春江町より愛を込めて

1 名前:アミバス 投稿日:2002年09月12日(木)00時02分55秒
初挑戦なので読みづらいかもしれませんが、頑張りますのでよろしくお願いします。
高橋愛メイン(+後藤真希)の話で、春江町を舞台に書いていきます。
ごっちんが福井弁をべらべらとしゃべりますが、その辺はどうかご勘弁を。
2 名前:アミバス 投稿日:2002年09月12日(木)00時04分43秒
私は明日から東京に住む。

小さい頃から歌手になりたくて、なると決めていて。
一生懸命起こしていた沢山のアクションの結果、
信じられないほどの大きなオーディションで合格。

…出発は明日。
荷物もすでに運び、もぬけの殻となった部屋でぼんやりと朝を迎えた。
何も予定はなく、ゆっくりと朝食をすませても時間はたっぷりあって。
テレビをつけては見たものの、民放は二局だけだしつまらない。
ニュースやワイドショーを見るのももうとっくに飽きてしまった。

どうしようっかなぁ。今日はみんな都合悪いって言ってたしなぁ…。
ごろん、と寝っ転がったところでお母さんが近づいてきた。
「愛、今暇?」
「うん。何?」
「ちょっとお隣まで回覧板持って行ってくれんか?」
「ああ、いいよぉ。これ?うん。早速行ってくるわ。」
3 名前:アミバス 投稿日:2002年09月12日(木)00時05分56秒
おかあさんの用事も喜んで請けるくらいの暇は今日限りのこと。
明日からは東京での生活が始まる。東京に行ったら…。

と、ぼんやりと考え事をするまでの距離もなく到着。
もう当然のこととして身についているとおり、私はインターホンを押した。
「おはようございますー。高橋ですー。回覧板持って来ましたー。」
後はおばさんに渡しておしまいだ。ああ、ご挨拶もしなきゃ。

だけど。
聞こえてきた応答の声は、いつもの聞きなれたものではなく。
…しかしとても懐かしい声だった。
4 名前:アミバス 投稿日:2002年09月12日(木)00時09分15秒
「はーい。今行きます。」
え?

聞けるはずのない声を聴いて驚いてしまった。
そして…果たしてすぐ後に出てきたのは。
…私がずっと大好きな真希ちゃんだったのだ。

「愛?うわ、めっちゃ久しぶりやなぁ!元気やったんか?」
「真希ちゃん!!!戻ってきてたんや?!うん、元気元気!」
「久しぶりって行っても半年位か?一年も経ってないか(笑)。」

…こんなことがあっていいの?
偽りはない笑顔の裏でめまぐるしく考えていた。
最後の日に!!何てついてるんだろう!
5 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月12日(木)01時25分33秒
ごまたかですか?
この2人好きです。がんがって。
6 名前:アミバス 投稿日:2002年09月13日(金)03時14分14秒
ありがとうございます。
ちょっとずつですけど載せていくので、ぜひ読んでください。
7 名前:アミバス 投稿日:2002年09月13日(金)03時15分28秒
「ねぇ、真希ちゃん。今日暇か?」
「あぁ、暇やで。なんかあるんか?」
「あのさぁ、せっかく会えたで遊んで欲しいんやけど!」
「ははは、なぁーんや。そんなことか。」
「そんなことって何やって!!もぅ!」
「いやいや。いいざ。車あるしどっか行こっか。」

やった!やっぱりついてる!!
数分前まで白紙だったスケジュールは一瞬で埋まった。
それも望む以上のスペシャルな予定で。
8 名前:アミバス 投稿日:2002年09月13日(金)03時17分06秒
「ただいま!…ちょっと!お母さん、聞いてや!!」
「何?どうしたん?」
「真希ちゃんが帰ってきてた!今から遊んでくる!」
「ホント?最後の日によかったの!迷惑かけないようにの。」
相手が真希ちゃんだから今日は思いっきり遊べる。
お母さんも、お父さんだって真希ちゃんと一緒ならうるさく言わない。
みんな真希ちゃんの人柄ゆえに信頼しきっている感じ。

真希ちゃんのことを嫌いな人に出会ったことがない。
誰にでも優しくて、面白くて、そんでもってひっで可愛くて…。
…私は仲が悪い子もいる。
だけど真希ちゃんは誰とでも心から素直に仲良くできる。
そして、私には特別優しい(気がするんだけど)。
大好きっていうことは…変じゃないよね。
9 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月14日(土)00時07分35秒
福井弁の後藤、新鮮でよいっす。
高橋の上京と、後藤の帰郷は何か因果関係でもあるのかな?
続きが楽しみです。
10 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時38分37秒
>9
ありがとうございます。
上京と帰省ですか。因果関係といえるかは解りませんが…。
今後をご期待くださればこれ幸い、です。
11 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時40分12秒
あわてて家で準備をしていたら真希ちゃんがすぐに迎えに来てしまった。
ばたばたしている私を尻目にお母さんが出迎えてる。
「こんにちはー。お久しぶりです。」
「真希ちゃん、久しぶり。ごめんねぇ、ちょっと待っててくれる?」
「ははは。いいですよ。待たされるのはわかってたんで。」
「こんな時期に帰ってきたってことはもしかしてまた転勤?」
「いやー、ははは。」
「真希ちゃんもホント人がいいのぉ。数ヶ月に一回は転勤してない?」
「そうですねぇ、転勤のことはもう半ばあきらめましたよ。」

…あ、そうか。転勤なんだ。って、ぼんやり聞いてる場合じゃない!
12 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時41分41秒
「ごめんなさい!」
「おっ、もう準備はいいんかぁ?」
「お母さん、今日は遅くなってもいいやろぉ?」
「いいよ、最後の日やしねぇ。」
「最後の日?」
「いいい、行ってきます!」
後でちゃんと説明したくて、あわてて真希ちゃんの言葉をさえぎった。
「はいはい、行ってきます。真希ちゃんよろしくのぉ。」
「いえいえ。では失礼します。あ、愛ってば、待ってやぁ!」
13 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時42分33秒
「何でそんな慌ててるんやってば!」
「うーんとぉ、うーんとぉ、だってたくさん遊びたいし。」
嘘じゃないけどちょっと言い訳がましく答えながら、
私たちは車に乗り込んだ。
「車も一緒に帰ってきたってことはよっぽど遠い転勤なんやねぇ。」
「え?あぁ、いやただ単にないと不便かなぁと思って。」
「あ、そうなんか?ま、確かにないと不便っちゃあ不便やけど。」

「さぁさぁ、そんなことは置いといて、行くとこ決めな!」
「えー、真希ちゃんは久々やし行きたいところあるんじゃないんかぁ?」
「こらこら人に頼るんじゃない!」
「私は、真希ちゃんと一緒なら…どこでもいいんだよ。」
…これ、本心なんだけど。
14 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時43分13秒
「そうだなぁ、誰かさんの準備で時間くったからなぁ。」
「ああああああ、ご、ごめんなさい。」
「朝早かったじゃん?ちょっと早いけどもうお昼ご飯食べよっか。」
「うん、そやね。」
お昼ご飯か、何がいいかなぁ。あんまりオシャレなところないしなぁ。
福井市まで出ればあるかもしれないけど、車で行くことなんてないし…。
うーん。

「愛、どした?どっか行きたい店でもある?」
「うんうん、特にはないよ?」
「ほんならぁ、せっかくやで、行きたいところあるんやけど。」
「うん、真希ちゃんに任せるよ。」
ちょっと助かったかも…。でもどこ行くんだろ?
15 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時43分55秒
大通りを真希ちゃんの車が走る。
春江で運転するのは久しぶりだろうけど、そんな風には感じさせない。
真希ちゃんは何でもうまいなぁ。私も免許欲しいなぁ。
あ、でも東京ならしばらく車は要らないか。

公民館の手前の交差点、赤信号に引っかかって止まる。
真希ちゃんの横顔って久しぶりかも。きれい。うん。
信号が青になった途端走って、…ん?
見慣れた店の駐車場に止まった。
16 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時44分26秒
「ちょっとヘビーかもしれんけど、大丈夫?」
「あはははは。なんだ、そういうことか。大丈夫だよ。」
笑いながら車を降りて、昔はよく来たお店に入った。
真希ちゃんの食べたかったものは、実は私も食べておきたかったもの。

