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ロール・プレイ

1 名前:ローツ 投稿日:2002年08月13日(火)12時04分50秒
初めまして、ローツともうします。

何日か前にこのサイトを見つけすっかりはまってしまいました。
みなさんの小説を読んでいて自分も無性に書いてみたくなりました。
悪文ではありますが、良かったら読んでみてください。

基本はいしよしで、設定は中世ファンタジー風でいこうと思います。
2 名前:見知らぬ町にて 1 投稿日:2002年08月13日(火)12時07分50秒
私は見知らぬ町の入り口で一人佇んでいた。町の喧噪に何故かしら
不安な気持ちを覚えながら。
「こらーッ!! そこたち止らないッ!!」
今日何度目かの怒声にハッとして我に返る。
「す、すいません・・・」
怒鳴りつけた長身の女性が苦笑を浮かべて歩み寄ってくる。
「疲れてるのはわかるけど、はやく宿決めないと今日も野宿になっちゃうよ!」
・・・今日も、そうだ、私はここ数日間まともにベッドで寝ていない。
最初はまったく寝付けなかった。それでも、寝不足のダルさと固い
地面で寝ていたための全身の鈍い痛みにフラフラになりながら、
私は歩き続けていた。何日目かにして漸く寝付くことが出来た。
慣れた、と言うよりは、限界だった、と言った方が正しい。死んだよう
に眠っても全身の痛みはとれないが、それでも幾分かはマシに
なった。
3 名前:見知らぬ町にて 2 投稿日:2002年08月13日(火)12時10分15秒
「イシカワ、あんた何か考え事でもしてんの?」
すぐにフリーズしてしまう連れに諦めたような苦笑を向け、イイダが
言う。
「い、いえ、そういうわけじゃないんですけど・・・」
後ろめたさからか、それとも性格なのか、自然と語尾が小さくなる。
赤い鎧に身を包んだ長身の女性は、そんな彼女の連れにたいして
今日何度目かのセリフをつぶやく。
「慣れないことして疲れるのはわかるけど、こんなんじゃいつまで
たっても先進めないよ。」
さっきよりは幾分優しげな声で行ったイイダはもう一人の連れの方に
目をやる。黒いローブに全身を包んだ少女がこちらを見ている。
「ゴトウ、悪いけど先に宿とっといて。」
ゴトウと呼ばれた少女は軽く頷いてすたすたと先を歩いていく。
「すいません、もう大丈夫です。」
また迷惑をかけている、そう思うとどんどん気持ちがマイナスの方に
向かう。悪い癖である。 平謝りをして前を行くゴトウを追いかける。
(しょうがないな)
イイダは心の中でつぶやき頼りなさげな連れのあとをついていく。

4 名前:見知らぬ町にて 3 投稿日:2002年08月13日(火)12時11分08秒
「カオリ、ここでいい?」
ゴトウは遅れてやってきた連れの方を向いて尋ねる。
「ん、いいんじゃない?イシカワは?」
いいです、とだけ言って宿の方をぼーっと見つめる。宿というよりは
町の食堂といった佇まいで、二階に二部屋だけ客室がある。
「じゃあゴトウも今日は仕事いいから早めに休んじゃって。」
わかったと言ってそのまま階段を駆け上がり二階の奥の部屋に入る
音がした。どさっという音が下まで聞こえてきた。ゴトウがベッドに倒
れ込む音だ。
仕事というのは占いのことだ。大きめの町に着くといつも宿のすぐ隣
に店を出し、貴重な現金収入を得る。ゴトウの占いは非常によく当た
る。実際、このパーティーの生活費のほとんどをゴトウ一人で稼いで
いる。
5 名前:見知らぬ町にて 4 投稿日:2002年08月13日(火)12時12分01秒
「イシカワも早めに休んでおきなさい、あとでご飯に呼びに行くから。」
イイダはそう言うと商店街の方に消えていった。このパーティーの
リーダーであるイイダには町に着いてもやらなければいけないことが
山ほどあるのだ。悪いなとは思いながら、それでも久しぶりにベッド
で眠れると思うと階段をのぼる足も自然と軽くなる。
部屋に入ると、一番手前のベッドでゴトウがすやすやと寝息をたてて
いた。確かに久しぶりにベッドで眠れるということもある。が、この少
女の場合普段の野宿の時も変わらぬ早さで眠りにつく。この寝付きの良さだけは誰にもまね出来ない。
(かわいいなあ・・・)
しばらくその寝顔を眺め、自分も寝る準備にはいる。背中の弓とホル
スターを下ろし革製の胸当てを外す。それらを棚の上に置き、自分も
ゴトウの隣のベッドに倒れ込んだ。
6 名前:見知らぬ町にて 5 投稿日:2002年08月13日(火)12時12分46秒

