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いつまで経っても

1 名前:作者 投稿日:2002年09月08日(日)09時34分27秒
こんにちは。
作者です。
一応HNはあるんですが、
ここでは作者にしときます。

登場人物は石+吉+後ってかんじです。
年齢バラバラなんですけど・・・。

私が少しだけ体験したはなしとか・・・。
更新ははやいほうではないかもしれませんが
よろしくおねがいします。
2 名前:プロローグ 投稿日:2002年09月08日(日)09時37分19秒

ずっとずぅっと忘れないよ
絶対に

大切な
大切な

思い出だから


キラキラと
輝く


大切な宝物




3 名前:突然の転校生 投稿日:2002年09月08日(日)09時44分08秒
私、石川梨華。


小学校4年生。
幼なじみの女の子、吉澤ひとみちゃんと
同じ学校に行ってるの。
ちなみに同じクラスだったりするんだ。


―――
ん・・・。眠いなぁ・・。
もう朝?

もう秋だから寒いことや暑いこともなくていいんだけど。
朝は学校の登校班で行かなきゃいけないから
ひとみちゃんと一緒に行くことはできない。
なんかショック・・・。
幼稚園のころは、家がとなりどうしだったから
一緒に行けたんだろうけど・・・・・・。
ひとみちゃんは引越ししちゃった。
でも、学校はかわらないんだけどね。

4 名前:突然の転校生 投稿日:2002年09月08日(日)09時51分48秒
ガラガラ。
「おはよー。」
私の友達が話し掛けてくる。
「あ、おはよぉ。」
「なんか梨華ちゃん、眠そうだよ〜。」
「え?そんなことないよ〜。」
ちょっと眠いんだけどさ。

あ、ひとみちゃんだ。
「ひとみちゃん、おはよ。」
「おぉ、梨華ちゃんっ。おはよ。」
ひとみちゃんはいつも元気。
そこがいいとこなんだけど。
「ねぇねぇ、梨華ちゃん。今日、転校生がくるらしいよ。」
「えぇっ!?」
私の声はアニメ声だから、すぐにわかる。
普通の声なんだけどなぁ・・・。

えっ?でも転校生って?
だって今2学期の途中だよ?
変な時期だね。
「なんでひとみちゃん知ってるの?」
「なんかねー、さっき聞いたんだけど職員室に行く子を見たんだって。
お母さんと一緒に。」
あ、じゃあこのクラスかはわからないんじゃん。

「席につけー・・・・・。」
先生きたよ。
「じゃあね、ひとみちゃん。」
「うん。」

5 名前:突然の転校生 投稿日:2002年09月08日(日)09時58分52秒
「今日は、転校生が入るぞー。ほら、入って。」
え?ほんとにこのクラスなんだ。

あ・・・・・。可愛いー。
女の子だぁー。結構いいじゃん。
友達になりたいなぁ・・・・。
そんなことを考えてたらひとみちゃんと目があった。

あの目は『友達になろうね』っていってるっぽかった。
え?なんでわかるかって?
そりゃあ何年も一緒にいたもん。
テレパシーだよ。テレパシー。

「じゃあ、自己紹介して。」
「長野県からきた、後藤真希です。よろしくおねがいします。」

後藤真希ちゃんかぁ。
いい名前。

「じゃあ、後藤はそこの席について。」
「はーい。」
真希ちゃんは私とは少し離れた席に座った。
なーんだ、あんな遠くちゃすぐに行けないよぉ。
私やひとみちゃんが行く前に、みんなが集まっちゃう。
6 名前:突然の転校生 投稿日:2002年09月08日(日)10時05分49秒
先生は、今日のことを話してすぐに職員室に行った。
よしっ!
真希ちゃんのところへ行こうっ!

バタバタバタ・・・・・。
やっぱり・・・・・。
女の子の5,6人ぐらいは集まってきた。
でも、負けないもんっ!!
私とひとみちゃんもすぐに真希ちゃんのところへ行った。
みんな自己紹介をはじめる。

「私、石川梨華っていうの。よろしくね。」
「私は、吉澤ひとみ。よろしくっ。」
「うん。」

あ〜、やっぱりいい子だっ!
私とひとみちゃんはすごく仲がいい。
自分でいうけどね。
お母さんたちも仲がいい。

こうなったら真希ちゃんも一緒に『仲良し3人組』をつくろう!
「ひとみちゃん、ひとみちゃん。」
「ん?何、梨華ちゃん。」
「ねぇねぇ、真希ちゃんと仲良くなろっ。」
「うんっ!いいねぇ。仲良くなろうっ!。」
7 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月08日(日)10時13分28秒
そのあとは、いろいろ仲良くなろうと頑張った。
学校を案内したり、お話ししたり。
嬉しかったのは背の順だった。
だって、ひとみちゃん、大きいから私よりかなり後ろ。
だから話す人がいなかった。
でも、真希ちゃんが私の後ろにきてくれた。
すごく嬉しかった。

「真希ちゃん、背の順一緒でよかったね。」
「うん。あたし、嬉しーよ。」
「私もだよっ。」

「ねぇねぇ、真希ちゃんは何処に住んでるの?」
近くだったら一緒に帰れるよ。
「えーっとねぇ、あっち。」
真希ちゃんは指を指した。
「私と一緒だよ。じゃあ、一緒に帰ろうよ!」
「ほんと?!うんっ。帰る!」
真希ちゃんと一緒なのは嬉しかった。
でも帰り道も、ひとみちゃんとばらばらだったから少しさびしいな。
みんなで帰りたかったのに。
8 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月08日(日)10時30分18秒
それからは、毎日のように3人で遊んだ。
休み時間も遊んだ。
休み時間は、ほかの友達とも遊んだ。
すごく、すごく楽しくて。
幸せだった。

休み時間は、いろんな遊びをした。
よく外にでて、おにごっことか、かくれんぼ。
でも、一番遊んだのは、ターザンロープ。
4,5人の友達みんなで授業が終わったらすぐに
ターザンロープのところまで走る。
風みたいに、一気に全速力で走る。
私は、運動できなかったから遅かったんだけど・・・・。

休み時間はたくさん遊んだ。
遊んでばかりだった。
でも、子供の仕事は、遊ぶ事だしね。

9 名前:作者 投稿日:2002年09月08日(日)10時32分55秒
途中まで書きました。
なるべくはやく更新するようにします。
なんか駄目な文なんですけど・・・・。
考えていたら書きたくなってしまったのです。
それでは・・・。
10 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月08日(日)11時23分46秒
なんか可愛いですね(w
体験話ですか?
どんなのなんでしょう。頑張ってください
11 名前:とみこ 投稿日:2002年09月08日(日)19時27分58秒
ごっちん人気者ですねぇ^^
がんばってください!
12 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月09日(月)16時28分32秒
学校から帰ったあとも3人で遊んだ。
たくさん遊んだ。
暗くなるまで遊んだ。
毎日、毎日。

今日も、また遊ぶ予定だった。
予定なんてたてなくても遊ぶつもりだったんだけどね。
それで、いつもの公園に集合した。
家のすぐ近くだったから、すぐに行けた。
でも、ひとみちゃんが時間かかったけどね。
ひとみちゃんがくるまでは、真希ちゃんと2人で公園で遊んでた。

「あ、梨華ちゃん、梨華ちゃん、よっすぃ〜来たよ!」
真希ちゃんは、ひとみちゃんのことを『よっすぃ〜』ってよんでた。
私は、小さい頃から『ひとみちゃん』
でも、小学校に入ってほかの友達がつけたんだって。
ひとみちゃんは嬉しそうに言ってたことを覚えてる。

「梨華ちゃん、よっすぃ〜まだこっちに気付いてないからさ、隠れよっ!」
「うんっ!いいねぇ。ひとみちゃん、気付くかなぁ?」
「う〜ん。わかんない。でも、はやく隠れようよ。」
真希ちゃんは、いたずらっこのような目で私を見た。
ひとみちゃん、気づくかなぁ・・・・・・。
13 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月09日(月)16時43分03秒
私たちは、すぐに隠れようとした。
「梨華ちゃん、はやくはやく!」
でもやっぱり私は走るのが遅い。
「まってよぉ、真希ちゃん。」
真希ちゃん、はやいよぉ・・・。

バタッ!!

うっ・・・・。
私は、走ってたら転んだ。
私ってほんとにドジで、マヌケだね。
でも、痛いよぉ。
私は昔から泣き虫。すぐ泣くんだ。それでよく、小さい頃はからかわれた。
その度に、ひとみちゃんが助けてくれた。

そんな泣き虫な私だから、また泣きそうになった。
でも、我慢した。痛くて、痛くて泣きそうになったけど。
今まで、泣くの我慢してきたんだ。
だから私は、手に力を込めた。
あ・・・・・。大丈夫だ。泣かなかった。
それだけでも嬉しかった私。

「梨華ちゃん、大丈夫!?」
その後、すぐに真希ちゃんが、走って来てくれた。
ひとみちゃんも。

もう、隠れられないね。ごめんね、真希ちゃん。

そのあとは3人でいっぱい遊んだ。
私が泣きたくなかった理由はもう1つ。
だって、泣いたら遊ぶ時間が減っちゃうでしょ?
私は、すこしでも3人でいっぱい遊びたかった。
泣くよりも、遊んだほうが楽しいもん。
それに、遊んでたら、そんな痛みもすぐにふきとぶもん。
14 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月09日(月)17時03分04秒
いつものように、3人で公園で遊んでいた時だった。
夕方になって、そろそろ帰ろうとしたら真希ちゃんがこう言った。
「ねぇ、2人に話があるんだけど、聞いてくれる?」
いつもの真希ちゃんじゃない。
それはすぐに、ひとみちゃんもわかったみたい。
真希ちゃんはいつもの笑顔はなかった。
「もちろん、いいけど。真希ちゃん、どうしたの?」
「うん。話しがあるんなら、言ってよ。」




「あたし、好きな人が出来たんだ。」


「「えぇっっ!?」」


え?え??好きな・・・・人?
真希ちゃんは顔を真っ赤にしていった。

「どういうこと?」
私が、聞きたかったことをひとみちゃんが聞いてくれた。

「だ、だからぁ、そのまんまだよぉ。好きな人が出来たんだよぅ・・・。」
恥ずかしいんだから、あんまり言わせないでよぉ・・・。

「え?ほんとに?」
真希ちゃんは、小さく頷いた。
あ、ほんとなんだ。
別に信じてないわけじゃない。

ただ、私は「恋」というものを知らなかったから・・・。
それに、少し寂しかった。
15 名前:作者 投稿日:2002年09月09日(月)17時06分12秒
めずらしく、二日連続更新。
少しだけど・・・。
>10様
少し、体験話っす。
ちょっとほかのこととかありますが・・・。
>とみこ様
ありがとうございます。
頑張ります。
16 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)17時51分43秒
「ねぇ、だれ、だれ?」
ひとみちゃんは、目をキラキラさせて真希ちゃんに聞いた。
真希ちゃんは、さっきからずっと顔を真っ赤にして下を向いている。
やっぱり、恥ずかしいものなのかな?
でも、私も知りたい。
だから、私もひとみちゃんに負けないくらい目をキラキラさせて聞いてみた。

「私もしりたいな。真希ちゃん、ここまで言ったんだから教えてよぅ。」
「う・・・・・・。わかったよぅ、もともと言うつもりだったんだからねっ!」

やったぁ。

「あ、あのね、笑わないでね?」
「「もちろん。」」

なんで笑うの?
真希ちゃんが好きになったならそれでいいじゃん。
ね?

「・・・・・高野・・くん。」
真希ちゃんは、さっきよりももっとリンゴみたいに顔を赤くさせた。
高野君?
あぁ、あの高野君?
ふーん。私はべつに嫌いじゃないよ。いい子だよね?高野君。
あ、でも好きってわけじゃないよ。

「2人とも、絶対に言わないでね?」
「「うん。」」
17 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)18時24分33秒
なんか嬉しいかも。
だって、約束が出来た。
『遊ぼう』とかの約束じゃなくて。
『言わないで』の約束。
今まで、『言わないで』の約束は、悪口とか大したことじゃなかった。
真希ちゃんは、私たちを信じて言ってくれたんだ。
すごい、嬉しい。
こんなことで喜ぶのは、バカかもしれないけど。
嬉しかった。

ひとみちゃん、ひとみちゃんはわかってる?

「私、応援するねっ!!」
「あ、私も!私も!!」
「ホント!?嬉しいよ。ありがとう。よっすぃ〜、梨華ちゃん。
2人に話してよかったぁ。」
真希ちゃんは、もう真っ赤な顔なんかじゃなくて
いつもの可愛い顔だった。真っ赤な顔も可愛いけどね。
私は『約束』というものができて嬉しくて、嬉しくてしかたなかった。

「梨華ちゃん、ごっちん。もう、空が暗くなっちゃうよ。」
ひとみちゃんは真希ちゃんのことを『ごっちん』ってよんでる。
これも、学校での呼ばれ方。
私は、『ごっちん』ってつく前からよんでたから。
ひとみちゃんも最初、『真希ちゃん』だった。
でも、ひとみちゃんは『ごっちん』になった。
私はなんかよびづらかった。
18 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)18時34分11秒
空は、赤くなってた。さっきの真希ちゃんみたい。
でももうすぐ帰らなきゃ。
空が赤くなったのがその合図。
時計なんてみなくてもわかるから。

公園から途中までは、ひとみちゃんと一緒。
「ねぇ、梨華ちゃんびっくりした?」
真希ちゃんの話。
「うん。でもね、嬉しかった。」
「へ?なんで?」
ほんとにひとみちゃんは鈍感だね。前から。
でもそれが、ひとみちゃん。ひとみちゃんの鈍感は
これからもずっとかわらないと思う。ううん。かわってほしくない。

「だって、私たちのこと信じてくれたから、話してくれたんでしょ?」
「あ、そっか。それなら私も嬉しいな。」
「でしょぉ。」
「うん。」

ひとみちゃん、ひとみちゃんもなにかあったらちゃんと私たちに話してくれる?
私もなにかあったら、2人には話すからね?
2人のこと、大好きだから。信じてるから。


こうして、生まれて初めての『約束』が出来た日は終わった。
19 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)18時42分18秒
4年生も終わるころ。
桜ももうすぐ咲くんじゃないかなって思う。
もうすぐ、5年生。
五年生になったら、クラスがかわる。
『キスウ』だからだって。
『キスウ』ってゆうのはなんだかよくわからないけど。
そのうちわかるよ。きっと。

4年生の先生、松島先生も結構好きなほうの先生だった。
ウワサで聞くと、今年からどっか別の小学校に行くらしい。
少し、胸がキュウッってなった。

そんなこともあって、クラスの女の子みんなで
終業式の日に花束を贈ることにした。
やっぱりいつもの3人で、一緒に買いにいくことになった。

20 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)18時49分44秒
「おーい!」
「あ、ひとみちゃん、来たよ。真希ちゃん。」
やっぱり、いつもの公園で待ち合わせ。
真希ちゃんは、ブランコにのってた。
「ごめんごめん。」
「だいじょーぶだよ。よっすぃ〜。3人集まったし、花屋さんへ行こっ!」

花屋さんかぁ・・・・・・。
私がよく行く花屋さんはいつも、お母さんと車で行ってたから道は知らない。
「あたし、花屋さん知ってるから。すぐ近くにあるんだよ。」

どういうとこなんだろう。
この近く?

21 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)19時00分48秒
「着いたぁっ!ここだよ。」
真希ちゃんが指を指した先には、普通の家と同じくらいの
可愛らしいお店があった。
「可愛いお店だね。」
「そーでしょぉ?いいとこなんだよ。ここ。お店の人もいい人なの。」

「ごっちん、梨華ちゃん早く中にはいろーよ。」
「あ、そだね。」

「こんにちはー!」
真希ちゃんは、がらがらとドアを開けて大きくあいさつした。
待ってよぅ、真希ちゃん。

「あっれー?真希ぃ。久しぶりだねぇ。ん?友達?」
「そうだよー。あたしの大切なお友達ぃー。」
真希ちゃんは、いつもの笑顔でたぶん店の人と喋ってる。

「ねぇ、梨華ちゃん。あの人が店の人かなぁ?」
「そうでしょ。かわいー人だね。」
「そりゃ、かわいーけどさぁ・・・・・。」
たぶん、ひとみちゃんは同じこと考えてる。

「「ちっちゃい人だねぇ。」」
22 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)19時13分00秒
そりゃあさ、私たちよりはある程度大きいよ?
でもさ、ちっちゃくない?

「そうだっ!この人、矢口真里さんってゆーんだよ。」
「なになに?真希の友達?よろしくねっ!」
なんか、いい人っぽい。

「あの・・・・ちっちゃいですよね。」
ひとみちゃんが私が言おうとしたことを言った。さすがだね。
これもテレパシー?
「あっ・・・。よっすぃ〜、それは・・・。」
・・・?なんかあるわけ?
「・・・・どーせヤグチはちっちゃいよ。」
怒ってるの?
「やぐっつぁん、気にしてるからあんまり言わないでね。2人とも。」
「「うん・・・。」」
「あの、やぐちさん・・・。ごめんなさい。」
ひとみちゃんは謝った。私も心の中で謝らなきゃ。ごめんなさい。
「いーよ。いーよ。別にさ。もう慣れたし。」

でも、ほんとにかわいー。
くりくりした目とか。
少し小さめの顔とか。
ちょっと高めの声とか。
それで、金髪。
笑った顔もかわいー。
年上って感じしないよね。
きれいじゃなくて可愛いなんだよ。
うん。

ほんとにかわいー人。

23 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月15日(日)19時27分54秒
「それで、真希たちはなんか買うの?」
「うん。先生に花束贈るんだ〜。」
やぐちさんは、イスに座った。
そのあと私たちに、『座って』って目で言った。
やぐちさんは、私たちが座ったあとに、紅茶をもってきてくれた。

「だいたいねぇ、2000円くらいのがいいんだ。」
「よしっ!このヤグチ様に任せなさいっ!!」
やぐちさんは、胸をはって言った。

それで、やぐちさんはせっせと花束を3種類つくってくれた。
「ほら。3種類ばらばらの方がいいでしょ?」
「うんっ!わぁっ、さすがやぐっつぁん。」

「やっぱりぃ?」
やぐちさんは、可愛らしい笑顔でそういった。
「ってことで、2000円だよ。」
「はーい。」

「それじゃあねー!やぐっつぁんっ!」
「うん。また来てねー!ふたりも。」
「「はーい。」」

きれいな花束。
上手だなぁ。

「きれいな花束だね。」
「そーでしょ?やぐっつぁん、上手いんだよ。」
「うん。ほんとに上手いよ。」

きれいなきれいな花束だった。
まるで、やぐちさんの笑顔みたいだった。
24 名前:作者 投稿日:2002年09月15日(日)19時29分22秒
久しぶりの更新です。
なんか内容のペース遅いでしょうか・・・?
25 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月21日(土)08時21分58秒
今日は終業式の日。
これで、このクラスともお別れなんだ。
やっぱり寂しいよ。
そりゃ、クラスはバラバラでも学校で会えるけどさ・・・・。
同じクラスだから話せる友達もいる。
ひとみちゃんがいるから話せる友達はいっぱいいる。
でも今日でそれも終わり。
先生も、ほかの学校へ行っちゃう。
花束も忘れてないし、大丈夫。
準備万端。


「梨華ちゃん、おはよ!」
「おはようれす。」
関西からちょっと前に来た関西弁の加護ちゃんと
笑った時に八重歯が見えて舌足らずに喋るののちゃん。
登校班の友達。2人とも仲良しで、すっごく可愛いんだ。
「おはよー。ののちゃん、加護ちゃん。」
「あれー?梨華ちゃん、何持ってるん?」
「お花れす!もう終業式れすよ?今から教室に
お花持ってても意味ないれす。」
「そういうんじゃないよ。あのね、先生にあげるの。」
「「先生(れすか)?」」
「そ。『先生に今までお世話になりましたー』って」
「へー。」
「きれーなお花れす。」
「でしょー?店の人にやってもらったんだぁー。」
「すごいのれす!!」
「でも、ののちゃん、店の人やで?当たり前やろ。」
相変わらずだね。でも、そこがいいとこなんだけどさ。
26 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月21日(土)08時31分07秒
「もう、時間やで!最後の日に遅刻なんていやや!」
「そうれす!ののも遅刻はいやなのれす。怒られるのれす!!」
私だってはやく学校に行きたいよ。だって、2人ともいるもんね。


「おはよー!」
「あ、梨華ちゃんっ!」
ほら、もう真希ちゃんもひとみちゃんも学校にきてる。
ほかの女の子たちも花束をもってる。
楽しみ。どんな反応してくれるんだろ?先生。


「ねぇっ!先生来たよー!!」
同じクラスの絢ちゃんが走って来た。
「楽しみだね。」
私はとなりにいる真希ちゃんとひとみちゃんに話しかけた。
「「うんっ」」
「どんな反応するかなぁ?」
「感動して泣いちゃったりして」

ドアの近くにみんながあつまる。
もうすぐ、先生がくるんだ。

ガラガラ・・・・・・。
「「「「「「「「「「「「「先生、ありがとぉー!!」」」」」」」」」」」」


27 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月21日(土)08時57分45秒

「先生、感謝の気持ちですっ。」
ひとみちゃんが言った。
ひとみちゃんはどんなときでもしっかりしてる。

「みんな・・・ありがとう」
先生は笑顔で言った。
私はひとみちゃんと真希ちゃんと目があって笑った。
『よかったね』って。
先生は嬉しそう。よかったぁ、花束あげて。


「先生にあげてよかったね。花束。」
朝の会が終わって、ひとみちゃんの最初の言葉。
「そうだねぇ。」と、真希ちゃん


「今日さー、ウチのお母さんがね、よっすぃ〜ん家と、梨華ちゃん家のみんなで
ご飯食べよって言ってたよ。」
真希ちゃんの家族とひとみちゃんの家族、それから私の家族は
親も仲がいい。そのほうがいいけど。

「ほんとっ!?きっと夜、遊べるね。」
ひとみちゃんが笑いながら言った。
みんなで食事をする日は、夜も遊べるから私も好き。
親は親で喋ってる。
「じゃあ、お母さんに言っとくね。」
「うん。頼んだよ、二人とも。」


28 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月21日(土)09時04分29秒
そして、楽しみに待っていた・・・夜。
今日はずっと起きてよ。この前は、寝ちゃったから。
私は食事の準備をしてるときに気付いた。
あれ・・・?<アレ>どこにあるんだっけぇ?
<アレ>はたしか机の中に入れたはず。


あったぁ!最近つかってない、プロフィール帳。
まだ、真希ちゃんに書いてもらってない気がする。
私の目標はこのプロフィール帳をいっぱいにすること。
そうすれば、いっぱい友達ができるもんね。


「梨華ー!行くよー!」
お母さんの声がリビングから聞こえる。
廊下で言ったから、よく響いた。

「うん。今行くー!!」


「ひとみちゃん!」
「おぉ!梨華ちゃんっ!!」
店の前にいたのはひとみちゃん。
と、いうことは。
「真希ちゃんはまだなの?」
「ごっちんは、まだ。」
「そっか。」


29 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月21日(土)09時13分10秒
ひとみちゃんと話してて少し経った後。
あれ?あの車は・・・。
「ねぇ、ひとみちゃん、あの車、真希ちゃんの家のじゃない?」
間違いない。今まで何回か乗せてもらったことのある車。
「ホントだ!ごっちん来たね。」
「おかーさぁーん!」
「ごっちんきたよぉー!!」


ここはいつもくるレストラン。
たくさんメニューがあって私は好き。いいところだと思う。
「梨華ちゃん、決まった?」
となりに座ってる真希ちゃんが小さな声で聞いてきた。
「うん。私はねぇ、ドリア。真希ちゃんは?」
「あたし?まだ決まってない。よっすぃ〜は?」
「ふぇ?あのね、ハンバーグ食べたいなぁって思ってさ。」


ウェイトレスの人に頼んで少しして、お母さんたちはまた喋りだした。
「ねぇ、真希ちゃん。」
「なぁに?梨華ちゃん。」
「これ、書いてほしいんだけどぉ・・・。」
私はプロフィール帳の紙とシャーペンを出した。
「うん、いいよ。ちょっとまってね。」

「あれ?あれってもうちょっと前のでしょ?」
ひとみちゃんが真希ちゃんに渡した紙を見て言った。
「うん。あと少しで、全部終わりそうなんだ。」
「へぇ。すごいじゃん。」
30 名前:楽しい毎日 投稿日:2002年09月21日(土)09時24分35秒

「はいっ!できましたぁ!」
真希ちゃんは、プロフィール帳を私に差し出した。
「ありがとね。」
「いいって。あたしたち、友達でしょ?」
「うん!そだね。」

真希ちゃんが書いたプロフィール帳を少し見る。
誕生日、趣味、好きな色、好きなこと全部書いてくれた。
好きな・・・・人。
『梨華ちゃん、しってるもんね。』そう書いてあった。
うん、しってるよ。高野くんでしょ?

将来の夢。
『歌手』
真希ちゃんは歌手になりたいんだぁ。私はダメだね。音痴だもん。
『ひみつにしてね。よっすぃ〜ならいいけど』小さい文字で下に書いてあった。
そりゃあ、もちろん言われたらちゃんと秘密にするよ。
応援もするからね?真希ちゃん。

最後に一言。
『5年生になってクラスがべつべつになってもいっしょに帰ろーねっ!』
そんなのもちろんいいにきまってるじゃん。
約束だよ?真希ちゃん。
31 名前:別れ道 投稿日:2002年09月21日(土)09時27分22秒


大丈夫だよね?
どんなにはなれていても



気持ちは一緒だよね?
遠くにはなれていても


友達・・・?



32 名前:作者 投稿日:2002年09月21日(土)09時59分08秒
更新しました。

33 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)14時30分38秒
桜が咲きはじめた頃から少し経った。
もうちょっと前は、『咲くんじゃないかな』って思ってたのに。
時間が過ぎるのは、あっというま。
だから、4年生もあっという間だった。


春休み。
いっぱい遊んだ。
いっぱい話した。
いっぱい笑った。
いっぱい思い出も出来た。


今日から5年生。
クラスがかわる日。
2年間一緒だったクラスのみんなともお別れ。
4年間一緒だった子も中にはいるけど。


それでも、かわらないものってあるのかな?
それは、なんだろ?
思い出かなぁ。
やっぱり、友達?

