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屋根の下のベース弾き #3

1 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)13時42分00秒
同じ海板の続きです。よろしくお願いいたします。

http://mseek.obi.ne.jp/kako/wood/1018614026.html(最初)

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=sea&thp=1020511804(その次)
(倉庫行きになったらhttp://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/1020511804.htmlに多分なるかと)

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=sea&thp=1026291110(パート2)
(同上。http://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/1026291110.html
2 名前:Summertime 投稿日:2002年09月17日(火)13時48分12秒
「すっかり遅くなったれすね」
辻と加護は公園を後にした。

「ん。自分疲れてへんの?朝からバイトして、昼から氷売りやったんやろ」
「ののは大丈夫れすよ。頑丈なのがとりえれすから」
「そっか」

しばらく歩いていて、加護が急に顔をしかめた。
「どしたんれすか?」
辻が顔を覗き込む。
「あ、足が…」
「痛いんれすか?」
「いや、痛いのもあるけど…血が」
「エ!?」
辻はあわてて加護の足を見た。
鼻緒に擦れて、足の指の間の皮がめくれて出血していた。
「あ!ごめんれす、のの全然気がつかなくて!」
「いや、エエねん。新しい下駄やけど大丈夫やろって侮ってた」
加護は顔をしかめながら笑う。
辻はおろおろとする。
やがて、
「のの、おんぶしてあげます」
「ハァ?」
膝を曲げ、おんぶの姿勢を取った。
「さ、文句言わずにののにおとなしくおんぶされるれす」
「てか、ウチ重いで」
「ののよりは軽いはずれす。ささ、遠慮は無用れす」
「ハァ…」
加護はためらいながら、辻の背中につかまった。
3 名前:Summertime 投稿日:2002年09月17日(火)13時49分23秒
「よいしょ」
加護を背負って、辻は夜道を歩く。
下駄は脱がせて、加護の手に持たせた。

「やっぱりののより軽いれす!」
「ウン…」
「あ、認めたれすね?」
辻は楽しそうに笑う。
加護は胸がつまるような、変な気持ちになる。
「あいぼーん?」
加護が黙ったきりなので、辻はちょっと振り向いて声をかけた。
「なんや」
「あ、起きてたれすね。寝たのかと思ったれす」
「いや、力持ちやなーと思って」
「言ったれしょ?頑丈なのがとりえらって」
へへ、と辻は笑う。
「…そっか」
加護は辻の背中に顔を埋めた。


「あれー、どしたん?ふたりともー」
近くのコンビニの前を通ると、中から買出しの袋を持った保田と飯田が出てきた。
後藤は一足先に帰って、保田の家で待っている。
「あ、いいらさん。あいぼん、足が痛くて下駄の鼻緒のとこから血が出てるれす」
「あーあ。おろしたばっかりの履いたんだね。加護、大丈夫か?」
保田は加護の頭をぽんぽん叩いた。
「うん。おんぶしてもうてるし」
「そっか。ふたりとも気をつけて帰んなよ」
「ウン…おばちゃん」
「ん?」
「あんず飴、ありがとーな」
保田は笑って手を振った。
4 名前:Summertime 投稿日:2002年09月17日(火)13時52分25秒
「楽しかったー!」
吉澤と梨華は、連れ立って歩いていた。

「ん、カワイイ浴衣も見れたしー」
梨華は恥ずかしさに、頬を両手で押さえる。
吉澤はそんな梨華を見て、優しく笑った。
「次はライブかー」
吉澤はうーんと言って伸びをした。
「あ、そだね。あたし、柴ちゃんと行くね」
「ハイ、お待ちしてます」
おどけたように吉澤は言う。
梨華はまた笑う。
「今回はマジ、すげーから!もう、保田さんが!」
「え、保田さんが何?」
「ヤッスーファンまた急増!ってくらいスゴイプロジェクトをさ、実施するワケよ」
吉澤は得意げに言った。
「へえ〜。保田さんも張り切ってるの?」
「いや…どっちかっつーと、渋々?」
保田以外は乗り気だという、保田本人には迷惑以外何物でもなさそうな
プロジェクトである。

「嫌がってるの?」
「まあ、それに近い…かな?」
「ハハ、楽しみにしてるね」
「ウン」
ふたりは手をつないで、家路についた。
5 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月17日(火)13時55分21秒
更新しました。

ついにパート3…。

( ‘д‘)<ほんま、どこまでつづくんやろな!

( ´D`)つ○<まあまあ、ひっこしソバでもたべるれす

というわけで、新スレでもよろしくおながいします。


\(^▽^)/<せ〜の!ハッピー!!
6 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月17日(火)14時04分43秒
お引越し〜♪私も引越しソバ食べます(笑)。ちょーだい、ののちゃん!!

ヤッスーのスゴイプロジェクト…た、楽しみ過ぎます!!
しかもラブラブいやんないしよしが!!
ああ、ときめきが止まらない…♪

 いつまでも続いて欲しいくらい、大好きです〜!このお話〜!!
 続き、楽しみにしてますね!
7 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月17日(火)15時46分05秒
新スレおめです
いよいよ世界のヤッスーが! ズワーイ

( `.∀´)<オホホホ 惚れ直すわよ
8 名前:オガマー 投稿日:2002年09月17日(火)16時56分25秒
( ´D`)<ごまさんマジですごいのれす
ついにその3

祭りの後…なんとも切ない瞬間ですなw

そりゃもうどこまででも続けてください(w
9 名前:ベリィ 投稿日:2002年09月17日(火)23時14分16秒
新スレおめでとうごじゃいまっす〜w
このオハナシは既にベリィの生活習慣になっているので
末永く続けてください。これからもがんがってくださいねw

ヤッスーファンまた急増!?
既にヤッス〜ファン(ってかヲタ!?)としては
見逃せませんし,聞き逃せませんなw

それはそうとワタクシめのくだらない質問に
答えてくださってどうもありがとうございますw
おかえりなさい,いち〜ちゃん!

あ,ののちゃん、わたしもお蕎麦欲しいな…。アマッテル?
10 名前:婆金 投稿日:2002年09月18日(水)01時27分24秒
新スレ、おめでとうございます。
週日に、ベース弾きを読むことが習慣になって久しいですが
もう、ずっと好きっぱなしですね。
いっぱい好きなシーンがあるんですけど、その中でも
海板に移った最初のスレの中で、ライブ後、ごっちんと市井ちゃんが
夜明け前の土手を二人で歩きながら喋ってるシーンが好きです。
あの頃があるから、今の浴衣梨華ちゃんがいる!
これからもガンガって下さい。
11 名前:あおのり 投稿日:2002年09月18日(水)11時15分39秒
新スレおめでとうごじゃります。
作品もますますパワーがアップしてごまべーぐるさんかっけー!
夏祭り編いろいろなところでめちゃめちゃ萌えますた。みんなの浴衣姿が目に浮かぶ・・・
そしてこれからのヤッスープロジェクトも楽しみです。

AA劇場アヤカさんの鼻血物のアオザイ姿めちゃめちゃ見たかったッス!
せっかくの萌えどころなのに・・・・「いちーちゃんのあほー!」
12 名前:Summertime 投稿日:2002年09月18日(水)18時40分27秒
小川麻琴は鼻息荒く、中澤家目指して歩いていた。

先日、近所に住む新垣里沙から、辻が祭りの屋台で売り子をしていたとの
目撃情報を耳にし、しかも浴衣姿の加護と仲良くとうもろこしを食べていたと
聞かされ、いても立ってもいられなくなった。
早速、家庭教師の梨華に電話をかけ、家に遊びに行く約束を取り付けた。
ファックスで地図を送ってもらい、こうしていま、自慢の顎をやや突き出し気味にし、
中澤家に向かっている。

『今日はキメてやるぜ!』
小川は出走前の競走馬のようだった。

服装も、吟味した。
最近、母に買ってもらったブランド物のカットソーと五分丈のジーンズ。
足元はお気に入りのスニーカー。
片手にはデパ地下で買った、雑誌でチェックした流行りの店のケーキ。
完璧だった。

『待っててね!辻ちゃん!いま、行くよ!!』
肉離れでチアの大会に出場できず、ヘコんでたことなど忘れたかのように、
小川は燃えていた。
13 名前:Summertime 投稿日:2002年09月18日(水)18時44分17秒
その頃。

辻は鼻歌を歌いながら、台所で洗い物をしていた。
ちょうど、裕子に用事があった飯田も、そこにいる。
「お、辻ご機嫌じゃん。料理でもしてたん?」
「へいっ。あいぼんとアイスクリーム作ってたんれす。あいぼんが帰ってきたら、
一緒に作る約束してたんれす」
「へー、手作りアイスかぁ〜。加護はどしたん?」
「アイスを固めてる間に、果物買いに行ってもらってるんれす。いいらさんも食べましょう」
「おー、サンキュー。楽しみだなー」
ふたりは顔を見合わせ、えへへと笑った。

「ごめんくださーい!」
インターフォンが鳴ったかと思うと、インターフォンを通さず、地声で
でかい声がした。
例えて言うなら、猪木の『元気ですかー!!』のような調子だ。
「あ、来た来た!」
居間で何か支度をしてた梨華が、ぱたぱたとスリッパの音を立てて出てきた。
「誰れすか?」
「ん。あたしがカテキョで教えてる女の子」
「あ、そうれしたね。今日れしたね」
「ハ〜イ!」
梨華が戸を開けて入るよう促す。
そこには、
「こんにちはー!」
小川が勢いよく立っていた。
「お、小川しゃん!?」
辻は目を丸くする。
「よう!辻ちゃん!」
小川は片手を上げて挨拶する。
「梨華ちゃんが教えてるひとって、小川しゃんだったんれすか?」
「あれー?あたし、言ってなかったっけー?」
梨華は首を傾げた。
「初耳れす」
「まぁ、とにかく上がってもらったら?」
飯田がフォローに入る。
「そうですね。どうぞ、狭いトコだけど」
「ハイ!お邪魔しまーす!!」
元気のいい子だね、と飯田は辻に言った。
辻も頷く。
14 名前:Summertime 投稿日:2002年09月18日(水)18時45分56秒
梨華は小川を居間に通し、早速お好み焼きを振る舞った。
ホットプレートに、溢れんばかりの具が載る。
「すげー!本格的ー!!」
あまり家でお好みを食べたことのない小川は、感嘆の声を上げる。
「うん、うちのお母さんがよく焼いてくれたの」
梨華はそう言って、2本のヘラでお好みを返した。
「へぇ〜!プロみたい!」
小川はまた感心する。
辻はその横で、複雑な心境で見ていた。
『ああ…あいぼんが帰ってきたら、どうなるのれしょうか』
「辻、どしたん?」
飯田が心配そうに見る。
「何でもないれすよ」
笑ってごまかす。
何故かは分からないが、加護と小川はやたらと仲が悪い。
顔を合わせたらケンカになる。
この家で鉢合わせしたら一体どうなるのか。
気が気ではなかった。

「ただいまー」
『…帰ってきた!』
辻はギクリとした。
「あ、あいぼん。おかえりー」
梨華が出て行く。
「…あいぼん?」
小川が眉を顰める。
『あ、あ…神様!』
辻は心の中で十字を切った。

「なんや、エエニオイしてんなぁ〜」
「ウン、お客さんだからお好み焼いてんの。あいぼんも食べよ」
「エエの?なんや、悪いなー」
ふたりが話しながら居間に入ってくる。
「ののー、買ってきたでー…ん?」
「よう」
かなり不本意ではあったが、小川は一応挨拶した。
「…どゆこと?」
加護は梨華のほうを振り返る。
「うん、あたしのカテキョの生徒さんで、小川麻琴ちゃん。あいぼん、同じ学校なんだよね」
梨華はあくまで笑顔だ。
「いや、まぁ…同じ学校っつったら、同じ学校なんやけど」

15 名前:Summertime 投稿日:2002年09月18日(水)18時53分16秒
加護は困惑した様子で、ちらっと辻を見た。
辻は困ったように笑う。
観念したかのように、加護は小さく溜息をつき、席に着く。

「と、とにかく食べましょう!冷めてもおいしくないれす!」
辻は冷や汗をかきながら、話に割って入る。
飯田は辻の様子に、詳しい事情は分からないながら、何かワケありだな、と考えた。
「そうだね♪さ、食べよ。食べよ」
梨華はこの緊迫した空気に気づいていない…。
やがて、複雑な人間関係の、和やかな昼食が始まった。

「先生のお好み焼き、うめー!」
小川は大喜びだった。
「そう?フフ、ありがと!」
「石川、裕ちゃんと張るな。ほんとうまいわ」
飯田も素直に褒める。
「ウマイわ、梨華ちゃん」
「へいっ、ダシが効いてます」
辻・加護もお互いを気にしながら感想を口にする。
小川はふたりを見て、
『てか、ナニ遠慮しあってんだ、あのふたり?』
お好みを頬張りながら、ちらちらと観察する。
『なんかよく分かんないけど、何となく辻が原因っぽいな』
第三者の飯田は、心の中で呟く。
「たくさん食べてね♪」
梨華は何も知らず、上機嫌だった。

16 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月18日(水)19時04分04秒
更新しました。
( ^▽^)<ほいっ♪  ∬`▽´ ∬<おー!すげー!ちゃんとひっくり返ったー!!

              ハラハラ
( ‘д‘)<……  (´D` ;)  ( ゜皿 ゜)<ツジガピンチッポイ

レスのお礼です。

>クロイツさん
( ´D`)つ○<へいっ、ソバいっちょうなのれす!
ありがとうございます、がんがります。ヤッスープロジェクトはもうすぐです。

>名無し読者さん
( `.∀´)<スイマセンだなんて謙虚な方だわ!むしろ大歓迎よ!
ありがとうございます。ヤッスープロジェクト、着々と進んでおります。

>オガマーさん
(〜^◇^)<オガマーさんもスゴイよ!
ついにその3です。どうもです。できるトコまで続けたいと考えてたり。
 
17 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月18日(水)19時12分53秒
>ベリィさん
( ´D`)つ○<ソバもうひとつ追加なのれす!
ありがとうございます。市井ちゃんは土産をホテルに忘れるすっとこどっこいです(w

>婆金さん
( ´ Д`)<んあ〜。ありがとう!あのシーン書くの、苦労したんだって〜
ありがとうございます。ああいう時もありますたねー。がんがります。

>あおのりさん
川‘.▽‘)||<んもー。せっかくアタシのサイズを書いたメモまで渡したのに
言われた通りに買ったのに、忘れるトコが市井ちゃんです。これからもがんがります。  
18 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月18日(水)22時00分19秒
これもある意味、三角関係か?
いや、いいらさんも交えたら四角?
19 名前:なっなし〜 投稿日:2002年09月19日(木)00時55分30秒
( ^▽^)ノ~~~▼▽▼▽▼▽[祝♪新スレ!]▼▽▼▽▼▽~~~ヽ(^〜^O)
新スレおめでとうございま〜す。
長いことやっているのに、いつも新鮮で飽きない面白さを持つこの作品好き!
ほんとサザ○さんやドラ○もんのようにいつまでも続いていってほしいです(w

アオザイ…あれはかなり身体にフィットする服なので、アヤカは市井ちゃんに
くわし〜い身体のサイズを教えたということでしょうか…
ヽ;^∀^ノ<いや…え〜っと、それは…


|Д`)チラリ
20 名前:オガマー 投稿日:2002年09月19日(木)03時46分08秒
ズワーイ!ヤグに褒められた(w
でも、今ネタ切れな罠。。
ののたん、かわいいw
そして、何にも気付いていない梨華たんも(w
21 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月19日(木)15時08分57秒
ののたんをめぐる、あいぼんとまこっちゃんの戦い…!!
あああ、楽しい!!楽しすぎます!!
どーなっちゃうのか…期待しております!!
でも、どっちを応援して良いのかわからない…(汗)
ふ、二人ともがんばれ!!

ヤッスープロジェクトにも、胸を高鳴らせてますから!!
22 名前:HR−MS 投稿日:2002年09月19日(木)15時59分42秒
 海板でのパート3突入おめでとうございます。Dトーク、今日はまこっちゃん編

 DJ:まこっちゃん、チアの大会参加できなかったけどいいの?
 小川:ハッハッハ!平気っスよ、いや〜、先生のお好み焼きが食えたうえに、辻ちゃんに会えただけでも満足ッスね。
    何て言うんすかね、これも恋の力ってヤツっすか。
 DJ:いや、パワフルなのはいいけどさ〜、ヤケドしないようにね。
 小川:ハハハ!なんですかヤケドって?そんな、恋をすれば順調にいくわけないんですから。でも、あたしの持ち前のタフで乗り切って
    みせますから。
 DJ:(いや〜、オレは加護ちゃんとのバトルの意味で言ったんだけどな。激しく勘違いだぜ、こりゃ・・・。)
 小川:さぁて、パート3に突入したから、見ろよコノヤロー!(猪木風に)

 PS:明日あたりは2本立てで書こうと思ってます今日この頃。
23 名前:Summertime 投稿日:2002年09月19日(木)17時23分21秒
―――同じ日

『CUBIC−CROSS』一行は、アヤカの家に集まり、ライブの打ち合わせ兼
『市井訪越&帰朝記念祝賀会』を開いていた。
要は、ベトナムコーヒー飲んで、生春巻きを食べるだけの集いである。
仰々しいタイトルの割にはつつましい集いなのだ。

「ハーイ、出来たわよー!」
台所から、エプロン姿のアヤカが春巻きの皿を持って出てきた。
「待ってましたー!」
手を叩く一同。
市井は土産をひとそろい、そっくりそのままホテルに置いてきてしまったので、
ちょっと肩身が狭い。
奇跡的に(?)、ベトナムコーヒーセットと春巻きの皮だけスーツケースに入れてたので、
これでメンバーに勘弁してしてもらえた。
生春巻きはアヤカの手によって、美しく調理された。
香菜や海老がうっすらと透けて見える。
「うまいッス!アヤカさん、料理上手っスねー」
「フフ。ありがと、よっすぃ〜」
「んあ〜、いいお嫁さんになるねー」
「ごっちんたら、これ以上褒めても何にも出ないわよ」
保田は黙って食べていた。
「圭ちゃん、おいし?」
突然アヤカにフラれて、保田はハッと我に返る。
「あ、あ。ウン、イケるわよ」
「よかった」
アヤカの笑顔に、保田は何とも言えない気持ちになる。

「さてと。ウチのホムペのチェックでもするか」
市井はそう言って、アヤカのPCを起動させた。
『CUBIC−CROSS』はファンサイトを持っていた。
管理人の保田があらゆる機材を駆使して、結構凝ったページを作っている。
(保田の生イラストも、マニアに人気のコーナーだった)
BBSもあり、毎日それなりに書き込みがある。
24 名前:Summertime 投稿日:2002年09月19日(木)17時27分54秒
「まずはレス返。えーと『僕は群馬に住む高校3年生です。
たまに東京に出てきてCUBICのライブを観るのを楽しみにしています。
噂で、今度のライブで保田さんがスゴイことをすると聞いたのですが、本当ですか。
今度のライブを観たら、受験勉強に専念しようと思うので、当分楽しみはお預けです。
皆さん、頑張ってください。応援しています。」
「あのさ」
市井が一通り読み上げると、保田は口を開いた。
「何、圭ちゃん」
「今度のアレ…本当にやるの?」
保田を除く一同が、立ち上がる。
「何を今更!」とアヤカ。
「そうッス!いったん決めたことは貫き通すのが漢ッス!」
吉澤も握り拳で主張する。
「そうだよ〜!この男の子なんて、群馬からわざわざ見に来るんだよ!?」
PCのディスプレイを後藤は保田に見えるように向ける。
「この子が大学落ちたら、圭ちゃんのせいな」
「…分かったわよ」
市井のダメ押しで、保田は肩を落として残った春巻きを寂しそうに齧った。
「分かったんなら次のレスへ。
えーと、HN『ヤッスーLOVE』さん。
『こんにちは。いつも楽しくライブを拝見しています。
私はヤッスーがジャズバンドにいた頃からのファンです。
今度のライブも楽しみにしています。
平日なので、有休取って行きます。メンバーの皆さんも頑張ってください』
おー、圭ちゃん。すげー愛されっぷりだなー」
「ほんと、ほんと。うちのバンドの看板娘だよねー」
市井やアヤカに冷やかされ、保田は渋い顔で黙って缶ビールを飲み干した。
25 名前:Summertime 投稿日:2002年09月19日(木)17時30分52秒
小川は中澤家を充分堪能し、車で梨華に送ってもらった。
梨華の可愛らしい部屋も見た。
お好み焼きを始め、手作りアイスや梨華のお手製クッキーも食べた。
小川はとても満足していた。

「それじゃ、またね」
「先生、ありがとう。辻ちゃんもまたね。加護も」
車を降りた小川は、車内の3人に手を振る。
梨華と辻は笑顔で、加護は投げやりに振り返す。

「それじゃ、ののちゃんをお送りしましょうか」
車は一路、東京駅に向かう。
辻は両親や姉がオーストラリアから帰って来てるので、今日から親戚の家に行く。
東京駅で親戚の者と待ち合わせしているのだ。
「梨華ちゃん、ありがとうれす」
「どういたしまして。まこっちゃんも送んなきゃいけなかったしね」
加護はずっと黙ったままだ。
辻は、
「あいぼん」
そっと声をかけた
「なんや」
「疲れたれすか」
「…別に」
そっけなく答えて、暮れかけた東京の街並みに目を移す。

東京駅で、辻は礼を言って降りていった。
「あいぼん、電話するれす」
加護は返事はせず、小さく手を振った。
26 名前:Summertime 投稿日:2002年09月19日(木)17時35分02秒
「どうしたのー」
帰り道、梨華は運転席から声をかけた。
「別に」
「別にってことはないでしょ。今日一日、ずっと拗ねちゃって」
加護は押し黙る。
「ののちゃん、ずっと気、使っちゃって」
「気づいてたんかいな」
「さすがにね」
梨華は苦笑する。
「まこっちゃん、悪いコじゃないと思うよ。ちょっとあのパワーにはたまに
ついていけないけど。正直でまっすぐなコだし」
「別にアイツ本人がどうこうやない」
「ののちゃんに構うから?」
加護がルームミラー越しに俯いたのが見えた。
「ののちゃん、カワイイからな〜」
「勝手に決めつけんといてェな」
「じゃ、どうして」
しばらくたって、
「…なんでそんな、イジワルゆうん」
加護がしゃくりあげながら呟いた。
梨華は言いすぎた、とすぐ後悔する。
「ごめん。でもねー、ののちゃんに一方的に気を使わせたのはよくないと思うよ。
いくら、あいぼんがまこっちゃんをキライでも」
「そんなんやないもん!」
「あいぼん…」
「そんなんや、ないもん…」
珍しく、加護が子供の顔をして泣きじゃくった。
梨華はしばらく考え、家とは違う方角を目指して走った。
「…どこ行くん?家とちゃう方やん」
「ドライブしよ」
梨華は宣言した。
「今日は裕ちゃん、デートで遅いし」
車はあてもなく進む。
27 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月19日(木)17時54分56秒
更新しました。思春期なあいぼんの巻。

@ノハ@
(; TдT)<梨華ちゃんのあほー!(えぐえぐ)

(;^▽^)<あっちゃ〜… ヤッチャッタ!

レスのお礼です。

>名無し読者さん
川‘〜‘)||<ん〜。カオ的には、辻はかわいい妹かな。しかし辻、モテモテだなー。
ある意味、四角関係でしょうね。恋愛感情に気づいてるのは、ごく一部ですが。

>なっなし〜さん
ヽ;^∀^ノ□<ウヲ!すんげ〜ないすばでー!(なになに?バスト…)
応援アンドいつも凝ったAAをありがとうございます。がんがります!

>オガマーさん
(;^▽^)<いやー、さすがに気づいてましたよ。ヒバナチッテルシ
いしかーさん、気づいてないフリしてたんれす。ののは原因分かってないですが。

>クロイツさん
∬`▽´∬<サンキュー!応援ヨロシク!
肝心のお姫様は原因に気づいていない罠(w ヤッスープロジェクト、そろそろ発動?

>HR−MSさん
∬`▽´∬<おう!加護には負けねーぜ!2本立てなんてすげー!!
いつもありがとうございます。ここの小川の考える前に行動するとことか、よく出てます(w
28 名前:オガマー 投稿日:2002年09月19日(木)22時36分10秒
ぉぉ!
(0^〜^)<さすが!梨華ちゃんカッケー!w
更に萌え(w
ところで、石川さんの車の運転は大丈夫なんでせうか。
(;^▽^)<この間から失礼ですね…。
29 名前:HR−MS 投稿日:2002年09月20日(金)04時35分37秒
 グッドモーニング息子。ということで、二本立ての一本目逝かせていただきます。

 DJ:今週は辻ちゃんをめぐっての四角関係ですか、ねえ飯田さん?
 飯田:そうだね。でも、カオにとって辻は妹みたいなものだから。辻はかわいいからね。
 DJ:あっ、そうですね。むしろ、保田さんのほうが気になるってとこ、
 飯田:・・・・・・・・。 
 DJ:?????。
 飯田:ガガ。ケイチャンハ、キ、キヅイテルトイウカ、ワザトキヅイテイナイフリヲシテイル。
    デモ、キヅイテイナイトイウカ、モテモテナノニキヅカナイト・・・・。
 DJ:(交信モード突入しちまったぜ、放送事故突入しそう。)
 飯田:カオ、ケイチャンニハカナリアマエテイルトオモウ、デモソレハ・・・・・。
 DJ:とりあえず、次回もDon’t miss it!
 DJ:
30 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月20日(金)14時09分56秒
あいぼんが可愛い〜〜〜vvv
ごめんよまこっちゃん…もしかしたら私、あいぼんの応援をしてしまうかも知れません…。
梨華ちゃんとあいぼんのドライブも素敵♪

そして、ヤッスープロジェクト…楽しみ過ぎる〜〜!!!
頑張ってくださいね!!
31 名前:Summertime 投稿日:2002年09月20日(金)16時42分28秒
「落ち着いた?」
しばらくたってから、梨華は後部座席の加護に声をかけた。
「…うん」
「じゃ、お茶でもしよっか。ちょうどそこにファミレスあるし」
加護も頷いて同意する。


夜のファミレスは、家族連れがほとんどだった。
あちこちで、賑やかな夕食を取っている。
「何か食べる?奢ったげる」
「ええワ。梨華ちゃん、食べーな」
「じゃ、ケーキでも食べよっかなぁ♪」
楽しそうに、梨華はメニューをめくる。
「あんだけケーキ食べたのに、まだ食べるんかいな」 
小川の手土産のケーキや、辻・加護が作ったアイスクリームのフルーツ添えなど、
今日は結構豪勢なおやつだった。
「フフッ。甘いものは別腹♪」
『いや、それはメシ食った後の台詞やがな』
加護はあえて口にしなかった。
梨華はケーキセット、加護はアイスコーヒーを頼んだ。
携帯をいじくったりして、時間をつぶす。
やがてオーダーしたものが運ばれてくる。
「ハイ。半分食べて」
梨華はレアチーズケーキの皿を、加護のほうに寄せた。
「なんで?」
「さすがに全部はキツイから」
加護はじっと梨華の顔を見、しばらくたってから、
「…いただきます」
フォークを手に取って、食べ始めた。
32 名前:Summertime 投稿日:2002年09月20日(金)16時47分08秒
ファミレスを出た後、ふたりはそのまま家に戻った。
加護は風呂から上がると、疲れていたのか早々と寝てしまった。
裕子はまだ帰っていない。
泊まりかな、と梨華は思った。

梨華が風呂から上がると、柴田から電話がかかってきた。
『げんきー?』
「あ、柴ちゃん」
『あのさー。今度のライブ、マサオも見たいって言ってんだけど、いい?』
「もちろん。マサオさんも元気?」
『ウン、元気、元気ー。あ、そうだ。お姉ちゃんが今度遊ぼうって。
逗子の時の、梨華ちゃんの写真見せたら大喜びだったよ。
ウチのねーちゃん、カワイイ女の子、大好きだから』
「ハハ、そうなんだ」
『そうそう。ギャルゲー愛好家だしさー』
「面白いお姉さんだねー」
『うーん。そうかしら』
しばらく話して、梨華は電話を切った。
色々あった一日だった。
吉澤と直接話したいが、今日は泊まりになるそうだ。
梨華は携帯を手に取って、メールを打った。

『ひとみちゃん、もう寝た?
今日は、この前言ってたまっこちゃんがうちに遊びに来ました。
ひとみちゃんに話したいことがたくさんあるんだ。
また帰ってきたら、お話するね。それじゃ、おやすみなさい。梨華』
33 名前:Summertime 投稿日:2002年09月20日(金)16時50分18秒
『〜♪〜♪』

「お、メールだ」
吉澤はジーンズのポケットから、携帯を取り出した。
他のメンバーは酔っ払って寝っ転がってたり、ネットをしたりしていた。
「な〜に、ニヤけてんだよ〜」
寝ていたはずの市井が、床に横たわったまま、ニヤニヤ笑う。
吉澤は、慌てて携帯を後ろに隠す。
「え、いや。別に」
「石川からメールでしょ、どうせ」
保田はパソコンの画面から目を離さずに言った。
眼鏡をかけて、自サイトのチェックを行っている。
「『どうせ』って…。まぁ、いいですけど」
吉澤はブツブツ言って、返事を打つ。

『今日はメンバーと、市井さんのベトナムみやげの生春巻きに舌鼓を打ちました。
ベトナムコーヒーも飲んだよー。話したいことって何?いま起きてるから、
よかったら電話かけてきて』

送信してしばらく、返事がまたくる。
34 名前:Summertime 投稿日:2002年09月20日(金)16時53分29秒
『心配してくれてありがとう。今日はもう疲れちゃったから休みます。
たいしたことないの。ごめんね、余計な心配かけて。おやすみなさい。梨華』

「う〜ん…」
寝るって言ってるから、いいかなぁ。

吉澤はしばらく考え、
『OK。それじゃ、ウチも寝るね。何かあったら知らせて』
とだけ打って、また送った。

「たく、チャットのようにメールしてるわねッ」
保田が相変わらず、パソコンから目を離さず言う。
「いいなぁ〜、梨華ちゃん。大事にされててー」
アヤカが吉澤の後ろから携帯を覗き込む。
「いいじゃないっすか。カノジョなんですから」
吉澤は真っ赤になってブツブツ言った。

「んあ〜。もうオナカいっぱい…圭ちゃ〜ん、それはごとーのだよ〜」
「また寝言言ってるわ。オナカいっぱいならアタシにも食わせろっつーの」
保田の言葉に、他のメンバーは笑った。

外は少し風が出てきたようだ。
ベランダの風鈴が、ちりんと鳴った。
35 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月20日(金)17時07分41秒
更新しました。

川‘.▽‘)||<ラブラブ〜♪  (^〜^0;)¶<イイジャナイッスカ!


レスのお礼です。

>オガマーさん

(0^〜^)<梨華ちゃん結構運転うまいYO!

免許は意外に(?)オートマ限定ではない、いしかーさんです。

>HR−MSさん

( ゜皿 ゜)<カオ、ケイチャンニハ、スナオニナリタインダケド…ガガガ(ただいま混線中)

一本目、ありがとうございます。いいらさん、辻にとっても姉のような存在です。

>クロイツさん

∬`▽´∬<エー?マジー?

大丈夫です、まこっちゃんはそれでもガンガンいきますから(w ドライブは成功?
36 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月20日(金)17時20分47秒
・海辺のアルバム

自宅で写真の整理をしている柴田…


川σ_σ||<〜♪

( ‐ Δ‐)<なにしてんの?(姉・めぐみ 職業・マイナーメジャーな漫画家)

川σ_σ||つ□<アルバムの整理!ね、見て!梨華ちゃん、かわいいっしょ!

(* ‐ Δ‐)つ□<…ポッ

川;σ_σ||<萌えてるよ…

(* ‐ Δ‐)つ□<この隣の水色ビキニの美少女は?

川σ_σ||<ああ、梨華ちゃんのカノジョ!この子も美人っしょ?

(* ‐ Δ‐)つ□<…イイ!

川;σ_σ||<ねーちゃんのナニかに火がついた…


( ‐ Δ‐)つ□<ところで新しいギャルゲー買ったけどやる? 川σ_σ||<ウン♪
37 名前:あおのり 投稿日:2002年09月20日(金)19時02分02秒
よしいしのチャットのようなメール萌えさせて頂きますた。
てか、吉澤さん完全に開き直ってますな、さすが漢の中の漢(w
微妙なちびっこチームの関係も気になりますが
目下最大の関心はやはり某受験生の将来も掛かったプロジェクトヤッスーです。ドキドキ
38 名前:オガマー 投稿日:2002年09月20日(金)20時44分31秒
カッケー。マニュアル乗れる梨華たん萌えw

( ‘д‘)<なんでもええんかい!萌えすぎやっちゅうねん。

そして、ラブラブないしよし萌えw
アヤカ、ヤッスーゴチーン、いちーちゃんのやりとりも相変わらずgood!
39 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月21日(土)09時59分48秒
梨華ちゃんからのメールににやけるよしこ!!
いやぁ〜ん!!素敵〜!!ラブラブねっ!!このこのこのぉ!!
とか、パソコンの前で一人でやっちゃいました。

そして、ごっちんの寝言に突っ込むヤッスー最高☆
ヤッスープロジェクトが、ますます楽しみになって来ました!
40 名前:わく 投稿日:2002年09月23日(月)14時13分01秒
今日でごっちんが卒業・・・・
さみしいな〜。市井ちゃんと早くラブラブになって!!
チャットメールいしよしに萌え☆
41 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月23日(月)16時24分11秒
今日は更新前にレスのお礼です。

>あおのりさん

(; `.∀´)<落ちたらアタシのせいって…そんなプレッシャーかけないでよ!(ドキドキ)

ヤッスーはきっとやってくれます(w 吉澤さんは開き直ってます、漢ですから。

>オガマーさん

( ^▽^)つ□<ハァ〜イ!頑張って取りました〜!!

いしかーさん、何と言っても負けず嫌いですから。バンドメンバーのやりとりは殆ど漫才です。

>クロイツさん

( *^〜^) <ウン。ちょっと梨華ちゃんが心配だったから…(でれでれ)

やっちゃいましたか(w ヤッスープロジェクト、本日いよいよ発動です。

>わくさん

( ´ Д`)<いちーちゃんは幼なじみなんだけどなぁ〜

私も寂しいです。いちーちゃんの思いが通じるまでの道のりは長く遠く…。

42 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時26分03秒
―――石川視点

―――新宿。
あたしは柴ちゃんたちと待ち合わせをしていた。
柴ちゃんはマサオさんと来る。
今日は『CUBIC-CROSS』のライブだ。
ちょっと早く出てきたので、あたしは文庫本を読みながら待っていた。
「お待たせー」
ふたりが現れた。
「ごめーん、待ったー?」
「ううん。マサオさん、お久しぶりです」
「久しぶりー。なんかまたかわいくなってない?」
「そりゃ、あたしの梨華だもん」
柴ちゃんは「えっへん」というように威張る。
なんだそりゃ、とふたりで突っ込んで、ライブハウスに向かった。


―――吉澤視点

「ねぇ、ホントにやるの?」
最終リハーサルでも、保田さんはまだぐずぐず言っていた。
「カァ〜!往生際悪いぜ!圭ちゃん!!」
市井さんがギターのチューニングをしながら怒鳴った。
「圭ちゃん、終わったらアイス買ったげるから」
アヤカさんがなだめるように言う。
「どっちかというと白子のほうが…て!違うでしょ!」
保田さん、ひとりでボケてツッコんでる。
「まあまあ、とにかくやろうよ。酎ハイくらいならおごったげるからさ」
ごっちんに言いくるめられて、保田さんは渋々楽屋に戻った。
43 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時28分00秒
―――石川視点

「お、暗くなったな。そろそろだな」
マサオさんがステージのほうを見ながら言った。
会場の照明が落ち、いよいよ始まる。

ライブは2曲目までバンドのオリジナルだった。
一旦着替えに入るらしく、メンバーは奥に引っ込んだ。
それにしても。
ひとみちゃんはどうして、『ちびまる子ちゃん』の花輪くんみたいな前髪を
してたんだろ?
何かの罰ゲームかな。
まぁ、かわいいからいいけど。

暗がりの中、ステージでメンバーがスタンバイしてる気配があった。
すぐにピンスポットがアヤカさんを抜いた。
ノースリーブの黒いチャイナカラーのドレス姿で、手にはバイオリンだ。
アヤカさんはしばらくして弾き始めた。
どこかで聴いたことあるメロディー。
「あ、これ、どこかで聴いて…なんだっけ」
柴ちゃんの小声の問いに、マサオさんは
「B'zの『LOVE PHANTOM』」
と答えた。
すると、ステージ全体に照明が点き、黒づくめのビジュアルっぽい格好をした
他のメンバーの姿が現れる。
あ!
ひとみちゃんがドラム叩いてる!前髪も花輪くんじゃないわ!
市井さんはギターのままだけど。
ごっちんがキーボードで、アヤカさんはさっきのバイオリンからベースに
持ち替えた。
…保田さんは?
44 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時29分24秒
『いらない何も 捨ててしまおう
君を探し彷徨う MY SOUL
STOP THE TIME, SHOUT IT OUT
がまんできない 僕を全部あげよう』

保田さんは歌いながら、端の通路を走って後ろから現れた。
会場は大歓声だ。
隣の高校生っぽい男の子は
「ヤッスー!すげー!」
と大喜びしている。
保田さんはステージに『どっこらしょ』という感じで上がった。
声に出してはいないが、口は確かにそう言ってた。
黒い皮のパンツっていうカッコいい姿なのに…。
『どっこらしょ』…。
保田さんはギターを持ち、そのまま歌い続ける。
45 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時34分07秒
一番が終わり、台詞のような部分が入る。
保田さんはアヤカさんの顔を見ながら熱っぽく言う。

『君がいないと生きられない
熱い抱擁なしじゃ 意味がない
ねえ、 2人でひとつでしょ
yin&yan
君が僕を支えてくれる
君が僕を自由にしてくれる
月の光がそうするように
君の背中にすべり落ちよう』

『そして私はつぶされる』
アヤカさんが色っぽく応えるように言う。
ちょっと離れたトコにいたヤッスーファンのひとが
「いやー!ヤッスー!あ、でもアヤカなら許すー!!」
叫んだと思ったら、少しの間に何か改心していた。

『丁度 風のない海のように 退屈な日々だった
思えば花も色褪せていたよ 君に会うまでは』

二番に入って、客席はより一層盛り上がる。
「ヤッスー!今夜は離さないでー!!」
相変わらず、保田さんのファンのひとはコアだ。

『濡れる体 溶けてしまうほど
昼も夜も離れずに
過ごした時はホントなの
君は今何おもう
腹の底から君の名前を
叫んでとびだしたIt's my soul
カラのカラダがとぼとぼと
はしゃぐ街を歩く』

保田さんはもう汗だくだ。
客席から見てても、汗の飛沫が舞ってるのが分かる。

『欲しい気持ちが成長しすぎて
愛することを忘れて
万能の君の幻を
僕の中に作ってた
いらない何も 捨ててしまおう
君を探し彷徨う MY SOUL
STOP THE TIME, SHOUT IT OUT
がまんできない 僕を全部あげよう』
46 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時36分27秒
保田さん、ノリノリだ。
こんな色っぽくてカッコいい保田さん、初めて見た気がする。
汗を飛び散らして、がんがんギター弾いて。
さっきの男の子は何か感極まったのか、
「ヤッスー!オレ受験頑張るから!!」
と叫んでいた。
保田さんはそれに対し、
「落ちたら放置よ!頑張んなさいよ!!さぁ、帰ったらキリキリ勉強すんのよ!!!」
熱いエールを送った。
「ガンバレよー、少年!」
客席からもあちこち応援の声が上がる。
「しっかりやれよ!」
マサオさんも叫ぶ。
「ありがとう!」
男の子は拳を上げて応えていた。


アンコールに入る前に、なぜか保田さんだけ引っ込んだ。
衣装替えだろうか。
「あっは!圭ちゃんお着替え中だから、ちょーっとだけ待っててね!」
ごっちんはひとみちゃんと入れ替わるように、ドラムに移った。
アヤカさんはキーボード、ひとみちゃんはベースに戻る。
「いんやぁ〜、さっきの圭ちゃんカッコよかったよな〜」
市井さんがしみじみ言う。
「いやー、今度のはもっとカッコいいですよ〜」
ひとみちゃんが自慢げに言うと、
「マジで?」
市井さんが言うとメンバーのみんなはお互いの顔を見合わせ、例のアレをやり出す。
「「「マジで、デジマ、マジデジマ!!」」」
会場もつられてついやってしまった。
「ちょっと!なにアタシを放置して盛り上がってんのよ!」
奥から保田さんの怒声が響いた。
「あっは!圭ちゃん、準備はいい〜?」
ごっちんがホリゾントのほうを振り向く。
「…キリキリ逝くわよっ!」

47 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時39分15秒
「アンコールいくぜ!みんな心の準備はいい?」
「「「いいぜー!!」」」
市井さんの煽りにみんな叫び返す。
『心の』ってのはなんだろう?
疑問に思いながらも、あたしも叫び返した。
やがて、演奏が始まった。

「…あ!コレ、なんだっけ!!このビミョーにベースきかせてロックに
アレンジしてんだけど、このどこかで聴いたコトあるイントロ!!」
またもや、柴ちゃんが小声で叫ぶ。
曲のタイトルがどうしても出てこず、じれったい思いをしてるようだ。
あたしもどこかで聴いたコトあるので、一生懸命思い出そうとしていた。

「…ジュディー・オングの」
「『魅せられて』」

マサオさんは舞台に視線を釘付けにしたまま答えた。
48 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時41分58秒
『南に向いてる窓を明け
一人で見ている海の色
美しすぎると怖くなる
若さによく似た真昼の蜃気楼』

マサオさんだけでなく、他のひとの視線も一点に集まった。
その集中する先は、すべて保田さんである。
白いたっぷりとしたドレープの、なんかすごい衣装だ。
保田さんは華麗に歌い、舞い踊った。

『Wind is blowing from the Aegean
女は海』
保田さんは両端を広げ、スクリーンのように大きい衣装の全容を見せた。
会場から、どよめきが起きる。

『好きな男の腕の中でも
違う男の夢を見る
Uh-- Ah-- Uh--Ah--
私の中でお眠りなさい
Wind is blowing from the Aegean
女は恋』

保田さん、陶酔してる…。
間奏で、他のメンバーと視線が合うと、苦笑いしてる。
多分、ごっちんとかは「キレイだよ、圭ちゃん」とか言ってるようだ。
ひとみちゃんや市井さんもニヤニヤしてる。
アヤカさんは笑いをこらえてる。
49 名前:Summertime 投稿日:2002年09月23日(月)16時44分29秒
『昨夜の余韻が隅々に
気怠い甘さを残してる
レースのカーテン ひきちぎり
体に巻きつけ踊ってみたくなる』
『Wind is blowing from the Aegean
女は海
やさしい人に抱かれながらも
強い男にひかれてく
Uh-- Ah--Uh--Ah--
私の中でお眠りなさい』

「ヤッスー…最高!」
すぐそばにいた女のひとが、ひとこと叫んで倒れそうになった。
「大丈夫ですか!?」
すぐにマサオさんが支える。
「…ハッ!すみません、つい我を忘れて!」
すぐに正気に戻ったようだ。
よかった…。
本当に『失神ライブ』になるトコだった。
「あたし…今日のコト、この世を去る前に走馬灯のようによみがえると思う」
柴ちゃん…確か前にもそんなコトを。
(海板パート1 レス487参照)
気持ちは分かるけど…。
「保田さん…マジ、すげー」
マサオさんまで、遠い目になった。

メンバーが手を振って去ってもなお、客席からは大歓声がやむことはなかった…。


こうして、新宿の熱い夜は熱狂的に過ぎていった。
50 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月23日(月)16時47分23秒
更新しました。

( `.∀´)<♪女は海〜
51 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月23日(月)16時51分14秒
・I WISH


ひとりぼっちで少し 

@ノハ@
( ´д`)ヒマヤワ

退屈な夜

( ´ Д`)ンア…

私だけが淋しいの? Ah Uh

( ゜皿 ゜)ケイチャンモイナイ…ヒマ

くだらなくて笑える メール届いた

ヽ;^∀^;ノ¶ギャハハハハ!アイツバカジャネーノ!

なぜか涙止まらない

(0;^〜^;0)¶ヒーヒー!←ワライスギ

Ah ありがとう

( ^▽^)¶オモシロイカラシバチャンニモオクロット♪

誰よりも私が 私を知っているから

( `.∀´)y−~~ セカイノコイビト・ヤスダケイヨ!

誰よりも信じてあげなくちゃ!

(#T▽T)ポジテブ…ポジテブ

人生って すばらしい

(*´▽`)人(´〜`0*)

ほら 誰かと 出会ったり 恋をしてみたり

(0^〜。^)ノ◎ベーグルウメー!川;‘.▽‘)|| ホドホドニシトキナヨー

Ah すばらしい Ah 夢中で

( ・´ー`)マターリスルベ!(〜^◇^)キャッハ!

笑ったり 泣いたり出来る

从 #~∀~从ミチヨノクセニナマイキジャ!( `◇´)/マタカイ!


晴れの日があるから

(((( ´D`)ギョウレツノデキルミセノメロンパンカウレス

そのうち雨も降る

( ;´D`;)ウリキレレス

全ていつか納得できるさ!

(((( ´D`)マタコンドカウレス
 

人生って すばらしい

∬`▽´∬ニクバナレゼンカイダ!コノヤロー!(;・e・)ヨカッタジャン(ナンデコノヤロー?)



52 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月23日(月)16時52分39秒

ほら いつもと 同じ道だって なんか見つけよう!

煤i `.∀´)アラ!イチマンエンオチテルワ!コウバンコウバン!

Ah すばらしい Ah 誰かと

 ピコピコピコ…チャラリラー
(`_´)川σ_σ||( ‐ Δ‐) ←ゼンインムゴンデゲームニムチュウ

めぐり合う道となれ!

ヽ^∀^ノ由 ホレ!ホシガッテタケーキ!

でも笑顔は大切にしたい

( ´ Д `)つ由 アッハ!アンガト!



愛する人の為に…

( ´ Д。`)オイシイヨーイチーチャン! ヽ^∀^ノソレハナニヨリ(ツーカケーキノクズツイテルゾ)
53 名前:オガマー 投稿日:2002年09月23日(月)21時27分37秒
かわいい。I WISHイイ!!

やっすー!
僕等のやっすー!!

(0^〜^)<カッケー!デモワラエル…ププ
54 名前:ベリィ 投稿日:2002年09月23日(月)21時36分46秒
いやぁぁ!!ヤッス〜!!!(←コアなファン・その2)
…ハッ!すみません、つい我を忘れて!(笑)
も〜びっくりしました。↑の人。‘えっ?私!?’みたいな。(爆)
(←かなり勘違いですね…。すいません。(苦笑)
何はともあれヤッス〜最高です! v(^▽^)v

I wishの終わりのいち〜ちゃんとごまちゃんの雰囲気が
良かったですw昨日のスペシャルも感動しちゃいました☆
まさか本当に来るとは思っていなかったので…。
じゃぁちょっくら『魅せられて』を歌いに行ってきます。(笑)
55 名前:娘。 投稿日:2002年09月24日(火)00時22分37秒
ヤスの『LOVE PHANTOM』サイコー!
56 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月24日(火)07時16分09秒
LOVE PHANTOM カッケー!
吉ってドラムも叩けたんすね

(0^〜^)<スティック回しちゃうYO!
57 名前:あおのり 投稿日:2002年09月24日(火)09時59分16秒
ヤッスーキタ--------!期待にたがわない大活躍、ごまべーぐるさんグッジョブです!
B'zヤッスーもイイですがヤッスー・オング、正直やられますた。
でも『どっこらしょ』…。が一番受けました。ここぞというときのヤッスー最高です。
58 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月24日(火)14時04分19秒
きゃ─────────────────────ッッッ!!!!!!!
抱いてヤッスー!!!とか、本気で叫んでしまいましたよー!!!!
素敵…!!素敵過ぎますわ、ヤッスー!!!
代わってアヤカさん!!とか思ってみたり(笑)。
マジ惚れました、ヤッスー!!!
59 名前:わく 投稿日:2002年09月24日(火)18時29分24秒
I WISH スレ最高!!ヤッスー最高!!
花輪君ヘアーのよしこの想像がついて笑ってしまいました。
そんなよしこを「かわいい」という梨華ちゃんにやや萌え☆笑
60 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年09月24日(火)21時39分16秒
初めまして、娘。小説、初心者で〜す。

昨日、初めてこちらの事を知りました。
朝の10:00から今朝の2:00まで、一気に読ませていただきました。

@ノハ@
( `д´)<何でそないに時間がかかんねん?

だって、ひーちゃんと梨華ちゃんの所で、泣けてくるんだもん。
幸せそうな二人を見ていると、うれしくって。

@ノハ@
( `д´)<アホかこいつ。

何でもいいの! 二人が幸せなら!

あーあ、一つだけ言っておくけど
「ひーちゃん」て呼んだのは、幼なじみ以外では私が先よ!
アヤヤなんかには負けないわよ! オーホッホッホ!
(何で圭ちゃんになってるんだろう?)

続き、待ってま〜す!


61 名前:Summertime 投稿日:2002年09月24日(火)22時21分21秒
「…ん」
保田は少し呻いて、寝返りを打った。
薄闇に目が慣れ、自分の家で目覚めたのではないと知る。
「…つ。あたた…」
二日酔い特有の、目覚めの悪さ。
こめかみを押さえて、起き上がった。
「あ、圭ちゃん。起きてたんだ」
バスローブ姿のアヤカが、髪をバスタオルで拭きながら、姿を見せた。
「いったいいつアンタん家に来たのよ」
保田はまたこめかみを押さえた。
「圭ちゃん、酔いつぶれて起きないから連れて帰ってきたの」
「…そっか。迷惑かけたわね」
「いいよ〜。それより」
「あ?」
「いいカッコね」
保田はバッと自分の格好を見る。
黒のキャミソールに、下はショーツだけだった。
「…ちょっと!いつの間に脱がせたのよ!!」
「だって、ジーパンで寝たら疲れるじゃん」
「だからって!」
保田は慌てて辺りを見渡した。
椅子の背に自分のジーンズがかけてあるのを見つけ、取ってくる。
そのまま、ブラックジーンズに足を通した。
62 名前:Summertime 投稿日:2002年09月24日(火)22時24分49秒
「圭ちゃん、下着は黒なんだ。オトナだね〜」
「…ぶつよ!」
保田はブツブツ言いながら頭をかき、ベッドの下にあった自分の鞄からタバコを取り出した。
「吸っていい?」
「いいよ」
どうにもだるく、タバコに火をつけた。
ベッドサイドに腰掛け、しばらくふかす。
アヤカはその隣に座り、保田がタバコを吸うのを見ていた。
「あんましそばにいると、髪にニオイがつくわよ。せっかく洗ったのに」
「いいよ」
アヤカはそう言って、保田の肩にもたれかかった。
「…つくっていうのに」
「いいもん」
「…ヘンな子ね」
保田はアヤカを振り払おうとはせず、そのまま肩を貸していた。

「圭ちゃん」
「あ〜?」
「圭ちゃんにとって、アタシはどんな存在?」
保田は顔をしかめた。
「朝っぱらから、どしたのよ」
壁の時計は4時半少し前だった。
「教えて」
「あ〜…トモダチ?」
「うん」
「バンド仲間…」
考えながら、ひとつひとつ挙げていく。
「う〜ん…妹、みたいなモン?」
「それだけ?」
アヤカは保田の顔を覗き込んだ。
「て…いや、ツラも頭も性格もいいし、音楽の才能もあるから、よくできたねーちゃんだと思うわよ」
「そんなコトが聞きたいんじゃないのに」
「じゃ、ナニよ?」
アヤカは泣きそうな顔をし、ふっと俯いた。
「…おーい?」
保田はそばにあった灰皿にタバコを置き、アヤカの顔を覗き込んだ。
63 名前:Summertime 投稿日:2002年09月24日(火)22時26分23秒
「質問変える。カオリさんは圭ちゃんにはどういう存在?」
アヤカは顔を上げて言った。
「何でカオリなのよ」
「知りたいから」
「あ〜…ワガママで泣き虫で強情っぱりで手、かかるけど…放っておけないっていうか」
「妹みたいな?」
「う〜ん…そういうのとはちょっと違うけど」
保田は自分で言ってて首を傾げた。
こうして改めて考えたことがなかったからだ。
「そう。カオリさん、ステキなひとだからね」
「まあ、ね」
またタバコを手にして、保田はふかした。

「圭ちゃん」
「なによ」
「抱いて」
保田はぎょっとしてタバコにむせた。
灰皿に慌ててタバコを置いて、自分の胸を叩く。
「なによ!冗談にしてはシャレになってないわよ!」
「こんな時に冗談なんか言わないよ」
しばらく、ふたりはお互いの顔を見る。
アヤカは保田の胸にそっと自分の顔をうずめた。
「どうして…アタシなのよ」
「…圭ちゃんだからだよ」
保田は黙って、アヤカの頭を抱き寄せた。

カーテンの隙間から淡いブルーの空が覗く。

そろそろ、夜が明ける。
鳥のさえずりが、耳に届いた。
64 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月24日(火)22時43分25秒
更新しました。

( `.∀´)y−~~ <……

レスのお礼です。

>オガマーさん
( `.∀´)y−~~ <吉澤、覚えてなさいよ!
『I WISH』はごま卒業記念で書いたのですが、出来上がったらよう分からんものに(w

>ベリィさん
(    `.)<フッ。アタシに惚れるとヤケドするわよ
私もヒサブリのごまの生「いちーちゃん」に萌えますた。あのファンの人は常連です。

>娘。さん
( `.∀´)つ凸<ホホ、ありがとう!一杯やんない?
初レスの方でしょうか。ありがとうございます。『ALONE』とどっちにしよか迷って最終的にこっちにしました。

>名無し読者さん
( `.∀´)y−~~<ホホ!アタシがビシビシ特訓したのっ。後藤とまとめてねっ。
ふたりとも、ちょっとかじってたのです。鬼コーチの特訓はそれはもうすごいもので。

>あおのりさん
( `.3´)<♪私の中でお眠りなさい
ありがとうです。ずっと、書きたかったんです(w ヤッスー・オング、いいネーミングです。

65 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月24日(火)22時52分27秒
>クロイツさん
( `.∀´)<フフッ。ありがとはあとはあと
保田さん、今回ピンチ(?)です。本人、モテてるとあまり分かってません。

>わくさん
( `.∀´)<なんか最近あの髪型に凝ってんのよね
ネットで見たのですが、イカす(死語)髪型でしたね。いしかーさんも絶賛?