しばらくして、ドアをノックする音がした。眠い目をこすりながら返事を
する。
「二人ともご飯食べに行くよ。」
用事を終えてきたイイダがドアの向こうから二人を呼ぶ。ゴトウは起
きる気配がない。この少女の寝起きの悪さを思い出し強めに体を揺
する。まだ起きない。軽く肩を叩いてみる。気づいたのか眠たそう目
をこする。が、またすぐに寝息をたてて静かになる。
「ゴトウさん、ご飯だって、行こうよ。」
年下のゴトウに対してもイシカワはさん付けで話す。自分が新参者
だということもあるが、そうではなくてもゴトウには自分を一歩引いた
態度にさせるような雰囲気がある。
「ゴトウさん、イイダさんが呼んでるよ。」
さっきよりも強めに体を揺すり、漸くゴトウは目を覚ました。
「んあ」
奇妙な返事を返して起き上がるとボーッとしながらドアの方に向か
う。
「あ、待って。」
自分もあわててそれを追いかける。
7 名前:見知らぬ町にて 6 投稿日:2002年08月13日(火)12時13分28秒
下に降りると、真ん中のテーブルでイイダがビールを飲んでいた。
「遅いよ、もう勝手に始めてたからね。」
そう言うイイダはもうすでに一杯空けているようだ。
「すいません。」
そう言ってイイダの隣の席に腰を下ろす。ゴトウは逆の席に座った。
「まあなんにしても、今日はお疲れさま。」
店の主人と思われる人が料理を抱えて運んできた。太めの麺料理
や肉や野菜をどろどろになるまで煮込んだシチューがテーブルの上
に並べられる。湯気を上げているシチューを見ると、自然と顔がゆる
んだ。ゴトウはすでに、麺をスープで煮込んだ料理をズルズルいわ
せて啜っている。どうやらこのかわいらしい少女は人の目というモノ
をまったく気にしないようだ。そう思いながら自分も食事に取りかか
る。イイダはこの二人の少女見て微笑み、三杯目に口を付ける。
黙々と食事が進む。昨日までは、前の町で買いだめしていたパンや
捕まえた野兎を火で焙ったものなどを食べていた。焚火を囲みなが
らのその食事も、やはり無言のことが多かった。
8 名前:見知らぬ町にて 7 投稿日:2002年08月13日(火)12時14分07秒
自分の村に偶々立ち寄ったイイダ達について旅をするようになって
ちょうど今日で十日目だった。それまで村から出ることがなかった自
分にとっては外の世界は何もかもが目新しかったが、旅慣れたイイ
ダ達はそんな自分にお構いなくひたすら歩き続けた。最初の夜は、
まったく眠ることが出来ないまま朝を迎えた。疲れきっている自分を
余所にイイダ達は次の日も歩き続ける。次の日も。またその次の日
も。何とか眠れるようになった後も、少しの物音でまた目を覚ましてし
まう。それは冒険者としては寧ろ正しいことなのかもしれない。イイダ
はいつも大きな木の幹に膝を立てて寄掛り、長い剣を抱いて眠って
いた。微かな物音にピクリと反応しまた眠りにつく。野宿をするとき
は、いつ周りから襲いかかられるかわからない。火を絶やすことは
絶対に出来ない。遠くから聞こえる獣の鳴き声にビクビクしながら熟
睡など出来るはずもない。何時でも何処でも熟睡可能なゴトウが
少々異常なのだ。
9 名前:見知らぬ町にて 8 投稿日:2002年08月13日(火)12時14分46秒
食事を終えまた部屋にもどった。イイダも支払いを済ませて後からつ
いてくる。一番奥のベッドに腰を下ろし、イイダは鎧を脱いで横にな
る。革を何枚も重ねた鎧の所々に鉄の板で補強がしてある実戦的な
作りだ。鎧を脱ぐと、細く締まった体に長い黒髪がかかる。色白な肌
と黒く湿ったような艶のある髪のコントラストが美しい。
(きれい・・・)
イイダに見とれ、ふと自分の方に目をやる。いかにも田舎の少女と
いった感じの地黒の肌と華奢な体には不釣り合いな胸が、全体とし
て幼さの残るイシカワに異なった印象をあたえている。
はぁ、と溜息をついて横になる。
10 名前:見知らぬ町にて 9 投稿日:2002年08月13日(火)12時15分33秒
目を瞑るといつも浮かぶのは、幼馴染みの少女の笑顔だ。
色は白いが、背が高く大きな丸い目をしたその少女は男の子のよう
だ。元気で、少々がさつで、屈託のない笑い声をあげる幼馴染みの
笑顔が自然と思い出される。
「ひとみちゃん・・・」
思わず呟き、あわてて周りを見回す。どうやら二人には聞かれてな
いようだとわかると、イシカワは再び目を瞑り、深い眠りについた。
11 名前:ローツ 投稿日:2002年08月13日(火)12時17分21秒