5年生になって少しかわった登校班。
6年生だった班の友達は、中学生になった。
集合場所に集まるときに中学生になった
その人に会って、『似合わな〜い!』って加護ちゃんと、ののちゃんと笑った。
それと入れ違いに、新しく1年生がはいってきた。
34 名前:いつまで経っても 投稿日:2002年10月02日(水)14時36分50秒
1年生にはまだ、ランドセルが重たくて大きいらしく大変そうだった。
私も、最初はあんなのだったのかな?
そう思うと、今は大きくなったなぁって感じた。


加護ちゃんとののちゃんも1つ学年があがるのに
大して春休み前とかわらなかった。


学校につくと、紙が張り出されてあるみたいで、みんなが集まっていた。
たぶん、クラスがえの紙。
少し、見るのが怖かった。
だって、ひとみちゃんや真希ちゃんと別れちゃうかもしれない。

あぁぁっ!
梨華の意気地なしっ!!

いっつもそうだ。
3年生になるときも怖くて、あまり見れなかった。
結局、ひとみちゃんと同じクラスになったことがわかってから
クラスの紙を見たっけ。



35 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)14時43分35秒
いろいろなことを考えながら、クラスが書かれた紙から
少し離れたところに私は紙を見れずにいた。


「「梨華ちゃ〜んっ!」」
・・・・・・・。あっ!真希ちゃんにひとみちゃん。

「真希ちゃん、ひとみちゃん。」
ぼーっとしてたら、返事するのが遅れた。
「どぉしたの?梨華ちゃん?」
ひとみちゃんが不思議そうな顔で、私を見てくる。
それは、真希ちゃんも同じ。
「ううん。ごめん、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ。」
「まだ、あたしもよっすぃ〜も見てないんだぁ。紙。一緒にいこ。」
そうか。二人もまだみてないんだ。
ちょっと怖いけど一人で見るよりは、いい。

「うん。そうだね。はやく見に行こうよ」

36 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)14時51分11秒



うそ・・・・・・・・。


私は一瞬『自分の目が、変になってるのかも・・・』とまで考えてしまった。

最悪な結果・・・・。



みんな、ばらばら。




やだよ、そんなの。そんなのやだ。
受け止めなくちゃ、いけないの?


いつのまにか、目の前がゆがんできた。
泣きそう・・・・。


がまん、しなきゃだね。
こんなところで泣いたら、恥ずかしいよ。


ひとみちゃんや、真希ちゃんの顔もまともに見れなかった。
ショックだった。
なんか、谷から落とされた気分だった。


それでも、まわりの人は、『よかったねぇ』とか『げぇ、このクラスぅ?』とか
人それぞれ、反応はさまざまだった。
私は『げぇ、このクラスぅ?』ってゆう反応に近いのかもしれない。
声も、でないほどにショックだったけど。

37 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)15時02分32秒
それでも、ちゃんと受け止めなきゃ、いけない。
そう思った、私。
ひとみちゃんや、真希ちゃんは?


「みんな・・・・ばらばらだね・・・。」
さっきのあの、ヒドい紙から離れたところにきて、最初の一言。
最初の、言葉はひとみちゃんからだった。
「でっ、でもさっ、一生会えないってわけじゃないんだから
休み時間とか、放課後とかまた一緒に3人で、遊ぼうよ!」
真希ちゃんは、無理矢理っぽく笑顔をつくる。にせものの笑顔。
こうなったらしょうがないじゃん。
そうだよね。真希ちゃんは、転校してきた。
真希ちゃんは、私よりもっと寂しい想いをして、こっちにきたんだ。
クラスが違うだけなんて、きっと大したことじゃ、ないんだ。

「そうだよっ!また、3人であそぼっ!」
私も、笑顔をつくる。
「うんっ!!クラスがばらばらなんて、大した事じゃないしねっ。」
ひとみちゃんも自然と笑顔になる。


「クラスが、別れてもいっぱいあそぼーねっ。
ずっと仲よしでいよーねっ。」



真希ちゃんは、そう言った。
きれいな、笑顔で。

「「うんっ!」」

もちろん、そのあとまた3人で『約束』をしました。
38 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)15時08分48秒
クラスがばらばらになって、一週間。
そろそろ桜も散りはじめた。


クラスがかわって、やっと新しい友だちもできた。
それは、ひとみちゃんも、真希ちゃんもいっしょだった。
まぁ、ひとみちゃんはもとから友だちが多いから、全然平気そう。
真希ちゃんは、知らない人とかもいたりして、最初は大変そうだったけど
すぐに、クラスに慣れていった。
私も、これでも頑張った。
いままでずっと一緒だったひとみちゃんと別れて、まずは後ろの席の子と
話すようになって、次は前の子。だんだん、友だちも増えてきた。
ひとみちゃんほどではないけど。
どうやら、プロフィール帳も完成しそう。

39 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)15時18分08秒
学校が終わると、3人で校庭で遊んで夕方になったら
真希ちゃんといっしょに帰る。それだけは、かわらない。
廊下で会って、話すこともあったけど。
放課後のために学校に行く時だってあった。
それほど大切な、時間だったんだ。


「じゃ、また明日ね〜!」
「ばいば〜い、よっすぃ〜!」
「じゃあね〜、梨華ちゃん、ごっち〜ん!」


「今日も楽しかったねぇ。」
「うん。また明日も、あそぼうね。」
「もちろんっ。」
3人でなら、どんな遊びをしても楽しい。
たとえ、どんなバカみたいなことでも、3人でやればすっごく楽しい。
これが、『親友』ってゆうのかなぁ?

「ねぇ、梨華ちゃん、あたしたちもこれからもずっといっしょに帰ろうね。」
「もちろんだよっ!」
こんどは、2人だけの『約束』
ひとみちゃんには悪いけどね。

40 名前:別れ道 投稿日:2002年10月02日(水)15時40分07秒
クラスがかわってそろそろ3ヶ月。
桜なんかもうなくなりました。


このころからだね。ある変化がおとずれるようになったのは。

クラスはいつもとかわらない。
私は、やっと仲良くなった友だち、藤本美貴ちゃんとよく喋る。



かわったのは、1番楽しみにしていた、放課後。
遊ばなくなっちゃったの。



かわったのは真希ちゃん。


真希ちゃんは、クラスで松浦亜弥ちゃんたちと仲良くしてる。
私から見る、松浦亜弥ちゃんは少し、こわいの。苦手ってゆうのかな?
その、松浦亜弥ちゃんも、帰り道が、真希ちゃんや、私と一緒。
と、いうことで、真希ちゃんと一緒に帰れないんだ。
だって、松浦亜弥ちゃんと帰ってるから。

でも、相変わらずひとみちゃんとは、休みの日はときどき遊んだりするし
廊下でもよく話す。ひとみちゃんとは、まだ仲がいいんだ。
41 名前:作者 投稿日:2002年10月02日(水)15時41分23秒
更新です。
42 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月03日(木)21時03分31秒
(・∀・)イイです!
年甲斐も無く幼き日々を思い出してしまった(w
43 名前:別れ道 投稿日:2002年10月06日(日)11時07分47秒
真希ちゃんと喋らなくなって、3日。
今まで真希ちゃんと3日も話さないなんてことは、なかった。
でも、これからは、これが普通になっていくのかな?
このことに慣れていかなくちゃ、いけないのかな?




ほんとは、寂しいよ。
お願いだから、おいてかないで。
このまえ、約束したよね?
『これからもずっといっしょに帰ろうね』って。
このまえの約束は、ウソだったの?


ひとみちゃんも、そのことには気付きはじめたみたい。
ひとみちゃんも、真希ちゃんとしゃべってないって。
44 名前:別れ道 投稿日:2002年10月06日(日)11時15分37秒
2学期。
夏休みも一度も真希ちゃんと遊ばなかった。
ひとみちゃんとは、たくさん遊んだ。


ある、事件がおきた。
聞いた話では、お菓子、だって。
この学年のなかの誰かが、学校にお菓子をもってきて、食べたらしい。

私じゃないよ。
でも、なんとなく、誰がやったのかがわかる。





たぶん。
真希ちゃんたち。




真希ちゃんたちは、どんどん悪いことをしてたから。
学校にお菓子もってきたり、授業中、教科書をたてて
マンガを読んだりしてることを、ウワサで聞いた事がある。


それも、何回も。

最初は、信じたくなかったよ。
信じてなかったもん。
でも、ほんとみたい。

45 名前:別れ道 投稿日:2002年10月06日(日)11時26分40秒
そんな事件もすぐに話さなくなり、1週間がたった。
ひとみちゃんは、先生とも仲良くなった。
楽しそうだった。
羨ましかったのかな?


ひとみちゃんの、いいところ。
誰とでも、仲良くできる。


ものすごく、羨ましかった。



「梨華ちゃ〜んっ!!」
ひとみちゃんの声。
だんだん近くなってきた・・・・。
「なに?ひとみちゃん。」
「あのさっ、明日学校休みでしょ?
だからさ、クラスの子と遊ぶんだけど、梨華ちゃんも遊ばない?
ほら、梨華ちゃんも友だちつくるの、チャンスだよ。」
ありがとね、ひとみちゃん。
小学校にはいって少したったあとに
友だちと遊んでいたひとみちゃんに言った言葉がある。
―――
『私ね、あんまり友だちつくるのひとみちゃんみたいに、上手じゃないの。
だからね、友だち、少ないんだぁ。どうしたらいいのかな?』
『梨華ちゃん?それなら、私の友だち、梨華ちゃんに紹介してあげるっ!』
『ほんと?』
『うんっ!』
46 名前:別れ道 投稿日:2002年10月06日(日)12時23分57秒
ひとみちゃん、覚えてくれてるのかな?
「ひとみちゃんの友だちは、私が行ってもいいの?」
「うん。その子も友だちつくりたいみたいだしさ。ね?行こうよ。」
「わかった。ありがとね、ひとみちゃん。」
「全然平気だよ。じゃ、明日梨華ちゃんちに迎えにいくから。」
「うん。」



・・・・・はぁ。
まただ。
また、ひとみちゃんに友だちつくってもらうんだ。
どうしても、自分から話せない。
こんな私、嫌いだ。大嫌い。
私も、もうすこし、成長しないといつになってもひとみちゃんがいないと
生きていけない人間になっちゃう。
それだけは、ヤダ。


ひとみちゃん、やさしいもんね。

47 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月06日(日)12時28分07秒




ずっとずっと
かわらないってことは



ないのかな?





少しづつ
少しづつ
かわっていくの?



気付かぬうちに



できるなら
前みたいに




神サマは
イジワルだね




48 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月06日(日)12時36分07秒
春がきた。
桜が咲いた、春。


私は、6年生。
とうとう、最上級生になったんだ。



もう、何ヶ月も真希ちゃんとは喋って、ない。
どのくらい、喋ってないんだろう?
どのくらい、3人で笑ってないんだろう?
どのくらい、一緒に帰ってないんだろう?




真希ちゃんが、『約束』をやぶって、どのくらい、経ったっけ?



そんなの、覚えてないし、覚えたくもない。
その前に、真希ちゃんと今、友だちかどうかもわからない。



真希ちゃんは、どう思ってるんだろう?
私は、真希ちゃんじゃないから、そんなのわからないけど、知りたい。


6年生になって、私はあることに、夢中になっていた。


それは、『死ね』のマーク。

マークっていうのかな?
指で、親指を下にむけるヤツ。
誰もが、1度はやったことのある、あの印。


ときどき、ジョーダンでやったりした。
けっこう、楽しかったから。
49 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月06日(日)12時42分05秒
いろいろな人にやった。
先生とか、友だち。


みんな、みんな、嫌いな人ばっかだったけど。
でも、本人の前でなんか、やんなかった。
相手が後ろをむいてるときとかだけ。



私が、臆病者だったから。



また、今日も先生にやった。
その嫌いな先生が、後ろをむいたときに、やった。
『死ね』って。
となりには、美貴ちゃんがいた。
美貴ちゃんも、笑ってた。
『ヒドイ』なんて、全然考えずに―――




放課後、最近は途中まで、美貴ちゃんと帰るのが普通になってきた。
「美貴ちゃん、帰ろ。」
「うん、いーよ。」
50 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月06日(日)12時48分38秒
学校の門からちょうどでるところで、立っていた人がいる。




松浦亜弥―――
あと一人、一緒にいた人がいるんだけど、名前、忘れちゃった。



ちょっと、『怖い』と思ったけど、そのまま、通ればいいと考えてた。
そのときだった。




「ちょっと」





へ・・・・・・?
松浦亜弥は、私に話し掛けてきた。



私・・・・・・?



「・・・・なに?」
怖くて、声が一瞬でなかったけど、すぐにでた。
「お前、なにあたしに『死ね』とかいってんの?」
はい・・・?
美貴ちゃんも、わけがわからないふうに固まっていた。
私、松浦亜弥になんてやってないよ?
勘違いじゃない?
51 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月06日(日)13時00分03秒
「あたし、アンタになんかしたっけ?」
「え?」
わけがわからない。
私、あなたになんかやってないよ。


「だから、今日あんた、あたしにむかって『死ね』ってやったでしょ!?」
キレぎみに松浦さんはいう。



今日のことを考えてみる。
えっと今日、『死ね』ってやったのは、あの先生だけ。
じゃあ、勘違いしてるわけ?
この、目の前の松浦さんは?



「あのぉ・・・・。」
「なに!?」
怒ってるのかな?

「私、ほかの人にやったんですけど・・・・。」
同級生なのに、つい怖くて敬語になる。

信じてくれるかな?

「じゃあ、誰にやったっていうの!?」
「えっと・・・・」
ここで、言うわけ?別に先生の名前は言ってもいいけどここじゃ、困る。
だって、学校の門の前だよ。
さっきから、ときどき先生も通る。



「ねぇ、もういいじゃん。」
松浦さんの隣にいた友だちが言った。
あ、いい人じゃん。
「だって、教えてくれないじゃん。」
それでも松浦さんは、諦めない。
「いいじゃん。『あややじゃない』っていってんだからさ。」
「・・・・・わかったよ。帰ろ。」
ようやく諦めてくれたのか、二人は、帰っていく。
52 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月06日(日)13時01分04秒


「いいっ!?これ以上、あたしになんか言ったら容赦しないからね!?」




最後に一言だけ、残して。

53 名前:作者 投稿日:2002年10月06日(日)13時09分14秒
これ、マジに体験話。
超、怖かった。
ホントに。
敬語だったし。
でも、ホントに先生にやったんです・・・・。
しかも、転校してきてすぐに仲良くなった友だちは、離れていくし・・・・。
ショックでしたね。
その子、けっこう好きだったし。
あ、友だちとしてね。
>42さん
幼い日とか思い出すと、アホなこととかも思い出します。
54 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)09時28分35秒
「梨華ちゃん、帰ろうよ。気にする事なんかないからさ。」
美貴ちゃんの声。
「うん。そうだね。」
二人で、歩く。
二人ならんで、学校から帰って行く。


「でも、一体なんなんだろうね。あの、松浦亜弥とかいうヤツ!!」
少し歩いて、美貴ちゃんが怒ったようにさっきから言葉を放つ。
「そうだよね、何、勘違いしてるんだろうね。」
それでも、私も美貴ちゃんの言葉に賛成する。
「ねぇ。ばっかじゃないのぉ?」
その日は、まわりの人にも見向きもせずにずっと松浦亜弥の悪口を言っていた。







―――次の日に、何が起こるなんて、知らないで

55 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)09時37分11秒
次の日、私はいつも通り、学校に行く。
昨日の事なんか、すっかり忘れて。





「おはよ、加護ちゃん。」
「おはよー、梨華ちゃん。」
いつも登校班でするあいさつ。
加護ちゃんが、私よりも集合場所にくるのがはやい。
ののちゃんは、いつも遅刻ギリギリ。
ときどき、はやく来るんだけどね。


―――
「ののちゃん、遅いねぇ。」
班の人が、みんな集まったっていうのにののちゃんはまだこない。
「いつものことやん、梨華ちゃん。」



「遅れたのれす〜・・・・。」
いつもどうり、ののちゃんは、笑顔でくる。
「のの!遅いでっ!」
「ごめんなさいなのれす。寝坊したのれす。」
ののちゃんの寝坊はいつものこと。
加護ちゃんも、いつも怒る。
ま、本気じゃないんだけどね。


「ほら、行くよ。」
私の『出発』の合図。
そうじゃないと、いつまでたってもここにいることになる。


「おいてかないでれすぅ。」

56 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)09時44分17秒
今日も朝は加護ちゃんとののちゃんとよこにならんで喋って登校。
それがまた、学校に行くときの一つの楽しみ。



それは歩道橋をちょうど、登り終わりそうなときだった。
「それでれすねー・・・。」
「のの、またやったんかぁ?・・・」
相変わらずの会話。
ののちゃんがドジした話とか、テレビの話がよくでる。
私も、その会話に参加していた。





「ばーか。」
聞き覚えのある声。
絶対忘れたくない、あの声。





松浦亜弥の声。
ちょうど上のほうからその声が、私たちにふりそそぐ。
松浦亜弥は階段を登り終わったところで、私たちを見下ろしながらそう言った。


違う。『私たち』じゃない。『私に』だ。
だって、私を見ながらそういったのだから。
57 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)09時48分51秒
『ばーか。』その言葉を言ったあと、すぐに松浦亜弥は、いなくなった。








「なんや?あいつ。」
「なにがバカなのれすか!?むかつくのれすっ!!」
「バカって言ったほうがバカなんや!!」
ののちゃんと加護ちゃんは、それぞれ自分たちに
言ったのだと、勘違いしていた。









でも、今の私にはそれが嬉しいことだった。
だって、あんまりそうゆうこと、見せたくないから。
『プライド』ってやつ?
それとも、恥ずかしいからかな?



その日の朝、結局私はなにも、喋れなかった。



58 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)09時56分08秒

授業中、よく考えた。
どうしてあの時、『ばーか』って言ったんだろう?
あの時は、許してくれたはずなのに。
いろいろ考えてでた結論は一つ。










誰かが、言ったんだ。





きっと、あの日の帰り道に、松浦亜弥の友だちがいたんだ。
それで、私たちの話を聞いて、報告したんだ。




松浦亜弥は、友だちが多いし、時間的にもあの帰り道はみんなが通る時間。






私、なんてバカなことをしたんだろう?
このあと、いじめが続くのかなぁ。
いじめなんて、初めてだよ。
こんな性格な私がいじめをうけたことないってすごいことだったと思う。
ひとみちゃんがいたからかな?

59 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)10時01分38秒
また、ひとみちゃんに頼るの?
ううん。ダメだよ、そんなの。
ひとみちゃんは違うクラスなんだから。



今回は、ひとみちゃんにも頼れなかった。





いじめは、続く。
朝、会えばバカにする。
廊下で会えば、またバカにする。


その繰り返しだった。




よく考えると、いいほうだよね。
だって、別に靴だって隠されてなければ
机の中に何かを入れられるわけでもない。





私は、まだいいほうなんだ。
いじめでもっとひどいことされてる人だっている。
頑張らなきゃ。




私が、今悲しいこと。
私だって、今ひどいことしてる。



加護ちゃんと、ののちゃんたちに。


60 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)10時10分50秒


だってさ、登校班での私、ひどすぎるもん。
いじめをうけるようになってから、何にも言わないで、学校に行く。
今日だってそうだった。





―――
「今日ものの、遅刻やないかー。」
まだ来てないののちゃんにむかって加護ちゃんが怒る。
もう、いい加減慣れたけど。


でも、ののちゃんを待ってる間いろんなことが頭にうかぶ。



今日は、松浦亜弥と会わないで、学校にいけるかな?
ひとみちゃんにいじめられてること、ばれないかな?
松浦亜弥たちが私をいじめてるんだから、真希ちゃんも知ってるのかな?



真希ちゃんと、友だちなのかな?
友だちってなんなんだろう?



ときどき、涙がこぼれおちそうになる。



「あっ!のの、来たでっ!!」
「また、遅刻なのれす、気をつけます。」


そんな二人や、ほかの登校班の子を無視して、私は歩く。

61 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)10時17分08秒
「梨華ちゃん、まって〜な。」
「梨華ちゃん、最近、歩くのがはやいのれす。」


無視。


ごめんね、ごめんね、みんな。
だって、みんなに迷惑かけられないもん。
みんなにいじめられてるとこなんか、見せたくないもん。



今日も、一人で速く歩く。



あ。



松浦亜弥だ。
もう少し前には、松浦亜弥がいた。
どうしよう・・・・・。
怖い。



ゆっくり歩こう。
まわりが不自然に思うほど、速く歩いていた私。
それなのに今度は、不自然に遅くなる。



こんなの、バカだ。



ふと、気が付くと、後ろには加護ちゃんたち。


62 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)10時20分48秒

二人を先頭にして、楽しそうに話をしている。




もしかして、私なんかいなくてもいいんじゃない?
私なんか、みんなに嫌われてるんじゃないの?



私なんか、いないほうがいいんじゃない?
だって、私がいなくても、みんな楽しそう。
みんな、笑ってる。





私は、嫌われ者・・・・・。

63 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月12日(土)10時25分25秒
私は、微妙な速さで歩く。


だって、遅く歩いたら、加護ちゃんたちに会う。
でも、もし速く歩いたら・・・・・。



いやだ。

そんなの考えたくも無い。
しかも今日、松浦亜弥のとなりにいるのは紛れもなく、真希ちゃん。



真希ちゃんに、こんな姿見せたくないし、見られたくもないもん。



なんとか、今日も学校につく。


学校についても、安心できるわけじゃないけど。
廊下で、会わないようにしなきゃ。

64 名前:作者 投稿日:2002年10月12日(土)10時30分38秒
更新です。

(^▽^)<ほんとは、加護ちゃんたちと喋って学校に行きたかったんだよぉ。
65 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)18時49分40秒

かわらない毎日。

今日も、明日もかわらない。



毎日、加護ちゃんたち無視して。
毎日、いじめられて。
毎日、すぐに家に帰る。



こんな毎日、はやくかわってほしい。





昔は、あの頃は、毎日が楽しくて、楽しくて。
このままずっとかわらなければいいって思ってた。



でも、今は違う。



はやく、こんな毎日かわってほしいと思ってる。




66 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時03分30秒

朝。
朝起きるとき、すっごくつらい。
だって、朝起きて、リビングに行ったら、朝ご飯ができていて
それを食べたら、自然に学校の準備をしちゃうから。


それで、そのあと『学校、休みたい』なんて言っても通じない。
だから、必然的に学校に行かなきゃいけない。




加護ちゃんたちの顔を見るたんびに、またつらくなる。
胸が苦しくなる。
たとえ、加護ちゃんたちが私のことを嫌いでも
私はみんなが、この登校班が大好きだったから。



私がいじめられてるのを知っているのは、美貴ちゃんだけ。
ほかは、誰も知らない。
誰も知らなくて、いいんだけどさ。
67 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時08分19秒

最近は、また新しい友だちができた。
その子の名前は、飯田圭織。
はっきり言って、実はその子のこと、好きじゃないんだ。


美貴ちゃんも。


だから、カオリがいないときは、悪口を二人で言い合う。
ときどき考えるんだけど。
もし、私がいないで、美貴ちゃんとカオリで
いるときは私の悪口言ってるのかな?
そう考えると不安になる。


私って、誰かに何かしてあげてるのかなぁって。


68 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時12分46秒

考えていても、こたえは出ない。
私が、頭の中で考えているだけだから。



六年生で、私は図書委員会に入った。
図書委員会は、週に一度、昼休みと放課後、当番をやる。
ちょっとめんどくさいけど先生もいい先生だったから、わりと楽しかった。



今日はその委員会の仕事がある日。
その日の放課後、図書室に行く予定。
サボんないよ。



それで、美貴ちゃんと一緒に、ヒドいこと考えた。


69 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時16分08秒

図書委員の仕事のある日は、いつも放課後
美貴ちゃんとカオリは一緒に残って、仕事を手伝ってくれた。



たまたまクラスの席が近かった私と美貴ちゃん。
帰りのあいさつをしたあと、すぐに二人で猛ダッシュ。


すぐに走って、図書室に向かった。




カオリをおいて―――――

70 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時23分25秒


「はぁ、はぁ・・・・。」
「疲れたねぇ。」
「うん。」


美貴ちゃんと二人、図書室で少し休む。
久しぶりに本気で走ったから、疲れたよ。
もう、へとへと・・・・。



「それにしてもさ、見た?カオリ?」
美貴ちゃんはおもしろそうに言う。
「うんっ。見た見た。超、おもしろかったね。」
私もおもしろそうに応える。
ぜんぜん、罪悪感なんか感じなかった。


面白半分だったしさ。



「明日、どうなるかなぁ?」
美貴ちゃんの目が光る。
ちょっと恐いかも・・・・。
でも美貴ちゃんも、面白半分だった。
「でもあれだよね、カオリこっちに来る感じだったじゃん?」
「梨華ちゃんも、見た?ちょうど来るところで、あたしたちが
逃げたからびっくりしてたよね。」
「うんうん。」


やっと委員会の仕事が終わって五時過ぎ。
二人ならんで廊下を歩く。

「カオリ、もう帰ったのかな?」
「そうじゃない?」
71 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時31分38秒

玄関に来て、カオリの靴箱を美貴ちゃんが見る。

「梨華ちゃ〜ん、もういないよ?帰ったみたい。」
「え?ほんと?見せて、見せて。」
私は、履きかけた靴を脱いでカオリの靴箱を見る。

そこには『飯田』と書いてある上靴。
ということは、靴を履いてるってことで。

「ほんとだ。帰ったんだね。」

まさか、いるわけないよね。
いたらびっくりするしね。

「美貴ちゃん、帰ろうよ。」
「うん。そだね。」
美貴ちゃんは、急いで靴を履く。

校舎をでると外で遊んでいる子がいた。

もうちょっと前は、私も遊んでたんだよねぇ。

今思うと懐かしい。
それと同時にさびしい気持ちがいっぱいになってくる。

「美貴ちゃん、行こ。」
外で遊んでいる子を見ている美貴ちゃんを誘う。
外で放課後誰かが遊んでいるところなんて、見たくない。
いろんなこと、思い出すから。


もう、あの頃にはもどれない。

72 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時39分18秒

楽しみにしていた、次の日。
こんなに学校が楽しみになったのは、あの頃以来だね。



それでも、登校班のときの私はかわらない。

加護ちゃんやののちゃんはわからない顔をしている。
ごめんね。
いつか、いじめが収まったらまた一緒に学校に行こうね。
いつ終わるかわからないいじめ。
卒業するまで、ずっとなのかな?


