BK school

1 名前:OHA 投稿日:2002年07月26日(金)18時30分20秒
中澤さん主役の資格専門学校を舞台としたお話です。
CPらしきものも何組か出てきますが(一組を除いて、マイナーCPばかりですが)、恋愛色はそんなに強くないかも!?
需要が少ない作品だと思われますので、sageでいかせていただきます。
2 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時32分32秒
都内某所の税理士事務所内。
私、中澤裕子は、この事務所に勤務している。
今日の仕事を終え、帰宅の準備をしていたら、突然、所長に呼び出された。
何かへマでもやらかしたんかなぁ。
最近の自分の仕事ぶりを思い返しながら、恐る恐る所長室に入っていく。
「まっ、そこに座りなさい」
所長の表情は、別に怒っている感じでもなく、至って普通や。
そのことにホッとしつつ、言われた通り、部屋の真ん中に置かれたソファに腰かけた。
「何でしょうか、伯父さん?」
実はここの所長って、私の伯父さんやねん。
3 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時34分01秒
その伯父さんのたっての希望により、高校を卒業してから、もうかれこれ10年余り、この事務所で働かせてもうてる。
普段、事務所内では『所長』と呼んでるんやけど、こうやって2人になると『伯父さん』と呼ぶのも、伯父さんの希望が存分に含まれている。
何でか知らんけど、伯父さんにとって私は、かなりお気に入りの姪っ子みたいや。
金髪、カラコンといった、およそ事務職にはふさわしくない格好をしていても、別に怒られることはない。
4 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時35分30秒
顧問先のお偉いさん達が、私の風貌を見て変な顔をしても、
『もういい大人なんだから、自分の好きなようにすればいいのだよ』
と、豪快に笑い飛ばすような人や。
そんな伯父さんのこと、私ももちろん大好きやし、とても感謝もしている。
働き始めた当初こそは、右も左もわからず失敗ばかり繰り返しては『何故、伯父さんは私をここに入れたんだろう?』と、逆恨みをすることもあったけど。
今では仕事にも慣れ、その面白さもわかってきて『ありがとう、伯父さん』って気持ちやねん。
何より、自由にやらせてくれるのが有り難い。
5 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時37分00秒
「今日は、君に大事な話がある」
伯父さんが、私の向かい側のソファに腰を下ろして、静かに口を開いた。
「大事な話、ですか?」
仕事のへマで怒られるわけではなさそうやと、のんびり構えていた私やったけど、伯父さんのその一言で、急に身が引き締まる思いがした。
「あぁ。ごちゃごちゃ言っても仕方がないから、単刀直入に言うよ。君に、この事務所を引き継いでもらいたい」
伯父さんはいとも簡単に、まるで『ちょっとお使いに行ってくれ』とでもいうような、気軽な口調で言ったので、私は事の重大性が一瞬、理解できへんかった。
6 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時38分17秒
「ちょっと待ってください…」
ようやく、伯父さんの言葉の意味は理解できたものの、今度は固まってしまう。
そら、そうやろう。
なんぼ仕事に慣れてきたとはいえ、私はまだ勤務11年目で、しかも20代。
それにこの事務所は、所員50数名を抱える、この業界の中では大規模な事務所や。
まだまだ未熟者の私が、そんな大きい事務所を切り盛りできるわけないやん…。
「もちろん、今すぐにって話ではない。私もまだ現役バリバリだからな。でもいずれは、引退を考えなきゃいけない時がくる。その時のために、早めに後継者を決めておきたいんだよ」
7 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時39分17秒
何や、そうゆうことか…。
今すぐってわけやないんやな?
少しは安心したものの、『なんで私!?』という疑問は、依然として残ったままや。
その疑問が表情に出たのか、伯父さんは柔らかい笑みを浮かべて話を続ける。
「君は、この10年間、本当によくやってくれた。仕事が出来るのはもちろんのことだが、何よりも私が買いたいのは、君のその人柄だ。この仕事は人対人の商売なんだ。だから人柄というものが、一番の財産になってくる」
「人柄…、ですか?」
う〜んと考え込む。
伯父さん、ちょっと買いかぶりすぎとちゃうか?
8 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時40分44秒
「私、人見知りは激しいし、それにこの容姿ですから、顧問先の人達には怖がられてると思うんですが…」
そんな私のセリフも、伯父さんは一笑に付してしまう。
「君は、自分のこと何一つわかってないんだね。ま、その謙虚さもいい所なんだけど。人見知りなんて、誰だって多かれ少なかれするもんさ。大事なのは、それを乗り越えてから、どういう付き合い方をするかってことだ」
また、う〜んと考え込む。
どういう付き合い方、ねぇ…。
日頃から、伯父さんに『人には、誠意を持って接しなさい』と言われてるので、それは守ってるつもりやけど…。
9 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時42分11秒
「顧問先の中にも、君のファンが結構いるんだよ。そりゃあ、最初はその風貌だから怖がる人も多かったようだけど、一緒に仕事をしているうちに、だんだんと君の内面の良さがわかってきたんだろう。いい付き合い方をしている証拠じゃないか」
またまた、う〜んと考え込む。
ファン、ですか…。
確かに最近は、顧問先を訪問すると、みんな笑顔で迎えてくれるようになった。
最初はお茶一つ出ぇへんかったのに、今ではコーヒーにケーキまで出してくれるとこまである。
お中元やお歳暮が、私個人宛に送られてくることも多くなった。
10 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時43分26秒
それはただ単に、仕事が出来るようになったことへの評価、と思ってたんやけど。
決してそうやなかったんや、ってことに今更ながらに気付いたのだった。
仕事への評価やったら、ちゃんと事務所に顧問料を払ってんねんから、それですむことやもんな…。
「というわけでだ。次期所長は、君に決定だ。よろしく頼むぞ!」
さっきから、ずっと考え込んでいた私は、伯父さんの一言で我に返る。
「ちょっと、待ってください!それとこれとは話が別ですよ」
伯父さんの意思は、ようわかったけど、やっぱり私には無理や。
11 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時44分41秒
「いや、待たないよ。これは所長命令だ!」
「そんなこと言われたって…。第一、ここは税理士事務所ですよね?私、税理士資格、持ってないんですよ?それで、所長なんか出来るわけないじゃないですか」
税理士事務所として、自分の名前を看板に掲げようと思えば、資格っちゅうもんが必要になってくる。
でも、私にはそれがない。
「そんなもの、これから取ればいいじゃないか?君はまだ若いんだし、大丈夫だよ。私だって、今すぐ引退ってわけでもないんだから、気長にやればいいさ」
そんな簡単にゆうてくれるけど…。
12 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時45分46秒
試験はかなり難しいってことくらい、この業界にいる私は当然知っている。
私に、出来るんやろうか?
また考え込みはじめた私を尻目に、伯父さんは立ち上がって机に向かい、引き出しからA4サイズの封筒を取り出した。
そして、ソファに戻ってくると、それを私の目の前に差し出す。
「これは?」
手渡された封筒を見つめる。
何のヘンテツもない封筒やけど。
「中を見てみなさい」
開封して、中のものを取り出してみる。
そこには『簿記講座』と書かれた、専門学校のパンフレットが入っていた。
13 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時46分44秒
「いきなり税理士の勉強を始めてもいいんだけど、何事も基礎が肝心だからな。まずは簿記の勉強から始めるといいよ」
こんなものまで、事前に準備してくれてたんか。
さすがは、一代で事務所をここまで大きくしてきた伯父さんや。
やることに抜かりがないな。
かなり的外れな感想である…。
でも、今までお世話になってきた伯父さんにここまでされたら、もう覚悟を決めるしかないと思ったのも事実。
私のその覚悟にとどめを刺すかように、伯父さんがまた話し出した。
14 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時48分29秒
「君も知っての通り、私には子供がいない。でもどうしてもこの事務所は、自分と血のつながりのある者に継いでもらいたいんだ。甥や姪は何人かいるが、その中でも君が一番適任だと思った。10年前、君をこの事務所に迎え入れたのは、本当に適任かどうか確かめたかったからだ。どうやら、私の目に狂いはなかったようだね」
私は、びっくりした。
最初からそのつもりやったなんて、思ってもいなかった。
でも、『自分と血のつながりのある者に』という伯父さんの気持ちは、よくわかる。
15 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時50分13秒
この事務所が赤の他人に乗っ取られる、ましてや、一代で潰れてしまうなんて、伯父さんにとっては、耐えられへんことやろう。
もう、うだうだと考え込んでる場合やあらへんな。
「わかりました、伯父さん。ご期待に添えられるよう、精一杯頑張ります」
どこまで出来るかどうかは、正直わからんけど。
でも、今までの恩返しの意味もこめて、やれるだけのことはやってみせたんで。
そう決意した。
16 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時51分19秒
次の日、仕事が終わった私は、その足で、伯父さんにもらったパンフレット片手に、経理専門学校に向かった。
全くもって素早い行動やな…。
でも『善は急げ』『思い立ったが吉日』や。
こうと決めたら、じっとしてられへん性格やねん。
『受付』と書かれたカウンターに行くと、そこには若い女性が座っていた。
「May I help you?」
私と目が合うと、その女性がすかさず話しかけてきた。
「なんで英語やねん!?」
間違えて、英会話スクールに入ってしもたんか?
慌てて、表の看板を見に行きかける。
17 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時52分18秒
「こらっ、ミカ!ここでは英語を使うなって、何回も言ってるだろっ!」
受付の奥の方から、責任者っぽい男性が出てきて、その女性に注意しているのを聞いて、間違いやないことを悟る。
「スミマセン!つい…」
「つい、じゃないだろ!あっ、申し訳ございませんでした。こちらへどうぞ」
前半部分はミカと呼ばれた女性に、そして後半部分は私へ向けられた、男性の言葉。
私はその言葉に従い、受付カウンターの前に設けられた椅子に座る。
「ミカ、粗相のないようにな!」
女性にそう耳打ちをして、男性はまた奥へ消えていった。
18 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時53分20秒
「ソソウって、なんだろう…?」
ブツブツ独り言を言ってる女性を見て、少々不安になったのは言うまでもない…。
「アロハ〜!ワタシ、ミカといいます。ヨロシクね〜!」
「あ、よっ、よろしく…」
な、なんやねん、このテンションは!?
さっきまで、うつむいてブツブツゆうとったのに…。
この学校、大丈夫なんかな…。
心の中で、密かに呟く。
でも、ところどこら変な日本語を使っては、私を脱力させたミカやけど、入校手続きは何とか無事、完了した。

19 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時54分11秒
「じゃあ、ガンバッテくださいね〜、ボケ〜!」
会計も済ませ、椅子から立ち上がった途端、浴びせられたミカのそのセリフに、私は危うく引っくり返りそうになった。
「こらっ、ミカ!ボケじゃないだろ、簿記だよ簿記!!」
男性が再登場し、ミカを怒鳴りつけている声を背中に聞きながら、そそくさとその場を後にする。
あそこにずっとおったら、調子狂てしまいそうや…。
20 名前:プロローグ 投稿日:2002年07月26日(金)18時54分53秒
『一度、お支払いいただいた受講料は、いかなる理由でも返却いたしません』
パンフレットに書いてあったその文言を思い出し、後悔の念に苛まれていたことは、ここだけの秘密にしとこ…。
とにもかくにも、約10年振りとなるスクールライフがスタートするのである。
21 名前:OHA 投稿日:2002年07月26日(金)18時55分40秒
これで、プロローグ終了です。
次からは、少しずつメンバーが登場します。
この作品は、一度自己ボツにした作品を大幅に修正したものなので、おかしい所があるかもしれませんが…。
やっぱり、アンリアル物は難しいと実感した作者です。
更新は、だいたい週1〜2回になります。
22 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月27日(土)00時31分44秒
面白そうな設定ですね。
この先どう展開していくのか、楽しみ〜
23 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月27日(土)02時05分26秒
私も去年まで税理士事務所で働いていたので
めちゃくちゃ楽しみです。
24 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)01時58分23秒
私が受講することになった講座は、簿記2級の取得を目指すクラスだ。
3級が初心者向け、2級が中級者向け、1級が上級者向けとなっていて、私は実務の経験があるということで、3級でなく2級クラスに入った。
8月初旬から11月中旬まで、約3ヵ月半のコースとなる。
ちなみに、試験日は11月の第3日曜日だ。
25 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)01時59分44秒
ミカから手渡された日程表によると、『平日クラス』と『日曜クラス』という2つのクラスがあり、『平日クラス』は火・金の夜に、『日曜クラス』は日曜の朝と昼にそれぞれ講義が入っている。
私は、『平日クラス』を選択した。
学校が事務所の近くにあるため、仕事終わりにすぐ行けるからや。
もし仕事が長引いて、平日に行かれへん時は、日曜日に振り替えてもいいシステムになっているので、便利っていや便利やな。
まぁ、日曜日はのんびりしたい、ってのが本音やけど…。
26 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時00分48秒
そして、いよいよ今日は、記念すべき(?)初受講日。
仕事が定時の5時に退けると、そのまま学校に向かった。
「キョウシツは3カイです。ヨッテラッシャイ〜!」
「バカッ、それを言うなら、行ってらっしゃいだ!」
受付の前で繰り広げられる男女の掛け合いに、目が点になりながらも、教えられた通りエレベーターに乗って、教室に入っていく。
講義開始まで時間があるので、中にはまだ数人の受講生しかおらんった。
私が入った途端、その数人の視線が一斉に、自分に向けられたのを感じた。
27 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時01分45秒
「やっぱり、この金髪、目立つんやなぁ」
そう独りごちる。
「ねぇねぇ、見てよ。すごいねぇ、あの色!」
「ダメだって、聞こえちゃうよ!」
高校の制服を着た2人の少女が、ヒソヒソと話してんのが、私の耳に届いた。
「自分ら、しっかり聞こえてんで〜!」
その少女達の前の席に荷物を置き、振り向きざまに声を掛ける。
「あっ、すいません。ちょっとビックリしちゃって…」
2人のうち、色白でボーイッシュな感じの少女が、慌てて謝ってくる。
28 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時03分32秒
「まぁ、ええけど。そんな反応も慣れたしな」
少女の慌てぶりがおかしくて、内心笑ってしまう。
「キレイな色ですねぇ」
今度は、もう1人の子が、私の髪をまじまじと見つめながら呟いた。
こっちの子は、いかにも女の子してます、って感じの可愛い少女や。
でも、色はちょっと黒い…。
「そうやろ?この色を維持すんの、結構大変なんやけど、まぁ、好きでやってることやからな」
自分の髪の毛を触りながら、少し自慢気に言う。
「ふ〜ん、そうなんだ」
「お手入れ、大変そうだね〜」
2人は顔を見合わせながら、そんな会話をしている。
29 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時05分09秒
「アンタら、全然怖がらへんな?普段、初対面の人には、たいてい怖がられるんやけど…」
いつもとは勝手が違う2人の反応に、思わずそんなことを聞いてしまう。
「別に怖くなんかないですよ〜」
白い方が言う。
「そうそう、かっこいいと思いますよ」
これは黒い方。
「そうかぁ〜?ありがとうなぁ〜」
やっぱり若い子には、すんなりと受け入れられんねんな。
顧問先のおじさま達と一緒にした私が、アホやったわ。
30 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時06分12秒
「それよりアンタら、高校生やろ?高校生が、こんなとこに来て勉強するもんなんか?」
私は、彼女達を見た時から感じていた疑問を口にした。
「うちの学校、商業高校なんですよ。一応、簿記の授業もありますけど、みんな不真面目で授業にならなくて…。だからここに来れば、ちゃんと勉強できるかなぁと思いまして…」
白い方が、高校での授業風景を思い出したのか、うんざりと言った感じで、そう答えた。
「今、不況の時代ですから、ちゃんと資格は持っておいた方がいいと思いますし」
黒い方も、暗い顔をしている。
31 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時07分23秒
簿記の授業も満足に受けられへん商業高校なんて、意味ないやん!
そう突っ込みたくなったけど、2人の顔を見ていると、そんなことを言える雰囲気やなかった。
不真面目な生徒、長引く不況。
そのあおりをくらったカタチの2人。
気の毒としか、言いようがあらへん…。
でも2人のその向学心には、感心させられた。
若いのに、将来のこと、ちゃんと考えてんねんや。
私も、頑張らんとな。
何だか、目の前の女子高生に励まされた気分である。
32 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時10分27秒
「そういや、まだ名前ゆってなかったな。私は中澤裕子。この近くの会社で働いてるんや。これから、よろしくたのむわ」
2人に向かって、自己紹介をする。
「私は吉澤ひとみです。こちらこそ、よろしくお願いします」
白い方は、吉澤か。
「私は石川梨華です。一緒に頑張りましょう!」
黒い方は、石川やな。
よっしゃ、顔と名前、インプット完了。
2人は、同じ高校の2年生で、中学時代からの親友らしい。
33 名前:BK school 投稿日:2002年07月29日(月)02時11分35秒
こうして、教室に入ってわずか十数分の間に、話し相手ができることになるとは…。
人見知りの性格って、案外ウソなんかもな…。
何はともあれ、なかなか幸先の良いスタートが切れそうである。
34 名前:OHA 投稿日:2002年07月29日(月)02時12分54秒
更新しました。


>>22 名無し読者さん

一度、裕ちゃんが生徒役の話を書いてみたかったんですよね。
リアル物と違い、設定も自分で考えないといけないので、悪戦苦闘していますが…。
でも、面白そうな設定、と言っていただけて、すごくうれしいです。
ご期待に添えるよう、頑張ります。
35 名前:OHA 投稿日:2002年07月29日(月)02時13分57秒
>>23 名無しさん

おっと、実務経験がおありの読者さんが、いらっしゃるとは…。
もし『これは違うだろ!』という点がありましたら、ご指摘ください。
でも、あまりアラ探しはしないでくださいね(w
って、言ってることが、矛盾していますが…。
楽しんでいただける作品を目指して、頑張ります。



次回はまた1人、先生役として誰かが初登場します。

36 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月02日(金)15時28分45秒
こういうアンリアルもの大好物です。
期待してます。
がんがって!
37 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)18時50分43秒
自己紹介が終わった後も、講義が始まるまでの時間、吉澤、石川の2人といろんな話をしていた。
その間にも、教室にはだんだんと受講生の数が増えてきて、空席が埋まっていく。
3人掛けの席に、だいたい2人ずつ座ってるんやけど、私の隣には結局、誰も来ることは無かった。
やっぱり、この金髪が敬遠されてるんかなぁ?
ちょっと複雑な気分やけど、この広い机を一人で占領できんねんから、ラッキーやと思うことにしよ…。
何事も、前向き前向き…。
38 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)18時52分51秒
そうこうしているうちに、講義の時間になり、一人の若い女性が教壇の前に立った。
髪が長く、スラリとした長身で、スーツがよく似合っている。
モデルと言っても、十分通用しそうな感じや。
あれが、先生か?
私の中では、こうゆう所の先生は男やって先入観があったから、ちょっと意外やった。
それに私よりも、だいぶ若そうやしな。
20歳そこそこ、ってとこか。
「えー、これからみなさんの商業簿記を担当します、飯田圭織です。よろしくお願いします」
教壇の女性が、話し始めた。
39 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)18時54分36秒
「うっわぁ〜!カッケ〜!!」
その途端、後ろの席から小さな声が聞こえてきた。
ちらっと振り返ると、吉澤が飯田先生を見て、目をランランと輝かせている。
この吉澤って子は、思ったことをすぐ口にするタイプみたいやな…。
私を最初見た時もそうやったし。
石川はそんな吉澤を、少し呆れ気味に見つめている。
そして、私と目が合うと『困ったもんですよねぇ…』とばかりに、肩をすくめてみせた。
私も、同じように返すと、前に向き直る。
教壇では、飯田先生の話が続いていた。
40 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)18時56分37秒
今日は初日ということで、ガイダンス的な話を、最初の数十分間するらしい。
時折、後ろから聞こえてくる『カッケ〜!』って声は、とりあえず聞こえん振りをしといて、飯田先生の話に神経を集中させる。
それによると、火曜日は商業簿記(通称、商簿)、金曜日は工業簿記(通称、工簿)の講義であり、担当講師もそれぞれ違うらしい。
「え〜、金曜日は飯田先生じゃないのぉ〜?」
また後ろから聞こえてくるそんな言葉に、思わず吹き出してしまう。
よっぽど、飯田先生のことが気に入ったみたいやな、吉澤は。
41 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)18時58分06秒
ガイダンスも一通り終わり、いよいよ本格的な講義がスタートした。
飯田先生の講義は、ポイントをきっちりとついていて、なかなかわかりやすかった。
私達に問題を解かせている間、窓の外をボーッと眺めては時間を忘れ、受講生に指摘を受けてしまう。
説明に力が入ってくると、話に句読点がなくなり、果てしなく続いてしまう。
この2点さえなければ、更に良かったんやけど…。
「それでは、今日はここまでです。お疲れ様でした。何か質問のある方は、個別に来てください」
飯田先生のその言葉で、今日の講義は終了した。
42 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)19時00分11秒
勉強なんかしたん、ほんま、久しぶりやなぁ。
軽く伸びをしながら、後ろを振り向く。
でもそこには、石川しかおらんかった。
「あれ?吉澤は?」
石川は無言のまま、教壇の方を指差す。
また振り向いて、指を差された方向を見てみると…。
テキスト片手に、飯田先生に質問をしている吉澤の姿が…。
「先生が“質問のある方は、個別に来てください”って言った途端、すっ飛んで行きました…」
石川が、呆れたように言う。
「えらい積極的な子やなぁ…」
私は、呆れるってゆうより、むしろ、感心するって感じやな。
43 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)19時01分50秒
「よっすぃーって、昔からああなんですよ。気に入った人には、自分からストレートにいっちゃうタイプなんです」
ほぉ〜、そうなんか。
若いってええことやなぁ〜。うらやましいわぁ〜。
おっと、私かってまだ若いっちゅうねん…。
自分の考えを慌てて打ち消す。
「それで石川は、吉澤を待つつもりなんか?」
嬉しそうに飯田先生と話をしている吉澤に視線をやりつつ、石川に聞いてみる。
「はい。これから一緒に、ご飯を食べる約束をしてますから。あっ、そうだ。中澤さんも一緒に行きませんか?」
「ん?私も行ってええんか?」
44 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)19時04分04秒
誘ってくれたのは嬉しいんやけど、今日初めて会った私が入っていってええもんか、戸惑っていた。
吉澤の了承も得てないことやし。
「もちろんですよ。せっかくこうして、お話することができたんだし、食事は人数が多い方が楽しいじゃないですか。よっすぃーだって、きっと同じだと思いますよ」
これじゃ、どっちが年上かわからんな…。
「んじゃあ、お供させてもらうわ」
仕事帰りに直でここに来たから、お腹も空いとるし。
それに、もうちょい彼女達と話もしてみたい。
そう思った私は、石川の誘いをありがたく受けることにした。
45 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)19時05分48秒
それから数十分後、私達は学校の近くにあるファミレスで、遅い夕食をとっていた。
はじめは、2人の学校のことやら私の仕事のことやら、雑談に花を咲かせてたんやけど。
「吉澤って、飯田先生みたいな人がタイプなんか?」
つい、聞いてもうた。
「そうなんですよ〜!私、ああいうキレイでカッコイイ人、もろ好みなんですよ〜!ちょっとボーッとしたところも、かわいいですし〜!さっき、質問に行った時も、聞いたことに即答してくれて〜!頭もすごくいいんですね〜!やっぱカッケ〜っすよね〜!……………」
46 名前:BK school 投稿日:2002年08月02日(金)19時08分40秒
それから、『飯田先生がいかに素敵であるか』という吉澤の力説を、延々と聞かされるハメになろうとは…。
はぁ〜、あんなこと聞かんかったら良かった…。

