友達のままじゃいられない2
- 1 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時39分58秒
それからまた時間は流れて、曖昧な時間はどんどん時の流れを駆けていく。
あの日はそれから後藤が石川に何度も誤り、自分を責めるような口調で誤る後藤に
石川は逆に自分の方が居たたまれない気持ちになってすぐに二人は前のように
気まずくなる事もなくその日を過ごした。
「……」
『それじゃぁまた学校でね』
そう言って自分の家の前で別れた時の後藤の表情、そして去っていった後姿を
思い出す。
それはどこか寂しげで、悲しげで切なかった。
一瞬見えた彼女の横顔は夕日に照らされすごく綺麗だった。
影の出来る辺りが何だか心情さえも滲み出すよう。
- 2 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時41分34秒
…もう、いないんだね…。
心の中で一つ独り言を呟く。
彼女の背中は遠ざかり自分から徐々に距離を離していき向こうへ向かっていく。
あの時、初めて自分達が出会った時の彼女はいない。
そう思った。
『友達』だった時の彼女はもういない。
それは彼女が私を『恋愛感情』で見つめ初めて来てから…。
それは何も悪い事じゃなくて悲しいことでもない。
ただどこか寂しくて…。
彼女が自分の事を『友達』としてはもう既に見ていなくて『恋愛対象』で
見ている、それはつまり新しい関係の始まり。
何も変わらない、何も変わってないはずなのに。
自分が一人取り残されていくようで、どこか不安でしょうがなかった。
- 3 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時42分59秒
「おはよう」
いつもの声にあたしは振り向く。
そこには同じ制服を着た真希ちゃんがいて。
あたしはすぐに「おはよう」と声を返した。
朝のさわやかな空気の中を真希ちゃんと一緒に校庭を横切って校舎に向かっていく。
その間の会話はどこか曖昧でうまくかみ合ってないように思えた。
それは内容ではなく…気持ちが…。
「……」
校舎に入り二階の踊り場で真希ちゃんと手を振って別れる。
それから一人、階段を上りながら考えを巡らせた。
…現実的には、一番ずるい方向でこのまま…真希ちゃんと曖昧な『友達』関係を
引きずっていられる。
真希ちゃんももうあまり感情に囚われないようになってきてる。
でも…このままでいいの…?
気持ちの解釈が合わない関係は逆にケンカするよりもつらかった。
- 4 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時43分38秒
- …このままじゃいけない。
悲しげな儚い真希ちゃんの横顔は胸を締め付ける。
早く…答えを出さないと…。
そうしないと最悪…真希ちゃんと『友達』でも『恋人』でもなくなっちゃうかもしれない。
遠慮がちな笑顔、苦しそうな表情。
あたしは真希ちゃんを縛りつけてるだけでしかないんだ…。
- 5 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時45分23秒
「………」
後藤は石川と階段の踊り場で離れてから廊下を一人歩き、教室に
向かっていた。
はぁ、大きなため息が一つ、口からではなく心から吐かれる。
…何だか不思議な気分だ。
梨華ちゃんとのこの曖昧な関係に疲れはじめてるのかもしれない。
この前のことで分ってくれたと思うけど…あたしは梨華ちゃんと友達のままの
関係ではこれ以上いられない。
『友達』の枠の中で治まらない感情が爆発しそうになってしまう。
必死に押さえつけるけど止まらない。
それはこの曖昧な関係が逆に増徴させているようだった。
あたしは…梨華ちゃんを抱きたい…。
あたしの心の中で無意識にたまっていく苛立ち。欲望。
自分がどれだけ意気込んでも、梨華ちゃんがいなくては前に進むことは出来ない…。
…だけど、その薄汚い感情も日に日に何だか消え去ってしまいそうになる。
体から力が抜けて、何だかいつもの自分じゃない。
それぐらい、この関係は予想以上にきつかった。
- 6 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時47分50秒
「…おはよう」
クラスメイトが教室の半分くらいを占めるぐらいにもう中は賑わっていて、
あたしは教室に入ると窓際のよしこに力なく声をかけた。
「あ、おはよう〜っ!」
…何だか特に今日はよしこのテンションが高い。
にこにこしながらあたしにそう返事する。
だけど、この元気さはあたしにも少なからず元気を分けてくれる。
「ごっちん元気か〜?」
「…なんかあったの?」
やけに明るいよしこにあたしは椅子に腰を下ろしながら尋ねた。
だけど次の言葉にあたしは驚愕する。そして唖然とした。
「えぇ?分るぅ?実はぁ…」
「?」
よしこはそそそっとあたしの耳元に近づくとこう小さく囁いた。
「え?…な、なんだってぇ〜!?!?!!??」
「えへへ〜!!」
照れ笑いを浮かべるよしこにあたしは数秒固まるようにただ信じられず凝視して
しまった。
『実は、柴田先輩と付き合うことになっちゃったっ』
「……まじぃ?」
衝撃の事実二弾に、あたしはへなへなと机の上に倒れるように凭れた。
- 7 名前:aki 投稿日:2002年07月11日(木)18時57分59秒
- 更新しました。
そして新しいスレ立てました。
これからもよろしくお願いしますm(__)m
全スレの…
370:梨華っちは文麿の応援団さん
>レスありがとうございますっ。
最初M駅がどこかの身寄りの駅なのかな?なんて間抜けな事
を考えてました(汗)
そうですね、この台詞は少しその辺を意識してみました。
読むときにBGMのような感じで…?
お、かっこいいですか?嬉しいです。
石川さんや後藤さんの主観的に見ると普通でもこういうタイプは
外から見てるとかっこいいって人ですよね…。たぶん。
これからもがんばりますっ!
371:いしごま防衛軍さん
>片思いも思いと気持ちが深くなると…切なくなってきますね…。
全ては石川さん次第…。
372:viviさん
>レスありがとうございますっ。
がんばるしかないです、後藤さん。
長期戦は禁物…。
何気ない言葉、褒めてくださると嬉しい限りです^^
ありがとうございます。
- 8 名前:hiro 投稿日:2002年07月11日(木)21時16分18秒
- 新スレ オメデトウございます。
ごとーさんと いしかーさんの 恋愛 気になりますぞ
なにげに 柴ちゃんと よしざーもいいキャラですな!
がんがってください!
- 9 名前:翔 投稿日:2002年07月12日(金)20時09分13秒
- 新スレあめでとうございます!
う〜ん、ごっちんの気持ちもわかるし、石川さんの気持ちもわかる。
う〜せつないです。がんばってください!
- 10 名前:翔 投稿日:2002年07月12日(金)20時10分03秒
- すみません。
上げてしまいました。
- 11 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年07月14日(日)06時52分45秒
- なっなんとよしこが・・・・・!!
梨華たんはいったい何をやっているんだ。ごっちんが爆発しそうなのに。
更新楽しみに待っています。
- 12 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月14日(日)13時50分44秒
- 新スレおめでとうございます。
これからもがんがってください。
珍しいカップリングが新鮮。
- 13 名前:梨華っちは文麿の応援団 投稿日:2002年07月16日(火)23時24分12秒
- スレ替わってる事にマターク気づいていなかったバカ野郎です。^^;
ヤパーリそうでしたか、、、幸せの梨華姫可愛すぎじゃないですか?(関係ないし)
しかも最近、KISSパートが多くてね>梨華姫
24HTVやるんじゃないのって??ウチと(爆)逝ってよし
2人とも色々、考えてるんですね、自分なりに
偉い!!それでこそ真の恋♪♪
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月30日(火)19時44分42秒
- そろそろ続きをお願いします。。。
- 15 名前:aki 投稿日:2002年07月31日(水)00時30分04秒
- 申し訳ないです!かなり更新遅れてますね…。
あとわずかでテスト日なのと加えて話がこっちでもあまり進んでません(+_+)
二つの話をやっているせいかどちらかに集中するとどっちかがお留守になる
始末…。なるべくまた集中できるようにしたいと思ってますのでもうしばし
お待ちを…。
本当にすいません…。
- 16 名前:梨華っちは文麿の応援団 投稿日:2002年08月01日(木)18時49分13秒
- いいですよ、マターリ保全で逝きますので…
それよりマジでショックが大きい…ねぇ、なんで辞めるの?
イミワカンナイカラー
しかも強制(?)みたいで、事務所の上から言われたって…
もう人生の終幕です
梨華姫といない真希姫なんてイヤジャァ〜(泣)
即死ケテーイです
- 17 名前:aki 投稿日:2002年08月02日(金)18時05分51秒
- ありがとうございますm(__)mおこがましいと分かりつつお言葉に甘えさせてもらいます。
ショックですね…。何かあるとは聞いてましたが本当にびっくりしました。
あまりにも非現実的すぎてまだ信じられないぐらいです。
時間はただただ流れていくばかりだし…。
会見もなんだか複雑。。
- 18 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時43分05秒
「ちょ、ちょっと……どういうこと!?知り合いだったの!?だって…
…ちょっと待ってよぉ…」
今さっきまでの落ち込みもどっかに消えていってしまいあたしはただのろけるように
して照れるよしこに詰め寄った。
「あはは〜実はさ、ごっちんの告白現場覗いた時あったでしょ?その時にさぁ〜…」
「……」
唖然。
突然のことで言葉も出ない。
…くぅそぉ!なんて運のいいやつだぁ!!
よしこの言ってることを要約するとつまりあれからちょくちょく廊下や
下校時に会う事があって徐々に仲良くなっていったらしい。
それからよしこペースで告白して…、戸惑う先輩に一押し、下校途中に
『好きですっ!!』と叫びとうとう押して切ってしまったらしい…。
「実はぁ、初めて見た時から気になってたんだよねぇ〜。先輩ってさぁ、全然
年上って感じがしなくてこれがまた可愛いの!すぐにからかいたくなっちゃって〜!」
「はぁ…いいなぁ…」
改めてのろけ出したよしこにあたしは後ろ向きによしこの机にぐたっと突っ伏した。
- 19 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時44分42秒
- 「あ、そういえば……ごっちんの方はどうなったの?」
「……あたしの方は…最悪だよ…」
「………」
あたしのくぐもった声によしこはすぐに黙りこんでしまった。
落ち込んで情けない顔を見られたくないから、腕の中に隠したまま答えた。
「…ごめん…」
「!」
不意に聞こえた声にあたしは驚いてよしこの顔を見るため顔をあげる。
するとそこには申し訳なさそうなよしこがいた。
「ちょっと待ってよ、よしこのせいじゃないよ?…誰のせいでもない…」
慌ててそうよしこに声を掛けてあたしはよしこの顔を覗いた。
よしこはバツの悪そうな表情をしている。
「…逆に嬉しかったよ。親友に恋人が出来て。それに…衝撃の事実に
あたしの落ち込みも今はストップしてる」
あたしはにこっと笑いよしこにそう言葉を続けた。
やっとよしこがあたしの笑顔に顔を上に戻してくれる。
…優しい親友だ…。
繊細で、とても優しい。
自分の幸せがあたしを追い詰めないか、なんて考える所が特に…。
- 20 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時46分49秒
- 「…えへっ」
あたしの表情によしこは改めるように照れ笑いをこぼした。
そんな笑顔にあたしもつられる。
「…はぁ、もうそろそろよしこに恋愛相談も…潮時かもね…」
「え?」
「…あたしも…がんばるよ…」
首を傾げるよしこにあたしはそれだけ言い残し教師がちょうど教室にやって来たのと
合わせて前に向いた。
…これ以上、よしこに負担は掛けさせられない。
そして…これ以上梨華ちゃんとの関係を曖昧に引きずる事も出来ない。
梨華ちゃんが確かな答えを出してくれるまで待とうと思ったけど…
このままじゃ時間があたしの気持ちを風化してしまうかもしれない。
だから…これが本当に最後の賭け…。
「……」
担任が教室の前で何か連絡事項を話している間、あたしは窓に目を向けた。
この上にいる、あたしの想う人…。
梨華ちゃん…信じてるからね…。
そっと瞳を伏せ、あたしは心の中で小さく呟いた。
- 21 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時49分00秒
「……」
石川はその頃教室の椅子の上でのんびり肘をつき窓から外を眺めていた。
青い空、白い雲…。
いつものそののんびりとした風景の中、時計の針が時間を刻む。
…真希ちゃん…。
「……」
その横顔を遠くで一人、柴田は教室の隅から眺めていた。
(あの横顔は…)
これだけ長く石川の悩み相談をしてれば察しはつく。
何かに悩んでる時の顔だ。
特に、何だか今回は深刻そうで…。
小さくふぅとため息をつく。
今さっき見かけた後藤さんの表情。
それもどこか今の石川に似ていた。
こんな…物思いにふけるような表情をしていた…。
(…あたしの出番かな…?)
小さく胸の中で呟くと、柴田は石川の表情をただずっと眺めていた。
- 22 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時51分18秒
朝のホームルームが終わり今はつかの間の休憩時間。
後五分もすればすぐに1時間目の担当の先生と共に学校の鐘がなる。
いつものことながらそのたった五分間の間に教室はあっと言う間に騒がしくなり
担任もいなくなった教室は喧騒で溢れ返っていた。
「お〜い。梨華ちゃん」
「――あ、柴ちゃん」
席に座ったままぼんやりしている石川の背中に柴田が声を掛けた。
石川はほんの間を開けてから気づいたように後ろに振り向き柴田の姿を確認する。
「どうしたの?何かぼーっとしてるよ?」
「あ…えっと……何でもないの」
「うっそだぁ〜。梨華ちゃんのその表情の時は絶対になんでもないわけないよ」
「………」
一人で抱え込もうとしているのか、石川の表情は優れないまま悩みも打ち明けようとも
しない。柴田の言葉に図星だったためかそのまま困ったように黙り込んでしまった。
石川の席の前がちょうどお留守になっていたため柴田は辺りを見回してからその席に
腰を下ろす。その間もずっと視線は石川の顔に注がれていた。
- 23 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時53分41秒
- 「…ねぇ、そういえばさぁ」
「うん?」
「後藤さんと、どうなったの?」
話を変えようとした自分の言葉と、それから次のその言葉に石川の体が嫌に反応した。
一度目は何とか気を取り直そうとしたみたいだけど二つ目の言葉にびくっと見ている
だけでも分るぐらいに体を反応させる。
「あ……」
「ちゃんと付き合う事にした?それとも振った?二人は恋人?親友?」
「………」
思わせぶりな言葉に今の石川は気づく事は出来ずただ胸を貫いていくその言葉に
悲しげに目を伏せた。
「……」
柴田はただそんな石川の姿を目の前で机に肘を付き目を見張る。
だけど石川から改めて口を開かれる様子もなく自分を責めている様子が取って分り
少し胸を痛めたが柴田は言葉を続けた。
- 24 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時55分44秒
「…もし二人があの曖昧な関係のままならさぁ……あたしが後藤さんにアタックしちゃおっかな」
「え…?」
「だってその様子じゃまだ正式に付き合ってないんでしょ?後藤さんと」
突然の柴田の言葉に石川は驚き顔を上げる。
しかし返ってきたそのまぎれもない言葉に石川は顔をどんどん曇らせていく。
「後藤さんって意外に結構可愛かったり優しかったりするし〜。梨華ちゃんが
まだ付き合ってないっていうならあたしが貰っちゃおっかな」
「ちょ、ちょっと…貰うなんて…そんな……」
「返事してないんでしょ?それじゃ梨華ちゃんに何かいう権利はないよ。梨華ちゃんは
ただ後藤さんを繋ぎ止めてるだけでしかない。そんなの独り占めしてるだけじゃない。
ずるいよ」
「………」
柴田の表情はふざけている様子は全くなく真っ直ぐ見つめるその瞳は真剣その物の
ように思える。言い知れない不安と反撃する暇もない状況。
そして客観的に見た一番正しいその言葉に石川はどうしようもなく
ただ視線を下に落とした。瞳はどこか潤い始めている。
- 25 名前:それぞれの胸中 投稿日:2002年08月04日(日)15時56分59秒
- 「…あたしじゃないにしろ。そんな事してるとこのままじゃ後藤さん、誰かに取られちゃうよ?…いなくなっちゃうよ?」
「…柴ちゃん…」
最後の言葉が今までのものと明らかに違う、優しい口調になったことに石川は
ふっと顔を上げた。そこにはいつもの相談に乗ってくれる優しい親友がいて。
石川はその顔を見ただけですぐに柴田の胸を内を知る事が出来た。
「ま、あたしには関係ないことかもしれないけどね」
それだけ言うとちょうど学校の鐘が優しく教室、そして校舎内に響き渡った。
辺りの生徒達が一斉に慌てて自分達の席に戻り始める。
紙やら教科書やらノートが辺りに忙しく飛び交った。
「……」
柴田はそれだけ言うと最後に呆然とする石川の表情を上から静かに見つめ、
自分の席へと戻っていった。
- 26 名前:aki 投稿日:2002年08月04日(日)16時04分08秒
- 更新しました。
待たせてしまった方、本当に遅くなってしまってすいませんでした。
8:hiroさん
>ありがとうございます。
二人の恋愛模様、これからが肝心ですね。柴ちゃんと吉澤さんのコンビって
初めてだったんですが良かったですか。安心です。がんばりますっ。
9:翔さん
>上げても大丈夫ですよ。レスありがとうございます。
二人の気持ちが上手く伝えられていれれば嬉しい限りです。
また切なくなっちゃいましたね^^;がんばります。
11:いしごま防衛軍さん
>更新遅くなってしまってすいませんでした。
石川さんも目一杯なんだと思われます^^;これからの展開、柴ちゃんが
キーになる予感。
- 27 名前:aki 投稿日:2002年08月04日(日)16時08分34秒
- 12:ごまべーぐるさん
>ありがとうございます。
これからもがんばります。よししば?はあまり私も見かけないですね。
自分はどっちかっていうとマイナーなのが好きって近頃知りました(w
13:梨華っちは文麿の応援団さん
>レスありがとうございます。
24時間TV…今年もやるんですね。。なんだか複雑。
真の恋に向かって全力疾走!
14:名無し読者さん
>本当にすいませんでした(T_T)
やっとこさイメージも戻ってきましたのでこれからはなるべく
遅くならないようにします。
- 28 名前:豚馬牛 投稿日:2002年08月04日(日)17時43分25秒
( ´ Д `)<そうだよねぇ…。曖昧は困るぞぉ…。
だってもうごとーは…
( TДT)<うえーん。。。
- 29 名前:不安と焦燥感 投稿日:2002年08月05日(月)13時42分44秒
それから午前中の授業がゆっくりとした時間と共に終わりを告げ、今はのどかな
昼休み。
石川は四時間目の授業で使ったノートや教科書を廊下のロッカーに仕舞うために
教科書や辞書を腕に抱え教室の廊下に出ていた。
ロッカーを手前に引き、中に辞書や教科書を整理されている中に縦に立てていく。
午前中の、全ての授業の教科書達が片付いたとき、ぱたんと閉めたロッカーのドアの
向こうにある人影が目に入った。
「……!」
不意に目に入ってしまったそこには思いもしなかった二人が仲良さげに話していた。
向こうの教室の、廊下の前で柴田とそして当の後藤が仲良く笑いながら何かを
話し合っていた。
- 30 名前:不安と焦燥感 投稿日:2002年08月05日(月)13時43分46秒
- 「…あ……」
予想もしなかった時にそんな光景を目にしてしまった事に無意識に言葉が口から漏れる。
嫌な鼓動と感覚が一気に体を駆け抜ける。
後藤は石川の方へ背中を向けていて石川の存在には気づいていない。
だけどかすかに見える横顔は楽しそうに微笑んでいた。
柴田もやけに明るく、楽しそうに後藤と会話し続けている。
「……」
(ドクンドクン…)
何の感情かは分らない。だけど胸の中で確かに心臓が震える。叩きつける。
不安?それとも焦燥?分らない。それともこれは……。
自分の体の状態についに苦しそうに目を伏せてしまいうつむきがちになった時、
不意に石川は柴田と目があった。
- 31 名前:不安と焦燥感 投稿日:2002年08月05日(月)13時44分53秒
- 「!」
目がばっちり合ってしまったことに石川は焦る。しかし柴田は至ってなんとも思っていない
ようで目を合わせたままこちらに気づく。
目の前の、今会話をしていた柴田の様子の変化に後藤が気づく。
そして同じようにこちらに向くために振り向こうとした。背中がこちらを離れ体が
軽やかに反転しようとした。
「っ…!」
あと一瞬で後藤が石川の姿を確認する。その時に石川はとっさに体を教室に
駆け込ませてしまった。
とっさに、気づいたら。…いても立ってもいられず。
「…?」
向こうで後藤は石川がいたその場所に小首をかしげる。
今は誰もいないその場所に、誰がいたのかもわからず、ただ不思議そうに首を傾げた。
「……」
石川は教室のドアの手前で苦しそうに胸を掴んだまま顔を下に伏せた。
- 32 名前:不安と焦燥感 投稿日:2002年08月05日(月)13時46分19秒
『取っちゃうよ』
…あの時の柴ちゃんの様子、ふざけているようには見えなかった…。
最後に見たあのいつもの優しい表情。あれが全てを物語っているように思うけど
あの至って真剣な眼差しはめったに見ることがない。
柴田の言葉がもしかしたら本当のなのかもしれない。本気なのかもしれない。
そう思うと同時に石川の体に言葉ではあらわせない感覚が広がっていく。
それに石川はただ戸惑う事しか出来ない。
頭では分らない。だけど体が、心が知らない間に反応を示す。
この感覚は…一体何なの…?