「いらっしゃいませー。」
あ、懐かしいなぁ。お姉さんの声。
「愛、例のでいいでしょ?」
「うん。真希ちゃんもやっぱり福井県民やのぉ!」
「ふふ。あ、すいません、カツ丼を二つ。あ、並で。はい。」
17 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時45分41秒
「お待たせしました。」
東京に行くことはまだいってないのに、何てタイムリー(?)なんだろう。
ここのカツ丼はやっぱり食べておきたかったんだよね。
福井でも有名なお店でいたるところに支店がある。
本店がどこかは知らないんだけどね。
東京に行ったらソースのカツ丼はきっと食べられないだろうなぁ。
「愛?食べないの?」
ボーっとカツ丼を見つめてしまっていた私を真希ちゃんが笑ってる。
「あ、食べるよ!いただきます。」
「んじゃ私もいただきまーす。」

「おいしいのぉ!」
ああ、この味。一緒に食べれて、愛は嬉しいです。
18 名前:アミバス 投稿日:2002年09月14日(土)23時49分15秒
とりあえず区切りのいいところまで載せました。
もう少しできているので、また後で載せられるかもしれません。
変なところとかあったらどんどん突っ込んでください。
19 名前: 投稿日:2002年09月15日(日)02時16分17秒
何だかホノボノしてる2人がメチャ可愛いです。
どんな展開になっていくのか楽しみに更新待たせていただきます。
作者さん、頑張ってくださいね。
20 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月15日(日)03時22分44秒
高橋後藤の小説って全然見かけないから期待。
21 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時33分16秒
>19=9
ありがとうございます。
実はハッピーエンドではないんですけど。
えー?といわせられたら本望です。ハイ。

>20
ありがとうございます。
全然でもないと思いますが、確かに少ないですね。
なので書こうという暴挙に出てみたり…。

えっと、短編なので、もう出来上がってしまいました。
今からいっぺんに載せてしまいます。よかったら読んでください。
22 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時35分47秒
一応洋食屋さんだそうな、そのお店を満足感とともに後にして。
また車に乗り込んだ。あーお腹いっぱい。
「あああああ。カツ丼はしばらくいいや。」
「ちょっと前まで愛は必ず残してたのになぁ。食べれるようになったんやぁ。」
ちょっと待ってよ!食べ残してたのは小学校くらいだよ!
「何言ってんの!最近は食べれてるって!」
「いやいや、成長したなぁって。私も年取るはずだ。」
何言ってんだか。

「あ、そういえば、真希ちゃんが残すの初めて見たかもしれない。」
「…そ、そうかな?…ま、あのボリュームに負けたんや。」
真希ちゃんがおどけて言っても、きれいだから…。
…。本当にきれい。うん。
23 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時36分21秒
しばらく車を走らせて着いたのは、ついこの間できたカフェ。
コーヒーとデザートオンリーのオシャレなところ。
何で春江町に作ったんだろうってみんなで不思議がってたんだ。
でも今一番不思議なのは、何で真希ちゃんが知ってたかっていうこと。

「あ、いやぁ、ここ実は友達がやってるんだ。」
訊いてもないのに出てきた答えを聞きつつ店内に。
うわー広い。平日だからかお客さんはいないみたいだけど。
24 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時37分43秒
「いらっしゃいませー。あ、真希?」
「よおっす。久しぶり。来ちゃったぞ。」
一瞬怪訝そうな表情の後笑顔になったお店のお姉さんは、
緊張して隣に立っている私にも微笑んでくれた。
うわ、真希ちゃんとは違うタイプだけど、きれいだ。
「いらっしゃいませ。はじめまして。後藤の友人の吉澤です。」
「あ、初めまして。高橋愛っていいます。真希ちゃんの隣の家に住んでて…。」
「あ、もしかして…。真希、この子って…。」
「そそ、例の幼馴染のカワイコちゃん。」
「やっぱりー。うふふ、かわいいわねぇ。」
???
どうやら私は真希ちゃんの友人に話してもらえているらしい。
カワイコちゃんだなんて。ちょっと嬉しいけど。
恥ずかしい…。
25 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時38分41秒
「よっすぃー、こんなところで油売ってていいんかぁ?」
「いいんやって。ご覧のとおり今一番暇な時間帯やもん。」
「食事も出せばいいのに。まぁ、コーヒーに拘ってんのは知ってるけどさ。」

「それよりさ、えっと愛ちゃん、だよね。」
急に振られてびっくりした。
「この前ウララに載ってなかった?」(注:ウララはタウン情報誌です)
「!!…は、はい、まぁ。」
「すごいねぇ、頑張って!春江町からなんて初めてじゃないの?」
真希ちゃんはぽかーんとしてる。
「?何???何のこと?」
「ああ、ウララにねぇ、この子の…あ、お客さんだ。いらっしゃいませー。」
言いかけで吉澤さんは去ってしまった。
ドキドキだ。今のうちにちゃんと説明しとかなきゃ。
26 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時39分26秒
「んで?愛は何でウララに載ったの?」
「うん、実はね…。」
歌手になるためのオーディションを受けて合格したこと。
もう荷物は向こうに届いているはずで、私は明日東京に行くこと。
ゆっくりと、私自身の言葉で…真希ちゃんに話した。

「そうかぁ。愛も今人生のターニングポイントにいるんや。
 つらいこともあるかもしれない、でも大丈夫やでのぉ。
 愛の歌はきっと世界中の人をハッピーにできるはずや。
 だから愛は自分を信じて歌を歌っていけばいい。頑張れ!」

私はなんだか熱くなって返事も言えず、ただうなずいていた。
27 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時40分34秒
東京にも転勤で行ったことのある真希ちゃんは、
私に東京のいろんなことを教えてくれた。
そのうちきっと真希ちゃんも遊びに来てくれるだろうから、
それまでに真希ちゃん以上に東京を知りたいな。
もちろん、それまでに少しでも実力をつけて活躍したいなぁ。

何か音楽が聴こえる。
「愛、携帯なってるんじゃない?」
「え?私の?あ。本当だ!」
慌てて出ようとしたけど切れてしまった…。
51-xxxxってことは春江だ。誰だろう?
「真希ちゃん、ごめん。外でかけてくるね。」
いってらっしゃいの代わりに手を振ってくれてる。
28 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時41分35秒
恐る恐る電話をしてみたら、それは親戚の裕子さんからで
えらく長々と励ましのエールをくれた。
あんまり誉めてくれるんで、恐縮しながら話を聞いて。
でも真希ちゃんが気になって振り返ってみたら。

ガラス張りの店の中では、真希ちゃんが吉澤さんと深刻そうに話していた。
何だろう?吉澤さんが目をこすっている。
あ、違う、泣いてるんだ。…吉澤さんに悩みでもあるのかな。

こ、これは…見なかったことにしよう。うん。
29 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時42分30秒
長い電話を終えてみれば、吉澤さんは仕事に戻ったようで
真希ちゃんはコーヒーをゆっくり飲みつつ待っててくれた。
「コーヒー、冷めたからってよっすぃーが入れなおしてくれたよ。」
「あちゃあ、悪いことしちゃった。真希ちゃんもごめん!」
「いいよぉ。出発前日に連れ回してんのはこっちやし。」

…こういうときにも真希ちゃんのやさしさが出る。
私も、気配りできる人になりたいなぁ。
あ、また冷めちゃう前にコーヒー味わって飲まなくっちゃ。
30 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時43分55秒
それからずいぶんと二人でお話をして、気づいたら太陽も沈みかけていた。
こんなに長居しちゃって…吉澤さんにお礼を言わなきゃ。

時間が経つにつれてこんできて、今はほぼ満席なのにもかかわらず、
吉澤さん自らお見送りしてくれた。何かすごいなぁ。
「愛ちゃん、頑張ってね。」
「ありがとうございます!」
「真希、…大事に。頑張って。」
「うん。よっすぃーも店頑張って。」
…?何か変なだとは思ったけど気にせず店を出た。
31 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時44分47秒
「話し込んじゃって、あんまりいろんなところ行けんかったねぇ。」
「いいよ!真希ちゃんと話してるのが一番楽しいんやで!」
「そっか。そういってくれるとおばさんも気が楽だ。」
「ははは、おばさんって何?まだ若いやんかぁ。」

