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ビューティフル・アイランド
- 1 名前:sairenn 投稿日:2002年07月25日(木)17時56分40秒
- ここは太平洋の無人島。
夏休み、撮影のため豪華クルーザーで太平洋に
繰り出した、モーニング娘。しかし、突然嵐が
船を襲い、木の葉のようにゆれるクルーザー。
沈没の危険を感じた船長、おりよく前方に
島を発見、娘。たち13人をなんとか島に
おろした。
その時、大波が襲いかかり、クルーザーをはるか
沖に持って行ってしまう。
突発的なアクシデントで無人島に取り残された
娘。たち。リーダーのかおりたちの懸命の努力で
何とか、娘。たちは生き延びる事が出来た。
三日目。
翌朝、娘。たちは食べ物を捜すため、かおりたち
7人は海岸で小魚やエビ、カニを捕ることにし、
なっち率いる6人は山へ食べ物を捜しに行った。
かおり「マキ!、何か見えるかい」
見張り役として、大きな岩の上で海を見ているマキに
大きな声で呼びかけた。
マキが小さく首を振るのが見えた。
ケイ「何で、マキはいつもかおりの言う事に一々、
口答えするのかな・・・」
かおり「嫌われているのかな・・・」
ケイ「二人を見てると、お互い嫌いじゃないクセに
顔を見れば反発しあう姉妹みたいだよ」
かおり「・・・・」
- 2 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月25日(木)18時46分13秒
- かおりは岩場で魚などを捕っているメンバーに声を
かけた。
かおり「マリ!まこと!アイ!。足元に気をつけて
岩で足を切ったら大変だよ!、のの、ののはどうしたの
見えないけど」
ケイ「向うの方にいるの、ののじゃない」
かおり「何やってるのかな、ちょっと見てくるよ」
ケイ「うん。あたしも魚の一匹も捕らないと
夕ご飯がたべられないよ」
かおりはののに近づいた。
ののは何か、くねくねと動く小さな物をつまんで
かおりに見せた。
のの「ホラ、変なタコを捕まえたよ」
その小さなタコには特徴のある斑点があった。
それを見たかおりの顔色が変わった。
かおり「のの、そのタコを捨てな・・・」
のの「なんでェ、可愛いタコだよ」
かおり「いいから・・・早く捨てな・・・」
なかなか、タコを捨てないので、かおりは
タコをつまんでいるのの、の手をいきなり
思い切り蹴上げた。
タコは弧を描いて飛んで岩の上に落ちた。
ののは、手を蹴られたショックと痛みで火が
ついたように泣き出した。
そして、かおりから逃げるように走り出した。
ケイが、泣き声を聞いて走って来た。
かおり「ケイ・・・あのタコを殺して。絶対に
触るんじゃないよ!、あたしはののを追いかける
から・・・」
ケイ「・・・わかった」
- 3 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月25日(木)19時33分47秒
- 泣きながら走るのの、その前方にマキが立ちふさがった
マキ「のの、どうしたの・・・」
のの「・・・リーダーが手を蹴ったの。私、何も
悪いことしてないのに・・・」
ののは泣きじゃくりながら訴えた。
蹴られた手は赤く腫れ上がっていた。
マキは、ののをかばうように後ろにやると、
駆け寄って来た、かおりをいきなり殴りつけた。
かおりはふっ飛んで、あお向けに倒れこんだ。
マリとケイが走り寄って来る。
かおり「マリ・・・ののを追いかけて」
マリはうなづくと走り出した。
ケイは突っ立っているマキ、倒れこんでいる、
かおりをみくらべた、そしてマキの手をつかむと
引っぱって行く。
マキ「何だよ・・・」
ケイ「いいから、来るんだよ」
ケイは石を打ちつけて殺した、タコの死がいを
マキに見せた。
ケイ「このタコ、ヒョウモンダコと言って人を
殺せるほどの毒を持っているんだ。噛まれたら
死んじゃうよ。前にかおりと二人でテレビで
見たんだ、間違いないよ。・・・このタコを
ののがつまんでいたんだ。早く手から離すために
しかたなく蹴ったんだ、かおりは・・・」
マキ「・・・・」
- 4 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月25日(木)20時05分48秒
- マキは、しりもちをついたままのかおりに近づいた。
かおり「いいパンチだ、効いたよ。・・・なんで
あたしを殴ったの、憎いからかい・・・」
マキ「・・・違うよ、ののがあんまり可哀相だった
から・・・」
かおり「・・・ありがとう。ののを思ってくれて。
マキは本当はとても優しい子なのは、あたしが
一番よく知ってるよ」
マキ「・・・リーダーの気持ちも知らないで
あたしってなんてバカなんだろう、・・・
ごめんなさい」
かおり「わかってくれれば、いいんだよ・・・」
その時、逃げて行ったののを追いかけて行った
マリが、血相変えて戻って来た。
マリ「大変だよ!、ののが、ののが倒れて
動かないよ・・・」
ケイ「大変だ・・・毒ダコにやられたんだ!」
かおりは懸命に走りながら、祈るしかなかった。
のの、死なないでと・・・。
なっちに率いられたメンバーたちは、最初は
ピクニック気分で山の中を歩いて行く。
リカ「あっ、キノコがたくさんはえてるよ」
なっち「ダメだよ〜リカ、かおりがキノコは
毒のあるのが多いから絶対に取っちゃダメだと
言ってたんだよ」
リカ「でも、何だか美味しそう」
なっち「そうだね〜」
よっしー「ダメ、ダメ。なっち、やめたほうが
いいよ」
なっち「そうだね・・・」
- 5 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月25日(木)23時23分27秒
- しばらく歩くと、紫がかった実をつけた木が見つかる
よっしー「ねえ、あの実なんか食べられそうだよ。
なんか、ナッツみたいだし」
なっち「そうだね。誰か木に登れる子いるかな」
ひとりの娘。が木に登り始めたその時、突然、
ギャアーッ!ギャアーッ!と、鋭い鳴き声とともに
尻尾の長い、小型の猿の群れが娘。たちに襲い
かかって来た。
娘。たちはパニック状態になって、悲鳴を
上げながら逃げまどった。
その時、腰がぬけて動けないなっちに群れの
ボスらしい猿が鋭い犬歯をむき出しにして、
向かって来た。
なっちが恐怖で手で顔をおおった、その時、
木に登っていた娘。が降りて来て、なっちと
猿の間に割って入った。
その娘。は、思わず立ち止まった猿に、大胆にも
向かって行く。
なっち「・・・あいぼん」
そのすきに、よっしーとリサがなっちを引きずって
いきその場から離した。
あいぼんは、猿の前に腰をおろすと何かわけの
わからない声を出している。
リサ「あいぼん、お猿さんとお話してます・・・」
よっしー「そんな、バカな・・・」
なっち「・・・・」
こんの「いえ、あいぼんなら出来ると思います」
なっちとよっしーは思わず、こんのを見て、そして
振り返ってあいぼんを見つめた。
どうやら、交渉が成立したようで、ボス猿は時々
あいぼんを振り返りながら、群れの方へ
戻って行く。
- 6 名前:皐月 投稿日:2002年07月26日(金)10時26分30秒
- あいぼん何を話したんだ?すごい気になる!
- 7 名前:スカウトマン!? 投稿日:2002年07月26日(金)18時29分32秒
- 楽しみにしてます!でも、ののはどうなったの?
