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turning point

1 名前:たむ 投稿日:2002年09月14日(土)00時25分01秒
HappyTimeの後に書いてる話の続きです。
2 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時30分43秒
レコーディングスタジオに入ると、つんくさんがいた。
これまた久しぶりですね・・・。


そしてレコーディングが始まり、メンバーが個別にブースに入っていく。
ウチら新メンバーは後回しらしい。

今回はウェディングソングらしく、めっちゃ明るい感じの曲や。
まさに今のモーニングには必要な明るさを基調としている。

さすが、つんくさんやな〜色々と考えてはるわ。


とりあえずブースで録りをしているメンバーを見学する。

つんくさんと一対一かぁ・・他の新メンは緊張するやろな〜。
3 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時35分11秒
そんな風に何気なく思っていたことが現実となり
ウチ以外のメンバーはガチガチに緊張してリズムも上手く取れず
新メンバーのパートの録りは予想以上に時間がかかった。

そして、なぜかウチも一緒につんくさんから説教を受ける羽目に。

とはいえ、そのお陰でその後のレコーディングは順調に進み
予定時間を遙かにオーバーしながらも無事に終了した。


ええな〜この歌。
ウチが結婚するときメンバーに歌って欲しかったわ〜。

「なにボーっとしてんの?」

思わず感傷に浸っていたウチの傍に、いつの間にか矢口がいた。
4 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時38分54秒
「あ、矢口!・・・さん」

おっと〜、いつもの癖で呼び捨てにするところやったで。
ホンマやばいわ、そうそうボーっとしてられへんな〜まったく。


「どうだった?初めてのレコーディングは」

矢口が笑いながら聞いてくる。

「スゴイ緊張しました〜でも楽しかったです」
久しぶりやったからね〜。

笑顔で答えるウチに矢口も笑顔で頷く。
5 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時42分48秒
「やっぱ、よっすぃ〜は何か違うよね」

「え?何がですか?」

「だってさ〜、他の新メンバーは緊張しすぎてリズムも取れなくなったのに
 よっすぃ〜は妙に落ち着いてて、しかも楽しかったなんて」

「いや・・あまり物事を深く考えないタイプなんで
 怒られても反省してないように見えるんですよ
 何気に損な性格なんです・・・」

「自分でそれだけ分かってれば大丈夫じゃん
 つんくさんもよっすぃ〜のこと誉めてたよ!
 勘が良くて堂々としてるって」
6 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時47分02秒
さすがつんくさんや・・
だてにモーニングのプロデューサーやってるわけちゃうよな〜。

ま、勘がええのは昔取った杵柄ってとこやな。
しかし堂々としてるっちゅ〜のは誉め言葉なんやろか・・?
遠回しに態度がデカイとか思ってんのと違うやろうな・・。


色々な思いを巡らせて、またもボーっとしていたウチの耳を
矢口の大きな声が貫く。

「お〜い!よっすぃ〜!!交信中かぁー??」

「へ?あ・・すいません」
7 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時50分13秒
「落ち着いてると思ったらコレだよ・・
 やっぱ矢口がちゃんと教育しないとダメだね〜」

なんや矢口、偉そうやな。

そんな矢口も好きやけど。


「はい!どっかに行かないように手綱をしっかり引いといてください」

「よっすぃ〜言うことが年寄りくさいよ・・・」

しゃ〜ないやんけ・・中身は年寄りやねんから・・・。
って、うっさいわ!
8 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時54分42秒
「いやだな〜、まだピチピチの15歳ですよ!」
あ〜なんか、ええ響きやな〜これ。

「ピチピチって・・・久しぶりに聞いたよ
 よっすぃ〜やっぱ年寄りくさいって」

矢口が笑いながら背中をバシバシ叩く。

痛いて、矢口・・・でも少しずつ元気になってきてるみたいやな。
矢口が笑ってくれるなら、どんなことでもするから・・・。

いつでも笑っててな・・矢口。
9 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時55分36秒
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10 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)00時58分29秒
今日から新曲のダンスレッスンが始まる。

いつものように今日のスケジュールを確認した後
メンバーそれぞれがダンススタジオに向かう。


「新曲のダンス、どんな感じなんですかね〜?」

隣を歩いている矢口に聞いてみる。

毎回レベルが高くなってるんよな〜夏先生の要求も・・・。
11 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時00分50秒
「人数増えたからパート割りも大変そうだけど
 ま、よっすぃ〜なら大丈夫でしょ?」

そう言って矢口がウチの背中をバシッと叩いた。

ウチの背中は叩きやすいんか?
そんな疑問を持ちながら笑顔で答える。

「はい、頑張ります!」


そしてスタジオに入り、ダンスレッスンが始まった。
12 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時04分43秒
久しぶりにあった夏先生は相変わらずで
新メンバーにも容赦ない指導をしてくれる。

とはいえ、さすがにウチらは入ったばかりなので
それほど大変なダンスを要求されることはなかった。


矢口は前回に続きイイ感じのパートをもらってるみたいや。

でも今回一番おいしいのは圭織やよな〜。

あの台詞・・ええなぁ・・・。
ウチが生きとったらウチのパートになってたんやろか?
13 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時08分48秒
ま、そんなことを考えてもしゃ〜ないので
今はウチに与えられたパートを一生懸命やるだけや。


そんなことを思っているうちに、メンバー全員での通しも終わり
あとは個別に自主練習をするだけとなった。

新しい振りなだけに教育係もあったもんやないようで
新メンバー4人は固まって練習することにした。

幸い4人とも殆ど同じ動きになっているので練習しやすい。
14 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時12分32秒
「今回のダンスだってこんなに大変なのに・・
 今までの歌の振りなんて考えただけでもブルーになっちゃう」

練習の最中に突然、ネガティブ石川がポツリと呟いた。

「そういえばライブが再開されるって言ってたっけ?」

ウチのお陰でライブも延期になってたけど
そろそろ始まるからとマネージャーにも言われたな〜。


「無理れすよ、この踊りだって覚えられないんれすから・・・」

辻が自信なさげに言う。
15 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時16分38秒
「今までの曲を全部やらなアカンの?無理やで絶対」

加護が自信を持って言い切る。


なに甘えたこと抜かしとんねん、このガキどもは・・・
やる前から諦めて、ようモーニング娘。なんて言えるよな。

って、また中澤裕子になってるやんウチ・・・。


「そんな、やる前から出来ないって決めつけてどうすんの?
 ライブだっていつから始まるかまだ決まってないんだし
 それまでに練習して覚えればいいじゃん」
16 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時22分36秒
「「「だって〜・・・」」」


「だって〜じゃないよ、それが出来なかったらアタシたち
 何のためにモーニング娘。に選ばれたのか分かんないじゃん
 アタシ今までの曲とか大体できるからさ、この振りを覚えたら
 そっちを練習しようよ」

「ひとみちゃん、今までの曲の振りもできるの?」

石川が目をキラキラさせながら聞いてきた。

「え?うん・・モー娘。好きだったし、ビデオとか見て覚えたんだ」
なんで目ぇキラキラさせとんねん、この娘・・。
17 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時25分51秒
「すごいな〜、なぁ何か踊って見せて〜な」

加護が期待のこもった笑顔で言う。

「辻も見たいれす」

辻も加護の言葉に頷いている。


そんなん言われても今は無理やで。
そう思って苦笑いを浮かべていると・・・。

「アタシも見たいな〜」

突然3人とは違う声が聞こえてきた。
18 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時29分38秒
「や、保田さん・・・」

なんや圭坊、どっから湧いて出てきたん?


「吉澤は今までの曲の振り全部できるの?」

圭坊が笑顔のまま聞いてくる。

「え、はい・・とりあえず」

「じゃあさ、抱いてHOLD ON ME踊って見せてよ」

圭坊、どういうつもりや?いじめちゃうよな??
19 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時33分17秒
「大丈夫、夏先生は帰っちゃったしアタシたちしかいないから」

「え、でも・・・」

やってもええんやけど、圭坊の意図が分からん・・。
思わず矢口の方を見る。


「ちょっと圭ちゃん、なに言ってんの?
 よっすぃ〜たち初めての振りで大変なのに出来るわけないじゃん」

さすが矢口!優しいな〜。
それに比べて圭坊は何やねん、なんかウチに恨みでもあるんかいな。
20 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時37分28秒
「だって、アタシたちが見て吉澤の踊りが完璧って事になれば
 新メンバーたちにも教えてもらうことが出来るでしょ?
 それに新メンバーだって分からないトコとか遠慮なく聞けて
 早く覚えられるじゃない?」

そういうことかい・・・あ〜ビックリした。
なら別に断る必要ないわ。踊ろやないか。


「分かりました、抱いてHOLD ON MEで良いんですね?」

「よっすぃ〜いいんだよ別に踊らなくても」

矢口が心配そうな顔をして言う。
21 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時41分35秒
「大丈夫ですよ、保田さんの言う通りアタシがちゃんと踊れたら
 梨華ちゃんたちにも教えることが出来るし一石二鳥ですもんね」

矢口に心配かけないように笑いかけた。


「じゃあ・・矢口も踊る」

「へ?いや・・いいですよ矢口さん」

「だって矢口はよっすぃ〜の教育係だもん
 それに入ったばっかなのに一人でメンバーの前で踊るなんて
 矢口でもイヤだし」


矢口・・・あんたホンマにええ子やな〜。
22 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時46分32秒
「はい、じゃあよろしくお願いします」

「あ〜でも抱いてHOLD ON MEの振りだったら
 矢口が一緒に踊ったんじゃ意味ないか・・?」

矢口が思いだしたように呟いた。


そう言われたらそうやなぁ・・大体みんな同じ振りやし
鏡の前で踊るとなると、ウチが覚えてるかどうかは
判断しにくい部分もあるかもな・・・。


「ん〜じゃあLOVEマシーンは?
 あれなら各パートで踊りが違うから、ちょうど良いんじゃない?」

圭坊、ホンマにいじめちゃうよな・・・?
23 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時51分00秒
「でもラブマは個別のパートがハッキリしすぎて
 全部のパートを踊るのは、いくらなんでも無理っしょ?」

今まで話を聞いていただけだった圭織が入ってきた。

「よっすぃ〜は誰かのパートを覚えてるの?
 それとも全員のパート?」

矢口がまた心配そうな顔をして聞いてくる。


いくらウチでも全員のパートは何となくしか覚えてへん・・・
でも今ウチの名前(中澤の方や)出したらヤバイんちゃうかな〜。

とはいえココで答えんかったら雰囲気悪なるやろし・・・。
雰囲気悪なるのはどっちも同じか・・しゃ〜ないわ・・・。
24 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時53分51秒
「え〜と・・中澤さんのパートを覚えてました」

・・・・・。

ほれみぃ・・空気が凍り付いたやないか・・・。


誰も次の言葉を口にしようとしない。

やっぱ、まだみんな吹っ切れてないんか・・・。
たかが一ヶ月やもんな〜。


「よし・・じゃあやってみようか?」

しかし、そんな空気を破ったのは意外にも矢口だった。
25 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)01時56分31秒
「矢口さん・・・」

「裕ちゃんのパート、今は圭織が引き継いでやってるから
 圭織に見てもらえば良いし、せっかくだからやってみようよ」


ね!って笑った矢口の顔は少しだけ泣きそうになっていた。

ごめんな・・・矢口。

「はい、よろしくお願いします」


そしてウチと矢口、二人だけのラブマシーンが始まった。
26 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時00分37秒
それにしても、やっぱラブマのダンスは楽しいわ〜。

しかも身体が若くなったせいかキレも違うしな。

そんなことを思いながら矢口の方を見ると
何だかビックリした顔をして踊っている。


お!次はソロのパートや。
めいっぱい色っぽくやったんで〜!

あら?なんやせっかくメッチャ色っぽくやったのに
他のメンバー固まってないか?
27 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時04分53秒
ちゃんと見てんのかいな、ウチのこの華麗なダンスを!!

なんて考えていると、いつの間にか固まっていたメンバーが
次々と自分のパートを踊り出し、気が付けばウチがいた頃のモーニング娘。が
本番さながらにラブマシーンを踊っていた。


新メンバーの三人がそれを驚きながらも嬉しそうに見ている。

あ〜やっぱメンバー全員で踊るラブマは最高や!

おっと、中間のコーラスの部分や。
ココは紗耶香と背中合わせで何気に気に入ってるトコなんよね。
28 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時08分30秒
懐かしいな〜たいして期間が空いてたわけやないのに・・・。

鏡さえなければウチは中澤裕子のままなんやで。

なのに誰にも言われへんなんて・・・。
自分が望んだこととはいえ辛いわ〜。

色々と考えていても身体はちゃんと覚えているわけで
ダンスは完璧な状態で踊り終えることが出来た。


そして最後のポーズを決めたあとメンバーを見ると
なぜかみんな泣いていた。
29 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時11分28秒
え・・?どないしたんや?

「ど、どうしたんですか?」

状況を把握できずにオロオロする。


「なんでもない、大丈夫だよ」

矢口が涙を拭きながらウチに言う。

「全然大丈夫じゃないじゃないですか、みなさん泣いてるのに」

なんなんや、なんかマズイことしたんかウチ?

「ホントに大丈夫、多分みんな同じ気持ちだったんだ」

矢口がウチの肩に手をやりメンバーの方を見る。
30 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時15分27秒
「そうだよ、ホントに何でもないから」

って、何でもない顔ちゃうやん圭坊・・・。

「なんかね・・裕ちゃんと踊ってるような錯覚に陥ってたんだ」

なっちが泣き笑いの顔でウチに言うてくれた。


「うん、最初は良く覚えてるな〜って見てたんだけど
 一緒に踊ったらホントに裕ちゃんと踊ってるみたいで・・・
 覚えたって言うより裕ちゃんそのものって感じだった」

圭織、痛いトコ突かんといて・・・。
31 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時19分43秒
「でもこれで吉澤が今までの振りも出来るって事が分かったね
 ラブマをあれだけ完璧にマスターしてるなら
 他の曲も問題ないんじゃない?」

さすが紗耶香、おっとこまえやな!よう分かってるやないかい。

「さっきのいち〜ちゃんとのコーラスなんか
 スゴい自然な感じだったよね〜」

ごっつぁん、話を蒸し返さんといて・・・。

「うん、あれには市井もビックリしたよ
 背中合わせになったとき、ホントに裕ちゃん?って思ったくらい」

だって裕ちゃんなんやも〜ん。
32 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時24分02秒
「でもさ、裕ちゃんよりはダンスにキレがあったよね!
 やっぱ若さかな〜?」

泣きやんだ矢口が楽しそうに言う。

うっさいわ〜・・確かに身体はバリバリ動いたけどな。


「よし、じゃあもう一回だけ新しい振りを全員でやって
 今日は終わりにしよう!」

圭織がリーダーらしく締めに入る。

さすがリーダーや、頼もしくなったな・・圭織。


それから全員でハピサマを踊り、その日のレッスンは終了した。
33 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時28分05秒
そしてメンバーそれぞれが楽屋に戻っていく。


なんとなく懐かしくて・・誰もいなくなったスタジオの壁に凭れて座り込む。

思わずラブマを踊ってしもうたけど、あれで良かったんかな・・・。

ラブマを踊り終わった後のメンバーの涙を思い出す。
ウチはこのままモーニングにいてもええんやろうか・・・。


そんな風に考えていたら、不意に扉の開く音が聞こえたので
顔を上げ鏡越しに見るとごっつぁんが立っていた。


「後藤さん・・・」
34 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時30分46秒
「お疲れさま」

ごっつぁんがいつもの眠そうな感じではなく
どこか真面目な表情で言う。

「あ、お疲れさまです・・・忘れ物ですか?」

ごっつぁんに限って居残り練習はないやろ・・。


「うぅん、よっすぃ〜に話があってね」

「へ?アタシにですか?」

なんやろ?やっぱさっきのラブマがマズかったんかな・・・。
35 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時33分41秒
「うん、よっすぃ〜ってさ・・・
 やぐっつぁんのファンって言ってたよね?」

「え?はい・・そうですけど」

なんやの、いきなり・・・。


「じゃあ、どうして裕ちゃんの振りを覚えてたの?」

何が言いたいんや?意味が分からんで・・。

「どうしてって・・・」

ごっつぁんの言いたいことが理解できず言葉が続かない。
36 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時36分37秒
「普通さ〜やぐっつぁんのファンだったら
 やぐっつぁんの振りを覚えようとするんじゃない?」

ごっつぁんが当たり前のことのようにサラっと言った。


あ・・・そうか。

そうやな・・普通は好きな人ばかりを見てるから
覚えようと思わなくても無意識に覚えてしまったりするもんやな。

相変わらず鋭いな〜ごっつぁん。
矢口より、ごっつぁんにバレんようにせんと・・・。
37 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時41分02秒
「確かに矢口さんのファンですけど・・・中澤さんって歌の中でも
 矢口さんと楽しそうに踊ってたじゃないですか
 で、アタシはモー娘。に入って矢口さんと絡みながら歌うのが
 夢だったんで中澤さんのパートを覚えたんです」

ホンマにウチって言い訳上手やんな〜。

でも、ごっつぁん何か納得してへんみたいやね・・・。


「ふ〜ん・・まぁいいや
 そういうことにしといてあげる・・・
 ただ、ごとーって霊感強いんだよね〜」


何やのいきなり・・・今の会話に関係あるんか?
38 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時44分58秒
「霊感って・・・?じゃあ幽霊見ちゃったりするんですか?」

そういえばごっつぁん、ツアー先のホテルでも部屋に入った途端
マネージャー呼んで部屋を替えてもらったりすることあったっけ。


「うん、よく見るよ〜このフロアにも沢山いるしね〜」

うっそ〜やめて〜な、めちゃめちゃ怖いやんか〜。

「はぁ・・そうですか・・・」

怖いわ〜もう楽屋に帰りたい〜。
でも、ごっつぁんは話あるいうてたし・・・。


「後藤さんは、どんな霊でも見えるんですか?」
39 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時49分11秒
「う〜ん・・全部が全部見える訳じゃないけど
 地縛霊みたいにその場所に絶対いる人とか死んじゃった人が
 空に上っていくのとかはよく見るよ」

「へ〜」

凄いな、ごっつぁん・・やっぱ大物やでアンタ・・・。


「でもね、なぜか裕ちゃんは見えなかったんだ・・・」

は?そらそうやろ、ここにおるんやから。

「裕ちゃんの心臓が止まったときも、お葬式の時も見えなかったの
 スタジオとか楽屋とかでも捜してるんだけど
 裕ちゃん、どこにもいないんだよね・・・」
40 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時52分34秒
何気に侮れんな、この子は・・・。


「裕ちゃんならメンバーの所に、特にやぐっつぁんの所には
 必ず行くと思ってたんだけど・・・
 でも、実はもう来てるのかもしれない」

「え?中澤さんいるんですか?」

わざとらしくないように驚いてみせる。


「いや、いないけど何か近くにいるような気がするんだよね」
41 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時55分39秒
なんか・・気づかれてる・・・?
ごっつぁんは、この事が言いたくてココに来たんやろうか?


「だったら心強いですよね!見守っててくれてるって事でしょ?」

ウチ笑顔ひきつってないかな〜。
もう胃がおかしくなりそうや・・・。


「そうだね・・でもいま話したこと、やぐっつぁんには言わないでね
 自分の所にも来てくれないって泣いてたから」

ごっつぁんは何を考えてるのかイマイチ読みとれない表情でそう言ってきた。
42 名前:turning point 投稿日:2002年09月14日(土)02時58分25秒
「はい、分かりました」

「じゃあ、ごとーは帰るけど・・・」

「あ、アタシも帰ります」

はぁ〜、せっかく若い身体になったのに
何か胃に穴が空きそうや・・・。


そんなこんなで、ごっつぁんの鋭いツッコミを回避(?)しながら
その日の仕事は終了した。
43 名前:たむ 投稿日:2002年09月14日(土)03時00分42秒
てなわけで、新スレ立てちゃった記念ということで

一気に更新しました。
44 名前:たむ 投稿日:2002年09月14日(土)03時02分56秒
また感想など頂けたら嬉しゅうございます。

全然やぐちゅーにならないし(w
45 名前:たむ 投稿日:2002年09月14日(土)03時05分38秒
それでは、またの更新まで。
46 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月14日(土)16時33分47秒
新スレおめでとうございます。

ラブマのシーン泣けた。
47 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月14日(土)17時45分29秒
新スレおめでとうございます。
鋭くて霊感が強いごっちんは、ある意味、裕ちゃんの天敵!?
48 名前:やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者 投稿日:2002年09月15日(日)00時46分41秒
新スレバンザイ☆
これがホントのよしやぐちゅ〜!?

インターミッションですか?
簡単に言うと、戦闘機飛ばしていないときの裕ちゃん達のお話です。
矢口とイチャついていたり、みっちゃん・ミキティ達と飲んでいたりする場面ですよ。
その後、ミッション、もしくはプライベート・ミッションに入るんですよ。

今までに、みっちゅ〜、ミキアヤ、ケイゴマがプライベートで、
ユウタカがチョビチョビっとあって、やぐちゅ〜は、至る所に(w
49 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月15日(日)17時57分58秒
ごっちん・・・鋭い質問攻撃で、裕ちゃんがタジタジですね。
よっすぃーの中に、裕ちゃんがいることバレちゃいけないけれど、
ごっちんか圭ちゃんには、いつかバレそう。
っていうか、皆に愛されている裕ちゃんだったから、いつかは・・・
もしそうなってしまったら、どうなるんでしょう?
あっちゃんがやってきて、ヤグチから、なっちから、圭ちゃんから、
再び裕ちゃんを取り上げてしまうのでしょうか?
あー、気になる。
サクサク更新してくれる「たむさん」、これからも楽しませてくださいね。
毎日が非常に楽しみです。

50 名前:たむ 投稿日:2002年09月17日(火)01時08分12秒
≫46・名無し読者さま
新スレ一番乗りのレスありがとうございます。
そして嬉しい一言・・・作者を“のせる”の上手すぎです(w
また、忘れた頃によろしくお願いします(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
新スレになってもレスくださって、ホントにありがとうございます。
ごっちんも要注意ですが、真の天敵は圭ちゃんかと・・(w

≫やぐちゅ〜みっちゅ〜狂患者さま
丁寧な解説(レス)ありがとうございます。
ってことは、今まで自分がニヤニヤしてた場面は
殆どインターミッション中だったと?(w

≫49・名無し読者さま
レスありがとうございます。
前作でも嬉しい賛辞を頂いてたので嬉しい限りです。
楽しみにして頂けると思うとかなり張り切っちゃいます(w
とりあえず、あっちゃんは外には出られないのでご安心を(w
51 名前:たむ 投稿日:2002年09月17日(火)01時16分02秒
≫441・442(前スレ)名無し読者さま
こちらにレスくださった方かも知れないですけど
作者が更新したくなるようなレスをありがとうございました(w
お暇なときにでも、またレスくださいね〜。


それでは、本日も更新いってみましょか〜。
52 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時22分19秒
モーニング娘。の吉澤ひとみとして、今日は初めての生放送。

相変わらず生で歌うのは緊張するな〜。
とはいえ、他の三人よりはマシなわけで・・・。


リハーサルも終了し、あとは本番を待つばかりとなった頃
スタジオ入り口の廊下で新メンバー4人が集まっていた。


「どうしよう、ひとみちゃん・・私、怖い・・・」

ウチの腕にしがみつき震えながら石川が言う。


「大丈夫だよ梨華ちゃん、みんないるんだから怖い事なんてないよ」

そう言いつつ隣を見ると、ちびっ子2人も緊張してるのか
2人ならんでこっちを見たまま固まってる。
53 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時27分21秒
なんかカワイイな〜、初々しいっていうか・・・。
こういう子たち見ると血が騒ぐんよね・・・。

「心配ないって!大丈夫だよ」

そう言って、素早く石川のホッペにキスをした。

「!?」

石川がビックリしてウチを見る。

「どう?緊張解けた?」

ウチの顔は多分いまオヤジのような笑顔になってるハズや。


「あ〜よっすぃ〜が梨華ちゃんにチュウした〜」

それを見た加護が驚いて騒ぎ出した。
54 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時30分15秒
「チュウした〜」

辻も続いて叫ぶ。

なんや・・2人ともして欲しいみたいやな。

「そう、緊張が解けるおまじないだよ〜」

そう言いながらオヤジモードのまま
2人のちびっ子も捕まえてホッペにチュウをする。


「うわ、よっすぃ〜何してんの?」

両脇でジタバタしながら藻掻いている2人にチュウをしていると
いつの間にか矢口がそこに立っていた。
55 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時33分27秒
気が付けば他のメンバーもいて、みんな固まっている。


「あ・・・」

思いっきり暴走していたウチも思わず固まった。

「吉澤、オヤジみたいだったよ」

紗耶香が笑いながら言う。

「よっすぃ〜って、そういうことしなさそうなのにね」

なっちも紗耶香に同意しながら楽しそうに笑った。


「え・・いや、あの・・これは・・・」

「ひとみちゃんは私たちの緊張をほぐすためにキスしてくれたんです」

突然のことに言いよどむウチを石川がフォローしてくれた。
56 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時37分03秒
「そっか〜新メンバーにとっては初めての生放送だもんね〜
 でも、よっすぃ〜は緊張もせずに他の子の緊張を解いてあげてたんだ?」

相変わらず鋭いごっつぁんのツッコミが入る。

ごっつぁんイタイとこ突くなや・・・。


「へぇ・・じゃあアタシも緊張解いてもらおっかな〜」

圭坊が冗談とも思えない笑顔で近寄ってきた。

「な、なに言ってんですか〜そんなの無理ですよ」

昔だって圭坊にだけはキスせえへんかったのに
いまさら出来るわけないやんけ。
57 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時44分00秒
「ほらほら、そんなこと言ってる間に本番だよ」

圭坊に迫られて冷や汗タラタラのウチに圭織が助け船を出してくれた。


あ〜危なかった・・・なんかウチ、自分で墓穴堀まくりやない?
ホンマに気ぃつけよ。


そして緊張の生放送もどうにか無事に終えることができた。

しかしその放送の中で、さっきのキスの話をネタにされたウチは
オッサンみたいなキャラと吉澤という苗字のお陰で
【よっさん】というサブネームまでつけられた・・・。
58 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時49分40秒
外見は新人でも中身はオヤジということがウケたのか
その後ウチは紗耶香と2人で男前ペアとして娘。内でモテていた。

とはいえ、元々ごっつぁんとラブラブな紗耶香には
やっぱりメンバーも遠慮がち。


そうなると必然的にターゲットはウチとなるわけで・・・。

特に圭坊なんかは“ある意味イジメちゃうか?”と思えるほど絡んでくる。


圭坊はあの生放送以来、ことある毎に
「いや〜ん緊張するぅ〜よっすぃ〜アタシの緊張解いて〜」
と、キスを迫ってくるようになった。
59 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時53分53秒
なので毎回ウチは逃げるのにメッチャ必死なわけや。

とはいえ最終的には捕まって、逆に圭坊にキスされるのが
オチになってたりするんやけど。


そして、なぜかそれを見て石川がいつも泣きそうになっている。

圭坊から解放されて、ひと休みしていると必ず隣にきて
「ひとみちゃんは私より保田さんの方がいいんだ・・・」
と呟いて去っていく。

「いや・・だから何でそうなるわけ?」

そう言いながら毎回フォローするウチも辛抱強くなったもんや。
昔のウチやったら間違いなくキレとるでホンマ。
60 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)01時58分36秒
「よっすぃ〜モテモテだね〜」

そんなウチを見て矢口はいつも笑ってる。

ウチは矢口が好きなんやーーー!
笑っとらんで助けんかい!!