こうして、私の長い長い一日が無事(?)、過ぎていくのであった。
47 名前:OHA 投稿日:2002年08月02日(金)19時10分38秒
更新しました。

>>36 名無し読者さん
大好物とは!!
ありがとうございます。
更新は、週末中心になってしまいますが、頑張らせていただきます。


次は、今日か明日にもう少し更新予定です。
また先生役で1人、初登場します。

48 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時07分14秒
同じ週の金曜日、今日も仕事が終わると、そのまま学校へ直行。
受付前の男女の掛け合いも、3回目ともなると慣れてきた。
軽く聞き流して、教室に向かう。
この前と同じ席に、吉澤、石川コンビが座っていたので、私も同じく彼女達の前の席に着くことにした。
「あっ、中澤さん。こんばんは」
石川が挨拶をしてくる。
「おう、こんばんは。吉澤、どないしたんや?」
吉澤が、机に突っ伏しているのに気が付いて、石川に聞いてみる。
その質問に石川が答える前に、吉澤が顔を上げた。
49 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時08分29秒
「今日は、飯田先生に会えないんですよ〜!さびしい〜!」
それだけ言うと、また突っ伏してしまう。
「さっきから、ずっとこの調子なんですよ…」
もうお手上げ状態、といった感じの石川。

その後、講義が始まるまで、石川と2人で、
「来週にはまた、会えるじゃない…」
「今日の先生、もっとええ先生かもしれんで…」
などと、わけのわからん慰めの言葉を吉澤に掛けることで、時間を費やすことになってしまった…。
50 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時09分46秒
講義の時間になると、一人の若い女性が教室に入ってきて、教壇の前に立った。
ちょっときつめの顔立ちで、クールな印象を与える女性である。
また女の先生か。
しかも、飯田先生と同じくらいの年頃やな。
もしかして、ここの校長の趣味なんか?
思わず、いらぬ勘繰りをしてしまう。
「みなさん、初めまして。工業簿記担当の保田圭です」
教壇の女性が話し始めた。
「うわぁ〜!ステキ〜!!」
その途端、後ろの席から小さな声が聞こえてきた。
51 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時10分57秒
ちらっと振り返ると、石川が保田先生を見て、目をランランと輝かせている。
吉澤はそんな石川を、少し呆れ気味に見つめている。
そして、私と目が合うと『困ったもんですよねぇ…』とばかりに、肩をすくめてみせた。
『この前のアンタも、同じようなもんやったで…』
心の中だけで、そう突っ込んでおいて、私は前に向き直る。

おいおい、今日は石川かいな…。
勘弁してくれや…。
頭を抱え込みたくなる心境や。
52 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時12分07秒
今日はガイダンスもなく、すぐに講義が始まった。
時折、後ろから聞こえてくる『ステキ〜!』って声は、とりあえず聞こえん振りをしといて、講義に神経を集中させる。
保田先生の講義もまた、ポイントをきっちりとついていて、なかなかわかりやすかった。
でも………。
話をわかりやすくするため、図解してくれんのはええんやけど、その絵が…。
かえって、わかりにくうなってしまうやん!
そう思ったのは、きっと私だけではないはずや。
53 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時13分44秒
後ろから『あの絵、かわいい〜!』という声が聞こえてくんのは、空耳やと思いたい。
石川、申し訳ないけどアンタのその感性、私にはどうしても理解できんわ…。


「それでは、今日はこれで終わります。お疲れ様でした。質問があれば、個別に来てください」
保田先生のその言葉で、今日の講義は終了した。
この前と同じように、軽く伸びをしながら、後ろを振り向く。
でもそこには、吉澤しかおらんかった。
「あれ?石川は?」
聞かんでも、だいたい察しはついたけど…。
吉澤は無言のまま、教壇の方を指差す。
54 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時15分02秒
また振り向いて、指を差された方向を見てみると…。
案の定、テキスト片手に、保田先生に質問をしている石川の姿が…。
「先生が“質問があれば、個別に来てください”って言った途端、すっ飛んで行きました…」
吉澤が、呆れたように言う。
「はぁ〜」
自然と出てくるため息。
君ら、似たもん同士なんやな…。
「梨華ちゃんって、昔からああなんですよ。気に入った人には、自分からストレートにいっちゃうタイプなんです」
似たもん同士ってことに、本人らが気付いてへんとこが、ある意味一番怖いわな…。
55 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時16分33秒
それから数十分後、またもや私達は学校近くのファミレスで、遅い夕食をとっていた。
はじめは、この前と同じく、雑談に花を咲かせてたんやけど。
「梨華ちゃんって、保田先生みたいな人がタイプだったんだ?」
吉澤が、聞いてもうた。
「吉澤!それは聞いたらあかん!」
しかしその叫びは、既に手遅れ…。
「そうなの〜!私、ああいうクールでカッコイイ人、大好きなの〜!あの絵も、かわいくて最高だし〜!さっき質問に行った時も、聞いたことに即答してくれて〜!頭もすごくいいのよね〜!やっぱりステキだわ〜!……………」
56 名前:BK school 投稿日:2002年08月03日(土)18時20分49秒
それから、『保田先生がいかに素敵であるか』という石川の力説を、延々と聞かされるハメになったことは、言うまでもないやろ…。
はぁ〜、今日もかいな…。
深〜いため息を、1つ2つ3つ4つ…。


こうして、私の長い長い一日が無事(?)、過ぎていくのであった。
57 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)18時49分51秒
学校に通い始めて、はや3週間が過ぎた。
講義の後のファミレス通いも、恒例となっていた。
受付での漫才も、今となっては楽しみの一つとなっている。
吉澤が飯田先生を、石川が保田先生を慕っているというのも、相変わらずや。
曜日によって、ハイテンションとブルーが入れ替わる2人の間に挟まれて、いささか疲れはするけど…。
でも、そのおかげで、2人の先生とも個人的に話をするようになった。
2週目のファミレス通いから、火曜には飯田先生が、金曜には保田先生が参加するようになったんや。
58 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)18時52分17秒
まぁ、誰がどっちの先生を誘ったんかは、言わんでもわかるっちゅうことで…。
ほんま積極的やで、あの高校生達は…。
先生の話によると、この学校の簿記科の講師というのは、税理士科の受講生の中からスカウトして集めるらしい。
だから、若い先生が多いんやな。
校長さん、いらん勘繰りしてすんません…。
簿記講師のかたわら、税理士の勉強をしているという2人の話は、ゆくゆくは、税理士の資格を目指す私にとって、大いに参考になる。
このことに関しては、先生達を半ば強引にファミレスに誘った吉澤と石川に、感謝せんとな。
59 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)18時54分17秒
でも先生達も、学校を一歩離れると、普通の女の子になるわけで。
仕事の悩みやら愚痴まで、聞かされることもある。
『自分のクラスの生徒が減っちゃうと、査定にも影響してくるんだよね』
これは、飯田先生がゆうとったなぁ。
講義がわかりにくかったら、挫折して来なくなったり、他のクラスに変わってしまう生徒もいるらしい。
だから、生徒が減らないように、努力しなければいけない、と。
講師は講師で、大変な世界なんやな。
60 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)18時56分32秒
そんなこと、私ら生徒の前で話してもええんか、って疑問に思わんでもないけど。
もしかして、暗にプレッシャーかけられてるとか!?
それを聞いて吉澤は、声高らかに、
『私は絶対に、辞めたり、クラスを変わったりしませんからね。どこまでも飯田先生についていきます!』
って、宣言しとったしなぁ…。
でもその時の飯田先生の嬉しそうな笑顔は、すごい印象的やった。
吉澤が憧れる理由が、ちょっとだけわかった気がした。
こりゃあ、私も辞めたり、クラス変えたりできひんな。
まぁ、そんなつもりもさらさらないけど。
61 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)18時58分53秒
先生達の呼び方も、飯田先生は『圭織』、保田先生は『圭ちゃん』に変わった。
『先生と呼ばれるのは、あまり好きじゃない』
という2人の申し出により、そうなったんや。
私のことを『裕ちゃん』と呼ぶのを、交換条件にしたんやけど。
私もあんまり、名字で呼ばれんの好きやないし。
吉澤、石川は、年上の私らに気を遣ってか、名字にさん付けやなぁ。
2人にも『裕ちゃん』でええよ、ってゆうてんねんけど…。

でもたまに吉澤は、保田先生のこと『圭ちゃん』って呼ぶことあるわ。
もしや、なめられて…
いや、深く考えんのはやめとこ…。
62 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)19時01分04秒
そんなこんなで、今週は4週目。
仕事の都合で『平日クラス』に出席でけへんかった。
月末で仕事が忙しく、定時に終わらんかったんや。
伯父さんは『先に帰ってもいいよ』とゆうてくれたけど、他の所員達が残業をしてんのに、自分1人だけ、さっさと帰るわけにはいかへん。
なので、今週は『日曜クラス』に振り替えることにした。
圭織や圭ちゃんには悪いと思ったけど、仕事やねんからしゃあないな。
63 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)19時02分49秒
金曜の夜には、吉澤、石川から
『今週は、学校に来なかったですね。どうかされたんですか?』
というメールが届いた。
どうやら、私が欠席したことを心配してくれているらしい。
暴走気味なとこはあるけど、根は優しい子らやな。
たぶん、いつものファミレスからメールしてるんやろう。
とすると、圭ちゃんも一緒のはずやな。
『仕事が長引いて、行かれへんかってん。来週は平日に行けると思う。圭ちゃんにも、そう伝えといてな』
メールを返信しながら、その優しさにちょっと感動していた。
64 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)20時50分40秒
その週の日曜日。
いつもは、日曜日ともなれば昼頃まで寝てるんやけど、今日はそういうわけにはいかん。
眠い目をこすりつつ、朝10時からスタートする講義に間に合うように、学校へ向かう。
日曜日は休みなのか、受付にミカの姿はなかった。
おらんかったらおらんかったで、結構寂しいもんやなぁ…。
ヘンな日本語で度肝を抜かれることも多いけど、あの元気な笑顔で送りだされると、悪い気はせんからな。
責任者の男性にいつも怒られてるけど、それでもクビにならん理由が、何となくわかったわ。
65 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)20時54分30秒
教室に入ると、やはりいつもの雰囲気とは違う。
いつもは、平日の夜ということもあり、スーツ姿のサラリーマンやOLといった感じの受講生が多く、仕事終わりの疲労感も漂ってるんやけど。
今日、ラフな格好をした若者が多く、全体的に活気づいている。
席もそれなりに埋まってて、空席を探すのに苦労しそうやな。
そう思って、教室をグルリと見回すと、若そうな女の子の隣の席が一つ空いていた。
その女の子は、机に顔を伏せて睡眠中やけど…。
まぁええか、あそこで。
他に空いてる席探すの、面倒やし。
66 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)20時56分11秒
「すみません。隣、いいですか?」
寝ている女の子に声を掛ける。
「んあ?あ、いいですよ」
その子は、眠そうに大欠伸を一つしながら、ゆっくり顔を上げた。
でも、私の顔を見るなり、慌てたように机の上に散らばっていたテキスト類を片付けて、1人分のスペースをあけてくれる。
何やねん、人の顔見てそんな怖がらんでもええやん。
顔っちゅうよりも、この金髪か…。
内心、苦笑いしながらも、お礼を言って席に着き、あけてくれたスペースに勉強道具を並べる。
その間ずっと、隣からの視線が、私の髪の毛に注がれるのを感じていた。
67 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)20時58分21秒
「そんなに気になるか?」
一通り机の上に並べ終わってから、自分の髪の毛を指差し、隣の女の子に聞いてみる。
吉澤達と同じ年頃の、結構な美人さんや。
「あ、いえ…。ちょっとすごいなぁ、と思っただけで…。でもおかげで、目が覚めました」
そうかそうか、それは何よりや。
この金髪が、そんなお役に立てて、うれしいで。
………かなり複雑な気分である。

そんな中、前の席の女の子2人が、面白そうに私達の様子を眺めているのに気が付いた。
そのうちの1人、色が白くて可愛い顔立ちの子と目が合う。
68 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時00分15秒
「いやぁ〜、ごっちんを一発で起こしちゃうなんて、すごいですねぇ〜!」
ちょっと芝居がかった口調で、その子が言った。
「ほんとほんと、すごいですよぉ〜!」
もう1人の少しボーッとした感じの子も、相槌を打つ。
いや、そんなことで感心されても…。
ますます複雑な気分になる……。
「アンタら、友達なんか?」
気を取り直して、3人の誰ともなしに尋ねてみた。
その質問に対しては、前の席の可愛い顔立ちの子が答えてくれた。
答えてくれたのは、ええんやけど…。
69 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時02分34秒
「そうなんです!なっちとりんねは、元々友達だったんですけど、ごっちんとは、この学校で知り合って、それで仲良くなったんです」
ちょ、ちょっと待ってぇや…。
『なっち』とか『りんね』とか『ごっちん』とか、初対面でいきなりそんな固有名詞で説明されても、全然わからんっちゅうねん!
『ごっちん』ってのは、さっきまで寝とった子や、ってのは、だいたい想像がつくけど…。
「アンタが説明して…」
この3人の中で、一番しっかりしてそうな『ごっちん』と予想される子に、もう一度説明を求める。
それによると…。
70 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時04分23秒
『ごっちん』というのは、予想通り彼女自身で、名前は後藤真希。
『なっち』というのは、さっきわけのわからん説明をしてくれた子で、名前は安倍なつみ。
『りんね』というのは、前の席に座っているボーッとした子で、名前は戸田鈴音。
『なっち』と『りんね』は、同じ北海道出身で、大学進学のために上京してきたらしい。
高校時代からの友達で、今も同じ大学に通っているということだ。
で、『ごっちん』とは、この学校で顔を合わせているうちに、仲良くなったらしい。
「ふ〜ん、そうなんか〜」
やっと、3人の名前と関係がわかった。
71 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時06分24秒
「ねぇねぇ。あなた、あまり見かけたことないですけど、このクラス、初めてなんですか?」
『なっち』が聞いてきた。
そうやった、3人のことばかり聞いてて、自分のこと何もゆうてへんかったな。
「うん。普段は平日に来てんねんけど、今週は仕事やったから、このクラスに振り替えてん。これからも、月末は日曜日に来ると思うから、仲良うしたってな。名前は中澤裕子や」
3人に向けて言う。
72 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時07分48秒
「中澤裕子さん、か…。じゃあ『裕ちゃん』でいいよね?なっちのことは『なっち』って呼んでね」
急にくだけた口調で、人懐っこい笑顔になるなっち。
なかなかフレンドリーな性格のようや。
「あっ、それいいね。じゃあ、ごとーも『裕ちゃん』って呼んでもいいよね?裕ちゃんも『ごっちん』でいいよ」
同じくごっちんも、さっきまでの敬語じゃなくなっている。
やっぱりこのクラスの雰囲気が、そうさせるんやろうなぁ。
73 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時09分38秒
吉澤、石川なんかは、いつまでたっても敬語やもんな。
それに、いつまでたっても『中澤さん』のままやし。
まぁ、あれはあれで彼女達らしいんやけど。

じゃあ、この流れでいくと、次のりんねも当然…。
「あっ、りんねは『りんね』って呼んでくださいね、姐さん」
ガクッ……
期待した私が、アホやった。
しかも、何で『姐さん』やねん…。
74 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時40分07秒
講義の時間が近づいてくると、なっちとりんねは前に向き直って、2人仲良く『あーでもない、こーでもない』と言いながら、先週の復習をしている。
そんな2人を見て、ごっちんが私に耳打ちをしてきた。
「あの2人ってさぁ、付き合ってるんだよ」
えっ!?
私はびっくりして、なっちとりんねの後ろ姿を呆然と見つめる。
「そ、そんなこと、初対面の私にゆうてもええんか?」
動揺しながらも、私もごっちんに耳打ちする。
75 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時41分27秒
「いーのいーの、どうせすぐわかることなんだから。あの2人、いつもイチャイチャしててさ。ごとー、当てられっぱなしなんだよ〜」
嫌がっているというよりも、『もう、しょうがないなぁ〜』といった感じのごっちん。
「そうゆうごっちんは、どうなんや?いい人おらんのか?」
つい、好奇心で聞いてしまう。
ごっちんほどの美人さんやったら、恋人の1人や2人おっても、全然おかしないからな。
76 名前:BK school 投稿日:2002年08月04日(日)21時42分49秒
「付き合ってる人はいないよ。でもね、気になる人はいるんだ〜」
おっ、意味深発言。
ごっちんに、気に入られてる人って、どんな人なんやろ〜?
気にはなったけど、初対面の自分がそこまで詮索すんのは、無粋ってやつやろう。

それにしても、ごっちんも、前のお2人さんも、そして吉澤や石川も、なかなか青春してるやんか。
ちょっと、うらやましくなる私であった。
77 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時11分06秒
10時になると、圭織よりもちょっと老け……もとい、落ち着いた感じの女性が、教室に入ってきた。
「それでは早速、今日の講義を始めます」
ビシッと一言そう言うと、教壇に置いた資料に目をやる。
おっ、厳しそうな先生やな。
そう思ったのも、つかの間…。
「あ、ごめ〜ん!テキスト、忘れてきてしもたぁ〜!取ってくるさかい、ちょっと待っといてやぁ〜!」
そんな言葉を残して、慌てて教室から出ていった。
教室内は、爆笑の渦である。
第一印象とはえらい違うその先生の変わりように、私はもう少しで、椅子からずり落ちるとこやった。
78 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時14分18秒
それに、あのバリバリの関西弁は何やねん!?
ま、それは人のこと言えんけど…。
他の受講生達は、そんな先生の変貌には慣れているのか、
「みっちゃん、またぁ〜?」
「相変わらずドジだよね〜!」
などと、口々に騒いでいる。
隣のごっちんはと言うと…。
「へーけさん、かわいい〜!」
今、何と…?
聞き間違いか?
「かわいい〜!」
同じ言葉を繰り返すごっちん。
2回も聞き間違えるわけ、あらへんな…。
……って、あれのどこがかわいいねん!
また椅子からずり落ちそうになる。
でも、ごっちんの顔は至って真面目や。
79 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時18分25秒
ま、まさか…。
「なぁ、ごっちん?もしかして、ごっちんの気になる人って、あの先生のことか?」
「え〜?なんで、わかったの〜?」
いやいや、誰でもわかるんですけど…。
「平家みちよ、日曜クラスの商簿担当講師。ごっちんの憧れの人なんだよね〜?」
なっちがこちらに振り向き、ニコニコしながら加わってきた。
「いやぁ〜ん、なっち。バラしちゃダメだって〜!」
ごっちんが、なっちの頭を軽く叩く真似をする。
いやいや、もうバレバレなんですけど…。
80 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時20分28秒
「あの落ち着いた外見と、ちょっとドジな性格のギャップにメロメロなんだよね〜?」
りんねも加勢する。
「もうやだぁ〜、りんねさん。ごとー、恥ずかしいよぉ〜!」
りんねにも、叩くふり。
いやいや、恥ずかしいというより、嬉しそうなんですけど…。
そんなやりとりを何回か続けているうちに、平家先生が戻ってきて、講義が始まった。

