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I WISH
- 1 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時18分45秒
- カップリングとしては珍しい、「ごまかご」です。
ごっちん卒業&誕生日記念に書きたいと思います。
羊のこのスレでも小説書いているので、よろしければ見て下さい。
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1013963748/l50
- 2 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時19分49秒
- 小さな頃のアルバムを開くと、いつも何故か切なくなる。
楽しい思い出が溢れているのに…。
その赤いアルバムの1ページ目には、あたしの特に好きな写真が貼ってある。
幼いあたしと、もっと幼い少女。
何百枚もある写真の中で、なぜこれが一番好きなのかわかんないけど。
なんか、小さい頃からこの写真が一番好きだった。
そこには、こう小さく書いてある。
『真希と亜依ちゃん』───と。
正直、出逢った頃のコトなんかよく覚えてない。
あたしが6歳に、亜依が4歳。
いつのまにか、あたしの傍をちょこちょこくっ付いて来てる感じだったし。
うん、懐かしいなぁ。
あれから、10年か…。まるで、昨日のコトのように思えてくる。
そう、昨日のコトのように…。
- 3 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時20分19秒
「うちな、“かごあい”って言うねん」
おとなりに引っ越して来た、『加護家』の長女・亜依。
金髪にパーマ、ド派手なママさんに連れられて、家に挨拶にやって来た。
当時4歳の割には、バリバリの関西弁でしっかり自己紹介していた。
「あ、あたし。後藤真希」
へらへらとした作り笑いで、あたしも自己紹介。
「よろしくおねがいしま〜す」
小さな手をあたしに差し出すと、ニコリと笑う。
その笑顔がとてもキュートで、あたしもつい笑顔を返してしまった。
黒目がちで、愛嬌のある顔。4歳の割には小柄。
そして、とにかくカワイイ。
あたしは、6歳にして『天使の笑顔』ってヤツを見たね。お母さん同士が、アレコレと世間話を始めてしまったのを見て、
あたしは亜依を遊びに誘った。
幼心にして、この絶対的な可愛らしさにショックを受けたほどだもん。
…と、まあそれが亜依との初対面だったワケ。
- 4 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時21分01秒
「じゃあ、おねぇちゃんとあそぼっか?」
「うん」
6歳なりの、気遣いとでも言うか。
あたしは、退屈させちゃいけないと思って、亜依を遊びに誘った。
「うち、入る?」
「公園、行く〜」
うちの中へと彼女を招こうとしたが、あっさり断られた。ムカ。
「え?公園がいいの?」
それでも、あたしの方が年上だからニコニコする。
…幼い頃は、作り笑いが得意だったもんだ。
「公園がええ」
「そっか〜。じゃあ、公園行こっか」
「うん」
玄関先でベラベラと喋るお母さんたちの横をすり抜け、
あたしと亜依は道路に出た。
「おかあさん、公園行ってくる」
「気をつけて行きなさいよ」
「うん」
「真希ちゃん、亜依のコトよろしくね」
「はい」
世間話を中断した、ベラベラおばさんたちに見送られた。
- 5 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時22分21秒
あたしは、何か自分がとても偉くなったような気がした。
あたしには弟がいるけれど、普段あんまり面倒は見ない。
だから、「あたしにもお守りくらいできるぞ」という気分になった。
…我ながら、今思うと情けない。
公園は、いつの時代も子供たちの溜まり場。
子供のうちから、こうして溜まることを覚えたあたしたちは、
今になってもどこにでも溜まる。コンビニとか、駅前とか。
それは、少女時代にみんなで遊ぶコトの楽しさを覚えたからかも知れない。
…根拠はないけど。
- 6 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時22分53秒
まっ、とにかくあたしたちはいつもそこで遊んでいた。
ひとみに梨華、1つ上の紗耶ちゃんにマリちゃん。
みんな仲良しだった。
ま、もっとも、あたしとひとみは男のコとよく遊んでたけど。
ママゴトなんか始まると、もう大変よ。
みんなワガママ言い放題。特にマリちゃん。
「お姉さんだから、マリがママやんの!!」って言って聞かないんだから。
仕切り屋のマリちゃんだったけど、誰も何も言えなかった。
…だって、年上なんだもん。
その点、年上でも紗耶ちゃんは大人しいから、
「サヤはおばぁちゃんでいい」とか言って控えめにしていたっけ。
そんで、梨華が「リカ、お姫様がいい」とかワケわかんないコト言い出して。
ひとみが「うるさいッ」ってぶん殴って大喧嘩!!
あ〜…懐かしい〜〜!!!思い出すと超ウケる。
…ホント、懐かしいや。
- 7 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時23分26秒
さてさて、そこにやってきた、ニューフェイス・加護亜依(4歳)。
亜依を公園の砂場に連れて行った瞬間、もう公園中大騒ぎ!!
女のコグループはもちろん、悪ガキどもも「なんだなんだ」って野次馬の嵐。
数十人の子供たちに囲まれて、さすがの天使ちゃんも怯え顔。
あたしの後ろにピッタリくっついて、隠れてしまった。
「まきちゃん、だぁれ?」
「まき、おまえのこぶんかぁ?」
「ちっちゃーい!!カワイイ!!」
もう、あーだこーだとお祭り騒ぎ!!
みんながみんな大声で叫びまくるもんだから、亜依はあたしの後ろで泣きそうになってしまっている。
「名前、なんていうの?」
「…かご、あい…」
「かごあい〜」
「ヘンな名前〜〜」
「ヘンやないもん」
「わっ!こいつ、カンサイベンしゃべったぁ」
「やーい、やーいカンサイベン!」
亜依の関西弁がよっぽど珍しかったのか(実際そうだけど)、
男のコたちは寄ってたかって亜依をいじめ始めた。
- 8 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時24分01秒
「アンタたち!!うるさぁ〜い!!」
マリちゃんが、悪ガキどもを一喝する。
けれど、それで悪ガキどもが大人しくなるはずもなく、
ついには亜依が泣き出すまで「カンサイベンカンサイベン」と続けていた。
ホント、この頃の男のコってバカばっかり!!
「亜依ちゃん。気にしないであっちでオママゴトしよ」
「…うん…」
泣きじゃくる亜依の手を、さっきよりきつく握り締める。
亜依が涙を拭いたので、その手がちょっぴり濡れていた。
「亜依ちゃん、何の役やりたい?」
大人しい紗耶ちゃんが、亜依に優しく聞く。
あたしは、普段からすごく面倒見のいい紗耶ちゃんを見て
「さすがだなぁ」と思っていた。
「あい、ネコちゃんがええ」
「ネコ???」
「うん。ネコ。とーきょにはネコおらへんの??」
「ネコはいるけど、ネコの役でいいの?」
紗耶ちゃんだけでなく、他のみんなもキョトン、として亜依を見ている。
ネコ役がやりたいなんてコは、今までいなかった。
(ヘンなコ。ネコだって。カンサイの人は、みんな変わってんのかなぁ)
あたしは、ネコ役を熱演する気の亜依を見て、ありえないコトをぼんやり考えていた。
- 9 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時24分31秒
「おい。カンサイベン!」
せっかく、泣き止んだ亜依が楽しくネコを演じてたところに、
悪ガキどもがまたやって来た。
「アンタらなんかに用はないよ。どっか行って」
男勝りのひとみが、一歩前に出て悪ガキどもに突っかかった。
いつも、サッカーや野球で悪ガキどもをズタボロにしているひとみだ。
男のコたちからも、一目置かれている。
でも、標的を亜依ひとりに絞った彼らに、ひとみの制止は全く意味がなかった。
そして、先ほどのようにまた「カンサイベン」コールが始まった。
あたしたちが、何度場所を替えても彼らはやってきて、「カンサイベン」コールを鳴らす。
(うっさいな〜。また亜依ちゃんが泣くじゃん)
あたしは、正直面倒になっていた。
だけど、亜依のおかあさん(恐そう)から亜依を頼まれた以上、
見捨てるワケにもいかない…と、その程度の正義感だった。
…のだけれど。
「痛い!!やめて、痛い!!」
無情にも、亜依の髪の毛を引っ張る悪ガキども。
それを止めようとするけれど、逆にやられてる女のコたち。
プッチーン。
- 10 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時25分48秒
あたしは、無言で悪ガキどもの群れに近づいた。
その中にいる、1人の少年が持ってる木製のバッドを取り上げた。
「あ、何すんだよ…」
「うるさいッ!!貸せ!!!」
「あ…」
バッドを取られた少年は、後で姉からのお仕置きが下されることを理解したのだろう。
それを証拠に、その姉から「後で覚えとけよ」との洗礼を食らった。
バッドには、『ごとうゆうき』と書かれている。
あたしは、自分ちのバッドを手にすると、悪ガキの群れの中心に入り混んだ。
- 11 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時26分20秒
その様子を、あたしとリーダー格のガキ大将以外がポカン、と眺めていた。
そして、リーダー格のガキ大将の尻に、尻バッドを一発叩きこんでやった。
「いてぇぇ!!!てめぇ、真希ッ!」
「なんだよ!!」
「いてぇじゃねぇかよッ!!」
「うるさいんだよッ!!小さいコ泣かして、何が楽しいの!?」
「なんだよっ。いいじゃねーかよ!!」
「よくな〜い!!!聞きなよッ、あんたたち!!
今度このコいじめたら、あたしが許さないからねッ!!」
「いいコぶってんじゃねーよ!!」
「う・る・さぁぁい!!!」
完全にブチ切れたあたしは、ヤツの尻にもう何発かバッドの素振りをお見舞いしてやったのだった。
それからの毎日、亜依をいじめる悪ガキどもを追っかけるのが、あたしの役目だった。
思えば、あたしもお転婆だったもんだ。ふふっ。
- 12 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月23日(月)00時26分50秒
…あれから、10年か…。
長いようで、短かったな〜。
まるで昨日のコトのように覚えているのに、10年も前だなんて。
10年前、かぁ…。
あの頃は、毎日がキラキラしてたよなぁ…。
なのに、今のこの充実感のなさはなんなんだろう。
ああ、あの頃に戻りたい。
あの頃のあたしは、もっと夢がいっぱいだったはずじゃない。
なのに、今は何?
朝起きて、つまんない学校行って、機械みたいに勉強して。
テキトーに気の合うコとつるんで、だらだらして、そんで終わり。
そんな毎日。
無味無臭感無量っちゅーか。
やりたいコトもわかんないし、生きる目的がないってカンジ。
ただ、流れていく日々を思って、むなしくなるだけ。
こんな無駄な毎日が、いつか報われる日は来んのかなぁ〜…。
ふぅ…。
やめよ。
昔のコト思い出すと、いっつもこう。
楽しかったあの日々は、もう戻って来ない。
くだらないコト考えてないで、さっさと寝よ。
明日も学校があるんだ。あ〜あ…。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月25日(水)21時30分06秒
- ごまかご、楽しみです
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月26日(木)01時45分34秒
ごっつぁむさんの書く小説のごっちん好き
- 15 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月27日(金)02時43分05秒
今日も、暑い。
そりゃそうだ。だって、夏だもん。
夏休みまで、あと1週間か。
どーせ今年も、そこそこ遊んでだらだら過ごすんだろうなぁ。
まっ、学校がないってだけでハッピーだけど。
今年は、海でも行ってナンパでもするかな。
…って、どうだか。
あ〜〜〜…ったく、暑いったらありゃしない。
それもこれも、アイツが早く来ないから行けないんじゃないかよォ。
暑いんだから、早くしてよっ!!
と、思った瞬間に、少し遠くから能天気な声が聞こえた。
「真希ちゃ〜ん」
3mほど先から走ってくるのは、セーラー服姿の加護亜依だった。
どうやら、寝坊でもしたのかトレードマークのおだんご結びが今日はない。
その代わりに、耳の横でツインテールにしている。
うん、こっちもカワイイ。
でも、今はそんなコト言ってる場合じゃない。
「ったく、遅いんだよッ!!」
「ゴメン…。寝坊しちゃった」
「ホラ、早くして。時間なくなっちゃう」
「あ、待って〜」
- 16 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月27日(金)02時43分50秒
いつもと同じ、朝の風景。
家が隣同士なだけに、毎朝、あたしと亜依は一緒に登校している。
それは、小学校から始まり、高校生になった今も変わらない生活だ。
ただ、前は学校まで一緒に行っていたけれど、
今はあたしが電車通学するようになって、駅までしか一緒に行けないのだけれど。
「ねー、真希ちゃん」
「んあ?」
足早に通学路を歩くあたしたち。
足を速めながらも、亜依があたしに話しかけた。
別に、これもいつものコトなのだが。
「亜依ねー、進路希望の紙に、真希ちゃんトコ書いた」
「うち?」
「うん」
「なんで?」
「だってー、真希ちゃんと一緒のガッコがいんだもん」
「ふ〜ん…」
まったく、ガキんちょなんだから…。
いつまで経っても、やっぱりあたしの傍から離れらんないのか、コイツは。
だから、中三になってもカレシの1人もできないんだよ。ったく。
…ま、亜依がいなくなったら一番悲しむのはきっとあたしなんだろーけど。ふん。
- 17 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年09月27日(金)02時45分39秒
- 「亜依に、うちの学校受かるほどの成績あんの〜?」
「バカにしないでよ〜。真希ちゃんより全然成績いいもん!」
ま、あたしの学校って全然レベル的に高くないけど。
っていうか、亜依の成績だとうちの学校に来るのが妥当かも知んない。
家からもそんなに遠くないし。
「亜依が高校生ねぇ…」
「そうだよ!!あともーちょっとで高校生だもんだ」
「なんかヘンなの〜」
「そんなコトないも〜んだ!!」
「アハハハ…」
うん、確かに悪くはないね。
あと1年、亜依と一緒にいるのも。
っていうか、あと1年しかいられないんだ。
あたしの進路次第だけどさ。こうして、一緒に学校行くのはあと1年なんだ。
それって、考えるとちょっと寂しいかもしんない…。
今まで、この10年間いつも一緒にいただけあって…。
それだけじゃない。
もし、亜依が結婚してこの街を出て行ったら?
亜依がいなくなった生活に、あたしは耐えることができるんだろうか…。
- 18 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月27日(金)02時48分06秒
- 感想お待ちしております。
>>13 ありがとうございます。珍しいカップリングですが、
のほほんとしてそれでいてノスタルジックな作品にしたいと(w
>>14 ごっちんは自分も大好きです。…もういないなんて…。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月27日(金)06時39分07秒
- ひ辻から来ました。
今回もあまあまでいいっすね。
- 20 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時14分43秒
「ふふ♪」
「ん?何。亜依、あんたエラいご機嫌じゃん」
「うん♪ちょっとね〜」
「何よぉ。あたしにも言えないコトなの?」
「うん。でも、あとでちゃんと言うからぁ〜」
「ふぅん…」
他愛もない会話を交わし、いつものように道を歩く。
端から見れば、姉妹のように見えるだろうか。
まぁ、実際に姉妹みたいなもんだけど。
10年の付き合い、しかもお隣サン同士は伊達じゃない。
そうこうしてるうちに、駅前に着いた。
「そんじゃ、真希ちゃん。また明日ね〜」
「ん。じゃ、また明日。遅刻すんなよ」
「まっかせなさぁい!じゃー、行ってきまぁーす!」
亜依は、こっちを向き、後ずさりしながら大きく手を振った。
- 21 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時15分26秒
すると、すぐにクルリと、あたしに背を向けて走りだした。
この20mほど先のコンビニの前で、いつも友達と待ち合わせをしているからだ。
『のの』という、亜依とよく似た女のコ。
小学校からの亜依の親友で、うちに亜依と2人でよく来たりする。
「…さて、行ったか」
あたしは、亜依が曲がり角に消えるのを見届けて、駅の改札口へと急いだ。
朝の日課、終了。
さて、あたしも早く行かないと電車に間に合わないぞ…っと。
小さな駅ではあるが、通勤通学ラッシュは人ゴミでごった返す。
オッサン、おばさん、リーマン、ギャル子、ギャル男クン…等々。
人ゴミが嫌いなあたしが、よくもまぁ、毎朝こんな状況に耐えてるもんだわ。
あ〜…うざい。ついでに眠り。
…ふぅ。
- 22 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時16分01秒
混雑した階段を一段飛ばしで降り、ホームに出る。
そこもやはり、人ゴミでごった返している。
そこで、いつもは見ない珍しい2人組を見つけた。
もっとも、その2人が知り合いでなかったら珍しくとも何ともないだろうけど。
狭い通路にたむろす、うざい男たちの横をすり抜け、2人の元へと近づいた。
「ひとみ。梨華」
歩きながら、2人の名前を呼んでみる。
すると2人は、すぐにこちらに視線を向けた。
「真希じゃん!」
「あっ、真希ちゃん!」
「よ。おはよ」
そう、紛れもない、幼なじみの吉澤ひとみと石川梨華。
いつもなら、この時間の電車で会うコトなどないのだけど…。
何故なら、ひとみはバレー部の朝連、梨華はテニス部の朝連。
それに、3人とも違う学校ということもある。
だから、どちらかはおろか、3人一緒になるコトなどあまりない。
でも、ひとみがジャージを着てないから理由はすぐに解った。
- 23 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時16分38秒
「2人とも、今日はどしたの?」
「テスト期間中〜」
「うちも」
「あー。そう言えば、こないだ言ってたっけ」
まぁ、そうだと思ったけどね。
うちの学校も先週末にテストが終わったばっかだし。
だいたいこの辺の学校なら、この時期にテストなはず。
先ほども気づいたが、ひとみがジャージ姿でないことがそれを確信させた。
ラルフローレンの白いベストに、グレーのスカートに、黒のハイソックス。
ほとんど見ることのできない、ひとみの貴重な制服姿。
ルーズソックスを履かないのが、ひとみらしいと言えばひとみらしい。
そして、ひとみがジャージを着ないのはテスト期間中だけ、というコトをあたしは知っている。
こうして、普通に制服姿なら、美少女なのにねぇ。
ま、当の本人は地面にベタン、とあぐらをかいて座って、
「ガハハハ」と笑ってるようなヤツなんだけど。
今更、ひとみが女の子らしくなっても、対応に困るかも知れない。
- 24 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時17分08秒
一方、梨華は今日も清楚な感じにまとまっている。
この辺でも有名なお嬢様学校に通ってる梨華。
ニコニコ笑顔で、フリルの入ったヒラヒラしたスカートをなびかせている。
この笑顔に堕ちる男は数知れないけど、本人にその気がないから、
今まで男と付き合ったコトがない。むしろ、男性恐怖症の気まである。
ったく、ひとみといい、梨華といい、モテるのにもったいないよなぁ。
…たまにはあたしにも回せっつーの。ボケ。
「3人で登校するの、久しぶりだねー」
「そうだねぇ〜。2人と違って、あたしは暇人だからねぇ」
「真希も、部活続けりゃ良かったじゃん。ダンス」
「ん…」
ダンス、ねぇ。
ホント今更、って感じだわ。
中学の時だって、別に他にやるコトがないからやってた感じだしねー…。
- 25 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時17分39秒
「ホントだよ〜。真希ちゃんのダンス、私好きだったなぁ」
「…も、終わったコトじゃん」
「でもぉ〜…」
梨華は、まだ何か言いたそうにブツブツ言っていた。
このコは昔からそう。言いたいコトがあっても、自分の中で終わりにしちゃう。
だから、後でケンカした時にドバーっと愚痴られる。
…ま、もう長い付き合いだし、それも慣れたけど。
「あーホラ、電車来たよ。梨華、もうダンスの話はナシ」
「あ、うん。わかった!真希ちゃんがイヤなら、もういいの。うん!」
「ふぅ。相変わらずだね、真希は…」
「まぁね。今更、性格変えられないよ」
そ、今更。
このまんま、何も変わらずあたしは生きてく。
楽しいとかつまんないとか、どーでもいい。
つまんなきゃつまんないで、そりゃ仕方ないって思うしかないんだからさー。
…ふぅ。
- 26 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時18分09秒
昼。
あ〜…おなかすいたぁ…。
チッ、昼休みまであと20分もあるよぅ〜…。
あーダメダメ。さっきの時間も居眠りして、怒られたばっかじゃん。
しっかりしろぉ、真希ぃ…。
大ッ嫌いな、頭のカタイ、ロボットみたいな数学教師。
黒板に向かってブツブツ言っているのが見える。
せんせー、そんな授業じゃ、みんな寝ちゃいますよー。
心の中でつぶやいてみても、ロボットは全く気づかずチョークを黒板に走らせていた。
ハァ…つまんね。
よく見てみると、クラスの半分以上が寝てる。
もしくは、机の下でケータイをいじくってる。
あ〜〜〜…もう無理、限界。
空腹に眠気マックス。
おやすみなさい、せんせー。あたしは眠りますー。
せんせーの授業がつまんないんだから、あたしを怒らないでねー。
…グゥzzz
- 27 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時18分44秒
寝ようと思ったのもつかの間、右の太ももあたりがブルブル揺れた。
一瞬ビックリしたけど、すぐに何が起きたか解った。
要は、ケータイがバイブで揺れてただけだ。
折りたたみ式のケータイを、スカートのポケットからするりと取り出す。
そして、机の下で静かに開いた。
ケータイのディスプレイに、『新着メールあり』の文字が映し出されていた。
誰だよ…授業中だっつーの。
ま、授業中にメール送ってくるヤツの目星はついてるけど。
あらかた、ひとみか、後輩の松浦か小川、男友達の誰かだろう。
ところが、予想は外れた。
- 28 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年09月30日(月)22時19分17秒
- 『おなかすいたぁ〜!(;_;)』
ん?
