんて感じました。
それに裕ちゃんが、
「私にとって大切なものは、娘。たちやハロプロの仲間です」なんて、
本人たち目の前にして、言っちゃったりするから、
ヤグチが目を押さえているように見えました。

生でみる「やぐちゅー」に大感激でした。
388 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時06分17秒
≫名無し読者さま
良いですね〜生やぐちゅーですか・・・。
壊滅的に羨ますぃ〜です(w

矢口さんがラジオでも言ってましたね。
「裕ちゃんに気づいて欲しくて思いきし手を振ったら
 視線を思いっきり受けて失敗したなと思った」と

ホンマにカワイイなぁ〜この人は・・・。

さて、そんなカワイイ矢口さんに全く関係のない話(ヲイ
更新しましょかね〜。
389 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時13分08秒
スタジオの扉を閉めてフッと溜息。

さてと・・・

とりあえず楽屋に向けて歩き出す。


しっかし痛かったで〜矢口・・・

アンタのこと知りすぎてるから心の底から笑って欲しくて
思わず言うてしもうたのに。


戻ってるかな?いまメンバー誰もおらんしな・・・
そう思いながら楽屋のドアをノックして開ける。

・・・いない。

一応トイレもチェックしてみたが、やはりいない・・・。

ってことは・・あそこかいな。
390 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時18分59秒
矢口はいっつも元気いっぱいで笑ってるけど
その分、やっぱ疲れるし落ち込むことだってある。

そういうときは必ずと言っていいほどあの場所に行く。

スタジオの中でもあまり人が通らない非常階段の踊り場。


滅多に人が通らないしメンバーも殆ど知らないから
落ち込んだときや考え事をしたいときには良い場所らしく
矢口の取って置きの場所なんだって、前にこっそり教えてくれた。


ここにおれへんかったら、どこ捜そ・・・?
そんなことを思いながら非常階段の扉を開ける。

・・・おった


矢口は踊り場に座って泣いていた。
391 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時24分04秒
「矢口・・さん?」

恐る恐る声をかけると、泣いていた矢口がビクッと身体を揺らし
ウチの方に顔を向けた。

「な・・んで?」

「すいません、矢口さん・・
 入ったばかりなのに、あんな生意気なこと言って・・・」


矢口はウチがここにいること自体に驚いてるようで
ウチを見上げたまま動かない。

「本当にすいませんでした」
そう言ってガバッと頭を下げた。
392 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時31分07秒
「え・・そんな謝らないでよ・・矢口こそゴメン、叩いちゃって・・・」

矢口が泣き顔のまま首を横に振り申し訳なさそうに言う。

「いえ、叩かれて当然です・・無神経なこと言ったんですから
 ただ、矢口さんのホントの笑顔が見たかっただけなのに・・・」


こんな近くにいるのに・・すぐ傍にいるのに・・
いまのウチには矢口の涙を拭いてやることも抱きしめることも出来ひんのや・・。

でも、このまま矢口の泣き顔を見ていると思わず抱きしめてしまいそうで
ウチは矢口から視線を外し俯いた。


「あのさ・・とりあえず座らない?ずっと見上げてると首痛いんだよね」

泣き顔だった矢口が少しだけ笑って隣を指さす。
393 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時37分14秒
「あ・・すいません・・・えっと、失礼します」

矢口に触れたくても触れられへんいうのに隣に座るなんて・・・

ある意味、拷問やな。

そんなことを考えて、ウチの身体はカチカチに固まってしまった。


「そんな怖がらないでよ・・もう叩いたりしないからさ」

「あ、いえ・・怖がってるわけじゃないです・・緊張してるんですよ」

慌てて手と首を振るウチを見て矢口がクスっと笑った。

「なんか、さっき矢口に向かってハッキリ意見した人とは思えないね」

「はぁ・・そうですか?」


良かった、矢口いま普通に笑えてんで。
394 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)01時43分54秒
「でもね・・さっきの話だけど、許したわけじゃないから」