吉澤、石川に続き、ごっちんもかいな。
私の周りには、こんな子しか集まらんのか…。
ちょっと思い悩む私やったけど、それ以上に、ごっちんがどんな暴走を見せてくれるんか、楽しみでもあった。
81 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時22分38秒
吉澤は、『窓の外をボーッと眺める飯田さんをボーッと眺める』という『お交信と一緒』という技を身に付けたらしい。
吉澤曰く『お母さんと一緒』をもじった、ということだが…。
いっこも、もじってないし、意味もさっぱりわからん…。

一方石川は、『保田さん作品展』というノートを特別に作っては、そこにあの意味不明な絵を書き写しているらしい。
ノートが全ページ埋まったあかつきには、それを保田さんにプレゼントするんだ、と張り切っていた。
あんなん、プレゼントされて嬉しいんかな?
少し、いや、かなり疑問である…。
82 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時24分31秒
そんな2人を見てきてる私が、ごっちんが、どんなことをしでかしてくれるのか、期待すんのも、当然の成り行きやろう。
しかし、そんな私の期待とは裏腹に、隣のごっちんに目をやると、なんと気持ち良さそうに寝ているではないか…。
まるで、平家先生の話を、子守唄とでもいわんばかりに。
椅子からずり落ちそうになるのも、これで3度目や。
おいおい、大丈夫か、この子?
83 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時26分19秒
ごっちんを起こそうと、肩に手を持っていきかけた時、またなっちが振り返った。
そして、『起こさない方がいいよ』と言うように、首を左右に振る。
何でや?
腑に落ちんかったけど、私よりごっちんとの付き合いが長いなっちが、そうゆうてるんやから、ここは素直に従っておいた方が良さそうやな。
ごっちんの肩に持っていきかけた手を元に戻し、講義に集中することにした。
84 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時28分00秒
「はい、お疲れさんでした。午後からも頑張りやぁ〜!」
午前の部、商簿の講義が終わった。
その途端、ごっちんがむっくり起き上がって、平家先生の所に飛んでいった。
「へーけさ〜ん!今日の講義で、わからないとこがあるんですけど〜。教えてもらえますか〜?」
4度目はとうとう、椅子からずり落ちてしまった。
そら、あんだけ熟睡しとったら、わからんとこだらけやろ!
心の中でそう突っ込みながら、椅子に座り直す。
85 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時29分29秒
「裕ちゃん、お昼ご飯どうするの?なっち達、これからコンビニに買い出しに行くんだけど、一緒に行かない?」
なっちの声で、私はようやく正気に戻った。
そうか、昼休みを挟んで、それからまた講義があるんやったな。
日曜クラスも、結構ハードやなぁ。
「うん。行くわ」
昼ご飯、何も用意してけぇへんだから、私も買いに行かんとアカンし。
「じゃ、姐さん、行きましょう」
だから、何で『姐さん』やねん、りんね…。
是非とも、理由を小一時間、問い詰めたい…。
86 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時30分57秒
「ごっちんは、ほっといてええんか?」
まだ平家先生相手に、話し込んでいるごっちんを見ながら、2人に聞く。
「いいのいいの。早く行かないと、お昼休み終わっちゃうよ」
ごっちんのことは気になったけど、なっちにそう促されて、3人でコンビニに向かった。

その途中、2人が何故この勉強を始めたのか聞いてみた。
なっちの父親は、北海道で税理士事務所を開業していて、将来はなっちが、その事務所を継ぐことになるらしい。
それで、今のうちから経理の勉強をしているということだ。
87 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時33分00秒
りんねは、なっちに誘われて、面白そうだと思い、一緒にこの学校に入ったらしい。
何とも、仲がよろしいですな。
ごっちんは、高校を中退して、フリーターをしているらしいが、将来のことも考えて、資格を取るために勉強を始めた、ということも教えてくれた。
3人とも3級から上がってきたらしく、この学校も私より長いみたいや。
88 名前:BK school 投稿日:2002年08月05日(月)01時35分28秒
「なぁアンタら、付き合ってんねんて?」
ひやかし半分に、聞いてみる。
「えっ、なんで知ってんの?」
なっちは真っ赤になってしまった。
わかりやすい子やなぁ。
「どうせ、後藤さんが言ったんでしょ?」
りんねは顔色一つ変えない。
この子は、いまいちようわからんわ…。
それに年下のごっちんまで、後藤さんって呼んでんのか。
やっぱり、ようわからん…。
89 名前:OHA 投稿日:2002年08月05日(月)01時38分09秒
来週と再来週は忙しくて更新できそうにないので、その分を、今週に更新しました。
次か、その次くらいに、やっと最後の一人、メインCPの片割れ(?)を登場させることができそうです。
作者のことをご存じの方は、一体誰のことかは予想がつくと思いますが(w

それでは、また(多分)3週間後に…。

90 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月06日(火)17時08分37秒
今のところかなりマイナーCPばかりっすね。
資格学校というのは今までにない形で面白そうです。
がんばってください。
91 名前:名無し読者。 投稿日:2002年08月07日(水)03時32分40秒
もう最高です。
CPもいっぱいで(w
姐さんの相手はモチロン(w
92 名前:つかさ 投稿日:2002年08月19日(月)00時49分55秒
やっとこのスレを見つけた自分はかなりの大馬鹿ものっす(笑)
ってか、一緒の板〜〜♪
姐さんの好きな色、でニヤリってな感じで。

続き、楽しみにしてます^^
93 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月21日(水)22時36分20秒
とっても楽しいです。
姐さん生徒なんて(w
94 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)20時56分46秒
コンビニから戻ってくると、教室でそれぞれ買ってきた昼食を食べる。
教室内は、だいたい2、3人ずつのグループができ、私達と同じように雑談をしながら、食事をとっている。
「そういや、ごっちんはどこ行ったんや?」
机の上に筆記具やら電卓やら乱雑に置いてあるものの、本人の姿が見当たらない。
「講師室だよ」
これは、なっち。
「今頃、平家さんに個人授業を受けてるんじゃないですか」
この言葉遣いは、当然りんね。
それにしても、講師室で個人授業とは…。
95 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)20時59分11秒
「ごっちんが講義の間、寝てるのはみっちゃんの気を引く作戦なんだよ」
「講義が終わったら“わからないところがある”って、個別に質問に行くのも、いつものことなんです」
なっちとりんねが、交互に説明してくれる。
その間、お互い顔を見合わせてうなずき合っている。
何気にイチャついとんな、こいつら…。
でも、ごっちんもごっちんやな…。
そら平家先生の気を引きたいのはわかるで。
だから言うて、何も寝ることないやんか。
吉澤、石川とは、また違った意味での暴走やわ…。
96 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時02分51秒
「平家先生は、迷惑がってないんか?一生懸命、講義してんのに寝られて、おまけに終わった後、もう一回同じ話をせんなあかんねんから」
平家先生の心中を察すると、気の毒でならん。
「いや、そうでもなさそうだよ。結構満更でもないって感じだよね?」
「うん。後藤さん特製のお弁当まで食べられるんだから、それはそれでお得なんじゃないですか?」
弁当まで作ってきてるんか、ごっちんは…。
なかなかやりおるなぁ…。
97 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時04分26秒
「でもごっちん、全然、講義聞いてないやん。それやのに、昼休みにちょっと教えてもうただけで、大丈夫なんかな?」
2時間半の講義内容を、そんな短時間で理解するやなんて、無理っぽいけどな。
「大丈夫でしょう。2時間半ありますけど、問題を解く時間とか板書する時間とかも入ってますから。実質的な講義の時間ってのは、そんなに長くないと思いますよ」
「そうそう。ポイントだけを要約して説明したら、お昼休みの時間で十分足りるんじゃない?」
そんなもんなんか…。
98 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時08分06秒
「それに、好きな人に個人的に教えてもらったら、飲み込みも早いってもんよ」
なっちが、ニコッと笑って『ね?』と、りんねに同意を求めている。
りんねもニッコリ笑ってうなずいている。
こいつら…。
ごっちんの『当てられっぱなしなんだよ〜』という言葉を思い出して、何となく気持ちがわかった気がした。
でも、2人の言うことは、あながち間違ってへんかもなぁ…。
好きな先生に教えてもうたら、そら、やる気も出てくるわな。
99 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時09分57秒
吉澤は商簿、石川は工簿の成績が、クラスでトップクラスなのを見ても、それはようわかる。
まっ、もう一方の科目の成績が伸び悩んでんのは、私の知ったこっちゃないけど…。
とにかくや、動機は何であれ、勉強を熱心にやれるというのは、ええことや。
あ〜あ、私もいい先生に当たりたかったわぁ。
いや、圭織や圭ちゃんや平家先生が、悪い先生って意味やないで。
憧れとか、そういう対象ではないって意味や。
まぁこんなとこで、そんな出会いを求めんのは、所詮無理な話か…。
私は私で、地道に勉強していくしかないってことやな。
100 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時12分48秒
しかし……。
数十分後に会う1人の先生に、心を奪われることになろうとは…。

今の私には、もちろん、知る由もなかった。

101 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時14分16秒
ごっちんが、講師室から戻ってくると、なっちとりんねに早速、ひやかされている。
「おかえり〜、ごっちん。よっ、色女!」
「毎週、お弁当まで作ってきて、けなげだねぇ〜!」
『そんなんじゃないよぉ〜!』と返しながらも、笑顔全開のごっちん。
幸せそうな笑顔やで、ホンマ。
「どうだった、みっちゃんの個人授業は?」
「へーけさん、今日も可愛かったぁ〜!お弁当も“おいしい、おいしい”って食べてくれて。朝早く起きて作ったかいがあったよ!」
いやいや、なっちは授業のことを聞いてると思うんやけど…。
102 名前:BK school 投稿日:2002年08月24日(土)21時15分28秒
「もういっそのこと、平家さんに告白しちゃいなよぉ〜!」
「そんなことできないよ〜、りんねさ〜ん」
いやいや、もう告白してるも同然やと思うんやけど…。
でも、あの平家先生やったら、気付いてへんってこともあり得るかもな…。
平家先生の姿を思い浮かべ、クスッと笑ってしまう。



その後も、妙にハイテンションなごっちんをいじっているうちに、午後の講義開始の時間が、だんだんと近づいてくる……。
103 名前:OHA 投稿日:2002年08月24日(土)21時20分42秒
更新しました。


>>90 名無し読者さん

ここに出てくるCPは、全て作者の趣味によるものです。
結構、マイナーどころが好きなんだなぁ、と改めて実感しました(w
資格学校という設定は、作者の実生活に直結しているので、書きやすいかなと思って書き始めたのですが、案外書きにくいもんですね(w
かなり、苦戦しています。
でも、頑張ります!

104 名前:OHA 投稿日:2002年08月24日(土)21時21分58秒
>>91 名無し読者。さん

最高だなんて、ありがとうございます!
CPもいっぱい、登場人物もいっぱいで、ちゃんと収拾がつくのかどうか、不安だらけですが…。
作者の方が、いっぱいいっぱいの状態です(w
裕ちゃんの相手は、モチロンあの人です。
(もし名無し読者。さんの思っている人と違ったらどうしよう…)
次回ようやく、登場予定です。

105 名前:OHA 投稿日:2002年08月24日(土)21時23分15秒
>>92 つかささん

大馬鹿ものだなんて、とんでもありませんよ。
よくぞ見つけてくださいました!って感じです。
あのヒントが、参考になったんでしょうか?
紫には、前々から来たいと思っていたのですが、スレ数の関係などでなかなか来れませんでした。
ようやく今回、念願達成です(w
同じ板同士、頑張りましょうね!

106 名前:OHA 投稿日:2002年08月24日(土)21時24分56秒
>>93 名無しさん

楽しいと言っていただけて、すごくうれしいです!
裕ちゃんが生徒役というのは、今まで作者が読んだ中では無かったので、あえて挑戦してみました。
しかし、この話って裕ちゃんが生徒役である必要性があるのかな、とちょっと疑問に思う今日この頃です…。
でも、書きたかったんだから仕方がないや、と開き直る今日この頃でもあります…(w

107 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)20時54分30秒
2時になると、教室のドアが開いて、1人の女性が入ってきた。
!!!!!
彼女を一目見た瞬間、私は全ての動きが止まってしまったかのような錯覚を受けた。
私の視界には、彼女しか映らなくなっていた。
私ほどではないけど明るい髪の色、クリッとした目、妙に色っぽくツヤツヤ光る唇。
そして何よりも、教壇に隠れてしまうんちゃうか、ってくらいのちっちゃい身体。
その一つ一つに、私の視線が釘付けになる。
その一つ一つが、私の好みに大ヒットってなわけで…。
108 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)20時57分28秒
『か、かぅわいいぃ〜!!』
思わずそう叫んでしまう。
もちろん、あくまでも心の中だけでやで。
吉澤、石川、ごっちんみたいに、声に出さんかったのは、やっぱりあの子らよりほんの少しだけ(?)、大人っちゅうことで…。
でも、もう少しで声、出るとこやったわ。
危ない危ない…。
それにしても、めっちゃかわいいやん!!
まさしく、一目惚れ状態ってやつ!?


「では、テキスト145ページを開けてください」
そんな私の想いなど知るはずもなく、その先生は淡々と講義を始めていた。
109 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)20時59分19秒
隣のごっちんは、この講義は寝る必要(?)がないらしく、真面目に受けている。
「なぁなぁ、ごっちん。あの先生、名前なんてゆうん?」
邪魔したら悪いとは思ったけど、聞かずにはおれんかった。
「えっ?やぐっつぁんのこと?やぐちまりだけど…」
「どんな字やの?」
ごっちんが、私のノートの端に『矢口真里』と書いてくれた。
「でも、やぐっつぁんがどうかしたの?」
不思議そうな顔で、ごっちんが聞いてくる。
「い、いや、何でもあらへんよ…。ありがと…。邪魔して悪かったな」
110 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)21時02分57秒
ごっちんから視線を外し、先生の名前が書かれたノートに目を落とす。
矢口真里、か…。
その名前を小さく呟いてみる。
そして、教壇で話し続けている矢口先生に、再び目を向ける。
何回見ても、かわいいもんは、やっぱりかわいいなぁ…。
いくつくらいなんやろ?
ちっちゃくて若く見えるけど、こうゆうとこで講師をやってるくらいやから、それ相当の年齢なんやろうな。
ごっちん、矢口先生の歳、知っとるかな?
聞いてみようと、もう一度隣を見ると、ごっちんがニヤニヤしながら私の顔をじっと見ていた。
111 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)21時06分08秒
「な、なんや!?」
もしかして、ずっと見られとったんか?
「裕ちゃん。やぐっつぁんのこと、気に入ったんでしょ?」
結構、勘がするどい子やな、ごっちんは。
「そ、そんなことないで。ただ、えらいちっちゃい先生やな、思って…」
そんな否定の言葉も、かなり弱々しくなる。
しかも、さっきからどもりっぱなしやし。
「隠さなくてもいいじゃない。でもね、やぐっつぁん、かなり人気あるから、競争率高いよ?」
「えっ、そうなん!?」
つい、そう聞き返してしまう。
「やっぱりね」
してやったり、という顔のごっちん。
112 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)21時09分01秒
やられた…。
誘導尋問にひっかかってもうたで…。
「でも、人気があるのは本当のことだよ」
そうなんか…。
そら、あんだけかわいかったら、みんなほっとかへんわなぁ。
かなり気分が滅入ってきた。


はぁ〜、あかんあかん。
こんなことで、ヘコんでる場合やないで!
私は今ここに、勉強しに来てんねんや。
さっき、地道に勉強するって決意したんはどこの誰や!?
講義は講義で、しっかり聞かんなあかんやろっ!!
113 名前:BK school 投稿日:2002年08月25日(日)21時11分54秒
矢口先生は、今まで受けた3人の先生と違い、冗談も挟まず脇道にもそれず、淡々と講義を進めていく。
きっと真面目な性格なんやろうな…。
でも真剣な顔も、またかわいいわ。
そう思ってしまう私は、きっと不真面目な性格なんやろうな…。
どこが、地道に勉強やねん…。

私の決意は、脆くも崩れていく…。
114 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月25日(日)21時52分59秒
期待通りやぐちゅーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━
しかしこれからどう展開していくんだろ?
先が読めなくて期待大です。
115 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月28日(水)12時24分32秒
とうとう矢口さん登場〜。
どういうやぐちゅーになるのか楽しみ〜。
116 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月30日(金)00時44分14秒
作者さんのやぐちゅー小説のファンです。
やぐちゅーを丁寧に優しく柔らかく描いてくれるから・・・
新しい「やぐちゅー」伝説がまたひとつ、増えた感じで楽しみです。
117 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時03分31秒
「はい、ではこの設問を解いてください」
講義も後半にさしかかった頃、今日の復習の意味合いも兼ねて、問題を解くように指示された。
テキストとノートを広げ、解く体勢には入っているものの、頭の中は矢口先生のことでいっぱいで…。
当然、手は全く進んでいない。


「何かわからない所、ありますか?」
突然、頭の上から声を掛けられ、びっくりして顔を上げる。
その視線の先には、矢口先生の姿が…。
心拍数が、一気に跳ね上がるのを感じた。
118 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時05分26秒
「あっ、い、いえっ…」
間近で見る矢口先生に、思わずドギマギしてしまい、そんな間抜けな返事しかでけへんかった。
「でも、全然進んでないようですけど…」
私の手元を、不安そうに見つめている。
「ちょっと、考え事をしていたものですから。すみません…」
普段、あまり使わへん標準語になってることにも、気付かんくらい緊張している。
「そうですか。わからない所があれば、何でも聞いてくださいね」
そう言い残して、矢口先生は私の元から離れていった。
119 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時08分07秒
隣でごっちんが、おかしそうにクスクス笑ってやがるので、ギロリと一睨みする。
それにしても、あ〜、びっくりした〜!
まさか先生が、あんなに近くに来るとは…。
圭織や圭ちゃんは、そんなことせぇへんから、油断しとったで。
問題を解かせている間の過ごし方も、講師それぞれなんやなぁ…。

圭織は、問題を解かせている間、窓の外をボーッと眺めている。
(その姿をボーッと眺めているヤツが、約一名…)
圭ちゃんは、問題の解説をするための図解を、せっせと板書している。
(その図をノートに写しているヤツが、約一名…)
120 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時10分59秒
そして矢口先生は、机と机の間の通路を通って、受講生の様子を見回っている。
ああやって見回るのが、矢口先生のやり方なんか…。
ちなみに平家先生は、黒板を消しながらチョークの粉に派手にむせかえったり、カンペンケースを落としては大きな音をたてたりと、私らの邪魔ばっかりしてくれたけど…。
講師の性格が、こんな所にも出てしまうんやな、と変な感心をしていた。

それにしてもや…。
間近で見る矢口先生、遠目で見るよりさらにかわいかったわ…。

結局、設問は手つかずのままやった、ってことは、矢口先生には内緒やで?
121 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時15分09秒
「はい、今日も一日お疲れさまでした」
講義が終わると、矢口先生は5、6人の受講生達に取り囲まれていた。
そして、そんな受講生達に、ニコニコと笑顔で受け答えしている。
さっきまでの真剣な顔とのギャップに、かなりグラッときてしまう。
あかん、重症やで、これ…。
「相変わらず大人気だねぇ、矢口先生は…」
なっちが感心したように呟くのが、聞こえてきた。
はぁ〜、やっぱり、ごっちんのゆうた通りやったんや…。
矢口先生の人気ぶりを、目の当たりにして、心の中でため息をつく。
122 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時17分49秒
「裕ちゃんも、質問に行けば?」
ごっちんが、ニヤニヤしながら言ってきた。
「無理や…」
我先にと、矢口先生に質問しようとしている受講生達を見ていると、とてもやないけど、新参者の私が入っていける雰囲気ではない。
「なになに?もしかして、裕ちゃん、矢口先生のこと好きになったの?」
私とごっちんの様子を見て、なっちが興味津々という感じで尋ねてくる。
この子も、勘がするどいなぁ。
「質問があるんだったら、りんねが教えてあげましょうか?矢口先生、忙しそうですし」
こいつは、全然わかってへんみたいや…。
123 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時19分34秒
「裕ちゃん、もっと積極的にならないとダメだよ!」
そんなこと言われたってなぁ、ごっちん…。
アンタのその積極的な性格、半分でええから分けて欲しいわ…。
「やっぱりそうだったんだ?裕ちゃんも隅に置けないね!」
そんなこと言われたってなぁ、なっち…。
矢口先生にとっては、私の存在なんか隅に置かれたままやろな…。
「えっなになに?一体、何の話ですか、姐さん?」
アンタのその鈍感さ、今の私にとっては、結構ありがたいかもな…。
124 名前:BK school 投稿日:2002年09月01日(日)05時22分46秒
「ねぇ、いつもさ、この後お茶しに行くんだけど、裕ちゃんも行かない?」
私に質問に行く気がないのがわかったのか、ごっちんが、そう誘ってきた。
お茶、ねぇ…。
どうせ、矢口先生のことで、つつかれるんやろな…。
りんねはともかく、ごっちんとなっちの2人は手強そうやし。
どうやって断ろっかな?