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
( `.∀´)< ホホ、長い時間読んでくれてありがとう!あややに勝ってるわ、アナタ!
初レスありがとうございます。素敵なHNですね(wあいぼんツッコミが効いてます。
66 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年09月24日(火)23時23分15秒
ちょっと散歩に喫茶「タンポポ」に行って来ました。

お店に有った「IT's My Party」と言う本、読んできました。

眠れませ〜ん、こんなの読んだら眠れませ〜ん。

ビール買いに行って来ま〜す。
はぁ、ピンドンが飲みたい!
67 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年09月24日(火)23時25分31秒
うわ、興奮して、ageてしまった。

sageときま〜す。
68 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月25日(水)07時32分02秒
いや〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
どーなっちゃうの〜〜〜〜〜〜!?
てゆーかアヤカちゃん!!アナタ抜け駆け!?抜け駆けよ!?
ああ、ヤッスー!!私も抱いて!!(←オイ)
ヤッスーがどうするのか、メッチャ気になります!!
頑張って下さい!!
69 名前:Summertime 投稿日:2002年09月25日(水)18時44分09秒
「…妹は抱けない?」
顔を上げて、アヤカは言った。
保田は困惑している。
「…てか、アンタも物好きね。どうしてアタシなんか」
アヤカはムッとして保田の頬を引っ張った。
「いて!何すんのよ!」
保田は頬を押さえて涙目になる。
「圭ちゃん、またそんなこと言って!いい加減自覚しなさいよ!」
「何をよ」
さっきとは打って変わって、保田はオロオロし弱々しくなる。
アヤカの目は怒っている。
彼女が何に対して怒っているのか少々分かりかねた。
「圭ちゃん、アタシの趣味にまでケチつけるの?」
「何かヘンな苦情だけど…だからどうしてアタシ…」
最後まで言い切らないうちに、アヤカに唇でふさがれた。
タバコの匂いも混じった、苦いキスだった。
「好きだよ」
「今更…何で」
保田は顔をそらした。
初めて行きつけのバーで会って4年。
自分に懐いてじゃれていた女子高生が、いま女の顔をして隣にいる。
時の流れを保田は感じた。

「…ごめん」
「どうして謝るの」
「ゴメン」
保田は、ただ謝った。
70 名前:Summertime 投稿日:2002年09月25日(水)18時48分25秒
始発に揺られて保田は帰路につく。
アヤカは保田にもたれて眠りについた。
布団をかけてやり、鍵をドアポストに入れ部屋を後にした。
席は空いていたが、ドアのそばにもたれて明けてゆく街を眺める。


『圭ちゃんが好きなんだよ』
アヤカは泣いていた。
罪悪感と自己嫌悪で胸がいっぱいになる。


自宅の最寄り駅に降り立った。
切符を出そうと鞄のポケットを探ると、タバコの箱に手が当たる。
出してみると、空っぽだった。
アヤカの泣き顔が浮かぶ。
苦い思いで、保田は空き箱をグシャッと握りつぶした。


中澤ハイツに戻ってきた。
自宅のそばの見慣れた風景を目にし、ウソでもホッとする。
71 名前:Summertime 投稿日:2002年09月25日(水)18時49分21秒
「あれ、圭ちゃん?」
聞き覚えのある声に振り向いた。
「ああ、カオリじゃん。どしたの」
飯田は送ってもらったのか、車の運転手に短く挨拶をして、こちらにやってきた。
「うん。今度友達とグループ展することなってさー、大学にこもって描いてたのよ。
で、いま帰ってきたとこ。圭ちゃんは?」
「ライブ帰りよ」
「ああ、昨日だったね。ウケた?」
あらかじめ、飯田にジュディー・オングを歌うと話をしていた。
「うん、大ウケ」
「ハハッ。カオも見たかったな〜」
飯田と話しながら、階段を上がる。
「で、圭ちゃん、覚えてる?」
「て、エ?」
「もう〜、やっぱり忘れてる〜。ホラ、後藤たちと今日カオん家で飲もうって言ってたじゃん」
「ああ、今日だったわね。つまみは持ち寄りだったわね」
「そうそう、8時だよ」
「OK」
「じゃ」
飯田は自分の家に戻ろうとした。
保田は
「カオリ」
と呼び止めた。
「なに〜?」
「顔に、絵の具がついてる」
手を伸ばして、頬に触れる。
保田は何故だか、胸が高鳴るのを感じた。
「あ!マジで〜?カッコわり〜!フロ入って落とすわ!サンキュ、圭ちゃん!」
明るく笑って、飯田は家の中に入って行く。
ひとり残されて、自分の家のドアに背をつけてもたれかかる。
保田はさっきの激しい鼓動を思い出す。
すぐにきつく目を閉じ、頭を振った。
72 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月25日(水)18時57分49秒
更新しました。
どうなる、ヤッスー。

( ゜皿 ゜)<エノグ、ツイタママダッタカ…カクノニネッチュウシテタヨ

レスのお礼です。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん

(;〜^◇^)<キャッハ!喫茶店にフツーにアレがあるっつーのも、おかしいよな

読んでしまいますたか(爆 夜は、ゆっくり眠ってください。ageたことはどうぞお気になさらず。
お気遣い、ありがとうございます。

>クロイツさん

( ‘д‘)<おばちゃん、お持ち帰りされとるがな!

揺れまくるヤッスー。モテまくり。ニクイよこの!ど根性ガエル!(意味不明)
こんな風になりますた。 

73 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年09月25日(水)20時11分56秒
@ノハ@
( `д´)<なあなあ、おばちゃん、こないだから「ひーちゃん」が
       どうたら言うとるアホが、また来とるで。

( `.∀´)<うん、あいぼんどこによ?

@ノハ@
( `д´)<あそこの柱の陰や

( `.∀´)<おーほっほ、今は私がメインだから出て来にくいのよ。
        ちょっと、あなたそんな所にいないで、出てきなさいよ!

今晩は。

( `.∀´)<ひーちゃん一筋のあなたが何の用?

いえ・・、圭ちゃんかっけーなと思って。
(いきなり、あいぼんの手が額へ)

うわ! なにすんのよ!

@ノハ@
( `д´)<自分なあ、どっか具合悪いん?

どういう意味よ! だって圭ちゃん素敵だもん。

( `.∀´)<ほーほっほっ、とうとうあなたも私の虜になったわね。
       よーし! 今夜は軟骨で飲むわよ、きりきり着いてらっしゃい。

続く。



74 名前:あおのり 投稿日:2002年09月26日(木)00時06分56秒
ヤッスーもってもて。さすが平均時速15kmで走るだけはあります。(w
アヤカにあんなこと言われたら誰でもぐらっときますね。
でも踏みとどまるヤッスーかっけー!
やっと自分の気持ちに気づき始めたヤッスー。カヲリとどうなるんでしょう?ドキドキ
75 名前:オガマー 投稿日:2002年09月26日(木)03時20分39秒
ヤッスー。どうなるヤッスー。
ドキドキ…
76 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月26日(木)08時43分19秒
ヤッスー…!!カッコ良過ぎです…!!
もう、のっくだうんですよ〜〜〜〜!!!!
どうするんだヤッスー!?気になる気になる〜〜〜!!
続き、楽しみにしてます!!頑張ってくださいね♪
77 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月26日(木)12時31分45秒
苦悩やっすー、クールっすね〜・・・
鈍いのも優しすぎるのも罪なんですかねぇ・・・
78 名前:Summertime 投稿日:2002年09月26日(木)14時52分24秒
―――吉澤視点

「ん…」
瞼の裏に明るさを感じ、目を覚ました。
「ここ、どこ…」
見知らぬ部屋で、横たわっていた。
隣には梨華ちゃん。
梨華ちゃんは寝返りを打って、ウチの方を向いた。
「ひとみちゃん…」
あ、寝言か。
カワイイなぁ〜。
へへっ。

「お、起きた?」
襖が開いて、マサオさんが入ってきた。
「あ、おはようッス。ここは…?」
「アタシん家。大半が酔っ払ってたんで、車でお連れしました」
「スミマセン…」
ああ、昨日は激しく酔っ払った。
シラフなんは、ごっちんとマサオさんくらいだった。
梨華ちゃんも海の時ほどではないけど、結構飲んでたし。
「ごっちんとかはどうしたんでしょうか?」
「えーと、ごっちんは市井さんと帰ったし…アヤカさんは、確か保田さんを連れて帰ってた」
「そうっスか」
「それホント!?」
いきなし柴っちゃんが起き上がった。
「うお!オメー、起きてたんか!?」
「なんちゅう寝起きのよさ!!」
マサオさんとふたりで小さく飛び上がる。
「そんなのはいいよ!ホントなの、アヤカさんが保田さんを連れて帰ったって!!」
「ああ、それが?」
柴っちゃんは意味深に手招きし、
「知りたい?」
ウチらふたりを煽るように囁いた。
3人で顔を寄せる形になる。
マサオさんとふたりでコクコク頷く。
「教えない」
柴っちゃんはニヤリと笑った…。
79 名前:Summertime 投稿日:2002年09月26日(木)14時54分46秒
結局ふたりでシメて聞き出したことによると、
それはいわゆる『お持ち帰り』に当たるということだった。
「え!アヤカさんって保田さんのコト…!」
「バッカね〜。同じバンドにいて気づかなかったの」
柴っちゃんに言われて、ウチはちょっといじけてしまった。
「どうせ…」
「あ〜あ。何か妻並にネガティブになってるよ。されはさておき、姫も起こしてゴハンにしようよ」
ウチらも同意し、支度を始めた。

トーストとゆで卵、コーヒーを頂いて、マサオさん家を後にした。
ウチはバイトがあるし、梨華ちゃんと一緒にそのまま駅へ向かった。
いったん戻って着替えないと。

「いんや〜、おどれーた。アヤカさんが保田さんを…」
車内でつり革につかまって、梨華ちゃんと話をする。
「保田さん、カッコいいもの」
「そっか…」
納得はしたものの、何というか、物凄く了見の狭い感情があたしの中に湧き上がった。
「梨華ちゃんも…カッコいいって思ってるんだ」
そのまま、口にする。
「へ?」
梨華ちゃんは一瞬ポカンとして、
「…イチバンカッコいいのは、ひとみちゃんだよ」
ものすごく小さな声で囁くように言った。
隣を見ると、俯いて頬を染めている。
「あ、ありがと…」
ウチも照れて両手でつり革をつかんで、下を向いた。
80 名前:Summertime 投稿日:2002年09月26日(木)14時58分09秒
「これで買物は全部ね」
夕方、保田は冷蔵庫の中身を補充する為、近くのスーパーにいた。
夜にはつまみ持ち寄りの飲み会を飯田宅で開くので、それ用のものも買った。

『さて、帰るとしますか』
店を出て、家に向かう。
信号待ちをしてて、隣にいた幼稚園くらいの男の子と目が合った。
ニコッと微笑まれたので、保田も笑い返す。

信号が変わった。
保田も、その男の子も歩き出す。

何てことのない夕暮れだった。

何か騒がしい音が何処かから聞こえた。
悲鳴。
切り込むようなカーブ。
視界に、黒い車が現れる。
保田は咄嗟に男の子を庇った。
また悲鳴。
目の前が暗くなる。
激しい痛み。
薄れる意識。

雑踏に紛れて、救急車のサイレンを聞いた気がした―――。
81 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月26日(木)15時11分56秒
更新しました。

レスのお礼です。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん

( ゜皿 ゜)<ケイチャン、モテモテ

キリキリついて逝ってください(w 小ネタが効いてます。ありがとうございます。

>あおのりさん

川‘.▽‘)||<焦っているな、っていうのは自分でも分かってるんですが…

黙って耐えるのが漢なのです。しかし、15キロって飛ばしすぎですよね(爆

>オガマーさん

( ゜皿 ゜)<カオモ、キニナル(トウジシャダシ)

どうなるでしょう。作者もよく分からんに100万子イ○カワ(オイ)。

>クロイツさん

(;0^〜^)<オ、オイラも気になるよほ!

のっくだうんですか(w 今回、彼女はちょっとタイヘンな目に遭ってます。

>名無し読者さん

川‘〜‘)||<う〜ん。優しさが相手を傷つけることもあるしね

恋愛の難しい点ですな。彼女には、もちっと苦悩してもらいます。
82 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年09月26日(木)17時41分43秒
いゃぁぁーーぁ!  圭ちゃーーーん!
死んじゃいゃーー! そんな展開許さない!
そんな事になったら、一生ベーグル食べないからね!
83 名前:なっなし〜 投稿日:2002年09月27日(金)00時52分06秒
なにーー!!
な、なんだ!物凄く気になる展開…

もんもんとしながら続きを待ってます…
84 名前:あおのり 投稿日:2002年09月27日(金)02時27分59秒
ちょっと!いきなしの大事件じゃないですか!
いきなり寝ぼけ眼が一気に覚めちまいますた。
続きが禿げしく気になるーーーー
85 名前:オガマー 投稿日:2002年09月27日(金)05時58分13秒
ヤッスー!!
…どうなってしまうんだ…。
さっきまで梨華ちゃんとひとみちゃんのやりとりにニヤニヤしてた顔が一気に
ひきしまりました…。
86 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月27日(金)13時59分31秒
いやぁぁぁぁぁ!!ヤッスー!!!
どうなっちゃうんでしょうか!?うわぁぁぁぁぁん!!!
先が気になりまくりです〜!!!
87 名前:ベリィ 投稿日:2002年09月27日(金)16時33分36秒
えぇぇぇ!?ちょっとパソコンの調子が悪くて覗きに
これなかった数日でヤッス〜大活躍&危機じゃないですか!

(;T□T)ノ<死んだりしたら許さないんだからねっ!!!
88 名前:娘。 投稿日:2002年09月27日(金)16時40分13秒
( T▽T)<あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜保田さん!
89 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時00分59秒
―――吉澤視点

―――ウチはその時、まだバイト中だった。

『救急車が通ります。救急車が通ります―――』

何だか外が騒がしい。
救急車やら、パトカーのサイレンが響く。
「なんだろね。事故?」
なっちさんがちょっと外に出て、見に行った。
「どうっすか?」
ウチもちょっと店の中から顔を出す。
「よく分かんないけど、野次馬だらけっしょ」
野次馬とおぼしき人たちが、大通りのほうに向かって走っていく。
「何ともないといいんだけどねぇ」
「そうですね」
店に戻ろうとすると、隣の布団屋さんのご隠居さんが大通りのほうから歩いてきた。
「事故だよ、事故!」
おじいさんはわざわざ現場まで見に行ったようだった。
やや興奮気味に話す。
「車が暴走して、何人か撥ねたんだよ!そこの大通りで!」
「え!それで…ケガとかは」
なっちさんは心配そうな顔で言った。
「いや、死んではいないようだけどね。なんか、若い女の子が子供をかばって撥ねられたらしいよ」
「えー!それはタイヘンっしょ!」
店の電話が鳴った。
あたしはカウンターに戻って電話に出た。
「はい、アベ楽器店でございます」
『あ、よっすぃ〜?たたたた、タイヘンだよ!!』
電話は矢口さんだった。物凄くなにか慌てている。
「どうしたんスか?」
『け、圭ちゃんが車に撥ねられて…!総合病院に運ばれた!』

―――あたしは一瞬何が起こったか分からず、受話器を握り締めたまま固まってしまった。
90 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時06分47秒
―――7時半

その後、店を閉めてから、なっちさんと病院に向かった。
病院に入っていくと、既に中澤さんや梨華ちゃん、あいぼんが来ていた。
「ひとみちゃん!」
梨華ちゃんはボロボロ泣いている。
すぐにそばに行って、頭を抱き寄せた。
「それで、保田さんは…?」
「命に別状はないようや。まだ意識は戻ってないけどな」
中澤さんは保田さんの病室を見つめながら言った。
「…よかった」
体から力が抜けた。

「あ!いた!」
矢口さんとののがやって来た。
『タンポポ』もいつもより早く閉めてきたらしい。
「お、おばちゃん!車に撥ねられたって…!」
ののも大きな目に涙をいっぱい溜めている。
「無事だったって」
ウチはののを抱きしめた。
「よかった…ハァ〜、オイラ、寿命が10年縮んだよ〜」
矢口さんは、その場にへなへなと座りこんだ。
「そんで、圭ちゃんの家族には?」
矢口さんが座り込んだまま言った。
「千葉の親御さんは、親戚の集まりで東北に行ってはるらしいわ。
弟も、大学のクラブの合宿やいうてるし。とりあえず、そのまま来るて言うてはる」
中澤さんは矢口さんに手を差し出した。
「そっか…」
中澤さんの腕に掴まって、矢口さんは立ち上がる。
91 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時14分02秒
―――飯田は自宅で保田や後藤を待っていた。

8時の約束で、ここで飲み会をする予定だった。
ところが、約束の時間になっても誰も来ない。
『遅刻魔の後藤はともかく、時間を守る圭ちゃんまで…何の連絡もない』
時計は8時半を回った。


―――吉澤視点

しばらくたって保田さんの意識が戻った。
自分のことより、撥ねられる前に庇った男の子のことをまず口にした。
打撲とかすり傷ですんだ、と看護士さんが言うと、よかった、と涙を流した。

アヤカさんがやって来た。
「圭ちゃんは?」
「さっき、意識が戻ったトコです」
保田さんは青い顔をして、ベッドに横たわっている。
白い包帯が痛々しい。
「…圭ちゃん?」
アヤカさんが声をかけると、
「体中が痛いよ…」
保田さんは弱々しく笑った。
右頬には白いガーゼ、額に包帯、右足はギプスをして上から吊っていた。
「よかった…圭ちゃんが死んじゃったらどうしようって…」
「勝手に殺すんじゃないわよ。てか、まず死んだかなって自分でも思ったけどね」
「よかった…」
アヤカさんは保田さんの手を握って涙を流した。
保田さんは優しくアヤカさんの頭を撫でていた。
92 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時17分44秒
『あ〜もう!病院だからみんな携帯切ってるんだろうな〜。
連絡できないよー!!』

後藤は大渋滞に巻き込まれたタクシーの中で、ひとり泣きそうになっていた。
市井にさっき、保田が事故にあったと連絡をもらった。
病院に向かおうとするも、車が動かない。
高速なので、降りて歩くわけにもいかない。
実家と親戚の家に立ち寄り、そのまま中澤ハイツに戻ろうとした矢先だった。
自分の携帯もついさっき途中でバッテリーが切れてしまい、どうにもならない。
病院すら、どこか分からない始末だった。

「お姉さん、急いでんの?」
運転手がミラー越しの、後藤の不安そうな顔を見て言った。
「ええ。友達が事故に遭って…あたしの携帯もバッテリー切れて連絡つかないんです」
「これでよかったら使いな」
運転手は自分の携帯を差し出した。

後藤は礼を言い、早速記憶を頼りに市井の携帯にかけた。
留守電の音声が流れる。
用件を手短に言い、とりあえず切った。
『とりあえず…車が動いてくれたらいいけど』
後藤はなす術がなく、体をシートに沈め、大きく息をした。
93 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時19分50秒
家に着いた後藤は、外から見て飯田の家にだけ電気が点いていることを不審に思い、
先に2階に向かった。
「カオリー!!」
どんどんドアを叩く。
「あー!後藤!オマエ、大遅刻だよ!!」
すぐ様、飯田が出てくる。
「て、カオリもう病院行ってきたの?」
「へ?病院?」
「知らないの?圭ちゃんが事故に遭ったって」
飯田は顔面蒼白になる。
「ちょっ!なにそれ?」
「ごとーもいちーちゃんから電話もらったの。でも、途中でバッテリー切れて
どこの病院か分かんなくて」
飯田は咄嗟に自分の携帯のことを思い出した。
見ると、電源を切ったままだった。
慌てて電源を入れると、留守電のメッセージ表示が浮かぶ。
センターにつなぐと、5件入っている。
いずれも、石川からだった。

『飯田さん!保田さんが事故に遭って総合病院に運ばれました。すぐ来てください!』
『飯田さん、いまどこですか』
『飯田さん、保田さん、意識が戻りません』

こんな感じで入っていた。
「…圭ちゃん」
携帯を握り締めたまま、飯田は泣き出した。
「とにかく病院行こ!ごとー、外にタクシー待たせてるから!」
後藤に促され、飯田は家を出た。
94 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時22分24秒
病院に着き、飯田は走って外科病棟に向かった。
後藤は支払いに500円足りなかったが、『おまけだよ。早く行きな』と
運転手に押し出された。

「圭ちゃんは!?」
「あ、飯田さん!」
石川は長椅子から立ち上がった。
「そこの病室…」
吉澤が言い終わらないうちに、飯田はドアを開けて入った。

保田は疲れが出て、眠ってしまった。
点滴の中の薬も、よく効いてるようだ。
「…圭ちゃん!」
気が動転している飯田は、保田を揺さぶった。
「いやー!圭ちゃん…何でよー!」
飯田は号泣した。
やっと静かに眠れると思って眠りについた保田は、怪訝な顔で目を覚ます。
「カオ、もうワガママ言わないから…圭ちゃん!カオをひとりにしないでー!」
「…勝手に殺すんじゃないわよ」
襟首をつかまれた保田は、苦しそうに言った。
「圭ちゃん!?生きて…!」
「だから勝手に殺すなっつーの。てか、死んだ人間に点滴するわけないっしょ」
保田は苦笑する。
飯田は泣きながら、改めて病室の中を見渡した。
「あ…石川が留守電に圭ちゃんが意識、戻らないって…」
「ちょっと長いコト寝てたみたいね。でも、もう大丈夫よ」
保田はベッドの中から、手を伸ばした。
「…圭ちゃん、圭ちゃん」
泣きじゃくる飯田の肩を、保田はぽんぽんと叩いた。
95 名前:Summertime 投稿日:2002年09月27日(金)20時30分16秒
―――病室のふたりの様子を、吉澤たちは黙って見ていた。

「よかった、よかった…」
飯田が泣いてるのを見て、梨華はまたもらい泣きする。
吉澤は肩を抱いてやった。
「のの、どしてん?」
辻の顔を、加護は覗き込んだ。
「う、うん。何でもないれすよ」
辻は慌てて首を振る。
飯田の様子に、辻は自分では何か分からない思いに囚われていた。
何故だか、取り残されたような気持ちになる。
「疲れとるんちゃうか?もうウチ戻るか?」
「…へいっ」
加護に促され、辻は病院を後にする。

―――アヤカも病室のふたりの様子を、何とも言えない気持ちで見ていた。
「は〜、タイヘンな1日だったな〜。ウチらもそろそろ失礼するとしようか」
市井に話しかけられ、アヤカはハッと我に返る。
「あ、あ。そうだね。それじゃ、帰ろうか」
病室の保田、中澤たちに挨拶して、市井とアヤカも病院を出た。


市井に車で送ってもらう。
助手席のアヤカはずっと無言だった。
敢えて何も聞かず、市井は少し遠回りして車を走らせた―――。
96 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月27日(金)20時46分58秒
更新しました。

レスのお礼です。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
( ´ Д`)<ごとーもびっくりしたよ〜
えーと。驚かしてすみませんでした。ベーグル食べてください。

>なっなし〜さん
( ゜皿 ゜)<カオ、チノケガヒイタ
とりあえず、こうなりました。驚かしてすみません、すみません。

>あおのりさん
(;0^〜^)<オイラもびっくりしたYO!
すみませんでした。とりあえず、こういう展開です。ゆっくり休んでください。

>オガマーさん
从 #~∀~从<梨華のヤツなだめるのに苦労してん!
ヤッスー、こうなりました。夜はゆっくり休んでください。人のことは言えませんが。

>クロイツさん
( ゜皿 ゜)<カオモ、イキタココチシナカッタ
こうなりました。驚かせてすみませんでした。ヤッスー、愛されてるなー。

>ベリィさん
( ‘д‘)<ゴメンな、びっくりさして!
確かに、ここ数日ヤッスースペシャルで急展開でしたね。とりあえず、ご安心ください。

>娘。さん
(;0^〜^)<梨華ちゃん…オイラがついてるYO!
いしかーさん、まさしくそんな様子だったと思います。とりあえず、保田さん大人気。

97 名前:喫茶タンポポからのお知らせ 投稿日:2002年09月27日(金)20時54分15秒
10月1日より『喫茶タンポポ閲覧コーナー』が、下記のアドレスに変更します。

ttp://migimigi.hp.infoseek.co.jp/goma_index.html

ブックマークされてる場合は、変更等、お願いします。
お手数をおかけしますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(〜^◇^)/<気持ちを新たに、がんがるよ〜!

( ´D`)/<えいえいおー!ののもがんがるれす〜!
98 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年09月27日(金)22時04分00秒
うっっうっう・・・ 圭ちゃんどうして死んじゃったのよ!
圭ちゃんにもっとお話しして欲しいことがあったのに!

( `.∀´)<ねえ、あなた何、言ってるのよ! 誰が死んだって?

うぇ、圭ちゃん、生きてたの?

( `.∀´)<私が死ぬわけないでしょ。

そうよね、殺しても死なないよね
でも車がぐちゃぐちゃになっていたと言うから、てっきり。


車より丈夫な、圭ちゃんて・・・・・?

ともあれ、良かった、良かった。


ひーちゃんへのコメントが書けなくて寂しい。
99 名前:オガマー 投稿日:2002年09月28日(土)01時04分13秒
圭ちゃん、エグエグ…
タクシーの運ちゃんのなんかカッケーなw
そしてさり気なく遠回りをするいちーちゃんも男前!!
ごまさんのレスにホロリです。どうもありがとうございます。
100 名前:クロイツ 投稿日:2002年09月28日(土)10時25分42秒
よ…よかったよぉぉぉぉぉぉ〜!!!
そして、泣いてる梨華ちゃんを優しくつつみこむ吉澤さんもナイス☆
でも、ののたんとアヤカさんが悲しいですね…。
がんばれ、二人とも!!
 でも…
 本当によかったぁ〜!!
101 名前:あおのり 投稿日:2002年09月29日(日)04時13分09秒
とりあえず無事でよかった〜
圭ちゃんが無事と分かるなり、アヤカさんのほうが気になる(←ヲイ
アヤカさん幸せになって欲しい…
102 名前:Summertime 投稿日:2002年09月30日(月)20時05分23秒
飯田は後藤と中澤ハイツに戻った。
ちょうどそこへ、打ち合わせを終えた平家が帰ってくる。
「んあ、平家さん。おかえり」
「ただいま…て。どしてん、カオリ」
飯田のぐしゃぐしゃの泣き顔を見て、平家はびっくりした。
飯田は黙ってしゃくりあげる。

その後、飯田の家に行き、3人は静かにビールを飲んだ。
今日は元々、中澤ハイツの住人で飲み会をする予定だった。
平家は仕事が終わり次第、合流することになっていた。

「そっか…子供を庇ってか。圭坊らしいな」
後藤から事故のいきさつを聞いた平家は、しみじみと言った。
「んあ。それにしても…圭ちゃんの好きなものばっかだね〜。軟骨の唐揚げにホルモン、
納豆そば、ギョーザ…」
テーブルに並んだつまみの数々を見て、後藤は言う。
飯田は泣きながら、ギョーザを齧る。
時々すすり上げる音も混じる。
平家と後藤は、黙ってそれを見守った。


「カオリって圭ちゃん好きなんかな〜」
家を出たあと、後藤は平家に問いかけた。
飯田は泣き疲れて眠ってしまったので、ベッドに寝かせ、すぐに家を出た。
103 名前:Summertime 投稿日:2002年09月30日(月)20時06分40秒
「んー。まぁ、圭坊は優しいからなぁ」
平家は曖昧に答える。
本当は気づいているのだが。
「ねえ」
「何や、ごっちん」
「へーけさんはいつから裕ちゃんのこと好きだったの」
いきなり話がそっちにフラれたことに平家は苦笑する。
「ああ、いつやったかなぁ。まぁ、初めて会うた時に、可愛い子やなぁとは思たけどな」
「一目ぼれ?」
「う〜ん。どうやろ。気づいた時にはってヤツ?」
「へぇ」
自分はまだハタチになる前で、裕子も24だった。
それから5年が過ぎた。
長いような短いような。
平家は初対面の時の裕子を思い出していた。

「ふ〜ん。それからずっと裕ちゃんのこと好きだったんだ」
「もうエエやん、その話は」
平家は照れて手を振った。
「あっは!へーけさん照れてるぅ〜!」
「オトナをからかうんやない!ホンマにこのガキは〜」
平家は後藤を軽く小突くフリをする。
後藤は笑いながら、『バイバイ、おやすみ〜』と手を振って帰って行った。
平家も笑って手を振った。
104 名前:Summertime 投稿日:2002年09月30日(月)20時13分08秒
翌日。

保田が目を覚ますと、既に父と母が来ていた。
「あ…来てくれたんだ」
保田は起き上がろうとするが、体にまだ痛みがあり、顔をしかめた。
母が『そのままでいいから』と娘を寝かせる。
朝食の後、警察が事情聴取に来た。
事故当時のことを、覚えてる限り話す。
初老の刑事は『体がまだ大変な時に申し訳ない』と気遣ってくれた。
保田は笑って首を振った。
警察が帰ってから、加害者の両親の代理という弁護士が面会に来る。
未成年だということもあり、なるべく示談にしたいとのことだった。
保田は少し冷めた気持ちで、弁護士の話を聞いていた。
保田の両親も、黙ってはいたが、渋い顔をしている。
加害者は全治6ヶ月の重傷で、別の病院に収容されたそうだ。
死者は出なかったが、かすり傷程度のケガ人も入れたら、被害者は結構な数になると、
さっきの刑事から聞いていた。
「それではまたお話に伺います」
他の被害者への面会があるのか、弁護士はせわしなく帰って行った。
『これから色々面倒なことになるな』
保田はベッドの中で溜息をついた。

両親は昼過ぎに帰って行った。
昼前に来た医師の話だと、週明けの検査で特に問題がなければ2,3日後には
退院できるそうだ。
保田はちょっとホッとする。
両親も安堵の表情を見せた。
父は自分の知り合いの弁護士に連絡する、と言って、先に病室を出た。
母はいったん中澤ハイツに入院に必要なものを取りに行き、それを病室に
置いてから帰った。
何かあったらすぐ連絡するように言われる。
母も仕事を持っているので、色々忙しいようだった。
105 名前:Summertime 投稿日:2002年09月30日(月)20時14分18秒
昼食のおかゆを食べたら、何だか眠くなってきてそのまま寝てしまった。

「ん…」
次に目が覚めたら、飯田がいた。
飯田は枕元に花を飾っていた。
「来てたの」
「うん。どう?まだ傷、痛い?」
「いや、薬で大分マシ。おかげで頭、ぼーっとするけど」
「ハハ、鎮痛剤だしね。しょうがないよ」
「朝から警察やら向こうの弁護士やらが来たわ」
保田はやれやれ、というように呟く。
「向こうって、加害者の?」
「そう。何でもエエとこの子だから、示談にしたいんだと」
「そうなんだ。それがその子のためになるとは思わないけどね」
「アタシもそう思ったわ」
飯田は紙袋から、ごそごそと包みを取り出す。
「ハイ、お見舞い」
「え?」
「開けてみて」
保田は言われるまま、包みを開ける。
中からは、タオルとパジャマが出てきた。
「…すっごい実用的ね」
保田は手に取って苦笑いする。
「えー?パジャマは気ィ使って、丈の長い、ズボンはかなくていいやつにしたんだよー」
保田の感想に、飯田は不満げな顔をする。
保田はやがておかしそうに笑った。
飯田もつられて笑う。
「サンキュ、カオリ」
「…うん」
ふたりは照れくさそうに笑った。

その様子を吉澤と梨華は覗き見するように見ていた。
というか、覗き見である。
「なんか、入っていけない雰囲気…」
小声で吉澤は言う。
「ダメだよ、いいムードなんだし」
梨華も小声で答える。
手には駅前の花屋で買った花束である。

病室のふたりは、そうとも知らず。
飯田が紙パックのジュースを、保田に飲ませたりしていた。
106 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年09月30日(月)20時29分09秒
更新しました。
「家政○は見た!」ないしよし。

|〜^0)*^▽^)

レスのお礼です。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
( `.∀´)<まぁ、足は骨折したけど、大したケガじゃなかったわ
圭ちゃん、運良く(?)助かりました。日ごろの行いの良さでしょう。

>オガマーさん
( `.∀´)<ホホ!美人のナースがたくさんいるわ!
しかし病院は娯楽がない罠(当たり前か)。圭ちゃん、とりあえず無事でした。

>クロイツさん
( ´D`)<むねがつまるっていうのは、こういうのをいうんれしょうか?
恋愛感情があってもなくても、辻には乗り越えなきゃいけない壁なのです。

>あおのりさん
川‘.▽‘)||<お気持ちうれしいです、ありがとうございます。
アヤカにも越えなきゃいけない壁なのです。最近私はアヤカにちょっと萌えてます。 

107 名前:オガマー 投稿日:2002年10月01日(火)03時10分44秒
二人で覗き見ってことはやっぱりくっついてるんれすか?(w
カオケイどうなるんだろう…w
108 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月01日(火)10時18分55秒
加害者の両親と弁護士に、果てしない怒りを感じる私は…心が狭いのでしょうか(汗)。
でもまぁ…よかったよ〜ヤッスー!!
飯田さんとイイ感じですね♪圭圭に突入するんでしょうか?どきどきっ!!
そして、覗き見いしよしに萌え☆
楽しみにしてますね〜!!
109 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月01日(火)20時50分50秒
今日、オークションで、ひとみちゃんの写真を落札したら
出品者は、北海道の「飯田 かおり」さんでした。
メールは来たけど、何か交信っぽいメールでした。

本編に全然関係ないレスで済みません。(^_^;
110 名前:Summertime 投稿日:2002年10月01日(火)21時52分10秒
―――吉澤視点

その日の夕方。
ウチと梨華ちゃんは、後からお見舞いに来たごっちんと一緒に帰った。
途中コンビニでアイスを買い、食べながら土手を歩いて遠回りする。
「んあ〜、今日からもう9月だねー」
ごっちんはアイス片手に伸びをして言った。
「ハハ、そうだねー。今日は日曜だから、子供は1日休みトクしたねー」
ウチもごっちんのマネをして、伸びをする。
「あいぼんとののちゃんは、来週から新学期だよ」
梨華ちゃんが言った。
「へー、いいなー」
3人でそのまま歩いて行く。
「ごとーさー」
しばらくしてごっちんが口を開いた。
「圭ちゃんが事故に遭ったって聞いた時、マジで生きた心地しなかったよ」
「うん」
梨華ちゃんとふたりで頷く。
「圭ちゃんはごとーには、お姉ちゃんみたいな存在だから」
確かに。
保田さんもごっちんを妹みたいに面倒見てるし、ごっちんもお姉ちゃんに対してみたいに
保田さんに懐いてる。
ハタで見てても姉妹みたいだし。
「圭ちゃんはねー」
ごっちんはウチらのほうを振り向いた。
「ごとーには、なくてはならないひとなの」
夕陽を背にした、ごっちんの笑顔が眩しい。
111 名前:Summertime 投稿日:2002年10月01日(火)21時55分46秒
梨華ちゃんはしばらくたって、言った。
「それ…保田さんが好きってこと?」
「んあ、そうだよ」
梨華ちゃんが言わんとしてることが何となく分かった。
「圭ちゃんの彼女になりたいとか、そういうのじゃないけどね。好きだよ」

ごっちんの「好き」は、とてもキレイで。
聞いてて、何でかしんみりしてしまった。
隣の梨華ちゃんも、目を伏せて聞いている。

「ヨシコと梨華ちゃんも好きだよー!」
青春ドラマのように、ごっちんは夕陽に向かって叫んだ。
「あたしもー!ごっちん好きー!!」
梨華ちゃんも叫ぶ。
「ウチもー!!」
負けてらんねっす。
犬の散歩をしてた男の子が、怪訝な顔でウチらを見てた。
かなりめにアヤしい3人組だっただろう。
でも、全然平気だ。

「あの夕陽に向かって走るぜい!」
ごっちんが腰に手を当て、人差し指で川岸の向こうの夕陽を指す。
「「おう!」」
ウチらはふざけて、ぎゃははと笑いながら、暮れ始めた土手を走った。
112 名前:Summertime 投稿日:2002年10月01日(火)21時59分09秒
―――翌日。

夜、保田がうとうとしてると、ストレッチャーの音が外でした。
急患だろうか。
保田は浅い眠りから目を覚ました。
その後すぐ、自分の病室のドアが開いた。
顔なじみになった看護士が、
「保田さん、起きてた?ごめんね、ちょっとしばらくバタバタするけど」
てきぱきとベッド周りを片付けながら言った。
「いいえ。急患ですか」
「うん。ここしか空いてないから。小さい女の子なんだけど」
その看護士も慌しく、いったん部屋を出て行く。
保田がいるのは二人部屋だった。
入院費も割高になるが、ここしか空いていなかったので致し方ない。

しばらくして、患者が運ばれてきた。
さっきの看護士が言う通り、まだ小学校2,3年くらいの子だった。
ぐったりしたようになっている。
看護士が入れ替わり入ってきて、少しの時間、騒がしくなる。

また静けさが訪れた。
「おねえさん」
隣から、か細い声がする。
「あ、どうしたの?気分悪い?看護婦さん呼ぼうか?」
保田は慌てて、枕元のナースコールのボタンを探った。
「ううん。ちがうの。おねえさんはなんで入院してるの」
「ああ。あたしは交通事故にあったの」
「交通事故?車とぶつかったの?」
「まぁ、そんなもんかな。あなたはどうして?」
「うん、また発作が始まったの」
113 名前:Summertime 投稿日:2002年10月01日(火)22時01分04秒
どういう病気なのか気にはなったが、保田は敢えて聞かず、
「そう…」
とだけ言った。
「苦しいけど、ガマンしたらお母さんが『よくがんばったね』ってほめてくれるの」
「そっか、えらいな。お姉さん、大した傷じゃなかったなのに、泣くほど痛かった」
保田は女の子と顔を見合わせて笑った。

翌日。
保田は退院の許可が下り、荷物をまとめて病室を出た。
昨日の少女は、目が覚めたらいなかった。
看護士に尋ねると、小児病棟に移ったとのことだった。
帰る前に顔を見て行きたかったが、面会謝絶の状態だと聞き、また改めて来ればいいと病院を出た。

色々あった夏だったな。
タクシーを待ちながら、保田はそんな事を考えた。

アヤカは昨日、ひとりで見舞いに来た。
この前のことを彼女は詫びた。
勝手だったと。

『勝手なのは―――アタシのほうなのに』

これからどうなるのか。
保田は大きく、溜息をついた。
114 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月01日(火)22時14分09秒
更新しました。

レスのお礼です。

>オガマーさん
(* ^▽^)<…ハイッ!
ええ、くっついてます。覗くくらいなら病室入れよ、てハナシですが(w

>クロイツさん
( `.∀´)<ホホッ、心配してくれてありがとう!
どうなるかはヤッスーの心の中に…。いしよしは人目もはばからずくっついてました

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
( ゜皿 ゜)<タニンントハ オモエナイ…ピーガガガ
そうですか、なかなかない経験をされたようで。しかし、交信みたいなメールって(w?
115 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月01日(火)22時39分41秒
おおっ、市井ちゃんピンチ!
116 名前:オガマー 投稿日:2002年10月02日(水)05時58分40秒
青春ドラマゴッコする85年トリオ萌えw
一度会っただけの女の子にも、優しいケメコに熱いものを感じます。
そして、やっぱりくっついてたのかぁ〜。満足満足(w
117 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月02日(水)11時14分02秒
「ここだわ…」
少女はそう呟いて、中澤家の表札を見つめた。
「この住所で間違いないわよね」
持参した古い年賀状の、差出人の住所をもう一度確認する。
間違いないと納得し、彼女はインターフォンに手を伸ばした。


―――その頃。

辻と加護は、駅前のラーメン屋から帰ってくるところだった。
「ホンマにあっついなぁ。もう9月やっちゅーのに」
加護は、うんざり、というように顔をしかめる。
「でも、朝晩は涼しいれすよ。昼間はまだ暑いれすけど」
「それにしても、『冷やし中華はじめました』って貼り紙するんなら、なんで
『冷やし中華おわりました』って貼り紙せーへんねん。ややこしいで、しかし」
加護は往年の漫才師のような口ぶりで言う。ポーズもつけて。
最初に入ったラーメン屋で冷やし中華を注文すると、「もうやってないよ」と
にべもない返事だった。
ふたりはそこを出て、ちょっと歩いたところにある店に入った。
「まあまあ。次のところはおいしかったからいーじゃないれすか」
辻がなだめるように言う。
ちょっと小汚い店で、大して期待しなかったのだが、意外にうまく、穴場だったのだ。
「まあな、親父が愛想悪いのが玉にキズやけどな」
ふたりは話しながら、中澤家に向かう。
118 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月02日(水)11時20分30秒
「ごめんくださーい」
インターフォンを鳴らして。少女は小さな声で言った。
『ハイ?どなたさん?』
すぐに裕子が出る。
「あの…こちらに保田圭さんという方はいらっしゃいますか?わたくし、保田先生の
知人で、紺野と申します」
『保田の知り合いの方ですか?ちょっとお待ちくださいね』
裕子は玄関を開けた。
門の外に、高校生くらいの少女が立っている。

「えーと、紺野さんやっけ?保田の知り合いて…」
随分若い知り合いだな、と思いながら、裕子は門を開けた。
「あ、以前保田先生に、家庭教師として来て頂いてたんです。説明不足でした。失礼いたしました」
「ああ、そういうことね。いや、圭坊は去年、すぐ近くの中澤ハイツってとこに移ったんよ。
えーと、わざわざ会いに来てくれはったん?」
「ハイ。この度アメリカから帰国しまして、東京の高校に転入することになりましたので、
ご挨拶に伺いました。以前頂いたお手紙の、ご住所がこちらになっておりましたので」
そう言って紺野は、裕子にさっきの年賀状を見せた。
手に取って見ると、確かに『中澤方 保田圭』と書いてある。
「そうなんや。それはご苦労やったね。まあ、圭坊に連絡するからとりあえず上がって頂戴」
「お邪魔いたします」
紺野は深々とお辞儀して、中澤家の門をくぐった。
119 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月02日(水)11時29分32秒
裕子は紺野を居間に通し、紅茶とヨックモックのクッキーを出した。
「恐れ入ります」
紺野はソファで頭を下げる。
『何や、えらい礼儀正しい子やなぁ。辻加護とは大違いや』
裕子は感心して、紺野を眺めた。
「お客さん?」
梨華が2階から下りてきた。居間の外から声をかける。
「うん。なんや、圭坊がカテキョで教えてた子やねんて。アメリカから帰って来はったから、
わざわざ挨拶に来てくれたらしいわ」
梨華に気づいた紺野が
「お邪魔しております」
と頭を下げる。
「いらっしゃい」
梨華は笑顔で返した。

保田からついさっき、退院許可が下りたので今から荷物をまとめて帰ると電話があった。
裕子は保田に連絡をしてみる、と断って廊下に出た。
自分の携帯を取りに台所へ行く。
「何か、すごい礼儀正しい子だね」
廊下で、梨華は裕子にだけ聞こえるように言った。
「ウチもそう思うワ」
裕子も頷く。
120 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月02日(水)11時34分28秒
裕子から連絡を受けた保田は、タクシーで自宅に戻る予定を変更して、
そのまま中澤家に向かう。
「紺野ー!久しぶりー!」
居間に入ってきた保田の姿を見た紺野は、驚いて大きな目を更に大きくさせた。
「―――保田先生!どうされたんですか!?」
久しぶりに会う保田は、包帯が痛々しい上に、松葉杖をついている。
「アハハハー、いやドジっちゃってねー。車にはねられてこのザマ」
保田は松葉杖を置いて、自分もソファに腰掛けた。
「で、東京に戻ってきたんだって?」
「ハイ、父が東京本社に転勤となりましたので。それでわたくしもこちらの高校に
転入することになりました」
「へぇ、どこの学校?」
「朝比奈女子高校というところです」
保田は梨華や裕子と顔を見合わせた。
「辻加護のところじゃん」
「ツジカゴさん、ですか?」
紺野はきょとんとした顔をする。
ひとりの人名だと勘違いし、変わった名前だな、と思ったのだ。
「ああ、辻と加護っていってね。ここで下宿してる子たちなのよ。
紺野と同い年だから、仲良くするといいわ」
その時、玄関が開く音がした。
「ただいまー」
「ただいまれすー」
「あ、噂をすれば」
梨華は居間から出て行って、ふたりを呼びに行く。
121 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月02日(水)11時40分39秒
辻加護は梨華と居間に入ってきた。
紺野はふたりを見て、頭を下げた。
「初めまして…紺野あさ美と…申します」
『しゃべんの遅いねーちゃんやな』
加護は心の中で思った。
隣の辻は、
「辻希美れす。よろしくれす」
何か通ずるものを感じたのか、初対面なのに、ふたりはお互い微笑みあっていた。
「加護亜依です。よろしく、紺野さん」
『オイ!のののヤツ、ナニコイツと通じ合ってんねん!?』
自己紹介しながら加護は、てへてへ紺野に笑いかける辻に、
やはり心の中でツッコんだ。

「紺野はアタシが昔カテキョで教えてた子なんだけど、今度アンタたちと
同じ高校に転入したのよ。同じ学年だし、仲良くしてやってちょうだい」
保田は紺野の両肩に手を置いて言った。紺野は照れたように笑う。
「わぁ、同じ学校なんれすか!お友達になりましょう!」
辻は嬉しそうに手を叩く。
「ハイ、よろしくお願いします。辻さん」
加護は黙ってその様子を見ていた。
梨華とふと目が合う。
梨華も何も言わなかったが、加護の様子に苦笑していた。
辻と紺野は楽しそうに話を弾ませる。
加護はそれが面白くなく、無言でふたりが話すのを聞いていた。
122 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月02日(水)11時51分24秒
交信しました。

( ゜皿 ゜)<キョウカラ シンショウ


タイトルはクルト・ワイル作曲の有名なジャズ・ナンバーより。
シナトラやナット・キング・コール、サラ・ヴォーンもカバーしてます。
1950年のアメリカ映画「旅愁」の主題歌でもあります。

( ´D`)<ワイルしゃんは、「三文オペラ」で有名なのれす

レスのお礼です。

>名無し読者さん

ヽ;^∀^ノ<恋愛感情じゃないって分かってても、マジ焦るわ…

市井ちゃん、ごまの気持ちを分かってるからこそ、何も言えないとこもあったり。

>オガマーさん
( ´ Д`)<やってみたかったんだぁ〜
あんまり85年トリオだけの場面を書いたことがなかったので、出してみました。


訂正です。

>>113
大した傷じゃなかったなのに→大した傷じゃなかったのに

 
123 名前:登場人物紹介 投稿日:2002年10月02日(水)11時58分50秒
川o・-・):紺野あさ美(16歳)。北海道出身。保田が大学時代、家庭教師をしていた。
父の仕事の都合でアメリカにいたが、帰国して東京へ。礼儀正しく、完璧らしい。

川o・-・)ノ<北海道で生まれ、中学入学と同時にアメリカへ参りました!

( `.∀´)<ホホッ、紺野はすごく優秀な教え子なのよッ!


・意気投合

( ´D`)<ののの両親やお姉ちゃんも、オーストラリアにいるんれす

川o・-・)<そうですか…うちは家族ごと行ってたんですが、寂しいですね

( ´D`)<この前みんな日本にきて会いましたし、メールとかしてるからさびしくないのれす

川o・-・)<辻さんは…強いんですね

(* ´D`)<いやですよ、てれるれすよ テヘテヘ
        
             キャッキャッ!
|д‘)<…    川o^-^)(´D`)


124 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月02日(水)12時04分01秒
川o・-・)ノ<北海道で生まれ、小4で東京へ。
       中学入学と同時にアメリカへ参りました!の間違いです!
       作者は完璧じゃありません!

コピペ失敗。スマソ
125 名前:あおのり 投稿日:2002年10月02日(水)14時37分57秒
紺野ちゃんの登場だ!中澤家にはじめての良い子ちゃん登場じゃないですか?
いつもながらごまべーぐるさんのキャラクターの書き方は川o・-・)ノ<完璧です
でもなんだかまたあいぼんのライバルが増えた予感…あいぼんガンバ
と言っといてあいぼんには申し訳ないんですがトロモニは好きな組み合わせなんで期待大です。
あいぼんスマン
126 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月02日(水)16時52分06秒
きゃ〜〜〜〜〜〜!!!
紺野登場!!すっごい嬉しいです!!紺野さん大好きなんですよー!!!
しかもキャラもすっごいイイです!!独特のテンポが、私の心をくすぐる…♪
紺野さんの活躍にも期待できるし、こりゃー先が楽しみ過ぎるっ!!
がんばって下さいませ☆
127 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月02日(水)18時52分25秒
( ゜皿 ゜)<ピーーーガーーージーーー "ポイ" メールダヨ

「落札ありがと、送るので住所教えて、代わりに切手送って」
   ↑
これ本当ですよ、原文のママです、ってか一行メールかよ!
交信っぽでしょ、ひょっとして、かおりん、娘。の写真、売ってるかも。

娘。最強のキャラの登場ですね、紺野先生にかなう者はいません。
色々、やらかしてくれるんでしょうね、期待してま〜す。
128 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月02日(水)19時55分21秒
訂正、交信っぽ→交信っぽい

「セプテンバー・ソング」、すごいのを持ってきますね。

その昔、FMの「ジェットストリーム」で流れていた
セプテンバー・ソングに涙したのを思い出します。
129 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月03日(木)23時07分17秒
―――吉澤視点

「たでーまー」
ウチはバイトから帰って、遅い晩ゴハンを食べようと台所へ行った。

「おかえりなさい」
「おかえりれす」
梨華ちゃんとののが、同時に振り向く。
カステラと紅茶でお茶してた。
「お。いーもん食ってるなー。ウチにもちょうだい」
「もちろん。先にゴハン食べるでしょ?おかず、温めるね」
「サンキュ。お願いします」
梨華ちゃんが立ち上がって、レンジにウチの分のおかずをいれてくれた。
ののを見ると、嬉しそうな顔をして、カステラを頬張ってる。
「おいしいれす〜」
こぼれんばかりの笑顔で、感想を言う。
「そうか、よかったなー。これ、誰かのおみやげ?」
「ウン。保田さんが昔カテキョで教えてたっていう子が、うちに来たの。
わざわざおみやげまで買ってきてくれて」
「紺野しゃんっていうんれすよ。今度、ののたちの学校に転校してくるんれす」
「へぇ。そうなんだ」

そう言えば、何か静かだな、と思ったら、あいぼんがいない。
本人に知られたら、『気づくの遅いわい!』ってどつかれそうだが。
130 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月03日(木)23時12分54秒
「あいぼんは?もう寝たの?」
「ああ、それがね」
梨華ちゃんは何故か苦笑した。
「…後で話すわ」
「うん?」
何か気にはなったが、ちょうどレンジがピピッと鳴ったので、そのままごはんを
頂くことにした。
ののは相変わらず、おいしそうにカステラを食べていた。


「ヤキモチ?」
ゴハンの後、ウチの部屋で梨華ちゃんから事情を聞いた。
「そう、紺野さんとののちゃんにヤキモチやいちゃって」
梨華ちゃんはクッションを抱えて、溜息をついた。
「ほえー。ののはモテモテだなー。何だっけ、この前遊びに来た、梨華ちゃんが
カテキョで見てる子も、のの狙いじゃなかったっけ?」
なんつー競争率の高さだ。
いや、将来が楽しみだなー。

「いや、ひとみちゃんもあんまし人のこと言えないと思うけど」
「何で?」
「何でって…ホントに分かんない?」
梨華ちゃんが何か拗ねたように、ウチの顔を見上げる。
「えーと、何ででしょう?」
131 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月03日(木)23時15分01秒
―――石川視点

ひとみちゃんは、ギャグとかわざととかじゃなく、ホントに分かってないようだ。
今も、キョトンとあたしの顔を見てる。
大きい目に思わず見惚れてしまったけど、気を取り直して彼女の両肩に手を置いた。
「あのね…ひとみちゃんも物凄くモテてるよ」
「へ?ウチ、彼女いるって言ってるのに?」
ホントに分かってない…。
天然で分かってないわ。
「ライブとか、すっごく差し入れとかあるじゃない」
「ああ、あれはウチにだけじゃないし」
さらっと言ってる…。
この先の苦労を思うと、溜息をつきそうだけど、でも…好き。
「ウチのイチバンは梨華ちゃんさぁ!」
ニコニコして、ひとみちゃんはあたしをぎゅーっと抱きしめてくれた。
この人のそばは、すごくあったかい。
春の日の陽だまりみたいに、ぽかぽかして。
「あたしもひとみちゃんがイチバンだよ」
「ホント〜?」
「ホントだよ」
「ん〜!」
おでこにキスしてくれた。
いたずらっこみたいに笑って。
ニブイのは相変わらずだけど…。
このひとのこと、大好きだ。

しばらく、ひとみちゃんの肩にもたれかかって、音楽を聴いた。
心地よいジャズの音色が、優しく耳に響いていた。
132 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月03日(木)23時26分33秒
更新しました。

相変わらずニブチンなひとみちゃんの巻。

(0^〜^)? (^▽^* )モウ…

レスのお礼です。

>あおのりさん

川o・-・)ノ<ありがとうございます!作者もトロモニ好きであります!

