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ゆるぎない愛

1 名前:コウ 投稿日:2002年08月03日(土)00時21分05秒
ショックのあまり初スレ立てます。

ごまいしよしになると思います。
設定等はありがちですが完全にオリジナルな妄想です。
初めて書くので心配ですが、一人でも共感してくれたら嬉しいです。
いしごまは永遠に最強のCPです!
2 名前:1 転校生 投稿日:2002年08月03日(土)00時23分46秒
河原沿いの通学路。
川風に髪をなびかせながらうつむきがちに歩く少女。
(あぁ・・・なんでこんな中途半端な時期に・・・)

彼女は父親の仕事の関係で何度も転校を余儀なくされていた。
そして今日も新しい学校へ向かう途中だった。
高校生になっても転校だなんて私ってちょっとかわいそう
かもって自分の父親をちょっとうらんでしまう。

(今度は絶対積極的に友達作るんだからっ)
子供の頃からネガティブ思考の少女は、度重なる環境の変化
のせいもあり、なかなか親友ができないのであった。
そして強い決意のもと、少女は学校へと急いだ。

3 名前:1 転校生 投稿日:2002年08月03日(土)00時30分09秒
学校に着くとまず職員室に行き、担任の先生に連れられて教室に入る。

「今日からこのクラスでみんなと一緒に勉強することに
なった石川梨華さんですっ!みんな仲良くしてあげてね!」
(せ、先生・・・その小学生並みの紹介やめてください・・・)
「い、石川梨華です。父の仕事の都合でこの学校に編入してきました。
・・・・・・みなさん、よろしくお願いします。」
お決まりの自己紹介を済ませると、先生に指定された席に座る。

「私は柴田あゆみ。よろしくねっ!」
隣の少女が梨華に微笑みかけた。
(かわいい子だなぁ・・・お友達になれそう・・・)
「よ、よろしくねっ。私は石川梨華。」
「うんうん、さっき聞いたよ。」
「あっ、そうだね」
「フフッ石川さんってかわいいねっ!」
4 名前:1 転校生 投稿日:2002年08月03日(土)00時33分32秒
朝のHRが終わるとまたあゆみが梨華に声をかけてきた。

「ねぇ石川さん、今日お弁当持ってきた?」
「うん。」
「じゃあ、一緒に食べようよ」
「うんっ!」
(良かった柴田さんみたいな積極的な人が隣の席で・・・)
(あ、だめだめ、自分からももっと積極的にいかないと!)

お昼ご飯は梨華とあゆみとその友達と4人でおしゃべりを
しながら食べた。
もっとも梨華がほとんど質問に答えていた形だったけれど・・・。
5 名前:1 転校生 投稿日:2002年08月03日(土)00時36分22秒
「ねぇねぇ、もうすぐ夏休みでしょ?いつもの旅行は今年はどうするの?」
あゆみの友達の一人があゆみに聞いた。
「多分行くと思うよ。・・・あっ、ねぇ梨華ちゃんも行かない?」
「えっ?旅行っ?」
(これはみんなと親友になれる近道かも・・・)
ちょっと打算的になってしまうくらい積極的な意気込みの梨華は、
もちろん行く!と言わんばかりの表情で目をキラキラさせてあゆ
みに聞き返す。

「あゆみんちねぇ、すっごい広い別荘があるんだよぉ!
毎年みんなで遊びに行くんだよねー!」
あゆみの友達が興奮ぎみに話す。

「すごぉい!私も行ってみたいな・・・」
「分かった!梨香ちゃん決定ね!ひにちとか決まったら教えるから。
ダメな日とかってある?」
「ううん、いつでも大丈夫だよ。ほんとに行っちゃってもいいの?」
「うん、いいよいいよ。大歓迎だよ!」
6 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時38分32秒
それからあっという間に時間は過ぎ、半月後の旅行の日になった。

結構あゆみたちと打ち解けた梨華はこの日が待ち遠しくて前の日
からうきうきしていた。

旅行の詳細までは聞かされていなかった梨華は、あゆみの別荘に
着いてびっくりしてしまった。
そこは本当に広くて、扉が何枚あるか数え切れないほどだった。
そしてその別荘に来ている人の数が半端ではなかった。

(すっごいおうち・・・こんなにいっぱい来てるんだ・・・)
ここに来ている人たちはあゆみの学校の友達だけではなく、
近所のおさななじみや、親戚のお姉さんたちやその友達まで
来ているらしい・・・。
庭にはバーベキューセットやぶらんこ、テニスコートや噴水まである。
広がる森のどこまでが敷地なのか分からないほど・・・。
7 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時41分21秒
「じゃあ、まず部屋割りを決めまーす!」
あゆみの親戚のお姉さんという背の高い綺麗な大人っぽい人が
仕切りはじめた。

(え?部屋割り?)
3、40人はいると思われる人たちが集合し、なにやらくじ引き
みたいなのが始まった。

「梨香ちゃん、行こっ!」
あゆみに手を引かれてくじ引きに参加した。
「分かれちゃっても寝るまで一緒に遊んでればいいから。」
あゆみは心配そうな梨華に声をかけた。
毎年恒例の旅行というせいか、来ているみんなは全員がお互いを
良く知っているようで、部屋割りを楽しみにしているようだった。
しかし梨華は初めて参加するにも関わらず、結局あゆみ達とは別
の部屋になってしまい、すごくがっかりしていた。
8 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時43分56秒
とりあえず、同室の人同士が集まって、部屋に荷物を置きに
行くことになった。

6人で一部屋ということで、梨華は初めて会う人たちに一応
簡単に自己紹介をした。
「あゆみちゃんの友達かぁ・・・かわいいね!じゃ、いこっか?」
みんなで歩き出したが、梨華はすごく気になっていることがあった。
(舞い上がって名前聞き逃しちゃったけど・・・あの人ちょーきれい
・・・年上かな?同じくらいかな?お友達になれるかな・・・?)
梨華は同室になった人の中でとても気になってしまう人がいたのだ。

部屋に荷物を置くと、それぞれ、自由に行動することになり、梨華
はあゆみ達を探しに戻った。

それから夕食の時間まで梨華はあゆみたちと一緒に、近くを流れる
小川や森を歩きながら、たわいもない話をして過ごした。
夕食はみんなで庭でバーベキューをした。大人数だったので、あゆみ
達から離れないように必死で、同室の気になる人とも話すことはな
かった。
でも時々視界に入ってくるその人は梨華の心を強く惹きつけた。
9 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時46分33秒
(ほんとにきれーだなぁ・・・っていうか笑顔はちょー子供っぽくて
かわいいかも・・・)
ぼーっとしながらそんなことを考えているうちに夕食も終わり、
一番楽しい夜の時間となった。

あゆみの寝る部屋に友達が集まって、梨華の初めて見る顔もあった
けれど、みんなで寝るのも忘れてお菓子を食べながらしゃべっていた。
あゆみがお酒を隠し持ってきたので、それを飲んだとたん、梨華は
すぐに睡魔に襲われて動けなくなってしまった。

「りかちゃ〜ん??寝る部屋違うよ?・・・ん〜もうしょうがないなぁ・・・」
あゆみは布団にちゃんと梨華を寝かせてあげるとまたおしゃべりに
集中し始めた・・・。

10 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時49分46秒
翌朝、割と早く寝てしまった梨華はみんなより早く目が覚めてしまった。

(あ、私昨日・・・部屋戻ってない・・・)
梨華は自分の荷物を取りにそうっと部屋をでた。

自分の部屋に着くと荷物を整理した。
梨華のためにだろう、布団が一つ空いていたので梨華はそこで
もう一度寝なおすことにした。

二度寝をしてしまった梨華は次に起きたときにはもうみんな朝食に
行ってしまったようで部屋はがらんとしていた。
顔を洗いに立つと、部屋に梨華以外に一人まだ寝ていることに気づいた。

(・・・あっ・・・あの人だ・・・)
梨華は勇気を出して彼女に近づいていった。

(・・・寝てる顔もかわいいなぁ・・・)
朝陽に照らされた彼女の肌は透明に輝き、ストレートの髪は
キラキラと光っていた。

「あ、あの・・・朝ですよ?朝ご飯行かないんですか?」
思わず梨華は声をかけていた。

「・・・ん・・・んん・・・zzz・・・」
(ダメだわ・・・)
梨華の勇気もむなしく眠りから覚めないため、梨華は諦めて顔を
洗ったりして準備を整えた。

「・・・んー朝・・・?」
突然彼女は目覚めたようだった。

梨華は伸びをしている彼女に向かって反射的に手を差し伸べた。
11 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時52分21秒
「一緒にご飯行きましょ?」

彼女は梨華の手につかまって起き上がろうと途中まで体を起こしたが・・・。
「やっぱいい・・・ご飯いらない。もうちょっと寝かせて・・・」
彼女は梨華の手を離すと自分でもどうしようもないという風に
重力に素直に布団に突っ伏して動かなくなった。

梨華は心の中でため息をつくと、あゆみを探しに部屋の外へ出た。


二日目もあゆみ達と過ごし、今日こそは彼女に話かけようっ!
って心に決めていた梨華は早めに部屋に戻った。
同室の人は、梨華を気遣っていろいろ話し掛けてくれた。

「昨日いなかったでしょ?ちょっと心配してたんだよ?」
ちょっと怖そうな、でも口調は優しいお姉さんに言われてしまった。

「今日はちゃんとここで寝ます・・・」

梨華は今日はほとんどあの人を見ていなかった。
今もせっかくあの人と話ができるって思って部屋に来たのに、
彼女は全然姿を現さなかった。
12 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時55分10秒
(帰っちゃったのかな・・・?)

梨華は思い切って聞いてみた。
「もう一人ここの部屋の人いますよね?帰っちゃったとか?」
「あ、真希のことね、さっき違う部屋にいたの見たけど・・・
梨華ちゃんだって昨日いなかったじゃない?」
「あ、そうですね・・・えっと、明日も天気いいといいですね。
明日はテニスしたいな・・・」
話がぶり返しそうなので、慌てて梨華は話を変えた。

梨華は初めての人たちと話して気を遣ったせいか、疲れてしまい、
彼女に会うことなく、布団に入った。

(真希さんって言うんだ、あの人・・・なんでこんなに気になるんだろ・・・?
相手は女の子なのに、これって恋愛感情じゃない・・・よね・・・?しかも
会ったばっかりだし・・・)

同室の人も割と落ち着いたお姉さんが多く、みんな早く布団についた。
梨華は横になっていたが、真希のことと環境の変化になんとなく興奮
ぎみでなかなか寝付けなかった。
13 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)00時59分42秒
(あの人、同じ部屋なのに帰ってこないなぁ・・・)

真夜中になり、心地よい疲れと共に梨華の意識がすっと遠のき
はじめた頃だった。
部屋のドアを開ける静かな気遣うような音が微かに聞こえた。

梨華はふっと目が覚め、少し明かりの動いたドアの方に反射的
に視線を移した。

(あっ・・・)
梨華の視線の先には先ほどまで梨華が気にかけていた真希の姿があった。
真希は先輩につかまってやっと今解放されて帰ってきたところだった。
思い思いの布団に寝てしまっている同室の人たちを見渡し、真希は自分の
寝る場所が無くなっていることに気づいた。

(・・・どうしよっかな・・・)
(先輩のところに戻ろっかなぁ・・・あいてる所無いかな・・・?)

真希のその姿を見ていた梨華は、
(どうしたんだろ・・・?寝る場所無いのかな?)
眠れそうな場所を探している真希と視線がぶつかってしまった。

真希はおずおずと、しかし素早く梨華のそばに駆け寄った。
「ここ・・・いい?」
「う、うん・・・いいよ」
梨華は真希のために少し体をずらした。

「ありがと・・・おやすみ」

「おやすみなさい・・・」
14 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)01時02分00秒
梨華は急な真希の接近のせいで心臓が高鳴って眠気も一気に
覚めてしまった。

(どうしよう・・・こんなんじゃ眠れないよ・・・)
梨華が緊張して寝付けないでいると、真希の体が少し動き、
腕が梨華の腕にそっとぶつかった。
(・・・っ・・・!)
しかし真希はそれ以上動かない。
(・・・寝返りうっただけ・・・?)

梨華は腕を動かすことができず、触れ合った部分だけに意識が
集中してしまう。
梨華は薄暗い闇に神秘的なその整った邪気のない真希の寝顔を
そっと見つめた。

(・・・きれいな顔・・・)
梨華は何かに突き動かされるように、そうっと真希の腕に更に
自分の腕を重ね、手のひらで真希の腕を握ってみた。
細くてしなやかな真希の腕はそのまま意思を持たずにいるよう
に思えたが、次の瞬間、梨華の手をしっかりと握り返してきた。

(・・・っ!起きてる・・・?・・・今、手握り合ってるよね・・・?)
梨華は自分の鼓動が大きく跳ねたことに自分で少し驚いていた。
15 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)01時05分33秒
しばらくそのままでいると、ふいに真希が半身を梨華に寄り添う
ように大きく動かした。

暗闇の中、2人の視線が絡み合った。

真希の顔が梨華にゆっくり近づき、真希の唇が当たり前のように
梨華の頬に落とされた。
真希は確認するようにもう一度梨華を優しく見つめると、その唇は
ゆっくりと梨華のふっくらした唇に重なった。

(・・・っ!)
(キ・・・キスされてる・・・?!!)
梨華は自分の心臓の早い動きと、いきなり唇をふさがれたことに
より呼吸をすることを忘れたため、意識が遠のいてしまいそうになる。
というか、そのやわらかいキスに感じてしまい、頭の中が真っ白に
なってしまっていた。

しかしそれだけでは済まなかった。
真希はゆっくり梨華の唇から自分の唇を離すと少し恥ずかしそうに
梨華に視線を落とし、もう一度唇を重ねるとそのまま唇を梨華の
首すじにずらしていった。

「・・・ん・・・っ!」
首筋に真希の暖かい唇を感じて、梨華は自分の中に溢れてくる快感
のその圧倒的な存在感に体中が一気にとろけだすような感覚にとらわれた。

真希は優しく情熱的なキスを繰り返すと、梨華の服に手を伸ばした。
16 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)01時07分43秒
梨華の服は真希の手によって優しくめくりあげられ、今まで覆われ
ていた素肌が露わになっていった。
真希はためらうことなくそこに直に触れてきた。
ブラをつけていなかった梨華は直に胸に触れてきた真希の熱い手を
急に感じ、はっとした。

(!・・・周りにみんないるんだよ・・・?)
今更思い出してしまった部屋の状況に梨華はとても焦っていた。

(みんな起きちゃうよ?見られたらどうするの・・・!?)
そんな梨華の気持ちに気づくことなく、真希は更に梨華の胸に
唇を近づけていった。
真希は梨華の胸の周りや谷間や、腕や脇に優しく口付けをする。

(私・・・この人のこと何も知らない・・・なのに・・・どうして・・・?)
「ん・・・っ・・・」

(どうして・・・私・・・こんなに感じてるの・・・?)

梨華は今まで付き合ってきた人とHの途中までいったことは何度か
あったけれど、こんなに体がざわめくのは初めての感覚だった。
17 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)01時10分33秒
(・・・!)

梨華は急にあることに気づいた。
真希のキスは・・・音付きだったのだ。

梨華の体中に口付けをしている真希は梨華の体から唇を離すとき、
必ず「チュッ」って音を出していた。

(周りに気づかせたいの・・・?わざとやってる・・・?)
梨華は焦って真希の頭をそっと手ではさんで、ゆっくり自分の顔の
近くまで持ち上げ、小声で話しかける。

「ねぇ・・・わざと音出してる?周りの人起きちゃうよ?」
「うそ?・・・気づかなかった。でも聞こえちゃってもいいよ。」
真希は無邪気に答えると、
「ね、続きしていい?」
また無邪気に聞いてきた。
「うん、でも恥ずかしいよ・・・?」
真希はそれには答えず、キスの雨を再開した。

(・・・っていうか、こういうことってもっと知り合って、お互いの
気持ちとか確認してから・・・じゃないの?・・・こうやって誰にでも
簡単にしてるのかなぁ・・・?)

そんな梨華の考えを押し流すように真希は激しく梨華の胸の辺り
に吸い付くような口付けを始めた。
18 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)01時13分21秒
「痕ついたかな・・・」

口付けられるたびにその部分から甘く痺れる感覚が広がり、心臓も
もうこれ以上無いくらいバクバクしていた梨華は、真希の呟きには
気付かなかった。
梨華はどうしようもないくらい自分の体が反応してしまうことに
心の中で一人突っ込みを入れていた。

しばらくすると真希は満足したのか、梨華に寄り添うように体を
預けておとなしくなった。

次の瞬間真希は夢の中にいた・・・。

(え?・・・まさかもう寝ちゃってる・・・?)

梨華は、自分の気持ちをこんなに揺れ動かしたまま置き去りにして
寝てしまった真希にあきれながらもそんなことをするのもかわいい
かもって思ってしまっていた。

(こんなに暗い場所だし、彼女、私のこと誰か分かってないかも・・・
今夜だけの相手だったのかな・・・?・・・誰でも良かったんだろうな
・・・たまたま私が隣にいたから・・・?・・・女の子同士で抵抗とか
ないのかな・・・?・・・)
いろんな考えが梨華の頭の中でぐるぐるしているうちに梨華も夢の中
に入っていった。
19 名前:2 旅行 投稿日:2002年08月03日(土)01時17分36秒
朝目覚めても梨華は寝る直前の真希に対する疑問や緊張を抱いたまま
自分からは言葉を交わせずにいた。

「おはよう・・・」
「あ、おはよう・・・」
お互いにうつむきがちにあいさつを交わすとそのまま押し黙ってしまう。

「ねー真希、今日どうする?」
真希は同室の人たちに囲まれて話を始めた。
梨華はなかなか話に入れずにいた。

(昨日のことはみんなにバレてないよね?)
梨華は真希の均整のとれた体つきと、見てるとまぶしくなるような
笑顔をそっと盗み見ていた。

(やっぱりきれいだな・・・昨日のことは夢じゃないんだよ・・・ね?)
そのとき真希が梨華の視線を感じ、顔を梨華の方に向け視線が合うと
にこっと笑い、梨華に近づいてきた。

「えっと・・・ごめん、名前なんだっけ?」
「!・・・梨華です。石川梨華・・・」
「梨華ちゃんは今日どうするの?」
「あ、私は友達とテニスしようかなって・・・」
「そっか・・・ちょっと来て」

真希は梨華を廊下に連れ出すと、連絡先を聞いてきた。
二人はメールと携帯の番号を交換した。
でも次の約束はしなかった。
20 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)01時25分24秒
旅行から帰ってくると、一気にさみしくなった。
梨華の頭には真希とのことがいやでも思い出されてしまう。

帰ってきてから一番驚いたのは、お風呂に入ろうとしたときだった。

「なに・・・これ・・・?」
体のあちこちに小さな痣みたいなのがたくさん付いていたのだ。

「!・・・あのときの!?」
急に真希とのことが鮮明によみがえってきた梨華の顔はみるみるうち
に真っ赤になった。

「知っててつけたのかな・・・?」

そんな中、真希からメールが届いたのは3日後のことだった。

{梨華ちゃん元気?真希です!覚えてるよね?
この前の旅行楽しかったね。
ところで・・・突然なんだけど今週空いてる日ある?
もし良かったら一緒に遊ばない?}

(真希ちゃんからだ!私のこと覚えてくれてたんだ。)
梨華はすぐに真希にメールを返した。

{旅行お疲れさま。えっと、いつでも大丈夫だよ。
真希ちゃんに合わせるよ。}
{ほんと?じゃあどこ行く?どっか行きたいところある?}
21 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)01時29分58秒
結局二人は翌日に会うことになり、待ち合わせの場所と時間を真希が決めた。

翌日になり、梨華は朝からそわそわしていた。

(会って何しゃべればいいんだろう・・・絶対意識しちゃうよ・・・)
梨華は早めに着いていたのでこれからのことをいろいろ考えて少しの
不安とかなりの緊張をしていた。

真希は時間ぴったりに着いた。
「すごいよ・・・間に合った!・・・って、待った?ごめんね?」
(き、きれいでかっこいいなぁ・・・みんなが真希ちゃんのこと見てる・・・)

「ううん、私も今来たとこだよ・・・」
梨華は顔を上気させながら答えた。
「じゃ、ご飯食べに行こっか?」
「うん。」

真希が入ったのは梨華が聞いたことも無い音楽がうるさいくらいに
流れているお店だった。
その音に次第に慣れてきた梨華の耳に真希の声が聞こえてきた。

「なんか久しぶりって感じだね。まだ2回しか会ってないのにね。」
「そうだね。」

3日間真希のことを考えずにいた日は無かった梨華は、実際に真希を
目の前にすると、なんか現実味が無く、ぼーっとしてしまっていた。
22 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)01時33分04秒
「ここのケーキおいしいんだよ。後で食べようね・・・ご飯終わったら
どうする?映画とか観る?」
「うん、・・・」
「そういえば梨華ちゃんって何歳なの?」
だまりがちな梨華に真希が途切れることなく話し掛けてくるので、
梨華もだんだん意識せず話すことができるようになった。

「じゃあさ、この後家に来ない?」

真希の提案で結局二人は真希の家へと向かった。
梨華の家から考えると2時間くらいかかり、結構遠いなって梨華は
思っていた。

真希の家へ着くと誰もいないらしく、がらんとしていた。
「今週はみんな旅行に行っちゃっていないんだよね。なんか一人で寝る
の怖くて」
「そうなんだ・・・私一人でも結構大丈夫だよ。でもちょっとやっぱり
怖いよね。」

「あ、ねぇ昔の写真とか見る?」
「見たい見たい!」
真希と自然な会話ができるようになった梨華ははしゃいだように真希に
言った。

二人は並んで座り、真希がページをめくる。

アルバムは真希と友達らしい人物との2ショットがほとんどを占めていた。
「この人・・・誰?」
なんとなく聞いてはいけないような気がした梨華は自分でも気付かない
うちに聞いてしまっていた。
23 名前:コウ 投稿日:2002年08月03日(土)01時38分12秒
一気に書きこんでしまいました。…休憩…
今までみなさんのすばらしい作品を読ませていただいていたのですが、
やっぱり自分が書くとなると自信が持てないですね…。
っていうか誰も読んでくれないかな…
24 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)01時46分10秒
「この人・・・誰?」

なんとなく聞いてはいけないような気がした梨華は自分でも気付かない
うちに聞いてしまっていた。

「・・・前付き合ってた人なんだ。」
「え・・・?だって女の子だよ?」

「あ、梨華ちゃんそういうのだめ・・・なんだ?」
真希はびっくりしながらちょっと落ち込んだふうに言った。

「え、そういう訳じゃないけど・・・」

真希はアルバムをめくっていた手をふと離し、梨華の背中から腕を
まわしてまためくり始めた。
斜め後ろから抱きしめられたような形になり、背中全体に真希の
ぬくもりを感じた梨華は、びくんっと反応し、またドキドキしはじめた。

「いちーちゃんって言うんだ。この人。今は留学中だと思う・・・もう連絡
とかとってないから今なにしてるかわかんないんだ・・・」

めくっていくうちに、真希といちーちゃんという人が抱き合ったり
ほっぺにキスしているショットがでてきた。

「・・・」

「梨華ちゃん・・・」
急に真希は向きを変え、梨華を押し倒した格好になった…。
25 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月03日(土)01時46分40秒
読んでますよー!
ごまいしよし凄く気になりますね。
テレビではもうすぐこの3人のも見れなくなるでしょうね…
続き気になります!頑張ってください
26 名前:コウ 投稿日:2002年08月03日(土)01時57分19秒
>名無し読者さま
 
 レスありがとうございます!
 人生初レス受けに感動中です!

 (現実の3人からは目を背けたいです…激泣…)
27 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)02時00分49秒
「!・・・ちょ、ちょっと!」

梨華の驚きを無視し、真希は表情をほとんど変えずに梨華に顔を近づけて
いった。
真希の顔がどアップになってから梨華はすでに自分の唇に真希の暖かい
唇が触れてしまっていることに気付いた。

真希のサラサラな髪が梨華の頬や首すじをくすぐり、真希の甘い香りに
梨華の頭はぼーっと熱に浮かされたようになっていた。

唇が離れると、ほんの少し余裕のできた梨華の頭の中でいろんな考えが
ぐるぐる回りだした。

(まだ好きって言われてないし、付き合ってとも言われてないよね?
なのになんでこんな恋人同士みたいな触れ方をするの?・・・しかも
あの写真は何?なんで過去の彼女の写真なんか見せるの?)

真希に対する疑問がふくらみ、消化しきれない梨華は真希がどういう人
なのか全く分からなくなっていた。
28 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)02時05分09秒
真希は少し悲しそうな顔で梨華の首すじや腕にキスをしていた。
梨華も同じような表情で真希を受け入れていた。
ただ、梨華の体は真希に抵抗することを全く思いつかないようだった。

それどころか梨華の腕は真希への不信感に反して、彼女の首に巻きつい
ていた。
真希はちょっと嬉しそうな表情になり、梨華の顔中に優しくキスをした。

「くすぐったいよ…」

その言葉が合図のように真希は梨華の服の下の肌を確かめるように
触れてきた。
梨華の服がずらされていく。

「やっぱり痕ついちゃってた…」
「あ!…そうだよ、ひどいよ……びっくりしたんだから…
服も開いたのとか着れないし…」

「ご、ごめんね……こんなについてるとは思わなかった…」

真希は顔を紅くしながら梨華の服を元に戻し、梨華を起き上がらせた。

「TV見よっか?」
真希はTVをつけるとついさっきまでのことはまるで無かったかのよう
に普通におしゃべりを始めた。

梨華は真希の態度についていけなかったが、なんとか合わせて言葉を
交わしていた。

29 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)02時07分41秒
薄暗くなってきたので梨華は真希のことを全く理解できないまま帰ることに
なった。

「じゃあ、そろそろ帰るね。今日はありがとう。楽しかった・・・
真希ちゃんも今度うちに遊びにきてね。」
社交辞令っぽく梨華が言った。

「うん、なんかごめんね、楽しかった?」
「うん・・・楽しかったよ・・・じゃ、また・・・」
「駅まで送るよ。」

駅までの道はほとんど会話することもなく、二人は改札口で別れた。


その後、梨華は真希との関係に疑問を抱いたままやはり自分からは連絡
できずにいた。

(真希ちゃん、ほんとどういうつもりなんだろ・・・?)

夏休みが終わり、毎日のように真希のことで悩んでいた梨華は、あゆみ
なら何か知ってるかもしれないと、思い切って聞いてみることにした。

「ねぇ、あゆみちゃん、夏休みに旅行に行ったでしょ?あのとき私と同じ
部屋だった人のことなんだけど・・・」
「うん?誰のこと?」
「確か、後藤さん、後藤真希さんっていったと思うんだけど・・・」
30 名前:3 再会 投稿日:2002年08月03日(土)02時09分27秒
「あー真希ちゃんね、ちょーきれいだったでしょ?1こ下なのにねー、
何、気になるの?真希ちゃんもてるからねー」
「そうなんだー・・・」
「え、まじで?気になってんの?」
「あ、じゃなくて、どんな人なの?」
「気になってんじゃない・・・真希ちゃんはいい子だよ。いとこの姉さんの
後輩だよ。今度一緒に遊び行こっか?」
「っていうか、付き合ってる人とかいるの?うぅん、どういう風に人と付き
合ってるんだろうって・・・」
「何それ?もしかして、真希ちゃんとなんかあったの?」
「ん、うぅん・・・ちょっと話してて気になっただけだから・・・」

「そういえば真希ちゃんって女の子と付き合ってるって聞いたことあるよ。
まだ付き合ってるんじゃないかな?海外との遠距離じゃなかったかな?」
「そ、そうなんだ・・・。ありがと。別になんでもないから・・・」
「ふーん、姉さんに会ったら真希ちゃんのこと聞いてみようか?」。
「あ、いいよいいよ。ありがと・・・」
31 名前:4 裏切り 投稿日:2002年08月03日(土)02時17分08秒
それから二週間後に真希から連絡があった。

「…梨華ちゃん?…元気?あのぉ…今週末空いてない?
一緒に買い物行きたいんだけど…?」

「…うん、いいよ…」
「ほんと?じゃあ、また連絡するね。」

週末になり、二人は服やCDを買ったりしたあと、結局また真希の家に
行くことになった。

家族の人はまた出かけているようで家には誰もいなかった。
真希は家のドアを閉めると同時に梨華に抱きついてきた。

「会いたかったんだよ…」

梨華は突然の行動に驚き、とっさに今まで抱いていた疑問を真希にぶつけて
いた。

「ねぇ……私達って付き合ってるの…?」

真希はびっくりしたような表情をしたあと悲しそうに、そしてばつの
悪そうに言った。

「……本当のことをいうとね、まだいちーちゃんと別れてないんだ…」
32 名前:4 裏切り 投稿日:2002年08月03日(土)02時20分25秒
「…ほんとに?まだ付き合ってたの?嘘ついたの?ひどいよ…
じゃあ私にしたことはなんだったのっ!?」
梨華は溢れてくる涙と戦いながら一気に言った。

「じゃあ!今から電話するから、電話して別れるから!」
「いいよ別に!だって私達付き合ってるわけじゃないんでしょっ!?」
「待ってて!電話するから。ちゃんと別れるから!」
真希は焦ったように電話に手をかける。

プルルルルル・・・
慣れたように『いちーちゃん』に取り次いでもらった真希は、上ずった
声で早口で話し始めた。

「いちーちゃん?ちょっと今時間ある?…んー、元気だよ、元気。
いちーちゃんは?学校の方はどう?…ふーん…あ、あのね、あの
…大事な話があるんだけど…急にごめんね……あ、ちょっと待ってて」

なかなか本題に入れない真希は急に梨華の方にあっちいっててという
振りをした。
(なんで私が追い払われるわけ?)
真希の態度にむっとした梨華はそのまま動かずにいた。

しばらく真希と『いちーちゃん』の普通の会話が続いていた。
ただ真希の目には涙がにじみでてきていた。
33 名前:4 裏切り 投稿日:2002年08月03日(土)02時24分06秒
真希は急に受話器を置いて、出て行かない梨華を無言で家の外まで
連れ出し、中に入ってカギをかけてしまった。

(!…ちょっとーっ!…なによそれ?帰れってこと?)
しばらくドアの外で呆然と立ち尽くしていた梨華だったが、ドアが開かれる
気配は全く無く、梨華は怒りを抑えられずに、半泣きになりながら駅へと
走っていった…。

(なんなのよなんなのよっ!二股かけられそうになったのは私なのにっ!
追い出すことないじゃない!それになんで『いちーちゃん』って人とあんな
嬉しそうな辛そうな顔で話するのよ!あんな表情するなんて…)

(そっか…私『いちーちゃん』て人に嫉妬してるんだ…)
34 名前:4 裏切り 投稿日:2002年08月03日(土)02時27分54秒
それからしばらくたっても真希から連絡がくることは無かった。
梨華の怒りはだんだんふくらみ、真希のことを憎むほどになっていた。

ある日ふと真希から連絡がきた。
「この前はごめんね。あの、話があるから・・・会ってくれない?」
「・・・別にいいけど。」

憎いくせに拒めない自分を不思議に思いながら、梨華は真希の指定した
場所へ向かった。

「・・・」
「・・・」

梨華はむっとした表情をくずさず、私は怒っているんだ、というふりを
一生懸命表していた。

「この前はごめんね。・・・ちゃんと別れたから。前の人とはちゃんと
別れたから。」
「だから・・・何?」
「付き合って欲しいんだ。初めて会ったときから・・・梨華ちゃんに一目
ぼれしちゃったんだ・・・」

「じゃあ、なんでこの前私を家から追い出したの?あんなひどいこと好きな
人にできるわけないじゃない。もしかして今まで私にしてきたことに責任
感じてるとか?別に私は付き合って欲しいなんて思ってないからっ・・・」
35 名前:コウ 投稿日:2002年08月03日(土)02時31分55秒
…休憩…
今日はもうちょっとでやめておきます。

36 名前:4 裏切り 投稿日:2002年08月03日(土)02時41分08秒
「じゃあ、なんでこの前私を家から追い出したの?あんなひどいこと
好きな人にできるわけないじゃない。もしかして今まで私にしてきた
ことに責任感じてるとか?別に私は付き合って欲しいなんて思って
ないからっ…」
「じゃあ何で梨華ちゃんはいつも拒まなかったの?どうしていつも私を
受け入れてくれたの?」

「別に…どうでも良かったからだよ…それにいつも急で強引
だったでしょ?人の気持ちとか全然聞いてくれなかったじゃないっ…」
「じゃあ、梨華ちゃんの気持ち教えて。私のことどう思ってるの?」
「いいよ、別にそんなの!言いたくない。私帰る!」

真希の気持ちが信じられない梨華は急に席を立った。
「ま、待ってよ…!」

しかし梨華に追いつくことはできなかった。

いつもは結構穏やかな性格の梨華は、冷静になってさっきのことを
振り返った。

(真希ちゃんと会うとなんでこんなに感情的になっちゃうんだろう…)
(真希ちゃんが私に一目ぼれなんて…嘘だよね?…ダメ、絶対許さないん
だから…)
37 名前:名無し読者です 投稿日:2002年08月03日(土)04時26分17秒
自分もいしごま大好きなんですよね!
最近とくに梨華ちゃんとごっちんの距離が近くなってたのに…(FUNで2人が一緒だったのがもえ〜)

はぁ…

このココロの傷をコウさんの小説で癒してください(w
期待してますんで、頑張って下さい。

38 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月03日(土)11時45分16秒
実は昨日途中まで携帯でリアルで読んでました(w
いしごま大好きなんで何だか切ないですね。。
心の傷、自分も癒してもらってます^^;
大量更新お疲れ様です〜。
39 名前:豚馬牛 投稿日:2002年08月03日(土)18時20分44秒
( TДT)<もういしごまみれないよぉー…。コウさんの作品、良い!!
       熱中させてもらいます!!
40 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月04日(日)21時15分41秒
やっぱいしごまはええわ〜。
今日はじめて読みました。
おもしろいっす!!
41 名前:コウ 投稿日:2002年08月05日(月)18時30分51秒
レス有難うございます!

>38 名無し読者 様
   ありがとうございます。
   これからもうちょっと切なくなるかも・・・
   分かんないですけどね。
   現実は辛いです・・・

>39 豚馬牛 様
   ありがとうございます。
   いしごまは永遠です!

>40 名無し読者 様
   いいっすよね〜いしごま最強!
   ・・・あ〜辛いよ・・・

ちょっといしよしに走ってしまうかもです。
42 名前:コウ 投稿日:2002年08月05日(月)18時39分54秒
レス有難うございます!

