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ヽ^∀^ノ上陸作戦

1 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月25日(木)03時12分57秒
題名に意味はありません。

sage待ちCM。
>>2-6

2 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)03時15分55秒



二人は奇妙なシチュエーションにいた。


午後の昼下がり。
シンプルで飾り気の無い部屋、シルバーのパイプベッドの上、一人は壁に持たれるように浅く座り、もう一人はその人間の上に対面するようにまたがっていた。

一人は学ラン、もう一人は紺のブレザーにチェックのスカート。

互いを熱の篭もった目で凝視し、ほんの少しも視線をずらそうという気配はない。
込み上げてくる熱い呼吸を堪えるかのように肩で息をし、その顔は上気しきっている。



“行為”の後、もしくは前。


有り触れた男女の光景だろう。
だが確かに、二人に取っては奇妙だった。

3 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)03時17分56秒


「ホ、ホントに……いいの……?」

「……いいのっていちーちゃん、この体制だと主導権を握ってるのはごとーだよ…?」

二人の人物のうちの一人、後藤真希は、クスリと笑ってもう一人の人物、市井紗耶香の頬を突っつく。

「………………」

赤い顔が更に赤くなり、視線を泳がして動揺を露にする市井。


「そんなキンチョーしないでよ……大丈夫だから、ね……」


まるで手馴れたお姉さんに調教される中学生のオトコノコのように扱われた市井は、いつもとあまりに立場が逆でリアクションに困り、ただ額に汗をかき言葉を詰まらせ鼓動を速くするしかなかった。

4 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)03時21分17秒



奇妙な点は三つあった。


一つは市井が学ラン姿である事。
もう一つは後藤が市井の上になり優位な立場になっている事。
そしてもう一つは、確実に二人に取って非現実的であった。


市井の上にまたがったまま、いつものように潤んだ瞳でそっと口づけする後藤。
息の合ったキスが、二人の体の熱を容易に上げる。
舌を絡め、時より甘い吐息を漏らしながら互いを味わう。
そして、市井の肩に置いていた後藤の手が市井の体を這いゆっくりと下に降りていく。

「んっ!!……」

後藤がズボンの上から優しく撫で上げると、ふぅんっと力の抜けた鳴き声を出し快楽に顔を歪ませる市井。
それは撫でるごとに固くなり、ズボンを膨らませ主張し始める。
後藤は言いようの無い興奮と高揚感を覚え市井に浴びせているキスと鼻息を荒くさせる。
パンパンに膨れ上がり、ズボンをピンと張らせた所で、ベルトに手をかけチャックを下ろす。
市井が少し腰を浮かせて促すと、後藤がズボンを下着と一緒にほんの少しズリ下げる。
すると、小さめながらも欲に忠実に目一杯膨らんでいる“それ”が姿を現した。

5 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)03時22分22秒




あるはずの無いもの。


奇妙なシチュエーション。




市井の体は、確かに今“オトコノコ”だった。




「んん!…ハァッ……ごとー…っ…」









     
6 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)03時25分35秒
大袈裟に書いてますが単なるオナ趣味です。それもいちごま。
苦手な人近寄るべからず。

7 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)05時45分59秒
だいすき☆
8 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)12時06分20秒
おいらも大好き(w
9 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月25日(木)22時14分13秒
うあ〜!オナ趣味だぁ!!(感涙)続き、楽しみにしてます
10 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)13時51分49秒
オイラも楽しみだYO!!
いちごまはいいですよね!?
作者さんがんがれ!!
11 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時02分49秒

********

その日後藤は珍しくテンションが高かった。
鼻歌を歌い、軽い足取りで学校からの帰路を急ぐ。
両手で大事に抱え込んだ紙袋に何度か鼻を埋め匂いを嗅いでは、ちょっと首を傾げる。
匂いだけが不満だったが、テンションを高くさせてるのが紙袋の中身だと言う事は事実だった。

顔がほころびそうになるのを必至に堪えながら、自分の家ではなく半同棲のようになっている市井の家へと向かう。
家の数百メートル前まで来ると足取りを速め、最後は小走りで目的のマンションに飛び込んでいった。
12 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月26日(金)19時06分31秒

