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雨は冷たく、時には暖かい。
- 1 名前:New 投稿日:2002年08月09日(金)23時51分31秒
- 初めまして!初投稿します。Newです。
小説はこうゆう風に自分の小説を見てもらうのは初めてなので
ダメな所が出てしまうかもしれませんが、頑張って書いていくので
よろしくお願いします!あ、季節はずれの冬です。夏なのにすみません。
───また雨だ。
でも別に雨が嫌いというワケではなかった。むしろ好きなのかもしれない。
傘もささずに歩くことさえある。ずぶ濡れになりながら。
何もかも忘れられる気がしたから。雨が洗い流してくれると思った。
いつまでも忘れられない知らない人の顔。
ただすれちがっただけなのに。私はあれから気になってしょうがなかった。
「ねー、また雨だねー」
「そうだね」
私はだるそうに私の同居人、矢口に返事をした。
「これじゃぁ、外出れないじゃん」
矢口はさっきからずっと窓の外を見ていた。これは当分やまないだろう
と私は思っていた。
「紗耶香ー、今日機嫌悪いの?」
矢口は私に抱きついて不思議そうに聞いてきた。
- 2 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月10日(土)13時49分35秒
- さやまり・・・ですか?
- 3 名前:New 投稿日:2002年08月10日(土)17時45分46秒
- さやまりではないですよ〜。最初はそんな感じになっちゃいますが
最終的にはいちごまにしていく予定です。ちょっとなっちもはいるかも
しれません。 今日の夜、更新しますー>名無しさん
- 4 名前:New 投稿日:2002年08月10日(土)21時56分50秒
- 「そんなことないよ。バイト行ってくんね。矢口は学校でしょ」
私は自分の部屋から上着を持ち出し玄関に向かいながら矢口に言った。
矢口はちゃんと学校に行っているが私は途中でやめた。それからバイトばかり
している。
「ねー、最近毎日じゃん。バイト」
「いいじゃんか、やることないもん」
しゃがんで靴をはいていると矢口が後ろから抱き付いてきた。
私はしょーがないなと思い、矢口の方に振り返った。
「行ってきます」
強く矢口の身体を抱きしめた。
「行ってらっしゃい」
矢口も強く抱きしめ返した。
傘をさしてバイト先へ向かう。・・・実はあの家は矢口が住んでいる
家。最初から私は住んでいなかった。行く所が無い私を矢口は優しく
受け入れてくれた。だからまぁ、居候みたいな感じかな。
最近毎日バイト入れてるのはちゃんと理由がある。さっき矢口に言った
他に、・・・・あの人に会えるかもしれない。ただそんだけ。
「にしても雨強くなってんなぁ」
私は雨空を傘の中から見上げてつぶやいた。やはり冬の雨の日はかなり
寒い。歩く足が自然と速足になっていく。
バイト先はそれほど遠くではないのでもうすぐつく。
「寒い〜」
やっとバイト先についた。
- 5 名前:New 投稿日:2002年08月10日(土)22時13分25秒
- 「遅い!5分遅刻!」
私と一緒にバイトしている人は私が5分遅刻したことにそ〜と〜
怒ってらっしゃるようだ。ちなみにこの人は安倍なつみ。
こないだ北海道から引っ越してきた。年上だよ。
「悪いー、雨だからさ」
「そんなの理由にならないよ」
此処は小さな喫茶店。バイトは私となっちだけ、あと店長さん。
怖いけど、結構優しい人。名前は石黒彩さん。
「2人共〜、開店準備始めるぞ〜」
『はーい!』
私らは喫茶店の制服に着替えて・・・・っていっても可愛い制服は
私には似合わないので店長の石黒さんが用意した白シャツに黒のズボン
を着るんだ。なっちは可愛いピンクの制服。
店のテーブルに上げたイスを2人で下ろす。
「・・・雨続くねぇ」
「そうだね」
なっちはイスを持ったまま雨を見ていた。私はなっちのイスを取りあげ
下ろした。
「どうしたの?」
「・・・ううん、雨嫌いだなって思って」
なっちは苦笑しながら私を見て言った。
- 6 名前:New 投稿日:2002年08月11日(日)15時35分32秒
- 「へぇー、私は別に嫌いじゃないけどね」
私はなっちから視線をそらして言った。そう、雨は嫌いじゃない。
そいえば───私が矢口に拾われた時も雨の日だったけか。公園でずぶ濡れ
でいる私に声をかけてくれた。あの頃はもう何もかも嫌でただ雨に濡れてた。
そうすれば何もかも終わると思った。消えてしまいたいと思った。
でも実際そんなことになるわけではない。
<ねぇ、どうしたの?>
矢口は優しく声をかけてくれた。そして笑顔で言ってくれた。
<うちにおいでよ。すぐそこだしさ>
あの笑顔はいまでも忘れられない。私にとって最高の笑顔だった。
「紗耶香ぁ?」
「ん、あ、ごめん、ごめん」
「変なやつー、テーブル拭こうよ」
「うん」
- 7 名前:New 投稿日:2002年08月11日(日)15時51分08秒
- 私となっちはテーブルを拭き終わり、開店準備終了。石黒店長は料理の準備を
いている。雨は強さを増すばかりだ。
私はこの前の雨の日を思い出した。バイトで遅れそうになって走っていたら
誰かにぶつかったのだ。その時の相手の顔。
口元だけが笑っていた、独特な雰囲気を感じたのだ。
あれからすごく気になってる。また会えるかな?