>37 名無し読者です 様
  上に隠れてて見えませんでした・・・!
  FUNさいこーでしたね。
  モえまくりました。
43 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)18時41分54秒
年は暮れ、クリスマスの一週間前に、ある人からカードが送られてきた。

「あれっ・・・?!」
その差出人を確認すると、急に込み上げてきた懐かしさに梨華は少し
涙腺を緩ませた。

(なんで急に今ごろ・・・今どうしてるんだろう?・・・会いたいな・・・)

昔の日々を思い出し、その胸は少しずつ熱くなっていった。
44 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時44分53秒
梨華が何回目かの引越しを終えた日だった。

片付けも一段落し、ちょっと外の様子を見てみようかなと家の門を
開いたときだった。

「あ・・・」
隣の家から人が出てくるところだった。

「こ、こんにちは。えっと、隣に引っ越してきた石川です・・・よろしく・・・」

隣の家から出てきた子は、透き通るほど色白で綺麗な大きな瞳をキラキラ
させて梨華をまっすぐ見て言った。
「あ、えっと、吉澤です。こちらこそ・・・よろしく」

(すごい・・・きれいな子・・・こんな美形初めて見るかも・・・)
その様子にすっかり目を奪われ少しぼーっとしてしまった梨華は吉澤が
何か言っているのを聞き逃してしまった。

「石川さん?」
「あ、えっと、何ですか?」
「あの、石川さんは何年生なんですか?」
「中1だけど・・・」
「あ、そうなんですか、うちはまだ小6です・・・今度勉強教えてくださいね!」
「うん!いいよ。もちろん・・・でも分かるかな?」

「これからどこか行くんですか?」
「あ、この辺をちょっと散歩しようかと思って・・・」
「じゃあうちが案内してあげますよ」
「本当?じゃあ一緒に行こう!」
45 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時46分34秒
二人は門を出ると一緒に歩き始めた。

「こっちに行くとコンビニがあるんですよ。」
「ここを右に曲がると駅に着きます。」
「こっちは公園がある方です。先輩、行ってみます?」
吉澤は梨華に近所の様子をいろいろ説明してまわった。

「先輩、どこから引っ越してきたんですか?」
「あ、ねぇ、その先輩っていうのと、敬語やめない?」
「だって先輩じゃないですか」
「でもなんか変な感じだから・・・」
「分かりました・・・じゃ、何て呼べばいいの?」
「リカでいいよ」
「じゃあ、リカちゃん、うちはひとみでいいよ。」
「ひとみちゃん、これからもよろしくね!」

「うん。ねーリカちゃん、早速だけど家遊びに来ない?今誰もいなくて
さみしーんだー」

それから毎日のように梨華とひとみは互いの部屋で遊ぶようになった。
46 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時47分42秒
その日も梨華は自分の部屋でひとみと遊んでいた。
二人は憧れている有名人のPVを見て振り付けを一生懸命真似したり
していた。

「ねーあとで宿題教えてねー」
「じゃあ、先やっちゃおうよ。持ってきた?」
梨華はいやなことは先に終わらせてしまおうと、早速机の前に二つ椅子
を並べてひとみを呼んだ。

「えーもーやるのー?もうちょっと後にしようよー」
「早く終わらせちゃお?」
「んーもー分かったよーちゃんと教えてよー」
やる気のないひとみはふざけて、用意された椅子には座らずに梨華の
ひざの上に座った。

「ちょ、ちょっと・・・」
急に体を密着させてきたひとみに梨華はなぜかドキドキしてしまっていた。
「だってこっちの方が座り心地いいんだもん。」
ひとみは言った後、梨華の手を探して両手でつかまえると自分のおへそ
の前で交差させた。

両手でひとみを抱くような姿勢になってしまった梨華は自分の早くて大きく
なった鼓動がひとみの背中ごしに自分に跳ね返って聞こえてくることに焦っていた。

(どうしよう・・・絶対ひとみちゃんに聞こえちゃってるよね・・・!?)
47 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時48分53秒
不自然に言葉を失った梨華は、ひとみも押し黙っていることに気付かなかった。

二人は不安定な形で体をくっつけたまま触れ合ってる部分が異様に熱くなって
ることに気付き、慌てて言葉を交わした。

「は、早く勉強教えてよ・・・」
「そ、その前にどいてよ・・・」

離れた二人は、今までお互いの体があった部分が急速に冷えるのを感じ、
寂しいようなほっとしたような気分になった。

それから梨華はひとみを急に意識してしまい、宿題もなかなか終わらなかった。
時々ひとみの横顔を盗み見ていた梨華は、真剣な表情のその瞳や、顔に
かかる髪、きめ細かい白い肌、微かに紅い頬に視線がくぎ付けになり、
ぼーっと見とれてしまっていた。

「梨華ちゃん、ここは?」
「あ、えっと・・・」

(ダメだぁ・・・何も考えられない・・・何で私こんなにぼーっとしちゃうんだろぅ・・・)
48 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時49分58秒
その日の夜は梨華の頭の中はひとみでいっぱいだった。

(こ、これってこ、恋?)
初めてのその感情に梨華はまさか、といった感じで自分に確認するように答え
を出してみた。
(う、うそ、相手はひとみちゃんだよ?女の子だよ?普通恋っていうのは男女が
するものだよね?やっぱり恋じゃないのかな?自分に持ってないものを持ってる
ひとみちゃんに憧れてるだけなのかな?)

梨華は悩んだあげく、ひとみちゃんは年下だけど憧れている大好きな隣の女の子
っていうことで自分を納得させた。

そんな梨華の結論を覆そうとするかのように、ひとみのスキンシップは日に日に
多くなっていった。

後ろから抱き付いてきたり、ほっぺやおでこにちゅーしてくることもあった。
その度に異常にドキドキしてしまう梨華は、自分の反応はちょっと普通じゃない
かもって思わざるを得なかった。
49 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時50分57秒
時は過ぎ、ひとみが同じ学校に入学してきて間も無くの頃だった。
またひとみが遊びに来た。

その時のひとみはなんだかぐったりしているようで、目に輝きがなかった。
部屋に入り、梨華と向き合うと、
「部活厳しすぎるよー疲れたー」
と言ってうつろな目で梨華に抱きついてきた。

しばらく梨華に体を預けていると、そのまま梨華の耳元でひとみがささやいた。
「前に告白してくれてた子と今日から付き合うことになった・・・」
それだけ報告するとひとみはくるっとドアに戻り、自分の家へ帰ってしまった。

(え?え?今なんて言ったの?)
ちゃんと聞こえていたひとみの言葉を理解したくなくて、何度も繰り返しひとみ
の発した音声だけを思い返していた。

ひとみの彼氏への強い感情が嫉妬だと気付いたとき、梨華はひとみに恋愛感情
を抱いていることを確信した。

(どんな男よ?許せない・・・っていうかうらやましい!)
(ひとみちゃん、もてるからなぁ・・・)

ひとみが小学生の頃は分からなかったが、同じ学校になってから、ひとみが
かなり注目される人物だということを思い知らされていたのだった。
50 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時51分48秒
(隣同士でこんなに仲良くできるだけで十分幸せなのかな・・・?)
(女の子の私に好きって思われてるって知ったらひとみちゃんと友達でもいられ
なくなるかも・・・)

梨華は、自分の感情を知られてはいけないということと、自分の置かれている
状況で満足しなければならないことを自分に言い聞かせていた。

ひとみは部活や彼氏のせいもあって、以前ほどは梨華とは遊ばなくなったが、
なにか大事なことがあればすぐに梨華に報告しにきた。

しかし、ひとみに会うともどかしい思いで胸が痛くなってしまう梨華は、自分から
積極的にひとみに会うことはしなくなった。
51 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時52分56秒
そんな中、梨華はまたしても転校することになってしまった。

「パパ、もう転校はやだよ・・・パパだけ引越せばいいじゃない!」
「梨華・・・ごめんな。でもパパその言葉はそうとうショックだぞ・・・」
「あっパパごめんなさい・・・本当はそんなこと言うつもりじゃなかったの!
ほんとにそんなこと思ってないからね・・・?」
「分かってるよ。梨華も転校ばっかりで辛いもんな・・・」

梨華はひとみと別れるのは辛かったが、ひとみと一緒にいる時の方がどうにか
なりそうなくらい辛くて、噴出し口の塞がった感情を持て余し、父親に当たって
しまったことに自分でも気付いていた。

(ごめんね?パパ・・・)
52 名前:6 ゆれうごく愛 -回想- 投稿日:2002年08月05日(月)18時53分58秒
それからあまりひとみと言葉を交わすこともなく、引越しの日が近づいた。

やっぱり最後に会っておきたくて、隣の家の門をくぐった。

「あ、梨華ちゃん・・・」
「あの、もうすぐ引越しするんだけど・・・一応引越し先・・・」
と言って梨華はひとみに小さなメモを渡した。

「じゃあね・・・」
「あ、ちょっと待って!引越しの日いつ?」
「明後日だけど」
「・・・そっか・・・用事があるから見送れないかも知れないけど・・・元気でね。
・・・手紙書くから!」
「うん、私も書くから。今までありがとね・・・」

梨華は涙が溢れてきそうなので、すぐに家に引き返した。
それは梨華の初恋が終わった瞬間だった。
53 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)18時55分17秒
「ひとみちゃん・・・」
梨華はその人の名前をつぶやいていた。

葉書にはこう書かれてあった。
{梨華ちゃん元気?ずっと会ってないね。なんかすごい懐かしいよ。
梨華ちゃんも大人になったかな?私は相変わらず元気だよ。ところで、
冬休み中に梨華ちゃんちの近くに遊びに行く予定なんだけど、
暇だったら一緒に遊ばない?連絡待ってるね。}

(ひとみちゃんに会える・・・でも昔みたいに話せるかな・・・?)

真希とのこともあって、梨華はなんだか自分が昔のように純粋では
無くなってしまったように思えて自信を無くしていた。

(でももう吹っ切ったんだから、普通に友達として仲良くできるといいな。)

戸惑いと喜びを胸に、梨華はひとみと連絡を取りあった。
54 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)18時57分09秒
冬休みが始まり、その日は間も無く訪れた。

「あ、梨華ちゃん、ほんと久しぶりだね?元気そうじゃん」
「何年ぶりだろぅ?ひとみちゃん・・・また背伸びた?」

(・・・前よりきれいになってる・・・)
ひとみの美しさに梨華は感動していた。

二人は近くの巨大テーマパークに着くと、出会った頃のようにはしゃぎ、
接点の無かった時間を埋めていった。

ひとみは梨華の家に泊まることになっていたが、梨華はそのことをかなり
気にかけていた。

(ひとみちゃんと一緒に寝るんだよね・・・)

家に着いて夕食とお風呂を済ませると、二人は梨華の部屋に入った。

「ごめんね。狭いから一緒のベットだけど・・・」
「梨華ちゃんおとなしく寝てよ?」
「わざと蹴ったらごめんね?」
「先に謝ったってダメだからね!」

二人はベットに入ると、離れてから今までのことを報告し合った。
55 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)18時58分16秒
「あの日・・・最後に梨華ちゃんが家に来た日あったでしょ、あの時親戚の
おじさんが亡くなる直前だったんだ・・・ほんとは引っ越す日に見送りた
かったんだけど・・・できなかった。その後何回も手紙書こうとしたんだけど、
こんなに遅くなっちゃったよ・・・。」
「そうだったんだ・・・」

ひとみの声とぬくもりを久しぶりに間近で感じた梨華は、思わずひとみに言った。

「ねぇ・・・?」
「何?」
「あのさぁ・・・」
「・・・何?」
「手つないでもいい?」
「なんだ・・・全然いいよ。何かと思ったよ。」

ひとみは微笑むとすぐに梨華の手を探し当て、一本一本指を絡ませながら
ひとつにつないだ。
指の隙間さえ無く熱く触れ合った手を感じた梨華はあの頃の感情が一気に
湧きあがってくるのを抑えることはできなかった。

そして自分の感情を素直に伝えていた。
56 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)19時01分22秒
「あのね?言っておきたいことがあるんだ・・・」
「今度は何?びっくりするようなこと?」
「かも。・・・・・・私、多分ね・・・女の子も好きになっちゃうみたいなんだ・・・」
「・・・そうなんだ・・・別にそれはそれでいいんじゃない?変じゃないと思うけど
・・・?あー、でもそうだったんだ・・・」

ひとみは急に上半身を起こし、梨華の顔を覗き込んだ。
梨華も同じように起き上がり、そして姿勢を正して言った。
「・・・私は・・・ひとみちゃんのことが好きだった。・・・今でもその感情は変わって
ないよ。」
「やっぱり・・・なんとなく感じてた・・・だってうちも梨華ちゃんのことちょっと気に
なってたから・・・」

ひとみは自分をさらけ出してくれた梨華に、今まで誰にも言わなかった自分の
悩みを打ち明けた。
「でもね、ずっと思ってたんだ。愛ってなんなのかなって。付き合うってどういうこと
なんだろう?って・・・自分でもよく分からないんだ・・・好きになった人と付き合うって
いうなら、みんなのこと好きだから、みんなと付き合うことになるでしょ?
なんか自分はみんなとちょっと違うのかなって・・・」
57 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)19時04分13秒
(そうだったんだ・・・ひとみちゃん、私より悩んでたのかも・・・)

「そっか・・・私はひとみちゃんのこと好きだよ。一緒にいるとすごくドキドキする。
何年会わなくてもその気持ちはすぐに蘇ってくるんだよ。ひとみちゃんが前に
彼氏ができたこと言いにきたとき、ひとみちゃんのこと好きだってはっきりわかった。
すごく嫉妬したから・・・」

梨華は昔の辛い気持ちを思い出し、そして本人の目の前でそのことを告白している
ことが切なくなり、俯いて涙をこらえた。

ひとみは絡めていた手を離し、泣きそうな梨華の肩を優しく抱いた。
梨華は我慢できなくなり、ひとみにしがみついた。

そのまましばらく抱きしめあっていた二人だが、ゆっくりとひとみが腕を緩め、
梨華の顔を一瞬覗き込むと、そのまま口付けをした。

(!・・・ひとみちゃん・・・?)

「かわいいね、梨華ちゃん」
触れられるだけで、耳元でその声を聞くだけで震えてしまうほど感じている梨華に、
ひとみは何回も口付けをした。

「梨華ちゃん、好きだよ。」
「私もずっと前から・・・ずっと好きだった・・・」

そしてもう一度手を握りなおすと、二人は寄り添うようにして眠りにおちていった。
58 名前:コウ 投稿日:2002年08月05日(月)19時18分16秒
浮気中です。
ごっつぁんのせいです。
ごっつぁん、梨華ちゃんから離れないでくれよーっ!

あーでもいしよしもいいかも。
じゃなくていしごましか考えられません・・・!!
あーもうどうしてくれるんですか、後藤さん?!

59 名前:コウ 投稿日:2002年08月05日(月)19時20分19秒
もうちょっと更新します。
60 名前:ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)19時21分15秒
ひとみが帰ってからも梨華は幸せの余韻にひたっていた。

そんな中でも、真希からの連絡は絶えなかった。
梨華ははっきりと伝えた。
「もう会いたくないから。私他に好きな人がいるから。」

しかし真希は梨華の返事を聞き入れることなく、毎日「会いたい」と連絡してきた。
それだけではなく、下校時間に梨華の学校の門で待ち伏せしたり、梨華の母親
にお願いして梨華の部屋に勝手に入り、机に手紙を置いていったりした。

(真希ちゃん、まじでちょっと怖いよ・・・)

恐怖感もあったが、それよりも真希の精神状態がちょっと心配だった。

(・・・そこまで私のこと本気で好きってことなの?)
61 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)19時22分31秒
梨華は急にひとみに会いたくなり、連絡してからひとみの家までやってきた。

着いたのが夜遅かったので、ひとみはそのまま梨華を泊めた。

梨華はひとみの布団の中で安心感と恥ずかしさでいっぱいになり、ひとみに
背を向けて眠ったふりをした。

「梨華ちゃんて意地悪だね」
「・・・」
「そっち向いて寝ちゃうなんて・・・意地悪だよね?」
「!」

梨華はひとみの言葉の意味を察し、素早く向きを変えるとひとみに抱きついた。

「会いたかった・・・」
「うんうん、素直になった方がいいよ」

梨華は昔こらえていた感情を全てぶつけるかのように、ひとみの体中に気持ち
を込めたキスを繰り返した。

「梨華ちゃんてほんとにかわいいねっ・・・!」
いつになく積極的に気持ちを表現する梨華をひとみはいとおしいと感じていた。

梨華はひとみの着ていたTシャツの下に手をいれ、自分の震えをわざと確認
するかのようにゆっくりとひとみの肌に触れていった。
胸や脇に口付けるのに合わせてひとみが反応しているのを感じ、梨華は体の
芯から熱くなっていった。
62 名前:6 ゆれうごく愛 投稿日:2002年08月05日(月)19時23分35秒
「リカちゃん・・・」
その呟きに答えるように梨華はひとみの顔に近づき、耳元でささやいた。
「ひとみちゃん、愛してる・・・」
「っ・・・!」
そのささやきに多分ひとみは最も反応していた。

ひとみは梨華の動きを止め、起き上がって体勢を変えた。
「梨華ちゃんの体が見たい・・・」
上になったひとみは、梨華の服をゆっくり脱がせていった。

ゆっくりと優しく口付けられるたびに震える体と満たされる幸せな心・・・。
しかしその脳裏に浮かんできた存在に、梨華自身、驚かざるを得なかった。

(どうして・・・こんなときに・・・真希ちゃんのこと・・・!)
梨華はあんなに怒りと恐怖を感じていた真希のことをなぜか思い出していた。
63 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月07日(水)13時01分41秒
一気に読みました。続き気になります。ゴトーさん頑張って欲しいです。リカちゃんから離れないで欲しいです
64 名前:名も無い男 投稿日:2002年08月09日(金)21時11分18秒
初めまして。読ましてもらいました。
描写といい、テンポといい最高です。
頑張ってください!
65 名前:コウ 投稿日:2002年08月10日(土)00時34分33秒
レスありがとうございます。ほんと嬉しいです。読んでくれる人いるのかな?って
ちょっと不安なので…。

>63 名無しさん 様
  ゴトーさん頑張ってくれると思います。

>64 名も無い男 様
  おー!
  最高のほめ言葉でございます。
  頑張ります。

昨日までに書き上げたのを更新したいと思います。
66 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時37分33秒
翌日の帰りの電車の中、気が付くと梨華はずっと真希のことを考えていた。
憎んでも憎んでも憎しみが膨らんでいくばかりの真希への気持ち。

(憎しみとはいえ、こんなに心を揺れ動かされるなんて・・・そこまで憎むほど
のことでもないような気もするし・・・)

次の日、また真希からメールがきていた。
{今日、帰りに門のところで待ってるから}

(遠いのによく来るなぁ・・・)
梨華は恐怖を通り越して感心していた。

(今日こそ、こういうことは止めてってはっきり言おう・・・)

下校時になり、梨華は門へ急いだ。
「梨華ちゃんっ!」
「真希ちゃん・・・やっぱりほんとに来てたんだ・・・とにかく、帰ろ・・・」

真希は梨華に一生懸命話し掛けてきた。
その健気さに梨華の心は痛んだ。

(なんか裏切ったのは私の方みたいじゃない・・・)
67 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時40分39秒
駅に着くと、一緒にホームに並んだ。

「梨華ちゃん、好きだよ。ねぇ、キスしてもいい?」
真希は普通の声の大きさで訴えてくる。

「ダ、ダメだよ・・・他の人が見てるし、真希ちゃんとはそういうことしたくないよ」
「嘘だよ。嘘でしょ?ねぇ早くキスしよ?いいよ見られたって」

身長も力も不利な梨華には強引に顔を近づけてくる真希を拒みきることは
できず、周りの視線を感じながらも二人の唇は重なっていた。

梨華は強引な真希に呆れながら、こうなってしまったのは自分のせい
なのかもしれないと思っていた。

「ま、真希ちゃん止めようよ、こういうの。良くないよ」
「嫌だよー。梨華ちゃんと一緒にいたい。キスしたいし梨華ちゃんを
感じていたい。どうしてダメなのぉ?」
「だから、真希ちゃんとはそういうことする気にはなれないから・・・」
「ダメだよ梨華ちゃん、今週末家に来て。泊まりに来てね!」

(なんでこんなに自分勝手なの?好きって気持ちはもっと思いやりや
優しさがあるものなんじゃないの?)

しかし、そんな考えとは裏腹に、梨華は真希に言われたとおり、週末に真希の
家に向かっていた。
68 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時42分05秒
真希は部屋に梨華を迎え入れると、すぐに唇を求めてきた。
少し抵抗したが、結局真希のするがままになってしまう。

(どうしてこんなに強引なの?どうして私の気持ち、考えてくれないの?)

(でも・・・どうして私はこの人から逃げようとはしないのかな・・・?)

梨華は自分で自分の行動に説明が付かなかった。

(もう本当にこんなの嫌っ!)
69 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時43分03秒
それからは真希に呼び出されても、
「行けない」
とだけ返事をした。

真希は断られるたびに梨華のところに訪れた。
平日なら校門の前でずっと待っていたし、休みの日には家に押し
かけてきた。
梨華は真希の顔を見てしまうと拒めなくなってしまう自分を感じていた。

(ここまでくるとストーカーだよね?)
梨華はゾクッとした。
しかしそれは、・・・限りなくときめく感覚に似ていた。

(これって・・・?)

梨華は真希への恐怖感が実は快感に近いことに気付き始めた。
70 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時47分34秒
ある日、梨華はスケジュール帳の中身を見て、取り落としそうになった。
しっかり持ち直してパラパラとめくってみる。

そこには、全てのページに、全ての日に、

マキとリカちゃんが一緒にいる日

と書かれていた。

(いつの間に!?)

真希の強い想いが梨華の胸に深く染み渡った。
震えがきて、心と瞼が熱くなっていった。
71 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時48分33秒
次の週末、真希に呼び出された。

梨華はもう無視できなかった。

二日間ずっと真希の部屋にいた。
ほとんど軟禁状態に近かった。
そして真希が梨華を執拗に求めてくる・・・。

もう逆らえなかった。
梨華は気付いてしまっていた。

(私はこの人に縛られることを望んでいる・・・?
強引にキスされることを求めている・・・?)

(私は・・・真希ちゃんの激しい愛を求めてしまっている・・・!)

憎しみは、激しく求める愛のすぐ裏側にあった。

(今ごろ気付くなんて・・・真希ちゃんにちゃんと伝えないと・・・)
梨華の瞼から涙が溢れ出した。

梨華は隣で寝ている安らかで天使のような真希の顔を見つめた。

その唇にそっと口付けをした。
それは梨華の心を焼き尽くすほど熱く感じられた。
72 名前:7 本当の気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)00時50分26秒
翌朝、ほとんど眠らずに真希の寝顔を見ていた梨華を見つけると、
真希は邪気の無い顔で微笑みかける。

(なんて純粋な笑顔なんだろぅ・・・今までもずっとこのままだったんだろうな・・・)

「なに?見惚れちゃってるとか?やっと愛が通じたかな?」

「・・・うん、ちょっと違うかな・・・最初からあなたに惹かれてた
・・・今は、愛してる・・・ことに気付いた・・・」
「あはっ!ほんとに?まじで?嘘じゃない?梨華ちゃんって心と行動が
一致してないから分かりづらいんだよねー!」

(言われてみればそうかも・・・自分に振り回されてただけかもしれない・・・)

「と、とにかく、好きです。真希ちゃんのこと。気付くの遅くてごめんなさい」
「いーよいーよ、分かってくれれば・・・でも好きって言ってくれたの初めて
じゃない?」
「そ、そう?・・・そうだね・・・」
「あはっ!嬉しいっ!」

真希は起き上がった梨華を自分の方に引き寄せると、真剣な顔で
「大好きだよ」
そう言ってキスをした。
73 名前:8 強い想い 投稿日:2002年08月10日(土)00時53分32秒
(ひとみちゃんのこと・・・どうしよう・・・私って最低かも・・・
初恋はもう思い出になっていたのに・・・)

次の週末、梨華はひとみの家に行った。

「ひとみちゃん、ごめん話があるんだけど・・・」
「・・・何?梨華ちゃん、調子悪いの?顔色悪いよ。」
「うん、大丈夫。それより大事な話があるんだけど・・・」
「・・・何?」
梨華の深刻な表情に、ひとみは最小限の言葉で聞き返した。

「私、ひとみちゃんのことずっと好きだった。今でも好き。
それは変わらないけど・・・」
「うん、それは前に聞いたよ・・・けど?」
「もうそれは思い出っていうか、過去の感情だってことに気付いて・・・」
「過去の・・・?」
「・・・そう。ひとみちゃんは綺麗な思い出の中の人なの。現実で想いが
通じ合うことをずっと望んでいたけど・・・蘇ってきた感情は昔のひとみ
ちゃんへのものだったの・・・今のひとみちゃんじゃないの・・・」
74 名前:8 強い想い 投稿日:2002年08月10日(土)00時57分43秒
涙を流しながら訴えてくる梨華を驚きを隠せずにひとみが見つめていた。
「それってどういうこと?・・・・・・いいんだよ、別にうちら付き合ってるわけ
じゃないんだから・・・うちもちょっと梨華ちゃんかわいいなって思っただけ
だから・・・付き合おうとかそういうんじゃなかったから・・・」

(私が真希ちゃんに言ったのに似てる・・・私、ひとみちゃんを傷つけてる・・・)

「ほんとにいいよ・・・うち結構もてるからさぁ、心配しなくていいよ。
だから今までどおり友達でいよ?」
「ありがと・・・ひとみちゃんは・・・私の初恋の人だよ・・・」
「まじで?嬉しいよ。そう言ってもらえるだけで。・・・とにかく、折角来たんだし、
今日は泊まっていきなよ」
「うん、でもやっぱり帰るよ・・・ありがとね」
「ダメだよーうちを振ったバツだからねー今日は帰さないよー」
「そんな・・・」
「うそうそ、帰ってもいいよ。うちは傷ついて一人でどうなっちゃうか分かんないけどねー」
「そ、そんなこと!・・・いいよ。じゃあ今日は泊まっていくね・・・」
75 名前:8 強い想い 投稿日:2002年08月10日(土)01時03分44秒
ひとみは梨華に気を遣ったのか、布団を別々に敷いた。
布団に入ってから二人はすぐに静かになった。

(ひとみちゃん寝ちゃったのかな…やっぱり気になるな…
真希ちゃんは今ごろどうしてるのかなぁ…?)

いろいろ考えながらうとうとしているうちに、梨華は微かな音に気付いた。
(……?!)

隣からすすり泣く声がしていた。

「ひ、ひとみちゃん?」

よく見ると、ひとみの体が微妙に揺れていた。
「…ひとみちゃん…」
梨華は堪らなくなり、反対側を向いていたひとみの背中を自分の体で
優しく覆った。

「何で泣いてるの…?」
「梨華ちゃんばかじゃないの?自分が振っておいて…」
ひとみは向きを変えると、梨華にしがみついた。
「ごめんね…?」
「ごめんじゃ済まないよ…」
「うん…」

「ねぇ、最後にお願い…聞いてくれる?」
「・・・?」
「最後に一度だけ…梨華ちゃんのことが…欲しい…」
「…!」
「お願い…」
76 名前:8 強い想い 投稿日:2002年08月10日(土)01時05分16秒
ひとみの真剣な熱いまなざしに梨華は言葉を失った。
(そんな瞳で見つめないでよぉ・・・)

「・・・私・・・そんな資格ないから・・・」

ひとみは急に向きを変え、梨華に覆い被さると梨華をじっと見つめた。
「本気で好きなんだよ・・・今のうちのこともちゃんと見てよ。」
「う・・・そ・・・」
「うちはいつだって本気だよ。梨華ちゃんに初めて会ったときから
本気だったよ。うちが初めて付き合うときも梨華ちゃんにだけは先に
言っておこうって思った。ほんとは嫌だって言って欲しかった。
うちは初めて会ったときからずっと梨華ちゃんのこと好きだった・・・」
「・・・そう・・・だったの・・・?」
77 名前:8 強い想い 投稿日:2002年08月10日(土)01時06分53秒
(何でみんなそういうの先に言わないのよ・・・!もうどうしたらいいの・・・?)
突っ込みながら戸惑う梨華はひとみの真剣な告白に胸を熱くしていた。

そして反射的に真希を思い出した。
「で、でも・・・私好きな人がいるから・・・」
「うちだって好きな人はたくさんいるよ・・・いてもいいから梨華ちゃんと
付き合いたい。複数の人と付き合ったっていいんじゃないの?」
「それは・・・ダメだよ。」
「ダメじゃないよ。」
そう言うと、ひとみは梨華の首すじに唇を落とした。
78 名前:8 強い想い 投稿日:2002年08月10日(土)01時08分59秒
梨華はひとみの懐かしいにおいに、真希とは違う昂ぶりを感じた。
懐かしい安心感、そして初めてのときめきの感情を思い出していた。

(ひとみちゃん・・・いいにおい・・・)

耳元に口付けていたひとみはそのままささやいた。
「愛してる・・・」

(・・・!真希ちゃん!)
ひとみに感じてしまっていた梨華のクラクラした頭の中に、強烈に真希が
浮かび上がってきた。

「真希ちゃん・・・」
「!」
「!・・・ご、ごめんなさい」

梨華は真希の存在が自分で思っているより遥かに大きいことに気付いた。

「ひどいよ・・・」
ひとみは梨華を押し戻すと、そのまま静かになった。

それから朝まで一言も言葉は交わされなかった。
79 名前:9 ゆるぎない気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)01時21分48秒
梨華は家に帰らずにそのまま真希に会いに行った。

「なに、梨華ちゃんから来るなんて珍しいね!急にどうしたの?」
「ごめん、真希ちゃん」
「なんで謝るの?私謝られるの嫌いだから・・・!」
梨華は真希の言葉をすくい上げるように抱きついた。
腕がほどけないようにしっかりと真希の体を捕まえた。

「な、なに?」
真希は顔を紅くしながら、不思議そうな顔で梨華を覗き込んだ。

梨華は急に顔を上げると耳元に唇を近づけた。
「私、真希ちゃんだけだから・・・大好きだから・・・」
「あはっ!くすぐったいよ!私だって、梨華ちゃんだけだよ?
もぉだぁい好きなんだからね?誰にも渡さないよ?」

梨華は背中に回していた腕をほどき、真希の頬を両手ではさむと
その唇に自分の想いを渡した。
80 名前:9 ゆるぎない気持ち 投稿日:2002年08月10日(土)01時23分06秒
「んっ・・・り・・・りか・・・ちゃん・・・ちょっと・・・」
真希は情熱的な梨華のキスを受け止める心の準備ができていなかったため、
キスの合間に梨華に訴えた。

体を離されてしまった梨華は怒ったように言った。

「好きなの!」
「わ、分かったから、ちょっと心の準備させてよ。心臓がもたないよ・・・」

真希は目を瞑って胸を押さえ、深呼吸すると両手を広げた。
「いいよ!準備OK!」
「もう・・・バカ・・・」

そして二人は長い口付けを交わした。
81 名前:コウ 投稿日:2002年08月10日(土)01時36分06秒
ひとまず終了です。

うーん、自信ないなぁ。
あー読んでくれる人少なそうですねぇ。
次はごとーさんの視点で書きたいと思っています。
まだどうなるかわかりませんが…。


82 名前:吉澤ひと休み 投稿日:2002年08月10日(土)18時16分46秒
読んでますよ〜!面白いっす。
作者さんまた〜りがんがって下さい!


(0^〜^)<梨華ちゃんの浮気者・・・

( ´ Д `)<・・・よしこはうっかり者だけどね。

(0;^〜^)<・・・・・・・ニャニヲ!

( ^▽^)<いやん、喧嘩はやめて!


83 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月10日(土)19時17分03秒
今日初めて読みました!
サクサク読めていい感じです^^
いしよしごまはやっぱりいいなぁ〜
84 名前:梨華っちは文麿の応援団 投稿日:2002年08月12日(月)18時18分16秒
はじめましていしごま大好きなバカです
最高級な作品で思わず涙が…トマラナイデス
真希姫が卒業するまでに何回泣くんだろ俺(w
マターリ保全で応援していきます♪
85 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月18日(日)01時04分04秒
続き楽しみです!!!
いしごまはあとはあと
86 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年08月21日(水)02時32分43秒
切ないですなー。ごっちんのアプローチはだいぶ行き過ぎなとこがあるような気が
・・・・。でも、梨華たんがごっちんを受け入れたんだからよしとしますか。梨華
たんのよしこに対する気持ち、そしてよしこの梨華たんに対する気持ち深い深いですね。
一回りごっちんに対する梨華たんの気持ちが大きかったんですな。この後が気になります。
いしごま万歳!!
87 名前:コウ 投稿日:2002年08月22日(木)00時33分31秒
えっと、レス有難うございます。

>82吉澤ひと休み 様
読んでくれて有難うございます。
梨華ちゃん浮気しないと気付きません・・・。
後藤さんは多分負けませんので、ご安心を。

>83名無し読者 様
有難うございます。
3・4期はやっぱり最高ですねー。

>84梨華っちは文麿の応援団 様
応援有難うございます。
いしごまは最強ですよね。
二人が一緒にいるだけで切なくなります。

>85名無し読者 様
有難うございます。
続き頑張ります。

>86いしごま防衛軍 様
読んでくれて有難うございます。
そうなんですよねー。ちょっと後藤さんの行動は行き過ぎです。
後藤さん側からのお話でその辺の気持ちがうまく描写できれば
と思っています。まだあんまり考えてないんですけど・・・。
でも後藤さんの行動にも多分理由があるはずです。

ということで頑張って書いていくので、みなさんこれからもよろしくです。
88 名前:コウ 投稿日:2002年08月22日(木)00時40分29秒
更新します。

後藤さんには誰と絡んでもらおうかずっと悩んでいたけど、
結局あの人に・・・。

まずはプッチのアルバム1位(合ってる?)ということで、
定番のCPで行きます。
89 名前:離 陸 投稿日:2002年08月22日(木)00時56分05秒
1年ほど前のある日。

真希は空港へと向かっていた。

いつもなら最も効き目のある睡眠薬となってしまう電車の揺れ。
でもその日は緊張と悲しみが髪の先にまで張り詰めていたため、睡魔は遥か彼方に消えていた。

俯きがちにじっと一点を見つめる真希の隣に、彼女以上に緊張した面持ちの人物が座っている。
「いちーちゃん。」
真希は隣にいる市井紗耶香に小声で話し掛けるが、言葉が続かず口をつぐんだ。

「どした?」
紗耶香はその端正な顔を心持ち歪め、ちょっと遅れて返事をした。

真希は紗耶香の優しい声を聞いただけで、押さえている自分の本当の気持ちを声に出してしまいそうだった。
(行かないでよ・・・いちーちゃん。さみしいよぉ。いちーちゃんがいないと私だめなんだよぉ・・・。でもやっぱり行っちゃうんだよね・・・?)