- 8 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月26日(金)22時33分50秒
- 戻って来たあいぼんに、よっしーは、
よっしー「あいぼん・・・あなた猿の言葉がわかるの」
あいぼん「えっー、わかるわけないじゃないですかァ」
よっしー「・・・そうだよね」
あいぼん「でも、一生懸命お願いしたら、わかって
くれたみたいですゥ、だから実を取っても良いみたい」
よっしー「へ〜ェ・・・」
あいぼんは、またスルスルと木に登っていく。
なっち「よっしー・・・あいぼんって、あんな娘。
だったけ・・・」
よっしー「サア・・・」
なっち「あいぼんって、いったいなんダベサ」
よっしー「なっち、訛ってるよ。なにか、
私たちの知らない秘密を、あいぼんは持ってる
みたい・・・」
どうやら、あいぼんは無人島に来てほんらい
持っていた野生の本能が目覚めたようだ。
娘。たちはたくさんの実を抱えて帰りはじめた。
すると、こんのが立ち止まり、指差した。
こんの「あの葉っぱですが、サトイモに似ている
と思います。掘ってみたほうが良いと思います」
何とか苦労して掘ってみると、はたして芋が
出てきた。
よっしー「食べられるかなァ」
なっち「一応、あいぼんの意見を聞いてみたら」
よっしー「あいぼん、どお・・・」
あいぼん「食べられるんじゃないっすか」
満足そうにうなづく、こんの。
なっち「よっしー、なんだかあたし自信
なくしちゃったんだわさ・・・」
よっしー「そんなことないよ、なっち。あの
二人はこの無人島に合ってるだけだよ」
なっち「そうかな・・・」
よっしー「そうだよ。なっちにはみんなを
元気づける笑顔があるじゃない」
なっち「そうだよね。頑張るダベサ」
さすがに、なっちは立ち直りが早い。
- 9 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月26日(金)23時55分07秒
- かおりを先頭に、ケイ、マキ、マリたちはののが
倒れている場所へ走りよった。
ののは、うつ伏せに倒れていた。
かおりは側に倒れこむと、体に手をかけて
名前を呼び続けた・・・。
かおり「のの!・・・のの!!死なないで・・・
死んじゃイヤだよ、ののが死んじゃったら、
あたしも死んじゃうよ・・・」
かおりはののの体を起こし、顔をのぞきこんだ。
かおりの大粒の涙が、ののの顔を濡らす・・・。
マリは側に立ちつくし、唇を歪めて涙を流した。
ケイは座り込み、地面に顔をうずめたまま、
動かなかった。
マキはののから顔をそむけ、強く握り締めた
こぶしがブルブルと震えていた。
すると、ののがゆっくりと眼を開いた。
かおり「のの!、のの!、大丈夫・・・」
ののは唇をひらいて、つぶやいた。
のの「・・・お腹がすいた・・・」
突然、マリがけたたましい声で笑い出した。
しかし、その瞳からはいぜんとして、涙が溢れ
出している。
そんなマリにマキが飛びついて、一緒に泣きながら
笑い出した。
ケイは地面に大の字になって青い空を見つめた。
その瞳には安どの涙が流れた。
かおりは全身の力が抜けていくのを感じた。
かおり「マリ・・・何か食べるもの
ないかしら・・・」
我にかえったマリは力なく首を振った。
するとマキが、
マキ「待っていて、直ぐ戻ってくるから」
やがて、走って戻って来たマキは何かをののに
差し出した。
マキ「昨日、一個だけ捕れたアワビを陽に
干していたんだ」
ののは眼を輝かして起き上がると、アワビを
口に入れた。
マキ「のの、すぐ飲み込んじゃダメだよ。
しばらく噛んでいな・・・」
- 10 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月27日(土)01時36分03秒
- ケイは起き上がった。
ケイ「さあ、食べ物を捜しに行かなくちゃ」
マリとマキもうなづいて、歩き出した。
かおりは、ののを自分の膝に抱き上げて、いっしんに
アワビを噛みしめているののを見つめた。
ふと、ののがさりげなく言った。
のの「リーダー、なぜ、あたしを蹴ったの・・・」
かおりは、思わずハッとなって一瞬うろたえたが、
思いなおして言った。
かおり「後で、落ち着いたら話してあげるけど、
ののはあたしのこと、好きかい・・・」
のの「好きだよ・・・」
かおり「ありがとう。あたしもね、ののが
好きで好きでたまらないの・・・ののを
蹴ったのは、そんな大好きなののを助ける
ためだったの・・・わかってくれる」
のの「・・・わかった」
かおり「ありがとう、のの、のの・・・」
かおりは、ののを強く抱きしめた。
- 11 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月28日(日)20時51分39秒
- なっちたち6人は、ナッツやイモなど食べ物を
かかえて、帰路についた。
なっち「たくさんとれたね〜、かおりんたち
喜ぶよ。でも、あたしよく料理するからわかる
けど、このイモ、くせがあるみたいだね、多分
水にさらさないと、ダメだよね〜」
その時、あいぼんが立ち止まって、
鼻を鳴らしながら言った。
あいぼん「なんだか、水の匂いがする」
なっち「・・・水に匂いなんてあるの」
よっしー「シッー、みんな黙って」
こんの「・・・水の流れる音がします」
そこへ行ってみると、岩の間から水が湧き出し
下には水溜りが出来ていた。
よっしー「とてもキレイな水だよ!、このまま
飲めそうだよ」
娘。たちはノドをうるおした後、空き瓶や水筒に
水を詰めた。
なっち「水が見つかってホントに良かったね。
・・・あいぼんって、なんていうのか、
野生のハムスターみたいだね〜」
よっしー「どういうこと・・・」
なっち「ケージに入ってるハムスターは可愛い
だけだけど、外に出て、野生化するとすごい
能力を発揮するんだよ〜」
よっしー「・・・フーン」
- 12 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月28日(日)22時50分47秒
- よっしーは、後ろを振り返って1人少ないのに
気がついた。
よっしー「リサ、リサがいないよ、どこへ
行ったの。リカ、見なかった・・・」
リカ「わかんない、前にいると思ってた」
なっち「どうしょう、よっしー・・・」
よっしー「私が見てくるよ、みんなは動かないで
ここにいて」
ジリジリとした思いでみなが待っていた時、
リサが泣きながら戻って来た。
なっち「リサ!、どうしたの!」
リサ「よっしーが、よっしーが落ちちゃったんです、
私を助けようとして、崖から・・・」
なっちはリサの指差す方へ駆け出した。
不安で身が裂かれる思いで、ようやくリサの言う
場所へついた。
そこは、5,6メートルほどの崖で、下を
覗き込んで見ると、よっしーが倒れているのが
見えた。なっちは名前を叫びながら、夢中に
なって危険もかえりみずに崖下へ滑り落ちていった。
なっちがようやく、這いつくばりながらよっしーに
近づいて見ると、よっしーは左の足首をおさえて
いて、その部分がみるみるうちに、紫色に腫れ
上がっていく。
よっしーは声も出せなくなっていて、顔を歪め
激しい痛みのため、涙がこぼれ落ちていた・・・。
自分ひとりではどうにもならない事がわかり、
なっちは上にいるリサに大声で叫んだ。
なっち「海岸に行って、かおりか、ケイを
呼んで来て!!」
激しい痛みによるショックで、全身に
痙攣(けいれん)を起こし始めたよっしーを
なっちは、ただ強く抱きしめるしか出来
なかった・・・。
- 13 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月28日(日)23時27分21秒
- ののが、不意に顔を上げて山の方へ目をやった。
のの「・・・あいぼん、どうしてるかなァ」
かおりは、ののが仲の良いあいぼんと山へ
行きたがっていたことをおもい出した。
そこへ、ケイがやって来た。
ケイ「かおり、なっちたち帰ってくるのが遅い