加護には悪いけど(w、トロモニ好きとしては活躍させたく思っております。

>クロイツさん

川o・-・)ノ<わたくし不肖紺野!頑張らせて頂きます!

私も紺野好きなんですよ(w。なんていうか、存在自体が(w。今、彼女の喋り方研究中です。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん

川o・-・)ノ<娘。最強キャラと言って頂き、ますます精進する次第であります!

ホントに交信みたいなメールですね(w。わざわざありがとうございます。紺野先生、大人気。
133 名前:オガマー 投稿日:2002年10月04日(金)06時10分03秒
ああ…やっぱりいしよしは萌えるww
ごまさんの焦らしがまたウマイからー(違
134 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月04日(金)07時33分01秒
いしよしらぶらぶ〜!!
パソコンの前で「うっへへへへへ」とか言う、ものすごく不気味な笑い声を上げてしまいましたよ〜!!
にぶにぶののたんに、にぶにぶよしこ。
最強ですね!!しかも二人とももてもて!!
一瞬、『パパ(よしこ)似な長女(ののたん)に、ママ(梨華ちゃん)似な次女(あいぼん)』とか
思ってしまいましたよ。
顔のニヤケが止まりません…♪
135 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月04日(金)22時17分46秒
―――その週の土曜日。

保田は診察のため、総合病院を訪れた。
退院してすぐ職場復帰したが、最初は松葉杖であちこち移動する不便さに苦労した。
だが、職場の上司や同僚の協力もあり、何とか仕事はこなせている。

経過は順調で、早ければ一ヶ月弱で足のギプスも取れるとのことだった。
医師の言葉に安堵する。

診察の後、総合受付のあるロビーでテレビを見ながら、会計の順を待つ。
その後、薬を受け取って時計を見ると1時前だった。
『やれやれ。結局昼過ぎになったわね』
診察が済んだら、この前同室になった、少女の見舞いに行こうと考えていた。
『そういや、小児病棟に移ったとかいってたっけ。お昼食べてからでも』
病院の近くにある食堂で昼食を取る。
近くの本屋で少女マンガの雑誌を買い、花屋で小さい花束を作ってもらい、
また病院に戻った。

少女の下の名前しか分からなかったので、自分が入院してた外科病棟へ行き、
ナースセンターで女の子の苗字と、病室を尋ねた。

「スミマセン、下の名前しか本人に聞かなかったもんで。で、病室はどこですか」
「うん、それがね…」
若い女性看護士は、ためらいがちに切り出した。
136 名前: 投稿日:2002年10月04日(金)22時19分09秒
初めまして。
昨日から2日かけてこの作品を読ませていただきました。
長かったー(w
でも、すごく笑ったし感動したし・・・最高ですた。

個人的には川 ‘〜‘)||・・・(`.∀´;)・・・
     川‘▽‘)||・・・・(`.∀´;)・・・
この3人に注目してます。
てか、いいらさんもアヤカも健気だなぁ〜・・・。
マジメにここのいいらさん、アヤカダイスキですw

今後も期待しておりますので、頑張ってください。
ではでは♪
137 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月04日(金)22時19分52秒
―――その後はどうやって病院を出たか、分からない。

気がつくと、喫茶タンポポにいた。
「あ、圭ちゃん。いらっしゃい。なに?病院の帰り?」
いつものように、矢口が明るく迎えた。
「あ、うん…辻」
「へいっ。なんれすか」
「これ、あげるわ」
保田は手に持ってた本屋の袋を差し出した。
「本、れすか?」
「うん、お見舞いに買ったんだけど…もういらなくなったから」
「そうなんれすか。ありがとうれす」
辻は何か不思議な気もしたが、礼を言って受け取った。
「矢口これ、カウンターにでも飾って」
今度は花束を差し出した。
「へ?いいの?てか、オイラがもらっていいの?」
「うん、それじゃ。また来るわ」
保田はそのまま店を出た。
ふたりは保田の様子に首を傾げる。
「オバチャン、何だか元気がなかったれす」
「うん…どうしたんかね」
答えながら、矢口は手に持った花束のカスミ草を指で触れた。
138 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月04日(金)22時22分37秒
保田はそのまま中澤ハイツに戻った。
階段を上がっていると、ちょうど帰ってきた飯田が下から声をかける。
「おー、圭ちゃんじゃん」
「カオリ」
「病院行ってきたんでしょ?どうだった?」
「あ、うん…早ければ今月中くらいにギプス取れるって」
「よかったー!あ、そうだ。梨をたくさんもらったんだけど圭ちゃん食べる?」
「あ、うん…」
「…どしたの?」
保田の様子がおかしいので、飯田は階段を上がってそばに行った。
「何でもない…」
そのまま自分の部屋に戻ろうとする。
「ちょ…!圭ちゃん!」
飯田は保田の腕をつかんだ。
保田はその大きな目に涙をため、泣いていた。
「何があったのよ?圭ちゃん」
保田の顔を覗き込む。
「何でもないって!ほっといてよ!」
飯田の腕を振り払って帰ろうとする。
「何でもなくないでしょーが!」
飯田は保田を無理矢理抱え上げ、自宅へ連れ込んだ。

保田は部屋に入ってからも、ぼろぼろ泣いていた。
理由を聞かれ、ぽつりぽつり話し出す。
139 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月04日(金)22時25分42秒
「―――死んだ?」
保田は看護士の言葉に、耳を疑った。
「うん…保田さんが退院した夜に、容態が急変して…ここのところ、通院で治療してて経過もよかったんだけどね」
「そうですか…すみませんでした」
保田はそのまま、もと来た道を歩き出した。
少女は小児糖尿病に喘息を併発していて、あの晩、急に激しい発作が起き、
そのまま息を引き取ったとのことだった。


―――飯田はそこまで話を聞き、黙って保田を抱きしめた。
「何で、あんな小さな子が…!何でよぉ!」
保田は激しく泣いた。
飯田の胸を叩き、泣きじゃくる。
飯田は何も言わず、そのまま保田を強く抱きしめた。


「―――落ち着いた?」
どれくらいそうしていたのか。
飯田の言葉に、保田はしゃくり上げて顔を上げた。
「うん…なんか悔しいわ」
「何が?」
「カオリごときになぐさめられたっつーのが」
保田の悔しそうな顔に、飯田は苦笑する。
「もう〜。いいじゃん。たまにはカッコ悪いトコも見せなよー。ホントに圭ちゃんはー」
いつの間にか、窓から西陽が差し込んでいる。
もう夕暮れだ。
「ああ、もうこんな時間。悪かったわね、カオリ」
棚の時計を見て、保田は飯田から離れた。
「―――圭ちゃん!夕陽を見に行こう!川原まで!!」
「ハァ?」
飯田が突拍子もないのはいつものことだが、保田は顔をしかめた。
「今日の夕陽は今日しか見れないよ!ホラ!急いで、急いで!!」
「―――ちょっ!アタシはケガ人なのよー!!」
飯田の勢いに押され、土手へ向かう保田だった―――。
140 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月04日(金)22時29分34秒
結局、飯田に引っ張られ、土手まで夕陽を見に来た。
もうほとんど暮れかけていて、空には青みが増していた。
「―――ハァ!間に合った!」
飯田は上機嫌で空を仰ぐ。
「どう?圭ちゃん?ここまで見に来てよかったでしょ。なんせ町内随一の
夕陽スポットだしね」
「まあねえ…」
保田はうかない顔で返事する。
「カオは圭ちゃんと見れてよかったと思ってるよ」
前を見たまま、飯田は言った。
「カオリ…」
「今日の夕陽は今日しか見れないじゃん。だから」
「うん…」
「明日もきれいだったら一緒に見よ。ね?」
「…うん!」
保田はまた鼻をすすり上げた。
「あ、圭ちゃん鼻水すすってる!きったねー!」
さっきとは打って変わった飯田の小学生のようなからかいに、保田は松葉杖を
振り上げた。
「ゴルァ!ぶつよ!」
「あ、圭ちゃん!あぶな…!」
飯田が言うより先に、保田はよろけて倒れそうになった。
飯田が慌ててキャッチする。
「ハァ〜!びっくりさせないでよ!」
「…ゴメン」
保田はバツの悪そうな顔をする。

ふたりは並んで土手に座り、沈んでゆく太陽をしばらく眺めていた。
141 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月04日(金)22時43分38秒
更新しました。

レスのお礼です。

>オガマーさん

(* ^▽^)<ひとみちゃん、ニブイけどとても優しいんです!

ご馳走はしばらく待って食べるほうがうまいのれす(謎 定番料理って感じですかね、いしよしは。
何かちょっと読み返してみたら、「お父さんの帰りを待つ妻と長女(で、部屋で拗ねる次女)」ですた。

>クロイツさん

(* ^▽^)<見、見られてたなんて恥ずかしい…!キャッ!

アヤしい大学生、ハケーン。読み返して、単なる吉澤一家やな、と思いますた。
某企画のお話、凄く面白かったです。完成度が高いなーと感心することしきりですた。

>壱さん

(0^〜^)ノ<保田さん、モッテモテ!カッケー!←キミもや

初レスありがとうございます。(`.∀´;)なヤッスーに萌え。最初からここまで
読んでくださったそうで。ありがとうございます。目は大事になさってくださいね。
142 名前: 投稿日:2002年10月04日(金)22時51分41秒
あ、さっきは更新中に割り込んだみたいでスイマセンでした。

反省しに逝って来ますw
143 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月05日(土)09時13分24秒
吉澤夫妻は安定期ですね、結構、結構。
ニブい夫に、ちょっぴりやきもちを焼く妻。
こういう状態は読んでいる方の精神状態にもいいですね。

カオリと圭ちゃん、ちょっぴり大人のしっとりしたムード。
夕日に浮かぶ2人のシルエット、絵になりますね〜。

ニブひーちゃんも大人になったらこんな風になれるんでしょうか?
144 名前:Nさん 投稿日:2002年10月05日(土)14時47分53秒
ごまさんお久しぶりです。 
やっと今日、読めずに溜まってた更新分見れました! 
こう何日分も一気に読むとどこに触れて書けばいいやら・・・ (^▽^;)
ほのぼのあり、シミジミありの素晴らしい文章力は健在ですな♪
このストーリーの登場人物はほんと、ユニークだしあったかいから好き。
さすが『癒し系ごまたん』って感じだね!
次回も楽しみっす♪
 
145 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月07日(月)19時41分47秒
ううう…ヤッスー…。
たそがれてるヤッスーも素敵ですが…うううっ!!
かおりんと良い感じですねぇ♪…でも…アヤカさんがどう出るのか…。
すっごく楽しみです!!期待してます!!

 P.S.
 某企画の小説…完成度が高いなんて、そんな…。
 ごまべーぐる様にそんな事言われちゃったら私、舞い上がっちゃいますよ〜!!
 ありがとうございます!!うれしいです!!
146 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月07日(月)21時58分00秒
―――吉澤視点

―――月曜日。
「遅刻れすー!」
制服姿のののが、慌てて台所に駆け込んできた。
「やっと起きたか。置いていこかと思ったワ」
あいぼんがニヤニヤ笑って、コーヒーをすする。
ふたりは今日から新学期だ。
「ふえーん!ゴハン食べてる時間ないれすー!」
「ののちゃん、パン、トーストにしてあげるから。
途中で食べなよ。ホラ、顔洗っておいで」
梨華ちゃんに言われ、ののはダッシュして洗面所に行く。
「エエなー。大学生はヒマそーで」
あいぼんはあたしの方をチラっと見た。
確かに。
うちの大学は今月末まで夏休みだ。
バイトとかしなかったら、さぞヒマを持て余してただろう。
また旅行とかしてーなー。
でも、先立つものがなー。
『梨華ちゃんとふたりでデート』も、まだ実現してないし。
買物(洋服とかじゃなく、おかずとかホントに買物の)デートは前にしたけど。
「大学生も忙しいんだよー」
梨華ちゃんは笑って反論する。
「そうなんやー。ウチもはよう、大学生になりたいワー。のの、行くで」
「待ってくらさいー!」
ののは梨華ちゃんからトーストを受け取って、あいぼんの後を追いかけて行く。
これからまた、こういう朝が始まる。
やっと一息ついて、ウチもコーヒーを飲む。
中澤さんは用事で、朝ゴハンの支度をしてから出かけた。
静かだ。
「やれやれ。やっとふたりとも出かけたね。ののちゃん、途中でオナカ空かなきゃいいけど」
梨華ちゃんが自分の分のコーヒーを注いで言う。
「大丈夫っしょ。今日は昼前には終わるだろうし」
「そうだね。始業式だし」
しばらく、ふたりで話しながらのんびりコーヒーを飲んだ。


147 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月07日(月)22時00分30秒
朝比奈女子高校1年C組教室―――

「ハイ。みなさん静かにー。転校生を紹介します」
担任に促がされて、紺野あさ美は教壇の前に立った。
「みなさま、初めまして。
紺野あさ美と申します。
特技は空手で、好きな食べ物はおいもとかぼちゃとおもちとお寿司と、あ、お寿司で好きなネタは
トロとマグロとサーモンのサビ抜きです。あとは…」
「あの、紺野さん?」
終わる気配がないので、担任はやんわり止めに入る。
「ハイ?」
「それくらいでいいですよ」
「あ、ハイ。大変失礼いたしました」
「紺野さんは中学からずっとお父様のお仕事の都合でアメリカにいらして、この夏に帰国されました。
勉強など、色々大変だと思うので、みなさん協力してあげてください」
生徒たちはそれぞれ返事したり、頷いたりした。
その中で、辻は紺野に向かって小さく手を振った。
紺野も微笑み返す。
「さて、紺野さんの席は…」
担任が教室中を見渡す。
「ハイ!辻の隣が空いてるれす!」
辻は真っ先に手を上げた。
「ああ、そうですね。
紺野さん、あのポニーテールの人の隣に行ってください」
「ハイ」
「それじゃ、みなさん。仲良くするように」
「紺野あさ美でした!今日も完璧です!」
紺野は片手を振り上げて、宣言した。
辻を始め、クラスメートたちは爆笑する。
148 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月07日(月)22時03分44秒
「一緒のクラスなんてうれしいれす〜♪」
始業式が終わって解散した後、辻は紺野と中庭を歩いていた。
「ハイ…わたくしも、嬉しいです」
紺野はやんわり微笑む。
「あいぼんがそろそろ来る頃れす」
辻は自分の腕時計を覗き込んだ。
ここで待ち合わせをしている。
「よかったら、紺野しゃんも学食でお昼食べないれすか?
のの、あいぼんと約束してるんれす」
「わたくしも…よろしいんですか?」
「へいっ、全然オッケーれす」
「ののー!」
そこへ、加護がやって来た。
HRが長引いて少し遅れた。
「スマン、担任が長話しおって。
…ん?」
「こんにちわ…加護さん」
紺野は深々と頭を下げた。
「ああ…どうも」
加護もつられて下げる。
「紺野しゃん、ののと同じクラスなんれす!
ねえ、みんなで一緒にゴハン食べよう!
あいぼん、いいれしょう?」
「あ、うん…エエよ」
辻の無邪気な笑顔に、加護は逆らえず頷く。
「じゃ、学食に出発れす〜♪」
辻は紺野と楽しそうに話しながら、前を行く。
後ろをついていきながら、加護は物凄く複雑そうな顔をしていた。
149 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月07日(月)22時18分01秒
更新しました。

川o・-・)ノ<日本に帰って真っ先に食べたものはお寿司とオモチでした!

紺野先生、教室デビューの巻。

レスのお礼です。

>壱さん
(; ^▽^)<戻ってきてくださーい!
途中レスはどうぞお気になさらず。わざわざありがとうございます。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
( ´D`)つ□<カステラ、うめーのれす
恋人になったからといって、急にニブイのは直らんだろうなーと思いますて(w

>Nさん
(0^〜^)<癒し系なんて嬉しいYO!
まとめて読むと、多分よりツッコミどころ満載だと思います(爆 ありがとうです。

>クロイツさん
( ゜皿 ゜)<ケイチャン イガイトナキムシ デモ カワイイ
様づけで呼ばれて恐縮です。ヒエー。どうぞ。舞い上がってくだせえ(w


150 名前:Nさん 投稿日:2002年10月07日(月)22時51分32秒
ど〜も〜! ごまさん更新おつかれさまなのです。
ここ2・3日、例の作業の為、ずーと過去のストーリー読んどったから
なんかギャップがあります。 (^^;)
最新の方では、もう紺ちゃんが出て来たんだよね〜
さりげなく寿司ネタを出すとこが、さすがごまたん♪ 
紺ちゃんは何気に憎めなくて好きなんで登場うれしいです。
また、あいぼんのヤキモチが・・・w

ちなみに過去編の方は、あいぼんがギター研のことで
ののにヤキモチ妬く辺りまでは作業完了しました。
でね、昔わたしがごまさんに書いた感想レスが結構出てくんだけど、
あーゆーの改めて見るとさ〜・・・照れるね。 (*/∇\*) キャ
151 名前:オガマー 投稿日:2002年10月07日(月)23時58分58秒
ののたん天使!
あいぼむがんがれ(w
かぁ〜いいなぁ〜。
ののこんも結構好きなんだけど、やっぱあいののかわええ!
152 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月08日(火)15時43分23秒
从 ~∀~从ノ<あいぼん、ののとこんこんが仲がええから、焼いてんねやろ。

@ノハ@
( `д´)<うっさい! 違うわい!

从 ~∀~从ノ<ハハハ、照れんでもええがな、よっしゃ姐さんが慰めたるから、こっちおいで。

@ノハ@
( #`д´)<コラ! 何すんねん、このボケ! ええ加減にさらせ!
       大体何考えとんねん、このセクハラババァ!
       きっしょい金髪やし、犬鼻やし、嫌らしい色のマニュキュアやし
       センスの無い服やし、歌も大したこと無いし、ギャグも今一やし
       まだ他にもいっぱいあったけど、忘れてもた。
       とにかく、うちはババァは嫌なんじゃ!

从 #`∀´从<言いたいことは、そんだけか? 

@ノハ@
( `д´;)<(うぁ! えらいことゆうてもた!)
       ファハハハッ、あの・・、その・・、なんでんがな、あれでんがな
       姐さん、シックな服でんな、綺麗な色のマニュキュアでんな
       姐さんの歌きいたらうち泣けまんねん、話しも・・(うっ、痛!)
       ふぁふぉひぃひぃふひぃへぇふぁふひへぇへぇ
       (ほっぺた引っ張ったら、しゃべられへんがな)


Nさんと同じ作業を、私もしている様な気がする、今日この頃。

153 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月08日(火)19時11分26秒
どこまでも舞い上がっております、クロイツでございます。
やきもちあいぼん可愛い!!可愛い!!か〜わ〜い〜い〜!!!
紺野好きなんですけど、コレ読んだ直後は複雑になってしまいます(笑)。
ののたんを取るなー!!と(爆笑)。
本人にその気がないのが素敵過ぎます!!
楽しみにしてますね!!
154 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月08日(火)19時49分06秒
学食はまだ新学期ということもあり、そんなに混雑していなかった。
3人は適当に席を取り、カウンターへ向かう。

「ここは何でもおいしいんれすよ」
「そう…なんですか」
辻は
「おばさん、親子丼大盛りください。味噌汁つきれす」
と早速注文する。
加護は定食を取る。セルフサービスで、カウンターに並べられたおかずを
色々取れるようになっている。
『あ…かぼちゃのそぼろあんかけだ。おいしそう…』
紺野はかぼちゃに手を伸ばした。
ほぼ同時に、もうひとつ手が伸びる。
紺野が顔を上げると、眉がつり上がり気味で顎が特徴的な少女が立っていた。
天然パーマなのか、髪にゆるくウエーブがかかっている。
「いいよ、取んなよ。そっちのほうが早かったから。アタシは今から他のモンと
一緒に注文するし」
思いがけない言葉に、紺野は
「恐れ入ります…」
恐縮して頭を下げる。
『珍しい…まこっちゃんがかぼちゃを人に譲った…』
すぐそばのテーブルにいた新垣が、目を丸くする。
「あ、小川しゃん」
辻の声に、素早く反応する小川。
「あ、辻ちゃんはあと元気だったー?」
「へいっ。この前はメールありがとです」
「ううん。すぐ返事くれてうれしかったよー」
ふたりのやりとりを見て、紺野は声をかける。
155 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月08日(火)19時52分06秒
「あの…お知り合いですか?」
「あ、紹介が遅れたれす。小川しゃん、のののクラスに転校してきた、紺野あさ美ちゃんれす。
紺野ちゃん、同じ1年生の小川麻琴しゃんれす。チアリーディング部に入ってるんれす」
「へぇ、転校生なんだ。どっから来たの?」
「ハイ…アメリカに3年ほどいまして、夏に戻ってきました」
「へ〜、帰国子女ってヤツ?カッコいい〜!」
「いえ…ちょっと日本にいない間に色んなことが変わってて、もう大変で…」
紺野は噛み締めるように言う。

自然の流れで、小川も辻たちの昼食に加わった。
加護と目が合った小川は、
「よう。この前はありがとな」
と短く挨拶する。
加護も
「おう」
とだけ答える。
「よかった〜!あいぼんと小川しゃん、仲良くなったんれすね♪」
『『いや、なってないし』』
辻の言葉に、ふたりは同時に否定する。
「このかぼちゃ…おいしいです」
紺野はしみじみと感想を漏らした。
小川がそれに素早く反応する。
「おう、かぼちゃはいいよなー。アンタ、かぼちゃ好き?」
「ハイ…ふるさとに帰ったような、そんな…気がします」
「そっか、そっか。いいよな、ホントに、かぼちゃは」
かぼちゃ好きのふたりが親睦を深めてる間、辻と加護はこれからの予定について話していた。
「あいぼん、この後渋谷に行くんれすよね」
「おう。そんで原宿でクレープをいてこますんや」
「こじゃれたカフェで茶ァしばくんれすよね」
「おう。わかっとるやないかい」
『『どう分かってんだろ?』』
紺野と小川は、首を傾げる。
156 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月08日(火)19時53分43秒
「アタシも行っていい?」
思いがけない伏兵が登場した。
加護はぎょっとして小川の顔を見た。
「今日アタシクラブないし。アタシもクレープ食いたい。マルキューで買物もしたいし」
「わたしも…クレープ食べたいです」
紺野も続ける。
「じゃ、みんなで行きましょう!」
辻の宣言に、加護は頭を抱えた。

現地では珍道中だった。
一見、可愛い女子高生グループなのだが、実態はただの食い倒れ一味だった。

『ののが3人おる…』
加護は3人の食いっぷりを目の当たりにして、泣きそうになる。
クレープに始まり、昼を食べたにも拘らずあちこち食べまわっていた。
「このタコ焼き…おいしいです。加護さんもいかがですか」
紺野はさっき買ったタコ焼きをすすめた。
「何でタコ焼き、5コに割って食べんねん!」
紺野は自分の食べる分を、わざわざ爪楊枝で分割していた。
「だって…熱いし、一気に食べたら味が分からないじゃないですか」
「ハァ…さいですか」
辻は小川と8色ソフト(辻いわく『8段アイス』)を食べている。
「自分ら、そんなに食べたらハラこわすで」
加護のいうことはもっともだった。
「だーいじょうぶ!オマエ、ホントに小食だなー」
「―――オマエらが大食いなんじゃー!!」
小川の台詞に、加護は叫んだ。
157 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月08日(火)20時08分45秒
更新しました。

∋oノハヽo∈○
 ( ´D`)つ ▽ <すでに7段食ったのれす!

レスのお礼です。

>Nさん

( ´D`)つ〔爽〕<作業おつかれさまれす。アイス食べるのれす

しかし、こうして見てみると、あいぼんさん、ホンマにヤキモチ焼き屋さん(死語)ですな。

>オガマーさん

( ´D`)<みんな一緒だと楽しいれす〜♪

天使ゆえに、あいぼんには苦難の道なのれす(爆 加護さんには頑張ってもらうとしましょう。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん

( ´D`)<?中澤しゃん、慰めるのがなんでセクハラなんれすか?

セクハラ姐さん、ワショーイ(w!あいぼんの罵詈雑言に笑わせていただきますた。

>クロイツさん

( ´D`)<?みんなお友達れすよ?

ホントに分かってないと思います(w しかし、あの企画は凄い事になってきましたな(汗
158 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月08日(火)20時11分55秒
・思ひ出

| ハ@   
|‘д‘)<梨華ちゃん 

|___

(^▽^ )<なぁに、あいぼん?

@ノハ@
( ‘д‘)<よっすぃ〜のヌード写真見たい?

(;#^▽^)<エ!?

@ノハ@
( ‘д‘)<今ならタダやで

(*/▽\*) <ヤダ、そんな…!(ハヤクハヤク!)

@ノハ@
( ‘д‘)つ□<ホラ!



v(o^〜^o)v ←上半身裸
 
ひとみ・6歳 お遊戯会にて


     モエー
(* ^▽^)<……(カワイイ) 

(;#0^〜^)ノ<コラー!勝手に持ち出すなYO!


159 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月08日(火)21時16分59秒
かぼちゃで親睦を深めるおがこんに萌え!!
実はかなりのおがこん好きだったりします。
そして、ののたんのわかってなさに、んもぅ…悶絶!!
か〜わ〜い〜い〜!!
そして、ふたりだけでわかりあうあいののにも萌え!!
 ああ…萌え尽きそう…。

P.S.
某企画、すごいですよねぇ〜。私も楽しみまくってますが♪
甘々しか書けない自分に、ちょっぴりふがいなさを感じてたりなかったり。
160 名前: 投稿日:2002年10月09日(水)18時18分29秒
戻って参りましたw ( ^▽^)キャハッ♪

いや〜高校生組は楽しそうですね〜。( ´D`)楽しいれ〜しゅ。
アイボンがかなりキャワイイです。(あ、目を洗うやつね。)
(*‘д‘)て、照れるやん・・・。って、ゴルァ!!

何度も読み返したくなるようなそんな作品です。
ココ最近で一番好きな小説かも。w

自分でも違うHNで小説書いてますがどうも飽きが来て続かない・・・w
161 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月09日(水)21時32分00秒
―――吉澤視点

昼から梨華ちゃんと渋谷へ出かけた。
カントリーのみんなとの打ち合わせのために。
指定された喫茶店に行くと、カントリーの3人とごっちんがすでに来ていた。
保田さんはアヤカさんが車で拾って後から来るらしい。
あとは市井さんだ。
「ひさしぶりー!」
梨華ちゃんとカントリーのみんなは、わきあいあいとしてる。
よかった。
彼女たちと梨華ちゃん、仲良くなったようだ。
「んあ、ヨシコもヒサブリだねー」
ウチにメニューを手渡して、ごっちんが言った。
「そだね。保田さんのお見舞い以来?」
「あっは。そんなヒサブリでもないか」
ウチらがそう話してると、りんねさんが
「あの、保田さんが事故に遭ったって市井さんから聞いたんだけど…ひどいケガなの?」
心配そうな顔で言った。
「んあ。足骨折して、いま松葉杖ついてる」
「「「エー!?」」」
カントリーの3人に動揺が起こる。
「でも、今月にはギプス取れるってゆってたよ。『栄養つける』とか言って相変わらずホルモンとか
食ってるし」
そういや、梨華ちゃんが『保田さんが近所のスーパーでホルモンばっかり買ってた』って言ってたなぁ。
どうも、栄養に偏りがある気が…。
「圭ちゃん、肉ばっかり食べてるのがイマイチあれだけど、まぁ、どうにか大丈夫と思う」
「そう…」
ごっちんの言葉に、りんねさんたちはいったん納得した。
それでも複雑な表情だ。
162 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月09日(水)21時34分09秒
「あ、そうだ。これ、梨華ちゃんに見せようと思って」
里田さんがカバンからスケッチブックを取り出した。
ページをめくって梨華ちゃんに渡す。
「…これは?」
「ウン。学祭のステージ衣装のデザイン画」
「―――エエエエエ!?」
梨華ちゃんが目を丸くする。
彼女の横から、あたしもひょこっと覗き込んだ。
…つか、鼻血噴くかと思ったよ。
それはなんつーのか…エロい、という表現がぴったしで。
大変ギリギリな感じのミニスカート、オナカのあたりはシースルー、というツボを押さえた衣装だった。
「んあ!すっごいね〜!梨華ちゃん、コレ着るんだ!」
ごっちんもスケッチブックを手に取って、感心したように言う。
「は、恥ずかしいよぉ〜!」
梨華ちゃんはすでに涙目になってる。
あたしの頭の中は、すでにその衣装を着た梨華ちゃんの妄想でイッパイで―――。
違う世界へ旅立っていた。

「ウチらカントリーに足りないのは、『セクシー』なのね」
コホン、とあさみさんが咳払いした。
「そうそう。里ちゃんが入って、大分ソレっぽくなったんだけど、まだまだでねー」
りんねさんが続ける。
「そんで、梨華ちゃんに今回、助っ人として入って頂こうと思いついたのよ。
で、衣装も里ちゃんがデザインしてくれたのよ」
163 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月09日(水)21時41分39秒
「そうですか…でも、コレ…ホントに着るんですか?あたし、全然セクシーなんかじゃ
ないのに…」
いや、梨華ちゃん。
それは違うと思う…。
梨華ちゃん以外の全員の顔が、そう言っていた。
ウチなんか、同じ家で、朝な夕なと、そのお色気にクラクラしてるっつーのに。
「梨華ちゃん、イヤ?ごとーはカワイイと思うけどなー。ヨシコは?」
ごっちんに言われて、あたしはハッとした。
「あ、あ…カワイイ、と思うよ」
「ホントに?」
梨華ちゃんがあたしの顔をじっと見る。
う…。
その上目遣いで見られると、弱いんだよな。
「あ、うん…梨華ちゃんに似合う、と思うよ…」
梨華ちゃんは少し、ホッとしたようだ。
ゴメン。
ウチ、妄想でイッパイだった(泣)。
許して、梨華ちゃん。

164 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月09日(水)21時43分47秒
結局、市井さんは来なかった。
あとで『スマン。いま、起きた』っていうメールがごっちんの携帯に入って、
『なんか、急用でどーしても抜け出せないみたい』と、りんねさんたちにはごまかした。
『後でシメとくから』とごっちんは、あたしにこそっと言った。
こえー!
保田さんからも『渋滞に巻き込まれたわ!みんなに謝っといて!』と連絡がきた。

「ごっちんは今回、やっぱしギターで参加すんの?」
ふと思いついて聞いてみると、
「ごとー?今回は参加しないよ」
と思いがけない答えが返ってきた。
「へ?じゃ、何で?」
「んあ、オモシロそーだから来たの。ごとーも参加したかったんだけど、先に友達のバンドに、
やっぱしうちの学祭に助っ人で出ることになってさぁ。カブっちゃって」
「後藤さんにも出てほしかったんだけど。しょうがないよね」
りんねさんたちは、顔を見合わせて頷いた。
ふむ。そういうことか。
に、しても…。
早く衣装が見たい…!

ウチの頭の中は、やはり妄想でイッパイだった―――。
165 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月09日(水)21時57分07秒
更新しました。

(#^〜^#;)<…… \(´ Д ` )<んあ。このあたりに妄想が広がってます

レスのお礼です。

>クロイツさん

∬`▽´∬<カボチャはホントにうめーよな!
 
川o・-・)<ハイ…小川さんとは、仲良くなれそうです…

私もおがこんは結構好きです。その場合の小川は∬´▽`∬な感じであってほしいのですが。
某企画、しょぼいエ○しか書けない自分に、ふがいなさを感じていたりなかったり(w
クロイツさんの3作目もよかったですよ。

>壱さん

( ^▽^)<よかった♪戻ってきてくださったわ♪

(0^〜^)ノ<ハロモニネタ、カッケー!

「アイボン」ネタ、ツボですた。壱さんも書かれてるんですか。お差支えなければ、
どの作品か教えて頂けますか。(もしかしたら既に読ませて頂いているかもしれませんが)
一番好きと言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。

166 名前:オガマー 投稿日:2002年10月10日(木)01時12分13秒
もぉ、かわい〜なぁ〜ほんと〜に〜
ごめんなさい。溶けかけ、ってかもう溶けてるので口調まで…w
よちこ(w
全開のあいのののワケわからんやりとりと4人のやりとりもツボですたよほ。。
167 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月10日(木)08時22分57秒
(0^〜^)<梨華ちゃ〜ん、鼻血が出そうだよ〜。

( ^▽^)<どうしたの、ひとみちゃん?

(0^〜^)<り、梨華ちゃん! おっ、おいらもう我慢出来ないよ〜
 *ガシッ!* (註、抱きしめる音)
( ^▽^)<だっ、駄目だよぅ、ひとみちゃんみんなが見てるじゃない
       あ・と・でっ♪

もうぼちぼち、吉澤夫妻は一歩踏み出しても良いのにな〜
軽〜いソフトエロなんかも見てみたい、今日この頃。
168 名前:あおのり 投稿日:2002年10月10日(木)12時03分35秒
セクスィー梨華ちゃんを妄想すると、ヨスコとともに鼻血が止まりまへん。ボタボタ
この夫婦は旦那と嫁ともどもニブチンで、もう「どうにでもしてっ!」ってかんじですなぁ。ヨカヨカ
このままでは失血死してしまうので、圭ちゃんと一緒にホルモン食ってきます。(w

しかし、スーパーの籠いっぱいにホルモンのみを買い込んで、レジ前に立ってる圭ちゃん…(←想像してみる
プラスレジのおばさんに向かって口開けウインク(←さらに妄想

少し…いやかなり怖いかも…
169 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月10日(木)15時19分58秒
妄想大暴走中のヨッスィー、ナイスです!!
アレは、妄想を呼び起こしますよねぇ〜♪
てゆーか、ちゃんと悩殺されまくってたのね、ヨッスィー…。
ひとつ屋根の下だもんねっ!!
てゆーか、なんだか進展しそーな予感が…!!
楽しみにしてます!!
170 名前: 投稿日:2002年10月10日(木)18時41分15秒
自分のセクシーさに気付かない石川さんに萌えw 
(;^▽^)あ、あたしセクシーなんかじゃ・・・
さらに妄想爆発の吉澤くんにも萌えw
(#0´〜`)梨華ちゃん・・・
いいっすね〜。バカ夫婦w

あ、私のなんて読みたがってくれて有難うございますw
今は2作書いてます。
かなり未熟なんで人に読ませるもんじゃないと思いますが・・・。
風板の「おどる11物語。」と
森板の『Is good-bye eternity?』です。

とても暇な時にでもお読みくださいなw
171 名前:ココナッツ 投稿日:2002年10月10日(木)19時30分42秒
圭ちゃんの事故にややショックの私でしたが…(T-T)<グシグシ
なんとか立ち直りますた。(w
そして見たら今度は梨華っちがっ!!あんれまぁ。。。
ヨシザー君、どうするよ!(爆
172 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月10日(木)21時59分46秒
―――吉澤視点

その後、保田さんとアヤカさんがやっと現れた。
「んあー、おっそいよー。ふたりともー」
「「ゴメン!」」
ふたりとも平謝りだ。
「罰として圭ちゃんゴハンおごりね」
とごっちん。
「エー!?アタシが奢んの!!てか、紗耶香のヤツは?」
こっそりウチが真実を伝えると、
『シメないとね』
と、ごっちんとまったく同じことを言った。

その晩はみんなでゴハンを食べ、解散となった。
カントリーのメンバーはりんねさんの車、ウチらはアヤカさんの車で帰る。

「どうしよう」
車の中で梨華ちゃんがポツンと言った。
「何?どしたの?」
「だって…ムリだよ、あたしにセクシーンなんて」
「石川、アンタ自分を知らなすぎ」
保田さんが苦笑して言う。
「どうしてですかぁ?」
「まぁたっく、フェロモンが服着て歩いてるよーなモンなのに」
スゴイ的確ではあるけど、それはちょっと…。
「吉澤だって、ムラムラキてんじゃないの〜?」
「あっは!圭ちゃんオヤジー!」
「かわいそうだよ〜」
ごっちんとアヤカさんが笑う。
梨華ちゃんがウチのほうをちらっと見た。
ひとむかし前の少女マンガのように、目の中に星が瞬いてる。
失礼ながら、あの中澤さんと姉妹とは思えないくらいだ。
くっ…。
可愛すぎるぜ、ベイベー。
みんながいるからどーにかなってるけど。
いなかったら、ウチはどうなってたことか…。
173 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月10日(木)22時05分20秒
『大人のように
 上手なキスが出来るかしら
 あの子のように
 色っぽい女に
 Ah なりたい』

アヤカさんが運転しながら『色っぽい女〜SEXY BABY〜』を歌う。
しっかし。
改めて聴くとスゴイ歌詞だ。
それを梨華ちゃんの声で歌われたら…。
フガガ…。

『お洋服 無理して買ったの
 似合うかな? 少し派手が過ぎる
 今までの 私のままなら
 あの人は 振り向かない』

保田さんがわざとカワイイ声を作って歌う。
みんなフツーに無視して会話を続けた。

「―――ちょっと!放置はひどいんじゃないの!?」
保田さんは声を荒げた。寂しがり屋さんだ。
「『キショッ!』とか言われたいんですか」
ウチは冷ややかに返す。
「くぅ〜!放置よりかはマシね!」
「じゃぁ、キショッ!」
バシッと保田さんのチョップが飛んだ。
「イテー!チョップはイヤっす!」
「じゃぁ、張り手でカンベンしといてやるわっ」
とほほ。
ケガで入院してたひととは思えないよ。
ヒリヒリする頭を押さえて、ウチは隣の梨華ちゃんにもなでなでしてもらった。
174 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月10日(木)22時06分29秒
家に帰って、ウチの部屋で『色っぽい女〜SEXY BABY〜』のCDを梨華ちゃんと聴いた。
梨華ちゃんが歌唱指導してくれというのだ。

『コンビニで お弁当買っても
 真夜中に テレビを見ていても
 あの人の 事を思ってる
 時間だけが 過ぎてく』

「梨華ちゃん、『コンビニ』のトコもういっぺん」
ちょっとだけ巻き戻す。
『コ、コンビニ…』
梨華ちゃんはノドに手を当ててちょっと苦しそうだ。
今日はもうやめにした方がいいな。
「ハイ、ここまで」
「エ〜?まだ2番の出だしなのに〜」
眉をハの字に下げる。
「ダメだって。ムリしてノド痛めても損するだけだよ。ホラ、お茶」
ペットボトルの烏龍茶を手渡す。
「ありがとう」
「オナカから声出す練習しようか。まずは発声から」
「ウン」
「梨華ちゃん、やればできるから」
「ウン!」
梨華ちゃんがウチの肩にもたれかかった。
静かに目を閉じている。
最近、毎日ではないけど、こうしてふたりで過ごすことが多い。
たいてーはウチの部屋で。
お茶とか飲みながら、他愛もない話をして。
そうして、いい時間になるとそれぞれの部屋に戻る。
「…梨華ちゃん?」
彼女は心地良さそうに、寝息を立てていた。
疲れたんだろうな。
もう遅いし。
時計を見ると、そろそろ日付が変わる頃だった。
彼女をベッドに寝かせ、自分はクッションを枕にして床に寝た。
175 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月10日(木)22時07分56秒
―――石川視点

目が覚めると、ベッドにいた。
―――あれ?
いつもとは違う目覚めに、違和感。
お布団のカバーがピンクじゃない…。
カーテンも、水色だ。
あたしのベッドは木製なのに、これはパイプだ…。
「―――!?」
がばっと起き上がる。
床に、ひとみちゃんがクッションを枕にして眠っていた。
カワイイ寝顔…いや、いまはそんなこと言ってる場合じゃ。
どうしよう…。
あたし、ゆうべいつの間にか寝ちゃったんだ。
ひとみちゃんのベッド奪っちゃって。
あ〜。あたし、どうしてこうなんだろ。
「ん、あ…」
ひとみちゃんが呻いて目を覚ました。
「あ、おはよ…起きた?」
「ひとみちゃん、ごめんね」
「何がさ?」
「あたし…ベッド取っちゃって」
「いや、寝かせたんはウチだから。梨華ちゃんが取ったんじゃないよ」
ひとみちゃんは頭をかいて、起き上がった。
「余計悪いよー。叩き起こしてくれてよかったのにー」
「う〜ん。よく寝てたし」
ひとみちゃんはただ笑う。
あたしはベッドから降りて、彼女のそばに座った。
「ひとみちゃんがカゼひいちゃうよぉ」
「いや、布団はかぶったし…ん?」
ひとみちゃんの胸に自分の顔をうずめた。
「り、梨華ちゃん…朝からそんな」
「え?」
ひとみちゃんの顔を見上げると、真っ赤になってる。
つられて、あたしまで赤くなる。
「あ、朝ごはんの支度の手伝いしないと…ゴメンね。あの、ベッド貸してくれてありがとう」
「ああ、うん…」
…うーん。ひとみちゃんから言い出してくれるのを待ってると、もっと時間がかかりそうだわ。

急いで着替えて、あたしは下の台所に降りて行った。
176 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月10日(木)22時36分22秒
更新しました。
从 #~∀~从ノ<吉澤、よ〜お覚えとけよ(レス172参照)

レスのお礼です。

>オガマーさん
(#0^〜^)<リカチャン…ハフン…
デザイン画でここまでですからね(苦笑 実際着てみたらどうなるのやら…。

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
(  ^▽^)<梨華、期待してるのに♪
ひーちゃん、ヘタレですからねぇ(ニガワラ 面白いAAをいつもありがとうございます。

>あおのりさん
( `.∀´)つ〔ホルモン〕<ホホッ!スーパーで特売してたのよ!おひとつどう?
レジのおばさんにもウィンクしてるヤッスーに萌え(w ええ、この夫婦はともにニブチンです(w

>クロイツさん
(;0^〜^)<お、おフロ上がりとかの梨華ちゃんを見ると…ハフン
下宿人ですから(w つーか、初期に何も思わなかったんですかね、こんヒトは(爆

>壱さん
(; ^▽^)<セ、セクシーなんてあたしにはそんな…
両作品読んでました(w 特に風板のほうは、笑わせていただきますた。がんがってください。

>ココナッツさん
( `.∀´)<ホホッ!心配かけてごめんなさいね!
おヒサスブリです。あんれまぁですか(w ホントに吉澤君、どうするんでしょう?



177 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月10日(木)23時22分33秒
放置されたことに抗議するやっす萌えw
そしてチョップされるヨシコ萌えw
178 名前:婆金 投稿日:2002年10月11日(金)00時33分57秒
梨華ちゃんに頭なでなでされる、吉。サイコー!
みんながそれぞれ、着実に進んでいってますね。
どこまでも進んでいく姿を、ずっと見ていたいです。
179 名前:あおのり 投稿日:2002年10月11日(金)01時32分19秒
石川さんに甘える吉澤さん…はなぢぶーで私とパソコンが壊れそうです
ここ何回かのバカップルの甘甘ぐあいに完全にいかれてしまいました。ヨシイシマンセー!
でも、部屋で一緒にいても、さらに一晩過ごしてもなーんにも無いのよねぇー(w
それがまた微妙でよいんだけど…
180 名前:「ひーちゃん」は私の方が先よ! 投稿日:2002年10月11日(金)06時14分08秒
甘甘甘・・・・・・・・・・・・(甘が100個)

読み終わって、モニターを見ると、砂糖がこびり付いてました。
181 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月11日(金)13時34分21秒
きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
いしよしあまあま!!いしよしあまあま!!いしよしあま(以下略)
嬉しいですね〜!!幸せな気分になれますね〜!!!!
幸せ過ぎて吐血しそうですよ!!ぐはぁっ(吐血)!!
ヨッスィー…くーくーと寝てる梨華ちゃんを目の前にして、よくぞ寝られましたね…。
てゆーかよくぞ耐えたと言うべきか(笑)。
182 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月11日(金)20時16分24秒
―――その週末。

辻・加護の学校で、先日行われた実力テストの結果が出た。
休み明けの恒例で、国英数の3教科である。
テストの日、加護は睡眠も充分に取り、自信満々で臨んだ。
辻は加護が『鉄板や』と言ってた問題が実際にいくつか出たので、
『ラッキー♪』と思いながら答案を埋めた。

昼休みに学食で、加護は辻と落ち合い、答案を見せ合った。
紺野も辻と一緒に来る。
この学校は答案のほか、氏名は公表しないが順位と点数も表にして印刷し、
各生徒に配布する。
例えば60点から70点まで何人というリストもあるので、生徒は自分のレベルや
平均点等をその表で確認する。

「スゴイれすね〜。1位のひと、296点れすよ」
順位のプリントを見ながら、辻は感嘆の声を上げた。
その生徒の点数内訳は、100点満点で、国語99、数学97、英語100だった。

183 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月11日(金)20時17分55秒

「ほえ〜。すっげ〜なぁ〜!」
「スゴイですね〜」
小川と新垣も驚きの声を上げる。
『何でコイツらまでおんねん…』
加護はいまいましそうに特に小川を見た。
『おかしい…なんぼ数えてもウチ、294点や』
加護は焦って、また総合点数をチェックし直す。
『国語98、数学98、英語98…アカン、294点で2位や!』
「おめーは何点だ?」
小川がひょこっと加護の答案を見る。
「―――コラ!勝手に見んなや!」
「―――すげェ!全部98だ!98かける3は…エート」
「294…です」
控えめに、紺野が答える。
「あいぼんは今回2番だったんれすね」
辻はプリントを見ながら言う。
「えー。じゃあ、1番はダレだ?」
全員、それぞれの顔を見渡す。

「わたくし…です」
またもや、紺野は控えめに答えた。
184 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月11日(金)20時21分26秒
「マジで!?」
小川は素っ頓狂な声を上げた。
「ハイ…英語はどうにかなりましたが、国語がやはり…」
「つーか、この『99』って中途ハンパな点数ナニ?」
「ハイ…恥ずかしながら、漢字の問題で…『完璧』の『璧』を『壁』と書いてしまいました。
完璧ではありませんでした…」
紺野は恥じらうように微笑んだ。
「…なんだ。真相は案外ショボいな。にしてもー、転校するなり1番かよー!
アンタ、マジすげーわ!」
小川は素直に称賛した。
「そんなことありません…数学は加護さんのほうが上でしたし。
わたくしも…最後の問題は苦戦しました」
加護は屈辱に震える。
答案用紙をぐしゃりと握り締めた。
『…たかだか1点違いやないかい!』
紺野がいう最後の問題も、加護も苦戦し、どうにか部分点はもらった。
この問題が合っていたら、満点だった。
紺野もおそらく、そうだろう。
「オマエもすっげーなー!てか、どうやったら全部98なんて点数取れんだよ!?」
「あいぼん、すごいれす〜!紺野ちゃんもやっぱり頭いいれす〜!」
「恥ずかしいから…やめてください。辻さん」
紺野は照れたように、手を振る。
185 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月11日(金)20時24分28秒
「まこっちゃんはどうだったの?」
新垣は小川にフッた。
「聞くな。…あ!数学は20点上がったぜ!頑張ったからな!」
家庭教師の梨華の顔を立てようと、小川は奮闘した。
「へえ。で、何点だったの?」
「52点だ!スゲーだろ!」
20点上がって52…。
小川が何故期末テストの後、連日補習を受けていたか、新垣は改めて理解した。
それでも、カテキョの効果は出てるらしい。
「ののも数学は76点だったんれすよ〜♪あいぼんが出るって言ったトコ、
バンバン出たれす!」
「そうですか…すごいですね」
「エヘヘヘ!」
辻と紺野はお互い微笑みあった。

『くくくく…くそー!!』
―――加護はこの世の最後のような顔をして、あんぱんをかじった。
186 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月11日(金)20時26分06秒
―――中澤家

「たっだいまー!」
夜、バイトが終わった吉澤が帰ってきた。
「おかえりー!」
辻は目ざとくケーキの箱を見つけ、吉澤に抱きつく。
「おみやげだよ〜ん。角のケーキ屋さんで安かったんだ〜」
「モンブラン、あるれすか!?」
「あるある」
「ヤッター!のの、モンブラン予約れす〜!」
「うっし!お茶入れよか!」
辻をじゃれつかせたまま、吉澤は台所へ向かった。
「あいぼんは〜?あいぼんの好きないちごショートも買ってきたのに」
「うん。なんかね、帰ってごはん食べたっきり、部屋にこもっちゃって」
梨華が心配そうな顔で言った。
「ほえ?具合でも悪いの?」
「ううん、元気れす」
辻はぶんぶん首を振った。
「…ふうん?」
「なんか知らないれすけど、『フグにだけは負けへん!!』って言ってたれす」
「ハァ?なんじゃそら」
吉澤たちは首を傾げた。
187 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月11日(金)20時32分49秒
―――その頃。

加護は自室で、英語の猛勉強をしていた。

『くー!あの帰国子女には負けん!』
焦って勉強したからといってどうとなるものでもないが、今の加護は勉強せずには
いられなかった。
頭には『必勝!』の鉢巻。
いまどき受験生でもしない。

転校生の紺野に、いきなり首席を奪われたことがショックだったのだ。
しかも彼女はアメリカ帰りである。
まだ日本の授業などにも慣れていないはずなのに―――。

『中2の春にガリ勉でブサイクの山田に負けて以来の屈辱や!』
それ以来、学年で悪くとも3番以内はキープしてきた。
ひどいいじめに遭っても、勉強だけは頑張った。
努力の甲斐あって、この学校に入ってからは、ずっと首席だった。

『―――アイツには負けん!!負けてへん!負けたない!!』
加護は馬車馬のように問題集のページをめくった。
台所から、どんなに楽しい笑い声が聞こえようとも。

『つ、次の英語の小テストでは必ず―――!』


「―――見とれよー!!!」
夜も更けた住宅街に、加護の雄叫びがむなしく響いた―――。
188 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月11日(金)20時51分38秒
更新しました。

( ´D`)つ〔完壁〕<紺野ちゃん、あんがいそそっかしいのれす

川*o・-・)<…お恥ずかしい限りです

レスのお礼です。

>名無し読者さん
(0T〜T)<梨華ちゃん、痛いよほ!チョップ、カッケー!
最近まで入院してたとは思えないくらい、元気なヤッスーです。口は禍のモトですね(w

>婆金さん
( ^▽^)ノ<イタイの、イタイの、とんでけー!
「たく!このバカップルが!見せ付けてんじゃないわよッ!」撫でたあとの保田さんの台詞。

>あおのりさん
(; ^▽^)ノ□<テ、ティッシュをどうぞ!
造血には鉄分豊富なレバーなんぞがいいです。バカップル、ちうもしないんですからねェ(w

>「ひーちゃん」は私の方が先よ!さん
(; ^▽^)ノ□<こ、こちらの方もモニターこれで拭いてください
砂糖がこびりつきますたか(w 甘いワリには、何も起きないんですよねー。こんヒトたちは。

>クロイツさん
(;0^〜^)つフ<か、紙じゃ間に合わないYO!洗面器、洗面器!
吐血、カッケー!(違うって)耐えてこそ漢っす。寝てる間に、ってのは許せないのでしょう。
189 名前: 投稿日:2002年10月12日(土)00時49分02秒
アイボン(目を洗うやつ)スゴイっすね〜。
( ‘д‘)スゴイ?ウチスゴイ?って、ええ加減にせぇやゴルァ!!
こんこんもすげ〜な。
みんな勉強できて羨ましいっす。
って∬∬´▽`)この人・・・大丈夫?w

両方知っててくださったんですか!
しかも、読んで頂いていたなんて・・・感無量ですw

それでは、ごまべーぐるさんも頑張ってください!
190 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月12日(土)09時25分02秒
ヨッスィー、洗面器ありがとう…。
そしてあいぼん頑張れ…!!
頑張りやさんですね…やっぱりママ(梨華ちゃん)似なのね、とかニヤニヤしてしまいました。
そしてまこっちゃん。私の高校時代を思い出します。
私も数学は駄目でした。そして、地理で100点満点中3点を取った経験アリです(実話)。
頑張れまこっちゃん。
そして、頑張れ梨華ちゃん。
続き、楽しみにしてます!!
191 名前:オガマー 投稿日:2002年10月12日(土)17時01分55秒
あー、いつ読んでもいいですなー。
そしてやはりいしよしサイコー!!(w
あんぼむがんがれ!ヲイラはあいのの派だ!
カレンダーのコンノノにやられようともあいのの派だ!(w
192 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月14日(月)22時49分51秒
―――加護はその日、フラフラしながら音楽室に向かっていた。

週末は3連休だった。
その休日を全部勉強に費やした。
いくら辻が遊びに行こうと誘っても、「いま忙しいんや」と断った。

『打倒!紺野あさ美!!』
加護の目標はひとつだった。
連休明けの英語の小テストでひとまず首位を奪回する。
加護は燃えていた。

『や、やっと…小テスト、終わった。
これで、これで眠れる…』

加護は金曜に帰ってから、ほとんど眠らずに勉強した。
ゆうべなど、一睡もしていない。

『と、とりあえず次の音楽が終わったら昼休みやから、ちょっとは寝れる…』
その足取りはフラフラしている。

『なんやろ?足がもつれるし、イヤな汗が出てくる…』
彼女はしきりにタオル地のハンカチで額の汗を拭った。
193 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月14日(月)22時54分07秒
「よー!加護ー!」
加護は顔をしかめる。
廊下で小川が馴れ馴れしく声をかけてきた。
「なんや、アゴ」
アゴ、と言われて、小川は反射的に猪木ポーズを取った。
あと足りないのは、赤いタオルである。
「今から音楽か。辻ちゃんによろしくな」
教科書と一緒に抱えているアルトリコーダーを目ざとく見つけて、小川はポンと肩を叩く。
「何がヨロシクやねん、同じ学校におんのに」
加護のだるそうな態度を見て、さすがの小川も異変を感じる。
「オ、オイ!オマエ、大丈夫か?いつもの罵詈雑言にキレがねーぞ!何か顔色もわりーし!」
小川の手をうるさそうに振り払って、加護はのろのろと音楽室へ向かった。
「アイツ、大丈夫なんかなぁ?」
加護の小さい背中を見送って、小川も教室へ急いだ。

その日の音楽の授業はクラシック鑑賞だった。
前半はCDを聴いて、後半は音楽家に関するプリントの穴埋め問題を解き、
鑑賞の感想等を書いた。
教師の指示で、後ろの席から順にプリントを送って回収した。
加護の前の席の生徒が欠席だったので、彼女は立ち上がって教師のところへプリントを
持って行こうとする。

―――立ち上がったとたん、物凄く気が遠くなり、椅子の足元に崩れ落ちた。

「―――あいぼん!」
少し離れた席の辻が叫んだ。
紺野も驚いた顔をする。
「保健室へ!急いで!」
教師の声に、教室中が騒がしくなる。
加護は冷や汗をかいて、気を失った。
194 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月14日(月)22時57分34秒
「…う、うぅ…」
加護が目を覚ますと、白くて均等に穴の開いた天井が目に入った。
清潔なシーツとやや薬品臭いにおいで、保健室にいることに気づく。
「目ェ、覚めたか?」
養護教諭が衝立の隙間から、ひょいっと顔を覗かした。
「ウチ…どうしたんですか?」
「なんや音楽の授業中に、冷や汗かいて気ィ失ったらしいで。つきそってきた
ちっこい子ォがわんわん泣いとったワ」
辻のことだな、とすぐ分かった。
「そうですか…いま、何時ですか?」
「2時5分や。どうする?微熱もあるようやし、しんどいんなら帰るか?」
「そうですね…今から授業戻ってもアレですし」
戸を開ける音がした。
誰か来たようだ。
「せんせーい!」
声で見なくても分かる。
辻だ。
「おー。来たか、ちびっこ。お姫サンは目ェ覚まさはったで」
「ホントれすか!?」
どたどたと走りこんできた。
「辻さん、走ると危ないですよ」
紺野も一緒のようだ。
「あいぼん!どうしてフラフラになるまで勉強なんかするんれすか!!」
開口一番、辻は文句を言う。
「へ?誰に聞いたん?」
「稲葉先生が言ってたれす!『目が充血してるし、徹夜で勉強したんちゃうか』って!」
養護教諭の稲葉は、黙って笑い、そばの机で書類の整理をした。
195 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月14日(月)23時08分52秒
更新しました。

(; ‘д‘)<ああー。世界がめちゃ遠く感じたワ!