誰だよ。このアドレス。
あたしのケータイには登録してないアドレスだ。
あたしは慣れた手つきで返信ボタンを押し、
『あんた誰?』
と送った。
すると、ほんの1分もしないうちに、またケータイがブルブル鳴った。
ところが、それはメールではなかった。
…ゲッ!!電話だ!!
しかも、知らない番号から!!
あ〜〜!!授業中だよ!!どこの誰だか知らないけど、
非常識なコトすんじゃねぇーよ!!
どうしよ、ずーっとブルブル鳴ってる…。
「こら、後藤。お前、何してる!?」
やっべー…。
ったく、この電話のせいでまた怒られちゃうよ…。
仕方ない…。恥ずかしいけど、この場を逃れるためだ。
「せ、先生!おトイレ行かせてください!」
- 29 名前:名無し 投稿日:2002年10月01日(火)02時33分21秒
- ごまかご(・∀・)イイ!!!
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月01日(火)04時31分29秒
- ぬぉっ!今度は誰?
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月01日(火)15時01分07秒
- ごまかご萌え
作者さん、頑張ってくらさい
- 32 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月03日(木)12時58分25秒
あ〜〜〜!!!!
謎の電話のせいで、えらいハジかいちゃったじゃないのよ!!
未だにブルブルいってるもんだから、怒りは最高潮。
トイレの個室に入るなり、ボタンをピッ、と押した。
「誰だよ!?」
あたしがマジ切れして怒鳴ると、電話の向こうからは能天気な声が聞こえた。
『聞こえますかぁ〜』
…ん?この声…。
『やったぁ〜!!のの、つながったよぉ〜!!』
のの…。
ってことは、やっぱりこの電話は…。
「コォラ、クソ亜依!!」
『あ、真希ちゃんヤッホ〜♪亜依だよ〜』
「やっほーじゃないでしょ!?バカ!!」
『え〜?なんで〜?亜依、なんかしたぁ?』
「お前のせいで、センコーに怒られそうになったじゃんかよ!」
『だってー。ケータイ買ってもらったから、真希ちゃんにナイショで
ビックリさせようと思ったんだもーん』
ハァ…。それで、今日はルンルンだったってワケね…。
怒る気も失せたわ…。
- 33 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月03日(木)12時58分55秒
「んで。学校は?」
閉め切ったトイレの中では、声が響いてうざったい。
『今日はテストだから、もう終わったぁー。
あ、そうだ!さっきね、梨華ちゃんに会ったのー』
「梨華?」
『うん。真希ちゃんのダンスが見たいから、オススメしてあげて、だって』
「ふ〜ん…」
亜依の話を聞いて、あたしは苦笑した。
ったく、梨華らしい。
ホントにあいつ、あたしのダンスが好きだったのかなー…って気になってくる。
まあ、それは置いといて…。
「とりあえず、亜依!あたし、今授業中だから!!」
『あ〜。そうだったっけ〜』
「じゃあ、もう切るよ?」
『わかったのだ〜。メールしてね〜』
「ハイハイ。じゃあね…」
ピッ、とケータイのボタンを押しながら思った。
なんか、ヘンなの。
亜依と電話で話すなんて。あははは…。
って!!呑気にほのぼのしてる場合じゃなかった!!!
その3秒後には、トイレからダッシュで廊下に出るあたしがいたという…。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月03日(木)22時54分15秒
- 作者さん、おつかれさまです。
さっきTX卒スペ見返しました。
「I wish」の冒頭、
ごっちんと手をつなぎ歌うあいぼん…。
やはりごまかごはイイですな。
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月04日(金)03時17分14秒
- 感慨深いです。
可愛らしいごっちんとあいぼんですね。
頑張ってください。
- 36 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月04日(金)08時01分32秒
夕方。
「ホントに、お前のせいで散々だったよ、今日」
「ほえ?なんでじゃ」
あたしのベッドにどかん、と腰掛けて雑誌を読んでた亜依が顔を上げた。
帰ってくると亜依があたしの部屋にいる───これもいつものコト。
亜依の家は両親共に働いてるから、夕飯はいつもうちで食べる。
…ちなみに、夕飯作るのはあたし。
だから、学校終わって帰ってくるのは自宅じゃなくってうちってコトが多い。
まあ、うちの母親とかからしたら、亜依も自分の娘みたいなもんだろーけど。
それに、父親のいないあたしん家には、千客万来みたいなイメージがある。
家族の誰かの友達や知り合いなんかが、日夜、この狭い家に終結するから。
あたしの部屋にひとみが勝手に上がりこんでたり、弟の友達が来てたり。
そもそも、この辺の家のコって、みんながみんな幼なじみだし、みんな兄弟ってカンジだけど。
…とまあ、そんなカンジの理由で亜依は今日もあたしの部屋にいた。
亜依の着ているピンクのTシャツは、ちょっとぽっちゃりした体のラインが目立つ。
朝はツインテールだったのに、今はいつものおだんご頭になっていた。
- 37 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月04日(金)08時03分48秒
「ったくー。中澤のヤツ、居残りさせやがってさぁ」
「ユーコちゃん?」
「そ。それ。ったくイヤになる。また姉ちゃんに叱られる…」
別に、担任がただの教師だったらいいんだけどさ。
姉ちゃんの友達で、それでいて子供の頃からあたしのコト知ってんだもん。
中澤裕子っつー、年増でもうすぐ三十路のオバン。
担当教科は音楽。んでもって、2年C組の担任。
結婚して家出てった、姉ちゃんの中学時代からの友人。
ちなみに、今は更正したけど、姉ちゃんとレディース組んでた元ヤン。
見た目、そんなカンジ。教師なのに…。
姉ちゃんが中学の時だから…あたしのコトを2〜3歳の頃から知ってる。
それ以後、すっかりお世話になりっぱなし。色んな意味で。
しかし、高校入って、2年連続で担任になった時はさすがに陰謀すら感じたね。
なので、当然、亜依のコトも知ってる。
…というより、ひとみのコトも梨華のコトも知ってる。
あたしにとっては、いつまで経っても頭の上がらない人・・・ってカンジかなぁ。
- 38 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月04日(金)08時05分01秒
「さて、今日の夕飯は何にするかね〜…」
「亜依、カレーがいい〜♪」
「またカレー!?先週もカレーしたでしょ」
ホント、手伝いもしないのによく言うよ。
つーか、手伝わせても…コイツ、めちゃめちゃやるから役立たずだし。
「いや〜。亜依、今日はカレーがいい〜」
雑誌をポン、と投げ捨て、ベッドの上で地団太踏み出した。
冗談半分なのは知ってるけれど、本気半分なのも知っている。
「文句言うなら、お前が作れっつーの」
「え〜。真希ちゃんが作るカレーがいいぃ」
「なんだよ、それ」
「だってー、亜依が作ってもおいしくないんだもん」
う〜ん…。なんか、毎晩同じ会話が繰り返されてる気がしなくもない…。
んで、結局今日もカレーになっちゃうんだろうなぁ。
なんだかんだ言って、あたしってば亜依に弱いんだからさぁ。
自分でもわかってんのにね。苦笑ってカンジ。
- 39 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月04日(金)08時11分37秒
ところが、今日は珍客到来だった。
ピンポーン。
「ハイハ〜イ。亜依、出て」
答えの解ってる質問だったけど、一応してみた。
「やだー」
…ま、解ってたけど。
あたしはそのまま、亜依をシカトして階段を降り、
すでに客人が上がり込んでる玄関に出た。
そこに居たのは、今朝、駅で見た2人組だった。
片方は、青いジャージ姿のやたら男っぽい背の高い女。
もう片方は、亜依の着てたのと同じピンクのTシャツに、
このくそ暑いのに赤いロングスカート履いた女。
「よっ。真希」
「こんばんわ、真希ちゃん」
…説明するまでもない、幼なじみのひとみと梨華だ。
勝手に上がりこんでるあたり、今更ながら腐れ縁ってヤツを感じるよ。
鍵が開いてない限り、そこで立ち止まってるコトもないんだろうな。
「どしたの、2人して。揃って来るの珍しいじゃん」
ホント。珍しい。
時間が噛み合わないから、2人してうちに来るのはあんまりないんだけどねー。
- 40 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月04日(金)08時12分22秒
「あれぇ?おばちゃんから聞いてないの!?」
「何を?」
ひとみと梨華は顔を合わせ、キョトンとしていた。
「何も聞いてないけど…」
「今日は、おばちゃんもユウキ君もいないから…って」
「おばちゃんがうち来て、みんなで焼き肉でもしてなさいってさ。
これ、置いて行った。あ、マリちゃんも後で来るってさー」
見ると、ひとみも梨華も、スーパーの白い袋をぶら下げている。
2人で2つずつもってるから、だいぶ多い量の食材なんだろう。
それにしても、うちの母ちゃん…。
仮にも娘なんだから、あたしに連絡くらいよこせっつーの…。
そういう、面倒くさがりなトコがあたしそっくり。…ほっとけ。
「んで、どーする?もうご飯の準備してんの?」
「んや。良かった。亜依のバカがハラ減らしてるから早いトコ準備すっか」
「良かったぁ♪私、焼き肉食べたかったのー」
「ハイハイ。…亜依〜!今すぐ降りて来いッ!
来ないとお前の分の焼き肉はないからなーーーーー」
階段に向かって叫んだ1秒後には、ドタドタと階段を駆け下りる音が家中に響いていた。
- 41 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月04日(金)08時15分50秒
- レス。
>>19 あまあまっつーかのほほんですね〜(w
ほのぼのが好きなんです。
>>29 ごまかご最強です!
>>30 ごまかごです…??
>>31 頑張ります。ところで、「ごまかご」と「かごま」
どっちが正しいのでしょうね…。狼のスレでは「ごまかご」でしたけど。
>>34 あの冒頭のシーンは、ごまかごの名場面だと思います。
あれを見て、タイトル決めましたから。(最初は別のだった)
>>35 この二人めちゃめちゃ好きなんですー。
これからもご愛読下さい!
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月05日(土)03時03分44秒
- ん〜、あまい!たまらん!
タイトルはやっぱアレからでしたか。
個人的には「かごま」より「ごまかご」のがいいかと思われ。
- 43 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月06日(日)01時28分05秒
夜。
あたしに亜依、ひとみ、梨華、のの、マリちゃんの6人で焼き肉パーティーが始まった。
ののが来た経緯は、簡単に言えば呼んだから。
後の説明は面倒だから省く。っつーか、いつものコト。
「こら、亜依。肉ばっかじゃなくて野菜も食べなさい」
「あ〜〜!!!にんじんは嫌いだからのっけないで…えい」
亜依の皿の上に乗ったにんじんは、すぐに隣にいるののの皿の上に移った。
「のの、何でも食うぞ〜」
「ちょっと、のの〜。アンタ、肉食いすぎ」
「そういうマリちゃんだって、さっきから連続で7枚肉取ってるよ」
「どこ見てんのよ、あんた…」
「ちょっとー!!食べるばっかりじゃなくて、誰か焼いて!」
「梨華ー。お茶取ってー」
「自分で取ってよぉ」
「ひとみ、そっちこげてる」
…ワイワイガヤガヤ。
とっても楽しい焼き肉パーティーでした。パチパチ。
- 44 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月06日(日)01時28分38秒
「なんかさー。みんなで集まったの久しぶりだね〜」
夕食が終わった後、梨華がお皿を洗いながらボヤいた。
ちなみに、他の4人は居間でプレステをやってる。
…食うだけかよ、お前ら。…っていうのもいつものコトなんだけど。
「そーだね。梨華、忙しいでしょ。最近」
「うん。まぁね…。もう2年の夏だし…」
「そっか…。梨華、看護婦志望だもんね」
「うん。小さい頃からね」
その言葉を言いつつも、スポンジから泡が溢れ出ている。
きっと、無意識に力を込めていたんだろう。
その瞳は、皿を洗いながらもどこか先を見つめているように見える。
「真希ちゃんは?まだ夢、見つからない?」
「え?あたし…?…んっと、まだイマイチわかんないかな」
「そっかぁ…。でも、焦るコトないよ!ね?」
「…ん。とりあえず、今はね…」
「真希ちゃん…」
キッチンの中に、不気味な静寂が訪れた。
2人とも、何を言っていいのか解らない沈黙。しかし、心地よい。
きっと、梨華のコトだから何も言わなくても解ってくれてるんだろうな。
「真希〜〜〜。お菓子持ってきてぇ〜〜〜〜」
「ジュースもちょうだ〜〜〜〜い!!」
……ったく。シリアスも何もあったもんじゃない…。
- 45 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月06日(日)01時29分09秒
「それじゃあ、そろそろ帰るね」
「真希ちゃん、ごちそうさま」
「ごち。今度は、マリがオゴったるから!」
「じゃあ、あいぼん、真希ちゃん、またなのれす」
「はいはい、またね」
「みんな、おやすみ〜」
玄関に2人、あたしと亜依を残して去って行く背中たち。
軽い挨拶に聞こえるけれど、あたしたちにはこれで良い。
もうすでに、時計は11時を差している。
ユウキのヤツはまだ帰ってないみたいだし、後で電話しとくか。
「亜依、あんたもそろそろ帰りなよー。お母さん、帰ってるでしょ」
「……」
「亜依?どした?眠い?」
「真希ちゃん、今日泊まる」
「え?どして?すぐなんだから、眠いなら家帰って…」
「……」
「ちょ、何泣いてんのアンタ!ほら、どした!」
「…わかん…ない…。ひっく…」
「…わかったわかった。ったくー、いつまで経ってもガキなんだから」
「…ん…」
- 46 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月06日(日)01時31分08秒
- 更新しましたー。
>>42
自分は「ごまかご」派です。
ごまかごスレにもいたりします。(w
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月06日(日)21時34分20秒
- ( ´D`) ノ<あっちもこっちもこーしんしててえらいのれす
へんこーまえのたいとるもいつかおせーてくださいなのれす
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月07日(月)04時52分27秒
- ごまかご!
- 49 名前:名無し。。 投稿日:2002年10月10日(木)19時46分05秒
- まだかなまだかな〜
早く続きみたいYO
- 50 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月11日(金)01時14分21秒
あたしの部屋に、亜依専用の布団が敷かれている。
子供の頃からあたしの部屋に寝泊まりしている亜依の特権とでも言うか。
そのふかふかの布団に、あたしと亜依がくっついて入っていた。
エアコンを入れてるとはいえ、暑い…。
ちらりと、亜依を盗み見た。
髪を下ろした亜依は、いつもと比べて大人っぽい。
だけど、ミッキーの赤いパジャマが子供らしさを逆に引き出している。
「まーったく。子供じゃないんだからね?」
「だって、寂しかったんだもん…」
「何言ってんだか。もう。あんた来年高校生でしょうが」
「…うん…。何か、昔のコト、思い出しちゃった」
「……そっか」
昔のコト、ねぇ…。
口では、そうかと納得しながらも、頭の中では「またか…」と思っていた。
亜依は───子供の頃、男のコにイジメられたコトをトラウマにしている部分がある。
それを思い出して、時々泣き出すコトもある。
その度にあたしに頼っていたから、そんな時は決まってこんなカンジ。
まぁ、最近はほんのたまにだし、泣くというよりベソをかく程度だけども。
もう、いつまでもガキじゃないんだからさぁ…。
あたしがいなくなったら、どーすんのよ…ったく。
- 51 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月11日(金)01時14分59秒
「ねぇ、真希ちゃん」
「…ん?」
「頭、撫でて…」
亜依は、そう言うと恥ずかしそうにあたしの胸に顔をうずめた。
ったく、こっちだって恥ずかしいっつーの!
…いつまで経っても、甘えん坊なんだからさぁ。
「子供だよなぁ、亜依は」
亜依の髪を撫でながら、あたしは呟いた。
腕にすっぽり収まってしまう、小さな頭。
風呂上りなので、髪が揺れるたびにシャンプーの匂いがした。
「いいんだもん」
「良くないっつーの」
「なんで?照れてるのォ〜?」
「バッ…バカやろ!!からかうなら、やめるからね!」
パッ、と一瞬だけ亜依の頭から手を離すが、
すぐにあたしの手を、亜依が掴んだ。
「ゴメンナサイ」
「はい。わかればよろしい」
- 52 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月11日(金)01時15分30秒
「アハハ…」
亜依は、いきなり笑い出すと、体をくねくねしだした。
「なんだよ、ヘンなヤツ」
布団が揺れて、重い。
「コラ、暴れるな」
あたしが、亜依の頭を抱えるのと逆の手で、ピシャリとはたく。
すると、すぐに動きがピタッ!と止まって、大人しくなった。
亜依は、あたしの腕の中で目を閉じている。
まるで、母にすがる子供のように───。
「…おねぇちゃん」
「…ん?」
「おねぇちゃん」
「な、なんだよ、イキナリ。そう呼ぶの、久しぶりじゃん」
「うん。なんか、呼んでみたくなった」
「なんだよ、それ」
「ううん。なんでもない」
「……ハズいだろ……」
「うん。知ってる」
「ホラ、もう離れろって。あたし、腕疲れたよ」
「…ん。…あと、ちょっとだけ…」
あと少しの間、あたしはこの小さな『妹』の頭を撫で続けたのだった。
- 53 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月11日(金)01時18分14秒
あっ、やべぇ…。名前に「I WISH」入れるの忘れてました。
しかし、「ごまっとう」か…。ふっ…。(w
>>47 えーと、あれです。最有力候補としては、
ごっちんの3rdシングルのタイトルなどがありました。
あとは今後の展開に影響するタイトルなので言えませ〜ん(w
>>48 ごまかご!保全ですかね?
ありがとうございます。
>>49 はい、更新しましたー。
読んでくださって、待ってる方がいらっしゃって嬉しいですねー。
ではでは〜。
- 54 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月11日(金)05時12分07秒
- ごっちんだけやなく、読んでる漏れもハズくなるよな甘い展開…。
某サイトの添い寝スレにも当てはまりますな。
ともかく現実世界がカオスなだけに、ここの「ごまかご」に癒されますた。
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月11日(金)06時23分30秒
- うぉぉぉ!!!!!
小説でここまで萌えたの始めてかもしれん(w
ごまかご最強!!!!!!!
- 56 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月13日(日)05時13分37秒
夢を見た。
4歳くらいの子供が、あたしの腕を引っ張ってんの。
うざいなーと思って、その手を振り払おうとするんだけど、
力が入らなくって、動かすコトすらできなかった。
「なんで?」
───え?
「なんで?」
───なんでって、なんで?
「なんで、行っちゃうの?」
───ハァ?どこに?
「待ってよ」
───なんなの。第一、あんたが手離さないと行けないでしょ。
「待ってよ、真希ちゃん!!!!!!」
- 57 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月13日(日)05時14分12秒
「!!!!」
真夜中の、あたしの部屋。
あー…?
あたしの部屋か?…うん、あたしの部屋だな。
隣で爆睡こいてる亜依を見て、ホッと一安心。
なんか…すんごい恐い夢見た気がする。
でも、何の夢だっけ…。
うわー…ヤバ。せっかくいい気分で寝てたのにさぁ。
今何時だよ…ったく。
AM3:00ぴったし。
ひぇぇ…。寝ないと、明日もキツいよなー。
もーちょっとだけ、寝よう…。
でも、何故だかその後寝付けなかった。
ハァ…そんなに恐い夢だったかな〜??
- 58 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月13日(日)05時14分45秒
翌朝。
朝の日差しがカンカンと照りつけて、すでに暑い。
「真希ちゃん。起きないと遅刻するよ〜」
うっとうしいほどのキンキン声が耳元でして、あたしは目が覚めた。
…うっせぇー…もー少し寝かせろぃ…。
言葉にならない声で、口をもごもごとさせる。
ついでに、半分も開かない寝ぼけ眼で時計を必死に見ようとする。
あー…?
