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屋根の下のベース弾き #2

1 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月10日(水)17時51分50秒
同じ海板の続きです。よろしくお願いいたします。

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=wood&thp=1018614026(最初)

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=sea&thp=1020511804(その次)





2 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月10日(水)18時00分53秒
『もしもし、梨華ちゃん?』
そのままごっちんが出た。
「あ、ごっちん。3人祭、可愛かったよ」
「あっは!ありがと!あのさ〜、ごとーは梨華ちゃんのコト大好きだよ?」
「…ごっちん」
さっきの市井さんの言葉と重なって涙が出てきた。
「LOVE!LOVELY RIKA!」
アヤカさんの声だ。
「石川のくせに生意気よ!」
保田さん、ワケが分かりません。
「ウォォォォーーー!!!ファイヤー!!!」
この奇声は…ひとみちゃんね。
『せーの!』
『愛してるぜ!石川梨華!!』
最後の台詞はメンバー全員からだった…。
ありがとう。ありがとう、みんな…。
嬉しい時の涙ってとても温かい―――。
あたしは携帯を握り締めたまま、心地よい涙を流した。


「柴ちゃん、市井さんとこっそりそんな打ち合わせしてたんだね」
電話を切った後、あたしは柴ちゃんに携帯を返した。
「いやまぁ、市井さんがドコまで乗るかがポイントだったけどね」
「個人名がどうとか言うのは?」
「う〜ん。昔とあるライブハウスで今日のみたいに『愛してるぜ!』って言った後、個人名出しちゃった
のよ〜。市井さん、ステージからファンに引き摺り下ろされたりして大騒ぎになってさぁ〜」
「ヒエー!そりゃすげーな!」
大谷さんが驚きの声を上げる。
「『CUBIC−CROSS』はその後、出入り禁止にされたりしてちょっとした事件だったわよ」
「へぇ〜。柴ちゃんはホント詳しいね〜」
「エッヘン!まあね〜、アタシはヤッスーの初ステージも見てるし!」
「エ?保田さんの初ステージって?」
「あ、保田さんは2代目ドラマーなの」
3 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月10日(水)18時06分17秒
「へぇ」
「最初はジャズバンドで叩いてたのよ」
ジャズバンド…。何だかカッコイイ。
「そこのバンドのも見たことあるケド、今の方が伸び伸びやってる感じ」
「ふ〜ん…」
ウチに下宿してた時からバンドをやってるっていうのは聞いてたけど、
それは初耳だった。
保田さんがひとみちゃんが今いる部屋にいた時って、お母さんが死んだりして
家中バタバタしてたからなぁ。あたしも正直、そっちに気を取られてたし。
保田さんも帰りが遅い日が多かったから、あまりその頃の記憶がない。
「あの、今日すっごくタイミングよく大谷さんがいたのは?」
「ああ、さっき言った市井さんの前科があるから、用心して迎えに来てもらう
段取りつけてたのよ。
何かあっても車で逃げちゃえば何とかなるかなーと思って」
「…そうなんだ」
「まあ、それはさておき。夏休みさ、うちの親戚の旅館においでよ。お安くしとくわよ〜」
「え、いいの?」
「ね。マサオも来るでしょ?」
「おう。休み合わせるわ」
「というワケで梨華ちゃんも参加するように」
「…ウン!」
あたしは笑顔で頷いた。

この夏休みは。
想像以上に楽しくなりそうです。
4 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月10日(水)18時33分38秒
更新しました。

レスのお礼です。

>494の名無し読者さん

(;0^〜^)<スゴかったっすよね?

ヽ;^∀^ノ<おう!圭ちゃんがある意味一人勝ちした気もするがな。

脳内画像でお楽しみください。>メロンなだけに よかった…(w 自分だけじゃなくて
安心しました。

>495の名無し読者さん

( ^▽^)ノ<ついにパート2です!

(0^〜^)ノ<これからもよろすく!

一番のお気に入りなんて言って頂けて、照れちゃって照れちゃってしょうがないです。
ありがとうございます!

>オガマーさん

( O`ー´) y−~~ ジゴロ

(♯ ^▽^)<ひ、ひとみちゃん… ドキドキ 

オトコマエ勢ぞろいですね。天然でジゴロってすごいっすね(w ヨスコが自覚してたら
今ほどモテなかったでしょうね。

>ベリィさん

( ^▽^)<保田さんのファンだとおっしゃってますよ♪

( `.3´)<熱〜いキスをあげるわッ! ブチューンッ!!

初レスありがとうございます。かわいいHNですね(^^)楽しみと言って頂けて
作者冥利につきます。がんがります!

>Dr.マルッチさん

( ●´ー`)<Dr.マルッチさんに敬意を表してこのAA使うべさ!

( ^▽^)<普段は (・´ー`・)なんですよね

初レスありがとうございます。私の方こそお世話になっております。Dr.マルッチさんも
がんがってください。これからもよろしくです。

最後にパート2にあたって…

( ^▽^)ノ<パート2も逝くぞ!ほりゃー!!

(O^〜^)ノ<主役はオイラだよほ!

これからも皆様よろしくですm(__)m

5 名前:水海 投稿日:2002年07月10日(水)18時45分25秒
新スレおめでとうございます。
ライブ 楽しそうです〜〜。
お泊りも楽しくなりそうですね、
ニブチン吉くんも 少〜しずつ成長しつつあるようで
これからが また楽しみです!
6 名前:ポー 投稿日:2002年07月10日(水)23時49分59秒
初レスです。紫版で書いてますポーです。
最近この作品を発見して、イッキに読ませてもらいました。
いいですね、この作品。大好きです。どうやったら良い作品が書けるのでしょう?
この後も、楽しみにしています。がんばってください。
それにしても、ヤッスーの3人娘って…(w
7 名前:あおのり 投稿日:2002年07月11日(木)00時21分18秒
わーい、新スレだー!
この小説が更新されるのかなり楽しみです。これからもどんどん書いちゃってください。
(あくまでも作者さんのペースで良いですので。)
みんなで梨華ちゃん励ますの図、感動しますた。やっぱり持つべきものは友達ですね。
ヨスコももっと梨華ちゃんを幸せにしてあげてクレイ!
しかし、けめピョンの隠された実力凄すぎ。まだまだ隠されたものがありそう・・・
これからますます楽しくなりそうなヨカーン
8 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月11日(木)14時05分36秒
ごまさん、新スレおめでと!&更新おつです。

何だかずいぶん話が進んでてビックリしたよ〜(汗
相変わらず面白いねー♪
そうそ、前スレで誰か言ってたよね?
「めぞん一刻」思い出したって・・・私も同感♪
ここのいしよし見てると、五代君と響子さん思い出したよ〜

(;^▽^)<歳がバレそ・・・
まぁ、ごまさんは私の歳、知ってるんだっけか!
9 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月11日(木)19時39分44秒
作者さん、更新お疲れ様でした。
今回は保田さんの知られざる過去がチラッと出てきましたね!
どこかで聞いたんですが、彼女はサックスとエレクトーン
できるらしいですね。 意外でした(失礼w)
ここでは名ドラマー&ギャグ担当という、とってもマルチな人ですね!
今夜も更新あるのかな? 続き楽しみです!

しかし毎日、暑い日が続きますね。
私は「夏美」という名前のクセに夏が嫌いです(w
いっそ「冬実」の方が良かったかも・・・
作者さんも夏バテには気をつけて下さいね!

>いしよしサイコ〜さん
私も何となく、その気持ち分かります。
「めぞん一刻」私も好きでしたから・・・いけない、私も歳バレる!(w

10 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)21時43分41秒
―――石川視点

あたしはその後、大分遅くに帰宅した。
2時は過ぎてたと思う。
大谷さんに結局、車で送ってもらった。
「じゃ、よいこは歯を磨いて寝るのよ〜」
ウィンドウを下げて、柴ちゃんがひらひらと手を振った。
「柴ちゃんたちはどうするの?」
手招きされる。
近づくと、
「野暮なコトは聞かないのはあとはあと
と囁かれた…。

心なしか、大谷さんの顔が赤かった気がする。
走り行く車に手を振って、家の中に入って行った。

居間をチラッと覗くと、裕ちゃんが平家さんに膝枕されてて眠っていた。
平家さんもソファに座ったまま、熟睡してる。
ロックのグラスやウイスキーの瓶がそのままになってる。
裕ちゃんは安心しきった顔で眠ってる。
平家さんも何だかお母さんみたい。
その様子が微笑ましい。
電気を消して、グラスとお皿を持ってそっと出て行った。
「ふあ〜あ!」
突然、部屋からののちゃんが大あくびして出てきたからびっくりした。
「あ、梨華ちゃん」
「ののちゃん、まだ起きてたの?」
「今から寝るところれす。お手洗いに行こうと思って」
「そっか。おやすみ」
「おやすみれす」
ののちゃんはまたあくびをしながら歩いていった。
11 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)21時50分06秒
「不良娘や」
2階に行ったら行ったで、階段を上がる音を聞きつけたのか、
あいぼんが部屋から出てきてニヤニヤして言った。
「なによ〜」
「今日もひとみちゃんはカッコよかった?」
『ひとみちゃん』のとこだけ、あいぼんはワザとくねくねした。
もう。オトナをからかって。
「カッコよかったよ。当然じゃない」
「うわ!開き直ってるし!」
「フフッ。後藤師匠も可愛かったよ。あのね〜、3人祭のコスプレしてさ〜」
「えー!見たい、見たい〜!」
無邪気に喜んでる。あいぼん、かわいいなぁ〜。
「そんでひとみちゃんも保田さんもピンクのカツラかぶってね」
「…オバチャンもやったん?」
「うん」
「…ウチ、寝るわ」
あいぼんは何故かそのままドアを閉めてしまった。
その顔はとても複雑そうだった。


―――吉澤視点

ウチら『CUBIC−CROSS』ご一行様はライブの後、ファンにもみくちゃに
されながら何とか脱出し、保田さん運転のワゴンで茅ヶ崎に向かった。
いつもなら居酒屋で打ち上げするところを、夏だし海に行こうということに
なったのだ。


『江ノ島が見えてきた 俺の家も近い』

市井さんが歌いながら、ウチのモーリスを掻き鳴らした。

『今 何時?』
「「そうね だいたいね!」」
運転席の保田さんもノッて叫ぶ。
『今 何時?』
「「ちょっと 待ってて!」」
『今何時』
「「まだ早い!」」

『不思議なものね あんたを見れば
胸さわぎの腰つき』

「「胸騒ぎの腰つき!」」

車内は大サザン大会になった。
みんなライブ直後でハイになってるし。
12 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)22時00分04秒
『八月の濡れた誘惑が
水着の奥まで沁みた時
江の島に架かる桟橋で
恋の花火が浮かんで消えた』

『風に燃える陽炎みたい
空と海のアイドル』

保田さんがナニゲにソロで『HOTEL PACIFIC』を歌った。

「圭ちゃん、抱いて〜!」
市井さんが裏声で叫ぶ。
「ホホ!高くつくわよ!」
「ギャハハ!お金取るんだー!!」
全員で爆笑する。

あたしは隣のアヤカさんとポテチを分け合って仲良く食べてた。
ごっちんはしばらくはしゃいでいたが、ヤケに静かになった。
見たら、缶チューハイを握ったまま寝ている。
この喧騒の中、よく眠れるなぁ〜。


『心から好きだヨ チャコ
抱きしめたい
だけどもお前はつれなくて』

『恥ずかしがり屋のふたりは
交わす言葉もなくて
砂浜を指でなぞれば
口づけを待つしぐさ』

市井さんは『チャコの海岸物語』をギターを弾いて少し歌った。
このヒト、マジカッケーわ。
ウチも、少しでも追いつきたいと思う。

「あ〜。夏はサザンだね〜」
アヤカさんがしみじみ言った。
「おうよ」
市井さんは即答した。ウチも頷く。

13 名前:傾きの私設秘書 投稿日:2002年07月11日(木)22時06分25秒
( `.∀´)<新スレはここね?!(何故か態度がXL)
新スレたてたらどこにたてたか書き置きして逝きなさい!
探しちゃったじゃないの!
(てか同じ板だったから書かなかったのね! バカだわ私っ!)
灯台もと暗しとはこのことねっ!
さぁ「お気に入り」にいれといたわよ!
あなたの行進についていくには体力勝負もいいところね!

ちょっと保田大明神様になってみました。
でもうまくいきませんでした。ごめんなさい。
それでは新スレおめでとうございます。
これからもよろしくよろろ〜。
14 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)22時07分35秒
その後、浜辺で飲んで騒いで。
しばらく波打ち際で水かけたりして遊んで。

それぞれ車に戻って寝た。


次に目が覚めたのは―――。

まだ外は微妙に暗い。
ジーンズのポケットから携帯を出して、時刻を確認したら4時前だった。

外が見たくなって、そっと起き出して車を出た。

ああ、海はいいなぁ。
見てて飽きないや。
まだこんな時間だし、サーファーもさすがにいない。

スニーカーを脱いで素足になった。
砂に埋もれていく足。
感触がくすぐったい。
さくさくと歩いていき、波打ち際まで出る。

梨華ちゃん、今頃寝てるかな。
目を凝らして空と海の境を眺める。

『丸い地球の水平線に
何かがきっと待っている〜』

口ずさみながら、波打ち際と平行に歩いてく。

『ひとみちゃん』
あのくすぐったくなるような声。
『あのね』
呼びかけるときの笑顔。
『ホントに?』
驚いたときのまん丸の目。

頭をよぎる。

…どうして。
胸が苦しいんだろ。

空の青と海の青は交じり合うようでいて。
実はまるで違う色で。
波間を漂うような、気持ちを抱えてる。

ウチ…梨華ちゃんのコト、好きなんかな。
15 名前:傾きの私設秘書 投稿日:2002年07月11日(木)22時13分49秒
夏になると出てくるもの。
チューブ、サザン、蟻蚊、幽霊、ヘンな人
そーいや昔
「ねぇ、ナツメロって何の略?」
と級友に聞かれ
「夏に聴きたいメロディーのことだよ。サザンとかチューブとかコメコメとか」
と答え、
「ああ! そっかー!」
と納得したその子は、数週間後、とても怒っていた…。
しかし私には数週間騙せたことの方が驚きだった。
16 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)22時35分02秒
戻ろうとすると、人影に気づいた。

「ズイブン楽しそうに遊んでたじゃない」
保田さんは髪をかき上げて笑った。
しかもタバコ片手に。
「起きてたんスか」
「ソレはこっちの台詞よ。まったく、若いっていいわね〜」
並んで立って、海を眺めた。

「石川のコトでも考えてたの?」
「…何で分かるんスか」
「顔に書いてあるわよ」
…『梨華命』とでも書いてるんだろうか。

保田さんはおいしそうにタバコをふかしてる。
じっと見てると、
「アンタも吸う?」
箱を差し出した。
見ると、カルティエのメンソールだった。
頭を下げて、一本銜えた。
ライターは金色で細身の、何だかオトナな感じのヤツだった。
火をつけてもらい、ヒサブリにフカしてみる。
「保田さん、タバコ吸うんスね。知らんかったっス」
「最近は控えてるわよ。お肌に悪いしはあとはあと
ウフ!って感じで笑った。
キショッ!と笑ったら、案の定どつかれた。
「アンタさ」
「ハイ」
「石川のコト、ホント好きなんだね」
しばらく黙る。ふたりともどちらからともなく座った。
「あの」
「何さ」
「その…どの辺りからそう見えるんでしょうか?」
保田さんはあたしの顔をまじまじと見た。
そして、膝に顔を埋め、肩を震わせて笑い出した。







17 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)23時00分51秒
「なななな、なんスか!そんなに笑わなくても!」
「だってさぁ〜!バレバレじゃん!ホンットバカ正直だね〜!!」
「だから!どうバレバレなんすか!」
ついムキになって怒鳴ってしまった。
「そういうトコだって!アハハハ!おかしすぎだわ、アンタ!!」
保田さんはしばらくウケてた。
あたしは顔を赤くし、むせたりしながらタバコを吸った。
「まあ、笑って悪かったわよ。しょーがない、マジメに答えてやるわ。
なんてーかね、石川を見る目が特別っていうか」
「…特別?」
「そう。何か、あの子を見てるとき、優しい目、してるわよ」
また赤くなった。
そんなこと…考えてなかったから。
「…梨花ちゃんの気持ち、ウチ分かりませんし」
保田さんは不思議そうな顔であたしを見た。
そして、
「まあね〜。こればっかりはね〜」
苦笑しながらビールの缶にタバコをもみ消し、二本目に火をつけた。
「保田さんこそ!好きなひといるんスか?」
保田さんはウチの方を見ず、
「…いるわよ」
とだけ答えた。
「エ?ウチの知ってるひとっスか?」
「誰でもいいじゃない。ソレよりアンタよ!ったく、さっさと告っちゃえば?」
「そそそそ、そんな!」
「何か不都合でもあんの?」
「だって…梨華ちゃん、去年あんなコトがあったのに。今ウチが余計なコト言ったら…」
「ああ…」
保田さんはしばらく考え、
「あのさ、忘れるって悪いことだと思う?」
そう言った。
18 名前:DO IT TWICE 投稿日:2002年07月11日(木)23時04分47秒
「へ?時と場合によるかと思いますが」
「そうね。忘れたくても残ることってのもあるしね。でもまあ、忘れるのは
人間のいいトコでもあり、悪いトコでもあるわね。
…石川も、もしかしたら一生傷は残るかもしれない。
本当のことを聞いて、アンタは石川をキライになった?」
「…イエ。逆…です」
「ほ〜、なかなかね。…アンタらがどうなるかアタシも分かんないわよ?
でもね、あの子が好きなら全部受け止めてやるつもりでいかないと」
「…そのつもり、です」
「忘れられないかもしれないけど、幸せになりな、ふたりで」
「…ハイ」
幸せか…。
例えるなら、いま手に掴んでる砂みたいなモンで。
さらさらと、指の間をこぼれてく。
それでもひとは微かな中にそれを望む。
切ないくらいに。

「たくっ、世話が焼けるわねっ!」
保田さんは笑う。
「スミマセン」
謝りながら、ハッカの匂いのする煙草を吸った。
19 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月11日(木)23時35分28秒
更新しました。
さて、最初に。
前スレをいっぱいいっぱい使ってしまって投稿できない状態になり、このスレの
アドレスも載せられなかった失礼をお詫びいたします(^^;; 気がつかなかった…。

レスのお礼です。

>水海さん
(*^〜^*)<エヘヘ!
( `.∀´)y−~~<ニブイのは相変わらずだけどねッ!
好きと認めましたしね(w お泊りはまだちょっと先です。ライブはみんな壊れてました(爆

>ポーさん
(0^〜^)<読んでくれてありがとう!
( ´D`)<吉澤共和国はイカしてたのれす!
ポーさんのスレでもほめて頂き、何か照れました(w これからもよろしくれす。
いい作品を書くコツ…私も知りたいです(w

>あおのりさん
( `.∀´)y−~~<ホホ!『能あるタカは爪隠す』っていうでしょ!
ヽ^∀^ノ<圭ちゃんの場合、圭ちゃん自身がハゲタカって気が…
ナニゲに無礼な市井。ナニゲにマルチなヤッスーなのです。意外にジャジーなニクイヤツ、保田圭。








20 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月11日(木)23時37分51秒
>いしよしサイコ〜さん
( ‘д‘)<作者はリアルタイムで『スピリッツ』読んでんで!
( ´D`)<年バレバレれすね
大丈夫です、ワタシもかなーりです。『めぞん』はあのじれったさがオツでした。
惣一郎さん(人間)の顔が知りたくて仕方なかった…。

>なっつぁんさん
( ‘д‘)<エレクトーンは作者もきーたことあるわ!
( ´D`)<オバチャン、やるれすね
ヤッスーにオトナなジャズを歌ってほしいと願っている一人です。
お心遣い、ありがとうございます。なっつぁんさんもご自愛ください。

>傾きの私設秘書さん
(;´D`) <ごめんれす…うっかりしてたのれす
(0^〜^)ノ<冷やし中華と杏里もお忘れなく!チェケラッチョ!
途中レスが味わい深いです。ありがとうございます。こちらこそよろしくれす。
保田大明神に死ぬほど謝らないと(汗 ゴマを1日絶つのでお許しくだされ。
21 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月12日(金)00時07分14秒
訂正です。

>>17

梨花→梨華です
22 名前:婆金 投稿日:2002年07月12日(金)00時13分14秒
新スレ、万歳!
jazzyな保田サン、かっちょいい!
それにしても『CUBIC−CROSS』ご一行様と夜の海、ハマリまくり!
23 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月12日(金)00時27分23秒
ごまさん、大量に更新おつです! 

( ‘д‘)<・・・おばちゃんもやったん?
( ^▽^)<うん♪
( ‘д‘)<・・・ウチ、寝るわ。

ここんとこが妙にツボに入ってウケた私です!

今回も笑いあり、しみじみありのバラエティーにとんだ更新でしたね♪
ライブ後、海辺で語る保田さんと吉澤の姿が
妙に格好よく見えたのは私だけ・・・?

>( ‘д‘)<作者はリアルタイムで『スピリッツ』読んでんで!
私は単行本でハマって集めてた口です。
惣一郎さんの顔は、最後まで謎でしたな(w

・・・この手の話は、あっちの「喫茶たんぽぽ」でせなアカンね。失礼!
そうそ、ごまさん。例によって御土産を持ち込みしときますた〜
マスターはもう知ってると思うんで、ごまさんも見聞してちょ♪

(;^▽^)<(重ねがさね、スレ違いごめんなさい・・・)

では響子さん(^▽^)と五代くん(○^〜^○)の幸せを
願いつつ、更新楽しみに待ってま〜す♪
24 名前:オガマー 投稿日:2002年07月12日(金)03時58分04秒
新スレおめでとうございまーす。
なんかいいスね。
サザンと砂浜w
ついてに自覚したよしこw
25 名前:ベリィ 投稿日:2002年07月12日(金)09時06分59秒
新スレおめでとうございますv
ヤッス〜には好きな人がいるんですか〜!?
ちょっとショック〜。(TwT)でもいいや,
キスしてもらっちゃったしv(←待て。)

今からお泊りのお話が楽しみで仕方ありませんv
頑張ってください!!(>w<)ノ
26 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月12日(金)10時36分14秒
本編がちょうどいいとこで区切りがついたので、今日は辻視点で番外編を。
27 名前:大人になりたい 投稿日:2002年07月12日(金)10時44分38秒
―――辻視点

「矢口さん、これなんれすか?」

朝、ののが『喫茶タンポポ』にアルバイトに行くと、理科の実験に使う
ビーカーのようなのがカウンターの奥にありました。
上にロートがあって、茶色い液がポタポタ落ちています。
「ああ、氷出しコーヒーだよ。昨日お客さんから予約があったからさ」
「氷でコーヒー作るんれすか!初耳れす!」
「フフッ。時間はかかるけどおいしいんだよ」
矢口さんは笑って言いました。

ののはアルバイトしている間、どれくらいコーヒーがたまったか見るのが
楽しみになりました。
「辻、そんなに見張らなくてもコーヒーは逃げないよ」
矢口さんは笑います。
へいっ。分かってるれす。
でも、ののの今日の使命は、このコーヒーの行く末を見届けることなのれす!

「矢口さん、このコーヒーいつになったらできるれすか」
「ん、朝イチに仕込んだから夕方4時くらいかな」
「そんなにかかるんれすか!」
びっくりしたのれす。お湯で淹れたらあっという間なのに!
「そう。だから予約限定なのよ。時間かかるしね」
あいぼんだったら、
「いつまで待つんやー!」とかツッコむかもしれません。
それにしても、予約したお客さんて誰なんれしょう。
28 名前:大人になりたい 投稿日:2002年07月12日(金)10時54分01秒
「おう、辻!しっかり稼いどるかぁ〜?」
夕方、中澤しゃんとへーけしゃんが来ました。
「辻ちゃん、ヘンな客に絡まれたりしてへんか?」
へーけしゃんが心配そうに言いました。
まるでお母さんれす。
「大丈夫れすよ。お客様、ご注文はお決まりれすか?」
「あ、ウチらは氷出しコーヒー飲みに来てん。矢口ィー、もうエエかぁ?」
中澤しゃんがカウンターの方を見て言いました。
予約してたのはこのふたりだったのれすね。
「いいよー。辻ー、これ運んでー」
「へいっ」

「ん〜、たまらんなぁ〜」
香りをかいで、ふたりは言います。
しばらくした後、ゆっくり飲みました。
「…うまい」
中澤しゃんが言います。
「…エエわ」
へーけしゃんも頷きます。
そう言ったきり、ふたりは黙りこくってしまいました。

「待った甲斐があったってモンや」
半分くらい飲んで、へーけしゃんは言いました。
「せやなぁ」
「時間かけてこんなうまいモンが飲めるんならナンボでも待つわ」
「うん」
「…まるでウチらみたいやな」
へーけしゃんが中澤しゃんに言うと、
「…あほ」
中澤しゃんはなんか赤い顔をして言いました。
何でふたりみたいなのかも、中澤しゃんが赤くなったのかもわからないれす。
ののには分からない、おとなの世界れす。
今度、いいらさんに聞いてみようと思います。
29 名前:大人になりたい 投稿日:2002年07月12日(金)10時59分48秒
「辻もちょっと飲んでみな」
カウンターに戻ると、矢口さんがさっきのコーヒーをグラスに注いでくれました。
「ありがとうれす」
ののは、大切にゆっくり飲みました。
甘いような苦いような。とても香ばしいかおりが鼻先をかすめます。
確かにお湯で淹れるのとは違うのれす。
とてもおいしいというのはわかりました。
でも、なんで中澤しゃんとへーけしゃんなのかはわからなかったれす。


―――その日の夜。

「コーヒー飲んで寝れんようになったから遊んでくれやとぉ〜?」
あいぼんがお部屋のドアを開け、顔をしかめて言いました。
「へいっ」
ののはてへてへ、と笑います。
「コドモか!オマエは!!」
さすがは関西人。
ツッコミのキレがちがうのれす。
「イマ何時やと思てんねーん!!」
「夜中の1時れす」
「マジメに答えんなー!!」
「へいっ、ごめんれすっ」
ノリツッコミするくらい気の利いたコトせいよ、とあいぼんはブツブツ言いながら、お部屋に
入れてくれました。
「だって〜、あいぼん、いつもお休みは夜更かししてるじゃないれすか。
だから起きてると思ったんれすよー」
「だからって…自分もバイトちゃうん」
「昨日…あ、もう今日れすね。ののはお休みれす」
「さよか。ほな勝手に遊んでて。ウチは寝るわ」
「え〜!ビデオも持ってきたんれすよ〜!ホラ、『となりのトトロ』!
レンタルしてきたのれす!」
「…トトロなら見るわ」
新発見れす。あいぼんはトトロに弱いんれすね。

30 名前:大人になりたい 投稿日:2002年07月12日(金)11時03分53秒
トトロを見て、あいぼんはここぞというツボシーンで泣いていました。
これからあいぼんにムリな頼み事をするときは、トトロだ!と思ったのれす。
これは使えるテれす。


結局その夜はあいぼんのお部屋で寝ました。
「あいぼ〜ん」
ののは床に敷いたお布団から、ベッドのあいぼんに声をかけました。
「ん〜?」
「あいぼんは…好きなひといるれすか?」
「ハァ?」
「のの、どういうのを好きなひとっていうのか最近わかんないんれすよ」
「自分でわかってへんのにヒトに聞いてんのかいな」
あいぼんは困ったように笑います。
「あ、そうれすね。のの、ヘンれすね」
自分でもおかしくて笑いました。
「あいぼんはいろんなこといっぱい知ってるれす。だから分かるかと思ったんれす」
「好きなひとってのはな」
「へいっ」
「…そのうち、ののにも分かるワ」
あいぼんは背中を向けました。
こういうのを肩すかしというのれしょう。
なんらか腑に落ちないれすけど、ののもあきらめて目を閉じました。

ののがおとなになるのはいつなのれしょう。
はやくおとなになりたいれす。
そしてあいぼんに、もっといっぱいいろんなことを教えてもらうれす。
そうして、もっともっとおとなになってあいぼんに追いつくのれす。
―――だからそれまで。
あいぼん、待っててくらさい。
31 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月12日(金)11時28分39秒
更新しました。
タイトルはコニー・フランシスの曲より。
氷出しコーヒーは7、8時間くらい時間がかかるとか。
水出しもそうですが、渋みとかの原因になる脂肪分が溶け出さないから
よりおいしいそうです。

レスのお礼です。

>婆金さん
( ´ Д`)<んあ〜、よすこが脱ぐって言い出してタイヘンだったよ〜

(;O^〜^)ノ<言ってない!それは保田さん!!

全員酔っ払ってそれはもうすごかったことでしょう。ライブのテンションで
突っ走ってますし。新スレでもよろしくれす。


>いしよしサイコ〜さん
( `.∀´)<ホホ!人生のなんたるかを教えてやろうと思ってね!

(O^〜^)<これはホント

かっけーヤッスーもたまには出そうかと思いまして。それにしても茅ヶ崎でサザンは
ベタすぎですな。行ったことはないですが。

>オガマーさん
ヽ^∀^ノ<♪恥ずかしがり屋のふたりは〜

(;#^〜^)<市井さん、も、カンベンしてください!

当分よすこはこんな感じでからかわれると思います。替え歌メドレー(嘉門達夫みたいやな)
なんかもいちーあたりが製作すると思われ。

>ベリィさん
( `.∀´)y−~~<アタシにホレるとヤケドするわよッ!

( ´ Д`)<んあ〜、違うイミでキケンだね

スミマセン(w でも、ヤッスーは本気っぽいので温かく見守ってあげてください。
応援ありがとうです。がんがります!

32 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月12日(金)12時25分14秒
・昨日の夢は


@ノハ@
(; ´д`)<う〜ん、う〜ん(何やろ?夢かな?)


( ´ Д`)<♪なーつのうみは〜

ヽ^∀^ノ<♪メールヘンチーック!

川‘▽‘)||<♪でもね でもね

(0^〜^)<♪胸が 胸が

( `.∀´)<♪苦しいよはあとはあと


@ノハ@
(; ゜д゜)<…ぎゃぁぁぁぁーーー!!

(; ´D`)<…あいぼん?あいぼん!! 



スミマセンスミマセンm(__)m




   

33 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月12日(金)16時18分10秒
うわー(ある意味)豪華な3人祭り最高!

あいぼんはトトロに弱かったんですね…
よく寝るトトロは( ´ Д `)<ZZZ で、
色の黒い(;^▽^)は、まっくろくろすけと言ったところでしょうか。

(O`〜´)<梨華ちゃんはそんなに黒くないYO!
ヽ^∀^ノ <後藤はそのくらい…寝てるなぁ
34 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月12日(金)18時45分18秒
作者さん更新おつかれです。
ののちゃんのバイト風景、ほのぼのとしてていいですね!
今日も平和な『喫茶たんぽぽ』でありました。
しかし、あいぼんの夢・・・強烈ですね(w 
エ○ム街の悪夢に出て来る、あの怖い人といい勝負かも!!

35 名前:オガマー 投稿日:2002年07月12日(金)21時21分58秒
かわうぃーw
ほんとにかわいいのれす。ののw
癒されました。
36 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月13日(土)03時09分04秒
ごまさん、遅くなりましたが参上!

今回は辻ちゃん&矢口さんの仕事場編なんですね♪
なんかマターリしてて、微笑ましい感じです。
こういう、色んな人物視点から見れるのって楽しいね!
ののとあいぼんの、深夜のやり取り笑えました。
(´D`)<これは使える手れす♪
意外にメルヘンに弱いあいぼんなんですな(w

しっかし、一番笑えたのはあいぼんの夢!
 @ノハ@
(; ゜д゜)<あ、悪夢や・・・あぁ・・・
アレはさぞ、怖いでしょうな!!(w

37 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月13日(土)21時19分15秒
レスのお礼です。

>名無し読者さん

( ´ Д`)<ごとーは大トトロのオナカの上で昼寝したいなぁ〜

ヽ^∀^ノ <結局寝るんだな

何かの本に( ‘д‘)<好きな映画はトトロ って確か書いてたなーと思いまして。
まっくろくろすけ…ウケてしまいますた(w

>なっつぁんさん

煤i; `.∀´)<んまッ!アタシはフ○ディなの!?

川‘▽‘)||<Oh!Just looks like !

英語のデタラメ加減はお許しください。『タンポポ』は地域密着型のマターリ喫茶店
なのです。(〜^◇^)<辻はよく働いてくれるよ!

>オガマーさん
 
( *´D`)<てへてへはあとはあと

(O^〜^)<ののは癒し系だYO!

自分も書いてて楽しいですよ。微妙に漢字をひらがなに直したりしてますが。
癒し系といったらまずこのヒトですね。

>いしよしサイコ〜さん

@ノハ@
(; TдT)<…こわかった。こわかった…

( ;´D`;)<あいぼん、泣かないでくらさい ノノモカナシイレス

さぞコワイ夢だったかと。『トトロ』は本からのネタです。プラス普段ちょっと
ひねてる子は案外こういうのに弱いのではないかと。
38 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月13日(土)21時42分10秒
・となりのあいぼん


あいぼんとトトロを見たのれす


TV〕  (´D` )(‘д‘ )
                 

TV〕メイノバカー!  (´D` )(‘д‘ ;)
              
                                  
TV〕ネコバス!  (; ´D`) (´д` * )
             
            ガッショウレスカ 
TV〕♪トットロトットーロ (´D`;) (‘д‘ )<♪トットロトットーロ 


( ´D`)<なんらかあいぼんを見ているほうがおもしろかったのれす
39 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月13日(土)22時24分22秒
チラッと覗きに来ちゃいました!
保田さんのフ○ディーめちゃウケ♪♪(・∀・)
海辺ではあんなにカッコ良かったのに、何故かここじゃ化け物に・・・

@ノハ@   寝たらあかん!
(; TдT)<奴が現れるー!! (;´D`; )<何があったんれすか!?

今宵は、あなたの夢の中に・・・・

|`.∀´)<オホホ♪    

40 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月15日(月)06時47分42秒
ヤッスー視点で『CUBIC−CROSS』結成秘話などを。
41 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)06時57分50秒
―――保田視点

―――アタシはその頃、まだ大学生だった。
11月のある日。
木枯らし吹きすさぶ中、アタシはキャンパスを歩いていた。
「あの」
学食の前で、何だかひょろひょろとした感じの子に声をかけられる。
連れなのか、もうひとり女の子がいた。
「ハイ?」
「経済3年の保田さんですか?」
「ハイ、そうですが。どなたですか?」
「あ、スミマセン。アタシ、英文の1年で市井っていいます」
「ごとーでーす!あっは!」
『ごとー』と名乗った方の少女は制服姿。
アタシにも聞き覚えのある高校のものだった。
―――今は昼の1時で、テストシーズンでもない平日金曜日だ。
「―――お連れさんは今日学校では?」
ごくごく素朴なギモンを、アタシは口にした。
「あ、コイツは無視してくださって結構ですから。それより、折り入ってお願いが
あるんですが」
「何?」
「あの、ウチのバンドに入ってもらえないでしょうか?」
「―――ハァ?」
「いや、ウチのバンド、今ドラム探してるんスよ。前のが急にやめちゃって。
そんでこの前のライブで保田さんのプレイ見て、ウチメチャ惚れたんス!」
「あのさぁ」
「んあ?どしたんですか?」
「アタシのライブ見てくれたんなら分かると思うけど、アタシ、この前引退宣言したのよ?
しかもこの前のはゲストで出たヤツだし」
「そこを何とか」
「できません」
「なんでやめたの?」
『ごとー』という子が口をはさんだ。
42 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)07時10分07秒
「何故って…これから就職活動で忙しくなるし」
「んあ、何になりたいの?」
「公務員」
「ふ〜ん。それって忙しいの?」
「まぁ、職種にもよるけど」
「いつ公務員になるの」
「なるのって…採用試験に受かったらって話よ」
「じゃあ、受かったらできるじゃん」
―――初対面の年上相手に何て物怖じしない子なんだろ。
その度胸と無礼さに少々感心した。
「後藤、オマエ失礼だよ」
市井という子がさり気なくフォローに入る。
「スミマセン。あの、いっぺんウチらのライブに時間あったら来て下さい。
これ、チケットです。それじゃ、失礼します」
市井は『ごとー』を引っ張って去って行った。
チケットとともに携帯の番号を書いたメモを渡して。
名前は『市井紗耶香』とあった。

―――英文1年の市井紗耶香。
『タラシの市井』か。
その悪名は学年も学科も違うアタシにも響いていた。


43 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)07時18分37秒
―――何となく気まぐれを起こしたとしか思えない。

アタシは週末の新宿にいた。
この前の市井紗耶香のライブを観に。

―――アタシは大学に入ってすぐ、仲間とジャズバンドを始めた。
中学の頃からドラムが好きで叩いていて、趣味が高じてってヤツかな。
でも、そのバンドには長くいなかった。バンド自体ももうない。
バンドが解散する理由に『音楽性の方向の違い』というのがある。
その通りのこともあれば、建前のこともある。
その場合の本音は様々だけれど。

「みんな、今日はどうもありがとー!」
ステージには市井紗耶香とこの前の『ごとー』がいた。
他にはドラムとベース。
フリーペーパーを見ると、両方ゲストとのこと。
正直あきれた。
寄せ集めバンドじゃないか。
しかも、ここはロックバンドだ。
よく畑違いのアタシに声をかけたもんだ。
44 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)07時24分46秒
―――間に合わせでライブを行ったらしく、音はてんでなってなかった。
各自が主張しすぎる。
いくらそれぞれがうまくても聴けたもんじゃない。

あまりのヘタさに、アタシは下を向いて小さく溜め息をついた。


「あ、先輩!」
ライブ終了後、表にいると、市井紗耶香がやって来た。
「あっは!圭ちゃん来てくれたんだ!」
「圭ちゃん〜?」
思わず顔をしかめる。
「『保田圭』だから圭ちゃん」
『ごとー』は悪びれずニコニコした。
「先輩!飲みに行きませんか?」
渋々承諾し、近くの居酒屋に入る。
「どーでしたか、今日のライブは?」
市井紗耶香はアタシにビールを注ぎながら言った。
「…正直に言っていいの?」
「ハイ、是非」
「ハッキリ言って、バラバラ」
市井紗耶香と『ごとー』は顔を見合わせた。
「ホラ〜、だからごとー言ったじゃん〜」
『ごとー』はビールをちょっと飲んだ。確かコイツは高校生では、とチラっと
考えたが、今ツッコむのもなと思い、黙ってた。
「それにさ」
アタシは続けた。
「何でロックバンドに勧誘されてんのか理解に苦しんだんだけど」
「ダメっすか」
「いいとか悪いの前に、何で引退宣言もしたようなのを誘うのよ。
すぐ使えそうなのもいっぱいいるでしょうに」
「圭ちゃんじゃなきゃダメだよ!」
ごとーは急に立ち上がった。




45 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)07時45分50秒
店中の注目を浴びる。
こっちが恥ずかしくて
「早く座んな!」
小声で怒鳴った。
「圭ちゃんだから誘ったんだよ?確かに圭ちゃんジャズやってたから不安なのも
分かるけど」
「いやさ、不安というか。…言わせてもらうと、アンタらのバンドも随分不安定そうに
見えるよ?」
「んあ、そーだね〜。解散寸前だし」
「後藤!」
と市井紗耶香は咎めた。
やっぱり、と納得する。
今日のライブを観て、何よりリードギター兼ヴォーカルの市井に疲れが見えた。
「ホントのことじゃん。いっそハッキリ言ったほーがいいって」
アタシはちょっとごとーに感心した。
その潔さにというか。
「いちーちゃんもさ、ずるずるやるから悪いんだよ。いっそ1回解散してやり直すとか」
「アタシはやめない!」
「圭ちゃんも何とか言ってやってよ〜。いちーちゃんムキになってさ〜」
何とか言えって言われても。
部外者のアタシが何を言えというのだ。
「まぁ、好きにやればいいんじゃないの。悪いけどアタシにはそれしか言えない。
コレ、アタシの飲み代ね。先に失礼するわ」
「んあ…またね」
お金を置いて店から出て行った。
―――これでこのふたりと会うことはもうないだろう。
そう思って、家路についた。
46 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)07時56分07秒
―――と思っていたが。

「あっは!圭ちゃ〜ん!」
私服姿のごとーが手を振った。
アタシは大学で専門の授業を終え、今から帰ろうとしているところだった。
「―――何してんのよ」
「んあ、圭ちゃんとゴハン食べようと思って」
「ハァ?」
「ごとー、頑張って作ってきたんだよ?」
ごとーは紙の手提げの中を見せた。
弁当箱がふたつ入っている。
「すごーく基本的なコト聞いていい?」
「んあ?」
「アンタ、学校は?」
「今日は休みだよ」
「―――あ、そ」

何故かごとーとランチになる。
学食は込んでいるので、空き教室を探して適当に座った。
弁当はたいして期待してなかったが、それなりに中身が充実していた。
唐揚げが特にうまいと言うと、『下味つけるのにコーラを使った』とのこと。
「あれ?保田さん、その子は?」
同じゼミの子に声をかけられた。
「あ、ああ。まぁ、知り合いっていうか」
「圭ちゃんがいつもお世話になってま〜す♪」
ごとーは最大限の笑顔を振りまく。
彼女は微笑みながら、「カワイイ子ね」と言い、去って行った。
「んあ、大学生ってやっぱオトナっぽいね〜」
「アンタはいくつなの?」
「んあ、高2。17よ。圭ちゃんは?」
「ハタチよ。もうじき21だけど。はぁ〜、アタシも高校の頃に戻りたいわ〜」
「何で?」
「何かさ、なーんも考えなくていいから」
「そうかなぁ〜」
ごとーはおにぎりを頬張り、
「圭ちゃんは何でバンドやってたの」
突然話題を変えた。
「え…音楽が好きだからよ」
音楽がイヤでバンドはやんないだろう。
少なくともアタシはそうだ。
47 名前:All Of You 投稿日:2002年07月15日(月)08時06分04秒
「市井ちゃんもそーだよ。ギターバカだけどさ」
「へぇ」
「お金ないくせにグレッチとか買って、いつもやりくりに苦労してる」
「…ふぅん」
「でも、後悔してないんだって」
何を言わんとしてるかはだいたい分かった。
アタシはドラムバカだけど。
もしギターとグレッチに関心が向いてたら、市井紗耶香と多分同じコトを
していただろう。
「アンタは?」
「ごとー?」
「そう」
「ん〜。何でかな〜、いちーちゃんがドンくさいからかな〜」
よく分からない理由だ。
しかしこの子は、アタシが考えてるよりもしっかりしてそうだ。
あの市井よりかも。
ふたりがセットで現れるワケも何となく分かった。
すべてはプラスマイナスの法則による。

「また遊んでね〜」
駅でごとーは手を振った。
「アンタの下の名前、何よ!」と怒鳴ると、
「真希!後藤真希!」
反対側のホームに続く階段から、ぶんぶん手を振って叫んだ。
その笑顔に何となく好感を覚えた。

48 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月15日(月)08時40分14秒
更新しました。
タイトルは有名なジャズナンバーより。コール・ポーターの名曲です。
『All Of Me』とどっちにしようかと迷い、結局こっちにしました。
エラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーン、ビリー・ホリディといった
大御所も歌っています。
映画『絹の靴下』(フレッド・アステア主演)でも使われています。

レスのお礼です。

>いしよしサイコ〜さん

川‘〜‘)|| <圭ちゃん、あんまり子供をいじめちゃだめだよー

( `.∀´)<いじめてないわよッ!そんなコト言うとアンタの枕元に(ry

番外編でカッケーヤッスーをご堪能ください(w 人を一歩引いたところから見てる、
オトナなヤッスーがご覧いただけるかと。
49 名前:オガマー 投稿日:2002年07月15日(月)12時31分52秒
なんかいいっすねぇ〜(´ー`*)
なんかいい(ナンガダヨ
ごっちんのきゃらとか
ヤス田さんの最後の問いかけとか素敵ですた
続きもまっとります
50 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月15日(月)15時16分09秒
( `.∀´)y-~~
大人なヤッスー |▽^)ミツケタ
ヤッスーが主役ですと、いつもと少しテイストが違ってきますね。
そしてゴトーはいつでもマイペース( ´ Д `)<zzz
51 名前:ベリィ 投稿日:2002年07月16日(火)01時33分57秒
ヤッス〜視点だなんてこんなに素晴らしいことが
あっていいのだろうか,いやない。(←あまりの嬉しさに反語。)

↑すいません。あまりのことに取り乱してしまいました。(^^;)
もしかしたらヤッス〜の意中の方が出てきちゃったりも
するんでしょうか…。 (;^▽^)<ドキドキ・・・
陰ながら応援しています…。|wT)<シクシク(笑)

それからこの間のレスに書き忘れてしまったのですが,
HN誉めていただいてありがとうございますw
自分でも気に入っているので嬉しいですv
これからも頑張ってくださいvずーっと応援してますw
52 名前:All Of You 投稿日:2002年07月16日(火)02時19分23秒
その頃アタシは、中澤家の2階に下宿していた。
当時中澤家は管理人夫妻が相次いで他界し、長女の裕ちゃんが女手ひとつで
切り盛りしていた。
次女の石川(何で苗字が違うのかというと、事情で彼女だけ戸籍が別らしい)は
受験生で毎日黙々と勉強していた。
ある日、彼女の気晴らしにと思い、ファミレスへ食事に誘った。

「どしたのよ、シケた顔して」
注文したハンバーグを目の前にして、石川は暗雲を自分の周囲に漂わせていた。
「あたし…頭悪いんでしょうか」
石川は目を伏せて言った。
受験生は少なからずやこういう事で悩むわ。
でも受験は頭の良し悪しというよりは、どちらかというと要領なワケで。
それに石川はネガティブではあるけど馬鹿ではない。
「バカな人は自分がバカだと悩まないわよ。ホラ!さっさと冷めないうちに食べる!」
石川はちょっと笑ってハンバーグに手をつけた。
「この前の推薦はどうだったのよ」
石川は俯いた。
「…ダメでした」
「そっか…まだ一般があるわよ」
「あの」
「何?」
「保田さんは…何で今の大学に行ったんですか」
いかにも悩める受験生って質問ね。
「うーん、大学行くんなら経済って思ってたし、偏差値との兼ね合いで今のトコに
したんだけど。アンタ、本命はどこよ」
「保田さんのトコです」
53 名前:All Of You 投稿日:2002年07月16日(火)02時33分19秒
「ほっ。それは初耳ね。ちなみに学科は?」
「産業心理です」
「なるほどね。社会学部産業心理学科か」
石川の本命は社会学部の中でも難関だった。
「まぁ、アンタは目的もしっかりしてそーだから何にも言わないけどね」
「あの…保田さん」
「ん?」
「…あたし、大学なんか行っていいのかなって思うんです」
「何で?裕ちゃんに反対でもされてんの?」
「イエ…裕ちゃんは『したいようにせい』って言ってくれてます」
「ならいいじゃん」
「両親も亡くなったのに…私大でただでさえお金かかるのに、大学なんか行って
いいんだろうかって」
彼女の懸念は尤もではある。しかし、裕ちゃんは石川が遠慮したら逆に怒ると思う。
他人の目から見ても、裕ちゃんは妹には甘い。
「あのさ、石川」
「ハイ」
「よその人間が言うのもなんだけど、アンタ遠慮しすぎ。ちっとは姉さんに甘えな」
「でも…あたし、元はよその子なのに」
「ゴルァ!」
間髪入れずアタシは怒鳴った。
石川はビクッとしてる。
「アンタちょっと卑屈すぎ!何よ、よその子って!あんなに家族に可愛がられてんのに!
それでもそんなコト言う!?」
石川は目に涙を溜めてアタシを見た。
その泣き顔のキレイさに一瞬見惚れたけど、何とか自分を取り戻す。
「…ゴメン、言いすぎたわ」
「イエ…あたしが悪いんです」
「でもまぁ、勉強くらいはヒマな時に見てやってもいいわよ。特別割引でね!」
わざとふざけて言うと、石川はやっと笑った。
54 名前:All Of You 投稿日:2002年07月16日(火)03時00分48秒
バンドの件は、とりあえずアタシの就職活動が一段落つくまで保留ということになった。
アタシも公務員採用試験に向けて、毎晩遅くまで勉強していた。
息抜きに、ジャズが聴けるバーによく行った。
そこでアヤカとよく顔を合わせた。
最初に会ったのはアタシが大学2年の冬。
大人びた外見から同年代かと思ったが、3つも年下だと知り、あ然とした。
当時、彼女はまだインターナショナルスクールの生徒で。
コドモっぽい遊びに飽きたと、彼女は艶然と笑った。

「まーったくこの不良娘が!」
相変わらず不良娘は夜遊びをしていた。受験生のクセに。
アヤカはエヘヘという風に笑い、ジンライムを口にする。
「最近どうよ?」
「んー、相変わらず」
アヤカも学業の傍ら、バンドをやっていた。担当はキーボード。
ギターもベースも弾けるので、結構ゲストとしても重宝されている。
「アンタ、確かベースもいけるんだったわよね」
「ん」
「4弦だけ?」
「ん、5弦も6弦もいけるよ」
「ほー。それはすごい」
「圭ちゃんはもうバンドしないの」
アヤカはアタシの顔をじっと見た。
「まぁ、就職できたらね。それまでは保留ってか」
「就職活動で忙しい人がこんなトコで遊んでていいのぉ〜」
ニヤニヤと笑う。
「受験生の小娘に言われたくないわよッ!」
笑いながらその憎たらしいほっぺを軽く引っ張った。
55 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月16日(火)03時14分48秒
更新しました。

レスのお礼です。

>オガマーさん

( `.∀´)<アンタは昔っから眠そうだったわよねッ!

( ´ Д`)<んあ〜。しょーがないじゃん。イマモネムイ…

ごまさんはどうなってもごまさんなのです。高校でも多分居眠り大王だったことでしょう。

>名無し読者さん

( `.∀´)つ凸 <ホホ!分かってくれてうれしいわッ! イッパイドウ?

( ´ Д `)<んあ〜、眠いよぉ〜 zzz…

少しはかっけーヤッスーをと思いまして。頼りがいのあるクールな姉さんが目標です。

>ベリィさん

( ゜皿 ゜)<ケイチャンノ、ネッキョウテキファンノヒトガイル

( `.∀´)<さあ!キリキリ逝くわよッ!

熱烈ファン、ハケーン(w ホントにヤッスーはモテモテだなぁ。意中の人はしばらくは秘密です。
56 名前:オガマー 投稿日:2002年07月16日(火)03時51分02秒
ケメさんの石に喝を入れる言葉全てが染みますた…
なんかヤッスーは世界観があって素敵ですねw
僕にはヤッスーはかけそうにないけど(笑)
そういう意味でもごまべーぐるさんソンケー んあー
57 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月16日(火)11時58分27秒
ごまさん、更新おつでやんす♪
『やっすー・特別編』なかなか面白いです。
なかなか見事に、それぞれの人物の過去が分かってグーでっせ!
やっぱごまさん上手だな・・・ 改めて感心(w
今回、受験中の梨華ちゃん登場してくれたの嬉しかったなぁ♪
そんじゃ次回の展開、また楽しみに待っとります。
58 名前:All Of You 投稿日:2002年07月17日(水)17時35分35秒
年が変わり、アタシは大学4年になった。
民間企業の内定は押さえ、いよいよ公務員の採用試験本番だ。
6月に入ったら、ほぼ毎週日曜は試験のために出かけた。
その合間に卒論の準備。
バイトで家庭教師もしてたので、多忙を極めた。
石川は無事、本命の大学に合格した。
入試まで、時間を見つけては勉強を見ていた。
学年も学科も違うので、学内で顔を合わすことはあまりなかったが、
会えば昼食などをともにする。
石川は同じ学年に友人がいないようだった。
詳しくは知らないが、失恋したとのこと。
しばらくは落ち込んでいたようだが、バイトや英会話を始めたりして、それなりに
大学生活を楽しんでいるようには見えた。


「あー、まったく蒸し暑いわねっ」
ある日曜日。採用試験の帰り、少し買い物した後、いつものバーに行った。
「オツカレサマー。ハイ、カンパーイ!」
アヤカとグラスを合わせる。
「圭ちゃん、メチャ私服じゃん。就職の試験とかってスーツじゃないの?」
「んー。今日は筆記だけだからね。でも、いちおーエリのあるシャツは着てるわよ」
「あ、ナニゲにポール・スミスじゃん。いいな〜」
アヤカもナゼかアタシと同じ大学に入った。
英文科にラクラク合格。
バンドに遊びに大忙しのようだった。
「あのさ」
「ん?」
「英文2年に市井さんってヒト、いるじゃん」
「あー、紗耶香ね。どしたの?」
「んー。何か、この前自分のバンドのメンバーとケンカして、ケガしたって
きーたけど」
「…へ?」
59 名前:All Of You 投稿日:2002年07月17日(水)17時38分49秒
紗耶香とはたまにメールのやりとりはしてたけど、それは初耳だった。
「で、どうも入院してるっぽいんだけど」
―――しばらくアタシが一段落つくまでは会わないつもりだったけど、アヤカの一言で
気持ちが変わった。


後藤に連絡を取って、アタシは紗耶香の入院先に見舞いに訪れた。
「んあ〜、圭ちゃん!来てくれたんだ〜!」
久しぶりに会う後藤は、少し女っぽくなってた。
紗耶香は上から足を吊るし、いかにも骨折患者っぽい様子だった。
「圭ちゃん…忙しいんじゃ」
紗耶香は決まり悪そうにした。
弱ってるトコを見られて恥ずかしいのだろう。
「ホホ!当然多忙を極めてるわよッ!ホラ!見舞いのメロンよ!銀座千疋屋よッ!
高いのよ!感謝なさいッ!」
「あっは!圭ちゃん、オカネもちぃ〜!ごとー、むこーの湯沸し室で切ってくるね!
皆で食べよ!」
後藤はいそいそとメロンと果物ナイフを持って部屋から出て行った。
ふたりになると、紗耶香はポリポリと頭をかいて、
「…参ったよ」
と呟いた。
「何がよ」
「ドジっちまった」
「だそうね」
「知ってんの?」
「後藤が電話で一部始終教えてくれた」
「…あのしゃべり」
紗耶香は病室のドアの方をちらっと睨んだ。
「で」
「ん?」
「お姫様の名誉を守った王子様は骨を折って後悔してるの?」
紗耶香はポカンと口を開けた。
60 名前:All Of You 投稿日:2002年07月17日(水)17時41分17秒
「後藤の取り合い?」
時は少し遡ってバーの場面に戻る。
アタシは『紗耶香・ケガの真相』をアヤカから聞いている。
「そ。あのごっちんってコ、すごいカワイイじゃん。そんでベースのコと
取り合いっぽくなったんだって」
「へぇ〜」
バンドにくさるほどあるような話だわね。それでダメになったバンドをいくつ
見てきたか。
「ほう。それで、市井紗耶香がキレて大喧嘩になったと」
「そ。で、足折って入院だって」
「ふぅ〜ん」
61 名前:All Of You 投稿日:2002年07月17日(水)17時53分33秒
「いちーちゃんとそのヒトが、オンガクセイの違いっていうので大ゲンカになったの」

電話での、後藤の説明は違っていた。
「それくらいで足折るの」
「いちーちゃんも悪いんだよ?『テメーのクズベースで歌ってられっか』なんて
言うから。向こうがキレてパイプ椅子投げたりしたの」
聞いてて、頭が痛くなってきた。
仮にこのバンドに入ったら、この先どんな面倒に巻き込まれるか。
その頃バンドのドラムは保留という形にしてあって、アタシが強制的に
加入させられるまでは、ゲストで間に合わせていた。
「とりあえず、ヒマな時でいいから圭ちゃん来てね。そんでいちーちゃんに
小言言ってよ」
お母さんじゃないんだから、とも思ったが、アタシは後藤の言う病院をメモした。


「―――てか、圭ちゃん。どこまできーたの?」
しばらくして紗耶香は口を開いた。
「ん〜?まずは『市井紗耶香と後藤真希、ベーシストとの恋の三角関係』」
「…はぁ」
「そんで『音楽性の方向の違いで大喧嘩』」
「…ははは」
「最後に『脱退寸前に後藤を“誰とでも寝る女”呼ばわりしたベーシストと大喧嘩』」
「……」
「どれがホント?」
アタシは紗耶香を真っ直ぐ見た。
紗耶香は視線を逸らし、窓の外に目をやる。
「いい機会だからハッキリ言っておくわ。バンドに入るのはいい。
でも余計な揉め事はカンベンして」
「圭ちゃんにはカンケーないじゃん」
「…まぁね。でも、後藤に対して、アンタが煮え切らない態度で接してるのも
原因だと思うけどね」
紗耶香は目を見開いた。
62 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月17日(水)18時04分16秒
更新しました。中途半端なところで切りますが。

レスのお礼です

>オガマーさん

( ^▽^)<保田さん、スッゴク親身になって相談に乗ってくれるんです!

( `.∀´)<相談料は特別にお安くしとくわよッ!

ヤッスーはキャラが強すぎるので、あまりアクが強くならないように書いてます。

>いしよしサイコ〜さん

( ^▽^)<本命の大学に受かりました♪

( `.∀´)<ホホ!アタシが面倒見たんだから!今なら特別価格で!どう?