二人が今日に至るまで話し合い、出した結論はもうくつがえされることなく、未来へと突き進みはじめていた。

そして周囲の反対を押し切って、未来を自分の手で決めた彼女を送り出してくれたのは真希一人だった。
90 名前:10 離陸 投稿日:2002年08月22日(木)00時59分12秒
電車の中で真希は紗耶香が留学を決めたときのことを思い出
していた。

ある日紗耶香から、
「留学するからバイトを始める」
と聞いたとき、真希は自分の耳を疑った。
(どうして・・・私達こんなに幸せなのに・・・?私のことが嫌い
になったの?いちーちゃんは私と離れて平気なの?)

でも紗耶香の本心を聞くのが怖くて、
「そうなんだ・・・いつから?」
と、心の動揺を必死で押さえ、あまり興味のない風に言った。

「3ヶ月後なんだ。もう手続きも済ませた。親は今でも反対
してるけど、一応授業料とか出してくれるって。でも自分で
もちゃんとお金を貯めようと思って。真希に相談しなくてご
めんね?・・・これからあんまり会えなくなるかもしれない。」

「・・・分かった。・・・さみしくなるね・・・。」
真希はショックのあまり、まともに返事をすることすらでき
なかった。
91 名前:10 離陸 投稿日:2002年08月22日(木)01時03分27秒
紗耶香の決心は全く揺らぐ気配はなく、未来について希望と
期待を膨らませている感じで、留学してからのことを話して
いた。

真希は耐え切れずに聞いた。
「ねーいちーちゃん、私と離れてさみしくないの?」

「そりゃぁさみしいよー。あたりまえじゃん。留学のことを
決めたときだって、真希のことだけが心配だったんだから。
でも真希に相談しちゃうと、絶対決心が揺らぐと思ったから・・・。
でも一生離れるってわけじゃないでしょ?私がもっといろんな
意味で大人になって帰ってくるまで、真希は待っててくれる?」
 
「うん、あたりまえだよ。ずーっとずーっと、いちーちゃんの
こと待ってる。待ってるからね。」
92 名前:10 離陸 投稿日:2002年08月22日(木)01時06分36秒
空港へ着くまで、真希は一秒一秒を噛みしめるように、紗耶香
との絆を確かめていた。

(いちーちゃん、好きだよ。)
真希は紗耶香のりりしく、美しい横顔をじっと見つめ、心の中
で強く想った。

そんな気持ちが通じたのか、紗耶香は真希の方を向いた。
「真希、好きだよ。これからもずっとね。」

もう涙が溢れ出してしまっている真希とは対照的に、紗耶香は
悔いのないさわやかな笑顔で真希を見つめていた。
それは誰もが安心し、頼もしく思えるような笑顔だった。

「待ってるから・・・。」
「うん、いつになるか分からないけど、必ず戻ってくるから。」

紗耶香は子供みたいに号泣している真希の頭をポンポンと優し
くたたくと、自分の決めた人生を歩き始めた。

その様子を影からそうっと見つめている人たちがいた。

「紗耶香・・・いい表情してるね・・・」

実は内緒で見送りに来ていた紗耶香の家族は、紗耶香の笑顔に
安心し、見送ってくれている真希に、(ありがとう)と心で感謝
していたのだった…。
93 名前:11 大切な人たち 投稿日:2002年08月22日(木)01時12分21秒
紗耶香のいない生活が始まると、真希は彼女に頼りきっていた
自分に気づいた。
毎日やる気も起きず、だらだらとした生活を送っていた。
友達ともほとんど話をしなくなった。

(こんなんじゃいけないよね?いちーちゃんだって前向きに頑
張っているんだから。)
しかし、分かってはいるのだが、どうしても紗耶香を思い出す
とさみしさに押し潰されそうになり、落ち込んでしまうのだっ
た。

そんな中、夏休みが近づいたある日、飯田先輩から電話があっ
た。
『真希、今年も行くよね?あゆみんちの別荘。今年は8月11
日になったから。』
いきなり用件を話す飯田に、久し振りなのに先輩らしいなと思
っていた。

飯田の一族は超お金持ちで、いとこの柴田あゆみの家はその中
でも特にすごい大金持ちで、休みになると知り合いを大勢別荘
に招待しているのだった。

『もちろんですよ!飯田先輩相変わらず元気そうですね。あゆ
みちゃんも元気かな?なんか楽しみだなー。先輩、よろしくお
願いしますね!』

飯田は真希の親から信頼を得ているので、こんなに簡単に泊り
がけの旅行に行けるのだった。

94 名前:11 大切な人たち 投稿日:2002年08月22日(木)01時20分26秒
「この旅行も何回目になるかな・・・?」
真希は飯田との思い出を回想していた。

子供の頃から近所のお姉さんとして真希の面倒を見てくれてい
た飯田先輩。
友達と喧嘩したときや、進路のことや、部活のこと、紗耶香と
付き合う時のことなど、親に言えないこと、同級生に言えない
ことまで何でも相談に乗ってくれた。

飯田になら何でも打ち明けられる安心感があった。
一番尊敬し、信頼している人だった。

飯田は紗耶香が留学中だということも知っていたし、もちろん
今回は真希をなぐさめるための旅行でもあると考えていた。

「真希、元気出しなよ?」
「はい。何か先輩に心配かけそうな予感がするけど…」
「なあに、大丈夫だよ。何でもお姉さんに相談していいからさ?」
95 名前:11 大切な人たち 投稿日:2002年08月22日(木)01時23分32秒
別荘に招待される日になり、真希は飯田の車で目的地に向かっ
ていた。

同乗しているのは飯田の友達の安倍なつみ、矢口真里、保田圭
だった。

「ちょっと狭いけどがまんしてね」

真希はなつみと真里に挟まれて真中に座った。

「ねーねー、なっち先輩と矢口先輩はなんで離れて座っている
んですか?」
真希は不思議に思い、聞いた。

「「倦怠期 倦怠期」」
二人同時に言う。

「二人とも真希の隣に座りたいんだって」
圭が助手席から答えた。

実はなつみと真里は付き合っているのだ。
普通の生活では自分と同じように女の子も好きなる人なんてな
つみと真里くらいしか会ったことは無い。

飯田に紗耶香のことを相談したときに、飯田から紹介されたの
がこの二人なのだ。
それからはみんなで遊びに行ったり、いろいろと共通の話題で
盛り上がることもできて真希にはとても大切な友達になってい
た。
96 名前:11 大切な人たち 投稿日:2002年08月22日(木)01時33分27秒
そういうこともあり、この二人に会うと紗耶香のことを思い出
さずにはいられなかった。

(あー、いちーちゃん今頃何してんだろなー?)

ため息をついた真希を両サイドの二人は見逃さなかった。
「「なになにー?どしたー?真希ちゃん?」」
ステレオで聞こえてきた質問の、その美しくハモった可愛い声
に真希は少し感動していた。

「あーいいハモリ具合ですねー。もっと耳元でお願いします。」
「よーしよーし、真希はさみしいんだねー?なぐさめてあげるよ」

両サイドの二人は真希の体の前でこそこそとネタ合わせをする。

「「いくよ、せーの」」

と言うと、二人は真希の両耳に唇を付け、えっちっぽい声で囁いた。

「「んー、真希、あ・い・し・て・る」」

そしてすかさず真希の頬に左右から同時に、チュってキスをした。

「ぅわっ!」

真希は両サイドからの甘い攻撃を受け、なんとなく変な感じになってしまった。
(やだ・・・もー我慢してるのにこういうの止めようよー)
97 名前:11 大切な人たち 投稿日:2002年08月22日(木)01時35分09秒
しかし真希は開き直って、なつみと真里の肩を抱え込み、二人
を自分の胸元に引き寄せると、

「二人とも可愛いですよねー」
と言って二人の唇に立て続けに自分の唇をくっつけた。

突然真希にキスをされた両側の二人は、素に戻って顔を真っ赤
にすると、
「「や、やだ、真希ちゃんてば・・・」」
ときれいなステレオでハモった。

「なになに?楽しそうなことしてんじゃーん?」
助手席の圭が振り向いて言った。
「私もまぜてよー」
「だめだめ。圭ちゃんはそこで大人しくしててね。」

真希はみんなのお陰で大分気が晴れていた。
(みんなありがと。落ち込んでばっかりじゃいけないよね)

98 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)01時39分52秒
別荘に着いた五人はとりあえず大広間に荷物を下ろした。
そこには先にあゆみ達のグループが来ていた。

真希は飯田達とは家が近いけれど、あゆみ達のグループとは結
構離れていた。
それでも何回か遊園地や映画に一緒に行ったことがあった。

「あゆみー!久しぶり!元気だった?」
「おー、圭織姉さん、早いねー。」
「まだみんな来てないみたいだね。じゃあ、部屋割りの準備し
よっかな」
「矢口となつみは二人で一つのくじだからねー」
「分かった分かった・・・。」
「とりあえずみんな集まるまで待ってようねー」

別荘のお手入れをしてくれているお手伝いさんが用意してくれ
たお菓子やジュースを飲みながら、他愛もないおしゃべりをし
て過ごした。

「いつも思うんだけどさー、あゆみちゃんの友達ってかわいー
よねー」
真里が心持ち目を細めて言った。

「えっと、美貴ちゃんに亜弥ちゃんでしょ、それと、愛ちゃん
にあさ美ちゃんに希美ちゃんに真琴ちゃんでしょ?えっと、血
液型はA、B、A、B、O、O!当たってる?」
真里は左から並んでいる順に、オーバーリアクション気味に指
を指しながら名前と血液型までも当てていった。
99 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)01時43分18秒
「よっく覚えてるね?」
得意げな真里の、その嬉しそうな顔を横目で見ていたなつみは
嫉妬と密かな怒りを込めて意地悪っぽく言った。

「だって可愛いんだもーん。いやでも覚えちゃうよ。ねぇ、真
希?」
「そ、そだね」
真希は興味の無いように言うと、なつみと顔を見合わせ、二人
で苦笑いをした。

その真希の様子をじっと見詰めている人がいることに真希はま
だ気づいていなかった。

「矢口さんもちっちゃくてかわいいじゃないですかー」
と亜弥が真里にコメントした。
「そうかいそうかい?そんなことあるかもね?」
言いながら真里は亜弥に近づく。
真里の座るスペースを空けようと、亜弥の隣に座っていた愛が
席を空ける。
「あ、ごめんね愛ちゃん。矢口んとこ座ってていいから」
愛はぎこちない動きで、さっきまで真里のいた席に座った。
100 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)01時44分14秒
真希は真里の代わりに隣に来た愛に、申し訳ないような顔で話
しかけた。
「ごめんね?矢口先輩突っ走る方だから。」
「あ、全然いいんです。気にしないでください・・・。」

なぜか顔を真っ赤にして俯きながらこちらを見ようともせずに
答える愛を不自然に感じた真希は愛に尋ねた。
「ねぇ、もしかして体調悪い?」
「えっ!大丈夫です!全然元気です。」
急に顔を上げ、驚いた顔で真希を見つめる愛の顔は更に赤く上
気していた。
「大丈夫?まじで熱ありそうだよ?」

真希は単純に心配して愛のおでこに自分のおでこをくっつけた。

「んっ!」
瞬間、愛の心拍数は急上昇していた。

「すごい熱いよ!冷やして休んでた方がいいよ。ちょっと待っ
てて。薬探してくるから。」
真希はお手伝いさんに薬をもらいに行ってしまった。
101 名前:コウ 投稿日:2002年08月22日(木)01時46分42秒
桁が増えたところで休憩…。

100行ってうれすぃー。
102 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時28分13秒
続々と人が集まってくる中、真希は愛の看病をそのまま流れで
引き受けた。
部屋割りの部屋に入っていない小さな部屋を先に使わせてもら
うことになった。

「真希ちゃん、愛の看病は私達がするから・・・」
あゆみ達が言ってきたが、真希は愛を気遣いながら言った。
「大丈夫、看病するの好きだから。それになんか愛ちゃんほっ
とけなくて。みんなも一緒に居たいだろうけど、みんなに風邪
移っちゃうといけないでしょ?必ず明日までに治るように頑張
るから、心配しなくていいよ?」

「愛、真希ちゃんが付いててくれるから大丈夫だよ。早く熱が
下がるように頑張ろうね。明日絶対一緒に遊ぶんだからね?」

「う、うん・・・分かった頑張る」
(っていうか、熱なんか無いよ・・・赤面しちゃってるのは後藤さ
んのせいなのに・・・)

愛はとりあえず雰囲気に合わせて体調の悪いふりをするしかな
かった。

「じゃあ、真希ちゃんごめんね、よろしくお願いします。何か
あったらすぐ呼んでね」
103 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時29分30秒
あゆみ達が部屋を出て行くと、愛は真希と二人っきりになった
ことを後悔していた。
(あゆみ先輩にだけでも一緒に居てって言えばよかったよ・・・)

「大丈夫?早く熱が下がるといいね。」
真希は愛のおでこに手を触れるとそのままその指先は頬を伝い、
首すじで止まった。
「やっぱ熱いよ。病院行った方がいいかな?」
真希の、その診察目的以外、何の意味も持たない手の動きに、
愛はびくんっと震えた。
そのただ愛の体を気遣った言葉も全てが愛の意識をとろけさせ
ていた。

愛の潤んだ瞳を見て、真希は更に愛の体調を心配してしまう。
「だ、大丈夫です。ほんとに大丈夫ですから。心配しないでみ
んなの所に行ってください。私もちょっと寝ますから」
「そう。分かった。じゃぁ愛ちゃんが眠るまでそばにいてあげ
るよ。」
(そ、そんなことされたら、もっと寝れないってば・・・後藤さん
は全然私の気持ちなんて知らないんだから・・・。)
104 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時31分12秒
愛は2年ほど前、初めて真希を見た時に恋におちた。

しかし、真希へのその自然な感情に、理性では疑問を投げかけ
ずにはいられなかった。
悩んでいたその頃、愛はあゆみから真希が女の子と付き合った
ことがあるということをなんとなく聞いた。
あゆみ自身は女の子同士の恋愛に偏見が無い分、安易に話して
しまうところがあった。

(後藤さんも女の子が好きってことは、チャンスあるよね?)
愛はそう思ったが、真希に会うことも頻繁ではなかったし、話
す機会もそんなに多くはなかったため、何も行動は起こしてい
なかった。

愛は、あゆみに自分の恋愛を相談しようと何回か思ったことが
ある。
でも結局真希への想いを誰にも打ち明けることは無かった。
105 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時34分14秒
「羊数えてあげよっか?それとも子守唄がいい?」
優しい無垢な笑顔で聞いてくる真希を見て、

(やっぱり私この人のこと本気で好きだ・・・)
と愛はぼーっとした頭の中で痛感していた。

「え、えっと、じゃあ子守唄でお願いします。」
真希を近くで感じたせいでちょっと震えた声で返事をして
しまった愛に、それも熱のせいだと真希は信じて疑わなかった。

真希が子守唄を唄っている声にすっかり体全体で感じてしま
っていた愛は、それでも必死に寝たふりをした。

電気を消していたせいか、真希は愛が眠ったのだと思い込み、
「じゃあ、愛ちゃんまた来るからね・・・」
と愛を起こさないように小声でつぶやくと、部屋を後にした。

106 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時38分55秒
「ふぅ〜緊張した。心臓出そうだったよ・・・」
思わず愛はつぶやくと、大きくため息をついた。
そしてすっかり冴えてしまった頭と調子がいい体で、今まで一
緒に過ごした真希との時間を思い返していた。

(あんなに体に触れられるなんて・・・あんなに近くで声を聞け
るなんて・・・明日の朝まで後藤さんを独り占めできるなん
て・・・)
愛は自分の置かれた超ラッキーな立場に心を弾ませていた。

(私ってなんて幸せ者なの!きっと積極的にアピールできるよ
うに神様がチャンスを与えてくれたんだ。絶対頑張る!)
愛はいつにも増して積極的な気分になっていた。

その頃、真希は先輩達にいちーちゃんとのことを聞いてもらい、
すっかり気持ちが楽になっていた。

真希は愛の氷枕を替えるために氷を持って部屋に帰った。
そうっと部屋に入ると愛の枕元に近づく。

「あ、後藤さん」
「ごめん、起こしちゃった?ちょうどいいや、中の氷替えるか
ら。ちょっと頭上げて。」
真希は愛の首を持ち上げると氷枕を外した。
「ちょっと待っててね。」
「はい。ありがとうございます・・・」
107 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時40分24秒
真希は枕の中味を洗面所に空けようとしたが、ほとんど氷が溶
けていないことに気づいた。
「あれ?全然溶けてないね。このまま使えるよ。」
もう一度氷枕の蓋を閉め、持ってきた氷を冷凍庫に入れようと
振り向いた真希は後ろに転びそうになった。

「愛ちゃん!・・・どしたの?」
愛が正面から勢い良く抱きついてきたのだ。
「なに?調子悪い?病院行く?」

「…ち、違うんです。熱なんか無いんです。薬だって氷枕だっ
てほんとはいらないんです。」
「え?どういうこと・・・?」

「私、後藤さんが好きです。すごく好きです。ずーっと好きな
んです!」
そう言うと愛はじっと真希を見つめた。
真希は突然のことに固まっていた。

愛は潤んだ目で真希の唇の位置を確認すると、ちょっと背伸び
をして自分の唇をそこに運んだ。
真希は氷枕と氷で両手が塞がっていたこともあって、抵抗でき
なかった。

唇は愛の期待以上に長く触れ合っていた。

「後藤さん、好きです」
唇を離した愛がもう一度確かめるように言うと、真希が戸惑っ
たように言った。
「私は・・・私の気持ちは・・・?考えてくれないの・・・?」
108 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時44分05秒
「ご、ごめんなさい。後藤さんが優しくしてくれて、ちょっと
舞い上がっちゃって。すみません。そうですよね、後藤さんの
気持ち確かめてないのに。っていうか後藤さん私のことなんと
も思ってないの知ってるのに・・・ごめんなさいっ」

早口にまくし立てると、愛は逃げるように部屋を出て行ってし
まった。

「病気じゃなかったの・・・?」


あゆみは泣いて部屋に駆け込んできた愛を見て驚き、何があっ
たか問い詰めた。
愛は何でもないと言い張ったが、状況的に真希に原因があると
しか考えにくく、真希が悪者になってしまうことに気づき、自
分の真希への想いや、真希の気持ちを無視して自分の気持ちを
押し付けてしまったことを泣きながらあゆみに話した。

「そうだったんだ・・・そういえば愛はいっつも真希ちゃんのこ
と見てたよね。今考えると納得いくよ。」
「どうしよう。私なんてことしちゃったんだろう・・・」
「大丈夫だよ。真希ちゃんは許してくれると思うよ。でももう
一回ちゃんと謝ったほうがいいと思うよ。愛には辛いことだと
思うけどね・・・」
109 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時47分38秒
「はい・・・。でも今日はここで寝ていいですか?」
「うん、ここでちょっと頭冷やした方がいいかな。私、愛がこ
っちで寝ることだけ真希ちゃんに言ってくるよ。心配かけたく

いでしょ?」
「ありがとうございます・・・」


その頃、真希は氷枕で自分の頭を冷やしていた。
(愛ちゃんが私のこと好き・・・?全然気づかなかった・・・。あん
なこと言って愛ちゃん傷つけちゃったかな・・・?でもいきなり
まじキスしてくるなんて・・・)

『コンコンッ』
ドアを叩く音で考えが中断される。
『真希ちゃん、あゆみだけど・・・』
「はい・・・」

ドアを開けると神妙な面持ちであゆみが立っていた。
「あ、あの、愛ちゃんなんだけど、体調良くなったから私の部
屋で寝かせるから、心配しないでね?今まで看病してくれてあ
りがとう。愛ちゃんも感謝してたから・・・」
「分かった・・・お大事にって言っておいてね・・・」
「じゃあ、また明日。」
「うん、明日」
110 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時57分15秒
翌日、真希はノックの音で目覚めた。
時計を見ると正午近くになっていた。
真希は飛び起きると入り口に駆け寄り、ドアを細く開いた。

「あ・・・」
「・・・おはようございます」
ドアの前には愛が一人で立っていた。

「あの・・・昨日はごめんなさい。えっと、ちゃんと謝りたく
て・・・」
「あ、ちょっと待ってて、顔洗ってくるから。ごめんねー、今
起きたとこなんだー。中入って待っててよ。」
俯きがちに言う愛に真希はわざと明るく言った。
「はい。じゃあ失礼します・・・」

愛は真希の甘い香りが広がるその狭い部屋で、振り絞った勇気
が全て吸い取られていく気がしていた。

(あーどうしよう?でも後藤さん怒ってないみたいで良かっ
た・・・あーでも昨日はなんてことしちゃったんだろう・・・)
長く触れていた真希の唇の感触が蘇り、立っていられないほどの
快感が愛の体中を駆け巡った。

罪悪感と快感に揺れながら、涙腺が緩み始めた愛の前に、真希
が姿を現した。
「ごめんねー待たせて」
「いいえ、あの、それより・・・昨日は後藤さんの気持ちも考えず
に急に・・・あんなことして、ほんとにごめんなさい」
111 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)02時59分09秒
「あーびっくりしたよー。ほんと急にだったからさー。でも、
愛ちゃんが好きって言ってくれた時、嬉しかったよ。」

真希は愛をベットに座らせると自分も並んで座り、愛を気遣う
ように話した。
「でも・・・はっきり言うよ?私は愛ちゃんのことは恋愛感情で
は見れない。でも妹っていうか、そういう気持ちではすごい好
きだよ」
「はい…わかってました…はっきり言ってくれて…ありがとう
ございます。」

俯いて涙をこらえる愛の肩を抱き寄せると、真希は自分に言い
聞かせるように言った。
「愛ちゃん、知ってるかもしれないけど・・・私、女の子のこと好
きになっちゃうんだ。愛ちゃんも・・・そうなんだろうね。私も愛
ちゃんも女だもんね?だから、愛ちゃんの気持ち、他の人より
分かってあげられるつもりだよ?」

真希は愛の人格を象徴しているようなそのまっすぐで柔らかい
髪を指でゆっくり梳かしながら、優しさを込めて話した。
112 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)03時01分45秒
「はい・・・」
真希にしがみついた愛は、自分をさらけ出して話してくれてい
る真希の声と、その優しい指の動きに今更ながら心が強くとき
めいて、涙が次から次へと溢れ出して止まらなかった。

「・・・私は愛ちゃんの気持ちには応えられないけど、相談ならい
つでも乗るから・・・同じ仲間・・・としてもね」

真希はかつての自分に愛を重ねていた。
好きな人に好きになってもらえる可能性の低さは相当なものだ
った。
だからできれば愛の気持ちに応えてあげたかった。

「ごめんね・・・」
「んっく・・・なんで・・・後藤さんが謝るんですか?・・・大丈夫で
すよ、高橋は・・・」
愛は自分の登りつめた感情が行き場も無く膨らみ続けて、自分
が壊れてしまいそうになっていた。
でも、自分が想い続けていた真希の誠実な姿を見て、素直に諦
められるような気がした。

(なんか、諦めはついたけど・・・好きな気持ちは今まで以上に大
きくなっちゃったよ・・・)
113 名前:12 密かな想い 投稿日:2002年08月22日(木)03時04分10秒
しばらく愛をなぐさめていた真希は、愛から体を離すと、
「お互い頑張ろうね。」
と優しい瞳で愛に勇気をあげた。

「あー、おなか空いたよー。何か食べに行こうよ!ね?」
「はい!」

愛は、部屋に入ってきたときとは全く対照的な晴れやかな表情で
真希の後に従った。

愛は心配してくれていたあゆみに、真希とのことを話したが、
その顔に辛さは全く感じられず、逆に真希との時間を嬉しさ
いっぱいに振り返っているようだった。

(振られちゃったのに何でこんなに元気なの・・・?愛をこんな風
にさせちゃう真希ちゃんて・・・?)
とても不思議に思いながら愛の話を聞いていたあゆみだった。
114 名前:コウ 投稿日:2002年08月22日(木)03時46分24秒
今日はここまで。

小説って書くの難しい…。
愛ちゃんにしようかあいぼんにしようかまこっちゃんにしようかすんごい
悩んだけど結局愛ちゃんで書いてみました。

MUSIXの後藤さんの話で隣にいたあいぼんがしゅんとしちゃったって所で
胸が締め付けられた・・・。切ないよー。
後藤さんとあいぼんの関係性も好きだから…。

後であいぼんも絶対書きたいです。

まだなんにも考えてはいませんが、次回の更新では多分梨華ちゃんが
出てくると思います。

 
115 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年08月22日(木)11時25分11秒
気になりますな。
116 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月23日(金)01時42分00秒
石川に会う前にこんなことがあったんですな(w
続きが気になります。
117 名前: 投稿日:2002年08月25日(日)17時31分09秒
はじめまして。
森でいしごま書いてる者なんですけど
コウさんの小説はごっちんも梨華ちゃんも切なくていいですねぇ。
期待してます。
118 名前:コウ 投稿日:2002年08月30日(金)18時33分48秒
レスのお礼です。

>115 いしごま防衛軍 様
 えっと、ご期待に添えるように頑張ります。
>116 名無し読者 様
 石川さんに会う前にもう少し話が続くと思きます。
>117 @ 様
 私も@さんの小説読ませてもらってます!
 @さんの足元にも及びませんが、お付き合いください。
119 名前:コウ 投稿日:2002年08月30日(金)18時39分15秒
更新します。
120 名前:コウ 投稿日:2002年08月30日(金)18時41分39秒
愛があゆみに真希のことを打ち明けていたとき、話を聞いている人物がもう
一人いた。
もう寝てしまっていると二人が思っていた亜弥はしっかり起きていたのだ。

愛の話の一部始終を聞いてしまった亜弥はかなり動揺していた。
(愛ちゃん・・・やっぱり後藤さんのこと・・・それに愛ちゃんからキスしちゃうな
んて・・・その上振られちゃったなんて・・・愛ちゃんかわいそう。でも声だけだと
落ち込んでない・・・フリしてるのかな?)
(あーこんな風に考えちゃうのは嫌だけど・・・後藤さん、振ってくれてありがと
うございます!でも愛ちゃんに辛い思いさせるなんて、後藤さん、あなたを恨
みますよ?)

亜弥は愛が後藤を好きだということに、なんとなく気づいていた。
そして亜弥も愛と同じように自分の本当の気持ちは誰にも言わなかった。
(私が本当に好きなのは同じクラスの女の子。田舎から転校してきたからちょ
っとなまってるけど、特技はバレエで唄が上手で、まっすぐなサラサラな
髪に誰もが納得するような典型的な美少女で、何にでも積極的で明るくて、真
剣で・・・そして何より私の心を捕らえて離さない人。)
(・・・・・愛ちゃん、私はあなたにずっと片想いしてるんだよ?)
121 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)18時45分38秒
それぞれの想いが交錯した別荘を後にし、みんなは日常に戻っていった。

2学期が始まり、しばらくすると、愛は亜弥の微かな異変に気づいた。
(いつも明るいのに最近なんか反応が微妙にぎこちないんだよね、亜弥ちゃ
ん・・・夏休み中に何かあったのかな?)

愛は思い切って亜弥に聞いてみた。
「ねぇ、最近おかしいよ?どうしちゃったの?」
亜弥はびっくりしたように愛を見つめると目をキョロキョロと泳がせた。
「え、え?べ、別に・・・」
「って、それ、その反応がおかしいんだよっ」
「あ、あーっと、これ?え?どんな反応かな?」
「なんかびくびくしてるような、うーん、前と違うの、とにかく」
「そーかなー?愛ちゃんの気のせいだよ」

「ふーん。何かあったら何でも相談にのるよ?」
愛の真剣な眼差しが自分だけに向けられていることを改めて感じ、亜弥は言葉を失った。鼓動が今まで以上に高鳴る。息をするのも辛いくらい。
亜弥はそんな自分の状態を押し切るように一気にちょっと強い口調で言った。
122 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)18時49分16秒
「えっと、じゃ、じゃあ、相談にのってもらおうかなぁ?うん、そうしよう。
じゃあ、今週末愛ちゃんの家に行っていい?」
「OK、OK。いーよいーよ。うれしーなー。亜弥ちゃんが家に来るなんて。
何でも話してよ。全部解決してあげるからさ。」
(うーん、なんか頼られてるって感じだ)
急ににこやかになった愛を見て、亜弥はちょっと後悔した。
(勢いで言っちゃったけど、愛ちゃんに相談できることじゃないんだよー。
なんか別の事考えて行かなくちゃ)
「あっ!その日バレエだ。あ、でも大丈夫。亜弥ちゃんちょっと遅く来てよ。
それで家に泊まってってよ。いーでしょ?」
「えっ!?・・・あ、い、いいよ。うん、それの方がゆっくり話せるしね。」
(泊まることになっちゃったよー!こんなことになっちゃうなんて・・・)

そして週末の放課後。
「じゃあ、夜待ってるからね」
「う、うん、じゃあ、夜」
(どうしよう、今日だよね。はあ、どうしよう?)
まだ何を相談するか思いついていない亜弥は焦っていた。
123 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)18時51分28秒
夜、バレエの練習で疲れて帰ってきた愛は、お風呂に入った後、ベッドでちょ
っと休んでいた。
(亜弥ちゃんもうそろそろ来るかな・・・)

それからしばらくして亜弥は愛の家に着いた。
かなり緊張した面持ちで少しだけ震える手をチャイムに重ねた。

中から愛に似た可愛い感じの人が出てきた。
「あ、松浦さんね?こんばんは。あ、ちょっと待ってね。愛―っ!お友達が来
たわよー!」
返事は無かった。
「あれ?まだお風呂かも知れないわね。じゃあ、先に愛の部屋に上がっててく
れる?しょうがないわねー、あの子」
「は、はい。じゃあ愛さんの部屋で待たせてもらいます。」
「2階に上がってすぐ右側の部屋だから。ほんとごめんなさいね。」
「あ、いいんです。じゃあ、行ってます。」

2階に上がり、そうっと愛の部屋に入った。
(なんかコソ泥みたいでやだな・・・)

初めて好きな人の部屋に入った亜弥は、その部屋全体に愛の存在を感じていた。
電気を点けようとスイッチを探していたその時、

「ん・・・」
124 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)18時54分57秒
(えっ!?)