今、何時だよ…。
「もう7時半だよ」
「7時半ッ!!?」
亜依の言葉が、あたしを夢の世界から現実に、一気に引き戻した。
仕度する時間がないッ!?
「あ〜〜!!!このバカ娘ッ!!なんでもっと早く起こさないのよ!?」
「だってー。起きないからー」
くっそー…昨日のあの、恐い夢のせいだ。
何の夢だか忘れちゃったけどさぁ。
- 59 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月13日(日)05時15分17秒
あたしを起こした当の本人は、すでに身支度を終えていた。
いつものお団子頭に、セーラー服。
一回家に帰って支度して来たんだろう。
くそぉ…そんな余裕があるなら、あたしを起こせっつーの!!
そんなコトを考えながら、猛ダッシュで顔を洗って歯を磨き、
寝癖を直して、朝食のパンを掻っ込んだ。
見たところ、弟のユウキは帰って来てないし、
母親はまだ眠ってるみたい。
弁当くらい作って寝やがれ〜!!クソババァ!!
リビングのテーブルの上に置いてある、今日の昼食代を掻っ攫って、
そのままの勢いで、再び2階に上がった。
「急げ急げぇ♪」
「うざいっ!!」
「早く早くぅ」
「おっし!着替え完了!!」
「おっし!出発進行ぅ!」
- 60 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月13日(日)05時18分46秒
- (●´ー`●)<こっちの小説でもなっちは出番がないべさ?
(●´ー`●)<いいべさ…。矢口や紗耶香はおねぇさん役っしょ?
(●´ー`●)<…作者はなっちが嫌いなんだべさ?
(●´ー`●)ノ<だからなっちがレスを担当してやるべさ。
(●´ー`●)<…だから、なっちを小説に出すべさ♪
ガーンΣ(●´ー`;●)<え…?出さない!?
(●;´ー`;●)<…ごまかご許さないべさ…。
- 61 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月13日(日)05時23分16秒
(●´ー`●)<肝心なレスを忘れてるべさ。まったく、作者はダメだべ。
(●´ー`●)ノ□<まずは、出身地不明の>>54さん。
作者曰く、ごまかごは萌え萌えだべ。
でも、書いてる作者が一番恥ずかしいという罠だべさ。
(●´ー`●)ノ□<次も出身地不明の>>55さんだべさ。
ごまかご萌えもいいけど、なっちにも萌えるべさ。
(●´ー`●)ノ<次は…。
Σ(●´ー`●)<えっ!?レスが二件しかないべさ!!
どーするべさ!?作者!??
(●´ー`●)<…なっちからのお願いだべ。
作者に励ましのお便り、待ってるべさー…。
そしたら、お礼になっちが小説に出てやるべさ〜。
川о・-・)<…安倍さん、さっきから何してるんでしょう…。
ちなみに、ここに私がいるって事は、私も出ないみたいですね。
川о・-・)<……チッ。
- 62 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月14日(月)01時15分39秒
- 今回はそれほど甘くなかったですね。
と、油断させておいて、次でまたドカーンと。
なっちは、向こうの小説で活躍させてほすぃ〜!
ちなみに当方S県出身です。
- 63 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)07時35分56秒
(●´ー`●)ノ□<S県出身の>>62さん、レスありがとうだべさ〜。
甘い、そしてノスタルジックな作品を目指してるらしいべさ、作者は。
この作者の文章能力で果たされるかどうかは、なっちもわからないべさ。
川о・-・)<次は、らぶらぶなごまかごさんが見たいですね。
川о・-・)<それでは次回更新をお待ち下さいね。
川о・-・)<…ちなみに、私たち、最近の作者のお気に入りらしですよ。
(●´ー`●)<なっち知ってるべさ。作者、実は元なっちヲタだべ。
なっちの魅力に、またまたハマってるべさ?
川о・-・)<別に推しではないみたいですがね。
…誰推しかは、一目瞭然かと。
(●´ー`●)ノ<ツッコミは厳禁だべさ。現金は大歓迎♪ププ…。
川о・-・)<……。(アーア)
- 64 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時30分21秒
一番眠くなる、数学の時間。
ポンコツなロボットのくっだらない授業〜。
あー…だるい。
あーあーあー…寝不足だよ、畜生。
眠いけど、ここで居眠りしたら、またねーちゃんに言いつけられる。
ハァ。担任が家族の知り合い(しかも親友)っていうのも、困るよねこりゃ。
ブルルルル…。
ん…?
メールかな?
誰だろ。…って、多分あいつだろーけど。
こっそりとケータイをポケットから抜き出し、
少し暗い机の下で開いた。
案の定、ディスプレイには「新着メールあり」の文字が映し出されている。
- 65 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時30分51秒
多分だけど、メールを見る前に内容がわかる。
あたしの予測だと───『おなかすいた』かな?
命賭けてもいいね。
絶対そう。この時間だし。
アイツのことなら、そんくらい手にとるように解る。
さて、答えは───。
『おなかすいた〜(×。×)
真希ちゃん授業中〜??♪
亜依はねー、今美術だよ〜ん』
…ほらね。
アイツ、なんでこんなに単純なんだろ。
『ちゃんと授業受けろ、アホ』
- 66 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時31分37秒
あたしは、メールを返しながら、自分が少し微笑みを浮かべているのに気付いた。
それに気付いたら、なんか自分で照れくさくなっちゃって。
よく考えたら、亜依とメールすんのって変なカンジ。
学校が離れてから、お互い学校にいる間は全く干渉がなかったのに。
あたしがケータイを持ち始めたのも中3の時だったけど、
多分アイツもそんな風に思ってるかも知れない。
「ケータイって凄いなぁ!!」ってカンジでね。
ブルルルル…。
『ねー!!ケータイってすっごいよねぇ!!?』
プッ。
アハハハ、チョーうける!
ホントにアイツの考えてるコトったら…。
バカみたいで笑える。
『今日はうち?自分とこ帰るの?』
『ん〜っとねぇ、今日はねー。
まこっちゃんたちと遊び行くから、帰り遅いのだぁ(^о^)/』
- 67 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時32分11秒
“まこっちゃん”っていうのは、亜依の友達。
本名は小川麻琴。
あたしの、中学の時のダンス部での後輩にあたる。
ちょくちょくダンス部に遊びに来てた亜依と、それなりに仲良いみたい。
あ、ちなみに亜依はバレー部ね。ののと一緒に。
だから、部活だとひとみの後輩にあたるんだな。
元々はののが小学校からバレーやってたんだけど。
それを見て、一緒にやりたくなったらしい。
本当は、あたしのいるダンス部に入りたかったらしいんだけど───。
あたしは半年で部活を引退しちゃうし、それだったらののと一緒がいいってことで、
バレー部に入部したんだったっけなぁ。
ただアイツ、すっごい運動神経悪くって、見た目トロそうなののより下手らしい。
ひとみが言うには、「才能がないんだよ」とのコトだったけど。
ま、本人が楽しんでやってる分にはいんじゃないかな。
- 68 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時32分44秒
…って、話が脱線しちゃった。
じゃあ、今日はアイツがいないってコトは遅くなっても大丈夫ってコトか。
テキトーにそこら辺の誰かと遊ぶコトにしようっと。
『了解。遅くならないうちに帰ってきなよね』
送信完了っと。
あたしが、すでに始まっている休み時間に気付いたのは、
休み時間が始まって半分ほど過ぎた時だった…。ヤッベー…。
- 69 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時33分17秒
同日、昼休み。
あたしは、グループのコたちとテキトーにお昼を一緒にした後、
中庭のベンチに座っていた。
はっきり言ってすっごく暑いんだけど、あたしはここがすごくお気に入りだった。
人気が少ない、夏の午後の中庭。
いいじゃんいいじゃん?癒しじゃん?
ちょうどこのベンチのあるところは日陰になってるから、
湿気が高いのを気にしなければちょうどいいカンジにくつろげる。
…ここで爆睡こいて、過去何度も午後の授業に遅れたコトがあるくらいに…ね。
たいてい、昼休みはあたしはここにいる。
1人だったり、グループのコが一緒だったりもするけれど。
とにかく、この学園内で、ここはあたしの癒しスペースなワケ。
なんか文句あっか。ケッ。
- 70 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時34分05秒
ところが今日は、普段とちょっと違った。
誰かといるのは、別に変じゃない。
相手が男だったり、女だったり、まあ色々あるけど。
それよりも、あたしのテンションが底無しに低いってのが問題なワケだ。
それもそのハズ。
ダンス部の高橋愛が、またあたしのトコに勧誘に来たから。
まだ今日は、実際に勧誘されたワケじゃないけど、
高橋があたしのトコに来るなんて、それ以外の理由がない。
しかし、何度断ったコトか。
いいかげん、諦めてくんないかなー。ったくさぁ。
- 71 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時34分39秒
「それで??今日は、何の用件?」
目を見ずに、冷たい口調で聞くあたし。
うわー、性格悪い。
「あ、その…」
あたしの機嫌が悪いのを知ってか知らずか、彼女もまたオドオドしていた。
別に、彼女がいつもオドオドしてるワケではない。
仲間たちと一緒にいるとこ見ると、輪の中心みたいにキャーキャーはしゃいでるし。
だけど、明らかに今目の前の彼女とそれは違った。
なんか知らないけど…。
あたし、後輩たちにヤンキーだと思われてるみたいなんだよねー…。
マジ勘弁。
確かに、よく授業サボったりとかしてるけどさー。
ここが気持ち良いから、寝ちゃうだけだもーんだ。
あー、まあ、それはさて置き。
- 72 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時35分21秒
「あのー、後藤先輩…」
「何??ダンスの勧誘なら、何度も断ってるけどー?」
「あ、でも…違うんです!!」
「違うって?」
「今日は、学校のダンス部のじゃなくて…」
「は?」
思わず、高橋の方に向き直って素になってしまった。
いや、意味わかんないっしょ、それ?
学校のダンス部以外の勧誘まで、あんたは請け負ってるのかい。
「どゆこと?」
「あ、あのー…」
高橋は、尚も下を向いて言いづらそうにしていた。
「何??」
「あの、後藤さん!!ダンス部を、救って下さい!!!!!」
「ハァァァ!!??」
思わず、叫んじゃったね。あたし。
- 73 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月14日(月)20時37分59秒
(●´ー`●)<今日はあいぼんの日だべさ。
(●´ー`●)<こっちでもあっちでもあいぼんの話だべさ。
(●´ー`●)<…なっち主演の日は、いつくるんだべ…。
川о・-・)ノ<今回もあまりあまあまではないですね。
っていうか、あいぼんじゃなくて他の人が出てきましたね。
川о・-・)<……チッ。コッチデモメダチヤガッテ…。
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月15日(火)05時28分38秒
- 更新乙〜です
今までカップリングの小説は色々読みましたけど、
ここまで姉妹みたいな雰囲気出せるのって、「ごまかご」くらいですよね
ちなみにごっつぁむさんの推しって??(w
今までの作品見ると、ごっちん、あいぼん、愛ちゃんらへんかな??
オリメン組より3〜4期好きですか??
- 75 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月17日(木)03時44分15秒
- うげっ!こんこん、こわっ!
今回は「ややあま」ですか?
ずっと一緒にいるから、お互いの考えが手に取るよーに…。
さて、そろそろなっちの出番ですか?
でも今出てきたら悪役かも…。
- 76 名前:1103 投稿日:2002年10月19日(土)19時49分31秒
- 甘いごまかごいいですね。
ごまかご以外はカップリング無しですか。
- 77 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月20日(日)02時06分29秒
- まだテスト中かな?>ごっつぁむさん
早く続きが読みたいYO!
あと、加護ちゃんだけじゃなくて他の人との絡みもちゃんと見たい
- 78 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時28分48秒
高橋の話は、こうだ。
弱小の我が高校のダンス部は、廃部のピンチに陥っていた。
部員数は、2年生が1人に、1年生が3人。
うちの学校の部員規定数は4人以上で認定なので、
一応、それで部として活動をしていた。
…んだけど。
4人だと、大きな大会などに出るのが困難なんだそうだ。
まあ、確かに4人のダンスチームってのも微妙だけど───。
同じような状況にあるダンス部っていうのが、他にも結構多いらしくって。
あたしの出身中学のダンス部もそう。
今は小川がキャプテンなんだけど、部員が7人しかいないらしい。
ダンス部って、中学じゃあんまりないからなー。そう言えば。
あたしらの時は、何故か凄く部員数が多かったんだけど。
今は廃れちゃってるらしい。
まあ、それはともかく。
- 79 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時29分48秒
そこで、彼女たちは地元のダンスチームと混合で大会になるコトになった。
高橋や、あたしの後輩の小川たちが組んで、この話が実現したらしい。
それで、何であたしのところに再び勧誘に来たかと言うと。
1ヶ月後に迫った大会に参加するのに、人数が足りないんだって。
集まった人数は18人。
ところが、大会の団体戦での参加規定人数が20人なんだそうだ。
彼女たちは、その2人に交渉を持ちかける…と。
それだから、どうせならダンスの経験のあるあたしに助っ人を頼もうってワケ。
なんだかなー…。
ちなみに、あとの1人は小川が担当して連れて来るらしいケド。
んぁ〜…。どうすっかねぇ。
- 80 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時30分21秒
「ねー…なんであたしなの?」
「なんでって…!!後藤先輩、中学の時から凄い目立ってたし。
私、後藤先輩のダンス好きです!」
ふむ…。
そう言われると困るけど…。
別にやりたいワケでもないのに、あたしがしゃしゃり出るのも気が引ける。
「それに…」
「それに??」
少し言い難そうにして、高橋はうつむいた。
「それに、コーチが…絶対後藤先輩を呼んでこいって…」
「コーチ?」
「あ、ハイ!!そうなんです!!なんと、あの保田───」
「保田!?もしかして、保田圭!??」
あたしは思わずビックリして、高橋の声を遮りながら立ちあがってしまった。
- 81 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時30分56秒
保田圭───。
この辺のコで、彼女の名を知らない人はいない。
若干18歳で、個人ダンスの世界チャンピオンに輝いた天才少女。
現在、21歳。
現在は、アメリカに渡ってその才能を磨いている。
そんな凄い人が、あたしたちの住むこの町から輩出された。
当時、中1だったあたしも、彼女に淡い憧れを抱いていたっけ。
まー、とにかく凄いんだ。
周りの空気を全て自分の物にしてしまうっていうか…。
決して美人ではないけれど、恐ろしい程の存在感を持ち合わせた人。
その保田圭が、弱小チームのコーチ?
んなバカな───。
- 82 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時31分47秒
あ、そうだ。全然関係ないけど。
アメリカって言えば、幼なじみの紗耶ちゃんもアメリカにいるんだ。
あたしが中3で、彼女が高1の時に留学して。
昔っから、英語が好きで通訳になるとか言ってたからねー。
紗耶ちゃんとは、今はたまーに国際電話とメールする程度。
姉みたいなもんだから、遠くに居ても別に寂しくないんだなー、なんか。
まあ、離れる時は泣いたケド。
あー。そーいえば、紗耶ちゃんも保田圭のファンだったっけ。
保田圭を追っかけてアメリカ行ったみたいなもんだし。
アメリカでの活躍とか、聞いたら教えてくれるかなー。
…って、全然関係ない話だったね。
- 83 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時32分41秒
湧き上がる気持ちを押さえて、あたしはやや冷静に高橋に聞いた。
「保田圭が、何でアンタたちのコーチなんかすんのさ」
「あ、麻琴ちゃんのイトコなんです」
「イトコ!?」
小川のイトコが保田圭!?
うわー…。なんか、すっごい話がリアルになってきた。
もしかしたら、保田圭から直接ダンスの指導受けられる!?
ん〜〜…ちょっと、気持ちがグラついたぞ、今の。
「麻琴ちゃんが、直接お願いしたらしいんです。
今は日本に帰って来てるんで、夏休みの間だけでもって。
そんで、後藤先輩の話したら連れて来いって言ってたらしいんです」
「そうなんだ…」
うわーうわー…どうしよう!?
保田圭の指名付きかよ…。
あ〜〜〜。迷う。
すんごい迷う。
高橋が最初に来た時は、普通に断るつもりだったけど───。
今は半分くらい、やりたくなってきちゃったよ。クソー…。
- 84 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時33分16秒
「とりあえず、もーちょっと考えていい?」
あたしは、高橋にそれだけ返事をしたのだった。
- 85 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時33分47秒
放課後。
クラスのグループのコたちと一緒に学校を出た。
別に同行する意味はないんだけど、なんとなく。
いつものように、マックでだべって、それからその辺をブラブラするみたい。
ハァ…。
コイツら、いっつも同じだよなぁ。
何が楽しいんだろ。
着いてくるあたしもあたしだけど。
- 86 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時34分18秒
「真希ィ、合コンいかねー!?」
さっきまでもキャーキャー騒いでたけど、席についても彼女らは変わらない。
店内に響き渡るバカ声あげて…ホント、バッカみたい。
あたしも、イヤなら一緒に居なきゃいいのに…バッカみたい。
「オッ、いいねー。真希、来なよォ。真希ならぜってーモテるっしょ」
「マジ、イケメンゲットじゃん!?」
あー…うるさいなー。
男しか頭にないのかよ、お前ら。うざっ。
「ん…。あたし、いいよ。別にカレシいらないし」
頬をヒクヒクさせつつ、あたしは無愛想に笑った。
あー疲れる。
あたし、何してんだろ。ハァ…。
- 87 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時35分37秒
小1時間ほどはしゃいだ後、あたしは1人で帰った。
「マジィ?超ノリ悪ぅ」とか言う彼女らの批判を受けたけど、
「ダンスの練習に行くから」って言った。
自分でも笑っちゃうような言い訳だけど。アハハ。
やってもないし、まだやるとも言ってないのにね。
…なんか、もう半分くらいはやる気になっちゃってるのかもね。
……あー。知らん知らん。
案の定、彼女たちはまたキャーキャー騒いでた。
「真希ィ、いつからヒップホップ娘になったのー?」とか。
「ダンスかっけー!」とかね。
- 88 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時36分18秒
帰る途中、すごく切なかった。
なんかー…今日はブルー。
高橋からダンスの誘い受けて、何か色々考えちゃってさぁ。
あたしの存在価値ってなんだろーみたいな。
そんで、何考えてんだろーとか思って。
ついでに、今日の夕飯どーしようとか考えてみた。
- 89 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月21日(月)21時40分04秒
(●´ー`●)<圭ちゃんの名前が出てきたべさ。
なんだか凄い人になってるべさ?
なっちの出番まだぁ〜?
川о・-・)ノ<…というより、あいぼん全く出てませんけど。
(●´ー`●)<…何の話だべ、これ…。ごっちんの日常生活?
川о・-・)ノ<まあまあ、話には山も谷も必要ですから。
…アイチャンノキャラモウスイシ…。アンシンアンシン…。
- 90 名前:なっちとこんこん 投稿日:2002年10月21日(月)21時47分54秒
(●´ー`●)<さて、恒例のレスだべさ。
今回も少ないけど、感想書いてくれた皆さん、ありがとうだべ。
(●´ー`●)ノ□<まずは、>>74さん。
作者はごっちんヲタだべさ。噂によると、3〜4期推しだべ。
前にも言ったけれど、なっちとこんこんが最近キターべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>75さん。
見ての通り、今回はあいぼん出てないべさ。申し訳ないべさ。
なっちの出番は、もう少し待ってほしいべさ。
む。作者のメモ発見だべさ。
『なっちはこの小説に今のところ出る予定はない』…?
そんなことさせないべさ。
- 91 名前:なっちとこんこん・その2 投稿日:2002年10月21日(月)21時48分24秒
(●´ー`●)ノ□<>>76さん。
他カップリングは今のところなしだべさ。
もしかしたら、何か動きがあるかも知れないので…。
(〜^◇^)<チェケラッチョ!キャハハ!
(●´ー`●)<…何してるべさ、矢口…。
(●´ー`●)ノ□<>>77さん。
ごっちんと他の人の絡みだべ?
ご心配なくだべさ。
川о・-・)ノ<レスが増えるとありがたいです。
ROM専な方も、是非ともご感想下さいね。
(●´ー`●)<カミソリオンリーはちょっぴり泣けるべさ(はぁと)
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月22日(火)01時49分32秒
- あいぼん放置ですか?
次回こそ、あまあま期待!
向こうでは保が暴れてましたが、
こっちではえらい持ち上げようですね。
ところでなっちの出番(ry
- 93 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月22日(火)08時09分14秒
- なっちは出な(ry
作者さんって女子高生??