きっと、いしかーさんはネガティブ全開だったでしょうね。
受験、もういいです(汗

63 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月17日(水)23時10分41秒
ヤッスーの男気に惚れた!
…て、男気は吉澤の専売特許だったか。
64 名前:All Of You 投稿日:2002年07月18日(木)11時00分44秒
「…何で」
掠れた声で搾り出す。
「見てれば分かるわよ。アンタ、タラシのクセに後藤には色目使わないじゃん」
「それは幼馴染だし…」
「ただの幼馴染がいい年して、こんな四六時中一緒にいるかね。ほとんど夫婦じゃん」
紗耶香はもう一度、頭をかいた。何とも決まり悪そうに。
「後藤を好きなクセに何でフラフラと女変えんのよ」
「それは…」
話はここで中断となった。
後藤がカッティングしたメロンを持って戻ってきたからだ。
顔なじみのおばーちゃんにアイスをもらった、と満面の笑顔で言った。
アタシたち3人は、後藤がもらってきたアイスを添えたメロンを静かに食べた。
病室の外ではセミがうるさく騒いでる。
もう7月だ。
またうんざりするくらい暑い日々が始まる。
「見舞い、ありがとね」
帰り際、紗耶香は言った。
「イエイエ。養生なさってくださいよ。高いメロンも差し入れしたんだし」
申し訳アリマセン、とベッドに寝たまま苦笑する。

「ごとー、送ってくよ」
と言い、彼女は病院の玄関までついてきた。
「圭ちゃん、忙しいのに今日はゴメンね〜。何か高そーなメロンまでくれて」
後藤の中では、紗耶香と自分との関係をどう捉えてるのか。
興味はあったが、敢えて口にしなかった。
聞くだけ野暮というもの。
65 名前:All Of You 投稿日:2002年07月18日(木)11時04分57秒
「いいわよ。ちょうど気晴らしになったし。それより、アンタ受験でしょ。
勉強してんの?」
「んあ、ぼちぼちやってるよ。先週は模試受けに行ったし」
「そっか。まぁ、頑張んな」
「圭ちゃんも。ごとー、ちっとも知らなかったんだけど、公務員の試験って
ムズカシイんだねー。この前問題集、本屋さんで立ち読みしてビックリしちゃった」
「まあね、やさしくはないわね」
正直な感想に苦笑する。

丁度駅に行くバスが来て、手を振って後藤と別れた。
バスが発車するまで、後藤はずっと手を振っていた。
敢えて見なかったが、見えなくなるまでずっと見送っていると思う。


『…何で』
さっきの病室での会話を反芻する。

―――何でかって?

答えは簡単。


同じ相手を見てるからよ。
66 名前:All Of You 投稿日:2002年07月18日(木)11時19分37秒
夏休みはほとんど就職活動とバイトでつぶれた。その合間に卒論の資料収集。
それ以外何もしなかった。

その年の夏は。
セミが鳴いてたな、とか、日差しがきつかったな、くらいの記憶しかない。

9月に入った。
国家V種の試験があった。
アタシは郵政事務Aで受験した。
これで公務員試験は一段落つく。
それまでにも、一次が通った試験があり、いくつか二次試験を受けに行ったりしてた。


―――11月。
V種の合格通知が届いた。
これで春から晴れて郵便局員だ。
裕ちゃんも石川も我が事のように喜んでくれ、中澤ハイツの住人も交えて家で
すき焼きを振舞ってくれた。

行きつけのバーではアヤカが貸切でパーティーを開いてくれた。
常連も一見さんも入り乱れてのどんちゃん騒ぎ。

「お祝いにアタシの処女をあげてもいいわ〜」
とアヤカが抱きついてほざくので、
「ゴルァ!ウソつくと閻魔様に舌ぬかれるわよッ!」
と笑いながらどついてやった。


12月になって。
その日はアタシの22回目の誕生日だった。
今年もひとり寂しく祝うことになるのかねぇ、と苦笑し、駅に降り立った。
「んあ!圭ちゃ〜ん!」
意外な人物が待ち構えていた。
「後藤…どしたのよ?」
「メリークリスマス!」
後藤は手にしてた紙の袋をアタシに突き出した。
「ハ?今日は6日よ?まだクリスマスには早いんじゃ」
「ごとー、クリスマスには家族と温泉行くから、今日のがいいかなっと思って」
「ハァ」
確かアンタは受験生では、と思ったが黙ってた。
「圭ちゃん、公務員とたんじょーびとクリスマスおめでとう!全部めでたいね〜!」
「まぁね」
袋を受け取って苦笑した。
67 名前:All Of You 投稿日:2002年07月18日(木)11時24分22秒
「中身は何?」
「ふふふぅ〜!それは開けてからのお楽しみなのですぅ〜!」
イヤに底のマチが大きい袋に、いかにもケーキボックスな箱が入ってるので、
本当は聞くまでもない。
それでも一応聞いてみたくなるもんだ。
「じゃあ、ごとー帰るね」
「あ、喫茶店で茶ァくらいおごってやろうと思ったのに」
「ん。あんまり遅くなるとおかーさんに怒られるし。ホラ、ごとー受験生だし?」
「気をつけて帰んのよ」
手を振って、後藤は改札を抜けて行く。
その後姿を、しばらく見送った。


帰って箱を開けると、ひとりでは食べきれない大きさのケーキが姿を現した。
チョコ入りの生クリームでコーティングしてて、イチゴが飾られてある。
真ん中のチョコプレートには『お誕生日おめでとう』とか書くものを、
『( `.∀´)<キリキリ逝くわよッ!』と黒いチョコの字で書かれてた。

「―――ぷっ」
何じゃこりゃ。
あんまりおかしくて裕ちゃんと石川にも見せると、バカ受けだった。
温かい気持ちになりながら、紅茶とともに3人でケーキを食べた。
68 名前:All Of You 投稿日:2002年07月18日(木)11時47分35秒
後藤に宛てた年賀状には、

『手作りケーキありがとう。
勉強もそれくらい頑張んのよ。
体に気をつけて。
最後に勝つのは力ワザよッ!』
とイラスト入りでしたためた。

年明けに後藤から来た年賀状には、

『ギャハハ!圭ちゃん、絵、ヘタすぎ!!
アレ、バケモノ?
お正月から笑わせてくれてアリガト〜!!』
とあった。

―――アタシ的には干支の巳だったんだけど。


実家の居間で少しヘコみながら、何度も何度もその年賀状を読み返した。


冬休みが明けると、アタシはまだ卒論が完成していないのにも拘らず、
紗耶香と後藤に引っ張られ、渋谷のスタジオに連れて行かれた。
「ちょっとちょっと!一体何なのよ!」
「約束!就職決まったからバンド加入ね!」
紗耶香が人差し指を突き立てて言う。
「―――アタシは再来週卒論の締め切りなのよ!!!」
「んあ、まだ時間あるじゃん」
後藤も他人事だと思い、ムチャクチャ言う。

69 名前:All Of You 投稿日:2002年07月18日(木)11時53分08秒
受験生のハズのオマエはどーなんだとツッコみたい気分だったが、やめた。
「とりあえずー、ウチらのギターを聴いてよ」
紗耶香は肩にしょったギターケースをぽんと叩いた。
ふたりはギター持参だった。
「すぐ帰るわよ。時間もないし」
「んあ、了解」
後藤が頷く。
アタシは憮然と腕組し、ふたりがスタンバイするのを見る。
「んじゃ、聴いてください。ドアーズで『ハートに火をつけて』」
後藤がそう言うと、プレイが始まった。

…正直、コイツらの実力を侮ってた。
あの、いつだかのライブからは比較にならないくらい、コイツらは上達してた。

―――見ているうちに何だかうずうずしてきた。
それに気づいた後藤が演奏を止める。
「何でやめんの?」
紗耶香は怪訝な顔をする。
「んあ、ちょーっと待ってて」
後藤は自分の鞄をごそごそと探り、何か取り出した。
「ハイ、圭ちゃん♪」
真新しいドラムスティックを渡される。
「…叩けってコト?」
「叩きたいんでしょ?」
ニッカと笑って言う。
―――コイツには敵わない。
苦笑して、アタシもスタンバイした。

「―――さあ、逝くわよッ!」

こうして、アタシのバンド人生がまた始まった―――。
70 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月18日(木)12時04分37秒
更新しました。
ヤッスー番外編はも少し続きます。
ここのヤッスーもやっぱり絵が下手です。

( ´ Д`)ノ□<んあ〜、これゲジゲジの絵〜?

(; `.∀´)<キリンよッ!

(参照:いつぞやの『FUN』より)

レスのお礼です。

>名無し読者さん

(*^〜^)<(…カッケー)ドキドキ…

( `.∀´)<ホホッ!アタシの魅力の波に溺れないようにねッ!

案外、一番のオトコマエかも、と言ってみるテスト。まぁ、バンドでは一番年上だし、
色々やんちゃなヒトたちの面倒も見てますしね。苦労人です。
71 名前:あおのり 投稿日:2002年07月18日(木)15時27分45秒
交信、おつかれっす。あいかわらず圭ちゃんはかっけぇーですね。
卒論を間近に控えているのに拉致られる(`.∀´)。
卒論提出まで後、数日しかないのにまだ書けてないのにもかかわらず麻雀で拉致られて
「どひー」とか言いながら牌を打っていた自分とかぶります。
まあ( `.∀´)なら大丈夫でしょうが・・・

72 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月18日(木)15時54分07秒
どうも初めまして。
ヤッスーイイ!
梨華ちゃんに勉強教えた時はやはり無理やり接吻を・・・(w
73 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月18日(木)23時40分30秒
>( `.∀´)<ホホッ!アタシの魅力の波に溺れないようにねッ!

溺れた人は多数いると思われ…
∴:・( ゜皿 ゜)・:∴ゴボゴボゴボ 防水機能有り?
74 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月19日(金)01時03分50秒
ごまさん更新サンクス!!
『やっすー過去編』、いゃあ渋いねー♪
何かみんな、いかにもロケンローラーって感じが伝わってくるね!
最後の保田さんの心を動かしたシーン、なんかシビレました。
しかし、この3人がそろうまでにこんなストーリーがあったとは・・・
う〜む!この話は奥が深いぜ!! ( ̄ー ̄)
アヤカ加入のいきさつも、もうすぐ出そうですね。
ごまさん、更新ガンバ♪ 楽しみに待っとるよ〜!!

みんな忘れてない?>(T〜T0))))  \(^▽^;)<まぁまぁ・・・



75 名前:All Of You 投稿日:2002年07月19日(金)02時55分57秒
ベーシストには2種類いる。
ひたすら縁の下の力持ちに徹する職人気質タイプ。
それに対して、誰よりも目立ちたがるスタープレイヤータイプ。
後者はウチのバンドみたいなのとは大体にして相性が悪い。
特に紗耶香のような華やかなサウンドだと。
ひとことで言うと、くどくなりすぎてしまうのだ。
うまく相乗効果となればいいが、大抵音作りでケンカになったりして、
向こうが去って行った。

「ビジュアルが華やかで音は職人って。そんな都合よくいるかね」
アタシは紗耶香のグレッチを爪弾きながらポツリと言った。
「いる!宇宙のどこかにきっと!」
宇宙…。何と大雑把な単位だ。
後藤はそれでも、
「いないなら後藤が作る!」
無理難題を申し述べた。
それこそ宇宙から探し出すよりムリではないのか。

ウチのバンドはアタシが加入してからも問題が山積みだった。
前述の件もあったが。
問題は他にもある。
紗耶香の女癖の悪さだ。
ファンに手を出したらどれだけ面倒なことになるか。
分かってるだろうに、コイツは学習能力に欠けていた。
76 名前:All Of You 投稿日:2002年07月19日(金)03時16分26秒
ベースがどんどん入ってはやめしていったのはそこにもある。
不思議なことに、紗耶香が手を出す人物の6割方はウチのベースと三角関係に
なるのだ。

「病気だね」
後藤は淡々とコメントした。
「まぁね、『タラシの市井』だから」
アタシも頷いた。
流石に最近はオトナになったのか大分落ち着いたが。
この頃の紗耶香は『病気』としか言いようがないくらい、方々の女のところを
渡り歩いていた。
ふたまたも珍しくなかった。
泣いてすがる女の子に紗耶香はゾッとするくらい、冷たい視線を向けることもあった。

面倒が起こるとまたか、と思えるくらいアタシも割り切れるようにはなったが。

「いちーちゃんは何がほしいのかねぇ」
後藤が溜息をついてギターを弾いた。
「さぁねぇ〜」
『アンタだよ』と心の中で答える。
手に入らないから、面倒になった女には容赦ない。
「ごとーさぁ」
「ん〜?」
「圭ちゃんが入ってくれてホントうれしいんだぁ」
「フフッ」
「圭ちゃんがいなかったら、いちーちゃんはもっとダメだったと思う」
アタシがいるかどうかは問題ではない。
後藤がいなかったら、紗耶香は確実にダメになるだろう。
ただの幼馴染だと後藤は言うけれど。
ふたりの絆は生半可なものではない。
それが分かってるから、アタシも後藤に本当のことを言えずにいた。
多分、この先も言うことはないだろう。

アタシが好きなのは―――。


紗耶香に寄り添ってる、後藤なのだ。

77 名前:All Of You 投稿日:2002年07月19日(金)03時35分43秒
皮肉なものだ。
4つも年下のコドモに。
しかも向こうは自分を頼れる姉のようにしか見ていない。

あのコドモみたいな真っ直ぐな目を向けられて、いつの間にか心が動いてた。
いったい、いつから―――。

よりによって、イチバン面倒な相手に―――。


欲しい、と思った事はない。
それは妹に向けるような感情だったのかもしれない。
でも、いきなり押しかけて弁当を広げて見せたあの日とか。
思い出すのは、いつも笑顔の後藤で。
冬の寒い日に、あの笑顔を向けられて。
もう―――自分でも止められなくなっていた。


3月に入って。
その頃、中澤ハイツに空きが出たので、アタシはそちらに移った。
社会人になるともっと帰りが遅くなるだろうし、元々どこかアパートでも
探すつもりだったのだ。

あれはかなり雨が降った日だった。

朝から小雨が降ったりやんだりし、夜になって急に雨脚が強まった。
お風呂から出てバスタオルで髪を拭いてると、玄関のチャイムが鳴った。
パジャマだったので、上からカーディガンを羽織り出て行く。
「圭ちゃん〜!開けて〜!!」
ドアを開けてぎょっとした。
ずぶぬれのカオリが立っていたから。
「何してんのよ、アンタ!風邪ひくよ!」
「ウチのお風呂壊れて水しか出ないー!お風呂貸してー!!」




78 名前:All Of You 投稿日:2002年07月19日(金)03時39分27秒
カオリは半泣きだった。
それにしても、ずぶぬれで目を見開いているカオリって怖いわ。
まさしく『あなたの知らない世界』ねッ。

カオリがお風呂に入ってる間、アタシはずぶぬれの衣類の中から洗えるものは
洗濯し、そうでないのはハンガーに吊るし乾かした。
アタシも小腹が空いていたので、ふたり分のうどんをゆでて、ついでにココアも
入れた。
「はぁ〜!生き返った!」
バスタオルを体に巻きつけて、カオリが現れた。
「アンタ、なんちゅうカッコしてんのよッ!ホントに風邪ひくよ!」
「だって〜、着替えないし」
「そこにパジャマを置いといたでしょーが」
「…パンツがない」

―――アタシはひっじょーに情けない思いをしながら、鍵を預かって隣のカオリの家に
行き、タンスからパンツを出してきた。
「ホラよ」
わざとつっけんどんに渡すと、
「サンキュ〜」
全然悪びれずまた脱衣所に着替えに消えた。
「圭ちゃん、うどん作ってくれたんだね〜。やっさし〜」
ココアを飲みながらカオリは言った。
「いつの間にかカオの服も洗ってくれて」
「あんな水浸しのモン置かれちゃこっちもたまんないわよ」
アタシはうどんをよそい、自分もテーブルについた。
「いっただきまーす!」
しばらく黙ってうどんをすする。
79 名前:All Of You 投稿日:2002年07月19日(金)03時45分23秒
「ねぇ」
「ん〜」
「圭ちゃん、好きなひといるでしょう」
「……」
唐突すぎて、言葉が出なかった。
「カオには分かる!」
何がよ。てか、アンタ綾小路文麿?
「何を根拠に」
「だってさぁ〜、圭ちゃんってカッコ悪いんだもん」
「悪かったわねッ。てかワケわかんないわよッ」
「ナニゲにカッコいいけど、実際はカナーリカッコ悪い」
「ワケわかんない」
「そこです!何でも数学の方程式を解くように解決したがるのが何よりもカッコ悪い
証拠なのです!」
「アンタ…また電波ってるね?」
「ふへー。酔ってなんかいないよーら」
―――どうも様子がおかしいと思ったら。
水だとばかり思っていたカオリのグラスの中身が、匂いを嗅いで酒だと判明した。
しかもアタシがコイツの家に行ってる間に、コイツは!
アタシの秘蔵のウォッカを開けていた!
「このこのこの!これは今度キャビアを買って来て、その時開けようと思ってたとっておきだったのに!」
涙目で酔っ払いの肩をぶんぶん揺する。
「おいしーよー。圭ちゃんも飲んだら〜?」
…アカン。完全に目が据わってる。
さすがはアルコール度数50だわ。
恐るべしロシアン・ウォッカ。
「―――クソッ!飲んでやるわっ!」
ヤケクソになって、自分もグラスに注いでぐっと呷った。
喉元を、ものすごく強い刺激がこすっていくのが分かる。
火がつく感じだ。
80 名前:All Of You 投稿日:2002年07月19日(金)03時57分21秒
「圭ちゃんはぁ〜!」
この酔っ払いの講義はまだ続いていた。
「好きなひとに好きと言えないアカンタレなのです!」
「悪かったわね!何でアンタに言われなきゃなんないのよ!」
「それはぁ〜!カオが〜!圭ちゃんの幸せをぉ〜!誰よりもぉ〜、祈ってるからぁ〜!ですッ!!」
ヒック!というしゃっくりで大演説は締めくくられた。
「…そう。それはありがとう」
「圭ちゃん、ゆけー!どんと!ゆけー!!」
ヒック!
「…カオさ」
「ん?」
「裕ちゃん家でゴハン食べる時でも、圭ちゃんの隣にいつも座ってるコト、
気づいてた?」
「…ああ」
「圭ちゃん!」
「ハ、ハイ」
「ゆけー!」
最後に大きくしゃっくりして、この大トラはぐーぐー寝息を立て始めた。
椅子にだらしなく腰掛けて。

デカイ…。
酔っ払いをベッドまで運んで、改めて身長差を実感した。
時折、『むにゃむにゃ』とか、『カオはそう思わないよ』とか何の脈絡もない
発言が漏れた。

「圭ちゃん〜、キャビアが足りねぇぞぉ〜」
―――夢の中でまで、コイツはアタシをパシらせているのか。


ベッドのふちに頬杖をついて、アタシはしばらくその紅い寝顔を見ていた。




81 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月19日(金)04時28分30秒
更新しました。

( ゜皿 ゜)ノ<キャビアガネーゾーーッッ!!

レスのお礼です。

>あおのりさん

( ´ Д`)<んあ〜。あおのりさんはブジ卒業できたのかなぁ〜

( `.∀´)<ちょっとシンパイねッ

どひー。それもキツイですねぇ〜。私は担当の教官に「これは論文じゃない、エッセイだ」
なんて言われてますたが(ニガワラ ヤッスーはブジ卒業しましたとさ。

>72の名無し読者さん

報酬はコレでいいワッ!>( `.3´)T▽T)/<イヤー!

初レスありがとうございます。本物も「アタシ、保田さん!」とか言ってカナーリ
嫌がってましたね(w しかし娘。はキス魔が多いなぁ。

>73の名無し読者さん

( ゜皿 ゜)<カオ、コウセイノウダカラ、200メートルマデウミモグッテダイジョウブ

(;0^〜^)<ソレ、ダイバーウォッチじゃないですか

強力な防水機能完備なのれす。恐るべしヤッスー。恐るべしケメ子。
やっぱり絵は下手なケメ子。描く手足はナゼカ棒だ、ケメ子。

>いしよしサイコ〜さん

(;0^〜^)<出番がないよほ。。。

(* ^▽^)<あたしたちだけでマターリしてましょ! キャッ!

アヤカ加入まではも少しです。よすはこの頃、埼玉の女子高生ですた。やはりベースバカで、
今よりニブチン(w ジャンルは違えど、音楽に魅せられたかたがたなのれす。


82 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月19日(金)17時13分50秒
遅くなりましたが、新スレおめでとうございます。
ヤッスーが、ヤパーリ(・∀・) イイ!
続き楽しみにしています。
83 名前:ベリィ 投稿日:2002年07月19日(金)21時10分57秒
うわぁ…。そうだったんですか〜…。
ヤッス〜…w(←やっぱすき。)(笑)
ワガママかもしれませんが幸せにしてあげてください!!(祈)

4日間も自宅にいなかったものでこの小説が読めなくて
もう発狂しそうでした。ヤバイヤバイ…。(^^;)
84 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月20日(土)01時25分32秒
ごまさん、更新おつです!
やられたわ・・・ カオの『あなたの知らない世界』のとこで!
久々に飲んだワイン噴きそうになったわ!(w
しかし意外だったなぁ・・・
保田さんはてっきり梨華っちが目当てだと思ってたから。

(0`〜´0)<もしそうなら炎の鉄拳お見舞いしちゃる!!

またしても、ごまさんの意外性にやられましたわ(w
早く続きが読みたくてウズウズしてるよ〜ん♪

85 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月22日(月)00時50分51秒
ごまさん、今日は珍しく更新ないのね・・・
ちょっとさみしい。

(T▽T ))))<今夜は大人しく撤収します。

86 名前:All Of You 投稿日:2002年07月22日(月)15時01分51秒
「結局、圭ちゃんはロックを始めたワケね」

5月の連休のある日。
珍しく、バーではないところでアヤカと会っていた。
しかもフルーツパーラーという、健康的この上ないところで。
「まぁね」
アヤカは季節のフルーツを盛り合わせたパフェを、柄の長いスプーンで熱心に
ほじっている。
温泉なんかを掘る、ボーリング工事みたいに。
アタシはそれを見ながら、熱いコーヒーを啜る。
「ところでー」
「何よ」
「圭ちゃん、いいひとはできたのぉ〜?」
アヤカがニヤニヤして言う。
いいひとって…。
親戚のオバサンかと思ったわよ。
「いないわよ、そんなの」
溜息をついてまたコーヒーを啜る。
「まぁね〜、郵便局じゃね〜」
卒業後、アタシは無事入省式というのを終え、晴れて郵政職員となった。
研修やらも終わり、失敗を重ねながらも、どうにか「郵便局のねーちゃん」として
近所のじーさまなんかに親しまれるくらいには仕事に慣れてきた。
職場もアットホームな感じで居心地がいい。

しかし。
局内恋愛は望めそうにない。
87 名前:All Of You 投稿日:2002年07月22日(月)15時05分26秒
アタシが配属された局で、一番年の近いひとは大山さん(28)というパートの
ひとだった。
しかも主婦。
その上は柴谷さんという男性職員。既婚。
「アタシにハニーがいなかったら、彼女になってあげてもいいんだけどなぁ〜」
「ハイハイ、どーもね」
コイツの言ってることはどこまで本気か怪しいので、話半分に聞いておく。
「圭ちゃん、モテるくせに恋人作らないんだから」
スプーンをくるくる回しながらアヤカは言う。
「何よ、ソレ。いつアタシがモテたよ」
「ずーっと。たいてー圭ちゃん愛されてるってば」
「言い寄られたコトなんてないわよ」
「それは圭ちゃんが気づいてなくてスルーしてるからよ」
「ほぉー」
本気にせずに、アヤカのパフェの飾りの林檎をひょいと取って齧った。

「アダムとイブは何故楽園を追われることになったのでしょうか」
唐突に、アヤカが出題してきた。
「知恵の実を食べたからでしょう?」
「そーです!目覚めてしまったからです」
人差し指を立ててアヤカは言う。
「それで結局、神様の逆鱗に触れたんじゃんよ」
「圭ちゃんも早く目覚めなよ」
ニヤッと笑い、ひょいと伝票を掴んで支払いを済ませ、アヤカは店から出て行った。
88 名前:All Of You 投稿日:2002年07月22日(月)15時18分23秒
「圭ちゃんって、モテるよなぁ〜」
ある日、紗耶香がポツンと言った。
ライブの練習中、ちょっと休憩していた。

「何言ってんの、『タラシの市井』が」
この前のアヤカの発言もあり、アタシはやはり話半分で聞き流していた。
「アタシはタラシこんでやっとよ?圭ちゃん、フツーにモテるじゃん」
てか、自分で『タラシこんで』とか言うなよ。
「恋愛対象にはならないけど、イイヒトってのじゃないの」
「い〜や!モテモテ!!」
紗耶香は立ち上がり、強調して言った。
「んあ〜。圭ちゃん、ナニゲにモテルよね〜」
後藤もビニールのソファーに寝そべったまま、ねむそーに言う。
「ひとりに絞り込まないの?」
紗耶香が興味津々に身を乗り出した。
「何言って…」
「圭ちゃん、好きなヒトいるの〜?」
後藤の質問にアタシは言葉を一瞬なくした。

「―――さぁね」
「あっは!いるんだぁ〜!間、あったし!」
後藤は手を叩いて大喜びする。ひとの気も知らないで。
「圭ちゃんはですね」
後藤は体を起こし、説明口調で言った。
「ハァ」
「誰かのモノになってほしくないとみんな思ってるワケです」
「……?」
「だから圭ちゃん、恋人いないうちはモテます」
「…何よ、それッ!モテなくていいからフツーに恋人欲しいわよッ!」
悲しすぎるわよッ。モテるけど恋人はいないなんて!
「んあ〜。それじゃあさぁ〜、思い切って告ったら?」
―――それができたら。
「そうねぇ〜、そしてそのひとのモノにでもなろうかねぇ〜」
アタシはペットボトルの烏龍茶を口に含み、無理に笑った。
89 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月22日(月)15時39分28秒
更新しました。世間は夏休みというものに入っていたのですね。

( ´D`)ノ<泳ぐれす!食べるれす!おどるれす! ドドンガドン!

( `◇´)<宿題もやりや!

レスのお礼です。

>よすこ大好き読者。さん

( `.∀´)<ホホッ!世間がアタシの魅力に気づきだしたわッ!

( ´D`)<こわいものみたされすよ

オヒサスブリです。本物ヤッスーにも心ときめいてますが何か(w?今週の『うたばん』で
多分またいじられるだろうから、ちょっと嬉しいのれす。( `.∀´)<録画は標準?

>ベリィさん

(0^〜^)<んで、結局誰が好きなんスか?

( `.∀´)<絶対教えない!

そうですか、発狂するほど楽しみにして頂いて光栄です。ヤッスーにもいずれ
幸は訪れるでしょう(多分)。( `.∀´)<多分て何よッ!ゴルァ!

>いしよしサイコ〜さん

(* ^▽^)<ひとみちゃん…(カッコいい…はあとはあと

(0`〜´0)<ガルルルル!

炎の鉄拳、カッケー!煤i; `.∀´)<ハッ!何!?この悪寒は!
えーとですね。基本的に土日祝は本編はお休みさせて頂いてます。余力があれば顔文字
書いたりしてます。
90 名前:RUCH 投稿日:2002年07月22日(月)17時48分12秒
最近、発見してようやく追いつきました(遅いって!)
すごいおもしろいです!
バンド物だけでなく、色んな視点から見た感じだとかそれぞれのキャラが良い感じですね。
これからもがんばってください!
91 名前:All Of You 投稿日:2002年07月23日(火)14時34分15秒
バンドのベーシスト探しは難航した。
いっそ、バンド自体をベースレスにしようかとも思った。
実験的に何度かベースなしでライブをやった。
ところがどうも客受けが悪い。
音だけでなく、絵的にもいた方がいいと、ライブ後に回収したアンケート用紙に
書かれてあり納得した。

リズム隊がなってないバンドはすぐポシャる。
それはジャズをやってた頃から痛感していた。
アタシはジャズバンドにいた頃より、研究熱心になった。
ドラムに関する本や雑誌を読み漁り、時間ができると練習。
その合間に色んなロックのCDを中古店なんかで探し、イヤになるくらい聴く。
昔のバンド仲間やファンは、引退宣言さえしたアタシが、今更ロックバンドに加入し
ガキどもの後ろで叩いてる事にあきれ、苦笑した。
ハッキリ面と向かって、『バカじゃないか』と言われたこともある。
それでも、アタシはただ黙って笑った。
ジャズをやってた頃からは考えられないくらいの充実感がそこにはあった。
紗耶香も後藤も、プレイヤーとしては成長過程にある。
そして、ロック初心者のアタシ。
共に成長していける喜びがある。
ジャズをやっていたことを否定するのではない。
あの日々もそれなりに楽しかった。
ただ、アタシも若かったし、構えていたな、と思う。
音楽に対して、格好つけていたというか。
自分の青さを、格好つけてごまかす。
今、紗耶香がまさしくソレで。
たまに自分の昔を見てるようで、苦笑することもしばしばある。
92 名前:All Of You 投稿日:2002年07月23日(火)14時49分26秒
「圭ちゃんとこのライブに出るの?」

年明けて1月。
いつものバーに呼び出して、アタシはアヤカにライブの出演交渉をしていた。
アヤカは入ってたガールズ・パンクのバンドが解散し、ぽつぽつとゲストで
あちこち出ていた。
「いいけど、キーボードで?」
「いや、ベースで」
「んー、いいよ」
「それで、もしアンタさえよければウチに入ってほしいんだけど」
「キーボードならいいよ」
―――当てが外れたわ。でも、ベースはまた探せばいいかという気持ちになっていた。
ウチのバンドに今までにない音を、という事で、新しくキーボードも入れる話も
進めていたしね。
アヤカはビジュアルもいいし、舞台映えする。何より、余計なトラブルを起こさない
頭の良さを買っている。当然実力もある。
「そんで、ギャラは?」
アヤカはニヤニヤして言った。
「ハ?ギャラ?」
奢れってことね。まぁ、いいでしょ。
「いいわよ。好きなの言いな」
「んはあとはあと
アヤカは一瞬、軽く触れるだけのキスをした。
「―――コラ!何してんのよ!!」
「ハハハ!圭ちゃん、初めて〜?」
「んなワケないでしょ!どさくさにまぎれて!!」
その慌てぶりはアヤシイなぁ〜と言いながら、アヤカはグラスを呷った。
「前にキスしたのはいつ?」
「ええと…ハッ!ついマジに考えちゃったじゃないの!!」
アタシとしたことが!
「やっぱり初めてだぁ〜」
「違うっつーてるでしょーが」
まったく!オトナをからかって!
とりあえず、アヤカは4月の新宿ライブに出てくれることで話はまとまった。
後は…ウチに長いこといてくれるベース弾きね。


93 名前:All Of You 投稿日:2002年07月23日(火)15時00分40秒
「いい加減にしな!アンタの尻拭いはもうゴメンよ!」

何がきっかけだったか。
ある日、アタシと紗耶香は大ゲンカになった。
後藤はコンビニに買出しに行っててその場にいなかった。
「女のケツ追いかけてるヒマがあったら、練習しな!」
「―――アンタに言われたくねェよ!」
紗耶香はアタシの襟首を掴んだ。
「圭ちゃん、ハッキリ言えよ!後藤が好きなんだろッ!」
紗耶香が噛み付いた。
―――まるで野獣みたいな目をして。
「―――言ってどうするのよ」
「―――圭ちゃんは!ずるいよ!!」
―――ずるい?何をもってずるいというのか。
「この際だからハッキリ言っておく。アタシは後藤を好きよ?でも、それは妹
みたいに…」
「―――嘘つけ!抱きてーくせに!」

負の感情、というのは暴力的に起こる。
―――アタシは気がつくと、紗耶香を殴ってた。
「…ッて」
「…ゴメン。でも、後藤をどうこうしようという気持ちはホントにないわ。
これだけは言っておく」
「嘘つき…」
紗耶香は頬を押さえながらまだ言っていた。
「殴りな。好きなだけ」
紗耶香の前に出た。
顔が腫れるのを覚悟して。
「―――言ったこと後悔すんなよッ!」
手負いの獣は挑みかかってきた。
94 名前:All Of You 投稿日:2002年07月23日(火)15時13分44秒
「―――何やってんの!」
後藤がコンビニの袋を床に落とす。
中から何かお菓子が転がり出た。
戻ってきたら殴り合ってるんだから、そりゃあ驚くか。
アタシはバカみたいに冷静だった。
「いちーちゃん!圭ちゃん!やめてよ!!」
半泣きになりながら止めに入る。
「オマエは黙ってろ!」
お決まりの台詞ね。アンタが言うとキマるわ。
「イヤぁ〜!!」
ついに本泣き。
泣かないでよ…胸が痛いから。

「―――アタシはイチ抜けるわ。悪いけど、も、限界」
疲れきって、アタシは呟いた。
紗耶香は言い返しもせず、アタシの顔をただ眺めていた。
「圭ちゃん!落ち着いて!いちーちゃん!止めてよ〜!!」
後藤が泣きながら止めに入る。
「…じゃぁね」
踵を返してスタジオから出て行った。
後悔はない。
心のどこかで、後藤に対するわだかまりに直面しなくていい事に、
ホッとしていたのかもしれない。
縁を切った方がラクになる、と心のどこかで望んでいたのだろうか。

みぞれまじりの寒い夜道をあてもなく歩いて行く。

アタシは卑怯だ。
カオリにいつか言われたように。

―――アタシは、卑怯だ。
95 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月23日(火)15時24分46秒
更新しました。

( ;´ Д `;)<♪ごとーのためーにあらそーわないーでー(BY 竹内まりあ)

レスのお礼です。

>RUCHさん

( ‘д‘)<アンタのパツキンて想像つかんワ

( ´D`)<あいぼんこそ真っ赤じゃないれすか

初レスありがとうございます。ええと、カナーリ初期から実は読ませて頂いてます。
照れ屋なのでレスはしてませんですたが(汗 音の表現とかすごいなーといつも
感心して読んでます。ウチのはおちゃらけバンドなんですが、これからもよろしくれす。


96 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月23日(火)19時19分42秒
旧プッチ好きなんで、この展開はつらい・・・。
みんな、幸せになって欲しいです。
作者さん、よろしく。
97 名前:ポー 投稿日:2002年07月23日(火)21時40分56秒
なんか、ヤッスーが青春してますね(w
そろそろよっすぃ〜登場ですか?
続きが楽しみです。
98 名前:なっなし〜 投稿日:2002年07月23日(火)21時47分23秒
( `.∀´)=○)T∀Tノ・:∴∵
あわわわわ、えらいことになってますやん。
今後の展開が気になります。
みんなが\(^▽^)/ ハッピーになれたら一番いいですけど…どうなるんだー!
99 名前:オガマー 投稿日:2002年07月23日(火)22時35分46秒
圭ちゃん…
どうなってしまうのだろう…
この小説、ほんとにキャラがたってて
グイグイ引きこまれてますよ〜
100 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月24日(水)00時49分50秒
ごまさん更新おつでやんす!
いゃあ、早速まりあネタ使ってくれてサンクスです♪
ここでは梨華っちじゃなく、ごっつぁんがこの役ですな
読んでて、モメ事の内容が『ロックバンドらしい!』なんて
思えて思わず笑ってしまった・・・ う〜ん、熱いね!!
しかし保田さんが感ずかれるとは思わんかったな!
まさかのヤスが『炎の鉄拳』出すとは・・・

それ言っちゃ>( `.∀´)=○)T∀Tノ・:∴∵ (;´ Д `; )<いやぁー!!
おしまいよ!!

伝説への一歩までには、まだまだ難門ありって感じですね(w
さぁ次週どーなるんでしょうか!?

101 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月24日(水)11時31分58秒
モテヤッスー(・∀・) イイ!(w
いや〜青春っていいですな・・・・・・・・・。(遠い目)
あやかの行動が、何気に気になっています(w
102 名前:All Of You 投稿日:2002年07月24日(水)18時00分27秒
その夜は傷む頬を冷却シートで押さえ、ベッドに横になったまま一睡もせずに
夜を明かした。
冬のぼんやりした夜明けをカーテンの隙間から見ながら、昨日のことを思い出す。
―――とりあえず、今日が休みでよかった。
こんな腫れた頬では周りに不審がられる。
大きく息をして、アタシは目を閉じた。


―――2日後。
職場に、後藤と紗耶香が連れ立って現れた。
「…どしたの?」
「んあ、いちーちゃんにごとーは反省を促し、反省文も書かせました。そんで、
コレはお詫びのしるしです。圭ちゃん、ウチのバンドに戻ってきてください」
小学生が教科書を読むような棒読みで後藤は言った。
「…もうじき上がるから待ってな」
デパ地下で買ったという菓子折り。
箱を開けて職場のお菓子ボックスにまとめて入れた。
今、女の子に人気のある店の焼き菓子だった。
雑誌でもよく取り上げられている。
こんな気配りをするのは後藤の方だろう。
紗耶香は意外とそういうことには無関心だから。

「お待たせ」
とりあえず3人で連れ立って、近くの喫茶タンポポという店に入っていた。
「ごとー、お手洗い行くから、アーモンドオーレ頼んどいて」
後藤はそう言って席を立った。
本人不在のうちに、
「アンタはいいの?」
黙ったままの紗耶香を見た。
「どーもこーも」
紗耶香は溜息をつく。
「しょーがないっしょ。お姫様に泣かれたら」
アタシはおかしくて少し笑った。
103 名前:All Of You 投稿日:2002年07月24日(水)18時03分51秒

そうね。
お姫様はいつだって無敵だから。
そしてバカな自称王子たちはきりきり舞いさせられるのよ。
「悪かったわね、殴って」
紗耶香の頬はまだ少し腫れていた。
「いやぁ〜。さすが名ドラマー。パンチの効いてること!
もう圭ちゃん相手にケンカしたくないわッ」
紗耶香は頬を押さえ、わざと大袈裟に言った。
「アタシこそごめん。ホントスンマセン!」
紗耶香はテーブルに手をつき、がばっと頭を下げる。
「いや、先に手ェ上げたのはアタシだし」
「いいや!圭ちゃんがキレるまで追い詰めたアタシが悪い!」
「仲直りした〜?」
のんびりとしたいつもの口調。
アタシたちの姫の登場。
ああ、この子には一生ドギマギさせられるんだろうな。
そう思うと何故かおかしくて、アタシは多分同じことを思ったであろう紗耶香と
顔を見合わせて笑った。
「あー!なになに〜?ごとーも仲間に入れてよぉ〜!」
コドモのように叫び、アタシたちの肩を揺する。
アタシたちはただ笑って、後藤に膨れっ面をさせた。
104 名前:All Of You 投稿日:2002年07月24日(水)18時07分06秒
2月。
―――渋谷。

「ひーちゃん!」
ひとりの少女が背の高い少女に駆け寄って行く。
「あ。あやや。わりィ、待った?」
「ううん。入試どーだった?」
「う〜ん。ぼちぼち」
「合格しそう?」
「ハハ。どーでしょ?」
『ひーちゃん』と呼ばれた少女は苦笑する。
「ひーちゃん、結構粘ってたね〜。もうこんな時間だよ」
週末の渋谷は日も暮れて人が増えてきた。
ふたりの少女は泊りがけで東京に来ていた。
ひとりは大学入試。もうひとりは入試が終わった彼女と遊ぶため。
「まさかひーちゃんが東京の大学受けるなんてねー」
「その台詞はもう百万回くらい聞いたよ」
「じゃぁ、あと百万回言う」
「何じゃそりゃ」
ふたりは笑いながら信号を渡る。
「あ」
ひとりのほうがライブハウスの壁に貼られたポスターに目をやる。
「何?どしたの?」
「『CUBIC−CROSS』だぁ〜。いいなぁ、ウチも大学入れたら観に行きたいよ〜」
「きゅーびっくくろす?バンド?」
背の低いほうの少女が後ろから覗き込む。
「そ。東京ですごい人気のあるロック・バンド!」
「へぇ〜。ひーちゃんはホント好きだねぇ」
「ウン。ウチはベースバカだしね」
少女は嬉しそうに笑う。

「行こう」
ふたりはそのまま渋谷の雑踏に消えて行った。
105 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月24日(水)18時16分23秒
( `.∀´)視点の番外編はこれで終わりです。また機会があれば書くかもしれませんが。

レスのお礼です。

>名無し読者さん
(+ ` Д ´)=3 <もう!ふたりとも!
( `.∀´)ヽ^∀^ノ<<…スミマセン

揉めた割には今まで何とか続いてきたのです。無敵な姫にはふたりは逆らえないようです。

>ポーさん
(0^〜^)<いやぁ〜。若いっていいっスねぇ〜
( `.∀´)<アンタが言うんじゃないわよッ

ヤッスーもまだ若いので(w 青い時期をくぐり抜けてオトナになってゆくのです(クサッ)。

>なっなし〜さん
ヽT∀Tノ<♪すべ〜て〜がラーブね! イテッ!
(;`.∀´)<♪だってだってベイベ〜 クー!イタイワッ!

メール欄にウケますた(w AAもいい感じです。まぁ、姫の力ワザでどうにか解決です。

106 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月24日(水)18時25分22秒
>オガマーさん
( `.∀´)<アタシもちょっと大人げなかったわねッ
(0^〜^)<いや、かなり…
( `.∀´)===○))0T〜T)ノ 
「口は災いのモト」

>いしよしサイコ〜さん
ヾ( ;` Д ´;)ノ<もうッ!ふたりともばかなんだから!
( ゜皿 ゜)<ゴトウ モテモードコウシンチュウ
(;`.∀´)ヽ;^∀^ノ<<…トホホ 
てな感じでしょう、ふたりは。

>よすこ大好き読者。さん
川‘.▽‘)||<ハニーになってあげようか♪
(;`.∀´)<心にも思ってないコト言うんじゃないわよッ!
(0^〜^)<(いいなァ、モテモテ)
「モテヤッスー面目躍如」 




107 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月24日(水)18時46分32秒
間違いハケーン

>>106

災い→禍です
108 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月24日(水)18時54分11秒
・ふたりの出逢い

行きつけのバーにて…

( `.∀´)つ∇<アヤカちゃんはいくつなの?

川‘.▽‘)||つ□<フフッ。いくつに見える?

( `.∀´)<ン〜。ハタチくらい?

川‘.▽‘)||<ブーッ。17でしたー

(;`.∀´)<じゅ、17!? コーコーセイジャン!

川‘.▽‘)||<あ、アタシ、ガッコーはインターナショナルスクールだから

(;`.∀´)<問題とすべき点はソコじゃないでしょッ

昔から遊ばれてるヤッスーですた。

(;`.∀´)<ホントにこのガキは…
川‘.▽‘)||<〜♪
109 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月24日(水)19時04分53秒
・新人職員ヤッスー奮戦記

現役で採用試験に受かり、晴れて郵政職員になった保田圭…

(;`.∀´)<エ、エト(速達料金も入れたらいくらだったかしら)

从 #~∀~从ノ<おう!がんばっとるな!

(;`.∀´)<ハハハ…(地元のメチャ不利な点ね)シリアイダラケ

( ^▽^)<これ、配達記録でお願いします♪

( `.∀´)<ハイ

煤i;`.∀´)<ハッ!(控え渡すの忘れたわ!追いかけないと!) 

三((((;`.∀´)ノ□<イシカワー!イシカワー!


がんがれ、圭ちゃん
  

110 名前:ベリィ 投稿日:2002年07月24日(水)20時12分29秒
ヤッス〜視点編(←おかしなネーミング…。),
お疲れ様でしたvと〜っても楽しかったですw
振り回されるヤッス〜が素敵ですw(←違っ。)

ちなみにベリィは明日のうたばんを標準で録ります。
(↑誰も聞いてないし。)(^▽^;)
111 名前:オガマー 投稿日:2002年07月24日(水)22時02分24秒
ヤッスーといちーちゃんの姫はごっさんんですなw
なんかかわいらしかったですw
そして、あの二人も何気に登場!!
続き期待〜w
112 名前:婆金 投稿日:2002年07月24日(水)23時31分07秒
今回(だけじゃないけど)ごっちん、かわいすぎ。
ちょっとフラッときました。
ジャジーな圭ちゃん、きっと手元がセクスィーだったんでしょうね。
113 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月25日(木)00時35分58秒
ごまさん更新おつかれ〜♪
いやはや、何とか仲直りできたようで何よりで・・・
今じゃ考えられないよーなケンカですな!
今回の『やっすー過去編』、かなり貴重な秘話ですな!
そしてついに! よし子さんの姿が・・・ |^〜^0)チラッ
ますます面白くなって来たね〜♪

控えを梨華っちに渡し忘れて、裸足(じゃないかw)でかけてく
愉快な保田さんの姿が笑えた!

三((((;`.∀´)ノ□<ワタシャ「サザエサン」カイ! ((( ( ^▽^)<♪ミチユークヒトーガ
114 名前:あおのり 投稿日:2002年07月25日(木)02時57分30秒
やっすーの若かりしころの番外編、乙彼さまです。カナーリ面白かったです。
秘められし能力をちらりと見せる隙のない大人なやっすーもかっけーですが、
ごちん姫のことには隙を見せてしまう青少年(?)やっすーもかっけーです。
やっすーファンになってしまいそうですがなにか?(w

ところでホントに郵便局いったら窓口に(;`.∀´)が座ってそうなんですが、汗かいてわたわたしてる。
な〜んにも分からないおばあさん相手に一生懸命通帳とか保険の説明するんだけど理解してもらえなくて、
必死で自分を抑えている切れ気味のやっすーが目に浮かびます
115 名前:VACATION 投稿日:2002年07月25日(木)10時19分51秒
「ん。終わった!」

吉澤はパソコンからフロッピーを抜いた。
『パソコンで打ってフロッピーに保存して提出』という条件つきのレポートを
打ち終え、ほっと一安心して肩を叩いた。
ちなみにパソコンは中澤家のを無理言って借りた。
「へへ〜!これで夏休み、夏休み〜!」
鞄にフロッピーを入れ、出かける支度をする。

「行ってきます!」
そのまま大学に向かう。
締め切りが明日の3時なので今日出しとけば余裕だろう。
吉澤の頭の中はもう夏休みしかなかった。

「「あのー」」
大学の教務部の近くで吉澤は声をかけられる。
「ハイ」
振り向くと、いかにも素朴そうな感じの女の子ふたりと、何かセクシー系の
女の子の計3人がいた。
「『CUBIC−CROSS』の吉澤さんですか?」
素朴系の背の高い方の女の子が言った。
「ハァ、そうですけど」
何じゃ、サインかな。
吉澤は思った。
「あの、突然ですみません。少しお時間よろしいですか?」
「えっと、このレポート出してからでいいんなら」
「あ、待ちます。待ちます。それくらい」
「じゃ、また後で。ここに来ればいいですか」
「はい、お待ちしてます」


「はぁ〜、やっぱりカッコいいね〜」
3人組のひとり、戸田はため息をついた。
「うん。やっぱり東京はカッコいい子が多いわ〜」
背の低い方、木村も頷く。
「市井さんもカッコよかったよね」
セクシー系の里田も同意する。

3人はここの家政学部の学生で、全員北海道出身で牧場好きなので『カントリー娘。』という
サークルを作り、日夜牧場研究にいそしんでいた。
116 名前:VACATION 投稿日:2002年07月25日(木)10時28分38秒
―――吉澤視点

あたしは教務部にレポートを提出した後、さっきのひとたちのところに戻った。
「すいません、お待たせしました」
「いえいえ。こちらこそご無理言いまして」
背の高いほうの、いかにも人のよさそーなひとが言った。
「で、御用とは?」
「ここでは何ですし、よかったらお昼を食べながらでも」
同意して、学食に向かう。

「学園祭のライブでベースを弾いていただきたいんです」
3人のひとり、木村さんという小柄な人が言った。
「へ?皆さん、バンドなさってるんですか?」
うどんを食べながら顔を上げた。
「趣味で少し歌を」
「へぇ。歌ですか」
「はい、ところが全員ギターとか出来ないもんで」
「要するに皆さんのバックで弾けばいいんですか?」
「そうです、そうです」
「ベースはともかくギターはどうなさるんですか?」
「あ、それはもう。市井さんにお願いして了解していただきました」
「そうですか」
ちょうどタイミングよくウチの携帯がブルった。
確認すると市井さんからで、
『美人のおねーさん3人組がオマエに用があるそうだ』
とあった。
「いま市井さんからもメールきました。えっと、どういう曲でやるんですか?」
「あ、これです」
楽譜のコピーらしきものを手渡された。
『色っぽい女ーセクシーベイビー』と書いてあった。
「ああ、この曲ですね」
「エエ。あの…お受けしていただけるのでしょうか?」
「ハイ」
あたしは笑って言った。
117 名前:VACATION 投稿日:2002年07月25日(木)10時36分01秒
―――石川視点

あたしは細かい用事を片付けに大学に行った。
「あの、社会学部の石川梨華さんですか?」
「ハイ、そうですが?」
「すみません。少しお時間の方、よろしいですか」
3人組の女の子に声をかけられた。


―――家に帰って、台所で楽譜を前に考え込む。
「ふえ〜ん。ムリだよお…」
あたしに歌なんて…。


「実は学園祭のあたしたちのライブに、参加していただきたいんです」
3人組のひとり、りんねさんというひとが言った。
「エ…あたし楽器できませんよ?」
「いえ、歌で」
「歌、ですか」
「エエ」
りんねさんはにっこり笑った。

歌なんて…なおさらムリだ。
あたし、音痴なのに。


「たでーまー」
ひとみちゃんが帰ってきた。
「あ、おかえりなさい」
「あー、暑かった!」
ひとみちゃんは冷蔵庫から麦茶を出してごくごくと飲んだ。
「ん?それナニ?」
コップを手にしたまま、テーブルの楽譜に視線を移した。
「あ、その…」
「見てもいい?」
「ウン…」
ひとみちゃんは楽譜を手に取って、
「あ!」
と声を上げた。
「どしたの?」
「この楽譜!もしかしたら戸田さんって人からもらったんじゃ!」
「あれ?どーして知ってるの?」
118 名前:VACATION 投稿日:2002年07月25日(木)10時37分54秒
「ウチ、今日学園祭のライブに出てくれって声掛けられたんだ」
「エ?」
「ヴォーカルをひとり声かけてるって梨華ちゃんだったんだ!」
「う、うん。そうみたいね」
「出るの?」
ひとみちゃんはあたしの方を見た。
「それが…困っちゃって」
「へえ、何で?」
「あたし…音痴なんだよ?」
ぷっとひとみちゃんは吹き出した。
「ひど〜い!」
顔を真っ赤にして怒ると、笑いながら
「ゴメンゴメン」
と謝った。
「それに…」
「それに?」
「…去年のこともあるから、あんまり目立ったコトするのはどうかなって思って」
ひとみちゃんはしばらく黙っていたが、
「前者はともかく、後者のことは気にしなくていいと思うよ。梨華ちゃんが
楽しいと思うんならやっていいと思うし」
「そう…だよね」
「できることがあるんなら協力すっからさ」
「ありがとう」
ひとみちゃんは、ぽんぽんと肩を叩いて台所から出て行った。
119 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月25日(木)11時00分05秒
更新しました。
タイトルはコニー・フランシスの曲より。

( ゜皿 ゜)<♪V・A・C・A・T・I・O・N IN THE SUMMER SUN

レスのお礼です。

>ベリィさん
( `.∀´)<ホホ!作者も標準で録るってやる気マンマンよッ!
( ゜皿 ゜)<イシカワハホウチカナァ
一応、ワタクシめはいしかーファンです(汗 番外編、ヤッスーも若かったっちゅうことで。

>オガマーさん
( `.∀´)<姫にはかなわないわねェ
( ´ Д`)<んあ?
あややもちょこっと登場。姫は無敵なのです。本人、分かってないですが。

>婆金さん
(`.∀´)ノ←セクスィー
(〜^◇^)<キャハハ!その気になってるし!
その手元にクラクラするファン、急増中。ゴチーンは無自覚なお姫様なのです。

>いしよしサイコ〜さん
从‘ 。‘从<もー。ひーちゃん、いきなり東京行くって言い出すしー
(;0^〜^)<ゴメンチャイ
あややもちょこっと出してみました。みんな若かったんです、青春です。

>あおのりさん
( ´ Д`)<圭ちゃんっていかにも郵便局の窓口にいそーだねぇ
( `.∀´)<ホホ!キレモノってカンジ?
今日もヤッスーは分かってないひとに一生懸命説明していることでしょう。ゴチーンには弱いのです。


120 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月25日(木)11時20分42秒
(⌒ ー ⌒):戸田鈴音(りんね)(22)。北海道出身。『カントリー娘。』リーダー。
      地元の短大を卒業して家政学部3年に編入学した。乗馬が得意。

(o゚v゚o):木村麻美(あさみ)(21)。北海道出身。りんねと同じく、今年
     家政学部3年に編入学した。犬ぞりレース出場経験アリ。 

(マ⌒_ゝ⌒イ) :里田 舞(まい)(19)。北海道出身。家政学部2年。
       馬は怖いが牧場は好き。『カントリー娘。』のセクシー担当。

(o゚v゚o)<あのさ

(⌒ ー ⌒)<なんじゃ

(o゚v゚o)<もし( ^▽^)が学祭の件OKしてくれたら、グループ名どうする?

(⌒ ー ⌒)<そうだねェ…

(マ⌒_ゝ⌒イ) <やっぱり『カントリー娘。に石川梨華(社会学部。)』じゃ

(o゚v゚o)(⌒ ー ⌒)<<…ビミョー
 
      
121 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月25日(木)11時33分17秒
・宿題は涼しいうちに

(; ^▽^)φ<う〜ん、う〜ん (梨華・小5)

从 #~∀~从ノ<おぅ、梨華!宿題しとんのか!感心、感心!(裕子・短大2)

(; ^▽^)φ<四字熟語がワカンナイ カンジニガテ

从 #~∀~从<よっしゃ!姉ちゃんの言うとーり書け!まず『夜露死苦』

( ^▽^)φ<『夜露死苦』…

从 #~∀~从<次は『仏恥義理』…

・登校日の梨華の連絡帳より(担任から保護者へ)
『梨華さんは最近明るくなったのはいいのですが、少々おふざけが過ぎるようです』


いつぞやの『MUSIX!』の漢字問題で( ^▽^)は『顎』の読みを『さざえ』と
書いてた…。

川o・-・)ノ<正解は『あご』です!漢字検定は3級です!完璧です!