もう、やだよ。


学校につくと美貴ちゃんはもう来ていた。
「おはよう、梨華ちゃん。」
「美貴ちゃん、おはよう。」
いつも、おんなじあいさつをする。
「梨華ちゃん、あれみてよ。」
美貴ちゃんは、少し声を低くして目でそのあれを見る。
『あれ』って・・・?

美貴ちゃんの目の先には、カオリ。
そして、カオリのとなりには、なんと市井紗耶香。

えぇぇっ!?
カオリ、あんまり話しなかったんじゃなかったっけ?
73 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月13日(日)19時44分33秒

「カオリ、市井さんと仲良くしてるよ」
私が確認したのを見て、美貴ちゃんが言う。
「な、なんで市井さんとなんか仲良くしてるのかな?」
「意外だよね。あたしが学校にきたときから仲良さげだったんだ。」
美貴ちゃんも、ビックリ。私もビックリだよ。


「でもさ、どうするの?」
これからさ、心配ってゆーか。
「そんなの、ほっとけばいいと思うよ」
当然のように言いはなつ美貴ちゃん。



これで、よかったのかなぁ?
私の心の中にすこし、罪悪感が生まれてきた。



それでも、何もしない私は―――――



74 名前:作者 投稿日:2002年10月13日(日)19時46分45秒
更新です。

(^▽^)<今ではもう、一応喋れるようになったんだよ。(実話です)
75 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月14日(月)06時44分31秒
子供のときって今思えば大したこと無いようなことがすっごい大きっかった気がします。
とてもリアルな感じが良いです。今一番続きが気になる小説です。
続きを楽しみにしてます。
76 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)14時41分06秒

その日、カオリはずっと市井さんと一緒にいた。
へんなの・・・・・・。


でも、へんにしたのは、私たちなんだ・・・・・。
また、心の中に罪悪感が生まれ始めた。
どんどん生まれて、大きくなっていく。



ごめんね、カオリ。



美貴ちゃんは、どう思ってるんだろう?
美貴ちゃん、ほんとはすっごく優しいから、きっとなにか考えてるよね?




放課後になった。
みんなが、友だちと一緒に学校から帰ったりする子もいるし
放課後、遊んで行く子もいる。



私は、今日はひとみちゃんと遊ぶ約束がある。
だから、はやく帰るんだ。



また、あの公園に集合予定。


ちょっといやだった。
だって、あの公園にはいっぱい、いっぱい思い出が詰まってるから。
もう、あの公園で、遊ぶことなんか、ない。


三人の思い出は、これ以上増えない、と思う。




ほんとは、すっごくさびしいの。


77 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)14時44分34秒

すっごく、すっごくさびしくて、泣きそうになる日もほんとはあるんだ。
みんなに秘密にしてたけど。



ほんとに泣く日もあった。
自分の部屋でね。
親の前でなんか、泣きたくない。





ときどきね、プロフィール帳を見ながら泣くこともあったんだ。
『うそつき、うそつき』って心の中で叫びながら。


でもさ、そんなこと思ったって、しょうがないじゃん。






もう、おわったんだから。



78 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)14時51分54秒

「お母さん、今日ね、ひとみちゃんと遊んでくるね。」
「うん。暗くなる前には帰ってくるのよ。」
「わかった。」


一言だけお母さんと喋ってからひとみちゃんがまってる公園へむかう。



自転車をこいで公園へむかう。
公園にむかう途中、何人か小学生が歩いていた。
公園が遠くにちょうど見えてきたときのこと。



かどを曲がったら、いたんだ。




松浦、亜弥。


そして、そのとなりには―――






真希ちゃんだった。



どうしよう・・・・・・。
逃げないと・・・・・・。



まだむこうは気付いてない。
はやく気付かないうちに逃げよう。


そう思った瞬間。


「ばーか。」



気付かれた・・・・・。
松浦亜弥の声はこっちにまで聞こえる。

怖い・・・・。







「や・・な・・・!」



79 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)15時16分21秒

「真希、なに言ってんの!?」


へ・・・・?
真希ちゃん、今なんて言ったの?


松浦亜弥がビックリすることでも言ったの?

聞こえなかったよ、真希ちゃん・・・・・。




久しぶりに、私にむかって、なにか言ってくれたのに・・・・・。




あのさ、真希ちゃん、気のせいだったかもしれないけどさ
さっき真希ちゃん、『やめなよ!』って言わなかった?



あ、ごめんね、勘違いだったら。



でも、私には、そう聞こえたの・・・・・。



ううん、そういうふうに真希ちゃんに言ってもらいたかったのかもね。



80 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)15時24分38秒

「ひとみちゃん、遅れてごめんね。」
ひとみちゃんはもう公園に来ていた。

「うん、平気。あのさ、梨華ちゃんさっき
松浦亜弥になんか言われてなかった?」



ひとみちゃんは心配そうな顔で私を見る。
ひとみちゃん、見てたんだ。



「え?そんなことないよ!全然平気だよっ。」

ひとみちゃんが知ったらどうなったのかな?
私は、ひとみちゃんにウソついた。
久しぶり・・・・・はじめてかな?


ひとみちゃんにウソ言ったの。


「うそ。」
「へ?」

ひとみちゃんの顔は真剣そのものになった。
さっきとは大違い。

「梨華ちゃん、もしかして、いじめられてるの?
ほらだって、小さい頃、いろいろあったじゃん。
私、梨華ちゃんのこと、心配でさ・・・・。」


小さい頃、前にも言ったけど、よくいじめられてたんだ。
だから、よけいひとみちゃんには迷惑をかけてる。
ごめんね。



「ほんとはね、いじめられてるの。」


81 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)15時30分42秒

もう言うしかないと思った。
ひとみちゃんにはやっぱりウソつけないよ・・・・・。


「梨華ちゃん、大丈夫?」
ひとみちゃんは、私の目を見て聞いてくる。

ひとみちゃんってほんとに優しくてあったかいね。
いっつもひとみちゃんには感謝してる。


「大丈夫だよ。あのさぁ、ひとみちゃんは、真希ちゃんのことどう思う?」


ずっと気になっていたことをひとみちゃんに聞くときがきた。
真希ちゃんのことどう思っているか・・・・。



「ごっちん?」
「うん。全然、喋らないからさ。」


ひとみちゃん、黙っちゃった。
私はいたって平然を保つようにした。



「真希ちゃんさ、もう、友だちじゃ、ないのかな?」
今度はひとみちゃんが私に質問する。
また、真剣な顔になる。
82 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月20日(日)15時37分06秒

「私ね、真希ちゃんのこと、嫌いじゃなかったんだ。好きだったよ。
でもさ、真希ちゃん、私たちの事嫌いだったのかもしれないね。」
「梨華ちゃん・・・・。」


自分の考えを主張する。
ほんとなんだ。
今、素直な気持ちを、ひとみちゃんにぶつけた。



「私も、考えた事あるよ?でもわかんないんだもん。
ごっちんの考えてる事、わかんないよ。
梨華ちゃん、今日はさ、そんなこと忘れて遊ぼ?
そんなこと考えたってしょうがないじゃん。」


ひとみちゃんは、優しく喋ってくれる。

「そうだね。ひとみちゃん、遊ぼ!」
「うんっ。」










でもね、信じたいんだよ?
わずかな希望でも、いいから――――――


83 名前:作者 投稿日:2002年10月20日(日)15時40分02秒
少ない更新。
遅くなりました。

>名無し読者様
レスもらえると嬉しいですね。
ありがとうございます。
一番気になる小説だなんて・・・・!!
素直に嬉しいですっ!!
84 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)12時29分53秒

信じてる    


信じたい
アナタのこと



『永遠』ってコトバはないのかな




いつか、いつかは




終わっちゃうのかな





すべて――――




85 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)12時36分51秒

また、桜が咲いた。
毎年、毎年・・・・。


真希ちゃんとひとみちゃん、三人で桜を見なくなったのは、
もう、ものすごく前だったような気がする。


今年の桜は、すこし、寂しく咲くように見えた。


今年は、桜が咲く時期が去年よりもはやかった。
地球が、だんだんあったかくなってるからみたい。


別に興味なんかないんだけど。


今年、私は生まれて初めて、制服というものを着た。
なんか、着慣れないと、動きにくい感じがする。
86 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)12時42分07秒

でも、そのうち慣れると思う。



真希ちゃんのことも、いつのまにか、当たり前になってきたもん。
今でもときどき、話し掛けてくれるんじゃないかと、
思ってしまうバカな私が、いるときもあるけれど。




そんなわけ、ないもんね。


だって、もう『友だち』じゃ、ないからさ。
それにさ今、『友だち』として、喋ったら、真希ちゃんのほんとの友だちに
変に思われるよね?
真希ちゃんが―――


真希ちゃん、仲間はずれにされちゃうかもしれない。
今だって、松浦亜弥と仲良くしてるわけだし、
松浦亜弥は、私のこと嫌いだもん。


真希ちゃんが、いやな思いをするのは、やだ。
そりゃ、ひとみちゃんがいやな思いをするのもやだけど。



わがままかな?



87 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)12時45分21秒

初めて、制服を着て外に出た。
なんか、やっぱりへんな感じがするけれど。
私の登校班のなかで、中学生になった人たちも、
こんな感じだったのかな?


今まで、最上級生として、頑張ってきたけど、今年からは
一番下の学年だ。


ちょっと違和感がある。


88 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)12時52分50秒

ふと、卒業式のことを思い出す。


卒業式。
六年生が、今日で終わる日。
その日は、いじめもうけなかった。
当たり前だけど。


この小学校からは、ほとんどの人が
中学生になっても、みんな、一緒。

だから、あんまり寂しいことじゃなかった。
けど、もうこの小学校の児童じゃないと思うと、すこし心がちくりと痛んだ。


―――――
中学校は、美貴ちゃんと一緒に行く約束をした。

「美貴ちゃん、おはよー。迎えにきたよぉ」
「うん、おはよう。もう準備できたから。」

中学校は、美貴ちゃんの家が近いから
私が美貴ちゃんの家に行く事になる。

ひとみちゃんとは、学校で会うことになっている。
89 名前:作者 投稿日:2002年10月26日(土)12時53分35秒
ちょっと更新。
また更新します。
90 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月26日(土)13時17分42秒
なんか・・・
自分も仲良かった子が仲良くなくなっちゃったんで
そのことを思い出しました
今どうしてるのかなぁ・・・・
91 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)14時30分41秒

学校につくと、外に張り出されたクラスがかかれてある紙。
すこし、思い出したくない気持ちが溢れ出す。


なんにも知らなかった、あの日。
まさか、こんなふうになるなんて。

あのとき、クラスが変わった、あのとき。
悲しかったけど、ずっと、一緒にいられると思ってた。


でも、そんなことはなかった。

無常感が心の中を渦巻いていくの。
最近、なんか精神不安定みたい。
へんなの。
こんなこと、今までなかったのに。


「梨華ちゃ〜ん!」
ひとみちゃんが小走りでこっちにむかってくる。
ひとみちゃんも制服。
失礼だけど、へんな感じがするね、ひとみちゃんの制服姿。


92 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)14時35分17秒

「ひとみちゃん、クラス、見た?」
「うん。見たよ。私、一組」
ひとみちゃんは、にこにこしながら話す。

「私、何組かなぁ?」
「へ?梨華ちゃん?梨華ちゃんはね、三組だよ。」

あ・・・・・・。
まただ。また、ばらばらだ。
中学は全部で五クラスある。
だから、同じクラスになるのも確率が低い。
なんか、寂しいな。

ひとみちゃんは、どう思ってるんだろう?
ひとみちゃん、いっぱい友だちいるもんね。




私と違って―――

93 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)14時43分13秒

「でも、梨華ちゃん、美貴ちゃんと一緒だったよ?」
ひとみちゃんは、ときどき近くを通る友だちに
笑顔で、あいさつをしながらこたえる。

「え?美貴ちゃん?」
「うん。よかったじゃん。知ってる人がいないより、マシでしょ?」
そうだよね。五年生のときは全然友だちいなかったから。

でも、そのおかげで友だちが増えたんだけど。

「そういえば、美貴ちゃんは?」
思い出したように、聞くひとみちゃん。
「美貴ちゃんね、朝は一緒に来たけど、ひとみちゃんがこっちに
来る前に、トイレに行っちゃったんだよ。
それで、直接、クラスを見に行くって。」
「そっか。」

ひとみちゃん、美貴ちゃんと喋りたかったのかなぁ?
でも、『美貴ちゃん』ってよんでるわけだから、友だちなんだよね。

「でも、もうすぐ、教室行かないと、初日から遅刻しちゃうよ。」
ひとみちゃんは、ちょっと回りが少なくなったのに気付いて焦る。

「うん。じゃ、教室まで一緒に行こ?」
「もちろん。」
94 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)14時49分26秒

「じゃあね、ひとみちゃん。」
「うん、ばいばい。」

二人で喋りながら階段を登ったところで別れる。

「梨華ちゃんっ!!」

美貴ちゃんが『1−3』と書かれた教室から出てくる。
なんだ、もうここにいたのか、美貴ちゃんは。

「美貴ちゃん!」
「また、一緒のクラスだね。よろしくね。」
「うんっ。まだ、先生来てないの?」
「うん。みんな、席につかないで喋ってるよ。」

美貴ちゃんが同じクラスでほっとした。
同じクラスなら、離れることもないもん。


そうだよ。
あのときだって、もしクラスが一緒だったら、
まだ仲がよかったのかもしれない。
クラスが違うだけで、仲がよかった友だちと話さなくなるのはやだね。
友だちが少ない私だからこそ、思うことなのかな?


95 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)14時57分48秒

教室に二人で入ったら、ほとんどのクラスの人がいた。
知らない人や、知ってる人がいる。
知ってても、話さない人がほとんどだ。


「梨華ちゃん、鞄置いてきなよ。」
「うん。そうだね。」

鞄を置いて少しの間、美貴ちゃんと喋ろうと思って、席を立ったら先生が来た。
最初に、先生が自己紹介をする。
名前と担当の教科を言っただけだけど。


そのあと、体育館にむかうと、二、三年生の先輩達が
あたたかい拍手でむかえてくれた。
まぁ、先輩達の中には、やる気のないひともけっこういたけど。

校長先生の話は、つまんなくて、寝そうになったけど我慢した。
そんな我慢もすぐに終わって、放課後になって、みんなが帰る時間になった。


96 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)15時05分24秒

一ヶ月もすると、中学校生活も慣れてきて、
ほんのちょっとだけ友だちもできた。

五年生のときに、自分から友だち作りをしてよかったと思うときだった。
美貴ちゃんの塾の友だちもいて、その子も紹介してもらい、仲良くなった。
それで、その子の友だちとも・・・・・・・。
どんどんそのことを繰り返して、友だちの輪が広がっていった。
プロフィール帳も、新しいのを買わないと、足りなくなった。


さすがに、ひとみちゃんほど、多くはなかったけど。

もう、私は一人じゃないんだって思えるほどに友だちもいっぱいいる。
今まで、こんなに友だちがいることなんて、なかったかもしれない。
ちょっぴり、嬉しかった。

97 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)15時12分23秒

でも、ちょっと暑くなり始めた頃、気になることができた。
美貴ちゃんだった。



別に、あのときみたいに仲が悪くなったわけじゃない。
なんか、学校を週に二、三回休むようになった。
なんでだろ?


今でも、美貴ちゃんが学校に来る時は、仲良くしてる。
ほかにも、美貴ちゃんだけじゃなくても仲のいい子もいる。




でもさ、友だちじゃん?
大切な友だちで。
今、仲のいいクラスの友だちの中でも一番付き合いが長い子で。
大好きだから。


あのときほど、人を好きになれるわけじゃないけれど―――――
98 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月26日(土)15時22分09秒

もう、あのときみたいに友だちを失いたくない。
私が弱いからかな。








美貴ちゃんが学校に来なくなった―――――




登校拒否っていうのを聞いた事がある。
それ、なのかな?
ちょっと気になった。



でも、その真実がわかることになったのは、ちょっと後のことだった。


「ねぇ、梨華」
「なぁに?」
いつも仲良くしている友だちが、いつもと同じに話し掛けてくる。

「ちょっと、頭痛いんだ。保健室に行くの、
一人じゃやだから一緒に来てくれないかな」
具合が悪そうだった。
大丈夫かな?

「うん、全然平気だけど、大丈夫?」
「へへっ。だめかも。」

あ、平気だ。
じょーだん言えるみたいだもん。

「じゃ、行こうよ?保健室」
「うん。ありがと。」
99 名前:作者 投稿日:2002年10月26日(土)15時25分06秒
また更新しました。

>90様
なんか思い出すたび、私は切なくなります。
90様はどうですか?
100 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月28日(月)13時42分44秒


「「失礼しまぁーす。」」
二人で声をそろえてあいさつしながら、保健室に入る。

「どうしたの?」
保健の先生が私たちに声をかける。

へぇー。
保健の先生ってこういう人なんだぁ。

なんて、のんきなことをちょっと考えちゃった。
保健の先生なんて、体が弱い人や、
たまたま具合が悪い人、保健の当番の人ぐらいしか
関わりがないから、それほど体が弱くない私は
会ったこともないし、喋った事もなかった。

「先生、私、ちょっと頭が痛いんですけど・・・・。」
「あ、そう。じゃあ、一回、体温計ってくれる?」
「はい。」

先生は友だちに机の上の体温計を渡す。

ピピッ、ピピッ、ピピッ。
体温計の音が鳴り響くと、友だちは体温計を見る。

「何度?」
「三十七度、ぴったりです。」
101 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月28日(月)13時52分24秒

「じゃあ、一応一時間だけ寝とく?」
「はい。」


「じゃあ、私、次の時間、また来るね。」
私は、ちょっと薬臭いこの部屋が耐えられなかったから
なるべく早くでようと思った。

「うん、ありがとね。」
そう言うと、友だちは保健室のベットの中に入っていった。


―――――
国語の授業が終わり、やっと目を覚ます私の目。
私はつい、国語の授業で睡眠学習をしてしまった。


バレなかったけど。


だからいつのまにか授業は終わっていた。


早く保健室に行かなきゃ・・・・。
廊下は走ると先生がうるさいからしょうがなく歩く。


少しして保健室につく。

「失礼しまぁーす。」
さっきと同じ挨拶をして部屋に入る。


私の眼中にとびこんできたモノ。


それは・・・・・・







美貴ちゃんだった。




102 名前:残酷な運命  投稿日:2002年10月28日(月)14時01分52秒

「み、美貴ちゃん?」
「あ、梨華ちゃんだ。久しぶり。」

美貴ちゃんは保健室の奥のほうにある大きめの
いすに一人でちょこん、と座っていた。

美貴ちゃんの前には大きめの机がおいてある。
美貴ちゃんが座っているよこには『藤本美貴』と小さく書かれた
紛れもない美貴ちゃんのかばんが置いてあった。



見ればすぐにわかるけど、たぶん、美貴ちゃんは
『保健室登校』というものになったのかもしれない。

テレビで見たことがあった。
いじめをうけた子が学校にいけなくて、
保健室で勉強とかをしている人のことを。


別に、保健室登校に対して偏見とかはなかった。
なぜが、簡単に受け止められてた。



友だちが、登校拒否をしたのは、初めてだった。



でも、『保健室登校なの?』とか、『なんで?』とか『クラスにおいでよ』とか
そういう言葉を言う勇気を私はもってなかった。

勇気があっても、言う事じゃないのかもしれない。
103 名前:残酷な運命  投稿日:2002年10月28日(月)14時11分39秒

美貴ちゃんには、美貴ちゃんなりの考えがあるし、
人によって悩みとかいろいろあることは私もよく知っていた。


美貴ちゃんは、私に手を振ってくれた。
私は、美貴ちゃんの側に行った。

「梨華ちゃん、久しぶりだね。」
「うん、そうだね。」

美貴ちゃんの目の中は真っ暗だった。
暗黒に飲み込まれたみたい。


少し、怖かった。

「梨華ちゃん、どうしたの?」
「へ?・・・・あ、あのね、友だちが保健室で
休んでるから、ちょっと見にきただけ。」
「そっか。」


「梨華?」
後ろからその友だちが声をかける。

「あ、もう大丈夫?」
「うん。だいぶよくなったみたい。」
私と友だちの会話をよこで静かに聞く美貴ちゃん。

「梨華ちゃん、あたし、先生来たら、言っとくよ?」
美貴ちゃんの優しさは、以前と全然変わらない。
でも、『はやくでていって』と
言ってるようにも感じて、ちょっと寂しかった。
104 名前:残酷な運命  投稿日:2002年10月28日(月)14時19分16秒

「ほんと?じゃあ、先生に言っといてくれるかな?」
私は、保健室にいる気分じゃなかった。
美貴ちゃんは、一人になりたがっていると思う。
なんとなくだけど。

「うん、いいよ。それじゃあ、ばいばい。」
美貴ちゃんは私に向かってまた手を振る。





そのときに、見てしまったモノがある・・・・・。





保健室から、出て行った後、私の脳裏に今日、
久しぶりに会った美貴ちゃんがぽつん、とうかぶ。


美貴ちゃん、どうしたんだろう?

美貴ちゃんは、いじめなんてうけてもなかったし、友だちも少なくない。
じゃあ、なんで?

考えれば考えるほど気になってしょうがない。
105 名前:残酷な運命  投稿日:2002年10月28日(月)14時26分38秒

でも、でも一番気になったのは、美貴ちゃんの腕だった。


腕というか、手首。

最後に美貴ちゃんが手を振っていたときに気付いた。








手首の無数の傷―――――






見た瞬間は、寒気がした。
鳥肌も立った。





怖かった。





あんな傷、見たことがなかった。
転んだわけでもない。
紙かなんかで切ったのと似ている感じがした。




でも、あれは自分でやったように見える。



何個も、何個も、手首についていた、傷。
その傷はとても、痛々しく、私にその傷が
ついているわけでもないのに痛かった。



見ているのが、辛かった。



心臓がどくどくいった。


106 名前:残酷な運命  投稿日:2002年10月28日(月)14時30分50秒



刃物でやったように見えた。



今までいろんな傷を見てきた。
自分の傷とか、人の傷。
人の傷を見せられた時、『かわいそう』とかしか思ったことがなかった。




でも、あの傷は、上手く表現できないけど、違った。






心の傷みたいだった―――――




考えたくもないことが、いやでも頭にうかぶ。



やだ・・・・・。
やだよ・・・・・・。





美貴ちゃん、お願いだから――――――







107 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月28日(月)14時40分55秒

その日は、美貴ちゃんの傷を早く、忘れたかったから友だちと遊ぶ事にした。


「りか、このまえあたしが書いたプロフィール帳さ、見せてよ。」
その子は、私の家にきてそう言った。
ほんとはどっか外にでて遊びたかったんだけど、
時間もないし家でお喋りとなった。

「うん、いいよ。」
私は、プロフィール帳を手渡す。

友だちが楽しそうに見ている間、私は何回か読んでいた雑誌をまた読み始めた。


「ちょ、ちょっとりかぁっ!!」
その子は何かに驚いた様子で私をよぶ。

「なに?」



「ねぇねぇ、りかってさぁーこの『後藤真希』と友だちだったのぉー!?」





ちくり。
心になにかが刺さった。


「え?・・・・うんっ!そうなんだぁ。昔、仲良かったんだよ。
今は、全然仲良くないんだけどね〜。」

気持ちを知られたくないから、わざとごまかす。

108 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月28日(月)14時49分08秒
上手く、誤魔化せたかな? 

「へぇ〜。なんか意外だね。
ほら、後藤さんって松浦さんとかと仲いいじゃん?」

私の友だちも、松浦さんと仲がいい人は誰一人居なかった。
どっちかっていうとみんな、嫌いみたい。

「でしょぉ?でもそれ、小学校四年生のときのだしさ〜。
だいたい今なんか・・嫌い・・だよ!」

「やっぱりぃ?あーゆータイプって絶対やだよねぇ〜。」
辛かった。
苦しかった。

胸がさっきよりもちくちく痛む。



ほんとは、大好きだよ。

今、叫びたい。




『真希ちゃんは、いいこだよっ!!』って。


でも、証拠がない。
実際にお菓子も持ってきた、マンガも読んでる。


「それにさ、何これ〜?」
友だちは、真希ちゃんが書いたプロフィール帳の裏を見て笑う。
「何が?」
109 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月28日(月)14時56分16秒

「これこれ。最後の一言。
『5年生になってクラスがべつべつに
なってもいっしょにかえろーねっ。』だって。」

「そうなんだよね〜。後藤真希さ、そんなこと言ったのに自分から一緒に帰るの
やめたんだよ?意味わかんないよねぇ。」

真希ちゃん・・・・・。
ごめん、ごめんね。




私のこと、キライだったから、一緒に帰るのやめたの?

ごめんね。


「りか、りかぁ。このプロフィール帳の
こいつのとこ、らくがきしちゃおうよ?」
その友だちは、らくがき好き。
なんか、やなことがあれば、そこを塗りつぶしたり、文字を変える。

「うんっ。いいねー。やろうやろう!!」

ごめんなさい。
真希ちゃん。



私、最悪だ。最低だっ。


110 名前:残酷な運命 投稿日:2002年10月28日(月)15時01分48秒

「将来の夢・・・・『歌手』だってぇ〜!?んなもんなれるわけないじゃん!」
そう言ってその子は、かわいい文字でかかれて
あったとこの下に『無理』って書いた。


乱暴な字だった。


そんなことないもん!
真希ちゃん、歌手になれるもんっ!



心で叫んだ。



いっぱい、叫んだ。




でも、声には出せなかった。



ほかにもいろんなことを書いていた。

見てられなかった。



「りか、あたし、そろそろ帰るね。親、うるさいんだ。」
その子はらくがきして満足だったのか、すっきりした顔だった。

「うん。それじゃあ、明日ね。」
「ばいばい。」


111 名前:残酷な運命  投稿日:2002年10月28日(月)15時06分27秒

プロフィール帳を見た。


乱暴な字でいろんなことが書いてあった。




それでも、それでも唯一、嬉しかった事――――


それは、『最後に一言』のところはなにも書かれていなかった。

たぶん、タイムオーバーだったからだと思うけど。




でも、プロフィール帳を見ると、目から自然に冷たい
なにかがぽろぽろこぼれ落ちてきた。



おちてきたものは私が、よく知ってるものだった。
幼い頃は、毎日のようにおちてきたものだったから。





真希ちゃん、今真希ちゃんは歌手になりたいの?
それとも、ほかのもの?



もう、歌手なんていう大きな夢は、諦めちゃったの?