救いを求めるように胸を中で何かに呟く。
不安と焦り、どうしようもない気持ちに駆られ石川はどうする事も出来なかった。
- 33 名前:aki 投稿日:2002年08月05日(月)13時49分10秒
- 少しだけ更新しました。
28:豚馬牛さん
>レスありがとうございます。
確か豚馬牛さんは銀板で書かれている方ですよね?
間違ってたらすいません。でも読んでます。
この関係も、あと少しのはずです。もうしばらく辛抱を…。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月07日(水)07時42分53秒
- むう。あとは石川→後藤のベクトル次第だから頑張ってほしい
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月08日(木)09時41分48秒
- この作品の元スレはどこにあるんですか?読みたいです。
- 36 名前:aki 投稿日:2002年08月08日(木)20時54分44秒
- 34:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
そうですね。ちょっと今後の展開に対して少し考えさせられました。
石川さんの頑張りも…。
35:名無し読者さん
>スレを立てた時に気が利かなかったですね、すいません。
前のスレはこの紫板の倉庫にあります。
一応リンクを…
http://mseek.obi.ne.jp/kako/purple/1022426070.html
- 37 名前:図書館 投稿日:2002年08月11日(日)20時30分35秒
後藤が石川についに告白したあの日。
あのいざこざがあった後、二人はお弁当を共にする事はなかった。
すぐに仲良くなれた事に変わりはないがどことなくいつもの関係に戻ることは
二人とも抵抗があったのだ。
後藤は吉澤と食べ、そして石川は柴田とお昼を一緒にする事が今では普通になっていた。
…今までが距離が近すぎたのかもしれない。
石川はあれから何も至って変わらないいつもの様子の柴田と一緒にお昼を食べ、
そして後藤達と顔を合わすこともなく五時間目に突入していた。
しかし五時間目の古典も、頭には全く入ってこないまま石川はぼんやりペンを
手に握らせたまま机に珍しく肘を付いていた。
…考えようとするのに頭の中は何も浮かんでこない。
胸に大きな穴がぽっかり空いてしまったようになって石川は窓の外の空を見つめる。
それから五時間目も六時間目も知らない間に終わりを告げ、石川はぼんやりとしたまま
今日一日を担任のホームルームと共に終わりを迎えさせていた。
- 38 名前:図書館 投稿日:2002年08月11日(日)20時39分08秒
「えっと…これは……」
放課後、夕日が校舎を差す中石川は一人借りていた本を返すため図書館に赴いていた。
教室で柴田と別れ、柴田は吉澤と一緒に帰っていった。
石川は何となくぼんやり手を振り二人と別れるとそのまま二つの本を手に教室を後にした。
返却口に本を返し、図書館の司書さんに確認をしてもらうとそのまま教室には
戻らず石川はたくさんの本が並ぶ書棚に来た。
「…どこだっけ…」
この前借りた本の辺りを記憶を辿りながら探していく。
前に借りた以外にもその辺りで面白そうな本を目にした。
古臭い本独特の香りを鼻に掠めながら誰もいない静かでどこか落ち着く高い書棚と書棚の
間をすり抜けていく。
「……そうだ。確かこの辺り…」
図書館は絨毯も落ち着いた暗めの色、そして壁の木目も全てが黒に近い基調の色で
沈黙もどこか居心地が良い。しかしそれでも誰もいない空間で何か言葉を出したくなり
独り言を呟く。その声もすぐにすっと図書館の深い中に吸い込まれていく。
少しの間広い図書館の中を進み、やっと目的の場所に辿りつく事が出来た石川は
その目的の書棚の中で今度は上から順に流れるように視線を流していった。
- 39 名前:図書館 投稿日:2002年08月11日(日)20時40分59秒
- 「…どこかな…」
右、左、右、左…。視線と共に追うように体も横に一歩一歩ずれて行く。
「…あ…!」
やっとその場所を見つけた時、ある声とその人物の体が書棚に現れたのが重なった。
「梨華ちゃん!」
「え?」
書棚に釘付けになっていた顔を石川はそのまま何も考えずに体を反転させた。
図書館には確か誰もいなかった。いたとしても自分を知ってる人は大きい学校の中で
そんなにいないはず。なのにどうして?
自分を呼ぶ声に石川はすぐに顔を向けた。…いつもなら声だけで分るその人。
その時はあまりにも唐突過ぎて分らなかった。
「やっと見つけた!探したんだよ!」
「ま、真希ちゃん…!」
図書館にしては少し大きめの声で、その人は図書館の書棚と書棚の間に立っていた。
思いもしなかったその人の姿に石川も思わず声を大きくしてしまう。
- 40 名前: 図書館 投稿日:2002年08月11日(日)20時43分17秒
- 「ど、どうして……」
「柴田さんに帰り際会って、その時に聞いたんだ。そしたらここだって…」
「そ、そっか…」
親友の名前に石川は少しだけ内心ドキッとするとすぐに隠すように顔を本棚に戻した。
後藤は視線を背けるようにして本棚に向き直った石川に微かにどうしたのか疑問に
思ったがすぐに気を取り直すように石川に近づいて行くと言葉を続けた。
「すっごく図書館は広いし誰かいたら恥ずかしいから声も出せなかったし、梨華ちゃん
探すの結構苦労しちゃった」
無邪気に笑いながら言う後藤に石川は横目でチラッと探るように見つめ内心どきどき
していた。何でかは分らないけど…何かどきどきする。
「静かだし、もしかしたら梨華ちゃんがいないかと思って焦っちゃった」
「う、うん…」
いつもの笑顔。だけどその無邪気で子供のような笑顔に顔を合わす事が出来ない。
それに一生懸命に探してくれた事を必死に伝えようとしてる後藤の姿に、石川は
どこか恥ずかしく照れていた。
- 41 名前: 図書館 投稿日:2002年08月11日(日)20時45分36秒
- 「…?梨華ちゃん本読むの好きだよね。あたしなんて全然ダメだよ。本開くだけで
眠くなっちゃう」
どこか様子のおかしい石川に後藤も気づき始める。
しかし尋ねないまま気にしながら言葉を続けるが石川からは曖昧な返事しか返ってこない。
「………」
「……」
ついには二人の間にも会話がなくなり、石川は本を見つめたまま気まずい雰囲気に
心の中で困り果てていた。
せっかく気を利かして話しかけてくれるのに今日の自分はどこか変だ…。
自分が変だって分るんだから真希ちゃんには絶対に伝わってる。
さっきから自分は真希ちゃんと顔もあわせないでずっとバカみたいに本棚だけを見つめてる。
探したい本はもうとっくに見つかってる。だけど目の前で静かなまま開いたり何か
行動するのがすごく…気まずかった。
「……」
後藤は石川の様子がおかしい事に気づいていたが何も言葉をかけられないでいた。
どうしたのか心配になり始め様子を伺おうとするが顔も見れない。
…今日の本当の用事、そして決心したその事に後藤はぐっと自分を一人奮わせる。
しかし気の利いた言葉も既に出てこず、後藤は少し居心地の悪いこの気まずさに
自分も黙り込むしか出来なかった。
- 42 名前:aki 投稿日:2002年08月11日(日)20時49分10秒
- すいません、すごく短いし中途半端な所ですがここまでで…。
そろそろストックがやばくなってくるにも関わらずイメージが沸かない物で。。
- 43 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月15日(木)12時20分23秒
- さて、何を言いに来たのかなー
- 44 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年08月17日(土)18時27分51秒
- やっと帰ってきました。大学というのはいそがしいもんで大変でしたよ。
しかしながら、この前のごっちんの脱退はショックでした。ヤッスーもいなくなって
しまうとは・・・。事務所側の経営戦略は確かに正しい。ここで聖域なき構造改革しな
かったら人気は落ちていくだろう。でも、わしは保守的ですから認めれないですね。
akiさんにはまだまだ頑張ってほしいです。ごっちんの最後の賭けがきになる。
マターリ待ってるので頑張ってください!!
- 45 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月17日(土)22時57分04秒
- そういえばakiさん飼育デビュー一周年おめでとうございます
- 46 名前:約束の遊園地 投稿日:2002年08月18日(日)16時38分59秒
嫌な沈黙の中で石川は何かしようとずっと見つめていた本についに手を出した。
ぱらぱらと音を立てて本が捲れていく。その様子を後藤はただ横から眺めていた。
中身を確認するというよりもどこか事務的に事をこなし石川はその隣の本も手に取った。
(…なんか…何してるんだろう、私…)
どうでもいい事をしてる気になって石川は自分の行動に心の中で密かに落ち込む。
そんな表情も、後藤はずっと横から眺めていた。
石川がそんな事を思っているとは露知らず、後藤はただ本を捲っていくその仕草と
見つめる横顔にただ素直に綺麗だなと心をときめかせていた。
- 47 名前:約束の遊園地 投稿日:2002年08月18日(日)16時40分21秒
- 二つ目の本をめくり終わり、ぱたんと表紙と表紙を両手で畳んだ時、
石川は後藤の方に振り向く決心をして思いっきり顔を横にしようとした。その時だった。
「……!」
後藤が後ろからぎゅっと石川の体に抱きついたのが、重なった。
「…ま、真希ちゃん?」
「……梨華ちゃん」
どこか切なげに呟きながら、後藤は抱きしめる腕の力を強める。
耳元に掠めた吐息とその言葉に石川は一気に体が高鳴り始めた事に気づく。
心臓がドキドキ言い出す。体がびくっとする。
背中に、体全体に彼女のぬくもりが伝わってくる。顔が一気にかぁっと熱くなった。
- 48 名前:約束の遊園地 投稿日:2002年08月18日(日)16時42分02秒
- 「梨華ちゃん…」
もう一度彼女の名前を呼ぶ。そして後藤は制服越しに開いた肩に顔をうずめた。
肩、それともうなじに感じた息とぬくもり、そして柔らかい唇の感覚に
体がとけてしまいそうな熱い感覚に囚われそうになったが、その感覚が体に広がると
同時にはっと今の状況が過ぎった。
「ちょ、ちょっと…。ここ…図書館だよぉ?」
反応する体とその場所に石川は困り果て自分でも情けない声を上げて後藤の方に
振り返ろうとする。
だけど後藤は我を忘れたように肩からうなじ、そして首筋に唇を押し当てていく。
「!ま、真希ちゃん…」
「……」
ちゅっと軽く音が聞こえ石川は目を瞑り体を震わす。その間にも細いその腰を抱きしめていた腕が確かめるように斜めにぎゅっと体を抱きしめていく。
その手はゆっくりと優しく胸に近づいていきそっと触れた。
- 49 名前:約束の遊園地 投稿日:2002年08月18日(日)16時43分07秒
- 「…っ…!」
「梨華ちゃんっ…」
触れられた手から、そして熱い吐息が当たる首筋からどうしようもない感覚が
体に広がっていく。次第に理性とは裏腹に体が火照り始める。変な気分と共に、今日の
事もあってか自分からも求めてしまいそうになる。心の奥底で、胸に添える彼女の手に
自分の手も添えたいと、そして体の向きを変え自分も彼女を抱きしめたい、求めたい、
そんな感情が生まれている事に嫌でも気づく。
「人が…来ちゃうよぉ…?」
何とか頭に残っている理性を奮い立たせ後藤に呼びかけるが体が嫌がってないことは
自分が一番分っていた。
だけど胸に添えられるその手に、微かに力が入り、優しく撫でるようになった時、
条件反射かそれとも思わずとって出てしまった言葉なのか。石川の口から小さく声が漏れた。
- 50 名前:約束の遊園地 投稿日:2002年08月18日(日)16時44分21秒
- 「ん……やっ……」
体がとっさにびくっと震え、漏れた言葉に後藤ははっとする。
「!あ…ご、ごめん…!」
慌てて体をばっと離し後藤は石川から離れた。
「あ……」
石川はただ戸惑うように、今の感覚に複雑なように再び声を漏らす。
本当はどこか強引さを求めていた自分…?
そして微かにこのまま続けて欲しいと思った自分に、戸惑う事しか出来なかった。
「ご、ごめんね…。あたし…今日はこんな事するつもりで来たんじゃなくて…その…」
後藤は慌てて弁解するように言葉を繋いでいく。
それもこないだのことがあったせいか余計にどぎまぎしているような、焦っているようだった。石川はただ顔を赤くして体の火照りに困ったように体を制服越しにぎゅっと抱きしめる。
- 51 名前:約束の遊園地 投稿日:2002年08月18日(日)16時45分44秒
- 「今日はね…そう、これを…梨華ちゃんに…」
後藤は改めて空気を変えるように慌てて制服のポケットを探り始めた。
「…これ!これだよ梨華ちゃん!」
やっと見つかったそれを取り出し後藤は石川の目の前に出して見せた。
「…?なぁに?これ…」
「これはね!遊園地のチケットだよ!」
「え?」
後藤の手には二枚の遊園地の前売り券らしき紙が握られていた。
でも見たことのないチケットに、チケットに描かれたその場所の写真。
石川は小首を傾げる。
「ほら!あの時…この前一緒に雑誌で見たあの場所!行こうって約束したあの場所だよ!」
「……あ…あぁ!!」
やっといつもの石川らしい反応を見せてくれた事に後藤はほっと笑顔を覗かせた。
「あそこの…チケット…。あの大きな観覧車の出来たあの場所…!?」
「そう!そうだよ!」
元気よく答える後藤とその飛び切りの笑顔に石川は思わず後藤に抱きついていた。
- 52 名前:aki 投稿日:2002年08月18日(日)16時54分22秒
- 更新終了。レスありがとうございます。
43:名無し読者さん
>今回の更新で目的が明らかになりました。
次のシーンが、物語の終わりの舞台かもしれないです…。
44:いしごま防衛軍さん
>二人とも脱退しちゃいますね…。自分も保守的なので違和感がなくなるのは
もしかしたら無理かもしれないです。がんばります。
45:名無し読者さん
>おぉ、そういえばそうですね。ありがとうございますm(__)m
これからもまったりお付き合いくだされば幸いです。
- 53 名前:@ 投稿日:2002年08月18日(日)22時22分30秒
- akiさんの小説大好きです。
読んでるだけでドキドキしてきちゃいます(w
梨華ちゃん抱きついちゃった後・・・気になりますね。
- 54 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年08月19日(月)02時13分41秒
- もうドキドキが止まらない。すごくこの後が気になる。
- 55 名前:vivi 投稿日:2002年08月19日(月)04時29分51秒
- 柴ちゃんナーイスッ!!あんた最高の友達だよ!!
ごちーん、あともうひと押しだ!!
- 56 名前:梨華っちは文麿の応援団 投稿日:2002年08月20日(火)18時54分34秒
- クライマックスですか?
マジで!?でじま;マジでジマ!!
期待保全sageでし
- 57 名前:コウ 投稿日:2002年08月22日(木)02時07分33秒
- akiさんの世界の後藤さんと石川さんは最高ですね!大好きです!
みなさんの小説を読み始めたのはごく最近なんですが、akiさんの
お話には、ほんとすごい惹かれるものがあります。(彼女達…も)
ゆっくりで結構ですので、素敵なストーリーを創り上げていってくだ
さい!応援してます!
- 58 名前:aki 投稿日:2002年08月30日(金)21時37分11秒
- 更新遅くなってすいません(汗)やっとイメージが繋がってきたのでもう少し
時間をください。。
53:@さん
>レスありがとうございますっ。本当ですか!嬉しい限りです。
自分も森のお話読ませてもらってます。次のシーンはいよいよ…。がんばります。
54:いしごま防衛軍さん
>最後も、ドキドキしてもらいたいです(w
もう少し待ってください。。
55:viviさん
>少し荒っぽい方法ですが結果オーライですね(w
あと一押し。。まさに文字のごとく。。
- 59 名前:aki 投稿日:2002年08月30日(金)21時50分25秒
- 56:梨華っちは文麿の応援団さん
>まだあともう少し時間はゆっくり流れるかと思います。
二人の日常もあと少し。。ちょっと寂しいですね。
57:コウさん
>実は花板でのお話で結構始めの方で…レスさせてもらってます(w
更新が早い+コウさんの書くいしごま、いつもドキドキしながら読ませてもらってます。
文章も、どこか惹かれる部分があります。
ので、レス頂けるとは思っていませんでした。しかも嬉しい言葉たくさん
ありがとうございますm(__)m
最後まで、気を抜かずがんばりますっ。応援ありがとうございます!
- 60 名前:読者 投稿日:2002年08月30日(金)23時29分19秒
- いつも@さん同様ドキドキ
ホントに胸ときめかせながら読ませてもらってます。
マターリお待ちしております(w
- 61 名前:ごっちん最高! 投稿日:2002年09月02日(月)12時40分16秒
- 彼女達の〜からこちらを知り読ませて頂いてますが、こっちの二人もホントに良い!です(^o^)
読んでて切なくなってしまいます・・・ごっちん可愛いすぎです。
ちょっと話はそれますが、一昨日は本物のごっちん達を見に夏コンに行きましたが、
やっぱり本物も最高に可愛かったですよ!新曲の衣装とかすっごい良かったです。
akiさんの他の作品も読みたいので(完結したものを含めて)よかったら紹介して下さい(^^)
それではお忙しいでしょうが、暑さに負けずに頑張って下さいね〜
- 62 名前:デートの前日 投稿日:2002年09月02日(月)15時35分18秒
「ふふ〜♪」
…………
「う〜ん。どれがいっかなぁ…。一杯あって迷っちゃうよぉ…」
………
「これも可愛いしなぁ…。あ、これも…!」
♪ ♪ ♪
「あ、これもいいなぁ。どうしよう目移りしちゃうよ」
鏡の前でかれこれもう1時間。
ずっと部屋の大きな背丈ほどの鏡の前で石川はくるくる後ろに回ったりポーズを
取ったり服と格闘していた。
「あ!これもいい!」
既にベッドの上には隙間がないほどにたくさんの服が並べられ、床も今では
自分が立つそのスペースしか隙間がなかった。
- 63 名前:デートの前日 投稿日:2002年09月02日(月)15時37分31秒
「ふふ♪」
いつもならそれほど(それでも1時間近く)で済むはずの洋服選びも、今日は
すごく気合と時間が掛かっている。
「♪」
(だって真希ちゃんが約束覚えててくれたんだもん!それにすごく久しぶりな気がするし…)
あの時さりげなく言った自分の言葉を彼女が覚えててくれて、そして自分に秘密で
計画を立てていてくれた事が言葉で表現できないほどに嬉しかった。
だから気持ちも高ぶる。気合も入る。
新しく出来たその約束の遊園地で飛び切り二人で楽しみたいのだ。
「あ〜これもいいなぁ!」
「ちょっと!いつまでやってるのよ〜。うるさいから早く寝てよ!」
「っ!お姉ちゃん!」
鏡の前でまだ服を体の前に翳し笑顔交じりで楽しく悩んでいた時、勢い良く部屋の
扉が開いた。
バンッと大きな音を立てそこに立っていたのはお風呂上りの顔をいぶかせている
他でもない自分のお姉ちゃん。
- 64 名前:デートの前日 投稿日:2002年09月02日(月)15時39分05秒
- 「もう!ちゃんとノックしてよっ!」
「ぅわっ!あんた何この服の山は…」
自分の言葉にさっぱり耳を傾けず部屋の様子に目を丸くし驚きの表情を浮かべる姉の
姿に石川はしばらくしてすぐにピンッと頭の上でひらめいたのに気づいた。
「そうだ!お姉ちゃん!お姉ちゃんの服も見せて!」
「え!?あ、ちょっと!」
持っていた服をさっとベッドの上に戻し、石川はドアの前で立ち往生する姉を
放り一目散で隣の姉の部屋に急いだ。
「あ、待ちなさいよ!」
急いでその後を慌てて追いかける。
「もう!お姉ちゃん達うるさい!」
荒々しい廊下の足音に、そのまた隣の妹がコードレスの電話を片手にドアから
顔を覗かせた。
- 65 名前:デートの前日 投稿日:2002年09月02日(月)15時41分46秒
「う〜ん、どれにしよっかなぁ…」
同じ頃の午後9時半ごろ。
こちらでもほぼ石川宅で行われている事と同じ事が行われていた。
「困ったなぁ。どれ着てけばいいんだろう…」
部屋に並べられているのはクローゼットやタンスの奥から引きずりだした洋服の
数々。石川の部屋には及ばないが後藤にしては珍しく明日着ていく服に難儀していた。
「ズボン?スカート?男の子っぽい感じか女の子っぽい感じか…」
う〜ん。
両腕を組み小首を傾げて後藤は洋服の数々とにらめっこをしていた。
「う〜ん…」
目の前に並べられているのは着ても反映には着ない、取っておきの服やお気に入りの
可愛い服。どれも着ても似合うだろうが今の後藤にはどれが一番良いか考えずには
いられない。
(だって明日、明日は大事な日なんだよ!?)
梨華ちゃんがどんな服を着てくるのか。どんな服を着たらいい感じになるか。
梨華ちゃんは女の子っぽい感じの服着てくるから、だからあたしは…。
- 66 名前:デートの前日 投稿日:2002年09月02日(月)15時42分28秒
- 「う〜ん…」
誰かと約束し、洋服に悩んだのはこれが始めてだった。
「あ、そうだ。ユーキの部屋行って服見せてもらお。結構良いの持ってるかも…。それに
お姉ちゃんも」
悩んでも性格のせいか、後藤はのんびりとした歩みで部屋を後にしていった。
それからそれぞれの夜は更け、新しい今日の朝日が昇る…。
- 67 名前:aki 投稿日:2002年09月02日(月)15時57分15秒
- 少しだけ更新しました。お待たせしてるのに短くてすいません。。
60:読者さん
>レスありがとうございます。
本当ですか!いやはや嬉しい限りです。本当にまったりですがそういって
貰えると感謝です。特に今回のはときめくような恋愛?みたいな感じが目標
だったので、嬉しいです!
