girls afterimage

1 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月01日(木)03時56分04秒
初投稿です。元ネタはマンガで
かなり矛盾してると思います。
目標は完結!よろしくです。
2 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月01日(木)04時09分24秒
このまま愛し殺してしまえたらなんて幸せなんだろう?


ドンッドンッドンッドンッドンッドンッ…
    なんだようるさいなぁ
    なっちが起きるだろ?
              −ねぇ矢口…なっちの事好き?
              −何言ってんの?好きに決まって・・
…ンッドンッ…ドンッ・…バンッ!!!!
大勢の警官がドアのカギを壊して屋上へ現れた。
平凡な学校の屋上でありえない事が起こっている。
地面には血がへばりつき銃が落ちている。
犯人と思われる彼女はフェンスにもたれて
おそらく自分が殺害した変わり果てた姿となった
死体を抱きかかえてその彼女にキスをしている。
犯人らしき彼女のそばにはもう1人血だらけで倒れている。
顔はよく見えないが茶色の少し長い髪が風になびいている。
彼女もおそらくそこに落ちている銃で撃たれたのだろう…。
着ている制服からは血がにじみ出て地面に流れている。
3 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月01日(木)04時32分32秒
警官は言葉を失いただその状況を呆然と眺めていた。
無理矢理開けたドアのそばから動く事はできない。
そこに平然としかも死体となった彼女を愛しいような
どこか悲しい目で見つめながら頬を触る犯人らしき人物は
フェンスにもたれて座っているがえらく小さいことが分かる。
金色の髪が風になびいて少し顔が隠れているがどこか印象深い目をしている。
それ以外は変わった所はなくどこにでもいそうな少女だ。

他の生徒達が気付いて屋上に上がるための階段の下で
ざわついて集まっている。その声は屋上にも響いて聞こえる。


「その子はもう死んでるじゃないか!?」
「お前が殺したのか!?おい、聞いてるのか!?」
呆然としていた気を取り直して怒鳴りつける。
警官達が身をのりだして犯人らしき彼女を囲んで銃をかまえる。
すると彼女は囲んでいる警官達を睨みつけた。
   「なんだようるさいなぁ…なっちが起きるだろ?」
彼女も血だらけだがこれはおそらく死体となった彼女の返り血だ。
頬を包んでいるその手も真っ赤に染まっている。
制服の真っ白いシャツも同じように真っ赤だ。




4 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月01日(木)04時37分57秒
目が開いたままの状態で亡くなっている彼女の頬に涙の跡が見える。
その涙の跡は犯人らしき彼女の頬にも見えた気がした。

彼女の予想外の発言にひるむこともなく
警官は銃をおろさずに叫びつづける。
「お、お前が殺したんだろう!?その子を離せ!」
    「…眠ってるだけだよ。なっちが死ぬはずないだろ?」
そう言いながら不敵に笑って死体となった
彼女の髪を真っ赤に染まった手で触る。その笑みがとても印象的だ。
5 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月01日(木)04時47分34秒
警官達が彼女を連行すると共に抱きかかえている彼女を引き離そうとする。
囲んでいた警官が近寄って死体となった彼女に触れた瞬間…
    「―触るな!!!」
大きい罵声とと共に急に暴れ出す。
抱きかかえていた腕にもっと力を入れて抱き寄せた。

警官達が無理矢理引き離して連行する。彼女の手を後ろへくませて歩き出す。
    「やめろ!何するんだよ!?離せ!」
「お前があの2人を殺したんだろう?署まで来てもらうぞ」
    「何言ってるんだ!?なっちが死ぬはずないだろ!?」
    「なっち…なっち…なっち―!!!あ"ぁ"ぁ"ぁ"―!!!!!」


   愛してる……愛してるよ……
6 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月01日(木)04時58分56秒
その夜TV・ラジオ・号外などで一斉に報道された。
 『少女連続殺人事件―犯人は同じ学校の生徒』
 『17歳高校生に秘められたココロの闇』
【…たった今日本全土を震撼させた少女連続殺人事件の犯人が
逮捕されました!犯人は何と未成年…
しかも同じ高校の生徒の17歳の少女です!】
TVのキャスターの伝える声が響く。キャスター自身も驚いた様子だ。
【少女連続殺人事件、犯人の17歳少女が護送されます。】
カメラのフラッシュが止まる事はない。青いシートで全て隠されており
何も見えない。警官が無数にいる。

毎日次の日には紙くずになる感情の殺された活字達も
スーツで武装した原稿を読むだけのリポーターの口からも
同じ言葉を言っている………残虐非道17歳の連続殺人鬼。
7 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月01日(木)05時01分38秒
更新終了。暗いっすねぇ…笑。しかも怖いし。
大丈夫かなぁ…?色々心配です。
8 名前:読んでる人 投稿日:2002年08月02日(金)09時24分50秒
矢口がなっちを!?
なちまり推しとしては激しく興味をそそる作品ですね。
この先の展開も期待していますので、頑張ってください。
9 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月03日(土)14時00分21秒
>連続殺人事件
ってことは文中の2人以外にも殺してるのか?

とりあえず、期待sage
10 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月04日(日)01時22分12秒
連続殺人鬼逮捕の2ヶ月前…
別に何も変わらない日常だ。高校生活も変わらないどころか
つまらなく思えてきている。でもそんなに思っていても休んだりした事はない。
全ては彼女のため…
11 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月04日(日)01時40分44秒
なっちこと安倍なつみは矢口の全てだ。
付き合ってそんなに経たないけどなっちといるとどんな事でも楽しくできるし
どんな時でも笑っていられる。そんな気がする。
 矢口がこんなに人に執着したり愛しいと思ったりするのは初めてだ。
矢口は人と付き合うのが苦手で嫌いなのだ。だから友達とはっきり言える
人も今まで誰もいなかったしいつも1人だった。
 そんな矢口を気にかけながら話しかけたのがなっちだった。



12 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月04日(日)01時49分18秒
「なっちー…なったーん」
「何ー?ってか『なったん』って何さ?」
「思いついた新しい呼び名」
「……なっちヤダよ」
「なったん…」
「だからヤダって。・・んじゃ『やぐたん』…どう?」
「おー!いーじゃん。なったん!」
「…やぐたん」
「なったん!」
「やぐた…何かバカみたい!やめやめ!」
「え〜!?何でだよぉ?いーじゃん…」

人から見たら下らないと思う会話でも矢口は楽しくて嬉しい。
幸せといえば幸せ。となりにはなっちがいるから。
なっちさえとなりにいてくれたら何もイラナイ。
金も学力もゼンブ。友達なんて始めからいないし。
それでも毎日が幸せだ。笑っていられる。
なっちとは矢口にとってそういう存在だ。
13 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月04日(日)01時57分04秒
幸せとは思ってるけど、時々何ともいえない感情がわいてくる。
それは決まってなっちが矢口以外の友達と話をしている時。
仲良くなっちと話をしている友達の姿を見るだけで
自分でもわからない感情が心のずっと奥にわいてくる。
それは友達にかぎった事ではない。
なっちが嬉しそうに話している相手に対してわきおこる感情だ。
怒りに似てるが嫉妬のようにも思える。

14 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月04日(日)02時16分01秒
最近なっちは吉澤と石川と仲がいいみたいだ。
何となく感じるんだけど矢口と一緒にいるなっちと
また違った笑顔をあいつらに見せるんだ。
3人で楽しそうに話をしてる姿を見て自然に
唇をかみしめて歯を食いしばった。
血の味が口の中いっぱいに広がる。
ただ話をしているだけだ。
それなのにイライラする気持ちは抑えられない。
何に対して怒っているかよく分かっている。
なっちの笑顔を見て笑っている吉澤と石川が気に入らない。
体全体が熱い。怒りと嫉妬が混ざり合う。
そしてその後に不安が押し寄せてくる。
―いつかなっちが矢口のもとから離れていってしまうんじゃないか?
―なっちが他の誰かの事を好きになってしまうんじゃないか?
……不安で仕方ない。


15 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月04日(日)02時29分29秒
異常なほど執着してて…
異常なほど愛してて…
異常なほど嫉妬深い。
ただそれだけの理由でイライラするんだから。
きっとなっちに話したら
  「そんな事で怒るんじゃないの〜!友達だもん」
とか笑いながら言うだろうなぁ…
でも矢口の場合「笑い事」じゃない。
「そんな事」じゃない。
なっちは矢口のものだ。誰のものでもない。矢口のものだ。
これはなっちの事を大切だからこそ思う事で…。



16 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月04日(日)02時50分20秒
短いけど更新終了です。ここから矢口の気ちがいな行動の始まりです。
一応最後まで頭の中で想像してるんですけど文章にするのが難しい…

>8読んでる人様!
初レスありがとうございます!!!めちゃ嬉しいっす。
そうですねぇ…矢口がなっちをやっちゃいました。
その理由とかこれから明らかになるんで楽しみにしてて下さい!

>9名無し読者様!
レスありがとうです!!
連続ですから…2人以外に殺してます。
期待してて下さい!

ちゃんと表現できるか不安ですけどねぇ〜…ほんま大丈夫かなぁ?
とりあえず完結が目標なんで頑張ります。
夏休みまでに完結できればいいけど…

17 名前:読んでる人 投稿日:2002年08月04日(日)17時48分50秒
いや〜面白いです。
続き期待してます。
18 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月06日(火)03時05分41秒
部屋で1人ゴロゴロしてたら急に携帯が鳴った。
やぐちからで今から来るらしい。

部屋を一通り片付けてたら5分も経たないうちにチャイムが鳴った。
    「おす。」
  「早いね〜。どしたの?」
    「んー…ちょっと話あって」
  「話ー?」
やぐちはそう言いながらソファに座った。あたしは氷を入れた
2つのコップに麦茶を注ぐ。
注いだ麦茶を持っていってやぐちのとなりに座った。



  
19 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月06日(火)03時18分36秒
  「それで話ってなに?」
    「うん。あのさぁ吉澤と石川ってなっちにとってなに?」
やぐちはあたしの方を見ないでコップの中の氷を見てる。
カランと小さく氷の音がした。
 あたしは1口麦茶を飲んで
  「なにー?って友達だよ?」
ってじっと俯いてるやぐちをのぞきこんで言った。


そういえばこんな質問何回もされた事あるなぁ…。
やぐちは見かけとは違ってすごく心配性な性格。きっとあたしが最近
よっすぃーとりかちゃんと仲がいいから心配してるんだろうなぁ…。
あたしがやぐちから離れていってしまうんじゃないかとかそういう
心配もしてるはず。そんなワケないのに。心配しなくてもあたしは
やぐちのそばにいるのに。
20 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月06日(火)03時40分34秒
    「ほんとにトモダチなの?」
  「うん。そーだべ?」
俯いてたやぐちがあたしの方を見ている。
    「それじゃーさ、矢口と吉澤と石川どっちが大切?」
  「・・・え?」
ちょっと何を言っているんですか?やぐちさん…。
やぐちはあたしにとって大切だしよっすぃーもりかちゃんも大切。
・・・・・選べない。
  「やぐちぃ…なっちにとってはやぐちももちろん大切だし
   よっすぃーもりかちゃんも大切なんだ。だから選べないよ」
やぐちはあたしの正直な答えにちょっと眉間に皺をよせた。
    「どっちかって言ったら?」
  「だ…だから選べないってぇ…何でそんな事聞くの?」
    「んー?ちょっとね。」
そう言ったやぐちは口元だけ笑ってた。そんなやぐち今まで見た事なくて
初めてコワイと思った。あたしはやぐちを見たまま何も言えなかった。
    
    
  
21 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月06日(火)03時52分54秒
    「どしたの?」
何も言えなくて黙っていたあたしを不思議そうに見てるやぐちは
さっきのやぐちと全然違っていつもみたいに笑ってた。
  「な、何もないよ?」
    「そう?」
 クーラーの音だけが響いてて大きく聞こえる。コップの中の氷も
ほとんど水になりかけてて「キュー」と小さく音をたてている。

 さっきのやぐちは気のせいだろうか?
すごく真剣だけどどことなく楽しんでいるような目をしていた。
ちらっとやぐちの方を見ると口をとがらせて何か考えている。

    
    「ねぇ、なっちぃー?」
考え事をしていたやぐちが急にあたしの方を向いた。
  「なに?」
    「考えたらどっちが大切って聞かれても困るよね。ごめんね。」
  「あ、ううん。そんなの別にいいべ?」
    「んでね、聞きたいんだけど矢口が死ぬのと
     吉澤と石川が死ぬのってどっちが悲しい?」

あたしは言葉を失った。どっちが大切かって聞かれるより
こっちの方が困るんですけど・・・やぐちさん?
     
     
22 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月06日(火)04時04分57秒
  「・・・え?何て言ったの?」
    「だからぁ、やぐちが死んじゃうのと
     吉澤達が死ぬのどっちが悲しい?って聞いたんだよ」
・・・やぐちが何を考えてるのか全然わからなかった。
どっちかが死んじゃうとか誰かが死ぬなんて事考えた事もなかった。


 何となく思った。『よっすぃー達が死んじゃうよりも
やぐちが死んじゃう方が悲しいよ。いっぱい泣いちゃうよ?』
って一言言えばやぐちの気はすむんじゃないか?
 本当はどっちが死ぬのも悲しいし誰が死んでも泣いちゃうけど
今はあえてやぐちのために嘘をつこう。それでやぐちの気がすむのなら…。
よっすぃー…りかちゃんごめん!!―と1言心の中で謝った。
 やぐちはじっとあたしを見ながら答えを待っている。


23 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月06日(火)04時28分27秒
  「よっすぃー達が死んじゃうよりも
   やぐちが死んじゃう方が悲しいよ。いっぱい泣いちゃうよ?」
    「そっかぁ・・・」
あたしは見た。あたしが出した答えに喜んで嬉しそうに笑っているやぐちを。
コレでよかったのかな…?コレで本当によかったのかなぁ?
    「よかった。安心した。それじゃ、矢口帰るね。」
やぐちはそう言うと立ちあがってドアに向かって行った。
  「も、もう帰るの?送っていこうか?」
    「別にいいよ。」
靴をはいてあたしの方を向くといきなり首筋に抱きついてきた。
背伸びしてるからやぐちとの目線が同じだ。
  「ちょっ、いきなり何?」
    「へへっ。やぐちを選んでくれたって事は
     吉澤達が死んでもいいって事?」
  「…はっ!?そんなわけな・・んっ…」
『そんなワケないっしょ!?』って言おうとしたらいきなり唇をふさがれた。
  「や…やぐち!もう!」
    「い〜じゃん!そいじゃーね。」
文句を言うヒマもなく帰ってしまった。やぐちが帰った後には
唇に残ったちょっとのぬくもりとコップの中の
溶けた氷の水だけが残っていた。それとやぐちが言った言葉。

  
24 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月06日(火)04時39分10秒
    「よかった。安心した。それじゃ、矢口帰るね。」
    「矢口を選んでくれたって事は吉澤達が死んでもいいって事?」
やぐちは何を考えてるんだろう?『安心した』って…
聞いた時は何も思わなかったけど、今考えると何か引っかかる。
それに『吉澤達が死んでもいいって事?』って…そんなワケない!
あたしはよっすぃー達が死んでもいいなんて1言も言ってないし。
やぐちはそんな事思ってるのかなぁ?まさかねぇ・・・
 
 何かその時すごくイヤな予感がした。
   

   

25 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月06日(火)04時45分43秒
更新終了!そろそろ矢口さんやばいかもしれません…。
コワイと思います…。黒いっていうんかなぁ?

>17読んでる人様!
レスありがとうです!!
何か続き期待していただいて嬉しいです。
頑張ります!


26 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月06日(火)11時41分07秒
もしなっちが別な答えをしていたら・・・
未来も変わってたんでしょうね・・・。
27 名前: 投稿日:2002年08月07日(水)16時11分33秒
や、矢口が黒いです。
殺しちゃうくらい好きなのですね〜。
でも、すごく面白そうなので、期待してます!
28 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月08日(木)21時53分52秒
読んでるぞー♪
おもしろいぞー♪
続きが楽しみだぞー♪
29 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)01時35分05秒
    「…ははっ・・あはははっ!!最高だね」
薄暗いエレベーターの中、さっきのなっちの「答え」に笑いがこみあげてくる。
あいつらが死ぬより矢口が死ぬ方が悲しいんだって。泣いちゃうんだって。
って事はあいつらが死んでも矢口が死ぬよりましって事だよね?
悲しくないって事だよね?泣かないって事だよね? 