のじゃないかな。何だか、胸騒ぎがしてしょうが
ないんだ。様子を見に行ってもいいかな・・・」
かおりも、何だかわけのわからない不安にかられて
立ち上がった。
その時だった、叫び声を上げながらリサが
走ってくるのが見えた。
かおりはリサに駆け寄った。
かおり「何があったの!、あいぼんがどうか
したの・・・」
リサは、ハア、ハアと息をきらせながら、よっしー
のことを話した。
かおりは山へ向かって走りはじめた。ケイも
それに続いた。
ののが無事で喜んでいたのに、またこんなとが
起きるなんて、神様はなんであたしたちに試練
ばかり与えるんだろうと、かおりは呪った。
- 14 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月29日(月)00時11分24秒
- 登場人物
かおり(18歳) なっち(18歳)
ケイ (19歳) よっしー(17歳)
マリ (17歳) リカ (15歳)
マキ (16歳) こんの (14歳)
アイ (13歳) あいぼん (13歳)
まこと (13歳) リサ (12歳)
のの (13歳)
一日目
ここは太平洋の絶海の無人島。
モーニング娘。13人はこの島に孤立した。
娘。たちは砂浜へ上がり、難をのがれた。
ケイ「大変だ、船が見えなくなったよ」
かおり「大丈夫、きっと戻ってくるよ・・・」
娘。たちはひとかたまりになって、助けの
くるのを待った。
あいぼん「これって、ドッキリだよ」
のの「だよね、弱いひとから帰されちゃうんだよ」
これから迫る運命も知らず、のん気な二人だった。
のの「八段アイス、食べたいね〜」
あいぼん「無人島にアイスクリーム屋さんあるかな」
あるわけがない。
あいぼんの本領が発揮されるのはまだ先の
話になる。
- 15 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月29日(月)18時42分12秒
- いくら待っても助けは来ず、やがて陽が落ちてくる。
ケイ「船は何で戻ってこないの・・・」
かおり「・・・戻ってくるよ」
ケイ「もしかして、沈んだんじゃ・・・」
かおり「ケイ!そんなこと言わないの」
かおりとケイは、あたりを捜した結果、運良く
みなが雨風をしのげそうな洞くつを見つけた。
かおり「さあ、行くよ!早くしないと日が暮れるよ」
さすがにみんな不安になっていて、一番年下のリサは
お家に帰りたいと泣き始める。
かおり「さあさあ、めそめそしないで。早く!」
ところが、ひとりだけ動かない。
かおり「マキ!何してんだ、行くよ」
なぜか、そっぽを向くマキ。
かおり「何やってんだよ!」
マキ「・・・あんたの指図はうけないよ」
お決まりの展開になって来た・・・。
- 16 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月29日(月)19時14分11秒
- かおり「いいかいマキ、あの崖の上の所に貝が
くっついてるだろ、ここは満ち潮になると海の底
になるんだよ」
マキは渋々立ち上がった。
かおり「ケイ、みんな洞くつに入れたの」
ケイ「うん。・・・かおり、何だか寒くなって
来たし、火を起こさないと。何か燃やす物を
捜してくるよ」
かおり「・・・頼むよ」
洞くつに何とか落ち着いた、娘。たちに空腹が
しのびよってくる。みんな朝食べたきりなのだ。
特に、ののは飢え死に寸前だった。
あいぼん「のの、大丈夫」
のの「・・・お腹すいたよョ〜」
消え入りそうな声である。
と、突然ののが立ち上がり、リカの所に、
のの「リカちゃん、今なんか食べてたでしょ」
リカ「食べてないわよ・・・」
のの「ウソだァ、あたしにもちょうだいよォ」
リカ「何でェ〜」
二人は睨み合い、険悪なふんいきだった。
そこへ、あいぼんが来てののを連れ戻した。
あいぼん「リカちゃんのことは、ほっときな」
のの「お腹すいたヨ〜ォ」
じだんだ踏んで、ののはうったえた。
- 17 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月29日(月)22時30分52秒
- あいぼんはポケットから何かを取り出した。
あいぼん「のの、口をあけな・・・」
ア〜ンと口を開けるのの。その口に何かを
入れるあいぼん。
目を輝かせて味わうのの。
あいぼん「チョコボール、美味しい?」
のの「ウン。・・・あいぼんは食べないの」
あいぼん「ゴメンネ、もうそれ一個しか残ってないの」
するとのの、小さくなったチョコボールを口から
出して、あいぼんに差し出した。
あいぼん「いいから、ののが食べちゃいな」
のの「・・・あいぼ〜ん」
あいぼんの優しさに涙ぐみながら、それでも
また口の中に入れるのの・・・。
ケイ「何とか、燃やせそうな枯れ木があったよ」
かおり「ありがとう」
ケイ「かおり、マッチは・・・」
かおり「エーェ!、ケイが持ってないのォ」
ケイ「うん、かおりが持ってると思ってた」
かおり「アチャー、どうしょうォ」
そこへマリがあわててやって来た。
マリ「大変だよ、リサが苦しんでるよ。
ぜん息の発作みたいだよ」
かおり「・・・薬は」
マリ「それが、船に置いてきたみたい」
頭をかかえる、かおり。
マリ「リサ、死にそうだよ・・・」
- 18 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月30日(火)20時22分42秒
- リサはぜん息の発作を起こし、激しく咳き込んでいる。
かおりは側にかがみ込むと、リサの半身を起こし、
その背中を懸命にさすり始めた。
かおり「ゴメンネ、リサ。ここにはお医者さんも
いないし、薬もないんだ・・・今、あたしに出来る
ことはこれだけなんだ、ゴメンネ、リサ・・・」
必死にリサの背中をさするかおりを見て、マリも
一緒になって背中をさすった。
それを見た娘。たちも、リサ頑張れと励ます。
娘。たちの思いが通じたのか、リサの発作は
少しずつおさまっていった。
かおり「誰か、タオルを貸して」
なっちが大きめのタオルを渡す。それを敷いた
上にリサを寝かしたかおりは自分の着ていた
パーカーをかけてあげる。
リサは、ママ、ママと何度もつぶやいている。
それを聞いてかおりは思わず涙ぐみながら立ち
上がった。
もうすっかり暗くなり、誰かの持っていたペンライト
だけがたよりだった。それも、じきに電池が切れて
しまうだろう。
ケイ「あ〜あ、私がタバコを吸うのならライターを
持ってるんだけど・・・」
かおり「ケイ、マキはどこにいるの」
ケイ「外にいたけど・・・」
かおりはマキを見ると、その手をつかんで話し声が
聞こえない所へ引っぱって行く。
- 19 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月30日(火)22時40分24秒
- マキ「なにすんだよ!」
かおり「いいから、来るんだよ」
かおり「マキ、あたしね知ってるんだ。あんたが
隠れてタバコを吸ってるのを・・・」
マキ「・・・」
かおり「だから、ライター持ってんだろ」
マキ「持ってね〜ヨ・・・」
かおりはその場にひざまずいて、懇願した。
かおり「マキ、お願い。今ライターがあると
みんなが助かるんだ、リサのためにもライター
を出してくれない。お願い・・・」
マキはかおりの手に百円ライターを握らすと
歩いて行った。
かおり「マキ・・・ありがとう」
かおり「ケイ、もっと燃やす物ないかな」
ケイ「取って来るよ、流木がいっぱいあったよ」
やがて、パチパチと音をたてて、たき火が
燃え始めた。
アイ「わあ、キャンプファイヤーみたい」
なっち「みんな、歌おう。」
のの「しゅっぱい あまい ストロベリーパイ〜♪」
突然、歌い出した、のの。
あわてて、マリが止めに入った。
マリ「のの、今はその歌はやめよう・・・」
なっち「いくよ。1、2、3、」
みんなで歌いましょう!
夏が過ぎる前に
今夜はキャンプファイヤー
このメンバーが最高!
みんなで歌いましょう!
眠りたくなるまで
HELLO! みんな
また会おうね!