今の真希ちゃんは、わかんないよ。




112 名前:作者 投稿日:2002年10月28日(月)15時07分24秒
更新です。
113 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月28日(月)15時12分11秒
なんか切ないっすね…
オサーンノメニモナミダ…
114 名前:90 投稿日:2002年10月28日(月)21時33分04秒
うぅ・・切ない・・・
自分も切ないなぁって思ってますよ
今頃何やってんだか・・・
115 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月02日(土)14時25分43秒
太陽がぎらぎらと降り注ぐ季節も終わり、
木が紅葉した季節も終わり、
雪がふって寒くて震えてた季節も終わって
あっという間に一年間が過ぎた。

一年間、早かったなぁーって思った。
でもそれは、毎年思うこと。


春休みが終わり、一年生から二年生に進級した。
今年からは、新しい後輩たちが来るんだ。
私たちは、先輩になるんだ。


今まで、一番下扱いされてきたけど、今日で終わり。


ちょっと、胸が躍った。


中学校は、一年でクラスが変わる。
だから、今年も必然的に、クラスが変わる。


楽しみだった。
だって、友だちがいっぱいいたから、きっと一人じゃない。
そう思ったから。

116 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月02日(土)14時35分47秒
その日は、いつもよりも早めに学校へ向かった。
最近はいつも遅刻寸前な私だったけど、
今日は早く行かないとクラスが見れない。


「りかちゃん、りかちゃんっ!!」

誰かが私を呼んだ気がして後ろを振り向いた。
そしたら、最近、オトコマエになった顔のひとみちゃんがいた。
ひとみちゃんは、理由はわかんないけど、どこか嬉しそうだった。

なんか、急に背もでっかくなったからびっくりした。
成長期ってやつかな?

「ひとみちゃん、おは・・・」
「あのね、クラス一緒なんだよ!!見た見た!?
久しぶりだよっ!早く教室に行こっ!」

私が、あいさつをする前にマシンガンのように
ベラベラと話し出すひとみちゃん。

マイペースなひとみちゃんがこんなにも
興奮して喋るのは滅多にないことだった。

でも、いまはそんなことよりもひとみちゃんと
同じクラスになれたことが純粋に嬉しかった。
117 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月02日(土)14時45分54秒

喋るだけ喋ったら、今度は私の手を握って教室まで引っ張って歩く。
手を握られてるだけでも、ひとみちゃんの気分がいいのがわかる。

「ひとみちゃん、同じクラスなの?何組?」
ひとみちゃんを落ち着かせるため、できるだけやさしく話し掛けてみた。

「ん?あぁ、そうっ!同じクラスだよ!!五組っ!!よかったねぇ。
まだ先生はわかんないけどさ、いい先生だったらいいね。」

去年は先生なんて全然知らない人ばっかで、別に誰でもよかったし、
名前を言われても全然わかんなかった。
でも、今年は一応、去年、関係した先生の
名前と性格ぐらいはわかってるつもり。

だから、もちろん好き嫌いがある。
そりゃ、先生だから、ほとんどの先生は嫌いか嫌われ者なんだけど。


その嫌いの中でも、順位がある。
生徒を縛り付ける最悪な先生もいれば、
友だちのように接してくれる人気者の先生もいる。
118 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月02日(土)14時51分13秒

いい先生だったらいいなぁ・・・・・。
なんて、いい先生を頭に浮かべる。


次に、絶対なってほしくない先生も頭に浮かべる。


「・・かちゃん、梨華ちゃんっ。もう五組についたよ?」
「あ、ごめん。考え事してた。」
いつのまにか私は自分の世界に入ってしまったみたい。
もう、私の目の前にはこれから一年間お世話になる、教室があった。

「考え事?」
ひとみちゃんは、ちょうど教室のドアをガラガラと開けながら私のほうをむく。

「うん。先生は誰なのかなぁ、って思ってたの。」
「あーね。誰なんだろ?梨華ちゃんは、誰がいい?」


「うーん・・・・。そうだねぇ・・・・」
119 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月02日(土)14時56分21秒
さっきまで頭の中にいた先生が数人いたのに
なぜかすぐには言葉にできなかった。


ひとみちゃんが私の応えを待ちながら開けたドアの中、教室へはいる。
私の目は、一点に集中した。








真希ちゃんがいた―――――




真希ちゃん?
もしかして、いや、もしかしなくとも、このクラス?


「ひとみちゃ、えっと・・・・・。」
ひとみちゃんの質問には応えられなかった。

私はびっくりして足が動かなくなった。

120 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月02日(土)15時03分14秒
「梨華ちゃん?
・・・・・あ、もしかして、ごっちんのこと?」

私の耳元で小さく言う。


「・・・・うん。」
嘘はつけなかった。

「ごめん、先に言っとけばよかったね。」
ひとみちゃんは悪くないのに謝罪をする。

「ひとみちゃん?ひとみちゃんは悪くないよ。
私なら全然平気だから。ね?」

「うん・・・・。」
ひとみちゃんの表情から笑顔が消えた。
私には、どうしてひとみちゃんが謝るのかがわからなかった。
だってさ、同じ学校にいるんだから
一緒のクラスになる可能性はいくらでもあるんだ。

自分にそう言い聞かせた。


「ひとみちゃん、平気だよ?
だから、鞄を置こうよ。重たいもん。」

私はできるだけ明るく話す。

「うん。」
なんとか、ひとみちゃんに笑顔が戻った。

121 名前:作者 投稿日:2002年11月02日(土)15時07分19秒
また、少量更新・・・・。
ここらへんから体験話じゃなくなってきます。

>113様
話が進むたびに切なくなっていきます・・・。
ラストはもう決まっておりますので・・・。

>90様
なんか、今思うと、学校とかばらばらになると
遊ばなくなる子がたくさんいるのです・・・。

122 名前:名無し読者。 投稿日:2002年11月02日(土)23時35分04秒
今日、初めて読みました。
読んでイキナリ、ハマりました。
過ぎ去りし学生時代を、思い出し、しんみり。
この先の展開も、楽しみです。
123 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)12時54分37秒
最初、この五組にの教室に入った時はそりゃあもう、ものすごく驚いた。



だって、小学校の中学年の頃に仲良くしていたあの、真希ちゃんが私のクラス、
二年五組で、私の知らない友だちと楽しげに
おしゃべりして、笑ってたんだから。


私のクラスって言っても、クラスの合計三十一人、みんなのクラスなんだけど。


真希ちゃんと同じクラスになったのは、小学校四年生から一度もなかった。
真希ちゃんとは・・・・・どのくらいだろう?
いつの日からか、一言も口をきいてはいない。


口をきくどころか、目も合わない。
もう、慣れたけど。


小学校四年生を最後に、私とひとみちゃんはクラスがばらばらだった。
それで、今年、大体三年ぶりにクラスが一緒になった。

124 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)13時08分15秒

真希ちゃんやひとみちゃんと私が久しぶりに同じクラスになった時の
その興奮と喜びと驚きという感情も、一ヶ月時が経つと自然に冷めた。


普通になってしまったからだと思う。

あの時と一緒だ。



真希ちゃんと喋らなくなったのと――――――



私がこうやって、真希ちゃんやひとみちゃんと
同じクラスになったことを喜んでいても、
遠い昔、仲よし三人組を一緒にやっていたうちの一人の誰かさんの
気持ちは全くわからなかったけど。


でも、ひとみちゃんが私と同じクラスになったのを無邪気に喜んでいたのは、
いくら鈍感な人でもわかるぐらい、手にとるようにわかった。

最初の日、クラスが発表された日は、ひとみちゃんも
私とクラスが一緒だったのが嬉しかったみたいで
ぴょんぴょん飛び跳ねる勢いで喜んでいた。


言い方は失礼だけど、そんな単純バカみたいに喜んでいたひとみちゃん。
でも、そんなひとみちゃんが、真希ちゃんと同じクラスだったのを
どう思ったのかは、私は知らない。


ひとみちゃんの顔からは、よくわからなかった。

125 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)13時17分05秒
クラスの先生も、今年新しく来たばっかりのほやほや先生だった。
だから、嬉しくもなかったし、いやでもなかった。



でも、一ヶ月もすればほやほや先生の性格もすぐにわかる。
初めて、あいさつをしたときとかに、大体はわかるんだけど。


その先生の担当の教科は英語だった。
だから、英語の授業がある日は、ほぼ必ずといっていいほど宿題が出たし、
最初のほうの時間には、単語のテストをやっている。


最悪だ。



普段は、あまり生徒には関わろうとはしないし
いじめとか、そういうものにも、どっからどうみても消極的な先生だった。


つまり、生徒たちからの、嫌われ者。
126 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)13時35分16秒
今日は待ちに待った席替えの日。


隣の席のヤツが嫌いなんだもん。

やっとこいつから離れられるってわけ。


英語担当の嫌われ者教師は、なぜが知らないけど、席を男女混合にしていた。
だから隣の席の人は、男子か女子かもわからない。

女子だったら嬉しいんだけどなぁ・・・・。
もっと欲を言えばひとみちゃん。


あー、でもミホでもいいなぁ・・・・・。
咲でもいいし・・・・。
みぃでもいいなぁ・・・。


でも絶対、里美とだけはやだっ!!
あいつ、嫌いだもん。

なれなれしいんだよねぇ、あの子。

仲のいい友だちとなら、誰でもいいよっ!!

席替えは、いっつもくじ引き。

私、くじ運悪いんだよねぇ。


お願い、神サマっ。
神頼みをしてみる。


線が紙にクラスの人数分書いてある。
もう数人が自分の名前を書いていた。


私は、ひとみちゃんとみぃの間の線が一本あったから
その線に大げさだけど私の運命を託してみることにした。


『りか』とピンク色のペンで名前を書く。
私、ピンク好きなんだよね〜。
『石川』って書くと、他に一人同じ名字の人がいるから下の名前を書いた。
127 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)13時59分34秒
こつこつ・・・・・。

さっきから簡単に黒板に先生が、このクラスの座席を書いている。
全員が名前を書き終わって、席が発表される時だった。

四角のマス目に名前を黙々と書いていく。
さっきから先生は黙ったままだ。

私は、小声でどの席になるのかを近くの
友だちとひそひそ喋っている声が聞こえた。


順番に名前を書いていく。

廊下側の一番右の列、通称『いちのかわ』
いちのかわの席の一番前の子は、里美だった。

ちょうど真中の列、通称『にのかわ』
ここの一番前は最悪だ。

どんなにつまらない授業でも睡眠学習はしちゃいけない。
たぶん、すぐにばれる。

絶対この席はやだ。
そう思ったとほぼ同時に黒板に文字が書かれた。

みぃだった。

みぃは、私のほうをむいて、『げ、最悪だよぉ。』と目で訴えてきた。
そんなみぃを先生は無視して、名前を書いていく。

にのかわの後ろから二番目。
そこに『りか』と、書かれた。
128 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)14時06分05秒
なぁんだ。
にのかわの後ろから二番目。
あまり、大した席でもない。


ただ、前の席の人がミホだったからミホのほうを
向いて二人で『やったねっ。』と小さくガッツポーズをした。

前の席がミホ。
うん、いいね。前の席よりも何十倍も、いや、何百倍もいいかもしれない。

私の席が決まったところで残りの気になるのは一つ。
私の隣の席の人のこと。

あ〜!!誰だろ・・・。

こつこつ・・・・。
私の隣の席の人の名前が黒板に書かれた。

あっ・・・・!

ちょっと、先生!!
あんたの手が邪魔で見えないよっ!!
どかしてよ!

やっと先生の手が、一番左側で窓側の列、『さんのかわ』へと
移ったところでやっと隣の相手の名前が見れた。


129 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)14時12分04秒





『ごとぉ』






へ・・・・・?
『ごとぉ』って書いてある・・・・・。

そりゃあ、紙に書いてあった文字をそのまま書いただけだよ?あの先生。
あの先生が自ら進んで『ごとぉ』なんてふざけたことは書くはずがない。




私・・・・・真希ちゃんの隣なわけぇ?



私、ひらがなが読めないほどばかじゃないもん。



ちゃんと、あの黒板にはあの先生の字で『ごとぉ』って書いてあるもん。

マジですかっ!?




素直な気持ちを言うと、一瞬心に花が静かに咲いた気がした。
すぐに散っちゃったけど。
130 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)14時24分39秒
ちょっとの間、体が固まって金縛りみたいに動けなかった。

真希ちゃんのほうをちらっと見て様子をうかがった。
無反応だった。

少しして、さんのかわの人たちも気になったから目を黒板に移した。
さんのかわの二番目の席は、ひとみちゃんだった。


「さぁ、席を移動させろ。」
冷たい口調、その上、命令口調で喋るのはいつものこと。
必要な事以外は喋らない印象をうける。

みんな、がやがやと席を移動し始める。
一人か二人、席が変わらないみたいで、いすからも立ち上がろうとしない。

席を移動するのって大変だから、席が変わらないほうが私は好きだ。

少し、混雑した中でみぃと目が合って喋った。
「りか、一番前だよ?最悪だぁ・・・・。」
「みぃ、頑張ってね。私、後ろから二番目だから。」
一応、応援をしておいた。
131 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月09日(土)14時33分44秒
がやがやしていたのも終わり、全員が席に着いた。
場所が変わって、辺りをきょろきょろしている人もいれば
みぃみたいに、落ち込んでいる人もいた。


真希ちゃんは、あまり表情を変えないで、ただただ座ってるだけだった。
私はすぐにミホが私のほうを向いて喋りだしたから、一緒に喋っていた。


ミホや真希ちゃんに見つからないように、そっと真希ちゃんを見てみた。
真希ちゃんは真剣になって誰かへの手紙を書いていた。

手紙って言ってもメモ帳みたいな紙に、ペンを使ってクラスの友だちや
ほかのクラスの友だちへの手紙で。


ほら、授業中とかにヒマな時間とかあるじゃん?
そんなときに、友だちに手紙を書く子がいる。
それで、休み時間に本人に私に行ったりする。
ほかにも、授業中喋ってるとばれるから、近くの人を使って手紙を渡す。
私は、あまりやらなかったけど、真希ちゃんや、
松浦さんとかはしょっちゅう手紙交換をしていた。
132 名前:作者 投稿日:2002年11月09日(土)14時40分54秒
久しぶりに更新です。

訂正がありました。
>131
それで休み時間に本人に私に行ったりする
↓↓↓
それで休み時間に本人に渡しに行ったりする

です。

>122様
ハマっていただけるとは・・・・。
光栄です。ありがとうございます。
更新、遅いですが・・・・。
133 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)12時38分20秒
席替えをした日の放課後、部活に入ってない私は
みぃとミホと一緒に家に帰った。

前から入りたいといっていたバレー部に入部したひとみちゃん。
先生が厳しくてよる遅くまでやっていて、大変らしい。
ひとみちゃんが、入部した頃に疲れた顔で言っていた。

でも、ひとみちゃんは部活を辞めることなく頑張っている。
もともと運動神経抜群のひとみちゃんだったから、
バレーは初めてなのに下手なわけではなく、むしろ上手だった。
だから、ときどきバレーをしている体育館に友だちと入って、
ひとみちゃんがバレーをしているところを見て、応援していた事もある。


でも、一番驚いたのは、ひとみちゃんが部活の大会でのこと。
私はひとみちゃんが、すごいと思った。
だって、ひとみちゃん、ものすごく活躍してるんだもん。


真希ちゃんも、私と同じで部活には入ってないらしい。
すぐに友だちと家に帰って夜遅くまで遊びに行ってるみたい。
134 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)12時46分13秒
夜。
なんか夜ってひまなんだよね。
だって、今は寝ようとしても眠れない時間。


私の時計は十時二十分。


たまたま、部屋のカーテンを開けたら、
星がきらりと光ってすぐに消えた。


あれっ?
流れ星じゃないの?

流れ星が消えるまでにお願いすると願いが叶うんだっけ。
違うか。三回お願いしなきゃいけないんだ。

そんなのほとんど無理。



じゃあ、『金、金、金』って言えば、願いは叶うんじゃないの?
だってほら、『金、金、金』なら短くていいし、ちゃんと三回言ってるじゃん?

でも、私、今はお金はあんまり欲しくない。
今はお金で買える欲しいもの何もないし。


でも、願いが叶うのなら、タイムマシーンにのりたい。
タイムマシーンにのって、小学校四年生に・・・・。

135 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)12時55分09秒
夜の眠れない時間なんかとっくに過ぎて、一気に
睡魔に襲われて、今はもう太陽が昇っている。


今日も学校だ。
小学校のいじめられてたときよりは学校が何倍も楽しく感じる。
だって、友だちもたくさんいるし、ひとみちゃんとも同じクラスになったから。


歩いていれば、自然に学校につく。
私は、遅刻ぎりぎりだから、学校の門を
入ったあとは、走らないと先生に怒られるけど。



「りか、おはよ。また遅刻ぎりぎりだよ?」
「はぁ、はぁ・・・・おは、よ。もう、慣れたよ、この時間・・・。」
教室に入ると、みぃが私が疲れてるのにもかかわらずあいさつをしてきた。
走った後だから、喋るのはさすがにきつい。


朝の挨拶もあっという間に終わって、授業が何時間か終わったあとのこと。
廊下はちょっと寒いけど、廊下を歩いて、五組の教室に入ろうと思ったとき。


「ねぇ、五組だよね?これ、真希・・あ、後藤真希に返しといてくれない?」
誰だか知らないけど、人懐っこそうな笑顔でそう言われた。
136 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)13時05分05秒

え・・・・・?真希ちゃん?

その子は『ごとぉ』と少しやる気のなさそうな字で
名前が書いてある理科の教科書を持っていた。


そっか。この子、真希ちゃんに教科書を借りたんだ。
でも、気の強くない私は断る勇気なんか持ち合わせちゃいない。
『やだよ。』なんて、口が裂けても言えるはずがない。
それに、もう目が『早く返しといてね。』って言ってる。


「うん、いいよ。」
満面な笑みで真希ちゃんの教科書を預かった。

「ほんと!?ありがと〜。」
その子も笑顔で私に教科書を差し出す。

教科書を渡したその子はすぐにテクテクと、三組の教室に入っていった。
あの子、三組なんだ。


いつも通り教室に入っていく。
いつもと違うのは私の手に真希ちゃんの教科書が握られていると言う事だけ。


はぁ〜。
落ち着かなきゃ。

自分に言い聞かせて真希ちゃんの机のほうへずんずん歩いていく。
137 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)13時10分31秒
歩くって言ってもそんなに教室は広くない。
あっという間に、真希ちゃんの机の前に来る。


下を少し向くと、また同じ字で『ごとぉ』と書いてある上靴を
履いている真希ちゃんの細い足が眼に入った。

真希ちゃんは、また手紙を書いてる。


あぁっ・・・・。
そうだよね。こんなとこで突っ立ってたらみんなから怪しまれるよね。

「あ、あの、後藤さん・・・・。」
さすがにいくら昔、友だちだからって何年間も喋ってないんだ。
『真希ちゃん』とよぶのはどうかと思ったから、『後藤さん』にした。

心の中では相変わらず『真希ちゃん』、だけど。
138 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)13時17分50秒
おずおずと何年かぶりに話し掛けてみた。
そしたら、何年かぶりに目が合った。
真希ちゃんも私の顔を見てる。

「んぁ?なぁに?」
「あ、これ。」
すぐに、手に持っていた教科書を持ち主に返す。

「あっ。ありがとぉ。」
「うん。」


何年がぶりにした会話は懐かしいような気がした。
当たり前だけど。




真希ちゃんの喋り方は、四年生から
あまり変わっていなくて一瞬、四年生に戻ったかと思った。
真希ちゃん、『ありがとぉ。』と言ったときに、笑ってくれた。

笑顔も、すごく無邪気でかわいかった。
やっぱり、笑顔も変わってなくて、なんかほっとした。


ほんの少しの会話だったけど、今日は最高の気分になった。

139 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月10日(日)13時22分51秒
「梨華ちゃん!」
真希ちゃんとの会話を終えて、また教室を少し歩いたところで
昔から知ってるひとみちゃんの声がした。

「なに、ひとみちゃん?」
「あ・・・・あのさ、ごっちんと・・・・・喋ったの?」
聞きにくそうに、聞いてくるひとみちゃん。

「うん。あ、でもね、大した事じゃないよ?
ただ、他のクラスの子の教科書返しただけ。」
「そっか。」

ひとみちゃんは、残念そうだった。
やっぱり、ひとみちゃんも真希ちゃんと仲直りしたいんだよね。

140 名前:作者 投稿日:2002年11月10日(日)13時23分44秒
更新です。
141 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月11日(月)12時21分02秒
昔仲良かった友人と一度疎遠になると難しいですよね。
続きが楽しみです。
142 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月12日(火)14時54分25秒




アタナは覚えてる?




一緒に遊んだあの日のこと
一緒に笑ったあの日のこと




私は覚えてるよ




今も


そして、これからも―――――








143 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月12日(火)15時03分22秒
中学になってから、よく考えるとひとみちゃんと遊ぶ時間が減った気がする。
なんでかって考えれば必ず答えは
『ひとみちゃんがきびし〜い部活に入部したから。』ってなる。


だって、バレー部は休みの日も部活がある。
部活に入ってない私なんか、たいてい休みの日は
ごろごろするか、友だちと遊ぶかのどっちかだ。


「梨華ちゃん、梨華ちゃんっ!!」
今日のひとみちゃんは声ですぐにわかったけど、少し興奮気味だった。

「どうしたの?今日はなんか、ひとみちゃん、興奮気味だよ?」
ひとみちゃんの目は、きらきら輝いていた。
なんか、走ってきたみたいで息も切れていてぜーぜーいってる。

144 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月12日(火)15時31分49秒
「土曜日ねっ、部活・・・・・休みなんだよっ!?
こんな日はいままでにないよ!?」

そう言い終わって私が何の反応も示さないうちに、『やった〜!休みだ〜!』
なんて言いながら少しだけど、ぴょんぴょん飛び跳ねていた。

「ひとみちゃん、部活、休みなの?」
「そう!そうなんだよ!だからさ、土曜日、
久しぶりに遊ばない!?二人だけで!」

『二人だけ』っていうのがちょっと嬉しかった。
だって、ひとみちゃんは男女関係なく人気あるから。
二人だけで遊ぶのはほんとに久しぶり。

「うん。いいよ。土曜日なら私もあいてる。」
「やった〜。なんか、久しぶりだね。
それじゃあ、あの公園で一時に待ち合わせね。」
「うん、わかった。」

『あの公園』ね・・・・。
『あの公園』って言ってもすぐに通じる。
懐かしいね。


なんか寂しい気持ちでいっぱいになるけど・・・・・。

145 名前:作者 投稿日:2002年11月12日(火)15時34分35秒
少し更新です。
ちまちまと。

>141様
そうなんですよ。
一回全然話さない時期があるとちょっときついんですよ。
わかります、それ。

146 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月14日(木)16時57分59秒
今日は土曜日。
久しぶりに幼なじみのひとみちゃんと遊べる日。


昔、毎日のように遊んだあの公園で待ち合わせ。
へへっ。
楽しみで、足取りが軽い。
家からそんなに遠くないんだけど、自転車を倉庫の中から出してさあ出発。


「ひとみちゃんっ。」
「おぉ!梨華ちゃん!」
私が公園につくともうひとみちゃんは公園に居た。

「はやかったね、ひとみちゃん。」
私が今公園についた時間、まだ一時よりもちょっと前。
でもそれよりはやくここにいた。

「うん。まあね。ところでさ、今日ね買いたい物があるんだ。」
「いいよ。どこの店?」
「うーんとねぇ・・・・・。電車乗りたいんだけどさぁ。」
「全然平気だよ。お金けっこう持ってきたしさ。」

147 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月14日(木)17時07分22秒
がたん・・・・がたん・・・・・・・。


さっきから電車はぐらぐら揺れてる。
止まる時なんか大変だよ。


がたんがたん・・・・・・。
あ、この駅だよね?

「ひとみちゃん、ここでしょ?」
「うん。」

電車に乗るのも、慣れてきた。
中学生になって初めて友だちと乗った。
最初はどきどきしたけど何回か乗ったりすると慣れてきた。



電車から人ごみの中おりて店に入ることなく道を歩く。
ひとみちゃんが探している店を私はわからないから
いろんな店を見ていた。


「梨華ちゃんっ!この店だよ。」
少し歩いたところでひとみちゃんが、
まわりの店よりも少し小さい店を指差した。

148 名前:作者 投稿日:2002年11月14日(木)17時23分18秒
ちまちまと。
149 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)11時44分18秒

「ひとみちゃん、これ、かわいーね。」
「梨華ちゃん、こっちのもかわいーよ。」



小さなお店には、素敵なものがたくさんあった。
かわいいの、かっこいいの、おもしろいの・・・・・・ほかにもたくさん。


ここ、いい店だね。


外見は小さな店だけど、中は広く、商品を見るだけでも楽しかった。
商品はたくさんあって、全部見るのに時間がかかったようで、
店から出るともう、時計は四時を指していた。


がたん、がたん・・・・・・・。
「ひとみちゃん、時間が経つのって早いねぇ。」
「ほんとほんと。もう四時だもんね。」

今日、ひとみちゃんと一緒に遊んだ時はずっと笑顔が絶えなかった。
なんか、久しぶりに二人で遊んだからかな?