矢口が真剣な眼差しでウチを真っ直ぐに見る。


「判ってます、新人が言うべき事ではなかったと思いますし」

「違うよ、矢口に対して言ってくれたことには感謝してる
 自分でも判ってたんだけど認めるのがイヤだったんだ・・
 矢口が言ってるのは裕ちゃんのことなの」

「中澤さんのこと・・?」

「そう、さっき吉澤さんは裕ちゃんが今までやってきたことが
 無意味みたいな言い方したでしょ?裕ちゃんが可哀想だって・・
 裕ちゃんは今でもモーニングにとっても矢口にとっても大切な存在なんだ!
 裕ちゃんがいたから今の矢口があるんだもん・・・」

裕ちゃんの前では言えなかったけどね・・
そう言いながら矢口は肩をすくめて苦笑いをした。
395 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)01時49分57秒
「矢口さん・・・」

ありがとう矢口、そんな風に思ってくれてたんやな・・
やっぱ良かったわ・・どんな形にしろ戻ってきて・・・。


「よし!じゃあ、この話はもうこれで終わり
 矢口も吉澤さんに思ってること話してスッキリしたよ」

矢口は立ち上がって笑いながらウチの目の前に手を差し出してきた。

「アタシも矢口さんとちゃんと話せて良かったです」

差し出された手を握り立ち上がる。

「こちらこそ!
 ただ、この場所の事は他のメンバー達には内緒にしててね?
 ココ・・矢口の取って置きの場所なんだ」

そう言ってウィンクをする矢口を見て、ふと思い出した。
396 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)01時54分53秒
前にこの場所を教えてくれたときも矢口ウィンクしながら笑ってたっけ・・。


「はい!誰にも言わないし二度と来ませんから!!」

キッパリと言い切ったウチに、なんだよそれ〜と笑う矢口。

この笑顔が見たかったんや・・・。


「じゃあ戻ろうか?そろそろ吉澤さんの撮りの番になるんじゃない?」

「そうだった・・やっば〜初日から怒られちゃうよ」

あ〜忘れてた・・アカン、ウチこそプロ意識ないやんけ・・・。


「大丈夫、矢口がちゃんと説明するから!
 ・・・でもやっぱ急ごう!!」

握手していた手を離し、矢口が逆の手を差し出した。
397 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)01時57分25秒
その手をしっかりと握って二人で走り出す。

こうしていると昔と何も変わりないのにな・・
もうあの頃には戻れへんけど・・・。

矢口・・好きやで・・・


そう心の中で呟いて、繋いでいる手を少しだけ強く握り返した。
398 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)01時59分27秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
399 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時03分52秒
スタジオに入ると、まだ辻が撮りをやっていた。

どうやら間に合ったみたいや・・えかった〜。
思わず安堵の溜息をもらすと、矢口も同じように溜息をついた。


「良かったね〜間に合って・・・
 遅れてたら圭ちゃんの雷が落ちるトコだったよ」

「え?矢口さんが説明してくれるんじゃなかったんですか?」

「うん、でも圭ちゃんだけは無理!矢口の手に負えないから」

矢口が当然といった感じで言い切る。


「なんなんですか〜それってスタッフさんやマネージャーさんよりも
 保田さんの方が怖いって事でしょ?勘弁してくださいよ〜」

やっぱ圭坊は陰のリーダーなんやな〜ホンマ怖いわ・・・。
400 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時09分11秒
「あはははっゴメンゴメン
 でも圭ちゃんは仕事に関しては怖いかもしれないけど
 普段はすスゴく優しいから大丈夫だよ」

「そうか、そうですよね・・とにかく間に合って良かった」


「あ、もうそろそろなんじゃない?ほら、行ってきな」

それまで繋いだままだった手をブンっと振り上げられて
離れたと思ったら背中を勢い良く押された。

「行ってきます!」

振り向いて笑いながら矢口に敬礼をしてセットに向かう。


これで仕事中は矢口も大丈夫やろ・・・
あ〜でも、ごっつぁんや他のメンバーにさっきのこと何て話そ・・・。
401 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時14分17秒
そんなことを考えながら撮りに入ったウチはそれが終わった後
メンバー全員が普通に接してくれたことにとても驚いていた。


なんでみんな普通に接してくれたんやろ?