楽しいと時間はすぐ過ぎちゃうなぁ。
今日の朝は暇で暇で仕方なかったのに、あっという間に夕方。
明日からもう東京なんだ。真希ちゃんとせっかく再会したのに。
またしばらくあえなくなるんだ…。
32 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時45分45秒
「どした?不安になった?」
み、見透かされてしまった。
「大丈夫だって。いつでも春江に戻れば愛を応援してる家族や仲間がいるよ。」
うん、そうだね。真希ちゃんも…って真希ちゃんは転勤先に行くか。
「そうだ、真希ちゃん。いったいどこ行くの?」
「え?そうね、夕ご飯でも食べに行こっか?」
「あはは、うん。いや今日じゃなくて、次どこに住むの?」
「あ、それか。」
「うん。春江には近いの?東京には?」
「う…ん。それが…どっちも遠いんだよね、多分。」
そっか、遠いのか。でも「多分」って何だ?
でもそれっきり真希ちゃんは運転に集中しているのか黙ってしまった。
33 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時46分54秒
お昼ご飯が揚げ物だったこともあって、中途半端なお腹。
でもなんとなく食べれる気はする。
真希ちゃんが選んだのは春江町の隣、丸岡町というところにあるお店。
そういえば、ここ、一年前にも連れてきてもらった気がする。
「パスタなら入るでしょ?」
そうそう、一年前にも真希ちゃんがそう言って、
この店を選んで入った気がする。
「愛は前カルボナーラ食べたでしょ?今度は違うのにしねや。」

お、覚えてて連れてきてくれたんだ。
34 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時47分43秒
真希ちゃんはカルボナーラを頼んで、私はボンゴレにした。
魚介類を福井でもう一度食べておきたいと思って。
思った以上においしくて。ニコニコ食べてたら、
「愛はホント嬉しそうに食べるねぇ。かわいい。」
って真希ちゃんに言われてしまった…。
ちょっと恥ずかしくなりながら残りをやっつけた。

「真希ちゃん、少食になった?食べきれない?」
「…。うーん、ちょっともたれたかなぁ。」
「そっか。」
いつもたくさん食べてるイメージしかないから不思議な感じ。
35 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時48分54秒
ここは食事の後にサービスでエスプレッソがつく。
しかも店長さんが自ら、目の前でカップに入れてくれる。
前にも見たことあるのにもかかわらず、二人して
「おおお!」
なんて、声を上げてしまって、店長さんに笑われたりして。

目の前にはエスプレッソ。
それをいいことに私たちはまた長々とおしゃべりをした。

…苦いから私はミルクを入れて飲んだけど、これって邪道なのかな。
36 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時49分36秒
「うわー、福井はさすがに星がきれいや!」
店を出てすぐ、真希ちゃんの声が夜に響いた。
「そうやのぉ。」
次に一緒にこの空を見られるのはいつかなぁ。
しばらく駐車場で空を眺めてしまっていた。

フム、と呟きが聞こえたかと思ったら。
「愛、もっと星がきれいに見えるとこに行こっか!」
「う、うん?」
せかされて車に飛び乗ったけど、どこに行くんだろう?
37 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時50分15秒
車はどんどん丸岡町の端に向かう。
気がつけば坂井郡を抜けて吉田郡の松岡町まで来ていた。
といっても春江からもそんなに遠くない町。

どこに行くのか薄々わかった気がしたけど、黙っていた。
そういえば、ここも一年前に一緒に来たね。
そう、あの日も星はきれいだった。うん。
38 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時50分50秒
だだっ広い駐車場の端に律儀に車を止めて、真希ちゃんが言った。
「何か一年前の再現みたいだね。別に意味はないんだけど。」
やっぱり覚えていてくれたんだ。

無言だけど笑顔で降りて、中に入っていった。
明かりが乏しくて見えにくいけど、芝生だから転んでも大丈夫。
…グリーンセンターというからには緑だらけのこの公園。
中央にある大きな芝生の広場まで進んで。
「着いたー。」
と、真希ちゃんが寝転んだ。
私もおずおずと隣に寝転んでみた。
39 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時51分45秒
さっきよりもはるか多くの星が光を落としている。
それぞれぼんやりと眺めていた。

どれくらい時間が経った頃か、その光のひとつが流れ堕ちた。
東京に行っても頑張れますように。真希ちゃんとまた会えますように。
「嬉しいなぁ、流れ星。」
思わず呟いたら。真希ちゃんは切なそうに言った。
「…私は、誰かが去っていくようで悲しくなるんや。」

言われて思った。
少しは私が東京に行くの寂しく思ってくれてるのかな。
40 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時52分40秒
それからまたぼんやりと上を仰いでいた。
見つめるうちにこれから先を思って少しずつ不安が近づいてきた。
一人で東京に行ってうまくやって行けるんだろうか。
私は歌手として成功を収めていけるんだろうか。

「愛?」
…いつの間にか涙が出ていた。嗚咽を漏らしてしまった。
「愛、大丈夫だよ。とりあえず明日は第一歩なんだから。
 これからどんどん自分のペースで歩んでいけばいいんだよ。
 愛っていうのは、誰からも愛されるように、
家族がそう考えてつけてくれた名前なんじゃないの?
大丈夫。今までもみんなに愛されてきてるんだよ。
 これからはそれが増えるんだから。もっと頑張れるよ!」

うん、ありがとう。ありがとう。
41 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時53分50秒
急に真希ちゃんが立ち上がった。
「愛、私に一曲歌ってよ!最後だし…ね。」
「ええええ?こんなところで?」
「いいとこがあるじゃんか」

真希ちゃんの指差すほうには、
人口の小さな川をはさんで、野外ステージがあった。
ステージだけど…。まぁ、誰もいないからいいか。
「わかった。」
言うと同時にステージめがけて走り出した。
42 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時54分23秒
ステージに上ると、芝生の広場が一望できた。
真希ちゃんらしき黒い影が見えるだけで、後は草木だけ。
じゃあ、と自分にしか聞こえない声で呟いて、
歌い始めた。

何となく広いこの広場に、私の声は響いている気がした。
信じられないくらいいい歌を歌えた気がした。
歌いながら、歌手として何とかやっていける気がした。
真希ちゃんに自信を分けてもらった気がした。
43 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時55分06秒
歌い終えた途端、ハッと素に戻ってみれば
ステージから落ちそうになっている自分に気づいて驚いた。
落ちれば川に直行、濡れ鼠になるところだった。
あぁびっくりした。
それより、歌ってる間にすごい動いてたんだ。
そんだけ歌に集中できたんだなぁ。

息を切らして、急いで真希ちゃんの元に戻った。
「愛…。いい歌を、ありがとう…。」
真希ちゃんの頬が光って見えた。
44 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時55分45秒
「真希ちゃん?」
「愛…。愛は明日から歌手への道を歩んでいくけど。
 たくさんのことがあると思う。辛いことも嬉しいことも。
 だけど、今の歌を歌えるならば、愛はずっと進んでいけるよ。
 …。
 私は、これから遠くに行かなきゃ行けない。
 行ったことのないところだから不安で仕方ない。
 みんなとも、愛ともずっと会えなくなるかもしれない。
 だけどね、愛から素敵な歌を歌ってもらった。
 不安がもうなくなったって言えばうそになるけれど、
 また愛と一緒に遊んだりしゃべったりしたい。
 だから頑張るよ。愛に負けないくらい頑張る。」
45 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時56分39秒
真希ちゃんも不安になることがあるんだ。
会えないくらい遠くに行くなんて思わなかったけど、
きっと外国とかに行かなきゃいけないんだろう。
それなら不安になるのも分かる気がする。

「愛。」
気づいたら、真希ちゃんは私をぎゅっと包んでいた。
なんだかくすぐったい気もしたけれど、身を任せた。
「愛、頑張ろうね。約束しよ。」
「はい。」

愛はあなたに負けないようにしっかり頑張ります。
46 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時57分36秒
「そうや。」
「何?真希ちゃん?」
「頑張れるおまじないやで。」
何だろう?と思っている間に…おでこに軽いキス。
十分すぎるおまじない。
暗闇でよかったと思うほど、私の顔は熱くなっていた。
…今なら、いいかな。
「真希ちゃん?」
「何?」
「私、真希ちゃんのこと大好きやで?」
47 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時58分10秒
真希ちゃんはちょっと辛そうに笑って
「うん。私も。だからがんばんねや。」
辛そうに見えたのは何でかな。迷惑だったかな。
だけど、真希ちゃんはいっそうぎゅっとしてくれた。

