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朝比奈学園教師「平家」(裏)
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月10日(水)13時21分07秒
- ずっと昔2chでやってた朝比奈学園教師「平家」の裏バージョンです。
設定など全て同じで、前回の事件と最初も同じです。後はパラレルワールドのようなものです。
更新は早かったり遅かったりいろいろなので、気にしないでください。
- 2 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月10日(水)13時22分28秒
- 「イヤ!なんでこんな事するの!!?止めて!お願い!!止めてよぉ…」
その人影は、恐怖に顔を歪める少女を舐めるように見つめるとゆっくり近づいて
いった。少女はズリズリと後ろに逃げていく。人影はそんな少女を見て薄く笑う
と更に少女に近づいた。右手には、何か光るものが握られている。
「お願い…止めて…。止めてぇ……」
少女の顔はもう涙と恐怖でぐしゃぐしゃだ。声を出すのも必死な程、全身を強張
らせている。人影は喉の奥で軽く笑うと、ゆっくりと右手を高く上げた。
「イヤァ!!止めて!!止めてぇ!!!!!!」
少女の絶叫が部屋中に響き渡る。その瞬間、人影は右手を振り下ろした、なん
の ためらいもなく。
少女の身体から、何か赤い液体が噴き出してくる。人影は、動かなくなった少女
の身体に向かって、機械的に腕を振り下ろし続けた。ただ、機械的に…。
- 3 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月10日(水)13時23分15秒
- 木々の間からすっと一筋の風が吹く。早朝とはいえもう7月。ギラギラした太陽を
忘れさせる、そんな心地よさだった。
車のドアを閉めると、平家はカツカツとヒールの音を響かせ歩き出した。時刻は7
時32分。出勤にはいささか早すぎる時間だ。
「平家先生・・・おはようございます・・・」
職員用玄関へとつながる裏庭を歩いていると後ろから声を掛けられた。声の主
は家庭科を担当しているりんねだ。
「・・・おはよう」
「・・・」
「・・・」
何を言っていいのかわからない。平家の視線は宙を泳いだ。ふと、りんねの手
にしている新聞に目がいく。そこには大きなゴシック体でこう書かれていた。『朝
比奈学園でまたまた殺人!同一犯の仕業か!?』
「平家先生ぇ・・・なんで、なんで辻ちゃんが・・・。まだ中学生なのに・・・
まだこれから楽しい事とかいっぱいあったのに・・なんで・・・なんで・・・」
- 4 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月10日(水)13時23分53秒
- りんねの声は震えている。無理もない、今回の被害者辻希美はりんねのクラス
の生徒なのだ。
平家も一度だけ授業を担当したことがある。確か古典の中澤先生が二日酔い
で休んだ時、たまたま授業のあいていた平家が自習監督として赴いたのだ。
正直、直接話をした記憶はない。だた、よく笑う子だなと言う印象を持った。ニコ
ッと笑った時に覗く八重歯が妙に印象的で、その八重歯が彼女を実年齢よりも幼く
見せていた。
- 5 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月10日(水)13時24分39秒
- 「うぅ・・・辻ちゃぁん・・・・・・・」
手で抑えられた口元から、かすかな嗚咽が聞こえてくる。泣いているのだろ
う。平家はそっと目をそらした。こういうとき、本当にどうしていいのか分
からなくなる。何の慰めの言葉も浮かんでこない。
(アカン・・・あたしまで泣きそうや・・・)
平家はぐっと目頭を抑えた。りんねを慰めてあげなければいけないのに、自分が
泣いてどうするのだ!
「・・・・・りんね・・・あの・・・なんちゅーか、その・・・・・」
平家がもごもごと口を開いた時、後ろから威勢のいい関西弁が聞こえてきた。
「ほらほら、二人とも何してんねん!はよせな職員会議始まるで!!」
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月10日(水)13時25分17秒
- 二人が後ろを振り向くとそこには古典担当の中澤裕子が立っていた。
「な、中澤先生ぇ・・・」
りんねの顔は、もう涙でぐしょぐしょだ。
「ほら、何泣いてんねん!あんたがしっかりせなあかんやろ?」
「でも・・・でもぉ・・・・ひっく・・・」
中澤はそっとりんねの肩に手を回すと、力強く抱き締めた。
「あんたがしっかりせな・・・、あんたがしっかりせなあんたの生徒はもっと不安
がるやろが!もう・・・しっかりしぃや!!」
そういう中澤の声も涙声だ。中澤はりんねの背中を何度も叩きながら、しっかり
しぃや!しっかりしぃや!と呟き続けている。まるで、自分に言い聞かせるかのよ
うに。平家は、そんな二人をただ見つめていた。本当に、ただ、見つめているだけ
だった。
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)11時05分33秒
- 「ねぇねぇ!新聞見た〜!!?」
「見た見た!!マジびびったって!!まただよ、また〜!!」
窓の外から生徒達の喧騒が聞こえてくる。もう登校時間になったのか、平家はち
らっと壁にかけられた時計を見た。いつ電池が切れたのだろう、時計は8時41分
を示したまま、動かなくなっていた。
仕方がないので携帯電話を取り出し時間を確認すると8時14分。HRが始まるのは
8時30分からなのでまだまだ余裕のある時間だ。
平家は机のグラスを手に取るとよく冷えたアイスコーヒーを口に含んだ。カラン
という氷の音が耳に心地いい。
特別教室が並ぶ2号館は、本館と渡り廊下でつながっている。そのため、2号館
3階に位置する生物室、そしてその隣にあり今平家がいる生物準備室に生徒が
訪れるのは授業時のみ。ここは隔離された空間なのだ。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)11時07分06秒
- 「静かや・・・」
平家は呟いた。HRが始まったらしく、もう外から生徒達の声は聞こえない。時
折セミの鳴き声がする程度だ。
ここは私立朝比奈学園。中高一貫教育の女子高だ。清く、正しく、美しく、を
モットーに昭和後期に設立された歴史も伝統もほとんどない学校だ。平家はこ
こで生物教師を勤めている。クラスは受け持っていない。少子化の影響なのか、
ここ数年で生徒数は激減し、その結果、教師の数も余っているのだ。そんなわ
けで、平家は自分の担当する授業がない時はいつも、この生物準備室でヒマを
潰している。
教師としてのやりがいも特になく、悪く言えばただの給料泥棒だ。
しかも朝比奈学園で生物を担当している教師は平家だけなので、生物準備室はほぼ
平家の私室と化している。事務棚の上にはプーさんのぬいぐるみがあったり本棚に
は漫画本が並んでいたりとやりたい放題だ。おまけに小さな冷蔵庫まで勝手に持ち
込み、そこにはアイスコーヒーやお茶に混じって酒まで常備されている。まぁ、こ
の準備室をわざわざ訪れるのは親しい生徒達ばかりなので特に問題はない。時に
は、この冷暖房完備の準備室をまるで保健室代わりに利用しさぼっていく生徒も
いる。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)11時08分20秒
- 「はぁ・・・ヒマ・・・」
そう言うと平家は、机にうつぶせになった。仕事がなくて楽と言えば楽なのだが、
こうもヒマだとなんだか自分が情けなくなってくる。
「りんね、ちゃんとやっとるんかなぁ・・・」
朝の情景が浮かんでくる。泣いていたりんね。必死に元気付けようとしていた中
澤。そして、何もできなかった自分・・・。どうしようもない無力感が押し寄せ
てくる。
キィ・・・
そっと生物準備室のドアを開け、誰かが中に入ってきた。ぼーっと考え事をしてい
る平家は、まったくその気配に気付いていない。
「はぁ・・・あたしはダメダメ人間や〜〜・・・」
足音をたてないようその誰かは平家の背後に忍び寄る。
「ダ〜メダ〜メ〜・・・そんなん言うたらダ〜メダ〜メ〜・・・・」
通常の人間よりも少し鈍いのか、それとも昨夜の事件のストレスからか、平家はま
だ気付かずにわけのわからない独り言を呟いている。何故か微妙にメロディーがつ
いているあたりが妙に笑える。平家の後ろに忍び寄っている誰かも、必死に笑いを
堪えている。胸元で揺れる制服のリボンはえんじ色。高等部の2年だ。
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)11時09分02秒
- 「ダメダメ〜・・・・メ〜・・・・・・メェ〜〜〜・・・」
もはや何を言っているのかまったくわからない。羊の物まねまで始めている。
肩を小刻みに震わせながら、もう我慢できない!とばかりに誰かは平家の首筋に
そっと手を伸ばした。平家はまだ羊だ。
「メェ〜〜〜〜・・・・メェ〜・・・メ゛ェ〜〜・・・」
ガシッ!!
「イヤァーーーーーーーー!!!!!!」
後ろからいきなり抱き疲れ平家は思わず大声を上げた。
「イヤッ!!誰!?誰なん!!?やめて!!堪忍してーーー!!!」
ばたばたともがきながら、必死で首に巻きつかれた手を離そうとする。
ドスッ!!
バランスを崩した平家は、勢いよくイスから転げ落ちる。
「ヤダ!!やめ・・・・て・・・・?」
床の上で仰向けになった平家の顔にふっと影が落ちる。にやにやと笑いながら
平家の顔を覗きこんでいる誰かの姿を確認した瞬間、先ほどまで半泣きだった
平家の表情が一変する。
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)11時10分17秒
- 「ごとー」
眉間にしわを寄せ、平家はムスッとした顔で上から自分を楽しそうに眺めている少
女を睨みつけた。
「へへっ。びっくりした?」
「ごとー」と呼ばれた少女は、にへらっと笑った。自分の計画が成功したことが心
底嬉しそうな笑顔だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・別に」
平家はプイと横を向いた。
「うっそ。すごいびびってたじゃん?堪忍して〜〜〜って」
そう言うと後藤はまだ平家の首に回していた腕をぐっと上にあげた。首に手を回さ
れたまま倒れたため、ちょうど後藤に膝枕をしてもらっているような体勢になって
いた平家は、今度は軽い首吊りの体勢へと移動させられた。いたずらっぽく笑った
目が、ちょうど10センチ程上に見える。
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時24分36秒
- 「ちょ・・・苦しい・・・」
平家は少し顔をしかめると、首に回された手をほどこうとする。だが平家の意思と
は逆に、手はますます締め付けを強くする。
「キスしてくれたら離してあげる」
すっと目を細めると、後藤は笑いながら言った。その表情はもう少女と呼ばれる位
置に属するもののそれではない。
「・・・・・やだ」
「なんで?苦しいでしょ?」
後藤の目は笑っている。確かに多少は苦しいが、平家はなんだかこのまま言い
なりになるのが少し悔しくなった。仮にも教職についている人間が生徒のなすがま
まと言うのは納得がいかない。
「全然苦しないで?せやからチューせぇへん」
平家は勝ち誇ったように言い放った。当てがはずれたのか、目の前の少女は少し
悔しそうな顔をする。
勝った・・・。平家は心の中でグッとガッツポースを決めた。が、次に後藤の口か
ら発せられた言葉は、平家の勝利をいとも簡単に打ち砕いた。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時25分10秒
- 「じゃあいいよ、別に。無理矢理するから」
そう言うと後藤は、自分の唇を力強く平家の唇に押し付けた。
「んっ・・・ん〜〜〜ん〜〜!!」
苦しい。ただでさえ首を締められている上に口まで塞がれて息がしづらい。平家の
鼻孔が空気を求めるようにひくひくと動く。後藤はそんな事にはお構いなく、平家
の唇を貪りつづけている。
もう限界だ。平家はありったけの力で後藤を突き飛ばした。
「はぁ・・・!!はぁ・・!!・はぁ・・・!はぁ・・・」
空いた唇から空気を思いっきり吸い込む。死と言うものは案外身近にあるのかも
しれない。平家はぼんやりとそう思った。
だが状況は、平家をぼんやりとはさせてくれなかった。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時25分44秒
- 「平家さん!ひどいよ!なんでいきなり突き飛ばすんですかぁ!!?」
なんで・・・?殺人未遂を犯した人間の口から何故そんな言葉が出てこようか。平
家の心にふつふつと怒りが湧いてきた。
「アホかー!息できやんくて死ぬかと思ったわ!ほんまに死ぬかと思ったわ!!」
「でも突き飛ばすなんてひどいよ!あたしはただキスしただけじゃん!!」
だけ・・・?キスしただけ・・・?・・・どこが?
「なんでそう言うことすんの!?ひどいよ平家さん!!」
ひどい・・・?あたしが・・・?・・・なんで!?
「ひどいよ・・・そんなに・・・そんなに怒鳴んなくてもいいじゃん・・・」
後藤の目は涙ぐんでいる。女の涙の力というのは凄まじい。何故ならば、自分が
悪くないはずなのに、何故か自分が悪いかのような錯覚に陥ってしまうからだ。
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時26分31秒
- 「あ、あの・・・後藤?・・・その・・・ごめんな。そんなつもりやなかって
ん・・・」
平家はそろそろと後藤に近づいていく。どうも昔から人に泣かれるのは苦手だ。
俯いているため、後藤の顔は良く見えない。小さな嗚咽が聞こえる。平家はな
んだかいたたまれない気持ちになった。
「ご、後藤?ほんまごめんな・・・・その・・・なんか・・・」
泣いているのかな?平家が恐る恐る後藤の顔を覗き込んだその瞬間、
「じゃあも一回チューしよ♪」
そう言うと後藤はニコっと顔を上げ、そのまま平家の唇を奪った。
(嘘泣きかい!!!)