顎の読みは2級レベルって気がする。
122 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)17時35分21秒
担任のお言葉に
食ってたラーメンとばしちゃいました。

油断は禁物だな、この小説。
123 名前:なっなし〜 投稿日:2002年07月25日(木)21時22分50秒
この小説は危険ですね…
飲み食いしながら読むたびに、PCに深刻なダメージを与えます。

新シリーズ「VACATION」始まったんですね。
カントリー…そして「セクシーベイビー」…こんどは涎でPCクラッシュ!な予感…
124 名前:ポー 投稿日:2002年07月25日(木)23時10分38秒
ははっ、そうきましたか!
学祭では、また何か起こりそうな…。
期待『大』です。がんばってください。
125 名前:ベリィ 投稿日:2002年07月25日(木)23時23分32秒
よっすぃ〜と梨華ちゃん(とその他大勢(ごめんなさい!!)の
セッション!!!素敵ですぅ〜w

…わたしも一応いしかーファンなんですけ…… ( `.∀´)ギロッ
いえ!ヤッス〜一筋です!!(苦笑)
126 名前:オガマー 投稿日:2002年07月25日(木)23時45分11秒
ほぉぉw
こういう展開ですかぁ〜♪
127 名前:HR−MS 投稿日:2002年07月26日(金)00時59分51秒
 はじめまして。楽しく読ませていただいてます。
 よっすぃ〜、梨華ちゃんのキャラだけでなく、ごっちんと我らがやっす〜のキャラは
味があっていいです。さあ、そろそろ柴ちゃんの親戚の方が営む旅館での新たなる展開か?
それとも...
 あぁ、もう目が離ません!ごまべ〜ぐるさんの今後の展開に期待いたしまっするパワー!
 あモリモリ。
128 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月26日(金)01時12分21秒
眠い・・・。でもごまさんの更新は見たくて来ちゃいました(w
話は現在編に戻ったんですな。
そっかぁ!梨華っちがカン娘。でボーカルですか♪
しかもバックバンドが超豪華!!
私もここの学際見に行きたいよーってマジで思ってまった(w
きっと梨華ちゃんに何か遭っても、よし子が助けてくれるよね♪

ヒトミチャン・・・♪>( #´▽`)´〜`○ )<ウチガイルカラ、ノープロブレム!
129 名前:VACATION 投稿日:2002年07月26日(金)11時47分57秒
―――吉澤視点

「おんもしれーなー、オマエんトコの管理人さんは」
ビデオカメラの画像を見て、市井さんは肩を震わせて笑った。
「んあ〜、陶酔してるよねぇ〜!」
ごっちんもオナカを抱えて笑う。
「ハハッ。ここまでしなくても、って思ったんスけどね」
画像には、ジュディー・オングの『魅せられて』をフリつきで歌う中澤さんが映ってる。
今度のライブで(強制的に)保田さんに名曲『魅せられて』を歌わせることになり、
ウチラはこーして市井さん宅で極秘に会議を進めていた。
保田さんにはぎりぎりまでナイショだ。
音源が見つからず、しょーがなく中澤さんなら世代的に分かるだろうと思い、
歌ってみてください、とお願いしたところ、『カラオケ行こ!カラオケ!』ということになり、
駅前のカラオケ・ルームでフリつきで披露してくれた。
あたしは市井さんに借りたビデオカメラで笑いをこらえながら、中澤さんの華麗な姿を収めた。
向かって画面左端の手拍子を打ちながらも、無言で呆れ顔の平家さんが印象的だ。

『女は海〜』
サビ部分で更に陶酔してる中澤さんが可笑しくて、ウチらはまたその部分を再生した。
「衣装も…こんなモンでしょ」
アヤカさんが仮縫いを終え、保田さんのための『なりきりジュディー・オング』衣装を広げた。
「この両端に折れたドラムスティックを入れ、衣装を左右に広げる時持ちやすくしたのがポイントです」
アヤカさんが得意げに説明する。



130 名前:VACATION 投稿日:2002年07月26日(金)11時52分32秒
「ほほぉ。圭ちゃんのスリーサイズなんかよく分かったなぁ〜」
市井さんが感心して衣装を手に取って言った。
「フフッ。酔って寝てる間に測ったから」
「あっは!ある意味オートクチュールだねっ!」
「圭ちゃんのくせに生意気だよな!」
市井さんの台詞に、あっはっは!とウチらは大笑いした。


「…何か寒気がすんだけど」
その頃。
何も知らず保田は、飯田の家で飲んでいた。
「圭ちゃん風邪じゃないの〜。クーラー消そうか?」
「ん。頼むわ」
「卵酒でも作ろーか?」
「ううん、いい。暑いし」
夏風邪に卵酒はそもそも効くのだろうか。
疑問に思いながら、保田は冷酒を口にした。


翌日。
梨華は先日の学祭の依頼の件で話をする為、りんねたち3人と会っていた。
「すみません。お忙しいところを」
喫茶店で梨華は頭を下げた。
「ううん、こちらこそ」
りんねは笑顔で首を振る。
「あの」
梨華は意を決し、テーブルの下でぎゅっと握りこぶしを作った。
「何?」
「あたし…その、音痴なんです」
「あたしたちもそんなすっごくうまいわけじゃないよ」
あさみは笑う。
「それに…」
「去年の出来事なら気にしなくていいから」
里田の台詞に、梨華は思わず目を見開いた。
「へ?里ちゃん、去年の出来事って何?」
りんねとあさみは目をぱちくりさせた。
ふたりは今年編入学したので、事情を知らないのだ。
「あ、あたしが…その、三角関係からス、ストーカーに遭ったり、車に撥ねられたりして…」
「はぁ〜。大変だったんだね〜」
「ホント。生きててよかったね〜」
りんねとあさみはほぼ同時に言った。

131 名前:VACATION 投稿日:2002年07月26日(金)11時57分22秒
「だ、だから…学園祭の件は」
梨華が震えながら言うと、
「石川さんが気にしてるんならいいけど、あたしたちは全然気にしてないから」
里田はまっすぐ梨華を見た。
「ね」
里田に視線を向けられ、りんねとあさみは頷いた。
「で、でも何かご迷惑がかかるようなことがあったら…!」
「う〜ん。大丈夫でしょ」
「そうそう。これだけのメンバーがいれば何とかなるっしょ」
カントリー娘。の3人は頷きあった。
梨華は全身の力が抜けていくのを実感する。
帰ったら、ひとみちゃんに報告して、柴ちゃんにもメールを送ろう。
梨華は、3人から更に詳しい話を聞いた。


りんねたちと別れた梨華は、その足でバイト先に向かった。
平家の紹介で、今日からとりあえず夏休みの間、高校生の女の子の家庭教師になる。

「ええと…『小川さん』ね」
最寄り駅に降り、地図を頼りに番地表示を見ながら歩き出す。
132 名前:VACATION 投稿日:2002年07月26日(金)11時59分51秒
その頃。

小川麻琴は、部屋でふてくされていた。
何故なら。
学校のチアリーディングのクラブで、先輩に嫌味を言われた。
いつものコンビニでよく買うお気に入りのアイスが売り切れていた。
おかずの好きなかぼちゃが少ししか食べられなかった。
それだけでも不機嫌になりそうだが、今日から頼んでもいない家庭教師が来る。
小川の不機嫌はマックスに達していた。

「麻琴〜。家庭教師の先生がいらっしゃったわよ〜」
ドアの外からの母の声に、
「うあ〜い」
ベッドにつっぷしたまま、生返事をする。
「麻琴、聞こえてるの!」
ドアをいきなり開けて母が入ってきた。
「ちょっ!いきなり開けないでよ!」
慌てて体を起こすと、母の陰に少し隠れて、白いワンピースが視界に入った。
「先生、どうぞ。もう、この子ったら、ごめんなさい」
「イエ。失礼します」
にこやかにその家庭教師は入ってきた。
「麻琴さん?石川梨華です、よろしくお願いします」
ベッドに正座したまま、小川はぽかんと口を開けて梨華に見入った。
133 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月26日(金)12時05分25秒
更新しました。
( ^▽^)は今もジャージで寝てるのか…。しかもTシャツ中にいれて。

( `.∀´)<アタシなんてネグリジェよッはあとはあと

視聴者の期待を裏切らない女・ケメコ

レスのお礼です。

>名無し読者さん
(; ^▽^)<スミマセン…
从 #~∀~从ノ<いや、カンニンな!

私は某いしよし作者さんの小説読んでて、コーヒーを噴き出しそうになったことがあります(w

>なっなし〜さん
( `.∀´)<アタシのキケンな魅力にも溺れるといいワッ
( ´D`)<ちがういみでとりかえしがつかなくなりそうれす

カントリー、いよいよ登場れす。ここはやはりセクシーベイベーでいっとこかなと。

>ポーさん
(;O^〜^)<(セ、セクシーベイベーってやっぱしあの衣装!?)
( ‘д‘)<何考えてるか、スグ分かるワッ!
きました(w 学祭シーズンは秋なので、まだ大分先ですが。石川さんはビジュアルで選ばれたようです。
134 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月26日(金)12時07分47秒
>ベリィさん
ヽ;^∀^ノ <その他大勢かぁ
( ´ Д `)<んあ〜、しょーがないじゃん。いちーちゃん、そもそも脇役なんだし

しかし派手なバックバンドだな、と改めて思いました。昨日のうたばん、自分の中では殿堂入りですが何か?

>オガマーさん
( ゜皿 ゜)<トウジョウジンブツ、マタフエタ
( ´D`)<いいらさんとののの出番もふやしてほしいのれす

こういう展開なのです。いや登場人物が増えたこと(汗 伏線張りすぎると書いててワケが分からなくなるという罠。

>HR−MSさん
川σ_σ|| <覚えててくれてるひとがいたんだね
(; ^▽^)<作者でさえたまに忘れてるのに

初レスありがとうございます。細かい設定まで覚えててくだすって感謝です。レスの締めの言葉に噴き出してしまいました。

>いしよしサイコ〜さん
(O^〜^)ノ<梨華ちゃんはオイラが守るからねっ
(* ^▽^) <(ひとみちゃん…)

お約束なネタですが。グレッチ使いとリッケンを抱えた王子の豪華競演。私も見たいです(w
135 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月26日(金)12時26分21秒
・終業式のふたり

ヽ;^∀^ノ <ふう…ふう(市井・小3)

( ´ Д`)<んあ〜、いちーちゃんおおにもつじゃん。どしたの(後藤・小1)

ヽ;^∀^ノ <い、いや。うっかり荷物を持って帰るの忘れててな
(※右肩に絵の具バッグたすきがけ。左肩に習字カバン。
背に全教科教科書・縦笛入りランドセル。右手に観察用のヒマワリ鉢入りビニール袋。
左手にお道具箱・ピアニカ入り紙の手提げ。左手首には置き傘2本)

( ´ Д`)<ちゃんとけいかくてきにもってかえらないとだめだよ〜

ヽ;^∀^ノ <そ、そうだよな(小1に怒られてるアタシって…)

( ´ Д`)<ごとー、にもつすくないからなんかもってあげる ランドセル、ツウチヒョウクライダシ

ヽ;^∀^ノ <…ありがとよ(トホホ) 

以後、市井が卒業するまで続く
( ´ Д`)<ホンット、昔から計画性ないんだから
136 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月26日(金)19時33分20秒
ジュディー・オングに反応してしまう私って…。(涙
学園祭楽しみです。。。。


137 名前:オガマー 投稿日:2002年07月26日(金)22時20分13秒
ぉぉ、まこっちゃん再びw
どういう展開になるんだろうww
138 名前:あおのり 投稿日:2002年07月27日(土)00時25分53秒
保田さんジュディーオング化計画禿げしく楽しみです。
それにしてもアヤカさん仕事が速い!グッジョブです!
でも圭ちゃんが酔った時に測るって・・
ついでに何か別のこともしたんでしょうか(←脳内妄想馬鹿スマソ

梨華ちゃんにもスポットライトが当たるようで良かった良かった。
いしおがの今後の展開も禿げしく期待です。
139 名前:HR−MS 投稿日:2002年07月27日(土)02時17分31秒
ごまべ〜ぐるさんが仰る最後の台詞とは、今年の正月ハロコンで、美貴てぃ、石井ちゃん、まいちゃんの
3人が言った台詞です。余談ですが、まいちゃんは登場したものの、あとの二人は展開的にありえるのかなぁ...?
 石井ちゃんは平家さんのマネージャーみたいな感じで、美貴てぃは ん?待てよ、もしかして...。ありえるかも。

 さぁ、久しぶりにまこっちゃん登場。高校生組の方に新たな展開の予感が...。
140 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月28日(日)20時22分45秒
今日はごまさん、更新は休みの日でしたっけ?
カン娘。いよいよ始動しそうですな! 
さてどうなることやら・・・楽しみです♪
しかし、梨華っちが小川の家庭教師になるとは意外な展開ですた!
こんな可愛い家庭教師なら、世界一ハッピーですよね♪
141 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月29日(月)02時00分09秒
いつも楽しく読んでます。

で…一つ質問なんですが前スレでよっすぃ〜が梨華ちゃんに
カントリー娘と石川梨華美の歌ギターでひいてあげてた気が
するのですが…やっぱ今回のカントリー娘とは別人なんでしょうか…?
なんか揚げ足取るみたいなことしてすみません
ちょっと気になったもんで…。
142 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年07月29日(月)14時39分25秒
ごまさん、こんちわ♪
今日は休日なんで、久ぶりにちょっと早めに覗きに来ちゃった(w

>141の名無し読者さん
まぁまぁ。堅いこと言いっこ無し! (^^;)
その手の疑問は、自分の胸の内に秘めときましょ〜よ。
楽しい作品が読めるんなら何だっていいじゃない♪

ね、ごまさん♪ ( ^ー゜)b
143 名前:VACATION 投稿日:2002年07月29日(月)16時54分11秒
「麻琴、先生にご挨拶なさい」
母の声に小川はハッと我に返った。
「あ、ああ。小川麻琴です。よろしくお願いします」
(…やっべ。マジ、かわいいじゃん)
小川は柄にもなくドギマギする。
「それじゃ、よろしくお願いしますね」
母はドアを閉めて下に降りていった。
梨華はニコニコして自分を見ている。
「それじゃ、始めましょうか」
「始めるって…ああ!勉強ですね」
小川はぼんやりしててちょっとボケていた。
ベッドから降り、机に向かって支度をする。
「最初に1学期の中間と期末の結果、見せてくれるかな」
「ああ、ハイ」
机の引き出しから言われるままにテストの結果表を出す。
梨華はしばらくそれに目を通していた。
「英語はまあまあかな…数学に重点を置こうか」
やっぱり、と小川は苦い思いをする。
数学のない世界に行きたい、と切望するくらい、小川は数学が嫌いだった。
今回の家庭教師も、数学の成績を上げるために母が勝手に知人に頼んでいた。
「先生は数学得意なんですか」
「うーん。普通かな」
どういう普通なんだろ。
小川は怪訝な顔をする。
1学期に習った範囲を梨華に教科書で確認してもらって、授業は始まった。
144 名前:VACATION 投稿日:2002年07月29日(月)17時00分42秒
しばたくたって。
母がお茶を持って現れた。
ちょうど区切りがいいので、今回の授業は終わりとなった。
アイスコーヒーを飲む梨華を見て、
「先生、恋人いるの」
小川は誠に直球な質問をぶつけた。
「え!?」
途端に頬を赤くする。
「あ、いるんだぁ〜」
小川はニヤニヤ笑う。
「い、いないよ!ダメだよぉ〜、オトナをからかっちゃ」
オトナの割にはうろたえる梨華だった。
「ね、そのひととえっちした?」
梨華は唖然とした。
最近の女子高生は、と若い割にはやや年寄りくさいことを思う。
「ね、えっちってやっぱり気持ちいい?ラブホとか行くの?」
「いません!そういうこともしてません!」
これ以上放っておくと何を言われるか分からないので、梨華は赤い顔のまま
憤然と怒鳴った。
「ふ〜ん。先生カワイイのに」
つまらなくなって、小川は下敷きでぱたぱたと扇いだ。
「あれ…?」
小川のノートから出てきた写真を見て、梨華はちょっと驚いた。
「この写真…ののちゃんとあいぼんじゃ」
学校で撮ったのか、ふたりは制服姿で笑いながらギターを手にしていた。
「エ!先生、このふたり知ってんの!?」
「うん、だって」

「ウチに下宿してるし」

『―――うっしゃぁ〜!!』
小川は心の中でガッツポーズを取った。
145 名前:VACATION 投稿日:2002年07月29日(月)17時12分37秒
「ほ〜。よかったじゃん」
家に帰って、梨華はやはりバイトから戻った吉澤と遅い夕食を取りながら、
今日一日の出来事を話していた。
学園祭の事など、梨華が嬉しそうなので、吉澤もつられて微笑んだ。
「ん。それでね。家庭教師先の女の子がののちゃんたちと同じ学校の子だったの」
「へぇ〜。えらい偶然だねぇ」
「うん、あたしもびっくりしちゃった」
「同じクラスだったりして」
「あ、クラスは聞いてなかったわ。案外そうだったりしてね」
ふたりは顔を見合わせて笑う。
「今度うちに遊びにおいでって言ったの」
「へぇ。ののたちもいる時だったらいいね」
「うん」
梨華は笑って頷いた。


その夜。
飯田は院生の研究会を終え、夜遅く帰宅した。
階段下のポストの郵便物をチェックしてると、一台の車がハイツの前に停まる。
誰だろ。
そう思っていると、聞き覚えのある声がした。
「悪いわね、送ってもらって」
保田だった。
「いいえー。他ならぬ圭ちゃんのためだもの」
もうひとりは誰だろう。若い女の子だった。
「あ、カオリじゃん」
保田が気づいて声をかけてきた。
「あ、圭ちゃん」
何故か戸惑いながら、飯田は保田の近くに行った。
「同じハイツの人?」
もうひとりの女の子が微笑む。
「そう。隣の飯田圭織。カオリ、こっちは同じバンドの木村アヤカ。アタシの
大学の後輩」
「あ、初めまして」
飯田は頭を下げた。
146 名前:VACATION 投稿日:2002年07月29日(月)17時17分43秒
そういえば。
以前、保田のバンドのライブを観に行った時、彼女はベースを弾いていた。
キレイな子だな、と思ったが、こうして今近くで見てもまぶしいくらいだ。
「よろしく。いいなぁ〜、圭ちゃん。こんなキレイなお姉さんがお隣さんで〜」
アヤカは屈託なく笑う。
「ハハッ。うらやましいか!」
保田も笑ってアヤカの腕を肘で小突く。
飯田は何か居心地悪い思いをしながら曖昧に笑った。
ふたりはとても楽しそうだ。
それが余計、辛い。
「飯田さん、今度ゆっくり飲みましょうね」
「え、あ、うん」
アヤカは笑うと、それじゃ、と言って帰って行った。
「カオリ、出かけてたの?」
車が走り去ってから、保田は言った。
「うん。研究会に」
「へぇ。夏休みなのにタイヘンだねぇ」
「ううん。それじゃ、おやすみ」
飯田は早く家に戻りたかった。
何故だか保田の顔を今は見たくなかった。
「あ、おやすみ」
飯田に何か不自然なものを感じながらも、『疲れてるんかな』と保田はそのまま
見送った。
147 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月29日(月)17時30分07秒
更新しました。

レスのお礼です。

>よすこ大好き読者。さん
从 #~∀~从<♪ひとりで見ている〜海のい〜ろ
( `◇´)<姐さん、アンタなりきりすぎや!

ナニゲにメール欄に続けてみますた。子供の頃よくカーテンを衣装代わりにし真似しましたね。学祭もお楽しみに。。。

>オガマーさん
∬`▽´∬ <再登場だ!コノヤロー!
( ・e・)<あたしも出番あるのかなぁ

猪木つながりということで。ここのまこっちゃんは数学が苦手で( ^▽^)が勉強見ることになりますた。

>あおのりさん
(; `.∀´)<アンタッ!余計なトコ触ってないでしょうねッ!?
川‘.▽‘)||<フフッ。どうでしょう〜♪

それはアヤカのみぞ知る…。とりあえず、ヤッスーの貞操(古っ)は大丈夫だと思いまする。(; `.∀´)<ホントねッ!?
148 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月29日(月)17時32分10秒
>HR−MSさん
(; ^▽^)<麻琴ちゃん、いい子なんだけど、ちょっとついてけないカモ…(汗
(;0^〜^)<ナヌ!?リカチャンニナニガ!?

詳しい解説ありがとうございます。勉強になりますた。あとのふたりは…お楽しみに(謎 高校生チームも新たに展開します。

>いしよしサイコ〜さん
(0^〜^)<フォローありがとYO!チェケラッチョ!
(* ^▽^)<カワイイだなんてそんな…

こんな家庭教師だったら、馬車馬のように勉強するかもしれません。そんでよい点数取って褒められたいです(…逝ってきます)

>名無し読者さん
(o゚v゚o)<こっちの世界にも『カントリー娘。』って歌手がいるんだよね
(⌒ ー ⌒)<ウン。裏設定だけどね

ええと、一応こっちの世界にも娘。やカン娘。はいたりします。ハイ、大学のカン娘。とは別人です。ややこしい設定、スマソ。
細かいネタを覚えてくださってて、嬉しかったです。 
149 名前:オガマー 投稿日:2002年07月29日(月)17時45分15秒
ほぉ、ほぉ!!
なんだコノヤロォ!
と意味のわからないことを言いつつまこっちゃんの行動にハラハラドキドキ
150 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月29日(月)17時51分02秒
・プールに行こう

( ´ Д`)<んあ〜。たくさん泳いだね〜(後藤・小4)

ヽ^∀^ノ<おう。日焼けが痛いぜ!(市井・小6)

( ´ Д`)<帰りに駄菓子屋さん行こうよ〜。ごとー、アイスキャンディー食べたい

ヽ^∀^ノ<お、いいな!…アレ? ガサゴソ

( ´ Д`)<どしたの?

ヽ;^∀^ノ<チャ、チャリのカギが…


必ずいた。プールの帰りに「自転車のカギがないっ!」と騒ぐヤツ。

( ´ Д`)<んあ〜。プールの後の授業で板書したノートって、たいてー眠くて
       ナゾの暗号のように字、化けてるよね〜
151 名前:なっなし〜 投稿日:2002年07月29日(月)22時58分28秒
 ガ−(ノ+゜皿 ゜)ノミ ┻┻・:∴バーン
なんだか気分が優れないようです…
152 名前:婆金 投稿日:2002年07月29日(月)23時43分49秒
梨華ちゃん、バイトがんがって!
圭ちゃん、何にもしてないけど、何かカッケー☆
153 名前:VACATION 投稿日:2002年07月30日(火)12時09分03秒
翌日。
飯田の家に辻が泊まりに来た。
夏休みにでも泊まりにおいでと、前から約束していたのだ。
夕食に焼きそばを振る舞ったら、辻は大喜びだった。
嬉しそうに食べる辻を、飯田は穏やかな気持ちで見守った。
「いいらさん、お料理上手れす!」
「フフッ。ありがと」
風呂上りにデザートのミルクプリンも食べて、辻はご満悦だった。
アプリコットのソースがかかっていて、とても美味しかった。
「あたし論文書くから、辻先に寝な」
「いいんれすか?」
「うん。夜の方がはかどるし、遅くなると思うから」
「あんまり夜更かししちゃだめれすよ」
大人ぶった口調に、飯田は笑ってハイ、と答えた。

隣室に布団を敷いてやり、辻に休むように言った。
机に向かい、資料と首っ引きでパソコンを打つ。
いつものようにラジオをつける。今日は辻がいるので、目を覚まさないくらいに
ヴォリュームを絞って。
普段なら別にひっかからないような事が今日に限って気になり、
作業ははかどらなかった。
資料をコピーしたものにラインマーカーを引いて、しばらく目を通す。

ふと、昨日の保田とアヤカの姿を思い出す。
―――別に恋人同士というわけではないだろうけど。
ふたりでいる姿は何故か心を掻き乱した。
飯田は溜息をつき、ボールペンに持ち換え、コピーの余白部分に
『( `.∀´)バカケメコ』
と描いた。
154 名前:VACATION 投稿日:2002年07月30日(火)12時14分17秒
「いいらさん?」
隣室からか細い声がした。
「あ、辻。どしたの、寝れない?」
「ううん、そうじゃないんれすけど。いいらさん、元気がないれす」
「へ?別にフツーだけど」
「パソコンのキーの音がつっかえつっかえ聞こえるれす。調子が悪そうれす」
飯田は苦笑する。
こんなコドモに見破られているとは。
「カオ、コーヒー入れるけど。辻も飲む?」
「へいっ」
辻は布団から起き上がった。

コーヒーメーカーから香ばしい香りが漂う。
台所のテーブルに向かい合わせて座って、ふたりはまったりと過ごしていた。
寝る前だから食べ過ぎちゃダメだよ、と言って、飯田は殻つきピーナッツを出した。
「いいらさんは」
辻はピーナッツの殻をむきながら顔を上げた。
「将来えらいひとになるんれすか」
「いや〜。大学院に行ってるからって偉い人になるとは」
「ののはあまり勉強が好きじゃないから、大学出ても勉強してるっていうのが
すごいと思うのれす」
「そっか」
飯田は優しく微笑む。
「あいぼんなんかすごい勉強できるんれす」
「ああ。成績いいらしいね」
「入学式の時、新入生代表で挨拶したのれす。入試でトップだったから」
「へぇ〜。スゴイじゃん」
「でもあいぼんは興味ないみたいれす」
「ハハッ。加護らしいなぁ〜」
あまり点数を下げないようにそこそこキープさせておくが、加護はハッキリ言って
自分の成績はどーでもよかった。
「別に成績いいからどないやっちゅうねん」
加護の真似をして、辻は口を尖らせて言った。
「似てる似てる!」
飯田は手を叩いて喜んだ。
155 名前:VACATION 投稿日:2002年07月30日(火)12時40分49秒
「あはは!辻もモノマネ上手いねぇ〜」
褒められてますますその気になり、辻は『矢口さん』と言って口をハート型にした。
その次は『オバチャン』。
目尻を人差し指で斜め上に引っ張り、『キリキリ逝くわよッ!』の台詞つき。
「あ!あははは!ホクロがないのが惜しいくらい似てるぅ〜!」
飯田は涙を流して笑う。
「えへへ。いいらさんが元気になってよかったれす」
辻はニコニコと飯田を見た。
飯田はそっと辻の頭を抱きしめて、
「…辻はいい子だね」
目を閉じた。
「いい子かどうかは分からないけど、ののはいいらさん、大好きなのれす」
「…いい子だよぉ」
辻が本当に妹だったら。
自分は過保護なくらい、可愛がってしまうだろうか。
色々な雑事に追われ、多少カリカリしていたのがウソのように、飯田は穏やかな
気持ちになった。
「論文とかってさ」
「へいっ」
「後で読み返してみると、その時どういうことで悩んでたとかって分かるんだよね」
「そうなんれすか」
「そう。今日書いた分も、何年か後に読んだら、辻がカオを励ましてくれたって
思い出すよ、きっと」
辻は嬉しそうに笑う。
「ののが大人になってもっと賢くなったらいいらさんの論文、読ませてくらさい」
「いいよ〜。何か恥ずかしいけど」
飯田は心の中で『辻は大人にならないでほしいなぁ。カオのワガママだけど』
と思った。
いつまでもこのままでいてほしい。
無理だと分かっていても、願わずにはいられなかった。

夜も更け、辻は布団に戻り、すぐ寝息を立て始めた。
その寝顔を見て、飯田はとても癒される自分を感じた。





156 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月30日(火)13時01分15秒
  ||(‘〜‘川
( ´D`) ||) <いいらさんらいすきれす!
(   =/O

更新しました。ののかお。いいらさんAAが変だ…。

レスのお礼です。

>オガマーさん
(; ^▽^)<まこっちゃん、元気はいいんだけど… チョットセクハラ?
∬`▽´∬<エー?アタシ的にはフツーなんだけど

オガーさん、今後も暴れてくれるかもしれません。そのうち夢の猪木競演?

>なっなし〜さん
(+ ゜皿゜)<ピー ガーガーガー ゴゴゴゴ…
( ;´D`;)<いいらさんが!いいらさんが!

AA笑いました。ロボバージョンで大暴れしたら誰も止められないでしょうね。

>婆金さん
( ^▽^)<ありがとうございます!がんがります♪
(; `.∀´)<それにしてもカオリはナニ怒ってんのかしら?

圭ちゃん、罪な人なのれす。いしかーさんはやる気マンマンです。
157 名前:ベリィ 投稿日:2002年07月30日(火)13時50分29秒
いいなぁ…,家庭教師……。わたしも教えて欲しい…。
梨… ( `.∀´)ギロッ  ヤ、ヤッス〜に。(汗)
わたしの場合英語なんですが…。(←聞いてないって。)
( ^▽^)<ヤッス〜,英語得意でしょ?
( `.∀´)<Hello?It's Kei!

うたばんおもしろかったですね〜。友達にもの凄いイキオイで
「今度の旅行で保田ケメ子ゲームやろう!!!」ってメールしたら,
『三人じゃムズカシイと思うよ?』と冷静な答えが返ってきました。
まぁあの時はとても冷静な判断が下せる状態ではなかったんですが。(笑)
ベリィもこれからはネグリジェで寝ることにします。(←やめなはれ。)

( TwT)<いち〜ちゃんゴメンナサイ…。そんなつもりじゃ…。
ホントに豪華ですよね〜,うらやますぃ〜…w
小学生のいち〜ちゃんとごまちゃんもかわいくてダイスキですw
158 名前:オガマー 投稿日:2002年07月30日(火)16時13分30秒
セークハラーワショーイ(ヲイ
ののかおw
ほのぼのかわいいですw
159 名前:HR−MS 投稿日:2002年07月31日(水)04時44分11秒
 実際のカオリも根が善人、ピュアである分、意中に思っている人が浮気?ともとれるような行為を目にしたら、すごく気にしてしまうのではと思います。
 そんななかで、ののたんの存在は彼女にとって救いでしょうね。今後のののたんに期待です。

 
160 名前:VACATION 投稿日:2002年07月31日(水)14時45分30秒
―――吉澤視点

中澤家は昼食は普段自炊だ。
しかし、今日は特別に中澤さんが皆に冷麦を茹でてくれた。
「そのピンクのはのののれす!」
「うっさいわ!名前でも書いてるんかい!」
色つきの冷麦を巡って、ののとあいぼんはくだらないケンカをする。
「やめい!エエ年して冷麦くらいでケンカすんな!」
中澤さんがキレる。
「あいぼん、あたしの緑のあげるから」
「オマエもキープしとるんかい!」
姉が妹にツッコむ。
あたしは苦笑しながらそのやりとりを眺めていた。
「それはそうと」
中澤さんが思い出したように言った。
「なんスか?」
「吉澤、アンタは今日は遅いんか?」
「イエ。これからバイト行って、今日は7時上がりです」
「梨華、オマエは?」
「カテキョが6時までだよ」
「ふむ…今日は焼肉でもするか?」
「…やったぁー!!」
ののがお箸を持ったまま、歓喜の声を上げる。
「ののね!塩タンとロースとハラミとカルビと!…えっと!とにかく大盛り5人前!」
「オマエは今注文してどーすんねーん!」
あいぼんが『なんでやねん』の手でツッコむ。
「いやな、お中元で昨日焼肉セットもうてんやんか。せっかくやし、なんぼか
買い足して圭坊らも呼んでみなで食べようや」
「いいらさんも来るんれすか?」
「ああ、メール入れてみるわ」
ののはホントに飯田さんが好きだ。
ハタから見てて姉妹みたいっつーか。
飯田さんもののが可愛くてしょうがないみたいだし。
161 名前:VACATION 投稿日:2002年07月31日(水)14時51分19秒
「後藤師匠って肉、好きなん?」
あいぼんがあたしの袖を引っ張って、こそっと囁いた。
「んー。実家ですき焼き3人前食べたって言ってたからキライじゃないと思うよ」
「…ハァ〜。3人前か。さすがは師匠やな」
ウチも本人から聞いた時はビックリしたよ。
しかもその後牛乳飲んで爆睡したっつーし。
「加護と辻はヒマならウチの買い物手伝ってな」
「へいっ」
「ええで。ヒマやし」
「そんじゃ、大人は働いてきますか」
ごちそうさまと言い、自分の食器を流しに運ぶ。
「あ、ひとみちゃん。あたしまだ時間あるから一緒に洗っとくよ」
「いいよ。ウチもまだ時間あるし」
「ううん。洗いたいの」
「…なんでもエエがな。お熱いこっちゃな」
中澤さんが大袈裟に溜息をつく。
チビッコふたりはマネをして、『はぁ〜あ』とわざと眉をひそめる。
「ちちちち、違う!」
「いやいやいや、これは!」
梨華ちゃんとウチはふたりして赤くなって、反論にならない反論をした。
「何でもエエわ。辻・加護、コレ食ったら出かけよか。パフェでも奢ったるわ」
「「いやったぁ〜!」」
辻・加護コンビは大喜びでハイタッチした。
ウチらは仕方なく、顔を見合わせて苦笑いした。
162 名前:VACATION 投稿日:2002年07月31日(水)15時00分32秒
―――辻視点

中澤しゃんの運転で、ののたちは郊外の大型スーパーに向かいました。
今夜の焼肉の買出しもれすけど、日用品も買うそうれす。
「下宿屋は色々と買うモンがあるんや」
と中澤しゃんはいいます。
「トイレットペーパーと、石鹸と…掃除用の洗剤とあと…」
リストを見てもいっぱいあるれす。
普段は梨華ちゃんと手分けして買ったり、へーけしゃんをお供に買いに行くそーれす。
リストに書いてあるのを全部買ったら、ものすごい大荷物になったれす。
お買い物の後、中澤しゃんはスーパーの上の飲食店コーナーにののたちを連れていきました。

「ここのパフェがな!結構イケんねん!」
タンポポほどではないけどな、エエねん、と中澤しゃんは付け足しました。
そのお店はスーパーのテナントに入ってるところで、何と言うのか、あまり
お客さんが入ってる様子がなかったれす。
入り口に『パスタを巻きつけて宙に不自然に浮いてるフォーク』のナポリタンの
サンプルや、いつの時代のだろ、とナゾなコーラのポスターがあったのれす。
『YES,Coke YES!』とか書いてたれす。
「…サンプル、色褪せとるやん」
あいぼんがぼそっと言いました。ソーダ水のみどりが悲しくほこりをかぶっていました。
「大将!久しぶりやね!」
中澤しゃんは構わず入って行きました。
「おー!元気でやってるか!」
カウンターにいる大将はヒゲ面のおおきなおじさんれした。
中は思ってたよりはきれいれした。
「えらいべっぴんさんになって!梨華ちゃんもエエ娘さんになったんやろうなぁ」
「へェ、お蔭さんで」
「関西人の典型的なベタな挨拶や」
隣のあいぼんがこそっと耳打ちしました。
163 名前:VACATION 投稿日:2002年07月31日(水)15時31分17秒
「ウチはレーコーにするワ。あんたらは?」
「ののはチョコパフェにするれす」
「ウチはフルーツパフェ」
注文した後、あいぼんに『レーコーってなんれすか?』と聞いてみたれす。
「まぁ、今に分かるワ」
中澤しゃんに運ばれてきたのはアイスコーヒーれした。
「…アイスコーヒーれすよ?」
「アイスコーヒー。冷やしコーヒーを略して『レーコー』や」
『イマドキおっさんでも言わん』とあいぼんは付け足しました。
おっさんでも言わんオーダーをする中澤しゃんって…。
ののたちのパフェもしばらくしてからきました。
「「いただきます」」
と食べ始めました。
マスターのおじさんには失礼ですけど、そのパフェは予想外においしかったれす。
普通生クリームの部分がソフトクリームで、すごくあっさりしてるんれす。
あいぼんも無言で食べてます。
ほんとにおいしいものを食べる時はしゃべらないものれすね。
「ウマイか?ここは梨華がちっちゃい時、ようウチとかオカンが連れてきてん」
中澤しゃんがいいました。
「へぇ。中澤さんのお母さんってどんなひとなん」
「ウチがパーマあてたらそっくりや」
マスターとあいぼんは大笑いしました。
ののは「あてる」が分からず、ひとりきょとんとしました。




164 名前:VACATION 投稿日:2002年07月31日(水)15時36分18秒
「パーマをかけるってことや。関西ではそう言うねん」
と中澤しゃん。
「イマドキおばちゃんでも言わんけどな」
余計なことを言ったあいぼんは、中澤しゃんに軽くほっぺを引っ張られました。
「イテテテテ!スンマセン!スンマセンてば!」
あいぼんの様子にみんなはまた笑います。
「うちの管理人さんはべっぴんさんか?」
「べっぴんさんです!世界一!いや宇宙一のべっぴんさんですて!」
「よろしい」
あいぼんはやっと解放されました。
『オー、イテ』とほっぺをさすります。
「おじさん、べっぴんってなんれすか?」
ののが聞くと、おじさんは
「お嬢ちゃんみたいな子のことや」
といいました。
よくわかんないけど、中澤しゃんが喜ぶ言葉らしいというのは分かったれす。

その後。
中澤しゃんはマスターと世間話をし、ののとあいぼんは黙々とパフェを食べました。
結構な量で、さすがのののもオナカいっぱいになりました。
あ、でも。
今夜の焼肉は別れすよ?
ほら、デザートは別腹っていうじゃないれすか。
誰にも負けないくらいうんと食べるれす。

とにかく。ののはいま、焼肉がとても待ち遠しいれす。
165 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月31日(水)16時03分55秒
更新しました。
『レーコー』の語源は大谷晃一氏の『大阪学』(新潮文庫)より。
昔、うちの父が言ってて長年のナゾですた。

从 #~∀~从ノ<マスター、こっちレーコーな!
( `◇´)<オッサンでも言わんわ!

レスのお礼です。

>ベリィさん
( `.∀´)¶<Hi!This is Kei!
(0^〜^)<Really?

冷静なお友達に萌え(w 圭ちゃんのネグリジェがどんなのかすげー気になるんですが。
ちゃむはそんなの気にするようなちっこい器ではないです。ドンマイ。(小心者ですが)

>オガマーさん
( ゜皿 ゜)<ツジ カオノ ナニヨリノイヤシ
(* ´D`)<てれるれす テヘテヘ

ののかお、私も好きです。いしよしとはまた違う、理想的なコンビだと思いますね。
本物を見てても安心します。例のヤキソバ事件は私の中では殿堂入りです。

>HR−MSさん
(; `.∀´)<ナニ怒ってんのよ
川`〜´)||<……

具体的に相手が何をしたわけでもないけど、ワケもなく腹が立つってのを出したかったのです。
分かってくださってうれしいです。本物もこういうのでカナーリ悩むでしょうね。純粋そうだし。
166 名前:オガマー 投稿日:2002年07月31日(水)16時18分46秒
中澤さんいいw
それにつっこむカゴもいいw
何もわからんののもいいw
167 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月31日(水)17時38分20秒
わかってしまうあたり(ニガワラ
早見優のCM、小さい頃見てたなぁ…イェ〜ス コ〜ク イェ〜ス♪
168 名前:HR−MS 投稿日:2002年07月31日(水)19時48分52秒
今気づいたのですが、この作品、N●Kの朝の連ドラみたいな感じで読めますね。
 出演者にキャラが立って、それぞれの視点から見て、回想シーンがあって という感じで。
 個人的に好きな視点は
 保田視点 バンド結成までのシビアな点、あと 現時点のナルシスティックなタッチな表現、面白いです。
 中澤視点 リアリティに描かれてよかった。大人のキャラとして必要。相方の平家さんとのコンビネーションもいい。
169 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月31日(水)19時57分24秒
風が〜吹くたび〜気分も〜ゆ〜れ〜る〜
そ〜んな年頃ね〜〜〜〜♪

楽しすぎます。(w  なつかすぃ〜〜
焼肉大会楽しみです。
170 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月01日(木)01時50分54秒
レーコ−…今でも周りのおっちゃん達は言います(w
パーマは「あてる」…共通語だと思ってました…(w

そしてののかおは別腹…
171 名前:VACATION 投稿日:2002年08月01日(木)09時50分06秒
―――吉澤視点

あたしはバイトを終え、そのまま帰宅した。
居間に行くと既に準備が整っており、ごっちんも来ていた。
「ヨシコ、おつかれ〜。いやぁ〜、暑いね〜」
そう言って汗を拭う。
「ハァ〜。ホンマ暑いなぁ〜」
中澤さんが汗を拭き拭き、肉を引っくり返す。
「コンバンハ〜」
あの関西弁アクセントは平家さんだ。
「姐さ〜ん!ビール買うてきたでェ〜!」
平家さんの手には大量の缶ビールがあった。
「おう!ご苦労やったな!」
「チビッコにはジュースあんで!」
「へーけしゃん、美人れす〜!」
「よっ!サスガニッポンイチのロック歌手!」
ののとあいぼんがここぞとばかりおだてる。
「んあ〜。お肉おいしそうだねぇ〜」
ごっちんがのんびり言い、中澤さんの手元を見る。
「さ!食べや!冷めてもマズイで!」
「「は〜い!いただきま〜す!」」
しばらくして、保田さんと飯田さんがやって来た。
「ゴメ〜ン!圭ちゃん、駅前で拾ってきたよ〜!」
「ホホッ!大遅刻ねッ!」
ののは飯田さんの姿を見たとたん駆け寄り、嬉しそうにお箸と取り皿を渡す。
「辻、アタシのは?」
保田さんが自分を指さす。
「オバチャンは自分で取るのれす」
「んまっ!ズイブンね!」
保田さんは苦笑して、ごっちんからお皿とかを受け取った。
「ひとみちゃん、コレ、焼けたよ」
梨華ちゃんがお箸で示す。
「あ、サンキュ。梨華ちゃんも食べなよ、バイト帰りでオナカ空いたっしょ」
「ううん。ひとみちゃん、食べて」
172 名前:VACATION 投稿日:2002年08月01日(木)09時55分10秒
「ソコー!いちゃいちゃすんなー!」
大声にびっくりして顔を上げると、あいぼんがニヤリと笑った。
…あのガキ。
「いちゃついてないっつーの!」
「ふぅ〜ん。さいですかぁ〜」
ホンットに憎ったらしいガキだ。
まぁ、最初の頃に比べたら、大分馴染んではきたが。
ウチもキライじゃないし。
「あいぼ〜ん。そんなコト言っちゃだめ〜」
梨華ちゃんが眉をハの字に下げる。
「…ゴメン」
あらら。
梨華ちゃんには素直じゃん。
その後もこっそりふたりで『イーダ!』と歯茎むき出しでガキっぽくいがみ合った。
「姐さん。アンタ、肉も食べーな」
中澤さんはビールばっかり飲んでた。
平家さんが取り皿にお肉を載せてあげてる。
いいなぁ〜。その自然な遣り取りがオトナのカップルっつーか。
「みちよも食えよ。栄養つけな、エエ歌歌えんぞ」
「へーへー。おおきに。とりあえず、アンタ飲んでばっかりや」
「ヨスコ〜。そこのジュース取って〜」
ごっちんが腕を伸ばす。
「あいよ!ホレ」
「あんがと〜」
ごっちんは缶ジュースを開けて、おいしそうにぐびぐびと飲む。
「ぷはー!あっは!お肉食べたあとのコーラはいいねぇ〜」
「お肉もどんどん食べてね、ごっちん」
「あっは!ありがと、梨華ちゃん!」
「カオリ、そこのお皿の軟骨取ってよ」
「え〜。これはカオのぉ!」
「カオのぉって…誰が決めたのさ」
「カオ」
「…分かった」
保田さんは寂しそうに缶ビールを呷る。
「ハイ、圭ちゃん♪」
飯田さんは満面の笑顔で、保田さんのお皿に軟骨をよそってあげる。
保田さんは「オッ!」という感じで、嬉しそうに食べ始めた。
173 名前:VACATION 投稿日:2002年08月01日(木)09時59分11秒
「オバチャン、軟骨ってホンマオッサンやな!」
「オッサンれす!」
「「オッサン!オッサン!」」
飯田さんは辻・加護と一緒になってオッサンコールをした。
言われたほうは『ゴルァ!』と言い、なんか呪われそうな顔で睨みつける。
「アハハ!圭ちゃん、こえー!」
ごっちんがお箸を持ったまま笑う。
「何よ!後藤まで!」
「オッサン圭ちゃん!オッサン、オッサン!」
「後藤!今度のライブの飲み会はアンタ持ちにするわよッ!」
「オッサン!」
「吉澤!アンタもよッ!」
調子こいたら思わぬ飛び火。
皆はその様子を見て笑う。
ウチはチェーッと言い、また焼肉に戻る。
梨華ちゃんは肩を震わせて、まだ笑ってた。
「そんなにおかしい?」
「ご、ごめん!」
と言いながら、まだ笑ってる。
「みんなでごはんは楽しいれす」
「そうだねぇ〜。辻もたくさん食べなね」
「飯田さん、言わんでももー食べてるて!」
あいぼんのツッコミどーり、ののはすでにかなりの量を平らげていた。
「あ…てへてへ」
ののが恥ずかしそうに笑う。
飯田さんは優しくののの頭を撫でる。
「ののはホンマ飯田さん、好っきゃな〜」
あいぼんがののの方を見て言った。
「えへへ。お姉ちゃんみたいれす」
『ねー』というように飯田さんとののは顔を見合わせて微笑む。
「あたしもあいぼん、大好きだよっ♪」
梨華ちゃんが頭を撫でてやると、あいぼんは憮然と
「…おおきに」
と言った。
174 名前:VACATION 投稿日:2002年08月01日(木)10時12分04秒
ホンット、意地っ張りだねぇ。
梨華ちゃんがニコニコするのと対照的に、あいぼんは黙ってご飯を食べる。
ああ、照れてるのか。
ハハ、カワイイヤツ!
「加護ちゃんはかわいいね〜。ごとー、加護ちゃんみたいないもーと欲しかったよ〜」
「エ!?師匠、急になんですのん!」
あいぼんは顔を赤くする。
「でしょ、でしょ!あたしもあいぼんみたいな妹、ほしいなぁ〜」
と梨華ちゃん。
「ウチも欲しいな〜!」
ウチも加勢して言うと、
「もう!コドモをからかうなよ!」
更に真っ赤になって、茶碗を手にしたまま、腕をぶんぶん振った。
「あいぼん、真っ赤れす〜♪」
ののがからかうように言う。
真っ赤な顔のまま、あいぼんはののを睨みつけた。
「フフッ。あいぼん、カワイはあとはあと
イッパイイッパイな感じのあいぼんを見て、梨華ちゃんはビールを口にする。
「梨華ちゃんはお酒強いの?」
ふと思いついて聞いてみる。
「ん。少しなら」
それを聞いて、中澤さんが意味深に笑う。
平家さんや保田さん、飯田さんも黙って笑った。
「んあ?どしたの、みんな」
「いや…少しかぁ〜と思ってね」
飯田さんは言った。
「へ?実は酒豪とか?」
「エー!違うよぉ〜!」
梨華ちゃんが否定する。
あたしはこの時は知らなかった。
酔った梨華ちゃんの真の姿を。

その夜は。
煙に包まれて、幸せを感じながらたらふくお肉を食べた。
175 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月01日(木)10時37分46秒
更新しました。
(0^〜^)( ^▽^)( ‘д‘)<<オッサン
( ゜皿 ゜)( ´ Д`)( ´D`)<<オッサン  \(`.∀´#)<ゴルァ!

レスのお礼です

>オガマーさん
( ‘д‘)<ののはもっと関西弁を叩きこまなアカンわ!ウチガビシビシシゴイタル!
読み返してベタだな、と思いました。関西人に囲まれるとこんな感じでしょうか。ののは段々ヒアリングできるでしょう。

>名無し読者さん
( ^▽^)<♪キミの香り深呼吸〜
早見優、好きだったんです。メール欄、笑いました。シャンプーのCMにも出てたなーと思いながら書きました。

>HR−MSさん
(0^〜^)<「めぞ○一刻」って言われたこともあるYO!
連ドラ、実は書いててチラっと思ってました。褒められて照れながらも嬉しかったり。ありがとうございます。

>よすこ大好き読者。さん
从 #~∀~从<作者はテレビの前で正座して、歌番組録音してんで!
あの頃のアイドルは大体好きです。明星とか平凡もよく買いましたね。付録の歌本も目当てで。

>なっなし〜さん
( `◇´)<おかゆはなんでか「おかいさん」やねんな
そうなんですか。いまどき言わないと美容師さんに言われ、そうなのかと思ってました。飴ちゃん、言いますね(w
176 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月01日(木)10時39分53秒
・サヨナラは言わないで

(0´〜`0)<ムニャムニャ… 

( `.∀´)<吉澤、しっかりやんのよッ!
( ´ Д`)<んあ〜。ヨシコ、梨華ちゃんと仲良くね〜

(;0^〜^)<エ?ちょっ!

( `.∀´)( ´ Д`)<<また会おうね〜

(;0T〜T)ノ<待ってよほ〜!!

(0T〜T0)<…ハッ!夢!

(0T〜T0)¶<うっうっ…(Trrrr…)

( ´ Д`)<ZZZZZ…

(0T〜T0)¶<ゴチーン、寝てる。保田さんは…

(; `.∀´)¶<ナンナノヨ!!こんな時間に!!!ゴルァ!!

(0T〜T0)¶<えぐ…やずだざ〜ん!バンドやめないッスよね〜!?

(; `.∀´)¶<ハァ?アンタ、寝ぼけてんの?

(0T〜T0)¶<吉澤、一生ついてゆきマス!抱かれてもいいッス!

(; `.∀´)¶<…イシカワに殺されるからいいワ


やずだざ〜ん!>(#T▽T)¶ (;`.∀´)¶<今日はいったいなんなのよ?
177 名前:オガマー 投稿日:2002年08月01日(木)13時45分35秒
わきあいあい感に泣けてきた…
でもっ!梨華たんの…楽しみにしてますw
178 名前:PUNK 投稿日:2002年08月01日(木)15時27分55秒
ごっちんを慕うあいぼん…
圭ちゃんに軟骨とってあげる圭織…
そしてののが言ったセリフ「みんなでごはんは楽しいれす」

泣けましたわ。
179 名前:傾きの私設秘書 投稿日:2002年08月02日(金)00時58分48秒
涙のやけ酒フェアー、始めました。
180 名前:CA 投稿日:2002年08月02日(金)03時34分39秒
酔った梨華ちゃんの真の姿…見てみたい。
サヨナラは言わないで、ツボに入り切なくなりました。(0T〜T0)
平常営業、本当にありがとうございます。
181 名前:VACATION 投稿日:2002年08月02日(金)11時53分52秒
―――石川視点

その夜はみんなうんと食べてうんと飲んだ。
一番はやっぱりののちゃんだったけど(笑)。
「ふあ〜。さすがに苦しいれす」
とオナカをさすっていた。

焼肉の後スイカを切って食べ、しばらく話してからお開きとなった。
9時半過ぎだっただろうか。
柴ちゃんからファックスが届いていた。
『QUBIC−CROSSご一行様と行く逗子ツアー参加者募集』
と書いてあった。
「んあ〜。そういやいちーちゃんが『この日絶対空けとけ』って言ってたな〜」
ごっちんは今日はひとみちゃんの部屋に泊まるので、そのまま家にいた。
「ウチもこの日なら何とかなるわ」
ひとみちゃんが後ろから覗き込む。
「そういや、ウチ水着ないわ」
ひとみちゃんが頭をかいた。
「んあ?そーなの?」
「去年プール行った時、水の流れるすべり台あるじゃん、ナントカスライダーっていう。
あれ調子こいて何回もすべったら、お尻んとこに穴あいてさ〜」
「ギャハハ!バカだね〜、ヨシコ!」
あたしもおかしくて笑ってしまった。
ひとみちゃん、かわいすぎる。
「ビキニとか買ったら〜」
ごっちんに茶化され、ひとみちゃんは
「エ!?」
とうろたえた。
「だ、だって…ウチ、胸が」
「んあ〜。そんなのカンケーないじゃん」
「そんなのって…」
ごっちんはいいよね、胸あるから、とひとみちゃんはいじけてしまった。
「あ!あたしもひとみちゃんの水着姿見たいなぁ〜」
やだ!あたしったら…何言ってるんだろ。
確かに…本音だけど。
「だってさ」
ごっちんがニヤニヤする。
「エ〜。ウチのしょぼい水着姿より、梨華ちゃんの方がいいっしょ〜」
ひとみちゃんも笑う。
182 名前:VACATION 投稿日:2002年08月02日(金)11時58分41秒
居間を出て、2階に上がる時、ごっちんがこそっと
「ヨスコにかわいい水着買わすから」
とあたしに耳打ちした。
あたしは何故か恥ずかしくなって、少し赤くなった。


飯田と保田は連れ立って家路についていた。
「楽しかった!」
飯田は夜空を見上げた。
「んー。久しぶりにあんなに食べたわ」
保田は笑う。
「圭ちゃん、飲んでばっかだったじゃん」
「成長期のチビッコどもに回さないと」
飯田はそうだね、と笑って同意する。
「そーいやさ」
保田は思い出したように言った。
「何?」
「この前、アンタすげー機嫌悪そうだったじゃん。具合でも悪かったの?」
「この前って…いつ?」
「アヤカ…アタシのバンド仲間を紹介した時。アンタが研究会あった日よ」
「ああ…。別に…ただちょっと疲れてただけ」
「そっか」
保田はちょっと安心した。何故ほっとしてるのかは自分でも分かっていないが。
「あの子、圭ちゃんの彼女?」
ダイレクトな質問に、保田は一瞬ポカンとする。
「ヘ…?ただのバンド仲間よ。それにあの子、付き合ってる人いんのよ」
「そうなんだ」
「何でそんなコト聞くのよ」
飯田はそれに答えなかった。
ふたりはどちらからともなく立ち止まる。
沈黙が流れた。
夏の夜特有の密度の濃い空気が立ち込める。
183 名前:VACATION 投稿日:2002年08月02日(金)12時00分41秒
「圭ちゃん」
沈黙を破ったのは飯田だった。
「何?」
「キス、しよっか」
保田はしばらく黙っていた。
やがて、飯田に近づいてそっと触れるくらいのキスをした。
「カオから言い出したのに」
唇が離れた後、飯田は掠れた声で言った。
「どちらでもいいじゃん」
「何でキスしたのよ」
「自分から言い出しといて」
保田は苦笑する。
言った後、さっきの台詞と矛盾するな、と思い返し、また笑う。
「圭ちゃん、言ってることめちゃくちゃ」
飯田にも指摘され、保田は肩をすくめる。
「何でまた…急に」
「さあね」
飯田はまた夜空を見上げる。


「月が綺麗だったからかな」
空には下弦の月がかかっていた。
184 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月02日(金)12時14分33秒
更新しました。
( ゜皿 ゜)<…カノジョ?

レスのお礼です。

>オガマーさん
( ´D`)ノ<こんな時こそ明るくいくのれす!

いしかーさんの真の姿はもーしばらくお待ちください。さすが姐さんと姉妹(ry

>PUNKさん
(0^〜^) ノ<短パン、ビーサン、カッケー!

一週間ほど前に下書きした分なのですが、まさかこうなるとは、ってカンジですた(ニガワラ

>傾きの私設秘書さん
从 #~∀~从ノ<飲むで!ガンガンいくで!

告知ありがとうございます。悲しいことも切ないことも酒で…って感じでしょうか。

>CAさん
(; ^▽^)<エ…フツーですよ?←ウソです

初レスありがとうございます。AAのは、ネットで発表を見てから急遽作りました。
185 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月02日(金)15時24分39秒
皿 ゜ ))))<月がとっても青いからぁ…遠回りしてあ−るこぉよ

う〜んいい感じ〜。ここの飯田さんを見てると和みます。
というよりもこの作品自体、読んでいるとほっこりしますよ。
土日はいつものようにお休みなんですね。本当に朝の連ドラみたいだ(w
186 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月02日(金)16時56分38秒
今週は、カオリ、ののの二人がメインでしたね。こんなこと言いますと、なちヲタの読者の方たちから
ひんしゅくを買いますが、言わせていただきます。

「ののは天使!」

 さて、柴ちゃんからのFAXキターーーーー! でありますね。場所は逗子。数々のアバンチュールな展開が予想されます。
そして、水着姿。梨華ちゃんは元より、個人的にはやっすーですね。あ、でもこの日はお仕事なのでは・・・・。

 オバチャンの水着姿・・・・・・・・。
187 名前:オガマー 投稿日:2002年08月02日(金)18時59分42秒
水着!水着!!
コソ参加前なので異様にハイです…
やすかおw
188 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月03日(土)15時41分00秒
ごまさん、いつもと変わらない更新おつ!(T▽T)
大勢での食事すごい楽しそうだったね♪
いつもと変わらん『め○ん一刻』の様な下宿風景・・・
何だか寂しい反面、嬉しくてジーンときたよ。
この世界の娘たちは、現実と関係なくずっとこのままで居て欲しい♪
がんばれ!ごまさん・・・ (^▽^)ノ<ファイ☆

でも酔った梨華っち、どんな感じになるんだろ・・・
ちょっと見てみたかったよん(w
189 名前: VACATION 投稿日:2002年08月05日(月)09時58分29秒
―――石川視点

あたしは新宿へ柴ちゃんと水着を買いに来ていた。
もちろん、今度の旅行のための。

「柴ちゃん…恥ずかしいよぉ〜」
あたしは情けない声を出して、試着室の入り口のカーテンを体に巻きつけて隠す。
柴ちゃんのオススメの水着というのを着てみたら…恥ずかしいことこの上ない。
「何言ってんの、そんだけのスタイルを出し惜しみするなんて罪だよっ」
柴ちゃんは表で仁王立ちする。
「そんなコト言ったって〜」
あたしはまた情けない声を出して半べそをかく。


―――吉澤視点

「ごっちん、これ…マジ?」
ウチはごっちんが差し出した水着を見てぎょっとした。
「んあ!コレ、絶対いい!」
ほれほれ、とあたしは試着室に追いやられる。

ウチはごっちんと渋谷に、今度の旅行の買い物に来ていた。
ついでに水着も見ようということに。
店のマネキンが着てる男の海パンを指して、
「ヨスコ〜、あれは〜?」
なんてふざけていた。


―――石川視点

結局、柴ちゃんと店員のお姉さんに「お似合いですよー」と押し切られ、
買ってしまった。
ひとみちゃん…引かないかしら?