しかし、そんな矢口もウチと2人きりになると
なぜだかとても静かになる。

いまでもウチが楽屋に一番に入るのは変わらず、矢口が二番目なのも変わりない。

なので殆ど毎日、2人きりになるわけで。

さすがに最初の時みたく立ち上がって駆け寄りそうになることはなくなったけど
なぜかウチらは話をすることもなく静かにその時間を過ごしていた。
61 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時03分54秒
ウチとしては黙っていても矢口がいるというだけで
居心地のいい空間になってるから苦痛でもないんやけど・・・。

でも矢口はたまにウチの方を見て何かを言いかけては溜息をついたりする。


ウチと2人きりなんて、矢口にとっては苦痛でしかないんかな・・・。

そんなことを思い、最近ウチは楽屋に着くと荷物を置いてスグに部屋を出る。
そして矢口以外のメンバーが来ると楽屋に戻るようにしていた。


「ねぇよっすぃ〜、最近いつも楽屋に荷物置いてどこに行ってるの?」

そんなある日、収録の合間に矢口がウチを捕まえて聞いてきた。

「へ?あ〜屋上とかロビーとかに行ってますけど・・何でですか?」
62 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時07分44秒
「ん・・だって、よっすぃ〜いつも一番乗りで楽屋に来てるくせに
 矢口が来たとき絶対いないんだもん・・最初の頃は本とか読んでたのにさ」

「いや〜最近あまり面白い本がなくて・・一人で楽屋にいるのも退屈だし
 屋上とか天気のいい日は気持ちいいですしね」


「でもさ、矢口の後に誰か一人でもメンバーが来ると
 スグ帰ってくるじゃん?あれは・・偶然?」

「それは・・・」

なんや矢口、気づいとったんか・・・。

不意を突かれて言いよどんでしまう。
63 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時12分04秒
「・・・矢口と2人きりになるのがイヤだったの?」

矢口が少し寂しそうな顔をして聞いてくる。

「なに言って・・矢口さんこそアタシと2人きりになるのが
 イヤだったんじゃないんですか?」

そう言った後、矢口の顔を見てウチは猛烈に後悔した。


「なんだよ、それ・・・なんでそんなこと思うわけ?」

矢口は悲しそうな顔をして、今にも泣きそうになっている。

「え・・だって矢口さん、なんかいつもアタシの顔を見て溜息ついてたし
 あまり話もしてくれなかったじゃないですか」
64 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時15分32秒
「それは・・・」

今度は矢口が言いよどんだ。


「だからアタシと2人きりになるのがイヤなんだと思って・・・
 楽屋に一番に来るのは性格上変えられないし、でも矢口さんに
 迷惑かけたくないから屋上やロビーに行くようにしたんです」

「違うよ、矢口は別にイヤだった訳じゃない・・
 ただ、よっすぃ〜に聞きたいことがあったんだけど
 なかなか言い出せなくて・・・」

そう言って矢口は完全に俯いてしまった。


「聞きたいこと・・・ですか?」
65 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時20分03秒
なんやろ?最近はウチもボロを出さんように気ぃつけて
上手いことやってるつもりなんやけどな・・・。

そんなことを思いながら黙ったウチに矢口が遠慮がちに聞いてきた。


「あ、あのね・・よっすぃ〜って梨華ちゃんと付き合ってるの?」

「はあ?」

アカン、今のは完全に中澤裕子の言い方や・・・。

案の定、矢口がピクッとそれに反応して不思議そうにウチを見た。


「あ・・すいません、ちょっとビックリしちゃって」

「付き合ってないの?」
66 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時23分45秒
「付き合ってるわけないじゃないですか!
 そりゃ〜梨華ちゃんとは同期だし一番仲良いですけど・・・」

「でも、よくキスしてるよね?」

しゃ〜ないやん、矢口に出来ひんのやもん。

「いや・・あれは何ていうか・・・
 アタシのメンバーへの愛情表現なんですよ」

そう言うと矢口が一瞬、とても切なそうな顔をした。


「そっか・・なら良いんだ、ゴメンね変なこと聞いちゃって」

「いえ・・でも聞きたいことってこの事だったんですか?」
67 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時28分03秒
「う、うん・・・」

矢口?もしかして・・・?


「もしかして矢口さん・・・」

「え・・な、なに?」

「梨華ちゃんのこと好きなんですか?」

もしそうやったらウチ凹むわ〜。

「へ?」

「意外だな〜矢口さんって梨華ちゃんみたいなタイプが好きだったんだ・・・」

確かに石川カワイイもんな・・・。
68 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時31分38秒
「な・・なに言ってんの?
 矢口は別に石川のこと好きでもなんでもないよ
 ただ、圭ちゃんがよっすぃ〜たち付き合ってんのかなって
 言ってたから聞いてみただけ!」


そうやったんか・・えかった〜。

それにしても圭坊は何ふざけたことぬかしとんねん!
あ、もしかして圭坊が石川のこと好きなんか?

なんや面白くなってきたやないけ。


でも矢口はどうなんやろ?誰か好きな人おんのかな・・・。
ついでに聞いたろ。
69 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時34分39秒
「矢口さんは好きな人いるんですか?」

「へ?好きな人?・・・いるよ、すっごく好きな人が」

・・・マジで?矢口、そんな人おったんか・・・。

あぁ・・裕ちゃんショックや・・・。
ちょっと立ち直れへんかも。


「その人と付き合ってるんですか?」

そう聞いた瞬間、圭織がメンバーを呼ぶ声が聞こえてきた。
70 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時37分39秒
「あ、始まるみたいだよ」

矢口は最後の質問に答えることなくセットの方へと歩き出した。


なんやねん、まだ質問に答えてへんやないか矢口・・・。

付き合ってんのかな〜、誰か知らへんかな〜・・・。
圭坊なら知ってそうやけど、聞いたら逆に襲われそうやし。


はぁ〜もうマジで石川と付き合ったろかな。

そんなことを思いながら矢口の後をトボトボ歩いていった。
71 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時40分32秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
72 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時46分07秒
裕ちゃんがいなくなって半年が過ぎた。

新メンバーたちもそろそろ教育係がいらなくなってきたなって思うくらいに
自分を出せるようになり、最近では石川が見事な壊れっぷりを披露している。

ちびっ子2人も騒々しくなってきて、いつもよっすぃ〜にまとわりつきながら
逆にキスされそうになりギャーギャー言って圭ちゃんに怒られてる。


そんな中、よっすぃ〜だけは入ってきたときと変わらず
オヤジな部分を除いては落ち着いた雰囲気のままで・・・。


最近では気が付くと、よっすぃ〜が隣にいる。

よっすぃ〜の隣にいるとホッとするし
そのお陰で裕ちゃんのことを思いだしても
前みたいに悲しい気持ちにはならなくなっていた。
73 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時55分20秒
よっすぃ〜に好きな人のことを聞かれたとき
スグに裕ちゃんを思い浮かべて答えたけど
実は、よっすぃ〜のことも気になってて即答できなかった。


でもそれは、よっすぃ〜を通して裕ちゃんを見ていただけで
よっすぃ〜自身を好きになりかけてた訳じゃなかったんだ。


それはふとした時、当たり前のように隣にいるよっすぃ〜を見て
裕ちゃんじゃないんだって再確認している自分に気づいたから・・・。


これじゃあ、よっすぃ〜に失礼だし教育係として示しがつかないね。
74 名前:turning point 投稿日:2002年09月17日(火)02時58分27秒
早く裕ちゃんのこと吹っ切ろう・・忘れるんじゃなくて
裕ちゃんの思い出と一緒に前に進んでいくんだ・・・。


そうして、ようやく矢口が本当の意味で立ち直りかけた頃

当初の予定通り、紗耶香がモーニング娘。を卒業することになった。


それを機に延期されていたライブも再開されることとなり
矢口たちは更に忙しい日々を送るようになる。
75 名前:たむ 投稿日:2002年09月17日(火)03時01分52秒
ってなわけで更新終了っす。

とりあえず、もう少しマッタリした話が続きます。
76 名前:たむ 投稿日:2002年09月17日(火)03時07分06秒
どうも矢口さんの視点で書くとシリアスになってしまう・・。

でも次回も矢口さん視点があったりして(w

77 名前:たむ 投稿日:2002年09月17日(火)03時09分25秒
飽きずに読んでいただけると良いんですが・・。

では、またの更新まで。
78 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年09月17日(火)03時26分55秒
更新お疲れさまです。
たむさんの更新量には感服します
頑張ってください
79 名前:シナノ(ユウ) 投稿日:2002年09月17日(火)18時24分18秒
読んでます。
これからどんな展開になるのか気になってしょうがありません。
だって中澤さんが吉澤さんで相変わらずキスが好きだし矢口さんが健気だし後藤さんにはばれそうだし保田さんは無駄に迫ってくるしああもう。

頑張ってください。
80 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月17日(火)22時03分56秒
読んでいて、「そろそろ矢口の気持ちが知りたいなぁ〜」と思っていたところに
矢口視点・・・流石です作者さん!!
81 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月18日(水)06時26分39秒
本編もそうですけど、メール欄のも気になるんですけど(w

(; ^▽^)<どうなるですか〜?
82 名前:たむ 投稿日:2002年09月20日(金)01時49分57秒
≫セーラムさま
いや、そんな・・・(照
でも、セーラムさんに誉めてもらっちゃったから
今日もたくさん更新しちゃお!超スローペースで(w

≫シナノさま
レス貰えるなんて嬉すぃ〜。
文字でも分かる感情の温度差が最高(そう思ったのは自分だけ?w
HPの方にもまた寄らせてもらいま〜す!

≫読んでる人@ヤグヲタさま
いや、そんな・・・(照・またかよ
喜んで頂けて何よりです。今日も矢口さん視点ですが・・(w

≫名無し読者さま
渋いトコ突きましたね〜(w
細かいトコまで見ていただけて嬉しい限り。
石川さんの運命やいかに(w
83 名前:たむ 投稿日:2002年09月20日(金)01時54分22秒
皆さまホンマにレスありがとうございます。
もちろん読んでくださってる方にも感謝感激です。

レスさえあれば調子に乗って一気に更新したりするので
末永くよろしくお願いします(w

それでは、今日も一気に行くのだ〜!超スローペースで(w
84 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)01時59分07秒
ライブに向けて毎日がダンスレッスンとリハーサルの日々。

ウチの心配をよそに、新メンバーは予想以上の頑張りを見せ
紗耶香のラストステージは良い具合に盛り上げられそうな感じになってきた。


そしてライブ前日の最終リハーサルも終了し
全員が楽屋で着替えたり帰り支度をしたりしていた。


ちょうど紗耶香が隣に座ったので話しかける。

「とうとう明日ですね・・・」

「ん?そうだね、あまり実感わかないんだけどな」

紗耶香が笑いながら答える。
85 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時03分32秒
「でも、やっぱ寂しいです・・辞めるの止めるなら今ですよ」

明日香や彩っぺの時と違うとはいえ、やっぱ寂しいで・・・。


「なに言ってんの・・後のことは頼んだぞ!男前の吉澤くん」

紗耶香は一瞬、複雑そうな表情を見せたけど
いつもの爽やかな笑顔でウチの肩を叩いた。


「はい・・頑張ります」

そう言った後、ふと鏡越しに矢口と目があった。

矢口はいつか見せた切なそうな表情でこっちを見ていたが
ウチと目が合うとフッと逸らしてしまった。
86 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時08分26秒
矢口・・もしかして紗耶香のこと・・・。
ごっつぁんがいるから言えへんのか?

もう明日しかないんやで・・・。


それにしても紗耶香は矢口にあんな顔をさせてるのに気づいてないんか?
なんか、めっちゃムカムカするわ。

ウチはいてもたってもいられなくなり席を立った。

「ん?どした?」

紗耶香がポカンとウチを見上げる。

「いえ、ちょっとトイレ・・・」

そう言ったとき、ちょうどごっつぁんが楽屋に戻ってきた。
87 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時18分02秒
「いち〜ちゃん、お待たせ〜」

よっすぃ〜お疲れ〜とごっつぁんがウチに笑いかける。

「あ、お疲れさまでした」

笑ってごっつぁんに挨拶をして席を外した。


矢口・・言わなきゃ伝わらないことって、いっぱいあるんやで?

思いを伝える相手がいるって幸せなことやと思うよ・・・。

矢口に自分と同じ思いをして欲しくない・・・
そんなことを思いながらウチは矢口の所に行った。
88 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時18分40秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
89 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時24分34秒
「辞めるの止めるなら今ですよ」

楽屋で男前ペアが話してるのをホント男前だよね〜あの2人
なんて思いながら見ていたら、そんな言葉が聞こえてビックリした。


それは明日香が卒業するときも彩っぺが卒業するときも
必ず裕ちゃんが言ってた言葉だった。

よっすぃ〜って性格とか考えることとかホントに裕ちゃんに似てるんだな〜。

だからって、よっすぃ〜に裕ちゃんの面影を重ねてたらダメなんだ。
今こうして喋ってるよっすぃ〜はよっすぃ〜なんだから・・・。


そんなことを思いながらよっすぃ〜を見てたら鏡越しに目が合った。

あ、見てたの気づかれちゃったかな・・慌てて目を逸らす。
90 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時27分46秒
すると、ごっつぁんが帰ってきたと同時によっすぃ〜が席を立って
ごっつぁんと短く言葉を交わした後こっちにやってきた。

やっぱ見てたのバレちゃったか・・・。


「矢口さん」

よっすぃ〜が側に立って矢口に話しかける。

「あ、なに?よっすぃ〜」

「ちょっと話があるんですけど・・・」

なんで小声なの?
91 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時32分22秒
「話?」

良く分かんないけど、矢口もつられて小声で話す。

「はい・・でも、ここじゃ話にくんで外にでませんか?」

話しにくい?さっき見てたこととは関係ないのかな?

「うん、いいよ・・行こうか」


話しにくいって事は人に聞かれたくないって事だよね?
そしたら矢口の取って置きの場所に行くっきゃないでしょ!

「誰にも聞かれたくないならココしかないでしょ」

なんか、よっすぃ〜と初めて会ったときを思い出すな〜
なんて思いながら踊り場に座る。
92 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時35分47秒
「そうですね、ココならゆっくり話が出来ます」


「で?話ってなに?」

なんだろう?何か深刻そうなんですけど・・・。


「え・・と、前に言ってた矢口さんの好きな人のことなんですけど」

「え・・?」

なんで今さら?ずっと聞いてこなかったのに・・・。


「矢口さんの好きな人ってメンバーの誰かですよね?」

よっすぃ〜が確信に満ちた目で聞いてきた。

「なんで・・そう思うの?」

矢口、態度に出てたのかな・・・?
93 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時41分06秒
「いや・・矢口さんはメンバーといるときにも
 たまにスゴく切ない顔をするときとかあるし、それにさっきだって・・・」

あ・・見られてたんだ?
っていうか、なんで言葉に詰まってんの?

「さっきって?」

さっきだって、何なんだよ〜。


「さっき・・楽屋でアタシと市井さんが話してるとき
 市井さんのこと見てたでしょ?
 矢口さんの好きな人って市井さんなんじゃないんですか?」

へ?紗耶香?

・・・よっすぃ〜って、勘が良いんだか悪いんだか分かんないね。
94 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時48分01秒
「なに言ってんの?紗耶香にはごっつぁんがいるじゃん」

「だから遠慮して自分の思いを伝えないままでいるんですか?
 市井さん明日には卒業しちゃうんですよ?
 もう今みたいに、いつも一緒にはいられないんですよ?
 あのとき言っておけば良かったって後悔してもいいんですか?」


・・・勇気がなくて、ずっと言えなかったけど
あの頃はいつも一緒だったし言おうと思えばいつでも言えるって安心しきってた。

まさか気持ちを伝える相手が突然いなくなるなんて思いもしなかったから。

その気持ちも後悔すらも今は宙に浮いたままだけど・・・。


よっすぃ〜は矢口の気持ちなんて知らないはずなのに全部分かってるみたいだね。

だから泣いてくれてるの?
95 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時52分09秒
「よっすぃ〜・・そんな泣かないでよ・・・」

「え?」

気づいてなかったんだ?ホントに男前だね・・よっすぃ〜は。


「よっすぃ〜はホントに優しい子だね
 でもね、その涙は流すだけもったいないよ」

よっすぃ〜は訳が分からずキョトンとしてる。

その表情がおかしくて笑いながら言った。

「だって矢口の好きな人って紗耶香じゃないし」
96 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)02時56分42秒
「市井さんじゃない・・・?
 だって、あんなに切なそうな顔をして市井さんを見てたじゃないですか」

よっすぃ〜がキョトンとしたまま不思議そうに聞いてくる。

「そりゃ〜明日卒業しちゃうんだもん、寂しいのは当然じゃん」

なんかカワイイな、よっすぃ〜・・・。


「それに、さっきは紗耶香じゃなくてよっすぃ〜を見てたんだよ」

「え?アタシ・・ですか・・・?」

あ、ビックリしてる・・ってことは今まで矢口が見てたときも
気づいてなかったんだ・・・。

もしかしてよっすぃ〜って、すっごい鈍感・・・?
97 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時02分00秒
「うん、さっき紗耶香と話してるとき“辞めるの止めるなら今だ”って
 言ったでしょ?あれ明日香や彩っぺが卒業するとき
 裕ちゃんが言ってた言葉なんだよね
 それで裕ちゃん思いだしちゃって・・・」


「そうだったんですか・・すいません・・・勝手に勘違いして
 こんなとこまで連れだしちゃって」

ホントにいい子だね・・・よっすぃ〜は。

「いいよ、矢口のこと心配してくれたんでしょ?
 ありがとね・・・」


矢口の言葉に照れたように頷いた後
よっすぃ〜は何かを考えるように眉間に皺を寄せた。

そんなとこまで裕ちゃんそっくりなんだね・・・。
98 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時06分42秒
「じゃあ、矢口さんの好きな人って?」

え・・?そっか、ここまで話したら知りたいと思うよね。

「ん?あぁ・・メンバーじゃないよ・・・今のところはね」

そう、今はまだ矢口自身の気持ちが自分でも解らないんだ。
裕ちゃんがいたら悩まなくて済んだのに・・・。


「そうですか・・・」

矢口の最後の呟きが聞こえなかったのか、それ以上聞いてくることもなく
よっすぃ〜はゆっくりと立ち上がった。

なんかよっすぃ〜ブルーになってない?
99 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時09分16秒
そんなに矢口の好きな人、当てたかったのかなぁ?

へんなの・・・。

まだ重ねてみてしまうところもあるけど
やっぱよっすぃ〜はよっすぃ〜なんだよね・・・。


今日話してみて、ようやくそう思えた矢口は
少しずつだけど前に進めてるのかな・・・?

そんな風に思いながら、取って置きの場所を後にした。
100 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時10分03秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
101 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時13分51秒
そして紗耶香の卒業の日。


とうとうこの日が来てもうたんやな。

まさか憧れの武道館ライブをこんな形ですることになるなんて・・・。


紗耶香のラストステージには最適の場所やけど
どうせなら中澤裕子の時にこのステージに立ちたかったわ〜。

ま、とにかく今日は新メンバーとしてファンの前に初めて出るし
気合いを入れて最高のライブにすんで〜!

気合いを入れつつ、一番高くて遠い客席に座りステージを眺める。
102 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時18分22秒
「よっ!緊張してるか?吉澤くん」

男前な人物が後ろから肩をポンと叩いて隣に座ってきた。

「市井さん・・・」

アンタ卒業するときも爽やかやね。

「矢口や他の新メンバーが捜してたよ
 ま、市井も捜してたんだけどさ」

「捜してたって・・・?」

「うん、ちょっと頼みたいことがあるんだよね」

「なんですか?アタシに出来ることだったら何でもやりますよ」

そう言うと紗耶香は嬉しそうに頷いたあと話を続けた。
103 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時22分21秒
「入ってきたばかりの吉澤にたのむのも変な話なんだけど・・・
 市井が卒業した後の後藤のことなんだ」

「後藤さんですか?」

「アイツさ〜いっつも眠そうにしてて何を考えてるか分かんないような
 感じだけど、実は色々と悩んでんだよね・・・
 もっと自分を出したいって思ってるんだけど上手く表現できなかったり
 言いたいことも言えなかったりでさ」

そうやな〜ごっつぁん、ああいうところ不器用やもんな〜。

「それでも今までは市井に話してくれてたから
 フォローすることも出来たんだけど、もう傍にいられないし
 話もきいてやれなくなってくるし・・・」
104 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時26分06秒
「でも、それは後藤さんだって分かってるんじゃないんですか?
 市井さんのフォローがなくてもやっていかなきゃいけないって」

ホントに新メンバーかい?君は
紗耶香はそう言って苦笑いをしながら続ける。

「確かに後藤もそんなことくらい分かってると思うよ
 ただ市井が心配なのは、後藤がそうやって頑張りすぎて
 いっぱいいっぱいになったときフォローしてくれる人間が
 今までのメンバーにはいないって事なんだ」

「そうなんですか・・・」

ホンマに紗耶香はごっつぁんのこと大切にしてるんやな〜。


「そこで、吉澤くんにお願いなんだけど・・・
 市井が抜けたあと後藤のフォローをしてやってくんないかな?」
105 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時29分25秒
「・・・へ?アタシがですか?」

ウチにごっつぁんのフォローは出来ひんやろ・・・。

「うん、なんか後藤が吉澤のこと気に入ってるみたいなんだ
 妙に興味持ってるんだよね〜」

紗耶香が意味ありげな笑みでウチの方を見る。

それは違うで紗耶香・・・ごっつぁんの興味は霊能者(?)として
ウチの中身への興味なんや。

「いや・・でも・・・」

「別にスゴく仲良くしなくても良いんだ
 何かあったときに話を聞いたりフォローをしたりしてくれれば」
106 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時32分48秒
ここまで頼まれたら断れんよな〜っていうか、断る理由ないし。

「はい・・分かりました
 アタシで良ければ出来る限りのことはします」

「それでこそ男前吉澤くんだ!
 これで市井も安心して卒業できるよ」

男前なのはアンタやで紗耶香・・・
入ってきた時はオドオドしてて、メッチャ頼りなかったのにな。
いつの間にか成長したんやな〜。


「お〜い紗耶香〜よっすぃ〜」

そんな風にしみじみしていたウチの耳に大好きな声が届いた。

あ〜矢口〜!捜しに来てくれたんか〜?
107 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時35分25秒
「あ、矢口さん!」

パブロフ状態で思わず椅子から立ち上がった。

「え?どこ?」

紗耶香は見つけられないのかキョロキョロしてる。

「もうすぐリハ始まるよ〜」

あの小さい身体のどこから、こんな大きな声が出るのか?
下の階から大きく手を振ってウチらを呼んでいる。

「よく分かったね〜全然気づかなかったよ・・
 愛の力だね・・・」

紗耶香がポツリと呟いた。
108 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時37分40秒
「はい?何か言いました?」

紗耶香は何も言わずウチを見ている。
なんやねん、どないしたん紗耶香・・・。


「いや、なんでもないよ・・矢口も呼んでるし行こうか?」

紗耶香が爽やかな笑顔で言う。


ホンマに今日が最後なんやな〜。
チョット泣きそうになってるウチを横目に

「よ〜し頑張るぞ〜」

そう言って紗耶香は元気良く駆けだしていった。
109 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時42分09秒
そして本番。

紗耶香の卒業ライブというだけあって、会場は異様な盛り上がりを見せ
新メンバーのお披露目も滞りなく終了した。


入って間もないってことで、ステージに立つこと自体あまりなかったウチら
新メンバーはモニターでステージ上の紗耶香たちを見ていた。


せめて最後にラブマを紗耶香と一緒にやりたかったなぁ・・・。

そんなことを思っていたウチは、そのあと自分の耳を疑うことになる。


モニターを見ていたウチら新メンバーにマネージャーが突然
ラブマをメンバーと一緒に踊れと言うてきたんや。

当初の予定にもなく、リハーサルもしてないのに他の新メンバーが
出来るわけないやんけ・・ウチだってウチのパートしか出来ひんのに・・・。
110 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時45分14秒
しかし、それは紗耶香からの要望だったらしく
他の新メンバーはいつの間にかそれぞれの教育係のパートを
教えてもらっていたらしい。

「アタシ矢口さんに何も教えてもらってないですよ?」

なんでウチだけ何も聞かされてへんのや?

「ひとみちゃんには中澤さんのパートをさせるからって
 保田さんが言ってたわよ」

キレそうになってたウチを宥めるように石川が言う。

「へ?中澤さんの・・・?」

圭坊、やっぱいじめなんか・・・?
111 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時49分22秒
「うちはダンスレッスンの時に後藤さんに聞いたで?」

「へい!飯田さんも言ってたのれす」


なんなんや、みんなして・・・ドッキリとちゃうねんで!
なんで矢口は何も言うてくれへんかったんや・・・?

そんなことを考える間もなく、アンコールの一曲目として
ラブマを全員で踊ることになった。

矢口が何でなにも言うてくれへんかったんかは後で聞くとして
とりあえず、最後に紗耶香とラブマが歌えるんや!
張り切っていくで〜!!