口元が緩んで仕方ない。
さっきなっちの唇をふさいだ自分の唇を舌でなぞった。
    「明日は最高の日になりそうだよ?ねぇ、なっち…」
その時ちょうどエレベーターが下へ到着した。
30 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)01時48分44秒
なっちの家から駅に行くために歩いてる時もずっとさっきの事を考えてた。
今まで迷ってた気持ちになっちの「答え」のおかげで
やっと決心がついた気がした。


駅に着いて電車の時間を見てたら不自然に半分だけ扉が開いている
コインロッカーを見つけた。他のコインロッカーは閉まっているからか
そのコインロッカーが目にとまった。
何となく気になって開くと紙で包まれた何かが奥の方におかれてた。
その何かを手に持った瞬間「形」で包まれている中身が分かって
それを鞄の中へ急いで入れて電車に飛び乗った。



31 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)02時04分06秒
 家に帰って何かを包んでいる紙を破ると
自分の想像していたモノが目の前にあった。
黒くて少し重くてこのサキを相手に向けて大きな音をならすと
みんな何でも言う事聞いてしまうようなモノ。
これがなぜ駅のコインロッカーに
入っていたのかとかそんな事どうでもよかった。
とてもドキドキしてこれから起こる事にワクワクしてた。


 明日。明日になればなっちの全ては矢口のモノだよ?
あいつらがいなくなればなっちの瞳は矢口しかうつらなくなるよね?
これでいいんだよね?矢口はまちがってないよね?
 そう思いながら「黒くて少し重いモノ」を鞄に入れた。
32 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)02時28分43秒
1日1日に値段をつけてみましょう。
明日は?昨日は?1週間前は?それでは今過ごしている今日は?
高額な日もあれば低額の日もあるでしょう。
どんな1日にするかは自分次第。

    「今日は最高の1日にしてやるよ。
     100万くらいじゃ買い取れないような一生忘れられない1日に…」


「明日」になった。天気はすっきりしない天気の曇り。
いつもより早くに目が覚めてしまっていきなり鞄の中を見た。
それがちゃんとある事を確認して安心する。
 迷いなんかはない。戸惑いもない。
なっちの全てが矢口だけのモノになるなら何にだってなってやる。

顔を洗っている時でも
髪を整えている時でも
朝食をとっている時でも思ってる事は「今日」の事。
ワクワクする気持ちは昨日よりも大きくなっている。
出かける前にもう1度、鞄の中を見た。笑いがこみあげてくる。
そして今日という日を最高の日にするために家を出た。
33 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)02時47分17秒
休憩時間とかにあいつらがなっちと話している姿を見かけた。
もう前のような嫉妬やら何やらそういう感情は起こらない。
なっちの友達だって理解したから?……チガウ。
なっちが大切だって言ったから?……チガウ。
 あいつらは今日でここからいなくなるんだよ。
 矢口の手でそうしてあげるんだ。
あいつらがそうやって楽しそうに話しているこの時間も今日で最後だから。
今日で終わりだから。矢口が終わらせてあげるから。
 未来もない。明日もない。あるのは今日という日だけ。

それを考えるとあいつらがなっちと
話してても嫉妬なんか起こるワケがなかった。

34 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)03時22分51秒
命に値段をつけてみましょう。
家族は?恋人は?自分自身は?
今すれ違ったアカの他人は?
高額な人もいれば低額な人もいるでしょう。
どんな一生を過ごすかは自分次第。

    「後悔しないような人生にしてやるよ。
     今から矢口がする事は絶対まちがってなんかない。
     あいつらは値段をつける価値もないような奴らなんだから」


やっと6限の授業が終わった。授業中はまだ少しは明るかった空も
ひと雨きそうな雰囲気がする空模様になってきた。
まぁ雨に濡れたってよっすぃーが横にいてくれたら全然構わないんだけど!
「寒くない?」…とか言いながらそっと暖めてくれたりするの!!
あ!もちろん暖めてくれるのはカ・ラ・ダ…!!!
って何、雨に濡れる事を期待してるんだろ〜!?
何、変な妄想してるんだろ〜!?違う違う!!
…でもでも雨に濡れたよっすぃーもきっとかっこいいと思う…
ちょっと見たいなぁ…


35 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月09日(金)03時29分46秒
「あ、矢口さんだぁ…」
「……え?」
よっすぃーの言葉で我に返ると矢口さんが校門の前で立っていた。
小さいのに明るい髪の色で目立っている。
かわいらしい人だと思うけど何となく苦手…
安倍さんにはすごく優しいらしいんだけどなぁ…

挨拶くらいしようと矢口さんの所へ行くと
    「2人を待ってたんだよ」
すごく意外だった。あたし達に話があるらしい。
「いいですよ。じゃーどっかいきましょうか?」
よっすぃーがそう言うと矢口さんは笑って
    「あんまり人に聞かれちゃヤバイからさぁ…
     矢口について来てよ」
そう言いながら歩いていく矢口さんにあたし達はついて行く事にした。

36 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月09日(金)03時43分49秒
更新終了!今回はちょっといしよし入りで(笑)
こういう妄想しまくりな石川さん好きです。
でもその幸せは短いんですけどねぇ…

>26読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
なっちがあの時そう言わなければ矢口もやらなかったと思うんですが…
全然違う事になってたと思いますよ〜!

>27茜様!
レスありがとうです!
矢口黒いですかねぇ…??でもまだまだ黒くなりますよ(笑)
独占欲が強すぎます…矢口さん(笑)
続き期待してくれてありがとうです。頑張ります。

>28名無し読者様!
レスありがとうです!
読んでくれててほんまありがたい!
おもしろいと言ってくれてほんまありがたい!
続き楽しみと言ってくれてほんまありがたい!
とにかくありがとうです(笑)

次の更新で矢口さん暴走しますんで…
ちょっと…いや、相当黒いと思います。
37 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月09日(金)14時59分33秒
狂気のヤグタン(・∀・)イイ!
38 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)02時36分42秒
矢口さんの後ろを歩き始めてどれくらい経ったのかわからない。
学校から離れて人通りのない路地裏のような所を歩いている。
パラパラと肌で感じるくらい雨が降り始めた。
矢口さんは何も話さずただあたし達の前を歩いている。
「矢口さ〜ん、雨降ってきましたよ?」
よっすぃーが薄暗い灰色の空を見上げながら言うと
    「話すぐ終わるから」
あたし達の方を見ないで矢口さんは言った。

 そして雨はどんどん強くなっていった。
39 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)02時50分41秒
    「ここでいいかな…」
そう言って矢口さんはあたし達の方に振り向いた。
そこは路地裏の奥の奥って感じのトコで街灯が1つと
ビルの壁ではばまれていて暗い。
まわりはゴミ缶とゴミ袋がいくつかある。
こんな所まで来てどんな話をするのか
あたしもよっすぃーも全くわからなかった。

「矢口さん…それで話ってなんですか?」
3人共雨に濡れながら向かい合っている。
あたしがそう聞くと矢口さんは
    「うん。あのさぁ、死んでくれない?」

「え…?」
    「あれ?雨の音で聞こえなかった?死んでくれない?」

冗談に言ってるけど、笑いながら言ってるけど、目は全く笑っていない。
それどころかあたし達をずっと睨んだままだ。
 あたしは口を開けたままで矢口さんの言った言葉が
頭の中をぐるぐるとかけまわっていた。
よっすぃーも呆然と立ち尽くしている。

40 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)03時00分58秒
何も考えられない。雨が冷たいとか少し寒いとかそんな事も考えられない。

「何でですか?何で死ななきゃいけないんですか?」
呆然としていたよっすぃーが矢口さんを少し睨みながら言った。
    
    「君ら2人がいると邪魔だから。」
矢口さんもそんなよっすぃーをまっすぐ見てはっきり答える。
 雨粒がゴミ缶に当たって少しうるさい。
さっきまで結構降っていた雨も段々弱まってきた。
あたしはただよっすぃーの横で2人を見ていた。


41 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)03時28分10秒
「死んでって言われて死ぬわけないじゃないですか!?
それとも矢口さんがあたしと梨華ちゃんを殺すとでも言うんですか!?」
よっすぃーの握りしめていた手が震えているように見えた。
あたしは未だにこの状況が理解できずにずっと呆然としていた。
    

    「うん。殺すよ?」
そう言いながら何かを鞄の中から出した。
ソレを見た瞬間本当に本気で殺すつもりだと実感した。
声も出せない。全身に一気に鳥肌がたった。
雨は弱まって静かになっているのにあたしの鼓動は
どんどん音が大きくなってバクバクいっている気がした。
  あたしもよっすぃーもその場から逃げようと片足を後ろにずらした。
 


   
     
42 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)03時51分50秒
片足をずらして逃げようとした瞬間……
    「動くな」
飛びあがるくらいに矢口さんの声に驚いて
あたしもよっすぃーも止まった。

黒光りしたソレをあたし達にまっすぐ向けてこっちに近づいてくる。
そしてソレの先をよっすぃーの額に当てた。
    「動いたらマジ引くよ?」
見ているあたしも向けられているよっすぃーも
声も出せずに目線を下に落としていた。
 怖い。本当に怖い。自分が死ぬかもしれないという怖さも
もちろんあったけどそれよりもよっすぃーの額にソレを向けて
笑っている矢口さんはもっと怖いと思った。
しかも今まで見た事もないような笑顔だった。

体中が熱くて汗がダラダラと流れる。
「や、矢口さんの邪魔を…した覚えなんかないんですけど…」
よっすぃーが先を向けられた状態で下を見ながら言った。
    「この一発撃った後で生きてたら教えてあげるよ」
笑いながら言っている矢口さんが急に真面目な表情になって
    「バイバイ。生まれ変わってもなっちの前には現れないでね」
左手でヒラヒラと手を振りながら言った。
 
 



     

43 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)04時09分46秒
よっすぃーは思いきり目をつぶっている。
あたしはそんな2人の間に何も考えずに飛び出した。

よっすぃーも矢口さんも驚いていた。
あたし自身もワケがわからなくなっていた。
「り、梨華ちゃん!?」
あたしの後ろでよっすぃーがあたしを呼んでいる声がした。
でも何も答えられなかった。振り向けなかった。
目の前のこの人から目を離すといけない気がしたから。
あたしは矢口さんを見つめた。
怖くて怖くて仕方なかったけど、震えてたけど両手を広げた。
    「何?それ、どういう意味?」
「あ、あの…その…」
何とか説明しようとした瞬間…
あたしの額に冷たいモノを感じた。それはまぎれもないモノで。
    「まぁいいや。撃ち貫くから」
矢口さんは平然とした顔で笑っていた。あたしは唇をかみ締めた。
後ろでよっすぃーが何か言ってる気がした。
でもあたしは聞かないでぎゅっと思いきり目を閉じた。
ガクガク全身が震えて鳥肌がたっていた。

    「バイバイ。生まれ変わってもなっちの前には現れないでね」

そう聞こえた瞬間……時間が止まった。


44 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月21日(水)04時39分10秒
一瞬。ほんの一瞬の出来事だった。
目の前には赤いドロドロしたものを流した2人がいた。
    「うわ…骨に響くねコレ」
コレが第一声だった。ビリビリと右手が痛かった。
後ろへ吹っ飛ばないだけましだ。何とか耐えれた。
ソレを左手で持って右手を握り締める。そして2人を見る。
自然と笑えてきた。
    「あははっ…はは……!」
声を出して笑った。矢口が思っていた事が本当になって
2人が今こうして、こうなって、ここにいる。
最後の2人の表情。最高だった。
ここに連れて来た時から笑いが止まらなかった。
思い出しながら唇を軽く噛んで鞄にソレを入れた。

そして静かに歩き出した。気分はすっきりしていて最高だ。
明日は今日よりもずっといい日になりそうだ。


 2人が見つかるのにはそんなに時間がかからなかった。
日付が変わるまでにニュースでやっていたから。
そしてなっちから泣きながら電話がかかってきたのは
日付が変わってからだった。矢口はすぐになっちの家へと急いだ。
45 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月21日(水)04時49分20秒
ヒッサビサの更新!でもちょっとだけなんですけどねぇ…
これからもっと早く更新していきたいと思います。

>37名無し読者@ヤグオタ様!
レスありがとうございます!
ちょっと狂気すぎますかねぇ…?
でもこれからもっと狂気化していくんです(笑)怖いかも。

暗いとか黒い系なんで甘い甘い楽しい感じのやつがめちゃ書きたいです。
短編でもいいから書こうかなぁ…これもやっぱりなちまりで(笑)
46 名前: 投稿日:2002年08月21日(水)10時44分18秒
とうとう始まりましたね〜、矢口さんの暴走が!
これからもっと起こるんでしょうか?
楽しみに待ってます!
47 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月21日(水)13時24分19秒
読んでて、なんかゾクゾクしますね。
続き楽しみです。

甘い短編(?)なちまり・・・是非書いて下さい。
48 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)02時24分37秒
ひどく動揺していた。困惑して何が何だか分からないでいる。
    矢口は死んでないよ?
    矢口は元気だよ?そばにいるよ?
    なっち…ナンデナイテルノ?
    あいつらが死んだから?だから泣いてるの?
あいつらが死んでも悲しくないって、泣かないって言わなかった?
矢口が死ぬ方が悲しくて泣いちゃうんでしょ?

頭の中をぐるぐるといろんな事が駆けまわる。
ただ泣いているなっちを抱きしめていた。
なっちがいつもより小さく思えた。
49 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)02時33分23秒
なっちのマンションまで走ってきてドアを開けるといきなり抱きつかれた。
矢口の胸の中でボロボロ泣きじゃくって何も言えないくらい泣いていた。

部屋に入るとTVがついていた。あのニュースをやっている。
まぁ矢口達には関係ないけど。
矢口はとりあえずなっちとソファに向かい合うように座った。
    「どしたの?何で泣いてるの?」
泣きすぎて真っ赤になっているなっちの目を見て言った。
なっちは何も言わないで前の方を指さした。
指をさした方向にはTVがあった。
50 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)02時46分55秒
…え、何?TV?
TVにはまだあのニュースが流れている。矢口達には関係ない事だ。
    「テ、テレビがどうしたの?」
何も考えられなかった。
「よ…っすぃー・・と、りかちゃ…んがぁ…」
    「うん」
「し、しん…死んじゃ…った……」
うん。知ってるよ。矢口の目の前で死んだから。矢口がそうしたから。
    「そうだね。でも…な・・っちが泣く事じゃないんじゃない?」
何を泣く必要があるの?関係ないじゃん?矢口がいるじゃん?
「友達…だもん」
そう言ってまた矢口に抱きついてきた。
矢口の黒いTシャツをギュッとつかんで泣いているなっち。
そんななっちを見て
大変な事をしてしまったのかもしれないとようやく気付いた。
51 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)03時05分55秒
『よっすぃー達が死んじゃうよりも
 やぐちが死んじゃう方が悲しいよ。いっぱい泣いちゃうよ?』
そう言ったから。そう言ってくれたからいいと思った。
なっちが泣かないのなら…そう思っていたけどあの2人がいない今
なっちは思いきり泣いている。矢口の胸の中で。
泣かせたのは誰でもなく矢口本人だ。

    「なっち…泣くなよぉ。なっちが泣いたら矢口も泣くよ?」
頭を抱くような感じでギュッと抱きしめてポンポンと2、3回軽く叩いた。
思いきり泣くのを我慢しているような
押し殺した声とTVの声だけが部屋全体に響く。

確かになっちの声で後押しされて行動したのもあるけどほぼ自分の意思だ。
結果的には矢口自身すっきりしたし正直あのはりつめた空気と
撃った後の感覚がたまらなく心地良かった。ゾクゾク背中を何かが走る感じ。
ビリビリくる右手。倒れる2人。真っ赤な液体。
思い出すだけでどうにかなりそうだ。

52 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)03時20分34秒
友達って言ってたから、そりゃ本当に死んだらちょっとくらい
泣くかなとは思っていた。でもここまで泣くとは思っていなかった。
そんなに友達のあの2人が大事?そこまで泣く?
なっちの声を信じてやってしまった矢口の行為。
でもやるんじゃなかったとかいう後悔とか
ごめんなさいとかいう謝罪の気持ちは全く思わなかった。
反対に「人のモノに近づき過ぎだ、バーカ」くらい今でも思っている。

    大丈夫。矢口がもっとずっとそばにいるから。
    この涙もぬぐってあげるから。
    寂しいなんて思わせない。


しばらく経ったら大分おさまったようだった。
目は真っ赤でまだすすり泣きとかしゃっくりが
出てはいるけどさっきよりは全然ましだ。
矢口はなっちの肩を抱いて手を握っていた。
なっちはじっとTVのブラウン管から目を離さないでいる。
矢口も目線をなっちからTVへとうつした。
53 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)03時43分59秒
TVにはあの2人の写真や現場などがうつされていた。
なっちの方を見ると悲しそうに真っ赤になった目でじっと見つめていた。

「何でこんな事する人がいるんだろ…?」
少し嗄れた声で矢口の肩にもたれてきて言った。
    「さぁね。その人にもちゃんとしたワケがあるんじゃない?」
矢口はなっちの肩を抱いていた手をなっちの頭に移動させて撫でながら言った。
本人が言ってるんだから間違いない。でなきゃこんな事するもんか。
「どんな気持ちで死んでいったんだろ…?」
    「さぁ?」
それは知らないね。殺された本人しかわからないよ。そんな事。
「やぐちはどう思う?」
矢口の方を向いて言った。どうって…
    「噛みつかれたんじゃない?あぁ…でもやっぱアレだね。
     人間も動物なんだねぇ」
「……え?」
そう言ってなっちの方を見ると何か分からないけど呆然としていた。
    「ほら。縄張り荒らされたから噛み殺されちゃったとか。
     あははははっ!それじゃ本物の動物だねぇ」
なっちは矢口の言葉に動揺していた。見て分かるくらいに。

54 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)04時07分23秒
    「…どしたの?まさか矢口が殺したんじゃ?とか思ったぁ?」
「・・えぇ!?そ、そんな事ないべさ!」
なっちはやっぱり嘘つけないねぇ。声裏返ってるよ?

    「言っとくけど冗談だからね?ただ思っただけだって!
     あははははっ!なっち本気で騙されてるんだもん」
「ち、違う!あの、そうでなくてさ…」
ほら。言葉つまってるよ?マジで疑われてるなぁ。
でもコレはなっちと矢口の2人のためにやった事なんだよ?
なっちはそれから俯いてしまった。

    「それとも…矢口がマジであの2人をやったって思ってるの?」
さっきの笑い声や撫でていた手をやめて真剣に聞いてみる。
なっちもさっきの矢口と違う事に気付いたのかまた動揺してる。
「そ、そんな事思ってないべ!?やぐちがそんな事するわけ…ないっしょ?」
    「あったりまえだろ〜?」
髪をまた撫で始めて笑った。なっちも笑い返してくれた。

    分かった?矢口はなっちの事こんなに好きなんだよ?
    人殺すのも平気だよ?なっちのためなら何だってできるよ?
    今気付いた。これはなっちに対する矢口の意思表示なんだと。
           
55 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月23日(金)04時26分11秒
学校では大騒ぎだった。マスコミやTVカメラが何台も押し寄せて
校門で色々聞かれる始末。
矢口も何回かソレに捕まったけど適当にコメントした。
思ってもない事を。ていうかまさか犯人が矢口だと思ってないんだろうなぁ。
…なんて人事のように思ったり。
特にビクビクして行く必要もないし、もしそう行っていたら逆に怪しい。
だからいつバレるかとかそういうスリルを楽しみながら行っていた。
全く危機感はないんだけど。実際疑う人なんかいるわけない。
そういえばあの2人の机にはキレイな花が飾られているらしい。
それを飾る時次々とみんな泣いたらしいが矢口には関係ない事だ。


あれからなっちとは全然普通だ。もう疑ってはないみたいだし。
時々悲しい表情をしたりする事はあるけど矢口がいるから大丈夫。
あの2人がいなくなってもっといい感じだ。
学校でも割と一緒にいる事が多くなったし誰も邪魔する奴なんか現れなかった。


56 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月23日(金)04時39分14秒
更新終了!ちょっとだけ進めてみました。
今んとこは和んでるけど次からまた矢口さん狂いはじめます。
次もこれくらいに更新したいです。

>46茜様!
レスありがとうございます!
矢口さん暴走化計画始動です(笑)
この暴走はあと少しだけ続きます…
最後あたりがちょっと怖いと思います(多分)

>47読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうございます!
ゾクゾクしていただけたら嬉しいですねぇ!
それが一応狙いなんで(笑)
これからまだゾクゾクすると思うんで!

