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新垣里沙の野望

1 名前：アポ。 投稿日：2002年08月22日(木)12時05分47秒

以前、ｽﾗﾝﾌﾟの末に放置…。
気付いたら消えてました。
読んでくださってた皆様、本当にごめんなさい。

今回は前回とテーマは似ていますが文章は違います。（？）
また読んでくださると光栄です。

では―――――。

2 名前：Ｉ　ＷＩＳＨ 投稿日：2002年08月22日(木)12時20分08秒

「つんくさん、私後藤さんみたいにソロをやりたいんですけど！」

新曲のレコーディングのあと、みんなが帰るのを待ってから新垣はつんくのところへ足を向けていた。
とんでもないお願いをきいてもらうために。

「ソロ…や…と？」
「はい。」

何かの書類をいじっていたつんくは振り向き、驚いた顔で新垣を見つめた。

「モーニング娘。はやめなくていいんです。
でもソロでやってみたいんです。」

つんくは苦笑いをした。

「あんなぁ新垣、お前はまだ入ってきたばっかやし、先輩に比べて
力もそんなついてないしなぁ、はっきり言って無理やで。」

「力…？」

「う〜ん。後藤がソロになったんわな、本人が希望したから、だけじゃない。
後藤はモーニングで充分力をつけたからや。
今の新垣はかなわん。もう少し待ってぇや。」

つんくは笑った。

「あ…そ…ですか。」

つんくは新垣の頭を撫でると、後ろを向いてまた書類をいじりだした。
新垣はつんくのいる部屋を出た。

3 名前：Ｉ　ＷＩＳＨ 投稿日：2002年08月22日(木)12時28分42秒

（そう…力…力･･･ちから？
今のあたしのどこに足りないものがあるってぇのよ！？
ふざけんじゃないわよロリコン男！
まぁ見てな！モー娘。はあたしだけで大丈夫なのよー！）

新垣の頭に最悪な計画が浮かんでいた。

（その名も、『ﾒﾝﾊﾞｰの力奪い取ろう計画』）


その日から新垣は歌の練習を頑張った。
ダンスも頑張った。自分を磨いた。

………じゃなかった。

4 名前：Ｉ　ＷＩＳＨ 投稿日：2002年08月22日(木)12時39分20秒

（みんなのｷｬﾗをあたしが全部できれば、ﾒﾝﾊﾞｰ全員の人気はあたしのもの…。
そうすればソロはあたしのものよォォォォォオォォォォ！
ほ〜っほっほっほっほ！ほ〜ほっほっほっほ！）

新垣の計画は、こうだった。

１　ﾒﾝﾊﾞｰ観察
２　その人のｷｬﾗに頑張ってなる
３　それを12人分やる
４　モー娘。は自分で成り立ってると証明する
５　ソロ

　
（サァッ頑張るﾜﾖ!!!)

新垣は自分の計画が正しいと信じて疑わなかった。

5 名前：名無しさん 投稿日：2002年08月22日(木)13時10分13秒

今、一番、旬なニィニィものですね(w
更新楽しみにしてます♪

6 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月22日(木)14時59分33秒

新垣の最初のターゲットは、おばちゃんこと保田圭。

今日は歌番組の撮影。
誰よりも早く楽屋に到着した新垣は、鞄からメモ帳を取り出す。

「保田ババァのｷｬﾗ」

○おばさん
○なにがなんでもおばさん
○21歳なのにおばさん

（ふふ…っ完ぺきね！計画はもう始まっているのよ！
娘。は私のものよ！！！！！！！！！！！！）

新垣が一人で笑っていると楽屋のドアが開いた。
「「「おはようございまーす」」
紺野と小川だ。

「おはよっ！まこっちゃん、あさみちゃん！」
「おは…………。」
「里沙ちゃん……？？？」
「てゆうか誰？」
「里沙ちゃん……？？？」

7 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月22日(木)15時27分20秒

「なぁに？どうしちゃったのよん！あたし達同期でしょッ！
顔も忘れたのぉ〜？」

「…だってそのカッコ…。」
「その頭はいかがなもんでしょう」

新垣はおばさんというものをまず形からなりきることにした。
その結果…

「その変なＴシャツはなに！？そのぴちぴちのぱつぱつのスパッツはなによ！？」
「そのパンチパーマはなんですか。雷さまをイメージしたのか、
それともパパイヤ鈴木ですか。
う〜ん、ダンス☆マンかもしれませんね。
よければ教えてください」