61:ごっちん最高!さん
>レスありがとうございます。雪板でも頂いたのを拝見してすごく嬉しかったです。
すぐにレス返せなくてすいません。
新たに自分の書いている話を知ってくれる方が増えるのはいつでも嬉しいです。
私の話はどうも、切なさが付きものになっちゃうみたいで^^;
それでも楽しく読んでいただければ幸いです。
いいですねぇ、コンサート。自分は行った事がないのですごくうらやましいです。
やっぱり生はいいですよね。
寝苦しい夜にも負けず、がんばりますっ!
- 68 名前:aki 投稿日:2002年09月02日(月)15時58分04秒
- それと完結した作品、載せておきますね。他の作品も読んでいただけるとはすごく
感謝です。無理をなさらずに読んでください。
・銀板倉庫 めぐる気持ち ・風板倉庫 めぐる気持ち 〜another story〜
・月板倉庫 とある旅館の物語(短編でもてる彼女を持つと苦労する) &同じ板に2
・紫板倉庫 悲しみの果て (少し官能的な感じなので嫌だったら避けてください)
それと今の二つで確かこれだけだと…。
それにしても全部並べるのって何だか恥ずかしいですね^^;
- 69 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)19時34分01秒
- 続き楽しみです。
akiさんの作品、全部最高ですよ…。
なんかほんと…感動。
akiさん最高です。
いしごま最強です。
これからも書きつづけてくださいね。
あと、花板のにレスもらってたなんて…!
すっごい感激です。
- 70 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年09月03日(火)15時03分43秒
- なんかドキドキします。遊園地でいったい二人の関係はづなるんだーー。
楽しみに待っています。二人とも万全な態勢を整えているようですが、ごっちん
の気持ちは届くんでしょぅか。とにかく応援してます。頑張ってください!!
akiさんの作品はどれもすごく好きです。中でも「とある旅館の物語」が
一番好きです。でも、どれもこれも選べないほどすごくいいですよ。
前も言った通り精神面で癒されます。今後とも頑張ってください!!ついていきますよ。
- 71 名前:ごっちん最高! 投稿日:2002年09月04日(水)01時03分41秒
- 更新されてる〜♪と思ったら、レスまで頂いてすっごく嬉しいです(^-^)
しかも作品迄紹介して下さってホントにありがとうございます!
読むのが遅いので長編は後でじっくりと。。。まずは早速「悲しみの果て」を
拝見しました。最初はこそこそと仕事場で読み出したのですが、
仕事が手につかないので泣く泣く中断して、家に帰ってから一気に読みました。
いつもの梨華ちゃんと違う!というのが新鮮でまた良かったです♪
それにしても、デートの前って服が決まりませんよねぇ。悩んでる2人が可愛いです〜
- 72 名前:読者 投稿日:2002年09月17日(火)22時25分00秒
- 服も悩むんですが
マニキュアとかメイクも悩むんですよね〜
しかも、こういう時に限ってマニキュア失敗するし(w
ごっちんの決意ってなんだべさ…
akiさんがんがって〜♪
- 73 名前:@ 投稿日:2002年09月30日(月)19時22分30秒
- 楽しみにしてますよ♪
- 74 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時52分01秒
「ふわ〜。…眠い」
午前9時半。
まだ眠たい眠気まなこの目をこすり、後藤は朝のすがすがしい綺麗な空気の中
待ち合わせのその場所に立っていた。
「梨華ちゃん、まだかなぁ…」
うきうきする心を止められず、後藤は眠たい中でも緊張を体に宿しながら約束の
時間が来るのを今か今かと待ち望んでいた。
結局あれから、弟の服もおねえちゃんの服も見に部屋を訪れたが結局それぞれの
服はそれぞれのタイプが出てしまっている事、そして結局は自分には自分の服が一番
似合う事を再認識した後藤は予め夜の内にたくさんの服から吟味し、朝になってやっと
どれとどれにするかを決めた。
スカートは制服のスカートのような女の子らしいブルーのチャック柄。それでも上に
来合わせたおしゃれなシャツのせいか女の子らしい中にもそれだけではない少し男の子っ
ぽい感じを漂わす後藤に良く似合うチョイス。
- 75 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時53分05秒
- (やたらに女の子らしいのも性に合わないし…。かといってよしこみたく男の子過ぎるのも
似合わないし…)
それでも所々のアクセサリー、ピアスなどは姉から借りたりした物も混ざり少しだけ
大人の雰囲気。いつのも後藤のイメージを崩さずそれでも気合いが入っているのは
誰が見ても一目瞭然だった。
「ふぁ〜」
朝それでも早く起きて髪も納得がいくまでセットした。メイクもばっちり。
やり残したことはたぶんない。後は、このドキドキだけ…。
(うぅ…早く会いたいっ!…でも緊張するぅ…)
約束の時間まで後20分。
後藤は腕を組みうんうんと唸りながら愛しの彼女を待っていた。
- 76 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時55分05秒
「遅れちゃう〜!」
その頃の石川は、珍しく慌てて町を走っていた。
「あぁ、もう!時間って過ぎるの早いよぉ!!」
あれから昨日の夜、少し遅くなったがそれでも慌てて早く寝て、寝覚めもいい中
早起きした石川はただひたすら気合いを入れてメイクし、髪を整え、服を選んでいた。
結局はこちらも同じく、大人っぽくしかもタイプも異なる姉の部屋で自分に似合う
服を見つけるのは難しく、妹に怒鳴られながら部屋に戻り再び自分の服たちを
にらめっこに戻っていた。
それでも昨日のうちには決めることが出来ず、朝のカンと自分のインスピレーションを
信じ「これだ!」と思い切って勢い良く服をどれにするか決めた。
それでも昨日のうちから悩んだせいもあり、気合いもたっぷり、気持ちも十分。
案外一番といってもいいほどの選択を知らず知らずのうちに選んでいた。
- 77 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時56分23秒
- 「…真希ちゃん〜!」
腕時計をシャツの中から探りだし、確認して再びダッシュ。
それでもメイクは完璧。髪も綺麗に整え微かに耳にかけ女の子らしさUPに
お気に入りのひざ上のスカートに前に買ったこれもスカートに合わせて決めた
肩の少し開いた大人っぽい白のブラウス。それに手提げぐらいの小さな可愛いバッグ。
彼女はまだ、昨日のうちに自分が時計をずらしていることに気づいていない。
- 78 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時57分22秒
「―――真希ちゃぁん!!」
「!」
突然聞こえた大きな声とその可愛い声に後藤はびくっと反応し俯き加減だった
体を微かに上に震わす。
(そ、その声は…)
体制を変えないまま普通を装っている態度とは裏腹に心臓はドキドキと最高潮に。
「真希ちゃ〜ん!」
「り、梨華ちゃ…――っ!!」
喜びにドキドキしながらも勢いよく顔を上げたそこには!
自分の下へ走ってくる彼女の姿があった。ただし、飛び切り可愛い格好に可愛い顔の。
「う、うわっ……」
思わず後ろに後ずさりしてしまいそうになる。心臓もどうしょうもないぐらいに高鳴ってる。
日頃でも十分可愛いのに、目の前に現れた彼女の姿と言ったら…それはもう…。
(や、やばいよぉ!梨華ちゃん。…鼻血出たらどうしよ)
めまいに似たくらくらを後藤は覚えた。
- 79 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時58分09秒
- 「はぁ、はぁ…ごめんね。遅くなって…」
それからすぐに、彼女は目の前までやって来て荒くなった息を整える。
走って乱れた髪も整えてあるせいかすぐに綺麗に元通りになる。石川はひざに手をついて
息を整え始めた。
「う、ううん。大丈夫だよ…。それに時間もまだ…」
「え?」
後藤は指で石川にすぐそこのビルの時計を指して示す。石川は小首を傾げて不思議そうに
そちらへ目を向けた。
そこにはまだ午前9時50分。約束の時間ちょうど。
「あ、あれ…?……あ、そうだっ。昨日…遅れないように時間遅らせたんだっけ…」
やっちゃったなと石川は首を竦めた。
「……」
(可愛いなぁ…)
今更ながら彼女の姿に後藤は見惚れてしばらくの間ほんやり見つめてしまう。
石川はそんな後藤の視線にも気づかずやっと息を整えぼんやりする後藤の前に向き直った。
- 80 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)21時59分37秒
「……」
(…かっこいいなぁ…)
今まで慌てていて気づかなかったが今さっき見た遠くからの後藤は周りの人とは
明らかに醸し出す雰囲気も魅力も違くて。
遠目でも彼女はその彼女だけが持つ魅力で辺りを魅了していたような気がする。
それでも、いつもでも少なからず人の視線を寄せ付けているのに、いつも一緒にいる
自分でもわかるぐらいに服もメイクも完璧で。その辺のファッション雑誌のモデルさんよりもいけてると思う。やっぱりセンスがあるんだなと再認識した。
そして、周りの人間とは比べ物にならないほどに、彼女だけの魅力があるのだと。
(だってみんな見てるもん。真希ちゃんの事…)
少し複雑な気持ちと共に反対にとびきり嬉しい感情。
自分のためにこんなにおしゃれしてくれて、人の視線を釘づけにしている。そして
自分さえも。そんな彼女は自分の一番の大事な人で大切な人。
- 81 名前:当日 投稿日:2002年10月03日(木)22時00分21秒
(…可愛すぎる…梨華ちゃん…)
いつもの学校の制服もいいけど、今みたいな服装もよく似合ってる。
いつも会ってる二人だから、改めて二人とも気合いを入れると彼女の良さも魅力も
一層引き立つ。さっきから向こうから駆けて来た時も男の子の視線は釘付け。
ちょっと嫉妬。でも…梨華ちゃんを好きなのはごとーだもん…!
二人はほとんど気づいていなかったが、久しぶりの二人だけでのデート。
それに約束した遊園地。大切な特別な日。それぞれの気持ちの持ちようもいつもと
違う中、示し合わしたわけでもないのに二人とも最高におしゃれをしてきていた。
そう、お互いが改めて互いに見惚れてしまうぐらい…。
- 82 名前:aki 投稿日:2002年10月03日(木)22時12分06秒
- 久しぶりの更新…。長く待たせてしまって本当にすいません。
いろいろ体調を崩してしまって…更新やらちゃんと終わらせなきゃと思いつつ
どうしても書く気になれなくて…な感じでここまで来てしまいました。
69:コウさん
>ありがとうございますm(__)m
勿体無い言葉、本当に嬉しいです。在り来たりな言葉でしか返せなくて
すいません。花の方、レスしてなくてすいません。でもすごく楽しみにしてます!
70:いしごま防衛軍さん
>ありがとうございますm(__)m
お待たせしてすいません(汗)とにかく最後までいけるようにしたいです。
71:ごっちん最高!さん
>ありがとうございますm(__)m本当に読んで頂けて嬉しい限りです。
少しでも現実にありそうな感じになっていれば嬉しいです。
72:読者さん
>レスありがとうございます。
ごっちんの決意、ゆっくり見守っていただけると嬉しいです。
73:@さん
>ありがとうございますm(__)mがんばりますっ。
- 83 名前:読者 投稿日:2002年10月04日(金)00時59分06秒
- お〜更新されてるぅ♪
そうですよねぇ。この二人が歩いてたら目を引きますよねぇ…
梨華ちゃん自分の気持ちに正直になってよ〜
体調崩されてたんですか?
お大事になさって下さいね。
次回もマターリとお待ちしております。
- 84 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年10月05日(土)07時54分42秒
- おお待ってましたよ!!遊園地でのデートすごく楽しみです!!
体調に気をつけてゆっくマターリがんがってください!!
- 85 名前:kattyun 投稿日:2002年10月05日(土)13時40分40秒
- >男の子の視線は釘付け。
ごっちんにもね。気付いてます?
( ´ Д `)<…?
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月05日(土)16時19分30秒
- いつも更新楽しみにしてます。お体には気をつけてがんがって下さい!!
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月17日(木)23時15分29秒
- 保全ー。また〜り待ってますw
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月20日(日)01時31分57秒
- 面白い!作者さんまた〜りがんがって!
- 89 名前:作者 投稿日:2002年10月28日(月)21時41分51秒
- 遅くなって本当に申し訳ありませんでした…。どうしても書く力が湧かなくて
こちらの事情も重なりこんなに空けてしまいました。やっと書き終わったので、
今から更新します。待たせたしまった時間と見合う内容かどうかすごく心配ですが…。
- 90 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時45分18秒
「あっ!あっち行こう!」
「う、うん…!」
遊園地に入るなり途端に走りだす石川に後藤は慌てて後を追いかける。
まだ時間は早いせいか人の数はまばら。それに加えまだ出来たばかりという雰囲気を
多分に漂わすその遊園地は二人に関わらず来る人を自然と興奮させてしまうような
雰囲気で包まれていた。
「ちょ、ちょっと待って!」
楽しそうに駆けていってしまう彼女の後姿に後藤は思わず慌てる。
そんな珍しい後藤の声や素振りに石川は小さく微笑むと後ろへ振り向き駆けて来たその
手を取った。
「行こう!」
何だかいつもと違うような気がするこの瞬間。
ほんの少しだけ大胆になってもいいよね?
何だか、特別な時間を思わす今は自然と大胆になりたくなってしまう。
「!」
いつもなら躊躇う所も、今日は躊躇わず。
ぎゅっと腕を絡めさせると前へ走り出した。
隣の彼女がいつものようにそれにドキドキしているとも思わずに…。
- 91 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時47分06秒
- 手始めには出来たばかりのジェットコースター。お次は続けてもう一つのコースターに
さらに続けてハードなバイキング、それに加え回転最高潮のコーヒーカップ…。
とにかく空中で振り回される乗り物に休むことなく立て続けに乗った。
「ちょ、ちょっと待ってぇ…」
「ん?」
全ては梨華ちゃんのリードなんだけど…ハード過ぎるよ…。
「どうしたのぉ?」
「少し…休も?」
息も絶え絶えで後藤はひざに手をつきながら前を行く石川に声をかける。
当の彼女は全くぴんぴんで次のアトラクションで向かおうと意気揚揚としていた。
「休もう?」
「うん?いいよぉ?」
はぁ…やっと休める…。
ほっと息を思わず付き目の前に戻ってきてくれた石川の姿に安心する。
実はそんなにジェットコースターとかハードな乗り物得意じゃないんだよぉ…。
「それじゃ何か買おうか?」
「うん…」
近くのテーブルに移動して椅子にどかっと座ったあたしにさっそく梨華ちゃんは
すぐそこのお店へと向かって行った。
- 92 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時47分49秒
- 「はい!ソフトクリーム!」
「…ありがとう」
買ってきてくれたソフトクリームは太陽の光できらきらしててあたしはぼんやり
それを受け取った。
逆光であまり見えなかったけど梨華ちゃんの笑顔…可愛い…
ほんのわずかな休息。
いつもみたいにたわいない会話に花を咲かせ、少し休憩して疲れも取れ、
また出発した。
- 93 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時53分45秒
- ハード系でばててしまったあたしに梨華ちゃんはほんの少し反省したみたいで
ソフトな、気軽に乗れるアトラクションに連れて行ってくれたけど本人はまだ
向こうの絶叫系が恋しかったみたい。
だんだん遊園地も人が増え始めて活気と人の喧騒で賑わってきている。
軽い昼食も食べて、楽しい時間は瞬く間に過ぎていった。
「真希ちゃん!こっちこっち!」
楽しい時間は、どこか切なくて…。
「あ!あっちも楽しそうだよぉ!」
日が微かに傾き始めるのもどこか惜しくて、時間をとめてしまいたいとさえ思えて…。
「次、何に乗る?」
ゆったりとしたリズムで進むメリゴーランド。もう何年ぶりだろう、メリゴーランドなんて…。
子供っぽい乗り物みたいだって自分でも思えるけど、でも隣にいるのはしっかり
お姫様乗りしてる梨華ちゃんの姿。問い掛けてくるその姿はあたしの中の視界を上へ下へと忙しい。
そう、いつだって…この笑顔とあなたの存在がいれば、
心が時めいて、普通の事でもどうしようもなく楽しい時間へと変わる。
- 94 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時54分54秒
- 「写真取ろう?ほら、はい…チーズ…!」
一つのカメラを梨華ちゃんが持って、二人でたぶん画面一杯に収まって。
「そういえば…今日7時に花火が上がるみたいだよ。ほらここに…」
時間よ、止まれ。なんて、無理な事。
「…うん」
「どうする?それまで…」
終わってしまう今日という日…。不安になるのはもしかしたら二人の関係も
影響してるのかもしれない。だけど…。
「行きたい場所があるんだ」
これからも一緒に時を過ごしていきたい…。
「え?」
「来て!」
あなたと…あなたと二人で…!