夏休みまでに完結させたいので急ぐ予定です。
あと、短編なんですけどホンマにいいんかなぁ…?
この話と相当雰囲気違うんですけど…
57 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月23日(金)21時17分19秒
次からまた矢口が狂いはじめるんですか。
矢口の狂いっぷりを楽しみにしてます(w

短編、是非読みたいです!!
58 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)01時56分17秒
「テトラポーットのぼーってぇ、てーっぺん
 先にらーんで宇宙にくーつとーばそう―――!!!」
堤防からテトラポットに飛び移って上機嫌。
やぐちの歌声が海に吸い込まれていく。
 なぜ日が暮れて空がオレンジに染まるこの時に
こんなトコロにいるのかというと……すべてはこの一言から。

「何かさぁ…初々しいデェトがしたいね!」
「…え?」
初々しいデェト→海→『堤防デェト』……
やぐち曰く。
「夕暮れに染まった海を恋人同士で見る。(しかも見る場所は堤防!)
これ以上に初々しいデェトはない!」……らしい。
「やだ」とか断るヒマもなく決定した。(勝手に)
やぐちの悪い所は暴走し始めたらなかなかブレーキがかからない所。
…もうあたしにも止められない。
59 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)02時08分07秒
「あたしがあなたのほーほにぃ、ほぉーずりすると
2人の時間は止ーまーるー、好きーよーあぁーガールフレーンド!!」
やぐちの明るい髪色が夕陽のオレンジと混ざり合ってまぶしい。
目をうすめてやぐちを見ると歌いながら(わざわざ少し歌詞を変えて)
あたしに向けて手を差し伸べている。
「危ないよ?よそ見してて海に落っこちても知らないべ〜?」
「大丈夫!大丈夫!お手をどーぞ?」
その手をとってあたしもテトラポットへ…
足場が悪くてバランスがとりにくい。
「もっと先の方行こ!早くぅー!」
「…ちょっ、ホント危ないってぇー」
ぐいぐいつないだ手を引っ張られて先へ行く。
下を見るとすぐそこは海。はっきり言って…コワイ。
でも遠くの方を見ると夕陽が沈みかけてて
海へと溶けていってるみたいできれい。
やぐち自身も何もかも全部オレンジに染まってて…
60 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)02時26分02秒
「たまには海見るのもいいね…」
手をつないだままじーっと海の方を見ていたやぐちにつぶやく。
「…だろぉ?すっごい久しぶりだよね」
「そだね」
ザザーッていう海の音も何だか心地良い。
少しだけ吹いている風も何だか心地良い。
こういうデェトもなかなかいいもんだ。

「あぁ〜〜!やっぱかわいー!」
「はぁ!?」
センチメンタルに溺れていたあたしにやぐちはいきなりぎゅっと抱きついた。
「そうやって海見てるとこも夕陽見てるとこも
 真っ赤な空見てるとこもみ〜んなかわいい!」
「いや…見てるだけっしょ!?そんな動作しかしてないし!」
「それでもカワイイ!」
そんな事を言いながらやぐちがあたしの立っているテトラポットに寄って来た。
「それはいいけどそんなに寄ってきたら、ほ…ほんと落ちそう…」
「落ちる時も一緒だよ。何があっても1人はさせな…」
その時。
「うおぅ!?」 「え…ちょっ……!!!」
ワケがわからない声を出しながら海へ…
水の音が鳴ったと同時に水しぶきがテトラポットにかかって行く。
61 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)02時40分34秒
濡れた顔を手で拭いてやぐちがいるであろう場所を見ると…
……いない。あれっ??まさか沈んだまま!?やぐち泳げなかったっけ!?
一気に心配になって呆然としていたら
「あははははっ!!!マジ落ちてるし!最高っ!
 こんなデェト2度とないよ!?すげー!なっち、おいしい!」
…え?上の方から声が…?
あたしがさっき立っていたテトラポットを見るとそこには
手を叩きながらキャーキャー騒いでるやぐち。
どうやら落ちたのはあたしだけだったみたい。

何?そりゃやぐちが落ちるよりあたしが落ちた方がいいよ?
やぐちに冷たいとか寒い思いしてほしくないし?
それに風邪とかひいたら大変だし?
でも…何?少しは「大丈夫?」とかそういう言葉かけてくんないの?
それに…落ちる直前に言ったっしょ?
『落ちる時も一緒だよ。何があっても1人にはさせない』って。
(最後の方は途切れちゃったけど「い」だけだもん。
 言いたかった事はコレっしょ!?)
あれ。あの言葉はウソだったわけ?
しかもあたしが落ちて最初に出た言葉…
「最高」とか「すげー」とか「おいしい」って…
(おいしいって何さ!?)
ムーカーツークー!!!






 
62 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)02時47分14秒
「あはははぁ〜!あぁー笑い疲れた!なっちぃー大丈夫かぁ?」
やっと出てきた「大丈夫」っていう言葉。
でもかなり笑いながら、半ばバカにしたような。
それがもっともっとムーカーツークー!!!

何とか海から上がってこれて
(やぐちは見てるだけで助けてもくれなかった)
そのままやぐちの家に行く事になった。
 その間(海に上がってきてから)会話一切なし。
やぐちもあたしの態度で何となく感じたみたいで話しかけてこない。
63 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)02時59分48秒
「バカ」 「さっきから謝ってんじゃん?」
「何?その言い方!?」 「あ…い、いやー…」
さっきからこういう会話しかない。
不機嫌最高潮の安倍さんはブツブツと文句を言いながら
どかっと音をたててベッドに座った。
タオルで頭をぐしゃぐしゃと乾かしながら
「はぁ…」と深ーい重ーいため息。
下僕+雑用兼パシリの矢口は何も言わずちょこんと
静かにソファに肩身せまく座った。(一応矢口の家なんだけどね)
「フゥ…」と出てしまったため息。
恐る恐る右斜め45度の安倍さんがいらっしゃるであろうベッドを見る。
「バチッ」と目が合った。何も言わずそらされた。
あ〜…超こわいっす。
64 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)03時12分59秒
怒る理由は十分承知だ。
だって落ちるって思った瞬間、抱きついてたのに
とっさの動作で離しちゃったから。
落ちそうだったけど何とかこらえられて落ちなかった。
気付くとなっちは海の中。離しちゃったのも悪かったけどそれから
笑っちゃったのも悪かったんだよなぁ。
海から上がってきた時にはもう完璧できあがってて…
一言も口を聞いてくれなかった。

でもなっちには内緒だけどかなりおもしろかったんだってば!
相当笑えた。思い出すだけで…あはは…
 って思い出してると自然に笑えてきてそれも表情に出てたみたいだった。
声は出さなかったんだけど(必死でこらえた)肩が震えてたみたいで…
気付いて右斜め45度を見ると呆れたような怒ってるような安倍さんの顔。
ヤバイヤバイヤバイっす!
65 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)03時21分31秒
「テ…テレビつける?」 「いらない」
「し…CDとか聞く?」 「いい」
「そ…それじゃー…」 「別に何もしなくていい」
「………はい」
ご機嫌とりはことごとく失敗。この重ーい空気、何とかしたい。

「さむい」 「へ?あ、そう??」
「海に入ったからだろうけどね」 ―グサッ。
「あ…あったかい飲み物だそうか?」 「いいです」
「そ…ソウデスカ…」
会話の1つ1つが心に刺さってなかなか治らない。
依然ご機嫌ななめの安倍さん…
少しでも治してもらおうと勇気を出してソファからベッドに移動。
66 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)03時35分29秒
もう1つ勇気を出して…
「あ…あのさ」  「何?」
「ご、ごめん。その…別に自分だけ助かろうと思ってたとかじゃなくて
 つい…とっさに、離しちゃった…んだ」
「だから?」
「え!?だ、だからぁ…ごめんなさい。矢口も落ちればよかったんだよねぇ…
 あはは〜…」
言い終わって深ーく頭を下げる。なっちの反応は…
「別にやぐちも落ちればとかそんなの思ってないし」
…「え?」
「そりゃやぐちが落ちちゃうよりなっちが落ちた方がいいべ?
 やぐちに寒いとか冷たいとかそんな思いしてほしくないもん」
ど…どゆこと!?
「じ…じゃー、何で?」
「……ちょっとは心配する言葉とかそういうものが
 あってもいいんじゃないかなって思っただけ」

ちょっと拗ねたように言ってるなっちはかわいい。
しかもやぐちの事こんなに心配してくれて…すっごい嬉しいんですけど。
すっごい…すっごい抱きしめたいんですけど。
67 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)03時56分47秒
…とか思ってる時にはもう遅くて先に行動してた。
「ちょ…なっち怒ってるんだけど?」その言い方はもう怒ってないよ??
「だぁ〜ってぇ…かわいいんだもん!
 矢口の事こんなに思っててくれたんだぁ…嬉しい!」
ぎゅーってもっと強く抱きしめながら言った。
「だ…って、その…何だぁ…?」
なっちを見るとちょっと照れた感じでかわいかった。
「へへへ…ほんとごめんね?」
その照れたなっちを見ると嬉しくて…
「…落ちる時も一緒とか1人にはさせないとか言ってたくせに
 言った事守れなかったけど・・・仕方ないから許してあげる」
愛しくてたまらない。
「あ・・・ありがと…」(実は自分が言った事忘れてた)
68 名前:センチメンタルに溺れて。 投稿日:2002年08月25日(日)04時04分04秒
「そのかわりねぇ・・・」
なっちが何か言いだした。まさか無理な事言わないよね!?
「な…何?」
抱きついたまま、すぐ近くにあるなっちの顔を見ると…
「へへ…ちゅーして?」


「…いくらでも!」

センチメンタルに溺れて。
あなたに溺れて。
69 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月25日(日)04時16分14秒
ていうか短編じゃないでしょ?みたいな(笑)
しかもつながってない!あ〜…何となく分かってもらえば嬉しいです。
ちょっと調子のりすぎて(笑)すいません!!!
 でもでも…本編より書くのが楽しかったり(笑)やっぱ甘いのいいですね…

>57読んでる人@ヤグオタ様!
短編を唯一楽しみにしていただいているんで頑張ったんですけど…
すいません!土下座しますよ!これくらいしか書けなくて…
期待はずれっすねぇ。ほんますいません!!

調子のりまくりました・・・
次から正反対の痛!黒い!話の続きです。
70 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月25日(日)14時34分43秒
作者さん、短編どうもです!!
海に落ちたなっちを見て爆笑している矢口が、
ちょっとヒドイなと思いましたが・・・(w
でもなんか、ほほえましいお話で面白かったです。
また機会があれば甘いなちまりを書いて下さいね。

では、痛くて黒いなちまりの続きを楽しみにしてます。
71 名前: 投稿日:2002年08月25日(日)23時07分33秒
わ〜、甘々ですね〜。斉藤電気サマの書く甘々、とてもステキでした。

黒い矢口、楽しみに待ってます〜。
頑張って下さいね!
72 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)00時59分15秒
よっすぃーとりかちゃんがいなくなって2ヶ月が過ぎようとしていた。
段々と学校の先生や友達も何も言わなくなってみんなの記憶からなくなって
しまうんじゃないかとかそういう心配が頭をよぎっている。

あたしの方は実はまだ全然ふっきれてなくて2人の笑顔や会話1つ1つを
思い出しちゃうんだ。その度に泣きそうになる。
忘れる事なんてできないと思う。もうあの2人を見る事はないんだから。
 そんなあたしの気持ちに気付いてずっと一緒にいてくれるやぐち。
もし今1人だったら毎日泣きじゃくってどうしようもなかったと思う。
やぐちがそばにいてくれて本当によかった。やぐちと一緒なら笑っていられるし
泣きたい気持ちなんて忘れさせてくれるんだから。
73 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)01時14分38秒
 でも1つ心配な事がある。そんなハズないとは思ってもどうしても
「そうじゃないか?」と疑ってしまう。


    やぐちが犯人じゃないか?


やぐちの事を信じてないワケじゃない。でもやぐちの言葉が
あたしの心のどこかに引っかかってしまうのだ。
74 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)01時32分10秒
よっすぃーとりかちゃんが殺されたのはニュースで知った。
それを見た瞬間ずっと前のやぐちの言葉が浮かんだ。
そしてやぐちのためを思って言ってしまったあたしの一言も。


「矢口を選んでくれたって事は吉澤達が死んでもいいって事?」

「よっすぃー達が死んじゃうよりもやぐちが死んじゃう方が悲しいよ。
 いっぱい泣いちゃうよ」

まさか本当にやぐちがやってしまったんじゃないか?
そう思うと怖くて仕方がなかった。そしてあたしのせいでもあるんじゃないかと
あの1言を言ってしまった事をひどく後悔した。
それと共に涙がこぼれて頬につたっていくのが分かった。
75 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)01時42分32秒
やぐちがあたしの部屋に着いた時にはもう何も言えないくらい泣いちゃってて
やぐちに抱きつく事しかできなかった。
 よっすぃーとりかちゃんが亡くなった悲しみ。
 あたしが言ってしまった一言。
その全てが涙になってあふれてくる。
やぐちはそんなあたしを何も言わないで抱きしめてくれてた。


あたしとやぐちはソファに向かい合う感じに座って
あたしが泣いているワケを優しく聞いてくれた。
でも途中、変な所で会話がとまったりする。
涙でぼやけてあんまり見えなかったけど会話がとまった時のやぐちは動揺していた。
76 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)01時53分10秒
 しばらくしたら大分おさまって気持ちも落ち着いてきた。
やぐちの行動は優しかった。
でもやぐちの1つ1つの言動は怖かった。

あたしは1番聞きたかった事を思いきって聞いてみた。
「やぐちはどう思う?」


    「噛みつかれたんじゃない?あぁ…でもやっぱアレだね
     人間も動物なんだねぇ」

    「縄張り荒らされたから噛み殺されちゃったとか。
     あははははっ!それじゃ本物の動物だねぇ」
77 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)02時02分31秒
信じたくなかった。考えたくなかった。でも考えずにはいられなかった。

噛みつかれたよっすぃーとりかちゃん。


 噛みついたのは誰?


やぐちの言う「縄張り」があたしの事なら……



    噛みついたのは・・・やぐち?

2人がこんな事になってしまったのに悲しいどころか笑い飛ばしているやぐち。
何だか嬉しくて楽しそうだ。笑っているのは心からの気がする。
 そんなやぐちが怖くてあたしの方を向いて笑っているやぐちに鳥肌がたった。
78 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)02時25分45秒
    「…どしたの?まさか矢口が殺したんじゃ?とか思ったぁ?」
「…えぇ!?そ、そんな事ないべさ!」
・・・あ。声、裏返っちゃった…これじゃ「そんな事ない」って言っても
疑ってるのバレバレだ…
あたしの態度にやぐちが気付かないワケもなく「疑ってるんだ」口には
出さないけど表情で言っている気がした。
 そんな表情も一瞬で消えてまた笑いながら
    「言っとくけど冗談だからね?ただ思っただけだって!
     あははははっ!なっち本気で騙されてるんだもん」
「ち、違う!あの、そうでなくてさ…」
あたしは自分でも何を言いたいのか分からずとっさに否定した。
でもやぐちはそんなあたしを見て少し険しい表情をしていた。
髪を撫でていてくれた手も段々ゆっくりになっていく。
何か考えているような感じであたしを見つめていた。
 
79 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)02時38分05秒
    「それとも…矢口がマジであの2人をやったって思ってるの?」
ゆっくり髪を撫でてくれていた手も止まって
笑顔もない真剣な顔をしたやぐちが言った。
全然さっきと違って自分でも分かるくらい動揺してしまっていた。
「そ、そんな事思ってないべ!?やぐちがそんな事するワケ…ないっしょ?」
    「あったりまえだろ〜?」
止まっていた手もまた髪を撫で始めてさっきみたいに笑っていた。
それにつられてあたしも笑った。不安を抱きながら。

普通に笑いながら「やってない」と言えるやぐち。
本当にそうなのか。そうじゃないのか。
やぐちの事を信じたいけど信じられない。
そういう事をするまでやぐちの気持ちに
気付かなかったあたしのせいでもあるけど。

    
80 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)03時02分00秒
それ以来やぐちとは2人の話をしなくなった。
「しなくなった」んじゃなくて、わざと「しなかった」のかもしれない。
あたしの知らないやぐちの一面を見たくなかったから。
疑っていたけど不安だったけどやぐちを信じる事にした。
その瞬間を見たわけじゃないしやぐちがそんな事するハズないから。
そう思う事にした。深く考えたくなかった。
ただやぐちを信じたかった。

それから何も変わらない日が続いた。やぐちとあたしも変わらないで
ずっと仲いいし、幸せ。一緒にいる時間が学校で増えたから。
それ以外何も変わらなかった。
 
 ただ1つ変わったのは

新しい友達ができた事。
その子もよっすぃーとりかちゃんと仲が良かったらしい。
あたしが次の授業のために別の教室へ移動している時に
中庭のベンチに誰か座っていた。
茶色のストレートの髪が風になびいていてキレイだった。
その子はプリクラ帳を見ながら泣いていた。
そんなに近くから見ていないけどかなり分厚くて
ぎっしり貼っているプリクラ帳の中の1枚をじっと見つめている。
 あたしは次の授業があるのを忘れて思わずその子に近づいて話しかけた。