- 20 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月30日(火)23時20分51秒
- ケイはかおりを外へ連れ出した。雨がふって来た。
ケイ「かおり、みんなお腹をすかせているよ。
あたしはガマン出来るよ。でも、子供たちは・・・。
何人か、食べ物を持ってる子がいるみたい、でも
持ってない子もいる。そんな子は可哀相だよ」
かおり「・・・わかってる」
ケイは行こうとするかおりを止めた。
ケイ「かおり、持ってる子から食べ物を取り上げ
なくちゃいけないことになるかもしれない。
リーダーがうらまれるのは、いけないよ。
あたしが憎まれ役をやるよ」
かおり「ありがとう。大丈夫、うまくやるよ」
かおりはメンバー全員の前で話した。
明日になれば、きっと船が戻ってくる。
明日になれば、この島をでられる。だから、
食べ物を持ってる子がいたら、持ってない
子にわけてあげようよ。
しかし、みな口を閉ざしたまま、押し黙っている。
- 21 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月31日(水)00時02分42秒
- 突然、マキが前に出てくる。
マキ「みんな!食い物を隠してんだろ!出しなよ。
リカ!隠してるのはわかってるよ。出しちゃいな」
リカは怯えながら、首を振った。
マキはリカの体に手をかけながら言った。
マキ「リカ!出さないと承知しないよ!」
かおり「みんな、マキを止めて!」
ケイとマリが止めに入る。
かおりは、膝をかかえて座り込んでいるリカの
前にひざまずいて話しかけた。
かおり「リカ、お願い・・・お腹をすかせている
他の子たちのことも考えてくれない。もし、食べ物
が残っていたら、少しだけでもその子たちにわけて
あげて。あなたもすごくお腹がすいてるのは、よく
わかる。明日になれば、きっとあたしが何とか
するから、今日だけは、お願い・・・」
リカはうなづくと、バッグから出したお菓子の袋を
差し出した。
かおり「ありがとう、リカ。本当にありがとう」
かおり「みんな、バッグの中やポケットの中をもう
一度調べて見て。食べられる物なら何でもいいから」
みんなが調べた結果、ガム数枚、飴玉ニ、三個、
小さな袋に入ったチョコやセンベイがいくつか、
食べ残しのビスケットのかけらなど、以外に
たくさん出てきた。しかし、13人の娘。たち
で食べるには、あまりにも少ない・・・。
- 22 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月31日(水)01時17分14秒
- かおりは、なっち、ケイ、マリ、よっしー、マキ
たちを集めた。
かおり「みんな、子供たちに出来るだけ食べさせて
あげたいの。あなたたちには申し訳ないけど、
明日になれば、きっと何とかするから、今日だけは
ガマンしてほしいの。こんな、なさけないことしか
言えないあたしを許して・・・」
なっち「なっちは平気だよ〜二、三日食べなくても
大丈夫だよ」
ケイ「ウン。わかったよ」
マリ「おいらは小っちゃいから、食べなくても
へっちゃらさ」
よっしー「私も大丈夫だよ・・・」
マキもうなづいた。
かおり「ありがとう。みんな・・・」
かおりが子供たちに食べ物を分配している時、
マリがすっとんきょうな大声をだした。
マリ「あー!、忘れてた!」
マリは眠っているリサにかけた自分のパーカーの
ポケットから、小っちゃい缶ジュースを取り出した。
それを見た何人かが、ゴクッとのどを鳴らすのが
聞こえる。
かおり「マリ、それはリサのために残してあげて
くれない」
マリ「・・・わかった」
かおりは急にのどの渇きをおぼえた。
かおり「そうだ、雨がふってるんだ。ケイ、その
ビニールシートを貸して。ジュースの空きビンも
使えるわ。何とか雨水をためないと・・・」
- 23 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月31日(水)02時09分18秒
- 外から戻ったかおりは子供たちに声をかけた。
かおり「さあ、食べちゃいなさい。後で水をあげるわ」
子供たちが食べ始めると、マリたちは目をそむけた。
それを見たあいぼんが近づいてくる。
あいぼん「・・・リーダーやマリちゃんたちは
食べないの」
マリ「私たちはいいの、早く食べてしまいな」
すると、あいぼんは自分の食べ物の半分を
マリにさし出した。
あいぼん「私たちだけ食べるなんて、出来ないよ・・」
マリ「・・・あいぼん」
それを見た他の子たちも、食べ物を差し出した。
ののも、おずおずと食べ物を差し出した。
それを見たケイは、思わずののを強く抱きしめた。
ケイ「のの、あなたはいいのよ・・・」
かおりは、こらえていた涙が溢れ出し、あいぼんや
子供たちの肩を抱きしめた。
なっちやマリも声を上げて泣いている。
かおり「ありがとう。みんな・・・少なくなっちゃう
けど、みんなでわけて食べようね・・・」
- 24 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月31日(水)02時38分59秒
- かおりがマキのところへ行くと、マキがあわてて
涙をぬぐうのが見えた。
かおり「ほら、マキの分だよ」
かおりが食べ物を差し出すと、
マキ「あたしはいらないよ・・・」
かおり「ホント、いじっ張りなんだから。子供たちが
わけてくれたんだから、よく味わって食べるんだよ」
マキの手に食べ物を握らす。
なっち「みんな、食べたら歌おう」
でっかいでっかい宇宙にある
まーるいまーるい地球で
誰かを責めるより
涙を流すより
自分を愛してあげようよ
ちっちゃなちっちゃな思いやりが
でっかなでっかな愛となる
愛となる!
逆境の中で、娘。たちは少しずつ団結して行く。
- 25 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年07月31日(水)22時34分46秒
- 5日目。
かおり「あいぼんとののが見えないけど、どこへ
行ったの」
なっち「また、二人でどっか行ったみたいだよ。
あの二人のことは、ほっといても大丈夫だよ。
あいぼんなんか、無人島に来てからは、
水をえたハムスターみたいだよ〜」
かおり「なんじゃ、それー、・・・」
ののとあいぼんは、島のジャングルの中へ
わけいって行く。しばらく歩くと、木の上
から猿たちの鳴き声が聞こえてくる。
例の一件以来、あいぼんは猿たちからいちもく
おかれている。
二人の前方に一匹の子猿が降り立った。
あいぼん「あ〜、可愛いネ、おいで、おいで。」
好奇心のつよそうな子猿は近づいてくる。
しかし、樹上からかん高い鳴き声がすると、
子猿は、はねるように歩いて行き、木に登って
行った。
あいぼんは見上げながら言った。
あいぼん「お母さん猿が戻ってらっしゃいって
言ってるよ」
のの「あいぼん、わかるんだ〜」
二人は黙って歩き出した。今は、遠くにいる
母親をおもい出したようだ・・・。
しばらくして、あいぼんが何かに気づいて、
ののの手を引っぱって、もの陰に隠れた。
のの「どうしたの・・・」
あいぼん「黙ってて、誰か来たよ」
すると、娘。のひとりが二人の前を通りすぎて
行く。
のの「あー、マリちゃんだァ、どこ行くのかな」
あいぼん「後をついてってみようよ」
- 26 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月02日(金)14時40分11秒
- 7月31日の後藤真希、保田圭の卒業とユニットの
大はば入れ替えについて。
二人の卒業はとてもショックでした。その後の
会見などでは、二人とも前々から、ソロとして
やりたいと希望をだしていたようです。
今後の二人を見守り、応援したいと思います。
ユニットの入れ替えは、とても納得がいきません。
タンポポのファンの私は、飯田さんと矢口さんが
脱退させられたのは、残念ですし、悲しいです。
しかし、一ファンとしてはどうにもなりません。
二人の今後の活躍を祈るしか、ありません。
- 27 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月02日(金)20時52分40秒
- マリの後をつける、ののとあいぼん。
やがて、マリは海岸に出た。そこは娘。たちが
活動している海岸とは反対側にあり、誰もいない。
岩場の中にせまい砂浜があり、マリはそこに着くと
やおら、服を脱ぎ始める。そして、下着も・・・、
のの「あれれ、マリちゃん、スッポンポンだよ〜」
あいぼん「おー、プリっとしたお尻がたまらんの〜」
のの「あんたは、オッサンかい・・・」
まっぱになったマリは海に入って行く。
そして、気持ち良さそうに泳ぎ始めた。
あいぼん「マリちゃん、前に無人島でスッポンポンに
なって泳ぎたいって言ってたね〜。」
のの「気持ち良さそう、うちらも行こう〜」
あいぼん「よっしゃー、もぐって行って、
カンチョウしちゃおー!」
のの「そんなことしたら、中まで入っちゃうゥ」
なにが、中まで入っちゃうんだ・・・。
二人も服を脱ぎ捨て、まっぱになって海に入って行く。
野生化したハムスターコンビ、ののとあいぼんに
襲われたマリはどうなってしまうのか!