目の前には大きな観覧車。日が沈み始めた太陽を背に観覧車は、どこか不思議と
大きく駆け出した二人の前に聳え立っていた。
- 95 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時56分25秒
夕日はまだ落ちてないけど辺りはもうだんだんと夜の帳が落ち始めてきていて、
遊園地の所々に紫や赤、黄色や青などどこか神秘的な照明で幻想的だった。
たぶん、まだ出来たばかりだけど、もう少ししたら恋人で賑わいそうだ。
今日は記念に遊園地中心の広場で盛大に花火を打ち上げるみたいだけどあたしは
梨華ちゃんの手を引いてその場所へきた。
「…観覧車…?」
大きな大きな観覧車が目の前に聳え立っていた。お台場にあるように煌びやかに
イルミネーションが光っている。
「乗ろう?」
手を引いたまま観覧車の入り口へと梨華ちゃんを連れて行く。
花火が始まる放送もあったせいか観覧車前はほとんど人がいなかった。
走る勢いを無くさないまま乗り場へと急ぐ。スタッフの人にチケットを見せてそのまま
観覧車の中に駆け込んだ。
- 96 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)21時58分33秒
- 「……うわぁ…」
観覧車がゆっくりゆっくりと上に進み、だんだん景色が目の前に開けてくる。
あたしと向き合うように梨華ちゃんは目の前に座った。
「結構景色いいね」
今日一日使い切った体力や緊張での疲れを癒すように観覧車から外を眺めた。
そんなに都会中心部から離れていない場所のせいか、ビルのネオンもレインボーブリッジ
も遠くに見える。空は晴天のせいもあって日没になってもすっきりとした空気と景色で
囲まれている。
「………」
しばしの沈黙。短いようですごく長い沈黙は時間にしたらそんなには長くなかった
らしい。外の景色はまだそんなに今さっきとは変わってない。
だけどどことなく気まずい沈黙。
あたしはあまり気にしてなかったけど目の前は梨華ちゃんがどこか落ち着かない
そわそわするような素振りを見せていた。
- 97 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時00分37秒
- 「あ、夕日…落ちちゃう…もうすぐ」
呟くようにしていった言葉にあたしはふっと顔を上にあげた。
するとそこには地平線にゆっくりとおもむろに消えていく太陽があった。
紅のように紅く燃えた太陽は地平線とその辺りに赤い線を描きながら、どこか寂しく
向こうへと飲み込まれていくところだった。
「…本当だ…」
日没も今が一番の時かもしれない。たぶんあと30分もしたら辺りは真っ暗に
なってしまうだろう。
…今日という一日がもうすぐ終わってしまう。どうしようもない寂しい気持ちに
駆られた。そう、小さい頃に誰しも味わうような、焦燥感にも似た切ない気持ち。
沈み行く太陽はそれでも力が漲っていて、観覧車全体を向こうから強く斜めに
日を注ぐように差していた。
赤全体に染まった観覧車、その反対には巨大な影が向こうへと姿を引いている。
- 98 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時02分07秒
「……」
石川は緊張していた。
遊園地で合流した時からどことなく気づいていたけど今日の後藤の雰囲気は…どこか
張り詰めていたのだ。いつもの穏やかな笑みを浮かべるのもそのかいまにどこか…
真面目な横顔を覗かせていた。
その表情は初めて見た表情じゃない。初めて…初めて自分が彼女を出会ったとき
見た表情もそんな表情だった。だからいつも以上にドキドキした。
それに加え今日の後藤の服装、メイク、雰囲気もいつも以上に気合が入っていて。
実は人知れず緊張とときめきを胸に秘めていた。
(…いつ見ても…綺麗な顔……)
正面で向き合って座ってはいるけど目の前の彼女は向こうの夕日を見つめている。
どこか憂いを秘めるような、どこか寂しげな、だけど気のせいかそれが彼女の
持つ神秘性を高まらせる。
さらさらなロングのストレート、少し茶を帯びた髪。
ほんのわずかな髪が頬にかかる。指でそれをすっと拭った。
- 99 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時05分41秒
「……っ」
かぁっと顔が熱くなるのを感じてすぐに下に俯かせた。
なんで…なんでこんなに……
(綺麗なんだろう…)
いつでも自分の心を打ち奮わせる。
「あ、もうすぐ頂上だよ」
「え…?」
自分の気持ちに意思が傾いてしまっていたせいか気づかなかった。
目の前を気づいたように見てみるとそこは既に今までの景色とは変わっていて、
後藤の肩越しに見えるそこには今さっきまで見えていたほかの観覧車は徐々に視界から
見えなくなってきていた。
「…本当だ……」
あっと言う間の頂上に少し驚きを隠せず、石川は後藤の見ている同じ景色、夕日を見つめた。
- 100 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時07分12秒
「……」
石川が自分と同じように夕日を見つめた事に横目で気づき、後藤は静かに顔を横に戻した。
その夕日に映える綺麗な横顔にほんの少しの間見惚れて、後藤はおもむろに口を開いた。
「…ねぇ…」
「!な、なに!?」
囁くようにして呟いた彼女の声に石川は驚いて顔を戻す。
「…真希…ちゃん…?」
そこには穏やかな表情で自分を見つめる彼女がいて、石川は胸が高鳴るのも忘れて
その表情に見とれていた。
「…覚えてる?あたしと梨華ちゃんが…初めて出会った時の事」
「………真希ちゃんが学校に遅刻して来た時のこと?」
「梨華ちゃんも遅刻したでしょ」
ふっと笑って覚えていてくれた事が嬉しかったように後藤は節目がちに呟いた。
「あたしが…今の学校に転校して来て間もない頃…」
- 101 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時08分44秒
- 遠くを見るようにして呟く後藤の横顔を石川は不思議そうに見つめながら、彼女の
言葉に耳を傾けた。
「あはっ、あの頃さぁ本当後藤学校の事よく分からなくて、よく迷子になってたんだよねぇ…」
「……」
思い出しながら言う彼女の言葉に微かに気づく。そういえば…真希ちゃんは高1の時に
転校してきたんだっけ?今じゃそんな事全然忘れちゃうぐらい距離が近くて…忘れてたけど…。
「…あの頃はまだ後藤に友達もいなくて、よしこと出会ったのはそれからもう少し
経ったぐらい。始めはあたしすごく一匹狼だったよね…」
慣れない転校、それも奇妙な時期での転校。
もうそろそろみんな仲良しグループが出来始める頃で言ってしまえば一番輪の中に
入りこみにくい時期。そんな時期での転校。
- 102 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時10分02秒
- 「……」
「一ヶ月経ってもまだ全然友達出来なくて、本当もう諦めてた。あ〜いいや友達なんてって」
「そんな時、梨華ちゃんが話し掛けてくれたんだよ」
あたしはただ黙って彼女の言葉に耳を傾けていた。
…………
……
- 103 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時11分59秒
午前9時。既に朝のホームルームはとっくに終わってる時間で今は1時間目の真っ最中。
校舎内はまるで水を打ったように静まり返っていてあたしは慣れない制服と真新しい鞄を
片手に廊下で困り果てていた。それも、原因は1時間目からの移動授業。
朝から生物の実験のため教室には誰の姿もなかった。
やっと職員室と教室、そして体育館が分かり始めてきたこのタイミングで一人生物の
実験室に行けというのも無理な話で。
一人困り果てて教室の前の廊下を行ったりきたりしていた。そんな時。
「どうかしたんですか?」
可愛らしい声。女の子みたいな声。綺麗な声。
あたしはすっと後ろに振り向いた。
- 104 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時13分09秒
- 「…?」
朝の透明な空気が校舎内を包む中、あたしはそこにいた一人の少女の姿にぼんやり
我を忘れたように見つめてしまう。
見つめられている当の彼女は、困ったようにそわそわして恥ずかしそうに
小首を傾げていた。
「…生物の実験室…」
「え?」
「実験室が、分からなくて」
慌ててその後に『転校してきたばかりだから…』と繋げた。そうじゃないといくらなんでも
初対面の人間には不信に思われないかと思った。
でも彼女はその言葉を繋げようが繋げまいが気にしていない様子で、ロボットみたくただ
黙って自分を凝視していた人間がしゃべりはじめた事にほっと安心しているようだった。
「実験室?ならこっちだよ」
小さく笑みを浮かべて嬉しそうに彼女は私の前を歩いた。
その時の微笑み、今でも覚えてる…。
優しい、すごく綺麗で可愛らしい笑顔だった。
- 105 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時15分08秒
- 「すいません…」
それからあたしは実験室まで静かな校舎を連れて行ってもらって。
人気のないそのすぐ手前の廊下で彼女と別れた。
「あの…ありがとうございました」
同じ年だろうか、それとも先輩だろうか。それでも間違っていたら悪いのであたしは
念のため敬語で頭を小さく下げた。
「そんな…いいのいいの。…ふふ、所詮私も…遅刻仲間だし」
いたずらそうな笑みを浮かべ、楽しそうに笑うと彼女は最後に『またね』と手を振って
向こうへと消えていった。
『またね』
また、会えるかな?
どことなく年下に見えなくもない彼女。いや、そんな事よりも、彼女は私にとって始めての…。
- 106 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時17分12秒
…………
……
「…初めてだったよ、誰かに声掛けられたの。本当に…梨華ちゃんが初めてだったんだ」
「真希ちゃん…」
「梨華ちゃんだけだった。あたしの事、唯一変な目で見なかったのは…」
染めてはいないのに完璧誰が見ても茶髪の髪。
メイクも何もしていないのに年上に見られるその容姿、スタイル。
何より、彼女の醸し出す独特なオーラはこの世の物とは思えないぐらい、大人びていて、
色っぽかった。
後で聞いてすぐに石川は納得する。
誰も始め彼女に声を掛けなかったことを。
彼女を正視した状態や彼女を一度でも見かけた事のある人間なら、彼女に気軽に声を
かけてしまうのは躊躇ってしまう気がする。
その瞳で、神秘的でどこか色気を秘めるその瞳に捕らえられただけで、みんな言葉を
忘れてしまうような感覚に陥りそうになってしまうのだ。
でも、当の彼女はそんな事気づく由もなく、毎日一人寂しさを感じていた。
誰も彼女の本当に気持ち気づくこともなく…。
- 107 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時18分23秒
- 「先生もどこかよそよそしかったし、クラスメイトだって…」
節目がちだった瞳は更に遠くを見るような瞳になる。
石川は胸を高鳴らせながらもその表情を変えたくて言葉を発した。
「真希ちゃんは…すごく綺麗だったから…」
あたしだってあの時あなたに見つめられた時時が止まった気がした。
「…それからだんだんクラスにもなじめるようになってきて、よしこと出会って。
それと、あの時からよく会うようになったんだよね。あたし達」
「うん、そうだったね…」
偶然という出会いの数々に感謝しながら、石川ははにかむように微笑んだ。
「…たぶん、あの時からだよ…。梨華ちゃんのこと好きになったの」
突然の真希の言葉に石川はぼっと顔を赤く染める。
後藤は気にする様子もなく続けた。
- 108 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時19分39秒
- 「梨華ちゃんすごく綺麗になった。あの時も可愛かったけど、すっごく…」
「そんなっ…。そんなこと言ったら真希ちゃんなんて…」
言葉は嬉しいのに石川はすねるように上目遣いで後藤を見つめる。
そんなこと言ったら真希の方がもっと綺麗だ。そして綺麗になった。あたしなんか…
あたしなんかじゃ…
「…あたしなんかじゃ…追いつけないよ…」
目を伏せ悲しげに呟いた石川の言葉に気づき後藤は顔をはっと上げる。
「…あたしだって…同じ気持ちだよ…。…梨華ちゃん…」
そっと彼女の手に自分の手を乗せる。びくっと彼女が反応したのが目に入った。
「ねぇ…あたし…本気だよ?…梨華ちゃんに対する気持ち…」
「!」
「本当に…本当に好きなの…。誰にも触れさせたくないくらい…」
「真希ちゃん…」
また…あの時の目だ…。
真剣で、綺麗で、大人っぽくて…。あたしはいつもこの瞳に取り込まれると…まるで
金縛りにあったみたいに動けなくなっちゃう。…ドキドキしちゃう。
- 109 名前:終わりと初めの遊園地 投稿日:2002年10月28日(月)22時22分26秒
「恋人に…なろう…?」
微かに小首を傾げたのを目の前の彼女は気づいているのだろうか。
疑問系を含めた言い方に自分がどれだけ胸を時めかせたのか彼女は知っているのだろうか。
はっきりしないいろんな自分の気持ち。自分の気持ちなのにはっきりと分からない複雑な
感情。
「――うんっ…」
それも全て消えて、今ひとつ、自分の中に確かな気持ちが存在している事に気が付いた。
「梨華ちゃん…」
はっきりと、強く頷いた少し潤んだ瞳の彼女の姿にこれ以上ないぐらいに感動を覚えて。
観覧車の向こうで夕日が沈む中、影が広がる向こうで花火が始まる音が響く中…
『恋人になろう?』
『不安になる事なんてない…これからも…これからも二人で…』
――変わらない時を、進んでいく…。
「…んっ…」
二人の唇が、重なった――
柔らかい愛しい人の唇を感じながら、今まで二人躊躇っていた気持ちを面に出すように、
二人の唇が一つに重なった。
...END
- 110 名前:aki 投稿日:2002年10月28日(月)22時29分17秒
- 完結…です。これにて『友達のままじゃいられない』終わりです。
間が空いたので一気に終わりまで更新しましたが、内容が期待にそぐえていれれば
幸いです。
それにしてもいつも始めた当初は更新早いくせに終り頃遅くなってしまってすいません。。
ここまで読んでくださり、待ってくださった寛大な読者さんに感謝します。
それと、このお話実は実際に自分が読んだとある話に冒頭辺りが影響されてます。
ただ途中からは最後まで完璧なオリジナルですのでそれだけ告白させてもらいます。
部分的に似通ってる箇所があってちょっと心配なんですが、、
それでは、最後までご愛読ありがとうございましたm(__)m
- 111 名前:aki 投稿日:2002年10月28日(月)22時35分55秒
- それと、ここの残ったスレは気ままに短編でも思った時に書けたらと思ってます。
実現するか分かりませんが(汗)
王道以外と10人時以降だったらリクエスト受け付けられるかもしれないので、
(注文多くてすいません)あったらリクエストください。出来る限り…がんばります。
- 112 名前:作者 投稿日:2002年10月28日(月)22時47分19秒
- レス遅れました!すいません…。
83:読者さん
>ありがとうございます(泣)感謝です。
本当に遅くなってしまってすいません。
84:いしごま防衛軍さん
>やっと体調の徐々に良くなってきました。
期待に答えられているといいんですが。。
85:kattyunさん
>たぶん気づいてない…(汗
似てないようで実は似てる二人なのかも^^;
86:名無し読者さん
>ありがとうございます。本当に感謝です。
87:名無し読者さん
>保全ありがとうございます。遅くなってすいません。
88:名無し読者さん
>レスありがとうございます。最後まで楽しく読めたら幸いなんですが、、
- 113 名前:いち読者 投稿日:2002年10月29日(火)22時28分01秒
- しっかとラストを見届けてから初レスさせていただきます!
もう最高です。akiさんのいしごま、やっぱり最高……(涙)
2人の感情の揺れなどもそうなんですが、情景描写などがとてもきれいで引き込まれて
読んでました。上手く言葉が見つかりません、とにかくakiさんの小説が好きだー!(w
…すいません、興奮してしまいました。
初レスのくせにリクエストなんておこがましい気もしますが、いしごまに辻加護が
絡む話なんか読んでみたいかも……です。
長々と書き込んでしまいましたが、また足りないくらいです。
脱稿お疲れさまでした。(もう一方のお話も楽しみにしていますので)
- 114 名前:ごっちん最高! 投稿日:2002年10月31日(木)20時53分09秒
- akiさん完結お疲れ様です&おめでとうございます^^
終わってしまうのは淋しいのですが、最後まで読めてすごく嬉しいです!
いつもラストはハッピーエンドになるのがすごく良いです♪
やっぱり2人には幸せになってほしいですから・・・
次回作も楽しみにしています&彼女達の・・も頑張って下さい<いつも更新待ってますんで。
- 115 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月02日(土)19時28分10秒
- ちゅうかここのゴチーン&りかたん可愛すぎです。
akiさんの書くこの二人、大好きです。
雪の方マターリとお待ちしてます。
すばらしい作品ですた。脱稿お疲れ様です。
- 116 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年11月03日(日)11時04分55秒
- すばらしかったです!!もうなんとも言えない居心地のいい雰囲気に包まれました。
二人の気持ちが最後の最後にぴったりと合わさってよかったです。読ませていただき
ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。akiさんの作品は
ほんとに大好きです!!お疲れ様でした。
- 117 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月04日(月)01時18分48秒
- いつも読ませてもらってます。よかった、ハッピーエンドで。
ところでリクしてもよろしいですか?自分はakiさんの”とある旅館の物語”
のグァム編のいしごまが一番好きなのですが、バカップルいしごまは駄目ですかね?
余裕がありそうでしたらよろしくお願いします。
- 118 名前:117 投稿日:2002年11月04日(月)02時51分36秒
- すいません。あげちゃいました。ごめんなさい。
- 119 名前:名無しの読者 投稿日:2002年11月04日(月)04時27分09秒
- ハッピーエンド最高!!
- 120 名前:読者A 投稿日:2002年11月05日(火)17時56分32秒
- はじめましてakiさん、そして完結お疲れ様です。
初レスでリクするのもなんですけど、ののかおをリク
していいですか?
- 121 名前:作者 投稿日:2002年11月08日(金)22時40分48秒
- 皆さんレス本当にありがとうございます。
113:いち読者さん
>初レスありがとうございます。
勿体無いお言葉ばかり本当にありがとうございます。本当に嬉しいです。
リクエストですが…いしごまに加護辻、結構難しくもう少し待ってください。
努力します。
114:ごっちん最高!さん
>ありがとうございます。
最後まで書けて本当に良かったです。最後は書き始めた頃から決まってました。
思っていたよりすごく長い道のりになりましたが。。
115:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
ここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました。
可愛い感じに書きたかったので良かったです。
- 122 名前:作者 投稿日:2002年11月08日(金)23時00分53秒
- 116:いしごま防衛軍さん
>ありがとうございます。
最後、いい雰囲気が出せていたらそれだけで嬉しいです。
遅いペースで最後までお読み頂き本当に感謝します。
117:名無しさん
>レスありがとうございます。リクエスト、書いてみました。
自分の中で一番のバカップルぶりを書こうと思ったんですがあまり
ならなかったかも…。
119:名無しの読者さん
>ありがとうございます。良かったです。
120:読者Aさん
>レスありがとうございます。ののかお、書いてみましたがかなり掴みようの
ない内容になったかもしれません…。
ではすいません、順番通りじゃなくなりますが書けた物から載せます。
満足行くものにならなかったらごめんなさい…。
- 123 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時06分33秒
「梨華ちゃぁ〜〜んっ!!」
朝。メンバーがやっと全員揃い今日も一日いつもどおりテレビ収録、雑誌など
ハードなスケジュールをこなしていこうというそんなまだ目も完全に冷め切らない朝。
一つ大きな声が朝のまだ肌寒さを感じさせる殺伐とした廊下に響いた。
「「「!?」」」
聞き覚えのある声なのになぜかないように聞こえるのはたぶんその声の弾みのせい
かもしれない。分かっているはずなのに廊下にいた諸々のメンバー達が振り向いた。
「梨華ちゃぁ〜ん!!」
普段では見せないような必死な表情、そしてやけに高く可愛い声を発しながら彼女は
ちょうど振り向いたメンバー達の髪を靡かせつき抜けた。
「ごっち〜ん!」
そしてこちらからも…いつもでも高い声を更に高く甘くさせその声に答える少女の声。
「…またかい…」
もはや呆れ顔も最高潮の保田や矢口達の目の前で二人はまるで相手以外見えていないかの
ように抱き合った。
- 124 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時07分57秒
- 「梨華ちゃん〜〜〜!会いたかったよぉ…」
全速力から飛びつくようにして抱きついてきた後藤を待ってましたといわんばかりに
両手を広げ受け止める。微かに後ろによろめきながら甘える後藤をぎゅっと確かめるように抱きしめた。
「あたしもだよぉ…。寂しかったぁ…」
「ごとーだって寂しかったよ。寂しくて寂しくて寂しくて死んじゃうかと思ったぁ…」
「あたしだってぇ…。あ、ごっちん少し痩せたんじゃない?」
嫌に甘えるように抱きしめあいながら少し距離を開けかなりの至近距離で見詰め合う
二人に嫌でも見せ付けられる二人のアツアツぶりに矢口がはぁ〜っと重いため息をついた。
「うん。少し痩せちゃった…。分かる?」
「食事ちゃんと取ってる?ダメだよちゃんと食べなきゃ…」
すたすたと次の仕事場へ歩いていってしまうメンバー達を尻目に未だいちゃつく二人。
石川は心配そうに後藤の頬を撫でて瞳を覗く。後藤がその手に甘えるように頬を摺り寄せた。
- 125 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時09分23秒
- 「今度…梨華ちゃん家行ってもいい?」
「うん、もちろん…。ううん、今度じゃなくて今日だってもちろんだよ」
「本当?嬉しい…」
そのままスッと瞳を閉じる後藤。恥らう仕草が混じる動作で唇を上げる。
「ごっちん…。……っ!?って、あ!ちょっとぉ!!」
目の前でキスを待つ彼女に自分も瞳を閉じ柔らかい唇を重ねようとした瞬間、ぐいっと
首根っこを掴まれる。
「ほら、もうすぐ雑誌の取材だから。早くしなさい…」
「ま、まだ時間はありますよぉ!」
二人の間に介入するのも嫌そうにそれでも割り切って保田が抵抗する石川を連れて行こうとする。
「あんた達それやってるといつも遅れて来るでしょっ」
「そ、そんなことありません!絶対大丈夫!今度は大丈夫だからぁ!!」
引き離されていく愛しい彼女の姿に石川は慌てて後藤の手を掴む。後藤が寂しそうに
その手を掴み返した。
「せっかく久しぶりにごっちんに会えたんですぅ!!見逃してください〜!!!!」
「…はぁ…」
今にも泣きそうな表情で必死に訴えかける石川に保田もついには掴んでいた手を放した。
- 126 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時10分47秒
- 「約束守るのよ?」
「はい!」
しょうがないと言わんばかりの表情でその場を後にする保田に石川は感謝し
後藤に向き直った。
「梨華ちゃん…」
「ごっちん…浮気してない?」
「してないよぉ…梨華ちゃんこそ…」
「あたしは大丈夫。ごっちんだけだもん…」
「時間…大丈夫?」
保田の姿は既に向こうの角へと消えていっていたが後藤は不安そうに石川の肩越しに
向こうを見た後石川に尋ねた。
「うん。大丈夫だよ。…まだ時間ある。…そうだ」
服に隠れた腕時計で時間を確認し後藤に答えてから少しの間を空け、良い事を
思いついたように声を発すると、石川は「来て。」と一言だけ囁くと後藤の手を
握りすぐそこの誰もいない会議室へと消えていった…―――
- 127 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時12分36秒
………
……
…
…
「…登場〜」
不気味な声がふとすぐそこの楽屋のドアから、おばけのように聞こえてきた。
「す、すごいですね…。後藤さんと石川さん…」
「…見ちゃいけんものを見てしまったんじゃないんではないですかぁ?」
「不可抗力です…。私達が楽屋を出るにはこの扉しかない事は明白なのであって
私達がお二人を目撃してしまうのも仕方のない事であって決して盗み見たわけでは…」
いつもお腹を空かせているようなどこか舌足らずの声の次に次々と異なる声が現れる。
そして同時ににょきにょきっとドアの隙間の向こうに二つの目だけを彼女達が現した。
「二人はどこへ消えていったのか…そして二人が今何をしているのかは私達が知る由も
なく…わたくし加護亜衣はそれを追及する運命にあるわけであります」
その一番最後におもちゃのマイクを片手に実況中継のような固い声で加護が現れた。
「さ、行くよぉ!みんなぁ!!」
じれったく微かにだけ開いていたドアをばんっと突然開け放ち加護が廊下に出るなり
大きな声で叫ぶ。
- 128 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時14分00秒
- 「い、行くって…どこにですかぁ!?」
「…もしかして…」
「もしかすると…」
眉をひそめいぶかしげな表情の高橋に小川が合わせる。二人の予想はほぼ当たっていた。
加護は二人の表情に満足げに微笑んだ。
「どこにいくなんてぇ!そんなのあったりまえです!!二人の追跡です!!」
雷に打たれたように加護の言葉に驚く三人とその後ろでぼんやり眠たそうに垂れ目で
その四人を見つめる辻。
「ま、まずいですよぉ…!」
さっさと楽屋のすぐ隣の会議室へと向かう加護に小川が小さく呟きながらそれでも
後についてくる。見ちゃいけない理性と本当は見てみたい本心と戦っているのは小川
一人ではないようだった。
「だったらついてこなくていいよぉ?まこっちゃんはぁ……」
その後について来ている三人にいたずらそうに笑みを零しながら列を先導していく加護亜衣。
「そ、そんなぁ…」
すっかり加護に洗脳されてしまった高橋の姿と興味深そうな紺野の姿に小川もついに
諦め、四人は会議室ドア前でと静かに足を忍ばせていった―――
- 129 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時15分56秒
- …
………
「…ごっちん」
会議室に入るなりぱたんと閉まったドアの音を背後に聞き、石川は目の前の会議室の
茶のテーブルの上に後藤を軽く座らせた。足が着く程度に軽く腰を下ろした後藤は石川の
瞳を少し下になった姿勢から見つめる。
「ドラマとか…新曲もそうだし…、体…大丈夫?」
「うん。平気だよぉ…」
心配そうに後藤のすぐ目の前まで体を近づけ、優しく頬を撫でる石川に後藤は今さっきと
同じように甘えながら静かに答える。
それでも不安が拭えないのか石川は子供に接する母親のように後藤の綺麗な髪を撫でた。
「大丈夫だって…。心配しないで?」
「だって…」
八の字眉の彼女に後藤は小さく微笑んでそう促す。それでもまだ石川は納得して
いないようだった。
- 130 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時16分59秒
- 「会えない時間は増えるし…会う時間もなくて…すごく寂しいよ…」
瞳を逸らさないままそう呟くと石川は後藤の柔らかい両頬を両手で挟むように包んだ。
そして優しくチュッと唇にキスを落とす。目を瞑らないまま後藤はそれに答え石川はそのまま愛しむように頬、まぶた、口元に優しいキスを浴びせる。
「ん…くすぐったいよ…」
まぶたに触れた時軽く片目を閉じながら後藤が小さく囁いた。
それでも温かい気持ちが心から芽生えたのか後藤も自分から甘えるように体を絡ませた。
「暖かい…」
小さな子供が母親に甘えるように、腕をしっかり背中に回しぎゅっとしがみつき頬を
胸元に当てた。
「ごっちん…」
小さく蹲るように自分にしがみつく後藤に石川も優しくその髪を撫で続ける。
- 131 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時18分28秒
(う、うわぁ〜。抱き合ってるよぉ!!)