不思議に思いながら楽屋に帰っていると
ちょうど矢口と出くわしたので呼び止めてみる。


「あ、あの矢口さん?」

「お、吉澤さんお疲れ!どした?」

「いえ・・あの〜何か皆さんが普通だったんですけど
 今日のこと話さなかったんですか?」

「いや、ちゃんと話したよ
 でもメンバーみんな解ってくれたし、逆に圭ちゃんなんて
 頼もしい子が入ってきたって喜んでたくらいだから」
402 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時19分58秒
「あ・・そうなんですか・・・すいません
 ありがとうございました」

ウチが悪者にならんように話してくれたんやな・・
ありがとな矢口・・・。


「なんで?矢口ホントのこと話しただけだし
 お礼言われるような事なんて何もしてないよ?
 とにかく、今日はお疲れさま」

また明日ね!と言って矢口は帰っていった。


これでようやく初日が終わったんやな・・・
なんか、ごっつ疲れたんやけど・・・ウチもはよ帰って休も。

そう思いながら楽屋に戻ると、石川・加護・辻の
新メンバーだけが残っていた。
403 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時24分13秒
「あれ?どうしたの、みんな・・まだ帰らないの?」

なんやねん、何かあったんかいな?

「ひとみちゃん、大丈夫だった?」

石川が心配そうな顔をして傍にやってきた。


「え?矢口さんから何も聞いてないの?」

あら?矢口、新メンには話してないんか?


「うぅん・・聞いたよ、聞いたけど・・・」

石川はまだ心配そうな顔をしている。

「じゃあ、なんの心配もいらないじゃん
 矢口さんと話してアタシもスッキリしたし」
404 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時29分28秒
「矢口さんは怖くなかったれすか?」
それまでジッとウチを見ていた辻が聞いてきた。

「うちらと同じくらいちっちゃいのに、メッチャええ音させてたもんな〜」
加護がそう言って叩く真似をする。


「あぁ・・あれは叩かれて当然だったからね」

三人を安心させるように笑って叩かれるフリをする。


「そう、ならいいんだけど」
それを見て、ようやく石川も納得したみたいで笑顔になった。

「それよりさ〜今日は緊張しすぎて疲れちゃったよ
 もう帰らない?明日も早いし」

とにかく今日は疲れたわ。
身体が若いからまだまだイケそうな気もするけどな・・・。
405 名前:turning point 投稿日:2002年09月08日(日)02時34分17秒
「そうだね、また明日もあるんだもんね」

石川が笑顔で頷く。


「これからずっと一緒なんれすね」

辻も笑顔や。


「ホンマや・・うちらモーニング娘。になったんやな・・・」

加護が一言一言、噛み締めながら呟いた。


この子らも今日一日ずっと緊張しっぱなしで
今ごろ実感わいてきたんやな・・・。

そうやな、ウチも今日からまたモーニング娘。や!
今度こそ本当に生涯一モーニング娘。になったんで〜。


こうして矢口、そしてメンバーとの再会は何となく成功に終わった・・・
ような気がした。
406 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)02時36分24秒
てなわけで、更新終了です。

タイトル付け忘れて、かなり鬱だし。
407 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)02時39分27秒
気がつけば400越えてしまいましたが・・・

どう考えてもこのスレが終わるまでに話は終わらない(w
408 名前:たむ 投稿日:2002年09月08日(日)02時44分41秒
このまま続けてっていいのだろうか?(素

少々、疑問を抱きながら・・またの更新まで(w
409 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月08日(日)13時45分53秒
このまま続けてください。
410 名前:やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者 投稿日:2002年09月08日(日)17時29分45秒
転生裕ちゃん〜♪
ヨッスィ〜の体でもやぐちゅ〜♪
けど、チャーミーが・・・トマホークでも1発×♂○☆♀(以下自粛!)

