星の数だけ愛情を

1 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月23日(火)17時59分51秒
白板などで、主に短編を書いていました、ビギナーです。
ここでは、少しだけ、いつもより長い物を書いていきたいと思います。
ただ、条件があるんです。
ここは、保田さん中心にさせていただきます。
しかも、圭ちゃん総受けとなります。
よろしくおねがいします。

最初は、かおけいになります。
そして、なち×圭、後×圭、吉×圭と続きます。
何か、ほかにあれば、受け付けます。
それでは、よろしくおねがいします。
2 名前:春さん 投稿日:2002年07月23日(火)21時05分31秒
圭ちゃん中心ですか。何か面白そうな予感が・・・・。
そうですね・・・石×圭がいいです。おねがいできますか?
がんばってくださいね。
3 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年07月23日(火)21時45分35秒
圭ちゃん総受け?マジ?!
やった〜♪
ごっちん、よっすぃ、梨華ちゃん、と絡んでくれればうれしいです。
がんばってくださいね^^
4 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月24日(水)01時25分22秒
総受けですか!
紗耶香と圭ちゃんのがいいです!
がんばってくださいませ!
5 名前:華時計 投稿日:2002年07月24日(水)04時01分39秒
どうも、ビギナーさん。
  華時計です。
お引っ越しですね。いや、新作となるのでしょうか?
お祝いをかねてレスさせていただきました。
お話楽しみにしています。
6 名前:うっぱ 投稿日:2002年07月24日(水)09時57分07秒
お引っ越し祝いを兼ねてレスしまひた。
金板ともに拝見させていただきまふ。

ん?お名前が変わってないようですが…?
7 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月24日(水)18時40分44秒
お願いです。
最初にかおけいを書こうと思っていたのですが、
皆様の意見で決定したいと思いました。
なので、どれがいいか、教えていただけたら幸いです。
宜しくお願いします。

春さん。
圭ちゃん中心です。
ぎーちゃんさんの意見を参考にさせていただきました。
りかけいですね。かしこまりました。
がんばります。

やっすぅ推しさん。
圭ちゃん推しですか、嬉しいです。
総受けです。どうなることか・・・
もちろん、その三人方とも絡みます。
よろしくおねがいします。

4さん。
千葉ーず、ですね、わかりましたっ。
総受けなんで、紗耶香だと必要以上に泣くかも・・・
でも、がんばりますです。

8 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月24日(水)18時42分47秒
華時計さん。
こんにちは、です。
相変わらず、お名前がきれいですねぇ。
んー、どうなんでしょ。
新作といえば、新作ですよっ。
お引っ越しかどうかは定かではありませんが。
ちなみに「ミニ物語」は金板にお引っ越しいたしました。
でも、昔、ちょこっとだけ長編書いてましたし・・・
ありがとうございます。
今後ともよろしくです。

うっぱさん。
こちらにも、来ていただきましてありがとうございます。
名前は、金板同様です。
こっちもがんばりますっ。
9 名前:4 投稿日:2002年07月24日(水)18時48分00秒
意見を聞くとレスが長くなると思うので、
ビギナーさんが最初に仰ったように
かおけいから初めて、
なち×圭、後×圭、吉×圭
リクの順番でいけばいいんではないかと。
10 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年07月24日(水)21時42分07秒
私も、4さんと同じ意見ですよ。
そして、よしやすのあとにいしやすでも・・・
って感じですかね?(w
11 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月25日(木)15時46分04秒
やぐやすいいですか?
12 名前:皐月 投稿日:2002年07月25日(木)16時15分54秒
レス順でいいと思います。
13 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月25日(木)17時19分20秒
みなさん、みなさん、ありがとうございますっ。
この順番はビギナーが決めたというよりは、
前回、並べてあった順なんですよ。
だから、どうしようか迷ってたんです。
でも、解決しましたよ。
ありがとうございますっ。
今日か明日までには、第一回目をアップします。
最初の方は固まってきてるので。

4さん。
ご意見、ありがとうございます。
そうですよね、どうせなら、お話でいっぱいにしたいです。
ということで、今までで、決まった順番は
かおけい、なちけい、ごまやす、よしやす、りかけい、そして、やぐやすです。
よろしくです。

やっすぅ推しさん。
意見、ありがとうございました。
もちろん、いしやすも書きますよ。
がんばってきます。

11さん。
はい、かしこまりました。
りかけいの後なので、まっててくださいね。
よろしくおねがいします。

皐月さん。
ありがとうございます。
がんばりますっ。
14 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月26日(金)16時25分08秒
ごめんなさいっ。
いちやすがぬけてました。
なので、かおけい、なちけい、ごまやす、よしやす、りかけい、いちやす、やぐやす
の順になります。
よいませんでした。
15 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月26日(金)23時08分03秒
     その瞳の不安に気づいてしまってから


     ずっと想っていた


     「守ってあげたい」と。


     その不安が感情として表にでてくる時は


     ずっと想っていた


     「守ってあげなくっちゃ」と。

   
     私があなたを。 あなたをわたしが。


     だから、側にいさせて


     あなたを守りたい


    たくさんの不安からあなたを包んであげる。


守ってあげたい
16 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年07月27日(土)11時59分07秒
あの、今更なんですが、UKリクエストしてもいいですか?
17 名前:らい 投稿日:2002年07月29日(月)08時42分19秒
はじめまして!圭ちゃん大好きならいといいます。
K1と保石のカップリングがすきなので、できればリクしたいです。

圭圭がんばってくださいっ(めっちゃ期待!!
18 名前:ぎーちゃん 投稿日:2002年07月29日(月)21時33分30秒
ミニ物語2でリクさせていただいたのですが,こちらのほうにリクエストしたら長編を書いてくれるのでしょうか?
ミニ物語2でリクしたのですが,こちらで長編の圭×裕,圭×アヤカを書いてくれるとうれしいです。
19 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月29日(月)23時40分07秒
金板をみてきたのですが、できればいちごまを・・・
20 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月29日(月)23時43分20秒
19さん、1の条件をちゃんと見てください。
作者さんではないのに忠告申し訳ありません。
21 名前:19 投稿日:2002年07月30日(火)11時01分43秒
すいません、よく読んでなくて・・・
失礼しました
22 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月31日(水)17時22分34秒
やっすぅ推しさん。
いえいえ、かまいませんよぉ。
わかりました、UKですね。

らいさん。
はじめまして、ビギナーと言います。
えっと、保石はもう入ってるので、K1の方を受け付けますね。
圭圭は、もう、ひたすらがんばってきますっ。

ぎーちゃんさん。
こちらまで、来ていただけて何よりです。
裕ちゃんの方はさっき受け付けたので、アヤカさんの方は受け付けますです。
がんばります。

19さん。
ホント、すいません。
やっぱり、自分の好きな物じゃないと続かない気がするんです。
ごめんなさい。
でもですね、短編で良かったら、金板の方にいらしてください。
それでは。

20さん。
いえいえ、ありがとうございました。
嬉しかったです。
ありがとうございました。
23 名前:ビギナー 投稿日:2002年07月31日(水)19時21分51秒
・・・また見た あの夢。

 衝撃的だった、あの夢を。 


今日も、一緒だと言うのに。

「おはよー。」

「はよー。」
「おはよー。」
「おはようございます。」

今日は、4番目らしい。リーダーとしては全然問題なし。
・・・まだ来てないな。 安心した。

「おはよう。」

「おはようございます。」
「おはー。」
「おはよっ。」

「カオ・・・おはよ。」
「へっ、あっあ、圭ちゃん、おはよ。」
「うん。おはよ。 カオ、なんか付いてるよ?」
「えっ、どこ?」
「ちょっと、動かないで。取ったあげるから。」
「ん。」

髪に手が触れて、撫でられるようにして「なんか」は取られた。
触られた所が熱を持って、冷めていく。
この感じは、昔から一緒。

「なんか、花びらみたいだよ。」
「ホントだ。」

髪に付いていたのは一枚の淡いピンクの花びらだった。
24 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月01日(木)12時38分54秒
あの、保田さん来春を持って、モーニング娘。さんをご卒業という事で、
少し、悩みました。このまま書き続けるかを。
そして、結論として、書いていきますっ。
今、考えれば、モーニング娘。の保田さんが好き、よりも
1人の歌手や、人間として保田さんが大好きです。
モーニングから、抜けても、ハロプロには残るようなので
逆に、UKとかK1とかも書きやすくなるような気がします。
もちろん、ほかのお話も。
それと、1つ変更させてください。
なっちの前にごっちんのお話をもってきます。

これから、こんだけの結論をだしたものの、更新ペースが
遅くなるか、速くなるかわかりませんが、
がんばってきます。よろしくおねがいします。
25 名前:らい 投稿日:2002年08月01日(木)13時08分46秒
正直ショックでした〜。
ソロデビューということでそれ程大きくはなかったですけど。
すぐに卒業というわけでもなく、春コンまではモー娘。ですからね(^^

まったぁーり待っているので、ビギナーさん頑張ってください。
26 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年08月01日(木)15時07分48秒
ホントへこみました。
来年春まではモーニング娘。の保田圭を
卒業以降はソロ保田圭を応援したいですね。

ビギナーさんまったりがんばってくださね♪
27 名前:華時計 投稿日:2002年08月02日(金)00時52分54秒
ビギナーさん愛を下さい...。
圭ちゃんの愛を星の数だけ読みたいです。

これから春までが色濃いものになります様に。
28 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月02日(金)11時52分55秒
「これ、どうする?」
「捨てちゃう。」

近くにあったゴミ箱へ。ゆっくりゆっくり入っていった。
そのゴミ箱は空で、何かとても無残な気もした。
 ごめんね。

「それにしても、カオの髪って綺麗だよね。」
「うん。昔っから大事にしてきたから。これがないと圭織じゃないし。」
「あたしもそう想うよ。」
「ありがと。」

髪に手が触れて、だんだん下に降りていく。
鏡に映ったその動作が、さっき見た花びらの落下と似ていた。

鏡越しにあなたを盗み見るとその顔は穏やかで
不安なんてどこにもない、そんな顔をしていた。

   アノメハ ドコニイッタ?
29 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月02日(金)11時53分54秒
心のどこかで何かが叫ぶ。
この頃、見ないあの瞳に飢えている、心のどこかが。
今日の夢にすらでてきた、あの瞳を求めて叫ぶ。

そんな想いが嫌い。
だって、幸せなのは良いことだよ。
穏やかなのは素晴らしい事。

「圭ちゃん。」
「何?」
「今度は。圭ちゃん座ってよ。」
「あたしは別にいいよ。」
「圭織が良くないよ。」
「そう。」

穏やかなまま、椅子に座った。
後に立つと、いつもより心持ち小さく感じた。

守ってあげたい。

久しぶりの感情だった。
これがでてくると止まらない。
30 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月02日(金)12時03分31秒
はいっ、意外に速く更新でぎました。
逆に、ペースが速くなりそうなのでがんばっていきます。

らいさん。
ホント、ニュースで見たときは、何が何だかわかんなかったんですけど
色々、情報を集めて考えたところ、
モーニング娘。にいるより、自分を生かせるようになるんだし、
おめでたいことだなって考えました。
これからも、がんばっていきます。

やっすぅ推しさん。
ビギナーも涙がでないくらいわかんなくなっちゃって
頭がぐちゃぐちゃでした。
でも、絶対に圭ちゃん推しです。
ソロでも、娘。でも応援していきます。
更新も、がんばっていきます。

華時計さん。
愛をあげます。
もちろん、星の数だけの圭ちゃんへの愛です。
春までは、もちろんソロの圭ちゃんへも、愛を注いでいきます。
圭ちゃんは圭ちゃんですから。
がんばっていきますよ。
31 名前:皐月 投稿日:2002年08月02日(金)20時47分13秒
ごっちんも脱退なんですよね・・・
ちょいショックでした(保田さんの次にごっちんが好きなものですから・・・)
でも、保田さんもごっちんもソロですから。
ビギナーさん
今後がんばってくださいね!
32 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月08日(木)14時18分22秒
ねぇ?止まんないよ。
無理にでも、あの瞳を引き出したくなる。
子供のような嘘や、駄々をこねてまで、
困らせて、心配させて、それから・・・

「圭ちゃんの髪さぁ。」
「うん。」
「・・・気持ちいい。」
「なんだそれ?」

肩より伸びた髪をさっきやって貰ったみたいに手で触れる。
根本近くから、ホントに先の方まで撫でる。
髪質が細くて、猫のようだった。

「あっ。」
「どうしたの?」
「今日って圭織空いてる?」
「うん。」
「見せたいモンがあるんだけどね、家来ない?」
「今日?」
「うん。」
「いいよ。でも、見せたいモンって何?」
「ん〜、秘密。」
「じゃあ、楽しみにしとくよ。」

いいのかな?
こんな気持ちのまんまだけど、断る理由がなかった。
あんな瞳で誘われたら、嘘なんて付けなかった。

ごめん。今日、傷つけるかもしんない。
33 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月08日(木)14時21分01秒
皐月さん。
最近、圭ちゃんの次に好きだったのが
同じく、ごっちんでした。
ハロプロの中で圭ちゃんの次に好きだったのが
平家さんでした。
ショックです。
でも、一緒に応援してきましょ。
今後も、がんばります。
34 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年08月08日(木)23時31分10秒
今日、圭織の誕生日ですね♪
もう21歳になっちゃったらしいですよ(笑)
これからもがんばってほしいですね♪
35 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月10日(土)00時46分52秒
今日は、既になっちのお誕生日です。
絶対、同い年に見えないんですが・・・
とにかく、おめでとうです。
同じく、これからもがんばってもらいたいですっ。
36 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月21日(水)16時45分07秒
その後もなんとなく雑談をしていて、
気が付いたら集合時刻を過ぎていて、全員が集まっていた。

「はーい、今日は、午前中が雑誌の撮影が2つで
午後は、歌番組の収録ね。
終わるのは、たぶん夕方の6時くらいだから、
お家に電話する人は、そう伝えておく事。」
「はーい。」

一日の予定の確認は、毎日一番大きな声で行う。
だから、けっこう昔は喉にもひびいていた。
だから

「お疲れさま。」

その一言が今も昔も嬉しかった。
自分の中でご褒美だと思う。
その笑顔と、言葉と音色が。

37 名前:華時計 投稿日:2002年08月25日(日)03時56分25秒
長いお話は大変かと思いますが、がんばってくださいね。
38 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月28日(水)14時00分18秒
ありがとうございます。
長いんですが、がんばります。
ただ、長いっても中編ですけど、いつも、短すぎるのを書いているので。
とにかくっ、がんばりますです。
39 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月30日(金)09時18分38秒
「うん。」


この日は、四六時中、端から見ればボーッとしてた。
ホントは、考え事をしていただけなんだけど。

今日の約束の事。
自分を誘った。
なんでだろう?
身の危機とか感じないのかな?
・・・感じないか。鈍いし。
けど、万が一、気付いてて誘ってたら?
・・・そんなわけないか。
だって気が付いてたら、こんなに穏やかに笑えるはずないもん。

ん?そもそも、なんで彼女の身に危険が迫るのか?
自分の変な夢のせい。
それとも心のどこかで叫ぶ声のせいだろうか。

何か違う。
たぶんそれもあるけど、そんなのほんのわずかで。
もっと、もっと大きなもの。
身体の大部分をしめる、大きなもののせいだ。
40 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月30日(金)09時24分13秒


守ってあげたい


・・・・・これ?
これだろうか。

違う。違わないけど、ほかにもある。



欲しい


・・・・これも、そう。これもあるはず。
ただ、全部で、全部が一個で、もっともっと大きなもの。





愛してる



心底からの叫び。
でも、けして暗いものではなくて、耳を塞ぎたくなるものではなくて、
湧き水のような輝きをもってる。

だけど、これをどうしたらいいんだろう?
汲み上げて、飲み干せばいいんだろうか?
けど、そんなことしたら、何をやらかすか分からない自分の心がある。
善の心の悪の心がまじった湧き水なのだから。


41 名前:ビギナー 投稿日:2002年08月30日(金)09時25分23秒


でも、心は理性を跳ね返して、湧き水に手を出そうとする。
そして、ついに、飲んでしまった。

その瞬間、湧き水は大量に溢れ出した。
それに追いつこうと必死に飲み続ける自分がいた。


「・・かお・・・・圭織・・・圭織!」
「・・・・・・」
「圭織!」
「・・・・えっ、あぁ、圭ちゃん。」
「どうしたのさ。」
「圭ちゃんこそ。」
「帰ろう。」
「え?」
「忘れちゃったの?」
「・・・・んなわけないじゃん。」

だって、今まで、その事を考えてたんだから。

「じゃあさ、帰ろう。」
「うん。」
42 名前:うっぱ 投稿日:2002年08月31日(土)02時06分40秒
……いいなぁ〜この雰囲気。
もうビギナーさんの作品からインスパイヤされまくってます。
先生と呼ばせてくださいませ。
43 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)09時32分50秒
レス、おくれてすみません。
この頃、謝ってばっかりで・・・
先生なんてとんでもないっ。
うっぱさんこそ、先生ですよ。尊敬してますもん。
これからも、よろしくです。
44 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)22時53分37秒
スタジオから、1時間もかからない所が圭ちゃんの住んでる
マンションだった。

「圭ちゃん引っ越したの?」
「うん。たしか、圭織が前来たときは、他の所だったよね。」
「うん。」
「あっちねぇ、だんだん物が増えて、狭くなってきちゃったんだよね。」
「衝動買いなんてするからだよ。」

エレベーターに乗って、それから少し歩く。
一番角の部屋らしい。

「おじゃましまーす。」
「ただいま。」

んっ?
茶色と、白の小さなものが、軽快に走ってくる。
そして・・・飛びついた。

「キャンディー、ただいま。」
「キャンキャン」

犬だった、ロングコートチワワ。
頻りに圭ちゃんの首やら、顔やらを舐めている。

「ちょっと、顔は、顔はダメだってば。化粧してるからぁ・・・」
「キャンキャン」

45 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)22時54分45秒
嫉妬。
キャンディーに嫉妬してしまった。
素直な心で本能のままに行動するキャンディーに、
それができない自分がいるから。

情けない。
わかってる。キャンディーと自分とじゃ立場が違う。
種類が違う。

「圭織?」
「・・・・・」
「どうしたのさ?」
「圭ちゃん。」
「見せたいものって、この子?」
「そうだよ。久しぶりに実家から来たの。」
「ペット、大丈夫なの?」
「ううん。ないしょ。」
「そう。」

そう、微笑む顔は、
朝と同じ。穏やかな瞳をしている。

アノメハ ドコニイッタ?