あれこれ考えていたら最初のお客がやってきた。
「いらっしゃいませ〜!!」
なっちが元気よく挨拶をし、席へ案内した。
「・・・・えーと、コーヒーとパン下さい」
「かしこまりました〜!!」
なっちは奥にいる石黒店長にオーダーを伝えにいった。私はお客に水を
出しにいった。・・・・・が、相手の顔を見た瞬間固まってしまった。
あの顔・・・・・あの人だ。雨の日にぶつかった人だ。
「ど、どうぞ」
ぎこちなく水を差し出す。相手も私を見て気付いたらしい。
「あ、こないだはぶつかっちゃってすみません」
私はこないだの事を謝った、悪いのは私だ。
「いえ、大丈夫です」
初めて声を聞いた。
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月12日(月)02時09分51秒
- ガンガレー!期待してるよ!
- 9 名前:New 投稿日:2002年08月12日(月)21時46分42秒
- 頑張ります〜>8さん
「あ、あの!名前・・・・私は市井紗耶香です」
私は会話が途切れるのが嫌で何故か自己紹介をしてしまった。
「え、・・・後藤真希」
後藤さんはなんか驚いてたけど、名前を教えてくれた。
「ちょっと〜!紗耶香〜?」
「あ、なっち」
私の背中になっちが抱きついてきた。肩からひょこっと顔をだした。
「あー、もーちょっと待ってねぇ。石黒店長が肝心のパン焼いてなくて。
私は安倍なつみ。なっちでいいよー」
ニコニコ笑顔でちゃっかり自分の自己紹介もしているなっちはまた奥の
方へと行ってしまった。
「市井さん・・・?」
「は、はい!」
「バイトですか?」
「うん、後藤さんは?学生?」
「後藤でいいですよ。高校1年です」
「え、今日ガッコは・・・・」
「なんかだるいんで1時間目はサボリです」
後藤は笑顔で答えた。それから後藤といろんなことをしゃべった。
学校はこの近くの竜北高等学校に通っているらしい。なら矢口と同じだ。
- 10 名前:New 投稿日:2002年08月12日(月)21時57分57秒
- 「あ!じゃぁさ、矢口真里知ってる?金髪の」
「あぁ、知ってますよ。有名人ですもん」
「え?」
「金髪だし、明るいし、面白いし。「オイラにはかっこいい彼氏が
いるんだ〜」って言ってました」
「彼氏ぃ?」
誰だ・・・?そんな彼氏がいる素振りなんて見たことないし。
うーむ、聞いてみるか?いや、いきなりは不自然だろ。
私はこれまでの矢口を思い出していた。するとなっちがきて、パンとコーヒー
を後藤に出した。
「ごめんねー、遅くなって」
「いいえ」
なっちは後藤が座っている4人テーブルの後藤の目の前に座った。
私はさっきから立って話していたのだ。すぐそこにあるカウンターの
席に座った。
それから他愛もない話をして、後藤は学校へ行く時間となった。
「あの、また来てもいいですか?」
「もちろん!」
なっちが元気よく叫んだ。私も同じ気持ちだ。
後藤が店を出て、なっちは私の方をじっとみてきた。
「な・・・何?」
「可愛い子だったね」
「そ、そうだねー」
「惚れた?」
「べ、別に〜」
「紗耶香にはなっちがいるからね」
「へ?」
- 11 名前:New 投稿日:2002年08月12日(月)22時01分22秒
- あれ?・・・・前に書いたやつが消えてる・・・・。
なんででしょうか?