( `w´)<勉強もほどほどにせなアカンで!

レスのお礼です。

>壱さん
∬∬`▽´)ノ<勉強だけが人生じゃねーぜ!
小川さんはチアリーディング命の人なんで(w ハイ、読んでました。お互いがんがりませう。

>クロイツさん
( ´ Д`)<んあ〜。加護ちゃんムリしすぎだよぉ〜
頑張り屋なのもありますが、負けず嫌いですね(w 小川さんはあんまり気にしてないようです。

>オガマーさん
(; ‘д‘)<が、がんがりたいんやけど、倒れてもたワ!
そんな話を聞いたらポスター買いたくなってきた罠。いしよし派なのに(w
196 名前:登場人物紹介 投稿日:2002年10月14日(月)23時22分40秒
( `w´):稲葉貴子(あつこ)(29)。辻加護の学校の養護教諭。
       昔アイドルだったとか、アフロヅラを常備してるとか謎が多い。


( ^▽^)<稲葉先生ってあたしたちが通ってた時からいたけど、昔から
       色々噂あったよね(←実はOG)

(〜^◇^)<キャッハ!そーそー!大阪でアイドルやってたとか、保健室の棚に
       アフロのヅラ常備とかな!(←この人も)

( ‘д‘)<オイ、聞いたか?

( ´D`)<聞いたれす

( ‘д‘)( ´D`)<<(…いつかあの棚を暴いたる(暴くれす)!!)


( `w´)<♪〜
       
        
197 名前:オガマー 投稿日:2002年10月15日(火)06時05分59秒
あいぼむ!
倒れてもうたんかぁー…
なんかでも、辻の態度がすごいかわいい…w
カレンダーはいしよしもありまっせ(w
198 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月15日(火)12時50分18秒
あいぼん…がんばりやなアナタが大好きだ…!!!
わんわん泣いたののたんに、座布団300枚!!!
そして稲葉先生。なぞが多過ぎ(笑)。なぞに惹かれる私も、いたりいなかったり(爆笑)
あいのの大期待っ!!でもっておがこん大期待っ!!!
199 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月15日(火)21時11分51秒
―――加護視点


『なんでウチは、この車に乗ってるんやろう…』
窓からの景色を眺め、ウチはぼんやりそんなことを考える。
運転席には市井さん。助手席には後藤師匠。
ひょんなことから、このふたりに学校まで迎えに来てもらうことになったんや。

あの後、ののが中澤家にウチが倒れたと連絡を入れた。
たまたま遊びに来てたふたりが、市井さんの愛車で迎えに来てくれはった。
中澤はんはシーマで出かけてて、師匠がお迎えを買って出てくれたそうや。
「加護ちゃ〜ん。気分が悪くなったら言うんだよ〜」
師匠はちょっと後ろを振り返った。
「…ハイ」
ウチは後ろのシートでカバンを抱え縮こまってた。
「あの…スミマセンでした。市井さん、師匠」
「いーのいーの。いちーちゃんはどーせヒマなんだから」
おめーもだろ、と市井さんは小声で言う。
「気にすんなって。つーか、勉強もほどほどにしなよ」
市井さんは苦笑しはる。
「勉強しなさすぎても、いちーちゃんみたいになっちゃうけどね」
師匠は楽しそうに笑う。
ふたりのじゃれ合いを見て、ウチは『長年連れそうた夫婦みたいや』と思た。
呼吸がぴったりや。
200 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月15日(火)21時19分05秒
中澤家に到着した。
市井さんはバイトがあるらしく、一足先に帰っていかはった。
ウチはのろのろとパジャマに着替え、ベッドに入った。
『よーく休むように』
スポドリのペットボトルを手渡して、師匠は部屋から出て行った。

「ハァ…」
紺野あさ美に勝つつもりが、とんだ失敗や。
色んな人に迷惑かけて。
天井を見つめ、ウチは小さく溜息をついた。

―――次に目が覚めたら、梨華ちゃんとののがおった。
「…ああ、のの。帰ってたん」
「具合はどうれすか?」
ののは制服のままやった。
時計を見ると、6時前や。
帰ってきたトコかな。
「大分マシやけど…オナカすいた」
そういや、昼食も食べずに眠ってもうた。
師匠にもうたドリンクを少し飲んだだけやし。
「へいへいへい!お待ち〜!」
どたどたと、よっすぃ〜が部屋に入って来る。
手には土鍋の載ったお盆。お茶碗とレンゲも載ってた。
「あ、ひとみちゃん。ありがとう」
梨華ちゃんが振り向いてお盆を受け取る。
「今日のメニューは雑炊アルよ!」
よっすぃ〜は楽しそうや。
「具がイッパイ!たくさん食べておとなしく寝てるアル!」
アヤシイ外国語に、梨華ちゃんたちは吹きだした。
ウチも笑ってもた。

「あいぼん、今日は勉強禁止れす。おとなしく寝るれす」
ウチが食べるのを見て、ののが人差し指をピッと突き立てて言うた。
「…ハイ」
レンゲで雑炊をすくいながら、ウチは素直にうな垂れた。
201 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月15日(火)21時27分59秒
あいぼんって、どうしてこう言うキャラが似うんしょうね?
照れ屋で、ちょっとつっぱって、かわい〜い!

@ノハ@
( `д´)<けっ! てれるやんけ
202 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月15日(火)21時33分46秒
翌朝。

―――ウチは頭の重みで、目を覚ました。
体の節々が痛い…。
「あいぼ〜ん。具合はどうれすかぁ〜?」
「頭…痛い」
「エ!?」
ののは慌てて、ウチの額に手を当てる。
ゆうべ使った体温計が枕元にあって、それをそのまま脇に挟んだ。
「…熱はないれすね。6度4分れす」
「ウン…ゆうべ気になって、単語帳めくってちょっと復習したんが悪かったかなぁ」
ウチがポロっと口にしたひとことで、ののは猛烈に怒った。
「何で勉強したんれすか!おとなしく寝てるって約束したれす!」
「だって…気になって。布団の中でやればしんどない思たんや」
ウチは肩をすくめた。
「あいぼんのバカバカバカ!大バカれす!」
物凄い勢いで布団をかけ、ののはウチをその中に押し込めた。
「わ!何すんねん!熱ないから起きよう思たのに!」
「今日は寝てるんれすよ!いいれすね!」
言い捨てるように命令し、ののは部屋から出て行った。
何をあんなに怒ってるんやろ?

「…で?」
ウチは梨華ちゃんとよっすぃ〜のほうを向く。
「なんで自分ら、おんの?」
「だって。ねぇ」
ふたりはお互いの顔を見て、微笑みあう。
どうでもエエけど、何でそんな嬉しそうなん?
「そうそう。ののに『あいぼんが勝手に学校行かないように見張れ』って言われたしー」
よっすぃ〜はそう言うて、土鍋からおかゆをお茶碗によそった。

ののは、『先生にはののから言っておくれす』言うて学校へ行った。
自分の代わりに、ウチの部屋へこのふたりを見張りとして派遣(?)しおった。
「ホレ、食べれ。そんでおとなしく寝てな」
お茶碗を受け取って、ウチは熱いからふーふーいうて食べた。
203 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月15日(火)21時37分15秒
「お薬はこれでいいよね」
梨華ちゃんは薬箱から取ってきた風邪薬をウチに渡した。
『勉強して怒られるとは…不条理この上ないわ』
おせっかいなふたりの手厚い(?)看病を受け、ウチはまた眠りについた。

 
―――何か物凄くいい香りがして、すっと長い指が額に触れた。
目を覚ますと、師匠がベッドのそばに立っていた。
「師匠…」
「アイス、食う?」
師匠の手には、カップのバニラアイスがあった。
「あ、ハイ。スイマセン」
起き上がって、木のサジでスミをえぐるようにすくう。
師匠は机から椅子を持ってきて座り、ウチが食べるのを見ていた。
イヤ、かなんわ。こんなべっぴんさんにじっと見られたら、うまいコト食べられへん。
ハァ〜。師匠はホンマうっとりするくらいべっぴんさんやわ。ウチもこんなんなりたいワ。
「なに?」
ウチがひとり照れているので、師匠はおかしそうに笑う。
「イヤ…ウチも師匠みたいになりたい思うとったんですワ」
「へ?ごとーみたいに?」
「ハイ」
「あっは!加護ちゃんはそのままでかわいいのに!」
師匠はうれしそうに、ウチの頭をくしゃくしゃ撫でた。
しばらく、ウチらは笑ってアイスを食べていた。

「おー。ごっちん!来てたんだ!」
梨華ちゃんと買物から帰ってきたよっすぃ〜は、ウチの部屋にいる師匠に声をかけた。
「んあ。お買物してきたの?」
「ん。おーい、あいぼん。お土産にプリン買ってきたぞー」
「食べる〜」
「ごっちんも食べるでしょ?あたし、お茶入れるね」
梨華ちゃんが下に降りて行く。
ののが帰ってきたら謝ろう。ウチはお布団の中でそんなことを考えた。
204 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月15日(火)21時50分36秒
更新しました。

―――その日の昼休み

(# `D´)<あいぼんったら、夕べ勉強してまた頭痛ひどくなったれす!プンスカ  (・-・;川<…そうですか(この話、もう10回目なんだけどな)  

レスのお礼です。

>オガマーさん
川o・-・)<ますますカレンダーほしくなってきた!…と作者が申しております…
辻の大泣きはそれはもう凄かったと(ヤキソバレベル)。あいぼん、限度を知りません(w

>クロイツさん
(0^〜^)ノ<座布団獲得カッケー!
300枚っすか(w ありがとうございます。稲葉先生はアフロが似合うファンキーなお方です。

>ひとみんこさん
( ´D`)<あいぼんは照れ屋さんなのれす
改名されたのですか(w? ひとみんこさんのあいぼんも毎回楽しませて頂いてます。 
205 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月15日(火)23時58分57秒
ありゃ、いつの間に?

ややこしいので改名します。

生まれ変わりますた。
206 名前:あおのり 投稿日:2002年10月16日(水)00時52分21秒
なんじゃかんじゃ言ってもあいぼんかわいがられているねぇ〜
でもそこで素直になれないところが関西人の悲しさ…ソコガカワイイケド
てか、ののさんよしいしの二人を見張りに派遣しても
互いに相手しか目に入ってないから役に立ってないと思うんだけど(w
207 名前:オガマー 投稿日:2002年10月16日(水)10時25分24秒
なんか次々に訪れてる見舞い客にほのぼの〜
愛されとるのぉ〜あいぼん!w
208 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月16日(水)21時46分06秒
勉強して怒られるあいぼんに愛しさがこみあげます。
でもって、何気にらぶらぶないしよしにも萌え。
具合悪いのに単語帳開くあいぼんの根性…見習いたいものです。
次回も楽しみだ〜♪
209 名前:婆金 投稿日:2002年10月17日(木)00時48分23秒
あいぼんへの、みんなの優しさが良いですね。
中川家、いい人が集まってますね。管理人が良いから!?
210 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月17日(木)06時45分31秒
同じ日。
飯田は保田の家に、夕食を作りに来ていた。
保田が事故に遭ってから、足を骨折した彼女のために、たまに食事を作っているのだ。

「圭ちゃん、味みてよ」
飯田は小皿に肉じゃがをよそい、保田に渡す。
「ウン…こんなもんでしょ」
台所に煮物の匂いが漂う。
好ましい気持ちで、保田はテーブルで新聞を広げる。
「コラー!何うちのパパみたいなことしてんの。ホラ、手伝わないならリビング行く!
ジャマジャマ!」
飯田に追い払われた保田は、新聞を持って渋々リビングへ向かう。
「圭ちゃんってホンット料理しないよねー。お鍋もピッカピカ」
嫌味混じりに飯田は高そうな鍋を掲げた。
道具だけはプロ仕様である。
飯田がいま使ってる包丁も、ドイツ製のものだった。
「たまには包丁も砥ぎなよー。錆びちゃうよ」
「スミマセンね〜、カオリさん。いつも苦労かけて」
老婆のような声を出し、保田は姑風に嫌味で返した。

「あ、そうだ」
何か思い出したように保田は、新聞を閉じる。
「何ー?」
「アヤカと後藤が来るんだった。遊びに来るとか言ってた」
「今日?」
「うん、そろそろだと…」
インターフォンが鳴った。
飯田が出ると、アヤカだった。

211 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月17日(木)06時48分43秒
「こんばんは」
飯田が出たことに多少驚いたが、アヤカは笑顔で挨拶した。
「ああ、いらっしゃい。て、カオの家じゃないか」
飯田は自分で言って照れ笑いする。
「お邪魔します。これ、よかったら」
アヤカは紙袋を差し出した。
「ありがとう。何だろ?」
「オー、ぶどうだね。この感触は!ありがとう、冷蔵庫入れとくよ。圭ちゃ〜ん!
アヤカちゃんがぶどうくれたよー!」
保田は松葉杖をついて、奥のリビングから出てきた。
「よっ!後藤はまだ?」
「あ、うん。今日は別行動で来たから」
アヤカは靴を脱いで、リビングへ向かう。
「これ…カオリさんが?」
途中、台所のテーブルに並べられた料理を見て、アヤカは言った。
和風のおかずがいくつかあった。
保田は凝り性だが、こういう料理は作りそうにない。
何より、料理自体あまりしない。
「ああ、カオリがたまにゴハン作ってくれてるのよ。ホラ、アタシが足折ったから」
「圭ちゃん、ほっとくとホルモンとかお肉ばっかり食べるんだもん」
ふたりがじゃれてるのを、アヤカは笑って見ていた。
またインターフォンが鳴る。
「んあ〜、圭ちゃ〜ん」
後藤だ。
彼女は中澤家からいったん戻った後、裕子にもらった果物や実家の母が漬けた
きゅうりの漬物などを持って、やって来た。
「今日は遅刻しなかったわね。ホラ、カオリがメシ作ってくれたわよ」
「メシ言うな」
飯田は笑う。
4人はそのまま、夕食のテーブルを囲んだ。
212 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月17日(木)06時56分19秒
「この肉じゃが…おいし」
アヤカはしみじみ言った。
彼女も一人暮らしなので、こういう料理は久しぶりだった。
「あっは!このアジもおいしいよ。茶碗蒸しなんてごとー、ヒサブリだな」
「圭ちゃん、こんなおいしい料理、いつも食べさせてもらってるんだ」
アヤカはニヤニヤして保田を肘でついた。
保田は苦笑いしてビールを飲む。
飯田も照れ笑いする。
「さ、食べてよ!あまってももったいないし」
すすめる保田に、後藤は
「あっは!自分で作ったみたいに!」
ケラケラ笑った。

食事のあと、アヤカの巨峰や、後藤が裕子にもらってきた柘榴を食べ、
全員満ち足りた気持ちになった。
コーヒーを飲んで、少し話をする。

保田が料理もしないのに、バルサミコだのドライトマトだの、買い込んだこと。
それよりまず肉ばかり食べていることなど、盛り上がった。

それからは、めいめい時間を過ごした。

―――アヤカは気づくと、ソファーで眠っていた。
後藤も、床で布団をかぶって寝ていた。
『やだ…寝ちゃったんだ』
アヤカは体を起こそうとする。
「たく、ふたりとも寝るとはねぇ」
保田の低い声が聞こえる。
飯田はまあまあ、と小さく笑ってるようだ。
「ありがとね、アイツらの分まで作ってくれて」
「ううん、ふたり分作るよりかえってラクだし」
アヤカは薄く目を開いて、ふたりのやりとりを聞く。
布団をかけ直し、また目を閉じてじっと思いにふけた。
213 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月17日(木)07時20分17秒
( ゜皿 ゜)<ドライトマトナンテ ドウスンノ

(; `.∀´)y−~~ <ちょっとパスタを作ろうって思ってたのよっ

更新しました。

レスのお礼です。

>ひとみんこさん
(0^〜^)ノ<生まれ変わり、カッケー!
改名\(^▽^)/<おめでとうございます!ご本人、無意識だったのがまたニクイですね。

>あおのりさん
煤i; ´D`)<…ハッ!ののとしたことが、不覚だったのれす!
(#0^〜^(^▽^#)一応役目は果たしてるものの、って感じでしょうか(w?

>オガマーさん
( ´ Д`)<んあ〜。バイトもなかったしね〜。なにより心配だったし
各界の(どこのだ)著名人、ぞくぞく集合です。( ;д;)つフ<師匠〜アイスウマイワ!

>クロイツさん
川o・-・)<辻さんはその日…一日中、怒ってらっしゃいました
どうしても気になる単語があったようです(w (# `D´)<あいぼんのうそつき!

>婆金さん
川o・-・)<中川家は…吉本のお笑い芸人ですね。持ちネタは電車の車掌等です
レスを見て書かずにいられませんでした。スマソ 从 #~∀~从ノ<当然や!エエこと言わはるワ!



214 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月17日(木)09時36分57秒
なんか、ここの圭ちゃんは渋すぎる。
男物のスーツなんぞを着せてみたい。

某インタビューでは、ひーさまだったけど、ここのひーさまはへたれ。
ここの「最強のハンサムガール」は圭ちゃんだ。
215 名前:婆金 投稿日:2002年10月17日(木)10時54分23秒
大人組、いい感じですね。
あったかくって、落ち着いてて、でもドキドキ感もあって。

中澤家。あぁ、素で間違えた(w
日頃から、気を付けてないと、いつかやる!と注意してたのに!
中川家は、ラブコンプレックスに出てましたね。
216 名前:ココナッツ 投稿日:2002年10月17日(木)15時15分55秒
ヤッスーますますカッケーです!
やっぱり食ってるのは珍味系なのね…。さっすが!
家庭的なカオリンもいい!
217 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月17日(木)16時28分02秒
ヤッスー…あなたにめろめろです…。
アヤカさんが切ないですねぇ…(泣)。てゆーかヤッスー。両手に花!?すげぇ!!カッケー!!
一日中怒ってたののたん…。
やっぱ私、あいのの大希望かも…(笑)。
次回も楽しみにしてます!!
218 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月18日(金)02時36分03秒
もうとにかく最高〜♪
又気が向いたら・・・姐りかもお願いします。
マイナーなんだろうけど・・・ハロプロニュースでハマっちゃって(w
219 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月18日(金)04時30分13秒
―――吉澤視点

それは本当に偶然だった。
「よっすぃ〜。これ、あまったからあげるべ」
バイト中に、なっちさんがスーパーの福引の券をくれた。
「エ、いいんスか?」
「うん。なっちクジ運悪いし、あんまり興味ないっしょ」
なっちさんいわく、今までクジ引きで当てた最高のものは『たわし』らしい。
「10回やってポケットティッシュ9個とたわし1個の時は泣けてきたっしょ」
なっちさんは遠い目で言った。
よっぽど忘れたい思い出らしい。


次の日、あたしは券を持ってスーパーまでクジを引きに行った。
3枚あるから3回引ける。
係のおじさんがハッピを着て、スチール椅子に座っていた。
特等はハワイ旅行。1等はパソコンか。
まぁ、5等のお醤油でも当たればいいや。当たったら中澤さんにあげよ。
殆ど期待せず、ガラガラと回す。
紫色の玉がポトリと落ちた。
「おめでとう〜!3等のディズニーシーペア1泊2日ご招待!」
「えええええ〜!?」
飛び上がるくらいびっくりした。
なっちさんではないが、ウチのクジ運も似たりよったりだからだ。
今まで当てた最高のものは、確か小4の時の洗剤セットだ。
お母さんに喜ばれただけで、他の家族はまるで無反応だったっけ。
あと2回引いたら、どっちもお醤油が当たった。
景品を持って、ウチはとりあえず『アベ楽器店』へ向かった。
220 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月18日(金)04時33分15秒
「あれ〜?よっすぃ〜、どうしたんだべ?」
今日はウチはバイトの日じゃない。
ない日にやってくるのは、あまりないのだ。
なっちさんは珍しそうに言った。
「あ!なっちさん!ウチ、昨日もらった券でくじ引き行ったら、ディズニーシー当たりました!」
「ホントだべか!やったっしょ!」
「そんで、コレ」
さっきもらってきた目録をなっちさんに手渡した。
「何?」
「元はなっちさんのですし」
「…よっすぃ〜」
なっちさんはあきれたように笑った。
「これはよっすぃ〜にあげたんだからよっすぃ〜のだべ。なっち、なまらびっくりしたべ。
何言い出すかと思ったよ」
「エ…でも」
「店長命令。梨華ちゃんと行くといいっしょ」
なっちさんはウィンクして言った。
なっちさんみたいないい人が店長で、ホントよかった。
あたしは心から、そう思った。

221 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月18日(金)04時35分21秒
結局、なっちさんはお醤油だけ受け取ってくれた。
「ちょうど切れたところだから助かったべ」
と喜んでいる。
ウチはお礼を言って、中澤家に戻った。
台所で、梨華ちゃんが料理の味見をしていた。
「あ、ひとみちゃん。おかえりー」
「ただいま。中澤さんは?」
「うん。洗濯物取り込んでる」
「そっか。コレ」
さっきのお醤油を渡す。
「どうしたの?あ、もしかして駅前のスーパーのくじ引き?」
「そう。当たったから」
「ありがとう」
梨華ちゃんは笑顔で受け取って、戸棚の中にそれをしまった。
「そんでさ」
「ウン?」
彼女に、ディズニーシーご招待の目録を見せた。
「ディズニーシー1泊2日ご招待…すっごい!当たったの!?」
「ウン!なっちさんに券もらって引いたんだ。そしたら」
「すご〜い!あたしなんかポケットティッシュばっかりだよ!」
すごーい、すごーいと連発し、梨華ちゃんはその袋を大切そうに撫でた。
「そんでさ」
ウチはコホンと咳払いする。
「うん」
「その…一緒に行かない?」
「え?いいの?」
「ウン。ウチもなっちさんに券もらったんだから、なっちさんにって思って渡そうとしたんだけど、
『よっすぃ〜にあげたんだから』って」
梨華ちゃんはしばらく考えて、
「ウン…1回行きたかったんだ」
ウチの首の後ろに両手を回した。
梨華ちゃんたら…こんな明るいうちから。
でも、嬉しい。
222 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月18日(金)04時36分40秒
そう思ってたら、台所の入り口からわざとらしい咳払いが聞こえた。
中澤さんが洗濯物を取り込んで戻って来ている。
「そこのお若い方々。お鍋、忘れてへん?」
はっと気づくと、沸騰寸前だった。
「きゃぁ!?」
梨華ちゃんが慌てて火を消す。
「あ、あははは。梨華ちゃん、また後で…」
さすがに気まずく、ウチはそろーっと台所から出て行こうとする。
「吉澤く〜ん、ちょっといらっしゃ〜い」
姉上様に、にーっこり微笑まれてしまう…。
こ、こわいよほ!
「な、何でしょうか」
びくびくしながら、廊下の端までついて行く。
ひー!
カツアゲされる中学生な気分。
「新婚初夜はな」
「ハ?」
「焦りすぎると失敗すんねん」
「…な!」
中澤さんは自分の言うことに納得したように腕を組んで頷いた。
「新郎は早すぎても遅すぎても具合が悪い。今から本番に備えときや」
ポンと肩を叩いて、姉上様は去って行かれた。
「ちょっ!待ってくださいよー!」
台所の入り口から梨華ちゃんが顔を出していた。
ウチらの会話を一部始終聞いていたらしい。
真っ赤だ。
階段に行こうとして、彼女と目が合った。
『早すぎても遅すぎても…』
さっきの中澤さんの言葉を思い出し、ウチはとほほとなって情けない笑顔を浮かべた。
223 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月18日(金)04時52分48秒
(・ ´ー`)<なっちはお醤油でいいべ!(^〜^0)<いいんスか?

更新しました。

レスのお礼です。

>ひとみんこさん
( ‘д‘)<女にメシ作らせてる時点で、すでにジゴロやな!
本物ヤッスーも実は娘。一タラシとヒソカに踏んでいるんですが。スーツはダブルキボン

>婆金さん
( ´ Д `)<んあ〜。作者はそのドラマ分からないんだって〜
ダイジョブです。私もいつかやるかもしれません(w ほのぼのの中のドキドキは難しひ。

>ココナッツさん
川*‘ー‘)||<へっへ。ありがとう!
本物ヤッスーもまるで料理しないそうです。彼女の場合、『作らせる』ってのが似合うかと。

>クロイツさん
( ´д`)<ウン。ののにごっつ怒られてん
ヤッスー、読み返してみるとただのハーレム状態な罠。女心の分からん罪なヤシです。

>名無し読者さん
( ^▽^)<ありがとうございま〜す♪裕ちゃん、リクエストがあったよ〜!
私もハロプロニュースで姐さんにいじられてるチャーミーはかなりツボです(w
224 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月18日(金)10時33分08秒
クジ運のものすごく悪いなっちに萌え(笑)。
そして、何気にものすごいアドバイスしてる姐さんに拍手。
がんばれヨッスィー!!応援してるわ!!
次回も大期待っ!!です!!
225 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月18日(金)13時13分41秒
うわ〜、いよいよですか、とうとうですか、お待ちしてますた!
ホテルは選べるのなら「ミラコスタ」にしてくらはい、とってもいいれす。

さすが姐さん、含蓄のあるお言葉、その通りです、「スロー あ〜んど クイック」
「初めちょろちょろ、中ぱっぱ」です。 (おい! 飯炊きと一緒かよ!)
226 名前:あおのり 投稿日:2002年10月18日(金)20時49分52秒
姐さん…
なんちゅう的確で且つ含蓄のあるお言葉…
さてはアナタ 

失 敗 し た ク チ で す ね(w 
で、誰と?
227 名前:なっつぁん 投稿日:2002年10月18日(金)23時02分12秒

煤i;´D`)<すごいのれす!こんなに更新されてんのれす!

やーっと更新されてる分全てよめたよ〜
勉強し過ぎで倒れるなんて今までの人生で一度もないなぁ(笑
がんばれ!我らのあいぼん♪
でもって、この展開だと近々よす子&梨華ちゃんの、
『夢のディズニーシー・デート編』ってのが読めるんですな♪
こいつは楽しみです!
228 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月19日(土)01時14分44秒
―――吉澤視点

翌日。

「ほー。ディズニーシーかぁ」
ライブの練習の合間、市井さんはいいなーと連発した。
「1泊2日かぁ。下宿じゃ遠慮して声とか出せないだろうし、もう燃えまくりだろうな!」
…どうしてこの人はそっちのほーにいくのだろう。
ウチは脱力して、へなへなとなった。
ついでに床に寝転ぶ。
ソファーはごっちんが占領してたから。
「ホテルはどこ泊まるの?」
アヤカさんに声をかけられ、起き上がる。
「あ、オークラです」
「へえ、オークラかー。ミラコスタもいいよ」
「つーか、アンタ東京に住んでんのに、どーして都心のホテルに詳しいのよ」
保田さんが呆れて言う。
「エー。ディズニーリゾートはハワイの従妹と行ったんだってばー!」
「ああ、ミカちゃんね」
ハワイに従妹がいるんだ。
さすがだな。
てか、アヤカさんは他の都心のホテルに誰と行ったのか、ってのがポイントか。
「オークラはダレと行ったんだよー!」
案の定、アヤカさんは市井さんに肘で突付かれてる。
アヤカさんは『も〜。ダレでもいいじゃん』と言い返してる。
「つーかさ」
市井さんがあたしの方を向いた。
「アヤカが恋多き女なのは今更だけど、吉澤、おめーは石川とやってんの?」
「な!な、なんてここここ!」
「ホホ!この慌てぶりからするとまだね!」
保田さんがニヤニヤ笑う。
229 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月19日(土)01時18分37秒
「エ!?マジ!?同じ家に住んでんのに!!?」
市井さん…そんな驚かなくても。
「ヨシコはいちーちゃんとは違うんだよ〜」
今まで寝ていたとばかり思っていたごっちんが、むくっと起き上がった。
「おめー、寝てるんかと思ったら、しっかりきーてたんか」
「んあ。寝てても聞こえたよ。ふたりとも純情なんだしー」
「じゃ、このお泊りが勝負か」
「て、いやあの!」
もう〜。みんなしてー!
するとかしないとかって。
て…付き合いだしてもうひと月かぁ。
フツー、カップルってどれくらいでするもんだろ。
いやいやいや。そういう問題でもないか。

「んじゃ、そろそろ練習戻んぞー」
市井さんの掛け声で、それぞれ持ち場に戻る。
ウチは今度のライブでドラムだ。
保田さんが足を骨折して今回キーボードに回るので、アヤカさんがベース、
ウチがドラムになる。
鬼コーチ保田圭の特訓を前回のライブから受け、ウチはどうにか形になってきた。
「ホホ!やればできるじゃない!」
保田さんは上機嫌だ。
やった!
ウチはドラムスティックを握った拳を突き上げた。
心地よい汗を流し、その日の練習は終わった。
230 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月19日(土)01時26分18秒
アヤカの運転で、保田は自宅に向かう。
ここのところ、アヤカに送ってもらうことが多かった。
何か穴埋めしないとなー、と保田は考えていた。

「たく、まいったわねー」
助手席で、保田は苦笑する。
「何がー?」
「紗耶香のヤツよ。もう言うことがオヤジだし」
「ネタフッたのは圭ちゃんじゃーん」
アヤカはプッと頬を膨らませる。
「ゴメン」
保田は頭をかいて笑う。
「ねえ」
しばらくの沈黙のあと、アヤカは切り出した。
「んー?」
「圭ちゃんは付き合うんなら、遊んでない子がいいの?」
「いや、別に。そういうのは」
やりにくいなー、と保田は思う。
さすがの彼女も、アヤカがどういう意図で言ってるのか分かる。
「まあ、浮気されなかったら。経験とかそういうのはまあ…」
アヤカは何も言わなかった。
「てか、らしくないわね。今までそんなこと言い出したことなかったのに」
「圭ちゃんも」
アヤカは前を見たまま言う。
「誰か好きになったことあるでしょ」
保田は思わず、彼女の凛とした横顔に見惚れた。


今夜こそ、切り出そう。

形は違えど、ふたりはそれぞれ決心していた。
231 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月19日(土)01時48分26秒
更新しました。

(;´〜`0)<(…んも〜、みんなして)

レスのお礼です。

>クロイツさん
(・ ´ー`)<なっち、クジ運は悪いけど、女運はいいっしょ!(^◇^*)<て、照れるって!

吉澤くん、各方面から期待されてます(w いい仕事をしてくれると信じて…。

>ひとみんこさん
楽しみ〜>(*´▽`)人(´〜`0*)<オイラも〜

オークラにしますた。スマソ(w ミラコスタ、公式サイトで見ましたが、いや、豪勢なホテルですね。

>あおのりさん
( `◇´)<――誰となん? 从~∀~#;从<え、あ、いや…む、昔のことやし(ゴニョゴニョ)

ミチャーソではないのは確かですね(ニガワラ まあ、そんなの気にするほどみっちゃん、人間小さくないですが。

>なっつぁんさん
( ´D`)<作者は遊びすぎで倒れたそうれす (´д` ;)<あほにもほどがあんな!

私もないです(爆 ディズニーシーは公式サイト見たりして目下研究中です。TDLは行ったのですが。


232 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月19日(土)08時13分40秒
おおおおおっ!!各方面から期待かけられまくりですね!!ヨッスィー!!
しかも今回ドラマー!!いやーんもう!!かっこええ〜!!
お泊り…期待しとりますよーヨッスィー!!!
こっちの胸までどっきどき☆
次回も期待しております!!
233 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月19日(土)08時15分52秒
ごごごごごごめんなさいっ!!あげちゃいました!!
うわあああああああああんっ!!本当にごめんなさーいっ!!
234 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月20日(日)03時49分24秒

( ´D`)ノ<レスのお礼れ〜す♪

>クロイツさん

( `◇´)<いや、若いってエエな!

从 #~∀~从ノ<悪かったな!

ageたことはどうかお気になさらず。よっちぃは鬼コーチ・ヤッスーに猛特訓を
受けました。お泊りでプレッシャーをかけられる若いふたり。

235 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月20日(日)03時59分38秒
・セクシー(?)ベイベー

( ´D`)<セクシーになりたいのれす

( ‘д‘)<ハァ?(また何か言い出しおったワ)

( ´D`)<セクシーになるのれす、もう決めたんれす!

(  ´д`)<のの…『セクシー』ってどういうモンか分かっとるか?

( ´D`)<へいっ!色っぽいってことなのれす!ののにもそれくらい分かるのれす!

(  ´д`)<はぁ…(解釈は間違ってへんな)。そんで、どうすんの?

( ´D`)ノ◎<とりあえず、『セクシーベイベー』のCDを1日10回聞くのれす!

(  ´д`)<そう…頑張ってな(それでセクシーなるんなら、世の中セクシーだらけや)



236 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月21日(月)10時13分41秒
ううう…申し訳ございませんでした…(泣)
鬼コーチ・ヤッスッスー…素敵!!!

でもってののたん。
一日十回『セクシーベイベー』のCDを聴いても、セクシーにはなれません。
ええ、なれませんとも。
経験者は語りますわ。
だって私、一日三十回以上聴いたのに…梨華ちゃんに萌えまくるだけで、セクシーにはなれませんでしたわ。
もしかして聴き方が悪かったのでしょうか…?
237 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月21日(月)22時05分01秒
車は中澤ハイツに着いた。
骨折した保田が降りるのを手伝うため、アヤカは先に降りて手を貸した。
黙って、階段の下まで一緒に行く。

「ありがとう」
「うん…それじゃ」
アヤカは車に戻ろうとする。
「アヤカ」
保田はじっとアヤカの顔を見る。
ついにこの時が来たな。
アヤカは運命を受け入れるように、目を伏せた。
「話が…あるの」
「うん…」
しばらくふたりは黙っていた。

「あの…」
保田はおずおずと切り出した。
「うん」
「その…」
「?」
「あ、あの…いい天気ね」
何で夜に天気の話をするのか。
アヤカは一瞬顔をしかめた。
保田はきっかけを欲しがっている。
そう察して、
「あのさ」
ポツンと呟いた。
「あたしとカオリさんが川で溺れたら、どっちを助ける?」
「へ?両方助けるわよ」
アヤカはしまったと後悔する。
238 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月21日(月)22時08分44秒
「今のは例えが悪かった…じゃ、あたしとカオリさん、誰かに盗られたら悔しいのは
どっち?」
保田は驚いた顔をした。
アヤカは少しも視線を逸らさず自分を見る。
―――いい加減にはっきりしないといけない。
保田は、ぎゅっと拳を握り締めた。
「…ゴメン。答えはカオリ」
「やっぱりなー」
アヤカは脱力して、肩を震わせた。
おかしくて、笑えてきた。
「…ホントに、ごめん!自分の気持ちに…気づいた」
「あんな綺麗なひと、うかうかしてたら、ホントに盗られちゃうわよ」
「…うん」
「あたしみたいないい女を振るんだから、高くつくわよ」
「うん」
「もう行って」
「…アヤカ」
「中途半端な優しさは、ひとを傷つけるんだよ」
「…ごめん」
「あたしは、大丈夫だから」
保田は歩き出した。
そっと振り返ろうとし、
「ホラ!さっさと行く!優柔不断は嫌われるわよ!」
腕組みしたアヤカに怒られる。
239 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月21日(月)22時16分38秒
保田の姿が見えなくなってから、アヤカは静かに泣き出した。
分かってはいた。
保田が誰を選ぶか。
切り出したのも、自分だ。

―――もう、自分の特別な存在じゃなくなる。
自分の一部をもぎ取られるように痛かった。

声を押し殺して、泣いたつもりだった。
ふと顔を上げると、妙齢の女性がそばに立っている。
手には郵便物。
ここの住人のようだ。何となく、見かけたことがある。
「ご、ごめんなさい!」
アヤカは慌てて、道を空けた。
自分が通路を塞いでいると思ったのだ。
泣いているところを見られたのも、恥ずかしかった。
「いや…大丈夫か、ねーさん?」
女性は関西弁だった。
「あ、ハイ…」
目をこすりながら、アヤカは答える。
「よかったら、茶ァでも飲まへん?うち、そこなんやけど」
「…よろしいんですか?」
少しぎょっとしたが、ついて行くことにした。

102号室の、「平家」という家に入って行く。
「まぁ、どこでも座っといて」
女性は平家みちよ、と名乗った。
どこかで聞いた気がする、と思いながら、アヤカは「ハイ」と返事した。

平家が台所でお茶の支度をしてる間、アヤカはリビングのソファに座って室内を
見渡した。
シンプルだけど、高そうな家具がある。
アンティークのキャビネットには、クリスタルのグラスや、ひとつずつ違う
ティーカップが並んでいる。
嫌味でなく、趣味の良さが伺えた。
このソファも、とても座り心地が良い。
柔らかい間接照明の光が、部屋中を優しく照らしていた。
240 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月21日(月)22時27分12秒
( `◇´)つc□<まぁ、茶ァでも飲み! 

川‘.▽‘)||<…スミマセン

更新しました。
レスのお礼です。

>クロイツさん

(  ´д`)<ハァ…やっぱりそうか。教えてくれておおきにな!

( ´D`)ノ<♪アーン セクシーベイベ

ご希望なら、鬼コーチ派遣しますよ(w?( `.∀´)y−~~
管理課はここんとこ、ハロプロライブBS録画したのを鬼のように見てます。
241 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月21日(月)22時35分23秒
アヤカさーんっ(泣)!!
一緒に泣いてしまいました…。ううううう…。でも、ものすごく潔くってナイスだ!!
ヨッスィーが『男前』なら、アヤカさんは『オンナの心意気』ですね!!…ワケわかんないかも(汗)

鬼コーチ!!来て下さいっ!!ビシバシと鍛えてくださいっ!!
マジで待ってますからー!!!
管理課…りんねさんいなくなっちゃうのが寂し過ぎる…。
242 名前:婆金 投稿日:2002年10月22日(火)00時13分48秒
ヤバイ。
世に、こんなに自分が感情移入できるキャラがいるとは思わなかった。
アヤカ、ヲレの分まで…!
243 名前:あおのり 投稿日:2002年10月22日(火)01時23分20秒
アヤカさんセツネェ〜!で、かっけぇ〜!これがオトナの去り際ってもんですかねぇ。
圭ちゃんもアヤカさんに比べればまだまだってとこですかね
そして最後にオトナ代表のミチャーン登場。
まあアヤカさんの慰め役はこのぐらいの人生酸いも甘いもかみ分けた人でないと(w
244 名前: 投稿日:2002年10月22日(火)12時45分17秒
(゜∀゜)イイ!!
ずーっとこの川 ‘〜‘)||( `.∀´)川‘▽‘)||の三角関係?に
注目してましたが、こういう結末を迎えるんですね!
自分の気持ちに気付いたヤスがカオリにどう接していくのか楽しみです。
頑張ってください〜。
245 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月23日(水)06時27分43秒
しばらくして平家は、紅茶とクッキーを持ってきてくれた。

「おいしいお茶ですね」
ミルクティーの、ほどよい温度に温まったミルクもとてもおいしかった。
「うん、アッサムのエエお茶をもうてん」
「そうなんですか…おいし」

自分が何故外で泣いていたか、平家は特に触れない。
その気配りも嬉しかった。

ふと、部屋の隅にあったキーボードとギターに気づいた。
「いいキーボードですね。ギターも…これセミアコですね」
「ああ、ギターは最近やり出してんけどな。知り合いに教えてもうて、ぽつぽつと。
キーボードはまあ、仕事用」
「そうなんですか。あたしも趣味でバンドをやってるんです。キーボード担当
なんです」
「へえ。バンドかー」
ふたりは話が弾み、小1時間ほどそうやって過ごした。
246 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月23日(水)06時30分35秒
玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
ドアを開けると、裕子が立っていた。
「みちよ、アンタ財布ウチに忘れとったで」
「ああ!ゴメン!」
裕子はふと、部屋の奥を見た。
見知らぬ若い女がいる。

「…お客さんか?」
「ああ。ちょっとな」
裕子に気づいたアヤカは頭を下げる。
「平家さん、私そろそろ失礼します。どうもありがとうございました」
「ああ、ええで。そんなん。またゆっくり来てな」
アヤカは裕子にも会釈して帰って行った。

アヤカが出て行ったあと、裕子は
「…じゃ、ウチも帰るワ」
玄関を出ようとした。
「姐さん」
「なんや」
「なんでウチの顔、見ィひんの」
「何がや」
「もしかして…妬いてんの?」
裕子はムッとして、平家を睨みつける。
「誰が!…知るかい!」
「いちばん大事なんはアンタやで」
平家は怒るでもなく、静かに言った。
裕子はぼろぼろ泣き出す。
「…ガキ」
平家はぎゅっと裕子を抱きしめた。
247 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月23日(水)06時42分09秒
―――裕子は浅い眠りから目覚めた。

枕から顔を上げると、平家はバスローブを着て、ペットボトルのミネラルウォーターを
飲んでいた。
自分が眠ってる間に、シャワーを浴びたようだ。
「起きたか?」
「…うん」
ふと自分の肌を見たら、さっきの情事の後が残っている。
平家の感触をぼんやり思い出していた。
「泊まってくか?梨華ちゃんには一応連絡しといたけど」
いつの間に。
裕子は平家のソツのなさに、呆れながらも感心する。
「ウチもあほやなぁ、あんな若い子に妬いて」
裕子は身を起こし、自嘲するように笑った。
平家はベッドのふちに腰掛け、
「ヤキモチ焼かれるのは、悪い気しィひんで」
裕子の肩に手を置き、わざと耳元で囁いた。
「何で」
「少しはウチのこと好きなんかなぁ、って気になるし」
「何やねん、『少し』って」
じゃ、証明するワ、と平家は自分もベッドに入って行った。


―――中澤家

「ふう」
梨華は溜息をついて居間の電話を切る。
平家から連絡があった。
裕子を泊まらせる、と。
自分といて遅くなったら、必ず電話をくれる。
平家のマメさに、いつもながら感心した。

梨華は居間で紅茶を飲みながら、ディズニーリゾートのガイドブックをめくっていた。
あれとこれとそれに乗って。
何より、吉澤が一緒だ。
期待は膨らむばかりだ。

『夜はオークラのホテルで…おいしいゴハンを食べてその後お部屋で
シャワー浴びて…キャッ!』
そっちのほうの期待も膨らむばかりだ。

248 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月23日(水)06時46分37秒
『ひとみちゃん…』
『梨華ちゃん…』
梨華の脳内映像にはスモークがかかっている。
妄想の中で吉澤は、優しく微笑み、梨華をお姫様抱っこしベッドへ運んで行った。

―――ここまで考え、ひとりでニヤケたり、真っ赤になったり大忙しの梨華だった。

「あー、いい湯だったー」
現実のほうでも。
吉澤が風呂上りで、ジャージ姿で首にタオルを巻き、オヤジのように廊下を歩いていた。
「ひとみちゃん、お風呂上がったの?」
梨華は居間のドアを開けて、吉澤に声をかけた。
「うん。中澤さんはまだ?お風呂そのままにしてきたけど」
「あ、さっき連絡あった。多分泊まりになるって」
「そっか」
吉澤はテーブルの上のガイドブックに目をとめた。
「何読んでんの?」
「うん、ディズニーリゾートのガイドブック」
「へー。ウチも見ていい?」
「うん!ねえ、ココ!オモシロそうでしょ?」
梨華がめくるページを、吉澤も覗き込む。
「あ、ホントだー。いいね」
ふたりは夜遅くまで、話しながらガイドブックを一緒に見ていた。
249 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月23日(水)07時09分20秒
更新しました。

(*/▽\*) .。oO(リカチャン…はあとはあと>(#0´〜`(´▽`#)<ヒトミチャン…はあとはあと

いしかーさん、脳内妄想大爆発の巻。

レスのお礼です。

>クロイツさん
( `.∀´)y−~~<ホホ!覚悟はできてる?キリキリ逝くわよッ!
りんねはどこかで期待してくれることを祈って…。アヤカは圭ちゃんよりずっとオトナです。

>婆金さん
川‘.▽‘)||<…ありがとうございます
とにかく彼女はいい女に書こうとがんがりますた。泥沼にしないことを自己テーマで。

>あおのりさん
( `◇´)<まあ、若い時は色々あるもんや!
圭ちゃん、アヤカに背中を押してもらったようなモンです。いい女は、去り際も潔いのです。

>壱さん
川‘〜‘)||<なんだか最近圭ちゃんの様子がおかしいんだけど…ナニガアッタンダロ
圭ちゃん、アヤカのおかげで気づいたとこもあったり。一緒にいるとつい見過ごすモンです。
250 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月23日(水)07時17分48秒
間違い訂正です。
>>249
期待→活躍です
251 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月23日(水)08時28分48秒
ミチャーン大人です、歳は下でも姐さんよりずっと大人、へたれ祐子、本領発揮です。

オヤジひーさま、素敵! 好き♪ (お前は何でもええんかい!)

チャミさまの脳内スモークは勿論ピンクです、映像はピンクのモノクロです。
252 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月23日(水)16時10分39秒
姐さん可愛い!!可愛い!!可愛(以下略)
んもぅ、最強の可愛さですね!!さすがは梨華ちゃんの姉!!
私まで悩殺されてしまいましたわっ!!
パソコンの前で、またしても「うっふふふふふふふ…」と笑い声をもらしてしまいました。
ここ、学校なんですがね。
友人に目撃されました。いやーん。恥ずかし乙女ー。
でも…イイもん見させて頂きました…!!
253 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)06時20分03秒
数日後。

―――朝比奈女子高校

放課後。
校内放送で呼び出しがかかる。
『1年A組加護亜依さん、1年C組辻希美さん、紺野あさ美さん、生徒会室に来てください』
呼び出しをした生徒の声を聞いて、今から帰ろうとしてた加護はイヤな予感がした。
カバンを抱えて、こそこそ帰ろうとする。
「あ、あいぼーん!」
目論見は失敗した。
階段のところで、辻に見つかってしまう。
「放送でののたち、呼ばれてたれすよね?一緒に行くれす」
辻の横には、紺野もいた。
「…ウチは何も聞いてません。ほな」
「あ!ダメれすよぉ!大事な用だったらどーするんれすか?」
「…あんな、呼び出したヤツの声聞いたか?」
「小川さん…でしたね」
紺野は控えめに答えた。
「ならハナシは早いワ。イヤな予感がするからウチは帰るワ。ほな」
「あー!あいぼーん!」
辻はダッシュして加護の腕をがしっと掴んだ。
「わ!何すんねん!」
「行くれす」
にっこりと辻は笑う。
こうなると辻のほうが強い。
腕力でも、敵わない。
ずるずると引きずられて行く加護と、楽しそうな辻を見て、紺野はくすくす笑った。
254 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)06時21分17秒
辻は生徒会室のドアをノックした。
「ハ〜イ」
小川の浮かれた声が聞こえる。
「失礼するれす」
「あ、辻ちゃ〜んはあとはあと
声は一層浮かれ調子になった。
3人はそのまま入って行く。
付属中学の生徒数人、小川を始めとした高校の生徒が数人いた。
「ままままま!とりあえず座ってよ!ホラ、お茶も用意したからさ!」
小川は椅子を引いて、3人を座らせた。
用意した席には、紅茶と学校の近所で評判の店のケーキがあった。
これを見ただけで、加護は自分の予感が当たってることを確信した。
辻は無邪気にケーキに目を輝かせていた。
紺野も目を細めている。
「コーヒーがよろしければ、ご用意できますが」
新垣が丁重に申し出た。
「いや…いいです。どうぞ、お気遣いなく」
加護は渋い顔をしながら言った。
「遠慮せず食べてよ、お茶も冷めちゃうしさ!」
上機嫌の小川に、
「目的はナニ?」
加護はいきなり核心に触れた。
紺野はちらっとふたりのほうを見る。
辻は相変わらずにこにこしてケーキを眺めている。
「ハハ!…さっすがだな、なぁ、もう言っちまおうか?」
小川は周りの生徒を見渡して言った。
それぞれ口々に『そうだね』と言ったり、無言で頷いたりする。
「何か…わたくしたちに依頼されるのですね。勘違いでなければ」
紺野は温かいお茶を一口飲んで言った。
「そう。…実はみんなに体育祭の応援団に入ってほしいんだよね」
「あれはもう1学期に決めたはずや!何で今更!」
加護が食ってかかる。
大声にぎょっとして、辻はケーキをのどにつまらせた。
むせる辻の背中を、隣の紺野が軽く叩いてやる。
255 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)06時23分27秒
「いやー。高校で3人ほどブッチしたヤツがいてさー。人数が足りんのだわ」
小川の言葉に、応援団一同は頷いた。
「中学とのバランスを考えたら、高校から3名の方が必要なんです」
中学の応援団代表、新垣が訴える。
「大体の事情は分かりましたが…何故わたくしたちなのですか?」
紺野は静かに言った。
「そうや!ののが呼ばれたんは大体見当つくわ!紺野とウチは何でやねん!」
加護が語気荒く叫ぶ。
その短気な横顔を見て、新垣は『わー。生でツッコむトコ…こんなそばで初めて見た』と
ヘンな感動をする。
「ウチら応援団内で投票したんだよ、高校の生徒で応援団に入れたいメンバーってので」
「勝手にそんな投票すな!」
加護は小川を睨みつけた。
『かわいい顔して…おお、コワ』
小川は肩をすくめる。
「まあ、とりあえずー。近いうちに集まりがあっから、頭の隅に置いといてよ」
「ウチは知らんからな!」
辻はおろおろと加護と小川の両方を見た。
『どうしてこんなに仲が悪いんれしょうか…のの、みんなに仲良くなってほしいのに』
それが自分が原因だとは、気づいてはいなかった。

256 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)06時25分00秒

―――喫茶タンポポ

「矢口さん!コーヒーおかわり!」
加護はヤケ酒ならぬ、ヤケコーヒーを飲んでいた。
どうにも腹立たしく、コーヒーでも飲まなきゃやってられなかったのだ。
学校から戻って、ここに直行した。
「へー、応援団かー」
たまたま居合わせた梨華は、辻と紺野の話を聞いていた。
「ハイ…人気者の加護さんと辻さんはともかく、転校して間もないわたくしまで票が入ったのが
まったく不思議で」

本人はあまり意識してないが、紺野は転校して数日で、すでにファンクラブまでできていた。
学校で目立つ存在の辻加護と行動を共にしていることもあったが、彼女の独特の雰囲気に魅かれた
隠れファンが急増していた。
「紺野ちゃんは人気があるのれす。かわいくて頭もいいかられす」
辻はピザを頬張りながら口を挟む。
紺野は照れたように
「…そんなこと…ありません」
俯いて、ミルクティーを飲んだ。
257 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)06時26分04秒
「つーか、何で自分までおんねん!」
加護が紺野に向かって言った。
あいぼん、そんなこと言っちゃだめれす、と辻は諭す。
「明日は学校おやすみれすから、紺野ちゃんはのののお部屋に泊まるんれす。
前から約束してたんれす。ねー、紺野ちゃん」
「はい…ずっと楽しみにしてました」
加護は大きく目を見開いた。
無言の驚きの表情を見て、梨華はおかしくて小さくふきだす。

「いやー。応援団っつーのも懐かしいなー」
加護がオーダーしたコーヒーのおかわりをテーブルに持って来て、矢口は言った。
ちなみに今日はサービスデーで、ブレンドに限り1杯の料金で2杯まで飲める。
「そうそう。あたしたちも応援団したよねー」
矢口と梨華は朝比奈女子のOGでもあった。
矢口は高校だけだが、梨華は中学からエスカレーターで高校まで行った。
「キャッハ!アゴンが中3の時か、なんかブリブリの格好で見せパン見せて踊ってなー!」
「えー!あたし一生懸命やったんですよぉ!」
「キショッ!」
「も〜お!矢口さ〜ん、ヒド〜イ!」
矢口は梨華の口真似をし、またキショッ!と笑った。
機嫌の悪かった加護も、思わず目を細める。

梨華と矢口は、応援団の思い出話でしばらく盛り上がっていた。
258 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月24日(木)06時36分35秒
(〜^◇^)<キショッ!(^▽^ ;)<なんでですかぁ〜?