なんか、そこらの書き方が結構リアルな気がするのだが・・
あいぼん早く帰って来てちょ。
- 94 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時36分07秒
『おかけになった電話は電波の───』
「ケッ…」
ピッ。
ケータイのボタンを押しながら、あたしはこれまた切な気になっていた。
かあぁ〜…。ったく、あのアホ…。
肝心な時に電話出ないでやんの。
…って、何してんんだ。あたし。
なーんか…。こういう時は、亜依に会いたくなっちゃうんだよなー。
あいつと一緒の部屋で、一緒にしゃべって、
一緒にご飯食べて…。
あたしって、案外甘えッコちゃんだよなー。アハハハ…。
ま、亜依には絶対そんなコト言わないケド。
1人、何気に沈んだ顔で、とぼとぼと帰路を歩んだ。
- 95 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時37分38秒
家に帰ると、客がいた。
玄関にアディダスの白いスニーカー。
どー見ても、体格の小さい亜依の靴ではない。
もちろん、弟のユウキのでもなさそうだし。
となると、こんな靴履いてて、それでいて
誰もいないあたしん家に入り込んでるのなんて、ただ1人しかいない。
あたしは、小さく「ふぅ…」とタメイキをつくと、
静かに階段を上がった。
- 96 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時38分09秒
「ひとみ…何してんのさ」
「よっ」
「何だよ、スポーツ少女。部活はどーした」
「テスト休み」
「あっそ」
部屋にいたのは、幼なじみの吉澤ひとみだった。
「ちょっと、タバコ吸うんなら窓開けてよ」
「あーわりぃわりぃ。忘れてた」
全くもう…。コイツ、バレー部のエースのくせにヘビースモーカーなんだから。
…そりゃ、あたしも吸うけど…。
別にね、タバコが好きってワケじゃないんだけど…。
周りもみんな吸ってるし、っていう程度。
───また、周りと同じ───か。
なんかちょっとイヤかもしんない、そういうの。
- 97 名前:I WISH@ごっつぁむ「 投稿日:2002年10月23日(水)23時39分36秒
「で、あんた何してんの?」
「さぁー?なんかわかんねーゲーム」
ひとみは、あたしのベッドにテキトーに座って、ゲームをピコピコとしている。
なんか、刀持った侍が敵をバタバタ倒すヤツ。
あたしはゲームなんかしないから、また弟のユウキの部屋から
勝手に持ち出して来たみたい。まったく。
その当のユウキはまだ家に帰ってきてない。あのアホ、どこほっつき歩いてんだか…。
こないだはこないだで、停学くらってたしさー。
ホントに、どーにもなんないバカ弟だ。
- 98 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時40分06秒
「ってか、あんたどーやって入ったのさ」
亜依と違って、ひとみは家の合い鍵を持ってない。
となると、ユウキか母さんがさっきまでは家に居たってコトかな?
「あー。亜依に鍵借りた」
「ハァ?」
思わず聞き返してしまったあたしに向かって、ひとみはプラプラと鍵を揺らしていた。
犬のキーホルダーと、『あい』というネームプレートがくっついている。
むむむ…。こりゃ、ホントに亜依の鍵だわ。
つーこたぁ、あいつは1回家に寄ったのかな?
なんだよ、アイツ。遊び行くんでも寄ったんだったら、帰るまで待ってりゃいいのに。
「ひとみ」
「ん?」
「亜依に会ったの?」
その言葉に、ひとみはゲームをする手を止め、ハァ…と小さくため息を漏らしていた。
- 99 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時40分56秒
「なんなのさ───」
"そのため息とか。マジ意味不明。”
そう言いそうになったけど、一応黙っといた。
…それもきっと、ひとみは見抜いてるんだろう。
ムッとして眉間の寄ったあたしの顔を見て、呆れた顔をしやがった。
「あのねー、真希お姉ちゃん?
いい加減、妹離れしたらどーっすか」
「ハァッ…!?」
ひとみの言ったコトの意味が解らなくて、2〜3秒頭が真っ白になった。
「なんだよソレ。あたしが亜依から離れらんないみたいじゃん」
「そーでしょ、実際。アタシがわかんないと思ってんの?」
「何言ってんの!?マジ意味わかんないから!!」
「別にいいけど。そんな歳でもないでしょーに」
ムキになって返すあたし。
それを、かる〜く流すひとみ。
なんか、こう…。見透かされてるみたいで、ムカつくっていうよりハズかった。
ああ〜…。身内って怖い。
「違うもん」
そう言うと、あたしは制服姿のままベッドに倒れこんでしまったし、
ひとみはベッドから移動して、再びゲームを始めてしまった。
- 100 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時41分41秒
そりゃね。
あたしが亜依から離れらんないのか。
亜依があたしから離れらんないのか。
そんなコトもたまには考えるさ、ひとみに言われるまでもなく。
だけど、あたしたちは一緒にいるコトが当たり前だった。
それは、あたしとひとみだってもちろん同じコトじゃないの。
…ただ、ひとみとは別にそんなに毎日顔を合わさなくても全然平気だけどさ。
なんか、亜依はダメなんだ。
別に、いつも一緒にいたいとかそんなんじゃないけど…。
いつだって、あたしが守ってやらないとダメみたいな気がして───。
だから…だからこそ、いつもそばにいるのが当たり前みたいな気がした。
- 101 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時42分11秒
いつだったけ、あれ。
あたしたちがまだ、子供の頃。
相変わらずな毎日───。
ひとみはワルガキで、梨華はお姫さまで、亜依はまだ泣き虫で…。
あの日も、亜依はワルガキどもにいじめられて泣いてたっけ。
それで、あたしがそいつらをしばいてる間に、亜依はどっかに逃げてしまっていた。
それを探しに行ったのも、やっぱりあたしだった。
もう夕暮れの、子供的にはもう遅い時間。
あたしは1人、走り回っていた。
足は疲れちゃったし、お気に入りの赤いスニーカーは砂だらけで真っ黒。
おまけに雨まで降ってきちゃって、せっかく新しく買ってもらったセーターも
ビシャビシャになってしまっていた。
だけど、あたしは走り続けてたんだ。
───あのコを探して。
- 102 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時42分54秒
あたしが探しに行かなきゃいけない理由なんて、なかった。
別にひとみだろうが、梨華だろうが、マリちゃんでも、紗耶ちゃんでも良かった。
だけど、『あたし』だったんだ。
探しに行かなきゃいけなかったのは。
「真希ちゃん…」
近くの小学校の、暗い土管の中。
ぐっちゃぐっちゃに顔を崩して、真っ黒に汚れた亜依はいた。
「何やってんの、亜依。帰るよ」
「…うん…」
差し出された手を、戸惑いながら握る亜依。
冷たくて、だけど温かかった。
- 103 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時43分24秒
「なんで、こんなトコいたの」
「亜依ね、真希ちゃんが見つけてくれると思ったの」
「…そう」
ギュッ、と手を握る力が強まった。
解ってたよ、亜依。
あんたが、あたしを待ってるっていうのもね。
だから、あたしじゃなきゃいけなかったんだ。
他の誰でもない。
ひとみでも、梨華でも、マリちゃんでも、紗耶ちゃんでも…。
───いとおしかった。
ただ、守りたいと思った。
そばにいてやりたいと思った。
最初はさ…。ただ、亜依のお母さんからお守頼まれたからだったけどさ。
いつまで経ってもいじめられッ子で、泣き虫で。
だけどね。だけど…。
いつの間にか、あんたが凄く大切な存在になってたんだよ…。
恋愛感情とか、そんなのじゃない。
もっと深い、深い…愛情だね、こりゃ。
- 104 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時43分59秒
ひとみが言うように、亜依のコトを過保護に見てる部分はあると思うのね。
自分でも。
別にそれが悪いとも思わないし…。
・・・・・・。
・・・・・・。
あ〜〜〜〜〜〜!!!わかんね〜〜!!
もーいいや。めんどくさっ。
考えるの、やめ!!
つーか、ダンスのコトもあるし!!
今更、亜依のコトで考えるのもアホくさっ!!!
- 105 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時44分32秒
「ひとみ!!」
「あぁ!?」
「タバコ、一本プリーズ!!」
布団からガバッ、と飛び出て、あたしは飛び上がった。
そのままの勢いで、ひとみのマル○ンライトを掻っ攫うと火をつけた。
「…ハァ〜…」
「お前ね〜…自分の吸えばいいでしょうが」
またまた呆れた顔をしているひとみは、自分も一本取り出して吸い出した。
「亜依に奪われてしまいました」
「あっそう」
「そうでござる」
「なんだそりゃ」
- 106 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時45分08秒
ひとみの前でも、別に構わず着替えた。
夕飯の買い物に行かなきゃいけないから、それなりの格好でね。
夕飯の買い物と仕度するのが、いつの頃からかあたしの仕事になっていたっけ。
小学校の時に、父さんが死んで…。
母さんが働き始めて、姉ちゃんは結婚して出てって、ユウキは役立たずだったから、
あたしが毎日の食事当番だった。
梨華や紗耶ちゃんが手伝いに来てくれたり、忙しい時は姉ちゃんが来てくれたっけなぁ。
ピーピーうるさくて、手伝いもしない弟と妹のために、毎日腕を振るったっけ。
ったくあいつら、あたしの苦労も知らずにさぁ〜…。
って…さっきから、感慨にふけってる場合じゃないんだってばよ〜。
- 107 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月23日(水)23時48分11秒
「あたし、買い物行くけど。どーせ食ってくんでしょ?」
「とーぜん」
「じゃ、テキトーに買ってくるから」
「ハイハイ」
こっちを向くことすらせず、ゲームを続けたままのひとみだった。
昨日は焼肉パーティーだったしなぁ…。
今日は洋食でもするかな?
ま、テキトーに買っていくか。
・・・・・・。
・・・・・・。
「ありがとうございました〜」
ん〜〜〜…重い。
白い買い物袋を2つほどぶら下げて歩く女子高生って…。
そんなの悲し過ぎるッ!!
…あ〜。バカかよ、あたしは。
「あんれぇ〜?まっきィ〜♪」
「んあ?」
近所のスーパーを出たところで、見知った顔に会った。
- 108 名前:なっちとこんこん 投稿日:2002年10月23日(水)23時52分21秒
(●´ー`●)<あいぼん不足だべ。
川о・-・)ノ<でも、後藤さんのあいぼんへの激愛ぶりはわかりますね。
- 109 名前:なっちレス 投稿日:2002年10月23日(水)23時55分21秒
- (●´ー`●)<さて、恒例のレスだべさ。
今回も少ないけど、感想書いてくれた皆さん、ありがとうだべ。
前回も同じコトいってるべさ。
(●´ー`●)ノ□<まずは、>>92さん。
あまあまかどうかは微妙だべさ。
って、ダンスの話はどこへ逝ったべ?
(●´ー`●)ノ□<>>93さん。
作者は女子高生じゃないべさ〜。
高校生だけど、男だべさ。
川о・-・)ノ<次回もお楽しみに。
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月24日(木)00時01分42秒
- むむむ。
あいぼん出てないのに、あまあまなカンジ…。
あ、回想シーンに出てたのか。
- 111 名前:93 投稿日:2002年10月24日(木)00時25分39秒
あ、作者さん女子高生じゃなかったか・・失敗失敗。
なんか、この作品をドラマでビジュアル付きで見たい。
ヨスィコとごっちんが煙草吸ってるシーンとか容易に想像できるあたり(w
- 112 名前:ジョセフィーネ 投稿日:2002年10月24日(木)15時27分47秒
- >>111さんに同感です。期待
- 113 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時01分02秒
「はろー♪」
「おう、マリちゃん」
茶パツどころか、金パに近い髪の毛。
左に3つ、右に2つのピアス。
細い眉に、ガンガンのギャルメイク。
夏らしく、こんがり焼けた肌。
アクセサリーをジャラジャラとつけて、
身長低いくせに、自分よりでかい自転車に跨っているギャル女。
幼なじみのマリちゃん…こと、矢口真里だった。
その明るい笑顔を満面に浮かべて、あたしに近づいて来た。
「あ、買い物かぁ。真希はイイ嫁さんになれるねー♪」
甲高い声で、いつものようにニコニコ笑っている。
これで、あたしより年上なんだもんなぁ〜…。
「おう、じゃあ後ろ乗れや」
そういうと、マリちゃんは親指で自転車の荷台を指差していた。
- 114 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時01分37秒
正直、ちょっと助かったね。
重い荷物抱えて歩くの、案外しんどいんだ。
うちのチャリは、ユウキのアホが壊して直しにいかないし。
「今日は、学校行ったの?」
背中越しにマリちゃんに声をかけた。
あたしがマリちゃんに会う時は、たいていこの質問をする。
2年の時は、学校サボりすぎて留年しかけたくらいだし。
「ん。行った。たまには行かないとそろそろヤバイしィ」
自転車をグラグラさせながら、彼女は答えた。
軽く言うけどね、あんた…。
みんな、あんたが進級できるか真剣に心配してたんだよ?
「マリちゃんのしたいようにしたらいいと思うよ」
「ホント〜?でもまっ、マリだって一応色々考えるけどね〜」
ケラケラと笑うマリちゃんの後ろで、あたしはその言葉を聞き流すしかなかった。
- 115 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時02分20秒
マリちゃんはひとみと同じ学校に通ってる。
ひとみはスポーツ推薦で入ったけど、マリちゃんはこう見えて案外頭いいんだ。
レベル的には中間くらいのとこだけど、一般入試で合格した。
…まあ、当時はまだ髪も黒かったし、今ほどメイクとかしてなかったけど。
高校に入ってから、いきなりバリバリになっちゃったからなー。
高校デビューってヤツだね。
それから、だいぶ人格も変わった。
昔から、お調子者でよく笑うコだったけど…。
今は、それにうざさが増してしまった気がする。
ギャル特有の雰囲気っていうか…?う〜ん。
幼なじみじゃなかったら、多分、マリちゃんを好きになってないな。
- 116 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時03分01秒
「今日も亜依来てるの〜?」
「今日は来てないよ。ひとみがいるけど。マリちゃんも来る?」
「ん〜ん。マリ、今からカラオケ行くしィ」
「そっかぁ」
「ゴメンねぇ〜」
「あ、いいよ。別に近所なんだし。来たいなら、何も言わずに来るでしょ?」
「うん。わかってんじゃ〜ん!」
「まあねぇ…」
そんな他愛もない会話で、マリちゃんとの帰路は進んだ。
どーでもいいけど、マリちゃんが何かしゃべるたびに自転車がガタガタいう。
あたしより約20cmほど低い身長で、よくもまあ2人乗りで自転車がこげるもんだわ。
マリちゃんの背中の温もりを感じつつ、あたしはそんなコトを思っていた。
まだ暗くなる気配のない、夏の夕方の空の下で。
- 117 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時05分12秒
マリちゃんにチャリで送ってもらった後、あたしはまた、ひとみと部屋でだらだらしていた。
特に2人でいてもやるコトがないのね。
ベッドに寝転がって、買い物ついでに買ってきた雑誌をパラパラめくった。
「…あのさーね」
「何?」
またもや2人っきりになった空間で、突然思い立ったようにひとみに質問した。
ひとみはというと、別に気にしないと言った感じでゲームを続けている。
こっちも見ずに。
いや〜、さっきから聞こうと思ってたんだけど〜…。
聞く機会を逃してしまったっていうか…。
そんなだから、こんな反応されるとちょっと言いづらい。
けど、すでに言葉は発してしまった後だったので、やっぱり続けた。
「あのさー。あんた、なんでバレーやってんの」
「あ?」
瞬間的に、ゲームを中断してひとみはこっちに目を向けた。
コントローラーを握ったまま。
「だからー。なんでバレーやってんの」
「なんでって…」
コントローラーが床に置かれた。
- 118 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時05分46秒
「アタシに合ってるから…かな?」
「どーゆーこと?」
「やっぱ、プレイ中は楽しいし。
ハツラツとする…ってか、一番自分が輝ける瞬間ってやつじゃん?」
「自分が輝ける…瞬間?」
「うん。アタシのすべきコトっていうの?そんなカンジ。
それに、アタシ…将来、プロになりたいしね」
突然で、少し戸惑いを残しつつもひとみは頷いた。
その目は…。心なしかキラキラしてるように見える。
その時、あたしは思ったね。
ああ、負けたよ。
こんな瞳のひとみに(シャレじゃないよ)、あたしは勝てない。
人生の目的があるヤツとないヤツ、こんなにも違うものか…ってね。
いや、むしろ…。最初から解ってた。
「ふーん。そう」
でも悔しいから、とりあえずそう返しておいた。
- 119 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時06分17秒
ハァ〜。
なんか、考えちゃうよね。
幼なじみで親友のひとみは、自分のやりたいコトを見つけてる。
梨華だって、看護婦になるために勉強してるし、
紗耶ちゃんは、自分の夢のために留学中。
マリちゃんだって、カタチこそ違うけど「やりたいコト」やってるんだ。
中学生の亜依やののだって、きっと少しずつでも未来を考えてると思うのね。
だけど、あたしの夢…?
なんだろ。なんかあるかな。
アイドル…あー。まず無理無理。
スポーツ選手?ん〜…。努力嫌いだし。
政治家?クソくらえ。
…ダンサー、とか…。
- 120 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月24日(木)22時06分52秒
…ダンサーね。
そうね、結局そこに辿り着いちゃうのね。
最初から解ってたよ、解ってたよ、高橋。
ホントはね、きっかけが欲しかったの。
だって、素直に「YES」っていうのが自分で認められないからね。
そりゃ、保田圭がコーチにつくっていうのもあるけどさ。
あたしは、ホントはこう思ってたのよね。
『このままじゃ、ダメになる』
きっと、あたしは変わりたかった。
だから、変わりたかった。
その一番具体的な変え方が、ただコレだけだったんだ。
あえてひとみにそれを聞いたのも、ささいなきっかけ。
背中を押してくれたのは…。きっとそれも、ささなきっかけ。
ほんの少しだけ、誰かがその背中を押してくれるのを待ってたんだ。
もう、迷わない。
「あたしね。ダンスやってみようと思う」
- 121 名前:なっちとこんこん 投稿日:2002年10月24日(木)22時08分00秒
- (●´ー`●)<むむ?あいぼん不足〜。矢口ギャルだべさ。
川о・-・)ノ<だんだん「ごまかご」じゃなくて「よしごま」になってませんか?
- 122 名前:なっちレス 投稿日:2002年10月24日(木)22時11分08秒
(●´ー`●)ノ<さて、なっちレスだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>110さん。
作者の筆力のなさで、あまあまなごまかごが書けないのが残念だべ。
これからに期待キボンヌだべ。
(●´ー`●)ノ□<>>111さん。
なっちも同感だべ。だけど、未成年はタバコ吸ったらだめだべ。
(●´ー`●)<さて、恒例のレスだべさ。
今回も少ないけど、感想書いてくれた皆さん、ありがとうだべ。
前回も同じコトいってるべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>112さん。
でも、なっちの出番は(ry
川о・-・)ノ<次回もお楽しみに。
- 123 名前:ツッコミ。 投稿日:2002年10月24日(木)22時11分49秒
- 川о・-・)ノ<安倍さん、安倍さん。
途中で時が戻ってますよ!!
- 124 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月25日(金)00時14分48秒
- ほんとになっちとこんこんは出なそーですね。
( T▽T)<そんなの悲しすぎるっ!
ならばせめて「あいぼん満タン」おながいします。
- 125 名前:93 投稿日:2002年10月25日(金)00時28分31秒
まあ、でも「ごまかご」ですしね
あいぼんが出てくるまで待ち続けましょうw
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月26日(土)03時52分55秒
- 例によって土日は更新休みかな?
期待して待ってますぜ、ごっつぁむさん
- 127 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2002年10月28日(月)00時20分06秒
- まだかなまだかなぁ〜?♪
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月30日(水)03時05分44秒
- 【THE☆PEACE!】簡潔乙彼ですた。
こっちはまだまだ続きますよね?