聞こえる。たしかに、力強い声が。

三回目に聞こえた時、だんだん細くなってきていた
理性がプツンと切れて、遂に、自分が自分じゃなくなった。

46 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)22時55分27秒
「圭ちゃん。」
「何?どうしたの?」
「立って。」
「えっ?」
「早く・・・立って。」

自分の声かと疑うくらいの低い声。口調。
本能だけになった自分。

「圭織・・・」
「早くっ。」

キャンディーは、声に怯えてか、膝から下り、
小走りでどこかに隠れていった。
どうせ、下りなきゃいけなかったんだから
ちょうどいい。

そして、圭ちゃんも立ち上がった。

無言のまま手をひいて、寝室に直行する。

「圭織、どうしたの?」
「・・・・」

途中で何度か声を掛けられたけど無視。
答える余裕なんてないから。
47 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)22時56分29秒

「ヤッ・・・」

ドアも開けっ放しのまま、
寝室の端のほうにある、ベットにそのまま力ずつで押し倒した。
愛情も何もない。

そこから、もう、記憶が途切れた。


「ん・・・・」

朝だ。
昨日の事がぼんやりと浮かび上がってくる。
隣の存在に視線を傾けると、何も身に付けていない肩以外は
シーツに包まっている。
自分の付けた後らしきものが、所々にあった。

ごめん。

理性が戻った今では、後悔が頭を回る。
昨夜の事は、あまり覚えていないが、
1つだけ、焼き付いた物があった。

怯えた瞳。正しく自分の心が求めていた瞳で
思わず声に出して
「守ってあげたい」と呟いた。
その瞬間、声は消える。
48 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)22時57分12秒
「・・・・カオ。」

圭ちゃんが起きた。
それに気付くと、何か言われるのがすごく恐くて
瞳をギュッと瞑る。

「おはよう。」
「・・・・・ごめん。すごく酷いことしちゃって、
自分でも、よくわかんなくって。だから、その・・・ごめん。」
「別にいいよ。あたしこそさ・・・気付かなかったし。」
「ん?」

何を言ったんだろうか?
まったく検討が付かず、頭に?を浮かべる。

「その・・・あたしも、圭織が好きかなぁって。」
「・・・・・えっ?」
「だから・・・好きだよ。」
「・・・・・うん。」

だんだん事態が読み込めてきて、
発されたすべての言葉が頭を駆け巡る。

「圭ちゃん。」
「何?」
「いいの?」
「何が。」
「だってさ、結構酷いこと、したよ。」
「知ってるよ。」
「それでも、いいの?」
「いいよ。」
「・・・ありがと。」
49 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)22時58分13秒
タイミングを見計らったかのように、開きっぱなしの
ドアから、キャンディーがちょこちょこと歩いてくる。
そして、ベットに、ピョンと飛び乗った。
小さな体を圭ちゃんにすり寄せる。

「ごめんねぇ、御飯、忘れてた。」
「キャンキャン。」

手を伸ばして、キャンディーの
背中辺りを撫でると、こちらを向き、
飛びついてきた。

「キャン。」
「ごめんね、御飯、遅れちゃって。」
「キャンキャン。」

昨日の圭ちゃんのように顔とか手を舐められる。
何か、慰められてる気分だ。

意外と、昨日の事を知っているのかも知れない。
それを考えると少し恥ずかしくなった。

「じゃあ、御飯にしよっか。」
「うん。」
「キャン。」

50 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)23時01分08秒
軽い朝食を取ってから、
仕度をして、2人並んで玄関に向かう。
後ろをついてくる、キャンディーはすごくカワイイ。

昨日は、嫉妬したりして、ごめんね。

靴を履いて、ドアノブを握る。

「圭ちゃん。」
「どうしたの?なんか忘れ物とか?」
「ん〜、ちょっと違うかも。」

振り向いた瞬間、一秒にも満たない長さだったけど
キスをした。
お互い、序所に顔が赤くなる。

「圭織。キャンディー見てるじゃん。」

しっぽを振り、興味ありげな視線が痛い。
案外、同じだったりするのかな?

「それじゃ、キャンディー、いい子にしてるんだよ。」
「キャン。」
「「いってきまーす。」」

ドアノブを押して、外に出る。
朝の匂いのする空気をいっぱいに吸い込んで、
少し前に立つ、圭ちゃんに瞳を向ける。

やっぱり、守ってあげたいって思った。



 守ってあげたい   END
51 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月22日(日)23時05分32秒
はい、圭織×圭。終了いたしましたぁ〜。
一気にたまってた物を全部上げさせていただきました。
どうしても、明日に、ごっちん編を始めたいんで。

ごっちん編もがんばりますので、どうか、よろしくおねがいします。
52 名前:ぎーちゃん 投稿日:2002年09月23日(月)00時48分00秒
久しぶりに来て見たら更新されていたので,読ましてもらいました。
圭圭編とってもよかったです。
圭後編も楽しみにしてます。
53 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月23日(月)04時19分20秒
ぎーちゃんさん。
感想、ありがとうございます。
ぎーちゃんさんに、そういっていただけて何よりかなぁって
思ってます。

ごっちんの方も、今からスタートです。
54 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月23日(月)04時21分07秒
あの日から、恋をした。

初めてかもしれないくらいマジな恋。

ただ、知らないことが多すぎた。

だから、結構苦労したんだよ?

わかってんのかなぁ?

そういう所、鈍いしね。

まぁ、それも引っ括めた、けーちゃんに

恋をしたんだけどさ。

55 名前:やっすぅ推し 投稿日:2002年09月23日(月)09時31分04秒
かおけいいいですね〜。

やすごまかな?も期待してます!
なにげにあたしがいちばん好きなカップリングです。
がんばってください
56 名前:らい 投稿日:2002年09月23日(月)13時26分40秒
かおけい読みましたよ。
いい感じっす!キャンディーちゃんがかわいくてもう!
圭織の気持ちも圭ちゃんに伝わってよかったです。

やすごまも超期待ですので頑張ってくださいね。
57 名前:華時計 投稿日:2002年09月24日(火)04時29分07秒
お久しぶりですビギナーさん。(ペコリ
かおけい読ませていただきました。
K,sカップルの中でも好きな組み合わせです。
でもなかなか無いんですよね〜。
それが読めるのもこのスレだからですね。
ワンちゃんに嫉いちゃったり、あやまったり、圭ちゃんを襲ったり、そんないろんな事も圭ちゃんを思えばこそ。(w)
最後は仲良く朝食が食べれてよかったです。(w)

ごっちんとのお話も楽しみにしています。
では失礼します。
58 名前:ビギナー 投稿日:2002年09月26日(木)17時01分02秒
感想、ありがとうございます。

やっすぅ推しさん。
ありがとうございます。
そうです、次はやすごまです。
一番、好きですか。
そう言っていただくと気合いが入ります。
がんばりまっす。

らいさん。
キャンディーちゃん、友情出演というか、なんというか。
最初は、ワインか何かにしようと思ってたんですけど
しかも、飯田さんが切れて、床に叩き付ける、という。
あまりにも、イメージが壊れすぎなので止めました。
やすごまも、がんばります。

華時計さん。
お久しぶりですぅ。
読んでいただいてありがとうございます。
確かに、あんまり無いですね。
リーダー&サブ、なのに。
でも、あんまり比較されないですみます。
もう、すっごく恥ずかしかったんですよ、襲うシーン。
あれで、限界です。
やっぱ、最後はハッピーエンドです。
暗いのは、まだ全然修行中なので。
ごっちんの方も、がんばります。
59 名前:うっぱ 投稿日:2002年09月27日(金)09時02分26秒
ん〜襲われてしまいまひたか。
飯田さんらしからぬ行為ですね。
でも…愛あっての行動だったのでヨシとしまふ。

さてさて後藤さんはどんな行動で保田さんを○○するんでしょうか
楽しみにしておりまふ。
60 名前:らい 投稿日:2002年10月03日(木)15時07分37秒
知っているとは思いますが・・・

来春ヤスのラストコンサートで、何か印象に残る、感動するような企画をしたいと思います。
タンポポ祭りのように大成功させるためにも、みなさんのご協力が必要です。。。

http://www.mm1999.com/kei/

どうぞよろしくおねがいします。

61 名前:らい 投稿日:2002年10月03日(木)15時10分16秒
宣伝とかってしちゃダメなんですかね。
だとしたら↑のごめんなさい(^^;

少しでも多くの人知って欲しかったので。
62 名前:ビギナー 投稿日:2002年10月04日(金)17時42分05秒
うっぱさん。
かなり恥ずかしかったんですよぉ。
愛があろうとなかろうと・・・
もう読み直しが真面目にできないくらいです。

後藤さんはですねぇ、
できれば明るい感じにしたいんですけど
一応、波をつくったほうが・・・

らいさん。
大丈夫ですよ。
全然構いません。
ただ、バンッって関係ない物とか貼られたら困りますけどね。
ビギナーも少しでも多くの人に知ってもらいたいですし。
63 名前:ビギナー 投稿日:2002年10月18日(金)20時02分13秒
「だって、そうじゃん。」

「圭ちゃんっ、そいつの言うこと信じないでよ。」

「ウソじゃないよ。だってほんとに後藤の事好きだって。」

「それは、違う意味ででしょっ。」

「ウソだよ。市井ちゃん昨日後藤に言ったよぉ。」

カタッ・・・

「・・・圭ちゃん、どこ行くの?」

「ごめん。紗耶香、なんか・・・ダメみたい、ウチら。」

「えっ・・・」

「別れよっか。ごめんね。」

そういって圭ちゃんは楽屋から出ていった。
だんだん速度が速まって、最後には駆け足に近いくらいで。

まだプッチモニができたばっかりくらいの時。
あたしは市井ちゃんが好きだった。
けど、市井ちゃんはすでに圭ちゃんがいた。
でも、市井ちゃんが好きだった。
だから、圭ちゃんから取ろうと思った。
そのためには、圭ちゃんの弱み、みたいなものを握って、
圭ちゃんに諦めてもらおうと思った。

で、あたしが握った圭ちゃんの弱み。

それは、一枚の写真。
64 名前:ビギナー 投稿日:2002年10月20日(日)18時52分51秒
「市井ちゃん。」

「何・・・」

市井ちゃんは思いっきり後藤を睨み付けながら・・・泣ていた。
怒りと悲しみに満ちた顔。ぞっとするくらいに綺麗。
ねぇ・・・市井ちゃんが好きだよ。

「市井ちゃんの事、後藤が貰ったから。」

「はっ?」

「圭ちゃんに貰ったの。」

「どういう事?」

「だからね、圭ちゃんに貰ったんだよ。
ちゃんとちょうだい、って言って。」

「あんた・・・圭ちゃんに何したの?」

「ん〜、何にもしてないよ。」

それから、市井ちゃんは圭ちんに聞いた方が速いと思ったのか、
楽屋を飛び出そうとした。
後藤がドアの前に立って、手を広げる。

「ダメだよ。それが圭ちゃんのため。」


65 名前:らい 投稿日:2002年10月22日(火)18時01分45秒
初期プッチ大好きでした♪
K1かな?やすごまかな?どっちにしろ楽しみです。
頑張ってください(^^
66 名前:うっぱ 投稿日:2002年10月23日(水)03時47分13秒
あららら。なんだかどんよりとした空気が…。
後藤さん、何をなさったのでしょうか?
続きがすごく気になりまふ。


67 名前:ビギナー 投稿日:2002年10月26日(土)11時34分13秒
黒いよ・・・黒ごま。

らいさん。
初期プッチ、私も大好きでした。
んーどうだろ。というか、最初に宣言して
はじめてる所からばれてますけど。
今はK1って事にしておいてください。
頑張ります。

うっぱさん。
ど〜んより・・・もっと黒くはならないと思うんですけど。
というか、無理ですっ。
後藤さんねぇ、いけない物を持っております。
それがでてくるのはまだ先ですが・・・
続き、今から、アップします。
68 名前:ビギナー 投稿日:2002年10月26日(土)11時39分17秒
圭ちゃんは収録前にはちゃんと戻ってきて、収録を終えた。
スタジオを出るとだれもしゃべらなくなって、
楽屋でもしゃべらなくって、そのままみんなバラバラに帰っていった。


「でねっ、その時、矢口がぁ。」

「うん。」

一ヶ月もすればみんな前みたいに戻ってた。
圭ちゃんと市井ちやんも普通にしゃべってたし、
後藤も二人となんでもない事とかで笑った。

ある、収録の帰り。
自動販売機の近くで圭ちゃんが椅子に座って、
市井ちゃんがその真ん前に立って、なんか真剣な顔をして、話してた。
なぜだか、見つかっちゃいけない気がして、身を潜める。

「なんでさ?圭ちゃんはなんにも言わないで別れようって言うし、
後藤は、貰ったとかわけのわかんない事いってるし。
何隠してんの?2人して。そろそろ話してくれてもいいじゃん。」

市井ちゃんはこうやって何回も圭ちゃんに問いつめてるらしい。
でも、圭ちゃんは口を割らない。

ふーん、ちゃんと約束、守ってんだ。
69 名前:ビギナー 投稿日:2002年10月26日(土)11時40分00秒
「別に。なんも隠してないよ。」

「ウソ。別れる理由だって教えてくんないよね。」

「いいじゃん、別にそんなの。」

下を向いて、自分の足をみながら話す圭ちゃんと、
厳しい顔で圭ちゃんを見下す市井ちゃん。

「良くないよ。そんなんじゃ、全然っ。」

市井ちゃんが圭ちゃんの顎を持って無理矢理、視線を合わす。
それから、呪文みたく「納得いかない。」って呟いて、
圭ちゃんにキスした。

なんか、すっごく悔しくなって、唇を痛いほど噛みしめた。
だって、後藤は一回も市井ちゃんにキスされたことなかったから。

ねぇ、なんでそんなに圭ちゃんにこだわるの?
だって、変だよ。
後藤なら、市井ちゃんが無理矢理キスしなくても、
ちゃんとしてあげるのに。
涙なんて、無縁なくらいに愛してあげるのにさ?

そこまでして、市井ちゃんが愛してる圭ちゃんの魅力って何?
後藤に教えてよ。
70 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月16日(土)03時26分11秒
今日初めて見ました。
ごっちん…なんかせつない…。
71 名前:ビギナー 投稿日:2002年11月25日(月)15時20分41秒
次の日。圭ちゃんが帰った2人だけの楽屋で
市井ちゃんに聞いてみた。

「ねぇ、市井ちゃん。」

「・・・何」

市井ちゃんは昨日のせいか、不機嫌そうに返事をした。
空気が張りつめる。

「あのさ、昨日。圭ちゃんとキス、したでしょ?」

「・・・だから。」

「だからって、市井ちゃんは後藤のモンだよ。ダメじゃん。」

「なんで?別に圭ちゃんからしてきたわけじゃないよ。
後藤と、圭ちゃんとの約束かなんか知らないけどさ、
市井には、関係ないじゃん。」

「あれ?市井ちゃん忘れちゃったの。
最初に、圭ちゃんのため、っていったよね。
市井ちゃんがそれのせいで、どんなになろうと、市井ちゃんの勝手かも
知れないけど、圭ちゃんにも害がでるんだよ。」

「・・・じゃあ、なんなのさっ。その約束ってヤツ。
なんでそんな自分が知らないモノに縛られなきゃいけないわけ。」

「別に、教えてあげてもいいよ。けど・・・条件があるんだよねぇ。」
72 名前:ビギナー 投稿日:2002年11月25日(月)15時21分20秒
「何?」

「市井ちゃんから、後藤にぃ・・・キス、して。」

市井ちゃんがどっちを選ぶかは全然予想がつかない。
ただ、後藤的には、キスの方が良い。

「どっちにする?」

「・・・・・・」

「後藤さ、今日早く帰らなきゃいけないんだよね。」

「・・・・キス、する。」

「ホントッ。」

無言のまま市井ちゃんが頷く。
重く、睨むような表情。

「じゃあ、教えてあげる。
あのね、後藤。写真持ってるんだけど、
まぁ、それ見ればわかると思うよ。」

自分の鞄の中から、手帳を取り出し、一番後ろのポケットみたいな所に閉まっておいた
裏返しの写真を抜き出す。

実は、あんまり見たくない写真だ。
見せつけられてる気になるから。
73 名前:ビギナー 投稿日:2002年11月25日(月)15時22分22秒
「これ、なんだけどね。」

「うん。」

「市井ちゃん絶対びっくりするよ。」

「どういうこと?」

「まぁ、見ればわかるよ。」

裏返しだった写真を表にする。
ビラッという音が少しだけ耳に残る。

「・・・・・」

一瞬、目がカッと開く。
信じられない。そんな表情だ。

「感想は?」

「何・・・・・これ。」

「見たまんまだよ。」

そしてまた、裏に戻す。
74 名前:ビギナー 投稿日:2002年11月25日(月)15時22分56秒
「・・・・どうしたのさ?それ。」

再び手帳を開いて、元の位置に戻そうとしていると背中に声がかかった。

「ん〜、撮ったんだよ。」

「だれが?」

「後藤。」

「・・・最低。」

ぼそっ・・・と言われたその言葉が結構痛い。
当たり前なのにな。

「・・・ねぇ、市井ちゃん。条件さ・・・・」

「・・・わかってる。」

「いや・・・ほっぺでいいよ。」

「えっ?」

「だ・か・ら〜。ほっぺ。」

「あ、うん。」

ほっぺを市井ちゃんに向けると、何かが触れて、すぐ離れた。

楽屋の空気は、さっきより大分ゆるんでいた。

「じゃあ。」

その声は、さっきと全然違う。どことなく優しかった。

「うん。バイバイ。」
75 名前:ビギナー 投稿日:2002年11月25日(月)15時28分59秒
すいません。最後の更新から、一ヶ月近く経っちゃってますね。
放置ではないです。
ちゃんと、最後まで書きますよ。
なので、気長に待っていただけると幸いです。