そんなツッコミを入れる間もなく、平家は床に組み敷かれた。平家の口内では、
後藤の舌が好き勝手に動き回っている。
騙された・・・また騙された・・・。ねっとりと絡みつく後藤の舌を味わいなが
ら、平家はなんだか泣きたくなっていた。
- 16 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時27分05秒
・・・・・・・・・・・
ふと、昔の事を思い出した。昔と言ってもまだあれから一年も経っていない。何故
あんな事をしたのか、今ではもうよく思い出せない。自分の中にあんな激情が眠っ
ていただなんて、その時まで知らなかった。
今でもまだ消えない。手にあの生ぬるい感触が残っているかのようだ。気持ちが
悪い。でも・・・・・・・最高に楽しかった。
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時27分40秒
――――――――
「ほんでやなぁ、この織田信長のすごいところは、初めて鉄砲使ったとこやねん。
正式には火縄銃言うねんけど・・・・」
午後イチの授業。黒板の前で熱弁を振るう稲葉先生の声さえ子守唄のように
聞こえる。
(マジねむい・・・)
後藤の意識はもうろうとしている。ふと隣を見ると、柴田が頬杖をつき気持ちよさ
そうな寝息を立てている。前の席の吉澤にいたっては机に突っ伏して爆睡中だ。
(てかみんな寝てんじゃん・・・。あたしも寝ちゃおっかな〜〜・・・)
「わかるか!?この戦法が現代の戦争にも繋がってきてんねんで!なぁ!?」
(・・・やっべ。目ぇ合っちゃったよ。もう知んない。寝よ・・・おやすみ〜)
こうして、後藤の意識は消えていった。
- 18 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時28分13秒
- 「本能寺の変。これは有名やからみんな知っとるやろ?そう、信長が家臣の
明智光秀に殺されてまうねやなー」
稲葉の熱弁は相変わらず続いている。額にはきらきらと汗が光っている。ただ座っ
ているだけでも汗ばんでくるこの気候のなか、よくそこまで真剣に授業ができるも
のだ。
平穏な午後の授業風景。この学園から何人の死者がでようとも、何十年も繰り返
されたこの光景が変わることはほとんどない。みな、対岸の火事なのである。
ガタンッ!!
平穏な空気を乱すかのように突然イスの倒れる音がした。
「おおぅ!な、なんやびびった〜」
一人の生徒がいきなり立ち上がった。口元を抑えて気分が悪そうだ。
「ん?後藤?どないしたんや?気分でも悪いんか?」
後藤の顔面は蒼白だ。机の一点を見つめたまま微動だにしない。
「後藤?どないしたんや?顔色悪いで?」
心配そうな稲葉が近寄って来る。居眠りをしていた生徒達も先ほど音で目を
覚まし、教室はざわざわとした空気に包まれた。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時28分55秒
- 「ごっちん、どうしたの?」
前の席の吉澤が振り返る。周りの席の者もみな心配そうだ。
「後藤、自分保健室行った方がええで。ちょお誰か連れてったって・・・・」
「・・・・!!」
稲葉が後藤の肩に触れようとしたその時、堪えきれなくなったかのように
後藤が勢いよく教室を飛び出した。
「ちょ!?後藤!!?どないしたんや!!?後藤!!?」
後ろの方から稲葉の声が聞こえてくる。だが後藤にはどうでもいい事で
あった。
(気持ち悪い!気持ち悪い!)
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時29分31秒
- 後藤はトイレに駆け込むと一気に胃の中のものを吐き出した。もう出すもの
がなくなり、胃液だけになっても、それでも後藤は吐き続けた。
(気持ち悪い!気持ち悪い!気持ち悪い!気持ち悪い!!)
その時、ふっと背中に手を当てられた。ちらりと振り返ると、稲葉がそっと
後藤の背中をさすってくれている。
「気持ち悪いんか?大丈夫か?」
じわっと、後藤の目に涙が浮かぶ。その顔は、恐怖に歪んでいた。
「ご、後藤・・・?」
「先生ぇ・・・気持ち悪い・・・気持ち悪いよぉ・・・・・・」
後藤は、稲葉にしがみつくと、まるで子供のように泣いた。身体の震えが
止まらない。子供のように泣きじゃくる後藤を、稲葉はただわけも分からず
抱き締めるだけだった。
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時30分07秒
- 「と言うわけで、今回の一連の事件が生徒達にかなりの影響を与えている
事は確かやと思います。幸い後藤さんはもう落ち着きを取り戻しましたが、
今後とも配慮が必要やと思います」
放課後に開かれた緊急職員会議。稲葉は今日の授業中に起こった事を
簡単に説明した。りんねのクラスでも、希美と仲の良かった生徒が今日は
学校に出てきていないらしい。
生徒達は感受性の強い時期だから慎重に接するように、と言う学園長の
ありきたりな一言で会議は終了した。
学園長の話し振りでは、警察は犯人の手がかりをまったく掴めずにいる
らしい。
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時31分02秒
- 平家は配布された『今後の対策(5件目)』と書かれた薄っぺらい冊子を
手にとると席を立った。出口に目を向けると、ちょうどりんねが出て行く所
だった。
「りんね、りんね」
「あ・・・平家先生・・・」
一日中泣いていたのだろうか。りんねの目はまだ赤く腫れぼったい。
「大丈夫やった?生徒達も・・・・その、あんたも・・・」
「ありがとうございます。でも・・・生徒達はやっぱりショックがひどくっ
て・・・今から加護ちゃんの家に行くんです。今日学校休んだから・・・」
「そっか・・・心配やな・・・」
「うん・・・でも、頑張らなきゃ・・・辛いけど頑張んなきゃ!」
まるで自分に言い聞かせるかのように、りんねは自分の頬をペチっと叩いた。
「・・・せやね」
じゃあ、と軽く頭を下げると、りんねは職員室へ向かっていった。彼女の言葉
とは裏腹に、その背中はとても脆く、少し触れただけで壊れてしまいそうな、
そんな背中だった。
- 23 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時35分04秒
- 現在時刻は4時24分。勤務時間終了まであと36分。平家は白衣のポケット
に手を突っ込むとカツカツと生物準備室へと向かった。教師の数の多いこの
学園の職員室には彼女の机を置くスペースはない。机が置かれているのは
クラス担任をしている教師のみで、他の者はそれぞれの科目の準備室に
生息している。
渡り廊下にさしかかった時、平家はふと立ち止まった。彼女の視線の先に
は、裏庭に設置されている鐘がある。鐘といっても授業のチャイムとして
使われているものではない。この学校の創立時に、地元の名士が寄贈し
てくれたただのオブジェだ。もちろん鳴らせば鳴るであろうが、今はもう、
この鐘を鳴らす者はいない。
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時35分35秒
- この鐘を見ると、平家はいつもある生徒の事を思い出す。今回の連続殺人
事件の一年近く前暴漢に襲われ殺害された生徒がいた。当時中等部3年
だった松浦亜弥だ。彼女のクラスは生物の授業はなかったが、当時平家は
ベルマーク委員会というわけの分からない委員会の顧問をしており彼女は
クラスのベルマーク委員だった。いつも明るくて元気で、はっきり言って平
家も含め真剣に活動する気がまったくない生徒達の中、一人はりきって仕
事をしていた。ベルマークでピアノをもらいましょう!などとよく言っていた。
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時36分06秒
- きっと波長が合ったのだろう。彼女は平家に懐いており、昼休みや放課後
など、よく生物準備室に顔を出していた。同じころから顔を出し始めていた
後藤と一緒に、若者特有の無邪気な発言で平家の心を深く傷つける事も
しばしばあった。もっとも、平家の見る限りでは後藤はあのような正統派美
少女!というタイプは苦手なようであったが・・・。そんな松浦が、毎朝教室
に向かう前に祈りを奉げていたのが、この鐘だ。何を願っていたのかは知
らないし、今ではもう知りようもない。まったくの余談ではあるが、以前中
澤が、「なっちと松浦・・・うちは一体どっちを選んだらええねや・・・。そん
な・・・うちにはそんなん選べへん!!」などとわけの分からない事を真剣
に悩んでいた事もあった。そんな子だ。
- 26 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時36分36秒
- 平家はそっと裏庭に降りると、鐘の前に近づいた。
(そういえばここに立つの初めてやな・・・。いっつも亜弥ちゃんがおるの
見てただけやし・・・)
職員用玄関に行くにはこの裏庭を通るが、鐘は玄関とは反対側に位置
していたので、特別な用がない限り教師が立ち寄る事はない。
平家はそっと手を伸ばし、雨風にさらされぼろぼろになった紐を掴んだ。
そしてゆっくりと左右に振る。
カランカラン・・・
長い年月外に放置されている為か、鐘の音は鈍く聞こえた。
(亜弥ちゃんの時は・・・もっときれいな音やったのにな・・・)
過去を懐かしむかのように左右に揺れる鐘をしばらく見つめた後、
平家は無言で生物準備室に向かって歩き始めた。
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時37分07秒
- ガチャッ
そろそろ帰り支度でもしようかと平家は生物準備室の扉を開けた。と、何故か
後藤が平家の事務机に座って何かしている。
「・・・後藤?自分何してんの?」
「・・・・・おかえり」
後藤はかなり低いトーンでぼそっと言うと、再び視線を机に戻した。その表情は
恐ろしい程に無表情だ。
「えーと、あの後藤さん?・・・・な、何をしてはるんですか?」
後藤の様子にかなり怯えながらも、平家はそっと机に近づいた。
「・・・・・・ペンギン」
ぼそっと後藤は呟く。今度は平家に視線を向けることはない。平家が後藤の
手元を覗き込むと、何やら紙切れの裏にボールペンでペンギンを書いている。
微妙にぶさいくだ。
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時37分43秒
- 「・・・えと、それが・・・・何?」
後藤の手がピタリと止まる。まずい、地雷を踏んだのか!?平家の顔が
一瞬にして恐怖に引きつる。
だが、後藤は何のアクションも起こさない。ただ自分の書いているペンギン
をじっと見つめているだけだ。
「・・・・あの〜」
沈黙に耐えられず平家が口を開いたその時だった。
ぽとり、ぽとりとペンギンの上に水滴が落ちる。水に塗れて、ぶさいくなペンギン
はよけいブサイクに見える。そんな事にはお構いなく、後藤の肩はぶるぶると
震えている。
「どないしたんや?なぁ、後藤?」
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時38分21秒
- 平家は後藤の肩を強く抱いた。こんな後藤は初めてみる。どうしていいのか
分からず、平家がおろおろしていると、後藤は勢いよく顔をあげた。その顔は
もう涙と鼻水でベトベトだ。
「平家さぁん・・・・あたし怖いよぉ!!!」
そう言うと後藤は、平家の薄い胸にしがみつき激しく泣きじゃくった。状況が
まったく理解できず、平家はおろおろするばかりだ。
「ご、後藤落ち着いて!落ち着いて!!」
「怖いよぉ!怖いよぉ!!」
後藤はもうパニック状態だ。一体どうしたのだろうか。何も分からない平家は、
ただ後藤を強く抱き締めるだけだった。
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時39分01秒
・・・・・・・・・・・
何がきっかけだったのだろう。ほんのささいな一言だったような気もするし、何か
重大な事だったような気もする。
今でも信じられない。でもあれは、まぎれもない事実だ。何度も夢だと思い込もう
とした。でもあれは現実だ。
目がチカチカする。まるで、真っ赤なカラーコンタクトでもいれているかのよう
だ。気分が悪い。でも・・・・・・・またやりたい。
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時39分37秒
――――――――
夜の闇が世界を覆いつくしている。夜の学校はとても静かだ。先ほど警備員が
見回りにきたが、外から鍵の確認をするだけで、室内にまでは入ってこない。
平家は泣きつかれて眠っている後藤をそっと抱き締めていた。夕方の取り乱し
方は尋常ではない。後藤の身に何が起こったのか、平家にはまだ分からない。
コツコツコツ・・・
ふいに、廊下の方から足音が聞こえる。おかしい。警備員なら先程見回りに
来たし、この学園の警備は一晩に二度も見回りをするほど厳重ではない。
事件の直後だからなのかという考えが頭をよぎったが、先程の見回りから
まだそれ程時間はたっていない。それにここは2号館。盗られて困るような
ものはないし、生徒達ももういないはずだ。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時40分12秒
- (つーか今何時やねん・・・)
平家は壁にかけられた時計をみると、針は8時41分を指している。そういえば
この時計は朝から止まったままだった。時計が設置されている事が一般的に
なっている世代で育った平家は、時間がわからない事に不安を覚えた。
(さっさと電池換えといたらよかった・・・)
腕時計をする習慣のない平家は、眠っている後藤をそっと床に置くと、白衣の
ポケットから携帯電話を取り出した。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時40分47秒
- 8時41分。携帯の小窓から見えるデジタル文字は、偶然にも止まった時計と
同じ時刻を示していた。
(・・・こんな時間に誰やろ?)
平家は後藤がよく眠っている事を確認すると、そっと生物準備室を後にした。
夜の学校というのは何となく薄気味悪い。平家は廊下に設置されている非常
用の懐中電灯を手にすると、カチっとスイッチを入れた。
(・・・・あかん。怖い。でももしも何かあったら困るし)
必要以上にキョロキョロしながらしばらく廊下を歩いていく。だが、何の異常も
ない。やはり自分の聞き間違いだったのだろうか?今からでも準備室に戻っ
て、内線で警備員を呼ぼうかなどと考えながら階段を降りたその時だった。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時41分22秒
- 「みっちゃん・・・」
「・・・・!!!!!!!!」
声にならない悲鳴をあげ、平家はその場に座り込んだ。腰が抜けたのだ。
聞こえた。確かに聞こえた。誰かが自分を呼ぶ声。恐怖のあまり、平家は
ぎゅっと目を閉じた。何も聞こえない、何も見えない。あたしはここにいま
せん!!!
「ねぇ、みっちゃんってば・・・」
(嫌や!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!誰か助けて!!!)