ガチャリと鍵だけ開けて扉まで開けずに部屋に引っ込んでしまうのは彼女の癖。
癖と言っても後藤以外の相手にはこんな無礼な事は流石にしないだろう。
ちょっと素っ気無く見える行為だが、プラス思考にいけば特別扱いされているという事だからと、大した気にも止めず後藤は中に入っていく。


「ごとー今日バイトは?」


ソファに腰掛けた市井の隣にちょこんと座り、首を横に振る。
これと言った挨拶もなく、その一回のやり取りで二人とも無言になる。
別に会話が無い訳ではなく、市井は丁度ドイツの渋い映画の鑑賞中で、後藤は自ら会話を振らないので必然的にそうなる。

最初は一緒に画面に目をやっていた後藤だったが、数分で面白くないと判断すると制服のブレザーのボタンを外しワイシャツのボタンを下着ギリギリまで開け、グタリと全身をソファに沈ませた。
13 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月26日(金)19時10分24秒

話が派手に展開していく様子もなく、かと言って面白い掛け合いがある訳でもない。
テンポの遅い、独特の雰囲気を持つ映画。
何が楽しんだか、真剣に見入ってる市井。
市井いわく、面白い事が展開されていく期待感が湧かない映画だからこそ、何か起こった時に普通の映画では味わえないような感動と興奮を覚えるのらしい。
後藤がその話を市井から聞いた時、
“後藤とちょっと似てるかな…”
照れ隠しなのか視線をそらせて首を掻きながらボソッと付け加えられた為、後藤はその日一日中寝る瞬間までその意味を考えていたのだが、結局いまいち理解出来なかった。


後藤と似た映画……ねぇ……

ふいにその言葉を思い出してもう一度画面に目をやる。
自分に似てるとまでいわれちゃその魅力をどうしても自分でも知っておきたいと思う。
けれども数分見ているとやはり徐々に体が重くなり、副交感神経に体が転換され睡魔に襲われ始める。

「ふぁ〜……」

眠りと戦いながらも必死に画面を見つめる。
14 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時11分19秒

後藤と似た映画かぁ…。

後藤と似た映画…。



どうしよ………



………死ぬ程つまんないんだけど……





「………………」



自分自身に一抹の不安を覚え苦笑いを浮かべる後藤。


もうちょい頑張ってよねぇ〜ドイツ映画……


チラッと市井の表情を伺うと、相変わらず真剣に見入っている。
期待感が湧かない分何か起こった時に感動と興奮がと言うが、画面の中では本当に何も起きずに終わりそうな雰囲気を醸し出している。


いちーちゃん、期待しても無駄だと思うよぉ…?

15 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時12分12秒


誰が見てももう勝てない負け試合で奇跡を信じて最後まで応援する愛あるファンの如く、望みを捨てない市井。
後藤はそんな姿を見ていると、なんとも言えない愛おしい気持ちが込み上げてくる。
自分にそうされてるように感じられたからだろう。
もっとも、単に真剣な横顔に見とれたというのもあったが。

後藤は体を起こすと、何の前触れもなく市井の頬に軽くチュッとキスをした。


「っ!??」


不意打ちのキスに驚いて後藤を見る市井。

「何…?」

「…………」

後藤はそのまま腕に抱きついて首元に顔を埋める。
後藤の不意打ちすぎる理解不能な行動はよくある事なので、市井は特に追求せずに再び映画に視線を戻し、後藤の頭も軽く撫でてやる。


「……やっぱドイツ映画だよなぁごとーって……」
「あっ!!思い出した!!」

「は、はい??」

ポツリと呟いた市井の言葉を聞く間もなく突然勢い良く顔を上げ叫ぶ後藤。
16 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時13分10秒