70さん。
はじめまして。
レス、遅れてすみません。
ごっちんは、なんとなく悪が多い気がします。
なんとなく、こんなキャラになっちゃうんですよねぇ。
76 名前:らい 投稿日:2002年11月25日(月)16時45分29秒
例の写真が気になって夜も眠れません・・・(−−;
あぁ、ビギナーさんお早くお願いします〜。
77 名前:ビギナー 投稿日:2002年11月27日(水)17時38分01秒
らいさん。

いつもいつもありがとうございます。
写真は、どこまでのばそうか迷ってます。
今回っていうのも考えたんですけどね。
いつにしましょう?
78 名前:らい 投稿日:2002年11月27日(水)19時53分41秒
それはやっぱり作者さんのいいと思うところでないと!
写真も気になりますが今後の展開も気になります〜。
頑張って書いてください(^^;


79 名前:うっぱ 投稿日:2002年11月28日(木)01時24分24秒
一枚の写真……気になります。
しかもいい所で終わってるし……。

首を長くして続き待ってます。
80 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月05日(木)14時27分35秒
らいさん。
ほんと、自分で決めろよ、って感じですよね。
がんばります〜。

うっぱさん。
写真は、ありきたりなオチかも知れません。
そしたら、ごめんなさい。
続きも、がんばりますよ。
81 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月18日(水)18時23分11秒

扉の閉まる音がすると、その場に泣き崩れた。

なんで泣いてるのかよくわかんないけど泣いた。

最低と言われたのが悲しかったのか。

それとも、「じゃあ。」の優しさが嬉しかったのか。


こんなことはもう止めた方がいいのかも知れない。

でも今止めることで、一体何が変わるだろう。



なんとか泣きやんだ時には、もう、見上げた空は、茜色で、
その色に惹かれるように歩き出した。


82 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月18日(水)18時23分50秒


また次の日には、元に戻っていた。
何回倒しても起きあがる人形みたい。

でも、もうその人形は動かなかった。

だってもう倒れるコトがなかったから。
それとも、もしかしたら、もう起きあがれないのかも知れない。

 市井紗耶香、モーニング娘。、プッチモニ卒業発表


83 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月28日(土)18時51分44秒

市井ちゃんは、それから始終笑顔だった。
どこにいても、どんな仕事でも、誰といても。
たとえ、それが後藤だとしても。

最初は不思議でならなかったけど、気が付くとそれが当たり前な気がして、笑って
た。
くだらないことでも、1つ1つが楽しくて、時には涙がでるほどに笑った。
こんなに楽しくて笑うのは久しぶり。
最近は、作り笑いとか、そんなものばっかに、振り回されてきたから。

でも、時計は進む。  だって時間が進むから。

時間なんて止まっちゃえばいいのに。


時間よ止まれ


まぁ、無理な話だけどさ。

後藤だけの時間じゃないわけだし。


84 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月28日(土)18時53分06秒

案の定、時計は正確に時を刻んだ。
楽しい時間も明日で終わり、そう思うと淋しくなるな。
ホントはもっと幸せなままでいたいけど、
それは後藤には許されないよね。


ねぇ、市井ちゃん、
これで+−0になるとは思ってないけどさ、
今日で市井ちゃんは後藤のモノじゃなくなるよ。

85 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月28日(土)18時53分51秒
「こんなトコに呼んでさ、どうしたの?」

屋上に現れた市井ちゃんは笑顔だった。

「ん〜、ちょっと深刻かも。」

「オマエが言うと深刻に聞こえない。」

「あはっ。」

「で、なんなの?」

瞳は真剣だけど、顔は笑ってる。
どこか挑戦的な顔。

「えっとね、市井ちゃんさ、もう後藤のモノじゃないよ。」

「へっ、もしかして・・・写真落としたとか。」

「違うよ。ただ後藤もバカだったなぁ〜って思ったの。
写真は大丈夫。ちゃんと持ってるから。」

「そう。あんなモン落とされたらどうしようかと思ったよ。」

「写真、落としたら契約してた意味なくなっちゃうじゃん。」
86 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月28日(土)18時54分57秒

「で、後藤、なんで私を解放する気になったのさ?」

「だから、バカだって思ったから。」

「なんでバカだと思ったの?」

「うん?市井ちゃんにはさ・・・・」

「なんだよ。」

笑っててほしいんだよ。

でも、そんな事言えないんだ。

だって後藤は酷いヤツだったもん。
最後まで酷いヤツでいなくっちゃいけない。

「・・・飽きちゃったんだ。」

「・・・・ふ〜ん。」
87 名前:ビギナー 投稿日:2002年12月28日(土)19時00分48秒

平然を装って流そうとするけど瞳が悲しい。
ごめん。最後まで傷つけちゃってるよね。

「話は、それだけ?なら市井は帰るよ。」

「ん・・・バイバイ。」

階段を下っていく音がして、その音が聴こえなくなると、
やっぱり泣いた。
誰もいないのに強がって真上を向いてみたけど、
それでもやっぱり涙は流れた。

空は、あの日と同じ茜色だった。
変だね。同じなはずなのに、気持ちとかさ全然違うんだ。
88 名前:ビギナー 投稿日:2003年01月14日(火)18時32分12秒

1日経つっていうのはあっという間で、
寝ようが、寝まいが朝は来る。

「・・・・・んぁ。」

目覚まし時計なしで起きたのはホントに久しぶりだ。
爽やかな目覚め。

今日という日に相応しいんじゃないかな?


「おはようございまーす。」

楽屋は、いつもと変わらない。
ん。違う。変わらないように見せられてるだけだった。
まぁ、しょうがないか・・・


「後藤さん。」

「あ。加護、おはよう。」

「はい。おはようございます。今日、がんばるんで、よろしくお願いします。」

そういえば、新メン、今日お披露目だっけ。
市井ちゃんのコトで忘れてたよ。ごめんね。

「ん。大丈夫。加護ならできるよ。がんばれ。」

「ありがとうございますっ。」

軽く頭を下げると、タカタカ・・・廊下を走っていって見えなくなってしまった。


もうすぐ、コンサートが始まる

 
89 名前:ビギナー 投稿日:2003年01月29日(水)17時31分59秒

 市井ちゃん、ホントごめんね。

 どんだけ傷付けたかわかんないくらい傷付けたよね。

 今から、市井ちゃんに後藤ができることってあるのかな?

 ・・・あるわけないよね。始まりも悪ければ、終わりだって最悪。

 今日だってやっぱり笑顔でバイバイって言えそうにないんだ。

 酷いヤツだよね、まったく。

 市井ちゃんもっと怒ってもよかったのに。後藤のこと。

 殺すぐらいしてもおかしくないよ。

 優しすぎだよ。その優しさが痛い時が何回あったかわかんないもん。

 でも、そんな優しい市井ちゃんが・・・


「後藤、しょい、するで〜。」

「・・・はーい。」

そんな優しい市井ちゃんがぁ・・・後藤は、大好きでしたっ。

「じゃあ、今日で紗耶香が卒業。それから、新メンがお披露目や。
すっきり終われるように、めっちゃ気合い入れていくでっ。」

「がんばっていきま〜・・・」

   『しょいっ』

90 名前:ビギナー 投稿日:2003年01月29日(水)17時34分32秒
いつも以上に遅い更新ですみません。
時間のある時に、まとめて書けたら良いのですか、
そうもいかなくて・・・
次は、コンサートの内容、ほとんどすっ飛ばします。
すみません。
91 名前:ビギナー 投稿日:2003年02月26日(水)19時07分04秒


    一緒に踊って


    一緒に唄って


    一緒にしゃべって

    
    それから、一緒に泣いた。



ずっと瞳に焼き付けておこう。
今のこの時間を、いつでも思い出せる様に。

92 名前:ビギナー 投稿日:2003年02月26日(水)19時08分06秒

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ごとー。」

「んあっ?」

「もうちょっとで始まるってよ。」

「あぁ、圭ちゃんか。ありがとー。」

そっか、今からダイバーの収録だ。
見慣れた控え室に圭ちゃんと2人。

「どういたしまして。」

「それからさ・・・・ん。」

なぜか差し出されたハンカチ。
ごめん。全然わかんない。

「何?」

「いや、涙、拭きなすよ。」

「えっ・・・」

「あんた、泣いてるよ。気付かなかったの?」

「うん。全然。」
93 名前:ビギナー 投稿日:2003年02月26日(水)19時08分54秒

涙を拭ってくれる圭ちゃんの手が暖かくって、
今まで、忘れていた圭ちゃんを思い出した気がした。
勝手に圭ちゃんを悪者扱いしていた。
ホントの悪者は、自分だと言うことには目を瞑って。

やっぱ、バカだ。アタシ。

後藤のこと、怒ってよかったのは、市井ちゃんだけじゃない。
圭ちゃんだって怒ってよかったんだ。
なのに、圭ちゃんは、なんも言わなかった。
それに、泣いたりだってしなかった。
あんな写真で・・・・写真?

そういえば、写真はまだ、手帳の裏だ。
市井ちゃんに見せた時以来、触れてもいない。
でも、契約が切れたんだから、返さなくちゃ。

あの写真はどんな写真だっただろうか?

94 名前:ビギナー 投稿日:2003年02月26日(水)19時09分42秒

そうだ。プッチがデビューする前のミニ合宿の時。

「圭ちゃん。ちょっとだけ?ね。」

「ね。ってあんたのちょっとは宛にできない。」

「いいじゃんかぁ〜。」

「ヤダ。後藤いるし。」

「後藤は、もう寝ちゃってるじゃん。」

「いつ、起きてくるかわかんないでしょ。」

「大丈夫だよ。後藤は一回寝たら起きないから。教育係の市井が保証するっ。」

「ん〜。じゃあ、キスだけだよ。」

「うん。」

たまたま目が覚めてしまって周りを見渡すと、圭ちゃんも市井ちゃんも
居なくて、ドアの隙間から明かりが漏れていた。
時間は、12時くらいだっただろうか。
軽くドアを開けてみると、テレビは、見られていないのに付いていて、
市井ちゃんの手は、既に圭ちゃんの肩にあった。
とても、出ていける空気ではなかった。「2人の世界」というヤツだろう。

95 名前:ビギナー 投稿日:2003年02月26日(水)19時10分19秒
市井ちゃんと圭ちゃんのキスには驚いた。
だって、遊びとか、そんなんじゃないっていうのが痛いほどわかったから。

この時から、圭ちゃんに嫉妬したんだと思う。

嫉妬は、すぐに怒りに変わって、とっさにカメラを手にしてた。
それから、シャッターを切ったのは、市井ちゃんの手が、
圭ちゃんの服に入った瞬間だった。


その時の写真を圭ちゃんに突き付けて、言ったんだよなぁ。

「市井ちゃんをちょうだい。じゃないと、この写真ばらまいちゃうよ。」って。

正直言って、圭ちゃんが頷くなんて思わなかった。
そんだけ、市井ちゃんのこと好きだったんだね。
なのに、後藤は・・・

ごめんね。でも、もう圭ちゃんだって自由だよ。
この写真も、ちゃんと返すからさ。
96 名前:ビギナー 投稿日:2003年02月26日(水)19時16分34秒
完全復帰っぽいです。これからは、どんどん行きたいと思います。
写真の事も出しました。
つまんないモンでごめんなさい。
97 名前:らい 投稿日:2003年02月27日(木)15時30分59秒
更新お疲れさまです。
読ませてもらいましたよ〜。例の写真はちょっと衝撃的ですね(^^
こういう切なげな話好きですv
初期プッチのトリオも大好きなんで続き期待です。


98 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月03日(月)20時19分11秒
読ませてもらってます。
3人の関係がこれからどうなるのか激しく気になる展開・・・。
続き楽しみにしてます。頑張ってください。
99 名前:うっぱ 投稿日:2003年03月04日(火)00時45分55秒
完全復帰おめでとーございます。
写真の中身を気にしながら待つ事はや1ヶ月、
待った甲斐がありまひた(笑)

さてさてこれから御三人さんはどうなっていくのやら。
ではっ
100 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月04日(火)16時22分42秒

「圭ちゃん。」

「何?」

「あのさ・・・その・・・写真をね。」

「写真?」

何っ。圭ちゃん、それ素で言ってんの。
もう忘れちゃってるの?

「そう。返してなかったなぁって・・・」

「あぁ、あれか。」

あれかって、ホントに忘れてたっぽい反応しないでよ。
ん?「ぽい」じゃない?忘れてた。
・・・なんか気ぃ抜けるよぉ。

「返すよ。」

「別にいいのに。」

「なっ、なんで?」

「いや、後藤は、ばらまいたりなんてしないでしょ?」

「・・・・なんで、そう言えんのさ。」

「だって、後藤はそんなことしないって信じてたし、今だってそんなコトしないでしょ。」

101 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月04日(火)16時23分17秒

・・・・・なんだよ。そんなのわかんないじゃん。
後藤、悪いヤツだよ。だって写真撮ったんだよ。
見つかったら、大騒ぎになるような写真。
そんなの撮ったヤツのコト、信じちゃだめなんだよ。
圭ちゃん、変だよ。おかしいっ。



でも・・・・でもっ、嬉しい。

信じてくれてたコト。

分かってくれてたコト。

すっごく嬉しい。

102 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月04日(火)16時24分05秒

「・・・・・・っ・・ぅわぁ・・・くっ・・・」

「なっ、泣かないでよ。どうしたのさ?」

急に、涙がでてきた。
でも、さっきみたいな涙じゃないんだ。

「あり・・・っありがと・・・・ぅね。」

「へっ?」

「ありがとぉ・・・っく。」

「どーいたしまして?」

「へへぇ・・・・」

「何、今度は、笑ってんの?アンタ、さっきからおかしいよ。」

おかしくってもいいよ。
ただ、圭ちゃんの優しさっていうのかな?
なんか、そういうのが嬉しくてさ。

「だってぇ・・・嬉しいの。」
103 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月04日(火)16時24分49秒

思わず、圭ちゃんの首に抱きついていた。
嬉しくて、上手く表現できないから、だからさ。ね。

「何が?」

「んー・・・圭ちゃんっ。」

「はい?」

「圭ちゃんが嬉しいよっ。」

「・・・そう。」

「そうだよぉ。」

よしよしと、頭をなでてくれる圭ちゃんの手。
表情は、未だに不思議がってるけど、わかってくれなくってもいいよ。
いつか、気が向いたら話すからさ。

アタシ、市井ちゃんだけじゃない。

圭ちゃんも大好きだ。
104 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月04日(火)16時38分04秒

「ほら、もうすぐ始まっちゃうから。」

「うん。圭ちゃん良い人だね。」

「何いってんのよ。急に。」


「保田さん、後藤さん、そろそろお願いしまーす。」


「「はーい。」」

「行こう。」

「ん。」


圭ちゃんといると落ち着く。
だって、今までの、悪い事。全部わかってくれるから。
なんとなくだけとさ。
105 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月04日(火)16時54分37秒
らいさん。
写真、長らくお待たせいたしました。
衝撃的に感じてくださいれば、何よりです。
初期プッチ、私も好きなんで、がんばります。

98さん。
ありがとうございます。
さぁ、これからどうなるでしょう。
続きもがんばっていきますんで、楽しんでいただければ幸いです。

うっぱさん。
ありがとーございます。
やっとこさ、復帰いたしました。
写真も、満足していただけて嬉しいです。
この三人、最後はきっと・・・な感じです。

106 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月24日(月)17時50分40秒

それから、後藤は、何かと圭ちゃんにくっついてた気がする。
そこにメンバーが居ようが、2人だけだろうが。
新しくプッチに入ったヨッスィーには、「姉妹みたい」なんて言われながらも。
だって、圭ちゃんは、後藤の事をわかってくれてると思うから。

「圭ちゃん。」

「何?」

「眠い。」

「そう。」

「冷たいなぁ。」

「いや、そんなこと言われても・・・」

プッチの楽屋に2人。
ヨッスィーは、近くのタンポポの楽屋に行ってしまった。
そして、圭ちゃんは眼鏡をかけ文庫本に夢中だ。
・・・つまんない。
107 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月24日(月)17時52分07秒

「膝枕してっ。」

「はぁ?」

「ひ・ざ・ま・く・らぁ。」

「なんで?」

「後藤が、眠いからぁ。さっきから言ってるじゃん。」

「めちゃくちゃ遠回しでしょ。」

「まぁ、いいじゃん。ねぇ、してよ。」

「しょうがないなぁ。読書の邪魔はしないでよ。」

「うん!」

軽く空けてもらったスペースに、頭を降ろし、天井を見上げる。
見えるモノは、ブックカバー、天井、圭ちゃん。
聞こえるのは、本をめくる音、外のドタバタ、圭ちゃんの声。
やっぱ、落ち着く。

「後藤。」

「んー、何?」

なにか、読書の邪魔でもしただろうか?
特に何をするでもなく観察していただけなのに。
108 名前:ビギナー 投稿日:2003年03月24日(月)17時52分42秒

「いや、寝るんじゃないの?」

「そうだよ。」

「じゃあ、なんでこっちをジーッて見てんのさ。結構恐い。」

「なんで恐いになるかなぁ。」

「いや・・・別に・・・」

そう言って、スッと瞳をそらした顔は、ほのかに赤かった。
何もなかったように本のページをめくるけど、さっきそのページにしたばっかりだし、
瞳は、明らかに動揺している。
なんか・・・

「あっ・・・」

可愛い・・・

「・・・何?」

    キュッ

「・・・なんでもない。」


今、確かに胸が締め付けられた。
けして、強い締め付けではないのに、それでも振り解けないだろう強さで。


一瞬で解った。


これが、恋なんだって。


市井ちゃんのは、恋じゃないんだって。


109 名前:本庄 投稿日:2003年03月29日(土)16時23分44秒
やすごまいいなぁ…。
圭ちゃんがごっちんにひざまくら…。
うぅん、萌え(w


110 名前:うっぱ 投稿日:2003年03月31日(月)03時50分50秒
保田さんの膝枕で眠るごとーさん。
その寝顔を見ながらそっと髪を撫でる保田さん。

……小さな幸せを感じます。
111 名前:ビギナー 投稿日:2003年04月11日(金)23時36分07秒
本庄さん。
やすごま良いですよねぇ・・・
ほのぼので、何しててもあんまり違和感とかなさそうだな、と
思って膝枕にしてみました。
萌えなら何よりです。はい。

うっぱさん。
カップルというか、姉妹っぽいですかね。
ごまは、保田さんに甘えまくりですし、
保田さんも、ごまがすごい可愛いんです。
112 名前:ビギナー 投稿日:2003年04月12日(土)00時11分50秒
「・・・あのさ。」

「・・・今度は、何よ?」

「寝ないでもいい?」

「はぁ?」

何言ってんだろ。
眠いから、膝枕してもらったはずなのに、
眠気は、段々遠のいてって、瞳がさえてきた。

瞳がさえてきたのに、頭は、冷静なはずなのに、
身体だけは、無意識で動いているのか、なんなのか・・・
おずおずと手を圭ちゃんの頬にのばして、壊れ物を扱うかのような手つきで
触れてみると、見た目にも熱そうだった頬は、
見た目以上に熱かった。

113 名前:ビギナー 投稿日:2003年04月12日(土)00時12分26秒
「冷たっ。」

その瞬間に熱い頬と、冷たい手は離れていって、
アタシの手は、空気を握った。
同時に、身体にしっかりとした意識が戻ってきた。

何してたんだろ。何がしたかったんだろうか?