「もう〜、みっちゃん!」
ガシッと肩を掴まれ、思わず平家は目を開けた。眼前には、ぼんやりと
大きな目が浮かんでいる。殺される!平家は本能でそう悟った。
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時41分54秒
- 「みっちゃん!カオリだよ、カ・オ・リ。そんな怯えないで」
「・・・・カ・・オリ?」
平家は何度も瞬きを繰り返した。確かに目の前にいるのは高等部3年
の飯田圭織だ。暗闇に浮かぶ飯田の顔を見たとき、なぜか平家の頭に
は髪の伸びる日本人形の怪談話が浮かんでいた。
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時42分29秒
- 「うぅ・・・う・・・カオリぃ・・・うっく・・・怖いやんかぁ・・・・・・・」
極度の緊張から解放されたせいか、平家の目からは大粒の涙がこぼれた。
「あーもー泣かないでよみっちゃん。てゆーかカオリが何で怖いのよ」
飯田は少しむっとした顔をした後ふっと笑顔を浮かべ、そっと平家の頭を撫
でてくれた。その様子はまるで親が幼子を慰めているかのようだ。一方の
平家は、安心したせいか涙が止まらない。
「はいはい、もういい年して泣かない、泣かない。ね」
「怖かってもん・・・・ひっく、ほんまに怖かってんもん・・・うぅ・・・」
月明かりがさしこむ階段の踊り場で、平家はしばらく泣き続けた。
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時43分05秒
- 「ところでみっちゃん、こんな時間に何してたの?」
平家の涙がおさまってきた頃、ふいに飯田が尋ねた。平家の頭にぱっと
後藤の姿が映る。
(やばい、忘れてた・・・)
まさか泣きじゃくる後藤をずっと慰めていて、眠ってしまったので起きる
まで待っていますなどと、平家の立場上絶対に言う事はできない。後
藤との関係がばれてしまう恐れがあるからだ。
- 38 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時43分43秒
- 「あ、あたしはまぁ・・・いろいろと。その仕事とかあって・・・・。それより
カオリ。自分こそこんな時間に何してんねん?あんな事件があった後やし、こ
んな時間に出歩くんは感心できひんで?」
自分の事を棚にあげてよく言うものだ。平家は言い方を間違えたかと少し
不安になった。
「カオリはお弁当箱取りに来たの」
「はぁ?」
弁当箱を取りに来た?なら何故にこんな所にいるのだろう。教室があるのは
本館だ。平家の疑問を察知した飯田は言葉を続ける。
「カオリ今日音楽室でご飯食べてたの。だってあそこ冷房効いてるじゃん。そ
んで、食べ終わった後ピアノとか弾いてたらお弁当箱忘れちゃったってわけ」
なるほど。それならば納得がいく。
「しかも今夏じゃん?やっぱ一晩置いとくのってなんか怖いし。臭いとか」
結局、音楽室の鍵が開いていなかったという理由で飯田は帰ろうとした。そこに
平家が現れたと言うわけであった。
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時44分13秒
- 気をつけて帰るようにと言う平家の言葉に軽く手を振ると、飯田は裏門から帰って
いった。本当なら家まで送っていくべきなのだろうが、後藤の事を放っておくわけ
にはいかない。結局裏門まで飯田を送り、平家は眠り姫後藤の待つ生物準備室
へと戻っていった。
- 40 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時45分01秒
- キィ・・・
静かにドアを開け、平家は室内に入った。後藤はまだ眠っている。
(はぁ・・・疲れた・・・)
眠っている後藤の横をすり抜けると、平家は冷蔵庫を開け中からアイスコーヒー
を取り出した。先程の件のせいか、妙にのどが渇いている。コップに注ぐのももど
かしく、平家はペットボトルに入ったアイスコーヒーを4分の1程一気飲みした。
すっと気持ちが楽になったような気がする。
少し汗ばんだシャツの胸元をぱたぱたとさせると、平家はゆっくりとイスに腰をお
ろした。
(・・・この子、どないしよ)
平家はふと後藤を見た。起きる気配はまったくない。そろそろ起こした方がいいの
だろうか?だが、本当に気持ちよさそうに眠っている。
(ふふ・・・かわいい寝顔やな〜。いつ見ても飽きひんわ・・・)
平家が目を細めて後藤の寝顔を眺めていると、無機質な電子音がけたたましく鳴り
響いた。
- 41 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時45分38秒
- ピロッピロピロロ〜〜ン♪ピロリロリンリン♪ピロリンリン〜♪
「・・・びっ・・・くりした〜」
どうやら携帯電話の着信音のようだ。だか平家のものではない。
と言う事は・・・。
「うぅ〜ん・・・うるさい・・・」
余程気持ちよく眠っていたのか、後藤が不機嫌そうにぼやいている。
「後藤、起きなさい。電話鳴っとるで。後藤!」
平家がまだ寝ぼけている後藤の制服のポケットから携帯電話を取り出すと、小窓に
は『お母さん』という文字が映し出されている。
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時46分13秒
- 「後藤!起きなさい!お母さんから電話やで!ほら!!」
その声で後藤は一気に目を覚ました。
「ええ!お母さん!?え、待って?何で真っ暗!!?今何時!!?」
「ええから早く出なさい」
そう言うと平家は携帯電話の通話ボタンを押し、後藤に握らせる。
「あ、もしもしお母さん。ごめん、大丈夫。うん、今まだ学校・・・」
どうやら娘の帰りが遅い事を心配して電話をしてきたようだ。あんな事件があった
後では心配して当たり前だ。
(先にお母さんに連絡しとくべきやった。なんで気付けへんかったんやろ・・・)
心配する母親に大丈夫だよ、大丈夫だよと言い続ける後藤を見て、平家は心から
謝罪した。そして同時に、自分の配慮のなさ、鈍感さに悔しくなった。
- 43 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時46分43秒
- なんでいつも自分はこうなのだろうか。松浦の時も・・・あの時自分がもう少し注
意して、周りに気を使っていたら、多分あんな事にはならなかった。情けない、本
当に自分が情けない・・・。平家の胸に、どうしようもない後悔が襲い掛かってき
たその時、後ろか
ら後藤が声をかけた。
- 44 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時47分25秒
- 「平家さん・・・ごめんなさい。あたし寝ちゃって・・・」
「あたしの方こそほんまごめん。お母さんにまで心配かけさせてもうて・・・」
「ううん、大丈夫。それにお母さんにはちゃんと言っといたから。今日は友だちの
とこ泊まるからって」
後藤は何も心配しなくても大丈夫と言うようににっこりと笑った。その笑顔を見た
とき、平家の胸につかえていたもやもやが一瞬ですっと消えた。多分母親にいろい
ろと怒られただろう。だがそんな様子を微塵も見せない後藤に、平家は妙な安心感
を覚えた。
「あ、せや。泊まるって誰んとこ?心配やから送ってくわ」
帰り支度をしながら、平家は後藤に尋ねた。やはり先程思い出した松浦の件が、
まだ心のどこかに引っかかっているようだった。
「ありがと。じゃ、お願いします」
後藤は再びにっこりと笑った。だが、平家はこの時気付くべきだったのだ。先程の
屈託のない笑顔とは違い、今の笑顔の裏に隠された後藤の真意を・・・。
- 45 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時47分55秒
- 「なぁ、ほんまに誰んとこ行くん?もうここあたしんちやで?」
街灯に照らされた遊歩道を歩きながら、平家はそう尋ねた。
「うん。だって平家さんち行くんだもん」
「・・・・・・・・」
後に後藤は語っている。人は本当にびっくりすると何も言葉がでなくなる、と。後
藤の言葉通り、10秒近く声を失った平家はようやく喉から声を絞り出した。
「な・な・な・・なんでやねん!?そ、そんなん聞いてへんで!!?」
「だって言ってないもん」
「だ・・・・、あ、あかん!ダメ!!あかんあかん!そんなんあかん!!」
「なんでー!?いいじゃん別にさぁ!泊めてよぉーー!」
「あかんあかんあかん!そんなん・・・もしも学校にばれたら大変な事になってま
う!」
「あたしと平家さんが言わなかったらばれるわけないじゃん!大丈夫だよー!」
「そ、それはせやねんけど・・・でも・・・」
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時48分34秒
- 平家は明らかにうろたえている。そんな平家を見ていると、後藤はこの年上の女の
人がかわいくてしょうがなくなる。かわいくてかわいくて、もっとうろたえさせた
いとかもっと苛めたいとか、そんな気持ちが抑えきれなくなる。自分に少しSっ気
があるのは随分前から知っていた。だからこそ、時折見える平家のMな部分が、後
藤の心をピンポイントで刺激するのだ。
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時49分39秒
- 後藤はくすっと微笑むと、そっと平家の耳に顔を近づけた。
「ね、・・・泊めてください」
言葉のラストでふっと耳に息を吹きかける事は忘れない。耳は平家の性感帯の一つ
だ。平家の耳が目に見えて赤くなる。それを確認すると後藤の目が意地悪く笑う。
それはもう16歳の少女の目ではない。
「ね・・・」
後藤はそっと平家の耳を甘噛みする。
「ちょ・・・あかんて・・・だめ・・・」
ぐいぐいと自分に押し寄せられる後藤の身体を、平家は必死に押し返そうとする。
しかし、いかんせん基礎体力が違う。平家の身体はいつのまにかブロック塀に押し
付けられていた。
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時50分23秒
- 「だめなんですか?・・・じゃあさ、ここでしよ?」
後藤の手はもう服の上から平家の胸をまさぐっている。
「んっ・・・あ・・かん・・・て・・・・あっ・・・」
自分を押し返そうとする平家の腕の力がどんどん弱まっていく。ここぞとばかりに
後藤は平家を攻め始めた。
右手で器用にシャツのボタンをはずし、すっと手を滑り込ませる。ブラの上から揉
む平家の胸は、小ぶりだが手に心地いい。同時に左手は腰のあたりに滑らせる。唇
はまだ耳を責め続ける。キスをしたい気持ちもあるが、もっと平家の声を聞きたい
からだ。
- 49 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時50分57秒
- 「んん・・・・はぁ・・・・んっ、・・・・」
ブラの上からでも乳首がたっているのがわかる。
「ふふ・・・エッチ。平家さん乳首たってますよ・・・」
「や・・・言わんといて・・・あ・・んんっ・・・!」
指先で乳首を軽くつつく。平家の身体が一瞬震える。
「気持ちいい?ねぇ・・・もっとして欲しい?」
首筋に舌を這わせながら後藤は聞く。
「は・・あっ・・・・そんなん・・・や・・・あ・・・」
「ねぇ、答えてくださいよ。気持ちいいですか?」
後藤は腰のあたりをまさぐっていた左手をすばやく平家の内腿へと移動させる。そ
して、付け根のあたりを指先で軽くなぞる。
「あっ・・・・はぁ・・・・あぁ・・・・」
平家の声がより一層艶っぽいものとなる。もっと声が聞きたい。もっといやらしい
声を出して欲しい!後藤の行為はどんどん激しさを増していった。
- 50 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時51分27秒
- 先程から思考がうまくまとまらない。身体が熱くて言うことを聞いてくれないの
だ。後藤との行為はいつもこんな感じだ。平家が一方的に攻められる。例え最初は
平家がリードしていても、いつのまにか立場が逆転してしまうのだ。だが、そんな
事はもうどうでもいい。もう平家は我慢の限界だった。焦らすような後藤の指先に
ずっと苛々しているのだ。もっとして欲しい。もっと気持ちよくして欲しい。
平家の頭の中もう快感の渦の中だ。
「ね・・・ごと・・・部屋、行こ・・・。も・・・あかん・・・」
「・・・別にあたしはここでもいいですよ」
後藤はわざと意地悪く答える。平家が外でするのにまだ抵抗がある事を知っての
発言だ。
「そ・・・んっ・・・。そんなん・・・・やっ・・あかん・・・いこ・・・」
後藤の指先はまだ平家を焦らし続けている。
- 51 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時52分06秒
- 「ね、平家さん・・・どうしても部屋行きたい?」
「・・・うん」
「じゃあ、部屋でもっと苛めてくださいって言って。そしたら行く」
自分の発言に、後藤の胸は昂ぶっている。言わせたい、平家に。自分より年上の
女性。自分を教える立場にいる女性。後藤の本質が溢れ出てくる。
「や・・・・そんなん・・・いや・・や・・・」
「言って。・・・でなきゃここでする」
後藤の左手がパンストの上から平家の秘所をぐっと押す。
「んっ・・・!あっ・・・あっ・・あっ・・・・」
更に指に力を込めると、軽く円を描くようにゆっくりと動かしていく。
「言って・・・・ねぇ・・・言って!」
後藤の口調が強くなる。後藤自身も、もう感情の昂ぶりを抑えることができないの
だ。
「あっ・・・んん・・・へ、へやで・・・い・・いじめてくださ・・・い・・・」
そのまま後藤は平家の唇を奪った。薄く開いた唇をこじ開け、無理矢理舌をねじ込
む。
もう限界だ。今の言葉でアウトだ。後藤はもう平家が欲しくてたまらなかった。
- 52 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時52分59秒
- 「む・・・んんっ・・・・・あ・・・っはぁ・・・ま、まって・・・」
平家の静止を無視して、後藤は唇を吸い続ける。気持ちがいい。やめたくない。外
でしているから、それを平家が嫌がっているからこんなにも興奮しているのだろう
か。
「待ってって!」
平家がぐっと後藤の顔を両手で挟む。平家の顔はもう真っ赤だ。恐らく、後藤の顔
もそれ以上に赤くなっているだろう。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・なんでとめるんですかぁ〜」
後藤は息を整えながら口を尖らせた。明らかに不満顔だ。こういうところを見ると
やはりまだ子供なのだと実感する。
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時53分45秒
- 「せ、せやかて・・・部屋行くって言うたやん・・・なのに・・その・・・」
「だって・・・」
後藤はぷぅとほっぺたを膨らませた。か、かわいい・・・。平家は思わず微笑んで
しまった。
「なんで笑うの!?・・・むかつくぅ」
「へ?・・・あ、いや別にその・・・なんちゅーか・・・」
「もういいよ!部屋行こうよ、部屋!部屋に行けば好きな事してもいいんですよ
ね!」
「え?あっ・・・ちょお待って・・・」
好きな事してもいいなんて一言も言っていない・・・。そんな平家の心の叫びを無
視して、後藤は平家の腕を掴むとスタスタとマンションの中に入っていった。ただ
その
後藤の横顔が、言いようもないほど真っ赤であった事は平家だけの秘密である。
- 54 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時54分29秒
- 木が見える。森という程の量ではない。恐らく植木か何かだ。地面には一面芝生が
敷き詰められている。学校の裏庭かな。後藤は直感的にそう感じた。だが確証は
ない。なぜなら辺りは真っ暗だからだ。それに後藤の身体も動かない。縛られてい
る。手首に感じるロープのざらざら感が妙に気になる。月明かりに、何かがきらり
と光った。ああ、あの鐘。じゃあここはやはり学校の裏庭だ。渡り廊下を通る時、
いつも目にするあの鐘。特に気にも留めた事のないあの鐘。もっとよく見たいけど
高すぎて見えない。なんでだろう。そうだ寝てるんだ。縛られて地面に転がされて
いるんだ。だから・・・何も・・・・わからないんだ・・・・・・・・
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時55分03秒
- 薄暗い天井が見える。後藤は一瞬自分がいまどこにいるのかが分からなかった。
寝起き時特有の夢と現実の区別がつかなくなる一瞬だった。ふと隣を見ると、
平家が気持ちよさそうな寝息をたてている。
(そっか・・・ここ平家さんちだ・・・)
かぁっと、後藤は自分の顔が赤くなるのを感じた。
(うわぁ〜・・・さっきの事思い出しちゃったよ・・・なんか恥ずかしい)
よくよく部屋を観察すると、ベッドや床には脱ぎ散らかした服が投げ捨ててあり、
ベッドシーツはかなりぐちゃぐちゃ。二人とも真っ裸で布団もろくにかけていな
い。
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時55分37秒
- (・・・風邪ひいちゃうかな?)