―――吉澤視点

ごっちんに押し切られ、ウチは結局その水着を買った。
しかし…いいんかねぇ〜。
190 名前:VACATION 投稿日:2002年08月05日(月)10時02分51秒
その頃。
小川麻琴は近所の新垣里沙と、あるところにいた。
夏休みにプラネタリウムに行って、レポートを書くという課題が出ている。
付属の中学でも同じ課題が出たので、連れ立って出かけていた。
「あー、よく寝た」
小川は大あくびをする。
「まこっちゃん、5秒で爆睡するし」
上映が終わる5秒前に目を覚ます、何とも優秀な体内時計の持ち主・小川。
「だって〜。チアの練習で疲れてるんだって〜」
それもあるが、小川はあまり興味の持てないものには薄い反応を示すのが常だった。
母に連れられて行ったクラシックのコンサートは3秒で爆睡。
終演後に『せめて口を閉じて寝なさい』と母は頬を赤らめて言った。
「ふう。疲れたね〜。どっかで休もうか」
新垣が汗を拭って言った。
「どこでよ」
「駅の近くにお店とかあったよ」
「ん」
ふたりは駅まで戻り、ぶらぶらと散策した。
初めて来る街だが、いかにも地元民の街といった感じのところだ。
「あ!ここよくない?」
新垣が手で示したのは、『喫茶タンポポ』という店だった。
いかにも女の子好みの喫茶店だ。
「ああ、どこでもいいよ」
どーでもいい小川は適当に返事する。
まだ眠気から覚めきっていなかった。
「まこっちゃん、さっきのプラネタリウム、あたしのメモ見せてあげるから奢ってね」
「ん〜」
ちゃっかりしてんなぁ〜と思いながら、また観に来る気力もないので同意する。

『♪カランカラン』

「いらっしゃいませ〜」
ウエイトレスの声と姿に、小川は一気に目が覚めた。
191 名前:VACATION 投稿日:2002年08月05日(月)10時04分25秒
「つつつつ、辻ちゃん!?」
「小川しゃん…びっくりしたれす」
ふたりは呆然とお互いを見る。
「と、とにかく奥が空いてるのでどうぞれす」
「あ、ああ。どうも」
新垣はそれとは別に違う発見をしていた。
「見て!」
席に着いた新垣は、小川の服を引っ張ってカウンターの方を指した。
「加護じゃん」
そこにはアンニュイに、別な言い方をすればつまらなさそうにオレンジジュースを飲む
加護の姿があった。
「やだ!私服も可愛い〜」
新垣が小声で騒ぐ。
その日の加護は、白地に袖がピンクのカットソーに、真っ赤なミニスカートだった。
かなりロリってる。
小川は全然新垣の話を聞かずに、辻の方ばかり見ている。
「ご注文はお決まりれすか?」
『ハァ〜。辻ちゃん!マジ、可愛いよ〜!』
小川はひとり違う世界に旅立った。
「あ、あたし、ケーキセット!イチゴのショートケーキとアイスレモンティーでお願いします。
まこっちゃんは?」
「…小川しゃん?」
ふたりに声をかけられて小川はやっと我に返る。
「あ、おんなじので」
「ハイ。しばらくお待ちくだしゃい」
192 名前:VACATION 投稿日:2002年08月05日(月)10時05分48秒
カウンターの方に行く辻を見て、小川はホーと溜息を漏らす。
新垣は新垣でカウンターの加護をチラチラと見る。
「あいぼん」
辻が加護に声をかける。
「何や」
「のの、今日矢口さんにご飯連れてってもらうんで、お風呂先に入っててくらさい」
「分かった」
会話の一部始終を聞いたふたりは
新垣:『お風呂!?』
小川:『先に入ってて!?』
と激しく勘違いする。
「今週は辻がお風呂先なのね。ホホ!懐かしいわ!」
窓際にいた猫目の妙齢の女性が読んでいた本から顔を上げる。
「オバチャンの時はどうだったんれすか」
「アタシは大体最後だったわよ。帰り遅かったし」
「不良やな」
加護がツッコむ。
「んま!そんな憎らしいコト言うのはどの口!?」
「このあいぼん様の口や!」
負けじと言い返す。
その遣り取りを見て、小川と新垣は『ああ…下宿のお風呂の順番ね』と納得する。
尤も、勝手に勘違いしてたのは自分たちだが。
ふと、猫目の女性と目が合った。
ニヤッとその人は笑う。
小川と新垣は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。
193 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月05日(月)10時26分45秒
更新しました。
昨日のハロモニの、ぽろり星人の姐さんに毒気抜かれますた…。
从#~∀~#从 <なんやと!?

レスのお礼です。

>なっなし〜さん
( ゜皿 ゜)<ナツメロ、イイカンジ。ケイチャン、マサカホントニスルトハオモワナカッタ

いいらさん、微妙にヤッスーを振り回すの巻でした。焼肉食った後なのに(w

>HR−MSさん
( `.∀´)<ホホ!心配ご無用!ちゃんとお盆休みを取るわよっ!

オトナの水着をご堪能ください。ののは天使ですね、うん。

>オガマーさん
( ^▽^)<生梨華を見たんですね!キャッ!暑かったでしょう?

ライーブ、乙カレサマですた。いいらさん、結構シラフだったと思われ。

>いしよしサイコ〜さん
( ■.∀■)<エエ。ワタシもビックリしましたよー。石川さんがあんな…ねえ(証言者のY田Kさん)

め○んだと廊下の酒宴ですね(w どんちゃん、どんちゃん♪
194 名前:ベリィ 投稿日:2002年08月05日(月)11時27分44秒
ここのお話を読んでいると心が和みます…。
そしてちょっとだけ元気になれますた。
ありがとうございます!(TwT)
(↑そこまで酷く落ち込んでいたわけではないんですけどね。)

何はともあれ逗子旅行変も楽しみにしていますw
よすぃこはどんな水着を買ったんだろう…。ヤ…ヤッス〜も。(笑)
世知辛い世の中(?)ですが頑張って下さい。
195 名前:ベリィ 投稿日:2002年08月05日(月)11時35分56秒
あわわわ…。『逗子旅行変』の『変』が…!
ごめんなさい!!『編』でした!!!
やっぱり動揺しているのかも…。ホントにスイマセンでした!(TwT)

196 名前:PUNK 投稿日:2002年08月05日(月)14時45分48秒
水着ぃー
水着ぃー水着ぃー

どんなん買ったんだ?
この妄想だけで、今日一日過ごせそう♪
197 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月05日(月)16時07分55秒
心が和みます… これからも頑張って続けてほしいです。
198 名前:オガマー 投稿日:2002年08月05日(月)16時57分12秒
水着ー 水着ー
ライーブ終了!まだハイ(爆
PUNKさんに禿同w
矢口って単語にびしびし反応…
199 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月06日(火)00時09分12秒
梨華っちのミ・ズ・ギ♪ (*/∇\*) キャ
う〜〜ん!めちゃ可愛いこと間違いないよね!!
しかし吉澤さんの水着って・・・まさか男もんじゃ(w
んな訳ないって? 

タンポポに居た猫目の女性に思わず爆笑!
>ふと、猫目の女性と目が合った。
>ニヤッとその人は笑う。 (`.∀´)ニヤリ
ハマリ過ぎだって! 
思わず飲んでたウーロン酎ふいちゃった(w
ごまさんにはやられますた・・・ いつも楽しい更新ありがと♪
200 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月06日(火)18時49分26秒
( ` ∀´)<ホホ、キリ番GETね!
201 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月06日(火)18時57分08秒
( ` ∀´)<ホホ、キリ番GETね!

 それにしても、この物語も現実の梨華ちゃんも、もうちょっと自信もってもいいのでは。(w 
まあ、そういう謙虚さというか、健気さが彼女の良さだったりするわけですが。
202 名前:あおのり 投稿日:2002年08月06日(火)19時34分42秒
あう・・ヨスコのセクスィ〜水着・・・・・

・・・・・想像できない・・・・・・
スクール水着とかイアンソープが着ているアスリート向けの全身水着みたいな物しか思い浮かばない・・・

果たしてここのよすこはどんな水着を着てくるんでしょうか?
禿げしく期待しております。
203 名前:VACATION 投稿日:2002年08月06日(火)23時23分22秒
「ホホ!アナタたち、辻のお友達?」
その女性は言った。
「あ、はい。高校が一緒なんです」
小川がハキハキ答える横で、『友達?いやいや、高校はいっしょだけど』と新垣は首を傾げる。
その遣り取りでやっと小川たちの存在に気づいたらしく、加護はチラッとそちらの方を見た。
小川と目が合う。
加護はふいっと視線を戻す。
『オーイ!無視かよ!てか、別に仲良くもなんともないけどさ!』
小川は心の中で息巻く。
「アタシはこの子たちが下宿してるとこに前いた保田よ。そこの郵便局で働いてるの」
「そーなんスか。いや、あたし高校でチアリーディングやってるんスけど、辻さんを今スカウトしてるん
です」
「まだあきらめてへんかったんかい!」
無関心を装っていた加護がすごい形相で振り向く。
「てか、アンタかんけーないじゃん」
小川は言い返した。
「うっさいわ!オマエ、なんか知らんけどフツーにムカつくし!」
「それはこっちの台詞だよ!」
辻はオロオロとふたりを見る。
「ほ、他のお客さんの迷惑になるんでここではやめてくらさい〜」
辻の泣きそうなカオを見て、ふたりはとりあえず一旦休戦する。
「あららら、どうしたコトかね」
矢口と保田は顔を見合わせた。
「あ〜。ムカつくったら!」
小川は猪木ヅラでアイスティーを飲む。
『あんなカワイイ顔してあんなに気が強い。そのギャップもイイ!』
新垣は更にファン意識を強めていた。
カウンターでやさぐれている加護に熱い視線を送る。
「まあまあ、若いうちは色々あるわよ」
年寄りくさい台詞を吐き、
「キャハハ!圭ちゃん、オバチャ〜ン!」
矢口に笑われる保田だった。
204 名前:VACATION 投稿日:2002年08月06日(火)23時24分51秒
―――石川視点

その夜。
柴ちゃんがうちに泊まりに来た。
何よりも、裕ちゃんにいじられるのを楽しみにしてるらしい。
『軽くセクハラかまされんで』と以前あいぼんに忠告されて、ますますやる気になってる。

「さ!お姉さん、どうぞ!」
柴ちゃんはビール瓶を手に取り、裕ちゃんのグラスに注ぐ。
「おー。何や、お客さんやのにスマンなー」
「イエイエ!とんでもない!ささ!」
カワイイ子にビールを注いでもらえ、裕ちゃんはご満悦だった。
「プハー!ウマイわ〜、やっぱり若いねーちゃんに注いでもらうとエエな!な、みちよ!」
「そうやな」
平家さんは苦笑いする。
「あはは!そんな照れますよ〜」
柴ちゃんは手で払う仕草をし、
「いいコンビだね」
と裕ちゃんと平家さんのコトについて感想を述べた。
「うん。平家さんの犠牲の上に成り立ってるし」
小声でふたりに知られないように柴ちゃんに囁く。
「みちよ!明々後日からツアーちゃうんかい!こんなトコで油売っててエエんかい!」
裕ちゃんは早くも酔ってきたようだ。
「うん、それなんやけどな」
「何や」
「姐さん、沖縄こーへん?」
「…ハ?」
「いや、もうホテル予約してんけどな。ウチ最終日沖縄やし。そのまま旅行せーへん?」
「でも、メシの支度が…」
「それなら大丈夫!」
裕ちゃんが全部言い終わらないうちに、あたしは大声で言った。
「梨華」
「それなら任せて!平家さん、裕ちゃんをよろしく!」
「妹さんからもお許しが出たで」
平家さんはニヤニヤ笑う。
裕ちゃんは憮然とビールを飲んでいたが、
「…海の見える部屋がエエ」
とボソッと言った。
205 名前:VACATION 投稿日:2002年08月06日(火)23時26分31秒
「お似合いだねぇ〜」
お風呂上りに居間でビデオを見つつ、柴ちゃんは夢見る乙女のように両手の指を交差させて言った。
「ウン。平家さんがガマン強いからもってるってゆーか」
「自由にさせてるようで実はお釈迦様のてのひらの孫悟空。理想じゃん」
「アハハ。面白いコト言うね」
あたしはお釈迦様の平家さんのてのひらで、バタバタ暴れてる孫悟空・裕ちゃんを想像してしまって、
しばらく笑っていた。
「お!柴ちゃんじゃん!」
ひとみちゃんが帰ってきた。
「よっすぃ〜!おっかえり〜」
柴ちゃんがひらひらと手を振る。
「ひとみちゃん、遅かったね。ゴハンは?」
「ん。今日は食べてくるって言って出てたし」
「あ、そっか」
「よすこも飲むのじゃ〜!」
柴ちゃんは缶ビールを差し出す。
「へいへい。オイラも仲間に入れてね」
ひとみちゃんはあたしの隣に座った。
一瞬体が触れ、それだけのコトなのに妙にどきどきする。
「今日ね、ウチら水着買ったんだよ!」
柴ちゃんが得意げに言った。
「へ〜。ウチも今日、ごっちんと渋谷で買ったよ」
「ウソ、マジで?どんなの?」
あたしも思わず、身を乗り出してしまった。
ひとみちゃん情報はどんな小さなことでも漏らしたくない。
「それは…よすこ恥ずかしくて言えない!」
ひとみちゃんは両手で顔を覆い、イヤイヤと首を振る。
「キャハハ!よすこ当日を楽しみにしてるぞ〜!」
柴ちゃんは完全に酔っ払っていた。
あたしはふたりの様子を微笑ましく見守った。

その日の夜遅く、ごっちんから『よすこの水着をお楽しみに!』というメールが届いた。
206 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月06日(火)23時46分01秒
更新しました。

レスのお礼です。

>ベリィさん
( `.∀´)<フフ!当日のお・た・の・し・みはあとはあと
逗子旅行変、笑いました。たいして差はないメンツなんで(w どうぞお気になさらず。

>PUNKさん
(;0^〜^)<ゴチーンが買わないとゆで卵半年禁止ってゆーからさぁ
ごまさんの見立てなんで、間違いはないと思われ。いしかーさんもこの夏は大胆に。

>いしよしサイコ〜さん
(0^〜^)ノ<んなこたぁない!(タ○リ風に)
猫目で誰なのか分かってしまう罠。小川・新垣はさぞ恐ろしかったでしょう。

>HR−MSさん
( ` ∀´)つ日<ホホ、アタシからお祝いよ!カンパイ!
キリ番ゲットおめでとうございます。柴っちゃんはいしかーさんに冒険させようとしてます。

>あおのりさん
(;0^〜^)<エー?オイラ一応、年頃の女の子なんだYO!
ごまさんはやる気まんまんで買わせました。しかし、水着食いつきいいな(w




207 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月06日(火)23時55分14秒
レスのお礼の続き。

>名無しさん
( ^▽^)<ありがとうございます♪
なごむ。嬉しいひとことです。ありがとうございます。がんがります。

>オガマーさん
(0^〜^)<みんな水着に反応してるYO!
矢口は大丈夫だったんでしょうか?それが心配っす。夏のライーブは暑い(^^;;

レスの順番が前後入れ替わってることをお詫びいたしますm(__)m

>>181
QUBIC−CROSS→CUBIC−CROSSです
208 名前:VACATION 投稿日:2002年08月07日(水)13時43分36秒
―――石川視点

数日後。
今度は柴ちゃんのお家に遊びに行った。
柴ちゃんのお母さんから『今度晩ゴハン食べにいらっしゃい』と前から言って頂いてたので、
お言葉に甘えた。
「あら〜。またかわいくなっちゃって〜」
柴ちゃんのお母さんはあたしの顔を見るなり言った。
「でしょでしょ!ね、ホラ!いい加減自分でも認めなさいよ」
柴ちゃんがぐぐいと迫る。
「え〜。だってあたし…」
「往生際が悪いなー。あ、お母さん。おねーちゃん帰ってるんだよね」
「客間で寝てるわ。そろそろ御飯だし起こしてちょうだい」
「はいはい」
柴ちゃんはあたしを連れて客間に行った。
お姉さんってどんな人なんだろ。やっぱり美人なのかな。
襖を開けると、カーテンも締め切って中は真っ暗だった。
部屋の隅に何か丸まったお布団がある。
何と言うのか、ロールパンみたいな形だった。
「おねーちゃーん!ゴハンだよぉ〜!」
柴ちゃんがお布団のそばに行って声をかけた。
応答はナシ。
「梨華ちゃん、そっち持って」
言われるままに、ロールパン状のお布団の端を掴む。
柴ちゃんは反対側を持つ。
「行くよ!いっせーのーで!」
ごろごろごろごろ。
お布団を広げると、中から女の人が転がり出た。
「…あ゛。あゆみ、帰ってたの」
その人は半分閉じた目であたしの方を見た。
「あんたのお友達?」
「は、初めまして。石川梨華です。突然スミマセン!」
「あ、これはこれは。あゆみの姉のめぐみです。妹がいつもどうも」
「お姉ちゃん、ゴハン!」
「ん。分かった」
お姉さんはお布団を畳んで立ち上がった。
209 名前:VACATION 投稿日:2002年08月07日(水)13時47分52秒
「あんな乱暴な起こし方してよかったの?」
部屋を出てから、小声で柴ちゃんに言った。
「いーのいーの。いつものコトだし」
柴ちゃんは平気な顔だ。
食卓につくと、お姉さんが顔を洗ったのか、さっきよりはすっきりした表情で座っていた。
「あ〜。よく寝たわ」
大あくび。
まだ眠いんだろうな。
「お姉ちゃん、いつ帰ってたの」
「ん。夜中。終電出てたからタクシーで帰ってきた」
「そーなんだ。気付かなかったよ。それからずっと寝てたの?丸1日じゃん」
「ん〜。おとーさんが寝る前に何かハラに入れろ、って言ったのは覚えてる」
「何食べたのよ」
「カニパンと牛乳」
「しょぼっ」
姉妹の会話を聞きながら、あたしはお姉さんの顔をちらちらと見ていた。
カワイイなぁ〜。
美人姉妹だ。

「キレイだね」
突然、お姉さんが言った。
「え?何がですか」
「カオ」
「カオ…ですか」
「やっぱりねーさんも目をつけましたか!いや、やっぱり姉妹だね〜」
「あゆみ、スケッチブックと鉛筆!」
「ホイきた!」
柴ちゃんは棚から言われたものを出してきて、お姉さんに渡した。
210 名前:VACATION 投稿日:2002年08月07日(水)13時49分02秒
「ちょっとじっとしててね」
お姉さんは物凄い勢いでスケッチブックをめくり、鉛筆で何か書き出す。
「あの…?」
状況が把握できずにぽかんとすると、
「ああ。うちのねーちゃん、漫画家なのよ」
「そうなんですか!」
「サブカルチャー系の雑誌とかに描いてるし、メジャーではないけどね」
「大きなお世話じゃい」
お姉さんはスケッチブックに視線を落としたまま文句を言った。
「ほい。完成」
「え、もう!?」
見せられた絵は…鏡みたいに似ていた。
ドッペルゲンガーかと思ったくらい。
「すごい…こんな短時間で」
呆然と眺めると、
「美人は創作意欲が湧く」
お姉さんは満足そうに頷く。
「ほらほら!ゴハンにするわよ!片付けなさい」
「「は〜い」」
姉妹は声を揃えて返事する。
きっと柴ちゃんたちは小さい頃からこんな感じだったんだろうなと思うと、おかしくなった。
くすくす笑っていると、
「待って!もう一枚!」
お姉さんはまた鉛筆を手に取って、柴ちゃんとお母さんに呆れられていた。
211 名前:VACATION 投稿日:2002年08月07日(水)13時51分35秒
同じ頃。

『何でカオはここにいるんだろう…』
飯田はスプーンを手に取って、ぼんやりとそんな事を考える。

彼女は保田やアヤカとフレンチレストランに食事に来ていた。
『高いメシが安く食べられるわよ』
きっかけは保田からのメールだった。
『アヤカも一緒だけど』
同行者に戸惑いはあったが、何故か
『いいよ。いつ?』
という返事を送ってしまった。

『どーしてまた…魔が差したとしか思えない』
飯田は自分のその時の心理状態を振り返る。
保田とアヤカは楽しそうに談笑する。
あまり黙ってるのも場を壊すので、適度に会話には参加していた。

ディナーなので、3人はそれなりにドレスアップしていた。
保田はチャイナカラーの黒いサテンのワンピース。
アヤカはエンジのノースリーブのドレスだった。
運ばれてきたスープを匙で掬っては口に流し込む。
個室なので、視線を移す場所が限られ、余計間が持たない。

「さっきのオードブルのシマアジもおいしかったね〜」
保田が言う。
「でしょ。ここのシェフは腕がいいのよ」
アヤカはグラス片手にウィンクする。
確かに味はいい。
このビシソワーズも文句のつけようがない。
でも、ふたりの会話に気を取られ、いまいち飯田は味わえずにいた。
212 名前:VACATION 投稿日:2002年08月07日(水)13時52分39秒
魚料理が運ばれてきた。
スズキのポアレだった。
サフランの辛子色のソースがかかっている。
「ソースがいいね」
飯田は素直に感想を漏らした。
魚の上にはトマトとズッキーニが行儀よく並んでいた。
「気に入りました?」
「あ、うん」
アヤカは嬉しそうに笑う。
『キレイな子だなぁ』
飯田は改めて思う。

「ちょっと失礼するわね」
口直しのソルベを食べた後、保田が席を立った。
『ふたりじゃ…間がもたん』
飯田はぎこちなく笑ってみる。
「ステキなドレスですね」
アヤカは他意なく素直に褒めた。
「え、あ。コレ?大したモンじゃないよ」
飯田は自分のワイン色のドレスを首を下げて見た。
そういや、大学の謝恩会もこれを着て行った気がする。
「いいなぁ〜」
「へ。何が?」
「カオリさん、すごくキレイだから」
『帰国子女っつーのは皆こんなフランクなのか?』
あまりのストレートさに少々戸惑いながら、
「ありがとう。アヤカちゃんもキレイだよ」
礼を述べた。
「…個人的に聞きたいことがあるんですがいいですか」
「…どうぞ」
飯田は覚悟して、ワインをぐっと飲んだ。
213 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月07日(水)14時04分40秒
( ‐ Δ‐):柴田めぐみ(23)。神奈川県出身。あゆみの姉。漫画家。
      ペンネームは「村田めぐみ」。「子イ○カワ」なんかが好き。 

・アルバイトしばた(まんまや)

川σ_σ||<おねぇちゃん♪おこづかいちょうだいはあとはあと

( ‐ Δ‐)φ<ぶつよ

川;σ_σ||<ぶたれても

( ‐ Δ‐)つ□<働かざる者食うべからず。ホレ、消しゴムかけれ

川σ_σ||<ラジャッ!


次はこれベタ塗って>( ‐ Δ‐)つ□ 川σ_σ||<ほいほい

本日の日給…二千円也。
214 名前:オガマー 投稿日:2002年08月07日(水)15時00分57秒
ぉぉ!!
柴田のねえちゃん♪
キャラいいすなぁ〜w
215 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月07日(水)17時48分03秒
 誤って二度押しいたしました。(m_ _m)

 ・メロンにリーチ!現実のキャラ(ボーイッシュ、メルヘン、ナチュラル)を上手く使ってらっしゃいます。あとは、セクシー担当の方のみですね。
 ・この物語のカオリのキャラというのは、あれですね、男女7人夏物語に登場した、賀来千香子さんの役を思い出します。
 前にも述べましたが、本人はそんなに意識してないつもりでも、なぜか気持ちが動揺してしまう というものでしょうか。
 
216 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月08日(木)04時36分18秒
今日一気に全部読みました!
5時間くらいかかったかな〜(^▽^;)
でもめちゃめちゃおもしろかったです♪
いろんなCPの恋愛がありますが個人的にはいしよしの今後が気になります。
ごまべーぐるさんがんがってください!
217 名前:VACATION 投稿日:2002年08月08日(木)21時33分17秒
「カオリさんの好きな色ってなんですか」
思いがけない質問に、飯田は肩透かしを食らう。
『ハ?思いっきし答える気マンマンだったカオって一体…』
「赤、とか好きかなぁ」
脱力しながらも一応答える。
「赤ですか」
アヤカはひとり納得し、何やらごそごそと膝の辺りを動かしていた。
肉料理が運ばれてくる。
牛のホホ肉の、赤ワインソース煮込みだった。
「圭ちゃん、遅いね。冷めちゃうとまずいのに」
「先に頂きましょう。そのうち戻ると思いますよ」
アヤカに促され、飯田は料理に手をつけた。
肉好きの保田にはたまらないであろう柔らかさだった。
ナイフが抵抗なくスッと入る。
噛み締めるとトロトロに溶けそうだ。
「パンを…多目に残しといてよかった」
「そうですね」
アヤカも同意する。
おいしいソースは後でパンで拭って食べる楽しみがある。
ふたりはもはや保田の事は忘れたかのように、黙々と食べた。
「フフッ。あんまり美味しくて、カオ、一瞬圭ちゃんのコト忘れちゃった」
「あたしも」
ふたりは顔を見合わせて笑う。
その時だった。
「じゃーん!」
ケーキを手にした保田が現れた。
「カオリ!誕生日おめでとう!てか、1日遅いって?ホホ!」
飯田は事態が把握できず呆然とする。
「HAPPY BIRTHDAY! 今日はカオリさんのお祝いです」
アヤカは飯田の頬にキスをした。
「赤が好きだっつーからロウソクも、飾りも赤いイチゴよ!ついでにラズベリーも!
さあ!願い事は何?」
ちらっとアヤカの方を見ると、彼女はウインクして携帯を掲げた。
さっきごそごそしてたのはメールのようだった。
218 名前:VACATION 投稿日:2002年08月08日(木)21時36分42秒
「圭ちゃんが作ってくれたの?」
「ホホ!アタシは仕上げの飾りだけよ!ホラ!特別にこんなのも作ってもらったわ!」
保田が指すチョコプレートには『 川゜皿 ゜)||<ネェ、ワラッテ』とあった。
「なにこれ〜!カオ〜!?」
飯田は顔を真っ赤にして笑う。
その横でアヤカは膝のナプキンで口を押さえ、肩を震わせる。
それだけ似ていた。
「ホレホレ!願い事よ!」
「え〜っとね…」
飯田はロウソクの炎越しに、優しく笑う保田を見る。
『ケイチャンガ…シアワセニ』
目を閉じて一気に吹き消した。


それからはワゴンサービスのデザートとコーヒーで終わりとなった。
保田は大急ぎでさっきのホホ肉を食べ、ワインで流し込んでいた。


「今日はどうもありがとう」
店を出る時、飯田はアヤカに礼を言った。
「お礼なら圭ちゃんに。あたしはあくまでお店を紹介しただけですから」
にこやかに言う様は育ちのよさがうかがえた。
『この子だったら…負けても悔いはないかな』
アヤカの後姿を見て、飯田は思う。
「それじゃ、あたしらはこの後、バンドの打ち合わせだから。気をつけて帰んのよ」
保田とアヤカは手を振って、タクシーに乗り込んで行った。

飯田はそれを見送ってから、大きく溜息をつき、駅に向かって歩き出した。
219 名前:VACATION 投稿日:2002年08月08日(木)21時38分36秒
最寄り駅に着き、何となく遠回りして帰る。
中澤家の前を通り過ぎようとすると、車がやってきて梨華が降りた。
送ってもらったのか、礼を言っている。
車が行くと、梨華は飯田に気づき、
「飯田さん」
声をかけた。
「おう、石川。出かけてたんか」
「エエ。飯田さん…すっごくキレイです」
飯田は髪をアップにし、いつもより色っぽく見えた。
梨華は思わず見惚れる。
「これか。ハハッ、昨日誕生日だったから圭ちゃんたちがフランス料理おごってくれてさ〜。
でもなんかあれだな、マナーとか気にして食った気がいまいちしなくってよ〜」
飯田はわざと明るく振る舞う。
「それならウチでお茶漬けでもどうですか?裕ちゃんも今、飲んでると思うし」
「いいんか?そんじゃ、お言葉に甘えて」

家に入っていくと、裕子が台所でビールを飲んでいた。
「おー、カオリやんけ。なんや、えらいキレーなカッコして」
「でしょ!あたしもびっくりしちゃった」
梨華は冷蔵庫から漬物と刺身を出し、飯田の分の御飯をジャーからよそった。
「あとはお茶と…お茶漬けの素いります?」
「いや、これだけでいいよ」
「梨華、ウチのメシもくれ」
「ハイハイ」
裕子の分もよそってやる。
「ミツバも切るね」
飯田はその様子を黙って見る。
「石川ってさ」
「ハイ?」
梨華は包丁の手を休め、振り向いた。
「何歳の時、この家に来たんだっけ」
「10歳です。ちょうど10年前ですね」
「そっか。裕ちゃん、コワくなかった?」
「ちょっと」
梨華が笑うと、裕子は顔をしかめた。
220 名前:VACATION 投稿日:2002年08月08日(木)21時45分02秒
「ナニゆーてんねん!ウチほど優しい姉は世界中探してもおらへんワ!」
「ハイハイ、おねーさま!そのとーりでございます!」
裕子があしらわれてるのを見て、飯田はおかしくて少し笑った。
「カオもさ〜。最初東京出てきた時、裕ちゃんの関西弁がおっかなくてさ〜」
「おう、ビビッてたよな。なんや、財布スラれて『北海道帰るぅ〜』って泣いとったし」
「そうなんですか」
梨華はその話は初耳だった。
「あ、うん。カオ、出てきたばっかの頃、どっかでスラれてさぁ〜。カードとかは別にしてたから
無事だったけど、妹にもらった受験のお守りが入ってたのがイタくって」
泣いてばかりいる自分を叱りつつ、励ましてくれたのは保田だった。
一緒に探してくれたし、警察にも行ってくれた。
飯田はそれを思い出しながら、お茶を飲んだ。
「それで、見つかったんですか」
「いや、見つからずじまい。東京はコワイなって思った」
「アンタ、殺人事件も怖がってたよな。窓開けて寝て大風邪ひいたし」
飯田は顔を赤らめる。
東京がそんなに怖くなくなったのはいつからなのか。
『東京もすてたモンじゃないわよ』と保田が酒をおごってくれて、ポツンと言った。
「あ、うん。そんなにコワくなくなった。今は圭ちゃんの方がコワイ」
裕子と梨華は顔を見合わせ、次の瞬間爆笑した。
飯田もつられて笑った。

結局飯田はおかわりまでして、3杯も食べた。
レストランでみやげにもらったケーキを梨華にあげ、その後少し元気になって家路についた。

221 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月08日(木)21時56分35秒
( ´D`)ノ<いいらさんについてゆくれす〜

更新しました。あなたがいるから娘。がいるのですということで。

レスのお礼です。

>オガマーさん
川σ_σ|| <姉は漫画描く以外は寝るか食べるかなんです

実際はこんなヘンな人ではないと思いますけどね(ニガワラ メルヘンとは言い得て妙です。

>HR−MSさん
( ゜皿 ゜)<カオ、カクサンニニテル?

言われてナルホド、と感心。セクシーな方はまだ先の予定?二度押しはどうぞお気になさらず。

>名無し読者さん
(0^〜^)<一気読み、カッケー!おもろいと言ってもらえてうれすぃ〜!

初レスありがとうございます。お疲れ様です。目は大事になさってくださいね。
222 名前:オガマー 投稿日:2002年08月08日(木)23時23分37秒
前のレスの話だけど、anns矢口元気でしたYO!よかった。
( ´D`)<ドレスアップしたいいらさん見たいのれす
なんか大人〜な雰囲気がよかったw
223 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月09日(金)01時56分30秒
川゜皿 ゜)||<ネェ、ワラッテ
( `.3´)・:∴ぶっ
はい。笑いました(w
あぶねぇあぶねぇ。ここの作品には思いも寄らない所に地雷があるんだから(w
224 名前:VACATION 投稿日:2002年08月09日(金)19時25分55秒
―――石川視点

「梨華、オマエももう寝えや。明日は早いんやろ」
裕ちゃんは飯田さんが帰った後、食器を片付けて言った。
明日からあたしは皆と海に行く。
「ん。裕ちゃん、あたしがいない間お願いします」
「へいへい。辻加護のお守りでもしとくわ」
裕ちゃんは平家さんがツアーに出てるから、最近つまんなさそうだった。
『みちよのくせに生意気じゃ!』とか普段は暴言吐きまくってるけど、いざいないと寂しそう。
この前柴ちゃんが言った、『お釈迦様の手のひらの上の孫悟空』はあながちウソでもない。
でも、沖縄で落ち合って旅行するし、きっとラブラブなんだろう。
『姐さん、ホンマワガママなんやから〜』と平家さんにたしなめられてる裕ちゃんは、ホントに
コドモみたいに拗ねてかわいい。


「ただいまー」
ひとみちゃんが帰ってきた。
「おう、帰ってきおったか」
「スンマセン、遅くなって」
ひとみちゃんは何だか大荷物だった。
今日も打ち合わせみたいだったけど、バンドってタイヘンそう。
「フロ入り。ウチはもう休むからアンタら戸締り頼むわ」
「は〜い。おやすみなさい」
裕ちゃんは自分の部屋に戻って行った。
「すごい荷物だね。何入ってんの?」
「ああ、これ?次のライブの衣装とか」
「へぇ。そうなんだ」
「んじゃ、ウチお風呂入ってくるわ」
「ん。じゃ、あたしもう戸締りするね」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
玄関と勝手口、台所の窓を見てから上に上がった。
225 名前:VACATION 投稿日:2002年08月09日(金)19時30分29秒
『今日はおつかれー。うちのねーちゃん、強烈でビックリしたんじゃない?
また会おうねーって言ってる。お母さんも遊びにおいでって。
んじゃ、また明日』

部屋に戻ると、携帯に柴ちゃんからのメールが届いてた。
お姉さんの、真剣な顔でスケッチブックで向かう様を思い出してクスクス笑う。
旅行カバンに携帯を忘れずに入れる。
カバンの中をもう一度チェックしてパジャマに着替えていると、廊下であいぼんの声がした。
「こんな遅うまで、不良やな」
「うるせーよ。コドモは寝た、寝た」
どうやらひとみちゃんをからかってるようだ。
「コドモちゃうわい、もう立派なオトナや」
唇を突き出して言い返してるのが容易に想像できて可笑しい。
少し笑い声がした後、ひとみちゃんが部屋に入ったのか、戸を閉める音がした。


「夏は冒険の季節よねっ」
この前うちに来た時、柴ちゃんは言った。
「ハァ?冒険」
ひとみちゃんは缶ビールから顔を上げて言った。
あたしも柴ちゃんの顔を見る。
「そう、冒険。
輝く太陽、白い砂浜、青い海…開放的な恋人たち。何も起きなかったらウソだと思わない?」
ひとみちゃんはそうかなぁと首を傾げる。
多分、ひとみちゃんはあまりそういうことを考えないのだろう。
何となく想像はつく。
「よっすぃ〜はぁ!恋をしたいと思わないの!?」
「ここここ恋っすか!?」
柴ちゃんの迫力に気圧され、ひとみちゃんは引き気味になる。

226 名前:VACATION 投稿日:2002年08月09日(金)19時31分57秒
「そう!恋!庭の池で泳いでるのじゃないわよ」
「…ビミョーにつまんないよね」
柴ちゃんに聞こえないように、こそっとふたりで頷きあう。
「夏は恋の季節!昔からアイドルも歌ってるでしょう!」
どれくらい昔のアイドルだろう、とちらっと思ったが、敢えて口にしなかった。
「でもさぁ〜」
「なんじゃ、よすこ」
「そんな夏だからって浮かれてくっついたら、冷めるのも早そうじゃない?」
ひとみちゃん、マジメだなぁ。
あたしは感心して、ひとみちゃんを見た。
「慎重派だなぁ。では、ここで問題です」
柴ちゃんはコホンと咳払いする。
「よすこちゃんにいま好きな人がいるとします。告白するチャンスがこの夏訪れました。
どうします?」
「どうするって…」
「あくまでたとえ話だから。そんな真剣に考えなくったって」
「はぁ」
「告白しないとほかの人に取られちゃうかもよ?」
ひとみちゃんは何故か一瞬固まった。
しばらくたって、
「ハハハ…それってカッコ悪いね」
ひとみちゃんはひきつったように笑う。
「カッコうんぬんじゃないよ。言わなきゃ分かんないこともあるんだから」
柴ちゃんは腕組みをし、納得したようにうんうん頷いた。
「梨華ちゃんもね」
突然振られてびっくりする。
「え、あ…」
「待ってるだけじゃ幸せは来ないわよん」
そう言って柴ちゃんはビールの残りを飲み干した。
あたしとひとみちゃんは顔を見合わせ、そうするより他ないように苦笑いした。

お布団に入って、その事を思い出しながら天井を見つめる。
冒険、とまでいかなくても、何か変わればいいなぁ。

目を閉じて、眠りについた。
227 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月09日(金)19時43分43秒
更新しました。1日早いが、なっちおめでとう(・´ー`・)。
来週は逗子編です(多分)。

レスのお礼です。

>オガマーさん

( ^▽^)<写真撮っておけばよかったですぅ〜

川*‘〜‘)|| ノ<照れるよ、そんな

いいらさん、あのスタイルですからね。ヤグは元気そうでしたか、ヨカター。

>なっなし〜さん

( `.∀´)<ホホ!アタシの注文通りに作ってくれて腕のいいシェフだわっ!

( ゜皿 ゜)<カオ フダンアンナフウナノ?

下書きの段階では川‘〜‘)|| だったのですが、魔が差してああなりますた。




228 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月09日(金)21時20分21秒
いつも交信乙です。
最近は夜にこの小説読むのが楽しみです(^▽^)
いしよしはこの夏なにかあるのっかな〜♪
229 名前:あおのり 投稿日:2002年08月10日(土)01時01分04秒
飯田さんの誕生日編せつねぇ〜
ほかのメンバーとはちょっと違うかおやすあやかの微妙で大人な関係が良かったです。
精神年齢は裕ちゃんよりこの三人のほうが高そうだな・・・・とおもったりして。

まあ、一番大人なのはみっちゃんですけどね(w
すでに裕ちゃんの保護者の貫禄!
みっちゃんいい子です。

後はいしよしの恋のバカンスに向けてレッツラゴー!(古
230 名前:吉たまご 投稿日:2002年08月12日(月)18時23分52秒
初めまして!今までROMってました〜
でも、森板の頃のが倉庫入りしてて読めてましぇん(T_T)
ところで、この前どなたかの「サイトにまとめてある」とか言ってましたよね?アドレスブックマークしたのに消えました(;´д`)是非、よろしければもう一度載せてください(切望)
長々とスペース使用m(_ _)m
231 名前:VACATION 投稿日:2002年08月12日(月)20時03分57秒
―――吉澤視点

『ピピピピピ…』

「う〜ん…」
目覚ましを止めてむくっと起き上がった。

…ああ。
昨夜遅かった割には起きれたなぁ。
今日から逗子だ。
2泊3日で。
帽子も買った。
鞄も買い換えた。
ごっちんに水着も買わされた。

「ふぁぁぁあ!」
アクビをしながら部屋から出ると、梨華ちゃんが洗面台に向かっていた。
2階にも洗面台とお手洗いはあったりする。
「おはよう、ひとみちゃん」
「おはよっす。早いね」
「うん」
しばらくふたりで並んで顔を洗ったり、寝癖を直したりしてた。
あいぼんが目を覚まさないように、音は控えめにして。
「梨華ちゃん、もう支度できた?」
「うん、いつでも出れるよ」
30分後にはふたりで家を出た。
232 名前:VACATION 投稿日:2002年08月12日(月)20時07分34秒
集合は中澤ハイツ前だった。
ここから途中、柴っちゃんや大谷さんと合流して逗子に向かう。

「おはよう!ホホ、早いわね!」
保田さんがすでにワゴンを出して待っていた。
旅行のメンバーは8人。
全員この車に乗る。
「んあ〜」
ごっちんが目をこすりながらハイツから出てきた。
「ごっちん、おはよ!」
梨華ちゃんが寄って行くと、ごっちんは
「おあよう〜。ごとー、眠いよぉ〜」
今にも寝そうにふらふらした。
「中で寝てな」
保田さんが苦笑いしながら言うと、
「んあ、そーする。それではみなさん、おやすみなさい」
早々に車に乗り込んで行った。
行動、早っ。
「ごっちんってカワイイよね」
梨華ちゃんはくすくす笑う。
「ん、天然だしね。それより、昨夜柴っちゃん泊まらなかったんだね」
「あ、うん。昨夜はお姉さんが来てるからって。あたしも昨日はわざわざ送ってもらって」
「へえ、お姉さんいるんだ」
「うん、それが面白いおねーさんでね〜」
「ハハ、柴っちゃんもそぉとぉだしね」
233 名前:VACATION 投稿日:2002年08月12日(月)20時11分58秒
「「おはよう〜」」
市井さんとアヤカさんが出てきた。
ふたりは昨日、保田さん家に泊まった。
ごっちんも何故か保田さん家で寝たらしい。
「後藤は?」
市井さんが目をこすりながら言う。
「車で寝てるわ。今頃爆睡じゃないの」
保田さんの言葉に、車に目を向けると、既に夢の中のようだった。
「たく、しょうがねえなぁ。…これでここのメンバーは全員そろった?」
「えー、石川いる、後藤爆睡、吉澤、紗耶香、アヤカ…あれ?なんか足んないわ」
「「「…自分でしょ」」」
みんなにツッコまれて、保田さんは照れて頭をかいた。


途中柴っちゃん、大谷さんと合流し一路逗子へ。
保田さんが運転でナビは柴っちゃん。
「マサオ、少しは寝た?」
大谷さんは見るからに眠そうだった。
柴っちゃんが気遣って飲み物を渡す。
「いや、完徹。何とか溜まってる仕事片付けときたかったからさ」
タイヘンだなぁ、社会人って。
やがて大谷さんは静かに寝息を立てて眠りに入った。
「寝かしといてあげな。社会人は疲れるんだから」
運転席の保田さんが言う。
「社会人でなくても寝てるのはいるけどね」
保田さんが付け足して笑う。
ごっちんは微動だにしない。
たまに寝言らしきことを呟いている。
隣の梨華ちゃんの方に向くと、窓の外の景色を見てるようだった。
うちも昨日のビールがまだ残ってるのか、うとうとしてきた。
「ひとみちゃん、眠い?」
「ん、あ…ちょっと」
―――それから意識が飛んだ。
234 名前:VACATION 投稿日:2002年08月12日(月)20時19分32秒
―――次目が覚めたら、もう海が見えていた。

いつ神奈川に入ったんだろう。それすらも分からん。
「目、覚めた?」
梨華ちゃんがウーロン茶のペットボトルを差し出す。
「あ、サンキュ」
「ひとみちゃん、よく寝てたね」
「ん〜。ごっちんは?」
聞くまでもなく、まだ爆睡中だった。
「これはもう砂浜に寝かして、オナカに砂かぶせないとね」
保田さんがミラー越しにニヤッと笑ったのが分かった。
きっとごっちんは、あのマヌケな人型をオナカの上に作成されてしまうんだ。
それでまた絶対寝るんだろうな。
通行人にくすくす笑われて。

特に渋滞に引っかかることもなく、無事到着した。
柴っちゃんの親戚の人の旅館に、車を止めさせてもらう。
「ごっちん、着いたよ!起きなよ!」
ウチはごっちんの肩を揺すった。
「んあ…ここドコ?」
目をこすって外を見てる。
「あれ…?ごとー、中澤ハイツにいたハズなのに?」
ごっちん、愉快なのにもホドがあるよ。
みんなオナカを抱えて笑った。

荷物をまとめていよいよ海だ。
235 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月12日(月)20時39分36秒
更新しました。
(;0^〜^) (´ Д ` )<ZZZZZ…

レスのお礼です。

>名無し読者さん
( ´ Д`)<んあ〜。ありがとう、がんがるよ〜

(* ^▽^)<この夏は何か起こるヨ・カ・ンはあとはあと キャッ!(チャーミー風に)

ふたりともヘタレでアカンタレですからねぇ(ニガワラ 何かきっかけさえあれば…。

>あおのりさん
( `◇´)<いや、おおきにな!

( ゜皿 ゜)<カオ、ウレシイケドチョットサミシカッタンダ

いや、観察眼に脱帽です。そうですね、ミチャーソは人間ができてるんで、本気で怒らせない限りは…。

>吉たまごさん
( ´D`)<ttp://mseek.obi.ne.jp/kako/wood/1018614026.html もりのぶんれす

( ゜皿 ゜)<ttp://migimigi.hoops.ne.jp/goma_index.html オイテモラッテルサイト

初レスありがとうございます。サイトの「本棚」ってとこにまとめてもらってます。よろしくお願いします。

236 名前:名無し読者。 投稿日:2002年08月12日(月)23時22分38秒
更新乙でした!
初レスなのですが、いつも楽しく読ませて頂いてます。
ここのヤッスーとは同業で、それもカナーリツボなのです。
ヤッスー採用当時のくだりなぞはかなりリアルだったのですが、
もしかして作者様も同業・・・?
237 名前:ベリィ 投稿日:2002年08月12日(月)23時43分31秒
ずっと楽しみにしていた逗子旅行編(←今度こそ!)(笑)が
始まって本当に嬉しいです!車でのみんなの過し方が手に取るように
想像できて可笑しかったです。それはそうと
マサオさん(←マスオさんみたい)は社会人だったんですね〜。
知らなかった〜。いいなぁ年上の彼氏w(←オイ。)

…自分を数え忘れちゃうヤッス〜に萌えですw
238 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月13日(火)05時59分23秒
いよいよ旅行当日ですね。
爽やかなこの作品には海が似合う…などと思いながらも、
もうちょっとくらい開放的になってもいいんじゃないの!お二人さん!
などと、爽やかではないことを考えてしまいました(w

ヽ( ;`.∀´)ノ<なんか足んない なんか足んない  ZZZ>(´ Д ` )

…ちょっと抜けてるけど、かっけーよ、ヤッスー!
239 名前:オムらいっすぅ 投稿日:2002年08月13日(火)17時40分54秒
…え〜、お久し振りです〜。
そして、新スレおめでたうございます!!(激遅

一気に読ませて頂きました。もう、圭ちゃん最高!!(何突
梨華ちゃんとよっすぃーもナカナカイイ感じ?ですね(w
これからのチャンスを生かせるよう応援してます。
柴ちゃんの言う通り夏は恋の季節!
あともうひと押し、頑張れ〜
240 名前:VACATION 投稿日:2002年08月13日(火)19時53分27秒
―――吉澤視点

海岸まで出て適当な場所を見つけ、そこにシートを広げた。
「どっこいしょ」
保田さんのオヤジくさい台詞に
「オヤジィ〜」
アヤカさんが笑う。
「うっさいよ。それより、アンタ!黒ビキニ!?ツボ押さえてんじゃないの!」
保田さん…誰のツボなんスか。
「ふふふぅ〜。似合う〜?」
モデルポーズを取るアヤカさん。
スタイルのよさにほーぉっと感嘆。
「圭ちゃんはワンピースなんだね。でも、背中が…」
背中?ふと保田さんの背中を見ると、紐の編み上げになってる部分があった…。
かなり過激だ。生半可なビキニよりヤバイ。
「この夏はセクシーなアタシを演出しようと思ってね!ヤケドするんじゃないわよっ!」
アヤカさんはいくらか引き気味でひきつった笑いを浮かべた。
「んあ〜。いいお天気!いちーちゃん、来てよかったね〜!」
「おう。…オマエ、すげー水着だなぁ」
ごっちんはそう?と言って日焼け止めを塗りだした。
一緒に買ったから知ってんだけど、改めて見てみる。
それはピンク色のビキニで、柄をよく見るとコウモリがいるというものだった。
「いちーちゃんは寝巻きみたいだね」
「悪かったな」
市井さんはむっとしたようにタンクトップの水着の裾を引っ張った。
「うわー。大谷さんって…スタイルいいんですねぇ」
梨華ちゃんの声に振り返る。
「はは、サンキュ」
かっけーカーキ色の柄のビキニだった。柴っちゃんがまるで自分で育てて
発掘したかのように、えっへん!と横でえばる。
柴っちゃんのミントグリーンの、星みたいな柄のビキニが眩しい。
241 名前:VACATION 投稿日:2002年08月13日(火)20時00分43秒
「で、梨華ちゃんはいつまでそんな暑苦しいモン着てんの?」
梨華ちゃんはタオル地のパーカーの前を、慌てて合わせた。
「往生際が悪いぞ!梨華!観念しろい!!」
柴っちゃんが後ろから脱がせようとする。横で大谷さんがやめろよ、と苦笑する。
梨華ちゃんはしばらく赤い顔でキャーキャー言っていたが、やがて諦めたのか、
自分で脱いだ。
「…うわ〜」
少し離れたトコにいた市井さんが間延びした声を上げる。
「「ヒュゥ〜ッ!」」
保田・アヤカ組が茶化す。
「あっは!白ビキニだぁ〜」
梨華ちゃんは教室で名指しされて答えられない生徒のように、泣きそうな顔になった。
必死で自分の体を隠す。
…ウチはアホみたいに、しばらくぼーっと見入ってしまった。


「どう?よっすぃ〜、ウチの梨華は」
柴っちゃんの声ではっと我に返った。
「あ…か、かわいいと、思う…よ」
「ホラ!かわいいだってさ!いい加減体隠すのやめなよ〜」
梨華ちゃんは両腕で胸を隠し、いやいやをするように首を振った。
「あ…梨華ちゃんって…胸、おっきいんだね」
て!ナニ言ってんだ!ウチは!!
「そういうよすこはなんで脱がないのかなぁ〜」
あたしはまだ上にTシャツを着ていた。
柴っちゃんがニヤニヤ笑う。
はっと気づいた時には、ごっちんが後ろ、市井さんが前に回り、ムリヤリシャツを
脱がした。



242 名前:VACATION 投稿日:2002年08月13日(火)20時04分00秒
「ギャァァ〜!」
色気も何もない声を上げる。
「いやぁぁ〜!」
梨華ちゃんの気持ちが分かった。
やっぱりウチも両腕で自分の体を隠す。
「このお尻のピンクのキャデラックプリントがポイントです」
ごっちんの解説に、みんなほーっと感心する。
「左胸にはシュロの葉。お約束ですね。トロピカルです」
ごっちんは腕組みしてうんうん頷く。


―――石川視点

「もう〜。みんなしてぇ〜!」
ひとみちゃんは顔を赤くし、自分を庇うように腕で隠した。
…あたしは自分の水着を隠すのも忘れ、ひとみちゃんに見入った。
…やだ。かわいい。
明るい水色のビキニは、とてもひとみちゃんに似合っていた。


―――吉澤視点

それからみんな、泳いだり砂浜でビーチボールでバレーしたり、それぞれ遊んでいた。
ごっちんはやっぱり砂浜で寝そべって爆睡したため、予告どーり保田さんにオナカに砂をかぶせられて、
記念写真まで撮られた。
それでも本人は気づかない。
「バカだねぇ〜」
市井さんはコーラを飲みながら笑う。
梨華ちゃんは柴っちゃんや大谷さんと砂の城を作ってる。
どっかで拾ったプリンのカップに砂をつめて、あちこち小部屋を築いてる。
「ウチも混ぜて〜」
オモシロそうなので、参加してせっせと砂を集めた。
保田さんとアヤカさんは水のかけあいをしてる。
「やめてよ〜、圭ちゃん!」
「ホレホレ!」
ふたりはかけあいしながら、ばしゃばしゃと水音を立てて走ってく。
243 名前:VACATION 投稿日:2002年08月13日(火)20時08分04秒
砂の城は立派なのが完成し、保田さんにカメラを借りて記念撮影をした。
マサオさん(大谷さんは堅苦しいからいいよ〜、と本人に言われ、こう呼ぶことにした)指導の下に
格調高い城が築き上げられた。
「マサオさんってセンスいいっすね〜」
あたしの言葉に梨華ちゃんも頷いた。
マサオさんは笑って手を振って否定する。


それから市井さんのところに行って、少し話をした。
市井さんはおやすみ中のごっちんのそばにしゃがんで、音楽を聴いてる。
「泳がないんスかぁ〜?」
大声で呼びかけると、市井さんはイヤホンを耳から外し、
「後藤がひとりになるだろ」
と言った。
なんだかんだ言っても、このひとはごっちんが好きなんだなぁ。
ごっちんは幸せそうな顔でまだ寝てる。
しばらくウチもしゃがんでその様子を見てると、やがて
「う〜ん…」
とごっちんがうめきだした。
244 名前:VACATION 投稿日:2002年08月13日(火)20時10分58秒
「んあ?体が重い?」
そりゃぁ、そんなに砂を載せてたらねぇ。
あたしと市井さんはくっくっくと口を押さえて笑った。
「あ〜!なにこれ〜!いちーちゃんでしょう!」
市井さん、濡れ衣。
「バカ言うな、圭ちゃんだよ、圭ちゃん!」
「んも〜!どーせそばで面白がって見てたんでしょ。アタタタタ…ヨシコも砂どけるの手伝って」
ウチと市井さんはしょうがなく(?)、ごっちんの体から砂を払いのけた。
「うひゃ〜、体砂だらけ。ついでに海入って取ってくる」
パンパン、と体を払ってごっちんは海に入って行った。

市井さんは黙ってタバコをくわえた。
いつものハイライトだ。
「おめーも吸うか?」
「イエ。ハイライトはニガテなんで。スンマセン」
「そっか」
海の中のごっちんを目で追って、市井さんはやるせない表情でタバコをふかす。
「あの」
「あ〜?」
「市井さんは…ごっちんのこと好きなんスよね」
「ん〜」
「その…好きって言わないんスか?」
「自分はどーよ」
うっ。ソコツカれると弱いなあ。
「ウ、ウチはこの3月に知り合ったけど、市井さんはずっと一緒にいたんでしょ」
「一緒にいたから言えねーこともあるんだよ」
「…スンマセン」
「いや、おめーもがんばんな」
市井さんはニヤッと笑ってタバコをコーラの缶で消した。
245 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月13日(火)20時37分02秒
更新しました。
やっぱり眠るごま。

(´ Д ` )<みんな寝てる間にひどいよ〜 スナダラケジャン

ヽ;^∀^ノ<寝すぎなのにもホドがあるっちゅーの

レスのお礼です。

>名無し読者。さん
( ´ Д `)<んあ〜。ゆうメイトはやったコトあるよ〜 ネンガジョウクワケ
( `.∀´)<ホホ!お仲間ね!

初レスありがとうございます。郵便局の方なんですか。そう言って頂けてうれしいです。
試験の時期とかはネットで調べました。

>ベリィさん
(0^〜^)ノ<リベンジ(?)成功、カッケー!
( `.∀´)y−~~<アタシの水着は楽しんでもらえたかしら

始まりました、逗子旅行編(w。マサオさんはデザイン関係のお仕事です。
日々、Macを操ってます。

>なっなし〜さん
(;0^〜^)<さ、さわやかじゃないコトってどんなコト? 
(*/▽\*)<……

某所ではどうも(w 今回はまぁ、軽く水着でドギマギする程度で。ヨスコは結局、
ビキニにしました。

>オムらいっすぅさん
(`.3´)<んぅ〜!チュバッ! ←うれしいらしい
川σ_σ||ノ<あと一押しです!応援ヨロシク!