(でも…こっちからだと何してるのかよく見えません…)
(ち、中学生がこげなもん見てもえ、ええんやろかぁ〜!?)
囁くように言い合う三人と?を頭の上に浮かべる辻、そしてその後ろにはマイク片手の
加護。危機感たっぷりに息を告ぐことなく実況している。
「何してるんやぁ〜?そこの四人がた…」
「「ひっ!?」」
突然聞こえたどすの聞いた関西弁に四人が驚いて振り向く。
そこには仁王立ちの顔をしかめる中澤の姿があった。
「あ、あの…これは……」
さすがの加護も慌てて後ろを隠すようにしながら言葉を捜すが見つからない。
そうこうしているうちに中澤が四人を払いのけて向こうを隙間から覗いた。
「ん!?あの二人は…こ、これはあかん!!」
驚いたように目を見開き中澤が声を上げる。四人は怒られるのを覚悟し目を瞑った。
- 132 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時19分19秒
- 「激写激写!!こんな貴重な場面盗映しとかなっ…!」
切羽詰ったようにどこからかカメラを取り出した中澤に四人の口が同時に開いた。
「ん〜…上手くカメラが取れへん…くそぉ……」
試行錯誤する中澤。呆気に取られてその姿も見守る三人とその横で中継に忙しい加護。
「…どいつもこいつも……」
「「!?」」
その後ろで更にどすの聞いた声が一つ不気味に響いた…。
- 133 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時20分48秒
チュッ…
何度目かのキスの音が響き、二人は静かに顔を離す。
「…梨華ちゃん…」
優しく絡めるように繋いだ両手を静かに離しぎゅっと抱きついた。
「ごっちん…好きだよ」
「うんっ…」
頭の上で優しく囁いた彼女の声にはにかむような笑顔で答え後藤は部屋の壁時計を
ふと見た。
「もう時間だ…」
ぼんやり気を取られるように時計を見つめる後藤に石川も自分の腕時計を確かめる。
「まだ…大丈夫だよ。それに少しぐらいだったら遅れても……!」
時計が針を刻んでいく様子は自分達が触れ合っていられる残り僅かな時間。
石川は少し焦るように、自分にそう促すように言った。その時、綺麗な細い指が一つ、
石川の唇の前に触れた。
- 134 名前:離れても… 投稿日:2002年11月08日(金)23時22分01秒
- 「ダメだよ梨華ちゃん。仕事でしょ?それに…約束したでしょ?」
いたずらそうに子供のような笑みを浮かべ後藤が石川の唇に指を縦にし、言葉を制す。
そして優しく微笑んだ。
「でも…大丈夫なの…?」
それでもまだ彼女が心配で、自分ももちろん寂しくて、心配そうに後藤の顔を覗く石川。
「大丈夫だよ。梨華ちゃんがいるもん。まだまだ平気。がんばるよ」
出会った時からずっと変わらない、その子供のような無邪気な笑顔を浮かべて
答える後藤に石川もやっと表情を和らがせた。
(…そうだった…そうだったねごっちん…)
「あたしもがんばるっ…。がんばろうね?」
「うんっ」
離れていても、すぐに会えなくても、周りが変化しても。
『がんばろうね…』
End
- 135 名前:作者 投稿日:2002年11月08日(金)23時24分01秒
- 初めてリクエストして頂き書いてみましたが…とにかく難しい…。
ほんの僅かでも満足してもらえたら嬉しいです。。
- 136 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月09日(土)15時00分33秒
- 卒業後のいしごま小説って初めてかも
2人ともポジティブでいいですね〜
これ見たらakiさんの描く「卒業」を
読みたくなりました。
- 137 名前:豚馬牛 投稿日:2002年11月09日(土)17時19分06秒
- やっぱり、akiさんの書くいしごまは最高!!
わたしも>>136さんと同意見です!見てみたいっす。
- 138 名前:117 投稿日:2002年11月10日(日)05時19分45秒
- ありがとーございます。いや、よかったっす。akiさんのいしごまは、
ほんとにはずれなしで、サイコーです。ごっちん、卒業しちゃって
ほんといしごま不況時代ですが、がんばってください。
この”離れても…”を読んでたらごまっとうに嫉妬する梨華ちゃんとか、
たんぽぽ・いししばに嫉妬するごっちんとか、リアルとリンクするような
話とかもちょっと、読みたくなっちゃいました。
- 139 名前:いち読者 投稿日:2002年11月10日(日)17時31分42秒
- 待ってました〜。リアルいしごまに萌えました。
上手く感想を表せない自分がもどかしいですが、本当にakiさん最高です…
- 140 名前:コウ 投稿日:2002年11月12日(火)20時01分43秒
- さいこーっす!!
「友達・・・」完結おめでとうございます!
akiさんの作品にはほんと、惹きこまれます。
リクのリアルものもすっごく良かったです。
ごっちんを気遣う優しい梨華ちゃんとか、
梨華ちゃんに甘えるごっちんとか、すごい
二人の関係が伝わってきて、胸がキューンって
なりました。
- 141 名前:ゆみ 投稿日:2002年11月13日(水)02時10分02秒
- はじめまして・・・。
最近、akiさんの書かれる小説に出会い、はまってしまって、全部読んでしまいました!
読んでて、実際のごっちん&りかちゃんがもっと、もっと好きになってしまい、胸が苦しくなります。
小説の続きを頭の中が勝手に、空想の世界へ自分を連れて行きます・・。
- 142 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年11月13日(水)17時07分01秒
- うおーーー最高です!!
- 143 名前:作者 投稿日:2002年11月15日(金)14時41分14秒
- 皆さんレス本当にありがとうございます。
136:名無しさん
>レスありがとうございます。どうしても短編でいしごまになるとリアルしか
頭に思い浮かばなくて…。「卒業」考えてみました。後日載せます。
137:豚馬牛さん
>レスありがとうございます。本当ですか。良かったです。
書いてみました。次の次辺りに載せます。
138:117さん
>外れないようにがんばって書きました^^;書き始める時は最上級のバカップル
ぶりを書こうと思ったんですがだんだん方向が反れてしまった感がありました。
満足してもらえたら幸いです。リクエスト考えてみます。
139:いち読者さん
>すいません、前回のレスの時気づかなかったんですが緑板ですばらしい作品を
書かれている方…ですよね?気づいてびっくりしました。勿体無いお言葉ばかり
頂いて本当に恐縮です。それと、いしごまに加護辻がどうも難しくてもう少し
時間頂けると嬉しいです。本当にすいません。。
- 144 名前:作者 投稿日:2002年11月15日(金)14時41分52秒
- 140:コウさん
>ありがとうございます。リアルで二人を書くと結構辻褄を合わせるのが難しいと
感じたお話でした。この二人の関係は次の卒業の話にも繋がってくると思います。
141:ゆみさん
>レスありがとうございます。本当ですか。全部も本当にありがとうございます。
楽しく読んで貰えたら嬉しい限りです。
142:いしごま防衛軍さん
>ありがとうございます。
短編でリクエスト初めてだったので安心しました。
- 145 名前:aki 投稿日:2002年11月15日(金)14時44分34秒
- それでは順番どおりにいかなくて大変申し訳ないんですがリクエスト頂いた
「ののかお」を次に載せようと思います。この二人は書くのは初めてだったん
ですが、何だかよく分からない話になったかもしれません…。
- 146 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)14時50分39秒
――――――
「う〜ん…」
キッチンの大きなテーブルに腰をかけ椅子を後ろに引いたり戻したりしながら
少女が呟いた。
「………??」
目の前に広がる教科書やテキスト、ノートを見つめては頭の上に?マークが立ち並び
全く理解できないそれにお手上げ状態。
「…後で教えてもらお」
マンションで一人、もう一人の住人を待つことに決め少女はコップに水を注いだ。
苗字も違う奇妙な事から二人暮しをする事になったもう一人の彼女を…。
「ただいまぁ〜…!」
「!」
コップに注がれた冷水をのどに注いでいる間にがちゃっと玄関で音がした。
その後に響いてきた声に少女はテーブルの上の全てを雑に腕に抱えるとその声の主の元へ
駆け寄っていった。
- 147 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)14時52分30秒
「お姉ちゃぁん勉強おせぇてぇ〜!」
「疲れたからやだぁ…」
真っ暗なカーテンが空を覆い尽くしてからもう大分経った物静かな夜中。
たった今帰ってきた、背の高い買ったばかりのリクルートスーツを身に纏う彼女は
玄関からよろよろと今にも倒れそうな様子でキッチンへとやって来た。
「えぇ教えてよぉ」
「やだよぉ…自分でやってよぉ」
パジャマ姿の女の子が舌足らずな声で不機嫌そうに今帰ってきた彼女の服の袖を
引っ張った。返ってくる答えに少女の不機嫌は増すばかりで袖を引っ張る力にも力が篭る。
「あたた。振り回さないでぇ」
「もう約束でしょ〜?勉強見てくれるって…」
「だってもう本当にへとへとなんだよぉ…」
頬を膨らまし駄々をこねる少女だが、それも目の前のテーブルに体をだら〜っと寝かせ
風に散々に乱れた髪と情けない姿にやれやれとため息も零れる。
少女、辻希美は教科書とノートを両手に抱えながらテーブルの向かいがわに腰を下ろし
口を開いた。
- 148 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)14時54分48秒
「またダメだったのぉ?」
「……うんっ」
テーブルに寝かせた横顔に涙目を浮かばせながらもはや開き直ったように答える彼女に
辻も「はぁ〜」と一緒に気を落とした。
「…今日もダメだった……就職活動…」
季節は春。大学を卒業した生徒はいよいよ社会人として世の中に出る。
彼女、飯田圭織もその一人。真新しいリクルートスーツに身を包み東京中の会社に
足を運ぶ事はや数ヶ月
こんな不景気の時代、新入社員どころかリストラで削られる数の方が多いのではないかと
いう時代に彼女は今まさに社会の荒波、洗礼を感じていた。
面接にどうしても緊張してしまい必ずドジを踏む飯田は今日で既に数え切れない程の
会社に就職出来ないでいた。
- 149 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)14時56分16秒
- ♪♪♪〜
「んん?電話だぁ」
マンションの一室にけたたましく電話のコール音が鳴り辻がそれを取りに行く。
飯田はその姿をぼんやり目で追ってテーブルの隅にある飲みかけのただの水が入った
コップを取ろうと体を伸ばし四苦八苦した。
「もしもし…あ、あいぼん?え?……今度みんなで勉強会?うち?ダメダメ!!!」
電話を取ってからしばらくの間受け手だったが突然驚いたように声を高くした。
辻は電話の相手に見えてもいないのに自分の顔の目の前で驚いたように手を慌てて左右に振った。
「うんっうちは絶対ダメッ。どうしても!絶対ダメだからね!?」
「??」
それからしばらくして電話が切られた。
やっとコップを手にした飯田は体制を整えてて水を飲み、てくてくこちらに戻ってきた
辻に今の疑問を尋ねた。
- 150 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)14時57分45秒
- 「ね?どうしてダメなの?いいよ別に勉強会に使っても。どうせなら圭織が教えてあげても…」
「ダメなの!!ぜっっっ〜ったいダメ!!」
顔をばっとあげとんでもないというように断固として反対する辻に飯田は驚いたように
目を見開き更に傾いていた首を傾けた。
「どうして?」
「…どうしても」
ちらっと飯田の顔を見ながら辻が不服そうに答える。その理由はそれからも聞ける事は
なかった。
「…だってさ、みんなお姉ちゃん狙いなんだもん。結局」
小さくぼそっと呟いた辻の言葉は飯田の耳には届かなかった。
「何か言ったぁ?」
「ううん何でも。それよりさぁ、お姉ちゃん大丈夫なのぉ?就職かつどー」
「うっ…それは言わないでぇ…」
忘れかけていた事に辻の言葉で飯田は情けない八の字眉をすぐに戻す。
- 151 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)14時59分45秒
「悲しきかな。面接ってどうしても緊張してドジ踏むの」
暗い気分に気晴らしでもとリモコンを手にとりテレビに向けた。テレビの向こうで
ビンッと音がしてすぐに有名なクイズ番組が現れた。目の前では賞金に向けて司会者一人と回答者一人が必死な形相で向かい合っている。
「あたしだけだよこんなに面接に落ちてるの…。あ〜もうダメっぽいんじゃない〜?
それとも圭織が能無しなのぉ〜?」
テーブルに頬杖をついて暗い方向に落ちていく飯田に不意にバナナを一本差し出して
辻が言った。
「だいじょーぶだよ。飯田さんなら。きっとだいじょーぶ」
「…そお?」
「うん。運だけは強いし」
「そう?」
言葉の内容はあまり気にとめていないのか慰めとも取れるような取れないような辻の
言葉に飯田はころっと表情を変えると顔を上げ辻に確認する。
- 152 名前:平凡な日常の1頁 投稿日:2002年11月15日(金)15時03分06秒
- 「うん」
バナナをむきながら答える辻の言葉はいい加減なようでどこか説得力があるのは
確かで。
「ならいいや。よぉ〜し圭織明日もがんばっちゃうぞぉ〜」
そして今日も彼女の自信は蘇っていく…。
「…のんちゃんありがとね」
「なんで?」
「いてくれるだけで大分違うから」
「そお?」
「うん。全然違う」
飯田はテーブルにあったお菓子を手に取りもぐもぐ食べている辻にじっと目を向け
しばらくしてからまた口を開いた。
「観葉植物みたいな感じ。癒されるの」
「ふーん」
「意味わかる?」
「なんとなく」
……
…
「ののが観葉植物なら……。飯田さんはお水だよ」
「太陽は?」
「太陽もいいらさん」
...END
- 153 名前:作者 投稿日:2002年11月15日(金)15時05分02秒
- 意味不明な話すいません(汗)
載せると更によく分かんなくなってる気が…。
- 154 名前:リク主 投稿日:2002年11月15日(金)22時36分06秒
- akiさん俺のいきなりのリクに応えてくれて
どうも有難うございますm(^O^)m
- 155 名前:コウ 投稿日:2002年11月16日(土)06時31分22秒
- akiさんがいしごま以外書かれるのって何か新鮮な感じです。
ののたんの天然な癒しキャラがすごく出てて自分も癒されましたよ。
- 156 名前:いち読者 投稿日:2002年11月16日(土)11時00分05秒
- この話自体が観葉植物みたいです………ああ、癒される……
リク
- 157 名前:いち読者 投稿日:2002年11月16日(土)11時01分53秒
- ↑途中で間違って投稿してしまいますた;申し訳!!
リクに関しましては、akiさんのペースを乱しているようでしたら本当に
申し訳ないので無理はなさらないでください。
どんな内容であれ、こちらの小説には何でも萌えますので、自分(w
それではまた次回作品も楽しみにしています。
- 158 名前:117 投稿日:2002年11月16日(土)23時14分30秒
- akiさんのいしごま以外ってほんと、はじめてかも。やぐよしはサイドで
ありましたね。いや、よかったっす。ののかおって何気に好きなんですよね。
こういうほのぼの系はののかおにぴったりです。これからの短編も期待して、
待ってます。
- 159 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時11分21秒
『来月、九月二十三日を持ち、後藤真希がモーニング娘から脱退する』
コンサート直前の楽屋口付近で、みんなを呼び出し突然マネージャーが口にした
言葉にあたしは唐突すぎて意味が分からなかった。
『マスコミへの発表は八月一日に正式に発表される。脱退会見もそのすぐ後に
ある』
次々に発せられていく唐突過ぎる事実にあたしは頭の中が真っ白なのを感じていた。
何も考えられず、考えられないまま複雑、かつ単純明快な今の文章が右から左へと
流れていった。
「嘘…」
誰かが呟いた言葉がその場に静かに響いた。その声は驚きと呆気に小さく震えていた。
信じられなかったのは自分だけではないらしい。少なくともこの場でこの事実を知っていた人物はマネージャーと、そして当の本人、彼女だけだ。
リーダーの飯田さんでさえ、今知らされたばかりの情報に戸惑いを隠せないでいる。
みんなが騒然としているなか、ざわつき始めたその場で私は思いついたように
ふっと振り向いた。
- 160 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時14分39秒
「………」
まるで信じられないとでも言うような表情をしているのだろう、自分でも隠しきれない
自分の感情に気づいていた。ばちっと目の合った彼女は加護ちゃんと手を繋いでいて。
誰も彼もが驚き、戸惑いの表情を浮かべる中、彼女だけ…。彼女だけは、一人、冷静な表情だった。
ただ自分が打ち出した現実を、その言葉を静かに耳にするように。
周りの動揺とは不思議なくらい正反対に落ち着き払って、彼女は静かにマネージャーの
言葉を受け入れていた。
ただ黙って彼女の表情を真っ直ぐ見つめていた。何か表情の変化を欲していて。
数秒の間、それでもすごく長く感じられたその時間は過ぎ、彼女はその間ずっと私の
表情を伺うような心境で見つめ返していたのかもしれない。
いつものポーカーフェイスには一見何の気持ちも読み取れなかった。
それでも何か彼女の表情を見たかったのかもしれない。いつまでも変わらない彼女の
表情に、私はいつまでも何か救いを求めるようにすがっていた。
いつまでも変わらない彼女の表情に…。
- 161 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時16分20秒
- それから嫌でも次の予定は回ってくる。地球の時計の針が変わらず永遠に時を刻む
限り、この世には時間と言うものがあるのだ。
現実のあまりにも突然の事実を受け入れる間もなく、受け入れる余裕も出来ないまま、
私達は次の場所へと移動する合図を駆けられる。
みんな動揺したまま口々に囁きながらとぼとぼ力のない歩きで廊下を歩き始めた。
みんなが廊下を後にしようとした流れの中、まだぼんやりその流れを目にしていた私の
手に誰かの体温が触れた。
「ちょっと来て…」
「…ごっちん…」
今は誰とも話す気分じゃない。あなた以外は。
彼女だからあとについていった。他の誰かだったら応対なんかしていなかった。
流れが向こうへと進んでいく中、ごっちんが誘導していく場所にただ私はぼんやり
ごっちんが触れている二人の唯一繋がったその場所を見つめながら、静かに後についていっていた。
- 162 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時18分21秒
- 「………」
「……」
人気のない階段の踊り場に連れてきたものの、ごっちんはそれ以上口を開かない。
へんな沈黙だった。不思議と気まずさがない。ただぼんやりと、穏やかに時が流れているとさえも思った。
「…本当なの?」
会話がないその場は確かに気まずさはなかった。ごっちんも無理に何か話そうとか
場を持たせようなんて思ってないみたい。私はずっと無言のまま彼女と静かな時間を
過ごしてもいいと思ったけど、俯いていた表情から瞳だけ動かして彼女の表情を
伺いながら問い掛けた。
- 163 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時23分22秒
- 「………うん」
下を見つめながら、ごっちんが普通に答える。
だけどどこか不自然さも含めるその装いは私だけの勘違いだったのだろうか。
「…どうして教えてくれなかったの?」
心に沸いた疑問を口にした。自分でも気づかないうちの行動だった。
それでもその口調は自分の事ながら責めるようなものではなく、ただ静かな声だった。
「………」
ほんのわずかな微妙な間を空けて、彼女が口を開く。
「…ごとーを見る目が変わって欲しくなかった。出来るだけ普通に一緒にいたかったんだ。
…一緒にいられる時間だけは…」
「……」
どこか歯がゆい、言葉を濁す言い方。彼女にしてはぎこちないその様子にあたしは次の
言葉を待っていた。
「…本当は…怖かったのかも…。梨華ちゃんに本当の事言うの…。返事とか、態度とか
じゃなくて…ただごとーに言う勇気がなかったの」
具体的な不安じゃなくて、おぼろげな不安。
口にすることさえもどこか怖く。口にする勇気が生まれない。
- 164 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時26分33秒
- 「……バカ…」
誰に言った言葉かもわからない。鈍感な自分に、彼女の不安に気づかなかった自分にか。
それとも、自分をもっと頼りにしてくれなかった彼女にか…。
だけどどうしようもなく溢れてくる熱い物はこらえ切れず、私の瞳を潤し、ぎゅっと
彼女を抱きしめた。
「…ごめん…」
私より背が高いはずの彼女、だけど今は小さく、本当に小さくて。
小さい子供のようだった。何かに怯える子供のように、小さくて。
顔をぐっと下に下げた彼女の肩をぎゅっと引き寄せた。出来るだけ触れ合う部分が多くなる
ように、出来るだけお互いを感じられるように、…出来るだけ、一つになれるように。
私は彼女の小さな肩を抱いた。
「…バカなんだから…」
こんなに幼いはずなのに、こんなに年齢相応なはずなのに。
それなのにこんなに気丈に振舞って…。あなたは本当はこんなに頼りないのに。
大人びた表情の裏に隠れた純粋無垢なあなたの笑顔、まだたった16歳なあなた。
…震えて小さく息を吸うように泣き続けるあなたは、確かに私より年下の女の子だった。
- 165 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時27分43秒
- やるせない気持ちを抱えながら、それでもやり場のない感情も胸に塞ぎ、私はいつまでも
彼女と同じように涙を流していた。それでも表情を変えず、出来るだけただ普通の様子を
装って。そして彼女の髪をいつまでも優しく撫でていた。
- 166 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時32分25秒
――――――
「………ふぅ…」
あれから一週間。
すぐにあの後しばらく経つとマスコミにも後藤真希脱退の事実は知らされ、世の中は
彼女の話題で持ちきりだった。
脱退に続きハロプロ全体での変化はもはやマスコミもコメンテーターにも手に負えない
ぐらいな物になっていて。それでもどこの局の番組をつけても必死にアナウンサーが
説明していた。
既に知らされていた事実に、静かにテレビに目を通していたけど、それでもあまりの
反響の大きさに事の重大さ、そして彼女の存在の大きさを嫌でも知らされる。
そして、まだ先だと言うどこか現実を拒否するようなもう一人の自分の言葉に耳を
傾け、少しでも安心していた心は再びそれらによって居心地悪く揺さぶられていた。
どこをつけても同じ内容の役立たずなテレビをリモコンで切り、私は一人のオフを
ベランダから外を眺めていた。
- 167 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時33分15秒
- …真っ青な空。優しい風。(答えるように風が優しくそよぐ。髪が私の頬を撫でた)
(頬に掛かった髪をこともなげに指で掬いながら…)
眩しい太陽。小さく千切ったような白い雲。
眼下で絶え間なく動き続ける自動車の帯、鳴り止まない町の喧騒。
向こうに小さくレインボーブリッジと東京タワーを捕らえながら、私は顔をふっと上げた。
- 168 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時34分20秒
…辞めちゃおうかな。
彼女のいないそこに何の意味もない。
…寂しいし。
悲しいし苦しいし切ないし。
私の入った理由は彼女に、そして私がここにいる理由も彼女にある。
始まりはいつも彼女だ。
あなたがいたから私はやって来れた。あなたを目にして、運命に誘われた。
だけど…もう…。
「………」
どう想像しようか?彼女のいなくなったモーニング娘を。
いっその事一緒に辞めてしまうのも悪くない。決して悪くない答えだ。それも。
- 169 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時37分08秒
あなたの笑顔が必要。あなたの存在は私の側にいて欲しい。
この世の他のなんにでも代えられないほどに愛しい彼女。
生きる理由を、息をする事を、笑顔を零せる理由は…彼女に。
歌を歌うのが鳥の仕事なら、水の中でしか生きられない魚には、たとえ状況は違えど
失えない物がある。
私は何のために…ここに残るんだろう…。
目に映る風景は何の答えも返してくれない。あくまでそれは自分の中に。
やっと交わった運命の線はまた行き違ってしまうのか?