後藤は眠っている平家にそっと布団をかけた。そしてそのまま間近で平家の顔を
じーっと見つめる。
(・・・・・キスしたいな)
そう思うと後藤は、指先で軽く平家の唇に触れた。柔らかい感触が気持ちいい。
「・・・んん〜」
平家がもぞもぞと動く。起きる気配はまったくない。
(へへへ〜。平家さんかわいい・・・)
にへら〜と笑うと、後藤は平家の顔を上から覗き込んだ。もっと寝顔を見てみた
い。そんな欲求からだった。
- 57 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時56分08秒
- ふと、平家の頬になにか液体がぽとりと落ちる。
(ん?なんだろう?)
後藤は何気なく自分の頬に触れた。指先に液体の感触がある。
(・・・あれ?あたし泣いてんの?なんで?)
後藤は両手を頬に当てた。やはり泣いている。自分でも気付かないうちに、とめ
どなく涙が溢れ出ているのだ。
(なんで泣いてんだろ?)
だが、涙はどんどん溢れ出てくる。理由はまったくわからない。
「・・・っく。ふぇ・・・・。うっ・・・ひっく・・・・」
涙が止まらない。どんどん悲しい気持ちになってくる。何が悲しいのかすらわか
らない。でも、悲しくて悲しくて仕方がない。
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時56分47秒
- 「・・・ごとー?」
泣き声に気付いたのだろうか?平家がぼんやりと目を開けた。
「どないしたんや?後藤?」
泣いている後藤に驚いたのか、平家は慌てて身体を起こした。
「うっく・・・わかんない・・・なんか・・・わかんないけど・・・・っ、わかん
ない・・・」
後藤の嗚咽はどんどん激しくなる。
「後藤・・・」
平家はそっと後藤のを抱き寄せようとした。平家の手が後藤の肩に触れるか触れ
ないかのその瞬間。後藤の背中になんともいえない悪寒が走った。
「ヤダっ!!」
後藤は反射的に平家の手を払いのけた。平家は何がなんだか分からないという
顔をしている。
「あ・・・・ごめんなさい平家さん!なんかわかんないけど・・!なんか・!!」
恐らく無意識の動作だったのだろう。何故平家の手を払いのけたのかまったく分
からずに後藤は動転している。その間も、後藤の涙は止まらない。
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時57分26秒
- 「後藤、大丈夫やから。なんも怖いことなんてあれへんから・・・」
そう言うと、平家はもう一度後藤の身体を抱き締めようとした。今度は後藤も
抵抗しない。平家の胸に抱かれて、後藤はただ泣き続けた。理由など分から
ない。ただ悲しいのだ。
- 60 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時57分56秒
- 何分そうしていただろうか。平家は後藤の身体に回していた腕をすっと緩めた。
「後藤、もう大丈夫?」
「うん・・・ごめんなさい。なんかわかんないけど泣けてきちゃって・・・」
後藤は恥ずかしそうに笑った。
「やっぱいろいろあんねやろ。事件のショックとか。その今日も・・・」
様子がおかしかった。と言う一言を平家は喉元で飲み込んだ。授業中の後藤の
行動は稲葉から聞いた。放課後の様子も平家は見た。平家から見て、やはり
後藤の精神はかなり不安定なように感じた。でもなんで。今までの事件の時で
も後藤はこれほど取り乱した事はなかった。同じ学年の里田が被害に遭った時
など、少し冷たすぎるのではないかと思われるほど、後藤の様子に変化はな
かった。しかも今回の被害者辻希美とは正直平家が知る限りでは後藤との間
に何の接点もない。顔見知りの里田が亡くなった時は何の反応も示さなかった
後藤が、面識のない辻の死にここまで過敏に反応するなど考えられない。
- 61 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時58分27秒
- そんな平家の思考を感じ取ったのか、ふいに後藤が口を開いた。
「夢をね・・・」
「ん?」
「夢を見るんだ。ずっと・・・」
「夢?」
「そう。なんか最初のうちは何の夢かよくわかんなくって、でも起きたら何か夢
見てたな〜ってそんな感じで。でもね、ず〜っと同じ夢で。何かそんな感じ
してて・・・」
後藤はそこで軽く唾を飲み込んだ。身体が小刻みに震えている。
「んでね、最近なんかすっごいリアルで。今日授業中に見たやつなんかすごい
リアルで・・・。なんかあたしがそこにいるみたいな、そんな感じで・・・」
平家は無言で後藤の話を聞いている。
- 62 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時58分58秒
- 「なんかもう怖くって・・・見ちゃいけないって分かってて、でもあたしはそこに
いて・・・なんか目ぇとかそらせなくって・・・」
後藤はもうガタガタと震えている。平家は後藤を抱くてに力を込め、後藤が口を
開くのを待つ。
「目がね・・・合っちゃって。目が合って、すごい怖くて・・・すごい・・・怖く
て・・・」
後藤は平家の胸に顔をうずめた。涙が平家の乳房を伝っていく。
「もう・・・もう・・・怖い・・・怖いよ平家さん・・・」
そこで平家は初めて口を開いた。空気をかみ締めるかのようにゆっくりと後藤に
聞いた。
「で、それは何の夢なん?」
後藤はしばらくためらった後、思い切ったように平家の目を見つめて言った。
「・・・・・人殺しの現場」
- 63 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)18時59分30秒
・・・・・・・・・・・
夢を見ていた。内容は覚えていないが、あまり良い夢ではなかった気がする。あん
な事があった後だ、夢見も悪くなって当然だろう。今でも目を閉じれば克明に思い
出す事ができる。
あの植木を、あの芝生を、あの月を、・・・・・あの、鐘を。
- 64 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時00分13秒
――――――――
チャッチャララッチャチャチャチャ〜ン♪
チャッチャララッチャチャチャチャ〜ン♪
遠くで何かが聞こえる。それが自分の携帯電話の着信音だと気付くまでに、
平家は数十秒を要した。寝ぼけた頭で携帯電話を捜す。いつもならサイドテー
ブルの上に置いてあるのに見当たらない。
ゆっくりと身体を起こして周りを見回す。・・・後藤がいる。その瞬間、一気に
目が覚めた。そうだ、携帯は鞄の中だ。
チャッチャララッチャチャチャチャ〜ン♪
チャッチャララッチャチャチャチャ〜ン♪
携帯電話は平家を呼び出しつづけている。
鞄!鞄!鞄はどこ!!?
平家はキョロキョロと鞄を探す。あった!目当ての物は、寝室の入り口付近に
コロンと転がっている。平家は慌てて携帯電話と取り出すと通話ボタンを
押した。
- 65 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時00分46秒
- 「はいもしもし平家です!」
『平家先生おはようございます!斎藤です!起きてますか!?」
電話の主は数学担当の斎藤瞳。りんねと同期採用の先生一年生だ。こんな
時間に何だろうと思うよりも先に、斎藤の緊迫した声に動悸が高まる。昨日
の朝も、同じような斎藤の電話で目覚めたから・・・。
「どないしたんや!?また何かあったんか!!?」
平家の声に後藤がのそのそと起き上がる。まだ寝ぼけているようだ。
『先生・・・!また・・・また・・・・!!!』
「まさか・・・・こ、今度は誰なん?」
平家の声は震えている。
『高等部・・・2年・・4組・・・。石川梨華・・・です』
平家は目の前が真っ暗になった。平家は石川の事をよく知っている。去年か
らずっと生物の授業を担当していた。いつも頑張ろう、頑張ろうと前向きで、時
にはそれが空回りしてしまいクラスメイトからうっとおしがられる事もあったが
平家は彼女が好きだった。石川の前向きさが大好きだった。
- 66 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時01分23秒
- 「うん・・・うん・・・分かった。そしたらまた7時40分までに・・・うん、ほな
次は圭ちゃんに回しとくわ・・・うん・・・」
(・・・また誰か殺されたんだ)
後藤はゆっくりとベッドに横になった。もう嫌だ。もう誰かが死んだなんて聞き
たくない。平家の声が聞こえないように、後藤はそっと耳を塞いだ。
- 67 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時01分55秒
- 平家が学校に到着すると、裏門の辺りが騒がしい。犯行現場は裏門か。平家は
ぼんやりと職員用玄関へと向かった。もう、何も考えたくない。
会議室に入ると、そこには見知らぬスーツ姿の男が二人立っていた。
「刑事さんや」
隣の席に座っていた中澤がぼそっと呟いた。平家は黙ってパイプイスに腰を
降ろす。
7時42分、りんねの到着と共に緊急職員会議が始められた。学園長の方を
ちらりと見た後、40代の刑事がホワイトボードの前に立った。もう一人の若い
刑事は、そこに事件の経過を書いた模造紙をマグネットで留めている。
- 68 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時02分25秒
- 年配の刑事が口を開いた。
「えー、真に残念な事にまた新たな事件が発生してしまいました。最初の
事件以来、ずっと警備を強化しておりましたが、このような事になってし
まい、大変申し訳ありません」
ゆっくりと刑事は頭を下げた。顔には本当に悔しそうな表情が浮かんでいる。
よく見るとワイシャツがよれよれだし髪もボサボサしている。もう何日も家に
帰っていないのだろう。後ろで頭を下げている若い刑事も同じような風体で
あった。
- 69 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時02分56秒
- 「えー、今回の被害者は、石川梨華。17歳。死因は紐などによる絞殺です。
暴行の形跡はありません。まだ解剖の結果を待たなければ分かりませ
んが、殺害場所が裏門と言う事なので、昨日の下校時間後から本日の
発見時刻、えー、5時13分の間だと考えられます」
誰も何もしゃべらない。広い会議室に、年配の刑事の疲れた声だけが響
いていた。
- 70 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時03分30秒
- 「えー、一連の事件の被害者、安倍なつみ、大谷雅恵、里田まい、高橋
愛、辻希美、それから今回の石川梨華。何度も事情聴取を繰り返しま
したが、被害者達、あー、石川梨華についてはまだ調べておりません
が、彼女達にはこの学園の生徒であると言うこと以外、特に共通点
が見つからんのです。」
刑事の顔は、苦虫を噛み潰したようだ。通常、連続殺人事件が起きれば
何かしらの共通点があるのではないかと考えるのが一般的だ。しかも
今回の場合は同じ学園の生徒である、という明確な共通点がある。たが、
言い換えると、彼女達の共通点はそれしかないのだ。
- 71 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時04分05秒
- 刑事はまだしゃべっている。どれもニュースなどで流れていたものとまっ
たく同じだ。つまり、捜査はほとんど進展していないのだ。
平家はぼんやりと外を眺めていた。冷房の効いた部屋にいるのでよく
分からないが、今日も暑そうだ。
「・・・・・・の松浦亜弥。彼女を一連の事件に含めるかどうかで捜査本部
も意見が分かれておりまして」
ふいに耳に飛び込んできた名前に平家ははっとした。松浦、この学園の
最初の被害者。彼女を殺した犯人も、未だに捕まってはいない。
- 72 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時04分37秒
- 飯田が石川梨華殺害を知ったのは、朝食時につけていたテレビのニュース
番組だった。信じられなかった。あの石川が死ぬなんて。
飯田と石川は同じ生徒会役員だった。飯田は副会長、石川は書記。生
徒会発足以来、電波系の飯田を石川はよくサポートしてくれた。もっとも、
石川も少し電波っぽいところもあるので、周りの連中は進化の途中で
分裂したのだとよくからかったりもした。そんな時きまって石川は言うの
だ。
「待って下さい。わ・た・し・は!電波系じゃないですよ。ねっ、飯田さん♪」
- 73 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時05分07秒
- 「わ・た・し・は」を強調する。そんな石川の態度に、飯田は不満を覚えながらも
その後に続く「ねっ、飯田さん♪」部分のかわいらしい笑顔についつい許し
てしまうのだ。
その石川が死んだ。昨日あんなに一緒にいたのに。もう石川はいない。
人間とは不思議なもので、周りで事件が起こっていても自分は大丈夫、
自分の周りの人は大丈夫などと思っている。いや、そう信じたいだけなの
かもしれない。とにかく、このニュースは飯田の日常を一瞬にして掻き消し
た。
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時05分47秒
- 月が見える。それに木も、芝生も、鐘も。ああ、またあの夢だ。後藤はぼん
やりと思った。
後藤は知っている。この首をほんの少し下に向けるだけで足が見える事を。
後藤は知っている。この身体をほんの少し下に回すだけで二人の影が見え
事を。
後藤は知っている。この目をほんの少し上に向けるだけで月明かりにナイフ
がきらりと光る事を。
後藤は知っている。この目をしばらくそらさずにいるだけでナイフを持った殺
人犯と目が合う事を。
後藤は知っている。そのまま見続けているだけで殺人犯が自分の方へ近
づいてくる事を。
後藤は知っている。月明かりに照らされるだけで殺人犯の姿が・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 75 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時06分17秒
- ふいに目が覚めた。もう昨日のような吐き気は襲ってこない。後藤はまるで
自分の記憶を確かめるかのように、ゆっくりと口を開いた。
「・・・女?」
もう一度目を閉じる、夢の中の情景を思い出そうと。黒い影が近づいてくる。
輪郭しか分からない。だが、その輪郭は男のものにしては少し華奢すぎる
ような気がする。後藤は目を開けた。ぼんやりと弟の体型を思い出す。
「・・・あぁ、でもあの位の年ならあんな感じかもしんない」
後藤はサイドボードに置かれている時計を見た。針は10時33分を指して
いる。平家が家を出るとき必ず学校に行くようにと念をおされたが、その
後また眠ってしまったようだ。
「・・・完璧遅刻だよ」
そう呟くと、後藤はゆっくりと身体を起こした。先程の夢が頭から離れな
い。あの輪郭、どこかで見たことがあるような気がする。後藤は記憶の
糸をたどった。だが後藤は元々あまり注意力と言うものがない。他人の
身体の輪郭など、そうはっきりと覚えているわけがない。それに大抵の
場合、輪郭を気にするよりも先に顔に目が行く。
- 76 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時06分52秒
- 「・・・だめだ。夢の輪郭わかんなくなっちゃったよ」
まだまだ眠そうな目でそう呟くと、後藤はベッドから降り軽く身体を伸ば