「ごめん。」

自分の口から飛び出たのは、謝罪の言葉だった。

「いや、別にいいけど、アンタの手すごい冷たい。」

「圭ちゃんのほっぺが熱いんだよぉ。赤くなってるじゃん。」

「・・・そんなことないでしょ。後藤だって赤いくせに。」

思わず両手で頬を包む形になる。
圭ちゃんが邪魔で鏡は見えないけど、自分の冷たい手が
圭ちゃんほどではないけど、頬の熱さを感じさせる。

114 名前:ビギナー 投稿日:2003年04月12日(土)00時13分09秒
「ホントだ。」

「何を今更。」

「だって気が付かなかったんだよ。」

「そう。」

「うん。」


『ガチャ』

「あっ、 ヨッスィ〜。」

「もうそろそろ時間みたいです。タンポポの方にスタッフさん
来てたんで。」

「う〜。」

「ほらっ、起きろっ。」

「とりゃ。」

小さく勢いを付けて起き上がると、また世界が変わったような気がした。
目の前にいたヨッスィーに、軽く微笑みかけると、
少し大きな微笑みになって返ってくる。
それは、少し前の市井ちゃんに似ていて、
誰にもわからないように眉を顰めた。

115 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時35分42秒


「ごっちん。」

「何?」

「こういうのってさ、聞いちゃいけないのかも知れないけどね。」

スタジオから、駅までの道のりを
ヨッスィーと、くだらない話をしながら歩いていると、
急に、真面目な顔で立っているヨッスィーがいて驚いた。

「すっごい気になるから聞くよ?」

「うん。」

「・・・ごっちんとさ。」

「後藤と?」

「保田さんって・・・」

「圭ちゃん?」

「・・・・・付き合ってんの?」

「えっ・・・?」
116 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時36分54秒

ヨッスィーの言葉が上手く頭に入ってこない。
だって、こんなことを聞かれるなんて全然考えてなかったから。
後藤と圭ちゃん?んなわけないじゃん。
後藤は片想いなんだし、圭ちゃんは市井ちゃんと両想いなわけだし。

ただ、そういうふうに見えてたらちょっと嬉しいかも・・・

「んなわけないじゃん。そう見えんの?」

「まぁ・・・見えるよ。」

「そっか。でも違うよ。」

「じゃあ、質問ついでにもう1個聞いちゃうけどさ。」

「何?」

「ごっちんは、保田さんが好き?」

「・・・それもそう見える?」
117 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時37分39秒

今日のヨッスィーは、すごく鋭い。
無意識なんだろうけど、痛いところをズバズバと示してきて、
それを避ける事はできない。

「うん。」

「・・・・・・」

「・・・いや、無理には聞かないから、答えなくてもいいよ。」

そういってくれるけどさ。ここで後藤が答えなかったら、
肯定としか受け取れないじゃん。
結局、同じになるんだったら、ヨッスィーにウソはつかないよ。

「好きだよ。」

「えっ。」

「後藤は、圭ちゃんが好き。」

118 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時38分30秒
「・・・・」

「びっくりした?」

ヨッスィーは、黙り込んだけれど、きっと驚いてなんていない。
ただ、あまりにもまっすぐに答えられたから、
次に言う言葉を考えてるだけなんだ。

「ううん。なんとなく予想はしてたから。」

「・・・でもね、無理なんだ。」

「無理?」

せっかく明るめに言ってみたのに、
そう言った、ヨッスィーの顔には、怒りの色が映っている。
こんなに恐いヨッスィーは初めて見たかも。

「そう。無理なんだよ。」

「ごっちん。」

「・・・何?」

「無理なんかじゃないよ。」

「ふぇ?」

ヨッスィーの迫力におされて、いきなり掛けられた声に、
思わずマヌケな声がでた。

119 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時39分52秒
思わずマヌケな声がでた。

「無理じゃないよ。ごっちん。私さ、応援してるから。」

「う、うん。」

さっきの恐いヨッスィーとはまた違う、自信に満ちてるっていうのかな。
よくわかんないけど、瞳がいつも以上にキラキラしてるよぉ。
思わず頷いてるし、手をブンブン振り回されてるけども・・・いいのかな?応援されてるみたいだし。

ヨッスィーの声援を受けながら歩いていたら、
駅前まで来ていた。。

「あっ、後ちょっとで電車来るっぽい。じゃあ、また明日。」

「うん。バイバイ。」

ニコニコと、ホームまでの階段を降りていくヨッスィーの背中を
見送った後、少しだけ軽い足取りで、他のホームへ降りる。
空いてる椅子に腰を下ろすと、圭ちゃんの顔がうかんできた。


ヨッスィー、圭ちゃんには市井ちゃんがいるんだよ。
後藤が入り込める隙間なんてないんだ。

しばらくして、電車が来た時に、立ち上がった時の足は、
さっきと裏腹に、何かが取り付いてるかのように重かった。
120 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時40分51秒

「「「お疲れ様でしたー。」」」

3人揃って挨拶をして一礼をすると、
重い鉄の扉を開けて、スタジオから抜け出た。
楽屋へ続く廊下は、かなり明るく見えて思わず瞳を細めた。

「今日は、これで終わりですよね?」

「うん。だからもう帰っていいよ。」

「ありがとうございます。今日梨華ちゃんと約束してるんで、
お先に失礼しますっ。」

そう伝えるや否や、ヨッスィーは廊下を小走りで駆けていった。

「ばいばーい。」

「ばいばい。」

曲がり角を曲がった瞬間、ヨッスィーの姿は見えなくなった。
121 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時41分21秒
「後藤。」

「何?」

「ジュースでも飲んでかない?」

「行く〜。奢りでしょ。」

「んなわけないじゃん。自分の分くらい自分で買いな。」

「ケチ。」

「全然、ケチじゃないから。」

硬貨を三枚入れて、ボタンを押すと、ゴロンという音と共に、
緑色のお茶の缶が落っこちてきた。
圭ちゃんのコーヒーは、お茶より少し小さい音で落ちてくる。
「ジュースでも飲んでかない?」と言ったわりには、
2人とも、ジュースじゃない。・・・変なの。
122 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時42分48秒
「あのさ。」

しばしの沈黙の後、口を開いたのは圭ちゃんの方だった。
どこか重い口調で、俯き加減にしゃべりはじめる。

「紗耶香のこと。」

「・・・・」

何を話すのだろうか?
頭がクラクラとしている気がする。
久し振りに聞いた、その名前は、相変わらず艶があって、
今の自分には聞きたくない名前。

「別れた。紗耶香が娘。辞めたのと同時に。」

「・・・なんで?」

なんで?全然わかんない。
だって、市井ちゃんは、もう自由だったはずなのに。
あんなに圭ちゃんも市井ちゃんも好き同士だったはずなのに・・・
123 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時44分23秒
「もう知ってると思うんだけどね。」


「紗耶香が後藤を好きだったから。」

・ ・・・・何、言ってんの?
市井ちゃんは圭ちゃんが好きだったじゃん。
後藤が娘。になる前からずっと。ずーっと。
それに、市井ちゃんは後藤が嫌いだったよね。
憎んでたもん。恨んでたじゃん。あの時の瞳は確かに怒っていた。

「・・・知らなかった。全然知らなかったよっ。」
それに知りたくもなかった。

大きな瞳を、更に大きくした圭ちゃんの表情は、
一瞬にして曇った。

「ごめん。紗耶香はとっくに告白してると思ったから。」

「なんで?」

圭ちゃんの瞳には、まだ市井ちゃんが好きな後藤に見えるの?
それは、今の後藤は、昔の後藤と変わんないってこと?

「えっ。」
124 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時44分59秒
「後藤は、確かに市井ちゃんが好きだったよ。でも、でも今は。」

今、一番好きなのは。
誰よりも大事なのは。
愛しているのは。

初めて、愛したのは。

「圭ちゃんだよ。圭ちゃんが好き。」

・・・言った。言っちゃったよ。
伝えるつもりは、なかったのにな。
けど、市井ちゃんが居ない今。圭ちゃんの隣には、後藤がいたかった。
後藤じゃなきゃ、嫌なんだよ。ただの、我侭にしかすぎないんだけどさ。
125 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時45分41秒
恋への知識なんて、どこかへ吹っ飛んでしまって。
いや、元からなかったのかも知れないけど・・・
順序も、理性も、何もかもが弾けて飛び散ってしまった。

どうしていいのか、わかんなくなっちゃって。

ただ、本能のままに、圭ちゃんの顎に手を添えて・・・キスをしていた。

その光景は、いつだかに見たことのある光景で、
違うのは、市井ちゃんではなく後藤だっていうことだけ。

あの時、見を潜めながら見ていた事が今、目の前にあると思うと、
ぞくぞくと背後に寒気を感じて、涙が頬を伝っていく。
ふと、泣いてるのは、後藤だけじゃないって気付いた。
きっと、圭ちゃんも後藤も、考えてることは同じなんだろう。

2人分の涙は、しばらく止まることは、なかった。
126 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時46分15秒


涙が止まってから、初めて唇が離れていたことに気付く。
幸い、誰も通らなかったが、人がもし通ったらこの光景をどう思うだろうか?
ただ、泣いてる人が2人。それとも、恋人同士に見えたりするのかな?

「・・・あのさ。」

「ん。」

「紗耶香だけじゃなくって、私も、後藤が好きだって思ってたらどうする?」

「・・・えっ。」

「私も、後藤が・・・好きなんだよ・・・」

そう言って、俯き加減に、微笑んでいる圭ちゃんが
ホントに、今までにないくらい愛しく感じた。
後藤を好きでいてくれた圭ちゃんが。
127 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時46分54秒

「だから、紗耶香が、羨ましかったな。」

「・・・あれは、ただの拘束だったんだよ。」

そう。あれは、拘束にしかすぎない。
好きだったかもしれないけど、愛してなんていなかった。
ただ、自分に縛り付けておくだけ。

「でも、後藤が近くにいてくれるんでしょ。」

近くにいるっていうのかな?
近くにいながらも、遠くを見てた気がする。

「まぁ・・・」

「じゃあ、拘束してよ。」

なんて、右手を差し出される。
その姿は、どこか悲しげで、何かに気付いているようだった。
128 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時47分24秒

「・・・しないよ。もう、間違ってるってわかったもん。」

そんな顔しないでよ。
縄なんて付けないい。無理に接ぎとめたりだってしない。

「けど・・・圭ちゃんの一番近くにいたい。」

「・・・」

「だめかな?」

「いてよ。一番近くに。」

「うんっ。」

そう言って、差し出された手をとった。
129 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時48分22秒

・ ・・・二年後・・・・・・・

「奇遇だね。」

「うん。」

「でも、なんとなく気付いてたかも。」

「そう?」

「同じ事考えてる気がしてたもん。」

「あたしは、しなかったけどな。」

「それは、けーちゃんが鈍いからでしょ。」

「うるさいなぁ。」

そう言って、けーちゃんは椅子を立った。
おもむろに掻きあげられた茶色の髪に、シルバーのブレスレッドが、よく似合う。

130 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時50分34秒
「けーちゃん。」

「何?」

「大好き。」

「・・・何言ってんだか。」

けーちゃんは、まんざらでもないように微笑んだ。

「ほら、いくよ。」

「うん。」

そう言って、差し出された手をとった。

131 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時51分05秒



拘束の形を持たない愛は、未だに健在だし、
これから、何があっても、続いていくと、確信している。

Restrictions.  END.



132 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月05日(月)08時57分24秒
はいっ。やすごま、完結です。
ごっちんの卒業日〜保田さんの卒業日までで、
なんとか終わらせました。
今日で保田さんも卒業なんですね。
寂しいんですけど、保田さんの選んだ道なんで
これからも、付いて行きます。

ここまで読んでくださった方。
ありがとうございました。
次回からも、がんばりますので、短編共々よろしくお願いします。
133 名前:名無しミトコンドリア 投稿日:2003年05月05日(月)13時49分42秒
更新お疲れ様です。
今日この小説の存在を知りました…くそぅ、なんで今まで気づかなかったんだ(w
いいですねぇ。初代プッチの三角関係。
市井と保田がいつから後藤の事を好きになっていたのか気になりますね…
番外編みたいなものがもしあったら、読んでみたいです。
是非宜しくお願いします。
134 名前:うっぱ 投稿日:2003年05月06日(火)01時19分08秒
保田さんの卒業と同じにやすごま編を完結するあたり、確信犯ですねぇ。
黒かった後藤さんが白く(?)なって良かったです。
次回作(なちやすでしたっけ?)期待してます。
135 名前:ビギナー 投稿日:2003年05月25日(日)13時25分17秒
遅レスですみません。

ミトコンドリアさん。
ありがとうございます。
番外編ですか、いつかできたらやってみます。
いつになるかは、わかりませんが・・・
気長に待っていただけると嬉しいです。

うっぱさん。
ホントは、こんなにダラダラとなる気はなかったんですけど
もう、この際!と思い、バーンとやってみました。
次回作は、なちやすでございます。
次も、がんばりますので、読んでやってください。
136 名前:ビギナー 投稿日:2003年06月24日(火)18時40分40秒


雑貨屋だったり、ブティックだったりが立ち並ぶ街の中央に、
その場所はあった。

親子。カップル。友達。それか、私のように1人。
それぞれが違うが、1枚の絵のようにまとまっているのは、
この場所だからなんじゃないかな?

風に乗ってきた水飛沫が私の頬をかすめる。
それを拭おうと首を傾けた瞬間、あの子がいた。



137 名前:ビギナー 投稿日:2003年06月24日(火)18時52分35秒


「おぉ。」

よく見知った、相変わらず可愛い顔があり、思わず声がでた。
驚いたというよりは、軽く挨拶でもしたような声。

「何その反応は?もうちょっとびっくりとかしてよ。」

「いや、いつも会ってるし。」

「一週間ぶりなんだけど?」

「そうだっけか?」

毎日のようにここ何年間も、顔を合わせてるんだから、
別に、一週間も一日もあんまり変わんないと思うけど・・・

「そうですぅ。まぁ、しょうがないか。圭ちゃんだし。」

「・・・・」

そうやって、ニッ、と笑う笑顔は、嫌味っぽくなく、
気にさわるようなことを言われた気がしない。
これも、才能の1つなんだろう。
138 名前:ビギナー 投稿日:2003年06月24日(火)18時53分12秒

「それより圭ちゃん1人?それとも待ち合わせとかかい?」

「いや、1人だよ。ぶらぶら買い物してたとこ。」

そんな質問がとんできた所で、
なんとなく、一緒に買い物に行くことになるんじゃないかな?って思った。

「じゃあ、なっちも一緒に行っていい?」

「かまわないけど・・・」

やっぱり。
なっちゃんは、分かりやすい。
まぁ、変に、遠まわしにされても困るんだけどね。

「じゃあ、レッツ・ゴー!」

その掛け声とともに、私達は、腕を組み、颯爽と歩き出した。

噴水に、背を向けながら。
139 名前:うっぱ 投稿日:2003年06月26日(木)02時31分54秒
ついに始まりまひたね、なっちゃん圭ちゃん
かなり綺麗な始まりに期待しておりまふ。
140 名前:ビギナー 投稿日:2003年07月10日(木)19時04分56秒
うっぱさん。
始めましたよー。うっぱさんの足元にも及びませんが、
がんばって書いてくので、よろしくお願いします。

なちやすで、圭ちゃん総受けって難しい・・・
けど、がんばります。
141 名前:ビギナー 投稿日:2003年07月10日(木)19時05分32秒

「なっちゃん。」

私は、彼女をプライベートでは、こう呼ぶ。
理由は、いつも彼女が呼ばれている愛称だと、
「なっち」=「安倍なつみ」があまりにも世間に定着してしまっているためで、
特に、深い意味はない。
ただ、なっちゃんは、この呼ばれ方がけっこう気に入っているらしい。

「なんだい?」

「どこ行くの?」

142 名前:ビギナー 投稿日:2003年07月10日(木)19時06分02秒

さっきまで人通りが多かった所と違い、どっちかっていうと、裏道の方で、
静かな落ち着いた雰囲気が漂っている。
この道は、知らない道じゃないけど、なっちゃんが好むようなお店が
あったとは思えない。だから、ちょっと心配になってちょっと声を掛けて見た。

「へっ。圭ちゃんが知ってるんじゃないのかい?」

「・・・いや、歩き出したのなっちゃんだし。」

「だってさぁ・・・どこいくの?」

「なっちゃんがどこに行きたいかによるけど。」

「じゃあ、えーっとねぇ、お腹すいた。」
143 名前:ビギナー 投稿日:2003年07月10日(木)19時12分23秒

そう言って、お腹に手を当てつつ、こっちを見つめてくる。
なんとなく目が合わせられなくって、私は、逃げるように歩き出した。

「ちょっと、どこ行くの?」

「パスタでいい?」

「いいけど・・・」

「・・・置いてくよ。」

「待ってよー。」
小走りで負いかけてきたと思ったら、
腕に再び、重みが掛かって、足音がどことなく軽快に聴こえた。


144 名前:うっぱ 投稿日:2003年07月12日(土)05時27分27秒
……あ、甘ぁ〜

>私は、彼女をプライベートでは、こう呼ぶ。理由は、〜 特に、深い意味はない。


こういう些細な違いで仲間以上の関係を築こうとする保田さん。
カッチョイイです。
145 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月14日(木)22時00分42秒
keep
146 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)18時58分52秒
「さすが、圭ちゃん。」

「何が。」

「このお店、すごく雰囲気いいね。」

「そう?けっこう前に、見つけたんだけど、人連れてきたの初めてだから、
気に入ってもらえて、良かったよ。」

窓から、サラサラと差し込む日差しに照らされたテーブルに手を置き、
先ほど頼んだパスタがくるのを、待っている。
その間も、なっちゃんは、ずっとしゃべっていて、
私は、ほとんど相槌をうつだけ。
テレビ番組の話、家族の話、メンバーの話と、尽きることのない話に、
耳を傾ける事は、とても楽しかった。
147 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)18時59分31秒

丁度、犬の話をしている時に、2つのパスタが到着した。

「おいしそー。」

素直な感想が、とても可愛いい。

『いただきます。』

スプーンとフォークを取ると、丁寧にソースに絡めながら食べる。
なっちゃんが、キノコのクリームスパゲッティで、
私が、トマトソースのペンネ。

「圭ちゃん、アーン。」

自分のパスタを、私の目の前に、突き出してくる。
楽屋では、別に当たり前にしていた事が、プライベートだと
恥ずかしくなるのはなぜだろうか?