意を決して、ウチは中澤裕子になりきって踊り
新メンバーはいつの間に練習したんや?っていうくらい
ラブマのダンスをキッチリと覚えていた。
112 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時53分01秒
大盛り上がりの会場で新メンバーを加えた最初で最後のラブマは
大成功に終わり、踊り終えた後またもメンバーは泣いていた。

絶対に泣かないと言っていた紗耶香も泣いていた。


そして、メンバーから紗耶香への最後の挨拶・・・。

花束を渡しながら全員が泣いたまま。
アカン・・ウチも泣きそうや・・・。

今までの紗耶香との日々を思い出して感極まったウチは
お疲れさま・・・と言ったあと、新メンバーということも忘れて
紗耶香を抱きしめてしまった。

紗耶香は一瞬だけ戸惑った感じを見せたが
逆らうことなく、そのまま身体を預けてくれた。
113 名前:turning point 投稿日:2002年09月20日(金)03時56分28秒
今までありがとう、絶対戻ってくるんやで・・・。

紗耶香を抱きしめたまま、心の中で呟いてたウチの耳に
小さく囁くように紗耶香の声が届いた。

「ありがとう・・裕ちゃん」


・・・え?紗耶香いま何て・・?
身体を離して紗耶香を見る。

「ありがとう吉澤、後のことは頼んだよ!」

でも紗耶香は何事もなかったかのように爽やかな笑顔で
ウチの頭をポンポンとしてそう言った。


不覚にもウチはその後のことを何も覚えていない・・・。

そしてライブは無事終了し、楽屋で打ち上げが行われた。
114 名前:たむ 投稿日:2002年09月20日(金)03時58分02秒
調子に乗って更新しました。

すっかり夜型人間から明け方人間(型違い?)になってしまった・・・。
115 名前:たむ 投稿日:2002年09月20日(金)03時59分52秒
次回は打ち上げ編です。

でも裕ちゃんは未成年なのでビールは飲みません(w
116 名前:たむ 投稿日:2002年09月20日(金)04時00分49秒
では、またの更新まで。
117 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月20日(金)12時34分24秒
むむ・・・なんで紗耶香が・・・!?
まさか後藤以上の霊感の持ち主?
118 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月21日(土)12時07分08秒
めっちゃツボです。
いつも楽しみによませていただいてます。
今日裕ちゃんイベント一応最終日ですね。明日のANNを聞くのが楽しみです。
119 名前:たむ 投稿日:2002年09月25日(水)02時01分38秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
紗耶香が気付くこと、実は予想してました?
いつか予想を裏切る展開にしてみたいですわ〜(w

≫名無し読者さま
呼ばれて飛び出てジャジャ・・みなまで言うまい。
くしゃみもされてないのに出てきてしまいました(ツボ違い?)
ツボと言って頂けて超嬉すぃ〜です。
張り切って書きますんで、また読んでくださいね〜。


裕ちゃんのライブ最終日、めっちゃ良かったみたいですね。
DVDとスカパーで見れるのは嬉しい限り。
ってなわけで、嬉しさに乗って更新がんばりま〜す。
120 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時05分34秒
紗耶香が囁いた言葉が気になり、飲み物も喉を通らない。


「どうしたの?ひとみちゃん」

そんなウチを石川が心配そうに覗き込む。

「え?なに?アタシ何かおかしい?」

「おかしいよ〜、市井さんに花束渡したあと急にボーっとしちゃって
 ライブが終わったら今度は市井さんのことジーっと見てるし」

「いや・・市井さんとお別れなんて寂しいな〜って思っただけだよ」

「ふ〜ん・・なんかそれだけじゃない気がするけど・・・
 ひとみちゃん、何か私に隠してな〜い?」
121 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時09分31秒
なんとなく鋭くなってないか?石川・・・。
最近強くなったし、空気も少しは読めるようになったもんな〜。


「何も隠してないよ、大丈夫だから・・心配かけてゴメンね」

不意をついて石川の口にチュッとキスをした。

すると石川は真っ赤な顔をして俯いてしまった。

まだまだやね・・これで当分は大人しくしてるやろ。


「「あ〜よっすぃ〜が梨華ちゃんにチュウした〜」」

それまでお菓子に夢中になっていたちびっ子2人が
目ざとく見つけて騒ぎ出した。
122 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時13分45秒
それを聞いて紗耶香の周りにいたメンバーたちも何事かとこちらを見る。

「よっすぃ〜またやってんの?」

矢口が呆れたように言う。

「せっかくだから最後に市井もしてもらおうかな〜」

紗耶香がニヤニヤしながら近寄ってきた。


紗耶香やったらいくらでもしたるで〜。
ファーストキスも貰ったし・・って奪ったんやけど。

「紗耶香にするならアタシにもしなさいよ!」

圭坊が紗耶香の後にやってくる。

なんでそうなんねん!
123 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時18分40秒
「ダメです!ひとみちゃんは私のものなんですから!!」

石川がウチの腕を引っ張り、そう宣言した。

・・・・。

“ヒュ〜〜〜”まさにそんな擬音語がピッタリと言えるくらい
その場の空気は凍り付いた。


前言撤回・・全く空気読めてへんやないかい!
石川〜あとで覚えとけよ・・・。

「なに言ってんの石川!アンタの相手はアタシでしょ」

今度は圭坊が石川の腕を引っ張ってチュッと投げキッス。
124 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時23分25秒
おぇ〜。
そこにいたほぼ全員が軽い目眩を起こした。

ナイスや圭坊!


「いち〜ちゃんはごとーの〜」

そう言いながら、ごっつぁんが嬉しそうに紗耶香の腕にしがみつく。

泣いててもおかしくないハズやのに・・・。
ごっつぁんも強くなったんやな〜。

ごっつぁんを見ながら感慨深げになっていたウチに
いきなり紗耶香がキスをしてきた。
125 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時27分17秒
突然のことに呆然とするウチの耳元で紗耶香が囁く。

「ファーストキスは返して貰ったから」

「?!」

やっぱバレてたんかいな!

紗耶香は固まってるウチにウィンクをして、ごっつぁんの所に戻っていった。


「珍しいね〜紗耶香からキスするなんて」

固まったままのウチの横にいつの間にか矢口が立っていた。

「あ・・矢口さん・・・」

「どうしたの?呆然としちゃって」

矢口が不思議そうにウチの顔を覗き込む。
126 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時31分24秒
「キスするのは平気なのに、されるのはダメなんだ?」

「いえ・・そう言う訳じゃ・・・」

バレたという事実に上手く思考が働かず言葉も出てこない。

「よっすぃ〜?」

「・・・すいません矢口さん」

それだけ言うのが精一杯でウチは部屋を飛び出した。


「え?よっすぃ〜?」

遠くで矢口が呼んでる声が聞こえたけど、とにかく独りで考えたい。
そう思いながら、あてもなくフラフラと歩き出した。
127 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時32分39秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
128 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時37分25秒
気が付くと朝と同じ、ステージから一番遠くて高い客席に来ていた。
手すりに凭れてぼんやりとステージを眺める。


紗耶香は何で気付いたんやろ?

やっぱ、ごっつぁんに聞いたんかな・・・。

・・・バレたらどうなるんやったっけ?


『正体がバレたら消滅や』
『文字通り消えてなくなんねん』

ひとみの身体に入る前に、あっちゃんの言ってた言葉を思い出して身震いする。

「消滅・・死んでまうってことか・・・」
129 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時40分24秒
あの時、あっちゃん他にも何か言うてたような気がするんやけど。

でもバレて消滅すんなら、今の時点で消滅してるんちゃうか?

分からん・・・どういうことやねん。


「ここにいたんだ〜」

不意に肩を叩かれる。

考えすぎて、誰かが近づいてきてたことに気付かなかった。

「・・・ごっつぁん」
130 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時43分31秒
「へ?」

「え?」


ヤバっ、思いっきり素で呼んでもうたがな・・・。
思わず辺りを見回した。

「心配しなくても、ごとーだけだよ・・・」

そう言われて、ふぅ〜っと溜息をつく。

「・・・紗耶香に話したんか?」

「あはっ関西弁だ!やっぱ裕ちゃんだったんだ?」

131 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時49分42秒
「今更なに言うてんねん
 ダンスレッスンの時に気付いとったんちゃうの?」

「う〜ん・・気付いてたっていうか・・・
 もしかしたら、そうなのかな〜って何となく思ってたくらい
 でもあの時は確信してなかったんだよ?」

「じゃあ・・紗耶香には話してないんか?」

そう聞いたウチに、ごっつぁんは苦笑いを浮かべながらコクリと頷いた。

「確信が持てなかったし、普通に考えたら有り得ない事だしね・・
 だからいち〜ちゃんには、よっすぃ〜って裕ちゃんの
 生まれ変わりみたいだね〜って言ってただけ」


「じゃあ・・なんで紗耶香は気付いたんや?」
132 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時54分02秒
「え?気付いてた?いち〜ちゃんが?
 そういえば、さっきいち〜ちゃんに何て言われたの?」

「ん?“ファーストキスは返して貰ったから”って」

「ふ〜ん・・・それでバレたと思って固まってたんだ?」

「そうや、花束渡したときも“ありがとう裕ちゃん”って言われたし」

「不思議だね〜いち〜ちゃん何で分かったんだろう?」

「とにかく、バレたもんはしゃ〜ない・・
 紗耶香のことやから確信したとしてもごっつぁん以外には言わんやろう
 それよりも、ごっつぁん今からウチに付きおうてくれん?」
133 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)02時58分01秒
「へ?付き合うって?」

「ごっつぁん、その場におる霊も見える言うてたよな?」

「ん?うん、その場にずっといるような霊だったら大体見えるよ」

「ちょっと確かめたいことがあんねん・・・
 ごっつぁんにしか頼めんのや」

「分かった・・でも、いち〜ちゃんも一緒で良い?」

「あぁ構わんよ、紗耶香にもちゃんと話しておきたいしな」

「じゃあ、とりあえず楽屋に戻ろうよ
 みんな心配して捜してたんだよ」
134 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時01分02秒
「え?ホンマか?」

「うん、あ・・それで呼びに来たんだった!あはっ」

そう言って、ごっつぁんがいつものフニャっとした笑顔になった。

「さすが、ごっつぁんや・・・ほな戻ろか?」


その笑顔を見たら、独りで抱えていたものを少しだけ
持って貰えたような気がして気持ちが楽になった。

不安は残ったままやけど・・・。
135 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時06分01秒
そのあと楽屋に戻ったウチは別部屋に呼ばれて
マネージャー・圭織・圭坊からのお説教を受ける羽目に。

解放されたのは一時間後やった・・・。

圭織、相変わらず説教長いで・・・。


再び楽屋に戻ると紗耶香との別れを惜しんでか、メンバー全員がまだ残っていた。


「よっすぃ〜かなりしぼられたね〜、途中でいなくなって
 みんなに心配かけたんだから当然だけどさ・・
 矢口が話しかけたら急に出て行っちゃって、捜したんだぞ?」

矢口が少し怒り気味で背中を叩く。
136 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時08分40秒
「すいませんでした・・・」

「今度から何かあったら矢口に相談しろよ?
 これでも、よっすぃ〜の教育係なんだから」

「はい・・ご心配おかけしました」

ホンマに矢口に相談できるならええのにな・・・。


「さ〜て、終わったぞ〜」

ごっつぁんと何か話をしていた紗耶香が立ち上がった。

「みんなホントにありがとう!良い卒業式だったよ・・・」
137 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時11分43秒
「紗耶香・・・必ず戻ってくるんだぞ?」

矢口が涙目で紗耶香を見上げる。

「そうだよ、目指すものは違うけど歌が好きな気持ちは一緒だし
 ずっと仲間だからね」

圭織が笑顔で言う。

「頑張って・・・紗耶香が胸を張って戻ってこられるように
 娘。はこれからも輝き続けるから」

なっちが力強い言葉で紗耶香を後押しする。

「ずっとライバルだからね」

圭坊は泣きながら笑ってる。
138 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時15分34秒
「ありがとう・・・必ず帰ってくるから、みんなも走り続けてね」

紗耶香がいつもの爽やかな笑顔でメンバーに応えた。


「よし、それじゃあ帰るか・・・」

そう言って荷物や花束を持ち、紗耶香がドアへと向かう。

「吉澤?ちょっといいかな?」

「え?あ・・はい」

紗耶香が帰った後を追うつもりやったウチは、不意に呼ばれて驚いた。


「男前2人で何の相談?」

泣き顔から一変、圭坊がニヤニヤしながら言う。
139 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時19分31秒
「これから誰をお持ち帰りするかの相談だよ」

紗耶香が更に爽やかな笑顔で答える。


いや〜ん、ウチもお持ち帰りされたいわ〜!
って、そんなん言うてる場合ちゃうやんか。

「じゃあ、後藤さんを・・・」

紗耶香には話が通ってるとはいえ、相手が相手なので
ちょっと遠慮がちに言ってみる。

「おっ!なんだよ吉澤、気が合うな〜
 じゃあ後藤だけで良いんだな・・・後藤〜帰るよ」
140 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時22分06秒
少々わざとらしい感じやけど、紗耶香がウチに合わせてくれて
部屋の隅で荷物の整理をしていたごっつぁんを呼んだ。

「ほ〜い」

当たり前のように返事をして、ごっつぁんがやってくる。


「ひとみちゃん・・・」

ふと呼ばれて振り返ると、石川が泣きそうな顔をしてウチを見ていた。

「あ・・梨華ちゃん」

アカン、自分のことに精一杯で忘れとった・・・。

今日は帰りに石川んとこ寄る約束しとったんや。
141 名前:turning point 投稿日:2002年09月25日(水)03時33分16秒
「ちょっと来て」

石川の手を取りドアへと向かった。

「あれ?吉澤、後藤じゃないの?」

圭坊・・うるさいで自分・・・。


他にも聞こえてきた冷やかし気味の声を無視して石川を連れだす。

上手いこと言い訳できるやろうか?

そんなことを思いながら、石川の手を引き空いている部屋に入った・・。
142 名前:たむ 投稿日:2002年09月25日(水)03時35分14秒
ほい、更新終了です。

ちょっぴり中途半端な感じ?(w
143 名前:たむ 投稿日:2002年09月25日(水)03時42分13秒
次回は石川さんが頑張ってくれるハズ(w

裕ちゃんの運命やいかに(w
144 名前:たむ 投稿日:2002年09月25日(水)03時43分02秒
では、またの更新まで。
145 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月25日(水)03時43分35秒
なんか今、更新されてる気がしてのぞいてみたら・・・やっぱり(w
更新お疲れ様です。
裕ちゃん+いちご・・・好きなメンバーばっかりでお腹一杯になりました。
ごちそうさまでした。(w
146 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月25日(水)16時33分52秒
裕ちゃんは素の状態だとやっぱり関西弁なんですね。
というコトは、普段は意識的に標準語を使ってるワケですね?
結構大変そうですね・・・。

>作者さん
>紗耶香が気付くこと、実は予想してました?
いえ、これはまったく予想外でした。
147 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年09月25日(水)20時46分03秒
相変わらず更新定期が早くて更新量がおおいですねぇ(w
全く羨ましいです。
たむさん頑張ってくれ〜
148 名前:たむ 投稿日:2002年09月28日(土)02時59分51秒
≫名無し読者さま
あら?行動パターンが読まれてる?(w
即レスありがとうございます。
今回もその勘に三千点!(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
裕ちゃんって標準語もいけてると思うので大丈夫かなと(w
でも、何かの拍子に関西弁でたりして・・・。
紗耶香が気付くの予想外でしたか・・(にやり

≫セーラムさま
更新出来るのもレスをくださるお陰なんです〜(嬉涙
来月までセーラムさんとこの矢口さんお預かりしました(w


明け方人間たむ、今日も更新まいりマッスル!
149 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時07分10秒
部屋に入り、石川と向かい合う。

「ごめん梨華ちゃん!忘れてたわけじゃないんだけど・・・」

「うそ・・完全に忘れてたでしょ?
 私との約束よりも後藤さんの方が大事なんだ?」

石川の瞳に涙が溢れてきた。


「ちが・・そうじゃないよ!
 ただ、どうしても今日中に後藤さんと話をしなきゃいけなくなって・・・」

アカン・・この娘の涙はある意味、凶器や・・・。

「どんな話?なんで後藤さんとなの?」

泣きながら石川が追求してくる。
150 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時12分02秒
「それは・・・言えない」

「・・・分かった、もういいっ!さっさと後藤さんのところに戻ったら?
 もう私の家にも来なくていいから」

泣きながらそんなん言われて戻れるわけないやん・・・。
っていうか、これってやきもちなんかな?


「梨華ちゃん・・・」

そっと石川を抱き寄せると、石川は身体を強ばらせた。

「ごめん・・でもこれだけは信じて・・後藤さんとは何でもないんだ
 ホントに話するだけだし、市井さんだって一緒だから」
151 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時15分36秒
なんでウチはこんな言い訳みたいなんしてるんやろ・・・。

そう思いながらも石川の頭を撫でていると
石川の身体から徐々に力が抜けていった。


「だから・・また梨華ちゃんの家に招待してよ」

あぁぁぁ何でそんなこと言ってんねん・・・ウチって何?タラシ?


「ひとみちゃん・・・」

ずっと俯いていた石川がウチを見上げる。

あ・・アカン、そんな瞳で見んといて・・・。
152 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時19分32秒
アカンて・・耐えろ、耐えるんや!
アンタが好きなんは矢口やろ?流されたらアカン〜。

頭の中で中澤裕子が叫ぶ・・・。

それを無視して吉澤ひとみの顔は石川に吸い寄せられていく。


矢口・・ゴメンな・・・。


・・・・・・・。

153 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時22分37秒
って、危なかった〜〜〜。
ホンマにキスしてまうとこやったで。


石川の唇に触れそうになった瞬間、なぜか圭坊の鬼のような形相が浮かんできて
寸前のところで顔を逸らし石川を抱きしめるだけに留まった。

圭坊、怖すぎや・・・。


「ひとみちゃん・・・」

石川を抱きしめたまま固まっていたウチは
自分を呼ぶくぐもった声で我に返り慌てて石川を離した。
154 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時25分29秒
「あ・・ごめん梨華ちゃん」

石川は何だか不満そうな表情を見せていたが
それでもウチの顔を見ると、頬を赤くしたまま俯いた。


「もう戻らないとヤバいね・・また説教されちゃうよ」

そう言って石川の手を引きドアへと向かう。


しかしドアノブに手をかけた瞬間
逆に手を引っ張られて石川にキスをされた。

・・・え?

ちょっと・・長いで石川・・・。
155 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時27分49秒
「梨華ちゃん・・・」

「家に来る約束、忘れないでね!」


突然のことに呆然としていたウチにそう言うと
真っ赤な顔をして石川は部屋を出ていった。


なんかヤバくないか?この展開・・・。

って、今はそれどころやないやんけ!

呆然としながらも、今からやるべき事を思い出して
石川の後に続いて部屋を出た。
156 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時32分04秒
「すいません、お待たせしました」

そう言って楽屋に入ると、メンバー全員まだ残っていて一斉に注目された。


「ちょっと吉澤、石川に何したのよ?」

圭坊が少し怒りを含んだ感じの口調で聞いてきた。

せやから怖いて、圭坊・・・。


「え?・・約束を忘れてたんで謝ってただけですけど」

「謝ったにしては、ココを出る前に比べて
 石川の機嫌がスゴく良くなってない?」

圭織がニヤニヤしながら近寄ってくる。
157 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時36分24秒
「しかも顔が赤いんだよね」

なっちは分かっているのかいないのか不思議そうに石川を見ている。


「いや・・ホントに謝ってただけですから」

アカン、裕ちゃん最大のピンチや!

「「「ホントに〜?」」」

三人がオヤジのようなノリで迫ってくる。


「よっすぃ〜が謝っただけって言ってるんだから
 もうそれで良いじゃん」

それまでウチらの様子を黙って見ていた矢口が
突然、怒り気味に言い放った。
158 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時39分28秒
「そうそう、とにかく吉澤は今から市井とデートなんだから早く帰らせてよ」

紗耶香がウチと腕を組みながら言う。

「なんでそうなるの〜〜よっすぃ〜はごとーとデートするんだよ〜」

ごっつぁんまで悪ノリして腕を絡めてくる。


「そういうことなんで・・すいません、お先に失礼します」


2人に引っ張られる格好になりながら
他のメンバーにそれだけ言って楽屋を後にした。
159 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時40分30秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−
160 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時43分19秒
「ちょっとアンタら悪ノリしすぎやで?」

楽屋を出てタクシーがつかまるところまで歩きながら2人に言う。


「だって、あの3人に捕まったらいつまでたっても帰れないじゃん」

紗耶香が爽やかな笑顔で答える。

「そうだよ〜もとはといえば裕ちゃんが梨華ちゃんにまで
 手を出すのが悪いんだからね〜」


「え?見とったんかい?」

「「は?」」
161 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時46分39秒
「いや・・なんでもあらへん」

なんやごっつぁん、紛らわしいこと言いおってからに。

「・・裕ちゃんがキス魔なのは今に始まった事じゃないけど
 ホントに何かしたんだ?」

紗耶香が探るような目つきで覗き込んでくる。

「何かってなんやねん!人聞きの悪い!!
 ちょっとディープなキスされただけやんか」

そう言った瞬間、2人が固まった。

・・・自分で言うてもうたがな。
162 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時50分28秒
「はぁ〜、やっぱ裕ちゃんなんだね・・・
 なんでみんな気付かないんだろう?こんなに分かりやすいのに」

紗耶香が深い溜息をつく。


「それより、いち〜ちゃんは何で裕ちゃんだって分かったの?」

「そうや!何で分かったん?ウチってそんなに分かりやすかったか?」


「いや、普通に見てたら市井も分からなかったよ
 ただ後藤が妙に吉澤に興味持ってたし、裕ちゃんみたいって
 いつも言ってたからさ」

「でもそれだけじゃあ確信持てないよねぇ?
 ごとーだって、さっきまで確信持てなかったもん」
163 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時56分06秒
「ん?そうだね、最初は後藤が生まれ変わりみたいって言ってたから
 確かに似てるよな〜くらいにしか思ってなかったけど
 今日のライブでラブマ踊って、もしかしたらって思いだして
 花束渡されて抱きしめられたとき確信したんだ“あ〜裕ちゃんだ〜”って」


「あ・・やっぱあれがアカンかったんか〜」

「じゃあさ〜やぐっつぁんなんか軽〜くキスされただけでも
 スグに分かっちゃうんじゃない?」

「かもね、裕ちゃんに一番キスされてたし抱きしめられてたし・・
 これから気をつけないとね〜」


「だ・・大丈夫やろ?矢口は教育係やし、ウチは新メンバーやから
 キスしたくても出来ひんもん」

「でも、ずっと新メンバーのままじゃいられないよ?」
164 名前:turning point 投稿日:2002年09月28日(土)03時59分04秒
「う゛・・・」

「なんか、やぐっつぁんにバレるのも時間の問題っぽいね・・・」

「裕ちゃん暴走しだすと止まらないもんな〜」


「大丈夫や、いくらウチでも消滅するかもしれへんのに
 そんなバカな真似はようせえへん」

「「消滅?」」

「消滅ってどういうこと?もしかして市井たちマズイことしてる?」

「ん?それを今から確かめに行くんや」


そうしてウチらはタクシーに乗り、目的地へと向かった。
165 名前:たむ 投稿日:2002年09月28日(土)04時03分18秒
ちょいと少ないっすけど更新終了です!

やっぱり市井さんと後藤さんも好きです(w
166 名前:たむ 投稿日:2002年09月28日(土)04時04分55秒
次回は久々にあの人が登場!の予定(w

矢口さんの出番少ないな〜。
167 名前:たむ 投稿日:2002年09月28日(土)04時07分12秒
それでは、またの更新まで。
168 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年09月28日(土)14時22分40秒
裕ちゃんは、後々、梨華ちゃんで苦労しそうですね。
あ、既にしてるか(w
169 名前:たむ 投稿日:2002年10月01日(火)02時29分09秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
はい、既に苦労してます(w
梨華ちゃんだけで済めばいいんですけど(w


そりでは、本日も更新いってみましょか!
170 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時32分41秒
ウチら3人を乗せたタクシーは、ある病院の前で停まった。


「ここや」

元気なのにココに来ることになるなんてな・・・。

「ここって・・・」

紗耶香が病院を見上げて立ちつくしている。

「裕ちゃんが運び込まれた病院・・?」

ごっつぁんも思いだしたように呟く。


「そうや・・ウチはここで中澤裕子を捨て吉澤ひとみになったんや」
171 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時35分59秒
「そうだったんだ・・・」

紗耶香は少し驚いた顔をしたが、そう呟いて頷いた。


「でも、ここに何があるの?」

ごっつぁんが不思議そうに聞いてくる。

「ん?ウチが吉澤ひとみとして生まれ変わることが出来たのは
 ここにおったあっちゃんのお陰なんよ」

「あっちゃん?その人がここに入院してるの?」

紗耶香もイマイチ分かってないみたいや。

「いいや、あっちゃんはこの病院に住んでる霊やねん」
172 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時40分24秒
「霊って幽霊のこと?」

「そうや・・ウチな、あの事故に遭ったあと気が付いたら
 矢口の病室ん中に立っとったんよ」

「え?裕ちゃんあの部屋にいたの?そうかぁ・・いたんだ・・
 あの時は気が動転してて何も見えてなかったもんね〜」

ごっつぁんがビックリしたあと納得したように呟く。

ごっつぁんの言葉に頷きながら、それまでの経緯を2人に話した。


「へ〜、じゃあ裕ちゃんはずっとうちらの側にいたんだ?」

「うん、ただウチの心臓が止まったときは寝とったけどな」
173 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時45分11秒
「だから見えなかったんだ・・・
 あの時は裕ちゃんが昇ってっちゃう前に見つけなきゃって思って
 アンテナ張り巡らせてたのに見えなかったから焦ったんだよ〜」

アンテナて・・・あんたは鬼太郎かい!


「あ〜でも知らない人が1人いたんだよね〜
 あれがあっちゃんって人だったのかな〜?」

「え?ごっつぁん見えてたんか?」

「うん、裕ちゃんの心臓が止まった時ごとーたちの近くで
 悲しそうな顔をしてたから裕ちゃんの友達かと思ってた」

「あ〜そういや〜矢口の様子を見て心配してたからな〜」
174 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時49分41秒
「じゃあ、いたらスグ分かるよな?話は出来るん?」

「ん?たぶん出来ると思うよ
 相手が波長を合わせてくれたらだけど」

「何気に凄いなごっつぁんって・・・」

「ホント凄いね、でも後藤のお陰で市井も少し霊感強くなったよ
 見えないけど気配は感じるもん」

「なんや、ラブラブやと霊感もうつるんかいな?」

「なに言ってんの〜もぉ〜〜」

お?珍しい・・ごっつぁんが照れとるわ。

って、そんなことはええねん!