ごまかごで萌え死にさせてくだせぇ。
なちこん開設にも気体。
- 129 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月30日(水)16時17分45秒
- 「THE☆PEACE」ご脱稿お疲れ様です
個人的にはこっちのが好きですが、期待してます。
- 130 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)00時57分14秒
「もしもし、高橋?あたし───」
そのコトを電話で告げた時、高橋は思わずボロボロと泣き出してしまった。
よっぽど嬉しかったんだろうか…。
「ありがとうございます」って、何回も連発している。
別に、あんたのためにやるんじゃないから…。
「それじゃあ、明日の11時に駅前で待ってますね」
「おうよ」
声高らかに電話を切る高橋。
素で喜びすぎだから、マジで。
明日は土曜日。
学校は休みなので、昼間っから練習するとのコトだった。
とりあえず、あたしは一度見学に行ってみようと思って。
ちょうど、保田圭もコーチに来るらしいからね。
- 131 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)00時57分46秒
むむむ…。
そう言えば、もうこんな時間だ。
亜依のヤツ、まだ帰って来てないみたい。
うちの洗面所から見える、あいつの部屋の明かりがついていない。
ったく、何してるんだか。
「おーい真希ィ。腹減ったぁ」
……ったく、コイツはコイツで何してるんだか。
『不良娘。早く帰って来ないとご飯抜きだよ(+_+)』
あたしは素早くメールを打つと、ご飯の仕度のために
台所へと向かった。
その日、亜依は帰って来なかった。
あたしのケータイには、
『今日はお泊まりだよ〜』
というメールだけが入っていた。
- 132 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)00時59分46秒
翌日の11時。
太陽も目覚めて、そろそろ暑くなってくる頃だ。
約束の時間、ちょうどピッタリに駅前についた。
チャリがなかったので、またまた歩きで。
ま、電車に乗るから歩きで十分なんだけど。
高橋は、黒いノースリーブのシャツとジーパンという
極々ラフな格好であたしを待っていた。
ちなみにあたしも、全く気合の入ってない格好している。
どーせジャージに着替えるつもりだしね。
- 133 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時46分18秒
「せんぱ〜い!おはようございます」
「おはよ」
あたしの姿を見つけると、高橋はトコトコとあたしの傍へやってきた。
「さ、行きますよ」
「ハイハイ。…って、どこで練習するの?」
「あ。南中の体育館です」
「南中ねぇ…」
南中とは、あたしの出身中学。
ひとみも梨華も、マリちゃんも紗耶ちゃんもここを出た。
ついでに、亜依とののは今もここに通っている。
そんなトコで、練習するのね。
つくづく、あたしはダンスに縁があるなぁ…と感じた。
- 134 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時46分48秒
久々に訪れた、我が母校の体育館。
その体育館の入り口に、数人の少女たちがたむろしていた。
その中には、後輩の小川もいる。
あ、アレは同じ学年の藤本美貴さんだ。
彼女、ダンス部の部長だっけ。
あと、高橋の友達の松浦亜弥。
あたしによくメール入れてくるヤツ。
そのコもいる。
よく見ると、ほとんど知ってるコだなぁ…。
- 135 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時47分18秒
そう思って、高橋の後ろについてそっちに近づいた。
その中に、凄く見知った少女がいた。
あたし、もうビビっちゃったよね。
思わず、ダッシュでそいつに近づいちゃったよ。
そしてそいつの頭をガッシリとつかむと、
脅すような声で言った。
- 136 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時47分48秒
「…おい。不良娘…」
「い、痛いよォ。真希ちゃん」
「なんで、お前がいるんだよ!?お前、バレー部だろが!!」
「夏の大会で終わりだから、マコっちゃんに誘われたんだよぉ」
「よりによって…」
「真希ちゃんこそ、なんでいるんだよぉ〜」
「うっさいなぁー。ちょっと小川!!」
あたしは、そいつの頭から手を離すと、
今度は小川に詰め寄った。
小川は、惚けた顔して「チィス」とか言っている。
- 137 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時48分18秒
「…なんで、黙ってたんだよ。オラ」
あたしは、小川の膝あたりに軽くケリを入れた。
昔っから、こうしてよくどついたりしてるから、挨拶代わりみたいなもんだ。
「や、やだなぁ…。アタシだって、後藤先輩が来るって聞いたの今日だったし…」
「だからって、何でコイツがダンス部に入ってるんだよ!?」
「え、ん〜と…。あいぼん、よくダンス部の練習見に来てたから…」
苦笑いを浮かべる小川。
…ハァ〜…。なんか、すっごいやる気なくした。
なんでよりによって、亜依がいるのさぁ〜!!!
- 138 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時48分55秒
その様子を見ていた藤本さんが、こちらにやって来た。
面白いもの見た、という感じにニコニコ顔だ。
「後藤さん。歓迎するわ」
この人とも、何度か話したコトある。
中学時代から、ダンス部の大会とかで会ったりしてたからね。
「ども」
あたしはやる気のない返事を返す。
「後藤さんの活躍は、前々から知ってるからね。
どうしても、参加して欲しかったの」
「そーッスか」
「ええ」
どうやら、小川や高橋だけじゃなくって、藤本さんの強い希望でもあったみたい。
なんか、そこまで期待されるのも、悪くはない…かな。…ふん。
- 139 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時49分52秒
「せん〜ぱいッ。来てくれてうれしいですぅ」
「うざいよ、松浦」
藤本さん、高橋と同じく、顔見知りの松浦。
その松浦が、あたしの腕にしがみついてきた。
いつもいつもブリッコして、面白い。
「なんでですかぁ。先輩が参加するって聞いてぇ、
あやや超〜ハッピーなんですぅ」
「あっそう」
「ハイ〜ッ」
相変わらず、騒がしいコだねぇ…。このコも。
- 140 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時50分26秒
「じゃあ、みんな揃ったとこで…」
藤本さんが言いかけた時、あたしは横から口を挟んだ。
ちょっと待てって。
「みんな?こんだけしかいないのに?」
ざっと見て、これだけで10人くらい。
んーと…いち、にぃ、さん…。
全部で13人か。
…もちろん、あたしを含めてね。
高橋の話と、違くないか?おい。
「あ、うん。今日は、個々での練習なの。
合同練習の日以外は、このメンバーでやるのよ」
「あ、そっか。なるほどね」
そう言えば、弱小チームの集まりって言ってたもんな。
比較的近い、うちの高校のダンス部と、
南中のダンス部の部員での練習ってコトだね。
- 141 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時51分00秒
っていうか、あたしが知らない人ってほとんどいないんじゃ…。
同じ高校の3人はもちろん知ってるでしょ。
それから、ダンス部のコたちも3年生はみんな知ってる。
知らないのは、1、2年生のコたちだけだ。
う〜ん…。なんか、変な感じだわ。
あ、それと。
藤本さんの話では、保田圭がコーチに来るのも
その合同練習の時だけだそうだ。
普段は、南中ダンス部の顧問の先生が来てくれてるんだって。
今日は土曜日だから、来ないらしいけど。
まあ、その先生ともあたしは知り合いなんだけどね。
今日、保田圭に会えると思ったけど…ちょっと残念。
でも、毎週月・水・金は合同練習があるっていうから、
早くてもあさってには、保田圭に会える。
ちょっと待ち遠しい。
- 142 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時51分31秒
「それじゃあ、みんな着替えて。
15分後に練習開始よ!」
藤本さんの合図で、部員たちはそれぞれに着替え始めた。
あたしはというと、とりあえず亜依を捕まえて、
細かいコトをあーだこーだ責めるつもりだったのだけど、
アイツったら、あたしのコトを避けてるみたいで…。
あたしが近づくと、さり気に遠ざかっていった。
むむむ…ムカつく!!!
だけど、15分しか着替えがなかったので、
それ以上は何もしなかった。今は。
あくまでも、今はね。
- 143 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時52分05秒
今日の練習はほんの二時間。
軽くトレーニングってコトで、体を慣らすのと、
リズムの取り方だけをみんなで練習した。
あと、音楽に合わせて好きな振り付けを踊る…ってのも。
まあ、基礎中の基礎だけどね。
まだ、振りもフォーメーションも決まってないのだから、
仕方ないと言えば仕方ない。
それでも、2年のブランクのあったあたしにとっては、
この程度から始めるのがちょうど良い。
せっかく、保田圭からご指名を受けたのに、
期待はずれって言われたら申し訳ないもんね。
- 144 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時52分36秒
「それじゃあ、明日は夜の練習ね。
遅れないように!解散!」
藤本さんの号令で、みんな一斉に「お疲れ様でしたぁ」
と、頭を下げた。
そして、個々に散らばって解散した。
「後藤さん。明日、7時からだから。あと、これ」
「あ、うん。わかった。サンキュー」
「うん。お疲れ様」
藤本さんから、練習のスケジュールを受け取り、
テキトーに挨拶すると、体育館を出た。
あたしから逃げるようにして帰った、亜依を追いかけて。
- 145 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時53分10秒
「なんで逃げるんだよ」
「に、逃げてないもん」
「逃げてるじゃん。練習終わるまで、あたしと目合わせなかっただろ」
「ち、違うもん」
「別に怒らないから」
「…ホント?」
その言葉に、亜依は足を止めて振り返った。
あたしは、それを見てチャンスといわんばかりに頭をどついた。
「いたぁ〜〜〜い〜〜…」
「嘘だボケッ。何であたしに隠してたんだよ?」
頭を押さえて、痛がってる亜依。
ふん。そんな顔したって、無駄だからね。
- 146 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時53分40秒
「だって…」
今度は泣きそうな声。
「何さ」
「…だってね、ダンスなんかやるって言ったら真希ちゃん怒るでしょ」
「別に怒らないってば」
「だってぇ…。前に、梨華ちゃんに怒鳴ってたんだもん」
亜依のその言葉を聞いて、あたしは深くため息をついた。
そして、頭にポン、と軽く手を置いて言った。
「そんなわきゃないでしょーが」
「ホントに?」
「おう」
「…ホントにホント?」
「ホントだって」
あたしは、頭に置いた手を、もう一度ポン、と置きなおした。
- 147 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時54分25秒
「…黙ってて、ごめんなさい」
「うし。解ればよろしい」
「うん!」
亜依は、笑顔で頷くと、その小さな手で
あたしの手を握った。
「…ハズいよ」
「いいじゃんかよ〜」
照れながら笑う亜依。
手を握る力が、少しだけギュッと強まった気がした。
…ったく、しょーがないヤツ。
それから家に着くまで、あたしたちは手を繋ぎながら歩いた。
正直恥ずかしかったけど、なんかこう…。
昔を思い出した、かな。
ま、そんなこんなで手を繋ぎながら帰ったワケ。
- 148 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年10月31日(木)07時55分43秒
ふい〜。なんだか、更新中にプロパイダのメンテナンスに引っかかって
更新ができませんでしたー。
「THE☆PEACE」が無事に完結したので、頑張って書きますねー。
- 149 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年10月31日(木)07時59分25秒
- (●´ー`●)ノ<さて、なっちレスだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>124さん。
うう〜…仕方ないべさ。なっちの使いどころはムズイべさ。
今回はちょっとあまだべ?
(●´ー`●)ノ□<>>125さん。
期待通り、あいぼん登場だべさ。萌え萌えだべ?
(●´ー`●)ノ□<>>126さん。
更新遅れてしまって、申し訳ないべさ。
土日は作者が遊びに行ってるからいけないべさ。
川о・-・)ノ<まだまだ続くべさ。
(●´ー`●)<うつってるべさ。
- 150 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年10月31日(木)08時03分46秒
- (●´ー`●)ノ□<>>127さん。
本当に遅くなってしまって、申し訳ないべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>128さん。
どうもありがとうだべ。こっちはまだまだ続くべさ。
なちこんは…どうするべ。話に関係なくなっちゃうべさ…。
(●´ー`●)ノ□<>>129さん。
あっちはなっちが出てないからだめだべ?(w
川о・-・)ノ<ちょっとここで裏話。
作者自身、あの作品に満足いってないみたいなので、
そのうちリメイクするかもとの事ですよ。
私が「主人公」なので、ぜひとも…。
(●´ー`●)<紺野、間違ってるぞ。
川о・-・)ノ<さ、学校逝きますか。出席日数やばいらしいので。
- 151 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月31日(木)22時24分13秒
- 久々にあいぼむ登場!
ごまかごマンセーです。
しかし現実ではよっすぃに押し倒されてる罠(ry
学校間に合いましたか?
交信時間が妙にリアルです。
- 152 名前:93 投稿日:2002年11月02日(土)16時36分01秒
- ごっつぁむたん、続きまだかYO〜
待ちくたびれたぞ〜
- 153 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月03日(日)02時31分20秒
- 初レスです。
ごっちん萌え萌え。
あいぼん萌え萌え。
期待マックスです。
- 154 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月03日(日)23時32分42秒
- 幼馴染み組に、ダンスチームが絡んできて、
そこにはあいぼんの姿・・
(・∀・)イイ展開!!
- 155 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年11月04日(月)02時12分43秒
どうも〜作者です。
明日更新できたらしますねー。
・・・ということで、訂正をば。
>>141の
×同じ高校の三人
○同じ高校の四人
・・・です。四人目は名前すら出てませんが、ごっちんを数に入れてしまいました。
四人目の名は、次の更新で明かされます!!(w
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月04日(月)22時47分57秒
- 更新まだかな〜??
もう1人は誰でしょうね。
こんこんキボンヌ!
- 157 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時17分09秒
家に帰って、亜依と一緒に、藤本さんから貰ったスケジュールを見た。
ほぼ毎日練習か。
ちょっとダルいねぇ…。
それから、チームのメンバーの名簿も一緒に印刷されていた。
そこには、ちゃっかりあたしと亜依の名前も書かれている。
…いつ書いたんだ…。
えーっと…。
一応、全員の名前を覚えておいた方がいいのかな?
…って言っても、ほとんど知ってるんだけど。
- 158 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時17分58秒
まず、うちの学校のダンス部が5人。
部長:藤本美貴(高2)
副部長:高橋愛(高1)
部員:松浦亜弥(高1)
ミカ・トッド(高1)
後藤真希(高2・臨時部員)
ふむふむ。
ミカ・トッドってコはよく見かけるけど話したコトはない。
なんか、留学生だかハーフだかで、小柄でグラマーな外人さんだ。
昨日の練習にもいたけど、やっぱり話さなかった。
まーいいや。今度話してみようっと。
- 159 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時18分31秒
それから、亜依たちの通う南中のダンス部員が8人。
部長:小川麻琴(中3)
副部長:斎藤めぐみ(中3)
部員: 村田雅恵(中3)
大谷あゆみ(中3)
柴田瞳(中2)
稲葉充代(中2)
新垣里沙(中2)
加護亜依(中3・臨時部員)
…んっと、小川と斎藤さんと村田さんと大谷さんは知ってる。
後のコは知らない。
ん〜〜〜。ちゃんと、打ち解けられるかなぁ…。
とりあえず、あたしは次の日の練習は、
彼女たちの名前と顔を一致されるために精一杯だった。
- 160 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時19分58秒
月曜日。
あたしは、朝から気合が入りまくっていた。
なんせ、あの「保田圭」からコーチを受ける初日だもの。
だから、暇な授業中もメールも居眠りもしないで頑張った。
机の下で、下半身のストレッチを。
担任の裕子に見つかって、当然怒られたけどねぇ。
「後藤さん、遅いよー」
「はーい」
校門で待ち合わせした藤本さんが、待ちくたびれた顔をしていた。
なんせ、裕子に帰り際に説教くらったもんで…。
約束の時間より、10分も遅れちゃったよ。アハハ。
「あんまり遅いから、クラスに行こうかと思っちゃったのよ」
「あ、アハハ〜…ちょっとね、中澤に絞られてて…」
「中澤先生に?」
藤本さんは「なるほどね」というように、納得した顔をした。
「あー。うん。…それより、一年坊たちは?」
「もう行ったわよ。私たちも、早く行きましょう」
「うん」
あたしと藤本さんは、そう言うが早いが、二人で並んで歩き出した。
うーん…会話が弾まなくてちょっとビミョー…。
- 161 名前:I WISH@ごっつぁむ「 投稿日:2002年11月05日(火)00時20分37秒
「後藤さんさ」
「あ、うん」
微妙な感じで世間話をしながら歩いているあたしたち。
好きなタレントの話なんかしていると、
突然、藤本さんが話題を変えてきた。
「加護さん…だっけ?小川ちゃんが連れてきたコ」
「あ、うん。亜依がどーかした?」
「あのコとは、知り合い?後藤さん、南中の出身だから…後輩とか?」
歩くスピードは変わらないけれど、藤本さんが横を向きながらよたよたと歩く。
あたしもそれに釣られて、藤本さんの方を向ながらよたよたと歩いた。
「えーっとねぇ。おさななじみで妹みたいなもんかな?」
「妹!」
その言葉に、藤本さんは目を輝かせた。
- 162 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時21分16秒
そして、好奇心に満ちた目で、そのコトを聞いてきた。
「素敵ね!おさななじみで妹みたいな存在って!」
な、何がどう素敵なのさ…。
「うーん…。あたし、おさななじみ多いからねぇ。
その中でも、アイツは家も隣同士だし…」
「そうかぁ…いいなぁ…」
藤本さんはそう呟くと、今度は下を向いてとぼとぼ歩き始めた。
あたしもそれに釣られて、藤本さんの方を向きながらとぼとぼと歩いた。
「私、転校ばっかりしてたから…おさななじみとかいないのよ」
「あ、そうなんだ…」
「うん…いいなぁ、うらやましいな」
「あ、いやいや。そんなにいいもんでもないって、アハハ。ホントだって、アハハハ…」
本気でうらやましがる藤本さんに対して、あたしはテキトーに言葉をごまかすしかなかった。
- 163 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時22分10秒
うーん…。
そう考えてみると、あたしって恵まれてるのかも?
生まれた時から、ひとみや梨華と一緒だったし。
亜依が来てからは、毎日のように顔を合わせてるし。
マリちゃんとカラオケ行ったり、今はアメリカだけど紗耶ちゃんとも国際電話するしさ。
ちょっと遅れてやって来たののは、亜依ほどではないけど妹みたいだもの。
そもそも、友達は多い方だよ。
どこまでが友達か…はわからないけど。
とりあえず、あたしの中で友達以上と呼べるのは、彼女たちだけ。
友達っていうより…むしろ、姉妹って感じかなぁ?
考えると、よくわからんなぁ…。
なんか、「居て当たり前」っていうか、なんというか…。
もう、生活の一部みたいなもんだね。うん。
- 164 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時23分00秒
「後藤さん、どうしたの??着いたよ」
「え?あ、うん」
頭の中でグルグル考えていたので、目的地についたコトもわからなかった。
…ゴ、ゴメン藤本さん…。
横で何かぶつぶつ言ってたの、ぜーんぜん聞いてなかった…。
市民体育館は、学校から歩いて10分程の所にある。
そこのそこの入り口で、高橋と松浦、それからミカ・トッドさんが
あたしたちを待っていた。
「部長〜、後藤先輩〜」
「お待たせー、亜弥ちゃん」
スキップでこっちに駆け寄ってくる松浦。
あんたは犬か。
藤本さんは、その犬のような松浦の頭をなでなでとしていた。
「おう松浦ぁー。今日もうぜーぞ」
「いやだぁ〜、せんぱぁい。ひどいですよぉ」
あたしはというと、藤本さんになでられている松浦の頬を、
パンチするフリした。
それでも彼女は喜んでいたけど…。こいつからかうの、面白い。
- 165 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時24分20秒
「あれ?小川ちゃんたち、まだ?」
松浦から離れて、藤本さんが高橋に聞く。
ちなみにその間に、松浦はあたしにくっついてきて、
あたしはその松浦にケリを入れていた。
松浦、大げさに「グハッ」とか言ってるよ。おい。
「まだみたいです〜!!」
高橋が手を挙げて答える。
なんでこう、あんたらって元気なのかねぇ…。
見ててこっちが微笑ましくなりますよ。
- 166 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時24分50秒
その様子を見ていると、松浦が小さくあたしの服の袖を引っ張った。
「せんぱい、せんぱい」
「ん?」
松浦は小さな声で、あたしの耳と自分の口を隠しながら、
俗に言う『ヒソヒソ話』で囁いた。
「あのー」
「何さ?」
「あのー、先輩とぉ、加護ちゃんってぇ…」
「うん?」
「…付き合ってるんですかぁ?」
ポカッ。
「あうぅぅぅ…痛いですぅ」
あたしから、思いっきりグーでげんこつくらった松浦は、
その後に頭を押さえてしゃがみ込んだ。
- 167 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時25分47秒
あたしは松浦の胸ぐらを掴みあげると、
半分本気、半分冗談で松浦に食って掛かった。
「アホか、お前はッ!」
「だってぇ〜。なんかぁ、超仲良いみたいだったしぃ」
「おさななじみだよっ」
「おさななじみぃ〜??そうは見えなかったけどォ」
「お前と一緒にするなっつーの!!レズッコあやや!!」
「あ〜ん、違いますぅ。あややはレズじゃないデスぅ〜」
「おッ?後藤先輩とあやや先輩、バトルッスかぁ?