オヒサスブリです。ヤッスー、主役以上の大人気?いしよしは微妙ですね(ニガワラ
どっちかが動いてくれたらいいのですが…。
246 名前:オガマー 投稿日:2002年08月14日(水)01時26分03秒
梨華タン 白ビキニ ハァハァw

よちこ、何思ったことすぐ口に出してんだYO!w
247 名前:吉たまご 投稿日:2002年08月14日(水)06時33分55秒
(O^〜^)<例のサイト行きましたYO!ありがとございまし。
ごちん、やはり寝ましたね
(´д`)<んあ〜だって眠いんだもん。。。

今後の展開に期待!頑張ってください!!
248 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年08月14日(水)16時12分04秒
お久しぶりです。7/31事件?からなかなか立ち直れずにいました。(w
いつのまにか旅行に出発していましたね。
梨華たん白ビキニ(・∀・) イイ!
続き楽しみにしています。
249 名前:VACATION 投稿日:2002年08月14日(水)21時36分18秒
―――吉澤視点

3時頃に引き上げて、旅館にチェックインした。

「おばさん!お久しぶり〜!」
柴っちゃんが真っ先に女将さんに挨拶する。
「いらっしゃい。ようこそ遠いところを。どうぞゆっくりなさってくださいね」
女将さんはとても感じのいい人で、好感を持った。
「「「お世話になりま〜す!」」」
全員で元気よく挨拶し、部屋に向かう。
案内された部屋は、海もばっちり見える、感じのいい和室だった。
ちょうど8人なので、4人部屋をふた部屋取ってもらった。
「それではごゆっくり」
女将さんが部屋から出て行く。
「女将!あの向こうの建物は何だい?」
窓辺に立った市井さんはいきなり小芝居を始め、保田さんにフった。
「ハイ、お客様!コンビニでございます!」
保田さんは女将になりきってる。立ち居振る舞いまで完璧だ。
「女将!ここのフロは何時までだい?」
「ハイ、お客様!24時間いつでもお入り頂けます!」
「女将!ここは芸者は呼べるのかい?」
「まぁ、お客様もお好きで…ホホ」
小芝居してるふたりを放っておいて、あたしは隣の部屋に行った。
ドアをノックすると、
「はぁい」
という可愛らしい声が聞こえた。梨華ちゃんだ。
「こんちは〜。遊びに来たよほ〜」
「あ、ひとみちゃん!お茶入れるね」
部屋には、アヤカさん、ごっちん、マサオさん、柴っちゃんがくつろいでた。
「んあ、最中食べなよ」
ごっちんにすすめられて、旅館のお約束の最中を食べる。
自分ち以外の最中を食べるのも、珍しいことだ。
梨華ちゃんが入れてくれたお茶を飲む。
250 名前:VACATION 投稿日:2002年08月14日(水)21時47分20秒
「いちーちゃんと圭ちゃんは?」
「さぁ。なんか『女将!芸者は呼べるのかい』とかって小芝居してたけど」
「あゆみもさっきまったく同じコトしてたよ」
マサオさんが笑って言った。
「女将!あの向こうにある建物は何かね?」
柴っちゃんが立ち上がっていちいち再現してくれる。
なかなかにオヤジだった。
カワイイ顔して。
「あゆみはオヤジだからなぁ」
腕組みしてしみじみ言うマサオさんを、柴っちゃんはすぐさまどついてた。
「いてーよ」
言いながら、顔は笑ってる。
ウチらはあてられっぱなしだ。
「仲いいねぇ〜、あのおふたりさんは」
梨華ちゃんの方を見て言うと、
「ねぇ」
すぐ同意してくれた。


それからお風呂に入りに行った。
露天風呂など一通り試して入り、少しのぼせた。
上がってからも無意味に体重を量ったり、100円入れてマッサージの椅子に座ったり、
あらゆることをした。
それでも夕食まではまだ時間がある。
テレビを見たり、お土産を見に行ったり。
7時まで、結構長い。

「圭ちゃん、散歩に行かない?」
アヤカさんに誘われて、保田さんは
「いいよ、行こっか」
腰を上げた。
「御飯までには戻るわ。遅くなったら先に食べてて」
ふたりはそのまま出て行った。


251 名前:VACATION 投稿日:2002年08月14日(水)21時58分10秒
「気持ちいいね〜」

アヤカは海風を存分に吸い込んだ。
ふたりは浜辺まで出て行った。
「ん。やっぱ海はいいわね」
保田は風を避けるように手で覆い、タバコに火をつける。
夕方の海は、人もまばらで、遊びつかれた気だるさが残っていた。
「圭ちゃん」
アヤカは保田の方を振り返った。
「また振られたか」
「何で分かるのよぉ〜」
アヤカは冗談っぽく頬を膨らませる。
「長い付き合いだし」
「フフッ」
保田のそばに行って、腕を絡ませる。
不意に保田の口からタバコを取った。
そのまま口づける。
「…圭ちゃん」
「びっくりした…アンタはホントに昔っから」
アヤカは保田から奪ったタバコをそのまま自分でくわえた。
保田は黙ってそれを見る。
「圭ちゃん」
「何?」
「あたしに次、誰も恋人ができなかったら…カノジョになってくれる?」
「…また冗談を」
「本気だよ」
アヤカはまっすぐ保田を見る。
252 名前:VACATION 投稿日:2002年08月14日(水)22時00分13秒
保田はしばらくたって、
「ゴメン。今は答えられない。正直、自分の気持ち、分からないし」
それだけ言った。
「圭ちゃん…ごっちんのことまだ好きなの?」
保田は目を見開いた。
「なん、で?」
「長い付き合いだから」
アヤカはそっくりさっきの保田の台詞をマネする。
ふたりの間に笑いが起こる。
「後藤は…確かに好きだけど、そういうのはないわ、昔っから」
「そう。妹みたいな、ってヤツ?」
「まあ、それが近いかもね。でも最近、『好き』の質が変わってきたってゆーか。
大事なのは変わらないけどね」
「…他に大切なものができたんだ」
「…どうかしらね」

ふたりはどちらからともなく歩き始める。
保田は新しいタバコに火をつけた。
太陽が海の向こうに消えようとしてる。
沈む夕陽を眺めながら、
「…圭ちゃんに出会えて、よかったよ」
「…うん」
言葉少なに語った。

アヤカの長い髪を夕方の風がなびかせる。
アヤカはそれを手で押さえ、水平線を見つめる。
その横で、保田はただ黙ってタバコをふかした。
253 名前:あおのり 投稿日:2002年08月14日(水)22時07分53秒
吉も石もビキニだ!ビキニだ!わーいわーい!
ごっちんがなにげに解説お姉さんになっているのも良いです
海に行ってこんな集団がいたら、と思うと鼻血ブーですな(w

旅館でオヤジ小芝居やってしまいますよねー。
ホテルだと窓際でチューリップグラス持ったかっこして「愚民どもが・・・」と悪の支配者ごっこ

ところで密かにあやか&圭ちゃんが怪しい動きを・・・未だ目が離せなーい
254 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月14日(水)22時09分28秒
更新しました。
揺れるヤッスー。( `.∀´)y−~~<……

レスのお礼です。

>オガマーさん
(;0^〜^)<し、白ビキニ…オイラもメロメロ

黒とどちらにしようか悩んで白にしました。ビキニ反応いいなぁ。

>吉たまごさん
( ^▽^)<ひとみちゃんっぽいHNですね♪

無事見つかってよかったです。ありがとうございます。ゴチーンはお約束ですから(w

>よすこ大好き読者。さん
(0^〜^)<ビキニ反応いいYO!オイラもドキドキ!

オヒサスブリです。私もショックではありますが、どうにか日々過ごしてます。
255 名前:オガマー 投稿日:2002年08月14日(水)22時52分21秒
やっぱりごまさんの書かれるヤッスーはカッケー
(0^〜^)<カッケー
( ^▽^)<カッケー
(0^〜^)<マネするなYO!
256 名前:VACATION 投稿日:2002年08月15日(木)15時25分11秒
7時前に保田さんたちが帰ってきて御飯になった。
ウチらはグループなので、特別に一部屋に8人分の夕食を運んでもらった。
テーブルは多少狭くなるが致し方ない。
「ゴハンだ♪ゴハンだ♪」
隣の部屋から柴っちゃんたちがやって来る。
「もぉ〜。圭ちゃんたち帰ってくんの遅いから、先食べちゃうトコだったよ〜」
ごっちんの言う通り、部屋に食事が運ばれてる時に、ちょうどふたりは帰ってきたのだ。
「ごめん、ごめん」
アヤカさんが笑って言う。
「ホホ、ふたりで夕陽を見て青春してたのよ」
青春、という単語が可笑しくて、みんなゲラゲラ笑った。
「んあ〜。お刺身だぁ〜」
魚好きのごっちんは舟盛りを見てにぱっと笑った。
「共食いだな」
市井さんは無言でごっちんに頬を引っ張られ、
「てててて…分かったよ、離せよ」
涙目で懇願した。
あたしは隣の梨華ちゃんとおいしいねー、と言いながらどんどん食べる。
保田さんたちはビール瓶を冷蔵庫から出してきて、酌み交わしていた。
あたしはバヤリースのオレンジジュースで、何ともオコチャマな食事だった。
「なんだ、おめー。ジュースなんか飲んで」
市井さんに笑われる。
「いいじゃないッスかぁ〜。かわいいっしょ?」
ウフッと笑うと、キショッとどつかれた。ひでぇなぁ。
「梨華ちゃん、もいっぱいど?」
梨華ちゃんもウチと同じくジュース組だった。
「あ、うん。いただきます」
まま、おひとつと接待するおっちゃんのように注ぐ(でもジュース)。
「まま、おひとつ」
と、梨華ちゃんも注いでくれる。
意味もなく、ふたりでカンパイした。
257 名前:VACATION 投稿日:2002年08月15日(木)15時37分23秒
「んあ、この後は花火だねぇ。楽しみだね〜」
ドン・キホーテで、ごっちんとあたしはあらかじめ花火セットを買っておいた。

食事の後、海岸に出て花火。
みんなハイになってて、おかしい。
市井さんのZIPPOで最初の一本に火をつけ、それからどんどんリレーのように
次々回して火をつけていった。
打ち上げも派手に上げた。
色とりどりの光の中に、みんなが見える。
ふと隣の梨華ちゃんの横顔を見る。
キレイだな。
薄い煙が夜空に棚引く。
ウチと市井さんは花火を持ったままどっちが速く走れるか競争し、保田さんに
「バーカ」と言われた。でも、楽しくてしょうがない。
アヤカさんはガンバレ!と応援してくれた。

柴っちゃんとマサオさんは寄り添って線香花火をしてる。
すっごく幸せそうだ。
大好きなひとといると、あんないい顔するんだ。

楽しい時間はあっという間に過ぎる。
花火の後は何故か寂しくて。
みんな口数少なく、そぞろ歩いた。
「さあ!これから飲み会だね!」
ごっちんの開始宣言で、がやがやとコンビニに向かう。
258 名前:VACATION 投稿日:2002年08月15日(木)15時40分04秒
そこでチューハイやビール、おつまみを買い込み、また旅館に戻った。
「飲むわよ!止めたって聞かないわよっ!」
保田さんが力強く言った。
てか、誰も止めませんて。
そんな命知らずなこと誰もしないだろうし。
「ハイ、カンパ〜イ!」
アヤカさんの音頭で夕食の時に引き続き、またカンパイした。
冷蔵庫から、ごっちんがいそいそと夕食の残りを盛り合わせたお皿を出してきた。
この旅館の冷蔵庫はよくある『飲み物引き出したら自動的に清算』のアレではなく、
家にもあるフツーのヤツだった。
「お刺身もよく冷えてるよ〜」
ちなみにこの盛り合わせを提案したのは柴っちゃんだった。
この旅館に家族で来るたびに、そうしてたらしい。


そこから何故か調子に乗って、AV視聴となった。
テレビのチャンネルを適当に合わせてたら、いきなりそういうシーンが映ったのだ。
「キャッ!」
梨華ちゃんは真っ赤になって両手で顔を覆った。
「こーゆーの、ニガテ?」
マサオさんに梨華ちゃんは顔を隠したまま、こくこくと頷く。
「いよ!待ってましたぁ〜!」
市井さん、オヤジ。
「ヒューヒュー!」
柴っちゃん…。
何でこのふたりがミョーに仲いいのか分かった気がするよ…。
ダブルでオヤジだ。
「どうよ、ヨシコ」
ごっちんがニヤニヤして感想を求めてきた。
「いや…どうって、言われても…」
それより梨華ちゃんが見てて可哀想なくらい真っ赤だし。
俯いてさっき一緒に買ったジュースを飲んでる。
「ヨシコって童貞?」
「ハァ?」
ごっちんの唐突な質問に、あたしは素っ頓狂な声を出した。
259 名前:VACATION 投稿日:2002年08月15日(木)15時41分57秒
て!ウチは女だっちゅうの!
「童貞って…ウチ、女よ」
「んじゃ、誰かとえっちしたことある?」
「どーしてそっちの方いくかな〜」
「答えないともうオマエに酒はやらん」
市井さんはそう言ってウチの缶ビールを持ち上げる。
素晴らしいコンビプレー。素晴らしき哉、幼なじみ。
みんな遠巻きにニヤニヤ笑ってた。
梨華ちゃん以外は。
「いや…前のバンドにいた時、飲み会でウチのファンだっつー子に誘われて…その」
ウチは頭をかいた。
「寝たのか!うわ!よりによってファンの女とか!」
アンタが言うんじゃないわよ!と市井さんは保田さんにツッコまれる。
「いや、その…ラブホに入ってむこーがフロ入ってる間にウチ爆睡しちゃって…ハハ」
「…あ〜あ」
何人かがあきれて言う。
マサオさんと保田さんは苦笑してる。
「あ〜あ。愛のないえっちをしよーとするからだよ。で、相手の子は?」
ごっちん、何も身を乗り出さなくても。
「あ、その…呆れて帰っちゃいました。おかげで部屋代全額払うハメになりましたけどね」
もう開き直ってわざと明るく言った。
「…あたし、ちょっと酔い醒ましてくるね」
しばらくたってから、梨華ちゃんは部屋から出て行った。
260 名前:VACATION 投稿日:2002年08月15日(木)15時47分21秒
―――石川視点

あたしは部屋から出て、非常口に向かって歩いた。
あとからあとから涙がこぼれてきた。
ひとみちゃんはモテるから、今まで何かあって当然だ。
でも…。

―――そういういい加減なことをするのが何よりショックだった。


非常口でしばらくしゃがんで泣いてると、いつの間にか市井さんが隣に座ってた。
「タバコ、吸っていい?」
「…どうぞ」
市井さんは黙ってしばらく吸ってた。
「バンドなんかやってるとさ」
唐突に切り出す。
「錯覚する時があんだよな。自分は特別だって」
独り言のように、しみじみ言った。
「そうなんですか」
「そ。モテてしゃーない時期ってあるしな」
「すごい自信ですね」
「異常な時期だよ」
苦笑して、市井さんはビールを呷った。
市井さん、タバコ吸いに来たワケじゃなくて、あたしを気にして…。
「少なくとも」
市井さんは続けた。
「吉澤はアンタにはそーゆーことして悲しませないと思うよ」
「…ハイ」
市井さんとお話して、ちょっと元気になった。
261 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月15日(木)15時59分45秒
更新しました。
(#T▽T)ネガ…
ヽ^∀^ノy−~~<…許してやれよ

レスのお礼です。

>あおのりさん
(#0^〜^)<はずかすぃ〜
( *^▽^)<でも、ひとみちゃんスッゴクかわいかったです!ドキドキ…

アヤカさん、積極的です。ヤッスー押され気味。「愚民どもが」もベタでステキです(w

>オガマーさん
( ‘д‘)<オバチャン、やるなぁ!
( ´D`)<ところでののたち出番がないれすね

モテヤッスー、美女に翻弄されっぱなしです。(0^〜^)<かっけー!

262 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月15日(木)21時40分07秒
おお! 大人な感じの市井さんだ〜!!
ちょっと格好いい☆
てか、この話に出て来るキャラはみんな格好いいよね〜
あ 梨華ちゃんはトコトン可愛いキャラだけどね♪ (^▽^)v
旅行編 楽しく読ませていただいてます。
ありがとう ごまさん♪
263 名前:ベリィ 投稿日:2002年08月15日(木)23時27分43秒
おぉ!いち〜ちゃんが(←失礼?)かっこいい〜w
何だか違う人みたい…。格式高い砂のお城を作るマサオさんも
かっこいいし,苦悩するヤッス〜もまた素敵ですねw
旅行に来ると普段のその人とはまた違った一面が見られて
楽しいですよね〜。この旅行編は期待を上回るおもしろさで,
思わずお部屋で大笑いして飼い猫に怯えられている始末ですw

ヤッス〜へ 自分のキモチに素直になって頑張ってください。
      あと,女将役似合ってましたw
264 名前:オガマー 投稿日:2002年08月16日(金)00時51分51秒
いちーちゃんもカッケー
(0^〜^)<カッケー
( ^▽^)<カッケー
(;0^〜^)<もういいYO!
265 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月16日(金)12時01分07秒
いちーちゃんといしかーさんがイチャイチャしてたら
ニブチン2人組も焦っちゃうんじゃないだろうか。
この2組の発展に期待。頑張れ!
266 名前:VACATION 投稿日:2002年08月16日(金)17時27分30秒
「そろそろいいかしらね」
壁時計を見上げ、柴っちゃんが言った。
時刻は11時45分を回ろうとしていた。
「20分か…そろそろ行くかね」
柴っちゃんは立ち上がった。
「どこ行くんだ?フロか?」
マサオさんが言った。
「お姫様を迎えに」
「そーいや、遅いねー。梨華ちゃん」
あたしが特に他意なく言うと、
「何で遅いか分かる?」
柴っちゃんが顔を見た。
「…いや。酔いが醒めないのかな」
柴っちゃんは無言だった。じっとウチの顔を見てる。
「…うん。行ってくるね」
柴っちゃんが何故かあきれた顔をして行こうとすると、
「ヤダ、市井さんたら!」
「ハハ、マジだって〜」
「ウソウソ、そんなぁ〜」
楽しそうな声が聞こえてきた。
どうやら戻って来たようだ。
…あれ?市井さん、タバコ買いに行くって出てったのに、梨華ちゃんと一緒なんだ。
「ただいま〜」
梨華ちゃんは笑顔で柴っちゃんに抱きついた。
「コラー、不良娘!遅いよー!今迎えに行こうかと思ってたトコ」
「ゴメン。市井さんとお話してたら遅くなっちゃった」
…お話って。
「んあ?いちーちゃん、タバコ買いに行ったんじゃなかったの?」
「そのつもりだったけど気が変わった」
「ふうん」
ごっちんは特に気にとめる様子もなく、新しいチューハイを開けた。
何だ。このモヤモヤしたものは。
市井さんに笑顔を向ける梨華ちゃんを見て、胸の奥がちりちりと痛んだ。
267 名前:VACATION 投稿日:2002年08月16日(金)17時32分21秒
その後、酒を飲んでるのはウチと市井さん、ごっちんだけになった。
柴っちゃんとマサオさんはお風呂に入りに行った。
アヤカさんと保田さんはその場に寝てしまった。
「さっき…梨華ちゃんと何話してたんスか」
ウチはこの時、どんな顔をしてたんだろう。
醜い顔じゃなかっただろうか。自分でもこんな心の狭い自分はイヤだ。
「気になるぅ〜?」
市井さんはここぞとばかりにニヤニヤする。
ウチが何を考えてるかなんてお見通しなのだろう。
「…ハイ」
市井さんはマジマジとあたしの顔を見て、やがて
「ぷっ…くっくっく!かわいいなぁ〜!おめーはよぉ〜!」
ゲラゲラ笑って抱きついてきた。
酒くせー!
「何ですか〜!マジメに答えてくださいよ〜」
「ギャハハハ!アタシは石川よりおめーの方が好きだぞ〜」
「いちーちゃん、答えになってないし」
ごっちんがチューハイを飲んで言った。
「くくくく…いや、たいしたコトは話してねーよ。まぁ、誰にでも過ちは
あるっつーか、そういうコトをな」
「過ち?何のですか?」
「ホントに分からん?」
「ハイ?」
市井さんはごっちんの方を見て、
「ニブイのもここまでくると国宝級だな」
「んあ」
同意を求めた。
268 名前:VACATION 投稿日:2002年08月16日(金)17時35分57秒
「まぁ、吉澤くんにも色々あったでしょーから」
…やっと分かった。
さっきの…話だ。
「梨華ちゃん…怒ったでしょうか」
「アタシらじゃなくて本人にきーたら」
市井さんの言うことはもっともだった。
「そう…ですよね」
「んあ。愚問だけど、何で梨華ちゃんのコトをヨシコは気にするのかなぁ♪」
「え…それは」
「「それは?」」
ふたりがぐぐいと迫ってくる。
「と、とにかく寝ます。おやすみなさい」
襖を開けて、隣の寝室に行こうとすると、
「まだ話は終わってな〜い!」
市井さんに首根っこをつかまれてずるずる引き戻された。
…カンベンしてよぉ〜。


それからは。
お風呂から戻ってきた大谷・柴田ペア、目が覚めた保田・アヤカ組も交え、
ウチの梨華ちゃんに対する思いを語らされた。
本人不在で。
てか、本人起きてたら、こんな恥ずかしいコト言えん。
途中ヤケクソになって、ガンガンビールを飲んだ。
そうでもしないと、この孤立無援の恥ずかしさは拭えなかったから。
269 名前:VACATION 投稿日:2002年08月16日(金)17時42分19秒
そのままいつの間にか寝てしまって、目が覚めたら6時過ぎだった。
酒が抜けん…。
せっかくだから散歩でもしようと思い、着替えと洗顔を済ませ、海に出た。
途中自販機で缶コーヒーを買い、さくさくと砂浜を歩く。

海を見てたら、二日酔いも不思議と治まる。
ああ。前にも、早起きして海に出たことあったなぁ。
あれはライブの後だったか。
梨華ちゃんのこと考えて歩いて。
どーしよ。
あん時よりずっと…好きになってる。


―――石川視点

目が覚めたら、朝だった。
そっと襖を開けると、みんな座布団を二つ折りにした枕とかで、そのまま寝たようだった。
…ひとみちゃんだけいない。
お風呂にでも行ったのかな。

着替えて散歩に出ようと、玄関に行った。
「おはようございます。お早いですね」
女将さんに声をかけられた。
「あ、おはようございます。早く目が覚めたから散歩に行こうと思って」
「さっき、お友達も海の方に出られましたよ」
ひとみちゃんだ。
あたしは女将さんにお礼を言い、浜辺に向かった。


―――吉澤視点

「ん!海はいいなぁ〜」
思いっきり伸びをして、コーヒーの缶を開ける。
朝日の中で、ごくっと一口。
ふと、人影に気づいた。
梨華ちゃんだ。
「おはよ」
朝の光を背にして、微笑んでる。
寝起きですっぴんなのにかわいいなぁ。
そんなことをぼんやり考えた。
「おはよ。早いね」
「ひとみちゃんこそ」
海風が吹いてきて、髪がなびいた。
梨華ちゃんはそっと手でそれを押さえる。
そんな仕草にも、いちいち見惚れてしまった。
270 名前:VACATION 投稿日:2002年08月16日(金)17時45分20秒
「あのさ…」
ゆうべから気になってたことを思い切って切り出してみた。
「何?」
「あの…ゆうべ言ってた、ウチが昔…」
「もういいよ」
それはやけくそでもなく、自然な感じだった。
「え?もういいって…」
「ひとみちゃん、モテただろうから、ああいうコトあってもおかしくないもんね」
なんだろ、この感じ。
梨華ちゃんはあくまで笑顔だ。
何か、いまいち腑に落ちないというか。
というか、梨華ちゃん、何か余裕だ。

とりあえず、コーヒーを口にした。
「飲む?」
缶を差し出すと、
「ありがとう」
と言ってそのまま口にした。
「ハイ」
自分の飲んだ後、わざわざ飲み口を拭うとこが女の子だなぁ。
「いいよ、残りちょっとだから全部飲んじゃってよ」
「いいの?」
「うん」
梨華ちゃんはそのまま飲み干した。
「ごちそうさま!」
梨華ちゃんの口に目をやると、微かにコーヒーがついていた。
「梨華ちゃん、コーヒー口についてるよ」
「え?やだ、どこ?」
「じっとしてて」
手を伸ばして、それを拭き取ろうとした。
ところが。
271 名前:VACATION 投稿日:2002年08月16日(金)17時47分05秒
気がついたら…唇で拭ってた。
自分でも思いがけない行動に、自分でびっくりする。
「…ゴメン!い、いやだよね!」
ウチは今、何をしたんだろう。
梨華ちゃんの伏せた目、形のいい唇を見てたら…。
おろおろして、梨華ちゃんの方を見てみる。
梨華ちゃんは呆然としてるようだ。
「ごめん、ホントにごめん!」
謝る反面、さっきの唇の甘さを記憶で反芻してる。
支離滅裂だ。
「…イヤじゃ、ないよ」
「え?」
梨華ちゃんはウチの首に両腕を回した。
「梨華ちゃん?」
梨華ちゃんの顔が近づいてきた。
そのまま…吸い寄せられるようにくちづけた。
最初は触れるだけ。
徐々にそれは熱を帯びて…。
ウチは彼女の背中に腕を回した。
抱きしめる手に力をこめて。
梨華ちゃんは泣いてた。
最初はコーヒーで苦かったキスも…。
涙が混じってしょっぱくなってきた。
思いやるような奪うような。
息継ぎするのも惜しむように互いの唇を奪った。
「梨華ちゃんの代わりなんて…いないよ」
あたしも気がついたら泣いてた。
「ウン」
梨華ちゃんは小声で答えた。
最後に大事なひとことを。
そう思って口を開こうとしたら、
「オ〜イ!何やってんだよ〜!」

…市井さん。
状況、察してくださいよ。

彼女との最初のキスは、苦くて甘かった。
―――涙もまじって。
272 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月16日(金)18時04分12秒
更新しました。
明日はいしかーさんドラマですな。ビデオテープ用意しないと。

レスのお礼です。

>いしよしサイコ〜さん
( ´ Д`)<んあ〜、前回はカッコよかったんだけどねぇ〜

今回はオチてます(爆 カッコいいですか?そう言って頂けて、嬉しいです。ありがとうございます。

>ベリィさん
( `.∀´)<今回はちょとねぇ〜… オカミニアッテタ?アリガトウ

今回はカッコ悪いです(w お邪魔してます。本人、悪気はないんですが…。猫に「おどかしてスマソ」とお伝えください。

>オガマーさん
(;0^〜^)<市井さん、いいひとなんだけど… トホホ
今回はオチ担当に回っていただきますた(w ホントはカナーリかっけーんですが…。

>名無し読者さん
(;0^〜^)<オイラ、カナーリココロセマカッタ… リカチャン、タノシソウダッタシ…

フツーによすこはヤキモチ焼きました。ごまはさほど気にしてないようです。ヽ;^∀^ノ<少しは妬けよ!


273 名前:水海 投稿日:2002年08月16日(金)20時09分40秒
二人が幸せにで嬉しいなぁって。
なんか いっぱいいっぱいで 
なんにもコトバがでてきません。
よかったね 梨華ちゃん 吉、えらいぞ。
274 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年08月16日(金)21時23分01秒
やっと、やっとで二人の想いが通じましたね。
読んでて、PCの前で、手を叩いて喜んでしまいそうでした。(w

続きが楽しみです!!
275 名前:名無し29歳 投稿日:2002年08月16日(金)22時00分35秒
ほんと、ため息しか出ませんYO!
なんて素敵なキスシーンなんでしょう。

よっちぃ、よく頑張った!
276 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月17日(土)00時17分38秒
やった!! ついに2人の想いが・・・通じた!!
良かった・・・ほんとに良かった。
今夜はもうそれしか言えんってば!!
おめでとう 梨華ちゃん&よす子 ( #´▽`)´〜`○ )
そして ありがとうごまさん♪ 
・・・にしても・・・市井さん・・・。(オイッ!て感じw
277 名前:オガマー 投稿日:2002年08月17日(土)00時18分23秒
うっほ!(爆
ドキドキ…素敵ですたw
278 名前:婆金 投稿日:2002年08月17日(土)00時44分16秒
サイコーっす!うん、最高。この言葉以外ないです。
しかし、市井ちゃん・・・。
振り、フォロー、オチと華麗な一人トリプルプレー。かっちょよすぎ!
279 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月17日(土)02時42分56秒
『最初のキス』ですか……

いっぱいしてください。はあぁ幸せなシーンで胸イパーイです。
280 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月17日(土)03時01分15秒
[壁]^▽^)!

[壁]*^▽^)アア…ツイニ…

[壁]ミ ササッ

[壁] オ、オメデトウゴジャイマ〜ス
281 名前:あおのり 投稿日:2002年08月19日(月)00時31分18秒
ついに吉と石のお互いの想いが一つになりましたな・・・・
24時間テレビ以上に感動しますた。
地球(とついでに俺)を救ってくれてありがとう。

そしてネタふりとオチは市井殿下ですか。
おいしいトコ全部持ってく市井さんかっけ〜!
282 名前:VACATION 投稿日:2002年08月20日(火)08時59分16秒
市井はシートに座り、ぼんやり海を見ていた。
泳ぐ気もせず、ただぼーっとする。

今朝、吉澤と梨華がキスしてるところを、知らずに声をかけてしまった。
他意はなくとも、さすがに気まずく、今もこうして少し離れたところで時間をつぶしていた。
「んあ〜、いちーちゃんめっけ!」
聞きなれた声がした。
後藤は市井にジュースを差し出す。
「何してんのさぁ〜。こんなトコで」
「いや…なんてゆーか」
市井はぽりぽりと頭をかく。
「まだ朝のこと気にしてんの〜?ホラ、それならだいじょーぶだから」
後藤が指し示す方に、吉澤と梨華がいた。
とろけそうな顔で並んで歩いている。
「梨華ちゃん、ノド渇かない?ウチ、何か買ってこようか?」
「あ、ひとみちゃんこそ。あたしが行くよ」
「一緒に行こうか?」
「ウン!」
微笑んで、ふたりは店に向かう。
「ほらね」
後藤はくすっと笑った。
「…ああ」
市井も肩の荷が下りたようにほっとして笑う。
「そんなら、そろそろ拗ねてないでおいでよー。今日はみんなで海の家で貝を焼いて食べようって
言ってるんだよ」
後藤に手を引かれ、市井は腰を上げた。
283 名前:VACATION 投稿日:2002年08月20日(火)09時02分43秒
―――吉澤視点

お昼は海の家で焼き貝を食べた。
でかいハマグリとかサザエとか、普段食べないものばかりで、みんなはしゃいでる。
醤油の香ばしい香りが何とも言えない。

ごはんの後も、海につかった。
梨華ちゃんは浮き輪をつけて泳いでた。
ウチはそばにいた柴っちゃんやアヤカさんに『しーっ!』と指で合図して、そっと潜って梨華ちゃんに
近づいて行く。
「ばぁぁぁ!」
「キャー!」
突然海の中からずぶ濡れで現れたウチを見て、梨華ちゃんは悲鳴を上げる。
ハハ!作戦成功!
「もぅ〜!ひとみちゃぁ〜ん!」
「ハハ!ごめん、ごめん」
その後はウチが浮き輪を引っ張って、ちょっと泳いでみた。

今日も日差しが強い。
この上ない海水浴日和だ。
大好きなひとといる。
すぐそばで笑ってくれる。
こんな幸せ、いままで知らなかったよ。

「ひとみちゃん」
「んー?」
「大好きはあとはあと
梨華ちゃん、キスの味は海水でしょっぱいけど。
ウチ、死んでもいいよ。

長いキスを。
太陽だけが見ていた。
284 名前:VACATION 投稿日:2002年08月20日(火)09時06分18秒
昨日のように夕方になる前に宿に引き上げ、大浴場に行ったり、テレビを見たりしてた。
夕食後、みんなで散歩に行き、市井さんが持参のウクレレを弾きながら歌った。
浜辺で日が暮れた、夜の海を堪能する。
波の音が響く。
あたしは隣の梨華ちゃんと手をつなぐ。
梨華ちゃんはあたしの肩にもたれ、
「綺麗だね…」
と囁く。
「綺麗なのは…」
そこでやめた。
だって…照れるじゃん。
「綺麗なのは、何かなぁ?」
柴っちゃんがニヤニヤした。
「な!いいじゃん、別に!」
慌てて言うと、梨華ちゃんは真っ赤な顔で俯いた。
「あ、その、あの…」
何か言わなきゃと思い、おろおろする。
「しょーがないわねー。デキたてのカップルは」
保田さんがこっちを向いて苦笑する。
ウチらは何も言えず、手をつないだまま真っ赤になってた。

そのままコンビニに直行し、例の如く酒を買った。
今日は最後の夜だ。
何より、記念すべき交際1日目だ。
吉澤ひとみ、生まれて初めて付き合う彼女。
さあ!今夜は飲むぞ!
285 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月20日(火)09時20分25秒
更新しました。
レスのお礼です。

>水海さん
( *^▽^)<幸せ?
(*0^〜^)<ウン!
後で読み返して、自分で恥ずかしかった、と逝ってみるテスト(w

>よすこ大好き読者。さん
( *^▽^)<初めて会った時から…
(*0^〜^)<マジ?
ここまでこれますた(涙 話の中では出会ってから5ヶ月も経ってないのですが。

>名無し29歳さん
(*^〜^*)<エヘ!
( *^▽^)<びっくりしたけど…うれしかった!
や、ありがとうございます。情景描写はニガテなんで、とても嬉しいです。

>いしよしサイコ〜さん
♪ふーたりのためにー>( #´▽`)´〜`○ )<♪せーかいはあるのー
AA、拝借しますた。思えば長い春ですた(涙 市井ちゃんでシメましたが(爆

>オガマーさん
アハハ>(0^〜^)σ)^▽^#)<ウフフ
私、映画の見すぎかもしれません(ニガワラ 萌えるキスシーンは難しいですワ。


286 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月20日(火)09時33分07秒
>婆金さん
ヽ;^∀^ノ<トホホ…
( ´ Д `)<んあ〜。いちーちゃん、褒めてくれてるよ〜 ゲンキダシナヨ
いちーちゃん、おいしいトコどりです。海シリーズ、陰の主役ケテーイ

>名無し読者さん
♪(#0^〜^(^▽^#)♪
最初の時点では「唇を貪る」とか書いてて(爆、「ダメじゃん」と思い、ああしますた。

>なっなし〜さん
[壁]^▽^)^〜^)<カクレテナイネ
AAを拝借しましたが、ななっし〜さんにしかこれはできません(w ついに、です。長い道のりですた。

>あおのりさん
ヒトミチャンガイレバ…>(#^▽^)〜`O) <チキュウ、スクウ?
いちーちゃんはマルチなのです(w 24時間テレビは私もずーっと見てますた。


287 名前:オガマー 投稿日:2002年08月20日(火)09時35分51秒
も、萌え〜w
キスシーンタイプですw
よちこの心のセリフ萌えw
グッジョブ(何
288 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月20日(火)19時19分00秒
ふ〜っ・・・ もうおなかイッパイです(w
とろけるぐらいスウィートな二人をありがと〜☆ (´▽`#)´〜`○#) 
ごまさ〜ん 読んでて嬉しくなっちゃいますた♪
やっぱあの素敵なレポの後は いつもの3倍は執筆にもリキが
入るってもんじゃないです? 
今日も幸せいっぱいの更新ありがと〜☆
海辺の甘いカップル&素敵な仲間たちにカンパイ!!
289 名前:ベリィ 投稿日:2002年08月21日(水)00時32分13秒
あ〜やっとふたりの想いが通じて本当に良かったです〜w
ヤッス〜寄りのいしよし好き(←意味不明)としては嬉しい限りで
ごじゃいますwいち〜ちゃんもシアワセになれますように†
勿論ヤッス〜や他のみんなもw
290 名前:VACATION 投稿日:2002年08月21日(水)20時26分35秒
時は遡って土曜日。

加護に、実家の母からメールが届いた。
お盆に帰って来るとき、辻がいいというなら連れてこいという内容だった。
『ハァ〜。お母ちゃん、ウチに友達おらんの心配してたから、のののコト、
うれしいんやろうなぁ』

『下宿先で知り合った子と仲良くなった』と手紙には書いた。
それから母が聞いてくることもあり、結構折りに触れては電話などで辻の話をしてた気がする。
「まぁ、とりあえずお誘いしてみよか」
加護はそのまま辻の部屋に向かった。

「ののぉ〜」
ドアをノックすると、すぐ辻が出てきた。
「なんれすか」
「自分、お盆ヒマか?タンポポも休みやろ?」
「へいっ。予定はないれすよ」
「じゃ、ウチと実家行こうぜぃ!」
「実家って…奈良のあいぼんのお家れすか?」
「おう。オカンがののを連れて来いいうとる」
辻がぱぁっと顔を輝かせる。
「シカせんべいが食べられるんれすね!」
楽しみれす〜と言って辻はドアを閉めた。
『エ?そこなん?』
と加護は冷や汗をたらす。
291 名前:VACATION 投稿日:2002年08月21日(水)20時28分29秒
その夜は。

裕子が『社会勉強や』と称し、辻・加護に居間でAVを見せた。
『なんだかなぁ』と加護は思いながらも、一応付き合いで見る。

「どや、辻。おもろいか」
裕子はご満悦でビールを飲んだ。
「…おとなのひとがなんでこういうことするのかわからないれす」
辻はジュースを飲みながら、つまみの柿ピーをぽりぽり食べる。
「なんでなん?中澤はん」
加護がニヤニヤして言った。
「なんでってなぁ…なんでかなぁ」
裕子は頭をかいた。
加護は一層ニヤニヤする。
「まぁ、オトナには色々事情っちゅーモンがあってなぁ」
『ゼンゼン答えになってへんし』
加護は心の中でツッコむ。
辻のほうを向くと、別にニヤニヤすることもなく淡々と画面を見つめてた。

『のの、こういうの興味ないんかなぁ』
学校の昼休みなどに、『誰と誰がアヤシイ』という噂話をクラスメートたちがしてても、
辻は特に感心を示すことなく聞いてる。
そのテの雑誌をみんなでキャーキャー言いながら回し読みしてても、ひとり無表情だったりする。
『この童顔で実はもう極めてて枯れてるとかやったら、あるイミすごいけどなぁ〜』
さっき買いに行ったコンビニの袋に『エンゼルパイ』があったことを思い出し、加護は
「のの、エンゼルパイ食うか」
取り出しながら言った。
「食べるれす〜♪」
途端に満面の笑顔。
やっぱり、色気より食い気のようだ。
292 名前:VACATION 投稿日:2002年08月21日(水)20時30分23秒
翌日。喫茶タンポポ。

飯田は加護から、昨日のことを聞いていた。
「しょーがねーなー。裕ちゃんは」
飯田は苦笑する。
「そうですねん。ウチもー、オナカいっぱいですわ」
ゆうべは結局3本くらいAVを見せられた。
辻にいたっては、途中で寝てしまった。
『中澤はん、平家はんとこんなん見てはるんかなぁ。オトナって…』
それでも最後まで見てしまう加護だった。
「保田のオバチャンらは海行ってんねんなぁ。エエなー、ウチも行きたいわ」
加護はうーん、と伸びをする。
「加護は泳げるの?」
「スイミング通ってたから一応泳げますけど、海つかったことはほとんどないですわ。
奈良は盆地で海、ないし」
「カオもないなー。カオ、スキーはうまいんだけどね」
「へぇ。やっぱ北海道のひとはうまいんですね」
「ああ。学校の授業でやるからね」
「そうなんや」
ふたりが話してる横で、休憩中の辻は真剣に雑誌を読んでいた。
「辻、何見てんの」
飯田が声をかける。
「奈良のガイドブックれす。さっき本屋さんで買ってきたれす」
「へ?奈良?旅行でもすんの」
「ウチの実家に一緒に行くんですわ。お母ちゃんがののを連れてこい言うてて」
「へぇ、よかったじゃん」
「へいっ」
辻はうれしそうに笑う。
ページの隅を三角に折ったりして、色々チェックしてるようだ。
「あ、そろそろ時間れすね」
辻は立ち上がって、また働き始める。
「カオ、ふたりが仲良くなってよかったって思ってる」
「え、あ…そうですか」
加護は慌ててアイスティーを飲み、むせた。
背中を叩いてやりながら、飯田はくすくす笑った。
293 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月21日(水)20時41分57秒
更新しました。ちょっとタンポポも入れてみますた。
( ‘д‘)<飯田さん、また交信してはるワ( ゜皿 ゜)<…カオニハキコエル

レスのお礼です。
>オガマーさん
( ^▽^)<ありがとうございます♪
(0^〜^)<キス、しょっぱいYO!
よちこ、目覚めてます(w 初期のとあわせて読むとギャップに笑えるかも。

>いしよしサイコ〜さん
( ‘д‘)<あれはもう吉澤一家やな!
( ´D`)<パパしゃんもママしゃんもやさしいれす
折角の渾身のルポをムダにはすまい(w カメラの映らんトコってのがよりツボです。

>ベリィさん
( `.∀´)<あたしは…どうなのかしらねぇ
( ゜皿 ゜)<……
ヤッスー寄りのいしよし好き…私もそんな感じです(w さ、BSを見る準備だ!

294 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月22日(木)01時46分05秒
アニメ頭文字Dの次回予告風コメントで。
 
 DJ:保田さん、よっすぃーと梨華ちゃんが上手くいったみたいですね。
 保田:ホホ!でもまだあの二人は、この世界の恋人・保田圭に言わせれば、まだまだこれからね。まったく、吉澤の
鈍さには呆れるを通り越して、一種の芸術ね。吉澤、石川、期待するわ!(口を開けてウィンク
 DJ:『ウッ・・・・』 でも、保田さんもニブさというか、気持ちが揺れているというか・・・。
 保田:(ビシッ! うるさいわね!!あたしは今は世界の恋人なの!幅広く受け止める世界の恋人よ!わかった!
 DJ:ハイ(泣)。さて、あいぼん・ののコンビの方の動きにも注目。次回も、DON’T MISS IT!
 保田:キリキリ行くわよ!
295 名前:あおのり 投稿日:2002年08月22日(木)02時33分15秒
あいぼんさんの中澤姐さんを向こうに回しての冷静なツッコミ。
あれは誰にもできない!正に関西のDNAがなせる技。
並みのオコチャマではではないとは思ってましたが。
さすがあいぼん師匠
でもここ一番ではヘタレなんですよね・・・そこがまた(←妄想馬鹿その一

そしてついにいしよしラブラブリミッターが外れたみたいで誰にも止められそうにないですね
でも少し暴走気味なところがまた・・・・(←妄想馬鹿その二
296 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月22日(木)03時29分34秒
⊂´⌒ つ0 ̄〜 ̄ )つドローっと溶けてますね…
初期の頃のを[壁]▽^)チラッ と読みなおしたのですが、恋がこうも人を変えるとは(w

そして、中澤さんは何してるんですか!
ののの頭の中 シカせんべい、エンゼルパイ>>>>>>>>>>>>>>AV
なのが笑えた(w
297 名前:オガマー 投稿日:2002年08月22日(木)07時03分40秒
祐ちゃん…何してんの(w
ほのぼのかぁいいw
ごまさん、ほんとにギャップありますな。
でも、変わってく段階(?)がちゃんとわかるし
それでこそなんかグッときますYO!w
298 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月22日(木)14時10分24秒
訂正です。 m(_ _)m
 ×わかった! ○わかった?
299 名前:VACATION 投稿日:2002年08月22日(木)15時01分18秒
―――吉澤視点

逗子の最後の夜は、かなり盛り上がった。
みんなガンガン、飲む飲む。
アヤカさんが
「圭ちゃ〜んはあとはあと
とふざけて抱きついて、保田さんが真っ赤になってた。
「ぶっ!バカ!やめなさいよ!」
「いいじゃ〜ん。アタシと圭ちゃんの仲なんだからぁ〜」
アヤカさん、そぅとぅ酔ってるんだ。
柴っちゃんも市井さんに
「市井さん、アナタ、女癖悪すぎ」
と暴言を吐いて、本人を苦笑させてた。
「あ〜あ〜。スンマセン、ホントに」
マサオさんが保護者のように謝る。
「いや…」
市井さんが何か言おうとしたら、
「あっは!ホントのコトだし!」
ごっちんがオチてた。
「ハハ…みんなそぅとぅキテるね」
笑いながら隣の梨華ちゃんを見ると、やけに目がとろんとしてた。
「梨華ちゃん?」
眠いのかなぁ、と思って顔を覗き込むと、
「飲んでまひゅかぁ?」
回ってない舌で言い、缶ビールを片手に掲げた。
「はぁ、飲んでますよ」
このひと、かなり酔ってるわ。
「梨華ちゃん、どれだけ飲んだの」
「こんだけでーす!」
そこには、空の缶ビールが転がってた。
いち、にぃ、さん、しぃ、ご…10本!
しかも500ミリリットルのヤツじゃん!
「梨華ちゃん!飲みすぎだよ!」
「え〜!フツーだよぉ」
「いや、ゼンゼンフツーじゃないし!」
「なによぉ〜!ひとみちゃんはアタシのコトキライなのぉ!」
「いや、ワケ分かんないし」
困って辺りを見渡すと、保田さんがぼそっと
「…始まったわ」
と呟いた。
「んあ?何が?」
ごっちんが聞き返すと、
「まぁ、触らぬ神に何とやらよ」
と頷いた。
300 名前:VACATION 投稿日:2002年08月22日(木)15時04分18秒
「ひとみちゃ〜ん!」
梨華ちゃんはヤケに絡んでくる。
つーか、梨華ちゃん、こんな酒癖悪かったっけ。
今まで飲む機会は何度かあったけど、ちょっとカオを赤くするくらいでいたって普通だったのに。
「ひとみちゃん、他に好きなひといるんでしょ!」
「何言ってんの!つーか、梨華ちゃん、もう寝たほうがいいんじゃ」
「やっぱりアタシのことキライなんだ…」
途端にしゅんとする。
「そんなワケないっしょ。ホラ、もう寝なよ」
「んじゃ!証拠見せてよ!」
「しょ、証拠?」
「見せてやれよ〜!」
市井さんがヒューヒューと掛け声をかける。ったく、他人事だと思って!
「見せろ、見せろー!」
柴っちゃんがそれに続く。
マサオさんが
「オマエはホントにオヤジだなぁ」
と横で呆れていたのが印象的だった。
「どしたのー?見せてあげないの〜?」
とほほ。アヤカさんまで…。
もうヤダ。この酔っ払い集団。
ごっちんの方を見たら、
「ごとー、もうそんなに食べれないよ…ムニャムニャ」
とおやすみ中だったし、保田さんは
『お気の毒にね』と無言で笑ってた。
誰も助けてくれそうになく、
「梨華ちゃん、もう寝なさい!」
と酔っ払いを引っ張って、隣の襖を開けた。

「や〜ん!まだ起きてるぅ〜!」
梨華ちゃんがじたばた暴れる。
布団をめくって寝かしつけようとすると、足で布団をけった。
立ち上がって、また隣に行こうとするのを引き止める。
「ダメ!もう寝なさい!」
「ひとみちゃん、どうしてそんな意地悪ゆうの〜!」
「意地悪って…梨華ちゃん、コドモみたい」
「コドモですよ〜だ!」
梨華ちゃんがウチに抱きついた。
301 名前:VACATION 投稿日:2002年08月22日(木)15時06分54秒
「ひとみちゃん、あたしのこと好き?」
「…うん」
「じゃ、今すぐ証拠見せて」
「だから、証拠って何?」
何かマズイぞ、この展開。
…ヤな予感が。
「ちょっ!梨華ちゃん!」
梨華ちゃんが立ったまま体重をかけてきて、ずどーんとひっくり返ってしまった。
ウチが下になって、布団にななめに倒れてしまう。
「いててて…」
梨華ちゃん、軽くてよかった。
でも…この感触。
「ひとみちゃん…」
梨華ちゃんが上から覗き込む。
部屋の蛍光灯は豆球だけついてて、うっすらオレンジの灯りが光ってた。
「…ん」
唇が重なった。
酒くさいけど…アカン、めちゃ興奮する。
ウチも飲んでるし。
「う…あ…」
梨華ちゃんのキスは激しくて。
頭がクラクラしてきた。
絡みあう足がやけに熱くて。
浴衣もとっくに着崩れてる。
「ひとみちゃん、好きだよ…」
耳元で囁かれて、ゾクゾクした。
耳朶にもキスされて、
「ひとみちゃん、愛を確かめ合おうね」
スッと胸元に手を差し入れられそうになった。
…ハッ!
気持ちよさに我を忘れるトコだった!
「…や!やだったら!梨華ちゃん!隣にみんないるんだよ!やめてよ!」
「あたしのコトキライ?」
「そうじゃなくて!だからみんなが…!」
「愛を確認しようと思ったのに」
「だから今確認しなくったって…ん!」
最後の台詞はキスでふさがれた。
…ど、どうなるですかぁ!?
302 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月22日(木)15時26分34秒
更新しました。

レスのお礼です。

>HR−MSさん
( `.∀´)<ホホ!頭文字Dとはシブイとこ突いてくるわねっ!
( ゜皿 ゜)ノ<キリキリイクワヨ!
確かに深夜に聴きたい声ですね。自分のことツッコまれても揺るがないヤッスーに萌え。
丁寧な訂正までありがとうです。

>あおのりさん
从 #~∀~从<ホンマに最近のガキは…
( ‘д‘)<オバチャンは、かなんワ!
関西では誰かボケたらすぐツッコむのが礼儀とされてます(ホントかよ)。
確かにツッコミの割にはヘタレですね(w いしかーさん、今回大暴走です。

>なっなし〜さん
从 #~∀~从ノ<いや、社会勉強をと思てな!
( ´D`)つ●<エンゼルパイのがうめーのれす
ミチャーソと妹がいないから好き勝手してるんです。メール欄のヤッスーがコワイけど笑えます。
初期はいしかーさん、結構よちこの中で放置されてたなーと。

>オガマーさん
从 #~∀~从ノ<みんなそーやってオトナになってゆくんや!
( `◇´)<あきれてモノ言えんワ
姐さん、大暴走です。ちびっこのほうが冷静な罠。妹も逗子でエライことなってますけど(w
初期はゴチーンと話し込んで、よちこいしかーさんを放置ってのがあったなーと。
303 名前:オムらいっすぅ〜 投稿日:2002年08月22日(木)16時52分28秒
あれれれっ!何て所で切るんですか〜!!(w
続きが気になって気になって…。このままいっちゃうの!?(w
楽しみにしてます〜。頑張ってくらさい♪

何気に市井ちゃんがイイ感じに面白い…(爆
304 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月22日(木)17時07分27秒
 DJ:さぁ、今夜のゲストはこの人。
 後藤:んあ〜、こんばんは〜。ごとーだよー。
 DJ:ごっちんさぁ、よっすぃーと梨華ちゃんいい感じになってきたよね?
 後藤:ようやくヨスコも気づいたかなって感じだね〜。でもまだ完全に気づいてるともいえないね〜。
    何せヨスコの鈍感ぶりは、天下一品だよ〜。いちーちゃんもそうだけど。んあ〜、ZZZzzzzz....。
 DJ:うーん、市井さんにも思い届くといいよね?って、ごっちん?
 後藤:ZZZZZZZZZZZZ・・・・・・・。
 DJ:あちゃー、寝ちゃった。さぁ次回もDon’t miss it!
 後藤:ムニャムニャ、う〜ん・・・・・、いち〜ちゃ〜ん・・・・・・。

 DJ:
    
305 名前:PUNK 投稿日:2002年08月22日(木)17時47分40秒
まじで、

…ど、どうなるですかぁ!?


「お母さん、今日ご飯いらない。」って気分にさせて下さい。
306 名前:ココナッツ 投稿日:2002年08月22日(木)18時10分11秒
梨華っち、酒飲んだらえらい積極的でねーか!
もうこうなったら毎日でも酒飲んじゃえ〜〜〜☆
307 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月22日(木)19時01分44秒
きゃぁぁぁぁぁぁ!!!どうなるですかー!?ホントにどうなっちゃうですかー!!??
どーもー☆書き込みするのは初めてですが、ずっと読んでましたよ〜♪
先がすっごい気になります!!楽しいです!!
なちヲタで石ヲタな私ですが、この小説の吉澤さんにトキメキ感じまくってます!!
かっけぇぇ〜〜〜!!!
がんばって下さいねー!応援しております♪
308 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月22日(木)23時53分36秒
おおお! なになに?何かすんごい事になってるじゃないの!
旅館で酔って乱れる浴衣の2人・・・
この後どーなってしまうのかぁ!? ←懐かしのASAYANナレーション風(w

てゆーかメチャ美味しいとこでCMって感じ〜!
皆さまも目が離せないみたいね! 
ヒトミチャーン♪( /#´▽`)/^〜^0;)エ?チョ、ヤバイッテ!!

2日分連チャンで読ませていただきますた。
居残り組み編に海組編にとWで楽しめてお得な気分です(w
ごまさん、明日も楽しみにしてるね〜☆

309 名前:オガマー 投稿日:2002年08月23日(金)08時23分20秒
酔った勢いですか?(w
ってかいしかーさん、このままいくと覚えてないなんてことに…
ドキドキw
310 名前:VACATION 投稿日:2002年08月23日(金)08時38分07秒
―――吉澤視点

「ん…りか、ちゃん…」
どーしよ。
頭、真っ白になってきた。
「ひとみちゃん…」
梨華ちゃんは熱いキスを繰り返す。
口の中で…彼女の熱い舌が暴れまわってる。
どうしよ…マジ、やばいよ。
それより…ウチ、決してイヤじゃない。
隣にみんながぁ〜と言ってるワリには、しっかり彼女の背中に腕なんか回してる。
「ん…ウン…あ、もっとぉ」
ウチ…いま、なんてった?
もっとて…。
自分が女の子みたいな声出してるコトに、自分でびっくり。
ひとみ!イカン!
気持ちよくなってる場合じゃない!
彼女を止めないと!
「ひとみちゃん」
「ひゃぁ!」
ウチは情けない悲鳴を上げた。
梨華ちゃんの指が首筋に触れ、本気でゾクゾクきた。
「かわいい…ひとみちゃん」
梨華ちゃんはうれしそうに笑うと、今度は唇でさっきのトコをなぞった。
「あ、あん!」
「もっと…感じて」
唇は更に下へなぞっていき、浴衣の襟を開き、帯もゆるめて、胸元の近くまで口づけた。
…頭の中に、『蛍の光』が流れる。
走馬灯のように、色んなことが流れた。
いままでの人生を振り返る。
311 名前:VACATION 投稿日:2002年08月23日(金)08時40分37秒
ああ。
ウチの初めては、梨華ちゃんにあげるんだ―――。
よかった…好きな相手で。
お父さん、お母さん。
ひとみは今、オトナの階段を登ろうとしています。
初めては恋人と。
まったく予定外のシチュエーションでしたけど、これでいいんですよね?
難を言うと、ホントにふたりきりで、隣にうるさい酔っ払いがいなくて、恋人もへべれけじゃない
状態がよかったんですけど。
…これでいいのね。


『蛍の光』が2番に差しかかろうとした時、体が急に重くなった。
「梨華ちゃん…?」
上半身を少し起こして、彼女の様子を見る。


―――寝とるでしかし!

彼女は宇宙一、幸せそうな寝息を立てていた。
312 名前:VACATION 投稿日:2002年08月23日(金)08時42分39秒
―――しばらく呆然とした後、のろのろと起き上がり、自分の浴衣の乱れを直した。
布団のズレを整える。
いま夢の中にいる酔っ払いを抱きかかえ、ちゃんと寝かせた。
浴衣の合わせも直してやり、掛け布団をかけ、しばらく寝顔を眺めた後、そっと部屋から出て行った。

―――あたしはこの時のみんなの顔を一生忘れないだろう。
襖を開けて顔を見せた途端、みんなが一斉にあたしの方を見た。
全員、無表情。
リアクションに困るくらいだった。
「オマエ…早漏?」
静か過ぎる時間が重くのしかかった後、市井さんがポツンと言った。
「な!なんスか!そ、早漏って!」
その前にウチは女だっつーの!
「あっは!いちーちゃん、ストレートすぎ!」
ごっちん、ナンデうれしそうなのよ?
「早いね〜。カァ〜ッ!ダンナ、いい仕事しますね〜!」
「あゆみ、オマエって…」
マサオさん、キモチ、痛いくらい分かります…。
「ホホ!若さゆえね!」
保田さん、ワケ分かりません。
ひとりで完結しないでくださいよ。
「最初は誰でもそうだよ〜。ドンマイ、ドンマイ!」
アヤカさん…励ましはうれしいんスけど。
「よーし!吉澤の喪失記念にカンパイだ!」
市井さんが音頭を取る。
「な!…何もしてません!これっぽっちも!」
「「「…エー」」」
明らかに不審の声。
こ、これっぽっちはウソだけど!
313 名前:VACATION 投稿日:2002年08月23日(金)08時44分51秒
いくらか不審がってるフシはあったが、とにかくみんなに『何もなかった』ってのは
信じてもらえた。
「あっは!それにしちゃ早すぎだもんね〜」
…ホントに何かあってそうだったら、アタシは一生『早漏』呼ばわりなんかな…とほほ。
「梨華ちゃんも寝てしまうとはねぇ〜」
柴っちゃんがいかにもザンネン、というように、ビールを呷った。

それにしても。
梨華ちゃんがあのまま寝てなかったら…。
想像して、思わず顔を赤らめる。
あのキス…あんなキスするんだ。
あの表情…あんなエッチな顔するんだ。
思い出しては、ボッボッボと赤くなるボルテージが上がってく。
「せんせーい!吉澤さんがえっちなコト考えてまーす!」
急に柴っちゃんが大声を上げた。
「な!柴っちゃん…!」
「ホホ!廊下に立ってなさい!」
保田さんが調子こいて宣言する。
更に調子こいた市井さんたちが『やーい!やーい!』と囃し立てる。
「なんスかぁ〜!みんなして〜!」
「「「♪ゆ〜たろ、ゆ〜たろ せーんせにゆ〜たろ」」」
仲良く合唱。
…もう!フロ入ってやるぅ〜!
「いいもん!ヨシコグレるもん!」
と言い残し、風呂セット一式を持って大浴場へ向かった。

「…ハァ」
軽く体を洗った後、誰もいないお風呂につかる。
目の前には、夜の海。
ところどころ、灯りが光ってる。
…とんだ1日だった。
朝、偶然からキスして、やっと恋人になれたと思ったら…。
そう思うと、どっと疲れが出てきた。
…でも。
あんな目に遭っても、キライになれない。
むしろ…憎めない。
いや、もっと彼女を知りたいって…思ってる。
「もう一度、体でも洗うかね」
上がって、また洗い場に行った。
314 名前:VACATION 投稿日:2002年08月23日(金)08時45分57秒
洗い場の鏡を見てたら、ふと…恥ずかしいものに気づいた。
首筋に、赤い痣。
これ…どー考えても虫さされとかじゃないよね。
うわー…胸元にも。
梨華ちゃん…。
今頃、夢の中だろうな。
何も知らずに。
洗う手を止め、自分の体を抱きしめる。
…これで、よかったのかなぁ。

泡を流して、またつかってると、
「よっすぃ〜!」
アヤカさんが入ってきた。
「あ、ども」
「汗かいたから来ちゃった」
アヤカさんはそう言うと、洗い場で手早く体を洗ってお湯につかった。
「ふぅ〜。キモチいいねぇ〜」
アヤカさんがうんと伸びをする。
天井から、ぴちょんと滴が落ちてくる。
「みんな、まだ飲んでるんスか?」
しばらくたってから口を開いた。
「ん。ごっちんは寝ちゃったけど」
「ハハ」
予想通りだ。
315 名前:VACATION 投稿日:2002年08月23日(金)08時46分37秒
「いいねぇ。夜の海を眺めながらのお風呂は」
「あ、ハイ」
アヤカさんの横顔を見ながら返事する。
お湯が流れ落ちる音しか聞こえなくて。
時々、滴が落ちてくる。
「いま、『梨華ちゃんとふたりだったらなぁ』って思ったでしょ?」
「あ、いや、その、ハイ」
「ホントに素直なんだから〜!」
アヤカさんは涙が出るくらい笑った。
そんなにウケなくても。
「この赤いのは何かなぁ?」
イタズラっぽく、人差し指で首筋をツンとつかれた。
「…ち、違うんス!これは!」
「よっすぃ〜って言い訳できないタイプだよねぇ。浮気はしないほーがいいよ」
「し、しませんよ!」
冗談よ、とアヤカさんは優しく笑った。
「梨華ちゃんがうらやましいナ」
「何でっすか?」
「優しい恋人がいるから」
「…ハァ」
為所がなく、ぽりぽりと頭をかいた。
「アヤカさんは…好きなひといないんスか?」
ハタで見てたら、すっげーモテてるけど。
「うん…いるよ」
「え?誰っすか?」
「それはヒミツはあとはあと
ウィンクして、人差し指であたしの唇を軽く押し当てた。

上がってから、アヤカさんが
「おねーさんがおごったげる」
と言って、自販機の三ツ矢サイダーを買ってくれた。
誰もいない娯楽コーナーでジュースを飲みながら、窓の外の夜景をしばらく
「キレイだねー」
とふたりで見ていた。
316 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月23日(金)09時05分21秒
更新しました。
(0^〜^)つ日<サイダー、ウメー!