愛してるって言い換えようかと思ったけど、やめた。
私も好きだって言ってくれただけで十分。
うん、頑張れる。絶対頑張れる。
頑張らなきゃ。
48 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)03時58分51秒
ちょっとだけ迷子になりつつ車に戻った。

「あせったぁあ。」
「ふふふ、ホントホント。でも今日はいい歌聴けたしよかった!」
「そういってくれるだけでよかったよぉ。」
「誰かさん、落っこちそうになってたしね!」
「あ、き、気づいてたんか?!うわぁ、ひっでぇ恥ずかしい…。」
「びしょ濡れの愛を見るのも悪くなかったんだけどなぁ!」
「何言ってるんやって!!もぅ!」

もう忘れてください。お願いだから。
49 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時00分01秒
ちょっとしたドライブを楽しんで、家に着いた。
帰りたくない気もするけど、十分遊んでもらったし…。
「明日、見送りには行けないんやけど、ごめん。気をつけて。」
「うんうん、今日いっぱい遊んでもらったし!ありがとう。」
「約束忘れたらあかんよ!頑張れ、高橋愛!」
「ありが…?!」

…またキスされた。今度は口に。
「△●×□▼!!」
「ふふふ、おまじない、おまじない。」
嬉しいような、何なんだろ…やっぱり恥ずかしい。
…今度は顔が真っ赤になったのを見られてしまった。
50 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時00分45秒
「それじゃあ、またね?」
寂しかったけど、仕方なく言った。
「あ…。うん、愛、元気でね。」
「うん。真希ちゃんも…。」
「うん、がんばるよ…。バイバイ。」
何か切なげな、悲しそうな顔を見てられなくて背を向けた。
ありがとう、真希ちゃん。
心で呟いて玄関を開けた。
51 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時02分03秒
次の日。
お父さんの運転で、小松空港まで家族総出で向かった。
恥ずかしいし、ちょっと寂しくなるから電車で行くって言ったのに。
聞き入れえてもらえず、こんなことになった。

搭乗のリミットが迫る。やっぱりちょっと寂しい。
でも心配しないで。娘は頑張ってきますから!
最後にずっと無言だったお父さんが口を開いた。
「いってらっしゃい、気をつけて。」
私は、今までの感謝とこれからの意気込みをこめて、
心から言った。
「いってきます!」

…真希ちゃん、約束守るからね!
52 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時06分42秒
※ちょっと訂正です。28のところです。

誤:恐る恐る電話をしてみたら、それは親戚の裕子さんからで
正:恐る恐る電話をしてみたら、それは親戚の裕子さんで

かけなおしているのに裕子さんからっておかしいな、と。
ごめんなさい。遅すぎる訂正。
53 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時09分24秒
そして月日は流れ。

―高橋愛はデビューしてすぐにスターダムにのし上がった。
 その年の賞を総なめにし、認知度も高く、人気もうなぎのぼり。
 年末のさまざまなテレビ番組にもこぞって出演依頼が来た。
 もう誰もが高橋愛という歌手を認めていた。
54 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時11分46秒
真希ちゃん、あけましておめでとう。
私、頑張ったよ!
去年の活躍、見てくれた?今年も頑張るよ。
真希ちゃんは、遠いところで頑張ってますか?
一度会いたいな、どこにいるのかな。
お正月だから、実家に帰ってるのかな。

今、春江に帰ったら会えるかな…?
ああ、帰ろうかな。帰ってくるのかな。
一週間ほど休みがあるから、一日くらい会えるかもしれない。
55 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時12分23秒
帰ろうか、どうしようか、でもやっぱり帰ろうか。
いろいろ考えていたら…。

ピンポーン
不意に玄関の呼び出しベルが鳴った。
何だろう?まだお正月なのに誰だろ?

訪問者は郵便局のおじさんだった。
ちょっと大きめの封筒を渡して、印鑑を押させて。
すぐに去っていった。
56 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時13分21秒
誰からだろう?
裏には、お母さんの名前。
何で書留でわざわざ?しかもいつも電話で話しているのに、
と思いながらも、とりあえず封を切った。
中には、小さめの封筒と便箋が何枚か。
封筒を見ると、そこにはきれいな字で書いてあった。
「愛ちゃんへ  真希より」

真希ちゃんから手紙が来るなんて!
ああ、きっとお母さんは私を驚かせるために言わなかったんだろう。
いろいろ考えながら、急いで封筒を開けた。
57 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時14分27秒
“愛ちゃんへ

 これを読んでいるということは、愛は約束を守ってくれたんだね。
 ありがとう。その活躍が確かめられないのはとても残念です。



 最後に一緒に遊んだとき、覚えていますか?
 愛は私を好きだと言ってくれたね。とても嬉しかった。
 私は昔から好きだったけれど、
 いつの間にか好きになりすぎて大変でした。
 女の子に恋愛感情を抱くなんて、と思っていたけれど。

 愛が好きだといってくれて、私は救われた気がします。
 最後にしたキスは餞別だと思って許してください。
 どうしても我慢できなくって。



 愛、これからも頑張ってください。
 遠くからだけど、愛を応援しています。
 私は頑張り通すことができなかったけど、
 愛は、私の分も頑張って、ずっと歌を歌ってください。

 愛してる。

 春江より 愛を込めて                  真希 “
58 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時15分04秒
何がなんだか分からない手紙。

…友情ではない愛情を抱えていたのは、私だけじゃなかったんだ。
愛してるって言ってかまわなかったんだ。

…活躍を確かめられないって言うのは外国なら仕方ない。
でも頑張り通せなかったってどういうことなんだろう?
59 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時15分37秒
疑問符で頭をいっぱいにしながら残りの便箋を手にした。
それはお母さんの見慣れた文字で埋まっていた。

私が春江を出て数日後、真希ちゃんは入院したこと。
入院するのは決まっていたことで、そのために春江に帰ってきたこと。
私に励まされ、十数時間もかかる手術をすると決意したらしいこと。
実際の手術は一日弱かかる大手術だったこと。
それでも手術は成功にはいたらず、真希ちゃんは病院を出られなかったこと。
そして九月十四日に、…真希ちゃんが亡くなったこと。
手紙は、私が一人前の歌手になったら渡して欲しいと言われていたこと。

めまぐるしく起こったことがずらっと書かれていた。
60 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時16分07秒
思い出してみれば、最後に会った日のおかしな点もすべて納得がいく。
真希ちゃんは、病気を押して私に付き合ってくれたんだ。

…。
ごめんなさい。
ありがとう。
大好き。
61 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時17分13秒

真希ちゃん、そちらはどうですか?
愛は、今も頑張っています。
62 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時17分57秒
これで終わりです。
ごっちんファンの皆さん、ごめんなさい。

読んだら感想いただけるとうれしいです。
63 名前:アミバス 投稿日:2002年09月15日(日)04時18分53秒
あ、後分からないところとかおかしいところとかあったら
どんどん突っ込んでください。言い訳します。…?
64 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
65 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月16日(月)02時46分07秒
完結お疲れ様です。
凄い良かったです。
次回作の予定はありますか?期待してます。
66 名前: 投稿日:2002年09月16日(月)18時31分10秒
そっか……後藤は……。
悲しい結末でしたが、希望の持てる未来でよかったと思います。
それと、出来れば後藤と高橋が生きてるときの思い出の描写が
もう少しあれば嬉しいなーなどと…。(子供の頃とかの)
完結お疲れサマでした。また次回作あれば期待してます。 
67 名前:アミバス 投稿日:2002年09月16日(月)22時26分55秒
>65、66
ありがとうございます。
初めて書いたのでなんかドキドキでしたが、
最後まで読んでいただけてうれしいです。

次回作ですが、実はそういわれるなんて思ってもいなかったので
まだできてはいません、ちょっと今考え中です。
今ちょっと考えているのはこの話の少し後でのエピローグ的なものです。
66さんのおっしゃる子供のころの話も面白そうなので、↑の後にやりたいです。
できれば更新再開します。とりあえずちょっと練ってみます。