やっちゃえやっちゃえー♪」
「真希ちゃん、恥ずかしいから止めてよォ」
いつの間に来たのか、あたしたちの横に、小川と亜依がいた。
その向こうには、クスクスとあたしたちの様子を眺めている
藤本さんたちもいる。
「な、なんだよ…見てるなよ」
あたしは急に恥ずかしくなって、松浦を離した。
- 168 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時26分32秒
「ホラ、バカやってないで入るよ」
いつの間にか、藤本さんもこっちに来ていた。
それに促されて、その場の収集は一応ついた。
ま、冗談だったんだけどね。
みんなが入り口に向かったので、あたしも同じように向かおうとした。
「んあッ…!?」
ところが、不意に腕を誰かに引っ張られた。
ぐいっと引っ張られたせいで、思わず奇声を発してしまった。
見ると、亜依があたしの腕を引っ張って、不機嫌そうな顔をしている。
「な、なんだよ?」
「…バカ…」
「ハァ!?」
「バカぁ〜!!!!」
あたしが驚くと、亜依は腕を放して走って行ってしまった。
なんなんだよ!?お前はぁ〜〜!!!
- 169 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時27分18秒
なんだか機嫌の悪い亜依はひとまず置いといて。
それよりも、それよりも!!!
あの、あの、あの、保田圭がッ…!!!
目の前にいるんだもの!!!!!!!
やっべーすっげーかっけー!!!
顔はそんなに綺麗じゃないけど…。
とにかく、天才オーラがバリバリ出ている。
遡ること、30分程前。
着替えを終え、ウォーミングアップを済ませたあたしたち。
今日は合同練習ってコトで、近隣チームのコたちも来ている。
テキトーに自己紹介を終え、練習を開始した。
そこに、二人の女性が入ってきた。
一人は、長身でロングヘアーの美人なお姉さん。
そしてもう一人は、言わずとしれた保田圭。
二人は、用意されたパイプ椅子に腰かけると、
しばらく練習の様子をじっと見ていた。
キャ〜〜と叫びたい気持ちを抑えて、あたしはいいとこ見せようと、
必死になって踊った。
- 170 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時27分52秒
「ハイ、練習中断して」
保田圭じゃない方の、長身の女性が手を叩いた。
リーダーの藤本さんが、ラジカセを止めると、
すぐに「集合」という声をかけた。
すると、すぐに全員が二人の傍に集まる。
「よろしくお願いします」
「お願いします!!」
藤本さんの号令で、全員が頭を下げた。
あたしも少し遅れて同じようにしたが、今日初参加の亜依も遅れていたのをあたしは見た。
「ハイ、よろしく」
長身の女性が答える。
「えっと、今日から新メンバーが入るんだったよね?藤本」
「あ。ハイ!後藤さんと加護さんです」
藤本さんが、あたしたちの方を見ると、小さく手招きした。
あたしはビックリして、亜依の方を見たが、
亜依も同じようにしてあたしを見ていた。
うわー…マジかよ…。
- 171 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時29分17秒
「後藤さんに加護さんね。私は飯田。
あなたたちのサブコーチよ、よろしく」
「あ、よろしくお願いします」
「お願いします…」
飯田サブコーチが手を差し伸べたので、
あたしは戸惑いながらそれを握った。
同じようにして、亜依も握手を交わした。
「圭ちゃん、コーチでしょ。挨拶して」
飯田サブコーチは、隣に座る保田コーチにタメ口で言った。
何?この二人、どーいう関係よ…?
保田コーチは、静かに頷くと、立ち上がった。
「話は聞いてるわよ。後藤さん」
「あ、こ、光栄です!!」
うわーうわー!!あたし、保田圭と話しちゃってるよ!!
高鳴る胸の鼓動。頬は紅潮して、声は裏返ってる。
感動感動。
- 172 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時29分50秒
「だけど、あなたがいかに有名なダンサーだったとしても、
私は甘やかしはしないわよ?オーライ?」
「え?あ、は、ハイ」
…な、なんかちょっとイメージと違う?
い、いや。勘違い勘違い…。うん。
「OK。それから、加護さん」
「え!?ハッ、ハイッ!」
あーあー…亜依のやつ、突然話しかけられてビビってるよ。
声、裏返ってるって。
「あなた、初心者なんですってね。
人の10倍練習なさい。初心者でも足引っ張ったら容赦ないわよ」
「は、はい…」
うわー…キツい。
正直、ちょっとガッカリ。つーかムカつく。
そんな言い方ないんじゃない?有名人だからってさ。
ちょっとだけ、あたし的に好感度ダウン。
- 173 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時30分23秒
「それじゃ、練習始めるわよ」
飯田サブコーチが、再び手を叩いた。
あたしたちはそれぞれに散らばって、指示を待つ。
「えー…。それじゃ、今日は個々のダンスセンスを見ます。
同じ曲の同じ振り付けを今から練習して、
一人一人その様子をチェックするから…。OK?」
「ハイ!」
「よし。じゃあ、圭ちゃん。振りよろしく」
「OK」
保田コーチは立ち上がると、上着を脱いだ。
保田圭のダンスは、やっぱ凄かった。
迫力っつーか。なんかこう、命が篭ってる。
そして、さっきまでは無表情っつーか膨れっ面してたのに、
踊り始めると別人のようなイイ顔している。
凄いね。
さすが、天才って言われるだけあるわ。
それからしばらくその振りを練習して、一人一人テストになった。
- 174 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時31分08秒
「じゃあ、テスト始めまーす。
藤本からやるから、名前呼んだら元気よく返事して出てきてね」
飯田サブコーチが、ノートを見ながら言った。
「ハイ!!」
藤本さん、高橋、松浦、ミカ・トッドさん、
それから小川と中学生全員が踊り終わって、
とうとう次は亜依の番だ。
アイツ、大丈夫かなぁ〜…。
まだ、ターンもロクにできないってのに…。
あーあー、あんな顔しちゃって。
もー!こっち見なくていいから。キリっとして、キリっと!!
まったく、こっちが冷や冷やするって…。
「じゃあ、加護さん。始めるわよ」
「は、はい」
- 175 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時31分47秒
亜依のダンスは悲惨だった。
初心者、しかもほとんど練習もしてないんじゃ仕方ないか。
多分、この中で一番レベルが低いとは思うけど…。
だけど、頑張ったとは思うのね。
だから、あんま怒らないでやって欲しいと思った矢先。
保田コーチが、咎めた。
「加護さん。あなたね。
そんなにオドオドしてたら、ダンスにならないのよ。
ターンも、ステップも、全然ダメ。お話になりません。
それから、もう少し痩せなさい。プロポーションが悪いと、カッコよく見えないわよ」
「す、すいません…」
そんな言い方はないだろう、と思ったけど、
さすがにそんなコト言う気はなかった。
辛いだろうけど、亜依…がんばって…。
- 176 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月05日(火)00時32分27秒
だけど、保田コーチは別にけなすばかりでもなかった。
「でも、あなた案外いいモノもってると思うわよ。
磨けば光るタイプね。もっと練習なさい。
この私をビビらせるくらいね。いい?」
「は、はい!!」
褒められた亜依は、少しだけ表情を輝かせると
自分の居た場所に戻って、体育座りになった。
後数人、初めて会った人たちがテストを受け、
一番最後があたしだった。
「じゃあ、最後。後藤さん」
「ハイ」
飯田サブコーチに呼ばれ、あたしが前に出た。
大丈夫、きっと大丈夫。
あたしは大きく深呼吸をした。
見てろよー。
- 177 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月05日(火)00時43分50秒
(●´ー`●)<なっちレスだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>151さん。
よっすぃーには梨華ちゃんがいるべさ。え?違う?
学校には間に合ったべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>152さん。
お待たせして申し訳ないべさ〜。
(●´ー`●)ノ□<>>153さん。
萌え萌えOKだべ。ところが最近、萌え萌えシーンがない罠。
(●´ー`●)ノ□<>>154さん。
この物語は、ごまかごより、むしろごっちんの日常話だべ?
川о・-・)ノ<安倍、間違ってるぞ。
≡≡(●`ー´) ≡≡川о・-・)<次回をお楽しみに。
- 178 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月05日(火)08時42分13秒
- 更新キテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
色々な登場人物が出てきて萌える
レズッ娘あやや萌え
- 179 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月06日(水)02時02分33秒
- 今回はやや萌え〜。
てゆーか、あいぼん!
お前いったい何ビアンなんだよ!あややモナー
P.S.メロソの名前をずらしてあるのは何か意図が?
そもそも柴ちゃん以外に中学生やらすのはイメク(ry
( ´ Д `)<んぁ〜、ずれてるよぉ〜。
@ノハ@
( ‘ д‘)<ずれとらんゆーとるやろがっ!
- 180 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年11月06日(水)02時21分08秒
どもー作者ッス。本レスはなっちにおまかせ(w
ということで近状報告などを。更新はお待ちを〜。
「IWGP」見るので(w
>>178
あややはレズ…ですかねぇ(w
>>179
えーっと、意図的です。名前だけ使いたかったんで。。。
抵抗はあったけど、キッズの名前知らないんでハロプロからもってきちゃいました。
あ…でも柴田は使いどころあったかも・・・。ま、いっか。
- 181 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月07日(木)01時41分11秒
テストが終わった。
あたしなりに、二年間のブランクを超えて頑張ったと思うのだが…。
「さすがね、後藤さん」
「…ありがとーございます」
あたしが踊った後、飯田サブコーチは拍手をくれた。
けれど、保田コーチは椅子に黙って座ったまま、
無言だった。
「じゃあ、座って」
「はい」
飯田サブコーチに促され、先ほどの場所に座るあたし。
「ハイ。それじゃ、今日の練習は終わりでーす」
あたしが席につくなり、飯田サブコーチは終わりの合図を告げた。
え?もう終わり??
とあたしだけが思ったのか、他のみんなは、
「ありがとうございました!!」と礼をしている。
あたしもつられて、すぐに礼をした。
- 182 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月07日(木)01時41分49秒
なーんか、腑に落ちない。
保田圭のコーチって聞いてたから、期待してたのに。
つまんないのー。ぷー。
…ということで、初練習は終わった。
練習が終わると、他のダンスチームのコが声をかけて来た。
合同練習で初めて会ったコたちだ。
「後藤先輩!先輩の噂、よく聞いてました!」
「先輩に憧れて、ダンス始めました!」
「先輩のダンス、素敵でした!!」
…と、周りを囲まれて終いには握手まで求められちゃったよ。
なんか、微妙に複雑な感じ。アハハ…。
さすがのあたしも、苦笑いするしかなく。
- 183 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月07日(木)01時42分25秒
中でも、紺野ちゃんというコがいきなり泣き出してしまうくらいに
感動したらしくて、ビックリした。
「私、後藤先輩の大ファンなんですぅ…」
とか言いながら、顔をシワクチャにしていた。
そ、そんなに凄いもんなの?あたしって。
なんだか、自分が偉くなったような気がした。
ただ気になったのは、遠くからあたしを見つめる亜依の姿。
…?なんなんだろう。さっきからアイツは。
やけに寂しそうな顔してるなぁ…とは思ったけれど、
結局帰るまで話ができなかった。
電車に揺られて帰路に着くあたしたち。
駅のホームに降りたら、あたしと亜依の二人っきりだ。
と・こ・ろ・がー。
- 184 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月07日(木)01時42分56秒
「………」
「ちょっと。何でいきなりキレてんのさ」
「………」
「こら。ねぇ?」
「………」
「おーい?亜依さーん」
なんでキレてんの、あんた。ねぇ。
電車を降りてから、ずーっとこんな調子だ。
いったい何なんだ?あたしには全くもって心当たりがないのだけど。
「………」
「………」
「………」
- 185 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月07日(木)01時43分27秒
沈黙が続いたところで、とうとう逆ギレ。
「このガキ!!黙ってちゃわかんないでしょ!?」
亜依の前に立ちはだかって、その歩みを止めた。
だけど亜依は、泣きそうな目でこっちを見ると、
思いっきりあたしに向かって、カバンを叩きつけた。
パコーン。
「バカ真希!!」
「ぐはっ…!?」
い、いってぇぇ〜〜!!
「あああ〜〜〜〜ん…真希のバカぁ〜〜〜〜〜!!!」
叩きつけられたあたしが痛がってる間に、亜依は走って行ってしまった。
しかも、人の名前を叫びながら。
な、なんなんだよォ〜!!?
- 186 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月07日(木)01時45分05秒
走り去った亜依を、あたしは必死で追いかけた。
だいぶ先に行ってしまったので、もう追いつけないと思った。
…けどあっさり追いついた。
亜依のぽっちゃりした二の腕をガッシリと掴む。
ぷにぷにした感触が気持ち良いけれど、今はそんな場合じゃない。
見ると、亜依は泣きそうになっていた。
「追ってくるなバカァ!!」
「バカじゃわからんだろ!?ガキ!!!」
「ガキじゃないもん!!バカ真希!!」
「なんなんだよ!?」
「バカ!!バカバカバカバカバカ〜〜!!!」
「だから、何がだよ!?」
「わかんないんだったらいいもん!!
私もう、ダンス辞める!!」
「ハァ!?」
「もう嫌いだもん!!みんなみんな、嫌いだもん!!!」
「な…」
あたしの目に映ったのは、一筋の涙。
黒目がちな亜依の目から流れた涙だった。
その一瞬の隙をついて、亜依は再び逃げた。
けれど、あたしはもう追わなかった。
- 187 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月07日(木)01時50分02秒
- (●´ー`●)<今日はこんこんは休みだべ。…なっち以外は(チョイ役含む)みんな出演してるべさ…。
…なっちの登場は…いつだべ?
こんこん帰ってキタ━━━━━川о・-・)ノ━━━━━!!!!
川о・-・)ノ<チョイ役ですが、完璧です!
(●´ー`●)<今度はなっち主演で書いて欲しいべさ…。
- 188 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月07日(木)01時53分15秒
- (●´ー`●)ノ□<なっちレス開催だべ。
(●´ー`●)ノ□<>>178さん。
あややはレズッコだべ。
なっちも身の危険を感じるべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>179さん。
作者レス参照だべさ。
あいぼんは…ごっちんスキーだべ。
川о・-・)ノ<次回をお楽しみに。
- 189 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月07日(木)06時21分48秒
- まさか、佳境に入ってたりしないでしょうね?
あいぼむに毛髪、じゃなかった、笑顔が戻った時、
この物語が終焉を迎えてしまいそうなヨカーン!
もっと萌えたひよ〜。
- 190 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月07日(木)08時42分53秒
- ごまかごケンカしちゃったよ!!!
どうするごっちん
つーか、
>亜依のぽっちゃりした二の腕をガッシリと掴む。
>ぷにぷにした感触が気持ち良いけれど、今はそんな場合じゃない。
この文章に萌えた俺は逝ってよしか?
- 191 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月07日(木)12時36分29秒
- ごまかごメインっぽくなってきましたね
今後にキターイ
- 192 名前:93 投稿日:2002年11月07日(木)17時07分56秒
- こんこんがチョイ役で出ましたか。
どうなるんだろう?このまま仲直りしてエンド?
もーちょっと読みたいなぁ・・・。
- 193 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)00時55分15秒
「あっちゃぁ〜。それは嫉妬だねぇ」
公園のベンチに腰掛けた梨華は、甲高い声で言った。
「嫉妬ォ?」
予想外の答えに、あたしは戸惑った。
嫉妬って…。
怪訝そうに顔をしかめるあたしに、梨華はプリプリした顔をして言う。
「そうだよー。お姉ちゃんを取られて、寂しかったんだよ。
焼きもちだよ、焼きもち!」
「そうかなぁ…」
「そうだよォ」
この深刻な事態に、笑顔でのん気に答える梨華。
ひとみやマリちゃんに相談しても無駄っぽかったので、
梨華に相談してみたのだけど…。
どうしたもんかねー…。
嫉妬なんか、今更アイツがするもんかねぇ。
もう十年も一緒にいるのに。
だけど、こんな風にキレられたのは初めてだよ。
意味わかんねーよ、もう〜〜〜。
- 194 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)00時57分54秒
「あのね。多分…真希ちゃんみたいに、
人気者でボンクラでガサツで男女で鈍感でぇ…」
「梨華…。何が言いたいの?」
ギロリ、と梨華を睨み付けた。
ところが、別に効果はなし。
「とにかく!亜依ちゃんは繊細なんだから、
気持ちに気づいてあげなきゃ駄目だよ〜」
「ハァ〜?」
あたしはワケがわからず、思わず聞き返した。
「繊細?どこが…?」
「ほらぁー。そーゆートコが鈍感なんだってば」
「ハァ〜〜???」
何言ってるの?このコ。
- 195 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)00時59分34秒
「真希ちゃんはわからないかも知れないケドォ…」
「何それ。あたしが繊細じゃないみたいじゃん!?」
「だってそうだもん。ひとみちゃんと同じくらい」
梨華はそう言うと、不意に真剣な顔でため息をついた。
その横顔がどこか暗く見えるのは、何でだろうか?
「わかんないと思うから言うけど…。
亜依ちゃんはね、真希ちゃんが他のコと仲良くするのが嫌なんだと思うの」
「…何それ…」
梨華は、両手を折り合わせるとあたしに食って掛かった。
「そうよ!絶対そう!!も〜〜!!なんで真希ちゃん気づかないのォ!?
鈍感!グズ!男女!!ひとみちゃんと同等!!」
ムカ。
ポカッ。
とりあえず、殴っておいた。
- 196 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)01時01分52秒
確かにあたしは、人の気持ちとかには鈍感かもしんない。
亜依が、焼きもち焼くとか思わなかったしさ〜…。
っていうか、変だよ。
何でアイツがあたしに焼きもち焼くのさ。
・・・・・・。
一息ついて、あたしは梨華に質問した。
「ねー…。梨華は、ひとみが他のコと仲良くしてたら…。
やっぱり焼きもち焼くの?」
「え!?」
梨華が驚いた顔で、あたしを見た。
どうやら、予測できない質問をされて、戸惑ったらしい。
「な、なんでひとみちゃんの、コト聞くの!?」
あーあー。声裏返っちゃってるよ…。
「あ、あ…。あのね。別に、好きとかぁ…付き合いたいとかじゃなくって…。
ちっちゃい頃から、ひとみちゃん見てきたから…」
照れながら嬉しそうな顔を向けて、話す梨華。
…ああ、なるほどね。
このコが男のコと付き合わないのが少しわかったかも知れない。
このコには、ひとみ以上の人はいないんだ。
「って、なんでわかったのォ!?」
「…わかんないと思ったの…」
- 197 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)01時02分55秒
でも、そう考えるとちょっと変かも。
ということは、亜依は───。
「ねー梨華…?」
「ん??」
「亜依って、あたしが好きなのかなぁ」
ズルズルッ。
梨華がベンチから滑り落ちた。
そして起き上がると、顔を思いっきり近づけて言った。
「違うよ!!も〜〜。何でわかんないのさぁ〜〜」
「な、な、なんでって…」
「例えばよ?亜依ちゃんに先輩ができました。
真希ちゃんの前で、イチャイチャしています。
真希ちゃんはどー思いますか!?」
「え…?ちょ、ちょっとムカつく…かも?」
あたしが引きながら答えると、梨華はまたため息をついた。
- 198 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)01時05分28秒
「わかってるんじゃない!!!」
「ハ?」
「真希ちゃんにとって、亜依ちゃんは妹なんじゃないの!?
亜依ちゃんが離れてったら、嫌なんじゃないの!?
だから、そのくらい気づいてあげなきゃいけないんじゃない!??」
「梨、梨華…落ち着いて…」
ベンチギリギリまで追い詰められ、梨華はあたしに迫った。
何でこんな怒ってるのよコイツはぁ〜!!
「あぁぁ〜〜ん!!バカぁ〜!!
早く亜依ちゃんに謝れぇぇ〜〜〜!!!」
「あ、ちょっと梨華!?」
止める間もなく、梨華は叫びながら走って行ってしまった。
その背中は、夜の闇に溶け込んで消えていった。
な、なんなんだよ一体!?