「そーだった。この為に今日は来たのに、いちーちゃんの顔見た途端吹っ飛んじゃってたよ」

「??」

「いちーちゃん映画見終わったら本当の感動と興奮をあげるから期待しててね」

ニマニマと嬉しそうに笑った後藤は、じゃごとーはそれまで体力温存しておきます、と言って眠りの定位置となっている市井の膝を枕にモゾモゾと寝始めた。

「なんだ…?」

気持ち良さそうに速攻で寝る後藤を疑問符を浮かべながら見て、

「後藤が期待しててねっていうのって大抵……」

くだらないんだよな……
期待すると裏切られる、やっぱドイ(略

頭の中で略し、それでもやっぱり愛おしい後藤の髪の毛をそっと撫でながら再び映画に入り込んでいった。







17 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時14分50秒



********


「―――とー。ごぉと〜〜終わったぞ〜起きろ〜」

「んっ……」

「終わったんだけど」

「ん〜どーだったぁ…?」


目を擦りながらムクリと起き上がり、ブレザーのポケットから手鏡を取り出して身だしなみを整える。


「うん」

「ん…?」

「死ぬ程つまんなかった……」

「…だから言ったのに」

「言ってないじゃんかよ…」



「まいーや。ちょっとその紙袋取って?」

「?何これ」

「あーまだ見ちゃダメ!」

「??」

紙袋の中を覗き込んだ市井から手早く奪い取って自らが取り出そうと手を中に突っ込む。



「へへ、いくよ?」






18 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時16分16秒



ニコニコしながら悪戯っぽく笑った後藤が、ジャーン♪と紙袋から勢いよく取り出し、
自分の体の前で広げてみせたそれは、





学ラン




だった。
以前から度々“いちーちゃん絶対学ラン似合う”などとコスプレマニア的な発言を匂わせていたので今更驚きはしない市井だったが、ホントに手に入れてくるとまで思いもしなかった。


マジだったんだ……


「ねぇいちーちゃ〜〜ん……」

「…………」

後藤に甘えた声で擦り寄ってこられると、どうにも拒絶が出来ない市井。
市井はやれやれと言った感じで溜息を吐くと、まだ別に着て欲しいと言われた訳でもないのだが、そういう事だと言われなくとも分かってるので「んじゃ着替えてくんね…」と重い腰を上げ、潔く学ランを持って隣の部屋に向かった。

後藤は市井を見送りながらソファの上で嬉しそうに足をパタパタさせ、期待いっぱいで待機する。

19 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時17分40秒




「開けるぞー」

程なくして着替え終わった市井はドアの前に立って学ランショーのスタンバイをした。

「うーんいーよー」

ソファの背もたれに顎を乗せて突っ伏した状態で市井を待っていた後藤は、満面の笑みで返事をする。


ガチャリ。


「……着たけど」



「………………」


「な、なんかいえよ……恥かしいじゃんか……」






「……ぃぃ……」






「は?」


「!?あ、え、え、えーとい、いいよいちーちゃん凄いカッコイー!!」

予想と期待以上の男前な市井の姿に一瞬放心してしまう後藤。
我にかえると慌てふためいた様子であははと笑って誤魔化した。


「いちーはシータか…」

「シータ?」


「なんでもない。で、着た訳だけど……。それで?」

続きはまぁ、聞かなくても分かるのだがとりあえず意地悪く聞いて見る市井。
上から下まで何度も目を往復させ照れ臭そうに市井を見つめる後藤から、誤魔化すように頭をかいて視線をそらす。
ゆっくり後藤の気配が近づいたかと思うと、目の前で止まる。

20 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時18分44秒



「な、何……?」

学ランの裾を掴んではにかみ笑いをする後藤。

「すごいドキドキする……」

「…………」

てゆーか、いちーの方がしてるんですけど……


後藤の照れる姿は何度見ても胸がキュンと締め付けられる。
こんなに反応してくれるなら、着てあげてよかったななんて思ってると、後藤がそっともたれかかってきた。
そして、背中に手を廻してぎゅっとしがみ付くように抱きつかれる。


チュッ

「!?……」

考え事をしていた市井は、後藤のいきなりのキスで再び現実に連れ戻される。

「チュ……んっ……いちーちゃ……チュ…チュッ…」


市井の学ラン姿に完全に欲情した後藤は鼻息を荒くさせ、市井の顔じゅうにキスを浴びせる。
そしてキスしながら勢いに載せてベッドまで連れて行かれ、押し倒されて、





21 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時22分43秒



********




「んっ……ハァ……いちーちゃ……」

「……っ……ん……」

チュッチュッという互いの舌と唇の摩擦音。
そして荒い鼻息と共に興奮を高めていく。
濃厚なキスを交わしながら、後藤がゆっくりと体重を預け市井をベッドに沈めた。

頬や顎のラインや耳元、首筋と余す所なく市井の肌に口付ける後藤。
器用に自分のワイシャツのボタンを外し、背中に手を回してブラのホックを外した。
後藤のはだけたワイシャツからチラリと覗かせている白い肌に、市井がするりと手を滑り込ませる。
背中を撫でまわし、ゆっくりと前に向かって這わせていく。
迷う事なくブラの隙間から柔らな胸を包み込むと、そっと手を動かし始めた。