- 28 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月03日(土)19時09分41秒
- 三日目
かおりは崖の上から下にいるなっちとよっしーを
見下ろした。
かおり「ケイ、ロープがいるよ。みんなで、長いツル
みたいのを捜してくれない。どうしても無い時は、
みんなの服を裂いてロープを作るしかないけど」
ケイ「わかった。まかせて・・・」
かおりは崖下へ一気に滑り降りた。
なっちは、涙も枯れ果てた表情でしがみついてくる。
なっち「かおり・・・来てくれたのね」
かおり「よっしーの具合は・・・」
かおりがよっしーの耳元で呼ぶと、よっしーはかすか
にうなづくだけだった。
腫れ上がった足首を見たかおりは、
かおり「多分、捻挫だと思うんだ。動かすといけない
から、縛らないと」
かおりはハンカチを取り出すと、よっしーの口の中に
押し込んだ。
かおり「よっしー、少しの間ガマンして。なっち、
動かないように抑えてといて」
自分のGパンのベルトをはずし、よっしーの足首を
縛りだす。痛みが襲ってきて、よっしーの口から
息が漏れ、体をよじらせる、なっちがあわてて
しがみつく。
かおりは、よっしーを横向きの寝かせると、Gパンと
Tシャツを脱いで下着だけになる。
- 29 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月03日(土)22時36分04秒
- かおりは、脱いだ服をなっちに渡すと、横たわって
いるよっしーの横に、自分も横たわる。
かおり「なっち、その服であたしとよっしーを
離れないように縛ってちょうだい」
そうして、よっしーの腕を自分の首にまきつかせる。
かおり「よっしー、しっかりあたしにしがみついて」
かおりは全身の力を振りしぼって、よっしーを
背中に背負ったまま、ジリジリと体を起こし、
ようやく立ち上がった。
その時、上でケイが声をかけて、長いツルをするすると
降ろしてくる。
かおりはそのツルを体にまきつける。
かおり「なっち、あんたは何とか自分で上がってきて」
なっち「・・・わかった」
かおり「いいよ!、引っ張って!!」
ようやく上がってきたかおりを見た娘。たちは
その異様な様子に、一瞬息を呑み、声もなかった。
かおりは、ブラジャーとパンティーだけの姿で
長い髪を振り乱し、全身滝のような汗を流し、
脱いだ服で、背中によっしーを結びつけ、眼を
ギラギラと光らせている・・・。
ケイ「誰か、誰か・・・水を持ってきて」
かおりは空きびんに入った水を飲み干すと、
歩き出した。
ケイ「かおり・・・替わろうか」
かおり「大丈夫さ・・・行くよう」
- 30 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月04日(日)00時03分54秒
- ようやく、海岸近くの洞くつにたどり着き、よっしーを
木陰に下ろすと、かおりはフラフラと海へ向かった。
汗にまみれた下着を脱ぎ、波に浸かりほてった体を
さました。
みんなが遠まきに見ているのもかまわず、まっぱで
歩いて行く。ケイがあわててパーカーをかける。
かおりは洞くつの中に倒れこんだ。
ケイ「かおり・・・大丈夫」
かおり「うん・・・ケイ、早くみんなに食べ物を
あげて、ののがお腹をすかせてるよ・・・」
ケイ「・・・わかった」
ケイたちは、砂浜に穴を掘り、海草や大きな葉につつんだ
イモや木の実などや、魚介類などを埋め、塩味をつける
ため、海水をかけた。そして砂をかぶせ、その上で
盛大にたき火を行った。
やがて、一時間ほどたって火がおさまって、穴を
掘り返すと、蒸し焼きになった食べ物がいい匂いを
たてて、お腹をすかせた娘。たちが回りを囲む。
のの「このおイモ、美味しいよ」
あいぼん「いっぱいあるから、たくさん食べな」
ケイは、食べ物を持って、寝かされいるよっしーの
ところへ行く。リサが側についている。
ケイ「待たせたね、食べ物だよ」
- 31 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月04日(日)00時33分24秒
- よっしー「ケイ、ごめんなさい・・・私のせいで
みんなに迷惑をかけて。リーダーはあんな山の上から
私を背負って、ここまで運んでくれて・・・」
よっしーは涙声で言った。
つられて、リサも泣きべそをかいた。
リサ「あたしのせいで、よっしーはケガをして・・・」
ケイ「誰のせいでもないよ。さあ、早く食べちゃいな
よっしー、しっかり食べないと、直らないよ。
リサ、食べたら、よっしーの足を海水で冷やして
あげて、腫れが引いたら今度はあたためないとね」
ケイはかおりが寝ている洞くつへ向かった。
マリがついていたが、ケイを見ると
マリ「かおり、なにも食べないんだよ・・・」
ケイ「かおり!、なぜ食べないのよ!」
かおり「なにもいらないよ・・・みんなに食べさせて
あげて・・・」
ケイは声を荒立たせた。
ケイ「かおり!、いいかげんにしな!!」
- 32 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月04日(日)01時18分49秒
- ケイ「あんたはね、いったい自分を何様のつもりなんだ
よ!!、リーダーだか何だか知らないけど、二言めには
みんな、みんな、みんなのことばかりぬかしてさ!
リーダーってのは、そんなにみんなのための犠牲に
ならなきゃいけないのかい!何にもいらないって、
ふざけるんじゃないよ!!。この島に来てから
あんたはろくに食べてないだろ!今ここに鏡が
あったらその顔を見せてやりたいよ!、
そのガリガリ亡者のその顔を・・・。
今、かおりがみんなの犠牲になって死んじゃったら
みんなが喜ぶとでも思ってるのかい・・・・
何か食べないと、ホントに死んじゃうんだよ、
かおり・・・」
ケイはボロボロと大粒の涙を流した。
かおり「・・・ケイ、怒りながら泣くと、とても
顔が怖いよ・・・」
ケイ「言ってくれるわ・・・どうせあたしの顔は
怖いですよ・・・」
かおりは笑顔を見せて言った。
かおり「・・・ウソだよ。ケイは可愛いよ」
ケイ「また、心にもないことを」
見ると、マリはまた泣きながら、笑っている。
ケイ「さあ、さあ、食べて。マリが捕った魚だよ。
栄養をつけないとね。もっと捕れるといいんだけど」
マリ「魚はすばしっこくて、捕るのむずかしいんだよ」
- 33 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月05日(月)01時25分40秒
- 洞くつを出たケイに、こんのが近づいて来た。
こんの「ケイさん、話があるんです。魚がもっと
取れる方法なんです」
こんのはその方法を説明した。
それを聞いたケイは感心した。試して見る
価値はありそうだった。さっそく、ケイは
かおりとよっしー、二人の世話をするリサ以外の
娘。たちを動員して、作業に取りかかった。
重い石を運ぶ作業に、娘。たちの中にブツブツと
文句を言うものもいた。
ケイ「さあ、大変だけどもうひと頑張りだよ。明日の
朝は魚がいっぱい取れてるよ」
作業はこんのの指示によって進められた。
波打ち際に沿って、陸の方へ口をあけ、半円形に
石を積み上げていくのだ。
やっと作業が終わり、ケイたちは息を切らせながら
砂浜に座り込んだ。
ケイ「やれやれ、これで明日になって魚が
どれだけ取れてるか、お楽しみだね・・・」
- 34 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月06日(火)16時05分08秒
- 4日目
翌日、潮が引き始め、海の底になっていた半円形の
石の列が姿を現し始めた。
ケイたちが行って見ると、石の内側でたくさんの魚が
跳ねていた。
まこと「あ!大きなエビがいるよ」
ケイ「伊勢海老だよ。しかし、こんのはこんなことを
よく知ってるね・・・」
こんの「私、サバイバルの本、読むの好きなんです」
ケイ「そうなんだ・・・」
ケイは、こんのの以外な面を見た思いだった。
ケイ「たくさん捕れたから、開いて干しとけば日持ちが
するんだけど、魚をさばくナイフがないなあ・・・」
すると、こんのが何か、赤い物を差し出した。
ケイ「こんの、これは・・・」
こんの「ナイフ、スイス・アーミーナイフです」
スイス・アーミーナイフ。各種のツールがついていて
サバイバルにこれ一本あれば、すべて足りるという、