した。もう一度あの夢を見れば犯人の顔が分かるかもしれない。そう思
う一方で、早くシャワーでも浴びて頭をすっきりさせたいと思う後藤がい
る。頭の中で警鐘が鳴っている気がする。見てはいけないと、誰かが
叫んでいる気がする。
後藤はバスルームのドアに手をかけると、少し自嘲気味に呟いた。
「アホらし。ただの夢なのに・・・」
- 77 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時07分25秒
- 熱めのお湯を頭から浴びる。身体中から嫌なものが全部流れ落ちて
いく気がする。
「あ、部屋の冷房いれるの忘れた・・・」
熱いお湯を浴びて火照った身体には、冷房でがんがんに冷やされた
部屋が心地いいのだ。後藤はバスルームを出るとリモコンのボタンを
押した。ピッという音のすぐあと、ウ゛ゥーーンという機会音が響く。室
温設定を23度にすると、後藤はバスルームに戻って行った。
- 78 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時08分02秒
- ちょうどその頃、現場の刑事の携帯電話が鳴った。解剖の結果、犯行
時刻は昨夜8時半頃から10時頃の間の可能性が高いとの報告であっ
た。
- 79 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時08分34秒
- それから数時間後、平家は刑事二人と会議室にいた。犯行時刻がみ
なに告げられた後、平家は自ら自分がその時間に学校にいた事を告
白した。下手に隠して疑われるよりはましだ。そう思い、飯田にも声を
掛けた。彼女は今ドアの外で待機している。平家の次に事情聴取を
受ける予定だからだ。
- 80 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時09分13秒
・・・・・・・・・・・
少し自己嫌悪に陥っている。あんな事をしても何の意味もないのに。
あの子は死んだ。もうそれでいいではないか。
だが頭の中でもう一人の自分が呟く。・・・またやりたい。
それはだめだ。リスクが大きすぎる。
だがまた頭の中から声が聞こえる。・・・だってすごく楽しかったじゃない。
そういえば、あの子はどうなったのだろう。
少し心配だ。監視をした方がいいのだろうか。だが近づけば近づくほど
気付かれる可能性は高くなる。・・・・・・もう少し、考えてからにしよう。
- 81 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時09分47秒
――――――――
「ただいま〜」
玄関に脱ぎ捨ててある一足の靴を発見すると、平家は帰宅のあいさつを
した。普段はしない。一人暮らしだから。
「あ〜、おかえりなさぁ〜い」
奥からテレビの音と共に、少し間延びした声が聞こえる。やはり学校には
行かなかったようだ。声の主―――後藤は床に寝転んでテレビを見てい
た。無論ニュースなどではなくゴールデンタイムのバラエティー番組だ。
「こら後藤!学校行かなあかんて言うたやろ!?」
「だって起きたらもう遅刻だったんだもん。それに・・・行ってもどうせ授業
なんてろくに頭入んないし・・・」
ぼそぼそと言い訳がましい事を口にしながら、後藤はちらりと平家を見上
げた。
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時10分20秒
- 「せやかてさぼりはあかんで、さぼりは〜」
平家は後藤を軽く睨むと、服を着替えるため寝室の方へと歩いていく。後
藤はそんな平家の後姿を見つめている。
「まぁ、確かにろくに授業なんてできひん状況やったけどなぁ。ずっと刑事
さんが捜査とかしてはったし・・・」
寝室から平家の声が聞こえる。後藤の目は、もう平家を見てはいない。テレビ
画面をじっと見つめている。何か面白い事でも言ったのだろうか。テレビ画面
の中でドッと笑い声が起こる。だが、後藤の表情はぴくりとも動かなかった。
- 83 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時10分50秒
・・・・・・・・・・・
まただ、またやってしまった。どうも意思が弱くて困る。
この程度も感情もコントロールできないなんて情けない。もうあれから半年
以上たっている。だがこの胸の昂ぶりは何なのだろうか。あの時の気持ちが
そのままよみがえってくるかのようだ。
だめだ、まだ手が震えている。高揚か恐怖か、そんな事は分からない。でも
そんな事はどうでもいい。最高に楽しかった。
そういえばあの子の事だが、やはり監視をつける事にする。万が一の可能性
も否定できないからだ。・・・・・少し、臆病すぎるかな。
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時11分28秒
――――――――
キーンコーンカーンコーン
本日の授業終了を告げる鐘が鳴り響く。平家は軽く伸びをした。今日は
一日の大半を机に向かって過ごしていたので身体が痛い。もうすぐ期末
テストがある。その問題を制作していたのだ。この朝比奈学園に生物教
師は平家ひとりしかおらず、しかも平家は高等部の3学年全ての生物を
受け持っているので、テスト問題をつくるのも一苦労なのだ。
「ふぅ・・・ちょっと休憩しよかな・・・」
そう言うと平家は棚からコーヒーカップを取り出し、さらさらとインスタント
コーヒーを入れた。ミルクと砂糖は入れない事が多い。シュンシュンと
音をたてるやかんをストーブの上から持ち上げると、トポトポとお湯を
注いだ。この部屋にはエアコンがついてはいるが部屋が乾燥するので
平家は苦手だった。コーヒーカップを片手に、平家は窓辺に立った。外
はかなり寒そうだ。この辺りはあまり雪が降らない。平家の地元もそう
だった。
「・・・雪、降らへんかな」
子供みたいな事を呟くと、平家はそっと淹れたてのホットコーヒーを
すすった。
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時12分11秒
- ふいに廊下を走る足音が聞こえてくる。平家がいるこの生物準備室は、
特別教室が並ぶ2号館にある。そのため放課後の時間帯に訪れる者は
ほとんどいない。一つ下の階には科学室があり、そこでは科学同好会
なる活動が行われていたりもするが、生物室のある3階には、他には
音楽室と楽器倉庫しかない。階と階とを繋ぐ階段は廊下の真中に設置
されている為、生物室の用事のある者以外、部屋の前の廊下を通る
事はないのだ。
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時12分41秒
- 「今日はえらい早いなぁ・・・」
軽く笑うと、平家は棚からもう一つコーヒーカップを出した。今平家が
使っているものとは違い、可愛らしい猫のイラストがついているもの
だ。
ふいに足音が止まる。すぐ後、コンコンと部屋がノックされる。
「どうぞ」
平家は扉の向こうに声をかけた。彼女はいつも必ず平家の返事を待って
からドアを開ける。そういう風にしつけられてきたのだろう。
「平家先生〜、失礼しまぁ〜す♪」
軽く頭を下げた拍子に胸元で揺れる制服のリボンは翠色。中等部の3年だ。
「ココアとホットミルクどっちがええ?」
「うぅ〜ん、今日はココアでお願いしま〜す♪」
「はいはい」
「あっ!ちょっと待って!やっぱりホットミルクも捨てがたいですぅ・・・」
「どっちやねんな」
「待って、待って・・・・・・・・う〜〜ん、やっぱりココア!!」
「ほんまにええのん?もう変更きけへんで、亜弥ちゃん?」
12月の、ある寒い日の出来事。
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時13分33秒
- 「もうすぐ冬休みですよぉ、平家先生」
「せやね〜」
「でもでもぉ、その前にはクリスマスです!」
「正確にはクリスマスの日の次の日から冬休みやね」
「そうだ、平家先生はクリスマスどうするんですかぁ?」
「嫌な事聞かんといて!どうせ今年もあっちゃんと二人で居酒屋クリスマス
や・・・」
「寂しいですねぇ〜」
「うぅ・・・放っといてや・・・」
「ねぇ平家先生・・・もし良かったらなんですけどぉ、わたしと一緒に・・・」
「あっ・・・!!」
勢いよく立ち上がると平家は窓のほうへ駆け寄った。
「雪や・・・、雪降っとる!!」
窓の外には白いものがちらちらと舞っている。雪というよりみぞれに近いもので
あったが、そんな事は平家にとってはどうでもいい事であった。
「平家先生、雪好きなんですか?」
「好きっていうか・・・なんか珍しい感じや。あんま見たことないから・・・」
平家はがらっと窓を開けた。外の冷気が室内に入り込む。
「平家先生ぇ、寒いですぅ〜!!」
「ちょっとだけ、ちょっとだけ。ね?」
初雪が降った、そんなある日の出来事。
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時14分12秒
・・・・・・・・・・・
今日はとても疲れた。多くのトラブルが重なりすぎたのだ。
まぁ、とりあえずは成功を迎えた事を喜ぶべきであろう。あの状況をくぐり
抜けるだなんて、ひょっとしたら自分で思っているよりよっぽど運がいいの
かもしれない。
だが、今日のあの子の様子は少し危険だ。例えどれだけ運がよくても、あの
子だけはどうしようもない。・・・少し、探りを入れてみた方がいいのだろうか。
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時14分45秒
- ――――――――
カチカチカチカチ・・・。
静かな室内に無機質に時を刻む音が聞こえる。時計をみると午前1時15分。
夜明けにはまだまだ時間がある。どうしようか・・・。
隣からはしずかな寝息が聞こえてくる。しばらく寝顔を眺めている。よく眠って
いるようだ、起きる気配はまったくない。そっと身体を寄せると薄く開かれたそ
の唇に軽くキスをする。ひょっとしたら最後のキスになるかもしれない。ふと、
そんな考えが頭をよぎる。堪えきれなくなり、ぐっと両手を顔に押し付ける。
本当に一瞬の出来事だったのだ。あの瞬間全ての点が繋がったのだ。それ
はとても長い一本の線となり、終わりがどこにあるのかすら分からない。
だが多分それは、自分が線を構成する点の一つだから分からないのだ。少し
離れた所からその線を見れば、あっけない程短いものかもしれない。
再び時計に目をやる。時刻は1時33分。夜明けにはまだまだ時間がある。
- 90 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時15分23秒
・・・・・・・・・・・
とんでもない事をしでかしてしまった。何が何なのかまったく分からない。
もうだめだ、全て終わりだ。どうしたいいのか分からない。
・・・違う、全部あの子が悪いのだ。愛する者に殺されるのが最高の
幸せだなんて、子供の言うセリフではない。一体何に影響されたのだろう
か。
・・・そうだ、あれはあの子が望んだ事なんだ。あの子は望み通りに愛する者に
殺された。あの子は幸せなのだ。そうだ、きっとそうなのだ。
- 91 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時15分55秒
――――――――
コンコン。
放課後にこの部屋のドアをノックするのは一人しかいない。
「どうぞ」
棚から猫のイラストのついたコーヒーカップを取り出しながら、平家は答えた。
「へへ、失礼しまぁ〜す」
「今日は何飲む?」
かじかむ指をストーブに近づけると松浦はしばらくう〜んとうなり始めた。
「ま、コーヒーとココアとホットミルクしかないけどね」
「じゃ〜〜・・・久しぶりにコーヒー!あ、お砂糖とミルク、入れてくださいね」
期末テストの終わった3日後の出来事。
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時16分30秒
- 「はぁ〜、期末の結果最悪ですよぉ!これじゃママに怒られちゃいますぅ・・・」
「自業自得やね〜」
「ひどいですよぉ平家先生!わたし生物のテストだったら満点とっちゃいますよ」
「中等部は生物ありません〜」
「むぅ・・・!」
「ほっぺ膨らましても知りません〜」
「平家先生いじわるですぅ!」
冬休みの一週間前の出来事。
- 93 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時17分08秒
- 「明日はクリスマスですね♪」
「はぁ・・・毎年恒例居酒屋デート・・・しかもあっちゃんと・・・」
「そんな顔しないで下さいよぉ」
「去年は大変やってん。あっちゃんと飲んでたらいきなり裕ちゃんまで乱入
してきて・・・なんや約束すっぽかされたらしいねんけど、ほんであんまり
にも騒ぎすぎて店追い出されるし、行くとこもないから外で続きや。ほんま
寒くて死ぬかと思たわ・・・」
「なんかすごいクリスマスですねぇ・・・」
2学期最後の日の一日前の出来事。
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時17分38秒
- 「いやいやいやいや、酔うてないて、ほんまに〜」
「何言ってるんですかぁ!?一人じゃ歩けないくせに!!」
「歩けますて〜。ほらほら〜」
「平家先生危ないですよぉ!あぁ、ちょっとぉ〜こんなとこで座り込まないで
ください〜!」
「嫌やぁ〜、もう眠い〜・・・」
「ダメですぅ!こんな所で寝たら凍死しちゃいますよぉ!!」
「まぁ、そんなんもありやな〜って・・・」
「そんな死に方ダメですよぉ!も〜、起きてくださいってば!!」
「そんな死に方てなんやねんなぁ〜!そんなんひどいやんかぁ〜」
「はいはい、分かりました。言い過ぎました、ごめんなさい!」
「分かったらええねん、分かったら」
「もぉ〜、分かりましたから立ってください〜〜!!」
「なぁ・・・亜弥ちゃんの理想の死に方ってどんなんなん?」
「いきなり何言い出すんですかぁ?ほら、起きてください!」
「嫌や〜!答えてくれるまで動かへんで〜〜!!」
「も〜、なんでお酒飲むとみんなこんなんなっちゃうんだろ・・・」
「聞こえへんで〜!答え聞こえへんで〜〜!!」
「もぉ。分かりましたよ!わたしの理想の死に方はぁ・・・・・・」
クリスマスの夜の出来事。
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時18分10秒
- 月が見える。それに木も、芝生も、鐘も。ああ、またあの夢だ。後藤はぼん
やりと思った。
後藤は知っている。この首をほんの少し下に向けるだけで足が見える事を。
後藤は知っている。この身体をほんの少し下に回すだけで二人の影が見え
事を。
後藤は知っている。この目をほんの少し上に向けるだけで月明かりにナイフ
がきらりと光る事を。
後藤は知っている。この目をしばらくそらさずにいるだけでナイフを持った殺
人犯と目が合う事を。
後藤は知っている。そのまま見続けているだけで殺人犯が自分の方へ近
づいてくる事を。
後藤は知っている。月明かりに照らされるだけで殺人犯の姿がはっきりと
見える事を。
後藤は知っている。殺人犯の顔は血まみれでそれを見た自分が恐怖に
怯える事を。
後藤は知っている。殺人犯は自分には危害を加えなかった事を。
後藤は知っている。殺人犯は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 96 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時18分44秒
- ザワザワザワザワ・・・・
(ん?授業終わった・・・?)