「よっしゃ、ほな行くで」

面会時間も既に過ぎていたので
ウチら3人は夜間入口から病院内に入っていった。
175 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時53分55秒
「うわっやっぱ夜の病院って何か怖いね〜」

気配を感じてるのか、紗耶香が身震いしている。

「あはっ!たくさんいすぎて大変だ」

全然、大変そうやないんですけど・・。

「ごっつぁん・・なんでそんな余裕なん?」

それぞれが小さな声で呟きながら病院内を進む。


すると何となく見たことのある場所に出てきた。

「ここは・・・」

自分の本体を捜して辿り着いたときと同じように
ICUと書かれた部屋が目に入ってきた。
176 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)02時57分27秒
「裕ちゃんと最後に会ったところだね」

紗耶香がポツリと呟く。


「あ・・あの人・・・」

ごっつぁんの動きが止まった。

「え?あっちゃんか?」

「多分そうだと思う・・あんな頭の人って生きてる人でも滅多に見ないし」

「確かにな・・で?ウチらに気付いてるん?」

「ん〜?・・・あ、いま気付いたみたい
 嬉しそうに裕ちゃんのこと見てるよ」
177 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時01分16秒
「話・・出来そうか?」

「ちょっと待ってね・・・」

そう言ったまま、ごっつぁんはその場で蝋人形のように固まった。


「なぁ紗耶香・・アンタがウチの立場やったら
 同じように別人になってでも、ごっつぁんの元に戻ろうとしたか?」

「ん〜どうかな・・後藤となら死ぬ間際まで話せるだろうから
 言いたいこと全部言ってサヨナラ出来ると思うけど
 やっぱアイツを残して逝くのはイヤだとは思うだろうね」

「そうか・・ウチもごっつぁんに気付いてもらってたら
 中澤裕子のまま死ぬことが出来たかもしれへんなあ・・・」
178 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時07分02秒
そんなことを話しているうちに、蝋人形だったごっつぁんが動き出した。

「裕ちゃん、稲葉さん来てくれたよ」

「え?どこ?」

「アンタの目の前におるやんかって言ってるよ」

その後ごっつぁんは
“面倒だから稲葉さんが話したことだけ喋るからね”と言った。


「あ、ホンマに?久しぶりやね〜あっちゃん」

実際は見えてないけど、ごっつぁんに言われた方向を向いて話しかける。

『どこ見て言うとんねん!まぁええわ・・
 で、なに?酒でも飲みにきたんか?』
179 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時13分05秒
「ちゃうがな!っていうか、ごっつぁんの関西弁おかしいで・・・
 じゃなくて、あっちゃんに聞きたいことがあるんよ」

『それにしても裕ちゃん、自分バレるの早かったな〜
 ここに連れてきたっちゅ〜ことは2人とも正体知ってんのやろ?』

「そうやねん・・でもウチ消滅してないやんか?それは何で?」

『なんや、うちの話聞いてなかったんかいな?』

「いや、聞いてたで・・聞いてたから確かめに来たんや」

『確かに正体がバレたら消滅する言うたけど、それはバレたときに
 1人でも信じられへんっちゅ〜やつがおったらってことやで?
 あとは裕ちゃんが自らバラしたりした時とかな』

「それ・・聞いたような気ぃする・・・」
180 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時17分20秒
『肝心なとこ忘れてどうすんねんな!
 それに、この2人は裕ちゃんがバラす前に気付いたんやろ?』

「そうやけど・・・」

『したら信じてないわけないやんか』

「あ・・そうか」

『まぁ・・ここまで付きおうてくれるような娘たちなら
 周りに言いふらすこともないやろうから
 あとは他の人にバレへんように気ぃ付ければええんやない?』

「せやね・・でも、もういっぺんあっちゃんと話せて良かったわ
 次に会うときこそ飲もうな〜」
181 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時21分09秒
『何十年後かになること祈ってるわ』

そう言われて、もう一度あっちゃんがいると思われる方向を向いて笑いかける。

「ありがとう・・あっちゃん」

『せやから向いてる方向、違うっちゅ〜の!
 ま、頑張りや・・アンタの大事な娘のためにも』


「あ、消えちゃった・・・」

「ごっつぁん、ありがとうな・・・」
182 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時26分39秒
「とりあえず、裕ちゃんが暴走しなければ安心みたいだね
 それが一番心配なんだけど・・・」

それまで、ウチとごっつぁんの奇妙なやりとりを黙って見ていた紗耶香が
軽く溜息をつきながら言った。

「そうだね〜モーニングの中でだったら
 ごとーが止めてあげられるけど〜」

ごっつぁんが笑いながら紗耶香に続く。

「アンタら何気に失礼やないか?これでも中身は大人なんやで!
 自分の暴走くらい止められるっちゅ〜ねん」


「ふ〜ん・・じゃあ、明日からも石川の相手がんばってね」

「う゛・・・」
183 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時30分16秒
「後藤、ホントに裕ちゃんヤバイかもよ・・
 市井は止めることも出来なくなったし、頼むよマジで」

「うん、梨華ちゃんに泣かれない程度に頑張る〜」

「す、すまんな・・ごっつぁん」


「よし、じゃあ本当に帰ろうか?」

「せやな、今日のお礼に夕飯はウチのおごりや!」

「やった〜ごとー焼き肉食べたい〜」
184 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時35分09秒
「え〜?今日は市井の卒業式だったんだぞ!
 祝いと言えば寿司だろ寿司」

「あはっそうだね、裕ちゃんのせいで忘れてたけど
 今日はいち〜ちゃんの卒業式だったんだ」

「ウチのせいって何やねん!アンタらが気付くのが悪いんやろー!
 まあええわ、ほな寿司食べに行こか」

「「わ〜い、ありがとう裕ちゃん」」

「はいはい・・・」

回る寿司じゃアカンやろか・・・。


そんなことを気にしながらも、疑問に答えてくれたあっちゃんと
秘密を知っても協力してくれる2人に心の中で感謝して病院を後にした。
185 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時35分45秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
186 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時39分51秒
紗耶香の卒業式から数日が経った。

そして今、ウチはモ〜レツに感動している。

なんと!紗耶香が抜けたプッチモニの新メンバーとして
ウチが入ることになったんや!


中澤裕子では永遠に叶えられなかったであろう、夢のプッチモニメンバー。

嬉しすぎるで・・圭坊がおるのが恐怖やけどな。


そして、その他にも彩っぺが抜けてずっと2人だったたんぽぽに
石川と加護が入り、モー娘。内のユニットも活発に動き始めた。
187 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時46分12秒
ユニットでの活動が頻繁になってきたため
自然とごっつぁんとも一緒にいる時間が長くなり
ウチの正体を知っているということもあって
昔では考えられないくらい色々な話をするようになっていた。


それでも、ごっつあんは仕事中はいつも通りマイペースで
楽屋では寝てたりもするんやけど、吉澤ひとみとも付かず離れずの
スタンスを保っている。

そして仕事が終わると今まで紗耶香に言ってたみたいに
その日に言えなかったことや仕事の悩みを中澤裕子に相談する
といった感じで完璧に分けて付き合ってくれている。


ウチより一回りも下やのに、ホンマよう出来た娘やわ〜。
188 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時51分11秒
その反面、矢口との距離は広がるばかりで・・・。

お陰で暴走出来ひんからバレる心配もないんやけどね。


でも何か最近、矢口不足で調子が今ひとつなんよね〜。

は〜矢口に会いたいな〜。
今日も別々の仕事で会えへんし・・・。

たまたま早く仕事が終わって、楽屋で帰り支度をしながら
そんなことを考えてると楽屋の扉が開いて矢口が入ってきた。

あ!やぐち〜〜〜〜〜〜〜


・・・・・。
189 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)03時56分12秒
また墓穴掘るところやった・・・。

以前と同じく矢口を抱きしめにいきそうな身体をどうにか踏みとどまらせる。


「お疲れさま・・なんか久しぶりだね、よっすぃ〜に会うの」

矢口がいつもの笑顔で近づいてくる。

「あ・・お疲れさまです」

アカン、嬉しすぎて言葉が続かへん・・。

「どうしたの?何か疲れてる?」

無言のまま矢口を見つめるウチを不思議そうに見ている。

ホンマもんの矢口が・・大好きな矢口がすぐ傍におる。
なのに抱きしめることもキスすることも出来ひん・・・。
190 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)04時01分54秒
もう正体バラすか?
そしたら矢口を抱きしめられる・・?

無理やな・・矢口の傍にもおれんようになるんやで・・・。


「よっすぃ〜?」

微動だにしないウチを矢口が心配そうに覗き込む。


アカン・・そんな近くにこんといて・・・

自分を止められんくなるから・・・。
191 名前:turning point 投稿日:2002年10月01日(火)04時06分46秒
暴走しそうな身体を止めようとする心とは裏腹に
ウチの左手は勝手に矢口の頬に伸び、手のひらを押しあて
指で耳朶をなぞり始める・・・。


一瞬ビクッと矢口の身体が揺れたけど
矢口は逃げることなく、頬にある手に自分の手を重ねウチを見上げた。

その切なそうな表情に釘付けになる。


ヤバイ・・今ならまだ引き返せる・・・。

頭の中で警告音が鳴り響く。

しかしその警告音は、矢口が瞳を閉じた瞬間に消え去っていき
ウチは矢口の唇に引き寄せられるように自分の唇を近づけていった。
192 名前:たむ 投稿日:2002年10月01日(火)04時08分54秒
っちゅ〜わけで、更新終了です。

書いてる自分も何気に複雑(w
193 名前:たむ 投稿日:2002年10月01日(火)04時14分10秒
全然関係ないですけど、来週はミニモニが河童なんですよね。

分かる人にしか分からない?(w
194 名前:たむ 投稿日:2002年10月01日(火)04時15分59秒
あ、今週か・・・。

とりあえず、またの更新まで。
195 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月01日(火)20時28分56秒
おお!とうとう暴走したんですね!!
196 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年10月03日(木)02時31分32秒
暴走しましたね(w
この後の展開がすごく気になる!
197 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月04日(金)05時31分36秒
暴走待ってました!!
198 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月06日(日)05時21分59秒
やっと見つけました!!たむさんの小説に出会えたぁ。
ほんとによかったです。
前のスレから一気に読みました。やっぱいいですねぇ〜♪やぐちゅー。
私もこの後の展開、大期待です!
がんばってくださいね。
199 名前:たむ 投稿日:2002年10月07日(月)01時18分20秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
はい!我慢できずに暴走しちゃいました(w
やっぱ裕ちゃんには暴走が似合うと思いません?(聞くな?)

≫セーラムさま
やっちゃいました(w
まぁ・・暴走しすぎるのも善し悪しですが(w

≫名無し読者さま
焦らせすぎましたかっ(w

≫ゆちぃさま
やっと見つけてもらえた!(w
前スレから読んでいただけたなんて超嬉すぃ〜。
寝不足になってませんか?もしや貴方も明け方人間?(w
今の話は、やぐちゅー好きには複雑な心境だと思いますが
また暇なときに読んで頂けたら幸せです!


ようやく明け方人間に戻れた・・ってことで更新です。
200 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時23分13秒
矢口の唇に触れた瞬間
電気が走ったみたいに痺れた感覚が全身を覆う。

こうしてずっと触れたかったんや・・矢口・・・。


離したくない・・そんな思いで息をつくのも惜しいくらいに
角度を変えながら何度も何度も繰り返す。

そのうち息苦しくなったのか、矢口の唇が薄く開き始めた。

そっと下唇を舐めたあと舌を滑り込ませる・・・。
201 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時28分14秒
「ん・・んんっ」

その瞬間、重ねられていた矢口の手に力が入り
反対側の手で思いっきり押し返され唇も身体も離れてしまった。

矢口は真っ赤な顔をしながらも
上目づかいでウチを睨み付けるように立っている。


「お疲れ〜矢口!あ、吉澤もいたんだ?
 でも2人ともそこに突っ立って何してんの?」

何も言えずに2人向かい合ったまま固まっていると
圭織が他のタンポポメンバーと楽屋に入ってきた。

「あ・・ちょっとフリで分からないトコがあったんで教えてもらってたんです」
202 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時32分10秒
矢口の顔を見れば、そんな訳ないやろって感じやけど
まだ頭が真っ白だったウチはそういう理由しか思い浮かばんかった。

「そうなんだ?それよりプッチの残りは?」

でも圭織は疑う様子もなく話を続けた。

良かった・・入ってきたのが圭織たちで・・・。

「あ〜もうすぐ来ると思いますよ」


そうやってウチと圭織が話している間に
いつの間にか矢口は部屋の奥に行き、帰り支度を始めていた。

こっちに背を向けてるから表情見えへんのやけど
怒ってるんやろうな〜矢口・・・。
203 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時35分52秒
ちょっと怖いけど謝っといた方がええよな・・・。
そう思い、矢口の後ろまで行って声をかけようとしたとき・・。

「ひとみちゃん」

石川がにこやかにウチの後ろに立っていた。

なんや石川、邪魔すんなや!

・・なんて口が裂けても言えへんけど。


「あ、なに?梨華ちゃん」

「ひとみちゃん、今から何か予定ある?」

「え?予定?特にないけど・・」

「じゃあさ〜あの約束・・・」
204 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時41分26秒
「約束・・?あぁ、梨華ちゃんちに行くってやつ?」

「うん、仕事も早く終わったし久しぶりに会えたから・・・
 今日じゃ・・だめかな?」

そう言ってウチの手を取り上目遣いに聞いてくる。


うぅ・・こいつ、ウチがその顔に弱いって分かっててやってるやろ?
紗耶香の卒業式の日にドタキャンしたんやから断れるわけないやんか・・・。


「ううん・・この前ドタキャンしちゃったし
 梨華ちゃんさえ良ければ・・寄らせてもらうよ」

ウチが石川にそう言ったのと同時に
矢口が普通に“お疲れさま〜”と言って楽屋を出ていった。
205 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時44分41秒
アカン、矢口に謝ってないやんけ!

「ゴメン梨華ちゃん、ちょっと待ってて」

そう言って矢口の後を追った。


「矢口さん」

廊下を歩く矢口を見つけて呼び止める。

「よっすぃ〜・・・」

振り向いた矢口は怒っても笑ってもない表情でウチを見た。


「矢口さん、すいません」
206 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時48分28秒
「え?なにが?」

「・・アタシ矢口さんに・・・」

「さっきのことなら気にしてないよ
 よっすぃ〜にしてみればいつもの事なんでしょ?
 まさか矢口がされるとは思ってなかったけどさ」

矢口は表情も変えずに淡々とそう言った。


「え・・いつものことって・・・」

「あ〜ごめんごめん
 それより戻らなくていいの?石川待たせてるんでしょ?」
207 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時52分31秒
「そんなことはいいんです、ホントに怒ってないんですか?」

「怒ってないってば!もういいから行きなよ」

「・・やっぱ怒ってるじゃないですか」

「怒ってないって言ってんじゃん!
 よっすぃ〜が誰にでもああいう事するのは分かってるんだから
 怒る理由にもなんないし」


「ちょっと待ってくださいよ
 それじゃあ、まるでアタシが誰かれ構わずキスしてるみたいじゃないですか」

「してるじゃん、新メンバー全員とごっつぁんや圭ちゃんにも」

圭坊にはしてるんやなくて、されてるだけや!
208 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)01時57分22秒
「あれはメンバーへの愛情表現ですよ
 それにメンバーにするなら・・あんな風にはしません・・・」

そう言った後、矢口の顔をまともに見ることが出来ず俯いたウチに
矢口は黙ったままで・・・。


なにも言わない矢口に不安になって顔を上げると
なぜか矢口は下唇を噛んで泣くのを我慢していた。


矢口・・なんで・・・?


矢口が泣きそうになっている理由が解らなくて、かける言葉も見つからない。

黙ったまま矢口を見ていると、とうとう矢口の瞳に涙が滲んできた。
209 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時01分37秒
「お〜い、よっすぃ〜」

2人立ちつくしていた廊下にごっつぁんの声が響く。

「ここにいたんだ〜?梨華ちゃんが捜してたよ」

ごっつぁんがそう言って隣に来たと同時に
今にも泣き出しそうだった矢口がウチを見てポツリと呟いた。

「裕ちゃん・・・」


「「え?」」

思わず、ごっつぁんと声を揃えて聞き返す。

矢口?いま何て・・・?

ごっつぁんと顔を見合わせて、もう一度矢口の方を見る。
210 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時05分26秒
「裕ちゃん・・だって、裕ちゃんにだって
 あんなキスされたことなかったのに・・・よっすぃ〜のバカっ」

矢口は泣きながらそう言うと走っていってしまった。


「あ、矢口・・さん・・・」

突然のことに呆然としたまま矢口の後ろ姿を見送る。


「バカだって・・・」

ごっつぁんがポカンとしたまま呟く。


「そういえばウチ、矢口にも他のメンバーと一緒で
 ふざけた感じの軽いキスしたしたことなかったかも・・・」

思いっきり暴走してて気付かへんかったわ・・・。
211 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時09分22秒
「そうなの?」

ごっつぁんが本気で驚いたように聞き返す。

そんな驚かんでも・・・。

「だって・・嫌われたくなかったし・・・」

「じゃあ、今ので“よっすぃ〜”は完全に嫌われたかもね」

「あ・・・」

どないしよ・・・。


「っていうかぁ〜、ごとーがいないところで何があったのかなぁ〜?」

ごっつぁんがテレビでは決して見せないであろう
極上の笑みを浮かべてウチに迫ってくる。
212 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時13分05秒
「え・・いや・・あの・・・」

ごっつぁん、怖いて・・・。


ごっつぁんの笑顔にビクつきながら、空いてる部屋に入り
楽屋での出来事を全て話した。


「ふ〜ん・・でも、そのお陰でバレずに済んだんだから良かったんじゃない?」

「全然よくないわ!嫌われたかもしれへんいうのに」

今度はウチが泣きそうやっちゅ〜の!


「自業自得じゃん!少しは反省しなよね」
213 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時16分21秒
「はい・・すいません」

なんかホンマに泣きたくなってきたわ・・・。

そんなウチを見て、ごっつぁんが溜息をつく。

「ホント危なっかしいんだから・・・
 またいなくなるようなことしないでよ・・・」

不意にそう言ったごっつぁんも何だか泣きそうになっている。

ごめんな・・心配かけてばっかりで。

「そうやな・・いま吉澤ひとみが消えたら、またメンバーに迷惑かかるもんな」

壁に寄りかかり溜息をつく。
214 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時21分31秒
「あ!だから梨華ちゃんが捜してたんだってば」

ごっつぁんが突然、思いだしたかのように言った。

「あ!そうやった、待たせてるんやったわ
 今から石川んち行くけどごっつぁんも行くか?」

「遠慮しとく〜梨華ちゃんに恨まれたくないし〜
 それに今日はいち〜ちゃんとデートなの〜」

「はいはい・・ええなあラブラブなヤツは・・・」

「じゃあ、先に行くね〜」

いつものヘニャっとした笑顔でそう言って、ごっつぁんは部屋を出ていった。

さて・・石川が泣き出さんうちに楽屋に戻るか・・・。

矢口・・・やっぱ嫌われたかなあ・・・。
今度会ったとき笑ってくれるやろうか・・・。
215 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時22分21秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
216 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時28分03秒
よっすぃ〜の言葉に頭にきて思わず叫んで出てきたけど
なんか恥ずかしいこと言った上に、ごっつぁんもいたような・・・。

それにしても、よっすぃ〜信じられない!
メンバー愛じゃないんなら、あんな事しないでよね!!

楽屋での出来事を思いだし、頬に手を当てる。


手のひらを頬に当てて指で耳朶をなぞる・・・
それは昔から裕ちゃんが矢口によくやってたこと。

裕ちゃんは“矢口のほっぺと耳朶の感触が好き”って事ある毎に触ってた。

性格や行動が似てるとはいえ
そんなところまで似てるなんて事あるのかな・・・。
217 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時33分00秒
裕ちゃんは会えない期間が長かったときとか
矢口を見た瞬間に抱きついてきて、ほっぺと耳朶を触ったりしてた。

そういうときは、そのままキスまでされてたけど
でもそれは軽く触れるだけのキスだったし・・・。


よっすぃ〜の手が頬に触れて、耳朶をなぞられたとき
ビックリしたけどイヤじゃなかった・・・。

胸がギュッっと苦しくなって、でもずっと触れて欲しいとも思った。

裕ちゃん以外の人にあんな風に触られて
胸が苦しくなったことなんてなかったのに・・・。


なんであのとき目を閉じちゃったんだろう?
218 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時37分38秒
裕ちゃんのこと思いだしてたから?
よっすぃ〜の表情があまりにも切なそうだったから?

だからって・・あんな所であんなキスしなくてもいいじゃんか!

確かに裕ちゃんにさえもされたことないキスだったけど
でも・・ホントは全然イヤじゃなかったんだ。

押し返したのは、あのまま立っていられる自信がなかったからで・・・。


裕ちゃん・・矢口どうすればいい?

よっすぃ〜のこと好きになってもいいのかな?

でもまだ裕ちゃんのこと完全に吹っ切れた訳じゃないし
よっすぃ〜を裕ちゃんに重ねて見てしまうことだってある・・・。

これじゃあ、2人の間をフラフラしてる人みたいじゃん矢口・・・。

そんなことを思いつつ、何となくスッキリしないまま家路についた。
219 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時38分43秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
220 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時42分09秒
あの楽屋での出来事から数日後、ようやくメンバー全員での仕事があり
矢口とも顔を合わせることになった。

いつもの如く一番乗りで楽屋に着く。


「矢口、まだ怒ってるかなぁ・・・」

矢口の反応を予想して少々ビビりながら独り言を呟く。
それと同時にドアが開いた。


「・・・おはよう、よっすぃ〜」

入ってきたのは、もちろん矢口。

ちょっと間があったけど、いつもの笑顔で挨拶してくれた。
221 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時46分17秒
「おはようございます・・・」

全然、気にしてないんかな?


「あの〜矢口さん・・・?」

「ん?あ〜、この前のことならもう気にしてないから」

謝ろうと思ったのに先に言われてしもた。


相変わらず優しいんやな、矢口は。

「で、でも・・・」
222 名前:turning point 投稿日:2002年10月07日(月)02時49分44秒
「いまからツアーも始まるし、お互いスッキリしてライブに臨みたいじゃん?
 だから、もう気にしないでライブ頑張ろうよ」


そういえば、新メンバーが入ってから初のツアーが始まるんやったな。


「はい・・分かりました、ツアー全力で頑張ります!」

「それでこそ男前よっすぃ〜!お互い頑張ろうね」


そして数日後、モーニング娘。の吉澤ひとみとして
初の全国ツアーが幕を開けた。
223 名前:たむ 投稿日:2002年10月07日(月)02時51分28秒
てなわけで、更新終了です。

やっぱ暴走しすぎはあきまへんなぁ(w
224 名前:たむ 投稿日:2002年10月07日(月)02時53分37秒
今までタイムリーに見れていたハロモニが来週から一週遅れ・・・。

あまりにも酷い仕打ちに涙・涙。
225 名前:たむ 投稿日:2002年10月07日(月)02時57分11秒
悔しいので、今週は多めに更新してやるー!(予定)

それでは、またの更新まで。
226 名前:皆瀬 投稿日:2002年10月07日(月)10時46分33秒
いつも読ませていただいてます。
たむさんの裕ちゃんすっごくいい!今後に期待です〜
私の地域も1週遅れになってしまいました(涙)
(T▽T)<人間ってかなしいね・・・・
从#T∀T#从<T○Qのアホー!!
227 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月08日(火)00時41分14秒
読みましたぁ〜!!やっぱせつないっ!
胸がぎゅぅぅ〜っと…。でも、私はこ〜ゆ〜の好きですよ(爆)
え〜っと、休み前は完全な明け方人間です。よろしく(笑)
228 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月08日(火)12時10分01秒
矢口がとうとう、よっすぃ〜のコトで気持ちが揺らぎ始めたようですね。
でもまだ2人の間にはいろいろ障害が多そう・・・。
矢口は裕ちゃんのコトを吹っ切れるのかな?
よっすぃ〜は梨華ちゃんと圭ちゃんを振り切れるのかな?(w
229 名前:たむ 投稿日:2002年10月10日(木)01時09分25秒
≫皆瀬さま
ここの裕ちゃんイイっすか?
こんなヘタレで良ければ可愛がってやってください(w
レスの最後に作者が言いたかった事を叫んでくれた裕ちゃんに感謝です(w

≫ゆちぃさま
好きだなんて・・そんなぁ〜(勘違
こんな話で良ければ、これからも読んでやってください。
自分は毎日のように明け方人間してます。よろしく(w

読んでる人@ヤグヲタさま
ええ、まだまだ障害は盛りだくさんです(多分
どちらかといえば、振り切る方が難しいかと(w


一週遅れの悔しさをバネに更新です(w
230 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時14分35秒
なんでやねん・・なんでこうなんねん・・・。

ツアー先のホテルで、ウチは1人たたずんでいた。


なんで矢口と一緒の部屋やねん・・・。

そりゃ〜確かに矢口は教育係やし、嬉しくないと言えば嘘になるけど。
でも、いまのウチには拷問としか言いようがないやんか。


朝から晩まで一緒に行動して、寝る部屋まで一緒やで?

ウチが我慢出来ると思うか?