それでも、断ったらとても悲しそうな顔をされそうで、
少し体温が上がるのを感じながらも、素直に口を開けた。
148 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)19時00分13秒
「おいしい?」

「うん。」

「・・・圭ちゃん、赤いよ?」

「気のせいでしょ。」

そう言って、できるだけ平然を保って、顔をトマトソースのペンネに向けた。

「ねぇねぇ、なっちにもして?」

・・・来ると思った。
相変わらず、なっちゃんは分かりやすい。

ペンネのいくつかをフォークに団子のように刺すと、
ソースが垂れないように、しばらくタイミングを見計らってから、
なっちゃんの顔の前に突き出す。

149 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)19時01分07秒
「はい。」

「ア〜・・・ン。」

「どう?」

「トマトの味。」

「そりゃ、トマトソースだから。」

「じゃなくって、いつもよりトマトの味ってこと。」

「・・・そう。」

全然意味わかんない。
トマトソースは、トマト味じゃん。
いつもより、トマト味って事は、いつもは、普通にトマト味って事?
なんだそれ?

「圭ちゃん、意味わかってないでしょ。」

「うん。」
150 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)19時02分02秒

「だから、なっちが言いたいのはね、野菜としてのトマトの味が
普通のトマトソースより、するってことなんだよ。」

「わかったような、そうでもないような・・・」

「じゃあね、んー・・・ミートソースと、このトマトソース、
どっちが、生のトマトの味がする?」

「こっち。」

自分の目の前に、置かれた皿を指で示すと、なっちゃんは、
満足げに、微笑んだ。

「そういうことだよ、圭ちゃん。やればできるねぇ。」

いや。私なんかバカな子みたいな扱いなんですけど・・・
まぁ、取り合えずなっちゃんの言いたい事が、わかったので良しということで。
151 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)19時02分46秒

「圭ちゃんには、賞金として、キノコをプレゼント〜。」

キノコは、お金じゃないと思う・・・というのは、口出したら
また、色々と言われそうなので、止めておいた。

「ア〜ン。」

「ん。」

口の中には、ほのかな苦味が広がった。


そこからは、会話も減り、自らの食事に専念する。
パスタ、デザート、最後に、コーヒー。なっちゃんは、紅茶。

会話がなくても、けして悪い雰囲気ではなく、
むしろ、心地よい空気が2人の間を通り抜けていった。
152 名前:ビギナー 投稿日:2003年08月29日(金)19時09分13秒
久々の更新、申し訳ありません。
大人な、ヤッスーで、子供な安倍さんで、
はたして、大丈夫なのでしょうか?

うっぱさん。
いつも、ありがとうございます。
甘く、思っていただけてありがたいです。
そて、今回の、保田さんは、一味違います。
カッケーです。取り合えず、今のところは。

153 名前:jinro 投稿日:2003年08月30日(土)17時13分13秒
(●´ー`)<賞金としてキノコをプレゼント〜
…ワロタ。
154 名前:うっぱ 投稿日:2003年09月03日(水)07時40分06秒
>「圭ちゃん、アーン。」「ねぇねぇ、なっちにもして?」

この台詞から、なっちゃん=5歳児を想像してしまいまひた。

しかも、前々作のいいださん、前作のごとーさんとは違って甘すぎます。
大人の保田さん、果たしてどこまでなっちゃんを許容するんでしょうか?
楽しみに待っとりまふ。

155 名前:うっぱ 投稿日:2003/10/10(金) 17:27
首を長くして待ってまふ。
156 名前:ビギナー 投稿日:2003/10/12(日) 00:30
jinroさん。
ありがとうございます。
なっちゃんは、お子様なので・・・

うっぱさん。
ありがとうございます。
甘いモノを、好きならとことん甘くしようと思いまして。
幼児な、なっちゃんが、保田さんは、可愛くてしょうがないので
ついつい、甘やかしてしまいます。

157 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 01:56

「フー。お腹いっぱいだよ。次は、どうするんだい?」

店を出ると、なっちゃんは、軽くお腹をさすりながら、
何かを求めるように、訊ねてきた。

「なっちゃん、行きたい所とかある?」

「アクセサリー見たい。」

「なっちゃんのオススメの店とかあるの?」

「よしっ。じゃあ今度は、なっちが圭ちゃんをエスコートしてあげよう。」

軽く胸をはり、王様口調で言うなっちゃん。
私の手を取り、歩き出す。

158 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 02:03
「あ・・・・」

思わず離された私の手。
ぬくもりだけがそこに残る。
少し曇ってしまった表情が、胸に軽く突き刺さった。

「どした?」

「ここどこ?」

「○○通りの、裏の方だけど。」

「・・・・△△通りまで、どうやっていくのか、わかんない・・・」

また、道もわからず歩き出したと・・・
あいかわらず、ホントなっちゃんらしい
ただ、さっきよりは、随分早く、気付いてくれたので、まぁ、許す。
って、なっちゃんを、許せなかった事なんて1回もない気がするけど。
159 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 02:04
「じゃあ、私が△△通りの前まで、連れてくから、
そこから、なっちゃんが、連れてってよ。」

「うんっ。」

「それじゃあ、いこっか。」

そう言って、今度は、私から手を握った。
迷子にならないようにとかじゃなく、早く、手のぬくもりを取り戻したかった。


160 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 02:05

歩くこと、10分と少々。
世間話に花を咲かせながら、歩いていると、
△△通りの前まで、やってきた。

「おぉ。着いたよー。じゃあ、こっからはなっちが。」

「よろしく。」

「よしっ。がんばるぞー。」

「・・・がんばれー。」

ただの道案内でも、なっちゃんはがんばるらしい。
そんななっちゃんに、エールを送ると、逆に拗ねてしまった。

「なんだい、圭ちゃん。なっちが今から名誉挽回するっていうのに、
そのやる気のない声は。」
161 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 02:07
「いや、別にがんばるほどのことでも・・・」

「いいの。なっちはいつでも全力疾走なんですー。」

全力疾走って何さ?・・・まぁ、もういいや。
さっきから、つっ立ってるだけで、全然進んでない。
「うん。もう、いいから行こう。ここれ以上やってると目立つし。」

「あ・・・そうだね。行こっか。」

軽く握っていた手を、今度は握られ、歩き出す。
人をスイスイと避けて、私の幾分か先を歩くなっちゃんの背中は、
どこかいつもの幼い彼女ではなく、都会の雰囲気を薄く身に纏った、
大人の女性の背中の気がした。

162 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 02:09
会話もなしに、引っ張られるままに、歩いていく。
ふと足が止まったのは、あまり人気のない、それでも感じのいい、
シンプルなお店だった。

「ここ?」

「そだよ。」

振り返ったなっちゃんの表情は、いつものなっちゃんで、
都会の大人ではなくて、どこかとても安心した。

「いいとこだね。」
163 名前:ビギナー 投稿日:2003/11/02(日) 02:09

「でしょ。」

ブームとかは、意識せずに、そこ独自のモノがある。そこが、なっちゃんの
お気に入りらしい。

「入ろ。」

そういって、私の手をスルリと抜けていった。
寂しくなった手の寂しさに気がつかないように、私は、なっちゃんの後を
追って、店の扉を押した。
164 名前:うっぱ 投稿日:2003/11/03(月) 02:23

言う事は一人前なのに、いざ行動するとヘナチョコななっちゃんが良いですねぇ。
それに、手を握ったり離したりしただけで、切なくなる圭ちゃんがグー。

極めつけはそんな二人の世界が依然甘ったるいのなんの……。
続きがものすごく気になるーっ!
165 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/08(月) 03:31

続き、待ってます。
166 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/03(土) 00:26
待ってます
167 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:03
お待たせいたしました。申し訳ございません。
ちょっと色々ありまして。

うっぱさん。
いつも、読んでいただいてありがとうございます。
この、2人の世界は、甘いですね。
何にもしてなくても、無意識に甘くなります。

165さん。166さん。
お待たせいたしました。
放置は、しませんので、良ければ時々覗いてください。
168 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:03

「いらっしゃいませ。」

20代後半にみえる容姿の女性店員が1人。
見た目は、すごく落ち着いていて、嫌味な感じのまったくない、完全に大人の女性。
その微笑みには、余裕の色が伺える。

「こんにちは。お久し振りです。」

「あら、なっちゃん、久し振り。」

「・・・なっちゃん、知り合い?」

なっちゃんの事を、「なっちゃん」と呼ぶ、人。
それだけなのに、胸のどこかに不安を覚える。
169 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:05

「うん。この人はねぇ、お姉ちゃんの、部活の先輩で、
よく家に遊びにきてたんだ。けっこうなっちも相談とか乗ってもらってたの。」

「そうなんだ・・・はじめまして。保田圭です。」

「はじめまして。ご活躍は、よくテレビで。」

「ありがとうございます。」

軽く、頭を下げて、再び向き直ると、また、何かも包み込めるような
微笑みが、目にはいった。
私には、まだまだ程遠いような大人すぎる微笑み。

170 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:06

「ゆっくり見ていってくださいね。」

「はい。」

「圭ちゃん。これ見てー。」

「ん?何?」


なっちゃんに呼ばれて正直助かった。
なっちゃんのお姉ちゃんの先輩さんの瞳は見つめてしまうと逃げられない。
別に、恐いとかじゃないけど、なんとなく気まずい。

「これ、可愛くないかい?」

「いいじゃん。なっちゃんに、似合うよ。」

天然石がいくつか通されたチョーカー。
手作りらしく1つ1つの形が微妙に違うが、それがまた良い。
171 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:07

「ホント?じゃあ、買っちゃおうかな。」

「色は、どれにするの?」

「あー、どうしようか。圭ちゃんは、赤いヤツとか、似合うんじゃない?」

「えっ、私?私は、別に・・・」

「えぇ。圭ちゃんも買おうよ。」

「・・・わかった。じゃあ、なっちゃんも、買ってよ。」

「うん。圭ちゃんは、なっちのは、どれがいいと思う?」

「そーだねぇ・・・今日の服の感じからいくと、この薄い水色っぽいのとか。」

なっちゃんには、淡い色が良く似合う。
素朴な感じが、すごく引き立って、等身大な、なっちゃん。

172 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:07

「いいねぇ。キレイ。」

「後は、このピンクとかもいいと思うけど。」

「んー、水色にする。圭ちゃんは、やっぱ赤?」

「うん。なっちゃんが、決めてくれたから。」

「へへっ。なんか嬉しいね。じゃあ、これは、なっちが買ってあげる。」

「えっ。」

私の手から、赤いチョーカーを抜き取ると、
スタスタとなっちゃんは、レジの方へ歩いていってしまった。

「ちょっ。いいってそんなの悪いし。」

「いいの。いいの。なっちからのプレゼント。」

「じゃあ・・・なっちゃんのは、私からのプレゼントにさせて。」

「へっ?」

「うん。そうしよう。」

さっきなっちゃんがしたように、なっちゃんの手から
水色のチョーカーを抜き取る。

173 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:08

「すいませーん。これください。」

「はい。」

後ろから、その光景を見ていた、なっちゃんのお姉さんの先輩さんは、
軽く笑いをこらえている様な顔で、レジを打ち始めた。

「なっちゃん、良かったわね。」

「はい。ありがとうございます。」

そういって、なっちゃんはピッタリの料金を払うと、
ニコニコとしながら、

「はい。次、圭ちゃん。」

と、レジの前を譲ってくれた。
そこで、なっちゃんのお姉さんの先輩さんと、目が合う。
やっぱ、どことなくきまずい。何か、すべてを知られてしまっている気がして。

174 名前:ビギナー 投稿日:2004/01/25(日) 22:08

「お願いします。」

「そんな、かしこまらなくてもいいのに。」

「あ・・・はい。」

フフッ。そう、笑われた気がした嫌味じゃない優しい響き。

「ありがとうございした。」

「どういたしまして。」

「んじゃ、圭ちゃん、いこっか。」

「そうだね。おじゃましました。」

「いえいえ。良かったら、また来てね。」

「はい。」

「さよなら〜。」

なっちゃんが、そう言い残して、お店のドアを開いた。
外の空気は、ここの中とは、別の空間で、
冒険で、洞窟の中から抜け出る様な感覚がした。
175 名前:うっぱ 投稿日:2004/01/27(火) 05:48

更新期間が空いても、ちゃんとチェックしてまひた。

あいも変わらず甘いお二人……と思ったんですが、
なんだか妙に爽やかな気分になりまひた。
なんででしょうね?

176 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 15:57
いつもいつも、本当に遅くて、申し訳ございません。
それでも、読んでいただいてる方、ありがとうございます。
何度、言っても足りないくらい、感謝です。
これからも、ホントにチマチマ、亀より遅いペースかも
しれませんが、がんばっていきたいと思います。

うっぱさん。
いつも、感想ありがとうございます。
空きまくりでごめんなさい。
爽やかですか。じゃあ、ちょっと口直しの様な感じ
でしたでしょうか?違った雰囲気も感じていただけて
何よりです。
177 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 15:58

「もう夕方だねぇ。空が赤いもん。」

赤と青のグラデーション。
後、30分もすれば日が暮れるだろう。

「なーんか、夕方になると寂しくないかい?
室蘭に帰りたくなるよ。圭ちゃんは、平気?」

「いや、やっぱちょっと切なくなるよ。
なっちゃんほどじゃないけど、1人で家にいたりするとね。」

「やっぱ、みんな同じなのかなぁ。・・・ねぇ、今度さ、圭ちゃんも、室蘭来てよ。」

「えっ?なんでまた急に。」

178 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 15:59

「なんとなく、圭ちゃんと帰りたいなぁって思って。
圭織とかは、家に来たことあるんだけどね。」

「じゃあ、なっちゃんも来てよ。なんもない所だけどさ。
結構、田舎だから、気に入ってもらえるんじゃないかな。」

「うん。」


沈黙。
周りの人の声がすごく遠くに聞えるくらいの沈黙。
その間、なっちゃんは何かに浸っていたようだけど、
私は、ただ隣で黙々と足を進めるなっちゃんが
気になって仕方がなかった。
気まずいわけではないけど、ソワソワする様な感じで落ち着かない。
まるで・・・そう・・・少しだけだけれど・・・・恋をしているような・・・
なんとなく、そんな気分だと思う。
恋の仕方を忘れたって、ずっと思ってたけど、こういうのって
直感的に、感じるものなんじゃない?
だから、つまりは・・・・・・・・・・って、私何考えてんだろ。
なっちゃん相手に、どうして。
179 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 16:00

このまま、沈黙を守っていったら、私は何を考え出すか、
わからなくって、どうでも良いことを口にすることで
なんにも考えられないようにしたくって、
だから、話題を探す。変な事とか、どうでもいい事とかじゃなくって、
すごい普通で、当たり前の話題。
そうだ、次の行き先を聞いてなかった。


「・・・あのさ。」

「ん?なんだい。」

「次は、どこ行くの?」

180 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 16:01
「噴水のトコ、戻ろうと思って。」

「戻るの?」

「うん。なっち、あそこ好きだから。」

「へぇ。」

好きだから戻る。わかるような、わからないような。
なっちゃんらしいと言えば、らしい。
別に、戻って困ることことはないわけだし、いっか。


181 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 16:27
さっきまでの沈黙は、なんでもなかったように、
楽しい会話が続いた。
あんまり、しゃべりが得意なワケではないけど、
沈黙になるよりずっといい。

「圭ちゃん。ちょっと、寒くないかい?」

「まぁ、夕方だしね。しょうがないでしょ。」

今日は、なっちゃんが長袖の、シャツの羽織っているのに対して、
私は、ノースリブとまでは、さすがに、いかないまでも、
めずらしく半袖だった。

「うわっ。圭ちゃん冷たいよぉ。」

二の腕に、ぺタッと触られて、一秒もしない内に離れていった。
それなのに、腕は、戻ってきて、くるりと、腕に絡みついた。
182 名前:ビギナー 投稿日:2004/03/13(土) 16:27

「何?」

「いや、これなら、圭ちゃんも暖かいでしょ。」

「でも、なっちゃんは、冷たいでしょ。いいの?」

「いいの。いいの。しばらくしたら、一緒の温度になるべ。」

ホントは、こんなことされたら、またさっきと同じことを
考えてしまいそうで、振り切ってしまいたい。
けど、なっちゃんに、そんなことできるワケなくて、
腕だけじゃなくて、顔の温度も上がっていくのを
ばれないようにするしかなかった。


「あっ、ほら、戻った。」

そう言ったなっちゃんの目の先には、
緑や青、赤や黄色にクルクルと色を変え、
キラキラと光る、昼、なっちゃんと会った時とは
違う表情の、都会の色をした、噴水があった。


183 名前:うっぱ 投稿日:2004/03/18(木) 01:30

今度はどこかほのぼのとしてますね〜。
でも、ここからどうやってなっちゃんが圭ちゃんを……
ハッ!! 変な妄想をしそうに……。
次回更新が気になりまふ。

184 名前:ビギナー 投稿日:2004/06/03(木) 23:37
全然あげられなくて申し訳ございません。
時間がないんです。
展開は考えてるんですが・・・申し訳ないです。はい。
うっぱさん。
いつもありがとございます。
なっちゃんとケメコだとどうしても文章に
緊張感がなくなるというか、ほのぼのするというか・・・
まぁ、能力不足なんですけどね。
次回は、できるだけ早くします。
がんばりますね。
185 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/06(火) 16:55