- 199 名前:I WISH@ごっつあむ 投稿日:2002年11月08日(金)01時06分37秒
結局その日、亜依には会えなかった。
電話は圏外だし、家にも帰ってない。
どうやらののの家に行ってるみたいだし、放っておいた。
心配するコトなんか、ないさ。
どうせ、明日にでもなれば、また元通りだよ。
あの交差点であたしを待ってて、「おはよー」って言うさ。
そう。明日になれば。
明日に、なれば……。
- 200 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)01時07分08秒
「え?もう出た?」
「う〜ん。今日は終業式やからって、早ぅ出かけたで。
真希ちゃんも、そんなにダラダラしてええの?」
「あ、そうすか…」
未だに関西弁バリバリの亜依のママ。
仕事が遅かったのか、まだ寝巻きのままで、
玄関にあたしを出迎えた。
ところが、あのバカ娘はさっさと学校に行っちまったそうだ。
あたしはムカムカする気持ちを抑えながら、
一人で駅へと向かった。
一人で学校に登校するのは、いつぶりだろうか。
あ〜…なんか、調子狂う〜。
退屈な終業式が終わって、今日は南中での練習。
藤本さんや高橋たちと一緒に、学校帰りにソッコーで行った。
だけど、そこにアイツの姿はなかった。
- 201 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月08日(金)01時09分06秒
「小川」
「あ、先輩。チーッス」
「亜依は?」
「あいぼんッスかぁ?なんか、今日は気分悪いって帰りましたよ」
「…あ、そう…」
ストレッチしながら答える小川に、あたしはテキトーに相槌を打った。
小川はキョトンとしていたけれど、あたしはそこを離れると、
今度は藤本さんのそばへ行った。
「あのー藤本さん」
「ハイ?どうしたの、後藤さん」
「あたし、今日ちょっと用事できた」
「え?」
「じゃ、また明日」
「え?え?あ、後藤さ〜ん!!?」
- 202 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月08日(金)01時12分34秒
- (●´ー`●)ノ<なっちレスだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>189さん。
まだまだだべさ。まだ序の口だべ?
(●´ー`●)ノ□<>>190さん。
逝ってよしだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>191さん。
まだまだこれからだべ。期待よろしくだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>192さん。
なっちも出たいべさ。まだまだ終わらないべさ。
川о・-・)ノ<次回をお楽しみに。
- 203 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月08日(金)03時18分09秒
- 勝手にプリプリしてる梨華っち萌え〜。
それにしても、今回もあいぼむ不発!
ほんとにごっちんの日常物語やのぅ(w
でもまだまだ終わらないそーなので一安心です。
- 204 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月08日(金)08時53分20秒
- なるほど・・。ほんのり「いしよし」って事だネ。
次回、嵐のヨカーン??
期待してるよ。
- 205 名前:93 投稿日:2002年11月08日(金)11時32分00秒
- >>204
加護しく同意
次回に、あいぼんタイフーンが吹き荒れるのを期待
- 206 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月08日(金)22時53分10秒
- この話って、作者さんの実体験か何かですかね?
ビミョーにリアルっぽいのだが・・・・。
マターリで好きッス。
- 207 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月09日(土)18時13分15秒
- 更新来てないと思ったら、週末だった・・・。
更新待ってます。
- 208 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月10日(日)03時02分01秒
- 続きが早く読みたいYO!
ごっつぁむたん〜〜〜。
- 209 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月11日(月)01時22分55秒
- 更新待ってるで。
- 210 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時46分25秒
はい〜〜。います〜。
例によって、週末更新なくてごめんなさいです。
- 211 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時47分29秒
ドンドンドン!!!
乱暴にドアを叩く音が響く。
くそー。オバちゃんめ。
ガキの部屋に、鍵なんかつけなくってもいいでしょうがー!!
鍵がかかってるってコトは、いるのは間違いない。
「亜依!!開けろってんだろ!?」
ドンドンドン!!!
「亜依!!」
ドンドンドン!!!
「ハゲ!!クソガキ!!開けろってば、この!!」
ガン!!
今度はケリを入れる。
ケリを入れたらドアを叩いて、そんでまたケリを入れた。
「も〜〜!!お願いだから、開けてってば!」
それでも、返事はなかった。
- 212 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時49分16秒
- 随分もう、ドアを叩いた。
ついでに、ケリも入れた。
さすがにあたしも疲れてしまい、ドアに背をもたれて座り込んでいる。
汗がビッショリだし、息もあがってる。
「ハァ〜…あのねぇ。亜依ちゃん」
ドア越しで、亜依に話かける。
返事はやはりないけど、それでもあたしはドアに向かって話しかけた。
「ねぇー?なんでそんなに怒ってるのさぁ?」
・・・・・・。
「ちょっと他のコと仲良くしただけでしょ〜?」
・・・・・・。
「そんなに怒ることなの、それ?」
・・・・・・。
「亜依ちゃ〜ん?」
・・・・・・。
「あーあー。そういう態度なら、もういいですよーだ」
・・・・・・。
「もう帰るから。ゴメンね」
・・・・・・。
「バイバイ」
あたしは静かに立ち上がり、そこから動こうとした。
ところがドアは開き、中から亜依が出て来た。
泣いていたのか、目は真っ赤だ。
「…何?」
「…ダメ〜!!帰っちゃヤダぁ!!」
「どっちじゃい!!」
あたしは、とりあえず亜依の頭をポカッと殴ってやった。
- 213 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時49分58秒
「もー。何があったのさ、そんなに怒っちゃってさぁ」
「………」
部屋に入ったあたしと亜依は、ソファに並んで座った。
けれど、亜依は膨れっ面でそっぽ向いて、
あたしの質問にも答える気はないらしい。
「じゃ、あたし帰るけど」
あたしが諦めて帰ろうとすると、
「帰っちゃダメ!!」と、それを止めた。
だから、どっちだっつーの!!
「何がそんなに気に食わないのさぁ?」
「真希ちゃんには、関係ないもん」
「あーそーですか。じゃあ、あたし帰…」
あたしは言いかけながら、立ち上がろうとする。
けれど、ズボンの裾を亜依が引っ張った。
「帰っちゃダメ」
ハァァァァ〜…?
- 214 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時50分37秒
「あのねぇー。どっちかにしてくれる?
あたしと話すのか、一人でふてくされるのか」
あたしは立ったままで、亜依に聞くが、
亜依は少しだけ沈黙した後、ポツリと言った。
「…ふてくされながら話す…」
「却下」
「………」
あ、また黙った。
「もー…何がそんなに嫌だったのさ?」
「…………だって…………」
小さな声で、亜依が呟く。
その声には、泣き声がちょっと混じっていた。
顔も半泣きだったけれど。
あたしは、深くため息をついて、
亜依の横に座り込んだ。
「だって、やだったんだもん」
顔をプイ、と横に向けて亜依は言う。
やはり、声には泣き声が混じっていた。
「なにが?」
「…へらへらしてるバカ真希が…」
「ハァ!?」
「…だって…ムカついたんだもん」
「何がだよ!?」
「…真希ちゃんが…。他のコとばっか仲良くするから…」
「………………」
- 215 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時52分10秒
その言葉を聞いて、あたしはハッキリ言って戸惑った。
戸惑ったせいで、言葉を失ってしまった。
ヤバ。コイツ、めっちゃ可愛いぞ。
ううん、可愛いっていうのはそういう意味じゃなくて…。
「愛情」。そう、「愛情」だ。
その時に気づいたよ。
ああ、あたしはこのコが可愛くて仕方ないんだって。
梨華がひとみを想う気持ちとは多分違うけど。
亜依があたしを想う気持ちと、
あたしが亜依を想う気持ちは一緒なんだ。
「たいせつ」なんだ…。
ああ、そうなんだ。
だから、亜依はあたしに「やきもち」焼いたんだ。
ああ、そうなんだ…。
なんだよ。そんくらい、すぐに解るコトだったんだ。
- 216 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時53分18秒
その時、不意に思い出したのだけれど…。
あれはいつだったか。
いつになく、ひとみが真剣な顔をしてこんなコト言ってた。
「人生ってさ、素晴らしいんだよ。
誰かと巡り合って、その中で大切な人を見つけるんだ。
でも、案外それって気づくと側にいるのかも知れないね」
ひとみは照れ笑いをしたし、あたしも吹き出したけれど、
その意味が、少し解った気がする。
ひとみにとっては、"アイツ゛が大切な存在ってコトかも知れない。
それとも、守りたい別の存在がいるのかも知れない。
だけど、きっとひとみは見つけてるんだろうな。
一番大切な人。
それは、ひとみに聞いてみなきゃわからないけどねぇ。
じゃあ、あたしは───。
- 217 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時55分03秒
「…真希ちゃん…?」
キョトン、とした顔で亜依があたしを見つめている。
「んあ?」
突然我に返ったあたしは、ビックリして変な声をあげてしまった。
「どしたの?ボーッとして…。亜依、ヘンなコト言った?」
「…ううん。なんでもない」
あたしは、少しだけ優しく微笑んで見せると、
亜依の頭を撫でた。
「な、何だよぅ〜〜」
「いいじゃん。好きでしょ、頭なでられるの」
亜依は少しだけ顔を赤らめながら、その手を払おうとしたのだろうけど、
次第にあたしの手を包み込むように握った。
「…どしたの?突然…」
「…いいじゃん。たまにはさぁ。優しくしてやっても」
あたしは照れ隠しにそっぽを向きながら、曖昧に答えた。
- 218 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月11日(月)01時56分27秒
「アハハ、ヘンなの〜」
亜依は笑った。
極上の笑顔で。
この笑顔に、安心させられる。
「うん。やっぱ亜依は笑顔が似合うわ」
「ホント?」
「うん」
あたしが頷くと、亜依はさらにその笑顔を輝かせ、
そして、あたしの肩にぴったり寄り添った。
体温が伝わってくる。
…それは、夏の暑さのせいじゃなくて…。
人間の、あたたかさ。
「へへ〜…亜依のスキな言葉教えてあげよか??」
「なに?」
「“笑顔を大切に”だよ♪」
「へぇ〜。いい言葉だね」
「うん♪」
何時の間にか、ケンカしてたハズの二人は、
もっともっと仲良くなっていたのだった。
- 219 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月11日(月)02時02分26秒
- (●´ー`●)ノ<なっちレスだべさ。今回はごまかご展開だったべ?
(●´ー`●)ノ□<>>203さん。
期待には答えられたべか?
(●´ー`●)ノ□<>>204さん。
いしよしと言えばそうかもしれないべ。
(●´ー`●)ノ□<>>205さ…
@ノハ@
(‘д‘)<禿げちゃうで!!!!
(●´ー`●)ノ□<>>206さん。
実体験…とまではいかないけど、作者もそれらしき日常送ってたべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>207-209さん。
申し訳ないべさ。更新したべさ。
川о・-・)ノ<次回をお楽しみに。
- 220 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月11日(月)02時07分28秒
- 萌え死に確定。
アンタ、本当に男子高校生ですか?
しかし深夜まで働いてた甲斐がありますた。
やっぱ「I wish」って名曲だよね。
タイトルから言ってなっちの出る幕はないわな。
P.S.若干「いしよし」も気になる今日この頃。
- 221 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月11日(月)03時13分18秒
- ごまかごキタ━━━━━( ´ Д `)人(‘д‘ )━━━━━!!!!
ついでにI WISHネタも
キタ━━━━━( ´ Д `)人(‘д‘ )━━━━━!!!!
萌え萌えッスよ。マジで。
- 222 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)18時36分37秒
- ドキドキするような展開が素敵だよ
- 223 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時03分20秒
次の日から夏休みというコトで、うちには不法侵入者が続出していた。
バレー部のヤンキーエースに、ヤンキーに憧れるお嬢様、
陽気で小柄なギャル娘に、のんびり屋の大ぐらい。
部屋の主がいないあたしの部屋で、4人でキャーキャー言っていた。
「…何してんのさ」
「あ〜。マキに亜依、お帰りィ」
「今ね、アルバム見てたの。昔の」
見ると、4人の丁度中央に、あたしの赤いアルバムが開かれていた。
何してんのさ、コイツら…。人のアルバム勝手に見やがって。
「おー?手なんか繋いじゃって、らぶらぶだねぇ」
「らぶ・らぶ!」
指摘されて、あたしと亜依は顔を見合わせた。
でも、お互いにニコニコしながら
「ラブラブだもんね〜」と言ってみせた。
冷やかした当人たちは、ポカーンとしてたけどね。
- 224 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時04分53秒
結局、その夜はみんなで雑魚寝。
五人並んで、二枚の布団にぎゅうぎゅう詰めになって寝ている。
あたしは、深夜に目が覚めてしまった。
まだ、外は暗い。
けれど、一回起きてしまった後は、なかなか寝付けなかった。
……プッ。
周りを見回して、笑った。
寝姿って、個性があらわれるもんよね。
両手の指を折り合わせて、胸のところに置いて眠る梨華。
大の字になって腹出しながら眠るマリちゃん。
ハムスターみたいに丸まって眠るのの。
タオルケットに包まっている亜依。
アハハ。寝てれば静かなのにね、コイツら。
ん?アレ?そういえば、一人いない…。
- 225 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時05分23秒
あたしはケータイを取り出すと、ひとみにコールした。
「帰ったの?」
小声であたしがささやくと、電話の向こうから
『いや〜。眠れないからコンビニにいる』という答えが返ってきた。
「そう。じゃ、あたしも行くから待っててよ」
『はいよ』
電話を切ると、あたしはTシャツにジャージのまま、財布を持って部屋を出た。
夏の夜の空気って好き。
特に、暑くもなく涼しくもない夜。
なんかこう、感傷的な気分に浸れる気がする。
…あー。今日は満月かぁ。
きれいだなぁ…。
そんなコトを思いながら、あたしはひとみの待つコンビニに向かった。
- 226 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時07分02秒
雑誌売り場の前にヤンキー座りで陣取ってる女がいた。
しかも、雑誌を床に何冊も置いているのでタチが悪い。
「いらっしゃいませー」という店員さんの言葉を無視して、
あたしはその隣に座った。…ヤンキー座りで。
「やっほ」
「ハァイ」
「…何時からいんのよ。アンタ」
「ん〜?わかんね。20分くらい前」
「あっそう…」
ひとみは雑誌を閉じると、元にあったらしき場所に戻し始めた。
そして全部戻すと、立ち上がって言った。
「じゃ。帰りますか」
「は?」
「え?迎えに来たんでしょ?」
「………アホか」
- 227 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時08分07秒
結局、ウーロン茶とアイスを買ってコンビニを出た。
店員さんはすごく迷惑そうな顔してたけど。
その途中で、小さな公園に立ち寄った。
ちょっと話がしたかったから、「公園行かない?」とひとみを誘ったのだ。
昨日、梨華と話した公園だ。
「んでーー?」
ベンチに並んで座り、ひとみがアイスを頬張りながら聞く。
あたしは、一口ペットボトルのウーロン茶を飲み込むと、
俯き気味になりながら、ひとみに質問した。
「あのさーねぇ?ひとみ、前に言ったじゃん」
「ハ?」
「なんか、大切な人って案外そばにいるとか」
「あ〜言ったかも」
「…うん。それさぁ、誰?」
単刀直入。
ひとみは顔をしかめたけどね。
- 228 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時08分39秒
「誰って…なんでンなこと聞くワケ?」
「…いや〜。なんとなく」
「ふ〜ん」
ひとみはニヤニヤすると、アイスを何度も何度も頬張った。
その仕草、絶対何か企んでる…。
「アタシにとって、一番大事なのはみんなだよ」
うそくさい笑顔のままで、ひとみは答える。
「嘘。ぜーったい嘘」
「なんでさ?」
「目が笑ってる」
するとひとみは吹き出して、ゲラゲラと笑った。
ったくもー。失礼な奴ですこと。
「アハハハ〜。ジョーダンジョーダン」
「プッ」
「吹き出してんじゃねーよ、アホ」
「アハハハ」
「アハハハハ…」
あたしたちは、夜の公園で笑いあった。
もう何がなんだかわからないくらいおかしくて笑った。
- 229 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時09分20秒
「梨華のコトはさ。守りたいって思ってる。ずっと昔から」
突然真剣な顔して、ひとみはつぶやいた。
まだその顔には、笑顔が残ってる。
「それって…好きってコト?」
「さぁ?」
ひとみはとぼけたようにして、そっぽを向いてみせた。
照れているのか、たまに後頭部をポリポリと掻いている。
「好きっつーか…違うって。アンタってさぁー。物分り悪いよね」
「ハァ?」
何言ってるのよ、コイツは。
あたしより成績悪いくせに。
「もうさ、わかってんでしょ?何もかも」
「…さぁね?」
「とぼけちゃってさ」
「なんのこと?」
「もういいっつーの」
ひとみはプイ、と横を向くと立ち上がった。
その顔の先には、満月が輝いているのが見えた。
「これからも、みんな一緒だよ」
ひとみはそう言うと、あたしを置いて歩き始めたのだった。
- 230 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時10分17秒
一週間後。
合同練習に、波乱が起きた。
「ハ〜イ。みんな練習ストップ」
練習終了時間間際。
手を叩きながら、飯田サブコーチが入ってくる。
ちなみにこの一週間、保田コーチは練習に現れていない。
なんか、色々忙しいらしい。
ま、居てもいなくてもイスに座って黙ってるだけだから別にいいけどさ。
「じゃあ、フォーメーションでの発表をします。
それで大会に出るからね〜」
「ええ!?」
「マジですか!?」
「やっとですか!!」
口々にみんなが喜ぶ。
その中には、私こそがセンターを!と猛威を振るったような表情の人もいた。
あたしは、別に興味がない感じにふい、と横を向いていたけど。
飯田サブコーチが、一人一人に紙を配った。
その紙には、それぞれのポジションが…って…。
「な、なんで〜〜!?」
驚いたのはあたしじゃない。
いや、あたしも驚いたけど。
その驚愕の声を挙げた先にいるのは───。
「真希ちゃん、どうしよう…」
あ、あたしに聞かれても知らんってば!!
- 231 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時10分52秒
ワケがわかんないのよ、このフォーメーション。
全部で前から、2−4−6−8という隊列なんだけど。
後ろの人たちはちょっと省かせてもらうとして(ゴメンね)。
4人が左から、小川、松浦、藤本、高橋。
うん。ここはみんなレベル高いコたちだね?
そして肝心の2トップ。
あたしが選ばれるのは、まあ自信過剰じゃないけど…。
でも、当然だと思うのね。
だけど、その2トップのパートナー。
ダンス経験なし。身長なし。プロポーション×。
なんでこのコが?って思ったよ、あたしも。
身内びいきとかそういうのを引いたとしても。
「ま、真希ちゃぁん…」
泣きそうな顔をしているコイツが、2トップの片割れだった。
「ハイ。文句がある人は、聞きません」
キャーキャー騒ぐみんなを、飯田サブコーチが静めた。
こんなのじゃ、みんな騒ぐってば…。
「このポジションは、圭ちゃんが決めたので、
文句があっても飯田さんはわかりませ〜ん」
なんだそりゃ。
「じゃ、明日からこれで練習しますからねー。解散!」
- 232 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時11分25秒
「どーなってんのォ〜?」
帰り道で、亜依はまた泣きそうになっていた。
そりゃそうだ。臨時部員なのに、2トップでセンターなんてねぇ…。
ダンスの経験もないのに、拷問としか思えない。
「でも、保田圭が認めてくれたんだよ?ね」
「…でもぉ…」
「しょうがないからさ。がんばるしかないんじゃない?
大丈夫、あたしも上手くフォローするからさ、ね?」
「…うん…」
亜依は弱々しく笑ってみせた。
ホントに大丈夫かな〜…?
- 233 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時11分58秒
「違う!加護!!また間違えてる!」
「す、すみません…」
「謝る暇があるならフリを覚えなさい!」
「は、はい」
あーあ…。絞られてる…。
亜依には、次の合同練習から保田コーチの個別特訓が課せられた。
何でそこまで?って気もしたけど、コーチにも考えがあるんだろう。
練習開始から、終わってもみっちりしごかれていた。
たまに泣きそうになってたけど、頑張ってくれてるみたいだった。
あたしには何もできないけど、がんばれ…。
「違うでしょ!?こうでしょ、こう!」
「ハイ!」
「手に力が入ってない!!」
「ハ、ハイ!」
「笑顔が足りない!!」
「ハ、ハイ〜!」
頑張れ、亜依…。
- 234 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時12分30秒
亜依は頑張っていたけれど、そう何もかも上手くはいかなかった。
勝負の世界、というのは弱肉強食。
選ばれた者が勝ち残り、才能のない者は落ちていく。
けれど、やっぱりこの状況を面白くないと思う人もいるみたいで…。
どうにもこうにも、思わしくない表情をしているコたちもいた。
藤本さんや松浦はともかく、後ろに回された中学生のコたちとかがね。
その日、練習が終わってからだった。
亜依の居残り練習が終わって、あたしがシャワーを浴びようとした時だ。
亜依は保田コーチとまだ話があるらしかったので、一人でロッカールームに向かった。
「加護さんさぁ、調子乗ってるよね」
「ねー!臨時部員のくせに、センターなんか張っちゃって」
「後藤先輩と仲良いからって、コネだよ、コネ!」
………???
奥の方から、声が聞こえた。
一人じゃなく、複数だ。
しかも、内容が…。
- 235 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時13分03秒
「里沙ぁ、やってやんなよ」
「ホント。里沙のお父さんお金持ちなんでしょ?