感想いただけるとうれしいですね、本当にありがとうございます。
68 名前:読者 投稿日:2002年09月30日(月)14時49分18秒
続編まだかな〜。待ってますよ
69 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月04日(金)02時38分07秒
感動しました。
70 名前:アミバス 投稿日:2002年10月08日(火)21時52分25秒
ちょっと諸事情で忙しくて遅れております。
そのうえ結末をどうするか迷っています。
がんばって今月中にはアップしたいなと思っています。

>68さん
ありがとうございます。もう少し練らせてください。
>69さん
ありがとうございます。がんばった甲斐がありました。
71 名前:読者 投稿日:2002年10月14日(月)23時15分30秒
68ですけど、焦らせてるのだとしたらごめんなさい。
高橋って娘。入りする前って後藤に憧れてたんですよね?の割にあまりごまたかって
見ないので、この作品を見つけて嬉しかったわけで…(w
作者さんのペースで頑張ってください。気長に待ってます。
72 名前:読者 投稿日:2002年10月14日(月)23時16分06秒
↑sage忘れました、本当にすみません…嫌がらせみたいだ、なんか…(鬱
73 名前:アミバス 投稿日:2002年10月25日(金)00時58分08秒
お待たせしました(?)。続編を少し。

>71さん
あせらせるなんてそんな…。本当にありがとうございます。
今回はちょっと厳密に言えばごまたかとかではないのですが
読んでいただければうれしいです。
74 名前:アミバス 投稿日:2002年10月25日(金)01時00分35秒
番外編 ベーグルにて
ちなみにこんなお店はありませんが福井市内にモデルのお店はあります。


春江町にある喫茶店「ベーグル」。
田舎の町には珍しい、洒落たつくりの建物と店内。
そしてその前には、田舎の町だからこその広い駐車場。
日によって、時間によってお客の数は大幅に違う。

のんびりと開いている落ち着ける空間。
そんなお店を作りたくて、私は今日々を生きている。
75 名前:アミバス 投稿日:2002年10月25日(金)01時01分41秒
ガチャン!
…厨房から大きな音がして、またかと思いつつ見に行った。
そこにはポカーンと口をあけて棒立ちになっているバイトが約一名。
「新垣ちゃん?大丈夫?」
「あああ、店長ぉ〜。ごめんなさい〜。」
「どうしたんや?今日三回目やで?」
「すいません、なんだかもう変な感じで。」
「何が?」
「イヤ、もう朝からドキドキしてキューンってなっちゃって。」

…そんなんじゃわかんないって。
76 名前:アミバス 投稿日:2002年10月25日(金)01時02分16秒
「新垣ちゃん、今日はもういいからあがんねの。」
「え?いいんですかぁ?」
「うん、このとおり店は暇やし、心ここにあらずなようやし。」
「すすすすいません〜。ありがとうございます。」

「その代わり明日出て。絶対出て。私墓参り行かなあかんのよ。」
「えぇ?今日コンサート見に行くから明日は休みたいんですけどぉ。」
「ん?誰のコンサート?」
「えぇぇ?店長知らないんですか?高橋愛ちゃんですよ!」
「あ、そう。」
「店長冷たい…。」

「新垣ちゃん、愛ちゃんのファンなわけ?」
「もちろんですよ!かわいくて歌うまくて…。」
「なら絶対に明日はお店に出てね。」
「えええええええ?!ワケ分かりませんよ!そんなぁ!」
77 名前:アミバス 投稿日:2002年10月25日(金)01時03分08秒
真希がいなくなって一年が経つ。
真希がいない間に、愛ちゃんは本当にスターになったよ。
あんたが見てあげないで誰が見てやるんだ。

ボーっと考えていたら私もカップを割ってしまった。
ああ、だめだ。今日はもうお店閉めよう。
78 名前:アミバス 投稿日:2002年10月25日(金)01時04分32秒
---
今日はここまで更新です。
ちなみに一応言っておきますと、よっすぃーメインです。
本編を読んでいただけていればわかるとは思いますが。
79 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月31日(木)19時57分25秒
おっ!続編が始まってる…

この作品はとても好きなので
作者さん頑張って下さい。
80 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)00時58分51秒
>79さん
ありがとうございます。おそくなってごめんなさい。

というわけで続きをぼちぼち…。
81 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)00時59分35秒
今日は働くためではないけれど、とりあえずお店に向かう。
お店はちゃんと開いているかしら。なんて人事のように考えつつ。
「まぁ、開いてなくてもまだ早いから私が開ければいいか…。」
いや、お願いしますよ、新垣嬢。

裏へ回ると鍵は開いている。とりあえず開店はした様子。
でも両手がふさがっていてドアノブをまわすのに一苦労。
お花買うのは後でもよかったかな。まぁ仕方ないや。
何とか開けて中に入ってみると、そこには…
お客も居ないのに生き生きと働く新垣ちゃんが。
82 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)01時01分41秒
「店長〜!おはようございます。」
「おはよ。…一体何?その怖いまでの笑顔は…。」
「やだ〜。普通のつもりなんですけどぉ。」
「いや、ひっで怖い。」
「そんなこと言わないでくださいよ〜。」
あっはっは。

「ところで店長、本当に墓参りなんですか?」
「本当も何も喪服着てるやんか。」
「それは喪服というよりは普通の黒い服だし…。」
「いや、あんまりきちんとしすぎるのもどうかと思って。」
「何よりその薔薇の花、墓に似合いませんよ?」
「これは…。」
実はこれは私のではない。
「一緒に行く人に頼まれたんだよ。」
83 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)01時04分54秒
「薔薇と言えば、昨日のコンサート!すごかったんですよ!」
どういうつながりなんだ???そんなに話したいのか。
怪訝そうな表情は新垣ちゃんに伝わらず、話は続く。
「薔薇の花が紙ふぶき代わりにいっぱい降ってきたんですよ!」
「え?まじで?えらい金のかかりようだなぁ。」
「そりゃあ愛ちゃんは日本でもトップクラスのスターですからね。」
「…トップクラスだけをスターというんじゃないのか?」
「いや、アハハ。もう店長ってば細かいですよぉ!」
84 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)01時06分06秒
「それでですねぇ、愛ちゃんが出てきて『帰ってきたよ!』って言うなり…」
「転んだとか?」
「何でそういう風にもっていくんですか!」
「いやなんかあったんだろうなと思ってさぁ。」
「違います!言うなり感動して泣き出したんですよ!」
…。そうなのか。
85 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)01時07分53秒
「そんなに福井でライブ出来たのが嬉しかったのかなー?」
「さぁそれはどうかしら?」
真希、昨日のコンサートは見れたのかしら。
生で見られないなんて、あんたも罪な人ですよ、まったく。

「新垣ちゃん、愛ちゃんと会いたい?」
「そりゃーもう!でも叶わぬ夢ですよねー。」
「ふーん。じゃあ二時まではしっかりやってちょうだい。」
「はい?二時にあがっていいんですか?」
「だめ。」
「ええ???」
86 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)01時13分17秒
「なんだかワケがわかりま…」
新垣ちゃんの声をさえぎるように、ドアが開いた。
そして常連の初老の紳士が現れたので、いらっしゃいませだけ残して奥へ。
この紳士いつも決まって二時にくるなぁと思いつついつものモカを準備。
入れつつまかない飯を食べていると…

“がいーーーーーーーーーーん”
な、何だ何だ?
87 名前:アミバス 投稿日:2002年11月13日(水)01時16分26秒
---
今日はここまで更新です。
自分で思っていた以上に新垣ちゃんが大活躍です(笑)。
何とか完結させて早く幼少時代のごまたかをかきたいです…。
88 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月14日(木)19時54分38秒
続編有難うございます。期待
89 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)01時58分53秒
>88さん
こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます。
期待に沿うような話の展開になるでしょうか…わかりませんが。

というわけで少しですが更新します。
---
90 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)01時59分38秒
ステンレス製のお盆の音が店内中に響き渡る。
新垣ちゃんは硬直したまま、そのそばにはステンレスのお盆。
「新垣ちゃん??」
「てててて店長…。」
お盆を拾い上げて、新垣ちゃんの指差したほうを見ると…