「んっフゥっ……っ……」

後藤の頬が更に上気していく。鼻から熱い息がすーっと抜け、市井に伝わる。

後藤の優しい唇の動きと柔らかい胸の感触に酔っていた市井は、体の熱がどんどん上がり、いつものように全身が後藤を求め始める。

ごとぉ……

「…っぅん……っ…チュ……!?」


……ぇ……?


ふいに体に感じた違和感。市井は驚きと共に目をパッと見開いた。


何……?


22 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時23分50秒


自然と蹲るように膝が折れ曲がってくる。
徐々に体重を自分の体に預けようとしている後藤の腰を掴み、寸前の所でそれを留めた。

キスされながら、後藤に気付かれぬようそっと自分の下腹部に手をもっていく。


!!!!!なっなっ…………






「はぁ!??!?!?!」









23 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時24分33秒




叫び声とともにガバッと起き上がった。


「ど…したの……?」

驚いて目を丸める後藤。


「ちょっちょちょちょっと後藤後ろ向いて!!」

「え?い、いいけど……」

訳が分からぬまま後藤はゆっくりと後ろを向いた。


カチャカチャ
ゴソゴソ

「いちーちゃ……?」

後ろで何やらごそごそやってる市井が気になりほんの少しだけ首を回す。

「見るな!!!」

「ゴッゴメ……」

市井の怒声にビクッと肩を浮かせた後藤はしょぼんとしながら向き直った。


市井は汗を噴かせながらあたふたとベルトに手をかけチャックを下ろし下着をゆっくりひっぱる。

「………………」


な、な、な、な……


なんだこれ…………


嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……




24 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時25分25秒



そこにあるのは紛れもなく男の象徴である、男性器。
ドクドクと血流が集まり固くなり始めている。
市井は恐る恐るそれに手を伸ばし先をちょこんと触れた。


「っく……!!!」


ビリビリと背筋を走った快感に前かがみになって耐える市井。


「いちーちゃん……?」


不安げに首を傾げる後藤。



落ち着け落ち着けいちー……



パニックを起こしている頭をゆっくり沈め、市井は順序を追って事の成り行きを整理し始めた。


いつ男になったんだ……?


学ランに着替える時は確かに女だったし……。
着替えた後すぐだったらいちーに抱きついた時にごとーが気付いたはず……。


んじゃ……ベッドに押し倒されてからか……
あ……もしかして……


視線を下にやり、“それ”を見る。
これが反応すると同時……
つまり欲情したら男に代わったって事かな……?