- 12 名前:New 投稿日:2002年08月12日(月)22時06分16秒
- えと、消えてしまったので。消えた部分の説明です。
市井はバイトで雨の日に後藤とぶつかって、再開したんです。
矢口は学校。なっちはここの喫茶店のバイトです。
何故消えたのかはわかりませんが・・・・私がすぐに投稿してしまったせい
かもしれませんが、引き続き書いていきますのでよろしくお願いします。
また明日更新します。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月13日(火)06時27分21秒
- 続き期待sage
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月13日(火)15時13分34秒
- 消えた部分の説明とは?
多分、「このスレッドに投稿」っていうボタンの下にある「記事を全部読む」等をクリックしたら大丈夫かと・・
もし消えた部分というのが、僕の思っていることじゃなかったらごめんなさい。
しかし矢口の彼氏って、まさか・・・市(略
- 15 名前:New 投稿日:2002年08月13日(火)18時01分56秒
- 13さん、14さんありがとうございます。記事を全部読むにしたら全部
ありました〜良かった〜。
「な、なっち何言ってんの?」
私はなっちが言っている意味が全然理解できない。
なっちは顔を赤らめて下を向いている。そして突然顔を上げた。
「ううん!なんでもないよ!ほら、お皿さげなきゃ!」
なっちは慌ててテーブルに置いてあるお皿とコップを持って奥へ言った。
「・・・矢口といいなっちといい・・・どうしたんだろ?」
雨はまだふり続いていた。
「ま、後藤に会えてよかったな〜。なんというか気持ちがさっぱりした〜」
私は大きく深呼吸をして、なっちのもとへ行った。
<後藤視点>
会えた。会えたんだ。あ〜驚いた。
あたしは胸のドキドキを抑えながら学校へと歩いていた。
あのぶつかった時───市井さんに初めて会った時。何かを感じた。
あそこでバイトしてんだぁ。また行っちゃお。
雨はさっきより弱くなっていた。午後にはやむかな。
軽くスキップをしながら学校へ向かった。
- 16 名前:New 投稿日:2002年08月13日(火)20時41分52秒
- 夕方になりバイト終了。店長に挨拶をし、なっちと共に喫茶店を出る。
「なっちはこの後なんかあんの?」
「んー、大学に提出するレポートやんなきゃならないから家に帰るよ」
「そっか、大変だねぇ」
「紗耶香は?」
「私はこれからコンビニのバイト」
「またバイトいれたの?」
「うん、暇だしね」
「そっかー、でも学生も楽しいよー」
「まぁ、そのうちね」
「ふーん、じゃ、また明日〜」
「おう!」
なっちは家へ、私は近くのコンビニへ向かった。
空は夕焼け、綺麗なオレンジ色。雨はお昼にはやんでいた。あの朝の
どしゃぶりが嘘のように晴れていた。
冷たい風が吹いて寒かった。やはり冬は寒い。マフラー・手袋なし
だからとても寒く感じた。
「ふ〜、今日の夕飯何かなぁ・・・」
私は空の夕焼けを見ながら小さくつぶやいた。手にもってる傘が邪魔
だなぁとも思いながら次のバイト先へ歩いていく。
- 17 名前:New 投稿日:2002年08月14日(水)12時47分35秒
- コンビニのバイトは午後9時まで。それから家に帰って矢口の作ってくれた
手料理で身体を暖める。
「うわ〜寒ッッ!!!」
コンビニのバイトをすまし、家へと歩く、帰り道。夜はさらに冷え込んで
きた。息をはく色は白くて、しばらく息をはきながら遊んでいた。
私は通りかかった自動販売機であったかいコーヒーを買って飲み歩いてた。
「ん・・・・あ、矢口」
目の前からこちらに歩いてくる、あの背の高さはすぐに矢口だとわかる。
「何してんの?・・・・」
「紗耶香、マフラーも手袋も持っていかなかったから・・・持ってきた」