是非続けてください!
私のインターミッションの参考になりますもの!
411 名前:たむ 投稿日:2002年09月10日(火)18時05分32秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
力強い一言ありがとうございます(w

≫やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者さま
ありがとうございます。
インターミッションの参考にして頂けるなんて・・(涙
・・・インターミッションって何?(爆

すいません、ネタにしてしまいました(w

ってなわけで、温かいレスを頂いたので・・・
ココまできたら一杯になるまで書いてやるー!

気合い一発、更新です。
412 名前:たむ 投稿日:2002年09月10日(火)18時11分53秒
翌日、いつものように仕事に向かう。

今日から新曲の振りとか歌入れやるとか言うてたな〜。
今までの歌なら完璧やのに・・・って当たり前か。


「おはようございます」

挨拶をしながら楽屋に入る。


なんや、また一番乗りかいな・・・。

みんな来るの遅いでしかし・・ってウチが早すぎるんやって!
などとツッコミを入れつつ荷物を置き、椅子に座って本を出す。

そして読もうとして本を開いた瞬間、ドアが開いた。
413 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時16分25秒
入ってきた人物を見て思わず立ち上がる。


や〜ぐちぃ〜〜〜〜〜


・・・・。

あ、あぶな〜
いつもの癖で抱きつきに行こうとしたで今・・・。


「えっ・・・」
なぜか矢口は入り口で固まっている。

「お、おはようございます」
立ったまま挨拶をしたウチに矢口は固まったままで。
414 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時21分12秒
「あ・・おはよう・・・吉澤さん早いんだね〜」
ようやく矢口が笑顔を見せてくれた。


ん〜やっぱ朝からこの笑顔を見んと気合いが入らんよな〜。

「いや〜アタシせっかちだから集合時間とかあると
 絶対に早く着いちゃうんですよね〜」

その言葉に、またも矢口が固まった。

なんやの矢口・・調子でも悪いん?


「あの・・矢口さん?体調でも悪いんですか?」
矢口の近くまで行き、覗き込んで聞いてみる。
415 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時28分32秒
「へ?矢口は元気だよ?
 ちょっと驚いちゃっただけだから大丈夫」
矢口は訳のわからん言葉を発し、荷物を置いて椅子に座った。

「驚いたって・・アタシなんかしました?」
ホンマに大丈夫なんか、矢口・・・。

「いや・・吉澤さんは何もしてないよ、大丈夫だから気にしないで・・・」

そう言って矢口は携帯を取り出しメールを打ち始めた。


メールかぁ懐かしいな・・・

たまに矢口が先に楽屋着いたときとかメールくれてたよな〜
ただいつも【早く来い!アホ裕子】やったけど・・・。

またそんな関係になれるんやろか・・。
とりあえず、本でも読んどこ・・・。
416 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時35分07秒
携帯をいじりながら、本を読んでる吉澤さんをチラッと見る。

それにしてもビックリしたな〜。
昨日から吉澤さんにはビックリさせられっぱなしだよ。


昨日だって初めて会ったにも関わらず、いきなり矢口のイタイとこ突いてくるし
なぜか矢口の取って置きの場所にもすんなりやってきて・・・

メンバーの誰かに聞いたとも思えないし、探し回って辿り着いたにしては
時間的に早かったんだよね・・・。


今日だって、矢口が一番乗りのハズの楽屋に先に来てて
矢口がドア開けて入った瞬間に立ち上がってさ・・・

裕ちゃんがいたのかと思って心臓が止まりそうだったよ。
417 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時39分12秒
しかも早く来た理由まで裕ちゃんと同じなんだもん・・・。