・・・威張って言うことちゃうな。
231 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時18分21秒
ごっつぁんと一緒の部屋にしてもらえんかな〜。

ちょっと、ごっつぁんに言うてみよ・・・。


ごっつぁんを捜し出し呼び止める。

「後藤さん」

「んぁ?なに、よっすぃ〜」

「ちょっと・・・」

そう言って自分の部屋に連れていった。


「なに?ど〜したの?」
232 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時24分18秒
「なぁ今日の部屋、矢口と替わってくれへん?」

「へ?あ〜裕ちゃん今日、やぐっつぁんと一緒の部屋なんだ?」

「そうやねん、ウチ普通でいられる自信ないんよ・・・」

そう言ったウチを見て、ごっつぁんが納得したように頷いた。


「う〜ん・・ごとーはいいけど〜、やぐっつぁんには何て言うの?」

「え?」

「だって部屋割りのことは、もうみんな知ってるのに
 今さら替えてなんて言ったら変に思われるよ?」

「あ・・そうか」
233 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時28分18秒
「それにさ〜、これからずっと避け続けるなんて無理だし
 裕ちゃんの精神鍛錬のためにも良い訓練になるんじゃない?」

「あんた・・それが年上に向かって言うことかいな?」

「だって裕ちゃん、ごとーより子供なんだもん」

ごっつぁんのさらりと言った言葉がサックリと胸に刺さる。


「あはっゴメンね、言い過ぎた?」

「もうええわ・・そうやな、ごっつぁんの言う通り
 これから先も避けては通れん道やんな・・・」
234 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時34分18秒
「そうだよ・・ここを乗り越えたら、もう大丈夫だよきっと!
 でも、あまり2人きりにならないようにライブ終わったら
 あいぼんとか連れて部屋に遊びに行くよ。
 それに、たぶん梨華ちゃんも遊びに行くと思うし〜」

「せやな、ホントに寝るときだけ2人きりになるくらいなら
 ウチも暴走せんで済むやろう・・すまんな〜ごっつぁん、迷惑かけるな〜」

「なに言ってんの〜、ごとーも裕ちゃんにはいつもフォローしてもらってるし
 好きな人と一緒の部屋なんて暴走しない方がおかしいじゃん!」


「ん?ってことは、ごっつぁんも紗耶香がいた時はいつも・・・?」

「いや〜ん、な〜に言ってんのぉもう〜」
235 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時37分35秒
照れたかと思ったら背中を思いっきり叩かれた。

マジ痛いて、ごっつぁん・・・。
あんた見かけによらず力あるんやから手加減せえよ・・・。


「よし、ほな行こか」

「うん、ライブ頑張ろうね〜」


これでウチもまだまだ安泰や・・・ごっつぁんの協力を得られることになって
安心しきったウチは、そんなことを思いつつ部屋を出た。


でも、世の中そんなに甘くなかったんよね〜・・・。
236 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時42分54秒
なんでやねん・・なんでこうなんねん・・・。

ウチはホテルに入った時と同じように(今度は部屋の中で)
1人たたずんでいた。


大事なことを忘れとった・・・。


ごっつぁんは疲れても疲れてなくても寝る子やったんや・・・。

そう・・夜にウチと矢口が2人きりにならないように
加護たちを連れて遊びに来てくれると言っていた本人が
加護をもほったらかして爆睡するくらい寝る子やったって事を
ウチは思いっきり忘れてた。

そのお陰で絶対に来るだろうと思っていた石川が
ちびっ子たちに捕まり、ウチの部屋にも来れない状態なんて・・・。
237 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時47分08秒
まんまと、この部屋に矢口と2人きり。

でも矢口は矢口で、なっちや圭坊の部屋に遊びに行くだろうと
少しは安心していたのに・・・。


なのに矢口は、初日だったし明日もあるからと言って
部屋を出ることなく今シャワーを浴びている。

そんなん言われたら、今さら他の部屋に遊びに行くことも出来ひんやん。


どないしよ・・ウチ今日寝られるかな・・・。

矢口はもう寝るだけやろうから問題ないけど。
ウチが問題ありありやねん!
238 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時52分13秒
今までツアーで矢口と同じ部屋なんてなったことなかったしな〜。


はぁ・・とにかく矢口がシャワー浴び終わったら
ウチもシャワー浴びてスグ寝よ。

そう決意して、矢口が出てきたと同時に浴室に入る。


しかし、そんなウチの葛藤を知る由もなく
出てきた時には既に矢口はベッドに潜り込んでいた。

疲れてるんやろな・・こんなちっこい身体であんなに元気いっぱい
動き回ってるんやから当たり前か・・・。

そんな風に思うと、不安だった気持ちもなくなり
ウチもベッドに潜り込み眠れそうな感じになっていた。
239 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)01時56分47秒
「よっすぃ〜・・もう寝た?」

そしてウトウトしかかっていたとき
ふと矢口の声が聞こえてきて意識が引き戻される。

「いえ・・寝てないですよ、どうかしたんですか?」

「うん・・なんか眠れなくてさ」

「眠れない?じゃあ、添い寝でもしましょうか?」

アホか〜ウチは。
せっかく穏やかな気持ちになってんのに自分から突き崩してどうすんねんな。


「なに言ってんの・・やっぱオヤジだね、よっすぃ〜は。
 添い寝はいいから眠れるまで少し話してもいい?」

矢口が笑いながら言う。
240 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時01分10秒
「もちろんですよ、なんでも話してください」

チッ・・添い寝はいらんのかい!


「あのさ〜、よっすぃ〜って子供の頃どんな感じだったの?」

「へ?子供の頃・・ですか?」

なんやねん子供の頃って・・ウチ、ひとみの子供の頃なんて詳しく知らんで・・・。

「え〜と、いまと大して変わりなかったと思います」

たぶんな・・・。


「え〜?いまと変わりないって、そんな落ち着いた子供いたら
 ちょっと怖いよ〜」
241 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時03分55秒
「いまでもそんな落ち着いてないですよ、オヤジですしね〜」

「自分で言うなよ〜」

矢口がおかしそうにクスクス笑う。


「でも、なんで子供の頃のことなんて・・・?」

「え?なんとなくだけど・・・」

「なんとなく・・ですか」


ま、ウチは矢口の事なら何でも知ってるから
子供の頃のことも聞かんでも分かるけどな〜〜。

そんなことを思っていたら、矢口がポツリと呟いた。
242 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時08分46秒
「よっすぃ〜って、矢口に興味ないの?」

「はい?」

なんやの急に?


「・・だって普通さ、自分の子供の頃の事とか聞かれたら逆に興味持たない?
 矢口の子供の頃はどんなだったのかな〜って・・・」

あぁ、そうか・・そうやな。
ウチは吉澤ひとみなんやった・・・。


「あります、すっごい興味ありますよ・・今の矢口さんに」

今でも子供みたいやもんな、矢口は。
243 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時11分56秒
「え?」

短く言葉を発し、矢口はなぜか顔を赤くして固まっていた。


「だってアタシはモーニングに入る前から矢口さんのファンだったんですよ?」

「あぁ・・そうだったね」

「そうですよ〜、矢口さんカワイイし元気いっぱいだし
 小動物みたいだし・・・」

あ、アカン・・言うてもうた・・・。


「あん?いま何て言った?」

矢口がガバッと起きあがって、こっちを睨んできた。
244 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時15分25秒
「いや・・カワイイし元気いっぱいだしって・・・」

ウチは矢口の顔を見ないように布団を被り答える。

「そ〜の〜あ〜と!」

いつの間にか矢口が腕組みをしてウチのベッドの側に立っていた。


「・・小・・動物・・みたいだし・・・」

そう言った瞬間、矢口がウチの上に飛び乗ってきた。


「こら〜!それが年上に対して言うことか〜?」

矢口はウチに跨り枕で攻撃してくる。
245 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時19分37秒
「すいません、矢口さん・・でもホントの事だし」

「なんだと〜まだ言うかぁ〜」


痛いて矢口、ちょっと・・いやかなり本気入ってるやろ?

「ちょ・・矢口さん痛いですってマジで」

そう言いながら、布団から顔と腕を出し矢口の両腕を掴むと矢口の動きが止まった。

そんな矢口と目が合って、ウチの動きも止まる。


ヤバイ・・・。


でも、下で良かった・・・。
246 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時23分05秒
これならウチが矢口を抱き寄せない限り、何も起こらへんもんな。

もう少ししたら矢口もどいてくれるやろ。


そしてウチの予想通り、先に動いたのは矢口やった。

視線を逸らし腕の力を抜いて枕を放したから
どくんやろう思てウチも腕を放してホッと息をついた。


しかし、世の中やっぱり甘くないんやね・・・。


「痛かった?ごめんね」
247 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時26分13秒
そう言って矢口はウチの唇にチュッとキスをしてベッドから降りていった。

そして呆然とするウチに向かって極上の笑みを浮かべ、もう一言。

「この間の仕返し!」


かわいいやないか・・・。

呆然としながらも、ぼんやりと思う。

やっぱり・・上やなくて良かった・・・。


この矢口の予測不可能な行動のお陰で、その夜は当初の予定通り
眠れなくなったのは言うまでもない。
248 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時27分26秒
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249 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時35分20秒
ツアー初日にあんな事があったお陰で、逆にウチも吹っ切れて
矢口と普通に接することが出来るようになった。


そして矢口は矢口で、ウチに対して妙に余裕を見せるようになっていた。


初日と逆でウチが眠れないと言えば“矢口が添い寝してあげる”とか
言うてくるし(もちろん涙を飲んでお断りしてるけどな)
メンバーがいるときでもお構いなしに抱きついてきたりする。


矢口は何の反応も出来ずに固まっているウチを見て
楽しんでるみたいや。


その度に泣きそうな石川の視線を受け
フォローすれば圭坊の突き刺さるような視線を浴びる。
250 名前:turning point 投稿日:2002年10月10日(木)02時38分49秒
ウチって女難の相が出てるんかな・・・。


それでも暴走しないようにグッと耐えて我慢して
見えないところでごっつぁんに“偉いね〜”と頭を撫でられたり・・・。

ウチいくつやねん、ホンマ・・・。


それでも、そんな平和な日々が居心地良かったりもするんやけど。

しかし、そういう日々はそう長くは続かないもので・・・。
251 名前:たむ 投稿日:2002年10月10日(木)02時40分52秒
ってなわけで、更新終了です。

本日のテーマは「嵐の前の静けさ」みたいな(w
252 名前:たむ 投稿日:2002年10月10日(木)02時44分12秒
まぁ大した嵐は吹かないと思いますが(ヲイ

今週は悔しさからくる多めの更新(予定)なので
出来れば今週中にもう一回。
253 名前:たむ 投稿日:2002年10月10日(木)02時45分26秒
それでは、またの更新まで。
254 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月10日(木)02時47分06秒
おつかれさまでっす!!
今回はリアルタ〜イム♪で、かなりはっぴぃ〜でした。
ねばったかいがあった!?次もかなりの期待で待ってます。
がんばっちゃってくださいねぇ〜!!
255 名前:つかさ 投稿日:2002年10月10日(木)03時08分15秒
初レスですっっ(今更? 笑)
いや、思わず。
すげ〜、ドキドキしてますっっ。
ってか・・・・・・この妙な緊張感は何なんだってな感じで。
いいっすね〜〜。
期待して続き、めちゃめちゃ待ってます。

暴走姐さん・・・・大好きです(最後にぼそりと呟いてみたり 笑)
256 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月10日(木)04時22分51秒
もう最高〜♪です。
言葉がありません。嵐・・・大いに期待!!(w
裕子頑張れ!

>つかささん
見っけ。つかささんの大ファンでもありまして・・・そろそろ更新なんぞは・・・していただけないでしょうか?(w
ひらにお願い申し上げます。m(._.)m

すいません作者さま・・・ちょっとこの場をお借りしました。m(._.)m

257 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年10月10日(木)12時27分39秒
たむさん!おもしれ〜ッスよ
頑張って!

 たまにウチの矢口さんが脱走してそちらにいくと思いますが・・
258 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月10日(木)14時53分34秒
次回、何が起こるんですかね〜ワクワクドキドキ
期待しちゃいます。
259 名前:たむ 投稿日:2002年10月12日(土)01時52分58秒
≫ゆちぃさま
リアルタイムですと?ありがとうござます。
何時間かかっても良いように夜中の更新を主としてるので(w
そんなスローリーな更新にリアルタイムという言葉は嬉しすぎです。

≫つかささま
どわっっっっ!つつつつつかささんや(壊れた)
レス頂けるなんて・・ありがとうございます。
自分は、つかささんのお話でやぐちゅーの深みにハマったんで
いま気絶しそうなくらい嬉しいです(w
ありがとう・・は●たいら(違

自分は、つかささんが書く暴走裕ちゃん大好っき〜(w

≫名無し読者さま
ありがとうございます。嵐は徐々に強くなることでしょう。
つかささんへのレスは(自分も大ファンなので)気になさらずに(w
きっと山ほど書きためてズバッと載せてくれるハズです!(希望

≫セーラムさま
うぉ!シンプルかつ最高の誉め言葉、頂きましたぁ。
セーラムさんに誉められると更新量が増えちゃうんだよな〜(w
矢口さん、こちらで確保しときま〜す(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
期待されちゃった(w
そんなビックリするほどの事は起きません(w
ちょっぴりトーンダウンはしますけど・・・。
260 名前:たむ 投稿日:2002年10月12日(土)01時55分39秒
ちょいと壊れ気味なテンションですが、本編はテンション低くなります(w

んじゃ、今日も更新がんばるのだ〜。
261 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時00分17秒
「矢口・・・」

名前を呼ぶ聞き慣れた声に目を開けると矢口は部屋の中に立っていた。


「裕ちゃん?裕ちゃんなの?」

声のする方に目を向けると・・そこには、会いたくて会いたくて
でも会えなかった大好きな人が立っていた。


「やぐちぃ・・・」

裕ちゃんが寂しそうに矢口の名前を呼ぶ。

「裕ちゃん・・会いたかった、会いたかったよ」

スグにでも駆け寄って、抱きしめてもらいたいのに
矢口の身体は金縛りにあったみたいに動かない。
262 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時04分24秒
「矢口・・なんでウチと一緒に来てくれんかったん?」

裕ちゃんが悲しそうな表情で近づいてくる。

「え?」

「なんでウチと一緒に来てくれんかったんや?」

裕ちゃんが繰り返すようにもう一度そう言った。


「そんな・・矢口だって・・・
 出来ることなら、あのとき裕ちゃんと一緒にいきたかった・・
 ずっと裕ちゃんに謝りたかったんだ・・矢口のせいで・・ゴメンね
 裕ちゃんゴメンね・・・」

堪えきれずに涙が頬を伝って落ちていく。


「やぐちぃ寂しいよぉ・・ウチと一緒に来てぇや・・・」
263 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時08分37秒
「裕ちゃん・・矢口も・・一緒にいきたい・・・」

涙で裕ちゃんの顔がグニャリと歪む。


すると、そんな矢口を見て裕ちゃんがいつもの曖昧な笑みを浮かべた。

「・・裕ちゃん?」


「待ってるから・・矢口が来るまで・・・」

そう言いながら裕ちゃんは矢口に触れることもなく
背中を向けて暗闇の方へ歩き始めた。


「いやだ・・いやだよ裕ちゃん、もう置いてかないでよ
 矢口も一緒にいくから・・・ねえ裕ちゃん、裕ちゃんっ」
264 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時12分39秒
ウチを呼ぶ声が聞こえたような気がして目を覚ました。

尋常ではない叫び声にルームランプをつけ隣のベッドに目をやると
眠っているハズの矢口の瞳から止めどなく涙が溢れている。


大丈夫かな・・・心配になって矢口を起こした。

「矢口さん、矢口さん」

身体を揺すって名前を呼ぶと、少しして矢口が目を開けた。

「・・・よっすぃ〜?」

意識が完全に戻ってないみたいで、不思議そうにウチを見る。


「大丈夫ですか?なんか・・うなされてましたよ、スゴく・・・」
265 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時16分32秒
「裕ちゃんが・・・」

へ?ウチ?ウチが何かしたんか?

「中澤・・さん?」


「裕ちゃんが・・寂しいって・・一緒に来てって
 悲しそうな顔をして矢口に言ったんだ・・・」

はぁ?ウチそんなん言うてへんで?

「でも夢だったんでしょ?」

「夢・・なのかな・・・
 矢口は裕ちゃんに会えてスゴく嬉しかったのに
 裕ちゃんはスゴく悲しそうな顔をしてた・・・」

・・・どういうことなんや?
266 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時21分24秒
「矢口、裕ちゃんに謝りたくて・・ずっと謝りたくて・・・
 ようやく会いに来てくれたと思ったのに、また矢口を置いて行っちゃった・・・」


もしかして・・矢口のウチに対する罪悪感が夢になって出てきてんのか?


「矢口も行かなきゃ・・・」

「え?ちょ、ちょっと矢口さんドコ行くんですか?」

いきなり起きあがってドアへと向かう矢口の腕を慌てて掴む。

「裕ちゃんとこ・・もう裕ちゃんに寂しい思いさせたくないの」


せやからウチは寂しい思いなんかしてへんって!

あ〜もう、どうしたらええんや!!
267 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時27分01秒
「夢なんでしょ?
 それに中澤さんが本気でそんなこと言うと思ってるんですか?」

「でも、裕ちゃんが寂しいって・・一緒に来てって・・
 やっと矢口のとこに来てくれたんだよ?
 矢口だって出来るなら裕ちゃんのとこに行きたい・・・」

止まっていた涙が再び矢口の頬を流れ落ちる。


もうアカン・・矢口・・気付かんとってな・・・。

掴んでいた腕を引き寄せ、泣いている矢口を包み込むように抱きしめる。

矢口は、ただじっとウチの胸で声を押し殺して泣いた。


まさか矢口がこれほどまでにウチに対して負い目を感じているとは思わへんかった。


ウチはどうすればええんや?
268 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時32分06秒
正体をバラして矢口を安心させるのは簡単や。

でも・・そうすればまた矢口を置いていくことになる。

どうする?時間が解決してくれるのを待つか?
もしかしたら、明日はもうこんな夢も見んかもしれんし・・・。

でも・・もし今みたいな状態が毎日でも続いたら・・・?


とにかく・・明日もライブがあるんや、ごちゃごちゃ考えてる場合やない。

今日は無理にでも寝てもらわんと・・・。


「矢口さん・・とりあえず横になってください
 明日もライブがあるんですから・・・」

矢口が少し落ち着いたようだったのでベッドへ促す。
269 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時35分19秒
「うん・・・」

「大丈夫ですよ、アタシが側にいますから」

「ありがと・・よっすぃ〜、どこにも行かないでね?」

横になった矢口が不安そうな表情で言う。

「はい!ずっと矢口さんの側にいます」


ウチの言葉を聞いて安心したのか泣き疲れたのか
矢口はそんな時間も経たないうちに寝息を立て始めた。

ゴメンな、矢口・・もう二度と矢口を置いていかへんから・・・。

そう思いながら矢口の頭をそっと撫でた。
270 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時35分59秒
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271 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時39分34秒
次の日、リハーサルが終わってから
ウチはごっつぁんに昨日のことを相談した。


「ふ〜ん、そんなことがあったんだ〜?」

「うん・・なぁウチどうすればええんかなあ?」

ウチの問いかけに、ごっつぁんが顔をしかめる。


「う〜ん・・・そうだな〜」

「昨日みたいな事が毎日起こるとも限らんのやけどな・・・」

「う〜ん・・・」

ごっつぁんが唸ったまんま動かなくなった。
272 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時43分47秒
なんや?寝たんちゃうやろな?それとも、また霊と話してるん?

疑問に思いながら、ごっつぁんの顔を覗き込む。


「んぁ!」

覗き込んだと同時に、ごっつぁんが動き出した。

「うわっ!ビ、ビックリするやんか」

「そうだよ裕ちゃん!ごとーがいるじゃん」

「は?ごっつぁん?」

「うん、ごとーは霊と話が出来るんだよ?」

「そんなん分かっとるがな、何を今さら・・・」

ごっつぁんの言おうとしていることが解らず
ポカンとしたままごっつぁんを見た。
273 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時49分39秒
「だから〜ごとーが霊と話せる事は〜やぐっつぁんも知ってるの〜」

ごっつぁんが軽く溜息をついて言った。


「・・・あ、そうか!」

「ごとーの言いたいこと解った?」

「解ったで!解ったけど、どうやるん?矢口、信じると思うか?」

「分かんない・・でも、それしか方法がないし・・・
 今日も明日もやぐっつぁんが同じ夢を見てうなされるようなら
 ごとーが部屋を替えてもらって話してみるよ」

「なんか、ごっつぁんにはホンマに迷惑かけてばかりやなあ・・・」

「なに言ってんの?お互い様でしょ?
 それより部屋を替わった場合、裕ちゃんはあいぼんとののちゃんの
 相手をしなきゃいけなくなるんだからね!」

ごっつぁんが悪戯っ子のようにニヘっと笑った。
274 名前:turning point 投稿日:2002年10月12日(土)02時54分53秒
「え〜〜〜〜それはイヤや〜〜」

「ま、梨華ちゃんもいるから大丈夫でしょ?
 なんなら梨華ちゃんと一緒の部屋になったっていいんだし」

そう言われた瞬間、圭坊の顔が頭をよぎる・・・。

「それも・・イヤやな・・・」


「とにかく、今はやぐっつぁんだよ」

「せやな、ほなヨロシク頼むわ・・・」

「うん、任せといて!」

ごっつぁんがおってくれてホンマに良かった・・・。

でも・・矢口・・・信じてくれるやろうか?


自分ではどうすることも出来ない思いをごっつぁんに託して
期待と不安を胸にステージへと向かった。
275 名前:たむ 投稿日:2002年10月12日(土)02時56分22秒
ってなわけで、更新終了です。

なんだか少ない気がするんですけど(w
276 名前:たむ 投稿日:2002年10月12日(土)03時00分16秒
とりあえず、終わりに向かってシリアス(?)路線になってます。

今回は台風で言うところの“風は強いけど雨はまだよ”ってな辺り(解りにくっ)
277 名前:たむ 投稿日:2002年10月12日(土)03時02分12秒
それでは、またの更新まで。
278 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月12日(土)15時33分14秒
前回の雰囲気とは一変して、なんかせつない展開ですね・・・。
279 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月13日(日)00時41分15秒
ん〜せつないですね…。
風は強いけど雨はまだよってコトは、
次あたりで雨がざぁぁぁ〜〜〜!!!なんてコトあったりするんでしょうか…。
う〜ん…。
次も寝ずに待ってます(笑)な〜んてジョーク飛ばしまくりで…あはは。
280 名前:ま〜 投稿日:2002年10月13日(日)01時11分06秒
前スレから一気に読ませていただきました。
すんげぇ面白いっす!
今後も期待してます。
281 名前:たむ 投稿日:2002年10月16日(水)01時47分55秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
はい、思いっきりトーンダウンしてしまいました。
実は矢口さんの切ない表情が大好きだったりして(w
ホントにいつもレスありがとうございます。

≫ゆちぃさま
ここの台風は自転車並の速度なので今回はポツポツくらいです。
たぶん雨がざぁぁぁ〜と降る頃には目の下はクマだらけでしょう(w

≫ま〜さま
ありがとうございます、すんげぇ嬉しいです(w
張り切って更新しますので、お暇な時また読んでくださいね。


今回は石川さんと後藤さん視点でお送りします。
それでは更新いってみよっ!
282 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)01時52分10秒
ツアーが始まってから、ひとみちゃんと矢口さんの仲がスゴく良くなった。

っていうか、矢口さんが一方的にひとみちゃんをからかってるって感じなんだけど。


でも矢口さん、くっつきすぎじゃありませんか?


オーディションからずっと一緒で、娘。にも一緒に入れて・・・
ひとみちゃんの事ならメンバーの誰よりも解ってるつもりでいた。

だからこそ、違和感を感じるときもあるわけで・・・。
283 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)01時58分32秒
ひとみちゃんとはオーディションの時に初めて会って
娘。になったときに再び会うことができた。

今さらだけど、実はあのとき不思議な感じがしてたんだよね・・・。


久しぶりとはいえ、オーディションの時だって一番仲良くて
一緒に娘。に入れて本当に嬉しかったのに、控え室で会ったひとみちゃんは
初めて会った人みたいな雰囲気で・・・。

オーディションの時に自分を全部出してないと言われればそれまでなんだけど
あまりにギャップがありすぎたような・・・。


初めて会ったときから落ち着いてて大人な感じはしてたけど
あのとき会ったひとみちゃんは“大人な感じ”ではなく“大人”だった。
284 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時03分13秒
娘。に入ってもうすぐ一年になるけど
今のひとみちゃんが本当のひとみちゃんなのかな・・・?

今のひとみちゃんも嫌いじゃない。

でも、ひとみちゃんは何かを隠してる気がする。

そして、ひとみちゃんと関係があるのかは判らないけど
ごっちんも何かを隠してる・・というより、ごっちんの場合は何かを知ってる?


聞きたいことは沢山あるけど、聞いたら話してくれるかな・・・。
285 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時06分07秒
ひとみちゃんは誰が好きなの?

その大きな瞳は誰を見ているの?


オーディションの時にしたあの約束、覚えててくれてる?

私の気持ち、伝えて良いかな・・・?


ひとみちゃんは何て答えてくれるだろう?

とりあえず、ひとみちゃんの部屋に行ってみよう。


色々な思いを巡らせながら、私はひとみちゃんの部屋に向かった。
286 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時14分03秒
裕ちゃんからやぐっつぁんの話を聞いて二日が経った。
その間、やぐっつぁんはやはり同じ夢を見てうなされてるらしい。

そんな訳で、ごとーは荷物を持ってやぐっつぁんの部屋に行った。


「やぐっつぁん今日はヨロシクね〜」

「うん、でも何で急に部屋替えなんてするんだろうね?」

やぐっつぁんが笑顔で応えたあと不思議そうに言う。

「さあ?マネージャーの気まぐれなんじゃない?」

「そうだね、でもよっすぃ〜大丈夫かなあ?ちびっ子2人の相手・・・」
287 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時17分32秒
「大丈夫でしょ?また2人を捕まえてキスしまくってるよ、きっと」

「あははは、それなら安心だ」


起きてるときは、やぐっつぁん普通なんだね。

ってことは、ごとーから話を出したら逆効果かな・・・?

しかも、よっすぃ〜に夢のこととか聞いたって思われると
何を言っても信じてもらえないかもしれないし・・・。


とりあえず、寝るのを待ちますか・・・。

でも、やぐっつぁんが寝るまで起きてられるかなあ・・・。
288 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時20分39秒
意を決して部屋の前まで来たけど・・・。

ひとみちゃんが部屋に一人でいるとは限らないし
矢口さんもいたら誘い出すのも難しいかも・・・。

でも、このまま部屋の前に立ってたってしょうがないね。

よし!頑張るのよ、梨華!!