後藤は目を覚ました。どうやら6限目は完全に爆睡してしまったようだ。
クラスメイト達はもう帰り支度を始めている。
「あ、ごっちん。ようやく起きたー!」
コート片手に教室を出ようとすると、出入り口横の席から吉澤の声が
する。吉澤も丁度帰り支度を始めている。
「あはは〜、なんか眠くって〜・・・」
「あのね、さっきの休み時間平家先生に呼ばれてね、放課後ごっちん
に生物準備室に来るようにって」
「平家〜?・・・ああ、落ち武者・・・」
名字のせいか平家は生徒達にこの名前で呼ばれる事が多い。無論、
平家はこの愛称をあまり気に入っていないので、平家と親しい生徒達
は必ず他の呼び方をする。
「マジたり〜・・・シカトしちゃえばいいっしょ、別に・・・」
後藤の目はまだ眠り足りないと言った様子だ。
「行ってあげなよ。あの人なら説教ってことはないと思うし、それになんか
かわいそくない?」
「う〜・・・・」
バレンタインデーを間近に控えたある日の出来事。
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時19分20秒
- 「あーー!!!」
「後藤うるせーよ!!いきなり何だよー!」
「学校にマフラー忘れてきた・・・」
「えー!?どうすんのさ後藤。明日から冬休みだよ?」
「・・・やぐっちゃん一緒に取りにいこ♪」
「あー寒い寒い。ちょっと石川、ピザ取って〜」
「・・・よっすぃぃ〜〜〜〜」
「スマップのやつ何時からだっけ?ちょっと新聞新聞」
「あーはいはいはいはい!いいですよー!後藤一人で行ってきますぅ!!優しい
友だちを持って後藤はとっても幸せですぅ!!」
「「「行ってらっしゃ〜〜い」」」
クリスマスの夜の出来事。
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時19分50秒
- 「ちょっとちょっと後藤さん。いつまで寝てる気なん?」
「ん〜・・・眠い」
「眠い言われても・・・、今日は朝からずっとここで寝てるやんか。午後から
1年生は会場設営の準備やろ?」
「・・・それがだるい〜〜〜」
「もー、ほら起きなさい。後藤!」
「やだ〜〜〜・・・」
卒業式を間近に控えたある日の出来事。
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時20分25秒
- 「あ、失礼します。平家先生」
「あー、自分確か中等部の・・・・・・松浦、やったっけ?どないしたん?」
「えっと、あのぉ・・・ちょっと、平家先生とお話したいなぁ〜って」
「・・・・?」
「入っても、いいですか?」
「・・・え?・・あ、はあ・・・どうぞ」
桜が舞っていたある日の出来事。
- 100 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時20分57秒
- 「失礼しま〜す」
「あ、後藤さん。待ってたで」
「何か用ですか〜?」
「ま、まあ・・・あ、そこ座って」
「はぁ・・・」
初めて呼び出されたある日の出来事。
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時21分32秒
- 「マジ!?殺されたぁ!?誰々!?」
『うちらの一個下の松浦亜弥だって。ごっちん知ってる?』
「あ、何か見た事あるかも・・・。結構かわいい感じの!目ぇおっきくて!」
『多分それ!ほらよく平家先生にくっついてた!』
「え、そうなの!?」
『もー!よく二人でいるの見かけたじゃん。ほら、渡り廊下とか』
「マジでぇ!?全然覚えてないよ、そんなん・・・」
冬休み3日目のある朝の出来事。
- 102 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時22分13秒
- 「あれ?みっちゃんじゃん?どうしたの一体。あ・・・後藤ぉ!!」
「後藤さん!?もう、なかなか帰って来ないから心配してたんですよ!!」
「なんやこの子学校のそばでうろうろしとって。こんな時間に危ないから送って
きてん。な、後藤さん?」
「あー・・・・・うん。なんか鍵かかってて・・・なんかなんだろ?」
「ちょっとごっちんどうしたの?」
「なんか頭がぼーっとする・・・・」
「こんな寒いのにずっと外うろついてて風邪でもひいたんちゃうか?」
「・・・・なのかな?でもちゃんとコート着てたし・・・そんな長い時間でもない
ような」
「まええわ。そしたらマフラーは新学期まで待ってや。あたし鍵持ってへんねん」
「立場ねー教師だなー!鍵の場所くらいちゃんと教えてもらっとけよー」
「うっさいわ!ほな。メリークリスマス♪」
「「「メリークリスマース♪」」」
松浦亜弥が死んだ日の出来事。
- 103 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時23分28秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
- 104 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時23分58秒
- ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・
誰かがゆっくりと近づいてくる。逃げたいけどうまく身体が動かない。さっき殴ら
れた頭がずっとずきずきしている。
手が伸びてくる。あの子みたいに殺されてしまうのかな。・・・怖い。
何か言っている。でもよく聞こえない。
「・・・・・・れろ」
聞こえないよ。怖くてもうわけわかんないよ。
「わ・・・・れろ」
もう嫌だよ。怖いよ。こんなの嫌だ。怖い、怖い、怖い。そんなに何度も言わなく
てももう聞こえてるよ。分かったから。言う事聞くから殺さないでよ。絶対忘れる
から殺さないでよ!!!
- 105 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時24分36秒
- ふいに、喉元に冷たいものがあたる。それが刃物だと理解したのは、軽い
痛みが走ったときだった。覚悟はしていた。夜になる前にここを離れなかっ
たら、ひょっとしたらこうなるかもと言う気持ちはあった。でも、いざそうなると
身体ががたがた震えてくる。怖くて怖くてたまらない。目を開けたくない。目
を開ければ、きっともう誤魔化す事はできない。夢の中では、はっきりと顔を
見ていない。だから、もうあの夢を見なければずっとこのまま誤魔化し続けて
生きていけると思っていた。・・・違う、夢ではない。ただの過去だ。
- 106 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時25分07秒
- もうお終いだ。今更後戻りなんかできないし。
ゆっくりと目を開ける。ああ、この人だ。あの日の夜に見たのと同じ顔だ。
「平家さん・・・」
そっと名前を呼ぶ。でも返事はない。今になって思えば、なんでもっと早く
思い出す事ができなかったのだろうかと後悔している。もっと早くに思い出
していたら、こんなに悲しい思いをしなくてもすんだのに。この人が捕まって
も、いなくなっても、死んでも、多分何とも思わなかった。
あ、ひょっとしたら、こう思わせるために自分に近づいてきたのかもしれない。
なんか馬鹿みたいだ。全然気付かなかった。自然と口から笑みがこぼれる。
- 107 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時25分47秒
- 「・・・何がおかしいねん」
あ、ちょっと怒ってる。こんな事くらいで怒んないでよ。意外と子供っぽい
んだから。
・・・てかなんでこんなに冷静なんだろう。多分もうすぐ死んじゃうのに。
はぁ・・・冬休みにスノボ行く約束してたのにな。あ、そうか。平家さんと
行く約束してたんだからあんま意味ないか。どっちにしても計画はお流れ。
そういえばもうじき誕生日だっけ。あ〜あ、結局一度も平家さんと二人で
誕生日お祝いできなかったな。自分の誕生日だけあたしに祝わせてちょっと
ずるい。
- 108 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時26分27秒
- ・・・あれ?平家さん泣いてる?もーいい年して泣かないでよ。ほんとに。
平家さんってば見た目はすごいクールな年上のお姉さんって感じなのに
結構よく泣くよね。シュレック見てて感動して泣いちゃった時はマジかよと
か思ったけど、ま、そんなとこも好きだったよ。あー、もういいや。いろいろ
思い出しちゃうと決心が揺らいじゃう。はい、もういいです。そんな悲しそう
な顔もう見たくないです。なんかあたしが悪いみたいじゃん。
- 109 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時27分01秒
- あたしはそっと自分の手を平家さんの手に重ねる。も、一気にいこう。ね?
これで平家さんが楽になれるんなら、それでいいよ。
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時27分56秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時28分31秒
――――――――
ザワザワザワザワ・・・
本館の様子が騒がしい。まぁ当たり前と言えば当たり前だ。何しろ一連の
事件の犯人が見つかったのだ。朝から校門の前はワイドショーなどのテレ
ビカメラごったがえしている。
アイスコーヒーを軽く口に含むとテレビのスイッチをいれる。どこの局でも
事件解決の模様をあわただしく放送している。スタジオにいる犯罪心理
学者なる人達も、口を揃えて言っている。まったく信じられない、と。
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時29分07秒
- この学園で起きた事件の犯人はこの学園にいました。一見筋が通って
いるようにも見えるが、やはりはたからみれば信じられない事件なのか
もしれない。スタジオのコメンテーターが少年犯罪について熱く語って
いる。先程から聞いていれば二言目には信じられない、だ。
知らず知らずのうちに、口元が緩んでしまう。もうすぐ事情聴取が始ま
る。気をつけなければいけない。
- 113 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時29分51秒
- コンコン
ドアがノックされる。時間だ。あたしは軽く伸びをするとドアの方へ歩いて
いく。
- 114 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時30分41秒
・・・・さあ出かけよう。知っている事は全て話さなければいけない。
犯人の自殺という最悪の結末を迎えた事件。そして、その事件の
犯人ともっとも親しかった教師として。
- 115 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時31分48秒
朝比奈学園教師「平家」(裏)
―――――完―――――
- 116 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時37分07秒
- ┌───────────────
│ オチがばれたらあかんねん!
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) なんで?
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|茶|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 117 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時37分42秒
- ┌───────────────
│ 書き逃げ〜
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) プチフォーチュ〜ン!!
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|茶|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 118 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時38分44秒
- ┌───────────────
│ あ〜やややややっやっやや〜
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) イエーイ!
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|汁|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 119 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時39分29秒
- ┌───────────────
│ 言うとくけどアラシちゃうで!ほんまに
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) 警察に連絡しないで下さい
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|茶|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 120 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時40分48秒
- ┌───────────────
│ し〜あわ〜せで〜すか〜♪
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) 私生活はわりとね
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|幸|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 121 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時42分36秒
- ┌───────────────
│ きょ〜りゅうおんどでどどんがどぉ〜ん
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) 20過ぎてアレは辛いよ・・・
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|踊|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 122 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時43分16秒
- ┌───────────────
│ どんくらいやったら流れるんやろ?
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) センター候補は流れてけ〜
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|茶|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 123 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時45分15秒
- ┌───────────────
│ ・・・ミカちゃん何気に乳でかかったわ
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) たれろ・・・
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|乳|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 124 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時45分55秒
- ┌───────────────
│ なんやもう疲れてきたわ
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) だってネタないもん
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|茶|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 125 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)19時46分39秒
- ┌───────────────
│ もうええやろ。あとは知らん
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) それでは皆さんさよ〜なら〜
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|終|)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月13日(土)05時02分44秒
- おもしろかったよ。うん。
- 127 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)13時11分23秒
- 面白いけど悲しかった。
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)15時31分18秒
- 良かったすごく。
- 129 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)03時01分18秒
- いやあ朝比奈学園教師「平家」がまた見れるとは。
縁側トークも懐かしいっすね。
全篇を覆うトーンも独特で、月並みな感想で申し訳ないですが期待通り、面白かったです。
- 130 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時33分57秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
- 131 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時35分37秒
―――――飯田圭織の日記帳―――――
- 132 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時36分10秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
- 133 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時37分08秒
- 7月2日 天気:快晴
最近仕事にもようやく慣れてきてちょっと余裕が出てきたので日記でもつけようか
と思った。やっぱり婦人警官って仕事は大変。しかもカオリは高卒で採用だから、
他の人達みたいにいきなり事件とか扱わせてもらえなくてちょっと寂しい。でも、
小さい頃からの憧れの職業だから頑張ろうと思う。
- 134 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時37分58秒
- 7月3日 天気:快晴
今日もまたデスクワークとお茶くみ。いつになったら現場で働かせてくれるのか
な。でも、カオリの上司のはたけさんはみんなから「デスクの金狼」って呼ばれ
ててすごく尊敬されてる。でもやっぱりカオリは現場でばりばり働きたいな。
- 135 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時39分01秒
- 7月6日 天気:曇り
今日、はたけさんから過去の事件のファイルをまとめるように指示された。机に
置かれた資料の束に目を通すと、それは全てあの事件のものだった。そう、カオ
リの母校で起こった事件。カオリの後輩が殺された事件。そして、カオリの後輩
が犯人だった事件。いろいろな事を思い出した。警察に入ればこういう事もある
かもしれないって分かってた。それにもうあの事件から一年近く経つ。でも、い
ざ目にするとやっぱり辛い。
- 136 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時39分50秒
- 7月7日 天気:雨
捜査課の石橋刑事がカオリに話があるってやってきた。この人は石川達が殺さ
れた事件を担当してた刑事さん。事件はもう解決したのにカオリに何の用なん
だろう。そういえば昨日のファイル整理も突然だった。なんだろう、嫌な予感
がする。3冊にも及ぶ膨大な資料を抱えて、カオリは石橋刑事の後について行っ
た。
- 137 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時40分31秒
- 案内された第3会議室に入ると、そこにはもう一人年の若い男の人がいた。この
人をカオリは知っている。仲居刑事だ。昔、石橋刑事と一緒に事件の事情聴取な
どをしていた。カオリも2、3度会った事がある。なんだろう、心臓がどきどき
する。何かよくない事が起こりそう。嫌だよ、何か嫌だよ。
- 138 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時41分15秒
- 勤務時間はもうとっくに終わった。でも動きたくない。何かもうわけが分か
らない。石橋刑事の言葉がずっと頭の中をぐるぐる回っている。石橋刑事は
後藤は犯人じゃないってカオリに言った。何?どういう事なの?だって後藤
の遺書残ってたじゃん。分かんない。でも、でも後藤じゃなかったんなら・
・・・・。
誰が石川を殺したの?