初投稿終了。緊張します。更新は不定期になってしまうと思いますが
これからもヨロシクお願いします。 
12 名前:皐月 投稿日:2002年08月13日(火)14時45分54秒
おおー!おもしろそうな予感・・。
がんばってください!
13 名前:ローツ 投稿日:2002年08月13日(火)16時02分51秒
皐月さんありがとうございます!そう言ってもらえると俄然やる気がでてきます。
今日中にもう一度更新しようかと思ってるんで良かったらまた来てください。
14 名前:次の日 1 投稿日:2002年08月13日(火)20時04分24秒

翌朝目を覚まし隣のベッドに目をやると、イイダはもう居なかった。
どうやら寝坊したらしい。反対側のべッドにも目をやる。ゴトウはまだ
熟睡中だ。
起きあがり軽く背筋を伸ばし、そういえばお風呂に入っていない
ことに気がついた。
お風呂に入ろうと立ち上がり、そういえばこの宿屋にはお風呂が無い
ことを思い出す。
下に降りて昼の営業の準備をしている主人に尋ねる。どうやらまだ
お昼前のようだ。外に出て路地裏を少し行ったところに大衆浴場が
あるらしい。
支度をしに部屋に戻るとゴトウはまだ熟睡中だった。誘おうかとも
思ったがなかなか起きそうにはないので一人で行くことにした。

お風呂にはいるのは何日ぶりだろう。町に着く途中に立ち寄った街
道沿いの宿屋で入ったきりだった。
ふと自分の服に目をやる。半袖膝丈のワンピース。気にしないように
していたが、やはりかなり汚れている。汗と埃で茶色がかった服を見
てまた少し落ち込む。
(あとで洗わなきゃ。)  
着替えは三着持ってきた。それが多かったのか
少なかったのかはイシカワには良くわからない。
モノは皆同じようなワンピースだ。

15 名前:次の日 2 投稿日:2002年08月13日(火)20時07分37秒

着替えを持って大衆浴場に向かった。初夏の陽気が心地よい。
少し迷いそうになりながら何とか浴場に辿り着く。先客が居るようだ。
見慣れた服が無造作に棚に置いてある。どうやらイイダも来ているら
しい。仲間と一緒にはいるのが少し恥ずかしかったが、服を脱ぎ浴
室にはいる。
中は蒸気で煙ってぼんやりとしている。お客は自分とイイダの他にも
何人かはいるらしいが良くわからない。かるく体を洗いお風呂にはい
る。お湯は少し熱かったが、まだ疲れの残る体にはちょうど良く、気
持ちがいい。
奥の方にイイダらしい影が見えた。そちらの方に近寄ってみる。影は
やはりイイダだった。

16 名前:次の日 3 投稿日:2002年08月13日(火)20時09分35秒
特別話すでもなく二人でゆっくりとお湯につかる。イイダは目を瞑っている。
しばらくしてこちらに気づいたらしい。
「あ、おはよう。ゴトウは?」
「おはようございます。ゴトウさんはよく寝てて起こすの可哀想だったんでそのままにしてきました。」
ゴトウの寝顔が目に浮かぶ。
「そっか、あいつもしょうがないな。」
肩をすくめ、再び目を瞑る。
またしばらくして、イイダは目を開けイシカワの方を見て
「今日は特訓するよ。」
とだけ言うとお風呂から上がった。
最初よくわからなかったが、自分のことだと気づいて少し緊張した。
イイダ追うように自分も上がる。
服を着替えて外に出る。お風呂の後なので少し熱かった。
イイダは外で待っててくれたらしい。
「あの、特訓って何ですか?」
歩きながら尋ねる。
「戦闘の特訓だよ。また固まられても困るしね。」