150 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)11時51分40秒

「そうだ。梨華ちゃんさぁ、この前した
席替えで、ごっちんのとなりだったんだよね。」

電車から降りて、自転車に乗り、
こぎ始めたところでふいにひとみちゃんが喋った。

あ、そっか。ひとみちゃん、知ってたんだ。

「梨華ちゃん、またへんなこと言われてない?」
心配そうな顔で聞いてくる。
そんなところは、やっぱり昔と変わらない。

「へんなことって?」
なんとなくひとみちゃんの言いたい事が
わかった気がしたけど一応、聞いてみた。

「わかってるんでしょ?」
さすが。ひとみちゃん、私と考えてる事同じなのかな?
私が思うに、ひとみちゃんの言いたいことは
『小学校の時みたいに松浦さんに何もいわれてない?』だと思う。
直訳すれば、『今はもういじめられてない?』と、方程式が浮かんだ。

「うん。平気だよ。ありがとね。心配してくれて。」
「そっか。なら安心だよ。」

151 名前:オイラの作戦 投稿日:2002年11月16日(土)12時03分49秒




「信じて、ない・・・・・の?」



「梨華ちゃん?どした?」

なんか、自然にぽろりと言葉が出た。


ホントハ、イワナイホウガヨカッタノニ・・・・・・・。



「ひとみちゃんは・・・・・その・・・えっと・・・・・。」
先の言葉がでなくなったし、出したくもなかった。



「へんな梨華ちゃん。」
ひとみちゃんが不思議そうに言ってくれた。
そのおかげで、私はその言葉を出さないですんだ。


そのあと、ひとみちゃんも私がへんなのに気付いたのか
あまり、話し掛けてこなかった。


今の私には、その気配りがよけい、苦しかった。

152 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時06分07秒




「信じて、ない・・・・・の?」



「梨華ちゃん?どした?」

なんか、自然にぽろりと言葉が出た。


ホントハ、イワナイホウガヨカッタノニ・・・・・・・。



「ひとみちゃんは・・・・・その・・・えっと・・・・・。」
先の言葉がでなくなったし、出したくもなかった。



「へんな梨華ちゃん。」
ひとみちゃんが不思議そうに言ってくれた。
そのおかげで、私はその言葉を出さないですんだ。


そのあと、ひとみちゃんも私がへんなのに気付いたのか
あまり、話し掛けてこなかった。


今の私には、その気配りがよけい、苦しかった。


無言で自転車をこぐ。

なんか居心地が悪かった。


153 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時14分34秒
そんな居心地の悪い空気もあの公園に行けば『ばいばい』って言って帰れる。
もうすぐだ、もうすぐ・・・・・・。


「あのね、梨華ちゃん。」
「なに?」
そんなことを考えてたらひとみちゃんがついに口を開いた。



「ほんとは、わかってた。」



下を向きながら話す。

「さっき、梨華ちゃんが言いたかった事ね、わかった。」

私がさっき言いたかった事って言うのは―――――――



「梨華ちゃんはさっき、私に
『ごっちんのこと、信じてないの?』って聞きたかったんでしょ?」



そっか。わかってたんだね、ひとみちゃん。
やっぱり、何年間も一緒に居たからかな。


私が言いたかった事はさっきひとみちゃんが言ったとおり。

ひとみちゃん、みごと正解だ。

154 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時22分49秒




「うん。」



私は、ひとみちゃんの質問に素直に頷いた。
だってもうひとみちゃんはわかってる。


「梨華ちゃんは、信じてるの?」
逆に質問された。
その質問には困った。


『信じてるよ』って自信を持って言えなかった。



「私、私はね、信じたい。」
少し時間がたった後、私はそう言った。



「そ、か。」
ひとみちゃんはこたえてくれない。


「ひとみちゃんは?」
155 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時30分24秒



「私はあんまり、信じないほうが身のためかもしれない。」
即答。

あまりにも即答だったから頭の回転がついていけなかった。


ひとみちゃんの顔からは、笑顔なんて感じ取れなかった。

「どして?」
気になってどうしようもなかったし、
理由を聞かないと気がすまなかった。



だって、あんなに仲良くしてたんだよ?
あんなにたくさん遊んだんだよ?


なのにどうしてひとみちゃんは、真希ちゃんを信じないの?


「梨華ちゃんが考えてる事はよくわかるよ。すっごいわかる。」



「じゃあなんで?」



156 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時43分28秒
「梨華ちゃんさぁ、昔、友だちいっぱいほしいって言ったじゃん?」
「うん。」
そのことはよく覚えてる。
私が友だちほしいって言って、ひとみちゃんが
ひとみちゃんの友だちを紹介してくれた。

「今、梨華ちゃん、友だちけっこういるじゃん?」
「ひとみちゃんほどでもないよ。」


「私ね、中一のとき仲良くしてた子がいたんだ。」
ひとみちゃんの横顔が寂しく見えた。
私は、静かにひとみちゃんの話を聞くことにした。

「その子ね、中二になって、クラスが
別々になったんだけどあんまり喋んないんだよね。
今でも、ほんとにたまに喋るけど、会話はあんまり盛り上がらないんだ。
はっきり言って、つまんない。」
「そっか。」

たぶん、ひとみちゃんの言いたいことはわかった。
つまり、友だちが多ければ多いほど『別れ』っていうものがたくさんあって
それは、当たり前のように受け止めなきゃいけにことなんだって。

だから、真希ちゃんとのことも、ごく普通でよくあることなんだって。
『親友』とか『腐れ縁』じゃない限り、いつかは『別れ』がくるものなんだ。
157 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時51分44秒


私とひとみちゃんはどうなんだろう?
ひとみちゃんと一緒にいた月日は長いから『別れ』が来る時は辛いのかな。


真希ちゃんのことも、ひとみちゃんにとっては当たり前のこと。


私は友だち少ないから、今までにそういう経験は数少ない。
そのうち、なれるかな。




じゃあ、美貴ちゃんは?
美貴ちゃん、学校に来てないから、もうだめなのかな?
終わっちゃうのかな?


なんか、ショックだよ・・・・・・。



私、ただの世間知らずじゃんかぁ。


きっと、この世界にはこういう人、たくさんいるんだ。
仲良くしててもいずれ『別れ』はやってくるんだね。
158 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)12時59分50秒
「それじゃあね、ひとみちゃん。」
「ばいばい。」

あんなに楽しかったのに、私の発言で
最後は悲しい思い出になっちゃったね。
ごめんね、ひとみちゃん。
ほんとは、もっと楽しい思い出にしたかったのに・・・・・。



「ただいまー。」
「あ、梨華。」
お母さんの顔の表情がいつもより暗かった。

あれ?今日はお父さんもいた。
「どうかしたの?」
嫌いな親でも、少し心配になった。







「梨華、あのね、引越しが決まったのよ。」







159 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)13時08分19秒





引越し・・・・・?





「え?お母さん、それって・・・・・。」
「前から決まってたんだけどね、言う機会がなくて・・・・・」
「・・・・・・いつ?」
「二週間後よ。」





頭の中が暗闇に覆われた気がした。
考えたくても全然頭が働かなくて・・・・・・。




「どこに?」
「北海道よ。」

『もうじき準備するから』とか『先生にはもうすぐ言いに行くから』とか
親が言ってたけど、あまり耳に入ってこなかった。





最悪だ・・・・・・。



こんなのひどすぎるよ・・・・・・。
160 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)13時12分33秒




これがひとみちゃんの言ってた『別れ』なんだと実感した。


私、北海道に行けばなにもかもを失っちゃうよ・・・・・・。


ひとみちゃんも、みぃもミホも咲も、美貴ちゃんも・・・・・・。




真希ちゃん・・・・・・・。



あ、失わないもの、見つけた。





思い出だね。




思い出はどんなに経っても、それぞれの心の中にしまってあるから。
失うことは、記憶喪失とかじゃない限り、忘れないね。



161 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月16日(土)13時24分58秒


『引越し』と言われた次の日の朝、日曜日。
今日、学校がなかったのが不幸中の幸いってやつだ。


今日一日、ちょっと考えたい。


やっぱり、はやめにひとみちゃんたちにも伝えよう。
引越し直前になって言うと、なんにも思い出つくれないもんね。


あと、美貴ちゃんにも伝えたい。
美貴ちゃん、保健室に居るのかな?

一回でいいから話したいな。
でも、喋ってくれるかな?
ちょっと不安だな。



真希ちゃんは・・・・・・どうしよう。
『私、今度引っ越すんだ。』なんて、言えるわけない。
先生がクラスで言ってもらうまで待つしかないのかな?

162 名前:作者 投稿日:2002年11月16日(土)13時26分17秒
二重投稿してしまいました。
>151は抜かしてください。
163 名前:90 投稿日:2002年11月16日(土)17時12分42秒
そうきましたかぁ〜。
どうなるんですかね?自分も夏に引越したんですが
っても同じ区内なんですけど…
それでも全然会わなくなっちゃいまして――…
つまんないです、石川たちはどうなるのかなぁ…?
164 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月17日(日)19時52分31秒
初めて読んだけど、おもしろい。
165 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月20日(水)17時44分46秒
月曜日の朝、ほんとは学校を休みたかった。
だけど、理由もないのに休むと親がうるさい。

しぶしぶ学校へいつものようにむかった。

「おはよ、りか。」
「ん、おはよ。」
学校までつくのもあっという間。
今日、美貴ちゃん保健室に来てるのかな?
もし、来てるなら保健室に行って少しでもいいから話がしたいけど。
あ、あとひとみちゃんたちにも言わなきゃね。

休み時間になって、早速保健室に向かった。
『必要のない生徒は中に入らない』って保健室の
ドアに紙がはってあったけど見ないことにした。

「失礼しまーす。」
「どうかしたの?」
前と同じ先生が笑顔で出てきた。

「先生、美貴ちゃん、保健室に来ますか?」
一回、保健室を見渡しても美貴ちゃんはいなかったから、そう聞いてみた。

「美貴ちゃんはねぇ、もうすぐ来ると思うよ。なんか用があったの?」
「はい。小学校の時からの友達で・・・・・。」
「そう。ならきっと美貴ちゃんも喜ぶと思うわよ。
次の休み時間、また来てくれるかな?」
「はい。」

先生の笑顔は、あったかい感じがした。
美貴ちゃんが次の休み時間には来てるって聞いて、嬉しかった。
166 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月20日(水)17時54分01秒
「梨華ちゃん、どこ行ってたの?」
教室に入ったらいきなりひとみちゃんが聞いてきた。
無理もないかもしれない。
だって、私は休み時間、ずっと教室にいるのだから。

「うん。ちょっと美貴ちゃんのところに。」
「ふーん。」
ひとみちゃんは美貴ちゃんが不登校だと言うことを知らない。

「ひとみちゃん。」
「なに?」

『私、引越しするんだ。』ってたった一言なのに、言葉が詰まった。
でも、今言わないと・・・・・。

「私ね、二週間後ぐらいに引越しするんだ。」


やっと、言えた。



「梨華ちゃんそれ、ほんとなの?」

周りもうるさかったけど、あまり耳に入ってこなくて
ひとみちゃんの声が聞こえた。

「そうなの、ほんとだよ。」
ひとみちゃんの声が震えてた。

「え?ジョーダンじゃなくて、ほんとに?ほんとに二週間後に
引越ししちゃうの?やっぱり、学校も変わるの?どこ行くの?」

そんないっぺんに質問されても答えられないよ・・・・。
「うん・・・。引越しはほんと。北海道に行くの。
もちろん、学校も変わっちゃうの。」
なんとかひとみちゃんが言った質問を整理しながら答えた。
167 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月20日(水)18時01分30秒
「そっか・・・・。でも、もう会えないってことないよね?
休みの日とか、遊ぼうよ!!ね?手紙も出すよ?
ケータイ買ってもらったら毎日メール送るからっ!!」

私の真剣な表情から、真実だという事を理解したひとみちゃん。

「うん、ありがとね。」
ひとみちゃんは下を俯いていて表情が読み取れない。

「あのさ、転校、取り消せないの?」

ひとみちゃんが、顔を上げて私と同じくらい真剣な顔で聞いてきた。

「うん。たぶん、無理だよ。けっこう前から決まってたみたいだったし。」
「そっか。わかった。」
ひとみちゃんは、寂しそうな顔をした。
少し、嬉しかった。
だって、悲しんでくれた。手紙もくれるって言った。
ほんとかどうかはわからないけど。


「じゃあさ、転校するまで、たくさん思い出、つくろうよ?」
「うんっ。私も思い出つくりたい。」

そうだよね。今はたくさん思い出をつくろう。
きっと、そのほうが楽しいに決まってるもんね。


忘れちゃうほどたくさん、思い出をつくるんだ。

168 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月20日(水)18時12分46秒
授業中、小さな声で前の席のミホとお喋りをしてたら
授業がいつのまにか終わってた。

相変わらず真希ちゃんも、かわいい顔を真剣な顔にかえて手紙を書いていた。
手紙なんか、文字を書いてるから、先生なんかはノートに写してるのだと
思う先生が多いから、真希ちゃんはぜんぜん気付かれなかった。


「失礼しまーす。」
前の休み時間と同じようにあいさつをして薬臭い保健室に入ると
前会った時と同じ場所に座っているのは、美貴ちゃんだった。

「梨華ちゃん?」
「あ、美貴ちゃん、先生は?」
あいさつをして入ったのにあいさつがかえってこないと思っていたら
先生はいなかった。

「職員室だよ。梨華ちゃん、今日はどうしたの?」
「えとね、美貴ちゃんに話があって・・・。」
「なに?どうかした?」
美貴ちゃんは笑顔じゃなかったけど
前、保健室で会った時よりかは、話しやすかった。

「私、今度、転校するの。」
「転校?梨華ちゃんが?」
「そうなの。だからちょっと言っておこうと思って。」

「そっか。寂しいね。また、会えるかな?」
169 名前:作者 投稿日:2002年11月20日(水)18時15分56秒
更新です。

>90様
遠くに引越ししちゃうと仲がいい友達でも話さなくなりますからねぇ。
石川たちはどうなるのでしょう?

>164様
おもしろいと言ってもらうと嬉しいです。
力になります。

170 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月22日(金)15時47分16秒


「うん。また会えるよ。きっと。」


美貴ちゃんの表情はあんまり変わらない。

「それじゃあ、そろそろチャイムなるから、行くね。」
「うん。ばいばい。」

ほんとはまだ時間があったけど、保健室に二人でいるのが
辛くなったから、教室に戻る事にした。

「梨華ちゃん。」
「ん?」
私が保健室から出て行こうと美貴ちゃんに背を向けて、
歩き出そうとした瞬間、美貴ちゃんに呼び止められた。





「元気でね。」



「うん。」


美貴ちゃんは最後にたった一言、『元気でね。』って言ってくれた。
でも、寂しかった。
だって、転校する話をしても、表情一つ変えなかった。
ずっと私が保健室に入ってきた時と同じ顔をしてた。

ほんとは、美貴ちゃんにとって私は、どうでもいい存在なのかな?


私は、美貴ちゃんのこと小学校からの、大切な友だちだと思ってた。
でも美貴ちゃんはどうなんだろう?
171 名前:残酷な運命 投稿日:2002年11月22日(金)15時56分26秒
教室に戻って、仲良くしてる友だちに、転校のことを告げた。
みんな、ひとみちゃんに近い反応で、嬉しかった。


でも、ここから離れるのは、いやだった。
だって、せっかくたくさん友だちつくったのに。
そりゃあ、遠く離れたら友だちじゃないってわけじゃないけど。
やっぱり、寂しい。

小さい頃から仲良くしてたひとみちゃんともお別れ。

みんなと離れたくない。



それに、まだ真希ちゃんのこと、納得したわけじゃない。
納得できるほど、私は大人じゃないんだ。

ひとみちゃんがこの前一緒に遊んだ時に言われたことも、よく覚えてる。
きっと期待すればするほどあとで、うけるショックも大きいと思う。



私は、今の真希ちゃんが知りたくなった。



172 名前:遠い約束 投稿日:2002年11月22日(金)16時07分17秒


最近ね、よく考えるの
キミのこと


ほんの少しの間だけ一緒にいたキミのこと
私ね、そのときは心がふれあったのかと思ってた

でも、ぜんぜんふれあってなかったね



私、ずっとキミが変わったと思ってた
でも、違うかもね



もしかしたら、私が変わったのかもしれない
ずっと、キミが悪いと思ってた



ごめんね


もう、手遅れなのかな?

よく考えるとキミと私たちが一緒にいた時は、短かった


もしかして、キミ、我慢してた?
私たちといて、辛かった?


ほんとはほかの子と、仲良くしたかった?



ごめんね


縛り付けちゃって



ごめんね




173 名前:遠い約束 投稿日:2002年11月22日(金)16時18分02秒

転校が間近になってきて、クラスのみんなにも私の転校が知れ渡った。
なぜか、真希ちゃんが気になってしょうがない。

今日は、話し掛けてくれるかな?
今日は、無邪気な笑顔で喋ってくれるかな?

たくさん、考える。
もしかしたらそれは、転校する私に、
なにか言ってくれるかもしれない、と期待してたのかもしれない。

でも、何も言ってくれなかった。



やっぱり、私ってばか。

最近は、前よりも手紙が流行してた。
ときどき、私もやってた。


「りーかーちゃんっ。」
後ろから背中をぽんっと叩かれた。
誰かと思ったら、にこにこ笑っているひとみちゃんだった。

「ひとみちゃん?」
「あのさ、引越しって、いつするの?」
「えっとね、今度の日曜日だよ。」
よく考えると、ほんとにすぐ、転校なんだ。
あんまり、実感が湧かなかったけど、家に帰ると少しだけ準備がされてた。

「あのさ、引越しの時、梨華ちゃん家に行ってもいい?」
「別に構わないけど。部活はないの?」
「うんっ!ちょうど休み!!」
174 名前:遠い約束 投稿日:2002年11月22日(金)16時23分34秒
『引越しの時、梨華の家に行くよ。』と、何人かの友だちが
言ってくれたけど全部断った。
だって、かえって別れが辛くなると思ったから。

でも、ひとみちゃんには、来てほしかった。
ずっと一緒にいたんだもん。
一番の友だちなんだもん。


「ごっちんのことは、もういいの?」

少し沈黙したあと、ひとみちゃんは、聞いてきた。

「よくはないけど、しょうがないと思って・・・。」

ひとみちゃんの顔を見るのをやめて下を向いた。



「私、いい考えがあるんだけど。」



ひとみちゃんは、得意そうな、でも真剣な顔で言った。



175 名前:作者 投稿日:2002年11月22日(金)16時25分08秒
更新終了です。

よく考えるともうすぐ終わりです。
書くペース、遅いですが。

176 名前:遠い約束 投稿日:2002年11月23日(土)15時25分52秒


「やだよっ!絶対だめ!!」

私は怒っていた。
ひとみちゃんが言う『いい考え』に怒ってたし、驚いてた。


「え〜?いいと思うんだけどなぁ。」
ここは、外。
学校が終わって、部活がないってひとみちゃんが言うもんだから
一緒に帰ってる途中に、『いい考え』を教えてくれた。


「あれ〜?よっすぃ〜に梨華ちゃんじゃない?」

どっかで聞いた事のある声が、前からした。
とことこと走ってこっちに向かってくるその人。
その人は、私とひとみちゃんも一回あったことのある人だった。



「「やぐち、さん?」」


177 名前:遠い約束 投稿日:2002年11月23日(土)15時37分16秒
私たちの目の前に立ったやぐちさん。
小学生の時、一度だけ真希ちゃんの紹介で、
やぐちさんの花屋に行ったことがある。

やぐちさんは、何本か花を持っていた。
だからまだ花屋を続けてるってことはすぐにわかった。


やぐちさんは、しばらく見ないうちに
私やひとみちゃんよりも背が小さくなっていた。
いや、私やひとみちゃんの背が伸びたのかな?

「久しぶりだね。」
以前と変わらない笑顔で話し掛けてきた。

「そうですね。」
ひとみちゃんも笑顔で話す。

「少し、寄ってく?」
やぐちさんは、上目遣いで私たちと話す。
なんか、かわいいかも。

「梨華ちゃん、ちょっとよってかない?」
「え?いいけど。」

すぐに店の中に案内された。
店の中には花がたくさん咲いていて、どの花も活き活きしてた。
178 名前:遠い約束 投稿日:2002年11月23日(土)15時50分42秒

「最近、ごっちん、来てませんか?」
いすに座ったあと、直後にひとみちゃんは、
やぐちさんの目を見ながら聞いた。

「真希?うん、来てるよ。休みの日とか。」
もしかしてひとみちゃん、やぐちさんから
真希ちゃんのこと聞き出そうとしてる?

「もうちょっと前から、喋ってないんですよね・・・。」
ひとみちゃんは、暗い声になった。

「そっかぁ。いつから?」
「小学校、五年生の途中ぐらいですけど。」
それでも、やぐちさんは笑顔。
私はずっと黙っていた。

「ふーん。真希ね、五年生の最初の頃に『よっすぃ〜や梨華ちゃんと
クラス、別々になっちゃったよぉ、やぐっつぁん・・・。
ほんとは、一緒になりたかったのにさぁ・・・・・。』って言いながら
落ち込んでたけど。」

真希ちゃん・・・?


「今、真希と仲良くないの?」

「「はい。」」
私もひとみちゃんに声を合わせた。

「でも真希、友だちは大切にするよ?」
「あのー、真希ちゃん、私たちといて、楽しかったんですかねぇ?」
私はいままでずっと気になっていたことを聞いてみた。
179 名前:作者 投稿日:2002年11月23日(土)15時52分55秒
更新です。
180 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月25日(月)20時18分48秒
今日一気読みさせていただきました。
なんだろう、うん。なぜかわかる。
別にいじめられた事もないし転校した事も無いんだけどなぜか、わかる。
子供のときって毎日に全力を注いで次の日の事なんて考えなかったからなぁ。
大人なるに連れて明日の事ばかり考えて時間が何時の間にか過ぎて行くから、
昔のこういう思い出が輝いて見えてしまうのかな・・・
181 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月01日(日)15時29分46秒


「真希はさ、素直な子だから、嫌いなことなんか一緒にいないよ。」
少し時間を空けて、やぐちさんは話し出す。
真希ちゃんが、素直なことは、喋ってればわかる人もたくさんいる。
大人びた顔だけど、天真爛漫な性格で、かわいい。

「じゃあ、私たちの事、嫌いじゃなかったんですか?」
ひとみちゃん、嬉しそう。
私も嬉しいけどね。

「ヤグチはそう思うけどなぁ。」




「あの、今日は、ほんとにありがとうございましたっ!!」
「ありがとうございました。」
ひとみちゃんの興奮はやぐちさんの花屋さんから出るまでずっと続いていた。
ひとみちゃん、感情を顔に出すほう・・・・・なのかなぁ?
でも、ひとみちゃん本人は気付いてないみたいなんだけど。


「あのさぁ・・・。」
夕陽を背にして、二人で帰る。
そんな中、私は考えてた事をひとみちゃんに言ってみる事にした。
きっとひとみちゃん、喜ぶかな?
182 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月01日(日)15時38分11秒
「なにぃ〜?」
まだルンルン気分のひとみちゃん。
ちょっと一緒に歩いてるの、恥ずかしい。

「さっきひとみちゃんが言った作戦、やってみたいな。」


ひとみちゃんは、石のように固くなって、歩くのをやめた。

「へっ!?」
ひとみちゃんの思考回路が動き出したのか、
ルンルン気分だったひとみちゃんの顔が驚いた顔になる。


「り、梨華ちゃん、ほんとに?あんなにいやがってたのにさ。」
びくびくしながら聞いてきた。
そんなびくびくしなくてもいいのに・・・・・。

「うん。さっきやぐちさんの話を聞いて、考え直したの。」
「そっか。それじゃ、作戦実行といきますかっ!」
ひとみちゃんは腕をぐいっと上に伸ばす。
「うんっ!!」


作戦は、少しづつだけど、動き出した。


183 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月01日(日)15時55分12秒
家に帰って、テレビ見て笑って、お風呂に入って、頭を乾かしながら
ひとみちゃんが言い出しっぺの作戦を頭に思いえがいてみた。

作戦といっても、単純明快な作戦。
幼稚園児だって考えつく作戦だと思う。
まだ作戦って言えないんじゃないのかな?

作戦実行日は、転校する二日前の日。
その日にひとみちゃんは、学校で真希ちゃんに話しかける。
『今日、話があるから公園に来てくれない?』と。
ちなみに、公園の名前を言わないのは、真希ちゃんが覚えてるなら、
私たちの事を少しでも覚えてるから、だそうだ。

そういうもんじゃないと思うんだけどね。
それで放課後、『私が転校の日、もし友だちなら私の家に来てほしい。』って
ひとみちゃんが言うんだって。
私が転校する日は日曜日。
だから午前中には荷物をまとめるって。


こんな単純な作戦。
上手くいくかはわからないけど、やってみることにした。
やっぱり問題は、公園のときの話。
その話で、気持ちが変わるかもしれないと思う。
ちなみに二日前っていうのは、考える時間を一日真希ちゃんに与えるんだって。
ひとみちゃん、そういうのは考えるんだね。
184 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月01日(日)16時09分38秒
私が『面と向かってはなすのは恥ずかしいからやだ』って言ったんだけど
ひとみちゃんは『面と向かって話さなきゃわかんないこともあるんだよ。
真剣な顔して話せばわかってくれるかもしれないじゃん。』だって。
ひとみちゃんがものすごく真剣な顔してたから笑えた。



転校する日まで残り二日となった。
今日は例の作戦実行日。
朝からどきどきしてたんだけど、ひとみちゃんはいつもと変わらなかった。


「梨華ちゃん、今日だからね。」
まわりで話を聞いてる人は、いないのに小さな声で喋りだした。
主語が抜けてたけどすぐにわかった。
「うん。わかってるよ。でだしはひとみちゃんなんだから、頑張ってね。」
ぽん、と軽くひとみちゃんの肩を叩いた。

「まっかせなさいっ!!」
自信満々に歩いて真希ちゃんのとこへ近づく。
幸い、真希ちゃんのまわりには誰もいなかった。


あ、ずっと見てると怪しまれるよね・・・・・。
どうしよ・・・。
いいや、ミホんとこ行こ。


「ミーホー。」



185 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月01日(日)16時18分20秒
「それでさぁー・・・・・。」
「あははははっ!」


他愛のない話をしてたらひとみちゃんが、戻ってきた。

「どうだった?ひとみちゃん。」
「ん?あ、いいって。来てくれるみたい。」
なんか、いつもと変わらない感じ。
「え?なになに〜?」
ミホが聞いてたみたい。
好奇心で聞いてくる。

「大した事じゃないよ。」
「なぁ〜んだ、つまんな〜い。」
もともと楽しいことが好きなミホだから、楽しくない話だとわかるとすぐに
他の友だちのところへ『ねーねー』と話し掛けてた。
よかった、しつこい人じゃなくて。

「でもひとみちゃん、部活は?」
「もうすぐ大会近いからさー、三年生だけで練習したいんだって。」
バレー部の三年生の人数は多いらしい。
ひとみちゃんが大会とかに出れるときは、運がいい時だって。
上手なのにね。

「じゃあ、放課後一緒に行こうよ?」
一人で行くのはさすがに不安だよ。
「そりゃもちろんいいよ。」
すぐに答えてくれたから嬉しかった。
186 名前:世紀 投稿日:2002年12月01日(日)16時21分12秒
更新です。
あと少し・・・なんですけどねぇ。
なかなか進みません。
あ、終わったら番外編を用意してあります。

>180様
気持ち、わかるんですか。嬉しいです。
子供の頃は毎日毎日を一生懸命生きてましたからねぇ。
懐かしいです。
187 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月02日(月)17時39分06秒
この小説にはドキドキではなくてワクワクがある。
188 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)16時54分42秒



待ってもムダなことがある
待ってもダメなことばかり


待ってもむなしいことばかり



それでも私は
じっとまつ



189 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)17時00分11秒


「懐かしいね、ここ。」
三人で一緒に遊んだあの公園について
第一声は、ひとみちゃん。




この公園は、昔と何も変わらない。
でも、私たちは、変わっちゃったのかな?