大きく深呼吸をしてドアを二回ノックする。

「ほ〜い・・って、梨華ちゃん?」

なぜか出てきたのは、ごっちんだった。
289 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時26分21秒
「ごっちん・・遊びにきてたの?」

「え?あぁ・・今日はよっすぃ〜と交代になったんだ
 あれ?マネージャーから聞いてない?」

「うん・・私たちの部屋は変更なかったから・・」

「んぁ〜そうか・・よっすぃ〜今日はごとーの部屋だから
 今頃あいぼんたちに捕まって大変だと思うよ」

「え?あいぼんたちと?それは大変・・・
 じゃあ・・そっちに行ってみるね、ありがとうごっちん」

「うん、よっすぃ〜をよろしくね〜」


あいぼんたちと一緒かぁ〜、絶対2人きりなんてなれないよね・・・。

どうしよう・・とにかく行ってみよう・・・
軽く溜息をつきながら、ひとみちゃんのいる部屋に向かった。
290 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時29分39秒
「なに?石川なんだったの?」

「ん?よっすぃ〜に用があったみたい」

「ふ〜ん・・なんだろうね?」

やぐっつぁんが不思議そうな顔をして言う。


「やぐっつぁん気になるの?」

「へ?い・・いや別に気になんてならないよ」

「ホント〜?でもやぐっつぁん、最近よっすぃ〜によく引っ付いてるよね〜?」

「だ、だって・・よっすぃ〜の反応が面白いんだもん
 矢口が引っ付いたりすると固まっちゃって全然動かなくなるし」
291 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時32分55秒
そうだよね〜、そう言われると最近の裕ちゃんの我慢はホントに凄いと思うよ。
ちょっと可哀想だけど・・・。

でも、裕ちゃんもそろそろ限界だったりして。


それにしても・・やぐっつぁん、まだ寝ないのかな?
ごとー眠くなってきちゃったよ・・・。


「やぐっつぁん、ごとー眠くなってきちゃった・・先に寝てもいい?」

「え・・う、うん良いよ・・でも途中で起こしちゃったらゴメンね・・・」

「へ?どういうこと?」

もしかして話してくれる・・・?
292 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時37分38秒
「実は・・ここ三日間くらい裕ちゃんが夢に出てきて・・・
 矢口うなされてるみたいで、毎晩よっすぃ〜に起こされてたんだ」

「うなされたって・・裕ちゃんが何か酷いことしたの?」

「ううん・・裕ちゃんは寂しいって一緒に来てって言うだけで・・
 でも矢口は身体が動かなくて裕ちゃんと一緒にいけないんだ
 矢口は一生懸命、裕ちゃんを呼ぶんだけど
 裕ちゃんは何も言わずに暗闇の中に消えちゃうの・・・」

「そうなんだ・・・」


「ねえ、ごっつぁん・・・
 なんで裕ちゃんは矢口たちのところに来てくれないのかな?」

「え・・?」
293 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時41分05秒
「矢口、裕ちゃんに謝りたいのに・・・」

「なんでやぐっつぁんが謝るの?裕ちゃんが謝ってって言ったの?」

「だって、裕ちゃんは矢口を助けたせいで死んじゃったんだよ?
 出来るなら矢口も一緒にいきたかった・・・」

「あれは事故でしょ?やぐっつぁんのせいなんかじゃないよ
 それに裕ちゃんがやぐっつぁんに一緒に来いなんて言うハズないじゃん」

「でも・・夢で裕ちゃんは・・・」


あ〜もうダメだ・・黙ってらんない。

このままじゃあ、やぐっつぁんホントに弱っちゃうよ。
294 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時44分05秒
「う〜〜〜やぐっつぁんゴメン!」

「へ?なに?なにがゴメン?」

「ごとー、やぐっつぁんに隠してたことがあるんだ・・・」

「隠してたこと・・・?」

「うん・・やぐっつぁんにもメンバーにも言ってなかったんだけどさ
 実は裕ちゃん来てるんだよね・・・」

嘘じゃないよね・・ちょっと違うけど・・・。


「え?来てるって?」

「ずっとやぐっつぁんの傍にいるんだよ・・・
 でも裕ちゃんが言うなっていうから黙ってた」
295 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時46分51秒
「・・なんで・・・?」

「その方がやぐっつぁんの為だって・・・」

「そんな・・ひどいよ・・・傍にいるのに言ってくれないなんて」

「だって・・やぐっつぁん、夢で見ただけでそんな状態になるのに・・
 それが判ってて言えるわけないじゃん」

「でも・・・」

「とにかく、裕ちゃんはやぐっつぁんに謝って欲しいわけでも
 一緒に来て欲しいわけでもないから」

お願い、やぐっつぁん信じて・・・。
296 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時50分36秒
「裕ちゃん・・・」

「え?」

「裕ちゃん、今もいるの・・・?」

え・・ど、どうしよう・・・ごとーそこまで嘘つけないよ。


「え〜と・・今はいないよ、休憩中」

「・・・休憩中?」

なんか、ごとーの方がおかしくなりそう・・・。

「そ、そう・・たまには裕ちゃんも休まないとね」

「ふ〜ん・・いいなあ、ごっつぁんは・・・」

「え?なんで??」
297 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時53分30秒
「だって、裕ちゃんと話が出来るんでしょ?」

やぐっつぁんが寂しそうに溜息をつきながら言った。

「うん・・まあね」

「矢口も裕ちゃんと話したいよ・・・」


「もし話せるとしたら何を話すの?」

やぐっつぁんはう〜んって考え出したけど、結局・・・

「・・・分かんない」

「あはっ!とにかく裕ちゃんはいつもやぐっつぁんの傍にいるんだから
 何も心配しなくていいんじゃない?」
298 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)02時57分18秒
「そうだね・・裕ちゃんが傍にいてくれるんだもん、頑張んなきゃ!」

「あ、でもこの事は他のメンバーには絶対に言わないでね?
 裕ちゃんに怒られちゃうから」

「え?ホントに誰も知らないの?なっちや圭織とかも?」

「うん、知ってるのはいち〜ちゃんだけだよ」

「そうなんだ・・わかった、ありがとう話してくれて・・・」


「じゃあ、もう今日は寝ようよ!ごとー疲れちゃった」

「うん・・ごっつぁん・・・」

「ん?なに?」
299 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時00分01秒
「もし・・もしね、裕ちゃんが良いって言ったらなんだけど
 裕ちゃんと話・・させてもらえないかな・・・」

やぐっつぁん・・そんなに裕ちゃんのこと・・・。

「・・うん、じゃあ裕ちゃんが戻ってきたら聞いてみるよ」

「ありがとう・・おやすみごっつぁん」

「おやすみなさい」


裕ちゃんが消滅しないように、やぐっつぁんに知らせる方法ってないのかな?
2人ともこんなにお互いのこと想ってるのに切なすぎるよ・・・。

そんなことを考えながら、ごとーは深い眠りに落ちていった。
300 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時03分33秒
ひとみちゃんがいるハズの部屋の前に来てみると
中から賑やかな声が聞こえてきた。

あいぼんたちに遊ばれてるのかな・・・。

どう考えても2人きりになれそうにないね。

諦めモードでドアをノックする。


「は・・・い」

苦しそうな声が聞こえたかと思うと
ひとみちゃんが背中にののちゃんを乗せて出てきた。

「あ、梨華ちゃんや」

そう言って、部屋の奥にいたあいぼんがののちゃんの上に被さるように飛び乗る。
301 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時07分35秒
「う゛っ」

ひとみちゃんが更に苦しそうに声を上げた。

「大丈夫?ひとみちゃん」

「大丈夫じゃないよ、さっきからずっとこんな調子で
 もう死にそう・・・」

「じゃあ、私があいぼんたちの相手するから
 ひとみちゃんちょっと休んでなよ」

「マジで?ありがとう!助かるよ」

ホントに死にそうだったのか、ひとみちゃんが必死の形相で
ののちゃんたちを降ろした。
302 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時11分14秒
「なんや?梨華ちゃん、何して遊んでくれるん?」

「梨華ちゃんの背中には登れないからつまんないれす」

2人の声を聞きながら、ひとみちゃんの横を通って部屋に入る。


「失礼ね!これでも私、結構チカラあるんだから」

「言うたな?じゃあ遠慮なく登らせてもらうで〜」

言うが早いか、あいぼんが飛びついてきた。

「ののも〜」

続けてののちゃんもタックルしてくる。

「きゃ〜〜〜〜〜」

2人の攻撃に敢えなく撃沈した私は、そのまま後ろに倒れてしまった。
303 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時14分06秒
あれ・・?重たいけど痛くない・・・。


「うぅぅ」

私の身体の下から呻き声が聞こえる。

「え?きゃ〜〜ひとみちゃん大丈夫?」

背中が痛くなかったのは、ひとみちゃんがいたお陰なのね。


「だい・・じょうぶ・・・なわけないやろー!
 アンタらええかげんにせえよ!!」

「え?」

ひとみちゃん?
304 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時17分24秒
「あ・・・」

「よっすぃ〜、関西弁や」

あいぼんが不思議そうに呟いた。

「あれ?あいぼんのがうつったのかな?」

ひとみちゃんは笑いながらそう言ったけど
うつったにしては全く違和感がなかったような・・・。


「よっすぃ〜関西弁もっと喋って〜」

ののちゃんが面白そうに言う。

「え?そうだな〜アホ・・なんやねん・・しばいたろか・・・」

「めっちゃ棒読みやんか」

あいぼんが突っ込んだあと3人で楽しそうに笑ってる。
305 名前:turning point 投稿日:2002年10月16日(水)03時22分49秒
やっぱり違う・・あれはひとみちゃんじゃない・・・。
オーディションの時に会ったひとみちゃんじゃない・・・。


じゃあ・・いまココで楽しそうに笑ってるこの人は誰なの?
オーディションで会ったひとみちゃんは・・・?


なんて・・なに考えてるんだろう、私。
どこから見ても、この人は吉澤ひとみなのに。

別人なわけないじゃない・・・。

だったら、あの約束も覚えてくれてるよね・・・。


違和感は膨れ上がる一方だけど、近いうちに話してみよう。

そう思いながら、ちびっ子2人に悪戦苦闘しているひとみちゃんを見ていた。
306 名前:たむ 投稿日:2002年10月16日(水)03時25分39秒
ってなわけで更新終了です。

今回は視点がコロコロ変わって読みにくかったかも知れませんが・・。
307 名前:たむ 投稿日:2002年10月16日(水)03時28分09秒
誰の視点か分からない場合はメール欄を見て下さい。

その視点の人が最初に出てますので。
308 名前:たむ 投稿日:2002年10月16日(水)03時30分16秒
次回こそ嵐がくるはず(w

それでは、またの更新まで。
309 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月16日(水)14時54分19秒
おつかれさまでっす!!!今回も読ませていただきました。
私、たむさんの小説、めっちゃ好きです。
次は嵐かぁ…ん〜楽しみっ!!!!
やぐっちゃんも落ち着いて眠れるといいですよね。
310 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月16日(水)16時18分29秒
梨華ちゃんは、圭ちゃん同様、ただのお邪魔虫キャラだと思っていましたが・・・(w
結構重要なキャラっぽいですね。
圭ちゃんにもそーゆー役が回ってくるのかな?(w
311 名前:たむ 投稿日:2002年10月19日(土)02時21分47秒
≫ゆちぃさま
あ〜なんか凄い嬉しいっすね〜
自分の話を好きって言って貰えるのって・・。
ありがとうございます、ホンマ励みになりますわ。

矢口さんを落ち着いて眠らせてあげたいんですけど
こればっかりは・・・(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
やっぱ吉澤さんと言えば石川さんという方程式が崩せなくて・・。
圭ちゃんに関しては・・ヤグヲタさんの読みの鋭さに脱帽です(w


それでは今日も更新いってみよっ!
312 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)02時28分50秒
ごっつあんから裕ちゃんのことを聞いて数週間が過ぎた。

あれ以来、毎晩のように裕ちゃんが夢に出てくるようになったけど
初めての時みたいにうなされることもなく、夢の中の裕ちゃんは
いつも矢口を抱きしめてくれる。

夢の中とはいえ、矢口は凄く幸せな気分になれるのに・・・。


でも裕ちゃんは最後には矢口を置いて暗闇の中に消えちゃうんだ。

だから矢口は毎朝、泣きながら目を覚ます。

そして早くまた裕ちゃんに会いたくて、夜はスグに寝るようになった。


メンバーたち、とくによっすぃ〜はそんな矢口を見て心配してるけど
“大丈夫”って言い切ってた、ホントに大丈夫だったから。

でも矢口は気付いてなかったんだ・・自分の心と身体の変化に。
313 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)02時33分26秒
矢口の様子がおかしい。

ごっつぁんが矢口に話をしてくれて、問題は解決したと思ってた。

でも、そのことが逆に矢口を追いつめることになってたなんて・・・。


ごっつぁんがウチの話をしてくれた日から数日は矢口も普通に眠ってたんや
でも日を追う毎に朝は泣きながら目を覚ますようになる。

ウチがどうしたのか聞いても“何でもない”って言うばかりなので
ごっつぁんに聞いてもらうことにした。


ごっつぁんが聞いた話によると、毎日夢の中にウチが出てきて
いつも矢口を置いて暗闇に消えてしまうらしい。
314 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)02時37分45秒
でも矢口は“その時は悲しいけど眠ればまた裕ちゃんに会えるから”と
嬉しそうに話していたという。

大丈夫なんかな・・矢口。


「ひとみちゃん」

矢口の事を考えながら1人ロビーでぼんやりしてると
振り返らなくても判る呼び方とアニメ声が聞こえた。

「梨華ちゃん・・・」

「どうしたの?ぼんやりして」

「ん?何でもないよ、梨華ちゃんこそどうしたの?」
315 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)02時41分34秒
「え?・・私はひとみちゃんに話があって」

「話?」

「うん・・今いいかな?」

「いいけど・・・」


改まってなんやねんな?
まさか圭坊に何かされたとか・・って、圭坊に失礼やな。

そんな暢気なことを思いながら側の自販機で紅茶を買い、石川に渡す。


「で?話って?」

「うん・・あのね・・オーディションのことなんだけど」
316 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)02時51分11秒
「オーディション?梨華ちゃんオーディション受けるの?」

「違うよ、そうじゃなくて・・
 私たちが娘。に入るときに受けたオーディションのこと・・・」

なんやの今さら・・・。

「あぁ・・そのオーディションね・・でも、それがどうかしたの?」

「あのオーディションの時のこと覚えてる?」

は?覚えてるかやて?覚えてるわけないやんか
ウチが受けてたわけやないのに・・・。

でもそんなん言われへんしなあ・・・。

「うん・・まあ・・・」

「じゃあ・・その時に私とした約束も覚えてるかな・・?」
317 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)02時56分05秒
「約束?」

なんて〜?約束なんかしてたんか?ヤバイ・・かなりピンチや・・・。


「覚えて・・ないの?」

考え込むようにして固まってたウチを見て、石川の表情がみるみる曇っていく。

アカン・・どないしよ。


・・あ!そういえば・・・。

「ごめん梨華ちゃん!実はアタシ、みんなに隠してたことがあるんだ」
318 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時04分27秒
「・・隠してたこと・・・?」

「うん、隠してたって言うか・・言う必要もなかったから
 今まで言わなかったんだだけどさ」

「どういうこと?」

石川の顔が不安そうなものから不思議そうなものへと変わってくる。


「実は・・モーニング娘。に入る前に事故に遭って
 それまでの記憶をなくしちゃったんだよね・・・」

「記憶を・・なくした・・・?」

「そう・・だからホントはオーディションのことも覚えてないんだ・・・」

「そんな・・・でも・・でも初めて会ったとき
 ちゃんと名前呼んでくれたじゃない」

石川が涙目になりながら必死に訴えてくる。
319 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時07分42秒
「あれは・・前の日にビデオでオーディションの様子を見て
 名前を覚えていたから・・・」

「あ・・だから石川さんって・・・」

「そんな・・記憶をなくしてたなんて・・・」

石川は、そこまで言うと突然泣き出してしまった。

「え・・ちょ、ちょっと梨華ちゃん?」


「記憶をなくしてたって・・・」

泣き出した石川に訳が分からずオロオロしていると
突然ウチと石川以外の声が聞こえてきた。
320 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時16分48秒
「保田さん・・・」

「吉澤?どういうこと?」

うわ・・聞かれてたんか?でも、まあ言うても大丈夫やよな・・・。


「え〜と・・実はモーニング娘。入る前に事故に遭いまして
 それまでの記憶をなくしちゃったんです」

「モーニングに入る前?」

「はい、保田さんたちと初めて会った日の一ヶ月くらい前だったと思います」

「じゃあ、オーディションの時のこととか何も覚えてないの?」

圭坊が大きな目を更に大きくして聞いてくる。

「ええ、まあ・・今まで支障がなかったんで黙ってました・・
 あ、でも事務所には母が連絡もらった時に言ってくれてます」
321 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時20分20秒
「そう・・で、それが石川の泣き出した理由と何か関係があったんだ?」

「そうなのかな・・アタシにもよく分かんないんですけど」


「すいません・・もう大丈夫ですから・・・」

それまで圭坊とウチの話を黙って聞いていた石川が涙を拭きながら立ち上がった。

「じゃあ・・落ち着いたらちゃんと聞かせてよ、梨華ちゃんの話」

「うん・・分かった」


なんか消化不良やけど、今日はもう話できんやろ・・。
そう思い、その場を圭坊に任せて先に部屋に戻った。
322 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時29分05秒
泣いている石川を部屋に連れていき先にシャワーを浴びるように促した。

その間に、今ロビーで聞いた話を思いだし考える。

吉澤は記憶をなくしていた・・・。


アタシたちメンバーは新メンバーが決定するまで
そのオーディションや合宿の様子を見ることはない。

というより、テレビ放送されているものを見る時間がないため
殆どの場合が決まってから後々に見ることになる。


そしてツアー前、たまたま時間が空いて圭織・なっちと一緒に
テレビで放送していたオーディション風景のビデオを見る機会があったんだ。

その時、画面の中の吉澤に何となく違和感を感じたことを覚えてる。
323 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時33分55秒
画面の中の吉澤は確かに入ってきたときと同じように
落ち着いた雰囲気は持っていた。

でも入ったばかりで、あんなに堂々と意見を言ったり
レコーディングしたりするようには見えなかった・・・。

ダンスレッスンの時に踊ったダンスもファンだから覚えたって言ってたけど
事故に遭って記憶をなくしたのなら覚えてるハズないし・・・。


どういうことだろう?
記憶をなくすると性格まで変わるものなんだろうか?

事故に遭ったのが初顔合わせの一ヶ月くらい前って言ってたけど。
なんだろう?何か引っかかる・・・。

初めて会ったのっていつだったったけ?
マネージャーに聞いたら判るかな。


それより石川・・アンタ大丈夫なの・・・?
324 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時34分28秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
325 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時39分14秒
相変わらず矢口の様子がおかしい。

でも矢口はいつもの調子で大丈夫というばかりで・・・。

しかし、そんな状態でもほぼ毎日ライブはあるし全国ツアーなだけに期間も長い。
そうなるとメンバーたちも矢口の変化に気付き出す。


「矢口、最近すごく顔色悪いけど大丈夫なの?」

ツアーも後半部分に差し掛かった頃、たまりかねた圭織が矢口に聞いた。

「え?矢口、顔色悪い?どこも調子悪いトコなんてないのに・・・」

矢口は平然と圭織の問いに答える。

「自分で自覚がないの?鏡見てみなよ・・すっごく疲れた顔してるから」

圭坊が溜息混じりに言った。
326 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時42分35秒
「ちゃんと眠れてる?最近ご飯もあまり食べないよねえ?」

なっちはなっちで本当に心配そうや・・。


「そんなことないよ、そりゃ〜ライブの疲れはあるけど
 それはみんな同じだし、夜はグッスリ眠れてるよ
 ご飯だってちゃんと食べてるもん」

みんなの心配をよそに矢口は元気な口調でそう答えた。


「よっすぃ〜、ホントに矢口は眠れてるの?うなされたりとかしてない?」

圭織が同室であるウチに聞いてきた。
327 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時48分49秒
いきなり話をふられて一瞬焦ったけど、うなされてないにしても
泣きながら起きている矢口を見てるだけに、何て答えて良いか返答に迷った。


「だから大丈夫だって言ってんじゃん、それによっすぃ〜だって寝てるんだから
 矢口がうなされてるかどうかなんて分かんないよね?」

言い淀んでいたウチを見て、代わりに矢口が答えた。

それを聞きながら圭坊がウチに詰め寄る。

「どうなの?吉澤・・」

「え・・あの・・・矢口さんはうなされてはいないと思います、ただ・・・」

「ただ?」


「よっすぃ〜、余計なことは言わなくていいから」

矢口はウチが言おうとしてることを予測して、先にくぎを差してきた。
328 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時52分14秒
「余計なことって?やっぱり何かあったの?」

なっちがウチに聞いてくる。

「いや・・あの・・ただライブが始まって少しの間はうなされてたんですけど
 最近はホントにうなされてないです・・・」

矢口の迫力に負けて、ウチはそんなことしか言えんかった・・・。


「ね?矢口は元気だし大丈夫だから!次の回も頑張ろう〜」

そう言って矢口は元気よく楽屋を飛び出していった。


そして二回目のライブも終盤に差し掛かった頃
メンバーたちの不安が現実のものとなる。
329 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)03時56分00秒
それまで普通に歌って踊っていた矢口が本編最後の曲を歌ってる最中
ちょうど隣にいたウチに凭れかかるように倒れてきた。


突然のことに驚きながらも矢口を支えたけど
矢口は既に意識がないみたいでグッタリしている。

メンバーも気にはしていたが、歌の最中だったためそのまま続けていた。

歌をメンバーたちに任せてステージ裏へ矢口を運ぶ。


裏に入ると同時にスタッフとマネージャーが駆け寄ってきた。

とりあえず楽屋に運び、グッタリしたままの矢口をソファーに横たえる。
330 名前:turning point 投稿日:2002年10月19日(土)04時00分02秒
矢口の様子を気にしながらも、その場を後にしてステージに戻ると
既に歌は終わり、メンバーがファンに向かって挨拶をしてるところだった。


そして戻ってきたウチを見て、圭織が会場のみんなに
“矢口は大丈夫”とだけ言って本編は終了した。


アンコールになっても矢口は目を覚まさない・・・。

そしてこの日、二回目のライブは矢口抜きのアンコールとなった。
331 名前:たむ 投稿日:2002年10月19日(土)04時03分50秒
っちゅ〜わけで、更新終了です。

矢口さんには幸せになって欲しいんですが・・・。
332 名前:たむ 投稿日:2002年10月19日(土)04時06分27秒
もちろん中澤さんにも幸せになって欲しいものです。

まぁ、幸せな2人はハロモニで見れるということで(w

333 名前:たむ 投稿日:2002年10月19日(土)04時07分25秒
それでは、またの更新まで。
334 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月19日(土)22時14分31秒
う〜ん、矢口は裕ちゃんのコトを吹っ切るどころか、
ますます裕ちゃんに心を支配されていってますね。
よっすぃ〜、なんとかしてくれ〜!
335 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月20日(日)04時15分46秒
圭ちゃん、なんか勘付いてきましたねぇ…。どうなってくんでしょう…
っちゅ〜か、やぐっちゃんっ!!!
話の中のコトとはいえ、めちゃくちゃ心配だぁ…。
夢の中で裕ちゃん暗闇に消えるから悪いんだぁ〜!!って言っても
しょうがないけど、次にもかなり期待してます。
がんばってくださいね。
336 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年10月21日(月)02時18分22秒
矢口さん、相当まいってますね
裕ちゃん、ガンバレ!
矢口を助けてあげてくれ〜
337 名前:たむ 投稿日:2002年10月23日(水)01時47分04秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
矢口さんに嵐が吹きまくってしまいました(汗
よっすぃ〜が頑張ってくればいいんですけど
なんせ中身は裕ちゃんなんで(w

≫ゆちぃさま
ありがとうございます。
矢口さんには早々に復活して頂きますのでご安心を(w
ところで、そろそろ目の下のくまが拡大しつつあるのでは?(w

≫セーラムさま
ここの矢口さんは相当ひどい扱いされてますが
セーラムさんとこから連れて帰った矢口さんは
手厚く歓迎させて頂きますので(w


それでは今日も更新いっちゃいますか!
338 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)01時51分50秒
アンコールを終え、メンバー全員が急いで楽屋に向かう。

しかし、そこに矢口の姿はなかった。
アンコールの最中に救急車で病院に運ばれたらしい。


時間も時間だし、メンバー全員で行くわけにもいかないので
圭織・なっち・圭坊の年上メンバーが病院に行くことになった。


残りのメンバーはホテルに戻って落ち着かない夕食を取った後
それぞれの部屋に戻り、ウチとごっつぁんはウチの部屋で連絡を待つことにした。

「なあ、ごっつあん・・ウチこのままでええんかなあ?」

「・・え?どういうこと?」
339 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)01時58分52秒
「ん?矢口が今日みたいな状態になったのって
 どう考えてもウチのせいやんか?」

「そんな・・裕ちゃんの夢が原因とは限らないじゃん」

「それだけじゃないんよ・・ウチ、矢口と同じ部屋なのに
 矢口の様子に気付いてやれんかった・・・
 毎朝、泣きながら目を覚ます矢口を見てたくせに
 大丈夫って言う矢口の言葉を聞いて安心してたんや」

「それは、みんな同じじゃない!
 今日だって他のメンバーも気付いたけど結局こうなったわけだし」

「でも、もう矢口が倒れるとこなんて見たないわ・・・」

「・・・どうするつもりなの?」

「どうすれば・・ええんかなあ?バラすのは簡単やけど
 矢口を置いていくのはイヤや・・・」
340 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時03分39秒
「だったら、ごとーがやぐっつぁんに言うよ
 要は裕ちゃんがバラさなきゃいいわけでしょ?」

「理論的にはそうや、でも矢口が信じてくれへんかったら
 結局同じ事になる・・矢口はウチの霊が側におるって信じてるからな」

「あ・・・」

「たぶん、今ごっつぁんから聞いたとしても信じられへんやろ」


「ごめんね・・ごとーが余計なこと言っちゃったから」

「なに言うてんねん!あの状況ならウチだって同じことしたわ
 ごっつぁんには感謝しとるんやで?」

「でも・・・」

ごっつぁんが不安そうに呟いたとき、部屋の電話が鳴り
フロントから凱旋が入ったことを告げられた。
341 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時07分43秒
【もしもし?保田だけど】

【あ、保田さん】

【後藤そこにいる?】

【はい、います・・あの・・矢口さんは・・・?】

【大丈夫よ、今は点滴打って眠ってる
 ちょっと後藤に代わってもらえるかな?】

【はい】


こういうとき、新メンバーということにジレンマを感じる。

大切なことは話してもらえへんのか・・・。
そんなことを思いながらごっつぁんに受話器を渡す。


【もしもし、圭ちゃん?】
342 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時10分29秒
その後ごっつぁんは、圭坊が話してる内容に相づちを打つだけで電話を切った。


「矢口は?ホンマに大丈夫なんか?」

「うん、点滴打って眠ってるみたい
 心身共に疲れ切ってたんだろうって・・・」

「矢口・・・」

「とりあえず明日は中休みだから、そのまま入院させるって
 だから明日、様子見に行こうよ」

「そうやな・・しかしホンマにどうすればええんやろう・・・」

溜息混じりに呟いた言葉をごっつぁんは黙って聞いていた。
343 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時11分43秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
344 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時16分05秒
次の日、ごっつぁんと朝イチで病院に向かう。


病室にはいると矢口はまだ眠っていた。

「矢口・・・」

眠っている矢口を見た瞬間
自分が事故に遭った直後のことを思いだした。


「そういえば・・ウチが事故に遭ったときも
 気付いたら矢口が寝てる側に立ってたな・・・」

「裕ちゃん・・・」

「あんときはウチに気付かん矢口の頭を小突こうとしたのに
 手がすり抜けてビックリしたわ」

笑いながら話すウチをごっつぁんが黙って見つめる。
345 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時19分32秒
「あのまま死んでれば、矢口もこんなことにならずに済んだんかなあ・・」


「ゆう・・ちゃん・・・?」

そのとき、眠っていると思っていた矢口の声が突然ベッドの方から聞こえてきた。


小さい声で話してたから聞こえてないよな?