「やぐっつぁん情報、いろいろ知ってるんだけどなぁ…」
「行くっ!!」
ごっちんの一言に即答してもうた自分が、情けなくなった……。
125 名前:OHA 投稿日:2002年09月01日(日)05時25分32秒
更新しました。


>>114 名無し読者さん

やぐちゅー、ご期待通りでしたか。
出てきていないメンバーで、先生役になりそうなのは矢口さんしかいなかったので、だいたい予想がつきましたよね?
ここでフェイントをかけて、他のCPにしたら、物が飛んできたかも(w
作者もやぐちゅー大好き人間ですので、もちろん、そんな気は全然ありませんでしたが…(w
これからの展開は…。
どうしましょうかねぇ…(おいおい、まだ考えてないのかよっ!!)
126 名前:OHA 投稿日:2002年09月01日(日)05時27分06秒
>>115 名無しさん

100レスを超えてから、やっと矢口さん登場。
遅すぎですね…。
相変わらず、だらだら書きすぎの作者です(w
さて、どういうやぐちゅーにしましょうかねぇ…(おいおい、まだ考えて……以下自粛)


>>116 名無し読者さん

なんと、嬉しいことを…(感涙
やっぱり、何と言ってもやぐちゅーが一番好きなので、思い入れも一番強くなるわけでして…。
作品にも、それが表れたらいいなぁ、と思っています。
伝説だなんて、恐れ多いことは言えませんが、少しでも楽しんで頂ける作品になるよう、頑張ります。
127 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)12時59分50秒
数十分後…。
いつものファミレス、4人でテーブルを囲んでいた。
メンバーこそ違うけど、今日もここに来ることになるとは、思ってへんかったわ。
「そう言えば、今日はみっちゃん来ないの?」
なっちが、ごっちんに聞いている。
「うん。今日は会議があるんだって」
つまらなさそうにストローをかき回しながら、ごっちんが答える。
なんや、いつもはここに平家先生もおるんかいな?
やっぱりやることにソツがないな。
同じことをしている2人の高校生の姿を思い浮かべ、何だかおかしくなる。
128 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)13時20分06秒
「裕ちゃん、何ニヤニヤしてんの?」
「きっと、やぐっつぁんのこと思い出してるんだよ」
ちゃうって!それは誤解や!
私はただ、吉澤、石川のことを考えてただけや…。
早速浴びせられる、なっち、ごっちんの攻撃にたじろいでしまう。
ええ大人がザマないで…。
「それより、はよ矢口先生のこと教えんかいっ!!」
逆ギレ以外の何物でもない…。
大人げないなぁ、自分…。
「そう焦らなくてもいいじゃん。ねぇねぇ、ケーキも食べていい?」
って、おごらせる気か…?
まぁええか、背に腹はかえられん。
129 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)14時06分35秒
「あっ、ごっちんだけずるいよ!なっちは、イチゴパフェがいい!」
はいはい、どうぞご自由に…。
「りんねはええんか?」
2人も3人も一緒や。
もうヤケクソや!
「じゃあ、りんねはおにぎり、頼んでもいいですか?」
なんで、おにぎりやねん!?
そんなメニュー、ここにあったっけ?
……ある。
恐るべしファミレス…。
「りんねは、おにぎり大好きだもんね。ご飯の後に、デザートでおにぎり食べるくらいだから」
なっちは思いっきし、納得しとるけど…。
私には、理解できん世界や。
やっぱり、りんねはようわからん…。
130 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)15時32分47秒
「で、裕ちゃんはさ、やぐっつぁんの何が知りたいの?」
運ばれてきたケーキを食べながら、やっとごっちんが本題に入った。
「何って、そんなん全部に決まっとるやん!」
洗いざらい、知っとること全部、そのケーキと一緒に吐いてもらうで!
いや、もちろん、これは比喩である…。
「全部だって!裕ちゃん、やらしい〜!」
こらなっち。何、変な想像しとんねん!

考えてみたら、何でなっちとりんねの2人にも、おごらんなアカンねんやろ?
今頃それに気付くあたりは、やっぱり冷静さを欠いていたとしか、言いようがない。
131 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)15時35分57秒
でも、おいしそうにおにぎりを頬張っているりんねを見てたら、しゃあないかぁ、という気分になってくる。
つかみどころのない子やけど、こうゆう場を和ます力を、天性的に持ってるんやな。

そんなことを考えていると、ごっちんが、いきなりしゃべりだした。
「名前は矢口真里。性別は女性。職業はあの学校の工簿担当講師」
「…………」
このまま、伝票置いて帰んで…。
それくらい、私でも知っとるがなっ!
「もう、冗談だって!裕ちゃん、短気なんだから。でも、何から話していいのかわかんないよ」
そらそうか。
132 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)16時54分34秒
じゃあ、いっこずつ聞いていこか。
「歳はいくつなんや?」
「19歳だよ」
じゅ〜きゅ〜!?
講師をやってるくらいやから、もうちょい上かと思とった。
でもまぁ、講師という職業を抜きにして考えたら、十分19歳に見えるか。
それにしても、私より10も年下やで。しかも、未成年やで。
えらいこっちゃ…。
何がえらいことなのか、ようわからんけど…。
「そんな若かったんか…」
「あの学校始まって以来の『最年少かつ最小講師』らしいよ」
「そうやろなぁ…」
あの先生より若くてちっこい講師なんて、そうそうおらんやろからな。
133 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)18時13分25秒
「やぐっつぁんね、すごく頭いいんだよ。高校2年の時に簿記1級を取って、3年には、税理士も1科目合格してるの。卒業してからも1科目取ったって言ってた」
それ、すごいなぁ。
あの若さで、もう2科目持ってんのか。
税理士試験というのは、科目合格制度を採用していて、累積5科目合格した時点で税理士試験合格、となるのである。
「他の先生から、簿記科の講師は税理士科の生徒からスカウトする、って聞いたんやけど、そんだけ優秀やったら、そらスカウトもされるわな…」
圭織や圭ちゃんがゆうてたことを思い出す。
134 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)19時19分14秒
「うん、始めは『自分の勉強に支障があるから』って断ったみたいだけど、学校側がどうしても、って無理に頼み込んだらしいよ」
自分の勉強に支障、ねぇ…。
えらい勉強熱心やな。
真面目な性格、って見込みは大当たりやってんな。
「じゃあ、今は仕事と勉強一筋ってことか?付きおうてる人とかはおらんのやろか?」
その質問を口にした途端、ごっちんがニヤリと笑った。
「結局はそれが一番知りたいんでしょ、裕ちゃん?」
グサッ!
痛いとこ、ついてくんなぁ…。
まっ、その通りやねんけど…。
反論の余地はございません。
135 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)20時04分33秒
「白旗でも黒旗でもなんでも上げたるさかいに、教えてぇや!」
「ぷっ!裕ちゃん、おかしい!よっぽどやぐっつぁんに、入れ込んだみたいだね」
こら、ごっちん!ケーキを吹き出すな!
全部吐けってのは、比喩やってゆうたやろが!!
「そんな睨まなくてもいいじゃん!」
おっと…、無意識のうちに、ごっちんを睨んどったわ。
「すまんすまん。それで、どうなんや?」
どうでもええから、はよ教えんかい!
また睨んでしまいそうになるのを、必死で抑える。
でも、そんな私の気迫が伝わったんか、やっとごっちんが話し始めた。
136 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)21時37分21秒
「やぐっつぁんは、付き合ってる人いないよ。やっぱりさ、仕事も忙しいし、自分の勉強だってあるから、それどころじゃないみたい」
ふむふむ、付きおうとるヤツ、おらんねんな。
そのことに、ひとまずは安心。
でも、仕事や勉強が第一で、恋愛は二の次ってことか…。
ほんま、真面目やねんな。
普通、19歳ってゆうたら、遊びたい年頃のはずやのに。
自分の19歳の頃をちょっと思い出してしまう。
仕事は失敗だらけで、プライベートもかなり、荒れとったもんなぁ…。
137 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)22時21分22秒
「付きおうてる人はおらんでも、好きな人くらいはおるんちゃうか?あれだけ人気あんねんし、その中で誰かお気に入りがおるとか…。さっきかって、えらいニコニコして生徒としゃべっとったやん」
なんぼ恋愛は二の次ってゆうても、人を好きになる感情くらい持ってても、不思議やないからな。
「あんなの、営業スマイルだよ。いつだったか、ごとーが『やぐっつぁん、人気あるねぇ。よりどりみどりじゃん』ってからかった時、『別にどーでもいいよ。興味ないね』って言ってたもん。でも講師って立場上、生徒にイヤな顔はできないからね」
138 名前:BK school 投稿日:2002年09月07日(土)23時35分49秒
そうなんかぁ…。
あの笑顔は営業スマイル、いわゆる愛想笑いってやつか。
講師ってのも、いろいろ大変やねんな。
もてる女は辛いのう。
って、そんな感心しとる場合やあらへんか…。
「好きな人すらおらんって、相当な堅物みたいやな?」
えらいやっかいな子を、好きになってしもたもんやで…。
「全然そんなことないよ。やぐっつぁんさ、教室では真面目で堅いってイメージだけど、普段は明るくて面白い人だよ。笑う時だって『キャハハハハ〜』って、すごい豪快だし」
「えっ?そうなんか?」
何か、全然想像でけへんなぁ…。
139 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)00時11分40秒
さっきの講義を受けた限りでは、優等生そのもので冗談も通じひん、って感じやったけど。
それに、豪快に笑うってのも、信じられへんな。
あの愛想笑いを見た時でさえ、講義中とのギャップにグラッときたのに…。
そんな豪快に笑うとこを見た日にゃあ、ひっくりかえってしまいそうやで。
やっぱり、全然想像つかへんわ…。
いつか私にも、見れる日が来るやろか?

ん?私にも…!?
ちょっと待てよ…。
140 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)00時42分39秒
「なんでごっちんが、矢口先生のそんなとこまで知っとんねん!?それに、やたらと情報も詳しすぎへんか?一体、どうゆうことやねんっ!!」
ごっちんにつかみかからんばかりの勢いで、問い詰める。
貴重な情報提供者に、この態度は人としてあかんやろ…。
頭ではわかってんねんけど、どうしても冷静ではいられへん。
許せ、ごっちん…。
「ほとんどが、へーけさんから聞いた話だよ。それに、いつもごとー、お昼休みに講師室に行ってるから、やぐっつぁんとも顔合わすしさ」
ごっちんが、ちょっと引き気味に答える。
141 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)01時43分41秒
「なんや、そうゆうことか。悪い悪い…」
平家先生やったら、矢口先生の資格取得歴とか、講師になったいきさつとか、知っててもおかしないもんな。
全部、平家先生の受け売りやったってわけか。
まぁ何にせよ、少しでも矢口先生のこと、わかってんから、感謝せんとな。
それにしてもや、講義中と講師室では、矢口先生の態度ってえらい違うねんな。
きっと、講師室での姿が、ほんまの姿なんやろう。
平家先生が目的で講師室に通ってるとはいえ、矢口先生のそんな姿を見られるとは、ごっちん、うらやましすぎ…。
142 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)02時05分17秒
「もしかして裕ちゃん、ごとーのこと、うらやましいとか思ってる?」
やっぱり、するどいなぁ…。
図星を指されて、言葉につまる。
「大丈夫だよ。ごとーは、へーけさん一筋だから。やぐっつぁんに会うのは、ついでだもん」
「ごっちん…、何気に失礼なこと、ゆうてないか…?」
まぁ、ごっちんにとっては、平家先生以外は『その他大勢』って感じなんかもしれんけど…。
143 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)02時24分05秒
「もう一つ、いーこと教えてあげる。やぐっつぁんね、日曜は講師やってるけど、平日は生徒として税理士の講義、受けに来てるんだって。もしかしたら、会えるかもしれないよ?」
「えっ、マジで!?」
ごっちんは、うんうんと頷いている。
これは、ええこと聞いたで。
「で、何曜日に来てんの?」
「そこまでは、知らない。聞いたことあるかもしれないけど、忘れちゃった」
勢い込んで聞いただけに、拍子抜けしたけど、それでも、ええ情報を入手したことには変わりない。
144 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)02時28分06秒
これは、ケーキ(+パフェ、おにぎり)の代金以上の、価値ある情報やで。
十分、元はとれたって話や。
それにしても、知らんかったな…。
矢口先生、平日にも学校におったんや。
私はいつも、学校に着いたらすぐ教室に入るから、矢口先生の存在に気付かんでも無理はないか…。
今度から、ちょっと校内をうろついてみよっかな?
「でも、午後の講義を受けてるから、夕方には帰っちゃうらしいけど…」
…って、意味ないやん!!
完全な入れ違いやんか!!
ケーキ(+パフェ、おにぎり)代、耳揃えて返してもらおか。
まだ払ってへんけど…。
145 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)02時50分22秒
「だったらさ、裕ちゃんも今度から日曜に来ればいいじゃん」
ごっちんが、さもいい考えだ、といわんばかりに手を打っている。
「うん、まぁな。その手もありやねんやけどな…」
もちろん、平日クラスから日曜クラスに変わることは可能や。
でもそうすれば、圭織や圭ちゃんに迷惑かかるかもしれんし…。
自分のクラスの生徒が減らんように、努力している2人のことを考えると、そうそう簡単にクラスを変えることはでけへん。
146 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)03時03分54秒
それに日曜日に来れば、矢口先生に会えることは会えるで。
でもそれは、ただほんまに会えるだけ…。
話しかけることなんか、出来そうにもないもんな、あの雰囲気じゃ…。
「どっちにしろ、自分から積極的にいかないと、何にも始まらないよ?まぁ、頑張ってよ。ごとーにはそれしか言えない」
「そやな…。ま、今日の今日やし、もうちょっと気持ちの整理つけて考えてみるわ…」
147 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)03時22分28秒
矢口先生に対する気持ちは本物やってことは、考えんでももうわかっとる。
元々私は、一目惚れタイプやし、今日矢口先生を一目見た時、ピンとくるものがあった。
今までの経験からしても、これは間違いない。

考えんなアカンのは、どうやって、お近づきになるかってことやな。
今度の月末、また日曜クラスに来ることになるやろう。
それまでに、何とか作戦を練らんと…。
148 名前:BK school 投稿日:2002年09月08日(日)03時32分27秒
「話、終わったの?」
ごっちんと私がしゃべってる間、なっちとりんねの2人は、ずっと自分らの世界に入っとったみたいや。
イチャイチャすんねんやったら、よそで2人だけでやってくれるか?
でもりんねのほっぺたに、ご飯つぶがついてんのを見て、怒る気も失せてしまう。
やっぱり天性のもん、持っとるで…。
「あっ、りんね。ご飯つぶ、ついてる」
かいがいしく、りんねの頬のご飯つぶを取って、自分の口に運ぶなっち。
「ありがと〜、なっち」
照れる、りんね。
あ〜、もう、見ちゃおれん…。
このバカップルめが…。
149 名前:OHA 投稿日:2002年09月08日(日)03時34分46秒
更新しました。
次からは、矢口さんサイドの話も交えながら、進めていく予定です。
申し訳ありませんが、来週の更新はできそうにありません。
検査入院なもんで…。
体調には本当に気を付けないといけませんね。
って、こんな時間まで起きている人間の言うセリフじゃないですが…(w

150 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月12日(木)18時37分54秒
作者さん、体調には気をつけてくださいませ。
最近資格学校に通ってるのですが、現実もこんな感じで楽しかったらいいのになぁ。
151 名前:150 投稿日:2002年09月12日(木)18時38分35秒
すみません、ageてしまいました・・・。ホントごめんなさい。
152 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月14日(土)15時55分55秒
はじめてよみましたぁ。
やぐちゅー、好きなんで楽しみにしてます。
153 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月15日(日)23時51分40秒
面白いですね〜。メインのやぐちゅーも気になりますが、
脇のマイナーカップリングもツボです!とくにみちごま。
154 名前:世紀 投稿日:2002年09月29日(日)14時42分15秒
はじめまして。
続き、楽しみにまってます。
155 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時18分59秒
中澤達がファミレスにいる頃…。
矢口達講師陣は、月末恒例の講師会議の真っ最中だった。
156 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時22分40秒
はぁ〜、早く終わんないかな…。
会議の最中、私はこっそりとため息をつく。
会議っつったって、別にたいしたことをするわけでもない。
平日クラスと日曜クラスの進度の調整、来月の講義のカリキュラムや生徒数の確認をするだけの話。
私やみっちゃんは、講義が終わった後、そのまま残れば済むんだけど、圭織や圭ちゃんはわざわざ、この会議のためだけに休日出勤だ。
ご愁傷様…。
157 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時25分25秒
私が講師を始めたのは、自分から望んだことではなかった。
校長や当時の担当講師に頼み込まれて、渋々引き受けたって感じかな。
でも実際に始めてみると『自分の勉強に支障が出る』って考えは杞憂だったことがわかった。
忘れかけていた基礎的な論点を再確認できるし、人に教えることによって自分の知識も深くなるからだ。
だから、最初はイヤイヤやっていたこの仕事も、今では結構好きになっている。
試験後、受け持ちの生徒が『先生のおかげで合格できました』と笑顔で報告に来てくれる時が、この仕事をやって良かったと思える最高の瞬間だ。
158 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時28分40秒
だけど、いいことばかりじゃない。
一つ、困っていることがあるんだ。
それは、講義が終わってから、数人の生徒がこぞって質問に来ること。
質問に来られること自体は、全然構わないんだけど…。
わからない所があれば、きちんとそれを消化させてあげることも、講師の大事な仕事だから。
でも、質問に来る生徒というのは、わからない所があるから質問に来る、って感じじゃなくって…。
なんていうのかな、下心?
そう、下心が見え見えなんだよね。
いやっ、別にうぬぼれているわけじゃないよ。
159 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時32分29秒
私、自分ではそういう勘は鋭い方だと思っているから。
ごっつぁんだって…、あっ、ごっつぁんってのは、私の受け持ちの生徒なんだけど…。
そのごっつぁんも『やぐっつぁん、人気あるねぇ。よりどりみどりじゃん』なんて、冷やかしてくるし。
私の勘は、間違っていないと思う。
もちろん、嫌われるよりは好かれる方がいいに決まっている。
だけど…。
ぶっちゃけた話、その生徒達の中には私の好みの人って、いないんだな、これが…。
悪いけど、私って理想高いんだからね。
でも、講師という立場上、嫌な顔は出来なくて…。
160 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時34分37秒
いかにも『私と話したいがために、無理矢理作ってきました』っていう、くだらない質問にも、笑顔で答えなくちゃいけなくて…。
結構、辛かったりする。
それにその生徒達は、何か独特の雰囲気をかもしだしていて、他の生徒達は怖がって近付いてこれない。
本当にわからない所があって、質問に来たい生徒は、かなり迷惑していると思う。
だから、私は講義で問題を解いてもらっている間、教室内を回って、そういう生徒の質問を受け付けることにしてるんだ。
でも、その時だって例の生徒達に、どうでもいい質問をされたりして…。
161 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時37分01秒
講義が終わった後なら、百歩譲って我慢するにしても、講義中まで勘弁して欲しい。
ちょっとは状況を考えろ!って叫びたくもなるよ。
もちろん、実際に叫んだりすることは、出来ないんだけど。
毅然とした態度で、『後にしてください』と答えるしかない。
こういう生徒をまともに相手していたら、何のために見回りしてんのか、わかんなくなっちゃうからね。
そんな状態だから、自然と『堅苦しく、真面目な講師』という態度を取らざるを得なくなってしまった。
つけ入る隙を与えないように、そうやってガードをしなくちゃいけなくなったんだ。
162 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時42分59秒
講義だって、本当は、冗談や雑談を交えつつ進めていきたいんだよ。
でも、なかなかそうもいかなくなってしまって…。
本当の自分の姿を、教室では出せなくなってしまって…。
まっ、みっちゃんみたいに、くだけすぎってのも、どうかと思うけど…。
雑談しすぎて、肝心の講義の時間が少なくなってしまったことも、多々あるみたいだし…。
それはともかくとして……。
教室ではそんな風に仮面をかぶった自分を演出しているから、講義室に戻ると途端に肩の力が抜けて、素の自分に戻ることができる。
163 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時48分17秒
よくみっちゃんから『やぐっちゃん、うるさいで!』って注意されてしまう、本当の自分にね。
さすがに、例の生徒達も講義室までは、押しかけてこない。
『質問は教室でのみ、受け付けます』
って、釘をさしたのが功を奏したんだろう。
そうでもしないと、講師室にまで来かねないから、あの連中は…。
だってさ、講師室でくらい素の自分でいさせてよ、って思うもん。
そうじゃなきゃ、疲れちゃうよ。
だから、生徒の中では私の本当の姿を知る人はいないはず。

164 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時51分32秒
あっ、一人例外がいるか…。
お昼休みになると、必ず講師室に現れるごっつぁんが。
でもまぁ、あの子はみっちゃんにベッタリで、私のことなんかあまり気にしていないから、ごっつぁんに対してまで仮面をかぶる必要はない。
それに、ごっつぁんは例の生徒達とは交流がないみたいだし、私が例の生徒達を迷惑がっていること、うすうす気が付いていると思うんだ。
だから、ごっつぁんの口から私のことがあの連中に漏れる危険はないと考えていい。
ごっつぁんは、そんなことするような子じゃないと信じているから。
165 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時54分38秒
それにしても、みっちゃん、ちょっとうらやましいぞ。
ごっつぁんみたいなかわいくていい子に、気に入られてさ。
みっちゃんの方も、
『もう、ごっちん!講義中に寝んのは、いい加減やめや〜!』
とかなんとか、文句を言いつつも、嬉しそうに勉強を教えたりしている。
ごっつぁん手作りのお弁当も、2人で楽しそうに食べちゃったりしてさ。
ったく、独り身の私にとって、目の毒だったりするんだからね!
あ〜あ、私だって恋の一つもしてみたいよ。
166 名前:BK school 投稿日:2002年10月02日(水)02時56分57秒
『仕事と勉強が第一で恋愛なんて二の次』ってイメージがついてしまったけど。
私だってね、19歳の女の子だよ。
好きな人ができれば、普通に恋愛をしてみたい、って願望はちゃんとあるんだよ。

……………
ん…?好きな人…??