勘弁して欲しいよね。


そんなことを思いながらメールを打つ。

【早く来い!アホ裕子】

返ってこないメールに、還ってこない人。
判ってるのに、こうすることがいつの間にか日課になっていた。

矢口はいつまで後ろ向きのままなんだろう?
そう思いながら溜息をついた。
418 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時43分29秒
「ホントに大丈夫なんですか?」

そんな矢口に吉澤さんが読んでる本から顔を上げ心配そうに聞いてくる。


「大丈夫だってば!それより吉澤さんは仕事のこととか
 何か解らないことはないの?」

そう言うと吉澤さんは“う〜ん”と考え出した。

何でそんなに悩むわけ?

芸能界に入ったら解らないことだらけだよね?普通。

矢口だって解らないことだらけで
出来ることなら元メンに教えて欲しかったもん。
419 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時48分26秒
あの頃は裕ちゃんなんかそれこそ怖くて、話なんて出来なかったけど。

って、また裕ちゃんのこと思い出しちゃったよ・・。
ダメだな〜矢口は。


また後ろ向きになりそうだった矢口の耳に
吉澤さんののんびりとした声が届いた。

「え〜と、いきなり言われてもありすぎちゃって・・・
 とにかく、矢口さんたちを見て勉強していくので
 もし解らないことがあったら矢口さんに聞いて良いですか?」


「うん、良いよ!いつでも聞いてね」
420 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)18時54分00秒
なんか吉澤さんって新メンバーの割に、えらく落ち着いてんだよね・・・。
見た目は15歳なのに中身は大人みたいな。

矢口も負けてられないな・・頑張ってイイ女になるぞ〜!


訳の分からない決意を新たにした頃
他の新メンバーたちが楽屋に入ってきた。

遠慮して端の方に座った新メンバーの元に吉澤さんも行き色々と話をしている。


モー娘。に入ってまだ一日しか経ってないのに
他のメンバーは吉澤さんを信頼しきっているように見える。

ま、あれだけ落ち着いてればそうなるかもね・・・。
421 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時00分03秒
「矢口?」

自分を呼ぶ声に、ふと我に返った。

「あ、圭ちゃんおはよう」

「どうしたの?吉澤さんのこと“じ〜っ”と見て」

「え?そんなじ〜っとなんて見てないよ
 ただ、新メンバーとは思えない落ち着いた雰囲気を持ってるな〜
 って思ってね・・・」

あまりにも落ち着いた感じが腑に落ちず、圭ちゃんに言ってみた。

「確かにね・・
 この世界に初めて入ったって言うのが不思議なくらい
 落ち着いてるし色々なこと知ってる」

そう言いながら、今度は圭ちゃんが吉澤さんのことを“じ〜っ”と見つめた。
422 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時04分17秒
「だからこそ選ばれたんじゃないの?」

いつの間にか楽屋に来ていた圭織が話に入ってきた。

「「そう言われればそうかも」」

リーダー圭織の一言に思わず二人して納得。


そうこうしてるうちにメンバーも全員揃ったので
マネージャーが今日の予定を話し出す。


そして今回も新メンバーに教育係が付くことになった。
423 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時09分51秒
圭織が教育係を発表する。

「まず圭ちゃん、石川に付いて」

「あいよ、ビシビシしごくからね!」

圭ちゃんが嘘か本当か判らない怖い笑顔で石川さんに言う。

「は・・はい!よろしくお願いします」

あ〜あ・・石川さん完全にビビっちゃってるよ・・大丈夫かなぁ・・・。


「それから後藤、加護をよろしく」

「んぁ〜よろしくね〜」

いつも通り眠そうなごっつぁんが加護ちゃんに笑いかける。
424 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時13分03秒
「はい〜よろしくお願いします」