「ああ、なるほど。」
91 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)02時00分44秒
「いいいいらっしゃいませ…。」
「いらっしゃい。愛ちゃん。」
「こんにちは。吉澤さん、お久しぶりです。」
新垣嬢が不審そうな目つきで私を見ている。そりゃそうか。

とりあえず新垣ちゃんに案内をさせて私は奥へ。
まかない飯をやっつけて、老人にモカを出す。
92 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)02時03分10秒
泣きそうな顔で新垣ちゃんが戻ってきた。
…ちょっと面白い。

「てんちょおぉ〜。」
「ね、今日バイト入ってよかったやろ!」
「知ってたんなら教えてくださいよ!」
教えたら仕事にならないのは目に見えているよ。

「今日愛ちゃんが来たことは秘密やで?」
「はい!ん?じゃあもしかして墓参りって…。」
「そう、共通の友人のお墓に行くんよ。」
93 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)02時05分36秒
愛ちゃんのところに行くとメニューをぼんやりと見ていた。
「愛ちゃん、もしかしてまだ眠い?」
「え?あははは。実はさっきまで寝てたもので。」
「そうなん?じゃあまかない飯でよければ食べる?」
「え…。でも」

あ、まずいかな。もしかして何もいらないのかも。
「他のお客さんに悪いかなぁって…。」
「あははは。気にしなくていいざ。待ってて。」
スターになってもこの子はこんなままなのか。
好かれるのもよくわかるなぁ。
94 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)02時09分35秒
思わず笑顔で奥に戻ったらば。
“目の前に魚を置かれた猫”のような顔をしている人が約一名。
じゃあ素敵なお仕事でも差し上げるとしますか。
「新垣ちゃん、まかない飯を上品に作って愛ちゃんに持っていって。」
「ラジャーです!」

新垣ちゃんはいつもの何倍も鮮やかな手つきでオムライスを作って見せた。
…ふ、普段からそうしてください。お願いだから。
95 名前:アミバス 投稿日:2002年11月17日(日)02時12分18秒
---
今日はここまでです。
ちょっと次の更新まであくかもしれませんが、
もしそうなっても、忘れた頃に読みに来てくだされば…。
感想など聞かせていただけるとうれしいです。
96 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)08時51分10秒
幼少時代のごまたか楽しみです!
作者さん、待ってますよー
97 名前:名無し娘 投稿日:2002年11月26日(火)22時58分59秒
ついさっき見て一気読みしてしまいました。
(・∀・)イイ!!
私、福井県出身なもので地名やタウン誌に懐かしさを覚えずには
いられませんでした。作者サンは福井出身なのですか。

続編を期待しています。がんばってください。
98 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)11時54分21秒
待ってます。
99 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月11日(水)23時45分02秒
また〜り待ち保全
100 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月04日(土)20時28分52秒
ほぜむ
101 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月14日(火)22時56分32秒
マッテマス
102 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)19時45分37秒
待ってます
103 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月15日(土)13時32分32秒
つづき、待ってます。
104 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月21日(金)10時59分46秒
保全

105 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時52分06秒
ほったらかしてしまってごめんなさい。
保全してくださった皆さん、本当にありがとうございます。
遅くなりましたが、今の話を完結させようと頑張りました。

そうだ、>>97さん。
私は福井出身ではないですが、福井県民だったことがあります。
春江には比較的行ったのでこんなのを書こうと思った次第です。
ちなみにカツ丼やさんはヨー○ッパ軒ですよw
106 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時53分12秒
では早速更新します。
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「あ、あ、あ、あのー、これ…。」
新垣ちゃんがおずおずとオムライスを愛ちゃんの前に出す。
新垣ちゃんが言葉に詰まるのを初めて見た…。
「さ、遠慮なく食べて。うちのバイト新垣ちゃんお手製のオムライス!」
「ありがとうございます!いただきます!」
…やばい、新垣ちゃんが泣き出しそうだよ。はははは。
107 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時53分49秒
「あー、ひっでおいしかったー。あ…」
言った瞬間福井弁だったことに照れている愛ちゃん。
「まだ福井弁抜けんのか?」
「そうですねぇ…。プロデューサーは直さなくていいって言うんですけど。」
「まぁ、ずっと東京ならそのうちイヤでも直るんじゃない?」
いつまでたっても純粋な子だなぁ。
108 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時54分30秒
「あ、そうだ。愛ちゃん。お願いがあるんだけど。」
「え?なんですか?」
「さっきのバイトの子、愛ちゃんの大ファンなんだけど…。」
言い終わるや否や本人がどこかから色紙とペンを持って現れた。

「あははははは。サインですか?いいですよぉ!喜んで。」
「ごめんねぇ。…新垣ちゃん、それどうしたの?」
「お願いします!…今買ってきちゃいました!」
そして新垣ちゃんは大好きな愛ちゃんのサインをもらえてご満悦なのであった。
…色紙を買いに行ってた間のバイト代、出ませんからね!
109 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時55分18秒
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
「…はい。」
「じゃあ、新垣ちゃん。後お願いします。」
「分かりました!愛ちゃん、また来てくださいね!!!!」
「ありがとう。あ、オムライスおいしかったです。」
「ううううれしいいいー。」
「あははは。じゃあいってきます。」
…店を出たら西日が窓に反射してまぶしかった。
110 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時56分18秒
店から歩いていける距離ではあるけれど、念のため車で行った。
ファンにでも出会ったりしたら逃げ場がないから。
ま、こんな田舎なら大丈夫なんだろうけれど。
車に愛ちゃんのCDを積んでいるのがばれて、なんとなく恥ずかしい。
まぁ、普段は一ファンでもあるからいっか。
ノリノリで一緒に歌ってるうちにすぐ到着。
111 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時57分51秒
小高い丘のような場所にあるので、階段を少し上る。
さっきまでの気分とは打って変わってなんとなく緊張する。
お互い何か言うでもなく、ただ黙々と進んだ。
そして、愛ちゃんが望んでいた形とは違うけれど
二人は再会することが出来た。

「真希ちゃん、会いに来たよ。」
愛ちゃんはそう言ったきり肩を震わせている。
112 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時58分26秒
「真希…。愛ちゃんの活躍見てる?」

日も暮れかかった中で私は真希に向かって話し続けた。
私のことなんか何もいわなかった。
ただただ愛ちゃんのことを話し続けた。
真希が聞きたいのはきっと愛ちゃんのことだけだろうから。
愛ちゃんの活躍をきっと見てるんだろうけれど、
いつも彼女のそばで見守っているんだろうけれど、
でもやっぱりここでちゃんと話しておこうと思ったから。
113 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)01時59分03秒
愛ちゃんはずっと何も言わずにいた。
言いたいこともきっとあっただろうけれど。
ただただ頬を濡らしているだけだった。

真希、
愛ちゃんが人生を全うしてそっちに行くまで、
もう少し待ってて。
114 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時01分05秒
車のライトだけが流れる中で、私たちもその中で流れる。
…夕方とは違う緊張の中で話し始めた。
「あのね、私は真希のことを本当に好きだった。
真希が愛ちゃんに対して思っていたような感情ではなくて、
純粋に友人としてだけれど。」
「はい。」
「うすうすはわかっていたでしょ?
真希が愛ちゃんに対して友情ではないそれを持っていたこと。」
「……………はい。」
115 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時01分39秒
「ねぇ、あなたが真希にしてやれることは何かわかる?」
「スターで居続けるってことですか?」
「違うよ。愛ちゃんがそう望むのであればそれもひとつだけど。」
「はい。」

「真希のことは忘れない。愛ちゃんは幸せな人生を過ごす。」
「…はい。でも…。」
「あ、もちろん、真希がいないことで“最大の幸福をなくした”って、
そう思っていても仕方ないけど、
それでも今後愛ちゃんが手にできる限りの幸福、
それを射止める努力を忘れないこと、かな。」
「はい。頑張ります。」
116 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時02分28秒
「後は墓参りかな。」
「そうですね。よかったら一緒に恒例行事にしませんか?」
「エー?邪魔するなって真希が化けてでたらいややなー。」
「あははは。」
「あと、ついでにうちのお店にも寄ってくれたらうれしいんやけど。」
「うふふ。…はい。ぜひ。」
117 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時03分07秒
「愛ちゃん、お仕事大変だろうけど頑張って。」
「はい、ありがとうございます。」
「つらいこともあるだろうけれど…。真希は側には居ないけれど…。」
「はい…。心の中には居るけれど…。話はできないですね…。」