市井は暫し放心状態でその場で固まっていた。




25 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時26分22秒





「ねぇいちーちゃんもうそっち向いていい…?」


「ねぇいちーちゃ〜ん……」

「え!?あ、あ、うん……」


後藤の声で我に返った市井は落ち着きを戻しつつあるそれをパッと締まってチャックを上げた。

後藤が不服そうに口を尖らせてこっちを振り返る。
そして背を向け体育座りしている市井にすぐに後ろから抱き付いてくる。

「ねぇ、どーしたのっ?」

ひょこっと顔を覗き込んで、アヒル口の後藤。
すぐに機嫌が直るところをみるとまだ気分がノってるようだ。

「いちーちゃ〜〜ん」

「うん……」

まるで父親にジャレつく子供みたいにぎゅっと首に腕を廻し背中に乗って上下に体を揺らす。

「うんうん……」

「なんだよぉ〜いいとこだったのにさっ」


なんでこんな事が起きたのかと、冷静に考えて現実世界に戻ろうとするがどうしても答えは出ない。
実際、出るはずがないのだがそれすらも錯乱して考えれない。

「って……あれ……?」

ふいに市井にじゃれついていた後藤がピタリと止まってゆっくり体を離した。

「いちーちゃん……。……あれ……?」


26 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時27分40秒



再び確認するようにゆっくり体にくっ付き後ろからぎゅっと抱きしめる。

「…………?」

まだ現実世界に返ってこれない市井は後藤のそれに全く無反応。

後藤は後ろから市井の学ランをワイシャツと一緒にたくし上げ、隙間からそっと中に手を伸ばした。
恐る恐る手を奥に入れていく。

「あ、あれ……?いちーちゃん??」

手はスカスカと空を切り、あるはずのものがない。

「胸何処いったの!!?」

バッと前に回ってきて、放心状態の市井を無視して学ランとワイシャツのボタンを急いで外し、前を勢い良く開いた。



「!?!??!?……いちーちゃんがオトコになってる…………」



「えっちょちょっと嘘でしょ!?」

とっさに市井のズボンのチャックに手をかける後藤。

「!?わっダッダメ!!!」

後藤の行為にハッと我に返った市井は慌てて後藤の手を掴んでそれを制した。

「ね……いちーちゃ……もしかして下も……?」


「…………」

コクリとゆっくり頷く市井。



「あらぁ…………」





27 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)19時28分37秒



思い切り傷心の様子で落ち込む市井を前にしてかける言葉も思いつかない。
しかし、次の瞬間後藤が急にある事を思い出した。

「あっ!!!!」

「!?な、何……?」

「そういえば……」

「なんだよ…なんか分かった……?って分かる訳ないけど……」

「うん分かった」

「マジで!?いちー、な、治る!?戻れる!?!?」

「…それは分からないけど……」

「なんだ……」

「あんね、」

「うん……」

「この学ラン、もらい物なの」

「……そうだとは思ったよ。流石に買って来る訳はないかなって」

「それがね、―――……」




“この学ランあげるべさ”

“えっごとー欲しがってたのなんで分かっ”



顔をあげると、目の前には誰もいなかった。



「―――……っていう……不思議な話」

「何それオカルトじゃんか!!」


「天使の送りものだよ」

「何処が!!思い切り悪魔だ!!」




28 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)20時55分33秒
ちょっと区切ります。
29 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)21時32分48秒



********


最初こそ揉めていたものの、学ラン姿に欲情した後藤と、そんな後藤に欲情した市井。
自然とムードも高まり、もう何もかもどうでも良くなった。
ただ互いが互いを求めている事実。

「……いちーちゃん今、ごとーの事欲しいって思ってるんだ」

「…………」

別になんて今日は言えない。
市井のそれは市井に代わってご丁寧に後藤に要求していた。
要求というかもはや、懇願、哀願。

素直じゃない市井に代わっての、素直な“市井のオトコノコ”のお願い事に、後藤は嬉しくなる。
気付くと自分の方から市井に乗り上げて、学ランのボタンを一つ一つ確かめるように外していた。








30 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月26日(金)21時43分52秒


―――――――
―――――


ぬるりとした感覚に覆われ、柔らかい温もりに徐々に埋もれていく。

スカートで結合部を隠された事により、逆に想像力を掻き立てられ興奮を煽る。
市井はギュッと目を瞑り後藤にしがみ付くように腰に手を回した。

「いちーちゃ…かわい……」

少なくとも市井よりは少しの余裕を残していた後藤は、上気した頬で小さく笑う。
市井に与えられるものはなんだって胸の奥を揺さぶる。それが例え痛みだとしても。
後藤はくっと堪えながら、ゆっくり腰を沈めていく。


いつもされてた後藤が初めて市井にしてあげた時と、似てるけど違う。
その時の市井は気恥ずかしさを残しながら同時に自我を必死に捕まえていて、時折余裕すら見せていた。
どちかといえば必死になっていたのは後藤の方で。


31 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月26日(金)22時37分15秒


けど今はそんな余裕は感じられない。
パンパンに膨れ上がり熱をもってドクドクと脈打つそれからは、既にカウパー液が溢れ出していて、性的興奮を顕著に露呈してしまっている。
自尊心なんてものはとうに打ち砕かれていた。