「やぐっつぁん、大丈夫?」

ごっつぁんが矢口の側に駆け寄る。

「ごっつぁん・・裕ちゃん・・いるの?」

「え?」

「いま、裕ちゃんと話してたんでしょ?」
346 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時22分29秒
「なに言ってんの?ごとーはよっすぃ〜と話してたんだよ?」

「よっすぃ〜と・・・?」

矢口がごっつぁんの後ろにいたウチに視線を向ける。

「矢口さん、具合どうですか?」

「大丈夫だよ・・ありがとう」

そう言って矢口は弱々しい笑顔を見せたあと、ごっつぁんの方に視線を戻した。


「ごっつぁん・・・」

「ん?なに?」

「裕ちゃん・・今ここにいないの?」

「え?」
347 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時26分16秒
「やっぱり矢口とは話してくれないのかな・・・」

話したいのは山々なんやで・・・。
ごっつぁん、苦労かけてごめんな・・・。


「え〜と・・裕ちゃん病院嫌いだからホテルで待ってるって・・・」

確かに病院は嫌いやけど・・・。
ごっつぁん嘘つくのホンマに苦手なんやな・・・。


「じゃあ、ホテルに帰ったら裕ちゃんと話出来る?」

「裕ちゃんは、やぐっつぁんが裕ちゃんの夢を見なくなったらって言ってたよ」

え?どないすんの?ごっつぁん、そんなん言うて大丈夫なんか?


「そっか・・・」
348 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時29分35秒
「うん・・でもどうしても言いたいこととかあるなら
 伝えられるし返事も聞けるから、もし何かあれば言ってね」

「分かった・・ありがとう、ごっつぁん」

そうこうしているうちに、なっちや圭坊たちも来たので
ウチらは一足先に帰ることにした。


「ごめんね、裕ちゃん・・あんなこと言っちゃって」

「ん?ええよ、あの状況やったらウチでもそう言うわ
 いまは矢口が本調子に戻れることが大事やからな」

「そうだよね・・・」


このときウチらは矢口の様子に気を取られ過ぎて
大事なことに気付いていなかった・・・。
349 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時33分50秒
なっちたちも帰って、静かになった病室の天井をぼんやりと眺める。

裕ちゃんの夢を見なくなったらか・・・。

ということは、矢口が見ている夢の中の裕ちゃんと
ごっつぁんの言う傍にいてくれる裕ちゃんは全くの別ものってことなんだ・・・。


裕ちゃんと話したいけど・・・。
夢の中で裕ちゃんに会えなくなるのは寂しいよ。

でも、もし話せるとしたら何を話そうかな・・・。


まずはお礼を言わなきゃ・・矢口を助けてくれてありがとう
傍にいてくれてありがとうって・・・。

そう思うだけで、鼻の奥がツンとして涙が溢れそうになる。
350 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時37分18秒
でも矢口だって、いつもいつも泣いてたわけじゃないんだ。

裕ちゃんの分までモーニングを盛り立てようと頑張ってるし
新メンバーの教育係だってやってる。

そう・・裕ちゃんによく似たよっすぃ〜の教育係。

そんなことも、傍にいたんだから全部知ってるのかな・・裕ちゃんは。


・・・あれ?


そういえば、ごっつぁんと話してるときってよっすぃ〜もいたよね?

知らない人から見れば不思議な会話のハズなのに
よっすぃ〜は何も言わなかったし、驚いた感じも見せなかった・・・。
351 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時42分06秒
前に裕ちゃんの話をしたとき、ごっつぁんは裕ちゃんに怒られるから
他のメンバーには絶対に言わないでって言った、知ってるのは紗耶香だけだって。

でも・・さっきは・・よっすぃ〜もいたのに普通に話してた・・・。

どういうこと?


そんなことを思っているうちに、今までのよっすぃ〜の言動や
色々な場面が頭の中に浮かび上がってきた。


完璧に覚えていたダンス、キス魔なのにされる側になると固まっちゃうところ
楽屋に一番に来る理由、ホッペと耳朶をなぞる仕草・・・。

うなされてた矢口を抱きしめてくれた腕・・・。


よっすぃ〜とごっつぁんが仲良くなったのって
紗耶香の卒業式が終わってスグだったっけ・・・。
352 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時49分16秒
紗耶香の卒業ライブ・・・
紗耶香に花束を渡して抱きしめたのは、よっすぃ〜だった。

新メンバーなのに抱きしめられたんじゃなくて抱きしめていた
本当に別れを惜しむように・・・。


そのあと3人は一緒に帰っていったんだよね。

なのに裕ちゃんが傍にいることを他に知ってるのは紗耶香だけって
ごっつぁんは言った・・・。


裕ちゃんのことを話しても驚かなかったよっすぃ〜
よっすぃ〜がいるのに普通に話をしていたごっつぁん・・・。


・・・・。


何だか疲れてきちゃった・・もう何も考えずに寝ちゃおう。

頭の隅のモヤモヤしたものを追い払うように
布団を被り無理やり眠りについた・・・。
353 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時50分15秒
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354 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時53分43秒
「お帰り〜矢口」

次の日の朝、病院から帰ってきた矢口をメンバー全員で迎える。


「ただいま、ごめんね迷惑かけちゃって・・・」

「なに言ってんの、それよりホントにもう大丈夫なの?」

圭坊が心配そうに言う。

「うん!病院でゆっくり出来たし、そうそう休んでられないからね」

矢口がいつもの笑顔で応えた。

「顔色もよくなってる・・今日のライブは問題ないみたいだね」

なっちが嬉しそうに圭織と顔を見合わせる。
355 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)02時57分25秒
「よ〜し、じゃあ今日も頑張っていきまっしょい!」

「圭織、まだ早いから・・・」

矢口が素早くツッコミを入れた。

さすが矢口、そんだけ素早いツッコミが出来るなら大丈夫やな。


「それじゃあ、会場に移動するから準備して〜」

矢口を囲んでワイワイ言っていたメンバーも
リーダー圭織の一言でそれぞれが部屋に戻っていく。


ウチも矢口と一緒に部屋に戻る。

部屋までの道のり、なんだか矢口が大人しい。
356 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)03時01分18秒
話しかければ笑顔で応えてはくれるけど
さっきと比べてテンションが妙に低い・・・。

なんやの矢口、やっぱまだ本調子やないんか?


そんな矢口に疑問を持ちながら部屋の鍵を開ける。

そして鍵を開けて部屋の中に入った途端
なぜか矢口がウチの背中に抱きついてきた。


え?ちょっと・・矢口、どないしたん?

「矢口・・さん?」

「ごめん・・ちょっとだけ、こうしてて良い?」
357 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)03時04分44秒
「いいですけど・・どうせなら前からの方が・・」

あ・・本音が出てもうた。


「え?」

背中越しに矢口が顔を上げたのが分かる。

「いえ・・何でもないです」

「オヤジ・・・」

矢口はクスッと笑って、背中に頬をすり寄せた。


う〜ん、しかし・・どうしたんやろ?矢口・・・。

心配しながらも、振り返って抱きしめたい衝動に駆られる。

それを抑えるように矢口の手をポンポンとしたあと
その上に自分の手を重ねた。
358 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)03時07分40秒
ホンマに大丈夫なんやろか・・?

でも・・ええ加減、放してくれんかな・・・。

裕ちゃんそろそろ限界なんやけど・・・。


ウチの心の声が聞こえたのか、少しして矢口がそっとウチから離れた。

「ありがと、ごめんね・・・」

「いえ・・それより何かあったんですか?」

「ううん、ただやっと2人きりになれたなって思って・・・」

「えっ?」

なんやて?いま何て言うた?
矢口の言葉に一気に心拍数が上昇する。
359 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)03時11分08秒
「な〜んてね、本気にした?
 冗談だよ冗談、よっすぃ〜カワイイ!耳まで真っ赤だよ」

「なっ・・ひ、ひどすぎる・・・」

矢口・・アンタって娘は・・・。

いつか同じ目に・・いやそれよりももっとスゴい目に遭わせたる!


でも、ホンマに何でもないんやろうな?


「ごめん、ごめん・・そんなに怒らないでよ
 今度焼き肉でもおごるからさ」
360 名前:turning point 投稿日:2002年10月23日(水)03時18分15秒
「絶対ですよ?おごってくれなかったら
 ライブで矢口さんのあんなことやこんなこと全部バラしますから」

「な、なんだよ?あんなことやこんなことって・・・」


「内緒ですぅ、それじゃあ先に行きますね」


「え?ちょっとよっすぃ〜?」


どうやら大丈夫そうやな矢口。

そんなことを思いつつ、矢口の慌て気味な声を背に部屋を後にした。
361 名前:たむ 投稿日:2002年10月23日(水)03時20分15秒
ほい!更新終了です。

開始早々、漢字を間違えてかなり鬱・・・。
362 名前:たむ 投稿日:2002年10月23日(水)03時23分02秒
>340の凱旋は外線です。間抜けすぎっすね(汗

とりあえず、内容的には台風の目の中ってことで。
363 名前:たむ 投稿日:2002年10月23日(水)03時24分59秒
それでは、またの更新まで。
364 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月23日(水)12時04分56秒
矢口、何か気付いたのかな?
365 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月23日(水)18時36分49秒
クマはいいかんじに成長してますよぉ〜(笑)
やぐっちゃん復活気味だし、ほんとによかった…。
裕ちゃん(よっすぃ〜)は何をバラすのかなぁ〜。
たのしみ(爆)
366 名前:たむ 投稿日:2002年10月26日(土)01時41分29秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
矢口さん今は薄々ってとこでしょうか・・。
そろそろ気付いてもらわないと話が終わらないし、みたいな(w

≫ゆちぃさま
いい感じですか・・観察日記つけといてください(w
裕ちゃんがバラすとすれば一つしかないっすな。
あ、でもそれは裕ちゃんの事か(w


そろそろ終わりも近くなってきたよってなカンジで更新です。
367 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)01時48分46秒
矢口が元気に戻ってきたその日のライブは大盛況のうちに終了し
メンバーたちも高いテンションのまま夜を過ごしていた。

そのテンションのお陰でちびっ子たちは
圭織たち年上メンバーと遊んでもらっている。


よし、今がチャンスや!
ちびっ子たちに捕まらないうちに部屋に避難しよ。

そう思いながら少し早足で廊下を歩いているとマネージャーと話している
圭坊を見かけたので、ウチは部屋に戻るのを止め石川の部屋を訪ねることにした。

やっぱりあの約束のことが気になるんよね・・・。


ちびっ子たちが来てたら話にならんけど・・・
そんなことを思いながら部屋をノックする。
368 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)01時58分11秒
「はい」

出てきた石川の後ろから賑やかな声は聞こえてこない
どうやらちびっ子たちはいないみたいや。


「ひとみちゃん・・・」

「ちょっといいかな・・・?」

「どうぞ」

突然のウチの訪問に戸惑いながらも部屋に通してくれた。


「あの・・さ、この前の話なんだけど・・・」

そう言った途端、石川の表情がパッと明るくなった。

「なにか思いだしたの?」

「え・・いや・・なにも」
369 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時01分44秒
「そう・・・」

「ただ、約束のことがどうしても気になってさ
 このままだとアタシもいつ思い出せるか分からないし
 だから・・良かったら教えてもらえないかなと思って・・・」

言い終わると同時に石川の目に涙が浮かんできた。

「え・・梨華ちゃん?」

「ゴメンね・・でもあの約束のことだけは言えない・・・」

「でも・・梨華ちゃんはそれで良いの?」

「よくない、良くない・・でもね、しょうがないの」

石川が涙を拭きながら寂しそうに答える。

「しょうがないって・・・」
370 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時04分59秒
「覚えてないなら・・よっすぃ〜が思い出せなければ・・
 どうにもならないことだから・・・」

なんか、ものすご〜く罪悪感を感じるんですけど・・・。


「だから・・もう良いの」

「・・・ごめん」

「やだなあ、謝らないでよ・・
 思い出せないって決まった訳じゃないんだし
 私は、よっすぃ〜が思いだしてくれるって信じてるから」

石川は無理に明るい口調でそう言った。


ごめんなぁ・・その期待には応えられへん・・・。
371 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時10分40秒
そして、これ以上なにを話せばいいのか分からず
所在なさげにしていると、ちょうど圭坊が部屋に戻ってきた。


「あ・・吉澤来てたんだ?」

「はい、お疲れさまです・・もう帰りますけど」

「いいよ、そんな気を使わなくても・・それより石川との話は解決したの?」

「ええ・・でも解決したというより
 どうしようもないようなカンジなんで・・・」

まだ少し泣きそうな顔をしている石川の方を見て答える。


「ふ〜ん・・まぁ記憶がないんだから、しょうがいないかもね」

そんなサラっと言わんでも・・・。

「はあ・・・」
372 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時14分19秒
「とりあえず、あまり石川を泣かせないようにしなよ」

そう言って圭坊はバスルームに消えていった。


「じゃあ、アタシも帰るね・・・」

「うん、ゴメンね・・せっかく来てくれたのに」

「こっちこそ、ごめん・・・」

申し訳ない気持ちになりながらも石川の部屋を出る。


“記憶がないから、しょうがない”か・・・。

それにしても圭坊、なんかいつもと違ったような・・・。
普段ならウチが石川のフォローするだけで突き刺さるような視線を
送ってくるのに今日は普通の顔してたな・・・。

圭坊の態度に違和感を感じながら部屋に向けて歩き出した。
373 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時18分35秒
部屋に帰ると、矢口がソファーでうたた寝をしていた。

ベッドで寝んと風邪ひいてまうで・・・そう思いながら矢口を起こす。


「矢口さん、矢口さん」

よほど疲れているのか、身体を揺すっても起きる気配がない。

珍しいな、矢口がここまで爆睡すんの。


「矢口さん?こんなとこで寝てたら風邪ひいちゃいますよ」

矢口は一度“う〜ん”と唸ったけど、スグまた寝息を立て始めた。


お〜い、どないすんね〜ん・・
これじゃあウチも寝られへんやないか〜。
374 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時21分39秒
矢口をソファーに寝かせたままで寝るわけにはいかないので
しょうがなしに矢口をベッドに移すことにした。

しっかしホンマにちっちゃいな〜矢口。

そんなことを思いながら、そっと矢口を抱き上げる。


そしてベッドまで運び、起こさないように注意しながら降ろしたとき
不意に矢口の腕がウチの首に回ってきた。

え?

なんや、なんや?

どないしたん矢口。


しかも・・この状態、かなりヤバイんですけど・・・。
375 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時27分34秒
「あの・・矢口さん?」

いつの間にか目を覚ましていた矢口はウチを見つめたまま何も言わない。


え〜と・・どないしよ・・・
矢口、寝ぼけてるわけちゃうよな・・・?


2人見つめ合ったまま時間だけが過ぎていく・・・。


そしてウチが矢口の視線とその体制に耐えられなくなって
そわそわし始めた頃、なぜか矢口が溜息をついて腕を放した。

・・・なんで溜息?

溜息の理由が分からずポカンとしているウチを見ながら
矢口がポツリと呟いた。
376 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時32分02秒
「なんで気付かなかったんだろ・・・」

「え?」

「なんでもないよ・・ありがとね運んでくれて」

矢口がニッコリ笑って言った。


「え?さっきなんて言ったんですか?」

「なんでもないって、矢口もう寝るから・・おやすみ」

「いや、寝るからって・・ちょっと?矢口さん?」

ウチの抗議の声も虚しく、矢口はウチに背中を向け布団を被って寝てしまった。

お〜い・・どういうことやね〜ん、どっちみち寝られへんやないか〜〜〜。

そんなウチの心の叫びが届くハズもなく、隣のベッドからは
穏やかな寝息が聞こえ始めてくるのであった。
377 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時36分12秒
結局、矢口の言葉が気になってグッスリ眠れなかった。

寝不足のままベッドの中でウダウダしていると
矢口はもう起きていたらしく、ウチを起こしにやってきた。

「お〜い、よっすぃ〜おっきろ〜今日もいい天気だぞ〜」

ウチの寝不足の元凶である矢口は妙にスッキリした顔をして
朝から元気いっぱいや・・・。


こいつ、しばいたろかな・・・。

そんなことを思いながらも、超不機嫌モードで起きあがる。

「おはよう・・ございます」

「よっすぃ〜って低血圧だったっけ?」

そんなウチの様子を見て、なぜか矢口が嬉しそうに訪ねてくる。
378 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時41分18秒
「ええ・・まあ・・・」

「ふ〜ん・・そうなんだ〜っていうか、当然だよね」

「・・・?」

あん?矢口いま当然とか言わんかったか?

「それより、早くしないとゴハン食べ損ねちゃうよ?」

そう言って矢口はソファーに座ってテレビを見始めた。

なんやねん、なんかおかしなか?矢口。

そういえば昨日、圭坊も何かおかしかったよなあ・・・。
なんやろう、なんかあったんやろか?

ま、あとで聞いてみたらええか・・・。

そう思いながら準備をしていたウチもリハーサルの頃には
矢口の機嫌が良い理由を聞くこともなく忘れていた。
379 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時42分13秒
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380 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時45分56秒
新メンバーが入ってからの全国ツアーもそろそろ終わりが近づいてきた。

せっかくだから色々と語り合おうということになり
ウチはごっつぁんと一緒になっちの部屋に呼ばれた。


部屋に入ると、なっちの他に圭織と圭坊が既に来ていた。

「あれ?梨華ちゃんたちはまだ来てないんですか?」

「やぐっつぁんも来てないねえ・・・」

「いいのよ、このメンバーしか呼んでないんだから」

キョロキョロと部屋を見渡すウチらを見て、圭坊が神妙な顔つきで答えた。


え?どういうこと・・・?
381 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時48分25秒
「吉澤に聞きたいことがあるんだ・・・」

「え・・・?」


そういうことか・・・。

圭坊が呼んだメンバー、そして圭坊の表情・・・
そこで初めてウチは来るべき時が来たということに気付いた。


でも・・今度は矢口にちゃんとお別れ言いたかったな・・・。

そう思いながら圭坊の言葉を待つ。

「吉澤は娘。に入る前に事故に遭ったって言ったわよね?」

「はい・・・」
382 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時52分40秒
「入院してたのはドコの病院?」

「・・・・」

ウチの返事を待つことなく圭坊が話を続ける。

「吉澤が事故に遭って入院した次の日・・裕ちゃんも事故に遭って
 同じ病院に運び込まれた・・・」

「圭ちゃん、何が言いたいの?」

核心を突いてくる圭坊の言葉をごっつぁんが怒気を含んだ口調で遮った。

圭織となっちは驚いた様子で黙って話を聞いている。


「最初はそんな小説みたいな事があるわけないと思ってた
 でも調べれば調べるほど、そうとしか思えなくなって・・・」

圭坊はそこまで言ったあと、静かにその言葉を吐き出した。
383 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)02時56分22秒
「裕ちゃん・・なんでしょ?」

ごっつぁんが驚きと不安をごちゃまぜにしたような
何とも言えない表情でウチの顔を見る。

圭織となっちは驚いたように顔を見合わせている。


圭織やなっちにしてみたら信じられん話やろう・・・。
けど、もう・・隠し通す事も出来ひん・・・。


ごめんな矢口・・・。
裕ちゃんまたアンタを置いていくようになるな・・・。


「そうや・・ウチは吉澤ひとみやない、中澤裕子や・・・」
384 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)03時01分48秒
ウチがそう言ったあと、圭織がポツリと呟く。

「うそ・・・」


これで・・終わりや・・・。


そして圭織の言葉を引き継ぐように、なっちが口を開いた。

「・・圭ちゃん知らなかったの?」

「・・・え?」

なんて?

「なっち、今なんて言った?」

圭坊が驚いたようになっちの方を見る。

「え?いや・・だから、よっすぃ〜が裕ちゃんだって知らなかったのって・・・」


「なっち・・圭織も知ってたの?」

あまりのことに何も言えないウチに代わって、ごっつぁんが2人に聞いてくれた。
385 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)03時05分12秒
「うん、だって・・どっからどう見ても裕ちゃんっしょ?」

なっちが当たり前と言わんばかりに笑顔で答える。

「何年一緒にいたと思ってんのっ?って感じだよね」

圭織が笑いながら付け足した。

「じゃあ・・なんで教えてくれなかったの?」

圭坊が唖然としながら言う。

「え・・だって、なんか裕ちゃん必死で隠してたっぽいから
 言っちゃダメなのかな〜って思って・・・」


「いつから・・・?」

呆然としていたウチは、どうにか声を絞り出して聞いてみる。
386 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)03時10分48秒
「なっちは新メンバーが入ってきて半年くらいしてからかな
 なんか矢口を見る目とか仕草とかでなんとなくね」

マジでか?あんな必死で隠してたウチの立場は・・・?

「カオは交信中に気付いたの」

うっそ〜ん、それって付き合いの長さ関係ないやん〜。


「圭ちゃん?大丈夫?」

固まったまま動かない圭坊をごっつぁんが心配そうに覗き込む。

「大丈夫よ・・確信してたハズなのに本当にそうだと判ると
 やっぱビックリするものなのね」

「圭坊・・ごめんな・・・」

「その呼び方も久しぶりだね・・お帰り裕ちゃん」
387 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)03時13分37秒
圭坊が目に涙をためながらそう言った。

「ただいま・・・」


「あはっ良かったね裕ちゃん、これで少しは楽になれるよ」

ごっつぁんが嬉しそうに笑っている。

「ごっつぁんこそ・・今までありがとな」


「でも・・まだ問題は解決してないんじゃない?」

安心して笑っていたウチらに、圭坊が真剣な眼差しを向ける。

「え?どういうこと?」

「裕ちゃんとよっすぃ〜は同じ人物だけど
 裕ちゃんには裕ちゃんに、よっすぃ〜にはよっすぃ〜に
 それぞれ答えを出さなきゃいけない相手がいるでしょ?」
388 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)03時18分27秒
「そうやった・・・」

「特に石川は・・
 この間の矢口みたいになりかねないくらい悩んでるよ今・・・」

「え・・・?」

「ちゃんと聞いた訳じゃないけど、ツアーが終わる日に
 何かがあるみたいなんだよね」

「もしかしたら・・あの約束のこと?」

「裕ちゃん心当たりあるの?」

ごっつぁんの問いに頷きながら話を続ける。

「ただ、吉澤ひとみがまだ本当のひとみのときにした約束で
 それが何なのかはウチには判らへん・・判ってるのは
 ウチでは絶対に果たすことが出来ひん約束ってことだけや・・・」
389 名前:turning point 投稿日:2002年10月26日(土)03時23分09秒
そこまで言うと、誰も何も言えなくなった。

「でも、とにかくみんなが気付いてくれて良かった・・・
 今までごっつぁんにかなり負担かけてたしな」

「そんなことないよ・・でもホントに良かった・・・
 カオリンが“うそ・・”って言ったときは
 マジで裕ちゃんが消えちゃうって思ったもん」

「消えちゃうって、どういうこと?」

圭織の問いに、それまでの経緯やあっちゃんから聞いた話をする。

そして話し終わった後、みんなはこれからもバレないように
協力すると約束してくれた。


まだまだ問題はたくさんあるけど、それでも今はなっちたちメンバーに
素直に感謝したい気分だった・・・。
390 名前:たむ 投稿日:2002年10月26日(土)03時26分30秒
てなわけで、更新終了です。

どうにか、このスレで終われそうで一安心(w
391 名前:たむ 投稿日:2002年10月26日(土)03時29分33秒
それにしても、こんなに長くなるとは思わなかったぞと。

まだ終わってないのに、なに書いてんでしょうか(w
392 名前:たむ 投稿日:2002年10月26日(土)03時30分45秒
それでは、またの更新まで。
393 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年10月26日(土)17時49分25秒
途中、かなりドキリとしましたが・・・ホッとしました(w
しかし、矢口はやっぱりもう(以下略
394 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年10月27日(日)01時37分51秒
なんか、もうこのままやぐっちゃんとくっついてくれればいいなぁ〜
なんて思っちゃうわけなんですよぉ…。
結局やぐちゅ〜好きかよっ!みたいなつっこみを自分でしちゃう今日この頃です。
石川さん…なにっ!!!なんつって…。
クマ観察日記ですかぁ〜。レポートにして提出しなきゃですか??(笑)
次もかなり期待です。
395 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年10月28日(月)00時28分02秒
結末ってどうなっちゃうんだろ?
がんばれ〜楽しみに待ってます
396 名前:たむ 投稿日:2002年11月01日(金)02時31分02秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
ドキッとしてもらえて良かったです、狙ってたんで(w
矢口さん、やっと気付いたのかよって感じですが。