- 139 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時42分13秒
- 7月10日 天気:雨
みっちゃんに電話をした。本当は仕事の事とか誰かにしゃべっちゃだめなん
だけど、もうカオリの頭は限界。こんな時頼れるのはみっちゃんだけ。みっ
ちゃんはカオリの高校時代の先生ですごく仲が良かった。カオリは、自分で
も気にしてるんだけど時々変な事を言ってしまう。みんなカオリをちょっと
頭のおかしい子って感じで見てたけど、みっちゃんだけは違ってた。カオリ
の考えてる事とか一生懸命理解しようとしてくれてた。だから、カオリは
みっちゃんの事大好きだった。
- 140 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時43分00秒
- コール音がしてる間、カオリはちょっと考えた。みっちゃんにこんな事相談し
ていいのかどうか。後藤が死んじゃって、しかも後藤が犯人で、みっちゃんは
すごく泣いてて、すごく悩んでいた。後藤があんな事したなんて信じられな
いってずっと泣いてた。だから、カオリは一刻も早くみっちゃんに伝えてあげ
たい。後藤が犯人じゃないって事、信じてる人はいるよ!って。
- 141 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時43分32秒
- 電話の向こうでみっちゃんが泣いている。多分嬉しいんだと思う。みっちゃん
の声を聞いていると、カオリまで泣きそうになる。良かったね、みっちゃん。
カオリも嬉しいよ。
- 142 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時44分21秒
- 7月11日 天気:曇り
今日はたけさんからカオリに石橋刑事の下で働くよう辞令がおりた。もちろん
正式なものじゃない。石橋刑事達の意見を上の人達はまったく信じてないみた
いだから、個人の勝手な捜査って事になる。でもそんなのカオリは気にしない。
だって石川達を殺した真犯人を捕まる事ができるかもしれないから。
みっちゃん見てて!カオリが後藤の無実を証明してみせるからね!!
- 143 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時45分22秒
- 7月12日 天気:晴れ
とりあえずもう一度現場を洗い直す事になった。でも石橋刑事達が直接行くと
いろいろと問題があるのでカオリが行く事になった。卒業生が学校を訪ねてき
ましたって設定。ついでに関係者達の証言も洗い直せって。要するに向こうと
してはこの学園の卒業生だったからカオリを指名しただけで、カオリの実力を
かってくれたわけではないみたい。ちょっと残念だけど、先生や後輩にも会え
るから頑張ろうと思う。
- 144 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時46分19秒
- このドアをノックするのは久し振りだ。ドアの上の方には明朝体で『生物準備室』
と記されている。
コンコン
返事がない。
コンコンコンコン
やっぱり返事がない。眠ってるのかな?そう思ってカオリは勝手部屋に入った。
みっちゃんは時々ひますぎて居眠りとかしてるから今日もそうかもしれない。
部屋に入ったカオリは驚いた。まるで何かが暴れたかのように部屋の中がぐちゃ
ぐちゃに荒れている。床には猫のイラストのついた可愛らしいカップが粉々に砕
け散っている。何だろう?何があったの!?
- 145 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時47分00秒
- ぐちゃぐちゃになった部屋の中で、カオリが呆然としてると慌てた様子でみっ
ちゃんが入ってきた。何でだろう?みっちゃんの顔は青ざめてる。何かあった
のかな?みっちゃんは地震のせいで部屋がぐちゃぐちゃになったって言ってた
けど、地震なんていつあったっけ?
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時47分34秒
- カオリが石川達の事件を再捜査してるって言ったら、みっちゃんすごい驚いてた。
しかもそんな事危ないからやめなさいって言われた。みっちゃんてば相変わらず
心配性なんだから。大丈夫、だってば。カオリに任せなさい。絶対に解決してみ
せるよ、みっちゃんの為に!!
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時48分30秒
- 7月14日 天気:曇り
夕方電話があって、みっちゃんが一緒に飲もうって言った。適当にお酒を買っ
てみっちゃんの部屋に行く。
で、何でこんな風になっちゃったのかわかんないけどみっちゃんもうべろんべ
ろんに酔っちゃってる。話なんかろくにできない状態。昔の思い出話とかいろ
いろしたかったのにな。でもまあ、いいか。酔っ払ったみっちゃんもかわいいし。
あっ、もう。みっちゃんてば酔うとすぐ抱きついてくるんだから。
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時49分20秒
- で、更に何でかわかんないんだけど、カオリ今みっちゃんにキスされてる。
いつもみたいにセクハラっぽい軽いのじゃなくてちゃんとしたの。でも嫌
じゃないよ。嫌なわけないじゃん!カオリだってみっちゃんの事好きだった
んだもん!でも・・・でもみっちゃんの側には松浦がいて・・・後藤がい
て・・・二人ともカオリよりずっと若いし可愛いし・・・それに、カオリ
よりずっとずっと素直だった。カオリは松浦みたいに甘えたりできない。
だってそんなのカオリのキャラじゃないから。カオリは後藤みたいに直
球勝負なんてできない。だってもしも振り向いてもらえなかったら悲しい
から。
- 149 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時49分55秒
- 多分カオリはすごく嫌な子だと思う。本当は松浦や後藤が羨ましくて
たまらなかった。いなくなっちゃえばいいって思った事もある。そうした
ら、二人がいなくなった穴をカオリが埋めてあげるって、本気で考えた
事もある。
初めて聞くみっちゃんの声。すごくどきどきする。でも、こんな事してて
も全然罪悪感なんて感じない。死んじゃった二人に何も思わない。みっ
ちゃんはカオリのもの。もう横から見てるなんて嫌。誰にも渡したくない。
誰にも邪魔なんてさせないから!
- 150 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時50分40秒
- 夜中、隣からみっちゃんに呼ばれた。この後なんて言うのかなんとなく分か
る。だって付き合い長いしずっと見てたから、みっちゃんの性格なんてお見
通し。
やっぱり。みっちゃんはカオリに謝ってきた。でも聞きたくない。カオリ
はわざと聞こえなかったふりをしてみっちゃんから顔をそむけた。
寂しかったからなんて、そんなの最初っから分かってたよ!だからいちいち
言わないでよ!今くらいそんな事言わないでよ!!
- 151 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時51分36秒
- 7月15日 天気:晴れ
昨夜のせいで気分最悪。今日は仕事に行きたくない。でも石橋刑事はそんな
カオリの気持ちにはお構いなしで捜査方針について話をしている。明日もう
一度学園の方に聞き込みに行くように指示を受ける。でも、みっちゃんには
会いたくない。
- 152 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時52分20秒
- 7月16日
気持ちが晴れないまま学園に到着した。でもやっぱりみっちゃんには会い
たくないから彩っぺの所に行く事にする。彩っぺは朝比奈学園の保健の
先生だ。生徒の個人的な悩みとかを何か聞いているかもしれない。カオリ
も昔よくいろいろな悩みを相談した事もある。
懐かしさも手伝ってか、ついつい雑談に華を咲かせてしまった。これでは
婦警失格だ。
でも彩っぺから有力かどうかわかんないけど情報ゲット。みっちゃんがこ
ないだ怪我して保健室に来たそうだ。なんかカップを落として割ってしまい、
それを片付けようとして手を軽く切ったらしい。ひょっとしてこないだ割れてた
カップの事かな?でも、あれは落としたというよりも叩きつけたと言う割れ方
だった気がする。カオリの気のせいかな。
- 153 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時53分34秒
- 7月20日 天気:雨
なんでだろう。なんでカオリはこんな事をしてるんだろう。そう思ってても
身体が言う事をきいてくれない。カオリの身体の下にはみっちゃんがいる。
これで2回目。みっちゃんの声を聞いているだけでなんか頭の中が熱くてたま
らない。でも、それと同時にカオリは嫉妬してる。きっとみっちゃんは松浦
や後藤の前でもこんな風にしてたんだと思う。なんでこんな事考えちゃうん
だろう。カオリは本当に嫌な子だ。
- 154 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時54分21秒
- まだ身体にさっきの余韻が残っていて、少し熱い感じがする。隣のみっちゃ
んがごそごそと動いている。何をしているんだろう。カオリは寝たふりをす
る。一瞬、みっちゃんの顔がすぐ近くにきた感じがした。キスされるのかな
と思ったけど、カオリが寝てるかどうか確認しただけみたい。シャツを羽織
るとみっちゃんはベッドから出て行って一人でお酒を飲んでいる。まだ飲み
足りなかったのかな。みっちゃんはカオリが見てるなんて知らずにまだ飲ん
でいる。松浦や後藤の事とか思い出したのかな。・・・もうやめよう。そん
な事考えたくない。
- 155 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時55分04秒
- 7月22日 天気:快晴
また石橋刑事に呼び出された。仲居刑事と一緒に現場付近の聞き込みを続けて
いるけど全然成果が出ないってぼやかれた。カオリの方も成果が出ないし、ま
さにお先真っ暗状態だ。しかもカオリ達の行動を上の人達も薄々気付き始めて
いるらしい。上の人達から捜査の中止を命じられるのも時間の問題だと石橋刑
事は言っていた。もう時間がない。でも、どうしたらいいのだろう。犯人は一
体誰なの。
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時55分54秒
- 7月30日 天気:晴れ
みっちゃんがカオリの隣で眠っている。身体は疲れているけど、なんだか
今夜は寝付けない。今日はたけさんから捜査から手を引くようにと言われ
たせいかもしれない。あの後、石橋刑事と仲居刑事がカオリに謝りに来て
くれた。二人とも本当に悔しそうな顔をしていた。カオリも悔しいよ。悔
しくて悔しくてたまらない。でも、カオリにはどうしたらいいのかわから
ない。悔しい。
- 157 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時56分48秒
- 8月2日 天気:晴れ
久し振りに学校に行ってきた。別に卒業生が母校に行くだけだから何も問
題はない。生物準備室に入るとみっちゃんはいなかった。この間散らかっ
ていた部屋は大分片付けられている。別に覗き見をしようとしたわけでは
ない。ただ、ただなんとなく気になって、後藤とかの写真が大事にしまっ
てあるのかなとか思ってみっちゃんの机の引出しを開けてみようかなと思
い、カオリは引き出しに手をかけた。一番上の段には鍵が掛かっている。
何か大事なものでも入っているのかな。カオリは二段目の引き出しを開けた。
- 158 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)02時57分55秒
- 意外な事に中は一般的な文具が入っているだけで、カオリの想像していたよ
うなものはなかった。みっちゃんの性格なら写真とかとってありそうなのに、
そんなものは一つもなかった。みっちゃんも頑張って忘れようとしているの
かもしれない。だから、思い出になるようなものは何も残っていないのかな
と思った。でも、一つだけ不思議なものが入っていた。学生名簿だ。最初は
出席を取るものだと思ったけど、何故か中等部の分まである。生物の授業は
高等部にしかないからみっちゃんには必要のないものだ。中を開くと所々に
マーカーで印のつけてある名前がある。加護亜依、安倍なつみ、新垣理沙、
矢口真里、里田まい、村田めぐみ・・・まだある。その中には名前の横に丸
印の付けてある名前もある。後藤の名前の横にも丸印がつけられている。一
体これは何なのだろう。
- 159 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時00分23秒
- その時、ドアの向こうからヒールの足音が聞こえてきた。覗き見をしてし
まったと言う罪悪感から、カオリは慌てて名簿をしまった。みっちゃんに
ばれてはいけない。カオリが部屋にいるのを見つけたみっちゃんに怒られ
た。いつもみたいに優しそうに笑いながらの軽い怒り方だったけど、何か
怖かった。
- 160 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時01分21秒
- 8月3日 天気:曇り
世間ではもうとっくに夏休みだと言うのに、カオリは今日もデスクワーク。
昨夜女子大生が襲われたらしく、その資料作りに大忙し。といっても作るの
は主にはたけさんで、カオリはそのコピー係り。特に面白くもない仕事だけ
ど必要な作業。そういえば、被害者の女子大生は朝比奈学園の卒業生だった。
カオリと同じ学年だったはずだけど記憶にない。カオリはあまり友達の多い
方じゃなかったから目立っていた子以外あまり知らない。村田めぐみ・・・
どんな子だっけ。でも怪我だけですんで本当に良かった。もうあんな事件は
たくさんだ。
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時02分18秒
- 8月4日 天気:晴れ
みっちゃんからの呼び出しで、仕事が終わってからみっちゃんの部屋に
行った。仕事で何か嫌な事でもあったのか、今日のみっちゃんはすごく
積極的だった。嫌な事を全部忘れようとしているかのような感じだった。
良かった。おととい机を勝手に見たのはまだばれていないみたい。カオ
リはやっぱりみっちゃんの事が大好きだと思う。松浦や後藤の事が気に
ならないと言えばうそになるけど、でもみっちゃんも過去を忘れようと
頑張ってるから、カオリもそんなみっちゃんを一生懸命愛してきたいと
思います。みっちゃん、大好きだよ。
- 162 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時02分56秒
- 8月7日 天気:曇り
傷害事件の犯人はまだ捕まっていない。今日玄関で仲居刑事に会った。
挨拶をしたくらいだったけど、なんだかすごく疲れているように見え
た。勝手な再捜査の件のせいで、班の中での風当たりが強いらしくて
大変そうだ。石橋刑事も左遷されてしまったし、もうあの事件を捜査
する事は不可能そうだ。
- 163 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時03分42秒
- 8月9日 天気:晴れ
仕事中みっちゃんから電話があって、カオリのお盆休みに合わせてどこかに
旅行に行く事になった。夏はやっぱり海だよね。カオリは伊豆とかに行きた
いな。あそこなら温泉もあるから久し振りにのんびりできそう。みっちゃん
はカオリの行きたい所でいいって言ってたから伊豆に決定。今度の休みにみっ
ちゃんと一緒に水着を買い行こう。早く休みにならないかな。すごい楽しみ。
- 164 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時04分32秒
- 8月13日 天気:
どうしたらいいのか分からない。見なかった事にするのが一番いいのかも
しれない。でもあの血のをこっそりと持ち出して鑑識に回せばすぐに分か
る。カオリにならそれができる。みっちゃんは多分まだ気付いていない。
どうしよう。みっちゃんが捕まるのなんて見たくない。でも、悪いことは
やっぱり悪いことだ。明日からみっちゃんと旅行だ。その時に聞いてみよ
うと思う。できれば自首して欲しい。そうするべきだと思う。自首した方
が罪が軽くなるだろうし、でも、分からない。やっぱり黙ってた方がいい
のかもしれない。もう分からない。
- 165 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時05分09秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時06分07秒
- ゆっくりと息を吐くと、あたしは日記を閉じた。ふと顔をあげると窓から
照りつける太陽が眩しくて、あたしは少し目を細めた。窓ガラスの向こう
からツクツクホウシの声が聞こえる。「夏が終わるのがつくづく惜しい」
そう鳴いているのだと誰かから聞いた覚えがある。
小さな鍵の付いた女物の日記帳を机の上に置くと、あたしはもう一度息を
吐いた。
「何か、言いたい事はあるか?」
向かいに座っている男が口を開いた。あたしはこの人を知っている。あの
会議室で見た刑事さんだ。
「日記書いてたなんて、全然知りませんでした」
本当にその通りだ。まったく気付いていなかった。しかし、彼女の性格を
考えるならば日記くらい書いていても不思議ではない。そこまで彼女の事
など知らなかった。と言うより、そこまで彼女に興味はなかった。
- 167 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時07分37秒