「ど、どうしたの?」

81 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)03時32分10秒
「えっ?あ、別に…」
あたしがその子の近くに寄って目が合った瞬間・・・
流れていた涙を急いでふいて平然を装った。
「大丈夫?泣いてたけど・・・?」
「全然大丈夫・・・ちょっと思い出してただけだから」
そう言って目線をプリクラ帳におとす。あたしもつられてプリクラ帳を見た。
指で少し触っているプリクラを見るとそこには
その子とよっすぃーとりかちゃんが仲良さそうにうつっていた。

「よ…っすぃーとりかちゃん・・・?」
あたしがそう言ったのに反応していきなりあたしの顔を見た。
授業の始まるチャイムが鳴っている。
「知ってるの!?」
その子の声がチャイムに重なっていて聞きづらい。
「え?あ、うん。結構、仲良かったから」


それからいろいろ話した。
よっすぃーとりかちゃんの事。
あたしの事。その子の事。
お互い名前も聞かずに話しつづけた。


その子とよっすぃーとりかちゃんは幼なじみらしくて
いつも3人一緒で仲がよかったらしい。
そしてさっきからずっと見ていた1枚のプリクラが
あの2人が亡くなる3日前に撮ったプリクラらしい。
82 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)04時05分07秒
「このプリクラが最後になっちゃったなんて…信じられないよ」
「・・・うん」
それから喋らなくなってしまった。
あたしの思いなんかよりその子の思いの方がずっと深くて重くて切ない。
 その子の思いを考えると自然と涙が出ていた。

「ど、どうしたの!?何で泣いてるの!?」
あたしが泣いているのに気付いてその子はかなり慌てていた。
「だ…って何か、切な…くてぇ」
「えぇ〜!?だ、大丈夫?」
涙をふきながら思う。
あの日、この子はあたしよりももっと泣いたんだろうなぁ。
こんなにも悲しい思いをしている人がいるんだ。
みんな忘れてるとか記憶からなくなっているとかじゃない。
忘れる事なんかできない。みんな同じだ。

「な、何か心配して声かけたのに逆に心配されちゃったね…ごめんね?」
しばらくしてその子の座っていたベンチの隣に座らせてもらった。
「あはははははっ!そんな事全然いいよ〜?
 そういえばもうすぐ授業終わるかも…」
その子の声で気が付いた。授業・・・初めてさぼってしまった。
「あ・・・そうだったね〜。すっかり忘れてたよ〜」
そう言った瞬間終わりのチャイムが鳴った。
83 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)04時27分49秒
その子はプリクラ帳を鞄にしまってベンチから立った。
「そろそろ行こっかなぁ〜…それじゃーね、楽しかったよ!」
「あたしも楽しかった!ありがとう」
あたしに手を振って校舎に入って行く。

その姿を見送っている時・・・大事な事に気が付いていきなり呼びとめた。
「ちょ、ちょっと待って!」
あたしの急いだ声に驚きながらこっちを向いている。
「・・・なに?」
「名前!教えてなかったから。安倍なつみ。なっちっていうんだ」

「あたしは後藤真希。ごっちんって呼んでよ」
笑いながらそう言って校舎へ入って行った。


それがきっかけで仲よくなった。
見かけると話かけたり、ごっちんがあたしの教室へ来たり
あたしもごっちんの教室へ行ったり…
あたしはどこかでごっちんと話す時
よっすぃーとりかちゃんを思い浮かべていた。

あたしとごっちんが仲良くなり始めてた頃。
昼。屋上でお弁当を食べていた時・・・
    「ずいぶんとご機嫌じゃん?」
友達が1人増えたせいか最近あたしは妙に機嫌が良かった。
そんなあたしにやぐちが気付いて言った。
84 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月27日(火)04時45分10秒
「うん!最近ちょっと嬉しい事があってねぇ〜」
えへへ。って笑うあたしを見てやぐちも嬉しそうだ。
    「嬉しい事〜?何だよぉ?」
「えへへ。聞きたい〜?あのね、新しい友達ができたの!」
右手で持っていた箸をブンブン振って喜びを表す。
きっとやぐちも喜んでくれるだろう・・・そう思ってやぐちを見たら

    「・・・トモダチ?」

少しムッてした気がしたけど気のせいだと思った。
友達できたって言って喜ばないワケないもん。
「うん!今度ねぇ〜遊びに行く約束しちゃった!」
    「ふ〜ん・・・」
喜んでいるあたしから目を離してやぐちはメロンパンを食べ始めた。
怒っているように見えるのは気のせいだよね…?

それからあたしはごっちんの事を話し続けた。
やぐちはあたしの話に
「ふ〜ん」とか「そう」とか「よかったね」しか言わなかった。

「それでね、ごっちんね・・・」
    「もう、いいよ。もう分かったから」
「えっ?…やぐち、どこ行っ・・・」
    「・・・・・・・」
食べ終わったメロンパンの袋をグシャグシャにしてやぐちは
屋上から出て行ってしまった。



85 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月27日(火)05時04分04秒
更新終了!ごとーさん登場です!
喜ぶなっちさん。焦るやぐちさん。
もう最後くらいは和んでないですけどねぇ…

>70読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
いや、始めは矢口さんも一緒にダイブする話を書いてたんですけど
ちょっと変えてみようかなぁ…と思ってわざわざ変えました(笑)
確かにヒドイ!でも何となく分かっていただいてありがとうございます!

>71茜様!
レスありがとうです!
ステキだなんてそんな…そんないいもんじゃないですよ!?
話全然まとまってないし…でも言ってくれてありがとうございます!
それにしてもこれって甘々なのか・・・?

レスってありがたいなぁ…って思いますほんまに(笑)
ありがとうございます。次からごとーさん行動開始!
やぐちさんやばいかも。
あと短編ですけど(笑)あんなのでいいんかなぁ…
また機会があったら書きたいですけどねぇ(笑)

86 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月27日(火)16時33分01秒
後藤が行動開始?
矢口がヤバイ?
う〜ん、何がおこるんだろう・・・。
87 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)02時08分51秒
幸せは長くない。

どうやら邪魔者がまた近づいてきたようだ。
なっちが嬉しそうに「友達」と言った人は矢口にとってはただの「邪魔者」でしかない。


 「ごとうまき」確かなっちは「ごっちん」と呼んでいたっけ。
その『ごっちん』との会話を思い出しながら話すなっち。
笑顔で楽しそうだったけど矢口は笑顔なんかできるワケないし喜べるワケもなかった。


なっちの友達「ごとうまき」はやっかいな事にあの吉澤と石川の友達らしい。
久しぶりになっちの口からあの2人の名前を聞いて思わず顔を見てしまった。
なっちは思い出し笑いをしながら「ごとうまき」の事を話し続けている。
 そんななっちの話を聞くのがイヤになって屋上から出てきてしまった。


88 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)02時24分19秒
それから度々なっちが「ごとうまき」といる所を見かけた。
なっちのクラスの教室を見に行っても「ごとうまき」はなっちの隣で
笑っていたし、矢口のクラスから見える中庭になっちを見かけるとその横には
「ごとうまき」がいた。見かける時はきまってなっちは笑顔だった。
あの2人といた時と同じ笑顔を見せている。矢口といる時とは少し違う笑顔を
「ごとうまき」に向けているような気がした。


そしてなっちが「ごとうまき」と仲良くなり始めてから
矢口はなっちの所へ行かなくなった。
なっちがあの2人と仲が良かった頃に戻っているような気がした。

矢口もなっちがあの2人と一緒にいる所を見ている時の
気持ちが戻っているような気がした。
あの時と同じように怒りと不安が押し寄せてきている。
唇も何度噛んだか分からない。
89 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)02時38分21秒
1回だけなっちが「ごとうまき」といる所に出くわした事がある。
出会いたくなかった。いつも避けていたのに出会ってしまった。

「やぐち、紹介するね?これがごっちんだよ」
「これって何?そういう扱い〜?」
「あははっ!ごめんごめん!!」
「別にいいけどさ〜・・・初めまして。矢口さんだっけ?」
    「・・・あぁ、うん」
「なっちからよく話聞いてるよ〜?」
    「・・・そう。なっち、矢口もう行くから」

そう言って今まで歩いてきた廊下を走って行った。
なっちが後ろで何か言ってたけど聞こえないフリをした。
居心地が悪すぎた。空気がイヤだった。雰囲気も悪い。
いつもは誰よりも近い存在のなっちがすごく遠く感じた。
なっちが同じクラスの奴らや友達と気取って
一緒に歩いてる奴らと同じ気がした。それくらい遠い気がした。

90 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)03時07分25秒
「ちょっ・・・やぐちー!」
「行っちゃったね。何か悪い事言ったかな?」
「ううん。やぐちは人前だといつもあぁいう感じだから…」
「・・・そうなんだぁ」
やぐちの走って行く後ろ姿を見ながら聞こえるように言ったハズだけど
こっちを向いてくれる事はなかった。
何か気に入らない事があるみたい。すごく不機嫌そうでごっちんを紹介した時
あたしを冷たく睨んでいるような気がした。
その目はよっすぃーとりかちゃんが
亡くなった前と亡くなった直後に見た事があった。
まさか…そんなワケないよね?
あたしの脳裏にはイヤな考えが浮かんでいた。



「…ち。…っち!…なっち!」
「・・・え?」
「何回呼んだと思ってるの〜?」
「あ、ごめんごめん!ちょっと・・・考え事・・・」
「なんか不安な事とか悩んでる事あったら言ってよ?あんまりいい
 アドバイスとかできないと思うケド口に出して言うとすっきりするから」
「うん。ありがとう」

あたしは思った。やぐちの事は信じてるけどごっちんが
コレを聞いたらどうなるだろう?
やぐちの事疑うかな?それとも違う!って言ってくれるかな?

91 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)03時33分08秒
「・・・ごっちん。ちょっと聞いてもらいたい事があるんだけどいいかな?」

ごっちんが断る事もなくあたし達は場所を変えて話す事にした。



屋上への階段をのぼる。今頃他の生徒は授業中だ。
案の定さばってしまった。最近さぼり癖がついてきたかもしれない。
これでまだ2回目だけど…

階段をのぼりきってドアを開けたら屋上だ。
風が少し吹いているけど生ぬるい感じで余計に暑い。
あたしとごっちんはドアのすぐ隣に座って話し始めた。



あたしは全てを話した。やぐちが言っていた事・あたしが言ってしまった一言。
その他の今までずっと思い続けて誰にも話せずにいた事。
そしてそれでもやぐちを信じている事。全部をごっちんにぶつけた。
途中あたしが話せないほど泣いてしまったりしたけど
ごっちんは何も言わないで黙って聞いてくれてて何かを考えていた。


全部話し終わって少しの沈黙。
あたしのすすり泣きだけが聞こえていた。
風もいつのまにかなくなっていてすごく暑い。
ごっちんを見ると下を向いて考えてる。


「それ・・・本当?」
ごっちんが下を向いたまま言った。急に言ったからあたしも驚いて
「う、うん」
としか言えなかった。
92 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)03時48分30秒
そしてごっちんがいきなりあたしの目を見た。その目はいつもと違って真剣で…

「なっち…矢口さんおかしいよ?ごとーも信じたいけど信じる事できないよ…」
それを聞いた途端おさまっていた涙が一気にあふれ出た。
「そ・・・そん、な事ないもん…お、かしくなんか…」
言いたい事もちゃんと言えない。でもごっちんにはちゃんと伝わってて…
「なっちの気持ちは分かるけど!
 …矢口さんはやったらいけない事をやったんだよ!?」
「ち、がう!や…ってない!」
やっぱり認めたくなくて反射的に否定してしまった。
ごっちんはそんなあたしから目をそらさずに
「やったんだよ?矢口さんはよっすぃーとりかちゃんを・・・」
言い聞かせるように…
「や…だ」
あたしはただその一言を聞きたくなくて…
「よっすぃーとりかちゃんを…ころ」
ごっちんはあたしを見て言い続けて…
「や、めて!」
あたしはただ認めたくなくて否定して…
「殺したんだよ?」
ごっちんは決定的な一言を言って…
「やだ!そんな事やってない!やぐちがそんな事するわけない!」
あたしはその一言を聞きたくなくて耳を塞いで否定し続けた。


93 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)04時19分34秒
「…何でごっちんにそんな事分かるの!?
 そんなのやぐちに聞いてみないと分からないっしょ!?」
「なっち…落ちついて…」
混乱しているあたしをごっちんは宥めて手を握ってくれた。


「そりゃ矢口さんに聞いてみないと分からないけど
 話聞くかぎりでは…違うとは言えないよ」
「…うん」
流れている涙を拭いて目をこすったらヒリヒリした。
ごっちんの言う事はもっともだと思う。
あたしも本当はそうじゃないか?と思ったりはしたけど
やぐちのあたしに対する優しさとかあたしに向けられる笑顔とか・・・
そういうの見たりすると疑ってた気持ちもどこかに消えていってしまうんだ。



「ごとーが矢口さんに聞いてみてもいい?」
握ってくれていた手を離してごっちんはどこかを見ていた。
「き…聞くの?」
一気に不安になった。
「このままにしてちゃいけないと思う。
 それになっちが言う通り違うかもしれないじゃん?」
「そ、それはそうだけど…」
怖かった。これで「そう」って言われたらどうしようとか思った。
でも確かめるのはこれしかない。


「わ・・・分かった…」
声が震えてた。鳥肌がたった気がした。
94 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)04時38分25秒
つまらない授業は聞かないでいつもうわの空だ。
まぁつまらなくない授業なんてないけど。

今日のこの時間も全然関係ない事を考えている。
腹減ったとか、今日の昼はクロワッサンにしようとかゴミ捨てるの忘れたとか
さっきのばったり出会ったのは災難だったなぁ…とか。

気に入らない。ただそれだけ。
ムカムカする。ただそれだけ。
・・・何で?
なっちの近くに矢口じゃない別の人がいるから。
なっちの笑顔が矢口じゃない別の人に向けられてるから。


 人を殺す理由はこれで十分?
あの2人を殺した理由もこれに似ていたっけ?


不安とか焦りとか苛立ちとかそんなのはなかった。
決めたからだろうか?やる、と。


今でもずっと鞄にしまっているアレを手に持って
相手に向ける事ができるのかと思うとなぜかワクワクしている自分がいた。

今日でも明日でもいつでもいいけど早い方がいいかもしれない。
さて…楽しもうか?


95 名前:girls afterimage 投稿日:2002年08月31日(土)04時58分12秒
6限の授業も終わってその時がきた。
ごとーはなっちに一言言ってから矢口さんの教室へ向かった。
授業が終わってまだそんなに経っていないから多分まだいるだろう。


どうやって聞こうとかそういうのは考えないようにした。
思った事をそのまま言おうと思った。
もしそうだったらどう言うとかどんな行動とるとか全く分からない。
1つだけ分かる事は「許せない」という事だけ。
なっちのためにもそうでない事を祈っている。


教室につくと矢口さん以外に何人か残っていた。
後ろの窓側の席で鞄を持ってちょうど帰る所みたいだった。

「・・・矢口さん!」
ごとーが呼ぶと一瞬イヤそうな顔をして
「何?」
一言そう言った。明らかにめんどくさそうだ。

「ちょっと話あるんだけどいいかな?」
そう言ったら矢口さんはめんどくさそうな態度を一変させた。
「・・・いいよ?どこで話す?」

「それじゃ、ついて来てくれる?」


そう言って一緒に教室を出た。話す場所は屋上だ。
ごとーの少し後ろに矢口さんが歩いている。
ごとーも矢口さんも屋上まで特に話すことはなく歩いていた。


携帯を見ると3時30分過ぎ。
メールをすぐ打ってから携帯を閉じた。


96 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年08月31日(土)05時10分27秒
更新終了!ちょっとは進んだかも。
あと2・3回の更新で終わる…かな?(多分)
まぁ5回以内は確かだと思います。

>86読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
ごとーさん行動開始しました。
この行動が良いのか悪いのかは明らかに分かってますけどね…
やぐちさんも同時に行動開始!
こっちの方はどうなるのか…(笑)

次で大きく動かすつもりです。
なっちとごとーさんが核心にせまっていってその時やぐちさんは…!?
 
結局夏休みまでには終わらせる事できませんでしたが頑張って完結したいです。
97 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月03日(火)13時28分05秒
後藤は誰にメール打ったんだろう?

