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閉店セール
- 1 名前:なつめ 投稿日:2002年08月03日(土)00時10分54秒
- ちょこちょこと、他の板や企画で書かせていただいている、なつめと申します。
れいのニュースを受けて、このままでは風化して、いずれ書く気が無くなるなと、
そう感じた(ためていた)ネタを、慌てて出し尽くそうと。こういった意図で
立てさせていただきました。
短〜中編を、時間の許す限り、書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
- 2 名前:なつめ 投稿日:2002年08月03日(土)00時15分03秒
- 一本目は、以前他所で書いていて、都合により最後が大駆け足になってしまった
書き物をリメイクしたものです。
そういったわけで、季節感のズレがあるかと思いますが、ご容赦ください。
それでは、
「あなたのようになりたかった(rewrite)」
です。
- 3 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時16分41秒
- 「ど、どおもぉ、チャ、チャーミー石川です・・・・・・」
「スイマセーン。石川さん、もう少し元気よくお願いします。」
おどおどして、まるで蚊が鳴くような声。気合どころか、やる気も感じられない台詞に、
苛立ちを含んだダメ出しが出されるのは、これで何度目だろうか。
しかし、「誰が一番イライラしてると思ってんの!」これが、この時の私の率直な
気持ちだった。
実際できないものは、できないのだ。
「ちょっと、石川、あんたいいかげんにしいや。7回やで、7回!
やる気ないんやったら・・・・・・。」
- 4 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時17分25秒
- たった一言、つかみの台詞だけが繰り返されるリテイクについゆうちゃんがキレる。
しかし、私と目があった瞬間、その怒りの表情がそのままの形で固まった。
そりゃそうだろう、イライラが最高潮で眉間にしわよりまくりで、視線なんか正に
突き刺さらんばかり、なのにその瞳からはとめどなく涙がこぼれるてるという、
ゆうちゃんの短くない人生経験の中でも、たぶん初めて見るであろう矛盾だらけの表情は、
怒りを、不気味なものに対する恐怖感にすりかえるには、十分な威力を持っていた。
「それじゃ、もう1回いきますんで!」そんな事務的なスタッフの口調を合図に、
止まっていた時間が再び動き始める。
わさわさと再びざわめき始めたスタジオの隅で、涙で乱れた化粧を直してもらいながら、
わたしは今日幾度となく感じた不条理を、もう一度心の中へ繰り返す。
「(どうして、よりによって“ここ”なのよ)」
- 5 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時18分07秒
- 鏡を使わずに自分の顔を見ることができるか?
とんちやなぞなぞの問題じゃなくて、もし本気でこう訊かれたら、たぶんみんなの答えは
決まって同じだと思う。けど、私だけは違う。
答えは「できる」だ。
その日、わたしは初めて自分の寝顔というもの見た。
ガラス越しに見たその姿は、たくさんの機械に囲まれ、鼻と口にはチューブまで
差し込まれていて、時々機械から聞こえる空気を送り出す音がとても惨めだった。
- 6 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時18分54秒
- しかし、それ以上に私を悲しくさせたのは、周りですすり泣くなっち、圭織、圭ちゃん、
やぐっつあんの4人の姿、そして、私の瞳から意思とは関係なく零れ続ける涙だった。
みんな、壊れた蛇口をハンカチでふさぐように顔を覆って、声を殺していた。
「・・・・・・ごっつあん。」
絞り出すような声は誰の声か分からない。
時々私を呼ぶ声は、ひどく私を混乱させた。
正直、こんな場所さっさと出て行きたかった。しかし、そんなことができるはずもなく、
この時の私にできることといえば、頬を伝う涙を時々拭いながら、この理不尽な状況について
ぼんやりと思いをめぐらすくらいだった。
- 7 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時21分02秒
- 夜、いつも通り仕事が終わって、いつも通り家に帰ろうとして、
あの道を渡ろうとした。
覚えているのはそこまでだ。
後で聞いたところによると、酔払い運転だったらしい。
見通しの良くない交差点、急いでいた私、一瞬の判断が遅れたドライバー。
小さな不運が重なり合っただけだった。
そして、私は辿り着いた。
どうしてこんなことになったのか、どうしてここなのか、なぜこの人だったのか。
これが幸運なことなのか、はたまた破滅の始まりなのか、それを判断するには、
時間も材料も足りない。
ただ分かっているのは、この出来事は、“神様のいたずら”という
非科学的な言葉でしか言い表せないってことだけ、つまり、
何もわからないってことだ。
- 8 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時21分53秒
- そして、先にそのことに気付いたのは、私の方だった。
「どこ、ここ?」
見慣れない天井、いつもと違う匂いがする布団。思いがけない光景を見て、
誰にともなく、思わず出た言葉は他人の声だった。
疲れてるんだろうか。
確かに前の日のスケジュールはハードだった。朝一の撮影に始まって、
取材と収録の嵐、それに打ち合わせまで。まったく労働基準法ってもんを・・・・・・
回想から始まった不満を中断して、もっと大事なことに気付く。
- 9 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時22分36秒
- 「違う!」
はっ、として飛び起きて、見知らぬ部屋を見渡す、いや、よくよく見れば、まったく
知らない部屋でもないような、そんな気がしてきた。
少しだけ落ち着きを取り戻し、絶対に趣味じゃないピンク色のパジャマと、
それに包まれた体を見下ろす。
しかし、これも私のとちょっと違う気がする。悔しいけどこっちの方が
やや育ってる感じだ。
好ましくない予感が、冷静になるに連れて、だんだんと確信へと変わっていく。
おぼろげな記憶を頼りに、洗面所へ急ぐ。
部屋を出て、それほど長くない廊下の右側の扉。案の定そこは洗面所だった。
わずかな希望を勇気に変えて、思い切ってドアノブを回す。
- 10 名前:あなたのようになりたかった(rewrite) 投稿日:2002年08月03日(土)00時23分06秒
- 「・・・・・・そんな。」
予想的中。鏡に映った顔は、思ったとおりだった。
「他にもメンバーはいるのに」驚きよりも、どんな感情よりも先に思いついた感想が、
これだった。
「なんで、梨華ちゃん・・・・・・。」
(はい?)
こうして、私の、いや私たちの奇妙な合同生活は始った。
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月04日(日)03時11分15秒
- おもしろそう。
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月04日(日)22時21分13秒
- こ、これは・・。
はじめの方を何度も読んだだけに、すごい楽しみです。
- 13 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月13日(火)16時52分25秒
- おお!これ読んでましたよ。
リメイクとのことなのでとても楽しみにしてます。
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月17日(土)22時23分31秒
- ここでまた読めるとは!
リメイクに期待しております。
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月03日(木)20時59分56秒
- 保全
- 16 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月07日(木)23時34分47秒
- 保
- 17 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月04日(水)23時46分09秒
- ze
- 18 名前:名無し3 投稿日:2002年12月27日(金)16時11分05秒
- ん
- 19 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月30日(木)02時24分38秒
- 待ってます
- 20 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月07日(金)18時52分27秒
- 待ってるべさ(●´ー`●)
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