優れものである。
その時、かおりがやって来た。
ケイ「かおり、体は大丈夫かい。魚がこんなに
捕れたよ、こんののおかげだよ」
かおり「・・・ケイ、ナイフかなんかあるかな」
ケイは、アーミーナイフを見せた。
かおり「それって、ハサミもついてるやつでしょ。
ケイ、お願いがあるんだけど、・・・あたしの
髪を切ってほしいんだ」
ケイ「えー!?、かおり、今までずっと切らないで
いたのに・・・ここへ来る前も、この夏も髪を
切らないって言ってたじゃない」
- 35 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月06日(火)16時36分15秒
- かおり「ここにいると、髪がじゃまなんだよ。それに
あたしはここで、生まれ変わったような気がするよ。
今日から、新しいかおりの誕生さ。」
ケイ「そう言えば、もうすぐだね、かおりの誕生日」
かおり「・・・今年は大変な誕生日になっちゃったね」
ケイ「その日までには、帰れるさ・・・」
その時、マキが走って来た。
マキ「リーダー!何だか音がするよ!あっちだよ」
かおりはマキの指差した空のほうを見やった。
耳をそばだてると、かすかにゴーという音がする。
かおり「飛行機だあ!!、」
かおりは走り出しながら、叫んだ。
かおり「たき火だよ!、早く、燃えるものをくべて
煙を出すんだよ!!早く!」
ゴォー、と音が大きくなってくる。そして黒い物が
ポツンと見えてくる。
かおりは着ていたTシャツを脱いだ。下着はつけてなく
乳房があらわになるのもかまわずに、白いTシャツを
大きく振り回した。
- 36 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月07日(水)01時17分22秒
- 5日目
まっぱで泳いでいたマリは、バチャバチャと音を立てて
近づいてくる者に逃げ腰になったが、その二人が
ののとあいぼんとわかり少し安心した。しかし、
安心するのは、まだ早い。
逃げるマリに、追うののとあいぼん。
あいぼん「マリちゃん、待てー、待たないと
カンチョウしちゃうぞー」
のの「しちゃうゾー」
マリ「おまえらー、なに考えとんのよ」
ついに、つかまるマリ。
マリ「アー、どこ触ってんのよー、・・・」
あいぼん「お姉ちゃん、いいケツしてまんな」
マリも反撃にでる。
マリ「へっへへ、あいぼん、以外とボインちゃんだね」
あいぼん「ヤダー、乳、さわらんといて〜」
のの「マリちゃんも、もう少しオッパイがあればねー」
マリ「ほっといてよ・・・」
さんざん、じゃれ合って遊んだ三人はすこし
疲れて、砂浜へ上がった。
- 37 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月09日(金)01時08分06秒
- あいぼんが歌い始めた。
ねえ ちょっと まってんか〜
なんや 問題 あんのんか〜
いや なんにも あれへんから
気になってんねん
マリとののも続いた。
恋をして 恋に泣いて
また一つだけ 大人へと
近づいて行く
ミニモニ。ブルース
それはそうとあんた〜
なんかええことないんかいな〜
あったらやってるちゅうねん
確かにそうやな〜
ミニモニ。ブルース
生まれたから あいつと出会い
また 新しい 恋をして
ドキドキしたり
生まれたから 家族に出会い
また 私だって すばらしい
家族持ちたい
側にいたののが、突然マリにすがり付いて来て、
胸に顔を押し当ててくる。
マリ「コラッ、何にすんだよー」
のの「・・・お母さん、会いたいよ・・・」
涙がこぼれ、しゃくり上げるのの・・・。
マリ「・・・のの」
思わず、熱いものがこみ上げてきて、ののを
抱きしめたマリ・・・。
あいぼんも後ろから、マリの首にしがみついてくる。
- 38 名前:とみこ 投稿日:2002年08月09日(金)09時24分20秒
- たのすぃーーーーーー!!!!!!期待期待期待!!!
- 39 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月11日(日)19時52分27秒
- あいぼん「マリちゃんの髪の毛、すっかり黒くなった
ね。何だか、昔のマリちゃんみたい」
あいぼんは、ののを膝の上で抱いて砂浜に腰を
おろしているマリの髪を撫でながら言った。
マリ「ウン。・・・ののもすっかり顔が細くなって
モーニング。に入った時みたい」
ののは、マリの膝の上で気持ち良さそうに目を閉じている
マリ「のの、もう膝から降りなよ、あんたは私より
大きいくせに・・・」
ののはイヤイヤをしながら、マリの首にしがみついて
きたので、ふたりは横倒しにたおれた。
マリ「あーあ、体が砂だらけだよ。よ〜し、また
泳ごう」
プリプリとした小さくしまったお尻をくねらせながら、
走っていく三人を、少し離れた所から、見ている者がいた。
かおりたちに言われて、ののとあいぼんを捜しに来た、
マキとまことだった。
- 40 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月11日(日)20時19分08秒
- マキとまことの二人は、楽しそうに海水をかけ合って
じゃれあっている三人をしばらく見ていた。
マキは、まことがさっきからチラッチラッとこちらを
見るので、声をかけた。
マキ「・・・あんたも遊んでくれば」
まことは嬉しそうにうなづくと、すぐに服を脱ぎ、
まっぱになって走って行く。
のの「アッ、まこっちゃんだよ!。おいで、おいで」
マリ「グフフ、あんたらと違ってまこっちゃんは
色っぽいね〜」
あいぼん「ほっといてんかー」
のの「ねえ、ねえ、まこっちゃん、1人なの」
まことは首を振って砂浜の方を指差した。
まこと「マキさんも一緒だよ」
のの「あー、ホントだ、マキちゃん!!おいでよ!」
のの、あいぼん、まことが大きな声で呼びかける。
マリ「・・・マキはこないよ」
すると、マキのところへののが走り出して行く。
- 41 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月11日(日)23時36分25秒
- マキは、側にきたのの、の無邪気な、赤ん坊のような
裸の姿にちょっとまぶしそうな表情を見せた。
ののは、マキの腕をつかまえた。
のの「マキちゃんも一緒に遊ぼう・・・」
マキは思わず笑顔でうなづいた。
ののが行くと、マキは服を脱いで海の中へ入って行く。
あいぼん「マキちゃん、カッコいいね、スタイルが
いいからね〜。」
マキは、四人とは少し離れたところで泳ぎ始めた。
のの「マキちゃん、こっちへくればいいのに」
マリ「マキの好きなようにさせておきなよ・・・」
突然、マリが悲鳴を上げて飛び上がった。
マリはお尻をおさえながら、逃げるあいぼんを
追いかけた。
マリ「痛ーい!、ホントにカンチョウするんだから、
中に入っちゃったじゃないの、お嫁に行けナーイ!!」
他の二人が大喜びで、はしゃいでいる。
- 42 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月12日(月)00時03分27秒
- ひとしきり、遊んだ5人は帰り道についた。
ジャングルの中を歩いて行くと、木の上に猿たちが
見えた。
するとあいぼんが、ホー!ホー!と呼びかけるように
声をかけた。すると、上の猿たちが何かをバラバラと
落としてくる。
それは、少し大きくて、イボのようなとげがある
木の実だった。石で割って中身をののが食べてみる。
のの「これ・・・美味しいよ」
マキ「あたし、本で読んだのだけど、これってパンの木
の実じゃないのかな」
のの「そうだよ、きっと。あいぼんってすごいねェ
お猿さんと友達なんだ・・・」
まことが不思議そうな顔であいぼんを見た。
あいぼんは頭をかきながら、話しはじめた。
- 43 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月12日(月)00時24分33秒
- あいぼん「前にね、家のおじいちゃんが話してくれた
のだけど、わたしのところの先祖は忍者だったって、
そう言っておじいちゃんは自慢してたよ。
なんでも、信長とか、秀吉とかと戦ったんだって。
名前が、えーと、猿飛とか何とか言うんだっけ。
何でもお猿さんのように木の上を飛び回るんだって。
でも、この話、あんまり本気にしないでね。
おじいちゃん、ホラ吹きで有名なの・・・」