更新しました。

レスのお礼です。

>ひとみんこさん

( `◇´)<まぁ、コドモやけどそこが好きやし…

そうれす、ミチャーソはオトナなのです。ピンクの脳内スモーク…この前バカ殿のコントで
見たような気が…(w。ベタすぎて書いてて何だかなぁ、だったんですが(ニガワラ

>クロイツさん

从 #~∀~从<いや、そんなん!照れるがな!

自分は「誘い受け姉妹」のつもりで書いてます(爆 あちゃー。お友達に見られて
しまいますたか。わたすが大学生の頃はまだ娘。もデビューしてませんでした。
259 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月24日(木)08時08分01秒
( ^▽^)<矢口さん、アゴンはおがーちゃんに譲ったの!

今、目の前にチャミさまの見せパンが、まるちフォーカスで写っています。
一つ、二つ、三つ・・・・、見せパンだらけです。
260 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)10時45分37秒
―――その夜

「紺野さん、ようさん食べや」
裕子は紺野に声をかけた。
「ハイ、ありがとうございます」
中澤家では、紺野も交えた夕食が始まっていた。
バイトから帰った吉澤も加わっている。
「おもちみたいなほっぺただねー。かわいいなぁ」
吉澤はにこにこして紺野に言った。
吉澤に他意はない。
梨華も笑ってはいるが、内心ちょっと複雑だった。
加護は黙々と、箸を進めている。
「中澤しゃんはお料理が上手なんれす。おいしいれしょ?」
「はい…関西風の味付けなんですね。上品なお味です」
上品、と言われた裕子は上機嫌になる。
「おかわりもあんで、どんどん食べや」
今日のメニューは鳥すきだった。
紺野は礼を言い、隣の辻と微笑み合う。
加護は相変わらず無言で食べていた。

261 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)10時46分32秒
風呂に入り、紺野と辻は宿題を済ませ、居間でビデオを観た。
加護もそれに付き合わされる。

「かわいい…パジャマですね」
紺野はふと加護のピンクのチェック柄のパジャマに目を留めた。
「そりゃどうも」
加護はそっけなく言い、烏龍茶を飲む。
「よっ」
たまたま通りかかった吉澤は、ドアをノックして声をかけた。
「差し入れ。食いすぎるなよ〜」
ポテトチップスの袋を差し出す。
バイト帰りにスーパーに行き、安売りのものを買ってきたのだ。
「わあ〜!よっすぃ〜、ありがとれす!」
「吉澤さん…ありがとうございます」
辻と紺野は顔をほころばせた。
加護も小さく、
「おおきに」
と頭を下げる。
「ひとみちゃん」
梨華に呼び止められ、
「ああ、今行くよ。んじゃ、おやすみ〜」
吉澤は手を振って出て行った。
262 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月24日(木)10時47分11秒
「いやー、紺野ちゃんってかわいいねー」
やっぱり他意なく、吉澤は言った。
梨華の部屋で、ふたりはコーヒーを飲みながら話していた。
「うん…確かにかわいいね」
「…どしたの?」
彼女の様子に、さすがの吉澤も気になった。
梨華はクッションを抱え、ベッドに背中をつけて床にじっと座った。
「あの…ウチなんかまずいこと言った?」
梨華は黙ったままだ。
「ねえ、梨華ちゃん」
顔を覗き込む。
「あのね」
しばらくして、梨華が口を開いた。
「目の前で他の女の子をかわいいって言ったら、気になるもんなんだよ」
「え?…ああ」
紺野のことか、とすぐに分かった。
「ごめん、ウチ、デリカシーなかったね」
吉澤は頭をかく。
「…キスして」
梨華の言葉に、吉澤はぎょっとする。
いくらドアが閉まってるからと言って、梨華の部屋でするのは、何となく抵抗があった。
「あ、その…」
梨華はそっと吉澤の肩をつかみ、唇を重ねてきた。
『…うひー!梨華ちゃん、積極的だよほ…』
吉澤は梨華の背中に手を回しながら、心臓をばくばくさせる。
角度を何度も変え、梨華は吉澤の唇を奪う。
やがて唇が離れ、ふたりはもたれるように座り直した。
「ウチ…ちょっと女心に疎かった。ごめんね」
『ひとみちゃんは疎いというより…鈍い』
心の中で、梨華はぼそっと言った。
「今度はひとみちゃんからキスしてね」
梨華の囁きに、吉澤はゆでダコのように赤くなった。
263 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月24日(木)10時54分47秒
更新しました。

(`▽´ )<フンダ! (^〜^0;)<キゲンナオシテヨホ!

プチ夫婦喧嘩の巻。

レスのお礼です。

>ひとみんこさん

(;0^〜^0)<みみみみ、見せパン!?

物凄く便利なまるちフォーカスですね(w いしかーさんの応援団衣装は、
管理課のハピバとか応援団っぽいのを想像して書きますた。
264 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月24日(木)13時18分01秒
かわええ…!!!
姐さんもかわいかったけど、やっぱり梨華ちゃんが…んもぅ!!
しかも紺野のキャラがナイス過ぎて、ニヤケが止まりません!!
…またしても学校なのですが。
しかも隣に一緒にいるのは『モー娘。嫌い』な子なんですが。
…スリルまんてーん…。

最後のいしよし、まさにツボです!!
積極的梨華ちゃん、最高です!!
265 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年10月24日(木)17時09分51秒
ROM気味ですが見ていますw
久しぶりにカキコ♪

焼餅梨華ちゃん可愛い!!!
そして全然気づいてない辻ちゃんも!
あ、今気づいきましたけど、
後5期メンで出てないのは高橋ですかね?
ちょっと気になったりw
266 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年10月24日(木)18時19分28秒
ROM専でしたが書いちゃいます。
この小説読んでからののオタに拍車がかかってしまいました。(w


267 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月24日(木)22時40分22秒
チャミさま、今回はちょっとスパイス利かせていまいましたね。
鈍いひーさまは、たまにチクッとやらないと分かりません。

姐さんの鳥すき、ぽんずは当然「旭ぽんず」ですよね?
(関西限定ネタでした)
268 名前:傾きの私設秘書 投稿日:2002年10月25日(金)10時20分45秒
<<よい子の悩み相談室>>

ウチのサイトはハートマーク出せません。
どーしたものでしょうか?
(兵庫県 みぎーさん・15才)
269 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月25日(金)23時23分06秒
――― 一方、中澤ハイツ

「湯豆腐は早かったかなー」
飯田がまた保田の家に、夕食の支度に来てた。
「いや、いいわよ。これで一杯てのもいいじゃない」
答えながら、保田はリビングで新聞をめくる。
「圭ちゃんはホントオヤジだねー」
オヤジ、と言われて、保田は苦笑する。
「カオリー」
「んー?」
「あのさ」
「なにー?」
「…なんでもない」
保田はばさばさと新聞をたたむ。
飯田は怪訝な顔で保田を見て、
「ヘンな圭ちゃん」
と料理に戻る。

「あの…」
「なにー?」
「カオリはその…好きなひといるの?」
「知りたい〜?」
「う、うん」
「教えない」
飯田はニヤっと笑った。
「圭ちゃんはいるのー?」
「…いる」
「ほぉ〜。結構、結構。青春だね〜」
飯田は呑気に言い、煮物の味見をする。
「その…なかなか言い出せなくて」
「うん、そうだね」
「何て言えばいいのか分かん…ないよ」
「そのまま圭ちゃんが思ったとーり言えばいいじゃん」
飯田はさあ、できた、とエプロンを外そうとする。
270 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月25日(金)23時26分32秒
「なら言うわ」
「頑張ってね」
「好き…だよ」
エプロンを頭から脱ごうとした飯田は、一瞬固まった。
予想外の言葉に、何を言われたのか把握するのに時間がかかる。

「あのさ…何もカオで練習しなくても。本人に言いなよー」
「練習じゃないわよ、本番よ!」
保田は真っ赤になり、顔をそらす。
「…好きなのよ、アンタが」
赤い顔のまま、保田は言った。
飯田はしばらく黙っていた。
やがて保田に近づいて、
「圭ちゃんって」
笑いをこらえるように言った。
「な、なによ」
「ひとの恋の悩みとかはよく相談されてるのに、自分はてんでダメだね〜」
「…な!」
「告白してるのに、顔、コワイし」
「う、うっさいわね!生まれつきよ!!」
「……」
「…笑いたきゃ、笑いなさいよ」
許可の下りた飯田は、思う存分笑った。
保田はふてくされて、テーブルに肘をついてそこに頭を載せる。
271 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月25日(金)23時33分36秒
「…アヤカちゃんは?どうするの?」

飯田はそれを考えると、素直には喜べなかった。
アヤカの気持ちは分かっていた。
同じ人間が好きだから。
保田はてっきり、アヤカを好きだとも思っていた。
ふたりの雰囲気から、とうてい自分の入る隙間はない、と半分諦めていた。

「…話はしたわ。アンタが好きだって。でも、あの子に『あんなキレイなひと、
うかうかしてたら誰かに盗られるよ』って背中を押してもらったから、アンタにも言えた」
「そう…」
「カオリが誰を好きでも…好きだよ」
「さっきの質問の答えはね」
「?」
飯田は保田をぎゅっと抱きしめた。
「顎に分かりやすいホクロのあるひとだよ」
「なによそれ〜」
保田は飯田の腕の中で膨れっ面をした。
飯田は笑いながら、保田の頭をくしゃくしゃ撫でる。

何が変わるのかは分からない。
しかし、ふたりの何かがはっきり変わった夜だった。
272 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月25日(金)23時48分18秒
更新しました。

(^0   )<(…オイラもがんがろ)

レスのお礼です。

>クロイツさん
( ^▽^)<スリル満点♪
私の前の職場も娘。嫌いが多かったですねー。特に(^▽^)は不人気ですた(ニガワラ

>ぶらぅさん
( `.∀´)<ホホ!また来てくれてうれしいわ!
おヒサスブリです。そうです、メロソと5期メンはリーチなのです。どっちが登場早いかなー。

>名無しかもん〜な!さん
( ´D`)<ありがとうなのれす、てへてへ
初レスありがとうございます。辻推しですか、私もいしよしの次に好きかもしれません。

>ひとみんこさん
( ^▽^)<自分でもつまらないヤキモチだとは分かってるんですが…
ひーさま、ちょっと女心を知るの巻。「かわいいね」は社交辞令みたいなモンなんすけどね。

>傾きの私設秘書さん
( `◇´)<説明しだすと長なるし、メールで送るわ!
いつもありがとうです。みぎーさんは15歳なんですか、大学で隣にいたのは…?

273 名前:なっつぁん 投稿日:2002年10月26日(土)00時17分47秒

おっ、今さっき更新してくれたんだね! グッドタイミングだ♪
ごまたん更新おつです。
アヤカには可哀想だけど、これは避けて通れん選択だもんね・・・・
その分2人には幸せになって欲しいもんですな!
ちなみに保田さんの『湯豆腐に一杯』のひと言で、
居酒屋に行きたくなったのは私だけでしょうか?

>みぎーさん(15歳)って方
ごまたんのAA劇場並みに笑えるんだけど! (・∀・)
 
274 名前:オガマー 投稿日:2002年10月26日(土)00時57分14秒
最近、ヤッスーがマイブームです。
そこにこのお話!
もぉ、ドキドキしまくっちゃいますたw
275 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月26日(土)08時47分41秒
川‘〜‘)||<よっすぃ〜は男前って感じだけど、圭ちゃんは「男ー」って感じよね。

( `.∀´) <うるさいわね、どうせあたしはゴツイ顔よ!


ダンディーけめこ、しぶいです。
276 名前:あおのり 投稿日:2002年10月26日(土)11時35分04秒
おー!ついに、けめぴょん告白ですか。
普段とは違うもじもじけめぴょんも良いもんですなぁ。
この二人だと新婚って感じではなく
もう何十年連れ添った夫婦みたいな感じだ(w
277 名前:わく 投稿日:2002年10月26日(土)13時58分09秒
ケメぴょんもついに告白っすか!!
これから先に期待大☆
りかっち&よしこ・・・・もうジェらった梨華っちに萌え萌え(笑)
積極的なりかちゃんもかわいいっすね☆よしこくん、これからどうでていくのか・・・・♪
278 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年10月26日(土)14時13分16秒
おやじ=やっすー ワロタ
いいらさんとやっすーなら心配ない感じだし。
後はののとあいぼんさんですな
279 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月27日(日)11時14分31秒
ついに…ついに言いましたね、ヤッスー!!!
うらやまし過ぎます、飯田さん!!!!
いやぁ…どんなカップルになるんだか楽しみ楽しみ♪
いしよしは『初々しく甘々』で、みっちゃんと裕ちゃんが『オトナなスィート』ですからねー☆
楽しみです!!
280 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月27日(日)11時49分42秒
ヤッスーおめでとう!
そして残るはいちーちゃん…。
幸せにしてやって下さい(w
281 名前:ベリィ 投稿日:2002年10月28日(月)00時37分39秒
お久しぶりです!いや〜ついにヤッス〜も・・・。(うるうる)
ベリィの願いを叶えてくださって本当にありがとうございます!
カップルになったばかりの筈なのに、十年以上連れ添った
夫婦のようなこのふたりの間の雰囲気はいったい…。(笑)
いろんな意味でこれからのふたりがとても楽しみですw
282 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月29日(火)03時24分25秒
―――翌朝。中澤家

「おはようございます」
紺野は朝早く身支度を整え、台所に入って行った。
「あら、まだゆっくり寝てたらエエのに」
朝食の支度をしていた裕子は、振り返った。
その横で梨華も手伝っている。
「いえ…よそ様のお宅でいつまでも寝ているわけにもいきません。
何かお手伝いさせてください」
裕子と梨華は顔を見合わせる。
「そうやねえ…せっかくやし、じゃ、食器棚の上から3番目の棚からお茶碗とか
出してくれはる?下宿人のもまとめて置いてるさかい」
「はい、3番目ですね」
紺野はてきぱきと動き始めた。


「う、う〜ん…」
加護は布団の中で小さく伸びをした。
ゆうべ、辻の部屋で紺野も入れて3人で雑魚寝をした。
辻は呑気にすやすや寝息を立てている。
加護は隣のスペースが空いてることに気づいた。
辻の肩を揺する。
「う〜ん、ののはパンケーキにバニラアイス添えてくらさい〜」
「何つじつまの通った寝言言うてんねん!おい、紺野がおらんぞ!」
「…へ?」
辻も目をこすりながらゆっくり起き上がる。
「もう起きたんかな。同じ布団で寝てて気づかんかったわ」
「そうれすか…ののたちも起きるれす」
「おう」
ふたりは着替えて台所へ向かった。






283 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月29日(火)03時29分08秒
「おはようございます」
辻加護のふたりに気づいた紺野は、料理の盛られた皿を手に挨拶する。
「紺野ちゃん、もう起きてたんれすか」
「はい…普段よりは遅かったんですが」
「6時半には起きてはったで。いつも何時起きなん?」
裕子が口を挟んだ。
「はい、6時には起きて近くの公園まで父や妹とジョギングします」
「ハァ〜。健康的やね〜」
裕子は心底感心する。
『6時起きでジョギング!ウチらには考えられへん生活や!』
加護は驚嘆した。ヘタすると、休日には夜明けに寝る生活だ。
「うぃ〜。オアヨウゴザイマース」
吉澤が寝癖のついた頭で現れた。
目は半分閉じている。
「あ、おはよう。ひとみちゃん」
新聞を取りに行った梨華が戻って来た。
「おはようっす」
ふたりはいつものように微笑み合う。
「あの…」
紺野がこそっと辻の袖を掴み小声で囁く。
「なんれすか?」
つられて辻も小声で聞き返した。
「こんなことをお尋ねするのはなんですが…あのお二方は…お付き合いされてるのですか」
「へいっ。ラブラブなのれす」
「そうですか…無粋なことを聞いて失礼しました」
「気にしなくていいのれす」
「ハイ…」
ラブラブなふたりは、朝からべたべたしっぱなしだった。
284 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月29日(火)03時33分30秒
掃除を終え昼食までの時間、梨華は昨日『喫茶タンポポ』で話題に出た、中学時代、
運動会で応援団をやった時の写真を居間で辻たちに見せた。

「梨華ちゃん、かわい〜!」
吉澤は目尻を下げ、でれでれする。
「フリフリやな」
加護は半ばあきれ、半ば感心する。
テニス部だった梨華は、部長なのも災いし、無理矢理応援団を押し付けられた。
体育祭当日はやけくそでパフォーマンスを披露し、思いのほかそれが好評だった。
「とても…楽しそうですね」
紺野は顔をほころばせた。
写真はほかに、当時付属高校にいた矢口がフリフリ衣装の梨華とふたりで
写ってるものもあったりした。
「何だか…引き受けてもいい気になってきました」
「自分、マジか!?」
紺野の言葉に、加護はぎょっとする。
辻も少し驚いた。
「はい、いい機会ですし」
「そうれすね、ののも応援団はやったことないのれす。梨華ちゃんに写真見せてもらって
何だか楽しそうだと思ったれすし」
「応援団、カッケー!ウチもポンポン持って踊りてーな!」
吉澤は立ち上がって、チアガールのふりをして踊った。
「ファイト!ファイト!」
声色まで変えて。
それがオカマのようだったので、梨華たちはおかしくてゲラゲラ笑った。


285 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月29日(火)04時07分28秒
更新しました。

(; ‘д‘)<ろ、6時に起きてジョギング!?(・-・o川<ハイ…朝のさわやかな空気の中走るのは、とてもすがすがしいです

レスのお礼です。

>なっつぁんさん
( `.∀´)<寒いときなんか、いいわよね!
ここの人たちはまだ9月ですが、そろそろ鍋がおいしい季節。ヤッスー、ついにハラをくくりました。

>オガマーさん
( `.∀´)<世間がやっとアタシの魅力に気づきだしたワ!
ワタクシめは初期プッチ前くらいですかねー、ヤッスーにハマッたのは。何かかわいいなと。

>ひとみんこさん
( `.∀´) <ダンディー?アタシは自分ではキューティー保田だと思ってるの!
そうです、ただのオサーンです。その次くらいが柴っちゃんなのです。オヤジランキング。

>あおのりさん
( ゜皿 ゜)<ケイチャン コクッテルノニ カオガオコッテルシ
読み返して、ただの熟年夫婦の会話だということに気づきました(w ふたりとも若いのに。

>わくさん
(0^〜^)ノ<オイラも負けてらんねっす!
ついにケメ子、心を決めますた。よっちぃも見習って、がんがってくれたらいいのですが。

286 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月29日(火)04時10分17秒
>名無しかもん〜な!さん
川‘〜‘)||<そうなんだよねー。なんかオヤジなんだよねー、圭ちゃんって
実はいちごまチームもまだだったりする罠。ヽ;^∀^ノ<いやー、もう慣れたけどね

>クロイツさん
( ´ Д`)<圭ちゃん、最近でれでれしてるのはソレだったんだぁ〜
ヤスヲタ、ハケーン。しかし、ヤッスー中学生のような告白ですな。いいらさんの方がオトナかも。

>名無し読者さん
( ´ Д`)<んあ〜。いちーちゃんがんばってだって〜。何をだろ?
周りのカップルに刺激されたいちーちゃん、どう出るか?ヽ^∀^ノ<がんがるよありがとう!

>ベリィさん
( ^▽^)<確かに、夫婦って感じですね
おヒサスブリです。ヤッスー、がんがりますた。確かに子供2人くらいいるよーな夫婦って感じですね(w
287 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月29日(火)09時03分33秒
(0^〜^)<うぁ! いややわぁ! うちのことオカマやなんて。
       うちかてチアガールやりたいわ!
       (リリアンの声でお願いします。 関西ネタでスマソ)
288 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年10月29日(火)18時03分48秒
紺野さん おばーちゃんみたいな生活
本当にやってそうで、想像できそうです。

いちごま? あまりの放置プレイで忘れてました(W
289 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月29日(火)21時31分25秒
ふりふり梨華ちゃんに萌えるヨッスィー…最高…!!!
目じり下がっちゃって下がっちゃってんもぅ!!
紺野の六時起き&ジョギングも素敵☆
そして、紺野…無粋なんかじゃないわ!!良い質問ですわ!!!
もー私、ここのいしよしから目がはなせません…☆
290 名前:なっつぁん 投稿日:2002年10月29日(火)23時53分59秒

(0T〜T)<何故にみんな笑う〜?

いや〜今回も笑かせていただきますた。
つじつまの通った寝言に即座にツッ込むあいぼん、グーです♪ 
それにしても梨華ちゃんと吉澤くん・・・・もう言うこと無しよ!
とっても爽やかな朝の情景を見せていただきました。
川o・-・)<幸せそうで微笑ましいです♪

しかし6時には起きてジョギング・・・・今のわたしには想像できん生活っす(w






291 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)22時38分36秒
―――吉澤視点

その週末。
恵比寿でCUBIC−CROSSのライブがあった。
保田さんはつい先日足のギプスが取れ、あまりの嬉しさに『全快記念はあとはあと』と
題した画像入りメールを送ったらしい。
自分で自分の足を撮ったそうだ。

保田さんのギプスは取れたが、メンバーのポジション変更はそのままだ。
ウチは今日はドラム。

「見て見て!足が軽いのよ〜♪」
保田さんはリハでも軽やかにスキップをしていた。
というか、ケメ子走りなんだけど。
微笑ましいくらいのはしゃぎっぷりだ。
最近上機嫌なのには何か他に理由があるらしい。
本人に聞いたワケではないが、大体想像はつく。

「スーパーで保田さん、飯田さんと一緒にお買物してたよ。なんか夫婦みたいだった」
とは梨華ちゃんの弁。
どっちが妻でどっちが夫なのだろう、と一瞬考えてしまった。

保田さんが事故に遭った時も、飯田さんは保田さんが死んだと勘違いして、
「ひとりにしないで」と泣いて叫んでいた。
アヤカさんは振られることになるんだろうな…。
色々なことがあるけど、あたしはふたりがうまくいったのは、個人的にとても
嬉しい。
だって、保田さんも飯田さんも好きだから。
292 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)22時42分36秒
―――石川視点

「うむ。本日はお日和もよく」
柴ちゃんはそう言って腰に手を当ててステージを仰いだ。
「いやだ、お見合いについてきたおじさんみたい」
くすくす笑ってると、柴ちゃんが
「ちょっと、梨華ちゃん。向こう見て」
あたしたちから少し離れたところを差した。
「…あ」
飯田さん?
「確か保田さんのお隣に住んでる人だよね。前に辻ちゃん加護ちゃんとクラブ行った時、
一緒にいた…飯田さんだっけ?」
「うん、そうだよ」

飯田さんは大勢の中でも、一際目立っていた。
背が高いから、っていうのもあるけど。
そのモデル体型は周囲の視線を集めていた。
赤いカウボーイハットを頭の後ろにやって、時々フリーペーパーに目を通したりしている。
ハァ〜。離れたトコから見てもやっぱりキレイだな〜。
「美人を見るってのはいいモンだな、梨華」
柴ちゃんはやっぱり腰に手を当ててうんうん頷く。
「そうだね」
「もっとも、すぐそばにも美人はいるがな」
ジゴロのように流し目をし、フフンと口の端で笑う。
…柴ちゃん、オヤジ。
293 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)22時56分20秒
ライブが始まった。
今日はひとみちゃんはドラムで、アヤカさんがベースだ。
アヤカさんは珍しく、男物っぽいジーンズを腰で履いていた。
スタイルいいし、何着ても似合うなー。
ひとみちゃんは黒っぽいTシャツを着て、前髪をリーゼントっぽくしてる。
保田さんはキーボードに回って、やっぱり汗を飛ばしてガンガンに弾いてた。

「うわー。あのベースいいなぁ。でも、高そ…」
柴ちゃんが小声で呟く。
「分かるの?」
「うん、多分ハンドメイドの」
あたしには分からないが、ウッドのやつらしい、というのは客席から見てて分かった。

その日はオリジナル2曲と、あたしには分からない外国のマニアックなバンドの曲だった。
残念ながらひとみちゃんはドラムだから、いつもより見えにくかったけど。
汗の飛沫を散らして叩いてる姿はカッコよかった。

市井さんとごっちんも示し合わせたように、おそろいのシャツを着、まるで双子の
ようだった。
市井さんは愛用の白いグレッチ、ごっちんは黒のギター。(後で柴ちゃんに聞いたら、
ギブソンのレスポールってギターらしい)
「仲良しだねぇ」
ステージのふたりを見て、柴ちゃんはしみじみ言った。


294 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)22時58分30秒
アンコール。
その前に市井さんのMCが始まった。
「今日はどうもありがとう!圭ちゃんの足も治ったし、いいことずくめだな、後藤!」
「んあ〜、そうだね〜。ごとーも今回から正式メンバーにしてもらったし〜」
「え?ごっちんって正式メンバーじゃなかったの?」
「その割にはめっちゃ違和感なく馴染んでるよな」
客席からこんな声が上がる。
ソレを受けて、市井さんとごっちんは顔を見合わせてフッと笑った。
「あのね〜。ごとーのお母さん、未成年の間はバンド活動はダメだって反対してたの〜。
ロックをやったら、不良になるんだって〜」
客席からドッと笑いが起こる。
あたしと柴ちゃんも可笑しくて笑ってしまった。
お母さんのいいつけを守ってるごっちんがすごくカワイイ。
「あっは!それでもこっそり活動しててごとー悪い子だったんだけどね。
そんでこの前ハタチになったから、もういいだろうっていちーちゃんが言ってくれたんだ〜」
「ごっちん、おめでとー!」
「もうオトナだな〜!」
ごっちんは歓声の中、照れくさそうに片手を上げる。
「そんじゃ、今日最後の曲でーす!」
ごっちんが言い終わると、静かに曲は始まった。
295 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)23時11分45秒
『ねぇ言って ちゃんと言って
 私に聞こえるように 大きな声で
 もう泣かないでいいように』

ごっちんは綺麗な声で、囁くように歌い出した。
「あ、Coccoじゃん」
近くにいた誰かが言った。
えーと、確か。
Mステで裸足で歌ってたひとだよね。
白いワンピースで歌って、歌い終わってから走って出て行って…。

『目の前であなたは やさしく笑ってみせるけど
 動けないのは あなただけじゃない

 だから抱いて ちゃんと抱いて
 この体に残るように 強い力で
 もう泣かないでいいように
 どこまでも 行けるような気がしてた
 でも寒くて とても寒くて歩けないよ』

それはごっちんがボーカルで、市井さんや他のメンバーはコーラスという編成だった。
フリーペーパーには『アンコールはお楽しみに』とだけ書いてたので、
みんな『ああ、この曲なんだ』という顔をしてる。
296 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)23時19分36秒
―――飯田は梨華たちとは離れたところで、この歌を聴いていた。

『チケットあげるわ。ヒマなら来てよ』
照れくさそうに、保田は今日のチケットをくれた。
特に予定はなかったので、礼を言い受け取った。

『アンタの好きな歌を歌うから』
何の歌だろ、と思ったが、ステージを見て納得した。

『圭ちゃん…カオがこの歌好きって言ってたの…覚えてたんだ』
ふたりでテレビを見てたら、Coccoが振り絞るように歌っていた。
元々ファンだった飯田は、それを見てボロボロ泣いた。
『カオ、これから先どんなにツライことがあっても、この歌聴いて生きていけるよ』
オーバーね、保田は笑った。
それでも、覚えていてくれた。 


『でたらめな願いを 託して音を捧げましょう
 私が消えれば 楽になるんでしょう?

 じゃなきゃ言って ちゃんと言って
 聞こえないふりをしないで ここに居たいの
 私は側に居るのよ
 聞いてちゃんと聞いて 言葉にもならないのに
 全て欲しくなってしまう 無様な火傷』
297 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月30日(水)23時26分03秒
後藤は間奏の間に、保田のところに行った。
腕を引っ張って前に来させ、歌うように促がす。
保田は少しためらっていたが、客席の飯田を見つけると、覚悟を決めてマイクスタンドを
掴んだ。

『雲はまるで 燃えるような ムラサキ
 嵐が来るよ そして行ってしまう いつも

 ねぇ 空は遠すぎる』

『言って ちゃんと言って
 聞こえないふりをしないで ここに居たいの
 私は側に居るのよ
 抱いて ちゃんと抱いて
 この体に残るように 強い力で
 もう泣かないでいいように』

『どこまでも行けるような気がしてた
 でも 寒くて とても寒くて 歩けない

 もう 歩けないよ』

飯田は黙って泣いた。
アヤカはニヤニヤ笑って、保田を肘で小突く。
他のメンバーも、冷やかすように笑って保田を祝福した。
298 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月30日(水)23時45分00秒
2日分更新しました。

(; `.∀´)<コ、Coccoって激しい歌が多いわねッ←曲決め中

川‘.▽‘)||<カオリさんが好きっていう歌にしたら←さり気にアドバイス

アンコールで歌ったのは、Coccoの『焼け野が原』です。痛いけど綺麗な曲です。
機会があったら、一度聴いてみてください。

レスのお礼です。

>ひとみんこさん
(0^〜^)<うふ♪オイラ、カワイイっしょ?
すいません、頑張ったんですが「吉澤ケバ子(32)」の声で脳内再生されますた(w
       
>名無しかもん〜な!さん
ヽ^∀^ノ<強く…生きるよ
確かにおばあちゃんですね(w いちごま、今回はちょっと絡ませてみますた。

>クロイツさん 
川*・-・)<わたくしとしたことが…はしたない
つい興味を持って聞いてしまったようです。いしよしは朝からラブラブなのです。

>なっつぁんさん  
川o・-・)<我が家の昔からの習慣なのです
寝起きなのに確実にツッコむあいぼん。一種の才能です。お客の前でもいちゃつくいしよし。
299 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月31日(木)04時07分06秒
終演後、飯田は楽屋を訪れた。
既に梨華たちが来ている。

「カオリ」
保田は立ち上がった。
メンバーとふざけてたようだ。
「来て…くれたんだ」
「うん」
ふたりは俯いて、決まり悪そうに笑う。
「うわー。飯田さん、モデルみたい!」
柴田が声を上げた。
ミニスカートにロングブーツ。
飯田のスタイルだから、映えるファッションだった。
「カッケー!」
吉澤は意味もなく拳を突き上げた。
梨華も『ホント…』と言葉もなく見つめる。
「ホント…いいなぁ、スタイルよくって」
アヤカも溜息を漏らす。
「そう…?あるモン着ただけだよ…」
飯田は照れてまた俯いた。
「ねぇ、この後ステージの方で飲むんだけど…来る?」
しばらくして、保田は言った。
「…さっきのとこ?」
飯田は人差し指でドアの方を指した。同じ階に先程のステージがあるのだ。
「うん。ここ、アヤカの知り合いがやってるトコだから」
「うん。それじゃ、お邪魔しよっかな」
保田は頷いて、タバコを咥えた。
300 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月31日(木)04時15分55秒
あらかじめ買い込んでいた酒やつまみを開け、しばらくさっきのステージに座って
飲んでいた。
飯田やアヤカ、梨華、柴田は固まって話している。
後藤も途中から加わった。
「お、楽しそうだな!」
市井が輪に入ろうとすると、
「いちーちゃんは男子チームに行ってなよ」
と後藤におっぱわれた。
市井はしょげて、すごすごと退散する。
かわいそうだよー、とアヤカたちは苦笑した。

8人もいたので、酒はすぐ無くなった。
「んあ〜。もうビールが切れちゃった」
後藤はカラになった缶ビールを振る。
「じゃんけんしよーぜ、負けたら買出しな」
市井が言い出して、全員でじゃんけんする。
最後に飯田は、柴田にチョキで負けた。
「やった!」
グーの手を突き上げ、柴田は勝利のポーズを取る。
「あー!分かった、行ってくるよ。飯田圭織、ただいま行って参ります!」
笑って敬礼をし、飯田はライブハウスから出て行こうとする。
「ホラ、圭ちゃん!」
アヤカは保田の腕を叩いた。
「女の子にひとりで買出し行かす気?」
「あ、ああ…」
保田は慌てて立ち上がり、飯田の後を追った。

飯田と保田は、しばらくコンビニに向かって歩いていた。
信号に引っかかり、青に変わるのを並んで待つ。
「長いね」
飯田は言った。
「うん。ここ、長いのよ。いつも」
目の前を様々な車が過ぎていく。
301 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年10月31日(木)04時17分30秒
「あ」
飯田は小さく声を上げた。
「何?」
ホラ、と飯田は空のほうを指差した。
「月?」
「ウン。ホラ」
「?」
覚えてないの、と飯田は少し頬を膨らませた。
裕ちゃん家の焼肉の帰り、とまでヒントをもらい、保田はやっとああ、と納得する。
飯田に『キスしよっか』と言われて唇を重ねた。

「あの時も」
飯田は照れくさそうに頬を染める。
今夜と同じ下弦の月だった。
保田もついこの前のことなのに、懐かしい気持ちで月を見上げた。
保田は視線を戻した。
一瞬だけキスをする。
飯田は大きな目に涙をためて泣いていた。
「どしたのよ」
飯田はただ泣くばかりだ。
「圭ちゃんの」
すすり泣く音が混じる。
「うん」
「圭ちゃんのこと…すごく好きなのに、ノドにひっかかって出てこないよ」
「言ってるじゃん」
保田は優しく笑って飯田の肩を抱きしめた。
「違うの…もっと、言いたいこといっぱいあるのに」
「分かった」
保田は言った。
「続きはベッドで聞くわ」
耳元の囁きに、圭ちゃんのスケベ!と怒鳴る。

ふたりは顔を見合わせて笑う。
もう一度、信号が変わるのも構わずキスをした。
302 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年10月31日(木)04時27分01秒
更新しました。

(0^〜^)ノ<オイラ、梨華ちゃんのミニスカートも見たいYO!

( *^▽^)<ヤダ…恥ずかしいよ ヒトミチャンッタラ…
303 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月31日(木)08時54分00秒
レスポールですか? しぶいのを持ってきますね。w
こう言うスパイスと言うふりかけが有るとご飯が美味しくなります。

しっかし、どうやったらこんな雰囲気のある文章が書けるんですか?
教えてくらはい、うらやましいです。
304 名前:クロイツ 投稿日:2002年10月31日(木)16時24分54秒
飯田さんと保田さんのカップル、主導権は飯田さんが握っている模様ですわね(笑)。
でも、そんなヤッスーも素敵…!!

そして『男子チーム』(爆笑)。
ナイスです、ごっちん。
確かに男子チームです!!!
305 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年10月31日(木)18時42分23秒
男子チームは、やっぱりいちよしだけですか?
あぁ!!ヤッスーがいた!!

「おやじヤッスー」いいらサンを大事にせなあかんぞ〜
オイラん家もこんな時代があったな〜(遠い目)

306 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月31日(木)21時57分52秒
アヤカもいい子だな〜。
早くいい人が見つかるといいなぁ。
って、その前にいちーちゃん(w
307 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年11月01日(金)06時53分43秒
保田と飯田は、結局ライブハウスには戻らなかった。
そのまま、とあるホテルにチェックインした。

部屋に入ると、保田はルームキーをテーブルに置いて、飯田を抱きしめた。
飯田は少し驚いたが、
「圭ちゃん…」
抱きしめ返す。

飯田の帽子を取り、口づける。
そのまま、何度もキスを繰り返した。

「ゴメン…初めてでもないのに、シャレになんないくらいキてるわ」
素直な告白に、飯田は小さく吹き出す。
「何よ〜」
笑われた保田は、顔を上げて不平を述べる。
「あのね、ウチらこういうことすんの今日初めてじゃん?せめてもっとムードのあるコト言ってよ〜」
「…ごめん」
飯田は何も言わずに微笑んで、窓辺に近づいた。

「いやー、見事な夜景だねー」
「そうね…」
隣に保田も立つ。
「あ、あんなところにお月様が」
保田は目を凝らして、飯田の指差す空を見上げた。
ビルを見下ろすように、上空に小さく月が輝いていた。
「東京の月は照れ屋だねえ」
「…ハァ?」
また交信かよ、と保田は怪訝な顔をする。
「カオたちがいいコトするのを、恥ずかしくて見てらんないんだね」
保田はもう一度、飯田の背中に両腕を回した。
東京の夜を横目に、気が遠くなるようなキスをする。

「…しよっか?」
「…いいよ。カオ、シャワー浴びてきていい?」
「…うん」

月は、ひっそりと東京の夜を見下ろしていた。
308 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年11月01日(金)07時00分00秒
―――その頃

「…なっげー買物だなぁ」
市井は缶ビールのタブを開けて言った。
保田と飯田が買出しに行ったっきり、戻って来ない。
残りのメンバーは、残り少ない酒を、ちびちび飲んでいた。
ビールも、これで最後だ。
「んあ、帰ったのかもね。帰らないまでも、ふたりきりになれるトコ行ったのかも」
「…マジで!?」
ぎょっとする市井を見て、後藤は何を今更、というように
「いいじゃん、つき合ってんだし」
淡々と言った。
「いや…だって何も今日でなくっても」
市井はチラッとアヤカを見る。
アヤカには気づかれないように見たつもりだったが、
「恋人同士だもん。自然なことだよ」
彼女は気づいて、後藤と同じようなことを言った。
市井は戸惑ったが、アヤカはムリして言っているワケでもなさそうだった。
「圭ちゃんはずっとカオリが好きだったみたいだよ。圭ちゃん自身が気づいてなかっただけで」
後藤も頷いて言った。
「オマエは…いいのか?」
市井はじっと後藤を見た。
後藤は怪訝な顔で見返す。
「…何を?」
「だって…おめー、圭ちゃんに懐いてんじゃん」
「別にごとーは、圭ちゃんの彼女になりたいワケじゃないから関係ないよ。
ヘンないちーちゃん」
「そっか…」
市井は様々な気持ちを抱きながら、黙り込んでしまう。
後藤を好きだった保田。後藤を好きな自分。保田が好きなアヤカ。
『…も、ワケわかんね』
市井はヤケになって頭をかく。

309 名前:セプテンバー・ソング 投稿日:2002年11月01日(金)07時04分03秒
「あたしは、大丈夫だよ」
アヤカは何か吹っ切れたように笑顔だった。
「…くぅ〜!おめーはいいオンナだなー!アタシに好きなヤツがいなかったら、
速攻カノジョにすんのに!」
「ハハ、ありがと」
「んあ?いちーちゃん、好きな子、いるの?」
後藤の言葉に、市井はアヤカと真顔で見合った。
「ん、まあ…な」
「へー。どんな子?」
「どんなって…」
市井が答えあぐねていると、
「カワイイ子だよ」
アヤカはウィンクして言った。
「ほー。誰?」
「…自分で考えな」
市井は憮然と言い放った。
「ぶー!何でさぁ〜!」
後藤はご機嫌ななめになり、ツンとそっぽを向いてしまった。
市井はその後姿を見て苦笑する。

吉澤は壁に背をつけて座り、肩に梨華をもたれさせ飲んでいた。
梨華は赤い顔をして、眠ってしまったようだ。
時々、吉澤が肩を抱いてやっている。
「…ひとみちゃん」
寝言で梨華は吉澤の名前を呼ぶ。
吉澤は微笑んで、梨華の頬にキスしてやる。
「だー!なんじゃ、こりゃ!酢昆布だと?後藤!おめーだろ!!」
コンビニの袋の中を覗き、残り少ないつまみを探っていた市井は、酢昆布の袋を掲げた。
「んあ、そうだよ。何で分かったの?」
「つまみに昆布なんか買うのおめーぐらいだ!」
「おいしいのに」
後藤はブツブツ言い、酢昆布を市井の手から奪う。

アヤカはテーブルに突っ伏して眠ってしまった。
その向かいで、柴田も同じようにさっきからずっと寝ている。

『はぁ、圭ちゃんも罪なヤツだぜ』
市井は手にしてるビールをぐっと呷った。
310 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月01日(金)07時21分44秒
交信しました。

( ゜皿 ゜)<♪モーニングコーヒー ノモウヨ

レスのお礼です。

>ひとみんこさん
( ^▽^)<ひとみちゃん、レスポールってなに?
わたすのギター知識もここのいしかーさんといい勝負です。文章は自分ではヘタだと
思ってるんで、そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。

>クロイツさん
ヽ;^∀^ノ<アタシは女だっつーの!
ヤッスー、尻に敷かれてます。男子チームより女子チーム某メンバーのほうが
オヤジな罠。(その名はS田Aさん)でも、一番はヤッスーですけどね(w

>名無しかもん〜な!さん
( `.∀´)<男子って!こんなキュートなアタシをつかまえて!
男子チームで一番女らしいのはよっちぃでしょうか。まぁ、オヤジはヤッスーですけど。
いいらさんのことは大事にすると思います。今回何か彼女は焦ってますけど(w

>名無し読者さん
ヽ^∀^ノ<お互いがんがろうな、アヤカ!
アヤカをイヤな女にしない、ってのをテーマにして書き進めてたんで、正直
難しかったですね。そのうちヤッスーよりいい人が見つかることを祈って。
311 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月01日(金)08時33分57秒
・モーニングコーヒー

ねえ はずかしいわ
川*‘〜‘)||

ねえ うれしいのよ(してる)
キタァァ━━━━(* ゜皿 ゜)━━━━ァァァ!! 

あなたの言葉
「モーニングコーヒー飲もうよ 二人で」
(   *`.)

叱られたって かまわない
あなたについてゆくと決めた
なのに 急じゃ(こわい)
川@〜@)||

あぁ 泣いてるのは(トキメキ)
そう うれしいから(なのね)
私の想い(I love you I love you Forever)
川*´ー`)||

ねえ はずかしいわ(ドキドキ)
ねえ うなずくわよ(してる)
川*‘ー‘)||

あなたの言葉
「モーニングコーヒー飲もうよ 二人で」
(´*   )y−~~

(Non)「守ってやる」とか
(Non)「頼りにしてろよ」とか
(Non)本気でいってるの(Ah)
(* `.∀´)y−~~

(Love)勇気があるなら
(Love)連れ去ってくれればいい
(Love)私達の未来まで
(* ゜皿 ゜).。o( ♪ヽ( ゜皿 ゜)人(`.∀´ )ノ♪ )




312 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月01日(金)08時35分50秒
いろんな夢 話したね
川‘ー‘)||つ□□と(`.∀´ )

こんな愛しいはずのあなた
川*‘ー‘)||(´.∀` )Zzzz…

なのに なぜか
川;〜;)||

あぁ うなずけずに
そう 困らせたわ
私の想い(I love you I love you Forever)
川;〜;)||<川‘.▽‘)||? (`.∀´;)

あぁ 泣いてるのは(トキメキ)
川;〜;)||(`.∀´;)I love you !

そう うれしいから(なのね)
私の想い(I love you I love you Forever)
川;ー;)||(`.∀´ *)

ねえ はずかしいわ(ドキドキ)
ねえ うなずくわよ(してる)
川*‘ー‘)||(`.∀´ *)

あなたの言葉
「モーニングコーヒー飲もうよ 二人で」
川*‘ー‘).∀´ *)
313 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月01日(金)17時20分57秒
いいらサンとヤッスーの「モーコー」 笑かしていただきました。
ひとみんこさんへのレスで文章へたやと言ってましたが
そんなことありませんよ。がんがってくらさい。
314 名前:あおのり 投稿日:2002年11月01日(金)19時25分24秒
やすかおドロンで、打ち上げは遂にグダグダに(w
打ち上げ終了間近の寂しさ感がいい雰囲気ですた。
しかし隅っこで、よしいしはしっかりいちゃいちゃ
本題から外れますがここが自分的には一番萌えますた…スマソ
315 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月01日(金)19時59分46秒
ほっぺにちゅーで、「くは──────────!!!」と叫びまくりました。
いやんヨッスィー。けっこう大胆☆梨華ちゃん寝てるからでしょうか?
鈍感ごっちんもナイスです!!でもってヤッスー&かおりんラブラブも素敵…!!

尻に敷かれるヤッスーも好き…☆
それ以上に、可愛く寝てる梨華ちゃん大好き…☆
316 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月01日(金)23時32分45秒
「…しよっか?」
さりげなく言うやっすーしぶいやんけ!
大人のムードちゃうん、たならんな〜。

ごましゃん、なにを言ってるんですか、あーたが下手なら
あたしはどうなるんです?
恥ずかしゅーて、アナに入りたいですやん。
アナ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(恥)

@ノハ@
( `д´)<おまえ、あふぉやろ! アナちゅう言葉で、何、恥ずかしがっとんねん?
       このイロぼけが!
317 名前:オガマー 投稿日:2002年11月02日(土)05時19分33秒
嗚呼・・・この間あんなこと言ってたのに
これ読んでカオリにハマってきた…(爆

ヤッスーゴメンヨw
318 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月05日(火)15時08分55秒
市井視点で番外編をひとつ。

319 名前:風になりたい 投稿日:2002年11月05日(火)15時13分52秒
その日―――アタシはハラを立てながら、ライブが終わった後のステージで飲んでいた。

買出しに行った圭ちゃんが、カオリさんとどこかへフケた。

「―――たく、今頃ラブラブってか」
アタシは結局自分で買いに行ったビールを流し込む。
後藤は横で酢昆布を食べている。
コイツは何かあったら昆布だ。
それかピスタチオ。
「昆布は体にいいんだよ〜」
とよくパクついてる。
320 名前:風になりたい 投稿日:2002年11月05日(火)15時19分32秒

思えば。
初めて会った日も、昆布を食ってた。


―――あの日。
まだ4歳だったアタシは、母ちゃんに連れられて近所の後藤家に、
引越しの挨拶に行った。
東京の母方のじーさんが亡くなり、遺産として引き継いだ家に、一家ごと千葉から
越してきたのだ。

「ほら、紗耶香。ご挨拶なさい」
母ちゃんに促がされて、アタシはおずおずと
「あ、あの…いちーさやかです。よろしくおねがいします」
後藤の母さんに頭を下げた。
「アラ、お利口さんね!ホラ、真希。アンタも」
「んあ?」
おばさんの後ろから、なんかちっこいものが出てきた。

それは…。
唇はタラコで。
目は離れてて眠そうで。
何かに例えるなら…サカナだ。
今にも寝そうなところなど、まさに深海魚のようだ。
「こんにちわ、って言ってみな」
「んあ…こんにち、わ」
後藤は眠そうに言った。
手にはおやつ用の昆布。

それが、始まりだった。
321 名前:風になりたい 投稿日:2002年11月05日(火)15時21分48秒

それから。
後藤はどこへ行くのにも、
「いちーちゃん!いちーちゃん!」
とついてきた。
2つ下の後藤は、はっきり言って足手まといなこともあった。
アタシが何か新しい遊びを発見して、それが母ちゃんにバレたら
やっかいなものでも、
後藤は
「ごとーもいくよー!」
と、とてとてついてくる。
「ついてくんな!」
とおっぱらうと、
「…うえ、うわーん!いちーちゃんのはげー!」
と大きな声でワンワン泣く。
どーでもいいが、『はげ』って何だよ。
おまけにしっかりうちの母ちゃんにチクるので、アタシはいつも帰ったら母ちゃんに
ゲンコツをくらった。

後藤が4歳の年になったら、手をつないで一緒に幼稚園に通うようになった。
後藤は年少組、アタシは年長組。
3年保育のその園は様々な子供が来ていて、後藤は『年少組の眠り姫』の異名を取っていた。
322 名前:風になりたい 投稿日:2002年11月05日(火)15時23分45秒
そう。
後藤はいつでもどこでも眠った。
お遊戯の最中だろうが。メシの最中だろうが。
眠ければ寝る。
あきれたことに、砂場で遊んでる時にうとうとして、顔面から砂に突っ込んだ時にも
目を覚まさなかった。


「いやいや〜!ごとーもいちーちゃんといっしょに、しょうがっこういく〜!!」

アタシが小学校へ上がった年。
後藤は駄々をこねて周りのオトナを困らせた。
アタシがばーちゃんに買ってもらったランドセルを、後藤に見せに行った時だった。
「アンタはまだ早いのよ。ホラ、あと2回お正月が来たらランドセル買ったげるから」
おばさんは床でじったんばったん暴れる娘の腕をぐいっとつかんだ。
「うえ…ひっく。いちーちゃんはわるいこだから、わるいひとととりひきして、
じぶんだけしょうがっこうへいくんだ」
どんな人なんだ。
「真希、いい加減にしなさい。ごめんねー、さやちゃん。後で叱っておくから」
「ううん、いいの。おばちゃん」
アタシはサヨナラを言って、後藤家を後にした。
後藤は
「いちーちゃんのはげー!」
とまだ罵詈雑言を吐いておばさんにどつかれていた。
323 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月05日(火)15時40分54秒
更新しました。
タイトルはTHE BOOMの曲より。
ヽ^∀^ノ<♪天国じゃなくても〜

レスのお礼です。

>名無しかもん〜な!さん
( ´ Д `)<んあ〜、ありがとう〜
モーコーはギャグのつもりはなくてもギャグに(w 褒めて頂いてうれしゅうございます。
ありがとうございます。

>あおのりさん
( ´ Д `)<いちーちゃん、なに怒ってんだろ?
グダグダな雰囲気の中、ヤケで飲むのもまたオツだったりするのですが(w
ええ、バカップルは隅でしっかりいちゃついてますた。

>クロイツさん
(*´〜`0*)<梨華ちゃん、寝顔カワイイよほ…ヒーチャンコマッチャウ
ぷりぷり怒ってるいちーちゃんとの対比で出してみたんですが、意外に好評。
ヤッスー、いいらさんには頭上がんないでしょう。これから先も、きっと。

>ひとみんこさん
(  ´д`)<(…オバチャン、案外中学生やな。『キてる』って)
焦ってもそういう風に持ってけるのが年の功と言うべきか。褒められてちょっと
照れますたので、自分はケメコのいる例の店にでも逝きますかねえ。

>オガマーさん
( ゜皿 ゜)<ケイチャンニカッタ♪
ワタクシめも昔から不定期にいいらさんブームというのが起こるのです。
「ねえ、笑って」と全然笑ってない顔で言われた時にゃぁ、もう。

324 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月05日(火)21時17分32秒
はっははははははははははははははは!

はっはっ、腹が痛い!