川‘.▽‘)||<フフ!カワイはあとはあと

レスのお礼です。

>オムらいっすぅ〜さん
( ´ Д`)<んあ〜。とりあえず、一件落着?
ベッタベタなオチですが(w 市井ちゃん、酒入りすぎてワケわかってません(爆

>HR−MSさん
ヽ;^∀^ノ<後藤のヤツ、番組中に寝てるし… オヤクソクダナ
DJシリーズ第二弾ですね。毎回まとめ方が見事です。ありがとうございます。

>PUNKさん
( ´ Д `)つフ<んあ〜。ゴハンは食べないとだめだよ〜
問題とすべき点はそこじゃないんですが。そういう気分になりますたか(w?

>ココナッツさん
( `.∀´)<ホホ!どこかでお見かけしたHNだわ!
初レスありがとうございます。どこかで書かれてませんでしたか?いしかーさん、さすがは姐さんと姉妹(ry

>クロイツさん
( ´ Д`)<こちらの方もごとー、どこかで見たよ〜
初レスありがとうございます。確かいしよしを書かれてませんでしたか?ありがとうございます、がんがります。

>いしよしサイコ〜さん
(; `.∀´)<イシカワ…スゴイわね
イッちゃってるいしかーさんAAに萌え(爆 浴衣でくんずほぐれつ…逝ってきます。

>オガマーさん
(;´〜`0)<ワスレテタラ、オイラ、ナイチャウ… デモ、アリエナクモナヒ
さすがは姐さんの妹。期待を裏切らない酒乱っぷりをご堪能くださったでしょうか。
  
317 名前:オガマー 投稿日:2002年08月23日(金)09時27分52秒
ぉぉw
こんなにはやく続きが読めるなんてw
よちこ…(藁)選曲がナイス!!
318 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月23日(金)10時30分54秒
おおお!!更新されてるー♪
いやぁ、もう爆笑させて頂きました!!
ヨッスィーの正直さが、私のツボを押しまくりです。胸がきゅるるん♪(←オイ)
P.S.いしよし、書いてますよ〜☆
319 名前:オムらいっすぅ 投稿日:2002年08月23日(金)10時35分43秒
あらら、寝ちゃいましたか〜(w
まぁそこが梨華ちゃんっぽいんですよねぇ(w
それにしても、大人なアヤカさんカッケーです。

そして…やっぱり酔ってる市井ちゃん最高!(爆
320 名前:HR−MS 投稿日:2002年08月23日(金)11時32分34秒
ごまさん、お褒めの言葉をいただきありがとうございます。第3弾、書かせていただきます。

 DJ:萌えー!梨華ちゃんの酔った姿がかわいい〜、クゥ!!
 柴田:萌え〜♪
 DJ:あれぇ、どしたの柴っちゃん?急に登場して。
 柴田:クゥ!! お兄さんも感想素直だねぇ! あれが本来というか、梨華ちゃんのよっすぃーに対する
思いが素直に出たって感じだわ。まあ次の日になったら、「えぇ?覚えてないよ〜....」「ひとみちゃん、ごめんね」
(石川さんの口調で)とか、ノーマルモードに戻るんだろうけどね。ヘヘッ。
 DJ:いや〜、柴っちゃん、今回の企画プロデュースありがとう。
 柴田:いえいえ何をおっしゃいますやら。クゥ!プロデュースって、お兄さんも渋いねぇ。
 DJ:『柴っちゃん、オヤジなのかナチュラルなのか、う〜ん、ミステリアスな』
    さぁ来週はどんな展開になるのか!?。来週も
 DJ 柴田:Don‘T Miss It!
 
321 名前:あおのり 投稿日:2002年08月23日(金)12時13分28秒
「「「♪ゆ〜たろ、ゆ〜たろ せーんせにゆ〜たろ」」」
↑かなりツボにはまりました。小学校の頃よく歌ったなぁ〜
作者さんの関西ネタが私のツボつきまくりです。

そして、吉の初体験はまだまだお預けということで。
残念なような・・・ほっとしたような・・・
微妙〜 



322 名前:ココナッツ 投稿日:2002年08月23日(金)16時49分16秒
しかしまだ梨華ちゃん、姐さんには及ばない…そこで寝たらダメさぁ!!(w
こんなことならビールを7本くらいに減らしとけば…(爆
アヤカさんの好きな人も気になるなぁ、更新楽しみに待ってます。
323 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月23日(金)19時07分03秒
あらら・・・梨華ちゃん途中でお寝んねしちゃったのね。(^^;)
かわいいオチで思わず笑っちゃいますた!
う〜む、酔った梨華っちは正に・・・姐さんそのもの!?
血は争えませんなぁ〜(w
シーンとした中での市井ちゃんの開口一番の一言、
わたしん中では爆笑もんっす♪
( ´ Д`)<んあ。いち〜ちゃんは常に直球勝負なりよ。
 ヽ;^∀^ノ<・・・なんかヲレがバカみてーじゃねーかよ!
(´〜`0;)<まさか梨華ちゃん朝になったら覚えてないんじゃ・・・
324 名前:なっなし〜 投稿日:2002年08月24日(土)02時23分17秒
[壁] ̄▽ ̄)ZZZZZ…

[壁]^▽^)ハッ!

[壁]ミ ササッ

[壁] ワ、ワタシ ナニカ シマシタカ?

(;‘д‘)ノ 怒るでしかし!             メガネメガネ((( ‘д|
325 名前:VACATION 投稿日:2002年08月26日(月)07時00分01秒
―――吉澤視点

翌日。
朝食の時、何となく梨華ちゃんと顔を合わせづらく、隣に座ってたものの、
視線が合ってもぎくしゃくした。
「いちーちゃん!アジの開き食べないの〜?」
ごっちんが市井さんにくれと言わんばかりにすり寄って行く。
「食えよ。ホレ」
「あっは!あんがと」
ごっちん、朝からよく食べるなぁ。
ウチは何だか箸が進まず、やっと温泉卵を食べたくらいなのに。
「ヨシコもアジ食べないの〜?」
「ん。食べていいよ」
ごっちんの方にお皿ごと渡す。まだお箸つけてなかったし。
「ひとみちゃん、食欲ないの?」
梨華ちゃんが顔を覗き込んだ。
「いや…酒飲みすぎたかなーって、ハハ。
梨華ちゃんは大丈夫なの?」
「ん。ちょっと頭痛かったけど、さっき薬飲んだから」
「そっか」
あんだけ飲んだのに、結構平気そうだ。
さすが、中澤さんと姉妹だけある。
そんなこんなで、結局食べたのは卵とお味噌汁、ごはんくらいだった。

その後、泳ぎに出た。
ウチはごっちんに浮き輪を借り、ただぷかぷか浮いたりしてた。
梨華ちゃんは柴っちゃんたちとビーチボールで遊んでる。
それを海の中から眺めながら、ぼーっとしてた。

しばらくして上がっていくと、
「梨華ちゃん見なかった?」
柴っちゃんに声をかけられた。
「へ?いま、遊んでたじゃん」
「違うのよ〜。うっかり昨夜のコト喋ったら、顔青くして、走ってどっか行ったのよ〜!」
「へぇ!?」
ちょっと目を離したら…。
「分かった!探してくる!」
返事を待たずに、ダッシュする。
326 名前:VACATION 投稿日:2002年08月26日(月)07時01分14秒
案外あっさり見つかった。
彼女は人込みにまぎれて、顔をうずめて三角座りしていた。
「ハイ」
途中で買った烏龍茶を差し出すと、びくっとして顔を上げた。
「あ…」
「何やってんだ〜。急にいなくなって〜」
わざとしかめっつらをして言った。
「あ、あたし、ひとみちゃんに探してもらう資格なんか…!」
「ちょっと話そ」
促して、その場から歩き出した。

「柴っちゃんから聞いたんだよね」
あたしが切り出すと、梨華ちゃんの体がびくっとなった。
「…ごめんなさい!」
言ったとたん、涙がぼろぼろこぼれる。
あたしはそっと近づいて、指で拭った。
「怒ってないよ。ただ、梨華ちゃんが酔った時じゃないほうがよかったけどね」
「ごめんなさい〜!」
ひっくひっくとしゃくり上げ、ぼろぼろ泣いてる。
「あのさ」
「何、ひとみちゃん?」
「昨夜のこと、ちょっとは覚えてた?」
「え、あ…ぼんやりと…その、キ、キスとかしたよね」
梨華ちゃんは自分で言ってて、顔を赤らめてる。
「まぁ、キスもしたけどね」
苦笑いする。
「え!?あたし、他にも!?」
「愛の証はあとはあと
と自分の首のキスマークを指した。
梨華ちゃんは高熱を出した時の体温計のように、ぐんぐんと赤みを増してる。
「ご、ごめん!」
「ああいうのはちょっとアレだけど」
そう言って、彼女の手を握った。
「その…ああいうのは段階を踏んでっていうか…ごめん、うまくは言えないけど」
「う、うん!段階だね!段階!」
ぶんぶんと首を縦に振って、梨華ちゃんはまた顔を赤くさせる。
「行こ。スイカ割りするっつってるから」
「うん!」
ふたりで手をつないで、みんなのところに戻って行った。
327 名前:VACATION 投稿日:2002年08月26日(月)07時04分19秒

スイカ割りは、ウチが何故か目隠しされた。
棒を構えてそろそろと近づいていく。
「ひとみちゃ〜ん!こっちこっち〜!」
「ひとみちゃ〜ん!こっちこっち〜!」
「保田さん!梨華ちゃんのマネすんのやめてください!
キショイです!」
「んま!これはスマキ決定ね!」
「あっは!逗子の海に浮かぶんだ〜」
外野の声は無視して、イチバン信憑性のある梨華ちゃんの指示に従うことにする。
「ひとみちゃん、もっと右!そう!」
「吉澤〜!うしろうしろー!」
「エ?」
市井さんの声についぐるぐる回ってしまい、そのまま目が回ってズデーンと倒れた。
みんなの爆笑する声。
ああ、騙された。
目隠しを取ってスイカを確認すると、あとちょっとってトコだった。
あの『うしろうしろー!』がなぁ〜。
あたしがそのまま棒で割って、ノドも渇いてたのでみんなで貪るように食べた。


その後、ウチとごっちんと保田さんは何故か並んで寝かせられ、顔以外に砂を
かけられた。
「あっは!オナカに砂かかってくすぐったいよ〜!」
「なんでウチもなんスかぁ〜」
「アヤカ〜!覚えてなさいよ〜!」
それぞれのコメントにみんな笑う。
梨華ちゃんも笑ってる。
よかった。
やっぱ、泣いてるよりは笑ってるほうがいいし。
ウチら3人は仲良く砂をかぶって、通行人に笑われて恥ずかしい思いをした。
328 名前:VACATION 投稿日:2002年08月26日(月)07時17分33秒
「楽しかったね」
帰る時間になって、最後に砂浜を歩いた。
隣の梨華ちゃんは
「ごめんね」
とまた謝る。
「それはもうナシ。ホラ、いっぱい海を見とこうよ」
あたしは彼女の頭を抱き寄せる。
「…また来たいね」
「ウン」
返事する後ろで、
「まったくお熱いこって」
と市井さんの声が聞こえたが、無視することにした。

今度はふたりで来たいなぁ…なんて考えたことは内緒だけど。


帰りは市井さんの運転だった。
保田さんもだが、市井さんも結構運転が上手い。
ごっちんはやはり寝ていた。マサオさんも目をつぶっていた。
柴っちゃんはアヤカさんとロック談義に花を咲かせている。
それにたまに保田さんが参加する。
梨華ちゃんがふとこっちを見た。
にこっと笑って、
「飲む?」
とジュースを差し出す。
「あ、サンキュ」
受け取って、ひとくち飲んだ。
「間接キッスはあとはあと
柴っちゃんがすかさず茶々を入れる。
「いいじゃ〜ん。カップルなんだし〜」
「せんせーい!吉澤さんが開き直ってまーす!」
「ホホ!高速に立ってなさい!」
いや、死にますて。

みんな静かになった。
梨華ちゃんも眠ってる。
ウチはそっと、彼女の手を握って、幸せを実感してた。
329 名前:VACATION 投稿日:2002年08月26日(月)07時22分01秒
―――石川視点

「「ただいまー」」
ひとみちゃんと家の中に入って行く。
「おー。ブジ帰ってきおったか」
台所から、裕ちゃんたちが出てきた。
ちょうど夕食だったようだ。
「おかえりれすー!」
「うわ!梨華ちゃん、ますます黒なって!」
3人の姿を見たら、家に帰ってきたんだなー、とほっとした。
最後のあいぼんの台詞はちょっとヘコんだけど。
「いいじゃん、健康的で」
ひとみちゃんがあいぼんの頭をくしゃくしゃかきまぜる。
ああ、やっぱり優しいな。
つい見惚れてると、
「…吉澤、ちょっとこっちおいで」
裕ちゃんがひとみちゃんの腕を引いて、居間に向かった。
気になって、そっとつけてゆく。

「…梨華と、何かあったようやな」
ど、どうして分かったんだろ!?
あたしは居間のドアに耳をつけて、ぎょっとした。
「ハイ」
ひとみちゃんはすぐ答えた。
「最後の一線は越えてません。あたしは梨華ちゃんが好きです。
彼女もあたしを好きだと言ってくれてます。
梨華ちゃんと交際しようと思います」
裕ちゃんはしばらく黙ってたが、
「梨華をよろしくお願いします」
そう言って、頭を下げたようだった。
な、何か「娘さんをください」ってやつみたい…。
それでもすごく…うれしくて、ちょっと涙が出てきた。
330 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月26日(月)07時45分15秒
更新しました。
やっぱりやっぱり寝るごま。( ´ Д`)<ZZZZZ…

レスのお礼です。

>オガマーさん
( ´ Д`)<♪窓の雪〜
『卒業』の定番ですから(w ヨスコはまぁ、結局留年しましたが。

>クロイツさん
( `.∀´)<♪桃色のファンタジ〜 ウフッはあとはあと
レスになんとなくつづけてみますた。ヨスコは押し切られると弱い?

>オムらいっすぅさん
川‘.▽‘)||<♪愛の数だけ幸せがほしい 
あっちゃぁ。HN間違えてますたね。スマソ 市井ちゃん、飲むけど強くはないです(w

>HR−MSさん
川σ_σ||<♪ディンジャラス・ナイト
ここでの柴っちゃんのキャラがよく出てます(w 本物もダジャレ好きだそうですが。

>あおのりさん
(0^〜^0)<♪おーんなのこのいちばんたいせつなー(ry
まぁ、一件落着ということで(w 今の子供もあの歌、歌うんでしょうかね。

>ココナッツさん
( @▽@)<♪飲んで飲んで〜飲まれて飲んで〜
姐さんよりずっとタチ悪いです(爆 普段が普段ですから。お酒はホドホドに…。

>いしよしサイコ〜さん
ヽ^∀^ノ<♪じたばったすっるなよ 世紀末がく〜るぜ!
歌に大して意味はないです。酔ったいしかーさんはシラフの姐さんかも(w

>なっなし〜さん
( ´ Д`)<♪なーぎさのバルコニーで待ってて〜
やっぱり歌に意味はないです。最後にやすし師匠ネタでオチてくだすってありがとうです。
331 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月26日(月)08時04分47秒
・夏の思い出

ヽ^∀^ノ<ごとう!カブトムシとりに行こうぜ!ユウベミツヌットイタ(市井・小1)

( ´ Д`)<まって〜!いちーちゃん!(後藤・幼稚園年中組)

((( ´ Д`)<ん、んあ!

ヽ;^∀^ノ<あ!コケル!

    ズッデーン!
((( ´ Д`)<…う

ヽ;^∀^ノ<(な、なくかな?)

( ;´ Д`;)<んあ…

ヽ;^∀^ノ<な、なくなよ!かえりにだがしやで「うまいぼう」かってやるから!

( ;´ Д`;)<んあ…(イタイ…)


( ´ Д`)<うめジャムとカレーせんべいもたべたい ヽ;^∀^ノ<わかったよ




332 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月26日(月)09時32分08秒
酔っ払った時にしちゃった、あんまり覚えてない事を、後で他人からきく恐怖・・・。
痛い程わかりますよ〜、梨華ちゃん・・・。でも、そんな梨華ちゃんも大好きだー!!
そしてヨッスィー、やっぱり男前でナイスですね〜。ヤッスーの言動にも笑わせて頂いてます♪
よく食べるごっちんもキュートですねぇ☆
続き、楽しみです!
333 名前:オガマー 投稿日:2002年08月26日(月)10時21分19秒
飲む?って聞かれたぁーい!聞かれたぁーい!(私寝起きです@氏
ヤッスーがいい。ワロタw
後、ほんといーよ、ごまさん。もうこの世界観全てが大好きですw
334 名前:オムらいっすぅ 投稿日:2002年08月26日(月)18時23分28秒
いえ、私も自分で間違えたんで…(爆

ごっちんやよっすぃと一緒に埋められる圭ちゃん萌え〜(w
圭ちゃんのセリフでは毎回笑わせられます。
でも案の定、やっぱ市井ちゃん…(しつこいですか?w
みんなイイ感じに変ですよね、いしよしも含めて(w
335 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月26日(月)19時22分02秒
(;0^〜^)<梨華ちゃんやっぱ覚えてなかったのね・・・

心配したとおりでしたな、ごまさん!(笑)
でもさすがはよす子さん。ジェントルメンです!
ゴメン・・・(T▽T; (´〜`O)ソレハモウナシネ!
何気に梨華ちゃんの頭を抱き寄せて海見るシーンに感動した私。
そこでの市井さんのひと言、相変らず笑えます♪
ヽ;^∀^ノシカトカヨ!アイツラ・・・
( ´ Д`)ンア?ソットシトキナヨ。

久々にごまさんのAA劇場も出ましたね!
やっぱプロは一味ちゃいますな。おもしろ〜い♪

336 名前:吉★石 投稿日:2002年08月26日(月)22時48分38秒
毎回楽しみに読ませて頂いてます。梨華ちゃんもよっすぃ〜も純粋で初々しくて大好きです。最後の一線を越えない微妙な感じ…ドキドキしました。
337 名前:ベリィ 投稿日:2002年08月26日(月)23時47分21秒
>( `.∀´)<ホホ!高速に立ってなさい!
>(;0^〜^)<いや、死にますて。

スバラシイですね。いつもながら大笑いしてしまいました。
ホントにそんけ〜します〜w私には逆立ちしたってこんなに
スバラシイ表現は思いつきません…。(;_;)

告白して数日で保護者に挨拶しちゃうよすぃこイイ!(笑)
(0`〜´)<御嬢さんを下さい!!
( T▽T)<ひとみちゃん!
( ` ◇´)<ええで!
从 #~∀~从<いや,アンタが答えんのかいな!
( ‘д‘)<しかもひとつ返事やで。

初☆顔文字コメント(?) …もぅ関西弁忘れかけてますw
338 名前:ココナッツ 投稿日:2002年08月27日(火)06時27分45秒
自分もベリィさんと同じく、先生ネタウケました!
ふと思う、ヤッスーセンセの授業…受けたぁい!!
廊下だろうが高速だろうが立ってます(爆
339 名前:VACATION 投稿日:2002年08月27日(火)18時33分30秒
―――吉澤視点

次の日。
「おはよーございまーす」
ウチは朝早く台所に降りてった。
適当に荷物を詰めたカバンを持って。
今日から実家に帰る。
夕方くらいにバイトが上がるので、そのまま帰る予定だ。
「おう、早いな。今日はまだ休みちゃうんか」
何か炒めてる中澤さんが振り向く。
「イエ。店は休みですけど、何かとやることがあるんで。
ウチもバイトすんだらチョクで実家帰りますし」
「おー、そうやったな。梨華が寂しがるのう」
「そんなことないよ」
梨華ちゃんが台所に現れた。
「お盆だし、お家に帰らないと、ひとみちゃんの家族の人も寂しがるよ」
「ほー。なりたてホヤホヤのアベックやのに」
中澤さんはニヤニヤしながら、テーブルに出来上がった料理を載せた。
それより、『アベック』て…。
ヒサブリに聞いたよ。
「メールとかするから」
こそっと囁くと、
「ウン」
うれしそうに梨華ちゃんは笑った。


朝食後すぐ、アベ楽器店に行った。

「さて、たまってる用事をさくさく片付けるっしょ!」
なっちさんは笑って腕まくりをする。
仕事の後、なっちさんも今日飛行機で北海道に帰る。
家族でのんびり過ごすらしい。
「よっすぃ〜もお墓参りとか行くんだべか?」
「エエ。しないと母とかうるさいですから」
どこの親御さんも同じだべなぁ、となっちさんは苦笑した。
340 名前:VACATION 投稿日:2002年08月27日(火)18時36分17秒
昼過ぎ、
「出前れ〜す!」
と、ののが現れた。
「あれ?どしたん、のの?」
ウチはエプロンで手を拭いて出て行った。
「あ、なっちが出前頼んだんだべ。ののちゃん、ありがとね。いくら?」
「矢口しゃん特製スペシャル弁当、おふたつで200円れ〜す!」
「「安っ」」
あたしとなっちさんは思わずハモってしまった。
「それは冗談とかじゃなくてホントだべか?」
「へいっ。矢口しゃんはそう言ったれす」
ののが胸を張って言うので、なっちさんはとりあえず財布から200円出した。
「あ、ウチ自分の分、払います」
「いいっしょ、いいっしょ。店は休みなのに来てもらってんだから」
なっちさんはウチを押しとどめて、ののにお金を渡した。
「へいっ、毎度ありれす!」
お金を受け取ると、ののはさっさと店を出て行った。
時間的に、今は『タンポポ』も混むのだろう。
「とりあえず、お昼にするべ」
「ハイ、頂きます!」
冷蔵庫からなっちさんがペットボトルのお茶を出してきた。
テーブルの上を片してお弁当を広げる。
『矢口さん特製スペシャル弁当』は、ちょっとした駅弁に負けないくらい豪勢だった。
「ハハハ!手紙がついてるっしょ!」
メモを手にして、なっちさんが笑った。
ウチも見せてもらう。
それには、
『(〜^◇^)<ヤグチ特製スペシャル弁当作れって、なっち人使い荒すぎだっちゅーの!
        キャッハ!
        よっすぃ〜もオツカレサマ!暑いけどガンバレ!』
と書いてあった。

341 名前:VACATION 投稿日:2002年08月27日(火)18時40分22秒
ああ、ホントにこのふたりは仲いいんだなぁ。
読んでて、なんかほのぼのしてきた。
「あ!矢口、カニクリームコロッケなんか入れてるっしょ!豪勢だね〜!」
「エ?マジっすか?うわ!すっげー!」
矢口さんの心づくしのお弁当を、ふたりで味わって食べた。

4時ごろには、大方仕事も片付いた。
「お疲れ様。よっすぃ〜、今日はもう上がっていいべさ」
「え、いいんスか?」
「うん。なっちもそろそろ飛行機の時間だべ」
店を閉めて、ふたりで駅に向かった。
途中まで同じ方向なので、一緒に電車に乗り少し話をする。
「矢口も後から北海道に来るんだべ」
「へぇ。いいっスね」
「ウン。なっちの両親が、矢口の話したら、1回連れて来いっていうからさ」
「え…それって」
「まぁ、『紹介』ってヤツかな」
なっちさんは照れくさそうに笑う。
いいなぁ。
何か自然で。
ウチもいつか、梨華ちゃんを連れて、とかちょっと妄想に走ってしまう。
「…何ニヤニヤしてるんだべ」
なっちさんは怪訝そうにウチの顔を覗き込んだ。
「あ、いや、その…」
「よっすぃ〜も1日も早く、埼玉のご両親に梨華ちゃんを紹介するといいっしょ!」
…バレてる!しかも何で知ってんの!?

なっちさんの説明によると、それは『Y田Kさん』という人物によって、朝のちょっとした
立ち話から知ったらしい。
「一線も越えたんだべか?」
「…越えてません!!!」
電車の中で、ウチは真っ赤になって否定した。
342 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月27日(火)19時02分18秒
更新しました。
(・ ´ー`)<で、いつ挨拶に連れて行くんだべか? (^〜^0;)<え、あ、いやその…

レスのお礼です。

>クロイツさん
(#T▽T)<も、もうハナシを聞いた時は…!
ごまさんは朝から3人前は軽くいきます。よっちぃは心の広いナイスガイなのれす。

>オガマーさん
( `.∀´)つ日<フフ!飲む?
毒は入ってないと思われ。いやいや、どうもありがとうございます。照れますな(w

>オムらいっすぅさん
( ´D`)<ののがいちばんまともなのれす
コイツの発言はムシしてください(w 「みんなヘン」はツレにもゆわれますた(w

>いしよしサイコ〜さん
ヽ^∀^ノ<ちょっとうらやましかったり…
プロではないですけどね(w 喜んでいただけたら、幸いでございます。

>吉★石さん
(;0^〜^)<梨華ちゃん、ダイタンだったよほ… ココダケノハナシ
初レス、ありがとうございます。フツーに終わるのは面白くないのでああしますた(w

>ベリィさん
( ‘д‘)<へーけさんがなんらイワカンなくなじんでるな!
褒めていただいてどうもです。うれしゅうございます。ミチャーソに爆笑。イイ感じです。

> ココナッツさん
( `.∀´)<ホホ!それじゃ授業を始めるわよッ!1ジカンメハヤスダガクヨッ!
どうしてこんなショボネタばかり思いつくんだろ、と自分ではちと悲しいのですが(w 喜んで頂けたのなら、幸いです



343 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月27日(火)19時09分19秒
・石川梨華、ウッカリ失言スルノ巻

生まれて初めて無声映画を観た梨華…

( ^▽^)<ババァ、なんどきだ! チョットマネシタ

( ^▽^)<ババァ〜、なんどきだ! ア、ウマクイエタ!

从 #~∀~从<11時半や

(; ^▽^)<あ…

从 #~∀~从<『ババァ』か… ニヤリ

(; ^▽^)<あ…


344 名前:肩身 投稿日:2002年08月27日(火)19時14分18秒
19時14分です。
345 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月27日(火)21時36分17秒
「Y田Kさん」に思わずトキメいてしまいました。
しかもいしよしラブラブ!!嬉し過ぎます!!
梨華ちゃんに送るメールを作成する吉澤さんを想像するだけで、ちょっと幸せv
続き、期待しております!
346 名前:ポー 投稿日:2002年08月27日(火)23時00分39秒
はぁ〜、やっぱりうまいですね。ごまべーぐるさんサイコー!!
よっすぃ〜と梨華ちゃん、かわいいっす。
これからの二人に期待大!!
それと、市井ちゃんとごっちんのこれからが気になるところ・・・。
がんばってください。
347 名前:あおのり 投稿日:2002年08月28日(水)00時51分57秒
ひと夏の体験編(?)終わりましたね。(体験は未遂でしたが)
よしいしにとっていろんなことが起こったサマーバケーションでした。(体験は未遂でしたが(←しつこい)
読んでいて思わず「真夏の光線」が聞きたくなってCDをかけてしまいました。
「あーこの夏ーはーあなたーがいーるー寂しくなーい、エンドレスエンドレスサーマー!」
脳内ではこの曲をバックによしいしが手をつないで砂浜を走ってます。

とりあえず彼女の保護者からはOKが出たのであとはよちこ次第。
帰省先からどんなメールを送るんだろう。想像してカナリドキドキ!
348 名前:オガマー 投稿日:2002年08月28日(水)01時00分33秒
最後の顔文字劇場、タイムリーでワロタww
電車でニヤけてるよっすぃ〜に一票!(謎
なんかかわいらすぃです。
なちやぐもかぁいいw
何気に料理の上手い矢口萌えw
349 名前:ココナッツ 投稿日:2002年08月28日(水)18時30分37秒
ヤッスーの影がこんな所にまで忍びよる…!!
ヤッス―――――!!抱い(r …って言いませんよ。
よっすぃー今すぐ親んトコ連れてってご紹介しなさい!
350 名前:Summertime 投稿日:2002年08月28日(水)21時11分39秒
家に帰るなり、弟たちがケンカしてた。
原因は、夕食のカツカレーのカツの量らしい。
「いい加減にしな!ホラ、姉ちゃんのやるから」
まだぐずぐず言ってる末の弟の皿に、カツを載せてやる。

『ウチ帰るなり、弟たちがカツカレーのカツの量でケンカしてやんの。
バカっしょ〜?姉ちゃんは、苦労するよ。トホホ(ToT)』

ちょっと彼女に送るメールにしては色気が無さすぎかな、とも思ったが、
まぁ、いいかと送信する。

ごはんの後、地元のツレと飲みに行った。
「今日はお泊りね」
とまだ何も言ってないのに、母さんに確認される。
「ヨソ様のお宅でご迷惑かけるんじゃないわよ〜」
と送り出された。

『ひとみちゃんの弟ってカワイイんだろうなぁ〜。
実家でのんびりしてきてねはあとはあと

いや、カワイクないんだけどね(苦笑)。
梨華ちゃんに、

『今から地元のツレと飲みに行きまーす。
酒豪ぞろいだから、メチャ飲まされるっス』
と返事を送り、待ち合わせ場所に向かった。
351 名前:Summertime 投稿日:2002年08月28日(水)21時13分56秒
案の定、その夜もガンガン飲まされた。
7杯目のカンパイくらいからワケ分かんなくなってきて、結局オールで飲んだ。

明け方に家に帰り、そのまま寝るのもなんだし、とチャリでお墓参りに向かう。
花の用意がないので、途中、自販機で缶入りのお茶だけ買って墓地に行った。
さすがに誰もおらず、時計を見ると6時過ぎだった。
柄杓でバケツの水をお墓にかけ、お線香に火をつけて手を合わせた。
すでにウチ以外の家族はお墓参りを済ませてて、花も替えたばかりで新しい。
さっき買ったお茶を供えて、墓地を後にした。

近所の広場のそばを通ると、子供がラジオ体操してた。
下の弟が隅っこにいて、ふと目が合ったので、
『グッレイト!』と親指を突き立てると、フツーに無視されて悲しかった。

朝ごはんの後、どうにも眠くなり、そのまま居間で寝てしまった。

目が覚めると2時前だった。
のそのそ台所に行くと、ウチの分のそうめんが食卓カバーをかけて待っていた。
ずるずると啜り、することもないので片付けた後近所の散歩に向かう。

畑の近くをほてほて歩いていると、お隣のおばあちゃんが畑の中で作業してた。
352 名前:Summertime 投稿日:2002年08月28日(水)21時16分30秒
「おばーちゃーん!」
声をかけると、
「あれ?ひとみちゃんかい?」
と疑問符つきで返ってきた。
「そう、ひとみだよー!何してんのー、手伝うよー!」
あたしも畑の中に入って行って、収穫を手伝う。
「東京はどう?」とか、「すっかり娘さんらしくなって。いいひとできたの?」とか
質問責めにされる。

作業の後、食べてもいいよと言われたので、その場で取ったばかりのトマトを
半ズボンの膝にごしごしこすりつけて齧る。
青臭い太陽の味が、口の中に広がった。
喉に温かい果汁が落ちていく。
ああ、うめーなーと堪能してると、
「ひーちゃんー?」
と今度はウチが声をかけられた。
「あ、あややじゃん!」
あややはショートカットの女の子と一緒だった。

おばあちゃんにさよならを言い、あたしはすぐにふたりのところに行く。
「友達?」
とショートの女の子の方を見て言うと、
「初めまして。藤本美貴です。お話はよくうかがってます」
とその子は頭を軽く下げた。
「あ、ども。吉澤です」
誘われて、あややの家に3人で向かった。
353 名前:Summertime 投稿日:2002年08月28日(水)21時18分22秒
「あのさ」
台所でお茶の支度してるあややに、ウチはこそっと
「この前行ってた彼女って…あの子?」
と聞いてみた。
「そ。かわいいっしょ?」
「ウン。いい感じじゃん」
「フフッ。妬いてる?」
「いや…妬くっつーかさ、何か花嫁の父な気分」
「何それー。ひーちゃん、ヘンだよー」
そう言ってあややは笑う。
いや、そう言うけどね。
幼なじみとしては色々心配なワケよ。
居間に戻ると、藤本さんはニコニコして座っていた。
「あ、その。甘いもの好き?」
「ハイ」
「んじゃ、これ。ウチで作ってるヤツだけど、最中どうぞ」
さっきちょっと家に戻って取ってきた最中を渡す。
初対面でいきなり最中渡すヤツもヘンかなぁ。
「ありがとうございます〜」
彼女はとてもうれしそうに受け取った。
よし、合格。
て、何がだよ!と思わず自分でツッコんでしまった。

その後は、カップルのアツアツぶりに当てられっぱなしになりながら、お茶を飲んだ。

その夜に梨華ちゃんに送ったメール。

『幼なじみのあややとその彼女のアツアツぶりに、ヨシコあてられっぱなしッス。
早く梨華ちゃんに会いたいよう』
354 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月28日(水)21時42分24秒
更新しました。
タイトルはガーシュインの有名なジャズナンバーより。
あやや、ヒサブリの登場。花嫁の父なヨスコ。
(;´〜`0)<♪嫁に行く日が来なけりゃいいと〜

レスのお礼です。

>肩身さん
(0^〜^0)<時間ピッタシ!カッケー!
初レスありがとうございます。サスガです、ぴったりジャストタイム。(0^〜^0)<すんげぇ〜!

>クロイツさん
( ■.∀■)<ホホ!アリガト!(Y田Kさん(東京都・23歳))
ビミョーなラブラブメールなのがミソです。(0^〜^0)<Y田Kさん、近所のオバチャンみたい

>ポーさん
(* ´D`)<てれるれすよ
市井ちゃんとゴチーンはまぁ、ぼちぼちと…。ヽ;^∀^ノ<ぼちぼちしすぎだっつーの!

>あおのりさん
( ^▽^)<キャッ!ステキ!
早速聴いてみますた。いい感じです。ちなみにこの時は『DIN』聴いてますた。( ´D`)<♪やくそくのくちづけを

>オガマーさん
(〜^◇^)<キャッハ!あんがと!今度店に食べに来てよ!
なっちのハートを射止めたのはそれ故なのれす。(*´ー`*)<顔もめんこいべ!

>ココナッツさん
( ■.∀■)<ホホ!何のコト?アタシはY田Kよッ!
よちこは照れ屋さんなので、なかなか自分の親には言い出せないでしょうね。( ^▽^)<紹介して♪
355 名前:登場人物紹介 投稿日:2002年08月28日(水)21時52分20秒
ゝVvV丿:藤本美貴(18)。北海道出身。あやゃの彼女。あだ名はミキティ。
     あやゃとは短大で知り合った。かなりラブラブの模様でヨスコもあてられっぱなし。


ゝVvV丿<吉澤さんってカッコいいですね〜。あやゃが言ってたとーり!

(0^〜^)<あ、ありがと。 アヤヤノヤツ、ナニハナシタンダロ

从‘ 。‘从<ふたりともナニ緊張してんのー? トクニヒーチャン

(;0^〜^)<エ、イヤ、ベツニ(なんだろ?この感じ?)

从‘ 。‘从ゝVvV丿キャッキャッ!

(0^〜^)<…… オオキクナッタナァ
356 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月28日(水)22時30分54秒
らぶらぶメールの内容に、思わず顔がほころんでしまいました。
よしこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!可愛い!!可愛すぎる〜〜〜〜!!!
ああ、梨華ちゃんとの再会シーンが楽しみです♪
357 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月28日(水)22時42分26秒
ごまさん更新乙です。
今まとめて2日分読ませてもらいますた!
いつの間にか『吉澤さん・帰郷編』になってるんだね。
てか、ごまさんの更新の早さに毎度ビックリ!!
マンネリにもならず、いつも旬な上に新ネタでくるから・・・凄いっ!
梨華ちゃんにラブラブメールする吉澤さん、(・∀・)イイ!!
ごまさん今夜も美味しい いしよし見せてくれてゴチです♪

P.S 笑えるAA劇場の復活、何気に私は嬉しいよ〜ん(w グー♪(^▽^)d
 
 
358 名前:名無し29歳 投稿日:2002年08月28日(水)23時14分07秒
更新ありがとうございます(w
疲れた私の栄養剤となっておりますこのお話。
毎回楽しみでございます。

よしこ帰郷編で思い出すこと。
バスで帰郷する「よしこ」さん。母の「おかえり。電車、座れたか?」で終わる
何の宣伝だかよく分からない超ローカルCM。
知ってる人いるかなぁ(w
359 名前:オガマー 投稿日:2002年08月28日(水)23時36分31秒
ヤグに誘われたwナッチに同意w
よすぃこ帰郷編いいス。
トマトのとこなんて雰囲気伝わりまくり!
よすぃこのメールを読んだ梨華たんをそうぞうして…(´ー`*)w
360 名前:Summertime 投稿日:2002年08月29日(木)20時58分37秒
次の日。
朝食に降りてったら、お母さんが
「あら、早いわね」
と振り向いた。
「ウン。あややと約束してるし」
「出かけるの?」
「あややん家に来てる友達が北海道帰るから、ドライブも兼ねて送るんだって」
「気をつけて行くのよ」
「ウン」
出された牛乳をごくごく飲む。
食卓には、ゆで卵入りの野菜サラダが中央に置かれてた。
「そうそう。あんた、昨日お隣のおばあちゃんの畑仕事手伝ったんだって?
夕べ、お礼だってそこのトマトとキュウリくだすったのよ」
「そうなんだ」
トマトは瑞々しい切り口をこちらに見せていた。
「ウチ、畑で食べさせてもらったけど、味が濃くておいしかったよ」
「そう。よかったわね」
やがてお父さんや弟達も降りてきて朝食となった。


あややの家に行くと、彼女たちはすでに支度を終えていた。
「ひーちゃんも来たし、そろそろ出かけますか」
あややの運転で、羽田に向かう。
「朝早くスイマセン」
美貴ちゃんが頭を下げた。
「いやいや。せっかく仲良くなったんだし」
「そうそ。美貴はひーちゃんとゼッタイ気が合うと思ったんだー」
ハンドルを握るあややは、さすがにちょっと寂しそうだった。
いくら新学期に彼女とまた会えるといっても、別れには違いない。
ウチもすでに梨華ちゃんが恋しくなってるし。
「また遊んでくださいね」
「ウン」
あたしと美貴ちゃんは、笑ってお互いの顔を見た。
361 名前:Summertime 投稿日:2002年08月29日(木)21時01分28秒
「そろそろ行くね」
搭乗時間が近づいた。
「お世話になりました。亜弥もまたね」
美貴ちゃんは手を振って、行ってしまった。
あややはいつまでも手を振ってる。
もう姿が見えなくなった時、
「…ゴハンでも食べて帰ろっか」
ポツンと言った。
その場から去ろうとすると、
「あれ〜?吉澤〜?」
聞き覚えのある声がした。
振り向くと、飯田さんがボストンバックを肩から提げて歩いてきた。
「あ、飯田さん。どしたんですか」
「今札幌から帰ってきたトコ。友達?」
隣のあややを見て言う。
「あ、はい。幼なじみです。あやや、うちのご近所の人で飯田さん」
「初めまして。松浦です」
「あ、どうも。飯田です」
とりあえず、3人で食事することになった。


「いやー。亜弥ちゃんってカワイイね〜」
飯田さんがオヤジのようにしみじみ言った。
「吉澤にはもったいないよ」
あややは吹き出して、ウチはずっこける。
ウチらは和食の店にいた。ここが比較的空いていたから早いだろうと入ったのだ。
「石川が妬くぞ〜」
「そうっス…かねぇ?」
「イシカワさんって誰?」
あややが興味津々という風にウチの顔を覗き込む。
362 名前:Summertime 投稿日:2002年08月29日(木)21時13分00秒
「いや、その…なんてーか」
もじもじしながらカバンからハンカチを取り出そうとすると、パスケースが転がり出た。
「ひーちゃん、何か落ちたよ」
あややが拾い上げる。
「ナルホド」
すぐさま、ニヤッと笑った。
「このひとが『イシカワさん』ね」
うかつだった。パスケースの中に…梨華ちゃんの写真を入れてた。
この前、海でスイカ割りをしてみんなで食べた時のだ。
後ろから声をかけて振り向いた時のを撮った。
それを気に入って、こそっとパスケースに忍ばせてたんだけど…。
「カワイイじゃん!ひーちゃんにはもったいないよ!」
「ねー。こん時にラブラブになったんだって」
「飯田さん!それ保田さん情報でしょ!!」
「後藤も楽しそうに話してくれたよ」
あ〜!どーして話好きの近所のオバチャンみたいな連中ばっかなんだよ〜。
「このひと、スタイルもいいね〜。ひーちゃん、面食いだったんだ〜」
「…ちが!確かに梨華ちゃんスタイルいいけど!」
「吉澤、素直になれよ。実はオッパイ星人なんだろ?」
何言ってんスか!飯田さん!
「ホントだ〜。胸もおっきい〜。ひーちゃん、スケベ〜」
「あややまで!てか、そういう目で梨華ちゃんを見ないでください!」
「じゃ、吉澤はどういう目で見てんだよ〜」
「どういうって…」
そりゃ、梨華ちゃんナニゲに胸おっきいし、潤んだ目で反則な上目遣いすっけど…。
「いや、優しい子だから…性格にもホレたっつーか」
ふたりは一瞬シーンとなった。
そして声を出さずに肩を震わせて笑った。
363 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月29日(木)21時30分06秒
更新しました。
本日の特別出演:いいらさん

( ゜皿 ゜)<オパーイセイジン!(0^〜^0;)<う〜 从‘ 。‘从<ヒーチャン、スケベ!

レスのお礼です。

>クロイツさん
( *^▽^)つ¶<…ひとみちゃん オトウトガカツデケンカシタノネ
「会いたいよう」ですからね(w 今回はいいらさんとあややにいじられてます。

>いしよしサイコ〜さん
从 #~∀~从ノ<ホンマに梨華のヤツ、携帯握り締めてニヤニヤしてからに!
とか言う姐さんもしっかりミチャーソとラブラブメールを送り合ってるのれす。

>名無し29歳さん
( ´D`)<ありがとうれす。こんなアフォなものでいやせたらうれしーのれす
そのCMは知りませんが、どこのローカルCMなのでしょうか?「ヨシコさん」がツボ(w

>オガマーさん
(0^〜^)<トマト丸かじり、ウメーYO!
子供の頃は、よくこうして食べますた。ラブラブメールはふたりともニヤケながら送り合ってるでしょう。
364 名前:オガマー 投稿日:2002年08月29日(木)21時39分00秒
ひーちゃんのスケベー!
(;0^〜^)<いや、だからウチは…

ニヤけながら読みますたw
365 名前:あおのり 投稿日:2002年08月30日(金)01時48分17秒
故郷に帰っていきなり弟達の喧嘩。
いつもいるときはむかつくけど久しぶりに帰ってきて見ると
「帰ってきた〜」という気になりますよね。
こういうところを書けるごまべーぐるさんはすごいな〜と感心します。

吉澤さんそんな写真をいつの間に。
それもしっかり肌身離さずもっているとは・・・・
メールのやり取りも「これでもかっ!」という内容だし
初手からバカップル全開な二人の行方が楽しみです。
オパイ星人ガンガレ!
366 名前:いしよしサイコ〜 投稿日:2002年08月30日(金)02時28分31秒
このHNとも今夜でお別れです。
ごまさん、いつも楽しい更新ありがと〜♪
この作品に出て来るキャラ、みんな特徴をとらえてるし
何より温かい感じが大好き。
今後も更新 楽しみにしてまっせー♪ (●´ー`●)オウエンシテルベサ!

ごめん、ちょっと泣けてきたかも・・・やべっ!
367 名前:ココナッツ 投稿日:2002年08月30日(金)06時17分55秒
よしこぉー、せんせーに言いつけるぞぉ〜?(w
やっぱいしよしはラブラブが合ってますね。
368 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月30日(金)10時21分48秒
のろけるヨッスィーの顔が見てみたい!!
あややと飯田さんの仲間に入りたい!!
私もいじりた〜いっ!!!

更新、楽しみにしてます!!頑張ってくださいね☆
369 名前:Summertime 投稿日:2002年08月30日(金)12時24分51秒
「そうか、そうか。性格にホレたのか〜。ヒューヒュー!お熱いこって」
「ひーちゃん、サッスガ〜!」
飯田さんとあやや、ダブルで冷やかされ、あたしは情けない思いをしながら、
冷やしうどんをすすった。

その夜はあたしが明日東京に戻ることもあり、家族でファミレスへ行った。
弟たちははしゃいでいる。
特に下の弟は、「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」とうるさい。
「もちっと静かに食べろよ〜。他のひとに迷惑だろ〜」
と、一応姉らしく注意するが、満更でもない。
帰りに、本屋で弟たちにマンガを買ってやった。
普段離れてるから、こういう時ぐらいしか、姉らしいことをしてやれないし。

寝る前に、梨華ちゃんに電話をかけた。
『明日は神奈川へお母さんのお墓参りに行きます。柴っちゃんも一緒に行くの。
帰りに、中華街とか行こうって言ってる』
ってメールをもらって、返事を送る代わりに携帯に直接かけた。
というか、声が聞きたかったんだけど。
「ハイ。ひとみちゃん?」
すぐつながった。
「あ、梨華ちゃん?あ、メールありがとね。元気?」
「うん、元気だよぉ。あのねー、あいぼんがカキ氷食べすぎでオナカこわしたんだよ〜」
余計なコト言うな!って背後であいぼんの声が聞こえた。下の居間にいるんだろうか。
「はっはっは!バカだね〜。あ、ウチ明日帰るね。夕方くらいになるけど」
「ホント?楽しみにしてるね」
弾んだ声を聞いたら、こっちまで嬉しくなった。
「あ、おみやげ何がいい?」
「え、いいよぉ〜。そんな気を使わないで」
「遠慮するなよ〜。何?何でも言ってよ」
「え、じゃあ…ひとみちゃんがいいなはあとはあと
370 名前:Summertime 投稿日:2002年08月30日(金)12時27分54秒
キャッ!って声が聞こえた。
後ろで中澤さん他、ちびっこふたりの爆笑する声。
キャッ!ってご丁寧にも、ちびっこはダブルでマネしてる。
きっとぶりっこみたいなポーズを取ってるんだろう。
目に浮かぶようだ。
「あ、あはは…分かった。売ってたら買ってくるよ」
ウチも恥ずかしくて、それしか言えなかった。
よっすぃ〜何で電話かけてきてん!と、あいぼんのツッコミが聞こえる。
「あ、ゴメンね。ひとみちゃん」
「いや、その…寝る前に梨華ちゃんの声が聞きたかったつーか…ハハ」
「あ、ありがとう…嬉しかったよ。気をつけて帰ってきてね」
「ウン。明日柴っちゃんと神奈川行くんだよね。楽しんできてね」
「うん。柴っちゃんに何か伝言ある?」
「そうさね〜。『オヤジ』ってゆっといて」
「アハハ!分かった〜。それじゃ、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
名残惜しかったが、電話を切った。
電話を切った後は何故か寂しい。
だからウチはあんましかけないんだけど。
それでも、あの声が無性に恋しくなったのだ。

携帯を床の充電器に立てて、ベッドにごろりと横になった。
すぐメールが届いた。
立て続けに2件。

『ひとみちゃん、電話ありがとうはあとはあと
 スッゴクうれしかったよ!また明日ねはあとはあと りか』

『オホホホホ!実家でエンジョイしてる?
明日、おたくの奥さん借りるわよ。一緒にお母様のお墓参りに行くのはあとはあと
やっぱり、あの美少女を生んでくださった事にお礼を言うのがスジってモンだしはあとはあと
ま、帰りに中華街で肉まんでも食べてくるわ!罪を憎んで人を肉まん、ナンチャッテ!』

371 名前:Summertime 投稿日:2002年08月30日(金)12時33分24秒
…寒っ!
柴っちゃんへの伝言に、『ギャグが寒い』ってのもつけ加えておくべきだった、ってのを
ちょっと後悔した。

いよいよ帰京の日。
朝から自分の部屋を掃除し、シーツとかも洗濯した。
またお隣さんから、野菜をいただいた。
おばあちゃんが体に気をつけて、と言ってくれ、うんうん頷いた。
おばあちゃんも、と言って、肩にそっと触れた。

夕方、荷物をまとめて家を出た。
お母さんが中澤さんに渡せと、お隣さんの野菜とうちの最中、そうめんやらを持たせた。
「ご迷惑かけるんじゃないわよ」
「はいはい」
母さん、そればっかだな。
でも、ヒサブリに母さんに小言を言われるのが、ナンカうれしかった。
「ひーちゃーん!」
あややが向こうから手を振って走ってきた。
「おー!あややじゃん!」
「ごめんねー、ひーちゃん!これからバイトだから送れないけど」
「いや、いーよ、いーよ。美貴ちゃんと仲良くな〜」
「うん。ひーちゃんも!」
幸せになんなよ!と、思いっきしバーン!と背中を叩かれた。
「イテー!たく!覚えてろよ〜!」
笑って、手を振って別れた。
「ひーちゃん!また遊んでよ〜!」
「おう!」
背中の荷物を担ぎ直し、駅に向かった。


中澤家に戻ると、7時過ぎだった。
「よっすぃ〜!」
ののが、玄関に入るなり飛びついてきた。
「おう!ヒサブリ〜!」
抱っこして、おとーさんみたいに抱き上げる。
「あ〜あ。ソレする相手間違ってんで」
と、あいぼんは呆れ顔。
「ハハハ。まだ帰ってきてへんからな」
中澤さんは笑う。


372 名前:Summertime 投稿日:2002年08月30日(金)12時36分31秒
「あ、ただいま帰りました。これ、うちの母からです」
みやげ一式を渡す。
「おー。いつもスマンな〜。お母さんによろしゅう言うといてな。
お、エライ新鮮そうな野菜やないの」
「あ、お隣のおばあちゃんから頂いたんです。おすそ分けっす」
お隣さんにもお礼言うといてな、と言われ、頷いた。

ゴハン食べ、と促され、台所に向かう。
みんなで食事してると、
「ただいまー」
イチバン会いたかったひとが帰ってきた。
「あ、ひとみちゃん!帰ってるんだね!」
靴を見て分かったんだろう。てか、ウチこの家の中でイチバン靴のサイズでかいし。
「たっだいま〜!」
お箸を置いて、ぶんぶん手を振る。
「おかえりなさい!」
あ〜。やっぱ、カワイイなぁ〜。
デレデレしてると、
「あいぼん、あついれすね〜」
「ホンマにな〜!最高気温60度や!」
60度て!お茶に適した温度じゃねーかよ!
いや、そうじゃなくて。
ちびっこはニヤニヤしてウチらを見る。
途端に恥ずかしくなって、そそくさとゴハンに戻ってお箸を動かした。


2階に上がって、
「元気だった?」
梨華ちゃんに聞かれた。
「ウン。あ、そうだ」
「なぁに?」
ぎゅっと抱きしめた。
「おみやげ」
耳元で囁く。
「おかえりなさい」
口づけは、とても甘かった。
373 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月30日(金)12時50分28秒
更新しました。
(;0^〜^0)つ¶<オヤジギャグ炸裂! 川σ_σ||つ¶<♪〜

レスのお礼です。

>オガマーさん
( ゜皿 ゜)<モットイッテヤッテ!
ひーちゃん、今回もいじられっぱなしです。ちびっこらにもさんざんからかわれ。

>あおのりさん
(*^〜^)つ□<この梨華ちゃん、すっごくカワイク写ってるんだYO!
私自身はひとりっこなんで、ああいう風景は憧れなんですよ。田舎ってのもないし。

>いしよしサイコ〜さん
( ^▽^)<サヨナラは言いません…また会えるだろうから
温かい応援いつもありがとうでした。またいつでも遊びに来てくださいね。

>ココナッツさん
(;0^〜^)<エー?オイラ、ナンニモしてないよほ…
帰るなり、ラブラブなふたりれす。( `.∀´)<たく!ふたりとも多摩川に立ってなさい!

>クロイツさん
( ゜皿 ゜)<オナカマ、オナカマ!ジャンジャンイジッテ!
応援ありがとうございます。でれでれするよっちぃは顔ゆるみっぱなしです。
374 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年08月30日(金)13時08分27秒
・ラストスパート

8月31日、朝10時…

ヽ;^∀^ノ□<ひー!宿題まだぜんぜんやってねー!ドリルモマッシロ!(市井・小5)

( ´ Д `)<んあ〜。いちーちゃん、宿題手伝ったげる(後藤・小3)

ヽ;^∀^ノ<お、おう!すまねーな!

( ´ Д `)<自由研究はごとーやったげるね〜 テヅクリエンチョウコード

      ジュー
( ´ Д `)つ━<♪んあ〜 

ヽ;^∀^ノ<て!ハンダづけて!(オマエなんでそんな本格派なの!?)

ヽ;^∀^ノ□<まぁ、いっか(すでに小学生の自由研究じゃないけど)
      とりあえず、日記を…ウヲ!マッシロじゃん!テンキヤベーシ!

    ガサゴソ
ヽ;^∀^ノ□<し、新聞!確かまとめて天気載ってたハズ!

( ´ Д `)つ□<んあ〜。天気ならごとーの絵日記写すといーよ ツイデニモッテキタ

ヽ;^∀^ノ□<お、おう。(てか、コイツ、何で気圧と降雨量まで書いてんの!?)