「ちょっとディズニーランドに来た気分になるべ?」

なっちゃんにそう言われると確かに、噴水のあるその場所だけが、
夢のテーマパークだった。
ここにいれば、嫌な事なんてないんじゃないか。なんて思っちゃうくらい。

「んー、7時か。圭ちゃんなんか用事あったりするのかい?」

「いや、別にないけど。」

「じゃあ、なっちの家に来てよ。ご飯作ってあげるからさ。」

さっき、あんなこと考えてただけに少しばかり意識してしまう。
けど、そんな理由で断ったりしたらせっかくの好意が申し訳ない。

186 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/06(火) 16:55
「いいよ。なっちゃん家って、最寄△×駅だっけ?」

「材料は、昨日買い物したからあるんだ。だから、直行しましょ。」

「はいよ。」

私達は、再び腕を組み歩き出した。

噴水に、背をむけながら。




187 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/06(火) 16:56

コツコツという包丁の規則正しいリズム。
ポコポコとお湯が沸く音。
少しして、コツコツがやみ、冷蔵庫のボーッて音。

なんだかなぁ。
なっちゃん家につくなり、冷たいウーロン茶を一杯飲んで、
それから、なっちゃんは料理を始めてしまった。
手伝うよ。なんていったら、お客様なんだからね。と
台所から、追い出されてしまって・・・まぁ、出来る事なんて
かぎられてるけどさぁ。

テレビ相手に遊ぶのもいい加減飽きた頃で、自分の鞄を
ごそごそやっていたら、さっき一緒に買ったチョーカーがでてきた。
食後にでも、渡さなきゃ。
忘れないように、鞄の上に置いたら、丁度完成したらしく、
およびの声が掛かった。
188 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/06(火) 16:56

「圭ちゃん。ちょっと運ぶの手伝って欲しい。」

私は、どうしてか呼ばれたのが嬉しくて、
早歩きで台所まで向かった。

「じゃ、これお願いね。」

渡されたのは、野菜のたくさんのったうどん。
自分じゃとても作れない。

「なっちゃんすごいねー。おいしそう。」

「おいしいよぉ。なっち特性。」

ヘヘッ。と少し得意げななっちゃんは可愛い。
料理もできて可愛くて、ホントお嫁さんにしたいナンバー1だよ。

189 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/06(火) 16:59
すっごくスローペースで書いていたら、
一年過ぎてしまってすみません。
これから、テンポ良くラストにいけたらいいな。と思っているので
もし、まだ付いてきてくださってる方がいたら、
どうぞ、よろしくお願いします。
190 名前:うっぱ 投稿日:2004/07/07(水) 03:27

なんだか、ほのぼのしてきましたね。
さてさてこれからどうやって○○○するでしょうか?
続き、いくらでも待ってますので。
(ちゃんと最後まで付いていきますよ〜)


191 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/11(日) 14:19
ビギナーさんのなちけい最高です。
ビギナーさんのペースでこれからも頑張ってください。
192 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/22(木) 02:48
うっぱさん。
ありがとうございます。
待っていてくださる方がいると、がぜんやる気がでます。
最後まで、がんばりますよ〜。

191さん。
ありがとうございます。
最高だなんて言葉がいただけるなんて、幸せいっぱいです。
がんばりますので、よろしくお願いします。
193 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/22(木) 02:50
「「いただきます。」」

冷たいうどんは喉をスーッと通っていって気持ちいい。
ヘルシーで、普通においしいし、言うことなしだね。

「おいしいね。」

「だから言ったっしょ。おいしいって。」

ズー・・・ズズゥー・・・・・・・
シャキシャキ・・・・

暫くうどんを啜るような音だけが響く。
食べ終わり、手を合わせていると、なっちゃんも後一口二口で、
一緒にご馳走様するから待ってて。と合わせた手は
なっちゃんによって、下ろされた。

「ん。終わった。せーの「「ご馳走様でした。」」

194 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/22(木) 02:51
八分目なお腹を抱えて、器を自分で流しに持ってこうとするとこれまた止められる。
器2つ、箸4本は持ってかれてしまった。

帰ってきたなっちゃんの手には、2杯のウーロン茶。

「はい。どーぞ。」

「ありがと。」

氷がくるりと回って。唇に付いて冷たい。
それでも、ウーロン茶はおいしい。

「圭ちゃん。」

「ん?何」
195 名前:ビギナー 投稿日:2004/07/22(木) 02:52
なぜだか、すごく緊張した面持ちのなっちゃんは、
私の目を見てるわけではなく、私の襟元らへんを見てるようだ。

「あのさ。すごくワガガマなんだけどね。
今からなっちが言う事、忘れて欲しい。」

「えっ?」

「なっちの独り言だと思って・・・ほしいな。」

できるなら、独り言にして欲しくないような目で
私の襟元を見つめるなっちゃんに、どうしてあげたらいいのかわからず
ただ、次の言葉を促す事しかできなかった。
緊張と不安が入り混じった声で。

196 名前:ナナシー 投稿日:2004/07/22(木) 09:41
ああ〜
何かものすごく良い場面でおあずけですか…
この先、甘甘な展開を期待しながらまっていますので、頑張ってください。
197 名前:うっぱ 投稿日:2004/07/24(土) 17:58

ついに安倍さんがぁ……ってとこで次回ですか。
ん〜、焦らされる分、期待しておきます。
198 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/02(土) 02:28
ナナシーさん。
甘甘な展開になっているでしょうか?
最後までアップするので、気に入っていただけたら幸いです。
うっぱさん。
いよいよ、終わりですよ。
期待にそぐえていなかったらすみません。

ではでは、なちけいラストです。
199 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:29
「いいよ。」

「あのね・・・・・」

「はい。」

「えーっと・・・・」

「うん。」

「なんかね・・・・気付いたらだったんだけどさぁ・・・」

だんだん赤みがかる頬。
きつく結ばれている拳。
不謹慎にも、これを可愛いと思ってしまった私の緊張と不安は、
大部分どこかへ行ってしまった。
不思議となっちゃんといると、ヤスラギが生まれる。
 
200 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:30

「・・・好きなのね。絶対。」


「?」

「・・・」

「何が?」

「・・・・・・・・圭ちゃんの事。」



頭ん中がグルグルグルグル・・・・
飛んでいった筈の、緊張と不安が一瞬にして舞い戻ってきた。
どうして。なんで。聞き間違い?
・・・好きだって・・・・私の事。
誰が?なんて聞かなくたって解る様な表情。
見てるこっちが気の毒になる。
グッと深く俯いて、何かに耐えてる。
201 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:32

ヤダ。見てたくない。辛い。
こんななっちゃんにしてるのは私?


そんなの嫌だ


・・・じゃあどうすれば?


私がなっちゃんのこと好きなら・・・


・・・けど・・・・・


「ごめんっ。なっち、圭ちゃんのこと困らしてるよね。
あの、忘れてくれていいからさ。ホント、冗談だから。ねっ。
なっち・・・・圭ちゃんのことっ・・・困らせたいわけじゃないのに。」

顔を少しあげて、辛そうに笑って、そんでもって、
「忘れて」なんて忘れられるわけがない。
おまけに、唇かみ締めて、涙なんて流されたら、尚更。


彼女のために、私が今できることは?

202 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:32

「なっちゃん。」

「ん?」

思ったより、弱々しい私の声。
怯えた瞳が、心に突き刺さる。
こんなに痛いのは、生まれて初めてかもしれない。

「私・・・なっちゃんのそんな顔、見たくない。
もっと、なっちゃんには笑っててほしい。
今は、まだ・・・なっちゃんのこと、なっちゃんの言う意味で
その・・・好きとか解んないんだけど、でもっ・・・
なっちゃんのこと、すごく大事だと思う。
・・・だから・・・・・お願い。そんな顔しないで。」

目の焦点を上手く合わせる事ができなくて、
真っ白な頭で感情のままに、口が動いた。
これが、今私にできること。
嘘なんか付けない。これが精一杯な素直な感情。
他にどうする事もできない自分が悔しい。
なっちゃんだって、こんな弱いところみたら、
後悔しちゃうんじゃないかな。私を好きになったこと・・・・
203 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:33

そう思ったら 壊れたように伝う涙

嫌われたくないんだ なっちゃんに


「圭ちゃん。」

「・・・」

「なっちねぇ・・・嬉しいよ。」

ハッと顔を上げると涙を拭いつつ、笑顔を向けている、なっちゃん。
彼女には笑顔が一番よく似合う。

「圭ちゃんが、なっちの事、嫌いになっちゃうかもって思ってたからさ。
それに、好きか解んないって事は、チャンスはあるってことだよね。」

「えっ・・・」

204 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:34
「なっち、絶対圭ちゃんのこと夢中にしてみせるからね。
立候補させてよ。圭ちゃんの恋人さん。」

そういいながらヘヘッと照れ笑いを浮かべて、
少し頬を赤くしているなっちゃん。

こんな可愛いくて、良い子に好かれちゃってるなんて、
私は、かなり幸せ者だ。

「ありがと。私、なっちゃんの事、好きになりたいって思うよ。
だから、その・・・お願いします。」



「圭ちゃん、今日泊まってきなよ。もう遅いしね。」

「でも、迷惑じゃない?まだ、タクシーとか使えば
帰れなくはないし。」

「なっちが泊めたいんだ。泊まってってよ。」

「じゃあ、遠慮なく。」

いいのか?って思った。告白して返事もまだ曖昧にされている相手を
泊めちゃうなんて。けど、確かに遅いのは事実だし、
帰る気力がそんなに残ってるわけじゃない。
だから、お言葉に甘えて。
205 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:35

シャワーを借りて、新しくしまってあったパジャマまで借りて、
準備がまったくないお泊りというものは、けっこう大変。
何から何まで借りてしまって、恐縮してしまう。
今度何か奢んなきゃ、と思いながら、テレビを見てたなっちゃんに声を掛けた。

「シャワー、先にいただいたよ。なっちゃんもどうぞ。」

「ん。じゃあ、できるだけ早く出てくるから寝ないで待っててね。」

スッと立ち上がると、私の髪を軽くなでるようにしてから
何もなかったように、立ち去っていった。

残された私は、柄にもなく赤面しながら、しばらくぼう然としていた。
あの告白を思い出して、変に意識してしまってる自分がいる。
でも・・・本当に好きなのか。と聞かれたらやっぱり自信がない。


206 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:36


洗面所から聞えるドライヤーの音が止んで、1分もしない内に
なっちゃんはやってきた。

「もう、寝よっか?明日は、圭ちゃんも一緒の仕事でしょ。」

「うん。久し振りに。」

たいして見てもいなかったテレビを消して、戸締り、電気。
音も光もない部屋へと、だんだん変わっていく。
こんな空間では、不思議と心拍数は上がっていって、
隣にいるなっちゃんに聞えてしまっているんじゃないかって
心配になる。だからって、無理に色々話すこともできずに
半歩後ろを付いて回っている。ぐるぐる・・・回る想いと供に。
207 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:37

「圭ちゃん、ベッド使ってね。」

「えっ、いいよ。そこまでしてもらったら悪いし。」

「いいんだってば。なっちがしてあげたいの。」

「・・・・・じゃあ、ベッド借りるね。」

あんな目で見られたら、断りようがないじゃない。
潜り込んだなっちゃんのベッドは、なっちゃんの匂いでいっぱいで、
恥ずかしくなる。

「おやすみ。」

「おやすみ。」

遂に、スタンドの電気も消され、真っ暗闇が出来上がった。
布団のこすれる音が変に大きく、神経を持っていかれる。

けど、私はものの3分もしない内に熟睡していたんだと思う


208 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:38


気が付いたら朝で、隣の布団には誰もいなかった。
・・・・自分でも驚くほどの熟睡。
自分の布団だろうが、こんなことはあまりない。
なっちゃんの匂いは、私を安心させるのだろうか?
昨日は、恥ずかしかった気がするのに。

「けーちゃんっ。おはよう。」

元気よく扉を開けて入ってきたのは、このベッドの持ち主。
なっちゃんって朝、こんなに元気な人だったっけ?

「おはよう。」

「朝ごはん、作ったからはやく食べて。」

「・・・朝から、元気だねぇ。」

カーテンがシャッ潔い音を立てて、開け放たれる。
今日も快晴だ。

209 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:39

『いただきます。』

サラダだの、スープだのと、立派な朝ごはんに手をつけ、
トーストに塗るべくマーガリンを探す。

「なっち、可愛い奥さん欲しいからさ。」

「エッ」

「はい、マーガリン。」

「ドーモ・・・ってなっちゃんが奥さんじゃないの?」

「なーに言ってんのさ。なっちは、圭ちゃんの旦那さんだもんっ。」

「へー・・・・」

その見てるだけで暖かくなってしまう笑顔に、
奥さんになるかどうかは兎も角としても、
ハマッてしまうのは、時間の問題だと思う。


Do I love you ? END.
210 名前:ビギナー 投稿日:2004/10/02(土) 02:42
次に、やぐやすで行きたいと思います。
今までとは、少し違う形になっていく予定なので、
苦手な方は、ご注意くださいね。
211 名前:ナナシー 投稿日:2004/10/03(日) 05:14
なちけい完結、お疲れさまでした。

圭ちゃん、頭が追い付いてこないだけで、心の中はもうなっちゃんでイッパイになっている気がしました。

次のやぐやすも期待して待っています。
212 名前:うっぱ 投稿日:2004/10/04(月) 01:49

読み応えのあるなち圭でひた。
なっちゃんの独白の辺りが良かったですね。
ますます嵌ってしまいまひた、この二人に。

お次はやぐやすということは一生懸命なやぐさんが見れる?
と、密かに期待してお待ちしてます。
では、また
213 名前:名無し読者。 投稿日:2004/10/29(金) 21:16
やぐやす、どんな話になるのでしょうか。
楽しみに待っています!
214 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/13(土) 18:15
さてさて、少しなんですけどやぐやすを始めたいと思います。
良ければ、お付き合いください。

ナナシーさん。
ホント、あの2人は時間の問題です。
いつまでも、ほんわかしたドタバタ感を大切にしてもらいたいです。
やぐやすがんばりますよ。

うっぱさん。
なっちゃんは、夜と朝で性格違ってる気がします。
私も、この2人が大好きです。
やぐやすでは、矢口さんに無駄にがんばってもらいますんで。

213さん。
やぐやすは非現実度が、今までの3割増くらいになる予定ですが
良ければ、長い目で見てやってくださいませ。
215 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/13(土) 18:16


「やぐちぃ…あの…今日無理になった。ごめん」


女の勘ってヤツは案外当たるんだ


216 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/13(土) 18:17


今日の仕事がすべて終わった夕方5:30
明日から2人ともオフだと言うことに、遠足前の小学生のような気持ちでいたのに
今現在、すでに仕事は終わりマンションに帰っているだろう彼女からの
か細い声の留守電で、サッと体温が2℃くらい変わった。

怒りのようで、不安もあり、何があったのかを確かめずにはいられない。
焦りで言うことを聞かない手で、電話帳をスクロールさせていく。

「もしもし。圭ちゃん?」

「…矢口。今日は、ちょっと無理になっ」

皆まで言わせず、言葉を渡る。聞きたいのはそんな事じゃない。

「なんでっ?」

217 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/13(土) 18:18

「…ごめん。理由は言えないけど…とにかく今日は無理だから」

「……行くから。絶対、行くからっ。じゃっ」

どこか怯えた声。それでも、平然を見せようとした彼女。
そんな態度が気に障ってか、思わず怒鳴ってしまった。
罪悪感がないとも言えないが、そんなの3割にも及ばず、
相変わらず、怒りと不安が溢れていた。

挨拶も疎らにスタジオを出ると、タクシーに飛び乗って、
運転手さんにマンションの住所を告げた。

218 名前:名無しさん。 投稿日:2004/11/20(土) 22:35
早く続きが読みたい!

やぐやすの関係は、どのような関係なんだろう。
う〜 気になる〜

219 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/24(水) 23:02
218さん。
ありがとうございます。
今回は、できるだけ早く書き進めていきたいんで
がんばります。
やぐやすの関係は、まぁ、恋人さんなのですが
親友でも、ライバルでもあり色々です。
220 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/24(水) 23:04
急に無理だなんて

そんなに大切な用事が急に入るとは思えない

言えない理由って何

そんな事言われたら、悪い事しか考えられないじゃんかよぉ


221 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/24(水) 23:04


最後に電話したのは、2週間前

最後に直接会ったのは一ヶ月前

最後に彼女に触れたのはもっと前のこと


222 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/24(水) 23:05


彼女の気持ちはだんだん離れていってしまったのだろうか

そんなことない。と言える自信が今の自分にあるとは言えない

遠距離恋愛よりキツイかもしんない 近くにいるのに会えない恋愛っていうのは

もし…もしもの話だけれど、彼女が離れていってしまってたら

この日々、惹きこまれていく気持ちはいったいどうすればいいんだろうか…


223 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/24(水) 23:05

タクシーがマンションの前に着き、数枚のお札を差し出し
お釣りを貰うと、マイナスな思いを振り切るようにタクシーを降りた。

きっとインターホンなんかにはでないだろう。
なにせ、今は無理矢理押しかけて来た身なんだから。

貰ってから片手で数えられるほどしか使ってない合鍵をギュッと握り締めた

「…おじゃましまーす」
224 名前:ビギナー 投稿日:2004/11/24(水) 23:06

電気の付いてない部屋は、人気を感じさせない。
ホントに彼女はここにいるんだろうか。

「圭ちゃーん…居るの?」

リビングは空っぽ 寝室も空っぽ トイレにいるわけでもない
じゃあ、いったいどこへ

「もぉ、どこいったの?」

自分の声が空しく吸い込まれていくだけのこの部屋は、
いつもは楽園にさえ見える、どこよりも落ち着ける部屋だろうか。

225 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/25(木) 22:36
続きが楽しみです
226 名前:ビギナー 投稿日:2004/12/06(月) 00:13
ケメちゃん、おめでとう。ってことで「ミニ物語」の
方に、ちっちゃくUKを上げさせていただきました。
長編の方はもう少し待ってくださいね。

225さん。
ありがとうございます。
がんばりますね。
227 名前:うっぱ 投稿日:2004/12/23(木) 10:29

出だしからなんか、イヤなムード漂ってますねぇ。
最近大人っぽくなった矢口さんの行動に期待してます。
(一ヶ月後には誕生日控えてるし……って関係無いか)
KUも、子供っぽい裕ちゃん健在って感じで良かったです。


228 名前:名無し読者。 投稿日:2005/01/09(日) 15:50
やぐと圭ちゃんの関係は?
更新が楽しみです。
229 名前:ビギナー 投稿日:2005/01/29(土) 00:06
うっぱさん。
ご無沙汰しております。
なんか、事件ですね。これは。
矢口さんには苦労掛けたくなってしまうんですよ。
短編も読んでいただけたようで。ありがとうございました。
228さん。
関係ですか?説明してしまえば簡単なのですが、
これから読み取っていただければ幸いです。
230 名前:ビギナー 投稿日:2005/01/29(土) 00:08

左側の二番目の少しだけ開いた扉から、ここだ、と感じた。
目の前に広がるありふれた脱衣所。つまりバスルームだ。

「…圭ちゃん?」

返事が返ってくるはずはなく、ただただ流れている無言
それを打ち破るようにバスルームへの扉が大きな音で開いた

「・・・・いた」

安堵感だった。肩の力がフッと抜ける
どこだって、彼女がいれば、ここは楽園

231 名前:ビギナー 投稿日:2005/01/29(土) 00:08

でも、なんで洗面器なんか、かぶってんの?