ごちんの魚は分かりますが。

いちーちゃん、ハゲですか?
325 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月06日(水)17時07分47秒
ごっちん最高ー!!!!
『はげ発言』に、ここが学校だと言う事も忘れて大爆笑しました。
隣にいる友人が、引きまくってます。

 かわいいですね〜、眠り姫☆
なにげにちゃんとチクっちゃうミニごっちんを、私はものすごい勢いで抱きしめたい…!!!
素敵過ぎです!!
326 名前:風になりたい 投稿日:2002年11月07日(木)15時58分36秒
―――浅い夢から目覚める。

ライブハウスは静まり返っていた。
床のひんやりした感触に、もう夏がすっかり終わったことを実感する。
後藤は上着を体に掛けて眠っていた。
少しずれていたので、そっと掛け直してやる。

初めて会った時から。
気が遠くなるくらいの日々を過ごしてきた。

いつまでたってもコイツは子供で。
寝顔も無邪気なままだ。
いつからコイツを追いかけていたのか。
春の日も、夏の日も。
ずっとずっと、そばにいて。
まぶしいくらい、いい女になるのを、ずっとそばで見てきた―――。

ポケットからハイライトを取り出し、火をつけた。

―――オマエがこの先、誰を好きになっても。
アタシはきっと―――。
327 名前:風になりたい 投稿日:2002年11月07日(木)16時00分55秒
「う、うん…」
壁際から声がした。
石川だ。
「あ、おはようございます…」
「よう」
石川の隣で吉澤は、幸せそうな顔で眠っている。
ふたりはもたれかかって、寄り添うように寝ていたのだ。
「見せつけてくれるねぇ、たく」
ニヤニヤ笑って言うと、
「え、ええ。そんなつもりじゃぁ…」
石川は必死だ。
顔を真っ赤にして否定している。
「…んあ〜。いちーちゃぁぁん…」
思わず後藤の方を振り向くと、
「はげー…」
と、まったくもってイミフメイな寝言をぬかしやがった。
石川の顔を見ると、両手で口を押さえて、笑いをこらえてる。
…涙目になってやがる。
そんなにおかしいか。
「…ごっちん、かわいいですねぇ」
「…まあ、な」
「市井さんの宝物ですよね」
…何を言いやがるんだ、コイツは。
石川はニコニコ笑うと、口を開けて寝てる隣の吉澤の頬に、小さくキスして
また眠りについた。

「たからもの、ねぇ」
アタシは小さく笑うと、タバコの煙を大きく吐き出した。
328 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月07日(木)16時06分22秒
番外編はここまでです。
また機会があれば続きを、と考えております。

レスのお礼です。

>ひとみんこさん
ヽ;^∀^ノ<…ハゲて!
いちーちゃんは昔から、はげはげ言われてるのです。受けて頂いたようで嬉しいです。

>クロイツさん
( ´ Д `)<おばちゃ〜ん。いちーちゃんがまたなんかやらかしてるよぉ〜
いちーちゃん、こんな感じでチクられていたと思われ。学校だと誰が近くにいるか分かりませんな(w

329 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月07日(木)16時14分59秒
―――朝比奈女子高校

ある放課後。

『1年A組加護亜依さん、1年C組辻希美さん、紺野あさ美さん、至急生徒会室に
来てください』
校内放送を聞いた加護は、カバンを抱えて速攻帰ろうとする。
放課後の呼び出しもうざいものだが、呼び出した生徒の声が小川だというのも、
彼女の帰宅意欲を増進させた。

「あいぼーん♪」
教室を出ようとしたら、外の廊下に辻と紺野が迎えに来ていた。
「加護さん、一緒に行きましょう」
紺野はやんわり笑う。
穏やかではあるが、有無を言わせないものがある。
「行くれす〜♪」
「ウ、ウチは何も知らんで!何も…」
「出発れす〜♪」
「―――ヒトのハナシ聞けー!!」
辻は加護をずるずる引きずって、生徒会室へ向かう。
『…ご先祖サン、ウチをお守りください』
諦めきった加護は、カバンを抱えたまま生徒会室へ引きずられ、心の中で祈った。
330 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月07日(木)16時20分24秒
「やややや!ご苦労さん、ご苦労さん!」
生徒会室へ行くと、小川と新垣が待ち構えていた。
小川は何やら紙に書きつけており、新垣は衣装らしきものを机で揃えていた。
「どうもすみません、わざわざ来て頂いて」
3人に気づいた新垣は軽く頭を下げる。
「用は何なん?はよ帰りたいんやけど」
加護はめんどくさそーに小川のほうを向く。
「応援団の衣装をとりあえず渡すな。里沙」
小川に言われ、新垣は3人に、それぞれ衣装を手渡した。
「向こうの部屋で着てみてください。サイズは多分大丈夫だと思うんですが」
「へいっ。あいぼん、紺野ちゃん行くれす」
辻は真っ先に、生徒会室奥の小部屋に入って行った。
 
『うわ…コレ、ホンマに着んの?』
加護はためらいながら、衣装を手に取った。
他のふたりは特にためらうこともなく、楽しそうに着替えている。
心なしか、一瞬だけ紺野の動きが止まった気もするが。
『―――しゃーない。着替えよか』
加護は大きく、溜息をついた。


―――数分後。

着替え終えた3人は、そっとドアを開けて出てきた。
「―――キャァァァァ!加護さん、すっごいカワイイです〜!!」
加護ファンの新垣は黄色い声を上げる。
「…どーも」
加護はぶすっと答えた。
「お!おめー、ピンク似合うなー!」
小川も手放しに褒める。
加護はフードつきピンクの半袖カットソー、ピンクのホットパンツといういでたちだった。
カットソーはストライプで、胸元に『HAPPYはあとはあと7』と書かれていた。
331 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月07日(木)16時29分29秒
「わたくしは…ずいぶん露出の激しい衣装ですね」
紺野はヘソ出しキャミソールに、ホットパンツ。
サンバイザーもついている。
「ののは黄色のTシャツにジーンズれす。でも…おへそ出るれすね」
辻は楽しそうに自分のオナカをぽんぽん、と叩いた。
「サイズはどうですか?きつかったりしたら、すぐ直しますが」
新垣の申し出に、
「いや…大丈夫」
加護はげんなりと返した。
「わたくしもぴったりです…少し寒いですが」
紺野は自分をかばうように抱きしめ、少し震えた。
いくら屋内とはいえ、そろそろ10月である。
この格好では寒くて当然だ。
「ののも特に問題ないれす」
「そっか、そっか。んじゃ、明日から体育祭前日まで放課後に特訓な」
小川は腰に手を当て、満足そうに頷く。
「―――何のや?」
加護はイヤな予感が当たらないように、心の中で一縷の望みをかける。
「応援団♪」
小川は悪びれずニカッと笑った。
332 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月07日(木)16時35分34秒
「―――あの猪木アゴが!」

帰り道。
加護は頭から湯気を立てて怒っている。
電車の車内でつり革を掴み、物凄い勢いで窓を睨みつけている。
その横で辻は、
「まあまあ」とたしなめていた。
「明日から…忙しくなりますね」
紺野はふたりのほうを見て言った。
「へいっ。オナカがすきそうれす」
辻の一言に、紺野はおかしくて小さく笑った。
「―――があ〜!覚えてろよ、猪木!」
握りこぶしを震わせ、加護は背景に炎を背負う。
やっかいなことが増えるのが、何より彼女はイヤなのだ。
優等生だが、委員長をやったりするのは至極御免、というタイプである。
もっとも、今回のことは小川が絡んでいるのが主たる原因だが。
「それでは…また」
紺野が降りる駅に着き、彼女は軽く頭を下げ降りていった。
333 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月07日(木)16時44分15秒
『コレ、応援団で踊る曲ね』
生徒会室で、小川からハッピー7の「幸せビーム!好き好きビーム!」のMDを
渡された。
衣装もソレ用に揃えたようだ。
衣装を見た時からヤな予感がしたが、的中だ。
『「そうだ! We're ALIVE 」もやるからそのつもりで』
小川はさらっと言いのけた。

この学校の体育祭は、毎年赤組と青組に分かれて競技を行う。
加護たち赤組はハッピー7をやり、青組はカントリー娘。に石川梨華美(モーニング娘。)の
「恋人は心の応援団」だ。
そして赤青の応援団全員で「そうだ! We're ALIVE 」を踊り応援する。
『そんでこれが応援団の簡単なフォーメーション。詳しくは明日説明すっから』
と、加護たちが来るまでに書きつけていた紙を見せた。

「青も…楽しそうですね」
「へいっ。♪こんな私をまるごと愛して ファイッ!」
電車の中で辻と紺野は楽しそうに歌っていた。

『…ご先祖サン、守ってくれるんちゃうんかったん?』
ぐったりと、加護は電車のつり革をつかんだ。

「あいぼん、いつまでぐずってるんれすか?」
駅に降りて中澤家へ向かう道すがら、辻は加護の頬を人差し指で軽くつついた。
「別に…ぐずってへんわい」
「まあまあ、ののがそこのお店でフランクフルトおごってあげるれす」
「フランクフルトでごまかされるかい」
「いらないんれすか?」
「…いや、いる」
辻は『してやったり』というような笑いを浮かべた。

「熱々れすね。ホフホフ…」
「アンタ、カラシつけすぎ」
「あいぼんこそケチャップつけすぎれす」
熱々のところをかじりながら、ふたりは遠回りをして家路についた。
334 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月07日(木)16時58分44秒
更新しました。

タイトルは1944年の米映画『若草の頃』(原題:Meet Me in St. Louis)の
ナンバー、The Boy Next Door(となりの彼氏)をもじりました。


( ´D`)<映画では、ジュディー・ガーランドが隣に住んでる片想いの男の子を
       思って歌っているのれす。
       ちなみにこの映画の監督ヴィンセント・ミネリと
       ジュディー・ガーランドの間に生まれたのが、
       ライザ・ミネリなのれすよ。てへてへ

メル・トーメやシナトラなど男性歌手は、「The Girl Next Door」と変えて
歌ってるようです。




335 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月07日(木)17時08分34秒
紺野に高橋の衣装は危険すぎませんか?(萌尽きそうw

いつものことですが「猪木あご」って人の話ききませんね〜。
厨房メンはみんなか〜?(w

336 名前:あおのり 投稿日:2002年11月08日(金)01時25分51秒
あのあいぼんさまを向こうにまわして自分のペースで話を進めるとは
まこっちゃんいい性格してますなぁ。(w
やっぱり生徒会長はこれぐらい強引な性格をしていないと!
今後もあいぼんの天敵としてがんばってほしいです。
337 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月08日(金)13時52分03秒
ぐはー!!!
あいぼん・ののたん・こんこんが…ハッピー7…!!!
ぶほっ(鼻血噴射)!!
素敵…ああ、もう、超素敵…!!!
 そして、まこっちゃんよ。
 人の話を聞かないあなたが大好きです。
 これからも我が道を行って下さいませ。

続き、楽しみにしてます!!
338 名前:吉たまご 投稿日:2002年11月08日(金)14時59分54秒
パソコン持ってないので携帯で見てたんですが、携帯代がやばくて、いつからか見ることもままならない状態でしたが、学校のパソコンでロムってましたYo!
吉と梨華ちゃん、相変わらずラブラブでいいですね。
新章も始まったことだし、このまま突っ走ってもらいたいです。
早くディズニー行ってほすぃ…
339 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時13分52秒
「しんど…」

その週の金曜日。
辻と加護はよろけながら、駅前の道を歩いていた。
生徒会室で小川に、体育祭応援団の『放課後特訓』を言い渡されてから、筋肉痛の日々が続いている。
明日は、土曜日。
学校も休みだし、練習もない。
ゆっくり眠れる幸せに、ふたりは浸っていた。
「おなか空いたれすね〜」
辻はぐうぐう鳴るオナカを押さえて言った。
「もう7時や。帰ったらメシやな」
「へいっ。今日はハヤシライスだから、バリバリ食べるのれすっ」
「アンタ、ハヤシやのうても、バリバリ食うとるがなっ」
加護に軽くはたかれ、辻はえへへと笑う。

「♪何度か歩いた商店街〜」
加護はふんふんと口ずさみながら、惣菜屋の店先で揚げてるコロッケの香りに目を細める。
「…のの?」
辻の方を振り返る。
黙ってる彼女の視線の先を追うと、魚屋に飯田と保田がいた。
楽しそうに買物している。
夕飯を一緒に食べるのだろうか。
飯田が保田に何がいいか聞いてるようだった。
何でもいい、という保田に、飯田は笑いながらそんなメニューはない、と答える。

「のの、帰らへんの?」
加護に肩を叩かれ、辻ははっと我に返ったようだった。
「あ、あ。ごめんれす、帰りましょう」
笑顔を浮かべる。
『…ふむ。何かアヤシイ雲行きやな』
加護は心の中で呟いた。
340 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時15分08秒
「ののちゃん、もういいの?」
夕食で、辻はハヤシライスをおかわりしなかった。
梨華は皿を流しに持って行き、洗い物をする辻に、心配そうに声をかける。
「具合でも悪いんか?ゴハンもえらい少のうよそってたで」
裕子も辻の額に手を当てて言った。
辻がおかわりをしないなんて、初めてのことだ。
「今日のはまずかったんやろか?梨華が味付けしおったしな」
裕子の言葉に、梨華はひどぉい、と頬を膨らませる。
「そんなことないれすよ、すごくおいしかったれす。
ただ、のの、今日食欲ないんれす。ごめんれす」
辻はあくまで笑顔だった。
おやすみれす、と言うと、辻はそのまま台所から出て行った。
加護はちらっと視線を送ったが、また黙って食事に戻った。

「ののがおかわりしない?」
バイトから帰ってきた吉澤に、梨華は事の詳細を話した。
「そうなの。食欲ないって言って」
「ふうむ。風邪でも引いたんかね」
「ここんとこ、応援団の練習で遅かったし、疲れてたみたい」
「そっか。何ともないといいけどね」
吉澤はそう言って、席について遅い夕食をとった。
341 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時15分57秒
「のーの」
加護は辻の部屋のドアをノックした。
返事はない。
きっと起きているだろう、と彼女は確信した。
「辻くん、出てきたまえ。君は完全に包囲されている」
「…どうぞ」
しばらくたって、だるそうな返事が聞こえた。
「よう、景気はどうだい」
入って行くと、辻はベッドにつっぷしていた。
加護はベッドの脇に腰掛け、
「自分、ハラ空かへんの?あんなに少ない盛りで」
辻の背中を突付いて言った。
「…普段が食べすぎなんれす」
「よう分かってるやん。中澤はんらも心配してたで」
「……」
辻はそのまま黙ってしまう。

「オバチャンと飯田さんって」
辻の体が微かに動く。
「デキてるんやろな、やっぱし」
「…付き合ってるってよっすぃ〜が言ってたれす」
「へぇ、知ってたんや」
「聞いたときはそんなに驚かなかったれす」
「ふうん…実際目にしてショックを受けたと」
辻の右手が掛け布団を強く掴んだ。
やがてしゃくりあげるような音が漏れてくる。
加護は静かに立ち上がって、いったん出て行った。
また戻ってきた時には、ワインとグラスを手にしていた。
「…あいぼん?」
「失恋にはな」
加護はどかっと座って、瓶を床に置いた。
「酒や」
「酒、れすか」
辻は起き上がって、きょとんと加護の顔を見た。
342 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時16分38秒
「このワイン、どうしたんれすか」
苦心してコルクを抜き、グラスに注ぐ。
ラベルには、CHATEAU LATOURと書かれていた。
「夏に実家帰ったとき、こっそりオトンのワイン、ヘチってきたんや」
「ヘチる、ってなんれすか」
「パチる、ってこと」
「ああ」
辻は納得し、瓶を持ち上げる。
ラベルに書かれてる字を読もうと頑張る。
「チャ、シ…?…フランス語、分かんないれす」
「なんや知らんけど、オトンが特別な時に開ける言うとった」
「じゃ、大事なワインじゃないんれすか。いいんれしょうか」
「もう開けてもた」
「そうれすね」
とりあえず乾杯して、ふたりは喉に流し込んだ。
「…よく分からないれす」
「古すぎるんかな」
加護は首を傾げて、また瓶を持ち上げる。
「1990って書いてて…今年は2002年れすから、そのワインは12歳れす」
「まだまだ若造やな」
「そうれすね、まだ小学生れす」
また注いで飲み干す。
「…なんらか、いい気持ちになってきたれす」
辻はぽっと頬を染めた。
343 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時17分41秒
―――30分後

「ののの酒が飲めねーのれすか!」
辻は瓶を片手に、加護に絡んでいた。
すでに、顔は真っ赤だ。
「オマエは宴会で部下に絡む部長か!」
「つまみはどこれすか!」
「さっき柿ピー、全部食ったがな!」
「あいぼん、隠してるんしょ!ののにはおみとーしれす!」
辻はえっへんと胸を反らす。
『うわー、酒癖わるー。とんだとばっちりやワ』
加護は予想外の展開に、辟易していた。
向こうは何やら、ワケの分からない歌を歌い出した。

「なぁて」
歌がやんだ頃、加護はぼそっと言った。
「なんれすか」
「自分、どんくらい飯田さんのこと、好きやったん?」
辻は一瞬、真顔に戻る。
「そんなの、考えたことないれす」
「好きにも…色々あるやん?お姉ちゃんみたいな、とか。すべてが欲しい、とか」
「…ののは悪い子なのれす」
「へ?」
「いいらさんを独り占めして…オバチャン、ずるい、と思ったれす」
加護は
「…なんやー」
と苦笑する。
「それくらいで悪い子なら、世の中極悪人だらけや。安心せい、そんなん悪のうちにも入らんワ」
「…もっとイヤなことも考えたれす」
辻の声に、また涙が混じってきた。
「許す」
加護はぎゅっと辻を抱きしめる。
「ウチが許したる」
辻は声を上げてまた泣いた。
344 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時20分30秒
「うえ…ひっく。いいらさんのこと大好きなのに、こんなイヤなことを考えるんなら、
ののはもうひとを好きになるのはイヤなのれす」
「…ざけんな、ボケェ!」
加護の様子に、辻はビクッとなる。
「好きになったモンは、しょうがないんじゃぁ!」
「…あいぼん」
「…しょうがないんじゃぁ…」
加護は俯いて、もう1本あったワインをそばに引き寄せた。
「―――飲むぞ!」
宣言して、またコルクを開ける。

「にげーのれす」
「デキャンタしたらよかったんかな?」
「ドタキャンれすか?約束を破るのは、よくねーのれす」
「違うっちゅーに」

シャトー・ラフィット・ロートシルト1982年。購入時、1本7万9千円。
加護の父が、何よりも大切にしてるワインだった―――。


―――翌朝

「あいつら、どないしたんかいな」
裕子は、いつまでたっても朝食に現れない辻加護のことを気にしていた。
土曜の朝食は事前予約のみだが、ふたりとも予約している。
時計の針はそろそろ9時になろうとしている。
いつもなら、もう食べ終わってる頃だ。
「アタシ、見て来よか?」
たまたま用事があって来ていた保田が、椅子から立ち上がった。
「おう、頼むわ」
頷いて、まずは1階の辻の部屋に向かう。

「辻ー、入るわよー」
ドアをノックして、入って行く。
「―――ん?」
保田は一瞬、状況を把握できなかった。
「ア、アンタたち―――!!」
床に、辻と加護がマグロのように横たわっていた。
真っ赤な顔から、泥酔状態だとはっきり見てとれる。
何より酒くさい。
室内に酒くさい匂いが充満しており、保田は思わず窓を開けた。

345 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月09日(土)05時21分21秒
「たく!未成年のくせに!」
文句を言いながら床に転がってる酒瓶を拾う。
ラベルを目にして、元々大きな彼女の目が飛び出た。
「シャ、シャトー・ラトゥール90年!?」
もう1本手にする。
「がぁぁぁぁ!こっちはラフィットの82年じゃん!!」
こんな高いワインをコイツらは、コイツらは…!
最早彼女の怒りのポイントは、未成年の飲酒、というより、そちらの方にシフトされてた。
「…オバチャン?なんでおんの?」
のそっと加護が起き出した。
窓から差し込む光を認識したとたん、
「…あたたたた!」
両方のこめかみを押さえて、うずくまった。
「どうもこうも!何でこんなたっかいワイン飲んでんのよ、高校生の分際で!」
「それはまたおいおい話すワ…あ!っつ…!」
また激しい頭痛に顔をゆがめる。

保田は呆然とさっきの瓶をまた見る。
シャトー・ラトゥール90年、シャトー・ラフィット・ロートシルト82年。
総額20万9千円の二日酔いである―――。
346 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月09日(土)05時34分29秒
更新しました。

凸と(; `.∀´)ノ凸<ゴルァ!アタシだってまだ飲んだことないのよッ!

レスのお礼です。

>335 名前 : 名無しかもん〜な!さん
(  ´д`)<そうやねん、ホンマヒトの話、聞かへんねん
あれこれ考えて、紺野先生に高橋衣装を着て頂く事にしますた。萌えてください(w

>あおのりさん
( ´D`)<小川しゃんは生徒会長ではないのれす。クラブでは副部長れす
でも多分、生徒会長より態度デカイと思います(w1年なのに、応援団仕切ってるし。

>クロイツさん
(; ´D`)つ□<と、とりあえずこれで鼻血押さえてくらさい!
小川ってそんなに人の話聞いてないかなと読み返したら、ホントに聞いてないですね(苦笑

>吉たまごさん
(0^〜^)<ROMってくれてて、うれすぃ〜!
おヒサスブリです。お金を遣わせてしまってたんですね。申し訳ないです。
347 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月09日(土)14時45分45秒
・中間テスト

朝比奈女子中学3年B組教室・社会のテスト中―――

      カリカリカリ…
゛φ(・e・ )       

( ・e・)つ□←次の問いに答えなさい。第3問:次の人物は誰か(ペリーの肖像画)

( ・e・)<(…えーと。このひと誰だっけ)

(; ・e・)<(あ、あれ?ホントに分かんない)

  カリカリ…
(; -e-)<(も、いいや。時間ないし…)


問3〔ピン・チャポー〕

          
∬∬;`▽´)つ□<誰だよ、ピン・チャポーて!(; -e-)<…まこっちゃんに言われたくない

――― 中澤家

(; ^▽^)□と(^〜^0)<梨華ちゃんの恐竜、めちゃ楽しそう!ピキピキマーク、カッケー!←昔の理科のテストを見せた(自由問題:恐竜は何故滅びたか)




348 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月09日(土)16時59分05秒
総額20万9千円の二日酔いですか・・・なんと勿体無い(w

落ち込むののに酒をだすなんて、あいぼんさん男気あふれてますね!!
349 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月09日(土)17時00分11秒
@ノハ@
( `д´)<おとんのワインセラーに同んなじもん、よおけ有ったで?

あいぼんの実家はお金持ちなんでしょうか?

82年は葡萄系ビンテージの年ですね、飲んでみたい。
350 名前:あおのり 投稿日:2002年11月10日(日)00時11分37秒
あわあわ!まこっちゃんのこと生徒会長だと間違えてました。
申し訳ありません…
たっかいワインがぶ飲み二日酔いのちびっ子二人に代わって
やっすーにしばかれてきます。
351 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月11日(月)14時58分04秒
ののたん、ティッシュありがとう…。
酔っ払い辻加護、ナイスです!!酒の価値を知らずに飲む…お子様の特権なのれす。
大人になると、よけーな知識が増えてしまうものなのれす。
 と、ゆーワケで、ののたんとあいぼんは『正しい未成年の飲酒』の見本を見せてくれたのれす。

だからヤッスー。
怒っちゃダメダメ☆

続きも期待しております!!
352 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月11日(月)21時20分50秒
「うわ…アイタタ!」
加護は寝巻きに着替え、2階の洗面所で傷むこめかみを押さえた。
ひどい二日酔いなので、部屋でおとなしくしておけと裕子や保田に言い渡された。
梨華から頭痛薬をもらい、辻とふたりで飲む。
辻もふらふらになって、ベッドで呻いていた。

『ああー。めっちゃだるいし、眠いし。かなわんワ』
お団子頭をほどいて髪を下ろし、軽くブラッシングすると、寝床に入った。

『いいらさんのこと大好きなのに、こんなイヤなことを考えるんなら、ののはもう
ひとを好きになるのはイヤなのれす』
ゆうべ、辻は泣きながらそう言った。
天井を見つめながら、加護はぼんやりとそのことを思い出していた。
『ののの‘好き’はホンマにキレイやなぁ』
自分は到底そうなれない、と加護は思う。
『ほれた、はれたってのはキレイなだけではすまへんねん。いっぱいイヤなことも
通らなアカン。
もしかしたら、ほれてるってのも勘違いかもしれへんのに…』
それでも、辻に近づいてる気持ちは確かにある。
いつからかは分からないが。
『やっかいなんに…入れ込んでもたなぁ』
加護は目を閉じて、夢の中に入って行った。

353 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月11日(月)21時24分42秒
再び目を覚ますと、4時過ぎだった。
『うわぁ、1日なんもせんと寝てもた』
枕元の時計を掴んで、加護はぐったりとする。
だるさは残るが、薬が効いたのか頭痛はやんでいる。
加護は着替えると、洗濯物を持って1階にに下りた。
洗濯機に衣類を放り込み、辻の部屋に行く。

「ののー、具合はどうや」
「…オナカへったのれす」
「いきなりそこかい」
「…だって、朝ごはんしか食べてないんれすよ?はぁ、おやつも今日は食べてないれす…」
その言葉を裏付けるように、ぐぅっと辻のオナカが鳴った。
「晩飯の買出しにでも行くか。今日は自炊やし」
「へいっ。はぁ、オナカ空いたれす…」
のろのろと起き上がり、彼女は着替えだした。

―――中澤ハイツ

『もしかしたら、いらっしゃらないかもしれないけど』
アヤカは平家の家のインターフォンを押した。
この前、世話になったお礼にスパークリングワインを持って訪れていた。
『やっぱり、いないみたい…ドアのところに紙袋ごと下げておこうかな。メモを入れて』
カバンからメモを取り出し、ペンでメッセージを認めていた。
「あれ?アヤカちゃん、やったよな?」
ちょうど、そこへ平家が帰って来た。
「あ、平家さん。すみません」
「いや、どないしたん。今日は?」
「あの、これ…。この前のお礼です」
アヤカは袋を手渡した。
「エエのに、そんなん」
「いえ、あたし…嬉しかったんです。物でお返しするのもあれかと思ったんですけど、
他に思いつかなくって」
354 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月11日(月)21時27分57秒
「そっか…そんじゃ、ありがたく受け取っておこかな。おおきに」
「はい、それじゃ。あの…」
「ん?」
「平家さんってもしかして…歌手の平家みちよさんですか?」
「ハハ、正体がバレたか」
平家は楽しそうに笑う。
「いえ。あたし、帰ってから気がついて。色々失礼しました」
「ん。またおいでな」
「ありがとうございます」
アヤカが帰るのを見送って、平家は紙袋の中を覗いた。
「ふむ、トスティ・ロゼ か。姐さんと一杯やるかな」
つまみがあらへんな、と言い、平家はそのまま買物に向かった。

「ホンマにそんなんできるんかぁ?」
加護はなめこと里芋でグラタンを作る、と言い張る辻に、信用ならん、という視線を
向けていた。
ふたりは買物をすまし、堤防を歩いていた。
「できるれす!そんなの言うんだったら、死ぬほどうまいグラタンができても、
あげないれすよ!」
スーパーの袋の中を見せて、ややおかんむりな様子の辻だった。
「あ!」
加護は立ち止まって声を上げた。
355 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月11日(月)21時31分15秒
「なんれすか」
「銀行で金、下ろすん、忘れてた!のの、先帰っててくれ。速攻下ろして来る」
「いいれすよ。ここで待ってるれす」
「スマン。ほな、行ってくるワ!」
加護が行ってしまうと、辻はよいしょ、と堤防に腰を下ろす。
「…あーあ。夕陽はでっかいれすねぇ」
空の向かうの太陽は、世界の隅々まで赤く染めていた。
「ののはホントにちっちゃいれす」

『ウチが許したる』
加護はそう言って、泣きじゃくる自分を抱きしめてくれた。
『あいぼんは…オトナれす。それに比べてのの、ホントにコドモなのれす…』
俯いて下の芝生を手で弄くっていると、人影が近づいてきた。
きょろきょろと辺りを見渡している。
誰かを探しているのか。道に迷ったのか。
「お姉さん、どうしたんれすか」
辻は思い切って声をかけた。
その女性は、
「あ、あのね。近道しようとしたら迷っちゃって。駅はどっちのほうなのかな?」
照れくさそうに笑って言った。
辻は立ち上がって、道を説明してやる。

「どうもありがとう。あなたは、この辺りに住んでるの?」
「へいっ。3丁目で下宿してるのれす」
「3丁目…?あの…同じ下宿によっすぃ〜って女の子、いる?」
「あれー。よっすぃ〜のお友達れすかー」
「うん、同じバンドに入ってるの。あ、あたしはアヤカ。木村アヤカ」
よろしく、とそのひとは笑顔で片手を差し出した。
「ののは、辻希美れす。よろしくれす」
綺麗なお姉さんに、辻はちょっと嬉しくなった。
356 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月11日(月)21時49分11秒
更新しました。
( `◇´)つ凸<律儀なねえさんや!感心、感心

レスのお礼です。

>名無しかもん〜な!さん
( ´D`)<あいぼん、オトコマエなのれす!
どれだけ高いモンか、ふたりはきっと分かってないと思われ。
前回のレス返にコピペの消し忘れが残ってますた。失礼しました。

>ひとみんこさん
( ´D`)<あいぼんのおうちは、ホームシアターがあったのれす
何気にお金持ちです。豪邸とまでもいかなくとも、でかい家なのれす。
ペトリュスの82年は30万するそうです。聞いて気が遠くなりますた。

>あおのりさん
( ´D`)<代わりにオバチャンにしばかれるなんて、いいひとなのれす
私も自分で書いてて、たまに設定を忘れてるので、どうぞお気になさらず。
でも、近い将来会長になりそうですね、あのままいくと。

>クロイツさん
( ´D`)<あいぼんのおうちは、いろんなお酒があったのれす
高いからうまいとも思わないですが…一度飲んでみたいです(w
ビンテージワインを所蔵する、ナゾの金持ち加護家。
 





357 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月11日(月)22時27分31秒
キレイな「スキ」遠い昔に言っていた記憶があるな〜
あいぼんさん思い出させてくれてありやとー(w
358 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月12日(火)14時18分58秒
きれいなおねーさんに嬉しくなるののたん。
サイコーです。

今回もあいぼんとののたんは…素敵でした…!!!
二人でお買い物風景を思い浮かべているだけで、忍び笑いがとまりません!!
うくくくく…かわええ!!!

次回も、楽しみにしてます!!

P.S.
 ポッキー&プリッツの日、友人に石ヲタである事を大暴露しました☆
 なんか受け入れてくれたみたいでハッピー!!
 そして、友人と分け合ってムースポッキーを食べました。
 メンズポッキーが良いと言ったら、断られました。…くすん。
359 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月12日(火)20時17分25秒
辻とアヤカは堤防に並んで腰掛け、話をした。

「ののは、好きなひとがいたんれす」
ある程度、自分の身の上話のようなことをお互い言い尽くすと、辻はぽつんと言った。
飯田のことから昨日の二日酔いのことまで、ぽつぽつと話す。

「そっかぁ」
アヤカは自分と似た境遇の辻に、心から共感するのだった。
「カオリさん、ステキだもんね」
「へいっ。ののもオトナになったら、いいらさんみたいになりたいのれす」
「なれるよ」
アヤカは辻の目を見て、強く頷いた。
「そうれすかねぇ」
「うん。なれるよ、きっと」
ののー、と少女の声が聞こえた。
「あ、あいぼーん!」
辻は立ち上がって手を振る。
アヤカも立って、スカートの後ろを軽く払った。
「それじゃあね、ののちゃん」
「へいっ。どうもありがとれす」
アヤカと目が合った加護は、『どっかで見たねーちゃんやな』と思いながら、
軽く頭を下げた。
ふたりに向かって、アヤカは手を振る。
「あいぼん、おそいれすー」
「しゃーないやん。ATMの操作分からへん、どっかのばーさんに付き合って
やり方教えてたんやから」
遠ざかる小さい影を見送り、アヤカは微笑んだ。
360 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月12日(火)20時22分33秒
―――中澤家

「どうれすか?」
台所で、エプロン姿の辻は、自信満々で胸を反らす。
なめこと里芋でホワイトソースのグラタンを作り、加護に食べさせていた。
「う、うまい…」
散々バカにしていたが、想像以上のうまさだった。
「ホラー、だから言ったじゃないれすかぁ♪」
加護を負かしたことに、辻は大いに満足する。
「ごめんなさい、のの様、って言ったら、デザートあげるれす」
できあがったばかりのカスタードプリンを、わざわざ加護の目の前にちらつかせ、
辻はふふん、と笑う。
『くっ…言葉責めかい』
屈辱を味わいながら、加護は
「…ゴメンナサイ。もー言いません。プリンください」
絞り出すように声を出した。
「のの様、を忘れてるれす」
「のの様、おねげーしますだ。娘のおみつだけはどうぞ、ご勘弁を」
「時代劇になってるれす」
「越後屋、そちも悪よのう」
わーっはっはっはと笑い、加護は素早くプリンを奪う。
「あ!ずるいれす!」
「ずるくないですよーだ!」
「も〜う!あいぼん、キライれす〜!」
またまたどったんばったんと、台所で暴れるふたりだった。

「なんや、ちびっこらがまた台所でほたえとるで」
居間で裕子と飲んでいた平家は、台所のほうを振り返って言った。
「ほっとけ、ほっとけ。そのうち飽きるやろ」
「そやな」
ふたりは、アヤカが持って来たスパークリングワインに舌鼓を打った。
361 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月12日(火)20時23分46秒
―――石川視点

「さて、今日はここまでにしようかな」
あたしは、まこっちゃんの家にカテキョに来ていた。
「うあ〜!今日もよく勉強したぁ〜!」
まこっちゃんは椅子に座ったまま、大きく伸びをする。
「先生、週末なのにデートとかしないの」
率直な質問に苦笑いする。
「う、うん。来週は」
「え、来週すんの?どこ行くの?」
「あ、その…ディズニーシー」
「いいなぁ〜!アタシも行きた〜い!」
「あ、おみやげ買ってくるよ。何がいい?」
「う〜ん。そうだなー」
まこっちゃんはふと思いついたように、
「先生、泊りがけで行くの?」
核心を突く質問をしてきた。
「あ、うん…そう」
「カ・ノ・ジョと?」
わざわざ顔を寄せて言い、まこっちゃんはニヤニヤ笑う。
「や、やだ…そんな」
この前、あたしはまこっちゃんに散々せがまれて、ひとみちゃんと一緒に撮った
プリクラを見せた。
『へ〜。先生、面食いなんだ〜』なんて言ってたけど。
「ね、どこまで進んでんの?」
「まこっちゃん、オトナをからかうのはよくないよ」
「とか言いながら先生真っ赤だしぃ」
これだもんなー。
あたしはぽっぽと火照る頬を押さえ、熱を鎮めるようにジュースを飲んだ。
「でも、おんなじ家に住んでんなら、なんかあっても不思議じゃないんじゃ?」
まこっちゃんの言葉に、あたしはストローを持ったまま固まった。
ひとみちゃん…奥手だからなぁ。
キレイすぎて、何もできないというか。
ああ、でも。ひとみちゃんが言い出すのを待ってたら、一生何もない気がする。
「…そうだよね。何かあって当たり前だよね」
残りのジュースを飲み干して、あたしは小さく溜息をついた。
362 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月12日(火)20時41分14秒
更新しました。
                      ネガ…
∬∬`▽´)<先生、何ヘコんでんの? (´▽` )<ん、ちょっとね…(ハァ、ひとみちゃん…)

蛇足ですが、「ほたえる」は「(子供なんかが)ふざけてはしゃいだり、暴れたりする」って
ことです。

レスのお礼です。

>名無しかもん〜な!さん

( `◇´)<色々経験して大人になるんやろな

その時期にいる時は、なかなか気づかないもんなんですけどね。
加護のも、形は違えどキレイなんです。思春期なふたりって感じですかね。

>クロイツさん

( *´D`)<アヤカさんもきれいなのれす。てへてへ

何か子供の頃って綺麗なお姉さんに憧れたりしたなー、と思いますた。
石ヲタカミングアウト成功、おめでとうございます。私は墓場まで持って行きます、多分(苦笑




363 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月12日(火)22時46分23秒
梨華ちゃん可愛い…!!
中学生にからかわれる…そんなアナタが大好きだ!!!
いしよしディズニーシー…楽しみ過ぎるっ!!

見所たくさんで、もう目が離せません!!!
364 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月12日(火)23時14分35秒
いしかーさんも期待してることだし
ヨッスィーなんとかしたれよ。(w



365 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月13日(水)08時23分09秒

そーですチャミさま、オクテひーさまなんか待ってちゃいけません。
がんがん攻めてください、迫ってください、押し倒してください。
366 名前:わく 投稿日:2002年11月13日(水)11時33分11秒
ディズニーシー・・・・ドキドキ・・・・
梨華ちゃんの願い、叶うのか?!ぜひぜひがんがってほすぃ〜〜☆彡
367 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月14日(木)00時03分19秒
―――石川視点

次の日。
あたしは柴ちゃんと一緒に渋谷へ出かけた。
柴ちゃんが服を見たいというので、109に行ったりする。

「梨華ちゃん」
柴ちゃん行きつきのお店で、秋物のカットソーを見てるときだった。
すぐそばでスカートを見てた柴ちゃんが、何気なく声をかけてきた。
「ん〜?」
「ディズニーシー、来週なんだよねぇ。泊りがけで行くんだっけ?」
「そう」
「記念すべき初夜だね」
服を広げたまま、思わず柴ちゃんのほうを振り返ってしまった。
「しょ、初夜って…」
柴ちゃん…こんなところで恥ずかしいよぉ。
「まぁ、がんばんなね。て、ヨシコだよねぇ。問題は」
「…ウン」
思い続けてやっと振り向いてくれたけど。
ひとみちゃんは相変わらずニブくって。
家だとなかなかそういうことをするのはためらいがあり。
キスをするのも、ひとみちゃんはすごい照れ屋なので、なかなかままならない。


「ディズニーシーで遊んで、その夜ホテルで…最高のシチュエーションじゃん」
お茶しようと入ったカフェで、柴ちゃんはニヤニヤしながら言った。
「うん、まあね…」
「何?浮かない顔して」
「イヤ…ホラ、あたし、またお酒で失敗しないかなって」

368 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月14日(木)00時04分49秒
夏に逗子にみんなで旅行した時、あたしは飲みすぎてワケが分からなくなり、酔った勢いで
ひとみちゃんに迫ったらしい。
自分ではあんまり記憶がないんだけど…。
微かに、暗闇の中、豆球のオレンジの光に照らされた、ひとみちゃんの白い肌とか…。
唇の熱い感触、体の熱とか…断片的に覚えてる。
ああ、どうしてあんなことしたんだろ。
ひとみちゃん、優しいから許してくれたようなものの。
今度こそは、失敗しないようにしなきゃ。
「あのさ」
あたしはもじもじしながら切り出した。
「何?」
「柴ちゃんは…その、マサオさんと」
「最初にえっちしたのはいつかって?」
あたしとは対照的に、事も無げに言った。
柴ちゃんはうらやましいくらい、ためらいがない。
なさすぎて、たまに引いてしまう時もあるけど。
「えっと…マサオが上京してからだから、ゴールデンウィークの時だったかな」
「え、今年の?」
「そう。マサオの部屋でね」
柴ちゃんはちょっと照れたように、カフェオレに口をつけた。
マサオさんの部屋って…いつかひとみちゃんとかと泊まったあの部屋だよね。
思い出して、今の柴ちゃんの話と重ねて何故だか赤くなった。
「あ、コイツ。えっちなこと考えたなぁ〜?あの部屋思い出して。やーい!」
図星だったので、ますます赤くなった。
「ハハ。まぁ、お互い初めてでもなかったけどねぇ。やっぱし最初はアガるもんでさぁ、ダンナ」
「そっか…」
「ヨシコは初めてなんだよねぇ。最初はおねーさんが優しくリードしてあげなよ」
「リリリリ、リード!?」
369 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月14日(木)00時06分07秒
「何もそんなベタに驚かなくったって」
「だだだだ、だって…」
あたしは俯いて、自分の足元を見た。
「大丈夫、大丈夫。あんなの、いざおっぱじめたら、なんとかなるもんなんだから」
おっぱじめるって…。
柴ちゃんは肝が据わってるというか…動じないひとだなぁ。
「柴ちゃんは何とかなったの?」
素朴な疑問を口にすると、何故だか視線が泳いだ。
「あ、いや、その、まぁ、そのへんのことは…ハハハ」
「…ならなかったんだね?」
「…ウン」
柴ちゃんも俯いて、自分の足元を見てた。
「いや、最初はさぁ。タイミングが合わないっつーか。お互いどういうのがツボかとか、
全然分かんないでやるじゃん」
柴ちゃんは苦笑いしながら、カフェオレのカップをスプーンでかき混ぜた。
「そうだね。分かんないね」
なんか柴ちゃんが可愛くて、微笑ましい。
「まぁ、今はどーにかなってるけどね。でもまぁ、今も試行錯誤かねぇ」
「そっか。なんか、いいね。そういうの」
「そうそう。だから梨華ちゃんもヨシコのツボを開発してあげなよ」
「やだ、もう〜」
軽く彼女を叩いて、冷めかけた紅茶を飲む。
「ててて…まぁ、とりあえず。何かあったらいいカモ、くらいに思っといたら?力みすぎると
こういうのってたいてー空回りするし」
「うん、そうだね」
柴ちゃんの言葉に頷く。
その後は、ディズニーシーの見所とかの話をして盛り上がった。
370 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月14日(木)00時18分58秒
更新しました。

川σ_σ|| <無事すんだら知らせてはあとはあと祝電打つから(^▽^ ;)<祝電って…

レスのお礼です。

>クロイツさん
( ^▽^)<まこっちゃんは高校生ですよ〜
中学生はここでは( ・e・)だけだったりします。ディズニーシー、いよいよです。多分。

>名無しかもん〜な!さん
川σ_σ||<ここは梨華ちゃんがひとつ年上の貫禄を見せないと♪
どっちもヘタレですからねぇ(ニガワラ よっちぃもがんがってくれたらいいんですが。

>ひとみんこさん
川σ_σ||<そうそ。梨華ちゃんがガンガン押さないと♪
いしかーさんが、清水の舞台から飛び降りるくらいの勇気を持てばいいんでしょうかね。

>わくさん
( *^▽^)<(ドキドキ…)
ドキドキ(?)のディズニーシー篇、お楽しみに。いしかーの願い、叶うのか?!
371 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月14日(木)11時42分20秒
いしかーさん「あんなの」は
柴ちゃんの言うとおりなんとかなるさ(w
372 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月14日(木)13時28分38秒
ぬぉっ!いよいよディズニーシーですな。
しょ・初夜はいかに!?
夜が綺麗なんですよねぇ、シーは。
記念すべき旅行になるよう、祈っております(w
373 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月14日(木)19時09分44秒
…すみません。ナチュラルに間違えてました…(汗)
そーだそーだ。あいぼん・ののたん・こんこんと同じ、高校生だったんですよね(汗)
ごめんよまこっちゃんー!!!

そして初夜!!
大胆に語る柴ちゃんに惚れそう…!!!
がんばれよしこー!!期待してますわよー!!!
374 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)00時13分11秒
―――朝比奈女子高校体育館。

「よーし。今日はここまでー」
放課後。
体育祭の応援団の練習が終わり、メンバーは一斉にぞろぞろと引き上げる。
「暑いれす〜」
辻は汗だくで、首にかけてるタオルで顔を拭う。
「シャワーを…浴びましょう。汗が冷えると風邪を引きます」
紺野もタオルで自分の顔や首筋を拭った。
「へいっ。シャワールームに行くれす。ホラ、あいぼんも」
「ああ」
加護はめんどくさそうに返事し、ダラダラふたりの後をついて行った。

体育館のシャワールームは、既に先客でいっぱいだった。
5分ほど待ってるといくつか空いたので、さっさと浴びに行く。
「う〜。いい気持ちれす〜」
辻は栓をひねり、仕切り壁の向こうの紺野に
「いい湯れすね」
と、まるで銭湯客のように声をかけた。
「ハイ、とても」
紺野は可笑しくて少し笑った。
加護は黙ってさっさと浴び、さっさと出て行く。

「お」
ロッカールームに行くと、同じくシャワーの済んだ小川が制服に着替えていた。
加護に気づいて、顔を上げる。
「よう、お疲れ〜」
「ああ、お疲れさん」
体に巻いたバスタオルを取り、加護も着替え始める。
「ギャハハ!紺野ちゃん、おかしーれす〜!」
「完璧です」
そこへ辻と紺野もやって来る。
「よう。おふたりさん。お疲れさん」
「あ。まこっちゃん、お疲れさまなのれす」
「お疲れさまです」
加護は3人が話す横で、黙って着替える。
375 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)00時18分05秒
「ウオ」
小川が急に加護に目を向けた。
「おめー…乳、でけーなー」
いままさにブラのホックを留めようと背中に両腕を回していた加護は、そのままの姿勢で
固まってしまった。
顔に縦線も入っている。
「へいっ。あいぼんは巨乳なのれすっ」
辻は悪気なくてへてへ笑う。
「うらやましい…です」
「て!おめーも巨乳だろっ、紺野!」
すかさずツッコむ小川。
「ハイ、完璧ですっ」
ぎゃはははは、とロッカールームに笑い声が響く。
『も、ウチ…家帰って布団かぶって寝たい』
加護はげんなりと、制服のカッターシャツに袖を通した。

その後、小川が『ラーメン食いに行こうぜ』と提案し、
「わー!行くれす!行くれす!」
「ラーメンには…うるさいですよ」
と、辻と紺野は盛り上がる。
加護は帰りたかったが、イヤイヤつき合わされることになった。
「ラーメンの味は…店のたたずまいとあるじの目の光で決まります」
道すがら、紺野は独自のラーメン道を披露する。
「へー。アタシなんかうまかったらそれでいいけどなー」
小川は感心したように言う。
「美味しい店のはスープもさることながら、麺にもこだわりがあるはずです。
スープ、麺、具。それらが渾然一体となって初めて『おいしいラーメン』と呼ばれるラーメンに
なるのです」
やたらと熱を入れる紺野。手はグーである。
376 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)00時18分57秒
ココ、ココ」
小川が指さしたのは、一見普通のラーメン屋だった。
「へー。こんなとこにこんな店あったんやなー」
加護は店の看板を見上げて言った。
学校から駅までいつも通るところとは、反対側にあるので知らなかった。
「―――ム!」
紺野は何か感じたようで、ざりっと一歩後ずさりする。
「も、なんでもエエやん。中入ろうな」
イヤイヤついてきた割には、加護はハラを押さえて言う。
何だかんだ言っても、練習で空腹なのだ。

「そうれすね。ののもオナカ空いたれす〜♪」
「おう!入ろうぜぃ〜!」
加護たちはのれんをくぐって、次々店に入って行く。
『どうしてみんな気づかないの!?ココがどれほどの“隠れた名店”か―――!!』
本能でソレを察知した紺野。
心の中でひとり叫ぶ。
制服の襟元を正し、コホンとひとつ咳払いをするとガラガラと戸を開けて入って行った。

「ハイ、らっしゃーい」
カウンターで親父が声をかける。
「どこでも空いてるトコ座ってね」
『ム!できる!!』
紺野は心のラーメン道メモに『店・親父合格』と記す。
『一見普通の中年男性だが、目に輝きアリ。スープも匂いですでに合格ライン』
ちなみにこれは備考欄のコメントである。
377 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)00時20分21秒

「なんにしよっかなー。あ、ワンタンメンなんかもいいかなー」
テーブル席に着き、めいめい注文するものを決める。
「わたくしは…塩ラーメンで」
「ののはコーンバターラーメン大盛りれす〜♪おじさん、チャーシューも追加で増やしてくらさ〜い」
「ウチは醤油でエエわ」
「んじゃ、アタシ、タンメン。あ、ギョーザ取ってみんなで分けよーぜ!
おじさん、ギョーザも2人前ね!」
「はい、ちょっと待っててね」

運ばれてきたラーメンに、一同は早速割り箸を割って舌鼓を打つ。
紺野以外はズルズルと麺を啜りだす。
彼女はまずスープをレンゲですくい、味わう。
「あー、ウメー!キャベツがシャキシャキしてうめーなー!」
小川は満足そうに言う。
ダシがどうのとか、まるで考えないタイプである。
単純にうまければいいらしい。
「あいぼん、おいしいれすね〜」
「うん、イケるワ。チャーシューもエエ感じや」
辻加護も頷き合ってズルズル啜る。
「そういや紺野。おめー、札幌に昔住んでたんだっけ」
小川がふと思い出したように言った。
「あ、ハイ…東京に越してくるまでいました」
「やっぱ向こうってラーメンうめーの?」
「そうですね…東京のもおいしいですけど、向こうは麺が違うっていうか」
「へー、そうなんだ。あーあー、アタシも北海道行きてーなー!」
「キレイなところですよ…特に冬は雪がキレイです」
紺野は優しく笑う。
378 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)00時22分27秒
「何や寒そうやなー。ウチは寒いのはカナン。実家だけで充分や」
加護は寒そうにブルルッと身を震わせる。
「加護さんは奈良でしたよね。奈良は盆地ですものね」
加護のほうを見て、紺野は言った。
「おう、奈良の冬の寒さはハンパやないで!」
『お母ちゃん…“寒い時にはぬくいカッコせなアカンで”ってよう言うてたっけ』
加護は亡くなった母を思い出し、少ししんみりした。

『ごめんな、お母ちゃん。最近思い出す回数確実に減ってるワ。薄情やナ、ウチ…』
心の中で詫びながら、残りのラーメンを啜る。
『加護さん…何だかしんみりとしてらっしゃいますね。何か思い出されたのでしょうか』
紺野が気に掛けてると、
「ハイ、あいぼん」
辻が自分のチャーシューを一枚、加護の器に入れた。
「あ、エエの?おおきにな」
「まこっちゃんと紺野ちゃんにはナルトあげるれす♪」

『アタシはナルトかよ…でもまぁ、辻ちゃんがくれたんだし』
『辻さん…加護さんへの友情はチャーシューなのですね』
ふたりはそれぞれに思いを抱きながら、ナルトを齧るのだった。
379 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月15日(金)00時34分26秒
更新しました。

柏o・-・)つフ<この味です!!

『美味しんぼ』の山岡さんのような紺野先生の巻。

レスのお礼です。

>名無しかもん〜な!さん

川σ_σ||<そうそう、何とかなるの!ね、マサオ♪
(#`_´)<…ウ、ウン

何とか…なるでしょうか、いしよしは(w?

>名無し読者さん

( ´ Д`)<んあ〜。シーのそばのホテルに1泊100万くらいする部屋あるんだって〜
ヽ;^∀^ノ<おめー、くわしいなぁ

公式サイトなど見て、ワタクシめも学習中です(w

>クロイツさん

( ‘д‘)<ののなんか高校生に見えへんで!
( ´D`)<あいぼんに言われたくないのれす 

どうぞお気になさらず。本物はいま、中3でしたっけ。

380 名前:名無しかもん〜な! 投稿日:2002年11月15日(金)17時26分53秒
山岡と言うよりMr.味っ子って感じですね。
紺野さん「ブ・ラ・ボ〜」って言いそうですね。(w
381 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)19時07分04秒
―――吉澤視点

ウチは大学の授業を終えて、梨華ちゃんとの待ち合わせ場所に向かっていた。
寒くなる前に、構内の芝生でふたりでお弁当を食べようと約束していたのだ。
学年も学科も違うから、なかなか時間とか合わなくて。
今日、梨華ちゃんの取ってる授業が休講になるから、やっと実現した。

お弁当は、梨華ちゃんがうんと腕を振るって、作ってきてくれたらしい。

『いま駅に着きました。そろそろ授業終わる頃だよね。うんと作ってきたからね。
たくさん食べてね☆』
授業が終わってから携帯メールをチェックすると、ほんの十数分前に、梨華ちゃんが
送ってきてた。
携帯の画面を見て、ニヤニヤ笑う。

「ゆで卵も持って行くからね」
朝、家を出る時、梨華ちゃんは笑顔でそう言った。
それを思い出して、足取りも軽く、待ち合わせ場所へ向かう。
「妻によろしく言っといて〜。あたしは今からバイトだから〜」
教室を出る時に、同じ授業を取ってる柴ちゃんがひらひらと手を振って言った。
「くぅ〜。梨華の手作り弁当かよっ。あたしも食いてぇ〜!」
と、柴ちゃんはとても残念がってた。

「♪たっまご、たっまご」
軽やかな足取りで芝生に向かう。
「ひとみちゃ〜ん!」
梨華ちゃんはすでに来ていて、紙袋を提げて手を振っている。
「梨華ちゃぁ〜ん!お待たせ〜!」
早速レジャーシートを広げて、お昼にする。
梨華ちゃんは紙袋から、いっぱいタッパーとかを出した。
フタを開けると、おいしそうなサンドイッチとかが姿を現した。

382 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)19時09分07秒
「うんめぇ〜!」
卵サンドは刻んだピクルスが入ってて、とてもうまかった。
サンドイッチにフライドチキン、デザートなんかもあったりして、ほんとにピクニックみたいだ。

「ようよう、見せつけてくれんじゃねぇかよぉ!」
なんじゃ、と思ったら、サングラスをかけて、パンツのポケットに手を突っ込んだ
市井さんだった。
頭の中に何故か『ワル』という、時代遅れな単語が浮かんだ。
なんつーか、昔テレビの再放送で見た、ドラマの中に出てくる不良みたいだ。
ツッパリ、ての?
てか、今どきそんな不良はいないか。
「なんスかー、市井さん。20世紀の生き残りかと思いましたよー」
「ひっでー。アタシ的には完璧なのに。それよか、後藤知らん?借りたノート
返さにゃならんのだけど」
市井さんは手に持ってるノートをぱたぱたさせて言った。
表紙には、『けいざいがく ごとー』と書いてある。
市井さん…3年なのに1年生にノート借りてるんスか?
「あ、ごっちんなら」
ウチが振り返ったほうのベンチで、ごっちんは座ったままお昼寝。
メロンパンを食べてる途中でおネムになったらしく、手には袋から少し顔を覗かせたメロンパン。
「また寝てやがる。しゃーねーな。起こしてくっか」
「ひとつどうですか?」
梨華ちゃんが差し出したサンドイッチを、市井さんは
「サンキュー、ベイベー」
と、サングラスをかけたまま受け取った。
「おう、うめーな。もぐもぐ…いい嫁サンになれるぜ、アンタ」
梨華ちゃんは恥ずかしそうに笑う。
「あばよ。邪魔したな」
市井さんは去って行った。
『あばよ』って…。
柳沢慎吾じゃないんスから。
383 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月15日(金)19時11分11秒
「梨華ちゃん、マジうめーわ。この卵サンドが特に…もぐもぐ」
「ふふっ。喜んでくれて嬉しいよ♪」
梨華ちゃんが入れてくれた魔法瓶の熱い紅茶を、ふーふーいいながら冷まして飲む。
「お茶もうんめー!」
「あ、ホント?平家さんにおいしい紅茶もらったの。ダージリンだって」
「へ〜」
日差しがぽかぽかしていい気持ち。
満腹になったウチは、なんとも心地よい眠気に誘われて目をこする。
「あっふ…オナカいっぱいなったら、眠くなってきたよほ」
「ちょっとお昼寝する?」
「ん、そんじゃ」
レジャーシートの上に横になろうとすると、梨華ちゃんが自分のひざをぽんぽん叩いた。
「ん?」
「枕にしていいよ」
え、枕って…ひざ枕ってヤツですかい?
いや、そんなうれしいけど…こんなトコで。
あわあわとうろたえていると、しびれを切らしたのか、梨華ちゃんがウチの頭を
そっとつかんだ。
寝たままの姿勢で下から顔を見上げる。
黙ってはいるが、目は優しく笑っていた。
何か、年上女房って感じで。
「あ、うん。そんじゃ…失礼します」
おそるおそる彼女のひざに、頭を載せる。
そこは想像していた以上にあったかくって、とてもいい匂いがした。
うわー…オイラ、心臓ばくばくいってるよほ…。
「ひとみちゃんは、きれいな髪だね」
頭を撫でられて、心拍数がより上がった。
「あ、いや。そんな、恥ずかしいよ」
「どうして?サラサラしてる…」
てか、梨華ちゃんの指で触れられると、ウチ、どうにかなっちゃいそう…。
こんなんで…今度のお泊り、大丈夫なんかなぁ。
ドキドキしてたら、いつの間にか眠りこけてしまい、彼女のひざでしばらく
お昼寝してしまったのだった。
384 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月15日(金)19時18分20秒
更新しました。

ヽ▼∀▼ノ<見せつけてくれんじゃねぇかよ!