本当に初めて経験するオトコノコみたいで、優位な立場の後藤はこれとない満足感を覚える。
実際、“初めて経験するオトコノコ”なのだが。


「…ハァ……ちーちゃ……動かすよ……?」

ピクリと体を反応させ、市井が静かに頷く。

「う……ん……ハァ………」

後藤はゆっくりと腰を動かし始める。



「ぅっ……!!!……ぁぁ……」



感じた事のない未知の快感に体が震える。
後藤と擦れ合う部分から背筋を通って後頭部へと電流が走る。
市井は小さく声を漏らし、体を緊張させた。

「……ふぁ………ぁ…」


32 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)22時48分57秒



後藤は、ゆっくり、ゆっくり、丁寧に柔らかく腰を動かす。
穏やかで優しい動きに、市井は完全に翻弄される。


「ハァッ……ハァッ……」

「…ん……ぁ………」


いちーちゃんいちーちゃん……


興奮に息を荒くする市井に対し、後藤は少しの快感も逃さぬよう慎重に市井を味わっていた。
どこかで、きっと一度きりだという懸念があった。

一度きりの一つになったこの感動を、忘れないように。
忘れさせないように。

「んっ……ぅん……ぁぁ……」





33 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)22時50分56秒




柔らかい締め付けと緩和の連動。上下に連れ去る快感。
後藤の腰の動きが、市井をこれとない快感に溺れさせる。
完全に理性は吹き飛び、そして完全にトリップしていた。


「うっぁ……ハァ……っく……ん……」

頭の中がグルグル回り、思考回路は全く遮断される。
ただ後藤の存在だけが事実で、他は何もない世界。
無意識に後藤の肌を求め、開かれたワイシャツから覗く胸元に口付けをする。
後藤はうっとりした表情で体を少し反らせると、市井の髪をクシャリとかき回す。



指先から伝わる、遠慮がちでぎこちない動き。
腰から伝わるそれも同じで。

激しい情熱というより、ジワリとこみ上げてくる、どこか切ない……

哀愁と孤独の裏に、純粋なものを感じた。

だから、好きになった。




34 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)22時53分17秒




後藤の愛撫は、いつも市井の芯を揺さぶる。身も心も、完全なる呪縛。
焦らされ弄ばれるそれは、後藤が自覚してないだけに、とてつもなく疼かされる。
心の中で悶絶して、表面で強がって。
でも今日は…。


「ごとー…ハァ…名前……呼んで……っ……」


え……?

鈍る思考の中確かに聞こえた市井の言葉に、後藤は一瞬耳を疑った。

「ハァ………よ……んで……いつもみたい…に……」




そんな風に“最中”にお願い事されたのなんて初めてで。
いや最中でなくとも、市井の口からお願い事なんてされた事なかった。
市井は無我夢中で半ば無意識で発した言葉だったが、
後藤にとってそれは喜びを通り越して感動ですらあった。
市井の頭をぎゅっと抱きこむようにする後藤。



35 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)22時54分41秒





「……ぃ…ちーちゃ……」




「っ!!……」



市井は耐えるように目を瞑り体を縮こませてぶるっと震えた。

「……ん……ぁ…いちーちゃん……」

さっきよりもはっきりと聞かされる、自分の名前。後藤だけの呼び名。
頭の中で強いエコーがかかって反芻される。
いつしか後藤の発する“いちーちゃん”が性感帯になっている事に気付く。


「ハァッ……んっハァ……ぁあ……ごとー……ごとー……」


だらしなく開いた口はカラカラに乾き、その声は艶を失い、力なくかすれる。
後藤はその市井に優しく口付けすると、乾いた口内に唾液を流し込むように舌を絡めた。

「っん!…」




36 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)22時56分36秒


その瞬間、貪るように舌も唇も持っていかれる。それも少し強引に。
今日は全部リードしたい。後藤のそんな願望を知る由もない市井は、いつもの条件反射で柔らかさに反応して囚えてしまう。


「……っ!……ふぅ……ん……!……」


角度を変え舌が触れる毎にビクッビクッと後藤が震える。
身も心も捉えた確証。
後藤の体全体が敏感になっている。
気付いた市井はいつもより激しく舌を絡める。
甘く噛み付いて、強く吸い込む。
キスの熱に衝動も突き動かされ、自然に後藤の腰の動きも速くなる。