……………

何故だか自分でもよくわかんないけど、その時、ある人の顔が頭に思い浮かんだ。


167 名前:OHA 投稿日:2002年10月02日(水)03時00分02秒
掟破りのウイークデー更新(w
体調がすぐれず、更新が遅れてしまって申し訳ありませんでした。


>>150 名無しさん

作者の体調、心配してくださってありがとうございます。
もう入院は嫌なので、気を付けますね。
通ってらっしゃる資格学校は楽しくないですか?
作者の学校は、きっと楽しいはず。
なんてったって、平家さんそのまんまのキャラ(何を隠そう作者自身)が存在していますから…(w
あっそれと、ageは気になさらないでくださいね。
168 名前:OHA 投稿日:2002年10月02日(水)03時02分22秒
>>152 名無し読者さん

はじめまして(ですよね?)
これから、じわじわとやぐちゅーの方向に進んでいく予定ですので、今後ともごひいきにお願いします。


>>153 名無し読者さん

面白いと言ってもらえて、嬉しいです。
メインはやぐちゅーなんですが、時折こそっとマイナーカップリング達にもイチャイチャしてもらいます(w
作者は平家さんのモデルですが、ごっちんのように慕ってくれるかわいい生徒さんは、残念ながらおりません…(w


>>154 世紀さん

はじめまして。
続き、お待たせしてすみませんでした。
169 名前:BK school 投稿日:2002年10月07日(月)19時58分05秒
今日の講義を受けに来ていた、不思議な女性…。
教室に入った途端、すぐにその人が目についた。
だって、鮮やかな金髪だったんだから、それもしょうがないよね。
初めて見る顔だったから、普段はきっと平日クラスに出席しているんだろう。
私が講義を始めると、その人は隣のごっつぁんとヒソヒソと話し始めていた。
いつもなら、生徒の私語はそんなに気にならないんだけど、その時は妙に気になって仕方がなかった。
なんでなんだろう?
なんか、私のことをチラチラ見ていた気がするし。
これって、もしかして自惚れ?
170 名前:BK school 投稿日:2002年10月07日(月)20時00分29秒
勘が鋭いと自負している私も、こればっかりはわからなかった。

講義の後半、いつものように生徒が問題を解いている間、教室内を見回って、その金髪の女性の横を通り過ぎようとした時…。
テキストとノートを前に、ボーッとしているのに気が付いた。
ノートを覗いてみると、問題は全く解かれていない。
どうしたんだろう?
そう思った私は、
『何かわからない所、ありますか?』
声を掛けてみた。
すると、その女性はびっくりしたように、私の顔を見上げてきた。
171 名前:BK school 投稿日:2002年10月07日(月)20時03分19秒
教壇からではわからなかったけど、こうやって間近で見ると、カラコンでもしているのだろうか、ブルーがかった瞳をしていた。
『あっ、い、いえっ…』
何故か動揺したように、そう答えた彼女。
『でも、全然進んでないようですけど…』
私の講義、わかりにくかったのかな。
普段、圭ちゃんの講義を受けているはずだから、やり方とかも違うだろうし…。
真っ白なままのノートを見て、不安になってくる。
『ちょっと考え事をしていたものですから。すみません…』

172 名前:BK school 投稿日:2002年10月07日(月)20時05分51秒
申し訳なさそうに謝ってくる彼女の瞳に、なんだか吸い込まれてしまいそうな気分になった。
なんて、キレイな瞳なんだろう。
思わず立場を忘れて、見とれそうになってしまう自分がいた。
『そうですか。わからない所があれば、何でも聞いてくださいね』
それでも何とか、講師らしい一言を残してその場を離れた。
それにしても、何だか不思議な女性だったな。
彼女の隣でごっつぁんが、おかしそうにクスクス笑っていたのも、何気に気になったし…。
173 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月07日(月)22時33分12秒
どんどんやぐちゅーになってきましたね。期待してます。

少し遅れましたが、おかえりなさい。お体には気をつけて下さいね。
174 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月08日(火)12時16分25秒
今更ですがやぐちゅー発見!!
矢口が講師、裕ちゃんが生徒ってのは面白い設定ですね。
この先の展開も期待してます。
175 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)00時32分44秒
でも、なんでなんだろう?
あの時、女性の元から離れていく時、妙なドキドキ感が胸の奥の方からわき出てきたのは?
二言三言しか言葉を交わさなかったのに、すごく印象に残ってしまった。
派手な金髪、キレイなブルーの瞳。
そんな外見とは対照的に、落ち着いた感じの低い声。
でも、なぜかソワソワと落ち着かない態度。
思い出せば思い出すほど、不思議な女性だ。
それにも増して不思議なのは、さっきから私の頭の中でぐるぐると回っている一つの思い…。
176 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)00時34分28秒
(あの人には、教室での仮面をかぶった自分の姿ではなく、本当の自分の姿をさらけ出してもいいんじゃないか?)
何故、そんなことを思ってしまうのかは、自分でもよくわかんない。
よくわかんないのに、そう思っている自分がいることは確かで…。
今日初めて会った人に対して、そういう感情を抱くのってやっぱり変だよね。
(あの人には、本当の自分の姿を見て欲しい)
だけど、その思いは着実に大きくなっていくわけで…。
一体、何なんだろう、この気持ちは…?
もちろん、生徒に対してこんな感情を持ったのは初めてのことだ。
177 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)00時36分37秒
「矢口!どうしたの?もう、会議終わったわよ」
会議そっちのけで、今日の講義で会った女性のことを思い出していた私は、圭ちゃんに声を掛けられて、ようやく我に返った。
「あっ、終わったんだ…」
会議の内容、全然聞いてなかったや。
まっ、どうせたいしたことやってないんだし、いっか。
来月のカリキュラムは、配られたプリントで確認すればすむことだもんね。
「珍しいわね、矢口が会議中にボーッとするなんて。圭織は2人もいらないよ」
おいおい、圭ちゃん、それ失礼だよ。
178 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)00時38分49秒
でも今もなお、窓の外に向かってボーッとしている圭織を見て、
あれと一緒だったのか…、ちょっとショック…。
と思ってしまう私も、やっぱり失礼で…。
「ちょっと考え事しててね。でも、もう矢口は復活したから大丈夫」
圭織の方をちらりと見ながら、圭ちゃんに答える。
そう、しゃべる時の一人称も教室では『私』だけど、普段は『矢口』になるんだ。
うわっ、これも圭織と一緒じゃん、ちょっとショック…。
って、失礼に追い打ちをかけてるな。
許してね、圭織…。決して悪気ないからさ…。
179 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)00時41分07秒
「考え事って何よ?どうせ矢口のことだから、今日の夕飯何だろう、とかでしょ?」
なんで、そうなるわけ、圭ちゃん?
私はそんなに食いしん坊じゃありませんよ〜だ!
「そんなんじゃないよ!今日の講義でね、ちょっと不思議な人がいたから、それを思い出してただけだよ!」
ムキになって、つい本当のことを言ってしまった。
まっ、隠すほどのことでもないか…。
「ふ〜ん、どんな人だったの?」
私の言葉に興味をそそられたのか、圭ちゃんが私の隣の椅子に腰掛け、そう尋ねてきた。
180 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)00時42分46秒
圭ちゃんは、あの人のこと知っているかな?
生徒の数はかなり多いし、講義が始まってまだ1ヶ月だ。
生徒全員の顔と名前を、きっちり把握しきれていない時期だからな…。
でも、話したことまではなくても、あの目立つ外見だから、顔ぐらいは覚えているだろう。
よしっ、ちょっと聞いてみるか…。
181 名前:OHA 投稿日:2002年10月09日(水)00時45分55秒
少しですが、更新しました。
なんか、前作までの不定期更新に戻りそうな予感…。


>>173 名無し読者さん

はい。ゆっくりと、それでいて確実にやぐちゅーへと向かっています。
相変わらずダラダラと書きすぎ、という説もありますが…(w

それと、ただいまです。
やっぱりシャバの空気はうまいですな(w
検査入院は無事通過できましたが、本格的な(?)入院にならないよう、気を付けますね。
182 名前:OHA 投稿日:2002年10月09日(水)00時47分46秒
>>174 読んでる人@ヤグヲタさん

発見してくださって、ありがとうございます。
矢口さんが講師、裕ちゃんが生徒という設定は、ちょっと抵抗あるかな?と思っていたんですが、思いの外、受け入れてくれる方がいらっしゃるようなので、ホッとしています。
作者自身も受講生時代は、かなり年下の講師が担当だったので、その経験を元に違和感なく書ければいいな、と思っています。

183 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時15分35秒
「圭ちゃんのクラスに、金髪、カラコンの女の人が来てると思うんだけど、知らないかな?」
「あぁ、裕ちゃんのことね!」
ゆ、裕ちゃん!?
私の問い掛けに、即座に答えた圭ちゃんにも驚いたけど、もっと驚いたのは、あの女性をちゃん付けで呼んだこと。
「圭ちゃん、あの人のこと、そういう風に呼んでるんだ?」
「うん、まぁね。そう呼べって言われたから。私も圭ちゃんって呼ばれてるし」
なんだなんだ?
顔ぐらいは覚えている、どころか、話までしてんじゃん…。
しかもお互い、ちゃん付けで呼び合うなんて。
184 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時17分57秒
私なんて、生徒からは『矢口先生』としか、呼ばれたことないのに…。
まぁ、そう仕向けてしまったのは、他ならぬ自分自身なんだけど…。
あっこれも、例外がいるか。
私のこと『やぐっつぁん』と呼ぶ生徒が約一名。
誰のことかは、言わなくてもわかるよね…。
「じゃあ、その裕ちゃんさんとは、よく話するんだ?」
裕ちゃんさん、って自分で言ってておかしくなったけど、さすがに私はちゃん付けでは呼べないから仕方がない。
「何よ、その裕ちゃんさんってのは?」
予想通り、圭ちゃんからの指摘が入る。
185 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時19分45秒
「だったら、名前教えてよ。名字で呼ぶからさ」
話の流れでとはいえ、あの人の名前を知るチャンスが到来した。
いや、名前以外にも圭ちゃんから、あの人のこといろいろ聞けるかもしれない。
何か、仲良さそうだし。
やっぱり持つべきものは、良き同僚だな。
って私、何を期待してんだ…?
そう自分でツッコミを入れつつも、言い知れぬ期待感から胸がワクワクしてくるのも事実で…。
ホント、何なんだろうか、この気持ちは…?
186 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時21分27秒
「中澤さんよ、中澤裕子さん」
自分の気持ちに戸惑っている最中、圭ちゃんがボソッと彼女の名を告げた。
「中澤さん、か…」
うん、裕ちゃんさんより、こっちの方が呼びやすいや。
「それより、さっき不思議な人って言ってたけど、裕ちゃんのどこが不思議なの?」
そう聞いてくる圭ちゃんも、不思議そうな顔をしている。
「えっ、どこがって…。何となく、雰囲気とかがさ…。講義中、ちょっと話したんだけど、何か不思議なオーラが出てたっていうか…」
187 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時23分35秒
私が抱いている不思議な気持ちのことは、ここでは触れない方が賢明だろう。
私自身も、よくわかっていないんだし…。
「そうかなぁ?そりゃあ、外見は派手だけど、話をすると普通の人だよ」
圭ちゃんは首をひねっている。
「中澤さんとは、よく話するんだ?」
さっき、立ち消えになってしまった質問に戻る。
「そうね。今の生徒の中では、『話をするランキングベスト3』に入るかな」
何だよ、その『話をするランキングベスト3』って…。
188 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時26分18秒
一体、あとの2人は誰なんだ?
って、ツッコミどころが違うか…。
聞いたところでわかんないだろうし…。
「ってことは、よく質問に来るんだ?」
生徒と講師が会話をする機会なんて、だいたい講義後の個別質問の時に限られてくる。
だから、きっと中澤さんも、圭ちゃんに質問をしに行っているんだろう。
「ううん、裕ちゃんはめったに質問してこないね。仕事でも経理をやってるらしいから、講義だけでほとんど理解してくれるよ。優秀な生徒さんだわ、本当に」
でも、圭ちゃんの答えは、私の予想とは正反対のものだった。
189 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時28分25秒
「だったら、いつ話をするのさ?」
私のこの疑問は、至極当然のもので…。
「講義が終わった後、一緒にご飯食べに行ってるから、その時にね」
えっ、一緒にご飯!?
そんなに仲良かったんだ!?
なんで!?なんで!?
私の頭の中では、ビックリマークとハテナマークが飛び交っている。
「ねぇ、どっちがご飯に行こうって誘ったの?」
そんなこと、わざわざ聞かなくても、答えはだいたいわかるけどね。
190 名前:BK school 投稿日:2002年10月09日(水)21時31分21秒
だって圭ちゃんが、自分から生徒を食事に誘うなんて、あんまり考えられないし。
今までもそんな話は、聞いたことないし。
とすると、答えは一つ。
中澤さんが圭ちゃんを誘ったってことになるよね。
中澤さんが圭ちゃんを…。
もしかして、中澤さん、圭ちゃんのこと……。
……………
なんで、こんなにショックを受けているんだろう、私…。
191 名前:OHA 投稿日:2002年10月09日(水)21時33分29秒
更新しました。

ここで作品を上げさせて頂くようになって、一年が経過しました。
いや〜、早いですね。
途中、『突然の入院騒動で2か月半の放置事件』や『休筆宣言』など、いろいろありましたが…(w
でも、熱しやすく冷めやすい性格の作者が、ここまで続けてこれたのは、読んでくださっているみなさんのおかげです。
本当に、ありがとうございます。
二年目も、気持ちを新たに頑張ります!
192 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月10日(木)12時04分14秒
更新お疲れです。
これからも楽しみに待ってますのでがんがってください。
193 名前:名無し読者。 投稿日:2002年10月19日(土)03時03分41秒
冷めないで書いて下さい(w
矢口先生に、生徒の中澤さん・・・めったに読むことないので
逆の設定は結構読むことあるのですが(w
いいっす。
194 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月22日(火)00時47分16秒
そろそろご更新を〜
195 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)17時58分20秒
「どっちでもないわよ。第一、裕ちゃんと2人で行ってるわけじゃないし。あと2人、高校生の女の子も一緒で、そのうちの1人が誘ってきたのよ」
な〜んだ。
中澤さんと2人っきりじゃなかったんだ…。
誘ったのも中澤さんじゃなかったんだ…。
またもや、予想外の圭ちゃんのその言葉で、ショックから立ち直り、なぜかホッとしている自分がいた。
「そうだったんだ…。じゃあ、さっき言ってた『話をするランキングベスト3』ってのは、その3人のことなんだ?」
「ま、そういうことね」
196 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)18時01分31秒
「そうか…。中澤さんって、その高校生の女の子達とも仲がいいんだ?」
そりゃ、一緒に食事に行くくらいだもんね。
あの外見だけ見ると、何か他人を寄せ付けないっていうか、そういう感じがするんだけど…。
でも、若い子達とも気さくに話をするような人だったんだ。
今日だって、ごっつぁんとも話していたし。
そう言えば、今日の講義が終わった後、例の受講生達に囲まれていた時も、安倍さんや戸田さんとしゃべっていたの、チラッと見えたな。
197 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)18時03分52秒
そんなことを考えていると、圭ちゃんがニヤニヤしながら私の顔を見ているのに、気が付いた。
「な、なによ、圭ちゃん?ニヤニヤして気持ち悪いよ、オェッ…」
口を押さえながら、吐く真似。
「ちょっとアンタ!失礼ねっ!」
ニヤニヤ笑いから一変、すごい形相で圭ちゃんが睨んでくる。
そんなに怒らなくたって、いいじゃんか…。
でも人間、本当のことを言われると、すごく怒るって………
いえいえ、何でもありません!
「ごめんごめん。でもどうしたのさ?矢口の顔に何か付いてる?」
軽く頬に手を当て、圭ちゃんに聞く。
198 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)18時07分55秒
「いや、そうじゃなくって…。矢口が生徒に対して興味を持つのって、珍しいなと思ってね」
「えっ、興味?」
「そうでしょ?裕ちゃんのこと、いろいろ聞きたいって顔してるわよ。さては、裕ちゃんに一目惚れってやつかい?ほれほれ、おねえさんに白状しなさいよ!」
おねえさんじゃなくって、おば………
いえいえ、何でもありません!
それより何よ!?
一目惚れって…。
「そ、そんなんじゃないよ!」
そう答えつつも、もしかしたらそうなのかも?と心のどこかで考え始めていた。
199 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)18時12分03秒
それだったら、私が抱いている不思議な感情が何だったかの、説明がつくわけで。
そういや、さっきの会議中だって、『好きな人』っていうフレーズから、中澤さんの顔が頭の中に思い浮かんだわけだし…。
「だったら、何なの?矢口はさ、生徒とは距離を置いて接してるってとこ、あるじゃない?それなのに、裕ちゃんに関しては、やたらと食い付きすぎだよ。おかしいわよ、絶対…」
圭ちゃんの言うとおりだ…。
生徒のこと、ここまで知りたいと思ったの、初めてだもん。
やっぱり、これって一目惚れになるのかな?
200 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)18時15分27秒
「一目惚れっていうか、何となく気になるかな?って程度だよ…」
それでも、何か認めるのが怖くて、そんな言葉を口にしてしまう。
「ふ〜ん、矢口も素直じゃないわね。せっかく裕ちゃんのこと、いろいろ教えてあげようと思ってたのになぁ〜。素直じゃない子には、教えられませ〜ん!」
うわっ、それは困る!!
ここまできて、それはないよぉ〜、圭ちゃん!
「嘘、嘘っ!おっしゃるとおり、一目惚れに間違いございませんっ!!」
201 名前:BK school 投稿日:2002年10月30日(水)18時18分09秒
圭ちゃんの口車に乗せられて、とんでもないことを口走ってしまったような気がしたけど…。
でも、認めてしまえば、結構気が楽になるもんだ、ってことがわかった。
さっきまでの、うやむやした気持ちが、不思議と今はもうなくなっている。
「よしよし、いい子だね、矢口は」
圭ちゃんが、またニヤニヤ笑いをしながら、私の頭をナデナデしてくる。
完全に子供扱いだな、こりゃ…。
まっ、いっか…。相手はおばちゃんだしね…。
202 名前:OHA 投稿日:2002年10月30日(水)18時21分45秒
更新、遅くなって申し訳ありませんでした。
下書き用に使っていたワープロ(10年前に、当時の退職金で購入した愛着の品)が、ついに潰れてしまい、ストックの原稿が全てダメになりました(涙)。
改めて手書きで原稿を書き直しているので、かなり更新スピードが遅くなると思いますが、お許しください。
203 名前:OHA 投稿日:2002年10月30日(水)18時23分58秒
>>192 名無し読者さん