そんなの、わかんない。


私、臆病者なのかな?
だって、真希ちゃんをここで待つだけでも、心臓がバクバクいってさ。


そういえば、あの頃もだったのかもしれない。
みんなが、『よっすぃ〜』とか『ごっちん』とかよんでたけど
私は、ちゃん付けだった。
二人とも『あだ名で呼んでいいよ』って言ってくれたのに、
どうしても言えなかった。


臆病者の証拠かな?




この道の果てには、何がまってるんだろう?


喜び?悲しみ?怒り?



そんなの、誰にもわからないけど・・・・。



190 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)17時07分56秒


今まで、見守るだけの喜ぶ顔を見られれば、幸せだった。





だって、どんなに傷ついても、傷つけられても
大好きで大切な・・・・・友だちだったから・・・・・。



「梨華ちゃん。」

耳元で小さな声で呟いた声が聞こえた。
私はひとみちゃんのほうを見ると、真希ちゃんが歩いてこっちに向かっていた。
だんだん、近づいてくる。


「ひ、ひとみちゃん・・・・」
声が裏返っちゃったよぉ。恥ずかしい・・・。


「大丈夫。私が言うから任せてよ。」
にっ、と得意げに笑う。
ちょっと心配なんだけど、ここはひとみちゃんに全てを任せる事にした。



一人で歩いてくる真希ちゃん。
ずっと下を俯いたままだ。

たぶん、私たちを見るのが、いやなのだと思う。
あぁ、やばい。心臓の音、聞こえちゃうよぉ・・・。


真希ちゃんは、公園の中に入ってきた。

それでも、歩調は変わらずに私たちの元へと歩いてくる。
191 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)17時18分45秒


「ごめんねぇ、遅れちゃった。」
『あはっ』と笑う真希ちゃん。
やっぱり、笑顔は変わってないよ。
相変わらず、かわいいね。

「ううん。こっちが呼んだんだから。」
ひとみちゃんも、笑顔。
でも、無理矢理つくったような笑顔に見えたのは、私だけ?


「梨華ちゃん、転校するじゃん?」
急にひとみちゃんは笑顔を無くして話し出す。
「うん。先生、言ってたね。」
真希ちゃんも、笑顔は少し消えた。

「昔、仲良かったの覚えてる?」
私は、その一言で真希ちゃんの顔が見られなくなった。
だから、真希ちゃんの顔の変化なんか、全然見えなかった。

「小学生の時のこと?」
真希ちゃんは、すぐにこたえた。
そっか。覚えてくれてるんだ。
これを聞いただけでも、嬉しいよ。

「ごっちんは、ウチらのことどう思ってるのかは知らないけど、
私とか、梨華ちゃんはごっちんと一緒にいて、正直、楽しかった。
でも、いつだか覚えてないけど喋らなくなっちゃったでしょ?
ほんとは寂しかったんだよ。それで、梨華ちゃん、転校するから
もうごっちんの気持ち聞けないと思って。最後に、聞いておきたいって」
192 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)17時26分09秒
やっぱり、ひとみちゃん、頼りになるね。
ひとみちゃんが幼なじみでよかった。

気のせいかもしれないけど、視界がゆがんできたよ。
涙・・・我慢しないとね。

「梨華ちゃん、なにか言う事でもある?」
ひとみちゃんが優しい声で話し掛けてきた。
真希ちゃんは、何も言わない。
何を考えてるんだろう?


「私、今の真希ちゃんが知りたいの。小学校の時は、毎日一緒にいたから、
真希ちゃんのこと、よくわかった、と思う。自分の中でだけど。
でも、今の真希ちゃんは、何にも知らないの。だから知りたい。」

だめだ。これ以上言ったら涙が・・・・・。


「梨華ちゃんが引越しする日、私しか梨華ちゃんの家に行かないんだ。
だからもし・・・・あれだったら来てほしい。」


ひとみちゃんは私が涙をこらえてるのに気付いたのか、喋ってくれた。
でも、あんまりうまくまとまってない感じがした。


「梨華ちゃん、帰ろ。」
私の腕をぐいぐい引っ張って、公園から出て行く。
私もそれに連れられて、公園から出て行った。
真希ちゃんが公園にいたけど、最後までよく見えなかった。


193 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)17時37分41秒

もしかしてひとみちゃんも、涙、こらえてたのかな?
ひとみちゃんが泣くところって、ずっと一緒にいたけど滅多に見なかった。
もしかして、見たことないかもしれない。

ひとみちゃんは、強いね。


しばらく無言で歩きつづけた。


「ひとみちゃん、真希ちゃんは来てくれると思う?」
無言だったのがなんかいやで、無理矢理話題をつくった。
ひとみちゃんはまだ、私に顔を見せてくれない。

「わかんないけどやるだけのことは、やったと思う。
私の中では満足してるよ。梨華ちゃんは?」
今日、真希ちゃんに対してのひとみちゃんの気持ち
初めて聞いたのかもしれない。


「私も、小学校の時に仲良くしてた事、覚えてくれただけでも嬉しかった。」
ひとみちゃんも素直になってくれたんだからわたしも素直にならなきゃね。


「それ、私も思った。」
やっと笑顔でこっちを向いてくれた。


「ひとみちゃん、日曜日は、たくさん喋って思い出作ろうね。」
「もちろんっ!それにさ、一生会えなくなるわけじゃないんだから、
夏休みとかは遊ぼうね?」

ひとみちゃんが、いつものひとみちゃんに戻ったぁ。
だって、笑ってるもん。

194 名前:遠い約束 投稿日:2002年12月03日(火)17時40分40秒


「それはもちろん遊ぼうよっ。一生会えないなんて、そんなのやだもん。」
夏休みとか、絶対に遊んでやる。
お泊りもいいかもね。
夜更かしして。



「「約束だよ。」」



二人の声がきれいにはもった。
なんか、この約束は、絶対に忘れない感じがした。




195 名前:作者 投稿日:2002年12月03日(火)17時43分46秒
更新です。
ほんっとにあとわずか。


>187様
国語力のない私には『ワクワク』と『ドキドキ』の違いが
わかるようなわからないような・・・って感じです。
うーん。難しいですね。

196 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月03日(火)20時18分08秒
こどもの時にした約束・・・
今もかなえられずにいる自分がいる
197 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月07日(土)10時33分42秒


引越し当日。
ほんとにどきどきした。
朝からひとみちゃんは、家に来てくれて嬉しかった。

でも、真希ちゃんはなかなか来なかった。


「ひとみちゃん、真希ちゃん、来ないね。」
「うん。でも、恥ずかしくてこれないだけで、
最後には来てくれるかもしれないじゃん。」

「それもそうだね。」
何年間もの長い年月、喋ってないんだ。
そんな友だちに会いに行くってそうとう難しいと思う。
ひとみちゃんとも、小さい頃から、今までのこと、みんな話した。
その思い出話の中には、真希ちゃんのこともたくさんでてきた。
でも、ちゃんと笑っていられるようにした。


198 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月07日(土)10時44分15秒


「梨華ちゃん、あと大体どのぐらいでむこうに行っちゃうの?」
一通り喋り終わって、急に暗い話になった。

「うーん。一時間くらいかなぁ?」
『私もよくわかんない』と、付け足しといた。


「ごっちん、来ないね。」
「うん・・・。」
やっぱり、真希ちゃん、私たちの事、どうでもよかったのかなぁ。
だって、一年も一緒にいなかったもんね。
結局『友だち』とかってこういうものだったのかな。
少し、寂しいな。
ひとみちゃんも覚悟してたのかな。


ひとみちゃんをちらっと見る。
じぃっといろいろな景色を見渡してる。
でも、その目はやっぱり寂しそうだった。









「梨華ちゃんっ!!」
ひとみちゃんは、驚きと喜びが交じり合ったような
表情で私の服をぐいぐいひっぱった。
ちょっと、服がのびちゃうよ。




ひとみちゃんは、道路の反対側を指差した。


199 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月07日(土)10時52分22秒
















真希ちゃん・・・・・。




真希ちゃんは、全速力で走って来た。



私は、今にもこぼれそうなほど、涙がたまってたと思う。
私、中二になってもほんとに泣き虫だよね。






でも、それぐらい嬉しかったんだよ、真希ちゃん。











キイィィィィィィっ!!





その瞬間、ぶわっと涙が溢れ出てきたような、気がした。







200 名前:作者 投稿日:2002年12月07日(土)10時54分30秒
もう少し。


>196様
約束って、大切ですよね。
小さいにしても大きいにしても。
でも子供の頃の約束を覚えてるだけでも
すごいと思います。

201 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月07日(土)14時12分44秒
マ、マサカ…
202 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月07日(土)15時48分03秒
題名が悲しい・・・
203 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月08日(日)12時39分01秒



真希ちゃんは、人形みたいに、あっというまに吹き飛ばされた。
私も、ひとみちゃんも目の前で起きた出来事がまだ、信じられなかった。





「ごっちんっ!!」
ひとみちゃんの声で、私もようやく動き出した。

「真希ちゃん!」
二人で真希ちゃんの元へ駆け寄った。
真希ちゃんは、ぐったりと倒れていた。
でも、何とか意識はあったみたい。


車に乗ってた人がすぐに救急車を呼んでくれた。
お母さんが『梨華ー、電話よー。』と
部屋の中でのんきに叫んでたけど、真希ちゃんが第一だった。
私も、ひとみちゃんも、一緒に救急車の中に入った。
初めてだったから少し緊張した。




「真希ちゃん、真希ちゃんっ!」
私は、たくさん真希ちゃんの名前を呼んでた。


204 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月08日(日)12時46分39秒




私とひとみちゃんは真希ちゃんの手を力を込めてぎゅうっと握った。
その手は、少し、赤かった。



でも、すごくあったかくて、
私と真希ちゃんが命を重ねてるような感じがした。




「待たせてごめんね。梨華ちゃんとよっすぃ〜はかけがえのない
大切で大好きな友だちだよ。この町で出来た初めての友だち。
昔からずっと大好きだったよ。ごめんね。ほんとに、ごめんね。」
真希ちゃんは、最後の力を振り絞ってるようにも見えた。
それを見てたら辛くなった。
でも、真希ちゃんの言葉には嬉しかった。ほんとに嬉しかった。


「謝ることないよ。私、真希ちゃんのこと大好きだよ。」
涙がボロボロこぼれてたけど、言わなきゃいけないと思った。
ちゃんと真希ちゃんに自分の本心を伝えられた。


「ずっと友だちだよ。私も、ごっちんのこと、大好きだよ。」
ひとみちゃんも私と同じくらい涙をこぼしてた。



205 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月08日(日)12時55分03秒



『友だち』・・・・。
懐かしい響き。
遠い、遠い昔、心から自然に笑顔が溢れ出すような毎日。
初めての宝物だった。
すごく、好きになって―――







真希ちゃんの気持ち、痛いほど伝わってきたから
お願い、神サマ
これだけは聞いて








真希ちゃんをつれていかないで―――





206 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月08日(日)12時58分46秒



あの後、何があったかはよく覚えていない。
ただ、真希ちゃんの名前を必死に呼んでいただけ。





あれから、一ヶ月が経ちました。
今でも休みの日になると、こっちに遊びに来ます。



今、私の目の前に、真希ちゃんが眠っています。


目を覚ますかは、わからないって。
でも、その確率は低いらしい。
真希ちゃんのお母さんが言っていた。




神サマはつれていかなかったけど
ひどいね。



でも、一つだけ嬉しい事があるの。



真希ちゃんの手は、まだあのときと同じであったかい。






207 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月08日(日)13時01分06秒





たとえ、希望の全てが砕け散っても
生まれる夢もあると信じて―――



もう逃げないよ
もう背を向けないから





真希ちゃん、いつか目を覚ますと信じて
今度こそ、ずっとそばにいるから




約束だよ








すべてはそこからはじまるんだ





208 名前:命重ねて 投稿日:2002年12月08日(日)13時03分43秒




大切なものは
宝箱にしまっておこう




いつかまた三人で
一緒に開けようね






カギは、きっとなくならないよ







そして、三人で一緒に笑おうね





そしたらきっとまた――――






   END―――

209 名前:作者 投稿日:2002年12月08日(日)13時09分07秒
やっと終わりましたこの小説。
長かったような短かったような・・・・。

あ、わかってると思いますけど
最後のほうとかは実話じゃありませんよ。

残り三話、番外編を用意してます。
一応、出来上がってるので、
時間があるときにでも。



>201様
どう予想してたのかはわかりませんが、
こうなりました。
番外編では、あれですけど。
ネタバレになるとでやめときますが。

>202様
題名、見てくださるとはありがとうございます。
ちなみのこの題名、あるまんがのなかの題名です。
少し気に入ったので。
210 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)18時31分39秒
ごっちんはコレで約束を忘れる事は無くなった…いつまで経っても
三人が大人になったらカギが合わなくなっていないように番外編楽しみです。
211 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)20時15分30秒
…何も無いです
ただ感動。
お疲れ様でした。番外編楽しみにしてます
212 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)11時53分32秒


運命っていうモノ、あるんだよね?
知ってる?




一回会ったなら
それはきっと運命だよ






だからまた
いつか会えるよね


213 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)11時57分46秒

小学校五年生のクラス替えのとき、
新しい友達が出来たんだ。


最初あたしは、『あだ名でよんでいいよ。』って言ったよ。
でも、その新しい友達は『あだ名で呼ぶの、慣れてないの。』と、
申し訳なさそうに言われた。
それで、ちゃん付けになった。


だからあたしも、その子のことを『梨華ちゃん』ってよぶようになった。
最初あたしを『美貴ちゃん』って呼ぶ姿は、おどおどしてて
ちょっとかわいかった。
何回か呼んでると慣れたみたいだけど。

214 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)12時06分39秒


六年生になっても、梨華ちゃんとは仲良しだった。
ある日の放課後、名前はよく覚えてないんだけど、
梨華ちゃんがその人に呼び止められた。
 
知り合いかなぁって思ったけど、なんか違うみたい。
どうやら、怒ってるみたい。
勘違いだけど。

梨華ちゃんは大きく否定してた。
目が怯えてたけど。


その日はすぐに解放された。
あたしは、梨華ちゃんに『気にすることないよ』って 言ったあげた。
そのあとはずぅっとその人の話で盛り上がってたんだけど。


215 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)12時24分14秒
新しく出来た友達のカオリ。
正直、嫌いだった。
それは梨華ちゃんも同じ。


梨華ちゃんの委員会は図書委員会。
図書室に放課後行く時にカオリを無視しちゃった。



委員会の仕事が終わって、下駄箱を見たら
寂しそうにカオリの上靴がおいてあった。


二人で外に出たら、梨華ちゃんは懐かしそうで、どこか寂しそうな目で
外で遊ぶ人を見てた。


『美貴ちゃん、行こ。』
やっぱり寂しそうな声で、あたしを誘った。
気になったけど、なぜか口には出せなかった。



次の日、学校に行ったらカオリは、市井さんと仲良くしてた。
ほんとに驚いた。
手にもってた鞄を落としそうになったもん。

梨華ちゃんにも教えてあげた。

『そんなの、ほっとけばいいと思うよ。』
梨華ちゃんにこの言葉を言ってしまった。
ほんとは、ものすごい反省してた。
でも、素直じゃないあたしは、梨華ちゃんに言えなかった。



216 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)12時57分00秒

中学生になっても梨華ちゃんと同じクラスになった。
嬉しかったんだ。

梨華ちゃんに友達を紹介してあげた。
梨華ちゃんは嬉しそうだった。
だからあたしも嬉しくなった。




だいたい初夏ぐらい・・・かなぁ?
事件はおきた。
あたし、お父さんに押し倒された。
それでそのまま犯された。



すごく、怖かった。
でも、抵抗できなかった。



その日の深夜、ぼろぼろ泣いた。
だから、次の日の朝、目が真っ赤で学校に行けなかった。


だんだん、それがしょっちゅうされるようになった。
学校も休むようになった。



あたしは、死になくなった。


217 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)13時06分16秒


死にたくなって、お母さんが出かけてたから
あたしは真っ暗な自分の部屋で、真っ暗な事を考えた。



近くにあったカッターを取り出した。
カチカチカチ。

そっと、自分の腕にカッターを当ててみた。
カッターの刃は、冷たくて鳥肌が立った。
ぞくぞくした。




一回、自分の手首をカッターでやさしく切ってみた。
あたしの手首から赤いモノがでてきた。


あたしの目からも何かが出てきた。


もう一回、やってみた。
また、赤いモノが出てきた。


その行為を何回かやってみた。
赤いモノが少しづつ、どくどくでてきた。



目からも、ぼろぼろ何かがでてきた。



いつのまにかあたしの真っ暗な部屋に夕陽が差し込んでいた。
218 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)13時14分55秒


その、きらきら輝く夕陽を見たら、
目からもっと何かがでてきて止まらなくなった。



夕陽が『負けないで』と、言ってるように聞こえた。
あたしは、自分が涙をこぼしていることに気付いた。



あたし、何やってるんだろう?
なんでこんなことやってるんだろう?




自分で、真っ白な包帯をぐるぐるに巻いておいた。
痛みはあんまり感じなかった。




数日後、真っ白な包帯を取ったら、あたしの手首に
無数の傷があらわれた。





これは、あたしの心の傷の象徴だと思った。




それから、あたしは保健室登校を先生や親に許された。
友達にはあまり会いたくなかった。

219 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)13時26分01秒
保健室登校で友達になった二年生の先輩。
その先輩は、いじめをうけたらしい。


上靴の中には画鋲が入れられていたり、かつあげされたり・・・・・。
ほんとに、辛い事ばっかだって。


それのいじめは、中学校の一年生の頃からはじまっていて
二年生になって、とうとう先生に言ったんだって。
それから、保健室登校になったらしい。



その先輩は、消えそうな声で話してくれた。
あたしの目から、涙が出てきそうになったけど、我慢した。
だって、先輩は泣かないで、話してくれたから。



あたし、ほんとにばかだよね。
自殺なんて・・・。
みんな、いっぱいいっぱい傷ついてるんだ。
きっと傷ついてない人なんて一人もいないんだよね。


みんなぼろぼろになりながらもその傷に
負けないで、頑張って生きてるんだよね。

その傷は人それぞれ違うけど。



きっと、梨華ちゃんも、カオリも、みんな傷ついてるよね。


220 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)13時36分01秒


いつものように保健室に登校した。先輩は、休みみたい。
休み時間に、梨華ちゃんに会った。すごく驚いてた。

今までどおりに振り舞うつもりだったんだけど、上手く出来たかな?
梨華ちゃんのこと嫌いじゃないけど、一緒に保健室にいるのは辛かった。

少し喋ってたら、ベットのところから梨華ちゃんの友達がでてきた。
梨華ちゃん、友達いっぱいいるね。
あたしはもう、必要ないのかな?



『梨華ちゃん、あたし、先生来たら、言っとくよ?』
梨華ちゃんたちに出て行ってほしかった。
なぜだか、わからなかったけど。



すぐに梨華ちゃんたちは出て行ってくれた。
最後に、梨華ちゃんに手を振った。
梨華ちゃんは、少し寂しそうだったように見えた。
221 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)13時52分04秒


春が来て、二年生になっても保健室登校は変わらなかった。
みんなより少し遅れて学校に行くあたし。
だってそうじゃないと、みんなに会っちゃうでしょ?


保健室に入ったら先生が、『石川さんがさっきの休み時間来てね、
また次の休み時間に来てくれるってよ。』と言ってた。


梨華ちゃんが?

 

あたしは保健室で一人、勉強をしてる。
休み時間になると、先生の言ったとおり、梨華ちゃんが一人でやってきた。


『私、今度、転校するの。』 
言いにくそうに言ったから何かと思ったら、梨華ちゃんの転校の話だった。
びっくりした。


『そっか。寂しいね。また、会えるかな?』
すぐに出たのは、この言葉。


梨華ちゃんはほんとはまだ時間があるのに、チャイムが鳴るから、と
言って帰ろうとした。


『元気でね。』
222 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)13時54分08秒


上手く、言えなかった。
ほんとはすごく寂しかった。

梨華ちゃんが保健室から出て行く背中は寂しそうだった。
ごめんね、梨華ちゃん。



素直になれなくて、ごめんね。


223 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)14時02分45秒

今、目の前には電話がある。
自分の、家。
もうお父さんも、あたしを押し倒すこともなくなった。


梨華ちゃんに電話をしてみようと思う。
確か、今日、転校するって先生から聞いた。


「もしもし、藤本ですけど、梨華ちゃんいらっしゃいますか?」
緊張した。
だって、お母さんが出るんだもん。

『こんにちは。梨華ね。ちょっとまっててね。』
梨華ちゃんのお母さんの声は優しい声。

『梨華ー、電話よー。』と大きな声が聞こえた。
もちろん梨華ちゃんのお母さん。
まだかな、まだかな。
どきどき。

梨華ちゃんが電話に出たら言う事は決まってる。

『ごめんね、梨華は今外にいて聞こえないみたいなの。』
申し訳なさそうに笑いながら言う。

『梨華にあとで電話させるわね。』
「はい。」
がちゃ。
すぐに電話を切った。

224 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)14時05分27秒


あーあ。
言えなかったよ。


梨華ちゃんが転校する前に言いたかったのに・・・。
『ごめんね。』って。



今度、会えるかな?
会えるよね。


そのときにいっぱい謝ろう。
いっぱい喋ろう。





だからそれまで、ちゃんとまっててね――――




225 名前:いつかまた 投稿日:2002年12月14日(土)14時09分27秒



心が痛むことがある



でもそれは、あたしへのメッセージ



辛いこといっぱいあった
でも、今思い返せばそれと同じくらい
楽しいこともあったから





いつか素直に『生きててよかった。』って思えるよね―――



226 名前:作者 投稿日:2002年12月14日(土)14時13分58秒
一話、終わりました。
藤本さんの視点。


>210様
きっと三人はかぎを失う事はないでしょう。
・・・たぶん。
番外編で少しづつですが、わかってくるかもしれません。
>211様
感動して頂いてありがとうございます。
番外編も精一杯頑張っていきます。
227 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月14日(土)16時36分23秒
なんだよ!ちきしょー!!
号泣だよ…今までの話がこの番外編のためへの振りにさえおもえたよ…
でも死ななくて良かった。死ぬ事は一番卑怯な事だと思うから。
「素直になれなくて、ごめんね。」いつかまた会えた時に言えたらいいね
228 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月15日(日)12時20分57秒



いつも いつでも
そばにいるから



いつも いつでも
守ってあげるから




だから
いつも いつでも
笑っていてね




約束だよ




229 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月15日(日)12時25分37秒


私には一人の幼なじみがいる。
名前は、石川梨華ちゃん。
小さい頃から一緒だったくせに、あんまりけんかはしたことがない。

梨華ちゃんは、よくいじめられた。
幼なじみで大切な人で大好きだったから、いつも助けてあげた。




いつからだかわからなかったけど
その『好き』が『恋』に変わっていた。


梨華ちゃんと一緒に居たり、笑ったりすると
胸がどきどきして、あったかくなるんだ。


それって『恋』っていうのかなぁ?
最初、その気持ちに気付いたときは、ものすごく戸惑った。


だって、梨華ちゃんだよ?
同性だし、幼なじみだし。
だから、気付かないふりをしてた。

230 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)12時34分18秒

自分が、梨華ちゃんに『恋』をしてるのに気付いたのは
小学校四年生のとき。

だいたいごっちんが転校してきた時だと思う。
私と梨華ちゃんとごっちんでものすごく仲良くなった。

でも、梨華ちゃんとごっちんの帰る方向が同じでごっちんが
梨華ちゃんと一緒に帰るのを見るとむしゃくしゃした。
だからと言って、人にあたるとかそういうことはしなかったけど。

だって、家に帰ってすぐに公園へ行くから。
それで三人で遊んでた。
みんなで笑って。
そのときは、ほんとに楽しかった。


五年生になると、クラスが替わることになった。
三人ともばらばらで寂しくなった。
でも、三人で約束した。
クラスが分かれても、たくさん遊ぶって。
みんな仲良しでいようって。



三人の笑顔はぴかぴかに輝いてた。
231 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)12時43分48秒


放課後はよく遊んだ。
四年生の時と変わらないまま三人で仲良く遊んだ。

これが『親友』なのかな?って思い始めてきたのも
だいたいこの頃だった。

梨華ちゃんに恋してたけど、私と梨華ちゃんとごっちん、
三人で遊ぶのが好きだった。


でも、いつの日からか、だんだん放課後に遊ぶ回数が減ってきた。
ごっちんは、同じクラスの松浦亜弥って子と仲良くしてたのは、
廊下とかですれ違えばすぐにわかることだった。

ごっちんと話すこともなくなってきた。
梨華ちゃんはどこか寂しそうだった。
だから、夏休みになると梨華ちゃんの頭の中に、ごっちんが
でてこないようにたくさん遊んだ。


そういえば、この頃に小さな事件が起きた。
確か、お菓子を学校に持ってきて食べてるらしい。
232 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)12時54分37秒
そんなの、先生に言われてすぐにぴんときた。
お菓子を食べてるのはもちろん、ごっちんたち。

この前だって、松浦亜弥が放課後にお菓子を
美味しそうに食べていたのを見た。
そうなれば当然ごっちんも食べてるってわけ。

先生に『誰がやったのを知ってるやつ、または食べた人は
後で先生に言いに来るように。』と顔を怒らせて言っていた。

そんなこと言ったって、食べた本人がいくわけないじゃん。
でも、私も言わなかった。

理由はないけど。



六年生になって、梨華ちゃんと遊ぶ事になった。
思い出の場所、公園で、梨華ちゃんをまっていた。

少し経つと、遠くのほうから梨華ちゃんっぽい人が
自転車にのってこっちに向かってきた。
よく聞こえなかったけど、梨華ちゃんが松浦亜弥に『ばーか。』と
言われているような感じがした。
233 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)13時04分09秒