なんと、あいぼんの先祖が忍者とは・・・。
あいぼんは奈良の出身なのだが、忍者で
有名な伊賀や甲賀に近いではないか。
- 44 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月16日(金)00時36分05秒
- 4日目
突然、無人島上空に飛行機が現れた。
娘。たちは砂浜を走りまわり、脱いだ服を振り回し、
手を大きく振って、自分たちの存在を示そうとした。
ケイはたき火に木の枝をくべて、なんとか煙を出そうと
するが、思うようにいかない・・・。
東の方向から現れた飛行機は、双発の小型機だった。
そんなに高く飛んでいなくて、下からもはっきりと
形がわかるほどだった。
島の真上にさしかかった飛行機には、パイロットと
助手の二人の男が乗っていた。
助手「わださん、島ですよ・・・」
わだ「別に島なんか、珍しくねえだろ」
助手「でも、砂浜にいるのは人みたいですよ。
ホラ、手を振ってますよ・・・」
わだ「夏休みだろ、キャンプに来てんだよ」
助手「でも、こんな無人島みたいな島にキャンプに
来ますかね・・・」
わだ「近頃のガキは、ゼイタクなんだよ。あー、
おまえがうるさいから、聴いてたモー娘。の歌の
中の、リカちゃんのセリフを聴きのがしたじゃねえか、
また巻き戻して聴こうっと・・・」
皮肉なことに、このパイロットの、わだカヲルは
モーヲタだったのだ。
- 45 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月16日(金)01時14分36秒
- モーヲタのパイロットの、わだカヲルは今日もモー娘。
の曲をイヤホーンで聴きながら操縦していたのだが、
下の無人島で、お気に入りのリカちゃんが助けを求めて
手を振っているのをまったく気ずかない、おバカな
やつなのだが、
どうやら、モーニング娘。が遭難していることはまだ
世間には知らされていないようだ。
そんなわけで、娘。たちの必死の想いもとどかず、
島の上空に現れた飛行機は、東から西の方向へ、
進路をまったく変えずに飛び去ろうとしていた。
遠ざかって行く飛行機を見て、かおりの中の何かが
崩れていった。
かおりは大声で喚きながら、飛行機の飛び去った方の
海の中へどんどん入って行く。
危険を感じたケイは、あわてて後を追った。
ケイ「かおり!!、戻るんだよ!!・・・誰か、かおりを
つかまえて!」
その時、マリが懸命にかおりに追いすがり、その足に
しがみつこうとした。
しかし、完全に錯乱したかおりはマリを長い足で
蹴り飛ばして、なおも沖へと入って行く。
- 46 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月16日(金)01時58分37秒
- かおりは、沖の方へ向かう潮の流れに乗ってしまった
のか、はるか沖へ流されて行く。もう、泳ぐことを
やめ、頭が波間に浮き沈みしている。
ケイは、満足に泳げない自分を呪いながら、悲鳴にも
似た叫び声で、かおりを呼び続けるだけだった。
その時、あざやかな泳ぎで沖の方へ向かう娘。が
出現した。
ケイ「・・・マキ」
見守る娘。たちにとって、非常に長く感じられる時間が
過ぎて、ようやくマキがかおりを抱きかかえて戻って
来た。
ケイが砂浜に寝かされたかおりに顔を近づけて見ると
かおりは、息をしていなかった・・・。
ののが泣きながら、かおりにしがみついてくる。
気が立っているケイは、そんなののを引き離した。
あいぼんがののを抱きかかえて、つれて行く。
- 47 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月16日(金)02時35分45秒
- ケイは、人工呼吸のやり方は知っていたが、今まで
一度も体験したことは無かった。
もちろん、ちゅうちょしている場合ではなく、一秒を
あらそう時だった。
マキ「わたしがやるよ。やりかたを教えて」
まず、出来るだけ海水を吐き出させ、そして、膝の上に
かおりの上体を乗せ、頭をのけぞらせるようして、
鼻をつまみながら、口から口へ息を吹き込む。
マキは、何度もくり返したが、かおりの反応はない。
マキが泣きそうな顔でケイを見た。
ケイ「何度でもやるんだよ!かおりが息を吹き返すまで」
ケイが替わり、何度も、何度も人工呼吸を繰り返した。
そして、ついにかおりの顔に赤みが戻り、咳き込み
ながら、かおりは息を吹き返した。
見守っていた娘。たちに歓声が上がり、安堵の声が
あたりをつつんだ。
かおりは洞くつへ運ばれて行った。
砂浜に膝をついて、肩で息をしていたケイに、
マリが泣きながら飛びついてくる。
- 48 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月17日(土)00時06分32秒
- マリ「・・・かおり、助かってよかったね、おいらは
なんにも出来なくって、・・・あの飛行機、あんなに
近くを飛んでたから、絶対うちらを見たはずだよね。
だから、もうすぐ助けがくるよね・・・」
ケイ「・・・マリ、もしマリが人を捜しているとするよね
すると、遠くにそれらしい人が見えたら、どうする?」
マリ「・・・エーと、やっぱり近くに行ってその人か
どうか、見ると思うけど」
ケイ「だろうね、それが普通だよね。それがあの飛行機は
現れてからまったく進路を変えずに飛んで行っちまった。
もし、あたしらを捜していたら、必ず進路を変えて旋回
するなり、低空に飛んだりするはずだよ。でも飛行機は
それをしなかった。
それに、あたしたちが見えたとしても、まるで、無関心
みたいだった。」
ケイは飛行機の飛び去った、西の上空を見上げた。
ケイ「かおりも、それがわかったから、あんな風に
おかしくなったんだよ・・・」
- 49 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)00時25分26秒
- マリ「・・・じゃあ、助けはこないの」
ケイ「・・・あの飛行機が飛んでいった、西の方向は
あたしたちが帰る方向だよ。今のところは無関心かも
しれないかもしれないけど、あたしたちを見たことは
たしかだよ。希望はあるよ。以外に早く助けがくる
かもしれない・・・」
そのケイの予感は現実のものになるのだが・・・。
かおりは、危機は脱したものの、以前として昏睡状態が
続いていた。
ケイがかおりの側にいくと、ついていたののが心配そうに
言った。
のの「リーダー、大丈夫だよね。死なないよね・・・」
ケイは笑顔で、のの、の頭を撫でながら言った。
ケイ「大丈夫さ。かおりは死ぬもんか・・・」
- 50 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)01時02分28秒
- それは、かおりの側にケイだけしかいない時だった。
ふいに、かおりの意識が戻った。
そしてケイに手を伸ばしてくる。ケイはその手を
握りしめた。
かおり「ケイ・・・髪を切ってくれない・・・」
その声を聞いたケイは背筋が冷たくなるの感じた。
何かの本で、平安時代の女の人が重い病気で死ぬ
まぎわに、出家と称して長い髪を切るという話を
思い出したのだ。
ケイ「かおり・・・髪を切るのは起きられるように
なってからにしようね・・・」
かおり「もう、あたしダメみたい・・・みんなのために
頑張ってきたけど、もう無理みたい。ケイ、後を
頼むよ・・・ゴメンネ、ケイ。」
ケイ「なに、バカなこと言うんだよ・・・」
ケイは怒る気力も出ずにかおりの手を握りしめた。
ケイ「かおり、あんたはね疲れてるんだよ。さあ、
もう少し眠ったほうが良いよ・・・」
外に出たケイは、かおりをあそこまで、追い込んだのは
自分たちではないかと、思った。何かもかおりに頼りきり
だった、かおりの苦しみも知らずに・・・。
マキが近づいて来る。
- 51 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)01時35分18秒
- マキ「かおりさん、大丈夫だよね・・・」
ケイは、かおりは大丈夫だよと言うつもりだったが、
マキの心配そうな顔を見ているうちに、別な言葉が
出てきた。
ケイ「かおり・・・もう、ダメみたい。すっかり弱って
いて、水も食べ物もうけつけなくて・・・かおりを
追い込んだのは、あたしたちだよ・・・」
突然、マキが叫び声を上げてケイに飛びついてくる。
地面に倒れたケイに馬乗りになって、首をしめてくる。