そんなごっつぁんに加護ちゃんも笑顔で挨拶をする。


「んで、矢口は吉澤をよろしく〜」

「へ?吉澤さん?」

吉澤さんには教育係いらないんじゃないの?
なんか矢口が教育されそうな気がするんですけど・・・。

「矢口さん、よろしくお願いします!」

惚けていた矢口に昨日みたく吉澤さんがガバッと頭を下げてきた。
425 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時16分25秒
「あ、こちらこそよろしくね」

とりあえず笑っておこう・・・。


「そして辻は圭織が面倒みま〜す
 よろしくね、辻」

圭織がニコニコしながら辻ちゃんに言う。

「はい!よろしくおねがいします」

辻ちゃんも同じようにニコニコしながら挨拶をした。


そして、これからの仕事は出来る限り教育係と新メンバーが
一緒に行動をするようにということでミーティングは終わった。
426 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時21分36秒
あぁ・・・なんちゅ〜こっちゃ!

よりによって、ウチの教育係が矢口やなんて・・・。

矢口の傍におれるのは嬉しいけど、ボロが出てバレたりせ〜へんやろか・・
気ぃつけなアカンよな〜。

しかも矢口、イヤそうやなかったか?
何で自分がやらなアカンの?って顔してたもんな。

何か・・めっちゃブルーになってきたんやけど・・・。


「吉澤さん?」

そんなことを思いながらボーっとしていたウチを矢口が下から見上げてくる。
427 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時27分22秒
アカンて・・・ウチ、その顔に弱いんやから。

慌てて矢口から視線を逸らした。


「どうかしたの?」

でも矢口は心配そうに覗き込んでくる。

「へ?いや、何でもないです・・それより矢口さん
 アタシの教育係ってやりにくいんじゃないですか?」

矢口と一緒におりたいけど、ホンマにイヤやったら可哀想やもんな・・・。
後で圭織に相談してみよ・・・。

「え・・?なんでそんなこと言うの?」

なぜか矢口は表情を曇らせ、それでもウチの目をジッと見ている。
428 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時33分03秒
「なんでって・・アタシ、自分の意見ズバズバ言っちゃうし生意気だし・・」

段々と矢口の視線に耐えられなくなり、ウチはまた視線を逸らしながら答えた。


「そんなの関係ないよ、自分の意見を言うのは構わないし
 それに生意気なこと言ったりして突っ走っちゃったら
 矢口がちゃんと注意するから!
 それとも吉澤さんは矢口が教育係するのヤなの?」

矢口が意地悪そうな顔をしてまた覗き込んでくる。

「なに言ってんですかっ!イヤなわけないですよ
 教育係、矢口さんにならないかなって思ってたくらいなのに」

覗き込んでくる矢口の可愛さに目眩を起こしそうになりながら必死で耐える。
429 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時36分21秒
アカンて、矢口・・もうそろそろ限界や・・・。

「よし!じゃあ、圭ちゃんと同じくビシビシしごくからね!!」

そう言って矢口がニコッと笑った。


・・・・。


矢口のアホ〜〜〜


矢口の笑顔にノックアウトされたウチは
その後に何を言われたのか全く記憶にない・・・。
430 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時39分53秒
「吉澤さん?行くよ?」

不意に聞こえてきた矢口の声で我に返る。

「あ、はい・・ってドコに行くんですか?」

思わず聞き返したウチに矢口が振り返って頭を小突く。

ちょっと苦しそうやね・・今のウチは昔のウチより背高いもんな〜。


「矢口の話、聞いてなかったの?
 今からレコーディングがあるって言ったじゃんか」

「すいません、矢口さんの笑顔にみとれてました」

思わず本音を言ってしもうた。
431 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時44分36秒
「な、なに言ってんだよ〜おだてても何も出ないぞ」

矢口が真っ赤になって今度は肩を叩く。

そこなら余裕で届くわな。

でもどうせなら、昔のようにアホって言われながら
おでこ叩かれたいよな〜。


「ところでさ、吉澤さんって周りの人から何て呼ばれてるの?」

「へ?周りの人からですか?
 多分“ひとみ”とか“ひとみちゃん”じゃないですかね?」

いきなり話が変わって思わず素で答えてしもうた。
432 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時50分06秒
「多分って・・なんで人ごとみたいなの?」

ヤバっ・・やってもうた・・・
もう矢口がいきなり話題変えるからやろ〜?