「っうぐっ……っ……んん!」

それに市井にキスの勢いも加速される。
エネルギーの循環が円を描いて増幅していく。
後藤に廻す手に力が増していく市井。
ギシギシと軋み始めるベッド。

「んっんっ!」



37 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)22時58分49秒


市井は下半身を完全に後藤に預け、されるままになり、僅かな抵抗とばかりに舌を絡めとる。
キスの快感が下腹部へと伝わり後藤の内膜がギュウっと締まる。

「んん!!」

苦痛に似た表情で快楽に顔を歪める市井。
徐々に強まる快感に思わず力が入ってしまった。



「イタッ」



カリッという感触のあと、ジワリ。鉄の味が舌に伝わる。

「!!あっゴメ!!!」

一瞬にして我に返った市井はパッと目を開くと、後藤の下唇から赤い液体がつーっと顎を伝う。


「ゴメッ大丈夫……?」


「へーき……」

虚ろな目の後藤は構わず市井の髪に指を滑らせ顔を近付ける。
そして耳元で上気した息を吹きかけると、小さく囁く。

「いちーちゃんには何されてもへーきって、前に言ったじゃん……」

やけに色っぽく囁かれ、市井の耳の奥がジンと痺れる。

「ハァ……ごとー……好きだよ……」

理性を失うと、自然と口から零れてしまう。
普段はなんとなく照れがあって面と向かってなんて言えない。


38 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時01分28秒




「いちーちゃん…ハァ……んっ……」

赤い血が伝わる口元が小さく動く。
白い肌に赤い鮮血。

綺麗……

自分の中の倒錯した美を、後藤はたまに無意識に刺激する。
綺麗なものを傷つける事は罪。だけど、だからこそ。危うい本能が目を覚ます。


後藤の頬に口付けして、そのまま舌は顎のラインに向かって降りていく。
あせる気持ちを押し込めて、勿体つけるように途中耳元へと寄り道したり。
簡単に手に入れる事程つまらないものはない。
溢れ出た赤さに唇をふっと近付けて、また遠ざける。
すると後藤は流れる血の方を少し前に首を傾けてくる。促すというより、煽るように。



――舐めてよ…



「っ……」


挑発、誘惑。
確信犯なのか、無意識なのか。
市井の胸の奥をグラつかせる。




39 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時03分01秒



ペロリと舌を出して顎を下からゆっくり舐め上げる。
厭らしさは流石に出さない。
自分は加害者。
痛みを一緒に癒してあげるように、舐めとっていく。

たどり着いた傷口を恐る恐るチロリと舐めると、後藤がビクンと反応して顔を歪める。
市井はゆっくりと丁寧に時間をかけて舐め続けた。
自分の中の背徳的な願望を払拭するかのように。



40 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時04分10秒




軽く血を吸い上げて、唇を被せ、舌で覆う。
その丹念な繰り返しに後藤の腰の動きは止まる。
完全なる陶酔。
市井の癒しにウットリと酔ってしまっていた。


………力が…抜ける………

いちーちゃん……



時に突き放し、時に強い抱擁。
優しい笑顔で頭を撫でられただけで、全てを持っていかれる。

癖になるような、感情の緩急をぶつけてくるから、

だから、好きになる事をやめられない。





41 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時08分11秒




作業を繰り返されるうちに、徐々に鈍い痛みが心地良い痺れへと変わってくる。
自然に腰が動き、市井を求め始める。

「んっあ……いちーちゃ……」

「……はぁ……ハッ…ん……」

溜められた快楽は思いのほか強烈で、市井は口をうっすら開き目をぎゅっと瞑って耐えるようにした。




後藤は市井の上で一生懸命動きつづける。
汗が額から流れ、首を伝う。
それは快楽を貪ってるのではなく、確実に市井に対する奉仕だった。
汗を流して一生懸命市井を感じさせようとする健気な光景に、
身も心も、市井はこれとない程感じていた。


ごとぉ……ムチャクチャきもちーよ……


後藤も、市井が自分の体を突き上げる快楽に、
市井が快楽に顔を歪ます光景に、我を忘れる。
あまりの動悸と高揚に目の前がチカチカする。



42 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時40分56秒




擦れ合う快感。
連れ去られる意識。
後藤の中を市井がうごめき、二人の血流がそこ一点に集まる。
徐々に二人で駆け上がっていく感覚。
ゆっくりと昇りつめていく。
得体の知れない何かに二人は確実に引き上げられていた。