矢口は私にマフラーと手袋を渡した。
「サンキュ、寒かったんだ」
私は早速マフラーと手袋をした。「あったけ〜」と小さく叫んだ。
矢口と共に家へ歩いていく。
「ねぇ・・・バイト入れすぎだよぉ」
矢口が私の上着のそでをひっぱって言った。
「だから、することないから。家にいてもさ・・・暇だし」
「だって矢口帰っても紗耶香いないんだもん」
「・・・・」
「なんでそんなにさぁ、稼いでるの?何か理由があるの?まさか家出て行く
気じゃないよね?ずっと矢口といるよね?どこにも行かないよね?」
矢口の質問攻めに私は黙ってしまった。
- 18 名前:New 投稿日:2002年08月14日(水)18時44分48秒
- 沈黙のまま家へついた。家っていってもマンション。エレベーター
にのって10階のボタンを押す。
ウィィィィィン。
「・・・・・あ!今日ね、夕飯はハンバーグだよ!紗耶香好きでしょ〜」
矢口が無理やり笑顔を作って場を明るくした。
「うん・・・おなかすいたね」
「早く、帰って食べようね」
10階について、エレベーターを下りた。部屋はすぐそこだ。
部屋に入ってテーブルを見るとすでに夕飯のしたくはできていた。
私と矢口は夕飯にした。
「あのさ・・・今日、バイトの喫茶店に竜北高の人がきたんだ。
で聞いたんだけど、矢口に彼氏いるの・・・?」
私はずっと気になっていた質問を思い切ってしてみた。
「え・・・えぇ〜・・・・もう言わなくてもわかるじゃん?」
「へ?」
矢口は「ごちそうさま!」と言って自分の食器を片してお風呂へ
向かった。私はますますわけがわからなくなった。
言わなくてもわかる・・・・?私は知らないよ。ん〜。
私はもぐもぐとハンバーグを食べていた。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月14日(水)23時26分13秒
- 鈍感市井キャワイイ。モテモテだね(w
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月14日(水)23時54分14秒
- いちごまりキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
しかもいちなちも入ってる?
かなり嬉しいです。続き楽しみ♪
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月15日(木)02時21分03秒
- なにげに矢口がカワイイ(w
- 22 名前:New 投稿日:2002年08月15日(木)16時12分22秒
- <矢口視点>
紗耶香のやつ〜・・・鈍感すぎんだよ。超鈍い。一緒に住んで
もう半年ぐらいのなのにさ〜。いい加減気づいてよ。
「あーあ・・・・・」
お風呂のお湯につかりながらため息をついた。
翌日。今日の天気は晴れ。
起きると矢口はもういなかった。昨日のあれから矢口は私と
しゃべってくれない。っていうかすぐ矢口が寝てしまった。
「ん〜、行きますかー」
今日も朝からバイトな私。上着とマフラーと手袋を持って家を出た。
<矢口視点>
本当は紗耶香を起こして学校に行くのだが今日は起こしてやんなかった。
「矢口さーん!!おはよー!」
「おはよー、後藤ー」
廊下を歩いているとのほほんとした後藤がやってきた。
矢口は2年、後藤は1年だ。
「今日は朝からちゃんと来てるんだ」
「はいー。矢口さん、聞いてくださいよ。昨日の朝サボッて喫茶店行った
んですよー。初めて行ったお店で。したらこないだぶつかったかっこ
いい人と会ったんです!バイトの人ですよ!もう嬉しくてー」
「はいはい、わかったからー。自分の教室行きなさいよー」
後藤は矢口に言われると軽くスキップしながら自分の教室へ
向かった。
- 23 名前:New 投稿日:2002年08月15日(木)16時41分24秒
- 19さん、20さん、21さん>ありがとうございます〜。頑張りますー!