次回、大きく動くんですか・・・かなり楽しみです!!
98 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)02時20分29秒
あたしが通っている学校の近くに「ベーカリー」というパン屋がある。
学校の裏門の向かいにあって昼休みになると結構みんな買いにやってくるのだ。
あたしももちろん「ベーカリー」の常連客だ。
何というかあの雰囲気が好きだ。
お店自体は決して広いと言えない大きさだけど
ガラスでできたドアを開けた瞬間の焼きたてのパンの匂いと
生徒で賑わっているあの感じが好きだ。
奥の方でパンを焼いている姿が見えるのがまたいい。
何よりパンもおいしいし。


でも「ベーカリー」に毎日のように通う理由はそれだけじゃないけれど。
99 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)02時35分05秒
始めはただ「おいしい」という理由で買いに来てた。
それに友達のごっちんの付き添い。
ごっちんの好きな子がいつもベーカリーに買いに来てるらしいのだ。
それを聞いた途端ごっちんはそれまでお弁当だった昼ご飯も次の日から
ベーカリーまで買いに行く事にしていた。
もちろん好きな子を見るためだけど。

そしてあたしもいつのまにかベーカリーを利用するようになった。
付き添いでいつもパンを見てたら食べたくなる。
それにごっちんが食べているのがまたおいしそうだったから…

ただそれだけだった。でも段々それだけの理由じゃなくなった。
100 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)02時51分17秒
空腹の4時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。

やっと昼休みだ。クラスの人達は隣のクラスへ行ったり
学食へ行ったりしている。さっきまでと全然違って急に賑やかになる。
あたしは教科書を机の中に直してイスから立った。
鞄を肩にかけて少しうるさい教室を出ようとすると
タイミングよくローカを走ってくる人影が。

「なっち〜!!!!ベーカリー行こ!早く!そうでなきゃ会えないじゃん!」
「分かってるよぉ〜。はいはい」

ローカを走ってきてうるさく言うごっちん。
ごっちんは無理矢理あたしの手を引っ張って走り出した。

ごっちんが急ぐ理由はただ1つ。彼女に会うためだ。
彼女は昼休みに入ってすぐにベーカリーに買いに来るらしい。
だから3階のあたしの教室からだと急がないと会えないかもしれないのだ。

ローカで話している人達をすり抜けてこれでもか!ってくらい走っている。
普段はマイペースな性格なごっちんが
急ぐくらいだからよほど彼女に会いたいのだろう。

あたし的にはもっと遅くベーカリーに行きたいんだけどなぁ…
101 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)03時19分03秒
何とかベーカリーに到着してドアを開けるとすでに何人もの生徒がいた。
あたしは必要以上に走らされたから息切れして
お店の中をみる気力もないけどごっちんはしっかり見て彼女を見つけたみたい。

「なっち!ねぇ、なっち!いるよぉ〜!あぁ〜今日もかわいい!」
「よかったね…」
小声で騒いでるごっちんを横目で見てお店の中を見ると
彼女は奥の方でいつもの友達とパンを選んでいた。

「あぁ〜!またあの人といる〜!もしかしてあの人と付き合ってんのかなぁ?」
ごっちんの言う「あの人」は彼女といつも一緒にいる「友達」の事だ。
見た目的にかっこいい感じの人で彼女と仲がいいみたい。
ちなみに彼女の見た目は本当に「女の子」って感じの子。
ごっちんには悪いけどあの2人が付き合ってたら「お似合い」だと思う。


ほとんど人が少なくなってようやくあたし達はパンを選び始めた。
ごっちんは何とか近付こうと彼女のそばに歩いていってしまった。

お店の中を見渡すとあたし達と彼女達だけである。
壁にかけてある時計を見ると1時前。
まだ「あの人」は来ていない。
もしかしてもう来たとか?
それとも今日は来ないのだろうか?
102 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)03時30分12秒
パンを選ぶのも忘れて「あの人」の事を考えていた。

「あの人」がベーカリーにやって来るのは1時前頃。
だからあたしは遅くベーカリーに行きたいんだけどなぁ…

あたしがベーカリーに通う1番の理由の人。


「なっち〜。どれにするか決めたぁ〜?」

ごっちんの声がお店に響いて聞こえた。
あたしはボーっとしていた自分に気付いて周りを見渡した。
隣にはいつのまにかごっちんがいて。

「…あれ?あの子達は?」
あたしの声にごっちんは残念そうな顔をしながら
「もう帰っちゃったよ…絶対あの2人付き合ってるよぉ〜!」
「えぇ〜そんな事ないべ!?ただの友達だって!」
心の中で「お似合い」とか言った事は絶対にごっちんに言えない…

103 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)03時47分11秒
あたしがごっちんを励ましている時「カラン」という
ドアを開けた時に聞こえる鈴の音が鳴った。

ドアを見ると「あの人」だった。
何かもう…固まってしまって
ごっちんが何か言ってるみたいだけど何も聞こえなかった。
彼女から目が離せなくなっていた。

彼女はあたしの前を通り過ぎてパンを選んでいた。
彼女が通った瞬間…香水のいい香りがした。

あたしより明らかに小さくて明るい色の髪が目立っている。
少し口をとがらせている所が何とも言えないくらいかわいい。


彼女が買う「いつものパン」をトレーにのせて。
そしてミルクココアを片手に持ってレジへ行った。

お金を払っている後ろ姿をじっと見つめていると
払い終わったのかいきなり振り向かれて目が合った。

でもすぐにそらして出て行ってしまった。
店員の「ありがとうございました」だけが響いていた。

104 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)04時11分10秒
彼女を見た後はいつも何も考えられないでしばらく呆然と立ち尽くしている。
それは今日も同じ事で。
ドキドキしているのが自分で分かるくらいだ。
しかも今日は一段とドキドキしている。

何たって目が合ったんだから。
ただそれだけなんだけどあたしとしては大きな事である。
キレイな瞳の色だった。たった一瞬だったけど。
彼女は何も感じていないんだろうけど。
すごく嬉しかった。これだけで今日はいい日と思える。


「よかったね。また会えて」
「うん!ほんとよかっ…って、えぇ!?何、何で!?」

ごっちんはあたしの気持ちに気付いてないと思ってたのに…
しっかりと気付いていたらしい。

「分かるよ〜それぐらい。いつもあの人が来たら
 ごとーの話も聞いてくれないようになるしさ。
 それにあの人を見るなっちの目がいつもと違うし」
「あ…」

バレバレだったらしい。
別に隠すつもりじゃなかったけどけどさぁ…

「あの人何年だろうね〜」
「分かんない…何も知らないもん」
「なっちもごとーと同じだね」
「…あははっ。そうだねぇ…」

ごっちんも彼女の事は何も知らない。
名前もクラスも何もかも。本当にあたしと状況が同じだ。

105 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)04時38分22秒
あたしがベーカリーに通う1番の理由は「彼女」だ。

あたし達がベーカリーに行くようになった時から彼女は既に来ていた。
常連っぽくて毎日来て毎日いつも同じパンを買っていくのだ。

始めは全然気になんかしていなかったけど毎日会うようになって
いつのまにか会えない日が(彼女がベーカリーに来ない日)あると何となく
寂しい気がして気になって仕方なくなっている自分に気付いた。


それが好きになっている証拠だと気付いたのは最近だけど…


彼女に会える時は昼休みの数分しかないという事だ。
その数分が毎日楽しみで仕方ない。

ごっちんの場合はベーカリー以外にも会ったりするみたいだけど。



「なっち〜…で、パンどれにするの?」
ごっちんはもう買ったようで既に袋を片手に持っていた。


あたしはすぐにパンを1つトレーにとってレジに行った。
彼女がいつも買っているパン。
多分毎日食べるくらいだから大好きなんだろう…このパンが。
あたしは彼女が食べていなかったらこのパンを食べなかったと思う。
今じゃ彼女と同じように毎日このパンを買って食べてるけど。

106 名前:more&more 投稿日:2002年09月07日(土)04時51分27秒
店員の「ありがとうございました」という声を聞き流して
ベーカリーを出るとすごく暑い。
お店の中はクーラーがついていたから外に出ると余計に暑く思える。

暑いとか少し文句を言いながら裏門を通った時急にごっちんが

「そういえば、なっち何のパン買ったの?」

あたしのパンが入っている袋を見ながら言った。

あたしは彼女の顔を頭に思い浮かべて


「ん〜?チョコチップメロンパン」


彼女の大好きなパンの名前を口にした。


それから屋上に行っていつものようにパンを食べた。
彼女もこの校内のどこかであたしと同じこのパンを
食べているかと思うと何となくだけど嬉しい。

名前も知らないし彼女の事は何も分かっていないけど
今は彼女と同じパンを食べる事があたしにとって1番の楽しみだ。

107 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年09月07日(土)05時00分32秒
更新終了!(笑)
えーっとですねぇ…まず、すいません!
本編から大分はずれて、予告も何もなしで…
何日かぶりにせっかく更新したというのに。
しかもちょっと「学園ものちっく」(笑)
意味不明な感じで…続きがありそうなんですけどコレで終わりにします。
何か怒られそうなんでぇ…(苦笑)
一応なちまり。片想い編です。

>97読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
大きく動かさないですいません…
本編更新なしでこんなもののせちゃってすいません…

次から本編更新したいと思います(多分…)
108 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月07日(土)09時46分24秒
いきなりの短編でビックリしました(w
今回の短編の感想は「続きが読みたい」です(w
109 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月07日(土)21時04分21秒
確かに大きく動いた・・・(w
110 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)02時53分22秒
いつもと変わらずに4時間目が終わり昼休みになった。
今日はごっちんが「サボり」らしく学校に来ていないらしい。
ごっちんにしてはこれは当たり前の事だけど…

あたしは仕方なくベーカリーに1人で向かう事にした。
いつもと違って少し時間を遅らせて…



昨日もその前もずっとベーカリーに通っているけど
彼女は変わらず1時前に来て、いつもと同じパンとミルクココアを買って行く。
その姿をあたしは何も言わずじっと見ている。
見ているというか固まってるだけだけど…

彼女が出て行った後あたしは彼女と同じパンを買ってベーカリーを後にする。
そして屋上で彼女と同じパンを食べるのだ。

そんな昼休みが楽しみだった。今までは。

111 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)03時11分11秒
でもそれが最近段々と物足りなくなってきているのだ。

見ているだけじゃなくてもっと彼女に近付きたい。
同じパンを買って食べるだけじゃなくて…
どこかで彼女も同じパンを食べていると想像するだけじゃなくて…

あたしは彼女をいつも見ているし知っている。
どのパンをいつも買っているかとかいつ来るかとか。
でも彼女はあたしの事は知らないし気にもとめていないのだ。
あたしが彼女に合わせて同じパンを買っている事。
彼女に会うために時間を合わせている事。
何1つ知らない。
そんな現状を考えるとすごくもどかしくて仕方ない。

だったら話しかけたり自分から行動すればいいんだけどそれができない。
話しかけるチャンスなんかないしもしチャンスがあっても多分できないと思う。

そんな悩みを抱えつつベーカリーまで歩いて行った。
112 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)03時20分37秒
ベーカリーに入ると外の暑さとは全く違って
クーラーが効いていてすごく涼しかった。

何人か生徒がいるけどその中に彼女はいない。
ごっちんのお目当ての「あの子」ももう買い終わって帰ったみたいだ。

時計を見ると1時前なのに彼女は来ない。

あたしはボーっとドアの前で突っ立っているのもおかしいから
トレーをとって奥のいつものパンがある所に移動した。

何人かの生徒の間を通って着くとパンが1つしかない。

いつもはあまり人気がないせいか結構余ってたりするんだけど
今日に限って1つしか残っていない…


113 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)03時31分32秒
あたしは悩んだ。
こんな事で悩むなって感じなんだけどあたしにとっては重要問題である。

もしあたしがこのパンを買ったら彼女はどう思うだろう?
毎日買うくらいだからひどくがっかりするだろう。

もしあたしが買わないとどうだろう?
多分最後の1つは彼女が買っていくと思う。
そうしたらあたしは今日彼女と同じパンを食べられないのだ。
これが楽しみだったのに…
今は物足りなく感じてきてるけど…

1つのパンの前で顔をしかめてにらめっこ。
おそらくこの光景他人が見るとおかしいんだろうなぁ…
でも今はそんな事言ってられないのだ。

どっちを優先すればいい?
彼女のいつものリズムを崩さないであたしの楽しみを我慢するか…?
それともあたしの楽しみを優先して彼女の昼休みのリズムを崩すか…?


まぁ考えると今日あたしが同じパンを食べても
彼女は今日いつものパンを食べれないんだけどなぁ…


あたしはその後10分は悩み続けた。
いつのまにか他の生徒はいなくなってて
隣に「彼女」がいるとは知らずに…


114 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)03時53分51秒
「ねぇ…そのパン買わないんだったら矢口にちょうだい」

誰かが誰かに言っていると思って聞き流していた。
あたしはその声を気にせずに悩み続けた。


「…聞いてんの?」

どっちがいいだろう?
彼女の悲しむ顔は見たくない。
パンがないくらいで悲しむような人には思えないけど…
 あたしはまだ誰かが誰かに言っていると思っていた。


「……おい!」
そう言いながら肩を叩かれてようやく隣を向いたら「彼女」だった。


彼女はあたしを少し見上げて眉間に皺を寄せている。


あたしは彼女を見た時と同じように固まっていた。
さっきから呼んでいたのはあたしの事だったのか…と思うと
急に恥ずかしくなって顔が真っ赤になっていくのが分かった。


「だーかーらぁ!パン買うの?買わないの?」
あたしのそんな気持ちもおかまいなしで
めんどくさそうにあのパンを指差して言う彼女は明らかに怒っていた。

「あっ…いや、いいです…」
思わず目をそらして下を向いてしまった。


「何か相当パンの前で悩んでるみたいだったけど…いいの?」
「もう…いいんで。どうぞ…」


せっかく話せる機会なのに本人を前にするとどうも上手くいかないらしい。

115 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)04時12分06秒
あたしはパンの前から2.3歩後ずさりして
「どうぞ」という風に手をパンに向けた。
彼女はさっきまで怒っていたのに全然違う態度でむしろ心配そうに
そんなあたしを見ている。

「…アリガトウ」

一言そう言ってからパンをとってレジに行ってしまった。
片手にはいつものミルクココアである。


パンを譲ったあたしはいつものように彼女の後ろ姿を見つめていた。
本当はパンが食べたかったとかそういう事は全然思ってなくて
ただ「アリガトウ」と言われた事を幸せに感じていた。


そして「カラン」という彼女が出ていく鈴の音が聞こえて
ようやくパンを選び始めた。
今頃彼女は裏門を通りながらあたしの事を「変な奴」とか思ってるのだろうか?
例え「変な奴」でも彼女の心の中で一瞬でも
あたしを思い出してくれていたら嬉しいなぁ…

結局あたしは「クロワッサン」を買って店を出た。
いつもの店員の「ありがとうございました」を聞き流しながら。
ベーカリーを出るとやっぱり暑くて一瞬眩暈をしそうになった。


今日はほんのちょっとだけど近付けた気がするなぁ…
今度会う時はもっと近付けたらいいなぁ…

116 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)04時32分15秒
さっきの事を思い出し笑いしながら前をふと見ると
彼女が裏門でミルクココアを飲みながらあたしを見ているのに気付いた。



おさまっていたドキドキがまた鳴りだして止まらない。
気のせいかと思ったけど近付くにつれて余計に見られている気がした。

道路を渡って彼女を見ないで裏門を通り過ぎようとした瞬間……


「・・・待ってよ」

呼びとめられた。裏門に寄っかかっていた体を起こしてあたしを見ている。


「な…何?」
それぐらいしか言えなかった。
ドキドキし過ぎて何もかもわからなくなっていたから。



彼女はミルクココアを地面に置いて
自分が買ったパンの袋を開けるとパンを半分にして
その半分をあたしに差し出した。


差し出されたあたしはどうしていいのかわからないまま。
彼女を見るとじっとあたしを見たまま。


「・・・えっ?」

「…ん」

片手に持っている半分を一口かじっている。


「あげるっつってんの!」

食べながらあたしを見て言っている彼女はかわいかった。
あたしは本当にもらっていいのかわからず固まったままである。

暑さだけじゃなくて妙に体が熱い。ドキドキしているから?

117 名前:more&more 投稿日:2002年09月08日(日)04時45分07秒
「い、いいよ。パンもう買ったし。それにそれはあなたのものだから…」
「矢口のものだからどうしようと勝手じゃん?」
「それはそうだけど・・・」

この時初めて分かった。彼女は「矢口」という名前なんだと。


「早く。でないとチョコチップが溶ける。溶けるとまずいんだよ?」
「あ…う、うん」
受け取る時微かに指が触れた。触れた所がじーんと熱くなった気がした。

「あ、ありがとう」
「いや、別に」

地面においていたミルクココアを片手に持って一口飲んで
あたしの「ありがとう」に笑ってくれた。
その瞬間さっきまでドキドキしていた鼓動がさらに大きくなった気がした。


ミルクココアのストローを見るとかじって平べったくなっていた。
それを見て何となく意外にというか見た目と同じに子供っぽいなぁと思った。




その日を境に「矢口さん」とは急激に距離が縮まっていった。

118 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年09月08日(日)04時57分34秒
更新終了!短編のつもりが2回目の更新です。
いいのか・・・?こんなのでいいのか?
これからどうなる…んでしょう?自分でも分かりません(笑)

>108読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
ビビらせてすんません!自分でもビビってますから(笑)
しかも続きを期待されて嬉しいデス!
嬉しかったので続き書きました(笑)

>109名無し読者様!
レスありがとうです!
確かに相当大きく動きました(笑)違う意味で!
こんなんでええんかなぁ…?


次は来週の予定です。
「girls…」の方か「more…」の方かどっちを更新するかわかりません。
ちなみに全然関係ないけど『チョコチップメロンパン』は
自分の好きなパンです(笑)普通のメロンパンより好きなんで…
結構おいしいです。かなり好きです。あとミルクココアも。
119 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月08日(日)15時01分34秒
わ〜い、「more〜」の続きだ〜!!
ちょっとしたコトにドギマギするなっちがカワイイ!!

次回の更新は、どっちでもイイので楽しみに待ってます(w
120 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)01時38分37秒
ごっちんからメールが来た。

『今、矢口さんを誘って屋上に向かっているよ。
 もう少ししたら来て!』


あたしはそれを見て返事を送らずに携帯を閉じた。
そして教室から出て屋上にゆっくりと歩き出した。
長い廊下を歩いてる最中ごっちんとの会話を思い出す。

121 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)01時47分04秒
「まず、ごとーが矢口さんを誘って屋上に行くでしょー?
 それで向かってる時になっちにメールするからそれから来てね」

「え?なっちもごっちんと一緒にやぐちを誘いに行くよ〜?」

「それじゃだめだってば〜!メールして屋上に着いてもなっちは
 ごとーと矢口さんが話し合ってる所まで来ちゃだめだよ?」

「…何でぇ?」

「だってもしなっちが矢口さんの前に現れたら
 矢口さん本当の事言わないかもしれないじゃん!?
 だからなっちが時間すらすのもドアの前で話し聞くのも
 矢口さんにごと−と2人きりって事を思わせるためなんだよ?」

「んー…分かったぁ…」

「多分ごとーと2人きりだったら本当の事言うと思うから」

「うん・・・」

122 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)01時55分50秒
何だか不安だ。もしごっちんの質問にやぐちが
「うん」って答えたらどうしよう???
こういう時に限ってどんどん悪い方向に考えてしまう。

あたしはやぐちを信じてる。
やぐちがそんな事するはずない・・・と思う。


校舎には誰もいないくらいに静かだ。多分いるのは先生達くらい。
運動場や体育館にはクラブをしている生徒達がいるけど
校舎の中にはいない。
いつもと違う静かな廊下をあたしの足音だけが響いている。

この廊下の先を右に曲がれば階段でその階段を上がれば屋上だ。
ごっちんはどうしてるだろう?
やぐちは何を考えているだろう?
何を思ってるんだろう?