「うっさいわ！あたしがしたくてしてんだからお前ら黙っとき！」

小川と紺野はびくんと震えてから俯いた。

（ﾌﾌﾌ…おばちゃんは強し、おばちゃんは五月蝿い、
あたしおばちゃんになりきってる…ｳﾌﾌﾌﾌﾌﾌ……………………
完ぺきよ、完ぺきだわぁぁぁぁぁぁぁぁ！）

8 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月22日(木)15時28分26秒

「「おはよーございますぅ！」」

「きゃー！」
「へんな人がいるぅ！」

入るなり加護と高橋は泣き出した。

「ｵｲｵｲｵｲ。あんたら人の顔見て泣かないでよ。
高橋、びっくり顔で余計びっくりしないでよ。んもう、あたし困っちゃう！
あ、か・ごちゃん、今日も可愛いね♪…お世辞だけど。
きゃ〜あっへっほっひっはっは！）

（おばちゃんは馴れ馴れしい、おばちゃんは変な声で笑う、
あたしおばちゃんになりきってる…ｳﾌﾌﾌﾌﾌﾌ……………………
完ぺきよ、完ぺきだわぁぁぁぁぁぁぁぁ！）

9 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月22日(木)15時50分44秒

飯田と辻が手をつないで入ってくる。
「おはよー」
「おはようれす！」

「きゃ〜っ！！！」
辻は飯田の陰に隠れた。

安倍と矢口がおしゃべりをしながら入ってくる。

「「みんなおっはぁー！」」

「うわぁぁぁぁぁ！」
「な…なんだべさ！？うぎゃぁぁぁぁぁぁ！」
安倍と矢口は怯えて抱き合った。

「おはよ〜ふわぁぁぁ」
「おはよーございますっ！！！ハッピー！」
「う〜んＢＡＢＹ！今日も頑張ろう！」

「「「！？！？！？！？」」」

後藤はあくびをしながら新垣の姿を見たためアゴがはずれた。
石川はここぞとばかりに二人にしがみついた。
吉澤は久しぶりに男っぽくしてみたのにトラウマになった。

「みんなおはよう〜！」
最後に入ってきた保田は全てに驚いた。

俯き固まったままの小川と紺野。
まだ泣き止まない加護と高橋。
怯えてしゃべれない様子の辻と交信している飯田。
お尻を打ったらしき矢口と安倍。
アゴがもとにもどらない後藤。
「悲しすぎる！」と目薬をさす石川。
今にも叫びだしそうな吉澤。

そして何故かおばちゃんヘアの新垣。

「モーニング…娘。…？」

10 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月22日(木)16時07分29秒

保田はなんとか冷静になり、とりあえずマネージャーを呼んだ。
「なんだこりゃ！？」

もう保田とスタッフでどうにかするしかなかった。

保田はまず飯田を起こそうとした。
「カオリ？」
「ｶｵﾘﾉｾｲﾃﾞﾆｲｶﾞｷ…ｵﾊﾞﾁｬﾝ…ｷﾓｲ…ｺﾜｲ…ｿﾀﾞﾃｶﾀｶﾞﾏｽﾞｯﾀﾉｶｼﾗ…ｲﾔ…ガガガガ！ﾋﾟｰ！」
「ダメですなおりません！」

保田は次に石川を殴った。
「あんたわざとやってんじゃないわよ手伝いなさい！」
「え〜！あたし悲しすぎる！だからもう少しよっすぃーにくっついてるぅ！」
「ダメですわがままです」

（この二人はもうほっとけ…いつものことだし。）

後藤のアゴは力いっぱい押してなおった。
矢口と安倍は自分で立ち上がった。
小川と紺野はかろうじてなおった。
高橋と加護は無理矢理泣き止ませた。
辻にはお菓子をあげた。
吉澤は1回叫ばせた。