「代わりにはなれないけれど、時々帰ってきて話聞かせて。」
「…はい!」
118 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時03分39秒
おしまい
119 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時04分40秒
幼少の頃の話に続く。

…た、多分。
120 名前:アミバス 投稿日:2003年02月22日(土)02時06分22秒
まぁ、今回は自己満足と次につなげるための話だったわけですが。
というわけで、次は幼少の頃(?)のごまたかの話を。
また話ができるまでぽっかり間が空くかもしれませんが…。

よかったらどんな感じの話がいいかリクエストあると助かります。
出来る限りの力で書かせてもらいますので、是非きかせて下さい。
121 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月25日(火)21時26分21秒
待ってました!
幼少の頃の話、楽しみです
122 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月17日(木)13時16分33秒
感動しました...幼少の頃の話楽しみにしてます
123 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月20日(日)23時55分18秒
うううぅ 泣きそう
お待ちしております・・・
124 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月21日(月)17時24分23秒
某局のドラマ班のものですがこの作品はいままで色々読んできた物語のうちで
1.2を争うぐらい感動しました
一生に一度くらいはこんなドラマとりたいですね。
少し登場人物とか修正してなんかに投稿してみてはどうですか?
125 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月10日(土)00時09分25秒
待ってます。
126 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月20日(日)21時36分17秒
hozen
127 名前:  投稿日:2003年08月11日(月)03時33分06秒
保全っつーか早く書け
書く気なくなったんならやっぱりやめときますとかあるやろ
なんとかしろ
面白い思うから毎日更新チェックしてる方の身にもなってくれ
128 名前:アミバス 投稿日:2003年08月20日(水)01時52分16秒
すみません。書く気がないわけではありません。
もう少し時間をください。必ず完結させますので…。
129 名前:アミバス 投稿日:2003年08月21日(木)00時45分58秒
ぼちぼちですが、再開させていただきます。
今まで保全してくださった皆さん、ありがとうございました。


タイトルは「3-2-1」です。
130 名前:アミバス 投稿日:2003年08月21日(木)00時46分36秒
今も変わらず真希ちゃんが大好きです…。
131 名前:1 「three」 投稿日:2003年08月21日(木)00時49分56秒
From: "Hitomi Yoshizawa" <hitomi@bagel_harue.cafe.jp>
To: "Ai Takahashi" <aicha@miteru.or.jp>

- - -

愛ちゃんへ

元気ですか?よしこでっす。(^〜^)

メールいつもありがとね!
マネージャーさんの話は笑わせてもらったよ!
マネージャーさんには悪いけどなかなかいないよね、そういう人。
また面白い話あったらきかせてね。他の人ことでもいいから。
もー最近忙しくて凹んでるから、メールは元気がでるのだよ。

実はねー、バイトの新垣ちゃんが盲腸で入院してしまったのだ。
おっちょこちょいなときもあるけど、店長より働き者なので
いないととっても困るんだよ〜。
早く帰ってきてほしいなぁ、と祈りながら仕事してます(笑)。

そろそろレコーディング前のオフかなー?
それとも忙しいのかな?
またよかったら春江においでね。

ではまた!おやすみなさーい。



* * * * * * * * * * * * * * *
Hitomi Yoshizawa
hitomi@bagel_harue.cafe.jp

cafe "bagel"
1-2-3 Ichiino Harue-city
Fukui,Japan 987-6543
0776-51-xxxx
* * * * * * * * * * * * * * *
132 名前:1 「three」 投稿日:2003年08月21日(木)00時51分21秒

From: "Ai Takahashi" <aicha@miteru.or.jp>
To: "Hitomi Yoshizawa" <hitomi@bagel_harue.cafe.jp>

- - -

☆★☆DEAR:吉澤姉さん☆★☆

コンバンハ、お店いつもお疲れ様です( '∀' )/
新垣さんがお休みだと忙しいですね〜〜〜!!
でも最近は手術しなくてもいいらしいから
きっと早く戻ってきてくれますョ!
もしお見舞いに行くんだったら、
高橋がよろしく言っていたと伝えてくださいませ。

盲腸といえば、私の初恋??の淡い記憶がよみがえりますよ!
ここだけの話、真希ちゃんじゃなかったりして!(内緒☆)
まぁ、今となっては本当におぼろげな記憶なんですけどねー。

明日はスタジオにこもるのでもう寝まーす!
(ついでにマネージャーさん観察もしてきます。)
オヤスミナサイ☆

P.S.
来月長いオフがとれそうなのでふらっと寄るかもしれません。
吉澤さんが暇なのはいつ頃かなー?狙って行けるといいなぁ。
新メニューチェックしに行きますよ〜!!

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
┃ ☆ たかはし あい ☆ ┃
┃メィル→aicha@miteru.or.jp┃
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛
133 名前:アミバス 投稿日:2003年08月21日(木)00時53分40秒

From: "Hitomi Yoshizawa" <hitomi@bagel_harue.cafe.jp>
To: "Ai Takahashi" <aicha@miteru.or.jp>

- - -

愛ちゃんへ

元気ですか?よしこでっす。(^〜^)

またまたメールありがとね!
初恋の記憶?真希じゃないっていうとかなり昔?
相手はどんな子だったのかなー?
でも盲腸と初恋がいまいち結びつかないよ(笑)!
よかったら暇なときに話教えてー。

んー、よく考えたら私の初恋も病院だなー。
しかも良く知らない女の子相手にだよ!
よっぽどかわいかったんだろう。きっと。

こんな話はいいんだって(笑)。
こっちこれそうだったらぜひ連絡ちょうだいね。
新メニューはデザート!…まだ未完成なんだけど。
くるときにはたっぷり作って待ってるからねー。

ではまた!おやすみなさーい。



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Hitomi Yoshizawa
hitomi@bagel_harue.cafe.jp

cafe "bagel"
1-2-3 Ichiino Harue-city
Fukui,Japan 987-6543
0776-51-xxxx
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134 名前:1 「three」 投稿日:2003年08月21日(木)01時10分12秒
「…ハイ、オッケー!これでいきましょう。」
窓越しのスタッフが、安堵の表情を浮かべている。
スタジオにこもりきりだといまいち時間の感覚がないんだけど、
時計を見ればほっとするのも当然、もう夜が明ける時間だった。

…っはー。長かったなー。でもいい歌が録れて私も満足。
「お疲れ様でした!ありがとうございました!」
135 名前:アミバス 投稿日:2003年08月21日(木)01時10分45秒
ブースを出たらマネージャーの保田さんがすっと横にきた。
「タカハシ、お疲れ様。いい歌だったよ。最後の最後に出たね。」
「ホント…時間かかっちゃいましたね、すいません。」
「いや、こんだけいい歌を歌ってくれるとマネージャー冥利に尽きるわよ。」

この人がいうことにはうそがないから私もちゃんと話ができる。
マネージャーって本当に大変だと思うけど、頑張ってくれている。
たまに変なことやって笑わせてくれるんだけどね。
今日は吉澤さんに報告できるようなネタはなかったなー。
136 名前:1 「three」 投稿日:2003年08月21日(木)01時11分40秒
「んでね、タカハシ。頑張ったからご褒美を上げましょう。」
「え?なになに?なんですか?焼肉?お寿司???」
「あははは、違うわよ!もっといいこと。」

というわけで、有能なマネージャーさんはスケジュールをやりくりして
10日ものオフをつくってプレゼントしてくれたのであった!
ただし、帰ってきたら雑誌の取材が山ほどあるらしいんだけど。

…真希ちゃん、もちろん帰りますよ。
137 名前:アミバス 投稿日:2003年08月21日(木)01時15分29秒
なんかタイトルと名前が交互になっちゃって
わかりづらいかもしれませんがここまで全部1です。
ということで今日の更新もきりのいいところで。
138 名前:127 投稿日:2003年08月21日(木)16時49分36秒
再開キターー(・∀・)ーー!!
この前偉そうなこと言ってスイマセン
更新期待してます、がんばってください
139 名前:アミバス 投稿日:2003年08月25日(月)23時51分51秒
>138=127
いいえ、あなたが叱ってくださったのでしっかりせねばと思いました。
今回の話が気に入っていただけるかわかりませんが、
よろしかったら最後まで読んでやってください。