ケイ「マキ!、苦しいよ!」
マキは声を上げて泣きだし、大粒の涙をボロボロと
流した。
マキ「かおりさんが、死ぬなんてウソだよ、死ぬなんて
イヤだよ!・・・イヤだ・・・」
ケイは起き上がり、マキを抱きしめた。
ケイ「かおりのこと、そんなに好きなんだ・・・」
マキの涙をぬぐってやりながら言うと、マキは
うなづいた。
ケイ「かおりのことが、それほど好きなら、なぜ
今まで、かおりに反発してたの・・・」
マキは、涙をふくと、話しはじめた。
- 52 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)02時01分46秒
- マキ「わたしが、小さい頃母さんと父さんが離婚して
わたしと弟は母さんと残り、お姉ちゃんは父さんと
出て行ったの・・・大好きだったお姉ちゃんがいなく
なって、とても悲しかった。」
マキ「モーニング娘。に入ってかおりさんを見た時、
なんだか、お姉ちゃんに似ているような気がして、
そんなかおりさんが、好きで好きでたまらないのに、
どうしてか、顔を見ると、反発して困らせるのか、
自分でも、なぜだかわからない・・・・」
ケイはマキを抱きしめながら言った。
ケイ「わかるような気がするよ・・・」
マキの大好きな姉が、ある日突然、マキを捨てるかの
ようにいなくなったことが、マキの心に葛藤として
残り、その姉とかおりをかさね合わせていたのかも
しれない。
- 53 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)14時23分41秒
- ケイはマキに言った。
ケイ「かおりの側についてあげなよ。つきっきりで
看病すれば、きっとよくなるよ・・・」
マキは、うなづくと走って行った。
ケイは、少し薬が効きすぎたかなと、つぶやいた。
マキたちの懸命の看病のせいか、かおりはじょじょに
回復に向かった。
ケイは、よっしーの様子を見に行く。
ちょうど、なっちが来ていた。リサもいる。
なっちは、笑顔を残して、去って行った。
よっしーの足の腫れはだいぶ引いていた。
よっしー「・・・なっちには、すごく感謝してるんだ、
崖の下にいる時、わたしを励ましたり、ずっと話かけて
くれて、痛みで死にそうなわたしを元気づけてくれて。
それと、リサがずっと看病してくれて、ほんとうに
ありがとう・・・」
リサは、ちょっと恥ずかしそうに首を振った。
リサは、あれからなぜか、ぜん息の発作も起こさずに
元気にだった。
- 54 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)14時43分55秒
- やがて、夜になった。
この、亜熱帯の無人島とはいえ、夜になると冷え込む。
娘。たちは、それぞれのお気に入りの娘。たちと、
抱き合って眠りについていた。
かおりとマキが姉妹のように、体をくっつけている。
マリとのの、あいぼんの三人はマリを真ん中にして
体を寄せ合っている。
なっちとよっしー、それにリサが同じように体を
寄せ合っている。
アイは、まことの背中にしがみつくように眠っている。
リカは、一瞬ケイを見たが、すぐに視線をそらして、
こんの、の側に行って体を寄せる。
ケイは洞くつの外に出て、星空を見上げた。
この島から帰った時のことを考えていた。
もうそろそろ、潮時かなと、つぶやく。
- 55 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)15時08分01秒
- 7日目
エンディング。
7日目の朝、娘。たちはいつものように起き出し、
いつものように、食べ物を捜しに行く準備に
取りかかっていた。
かおりは、元気を取り戻し、ついに長い髪を短く
切っていた。これからこの島での生活が長く
続くように思えていた。
今度は、西の方角から、ゴォーと飛行機の音が聞こえて
くる。
娘。たちは、いっせいに上空を振り仰いだ。
その飛行機のパイロットは例の、モーヲタのわだカヲル
だった。
わだ「くそ、モーニング娘。が太平洋で遭難したなんて、
オレのリカちゃんは無事なんだろうな・・・おい、
たしかに、あの例の島に女の子たちがいたんだな?」
助手「はい、間違いないですよ。あっ、島が見えて
きましたよ。」
わだ「よっしゃー、リカちゃん、待ってろよー、今、
助けにいくからなー」
- 56 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)16時31分41秒
- その双発の小型飛行機は、島の周りをゆっくりと
旋回した後、娘。たちのいる砂浜をめがけて
低空飛行に移った。
わだ「女の子たちが手をふってるぞー、モー娘。に
違いないぞー!、リカちゃんは、どこだー!!」
リカは飛行機に向かって大きく手をふっている。
わだ「よっしゃー!!、リカちゃんだ!!!
それッ、強行着陸だァー!!」
助手「バ、バカなこと言わないでください!
降りられるわけないでしょ!」
わだ「しょうがねえなー、よし、近くに巡視船が来てる
はずだ、無線を打て。『我、モーニング娘。とリカちゃん
発見せり』とな。」
飛行機は、大きく翼を振りながら島の上空を旋回して
いたが、やがて飛び去っていく。
わだ「リカちゃん!、モーニング娘。!オレが第一
発見者だからなー、憶えていてくれよー、
リカちゃん!、愛してるよー!!・・・」
- 57 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)17時06分56秒
- 娘。たちは島の近くに錨を降ろした巡視船にボートで
乗り移った。
ケイ「あれ、ののとあいぼんはどうしたの?
いないんだけど・・・」
なっち「ボートに乗る時、急にいなくなったみたい。
無人島が気にいったみたい、帰りたくないみたいだよ
ののとあいぼんは無人島の気ままな生活がいいみたい。
・・・ほっとこうよ」
ケイ「ほっとこうって、・・・それでいいのかな」
なっち「それで、いいと思うだべさ・・・」
かおりとマキはデッキに立って、海を見つめていた。
マキ「かおりさん・・・あたし、決心がついたよ。
前から考えていたのだけど、あたし、帰ったら
モーニング娘。を卒業することにしたよ・・・」
かおり「・・・マキ・・・」
マキ「今度のことで、よくわかったよ。あたしたち
13人は、たとえ離れていても、深いきずなで
結ばれているんだって。本当はかおりさんと
離れるのが辛かったんだ」
マキは、かおりの手を握った。
マキ「かおりさんと離れていても、心はひとつなんだと
よくわかったんだ・・・だから決心できたんだ・・・」
かおり「・・・わかったよ。マキ、あなたならりっぱに
1人でやれるよ。・・・寂しくなるけど・・・」
マキ「ありがとう。・・・お姉さん・・・」
かおり「え、今なんて言ったの・・・」
マキ「なんでもないよ・・・」
- 58 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)17時26分30秒
- 無人島に残った、ののとあいぼんはどうなったかというと
当然というか、残念というか、ヘリコプターで降りた
マネージャーたちに連れ戻された。
ののとあいぼんのいない、モーニング娘。は考えられ
ないのだから、仕方ないとはいえ・・・。
モーニング娘。の長いような、短いような夏休みは
終わりをつげた。
帰った直後、マキとケイの卒業が発表された。
そして、しばらくして、モーニング娘。の新曲が
発売された。
その曲は、作詞飯田圭織、作曲つんく♂で、題名は
「ビューティフル・アイランド」
終わり。
- 59 名前:ビューティフル・アイランド 投稿日:2002年08月19日(月)18時12分12秒
- ようやく、完結しまして、ほっとしています。
6、皐月さん。
7、スカウトマン!?さん、
38、とみこさん。
ありがとうございます。
応援していただき、非常に励みになりました。
この小説を書いた、きっかけは、以前矢口真里さんが
無人島で、スッポンポンで生活したいと言ってたのを
聞いて、よし、真里ちゃんを無人島でスッポンポンに
してやろうじゃないのという、不純な動機でした。
何とか、マリちゃんをスッポンポンに出来て、
満足しています。
上手く書けたかどうか、わかりませんが、
また、書いてみたいです。
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