そして、市井は自分のそこに何かが込み上げてくる感覚に襲われる。


ぁあ……出る……これ……絶対……
もう……限界だ……







「ごとー…?ハァッ…っ……てもい……?」

「んっあっぁ……なっ…に……?……っぁ!」






「……ィっても…い……?っぅ……ぁ……」




「っ…………」



下から見上げたその目にはうっすら涙が溜まってて。
思わず息が止まる。
涙目で耐えるようにして言うそれは、後藤の胸をこれまでに無い程キュンと締め付けた。
初めて見せてくれた一面。
嬉しくて、嬉しくて。

頭をぎゅっと抱かかえて、精一杯優しい声で、

「いいよ……」


同時に内膜を意図的に締め付けて強く腰を動かして絶頂を促す。

市井は後藤にしがみ付くと、背筋を走ったブルリと大きく震えた。





43 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時44分01秒

市井は後藤にしがみ付くと、背筋を走った快感にブルリと大きく震えた。

「…ふぁっぁ!……ぁあっ!……っ!!!……」



ギリギリで耐えていたものが後藤の中に勢いよく飛び出す。
二度三度と長い間ビクビクと溢れ、後藤は市井の温かい広がりを感じて一気に昇りつめた。




44 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時45分05秒





ひくひくと痙攣を続ける後藤をギュッと抱きとめる。
暫く脱力しきってピクリとも動けない二人。


「「ハァッハァッハァッ……」」


「「……ハァ……ハァ……」」



虚ろな表情。定まらない視点。
体中が汗でベチャベチャな事に気付く。
何故かそれが心地良い。





揺らぐ視界の中そっと後藤の頬に市井が手をやると、後藤は市井に顔を近付けてチュッとついばむようなキスをした。

「好きだよっいちーちゃん…」

ニコリと微笑みかけられ、市井の胸はドキンと跳ね上がる。
言葉を詰まらせて思わず照れ笑いしてしまうと、後藤はえへへっと嬉しそうに再び笑った。
市井は、いつの間にこんな綺麗に微笑みかけれるようになったのだろうと思う。
以前はフニャッと崩れたはにかみ笑いしか出来なかったのに。
後藤の成長に嬉しくもありちょっぴり複雑でもあり。




45 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時51分40秒




「やった、今日はごとーペースだイエーイ」



一瞬の間のあと、思わず吹き出しそうになる市井。
ふぅっと肩を撫で下ろすと、何で笑うの?と覗きこんでくる後藤が可愛くて可愛くて。
お返しにとチュッと頬にキスをした。

市井のテクニシャンなキスも勿論好きな後藤だが、頬にされるそれは特別で。
パッと時計に目をやる。
10時30分。





“この学ランあげるべさ”

“えっごとー欲しがってたのなんで分かっ”

“ただし魔法は12時で解けるよ。頑張るべさっ♪ふふふ……”

“あれっ!?き、消えた!?!?……魔法……?12時……???”




ごめんねいちーちゃん
ちゃんと魔法は解けるから安心してねっ……
でも、もうちょっとだけ黙ってよっと




46 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時55分59秒





「いちーちゃん、もっかい……しよ……?」

「え?う、うん……」



照れちゃってかわいー…


もうちょっとだけいつもと違ういちーちゃんを楽しむんだ。




魔法が12時に解ける、それまで。





解けた後にもお楽しみはエンドレスだけどねっ




「へへへ」

「なんだよぉ…」

「なんでもないよぉ」





<end>




47 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月26日(金)23時57分09秒
更新えらい時間掛かってしまってすみません。
それだけ長い時間してたって事ですきっと。

48 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月27日(土)02時11分42秒
最高!
49 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月27日(土)03時45分37秒
す、凄すぎる(w
作者さん是非続編を!!
50 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月27日(土)10時44分21秒
マジで最高!! 
続編激しくキボン!!
51 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月31日(水)13時59分13秒
おおおおお!
お帰りなさい!!!
52 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月04日(日)07時47分50秒
エネミーライアン
53 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月16日(金)03時06分32秒
こんな単なる官能ものにレス頂き、ありがとうございます。
リアクションがあるとホッとします。
続きですが・・
うーん分かりません。書くかもしれないし書かないかもしれないです。
ってあたりまえですね・・。
54 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月09日(月)17時23分39秒
うおっ、続きをお願いします!!すげー!

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