いつの時代の不良だ。

レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん

柏o・-・)<確かに!山岡さんというよりは『味っ子』ですね!
       スルドイご指摘ありがとうございます。完璧です!

『味っ子』って昔アニメでもやってた『味王様』(字、忘れた)とか
出てくるヤシですよね、確か。この顔文字なら、確かにフツーに言いそうですね。
385 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月15日(金)19時41分49秒
上のスレで名無しかもん〜な!さんのHN、間違えてました。スマソ

(T▽T;))===- <逝ってきます〜
386 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月15日(金)20時55分41秒
ひーざーまーくーらぁぁぁぁぁぁぁっ!!
いかん!!鼻血が!!!しかも耳血までもが!!!
げはぁっ(吐血)!!

…ふー、忙しかった(血拭いてます)。
んもぅ。見せ付けられ過ぎで、あやうく失血死するトコでしたわ。
いちーちゃんのカッコ良さにもやられそうですが、いしよしらぶらぶには敵いません。
シーが楽しみです♪
387 名前:あおのり 投稿日:2002年11月15日(金)22時27分04秒
大学構内でなんと素敵な…
あー膝枕膝枕…な〜んてうらやますぃ〜んだ!
きっといちーチャンもグレなきゃやってられなかったんでしょうね(w
いちーがんがれ
388 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月16日(土)00時43分57秒
いしかーさんの膝枕一度でいいから寝てみたい(w

( ‘д‘)<かもん〜な?かも〜んな?どっちやねん!(w
HNはオイラもよく間違えますから「かも〜んな!」
にしたいと思います。ややこしくてスマソ
389 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月16日(土)08時48分19秒
チャミさまの膝枕で、耳の掃除なんかして貰いたい!
たとえ、ひーさまでも押しのけちゃいます。

ツッパリいちーちゃん、リーゼントですか?
でも、いちーちゃん「はげ」って言われてませんでした?
リーゼント出来るのかな?
390 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月18日(月)23時39分21秒
―――吉澤視点

その週の金曜日。
朝イチで大学の授業を受けてから、いよいよディズニーシーへ向かう。

「たく。授業なんかさぼって行けばいいのに。オマエもマジメだなー」
同じ講義を取ってる市井さんは、授業が始まる前に、隣の席であきれたように言った。
「だって〜。梨華ちゃんが『授業はさぼっちゃダメよ』って言うし〜」
その梨華ちゃんは今日は授業がないので、そのまま出かける。
京葉線の東京駅ホームで待ち合わせしてて、そこで落ち合って現地へ向かう。
「オマエ、完全に尻に敷かれてるな。たく、朝からでれでれしやがって」
「ホントにね〜」
その横で柴っちゃんとアヤカさんが相槌を打つ。
「今日はヨシコの喪失記念日だね。初めてのひとは、梨華ね…」
柴っちゃんがメロドラマ調に言い、目に星を瞬かせた。

「―――て!どうしてスグそっちのほーに行くの!!」
思わず席を立ち上がって抗議すると、
「だって、賭けてるんだもん。市井さんとアヤカさんとごっちんとアタシと」
柴っちゃんがあたしの顔を見上げて言うと、みんなうんうん頷いた。
こ、この人たちは!!
「ひ、ひとの初体験を賭けの対象にすんな〜!!」
「やっぱり童貞だった。ホラ、アタシの目には狂いはなかっただろ?」
「紗耶香は他のことはともかく、こういうことは天才的だね」
アヤカさんは褒めてるようで何気に毒を吐いてる。

―――ホントにもう!
童貞、童貞って!

391 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月18日(月)23時41分19秒
ああ、でも…。

『ひとみちゃん、早すぎるよ』
って梨華ちゃんに思われたらどうしよう。
口に出さないまでも、心の中で思われたら―――。
『初めてってホントにヘタなんだから。やんなっちゃう』
とか―――。

梨華ちゃんは優しい子だから、たとえウチがヘタでも、
『大丈夫。気にしないで』
って言ってくれるだろうけど。

ああ、ホントに、今夜のことを考えたら、鬱になってきた。

授業中も、もんもんと今夜のことを心配していると、ルーズリーフの紙が
市井さんから回ってきた。
取り上げて見てみる。

『案ずるより産むが易し!日本には、ホントにいい諺があるわ。AYAKA
リードしなきゃ、とか考えたらダメだよ〜。張り切り屋さんの妻にまかしちゃえ! あゆみ
早漏も心の汗だ!いいねぇ、青春、青春!』

最後のは。
無記名だけど絶対市井さんだな。
みんな、それなりに応援してくれてるんだな。
そう思うと急にラクになって、肩の力が抜けた。

「じゃ、また来週ね〜。Good luck!」
授業が終わって教室を出るとき、アヤカさんがポンと肩を叩いた。
去り際にウィンクまでして。
はぁ、さすが帰国子女だよ。
カッケー!

『いま授業終わったから。18分の電車で行くね』
携帯からメールを送って、駅へ向かう。
392 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月18日(月)23時44分32秒
「よっすぃ〜。ののはおみやげなんていらないれすけど、ミッキーのかわいい
クッキーが食べたいのれす」
朝ゴハンの時、ののが言った。
「いや、ソレ明らかに要求やん」
と即座にあいぼんがツッコんでたっけ。
あいぼんは別に何も頼まなかったけど。
ふたりに何か買ってやるか。
ん〜。何がいいじゃろ。

ホームで電車を待ってると、
『いまから東京駅に向かいます。着いたらメールしてね』
と梨華ちゃんからメールの返事がきた。

あー。
前にディズニーランドに行ったのもいつだったかなー。
確か高校の友達とだったっけ。
高校の卒業旅行の代わりに。
ホテル代ケチって、春から一人暮らしする子の家で雑魚寝して。
みんな元気かなー。

やってきた電車に乗り込んで、東京駅に向かう。

中澤さんも。
昨夜晩ゴハンの時、梨華ちゃんがいないスキに
『焦ったらアカンで』と、ホントにこのひとは姉なのだろうか?と首を傾げるような
アドバイスをしてくれた。 
中澤さんて。
理解があるのか、ただの野次馬なのか。
たまに理解に苦しむけど。
梨華ちゃんは優しいお姉さんがいていいな、ってたまに思う。
そんなことを考えながら外の景色を眺め、電車に揺られてった。
393 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月19日(火)00時00分20秒
更新しました。

(0^〜^)¶<♪〜

レスのお礼です。

>クロイツさん
(0^〜^)ノ<耳血、カッケー!
造血剤を処方します(w つ□ 朝晩、寝る前にお飲みくだされ。    

>あおのりさん
ヽ;^∀^ノ<たく、まっぴるまから神聖な学び舎でいちゃつきやがってさぁ
グレ市井、イメージ的には松村雄基(こんな字だったか)だったのですが。

>名無しかも〜んな!さん
( ´D`)<かも〜んな!しゃん、わざわざありがとうれす
私も寝てみたいです。もし寝れたら、もう死んでもいいかと。

>ひとみんこさん
( `.∀´)つ¶ <アタシでよかったら、耳掃除もしてあげてよはあとはあと
耳掃除も希望ですか。先に綿毛みたいなのついてるのでいいですか。



394 名前:婆金 投稿日:2002年11月19日(火)00時14分54秒
DTよっすぃー、良いですね。
何かアレです、聖子ちゃんの「赤いスイトピ−」に出てくるカレシみたい。
良いです。
395 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月19日(火)00時33分08秒
童貞って…みんなヒドい(笑)。
もう、『彼女』じゃなくって『彼』なんですね。完全についちゃってるんですね(お下品)。
 カッケー!!

 何気に要求しちゃってるののたん最高です。
 そして悶々と悩むヨッスィー…がんばれ!!応援してます!!
 うきゃー!!楽しみだー☆
396 名前:オガマー 投稿日:2002年11月19日(火)04時25分15秒
ミ、ミッキーのかぁいいクッキー、オジサンが買ってあげるよほ。。

…とか言う危ないオッサンについてっちゃ駄目だよ?辻ちゃん…。
ディズニーシーーーーーー!!
待ってました!ヨッ!(ヲィ
397 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月19日(火)09時21分00秒
ひーさまは新車だったのか?
新車のうちはオイルが行き渡ってないので、焦っちゃいけません。
ならし運転が必要です。
ドライバーチャミさまは初心者マーク?

とりあえず、いよいよですね。
398 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年11月19日(火)11時05分23秒
みんなよってたかって…(w
TDSきた〜♪
がんがれ…(w
399 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月19日(火)11時34分05秒
始まりましたねディズニーシー
ヨッスィー 男ならガチンコ勝負は勝たなければ
意味がないですよ。(w

400 名前:わく 投稿日:2002年11月19日(火)12時39分18秒
つ、ついに!!よっすぃ〜がんがって!!童貞喪失か・・・笑
ちなみに梨華ちゃんは、処・・・・・爆
とにかく2人とも頑張ってーーーー!!
401 名前:ベリィ 投稿日:2002年11月19日(火)16時37分29秒
いやぁ、ついにTDL編ですね〜。。。
ベリィもヒサブリに行きたくなってきました〜。
よっすぃ頑張れ〜!!!漢になれますように!
さり気なくアドバイスする野次馬裕ちゃん萌w
402 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月19日(火)22時34分49秒
―――辻視点

ののたちは学校の食堂でお昼を食べていました。
「今日、梨華先生ディズニーシー行ってんだよな、彼女と」
いつの間にか現れたまこっちゃんが言いました。
「何でひとの情報にそないに詳しいねん。てか、何で自分おんねん」
あいぼんはあきれています。
「だって、先生が教えてくれたんだもん。何か、くじ引きで当たったんだろ」
「吉澤さん、ステキな方ですね…」
紺野ちゃんはちょっと頬を赤らめたれす。
あれれ。紺野ちゃんはよっすぃ〜がタイプなんれしょうか。
「アタシもプリクラとか先生に見せてもらったよ。何か、王子様みたいじゃん。
紺野もああいう人がタイプなんかぁ〜?」
まこっちゃんがふざけて、紺野ちゃんのほっぺたをぷにぷについてます。
「タイプとかそういうのでは…恥ずかしいです」
「ハハ!まぁ、先生おみやげ買ってきてくれるって言ってたしなー。楽しみ、楽しみ」
フンフン鼻歌を歌って、まこっちゃんは食べ終わったあとのお盆を、返却口に
持って行きました。
「ホンマにあのアゴは…」
あいぼんは何かぶつぶつ言ってサンドイッチをかじります。
「石川さんと吉澤さんは、泊りがけで行かれたのですか?」
「そうれすよ、オークラとかいうホテルに泊まるって言ってたれす」
「オークラですか…ステキです」
また紺野ちゃんはぽっと頬を染めました。
紺野ちゃんはオークラが好きなんれしょうか。
ホテルはどうでもいいれすけど、ののはよっすぃ〜がクッキー買ってきてくれるのを
楽しみにしてるんれす。


403 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月19日(火)22時40分13秒
あ。
ホテルの豪華なゴハンはステキれすね。
前言てっかいれす。
ホテルはゴハンだけ気になるれす。
ふたりが帰ってきたら、何食べたか聞かなきゃダメれすね。

「のの。よっすぃ〜と梨華ちゃん、ホテルでどんな豪華なゴハン食べるんだろ、
とか考えてるやろ」
「―――ハ!何で分かったんれすか!?」
あいぼん、エスパーれしょうか!?


―――吉澤視点

―――ディズニーシー

「見て見て〜。グーフィーカワイイ〜」
梨華ちゃんはステージを指して大喜びしてる。
ウチらはいま、屋外のショーを観ている。
ストーリーは、ミッキー船長の処女航海を仲間が駆けつけてお祝いする、というものだった。
水着姿で現れたグーフィー。
ひとしきり踊って、お約束というべきか、ドボンと海に落ちた。
笑いを忘れない姿勢は見習わなければ。
しかも体を張っている。
梨華ちゃんもウチも他のお客さんも、大爆笑だ。

最初マーメイド姿で登場したミニーも、白いドレスにお色直ししてミッキー船長と
ボートに乗り込んだ。
汽笛が鳴る。船に乗ってるお客さんが紙テープ投げていよいよ出航だ。
セットの大きなシャンパンの瓶から花火が噴き出てエンディング。
大喝采と指笛のなか、ショーは終わった。


404 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月19日(火)22時43分19秒
「楽しかった〜」
ショーが終わってぞろぞろと退散する。
「ひとみちゃん、なんかおやつでも食べよっか」
「ん。何がいい?」
「あ、あのね。ポップコーンがおいしいんだって。塩味とカプチーノとあるらしいよ」
「へえ。せっかくだし、カプチーノの食べてみよっか。1個買って半分こしようよ」
「うん。あたし買ってくるね」
梨華ちゃんがてててて、と走って買いに行くのを微笑ましい気持ちで見送る。

梨華ちゃんはすごく嬉しそうだ。
ポップコーンを買ってる横顔を少し離れたとこから見て、そう思った。
来てよかったなぁ。
元々はなっちさんにもらった、スーパーのくじ引きが当たったのがきっかけだけど。
天気もいいし、遊園地日和だ。
ポップコーンをこぼさないように、ものすごくマジメな顔で恐る恐る戻って来る
梨華ちゃんを見て、おかしくて吹き出してしまった。
何でこの子はいちいちカワイイんだろう。
ウチが笑ってるのを見て、『なによう』と膨れてる。
それがまたかわいくて、また笑ってしまった。
405 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月19日(火)22時45分30秒
膨れる梨華ちゃんをなだめながらポップコーンを食べ、夕暮れまで
アトラクションを回る。
大したこたないだろと、ナメてかかったコースターが意外なほど怖く、
ギャーギャーいってウチはヘタレっぷりを発揮してしまった。
梨華ちゃんは平気そうだ。
ウチが死にそうな思いでよろよろ乗り物を降りてる横で、
「あ〜。もう1回乗りたいなぁ〜」
なんて言ってる。

カワイイ顔してるけど。
『血がドバッ』と出る映画が好きらしいし、案外肝が据わってんのかなぁ。
地震がきてちょっと揺れても平気そうだし。
どうもウチは絶叫マシンとかダメだ。
見かけがクールに見られるせいか、こういうのが平気そうにみんなに思われてて。
でも、梨華ちゃんの前だと平気で叫べるなぁ。
もうヘタレだと知られてて、安心してるせいか。
ベンチでひと休みしてる時も、
『つき合わせてゴメンね。怖かったら言ってね』とハンカチで額の冷や汗を
拭ってくれた。
これはこれで悪くない。
いや、かなりいい。

「ひとみちゃん、ゴンドラ乗りに行こうよ」
「うん、行こっか」
手をつないで、ゴンドラ乗り場に向かった。
406 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月19日(火)23時01分15秒
更新しました。

(0T〜T0)<コースター、カッケー!…こわいよほ!

レスのお礼です。

>婆金さん
(0^〜^)<♪知り合った日から
「赤いスィートピー」の人も、相当奥手ですたね。交際半年で手も握らんってすごいかと。

>クロイツさん
ヽ^∀^ノ<♪童貞バンザイ!
こんな感じでちゃむにいじめられてたと思います(w みんなの愛情です(多分)。

>オガマーさん
( ´D`)<大丈夫れす、ののはオトナですから
さすがの辻さんも、そないなアブナイ人にはついて行かんでしょう(w

>ひとみんこさん
川o・-・)<なるほど…大変勉強になりました
新車のたとえ、ワロタ いしかーさん、うまく乗りこなせるでしょうか?

407 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月19日(火)23時11分15秒
>ぶらぅさん
(; ^▽^)<み、みなさんの期待に応えられるようにがんがります!
みんな、一応心配してあげてるんです。友達思いなんです、例え賭けてても(w

>名無しかも〜んな!さん
(;0^〜^)<お、押忍!か、勝ってきます!
覚悟しながらもどこか弱いダンナ。ガチンコ勝負かぁ、いい表現ですね。

>わくさん
(;0^〜^0)<み、みんなに期待されてるよほ…
ダンナは童貞でヘタレですが、その分張り切り屋の妻がカバーでしょうか。

>ベリィさん
( ´D`)<ののもディズニーリゾート行きたいのれす
姐さんは妹思いだったり、単なる野次馬だったり。トバしてる姉ちゃんなのです。
408 名前:オガマー 投稿日:2002年11月20日(水)04時43分49秒
ののたん、クッキー…かぁいい(壊@爆

梨華タンもめちゃめちゃかわいい。
梨華タンにメロメロなよちぃもすげーかわいいw
続き期待してますよほ(w
409 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月20日(水)12時33分34秒
純粋なののたんに乾杯です。
私だったらきっと、「ホテルのごはん」の味ではなく、「彼女」の味についてしつこくききそうです。

そして、絶叫ヨッスィー。そのヘタレ具合が最高です。
そして、ポップコーン分け合ういしよし…!!想像しただけで叫びだしそうです!!
続きが楽しみです!!がんばってくださいませ☆
410 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月20日(水)18時52分28秒
はぁはぁ・・・・

入れ込んで読んでいるのは、私だけでしょうか。

焦るな!
411 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月20日(水)19時30分51秒
へたれヨッスィー夜まで体力温存するんだ!
そして夜に爆発しれ

オイラもメチャメチャ入れ込んできました。(w
412 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月21日(木)02時59分33秒
―――吉澤視点

夜のショーの前に、アンバサダーホテルに食事に行く。
お昼は控えめにして、夜は少し贅沢しようと、ふたりで予め決めていたのだ。
カリフォルニア料理の店に、席の優先案内の申し込みを電話でしておいた。
5千円のコース料理を注文し、ワインのハーフボトルも頼む。
白か赤か悩んで、間を取ってロゼにした。
店内の照明は明るすぎず暗すぎず、いい感じだった。
ウチらの他にもカップルっぽい人たちがちらほらいる。

「乾杯」
料理が運ばれてきて、まずワインを注いで乾杯する。
「やー。何だかんだといっぱい回ったねー」
「うん。それより、乗り物酔いとか大丈夫?」
梨華ちゃんはさっきあたしがコースターとかでフラフラになってたから、
気遣って言ってくれた。
あの後、さすがにキツくて、しばらくベンチで休憩させてもらった。
梨華ちゃんに、冷たい飲み物を買ってきてもらって一服したから、大分元に戻った。
「だいじょぶ、だいじょぶ。ああ、花火楽しみだねー。
荷物もホテルに置いてきたし、完璧だね」
「何か、紺野ちゃんみたい」
梨華ちゃんはくすっと笑う。
「ああ」
そういや、紺野ちゃんはこの前泊まりに来た時も、口癖のように『完璧です』って
言ってたっけ。
どう完璧なのかさっぱり分からないけど。
「大丈夫です、完璧です!」
あたしはちょっと頬をぷくっと膨らませて、軽く片手を上げてみた。
梨華ちゃんはナプキンで口を押さえて、肩を震わせて笑う。
どうやらウケたようだ。
413 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月21日(木)03時01分06秒
普段、こんな高いゴハン食べに来ることないからなぁ。
ウチもケチ吉子の異名を取る女だし。
なんかこういう場所でこういうカップルっぽいことすること自体、初めてカモ。
たまには、こういうのしたほーがいいんだろうな。
「あの」
「何?」
「次来る時は、8千円のコース食べられるように、ウチ、頑張るから」
「ウン。あたしも、お金貯めるね」
梨華ちゃんは楽しそうに笑う。
しかし、何も食事中にこんな話しなくてもよかったかな。
でも。
ウチの正面で微笑んでる梨華ちゃんはとても幸せそうで。
ウチも何とも言えず温かい気持ちに包まれてる。

こういうの、ささいな幸せですか。


食事をすまし、外に出た。
ディズニーシー・シンフォニーが8時過ぎから始まる。
ホテル側からだと混むけど、花火も火山の噴火もばっちり見えるそうだ。
ウチは保田さんに借りたビデオカメラで、ちょっと試し撮りをした。
フレームの中で、梨華ちゃんがベタに両手でピースしてる。
「アタシの大事なカメラで、イシカワのつまんないギャグとか撮ったら
承知しないわよ!」
とか保田さん言ってたけど、ピースはアリかな。
ま、いっか。
保田さんは見ないし。
414 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月21日(木)03時06分12秒
ショーがいよいよ始まった。
「あ、ホラ!山になんかミッキーのシルエットみたいなのが映ったよ!」
梨華ちゃんが言う方向に慌ててレンズを向ける。
ミッキーの登場だ。
魔法使いのような格好をしている。
ミッキーはバトンを手にしてる。
バトンひとつで、水やライトを操って形を変え。
花火も負けじと装置の天球から渦を巻いて噴き出したり、呆然と見とれてしまった。
「すごい…生き物みたい」
梨華ちゃんは小さな声で言う。
火山まで噴火して、観客の興奮はマックスに達する。
ふと気づくと、梨華ちゃんがウチの空いてるほうの手をきゅっと握ってた。

『アイツ昔、遊園地で迷子なりおってん。探すの苦労したワ』
いつだったか、中澤さんが話してくれたことがあった。
『それからしばらくは、どこ行っても、ウチの手、ずーっと離さんかったなぁ』
ウチも知らず知らず、きゅっと握り返した。

最後は、ブォナセーラ・セレナーデというショーで、ディズニー・ミュージックに合わせて、
花火が上がった。

ウチらはずっと手をつないで。
言葉もなく、夜空の花火を見上げてた。


その後はおみやげをちょっと見て回る。
カフェでお茶して、ホテルへ戻った。

母さん、ひとみは…オトナになれるでしょうか。
今夜、どうなるんだろう。
415 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月21日(木)03時11分45秒
―――加護視点

ウチとののは7時頃に帰ってきた。
今日は梨華ちゃんとよっすぃ〜、泊りがけでディズニーシー行っとるさかい、
中澤はんも入れて3人で夕食や。
メニューはキャベツとアンチョビのパスタとか、えらいしゃれたモンやった。
「何かレストランみたいれす」
ののは大喜びや。梨華ちゃんとよっすぃ〜がホテルで豪華なメシ食うのを、
うらやましがっとったからな。
「デザートもあんで。シャーベットや」
「わー。ホンマにレストランみたいやなぁ」
今日はウチらだけやから、中澤はん、気ィ遣ってくれはったんやなぁ。

ごはんの後、3人でビデオ観た。
「居間で映画でも観よかぁ」
とか言いはるから、
「AVはカンニンしてくださいよ」
とウチは言うたんや。
前、お若いふたりが海行った時、AV3本も見せられてエライ目遭うたんや。
「ののもふつーのがいいれす」
「今日は普通のや」
中澤はんは苦笑いしはった。
宣言どーり、ビデオはハリー・ポッターで普通やった。
普通すぎて、ちょっと肩透かしやったけど。

ビデオが終わったとたん、少し前から舟を漕いでたののは、とうとう寝てもた。
「中澤はんて」
ビデオを巻き戻してる時、ウチはこそっと聞いてみた。
「ん〜?」
「梨華ちゃん、すっごい大事やのに、よっすぃ〜にとられてくやしいとか思わんの?」
「まぁ、何も思わん言うたらウソやけどな」
へ〜。やっぱりそうなんや。
416 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月21日(木)03時18分54秒
「向こうのお母さんが亡くならはってから大事に育ててきたけど、いつかはウチの手、
離れる。いまがその時なんや」
中澤はんは笑ってるけど。
どっか寂しそうで。
なんや、悪いこと聞いてもたなぁ。
「…すんません」
「構へん。いつかアンタにも、親兄弟より大事な人ができるワ。この人とやったら、
ずっと一緒に生きていってもエエって思う人がな」
「ソレ、中澤はんから見たら平家はん?」
「う〜ん…そうなるんかなぁ」
中澤はんには平家はんがおる。
梨華ちゃんには、よっすぃ〜。
ウチには…誰がおるんやろ。

「辻そろそろ起こそか。自分の部屋で寝たほうがエエやろ」
ウチはそっとののの肩を揺すった。
「う〜ん…もう朝れすか」
「ベタすぎやで、自分。ホラ、起き。自分の部屋で寝ーや!」
「うにゅ…分かったれすぅ〜」
ののはフラフラ立ち上がる。
そのままやと極めて危険やし、ウチが引っ張って部屋まで連れてくことにした。
「ほな、おやすみなさい。楽しかったです」
「ん、おやすみ」
中澤はんは、優しく笑った。
417 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月21日(木)03時21分58秒
ホンマに手ェ、かかるなぁ。
ののがタコみたいにぐにゃぐにゃ歩くから、途中で廊下の壁にぶつかりそうになった。

「ホラ、電気消して寝んねんで」
「ハ〜イ。おやすみれす〜…」
「早っ!」
ののはベッドに入って、ものの3秒で寝てもた。
絶対、爆睡モードや。
のび太や。
今日から、こいつのことはのび太って呼んだる。
生意気なコト言うたら、「のび太のクセにナマイキだぞぅ〜!」ってワザと
標準語で言うたる。

ののは、のんきに寝息を立てたる。
寝顔を見てたら、何とも言えん気持ちになってきた。

魔が差した、としか思えん。
ウチはのののほっぺに手を伸ばして。
気がついたら、キスしそうになってた。
唇を目の当たりにして、急に我に返ったんや。

自分でも行き場のない恥ずかしさを持て余して。
パジャマのズボンに意味もなく手をこすりつけて、部屋から出た。
「おやすみ、のの」
電気を消しても気づかんくらい、ののはよく眠ってた。
418 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月21日(木)03時47分53秒
∋oノハヽo∈
 ( ´D。`)Ψ <スパゲティー、うめーのれす!

@ノハ@
(  ´д`)<せめて、パスタっていーな  

更新しました。
レスのお礼です。

>オガマー
( ´D`)ノ<クッキーはよっすぃ〜にお願いしたからいらないれす。ありがとれす
今回、ちびっこチームにも微妙な動きが?ののさん、パスタ食べて大満足です。

>クロイツさん
( ´D`)つ□<なんらかわかんないけど、かんぱいれす
コメントが何気にオサーンで笑ってしまいますた。スマソ よっちぃはヘタレです、疑いもなく(w

>ひとみんこさん
川o・-・)つ〔救心〕<動悸が…激しいようですね。これをどうぞ
入れ込んでるヒト、ハケーン 何分しょぼいエ○しか書けないんであんま期待せんでください(w

>名無しかも〜んな!さん
川o・-・)φ゛<体力を温存…なるほど、勉強になります
ふたりめハケーン 爆発っすか。ひとりだけ爆発してもアレですんで、妻にも(謎)。

419 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月21日(木)16時15分27秒
うおおおお…!!!どきどきどきどきっ!!!
ヨッスィー…オトナになるのだ!!!
期待して見守ってるから頑張って!!!!

そしてあいぼん…可愛いっ!可愛いっ!!
んでもって姐さん…切ない…。

ぐあー、続きが楽しみだー!!!
頑張ってくださいね!!
420 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月21日(木)17時55分00秒
それぞれの想いを乗せて、夜は更けていきますな〜。

( ´ Д `)<よしこ! 大丈夫、きっと大丈夫〜♪
421 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月21日(木)23時00分54秒
タコみたいなののに萌え(w
中澤姉さんはやっぱ大人ですね。

よっしゃー!!いよいよ夜ですね〜!!
オイラ入れ込みすぎで胃が痛くなってきました。(w
422 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)04時59分49秒
―――吉澤視点

ホテルのロビーで預けてた荷物と鍵を受け取り、エレベーターに乗る。

さっきから、どうにも落ち着かない。
階数表示のディスプレイを、顔を上げてそわそわした気持ちで見つめる。
6階、7階…。
『吉澤。童貞は焦って失敗しがちだ。周囲のプレッシャーに負けるな』
市井さんが朝言ってたことを思い出す。
てか、市井さん、それがプレッシャーです。
心配してくれてるんだろうけど。
ウチは小さくためいきをついた。
「ひとみちゃん、疲れた?」
すかさず、梨華ちゃんが振り向く。
「あ、いや。ちょっとホッとしたっつーか、無事1日が終わって」
笑ってごまかしたら、梨華ちゃんは納得したようで「そう」とだけ言った。

エレベーターはすべりこむように到着し、扉が開いた。
ウチらの部屋は、エレベーターから少し離れていた。
ルームキーを差し込んで、ドアを静かに開ける。
「わー…広いね〜」
梨華ちゃんの言う通り、ツインルームなのに全然狭苦しさがない。
ベッドも低めなので、より空間に広がりがある。

荷物を適当なところに置いて椅子に腰掛けた。
カーテンを開けると、夜の海が視界に広がる。

時刻は10時前。
長い夜になりそうだ。

どちらが先にお風呂に入るかで譲り合いになる。
「あたし荷物の整理したいから、ひとみちゃん先に入って」
「あ、じゃ、お先に」
とバスルームへ。

バスルームはシャワーブースが別になってて、まずそこで髪や体を洗い、湯船につかった。
「ふう…」
疲れがお湯にしみこんでいくようだ。
念入りに体は洗った。
これでいつでもOKだ。
もう、どうにでもなれ―――。
423 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)05時09分28秒
バスローブを着て出てくると、梨華ちゃんは誰かに携帯メールを打っていた。
「お待たせ。どうぞ」
「あ、うん。ありがとう」
「誰?」
髪をバスタオルで拭いて、ちょっと携帯を覗き込む。
「うん、柴ちゃん。『ミッキーのチョコレート買ってきて』って」
「ののみたいなこと言ってる」
「アハハ、ホントだね」
梨華ちゃんは笑って送信し、携帯を折りたたんだ。

梨華ちゃんがお風呂に入った後、ウチはすることがなく、何となくテレビをつけてみた。
適当にチャンネルを合わせていたら音楽番組なのか、プッチモニのPVを流していた。
そのまま見るともなくぼんやり画像を眺める。

五島マキも安田ケイも若いなぁ〜。吉沢ひとむも。

『今週中にはバイトを決めたい
(L・O・V・E LOVELY 五島)』

「♪来々週には彼氏を決めたい
♪ドッドッドリフの大爆…イヤ、違うし」
立ち上がって踊ってみたが、違う歌んなってるし。
「ふう」
バカらしくなって、ベッドに寝そべった。
―――そのままうとうとしてしまい、気がついたら寝てた。

番組は11時のニュースに変わっていた。
梨華ちゃんはまだお風呂か。
肘枕し、お父さんのようにテレビを見る。
『お父さん、子供たちがマネするじゃない』
ってお母さん、肘枕でゴロ寝するお父さんによく文句言ってたっけ。
その横で、ウチと弟たちがふざけて肘枕で寝転んで。

不意にドアが開いた。
別にそうすることもないのに、急に居住いを正してベッドに腰掛ける。
424 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)05時13分10秒
「ひとみちゃん、起きてた?」
「あ、うん。テレビ見てた」
ウチは梨華ちゃんを直視できなくて俯いてしまった。
何故って。
風呂上りの梨華ちゃんは犯罪的に色っぽい。
家で見てもドキドキするのに(たとえ梨華ちゃんが中学時代のジャージ着用でも)。
まして今日はこのシチュエーションだし…。

それでも、バスローブからすんなり伸びた足が視界に入り、逆効果だった。
ウチ、足フェチだったんかな。
もじもじしてると、
「…ひとみちゃん?」
急に下から顔を覗き込まれた。
「ウオ!な、何?」
心臓、ばくばくいってる…。
「どうしたの?気分でも悪いの?」
すっと額に手を当てられた。
「熱は…ないようだけど」
梨華ちゃんは自分の額と比較して首を傾げてる。
いわゆる体温は普通だ。
でも、どこにもやり場のない熱は…さっきからヒートアップする一方で。
いいか、ひとみ。けだものだけにはなるなよ。
自分で自分に言い聞かせた。
「あ、あのさ…」
少し気を紛らせようと会話してみる。
「うん」
「今日は…楽しかったね」
「うん、すっごく楽しかったよ」
―――も、もうダメ!
梨華ちゃんの笑顔を見てたらピークに達して、ウチは。
頭が爆発しそうになって。
気がついたら。
梨華ちゃんに抱きしめられてた―――。

「ひとみちゃん、どうしたの…震えてるよ」
「あ、いや…な、何でも」
「ウソ!何でもなくてこんなに震えないよ」
お願いだから。
ウチから離れて。
いまあなたがそばにいたら、あたしはどうにかなっちゃうから。
お願いだから―――。
425 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)05時22分23秒
頬に何か温かいものが流れた。
ウチ…泣いてる?
ああ。
自分でも分からなかった戸惑いの正体がいま、分かったよ。
ウチ、怖かったんだ。
「ごめんね、怖かったんだね」
何度も何度も、背中をさすってくれた。
ウチは赤子のように泣きじゃくって。
「ごめんね、ごめんね」
梨華ちゃんは何度も言った。

どれくらいそうしてたのか。
梨華ちゃんが腕枕してくれた。
「ウチ、重いよ?」
笑いながら腕をすり抜けようとすると、
「大丈夫。まかして!」
この世界一愛しい張り切り屋さんは、ぐっとあたしを引き寄せて自分の腕に寝かした。
「ひとみちゃんの髪…いい匂いがする」
梨華ちゃんのまだ少し湿り気が残る髪先からも、似た香りが漂う。
いつもは違うシャンプーを使うから今までなかったけど。
今日ウチらは、同じ香りに包まれてる。
 
『見て見てー。このアメニティー、カワイイよー』
さっき梨華ちゃんが、シャンプーとかが入ったホテルオリジナルのグッズを
見せに来た。
梨華ちゃんの大好きなピンク色の袋に入ってて。
『ピンクの袋に入っててカワイイの〜』
すっごく嬉しそうだった。
426 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)05時32分03秒
バラの香りが残る長い髪を、彼女の腕の中で指ですくったりして遊んでみる。
ついでに脇をこちょこちょと。
「も〜お!くすぐったいよ〜」
すぐ非難の声が上がる。
調子こいてまたやったら、逆襲に出られた。
「ブ、ブレイク!ブレイク!降参!ごめんなさい!」
ひとしきりくすぐられた後、涙を流しながら懇願した。
笑いすぎて、ツツーと目から液体が流れる。
「うん…」
梨華ちゃんがペロっとウチの頬の涙の筋を舐め取る。

舌が絡み合うようなキスって。
映画なんかで見ててドキドキしたけど。
いま、実際やっても、映画を見てた時より胸が騒ぐ。

―――どちらからなんて記憶にない。
こういうのが『どちらからともなく』っていうのだろうか?
ウチらはお互いの体に触れ、バスローブのままベッドに沈みこんだ。
いっぱい気が遠くなるようなキスも交わしたし。
今までの分を埋めるくらい、触れた。

―――それは梨華ちゃんの手が、ウチの膝の裏に触れた時だった。
何か引っかかるような感触が気になったのか、彼女はゆっくり確認するように
そこを何度も撫ぜた。
「ひとみちゃん。これ…ケガの痕?」
「あ、うん。昔部活でケガしてね」
「え、バレーで?」
「うん、練習中に」
梨華ちゃんはベッドサイドのランプの、思わぬ眩しさに目を細めながら、
ゆっくり身を起こす。
427 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)05時43分55秒
バスローブのはだけた部分を押さえ、ウチも起き上がった。
「それって、いつくらい?」
「んー、中2の時だから…もう6年になるかな。いや、練習してる時にちょっと
ハデに転んだかな、と思ったらエライ騒ぎになってさ。すぐ救急車で運ばれて」
「それで?どうなったの?」
「手術して、2ヶ月くらい入院した」
「え…それって、ヒドイんじゃ?」
「んー。バレー選手になり損ねたけどね」
「そうなの?」
「うん。あー、ウチ結構バレーは強くてさ。有名校からいくつかスカウトとか
きてたけど、全部消えちゃった」
あはは、と笑ってると、目の前の梨華ちゃんの顔が見る見るうちに、泣き顔になった。
「そんな…ひどいよ。それってひど…」
彼女は自分の口を押さえ、嗚咽を漏らす。

本当にこの子は。
自分のじゃない痛みでも、すぐ自分のものにしてしまう。
見ててあぶなっかしいくらい純粋で。
出逢った頃は、その真っ直ぐさに面食らったくらいだ。
「梨華ちゃん、聞いて。悪いコトばっかじゃなかったんだよ?
ウチにはベースがあったし、友達もいた。バレーの話が潰れたせいで、
確かに先生とかバレー部の子とか、おんなじクラスの子とか、あからさまにイヤミ
言ったりシカトしたりってのはあったけど、もういまとなっちゃ笑い話だし。
イジメもあったけど、ウチはひとりじゃなかったよ?
バレーの選手になりたいってのはあったけど、あのまま怪我してなくても
なれなかったかもしれないし。
それに、ウチら、こうやって出会えたじゃん?
色んなことあったけど、これでよかったって思ってるよ?」
428 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月22日(金)05時55分41秒
梨華ちゃんはなかなか泣き止まない。
ウチも必死で、いつも以上に口数が多くなってる。
仰向けに寝て、胸の中に梨華ちゃんを迎えた。
「泣かないで。ウチはいま、こんなに幸せなのに」
心からそう思って、彼女の目尻の涙を親指で拭う。

しばらく彼女は泣いていたが、やがてそのまま泣き疲れて眠ってしまった。
プロのスポーツ選手にはなれないけど、全然普通に生活できるんだよ、と言ったら、
少し落ち着いたようだったけど。

梨華ちゃん。
ウチ、本当に幸せなんだよ―――。
神様、どう言ったら、梨華ちゃんは信じてくれるのかな。

このまま、朝が来なきゃいいのに。
灯りを消し、暗闇の中で天井を眺めた。

あのままバレーの道を進んでいたら、どうなってただろうってたまに考えるけど。
腕の中のこの子と出会ってしまったいま、あまり意味がない。

多分。いや、きっと。
この子を失う以上の痛みはないだろう。
それを伝えられたらいいのだけれど。

神様。
出会わせてくれて、ありがとう。



429 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月22日(金)06時06分55秒
更新しました。

ナカナイデ(;0^〜^)ノ( T▽T)ウ、エグエグ!

レスのお礼です。

>クロイツさん

( ‘д‘)<これは…賭けてた人ら的にはどうなんやろな?
大したコトにはなりませんでした。何とも不完全燃焼。スミマセン、スミマセン。
 
>ひとみんこさん

( ‘д‘)<後藤師匠!こないなったみたいですワ!
夜は更けていったのですが、ホテルの小部屋ではどうにも不完全燃焼。スミマセン、スミマセン。

>名無しかも〜んな!さん

( ‘д‘)つ〔太田〕<とりあえず、胃薬やで〜
胃まで痛めて頂いたのに、こないな結果に終わり、スミマセン、スミマセン。

430 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月22日(金)06時23分19秒
・流行歌


@ノハ@
( ‘д‘)つ□<この歌、エエで!聴いてみ!

( ´D`)<「ロマンティック浮かれモード」。どんな歌なんれすか

@ノハ@
( ‘д‘)<かいつまんで言うと、女の子が気になる男から『夜9時以降に
       電話くれ』て書いた携帯のメモもうて、地元の駅とか自分の部屋で
       浮かれてもた、って歌や!

(; `◇´)<(加護ちゃん、かいつまみすぎや。確かにそやけど)

( ´D`)<ふうん。恋の歌なんれすね

(; `◇´)<(エ!?あの解説で分かったん!?)

( ´D`)<女の子の恋の喜びを表現した歌なんれすね

@ノハ@
( ‘д‘)<せや!自分、よう分かってるやん!



@ノハ@   
( ‘д‘)ウチハ、アヤャカナ(´D` )ミキティ、カワイイノレス  (; `◇´)マァ、チビッコノイウコッチャシ(デモナァ…)
431 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月22日(金)08時01分47秒
チャミさま! 寝たらあかんがな!

ひーさま! 幸せにひたってる場合やあらへんで!
432 名前:あおのり 投稿日:2002年11月22日(金)10時20分42秒
あ〜、読む前は脳みそが沸騰していたのですが
読むうちになにか心地よい暖かさに包まれてきて、脳みそも落ち着きました。
このお話の中のよしいしは本当に大切に愛をはぐくんでいるのだなぁ〜と思いました。
今回の展開はお見事としか言いようがありません。よい意味でしてやられました

でも吉もっとがんがれとそっと言ってみる…
433 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月22日(金)14時27分08秒
すげぇ…!!!
やってない(下品で申し訳ございません…)のにここまで萌えたのは初めてかも…!!!
すごい、の一言に尽きます…!!!
てゆーか、ヨッスィーの過去に涙する梨華ちゃんに、ハートを奪われました。
か〜わ〜い〜い〜!!!

続き、楽しみにしております!!
434 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月22日(金)19時32分30秒
・・・何も無かった夜に(太田胃散で)乾杯!!
この2人には何も無かったほうが今後に期待をもてますね。

もう一個のののと加護さんに期待してます。
435 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月27日(水)01時52分07秒
―――吉澤視点

薄く目を開き、朝がきたことを知る。
腕の中には梨華ちゃん。
しっかり、あたしにつかまるように手を背中に回してる。
しかし。
こんなに体を密着させて眠ったこと…なかったな。
ウチのバスローブも梨華ちゃんのも、ちょうど旅館の浴衣のように前がはだけてて、中途半端に
肌が触れ合ってる。
彼女の控え目とはいえない胸の膨らみに、正直…ヘンな気持ちになってきた。
うひ〜…!
こんなに華奢なのに、どうしてこんな出るトコ出てんのさ。
奇跡のような体型だ。

「…あ」
梨華ちゃんが目を覚ました。
「おはよ。よく眠れた?」
微笑んで、彼女の瞼にキスする。
「あ、うん…。……!」
ウチに抱きついた姿勢のままで、固まった。
どうも、この胸なんか露出してるシチュエーションが恥ずかしかったらしい。
「あ、あたし…あのまま寝ちゃってたんだね。ごめんね」
早くもネガが入りだす。
眉をハの字に下げて。
「いいって、いいって。何か一歩近づいたってカンジでウチ的には満足してるよん」
「うん、ひとみちゃんが大事なお話してくれてすっごく嬉しかった」
あのう、お嬢さん。
そんな健気な目でそんなかわいらしいコト言われると、ウチ…理性、保てませんよ?
「…うん、ひとみちゃぁん…」
朝から激しいキスをして、梨華ちゃんがより強くウチにしがみついてくる。

その時、枕元で携帯のアラームが鳴った。
のぼせ上がった頭に、とてもビビる音だった―――。
436 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月27日(水)01時53分35秒

その日は。
1日中アトラクションとか回って。
おみやげもいっぱい買って家に帰った。

「クッキーれす〜!」
ご注文のミッキーのクッキーを渡すと、ののは大喜びだった。
梨華ちゃんはあいぼんに、ミッキーの可愛いマグカップをあげた。
ちょっと前にうっかりあいぼんが割ってしまい、ずっと湯飲みでコーヒーとかも
飲んでいたのだ。
「…おおきに」
あいぼんはかなり照れていた。


その数日後。
大学に行くと、食堂で何故かごっちんだけが、やたらと豪華なランチをとっていた。
この学食で一番高い、幕の内御膳(要予約)だ。
その周りの席で、市井さんとかが面白くなさそーにアンパンをかじってる。
「んあ!おっいし〜!」
ごっちん、ご満悦。


『ふたりは途中まではやる』

賭けは、ごっちんの一人勝ちだったそうだ―――。
437 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月27日(水)01時57分16秒
ウチらがディズニーシーに行った次の週、辻加護の学校で体育祭が行われた。
中澤さんと梨華ちゃんは、朝からお弁当を作って見に行った。
卒業生には毎年ご招待のハガキがくるらしい。
ウチも授業が終わってからはヒマなので、そのままチョクで朝比奈女子高校に向かった。

着いたのは11時過ぎだった。
授業が20分くらい前に終わったのもあって、案外早めに着く。
梨華ちゃんがどこにいるか探していると、特等席っぽいとこで手を振ってた。
「どっちが勝ってる?」
早速梨華ちゃんの隣に座る。
「えっとね。青組が6点差で勝ってる」
プログラムを見せてもらうと、いまは100メートル走だった。
ののと紺野ちゃんが出場するそうだ。
「お、辻が出てきょったで!」
中澤さんの言うほうを見ると、青いハチマキをして、やる気まんまんのののがいた。
腕をぐるぐる回したり、足を伸ばしたりして体をほぐしてる。
「位置について。よーい」
ピストルが鳴ると、ののが最初から物凄い勢いでトップに躍り出た。
「は、はえ〜!」
まるで弾丸だ。
ウチも足には自信あるけど、負けるかもな〜。
「辻、早いのぉ!あっという間にゴールや」
テープを切って、見事1等。
梨華ちゃんはビデオカメラ(保田さん所蔵)にその場面を収めてた。
438 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月27日(水)02時13分56秒
更新しました。
やっとこさ体育祭。

( ´D`)ノ<1等なのれす!

レスのお礼です。

>ひとみんこさん
从 #~∀~从<あ〜あ〜。寝てもたか!

寝ちまいますた。とりあえず微妙に何かあったようですが。

>あおのりさん
( ´ Д`)<あっは!ごとー、豪華なゴハン食べれたよ
後藤さんの一人勝ちで幕を閉じました。スロースターターなふたりなのです。

>クロイツさん
( ´ Д`)<んあ〜、とりあえず、少しは何かあったんだって〜
何かあったといっても、大層なことではないのですが。ゴチーン、勝利。

>名無しかも〜んな!さん
( ´D`)つ〔太田〕<なんかわかんないれすけど、乾杯なのれす
とりあえず、こうなりました。辻加護のふたりも進歩があればいいのですが。

439 名前:水海 投稿日:2002年11月27日(水)04時13分04秒
あんまり急ぐのも二人らしくないかなぁと思っていましたので、
ごっちん予想、『ふたりは途中まではやる』でじゅうぶんな気がしますね^^
ところで、賭けていたみなさんは結果をどのようにして
知りえたのでしょうか?
情報を漏らしたのは(^▽^)(0^〜^)どっち?
440 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月27日(水)07時54分47秒
どうもこの作品は朝に読むのがいい気がします。

なんかNHKの朝の連ドラ状態です。
娘。小説の連載記録、作ってください。(プレッシャー掛けてます)
441 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月28日(木)08時46分26秒
弾丸ののに萌え(w
市井さん残念でしたね。

連載記録ですか?ぜひがんがってください(オイラもプレッシャー掛けたいとおもいます
442 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月28日(木)16時21分21秒
予言者ごっちん。最高です。
そして、照れ照れあいぼん可愛過ぎ!!
しかし、それ以上に…梨華ちゃん!!アンタ可愛過ぎだ…!!!

連載記録…私も、プレッシャー掛けさせて頂きたいと思います(笑)
443 名前:名無し蒼 投稿日:2002年11月28日(木)18時32分00秒
煤i;0^〜^)<ごっちんっ!!