薄暗い部屋に微かに動く物体とそこから発せられる声。
(愛ちゃん・・・だよね?)
そうっと声のした方に近づくと、疲れに負けて眠りにおちている愛の姿があっ
た。長い睫毛とおでこにかかる髪。少しとがらせた唇は今すぐにでもしゃべり
だしそうだった。

ベットの脇に腰を下ろすと、亜弥は愛の寝顔にじっと見入った。
(かわいいよねー。私が惚れるのもわかる。)
妙に納得してしまった。
そして今の状況に気づくと鼓動がまたびくんと跳ね出すのを感じた。
(愛ちゃん・・・好きだよ・・・)
月の光に照らされた愛に引き寄せられるように近づいていった。

『コンッコンッ』
(うわっ!)
急なノックの音に、慌てて体勢を立て直す。
「ふ、ふぁい」
ひどく間抜けな声が出た。

『ガチャッ』
「あれ?電気は?」
ジュースを持った愛の母親が立っていた。
逆光のためその表情は見えない。

「あ、えっと、愛さん寝ちゃってるみたいで、起きるまで待っていようかなっ
て思っていたところなんです。」
亜弥が小声で話すと、横からはっきりした声が聞こえた。
125 名前:コウ 投稿日:2002年08月30日(金)19時01分12秒
すいません。もうちょっとこんな感じで続きます。
でも今回の更新で必ず石川さんを登場させるつもりなので。
えっと、読み返してみたら誤字やらなにやら…梨香ちゃんとか平気で
書いちゃってるし。
めっちゃ落ち込んでいます。。。

とりあえず更新の続きです。
126 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時03分34秒
「亜弥ちゃんごめんっ。爆睡してた。もう、起こしてくれて良かったのにー。」
「愛、松浦さんに失礼でしょ?ごめんなさいねぇ。じゃ、ジュースここに置い
ておくから。」
母親はコロコロと表情を変えながら言うと、部屋を出て行った。
もちろん明かりを点けて。

「ほんとごめんねー。起こしてくれれば良かったのに。」
「だって寝顔がかわいくてさぁー?」
「・・・」
「じょ、冗談だよー。なんか気持ちよさそうだったから、起こしちゃ悪いかな
って思って。」
「寝顔見られてたんだ・・・恥ずかしい・・・」
「それにしても可愛いお母さんだよね。愛ちゃんそっくり。」
(って愛ちゃんが可愛いって言っちゃってるみたいだよね。)

「ぜんっぜんー、かわいくないよぉー」
思いっきり手を左右に振る愛は、はっとした表情になった。
「そんなことより・・・相談って・・・何?何でも話してよ。力になれるかわかんな
いけど・・・うぅん、絶対解決してあげるから。」
「ん・・・うん・・・それがねぇ・・・相談っていうか・・・」
「うん?」
127 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時06分09秒
愛は真面目な顔で亜弥をちょっと心配そうに見つめた。
思わずまばたきを忘れて見つめ返す亜弥。

(亜弥ちゃんってやっぱり可愛いな・・・。学校中のアイドルだっていうのも頷け
るよ。絶対こんな可愛い子と付き合えることなんてないんだろうな・・・)
今更真希に振られたときのことが傷となって心に浮かび上がってくる。

表情が曇った愛を見て、信頼されてないって思われてると感じた亜弥は話し始
めた。
「あ、あのね、たいした悩みじゃないの。も、もう解決したっていうか、諦め
るっていうか・・・」
「諦めるって、解決してないんじゃないの?とりあえず話してみてよ」
「うん、あ、あのね・・・勉強がなんかついていけなくてっ!」
「嘘だよ。この前先生に褒められてたじゃない。本当は何?私には話せなくな
った?人間色々悩みがあるだろうけど、多分私どんなこと相談されても驚かな
いと思うよ。」
グーで胸を叩いて自信たっぷりに愛は言う。
その言葉を聞いて亜弥は決心した。
(もう、ほんとに言っちゃうからねっ)
少し愛を驚かせたくもなった。その後のことなんて何も考えてなかった。
128 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時08分26秒
「実は・・・恋愛のことで悩んでるんだよね」
「えーっ!亜弥ちゃんが?嘘でしょ?亜弥ちゃんでも悩むんだ・・・。でも大丈夫
じゃない?亜弥ちゃんならどんな人でも振り向くと思うけど・・・?」
「うん、そうでもないんだよね・・・」
緊張の中にも余裕の出てきた亜弥は、愛のびっくりする顔を思い浮かべてちょ
っと顔が緩んでしまった。
「なんで笑ってるの?笑っちゃうほど難しい相手なの?」
「そうかもね」
「気持ちは伝えたの?」
「うん、これから伝えようと思って・・・」
「そっか・・・頑張ってね。で、私に何かできることあるかな・・・?その人どんな
人なの?」
(亜弥ちゃんに好かれた上に、こんなに悩ませる人ってどんな人だろ?すっご
い年上の人かな?不倫とかかな・・・?なんて贅沢な奴なんだよ・・・。)

「えっと、同い年の子」
「えっ!・・・同じ学校?」
「うん。同じクラス」
「えーっ!!同じクラス・・・?」
愛はクラスの男子を思い浮かべたが、こんなに亜弥が悩むような相手は見つか
らない。
(人それぞれ好みがあるからね。友達の彼氏とかかな・・・?)
129 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時11分52秒
考え込んでいる愛に亜弥はこの上ないヒントをあげた。
「えっとねー、髪はサラサラのストレートで、唄が上手くてバレエが得意でめ
っちゃ可愛い子だよ」
「???」

(それって・・・。男・・・?じゃないよね!?)
「お、おんなのこなのー!?」
「うん。」
「それは難しいよね。それは悩むよね。亜弥ちゃんが言ってくれたから私も言
うけど、私も亜弥ちゃんと同じだよ。そうだったんだー。亜弥ちゃんもかー。
世界は狭いね。うわーなんか嬉しい。でも全然わかんなかったよー。」
愛は興奮したように早口でまくしたてると、はっと我に返った。

目の前には瞳を潤ませてじっとこちらを見ている亜弥がいた。
愛は少し記憶を遡って亜弥の言ったヒントを頭の中で整理してみる。
(バレエとか歌とかって言ってたよね?髪がストレートな子は何人もいるけど、
バレエと合唱やってるのって・・・私だけじゃない!?
・・・ってじゃあ、私のこと?なわけないよね・・・亜弥ちゃん紛らわしいよ・・・でも
私以外にバレエやってる子って・・・?)
愛が考え過ぎな表情で固まっていると、

「そうだよ。愛ちゃんのことだよ。」
亜弥はこともなげに言った。ほんとは心中はバクバクだったけれど。
130 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時14分13秒
「そんな・・・」

「ごめんね、急に変なこと言っちゃって。言ってすっきりしたからもう忘れ
て?」
絶対忘れてなんか欲しくなかったが、愛がずっと驚いたまま固まっているのが
悲しくて、そんな風に言ってしまった。

「あ、ありがとう。亜弥ちゃんにそんなこと言われるなんてほんとに全く思っ
てなかったから・・・」
「そっか・・・今日は帰った方がいいかな?」
時計を見るともう0時を回っている。
「うぅん、もう遅いし、・・・一緒に寝よ。」
愛は逆に亜弥に頼んだ。
「・・・うん。」
そして二人はお互いを気遣いながらもなんとか眠った。
131 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時19分46秒
愛は今まで、傷つかないように人を好きにならないようにしていた。
恋愛感情になる前に自分で歯止めをかけていた。
それに今まではたまにしか会えないが、真希を一途に想っていた。

でも、亜弥に告白されてから、亜弥との距離は急速に縮まっていった。

今日も愛は斜め前の席の亜弥にぼーっと見惚れていた。
はっきり言ってしまえば、意識的に恋愛対象から除いてきた亜弥をその範疇に
入れたとたん、恋をしてしまったのだ。
(私ってこんなに簡単に人を好きになれるんだ・・・。でも亜弥ちゃんだからだよ
ね?・・・私の運命の人かもしれない。)
そんなことを考えていると、亜弥が急に振り向いた。
当然見詰め合ってしまった二人には先生の話なんか全く耳に入ってこなかった。


それから数日後の放課後、愛は亜弥を屋上に呼び出した。

二人は夕日を受けながら、屋上の縁に並んだ。
「亜弥ちゃん、あのさ・・・、この前うちに相談しにきたでしょ。その時、ちゃん
と相談にのってあげられなかったから・・・」
「・・・うん。」
「で、解決方法なんだけど・・・。」
「え?」
(解決方法って・・・?)
132 名前:13 解決方法は… 投稿日:2002年08月30日(金)19時22分23秒
「うちら付き合えばいいと思わない?」
「え?だって後藤さんは?」
「ん?な、なんで知ってるの?!」
「あ、ご、ごめん・・・。夏の旅行のとき眠れなくて・・・聞こえちゃった・・・。」
「うわぁー!恥ずかしいよぉー」
「だから・・・」
愛は真っ赤になって言った。
「あ、えっとね、はっきり言うけど、後藤さんは全然関係ないから。私、亜弥
ちゃんのこと、すっごく好きになっちゃったんだ。亜弥ちゃんさえ良ければ、
ずっと一緒にいて欲しい。」
「本当に?」
「うん。何でも解決するって言ったでしょ?っていうか、私のこの気持ち、亜
弥ちゃんに解決して欲しい。」
「もちろんするよ・・・愛ちゃん・・・」

もう二人のまわりは桃色のオーラとハートマークがいっぱい浮かんでいた。
二人はお互いの体に腕を回し、しばらくしっかりと抱きしめあっていた。
そしてどちらからともなく優しく口付けを交わした。

「なんかまだ信じられないよ。」
「私もだよ・・・。」

もう一度、今度は少し長めにキスをすると、二人は手を繋いで教室に帰ってい
った。
133 名前:コウ 投稿日:2002年08月30日(金)19時23分32秒
石川さんまだです。。。
いしごまのはずなのに。
134 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時28分24秒
愛は付き合い始めたことを真っ先に真希に伝えた。
自分に優しさと勇気をくれた人だから。
「えーっ!誰、誰?ちょっと、早いんじゃないのぉ?」
真希はすごく喜んでくれた。
愛はちょっと複雑な心境ではあったが、真希の反応は嬉しかった。
話せる人がいると思うだけですごく楽しくなってくる。

「後藤さんも知ってる子ですよ。」
「んぁ?愛と私が知ってるってことは、あゆみちゃんの友達?」
「はい。私と同じクラスの子です。」
「分かったー!矢口先輩のお気に入りの亜弥ちゃんでしょ?」
「当たりです。」
人差し指を突き出して言う。
「おー、幸せそうな顔してるねー。ごとーは嬉しいよ。まじで愛ちゃんには幸
せになって欲しいからね。でもどっちから告ったの?」
「それがですねー、聞いてびっくりですよ。なんと亜弥ちゃんから!」
「まじでー?すっごいじゃん。愛されてたんだ。」
「実は後藤さんとのことあゆみ先輩に打ち明けてたとき、聞こえちゃってたら
しいんです。・・・だから後藤さんは愛のキューピットなんです。」
「そうだったんだ。ごとー何にもしてないけど、なんか役に立てて良かったよ
ぉ。」
135 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時30分28秒
愛はそれから何かあるごとに真希に相談をしていた。
亜弥はその様子を見て真希に嫉妬を覚えていた。

「ねー、愛ちゃん、相談なら私にしてよ。」
「なんでそんなこと言うの?亜弥ちゃんにはいろいろ聞いてもらってるでし
ょ?」
愛は不思議そうな顔で言う。
「だって、後藤さん後藤さんって・・・」
(そんなこと言っても、亜弥ちゃんとどんなデートしたらいいかとか、どんな
風にそういうことに持っていくかとか聞いてるんだから・・・)

「ねぇ、妬いてるの?」
「当たり前だよ!愛ちゃんに他の人見て欲しくない。」
まっすぐに言われて愛は亜弥の純粋な気持ちに打たれた。
「そうだね。でも後藤さんにはいろいろアドバイスをしてもらってるだけだか
ら。心配しなくていいよ?」
「うん。本当はわかってるんだ・・・。でも。」
「かわいーね、亜弥ちゃんは。私の好きなのは亜弥ちゃんだけだよ。」
そう言うと愛は亜弥の唇にチュってキスをした。
「でも後藤さんも大切な友達だからね?」
「うん。わかったよ。」
亜弥は上気した頬で、まだちょっと不満そうに口をとがらせて頷いた。
136 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時34分07秒
次の夏が始まりかけた頃。
愛はあゆみ達と遊園地に行った。

試験前だったけど、もう夏休み気分になりそうな青い空が広がっていた。
その日は、転校してきたばかりだという初めて見る子があゆみと一緒に来てい
た。
(なんか昔っぽい感じの子だな・・・。逆にそれがいいかも。超女の子っていうか、
亜弥ちゃんとは違った意味で典型的なアイドル顔だよね。でもやっぱり亜弥ち
ゃんが一番可愛いな。)

「始めまして。石川梨華です。よろしくねっ。」
「梨華ちゃんねー、夏休みにうちらと旅行行くんだよ。」
あゆみといつも一緒に行動している藤本美貴が言った。
(美貴ちゃんも超アイドル顔だよねー。可愛いなぁ。っていけないいけない。
調子にのってるよ私。亜弥ちゃんごめんね?)
亜弥に微笑みかけると、これ以上ないほどの可愛い笑顔で愛を見つめ返してき
た。
もうそれからは、愛と亜弥は二人だけの世界に突入していった。
137 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時36分28秒
数日後、愛は真希に会う約束をしていた。
進路のことや、将来のことを相談するためだ。
将来のことは考え始めると、不安が増すばかりなのである。

「後藤さん!お久しぶりです。もうすっかり暑いですよねー。」
(やっぱり後藤さんは輝いてるよね!なんか他の人とはオーラの出方が違
う・・・)
「愛ちゃん元気だねー。亜弥ちゃんとうまくいってる?」
「はいはい。もうラブラブですよー。あ、写真見ます?この前遊園地行ったん
ですよ。もう二人の世界って感じでした。」
「あー、ごとーも誘われてたんだよねー。楽しかった?」
「もう、最高でしたよー。」

真希は写真をパラパラとめくっていたが、途中でふと手を止めた。
「ねぇ、この子・・・誰?」
あゆみの友達はほとんど顔見知りなのだが、愛の隣で割とアップで写っている
子に見覚えはなかった。
というより、その写真からオーラが出ているような気がした。
「あ、その人は最近あゆみ先輩の学校に転校してきた・・・えっと確か石川梨華さ
んっていう人ですよ。・・・あまり話さなかったけど。」
真希は愛の言葉を聞いていないかのように、その写真をずっと見つめていた。
138 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時38分57秒
「かわいいよね・・・」

真希の言葉に愛はびくっとした。
「後藤さん、そういう人がタイプなんだー。あ、夏の旅行来るらしいですよ。
その時会えますよ・・・。」

真希は写真からでも分かる黒目勝ちな切れ長の瞳に自分がじっと見詰め返され
ている気がした。

(写真に一目惚れ・・・?)
自分の中に芽生えた不思議な感覚を真希は戸惑いながらも素直に受け止めてい
た。
「後藤さん、その写真いいですよ。亜弥ちゃんも写ってないし。あ、これもど
うぞ。」
真希は押し付けられたような形で、2枚の写真を受け取った。
「な、なんか変だよね?全然知らない子の写真もらっちゃって・・・」
「じゃあ、石川さんと友達になってから、本人に渡してくださいよ。」
「ん、そだね。そうするよ。」

その後、愛の真剣な相談に耳を傾けた。
(私も将来のことちゃんと考えないとな・・・。いちーちゃんいつ帰ってくるんだ
ろ?これじゃあ顔も忘れちゃうよ・・・)
139 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時42分23秒
真希は家に帰ると、先ほど愛にもらった写真を取り出してみた。
梨華の瞳は思いっきりカメラ目線なので、どうしても見つめ合ってしまう。

(そんな目で見つめないでよ・・・)
別に真希を見ているわけではなくても、分かっていても、変な気分になってし
まう。
(超写真写りいいのかな?なんか引き寄せられちゃうよ。何でだろ?実物見て
みたいな・・・。どんな声でしゃべるのかな?どんな動きをするんだろ?性格いい
かな?顔だけ見てるとすごく優しそうだよね・・・)
真希は取りつかれたように梨華のことを考え始めた。
(あー気になる気になるー。気になって眠れないよー。えっと、旅行はいつだ
っけ?ってまだ飯田先輩から連絡きてないよー。こっちから電話しよっかな)

それから毎日のように、気になって梨華の写真を見つめてしまう真希。
そのうち、真希の想像上の梨華は、真希の夢にまで登場し始めた。
(会ってもいない子に、しかも写真だけだよ・・・?なんかキショイよ、私ってこ
んなだった?ほんと、アイドルの写真集見て妄想してる男みたいだよ・・・)
しかし真希の梨華への興味は膨らむばかりだった。
140 名前:14 出会い…? 投稿日:2002年08月30日(金)19時45分53秒
ある日の夢はほんとにやばかった。
(昨日の夢・・・って・・・石川さんも私も服着てなかった・・・
石川さんの感触がまだ残ってる感じだよ・・・
んぁーっ!私大丈夫かなぁ?頭おかしくなっちゃった?最近ずっとしてないか
ら?あー、石川さん・・・ごめんなさいっ・・・)

朝陽と小鳥の声に満ち始めた部屋のベットの上で、真希は梨華への謝罪の言葉
を胸にカクンってうなだれていた。

141 名前:15 夢?いや現実。 投稿日:2002年08月30日(金)19時50分44秒
夏休みに入り、やっと真希の妄想が決着する日が来た。
昨年と同じメンバーで車に乗った真希は、ここ最近の妄想疲れからか車の中で
はずっと眠りについたままだった。

「着いたよ。」
相変わらず大きな扉を抜けると、荷物をおろし、大広間のソファに座る。
今年はまだ誰も来ていなかった。
「じゃあ、毎度の部屋割りの用意しよっかな」
「矢口となっちは同じ部屋だよー」
「わかってる、わかってる。」
飯田はあゆみに聞いていた宿泊者のメンバーを確認する。
(新しい子がいるんだよね)
飯田はふと真希の顔をうかがう。
(その子真希に任せようかな・・・って、私本当は・・・)

本当は、飯田は紗耶香のことが昔から好きだった。
真希と付き合っていたときも応援しながらうらやましいってほんとは嫉妬して
いた。
今でも紗耶香と連絡を取っていたが、真希の心配より自分の夢を大切にしてい
る紗耶香の態度に、飯田なりに真希は紗耶香を忘れた方が幸せなのでは、とい
う気持ちと、帰ってくるまで自分が紗耶香を待っていたいという気持ちが混ざ
り合っていた。
142 名前:15 夢?いや現実。 投稿日:2002年08月30日(金)19時55分45秒
だからこそ少しの望みをかけて、真希が誰かに心を動かされないかという期待
を抱いて、新しい子を真希と同じ部屋にしようって思った。

(私って嫌な人間だ・・・。それにこんなことしても真希がその子のこと好きにな
る可能性なんて少ないのに・・・)

しばらくすると、あゆみ達が到着した。
「おー圭織ねーさん、元気そうだねー!」
「あゆみ、また可愛くなったね。」

真希は入ってくるメンバー一人一人に注目した。
あゆみ、美貴、亜弥
(あれれ?亜弥ちゃん、なんか私のこと睨んでませんか?こわっ。)
しっかりと手を繋いで、愛
(愛ちゃんはいい笑顔だよねー。)
そして次。
初めて(実物で)見る顔。
(あ・・・石川さんだ!!)

梨華は初めての場所と人に緊張しているようで、ずっと俯きっぱなしだった。
(なんか想像してたのよりおとなしいかも)

続けて人が集まりだしたので、真希は梨華に話し掛けるタイミングを逃してし
まった。
143 名前:15 夢?じゃなくて現実。 投稿日:2002年08月30日(金)20時01分13秒
そして部屋を決めるくじ引きが始まった。
真希が引いた紙には『二階の一番奥の部屋』と書かれていた。
(いつも思うけどすごい表現の仕方だよね。それになんか飯田先輩の目が光っ
ていたような・・・)

全部終わると、同じ部屋の人がそれぞれ集まりだした。
「あ、保田先輩、一緒だ」
「おー、真希、よろしくっ」

何気なく真希は梨華を探して辺りを見回すと、以外にも梨華はすぐ近くにきて
いた。
キョロキョロと周りを見回しながら、どんどんこっちに近づいてくる。

圭が梨華に向かって言った。
「ねぇ、どこの部屋?」
「えっと、二階の一番奥の部屋です。」
「こっちこっち、うちらと一緒だよ。」
「あ、えっとよろしくお願いします。」
梨華はぺこりと下げた頭を上げると、じっと梨華を見つめていた真希と目が合
った。
二人はしばらく視線を逸らせずに見つめあっていた。

「はい、えっとみんな揃ったかな?えっと、初めての子がいるみたいだから一
応自己紹介しとこっか?」
圭はこっそり飯田に梨華のことを頼まれていたので、仕切って自己紹介を始め
た。
144 名前:コウ 投稿日:2002年08月30日(金)20時02分11秒
今日はここまでにしておきます。
次はいしごま書かせていただきます。
145 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月31日(土)08時39分35秒
ついにキタァ━━━(゚∀゚)━━━!!
いやぁ、ごっちん…写真でわかってたんですね(w
しかも一目惚れ(w
続きお待ちしてますはあとはあと
146 名前: 投稿日:2002年08月31日(土)18時02分38秒
なに言ってるんですかぁ。うちんとこのより
コウさんの小説の方がすばらしいですよ。次、いしごま♪
ごっちんはどんな想いだったんだろうか・・・。期待!
147 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)18時16分20秒
いしごま行きます。
148 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)18時29分07秒
真希は梨華と同じ部屋になるなんて思ってもいなかった(期待はしてたけ
ど)。

「石川梨華です・・・よろしくお願いしますっ」
(ぅわっ、かわいー声!!)

梨華の声に我に返った真希は強く思った。
(飯田先輩、ありがとっ)

真希はそうっと梨華を眺めた。
褐色の健康そうな肌、細い腰に柔らかい女の子っぽい動き、その見ているだけ
で体が熱くなってくるような体。
(思っても見ないほど・・・エッチな体だよね・・・)
真希は見ているだけでクラクラしてきた。

「あゆみちゃんの友達かぁ・・・かわいいね!じゃ、行こっか?」
圭の言葉で、部屋に向かった。

部屋に荷物を置くと、真希が声を掛ける間もなく、梨華は困ったような顔をし
てすぐどこかに行ってしまった。

それから真希は、梨華を探そうと別荘の周りをあてもなく彷徨ったけれど、結
局夕食の時間まで見つけることはできなかった。
149 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)18時35分24秒
夕食の時間になった。
庭に並べられた豪華なバーベキューにみんなは毎度の事ながら歓喜の声をあげ
る。

真希はあゆみたちのグループを探した。
すぐに見つかったが、そこには愛と亜弥が仲良さそうにしているのが見えた。

こっちを向いた愛に微笑んで小さく手を振ると、隣にいた亜弥にすごく睨まれ
てしまった。
(うわっ、こっち睨んでる?亜弥ちゃん可愛い顔してるけど睨まれるとまじで
怖いよー。ごとーはなんにもしてないよ?愛ちゃんちゃんと説明してくれてる
のかな・・・?)
少し離れたところからでもわかる亜弥の表情を読み取り、真希はあゆみたちの
グループに近づけないでいた。

梨華はすぐそこにいるのに・・・。
真希はまたしてもチャンスを逃し、真里やなつみ達とバーベキューを楽しむこ
とにした。
(まぁ、焦ることないや。同じ部屋なんだし。)

食事を終えて保田と共に部屋に帰ってきた真希は、鏡の前で服や髪の毛を完璧
に整えて、梨華の戻ってくるのを待った。
保田と他愛もない話をしながらも、心では梨華のことばかりを考えていた。
しかし無常にも時間はどんどん過ぎていく。
150 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時37分35秒
(このままじゃ話もしないで終わっちゃうよ・・・石川さんどこにいるのかな?
やっぱりあゆみちゃんのところだよね・・・)

夜になって真希は意を決して梨華を探しに行くことにした。
(あゆみちゃんは確か1階の真中辺の部屋だったよね・・・)

1階の廊下に出たところで、真希は愛を見つけた。
「あ、愛ちゃんこんなとこで・・・一人?」
「え、あの、ちょっと・・・」
愛の後ろ側から人が駆け寄ってきた。
「あ、亜弥ちゃんこんばんは。」
「こんばんは、後藤さん。」
亜弥はちょっと不機嫌そうに、でも顔は思いっきり作り笑いで真希に応えた。
「えっと、話が余計ややこしくなるから・・・行こっ亜弥ちゃん。じゃあ、後藤さ
ん、また。」
愛は亜弥の手をしっかりつかむと、後藤に軽く会釈をして去っていった。

(変な二人・・・なんか、私が原因っぽくない・・・?あ、そんなことより石川さん
を見つけなきゃ。)
151 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時40分15秒
真希はようやくあゆみの部屋にたどり着くと、ちょっと落胆した表情で部屋に
入り、あゆみの隣に座った。
「どしたの?真希ちゃん、なんか落ち込んでる?」
「ううん、別に・・・ちょっとあゆみちゃんとお話したくなって来てみた」

(・・・梨華ちゃんここにもいないよ。どこ行ったんだろ?)
もう一度部屋をキョロキョロと見回したが、梨華は見えない。

「そう?じゃ、語ろう語ろう。」
あゆみは布団に隠していたお酒を取り出す。
「真希ちゃんも飲むよね?」
「ねぇ、もしかして赤くなってるのそのせい?みんな酔っちゃってるの?」
入ってきたときは視覚をフルに働かせていたので気づかなかったが、そういえ
ばこの部屋はなんとなくお酒くさい。
それからしばらくあゆみ達と話をしていると、あゆみが思い出したように言っ
た。
「あ、そうだ、真希ちゃん、圭ちゃんと同じ部屋だよね?」
「うん、そうだけど?」
「私の友達の石川さん、多分同じ部屋だと思うんだけど・・・」

真希は「石川さん」っていうところでビクって反応した。
152 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時42分19秒
「えっ!?あっうん、多分同じだと思うよ・・・?」
「お酒飲んだとたん、すぐ眠っちゃったんだよねー。そこに寝てるんだけど」

あゆみの指差した場所は真希が背中を向けている方だった。
確かに真希の真後ろの布団は少し盛り上がっているような気がする。

「ぅわっ!!」
よく見ると、真希のおしりのすぐ後ろにある枕に隠れてはいたが、梨華の顔が
布団から少し出ていた。
(こ、こ、こんなに近くにいたじゃん!)

周りの話し声のせいか、梨華は「うーん」と唸ると、寝返りをうった。
そのはずみで布団がずれ、開いた胸元が惜しげもなく現れた。
頭の上の方からその様子を見ていた真希は、見てはいけないものを見てしまっ
た気がしていた。

(夢の中の石川さんが実在するのって・・・なんかすごい変だよ・・・)

梨華の無防備な体にその手で触って確認したいという衝動にかられた。
「石川さん、ほんとに眠っちゃってるのかな?」
真希はすぐ近くにあった梨華の顔を見つめると、そっとその頬に手を伸ばした。
触っても突付いてもピクリともしない。
153 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時45分07秒
「完全に寝てるね。じゃあ、あゆみちゃん、石川さんのことよろしく。」
真希は現実の梨華に触れることができたことにすっかり感動し、自分の部屋に
帰っていった。

(本物の梨華ちゃんだよ・・・すごいよ。あー、梨華ちゃんのほっぺ柔らかかっ
た・・・唇も柔らかそう。)

急に梨華の存在を現実のものとして感じた真希は、話したこともないのに、も
う馴れ馴れしく「梨華ちゃん」って心の中で呼んでいた。
真希は梨華のおかげでその夜は興奮してなかなか寝付けなかった。


「梨華ちゃん・・・」
(あれ?梨華ちゃんまだ酔っ払ってるの?なんで一緒の布団で・・・?しかもま
っぱ!!?)

「真希・・・ちゃん・・・」

(うわっ!梨華ちゃん、こっちはまだ心の準備ができてないよ・・・そんな上目遣
いに見つめないでよっ・・・か、体が密着し過ぎだよ・・・それにしてはなんか電気
明る過ぎない?)


翌朝、真希は眩しい朝陽と微かな物音に気づいて目覚めた。

「んー朝・・・?」
(朝?朝だよね・・・太陽が眩しいもんね。あれ??梨華ちゃんは?・・・今の・・・?
んぁー、なんだ、いつもの夢か・・・焦ったよ・・・。)
(あぁ、まだ梨華ちゃんの肌の感触が・・・)
154 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時46分34秒
「ふぅーっ」
残った夢の感覚を振り切るように伸びをした真希に突然誰かが声を掛けてきた。

「一緒にご飯行きましょ?」

(そっ、そのかわいい声はっ!!り、梨華ちゃん?・・・まだ夢見てるのかな?)
そうっと目を開けると、梨華がちょっと怯えたような、でも優しい光を持った
目で真希を見つめ、その手は真希に向かって差し伸べられていた。

今まで見ていた夢を思い返して真希の鼓動は更に早くなっていった。
真希は思わず梨華の手をつかみ、途中まで体を預けたが、強く掴まえて起こし
てくれようとしている優しい梨華に、今まで自分が妄想していたことがすごく
恥ずかしくなり、自己嫌悪で顔をあげられなくなった。

「やっぱいい・・・ご飯いらない。もうちょっと寝かせて・・・」
(ほんとにごめん、梨華ちゃん。)
真希は梨華の手を離すと、恥ずかしさに耐えられなくてそのまま布団に突っ伏
した。

梨華は何も言わずに部屋を出て行ってしまった。

(びっくりしたー。本物に話し掛けられちゃった!でもやっぱりかわいいなぁ。
あー、ほんとにあの体を抱きしめられたら・・・)
155 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時49分44秒
その日は、飯田達と一緒に乗馬などをして過ごした。

夕食後も梨華と話す機会は無く、夜中まで真里やなつみ達の部屋でおしゃべり
をして過ごした。
途中、圭が部屋を訪れたが、すぐに行ってしまった。

「ねーねー、真希ちゃんは一年以上我慢しちゃってるんだよねー?かわいそう
に。もう紗耶香のことなんて忘れちゃいなよ。」
真里が痛いところを突いてくる。

「っていうか、私の方が忘れられてるかも・・・」
(いちーちゃんのこと好きだけど、ほんとは今気になる子がいるんだよね・・・)

「ちゃんと連絡は取ってるの?」
飯田が心配そうに言う。
「一応、時々は。今結構安いし、ほんとはもっと話したいんだけど、お母さん
に怒られちゃって。いちーちゃんもそんなに余裕あるわけじゃないし。お金も
時間も・・・私のことも・・・」
「うわっ、すごい今落ちていったよ、ネガティブモードに。」
「うちらが励ましてあげるべさっ」
真希以外はお酒が入っているため、いつも以上に絡んでくる。
真希は部屋に帰りたかったが、慰めてくれるみんなの気持ちが嬉しくてしばら
くそこにいた。
156 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時51分34秒
飯田達に解放されたときはもう深夜になっていた。
(先輩達、始めはいいんだけど、最後の方はしつこすぎるんだよね・・・)

自分の部屋にそうっと入った真希は辺りを見回すと自分の寝る場所がないこと
に気づいた。
(・・・どうしよっかな・・・)
(先輩のところに戻ろっかな・・・あいてる所無いかな・・・?梨華ちゃん、ここに
いるのかな?)

見回してるうちに、視線を感じた。
薄暗い中でも、真希にはそれが梨華であることがすぐわかった。
(んぁっ!梨華ちゃんじゃん!)
強く引き寄せられるように真希は梨華の元へ駆け寄った。

「ここ・・・いい?」
「う、うん・・・いいよ。」

梨華は真希のスペースだけ体をずらすと、自分の布団を真希にもかけてくれた。
「ありがと・・・おやすみ」
「おやすみなさい・・・」

(梨華ちゃんと同じ布団だよー!!ちょっと暑いけど・・・。梨華ちゃんのにおい
がする・・・)
すぐ横にいる梨華に神経が全て集中してしまう。

二人とも細身のせいか、一緒の布団でも体は触れ合わない。
(ほんとに隣にいるんだよね?)
157 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時53分48秒
真希は思わず体の向きを変えたフリをして梨華の方に腕を伸ばした。
腕と腕がぶつかる。触れ合う素肌。
その場所が異様に熱くなってくる。
真希は眠ったフリをしてその感覚に酔いしれていた。

すると次の瞬間、梨華が真希の腕をそうっと握り締めてきた。
(り、梨華ちゃん、それって、どういう意味?)

真希は固まっていたが、ついに耐えられなくなって、腕をずらし、梨華の手を
自分の手のひらに収めてしっかりと握った。
(手、繋いじゃった!・・・柔らかい手・・・ほっぺも柔らかかったよね・・・唇も・・・ 
体も・・・やばい。もう・・・止められそうにないかも・・・)

真希は湧き上がる衝動に耐え切れず、半身を起こしていた。
梨華を見つめると、梨華も起きていて潤んだ目で真希を見上げている。

真希は梨華に唇を近づけると、その頬に落とした。
(やっぱり柔らかくて気持ちいい、梨華ちゃんのほっぺ・・・唇はどうかな・・・?
していいかな?梨華ちゃん?)
もう一度確認するように梨華と視線を合わせると、真希は梨華の唇に自分のそ
れを重ね合わせた。
158 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時58分02秒
しばらくキスを繰り返したあと、真希は優しく梨華を見つめ、もう一度唇を合
わせると、そのまま梨華の首すじに唇を這わせた。
「・・・ん・・・っ!」

梨華のあげた微かな声を耳元に受けた真希は、自分の欲望がはっきりと形をみ
せたことに気づいた。

真希は梨華の体に熱いキスを繰り返す。
そして邪魔をしている服をゆっくりと脱がしていった。
露わになった膨らみに手を伸ばした。
その感動的な柔らかさに眩暈を感じながら、真希はそこに口付けた。
腕や脇や、今見えているところ全てに優しく口付けた。

「ん・・・っ・・・」
(り、梨華ちゃん、感じてくれてるの?そう思っただけでまじでもう止まんな
いよっ。梨華ちゃん、これって夢じゃないよね?こんなにリアルだもんね。)

突然、そんな思考を遮るように、梨華が両手で真希の頭をはさんで自分の顔の
ところまで引き寄せた。
そして小さな、でも焦ったような声で言った。
「ねぇ・・・わざと音出してる?周りの人起きちゃうよ?」

(何の音?キスするときの音かな?)
「うそ?・・・気づかなかった。でも聞こえちゃってもいいよ。」
真希は開き直ったように無邪気に言うと、
「ね、続きしてもいい?」
と聞いた。
159 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)18時58分44秒
「うん、でも恥ずかしいよ・・・?」
(梨華ちゃん、嫌がってないじゃん!っていうか、今「うん」って言った?
してもいいってことだよね?)

真希は梨華に何かを残したくて、自分とのことが夢じゃないって証拠を残した
くて、嫌っていうほど梨華の胸の柔らかいところを強く吸った。

「痕ついたかな・・・」
(ちゃんと残ったかな・・・?すぐ消えちゃうし、いっぱい付けても許してくれる
よね?)

梨華の胸に沢山のキスマークを付けて安心してしまった真希は、満足そうに梨
華の胸に寄り添うとそのまますやすやと眠りに落ちていった。

(え?・・・まさかもう寝ちゃってる・・・?)
梨華は自分の胸に頬を埋めたまま動かなくなった真希に驚きながらも優しく微
笑みかけると、真希の頭をちょっとずらして自分の服を元に戻し、また真希を
胸に抱いて、考え事をしながら眠りに落ちていった。
160 名前:15 夢?いや・・・現実。 投稿日:2002年09月02日(月)19時01分56秒
翌朝、真希はまだみんなが寝静まっている頃に目覚めた。

(なんだろ?この柔らかい感じ・・・なんか気持ちいい。)
横向きに寝ていた真希は鼻先と唇に、柔らかい暖かいものがあたっているのを
感じた。

確かめようと重い瞼をうっすらと開けてみる。
(あれ・・・?なんでピンクなの?)

ゆっくりと覚醒していく頭の中。
顔を少し後ろにずらしてゆっくり視線を上げる。

(んがっ!)
思わず声が出そうになった真希が見たものは。
梨華のちょっと拗ねたように心持ち突き出た可愛い顎。
その先に薄く開いた柔らかそうな唇。
(っていうかほんとに柔らかかった・・・)
そして長い睫毛に縁取られて、まっすぐ閉じられた切れ長の目。

(梨華ちゃん、可愛すぎるよ君は・・・)

ぼーっと下から寝顔を見つめていた真希は、鼻先にある梨華の胸にさっきと同
じ様に顔を埋めた。
(気持ちいい。梨華ちゃん。・・・いい匂い。大好きっ)

ほんの数時間前、梨華の体に触れていたときのことが頭をグルグルと回り始めた。
真希の胸はキュンと締め付けられ、鼓動が早くなった。
161 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月02日(月)19時12分58秒
朝から体を熱くしていた真希は、
(やばいやばい。)
と、梨華から体を離したけれど、
(やっぱり触れ合っていたいよ)
と思い、梨華の手を探し当てるとそうっと握り、また眠りに落ちた。

その日は快晴だった。

朝の陽射しが差し込む頃、部屋のみんなは起きて今日の予定を話し始めた。

起きたときにはもう梨華と繋いでいた手は外れてしまっていたことが、真希は
少し悲しかった。

「おはよう・・・」
(は、恥ずかしいよ。梨華ちゃん)

「あ、おはよう・・・」
うつむきがちに応える梨華。

(梨華ちゃん、嫌だったのかな?昨日のこと・・・)

「ねー真希、今日どうする?」
圭が聞いてきた。
「今日最後だもんね。何時頃帰るんだっけ?」
真希はみんなと予定を立て始めた。

その時、なんとなく梨華の視線を感じた。
(梨華ちゃん、今日なにするんだろ?私とは一緒に居たくないのかな・・・?全然
話入ってこないし・・・でも初めてここ来るから人見知りしてるのかな?)