なんだか胸騒ぎがした。
もしかして梨華ちゃん、いじめられてるんじゃないかって。
昔もそうだったから。

梨華ちゃんのこと、心配になって聞いてみた。
『え?そんなことないよ!全然平気だよっ。』
笑顔で違うって言われた。
でも、その笑顔は、なんだか悲しい笑顔ですぐに梨華ちゃんが
嘘ついてることがわかった。
だから、素直に梨華ちゃんのことが心配って言ったら
ほんとのことを教えてくれた。

さすがに『好き』とは言えなかったけど。
梨華ちゃんのことが心配になったけど『大丈夫。』って。
梨華ちゃん、人に迷惑かけるの嫌いだから、
無理してるのかな?って考えたんだ。
私、迷惑なんかじゃなかったのに。

そのあと急にごっちんのことを聞かれた。
すごいびっくりした。
だって、松浦亜弥のとなりにいたのはごっちんだったから。
234 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)13時16分34秒

梨華ちゃんは、ごっちんのこと大好きなんだよね?
その『好き』が恋なのか、それともただの『友情』なのかは
よくわからなかった。
私もごっちんのこと、信じたかったんだ。


梨華ちゃんの顔がだんだん暗くなっていっちゃった。
そんな顔は見たくなかったから無理矢理話をかえて、二人だけで遊んだ。



その次の日の放課後、私は学校の門のところでごっちんを待っていた。
別に呼び出したわけじゃなくて、ただ待ち伏せしてるだけ。


どのくらい経ったのか、わからなかったけどごっちんが一人で歩いてきた。
ほんとに、ラッキーだった。


緊張したけど、ごっちんを呼び止めることに成功した。
ごっちんは、ちゃんと止まってくれて話を聞いてくれた。

『なんで梨華ちゃんをいじめてるの?』
『・・・・・。』
ごっちんは、何にも言わないで下を向いていた。

『これ以上、梨華ちゃんをいじめないで。』
ずっとごっちんは俯いてた。
でも、ごっちんと二人だけで門のところにいるのは、
気まずかったから、先に帰っちゃった私。


235 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)13時24分09秒


家に帰って、後悔した。
少し言い過ぎたかなって。
もしかしたら今日の私の行動のせいで、もっと梨華ちゃんが
いじめられるかもしれない。
梨華ちゃんのことを考えると、なんにも考えられなくなっちゃうんだよね。
やっぱり、これって『恋』・・・だよね。



中学生になって、梨華ちゃんと同じクラスになれるかな、と思ったけど
同じクラスにはなれなかった。
ショック。


バレー部に入ったら、友達がたくさんできた。
その中でも仲良くなったのは、カオリ。
比較的身長が高い私よりも、身長が高かった。
クラスも同じで、よく一緒にいた。
236 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)13時32分04秒
梨華ちゃんをときどき廊下で見かけると、いつも友達と笑っていた。
その姿を見て少し安心した。

いじめ、終わったんだよね。
それに、友達を作るのが苦手と自分で言っていた梨華ちゃん。
でも今は、友達も増えたみたい。


一年生もあっという間に終わり、二年生に進級した。
嬉しかったのは、梨華ちゃんが同じクラスになったこと。
その場で舞い上がりそうになった。
でも、ごっちんの名前を見た瞬間、複雑な気分になった。


少し一人で固まっていると、梨華ちゃんが登校してきた。
梨華ちゃんの姿を見たら、居ても立ってもいられなくて、
梨華ちゃんをクラスまでひっぱっていった。
でも、ごっちんを見た梨華ちゃんはびっくりして、立ち止まっちゃった。


あのとき、言っておけばよかったね。
ごめん。

237 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)13時41分38秒


カオリとはクラスがべつべつになっちゃってからあまり喋らなくなった。
喋っても、なんか気まずかったからあまり喋ろうともしなかった。


席替えの時に、梨華ちゃんはごっちんのとなりになった。
そのときの梨華ちゃんの表情はよく見えなかった。

席替えをして、少し経ったある日、梨華ちゃんがごっちんに話し掛けてた。
『えっ!?』と思って、一緒に喋っていた友達に『ごめん。』と
言ってから、梨華ちゃんのもとへ急いだ。

そしたら教科書を返していただけらしい。
すこしがっかりした。

そのとき気付いたんだけど、私はどうやらごっちんと仲良くしたいらしい。

238 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)13時54分19秒


部活が休みになったときはほんとに、嬉しかった。
ハッピーな気分のまま、久しぶりに梨華ちゃんと遊ぶことにした。


梨華ちゃんと二人だけ。
なんかそれだけでも嬉しかった。


帰りに、席替えの話をした。
それがいけなかったんだと今でも思う。

梨華ちゃんは『信じて、ない・・・・・の?』と
暗くて、寂しそうな顔で言った。
私はすぐにわかったよ。
ごっちんのことだったんだよね。
すぐには言えなかった。


でも、言わなきゃいけないと思った。
だって、梨華ちゃんのごっちんに対する気持ち、知りたいもん。


『私、私はね、信じたい』
真剣な顔で、そう言った。
梨華ちゃんは、やさしいね。
いじめられてもまだ信じてるんだよね。

『ひとみちゃんは?』
聞き返された。
そこからだった。
自分でも何言ってるかわからなくて。
頭、パニックになっちゃって。
カオリの話もしちゃった。
239 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)14時12分36秒

月曜の朝、梨華ちゃんから転校の話が告げられました。
不安に押しつぶされそうになって、たくさん質問をした。

もう、取り消せない事もわかった。
そのとき、気付いたんだけど、私は梨華ちゃんを
いつも必要としていたのかもしれない。

梨華ちゃんは必ず、私を頼ってくれる。
私は必ず、梨華ちゃんに必要とされてるんだ。と
自分を信じ込ませてたのかもしれないね。

梨華ちゃんはもう、一人でへっちゃらなんだ。
ほんとにだめなのは、私。



ごっちんのことだってそうだ。
私、心のどこかでごっちんに嫉妬してた。


わかってたかもしれない。
私の予想だけどいつか、梨華ちゃんの気持ちはごっちんのとこへ
いっちゃうんじゃないかって。
『好き』から『恋』に変わっちゃうんじゃないかって。



これ以上、梨華ちゃんの悲しそうな顔は、見たくない。
だから、ごっちんと仲良くさせてあげるね。

240 名前:いつもいつでも  投稿日:2002年12月15日(日)14時45分14秒


作戦をやっと考えたのに、あっけなく拒否された。
その後、やぐちさんに会った。
やぐちさんにごっちんの話を聞くために、中に入った。
やぐちさんの話を聞いたら、なんだか嬉しくなっちゃった。


しかもラッキーなことに梨華ちゃんが私の作戦を了解してくれた。
作戦実行日に、私はごっちんのもとへ歩いていった。
がたがたに足が震えてたけど無視した。


『あのさぁ、今日の放課後、話があるから公園に来てくれない?』
緊張したまま話し掛けるとごっちんは『いいよ。』と言ってくれた。


懐かしい公園。
すぐにごっちんは来てくれた。
よかった。
自分で任せてよって言っちゃったけど
不安で不安で・・・。
241 名前:作者 投稿日:2002年12月15日(日)14時53分52秒
途中までです。
>227様
感動してもらって嬉しいです。
死ぬのをかくのは好きじゃないので・・・。
でもほんとに、友達の手首の傷、あったんです。
ほんとに心が痛かったです・・・。

それから訂正。
>216
あたしは死になくなった。
あたしは死にたくなった。

すいません。
242 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月15日(日)17時11分59秒
そうなんだよなぁ、こっちが「恋」してても相手が気付かないと友情のままで終わっちゃう可能性があるんだよな…
「恋」から「愛」へは変えられない微妙なお年頃、うまいなぁ作者!このやろー!

あと今更ながら飯田さんの重要さに気付いた。カオリという観測点があるからそれぞれのポジションがわかるんだね。
243 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時01分03秒
ごっちんは、いつもと同じだった。
普通に『ごめんねぇ、遅れちゃった。』と言いながらにこにこ笑ってた。
緊張してなかったのか不思議に思ったぐらい、自然に笑ってたごっちん。

もしかして梨華ちゃんは、ごっちんのこういうところに
惹かれていくのかなって思った。

私、緊張したりするとすぐ頭の中がパニックになるしね。
でも、このときは無理矢理笑顔を作った。
もしかしたら、梨華ちゃんには気付かれてたかもしれないけど。
やっぱりごっちんとの会話は辛いから、すぐに
『昔、仲良かったの覚えてる?』と自分でもわかるくらい真剣な顔で
ごっちんに質問した。

そしたらごっちんは、小学校の時の事を、覚えていてくれたみたいで、すぐに
『小学校の時のこと?』と答えてくれた。

そのとき、心の中が明るくなった。
それで、自分のほんとの気持ち、全部ごっちんにぶつけた。
梨華ちゃんや私はごっちんと一緒にいて楽しかった、とか。
喋らなくなって、ほんとは寂しかった、とか。
梨華ちゃんが転校する前にごっちんの気持ちを聞きたい、とか。


そんなことを一人で喋ってたら、なんだか涙が出そうになって、
梨華ちゃんにバトンタッチした。

244 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時13分33秒

梨華ちゃんは、今のごっちんが知りたいって言った。
なんか、梨華ちゃんも涙目になってたから、すぐに喋ってあげた。

『梨華ちゃんが引越しする日、私しか梨華ちゃんの家に行かないんだ。
だからもし・・・・あれだったら来てほしい。』

上手くまとまんなかったけどこれ以上、梨華ちゃんが
喋ってるとほんとに泣きそうだったから・・・。
『あれだったら』っていうのは、たぶん、
友達ならって意味だったのかもしれない。
自分でも、よくわからなかった。


でも、この公園に三人で居るのはほんと、辛かった。
だからすぐに、梨華ちゃんの腕をぐいぐい引っ張っていった。

歩いてても、ずっと無言だった。
最初に、梨華ちゃんが質問してきた。


『ひとみちゃん、真希ちゃんは来てくれると思う?』

自分の中では、満足してた。
梨華ちゃんが小学校の時のこと覚えてくれただけでも嬉しいって。
おなじこと思ってたんだね。
自然に笑顔がでてきた。


たくさん、思いで作ることも約束した。
また、一緒に遊ぶ事も約束した。


きれいに声がはもったから、大丈夫だと思ったんだ。


245 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時19分41秒

引越しの日は、いつもより早起きして、梨華ちゃんのとこに向かった。
ごっちんのことが頭からずっと離れなかったけど。
でも、プラスに考える事にしてた。


いろんな話をして、盛り上がったけど、やっぱり
ごっちんの話になっちゃった。


だって、なかなか来ないんだもん。
まだ来るって決まってるわけじゃないけどさ。
やっぱり、どこか寂しくて。

いろんなところを見渡してた。
そのときだった。



一瞬、私の目がおかしくなったのかと思った。
錯覚だと思った。

けど、違った。



ごっちんが、こっちにむかって走ってきてた。



ほんと、嬉しくて、梨華ちゃんの服を力いっぱい引っ張った。
少し梨華ちゃんは、いやがってたけど、ごっちんの姿を見たら、
そのいやな顔もすぐに、変わった。




でも―――






キイィィィィィィっ!!


246 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時28分39秒



夢かな?って考えた。
でも、ごっちんの姿は現実だった。
現実って厳しいね。


すぐに、ごっちんのもとへ走っていった。
救急車の中で、ごっちんの手を握った。

『待たせてごめんね。梨華ちゃんとよっすぃ〜はかけがえのない
大切で大好きな友だちだよ。この町で出来た初めての友だち。
昔からずっと大好きだったよ。ごめんね。ほんとに、ごめんね。』




ごっちんに嫉妬してた自分がばかみたいだった。
ごっちんを、呼んでよかった。


梨華ちゃんも、私も涙をこらえきれずにボロボロこぼした。


『謝る事ないよ。私、真希ちゃんのこと大好きだよ。』
梨華ちゃんが、自分の気持ち、伝えてた。

『ずっと友だちだよ。私も、ごっちんのこと、大好きだよ。』
やっぱり、うそはつけないね。
これが、ほんとの気持ちなんだ。



247 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時38分02秒



―――
あれから、一ヶ月が経った。
ごっちんが眠っている病院は、家から近い。
だからすぐに行けるんだ。

ときどき、病院で梨華ちゃんに会う事もある。
だから、今日も会えるかなって思いながら病院に向かう。


『後藤 真希』と書かれた部屋には、誰かの背中が見えた。

あれ・・・?
梨華ちゃん?



「梨華ちゃん。」
ドアを開けるとやっぱり、梨華ちゃんだった。
「あ。ひとみちゃん。」
梨華ちゃんはこっちをむいた。
前と同じでにこにこ笑ってる。

「どう、学校は?」
やっぱり、心配だから少し聞いてみた。
「そんな心配しなくっても平気だよぉ。ちゃんとやってるから。」
また、笑った。
前の笑顔と同じだから、ほんとに大丈夫だと思った。
梨華ちゃんは、ごっちんの手を握っていた。

「ひとみちゃん、真希ちゃんの手、握ってみて。」
優しい声で梨華ちゃんは私に言った。

優しく、優しくごっちんの手を握ってみた。


248 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時50分05秒





・・・あったかい。
ドクン、ドクン・・・。




ごっちんの手から、ごっちんの心臓の音がきこえてきた。
私の手に、伝わってくる。





いつか、目を覚ますよね。
ずっと、友だちだよ。
ヒドいこと言ったり、考えちゃったりしてごめんね。



ごっちん、大好きだよ―――




249 名前:いつもいつでも 投稿日:2002年12月16日(月)16時53分38秒







勇気があれば



きっとあなたに気持ちを
伝えられるはず



私はあなたを大切におもう




ずっとおもう 
ずっとずぅっと―――







250 名前:作者 投稿日:2002年12月16日(月)16時59分40秒
よっすぃ〜のです。
そんで終わりです。
残り一話。

あ、ちなみに最後の一ヶ月後のとこは
『命重ねて』の続きです。

>242様
恋というものは難しいのです。
特に、友だちとか関わりが深い人とか。
相手がただの友だちと思っていると、ほんとに辛いでしょう。
ほめてくれてありがとうございます。
そう。
飯田さんはほんとは出さない予定だったんです。
でもよっすぃ〜の仲良かった友だちって誰にしようと考えてたら
飯田さん、と。
単純です。

251 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月16日(月)19時09分18秒
確かに飯田さんがこのメンバーと同級生ってのは正直浮いてる気はしてた(w
石川さんはよっすぃーみたいな友達がいて幸せ者だな、もちろんごっちんも。

最後の一話は彼女の独白がきけるのかな。
252 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)15時41分56秒




大好きなモノがある
守りたいモノ




でも・・・・・




ごめんね





楽しかった
嬉しかった



ずっとずぅっと





253 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)15時50分55秒


四年生の微妙な時期に、あたしは転校した。



どきどきとわくわくした気持ちが交じり合った中、あたしは
みんなの前で、自己紹介をした。


声、震えてなかったか、心配だった。


先生が職員室に行ってしまった後、何人かの女の子が、
あたしのまわりにやってきて、自己紹介をしはじめた。


ほんとは、友だちなんか、つくりたくなかったんだ。




でも・・・・・。
『私、石川梨華っていうの。よろしくね。』
『私は、吉澤ひとみ。よろしくっ。』

アニメ声の子と、少しかっこいい感じの子の声が頭に響きわたった。

なんでだろ?

アニメ声で、よくわかりやすかっただけかな?
オトコマエの顔で、かっこよかったからかな?



その時のあたしは、よくわからなかった。




254 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)16時06分47秒

仲良くなるのは簡単だった。
こっちが話し掛けたり、素直に振り向けば
いつもそこには、二人が笑っていたから。




梨華ちゃんから、『書いて。』と不安そうな目で、
プロフィール帳とシャーペンを渡された。

あたしはすぐにOKして書いてあげた。
もともと、こういうのを書くのが好きだったから、すぐにできた。
梨華ちゃんだったから、質問されたことはぜーんぶ書いちゃった。


今まで、自分の将来の夢を素直に『歌手』と書いたのは初めてかもしれない。




『真希ならきっとなれるよっ!歌手に!
あたし、ず〜っと応援してるからねっ。』


小さい頃、仲良くしていた親友に、そう言われたのを覚えてる。
あたしも、笑顔で『うんっ。絶対なるからね。』と二人で約束をした。


やっぱり、将来の夢を人に言うのって少し恥ずかしいの。
だから、なるべく秘密にしてもらいたかった。
『ひみつにしてね。よっすぃ〜ならいいけど。』って書いておいた。

255 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)16時11分37秒


よっすぃ〜と梨華ちゃんは、あたしにとって大切な親友。
だから二人になら言えるって思ったんだよ。
きっと、二人はあたしの夢をばかにしたりなんかしないよね。


最後に一言ってところには、『5年生になってクラスがべつべつになっても
いっしょに帰ろーねっ!』って書いた。
だってもうすぐ、クラスがえだったから。




時間が進むのってほんとにはやいね。
不安だったから、三人で一緒にクラスが書いてある紙を見た。



256 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)16時22分04秒




三人で、別れる事になっちゃってさみしかった。


人はきっといつか、別れちゃうことをあの頃に体験して
わかったつもりだったのに、どこか寂しかった。


三人で、笑顔を作って、励ましあった。


『クラスが、別れてもいっぱいあそぼーねっ。
ずっと仲よしでいよーねっ。』

あたしは、自分でもわかるくらいな笑顔だった。
三人で、一つの約束をした。
その約束のせいか、わからないけど三人で放課後遊ぶ事は、毎日だった。


クラスにも、なれてきた頃、驚いた事があった。
それは、亜弥ちゃんのこと。



257 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)16時37分15秒


亜弥ちゃんは、小さい頃毎日遊んだ大好きな親友。
あたしが、小さい頃唯一、自分の夢を素直に言えた友だちでもあった。


亜弥ちゃんは、小学校にあがる寸前に引越しをしちゃった。
それから、遊ぶ事は、必ず夏休みに一回だけ。

時には、一年で一回も会わないときだって会った。


亜弥ちゃんが引越しするということをあたしは、
亜弥ちゃんから聞かされた。


『ねぇ、真希、お母さんからきいたんだけどあたしね、
こんど、かぞくといっしょにとおくに行っちゃうんだって。
もうここには戻ってこないんだって。』


小さい頃のあたしは、よく意味がわからなくてそのときは
引越しの話があった後も、いつもと変わらないで、
ずっと亜弥ちゃんと遊んでた。


亜弥ちゃんが、引越しする当日、やっと亜弥ちゃんが
言った言葉の意味を理解したあたし。



『やだぁっ!なんで!?なんで亜弥ちゃんはとおくに行っちゃうの!?
亜弥ちゃんが行くならあたしも行くよっ!』


ぼろぼろに泣きじゃくったあたし。
今まで、あんなに泣いた日はなかった。


それほど悲しかった。
258 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月21日(土)16時57分13秒


『真希、今度亜弥ちゃんの今度住む場所に遊びに行こうね。』
泣きじゃくったあたしの肩に手を置いてお母さんはそう言った。


『やだっ!亜弥ちゃんがすむばしょはここだもん!!
ずっとここだもんっ!!あたしと亜弥ちゃんと、ずっとここにいるの!!』
お母さんが、どんなにあたしを慰めても、あたしはずっと泣いてた。


『ねぇ、おかあさん。あたしもここにいたい。
真希とずーっといっしょにいたいよ。だめなの?』
泣いていたあたしを見ていた亜弥ちゃんも、亜弥ちゃんのお母さんの
洋服をひっぱってあたしに負けないくらい泣き出した。


きっと、あたしたちのお母さんは困り果てたと思う。



『いい?真希ちゃん、亜弥。二人は親友でしょ?
だから心はずっと通じ合ってるんだよ。
休みの日は、いっぱい遊ぼうね。』


259 名前:作者 投稿日:2002年12月21日(土)20時03分16秒
遅れました。
時間がなかったもので内容は更新できたのですが・・・。

>251様
正直言えば、飯田さんでも誰でもよかったんです。
ただ、出せればいいやって。
市井さんもそうです。
矢口さんは、個人的に好きだったからです。
でも、友だちって大切なんですよね。
最後は見ればわかりますが彼女、後藤さんです。
260 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月21日(土)21時30分40秒
友達の友達って微妙ですよね。
いかにその友達が好きでもその友達はなんで?っ子もいますよね。
ようするにその友達の事を完全に理解していないからかなぁ。
友達のストーリーは決して自分のストーリーでは無いですからね。
いつもこの話を読むと考えさせられてしまいます。
261 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月22日(日)10時05分24秒

亜弥ちゃんのお母さんは、あたしと亜弥ちゃんの頭を
優しくなでながら、そう言ってくれた。



『亜弥ちゃん、やすみの日は、ぜったいにあそぼうね。
ずっとしんゆうだよ。』

亜弥ちゃんのお母さんの言葉で、なぜかあたしと亜弥ちゃんは泣きやんだ。
なぜだかは、今でもよくわからない。

『うん。ずっとしんゆうね。やくそくだよ、真希。』
そう言って、亜弥ちゃんとあたしで、指きりをした。

亜弥ちゃんは、少し寂しそうな顔をしながらも、車の中に入っていった。
あたしは、お母さんの服をぎゅっと掴んでた。


『それじゃあ、亜弥ちゃん、元気でね。また、あそぼうね。』
亜弥ちゃんが車の窓を開けてくれたから、あたしは
そこから亜弥ちゃんと約束をした。
『もちろんだよ。真希も元気でね。またね。』
『うん。またね。』


亜弥ちゃんは、この時『またね。』って言ってくれたの。
つまり、また会おうってことで。
幼かったあたしでも、理解できた。



結局最後は、いつも通りのお別れだった。




小さい頃の亜弥ちゃん。
とっても無邪気で、いつも笑ってて、いつもあたしのそばにいてくれた、
大事な親友だった。




262 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月22日(日)10時14分41秒

五年生のときに久しぶりに会った亜弥ちゃんは、少し変わった。

『もしかして、真希?』
最初驚きながらも話し掛けてきた、亜弥ちゃん。
最近会ってないから、もちろん亜弥ちゃんは成長してて
一瞬誰だかわからなかった。
でも、名札を見たときにすぐにわかった。

『あ、亜弥、ちゃん?』
ちょっと、緊張したけど聞いてみた。
『うわぁっ!ほんとに、ほんとに真希だよねっ!?久しぶりだっ。
なになに?四年生の時、転校してきた子って真希だったの!?
あー、先に見ておけばよかった・・・。』
そんなに嬉しかったのか、一人できゃあきゃあ騒いでる亜弥ちゃん。
『亜弥ちゃんだよね?そうだよね?
あはっ。久しぶりだね。やっぱり、親友の力だね。』
あたしも嬉しかったけど、まわりに人が居たからあんまり騒げなかった。


心が通じ合ってるってことだよね。
きっと。
これはきっと神サマからのプレゼントだね。


数日が経つとわかることだけど、やっぱり亜弥ちゃんは変わっちゃったみたい。
263 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月22日(日)10時24分56秒




『なんかさぁ、石川梨華っているじゃん?
あいつをいじめようと思うんだよねぇ。』


亜弥ちゃんの目は怖かった。
今まで、こんな亜弥ちゃんの目は見たことがなかった。



あんなにも、無邪気だったのに・・・。
どうして?
どーして梨華ちゃんをいじめようとするのか、不思議だった。


苦しかった。
いやだった。



でも、逆らえなかった。




そんな自分が一番イヤだった。




亜弥ちゃんに逆らえる人なんて誰も居ないくらい、
亜弥ちゃんは、強い権力を握っていた。


それでもなぜか、亜弥ちゃんを嫌う人は少なかった。



最近はよく亜弥ちゃんと一緒に学校から帰る。


そういえば、梨華ちゃんと約束した気がする。
なんだっけ?


よく、覚えてないけど確か、一緒に帰る・・みたいなことだったかな?
でもあたしは今、亜弥ちゃんと一緒に帰ってる。


あたしって、全然約束守ってないよね。



梨華ちゃんやよっすぃ〜から見れば、ただの裏切り者だよね。


264 名前:作者 投稿日:2002年12月22日(日)10時42分28秒
少し更新。
それから、石川さんをいじめはじめたのは六年生。
あと入れたいところがあったので
263はパスしてください。
すいません。

>260様
友達の友達ってなるとものすごい範囲になりますねぇ。
友達の友達も自分の友達だったり。
自分の人生は、自分が主人公だってなんかのテレビで言ってました。
これを読んで何か考えてくれるなんて嬉しいです。
ありがとうございます。
265 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月22日(日)16時42分57秒
バンプオブチキンのダイヤモンドって曲知っていますか?
この回の更新を呼んでそれを思い出しました。
266 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)13時15分31秒


六月ごろから、あたしは亜弥ちゃんから学校でお菓子をもらった。
『真希、あたしお菓子持ってきてるんだけど、食べない?』
最初聞いたときは、頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃって
断る事は出来なかった。

でも、何回か貰ってると慣れちゃって、
あたしもお菓子を持ってくるようになった。


毎日、お菓子を食べてた。
お菓子を食べない日がないほうがおかしいくらい、食べてた。
学校に、マンガを持ってきて授業中に教科書を立てて読んでたこともあった。


二学期になって、トイレでお菓子のゴミが見つかっちゃって、騒ぎになった。
先生は、怒ってた。
『自分で言うわけないじゃんねぇ。』
亜弥ちゃんは笑ってた。
『そうそう。言う人なんてだーれもいないって!』
一緒にお菓子を食べてた子も笑う。

あたしも、つられて笑った。
そのときのあたしは、ほんとの笑顔だったのかな?


267 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)13時27分12秒

六年生になって、クラスが変わらないから、亜弥ちゃんたちと一緒。
亜弥ちゃんは、なんだか知らないけど怒ってた。

『亜弥ちゃん、どーかした?』
亜弥ちゃんが怒ってると、何か当たられそうだったから先に聞いてみた。
『真希は、石川梨華って知ってる?』
ちょっとあたしを睨みながらこっちに質問してきた。
しかも、梨華ちゃんのこと。

『うん、知ってるよ。』
『あいつがさっきあたしにむかって指で死ねとかやったんだけど。』

え?
何言ってるのだろう?
この目の前の亜弥ちゃんは。


梨華ちゃんが亜弥ちゃんにむかって、死ね?


『あー!ムカツクっ!あたし、あいつに何もしてないのにさー。』
そう言いながらどっかに行っちゃった。
梨華ちゃんって、何もしない人にそんなことする子だっけ?
もっと、もっとやさしい子じゃなかったっけ?