「あの、その・・・ごめん。でも、急に来るな、とかちょっと
ホント心配になっちゃってさ。だから、っと・・・」

自分が悪いなんてたいして思ってなかったけど、
謝罪の言葉は溢れる。何も言ってくれない背中に、
怒鳴って怒られるんじゃないかと、必死で言葉を繋げていた
背中はどことなく小さく見える

232 名前:ビギナー 投稿日:2005/01/29(土) 00:09

「・・・帰って。お願いだから」
絞り出せれたような声の懇願に、どうしていいのか戸惑う
できるだけ彼女の言葉にはしたがってきた
それは、まったく苦ではなかった けど 今は違う
・・・無理だ こんなの帰るなんて、できないよ

シャワーの下に体育座りをしている彼女を
後ろから抱きすくめるようにして、かぶってる洗面器に手を掛けた

233 名前:ビギナー 投稿日:2005/01/29(土) 00:09

「・・・えっ?」

「ちょっ、ヤダ。返して!」

必死に洗面器を取り返そうとして、振り向いた彼女の目は
泣き腫らしたというより、現在進行中で頬は濡れ、目は赤かった

まるで、ウサギ。
・・・・・そう、ウサギ。
234 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/20(日) 18:02
早く続きが読みたいです!
235 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/11(金) 23:21

「・・・・・・」

「・・・えっと・・・えっ?」

「・・・わかんないの。もぉ、ほっといてよ!」

下を俯き、ぐっと何かを堪えながら突き放される。
未だに状況を飲み込めないものの、彼女の肩に手を掛けると小さい?
そう、小さいのだ、明らかに。身長はきっと140cmくらいなんじゃなかろうか。
しかし、何より気になるのが・・・頭についてる大きな耳。しかも垂れてる。
ウサ耳というのかなんというのか、が確かに頭から生えていて、
カチューシャとかには見えないくらいにリアルで微かに震えている。
・・・夢ですか?だって、そんなわけ・・・・ないだろ普通。

236 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/11(金) 23:22

「夢だと思って。それで帰って。お願いだからさ。」

そんな、帰れるわけないじゃん。こんなの夢だとしてもほっとけない。
こんなに困って、必死に現実に抵抗してる恋人、独りになんてできないでしょ。

無言のまま、少し強引に引き寄せ、抱き締めた。
それから、キレイな白いタレ耳に触れる。
そこにはしっかり血が通っていて、くすぐったいのか、
体をよじって腕から抜け出そうとする。
しかし、力で敵わないのが解ったのか今度は反対にしがみ付いてきて、
小さな嗚咽を漏らし始めたのだ。
その声は浴室によく響いた。



237 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/11(金) 23:23


「どう?」

「いいんじゃない?ちょっと寝るには早いけどさ」

彼女は一頻り泣いた後、ばつが悪そうに笑って、
「着るもん探さなきゃ」と言い、「リビングで待っててね」と
肩幅も合っていなければ、袖から手も出ていない服で
バスルームの扉を自ら開き出て行ったのだ。


そして今。目の前には、薄いグリーンのパジャマを着た圭ちゃん。
不幸中の幸いというのか、彼女の家にはオイラ用のパジャマというものが
あったわけで、普段の服では大きすぎるためそれを身に着けてみた彼女。

「でもごめんね。矢口のパジャマ取っちゃってさ」

「いや、元は圭ちゃんが買ってくれた物だし」

「そうだっけ?」
238 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/11(金) 23:23
そうやって小首を傾げたりすると、どうしても気になる耳。
先ほど、観察させていただいた所、やはりうさぎの耳であるらしい。
しかも種類はロップイヤーかなんかでタレ耳。
あまり音の聴こえにはあまり変化はないらしいが、
人間の耳並みに敏感らしく、触ってるこっちも恥ずかしくなるというもの。

「矢口?」

「えっ、何?圭ちゃん」

「何?じゃなくて矢口がこっち見てボーッとしてるから」

「そうだった?ごめんごめん」

「別にいいんだけどさ。あの・・・」

「ん?」
239 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/11(金) 23:25

「ごめん。なんか巻き込んだみたいで」

「何言ってんの。圭ちゃんのことはオイラにとっても大事な事。
 それより、圭ちゃん謝ってばっかじゃん。
圭ちゃんが悪いんじゃないんだしさ」

 「ありがとね」

ふわっと自分の前だけで見せる笑顔。それをを見たのは
ホント久し振りで、愛しさが込み上げてきて抱き締めた。
最近痩せたとテレビ画面から感じてはいたけど
大きさまで違うのだ。随分華奢だし、自分より小さい。
頭から少し重たげに生えた耳に口付けると、
ビクッと体が強張るのがわかる。
その仕草がどことなく本物のうさぎの様で・・・

240 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/11(金) 23:25

「あっ」

「どうしたの?矢口」

 「・・・・いや。ちょっとね」

・・・思い出したのだ。
前に酔っ払った裕ちゃんから見せてもらった写メールを。

241 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/13(日) 00:16

「あんなぁ、これがなっちに耳が生えた時の写真やで」

「へー。可愛いね」

「やろ。もうめっちゃ可愛いねん」

「んで、こっちがなぁ・・・」

って、なんかものすごくなっちの写メ自慢されたんだよ。
その時は普通に流してたけど、その中にあったうさ耳のなっちって
もしかしたら、だけど、今の圭ちゃんと同じかも。
ただ、たれ耳じゃなくて白くて小さい耳だったけど、
売ってるものだったらもっと長い耳なはず。

まだ、圭ちゃんには伝えられない。
違っていた時の悲しい顔は見たくないんだ。
早く裕ちゃんと連絡とって確かめてからじゃないと。

242 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/13(日) 00:17

「圭ちゃん。ご飯どうする?」

「あー、冷蔵庫なんもないんだよね。
でも、私、外に出れないし・・・」

 「じゃあさ、オイラなんか作るよ。この辺スーパーあったよね?」

 「あるよ・・・病院の斜め向かいのトコ」

 「ん。じゃあ、オイラ言ってくるよ」

 ここに来る時に持ってきた鞄の中から財布と携帯だけを握り締めた。
 玄関までの道をトテトテと付いて来る彼女は少し寂しそうに
 笑って、いってらっしゃいと言った。 

243 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/13(日) 00:17

「何か食べたいものは?白子?」

「苺」

「なんか珍しいね」

「自分でもそう思う」

「苺、買ってくるね。待ってて」

「うん。いってらっしゃい」

「いってきます」

244 名前:ビギナー 投稿日:2005/03/13(日) 00:21
234さん。
お待たせして申し訳ありません。
待っててくださる方がいると思うとすごく励みになります。
これからも、見放さないでやってください。

いつもより少し長めにアップしました。
ちょっと話の方も見えてきましたでしょうか?
こんな感じの話なんですが、付いて来てくれる心優しいが
いることを願っております。
245 名前:名無し。 投稿日:2005/03/20(日) 02:56
意外な展開になってきましたね。

これからどうなっていくのか、次も楽しみにしています。
246 名前:うっぱ 投稿日:2005/03/21(月) 03:59

今回は趣向が違うようで、先の展開が読めそうにないですね。
矢口さんの愛情をたっぷり拝ませてもらえるよう、期待してます。
247 名前:ビギナー 投稿日:2005/04/30(土) 23:13
245さん。
意外すぎて申し訳ありません。趣味丸出しですね、もう。
これからも、やってきますのでよろしくお願いします。

うっぱさん。
先が読めないと言っていただけると嬉しいですね。
矢口さんは苦労人ですよね。なんとなく。
248 名前:ビギナー 投稿日:2005/04/30(土) 23:21

マンションを出て、さっそく携帯を取り出した。

「あっ、もしもし。裕ちゃん」

「なんや?矢口。今日は圭坊の所とちゃうの?」

「そうなんだけどさ・・・あの、相談というか質問が」

「なんや?珍しいな」

少しだけ身構えた裕ちゃんの声。相談することの内容がある程度理解できたのだろう。
極めて少ない秘密の共有者は。

「なんや?珍しいな」

「前さ、裕ちゃんが酔っ払って矢口にいっぱいなっちの写真
見せてくれたじゃん。で、その中の・・・うさ耳着けたなっちの
写真あったでしょ。」

「あ・・・・・まぁ、あったな」

249 名前:ビギナー 投稿日:2005/04/30(土) 23:22

受話器の向こうの裕ちゃんの声がしまったという音色に変わった。
それは、こっちにとっては都合の良いことで、
もしかしたら、今の状況と同じかもしれないのだ。

「その耳ってさ・・・本物だったりしたの?」

「なっ、なんでそんなこと・・・」

「いいから、答えてよ。お願いっ」

フーッと軽いため息の様なものが聞こえて、
諦めたかのような声が耳に届く。

「本物や。期間限定だったけどな」
250 名前:ビギナー 投稿日:2005/04/30(土) 23:22

「ホントッ。ってことは圭ちゃんも」

「ん?圭坊も生えてるんか。耳」

「実は・・・なんだよね。裕ちゃんしか頼れないんだよぉ。
お願いっ。助けて」
 
 「そんな助けるってほどでもなぁ。けどまぁ、
明日、なっちと一緒に圭坊の家行くわ。うさぎの圭坊見たいし」
251 名前:ビギナー 投稿日:2005/04/30(土) 23:23
「良かった〜。助かったよ。ありがとね。
原因不明で耳なんか生えちゃってて、背もちっちゃくなっちゃって。
どうしていいのか、わかんなくってさ」
  
「いや、原因はあるにはあるんやけどな。
 それは、自分らで気付いてな」

「・・・・うん」

優しいけどしっかりした口調は、ただ頷くしかさせなかった。

「じゃあ、明日な。10時くらいに行くから。
後・・・圭坊、できるだけそばにいてやってな」

「うん。ありがとね」


携帯をポケットに押し込んで、スーパーに向かって歩き出した。
今日のメニューはなんにしようか?

252 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/02(月) 22:11
やや!
更新してる!うれしいな。
253 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/16(木) 20:46
更新まだかな!?
254 名前:ビギナー 投稿日:2005/06/24(金) 19:58
いつもお待たせしてすみません。
もっと時間が欲しいです・・・
252さん・253さん
待っていてくださる方がいるというのは嬉しいですね。
ありがとうございます。
がんばりますねっ。
255 名前:ビギナー 投稿日:2005/07/11(月) 19:40

ごくごくありふれたスーパーは、ペタペタと値引きのシールが
貼られた品物が並んでいる
忘れないうちに(忘れたりなんてしないだろうけど)苺だけカゴに放り込んで
 さて、何を作ろうかと考えている

鶏肉・カブ・お刺身・インスタントカレー・・・

目に入ってきたお惣菜コーナー

「…いっか」
256 名前:ビギナー 投稿日:2005/07/11(月) 19:40

もう時間も遅いし…とお惣菜を手にとる
唐揚げ…煮物…炊き込みご飯…
最後にサラダを2つカゴに収め、レジに向かう途中で朝食の存在に気付き
パンの棚へ戻る 朝ご飯、菓子パンかなんかでいいよね
甘めのパンとオカズパンみたいなのを2つずつ選ぶ
最後にデザートに、とシュークリーム

朝…もし 圭ちゃんが戻らなかったら…

苺のパックをもう1つ、カゴに放り込んだ


257 名前:ビギナー 投稿日:2005/07/11(月) 19:41

結局、コンビニのような買い物だったけど、
好きな人のための買い物というのは良い
気分はどこか穏やかで、はやく喜ぶ顔が見たくて歩調は自然と速くなっていた

マンションの前でチャイムを押そうとした瞬間
合鍵の存在を思い出した
貰ってから今までだって何度もここを訪れたけど、大抵の場合、
圭ちゃんが鍵を開けてくれた
せっかくだから使うか 今日二回目の合鍵
なんだか自分の部屋のように感じられて気恥ずかしい

ガチャ

「ただいま〜」
258 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:44
ご無沙汰でございます。
今回は沈んでしまった金板の方で受けていた最後のリクであった
高紺をあげさせていただきます。遅れてまって申し訳ないことかぎりなしです。
でも、あげないままにしてしまうのは、嫌なのであげさせていただきますね。
駄文で申し訳ないのですが…
では、やぐやすの方も近日中にあげさせていただきます。
259 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:44

「どうしたの?こんなとこで」

「んー、ちょっと気分転換かな?」

「ちょっと寒いし、暗くなりかけてるけど…」

『屋上』
私はここが好きだ
暑くたって、寒くたって、晴れた日の夕方はここが好き
けど、隣で手を擦り合わせてるあさ美ちゃんはそうでもないらしい

「もうちょっとだけ、ね?」

「…いいけどぉ」

あさ美ちゃんがお願いに弱いのは知ってる
誰にでも優しくて、少し妬けてくるけど、
そんなあさ美ちゃんが好きなんだからまぁ、しょうがない
260 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:45
あさ美ちゃんは優しい
その優しさを利用して、こんな寒いトコロに連れて来た私はズルイね

「愛ちゃん?」

「何?」

「いや、なんか話があるのかなぁ?と思って」

話がないわけじゃない
けど、まだ少し、あと少しだけ待ってよ

「あるには、あるんやけど。もうちょっとしたら」

手すりに凭れるようにして、空を見上げた
夕日の茜色 キライじゃない
けど、私はその次を待ち望んでいる
あと、少しだ

261 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:46

「キレイだね、夕日」

いつのまにか、隣にあさ美ちゃんがいた
同じような姿勢で、同じように空を見てる
あと…少し

「あさ美ちゃんッ」

「ん?何」

凭れていた姿勢をシャキッと正して、あさ美ちゃんに体を向ける
あさ美ちゃんも思わず、姿勢が良くなっていて、真正面から向き合った
…結構、恥ずかしいかもしんない

「えっとさ…」

「うん?」

次を楽しみに待つような視線
心拍数の乱れ
上手く形の作れない唇
262 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:47

「空、さっきより綺麗」

スッと視線を外したあさ美ちゃんは、また空を見上げていた
それは…私の一番好きな空
薄紫から、漆黒まで繋がる空は少しだけ太った月が浮いていて、
ホントに少量の星が瞬く 都会の夜空

「私、この空一番好きなんよ」

「だから、連れて来てくれたの?」

あさ美ちゃんが私の瞳を覗いてくる
あぁ、やっぱり…
言わずにはいられない
逸らすことは許されない
…好きにならずにはいられなかった 愛さずにはいられない

263 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:48

「……好きです」

口にした瞬間 一気に体を温度が変わった
もう戻れない 失うかもしれない でも、言わずにはいられなかった

「私もです」

そう言って、あさ美ちゃんは微笑んだ
意外にあっさり返ってきた返事 何かの夢ですか?

「本当だよ。ずっと好きだった。けど、待ってたんだ、愛ちゃんが言ってくれるの。
愛ちゃんの気持ちなんとなく分かってたけど、自信なくて…」

そう言いながら、あさ美ちゃんはまた手すりに凭れた
私は、ただ突っ立ってる事しかできなかった ただ、それは衝撃で

264 名前:ビギナー 投稿日:2005/09/10(土) 17:48

「ズルイでしょ…私」

「んなッ。そんなことない。したら私だってズルイ。あさ美ちゃんの優しさに甘えてた」

「いいんだよ。愛ちゃんは」

「あさ美ちゃんもズルくなんてないよ」

もう会話はなかった それでも良かった
どんな彼女だって愛さずにはいられないのだから

   愛さずにはいられない…終
265 名前:ビギナー 投稿日:2005/11/03(木) 10:06
ドアの鍵とチェーンを閉めると、足音が聞こえるでもなく、
テレビの音が聞こえてくるでもなく、電気がついただけのシーンとした部屋が広がった

あれ?なんかあったの?