真希は梨華と目が合うと、にこって笑いながら近づいていった。
(取りあえず、警戒されないように笑顔、笑顔・・・まずは名前から聞いてみよっ
かな・・・そんなの会う前から知ってるけど)
162 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月02日(月)19時17分37秒
「えっと・・・ごめん、名前なんだっけ?」
「!・・・梨華です。石川梨華・・・」
(名前も知らないであんなことしちゃったって思われた・・・?)
「私は後藤真希。」

「梨華ちゃんは今日どうするの?」
「あ、私は友達とテニスしようかなって・・・」
(じゃあ、やっぱり私とは行動しないんだね・・・連絡先聞いておかなくちゃ)

「そっか・・・ちょっと来て」
真希は梨華を廊下に連れ出した。
「連絡先、教えてくれる?」
「うん。いいよ。」

平静を装っていたものの、初めて梨華と面と向かって話をした真希は、緊張し
すぎて次の約束ができずにいた。
二人はメモを交換すると、なんとなく押し黙り、部屋に戻った。
(でも携帯の番号も教えてくれたし、後で連絡すればいいよね)
163 名前:15 夢?いや現実です。 投稿日:2002年09月02日(月)19時18分52秒
帰りの車に乗ろうとした時、真希はためらい勝ちに圭に聞いた。
「保田先輩・・・あのー、昨日の夜のことなんですけど・・・」
「うん?何?」

表情を変えずに自然に聞き返してくる圭を見て真希は安堵の色を浮かべた。
「いやっ、なんでもないです。良かった・・・」
「何が良かったのよ?あ、そう言えば・・・」
「えっ?!何ですか?」
(まさか、やっぱりばれてた?)

「夜、石川さんがあんたのこと聞いてたよ」
(えっ?梨華ちゃんが・・・?)
「なんて・・・?」
「えっとね、帰っちゃったの?とかなんとかそんな感じ。あんたら部屋割りの
意味無いよね?昨日はちゃんと部屋帰ってきたの?」
「うん、ちゃーんと帰ってきてましたよ。あはっ。」
「あはっ。ってねー、あんた・・・」

返事するたびに表情を変える真希の顔を圭は不思議そうに覗き込んでいた。
164 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)19時19分53秒
名前のところ失敗しまくりです。。。
お恥ずかしい…。
165 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)19時27分28秒
レスのお礼です。
145 名無し読者 様
  そうなんです。
  写真でモーソウしていました。
  こんな設定でいいのでしょうか?

146 @
  読んでくれてありがとうございます。
  こんなごとーさんでいいですか?
  
  こんな駄作、とんでもねぇっす。
  @さんの作品、すっごいかわいくて好きです。

  これからもよろしくです。
166 名前:コウ 投稿日:2002年09月02日(月)19時28分04秒
今日のコウ新はここまでです。
167 名前: 投稿日:2002年09月02日(月)20時30分15秒
ごっちんドッキドキですね(w
こんなごとーさんいいですよ♪
楽しみにしてます。
168 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月02日(月)22時07分17秒
ごとーさん、こんなに梨華ちゃんのこと気にしてたんですねー。
169 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年09月02日(月)23時19分39秒
ごっちんは梨華たんのこと知ってたんですね。なんか運命を感じましたよ。
すごい運命的な出会いですなあ。ごっちんの行動は突発的ではなく長いこと
思いつめてて我慢してたんですね。そこに梨華たんの可愛い姿がごっちんと
密着してたんやからあの夜の出来事は起こるべくして起こったと言っていいのでは
ないかと思いました。この後が気になります。楽しみにしてます。
170 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月06日(金)20時15分03秒
( ^▽^)<マキちゃんがしてくれたキスを数えてるの。
     (´ Д ` )<もういくつ寝ると?え、何?あたしを数える?
(;^▽^)<だ、だから、マキちゃんがしてくれたキスを数えてるのっ。
     (´ Д ` )<んぁ?わかんないよぉー。リカちゃんにチューすればいいの?
(;^▽^)<違うよーマキちゃん、何でわかんないのよー。
     (´ Д ` )<リカちゃん、何が言いたいの?
(;^▽^)<は、早くしてよー!!マキちゃん!上からおっきなゴムが・・・

『バフンッ』
      (´ Д ` )<ごめんねぇーリカちゃ〜ん。。 

萌え。



171 名前:コウ 投稿日:2002年09月06日(金)20時16分47秒
更新します。
172 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時17分51秒
帰ってきてから、真希はすぐに梨華にメールしようか迷っていた。
(昨日の今日で送るのもなんか食いつきすぎって感じだよね)

次の日もメールを打ち込んでは消していた。
(この「送信」がなかなか押せないんだなー)

『梨華ちゃん元気?真希です!覚えてるよね?
この前の旅行楽しかったね。
ところで・・・突然なんだけど今週空いてる日ある?
もし良かったら一緒に遊ばない?』
(こんなんでいいかな?)

3日後やっと勇気を振り絞って梨華にメールを送った。
(送っちゃったよー!断られるかな?覚えてないなんてこと無いよね?)

待つ間も無く返信されてきた。
(梨華ちゃん早いよっ。待ってくれたのかな…んなわけないか。)

『旅行お疲れさま。えっと、いつでも大丈夫だよ。真希ちゃんに合わせるよ。』

(「真希ちゃん」だって、嬉しいよぉ。しかもこんなあっさりOKだし。どこ行
こうかな?梨華ちゃん何が好きなんだろ?・・・梨華ちゃんのこと全然知らな
い・・・)
173 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時19分03秒
『ほんと?じゃあどこ行く?どっか行きたいところある?』
『うーん、別にどこでもいいよ』

(こっちが誘ったんだし、こっちで決めていいよね?あーもー今からでも会い
たい)

『じゃ、明日でいい?一時頃渋谷で待ち合わせでいいかな?』
『うん、いいよ。じゃあ明日』


(あー、何着て行こうかな?梨華ちゃんとデートできるなんて、嘘みたいだよ)

真希は夜ぐっすり眠れたお陰で翌日は余裕を持って起きることができた。
(私ってば早起きじゃん。なんかいつものだるい感じもとれてるし。これも梨
華ちゃんのお陰?)
しかし念入りな準備のせいで、やっぱり時間ぎりぎりになってしまった。
(ぅわっ。間に合うかな?梨華ちゃん待たせるなんて・・・絶対許せない)
自分に言い聞かせながら走れるところは全部全力疾走した真希はなんとか時間
までに着いた。

「すごいよ・・・間に合った!・・・って、待った?ごめんね?」
息を切らしながら途切れ途切れに言う真希に、梨華は上気した紅い頬で答
えた。
「ううん、私も今来たとこだよ・・・」

(ごめんね。梨華ちゃん、暑さで顔が紅くなっちゃってるよ。)
174 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時20分15秒
無意識に梨華の顔から下の方に視線をずらした真希はカァっとなった。
(り、梨華ちゃんその格好は・・・)
かなり露出の多い、超女の子って格好をしてる梨華を見て、というよりその梨
華の体から出ている眩しいオーラみたいなのを感じて真希は焦った。
(こんなんじゃみんなに見られちゃうよ。・・・っていうかみんな見てる・・・とに
かく場所変えなきゃっ)

「じゃ、ご飯食べに行こっか?」
「うん。」
真希は梨華の手を引いてすぐに歩き出した。

2人の繋いだ手は気温以外の理由で汗ばむ。

しばらく歩き、真希はよく行くお店の扉を開いた。

店員に案内され向かい合って座ると、二人は視線を合わせたまましばらく店内
に流れる大音量の音楽だけを耳にしていた。

(梨華ちゃん可愛いなぁ・・・今日はちょっとお姉さんっぽいかな・・・なんかしゃ
べんなきゃマズイよね?・・・私無口な方なんだけど・・・)

「なんか久しぶりって感じだね。まだ2回しか会ってないのにね。」
「そうだね。」
175 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時21分02秒
(梨華ちゃんあんましゃべんないよ・・・やっぱあの時のこと気にしてるのか
な?っていうか気にしてるのは私も同じなんだけど・・・。もっと打ち解けてくれ
ないかな?・・・・・・それにしても梨華ちゃんって・・・)

ぼーっとしたまま潤んだ瞳で自分を見つめ続ける梨華を見て、真希は顔を真っ
赤にしながらも、絶え間なく梨華に話し掛けた。

梨華は段々と慣れてくると、表情を和らげ、その高くて甘ったるい声で真希に
応えた。
(梨華ちゃんの声ってほんと可愛いよね。もぅずーっと聴いていたいよ)


その後、特に2人ともどうしても行きたいという所は無く、真希は自分の家に
梨華を呼ぶことにした。

「じゃあさ、この後家に来ない?」
溶けて「カラン」って音を立てた氷に気を取られた真希は、自分の発言に梨華
がビクッって反応したことには気づかなかった。
176 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時22分11秒
そこから一時間ほどかけて真希の家に着き、二人は真希の部屋に入った。

「今週はみんな旅行に行っちゃっていないんだよね。なんか一人で寝るの怖く
て」
「そうなんだ・・・私一人でも結構大丈夫だよ。でもちょっとやっぱり怖いよね。」

(梨華ちゃんが一緒なら怖くないよ?・・・でも梨華ちゃんって私のことどう思
ってるんだろ?この前だって拒否はされなかったけど・・・私が一方的だったよ
ね?女の子同士でも大丈夫なのかな?こんな女の子っぽいんだし、やっぱり普
通に男が好きなんだよね?・・・いちーちゃんとのそういう写真見せたら、どんな
反応するんだろ?)

真希は梨華の気持ちを知りたくて焦っていた。
梨華の本当の気持ちを尊重することなど忘れて・・・。

「あ、ねぇ昔の写真とか見る?」
「見たい見たい!」

真希はアルバムを手にとると、梨華と並んで座った。

真希がページをめくるごとに梨華の表情が曇っていった。

「この人・・・誰?」
「・・・前に付き合ってた人なんだ。」
「え・・・?だって女の子だよ?」
177 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時22分59秒
(!やっぱり・・・だめ・・・?)
「あ、梨華ちゃんそういうのだめ・・・なんだ?」
「え、そういう訳じゃないけど・・・」

(そういう訳じゃないけど何?・・・「私は違います」ってこと?・・・嘘・・・だって
あの時感じてくれてたんじゃないの・・・?)

真希はふと手を止め梨華を背中ごとそうっと抱きしめた。
そしてまたアルバムをめくり始めた。

「いちーちゃんって言うんだ。この人。今は留学中だと思う・・・もう連絡とかと
ってないから今なにしてるかわかんないんだ・・・」
(ごめん、いちーちゃん・・・でも最近ほんとに連絡来ないから・・・)

体が密着した上に、ページをめくる動きに合わせて真希の頬を梨華の髪がくす
ぐる。立ち込める梨華の香り。胸に感じる体温。
(梨華ちゃん、嫌なら抵抗してよ。私もう限界だからね?)

梨華は固まったまま体温だけが上昇していった。

「梨華ちゃん・・・」
思わず梨華に覆い被さると、真剣な表情で上から見つめる。
「!・・・ちょ、ちょっと!」
178 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時23分56秒
(梨華ちゃん、好きだよ・・・)
真希は自分の確かな強い想いに忠誠を誓うように梨華に優しく口付けをした。
(いちーちゃん、もう私だめだよ。梨華ちゃんのこと・・・梨華ちゃんをもっと感
じたい。それがもう止まんなくなってる・・・)
真希はちょっとでも気を緩めたら涙が溢れ出しそうな梨華への想いを自分の中
に感じ、壊れやすい宝物を扱うかのように優しく梨華の首すじや腕にキスを繰
り返した。

(梨華ちゃん、なんでそんな悲しそうな顔してるの・・・?)
真希は自分も同じような表情であることには気づかず、梨華の表情を見て不安
になる。
しかし、梨華の両腕が真希の首に回されたことで、真希の不安をは少しずつ喜
びに変わる。
その嬉しさに梨華の顔に何回もキスを浴びせる。

「くすぐったいよ・・・」

(梨華ちゃん、私の心だってくすぐったいんだよ?)

真希は梨華の服に手をかけた。
(あの時の、残ってるかな?)
梨華の肌が少しずつ現れる。
それは無数の小さな花びらが舞っているようだった。

「やっぱり痕ついちゃってた・・・」
179 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月06日(金)20時26分55秒
「あ!・・・そうだよ、ひどいよ・・・びっくりしたんだから・・・服も開いたのとか着
れないし・・・」
「ご、ごめんね・・・こんなについてるとは思わなかった・・・」

(梨華ちゃん怒っちゃってるよぉ。ごめんね梨華ちゃん、勝手に痕つけちゃっ
て・・・あーなんか恥ずかしいよーっ!)

自分の跡が梨華にしっかり残っていたことに真希は胸がキューンって鳴るのを
感じた。

(今まで梨華ちゃんの気持ちとか全然考えもしないで・・・・・・梨華ちゃんをもっ
と大切にしたい。最初からやり直さなきゃ。)

真希は梨華の服を元に戻して、元の位置に座らせた。

「TV見よっか?」
そうつぶやくと真希は梨華に背を向けて、リモコンを手にとった。

真希は梨華と初めからもう一度ちゃんと向き合おうと心に決めていた。
180 名前:コウ 投稿日:2002年09月06日(金)20時28分02秒
今日はここまでです。
181 名前:コウ 投稿日:2002年09月06日(金)20時50分04秒
レスのお礼です。読んでくれてほんとありがとうございます。

>>167 @ 様様
  すみません。前のレスのお礼で呼び投げしちゃった…。
  ごめんなさい。。
  ごとーさんこれからちょっと一波乱ありそうです。
  あ、でもまだなんも考えてないんですけど…。

>>168 名無しさん 様
  そうなんですよ。
  すっごい気にしてたんです。
 
>>169 いしごま防衛軍 様
  そうなんですよ。
  二人は運命で結ばれているのです。
  ですよね?


横アリまでに完結させたいのですが、なんとなく間に合いそうにありません。。
でも頑張るのでよろしくです。  
182 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年09月09日(月)18時07分48秒
うおー続きが気になる。ドキドキが止まりませんよー!!
楽しみに待っていますよ!!応援しております。がんがってください!!
183 名前:コウ 投稿日:2002年09月15日(日)17時51分28秒
ありがちな設定+なんのひねりもない駄文交信。
関西弁もよくわかんねー。
目標、完結。 
184 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月15日(日)18時05分59秒
梨華が帰ったあと、真希は頭を抱えていた。
(いちーちゃんと話さないと。あーでもいちーちゃん今頑張ってるときだから邪魔
したくないな。でもはっきりしなきゃ。)

真希は紗耶香と別れるまで梨華に連絡を取らないことにした。
なかなか紗耶香に連絡できないでいると、思いが通じたように紗耶香から電話
がかかってきた。

「真希?久しぶりだね。元気?」
「うん、いちーちゃんの方はどぉ?」
「そっれがさぁ、すっごいいい感じで・・・。」
いつになくはしゃいだ感じで近況を語る紗耶香に、真希は話を切り出せないで
いた。
(こんな、電話なんかじゃ別れ話できないよ・・・)
185 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月15日(日)18時06分49秒
「いちーちゃん、いつこっち帰ってくんの?ほら、休みとかにちょっと帰国したりし
ないの?」
「うん、まだ余裕がないんだよね。帰れそうになったらすぐ連絡するから、それま
でいい子で待ってんだよ。」
「う、うん・・・。」
「じゃ、そろそろ切るね。元気で頑張りなよ。」
相手からかかってきていたので、引き止める訳にもいかず、真希は何も伝えら
れぬまま受話器を置いた。

(やっぱ電話じゃ無理・・・)
紗耶香についてどうしたらいいのか真希は悩み、考えあぐねていた。
そして浮かび上がってくる梨華の顔。
(あー梨華ちゃんに会いたいよぉ。ちょっとだけでもいいから・・・。もぅ禁断症状
だよ・・・ほんのちょっとでもいいから顔が見たい。声が聴きたいよぉ。この前会っ
てからもう二週間か・・・。これって自分勝手な感情・・・?)

真希は押さえきれずに梨華に電話していた。
「・・・梨華ちゃん?・・・元気?・・・あのぉ・・・今週末空いてない?一緒に買い
物行きたいんだけど・・・?」
「・・・うん、いいよ・・・」
「ほんと?じゃあ、また連絡するね。」
(会うだけだから・・・いいよね?)
186 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月15日(日)18時07分48秒
久しぶりに梨華を見た真希はその瞬間から自分の体が熱くなっていくのを感じ
ていた。
(やっぱ梨華ちゃんのこと・・・好きでたまんない・・・)

買い物を終え、真希の家で遊ぶことになった。

家には誰もいない。
真希はドアを閉めると同時に待ちきれなかったかのように梨華の背中を抱きし
めた。
「会いたかったんだよ・・・」

梨華の背中越しにある真希の耳に、はっきりとした声が届いた。
「ねぇ・・・・・・私達って付き合ってるの・・・?」

(・・・やっぱり梨華ちゃん・・・正直に話さなきゃダメだよね・・・)
「本当のことをいうとね、まだいちーちゃんと別れてないんだ・・・」
「・・・ほんとに?まだ付き合ってたの?嘘ついたの?ひどいよ・・・じゃあ私にした
ことはなんだったの!?」
187 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月15日(日)18時08分27秒
大粒の涙が黒目がちの瞳からはらはら溢れ出すのを見て、真希は動揺を隠
せなかった。
(えっ?そんなに真剣に受け止めてくれてた・・・梨華ちゃんの気持ちは・・・?そ
っか、ごめん梨華ちゃん!全然分かってなかったよね、私。)
「じゃあ!今から電話するから、電話して別れるから!」
「いいよ別に!だって私達付き合ってるわけじゃないんでしょっ!?」
「待ってて!電話するから。ちゃんと別れるから!」

真希は焦って電話に手を伸ばした。
慣れた手つきで紗耶香に取り次いでもらう真希の様子を梨華は困ったような
怒ったような表情で見つめている。

「いちーちゃん?ちょっと今時間ある?」
「うん。大丈夫だよ。それより元気にしてる?」
「んー、元気だよ、元気。いちーちゃんは?学校の方はどう?」
「あいかわらず、我ながら上手くやってる方だと思うよ。」
「ふーん…あ、あのね、あの…大事な話があるんだけど」
「うん、何?」
「…急にごめんね……あ、ちょっと待ってて」
188 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月15日(日)18時09分23秒
電話ではやっぱり切り出せなかった。
梨華が見ている前で紗耶香と話をするのがこんなに苦痛だなんて思っていな
かった。
(ごめん梨華ちゃん、ちょっと外に行っててくれないかな?)
焦って、追い出すような振りになってしまった。
しかし梨華は真希のジェスチャーには応えず、更に怒ったような表情で動向を
見守っている。
とにかく真希は普通の会話を続けた。

真希は梨華と紗耶香に心をさらけ出されてしまったような焦りと、自分の行動
へのもどかしさに腹が立った。
真希は急に受話器を置き、席を外してくれない梨華の手を取った。
そして何も掛ける言葉を見つけられぬまま家の外まで梨華を連れ出し、中に
入ってカギをかけた。
(ちょっとそこで待っててよ?梨華ちゃん)

急いで部屋に戻ると、話を再開する。
「いちーちゃん、あのさ、・・・・・・」

「何?電話じゃ話せない?あ、そうだ、言おうと思ってたんだけど、ちょっと家の
都合で一旦日本に帰ることになったんだ。」
「え?!そうなの?いつ?」
真希は一瞬、紗耶香が帰国したら別れ話をすることになるというのも忘れて単
純に紗耶香に会える喜びが湧き上がってきて自分でも戸惑った。
189 名前:16 戸惑い 投稿日:2002年09月15日(日)18時11分20秒
「結構急なんだよ。来週中だと思う。」
「じゃ、帰ってくる前に電話して。」
「分かった。あんまり長く日本にはいられないと思うけどね。」
「うん。じゃあ、気をつけて。」
受話器を置くと、部屋を飛び出した。

家の外に出たが誰の気配もない。
(そりゃ帰っちゃうよね・・・ごめんねぇ、梨華ちゃん・・・)
真希は申し訳なさに涙が込み上げてくるのを我慢しながら、梨華の行方を探
して駅まできたが、もう梨華の姿はどこにも見当たらなかった。

仕方なく真希は部屋に帰ると、ベットに仰向けになって天井を見上げた。
紗耶香と別れることを梨華のせいにしたくなかった。
紗耶香とのことは自分の問題。
梨華を巻き込みたくない。
(梨華ちゃんと向き合う前にいちーちゃんとしっかり向き合わないと)
190 名前:17 砂浜に散る花 投稿日:2002年09月15日(日)18時12分24秒
それから数週間たって紗耶香が帰国した。

「おー、真希元気だった?」
「うん。いちーちゃんは?」
紗耶香の包み込むような笑顔に、真希は紗耶香に甘えていた頃の自分を思
い出していた。

2人は紗耶香の家に向かった。
家族に出迎えられた後、紗耶香の部屋に入る。

「いない間にいろいろ悩ませちゃったかな?」
頭をくしゃくしゃと撫でられて真希の毛先がサラサラと揺れた。
「ううん、いちーちゃん頑張ってるのに私・・・」
(裏切ってるんだから・・・)
「別に真希のために帰ってきたんじゃないからね?」
紗耶香は唐突に両手で真希の肩つかむと真希に口づけた。
(!)
唇を離すと、戸惑いを隠せずにいる真希の目を強く捉えながら紗耶香は言っ
た。
「ねぇ、ドライブでも行く?」
191 名前:17 砂浜に散る花 投稿日:2002年09月15日(日)18時13分27秒
2人は夜の海岸へ車を走らせた。
車の中は紗耶香の好きな曲が流れる。無言の2人。
これから起こることをお互いに分かっているかのようだった。

海岸に着くと車をおりる。
紗耶香はトランクを開けながら言った。
「花火持ってきたんだ。ちょっと季節はずれかな」
「大丈夫。まだ・・・夏だよ」

2人は静まり返った暗い海岸で、花火に点火した。
(いちーちゃん・・・)
優しい沈黙の中、紗耶香の存在を強く感じ、切り離したはずの気持ちがまだ
強く繋がっているのを感じた。
「真希、火ちょーだい」
紗耶香は威勢良く火花を撒き散らしている真希の花火の先に自分の花火の
先を当てると、着火するのを待つ。
なかなか移らない火花。それは紗耶香が花火を介して真希の心を読み取ろう
としているかようにも見えた。
やっと火が移りかけた頃には真希の花火の勢いは急速に衰えていった。
「終わっちゃうよ。早く。」
言ったとたん、紗耶香の火花は真希めがけて勢い良く飛び出した。
「ぅわっ、危ないよ!」
真希はびっくりしながら子供のように無邪気に笑うと、紗耶香の顔も自然にほ
ころぶ。
「いちーちゃん、火ちょうだい」
2人だけで連鎖して火を求め合った。
192 名前:17 砂浜に散る花 投稿日:2002年09月15日(日)18時14分16秒
「真希の笑顔見れないかと思った。」
「いちーちゃん・・・ごめんね」
「なにが・・・?」

紗耶香はまだ途中の花火を手から離し、真希に近づくと、その頬を両手では
さんだ。
吸い込まれそうな大きな瞳で真希を優しく見つめ、その髪を愛しそうに撫でた。
真希は浮かんだ涙でキラキラ光っている瞳を紗耶香に向ける。
紗耶香の顔が真希に近づき、ゆっくりと唇が触れ合った。
2人はしばらく唇を離すことなくお互いを感じていた。
(やっぱりいちーちゃんといると居心地がいい・・・)
(でも、梨華ちゃんのこと・・・自分の気持ち押さえられなくなるほど・・・梨華ちゃ
んを強く求めてる・・・それはもうどうにもできない)
193 名前:17 砂浜に散る花 投稿日:2002年09月15日(日)18時14分59秒
真希の方から体を離した。
そして真剣に、意を決した様子で紗耶香に向き合う。
「いちーちゃん、ごめん・・・私・・・好きな人ができた」
「うん」
「いちーちゃんとは・・・もう・・・」
「ははは、何マジになってんの?」
「だって・・・!」
「分かってたよ。電話といい、今日の態度だって・・・おかしいもん。そんなことだ
と思った。・・・でも心配しなくていいよ、裏切られたとか思ってないから。」
「どうして・・・?」
「ろくに相談もしないで真希から離れていったのこっちだし。逆に不安にさせちゃ
ったみたいでごめん。」
「・・・っく・・・」
「よかった。これで真希のこと心配しなくて済むよ。」
「・・・そんな・・・っく・・・」
「ほら、もう泣かない!許してあげるって言ってるでしょ?」
「うん・・・もう・・・泣かない・・・っく・・・よ・・・」
「私も頑張るからさ、真希もちゃんと頑張んなよ?」
「うん・・・ありがと。・・・いちーちゃん、ごめんね」
「もういいから」
紗耶香は再会した時と同じように、笑顔で真希の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
ただ違ったのは、その瞳には大粒の涙が溢れていることだった。
194 名前:18 閉ざした心。見えない気持ち。 投稿日:2002年09月15日(日)18時16分25秒
それからしばらくして、真希は梨華に連絡をとった。
「この前はごめんね。あの、話あるから・・・会ってくれない?」
「・・・別にいいけど。」

2人は会ってから、しばらく無言でいた。
(梨華ちゃん、すっごい怒っちゃってるよ・・・)
「・・・」
「・・・」
(とりあえず話さなきゃ。)

「この前はごめんね?・・・ちゃんと別れたから。前の人とは前の人とはちゃんと
別れたから。」
「だから・・・何?」
「付き合って欲しいんだ。初めて会ったときから・・・梨華ちゃんに一目ぼれしち
ゃったんだ・・・」
梨華は信じられないというふうに目を見開いて言った。
「じゃあ、なんでこの前私を家から追い出したの?あんなひどいこと好きな人に
できるわけないじゃない。もしかして今まで私にしてきたことに責任感じてると
か?別に私は付き合って欲しいなんて思ってないからっ・・・」
「じゃあ何で梨華ちゃんはいつも拒まなかったの?どうしていつも私を受け入れ
てくれたの?」
「別に…どうでも良かったからだよ…それにいつも急で強引だったでしょ?人の
気持ちとか全然聞いてくれなかったじゃないっ…」
195 名前:18 閉ざした心。見えない気持ち。 投稿日:2002年09月15日(日)18時16分59秒
「じゃあ、梨華ちゃんの気持ち教えて。私のことどう思ってるの?」
「いいよ、別にそんなの!言いたくない。私帰る!」
「ま、待ってよ…!」
真希は梨華を追いかけようとしたが、レジに人が並んでいたため、支払いを済
ませて店の外に出た頃にはもう梨華の姿はどこにも見えなかった。
駅やホームも探したが見つからなかった。
(どこ行っちゃったの・・・?梨華ちゃん)
196 名前:18 閉ざした心。見えない気持ち。 投稿日:2002年09月15日(日)18時18分02秒
それから真希は梨華とちゃんと話し合いたい一心で毎日のように梨華にメー
ルしたが、梨華は曖昧な返事しかしてくれない。
そしてついに真希が最も恐れていたことが起きた。

『もう会いたくないから。私他に好きな人がいるから。』
梨華から告げられた言葉に、死を宣告されたような衝撃を受けた。
(梨華ちゃん本当なの?・・・もう私の入る余地は残ってはいないの?)
どうしても梨華の口から直接聴かなければ信じられない真希は、梨華がうんと
言うまで「会いたい・・・」とメールした。
しかし梨華は返事をしてくれない。
(んぁー!もーっ!梨華ちゃんちょっとぐらい会ってくれたっていいじゃん!)
真希は頑なな梨華に怒りを覚え、それを確実に上回る「会いたい」気持ちを
押さえきれなくて梨華の学校まで来てしまった。

門を通り過ぎる生徒にジロジロ見られながら1時間ほど待つと、やっと梨華が
現れた。
「梨華ちゃん・・・」
沢山言いたいことがあったのに、全てが頭から飛んでいた。
ぼーっと梨華を見つめ続ける。
197 名前:18 閉ざした心。見えない気持ち。 投稿日:2002年09月15日(日)18時18分43秒
梨華はどうしようもなく目立ってしまっている真希に気付き、ビクッと体を震わ
せて立ち止まったが、一緒に歩いていたあゆみの腕をつかみ、足早にそこを通
り過ぎようとした。
「ちょ、ちょっと梨華ちゃん、どうしたの急に・・・」
「あ、ごめんちょっと・・・」
梨華の視線を辿るあゆみは梨華とはまた違う美しい黒目がちな瞳を見開い
た。
「真希ちゃん!・・・なんで、どうしたの?こんなところで・・・」
「あゆみちゃん、えっと、あれ、ちょっと梨華ちゃん貸してくんない・・・?」
「あ、いいけど・・・なんで梨華ちゃんなの?」
「うん、ちょっと梨華ちゃんと話したくて・・・」
「私、話すことないから。」
急に言葉を発した梨華の口調は冷たくて強いものだった。
「ちょっと梨華ちゃん、真希ちゃんち結構ここから遠いよ?」
「そんなの・・・私に関係ないもの」
「と、とにかく帰りながら話そうよ」
「・・・やっぱりいいよ。帰るから。あゆみちゃん、・・・梨華ちゃん、ごめんね・・・」

真希は、心を閉ざしてしまった梨華に自分の想いを伝えるにはどうしたらいい
のか全く分からなくなってしまった。
198 名前:19 強い味方・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時19分55秒
「そうだ・・・手紙書こう・・・」
思いついた方法は簡単だった。

真希はなんとか手紙に想いを託し、梨華の家まで届けに来た。
(郵便だと誰かに開けられちゃうかもしれないから・・・やっぱ手渡しだよね)
(梨華ちゃん、いるかな?)

家の前で不審な動きをしていると横の通りから女の人が現れた。
「あ・・・家になにかご用ですか?・・・学校のお友達?」
「あ、梨華さんの・・・知り合いの者です。後藤といいます。ちょっと忘れ物をしち
ゃいまして、梨華さんいらっしゃいますか?」
(言い忘れたこと書いてある手紙だから、忘れ物でいいよね)
「えーっと、まだ誰も帰ってきてないと思うんだけど・・・」

その時、反対側の道から小さい女の子が小走りに近づいてきた。
「おばさん、ただいまー。あれ?姉ちゃんとこの学校のお友達ですか?」
「あ、えっと梨華さんの。」
「ちょうど良かった。亜依ちゃん、後藤さんを梨華の部屋まで連れて行ってくれ
るかな?忘れ物を届けにきてくれたみたいなんだけど。後藤さん、梨華もうすぐ
帰ってくると思うから待ってていただけます?」
「あ、はい」
「梨華ちゃんの友達か。私亜依っていいます。じゃ、さっそく行きましょう。」
199 名前:19 強い味方・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時21分00秒
真希は亜依に連れられて梨華の部屋に入った。
「うっわぁーピンク過ぎ。すごい趣味だ。」
「そうなんですよー。キショイねん、梨華ちゃん」
体中で訴える亜依。
真希は亜依をまっすぐ見つめると言った。
「亜依ちゃんは何年生?」
「まだピッチピチの中学2年生ですよ。後藤さんは?あ、梨華ちゃんと同じか。」
「あ、1コ下。」
「うわー大人っぽいですよねー、後藤さんって」
「そうかな?よく言われるけど・・・あいぼんは可愛いよね」
「うぇっ?あいぼんて。」
「あぁ、友達にアイちゃんって子がいるから。あいぼんでいーよね?」
「うん、なんかうれしぃ。じゃ、後藤さんは・・・とりあえず後藤さんで。」
「同じじゃん。」
「いーやんかー、思いつかへんもん」
真希のちょっと不思議そうな顔を見て、亜依は慌てて言った。
「これ?なんで時々関西弁なん?て思ってるんでしょ?うち、この前まで関西に
住んでたんやけど、ママ、パパの仕事の都合で親戚の石川家にちょっと預かっ
てもらってるっていうことなんです。はぁい。」
「だからかぁ。梨華ちゃんと全然色が違う。」
「中身も趣味もぜぇんっぜん違いますから。なぁ、後藤さん、うちの部屋で遊び
ませんか?」
200 名前:19 強い味方・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時21分40秒
「うん、いーよ」
真希は亜依に初めて会ったのになんかものすごく親近感を覚えていた。

真希はそっと梨華の机の上に手紙を置くと、梨華の母親が運んできてくれた
お菓子やジュースを手に亜依の部屋に移動した。
「こっちこっち」
部屋に入って一瞬足を止める。
「っていうか、自分だってピンクばっかじゃん!」
そこは梨華の部屋とたいして違わなかった。
「ピンクはピンクでも全然違うねんて。わかってないなー後藤さん」
「そっかな・・・?」
「似合うか似合わないかっていうものあるし。」
「うーん、比べにくい・・・」

2人は梨華のことや学校のことを沢山話し合った。
「ねー後藤さん、うちと後藤さんが仲良しになったこと梨華ちゃんに内緒にして
おいてください。」
「え?なんで?」
「なんとなく・・・お願いします。」
「うん。分かった。じゃあ、また2人で遊ぼうね。」
201 名前:20 憧れとか友情とか(加護視点) 投稿日:2002年09月15日(日)18時23分41秒
ある日の夕方。

(こっちきてからすぐ友達はできたんやけど、同い年の子はおもろないねん。一
緒にバカできるけど、なんていうん?もっといろんな世界を知りたいっていうか、
刺激が欲しいねん。かといって梨華ちゃんじゃ全く話にならへんしな。)
と、心の中でブツブツ呟きながら学校から帰ってくると、家の前で誰かが会話し
ているのが見えた。
(なんやろ、あの人?・・・なんかオーラでてん。すごいキレイな人・・・)
自分と正反対のタイプの人が梨華の母親と話をしていた。
(姉ちゃん達の友達かな?)
吸い寄せられるように亜依は小走りに駆け寄る。
「おばさん、ただいまー・・・」
その人は梨華の友達らしいことが分かった。
梨華は帰っていないらしく、部屋まで案内することになった。
(おばさん、お上品な顔して人使い荒いねん)
202 名前:20 憧れとか友情とか(加護視点) 投稿日:2002年09月15日(日)18時24分54秒
梨華の部屋に入ると、後藤と名乗ったその人は、部屋中を興味深そうに見
回している。
その様子を亜依は少し眩しそうに見つめた。
(髪、サラッサラやで。大人っぽい人やなぁ。なんや、憧れっちゅーのか?こーゆ
ーの。)
初めて会うタイプの後藤に強く興味を持った。
(梨華ちゃんには内緒で後藤さんと友達になりたいな・・・だって梨華ちゃん何
かと邪魔してくるねん、絶対。)