そんなの…切なすぎるよ…。
無意識に溢れ出しそうになった涙を何とか堪えて、空を仰ぐ。
振り向けばそこにあったあなたの笑顔。
…ごっちん…。
- 170 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時39分27秒
Pipipipipipipi!!
「……?」
部屋の向こうから突然聞こえ始めた音に顔を戻す。
どっかの誰かさんが自分を呼んでいるらしい。今は当然電話なんて出る気分じゃないけれど。
だけど何かに誘導されるようにベッドの横の受話器を手に取った。
何の飾りもない面白みのない黒一色のコードレスホン。
「はい」
『………』
「もしもし?」
『……』
一瞬返ってこない返事にいたずら電話かと思った。さっさと切っちゃおうかと思った。
だけど、なんとなく、本当に何となく、何かが私をそうさせなかったんだ。
「……ごっちん?」
誰かなんて確信はなかったけど、だけどこの感覚に私は自然と呼びかけていた。
でも当てずっぽうなんかじゃない。確信には至らないただの予感。…予感に似た確信。
- 171 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時41分59秒
- 『…梨華ちゃん』
この不思議な沈黙、決して居心地の悪くない静けさ。
幾分どこかほっとするように胸を撫で下ろすように聞こえた彼女の声に小さく微笑む。
「どうしたの?」
『ううん。何でもないんだけどね…』
こちらの声の調子が変わった事に気づいたのか、彼女の様子も雰囲気も、受話器からでも
分かるぐらいに一気に明るくなった。
他愛ない会話は思ってもいないぐらいに長く続いて。それでも長く感じない、彼女との
会話、幸せな短い時間に温かい気持ちを覚えて声から彼女の全てを感じていた。
どうやら同じ風景を目にしているらしい。
同じように外を見てごっちんも電話してるみたい。
離れていても、近くに感じられる感覚はどこか不思議だった。
日が沈む。太陽がビルの立ち並ぶ地平線へと消える。
空が一気に海のように深い青色なる。
夜の帳が下りて空が墨を塗られたようになる。
それでも切れる事のない会話は永遠に思えた。
- 172 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時43分18秒
- …pi…
自然と切られた電話は私の手の中にしっかりと収まっていた。
今は感じられない、ただのどこにでもある電話機器。
今さっきまで彼女を感じていた存在。彼女と繋がっていた存在。
…不思議だね…。
胸の中からいつのまにか消えていた灰色の煙やうやむやな気持ち。
温かい気持ちと共に溢れる優しい笑み。
忘れかけていたような懐かしい感覚。
…そうだった…
そうだったね…ごっちん……
ごめんね、ありがとう。
いつでもあなたは…私に忘れかけていた物を思い出させてくれる…。
- 173 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時45分28秒
―――――
九月十六日。…17歳誕生日のちょうど一週間前。
「………」
いよいよ本格的になっていく脱退関連の番組内容。
今はもう、前まではモーニング娘にとってはみんなの家のように居心地の良かった
ハローモーニングの収録でさえ、今はセットがそれになっていた。
スタッフが諸々の機械のチェックやあたふたする姿を静かに目にしながら、
私は他の数人のメンバー達とスタジオ隅にいた。
やっぱり強い。
みんなもう既に割り切っている。それは嫌な意味ではなく、ただひたすら涙を他の
誰かに見せまいと静かに気丈に振舞っている姿だった。
涙は見せないで笑顔で送り出したい。
そんな感覚…。
前を行く大事な仲間を、そしてこれからも前進していく自分達の、背を押すように
ただ気丈に…。
不思議な空気とどこか張り詰めた雰囲気を感じつつ私はすっと後ろに振り向いた。
「……」
肘を片手で持つようにして一番後ろにいた彼女と目が合う。
だけどその表情はもうへたに冷静なんかじゃなかった。
- 174 名前:『卒業』 投稿日:2002年11月18日(月)19時48分24秒
- 零れるように花が咲くように溢れた彼女の優しい微笑みに、私は同じように笑みを返す。
その笑顔は私が大好きな笑顔。
何の迷いもない微笑み。
自然と歩き出す体。縮んでいく距離。
はにかむように待つ彼女の両手を絡めるように取って、そして準備で忙しいスタジオから
抜け出すように隅に消えた。
「…大好き…」
「うん…」
「…好きだよ」
「…うんっ…」
「ずっと……離れてもずっと…この気持ちは変わらないから…」
額と額をくっつけて、瞳を閉じて互いを感じて。
最後の言葉にすっと顔をあげ私の名前を呼ぼうとした彼女の唇をそっと奪った。
...END
- 175 名前:aki 投稿日:2002年11月18日(月)19時50分28秒
- >>159‐174 『卒業』
- 176 名前:作者 投稿日:2002年11月18日(月)20時01分51秒
- レスありがとうございます。とても励みになってます。
154:リク主さん
>満足してもらえていたら幸いです。レスありがとうございます。
155:コウさん
>レスありがとうございます。書いていて結構楽しいです。この二人にどこか
通じるのほほんとした空気が出せていられればいいんと思ったんですが少しでも
感じてもらえれば嬉しいです。
156,7:いち読者さん
>大丈夫ですよ、気にしないで下さい。
本当ですか、良かったです。上手く伝わってくれるかそれとも大きく外れるか
心配だったので嬉しいです。いしごま加護辻、もう少しお待ちください。
がんばって必ず書きますので…。
158:117さん
>もう一つやぐなちが番外編にありましたね。ものすごく遠い昔の事ですが^^;
いい感じに書けていたら嬉しいです。この二人は自然と和む空気が出てますよね。
レスありがとうございます。
- 177 名前:作者 投稿日:2002年11月18日(月)20時04分51秒
- >>159-174
- 178 名前:いち読者 投稿日:2002年11月18日(月)21時49分05秒
- なんというか……切ないです。
石川さんのモノローグが淡々としているようで、それでいて流れるような文章で
知らぬ間に深く感情移入してしまいます。
上手いなぁ。言葉の一つ一つがすごく綺麗で、感動です。
- 179 名前:117 投稿日:2002年11月18日(月)23時17分59秒
- 番外編のやぐなち?おかしいなakiさんの作品は全部読んでるはずなんですけど思い出せない・・・。
今回も良いですね。離れ離れになっちゃうんだけど、最後の額と額をくっつけてっとこが素晴らしい。
こんな作品が読めるなら、ごっちん卒業もありですね。
- 180 名前:コウ 投稿日:2002年11月20日(水)00時13分28秒
- やっぱいしごまいいっすねー。
切ない中にも暖かさがあって、ほんと、癒されます。
- 181 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時34分43秒
ダメもとで受けたオーディションにその春受かった。
2001年春。私の人生が大きく変化した時だった―――
そんな名だたるアーティストや歌手になりたいわけではなかった。特別有名にも
なりたくなかった。だって私は普通の女の子だから。至ってどこにでもいる、どこを
探してもいるであろう本当に普通の女子学生。
あまり目立たない、大人しい、クラスではどこにでもいそうな地味な子。
自分でもそう自覚していた。
だから別に歌って踊る事を夢見ていたわけではない。ただ、自分を変えたかった。
自分を、自分の生き方を、自分の平凡な日常を…。
- 182 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時36分07秒
- テレビの画面から目に映る光景に私は目を奪われていた。
応接間で、家族と音楽番組を見ながらぼんやりソファに座っていた私は唐突に意識を
それに奪われることになる。
比較的年齢の高めの人達が集まったグループで結成されている『その』歌手グループが、
画面の向こうで斬新な面白い振り付けを踊りながらノリの良い明るい歌を歌っている。
別に初めて見たわけじゃないっ。だけど、…だけど、目の前には今まで目にしなかった、
近頃新しく加入したらしい女の子がそのグループの中心にいた。
歌って踊って…彼女はその中でも一番光っていた。
綺麗で大人っぽくてどこか人を惹きつけるものがあって…。
気づいたら私は彼女に心ごと奪われていた…。
新メンバー募集の文字に、私は気づくと自分が思ったまま、感じたままに動いていた。
急いでリモコンの録画スイッチを押す。募集要項の部分をメモに取る。
無我夢中で自分が何かに誘われるように動いている様はどこか他人事のようで自分でも
驚いていた。
- 183 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時37分37秒
- あの輪の中に入れたら…。あのグループの中に自分も入れたら。
そして、あの人に…あの人のほんの近くにでもいけたら……。
動機にしてはあまりにも単純すぎるかもしれないけど、今の私にはそれを自覚するほどの
理性と余裕がなかった。
自分を入れて四人、新しくメンバーが加入されることになる。
夢にも思わなかった展開に自分が一番驚く事になった。周りの意見や言葉が飛び交う。
だけどどれにも私の耳は届かない。
膨大なダンスの数々にボイストレーニング。私は必死になってそれらを覚えた。
少しでもあなたに追いつきたくて…。
とうてい適う筈もない事かもしれないけどほんの少しでもあなたとの距離を縮めたかった。
ダンスも歌も完璧、人を寄せ付けるカリスマ性も身につけ何をしてもそつなく
こなしてしまう絵に描いたようなあなたと、全く正反対の私は縮めようがない距離が
あると自覚していても、私は自分を止める事が出来なかった。
- 184 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時38分54秒
- そしてちょうど私達新メンバー四人が加入してから一年…。
加入した時では予想だにしなかったであろう出来事が、私に舞い降りてきたのだ。
その時かもしれない。初めてあなたと同じ線の上に立てたかもしれないと思ったのは…。
- 185 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時41分26秒
「…はぁ……はぁ……」
唐突に聞かされた次の新曲でのセンター。戸惑う暇もほとんどなく私は
熱に浮かされたようにこの数週間を過ごしていた。
新曲のデモテープ。新しい振り付け。
目まぐるしく動く日常に自分が確かに新曲でのセンターを任された事に日々気づいていく。
嬉しさと共に込み上げてくる何とも言えない緊張感、不安。
それは自分の中の感動も飲み込み自分の体を支配していた。
がんばらなきゃ…がんばらなきゃっ……。
初めてのセンター。初めての最前列。初めて…彼女と隣のその大切な場所。
絶対に失敗するわけにはいかない。ドジを踏むわけにはいかない。
誰もフォローしてくれない。歌も踊りも、自分に出来る限りかそれ以上の実力を出さなきゃ
いけない。
いつものように足手まといにならないように。自分を自分で引っ張っていけるように。
がんばらなきゃっ…。
ふつふつと浮かんでは消える不安と緊張を少しでも拭い去るようにレッスンに励んだ。
- 186 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時43分23秒
- いよいよテレビ収録。…本番。
自分の持てる全てを出さないといけない。
隣に彼女の存在を捕らえて体が密かに熱くなる。だけどそれも全部今は忘れて。
感じる呼吸音、私にとっては大きすぎるほどの存在、あなたの…存在。
自分のやるべき事に集中するはずが全く私の頭はそっちへ飛んでいた。
初めて彼女の隣に…ずっとあこがれていた彼女の側に。
収録中も彼女に対してのドキドキと緊張と不安のそれが入り混じっていた。
実際歌っていた時の自分がどちらに対して胸を打っていたのか覚えていない。
しかしそれも、今までただひたすらレッスンしてきた事が効を記したのか、体がリズムに
合わせて自然と動いていた。
スタッフの人のOKのサインが出るその時まで、私は自分が歌って踊っている意識を確かに
感じる事は不思議なぐらいなかった。
- 187 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時45分03秒
歌収録の後は番組撮影。司会者の人達を待つのとお昼を取るために僅かな休みが与えられた。
「はぁ………はぁ」
まるでものすごい距離をマラソンではなく全力疾走したみたい。私の息はそれぐらいに
荒れていた。緊張のせいで冷やさせが背中にじわじわかいたのを感じる。今はそれが全て
引いて逆にひんやりと冷たく、体の表面はとても冷えてしまっていた。
それでも、体の中心はすごく熱い。言葉では到底表現できないであろう嬉しさと、感動。
それに夢見ごこちな感覚が私の熱を上げる。
確かにダンスは激しいがそれ以上の特別な感情に私は体が一気に疲労したのを感じ、
側にあったペットボトルに雑に手を伸ばした。のどがごくごくと何度か上下し水が私の体を癒していく。「ぷはっ」と口を離して息をついた。
(あっ……)
同じ金色の衣装、それを身に纏ったメンバーは目の前にたくさん目に付くがその中ですっと
流れるように髪を靡かせ彼女が目の前を横切った。
- 188 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時46分37秒
- (ドキドキ…)
周りの人にも聞こえてしまうのではないかと心配するぐらいに胸が高鳴るのを感じて急いで
ペットボトルを持った両手で胸を抑える。
(…綺麗……)
同じ衣装なのに自分より色っぽく、扇情的で艶かしい。同じ同姓なのに時めいてしまう
のはたぶん自分だけではないだろう。
彼女が向こうに見えなくなるまで、私は彼女の横顔、後ろ姿を目で追っていた。
…ほんの少しでも彼女に近づけただろうか。彼女の側にいけただろうか。
彼女は私を、少しでも感じてくれただろうか。
感情を隠してしまう見事なポーカーフェイスは私の一番好きな顔。だけど私の知りたい事も
全て目隠しを覆ってしまう。
「………」
ずきっと棘のような痛みが胸に走るのを感じ、時めきが切なさに変わるのを感じてそれでも
目で追う事は止められなかった。
- 189 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時47分20秒
「?」
何見てるんやろ梨華ちゃん。
辻と安倍と矢口と仲良く話していた加護はふと疑問を感じた。
ちょっと目を離し向こうを何ともなしに見かけた途端、同期の彼女の姿が目に入ったのだ。
年上とは思えないまるで姉妹のようなその人は何かに魅せられたように恍惚とした表情で
何かを見つめている。頬が少し紅い。それに何?あの切ない瞳は。
いくら中学生でも今の梨華ちゃんの表情を見れば何かはわかる。
自分の頭の中に生まれた予想に疑う事もなくどこからか絶対的な確信を得て、加護は彼女の
元に近づいていった。
- 190 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時49分02秒
「り〜かちゃんっ」
「!」
「何見てんのぉ?」
「…あ、あいぼん」
ぎくっとまるで顔に書いてあるみたいに梨華ちゃんは見え見えの態度を示す。
胸の前でぎゅっと両手が固く結ばれた。額に汗が流れるのが見えるかのように梨華ちゃんは
焦り始め何か不味い所でも目撃されたような様子になった。
「…何見てたのぉ?」
「べ、別に」
ここまで嘘をつくのがへたな人間がこの世にいるのだろうか。
あからさまに違和感ありまくりなリアクションに加護は顔をしかめる。
「本当ぉ?」
顔を覗きこみ鼻と鼻がついてしまうぐらいの距離で加護が問い詰めた。石川は
ただその瞳を見つめながら慌ててこくこく首を縦に忙しく振っている。
…本当ではない事は確かだ。
- 191 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時49分48秒
- 「……本当にぃ?」
「う、うん」
…声が上ずってる…
加護はいぶかしげな表情でずっと石川の表情を伺っていたがその焦りようにこの場は自分が
引くことにした。
「ならいいや。収録がんばろうねぇ」
にこっと笑って向こうへ行こうとする加護に石川は慌てて頷くと手を振った。
(あれは嘘や。それにたぶん梨華ちゃんの見つめてた人って…)
向こうへ戻りながら加護はほぼ確信を得ていた。
- 192 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時51分12秒
―――――
「梨華ちゃん後藤さんの事好きでしょ?」
「へ?」
「だから梨華ちゃんってさ、後藤さんの事好きでしょ」
スタジオ横の物静かな廊下でかけられた言葉に当の本人、石川は目を見開いた。
これでもかというくらい目を大きく見開いている。それからすぐに頬がほんのり紅く
染まり始め、目が潤い始めた。
…それは答えなくとも明らかに本心を答えているようだった。
「やっぱぁりぃ。やっぱりそうか…」
ふむふむと両手を組み顎に手をやる加護に石川は慌てて口を開く。
「ち、違うよ。確かに後藤さんの事は好きだけど…でも…」
「あかん。隠さなくていいよ。分かってるから」
「……」
勝手に納得してしまった加護に石川はぽかんと口を開く。
「そら後藤さんかっこいいもん。ほら、加護達が入る前からグループに入ってるわけだし
ずっとテレビで見てた存在だし。ダンスも上手歌も上手。無理もないよねぇ」
最後に「梨華ちゃんが好きになるのも無理はない」と加護が付け加えた事に石川は
やっとはっと我に返った。
- 193 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時52分42秒
- 「ま、待って。ちょっと待ってよ」
「スタイルは良いし大人っぽいしまるで梨華ちゃんより年下とは…」
…そう、そうだよ…。どうせ私は後藤さんより年上なのに子供っぽくて…。
今更だけど先輩で大人っぽい年下の彼女を好きになってしまったんだ。
でもでも、頼りになってクールだけど笑顔が可愛くて包容力があってそれで…。
「梨華ちゃん?ちょっと梨華ちゃん?」
「え?あ、な、なに?」
「どうだろう、告白してもうたらぁ?」
「!?」
こ、告白!?
告白………告白!?
今あいぼん告白って言ったぁ!?