- 「我々も知らなかったよ。そこまでプライベートで親しかったわけではない。
彼女の遺品をチェックしている時に見つけたものだ。これを君に見せる事
は彼女の意志ではなかったはずだ」
刑事の目は、あたしをじっと見つめている。あたしにどうしても言わせたい
言葉があるらしい。後ろの若い刑事が数冊の名簿を机の上に置く。
「飯田の日記に書かれていた名簿だ。悪いが勝手に調べさせてもらった。一
瞬しか見ていないらしい飯田は気付かなかったかもしれないがこの丸印の
付いている生徒は、全員朝比奈学園連続殺人事件の被害者だ」
ああ、そうだ。間違いない。チェックを入れた本人が言うのだから間違いな
い。若い刑事が続ける。
「君の部屋から見つかったシャツを鑑識に回した。血痕は、通り魔事件の被
害者、村田めぐみのものと一致した。このマーカーの生徒は次のターゲッ
トのつもりだったのか?」
ご名答。そこまで分かっているのだったらもういいでしょ。あたしはもう一度
カオリの日記に手を伸ばした。若い刑事はあたしの動きに反応を示したが、年
配の刑事に制止されおとなしくあたしを見ている。
- 168 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時08分40秒
- パラパラとカオリの日記をめくる。本当にまめな子だ。中にはこんな事まで
書かなくてもいいのにと思う部分も多々ある。まぁ、個人の記録だ。あたし
が文句を言う筋合いはない。
「飯田圭織殺害に使用されたナイフは昨日発見された。海に捨てたつもり
だったのだろうが、あの辺りの海流をもっと調べておくべきだったな。
岩場に引っかかっていたよ」
いつかは殺らなければいけないと思ってはいたけど、まさかこんなにも早く
気付かれるなんて意外だった。準備なんて何もしてなかったのだから見つ
かってもしょうがない。あたしは本当に海に遊びに行くつもりだったのだから。
- 169 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時09分19秒
- 年配の刑事はまだじっとあたしを見詰めている。もう潮時かもしれない。
なんでこんな事になってしまったのだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「もぉ〜、分かりましたから立ってください〜〜!!」
「なぁ・・・亜弥ちゃんの理想の死に方ってどんなんなん?」
「いきなり何言い出すんですかぁ?ほら、起きてください!」
「嫌や〜!答えてくれるまで動かへんで〜〜!!」
「も〜、なんでお酒飲むとみんなこんなんなっちゃうんだろ・・・」
「聞こえへんで〜!答え聞こえへんで〜〜!!」
「もぉ。分かりましたよ!わたしの理想の死に方はぁ・・・・・・」
愛する人に殺される事かな♪
- 170 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時10分28秒
- ああ、そうだ。あの一言が全ての始まりだったのだ。今にして思えばとて
も単純でくだらない一言。思春期の女の子のありがちな、ただの夢のお話。
あの時のあの子の少し恥ずかしそうな笑顔を思い出し、あたしは思わず微
笑んだ。かわいかったな、亜弥ちゃんは。
「何笑ってんだよ!」
若い刑事が突っかかってくる。そういえば後藤も昔そんなような事を言っ
ていたような気がする。やはりあの年頃の女の子の考える事なんて大差な
いのだろうか。ふと、年配の刑事と目が合った。彼は先程からずっとあた
しを見詰めている。しつこいな、この人は。あたしは彼にそっと微笑むと
口を開いた。ずっと言わなかった言葉。口にする事を自ら禁じていた言葉。
そして、本当はもっと早く言わなければいけなかった言葉・・・。
「・・・全部、あたしがやりました」
- 171 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時11分00秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 172 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時12分11秒
- 今日はほんまにいい天気や。あたしの両脇を掴む二人の刑事は眉間に
しわを寄せて歩いとる。こんなにいい天気やねんからもう少し気持ち
よさそな顔でもしてたらええのに・・・。
そろそろカプセルが溶ける頃や。亜弥ちゃん・・・やっぱりちゃんと
自分に会うて謝らなあかんと思う。亜弥ちゃんだけちゃう。後藤も、
カオリも、なっちも、大谷も、まいも、高橋も、辻も、石川も。せや、
めぐみちゃんにも謝らなあかんかった。でも、もう無理やな。ごめんな
めぐみちゃん。痛い思いさせてもて。
亜弥ちゃん・・・怒って口聞いてくれへんかもしれん。後藤は・・・多分
あたしぼこぼこにされるやろな。カオリ・・・は多分一番怖いと思う。
はぁ、気が重いわ。てかその3人よ
り他の子の方が怒っとるやろな。ひょっとしたら何で自分がここにいて
るかもよう分からん子もおるかもしれん。みんなごめん。ほんまにごめ
んなさい。あたしはただの卑怯者です。楽な方へ楽な方へと逃げとるだ
けや。でも許してや、これがへたれなあたしにできる精一杯の謝罪やね
ん。向こういったらぼこられる覚悟はできてるから・・・・・・・・・
・・・・・・
- 173 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時12分48秒
- 「ん?おい!どうした!?平家!?平家!!」
「胃洗浄だ!早く!!早くしろ!!!」
「ふざけろよ!てめぇ何考えてんだよ!!死んだくらいじゃてめぇどうに
もなんねぇんだよ!!!」
「おい!揺らすな!!早く!胃洗浄の準備早くしろ!!」
- 174 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時13分19秒
- 「明日はクリスマスですね♪」
「はぁ・・・毎年恒例居酒屋デート・・・しかもあっちゃんと・・・」
「そんな顔しないで下さいよぉ」
「去年は大変やってん。あっちゃんと飲んでたらいきなり裕ちゃんまで乱入
してきて・・・なんや約束すっぽかされたらしいねんけど、ほんであんまり
にも騒ぎすぎて店追い出されるし、行くとこもないから外で続きや。ほんま
寒くて死ぬかと思たわ・・・」
「なんかすごいクリスマスですねぇ・・・」
- 175 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時14分03秒
- 「そうだ、平家先生はクリスマスどうするんですかぁ?」
「嫌な事聞かんといて!どうせ今年もあっちゃんと二人で居酒屋クリ
スマスや・・・」
「寂しいですねぇ〜」
「うぅ・・・放っといてや・・・」
「ねぇ平家先生・・・もし良かったらなんですけどぉ、わたしと一緒に・・・」
「あっ・・・!!」
「雪や・・・、雪降っとる!!」
「平家先生、雪好きなんですか?」
「好きっていうか・・・なんか珍しい感じや。あんま見たことないから・・・」
「平家先生ぇ、寒いですぅ〜!!」
「ちょっとだけ、ちょっとだけ。ね?」
- 176 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時15分00秒
- 「ダメですぅ!こんな所で寝たら凍死しちゃいますよぉ!!」
「まぁ、そんなんもありやな〜って・・・」
「そんな死に方ダメですよぉ!も〜、起きてくださいってば!!」
「そんな死に方てなんやねんなぁ〜!そんなんひどいやんかぁ〜」
「はいはい、分かりました。言い過ぎました、ごめんなさい!」
「分かったらええねん、分かったら」
「もぉ〜、分かりましたから立ってください〜〜!!」
「なぁ・・・亜弥ちゃんの理想の死に方ってどんなんなん?」
「いきなり何言い出すんですかぁ?ほら、起きてください!」
「嫌や〜!答えてくれるまで動かへんで〜〜!!」
「も〜、なんでお酒飲むとみんなこんなんなっちゃうんだろ・・・」
「聞こえへんで〜!答え聞こえへんで〜〜!!」
「もぉ。分かりましたよ!わたしの理想の死に方はぁ・・・・・・」
- 177 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時15分38秒
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
- 178 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時16分21秒
- ああ・・・今日はほんまにいい天気や・・・
亜弥ちゃんに会うのにはやっぱりこんな天気の日がええねんな・・・
もう2年くらい会うてへんけど、あたしの事覚えとるやろか・・・
あたしはあんたの事忘れた事なんてなかったで・・・
亜弥ちゃん・・・ずっと・・・会いたかった・・・・・・
今行くから・・・もうちょっとだけ待っててや・・・・・・・
- 179 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時17分36秒
―――――飯田圭織の日記帳―――――
「完」
- 180 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時22分51秒
- ┌───────────────
│ てか何気にみちあや!!?
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < すんげぇ〜すんげぇ〜すんげぇ〜
/つつ / ∬つ └────────── 裏切り!
(__) (_|酒|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ あんた酒て・・・
└─────────
- 181 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時25分01秒
- ┌───────────────
│ ウチと矢口のラブラブゲッチューはないんかい!
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < 名前すら出てきてないよね
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|茶|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ 後藤さんさらりとひどい事言いよるなぁ
└─────────
- 182 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時29分14秒
- ┌───────────────
│ 次回からは『性豪中澤裕子愛と情熱の日々』をお送りします
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < 性豪・・・いちーちゃん・・・
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|酒|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ スレの中身と違いすぎがな!
└─────────
- 183 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時31分15秒
- ┌───────────────
│ ・・・「すぎがな」?初めて聞く言葉やなぁ?
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < 平家さんもう言語障害ですかぁ?
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|酒|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ うっさいねん!ちっさなミスくらい
└───────── 見逃してぇな!!
- 184 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時33分18秒
- ┌───────────────
│ みっちゃんは最近仕事少ないさかいしゃべり慣れてへんねん
└∨────────────── 許したりや
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < なるほどね〜あはっ☆
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|酒|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ 納得するな!!
└─────────
- 185 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時36分11秒
- ┌───────────────
│ しかし羨ましいなぁ。松浦に後藤、両手に花やん
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < ・・・あたしの方が人気あるもん!
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|酒|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ 敵対心むきだしですな・・・
└─────────
- 186 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時39分10秒
- ┌───────────────
│ あかんで後藤。最近は加護も石川もええ乳やからもう乳勝ちはできひんで?
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) <色気ではあたしの方が上だもん!!
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|乳|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ 乳言うたらやっぱソニンちゃんやね
└─────────
- 187 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時41分35秒
- ┌───────────────
│ そんなんで色気なんて笑うてまうわ。せめて裕ちゃんレベルになって
└∨────────────── からもの言いや
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < 裕ちゃん最近魔女みたいだよね
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|酒|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ 魔女言うたらリンゴ姉さんやね
└─────────
- 188 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時43分59秒
- ┌───────────────
│ もうそろそろ流れたやろか?
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) <リストラ候補は流れてけ〜
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|平|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ あたしの事かい!!!
└─────────
- 189 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時47分27秒
- ┌───────────────
│おし、もうええやろ。正直もう眠い!
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( ゚Д゚) (´Д`) < zzzz...
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|終|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│あんたもう寝とんのかいな!!
└─────────
- 190 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)03時50分16秒
- ┌───────────────
│ ZZZ・・・・
└∨──────────────
∧ ∧ ∩ ∩ ┌──────────
( -Д-) (´Д`) < zzz・・・
/つつ / ∬つ └──────────
(__) (_|終|) ∧ ∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚Д゚ )
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ (__)
┌∧────────
│ほんま最後くらい締めんかい!!
└─────────
- 191 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月01日(木)20時26分12秒
- 更新された直後に読みました。いつもながらの独特の雰囲気に引き込まれました。
前作を読み終えて、いろいろ謎が残っていたので、続編が読めて良かったです。
あっちのスレでは久しぶりに“通りかかって”いただいたのに、ちゃんとレスを
返せないうちに、今度のことになって非常に心残りでした。
できれば、このスレが続いてくれるとうれしいです。
Converted by dat2html.pl 1.0