亜依は初めて会ったにも関わらず、後藤とすぐに打ち解け、いろいろ話をした。

梨華はしばらくしても帰ってこないため、後藤は帰ることにした。
「じゃあ、また遊ぼうね。」
「はい、絶対ですよ。メールくださいね。」
203 名前:20 憧れとか友情とか(加護視点) 投稿日:2002年09月15日(日)18時25分28秒
後藤が帰ると梨華の部屋にこぼしたであろうお菓子のくずを掃除しに行った。
(部屋散らかってるくせに、こういう細かいことはチェック厳しいからな、あいつ。
ほんと梨華ちゃんおかしいで?)
片付け終わると、亜依は机の上に目が行った。
さっき出て行ったときには無かったと思われるピンクの封筒が自己主張してい
るかのようにそこに置かれている。
(後藤さんが届けてくれた忘れ物ってこれ?)
亜依はいけないと思いながらもそれを手にしていた。
(何かな?忘れ物ってことは梨華ちゃんのってこと?ピンクだし。後藤さんにラブ
レターでも書いたんかいな?でもわざわざ返してくるわけないしな。ぅ・・・ちょっと
だけ確認・・・)
亜依は手にした封筒の中身を広げた。
そこには亜依の想像したとおりラブレターらしきものが入っていた。
ただ、あて先と送り主が逆ではあったが・・・。
「そんな・・・後藤さん・・・」
手紙を読んでしまった亜依は、その白い肌を心持ち紅く染めながら、キラッと
目を光らせた。
(後藤さんっ、うち応援するで!)
204 名前:21 加護応援団長〜後藤さんと梨華ちゃんのために〜 投稿日:2002年09月15日(日)18時27分22秒
次の日、亜依は梨華の様子をずっと気にしていた。
(あの手紙ちゃんと読んだのかな?なんかちょっと黒い顔が青くなってるのは気
のせいやろか?)
「梨華ちゃん、どないしたん?顔、真っ青やで」
梨華ははっとして亜依を見つめ、またすぐ俯いた。
(あらあら・・・梨華ちゃん、あれ、読みましたね?そして動揺してますね?)
「梨華ちゃん、今日部活あったよね?」
「う、うん。どうしてそんなこと聞くの?」
「ううん、なんでもない」

亜依は後藤にメールを送った。
『今日暇やったら遊びませんか?(あいぼんより)』
『この前はありがと。いーよ、どこで遊ぶの?(ごとーより)』
『うち、来てもらえませんか?(あいぼん)』
『暇だし、いいよ。(ごとー)』
205 名前:21 加護応援団長〜後藤さんと梨華ちゃんのために〜 投稿日:2002年09月15日(日)18時28分03秒
夕方になって、亜依の部屋に後藤が来た。
「すみません、ごとーさん、来てもらっちゃって。」
「いーよいーよ、ほんと暇だったし」
真希は屈託の無い笑顔で亜依を優しく見つめる。
(ほっ、惚れちまいそうだぜ、ごとーさんよー。でもここは耐えるべし。)
「ねーごとーさんは梨華ちゃんのことが好きなんですか?」
『ブッ』←ふき出す音
「ゴホッ、ゴホッ。ぅえー?なんでよー?!」
「カンですよ、カン」
「鋭いなーあいぼん。うん、ごとーは梨華ちゃんのこと好きだよ。でも振られちゃ
ったみたいだから。」
「だめですよぉーごとーさん。梨華ちゃんごとーさんみたいな人がタイプだと思う
んやけど、絶対。」
「でも想いが通じないんだよねー、好きな人いるみたいだし。」
「そんなん、ごとーさんには敵わないと思います。」
「敵わないもなにも・・・」
「あ、そうだ、いいこと教えてあげます。梨華ちゃん、昔っから押しに弱いんです
よ」
「押しに・・・?」
「・・・多分・・・」
(よぉっし。いいこと聞いちゃった。明日からまた押していこっ)
真希に更なるやる気を起こさせる亜依であった。
206 名前:21 加護応援団長〜後藤さんと梨華ちゃんのために〜 投稿日:2002年09月15日(日)18時29分13秒
「ごとーさん、電車の時間とか大丈夫ですか?」
「うん、まだ大丈夫だよ。明日は創立記念日で休みだし、夜遅くなっても帰れ
ればいいから。」
「じゃあ、ごとーさん、家泊まっていきませんか?・・・うち、一人で寝るのほんと
は怖くて・・・」
涙目で訴える亜依を拒む理由なんて全く浮かばなかった。
「もー、あいぼんは甘えん坊だね。じゃあ、一緒に寝てあげるから。」
「やった!ごとーさん、梨華ちゃんには内緒ですよ?」
(そっか・・・忘れかけてたけどここ梨華ちゃんちなんだよね・・・)
その日、真希が亜依の部屋にいることは2人だけの秘密にした。
「じゃ、ごはんとかお菓子とか取ってくるんで、静かに待っててくださいね。」
亜依は階下へと急いだ。
207 名前:21 加護応援団長〜後藤さんと梨華ちゃんのために〜 投稿日:2002年09月15日(日)18時29分51秒
真希は待っている間ぼーっとしていたが、ふと部屋の隅に転がっているアルバ
ムが目についた。
何気なく手にとってページをめくってみる。
(・・・!・・・この人・・・)
ほとんどの写真に梨華が写っていた。
そしてもう一人・・・。
(キレイな子・・・この子が梨華ちゃんの好きな人・・・?)
亜依は戻ってくると、真希がアルバムを手に固まっているのを見つけた。
そして数日前、梨華がはしゃいでアルバムを見せにきたことを思い出していた。
(やばい。それここにあったん?今のごとーさんには一番やばい。梨華ちゃん、あ
んなに大切そうにしてたのに、うちの部屋に置きっぱなしはないやろ?ふつう)
偶然にも真希の目に触れてしまった写真。
「ごとーさん、その人・・・」
「うん・・・」
「それにしても梨華ちゃん遅いなー」
亜依はこれ以上真希を落ち込ませないようにと慌てて言葉を繋げた。
しかし真希は聞こえていないかのように呟いた。
「会ってるのかな・・・」
(絶対・・・やだ・・・渡したくない・・・)
208 名前:21 加護応援団長〜後藤さんと梨華ちゃんのために〜 投稿日:2002年09月15日(日)18時30分43秒
夜遅くになって梨華から友達のところに泊まる、と連絡がきた。
「ごとーさん、もう寝ましょ。今日はちゃんとお母さん代わりになってください
ね?」
「うん・・・あいぼんがいて良かった・・・」

ごとーは亜依の待つベットに入ると子供のように抱きついてくる亜依を優しく胸
に抱きしめ、あやすように髪を撫でながら目を閉じた。
2人はお互いにこれ以上ないほどの安らぎを感じていた。
209 名前:22 作戦開始。その行方は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時31分54秒
翌朝目が覚めると、亜依はもういなかった。
ベットの上に置手紙があった。
『ごとーさん、おはよーございます。よく眠れましたか?亜依は学校にいってきま
す。おばさんには言っておいたので、ゆっくりしていって下さい。亜依が帰ってく
るまでいてもいいですよ。でわまた。
亜依。』
「あいぼん・・・ありがと。なんかほんとの妹みたいだね・・・」
真希は早速梨華にメールを打った。
『今日、帰りに門のところで待ってるから』


夕方になり、真希は梨華の学校へ出掛けていった。
梨華は割とすぐに門から出てきた。
「梨華ちゃんっ!」
「真希ちゃん・・・やっぱりほんとに来てたんだ・・・とにかく、帰ろ・・・」

「ごめんねー、急に来て。」
(梨華ちゃんちから来たんだけどね。)
「今日は一人なの?」
「最近あゆみちゃんたちと遊びに行ったりした?」
真希はなかなか答えようとしない梨華に間断なく話しかけた。
梨華はちょっと困ったような辛いような表情で真希を見ていた。
210 名前:22 作戦開始。その行方は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時32分44秒
駅のホームに並ぶ二人。
「梨華ちゃん、好きだよ。ねぇ、キスしてもいい?」
真希は自分の素直な気持ちをはっきり声に出した。
「ダ、ダメだよ・・・他の人が見てるし、真希ちゃんとはそういうことしたくないよ」
「嘘だよ。嘘でしょ?ねぇ早くキスしよ?いいよ見られたって」
今日は(も)「押しに押す」と決めていた真希は、焦る梨華にもどかしさを感じ、
強引に梨華に口づけた。
周りの視線を感じた。
「ま、真希ちゃん止めようよ、こういうの。良くないよ」
「嫌だよー。梨華ちゃんと一緒にいたい。キスしたいし梨華ちゃんを感じていた
い。どうしてダメなのぉ?」
「だから、真希ちゃんとはそういうことする気にはなれないから・・・」
梨華の困った顔を見て、少し心が痛んだ。
それでも強引に、最後は週末会う約束を一方的に取り付けた。
211 名前:22 作戦開始。その行方は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時34分23秒
そして・・・週末、梨華は来た。
(ほんとに来るなんて・・・思わなかったよ。梨華ちゃんほんとに押しに弱いね)
ドアを閉めると、真希は玄関に閉じ込められた梨華の甘い香りとその存在に、
自分を制御できなくなる感覚に陥った。
「梨華ちゃん・・・好きだよ・・・」
強引に唇を奪う。
梨華は少し抵抗したが、結局真希の思い通りになってしまう。
そして真希の部屋まで連れられていった。
それは決して強引にではなく、梨華は自分の意志で真希の部屋まで足を運ん
でいた。

部屋に入ると、真希は梨華を強く抱きしめた後、手を引いてベットに向かっ
た。

夜になって2人は無言のまま駅に向かった。
梨華は真希に目を合わせることなく帰っていった。
(今日は一回も笑ってくれなかった。梨華ちゃんを傷つけているのかな・・・?梨
華ちゃん、優しいから拒まないだけなの?)
梨華の行動に、その気持ちの行方が全くみえない真希は、梨華を遠い存在
に感じていた。

その日を境に梨華は真希をはっきり拒絶するようになった。
誘っても『行けない』の四文字だけが返ってきた。
(あいぼん・・・どうしたらいい・・・?)
212 名前:23 作戦伝授。その効果は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時36分28秒
真希は梨華のいない間に、亜依に会いに来た。
「ねー、ごとーマジで梨華ちゃんに嫌われちゃったみたい。」
「うーん、ごとーさん、大丈夫ですよ。私に任せてください」
「でもあいぼんの言うとおりに押しに押したらこーなっちゃったんだよー?」
(ぅえー?そんなこと言ったっけ?まぁええわ。)
「じゃ、次の作戦で。「もっともっと押しまくれー」作戦(またはストーカー大作
戦)いきましょか。」
「そ、それは・・・やだな。もうしてるような気もするし。もっと嫌われちゃうよー」
「じゃ、もう帰ってください」
「あ、あいぼーん、もうちょっと成功しそうなのを・・・」
「成功率100%ですよ、ごとーさん」
「マジでストーカーすんの?」
「そうです。押せ押せ大作戦だって、2週間続けないと効果でないんですよ?」
「そんな、シャンプーじゃないんだから。」
「あ、後ですね、いーこと思いつきましたよ。「手帳大作戦」(別名「も、もう手が
疲れて書けない・・・とは言わせない大作戦」)」
「なぁによ?それ」
「梨華ちゃんのスケジュール帳の全部のページにごとーさんの想いを込めるんで
すよ。」
213 名前:23 作戦伝授。その効果は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時38分19秒
「ふーん、疲れそうだ。なんか逆効果っぽいような気もするけど、やってみるよ。
ありがとね、あいぼん」
真希が亜依のほっぺを軽くたたくと、二人はちょっと恥ずかしそうに微笑みあっ
た。
(ごとーさん、頑張ってな。)


真希はそれから毎日のように梨華に会いに来た。
梨華は一応部屋に入れてはくれるが、困ったような表情を崩すことはなかっ
た。
(梨華ちゃんいつも困った顔してるよね。でもなんかほっぺたが紅いのはなんで
だろ?この作戦大丈夫かな・・・?スケジュール帳だって、勝手に開けたらマズ
イんじゃない?)
とは思いながらも梨華のいない隙に真希は梨華の手帳を手に取った。
(今日からでいいかな?それとも会った日から?・・・全ての日に想いを込める
んだよね・・・毎日梨華ちゃんと一緒にいたい。)
(名前は2人とも画数多いからカタカナにしよ。)
『マキとリカちゃんが一緒にいる日』
(あ、しまった。長過ぎた・・・。)
もう書き始めてしまったので、取りあえず続けた。
1/4もいかない段階でもう手に力が入らなくなってきた。
でも・・・。
214 名前:23 作戦伝授。その効果は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時39分18秒
書いているうちにスケジュール帳に込めるその想いに、真希自身が押しつぶさ
れそうになっていた。
(梨華ちゃんと一緒にいたい。梨華ちゃんと一緒にいたい。梨華ちゃんと・・・)
涙で手帳が霞んで見えた。
もう手の痛みなんか感じなくなっていた。
梨華への想いが止まらないことを象徴するかのように、その手も休むことなく動
き続けた。
(梨華ちゃん、愛してるから・・・)

週末、真希は梨華を誘った。
梨華はもう拒まなかった。
(ずっと梨華ちゃんといたい。2人っきりでいたい。どこにも行きたくない・・・)
土曜日も日曜日も真希はずっと梨華を離さなかった。
真希が求めると梨華は無言で応える。
強引なキスにも抵抗することを忘れている。
(梨華ちゃん、何考えてるの・・・私のことどう思ってるの・・・?)
真希は不安で仕方なかった。
215 名前:23 作戦伝授。その効果は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時40分29秒
翌朝、真希が目を覚ますと、柔らかい視線を感じた。

「梨華ちゃん・・・?」
真希は純粋に心からそこに梨華がいることを嬉しく思った。
梨華は潤んだ瞳で真希を優しく見つめ続けている。
明らかに昨日までの表情とは違う梨華の顔がそこにあった。

「なに?見惚れちゃってるとか?やっと愛が通じたかな?」
「・・・うん、ちょっと違うかな・・・最初からあなたに惹かれてた・・・今は、愛して
る・・・ことに気付いた・・・」
「あはっ!ほんとに?まじで?嘘じゃない?梨華ちゃんって心と行動が一致して
ないから分かりづらいんだよねー!」
「と、とにかく、好きです。真希ちゃんのこと。気付くの遅くてごめんなさい」
(夢じゃないよね?梨華ちゃんどうしちゃったのかな?そっか、もしかして作戦大
成功ってこと?・・・・・・あいぼんありがとねっ)
「いーよいーよ、分かってくれれば・・・でも好きって言ってくれたの初めてじゃな
い?」
「そ、そう?・・・そうだね・・・」
「あはっ!嬉しいっ!」
真希は梨華の頭を優しく引き寄せると、真剣な顔で
「大好きだよ」
その想いをいっぱい込めてキスをした。
216 名前:23 作戦伝授。その効果は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時41分54秒
それから数日後。
突然梨華が真希の家を訪ねてきた。
急いで来たのか、その額にはうっすら汗が光っている。
「なに、梨華ちゃんから来るなんて珍しいね!急にどうしたの?」
「ごめん、真希ちゃん」
「なんで謝るの?私謝られるの嫌いだから・・・!」
真希が言い終わらないうちに梨華が体ごとぶつかってきた。
(え?梨華ちゃん、ずいぶん積極的な・・・)
「な、なに?」
真希は嬉しさと疑問符でいっぱいになって聞いてみた。
梨華は瞳をキラキラさせながら照れたような表情で真希を見上げ、すかさず真
希の耳元にその唇を近づけた。
「私、真希ちゃんだけだから・・・大好きだから・・・」
「あはっ!くすぐったいよ!私だって、梨華ちゃんだけだよ?もぉだぁい好きなん
だからね?誰にも渡さないよ?」
217 名前:23 作戦伝授。その効果は・・・? 投稿日:2002年09月15日(日)18時43分05秒
真希は自分をしっかり抱き締めていた梨華の手が離れるのを感じる間も無く、
その暖かい手が自分の頬に当てられたことに、はっと気付く。
更に唇に感じる柔らかくて暖かいもの。
真希は頭の中が真っ白になってしまうほど幸せのパニックに陥った。
「んっ・・・り・・・りか・・・ちゃん・・・ちょっと・・・」
唐突な梨華の行動に心臓がどうにかなってしまうのでは?と焦った真希はキス
の合間に梨華に訴える。
体を離すと、眉を八の字にして軽く睨んでくる梨華の顔が目に飛び込んできた。
「好きなの!」
「わ、分かったから、ちょっと心の準備させてよ。心臓がもたないよ・・・」
(梨華ちゃんって自分の気持ちに素直になると結構怖いかも・・・。)
真希は念入りに深呼吸をすると両手を広げた。
「いいよ!準備OK!」
「もう・・・バカ・・・」
そして二人は深くて長い口付けを交わした。

〜おわり〜
218 名前:コウ 投稿日:2002年09月15日(日)18時47分09秒
まだ続きがあった。。
219 名前:24 出逢いは微妙に違っていて・・・ 投稿日:2002年09月15日(日)18時48分55秒
「ねぇ、真希ちゃん、前に私にその・・・一目惚れしたって言ってくれたでしょ?あ
れ・・・ほんと?」
「うん、本当だよ」
「じゃあ、お互いに一目惚れだったんだ・・・」
「あ、でもちょっと違うかな、私の場合」
「え?違うの?」
「あ、ううん、何でもないから」
「何?気になるよぉ」
「なんでもないよー」
「もう、真希ちゃん教えてよぉ」
真希は梨華には答えずに立ち上がると机の中から大事そうに二枚の写真を
持ち出した。
「これ・・・この写真見て一目惚れしちゃったんだ。」
220 名前:24 出逢いは微妙に違っていて・・・ 投稿日:2002年09月15日(日)18時51分12秒
梨華は手渡された二枚の写真を交互に見て不思議そうな顔をしながら真希
に質問した。
「これって真希ちゃんに会う前だよね?どうして真希ちゃんが持ってるの?」
「あははは。その写真の子がずっとこっち見てたから、愛ちゃんからもらっちゃっ
た。梨華ちゃんに会う前から、その写真の子のこと好きになっちゃってた」
(ていうか、いろいろ想像しちゃったんだー、ごめんね?)
「そうなんだ・・・」
(真希ちゃん、会う前から私のこと知ってたなんて・・・ほんとに好きでいてくれた
んだ・・・ありがとう、真希ちゃん)
「だから・・・」
真希は切なそうに梨華を見つめると、梨華の頬を両手でそっとはさむ。
「大好き・・・」
「私も・・・」

二人は長く見つめあった後、それ以上に長い口づけを交わした。


〜おわり〜
221 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
222 名前:コウ 投稿日:2002年09月15日(日)19時00分58秒
>>182 いしごま防衛軍 様
おかげさまで完結しました。
   応援ありがとうございました。
223 名前:コウ 投稿日:2002年09月15日(日)19時02分21秒
ウツ・・・。
なんで卒業なんだよ・・・。
224 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月15日(日)20時50分57秒
大量更新凄いですね。石川・後藤視点の対比が面白かったです。
最後ハッピーエンドで本当に良かった。

卒業してもイヤ卒業すれば尚更、きっと2人は・・・
と思ってますよ(^^;)
225 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年09月15日(日)23時29分00秒
なっなんとごっちんにはあいぼんという内通者がいたんですね。だからストーカー
作戦も成功をおさめるきっかけになったんですね。感動しました。二人が幸せに
なってよかったです。二人の両方の面から書かれていたのですごくおもしろかった
ですよ(^〜^)完結お疲れさまでした!読ませていただきありがとうございまし
た!!番外編期待してます!!ごっちんが卒業しても、いしごまは永遠です!!!!
226 名前: 投稿日:2002年09月16日(月)11時18分24秒
ごっちんの行動にこんな裏があったなんて
梨華たんに通じてよかった!
ごっちんは人間らしい人間ですね。
素晴らしいごっちんの感情です。
コウさんの次回作も期待してます。
227 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
228 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
229 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
230 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
231 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
232 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
233 名前: 投稿日:2002年09月23日(月)21時52分34秒
とうとう来ちゃいましたね。。。
番外編楽しみにしてます。
234 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月25日(水)21時27分37秒
番外編楽しみです!
235 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
236 名前:続編1  投稿日:2002年09月27日(金)21時16分26秒
それからしばらくして、真希は梨華の家を訪れた。

梨華が玄関を開け、2人は家に入る。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす。」
その声に、梨華の母親が出てきた。
「あら、この前の・・・後藤さんでしたっけ?亜依ちゃんも帰ってきてるから。
ゆっくりしていってね。」
と真希に言った。
梨華は不思議そうな顔で真希を見る。
そして母親に向き直った。
「?なんで?真希ちゃん知らないよ、亜依ちゃんのこと」
真希は作り笑いをしながら適当にその場をやり過ごすと、梨華の部屋に急いだ。

(ばれるよね、いつかは)
237 名前:続編1  投稿日:2002年09月27日(金)21時18分12秒
2階に上がると、奥の部屋からキャーキャーという騒がしい声と、ドタドタ駆け回る
ような音が聞こえてきた。
梨華はため息をつきながら、もうしょうがないなぁ、といった表情でその部屋に向かう。

ドアをノックした瞬間、奥の部屋の空気が一瞬で止まったのが廊下まで伝わってきた。
ゆっくりドアが開く。
中から亜依が外をゆっくり窺うように顔を出した。
「もぅ、亜依ちゃん、もうちょっと静かにしてくれる?」
すごみのない可愛い声で怒られた亜依は苦笑いをしながらちょっと俯いて
「あい。ごめんなさい」
と答え、顔を上げた。その瞬間亜依の瞳に思わぬ人の顔が飛び込んできた。
「あれっ!?」
亜依はパッと表情を明るくさせてにっこり笑うとその人に向かってピースをした。
梨華は、注意したその人が自分を通り越してサインを送っているその視線の先を
追って後ろに振り向くと、真希が嬉しそうにピースを返しているのが視界に映った。
「え?どういうこと?」
238 名前:続編1  投稿日:2002年09月27日(金)21時19分21秒
梨華は怪訝な表情で首を傾げ、亜依に視線を戻す。
すると、亜依の後ろから希美が顔を出した。
「あ、ののちゃん、来てたのね。」
「あっ!ごっちんだぁ!」
希美は梨華には答えず、亜依と梨華をすり抜けて真希に駆け寄った。

「そっか、ののちゃん、あいぼんと同じ学校かぁ」
「そうですよ。んん?あいぼん??亜依ちゃんのことですか?いーですね、
あいぼんか。今一番仲良しなんですよぉ。あいぼん、ごっちんのこといろいろ
聞いてきてうるさいんだから。」
「ちょ、ちょっと待って。なんで亜依ちゃん真希ちゃんのこと知ってるの?
それにあいぼんって何?」
横から梨華が堪らずに割って入ってきた。

「あ、それはですねー、梨華さん。」
真希が答える前に、亜依が笑いを堪えた様子で梨華に話しはじめた。
「ごとーさんと亜依はとっても深い仲なんですよー。」
「え?なに?どういうこと?」
梨華は亜依に聞くことを諦めて、真希に向き直った。
239 名前:続編1  投稿日:2002年09月27日(金)21時21分12秒
「あ、あのね、梨華ちゃん、前に梨華ちゃんに手紙渡そうと思ってここに
来たとき梨華ちゃんいなかったから。そのときあいぼんに初めて会って
すぐ仲良くなったんだ。いろいろ相談とか作戦とか・・・たくさん話して・・・
だから結構前から友達なの。ごめんね?隠してたわけじゃない・・・くないか。
まぁ、そーいうことなわけ。」
「そ、そうだったんだ・・・全然知らなかった・・・」
「そう、だから亜依のキューピットなわけだよ」
自分を親指で指しながら言う亜依に真希は寒そうに腕をさすりながら
苦笑いをした。
「もしかして亜依ちゃん、真希ちゃんに私のことなんか言ったりしたの?」
「え、あのいろいろと・・・」
亜依がなんのためらいも無く話し出すのを見て、真希は急いで亜依の口を
手で覆った。
「じゃ、あいぼん、ののちゃん、仲良く遊んでてね。」
作り笑いをしながら2人を部屋に押し戻すと、真希は梨華に向き直り、
そっとその手をとった。
240 名前:続編2 離れられない気持ち  投稿日:2002年09月27日(金)21時22分30秒
「部屋、入っていい?」

2人はドアを閉めると、ぎこちなく空いてる場所に腰をおろした。
今までに無い雰囲気の沈黙が続いた。

梨華がちょっと拗ねたようにその沈黙を破った。
「びっくりした・・・亜依ちゃんと仲良しだったの・・・」
「言わなくてごめんね?」
「別に謝られるようなことじゃないけど・・・」
「けど?」
真希は俯いた梨華を覗き込むように顔を近づけた。

梨華はビクッとして少し体を離し、真希を上目遣いに見つめてちょっと強い
口調で言った。
「真希ちゃんのこと、真希ちゃんの気持ちとか考えてることとかも、全部
知っていたいの。」
「そんなの・・・全部知ったら、絶対嫌われちゃうから・・・」
困ったように真希が答える。
次の瞬間、真希の体が熱いもので覆われた。

「!・・・梨華ちゃん・・・」
241 名前:続編2 離れられない気持ち  投稿日:2002年09月27日(金)21時23分37秒
2人は抱き合った体勢でしばらくの間、黙りこむ。

優しくお互いの背中にまわされるお互いの腕と、伝わってくる強くて早くなった心音。

「・・・こうしてるだけで・・・すごい幸せ・・・」
「うん、すごい幸せだね・・・」

微かに聞こえてくる亜依達の騒々しい声に少し頬が緩む。
そのせいで少し体が動いたのをきっかけに、2人はゆらゆらと体を揺り動かした。
心地良い揺れとお互い感じている体温を失うのが嫌で、2人は体を離すことなく
ずっとそうしていた。

「ずっとこうしていたいね。」
「うん。絶対離れたくない。」
242 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時25分37秒
久し振りに会えた2人は、真希の部屋で休日を過ごしていた。
ソファに座ってTVを見ている真希の隣に、少し離れて梨華が腰をおろした。
画面に集中している真希の横顔をじぃっと見つめる梨華。
(真希ちゃん・・・キレイっていうか、かっこいいっていうか、かわいいっていうか・・・)
真希に見惚れているうちに、体の奥からジンと熱いものが湧き上がってくるのを感じ、
慌てる。
(なんか・・・変な感じ・・・)

「・・・真希ちゃん」

「ねぇ・・・真希ちゃん」

梨華の呼びかけに全く気付かないほど集中してしまっている真希の耳元で
ちょっと怒ったように大きめの声で呼ぶ。
「真希ちゃん!」
「ぅわっ!な、なに?」
目を見開いた真希が梨華の拗ねた表情に気付いた。
「どうしたの・・・?梨華ちゃん・・・」
「何でTVばっかり見てるの?」
「あ、ごめん・・・でも続きが・・・一緒に見ようよ。」
真希は梨華の体を引き寄せるとその手を握り、また視線を画面に向けた。
「もう・・・」
243 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時27分30秒
しばらく梨華も一緒にTVを見ていたが、真希と触れ合っている体の部分と、
手の平の感触に、心臓のドキドキがどんどん高まってきた。
梨華が真希の横顔に見惚れていると、
「梨華ちゃん、TVつまんない?先寝てていいんだよ?」
急に真希が振り向き声をかけてきた。
「ううん・・・まだ寝ない」
真希が視線を合わせてくれたのがよほど嬉しいのか、ちょっと恥ずかしそうに
満面の笑みを浮かべて真希を見つめる。
「そ?」
真希は答えるとまた前に向き直った。
梨華はその視線を追う。
(CM中?だからこっち向いてくれたの?)
梨華の顔から笑顔が消える。
「ねぇ、真希ちゃん」
「ん?」
真希は振り向きもせずに答える。
梨華はTVに嫉妬し、繋いでいた手を離すと横から両腕でその存在を確かめ
るように真希の体をぎゅっと抱き締めた。
体重のかかった真希の体はバランスを崩して倒れた。
覆い被さった形になっている梨華の下から真希が尋ねる。
「んぁ、梨華ちゃん、どーしたの?さっきから」

「真希ちゃん・・・」
244 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時29分16秒
梨華は答えずに熱くなった体ごと真希に預け、顔を埋めた。
しばらくその体勢のままでいたが、真希の体はピクリともしない。

梨華がそうっと顔を上げると、真希は横になったままの姿勢で顔だけTVの
方に向けていた。
(もぅっ!)
梨華はたまらず真希の体を起こし、その頬に口づけた。
「ん・・・」
反射的に片目を瞑った真希がそのまま梨華の方に振り向く。
瞬間、その唇に梨華は強引に口づけをした。

「もういいっ!おやすみっ。」
梨華は真希を残してベットのある部屋に向かった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!・・・」
すかさず真希は録画ボタンを押し、TVを消すと、梨華の後を追った。

「なんで、いいよ別に。TV見てればいいじゃん」
明らかに怒った口調で梨華が言う。
「ねぇ梨華ちゃん、なんで、その、怒ってるのかなぁ?」
「怒ってなんかないわよ。」
「うそ、なんかすごい怖いよ?」
「私は!・・・真希ちゃんと一緒にいたいの!」
「いるじゃん・・・」
「真希ちゃんの心、どっかいっちゃってるのが嫌なのっ!心も一緒にいたいのっ。」
245 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時31分38秒
「私は梨華ちゃんと一緒にいるから・・・だからTV見てても何しててもすごい
幸せでいられるよ?違うことしてても梨華ちゃんの存在を感じてるからいつも
幸せでいられるんだよ?離れた場所にいても、んぁ、その時は会いたくなっ
ちゃうけど、でも、そういう時もおんなじ。だから・・・私の言いたいのは、
心はいつも、どこにいても何してても一緒だよってこと。」

「真希ちゃん・・・」
梨華は涙を瞳いっぱいに浮かべながら、真希に抱きついた。
「でも、ごめんね?不安にさせちゃったなら謝るから。」
「だって、・・・真希ちゃん・・・付き合う前はあんなに強引だったのに・・・
付き合い始めたとたん全然そういう感じじゃなくて・・・なんか、・・・私のこと
ほんとに好きなのかなって・・・」
「ふははは。なに梨華ちゃんそんな風に思ってたんだ。強引な方がいいってこと?」
246 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時33分10秒
「違うよ。強引なのは嫌。真希ちゃんだったから強引にされても嬉しかったけど・・・。」
「ほんとに?そういえば、嫌がってるフリしてほとんど抵抗しなかったよね。」
「だって、真希ちゃん付き合ってる人いたでしょ?その人と離れて淋しいから
私にしちゃったんだと思って。それがすごく嫌だったの。最初から私だけ見て
欲しかった。真希ちゃんのこと初めてみたときから・・・」

真希は、顔を真っ赤にさせながら言葉を途切らせて俯く梨華の髪をそっと撫でた。
「梨華ちゃん、可愛いね。私は・・・梨華ちゃんの顔が好き。このあごも好き。
体の形も、肌の色も動きも全部好き。可愛い声もしゃべり方も好き。内容は
ちょっと引くときもあるけど・・・。だから、最初から好きだし、毎日好きが増えて
いってるんだよ。」
247 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時36分51秒
「ねぇ、それって、・・・ほとんど外見だけじゃない?」
「も、もちろん、中身も好きだよ。それは、もう言い尽くせないほどだから、言わな
かっただけ。梨華ちゃんこそ、断れなくて私と付き合ってるんじゃないの?」
「私は・・・真希ちゃんのこと好きでたまらないよ・・・抱きしめてほしいとか、その、
キスしたいとかって思う。」
「やらしいねー梨華ちゃん。そういうことばっか考えてるんだー?」
真希は自分の体を腕で抱きしめながら言った。
「もーいやっ、真希ちゃん、いじわるっ」
梨華はベットにもぐり込むと頭の上まで布団を被った。
「りーかーちゃぁぁん」
低い声で言いながらベットに滑り込むと、梨華を背中ごと抱きしめる。
回した手の平に感じる柔らかい感触に、真希は慌てて腕を引っ込めた。
「ご、ごめん・・・」
「あ・・・」
(今更、どうしちゃったの!?私・・・)
真希は偶然触れてしまった梨華の胸の感触に、今更自分が戸惑っていることを
不思議に感じずにはいられなかった。
248 名前:続編3 心はいつも・・・ 投稿日:2002年09月27日(金)21時38分45秒
(今まで何度も触れてきたのに・・・さっき、お互いの気持ちとかを話し合った
からかな・・・)

梨華も同じ感覚に捕われていた。
不意に胸に感じた真希の手の感触。
最初の時より、もっと感じてしまっている。

本気で、後戻りできないほど真希を好きになっている自分に気付いていた。
249 名前:コウ 投稿日:2002年09月27日(金)21時47分31秒
>>233  @ さま
     とうとうごっちんが・・・
     でもこれからもいしごまは強い絆で結ばれていくでしょうね。

>>234   名無し読者 さま
     続き、始めました。
     これからも時々目を通してやってください。
250 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年09月27日(金)22時25分21秒
うおーーードキドキっす!!更新楽しみに待っています!!がんがってください!!
251 名前: 投稿日:2002年09月28日(土)19時48分32秒
同じくドキドキです。
このままあいぼんとごっちんのコトを
梨華ちゃんが知らないままなのかと思ってたので
よかったです。続き楽しみにしてます。
252 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月30日(月)18時15分44秒
続き期待です!
253 名前:いち読者 投稿日:2002年10月02日(水)02時11分28秒
無意識に石川さんを困らせてやきもきさせてる後藤さんが好きです(w
何と言うかこう、読んでてニヤけてしまう展開ですね。
続きが楽しみです!
254 名前:コウ 投稿日:2002年10月05日(土)15時09分53秒
ちょっとだけ更新します。
255 名前:続編4 投稿日:2002年10月05日(土)15時11分17秒
反射的に手を引っ込めた真希は、すかさず言葉を発した。
「あ、あのさ、のど乾かない?」
「え?あ、うん、そうだね。ちょっと乾燥してるのかな?」
「ん、じゃ、ちょっと飲み物取ってくるけど・・・何がいい?」
「何でもいいよ。真希ちゃんと同じのでいい。」
「んぁ、わかった。ちょっと待っててね。」

一人残された梨華は先ほど胸に感じた真希の手の感触を思い出す。
その後の何気無い会話にも緊張してしまっていた。
真希を意識してしまうと必ず起こる、ときめきに繋がる心地良い緊張感。

梨華はベッドから降りると、真希を追ってキッチンに向かった。

真希は暗がりの中、器用にペットボトルとコップを2コ両手に抱えて
リビングに出てくるところだった。
「んぁ、梨華ちゃん?」
梨華を見つけると不思議そうに首を傾げる。
梨華は答えずに俯きながら真希に近寄り、コップを受け取った。
それをテーブルに置きソファに腰掛けると、並んだグラスに視線を
注いだ。
256 名前:続編4 投稿日:2002年10月05日(土)15時13分53秒
真希が隣に座る。
視線の端に真希を捉え、その存在に胸が痛くなるほど感情が揺さぶられる。
梨華が俯いたままでいると、真希は持ってきたウーロン茶をコップに注いだ。