↑こんな感じ?
一人だけ当てたごっちんすげ〜(w
もぅ萌え萌えで最高です♪
444 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時15分48秒
―――吉澤視点

昼の休憩になった。
ののとあいぼん、紺野ちゃんがそろってやって来る。
これからお弁当だ。
梨華ちゃんは風呂敷に包んだ三段重ねのお重を、レジャーシートの上に広げた。

「わたくしまで…ありがとうございます」
紺野ちゃんは、はにかんで頭を下げた。
「エエんよ、余ってももったいないし。ようさん食べや」
中澤さんはお箸と紙の皿を紺野ちゃんに手渡した。
「ひゃぁ〜。すっごいなぁ!ウチのお母ちゃんよりすんごいわ!」
あいぼんはお重の中身を見て驚きの声を上げる。
朝から仕込んだお弁当は、かなり豪華だった。
「ほんとれす〜!いっただきま〜す!」
早くもののはお箸を割って食べ始めた。
いきなり喉につめてむせ、梨華ちゃんに背中を叩いてもらってる。

紺野ちゃんには妹がいて、その子も今日体育祭らしい。
お母さんは朝、妹さんの学校へ見に行き、その足でここにいらっしゃるらしい。
「妹の学校は少し離れてるので…応援団の時間に間に合うかどうか微妙なんです」
「そっか。間に合うといいね」
ウチもゆで卵の黄身をうっかり喉につめてしまい、やっぱり梨華ちゃんに背中を
叩いてもらった。

「のの、食べ過ぎたらアカンで。眠なんで」
「ふあ…もう遅いれす」
ののの目は、早くもトロンとしてきた。
それでもデザートのフルーツが登場すると、ぱっちり目を覚まし、誰よりも多く
食べていた。
445 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時19分50秒
『プログラム12番。赤組、青組応援団による応援合戦です』

昼休みが終わってしばらく、いよいよ応援合戦が始まった。
中澤さんはじっとビデオカメラを構えてる。
梨華ちゃんはごそごそとカメラを取り出し、試し撮りなのか物凄い至近距離で
ウチにレンズを向けるので、思わずピースしてしまった。
「そんな近くで撮ってもボケるだけやがな」
中澤さんの言うことはもっともだった。
梨華ちゃんは照れ笑いしてる。

まずは赤組だった。
『恋人は心の応援団』に合わせて、ポンポンを振ったり踊ったりなかなか可愛い。
「へぇ〜。なっかなか凝ってるねぇ〜。衣装とかも」
のんびり感想を漏らすと、
「そうでしょ。放課後とかも残って練習するんだよ」
梨華ちゃんがシャッターをおろして答えた。
「そういや、あのふたりここんとこ帰り遅かったね」
「うん。頑張ってたみたいだよ」
赤が終わり、青組が入れ替わりに入ってくる。
あいぼんはピンク、ののは黄色いシャツを着ている。
紺野ちゃんはひとりキャミソールにホットパンツと、肌寒そうな格好だった。
「あの紺野さん、寒ないんかいな。えらいまぁ、肌出して」
自分の声がビデオに入ることも忘れて、中澤さんは感心したように言う。
「裕ちゃん、おばさんみたい」
中澤さんは無言で梨華ちゃんの背中を叩いた。
446 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時25分51秒
『恋する乙女は チュッチュッチュ〜ルチュッ
 彼と初めて
 AH! チュッチュッチュ〜ルチュッ
 海に来ちゃった あ!どうしよう!?
 恋人もここ来んの 初めてらしい』

「おう!加護が真ん中やで!センターってヤツかいな?」
あいぼんは何かふっきれたように、満面の笑顔で踊っている。
しかし、目は燃えている。
『ウチはいま、コレに賭けてるんや!』
とか考えてるんだろうか。

「フフ。あいぼん、あんなにイヤがってたのに」
梨華ちゃんが嬉しそうに笑う。
「そうなん?」
「ウン。ののちゃんが『あいぼんと一緒にやりたい』とか言って丸め込んだみたいよ」
「へぇ〜」


『流行(はやり)の海は さすが 人だらけ
 迷子にならぬように 腕をつかんだ
 カップルだらけの 海はみんな
 イチャイチャしちゃって
 おっと 周りの空気に飲み込まれちゃって
 落ち着かない

 幸せビーム 出しまくりなのに
 さっきから恋人は 一人はしゃいで
 幸せビーム 気付いてほしいな
 だってこんなに楽しい時間なんだもん!』

ラインダンスっぽい振りもあったりして、なんかめちゃかわいかった。
あいぼん、ぐずってたっつーワリには楽しそうじゃん。

パフォーマンスが終わり、すぐ『そうだ! We're ALIVE 』の曲が流れ、
さっきの赤組の子も戻ってきて合同の応援になった。
447 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時32分24秒
『努力 未来 A BEAUTIFUL STAR 』

ウチは梨華ちゃんの横で、体育座りしてちびっこたちが踊るのを見てた。
「あのアゴの子、梨華ちゃんがカテキョで教えてる子でしょ」
「そう。あ」
見てると、そのアゴの子が
『なんだこのヤロー』のポーズを取った。
アドリブか?
よく見ると、ののとかあいぼんも『アイ〜ン』をやってる。
紺野ちゃんは拳を上げる振りの時、何か微妙に口が動いてる。
まさか『完璧です』とか言ってんのかな。

穏やかな秋の1日。
慌しく時間は過ぎていく。

その後は障害物競走とかがあって、ののがお尻でばんばん椅子に置かれた風船を
割ってた。あいぼんは綱引きでずるずる引きずられて『くそう!』って顔してる。

結局体育祭は赤が優勝した。
メイン競技の中高生混合リレーで青は圧勝したりしたのだが、どうにか赤が逃げ切った。

「残念だったけど、楽しかったれす」
「まぁな」
ののとあいぼんは、顔を見合わせて頷いていた。
448 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時37分51秒
数日後。

朝比奈女子高校。
6時間目。
1年C組の体育の授業で、残り時間を利用して体育教諭が空手の型を見せていた。
経験者の紺野も前に呼ばれ、いくつか披露する。
生徒のリクエストに応え、板割りもすることになった。

「なになに?おもしろそ〜!」
チャイムが鳴る少し前、用事で体育館に現れた小川が中に混じって見物する。
彼女のクラスは少し早めに授業が終わったのだ。
紺野が静かに構え、教師の持つ板を見事に割った。
「「すんげぇ〜!」」
一同は拍手する。中には指笛も混じっている。
「紺野ちゃん、すごいれす〜!」
辻も歓声を上げた。
「押忍!」
紺野が最後に構えて、チャイムが鳴った。


「いっや〜。おめ〜、ホントにつええなぁ!」
放課後。
たまたま体育館裏で紺野と顔を合わせた小川は、さっきの板割りのことを口にした。

「そんな…あまり言わないでください。恥ずかしいですから」
「いや、マジで。アタシ、あんなことできねーもん!」
ふたりが話していると、いかにもガラの悪そうな生徒たちが近づき、
「紺野ってアンタ?」
とだるそうに声をかけた。
「そうですが…何か御用ですか?」
『なんじゃ、コイツら』
小川は眉をしかめる。
この学校には珍しく、素行の悪そうな連中だった。
449 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時39分33秒
「御用も何もないよ。アンタ、はっきり言ってうざいんだけど」
『ソレはおめーだ』
小川は心の中で毒づく。
何かあったら、黙ってはいないつもりだった。
言われた紺野は、
『ワケが分からない』
という顔をしている。

「アンタ、帰国子女なんだって〜?英語ペラペラなんだろ〜?」
小川がちらっと相手の制服の校章に視線を移すと、高1を表す『HT』とあった。
『なんだ、タメか。コイツらどこのクラスだろ。知らねーなぁ。
にしても、アメリカ行ってて英語しゃべれるのはあたりめーだろうが。バカかよ』
小川が考えていると、紺野が困った顔をして切り出す。
「あの…うざいといきなり申されても困るんですが。具体的にどうしろと?」
「そういう態度がムカつくんだよ!」
その中のひとりが手を上げた。
「ば!やめろって!コイツ、マジつええから!」
小川は思わず止めに入った。
「強いって〜?何か武道でもやってんの?」
向こうは完全にバカにした口調だ。
小川はキレそうになったが、紺野は冷静に
「空手の…黒帯です。柔道も少々」
ゆっくり述べた。
このおっとりした見かけから意外だったのか、相手に少々戸惑いが走る。
450 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時42分50秒
『証拠見せろってさぁ。小学生じゃないんだから』
板を手に持ち、小川はとほほとなる。
口だけだろ、という相手の挑発に乗り、実際板割りを見せることになったのだ。

「小川さん、よろしいですか」
「いいぜ」
物凄い風がそばを通り抜けたかと思うと。
次の瞬間には、硬い板はぱっくりふたつに分かれていた。

「ホ、ホ〜ラ見ろよ〜!」
割れた板をかざし、小川は声を上げた。
『ビ、ビビった〜!』
強がってはいるが、内心ヒヤヒヤものだったのだ。
「まだだよ」
向こうのグループのひとりが二ヤっと笑った。
「な、まだ何かあんのかよ!?」
「アンタ、いま利き手でやったでしょ。左でやったらまあ、認めてやるわ」
「な…!」
さすがの紺野にも緊張が走る。
はっきり言って暴挙だ。
向こうはただニヤニヤ笑ってる。
「てめーら!自分でやってからそーゆーことは言えよ!」
小川は顔を真っ赤にして刃向かっていく。
「アンタは黙ってなよ」
「ケンカで出場停止になりたいのぉ〜?チアリーディングの副部長さん!」
「…この!」
「分かりました」
紺野は静かに言った。
「すみませんがもう一度お願いします、小川さん」
451 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時51分06秒
小川は額にイヤな汗をかいているのを自分で感じた。
「いきます」
紺野は深呼吸して、構えの姿勢を取る。
「…ハッ!」
掛け声とともに、板は割れた。
ただし、おびただしい血がついていた。

「これで、納得ですか」
負傷した拳を押さえ、紺野は女子生徒たちのほうを向いた。
向こうはすっかりシラけてしまったようで、
「バカじゃないの。行こ行こ」
と去って行く。
「はぁ、さすがに利き手じゃないほうではうまくいきませんね」
「血、血!」
小川はすっかりパニックになっていた。
「ととととと、とりあえず落ち着け!紺野!!」
「あの…お言葉ですが、小川さんが落ち着かれたほうが」
「なんて言ってる場合じゃないし!保健室行くぞ!」
「あの。小川さん、クラブは?」
「おめーが気にしなくていい!行くぞ!」
なかば強引に、小川は紺野を引っ張って行った。


―――保健室

「稲葉先生ー!!!」
小川はドアを開け、大声を上げた。
「なんや、でかい声出して」
養護教諭の稲葉は、薬品棚の整理をしていた。
「ケ、ケガ人だよ!見てやってよ!」
稲葉は紺野を見て、顔色を変える。
452 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)05時59分18秒
「どしたん、これ」
すぐに応急手当ての準備をする。
紺野はちょっと青ざめていた。
「空手の板割りをしまして…少し失敗しました」
「板割り?自分、左利きなんか?」
血を流しているのは左手だった。
「いえ、右利きです」
稲葉は少し不審に思ったがあえて突っ込んだ事情は聞かず、消毒をする。
「分かった。とりあえず応急で手当てしたるから、すぐ外科行こ。
車で連れてったるさかい。骨も見てもらわんと」
「骨!お、折れてんの?」
小川まで青ざめる。
「それは分からへん。アンタはもうクラブ行き」
「あ、ハイ…紺野、またな」
「ハイ…すみませんでした」

『紺野…ちょっと泣いてた?』
ドアを閉めて、小川は少し考えた。


その夜。
小川は意を決して、紺野に電話をかけた。
ケガのことも気になったし。
何より頭のいい紺野が、何故あんなくだらない挑発に乗って、
利き手とは逆でやったのか知りたかったからだ。


『ハイ?』
「あ、紺野。アタシ、小川だけど。ケガ…どうだ?」
『骨には、異常はありませんでした。ケガも血は出ましたが案外軽かったです。
すみません、ご心配かけて』
「あ、や。そんなのはいいんだけどよ。おめー、なんであんなバカなことしたんだ?」
紺野からの返事はなかった。
「あ、ごめん。言いたくないんなら別にいいけどさ。もうあんなことすんなよ。
マジ、心臓止まるかと思ったよ。血ィ見たとき」
『ごめんなさい、迷惑かけて』
「いや。いいって、いいって。アタシこそごめん。なんか、アイツらマジムカついてさ」
453 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)06時02分06秒
『小川さんは…優しいんですね』
「ハ?あ、やっぱり?ハハ、分かりきってること言うなよー」
電話の向こうで、くすくすと笑い声が聞こえる。
紺野がやっと笑ったことにちょっと安心した。
「じゃ、切るなー。おやすみー」
『おやすみなさい』


―――携帯を切って、紺野はベッドにつっぷした。
何であんなバカなことをしたのか。
あんな連中、口で丸め込むくらい、簡単だったのに。
自分があの場で、一瞬でも冷静さを欠いたことを紺野は後悔していた。
『関係ない小川さんまで迷惑かけて…』
自己嫌悪に陥っていると、メールが届いた。

『紺野へ。
明日は5時でよかったのよね?
ホホ!ヒサブリにビシビシしごいてやるわよ!』
保田からだった。
中間テストが近いのもあって、泊りがけで勉強を見てくれることになっている。
すぐ返事を送り、また寝転ぶ。
誰かからまた電話がかかる。
「もしもし?あ、愛ちゃん?うん、元気だよ」
長い間会っていない友人からだった。
その後長電話をし、眠りについたのはかなり遅い時間だった。
454 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)06時06分56秒
―――翌日。

夕方、紺野は保田の家を訪れた。
保田は冷蔵庫を確認し、
「…見事に何にもないわ」
と呟いた。
土曜で休みだが何かと忙しかったため、買物するのを忘れていた。
今週はよく食事を作ってくれる飯田も来なかったので、必然的に中身が乏しい。
バター、ビール、牛乳ではさすがに何もできない。
紺野は保田の机を借り、黙々と数学の問題を解く。

「紺野〜」
「ハイ」
「今日、外食しよっか」
「わたくしは構いませんが…よろしいんですか」
「うん、アタシ料理ダメだし。アンタも手、ケガしてるじゃん。だから」
そう言ってると、インターフォンが鳴った。
出ると、飯田が細長い箱を持って立っていた。
「圭ちゃ〜ん。宅配預かってたの持ってきたよー」
「あ、サンキュ」
飯田は箱を渡すと、そのまま帰って行った。
今日は紺野が来ているので、遠慮しているのだ。

「どらどら」
保田が包装をはがして開けると、塩鮭が丸ごと入っていた。
「うわ〜。立派な塩鮭ですねー」
紺野も勉強の手を止めて、鮭に見入る。
シャーペンを持ったままで。
「うん。知り合いの人が送ってくれたみたい。…あ!」
「なんですか?」
「いいこと、思いついた」
保田は、ニカっと笑った。
455 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)06時16分18秒
「ハ〜イ」
玄関のインターフォンが鳴り、飯田はスリッパをぱたぱたといわせ出て行く。
ドアを開けると、塩鮭を箱ごと持った何故か笑顔の保田と、すぐ後ろに
申し訳なさそうな顔の紺野がいた。

「なに?どしたん?」
「いやね、知り合いの人に塩鮭もらってさぁ。で、アンタにもおすそわけ」
「あ、そうなんだ。サンキュ」
「そんで」
「うん?」
「ゴハン作って!」
保田が手を合わせる。
「…スミマセン!」
続いて、紺野が頭を下げる。
「…ハァ」
やっぱりな。飯田は何となく、そう思った。


―――さきほど、このようなやりとりをふたりは交わしていた。

「どこに行かれるんですか」
保田は鮭の箱を抱え、ドアを開ける。
その後を紺野はついていく。
「さっきの人ん家」
「先生のお友達なんですか」
「ん〜…カノジョ」
保田は視線を合わさずに、ぼそっと言った。
『カノジョ…ステキな響きです。先生』
ぽっと紺野は頬を染めた。


―――ふたたび飯田宅

「たく。圭ちゃん、計画性なさすぎ。人を家に呼んどいてー、何にも食べるモンないなんて」
飯田は腕まくりをして、嫌味を言う。
まな板の上には、布巾を下に敷いてさっきの鮭が載っている。
「ハハ、すいませんねぇ。カオリさん」
姑風に返す保田。
「ホラ、見ときなさい。ここにこう包丁入れて」
「ほうほう」
鮭は頭を切り落とされ、骨と身に分かれていく。
「あの」
後ろから、紺野がおずおず声をかける。



456 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)06時19分55秒
「うん?どした?」
「飯田さん、わたくしも…何かお手伝いさせてください」
「あー。んじゃ、冷蔵庫からお鍋に使えそうなの出してくれる?
今日は鍋にしよ、鮭あるし」
「ハイ」
言われた紺野は、早速中を点検する。
圭ちゃんより動ける子だねぇ、と飯田は保田に向かってニヤニヤ笑った。


石狩鍋を囲んで、夕食が始まった。
飯田と紺野は同郷なので、話が弾む。
「へ〜。アメリカ行ってたんだ〜」
「ハイ。父の仕事の都合で」
「ホホ!この子はすっごく優秀だからアタシも鼻が高かったわ!」
「はぁ〜。圭ちゃんにキリキリ勉強させられてたんだね。可哀想に」
飯田が大袈裟に溜息をついてみせる。
「ちょっと!どーゆー意味よ!」
保田はムキになって怒る。
紺野はおかしくて、心から笑った。
昨日のイヤなことも、忘れそうなくらい。
飯田の家もホッとする空間だったが、何より保田と飯田が楽しそうなのが嬉しかった。
保田はどちらかというと強面だが、飯田にはずっと優しい眼差しを向けている。
『恋人って…いいですね』
紺野はほのぼのと鍋のシメのうどんをすすった。

457 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)06時23分58秒
その後は紺野が土産に持ってきたマルセイバターサンド(デパートの北海道物産展
にて購入)でお茶をし、お開きとなった。
「おやすみー。また遊びにおいでねー」
飯田は笑顔で手を振ってくれた。


「カオリさん…ステキな方ですね」
夜、布団に入り紺野は幸せな溜息をついた。
同郷のよしみもあり、紺野は「カオリさん」と呼んでいいと、飯田から言われたのだ。
「フフ。だから付き合ってるのよ」
しっかりノロける保田だった。
髪をブラッシングし、自分もベッドに入る。
紺野は下に布団を敷いてもらった。

「電気消すよ」
「あ、ハイ」
紺野は暗闇の中、ケガの理由を飯田に話し、
『くっだらないことで絡むねー。テスト前なのにヒマな連中だね』
と言われたことを思い出す。
「紺野さぁー」
突然、ベッドから保田が話しかけてきた。
「は、はい」
「そのケガ、誰かかばってやっちゃったとかじゃないの」
保田は分かっていた。
小川に関することは特に話さなかったのだが。
458 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年11月29日(金)06時27分01秒
紺野はあえてそれには直接答えず、
「自分でも…どうしてそうしたのかよく分かりません」
か細い声で言った。
「まぁ、若いときはね、色々あるわよ」
先生もまだ若いんじゃ?
口にはしない紺野だった。
「先生は…違うタイプの人を同時にふたり好きになったことってありますか」
ベッドからげほげほとむせる声がした。
紺野はそっと起き上がり、背中をさすった。
「いや、ありがとう。ハハ…いや、カオリとこうなる前にちょっと」
保田は苦笑する。
「そうなんですか」
「う、うん。アタシが…悪いんだけどね」
保田はアヤカに背中を押してもらった時のことを思い出していた。
ほんの少し前なのに、もう随分と時間がたったような気がする。
「相手の子に励ましてもらったから、いまカオリと一緒にいられるの」
「その方も…ステキな方なんですね」
「うん、いい友達よ。アタシにはもったいないくらい」

「カオリは」
保田は続けた。
「アタシには…かけがえのない子なの」
それは今日の様子を見て分かった。
紺野は黙って頷いた。
「わたしも…いつか見つかるでしょうか。そういう人」
「うん。きっとね」
おやすみ、と言い、保田は眠りについた。
紺野は布団に戻り、しばらくじっと見慣れない天井を見つめていた。
459 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年11月29日(金)06時45分22秒
更新しました。レスのお礼です。

>水海さん

( ´ Д `)<ごとーは柴っちゃんにきーたんだけど、どっちが言ったんだろ?
おお、オヒサスブリです。ヨシコにこれ以上ムリさせると、鼻血ブーで
ぶったおれるかと思いこうしますた(w

>ひとみんこさん
( ´ Д `)<んあ〜。たまに朝の連ドラって言われるよ〜。N○Kだとエ○が(ry
書くのは大体夜なのですが。そうですか、どうもです。
>娘。小説の連載記録
あの、それは期間ですか。量そのものですか(汗。

>名無しかも〜んな!さん
ヽ;^∀^ノ<まさか途中までするとはな〜
市井さん、読みが甘かったようです。ちなみに『しないよ』に賭けた模様。
プレッシャーふたり目、ハケーン。

>クロイツさん
( ´ Д `)<あっは!ありがと!
ゴチーン、鋭い読みで圧勝したようです。しかしそんな項目アリ?
プレッシャー、3人目ハケーン。おたがいがんがりませう。

>名無し蒼さん
煤R;^∀^ノ<マジ!?『途中』までて!
そうです、そんな感じです。そんでこれが事実を知った市井ちゃんです。
新しいHN、カッケー!『蒼』が効いてます。

460 名前:名無し蒼 投稿日:2002年11月29日(金)16時10分32秒
高橋キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
名前だけやっと登場しましたね(w
後はメロソ…w

同時にとはあの人とあの人でしょうか?
HNは『蒼』がかきいてますwでも意味一緒れす♪
ラヴラヴの圭圭いいですねぇ♪
461 名前:オガマー 投稿日:2002年11月29日(金)16時29分43秒
>物凄い至近距離
萌え〜

オガコン?血に焦るオガーかわいい(笑
462 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年11月29日(金)17時22分37秒
ハピ7キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
肌寒そうな紺野さんに萌えまくってます。
市井さんあれだけ煽っておいて「しないよに」賭けてたなんて・・・

マルセイバターサンドがツボに
はまってしまいました。(この前買ったばかりだったんでw
463 名前:名無し蒼 投稿日:2002年11月29日(金)20時16分40秒
『蒼』がかきいてます→『蒼』がきいてます
でした(w 失礼を…
464 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月29日(金)22時05分12秒
キュートなおがこんに、かなり期待してたりします。
つーかヤッスー…最強っ!!!最強ですわ!!!
そして鮭がさばけるカオリさんに惚れそうです。
カオリさんか梨華ちゃんに、是非とも嫁に来て頂きたい今日このごろ。
…やっぱ梨華ちゃんが良いかも!!

続き、楽しみにしております!!
465 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月01日(日)14時54分57秒
やっとこさ全部読み終えました。
いしよし、サイコー、保田にめろめろ。
沢山の登場人物を、すごくくわしくえがけてて、素晴らしい作品だと思います
頑張ってください。
466 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月05日(木)14時02分06秒
―――吉澤視点

授業はなかったが、用事があったので大学に行く。
ヒサブリにクラブの部室を覗くと、市井さんがパイプ椅子にふんぞり返って座り、
ビッグコミックを読んでいた。

「よ〜お。ヒサブリ、でもないか」
「先週会いましたよ」
「そっか、そっか。あーあ、ハラ減ったなー」
市井さんは大あくびをした。
壁時計は11時半を回っている。
昼にはちょっと早いか。
バン、と大きな音がしたかと思うと、掃除用具一式を持ったアヤカさんが現れた。
「よ〜お。どした?掃除でもすんの?」
市井さんはのんきにマンガをめくって言った。
「大掃除よ!も〜お!この部屋汚すぎ!I don't believe it!」
アヤカさんはキーッとなって両腕を広げ叫んだ。
確かに。
ウチやごっちんが気がついた時にちょこちょこ片付けてはいるが、
不用品がいたるところに積み重ねてあったりして、ちょっと手狭になってる。
もっとも、散らかってる主な原因は、いま椅子に座ってマンガ読んでる人なんだけど。

「ホラ!ふたりとも出て出て!紗耶香!いらないマンガはまとめて捨てる!」
アヤカさんは古雑誌を指さした。
「うへ〜い」
「よっすぃ〜もベーグルの備蓄はほどほどにしなさい」
「は〜い」
ふたりでだらだらと返事し、部室を出る。
市井さんは古いマンガ雑誌を適当に積み上げて、廊下で仕分けを始めた。
ヒマなので、いらない方に分類された雑誌をまとめるのを手伝う。
467 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月05日(木)14時14分43秒
ふたりがかりでやったので、案外早く片付いた。
「さて、整理も終わったし。メシでも食い行くか」
「あ、そうッスね。アヤカさん、昼どうします?」
外から声をかけてみる。
「終わってから行くわ」
「じゃ、ウチらゴハン行ってきます」
「行ってらっしゃい」
そこを離れると、
「いや〜!ゴキブリがゴキブリが!」
部屋の中から、痛ましい悲鳴が聞こえてきた。
アヤカさん…大丈夫かな〜。

「アヤカさん、大丈夫ッスかね」
「まぁ、大丈夫っしょ。あ、『あけぼの食堂』行こうぜ。今ならまだ空いてっから」
「はあ」
市井さんについてって、大学のそばの定食屋に行った。


市井さんの言う通り、まだそんなにお客は来ていなかった。
「おばちゃん、アタシ『ミニ親子丼』ね」
市井さんはお茶を運んできたおばさんにそう言うと、席を立ってカウンターのおかずを
取りに行った。
この店は好きなおかずをカウンターから客が取ってきて、うどんとか丼物は
注文するようになっている。
ウチもサバの味噌煮と、ホウレンソウのおひたしなんかを取ってきた。
468 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月05日(木)14時34分35秒
市井さんは、入り口のカラーボックスみたいな箱からビッグコミックを取ってきて、
ゴハンを食べながら読み始めた。
ごっちんがいたら、『んあ、行儀悪いよ』と小言を言ってるだろうな。

「あ!いちばんいいトコでソースこぼしてやがる!くぅ〜!」
見ると、べったり茶色いしみがついていた。
結構食べながら読む人は多いんだな。
「またビッグコミックっすか?さっきも読んでたのに」
「うっかり古雑誌と一緒にまとめちまったんだよ。今更ヒモ縛ったの、
ほどくのめんどくせーし。ゴルゴも気になるし」
ゴルゴ…。
まぁ、いいけど。
「あ、親子丼来ましたよ」
「おう」
市井さんは嬉々としておばさんから受け取った。

「石川、元気か」
不意に、市井さんが言った。
「ああ、はい。元気っスよ。学祭のカントリー娘。の練習始まったみたいで、
ここんとこ帰り遅いみたいっスけど」
「そっか。ウチらもそろそろ始めんとイカンね〜」
「ええ。クラブの方もそろそろ準備しないと」
「はぁ〜。これから忙しくなるなー」
ウチらのクラブは学園祭で単独ではまず野外ステージをやる(一応フォークソング部なんで
それらしいことをやる)。梨華ちゃんが助っ人で入るカントリー娘。のバックを
ごっちん抜きのメンバーでやるし、おまけに喫茶店もすることになってる。
これから、しばらく忙しくなるだろうな。
そう思って、お茶をすすった。




469 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月05日(木)14時52分20秒
更新しました。
アヤカ、ヒサブリの登場。

川;‘.▽‘)||<Oh,no〜! 

レスのお礼です。

>名無し蒼さん
( ゜皿 ゜)<ケイチャン、ホットクトロクナモノタベナイ
名前だけやっと登場です。丁寧な訂正までありがとうございます。

>オガマーさん
从 #~∀~从<現像に出したら、案の定ビミョーな写りやったわ!
小川さんは小心者なんです(w 気は強いけどヘタレっつーか。

>名無しかも〜んな!さん
川o・-・)<さすがにおへそ出しのキャミは…寒いですね
ハッピー7に紺野あさ美(1年C組)。マルセイバターサンドはうめーのれす。

>クロイツさん
(;0^〜^)<エ〜?梨華ちゃんはオイラのだよほ!
そうです、ヤッスーは最強です。そして明日の生誕祭は軟骨で祝うのれす。

>名無し読者さん
( `.∀´)<ホホ!アタシのオトナの魅力におぼれた?
素晴らしいなんて言って頂いて忝いです。ありがとうございます。
470 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月05日(木)18時05分08秒
ビッグコミックを普通に読んでいる市井さんに、『男前』の究極を見た気がします。
そしてヨッスィー。…しかたない。あなたになら梨華ちゃんを譲りましょう(←偉そう)。

ヤッスー生誕祭!!!楽しみー!!!
…私も『ケーキ屋さん』でやろうかな…とか考えてみたり(笑)
次回、超楽しみにしてますね!!!
471 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月06日(金)23時47分57秒
―――吉澤視点

ゴハンを食べて戻ると、いらない雑誌がまた出てきたので片付けた。
「これはいらん、これは後藤の。あ、これ誰の雑誌だっけ?ナニ?
『美人妻衝撃の告白!』…オオ、すっげー!」
「…うっわ〜。マジ、すげーっスね」
ふたりで雑誌を広げて読んでいたら、
「コラー!サボるなー!」
モップを振り上げて、アヤカさんが怒った。
「こえー!さて、マジメにやるか。…ミシン目になってる。めんどくせーな」
ひょいと見てみると、その雑誌の表紙には『ついに脱いだ!あの人が!』と
デカデカと書いてあった…。
市井さん…マジメにやるんじゃないんスか。

しばらくたってやっとこさ片付いたので、アヤカさんはゴハンを食べに行った。
「んあ!」
アヤカさんと入れ違いに部室に入ってきたごっちんは、あまりのキレイさに
目を見開いた。
「部室が美しいよ。後藤がしばらく来ない間に、何があったの〜」
「アヤカが掃除したんだよ」
「んあ〜。どこもかしこもピカピカだねっ。いちーちゃん、もう汚しちゃダメだよ」
「アタシのせいかよっ」
「んあ。散らかし放題、汚し放題」
市井さんはうらめしそうな目でごっちんを見上げ、うつむいて小さくためいきをついた。
「んあ、そうだ。圭ちゃんがなんか信州行って、ごとーおみやげ預かってるんだった」
ごっちんはカバンからごそごそと何か取り出した。
「『とっとこハム太郎クッキー』なんじゃこりゃ」
「…ビミョーっスね」
「んあ、圭ちゃんにおみやげのセンス期待しちゃダメだよ」
保田さん、ウケ狙いとかじゃなく、素で買ったんだろうなー。
472 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月06日(金)23時51分45秒
「♪とっとこ走るよ、ハム太郎〜」
市井さんは低い声で唱和しながら、箱を開けた。
ハム太郎ってキャラじゃないでしょ、保田さん。
ウチらはそう思いながら、信州みやげを胃に納めた。


その日の夕方。



辻と加護は買物がてら河原まで散歩していた。
堤防に並んで座り、お菓子を食べる。
ペットボトルのお茶を半分こして飲んでいた。
「もうすっかり秋れすねぇ」
辻は言った。
ここのところ、陽が落ちるのが早くなった。
「まぁな。あ〜あ、もうじき中間テストやなぁ」
「ふへ〜。イヤなことを思い出したれすよ」
しばらくふたりは黙ってお菓子を食べる。
「あいぼんはいいれすね〜。勉強得意だから」
「別に…いいかって言われるとそうでもあらへん」
加護は困った顔をした。
「いいれすよ。あ〜あ、テストのない国に行きたいれす」
辻は立ち上がってう〜んと伸びをした。
自然に、視界に辻の足が目に入る。
カーキ色のショートパンツからすんなり伸びた足を見て、加護は一瞬どきっとする。
『―――な!ののごときの足にナニドギマギしてんねん!ウチは!』
目のやり場に困り、加護は視線を泳がせる。
辻の、オイルレザーの茶色いワークブーツの爪先を、しばらく見ていた。
「あ〜あ。オナカ減ったのれす」
『オマエはいま、菓子食うたよな?もう消費したんかい!』
加護は心の中でツッコむ。
「あいぼん、もう帰るれす。そろそろ晩ご飯の時間なのれす」
「おう。帰ろか」
加護も立ち上がる。
辻はちょっと待ってくらさい、と言い、白いルーズソックスを引っ張り上げて直した。
やはり目のやり場に困る加護だった。

473 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月06日(金)23時53分37秒
「今日メシなんやったかいな」
「おでんれすよ。中澤しゃんが言ってたれす」
「自分、そういうことにかけては天才的な記憶力やな」
加護はあきれて言う。
「ほめたってなんにも出ないれすよ」
「ほめてへんっちゅーのに」
スーパーの買物袋を手に提げて、ふたりは家路を急いだ。


―――ふたたび吉澤視点
「よっすぃ〜、卵ばっかりなのれす」
「ホンマゆで卵星人やな、自分」
「吉澤ー、栄養偏るぞ。他の具も入れぇな」
晩ご飯の時、ウチは中澤さんや辻加護の3人にあきれられていた。
だって、おでんの卵、おいすぃ〜もん。
でも、4個は入れすぎかな。
「梨華ちゃん、遅いれすね」
ののが時計を見上げて言った。
「今日はカテキョの日やからな。もう帰ってくるやろ」
梨華ちゃんは受け持ってる小川ちゃんの中間テストが近いこともあり、特別カリキュラムを自分で
作成したりして燃えていた。
小川ちゃんはかなり数学がニガテらしいので、梨華ちゃんも結構苦労してるようだ。
「自分らも勉強してるんかいな。もうじき中間テストなんやろ」
中澤さんが言った。
「まぁ、ボチボチと」
あいぼんは自信あり気だ。
「あいぼん、また倒れちゃダメれすよ」
ののが言うと、あいぼんは渋い顔をして、
「もう、その話はよしてェな。あこまでやらへん」
「まぁ、あんまり夜更かしせんようにな。体に毒や」
「へいっ。夜はぐっすり寝てるれすっ」
「自分、いつもやん」
あいぼんの間髪入れないひとことに、みんな笑った。
474 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月06日(金)23時58分33秒
更新しました。

(; `.∀´)y−~~ <せっかくの誕生日に名前だけ出てきて、しかもみやげものの
            センスないって言われるってどゆこと?

ヤッスー、イカしてるよ、ヤッスー。

レスのお礼です。

>クロイツさん
(  `.∀´)<ケーキ屋さんも盛大な祭りだったわねッ!
市井ちゃんはオヤジなのれす。そんで今日うちのヤッスーは名前のみの登場(w
475 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月07日(土)00時17分24秒
のの・・・少しは勉強しましょうね
やすす誕生日なのに影うす(w
でもいいらさんと2人きりでお祝いしてるんかな〜(萌え)
476 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年12月07日(土)09時13分52秒
ひーさまの頬袋には、卵が10個入るそうです。

ののの太股に萌えてるあいぼん、きゃわいい〜。

ヤッスー、某有名レ○サイトの、投票でNo.1でした。
477 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月09日(月)15時31分46秒
『とっとこハム太郎クッキー』!!
ヤッスーのセンスは素晴らし過ぎます!!私も市井さんと共に歌ってしまいました(笑)
そしてののたんの足。私もあいぼんと一緒にどっきどき。
次回も楽しみにしております!!
478 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月10日(火)20時14分13秒
―――翌日。朝比奈女子高校。

放課後、図書館で紺野は調べ物をしていた。
社会科の課題でレポートが出ているのだ。

『とりあえずは百科事典ですね…』
ブリタニカの『さ行』のあたりを探す。
誰か使っているのか、そこだけ隙間があった。
どうしたものかと思案してると、
「これか?」
振り向くと、加護が目当ての百科事典を持って立っていた。
「あ、ハイ。スミマセン」
「今使ってんねんけど、コピー取ってからでエエ?」
「ハイ」

加護がコピーを取るのを、何となくそばで見る。
「自分、手ェどしたん?」
百科事典を裏返してコピー台に載せ、加護は言った。
彼女から話しかけてくるというのも、珍しい事だった。
突然の事なので、紺野は正直戸惑う。
「え、あ。ちょっと空手の板割で失敗しまして…」
「ふうん。痛そうやな」
口調は素っ気なかったが、普段を考えるとかなり自分に口を聞いている方だ。
『加護さんが辻さん以外の人間に関心を示してます…雨が降りそうです』
加護本人が聞いたら気を悪くしそうなことを思い、紺野は
「いえ、痛みはそんなに…」
控え目に返した。
「ふうん」
加護は相変わらず、素っ気なく言う。
479 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月10日(火)20時18分48秒
図書館を出て、加護と紺野は帰りも何故か一緒になる。
学校のそばのコンビニで肉まんを買い、ふたりは何となく目の前の公園に向かった。

「加護さんは…勉強熱心ですね」
ブランコに腰掛け、紺野は言った。
「別にィ、他にすることもないしなぁ」
隣のブランコに、加護は板の汚れをはらって腰掛けた。

今まで田舎に住んでいたので、特に娯楽もなく仕方なく勉強していた、と
いうのもあった。
学校でいじめに遭っていたので、見返してやる、という気持ちもあったが。
「自分こそ、めちゃ勉強好きなんちゃうの」
「わたくしは…ただやったらできただけなので」
加護は顔をしかめる。
「ソレ…勉強でけへん人が聞いたら気ィ悪すんで」
「そうですか…」
「まぁ、できるに越したことはないんやからエエんちゃう」
「そうですね…」
ふと目があった。
紺野がくすっと笑う。
「なにぃな?」
加護はすぐムッとした。
「いえ…こんなに個人的にお話ししたのは初めてだなぁ、と思って」
「まぁ、普段は自分、ののとべったりやからな」
「そうですね、加護さんは辻さんが他の人と話してると、
お気に入りのおもちゃを取り上げられた子供みたいな顔してますし」
「ののはおもちゃやない!」
「すぐこうやってムキになりますしね」
紺野は悪いなぁ、と思いながらもからかう気持ちを止められない。
笑いがこみ上げてきて、口を押さえて笑う。
480 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月10日(火)20時28分59秒
「自分、ののが好きなんか」
加護は紺野の目を見て言った。
『ああ、まっすぐな目だなぁ。これじゃぁ、同じようにまっすぐな小川さんと
衝突するのもムリはないですね。ある意味、似たもの同士ですから』
紺野は加護のつぶらな目を見て、心の中で思う。
そうして、ゆっくり口を開いた。
「いえ。確かに辻さんは友達としては好きですけど、恋愛感情はありませんよ。
わたくしには…この通りちゃんと好きな人がいますし」
紺野は制服のポケットから携帯を取り出し、それに貼ってるプリクラを見せた。
紺野と一緒に、ポニーテールの大きな目の女の子が写っている。
「なんや、えらいかわいい子やな」
加護は他意なく感想を述べた。
「そうでしょう。さすがわたくしの好きなひとだけあって」
「て!ナニゲに自分の自慢かい!」
ふたりはしばらく顔を見合わせていた。
やがてふたりともぷっと噴き出す。


「加護さん、今度数学教えてください」
暗くなってきたので、ふたりは公園を後にした。
駅までの道すがら、今度のテストの話をする。
「別にエエけど、自分に教えることなんてあるん?」
「ええ。あなたの数学センスは類まれなものがあります。このわたくしが
認めるのですから、間違いはありません」
「じゃ、ウチは英語教えてェな。本場仕込みは違うやろうし」
「わたくしは…高くつきますよ」
「自分、ナニゲにエエ根性してんな」
「ハイ、完璧です」
ふたりはまたくすくす笑った。
481 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月10日(火)20時43分50秒
その数日後。
小川は学食で加護と紺野がノートを見せ合ってるのを見て、びっくりする。
お互い勉強を教え合ってる、という話を辻から聞き、『マジで!?』と目を見開く。
「勉強できるヤツらが協力しあったら、もっとできるようになるじゃん!ずりィーよ!」
正直なコメントに、辻はつい笑ってしまった。


―――その夜。中澤家。

加護は部屋で勉強していた。
そろそろひと休みしようかと思っていると、ドアをノックする音がした。
「どうぞ」
「あいぼん、頑張ってるね」
梨華がココアと蒸しケーキの載ったお盆を持って入ってくる。
マグカップからは、温かい湯気が立ち上っていた。
「ウン。明日からテストやしなぁ」
「ののちゃんもさっき夜食持ってたら、英語やってたみたいよ」
「へぇ」
加護は机から離れ、小さなテーブルのそばに座った。
梨華もそばに座り、ココアを手渡してやる。
加護はココアを一口飲み、蒸しケーキを頬張った。
「コーンが入ってておいしいなぁ、このケーキ」
「うん、裕ちゃんが作ってくれたんだよ」
「そうなんや」
あたしがテストの時、よく夜食に作ってくれたんだよ、と梨華は言った。

「あんまり根詰めちゃダメだよ」
梨華は邪魔になるのは悪いと思い、すぐ部屋を出た。
ドアを閉める前に声をかける。
「うん、ほどほどにしとく。あのな、ウチな」
「うん?」
「今まで自分をいじめたヤツを見返す、とかそういう理由で成績一番取るのに
こだわっててん。でも、もうエエわって気になってきてん」
「そう」
「これからは自分のペースで勉強したらエエって思うねん」
「そうだね」
梨華は目を細めて笑った。
482 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月10日(火)20時48分39秒
「ほな、ウチもうちょっと続きしてから寝るわ」
「うん、風邪引かないようにね」
「おやすみ。夜食おおきになぁ」
静かに、ドアは閉まった。


加護はテキストを閉じて、ココアのカップや皿を持って下の台所へ行った。
流しで洗い物をしていると、辻がやはり皿を持ってやって来た。
「貸しィな。ついでやし洗たるわ」
振り返り、泡だらけの手を差し出す。
「あ、ありがとれす」
辻はカップと皿を渡す。
「あいぼん、最近ガリガリ勉強しないんれすね」
加護がふきんで拭いている姿を見て、辻はポツンと言った。
「うん。なんや最近、憑き物がとれたっつーか」
「憑き物、れすか?」
「うん。ウチ、昔はいじめられてたから、自分をいじめたヤツを見返したる、
ちゅーのでエエ成績取ろうとやっきになって勉強しててん。でも、もうエエねん」
「なんでれすか」
「紺野に負けてから、ウチがやってたことってある意味あほやったってのに
気ィついてん」
「…あいぼんはあほじゃないのれす」
「なんか、すっごいラクになってん。井の中の蛙、大海を知る、って
このことやってんってなぁ。東京へ出てきて、ウチ、正解やった」
「あの、ののはバカだからよくわかんないれすけど、あいぼんはすっごく
頭いいと思うれす。勉強うんぬんは別として」
「そうか。サンキュ」
加護は少し微笑んで、『おやすみ』と言い部屋に戻った。
それがあんまり自然だったので、辻は不思議な気持ちに囚われるのだった。
483 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月10日(火)21時14分02秒
3日間の日程で、テストはつつがなく行われた。
加護は落ち着いた気持ちで問題を解けた。
こんなにカリカリしなかったのは初めてかもしれない。

小川は梨華の期待に応えるべく、今回は彼女にしては珍しく、一週間前から
試験準備をした。
板書が不明瞭な箇所は、調べたり、担当の先生に質問したりした。
『おっしゃ〜!とりあえず、平均点よりは上だな!』
成績が上がったら、母に新しいコートを買ってもらえる。
『今年の冬の主役はアタシだな!』
まだテスト中なのに、小川は早くもかっこいいコート姿の自分を想像し、
うっとりした。

3日後、結果が出た。
総合得点は加護が1位。
2位は紺野。僅か1点差だった。

「やっぱり加護さんには敵いません」
答案返却後、顔を合わせた学食で、紺野は笑って言った。
「ナニゆーてんねん。自分の方が英語は上やんか。ウチは理数系で点稼いだから
ギリギリ逃げ切れたんや」
総合得点や順位が書かれたプリントを見て、加護は眉をしかめる。
「わたくしが加護さんに勝てたのは、英語だけです。国語と社会は同点ですが」
「次は負けへんで、英語ベラベラになったるわ」
腰に手を当て、加護は挑発するように言う。
「望むところです。いつか、数学で首席を取ってみせますからね」
同様に返す紺野。こちらは例の『完璧です!』ポーズ。
ふたりはとても楽しそうだった。

『あいぼん、いつの間に紺野ちゃんと仲良くなったんれしょう…』
辻は何故だか複雑な気持ちでふたりを見つめるのだった。
484 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月10日(火)21時26分28秒
更新しました。

( ^▽^)<(…あいぼん、よかったね)

レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん
( ´D`)ノ<いいらさんに英語を教えてもらったのれす!
やすすはきっと市井たちがあきれるくらい、デレデレと幸せなお誕生日だったのです、多分。

>ひとみんこさん
(0^〜^)<あれ〜?なんでわかったの?
備蓄して、小腹が空いたときなどに、少しずつ食べているとオモワレ。やすすは幅広い人気っすね。

>クロイツさん
(; `.∀´)<店の人にすすめられたんだってば
きっと彼女は『根性』とか書いたでかいしゃもじとかも買うタイプです。後は珍味とか。

485 名前:婆金 投稿日:2002年12月11日(水)00時27分44秒
外は寒いですが、この話は暖かいのです。
「ベース弾き」実写で見てみたいです。
486 名前:名無し蒼 投稿日:2002年12月11日(水)01時17分34秒
紺ちゃんの相手出たぁ〜♪
好きなカポーです♪
でも最初の発言が気になります…
どうなってくのか楽しみです(w
そして知り合ったきっかけ?も…w
加護と仲良くもなっていいですねぇ〜♪
ごまべーぐるさんの小説はいつも本当に楽しみに待ってますw
487 名前:BLUE SKY 投稿日:2002年12月11日(水)18時12分40秒
そういえば紺野さんの相手とおぼしき人は未登場だったんですよね。
紺野さんの紹介のところだけみれば、知り合うきっかけって難しそうですよね。
日本でそれとも海外で。
登場人物もそろそろ出尽くす頃でしょうし、引き続き楽しみにしてます。
そろそろ次スレッドでしょうか。
488 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月16日(月)20時02分18秒
―――加護視点

中間テスト以来、ののの様子がおかしい。
ぼーっとしたり、何か考え込んでたり。
「風邪でもひいたんか?」
ってウチが声をかけると、慌てて首を振りおった。

「あいぼん」
「ん〜?」
ある日の晩ゴハンの時、ののは食べてる途中お茶碗を置いた。
「宿題で分かんないトコがあったから教えてくらさい」
「エエよ。ゴハンの後、部屋おいでェな」
「へいっ。お邪魔するれす」
ののはゴハンの後、しばらくしてからウチの部屋にやってきた。
ウチは数学の宿題を片付けてるトコやった。
「で、何が分からんて?」
「ココれす」
ののは数学のテキストを広げた。
それは今日ウチのクラスで習ったトコや。
自分のノートを見せて、シャーペンを出して説明した。
ののはしばらくふんふんと聞いてた。
「あいぼん、ありがとれす」
「うん」
「あのれすね」
「何?」
「あの…あいぼん、紺野ちゃんと仲良くなったんれすよね」
「まぁ…仲エエていうんかな」
何が言いたいか知らんけど、ののは小さく『よかったれす』と言うた。

「のの、最近おかしいんれす」
「何が」
オマエがおかしいのはいつもやんけ、と言おうとしたけど、ののの表情が真剣やったから
喉の奥に引っ込めた。
「なんか…みんなに取り残されてる気がするんれす」
「はぁ?」
何を言い出すかと思たら。
あんだけ毎日学校とかで大勢ではしゃいでて、『取り残されてる』やと?
489 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月16日(月)20時03分31秒
「あいぼんは」
少したってののはこう続けた。
「キスしたことあるれすか」
「…へ?」
「キスって…どうするんれすか」
一瞬何を言われたか分からんくて、ウチの頭の中は真っ白んなった。
ののは言ってから、ウチを見て黙っとる。
「……」
「…エエんか?」
ののは目を閉じた。
手元を見ると、手ェ、グーにしとる。
両方とも。
ウチはソレ見て思わず噴き出しそうになったけど、ガマンしてゆっくり近づいてった。
左手をののの肩に触れて、そっと唇を重ねる。
何や、甘い香りがした。
これがののの匂いなんかなぁ。
してみたら何てことない行為なんかもしれへん。
肩に手を載せたまま、ゆっくり唇を離した。
触れるだけのキスやったけど。
今まで感じたことがないくらい、ドキドキした。
ののもゆっくり目を開けた。
ウチは何か名残惜しいなって、もう一度顔を近づけてキスしようとした。
「…ヤ!イヤれす!」
ののの拒絶はウチには理解不能やった。
自分からキスを要求するようなコトしといて。
ののは両手でバッテンするように、自分の顔を防いだ。
「…ごめん」
非常にバツの悪い思いをし、ウチは小声で謝った。
ののはそれには答えず、自分の勉強道具をまとめると、何にも言わずに部屋から出てった。
横を通り過ぎる時。
ののの頬に涙の筋ができてるのが見えた。
490 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月16日(月)20時07分14秒
それから2,3日、ウチらは必要最低限の会話しかせんかった。
「また何かあったんですか」
紺野が学校でこそっとウチに聞いてきたけど、事情が事情やから、ウチは曖昧に
言葉を濁してごまかした。
それにしても『また』て。
まぁ、言われてもしゃあないか。

ある夜。

「あいぼん」
夜中に、ののがドアをノックしおった。
「…どないしたん?」
ウチは目をこすって、ドアを開けた。
「…一緒に寝てもいいれすか」
ののは心細そうな顔をしとった。
自分の枕を抱えて。
「…エエで。入り」
ウチはベッドに入り、壁際に寄ってのののスペースを作った。
ののは
「ありがとうれす」
と横になった。
「怖い夢でも見たん?」
壁のほうを向いたまま、ウチは言うた。
「…あいぼんがいなくなる夢を見たれす」
「何や…夢でもヤなカンジやな」
「朝目が覚めたら、あいぼんがベッドの下にも下駄箱にもいないんれす」
「…何でそんなピンポイントなトコばっかり探すん?」
下駄箱って、と呟き、ウチはのののほうに寝返りを打つ。
夢を思い出したのか、ののは小さくしゃくり上げ、体を震わせた。


491 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月16日(月)20時09分44秒
「…なんで泣くんな。もう夢は終わったんやろ」
「らって…らって、ののが、あんなことしたから」
ののはウチにしがみついた。
受け止めてやりながら、小さな背中をさする。
「どこにも行かへん」
「あいぼんばっかりずるいれす、ののを置いてきぼりにして、ひとりで勝手に
先に大人になって」
「ウチはまだガキやって」
「ううん、違うれす」
「も〜う、どうせいっちゅーねん」
「どこにも行かないでくらさい」
「うん」
「ホントれすよ」
ののは何度も何度も念を押した。
「なぁ」
「へいっ」
「もしかしたらキスしたら大人になれる思て、キスせい言うたんか」
ののは大きな目を見開いた。
「何で分かったんれすか。あいぼん、すごいれす」
「…やっぱりなー」
ウチはためいきをついて、また壁のほうに寝返りを打った。
「あ、あいぼん。のの、また何かおかしなこと言ったんれすか。ねぇ」
ののは心細くなったんか、ウチの体を揺する。
「いーや。はよ寝ぇや。なんや寒いワ」
「じゃ、こっち向いてくらさい」
「あ〜?」
めんどくさいなぁ、と思たけどご要望のとーり、ウチはまたのののほうに向いた。
ウチらは新婚夫婦かっちゅーねん。
少したってののを見ると、安らかな顔をして眠っとった。
「かなわんなぁ」
ウチは肘をついて、その寝顔をしばらく見とったんや。
492 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月16日(月)20時23分49秒
更新しました。

ノ(;0^〜^)ノ<アララララ!オイラが知らない間にこんなコト…

レスのお礼です。

>婆金さん
(0^〜^)ノ<オイラも実写で見たいYO!
書いてるヤシは寒いのは死ぬほど苦手なのですが、読んでる方が暖かさを
感じてくださるのなら嬉しいです。

>名無し蒼さん
∬`▽´∬<エー?紺野って好きなヤツいんの〜?ダレダレ?
多分次のスレ辺りで明らかになる予定です(多分)。楽しみにしてくだすって
ありがとうございます。

>BLUE SKYさん
川o・-・)ノ<初レス、ありがとうございます!
紺野の意中の人については、次スレで書く予定です。楽しみにしてくださって
ありがとうございます。
493 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月16日(月)23時45分29秒
ぶりんこキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
キスしたら大人なんてののらしい発想かも(萌え)
だんだん加護さんが男前になっていくのがいいっすよ
494 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月17日(火)00時07分52秒
あいぼん&ののたん可愛いー!!!
キスシーンに、んもー!!おねーさんドッキドキ☆
ののたんの発想も可愛いですが…あいぼん!!カッコ良すぎです!!マジで!!
ヨッスィー並に!!!

うあ〜、続きが楽しみだ〜!!
495 名前:あおのり 投稿日:2002年12月18日(水)13時25分00秒
若いっていいっすねぇ〜
この小説を読むたびにそう思います。
あいぼんもののも悩みながら大人になっていくんですねぇ〜
496 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)21時06分37秒
レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん

ぶりんこキタ━━━━( ´D`)‘д‘)━━━━!!!! カガヤイテミエルー(ry

キスするだけで大人になることはないですが、辻加護の一歩成長のキスなのです。
ちょこっとAAをいじらせて頂きますた。スマソ

>クロイツさん

(* ´D`)<イヤン!照れるれす〜

自分の言い出したことがどんだけ相手を惑わせてるか、分かってないのが辻らしいかと。
( ´д`)<ホンマにのののヤツ、分かっとるんかなぁ。ハァ…

>あおのりさん

从 #~∀~从ノ<いやぁ〜、青春やね!

その時期には気づかないんですが、確かに若い時ってのはいいモンですね。
( `◇´)ノ<姐さん、『青春』って!いまどき!
497 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)21時24分30秒
∋8ノハ8∈  
 ( ´D`)ノ<新スレれ〜す♪

 @ノハ@
 ( ‘д‘)ノ <よろしゅうにな〜!


http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/sea/1040300502/
498 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)22時37分56秒
・電話、待ってます


.。.:*・ツヤツヤツヤ…

( `.∀´)ピカピカピカ.。.:*・


ヽ;^∀^ノ<け、圭ちゃんさ。何か最近以前にも増して顔ツヤ、よくねーか?

川´.▽`)||<おいしいゴハン、食べさせてもらってるから Oh〜!←外国人がよくやる肩すくめポーズ

参考AA→(カオリ、オカワリ>(*`.∀´)つフと(‘〜‘川<アイヨ )

( ´ Д`)<んあ〜。よくふたりで買物とかしてゴハン食べてるみたいだよ〜 ゴトーモタマニヨバレテルシ

(0^〜^)<ウチもスーパーで見かけたことあるっス!

ヽ;^∀^ノ<ありゃま!

    ピピピ…
( `.∀´)¶<♪〜

(*`.∀´)¶<あ、カオリ?今バンドの練習終わったから。うん、今日ゴハンなに?

ヽ;^∀^ノ<(…変われば変わるモンだねェ)


                       デレデレ
川‘〜‘)|| <魚も食べなきゃダメだよー (´.∀`*)<ウン

ちなみにこの日のメニュー→炊き込みご飯、ブリの照り焼き、味噌汁、おひたし


        


 
499 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)22時54分25秒
・出逢い

亡き祖父の楽器店を継ぐ事になり、単身北海道から上京したなっち…

( ・´ー`)<東京はなまら広いっしょ!なっち、びっくりしたべ!

( ・´ー`)<えー、商店街の人には大方挨拶は済ましたべ。後は、あの『タンポポ』って
        いう喫茶店だべ

―――喫茶タンポポ

( ・´ー`)<あれ、定休日だべ!しょうがないっしょ、明日出直すか

(〜^◇^)<あの、うちに何か御用でしょうか

( ・´ー`)つ〔六花亭〕<あ、このお店の人だべか?『アベ楽器店』の店長の安倍です。
       よろしくお願いします。コレ、オクチニアエバイインダケド

(〜^◇^)<ああ、『アベ楽器店』の。ここの店長の矢口です。こちらこそよろしくお願いしますね。

(〜^◇^)<時間あったらお茶でも飲んでいかない?もうじき昼だし、何か軽いモンでも作るよ!

( *´ー`)<わぁ、ありがとう(…めんこいべ)



(〜^◇^)<矢口って呼んでよ。年も近いしさ(´ー`* )<なっちはなっちって呼んでくれていいべ

500 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)23時05分38秒
・野暮

―――大学の学食にて

ヽ^∀^ノ<やっぱアンタも、吉澤に手料理とか作ったりすんの?

(* ^▽^)<あ…ハイ。自炊日とかに一緒に作ったりしますよ

     ウフフフ…     タマゴ、カッケー!
 (* ^▽^)(0^〜^0)      


ヽ^∀^ノ<ほう。吉澤とか好き嫌い多いしタイヘンじゃねーの?

(* ^▽^)<何でも食べてくれますよ。『おいすぃ〜!』って言って!キャッ!

ヽ;^∀^ノ<ふうん…(聞くだけヤボだった)



( ´ Д `)<ヨシコはいいね〜、ゴハン作ってくれる彼女がいて〜 (^〜^*)<エヘヘ!


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