123 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)02時07分04秒
ごとーの後ろを矢口さんが歩いている。
それは階段を登る時も一緒で少しひかえめに
矢口さんの方を向いたら下を向いていた。

何も感じていないんだろうか?
これから何を言われるか分かってないんだろうか?

さっきからずっと無言のまま。
ごとーからも矢口さんからも話し掛ける事はなかった。
聞こえるのは足音とため息だけだ。


最後の一段を登ってドアを開けたら
日差しが一気に射し込んで来て目が痛かった。

124 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)02時21分19秒
居心地が悪い。
まぁこの思いもこれで終わりだけど。
さっきから無言のままでただ前の人…
「ごとうまき」が歩いているのについて行ってるだけ。
どこで話しをするのか分からない。
多分この階段を登ってるって事は屋上なんだろう。
話す場所とかそういうのはどうでもいい事。


何を言いたいのかは分かる。聞きたい事も。
「矢口さんがやったんじゃないの?」
・・・・・・どうせこんなもんだと思う。
矢口が思ってるようにこう聞かれたら
目一杯の笑顔で「そうだよ」って答えてやる。
そして速攻で鞄の中のアレを取り出して突きつけてやる。

気になるのはこの事をなぜ知ってるのかだけど…
あと疑う理由だ。「ごとうまき」が疑うワケないのに。


矢口と「ごとうまき」の唯一の接点と言えば「なっち」だけど
最近では疑わなくなったし…
安心しすぎたせいか気を抜いてしまっていたのかもしれない。
まさかまだ疑ってた・・・とか?

少しの不安を抱いたまま「ごとうまき」が静かに屋上へのドアを開けた。

125 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)02時33分27秒
もし変な事を言ってきたらアレを突きつける。
何も言わなくても突きつけるけど。

鞄の中のアレがいつもより重く感じるのは気のせいだろうか?

屋上についてふいに上を向いた。
空はただ広くて青い。
雲は大きくて白い。
太陽が照りつけて眩しいし暑い。
真っ青な空に真っ白でまっすぐな
白いラインみたいな飛行機雲が引かれてた。

そんな下では運動部が必死で走っている。
声が相当うるさいけど。



そんなのはどうでも良くて。
「ごとうまき」もただ上を向いてて話す様子もないようだ。

126 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月15日(日)02時51分48秒
階段を一段一段と登っていく。
これを登りきればやぐちとごっちんが話し合っているんだろう。
これを登りきれば本当の事が分かるんだろう。
これを登りきればはっきりするんだろう。

できれば登りきりたくないと思った。



登りたくないと思っても進んで行けばいつかは最後の一段にさしかかる。
止まればよかったなぁ…そう思ってももう遅い。


登りきってドアを少し開けて覗くと向かい合わせになっていて
ちょうどごっちんが話し始めた所だった。
ドアノブを握り締めてごっちんの声に耳を傾けながら
ただやぐちの後ろ姿を見つめていた。
金色の髪の毛が風になびいてもっと明るく見えた。

異様にドキドキしてた。
多分ごっちんはあたしよりももっとドキドキしてるんだろう。

127 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年09月15日(日)03時01分36秒
更新終了!ちょっとだけやけど。
屋上に到着。これからなんですけどねぇ…

>119読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
more〜は突然思いついて書いてしまったんで
実はその後を考えてないんですよ(笑)
だから今回はgirls〜の方を更新です。
more〜どうなるか分かりません(笑)続くかどうかも…

明日更新したいと思ってます。どうなるか分からないんですけど…
更新するならgirls〜の方更新します。

128 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
129 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月15日(日)19時51分31秒
自分もドキドキしてます(w

>「more〜」
出来れば続けて欲すぃ・・・。
130 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月16日(月)01時26分02秒
階段が怖い(w
13階段みたいで(w
131 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)00時20分05秒
「あのさぁ…矢口さんとなっちって仲いいんでしょ!?」
「・・・それが何?」

長い沈黙を破ったのは「ごとまき」からだった。

「何って事ないけどよっすぃーとりかちゃんが亡くなった時の
 なっちの様子知ってるよね?」

まわりくどくない聞き方。
こんな早くに2人の名前を「ごとうまき」から聞くとは思ってなかった。


空はムカツクくらいどこまでも澄んでて青い。
雲は汚れを知らないくらいどこまでも白い。
風が矢口の金色の髪をなでて左へと吹いていく。
「ごとうまき」の茶色のストレートな髪もなびいている。

132 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)00時33分20秒
「知ってるよ」

「ごとうまき」の瞳の中に矢口の髪の金色がうつっている気がした。

「…泣いてたでしょ?」

「うん。でも大丈夫だよ。ずっとそばにいたから。
 矢口がそばにいる限り寂しい思いなんかさせないから」

「ごとうまき」の質問に矢口が答えている。
そんなのの繰り返しだ。

矢口の言葉に表情1つ変えないでただ聞き流しているようにも見える。
お互い何メートルか距離をとって突っ立ったまま。


大きなため息を1つして

「でも矢口さんがそばにいる事でなっちの心の中の
 不安は大きくなっているんだよ?」

とんでもない事を言った。


「・・・・・・はぁ?」

数メートルの距離がだんだん縮まっていく。
「ごとうまき」が矢口の方へ近付いてきているのだ。

133 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)00時47分07秒
『なっちの心の中の不安は大きくなっているんだよ?』

エコーがかかったみたいに頭の中で何回も今の言葉が回っている。


今までずっと「ごとうまき」からそらさなかった目をそらして
下を向いてしまった。

こんな奴に言われて動揺するなんてどうかしてる。
ありえない事をまるで全部何もかも知ってるかのような目で。

「ごとうまき」の足音が段々近付いてきているせいか大きく聞こえる。
日光で明るかった地面がいきなり暗くなった。
目線を下から上に戻すとすぐそばに「ごとうまき」がいた。
矢口の人影と「ごとうまき」の人影が
1つになって地面に大きな影ができていた。



矢口がそばにいる事でなっちの不安は大きくなる。

そんな事あるわけない。
不安を抱く事なんか何もないはずだ。

134 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)01時01分49秒
「何、言ってんの?矢口となっちの事何も知らないくせにデタラメ言うなよ!!」

冷静さを取り戻す事も平常心を装う事もできなくなってて
いきなり睨みつけながら怒鳴りつけた。


そんな矢口を見て「ごとうまき」はただ笑っていた。



「不安の意味。言わなきゃ分かんない?」

睨みつけている矢口の目を見て何だか満足そうだ。


そんな笑っている態度と言葉に「カチン」をきたけど
そんな事知るわけないから
            「わかんない」とだけ答えた。

体中が暑くてイライラする。
鞄の中の「アレ」がさっきよりももっと重く感じた。
突きつけるのもそう遅くない、と思った。


空はさっきと変わらず青いまま。
雲はさっきと変わらず白いまま。
運動部の声もさっきと変わらずここまで聞こえてきている。

135 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)01時14分20秒
張り詰めた空気がドアを越えてこっちまで漂ってきている。

あたしはさっきからずっと見ていた。
ごっちんに言われた通りドアの前で立ち聞きしている。

屋上でのやぐちはあたしが見た事ないやぐちだった。

ただ冷たいだけのやぐち。

あたしの前だとあったかい所が表情だけで分かるくらいいっぱいあるから。
甘えてきたりあたしをからかったりするコドモなやぐち。
ぎゅって抱きつかれたらあたしの方が「離れたくない」って思うくらい
あったかいものがあたしを包んでくれるような気がするのだ。


そんなあったかいものが今、屋上でごっちんと話しているやぐちにはない。

136 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)01時34分55秒
やぐちの後ろ姿しか見えないけど多分笑ってなんかいないだろう。
1つ1つの言葉が冷たくて警戒してるようだ。


ドアノブを握っている手のひらがじんわりと暑くて汗をかいている。

1つになっていた影が段々と2つになって
やぐちのすぐそばにいたごっちんが話しながらフェンスの方に歩いていく。

やぐちは歩いていくごっちんの後ろ姿をじっと見つめながら聞いている。

ごっちんがフェンスの方へ行くほど少し開けたドアから聞いている
あたしにとっては聞こえなくなっていっている。

やぐちはごっちんの声が聞こえているようでごっちんの質問に答えている。


でもあたしからするとやぐちの質問を聞いても分からない。

「うん…」

「それで?」

「だから?」

「ふーん…」

「あ、そう」

「知らないよ」


こんな風に一言しか言わないから。

あたしは諦めてドアを少し開けたままドアの隣の壁に背を向けてもたれた。

137 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)01時49分17秒
ドアの向こうでは相変わらずやぐちの声だけが聞こえる。

ごっちんに「もっとこっち来て話して!」とか言えたらいいのに。
多分、今メールしても携帯自体見ないと思うし無理だ。

ごっちんがこっちに戻ってくるまで待つしかない。


もたれていた体を下へずらしていって足を伸ばして座り込んだ。
座り込んだ床はひんやりと冷たかった。
もたれている壁も冷たい。

やぐちの心も本当はこんな風に冷たいのだろうか?
あたしの前で見せていた、いたずらっぽい笑顔とか楽しそうな顔とか
その他のいろんな表情は全部ウソだったのだろうか?

よっすぃーとりかちゃんが亡くなった時に見せた
冷たい表情と言動をしたやぐちが本物なのだろうか?

ぎゅーって胸を締め付けられるくらい痛くて
悲しくなってきた。

そんな時、
ごっちんの声が聞こえた。

「言いたい事は『矢口さんがやったんじゃないか?』って事なの」

138 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)02時12分16秒
ドキってした。
改めて口に出して言ったから。
それに…
本人を目の前にして言ったから。


あたしは再び立ってドアノブを持って屋上を見た。


ごっちんはフェンスから離れていてさっきと同じように
やぐちと数メートル距離をおいていた。

真剣にやぐちを見て決定的な言葉を口にした。

「なっちの不安もそれだよ。
 だっておかしいじゃん!?矢口さんの言ってる事!
 なっちの不安がる気持ち分かるでしょ!?」

やぐちは何も言わないままごっちんの言う事を聞いている。
ごっちんはさっきと違って笑ってもいないし冷静でもない。

大きなため息をついて平常心を保ってごっちんが1番聞きたかった事を口にした。


「・・・矢口さんが…よっすぃーとりかちゃんを…?」

最後まで言わなかった。
これで十分伝わると思ったんだと思う。


ドキドキしている。
さっきから何も言わなくなったやぐち。
後ろ姿しか見えないけど焦りも何も感じてないみたいに思える。


ごっちんはあたし以上にドキドキしているんだろう。
あたしも相当ドキドキしてるけど…

何も考えられなくてただ頭に浮かんでいるのは
やぐちがあたしに向けてくれる笑顔だけ。



139 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月17日(火)02時30分39秒
あたしが自然とドアノブに力を込めた時・・・・・・

やぐちが指をからめて両手を空にあげて筋を伸ばした。大きな欠伸をしながら。

空にあげた両手が下へ下りた時。





「人間も動物だから。縄張り荒らされちゃ我慢できないんだよねぇ〜」


空を仰いで笑っていた。




ドアノブを掴んでいた手が一気に滑り落ちた。
ガクって体が崩れ落ちてひんやりした床に膝をついた。



頭の中に浮かんでいたやぐちがあたしに向けてくれる笑顔も消え去った。


聞こえてくるのはやぐちの笑い声だけで
ごっちんはどうだったとか見れなかった。


あたしの目からは自然と涙がこぼれていた。
ひんやりとした床にぽつぽつと落ちていった。


140 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年09月17日(火)02時44分47秒
更新終了!昨日更新できなかったんで…
ついに発覚しました。
矢口さんはなっちの存在に気付いてないんですけどねぇ…

>129読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうございます!
ドキドキしてもらって嬉しいっす。
「more〜」は…続けるか分かりません(苦笑)
とりあえずは「girls〜」を完結させたいですねぇ…

>130名無し読者様!
レスありがとうです!
13階段…自分も思ってました!
何か書いてる最中に(笑)

次の更新はまだ分からないんですけど来週って事で。
予定ではあと2,3回の更新で完結です。
141 名前:nm 投稿日:2002年09月17日(火)21時14分20秒
「more〜」の雰囲気の方が好きですね…
なんで、続いてホスィ
142 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月17日(火)22時40分25秒
次は、いよいよ後藤が・・・
次回更新が待ち遠しいです。
143 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月19日(木)01時19分32秒
「more〜」のほう
なっちフラれる→ごっちんフラれる→なちごま→(゚д゚)ウマー

ってことには?(w
144 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月22日(日)01時44分00秒
信じられなかったっていうのは嘘で「やっぱり」って思った。
でもそれからどうしたらいいのか分からないで何も考えられないで
思考回路は止まったまま。


ギュって手の平を拳に変えて目一杯力を込めた。
一点を見つめていた目線を矢口さんにうつすとごとーの方を向いて
唇を軽く噛んでいた。微笑みながら・・・

その表情を見て、頭に血がのぼって数メートル離れていた距離を
一気に縮めて胸ぐらを両手で掴んだ。
そしてそのままドアの近くの壁に叩きつけた。

自分が何をしているのか分からない。
これから何をするつもりなのかも分からない。

ただ矢口さんの表情と態度が許せなかったから。

ごとーの大切な人の命を奪っておいて何の罪の意識も持っていない
矢口さんにただ腹が立って仕方なかった。

それになっちの思いを考えると余計、両手に力が入った。

145 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月22日(日)02時14分44秒
「何で!?何で・・・そんな事…!?」

「ていうか・・・痛いんだけど?」

ごとーの質問に答えずにただ怪訝そうな顔をして
眉間に皺を寄せてごとーの手を掴んでくる。

「あいつらが悪いんだよ。矢口の大切な人に手ぇ出すから…
 それより痛いから離せって言ってるじゃん・・・?」
 
「手なんか出してない!本当は話ししてただけなんでしょ!?
 それってただの嫉妬じゃん!?」

興奮しすぎて口が回らなくなってて何を言ってるのか自分でも分からない。

全身が暑くてたまらない。
目頭が熱くなってきて涙が出そうになってる。
力を込めている両手が痛くなってきた。

何を思ったり考えたりしていいのか分からないまま。


「…嫉妬なんかじゃないよ。それにあいつら邪魔だったし。
 ていうか本当に痛いから手ぇ離せよ。何回言ってると思ってんの?」



「・・・痛いでしょ?こんな痛みと比べ物にならないくらいの
 痛みを味わいながらよっすぃーとりかちゃんは死んでったんだよ?
 誰に、も見られずに・・・あ、んな所で・・」

涙が止まらなかった。
よっすぃーとりかちゃんがどんな気持ちで死んでいったかと思うと…


涙が頬をつたって流れ落ちた。


146 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月22日(日)02時43分05秒
「矢口は殺した方だから相手の気持ちなんか分かるわけないじゃん?」

そう言いながら笑っていた矢口さんを見ると
力を込めていた両手に一層力が入った。



「絶対・・・許さない」

涙を流しながら唇を噛んでただ一言そう言った。

本当に何も悪い事なんかしていないと思っているみたいだ。
だからあんな事をしていながら普通に毎日を過ごしてこれたんだと思う。



「それとも・・・ごとうさんが教えてくれるの?
 殺される側の気持ち…。矢口殺す?
 …したらごとうさんも矢口と同じになるね」

その言葉を言われた途端自然と手を離してて
矢口さんは首をさすっていた。


「そんな事するわけないじゃん!?何言ってんの!?」


恐かった。一瞬でもそうしようと思っていた自分が。


妙に鼓動が大きく聞こえて気付いたら涙もとまっていた。



でもこれ以上に恐い事が今から起きようとしていた。

それは矢口さんが鞄から何かを出した瞬間で。

ごとーもこれから何が起こるのかは、その時予想できてなかったし

すぐそこまで来ていたなんて知らなかった。

この出来事は矢口さんだけしか予想できなかったと思う。

147 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月22日(日)03時18分04秒
当たり前というか予定通りといった感じで淡々とごとーの前にそれを向けた。

固まっていた。TVのドラマとかで見た事あったけど

それが今、自分に向けられているんだから。

まぎれもない拳銃だった。

全身が暑かったのにそれを見て体中に悪寒が走った。


「コレであの2人も殺したんだよね」

矢口さんは微笑んでいて

ごとーは矢口さんがよっすぃーとりかちゃんを殺した事を改めて実感した。

「何・・・で?」

「邪魔だから」

微笑むというより満面の笑みでそう言った。


なっちは今この状況を見ているだろうか?

どう思っているだろうか?



自分がおかれている状況に関係ない余計な事が思い浮かぶ。


「なっち・・・」


「・・・え?」

「…なっちがこの状況、見たらどう思うと思う…?」

ごとーが「なっち」って呼んだだけで一瞬銃口がごとーからはずれた。

ただの時間稼ぎだったのにこんなにも

矢口さんの態度が変わるとは思わなかった。


気付いたら拳銃を持っている右手も下に下がっていた。

148 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月22日(日)03時49分04秒
下を向いていて黙ったまま。片手にはアレを握り締めている。

「ごとうまき」の言う事につい考えてしまう。
何も心配する事はないはずなのに。

あいつに何が分かる?
何も分かるワケがない!
だからこんな事言われても関係ない。

今やらなくてはいけない事はただ1つ。

あの時と同じだ。

「何、言ってんの?なっちが泣くわけないだろー?」


笑いながらあの時持った時よりも重く感じるアレを
目の前の「ごとうまき」に再び向けた。


「邪魔。ただそれだけ、殺す理由とか」

カチっと音を立てていつでもトリガーを引けるようにした。

「今…撃ったら、後悔するよ・・・?」

「ごとうまき」がこっちをじっと見ながら言ったけど
そんなの関係なくて。言ってる意味すらわかんないし。

「他の思いはあっても後悔はしないね。絶対しない」

言い終わってからトリガーに指をかけた。


邪魔な奴は殺してしまえばいい。
無理して生かしておく事もないし
矢口となっちが幸せになれるんならそれでいい。
なっちの笑顔が見れるなら。
矢口の為に笑ってくれるなっちがそばにいてくれるなら。

矢口は何だってやってやる。


149 名前:girls afterimage 投稿日:2002年09月22日(日)04時32分29秒
「バイバイ。生まれ変わってもなっちの前には現れな…」

最後まで言い終わる前に屋上のドアが勢いよく開いた。

こんな時間に誰も来るはずない。
そう思いながら横を向いた。







「・・・やぐち……」









「・・・な・・っち?」


一瞬夢かと思うくらい幻覚に思えた。
こんな言いワケもできないような状況に
なっちが来るなんて思ってもなかったから。

トリガーに指をかけていた事も今からやろうと思っていた事も
全部忘れるくらいドキドキしてて汗が流れて暑かった。

自然と手が下に下がった。


「な・・・何で…?」

矢口はそれしか言えなくて
なっちは目が真っ赤になってて涙の跡が見えた。




『今…撃ったら、後悔するよ・・・?』


さっき分からなかった「ごとうまき」の言葉が頭に浮かんで
とっさに「ごとうまき」の方を見ると


「…ね?後悔、するって言ったでしょ?」
そう言って矢口をじっと見つめていた。


その瞬間ハメられた事にようやく気付いた。

「ごとうまき」と話し合いを始めた時からなっちは聞いていた事。
矢口が自分で2人を殺したと言った事も聞かれた事。

 全てを悟った。

150 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年09月22日(日)04時46分05秒
更新終了!
ついに屋上に3人揃いました。
段々1番始めの方と繋がってきてます。
あともう少し!