矢口はとぼとぼ自分の教室へ入った。
「あ、真里!おはよ」
「おはよー、梨華ちゃん」
この子はクラスメートの石川梨華ちゃん。矢口と同じく2年生。
「元気ないよ?」
「あぁ、ちょっとね」
「今日の放課後、体育館行く?」
「うーん、行くかー」
放課後の体育館。バスケ部とバレー部が部活をやっているのだ。
バスケ部には部長の飯田さん(2年生)バレー部は1年生の吉澤さん。
この2人はバスケ・バレーが上手い上、ものすごいかっこいいのだ。
だからファンが部活を見に来るのだ。竜北高は女子校だから女ファンしか
いないけど。
「梨華ちゃんも好きだねー吉澤だっけ?」
「うん!球を打つ姿が最高だよ!」
「あ・・・そう」
呆れて1時間目の用意をした。1時間目は数学だ。
数学はまぁ好きだけど2時間目は英語。英語はホント嫌いだった。
・・・サボろうかな〜。屋上に行こうかな。今日天気いいし。
あっと言う間に1時間目が過ぎて矢口は2時間目は屋上にいた。
矢口はベンチに寝転びながら空を見上げていた。
『喫茶店にかっこいい人がいたんですよ!』
朝の後藤の言葉を思い出した。
- 24 名前:New 投稿日:2002年08月15日(木)23時52分52秒
- 「んなまさか・・・・ね」
まさか紗耶香のとこじゃないよね。うん、きっと違う。
他に喫茶店なんてたくさんあるんだから。うん、うん。
よし!2時間目終わるまで寝よ〜〜〜。
青い空の下で眠りにおちた。
<安倍なつみ視点>
「紗耶香おそっそいな〜」
私はもう制服に着替えて紗耶香を待っていた。集合は8時なのに
もう20分も過ぎていた。
入り口の前でウロウロしているとやっと紗耶香が来た。
「遅い!20分遅刻!」
「ごめんー、だってさー矢口が起こしてくんなかったもん」
「でも!のろのろ着替えてたりしたんでしょ〜?」
「う・・・・これからは遅刻しませんっ」
紗耶香はにかっと笑いながら言った。反省してんのかわからないよ。
・・・・でも好きだな。この笑顔。
私は紗耶香の笑顔にものすごく弱い。好きなんだもん。
「なっち〜、機嫌なおして〜?」
「しょーがないなぁ。はい!着替えてくる!」
「は〜い」
紗耶香は着替えに奥へと行ってしまった。
- 25 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)11時17分18秒
- 「ねぇー、なっち。昨日聞いたんだけどさー。矢口に彼氏がいるらしいんだよ。
誰だと思う?」
今はお昼の休憩タイム。私は紗耶香と奥の部屋で休んでいた。
「そんなの知らないよ。矢口とは何回かしか会ってないもん」
「そうだよねぇ・・・・矢口に聞いたら『言わなくてもわかるでしょ』
って言われた・・・・わけわかんねー!」
紗耶香ぁ・・・・鈍感すぎだよ。きっと私の気持ちも気づいてないんだ
ろうな。私のライバルが矢口かぁ。手強いよ。
私は「はぁ〜」とため息をつきながらコーヒーを飲んだ。
今の私には勇気がなかった。紗耶香に告白することに。
怖いよ、だって振られる方が確実に高いもん。
「なっち?元気ないよ?」
元気ないのは紗耶香のせいだよと言いたいけどやめておいた。
「そんなことないよ、ちょっと疲れただけ」
「明日は大学行く日だっけ?」
「うん、明日から3日間は行くよ」
「頑張れよ!」
紗耶香は私の肩を強く叩いて言った。
- 26 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)11時40分03秒
- <矢口視点>
あっと言う間に放課後になった。放課後は梨華ちゃんと体育館に行く予定。
正直疲れてたので帰りたかった。でも梨華ちゃんが私の腕を掴んで離さない。
仕方なく体育館へ行く。
「あー!いた〜!!!」
梨華ちゃんが吉澤を見つけて歓声を上げている。梨華ちゃんみたいな人は
他にもたくさんいる。その中には飯田さんと叫んでる人もいた。
飯田さん、圭織とは友達だけど最近圭織は部活が忙しくて矢口とは
会っていなかった。
圭織はバスケットボールをダムダムとドリブルしてシュートをきめる。
その度に歓声が上がる。圭織は無視してるけどね。
吉澤の方もバレーボールをアッタクする度に歓声が上がる。吉澤は手をふってくれる
子にはちゃんと手をふっていた。圭織とは全く反対だ。
梨華ちゃんは相変わらず吉澤に釘付け。矢口は30分立つと梨華ちゃんに
もう帰るねと言って体育館を出た。
- 27 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)11時51分20秒
- <安倍視点>
もうすぐ夕方。バイトは終了してしまう。これから3日間紗耶香に会えない。