17 名前:次の日 4 投稿日:2002年08月13日(火)20時11分35秒
一度だけ、ここに来る途中に戦闘があった。実際には戦闘と言うほ
どのモノでも無かったのだが。
森の中で二,三頭の狼に囲まれた。一頭がイイダに飛び掛かった。
イイダは冷静に鞘で突く。軽くやったように見えたが、狼は吹っ飛ん
で木に激突し、他の狼もあわてて逃げ出した。あまりにもあっけない
出来事だった、はずである。
しかし、ふと気がづいたイイダが隣を見ると、ガクガク震え固まったま
まのイシカワが立っていた。
イイダは軽く頭をかかえ、少し力を込めてイシカワの背中を叩いた。
イシカワはそのまま前のめりなって倒れしばらく動かなかった。
しばらくして起き上がるとよほど恥ずかしかったのかイシカワは下を
向き完全に黙り込んでしまった。結局その日イシカワは一言もしゃべ
らずに俯きながらイイダ達の後をついてくるだけだった。
18 名前:次の日 5 投稿日:2002年08月13日(火)20時21分28秒
思い出すだけでも恥ずかしい失態。顔が真っ赤になるのがわかる。
(もしまたあんな風にみんなに迷惑かけたら・・・)
必要以上に思い詰めてしまい、俯きながらイイダの後をついていく。

宿に着くと、ゴトウがちょうど目覚めたとこだった。
風呂に行って来た様子の二人。完全に沈み込んでるイシカワが目にはいる。
いつものことだと思いイイダの方に目をやる。
何故か妙に楽しげである。
「ん?」
わけをイイダに尋ねる。
「今日からイシカワをミッチリしごくんだ。」
嬉々として答えるイイダ。今日『から』という言葉に固るイシカワ。
(ああ、そういうことか)
ゴトウは納得した。イシカワに少し同情する。
ゴトウも付き合うか、と聞かれたが仕事だと言って軽くいなした。
とばっちりを喰らうのはまっぴらだ。

午後になって、パーティーは二手に分かれた。
宿屋の横にいつもどうりに店を出すゴトウ。
なぜか楽しそうに町はずれの林に向かうイイダと、
そのイイダに半ば引きずられるように連れて行かれるイシカワ。
(あーあ、しーらない。)
視界の端に消えていくイイダ達を余所に、ゴトウは自分には関係ない
という感じで自分の仕事に取りかかった。
19 名前:次の日 6 投稿日:2002年08月13日(火)20時25分12秒
林についた。辺りには誰もいない。
さわやかな風が頬をくすぐる、眠くなるような初夏の午後だ。
イイダは気持ちよさそうに背筋を伸ばし、横で俯いている連れを見遣る。
「さて、まず何から始めよっか。」
独り言のようにイイダが呟く。僅かにビクつくイシカワ。
「イシカワはさあ、何がしたい?」
 部屋に帰りたい
思わず口から出かけ、あわてて飲み込む。
それを察したのか、そうでないのか
「んー、じゃあとりあえず、弓の練習でもしよっか。」
イシカワの顔に僅かに安堵の色が現れる。とりあえず、イイダから何される、
というわけではないらしい。

少し離れたところに立っている太めの木にイイダが剣で印を刻む。
どうやらこれを的にしろということらしい。イイダは指示を出すと、
横にあった切り株に腰を下ろした。
20 名前:次の日 7 投稿日:2002年08月13日(火)20時26分54秒


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21 名前:次の日 8 投稿日:2002年08月13日(火)20時31分17秒
何時間くらい経ったのだろうか。あまりにも長いのでイイダが寝てし
まったのかと思った。が、イイダは焦点が合ってるのかどうか怪しい
目つきでこちらの方を見ている。
(いつまでこれやるんだろう)
もう何度目かの疑問。しかし聞くことの出来ないままイシカワは練習
を続けていた。
的を狙って矢を射る→矢が無くなったら回収。その繰り返しである。

イシカワの弓の腕はそう悪くはない。少なくともド素人ではないことは
確かだ。

村にいたときから練習はしてきた。
よく近くの森で今と同じような感じで練習したものだ。そのときは大
抵、幼馴染みと一緒だったが。
(ヒトミちゃん、今頃どうしてるんだろ)
そんなことを考えながらひたすら矢を射続ける。

22 名前:次の日 9 投稿日:2002年08月13日(火)20時32分18秒
自然と浮かぶ幼馴染みの思い出。屈託のない笑みを浮かべた男の
子のような少女。
ヨシザワヒトミはイシカワの一コ下の幼馴染みで、イシカワのことを
「リカちゃん」と呼んでいた。村に女の子はこの二人だけだったので
二人はいつも一緒にいた。一緒にいると、年下のヨシザワの方がイ
シカワよりも年上のように見えた。寂しがり屋でいつも自分について
来るイシカワをヨシザワは妹のように思っていた。それはイシカワも
同じなのだが。


「イシカワ、もっと脇締めて!」
しばらく思い出にふけっていると、イイダが突然声を上げた。
(え?)
一瞬とまどう。確かに、いまさらである。が、それを聞くのは辞めとい
た方がいい気がした。
ハイ!と返事をし、多少イイダの方も気にしながら意識を的に集中さ
せる。