ありがとうございます。
これからも、手を真っ黒にしながら頑張ります!(w


>>193 名無し読者。さん

決して冷めているわけではありませんので、ご安心ください(w
逆の設定は、他の素晴らしい作者さん達がお書きになっていますので、自分は到底太刀打ちできません…。


>>194 名無し読者さん

スローペース、申し訳ないです。
例え、腱鞘炎になろうとも、頑張って書きます!(w

204 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月30日(水)21時03分32秒
待ってました
やぐちゅー始まった感じですね。
205 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時27分55秒
よしっ、こうなったら認めてしまった開き直りだ。
中澤さんのこと、洗いざらい聞いてやる!
「ねぇ、中澤さんっていくつなの?」
「ん?確か、29とかって言ってたわね」
圭ちゃんが、ようやく私の頭から手を引っ込め、答えてくれる。
29かぁ〜。私より、10も年上なんだ。
とてもそんな風には見えなかったけど。
童顔なんだね、中澤さんって…。
「さっき、仕事でも経理をやってるらしいって言ってたけど、なんか事務職ってイメージじゃないよね?」
206 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時32分16秒
人を外見で判断しちゃいけない、ってことはわかってはいるんだけど、金髪、カラコンの中澤さんが、コツコツと帳簿をつけている姿は、ちょっと想像しにくい。
「まぁね。でも、要は中身だよ。裕ちゃんはああ見えても、結構真面目だし。そうじゃなきゃ、学校に来て勉強しようとは思わないでしょ?」
『ああ見えても』って…。
圭ちゃんだって、実は思ってんじゃんか…。
「上司の人に怒られたりしないのかな?」
「上司ったって、伯父さんの税理士事務所に勤めてるらしいからね。理解のある人だから、問題ないそうよ」
207 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時35分28秒
そうなんだ…。
伯父さんの税理士事務所で働いているんだ。
私も今、税理士試験受講生の身だから、きっと将来的には、同じ業界で働くことになるんだろうな。
うん、これは、うれしいかも…。
「でもさ、なんで簿記を習いに来ようと思ったんだろう?」
29って言ったら、そこそこ仕事にも慣れているはずだし、別に今更勉強する必要なんて、なさそうなのに。
実際、圭ちゃんだって『優秀な生徒さん』と言ってたくらいだから、簿記の知識はしっかり持っているんだろうし。
208 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時39分01秒
「なんでも、裕ちゃんがその伯父さんの事務所を継ぐことになるみたいよ。だから、税理士試験のための基礎固めなんじゃないかな」
そうか…。やっぱり、土台って大事だもんね。
「じゃあ、ゆくゆくは税理士試験に挑戦するんだ?」
「うん、そう言ってた。私もいろいろ試験のこと聞かれたりするしね」
「次期所長さんってわけか。何かかっこいいねぇ…」
「本人は『まぁ、資格が取れたらの話やけどな…。こればっかりはわからんわ…』って、苦笑いしながら言ってたけど」

209 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時41分49秒
ふ〜ん、中澤さんって、意外と謙遜家なんだね。
意外って言っちゃ、失礼か…。
ん?ちょっと待てよ…。
今の圭ちゃんの言葉、何かおかしくなかったか?
「ちょっと、圭ちゃん。今の何?」
「何って…?私、別に変なこと言ってないわよ?」
「中澤さんのセリフ、もう一回言ってみてくれないかなぁ」
「『まぁ、資格が取れたらの話やけどな…。こればっかりはわからんわ…』だけど…。それがどうかしたの?」
210 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時45分05秒
「え〜!?中澤さんって、関西弁なの?」
「そうよ。知らなかったの?」
圭ちゃん、そんな、いともあっさりと言わないでよ…。
「知らなかったよぉ〜!」
「講義中、裕ちゃんと話したんでしょ?その時、関西弁じゃなかったの?」
圭ちゃんに聞かれて、今日の中澤さんとの会話を思い出してみる。
どう考えても、あれは標準語だったよね…。
「いや…。関西弁じゃなかったよ…」
「おかしいわね。私は、裕ちゃんの標準語って、聞いたことないんだけどなぁ」
圭ちゃんが首を傾げながら、そう言った時…。

211 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時47分51秒
「うわぁ〜〜!!間違えて、紫のペンでテストの添削してしもたぁ〜!誰か、修正液と赤ペン、貸してくれへん〜?」
けたたましい叫び声が、聞こえてきた…。
もちろん、声の主は、この学校唯一の関西弁講師。
「…………」
「…………」
圭ちゃんと私は、顔を見合わせ、無言になってしまった。
でも、考えていることは、きっと2人とも一緒のはず。
(またか、みっちゃん……)
212 名前:BK school 投稿日:2002年11月05日(火)23時51分09秒
「もう、しょうがないんだから〜!はいっ、これ使いなよ!」
いつの間にか宇宙から戻ってきた圭織が、その関西弁講師に、修正液と赤ペンを差し出している。
「ごめんやでぇ〜、いつも悪いなぁ、圭織!」
照れ笑いを浮かべながら、それを受け取るドジ講師。
(中澤さんって、あの人と共通の言語を使うんだ…)
ちょっと複雑な気持ちになってしまったことは、私の心の中だけにしまっておこう…。
213 名前:OHA 投稿日:2002年11月05日(火)23時53分56秒
ちょびっと更新です。

先日のハロプロ大運動会に行き、裕ちゃん卒業コン以来の生裕ちゃんを堪能してきました(w
スペシャルライブでは、裕ちゃんの後に平家さんが登場し、ハロプロ卒業の挨拶をしていました。
自分の出番が終わってもすぐには帰らず、立ち止まって大スクリーンに映る平家さんの姿を、ずっと見つめていた裕ちゃん…。
それを見て、かなりジーンときてしまった作者でした。

214 名前:OHA 投稿日:2002年11月05日(火)23時55分15秒
>>204 名無し読者さん

はい、矢口さんが裕ちゃんへの気持ちを認めてくれて、ようやく動き出したって感じです(w
しかし、やぐちゅーの2人が次に顔を合わすシーン、一体いつになったら書けるのでしょうか…?(w
215 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年11月06日(水)14時05分52秒
やぐちゅーが再び会うのは、まだまだ先?
216 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月12日(火)22時22分45秒
そろそろ先が読みたいなー
なんてお願いしてみたりして・・・
お願いします。
217 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)00時49分48秒
「もう〜、相変わらずドジだよね、みっちゃんは〜!」
ヤレヤレといった感じで、圭織が私達の所にやってきた。
「で、さっきから2人で何の話してたの?圭織も仲間に入れてよ!」
さっきから、って…。
ずっと見られてたんだ。
今日は宇宙からの帰り、早かったんだね。
そういや、圭織だって、中澤さんの担当講師なんだし、何か知っているかもしれないな。
こうなったら、情報は多いに越したことはない。
圭織にも聞いてみるか。

218 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)00時52分18秒
「圭織のクラスに、金髪、カラコンの女の人が来てると思うんだけど、知らないかな?」
圭ちゃんにしたのと、同じ質問をしてみる。
「あぁ、裕ちゃんのことね!」
圭織の答えも、圭ちゃんと全く同じものだった。
しかし、圭織までちゃん付けとは…。
「なんだ。圭織も裕ちゃんと仲良かったんだ?もしかして、ご飯も一緒に食べに行ってるとか?」
圭ちゃんが、圭織に尋ねている。
「うん、行ってるよ」
当然だ、と言わんばかりの口調で圭織が答えた。
219 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)00時54分38秒
え〜!?圭織もなの〜!?
今度こそ、誘ったのは中澤さん?
「どうせ、吉澤に誘われたんでしょ?」
「うん。でも、よくわかったね」
圭ちゃんと圭織のやりとりを聞いて、中澤さんが誘ったんじゃないことがわかり、ホッとする。
吉澤さんってのは、きっと2人の高校生のうちの1人なんだろう。
「わかるわよ、それくらい。吉澤は圭織のファンだって、石川が言ってたもん」
「そういう圭ちゃんだって、石川から熱烈なアプローチを受けてるらしいじゃない?」
220 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)00時56分59秒
えっ?そうだったんだ…。
石川さんってのは、圭ちゃんをご飯に誘った、もう1人の高校生のことだろう。
圭ちゃんも、なかなか隅に置けないじゃんか。
それに、圭織だって…。
「そ、そんなことないわよ!べ、別に石川は、私のことなんか何とも思ってないわよ…」
「またまたぁ〜!無理しちゃって〜!もっと素直に喜びなよ。圭ちゃんだって、石川のことかわいいと思ってるんでしょ?」
「そ、そういう圭織はどうなのよ!吉澤とは?」
「もう、かわいくてかわいくてしょうがないよぉ〜!」
221 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)00時58分57秒
私の知らない子達の話題で盛り上がっている2人。
何か取り残された気分だ。
それにも増して、取り残された気分なのは、みんなそれぞれ、いい相手がいるみたいなのに、私だけそういう相手がいないってこと…。
あのみっちゃんでさえ、いるっていうのに。
って、みっちゃん、ゴメン…。
私だって、中澤さんと…。
でもあくまでも、私の一方通行だもんな…。
世の中、不公平すぎるよ!
222 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時02分13秒
「でも、どうして矢口は裕ちゃんのこと聞いてきたの?」
高校生達の話が終わったのか、圭織が私に問いかけてくる。
その問いに、私が答える前に、圭ちゃんが口を開いた。
「矢口ね、裕ちゃんに一目惚れしたらしいよ」
ご丁寧に、ニヤニヤ笑いを復活させながら…。
「ちょ、ちょっと!圭ちゃん!」
そりゃ、圭織から追及されるのは目に見えていたけど、そんなに簡単にバラさないで欲しい。
「いいじゃないの、別に。どうせすぐわかることなんだし。それとも、隠し通せるとでも思ってたの?」
「いや…、そうは思ってないけど…」
223 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時05分13秒
「だったら、無駄な抵抗はしない!この際、おねえさま達を味方に付けといた方が、得だと思うよ?」
はたして、得なのか損なのか…。
微妙である…。
「そうなんだ…。矢口が裕ちゃんに、ねぇ…。ちょっと意外かも」
圭織が、私の顔をマジマジと見つめてくる。
なんだよ、照れ臭いじゃんか…。
「そうかな?矢口って、なんか年上好きそうだもん。ちっとも、意外じゃないわよ。でも、年上が好きだったら、なんで私のこと好きにならなかったのかしらね?」
圭ちゃん…。
どう間違っても、そんなことはあり得ませんので、ご安心を…。
224 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時07分58秒
「いや、圭織が意外って言ったのは、矢口が生徒を好きになったってことだよ」
「あぁ、それなら納得できるわね。私もびっくりしたもん」
圭ちゃんまで、私の顔をマジマジと見つめてくる。
2人の間に挟まれて、私は身の置きどころに困ってしまう。
やっぱりどう考えても、これは得じゃなくて損だよね…。
「でも、いいんじゃないの?裕ちゃんは、今フリーみたいだし。当たって砕けろだよ!」
砕けるのは、ちょっと悲しいんだけど…。
それより今、圭織、中澤さんフリーだって言ったよね?
225 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時10分27秒
「中澤さんって、恋人いないんだ?」
これはいいこと聞いたぞ。
「うん、そう言ってた。もう何年もいないって」
う〜ん、意外だけど私にとってはうれしい事実だ。
中澤さん、あんなにキレイなのに、何年も恋人がいないなんて…。
世の中の人って、見る目ないよね。
あっ、もしかしたら、すごく理想が高いから恋人ができないとか…。
もしそうだったら、困りもんだなぁ…。
自分のことは、棚に上げている私である。
226 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時12分46秒
「そっか…。裕ちゃんって、恋人いなかったんだ。知らなかったよ」
圭ちゃんが、驚いたように呟いた。
「知らなかったの、圭ちゃん?」
圭織も驚いたように、圭ちゃんに聞いている。
「うん、あんまりそういう話はしないからね。っていうか、4人でいても、石川が1人でしゃべってる、って感じだからさ」
「あ、それ、わかる!!石川って圭織といる時は、結構おとなしいんだけど、圭ちゃんには暴走しそうだもんね!」
圭織がおかしそうに笑った。
227 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時16分40秒
私は会ったことはないけど、石川さんのキャラクターが何となくわかった気がした。
圭ちゃんには、そういう押しの強い子が、似合っているかもね。
私も、何だかおかしくなって笑ってしまう。
「ちょっと、2人とも!何、笑ってんのよ!」
圭ちゃんが怒っているけど、聞く耳持ちませんよ〜だ!

それにしても、圭織にも話を聞いて良かったよ。
だって、圭ちゃんだけだったら、中澤さんに恋人がいないという情報は、ゲットできなかったはずだからね。
『得じゃなくて損』発言は、撤回だな。
とりあえずは、圭織、感謝…。
228 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時18分37秒
「そう言えばさ、矢口が裕ちゃんに会ったってことは、今日の講義に裕ちゃん、来てたんだ?」
笑いがおさまった圭織は、一転、真剣な顔で私に聞いてくる。
「うん、そうだけど…」
私も笑いを引っ込め、答える。
「今週、平日に来なかったから、どうしたんだろうと思ってたんだ」
ちょっと、不安そうな顔になる圭織。
でも、そんなこと私に言われたってわかんないよ…。
229 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時20分27秒
「あ、それなら、仕事が忙しくて平日には来れなかったらしいよ。石川が裕ちゃんからのメール、見せてくれた。来週からはまた、平日に来るって」
圭ちゃんが、私の代わりに答えてくれる。
「そっか、良かった。圭織の講義がイヤになって、逃げられちゃったのかと思ったよ」
明らかにホッとする圭織とは対照的に、私の顔が曇っていく。

そうなんだよな…。
中澤さんは、本来『平日クラス』の生徒なんだもんね。
来週から、圭織や圭ちゃんのクラスに戻るのは当然のこと。

230 名前:BK school 投稿日:2002年11月14日(木)01時22分09秒
でもまたいつか、会える時がくるんだろうか?
それとも、もう会えないんだろうか?
全く先の見えない未来。
せっかく好きな人が出来たっていうのに…。
せっかく芽生えたこの気持ち、このまま終わらせたくなんかない…。
何とかしなくちゃ…。
でも、何をどうしていいのかわかんない…。
圭ちゃんと圭織の話し声を、上の空で聞きながら、私は思い悩んでいた。
231 名前:OHA 投稿日:2002年11月14日(木)01時23分38秒
更新しました。
ようやく、講師室でのシーン、終わりました。
次はまた、裕ちゃんサイドに戻る予定です。
それにしても、ペンダコなんて、久しぶりにこしらえた(w
232 名前:OHA 投稿日:2002年11月14日(木)01時24分43秒
>>215 読んでる人@ヤグヲタさん

やぐちゅーの再会は……。
少なくとも、今作者の手元にある下書き原稿では、まだ再会しておりません(遅っ

気長にお待ち頂けると、幸いです。


>>216 名無しさん

先、というのは「続き」ってことでしょうか?
それとも「先の展開」ってことでしょうか?
どちらにしても、遅筆で大変申し訳ありません。
精一杯努力中ですので、気長にお待ち頂ければと…(こればっかり…汗

233 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年11月14日(木)14時40分19秒
なるほど、やぐちゅーの再会は当分先の話になりそうですね(w
二人の再会をマータリと待ちつつ、
裕ちゃんや矢口の心境や、他のCPの進展具合を楽しみたいと思います。
234 名前:つかさ 投稿日:2002年11月15日(金)01時02分57秒
なんか、しっとりまったりっつ〜感じっすね〜。
ってか、暴走姐さん、暴走矢口さんになるのかな?(w
すげ〜楽しみにしてます♪
235 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)00時54分30秒
翌週の火曜日、いつものファミレス。
吉澤、石川、それに圭織も交えて、講義後恒例の夕食タイムである。
「飯田さんっ!このハンバーグ、すごくおいしいですよ!半分、食べますか?」
「あっ、飯田さん、もうお水ないですね?おかわり、もらいましょうか?」
吉澤は、圭織に大奉仕中や。
圭織の方も、そんな吉澤の姿を見て、かわいくてしょうがない、と言わんばかりに、目を細めている。
石川はと言えば、火曜日は至っておとなしく、黙々と食事をとっている。

236 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時00分59秒
そんな相変わらずの光景の中、やっぱり、私の居場所はここなんかなぁ?
なんとなく、そう思ってしまう。
もちろん、ごっちん、なっち、りんねの3人といる時も、すごい楽しかったで。
でもな、いつものこのメンバーは、やっぱり落ち着くわ。
まぁ日曜日は、矢口先生のことを聞くのに必死で、落ち着く暇もなかった、っちゅうのがホンマのとこなんやろうけど…。
237 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時04分54秒
それにしても、矢口先生、今頃何してんのかな?
二晩明けても、矢口先生への想いは全く消えることはなくて…。
消えるどころか、会えない分だけ、余計にその想いは大きくなっていくわけで…。
今日の講義前、もしかしたら、矢口先生おるかもしれん、と校内をウロウロしてみたんやけど。
世の中、そないに甘くはないわな…。
今度、ごっちんに頼んで、矢口先生が何曜日に来てんのか、平家先生から聞いといてもらお…。
まっ、矢口先生のことは、一旦棚上げにしといて、今日のところは吉澤の暴走ぶりを楽しむことにしよか。
238 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時08分25秒
食後のひととき…。
「ねぇねぇ、飯田さんって、犬飼ってるんですよね?吉澤、かおりさんちの犬になりたいです!ワンワン!!」
……………。
期待通り、楽しませてくれるやんか、吉澤…。
「よっすぃー……」
石川も、少々呆れ気味や。
呆然とする石川と私の2人を尻目に、圭織はうれしそうに微笑んでいる。
「吉澤は、犬にならなくても、そのまんまで十分かわいいよ。このまま家に、連れて帰っちゃいたいくらいだもん!」
「うぉぉぉぉ〜!!飯田さぁ〜ん、なんとうれしいことを〜!!」
吉澤ひとみ、17歳、見事秒殺……。
239 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時11分17秒
「そう言えば、裕ちゃん、先週『日曜クラス』に行ったんだって?」
まだ『うれしすぎっす!』とうめいている吉澤を放置して、圭織が聞いてきた。
「そうそう、どうでしたか?日曜日の雰囲気は?」
石川も、吉澤を見て見ぬフリをして尋ねてくる。
「そやなぁ〜、やっぱり平日とは全然、雰囲気違うかったなぁ」
どっちがええかは、一概には言えんけどな。
「お友達とか、出来たんですか?」
「まぁ、しゃべる子は3人ばかり出来たで。講義が終わった後も、ここでずっとしゃべっとったしな」
240 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時13分46秒
もっとも、ここで話をしてたんは、ほとんどごっちんとだけやけど…。
「へぇ〜、中澤さんって、たらしだったんですねぇ〜!」
おい、待てや、石川っ!
なんでそんなんで、たらしになんねんっ!!
誘ってきたんは、ごっちんやし、それに3人とも、いい相手おんねんぞっ!!
って、こんなこと、石川に力説してもしゃあないか…。

「で、講義の方はどうだったの?」
やっぱり、圭織は講師なだけあって、気になるのはそっちの方やねんな。
241 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時16分17秒
「商簿の平家先生、講義の進め方とかはともかく、あのおっちょこちょいな性格には、参ったなぁ…」
悪い先生ではないと思うんやけど、問題を解く時くらいは、もうちょい静かにして欲しかった…。
「みっちゃんって、講義中でもドジやってんだぁ〜!」
圭織がおかしそうに笑っている。
『講義中でも』ってことは、普段もかなりドジなんやろな…。
いや、普段の方がもっとヒドイかも…。
ごっちん、世話好き女房タイプになりそうやで。
少し的外れな、でも、あながち間違ってもなさそうな結論に達し、私もニヤリと笑みを浮かべる。
242 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時18分33秒
「工簿の講師はどうだった?」
ごっちんが、いそいそと平家先生の世話を焼いている姿を想像していた私は、圭織の一言により、現実に引き戻された。
工簿の講師ってことは、矢口先生のことやんな…。
さっき棚上げにしたのに、また矢口先生のことを思い出してしまう。
あぁ、矢口先生、矢口先生、矢口先生、矢口先生、矢口先生……………
「ちょっと、裕ちゃん!聞いてるのっ?」
おっと、すっかり自分の世界に入ってしもとったわ…。
243 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時21分29秒
「悪い悪い。工簿はえっと、確か…、矢口先生やったな?」
さっきまでずっと思とったのに、さも今思い出しました、と言うように、白々しく答える。
「そうだよ。で、矢口のことはどう思った?」
矢口先生は、圭織からは『矢口』って呼ばれてんのか…。
それより、心なしか、圭織の顔がニヤニヤしてるように見えるんやけど。
私の気のせいかな?
「どう思ったって言われてもなぁ。えらいちっちゃい先生やなぁとは思ったけど…」
矢口先生に一目惚れしました、なんて、よう言わんしな…。
244 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時24分03秒
「えっ?感想はそれだけ?」
それだけ?…、って…。
まぁ、他にも思うところはあるで。
例えば、かわいいとか、かわいいとか、かわいいとか…。
アカン…、かわいいしか思い浮かばへん…。
かなり重症やな…。
「矢口って、かわいいでしょ?」
私の心の中、見えてんのか、圭織?
「まぁな。他の生徒らにも、かなり人気あるみたいやしな」
とりあえず、私の心中をごまかすべく、そんな言葉を口にしてはみたんやけど…。
その言葉によって、矢口先生は遠い存在の人や、という現実を突きつけられた気がして、自己嫌悪に陥る。
245 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時27分25秒
私なんか、割って入る余地ないもんな…。
ハァァ〜〜
深〜いため息…。
「お〜い、裕ちゃ〜ん!大丈夫?なんか、すご〜い遠いところにいってるよ」
アカン、またやってもうたで…。
「大丈夫や…」
ホンマは、全然大丈夫なことあらへんねんけど…。
「そう?それだったらいいけど。ま、確かに裕ちゃんの言う通り、矢口は人気あるみたいだけど、本人はそんなにうれしそうじゃないからね。何か、理想が高いらしいから、お眼鏡にかなう人がいないんじゃないのかな?」
246 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時29分50秒
圭織が私の顔をマジマジと見ながら、また、ニヤニヤしているような気がする…。
一体、何やっちゅうねん!
私、そんな顔で見られるようなこと、何かしたか?