真希の腕の動きをぼーっと見ていた梨華は思い出したように言った。
「さっきの、録画したんでしょ?見ないの?」
「ん、もういい。これ飲んだら、寝よ?」
「・・・うん。」

そうっと視線を向けると、真希はのどを鳴らしながらウーロン茶を飲んでいた。
なめらかなのどの線が別の生き物のように、それでいて真希自身を象徴するかの
ように波打った。
そのしなやかな動きに梨華は何故かカァッとなってしまった。
(いやっ、もう、私何考えてるんだろぅ)
一気に飲み干した後、生き返ったかのような爽やかな笑顔を向けてくる真希が
眩しすぎて、梨華はまた俯いてしまった。
257 名前:続編4 投稿日:2002年10月05日(土)15時14分45秒
「梨華ちゃん、さっきから下向いてばっかだよ?どーしたの?」
「えっ?」
慌てて顔を上げると、真希が心配そうに梨華の顔を覗き込んでいた。
「可愛いね、その顔。梨華ちゃんのその表情。『えっ?』っていうときの表情、
すごい好きなんだ。」
「・・・ねぇ、もっと性格とか褒めてくれないの?」
「え?あ、じゃあね、優しいところとか好き。時々お姉さんぶるところも好き。
後ねぇ、真面目で一生懸命で自分を捨てちゃったりできるところも尊敬してる。」
「あ、ありがと・・・」
「それと、感じてるときの声がたまんないかな?」
「え?いやぁー!そういうこと言わないでっ」
「言わないから・・・聞かせてよ。梨華ちゃんの声、もっと聞きたい。」
急に真剣に見つめられて、梨華は真っ赤になったまま困ったような表情で真希と
見つめ合った。
258 名前:続編4 投稿日:2002年10月05日(土)15時15分53秒
真希が梨華の手を捕える。
その手を自分の両手で優しく包み込み、大切なものを扱うときのようにそうっと
引き寄せる。
真希の胸元に引き寄せられた梨華の手の甲に、ふわっとしたものが落ちてきた。
(あっ、真希ちゃん・・・)
やわらかい真希の唇を手に感じた梨華は、心がどくんどくんと沸き立つような
感じと、体がぶゎーっと熱くなる感じに一気に襲われた。

「梨華ちゃんの手ってさぁ、結構ふにょふにょしてるよね」
「嫌ぁ、それは言わないで・・・」
まだ手を離さない真希から逃げられず、熱くなった体を持て余してしまう。
そんな梨華から真希の視線は離れない。

「梨華ちゃん・・・」
259 名前:コウ 投稿日:2002年10月05日(土)15時29分22秒
>>250 いしごま防衛軍 さま
   ありがとうございます。切ない系にもエロ系にも行けない中途半端
   な内容ですが、いつも読んでくれてありがとうございます。

>>251 @ さま
   あと少しあいぼんのこと書きたいと思ってます。
   もともとあいぼん好きだったし。
   運動会、りかごま3人とも同じチームですね…。
   
260 名前:コウ 投稿日:2002年10月05日(土)15時30分18秒
>>252 名無し読者 さま
   ありがとうございます。でももう少しで終わりにしたいと思います。
   ぜひそれまでお付き合いください。

>>253 名前 : いち読者 さま
   もしかして某板の素晴らしい作品を創られている方でしょうか?
   違ったらすみません。
   こんな中途半端な作品、読んでくれてありがとうございます!
261 名前:コウ 投稿日:2002年10月05日(土)15時32分16秒
これからしばらく更新しないかもしれませんが、再開したときは
よろしくお願いします。
262 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年10月11日(金)17時39分39秒
おお、気になります!!萌え萌えっす!!
263 名前:いち読者 投稿日:2002年10月15日(火)00時54分05秒
中途半端な作品なんてとんでもないですよ!
お互いを思いやるあまり遠慮しがちないしごまが、ほのぼのしてて好きです。
ほのぼのしてるんだけど、この先どうなるかも気になります(w
264 名前:コウ 投稿日:2002年10月22日(火)18時13分57秒
更新します。
265 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時15分52秒

「梨華ちゃん・・・」
真希が梨華の目をまっすぐ見て言った。
「ねぇ、親とか起きちゃうとあれだからさ、部屋戻ろっか?」
「う、うん。」

真希に手を強く握られたまま、一緒に部屋に入る。
部屋の中央付近で真希が足を止め、急に振り向いた。
「あ、あのさ、着替え持ってきた?」
「うん、持ってきたけど・・・もう寝る?」
「もう遅いしね。」
「うん、じゃあ着替えるね。」
「じゃあ、私も着替えよっと。」
2人はそれぞれ寝る服を手に取った。

梨華が何故か部屋の隅で壁に向かってこそこそ着替え始めた。
真希はその後ろ姿から目が離せなくなった。
(何今更恥ずかしがってんだろ・・・って見てる私の方が恥ずかしいよ。それにしても梨華
ちゃん、キレイな背中だな・・・。腰の辺も女の子っぽくてすごくやらしいよね・・・)
266 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時16分50秒
ぼーっと梨華の着替えを見ていた真希の視線を、もうすっかり着替え終わって振り向いた
頃になってやっと気が付く。
「やだっ、もしかしてずっと見られてたの?私」
「あ、ごめん。ついみとれちゃってた。」
悪びれる風もなく自然に真希が答えると、梨華の顔は真っ赤になった。
「そんなの見てないで早く着替えようよ」
「うん。」

真希が自分の服に手をかける。
「あの、ねぇ、ちょっと待って。」
「え?」
「・・・手伝ってあげる。」
「あはっ!うんうん、手伝って手伝って!」
真希に近づき、バンザイしてる彼女の服をそうっと脱がせてあげると、梨華は服の下から
現れたバランスのとれた上半身に今更ながらため息をつく。
「キレイな体・・・」
気付いたら、梨華は目の前にあるしなやかな素肌に頬をくっ付けていた。
そしてその胸元に口付ける。
梨華は何かに駆り立てられるように、真希のキレイな形をした鎖骨に、肩にキスをする。
そして首すじに、熱い吐息とともに唇を埋めた。
「・・・好き。」
おもむろに耳の近くで甘い声で囁かれた真希はびくんっっと体を震わせた。
「梨華ちゃん・・・」
「ねぇ、ベットに入ろう?」
267 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時18分17秒
真希の腰に回した手をほどかずに立ち上がり、ベッドの上に座る。
梨華は、トロンとした瞳で自分を見つめている真希の唇に、自分の唇を近づけた。
「真希ちゃん、かわいい・・・」
唇が触れ合う。
お互いのそれによって形がやわらかく崩れる。
唇を離さないままに、何回も口づけ合う二人。
真希の唇の隙間に熱く湿った梨華の舌先が滑り込む。
「んっ・・・ぁん」
「ふぅっ・・・んん・・・」
喉元から絞られるような真希の熱い声と、梨華の甘い声が混ざり合う。
梨華の右手は真希の肩に、左手はうなじの辺りに置かれ、そして真希の指先は梨華の背中
をゆっくりと撫で続ける。
「ふわぁ・・・」
熱く長い口づけが一旦終わり、二人は意識が遠のいていくような、それでいて本能によっ
て覚醒されていくような、そんな不思議な感覚に捕らわれていた。
268 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時19分00秒
「ねぇ梨華ちゃん、今日はどうしちゃったの?なんか、すごい積極的っていうか・・・」
「だって・・・真希ちゃんのせいだよ。」
「んぁ?何にもしてないけど・・・」
「・・・こんなに好きになっちゃったの・・・真希ちゃんのせいだから・・・」
「梨華ちゃん・・・」
「だから・・・」
梨華は照れを隠すかのように、真希をそっと押し倒した。
その細い体に自分の体を絡ませ、髪や頬を優しく撫でる。
「ほんとに、すごく好きなの。」
「わかってるよぉ、梨華ちゃん。」
真希は下から嬉しそうに微笑むと、梨華の首に腕を回す。
梨華の唇が真希のそれに落ちてきて、さっきよりも激しく触れ合った。

真希の手が梨華の背中に降りていき、その服を上に段々たくし上げていく。
一旦唇を離して梨華の服を頭から抜き、まだ手首に絡んだままの服をそのままに、真希は
梨華の素肌を自分の素肌で覆うようにぎゅっと抱きしめた。

「気持ちいい・・・」
269 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時20分19秒
両手の自由を奪われた状態の梨華は、ちょっと拗ねたように訴える。
「ちょっ、ねぇ、ちゃんと全部脱がせてよ・・・」
真希はそれには答えず、梨華の背中側にあるブラのホックを探し当てて素早く外した。
「あっ・・・」
梨華が体勢を整える間も無く、その体をしっかり腕に抱きしめる真希によって、更に自由
が奪われていく。

なんとか両手首から服を取り払うことに成功した梨華は、自由になった両手で真希の頭を
抱え込み、その耳元で囁いた。
「ねぇ、今日は真希ちゃんの思い通りにはならないから。」
真希が甘い声とその内容のギャップに気を緩ませた瞬間、梨華は体を離して真希のフロン
トホックのブラを外し、自分のも取り払うと、「フゥーッ」って甘くて切なそうな声を微か
に上げながら真希の熱い体に覆い被さった。

「あぁ・・・梨華ちゃん・・・」
体中が敏感になっている真希は、今までとは逆の体勢に戸惑いながらも、梨華の存在
を体中で受け止めていた。
270 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時21分14秒

その夜は、梨華の言ったとおり真希の思い通りにはならず、逆に真希の感動と梨華への
愛情は今まで以上に大きくなっていた。
271 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時22分20秒
翌朝、梨華が先に目覚めると、胸に真希を抱いたまま寝ていたことに気付いた。
(なんか、初めて会った時と同じ・・・)
まだ何も真希のことを知らずにいた時と今とが梨華の頭の中でシンクロする。
(同じ真希ちゃんなのに、あの時と今とじゃ全然違う。でも、どうしようもなく感じちゃ
ったり、惹かれちゃったりしてるのは・・・やっぱり同じなのかな?)

「んぁ、もう朝?」
ちょっと隈が出来ている真希の寝起きの顔は、普段と違ってどう見てもかなり子供っぽく
て、つい笑いが込み上げて来てしまう梨華を見て、真希は不思議そうに首を傾げる。
「何?」
「真希ちゃんてさぁ、何か母性本能くすぐる時あるよね。」
「それ子供っぽいってこと?そんなの言われたことないよ。」
「・・・なんか可愛い。」
チュッ。
梨華は嬉しそうな表情で真希の顔中にキスをたくさん浴びせる。
「ちょ、ちょっと、梨華ちゃん、くすぐったいってば・・・」
真希は言葉とは反対に、梨華を引き寄せてギュっと抱きしめる。

「梨華ちゃんの体ってふわふわしてて気持ちいい。なんか、このまま溶け合っちゃいそう。」
272 名前:続4 投稿日:2002年10月22日(火)18時23分34秒
「そういう真希ちゃんの体だって、すべすべしてて気持ちいいよ。あったかいし。」

「ねぇ、結局着替えいらなかったよね。」
「そうだよね・・・これから持ってくるの止めようかな。」
「うわ、やっぱ梨華ちゃんエッチだよね。昨日の夜だって・・・」
「嫌ーっ。それ以上言わないで・・・お願い。」
「そんなこと、この状況でよく言えるね。」
梨華はその一言で、今真希と裸で抱きしめ合ってる事実を再認識すると、カアッっと体中
が熱くなった。
(何度触れても、触れられても、真希ちゃんとだったら、体全部が心臓になったみたいに
なっちゃうんだから仕方ないじゃない・・・)

「ねぇ、今日どこ行く?」
「ずっと真希ちゃんと一緒にいられるところ。」
「わかったから、もっと具体的に。」
「好き。」
「何よそれ?答えになってないでしょ。」
「今は・・・何も考えられないよ。」
潤んだ瞳で真希に唇を近づけていく梨華に、本当はずっと心臓がドキドキしまくっている
真希が応える。
そしてゆっくり重なる唇はゆるぎない愛を象徴するかのようだった。
273 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時24分20秒
それから数週間後。
亜依から真希にメールが届いた。
「ちょっと、相談したいことがあります。」
274 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時25分13秒
(何だろ?あいぼん・・・)
真希が待ち合わせ場所に着くと、亜依がおじさんに話し掛けられているところだった。
「あいぼんっ!」
「あ、ごとーさん!」
ちょっと怯えた表情のまま真希に駆け寄る。
「大丈夫?!」
「うん、大丈夫ですよ。タレントにならない?って言われちった。」
「そうなんだ。あいぼんかわいーからねー。でもお菓子くれるからって知らない人に
付いて行っちゃだめだよ?」
「うん。ちょっと怖かった・・・。ってごとーさん!!子供扱いしすぎですから!」
「あははは。」
真希は亜依の頬を軽く撫でると、亜依も負けじと真希の頬をつねる。
「痛っ」
「バカにした罰です。」
二人はにらみ合って微笑んだ。

「どっか入ろっか?」
「はい」
二人は近くのカフェに入った。
275 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時25分49秒
「相談って何?」
単刀直入に言う真希に、亜依はためらいがちに、言いづらそうに口を開きかけて止めた。
「どうしたの?あいぼんらしくないよ?」
「あのですね・・・すっごい言いづらいんだけど・・・」
「ん?なぁに、言ってみなよ」
「あーの、前にほら、梨華ちゃんと写真一緒に写ってた人いたでしょ?ごとーさんの元
恋のライバルってやつ?」
「・・・うん」
「あの人、梨華ちゃんおらん時に家に来たんですよ。で、加護がごとーさん時みたいに
相手したんですけど・・・。」
276 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時26分49秒
〜亜依の回想〜

亜依が亜弥と愛と家で遊んでいるとき、チャイムが鳴った。
留守番を頼まれていた亜依が出て行くと、背の高い女の子が真剣な眼差しで門の向こうに
立っていた。
(うっ・・・なんか強烈に見たことあるような気が・・・嫌な予感が・・・)

「はい、どちら様でしょうか?」
亜依の質問に、彼女は玄関まで近づいて答えた。
「あの、吉澤と申しますけど、梨華さんいらっしゃいますでしょうか?」
「あ、あのーまだ帰ってきてないんですけど・・・」
(うわぁ、目がおっきい。なんか・・・かっこええなぁ。ごとーさんとは全く違うタイプやけ
ど・・・。)

「そうですか・・・」
彼女は引き返そうとはせず、しばらくうなだれたままそこに佇んでいた。
「あ、あの、帰ってくるまで待ちますか?」
吉澤の美しさにみとれていた亜依は、我に返って言った。
「あ、そうしてもいいですか?ありがとうございます。」
「じゃあ、上がってください。」
277 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時27分47秒
(梨華ちゃんずるいよ。ごとーさんといい、この吉澤さんといい・・・。なんで梨華ちゃん
ばっか。まぁ、梨華ちゃんもかわいーといえばかわいーからなぁ。)
(ごとーさんの恋敵やけど梨華ちゃんはごとーさんを選んだんやし・・・どうしたらえーん
やろ?)
頭を悩ませながら、とりあえずみんなのいる自分の部屋に吉澤を連れてきた亜依は、
「てきとーに座ってください。」
と言いながら、落ち着き無く吉澤の周りをうろうろしていた。

「あいぼん、どーしたの?座れば?」
「あ、うん。」
「初めましてー。私亜弥って言います。」
亜弥は積極的に吉澤に話し掛けた。
「私、愛です。あいぼんもアイだけど、字が違うから。あいぼんの知り合いの方ですか?」
「え?あ、いや、あの、梨華さんの・・・友人です。突然お邪魔しちゃって・・・やっぱ帰った
方がいいかな?」
少し潤みがちで純粋そうな、それでいて危険な感じをかもし出している吉澤の瞳に急に
見つめられた亜依は、その質問の意味を考える余裕もないくらい心が波打った。

(なんやの・・・これ?)
278 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時28分52秒
瞳は亜依に視線を投げかけたまま、その瞳を動かそうとしない。
それはただ、亜依の答えを待っていただけなのだけれど。
「あ、えっと・・・」

「あのぉ、梨華さんがくるまで4人で遊びませんか?トランプとか・・・」
亜弥が、亜依の様子に気付いて助け舟を出した。
「いいの?ごめんね、じゃ、混ぜてもらっちゃおうかな。」
初めて見る吉澤の優しそうな笑顔と、包み込まれるような柔らかい声に、亜依は余計言葉
を失った。
(!?どないしたん、自分?!)

吉澤が帰るまで、亜依のドキドキは止まらなかった。
(ごとーさん、こんなことになるなんてー。助けてくれぇー。)
279 名前:続5 投稿日:2002年10月22日(火)18時29分57秒
「っていうわけなんです。なんか吉澤さんのことが気になってしまうんです。」
「つまり・・・ごとーのライバルの吉澤さんに恋をしてしまったっていうこと?」
「そ、そうなのかな・・・多分」
「何で?別にごとーのこと気にすることないよ。吉澤さんには悪い気がしてた位だし。
梨華ちゃん奪い取っちゃったみたいで。」
「うーん、でもうちごとーさんのことも好きやし。」
「関係ないよー。応援するからさ、出来るだけ。がんばんなよ。」
「じゃぁ、吉澤さんを家に呼んでもいいですか?」
「あ、そっか。あいぼんちに来るってことは梨華ちゃんとも会うかもってことだもんね。」
「そういうことです。」
「大丈夫だよ、梨華ちゃんの方は、多分ね。信じてるし。」
「吉澤さんまだ諦めてないかな・・・?」
「全然どうなのかわかんないけど、あいぼんの思ったとおりに突き進んでいいと思う。
それじゃなきゃ後悔するって絶対。」
「うん、じゃ、頑張るっ。」
280 名前:コウ 投稿日:2002年10月22日(火)18時43分52秒
更新しました。 >>265-279
甘×甘だと思います。
いしごま・かごよしです。
281 名前:コウ 投稿日:2002年10月22日(火)18時46分09秒
>262 いしごま防衛軍 さま
   萌えてくれてありがとうございます。
   レスいただけて、ほんといつも心の支えになってます。
282 名前:コウ 投稿日:2002年10月22日(火)18時47分42秒
>263  いち読者 さま
    励ましてくれてありがとうございます。
    いしごま絡み無いですけど、萌えつづけたいと思います。
283 名前: 投稿日:2002年10月22日(火)19時25分42秒
いいですねぇ。鼻血でそうです(爆
梨華ちゃんの方がぞっこんになってますね。
いしごまの絡みが見れないのは淋しいけど
そのぶん理想のいしごまが書きやすくなったといえばなったような・・・
でもやっぱ現実で見たいですよね。
284 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年10月24日(木)00時36分08秒
りっりかたんがーーーーーーー。ごっちんと梨華たんの行為にもうたまりません
でした!!さらによしこ登場とは!!更新気になります。がんがってください!
285 名前:いち読者 投稿日:2002年10月27日(日)21時38分57秒
加護ちゃんがどう絡んでくるかと思ったら、こうきましたね。楽しみです。
にしても、いしごますごいっすよ、一方が積極的だと、かなり激しいですね(w
続きを滅茶苦茶楽しみにしてます! 
286 名前:コウ 投稿日:2002年10月28日(月)18時03分42秒
更新します。
287 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時07分07秒
それから亜依は吉澤とメール交換や電話をして、二人は昔からの親友のようにすっかり
打ち解けていた。

そんなある日、吉澤が亜依の家へやってきた。

「初めて来たときも遠いなぁって思ったけど、これりっぱな旅だよ旅。こんなに遠いとこ
まで来たんだからちゃんともてなしてよね、あいぼん。」
「わーった、わーった。よっすぃーうるさいよ。」
「ところでさ、まだ・・・帰ってきてないよね?」
「は?誰がぁ?」
「だから、その・・・梨華ちゃん」
「ああ、梨華ちゃんか。まだちゃうの?よっすぃーってほんと諦め悪いなぁ。」
「あほかっ。聞いただけじゃん。それよりさぁ、もっと目上の人に対する態度ってある
じゃん、全然だよねぇ。どういう躾されたわけ?」
「いいの、よっすぃーなんか。」
「別にいいけどさぁ?」
「ならええやん・・・」
288 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時09分17秒
頬を膨らませた亜依に、吉澤はクールな表情から一転して急に嘘っぽい笑顔になって言う。
「かわいいねぇ、あいぼん。・・・チュッ」
「うゎっ・・・バ、バカじゃないの?!」
言葉とは裏腹に、キスをするフリをされただけで真っ赤になってしまった亜依を見て、今度
は意地悪そうな表情で吉澤が答える。
「ねぇ、耳真っ赤だけど、照れてんの?かーわいい。」
「違うっ。照れてなんかないもん。・・・怒ってるんだよぉ。」
「いーよいーよ、隠さなくても。ね、何して遊ぶ?それか宿題見てあげよっか?」
「よっすぃー分かんのぉ?」
「あほか。うち天才だよ、天才。知らなかったぁ?」
「知るかぼけっ。もういいよ、トランプしよ。」

そんなことをしているうちに、あっという間に夕食の時間になった。

289 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時10分31秒
「ひとみちゃん、大きくなったわねー。何年振りかしら。」
「すっごいキレイになったよね。まぁ昔から美少女で有名だったけど。」
「私なんか隣に住んでるってだけでひとみちゃんの写真持ってない?とか聞かれたこと
あったよ。」
梨華の母親と姉妹がひとみを囲んで興奮ぎみに話す。
(あ、あのー、一年前にもお邪魔したんですけど・・・?忘れられてるよ・・・。)

「ひとみちゃんは梨華と仲良かったのよねー。あの子、こんな日に限って何で遅いのか
しら。」
「あ、いいんです、おばさん。今日は亜依ちゃんと遊ぶ約束してただけなんで。」
そして、吉澤の言葉に自然と顔がほころんでいく亜依の方に向き直り、
「ね?」
と付け加えた。


夕食とお風呂を済ませた二人は、遊び疲れのせいか、ぼーっと部屋でTVを見ていた。

吉澤が何気なく、横にぴったりとくっ付いている亜依を見ると、その瞳はほぼ閉じられ、
薄く開いた唇からは寝息とも取れる静かな呼吸音が聞こえていた。
(かわいい。まだ子供だよね、あいぼんって。)
290 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時11分41秒
「ねぇ、あいぼん、もう寝よ?」
「んっ?だいじょぶだよ、もっと遊ぼうよ。」
目をごしごし擦りながら、必死で睡魔に打ち勝とうとしている亜依の姿が更に可愛く見え
た。
「ぷっ。ほんと、ガキだよね。」
「ちょっとー、なんでみんなそうやって子供扱いするのー?ごとーさんだって・・・」
自分の発した名前に気付き、はっとする亜依。
「ん?何、どうかした?」
「いえ、寝ましょう、寝ましょう。じゃ、おやすみなさい。」

急にベットへと移動した亜依の後を追う吉澤。
「ねー、何?誰?ごとーさんって」
「そんなこと言ってないよぉ、おとーさんって言ったの。」
「何だ。じゃ、何でそんなに慌てんの?あ、そっか。会いたくなっちゃったんだぁ、やっ
ぱ子供だねぇ。よしよし。」
亜依の髪を優しく撫でる吉澤の手の動きは、決して冗談とかではなく、本当に子供をあや
しているかのようだった。
291 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時12分40秒
「あ、電気・・・」
亜依が部屋を真っ暗にする。
「え?真っ暗じゃん、怖いよー。」
と言って豆電球にする吉澤。
「全部消さなきゃ寝れないのー。」
また真っ暗になる。
「敵が襲ってきたらどうすんのさ?」
「あほか。」

結局吉澤が折れ、部屋は真っ暗になった。
遮光カーテンを引いているためか、窓からも全く光が入ってこない。
「あー落ち着く。」
「怖いよー、おかーさーん。」

そしていつの間にか二人は深い眠りについた。
292 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時14分32秒
その夜遅く、梨華が真希を連れて帰ってきた。

「しーっ。静かにね。」
「うん。」
そうっと二階の部屋にあがると、二人は着替えを持って足音を立てないようにバスルーム
へと向かった。

手を繋いだままバスルームへ入る。

真希は梨華の正面に立つと、梨華のブラウスに手を伸ばした。
梨華は上目遣いで真希を見つめ、その胸のボタンに手をかける。
二人は見つめ合ったまま一言も言葉を交わさずに、ただその指先はお互いの服を脱がせて
いくことだけに集中している。
脱いだ服が増えるたびに現れてくる体が視界に入り、そのせいでお互いを眩しく感じ、ドキドキ
しながらも、見つめ合ったその視線は動かさない。
全て脱ぎ終わると梨華が真希の手を引いて中に入る。

「先、髪洗う?」
「うん。」
真希は、いつにも増して甘く響いて聞こえる梨華の声に、なんだか急に今の状況が恥ずかし
くなって、俯きかげんで髪を洗い始める。

「うわっ、やばい。目、開けられない。」
下を向いていたためにシャンプーの泡が顔に流れる。
「助けてー、梨華ちゃん」
「もう、世話が焼けるんだから。私が洗ってあげる。」
293 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時15分54秒
梨華は真希の正面に座り、その髪を洗い始める。
空いた両手で顔の泡を落とした真希の開いた目に映ったものは、もちろん梨華の体で・・・。

(り、梨華ちゃん、胸・・・胸!)
真希の髪を洗ってあげている梨華の体はその動きに合わせて揺れている。真希の目の前に
あるその胸も例外ではない。
懸命に洗ってくれている梨華には悪いけれど、真希はその光景に、体中の血が逆流するの
を押さえるのに必死だった。

そして、気付かないうちに手のひらで梨華の胸を包み込むように触れていた。
「キャッ!」
「あ、ご、ごめん。・・・あのさ、もう流してもいい?」
「あ、うん。流してあげるよ。」

突然の真希の行為に、梨華は「お風呂に入る」こと以外の目的を意識せずにはいられなく
なる。

「梨華ちゃんのも洗ってあげる。」
真希は梨華の後ろに回りこむと、シャンプーを手に取る。
髪を洗い終えると、そのままの体勢でボディーソープを手にとった。
そして両腕の脇の後ろから胸の方に手をまわす。
つるんっとした感触に、梨華の体がビクッと反応する。
梨華の体中を丁寧に滑っていく真希の手の平と指先。
294 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時19分01秒
「足も洗うからさ、立って」
梨華の足元に跪き、太ももからその細い足首に向けてゆっくりと移動する指先。
それが終わり立ち上がると、急に梨華を抱き寄せた。

ぴったり隙間無くくっついた素肌は、ボディソープのせいでつるつると抵抗無く滑って
しまう。
真希が少しずつ体を動かし始めた。
お互いの胸の先端が何度も互いの胸の上を滑る。
背中に回された手は、お互いの存在を確認するかのようにゆっくりと動き回る。
そして、激しく重なる唇。
どちらからともなく熱くなった舌先が唇に差し入れられる。
溶け合うように絡み合うそれは、お互いを深く深く味わっているかのようだった。

何度目かのキスが終わると、二人は一緒にシャワーで体の泡を流す。
シャワーを止め湯船につかると、二人は向かい合い、膝をくっ付け合って両手を繋いだ。

「ねぇ、・・・好き?」
「うん。」
「ほんとに?」
「大好き。」
「どれくらい?」
「地球一個分くらい。」
「何よそれ?」
「梨華ちゃんは?」
「好きだよ。」
「どれくらい?」
「太陽100個分くらいかな。」

「・・・それってこれくらい?」
295 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時21分59秒
真希は膝を折って、梨華を強く強く抱き締める。

二人はもっと触れ合いたくて、立ち膝になって抱き締め合う。
真希は梨華の首すじに埋めた顔を下へとずらしていく。
その唇は鎖骨を通り過ぎ、胸元へと向かう。
舌を器用に使いながら、胸の周りの柔らかい部分に優しく口づける。
なかなか先端には触れてこない真希に焦らされ、梨華の下腹部あたりが熱く痺れ始めた。
そして急な攻撃。
胸の頂上の一番敏感な部分を急に口いっぱいに含まれて、切ないような快感が梨華を襲う。
それを舌で転がされ、吸われたりするうちに、真希への愛しさが限界まで膨れ上がる。

「んっ…ぁん、・・・真希ちゃん」
梨華の両手で頭を優しく抱え込まれた真希のその耳に、梨華の感じている声が届く。
反対側の胸を攻め始めた真希は、梨華への欲望がまた激しく暴走し始めている自分を感じ、
ちょっと可笑しくなった。
「んふふふっ」
「あっ!・・・何?」
「梨華ちゃんといると、なんか自分がケダモノに変身しちゃったような気分になるよ。」
子犬のような純粋な瞳で自分を見上げながら言う真希に、梨華の心はギュッと締め付けら
れたようになる。
296 名前:続6 投稿日:2002年10月28日(月)18時22分35秒
「私も・・・同じだよ。」

二人は更に求め合い、触れ合った。



そして部屋へ戻ると、手を繋いで、二人は眠りにおちた。
297 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時24分00秒
真夜中に、真希が目を覚ました。
寝ぼけながらも起き上がり、部屋を出ると階下へ向かう。
「えっと、トイレどこだっけ・・・?」

なんとか無事探し当て用を済ますと、半分眠りながら二階に上がり廊下を進む。
そして梨華の部屋を行き過ぎたことにも気付かず、何の疑いも無くドアを開けた。
「うゎ、暗くてなんも見えない・・・」
呟きながら真希はベットに入った。

(あったかい。梨華ちゃんのぬくもり・・・)
ベットの中の暖かい体を梨華だと疑わずに優しく抱きしめる真希。

その頃、吉澤は梨華の夢を見ていた。
「「梨華ちゃん・・・」」
寝ぼけている二人はお互いを梨華と思い込み、抱きしめ合いながら安らかな眠りについた。
298 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時25分07秒
寝ぼけている二人はお互いを梨華と思い込み、抱きしめ合いながら安らかな眠りについた。

(ん?何か今音した?)
微かな音に気付いた亜依が起きてしまっていた。
(あ、ハミガキすんの忘れてた。よっすぃーと何かあったらやっぱり・・・。)
亜依は手探りで廊下に出て、真夜中に一人ハミガキを開始した。
(よっすぃーはまだ梨華ちゃんのこと好きなんやろか?せやったらうちこんなことしても
無駄なんちゃう?)

自分の考えたことがバカらしくなって部屋に戻ってきた亜依は、今までいたベットの壁側
ではなく、ドア側に滑り込むと、その熱い背中を抱きしめるように腕を回した。

(・・・よっすぃー。このままでいてもいいよね?にしてもなんとなく思ったより細いなぁ。)
299 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時26分09秒
陽が昇り、辺りが明るくなった頃、梨華が目覚めた。

「・・・真希ちゃん・・・・・・真希ちゃん?」
ベットに自分しかいないことに気付き、ぼーっとしながらも真希の姿を懸命に探す梨華。
(あれ?昨日一緒に帰ってきたよね?夢じゃないよね?)