というわけで、少しですが更新します。
140 名前:2 「two」 投稿日:2003年08月25日(月)23時53分21秒
今よりずっと昔、まだ本当に子供だった頃は
好きっていうことがどういうことかなんて全然解らなくて。
それでも、私は解らないなりに望んで
真希ちゃんの後ろをちょこまかと歩き回っていた。
141 名前:2 「two」 投稿日:2003年08月25日(月)23時53分51秒
家に着くまで、車の窓越しに空を見ながらずっと考えてた。

本当に真希ちゃんを好きだって認識したのはいつ頃だったっけ…。
初恋にはすぐ気づいたのに、何で気づかなかったんだろう?
物心ついたときにはすでに側にいてくれてたからなのかな。
142 名前:2 「two」 投稿日:2003年08月25日(月)23時54分32秒
「タカハシ?着いたわよっ。」
保田さんに言われるまで、空が止まって見えてるのも気づかなかった。
「さすがに疲れたわよね。まぁ実家にでも行ってのんびりしてきなさい。」
「あー、まぁ…。そうします。…すぐ帰ろうかなー。確か朝一の飛行機…」
「ってかあんたレコーディングでやせたからちょっと太ってきなさいね。」

…雑誌の取材にはひびかない程度に食べてきます。
143 名前:2 「two」 投稿日:2003年08月25日(月)23時55分04秒
「じゃあ、お疲れ様でしたー。」
「あ、タカハシ、ちょい待ち。……これ、借りてた本。ありがと。」

???…あ〜あ〜あ〜、そうでした。確かに貸しました。
「あんた意外にまめなんだねー。あれ手作りでしょ。」
「ん?なんかありましたっけ?」
「なに?自分で忘れるもん?家で見なさい。じゃ、またね。」
「え?あ?あ?……?」

お疲れ様でしたを言う間に保田さんの車はもう見えなくなっていた。
そうだった、保田さんは帰るときは誰よりも素早いんだった…。
144 名前:2 「two」 投稿日:2003年08月25日(月)23時56分06秒
ポストには必要のないDMがいくつか届いていた。
それをとりあえず手にとって、自分の部屋を目指す…
つもりが、待ちきれなくてエントランスで本を開いた。
…ハードカバーに手作りも何もないだろうになー。
パラ、パラ、パラ、バラバラバラバラ…。
「あ……」
手が滑って一緒に持っていたDMを落としてしまった。
拾い上げようとかがんだ時に、また何か落とした。


しおりだ。これ?でも私そんなもの作った記憶ないし…。


裏返したら、四葉のクローバーがはってあった。
145 名前:2 「two」 投稿日:2003年08月26日(火)00時00分57秒
部屋に戻ると留守電のランプがちかちかと呼んでいた。
「ピー、イッケンデス、シバラクオマチクダサイ。」

「イッケンメ、ゴゼンヨジジヨンジュウニフンデス。」
 …あのー、もしもしー。よしこで…あ、吉澤です。
  朝早くにごめんなさい、あのー、あのー、たった今新メニューできました。
  愛ちゃんのメール読んでてぴんときたんで、ぜひ試食してほしいです。
  あのー、で、お話もしたいし、帰れそうならまた電話ください。

…吉澤さんだ。しかもついさっきにかかってきてる。
ってことは…まだお店のほうにいるよね…。

迷うことなく、短縮ダイヤルのボタンを、押した。
146 名前:アミバス 投稿日:2003年08月26日(火)00時02分37秒
えっと、まだ2は終わらないのですが、とりあえず今日はここまで。
幼少の頃の話にはまだいきません、ごめんなさい。

…読者さん少ないのにageでいいんでしょうか?
147 名前:一読者 投稿日:2003年08月26日(火)00時43分21秒
>>…読者さん少ないのに

断じてそんなことはないと思います。
148 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月26日(火)16時48分09秒
『ごまたか』大好きなんです!
次の更新も楽しみにしています!
149 名前:ななし 投稿日:2003年08月28日(木)16時22分36秒
舞台全体を優しい空気で包んでいるような感じの描写が気に入ってます〜。
150 名前:アミバス 投稿日:2003年08月28日(木)21時46分46秒
書きこみありがとうございます。
ちょっと仕事が忙しい上に体調を崩したので少しだけ休みます。
来月半ばまでには(できればもっと早く)復活します。
151 名前:2 「two」 投稿日:2003/09/21(日) 04:32
プルルルル、プルルルル、プル…ガチャ

『…ハイ、喫茶店ベーグル、店長吉澤です。』
「あ、吉澤さん、あのー…。」
『あー!やっぱり、こんな時間だからそうだと思ったんだー!!』
「え?」
『愛ちゃん、元気ー?今仕事終わったのー?』
「はい!レコーディング終わったんです。ついさっき。」
『そっかー大変だねー。ホントにお疲れ様!聴くの楽しみだなー。』

いや、吉澤さんのほうが大変だったんじゃ…。
…お疲れ様です。
152 名前:2 「two」 投稿日:2003/09/21(日) 04:33
『さっきさ、留守電にも入れたんやけど…完成したよ!』
「おめでとうございます!!すんごく気になります!」
『愛ちゃんに食べてもらいたいよ〜。アイデアの主だしな〜。』
「食べたいですよ〜そこまで言われると〜。というわけで…」
『ん?』
「明日にでも行きます!」
「へ?そりゃまた…、ちょうどいいね!明日はうち休みなんだよ!』

…へ?休みですか…。休みだったらしょうがないな…って。え?え?
153 名前:2 「two」 投稿日:2003/09/21(日) 04:33
「行っていいんですか?休みなのに?」
『もともと新メニュー仕上げのために前から休みにしてあったけどできちゃったし。』
「は〜。じゃあ…貸しきりですかねー。楽しみです。」
『こっちこそ楽しみで…待ってるから気をつけてきてね。』
「ハイ、ありがとうございます。また連絡しますね。」
『うん、わかったー。じゃあ、今日はゆっくりしてね。』
「吉澤さん、今日お店ですよね?頑張ってくださいね。」
『サンキュー。では、そういうことで、またね!』
「はーい、オヤスミナサイ。」
『お休みー。またねー。』

デザート、可能なら一つ真希ちゃんに持っていこうかな。
というか、真希ちゃん、ちゃんと会いに行くからね…。
154 名前:2 「two」 投稿日:2003/09/21(日) 04:35
(その数時間後、春江町のとある喫茶店での店長と店員の会話)

「に・い・が・き・ちゃ〜ん!」
「なんですかー、店長。その猫なで声は…。」
「明日休みだけどさー、どうせ予定なんかないよねー?」
「!ひ、ひどい!!ば、馬鹿にしないでくださいよ!」
「お?じゃああるんだ?それはすいませんでしたねー。」
「…いや、明日はたまたまあいているだけで…いつもは…モゴモゴ」
155 名前:2 「two」 投稿日:2003/09/21(日) 04:36
「ないんならさー、明日仕事してー。店来てー。」
「ハ?明日休みじゃないんですか?何させる気ですか!!!」
「いいからいいから。実は休みじゃなくて貸しきりで客が来るだけ。」
「あれ?新メニュー考えるだけじゃなかったんですか?」
「や、それはもうできた。私の目の下のクマはそのせいなんだよ。」
「へー。そんなら前から言っといてくださいよー。もぅ。」
「てなわけでよろしくねー。」
「あっ、ちゃんと休日手当てつけてくださいね!」
「だめー。つーかこっちがお礼のお金もらいたい位だってば。」
「はぁ〜???店長!なに言ってるんですか!!」
156 名前:アミバス 投稿日:2003/09/21(日) 04:41
遅くなってしまいましたがちょこっと更新。
これで2は終わりです。
3でようやく話の核心部分に入るかと思います。

なんか相変わらず多忙かつ体調不良でぼちぼちになりますが
できるだけ早めを心がけますの見捨てないでください。
感想があると頑張って早く更新すると思います(笑)。

最後に、愛ちゃん誕生日おめでとうでしたー。
157 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/21(日) 21:35
今日始めてみました!
福井弁のごっちんもいいなぁ☆
ごまたかだいっすきですvvv
続き期待してます!
158 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/14(金) 11:10
ほぜん

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