新垣はスタッフに違う部屋に連れていかれた。

11 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月22日(木)16時18分40秒

「アイドルがこんな髪型でいいんですか！？」
「随分強いパーマがかかってます！ストレートアイロンじゃどうにもなりません！」
「ストレートパーマは？」
「今からじゃ間に合いません！市販のじゃ全然ききません！」

「じゃあどうする？」

「新垣は風邪で欠席ってことにするか…。」

「ｲﾔ！なんで！？ちゃんとおるんやからやったるわアホ！」
おばちゃんといえば関西人のイメージが強い新垣は、つい関西弁を話していた。
「お前はアイドルなんだぞ！？そんなおばさんみたいな髪型でテレビに出たらどんなことになるか！」
「パンチパーマのどこがいけないんや！
誰がなんて言おうと仕事はせなあかん！それがアイドルやないんか！？」

「………。」
「……。」
「…。」
「じゃあ髪全部結んで大きい帽子かぶせて！早く！」
「はい！」

新垣のせいで慌ただしいスタジオだった。

12 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月27日(火)18時48分31秒

「ねぇ新垣、どうしてそんな髪型にしたの？」
「そぅよ。お洋服だって、新垣といえばルーズにホットパンツでしょ。」
収録は無事終わり、新垣には質問責め。
「…。」
「里沙ちゃん？」
「…。」
「なんで黙ってるのぉ？」
飯田が新垣の顔を覗きながら問う。
「………。」
「ちょっと新垣、なんとか言い…」
少しむっとした飯田を保田がとめる。
「カオリ。言いたくないのかもしれないし。」

（別に言いたくないワケやないねん。馬鹿らしいだけや！
何でこの髪型の良さがわからんのや！
付き合っとられんわこんな連中。早くソロにならんと！）

「じゃーもう矢口帰ろ〜っと。」
「あ、なっちもぉー。」
「じゃごとーも帰るわ。」

皆が次々に帰って行く中、保田は支度もしないで新垣の隣に座った。
「今日、暇？」
「…別に予定はないけんど。」
「ご飯食べにいかない？」
「ご飯？飯…。」
（ババァの行動観察するってのもいい感じねん♪
こんなのと食事すんの吐きそうやけど。）
「いいわ。付き合ってやる。」
「新垣…いつから関西弁になったのよ。」
（しかも偉そう）

13 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年08月27日(火)18時49分04秒

「おい、どこ行くん？」
店が見当たらないのでたまらず新垣がきいた。
「あっ。ここよ。」
「……。」
（普通さぁ中学生の女の子と食事ってさぁファミレスとかやん。）
「何この店。」
「雰囲気いいのよ。こんにちは〜！」
「あら圭ちゃん。いらっしゃい！」
（しかも常連かよ！）

「……居酒屋。」
「うん、あ、でも大丈夫。今日は新垣いるからお酒は飲まないようにする。」
（やっぱコイツぁ本物のおばちゃんだ。
でもこんな奴に負けへんわ！あたしも本物のおばちゃんになってやる！）

「飲んでええ。」
「…ん？」
「お酒。」
「本当？嬉し〜！新垣最高！おばちゃん！焼酎〜！」

保田は急に明るくなった。
新垣はニタリと笑った。
（ﾌﾌﾌ…。）

14 名前：名無し読者 投稿日：2002年08月31日(土)00時31分42秒

おもしろいっす！続きをきぼんぬです

15 名前：名無しさん 投稿日：2002年09月13日(金)19時44分58秒

過去ログ見ました｡メッチャおもしろいです｡がんばって下さい｡

16 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年09月14日(土)16時00分57秒

「うおぁ〜！もう一杯〜！」
「…てかそろそろやめた方が…。」

「うっせぇ！お前にあたしの気持ちがわかるかってんだよぉ！
まだ花の21歳なのにさぁ、おばちゃんおばちゃん言われてさぁ、
事務所に娘。やめろって言われてさぁ、…くぅ…」

（やっぱ自主脱退じゃなかったのねん♪）

「今日くらい飲ませろ！なんで…あたしがやめなきゃいけないんだ？
後藤はソロでやってけるだろおよ！あたしはどーすんだよ！
せっかく人気ワースト１から抜け出せたと思ったのにさぁ…。」