それより、矢口先生って、理想高いんや…。
ますます、矢口先生が遠い存在に感じる。
こんな30前の女なんか、目もくれてくれへんやろからな…。
ハァァ〜〜
再び、深〜いため息…。
「一体、どうしたのよ、裕ちゃん?さっきから、ちょっと変だよ?」
そんなこと、改めて言われんでも、自分が一番ようわかっとるって…。
247 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時36分53秒
アカンアカン…。
これ以上、矢口先生の話をすると、さらにおかしいなってしまいそうや。
「あっ、もうこんな時間や。そろそろ帰ろか…?」
話は打ち切りとばかりに、3人にそう告げる。
事実、時間はもう10時近くになっている。
吉澤、石川は高校生なんやし、あんまり遅くならせたら、親御さんにも申し訳ないからな。
248 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時39分06秒
会計を済ませた私達は、ファミレスの外に出る。
みんなそれぞれ、帰る方向が違うので、ここで解散となる。
吉澤と石川は、途中までは一緒みたいやけど。
「じゃあね〜、お疲れさま〜!また、来週ね!」
圭織の一言で、いつもならそれぞれ帰っていくんやけど…。
「え〜?飯田さん!吉澤を、お家に連れて帰ってくれるんじゃなかったんですかぁ〜?」
いきなり、吉澤が抗議の声をあげた。
吉澤…、さっき圭織のセリフ、真に受けとったんかいな…。
「本気にしてたの、吉澤?」
圭織の言うことは、もっともやな…。
249 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時42分18秒
「当たり前ですよぉ〜!冗談だったんですかぁ?ひどぉ〜い!!」
吉澤は、頬をふくらませて、すねている。
「わかった、わかった。今日はちょっと無理だけど、また今度ね?それで、いいでしょ?」
って、ええんかいな、圭織…。
「本当ですか?やったぁ〜!!約束ですよ!」
圭織の言葉に、すっかり上機嫌になる吉澤。
ゲンキンな子や…。
「いいなぁ〜、よっすぃーは…」
その隣で、石川がボソッと呟いたのを、私は聞き逃さへんかった。
まぁな…、圭ちゃんは、石川に対してちょっと冷たいところ、あるからな。
250 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時44分27秒
でもそれは、圭ちゃんなりの愛情表現やと、私はみてんねんで。
その証拠に、吉澤や私に対しては、普通に接してるからな。
石川は、まだ若いからそうゆうことには、気付かへんねんやろうな…。
「大丈夫や!石川も頑張りや!」
こんな言葉で、勇気づけられるかどうかはわからんけど…。
「はいっ、ありがとうございます!」
それでも石川は、元気にそう答えてくれた。

「じゃ、今度こそ本当に解散!」
圭織の一言に、今度は吉澤も素直に従い、それぞれが帰途についていく。
251 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時46分34秒
3人と別れて家に帰った私は、携帯を取り出し、素直じゃない同僚に電話をかける。
(プルルルル〜、ガチャッ)
うわっ、ワンコールで出たよ。早すぎ!
『もしもし、圭織?何なのよ、こんな時間に?』
電話の相手は、少し不機嫌そうな声だ。
「あ、ごめんね〜。でも、ちょっと圭ちゃんの耳に入れておきたいことがあってね」
そう、相手は『素直じゃない同僚』こと、圭ちゃんである。
『何よ?耳に入れておきたいことって?』
「裕ちゃんのことなんだけどさ。圭織のみたところ、あれは脈ありだね」
252 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時48分54秒
『脈ありってどういうこと?物事は、ちゃんと順序を追って話さないとわかんないわよ!』
「ごめんごめん。さっきまで、裕ちゃん達とご飯食べてたんだけど、その時にね、ちょっと裕ちゃんをつついてみたんだ」
『だから、何をよっ?』
「矢口のことだよ」
『えっ?矢口のこと?で、で、どうだったの?』
さっきまでの不機嫌な口調と打って変わって、話に乗ってきた圭ちゃん。
「それが、最初の話につながるの。どうやら脈ありみたいだよ」
『裕ちゃんも、矢口が好きだって言ったの?』
253 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時51分13秒
「いや、それは言わなかったけど、裕ちゃんの態度を見てたらわかるよ」
『どんな態度よ?』
「圭織が、矢口の話題を振った途端、急に落ち着かなくなっちゃったんだ。突然、自分の世界に入ったりしてたし。いつもの裕ちゃんらしくなかったよ。あれは絶対、矢口のこと憎からず思ってるね」
『そうなんだぁ。なんか、面白くなってきたわね』
「圭ちゃん…。面白がってる場合?」
『圭織だって、わざわざ私に電話してくるくらいだもん。結構、楽しんでるんでしょ?』
「うっ…、それを言われると…」
254 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時53分21秒
『ま、いいじゃない。かわいい同僚と大切な生徒さんのために、私達も協力してあげようよ?それより、圭織。裕ちゃんには矢口の気持ち、伝えたの?』
「いや、言ってないよ。だって、そういうのって、他人の口から聞くより、本人の口から聞く方がうれしいと思わない?」
『それもそうね。私も金曜日、裕ちゃんにそれとなく矢口への気持ち、探ってみるわ』
「人のこともいいけど、圭ちゃんも石川のこと、ちゃんとかわいがってあげないとダメだよ!」
『あっ圭織、ごめん!今、ちょっと忙しいから切るね!』
(ブチッ、ツーツーツー)
255 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時57分03秒
……………。

ったく、何が『忙しいから』よ!
忙しい人が、ワンコールで出たりしないって!!
忙しい人が、裕ちゃんと矢口の話に乗ってきたりしないって!!
圭ちゃんって、石川のことになるとああなんだから…。
もう、ほんと、素直じゃないんだから…。

それはそうと、吉澤、ちゃんと家に着いたかな?
夜も遅いし、心配だな。
吉澤からもらったメールアドレスが書かれたメモを取り出す。
今まで送ったことはないけど、せっかくもらったんだから、送ってみるか…。
圭ちゃんに一方的に切られた携帯を、再度手に取った。
256 名前:BK school 投稿日:2002年11月23日(土)01時58分33秒
その晩、吉澤が『飯田さんからメールが…、うれしすぎっす!』と、ずっと寝言で言っていたことは、きっと誰も(おそらく本人でさえ)知らないはず……。
257 名前:OHA 投稿日:2002年11月23日(土)02時01分04秒
更新しました。


>>233 読んでる人@ヤグヲタさん

マターリとお待ちくださるなんて…。
ありがとうございます。
でも気が変わって、予想外に早くなる可能性も(w
他のCPは……。
作者は、今まで、裕ちゃんが絡まないCPって書いたことがないので、上手く書けるかどうか…、ああ、不安…。
そんなに、深くは書けないことだけは確かです…(汗
258 名前:OHA 投稿日:2002年11月23日(土)02時02分05秒
>>234 つかささん

しっとりまったり…。
そうです!それが、このスレのモットーです(いつの間に…?)
暴走姐さん、暴走矢口さんは、前スレまでで一応卒業したつもりです(w
暴走部門は、よっすぃー、石川さん、ごっちんに任せるとして、裕ちゃんと矢口さんには、さわやか路線で決めてもらいますっ!(絶対無理っ!あり得ない…w)

259 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年11月23日(土)13時04分46秒
矢口の為(?)に、裕ちゃんに探りを入れる飯田さん・・・優しいですね。
圭ちゃんは、どんな感じで探りを入れて来るのかな?
なんかいきなり直球で責めてきそう(w
260 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月01日(日)13時35分57秒
やぐちゅーぽくなってきましたね。
のんびり更新お待ちしてます(w
261 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時04分26秒
中澤さんに一目惚れをした日から、5日後の金曜日。
今日は、生徒として税理士の講義を受けに来ていた。
いつもは5時に講義が終わるや否や、速攻で家に帰るんだけど、今はこうして、休憩コーナーに設置された椅子に座り、法規集を見ながら、条文を暗記している。
いや、暗記するフリをしているだけで、本当は、条文なんて全然、頭に入ってやしないんだけど…。
なぜ、そんなことをしているかって?
それは、題して『中澤さんを一目見よう大作戦』を、実行するためだ。
って、なんかベタだなぁ、自分…。
262 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時07分36秒
と、とにかく、今日は金曜日だから、中澤さん、夜の講義を受けに来るはず。
で、エレベーターを降りて教室に入るには、必ずこの休憩コーナーの前を通らなければならない。
というわけで、この休憩コーナーで中澤さんを張っている、って寸法だ。
私が受講生としてここに来ているのは、月・水・金だから、中澤さんに会えるのは、金曜日だけ。
もしこれが、日曜日だったら、こんなとこで座ってようもんなら、例の受講生達に捕まってしまうんだろうけど…。
平日ならば、そういう心配はないので、安心だ。
263 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時09分46秒
でも、法規集を開いたまま、エレベーターが上がってくる『チーン』という音に、いちいち反応している私の姿は、傍目から見ればすごく怪しくうつっているに違いない…。

中澤さんを待つと言っても、別に話しかけようとか、そんな大それたことは考えていない。
ただ、中澤さんの顔を一目見るだけ、ただそれだけでいいのだ。
自分でも健気だなぁ、とか思うんだけど…。
264 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時12分00秒
でも、もしチャンスがあれば、さりげなくハンカチなんかを落としちゃったりして…。
『ハンカチ、落ちましたよ』(中澤さん)
『あっ、ありがとうございます。あの、お礼に、お食事でも…』(私)

ってな展開に………。
……ぜぇったい、なるわけない!!
こんな古典的な方法、うまくいくわけないじゃんっ!!
265 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時13分46秒
じゃあ、正攻法で、これはどうだ?
『この前、日曜日に来られてた方ですよね?』(私。あくまでもさりげな〜く)
『はい、そうですけど。確かアナタは、工簿の先生でしたよね?』(中澤さん)
『覚えてくださってたんですか?(内心、ガッツポーズ)何か、勉強でわからない所、ありますか?』(私)
『じゃ、ここ教えていただけますか?』(中澤さん)
そして、しばし勉強を教えた後、お礼にと言って、中澤さんが食事に誘ってくる。
266 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時15分42秒
ってな展開に………。
……ぜぇったい、なるわけない!!
中澤さん、わからない所なんてなさそうだし、それに、担当講師の圭ちゃんを差し置いて、そんなことしたら、後が怖い!!

ハァァ〜〜
さっきから、なに一人で勝手な妄想してんだか…。
絶対、頭悪いよね。
ますます、怪しい人になっちゃうじゃんか…。
まぁいいや、今日のところは中澤さんを一目見たら、おとなしく帰ることにしよう。
毎週金曜日、ここにいてれば、自然と中澤さんも私のこと、覚えてくれるかもしれない、
うん、それに期待しよう。
267 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時20分09秒
直後、本日何度目かの『チーン』という音が聞こえてきた。
そして、『カツカツ』という靴音が近づいてくる。
あれは、ハイヒールの音だな。
ってことは、女の人のはずだ。
休憩コーナーの前を通りかかる頃を見計らって、そっと顔を上げると…。
ビンゴッ!!
まさしく、私が待っていた人、中澤さんの姿が目に飛び込んできた。
中澤さんは、私の前を通りすぎ……
…ずに、『あれっ?』という表情で、立ち止まった。
なんで?なんで?
一体、何が起こったんだ?
268 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時22分41秒
「あ、あの…、矢口先生、ですよね?」
動揺しまくっている私に、何と中澤さんが話しかけてきた。
なんで?なんで?
私、まだハンカチ落としてないよ?
しかも今、私の名前、呼んだ?
もしかして、私のこと、覚えていてくれたの?
立て続けにハテナマークが飛び交う。
けれども、感激のあまり、さっきの妄想通り、内心でガッツポーズ!
顔からも自然と笑みがこぼれてくる。
269 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時24分52秒
「と言っても、矢口先生は、私のこと覚えてませんよね?先週の日曜日、一回だけ先生の講義に出席しただけですから…」
とんでもありません、覚えていますとも!
忘れるもんですか!
「ごっつぁん、あ、いや…、後藤さんの隣に座ってた方ですよね?」
本当は心臓がバクバクなのに、なんとか冷静にふるまおうと努力する私。
「やっぱり、この金髪が目立ったんでしょうか?」
中澤さんは、軽く自分の髪に触れている。
そんな仕草にも、思わず見とれてしまう。
270 名前:BK school 投稿日:2002年12月02日(月)13時26分30秒
「そ、そうですね…」
もちろん、最初に目に付いたのは、その金髪なんだけど…。
でも、私が中澤さんのことを覚えている理由は、それだけじゃないんだよ。
って、そんなこと言えるわけないよね…。
「あの…、お名前、お聞きしてもいいですか?」
本当は、もう知っているんだけど、一応、本人の口から聞いておかないと。
いきなり、『中澤さん』って呼んだら、変に思われるはずたから。
271 名前:OHA 投稿日:2002年12月02日(月)13時28分56秒
中途半端ですが、更新しました。


>>259 読んでる人@ヤグヲタさん

そうなんです。
カオリの身体の半分は、優しさでできています(何か、頭痛薬のCMみたいですね…w)圭ちゃんの探りは…。
先に持ち越し、ということになります(相変わらず、遅っ)
さて、どういう風に責めてくるんでしょうか?(w
272 名前:OHA 投稿日:2002年12月02日(月)13時30分35秒
>>260 名無し読者さん

今回の更新は、『ぽく』がとれましたかね?(w
予告通り(?)、気が変わってやぐちゅーの再会シーンですが…。
『でも全然、進展がないじゃんかよ!』というツッコミは、無しの方向でお願いします(w
更新は、最低でも週一ペースを心がけてはいるんですけど、なかなかそうもいかなくて…。
特に12月に入り、また仕事が忙しくなる時期ですので…。
はい、ただの言い訳です!すみません!
読者さんに見捨てられない程度に、のんびりやらせていただきます(w
273 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)19時19分57秒
「あ、失礼しました。私、中澤裕子と申します」
よしっ、これで堂々と『中澤さん』と呼べるぞ。
「私は、矢口真里といいます」
私も一応、自己紹介。
ごっつぁんあたりから、聞いているとは思うけど…。
さっきも『矢口先生』って言ってたし。
でも、フルネームは知らないだろうからね。
274 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)19時43分41秒
…と、自己紹介をしたまではいいんだけど…。
「……………」
「……………」
2人の間を、イヤな沈黙が支配し始めた。
ダメじゃんか…、いつもの、うるさい私はどこへいったんだ?
このままだと、中澤さん、教室へ行っちゃうよ。
だけど、何を話したらいいのか…。
中澤さんが間近にいる、というこの状況に緊張しすぎて、話題が見つからない…。
こんなに緊張したのって、講師として初めて教壇に立った時以来だよ…。
275 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)20時09分18秒
何か話しかけなきゃ、と焦りもピークに達した頃…。
「矢口先生って、税理士の受講生でもあるんですよね?この学校の簿記の先生は、みんなそうだって、聞いたもんですから」
沈黙を破ったのは、中澤さんだった。
『じゃ、教室に行きます』
という言葉を覚悟していた私にとって、その言葉は、どれたけありがたかったことか…。
「はいっ!」
思わず、元気良く返事をしてしまったけど…。
おかしく思われなかったかな?
276 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)20時29分18秒
「それって、税理士の教材ですか?」
私の手元にある、『それ』と呼ばれた法規集を覗き込む中澤さん。
大丈夫、どうやら、おかしく思われていないようだ。
よかった…。
それにしても、勉強をするフリのためだけに持っていた法規集が、こんな所で話題作りに一役買ってくれるとは…。
ありがとうよ、法規集くん。
これからは、ちゃんと大切に使ってあげるからね。
277 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)20時49分26秒
「そうなんです。ここに載ってる条文を、暗記しないといけないんですよ」
私の言葉を聞いて、中澤さんはその体勢のまま、ページをペラペラと繰り始めた。
って、今のこの状態、私にとってすこぶる危険なんだけど…。
中澤さん、私の手元を覗き込んでいるわけだから、非常に至近距離にいるわけで…。
キレイな金髪が、私の顔に触れるか触れないかのところまできているわけで…。
で、その髪からはすごくいい香りがしていて…。
もう、目眩がしそうだ。
頭がクラクラしてきたよ。
278 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)21時11分49秒
「これ、全部覚えるんですか?」
法規集から視線を外し、今度は私の顔に視線が向けられた。
距離はさっきと変わっていないので、当然のことながら、中澤さんのドアップが目に飛び込んでくる。
うわっ、ヤバイよ…。
これって、ムチャクチャ、ドキドキするんだけど…。
「い、いえ…、全部ではないですけど、それでもかなりの量がありますね」
わずかに視線を逸らせながら答える。
とてもじゃないけど、直視なんてできない。
279 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)21時33分29秒
「そうですか、税理士の試験って、大変なんですね…」
そう言いながら、中澤さんは上体を起こした。
よかった、離れてくれて…。
ずっとあのままの状態だったら、どうなっていたか自分でもわかんないや。
でも、ホッとするのと同時に、ちょっと残念だなぁ、と思ってしまったのも事実で…。
やっぱり、私、中澤さんのことが好きなんだ、と改めて認識させられた。
決して、あの日限りの、一時的な感情じゃなかったんだと…。
280 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)22時00分13秒
「あの…、中澤さんも税理士の試験、受けるつもりなんですか?」
もちろん、その答えなんて圭ちゃんから聞いて、既に知っている。
だけど、会話が途切れるのが怖いから。
とりあえず、何でもいいから口にしちゃえ…、そんな心境だ。
「ええ、簿記が終われば挑戦するつもりです。よかったら、またいろいろ教えてくださいね」
えっ、そんなこと言っていいの?
私、本気にしちゃうよ?
いやいや、これって、いわゆる社交辞令ってやつだよな…。
281 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)22時29分48秒
「私でよければ、いつでも…」
当たり障りのない返事を返したけど、もちろん、これは私の本心でもある。
「今日は、講義だったんですか?」
「はい、月・水・金の午後の講義をとってますから」
何言ってんだ、私…。
中澤さんは『今日、講義だったのか?』と聞いているだけなのに…。
私のスケジュールを、披露してどうすんだよ…。
「講義が終わった後まで、こうして勉強だなんて、ずいぶん熱心ですね」
いえいえ、フリだけです、すいません…。
「そんなことないですよ…」
ホントに、そんなことないんです、すいません…。
282 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)22時55分52秒
「あれっ、中澤さん!こんなとこに、いらっしゃったんですか?なかなか来られないから、どうしたんだろうと思ってたんですよ」
突然、そんな声が中澤さんにかけられた。
声の主は、ブレザーの制服を着た女の子。
きっと彼女が、圭ちゃんや圭織が言ってた高校生のうちの一人なんだろうな。
「もうすぐ、講義始まりますよ。席、取ってありますから、行きましょう!」
その高校生は、続けて中澤さんにもう一声かけると、先に教室へと向かっていった。
もう、そんな時間だったんだ…。
283 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)23時15分55秒
「あ、すみませんでした。長々と勉強のお邪魔をしてしまいまして…。時間ですので、教室に行ってきます」
中澤さんは、慌てた感じで私に会釈をした後、急ぐように、休憩コーナーを出ていった。
「頑張ってくださいね」
私も慌てて、その背中に声をかけたけれど。
聞こえていなかったのか、返事が返ってくることはなかった。
284 名前:BK school 投稿日:2002年12月03日(火)23時46分59秒
でも、廊下を曲がる直前に中澤さんが、こっちを振り向いて…。
ニコッと微笑んでくれたように見えた。
そして、口パクで『ありがとう』と言ってくれたように見えた。
いや、見えただけであって、実際は私の思い違いかもしれないんだけど…。
思い違いでも何でもいいや。
そう思い込むことにしておこう。
あの笑顔とあの言葉、大切に私の胸の中にしまっておこう。
285 名前:BK school 投稿日:2002年12月04日(水)00時04分40秒
よしっ、中澤さんも行っちゃったことだし、もうここに長居は無用だな。
こんな所にいるの、もし圭ちゃんに見つかったりしたら、やっかいだからね。
どうせ
『裕ちゃんを待ち伏せしてたの?健気な子だねぇ』
なんて、からかわれるのがオチだし…。
って、全くもって本当のことなんだけど…。
本当のことだからこそ、言い訳できないってとこ、あるもん…。
さっ、見つかる前にさっさと帰ろうっと。
286 名前:BK school 投稿日:2002年12月04日(水)00時11分19秒
でも、まさか中澤さんの方から話しかけてくれるなんて…。
本当にびっくりした。
一目だけ見れればそれでいい、なんて、しおらしいことを考えていたのに…。
思ってもみなかった展開、うれしい大誤算だ。
今日は、うれしすぎて眠れないかも…。
それにしても、間近で見る中澤さんの顔、すごくキレイだったな…。
あ〜、思い出したら、またドキドキしてきちゃったよ。