部屋を見渡すと、ちゃんと真希の荷物が置いてある。
不安になってちょっと大きめの声を出しながら廊下に出る。
「真希ちゃん?どこ?」

亜依の部屋をノックして中に入る。
朝だというのに暗い部屋のカーテンを開け放つ。
「あいぼん、朝だよ?ねぇ、真希ちゃん知らなっ・・・!」
振り向きざまに見た光景は梨華の思考回路を寸断するものだった。
「え?・・・?」

そこには抱きしめ合っている吉澤と真希、そして真希の背中に抱きついている亜依の姿が
あった。

眩しさに堪えきれず、3人がほぼ同時に目覚める。

「梨華ちゃん・・・。」
吉澤は一晩中見ていた梨華の夢から覚め切れず、真希を更に強く抱きしめる。
「んぁ、何か暑い・・・ぐるじいよ梨華ちゃん・・・。」
ヘラヘラ笑いながら目を開ける真希の視界に映ったものは・・・。
(梨華ちゃん、色白だなぁ・・・って違うじゃん!だ、誰よこの人っ?!)
300 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時27分55秒
「梨華ちゃんっ!?」
前後から絡みつかれた真希は身動きが取れないながらも必死で首を回して梨華を探す。
そしてカーテンを背に呆然と立ち尽くしている、逆光ぎみの梨華を見つけた。
「な、何で?梨華ちゃん?何、これ?どうなってんの?!」

「・・・よっすぃー?あれ?ご、ごとーさんっ?!」
あいぼんが、自分が腕を回している体の正面を覗き込み、それが真希だということに気付
くと、何故か嬉しそうな表情で更にきつくその背中を抱きしめる。
「ちょ、ちょっとあいぼん、苦しいよー。助けてー梨華ちゃん!」
その声にやっと吉澤が現実に引き戻され、自分の腕の中にいる真希の顔をまじまじと、不
思議そうに見つめる。
その視線をしっかり受け止める真希。
(な、なに?なんかどっかで見たことあるような・・・すごい・・・キレイな顔・・・・・・)
真希は一瞬顔を赤らめたが、ブンブンと頭を振って、吉澤に言った。
「ねぇ、ちょっと、離してくれないかな?」
しかしその吉澤は、真希の言葉が聞こえていないかのように考え込んでいる。
301 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時28分54秒
(梨華ちゃん・・・でもないし、あいぼん・・・でもないし・・・梨華ちゃんの家族・・・でもない
よねぇ?・・・にしても、な、なんか目がそらせない・・・)
「と、ところで、あなたは、だ、誰なんですか?」
吉澤も真っ赤になりながら、真希に質問をする。
「だ、だからまず離してよ・・・」
「あっ、ごめんなさい。」

吉澤はやっと真希の体から腕を外して慌てて起き上がり、何となく誰かの視線を感じ、
そっちの方向に顔を向ける。
「うわっ!梨華ちゃん・・・」
「どうして・・・ひとみちゃんがここにいるの?・・・真希ちゃんも・・・」

「あ、あんなぁ、昨日よっすぃーうちが呼んだん。」
「・・・じゃぁ、なんで真希ちゃんも・・・?」
「うち知らん。」

「ぅあっ!!よ、夜・・・部屋間違えたかも・・・」
真希が急に気付き、うなだれながら夜のことを思い出そうとする。

「ねぇ、あいぼん、寝るときこっちにいなかった?」
吉澤が壁側を指差して尋ねる。
「夜一回起きたから・・・。」

そのとき階下から声が聞こえた。
「みんなー、ご飯できたわよー、降りてらっしゃーい。」

「とりあえず、下行きましょっか?」
亜依の一言で、みんなは顔を洗いに立ち上がった。
302 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時30分20秒
一旦梨華の部屋に戻ると、真希は素早く梨華に寄り添い、
「ごめんね?」
と小声で呟く。
「・・・間違えちゃったのは仕方ないから・・・」
梨華は複雑な表情で答え、一旦口篭もって、続けた。
「でも、少し嫉妬しちゃった・・・かな?」
「梨華ちゃんだって思い込んでたから・・・ごめんね?」

真希は正面から梨華をギュッと抱き締める。
「・・・好き。梨華ちゃんのこと大好き。」
「ありがと。嬉しい・・・こんなに幸せな気持ちになれるの、真希ちゃんだけだよ?」
「ほんと?嬉しい。・・・・・・ねぇ、さっきの・・・吉澤さん?私の・・・ライバルなんでしょ?」
「え、ひとみちゃん?ち、違うよ。・・・初恋の人、ただ、それだけ。今は真希ちゃんだけ。」
「でも、キレイな子だよね?ちょっとドキドキしちゃった。」
「真希ちゃん?!そんなのだめーっ。嫌っ。絶対嫌―っ。」
「う、嘘嘘、嘘だよ。梨華ちゃんの方が全然かわいいから。」
「ううん、ひとみちゃん、美しいもん。真希ちゃんが言うのも仕方ないよ。でも・・・嫌。」
303 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時31分05秒
涙目で見上げる梨華の唇に真希の唇が重なる。
次第に奥深い口づけに変わっていく。

「「んっ・・・んっ」」
荒くなっていく呼吸音が重なる。
お互いの体に入り込もうとするかのように、一つになってしまいそうなほどきつく抱き締
めあう。
そして長いキスを終えると、頬をくっ付け合ってその体温に酔いしれる。

「梨華ちゃん・・・ずっと一緒にいようね。」
「うん。どんなことがあっても絶対離れないよ。」
お互いの口元が互いの耳元のすぐそばにあるため、その空気の振動と言葉の意味は、直に
脳に響いて来る。
そしてその心を震わせる。

何度かキスを繰り返した後、二人は部屋を後にした。
304 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時33分06秒
そして吉澤と亜依は・・・。

「なんなの?一体?自分が部屋間違えたっていうのに!」
「まぁまぁ・・・落ち着いて落ち着いて。」
「ね、あいぼん、ところであの子誰なの?・・・なんとなく・・・分かるけどさ。」
「あの人が、梨華ちゃんと・・・付き合ってるごとーさん。うちの大切な友達。」
「あいつが梨華ちゃんを取った奴か・・・。でも・・・ちょっとかわいかった。っていうか、
すっごいかわいかったかも。」
さっきのことを思い出したのか、少し顔を赤らめながら言う。

「今度はごとーさん?!もう、振られるの分かってるやんか。」
「違うよぉ、大体さぁ、あいぼんに会いにきてるわけじゃん。梨華ちゃんもごとーさんも
たまたま同じ家にいたっていうだけでしょ?それにしても、あいぼん、ごとーさんにえら
い抱きついてたよねぇ?」
「それはっ、よっすぃーだと思って・・・」
「なになに?私だと思って抱きついたの?いやー、あいぼん、うちのこと好きなんだ?」

「・・・好きだよ。いけない?」
開き直って言う亜依の顔をまじまじと見つめる吉澤。

「・・・あいぼん」
その瞳に捉えられ、身動きが出来なくなる。
305 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時34分07秒
しばらく見つめ合った後、吉澤が亜依の頬を両手ではさむと、ゆっくりと顔を近づける。
目をつぶることも出来ずに固まっている亜依のまだ幼さの残る唇に、吉澤の唇がそっと
触れた。

「かわいいよ、あいぼん。好きになっちゃったかも。・・・梨華ちゃんの次かな?」
うっとりとした表情の亜依は吉澤の一言ですぐに我に返った。

「もうっ!よっすぃーの・・・バカぁ・・・」
泣きだしそうになっている亜依を優しく引き寄せて抱き締める。
「ごめん。今のはちょっとひどかったよね。ごめん。」
「うっ・・・っく・・・」

「ご飯だって、ご飯。おばさんとこ、行こ?」
吉澤はまだ涙を浮かべている亜依を連れて部屋を出た。
306 名前:続7 投稿日:2002年10月28日(月)18時35分56秒
「梨華、ひとみちゃん来ててびっくりしたでしょ?驚かそうと思って、内緒にしてたのよ。
ほんと、何年振りかしら。なつかしいわねぇ。」
「何言ってんのママ、去年の冬にも遊びに来たよ。ね?ひとみちゃん。」
梨華がひとみの方を向くと、そこには真希をぼーっと見ているひとみの姿があった。
その視線の先の真希もひとみを見つめている。
そしてその両方を交互に見比べる亜依。

梨華は隣に座っている真希の二の腕をつねった。
「痛っ。」
「何で見つめ合ってるわけ?」
「そんなんじゃないよ・・・。」

梨華は拗ねた顔のまま正面を向くと、ひとみが熱っぽい瞳で自分を見ていた。
真希を見ていたときとは違う、愛しい人を見るときの眼差しで。
心を鷲づかみにされたような気がして、視線を逸らすことが出来ない。

「ちょっと、梨華ちゃん・・・」
307 名前:コウ 投稿日:2002年10月28日(月)18時38分48秒
更新しました。
自分でも何か展開がよくわからない。。
サイズもやばくなってきたし・・・。
308 名前:コウ 投稿日:2002年10月28日(月)18時50分29秒
>283 @ さま  
   現実で見たいですね。
   ということでほんの少しだけ期待して大阪行ってきます。。
  
>284 いしごま防衛軍 さま
   なんかこんな作品いつも目を通していただいてありがとうございます。
   もっと萌えーな文を書ければと思ってはいるのですが・・・。

>285 いち読者 さま
   よしかごも好きなので、ちょっと入れてみました。
   切ない系を書くの苦手なんで、甘×甘書いてるつもりなんですが、
   それも苦手かも。。
   
   
   
309 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月28日(月)19時22分29秒
四角関係になってしまうとは・・・
甘甘好きなので頑張ってください!
310 名前:aki 投稿日:2002年10月28日(月)23時00分07秒
いつも読んでます。テレビでほとんど二人が見れなくなっちゃったので
すごく癒されてます^^;
これからの展開に期待と不安を抱えつつ…楽しみにしてます。
がんばってください。
311 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年11月03日(日)11時32分10秒
なっなんと!!すごいことになってきましたねー!!
甘い甘い雰囲気の中にもそれぞれの嫉妬がる。うおーーーー最高っす!!
更新楽しみに待っていますよ!!
312 名前:コウ 投稿日:2002年11月04日(月)13時47分40秒
更新はしませんが、レスのお礼と運動会の感想を書きたいと思います。

>309 名無し読者 さま
   そうなんですよ、りかっち、ごっちん、あいぼん、よっすぃー、りかっち…

>310 aki さま
   うぉっ!!ありがとうございます。
   最近TVでは絡みが無かったいしごまですが、運動会ではほぼ“いしごま”でしたよ。
   
>311 いしごま防衛軍 さま
   他に誰か登場させたいのですが、リクありませんか?
   
        
313 名前:コウ 投稿日:2002年11月04日(月)14時05分15秒
運動会見てきました。
競技ではなく、どれだけいしごま絡みがあるか、という視点で見ていたところ、
かなりいしごま率は高く、特にりかっちがごっちんに話し掛けてる感じでした。
同じ競技の場合は必ずりかっちはごっちんを探し出し、一緒に作戦を練っている
感じでした。でもりかっちは、何となく心の準備をしてからごっちんに話し掛け
てるような気がしました。一目置いてるみたいな感じの、です。
競技の後、かなり疲れたようで、お互いの体にもたれかかりながら控え席に行った
り、手を繋いで戻っていく場面もありました。
りかっちは誰にでも、肩に手を置く癖があるのでなんともいえませんが、ごっちん
の体にかなり触っていました。
リレーが終わってからごっちんの行方を追っていたら、やっぱりりかっちに向かって
歩いてました。
競技に勝ったときは、他メンバーと抱き合って喜んでいるごっちんにりかっちが
抱きついてました。
その他、りかっちは、圭ちゃん、柴ちゃん、あいぼんと、ごっちんはあいぼん、
飯田さん、圭ちゃん、ミキティ、よっすぃーと絡んでました。
でも、いしごま率が一番高かったように感じました。
314 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月04日(月)20時41分16秒
>>313
このスレタイがしっくりくるような、萌え萌えな情報ですね。
生で見れたコウさんが羨ましい。話の続き楽しみにしてます。
315 名前:コウ 投稿日:2002年11月13日(水)23時11分30秒
少しだけ更新します。
316 名前:続7 投稿日:2002年11月13日(水)23時12分22秒
そんな3人のやり取りを、いーかげんにアホらしいと感じた亜依は、食事もそこそこに
席を立った。
「あれ、もういいの?亜依ちゃん。」
「うん、おばさん、後で片付け手伝うからね。」
「ありがと。ほんとに亜依ちゃんはいい子だわぁ。」

317 名前:続7 投稿日:2002年11月13日(水)23時14分42秒
「ねぇ、梨華ちゃんってばっ。」

梨華の太ももに膝をぶつけながら小声で囁く真希の声も、全く耳に入ってこないようで、
二人はまだじっと見つめあっている。

『ギュッ』
真希が思わず梨華の二の腕をつねった。
「痛っ!」
慌てて真希に向き直る。

「ねぇ梨華ちゃん、今日どこ行く?」
わざとらしく大きな声で質問する。
「え?あ、えっと、どこにしよっか?」
318 名前:続7 投稿日:2002年11月13日(水)23時17分32秒
吉澤も負けじと大声で隣の席に向きながら言う。
「これからどうする?・・・あれっ?あいぼんはっ?あいぼーん?」
机の下を覗き込んだり後ろを振り返って亜依を探すが、もちろんどこにも見当たらない。

「亜依ちゃん二階に行ったみたいよ?」
(え?いつの間に?)
「あ、そ、そうですか。・・・ちょっと見てきます。」

梨華の母親に頭を下げると、亜依を追いかけて二階に上がった。
319 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月19日(火)12時38分08秒
続き気になります。
320 名前:いち読者 投稿日:2002年11月20日(水)20時24分19秒
わざと大声を出す後藤&吉澤が微妙に子供じみててかわいいです(w
加護が何をしているのかとても気になるのですが…
よしかごもいいなぁ。ホノボノして、兄弟のようで。(姉妹ではなく)
321 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時14分30秒
ちょっと行き詰まってるので、全く関係無いですが・・・。


322 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時14分58秒
両肩を捉まれて身動きをはばまれた。
ゆっくりとその顔が近づいてくる。

「ちょ、ちょっとーっ!待ってくださいよーっ!きゃあぁぁぁ!!」
至近距離まで来ていた顔を離すと、
「ええやろ?キスくらい!!」
逆切れしながらもまた唇を近づけてくる。

「ちょっと、私矢口さんじゃないですよ?!」
「分かっとるわ!そんなん」
更に両肩を強く捉まれる。

「じゃ、じゃぁ、キスしたら石川のこと好きになってくれます?」
「前から好きだけど?」
「えっ?!」

石川は少し驚いた後、急に表情を明るくさせて、既にかなり密着している
目の前の体に抱きついた。
相手はその勢いを支えきれなくて石川を抱きとめたまま後ずさりする。

(い、石川の体って・・・)
急に石川の女の子っぽすぎる体を全身に感じ、急に心臓がドクドクしてしまう。

石川は体を少し離すと、
「いーですよ、中澤さん」
両手を中澤の二の腕辺りにそっと添えたまま、少し上向き加減で目を閉じた。
323 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時16分08秒
(い、石川・・・かわいいかも・・・まじで・・・)
そのちょっと儚げでいて完璧に整った顔にボーっと見惚れていた。
まっすぐに閉じた目が薄く開いて、潤んだ黒目がちな瞳が、どうしたの?
と言いたげに中澤をとらえた。
(ぅあっ、石川って・・・あのポッキーCMの気絶するおじさんの気持ちが
分かる・・・そう言えばごっちん、ハロモニ収録こんな状態で良く我慢できたな・・・)

「中澤さん、キスは?しないんですか?やっぱり石川より矢口さんの方が全然
いいんだ・・・ちょっと嫉妬するなぁ・・・」
「あ、そ、そんなことないって。石川のことも好きだよ」
「ほんとですか?」
「うん」
「嬉しいっ!」
中澤の首に腕を回すと、その唇に自分のを近づけた。
324 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時16分49秒
一瞬やわらかく触れ合う唇。
そして二回目のキスは深く長く。
(い、石川って・・・キスが上手い・・・?何でこんなに慣れてるんや?)

キスを終えて体を離した石川は、
「中澤さん、心臓ドクドクいってましたよ。もしかして、石川のことほんとに
好きなんですか?」
「そ、そんなことより、こんなキスどこで覚えたん?」
「え?内緒ですっ。私中澤さんも好きだけど、もっと、すごく好きな人がいるから。」
「ふーん、そいつとしてうまくなったんだ?」
「きゃぁああっ。」
「ま、ええわ。じゃ、次の収録行こうか?」
「あっ、はいっ」
325 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時19分14秒



「いーしーかーわー」
「どうしたんですかぁ?」
「どうしたもこうしたもないわよー」

抱きつかれて、顔をしかめる石川。
「なんか、お酒くさーい。酔っ払ってるんですかぁ?」
「酔わなきゃやってらんないわよー」
「ほんと、どうしたんですか?」

「いしかわー、ちょっと顔見せて」
二人は顔を見合わせる。
「やっぱ、石川は美少女だよねぇ。」
「な、何言ってるんですか、突然」
「かわいいなぁ、石川ぁ」
石川に抱きつき、その熱くなっている頬を石川の耳の辺にくっつける。

「冷たくて気持ちいい。」
「体、熱いですね。大丈夫ですか?ちょっと横になっていた方が・・・」

石川は、自分に重くのしかかっている体を近くのソファまで移動させると、
ほっと息をついた。
と、次の瞬間、おとなしくなったと思っていた腕によって、体を引っ張られた。
「ぅあっ!」
326 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時19分57秒
「いしかわぁ・・・好きだよぉ・・・」
寝言ともとれるその言葉に、石川はビクッと反応する。
「や、保田さん、ちょっと離して・・・」
保田はその切れ長な大きな瞳から光線でも出そうとするかのように、石川を
真剣に見つめていた。
「キスしてくんなきゃ離さない。」
「えぇ、何でそんなこと言うんですかぁ?」
「石川みたいにかわいい子と一度でいいからキスしてみたいの!」
「そ、そんなに大きな声で言わなくても・・・」
「やだやだーっ。キスしてくれなきゃ泣いちゃうからねー!」
(も、もう、この酔っ払いが・・・)
「わ、分かりましたよ、キスですね、キスすればおとなしくしてくれますか?」
「うんっ。」
そう言ったとたん、保田は石川のうなじ辺りを両手で捕らえ、その唇を奪った。
(ま、まだ心の準備が・・・)
327 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時20分45秒
やっと唇を離されて自由を得た石川は、自分の下になっている保田を見下ろした。
(ちょ、ちょっと、どうして?!)
「保田さん、何で泣いてるの?」
「石川とキスできたから・・・何か嬉しくなっちゃって・・・」
(保田さん、かわいい・・・)

「寒くないですか?」
言いながら自分の上着を保田に被せる。
「ありがと。優しいねぇ、石川は。」
「そんなことないですよ。ちょっとここで休んでてください。収録始まるまで
まだ時間ありますから。」
「・・・・・・」
「?・・・もう、寝てるじゃん。」
「・・・・・・」
「これからもいろいろ教えてくださいね。」
そう言うと保田の頬に優しくキスをして部屋を後にした。
328 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時22分05秒




「梨華ちゃん!次の収録一緒だね。」
「あ、うん、そうだっけ?」

「ねぇねぇ、梨華ちゃん、『幸せ?』ってやって!」
石川は両手を胸の前に合わせる。
「幸せ?」

「ぅわっ、かわいいなぁ。」
「かわいいのはあいぼんの方だよぉ」

突然加護が唇を目の前に突き出してくる。
「梨華ちゃん、チュ−して。」
「え?なに?」
「早く、キスして」

「・・・ちょっとだけだよ?」
「うん」
・・・チュッ


「うあー!!梨華ちゃん、何してんのぉ!あたしのかわいい妹に手出さないでよぉ!」
急に部屋に入ってきたメンバーにちょうどキスする瞬間を見られてしまっていた。
329 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時23分10秒
「べ、べつに・・・そ、そんな・・・」

「ちょっと、あいぼん、ここで待ってて。梨華ちゃんちょっとこっち来て。」
動揺する石川の手を引いてぐいぐい廊下を突き進む。
人のいない部屋を選んで二人は中に入った。

「ふぅぅぅ・・・」
石川を連れてきた本人は、石川の顔を見ようともせず、静かに怒りを表している
ようだった。
石川もだまりこくる。しかし、そっと盗み見た彼女の横顔に、気付かないうちに
普通に見惚れてしまっていた。

やっと振り向いた彼女は石川がボーっと自分を見てるのに気付いた。
「何?なんかついてる?それよりさぁ、ちょっとは反省してんの?」
不機嫌そうに言いながらも、その声音には全く鋭さがない。
それどころか、石川を見つめ返すその頬は紅い。
330 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時24分04秒
「ごっちん・・・」
不意に石川が彼女に抱きつく。

「ごめんねぇ。あいぼんがしてって言うからぁ。」
甘えた声で弁解を始める。
そして腕をゆっくりと後藤の首に回すと、その唇に焦点を合わせ、段々近づいていく。
「ちょっとぉ、梨華ちゃん、ダメだってば、もう・・・」
彼女は石川から逃れる素振りを見せながらも、しっかりその唇を受け止めていた。

「ごっちんの唇ってやわらかくてあったかいね。」
「梨華ちゃんのもそうだよ。」
「もっとしたい。」
「いいけど、他の人とあんまりしないでよ。」
「うん。ごっちんだけにする。これからは頼まれても断るから。」
「そんなの当たり前だよ。」

「ごっちん・・・好き。」
331 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時25分00秒
「やっぱ、ごっちんのキスが一番気持ちいいな。」
「だから比べるなっつーの。」
「あ、ごめん。ダントツだから。」
「そういうことじゃなくて。もういいから。」
後藤は諦めて取りあえず回数だけでもトップになろうと、何回も石川にキスを繰り返した。

「・・・ぁ・・・はぁっ・・・な、なんか、ムキになってる・・・?」
激しく何回も口づけられて、石川はクラクラしながらも、キスの合間に聞き返す。
「・・・んっ・・・っ・・・んぁ?別に。なってないよ」
答えながらも唇を離そうとしない。
「ごっち・・・ん・・・もう・・・ダメ・・・」
後藤のキスだけでイってしまいそうな石川は、自分を見失わないうちに訴える。
後藤は我にかえり、唇を離すと、意識を失いかけてる石川を愛しそうに見つめ、
その体を強く抱き締める。
(あーっ、もう、なんでこんなに好きなのっ!)
「梨華ちゃん、愛してる。」
すごく小さな声で呟く。
「あたしも・・・。」
332 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時33分57秒
本編とは全く関係無いです。
しかもありきたりな内容だし。
333 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時35分14秒
>314 名無し読者様
そうですね。ハロモニでは全くっていうくらい絡み映らないのが残念
   です。
>319 名無し読者様
   すみません、続きじゃないんですが、更新してみました。頑張ります
   ので、ぜひこれからも読んでみてください。
>320 いち読者 様
   加護さんはたいしたことしてないと思うんですけど、頑張って続き
   考えます。
334 名前:コウ 投稿日:2002年12月01日(日)14時35分59秒
次の更新は本編いきます。
335 名前:いち読者 投稿日:2002年12月02日(月)03時03分26秒
おっ、続きが!!…と思って読んだらこれがまた見事に萌えさせられましたよ(w
後藤→石川・石川→後藤どちらのパターンでも、ヤキモチ妬くのが可愛くてしょーがないです。
次回更新は本編の続きだということだそうで、楽しみに待ってます。
336 名前:77 投稿日:2002年12月03日(火)15時45分59秒

いいね〜!
コチラの方でもかなり萌えさせていただきました・・・
更新楽しみに待ってます。
337 名前: 投稿日:2002年12月27日(金)16時11分39秒
おひさしぶりです。復活いたしました@です。
こっちのキス話かなり萌えさせていただきました(w
やっぱいしごまがいちばんエロ・・・いやいやなんでもありません(爆
本編の方も楽しみにしてます。
338 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月06日(月)20時49分37秒
待ってるよ〜
339 名前:コウ 投稿日:2003年01月11日(土)00時15分40秒
交信。
340 名前:コウ 投稿日:2003年01月11日(土)00時16分38秒
「あいぼーん」
吉澤は食卓を後にして二階に上がり、部屋の前から亜依を呼ぶ。
でも返事は無かった。

「入るよー」
そうっとドアを開けると、膨らんだベットが目に入る。
「また寝ちゃったのぉ?」

ベットに近づいていく。
「・・・あいぼーん!」

『ボフッ』
突然、大きめの声を発しながらベットにダイブする吉澤を受け止めてくれたのは、ただ、
布団だけだった。
「あれっ、いないのぉ?」
341 名前:コウ 投稿日:2003年01月11日(土)00時18分17秒

「・・・何してんの、よっすぃー?」

ベットにうつ伏せになったまま顔だけ上げている吉澤に声がかかる。
入り口から死角になっている部屋の隅で、亜依が呆れた表情で吉澤を見つめていた。

「なんだあいぼん、どうしたの?そんなところで・・・」
「何って・・・服、今日出かける時の服を選んでたの」
「そっか・・・あ、そういえば、今日どこ行くかまだ決めてないじゃん」
「あー、加護はどこでもいいよ。外出なくてもいいし」
「ねぇ、近くに遊園地あるじゃん、そこ行こうよ。」
(あそこはもう飽きたんやけどな・・・)
「い、いいよ。ののとか愛ちゃんとか誘っていい?」
「えー、ウチあいぼんと二人っきりがいいなぁ」

投げかけられた直球に言葉を無くす亜依に追い討ちをかけるように、更に吉澤が言葉を発した。
「ねぇ、そんなとこに座ってないで、こっちおいでよ」

342 名前:続7 投稿日:2003年01月11日(土)00時20分13秒
ちょっと困ったような表情で亜依が吉澤のいるベットの空いてるスペースにもぐりこむ。
吉澤を至近距離に感じ、息が詰まるような感覚に陥る。

「よっすぃー・・・」
思わず吉澤の腰のあたりに抱きつき、体を密着させると、その暖かさに安らぎと胸の高鳴りを
同時に感じる。

「どうしたの、あいぼん?」
自分に抱きついている優しくて柔らかい温もりに胸が熱くなっていった。
しばらくそのままでいたが、どんどん熱くなっていく身体からある衝動が膨れあがってきたため、
吉澤は亜依の身体をそうっと自分から引き離す。
343 名前:続7 投稿日:2003年01月11日(土)00時21分07秒
吉澤が亜依の顔を自分の顔の位置までゆっくりと持ち上げると、二人は黙ったまま見詰め
合った。

亜依が、目の前にある唇に自分の唇を近づける。
吉澤は、時々ふざけてするキスとは全く違う、初めての濃い口づけでそれに応える。
ふざけてる時のキスでさえ実はときめいていた亜依は、濃厚な口づけに今まで感じたこと
のない何かが自分の中で溢れ出していくことに気付き、戸惑う。

「ぅんっ」
まだ幼さの残る声が吉澤を刺激する。
「あいぼん、かわいい。」

それから二人は、時間も忘れてキスを繰り返した。


344 名前:続7 投稿日:2003年01月11日(土)00時26分01秒
階下では、真希と梨華が今日の予定を決めているところだった。

「この近くにテーマパークあるでしょ?そこ行きたい。」
(ゲッ。もう飽きたんだけど・・・)
「それもいいけど、ショッピングとかもいいんじゃない?ごっちんに服選んで欲しいし・・・」
「うん、じゃあ、先テーマパークね。」
(って、行くんじゃん・・・)
「う、うん、いいよ。じゃぁ何時頃出かける?」
「いいよ、いつでも」
「じゃあ取りあえず支度しましょ」

梨華は真希の手をとると、2階にあがった。
345 名前:続7 投稿日:2003年01月11日(土)00時48分34秒
時間をかけて支度を終えた梨華達が玄関へ向かうと、ちょうど吉澤達も出かけるところだった。

「んん?」
家を出て歩き始めた梨華は、いつもとはちょっと違う体勢に気付く。
真希が梨華の腕に自分の腕を強く絡めて密着してくるのだ。
(ごっちん、かわいい・・・)
そう思ったのは一瞬で。
真希は少し表情が強張っていて、その視線の先には吉澤の姿があった。

「どうしたの?」

梨華の問いかけも聞こえないほど、真希は自分でも気付かないうちに吉澤に対しての嫉妬の
感情を思い出していた。
「梨華ちゃん、楽しみだー、遊園地。実は私まだ一回も行ったことないんだ。」
(梨華ちゃんを写真で初めて見たときの遊園地なんだよね。それに、梨華ちゃんが吉澤さんと
一緒に楽しそうに笑ってた写真の場所も・・・)


346 名前:コウ 投稿日:2003年01月11日(土)00時52分05秒
久々age.
347 名前:コウ 投稿日:2003年01月11日(土)01時02分01秒
>335 いち読者 様
今年もよろしくお願いします。
待っていてもらえて光栄です。

>336 77 様
萌えていただけたのなら嬉しいです。
これからも寄ってくださいね。

348 名前:コウ 投稿日:2003年01月11日(土)01時03分04秒
>337 @ 様
復活おめでとうございます。
@さんの作品に期待。
今年もやっぱいしごまですね。

>338 名無し読者 様
ほんとに待っていてくれる人いるんだー。
すごい嬉しいです。
っつーかやる気になります。
349 名前:kou 投稿日:2003年01月17日(金)18時23分12秒
更新します。
350 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時25分29秒
そして4人は同じ方向に向かって歩く。

「ねぇ、あいぼん、これからどこ行くの?」
「遊園地ですよ。ごとーさん達は?」

(やっぱり・・・)
梨華の嫌な予感は当たった。

「同じとこ・・・かな?」

沈黙が4人を包み込む。

テーマパークまで歩いていける距離であったが、それが逆に4人の関係を気まずくさせる。

「じゃあさ、みんなで行こうよ。」
吉澤が提案すると、
他の三人は微妙な表情で頷いた。
351 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時26分34秒
遊園地に着くと、梨華が真っ先にジェットコースターめがけて歩いてゆく。
その足取りは軽い。
(梨華ちゃん・・・一番年上のくせに・・・)
朝弱いのと、吉澤が一緒ということで少し不機嫌な真希は、引っ張る腕を少しうざく感じる。
「ちょっと、落ち着きなよ、梨華ちゃん」

4人は前後2人ずつジェットコースターに乗り込んだ。

(ここのって結構怖いんだよね。)
吉澤は内心ビクビクしながらも、亜依に悟られないように表情を固める。

「真希ちゃんとここくるの初めてだよね。・・・でもほんとは二人だけで来たかったな。」
「うんそうだね。」
(なんか今日調子悪いかも・・・)
余裕のない真希は適当に言葉を返した。
352 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時27分21秒
そして、心の準備をする間も無くそれは動き出した。
かなりの高さとスピードとスクリュー感に、吉澤と真希はちょっとのりきれなかった。

終わったときには、吉澤の顔は青ざめていた。
(やっぱダメだ、こういうの・・・)
「ねぇよっすぃー、も1回乗ろ?」
「ごめん、ちょっとやばいかも。あいぼん、一人で行ってきなよ」

そしてもう一人。
「ごとー朝ご飯食べ過ぎたかも。きもぢわるいよー。」
「大丈夫?ベンチで休む?」
「うん。あ、いーよいーよ梨華ちゃんは。あいぼんと二人で乗ってきなよ。」
亜依と梨華は顔を見合わせた。

ベンチまで二人を運んで座らせる。
「じゃ、ちょっと休んでて。うちらもう一回乗ってくるから。」
「はい、行ってらっしゃい。」
「すぐ戻ってくるからね。」
元気な二人はベンチの二人を残してアトラクションに戻っていった。
353 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時28分13秒
ユラッとベンチの上で真希の身体が揺れる。
「ぅ、なんかきもぢわるいかも・・・」
少し離れて座っていた吉澤は、近づいて真希の背中をさすってあげた。
「大丈夫?ちょっと待ってて。」

どこからか水を買ってきてくれたようだ。
「水、飲む?」
「うん、ありがとー。」
水を飲んで少しほっとしたような真希に、吉澤は自分の肩をたたいて、
「ここ、もたれてていいよ。」
と言って、真希の頭を自分の方に寄せた。

「ありがとね・・・」
(なんか・・・安らぐ・・・吉澤さんっていい人じゃん)
真希は吉澤の包み込むような優しさに安堵感を覚えた。
354 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時29分45秒
戻ってきた亜依と梨華は、ベンチの二人の様子を見て慌てて駆け寄る。

「よっすぃー?」
「真希ちゃん、大丈夫?!」
「なんか、やっぱ気持ち悪いって。」
「よっすぃー、ありがと。代わるよ。」
「うん」

「あの、ありがとね、よっすぃー」
「あ、うん」
(後藤さんがよっすぃーって呼んでくれた・・・)

「うちらちょっと休んでるから二人で遊んできていいよ?」
「うん・・・じゃぁ行こっかあいぼん。」
「ごとーさん、早く元気になってね」
355 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時31分23秒
梨華と二人になった真希は急に甘えた声で話し始めた。
「ごめんねー梨華ちゃん、せっかく来たのに。」
「いーよ、いつでも来れるんだから。それよりほんと大丈夫?」
泣きそうな顔で真希の顔を覗き込む。
「うん、大丈夫じゃない。梨華ちゃんひざまくらしてくんない?」
「いーよ。でも帰ってゆっくり休んだ方ががいいんじゃない?」
腿に真希の体温と重みを感じ、ちょっとドキドキしてきた自分を不謹慎だなって
思いながらも、心配そうに言う。
「ん、大丈夫だからもうちょっとこのままでいさせて。」

真希は梨華のお腹の方に顔を向けて目を閉じると、自分の頭を優しく撫でる
手の動きに、急速に癒されていくのを感じていた。
356 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時32分49秒
そのころ吉澤達は他のアトラクションをまわっていた。
「ねぇ、よっすぃーは大丈夫なの?気分悪くない?」
「もう全然大丈夫だよ。でもほんとのこと言うと、ジェットコースターとかってちょっと苦手なんだ。」
「そうだったんだ・・・ごとーさんはもう治ったかな?」
「これ乗ったらさっきのところに戻ってみよっか?」

吉澤達が戻って来る頃には、真希はすっかり治っていて、4人はまたアトラクションを回り始めた。
357 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時33分37秒
夕方になって4人は一旦梨華の家に戻った。
夕食を済ませると、真希は帰る準備を始める。

「じゃあ、梨華ちゃん、帰るわ。」
「うん、・・・気をつけてね。」

「よっすぃーは泊まっていくんだよね?」
亜依が確認する。
「うん。・・・あ、後藤さん、また遊ぼうね。」
「うん、よっすぃーまたね。ごとーのことは真希って呼んでくれればいいよ。」
「うん、じゃ、真希ちゃん、元気でね。」

真希と吉澤が一日で仲良くなったことにちょっと嫉妬した梨華は、真希の手を引く。
「ちょっと・・・来て」
358 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時34分38秒
2階に連れられてきた真希は、怒ったような困ったような顔で言う。
「電車の時間、間に合わなくなっちゃうよ?」
「だって・・・次会えるのいつか分かんないし・・・」
「昨日も今日もたくさん遊んだじゃん」
「それでもっ・・・少しでも一緒にいたいの」
言うと同時に真希に抱きつく。
「分かってるから。でもほんと、もう時間ないからさ」
「・・・ねぇ、キスだけ」
「もうしょうがないなー、梨華ちゃんは」
見つめ合い、すぐに触れ合う唇。
359 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時36分41秒
「ちゃんと好きって言ってから・・・してよ」
「もーいーじゃん。」
「お願いだから」
「わかったよ。・・・好きだよ梨華ちゃん、この世で一番、っていうか梨華ちゃんだけを愛してます。」
そしてもう一度唇が触れ合う。
「でもさぁ、なんで梨華ちゃんは言わないわけ?」
「あ、そっか・・・じゃあ、言うよ?・・・私は真希ちゃんのことを・・・・・・なんか恥ずかしいねー」
「あほかっ・・・もう、照れてる場合じゃないでしょー、ほんともうやばいから行くね」
「・・・うん。」
360 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時37分55秒
3人は、見送りに行った駅から帰ってくると、亜依の部屋に集まっておしゃべりを始めた。

そのうち、床に寝そべっていた亜依が本当に寝てしまったのに気付いた吉澤は、
「あんなに騒いだから疲れちゃったんだね」
と言いながらそうっと亜依を抱っこしてベッドに寝かせた。
おやすみのキスをしそうになったけど、梨華がいることを思い出して慌ててやめた。

「ねぇ、よっすぃー、今日撮ったの見る?」
残った二人で、デジカメで撮った画像を見始めた。
「結構たくさんあるよね」
カメラに映し出された画像を二人で覗き込むようにして見ているので、かなり体勢
が密着せざるを得なくなる。
361 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時40分21秒
「ホラーハウス怖かったよねー、あいぼん泣いちゃったんだよね」
「梨華ちゃんはすごい楽しそうだったじゃん」

「よっすぃーって意外とジェットコースターとかダメなんだね。
 前・・・行ったときは平気っぽかったのに」
「梨華ちゃんの前だったから・・・カッコ悪いとこ見せたくなかったんだよ」

「無理なんかしなくてよかったのに・・・」
カメラに向けられていた二人の視線が、お互いの瞳に向けられる。
久しぶりに間近でゆっくりと見る吉澤の瞳はやっぱり美しくて、その眩しさに急に恥ずかしく
なってうつむいてしまう。

「無理だってしたくなるよ・・・だって梨華ちゃんって・・・」
その優しい声に、忘れていた昔の感情がまた呼び起こされた。
そして、近づいてくる吉澤の真剣な眼差しに捉えられたまま動けなくなる。
362 名前:kou 投稿日:2003年01月17日(金)18時44分07秒
一旦更新終了します。
少し足りないので、お引越しをしたいと思います。
363 名前:続・最終 投稿日:2003年01月17日(金)18時46分26秒
こんな駄文で申し訳ありませんが、一応あげておきます。
読んでくれる方がいるかどうかわかりませんが、もしいたら、
感想をお願いします。
364 名前:kou 投稿日:2003年01月17日(金)19時14分07秒
続きはここです。

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/wood/1042796970/

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