今言ってしまおうか・・・・私は着替えながら悩んでいた。
「今日も疲れたねー」
「・・・・・うん」
紗耶香はのほほんとさっさと着替えていた。私はよし!と決心して
紗耶香の方を向いた。すると紗耶香は不思議そうに私の顔を見ていた。
「あの・・・」
「ん?何?」
「えっと・・・・」
やばい、心臓バクバクいっちゃってるよ。顔が熱い。きっと真っ赤に
なってるんだろうな。紗耶香そんなに見ないでー。
「・・・なっち?」
「あ、あの!私ね、紗耶香のことが好きなの!大好きなの!」
私は言いたい事を言った後泣き出してしまった。やっと言えた自分の
気持ち。
「えぇー!?・・・なっちが私をぉ!?」
紗耶香は驚いていた。でも私がまだ着替え終わっていない事に気づいて
着替えなよと言ってくれた。私はいそいで着替えて涙を拭いた。
沈黙が続いた。私はたえきれなくなりお店を飛び出した。
- 28 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)13時22分23秒
- <市井視点>
なっちが急に告白して急に飛び出して行っちゃった。私は追いかけなかった。
告白されたのは初めてじゃない・・・・前にも何人かに告白されたことはある。
・・・全員女だったけど。
「はぁ〜・・・なんだかなぁ」
これからバイトも今日はないので家に帰ろうとした。すると前方から
見覚えのある背の小さい人が歩いてきた。
「バイト終わったの?」
「うん、終わった」
「帰る?」
「帰るよ」
・・・・いつもの矢口となんか違うな。んー、わけわからんよ。
人の気持ちなんてわかるわけがない。人の心は見えない。
それがたまに辛い。矢口が何を考えてるのかなっちが何を考えてるのか。
私は矢口と一緒に家へ帰った。私はさっきのなっちの告白を矢口に言おうか
悩んだ。
「・・・・あのさ、昨日の竜北高の人って後藤って人?」
「え、あ、うん。・・・そーっスよ」
「・・・そっか・・・」
矢口はため息をついた。私はもうなんだよって感じでちょっと怒ってた。
さっきはあんなに天気よかったのに今はもう雨がふりだしそうな空だった。
- 29 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)13時33分10秒
- それからというもの矢口は相変わらず元気なくてなっちとは会ってなかった。
雨も相変わらずふってる。なっちの告白から2日過ぎた。
「市井ちゃん?」
後藤はよく夕方(私のバイト終了ギリギリ)にやってきては今日学校で
あったことを楽しそうに話してくれる。いつの間にか私の事を市井ちゃんと
呼んでる。
「雨はよくふるよね」
「そうだね」
私は着替え終わり後藤と一緒に帰ろうとした。
「ねぇ、市井ちゃん?」
「何」
「最近変だよ」
「・・・・そーかもね」
「どうしたの?」
「・・・・なっちから告られ、矢口にみょ〜に避けられてる」
私は最近おきたことを話した。
「ふ〜ん・・・でなっちにはなんて?」
「何も言ってねー」
「じゃぁ、私にも望みはあるんだ」
後藤はイタズラっぽく笑って私の手をとった。
「市井ちゃん、好きです。付き合ってください」
・・・何も答えられなかった。初めて後藤の気持ちを知った。
私はただ呆然と立っていた。いつの間にか後藤はいなくなってた。
- 30 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)13時41分19秒
- 後藤の告白されて何も答えず家へ帰った。
まさか・・・矢口も私を?んなまさか。私は矢口の家の居候だよ?
あるわけない。ないったらない。
「ただいま・・・・」
言ってみるが返事はなかった。でも鍵が開いてるからどっかにいるはずだ。
自分の部屋に入って上着とマフラー、手袋をはずした。
・・・・一体誰が好きなんだろう?わかんないよ。
ベットに身を沈めていると急にドアが開いた。矢口だった。
「紗耶香ぁ・・・・」
泣いている矢口は私に抱きついてきた。押し倒されている体勢になっている。
「・・矢口?・・・」
「好きなの。どうしようもないよ、紗耶香が好き」
矢口は泣きながら私に言ってきた。抱きしめたいと思ったができない。
抱きしめちゃいけないんだ。ダメだ。
私は矢口を離した。そして家を飛び出した。
- 31 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)13時51分23秒
- 雨の中をひたすら走った。冷たい雨が容赦なく私にふりかかる。
わかんないよ・・・・そりゃみんな好きだよ。それじゃぁダメなの?