「いや・・あの・・っていうか、呼ばれ方がどうかしたんですか?」

苦しい切り返しやな〜自分。


「え?いや、今から一緒に行動することが多いからさ
 “吉澤さん”って呼ぶのも堅苦しいし“吉澤”って呼び捨てにするのも
 なんか違うな〜って思って」

矢口が不思議そうな顔をしながらも答えてくれる。
433 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時53分43秒
「別に呼び捨てで良いですよ、他の新メンも飯田さんたちから
 呼び捨てにされてたし」

なんや、そんなことかいな・・・。


「じゃあ・・矢口が勝手にあだ名つけちゃっていい?」

「はい、もちろん!何とでも呼んでください」


「う〜ん・・そうだな〜吉澤ひとみでしょ・・よしざわ・・」

ブツブツ呟きながら一生懸命考えてる。

ホンマにカワイイな〜矢口は・・・。
434 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)19時59分24秒
つい頭をポンポンとしたくなる・・あぁ出来ひんのが辛い・・・。


「ヨッシー・・スーパーマリオかよっ
 よっすぃ〜・・?うん、よっすぃ〜にしよう!」

どうやら決まったらしく、矢口が嬉しそうに言った。

よっすぃ〜?相変わらずオモロイこと考えるな〜矢口は。


「じゃあ、今日からよっすぃ〜って呼ぶからね」

「はい、分かりました・・改めてよろしくお願いします!」


矢口が教育係・・当分は矢口と一緒にいられる。
さっきみたいにボロが出んようにせんとな・・・。

嬉しいような、恐ろしいような・・・
そう思いながらレコーディングスタジオへと向かった。
435 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)20時02分38秒
ほい!更新終了でっす。

またもや関係ない話ですが、広島の裕ちゃんライブ最高でした。
436 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)20時06分02秒
裕ちゃん「tsunagi」の話してくれたんですよ!!

もうメッチャ感動(w
437 名前:turning point 投稿日:2002年09月10日(火)20時09分27秒
今回も歌詞とばしまくり間違えまくり!(w

違う意味で楽しかった・・・。

てなわけで、次回更新から新スレ立てるか悩みつつフェードアウト!
438 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月10日(火)22時36分55秒
やぐよしのようなやぐちゅー、いいっすねー。
でもやぐちゅー派の自分にはちょいと複雑な気分(w
続き楽しみです。

私は渋谷AXのライブにしか行ってないので
他の地域のライブがどんなだったかすごい気になります。
tsunagi話はどんな内容だったのですか?tsunagi大好きなんです〜
439 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月11日(水)11時39分03秒
予定通り師弟関係になり、
いよいよ裕ちゃんの試練の毎日(?)が始まりですね(w
自分は、いつ裕ちゃんがキレて矢口を抱きしめてしまうのか期待してます(w
440 名前:たむ 投稿日:2002年09月14日(土)00時20分03秒
≫名無し読者さま
これから先、気が付けば様々なCPが出てきそうな予感(w
自分も超やぐちゅー派なので書いてて複雑な気分です(ヲイ

ライブでのtsunagi話はメール欄に書かせて頂きます。
これで続きも読む羽目に・・ありがとうございます(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
う〜ん、良いトコついてくださいますな〜(w
自分もいつ裕ちゃんを暴走させるかメッチャ悩んでます(w


ってなわけで、中途半端に終わるのもヤなので新スレ立てちゃいます。
同じ雪板で今の話のタイトルにしますんで、引き続き読んでいただけると幸いです。
441 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月14日(土)16時17分32秒
新スレまだかな〜。(あわてすぎ>おれ)
442 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月14日(土)16時20分07秒
あ、できてましたね。すみません。

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