私の恋心は、5日前よりも、確実に大きくなっていた………。
287 名前:OHA 投稿日:2002年12月04日(水)00時12分00秒
更新しました。
288 名前:ガリバー君 投稿日:2002年12月04日(水)07時41分48秒
ヤグがめちゃめちゃケナゲで可愛いです。
続きが楽しみ♪
289 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年12月04日(水)21時55分53秒
矢口カワイイ〜!
裕ちゃんは普通に矢口に接していたけど、
裕ちゃんも内心、興奮していたんでしょうね(w
290 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)17時50分00秒
その日の講義後、いつものファミレス。
吉澤、石川、それに圭ちゃんも交えて、恒例の夕食タイムである。
「保田さんっ!このコロッケ、すごくおいしいですよ!半分、食べますか?」
「自分の分があるから、いいわよ!」
「あっ、保田さん、もうお水ないですね?おかわり、もらいましょうか?」
「食後に、コーヒー飲むからもういい!」
291 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)17時52分26秒
石川は、圭ちゃんに大苦戦中や。
圭ちゃんは、そんな冷たい言葉をかけながらも、時折、チラチラと石川の様子をうかがったりしている。
吉澤はと言えば、金曜日は至っておとなしく、黙々と食事をとっている。
やっぱり、相変わらずのいつもの光景…。
292 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)17時55分19秒
そして、食後のひととき…。
「ねぇねぇ、保田さんって、猫飼ってるんですよね?石川、けいさんちの猫になりたいです!ニャンニャン!!」
……………。
おいおい、石川…、この前の吉澤のマネか…?
「梨華ちゃん……」
吉澤も、少々呆れ気味や。
って、キミも同じことしとったやんかっ!
「何言ってんの、アンタ!?私、猫なんか飼ってないわよ!バカなこと言ってんじゃないよ!」
「え〜ん!!保田さぁ〜ん、ひどぉ〜い!!」
石川梨華、17歳、見事玉砕……。
まぁ、吉澤みたいに上手くはいかんわな…。
293 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)17時57分46秒
「ねぇねぇ、保田さん、聞いてくださいよ!この前ね………」
それでもめげることなく、圭ちゃんに向かって機関銃のごとく、話しかけている石川。
アンタは強いわ…。
でも、石川の話を軽く聞き流すポーズをとりながらも、実は、しっかり聞いとるってこと、私にはわかってんねんで、圭ちゃん…。
素直やないねんから、ホンマ…。
294 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)18時00分28秒
いつもやったら、石川の話の聞き役は圭ちゃんに任せて、吉澤と私は2人で雑談をしたりするんやけど。
今日の吉澤は、まるで私の存在を無視するかのように、一心不乱にメールなんぞを打っている。
「なぁ吉澤、誰にメールしてんの?」
手持ち無沙汰な私は、なんとなく吉澤に聞いてみる。
「もちろん、飯田さんですよ!火曜日、飯田さんがメールをくれたんです!もううれしくて、うれしくて、あれから毎晩送ってるんです!」
送信が完了したのか、携帯から顔を上げて、そう答える吉澤。
295 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)18時07分10秒
そういや、ずっと前、吉澤が圭織にメールアドレスを書いた紙、渡しとったな。
メール一つで、こんなに喜ばれたら、そら、圭織も送りがいがあるって話や。
しかし、毎晩メール送ってるって、どないやねん?
さすがに、そこまでされたら、ちょっと迷惑とちゃうんかな?
いや、圭織やったら迷惑がらんか?
「そんで、返事は来んのか?」
「はいっ?送ったら、だいたいすぐに来ますよ!」
やっぱり、そうなんか…。
圭織も、結構楽しんどんねんな。
ええこっちゃ、ええこっちゃ。
296 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)18時09分18秒
「ちょっと、保田さん!聞きました?よっすぃー、飯田さんとメールの交換してるんですって!いいなぁ、いいなぁ!」
石川…、あんだけ一人でしゃべっときながら、吉澤の話もしっかり聞いてるって、えらい器用な子やな…。
「圭織は圭織、私は私だからね!」
「え〜!メールくらい、いいじゃないですかぁ〜!石川だって、保田さんにアドレス教えてるんですから、送ってくださいよ!」
297 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)18時12分39秒
「イヤよ!だいたい、毎週会ってんだから、メールなんてする必要ないでしょ?」
「そんなぁ〜!」
ちょっと、圭ちゃん…。
石川、涙目になってんで…。
もうちょい、乙女心っちゅうもんをわかってあげーや。
「わかったわかった…。気が向いたら、送ったげるわよ」
さすがの圭ちゃんも、石川の涙目には慌てたのか、譲歩の気配をみせる。
『気が向いたら』って条件付きなんは、どこまでも圭ちゃんらしいけどな…。
298 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)18時14分45秒
「本当ですか〜?365日24時間、いつでも受け付けてますからね!肌身離さず、寝る時も携帯と一緒に寝ちゃいます!」
圭ちゃんの一言に、歓喜の声を上げる石川。
肌身離さず、寝る時も一緒、って…。
まぁ、石川なら、やりかねんな…。
「うぉっ!飯田さんから、メールだ!!」
続けて、吉澤からも歓喜の声が上がる。
ホンマに、送ったらすぐ来んねんな…。
まだ5分も経ってないで…。
299 名前:BK school 投稿日:2002年12月09日(月)18時17分28秒
「これでよしっと!返信っ!!」
またもや、吉澤の一声。
って、もう返信したんかいな、はやっ!!
アンタ、どんだけメール打つの早いねん?
こりゃ、吉澤と圭織のメール交換は、エンドレスで続きそうやな。
石川も再び、圭ちゃんに向けて独演会を始めとるし…。
でもみんな、それぞれ楽しそうでええなぁ…。
それに引き換え、私は…。

今日の講義前の出来事を、こっそりと思い返してみる……。
300 名前:OHA 投稿日:2002年12月09日(月)18時20分42秒
少しですが、更新しました。


>>288 ガリバー君さん

はい、矢口さんかなりケナゲです。
恋する乙女って感じですね。
でも、またしばらくは矢口さんの出番、なさそうですが…(w
301 名前:OHA 投稿日:2002年12月09日(月)18時22分28秒
>>289 読んでる人@ヤグヲタさん

裕ちゃんも内心、興奮……。
もちろんですとも!(w
そのあたりの裕ちゃんの心境などは、この後明らかになっていきます。
302 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月09日(月)23時41分50秒
更新来た(w
やぐちゅー来ない(w
でも、よしかお&いしやすが面白かったです。
素直じゃない圭ちゃんもいいです(w
303 名前:読者 投稿日:2002年12月17日(火)18時19分38秒
当分矢口さんの登場なしですか(w
残念・・・でも他のCPが楽しいので我慢します(w
304 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時31分22秒
それにしてもホンマ、びっくりしたで。
まさか、矢口先生に会えるとはな…。
学校に着いて、いつもみたいに教室へ向かう途中、休憩コーナーの前を通ったら…。
矢口先生おんねんもん。
心臓止まるかと思うくらい、びっくりしたわ。
いや、あの瞬間はホンマに止まったな…。
で、心臓だけやなしに、足まで矢口先生の前でピタッと止まってしもて…。
動けんようになってしもた。

305 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時35分51秒
でも、ずっとそのまんまの状態やったら、怪しい人やと思われるし。
ましてや、そのまま立ち去ろうもんなら、さらに怪しさ倍増やし。
フリーズしている頭を、何とか叩き起こして、矢口先生に声をかけたんやけど…。
矢口先生、かなりびっくりした顔しとったな。
まぁそらそうやろ、一回しか講義に出とらん人間から、いきなり声をかけられたんやから…。
はじめはびっくりした顔の矢口先生やったけど、次の瞬間、えらい笑顔になって…。
その笑顔に魅了されて、また動けんようになってしもた。

306 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時38分04秒
でも今、こうして冷静に考えてみたら、あれってごっちんが言ってた『営業スマイル』ってやつやってんやろな…。
その『営業スマイル』にまで、グラッときてしまうとは、かなりヤバイわ…。
ほんで、私のことも覚えてくれていたみたいやけど…。
それにしたかって、『簿記の講義に、金髪で来る場違いな女』ってな感じで、覚えていただけにすぎひんやろし…。
せやけど、そん時はそんなこと、冷静に考える余裕が全くなかった。
あの笑顔と、私を覚えてくれているって事実に、舞い上がってしもて…。

307 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時40分14秒
すぐ教室に行けばええのに、またさらに話しかけたり。
勝手に矢口先生の法規集を、めくってみたり。
挙句の果てには、『またいろいろ教えてください』などと、あつかましいお願いをしたりする始末。
結果、石川が呼びにきてくれるまで、ずっと矢口先生の勉強の邪魔をする、っていう大失態をやらかしてしもた。
矢口先生は、イヤな顔一つせんと、私と接してくれたけど…。
きっとホンマは、迷惑やってんやろな…。

308 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時42分11秒
『生徒に対して、イヤな顔はできないからね』
ごっちんの言葉を思い出しては、自己嫌悪モードに入る。
あと、矢口先生にドアップで迫る、っていうとんでもないことまでしてもうたしな…。
自己弁護のためにゆうとくけど、あれは意識的にやったんとちゃうで。
ホンマに矢口先生との距離感を失念しとったんや。
顔を上げたら、矢口先生の顔が目の前にあんねんもん。
こっちかって、びっくりしたっちゅうねん!
でも、間近で見る矢口先生、どんだけかわいかったか…。
言葉なんかでは、言い表せんくらいに。

309 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時43分46秒
で、思わず見とれていたら、微妙に視線を外されてしもたし…。
ヘンな人やと、思われたに違いないわ…。
怪しさ3倍増やで、全く…。

ハァァ〜〜
これで私も、矢口先生を取り囲んでいた生徒達と共に『要注意人物リスト』に載せられたことは、ほぼ確実やな。
アカン、やってもうた…。

310 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時45分10秒
「裕ちゃんっ!なに、頭抱え込んでんのよ?そろそろ帰るわよ!」
えっ、なんや、なんや?
気が付くと、圭ちゃん、吉澤、石川の3人の視線が、一斉に私に向けられていた。
矢口先生のことを考えているうちに、自分の世界に入ってしもとったみたいや。
「もう、そんな時間なん…?」
時計を見ると、10時前やった。
『メール交換』&『独演会』はもう終わったのか、いつの間にか3人は既に帰り支度をすませている。

311 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時46分53秒
「どうしたんですか、中澤さん?あっ、わかった!今日、ナンパに失敗したから、それで落ち込んでるんでしょう?」
はぁ!?
ナンパって、何やねん、石川…?
「裕ちゃんがナンパ?一体、どういうことよ?」
「今日の講義前、中澤さん、かわいい女の人と話をしてたんですよ。やっぱり、たらしだったんですね!」
「へぇ〜、裕ちゃんもなかなかやるわねぇ…」
おいこらっ、そこの独演会コンビ!
私を差し置いて、勝手に話を進めんな!!

312 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時48分29秒
「ちゃうって!あの人は、日曜クラスの先生や!顔を見かけたから、ちょっとあいさつしてただけや!」
って、あれのどこが、『ちょっとあいさつ』やねん!!
自分で言ってて、自分でそうツッコミを入れたくなったけど…。
「な〜んだ、そうだったんですか…」
石川は、私の言葉に納得したみたいや。
でも圭ちゃんは、何かニヤニヤしながら私のこと、見ている気がする。
そういや、この前の圭織も、今の圭ちゃんと同じ顔しとったなぁ…。
一体、なんやっちゅうねん!!
まぁええか…、あんまり気にせんとこ。
それより、私もさっさと帰り支度しやんとな。

313 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時50分26秒
会計を済ませた私達は、ファミレスの外に出た。
「じゃあね、お疲れさま。また来週ね」
圭ちゃんの言葉で、解散となる。
「保田さん!メール待ってますからね!」
最後にしっかりと、念を押すのを忘れない石川。
さすがやな…。
などと、変な感心をしているうちに、石川と吉澤は帰っていった。

314 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時51分37秒
「ねぇ裕ちゃん、これからちょっと、飲みに行かない?」
さっ、私も帰ろか…。
と、足を進めようとした時、圭ちゃんから思いがけない誘いの言葉がかかった。
圭ちゃん…、誘う相手、間違えてんのとちゃうか?
そう思ったけど、まさか石川を飲みに連れて行くわけにはいかんわな…。
「今からか…?」
「うん、裕ちゃんも明日、休みでしょ?たまには、いいじゃない?」
確かに、明日は土曜日で、仕事は休み。
いわゆる『ハナキン』ってやつや。
って、古いなぁ、自分…。

315 名前:BK school 投稿日:2002年12月20日(金)17時53分11秒
まぁ、別にとりたてて用事もないし、時間も気にする必要はない。
それに、酒も嫌いな方やないし。
いや、どっちかっちゅうたら好きな部類に入るな。
ってことで、圭ちゃんの誘いを断る理由は、何一つあるわけがなく…。
「ええよ、いこか」

こうして2人は、近くにある居酒屋の客人となるのである。

316 名前:OHA 投稿日:2002年12月20日(金)17時54分21秒
更新しました。
遅くなってしまって、すみませんでした。

そして、もう一つお詫びをしなければいけないことが…。
年内中の更新、ちょっとできそうにない状況になってしまいました。
年末でドタバタしているもんですから…。
大変申し訳ありませんが、ご了承ください。

317 名前:OHA 投稿日:2002年12月20日(金)17時55分40秒
>>302 名無し読者さん

メインCPはやぐちゅーのはずなのに…(w
でも、よしかお&いしやすを面白いと言っていただけて、うれしいです。
>素直じゃない圭ちゃん……
作者の中での圭ちゃんって、そういうイメージなんですよね(w


>>303 読者さん

矢口さんは、準主役のはずなのに…(w
残念ながら、次の更新でも登場予定はありません。
次回のCPは、KUです!(って、何かが違う…w

318 名前:つかさ 投稿日:2002年12月21日(土)01時09分46秒
次回はKU居酒屋編ですか・・・・
圭ちゃんと姐さんって妙に居酒屋似合いますよね、やっぱり(笑)

年内更新無理っすか・・・やっぱりねっつ〜感じで(苦笑)
自分も年末限りなくどたばたしてます、年末休みいらんから、とりあえず
この仕事の量を減らしてくれ!!と叫びたくなっとります。
娘。さんはもっと忙しいんだろうけど・・・・(笑)

気長に待ってるんで自分のペースでがんばって下さい^^
319 名前:読者 投稿日:2002年12月30日(月)11時56分03秒
更新されてる。
やぐちゅー最高〜。
320 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)03時26分42秒
KUめちゃくちゃ楽しみです。
321 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)11時37分08秒
そろそろ続きをお願いします。
322 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月17日(金)00時11分02秒
うがっ(吐血)身につまされる…税理士ではないんですが私も
某資格専門学校に通ってまして…この作品を見るたびに勉強せな、
って気になります。でもここにきてるけどw(ヲイ
内情がリアルに描かれてるんで、作者さんも資格専門学校通いだと
勝手に推測してまっス。面白いです。がんばってくらさい。
323 名前:OHA 投稿日:2003年01月17日(金)23時26分42秒
更新、ずっと滞ってしまって申し訳ありません。
年が変わっても相変わらずドタバタ気味で、なかなか思うように時間がとれない状況でして…。
今も出張で九州に来ております。
確定申告が終わるまでは、この殺人的なスケジュールが続きそうですが、倉庫逝きにだけはならないように、気をつけたいと思います。
わがままばかりで恐縮ですが、次回の更新まで、もうしばらくお時間をください。
今日のところは、レスのみでご容赦願います。


>>318 つかささん

年が明けて、忙しさから解放されたでしょうか?
作者は今年に入ってからの方が、なぜか忙しいんですが…。
でも、娘。さんの忙しさを考えると、これくらいで悲鳴を上げていたらダメですよね…。
ところでつかささん、seek撤退宣言ですか…(すごい遅レスですが)
今まで同じ板ということもあり、つかささんの所が更新されていると、自分も頑張らないと、とかなり励みになっていました。
残念という気持ちでいっぱいですが、とりあえずはお疲れ様でした。
(「とりあえず」と付けたのは、再開を密かに期待しているから…笑)

324 名前:OHA 投稿日:2003年01月17日(金)23時28分33秒
>>319 読者さん

忘れた頃に更新されているのが、このスレの基本でして…(コラコラ
>やぐちゅー最高〜
作者も同意見です。
やぐちゅーは、やっぱいいですよね〜!


>>320 名無し読者さん

KUは、アダルトな雰囲気で…(ほんとかよ?w
もしかすると、この2人がくっついちゃうかも!?
…って、もちろん冗談です。
そんなことをしたら、矢口さんと石川さんにどんな仕打ちを受けることか…(w

325 名前:OHA 投稿日:2003年01月17日(金)23時30分52秒
>>321 名無し読者さん

ほんっと、ごめんなさい。
出張から帰ったら、頑張って書きますので、もう少しお待ちください。


>>322 名無し読者さん

ご推測の通り、作者も専門学校通いです。
受講生の立場も、講師の立場も両方経験しているので、やっぱりリアルになるんでしょうねぇ。
でもあまり深く書きすぎると、マニアックになってしまいそうな気がするので、ほどほどに…(w
名無し読者さんも、勉強頑張ってくださいね。
ここは、息抜きにでもしてもらえればうれしいです。

326 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月22日(水)01時14分47秒
おもしろいです! 楽しみにしてます。
気長に待ってますので、身体に気をつけて
お仕事の方も頑張ってくださいね。
327 名前:つかさ 投稿日:2003年01月22日(水)23時13分38秒
お久しぶりです。
こっそりまた体調崩されたのかな、仕事忙しいのかな、と思っていたので。
安心しました。
自分は正月あけて・・・・ちょっと暇で今はちょっと忙しいっす(笑)
これからが山場なんですよね。
作者さんもこれからが山場っすよね。
ベストを尽くしてください^^

>>とりあえずお疲れ様でした。
ん〜、見透かされてます?(笑)
まぁまだ今はなんとも言えないんですけど。
また同時更新とかできればいいっすね。
自分もかな〜り一緒の板で励まされてました^^
328 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2003年01月28日(火)17時52分50秒
お久しぶりです。
まさか復活なさってるとは思わなかったのですごく嬉しいです。
やっぱりやぐちゅーは最高ですね〜
次の更新も期待してます。
329 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)17時04分43秒
マッタリとお持ちしています。
330 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月06日(木)01時46分58秒
うお〜楽しみだぁ。がんばって下さい!ずっと待ってますぞ♪♪
331 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)09時09分41秒
まだかなぁ〜(._.)
332 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月27日(木)02時51分24秒
保全
333 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)00時03分35秒
がんばれ作者さん! 気長に待ってます。
334 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月06日(木)01時42分41秒
ほぜむ。
335 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)22時08分42秒
がんばって!!!
336 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月15日(土)11時38分25秒
この小説大好きなんで、頑張って下さい!!!お願いしますm(_ _)m
337 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月15日(土)16時34分02秒
待ってます。(;;)
保全っ。
338 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月25日(火)02時23分16秒
保全
339 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月26日(水)13時56分06秒
いろいろ忙しいのでしょうか?気長に待ってますから頑張って下さい(^o^)/~
保全させていただきます!!
340 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月04日(金)01時18分20秒
保全!!!
341 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)08時12分36秒
待ってますー
342 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月30日(水)00時29分59秒
保全!!
343 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月30日(水)18時19分43秒

保全じゃないから(w
344 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月10日(土)10時35分29秒
設定がおもしろいですね。
つづき楽しみに待ってます!
345 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月22日(木)03時42分42秒
待ってますよー。(;;)
346 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月23日(金)00時33分57秒
作者さん頑張って!!
347 名前:sennju 投稿日:2003年05月28日(水)21時54分45秒
やぐちゅう最高!
待ってますよ。
348 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月11日(水)09時30分51秒
マイナーLOVEです
作者さんファイトですよ!!
349 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月13日(金)23時54分29秒
数少なくなってしまった(…)貴重なやぐちゅー。
しかもシチュエーションから何から完全にツボです。
いくらでも待ちます。
いい作品はいくらでも待てるんです。
作者さんファイトです!!
350 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月15日(日)17時19分27秒
再開は奇蹟かな……。
奇蹟待ちsage。再開されてないのにageないでくれ、>>347
351 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月29日(日)00時01分41秒
sageてまってます〜やすいし〜が〜いい〜!
352 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月21日(月)10時58分09秒
保全ナリ
353 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月07日(木)22時50分43秒
作者さん帰ってきて〜
354 名前: 投稿日:2003年08月29日(金)10時51分25秒
保全
355 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月31日(日)23時44分04秒
ず〜っと待ってますよぉ!!
356 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/14(日) 16:02
sage
保全!!!!
357 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/14(日) 21:15
>>356
sage方を知らないんだったらFAQを見よ。書き直されてるよ。
358 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/15(水) 20:20
保全
359 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/01(月) 20:21
保全
360 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 17:50
保全
361 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/13(火) 20:24
保全
362 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/23(月) 18:17
ず〜っと待ち続けますよっ!

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