( ´ Д `)<最高気温と最低気温はグラフにして、最後のページに書いてるからね

ヽ;^∀^ノ□<ハァ。そうっスか…


最近は気象庁のサイトを見れば、各都市の夏休み期間中の天気が分かるらしい









375 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月30日(金)14時23分35秒
うぉー、甘い、甘いですね。最高です。
どんどん梨華ちゃんにでれでれになっていく吉が良いです。

日々の楽しみになっております。ありがとうございます。
376 名前:わく 投稿日:2002年08月30日(金)16時31分42秒
毎日読ませてもらってます!もう甘甘最高☆彡いしよし最高☆彡
大好きです!この先の展開(照)にも期待大大!!
はらたいらに3000点です(^_^)vえっ?知らない??
377 名前:オガマー 投稿日:2002年08月30日(金)18時04分38秒
ごまさんペースよいっすね〜
おかげでこっちはウハウハです(氏
毎回甘くてとろけますわー(w
378 名前:クロイツ 投稿日:2002年08月30日(金)19時11分08秒
柴っちゃんのメールの内容を読んで、一瞬保田さんかと思ってしまいました。
柴っちゃん・・・アナタ最高・・・!!!
不思議ちゃんな柴っちゃんにも、ときめきそうな予感。

 しかもお土産よしこ〜〜〜〜〜!!!
甘くてもう、幸せ〜vvv毎回毎回、楽しませて頂いております。
この先の展開にも大期待!!です☆
379 名前:名無し 投稿日:2002年08月31日(土)23時54分47秒
 いしよし!!超甘い系ですね。お土産って、石川さん、恥ずかしい
ことをいいますね。
 やや話がそれますが、あややが「ひーちゃん」と呼んでいるのは、
『桃色アプローチ』からですか?私はあの小説でよしあやにハマった
ヤツです。
380 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時05分28秒
―――吉澤視点

翌日、夕食の席で、中澤さんが改まって
「すみませんが、明日から遅い夏休みを取らせて頂きます。
何かあったら携帯に連絡してください。
よろしくお願いします」
と言った。
中澤さんは5泊6日で沖縄へ行く。ツアーを終えた平家さんと現地合流だそうだ。
「ののたちもあすから奈良へ行くのれす」
「お盆は終わってもたけどな」
ののとあいぼんは顔を見合わせて頷き合った。
「梨華、スマンけど後のことは頼むな」
「気にしないで、気にしないで。楽しんできてよ、平家さんとアツアツ新婚旅行なんでしょ〜」
梨華ちゃんは冷やかすように中澤さんを見る。
特にリアクションはせずに、中澤さんは黙々とごはんを食べる。
はぁ〜。沖縄か〜。
この前の逗子も楽しかったけど、やっぱ1回行ってみたいよな〜。
おカネ貯めて、いつか梨華ちゃんと…。
妄想に耽っていると、
「吉澤も、スマンけどよろしゅう頼むな」
中澤さんに声をかけられ、我に返った。
この時、ウチの脳内では、沖縄の浜辺を、ウチはビキニ姿の梨華ちゃんと手をつないで
走っていた。
あまりにもバカな妄想なんで、ちょっと恥ずかしくなる。
「あ、ハイ。楽しんできてください」
「ウン。2日目以降のホテルの電話番号は、また着いたらメールででも送るワ。
みちよが予約しおったからウチ、よう知らんねん」
381 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時06分54秒

「あ。平家さんと初日から一緒じゃないんスか」
「明日はみちよのライブ見て、そのまま近くのホテルに泊まんねん。明後日に落ち合うんや」
「へぇ。平家さんのライブ1回観てみてーな」
「まぁ、それは今度本人に言い。チケット都合してくれるやろ」
「そうっスね」
ののが
「ののも沖縄行ってみたいれす〜」
と身を乗り出して目を輝かせた。
「あっついで」
あいぼんが返す。
「あいぼん、行ったことあるんれすか」
「ちっちゃい時、1回行った。日焼けでヒリヒリして痛かったわ〜」
「あいぼんは色、白いからタイヘンれすね」
確かに、こんだけ白かったらツライだろうな。


そんなワケで、2日間、梨華ちゃんとお留守番となった。


次の朝、ののとあいぼんは、あたしが起きた時にはもう、家を出てたみたいだ。
朝早い新幹線で大阪に行き、そこで適当に遊んでから、奈良入りするらしい。
中澤さんもスーツケースを玄関先に置いて、朝食を取ってた。
「裕ちゃん、平家さんに迷惑かけちゃダメよ」
梨華ちゃんに言いつけられている中澤さんは、梨華ちゃんの子供のようだった。
あんまりおかしくて、思わずぷっと吹き出してしまう。
「なんじゃ吉澤!覚えとけよ!」
スゴまれても、照れてるのが分かるので、あんまり怖くはない。
「も〜裕ちゃん!ホラ、もうすぐ時間だよ!」
「お!そやな!スマンけど、ふたりとも頼むわな!」
慌しく、中澤さんは出かけて行った。
382 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時20分19秒
―――その頃、辻・加護は。

「大阪れす!」
大阪の地下街にいた。
新大阪で乗り換え、とりあえず大阪駅に着いた。
休日の朝なので、まだそんなに人出はない。
それでも、忙しげに歩く人の姿は見られた。
「阪神電車・梅田駅れす!」
「ハァ」
加護は疲れ気味に返事する。
「9時57分れす!」
「駅のデジタル時計まで読まんでも」
「阪神百貨店れす!」
「自分、なんややる気マンマンやな」
「ののは大阪は初めてなのれす!夕べから、興奮して眠れなかったのれす!」
「いや、浜松名物うなぎ弁当食って、自分爆睡してたで。しっかりスジャータのアイスも食ってな」
「とにかく、案内してくらさい。オナカ減ったのれす」
いきなりそこかよ!しかもウチのツッコミは流すんかい!と思ったが、加護は、
「ほなら、そこの阪神の地下で軽く食べよか。セルフサービスみたいなんで、
色んなもんがあるから」
「え?何があるんれすか?」
「エート…イカ焼き、ちょぼ焼き、お寿司にラーメンに…とにかく色々や」
「スゴイれす!行くれす!」
辻は目を輝かせる。
ちょうど、その時、開店となった。

『10時の開店とともに、デパ地下でイカ焼き食うて、いかがなモンやろ?』
加護はちょっとトホホとなった。
普段は行列が出来ているが、さすがに開店したばかりなので、すぐ買えた。
薄焼き卵のようなものに、イカのゲソが入っているイカ焼きをひとつ買う。



383 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時22分30秒
「あいぼんは食べないんれすか?」
「ウチはちょぼ焼きにするワ」
「ちょぼ焼きってなんれすか」
「まぁ、たこ焼きに似たようなモンや。ネギとかこんにゃくとか入ってんねん」
「ののも食べるれす!」
結局、辻はちょぼ焼きも買った。
そのまま空いてるカウンターで立ち食いする。
「おいひいれす〜!」
辻は満面の笑顔。
加護はちょっとうれしくなる。
その後はデパートの中を少し見て回った。

「あいぼん、他にはおいしいお店ないんれすか」
「えーと、確かこの近くに、立ち食いの串カツ屋があるんやけど…」
「あ、それならのの見たれす!何か階段のそばにあったれすよ!」
「…よう見とんな」
早々と店を出て、件の串カツ屋に向かう。

そこは地下街にある店で、弁当箱のような容器に入ったソースやキャベツなんかがカウンターに
いくつか置いてあった。
2本ずつ注文し、まずソースをつけてかじる。
「ウン。この味れす」
どの味やねん、と加護は思ったが、敢えて何も言わなかった。
「あいぼん、キタの名物ってなんれすか?」
「名物なぁ…HEPの赤い観覧車に、この前できたヨドバシカメラに…う〜ん、ウチが分かるんは
これくらいかなぁ」
「じゃ、次行くれす」
『エ?キタの存在理由って一体…?』
加護は心の中で呟く。
辻の心はもう次に行っていた。
384 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時24分59秒
その後は、JRの大阪環状線(東京で言えば山手線のようなもの)に乗り、新今宮まで出て
通天閣に向かった。
辻は展望台から関西の街を一望して、はしゃぐ。
加護はその横顔を見て、『来てよかったなぁ』とちょっと思った。


地上に降りてから、すぐそばの『ジャンジャン横丁』へ向かい、ここでもまた串カツを食べる。
「お嬢ちゃんら、どっから来てん」
ともすると、小学生にも見える女の子ふたり連れは、この店では浮いていた。
中年夫婦に声をかけられ、辻は振り向いた。
「東京れす。こっちの子は実家が奈良なんで一緒に遊びに来たんれす」
「ほう。アンタら、小学生かと思たワ。いくつなん」
「高1や。ウチは15で、そっちの子は16」
「なんや、高校生かいな!」
素直に驚かれ、加護はちょっとムッとした。
辻はそれでもうれしそうに笑う。
「えへへ。ののたちは若く見えるんれす!」
「ののちゃん、言うんかいな。かあいらしなぁ〜、な、お父ちゃん」
「おう、べっぴんさんや」
夫婦と辻は会話が弾み、加護は黙って聞いていた。
385 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時28分47秒
支払いの段になって、夫婦連れの夫のほうが
「この姉ちゃんらのは、ワシらにつけといてや」
と言った。
「え?おっちゃん、エエで、そんな」
加護は慌てて押しとどめる。
「エエて、エエて。べっぴんさんらに会うてんから、お近づきのしるしや」
「わー!おじさん、ありがとれす〜!」
「おおきに。ごちそうさまです」
「ほなな。気ィつけて」
店を出る時、ふたりは手を振ってくれた。
『ああ、もうちょっと愛想ようすればよかった。ウチてアカンなぁ…』
加護は少しヘコむ。
辻はそれを知ってか知らずか、
「次は難波れすね!」
張り切って言った。


地下鉄で難波に出て、行列のできる大タコのたこ焼き屋、自由軒の名物カレー(ドライカレー)
など、ガンガン攻めた。
『ウチ…もーハラ爆発しそう』
食い倒れ人形の前でいま撮った自分の写真は、きっとやつれているに違いない。
加護はそう確信する。
辻は特に満腹で苦しいという様子は見られず、それどころかケーキ屋のショーウインドーを
気にしてる有様だった。
『…コイツの胃袋って』
今に始まったことではないが、改めて彼女の健啖家っぷりを目の当たりにする。
386 名前:Summertime 投稿日:2002年09月02日(月)16時31分49秒
「カニれす!動いてるれす!」
『かに道楽』の動くカニの人形を見て、辻はシャッターを押す。
辻に限らず、他にもレンズを向けている観光客が何人かいた。

ちょっと心斎橋に足を伸ばし、さすがに疲れたので、心斎橋筋の『cocorico』という喫茶店で
休むことにした。
アールグレイのアイスティーと桃のタルトなどを頼む。
アイスティーはちょっとした見物で、ウエイターがものすごく高い位置からグラスに紅茶を
注ぐ。
ふたりは口を開けて、そのショーに見入った。
「どうぞごゆっくり」
ふたりの驚きを尻目に、入れ終わるとさっと去っていく。
「カッコいいれす〜」
ちょっと離れたテーブルでも、ウエートレスが同様のことをしていた。
やっぱりそこの客も口を開けている。
「この後どうする?」
「お好み焼きを食べるれす」
恐れていたことが事実となった。
「…マジ?」
それでも一応声に出してみる。
「もちろんれす!関西に来てお好み焼き食べないなんて、いいらさんが交信しないようなモンれす!」
「いや、たとえワケ分からんし。でもちょっとおもろいぞ」
「さ、そうと決まれば、善は急げれす!」
辻に急かされ、加護は満腹の腹を押さえながら、紅茶を飲み干した。

まだまだ食い倒れは続きそうだ。
387 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月02日(月)17時00分28秒
更新しました。
名づけて「書いてるだけでもーハラいっぱい。読んでくれてる方はもっとハラいっぱい
かもしれん。ごめんれす更新」の巻。(; ^▽^)<…ののちゃん、スゴイ

レスのお礼です。

>名無し読者さん
(*^〜^)<エ、エヘヘ…
日々の楽しみだなんて…かたじけないです。ありがとうございます。

>わくさん
(0^〜^)ノ<オイラは竹下景子さんに全部!
初レスありがとうございます。こないな駄文を大好きなんて言っていただけて申し訳ないやら、うれしいやら。がんがります!

>オガマーさん
( ^▽^)<ネタにつまると、ラジオ体操なんか始めたりします♪
ウハウハってヒサブリに聞きますた(w ありがとうです、がんがります。

>クロイツさん
(;0^〜^0)<ウン。柴っちゃん、保田さんといい勝負…
本物は、ここまでヘンな人じゃないと思いますが(w 楽しみにして頂いて、ありがとうです。

>名無しさん
(0^〜^)<オイラもあのお話大好きだYO!
初レスの方でしょうか。ありがとうございます。「ひーちゃん」はあやゃ本人がそう呼んでると
何かで聞いて使っています。










388 名前:名無し(379) 投稿日:2002年09月02日(月)18時15分01秒
 マジっすか?てっきり、ごまべーぐるさんが命名したのかと、、。
あやや本人がそう呼んでいるとは。ビックリしました。「ひーちゃん」
と言う、響きがいいな、と。
 続き楽しみにしてます。頑張って下さい。
389 名前:REDRUM 投稿日:2002年09月02日(月)18時33分44秒
いしよし2日間のお留守番が楽しみです。
キタからミナミにかけての風景を思い出したり。。。
『cocorico』行き着けでした。( ´D`) ならパフェ全種制覇も夢じゃない。

390 名前:オガマー 投稿日:2002年09月02日(月)19時08分03秒
おーい!二人でお留守番ってぇw
ひーちゃんのスケベ!(w ぇ、まだですか(笑)
ののかわいいのれす。爆発的にかわいい。はりきるののw
そんでここでも素直になれない加護。かわいいw
最近、なんかわたくし、辻加護が二人でいることのかわいさに
やっと気付いたんですよ(爆)だからなんかこういうシーン嬉しかったりして…w
391 名前:HR−MS 投稿日:2002年09月02日(月)20時39分46秒
頭●字D風DJトーク 第4弾

 DJ 加護ちゃん、辻ちゃんとの実家帰省だけど。
 加護 ハァ・・・。のののやつ、関西来ても食い気満々やで。まったく、あいつの胃の中はブラックホールかっちゅうねん!
 DJ そう言ってるけど、辻ちゃんと一緒に地元来て内心嬉しいんじゃ?
 加護『うっ・・・』(顔を赤らめて)
 DJ ハハ、ライバルのまこっちゃんに先を越されないように(バシッ
 加護 うっさいわ!ウチの前であいつの名前出すなや!くそ〜。(ハァ、花より団子っていう言葉あるけど、いまのののはそれやでしかし。)
 DJ 辻ちゃんはこのことどう思ってるんだろうね。屋根の下のベース引き、明日もDON’T MISS IT!
 加護 よっすぃーには負けへんで!
392 名前:あおのり 投稿日:2002年09月02日(月)21時02分30秒
のの大阪名物蹂躙編おもろい!
確かにののなら本当にこれぐらいは楽勝かも。
ジャンジャン横丁で串カツとはツウな二人ですね。
こんな二人連れがわいわい食べていたら思わず奢っちゃうでしょうね。
( ´D`)<串カツのソースは二度付け禁止れす
あいぼん乙彼様です。(w
そして、しばらく二人暮しの留守番組が禿げしく気になります。

読んでいてイカ焼きが突然食べたくなりました。
明日、阪神百貨店で買ってきてもらおう。(嬉
393 名前:Nさん 投稿日:2002年09月03日(火)01時03分09秒
えっ?・・・バレバレってか?(笑) (´D`;)テヘテヘ

ごまさん更新乙でやんす。 今回はお得意の地元編ってやつだね!
そっちには「ちょぼ焼」ってのがあんだね〜。
うちらの方では「おいでん横丁」ってのが数年前まであって、
そこの大阪のたこ焼き屋って店で「明石焼き」っての食べたっけな。
関西独特のサッパリ味で、寿司板みたいのに乗って出てきたよ。
私んら三河っ子には不思議な感じやったけど美味しかったよ〜ん♪ (^▽^)d

にしても相変らず加護のツッコミが笑えるんだけど・・・
もしかして私のツボ狙って書いてる〜?(笑)
あとね、何気にお留守番中のあの2人の事も気になってたりして・・・♪





394 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月03日(火)16時26分47秒
辻ちゃん加護ちゃん可愛い〜〜〜っ!!
お姉さんにもオゴらせて〜vvって感じですねぇ♪

でもって、お留守番いしよし・・・!!!
ああ、鼻血噴きそう・・・!!(←オイ)
何が起こるか楽しみです!!
395 名前:Summertime 投稿日:2002年09月04日(水)00時02分07秒
―――吉澤視点

あたしはそのままバイトに向かい、いつも通り働いた。
「沖縄かぁ〜」
なっちさんが憧れの眼差しで上を見上げる。
「なっち、青い海っていうのに、すごい憧れてるっしょ!」
「ウチもっス。やっぱいいですよね〜」
あたしの脳裏には、サングラスをかけたあたしが白いデッキチェアーでトロピカルドリンクを
飲んでいた。
隣には梨華ちゃん。
またもやベタすぎる妄想なので、たははと笑う。

夜は梨華ちゃんがキムチ鍋を作ってくれるという。
「お豆腐をたくさん入れるとおいしいんだよ」
朝、うれしそうに教えてくれた。

「何うれしそうに笑ってるんだべ」
安倍さんがニヤニヤして肘でこづいてくる。
「エ、なんでもないッスよ〜」
今夜は梨華ちゃんとふたり。
…まだそういうのは早いかな。


―――石川視点

朝から掃除。
洗濯と家の前の水撒きもやって。
いつの間にかお昼を回っていたので、一旦休憩して残り物でごはんを食べる。
裕ちゃんからメールがきた。
『今着いたわ。チェックインまで時間適当につぶすわ。
ホンマ、あっついなぁ』
顔をしかめて景色を仰いでいる顔を容易に想像して笑ってしまう。

お風呂を洗って、洗面台も磨く。
そうこうしてるうちに3時を過ぎたので、裕ちゃんから返すように言われてた図書館の本も
持って出かける。
帰りに夕食の買い物をする。
今日はひとみちゃんとふたりで夕食。
恋人同士になってから、初めてふたりきりになる。
同じ家にいるから、顔はいつでも見れるけど、なかなかふたりきりにはなれない。
柴ちゃんはマサオさんの家に、たまにごはんを作りに行ったりしてるらしい。
いいなぁ。



396 名前:Summertime 投稿日:2002年09月04日(水)00時06分29秒
贅沢は言ってられないか。
一通り買い物すると、すぐスーパーを出た。
帰りにちょっと『アベ楽器店』を表から覗いてみた。
ひとみちゃんは高校生らしき男の子に、何かアドヴァイスしてるようだった。
その横顔に見惚れる。
たまに世界中の人に、『あたしの彼女はこんなにカッコいいのよ』と言いたいキモチになる。
あたしっておかしいのかなぁ。


夜、ひとみちゃんが帰ってきた。
「お帰りなさい。お風呂先にどう?」
「うん。そうするよ。あ〜!すげーいいにおい!」
「フフッ。もうすぐ出来るから」
「は〜い」
ひとみちゃんはそのままお風呂場へ向かった。
「いただきます」を言って食べ始める。
ひとみちゃんはおいしいと言ってくれる。
少しして、お客さんが来た。
「んあ〜。加護ちゃんいる〜?」
ごっちんだった。
「あ、今日から実家に帰ってるよ。何か用だった?」
「んあ。マンガ貸す約束してて、届けに来たの。ごとーもバイトの帰りなのよ」
「あ、マンガは預かっとこうか?」
「あ、お願いしていいかなぁ。そんじゃ」
「あ、ごっちん!」
「んあ?」
『お鍋食べていかない?』と言う前に、台所からひとみちゃんが出てきた。
「お〜!ごっちんじゃん!」
「あ、ヨシコ。何?なんか家の中、イヤに静かじゃない?」
「うん、今日はウチと梨華ちゃんだけだから」
「あ、そうなんだ。あっは!」
「ごっちんも食べてったら?キムチ鍋、マジうめーから」
ひとみちゃんが言うと、ごっちんは何故か一瞬不思議そうな顔をした。

397 名前:Summertime 投稿日:2002年09月04日(水)00時11分14秒
―――後藤視点

んあ〜。こりゃまた…。
『ふたりきりの夜』じゃん。
それをごとーが邪魔していいものかね。
こっちの気持ちを知ってか知らずか、ヨシコと梨華ちゃんはニコニコしてる。
キムチ鍋は魅力的だけど…うーん。
「んあ…いいの?」
遠慮がちに言ってみる。
「うん、ふたりだと余るし」
え、そこなの?とも思ったけど、ちょっとだけお邪魔することにした。
あっは!だってオナカ減ってたし♪

キムチ鍋はヨシコの言う通り、スッゴクおいしかった。
真っ赤に染まったお豆腐が、ぐつぐつ煮えてる。
締めの雑炊まで、3人はすごい食べた。
みんな真っ赤な顔をして、フーフー言ってた。


「ごちそうさま!あっは!梨華ちゃん、お料理上手だね〜」
「フフ、ありがと!」
「ヨシコにはもったいないよ」
「なんでさ〜」
情けなさそうな顔でヨシコはごとーを見た。
あっは!冗談なのにね。
マジにとっちゃって。

その後はデザートの20世紀ナシを食べながら、居間でテレビを見て、ごとーは
そのまま寝てしまった。
あっは!なんかふたりには悪いことしたな〜。

「ごっちん、寝ちゃったね」
「うん、ウチ、布団取ってくるわ」
「うん、お願い」

ふたりの声を夢の中で聞きながら、とても気持ちよく眠りについた。
398 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月04日(水)00時25分25秒
更新しました。
(#0^〜^(^▽^#) (´ Д ` )ンア…

レスのお礼です。

>名無しさん
( ‘д‘)<作者がつけたらもっとダサダサになる思うワ!
残念ながら(w私ではないです。うまいネーミングですよね、響きもいいし。
ありがとうございます、がんがります。

>REDRUMさん
( ´D`)<タルトとパイとチョコパフェと…
こちらでは初レスありがとうございます。私もよく通いました。
アイスティーばかり飲んでましたね。

>オガマーさん
( ‘д‘)<作者なんか写真集持っとんねんで!
買うのはさすがに恥ずかしかったですが。お留守番、1日目はこんな風に終わりました。

>HR−MSさん
( ´D`)<そうなんれす。あいぼんと小川しゃんはなんであんなに仲悪いんれしょうか
辻は鈍いっていうより、まだ目覚めてないので(w あいぼんの苦労は続く…。
第4弾も快調ですね。いつもありがとうございます。



399 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月04日(水)00時32分53秒
>あおのりさん
( ´D`)<イカ焼きが東京のと違ってて、おもしろいのれす!
バイトの帰りとかによく食べましたね。お留守番1日目はゴチーン爆睡でつつがなく
終えました。

>Nさん
( ‘д‘)<おおきにな!どしどしツッコむわ!
私が加護書くと、何故かこうなるんです(w キャラかぶらないようにってのが難しいですね。

>クロイツさん
( ‘д‘)<ののにおごったら、エライ目あうで!
ジャンジャン横丁のはオナカいっぱい食べても、安くすみます。お留守番、ご期待に
添えたでしょうか(w?
400 名前:オガマー 投稿日:2002年09月04日(水)00時58分57秒
んがぁ〜
ゴチーン!!
…焦らない焦らない
( ´D`)<なのれす
401 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月04日(水)09時45分05秒
くあぁぁぁぁ!!可愛い!!
ごっちんでさえも気付いた「二人っきりの甘い誘惑(笑)」に、あんま気付いてない二人が、
もーかわゆくてかわゆくてしかたない…ッ!!
いろんな意味で鼻血噴きそう(←オイ)ですよ〜〜〜♪
続き、超超超超楽しみですvv
402 名前:わく 投稿日:2002年09月04日(水)14時05分13秒
う〜〜〜〜!!ごっちん!なんてタイミング・・・
甘甘な夜の展開になることを「祈!!!!」
楽しみです☆

ちなみにわくは、りかファンなのれす☆えへ
403 名前:Summertime 投稿日:2002年09月04日(水)14時24分11秒
―――その日の夕方に戻って。

喫茶店を出た辻と加護は、そのままお好み焼きを食べに行き、たらふく食べた。
と言っても、主に食べたのは辻だが。
辻は豚玉とモダン焼き(特大)、加護はイカ玉を注文。
『ガンバレ、ウチ。ガンバレ、自分』
己を励ましながら、加護はコテを口に運んだ。
『食い倒れの街でホンマに食い倒れたら、関西人の恥や!
ご先祖サンに申し訳が立たん。加護亜依15歳!奈良県人の根性見せたるワ!』
「あいぼんは小食れすね〜」
辻は平然としている。
『オマエが大食いすぎるんじゃい!』
加護はハラをさすりながら、うらめしい顔で辻を見上げる。
「てか、自分を基準に考えんなよ…」
ツッコミも弱々しくなってきた。
「全部食べれそうれすか?」
「…ゼッタイムリ!」
加護は3分の1程食べて音を上げ、残りはやっぱり辻が食べた。
「イカもオツれすね。今度はイカを食べるれす」
店を出て、ふたりは駅に向かった。

特急で加護の実家の最寄り駅へ向かう。
辻は乗り込む前に売店で、お茶と赤福を買った。
『今から奈良へ行こうというのに、何で伊勢名物を買うかね』
加護はとほほと思いながらも、自分はペットボトルの烏龍茶を買った。
「食べるれすか?」
列車に乗り込み、シートに座るなり、辻は赤福を広げる。
「1個だけもらうワ」
「おいしいれすね」
「せめて電車が動いてから食べーな。駅弁と一緒や、動く景色を楽しみながら食うのがツウって
モンや」
「そうれすね。じゃ、待つれす」
発車ベルが鳴り、列車がゴトンと動き出した。
「今れす!」
「早っ!」
辻はあっという間に、伊勢名物をハラにおさめた。
404 名前:Summertime 投稿日:2002年09月04日(水)14時26分42秒
――― 一方、沖縄の裕子は。

那覇空港に到着し、チェックインの時間まで市内観光で時間をつぶし、そのままホテルへ向かった。
部屋で少し昼寝をし、夕方シャワーを浴びてから平家のライブに出かける。
『アンコールは姐さんのために歌うから聴いてなー』
前もって、こんなメールが平家本人からきた。
『何を恥ずかしいコトを…』
平家は臆せず、こういう類の台詞を吐く。
『何でこんな恥ずかしいこと言うねん!』
いつか文句を言ったら、
『はっきり言わな、姐さん分からへんがな』
しれっと返ってきて、唖然とし何も言い返せなかった。

会場が暗くなり、色とりどりのサイリウムの海が灯る。
「みっちゃーん!」
「みちよー!」
会場のあちこちから、声がかかる。
やがて、平家がステージに出てきた。
OPは『ムラサキシキブ』だった。
会場は沸いた。
いつも見ている恋人だが、ステージにいるのは別人のようだった。
「みっちゃーん!」
隣の若い男が野太い声で叫ぶ。
裕子は不思議な感覚に囚われた。
『みちよのクセに生意気じゃ』とか『♪みっちゃん、みちみち』とか普段はいじめまくっているけど。
ステージの彼女は、自分以外の何千という人間に愛されてて。
その彼女に、常日頃『愛してんで』と囁かれて。
『ああ、ウチは幸せモンやなぁ…』
さすがの裕子も、素直に認めた。

全曲歌い終わり、観客に呼び戻され、平家はまたステージに現れた。
「それでは、今日最後の曲です」
何だか聞き覚えのあるメロディが流れてきた。
平家はマイクを持ち直し、歌いだす。
405 名前:Summertime 投稿日:2002年09月04日(水)14時31分26秒
『Oh my love my darling
I've hungered for your touch
A long lonely time…』

裕子は唖然とした。
『…選曲が恥ずかしい!』
また平家に言う文句が増えた。

ステージの平家はかなり感情をこめて歌っている。
時々、自分のいる方向に目線を配る。
『なんやアイツ!めっちゃ陶酔しおってからに!』
ベッドで『かわいいで、姐さん』と言われるのと、いい勝負の恥ずかしさだ。
周りはそんなことなど知らずに、
「みっちゃーん!サイコー!」
と声援を送る。


会場を出てから、裕子は複雑な気持ちでホテルに戻った。
途中、コンビニで夕食の弁当を買う。

『姐さん、来てくれてんな。ありがとう。
アンコール聴いてくれた〜?』
平家から届いたメールに、すぐさま
『なんやねん!あれは!顔から火ィ吹く思たワ!』
物凄い勢いで返事を送った。
『なんやの、愛をこめて歌たのに』
今度は直接携帯にかかってきた。
「それが恥ずかしいっちゅうねん!」
『明日会えんねんな〜。ごっつ楽しみやわ』
「人の話をきけー!」
「人の話、普段聞かんヒトがよう言うわ。
そんなら、また明日な。おやすみ」
一方的に、言いたいことだけ言って電話は切れた。
「まったくもう…」
ぶつぶつ言いながら弁当を広げる。
それでも電話ではなく、直接声を聞きたい。
『やっぱり、直接“みっちゃんみちみち”って言うたらなアカンな』
あくまでも素直ではない裕子だった。
406 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月04日(水)14時50分40秒
更新しました。
( `◇´)がアンコールで歌ってたのはライチャス・ブラザーズの
『アンチェインド・メロディー』です。映画『ゴースト〜ニューヨークの幻〜』の
主題歌でもあったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

从;#~∀~从ノ<恥ずかしわい!あんな歌、歌われて!

(0^〜^)ノ<ラブソング、カッケー!

( ^▽^)<フフ、裕ちゃん。ホントはうれしいくせに!スナオジャナインダカラ

レスのお礼です。

>オガマーさん
( ´ Д`)<んあ〜。ごとーもゴハンだけ食べてかえろと思ったんだけどね… ネムクッテ…
ひとやすみ、ひとやすみ♪(BY『一○さん』)まぁ、ゴチーンも悪気はないので(w

>クロイツさん
( ´ Д`)<さすがのごとーでも気づいてたんだけどね〜
と言いながら、メシ食ってナシ食ってテレビ見ながら爆睡。いしよしにはあと1日…。

>わくさん
( ´ Д`)<んあ〜。ごとーも悪気はなかったんだよ〜 ゴメン
ちなみに私は( ^▽^)命です。でもこの人、書くの難しいんですよ(汗
407 名前:Nさん 投稿日:2002年09月04日(水)20時58分13秒
ごまさん更新おつでやんす。
なんかこれ読んでたら お好み食べたなってきたよ(w
そして今日も加護のツッコミで笑っちまったぜ〜♪
しっかしすごいねぇ!
いしよし班・辻加護班・沖縄班と3つの視点を交互に更新とは・・・
(;0`〜´)デキルッ!!  (^▽^;)ミラクル・ゴマッチダネ!!  

408 名前:オガマー 投稿日:2002年09月04日(水)21時37分53秒
ののにやらるぇつぁ〜!!
かわい過ぎなんですけどw
そしてすかさず突っ込む加護w名コンビ
幸せを感じたり顔から火ぃ吹いたりネエさんもかわええw
ゴーストゴースト…曲が思い出せない罠(氏
409 名前:婆金 投稿日:2002年09月05日(木)00時23分07秒
中澤家、関西、沖縄と同時進行具合がイイですね〜!
何気に沖縄が気になる、今日この頃です。
410 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月05日(木)09時20分58秒
素直じゃない姐さんが可愛い・・・!!
中澤・石川姉妹は可愛すぎですね♪
そして、ごっちん以上によく食べる辻ちゃんも可愛い♪
読んでて、いっそスッキリするくらいの食べっぷりv
更に加護ちゃんの『奈良県人の根性』発言に笑わせて頂きました☆

 続き、期待してます♪
411 名前:HR−MS 投稿日:2002年09月05日(木)10時59分22秒
 懲りずに第5弾いきます。

 DJ:沖縄、奈良、中澤家、どこも目が離せな〜い!でも、いちばん幸せ度会いが高いのは中澤家じゃないのかな、梨華ちゃん?
 石川:えっ?そ、そうですか。(顔を明らめて
 DJ:よっすぃーと二人きりになったわけだけど。
 石川:そうですね、一緒にご飯食べたり、一緒にまったり過ごしたり、一緒に笑ったり、一緒に・・・・・。
 DJ:なんかベタやなあ。
 石川:(そして一緒に・・・・・。キャッ、あたしのバカ)
 DJ:梨華ちゃん、梨華ちゃん。あーあ、完全に上の空いっちゃったよ。さて次回も必ず見ろよ!
 石川:(ひとみちゃん・・・・。あぁ、幸せ。
412 名前:Summertime 投稿日:2002年09月05日(木)15時28分08秒
―――吉澤視点

お留守番2日目―――

ウチはバイトもなかったので、かなりのんびり寝てしまった。
「ウン…」
目が覚めて時計を掴むと、すでに10時を回っている。
「うお!朝ゴハンの時間過ぎてんじゃん!」
慌てて支度し、下に降りてった。
「あ、ひとみちゃんおはよう!」
梨華ちゃんが廊下をモップがけしてた。
「おはよ。あ〜、寝過ごしたよ。ごっちんは?」
「うん、朝早く帰ったよ。バイトがあるんだって」
「へぇ。あ、ごめん。ゴハン、まだあるかなぁ」
「うん、温めようか?」
「あ、自分でやるよ。ありがとう」
台所に行くと、テーブルにウチの分の食事が用意してあった。
パンをトースターにかけ、冷蔵庫から牛乳を出して注ぐ。
梨華ちゃんはさっきモップをかけてたと思ったら、柱を雑巾がけしたり忙しそうだった。
「梨華ちゃん、忙しそうだね」
「あ、うん。この後お買い物に行かなきゃいけないし」
「晩御飯の?」
「それもだけど、日用品とか色々と。車で行こうかなって思って」
「そっか…ウチ、付き合おうか?」
「え?ひとみちゃん、忙しいんじゃないの」
「いや、今日はバイトもないしヒマだから。梨華ちゃんがよければさ」
梨華ちゃんはしばらく考えて、
「ウン、お願い」
にっこり笑った。
413 名前:Summertime 投稿日:2002年09月05日(木)15時30分04秒
その後、車で買い物に出かけた。
梨華ちゃんは物凄く生真面目に運転する。
教習所で習った通り、頭の中でシュミレーションしてハンドルを握ってるんだろうな。
おまけに物凄くマナーがいい。
向こうの車に待ってもらったら、向こうが恐縮するくらい丁寧にお辞儀。
「免許持ってたんだね」
助手席で何となく話しかけてみる。

「あ、うん。車は裕ちゃんのだけどね」
白のシーマはぐんぐん進む。
いい天気で、誠にドライブ日和だった。
梨華ちゃんの生真面目な横顔を見てると、何だかおかしくなってぷっと吹き出した。
「なんで笑うのぉ〜!」
本人は顔を赤くして怒ってるけど。
いや、かわいいなぁ。

まずはホームセンターだった。
梨華ちゃんは新聞のチラシ片手にぐんぐんカートを押し、店内を回る。
ちらっとチラシを見ると、やっぱりというか、マジックで目当ての品に印をつけていた。
トイレットペーパーやら、色々買い店を出る。
ここだけでも結構な量だった。

その後はお酒の量販店。
段ボールに入ったビールやら、色々店内にあった。
24本入りの発泡酒とビールをカートに入れる。
「すげ。ハコで買うんだ」
「誰かさんがよく飲むから」
梨華ちゃんはいたずらっぽく笑う。
「裕ちゃん、発泡酒はキライなんだけど、家計のために協力してもらってるの」
「へぇ」
「それで、週末はビールを飲ませてあげてるの」
「ハハ、梨華ちゃんいいお嫁さんになるよ」
さっきのマジック印つき折り込み広告といい。
ふと顔を見ると、何でか梨華ちゃんの頬が赤かった。
ウチ、何か言ったかなぁ。
414 名前:Summertime 投稿日:2002年09月05日(木)15時32分15秒
最後はスーパーに行き、食料品をそろえて買い物は終わりとなった。
2時前だったのでそのままファミレスに行き、遅い昼食をとった。

「ひとみちゃん、ありがとう。助かったよー」
「イエイエ。しっかし下宿屋さんってタイヘンだね〜。買い物だけでもすごいじゃん」
「うん、普段は分担してるんだけどね」
そういや、中澤さんは平家さんに車を運転させて、たまに買出しに行ってるようだ。
注文した料理が運ばれてきた。
ウチはミックスフライ、梨華ちゃんはハンバーグ。
オナカが空いてたのもあって、とてもおいしかった。
「あいぼんとののちゃん、大阪で何食べたのかな」
「お好み焼きとかじゃない?ののが大阪のガイドブック見て、『こことここはハズせないれす』とか
言ってたし」
「お好みだけかな」
「まさか」
ふたりで顔を見合わせて笑う。
きっとあいぼんはフラフラになりながら、ののの食い倒れに付き合ってることだろう。
目に浮かぶようだ。

415 名前:Summertime 投稿日:2002年09月05日(木)15時34分51秒
家に帰って、少し休憩してから洗濯物を取り込む。
「アイロンかけてと、これはボタン付け直す」
梨華ちゃんは中澤さんやあいぼんたちの分までアイロンがけしてた。
「ひとみちゃん、何かアイロンかけるのある?今ならするよ」
「あ、それじゃ、シャツとハンカチいい?」
快くかけてくれる。
ウチがかけてもこうはならないくらいぴっしりとなった。
あいぼんとのののシャツとかも、綺麗に仕上がる。
「ウチ、お風呂の支度してくるね」
「あ、お願い」
せめてこれくらいはやんないと。

今更だけど…ウチら、ずっとふたりだったんだ。
昨日はごっちんも来てたから意識しなかったけど。

今日の夜、ののが帰って来る。
それまで、ふたりだ。

蛇口からほとばしるお湯の音を聞きながら、ウチは何だかひとりで恥ずかしくなった。

夕食の支度を手伝う。
今日はギョーザだ。
四苦八苦しながら、皮に具を包む。
どうもうまくヒダがつけれず、梨華ちゃんに教えてもらいながら、どうにかカッコがつくように
なる。
何か、ウチら新婚さん?
ハハ、それはちょっと早いか。
416 名前:Summertime 投稿日:2002年09月05日(木)15時37分25秒
一方、奈良では―――

前日、加護の実家に泊まったふたり。
今日は奈良公園に来ていた。
「シカれす〜!」
シカセンベイ片手に大喜びの辻。
さっきは自分で食べ、
「味がないれす〜!」
とご満悦だった。
わらわらとシカが取り囲み、
「囲まれてる〜!」
辻はうれしそうだった。
『もんのすごいハイテンションやな、朝から』
加護はちょっと離れたところから、その光景を見守っていた。
夕べは母が張り切ってご馳走を作ってくれ、辻も交えて、家族で賑やかな夕食となった。
父も母も、娘に友達ができたことを、心から喜んでくれているようだった。
その後、奈良健康ランドに行き、ダシが出るくらい湯船につかった。

「あいぼ〜ん!」
辻が手を振る。
ちょっと振り返す。
やがて加護の元へ駆けてきた。
「シカ、かわいいれす〜」
「よかったな」
「来てよかったれす〜」
辻はう〜んと伸びをする。
「ウチも」
加護はちょっと笑った。
「あいぼんの生まれ育ったところは、ステキなところれす」
辻の無邪気な笑顔に、加護はちょっと顔を赤らめた。
417 名前:Summertime 投稿日:2002年09月05日(木)15時39分50秒
―――沖縄

裕子は8時半頃チェックアウトし、平家と待ち合わせしているホテルへと向かった。
タクシーを降り、ロビーへ向かうと、すでに平家が待っていた。
「姐さん、久しぶり」
電話で何度か話したが、やはり生で声を聞くと、感慨深いものがあった。
「おう。元気そうやな」
わざと明るく振る舞って近づいていく。
平家は夕べからここに泊まっている。
裕子が喜ぶように、海側の部屋をちゃんと取った。
「さて、どうする。どっか行くか」
「ハラ減った。まだ朝食べてへんねん」
「そんなら部屋に荷物置いてごはん食べに行こうか」
平家は笑って、裕子のカバンを手に取った。

部屋に行くと、もう窓から海が見えていた。
「はぁ〜。キレイやなー。昨日泊まったトコはなんやショボかったし」
裕子は荷物の整理もそこそこに、窓辺に近づく。
不意に、後ろから抱きしめられた。
「…何やねん」
裕子はそっと手を平家の腕に置いた。
「会いたかった」
「2週間かそこらやないか」
「2週間、ずっと姐さんのこと考えてた」
「プロ失格やな。そんなこと考えてるヒマあったら、仕事せいよ」
「そんなこと言う?」
平家は裕子の顎に手を添え、そっとキスをした。
それに応えるように、裕子は平家の背中に腕を回した。
418 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月05日(木)15時59分05秒
更新しました。
(;0^〜^)<ふ、ふたりきり…
(; ‘д‘)/<いまさらかい! 

レスのお礼です。

>Nさん
( ´D`)<さすが関西のお好みはうめーのれす
よく考えたら、このふたり、大阪で粉物ばかり食べてますた(w 海のあいぼんも好きですよん。

>オガマーさん
( ‘д‘)<もー。ののがボケたおしおるからツッコむのにいそがしワ!
姐さん、ああ見えて恥ずかしがり屋なんです(爆 それにしても大阪は粉物だらけだな。

>婆金さん
( `◇´)ノ<いや、ホテル押さえるのに苦労したワ!
沖縄は新婚旅行みたいなモンです。P・スウェイジ、私も「ダーティー―」(ry

>クロイツさん
( ´д`)<加護亜依、燃え尽きました!奈良県人として恥じぬよう!
中澤・石川姉妹はそれぞれ可愛いのです。姐さんの意地っ張りさがミチャーソのツボなのです。

>HR−MSさん
(*/▽\*)<……(妄想モード作動中)
何かいかにも言いそう、と感心しました(w ちなみに私は「ハピバ」がカナーリ好きです。
419 名前:ココナッツ 投稿日:2002年09月05日(木)19時43分15秒
なんとしばらく見ないうちに、新婚にまで発展していた!!
ヤダもう、あんたらラブラブ(w
ほのぼのしてていいですなぁ。
420 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月05日(木)20時48分46秒
いしよしデートに萌えましたぁっ!!
梨華ちゃん、嫁に来て!!(←オイ)
気を使って早々と帰るごっちんに、惜しみない拍手をしたいと思います。
それなのに「いいお嫁さん」発言に気付かないヨッスィー・・・
最高過ぎますっ!!!
続き、楽しみにしてますね♪
421 名前:オガマー 投稿日:2002年09月05日(木)23時09分51秒
もぉ、なんでひとみちゃんはあんなに鈍感なのぉ!
でも、それがこのハラハラドキドキを生んでおるのですよねw
もうちょっとしか時間ないですやん!
ぐほぉー。
422 名前:ポー 投稿日:2002年09月05日(木)23時23分32秒
なんか、このほのぼのとした雰囲気…カワイー。
あと少ししかない時間、どう過ごすのでしょう?ワクワク。
423 名前:あおのり 投稿日:2002年09月06日(金)01時29分20秒
わお!中澤家、奈良、沖縄の同時三元中継だ!

中澤家の新婚さん、終了間際、急に新婚状態に気づく吉。思わず突っ込みを100万回ほど入れました。

奈良のお子様組み笑いました。鹿せんべい絶対一口はかじるんですよね。
で、味がなくて変な臭いがして。ののも罠にはまったようで。(w
更に鹿に包囲される罠にも。あれってせんべい出し惜しみすると鹿に頭突きされるんですよね。
遠足で私はしっかりされました。ののは大丈夫だった見たいでヨカッタ

そして沖縄の大人組。かなりいい雰囲気じゃないですか!まさしく「リゾラバ」(古
でも相変わらずみっちゃんの一方的奉仕か?

三箇所とも色々な理由でご馳走様でした。もうおなかいっぱい。
424 名前:Summertime 投稿日:2002年09月06日(金)14時36分18秒
―――吉澤視点

夕食のあと、梨華ちゃんとスイカを食べて、縁側で花火をした。
ホームセンターで、手頃な値段なので買っておいたのだ。
今年最後の花火かなぁ。
海の時のに比べたら、量も少ないけど。
それでも花火の白っぽい光に照らされた彼女を見るのは、何だかよかった。

最後の線香花火が、ふっと地面に吸い込まれる様に消えた。
「終わっちゃったね」
花火のあと独特の寂しさを打ち消すように、梨華ちゃんは明るく言った。
「うん。もっとでかいセット買えばよかったかな」
ウチもわざとおどけて肩をすくめる。
沈黙が流れた。
どこからか虫の声。
「夏ももう終わりだね」
梨華ちゃんは夜空を見上げた。
「あ、うん」
「今年の夏は楽しかった」
「うん」
今年の夏だけじゃなくて。
来年も再来年も。
ずっと。
そう伝えたいのに、うまく言葉が見つからず、押し黙ってしまう。
ウチは、何でこんな口ベタなんだろう。
自分で歯がゆいくらいだ。
ベースだったら、口で言わなくとも、何となく伝わるのに。
そんなことをぐるぐる考えていると、梨華ちゃんの携帯が鳴った。
「あ、柴ちゃんからメールだ」
梨華ちゃんはちらっとメッセージを見ると、何故か赤い顔をして、すぐ携帯を置いた。
「どしたの?」
「…ううん、何でもない」
その様子から、どんな内容だったか、大体察しがつく。
425 名前:Summertime 投稿日:2002年09月06日(金)14時38分48秒
その後すぐ、ウチの携帯がブルッた。
「あれ、中澤さんだ」
「え、裕ちゃん?」
「うん、何だろ」
見てみると、
『よう、元気でやっとるか。ホテルの連絡先は梨華に昼間メールしといたから、何かあったら
知らせや。あ、そうそう。アイツの弱点は脇腹やで。ほなな』

…『ほなな』って言われても。
「裕ちゃん、何だって?」
「え、あ、梨華ちゃんに連絡先教えたから、何かあったら知らせろって」
後半のはわざと言わなかった。言ったらその先が怖い…。

「そう」
梨華ちゃんは特に気にとめていない様子だった。よかった…。
またメールが届く。

『熱い夜はあとはあと今はちょうど真っ最中ってトコかしら(キャッ!アタシったら!)
ホホ、裕ちゃんがいないからって、あんまりハメを外しちゃダメよ!ダイナマイト・ケイより』

『ヨシコ、夕べはごめんね〜。ごとー、すぐ帰ろうと思ったんだけどさ〜。どうにも眠くって。
梨華ちゃんにもよろしく〜。追伸:ヨシコ、ニブイなりに頑張って〜』

『妻は今頃夫の腕の中かしらはあとはあと“よっすぃ〜、あの天然フェロモンにハマる”に、
篠沢教授に1000点。AYUMI』

…て。
426 名前:Summertime 投稿日:2002年09月06日(金)14時40分27秒
…どこから情報漏れてんのよ。
あまりのみんなの暴走ぶりに、どこからどうツッコんでいいのか分からなかった。
挙句の果てに、市井さんから
『童貞ソー・ヤング』
ってワケの分からないメールがきた。

「何かひとみちゃん、よくメールが届いてるね」
梨華ちゃんがひょこっとウチの手元の携帯を覗き込んだ。
「あ、うん。ハハ、みんなヒマだね…」
遠い目で笑う。
「あのさ、さっき柴っちゃんから届いたメール、『ふたりきりの夜ねはあとはあと若いからって
暴走しちゃダメよはあとはあと』とかって書いてたんじゃ?」
「スゴイ!何で分かったの!?」
梨華ちゃんが目を丸くする。
「ウチにも似たよーなんが届いてるから」
携帯を手渡して、見せる。
梨華ちゃんはしばらく黙って画面を見ていたが、
「…ひとみちゃんは人気者だね」
「あたしの人気とかじゃなく、ウチらがいじられてるだけなんだけど」
「そうだね」
顔を見合わせて苦笑い。


時間が流れるのが、とても惜しい気がした。
427 名前:Summertime 投稿日:2002年09月06日(金)14時44分41秒
辻は夕方、奈良をあとにした。
今日一日、奈良公園の他、駅前の商店街とか、色々加護に案内してもらった。

「気をつけて帰れよ」
JRの駅のホームまで、加護は辻を見送った。
加護はもうしばらく実家にいる。
バイトがある辻だけ、一足先に帰京するのだ。
「へいっ、あいぼんも実家を堪能してくらさい」
「オマエもタンポポでしっかり稼げよ」
「へいっ!」
辻は屈託なく笑う。
「きつねうどんも食べられたからののは満足れす」
「シカセンベイも食ったしな」
加護が苦笑いして言う。

やがて、京都行きの電車がホームにすべりこんできた。
「ほなな」
「あ、あいぼん」
「何や」
辻は何か言いたかったのだが、とっさに言葉が思い浮かばす、
「おうちのみなさんによろしくお伝えくらさい」
それだけ言った。
「おう、またな」
手を振って、電車に乗り込む。
加護はホームから手を振ってくれる。
電車が発車しても、加護はその場で見送っていた。


『のの、おかしいれすね…。
なんで…泣いてるんれしょうか』
夕方のラッシュ前の電車で、辻は目を赤くし、鼻を啜り上げた。
428 名前:Summertime 投稿日:2002年09月06日(金)14時48分58秒
―――ふたたび吉澤視点

メール攻撃が一段落ついて、そろそろお風呂でも入ろうかと腰を上げる。
「ひとみちゃん、先に入って」
「梨華ちゃん先入んなよ」
「ううん、ひとみちゃん先!」
「なんなら一緒に入る?」
…しまった。スベった。
『しーん』とバックに文字が入っているような静けさが流れる。
「あ、いや、その…冗談です。ゴメンナサイ」
頭を下げると、梨華ちゃんが上目遣いで少し頬も膨らませて、
「…ホントね?」
念を押すように言った。
「あ、ハイ。ホントです」
思わず、敬語になる。

なんとも言えない雰囲気が訪れる。
キスするときって、こんな感じなんだろうな。
立ったまま、彼女の腰を抱き寄せて、唇を重ねた。
しばらく手探りするように、くちづける。

『この先のドアを開けたら、どうなるんだろう』
くちづけをずっと繰り返して。
例えるなら、そういうところまでウチらは近づいた。
思い切って開けたら、どこへ行くのか。
好奇心と恋情が結びついて。
彼女の目を覗き込み、その潤んだ黒目がちの瞳は、あたしのイチバンの弱点だと
改めて思い知る。

「…梨華ちゃん」
首筋に顔を埋め、名前を囁くと、強く抱きしめられた。
「…ひとみちゃんだったらあたし」
その甘い声に、抗う勇気なんてない。


…ののがその夜帰ってこなかったら、どうなってたか、自分でも分からない。
429 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月06日(金)15時06分26秒
更新しました。

从 #~∀~从ノ<吉澤、どーんと行かんかい!

( `◇´)<理解があるんか、ただの野次馬なんか

レスのお礼です。

>ココナッツさん
(* ^▽^)<シンコン…(いい響き)
新婚さん、三歩進んで二歩下がる、というぐらいの遅いスピードっぷりです(ニガワラ

>クロイツさん
(0^〜^)<? オイラ、ナンカイッタ?
ゼンゼン、オノレの発言の問題点に気づいていないと思います(爆

>オガマーさん
(* ^▽^)<いいんです、そんなひとみちゃんが好き…キャッ!
自分で書いてて「おまいは何でそんなニブイんだよぉ!」とたまに叫びたくなる罠。

>ポーさん
(0^〜^)<オイラ、もっと早く気づけば…
少しの時間の中に凝縮して切なさとか出したつもりですたが…うーむ。

>あおのりさん
( `◇´)<奉仕する姐さんなんて、音痴じゃないジャ○アンやで
殆ど殉教者のようなミチャーソ(爆 結構バランスのいいふたりなのです。
430 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月06日(金)16時01分48秒
・連鎖


( `.∀´)¶<アラ、メールだわ

『( ´ Д`)<昨日、ヨシコたちとキムチ鍋食べたんだ〜。
        なんか、裕ちゃんとか旅行行ってて、いま梨華ちゃんと
        ふたりなんだって〜』

( `.∀´)¶<ホホ!…えーっと、サヤカにでも

 ヽ^∀^ノ¶<おりょ。圭ちゃんからだ。ナニナニ…

 ヽ^∀^ノ¶<ぐふふふ!柴田に送ってやるか!
 
 川σ_σ||¶<♪デインジャラース・ナ〜イはあとはあと(梨華ちゃんと、ついでにヨシコにっと)


(;0^〜^0)¶<みんなして…
431 名前:オガマー 投稿日:2002年09月07日(土)01時35分33秒
ののぉ〜(号泣@いろんな意味で
432 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月07日(土)08時53分57秒
うあぁぁぁっ!!そこで止まっちゃうですか!?
二人っきりなのにっ!?
・・・でも、そんなヨッスィーも可愛くて大好きさ・・・。
梨華ちゃんの甘い声に、こっちまで胸きゅん☆です。
あああ、続きが気になります!!!!
433 名前:なっなし〜 投稿日:2002年09月07日(土)22時15分08秒
ダイナマイト・ケイって…自分が爆発するの?ヽ( `.∀´)ノボーン
そして、野次馬連絡網が確立されつつある事実が発覚(w
こんな初々しい二人を見ていると、からかいたくもなりますって…[壁]`.∀´)Ψフフフ

一週間溜めて読んだら、感想に書きたいことがあまりにもたくさん浮かんできて困りました。
やっぱりこの作品…いいな〜って改めて実感しました。
434 名前:HR−MS 投稿日:2002年09月09日(月)01時03分58秒
Dトーク 今回は2本立て 
 
 ・のの編(LIVE:喫茶タンポポからDJトーク
 DJ:辻ちゃん、奈良からの帰りに流した涙なんだけど   って・・・・。
 辻 :(ハグハグハグ)・・・・プハァ、矢口さんが作ったチョコレートパフェは最高れす。DJのお兄しゃんもどうれすか?
 DJ:いや、その、率直に言うと、加護ちゃんに対する一途な思いなんだよね?
 辻 :・・・・・・・?? ののにとってあいぼんは、
 DJ:は?
 辻 :大切なお友達なのれす。いいらさんも、矢口さんも、よっすぃーも、梨華ちゃんも、み〜んな大切なお友達なのれす。
 DJ:・・・・・・。矢口さん、どう思います?
 矢口:いや〜辻は天使だから、みんなに可愛がられた方がいいんじゃない?キャハッ。
 DJ:(こりゃ恋が芽生えるのはいつのことかな。♪恋になればいいな、(いいな))
 矢口:お兄さん相当考え込んでるから、代わってオイラが言うよ。今週もDON’T MISS IT!キャハッ。
 辻 :ど〜んとみすいなのれす。
435 名前:HR−MS 投稿日:2002年09月09日(月)01時16分31秒
・姐さん編

 DJ:姐さん、どうぞ(ジッポをつけて
 中澤:おう、すまん ってオイ!何やらせてんねん!
 DJ:いやぁ、最近の姐さんは、きれいというか、かわいいの方にシフトしていってる感じがするのですが、
    恋をすれば女の子らしくなってくるんですかね。
 中澤:どうやろ、でも、好きな人ができたらその人のためにって思うもんやで。普段はジャレあってても、やっぱり
    傍におらんかったら悲しいもんや。
 DJ:ということは、姐さんにとって平家さんはまさにそういう存在?
 中澤:・・・・・・・。ハッ、ア、アホか!みちよとは、その、つまり、。
 DJ:あ〜、顔赤くなってますよ。
 中澤:やかまし!大人の女性からかうんも、たいがいにせえよ!
 DJ:ハイハイ。さて、屋根の下のベース弾き、次回もせーの、
 DJ 中澤:Don’t miss it!
436 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)06時07分28秒
―――吉澤視点

ののが帰ってきてから、なんてことないふだんどーりの生活に戻った。
ただ、ののは少し元気がない。
「どしたん?」って顔を覗き込むと、
「なんでもないれすよ」
とすぐ笑顔を見せるけど。

「具合でも悪いんかね」
朝の洗面所で、あたしは隣で歯を磨いている梨華ちゃんに話しかけてみた。
「う〜ん。あいぼんがいなくて寂しいのかな」
口をゆすいでから、回答が返ってくる。
「そうだ。あたし、今日夕方からバイトだから。ゴハンの支度していくから、遅くなったらひとみちゃん、ののちゃんと
先食べてて」
「ラジャー」
自分も歯ブラシをくわえ、梨華ちゃんの頭をくしゃくしゃ撫でる。
梨華ちゃんはネコみたいに、目を細めてた。


―――石川視点

あたしは3時過ぎに支度をして出かけた。
まこっちゃんのお母様から先日電話があり、詳しい事情はよく分からないが、彼女はケガをしたらしい。
部活の練習中に、肉離れになったそうだ。
チアリーディングの大会を目前にした出来事で。
大事な大会だと本人は張り切っていたので、どれほど落ち込んでるか想像に難くない。
「部屋でふさぎ込んでて、出て来ないんですよ」
お母様は困り果てた様子だった。
まこっちゃんが好きだというカボチャのパイを途中で買い、彼女の家に向かう。
437 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)06時09分48秒
「麻琴、石川先生がみえたわよ」
ドアをノックしても返事がなく、お母様に『どうぞ』と促されたので、部屋に入って行った。
「まこっちゃん?」
カーテンを閉めっぱなしで、彼女はベッドに突っ伏していた。
「…センセイ?」
うつ伏せになったまま、声がした。
「そう。どう、具合は?」
「…腫れはひいたよ。包帯が邪魔だけど」
彼女の左膝から下の、白い包帯が痛々しかった。
「そうだ。あのね、あたしカボチャのパイ買ってきたんだよ。飲み物も買ってきたから一緒に食べよ」
ベッドに腰掛けて、相変わらず突っ伏したままの彼女の頭を撫でる。
「…カボチャなら食べる」
やっと、体を起こした。
目が真っ赤だった。
涙も出なくなるくらい、泣き腫らしたのだろう。
「ハイ」
ペットボトルの紅茶を手渡して、ケーキボックスからパイを出した。
ふだんませたことを言ってても、やっぱりまだ子供だなぁ。
黙々とパイを食べる横顔を見て、そう思った。
「あたしさ」
お茶を飲んで一息ついた後、彼女はぽつんと言った。
「大見得切ったんだよね、先輩たちに」
「何て?」
「『アタシが出るからには負けるハズがない』って」
まこっちゃんらしくって、思わずふきだしてしまった。
「ソコ笑うトコ?」
彼女はちょっとヘソを曲げたようだった。
438 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)06時14分48秒
「ごめん。すごい自信だなぁ、と思って」
勝ち気な目が、当然、というように光る。
「だってさぁ〜、実力社会なんだからそんくらいじゃないと」
「そうなんだ」
まこっちゃんはふたつめのパイに手を伸ばした。
これくらい食欲があるのなら、多分大丈夫だろう。
「そーいやさー」
「ん?」
「辻ちゃん、元気?」
「ん、まぁ、元気だよ」
本当はちょっと元気ではないが、そこは伏せておく。
「ねぇ、先生。辻ちゃんって何が好きなの」
「お菓子」
「即答だね。お菓子の中でも何が?」
「え〜…何だろ。ケーキに8段アイスに、クレープに…」
「よく食べるよね〜、あの子。学食でもカツ丼大盛りとか食べてるし」
容易に想像できる。きっと食堂のおばさんたちにも気に入られてて、人気者なのだろう。
「まこっちゃん、ののちゃんのことよくあたしに聞くよね。気になる?」
「いや、気になるっつーか、ちっちゃくてかわいいじゃん。癒し系っての?
なんか見てたらなごむし」
確かに。
あの笑顔を見てたら、何かイヤなことを忘れる。
だから元気がないと、余計気になる。

その日は、あたしが前回出した課題の答え合わせと、夏休みの宿題の読書感想文を
見せてもらって、色々アドバイスして終わった。
たまにはこんな日もあってもいいと思う。
439 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)06時16分37秒
「まこっちゃん、今度うちに遊びにおいでよ。あいぼんもいるし」
「加護は別にいいけど、辻ちゃんに会いに行くよ」
「またそんなこと言って〜。あいぼん、怒るよ〜」
「だってさ〜」
よかった。
少しは元気になってくれたようだ。


「ほぉ、肉離れか〜」
家に帰って、ひとみちゃんとごはんを食べながら、その話をする。
ののちゃんは、まだバイトから戻っていなかった。
「いや、あれマジ痛いんよ。腫れるし」
「ひとみちゃんもなったの?」
「ん。ウチ、中学の時バレー部だったからね」
「そうなんだ」
そういえば、海でビーチボールでバレーした時も、ものすごくうまいトスを
返してくれた。
スポーツ万能なんだ〜。いいなぁ。

「ただいまれす〜」
「あ、のの帰ってきた」
「ゴハンなんれすか」
ののちゃんは、ひょこっと台所の入り口から顔を覗かせた。
「おかえり。ピラフと肉団子のスープだよ。あと、サラダと」
「手、洗ってくるれす〜♪」
洗面所へ向かう、ぱたぱたという足音を聞きながら、ひとみちゃんと顔を見合わせた。
「元気そうじゃん」
「ねえ」
何にせよ、まこっちゃんもののちゃんも元気になってよかった。
440 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月10日(火)06時36分10秒
更新しました。

∬`▽´∬<ところで先生、ブラのサイズは? 