告白って言ったら…それは…。
「案外上手くいくか……」
「そんなの無理!!ぜぇーーーっっっっっっっっ……――――」
突然俯いて声を張り上げた石川に加護が目を丸くする。
しかし途中で途絶え続きが消えてしまった石川に加護は?と首をかしげ表情を知るために
顔を覗かせようとした。
- 194 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時53分47秒
- 「――――――ったい無理!!!!!!」
「ぅわっ!」
顔をばっと上げ加護の目を見て必至の形相で叫ぶようにして言った石川に加護は
思わず後ろに仰け反る。
「あたしなんてどうせダメだよ。ネガティブだし話はおもしろくないし歌もダメだし
子供っぽいしネガティブだし……」
「ちょっと梨華ちゃん?」
「こんなダメダメだしとにかくとにかくとにかく」
それに、何より告白する勇気もない。それにどうせ…。
「どうせ…あたしなんかよりよっすぃーの方が好きだよ。友達としても……」
絶対言えない。あなたが好きな事。
こんなに張り詰めそうな気持ち、言えない。
だってあたしなんて……あたしなんか……
- 195 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時55分44秒
- 「もう!!そんなんじゃだぁめぇ!!!」
どんどんまるで海に沈んでいく沈没船のようにネガティブになっていく石川に加護が
強く一括し顔を上げさせた。
「もっとポジティブに行かなくちゃ!そんなんだから梨華ちゃんいつまで経っても
ダメなんだよ」
「やっぱり。やっぱりダメなんだよあたしは…」
「もう!梨華ちゃん!?未来は自分で掴む物でしょぉ!?そうやってねぇ、
どうせどうせって言ってたらいつまで経ってもダメでしょっ!!」
「で、でも……」
「告白しなさい!!」
「む、無理!!」
「しなきゃだめ!!」
「無理だってばぁ…!」
「(ぶちっ)もうそれだから梨華ちゃんはネガティブだって言われるのぉ!いくら温厚な
加護ちゃんでも付き合いきれない!!」
額に怒りのマークをつけ加護はいつまで経っても踏み切らないうじうじした石川に切れると
「そんなんじゃいつまで経っても片思いだよ〜だ!」と悪態をつくと向こうへずしずし肩を
怒らせ歩いていってしまった。
- 196 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)19時56分46秒
- 「な、なによぉ……」
加護の言葉に少なからずダメージを受け石川は勝手に逆切れしてしまった加護の
背中を涙目で睨み付けた。
…そんなの分かってるんだから…
誰かに言われなくたって、このままじゃいつまで経っても進歩ないってこと。
でも、…でも……
「…そんな勇気、ないっ」
開き直るように言う自分にも微かに呆れるけどそれが本当のこと。
…たぶん恋愛って自分には向いてないんだと思う。結局万年片思いするタイプだよ…どうせあたしは…
心にふと零した愚痴にはっと口元を手で抑えた。
(…また言っちゃった……)
加護の言葉を思い出しつつ少し反省するとしばらくして自分もそこを後にした。
- 197 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時13分13秒
―――――
楽屋に戻るとそこには誰の姿もなくて、みんな違う場所でお昼を過ごしている
みたいだった。
楽屋にある物といえば、みんなの荷物に床に散らばったお菓子の袋ぐらい。
加護辻が主に散らかしたお菓子類の間を縫って石川は何ともなしに楽屋を歩いた。
(あれ?)
目にふと入った存在に石川は自分の足が無意識に距離を縮めていくのに気づいた。
(…これ、後藤さんの…)
目の前には脱ぎ散らかした彼女のパーカーがあった。
ラフな白いパーカー。その隣には大きめの鞄にメイク用品。
「………」
きょろきょろといかにも挙動不審な行動で楽屋を見渡す。
それから確かに誰もいない事と誰も入ってこなさそうな気配を感じ取るとおもむろに
そのパーカーを手にとった。
- 198 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時14分25秒
- 「……」
ぎゅっとそれを両手に抱きしめる。それからすーっと瞳を閉じて匂いを吸った。
パーカー一杯に篭った彼女の甘い香りにとろけるような感覚を覚えて、何とも言えない
気持ちにそれを愛しむように抱きしめた。
優しい香り…。
後藤さんの匂い。香水が微かに混じった甘い香り。
この香りに…このぬくもりに…、もしも自分が抱きしめられたら、背中に手を回されたら…。
自分が何を考えているのかはっと気づき人知れず顔をかーっとほんのり紅く染めた。
(バカバカ…何考えてるのあたし…)
熱を持った頬を持て余して静かにそれを元の場所に戻した。
- 199 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時17分50秒
- そんな時不意にがちゃっと楽屋のドアが開く。
「「あっ」」
見事に二つの声がはもった。
自分の高い声と相手の少し低い声。
交わった時ちょうど時が止まったような感じだった。
「………」
呆気に取られるようにして互いを見詰め合う二人は言葉を忘れてしまったかのように
その場に立ち尽くした。
(な、何で……)
余りにも不意打ちな偶然に石川は言葉を失う。
目の前にいる茶髪さらさらストレート後藤の姿があまりにも突然すぎて幻想では
ないかと思った。まるで蜃気楼かのように…――案外例えだけでもないかもしれない。
私にとっては彼女は確かに蜃気楼のような物で手を伸ばせば消えてしまう。
どんなに近づいても触れられない。追いつけない。側にいけない。そんな実体のないような存在――。
- 200 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時19分32秒
- 石川が一人自分の中に沈みこんでいく中、それからやっと楽屋に入ってきた
その人が思い出したように慌てて口を開いた。
「携帯忘れちゃってさ。その辺にある?」
「え?えっと…」
視線で示した場所が自分のすぐ近くなのに気づき石川は辺りを見渡した。
それからすぐに足元の鞄の近くに彼女の携帯が目に入った。
「これ…ですか?」
「あ、そうそう。それ」
拾い上げたそれを後藤は嬉しそうに見て受け取る。
手渡しで石川が後藤に携帯を渡す時、微かに手が触れ慌てて石川は手を引っ込めた。
ばっとすぐに手を引っ込めた石川の行動に後藤が気づきどうしたのかと顔を微かに上げた。
しかし石川は「ご、ごめんなさい」と本当にすまなそうに誤ると顔を俯かせてしまった。
一気に流れる気まずい空気に後藤も困り果ててしまう。
- 201 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時21分12秒
- 「…ねぇ…梨華ちゃんさぁ」
「は、はい!?」
少し低くなった声に石川は驚いて顔を上げた。もしかして不快にさせちゃった?
確かに今のは自分でも露骨すぎると思う…。怒られるのかな…。
「…ごとぉの事、怖い?」
「え?」
「いやなんかさぁ、いっつもごとーと目が合うとすぐに逸らしちゃうし話しても
ぎこちないし何か…嫌われてるのかなぁって」
「そ、そんな…」
そんなこと言ったら…後藤さんの方こそあたしと目が合うと目を反らすけど…。
それに何かこう、いつも話し掛けないでオーラみたいなのがあるし…。それに、それに…。
「なになに?言ってよ」
続きは心の中で続けたせいか顔に何か言いた気な表情で浮かんでいたらしい。
後藤は不思議そうに、それでも興味深そうに石川に詰め寄った。
「え…。あ、その…後藤さんこそあたしの事……」
無視してません?なんて言いかけたけど慌てて口をつぐんだ。
あまりにもそれは失礼だ。いきなり不躾にそんな事口にするなんて…。
- 202 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時22分43秒
- 「ごとー?ごとーは嫌いじゃないよぉ梨華ちゃんの事。嫌ってるようにみえた?」
意外な返事だったらしく後藤はあははと楽しそうに笑う。石川はそれに戸惑いながらも
子供のような可愛い笑顔と言葉に感動すら覚えていた。
「ほ、本当ですか?」
「うん。何かいっつも梨華ちゃん、ごとーが近く通ると話掛けないでオーラが出てるから
困っちゃってたんだけど」
「そ、そんな!!」
だからそれは後藤さんの方がって気がするのに…。
それにそんなオーラあたし…………出してたかも。
で、でもでもそれはあまりに緊張しちゃって…上手く話せないしどうせ話しても寒いし…。
「ごとーは梨華ちゃんのこと好きだよ」
にこっと微笑んで口にした後藤の言葉に石川は目を丸くした。
…今好きって言った?本当に?嘘。嘘じゃない?嘘だぁ…。…嘘じゃない。
あ、でも違う違う。友達としてだ。それに気を使ってくれてるのかも。
そうだそうだ、きっとそうだ。
- 203 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時23分49秒
- 「梨華ちゃんはぁ?ごとーのこと、苦手…?」
「そんな!!」
今までの中で一番大きく否定した。
そんなわけない!!それにもし誤解させてしまっていたとしたら、絶対に解かないといけない。
「そんなわけ…ないです。だって後藤さんは…あたしにとって憧れですから…」
石川は俯きがちに答えた。
こうして向き合って楽屋に二人だけで話しているのも恥ずかしい。
ましてや目を見て話すなんて、無理。
だからちょっとした後藤の表情の変化に気づかなかった。
「ずっとテレビで見てました。ずっと…ずっと。だからあたし…」
「憧れ…か」
「え?」
「憧れだけ?」
「…え…」
質問の意味が分からず石川は突然の事にあたふたし始めた。
何かまずい事言った!?あたし。…なんか後藤さんの表情が曇っているように見えるのは
気のせい?どうしよう…どうしよう。
- 204 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時24分42秒
- 「『テレビに出てる後藤真希』じゃなかったら。梨華ちゃんは―――」
そこではっとして後藤は言葉を止めた。
石川はそんな後藤の様子を不思議そうに、それに増して心配そうに後藤の言葉を
聞きたくて聞きたくてしょうがない様子で後藤を見つめていた。
ずっと目を合わせてくれないでいた石川が始めて目を見てくれた事に後藤は自然と
嬉しくなり表情がほころぶのを感じた。
「ま、いいや」
「え?」
「忘れて。今の」
一気に今さっきの事がどうでもいい気がして後藤は話を終わらせた。
くるっと背中を向けてドアを出て行こうとする。
石川は急に切なくなり、胸が締め付けられる想いに襲われる。
「あたし……後藤さんの事好きですから!憧れとかじゃなくて…『あなた』の事が…!」
出て行こうとする、その整った綺麗な背中に、気づいたら叫んでた。
- 205 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時25分26秒
- もしかしたら加護ちゃんの言葉が影響したのかもしれない。
うわ…うわぁ…!
何言ってるの私!?
か、顔が熱い…。
まるで熱でもひいたようだ。実際石川の頬は他人が見ても分かるぐらいに熱く火照って
いて熱さに浮かされたように瞳は薄く潤っていた。
ほんの少しの間が空いて、後藤が後ろに振り向いた。
「そう言ってくれたの梨華ちゃんが初めて」
「……!」
(あっ…)
その表情は本当に嬉しそうで幸せそうに綻んでいて、零れるように笑みが浮かんでいた。
どこか頬も紅く染まってる。
「ごとーも梨華ちゃんの事好き」
そう言って彼女は楽屋を出て行った。
- 206 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時26分02秒
――――――
「「梨華ちゃ〜ん」」
「?」
二つの幼い自分の呼ぶ声がして、石川は誰かと後ろに振り向いた。
すると振り向いた瞬間、背中に重たい物が二つぶら下がってきた。
「キャッ!」
「キャッだって!さすが梨華ちゃん」
やって来た二人の一人、辻が楽しそうに笑ってからかう。
「なによ〜」と言い返していると隣の加護が口を開いた。
「で、どう?後藤さん」
「え…。…別に?」
「何それぇ。何か気になるよぉ」
一緒に歩き始めた三人の間に石川が二人に挟まれるようにして質問攻めにあう。
辻も加護から話を聞いたらしく興味津々で石川の話に詰め寄る。
「「教えろぉ〜」」
「…ふふ。秘密」
意味ありげな含み笑いに加護辻が不服そうに後ろで「何それぇ」と歩いていく石川の
背中に一緒に立ち止まり叫んだ。
- 207 名前:曇りのち 投稿日:2002年11月25日(月)20時27分13秒
- 「どんな感じなの〜!答えてよぉ」
「…がんばるよ」
「何ぃ〜?」
「あたしがんばるっ!!」
ばっと後ろに振り向いて、服と髪を靡かせながら石川は大きな声で向こうで立ち止まる
二人に叫んだ。
とびきり最高な表情で。向こうの二人もつられて微笑んだ。
「ポジティブ!」
辻がどこか舌足らずな声で叫んだ言葉に、向こうへ向きを変え歩き始めながら、石川は
すっと片手を上げ一つ、ブイサインを作った―――
END
- 208 名前:作者 投稿日:2002年11月25日(月)20時37分52秒
- >>181-207
リクエスト頂いていたいしごま辻加護にしたつもりです。
結構時間を掛けてちょこちょこ書いた物なのであまりよく分からない話になった
かもしれません。しかも辻があまり書ききれませんでした。すいません。
178:いち読者さん
>レスありがとうございます。
嬉しいです。でもいち読者さんの書かれる作品もとても切なくて描写も
綺麗ですごく感心してます。一応いしごま加護辻、書いて見ましたが満足してもらえて
いたら幸いです。お待たせしてしまった割にはこんな物ですいません。。
179:117さん
>レスありがとうございます。
一番初めの作品の番外編で書いてますね。これは一気に書いた物なんですが
良い感じになっていればそれだけで嬉しいです。
180:コウさん
>レスありがとうございます。
良かったです。短編はとにかく難しいと感じるこの頃いつも載せる時
どぎまぎしてるので…。花の方、楽しみにしてます。
- 209 名前:葵 投稿日:2002年11月25日(月)21時31分16秒
- パーカーを抱きしめる梨華ちゃんイイ!!
akiさんのいしごま万歳!!
- 210 名前:いち読者 投稿日:2002年11月25日(月)23時36分20秒
- 石川さんの一人称って暗くなりがちかと思いきや、要所要所のネガティブっぷりに
微妙に笑かしてもらいました(w
そうか……去年の今頃はこんな出来事があったのか。あの舞台裏で……
とか思ってしまいました。ちゃんと今回の話、頭の中で裸金エプロンに変換されて
ましたよ、しっかりと!(w
- 211 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)02時34分38秒
- ピース時代の石川後藤+辻加護ですね
いしごまに目覚めたのはまさにこの頃でしたよ懐かしい〜
- 212 名前:作者 投稿日:2002年11月27日(水)18時27分39秒
- レスありがとうございます。更新はしませんが…いつも更新した後レスするのが
結構大変だったので今回はレスだけさせてください。
209:葵さん
>レスありがとうございます。
自分もそのシーンは気に入ってます。書いていてふと思いついた場面だったので
自分でも予想してませんでした。楽しんで読んでもらえれば嬉しい限りです。
これからもよろしくお願いします。
210:いち読者さん
>レスありがとうございます。すいません、こんなにお待たせしてしまったのに
辻は書ききれてないはミスは多いはで…(+_+)
始めにリクエストを頂いた時に思いついた物もあったんですが時間が経つに
つれてこんな感じに…。実は一人称でしかも石川さん視点は初めてだったんですが
書いていくにつれてこんなちょっとおとぼけな感じになってしまいました^^;
いつも自分には勿体無いぐらいのレス本当にありがとうございます。
嬉しいんですが上手く言葉に表せない自分がもどかしいです。
212:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
自分もちょうどこの辺りです。ほんの一年前なのにものすごく遠いような気が…。
- 213 名前:コウ 投稿日:2002年11月29日(金)14時16分44秒
- すごくリアルっぽいです。。。
まだ自分がファンになってなかった頃なので、あー、この頃の
ごっちんと梨華ちゃんはこんな感じだったんだぁ・・・って。
そして梨華ちゃんの言動がかわいくて最高です!
- 214 名前:117 投稿日:2002年11月30日(土)01時20分38秒
- 今更ですが、思い出しました、なちまり。もう一回読み返しちゃいました。
いしごまに夢中で忘れてました(笑)
この頃のいしごまって全然知らなかったので(というより梨華ちゃんとか
全然興味なかった・・・(汗)カップリングとかも)、新鮮です。
でも、自分は甘々ないしごまが好きです。
いや、akiさんが書くいしごまはどれも好きなんですが。
これからもがんばってください^^
- 215 名前:117 投稿日:2002年11月30日(土)01時21分38秒
- すいません、またあげちゃいました。
少々、興奮してました。
本当に申し訳ない!
- 216 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時34分23秒
- 芸能界に入ったのは私が一番早い。
そして芸能人になってから結構経つ。
私がそういう意味では一番先輩。でも…。
『ソロ』としては私が一番の後輩って事になる。後輩よりも新人が正しいかも
しれない。
そして、年齢で考えてみると、
私が真ん中。そして芸能人としては一番経験が浅い彼女は三人の中で先輩となる。
逆にソロとしては一番の先輩が実年齢では一番年下。
上手い具合に年齢が一つづつずれている二人との関係はどこか不思議な感覚だったりする。
それもこの複雑な先輩後輩関係もあるんだろうけど、本当にこの二人といる時の
空気というか空間って今までに味わった事のないものなんだ。
リーダーはいないってことになってるけど、結局は一番ソロとしての経験が長くて
性格も引っ張っていくタイプの亜弥ちゃんがグループを引っ張っていってると思う。
そして一番の後輩、駆け出しの美貴ちゃんは笑顔が可愛い。よく笑ってよく話す、
今時の高校生って感じ。二人とも全く自分とは性格が異なる。
たまに二人の独特のノリについていけなくなる時もあるけど、ほら…。
- 217 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時36分11秒
- 歌番組の収録。機材のチェックに、スタジオ隅にある組み立て式の椅子に腰掛けて
ココアを両手に持ち喉を潤していると、向こうで賑やかに会話を楽しんでいた二人が
ふとこちらに気がつく。ぼーっと考え事をしていた私の姿を二人が捉えたと思ったら
リアクションする暇もなく、二人がダダダッと走りながら近づいてきた。
「黄昏てるよぉ?ごっちん!」
「もうすぐ本番だよぉ。元気出してこぉ!」
もしかしたら、っていうかたぶん自分は二人との相性がびったり合うタイプじゃない。
二人がまるで磁石のようにお互いに惹かれあうんだとしたら私はそこまでじゃないん
だと思うんだ。でもね。でも…。
はたから見たらよく分からない会話。不思議なテンション。はちゃめちゃなテンション。
比較的のんびりマイペースな自分を引っ張っていってくれる二人と一緒にいるのは
新鮮で楽しくて。
二人といると気づくと笑ってるんだ…。
自然に、無意識に。
- 218 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時36分53秒
- どういう気持ちなのか分からない。どういう感覚なのかもおぼろげ。だけど。
この中でしかない自分の居場所が在ると思う。この場所だけでしか味わえない居心地が
あると思う。
『居心地の良い居場所』があるかはこの場合別として。
とにかく、この二人といると素直に楽しいんだ。
今までに味わった事のないような感覚。
自分でも気づかないうちに一緒に笑ってる…。
- 219 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時38分09秒
―――――
「あれ?」
朝のまだ肌寒いスタジオの傍ら。ハローモーニングの収録でやって来た私は
突如思ってもいない光景を目にする事になる。
「…ごっちん」
三人お揃いの衣装で、黒にまとめたかっこいい衣装を身に纏い目の前の廊下を横切った。
ごっちんが真ん中でその隣にごっちんを挟むようにして歩く亜弥ちゃんと美貴ちゃん。
何か冗談でも言い合ってるみたいに楽しそうに笑いながら歩いていった。
亜弥ちゃんがどことなくあの三人を引っ張っているようで美貴ちゃんが三人の中でも
特に可愛く笑いながら話題を盛り上げてるみたい。
ごっちんはつられるように本当に楽しげに笑ってた。
ごっちんの笑顔は私の大好きな笑顔。子供みたいに純粋ではにかむようで零れるような
眩しい笑顔。だけど、目の前のごっちんの笑顔は…。
- 220 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時38分55秒
- 「…見たことないっ…」
彼女と出会ってから結構経つけど、その笑顔は私が初めて見るものだった。
何だか気の合う特別の仲間と楽しい時間を共有しているような…。
それでもよっすぃーと一緒にいる時とは違う、心から楽しんでる表情。
…見たことないよ?そんな笑顔。
モーニング娘の時も、私といる時も…。
三人の周りには三人だけの空気っていうか、唯一共通する物をもつ彼女達だけのオーラ
みたいなのが溢れていてそれに余計自分だけ疎外感を感じる。
やっと側にいけたのに…やっと目と鼻の先まで近づけたはずなのに…。
また…離れちゃった……?
- 221 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時40分49秒
- それからごっちんは私に気づく事なく歌収録のスタジオへの廊下の角を曲がっていって
姿を消した。ごっちんの笑顔は終止絶えることなくずっと楽しげに二人の話に聞き入ってるようだった。
…二人とも可愛いもんね…
ソロとしてやってるせいもあるのか二人は特に目を引く可愛さ。
それに自分とは違って話も楽しいし歌も上手だし綺麗だし…。
ソロとしてがんばるって初めて聞いて、応援しようって心に決めた。
ごっちんが長い間考えて出した決心だから寂しいけど…ちゃんと背中を押してあげるって。
一人で寂しくないかな、とか。出来るだけ一緒の収録になったら一緒に居よう、とか。
とにかく自分に出来る限りのことはしてあげようって思ってた。でもさ、これじゃなんだか…。
「私なんて…必要ないかも」
あんな女の子がみんな憧れるような綺麗で可愛い子が二人も一緒にいてくれて、
ちょっとマイペースなごっちんを引っ張っていってくれてる。
私なんて…話すことはおもしろくないしどうも全部思ってる方向とは違って
空回りしちゃうしビジュアルは…たぶん劣りはしないとして、トータルだと
二人には負けちゃう…。
- 222 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時42分07秒
- 『がんばるっ』
うん。応援してるよ。
がんばれ。がんばってね…。
「……」
『オリコン初登場一位。
かっこいいR&B調で今一番注目されてるユニット。ごまっとう…』
…寂しい…よ?