1番を決めなきゃダメなの?・・・・ねぇ、誰か答えてよ。
────雨は冷たいな。
改めて感じたよ。雨は冷たい。もう身体が冷えきってる。
上着も何も着ていない状態。今にもぶっ倒れそうだ。
その時。暖かい感じがした───。
「・・・市井ちゃん?」
後藤が私を後ろから抱きしめていた。あったかい。
後藤はふにゃと笑った。あぁそうだ。この笑顔だ。
自分の気持ちにも鈍感な市井紗耶香。自分でも呆れるぐらい。
私は後藤が好きなんだ。
初めて会ったときから好きだったんだ。気になってたんだ。
私は後藤を抱きしめ返した。2人もずぶ濡れだ。
冷たいと寒いと感じるはずだけど不思議とそうじゃなかった。
あったかかった。
「後藤・・・ちょっとだけ待ってくれるかな?」
「うん・・・ずっと待ってるよ、市井ちゃん」
- 32 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)14時03分19秒
- あれから家に帰った。矢口はずぶ濡れた私を優しく迎えてくれた。
矢口はごめんねと何回も繰り返し言っていた。
私は矢口に本当の事を話した。
「ごめん・・・矢口。好きな人がいるんだ」
「・・・後藤でしょ?知ってるよ」
「な・・・んで?」
「紗耶香ほどオイラは鈍くないです」
「・・・そっか」
矢口は泣くかと思ったら笑ってくれた。
私はなっちともちゃんと会って気持ちを伝えた。
「わかってたよ。紗耶香は後藤が好きなことぐらい」
なっちは泣き笑い顔で言ってくれた。
あー、私ってほんと鈍いなぁ。心底感じたぜ。
そして今、後藤と公園で待ち合わせしたのでそこへ向かっている。
「市井ちゃん!」
今日はよく晴れている日だ。青空の下を後藤が私に手をふっている。
「後藤ー、待たせたね」
私は後藤の前に立った。そして今まで気づかなかった気持ちを言う。
「後藤、好きだよ。大好きだよ」
「うん!私も!」
私は後藤を抱きしめた。
- 33 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)14時18分13秒
- それからといもの私は日々バイトをしていた。あの喫茶店で。
なっちとは友達として一緒にバイトをしてる。私は矢口の家を
住む事はしなかった。矢口は別にいいのにと言っていたけど
やっぱちゃんとしなきゃね。今は矢口のマンション近くのマンション
に住んでいる。矢口は元気そうだ。
後藤は相変わらずサボって喫茶店へ来ている。その度私は怒るけど
なっちが許してしまうので後藤のサボリ癖はなおらない。困ったもんだ。
今まで何かに逃げて生きてきたような気がする。
学校やめて矢口の家に居候してバイトばっかして。
でももうやめよう。みんなの気持ちも本当は気づいてたかも
しれない。私は結局逃げてたんだ。
そんな逃げてた私を気づかせてくれたのはなっち、矢口そして
後藤。ありがとう。これからは逃げないで生きるよ。
雨は冷たく、時には暖かい。
こーゆー考え方もあるでしょ?
ね、後藤。
市井紗耶香、これからは真っ直ぐ歩いていきます。
終り。
- 34 名前:New 投稿日:2002年08月16日(金)14時30分34秒
- はい、終わりました〜。何か今日いっきに終わらせてしまいました。
読んでくれたみなさん、ありがとうございます!もう最後はどう
まとめたらよいかめちゃくちゃ悩みました。そしてよくわからん
終わり方。ホントすみません。下手で。
っていうかシリアスな方を書きました。雨は冷たいけど時には暖かい。
誰かと手をつないでるとかそーゆー時は雨は冷たくても暖かいと言う
ことを言いたかったんです。鈍い市井ちゃん、でもどっかでみんなの
気持ちわかってた市井ちゃん、最後は逃げずにぶつかった市井ちゃん。
これからは真っ直ぐ歩いていく。それは当たり前のことで中々できないこと。
って何語ってんだ私・・・・。
今度はいちなちを書きたいと思います!
でわでわ。
- 35 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月17日(土)02時10分39秒
- お疲れさまです。モテ市井を書くのは難しいですからね(w
いちなちガンガッテ下さい。
何気に無いCPです。
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月20日(火)21時32分40秒
- メッチャ良かったです!!
いちごま、さやまり、いちなち、何気に全部自分の好きなCPだったんで…。
それに、内容も(・∀・)イイ!!
次回のいちなちも楽しみにしてます。ガンガッテくださいね!
- 37 名前:New 投稿日:2002年08月24日(土)20時10分41秒
- 35さん、36さんありがとうございます!嬉しいです〜。
そしてまた投稿したのでそちらもできたら読んでください〜。
いちなちその他イロイロ。
でわでわ。
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