（抜け出した？抜け出したつもりなのか？）

「意味不明…保田以外に誰が？」

「…ﾌｯ。決まってんだろこのｺﾈ垣〜〜〜〜！！！！はっ！」

我にかえった保田の目の前に、ひきつった顔の新垣。

「ご…ごめんね！あたし酔っ払うとつい本音が出ちゃうのよ！」
（しかも本音かよ！）

「ゆ…許して、新垣！」

新垣は保田をキっと睨みつけてから、そばにあった焼酎をがぶ飲みした。

「に…新垣！？」
「ぶはぁ〜！おばちゃんて…ひっく…こんなのが…ひっく
好きなん…ひっくひっく…マッズ〜でもこれでニィニィも本物のおばちゃん…」

ばたんっ

17 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年09月14日(土)16時42分14秒

「…き！…餓鬼！…餓鬼！」

「ｺﾈ餓鬼っていうなぁ！！！！」

「あ、新垣、起きた、良かったぁ…でもｺﾈ餓鬼なんて誰も言ってないわよ。」
（う〜んトラウマ…。）

「ここ、あたしの家だから安心してね。」
（余計安心できねぇよ）

「そうだ、サブリーダーとして怒らなきゃ。
どうしてお酒を飲んだりなんかしたの？誰も見てなかったから良かったけど
誰か見てたら捕まるところだったのよ。」
保田が静かに言う。

「…だって、保田さんみたいにおばちゃんになりたかったんやもん…」
苦笑いする保田。

酔っ払っている新垣は、通常より少し素直な子供になっているらしい。

「まぁ…それは、それだけあたしを尊敬してるってことよね？
良い子ね、新垣ちゃん♪これから大物になるわよ♪あたしのお墨付きよ♪」

保田は新垣を見つめる。
瞬間、新垣の顔が青くなったのだが、保田は気付かず、
新垣を抱きしめた。

（うぷっ、吐き気が…）
「新垣〜♪今日はあたしの家にとまりなさいね〜♪」

１の失敗。保田のたくましい腕に抱かれたこと。
２の失敗。保田の素敵な笑顔を見てしまったこと。
酒は多分関係ないだろう。

18 名前：私がオバさんになっても 投稿日：2002年09月14日(土)16時42分57秒

新垣は吐きそうになるのを懸命にこらえ、保田の腕の中で項垂れる。
「これから、あたしのこと師匠って呼んでいいわよ♪」

（なんでもいいから早く離せ…死ぬ…死ぬぅぅぅぅぅぅぅ）
「し…師匠、トイレ借りていいっすか…。」
「ん？トイレ？いいわよ、そこよ。」

新垣は、保田が指差したドア目掛けて走った。
目にはうっすら涙が浮かぶ。

トイレ…トイレがにぃにぃを呼んでいる…！

ガチャッ。　ばたん。　ジャー。

「あらあら。もれそうだったのかな、新垣。」

トイレから出てきた後、新垣の体重が3キロ減っていたことを
保田は知らない。



〜翌日〜

「あ、里沙ちゃん服元にもどったんだ〜」
「髪もですね」
「てか里沙ちゃん痩せただか？なんかげっそりしとるよ〜」
同期３人が無邪気に笑う。

「なんでもないの…。」

昨日、新垣が学んだこと。《私はまだ若い》

19 名前：アポ。 投稿日：2002年09月14日(土)16時46分22秒

>>5　でも私のは、皆様のニィニィもののように感動できませんのであしからず。

>>14　ありがとうございます。保田編終了です。

>>15　過去ログ……。本当にすみませんでした。

20 名前：（　｀.∀´）ダメよ 投稿日：（　｀.∀´）ダメよ

（　｀.∀´）ダメよ

21 名前：通りすがり 投稿日：2002年10月12日(土)01時26分34秒

これ、なにげにすごい面白いです（笑）
頑張ってください！

22 名前：じろう 投稿日：2002年10月25日(金)15時25分09秒

楽しい

23 名前：りゅ〜ば 投稿日：2002年10月25日(金)17時58分30秒

今日はじめて発見したけどめっちゃおもろい！
ずっとﾜﾗﾃました。
続き期待