靴を揃えることなく脱ぎ捨てると、
灯りのついているリビングに直行した スーパーの袋のたてる音が異様に響く

「圭ちゃん?」

最初は返事もなくて、姿が見えなくて……いや、見えていた
テレビの前のソファから、本当に頭だけ、というか耳だけ

266 名前:ビギナー 投稿日:2005/11/03(木) 10:06

「圭ちゃん。ただいま。苺買っ…」

ソファに回り込むと、圭ちゃんは寝ていた
ただ、それは全然安らかなものではないらしく、
頬は赤く、寝息は不規則
幾分か小さくなってしまったオデコに手を当ててみると、
案の定、異常なほどの体温が伝わってくる

ヤバイっしょ…コレ

どうしたらいいんだろ 
薬・・・病院・・・・・とりあえず、ベッドか
ただ、いくら小さくなっても抱き抱えるには大きすぎる
起きてもらうしかない…か

267 名前:ビギナー 投稿日:2005/11/03(木) 10:07

必要以上に緊張して震える指で、
今日何よりのビッグニュースである白い耳に触れた
耳だって、やっぱり熱い

「・・・けいちゃん」

「・・ッ・・グチ」

熱のせいでより一層敏感になってるのか、
怯えるかのように肩を震わせて、開かれた目蓋
熱でうるんだ瞳は今日、ここに来た時と違うようで似ていて
恋人にこんな顔をさせる自分が、何より憎い

「ゴメン」

「ン?…おかえり」

「ただいま」

268 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/10(木) 15:35
おひさしぶりっす
269 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:33
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
270 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/16(金) 20:01
我等が、保田さんも25才ですねぇ。おめでとうございます。
本当は、超マイナーカプで短編書こうと思ってたのですが、
忙しさあまり、断念です・・・

268さん。
お久し振りですっ。
いつも遅くなって申し訳ありません。
また、良ければ覗いてやってくださいね。

271 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/16(金) 20:01

いつだって圭ちゃんが自分に向けてくれる微笑みは暖かい。
だから…今はこんなに辛い。

圭ちゃんを支えながら、寝室に向かい、ベッドに座らせると
小さめなタンスの上に置かれていた救急箱とはいえないような救急箱の中から
取り出した体温計で、熱を測らせる。それから、せっせと水を汲んできて、
同じ箱の中にあったカゼ薬を飲んでもらった。
取り上げてみた体温計は、38.3℃を示していた。

「矢口、何度だった?」

「ん?ないしょ。でも、圭ちゃんはもう寝たほうがいいよ」

「ごめんね、今日せっかく来てくれたのに。色々、ご迷惑掛けます」

272 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/16(金) 20:02

ふざけたように、頭をさげると揺れる白い耳。
これが現実。たしかに可愛いけどさ、こんなのおとぎの国だけで充分でしょ。
何がこんなに、彼女を苦しめるのか。
なぜ彼女は、何も悪くないのに謝るのか。

「迷惑なんかじゃないよ。圭ちゃんが悪いんじゃないし。
あっそだ。明日、裕ちゃんとなっち来るんだよ。熱、下がるといいね」

「裕ちゃんとなっち?えっ…なんで…私、無理だよ…」

「あぁ、ゴメン、忘れてた。良い情報だよ。あのね…なっちにも、耳生えたことあるんだって。だから多分、解決につながるよ」

「ホントッ。良かった、元に戻れなかったらどうしようかと思ったよ…」

「例え戻れなくっても、オイラがいる」

273 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/16(金) 20:03

「…………んッ………」

って寝てるよ。この人
まぁ、いいけどさ、具合悪いんだし、今日はすごく疲れただろうしね
けど、結構オイラ緊張して言ったのにぃ…
ホント、耳が生えたって、背丈が小さくなったって圭ちゃんは、圭ちゃんだよね
自然とこぼれてしまう笑みは、もう何回目だろうか?

二人でいる時は、皆でいる時と少し違って、なんていうのかな?やっぱ恋人なんだよ
大体は、まぁ、相変わらずボケボケしてる
でも、弱い部分も見られるし、見せられる…そう思ってたんだけどな
今日、圭ちゃんに拒否られた時のショックが今になって蘇ってくる
そういえば、ちょっといつもの感じではなかった
不安や、怯えが隠そうとするあまり、露骨に見えていた
いつもなら、そういう時、「ヤグチィ…」って痛いほど抱き締めてきたのに

274 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/16(金) 20:03

すでに夢の中の彼女の髪をサラサラと梳くと、ピクピク動くソレ
軽く口付けると、なんだかすごく寂しい気持ちにさせられた
今日…ちゃんとキスしてなかったなぁ…

まだ寝るには少し早すぎるが、もう何もしたくなかった
けれど、忘れていた買い物袋の存在を思い出して、
いつもの何倍も重い腰を持ち上げた

泣きたいぐらいの寂しい気持ちは、グッと自分の中に閉まったままで

275 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/30(金) 23:51



「・・・・ファッ」

あぁ、朝だ。
まだ瞑っていたい目を擦りながら天井を見上げる。ここ…寝室だよね?
シャワー浴びたトコまでは覚えてるんだけどな。

「圭ちゃんッ!」

ゆっくり目覚めはじめていた意識が水を掛けられたように一気に起き上がった。

276 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/30(金) 23:52
ゆっくり目覚めはじめていた意識が水を掛けられたように一気に起き上がった。

「…もぉ、朝っぱらから何叫んでんのよ…」

「あ…オハヨ」

床に毛布一枚で転がっていたオイラを覗き込むように、目を擦っている圭ちゃんがいた。

「おはよう。アンタここで寝てたの?痛かったでしょ。」

「アハハ、実は自分がいつどこで寝たのか覚えてないんだよねぇ。」

「…ったく」

277 名前:ビギナー 投稿日:2005/12/30(金) 23:52

「そんなことよりもさ、圭ちゃん熱どうよ?下がった?」

「あぁ、下がったかも。」

そういって嬉しそうに髪を掻きあげようとした瞬間 一瞬にして曇ってしまう顔。

「ある。」

「何?まだ熱あるの?じゃあ裕ちゃん達…」

「じゃなくて、耳。」

なんか悪い夢なんじゃないかな?って期待してたんだよねって、独り言のように
呟きながら、圭ちゃんは振り切るように腰をかけていたベットから立ち上がる。
オイラものそのそと毛布の中から抜け出した。
278 名前:うっぱ 投稿日:2006/01/01(日) 17:32

お久し振りです&あけオメです。
それにしても今作のやぐやすは
甘く切ないラブストーリーっぽくて
やす×やぐにおけるイメージが覆されそうっす。
続き期待してますよ〜。
んではっ


279 名前:ビギナー 投稿日:2006/01/05(木) 19:19
明けましておめでとうございます。
今年もがんぱっていきますので、よろしくお願いします。

うっぱさん。
おめでとうございます。
友情モンも大好きなんですけどね。
今回は覆しますよッ。がんばります。
280 名前:ビギナー 投稿日:2006/01/05(木) 19:43
「え?」

「………なんでよ?」

「もしかしなくてもさ……小さいよね?」

「ウソでしょ…」

圭ちゃんが…昨日より小さいのだ。
多分、大きさで言えば昨日より10cmくらい
本来の圭ちゃんから言えば30cmものさし1個分くらい違う
281 名前:ビギナー 投稿日:2006/01/05(木) 19:43

「あれだね…ウン。あたし矢口だ」

「はぁ?」

「だって普段のあたしと矢口の身長差ってコレくらいでしょ。」

「まぁね。いや…圭ちゃんさ」

「大丈夫。裕ちゃんとなっちゃん来るんでしょ。」

「そぉだけどさぁ…」

何かをしたワケではないけど、責任を感じずにはいられなかった。
結局オイラは何もしてあげらんないのかな?

「ほら矢口。お腹空いたよ、ご飯ッ。昨日の朝からなんも食べてないんだから。」

ベシベシと低い目線から二の腕を叩いてくる圭ちゃんは、
オイラを必死に励ましているらしい。…ッていうかさ、この身長って反則だよね。
無自覚だろうウサギさんが常に上目遣いで見てきやがるッ
282 名前:ビギナー 投稿日:2006/01/05(木) 19:44

「わかったわかった。でも、その前にさ…」

「うん?」

理性のグラグラする音に耳を塞ぎながら、額にほんの少し触れるようなキス。
いつも圭ちゃんがしてくれたみたいにできただろうか?

「…どうよ?」

「これさ、結構恥ずかしいね…」

そう言いながらもうくるっと後ろを向いてしまっている。

「苺…食べる。」

そう言い残すとバタッといつもより大きな音を立てて部屋から出て行った。
あれだね、相当照れてるよ。耳、赤かったもん…まぁ、自分もだけど。

赤いというよりは、熱いであろう自分の顔に手を当て、
ジャラジャラとした自分の携帯を拾い上げた。
受信メールを無視して、彼女にメールを打って送信。
ちょっと不安だけど、まぁしょうがない。

携帯を握って部屋を出た時、おなかの虫は空腹を訴えてきた。

283 名前:ビギナー 投稿日:2006/01/05(木) 19:45
「矢口、ご飯ってコレ?」

いや、朝から唐揚げですか…ウサギって肉食じゃないと思うし、
昨日は苺とか可愛いこと言ってたじゃんか。

「それでもいいけどさ。パン買ってあったでしょ。あとサラダ。」

オイラはそっちの方がいいな、胃凭れしそうだし。
まぁ、圭ちゃんはそんなのお構いなしだよね…ウン。

チンッ!と音が聞こえてきたら、やっと食事らしい食事にありつけた。

「あれ?裕ちゃん達、何時だっけ?」

「一応、10時だけど、ちょっと頼み事したからなぁ。」

「頼み事?」

「ん、なっちになんだけどね、圭ちゃんだってパジャマでばっかじゃ嫌でしょ。
しかもオイラでぴったりだったから大きいだろうし。」

だからなっちに服買ってきて〜って頼んだ。

284 名前:ビギナー 投稿日:2006/01/05(木) 19:46

「…それって、すごく不安なんだけど」

「同感。でも、裕ちゃんに頼む方がやばそうじゃんか。」

傍らにおいていた携帯が受信を示したので確認。
『オッケー!矢口の趣味で買ってくべさ。ドーンとなっちに任せなさいッ』
いや、やっぱりめちゃくちゃ不安なんですけど…

「なんだって?」

「任せとけ、ってさ。」

「当てにできないね。」

「ビックリ箱感覚だよ。でも子供服なんてあんまり変なのないだろうしさ。
外には出れるんじゃないかな…」

「はい、矢口。苺おいしいよ。」

どこまでオイラの話聞いてたんだろ…
すでに苺を頬張りながら、大粒の苺を差し出してくる。
いいか、可愛いし…

「ありがと。」



285 名前:うっぱ 投稿日:2006/02/09(木) 21:35

なんかヤグさんの気持ちが物凄く分かる気がしまひた。
こういうけーちゃんもいいなぁ……。
286 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/20(月) 08:37



「うしっ!」

オイラが朝食の片付けを終わらせた頃、圭ちゃんも丁度お風呂から上がったらしく
少し重たげに垂れた耳を上手く避けながら髪を拭いていた。

「ヤグチ、ヤグチィ。」

どうやら髪を乾かしてほしいらしくドライヤーを差し出してくる。

「オイラ、やっと一仕事付いたトコなんだけどな。」

そう言いながらもドライヤーを握っちゃってるんだよ。
口では言いながらも全然イヤじゃない。

「矢口、耳触んないでよね。」

「ヘイヘイ。」

圭ちゃんの髪は柔らかい。
サラサラッて流れる圭織の髪とは違って、どっちかっていうと子供みたいな感触。
まぁ、今は見た目も子供なんだけどさ。
287 名前:ビギナー 投稿日:2006/02/20(月) 08:37

「そろそろ裕ちゃんとなっちゃん来るね。」

「もうそんな時間?どんな服持ってくるんだか。」

「…下も。」

そう言ってひょいと乾かしやすいように耳を持ち上げてくれた。
…自分で触っても大丈夫なワケ?

「自分で触るのは平気なんだ?」

「うん、そうみたい。一応自分だからかな?」

「へぇ…」

「もういい?」

「ん。おしまい。」

「ありがとう。」

スイッチの切られたドライヤーのコードを巻いて、片付けてしまうと
どこからか飴を持ってきたうさぎさん。

288 名前:ビギナー 投稿日:2006/02/20(月) 08:38

「食べる?お礼。」

すでに自分の口の中は1つ確保してあるようで、
もごもごと口を動かしている。
ほのかに香る、柑橘系の匂い。

「ありがと。」

圭ちゃんお気に入りの赤いソファに座ると、これでもかっていうほど落ち着いた。
ストンと落ちるっていうのはきっとこういうこと。

手の中にあるりんご味の飴の封を開けて、口に放り込もうとした瞬間。
そこに添えられた手があって、口は空気だけを吸い込んだ。

「何?」

「食べさせてあげる。」

それは2人でいる時にしか言わない事で、そんな時の圭ちゃんは
絶対余裕の笑みを浮かべてる。だから恥ずかしくなるのはこっち。
289 名前:ビギナー 投稿日:2006/02/20(月) 08:38

「矢口、可愛い〜。」

「ウルサイッ。」

「可愛いねぇ、矢口。」

上昇してくる体温を上手く抑えきれないまま、照れ隠しに怒鳴ってしまう。
よしよしと頭まで撫でられて悪い気はしないんだけど、やられっぱなしじゃいられない。

「…飴。」

「食べさせてあげるよ。あ〜ん。」

思わず開けそうになった口を閉じて、代わりに圭ちゃんの手首を掴む。
きょとんとする圭ちゃんの顔。
290 名前:ビギナー 投稿日:2006/02/20(月) 08:39

「何よ?」

「オイラ、オレンジがいいんだけど。」

「じゃあ、別のヤツ取ってく…」

もう一度、手首を握り返して、顔をグッと近付ける。

「それがいい。」

「ヘッ……」

「圭ちゃんの口の中にあるヤツでいいよ。」

今度赤くなるのは圭ちゃんで、握られてない方の手で抵抗しながら
よく分からない言い訳を並べ出す。

「…いやッ…これちっちゃいしね。ちゃんと新しい方がさッ…」

「それがいいからちょうだい。」

再び顔を近付けながら、あと少しって頃には圭ちゃんもおとなしくなってた。
………なのにッ!

『ピンポーン』

291 名前:ビギナー 投稿日:2006/02/20(月) 08:44

うっぱさん。
矢口さんはとことん振り回されております。
ウサやすってことで、普段の2人と雰囲気が違いますがご了承ください。
単に、文才がないだけなんですがね…
292 名前:ビギナー 投稿日:2006/05/28(日) 19:53


やっぱり訪問者はあの2人。

「おっじゃましまーす。」

ピンクの紙袋を高く掲げながらやって来た訪問者一号。安倍なつみさん。

「オーッ。小さなってる!」

さっそく圭ちゃんに飛びついたのが、訪問者二号。中澤裕子さん。

「はい。なんかね、なっちが小さくなってた時のがあったから
ちょっとしか着てないし、いいかなって。お古。」

「…ぅわー。紙袋からして、中身普通じゃないでしょ。」

「ん?結構普通だよー。絶対、圭ちゃん似合うって。」

「いやさ、小さくなって、うさ耳でも圭ちゃんは、圭ちゃんよ?なっちとは違うから…」

「でも圭ちゃん意外と童顔だし、瞳おっきいから可愛いと思うよ。」

あの、そう言いながら、顔はめっちゃ笑ってるんですけど安倍さん。

293 名前:ビギナー 投稿日:2006/05/28(日) 19:53

「けぇ坊〜。なんや、ちっこくなったなぁ。」

部屋に入った瞬間から、中澤さんの瞳にはオイラは入りもしてない。
オイラにだって触らせてくれない、第二の耳をピコピコ動かしながら、
うざったそうにする圭ちゃんおかまいなしで、抱き締める。
ッて…耳、触らせてるッ!?

「圭ちゃん…耳。平気なの?」

「えっ?あぁ、そうみたい。あんまり、ってか全然くすぐったくない。」

「…オイラだけ?」

「なっちゃんも触って?」

なっちが優しく撫でてみると…反応無し。

「…矢口も…触ってみる?」

294 名前:ビギナー 投稿日:2006/05/28(日) 19:54

恐る恐る圭ちゃんの耳に触れた瞬間。

「ッ!矢口変な感じ!」

ダダダッと一瞬にて5歩くらい下がられて、
オイラめっちゃくちゃ拒否られたんですけど…。
いやぁ…普通に、かなりショック。

「あぁ、私もなっちにめっちゃ拒否られたわ。懐かしい…」

「だって裕ちゃん、なっちが何回もヤダって言ってるのに、触ってきてさぁ。
ホント、必死だったんだからね。」

「なっちも、他の人には触られても平気だった?」

「んー、家の外に出なかったから、他の人に会ってないんだよね。
でも、多分そうだったんじゃないかな?」

「そっかー…解決策とかってあるの?ってか、なんでなっちの耳は消えたの?」

295 名前:ビギナー 投稿日:2006/05/28(日) 19:55

急に生えて、身長まで縮めてしまう耳。
カワイイなんてもので、済むようなものではもうなくって、
今すぐにでも解決できるもんなら、解決したい。

「なっちの耳は一日で消えたのさ。ただ、何をしたってワケじゃない。」

「なっ!それは矢口と圭ちゃんで見っけるもんやで。」

急になっちの後ろから首に腕を巻きつけながら現れた裕ちゃんは、
ウチラの会話を遮ったようだった。教えちゃいけない。そんな目でなっちを見る。
何もしないで消えるもの…一日たっても消えない圭ちゃんの耳…

296 名前:ビギナー 投稿日:2006/05/28(日) 19:55

「なっち、服。服着せよッ。」

「あぁ、そだね。圭ちゃんおいで〜。」

「やー、圭ちゃん、コレめっちゃ可愛いでぇ。」

「あのさ…確かに、矢口より小さいし、うさぎの耳なんて付いてるんだけどさ、
子供じゃないんだからさ。その猫撫で声で呼ぶのやめて。」

「ごめんねぇ。なんか、圭ちゃん可愛いんだもん。
タレ耳とか圭ちゃんにぴったりでさぁ。」

「ちょっ、どう言う意味さぁ!」

「いや、圭ちゃんがいつもヘタレって言ってるのとちゃうよ。」

「大方、ヘタレって言われてる気がするんですけどッ。」

「ほらほら、裕ちゃん相手にムキになっても勝ち目ないっしょ。」

「最初にヘタレって言ったのなっちゃんじゃん。」

2人の間で言い争ってる圭ちゃんは、小さい体で散々抵抗してるのだけど、
なっちと裕ちゃんの顔は、緩みっぱなしで、オイラちょっと危機感?

297 名前:ビギナー 投稿日:2006/05/28(日) 19:55

「なっち。その服とやら、オイラ早く見たいんだけど。」

「ごめんね、矢口。じゃあ、圭ちゃん着替えてきて?それとも、手伝おうか?」

「いらない!」

機嫌をそこねたまま、ピンクの紙袋をもって圭ちゃんは脱衣所に消えて行った。

「なっち、どんなの渡したのさ。」

「いや、矢口好きだと思うよ。ね、裕ちゃん。」

「なっ。」

目と目で会話しやがって、このバカップルめ。

298 名前:うっぱ 投稿日:2006/06/17(土) 09:41

どうもご無沙汰してます。
策士な二人に半ば嫉妬(?)ぎみの
やぐさんがとっても可愛いですね〜。
これからのやすらさんがどうなるのか、
期待して待ってます。




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