がんばってね。がんばれ、応援してるから………私…
「…っ…」
何だか良くない雑念が頭の中を過ぎり始めてぶんぶんと考えを拭うように頭を振る。
バカバカバカッ。私のバカ…。
大好きな人ががんばってるんだよ。上手くいってるんだよ。
私はお祝いしてあげるべきじゃない。一緒に…喜んであげるべきなのに。
分かってるんだよ。分かってる、本当は。でもね、…でもね……
「寂しいよ……」
私だけ前を向いていないんだろうか。あの時のまま止まったままなの?
何だか…私だけ置いていかれちゃった気分だよ……。
- 223 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時43分23秒
―――
ごまっとうの歌収録が終わり、ハローモーニングの収録も同時に取り終わった
つかの間の休憩時間。
「――梨華ちゃん」
お弁当を持ってうろうろしていた後藤はさっきから探していたその人の背中を見つける。
「梨華ちゃ〜ん」
向こうの角を曲がろうとしていた彼女の名前をもう少し大きく呼びながら、後藤は
嬉しそうに彼女の元に掛けていった。
「ごっちん…」
「一緒にお昼食べよ?あ、それとも…もう食べちゃった?」
「……ううん」
後藤の呼びかけに後ろを振り向き後藤の姿を確認した石川はそこで立ち止まる。
昼食を誘う後藤の姿に石川はぼんやりしながら受け答えしていた。
- 224 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時44分26秒
- 「…梨華ちゃん?」
いかにも魂が抜けたようにぼーっとしている石川に後藤もさすがに気づく。
呼びかけた後もそれから返事は返ってこず後藤はいぶかしげな表情で手を顔の前に
左右に振った。
「………」
ぼんやり後藤の姿を瞳に映しながら石川は一人ネガティブに浸っていく。
ねぇ、ごっちん。
ちゃんとそこにいるの…?
目の前にいるのは私が知ってるごっちん…
でもね、何だかあなたの成長が、あなたのがんばってる姿が、私を不安にさせるの。
私はちゃんと追いついていってるの…?
「…ちゃんっ。梨華ちゃん!!」
「!あっ…」
強く呼びかけられた声にやっと石川ははっと我に返った。
目の前では本当に不安そうに、今にも泣き出しそうなぐらい困った表情をしてる後藤の
顔が石川の表情を覗き込んでいた。
- 225 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時45分42秒
- 「もう、どうしちゃったの…?梨華ちゃん…」
「ご、ごめん…」
「お昼…食べよ?」
「うん」
後藤の不安が完璧に拭い去れていない表情に石川は自分に対して嫌気が差すのと同時に
やっと自分に渇を入れなおした。
(…バカ。私……)
本当バカ。なんて表情させてるのよ…ごっちんに。
何でこう心配事を増やしちゃうの。
本当に…私って…。
自分のふがいなさに心の中でため息をついて石川は気持ちを入れ直し顔を上げると
後藤に優しく微笑みかけ自分も用意されたお昼を取りに行くことにした。
…しっかりしなきゃ。
- 226 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時50分25秒
……
………
「それでねぇ。本当におかしくってさぁ、あの二人。亜弥ちゃんなんかさぁ…」
「……」
「この間なんか楽屋でね…」
ねぇ、気づいてる?
外が一望できる大きなガラス窓の前のソファで二人でお昼を一緒に取ってるけど、
ごっちん…さっきから二人の事ばかりなんだけど?
「美貴ちゃんもね…」
ごっちん…。ごめんね、ちょっとショックが大きくて話題が耳に入ってこない。
今さっきポジティブになったばかりだけど…今の状況すごくつらいの。
こんなに誰かのこと夢中になって話してるごっちんなんて初めて見たし…。
いっつもお昼の時はのんびり時間が流れてる感じなのに、今日のごっちんはよりにもよって…。
- 227 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時52分12秒
- 「ね?おもしろくない?でね…」
こんなに長く話し続けるごっちんも初めて見た。
それだけ二人の事が好きなんだ。夢中なんだ…。
「うん……うん……」
かくかくリズムを合わせるように首と上下に動く自分の体がまるで自動に動く機械の
ように感じる。
「…それで……で、……」
ごっちん…いい加減気づいてよぉ…。
「でね……」
…寂しくなんかないから。寂しくないよ。寂しくない…寂しくなんか……寂しく……
「んぁ?梨華ちゃん歌ってくれてるの?」
「はっ!」
いけない、いけない…。
どうやら気づかないうちに独り言のように声が漏れてしまっていらしい。
しかもごっちんったら何だかとんでもない勘違いしてる…。
- 228 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時53分34秒
- 「あはは。おもしろいね梨華ちゃん」
自分の失態に頬に片手を当てて顔を俯かせているとごっちんが私を見て楽しそうに
微笑んだ。
やっと自分に向けられた大好きな彼女の笑顔にときめきながらも石川はまた今までとは
異なる感情がふつふつ胸の奥から生まれてくるのを感じた。
「…ねぇ…そんなに楽しいの?」
「んぁ?」
「あの二人といるの」
石川の突然の言葉に後藤はぱちくり目を瞬きする。明らかにいつもとは声が低く
それは怒ってる時の口調だった。
「う、うん?」
「ふーん…」
そのまま低い声で答えるとぷいっとそっぽを向いてしまう石川に後藤も何事か
首を傾げ始める。
「どしたの?梨華ちゃん」
「別にどうもしないけど?」
横を向いたままそっけない言い方に後藤は後藤なりに慌てて自分が何をしたか
考え始めた。
- 229 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時54分47秒
- 石川はその間ただ無言のまま自分の中で持て余す感情に戸惑いながらも止められない
でいた。
心の中で静かに燃える炎のように、それは小さいながらも確かにしっかりと心に根付いて
しまっている。
ごっちんを困らせるだけだから…だから早く素直にならなくちゃ。
なのに…分かってるつもりなのに自分の中の意地っ張りな部分が姿を現す。
良い子な自分と少し我侭な自分、理性で止めようとはするけど、この特別な感情だけは
止める事は出来ない…。
「ごっちん」
「はい」
「…私といる時はあの二人の話しないでよ…」
「え?」
我ながら嫌な女だなぁと思う。
楽しそうに本当に嬉しそうに話す愛しい人にこんな事言うなんて。
それにすごく子供っぽい。なんてくだらない嫉妬心だろう。こんなに自分は束縛心が
強かったっけ…。
- 230 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)19時57分35秒
- 「…私といる時は…私だけ見ててよ…」
「梨華ちゃん…」
やっと石川が何を言いたいのかを理解し後藤ははっとした。
「……」
それから少しの間どこか不思議な沈黙が流れて、それがもう少し経ってから
後藤が静かに口を開いた。
「…ごめんね」
目を合わせないまま、お互い向き合う形で後藤が小さく呟く。
「ごめん。でもね、言い訳じゃないんだけど…離れてる間の事、ごとーがその時感じた事、
見たもの、思ったこと全部伝えたかったんだ。梨華ちゃんに…」
後藤の言葉にびくっと小さく石川の体が震える。
「話したいことが一杯あって。だからついこんなに話しちゃった。梨華ちゃんの気持ち
も考えないで…」
「…あっ…」
どうしてこう、素直になれないんだろう…。
ごめんね、ごっちん…。こんなにあなたは私に優しくしてくれるのに…つまらない
意地が私を素直にさせてくれない…。
- 231 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)20時01分43秒
- 「…ぅうん。私こそ…ごめん」
つまらない焼きもちであなたを困らせてしまって…。
子供じみた嫉妬に手間を焼かせてしまって。
自己嫌悪に浸り心に掬ってた意地も嫉妬もどこかへ消え去ってしまっていた。
ぽろっと零れ落ちるように漏れた私の言葉は気づかないうちに発せられた。
「私って本当…子供っぽいよね」
「そんなことないよ」
すっかりどよんと落ち込むようにして呟いた言葉にごっちんがにこっと笑った。
「だって…」
「…そういう可愛い束縛って、結構気持ちいいんだよ」
不意に顔を下から覗きこんで今までとは打って変わって不敵に微笑むごっちんが
目の前に来て、私はびっくりして後ろにたじろいだ。
「それに素直じゃないところも…」
かぁっと顔が熱くなる。
後藤は途端に紅く染まった石川の頬に子悪魔のような悪戯気な笑みを浮かべた。
- 232 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)20時03分13秒
- 「もうっ…」
こういう事言って、恥ずかしくて照れちゃう私を見て絶対ごっちんは楽しんでる。
顔を紅くして困ったように下に視線を送る私にごっちんがさも楽しそうに笑う。
「それにね…」
それからすっとごっちんの表情がいつもの優しい表情に戻って、急に私の顔の目の前
まで近づいて来たかと思ったら静かにごっちんの顔がわずかに下に下がって、胸の辺りに服の上から唇が触れた。
「!」
「ごとーにとって本当に『居心地のいい場所』って…ここにしかないから」
唇が触れた部分が服の上から熱が広がるみたいに熱くなる。
ドキドキ…
途端に胸が高鳴り始めた。
「ごっちん…」
「だから…安心してね」
梨華ちゃんだけだから…
どんなに楽しい空間とか、魅力的な子が周りにいたとしても。
この時めきはあなたにしか感じないから。
- 233 名前:不器用な感情 投稿日:2002年12月02日(月)20時04分54秒
- 「もう……」
自分より年下のはずなのに、どうしてこうかっこいいことを簡単にしちゃうの?
どうして…こんなに心を熱くさせるの?
「可愛いね、今日家に行っても良い?」
「へ?」
「会えない時間の埋め合わせに久しぶりに…ね」
ただでさえ恥ずかしくて俯きがちの瞳を上目遣いにさせていたのに石川は更に顔を
紅くする。
今さっきまでのクールなごっちんも今はどっかに行ってしまって、目の前に居るのは
いつもの楽しそうに私をからかう彼女。
「もう、やだぁ…」
「やだ?ごとーは楽しいよぉ〜。あ、そうだ。梨華ちゃんの好きなようにして
いいからねぇ。お姉さんぶる梨華ちゃんも好きなんだぁ」
「…ばかっ…!」
...END
- 234 名前:作者 投稿日:2002年12月02日(月)20時09分53秒
- >>216-233 『不器用な感情』
- 235 名前:名無しの読者 投稿日:2002年12月02日(月)20時11分54秒
- すげ〜よかったです。
- 236 名前:作者 投稿日:2002年12月02日(月)20時26分09秒
- リクエスト頂いていたごまっとうに嫉妬する石川さんのお話、書いてみました。
213:コウさん
>ありがとうございます。
リアルっぽく感じてもらえて嬉しいです。初めてこんな感じの石川さんを
書いてみました。
214:117さん
>レスありがとうございます。
今回は結構甘々になりましたね。また読み返してくれたなんてありがとうございます。
一年前の割には書いてても結構新鮮でした。
- 237 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月02日(月)21時13分43秒
- タイムリーな設定にリアルな会話ですね。
akiさんの描くネガ石川に甘える後藤って好きですよ。
- 238 名前:117 投稿日:2002年12月03日(火)20時46分16秒
- またまた、リクに答えてくれまして、ありがとうございます。
いやー、もう最後あたりとかニヤニヤしちゃいましたよ。
梨華ちゃんのネガティブあってこそのいしごまですね。
後藤もサイコー!やっぱ、梨華ちゃんだけに甘える後藤は
かわいい。
akiさん、無理せずこれからもがんばってください。
- 239 名前:コウ 投稿日:2002年12月03日(火)23時17分06秒
- 梨華ちゃんの束縛を喜ぶごっちんに萌えました。
ごっちんの行動がすっごいツボですよ。
- 240 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月11日(水)20時06分38秒
- とてもよかったです!
これ読んで、まっとうの二人もどうなったのか気になります(w
最近この二人のCP好きなんですよ♪
- 241 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月06日(月)22時44分10秒
- 羊年保全
- 242 名前:作者 投稿日:2003年01月14日(火)20時41分11秒
- お久しぶりですm(__)m
以前の更新から結構空けてしまってすいませんでした。
今日はちょっと短かいのを一つ載せてみようと思います。
このスレでは短い話をちょこちょこ気ままに載せていこうと思っていたのですが、
とりあえず今のところはこのお話で区切りにしようと思います。
話は石川さん視点です。
- 243 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時48分04秒
会いたい時に会えない。
会いたくない時に出会ってしまう。
密かに想い寄せる人はいつ会うかも分からない人。
携帯の電話番号もメールアドレスも知らない彼女と偶然街中で出会う確実なんて
ほとんど0に近い。
なのに賭けてしまう。
もしかしたら会えるかもしれない可能性、無駄に近いぐらいの努力。
それでも会いたいからしょうがない。
彼女にたとえ好きな人がいたってこの想いは止められない。
- 244 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時50分21秒
- 「あ」
とある日曜日、友達…それも異性と一緒に歩いている所を見られた。
彼女は向こうのこの場所では有名な待ち合わせ場所で一人退屈そうに壁に寄り
かかっていた
一瞬で目に入ったその姿に思わずかなり動揺して被っていた帽子を深くする。
だけど帽子の唾を深くしたところでそれはもう無理で。
一度視線が合ってからずっと静止されてるのを布の向こうから感じてた。
お願い、勘違いしないでね
隣にいるのはただの友達だから
偶然出会ってしまった小学校時代の友人と街中をほんのわずかうろうろしていただけ。
…こういうの自意識過剰っていうのかな
だけど、ただの一人芝居だって言われても、違うから…。
お願いだから、信じてね…?
- 245 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時51分28秒
- 私が好きな子は同じ学校の一つ下の学年の子。
すごく大人っぽくて色っぽくて、『隙』がない。
何だかすごく自分が彼女のセクシーさだけに魅力を感じているみたいに感じるけど、
それは事実として、彼女にはね、そう年下とは思えないほど人を惹きつけるものがあって。
それに私は惹かれた。
廊下をすれ違いざまに、心奪われたんだ。
そう、たとえ……彼女に好きな人がいたとしても。
- 246 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時52分55秒
- 『恋人』のあの人は彼女と同じ学年の人。
見た目も性格も私とは全くの正反対の人。
一度も話したことないけど分かる。分かるの。
その人といると特に彼女の『女っぽさ』が引き立ってくる。
すごく絵になって、誰がみても理想的で、私が入る隙がない。
背も高いし顔も美形で性格もさばさばしてて、私とは何もかもが違う。
そしていつもその人は彼女をエスコートしてるんだ。完璧にね。
誰にも触れさせないように、腕の中に収めてる。
―――だとしても
彼女に惹かれるこの想いだけは、私にだって誰にも負けない自信がある――
…
………
…………
- 247 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時54分18秒
- ――――
「うわ」
嫌なところを目撃。
同じ学校にいるんだから仕方ないとしても、とてつもなく嫌な場面を目撃してしまった。
まるで静かにそれでも強く燃える炎のように、嫌な嫉妬心を覚えて目を伏せる。
…なにそれ…
人の目なんか全然気にしないで、堂々と繋がってるその二つの手にいらだちさえ覚える。
少しは気にしてよね…。
私は彼女の態度の全てに一喜一憂して、一人でもがいてる。
そもそも好きな人がいるはずの彼女だけど、どうしても無視できない。
っていうか絶対に私の事を挑発してるように見えるのは私だけ?
よく合う視線、時々見つめられてるとさえ思う。
そして絡み合う視線はいつも、どこか扇情的だし観察するようで…。
その瞳に体を熱くしなからも戸惑いも隠せない。
反応を見てるのかな…それとも楽しんでる?
彼女の真意が分からない…。
- 248 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時55分18秒
- 歩きながら器用に取り出した小さな鏡を開いて顔を確認する彼女。
鏡越しに目が合った。
「………」
「……」
ばちっと合った瞳に彼女はすぐにそらすことはしない。
ほんの少し驚いたように瞳を揺らして、その後すぐにいつものじっと見つめる
不思議な瞳に変わった。
冷や汗が額から流れるみたいに私はただ困ったように固まる。
はっきりいって「睨む」といっても過言じゃないそれに困り果てながらも違う意味で
胸を高鳴らせていた中、ぱちんと鏡が閉じた。
「行こう」
その声が聞こえた後、隣にいる「恋人」と再び強く絡むように手を繋ぐと
彼女は前を歩いていってしまった。
「……」
微かに斜め後ろを見るように視線を落としたように見えたのは私の見間違いだろうか。
その視線が確かに挑発するように流し目だったことも。
探る視線は妖しい眼差し。
妖艶な瞳は私を惑わす。
私がどう出るか試してるのかな…?
- 249 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)20時58分30秒
『今日もダメかな また会えない』
『これで何日目だろう、どれくらい会ってない?』
街中で彼女を見つけた。
三連休が重なった最後の日に本当に久しぶりに偶然目にした彼女。
いつもの制服じゃなくて今日は私服。落ち着いてるけど微妙にモード系。
私には気づかないでその端正な横顔をそのままに通りを横切ろうとしている。
今は信号待ち。ポケットに手を突っ込んで白い息をはきながら寒そうに立ち止まった。
彼女はどこに向かっているのかな?
こんな寒空に一人、どこかへ向かっていこうとする彼女の姿にしばらく目を
奪われて心は上の空、ただ魅入られるように見つめていた。
頭の中は真っ白。ただ自分が恍惚とした表情で彼女を見ているんだろうなって事は
自分の事ながらどこかで感じ取っていた。
人に見られることがよくある彼女だろうけど、それでもなんか奇妙な視線に気づいた
のかもしれない。それかいつもの視線にか…。
ふっと横を確認するように顔を上げた。
- 250 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)21時00分22秒
- 「……」
そして交差する二つの視線。
ただ黙って重なった彼女の瞳を見つめた。
先にそらした方が負けなんて気になるぐらい熱い視線は重なったまま。
いつもならじっと見られると動揺して困惑して焦りだしてしまうけど、この微妙な
遠い距離に余裕を味方にしながらただ見つめ続けた。
信号が青に変わった。
もう行っちゃうかな…?
だけど今日はこれで満足。
だってこんなにずっと見つめられたんだもん。
それにこんなにじっと見つめられちゃった。
きっと今日は幸せ一杯の気分で終わるはずだ。
気の緩みから自然と力が抜けふっと視線から集中力が失われた。
すっと微かに下がった頭に髪が横から頬に掛かる。
- 251 名前:タイトルなし 投稿日:2003年01月14日(火)21時01分41秒
- 「…え…?」
その時過ぎて行く視界の中に見た彼女の顔。
どこか怒ったようで不満そうにこちらを睨みつける表情。
微妙に斜めになった視線から睨みつけるその仕草は、その視線は悪いけど魅惑的で、
誘ってるとしか思えない。
「………」
バカなこと思ってるって自分に言ってみても彼女は確かに不服そうに拗ねた表情を
していた。
それから人の流れに従って向こうへと流れていったあなた。
人ごみへと消えていった。
振り回されてばっかな私
- 252 名前:作者 投稿日:2003年01月14日(火)21時03分51秒
- >>243-251 タイトル思いつかなかったのでそのまま。。
- 253 名前:作者 投稿日:2003年01月14日(火)21時21分43秒
- 初めての構図で書いてみました。
237:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
この二人な感じはつぼを得て書くのが難しいようなそうでもないような…
不思議な感じです。上手くいってれば嬉しいです。ありがとうございます。
238:117さん
>レスありがとうございます。
石川さんのネガティブさは話の中で二人にとって意外にプラスかも
しれませんね^^;満足してもらえていれば幸いです。
子供のように甘えながらもどこか上から石川さんを操作してる後藤…。
侮れないです(w
239:コウさん
>レスありがとうございます。束縛に喜ぶ辺り、自分も結構好きです。
240:名無し読者さん
>ありがとうございます。確かにこの二人は仲良いですねぇ。
機会があればいつか書いてみたいです。
241:名無し読者さん
>保全ありがとうございます。
- 254 名前:作者 投稿日:2003年01月14日(火)21時28分06秒
- >>123-134 離れても…
>>146-152 平凡な日常の1頁
>>159-174 卒業
>>181-207 曇りのち
>>216-233 不器用な感情
>>243-251 タイトルなし
一応まとめてみました。どれも大した話ではないですが…。
- 255 名前:豚馬牛 投稿日:2003年01月15日(水)21時08分42秒
- ……大したことありますよ。向こうの方も待ってます。
- 256 名前:kou 投稿日:2003年01月17日(金)22時16分01秒
- 梨華ちゃん視点での後藤さん(でいいんですよね?)って、
なんか強くて切ない気持ちがすごく伝わってきました。
視線の先の彼女の圧倒的な存在感が・・・。
- 257 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)04時42分36秒
- ほぜん
- 258 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月14日(金)12時02分57秒
- ほぜむ
- 259 名前:〇 投稿日:2003年03月28日(金)16時21分33秒
- 保
- 260 名前:名無しの読者 投稿日:2003年04月04日(金)03時10分14秒
- 待ってます
- 261 名前:名無しの読者 投稿日:2003年05月03日(土)01時50分17秒
- hozen
- 262 名前:名無しの読者 投稿日:2003年05月17日(土)04時19分35秒
- 保全
- 263 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月18日(日)22時30分48秒
- まだ?
- 264 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月26日(月)14時33分45秒
-
- 265 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月21日(土)23時41分35秒
- 保全しちゃうぞ
- 266 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月22日(火)01時09分00秒
- hozen
- 267 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月23日(土)01時05分24秒
- ほせん
- 268 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/22(月) 00:56
- ほぜん
- 269 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/11(土) 22:03
- ほぜん
- 270 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/13(月) 22:15
- 保全
- 271 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/06(木) 19:19
- ほぜむ
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