≫ゆちぃさま
結局やぐちゅー好き・・良いですね、最高です(w
くま観察記録は絵日記でお願いします。

≫セーラムさま
おや?セーラムさんとこの矢口さんが落ちてる・・。
うちの裕ちゃんが犬っ鼻で敏感に見つけてきました(w
本編終了後にお返ししますので、今しばらくお待ち下さい。
結末は、こうなります。


ってなわけで、明け方人間返り咲き!更新いきまっせ〜。
397 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)02時35分39秒
なっちたちメンバーに正体がバレてから数日
約束通り彼女たちはそれまでと何も変わらない態度で接してくれている。

敢えて変わったといえば、圭坊がより一層キスを迫ったり
絡んできたりするようになったことくらい。


しかしその反面、ライブの最終日が近づくにつれ
石川の様子が目に見えておかしくなってきていた。

まさに倒れる前の矢口と同じで、本人は自覚がないらしい。


そしてツアー最終日の前日、あの時と同じように
今度は石川がリハの最中に突然倒れた。
398 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)02時41分33秒
幸い石川はスグに意識を取り戻し、その後のリハを休んだだけで本番は無事に
終えることが出来たが、念のためライブ終了後に病院に行くことになった。

ウチは石川に付き添って病院にいたけど
マネージャーに促されて先にホテルに帰ってきた。


部屋に戻るとソファーで矢口が眠っていて、穏やかな寝息が聞こえてくる。

石川のこと心配してウチが帰ってくるの待ってたんか・・・。
やっぱり自分と同じ状態なのが解るから余計心配なんやろな。


でも矢口は退院してから泣きながら起きることはなくなった
もうウチの夢は見んようになったんやろか・・・。


とはいえ、今度は石川が同じような状況になってしまっている。
399 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)02時46分53秒
ウチだけの思いで石川から本当の吉澤ひとみを
奪ってしまうわけにはいかんよな・・・。

ウチにとっては石川も大切なメンバーの1人や
もうあんな風に倒れるとこなんて見たくない・・・。

そして、これ以上・・矢口を騙し続けることも・・・。


ツアー最終日か・・
最後には相応しい日かもしれんなあ・・・。

あの日、圭坊の言おうとしていることが判った瞬間
消滅する覚悟は出来ていた。

なのに、あの娘たちは当たり前のように信じてくれて・・・。

それだけで、もう充分や・・・。


明日・・ライブが終わったら全てをリセットしよう。

今度は矢口にちゃんと別れを言って・・・。

そう決意したウチは、矢口の寝顔を見つめながら最後の夜を過ごした。
400 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)02時50分53秒
翌朝、石川も元気に病院から戻ってきて
ツアー最終日のライブは滞りなく全てが順調に進み
そして・・終わった。


ライブ終了後、いつものように楽屋で打ち上げが行われ
ライブの興奮も冷めないまま、明日はオフと言うこともあり
メンバー全員が嬉しそうに飲んだり食べたりしている。


そして、いつの間にかスタッフやマネージャーたちもいなくなり
楽屋にはメンバーだけが残っていた。

今しかないな・・・。

「矢口さん、ちょっといいですか?」

ちょうどメンバーの輪から抜け出した矢口を捕まえて
楽屋を出て非常階段へと連れていく。
401 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)02時54分30秒
「よっすぃ〜どうしたの?なんかあった?」

矢口の取って置きの場所とは違うけど、非常階段なだけに
矢口も何か察したようで不安げにウチを見ている。

2人、座ることもなく向かい合って立ったまま・・・。


「あの・・ですね・・・」

決心したとはいえ、いざ話すとなるとなかなか言葉が出てこない。

「よっすぃ〜?」

矢口がいつものようにウチの顔を覗き込んでくる。

吉澤ひとみとして矢口と再会したときも、こうして非常階段で話したんよな・・
もう遠い昔のことのように思えるわ。

そんなことを思いながら、何も言わずに矢口を抱きしめた。
402 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)02時58分11秒
「よっすぃ〜・・・?」

矢口は逃げることもなく、そのまま身体を預けてくれる。

「好きです・・矢口さん」

顔を上げた矢口は少し戸惑った表情を見せたけど
それも一瞬のことで、そっとウチの背中に腕を回しながら呟いた。

「いつもみたいに好きやでって言ってよ」

「・・え?」

矢口の言葉に驚いて身体を離し、矢口を見る。


「裕ちゃんなんでしょ?ずっと傍にいてくれたのに
 ごめんね・・気付けなくて」
403 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時02分33秒
「矢口・・・」

気付いてた、気付いてくれてた・・嬉しすぎて言葉にならない
涙が止めどなく溢れ出てくる。

「泣かないでよ・・今まで矢口のこと散々泣かせたくせに」

そっと矢口がウチの頬に手を当て涙を拭ってくれる。

「ごめん・・ごめんな矢口・・・」

涙で矢口の顔がよく見えないけど、構わずギュッと抱きしめた。


あの日・・病院のベッドに横たわるウチに覆い被さるようにして
泣いていた矢口を見たときから、ずっとこうして抱きしめたかった・・・。

ようやく願いが叶ったんや・・・。
404 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時05分31秒
「矢口・・好きやで・・ホンマに好きやった・・・」

「裕ちゃん・・・?」

「ようやく伝えることが出来たわ、これでもう思い残すことはない」

「え・・?」

矢口が弾かれたように顔を上げ、ウチを見る。


「ウチな今日で全てをリセットするつもりで
 矢口をココに連れてきたんや」

「どういうこと・・?」

「吉澤ひとみとして、この世に残るときに言われたんや
 自分の正体をバラしたら消滅するって・・・」
405 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時11分14秒
「でも、でも裕ちゃん誰にもバラしてないから今ここにいるんでしょ?
 矢口にだって言ってないじゃんっ」

矢口がウチの腕を掴み、揺らしながら必死に訴えてくる。

「うん、矢口が気付いてるって思わへんかったからな・・
 でも矢口には最初から気持ち伝えて、ちゃんとお別れ言うつもりやったんや」

「なんで?誰にもバラしてないのに、何でお別れなの?」

「・・本当の吉澤ひとみを知っていて、ひとみのことを好きやった娘がおんねん
 そして、その娘とひとみはオーディションの時に何かを約束して
 今日がその約束の日なんや・・・
 たぶんウチが本当のことを言わない限り、あの娘はいつか今のひとみが
 その約束を思い出してくれると信じて待ち続けるやろう・・
 それが判ってて素知らぬ振りは出来んのや・・・」

「それって・・・」
406 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時15分59秒
矢口が言い出す前に頷き、言葉を吐き出す。

「せやからウチは、石川に全てを話す・・・」

「そんな・・また・・矢口を・・置いていっちゃうの?」

泣きながら聞いてくる矢口を見ながら、ゆっくりと首を振った。

「違うで矢口・・置いていくんやない
 今日ここでちゃんとお別れすれば、ずっと一緒にいられる
 ウチは矢口の心の中で生き続けることが出来るやろ?」

「いやだ・・いやだよ裕ちゃん、矢口も一緒に行く」

「矢口・・解ってや・・ウチかて出来るならこのまま矢口と一緒にいたい
 でもこれ以上、石川を騙し続けることも出来んのや・・・」

「いやだよ・・もう・・置いてかないでよ・・・」
407 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時19分26秒
矢口がしがみつく腕を更に強くする。

「矢口とまた会えて、楽しかったで・・ありがとうな
 矢口の笑顔も見れたし、こうやって抱きしめることも出来た」

矢口の感触を身体に刻み込むように、きつくきつく抱きしめる。


「矢口・・最後に笑って・・・
 矢口の笑顔はウチの元気の素やねんから」

「笑えない、笑えるわけないよ・・・」

そう言って泣きじゃくる矢口の両肩に手を置き顔を覗き込む。

「矢口・・約束しよか?」

「・・やく・・そく?」
408 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時22分39秒
「うん、ウチはもう矢口の前からいなくなるけど
 辛いときこそ笑って・・矢口がウチの元気の素を見せてくれたら
 ウチは必ず傍にいくから・・・
 そして、その時はウチの胸に帰ってきてや・・・」


もう一度、矢口を抱きしめる。

「裕ちゃん・・裕ちゃん」

「矢口・・今までありがとうな・・・」

背中をポンポンとした後、矢口の唇に触れるだけのキスを落とし
そっと身体を離すと矢口は力無くその場に座り込んだ。

「ほな、行くわ・・・」

そしてウチは矢口を残したまま、楽屋に向けて歩き出した。
409 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時26分11秒
楽屋に戻ると、まだ全員ワイワイと盛り上がっている。

ごっつぁんを呼んで矢口のいる所だけ告げ、後を頼んだ。

さて・・最後の大仕事や!


「梨華ちゃん」

部屋の奥で圭坊と話している石川を大声で呼ぶ。

「よっすぃ〜?」

近くにいた圭織が不思議そうな顔をしている。

「ひとみちゃん・・?」

大きな声で呼ばれて驚いた石川が傍にやってきた。
410 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時28分34秒
「今日・・約束の日だったよね」

「え?思い出したの?」

石川の言葉に首を横に振ったあと、ゆっくりと頭を下げる。

「ゴメン梨華ちゃん・・アタシずっと梨華ちゃんのこと騙してたんだ」

「騙してた・・?どういうこと?」

「アタシ・・いや、ウチは・・・」

「吉澤、なに言ってんの?」

圭坊がウチの言おうとしてることを察したのか言葉を遮った。

「圭坊・・もうええんや・・・」
411 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時33分15秒
「圭坊って・・・」

石川が戸惑いながら呟く。

「ごめんな石川・・ウチは・・吉澤ひとみやない、中澤裕子なんよ」

突然の告白に石川は言葉を出せずに固まっている。

「アンタの知ってる吉澤ひとみは娘。に入る前に事故に遭って
 魂だけが消滅して身体は生きたままになってたんや・・
 そして、その次の日にウチが事故に遭い同じ病院に運ばれた
 でもウチは身体を失い魂だけが残った、それで吉澤ひとみの身体に入り
 吉澤ひとみとして生きることになった・・・」


「そんな・・そんなことって・・・」

「出来ることならアンタとの約束を果たしたかったけど
 これ以上アンタを騙し続けることは出来ん・・ごめんな・・・」
412 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時36分35秒
石川は何も言わずにその場に泣き崩れた。

ちびっ子2人は、まるでオバケにでも遭ったかのような顔をして
固まったままウチを見ている。

ま、オバケと大して変わらんもんな・・・。


「裕ちゃんっ」

ちびっ子2人を見ながら苦笑いしていたウチの耳に
圭坊の悲鳴のような声が聞こえてきた。

圭坊の視線を辿ってみると、手が段々と透けてきている。


あぁ・・消滅ってこういうことなんか・・・。
完全に消える前に言わなアカンこといっぱいやな。
413 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時41分47秒
驚愕の表情でウチを見ているメンバーを見渡し声をかける。


「加護・辻、怖がらせてごめんな・・アンタらと遊ぶの結構楽しかったで・・・」

ちびっ子たちは相変わらず固まったままで・・・。

「石川・・ホンマにごめんな・・でもウチはアンタのこと好きやったよ・・・」

石川は泣きじゃくりながらも頷いてくれている。

「圭織・・長い付き合いやったな、ホンマありがとう・・
 これからもウチの分までモーニング頼んだで」

「裕ちゃん・・ずっと仲間だからね・・・」

圭織が泣き笑いの顔で応えてくれる。

「圭坊・・アンタの歌とダンス、めっちゃ好きやったよ
 もっともっとイイ女になってや・・・石川のこと頼むな・・」

圭坊も泣きながら頷いている。
414 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時46分38秒
「なっち・・圭織と同じで長い付き合いやったな・・
 どんなときでも笑顔、忘れんようにしいや・・・」

ウチの言葉通り、なっちは涙を流しながらも笑顔を見せてくれた。

そして次の瞬間、楽屋の扉が開きごっつぁんと
ごっつぁんに抱えられるようにして矢口が入ってきた。

「裕ちゃん、また会えるよね?」

「あぁ・・ごっつぁん今度はちゃんと見つけてな」

ごっつぁんがいつものフニャっとした笑顔で頷く。


「矢口・・約束やで、笑ってや」
415 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時49分06秒
「裕ちゃん・・裕ちゃんっ」


「みんなホンマにありがとう・・
 これからもずっと見守ってるからな・・・」


そしてウチが最後に見たものは
意識を失い床に崩れ落ちる矢口の姿だった。

ごめんな・・矢口・・・そう思いながらウチの意識は
そこで途切れた・・・。
416 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時50分00秒
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
417 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時52分30秒
目を覚ますとメンバーたちが心配そうに見ている。

「矢口?」

「矢口・・良かった・・・戻ってきたんだね」

みんな泣いてる・・矢口どうしたんだっけ・・・?


「ここは・・?」

「病院だよ・・矢口・・仕事に来る途中、事故に巻き込まれたんだ」

「・・・え?」

「矢口ずっと目を覚まさなかったんだよ」
418 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時55分44秒
どういうこと?事故って、あの事故のこと?

矢口はずっとツアー回っていたハズなのに・・・。
夢・・だったの?じゃあ、裕ちゃんは・・・?

思ったままの疑問をなっちにぶつけた。

「裕ちゃんは・・?」

「・・・・」

「ねえ、裕ちゃんは?」

「事故の現場に裕ちゃんもいて・・・」

やっぱり・・となると、どこまでが夢なんだろう?
419 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)03時59分05秒
「・・・よっすぃ〜は?」

「え?よっすぃ〜・・?」

「うん、新メンバーの吉澤ひとみ」

「なんで矢口が新メンバーのこと知ってるの?
 この娘たち、事故の後に入ってきたんだよ・・・」

圭織の言葉に合わせて、メンバーが後ろの方に視線を向けた。


そこには、夢で見ていたままの新メンバー4人の姿があった。

違うところと言えば・・
矢口や他のメンバーに初めて会ったみたいに緊張してること。

よっすぃ〜も同じように緊張している。
420 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時02分51秒
どういうこと?全部夢だったの?

じゃあ、よっすぃ〜が裕ちゃんだったっていうのも・・夢?

裕ちゃんの消滅は・・・?
それさえも夢・・・。


夢の中で裕ちゃんが消えちゃって泣きじゃくってたのに
まだ涙がでてくる。

「矢口?」

なっちが心配そうに覗き込んでくる。

「大丈夫だよ・・ごめんね」

「矢口・・裕ちゃんのことなんだけど・・・」
421 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時05分03秒
「判ってる、矢口を助けてくれたんだよね」

「・・うん」

矢口の言葉に、なっちは驚いたように目を見開いたあと力無く頷いた。


「ごめん・・矢口ちょっと疲れちゃった」

「そうだよね、ずっと昏睡状態だったんだもん」

「他のメンバーも明日には来れると思うから」

「うん・・分かった」

そして、そこにいたメンバー全員が帰り病室に静けさが戻った。
422 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時09分03秒
裕ちゃん・・矢口、夢の中で幸せだったよ・・・。

なんか、まだ夢だって信じられないけど・・裕ちゃんとの約束守るから・・・。
だから・・ずっと見守っていてね。

それでもその日は涙が止まらず、泣きながら眠りについた。


次の日、昨日は姿が見えなかったごっつぁんが仕事の合間に来てくれた。

「やぐっつぁん、調子どう?」

「うん、もう大丈夫だよ・・
 それより、ごっつぁんって霊感強かったよね?」

「へ?霊感って、あの幽霊見ちゃうとかいうやつ?」

ごっつぁんがキョトンとしたまま聞いてくる。
423 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時13分03秒
「そう、それ」

「う〜ん、どうなのかなあ?ホテルの部屋とか入ったときに
 気分悪くなったりすることはあるけど、見たことはないよ
 でも、何でそんなこと聞くの?」

「ん?いや・・ちょっと夢でみちゃってさ
 矢口の夢の中のごっつぁんは幽霊と話も出来たんだ」

「んぁ〜それは凄いね〜、でも怖いから話したくないかも〜」

「そっか・・そうだよね、ごめんね変なこと聞いちゃって」

矢口の言葉にごっつぁんは笑顔で首を振ったあと
ふと思い出したように口を開いた。

「そういえば、今日は仕事が早く終わるから新メンバーたちも
 ちゃんと挨拶しに来るって言ってたよ」
424 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時16分34秒
「そっか、新メンバーと話すの初めてになるんだよね
 ごっつぁんは、もう仲良くなった?」

「うん!歳が近いし、特によしことは凄く仲良いかも」

ごっつぁんがフニャッと笑って答える。

「よしこって吉澤さんのこと?」

「そうだよ、やぐっつぁんは昨日よっすぃ〜って言ったんだって?」

「うん、夢の中でずっとそう呼んでたから・・・」

「ふ〜ん、なんか不思議な感じだね」

「ホント不思議・・・」

ごっつぁんの言葉にぼんやりと呟く。
425 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時19分37秒
少しの沈黙の後、ごっつぁんが腕時計に目を落とし顔を上げた。

「じゃあ、ごとーまだ仕事残ってるから戻るね」

「ありがとう、頑張ってね」

「うん、じゃあね」

そう言ってごっつぁんは手を振りながら帰っていった。


ごっつぁんが帰ってから少ししてノックの音とともに
マネージャーと新メンバーが入ってきた。


そして緊張した面もちで自己紹介をする。

「初めまして吉澤ひとみです」
426 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時24分01秒
「石川梨華です」

「加護亜衣です」

「辻希美です」


夢の中でした挨拶と何も変わらないのに・・・。

「初めまして・・矢口真里です、よろしくね」

「「「「よろしくお願いします」」」」


挨拶のあと色々な話をしたけど、やっぱり夢で見ていた娘たちとは
何となく違う感じで・・・。

よっすぃ〜も落ち着いた雰囲気は変わらないけど
口数が少なくすごく大人しい印象だった。
427 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時27分44秒
そして来たときと同じようにマネージャーに促されて
新メンバーは帰っていった。


ごっつぁんや新メンバーと話してみて
昨日まで、もしかしたら・・って思っていた淡い期待も見事にうち砕かれた。

やっぱり、ただの夢だったんだ。


裕ちゃんどうしよう・・
矢口、裕ちゃんとの約束守れる自信なくなってきちゃったよ・・・。

夢で終わらせるにはあまりにも重すぎた夢の中での日々。


裕ちゃん・・会いたいよ・・・。
どんな姿でも良いから、抱きしめて欲しいのに・・・。
428 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時32分00秒
堪えきれずに涙が溢れてくる。

裕ちゃん・・裕ちゃん・・・。


その時、不意に扉が開いた。

「あ・・すいません・・・ノックしたんですけど返事がなかったんで・・・」

そう言って入ってきたのは吉澤さんだった。

「あ、ごめんね・・変なとこ見せちゃったね・・・」

「すいません・・忘れ物しちゃって・・・」

吉澤さんはすまなそうにそう言うと、椅子の上からポーチを取り
俯いて涙を拭いていた矢口に遠慮がちに話しかけてきた。

「あの・・大丈夫ですか?」

「うん・・大丈夫だよ、色々と思い出してただけだから」
429 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時35分14秒
「そうですか・・すいません、お邪魔しました・・失礼します」

吉澤さんはペコリと頭を下げてドアへと向かった。

「ごめんね、ありがとう・・・」

そう言うのが精一杯で、また涙が溢れ出す・・・。

ドアが閉まる音を聞いたあと、声を出して泣いた。


どのくらい経っただろう・・・?

目一杯泣いて、少しだけ落ち着きを取り戻したとき
ふと何かの気配を感じて顔を上げた。

「な・・んで・・・?」

なぜかドアの前に帰ったハズの吉澤さんが立っていた。
430 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時38分34秒
「すいません・・なんか心配で帰れなくて・・・」

そう言いながら遠慮がちに矢口の傍まで歩いてくる。


夢の中のよっすぃ〜とは違うのに、顔を見ると思い出してしまう。
でも、そのお陰で裕ちゃんとの約束をまた思い出すことが出来た。


新メンバーに泣いてるとこなんて見せられないよね・・・。
辛いときこそ笑わなきゃ・・そうだよね、裕ちゃん。

「ごめん、ホントに大丈夫だから・・・」

涙は止まらないけど、一生懸命笑ってみせる。
431 名前:tuning point 投稿日:2002年11月01日(金)04時42分07秒
そして矢口が笑顔で“ありがとう”と言った瞬間
それまで心配そうに矢口を見ていた吉澤さんの手が矢口の頬に触れた。

・・・え?

そのまま、ゆっくりと耳朶を指でなぞり始める。

どうして・・・?


「ゆ・・ちゃん?」


矢口の問いかけに吉澤さんは曖昧な笑みを浮かべて
そっと矢口を抱きしめた。

そして矢口の背中をポンポンとしたあと
唇に触れるだけのキスをして、こう言ったんだ・・・。


「お帰り・・・矢口」
432 名前:たむ 投稿日:2002年11月01日(金)04時47分17秒
endを付け忘れましたが、これにて終了です。

一応、エピローグという形でもう少し話は続きますが・・・。
433 名前:たむ 投稿日:2002年11月01日(金)04時56分16秒
ただ、自分は文章を短くまとめるということが苦手なので
このスレ内では収まりそうもないためエピローグはココには載せません。

で、愛しすぎるやぐちゅー作家さまのご厚意により
そこのサイトに載せて頂くことになりました。

載っけてもらったら、こちらでも宣伝するので
興味のある方はシナノさんのサイトに飛んでみてください。
434 名前:たむ 投稿日:2002年11月01日(金)05時00分49秒
かなり長々と続いたこの話も、読んで頂ければこそ出来た事で。
とくにレスを下さった皆様には本当に感謝しております。

レスがどれだけ励みになったことか・・・本当にありがとうございました。

それでは、このスレがいっぱいになるくらいの感想お待ちしております(w
435 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年11月02日(土)00時28分33秒
おつかれさまでした。
なんか、やっぱりせつなげなかんじでしたね…。
やっぱり裕ちゃんは去り際もかっこいい!!とかんじました。
エピローグもたのしみにしてます。
本当におつかれさまでした。
436 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年11月02日(土)03時07分31秒
自分の読解力不足のせいかもしれませんが、
現時点での率直な感想は「ラスト、どーいうこっちゃ?」って感じです。
エピローグを読めば、スッキリするかな?
とりあえず、脱稿お疲れ様でした。エピローグ楽しみに待ってます。
437 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年11月02日(土)04時24分06秒
お疲れさまでした。エピローグの方、できあがったら
すぐに拝見させてもらいます(w
438 名前:たむ 投稿日:2002年11月06日(水)01時46分18秒
≫ゆちぃさま
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
毎回くださるレスにホンマ励まされました。
次はエピローグの感想と一緒にクマ観察日記お待ちしております(w

≫読んでる人@ヤグヲタさま
前スレから引き続き、毎回のレス本当にありがとうございました。
そして率直な意見も頂き、有り余る感謝でござます。
作者の表現力不足のため理解に苦しまれたと思いますが
ヤグヲタさんの感想は作者的にはニヤリって感じです。
訳判らないとエピローグ読まなきゃ気が済まなくなるでしょ?(w
また、エピローグの方も率直な感想を頂けたら幸いです。

≫セーラムさま
最後までお付き合い&レス頂きありがとうございました。
それから、脱稿お疲れさまです。
新作、首を長くして待ってますから〜(w


ってなわけで、近日中にエピローグ載っけてもらえそうです。
詳しいお知らせは後日になりますが、それまでにシナノさんのサイトに行くと
良いこと(?)あるかもしれませんぜ!
439 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年11月06日(水)13時14分02秒
>作者さん
シナノさんのサイトってドコにあるんですか?
440 名前:ゆちぃ。 投稿日:2002年11月06日(水)18時36分40秒
感想が励みになったなんて言って頂けて、私こそうれしいですvvvv
いつからの観察日記をかけばいいんですか??(笑)
課題ができちゃいましたねぇ…(爆)
エピローグ、ほんとにたのしみにしてます。
441 名前:たむ 投稿日:2002年11月07日(木)19時06分13秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
お待たせして申し訳ないです。
シナノさんのサイトで愛しすぎるやぐちゅー堪能してくださいね。
ついでで良いのでエピローグも読んで頂ければ嬉しいです(w

≫ゆちぃさま
お待たせいたしました、エピローグ読んでみてください。
で、また感想など頂けたら涙流して喜びます(w
観察日記は芽が出たところからお願いします(意味不明)
442 名前:たむ 投稿日:2002年11月07日(木)19時11分55秒
ってなわけで、エピローグをアップして頂いたので
よろしければ読んでみてください。

http://route145.fc2web.com/

シナノさんの愛しすぎるやぐちゅーに溶けてしまうとは思いますが
余力が残っていればエピローグの感想をよろしくお願いします(w

それと、ラストの解釈を自分はこういう風にしていたなど
エピローグの話とは違う解釈をしていた方がいらっしゃいましたら
今後の参考にしたいのでよろしければレスください。
443 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年11月08日(金)13時51分09秒
感想はこっちでいいのかな?

完結したというコトで、改めて脱稿お疲れ様でした。
エピローグを読んで、自分の中での話の辻褄が合い、スッキリしました。
つーか、夢編(?)で最後に交わした約束に、重要な意味合いが有ると考えていなかった
自分の読みの甘さを痛烈に感じました・・・。
ま、とにかく、いろいろありましたけど、矢口は裕ちゃんのコトを想い続け、
裕ちゃんは矢口のコトを想い続けてきた結果、
最後に、今後の甘い生活を予感させるやぐちゅーで終って良かったです♪
では、次回作(有りますよね?)待ってます。

シナノさんのサイトってルート145のコトだったんですね。
あそこは定期的にチェック入れてるサイトでした(汗
つーか、今回初めて、ルート145=シナノさん=「LOVE GOES ON...」の作者
という構図を知りました(汗汗
444 名前:たむ 投稿日:2002年11月16日(土)03時22分03秒
≫読んでる人@ヤグヲタさま
最後の最後まで、レスありがとうございました。
作者の表現力不足にも関わらず納得して頂けて嬉しい限りです。
ヤグヲタさんもシナノさんのサイトの入院患者でしたか(笑)

次回作はもう少し後になると思いますが
皆様にお見せできれば良いな〜と思ってます。

また出現したときにはヨロシクお願いします(w
445 名前:ゆちぃ 投稿日:2002年11月16日(土)20時44分36秒
遅くなりました。
改めまして、本当におつかれさまでした。
消滅って存在が消滅じゃなかったんですねぇ。深い!深いですっ!
次回作もあるそうなので、楽しみにしてます。
クマ人間にならない程度に(笑)
やぐちゅーさいこぉ〜〜!!

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