268 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)13時39分02秒


次の日になって学校に来ると、亜弥ちゃんのまわりには
いつも以上の人が集まっていた。

『亜弥ちゃん、おはよぉ。』
『真希っ!おはよっ。話があるから、鞄をおいたら来なよ。』
亜弥ちゃんは、嬉しそうな顔・・・だったのかな?
よく、わからないけど、楽しそうだった。

『亜弥ちゃん?』
話の内容が気になったからすぐに鞄を置いて亜弥ちゃんのもとへ行った。

『昨日話した石川梨華っているじゃん?昨日の放課後、あたしあいつと
喋ってんだけどさ、その後の帰りにあいつ、
あたしのこといろいろ言ってたみたいで。
やっぱり、やったらやり返さなきゃ気がすまないからいじめるんだー。』


亜弥ちゃんの目は、きれいなほどに黒く光ってた。
すごく、怖かった。


あんなにも無邪気だった亜弥ちゃん。
なのに今はどーして梨華ちゃんをいじめるの?
亜弥ちゃん、へんだよ。
おかしいよ。





苦しかった。
いやだった。



でも、逆らえなかった。





そんな自分が一番イヤだった。



亜弥ちゃんに逆らえる人は誰もいない。
亜弥ちゃんは、強い権力をもってた。




でも、亜弥ちゃんを嫌う人は少なかった。

269 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)13時48分20秒


亜弥ちゃんと一緒に帰る毎日。



そういえば、梨華ちゃんと、昔二人で約束をした気がする。
なんだっけ?


よく覚えてないけど確かクラスが
分かれても一緒に帰る・・ってことだったと思う。

でも、今あたしは、亜弥ちゃんと一緒に帰って笑ってる。


あたし、全然約束守ってないよね。




梨華ちゃんやよっすぃ〜から見れば、ただの裏切り者だよね。



ある朝、たまたま亜弥ちゃんに会って、
一緒に登校してたら後ろに梨華ちゃんが見えた。
梨華ちゃんは一人で寂しそうに歩いてた。
でも確か、梨華ちゃんの登校班は、いい人ばっかりで
楽しいところじゃなかった?
その、班の人たちを気遣って一人で歩いてるのかな?


やっぱり、梨華ちゃんはいい子だよね。
きっと、亜弥ちゃんの勘違いだよね。



はやく、終わるといいな。
この、いじめ。


270 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)13時53分44秒



あたし、臆病者だよね。
はやくいじめが終わってほしいって思うのなら、止めればいいじゃん。

自分で自分を怒った。

あたしは、どーしていじめを止められないの?
勇気がないからだよね。

そんなんじゃだめなのに。
わかってるのに。



口には、上手く出せない。
なんで?


梨華ちゃんは、あんなに頑張ってるのに。


やっぱり、あたしは亜弥ちゃんが大好きだからかな。
亜弥ちゃんと、もう二度と離れ離れになりたくないから。

あたしが亜弥ちゃんにへんなことを言って、
近くにいるのに、離れてるのは絶対やだ。

271 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)14時04分37秒

学校から帰る途中、梨華ちゃんが自転車に乗ってどこかに行くのを見た。
もちろん、亜弥ちゃんはその姿に気付いた。


『ばーか。』
梨華ちゃんに聞こえるぐらいの大きな声で叫んだ亜弥ちゃん。
梨華ちゃんは、後ろを向いてるから梨華ちゃんの表情は
わからないけどきっと、怖かったよね。



今になって気付いたんだけど、あたし、きっと信じてたんだよね。
亜弥ちゃんのこと。

亜弥ちゃんはきっといつか、無邪気な亜弥ちゃんに戻るって。
今の亜弥ちゃんは少し、壊れちゃったんだ。
きっと、みんなに優しくしすぎたりしたから。

今、ほんとの亜弥ちゃんは休憩してるんだ。

ずっと、そう思ってた。


もちろん今だってこれからも、信じ続けるよ。亜弥ちゃんのことを。


今の亜弥ちゃんがほんとの亜弥ちゃんだとしても、おかしいと思う。
あたしが直してあげなきゃ。
それが、親友の仕事だから。



だから、ちょっと痛いかもしれないけど、ごめんね。


『やめなよ!』



272 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)14時14分49秒



なんだ。
結構、簡単なんだね。
『やめて。』って言うの。
ほんとにちょっと勇気を振り絞ればいいことなんだね。


『真希、なに言ってんの!?』
やっぱり、亜弥ちゃんにはびっくりさせちゃった。
亜弥ちゃんはさっきと同じくらいの大きな声で
あたしの名前を言ったから少し、恥ずかしかった。

『ふぇ?あ、ううん。なんでもないよ!さ、帰ろ、亜弥ちゃん。』
亜弥ちゃんが混乱してる中、無理矢理あたしは
亜弥ちゃんを引っ張りながら家に帰っていった。



次の日、亜弥ちゃんが委員会の仕事があるから先に一人で帰ることにした。
門のところによっすぃ〜がいた。
梨華ちゃんでも待ってるのかな?
あの二人、今でも仲良しらしいから。


いいなぁ。
あたしも、二人の輪の中に入りたいな。
昔は、いっつも輪の中に入ってたけど、今じゃ無理だよね。

273 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)14時21分54秒


『ごっちん。』
ぽつりと、呟くようにあたしを呼んだよっすぃ〜。
びっくりした。
だけど、よっすぃ〜の前で止まった。

『なんで梨華ちゃんをいじめてるの?』
さっきとは全然違う強い口調で、あたしに聞いてきた。
あたしは、何も言えなくなって下を向いた。

『これ以上、梨華ちゃんをいじめないで。』
よっすぃ〜の顔を見れなかった。
でも、声でわかっちゃった。



よっすぃ〜は、梨華ちゃんのこと好きなんでしょ?
好きって言って友情じゃなくって『恋』
きっとよっすぃ〜は、梨華ちゃんに恋してると思う。



よっすぃ〜は、一人で先に帰っちゃった。
その気遣いが、あたしには嬉しかった。


二人だけでいるのって辛いもんね。


274 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)14時32分32秒



中学になるといじめは収まった。
あたしは、ほっとした。
一年生はすぐに終わった。


二年生は梨華ちゃんとよっすぃ〜と同じクラスだった。
二人は教室に、一緒に入ってきた。


まだ、仲がいいんだね。

でも、二人の動きは、少し止まった。
たぶんあたしのせいかな?
あたしがこのクラスだったからかな?


二人は嬉しくないのかな?
いやだった?
あたしは、正直、嬉しかったの。
だって、もしかしたら話ができるかもしれないから。
今からじゃ、手遅れかな?


席替えの日、あたしは梨華ちゃんのとなりになった。
嬉しかったような、びっくりしたような。
全然信じられなくて、席の移動をしたときに
『ほんとに梨華ちゃんのとなりだっ!』って思った。


でも梨華ちゃんの席の前の子は梨華ちゃんの友だちだから、二人で喋ってた。
あたしは、ずっと手紙を書いてた。
275 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月23日(月)14時45分09秒

梨華ちゃんって、いつも遅刻寸前だった。
少し、見ていておもしろかった。



休み時間に亜弥ちゃんに手紙を書いてた。
そしたらね。
『あ、あの、後藤さん・・・・。』
弱弱しい声で話し掛けられた。
でも、顔を見なくてもすぐに梨華ちゃんだってわかったんだよ。

前から変わらない懐かしいアニメ声だったし。

びっくりしたけど、ちゃんと普通にしたつもり。
梨華ちゃんは『ごとぉ』と書いてあるあたしの教科書を渡してくれた。
だから、笑顔でありがとうって言えた。


でも、すぐにあたしの前からいなくなっちゃった。


寂しかったけど、悪いのはあたしだから。


その日の学校帰り、あたしの大好きな花屋さんに行く事にした。

276 名前:作者 投稿日:2002年12月23日(月)14時49分15秒
更新です。
思うようには進みません。


>265様
すいません・・・。
わからないです。
どういう歌なんでしょうか?
277 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月23日(月)18時19分28秒
泣きそうだ…
こういう経験ある。自分の事じゃないんだけど心臓が掴まれた様な気持ちになった。

ここでダイヤモンドの歌詞を見れます。
ttp://www.sound.jp/verse_/ha/bump/daiya.htm
278 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)13時48分04秒


『やぐっつぁん?』
中に入ったら、やぐっつぁんの小さな姿が見えなかった。

『あ、真希だっ。』
とことこと歩いてこっちに来た。

『どしたのさ?』
やぐっつぁんがあたしの前まで来て止まった。
なんか、相変わらずちっちゃいね。

もうちょっと前に、あたしはやぐっつぁんをぬかした気がする。


『やぐっつぁ〜ん・・・・。』
『おわっ!』

あたしは、目の前にいるやぐっつぁんを力いっぱいぎゅうって抱きしめた。
ぎゅうってすると、あたしの腕の中にすっぽり入っちゃって、かわいかった。


『ねぇ、真希、今日はほんとになんかへんだよ?なんかあった?』
やぐっつぁんは、あたしの頭をなでてくれた。
へへへ。
やぐっつぁん、あたしのこと心配してくれてるんだ。
嬉しい。


『今ね、悩んでるの。聞いてくれる?』
やぐっつぁんをあたしの腕から解放してあげた。

『真希、悩みなんかあるわけ?』
ひどっ。
なんか今、冷たい目で見られた気がする・・・。


279 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)13時59分14秒

『あたしにだって、悩みぐらいあるよぉ。』


たぶんだけど、さっきのやぐっつぁんの言葉、じょーだんだと思うの。
だからあたしも、笑ってられる。

もしかしたら、それだけやぐっつぁんのこと信用してるってことなのかも。

あたしとやぐっつぁんは、すぐそばにあったイスに座った。
『はいはい。わかったから。で、どーしたの?』
やぐっつぁんは、真剣にあたしの話を聞いてくれるみたいで嬉しかった。

『五年生の時、二人と別れちゃったって言ったでしょ?』
『あー、そういえば、言ってたね。
それで、寂しいとかいろいろ言ってたねぇ。』
よかったぁ。
覚えてくれてたんだ。
さすがだね。

『でね、五年の時にあたし、昔から親友だった子と同じクラスになったんだ。』
もちろん、それは亜弥ちゃんのこと。
『ほぉ。そりゃあ、ラッキーだ。』
なんか、興味なさそうな顔してる。

別にいいんだけどね。
悩みってコレじゃないし。

『それで、六年の時にその子と一緒に
梨華ちゃんをいじめちゃったんだ・・・。』


280 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)14時10分48秒


その一言を言った後から、だんだん、やぐっつぁんの目を見て
はなすのが辛くなってずっと下を向いてた。

それで、今まであったこと、全部話した。
今日の教科書の事とか、あたしが亜弥ちゃんに『やめなよ!』って言った事、
放課後、よっすぃ〜に『梨華ちゃんをいじめないで。』って言われた事、
自分の気持ちも、素直に全部やぐっつぁんに言ってみた。


『へぇ。でも真希はまだ二人の事好きなんでしょ?』
やぐっつぁんは、あたしが言った事を全部受け止めてくれた。
『うん。二人のことは大好きだよ。
でも、あの二人はあたしのことを、憎んでるかもしれない。
だって、二人を裏切っちゃったもん。』
あたしは、あの二人に憎まれてもおかしくないんだ。
当然なのかもしれない。
当然の、報い。


『真希の友だちってゆーのは、そんな人たちなの?』
やぐっつぁんは、あたしをまっすぐな目で見てきた。
真剣そのもの。

281 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)14時21分17秒


『梨華ちゃんやよっすぃ〜はやさしい人。
でも、あたしのしたコトは、どんなにやさしくて、いい人でも、
許してくれない事なのかもしれない。
だから、あたしが悪いんだ。』

やぐっつぁんは、あたしの言葉に少し怒ったみたい。
でも、その怒りを我慢してた。

『でも、真希は今、反省してるじゃん。
真希は、仲直りしたいんでしょ?なら、頑張らなきゃ。
きっと大丈夫だよ。あの二人なら。』

仲直りは、したいよ。

『でも・・・。』
二人の気持ちがわからないよ。

『真希、ヤグチは二人に一回しか会ったことないけど、
二人は真希の事をやさしい目で見てたよ。
なんか、三人で信頼しあってるように見えた。
二人とも、真希の事、大好きなんじゃないのかなぁ?』

梨華ちゃんと、よっすぃ〜は、あたしを今でも信用してくれてるのかな?
もし、今でも信用してくれてたら・・・・。
『あたし、できることなら、二人に謝りたい。』

282 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)14時31分37秒


『ならそれでいいじゃん。今から、昔のことを悔やんでも、
その昔にはもう戻れないんだから。』
やぐっつぁんはにっと笑う。
それにつられて、あたしも少しだけど笑っちゃった。

『やぐっつぁん、あたしに、できるかな?』
二人に謝ること。
不安だよ。
怖いよ。

店の扉の入り口で、また立ち止まっちゃったあたし。
『真希なら平気だよ。だって、小さい頃からの親友にまで立ち向かって
梨華ちゃんのいじめをやめさせようとしたんだから。』

そんなあたしのところにまできて、背伸びして、
くしゃくしゃって雑に頭をなでた。

髪の毛、ぐしゃぐしゃになっちゃうよ。

『あのね、昔、ヤグチの友だちが言ってた。
敵に立ち向かうよりも、自分の仲間に立ち向かうほうが難しいって。』

283 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)14時36分51秒

また、やぐっつぁんは笑った。
やっぱり、あたしもつられた。

『じゃあ、やぐっつぁん。また来るね。』
今度こそ、ちゃんと店の扉を開けて、帰ることにした。

『うん。真希、頑張ってね。』
やぐっつぁんも、外に出てくれた。

『うん。頑張るよ。ばいばい。』
『おうっ!』


なんか、やぐっつぁんは、体は小さいけどほんとに大きいね。
あたしも、二人に謝れたら、また少し大きくなれるかな?


284 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)14時47分53秒




梨華ちゃんが、転校するって話を担任の先生から聞いた。
しかも、北海道。
頭の中が、パニック状態に陥ったみたいになって、
自分でもへんな感じだった。

きっと、よっすぃ〜や梨華ちゃんの仲のいい人は知っていたのだろう。
あんまり、驚いてはいなかった。

こんなに驚いてるのは、あたしだけ?



でも、すごく寂しかったけど、どうしても
梨華ちゃんやよっすぃ〜には話し掛けられなかった。


やぐっつぁん、あたしには無理だよ。
あたし、勇気なんか全然ないもん。


梨華ちゃんが転校する二日前、やっぱりあたしは、話し掛けられないでいた。
そしたら、よっすぃ〜が、あたしに話し掛けてきた。

285 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)14時58分06秒

よっすぃ〜は、緊張してるのが丸見えだった。
そんなよっすぃ〜は、昔からそうだった。

『あのさぁ、今日の放課後、話があるから公園に来てくれない?』
すごく、びっくりした。
梨華ちゃんの転校の話ほどではなかったけど。

でも、断るわけにはいかない。
せっかくのチャンスなんだ。
『いいよ。』
あたしも、緊張した。
たぶん、よっすぃ〜のほうが緊張したと思うけど。



放課後になって、少し行きにくかった。
だって、よっすぃ〜があたしと話が終わった後、すぐに
梨華ちゃんのとこへ行くんだよ?

それってやっぱり、あの二人がいるわけで。

だから、わざと少し遅れていった。
そしたらやっぱり、あの懐かしい二人が、懐かしい公園にいた。
286 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)15時06分23秒


自分の緊張をほぐすため、最初に笑いながら遅れたことを謝った。
そしたら、よっすぃ〜が作り笑顔をした。
でも、急によっすぃ〜は真剣な顔になって、梨華ちゃんの転校の話に。

あたしの中でも自然に、笑顔が消えていった。
『昔、仲良かったの覚えてる?』
よっすぃ〜が、その一言を言った途端、梨華ちゃんは俯き始めた。
すぐに、こたえなんかでた。


よっすぃ〜は、よっすぃ〜と梨華ちゃんが
あたしと一緒にいて楽しかったと言ってくれた。
喋らなくなってほんとは、寂しかったって。
梨華ちゃんが転校するからあたしの気持ちを聞いておきたいって。


梨華ちゃんもよっすぃ〜も、泣きそうだった。
もちろん、あたしも。


287 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月26日(木)15時11分34秒

梨華ちゃんは、今のあたしが知りたいって。
今のあたしは何も知らないから。


そんなことなかったのに。
今のあたしは、自分の中でだけど昔と全然変わってなかった。
でも、言えなかった。


『梨華ちゃんが引越しする日、私しか梨華ちゃんの家に行かないんだ。
だからもし・・・・あれだったら来てほしい。』
よっすぃ〜、あんまりまとまってないよ。
でも、わかるよ。


『梨華ちゃん、帰ろ。』

よっすぃ〜と梨華ちゃんは、二人で帰っちゃった。
あたしはそれを、止めることが出来なかった。



288 名前:作者 投稿日:2002年12月26日(木)15時17分07秒
ほんとに残りわずかですね。

>277様
なんか、自分が経験したことだと、その気持ちがわかるんですよねぇ。
同じ経験をしていると、自分の事でもないのに涙を流したり・・・。
ダイヤモンドの歌詞、ありがとうございます。
見ましたよ。なんか、いいですねぇ。
ファンになっちゃいましたよ。
CDまで欲しくなっちゃったり。
289 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月26日(木)15時36分53秒
矢口って良いやつだなぁ…(w
このサイドストーリー?を読んでいくと
もう一度今までの話を読みたくなってしまう。
作者さんの巧みな技にはまった。
290 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月28日(土)15時57分58秒

一人寂しく、ブランコに座った。
なにか、昔持っていた何かを、今、思い出したかったから。

あたしが思い出したのは、三人でここで遊んだ思い出。
そういえば、ここでいろんな遊びをしたんだっけ。

三人で、ブランコにのって靴飛ばしをしたり、
三人で、おにごっことか、いろおにもした。


いっつも、三人で一緒だったんだよね。
その雰囲気は、楽しくて、嬉しくて。

今でもよく覚えてる。

心の中に、いろいろな思い出が溢れ出てきた。



なぜか、涙がでた。
自分でもよくわからなかった。



けど、あたしは、昔あった何かを取り戻したかもしれないような感じがした。
それは、確信じゃなかったけど。


でも、それを信じたかった。
信じたくて、無性に梨華ちゃんとよっすぃ〜に会いたくなった。



あたし、日曜日、行くから、って決心した。


291 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月28日(土)16時06分10秒



当日になると準備万端だったのにやっぱり行きにくかった。
自分の部屋に、閉じこもって、どのくらい経ったのかわからなかったけど、
やぐっつぁんの言葉を思い出して、勇気を出して行ってみることにした。

もしかしたら、もう行っちゃったかな?



急に不安になってきたから、全力で走った。
まわりの人たちが変な目で見てたけど、それでもよかった。
ただ、あの二人に会って、謝りたかった。



それだけ。



だからね、車にも気付かなかった。



すごい音がして、あたしにどかんってぶつかった。
なんか、悔しかった。

せっかく、ここまで来たのに・・・。


でも、逆に二人があたしのところへ来てくれた。
ちょっと、感謝した。


それで、いつのまにか、救急車に乗せられたんだ。
292 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月28日(土)16時19分48秒


二人は、あたしのためにぼろぼろ涙を流してくれた。
それであたしの真っ赤な手をやさしく包み込んでくれた。
とってもあったかくて、安心した。

『待たせてごめんね。梨華ちゃんとよっすぃ〜はかけがえのない大切で
大好きな友だちだよ。この町で出来た初めての友だち。
昔からずっと大好きだったよ。ごめんね。ほんとに、ごめんね。』

ちょっと大変だったけどこれだけは伝えておきたかった。
あたし、素直になって、言えたんだ。

『謝ることないよ。私、真希ちゃんのこと大好きだよ。』
『ずっと友だちだよ。私も、ごっちんのこと、大好きだよ。』



やぐっつぁん、やぐっつぁんの言った通りだね。
梨華ちゃん、いじめちゃったのに、ちゃんと信じてくれたんだね。ありがと。
よっすぃ〜、あたしが梨華ちゃんをいじめてた六年のとき、あんなに
怒ってたのに、友だちだって言ってくれた。


293 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月28日(土)16時23分13秒





二人の言葉がすっごくあったかくて、安心しちゃって
眠くなっちゃって、自然に目を閉じた。



あたし、今幸せだよ――――




294 名前:作者 投稿日:2002年12月28日(土)16時23分58秒
あとわずかですが。
時間がないのでレスはまた次のときに。
295 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月28日(土)17時54分18秒
眠っちゃダメだよ!ごっちん!!
296 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月31日(火)13時55分00秒




―――
どのくらい眠ったのかは、自分でもよくわからなくて、
時間が、進んでないような気がした。


何か、あたたかいモノが、あたしの手をぎゅって握ってる。
力強いんだけど・・・なんてゆーのかな?

安心できるってゆーのかも。


なんか、ほっとする。



あたし、何やってるんだっけ?




そうだ。
確か、梨華ちゃんとよっすぃ〜のところに行こうとしたら、
ぶつかっちゃって、救急車で運ばれて二人に謝ったんだっけ。



それから?




それからの記憶がない。
たぶん、その、『それから』ってゆーのが、今なのかな?


今は、じゃあもしかして、ここは天国?
あ、でもひどいことしちゃったから地獄?



あたしの人生って短かったなぁ・・・。
じゃあもう、お葬式とか終わったのかな。


みんな、泣いてくれたのかな?
もしかして、笑ってた?



それは、さすがに辛いね。


297 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月31日(火)14時01分20秒



でも、梨華ちゃんとよっすぃ〜は泣いてくれたと思う。


自意識過剰すぎるかな?


でも、救急車の中であんなに泣いたんだから、
二人の目からはもう涙は出ないかもしれない。



でもね、あたし、覚えてるんだ。
幼い頃に亜弥ちゃんが引越しする時、亜弥ちゃんのお母さんはこう言ったよね。
『二人は親友でしょ?だから心はずっと通じ合ってるんだよ。』って。


あれは、慰めの言葉だけじゃないと思う。
ほんとのことなのかもしれない。


もし、あたしと梨華ちゃんとよっすぃ〜が、本当の親友だったとしたら。



二人は、あたしのこと親友にしてくれるかな?
あたしは、二人の親友になりたいの。



298 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月31日(火)14時15分10秒



そんな事を考えて、目を閉じていた。
だって、もし、目をあけて、そこが地獄だったらって考えると怖いんだもん。
だから、目を開けにくかった。
あたしはずっと目を閉じてようか。
でも、いつかは、幽霊とかそーゆー種類の何かが
あたしの目を無理矢理開けさせるのかな?






何か、懐かしい声がした。
「梨華ちゃん。」
「あ。ひとみちゃん。」
「どう、学校は?」
「そんな心配しなくっても平気だよぉ。ちゃんとやってるから。」
「ひとみちゃん、真希ちゃんの手、握ってみて。」

そのアニメ声と、ほぼ同時に、あたしの手を誰かがまた握った。
これであたしの手は、誰か二人に、握られる事になった。


でも、全然いやじゃなかった。
むしろ、あったかくて、心が落ち着く。


さっき話していた二つの声は、どこかで聞いた事のある声。

299 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月31日(火)14時42分14秒


―――
いつのまにか、あたしの頭の中で思い出が昨日の事のようによみがえってきた。
『私、石川梨華っていうの。よろしくね。』
『私は、吉澤ひとみ。よろしくっ。』
これは初めて出逢ったときだった。

『私、応援するねっ!!』
『あ、私も!私も!!』
これは、あたしが二人に好きな人のことを話したとき。
でも、今はもうどうでもいい人なんだけど。

『先生、感謝の気持ちですっ。』
先生に花束をあげたときのよっすぃ〜。
この時から、よっすぃ〜はしっかりしてたね。
『これ以上、梨華ちゃんをいじめないで。』
この時は、よっすぃ〜の顔、怖くて見れなかった。

『あ、これ。』
同じクラスになった梨華ちゃんが、教科書を返してくれた。

『ほんとは寂しかったんだよ。』
『私は、今の真希ちゃんが知りたい。』
この言葉は、ほんとに最近の梨華ちゃんとよっすぃ〜。


ここは、まだあの世じゃないのかもしれない。
二人のあたたかい手が、『大丈夫だよ。』って言ってる。





あたし、目を開けなきゃいけないね―――




300 名前:大切なモノ 投稿日:2002年12月31日(火)14時46分32秒






二人に出逢って、大切なコト、知った気がする
上手くは言えないけど




でも、これからは、ずっと信じてるからね
今度こそ、約束、守るからね―――



301 名前:作者 投稿日:2002年12月31日(火)14時51分09秒
更新終了。
なんとか今年中に。

>289様
矢口さんに頑張ってもらいました。
私も何度か、読み返してます。
ざっとなんですけど。
>295様
大丈夫です。
今回の内容を読めば・・・。

もう少ししたらですが
『あとがき』というものをまた書きに来ます。
感想とか頂けたら嬉しいばかりです。
302 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月31日(火)15時28分48秒
涙…ただ涙です…
良かったとしかいえないこんな自分を許してください。
303 名前:作者 投稿日:2003年01月11日(土)12時20分53秒
あとがき、遅れてすいません。
忙しかったもので・・・。

>302様
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
こんな駄文で涙してもらえると、嬉しい限りです。
いやいや。
許すもなにも、怒ってませんから。


―あとがき―
この話、最初に体験話と書きました。
確かに体験話なんですけど、最後のほうとかは
前にも言ったかもしれませんが、私の想像の世界です。
高校は、ばらばらだったので・・・。
それから、藤本さんは(というか、本当の人)は、
保健室登校から、中三の頃にフリースクールに通い始めたらしいです。
クラスが違ったので、直接は聞きませんでしたが。

後藤さん(本当の人)はほんとに一年も仲良くしていなかった友達なんです。
ほかにも中学で仲良くしなくなった子とかもいました。
それでもやっぱり、後藤さん(本当の人)は正直忘れられなかったですね。
今思えば、素直に楽しかったからなのか・・・。
まだわかりません。

これで、「いつまで経っても」は、終了です。
長い間読んでいた方々、ありがとうございました。
304 名前:タモ 投稿日:2003年01月21日(火)17時56分16秒
涙。ただ、涙、涙です。
こうゆう事、まだ自分が小さい時、よくありますよね。
痛いほど共感する事が出来ました・・・
作者さん、いい作品をどうも有難う。
終了お疲れ様です。
305 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)02時40分03秒
おもしろかったです

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