結局、その日の練習でイイダが喋ったのはそれだけだった。
日の暮れた頃になって練習を引き揚げた。これでいいのだろうかと思う反面、
予想していたよりかなり楽な練習にイシカワは安心した。
(でも“今日から”っていってたしなぁ)
イイダの言葉を思い出しまた少し不安になる。
(明日は何するんだろう)
23 名前:次の日 10 投稿日:2002年08月13日(火)20時34分52秒
宿に帰りつく。ゴトウはまだ仕事を続けていた。どうやら夕飯を食べ
てからも続けるらしい。
確かに、占いという商売は夜が稼ぎ時ではある。
「大丈夫?ゴトウさん疲れたんじゃない?」
心配して声をかけると
「んー、大丈夫だよ。」
何故か返事が鈍い。心配になってゴトウの顔を見る。
よく見ると顔の右半分が赤くなっていた。
(あ、寝てたんだ)
どうりで大丈夫なはずである。

その日は昨日より軽めの夕飯を食べて、イシカワはまた浴場に向かった。
イイダは「朝入ったからいいよ」と言い、仕事中のゴトウも誘ってみたが
「んー、後でいいや」と断られた。
仕方なく一人で浴場に向かう。浴場は宿から近いのだが、
暗くなっているのでまた迷いそうになる。
浴場はさすがに朝よりは混んではいたが、狭いというほどではなかった。
お湯は朝よりぬるくなっている。

24 名前:次の日 11 投稿日:2002年08月13日(火)20時37分53秒
ゆっくりとお湯につかりながら、今日の練習のことを考えてみる。
いったいイイダは何を意図しているのだろうか。
今日やったことはまさに基本中の基本である。村にいたときから練
習でとっくにマスターしていることである。まさか一から練習し直すつ
もりなんだろうか。イイダの考えがわからない。

だが、イシカワがメンバーの行動に疑問を感じるのは、何もこれが初
めてではない。
実際、このパーティーのメンバーは少し変わっている。
実力は確かである。それは間違いない。だが、どこか普通の冒険者
達と明らかに違う気がする。
そもそも旅の目的からして不明なのだ。
彼女たちは何の為に何処に向かっているのだろう。
自分が加わる前はいったい何をしていたのだろう。

その疑問は、だがまったく違う方へと矛先を移していく。
(ヒトミちゃんはどうして旅に出たんだろう)

幼馴染みのヒトミは、ある日「旅に出る」と言うと次の日には出発して
いた。あまりに突然だった。理由も行き先も聞く事が出来ないくらい
突然だった。
一ヶ月後、イシカワの方も、偶々村を通りかかったイイダ達について
旅に出た。理由は簡単だった。
 ヒトミちゃんに会いたい
25 名前:次の日 12 投稿日:2002年08月13日(火)20時39分56秒
ふと、辺りを見回すと、風呂場にはイシカワ一人だけだった。気づか
ぬうちに相当長湯をしていたらしい。
あわてて風呂から上がる。急に立ち上がった所為で少し眩暈がす
る。フラフラと脱衣場に向かい急いで服を着る。
(どうしよう、遅くなっちゃった!)
ふらつきながらだが、今度は迷わずに宿に辿り着いた。
音を立てないよう階段をのぼり部屋のドアを開けると、微かな寝息
が二つ聞こえた。二人はもう眠りについていた。結局ゴトウはお風呂
に入らず寝てしまったようだ 
(ちょっとくらい心配してくれてもいいのに・・・)
一人頬を膨らませ、イシカワもベッドに横になった。すぐに寝息は三
つに増える。  
26 名前:ローツ 投稿日:2002年08月13日(火)20時43分39秒
今日二度目の更新です。次の更新はたぶん2,3日あとになると思います。

そのうち吉澤の方の話も書こうと思います。
27 名前:皐月 投稿日:2002年08月14日(水)23時11分08秒
なんかおもしろいですね・・・。
更新楽しみに待ってます!
28 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月22日(木)13時46分43秒
んぉ。おもしろそうっすねー
がんがってください
29 名前:ローツ 投稿日:2002年08月22日(木)15時02分14秒
突然なんですけどこの作品を消そうと思います。
理由としては、考え無しに書き始めて話がまとまらなくなってきた、
ということと、受験勉強でどうしても時間が割けず定期的に更新するのは
不可能だということがわかったからです。
誠に勝手ではありますが、一度削除して時間が出来た時(おそらく来年度)
に再会しようと思います。

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