>141nm様!
レスありがとうです!
「more〜」気に入ってくれて嬉しいです!
ありがとうございます。
でも続けるかどうかまだ決めてないんです…

>142読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうです!
そこまで書きたかったんですけど無理でした…
次で犠牲者が出ます。

>143名無し読者様!
レスありがとうです!
まだどうなるかは分からないんですけど
そうはならないかと…(笑)
すいません・・・

意外に「more〜」に対してレスくれて嬉しいです(笑)
ただの思いつきだったんですけどできればマジで続き考えようと思います。
でもあんなのでいいんですかねぇ?

次の更新は来週の予定で。
もしかしたら明日するかもしれませんがどうか分かりません。
151 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月22日(日)11時02分28秒
読んでいてドキドキしっぱなしです。
152 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)00時56分16秒
「やぐち・・・何で?」
ドアノブを握っていた手に力を入れて思わず出てきてしまった。
自然と汗ばんだ手を握り締めた。

それまでずっと何も考えられなくて、考えたくなくて
ドアの向こうで話しているごっちんとやぐちの話も聞けないくらい泣き崩れた。

信じたくなかった。
でもこれは誰が言った訳じゃなくてやぐち本人から聞いた事。
悪びれる事もなく平然とした態度をごっちんにとっていたやぐち。


あたしの知っているやぐちはこんな事するような人じゃないのに。
今、目の前にいるやぐちはニセモノ?
それともこれがホントウのやぐちなの?

153 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)01時08分49秒
泣き過ぎて真っ赤になっていた目で見た屋上の光景。

信じられなくて思わず目を思いきりこすった。
でも何回こすって見ても状況は変わるはずがない。


殺伐とした雰囲気。息を呑むほどの緊張感。
目の辺りのヒリヒリとした痛さを我慢しながら感じていた。


ドアの前で聞いていた状況とまるで違う。


やぐちがごっちんを殺そうとしていた。



やぐちはきっと今のあたしよりもっと驚いた表情を見せている。
口を開けたまま呆然としていた。

ごっちんはきっと今のあたしにはない「ほっ」とした表情を見せている。
銃口が自分からはずれた事で安心しているようだった。

154 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)01時29分03秒
「ずっと・・・聞いてたよ。…本当、なの?」

重い空気を打ち破るようにあたしが口を開いた。

あたしの「ずっと聞いていた」って言葉に反応して
ゆっくりと目を閉じて息をついたやぐち。

ごっちんはあたし達をじっと見つめている。


やぐちが目を閉じて数秒・・・


「誰の為だと思ってんの?全部!ゼンブなっちとやぐちの為だよ?」


目を再び開いて必死にあたしに分かってもらおうと言うやぐちは
少し笑っていた。冷めた表情で。
 

「こんな・・・こんな事して誰が喜ぶの!?誰が「嬉しい」って言うの!?
 誰もそんな事思わない!言わない!
 ・・・感じる事は「悲しい」って事だけだべ!?」

そんなやぐちの表情が悲しくて切なくて仕方なかった。
あくまでも「悪い事をした」っていう自覚がないやぐち。

あたしは大声を出して言っていた。

155 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)01時45分36秒
「なっちも・・・「悲しい」の?」

やぐちはあたしの大声に驚いたようなそういう感じの表情を見せている。


さっきまでごっちんに向けられていた
右手に持っている物騒なモノがやけに視界に入ってくる気がする。

やぐちはそれをギュッと自分の小さな手で握り締めたまま。


「悲しいよ?決まってるっしょ?大事な友達だったんだもん…」

よっすぃーとりかちゃんの顔が一瞬頭に浮かんで涙が出そうになる。
「出そう」と思っていた時にはもう頬に冷たい感触があった。
少しおさまっていた目の辺りの痛さもまたぶり返して痛くなってきた。


涙を手の甲で拭きながらにじんだ視界でやぐちを見ると
あたしの泣いてる姿をただ見つめていた。
やぐちもいつのまにか涙目になっていた。

「だ・・って、なっち言ったじゃんかぁ・・・
 「やぐちが死ぬ方が悲しい」って…言ったじゃんかぁ!!」

涙目だった目から大粒の涙が一気に溢れ出たやぐちがあたしにそう言った。
物騒なモノを持っている右手は下ろしたままで
左手で涙をぬぐっていた。

泣いているやぐちはあたしの知っているいつものやぐちだった。

156 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)02時09分40秒
「やぐちが死んじゃうのも誰が死んじゃうのも悲しいよ・・・?」

鼻をすする音があたしからもやぐちからも聞こえた。


ごっちんはそんなあたし達をただ見守っている。


「で…でも!そうだ…ったとしても矢口は、後悔なん…かしてない・・
 悪いなんて・・・思ってない!!」
 
ほとんど泣き叫ぶような声だった。
言った後言葉にならない声を出して泣きだしてて

あたしは知らない内にやぐちを追いつめていた事を実感した。
ただ「心配性」とかで片付けていた自分自身がすごく許せなかった。

もっといつも「好きだよ」って言ってあげればよかったかもしれない。
もっとずっと一緒にいたら…もっとちゃんとやぐちと向き合えていたなら…

知らない内に溝が出来ていてあたしはそれに気付かなくて。


友達が出来る喜びと嬉しさにうかれて。
目の前に広がった新しい世界に目を奪われて。

やぐちの送った小さなSOSのような言葉を見逃していた。



はじまりは2人だった。
2人だけの世界でお互いを見てた。


あたしはこの事にようやく気付いた。

157 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)03時01分45秒
あたしは自分でも知らない内にやぐちの方へ駆け寄ってぎゅーって抱きしめた。

右手の物騒なモノも「物騒」と思わないくらい。
そんなモノ、やぐちが握っている事すら忘れててただぎゅーって抱きしめた。

小さな体がすっぽりあたしの腕の中に入っている。
あたしは腕の中のやぐちに心なしか変な違和感を抱いた。
でもそんな事は気にしなかった。

「やぐち…ごめんね・・・」

それしか言えなかった。
謝ってすむ問題じゃないのは十分承知。
でも今はそれしか言えない。

やぐちはあたしに抱きついていてさっきとはまるで違うように泣き止んでた。
泣き止んだ・・・というより
おさまっていたという方が合っているのかもしれない。

158 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)03時18分15秒
「なっちは・・・欲張りなんだよ…」

やぐちはあたしの顔を見ないで下を向いていた。

吹いている風が段々と冷たく感じてきた。

でもそんな冷たいとか今は関係無くて
あたしの感じた変な違和感が本物となる瞬間はすぐに来た。


「・・・えっ?」

目の辺りが痛く感じなくなってきたその時。
いつのまにかあたしもやぐちも泣き止んでいた時。



「矢口は・・・なっちさえ隣にいてくれたらそれでいい。
 他には何にもイラナイよ?」



「なっちも・・・やぐちが隣で笑ってくれてれば…嬉しいよ?」



「それじゃー・・・今すぐ矢口だけのモノになって?」



「え・・・?」


腹部に異物が当たっている感触がした。

159 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)03時36分17秒
やぐちを見ると笑ってて「大丈夫だよ」って言ってる気がした。

ゾクって寒気がして鳥肌がたった。
まぎれもないやぐちが右手に持っていた「物騒なモノ」があたしの腹部にある。
見なくても分かった・・・


「やぐち・・・?」


「なっち…矢口だけのモノになってよ?」


やぐちの声が震えてた。
それにちょっと涙声だった気がした。

ドキドキする。一気に鼓動が早くなって心音がやぐちにまで
聞こえているんじゃないかと思うほどだった。



自然と「死にたくない!」とは思わない。
さっきたっていた鳥肌もなくなっていた。
理由は自分でも分からないけど。
やぐちがいいなら・・・


「やぐちがそうしたいんなら・・・いいよ?」


本当の事を言ったのに自然と涙が出ていた。
今日で何回、涙流しただろう?
一生分の涙流した気がするよ。


「・・・本当にいいの?」

やぐちもつられて泣きそうになってて
あたしは今にもこぼれそうな涙を指でぬぐってあげた。

「うん。いいよ?それでやぐちだけのモノになるなら
 全然恐くなんか・・・ない!」

160 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)04時06分08秒
そう言った後やぐちの方を向いて笑ってみせた。


少し離れているごっちんの方を向くと
何が起きているか分からないといった表情をしてた。

「ごっちん!」

あたしはそんな表情をしているごっちんを呼んだ。
ごっちんは心配そうな顔であたしの方を見た。


「ごっちん!なっちね、やぐちの事がだーい好き!!!…なんだぁ!」

「へへっ」って照れ笑いしてみせると
ごっちんは心配そうな顔を壊さずに何も言わないであたし達を見ていた。



ぎゅーって痛いくらい抱きしめた。
腹部にあるアレがちょっと痛かったけど気にしない。

そしてやぐちに軽く口づけると
やぐちは笑って「お返し」のキスをくれた。
唇が合わさっている時間が長くて
初めてやぐちとキスした時と同じくらいドキドキしてた。


「最後のキス?」

離れてからそう言うと

「そだね」

とだけつぶやいた。


「なっち、やぐちに会えて本当に良かった。
 やぐちを好きになって本当に良かった。
 今もこれからもずっとやぐちが好き!」


「矢口もなっちに出会って好きになって本当に良かったよ。
 矢口はずっと、ずーっとなっちが好きだよ」 

161 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月06日(日)04時11分57秒
頬をつたう涙が冷たかった。
風が吹いて余計に冷たく感じた。



あたしが見た最後のやぐちの表情は優しかった。



やぐちの肩に顔をうずめると左手でポンポンを頭を軽く叩いてくれた。

それの意味が何となく分かった気がした。

『心配する事ないよ。
 矢口はいつもなっちと一緒だから…』

そう言ってるような気がして笑えてきた。



 そして・・・



すっと目を閉じた時・・・あたしの時間が止まった。

 
162 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年10月06日(日)04時19分35秒
更新終了!
先週、更新できずにすいませんでした…
今回心意気多めに更新しました!(全然多くない)


>151読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうございます!
毎回更新ごとにレスしていただきありがとうございます!!
今回で最高にドキドキしていただけたら嬉しいです。


あと1、2回で完結となります。
その後は・・・考えてません…
moreの方もまだ考えてないです。
163 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月06日(日)11時12分10秒
ほう、先にこのコですか・・・。
このコはメインディッシュだと思ってました。
しかし、2人の会話はなんかジーンときました。
164 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月06日(日)21時18分34秒
人が死ぬ場面なんだけど・・・とてもウツクシイと思った
165 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)01時24分03秒
大きな音がエコーみたいに学校中に響いた。
その音と共になっちの体が矢口の方へ倒れこんできた。


  矢口のものになった瞬間だった。


自分の両手を見ると真っ赤に染まっていた。
それは今までに見た事ないくらいキレイな赤でしばらく見とれてしまった。

本当になっちは体の中まで何もかもがキレイなんだね。
また惚れ直したよ?



「・・・ぁ・・な…っち?」

気のないような細々とした声が耳に入って視界をその声の方へ向けると
「ごとうまき」が信じられないって顔してて
涙、いっぱい目にためて立ちすくんでいた。


「ごとうまき」の事をすっかり忘れていたけど
こいつを何とかしなきゃ矢口達いつまでたっても2人きりになれないね。
ねぇ、なっち?


「何とか」って意味分かるよね?
待ってて。すぐに2人きりになれるから。


166 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)01時37分58秒
じんじんと痺れてる右手を「ごとうまき」の方に向けたら
自然と矢口の体からなっちが離れていって床に倒れた。

「どさっ」って音がした。


何だよぉー?今絶対痛かったでしょ?
後で矢口に怒って来ても知らないよ?
なっちから離れていったんだからね?

 ちょっと待っててね。すぐに片付けるからさ。


気付くと全身がなっちのキレイな赤に染まっていた。

「ごとうまき」は今から矢口がする事が分かったみたいで
立ち尽くしていた体を動かして後ずさりを数歩した。


「そろそろ矢口達を2人きりにさせてよ?
 まだまだなっちといっぱい話したい事あるんだ」


何も話そうとはせずにただ矢口を見つめてて
息遣いが荒い。まさに挙動不審ってやつ。

167 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)01時48分06秒
「そんなにビビる事ないよ。一発だか・・」

矢口が言い終わる前に「ごとうまき」は
後ずさりを何回かしていきなりドアの方へ走り出した。


予想外。
銃を突きつけられてるのに背を向けるなんて思ってもなかった。
そんな簡単には「何とか」ならないらしい。


でもダメだよ?
いくら逃げたって弾より早く逃げれる事なんかできないんだから。

「・・・くそっ」
そう言って舌打ちを軽くしながら「ごとうまき」を追いかけた。


なっち。1人にしてごめんね?
すぐに終わらせてなっちのトコに帰ってくるから。
それからはもうずっと一緒だよ?
離れろってなっちが言ったって離れてやんないから。
だから。少しの間待ってて。

 
168 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)02時07分10秒
「ごとうまき」がドアノブに手をかけた瞬間だった。
彼女から少し離れていたけど一発撃ってやった。


あっけなさすぎて一瞬の出来事で矢口自身驚いた。


なだれ落ちるように体が流れて床に落ちた。

近付いて見ると言葉にならない声を言いながら目をぎゅっと瞑っていた。

その姿を見て分かるようにまだ息があるらしい。
「ごとうまき」を見下げて何だか自分が大きくなったようだ。
少しの優越感を感じながら彼女に向けて
真下に撃つような形で続けて2発撃った。


エコーにエコーが重なって聞こえた。
銃口から煙が出て空に消えて行った。
気付くと靴のすぐそばまで真っ赤な液体が流れてきていた。

でもなっちの赤なんかとは断然違った。
キレイなんて思わなかった。
「ごとうまき」自体すごく醜く感じた。


校庭の方が騒がしくて様々な声が聞こえる。
そんな騒音でしかない声を聞き流しながら
屋上のドアの鍵を閉めてその場を後にした。

169 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)02時19分16秒
なっち、ただいま。
片付けて来たよ?案外早かっただろー?
いきなり逃げられたからビビったけどちゃんと「何とか」してきたよ。


ずっと右手に握り締めていた拳銃も使う事はもうないだろう。
なっちが矢口のものになったから。

そう思ったら拳銃を離す事ができた。
「カチャン」っていう音が耳に残って頭の中で響いている。

痺れた右手に風があたって気持ちよかった。



眠っているなっちを抱きかかえてフェンスに勢いよく
寄りかかると反動で体が跳ねかえった。

170 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)02時41分36秒
全く・・・いつまで寝てんだよぉ?
本当によく寝るねぇ・・・なっちは。


でもそんなに寝てると矢口がつまんないじゃんか。

「なっち・・・起きろよぉー!」

冷たく感じる体にぎゅっと自分の体をくっつけて
ほっぺたをぺしぺし軽く叩いてやった。


「何ー?怒ってるの?『矢口のものになって』とかわがまま言ったから?
 それとも拳銃突きつけたから?」

全く反応なし。そこまで怒ってるのかよー?


「撃ったけど急所はずしたじゃん。血、そんな出てないし…
 どうなんだよ〜?反応しなかったらチュ―すんぞー?」




パトカーのサイレンが近くなっているのに気付かなかった。
屋上のドアが「ドンドン」と何回も叩かれているのも
色々な声が聞こえているのも気にならなかった。

171 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)03時11分29秒
しばらく待ったけど反応なし。

静かに顔を近づけて唇を合わせた。
なっちの唇は異様に冷たかった。冷たすぎた。


合わしていた唇を離して大きく息を吐いた。

「あ・・・。アレが最後のキスじゃなくなったね。
 ていうか…最後なんてないよ。まだこれからだよ?」


風が吹いてなっちの髪をなびかせている。
茶色がかった髪がキレイに見えた。




じぃっとなっちを見つめると何だかひどく悲しくなった。
なっちが矢口の腕の中にいるはずなのに
1人ぼっちのように感じるのはなぜだろう?
淋しいと感じるのはなぜだろう?
なっちがいるのにね。

矢口、変なんだよ?
矢口の腕の中で眠ってるなっちがあまりにも安らかに見えて
いつもかわいいと思うなっちが今日はキレイに思うんだ。

だからこそ
死んでるんじゃないかとか変な心配してるんだよ?

死んでるわけないのにね。
きっとこんな事言ったら怒られるよね。

ねぇ・・・早く目ぇ覚まして?
早くなっちの笑った顔が見たいよ。
あの矢口が大好きななっちの笑顔が見たいよ。



172 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)03時16分58秒
気にならなかったドアを叩く音が今だ響いている。
始めは軽く叩く程度だったのが
段々激しくなって大きな音が鳴るほどになっている。




 ドンッドンッドンッドンッドンッドン・・・


―ねぇ、やぐち…なっちの事好き?