(; ^▽^)<元気になったと思ったらコレ…

レスのお礼です。

>オガマーさん
( ´D`)<ののがおうちに帰ったら、梨華ちゃんとよっすぃ〜がソワソワしてたのれす。
      何ででしょうか?
スミマセン(w、彼女に悪気はないんです。相方と離れるのは寂しいものです。

>クロイツさん
(;0^〜^;)<オ、オイラの意気地なし!あ、でも梨華ちゃんの声にクラクラ…
        オ、オイラどうすればいいの!?
どっちも恋愛初心者みたいなモンですから(ニガワラ。慌てない、慌てない(BY 一○さん)

>なっなし〜さん
( `.∀´)<ホホ!爆発的にイイ女ってコトよ!セクシーダイナマイ・ケイでも可よはあとはあと
        これで世界はアタシのものねッ!
感想に書きたいコト…ツッコミどころ満載ってコトでしょうか(w?ありがとうございます、
素直に嬉しいです。

>HR−MSさん
( ´D`)つ∇<チョコパフェじゃなくて、フルーツパフェのほうがよかったれすか?
        ケーキもあるれすよ、てへてへ♪
豪華2本立てカッケー!中澤家はナニゲに資産家だったりします。不動産で食べてるし。


        


  
      
441 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月10日(火)09時48分30秒
まっこっちゃん素敵!!!
最近まこっちゃんが気になってるので、嬉しい限りです♪
大見得切っちゃったあなたも素敵よ、まこっちゃん・・・v

でもってヨッスィー!!頑張って!!
もーちょっと押せば、もっとらぶらぶになれるのに〜!!
でも、そこが良いんですけどねvvほほえましくてvv
続き、超楽しみでっす♪
442 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)12時28分40秒
―――その日の夕方。

辻が休憩していると、携帯にメールが届いた。
『よう。しっかり稼いどるか。土曜にソッチ戻るワ』

『あ、あいぼんれす!ん〜と、すぐ返事を送ろうかな…』
辻は少し考えて、直接電話した。
「のの?」
すぐつながった。
「あ、あいぼん!いま大丈夫れすか?」
「おう、ちょっと動くワ。ここ、うるさいし」
どこか繁華街にいるようで、後ろでがやがやしていた。
「自分、いま休憩なん?」
「へいっ。あいぼんはお出かけれすか」
「オカンに言われて買い物してんねん。ほんま、あっついなぁ」
「あいぼん」
「何や」
辻はここのところ、どうにも自分の気持ちが、心許ない理由が分かった気がした。
加護は辻が何も言わないのを不審がって、
「どしてん?ヘンなハゲのおっさんの客にでも絡まれたんか」
普段より優しい声で言った。
「違うれすよ。えーと、気をつけて帰ってきてくらさいね」
「おう。よっすぃ〜と梨華ちゃんのラブラブっぷりに、せいぜい刺激されろよ」
「なんれすか、それ〜。あ、のの、そろそろ休憩終わりだから切るれす」
「ほなな」
あっけなく、電話は切れた。

『あいぼん、早く帰ってきてくらさい』
辻はエプロンの前ポケットに携帯をしまい、店に戻った。
443 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)12時30分58秒
―――一方、沖縄。

旅行4日目。
裕子は案内された部屋の豪華さに、唖然としていた。
「み、みちよ?」
「何や、姐さん」
「ここ…スィート?」
やたらと空間のある部屋で、隅のベッドは天蓋つき。
俗にいう、『お姫様ベッド』である。
「一番いい部屋ってワケやないけどな」
よいしょ、と掛け声をかけると、平家は裕子を抱き上げた。
「わっ!何すんねん!」
「新婚さんのお約束やからな」
お姫様抱っこされたまま、裕子はずんずん部屋の中央まで連れて行かれた。
『このまま…好きにされるんやろか?』
裕子は思わず貞操の危機を感じ、ぎゅっと目をつぶる。
「ハイ、到着」
降ろされたのは、籐製の一人掛けの椅子だった。
思わず肩透かしを食らい、裕子は全身の力が抜けるのを感じた。
旅行に来てから、平家からそういう接触がない。
わざわざ聞き出すのも変なので、疑問に思いつつも黙っていた。
「なんやねん、『新婚さん』て」
とりあえず、その辺からツッコんでみる。
テーブルに置かれたウェルカム・フルーツを、一切れ口にした。
「まぁ、細かいコトは」
平家はさらっと流し、自分もフルーツに手を伸ばす。
裕子はその腕を掴んだ。
「何?フルーツ独り占めする気?」
「ちゃうわい!…その、新婚っていうんなら…なんや」
『察しろよ!みちよのあほ!』
心の中で地団太を踏みつつ、顔を赤くする。
「たまにはアナタからも言いなさい」
平家の返事は意外だった。
「な、何をやねん!」
「ウチばっかりきっかけを作るのもね〜」
平家はわざとらしく肩をすくめる。
「どうせいっちゅうねん!」
「それは簡単」
平家の笑みに、裕子はイヤな予感がした。
444 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)12時33分16秒
『とりあえず、意思表示してや』
平家の言葉を額面通りに受け、裕子は立ち上がって、平家に近づいた。
そのまま黙って、椅子に座らせたまま口づける。
「姐さんさ」
「なんや」
「あんまり、自分から誘ったコトないでしょ」
図星だったので、ぱしっと頭をはたく。
「なんやねん!」
「誘いなれてないの、バレバレ。いや〜、かわいいな〜」
平家は両膝の上に頬杖をつき、床にへたりこんだ裕子を見る。
「…年上をからかうなよ」
ぐずった子供のように、頬を膨らませる。
「好きやで」
平家は観念して、両腕を伸ばした。


「ん…」
裕子はクッションを抱きかかえて、声を出した。
どれくらい寝たのか。
体に鈍い倦怠感が残っている。
隣に、さっきまで自分を抱きしめてた腕がない。
薄く目を開くと、
「…起きた?」
ソファの方から、声がした。
「体、だるい…」
裕子はうめいた。
「もう夕方やけど、ゴハンどうする?ルームサービス取るか?」
「…そーして」
今から出かけるのは、大儀だった。
445 名前:Summertime 投稿日:2002年09月10日(火)12時36分37秒
「そんじゃ、何がエエか言うてな。いくで、鶏肉のオレンジソース」
平家は腰を下ろしたまま、ひとつひとつ、メニューを読み上げていく。
裕子がどういう反応を示したかで、オーダーするものを絞る。
「スズキの赤ピーマンムース添え」
無反応。
「黒鯛の刺身」
体がぴくっと動く。
大方読み上げて、反応のよかったものをメモする。
自分が食べたいものも入れて注文し、平家はルームサービス係に電話をかけた。

「さて。ホテルのひとが来るまえに、お風呂でも入っておいでや」
平家に言われ、裕子はのろのろと起き出す。
体にだるさは残るが、さすがに今の姿のまま、ずっといるわけにもいかない。

軽くシャワーを浴び、バスタブに体を沈める。
さっきまでの平家の言葉を思い出す。

『みちよ。何でここんとこ、何もせんかってん』
との問いに、平家はこう答えた。
『そんな、初日からて…恥ずかしいやん』
ふだんあれだけ恥ずかしいことをしておいて、今更何を照れるのか。
裕子は首を傾げた。
『するなら、ここって。何となくみっちゃんの予定表に入れてたんよ』
何の予定表やねん!と裕子はまた平家の頭をはたいた。
『姐さん、ふだんそう見えてミョーに女の子やしー。
やっぱり“ロマンティックに”ってのは基本でしょ』
やっとることは全然ロマンティックちゃうやんけ。
そう言い返したいのを、ぐっとこらえた。
446 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月10日(火)12時45分01秒
更新しました。
『新婚さん、いらっしゃい』の巻。

( `◇´)<ウチはやっぱり姐さんには甘いワー

从 #~∀~从ノ<よう言うワ!

レスのお礼です。

>クロイツさん
∬`▽´∬<サンキュー!ガンガン飛ばすぜ!

本物は最近→∬´▽`∬な感じですけどね。よっちぃは自分からはなかなか押せないでしょうね(ニガワラ


訂正。

>>443
――― 一方、沖縄
447 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月10日(火)14時13分25秒
ののたんラブリーーーーーーーーーーーーーー!!!
かわええ…かわええよ、ののたん!!
んな事もしお姉さんに言われたら、全ての約束をすっぽかしてでも帰っちゃいますよ!!
んもぅ、あいぼん!!はやく帰ってあげてっ!!

そして、誘い下手な姐さんに萌えv
ロマンティックにこだわり、理性のコントロールをしてたみっちゃんに胸キュンv
いやぁ、素敵〜vv
続きが楽しみ過ぎちゃってんもぅ!!
448 名前:あおのり 投稿日:2002年09月10日(火)16時06分22秒
みっちゃんちょっとした反応で裕ちゃんが何が欲しいか読み取るところはさすが!
大人の女はひとあじちがいますなぁ
みっちゃんの「ロマンチックで姐さんメロメロ大作戦」も大成功でヨカッタヨカッタ
449 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月11日(水)20時57分09秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
保田様用・しおり
    
 ( `.∀´)y~~~ <ここまで読んだわよっ!      
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
450 名前:Summertime 投稿日:2002年09月11日(水)21時02分30秒
同じ日の夜。

後藤は保田宅のリビングで寝ていた。
以前スカパーで放映された、Coccoライブを録画したビデオを、保田やアヤカと見ようと集まっていた。
市井は母の実家に泊まりに行っていた。
コーヒーを入れてきた保田は、あまりの寝つきの良さに苦笑する。
「たく、のび太並ねっ」
持ってきたトレイをテーブルに置く。
「フフ。可愛い寝顔」
アヤカは後藤のほっぺたを軽くつついた。
「圭ちゃんがホレるのもムリないな〜」
保田はバツが悪そうな顔をし、アヤカにマグカップを手渡す。
「んあ〜。圭ちゃん〜」
保田は思わず、振り返った。
どうやら寝言のようだ。
「ごとー、サンドイッチのピクルスはキライだよ〜」
「ナニ言ってんのかね」
保田とアヤカは顔を見合わせて笑った。
後藤にタオルケットをかけ、ふたりはしばらく世間話をする。
バンドのこと。新しく出た、好きなアーティストのCDのこと。
451 名前:Summertime 投稿日:2002年09月11日(水)21時06分02秒
「圭ちゃん、カオリさんは元気?」
「ん、あ?元気よ。最近むこーも忙しいみたいであんまり会わないけど」

しばらく黙ってコーヒーを飲む。
「あのさ」
しばらくして、アヤカは切り出す。
「何?」
「カオリさんって…付き合ってるひといるの?」
保田はまじまじとアヤカの顔を見る。
「て…アンタ、カオリ狙い?」
「違うよ。確かに、キレイだしタイプだけど」
『あんまし否定になってねーぞ』
保田は心の中で呟く。
「じゃ、なんで?」
「ここまで言っても気づかない?」
ふたりの間に、えもいわれぬ空気が流れる。
「えーと」
保田が冷や汗をたらしていると、
「んあ?」
後藤が目をこすって起き上がった。
「あ、起きたの」
「んあ〜、よく寝た」
ネコのように体を伸ばし、頭をかく。
「ビデオは?」
「もう終わったわよっ。アンタ、寝てたじゃん!」
保田はあきれて言う。
アヤカも横で笑った。
「あっは!出だしの10分しか覚えてないや〜」
もう一度見るのもなんなので、ビデオは後藤に貸し出されることになった。

『んあ?圭ちゃんとアヤカちゃん、どしたんだろ?…ヘンな感じ』
疑問に思ったが、あえて後藤は口にしなかった。
452 名前:Summertime 投稿日:2002年09月11日(水)21時10分53秒
―――吉澤視点

翌日。
ごっちんが遊びに来た。

居間に行くと、ののが自分のノートパソコンで何か打っていた。
「ののちーん、何やってんの〜」
ヒマなので、後ろからじゃれに行く。
「読書感想文作成中れす」
「最近の感想文はパソコンでやるんだ。かぁ〜!時代だね!」
「んあ!」
ごっちんも、興味津々という風に、横から覗き込む。
「ののちゃん、何の本読んだの?」
梨華ちゃんが、ジュースとお菓子を持ってきてくれた。
「んとれすね、夏目漱石の『こころ』れす」
「感想文の定番だね」
みんなで頷き合う。
「あいぼんは、なんかムズカシイ本読んでたれす」
「へ〜。なに?」
「んと、なんか外国人じゃなかった…外国人みたいなタイトルで、お酒みたいな名前のひとが
書いた本れす」
物凄く気が遠くなるようなヒントに、みんな遠い目になる。
「ひょっとして…カミュの『異邦人』?」
ウチと梨華ちゃんは、驚愕の目でごっちんを見た。
何であのヒントで分かるんだ!?
「そう!それれす!後藤しゃんはスゴイれすね〜」
ごっちんは得意げにフフンと、鼻を人差し指でこすってみせた。
「あいぼん、何か感想も難しいこと書いてたれす。ふじょーりがどうとか」
不条理、のことだろうな、多分。
ウチもとっさに何のことか分からんかった。
「加護ちゃんは難しい本読むんだね〜。ごとー、1回読んだけど難しすぎてさっぱり分かんなかったよ」
…ウチなんか読んでもいない。
「あたしも分かんなかった」
梨華ちゃんも読んでるのね。
ウチ、大学生として、これではダメだな。

そんなワケで一大奮起して、ひとり読書週間を始めた。
453 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月11日(水)21時22分01秒
更新しました。
( ´ Д`)<秋は読書の季節だね〜 ココデハマダナツダケド

レスのお礼です。

>クロイツさん
(* ´D`)<そんな…照れるれすよ テヘテヘ
私ならドタキャンするかもしれません(ダメじゃん)。沖縄の新婚さんは目も当てられんくらいラブラブです。

>あおのりさん
( `◇´)<姐さん、かなり分かりやすいひとやねん!
長い片想い期間はムダではないのです。作戦も大成功です、ミチャーソの狙い通りに(w

>名無し読者さん
( `.∀´)<んま!ステキなしおりじゃない!ホホ!ありがとう!
初レスの方でしょうか、ありがとうございます。物凄い勢いで印刷したくなりました。
しかしいまプリンターが壊れたまんまだと気づきました(ニガワラ



454 名前:オガマー 投稿日:2002年09月11日(水)22時50分48秒
久しぶりのレスです。
前回分の、へけさんと姉さんのやりとりが非常にツボで萌えですたw
今回はゴチーンが変に頭良さ気なのが以外で「んあ」「んあ」言っててかわいいですw
ごまさんは、なんかこう普段の会話というのでしょうか。
なんでもない日常を小説にできるところが素晴らしいですな。
455 名前:婆金 投稿日:2002年09月12日(木)02時41分54秒
沖縄編、大人チックでよござんす!
それにしても。細部にまでこだわっている『屋根の下のベース弾き』は、
私の琴線にタッチしまくりです(DO世代の匂いもプンプンしますし)。
これからも、がんがってください。
456 名前:Summertime 投稿日:2002年09月12日(木)11時23分47秒
―――沖縄。

5日目の朝。
裕子が目を覚ますと、隣の平家はまだ寝ていた。
ゆうべはマッサージの人に来てもらい、裕子はあまりの心地よさに、マッサージして
もらったまま眠ってしまった。
平家がいつベッドに入ったのかも分からない。
ふたりともシャツを着てるので、夜は何もなかったようだ。

とりあえず着替えを持って、バスルームに行く。
そこの窓からも海が見える。
バスタブに湯を張りながら、窓についてる扉を開けた。
朝の光が柔らかく差し込んでくる。
今日も暑くなりそうだ。

バスルームから出てくると、平家がソファーに腰掛けて新聞を読んでいた。
「おはよ。えらい早いな」
ふだんは平家のほうが早く目が覚めるので、彼女は驚いているようだった。
「まぁ、たまにはな」
答えながらバスタオルで髪の滴を拭き取る。
「朝はどうする。ウチ、部屋から海を眺めながら朝食を、ってやってみたいんやけど」
なんや形から入るやっちゃな、ベタや、と思いながらも、裕子は同意した。


窓際のテーブルで朝食を取る。
まだ日差しはそんなに強くない。
しかし、もうしばらくしたら、また肌を刺すような日差しに変わるだろう。
「暑いな」
裕子はトーストを半分に割りながら言った。
「ウン」
平家はソーセージエッグにナイフを通している。
「食べてみ。ウマイで」
皿にソーセージがひとつ置かれた。
噛むと、プツンと弾けた。
自分のハムエッグのハムを、黙って平家の皿に載せる。
457 名前:Summertime 投稿日:2002年09月12日(木)11時25分19秒
平家はトーストを半分に切った。
パンにバターを塗り、ハムと目玉焼きを少し載せ、サンドイッチにした。
裕子が羨ましそうにじっと見るので、
「はい、あーんして」
サンドイッチを口元に近づける。
いつもなら『エエ年してあほか!』と怒り出すところなのに、今日は素直に
口を開けた。
『雨でも降るんやないやろか。イヤやわ、せっかく旅行に来てんのに』
平家はちょっと不安になる。
その後の裕子の行動も、更に雨の予感を強めた。
自分からママレードを塗ったトーストの小片を、平家の口元に持ってきた。
「あ、ありがと」
あっけに取られながらも、ちょっと嬉しくてむぐむぐと口を動かして食べる。


朝食を済ませると、散歩も兼ねてホテル敷地内のプールへ泳ぎに行った。
すでに何人かの客がデッキチェアでくつろいだり、水につかったりして、
思い思いの時間を過ごしている。

「これは水かけてふざけたりできる雰囲気やないな」
「姐さん…するつもりやったんか」
ふたりは椅子を確保して、腰を下ろした。
458 名前:Summertime 投稿日:2002年09月12日(木)11時29分18秒
―――石川視点

お昼はみんな家にいたので、サンドイッチを作って食べた。
ののちゃんは
「タンポポで修行した腕前を見せるれす」
と宣言し、フルーツサンドを作ってくれた。
ほどよい甘さのホイップクリームに、キーウィとオレンジがサンドされてる。
「ホイップにれすね、リキュールをきかせるのがポイントなんれすよ」
シェフは得意げに言った。
「ほうほう。しっかしうんめーな〜!」
ひとみちゃんは普段なら卵サンドにいちばん関心を示すが、今日はののちゃんの
サンドイッチを気に入ったようだ。
「梨華ちゃんのきゅうりサンドもうんめ〜!」
すかさずフォローするところがひとみちゃんだ。
「ののちゃん、お料理上手になったね〜」
褒めると、ののちゃんはとてもうれしそうに八重歯を覗かせた。


『梨華へ
元気か。何日も家、空けてスマンな。
土産は何がエエ?
昨日から泊まってる部屋は、あほみたいに豪華や』

お昼過ぎ。
裕ちゃんから届いたメールに、あたしはうーんと考えた。
『あほみたいに豪華な部屋』ってどんなんなんだろう。
もしかしたら、スィートってことかしら。
だとしたら、平家さんの力の入れようは、並々ならぬものがある。
このシーズン時に、部屋を取るだけでもタイヘンだったろうな。

『お土産なんていいよ。
それより…甘い時間を過ごしてねはあとはあと
これを受け取った裕ちゃんの怒った顔を想像しながら、送信した。
459 名前:Summertime 投稿日:2002年09月12日(木)11時37分49秒
「梨華ちゃんからのメールなんやったん?」

平家がコーヒーを飲みながら尋ねる。
ふたりはホテルのティールームでお茶を飲んでいた。
カフェテラスもある店で、席のすぐそばには海が見えている。
「いや、大したことやあらへん。なんやあほなこと言うとるだけや」
さすがに恥ずかしくて見せられない。
裕子は携帯を、そのままバッグにしまった。


プールで泳いだ後、スパにも行った。
心なしか、肌がすべすべになったような気がする。
昼を抜いたので、ここでアフターヌーンティーセットを頼んだ。
タワー型の枠に載せられた皿には、サンドイッチやスコーンが品良く並んでいる。
同じものを頼んでいるのは、女性客が多いようだ。

「優雅やなー。ふだんなら、こんなん考えられんわ」
裕子は率直に感想を漏らす。
海を見ながらお茶なんて、旅先ならではだ。
東京にいたら、辻・加護が大騒ぎするのを怒鳴りながらの騒がしいひとときだろう。
それはそれで楽しいが。

海風がさっと吹き抜けた。
平家が黙って自分を見ている。
「なんや」
「いや、エエ女やな〜と思って」
頬杖をつき、ニヤニヤする。
わざと無視して、ぐっと紅茶を飲み干した。

部屋に戻る。
夕食までの時間を、平家は昼寝、裕子は籐椅子に腰掛け、読書して過ごした。
外から波音が響く。
時間が、ゆっくり流れていった。
460 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月12日(木)11時51分44秒
更新しました。

从 #~∀~从ノ□<このサンドイッチ、シャケが入っとるワ!

( `◇´)<シャケ言いな!サーモン!

優雅なアフターヌーン。

レスのお礼です。

>オガマーさん

( ‘д‘)<師匠は物知りやねん!さすがウチの師匠や!

( ´ Д`)<んあ〜、そんなことないよ〜 ネムイ…

意外に雑学に長けたごまなのです。うれしいひとことです、ありがとうございます。

>婆金さん

(0^〜^)ノ<オイラも沖縄行きたいYO!リカチャントイチャイチャ…

(* ^▽^)<青い海、白い砂浜…ビキニのひとみちゃん!キャッ!

勝手ながら(w、DO世代だと私の方でも思ってます。ありがとうです、がんがります。

461 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月12日(木)12時08分28秒
・ホテルの朝食

( `◇´)<さて、朝ごはん注文しよか

从 #~∀~从<何があるんや

( `◇´)<えーと、洋食と和食とあるようやけど

从 #~∀~从<洋食は何があんねん

( `◇´)<セットみたいやな。トーストほかパン3種、ハムエッグかソーセージエッグ
       (スクランブルも有り)、サラダ、フレッシュジュース、コーヒー・紅茶
       シリアルとかもあるようやで。オートミールとかも

从 #~∀~从<目玉焼きや!(きっぱり)

( `◇´)¶<言うと思たワ。えーと、ルームサービスは… 



从 #~∀~从<分かっとるんなら聞くなよ!( `◇´)¶<一応な、確認のため
462 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月12日(木)13時34分17秒
んもぅ、姐さん!!可愛いったらありゃしないっ!!
みっちゃんもめろめろですねぇ♪私もめろめろです(笑)

そして、ののたんのフルーツサンド!!
私もた〜べ〜た〜い〜!!
くそぅ、ヨッスィー!!この幸せ者め!!
あああ、続きが!!続きが楽しみです!!
463 名前:Summertime 投稿日:2002年09月13日(金)16時08分14秒
―――吉澤視点

金曜日。
今日の夜、中澤さんが帰ってくる。
朝、台所に降りてったら、ののと梨華ちゃんが朝ごはんを食べてた。

「おはよう、ひとみちゃん」
「おはようれす」
「おはようっす。今日、中澤さん帰って来るんだよね」
「うん。平家さんと旅行中ずーっとラブラブだったみたい」
ハハハ。やっぱし。
でも、うらやますぃ〜!
「あいぼんは明日帰ってくるれす」
「へえ。のの、ここんとこ、元気なかったしな。よかったね」
「…そうれすか?」
ののはきょとんという顔をする。
あんまし自覚ないんだろうか。
ウチと梨華ちゃんは目配せした。
「あ、そうそう。明日ね、この近くでお祭りあるんだよ」
梨華ちゃんが話題を変える。
「わあ!ホントれすか?」
ののがとたんに顔を輝かせる。
「あいぼんにメール送るれす!のの、お祭りらいすっきれす〜!」
梨華ちゃんからお味噌汁を受け取り、ウチは
「梨華ちゃん、一緒に行こっか。夜なら、ウチもヒマだし」
とナニゲに誘ってみた。
「ウン!あ、浴衣どこしまったかな〜。探さないと!」
梨華ちゃんの浴衣姿かぁ〜。
楽しみ〜。
464 名前:Summertime 投稿日:2002年09月13日(金)16時10分42秒
バイトに出かける。

朝一番になっちさんに、
「よっすぃ〜、頼みがあるんだけど、いいかい?」
と言われた。
「何ですか」
「明日この近くでお祭りがあるんだべ」
「ああ。朝、梨華ちゃんに聞きました」
「うん。それで、なっちの知り合いの人がいつもカキ氷売るんだけど、奥さんが急に
盲腸で入院して人手が足りないらしいんだべ。5時頃から2時間くらいでいいから、
よっすぃ〜、手伝ってもらえないべか?」
「え。店のほうはいいんスか?」
「ああ。明日は祭りだから、この辺の店はふだんより早く閉まるんだよ。
なっち、手伝いに行きたいんだけど、商店街の方でも色々仕事があって」
「そうなんスか。それならお手伝いします」
「ありがとう。明日はカキ氷が好きなだけ食べられるっしょ!」
カキ氷屋さんかぁ。何か、楽しそう〜。


「カキ氷屋さん?」
「ウン、2時間だけどね」
家に帰って、ゴハンを食べながら梨華ちゃんと話をする。
「そっかぁ。あ、明日どうする?」
「7時頃には終わるらしいから、それくらいに直接氷売ってるトコに来てくれる?」
「うん、分かった」
ああ、楽しみだなぁ。お祭りもずいぶんヒサブリだし。
アジフライをかじりながら、梨華ちゃんの横顔をちらちらと覗き見る。
ゆっかた♪ゆっかた♪
465 名前:わく 投稿日:2002年09月13日(金)16時11分38秒
楽しみ♪りかちゃんも頑張れ!!よっしぃとラブラブ甘甘で☆
ゆうちゃんみっちゃんも・・・!!
466 名前:Summertime 投稿日:2002年09月13日(金)16時16分38秒
「ただいまれす〜」
ののがバイトから帰ってきた。
「梨華ちゃん、今日はアジフライれしたね」
「うん。手、洗っておいでよ。オナカ空いたでしょ」
「合点れすっ」
3人のごはんも今日で最後だ。
何か、家族みたいで。
これはこれで楽しかったな。

梨華ちゃんの携帯が鳴った。
「もしもし?あ、裕ちゃん。いま羽田なの?うん、分かった」
梨華ちゃんが携帯をあたしに差し出す。
「なんか、裕ちゃんがひとみちゃんに代われって」
「ほえ、なんだろ?もしもし」
『吉澤!首尾よういったか!?』
…相変わらずだ。
「何がっスか?」
『何がて!決まっとるがな!!辻は1階やから、やりたい放題やったんやろ!!!』
「…あの。仮にも妹さんじゃないっスか」
隣にいるであろう平家さんは、いまどんな顔をしてるんだろうか。
他人のフリしてんのかな。
『かぁ〜!もしかしたらなんにもナシかい!』
「はぁ、スンマセン」
ばっと梨華ちゃんが携帯をひったくった。
真っ赤な顔で。
「ちょっ!裕ちゃん!?バカなこと言わないで!!」
ウチとののは、顔を見合わせてへへっと笑った。
「アジフライはカラシがオツれすね」
「そうだね」
「分かった!?裕ちゃん!」
まったくもう、とブツブツ言いながら、梨華ちゃんは電話を切った。
この様子じゃ、中澤さんは帰ってからも、梨華ちゃんに小言を言われるのだろうか。
「ごめんねー、ひとみちゃん。裕ちゃん、どうせヘンなこと言ったんでしょ」
「あ、いや。いつものことだし」
なんかフォローになっとらんな。

明日はあいぼんも帰ってくるし、また賑やかになるな。
ウチはそう思って、アジフライを齧った。
467 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月13日(金)16時26分58秒
更新しました。

なんもなかったんかい!ヘタレ!>从 #~∀~从¶(;0^〜^)¶<トホホ…

レスのお礼です。

>クロイツさん

( ´D`)つ□<おひとつどうぞれす

姐さん、スィートルーム効果と思われ(爆 ミチャーソ、がんがりました(何を?)

>わくさん

(* ^▽^)<ハイ!がんがります!

リアルタイムでしょうか?いしかーさんは浴衣で大張り切りの予定です。

468 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月13日(金)16時38分55秒
・脂身の行方

( ^▽^)<みんなでお肉を食べに行きました…


(; `.∀´)<コラ後藤!食いながら寝るんじゃないわよっ!シカモサラモッタママ

( ´ Д`)つ○<ZZZZZ…

(0^〜^)<タマゴないの?

川;‘〜‘)||<いや、ここ焼肉屋だし…

( ^▽^)つ○<保田さ〜んはあとはあと脂身食べてくださ〜い♪

(; `.∀´)つ○<自分の嫌いなものを押しつけるんじゃないわよっ!タク、ショウガナイワネ!

( ゜皿 ゜)<ウケトッテルジャン

(* ^▽^)<あ!ひとみちゃん…足、擦ってる

(;0^〜^)<エ、エ!?オイラ、知らないよほ!



(; `.∀´)y−~~ <たく!こたつっつーのは、昔っから、桃色的なことが多いわねっ



469 名前:オガマー 投稿日:2002年09月13日(金)17時00分00秒
( ´D`)<おまつりらいすっきれす!
これツボー!!(w

ひとみちゃんと梨華ちゃんはほのぼのええカップルですなーw
そして水着の次は

浴衣!浴衣!!(w
470 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月13日(金)18時08分58秒
初めてレスします。楽しみで仕方ないです!
「脂身の行方」、矢口さんのANNSネタですね(W
タイムリーでうけますた。
471 名前:ベリィ 投稿日:2002年09月13日(金)18時12分18秒
お久しぶりでごじゃいますw

从 #~∀~从¶<吉澤!首尾よういったか!?
ね〜さん…。平家さんの前ではかわいらしいのに…。(爆)
でもね〜さんらしくて好きですw平家さんもなんかかっこいいなぁ…。

…にしたってヤッス〜桃色的って!!(笑)
も〜笑いすぎて顎外れるかと思いましたw

ちょっと私用で忙しかったんですけど,
毎日見て癒されてました〜wここの話を見にくると
一日の疲れがぶっ飛びますねwワタクシめも浴衣に期待w
472 名前:あおのり 投稿日:2002年09月13日(金)19時37分38秒
よしいし一つ屋根の下編ももう終わりですね・・・吉ヘタレ(ボソ
オマケの顔文字劇場オモロかったです。矢口さんナイスぶっちゃけ!
よっすぃ〜足擦り付け・・・ってアジフライ食べながら、ののもいるのにな〜にやってんだか(違
473 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月14日(土)19時15分40秒
素敵です、姉さん…!!
私が姉さんの立場でも、同じ事をヨッスィーに言ったでしょう!!

そして浴衣!!
ゆーかーたー!!!
楽しみです!!ヨッスィーはどんな反応をしてくれるのか!?
きゃ〜〜〜!!!
474 名前:REDRUM 投稿日:2002年09月16日(月)00時58分08秒
姐さんかっけーっす!
こんな姉ちゃんが居たら楽しいでしょうね!!(苦労するかな?)
近頃、ここを覗くのが楽しみでなりません。

掘り炬燵に入って続きを待ってます( ^▽^)人(^〜^0)
475 名前:Nさん 投稿日:2002年09月16日(月)01時20分27秒
や〜っと続きが全部読めて感動でっす♪
ごまさん、萌え萌えの更新かんしゃかんしゃ!!
まるでほんとの家族のよ〜な三人が微笑ましくてつい嬉しくなっちゃった♪
ノノチャンタラ( ´▽`)σ)´D`#)テヘテヘ (´〜`O)リカチャン、ママミタイ

そして梨華っちの浴衣!!!
も〜〜めちゃめちゃ楽しみにしてんのは絶対2・3人ではないハズ!w
ワクワク・・・♪



476 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時25分36秒
―――吉澤視点

翌日。

朝から大忙しだった。
なっちさんがお祭りの最終打ち合わせなんかで店を出てる間、ウチが店番を
してなきゃいけない。
夕方には店を閉めるのを知ってるのか、普段ヒマな時間帯にもお客さんが
やって来た。

「よっすぃ〜!ごめんね〜。何かあったかい?」
しばらくして、なっちさんが戻ってきた。
「いえ、特にありませんでした。あ、そうそう。矢口さんから電話ありましたよ」
「矢口から?何だべな、携帯にかけてくればいいのに」
「電源切ってて、つながらないとか」
「あ、そうだった。そうだった」
なっちさんはカウンターに行き、電話をかけた。

矢口さんの用事は、ののをカキ氷バイトに派遣する、というものだった。
夜はウチがやるから、昼間はののがすることに決まった。
「ののちゃんは5時までだから、ちょうどののちゃんと入れ替わりになるっしょ」
「そうですね。のの、ああいうの好きだから張り切ってると思いますよ」
「そうだべか。昼も夜も可愛い売り子さんで、売り上げ倍増だべ」
なっちさんが冷やかすように言うので、ウチは照れて頭をかいた。


辻は昼過ぎに、タンポポのバイトを終えて、祭りの会場へ向かった。
それとは入れ違いに、加護がタンポポを訪れた。
中途半端な時間に帰ってきたので、遅い昼食をとるためだ。
「こんにちは」
「あ、加護じゃん。辻ならさっきお祭りの会場に行ったよ」
矢口がすぐ気づいて言った。
「もうですか?ウチ、ののと6時に約束してるんですよ」
「ああ、お祭りで辻、急にカキ氷売りすることになったんだよ。5時頃には終わるよ」
「そうなんですか」
477 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時27分57秒
辻から昨日、『お祭りがあるから行こう』というメールがきた。
OKの返事を出し、6時にタンポポ前ということにした。

携帯の電源を切ってあったことを思い出し、すぐ入れた。
『のの、お祭りでカキ氷屋さんやることになりました。
あいぼん、悪いんですけど、6時に直接会場にきてください。
カキ氷おごってあげます。のの』
朝10時頃に辻からメールが届いていたようだ。
ちょうど、加護が新幹線に乗り込んだ頃だ。
「矢口さん、お祭りの会場ってあの大きな公園ですよね」
「そうそう。よくお花見とかしてるトコ」
「そっか。カキ氷屋さんか…」
加護は携帯を握り締めて、フフっと笑った。

加護が中澤家に戻ると、家中が少しばたばたしていた。
「ただいま戻りました〜」
鍵を開けて入ると、後藤が台所からひょこっと顔を覗かせた。
「んあ!おかえり!」
「あ、師匠ですやん!どないしはりましたん!」
「あっは!浴衣を裕ちゃんに着付けしてもらうためにここにいるのです!
そんでお祭りに繰り出すのです!」
「え〜!師匠の浴衣見たい、見たい〜!!」
後藤と加護がはしゃいでいると、居間から裕子が出てきた。
「おう!無事帰ったか!」
「あ、中澤はん。ただいまです。これ、うちの両親からです」
色々土産がつまった紙袋を手渡す。
「おおきにな、お礼言うといてな。加護もエライ大荷物やな、それ、なんや」
「んあ?」
後藤は加護が持ってるもうひとつの紙袋を覗き込んだ。
「あっは!ゆっかた!ゆっかた!」
「あ、あ!師匠!勝手に見んといてくださいよ!」
加護は真っ赤になり、慌てて紙袋の口を押さえる。
478 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時31分23秒
「ハッハ。フロ入ってから着せたるワ。いま、梨華の帯探しててん」
「あ、あいぼん!おかえり〜!」
奥の部屋から梨華が出てきた。
「ただいま。よっすぃ〜は今日、バイトなん?」
「ウン。あのね、夕方からひとみちゃん、お祭りでカキ氷屋さんするんだよ」
「へ?ののも昼になんやするてゆーてんで」
「あっは!これは見に行かないとね!あ、そうだ。圭ちゃんもね、あるところで
売り子してるんだよ〜」
「え、ナニナニ?」
「それは会場でのお楽しみ〜」
後藤は、にぱっと笑った。


―――その頃。
会場で、保田は郵便局の制服の上にハッピを着、臨時販売所で記念切手やらハガキセットやらを
売っていた。
「おねーさーん!その5番のヤツ、バラで買える?」
「ハイ、できます。これだけでよろしいですか?」
「あ、そんじゃ、その14番のヤツも2枚もらおうかな」
「ハイ、ありがとうございます」
満面の笑顔で、頭を下げる。
保田は学生時代、マクドナルドでバイトしたことがある。
その時に培った接客術を、いまフルに生かしていた。
「保田さーん、交代するよ。休んできて」
「あ、ハーイ」
休憩時間となり、保田はハッピを脱いでいそいそと屋台に向かった。
とにかく喉が渇いた。
この炎天下でいくらテントの下とはいえ、売り子をすれば声も嗄れる。
「氷でも食べようかしらね」
チビッコが群がっているカキ氷の屋台に向かうと、とても見知った顔がお金の受け渡しを行っている。
「あ、オバチャン」
「辻!また新たにバイト?」
「ちがうれすよ、臨時でお手伝いれす」
「ほほう。感心、感心。売り上げに協力でもしようかしらね」
479 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時33分53秒
「へいっ。200円れす」
保田は500円を出した。
辻はお釣りを渡す時、こっそりと、祭りの200円分の金券を握らせた。
「のののおごりれす」
保田にしか聞こえないように、辻はこそっと囁いた。
『ふふっ。辻ったら粋なマネするじゃない』
保田はほのぼのしながら、金券を財布にしまい、氷レモンをストローですくった。


―――再び中澤家。

一足早く加護は風呂に入らせてもらい、裕子に浴衣を着せてもらった。
「よっしゃ!こんでエエわ」
帯の腹のところをぽんと叩く。
「おおきに、中澤はん」
「見てごっち〜ん!あいぼんカワイイ〜!」
「んあ!」
梨華と後藤にじろじろ見られ、加護は恥じらいながら俯いた。
「そんじゃ、ウチはお先に」
「気ィつけて行けよ」
約束の時間にはまだ少し早かったが、加護は会場へ出かけた。
480 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時43分33秒
公園に着くと、かなり賑やかに音楽が鳴っていた。
「加護!」
振り向くと、保田がハッピを着て立っていた。
「あ、オバチャン。どないしたん」
「今日は臨時で郵便局の出張販売だったのよ。もう終わったけど」
「ふうん。そうなんや」
そういえば保田はハッピの下に制服を着ている。
「めかしこんで、デート?」
保田がニヤニヤするので、
「何でのの相手で、デートやねん。まったくこれやからオバチャンは」
加護はおおげさに溜息をつく。
「ホホ!そんじゃアタシはいったん局に戻るワ!また改めて参上するから!」
保田は手を振って行ってしまった。
『参上て…。オバチャンは元気やなぁ〜』
加護はその後姿を見送った。


6時になった。
段々見物客がふえてくる。
『はて。広場に来い、いうとったけど、どこにおったらエエねん』
加護がメールを送ろうか思案していると、
「あいぼーん!」
辻が両手にカキ氷を持って現れた。
「おう!いまメールしよと思てたトコや」
「待ったれすか?」
「いや、そんなに」
ハイ、と辻は赤いシロップのかかった氷を差し出した。
「お、サンキュ」
辻はメロンのほうをわしゃわしゃと食べる。
加護もサクサクとストローのサジを突っ込んで、かき混ぜて食べた。
「自分、氷屋してたんやて?」
「へいっ。いま、よっすぃ〜がやってるれす」
「へえ〜」
「あいぼん、それより…」
「何や」
「浴衣、すっごくカワイイれす!」
辻の満面の笑顔に思わず照れてしまい、
「あ、おおきに…」
加護は消え入りそうな声で答えた。






481 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時49分55秒
「んあ〜。梨華ちゃんの浴衣かわいいね〜」
「そんな、ごっちんこそ」
梨華と後藤は、連れ立って会場の公園に向かっていた。
裕子は平家から連絡があってから出かける。

「ヨシコもホレ直すよ〜」
「やだ…」
梨華はポッと頬を染める。
『梨華ちゃん、いちいちやることがオンナノコだな〜。
ごとーも見習わないと』
とりあえずは圭ちゃんに脂身を食わすことかな、と後藤はややズレたことを考えた。
途中で保田に会う。
「んあ?圭ちゃん、ハガキ売ってるんじゃなかったの?」
「もう終わったわよッ!今からアタシも一旦ウチ帰って、出直すトコよ!
たく、夕方で終わるって言ったでしょーが」
「あっは!圭ちゃんの売り子見れなかったね〜。ザンネ〜ン」
梨華はおかしくて、帯で苦しい思いをしながらお腹を抱えて笑った。


「んあ、ヨシコはどこじゃ」
会場でカキ氷屋を探す。
どうも、口コミで美人の売り子がいると評判になったらしく、そこには
すごい人だかりが出来ていた。
「あ、あれヨシコじゃない?」
後藤が示すほうには、忙しくお釣りを客に渡したりしている、黒のTシャツ姿の
吉澤がいた。
『ひとみちゃん、カッコいい…』
「あっは!ヨシコのTシャツスゴイね〜。『黒龍』だって!」

約束の7時が近づいた。
「ヨシコ〜!」
「あ、ごっちん!梨華ちゃんも!」
吉澤は梨華の浴衣姿を目にした途端、一瞬商売を忘れそうになった。
梨華ははにかむように自分を見ている。
『やっべ…マジ、カワイイし!』
気を取り直し、商売に専念しようとする。
紫の浴衣に、黄色の帯がよく映えていた。






482 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時51分50秒
「あ、ちょっと待ってて!」
「んあ!」
後藤は返事して、少し離れた場所に梨華と移動する。
「ヨシコ、目が点なってたよ。梨華ちゃんの浴衣姿見て!」
シシシシ、と声をひそめて後藤は笑う。
「エ、エ!?似合わないかな?」
梨華は泣きそうな顔になった。
家を出るときにも、裕子に、
『おかしくないかな?』と100万回くらい聞き、『エエ加減にせえ!』とキレられた。
「あっは!もっと自信持ちなよ!ヨシコ、今日で『リカちゃんメロメロ指数』が
100くらいアップしたよ」
そうかなぁ、などと言っていると、吉澤が走ってやってきた。
「お待ち!」
「んあ〜、遅いぞ〜」
「わりい、わりい。お詫びにカキ氷おごっちゃる。おふたりさん、何がいい?」
「ごとーはイチゴ」
「あ、あたしも」
「そんじゃ、買ってくるわ」
「んあ、ごとーも持っちゃる。ヨシコも自分の買うんじゃろ」
「おう、サンキュ」
ふたりで連れ立ってカキ氷屋に戻るとき、
「ホレ直したね、紫の浴衣姿に」
後藤は吉澤の腕を『このこの!』というように肘で突いた。
「バレた?」
吉澤はデレデレと締りのない顔で頭をかく。

3人で氷を食べ、一息ついてから、後藤は
「そんじゃ、おふたりさん。ごゆっくり。ごとーは圭ちゃんに遊んでもらいます」
そそくさと去って行った。
「あ、ごっちん!」
梨華が声をかけたときには、後藤はもう人の波にまぎれてしまった。
「いこっか」
「ウン!」
吉澤が差し出した手を、梨華はしっかり握った。
483 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時54分34秒
公園の中央にはやぐらが組まれ、上で太鼓を叩いている女性がいた。

「あ!あれ飯田さんじゃない!?」
梨華の言う通り、飯田がねじり鉢巻をして力強く叩いている。
下では『きょうりゅう音頭』に合わせて、子供らが輪になって踊っている。
「いいらさ〜ん!」
辻が手を振って熱い声援を送る。
飯田はそれに応えるように、ウィンクした。
「あ〜、オイラも叩きてぇ〜!」
吉澤はむずむずして、
『飛び入りで叩いてくだすっても結構です』
とのアナウンスに、いまにも飛び出しそうになった。
「行ってきて。あたし、ここで見てるよ」
梨華の言葉に甘え、吉澤は『カッケーとこ見せなきゃ!』と大張り切りで向かった。

吉澤は力強く叩き出す。
下で見ている梨華は眩しそうに恋人を見る。
「ホホ!やっぱり叩いてるわねッ!」
いつの間にか、ビデオカメラ持参で保田が隣にいた。
「保田さん」
「アラ!アンタも浴衣?フフ、例えて言うなら、女心とイカ焼きの煙ねっ」
「いや、圭ちゃん。ワケわかんないし」
横から矢口がツッコむ。
「お!アゴン!今日はよりいっそうべっぴんだな〜」
矢口も感心したように、浴衣姿の梨華を見た。
「やだ〜!矢口さん!」
「キショッ!」
矢口のツッコミは今日も冴えていた。
484 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)19時59分39秒
「まーったく。どーしてウチのバンドは野次馬が多いのかね」
飯田と合流した保田はあきれたように笑い、やぐらの上の後藤にレンズを向ける。
気分は子供の運動会のお父さんだった。
「圭ちゃんだって叩いたじゃん!やる気マンマンで」
「ホホ!ドラマーの血が騒いだのよっ!」
後藤に撮影を託し、思うがままに叩いて拍手喝采を浴びた。
「あれ。郵便局のひとだよねー」
観客の声に、またもやファンを増やしちゃったわ、ワタシって罪な女、と
保田は満ち足りた気持ちになった。
「オバチャン、代わったろか」
加護が撮影交代を申し出た。
「アラ、悪いわね。ちょっと見ててね。すぐ戻るわ。カオリ、行こ」
ふたりは屋台のほうに向かう。
「好きなの言いな。おごっちゃる」
「いやったー!カオ、チョコパインとトウキビ食べたい」
「んま!アンタもちょっとした大食らいね」
チョコパインはちょうど200円だったので、辻からもらった金券を使った。
とうもろこしは持ち帰り用にビニール袋に入れてもらう。
「おごりだと思うとおいしー」
飯田は満足げにパインを齧る。
保田は他にあんず飴をふたつ買った。
辻と加護に渡すために。

戻ってあんず飴を渡すと、
「オバチャンにしては気ィ利いてるやん」
と加護が憎たらしいことを言った。
保田は苦笑する。
「オバチャン、ありがとれす」
辻は飯田にパインを少しもらって、うれしそうに食べていた。

485 名前:Summertime 投稿日:2002年09月16日(月)20時00分50秒
「ひとみちゃん、カッコよかったよ」
梨華と吉澤は、チョコバナナを食べていた。
梨華に褒められて、吉澤はえへへと笑う。
「浴衣、似合うよ」
「ひとみちゃん…」
そこでカメラのフラッシュが光る。
「もう〜保田さん!」
「アラ、お邪魔だったかしら」
「てか、盗撮みたいに撮らないでくださいよ。何スか、そのヤケに高そーなレンズは」
保田はカメラマニアでもあった。
「何よ、せっかく記念に撮ってやろーと思ったのに」
「あ、そんじゃお願いします」
「んま!態度フル回転ね!まあ、いいわ。ハイ、チーズ!」
ふたりは保田のカメラに、とびっきりの笑顔を向けた。


「姐さん、何か買うたろか」
「エエで。子供やあるまいに」
少し遅れて、平家と裕子がやって来た。
裕子も浴衣を着ている。
平家は仕事帰りなので私服だ。
『べっぴんさんの浴衣はエエな』と持ち上げるのを忘れない。
「あ、裕ちゃん」
矢口が手を振った。
安倍も一緒だ。
「おう!おふたりさん、デートかい」
「裕ちゃんこそ!その浴衣はみっちゃんのためっしょ!」
安倍に冷やかされ、裕子は照れる。
平家は
「エエ女の浴衣が見れるんやから、みっちゃんは幸せモンや」
と負けじと返す。
「あれ!アツアツだしー。なっち、オイラたちは退散するとしよう!」
「んだ、んだ」
安倍と矢口は笑って手を振り、去って行った。
裕子と平家は顔を見合わせくすっと笑う。
「みちよ、ビール飲みたい」
「ハイハイ」
平家は了解、というように頷いた。
486 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月16日(月)20時14分27秒
更新しました。

(0^〜^)<ユカタ、ニアウ (^▽^* )<ホント?

( ´ Д`)<ンア、オビガクルシクテ、アンマリタベラレナイヨ…


レスのお礼です。

>オガマーさん

( ´D`)<江戸っ子の血が騒ぐのれす!←一応、東京出身

辻さん、カキ氷売ったり、大張り切りです。いしかーさんの浴衣、お楽しみ頂けますたか?

>名無し読者さん

(;0^〜^)<オ、オイラ、足なんて擦りつけてないよほ!

初レスありがとうございます。もう、矢口に一生ついていこうと思います(w

>ベリィさん

( `.∀´)<ホホ!ちょっと刺激的すぎたかしら?

顎は大丈夫でしたか(w?いしかーさんの浴衣に、ヨシコもクラクラ。




487 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月16日(月)20時23分52秒
>あおのりさん

( ´D`)<よっすぃ〜足をもぞもぞさせて寒いんれしょうか?

両思いになったからといって、急に積極的にはなれないヘタレヨシコなのです(w

>クロイツさん

从 #~∀~从ノ<ホンマになぁ。せっかくのチャンスやのに!

私でも言ってるカモしれません(爆 浴衣、メチャ反応いいっす。

>REDRUMさん

( ^▽^)<たまについてけないけど、いい姉です!

ある意味、理解ある姉なのです。ありすぎて、暴走することもままあります。

>Nさん

( ‘д‘)<なんや、夫・妻・娘って感じやな!

AAに萌えますた。そして、私は浴衣描写にがんがりますた。お楽しみ頂けますたか?
488 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月16日(月)20時35分20秒
・夏祭り


( ´ Д`)<んあ〜。圭ちゃん、イカ焼き買ってー

( ゜皿 ゜)<ビール カッテー

(; `.∀´)<自分で買いなさいよッ!

从 #~∀~从ノ<つまみは枝豆な!

( `◇´)<何もいらんゆーたがな シャーナイナ

( ´D`)ノ<さ、つぎはとうもろこしれす!ソノアトハヤキトリレス!ア、クレープモ!

(; ´д`)<…も、なにも言わんワ イグスリノムンヤッタ…

(・ ´ー`)<チョコバナナ食べるっしょ!オゴルベ

(〜^◇^)<マジ?ヤッタ!

 

エヘヘ!>(0^〜^)σ)^▽^#)<ヤァダァ〜!

489 名前:Nさん 投稿日:2002年09月16日(月)21時17分21秒
ほよ? 今夜はわたしが一番ノリでカキコかな?
存分にお楽しみさせていただけました!
いやぁ、ごまさん! もう天才的に萌え萌え更新ありがと〜〜♪
お祭り編、良かったよーマジで!! 
所どころいい感じに最近のネタが入ってるとこがまたナイスね♪(^▽^)v
梨華っちにメロメロのよっちぃ〜も最高だったけど、
他の仲間たちの情景もリアルに描かれてて楽しかったよ〜ん



490 名前:婆金 投稿日:2002年09月16日(月)21時47分03秒
太鼓たたきよっすぃ〜カッケー!
浴衣梨華ちゃんカワユイ!
『黒龍』T、ちょっと欲しい・・・。
491 名前:オガマー 投稿日:2002年09月16日(月)23時36分00秒
いしかーさんの浴衣姿を想像して
目じりが5mぐらい下がりましたが何か?(w

いいなー。なんかワイワイとした雰囲気が伝わってきますよー。
お祭りの時って、知り合いに偶然会っちゃうってのがまた楽しかったり
するんですよねー。
492 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月17日(火)08時44分11秒
ぎゃぁぁぁぁ!!!
やられました…梨華ちゃんの浴衣にやられちゃいました〜〜〜!!!!
『リカちゃんメロメロ指数』、私3000くらい上がりましたよぉぉ!!!
くはー!!
保田さんもいい味出してるし、ののちゃんもあいぼんも激ラブリーだし、飯田さんもキレイだしごっちんも可愛いんですが…
なんかもぅ、梨華ちゃんにノックアウトされてしまいましたよ、私!!
続き、楽しみにしてますねっ!!
493 名前:ベリィ 投稿日:2002年09月17日(火)09時14分22秒
あ〜も〜このお祭りに参加した〜い!!(シャウト)

すいません,あまりのことに取り乱してしまいました。(笑)
ハッピのヤッス〜萌v太鼓を叩くヤッス〜萌v
子供の運動会のお父さんヤッス〜萌w

…あ,黒龍よっすぃ〜もカッケ〜っす!何より梨華ちゃんの浴衣に萌。
みんなそれぞれかっけくてかわいいなぁ…。(←日本語変。)

素朴な疑問→( ^▽^)<ねぇごっちん,市井さんは誘ってあげないの?
494 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)13時26分17秒
更新前にレスのお礼です。

( ´D`)ノ<いくれす〜!

>Nさん

(* ^▽^)<も、もう太鼓を叩くひとみちゃんがカッコよくて!(キャッ!)

(0^〜^)ノ<イエーイ!どどんがどん!

あのBSの映像は、私の中では殿堂入りにケテーイです。お楽しみ頂けてなによりです。

>婆金さん

从 #~∀~从ノ<おう!宝石アイスとは懐かしいな!

( ^▽^)<バニラアイスに赤とか緑の氷の粒が入ってるんだよね♪

黒龍T、私も欲しいです。ヤキソバUFOの初期CMはピンクレディーなのも知って(ry



495 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)13時36分32秒
>オガマーさん

( ´D`)ノ<目じりが5メートルさがるなんてすごいのれす!

( ‘д‘)<新記録やな!

そういや今年は祭りに行かなかったな、と書いた後で思い出したり(w

>クロイツさん

(0^〜^)ノ<そんじゃオイラは5000アップ!負けないよほ!

(* ^▽^)<マックスはいくら?

浴衣、お楽しみ頂けたようで何よりです。しっかし最近は色んな色のがありますね。

> ベリィさん

( ´ Д`)<んあ〜。いちーちゃん、いま海外なんか行ってるんだ〜。ナマイキ

( `.∀´)<ベトナムだそうよ!たく、サヤカのクセにナマイキね!

ベリィさんの萌えポイントが主にヤッスーに集中してて面白かったです(w

496 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)13時45分44秒
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/sea/1032237720/

( ´D`)ノ<新スレれ〜す♪

( ‘д‘)<よろしゅう頼むわ! 
497 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)14時03分53秒
从 #~∀~从ノ<いや、昔はいろんなアイスあったなー。宝石箱とか

( `.∀´)<宝石箱ってナニ?

从 #~∀~从<なんや、若いフリして!ホラ、ピンクレディーが宣伝してたヤツや!

(; `.∀´)<いや、実際若いんだけど…。ピンクレディーはうっすら分かるわ

从 #~∀~从<UFOのCMにも出とったなぁ!(フリつきで)UFO!

从 #~∀~从<♪てをあーわせてみつめーるだけーで

(; `.∀´)<あーあ。ナツメロモードに入っちゃったわ(始まると長いし…)

从 #~∀~从<♪ちきゅうのオトコにあきたトコロよ



いま考えたら、スゴイ歌詞だ、UFO。
498 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)14時13分57秒
・遠い空から

(市井の絵ハガキより)

ヽ^∀^ノ<いま、ベトナムにいます。カフェでベトナムコーヒーを飲みながら
     この手紙をしたためています。
     日本のそれとはちがう青い空、原色鮮やかな風景、素朴な子供たち…


( ´ Д`)つ□<んあ〜。気取っちゃって

( `.∀´)<帰ったらシメないとね!10年早いのよ!

川‘.▽‘)||<おみやげにアオザイ頼んだんだけど、買ってきてくれるかしら

煤i; `.∀´)<アラ!アンタ、ちゃっかりしてるわね! 


つづけ
499 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)14時24分12秒
・つづき

(;0^〜^)<てか、本人いるじゃないっスか

ヽ;^∀^ノ<あはははは!ただいまー!←手紙より先に着いた

( ´ Д `)ノ<いちーちゃん、おみやげはー?

ヽ;^∀^ノ<いや、それが…

柏;‘.▽‘)||<忘れたの!?Oh,my god!!

( `.∀´)y−~~<正直に言いな。ぶたないから

( ´ Д`)<(こりゃなんかしでかしたな)ポリポリ…(ピスタチオを食っている)

ヽ;^∀^ノ<あ…ホテルに、忘れましたぁ〜(たはは…)

(0´〜`)(; `.∀´)( ´ Д`)川;‘.▽‘)||<<(やっぱり…)



(; `.∀´)<ホテルには問い合わせたの?ヽ;^∀^ノ<ウ、ウン。一応…



500 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)14時31分38秒
・野望

∬`▽´∬<たく!肉離れなんてついてねーぜ!

( ・e・)<もう大丈夫なの?

∬`▽´∬<おう!トレーニングも徐々に始めてるぜ!

( ・e・)<あ、そーいえばさー。この前友達とお祭り行ったのね。
      そしたら辻さんらしき人が屋台にいたよ

∬;`▽´∬<な、なに!?辻ちゃんが!?

( ・e・)<うん。カキ氷売ってた

∬;`▽´∬<くぅ〜。食いたかったぜ!ツジチャンノカキゴオリ!



∬;`▽´∬¶<センセ!今度遊びに行ってもいい?(^▽^ )¶<いいよ。いつでもおいで♪

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