―何言ってんの?好きに決まって・・・

                バン!!!!!






173 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)04時09分10秒
      The trial(裁判)

静かな裁判所。
話しをする人などいない。

誰もが弁護士の話しを聞いている。


「以上が…この恐るべき事件の真相なのです。
 4人も殺害した被告矢口真里の行為はそれは許されぬ行為ですが
 くしくも4人の被害者に加わった安倍なつみは彼女の最愛の人だったのです。
 どうか寛大な決断を・・・」

矢口はただ目を瞑って聞いていた。


「被告は起立して下さい。
 陪審員は全員一致の評決に達しましたか?」

「達しました」

静かに立ちあがって目を開けた。
手にかかっている鉄の固まりが重く感じる。
動かすとジャラジャラと音がした。


「被告人矢口真里は有罪ですか無罪ですか?」

「有罪です」


      無期懲役。

たった一言そう言った。

「何…で・・・」

鉄の固まりが一層重く感じた。
頭に血が昇って何も考えられない。

「何でだよ・・・!?」

 「人殺し!」

「娘を返せ!」

様々な罵声が降りかかる。


174 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)04時31分21秒
でもそんなの聞こえてないかのように
抗議しようと暴れまわるがすぐに取り押さえられた。



「何でっ・・・なっちの処へ行かせてくれないんだよ!?」



「なっち…なっち―――っ!!!」



「矢口さん大分顔色がいいみたい。
 やっぱりたまには外の光りを見た方がいいものね」

「全く…こうして見ているととても2年前世間を騒がせた殺人鬼とは思えんな」


とある大病院の屋上で看護婦と医者が矢口について話している。
本人はフェンス近くのベンチに腰掛けて空を見上げている。
今日はとても天気が良く絶好の散歩日和だ。


「刑務所から病院へ送られてきた時は手の施し様もない状態だったけど
 今では看護婦にも時折笑顔さえ見せてくれます。
 相変わらず一言も喋ってはくれませんが・・・」


「それが彼女にとっていい事なのかは分からんが―」


鳥のさえずりに耳を傾けて目を閉じた。

太陽の光で目を閉じても明るい。



ふいに風が静かに吹いて暗くなった。
静かに目を開けた。





175 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)04時46分30秒
なっちだった。
矢口の目の前になっちがいる。

矢口の最愛の人。


あの時と変わらない表情で

なっちが言った言葉は

    「やぐち・・・おいで?」

たった一言。「やぐち」って言ってくれたんだ。
笑いながら両手を目一杯広げて。
やぐちに向かって。



なっちがいなくなってから笑った事なんかあったっけなぁ。
何だか「笑う事」を今まで忘れていた気がするよ。

久しぶりに笑うから多分ちゃんと笑えてないと思うけどごめんね?
今すぐそっちに行くから待ってて。





   だって・・・
   なっちが笑うんだ。
   その眩しい残像が目に焼き付いて
   離れない。



すぐになっちの処へ行って
ギュ―って抱きしめた。
大好きななっちのにおいがした。



なっちのどんな顔も大好きだけど笑った顔が1番好きだよ。
もうずっと一緒だよ?
離さないよ?
覚悟しててよ?


  やぐち…なっちの事好き?

  何言ってんの?好きに決まってるじゃん!!

 
176 名前:girls afterimage 投稿日:2002年10月19日(土)05時27分01秒
次の日の新聞にこんな記事が載っていた。


『連続少女殺人鬼矢口真里、屋上から身を投げて即死。
 2年前日本全土を震撼させた当時17歳の連続殺人鬼矢口真里が
 病院の屋上から自殺した模様。
 しかし同病院院長は「あの屋上の外側には高い鉄柵があって
 開いていたという鍵は事前に点検してしまっていたはずだ」と
 患者の自殺に対して管理体制の落ち度を全面的に否定・・・』

  やぐち…なっちの事好き?   

  何言ってんの?好きに決まってんじゃん!!
  
  抱きしめて指をからめて。
  二度と離しはしない。
  例え何があっても。

     目を逸らしたくなるような抱擁と
     耳を塞ぎたくなるような睦言をなっちに。
    
177 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年10月19日(土)05時47分29秒
これで一応『girls afterimage』は完結です。
最後かなり矛盾だらけで何書いてるんか意味不明な点だらけだと思います。
どうもすいません…

>163読んでる人@ヤグオタ様!
レスありがとうございます。
先になっちをやるってのは急に決めた事でした。
最後の会話はちょっと長ったらしくてじれったい気がするかなぁと
思ったんですけど、どうしても書きたかったんです。

>164名無し読者様!
レスありがとうございます。
「ウツクシイ」ですか??
ありがとうございます!
自分では正直そう思ってなかったんで…

次回作?は一応決めてるつもりなんですけど
「more…」どうしよー!?って感じです。
続けてええんかなぁ・・・?

178 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月19日(土)20時18分07秒
脱稿お疲れ様でした。
死にまくりの物語でしたけど、
こーゆーなちまりもアリですね。
ラストの矢口が見た幻覚(?)良かったです。

次回作(「more…」?)も期待してます。
179 名前: 投稿日:2002年10月19日(土)21時09分44秒
お久しぶりです。
脱稿、お疲れ様でした。
なっちの死にシーン、泣きまくってしまいました。
最後の矢口もなんだか切なかったです〜。
暗い話は大好きなんで楽しめました。
次回作も頑張ってください。
個人的には「more…」の続きも気になるので書いて下さると嬉しいです。
180 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月17日(日)19時59分13秒
すごい面白かったです。
できたら「more・・・」の続きが私も読みたいです。
次回作、楽しみに待ってます。
181 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年11月30日(土)02時25分57秒
girls afterimageの完結にレスしてくれたみなさんありがとうございました!

また書かせていただきたいなぁと思ってます。
新作も考えて色々構成などできているんですけど
みなさん「more〜」が意外に気に入っていただいてるようで…

・・・という事で「more&more」の続きを書きたいと思ってます。
ただの試し書き程度に書いた小説なんで完結できるか分からないし
どうなるのかも予想していません。もしかしたら放置もあり得ます。多分。
なので…もしそうなった場合本当にごめんなさい!!!

でもでも一応頑張って書いてみるんで読んでいただけたら嬉しいです。

182 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)02時32分37秒
『急激に仲良くなった』それはあたし的にだけど。


だから「携帯番号交換した!」とか
   「遊びに行く約束した!」とかそんなの全くなくて
ベーカリーで会ったらあいさつ程度に言葉を交わす。
ただそれくらいで他には何も変わらなかった。

あたしが前よりもっとベーカリーに行くのが
楽しみになったのは言うまでもない事。
たった「あいさつ程度」の会話だけど
あたしにとっては一日の内で最も重要だった。

183 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)02時40分22秒
彼女の事は名前しか知らない。

「やぐちさん」…らしい。(彼女自身そう言っていた)
その他の何年生だとかそんなのは未だに何も知らないまま。
(でも名字を知れただけでも大進歩だと思う)

実は言うと彼女も「あたし」の事を全く知らない。
名前も学年すら。
聞いてこないしあたし自身、自分から

「なっちです!」

とか言うのもおかしいし。
とりあえず今の所あたしには全く興味がないらしい。
 そう考えるとショック…
友達でなくてただの「知り合い」!?
 そう考えるとまたショックでヘコむ。


でもこんな関係でもいい!
会ったら話しかけてくれるって事は彼女の視野に
あたしという存在が微かだけど写った証拠だから。

184 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)02時50分19秒
「それじゃーね」
「うん。ばいばい」

「あいさつ程度」の会話が終わった直後…

「ちょっ…なっちー!?どゆこと!?」
やぐちさんに気付かれないくらいの小さな声を出しながら
あたしの制服のシャツの袖を引っ張るごっちん。
やぐちさんが話し掛けに来た所からすでに口は開いたまま。
じぃーっとやぐちさんを見てた。・・・無理もないけど。


 「なっちもごとーと一緒だね」

話した事なんかあるワケなくて名前も学年も知らない。
つい最近までごっちんとお互い同じ状況だ、なんてそう言ってたのに
急に話すようになって驚かないワケがない。

185 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)03時02分52秒
「ごとーが学校サボってる間に話しかけたとか!?」
「い、いやそうでなくてさ…」「じゃー何!?」

普段のごっちんからは考えられない焦り様・・・

あたしはこの前の事を少しずつ話し始めた。












「・・・って事なの」
一部始終話し終えてごっちんを見ると何か考え込んでた。
話してる途中あの時の事を自分自身の心の中で
思い出して少し笑えてきたりした。


「じゃー友達なんだぁ」
何か考え込んでたごっちんがぽつりと羨ましそうな声でそうつぶやいた。

「え!?違う違う!今の所知り合い…くらいかな?」

自分で言ってちょっと悲しくなった。

「知り合いかぁ…でもいいなぁ〜!
 ごとーもあの子と知り合いになりたいよぉ!!
 いいなぁ!なっちいいなぁ〜!!!」

「ご…ごっちん!」
ごっちんが何回もいいなぁを大声で連発するもんだから
お金を払い終えて出て行こうとドアを開けた
やぐちさんが不思議そうにこっちを見た。

 もう気付かれないくらいの小さな声はどこへやら。

あたしはただやぐちさんに曖昧な笑みを返す事しか出来なかった。


186 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)03時31分06秒


あの暑い季節が過ぎ去って反対に肌寒さを感じるようになった11月。
もう肌寒いじゃなくてほんとに寒い。

制服もシャツだけじゃなくてブレザーを着る季節。
それだけじゃ寒いから相当長めの赤いマフラーをして毎日学校へ行ってる。

夏のあの暑い季節がかなり恋しい。






11月に入ってすぐにHRの時間にプリントを渡された。
見ると文化祭の事でどこのクラスが
何をするとかが全部書かれたプリントだった。

そう、もうすぐ文化祭。あたしにとっては最後の文化祭だ。(3年だからね)

どのクラスが何をするとか見ても
やぐちさんのクラス知らないから意味ないよなぁ
…とかプリントを見ながらため息をつく。

食品バザーでは【たこ焼き・フランクフルト・コロッケ・お好み焼き…】と
おいしそうなモノばかり揃っている。
ちなみにあたしのクラス、3-Aはたこ焼きだ。
絶対おいしいよ。たこがすっごいデカイの!!

・・・・・やぐちさんに食べてもらいたいなぁ。
やぐちさんは何するんだろ…聞きたい。もっと話したいよ。


187 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)03時44分21秒
「あいさつ程度」に会話するようになって
結構経つけど未だに「知り合い」のまま。


あたしは自分で本当に欲深いと思う。
始めは同じパンを食べることに満足してたけど物足りなくなって
話したいと思った。もっと近付きたいと思った。

そして話しかけられるようになって前よりも近付いて満足していたのに
もうそれだけじゃ満足出来ないんだから。

もっとやぐちさんを知りたくて
もっとやぐちさんと話しがしたくて
もっとやぐちさんにあたしを知ってもらいたい。


話す度にそう感じる。その思いが強くなる。


やぐちさんはあたしの事なんか気にもとめていないと思うケド。


188 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)03時58分05秒
それはこの季節に合わない雨の降る日だった。
朝からずっと雨で鬱陶しくて堪らない。
しかも雨が降って余計に寒く感じる。手も冷たすぎて感覚がなくなる寸前だ。
スカートのせいか足も寒い。


ごっちんはあたしの予想通りに「雨だから休む☆」ってメールが入ってきてた。
つまりはサボリ。ごっちん進級できるのかなぁ?


朝は電車で来たけど帰りはバス。
バス停はこの学校の正門の目の前にあるからすっごく楽。
しかも屋根がつけられていて濡れる心配もないし。
あたしはそこに座って冷たくなった両手の指先を絡ませた。

透明のビニール傘は横に置いて。
かなり長めの赤いマフラーに顔をうずめて。


バスが来るのはあと30分くらい余裕にある。
バス停にはあたし1人で雨が屋根に当たる音しか聞こえない。


189 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)04時14分28秒
時間が余りにもあるからしばらく考え事。

最近…やぐちさんに会えない。
いつものようにベーカリーに行くけどやぐちさんが1時過ぎに来ない。
今日で3日目だ。もう3回も会えてない。
たった3回だけどあたしにとってそれは相当ショックで。
意味もなく心配とかしたり。
その後の午後の授業にやる気が出なかったり。(これは本当)
とにかく…会いたいよぉ!!


ん〜…って眉間に皺を寄せない程度に唸ってマフラーにうずめていた顔を上げて
灰色の空にため息。真っ白い息が見えて一瞬で消えてなくなった。





『ピチャッ…ピチャッ…』
あたしの背後から水たまりに入った時の音がする。誰かの足音だ。
車の音で聞こえにくかったけど確かにこっちに向かっている。

だれ?
気になるけど後ろを向けない。知らない人だったら困るっしょ?
その足音が一歩一歩近付いてきているせいで大きく聞こえる。
さっきよりも明らかによく聞こえるんだ。

絡ませた両手の指をぎゅっと力を込めた時・・・足音があたしの隣で止まった。



190 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)04時30分11秒
「あれっ?あのー、あれだっ!いつもベーカリーで会う子だ!」
「へっ?」

振り向くと会いたかった人が目の前にいた。やぐちさんだった。

「ぐぅぜーん!バスなの?」
「あ、うん」
「矢口もバスなんだよねぇ」

にぃって笑って隣イイ?って聞かれたから
全然イイよ!って答えたら笑われた。
やっぱりかわいい。


さっきまでさしてた真っ赤なビニール傘をたたんで横におくと
片手に持っていたまだ開けていない缶のミルクココアを
(もちろん暖かいの)両手で転がし始めた。

いきなりのチャンス到来!?
もっと話せるチャンスだしもっとやぐちさんを知れるチャンス。

ぼーっとそんな事を考えながらまた両手に力を込めてたら

「手ぇ寒いの?」

「ふぇ!?」

急に話しかけられたから変な声を出してしまったらまた笑われた。

「あぁ…ちょっと」

ほんとはかなり冷たいんだけどね。

「んじゃ、これ持っときなよ」

小さく「ん」って言いながら両手で転がしていた
缶のミルクココアを差し出してくれた。

素直にありがとう、って言ったら別にいいよ?って言ってくれた。


191 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)04時47分43秒
「ミ、ミルクココア好きなの?」

とりあえず何でもいいからやぐちさんの事もっと知りたいんだ?
だからやぐちさんの事教えて?


あの小さい体にしては相当大きい黒いカーディガンの
袖口に手を引っ込めてたやぐちさんがあたしの事を見ないまま

「甘いの好きなの。だからミルクココアは一番好きかなぁ…
 コーヒーは飲めないんだよね」

子供っぽい好みを教えてくれた。
それから「バス何時に来るの?」とか話した。
やっぱり…やぐちさんの事見れば見るほどドキドキする。
この気持ちは本物だ。本当にこの人が好きだ。そう、実感した。


「あー…飲みたかったら飲んでもイイよ?」
「飲んでイイの?」
「うん。飲みなよ」

タブをおこして開けて飲むと暖かいとは言えないココアが口に入ってきた。

「ありがと」

一口飲んで返すと

「んー」

あたしが口付けたのを何も気にする事なく飲むもんだから一気に寒さが消えて
ドキドキして体中が暖かくなった。顔、絶対赤いよ。

こんな事でドキドキしてるあたしって相当ヤバイかもしんない。


192 名前:more&more 投稿日:2002年11月30日(土)05時06分51秒
「そういえば名前も何も知らないんだよねぇ。
 名前は?あと何年なの?」

思い出したみたいに言う所が堪らなく可愛かった。

「あっ、名前は安倍なつみ。学年は3年生だよ」



少しの沈黙・・・何で?



「はっ!?冗談言ってんじゃないの?3年って…その顔で?」

可愛いから許すけど…童顔ってのはあたし自身一番良く分かってる!

「なっ!?違うべさぁ!ちゃーんと3-Aの生徒だべ!?」

焦ってしゃべったからついつい訛りが出てしまった。


「キャハハハハ!!!ゴメン!ほんとゴメン!そんな怒ると思わなくてさぁ!」

両手を合わせてゴメン!のポーズ。ダメだ。それも可愛く見える・・・
いつのまにかココアはやぐちさんの横に置かれていた。


「てかさぁ〜訛ってるね」

指さしながら笑いを我慢してるって感じに
肩を震わせて言うもんだから恥ずかしくなった。

「うん・・・」としか言えなかった。



「・・・?気にする事ないじゃん。矢口は可愛いと思うケドなぁ」

「はっ!?そんな事ないべさ!?」

・・・また訛った。

「そんな事あるべ?可愛いよ?」

あたしの訛りを真似しながら言ったやぐちさんは優しい笑顔だった。


193 名前:斉藤電気。 投稿日:2002年11月30日(土)05時32分35秒
超中途半端ですけど更新終了です。
前のgirls〜とは全く違う感じの明るい小説です。

ちなみに矢口さんがココア好きとかコーヒー飲めないとか
私のイメージなんであしからず。

いきなり文化祭という行事が入ったのはただの気まぐれです。


更新は遅すぎずやっていきたいなぁと思ってます。
なるべく早くにしたいです。

194 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月02日(月)18時24分17秒
続きありがとうございます。これからも期待してます。
195 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年12月04日(水)20時36分16秒
「more&more」の続きキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!
続き&完結させてくれるコトを激しく期待してます(w

>作者さん
>ちなみに矢口さんがココア好きとかコーヒー飲めないとか
>私のイメージなんであしからず。
確かリアル矢口もコーヒーが飲めないらしいから
作者さんのイメージ通りで合ってると思います。(ココア好きかは判りませんが)
196 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月24日(金)22時44分25秒
保全
197 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月06日(木)21時50分19秒
保全
198 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月03日(木)12時55分25秒
保全
199 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月09日(水)21時44分29秒
保全
200 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月23日(水)20時42分21秒
保全
201 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月18日(水)01時34分32秒
保全
202 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月18日(金)01時06分24秒
保全
203 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月19日(火)01時26分57秒
保全
204 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/20(土) 01:16
ho
205 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/22(水) 02:19
保全
206 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/29(月) 23:16
保全

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