あの保田圭って人に頼んでさぁ」
「ふん。そうね。里沙を怒らせた罪は重いのよ。
後藤も加護も、許さない」
「へぇ?誰を許さないって?」
「!!!!!!」
後ろからひょこっと現れたあたしに、三人はビビッていた。
しかも、三人はしゃがんでて、あたしは立っているので迫力は倍と言ったところだろうか。
確か…新垣さんと、稲葉さんと、柴田さんだったかな。
「ご、ご、ご…」
「…後藤先輩…」
「そういう陰口とかって、フェアじゃないんじゃない?
言いたいコトあるんなら、本人に言えばいいじゃない」
「…す、すみません…」
顔を落としてうつむく三人。
だけど、それが反省の仕草でないのはすぐに解った。
新垣が、笑ってる。
- 236 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時13分50秒
「何笑ってんだよ」
「バッカじゃない」
ム?
「何そんなにムキになってるんですかぁ?
あたしたちぃ、別にただ今日のコト話し合ってただけだしぃ」
ハァ?
「っていうかぁ、何でそんなに先輩が口出しするんですかぁ?
これ、あたしたちダンス部の問題ですしぃ。
加護先輩も後藤先輩も臨時じゃないですかぁ」
……。
「そんなにキレるんならぁ、二人揃って出て行けばいいじゃないですかぁ」
「り、里沙ぁ…」
「や、やめなよ里沙ぁ…」
「二人ともいいコぶらないでよ。
後藤先輩、どうで…ふがっ」
口を閉じられた新垣は、そのまま言葉を無くした。
「ごふっ、アバッ…」
そして手足をじたばたしていたけれど、あたしに引っ張られて、
モガモガ言っている。
「り、りさ…」
「ご、ごとうせんぱい…」
「もがッ、フゴッ、ちょ…!!」
あたしはそのまま新垣を引っ張りだすと、練習場へと向かった。
- 237 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時14分26秒
保田コーチと亜依は、ビックリしてあたしを見ていた。
「真希ちゃん?」
「後藤。どうしたの?」
あたしは黙って新垣を突き飛ばす。
新垣は保田コーチの目前に倒れるように、跳んで行った。
「ちょ、何するんだよ!?里沙のパパ、偉いんだから!!
言いつけたりしたら、許さないんだからぁ!」
「勝手にしろよ」
あたしは新垣を睨みつけると、今度は保田コーチの方に向き直った。
「コーチ。コイツが、ポジションのコトで気に食わないらしいんです。
だから、もしコイツが上手く踊れたらあたしと交代してもらえますか?」
保田コーチは驚いた顔をしたけれど、すぐにニヤリと唇をゆがめた。
「そういうこと…。面白いじゃない」
「ええ」
「ちょ、何勝手に決めてるの!?ふざけな…ごふっ」
再び口を手で塞がれて、新垣は黙った。
いや、黙らせたんだけども。
「いいから早く準備しろ」
「い、いやだもん!!里沙、やらないもん!!」
新垣は首をフルフルと横に振ると、そのまま一目散に逃げ出してしまった。
その背中は、とんでもなく情けなかった。
「逃げるくらいなら、初めからゴタゴタ言うなっつーの…」
つぶやいたあたしの顔を、亜依がキョトンと覗いていた。
- 238 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月12日(火)17時15分01秒
「真希ちゃん、どーしてあんなにしたの?」
「いや。別に?」
「嘘。じゃなきゃ、あんなに怒らないもん」
「………」
「ねぇ。新垣ちゃん、何か言ったの?」
「…違うってば」
「真希ちゃんの悪口言ったら、亜依がぶっ飛ばすからね!!」
「……プッ……」
「???」
「ありがと」
「なぁに?変なの」
ま、いっか。
何ごともなかったコトにしよう。
せっかく頑張ってる亜依をこれ以上、困らせたくもないしね。
ちなみに新垣は次の日の練習にちゃんと来て、
あたしの前で亜依に謝っていた。
…当の本人は、ワケがわからずキョトンとしてたけどね。
とりあえず、もう亜依に文句を言う人間はいなくなったらしい。
藤本さんが言うには、「加護ちゃんのバックを怒らせると怖いという噂」だそうだ。
…そ〜んな恐ろしいコト、してないんだけどなぁ…。
- 239 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月12日(火)17時20分01秒
- (●´ー`●)ノ<ニィニィのヒールはハマり役だべ?なっちレスだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>220さん。
作者の見た目は、とてもこんな小説書いてる感じじゃないべさ。
これ自慢だけど、今までモーヲタに見られたことないべさ(w
「I WISH」は名曲だべ。なっち歌ってないけど。
(●´ー`●)ノ□<>>221さん。
今回もごまかご展開だべ?
(●´ー`●)ノ□<>>222さん。
ありがとうだべ。なっちもドキドキだべさ。
川●´ー`)ノ<ところで、こんこんの出番はいつだべ?
(●´ー`●)<こんこん、何してるべさ…。
川●´ー`)ノ<次回をお楽しみにだべ。
- 240 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月13日(水)03時36分22秒
- なるほどね
過去の出来事とクロスさせてる訳か
しかし、ニイニイ不憫だな(w
- 241 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)16時22分53秒
- ごっちん姉さん、強ッッッ!
いいね〜、姉妹愛
- 242 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月14日(木)04時07分08秒
- なんか、「Angel Hearts」のあいぼんや、
デビュー当時の怒涛の試練のごっちんを思い出すなぁ・・
ヤスは夏先生っぽいな
- 243 名前:93 投稿日:2002年11月14日(木)10時34分52秒
- 更新乙ッス。
ふとした疑問なんですが、自分はダンスの事なんぞ何も分からないんですが・・・。
ごっつぁむさんはダンスやってるんですか?
そういう描写は細かく書かれてないみたいですけど・・・。
- 244 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月14日(木)21時26分47秒
- ごまかご連発で萌え死にしますた。
でもなにげによっすぃ男前だな。
こんこんの動向が気になる…。
- 245 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月16日(土)18時03分55秒
- あ、今日は週末か
ごっつぁむさん続き早く早く〜
- 246 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月17日(日)02時01分22秒
- 飼育投票、ワイルドカードで「I WISH」7位
決勝進出してた
ごっつぁむタン、おめでと
決勝にも投票するよ
- 247 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月17日(日)20時21分06秒
- なんか、妙なリアリティがあるよね。
ハロモニの運動会放送では、ごまかごなくてショボーン
- 248 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時21分13秒
ダンスの練習は着々と進んでいった。
「後藤!!笑顔がない!!」
「加護〜!後藤と動きあわせなさい!」
「藤本、気持ち入ってないんじゃないの!?もっと手からこうやってやりなさい!」
「コラ松浦!!投げキッスなんかするんじゃないの!!」
……ハァ〜。今日も疲れた。
さすがに鬼コーチってか。
ちょっとした間違いも、すぐ指摘される。
「あ、間違えたかな?」って思った瞬間には注意されてるんだもん。
さすがだとは思ったよ。
「今日もお疲れ〜」
「お疲れさまでしたー。また明日ッス」
「お疲れ様でしたぁー」
藤本さん、小川、松浦、高橋たちが電車の出入り口越しに手を振っている。
あたしたちも、駅のホームに降りて手を振った。
「じゃ、また明日」
「またねぇ〜」
- 249 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時21分51秒
「ハァ〜…今日もあっついねぇ」
「暑いよぉ。亜依もう疲れちゃった」
「じゃ、今日は部屋でエアコン効かせて爆睡でもすっか」
「ええ〜?」
あたしが提案すると、亜依は本気に嫌がった。
むむ。それが一番のあたしの休日なんだけど。
「どうせ夏休みなんだから、プール行こうよぉ」
「プールぅ!?やだよ、めんどくさい」
「ええ〜。プール行くぅ。プール!プール!!」
あーあー。ガキみたいにピョンピョン飛び跳ねちゃって。
恥ずかしいから止めてくれっ。
「わかったわかった。じゃあ、一回家帰ろう。ね」
「やったぁ〜」
「小学生か…」
「もしもしのの!?あのね!真希ちゃんがプール連れてってくれるって!」
あーあー。もう勝手にして下さいって。
- 250 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時22分43秒
次の日も合同練習。
ダンスは着々と進んだ。
「ハイ、1、2、3、4…加護が遅い!」
「高橋!!バテてる場合じゃないのよ!もっとキリキリ動く!」
「こら松浦!誰に向かってウインクしてるの!!」
……。
あー。今日も疲れたぁ。
さすがにこう、毎日練習が続くと疲れるもんだわね。
「今日もお疲れ〜」
「お疲れさまでしたー。また明日ッス」
「お疲れ様でしたぁー」
藤本さん、小川、松浦、高橋たちが電車の出入り口越しに手を振っている。
あたしたちも、駅のホームに降りて手を振った。
「じゃ、また明日」
「またねぇ〜」
- 251 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時23分15秒
「こりゃまた、今日もあっついわ〜…」
「暑くて、もうバテバテだよぉ〜」
「じゃ、今日は部屋でエアコン効かせて爆睡でもすっか」
「ええ〜?」
あたしが提案すると、亜依はまた本気に嫌がった。
あたしの休日って…。
「今日はぁ、買い物に行きたい」
「買い物ォ!?だるいよ!?どこまで行く気よ!?」
「原宿〜」
「却下!!絶対嫌!!」
「原宿〜原宿〜〜!!!」
あーあー。ガキみたいにピョンピョン飛び跳ねちゃって。
恥ずかしいから止めてくれっ。
「わかったわかった。じゃあ、一回家帰ろう。ね」
「やったぁ〜」
「小学生か…」
「もしもし梨華ちゃん!?お買い物行こうよ!」
…もー勝手にしてくれって…。
- 252 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時26分40秒
次の日も、ダンスの練習だった。
「だいぶ良くなってきたわよ。さ、力抜かないで!」
「コラ松浦!!誰がセクシーポーズなんかしろって言ったの!」
……。
あー。今日もまた疲れたぁ。
なんか、毎日同じような光景を見てる気もするけど。
「今日もお疲れ〜」
「お疲れさまでしたー。また明日ッス」
「お疲れ様でしたぁー」
藤本さん、小川、松浦、高橋たちが電車の出入り口越しに手を振っている。
あたしたちも、駅のホームに降りて手を振った。
「じゃ、また明日」
「またねぇ〜」
- 253 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時29分31秒
「…………暑い」
「…………暑いよォ」
「じゃ、今日こそ部屋でエアコン効かせて爆睡でもすっか」
「ええ〜?」
あたしが提案すると、亜依はまたまた本気に嫌がった。
あたしの休日は…。
「今日はぁ、ディズニーランドに行きたい」
「バカ言ってんじゃないわよ!!」
「だってぇ〜。今からでも大丈夫だよぉ〜」
「却下!!絶対嫌!!何が何でも嫌だからね!!」
「ディズニ〜〜〜!!!」
あーあー。ガキみたいにピョンピョン飛び跳ねちゃって。
恥ずかしいから止めてくれっ。
「わかったわかった。じゃあ、一回家帰ろう。ね」
「やったぁ〜」
「小学生か…」
「もしもしマリちゃん!?今からディズニーランド行こうよ!
ののたちも誘ってね!ね!!」
…もー勝手にしてくれって…。
- 254 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時31分46秒
「真希ちゃん、マリちゃんがデニーズでご飯食べようって」
「真希ちゃぁ〜ん。おまつり行こうよ!」
「真希ちゃん!!海行こ、海ィ!」
…………。
ってか。
毎日毎日、同じコトの繰り返しのような気がする。
夏休みだからって、そう毎日遊んでる場合じゃないんだっつーのに!!
「亜依さん?宿題とか、やったんですか?え?」
「……やって、ない……」
「宿題終わるまで、外出禁止!!」
「ええ〜〜!!!?」
「わかったらさっさとやんなさい!!」
「ぷぅ〜」
怒りながら部屋から出て行く亜依。
あたしはようやく休日を過ごせるってワケだ。
さぁー、エアコンを強にして思いっきり寝よう…。ぐぅ…。
- 255 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時36分33秒
「んあ…」
寝過ぎた…?
…頭がボケーっとする。
外は、暗い。
「もう夜?ふぁぁ…」
あたしは大きくあくびをすると、手探りしてケータイを握った。
7時か。
ちょっと寝過ぎたかも。
夕飯のしたくしなくっちゃ…。
「…で?何してんの。アンタら」
「あ、おはよう真希ちゃん」
「おっはぁ」
「おはよーござーます」
キッチンのテーブルで、勉強道具を並べたガキ二人。
それに付き合う家庭教師が一人。
あろうことか、あたしんちでやるなっつーの!!
「真希ちゃん起きないからぁ、下でやってたの」
家庭教師という言葉が、ある意味ふさわしい梨華。
テニスの練習で真っ黒になった肌に、白い歯をキラリと光らせた。
…つーか、黒ッ…。
- 256 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時37分16秒
「ひとみは?」
「うん。今日は、夜まで練習だって」
「あっそぅ…」
そーいえば、アイツ、バレー部のエースだもんね。
あんなんでも。
バレーやってる時は、カッコいいんだけどねぇ…。
「んで?宿題は終わったの?」
あたしが聞くと、ガキどもは顔を見合わせて思いっきり横に首を振った。
「まだー」
「ぜんぜんわかんねーのれす」
ああ、もう予想通りの反応だよ君たち。
…っていうのは、梨華のげっそりした表情を見ればわかる。
うう…毎年、こいつらの宿題に付き合わせられて、可哀想に梨華…。
あたしは絶対手伝わないケド。
- 257 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時37分51秒
「真希ちゃんご飯まだぁ〜?」
「ハイハイ。今、仕度しますよ。あーあー」
そう言いながら、あたしは冷蔵庫の中をゴソゴソと漁った。
…何も、ない。
確か、ハムとか入ってたハズ。
冷凍庫にも、冷凍食品とかアイスとか入ってたんだけどなぁ…。
「…アンタら。冷蔵庫空にしてくれちゃったでしょ…」
ギロリ、という視線を三人に向けると、
三人が三人ともあさっての方向を向いて黙り込んだ。
終いには、「知らないよね〜?」とか言っちゃってるし。
ハァ…。
「じゃ、買い物行ってくるわ」
「いってらっしゃ〜い」
「ご飯ご飯♪」
「ゴメンね〜、真希ちゃん」
だぁぁ!!一人くらい着いて来んかい!!
…とも思ったけど、あたしはよろよろと財布を持ちながら家を出た。
ハァ…。主婦みたいね、あたし。
- 258 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時38分49秒
スーパーの中で、意外な人に会った。
…って、この間はマリちゃんにも会ったけど。
まあ、マリちゃんはご近所さんだから会うのは別に変じゃないけどさ。
この人がこんなトコにいるのも、ちょっとビックリだ。
「飯田さん」
「あっ、後藤。コンバンワー」
オバちゃんたちの群れに、その人はいた。
遠くからでも目立つ、ロングヘアーが印象的で長身の美女。
飯田サブコーチだった。
スーパーのカゴをぶらさげて、野菜売り場をブラブラしているところを出くわした。
その手には、大根が握られている。
こうしてみると、新妻っぽい。…ってのはさすがに失礼か。
「後藤、どしたの?主婦みたい」
「え?あ。うち、母子家庭なんで…」
「あ、そ、そうなんだ…」
あたしは別に気にしないけれど、飯田サブコーチは大根を持ったままうつむいた。
「気にしないで下さいって」
「あ、うん。ありがとー」
飯田サブコーチは満面の笑みを浮かべると、そのまま手に持っていた大根をカゴに入れた。
- 259 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時40分08秒
「飯田さん家って、この辺なんスか?」
「え?あーうん。友達と二人暮らし」
「あ、もしかして保田さんですか?」
そういえば、飯田サブコーチは保田コーチの高校時代の友達って言ってたっけ。
だから、保田コーチと一緒に住んでても変ではないよね?
…ん。でも、保田コーチはアメリカ在住だろ?
ってコトは、やっぱ男!?
あー…この人美人だし、それも有り得る。
とか思ってたら、その答えは実にあっさりしていた。
「ううん、圭ちゃんじゃないよぉ。カオリの地元の友達。なっちって言うコだよ。
高校の時から、こっちで一緒に住んでるの」
「あ、そーなんすか」
「そうなの。そうなの」
飯田サブコーチは、あたしの顔を見ながら、大根をひょいひょいと何本もカゴに入れている。
…この人、こんなに大根ばっか買ってどーすんだ…?
…突っ込んだら、やっぱ感じ悪いかな…?
とは思ったけど、何か無意識っぽいから言ってみた。
「あの、そんなに大根ばっか…」
「え!?」
飯田サブコーチはその言葉にビックリしながら、自分のカゴをあたしの顔を交互に見比べていた。
そして、慌てて入れた分の大根をカゴから引っ張り出して、元の場所に積んでいる。
- 260 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時40分52秒
「アハハ…。カオリ、人と話してると変な行動しちゃうの」
飯田サブコーチは笑いながら大根を戻すけれど、あたしはおかしくて吹き出しそうだった。
大根って…(笑)
必死に周りのオバちゃんたちに謝りながら大根を直す、飯田サブコーチが笑えた。
「ふぅ〜…焦った焦った」
「そりゃ、焦りますって」
大根をねぇ…ププ…。
また笑いがこみ上げてきそうだったけど、飯田サブコーチに失礼なので何とか耐えた。
ちょうど辺りが薄暗くなって来た頃、あたしたちは帰路を共にした。
なんてことはない。帰り道が同じ方向なだけ。
「飯田さんって、保田さんの助手かなんかですか?」
「え〜?ううん。今回は、圭ちゃんに頼まれて。
カオリ、芸能スクール通ってたの」
「あー…そっスか」
なるほどね。まあ、普段の飯田サブコーチの役割見てて思うけど…。
こっちに帰って来ても忙しい、保田コーチの『パシリ』ってコトか。
うんうん。いい人だなぁ。
- 261 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時41分25秒
「ね。後藤さ。…ダンス、好き?」
「へ?」
「あのね…。これ、絶対秘密なんだけどね」
「…はい?」
飯田サブコーチは、声をひそめた。
…何だ?
「あのね。圭ちゃん、今回このコーチを受けたのは理由があるの」
「理由?」
「うん」
あたしは眉をひそめた。
理由って、小川のイトコで、弱小チームに見かねてっていうのじゃないの?
「あのね。実は圭ちゃん…。
自分のチームに使う、新人を探してるのよね」
「保田さんの、チーム?…って、アメリカの?」
「そうそう。日本人中心のダンスチーム。
それでね、圭ちゃんと2トップを張れるくらいの人材を探してるらしいのよ」
「へぇ…」
なんだろ…よくわからんな。
日本人にこだわる必要も、2トップを張る必要もないと思うけど。
- 262 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時41分59秒
「圭ちゃんね、ああ見えて臆病なの。
だから、もし自分に何かあった時のために、後継者を今から育てたいみたいよ」
「そうなんですか…」
「うん。だから圭ちゃん、チームのコーチしながら、
大会に参加する、他のチームの練習もあっちこっち見に行ってるみたい」
「へぇ…」
さっきから、特にあたしは何も言えずにいた。
何か、ひっかかるよなぁ…。
別に、こんなトコで探さなくても、オーディションか何かすればいい話じゃない?
それこそ、保田圭の後継者になりたいヤツなんて、腐るほどいるんだし。
もしかして、もう目星のついてる人物がいるんじゃないかな。
………。
ま、まさかね…。
- 263 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時42分30秒
「あの、いい…」
あたしが飯田サブコーチに質問しようとしたら、
彼女は周りを見回して、ビックリした顔をして大声をあげた。
「あっ。いっけない!話してて気づかなかった!
カオリが曲がる道、通りすぎてたよ!」
「え…」
「じゃあね!カオリ、こっちだから!」
「あのー!!飯田さ〜ん!!!」
あたしが大声で呼び止めても、「じゃあね」と彼女は手を振って行ってしまった。
………。
故意的じゃないにしろ、何か嫌な予感がするのは、気のせい?
あたしは、スーパーの袋を両手にぶら下げたまま、しばらくその背中を見つめていた。
まさか、ねぇ…。
- 264 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時43分17秒
八月が始まって、数日経った頃。
今日も練習が終わって、あたしたちはうなだれていた。
日に日にハードになっていく練習。
正直、結構しんどい。
でももう、大会まで一週間ない。
そりゃあ、コーチも熱くなるよねぇ…。
今日の練習では、激しい叱咤まで飛んだ。
その矛先は───。
「加護!ふざけんじゃないよ!!
今更そんな初歩で間違えるバカがどこにいる!?
できないなら人の三倍、四倍努力しろって言ったでしょ!?
何のためにアンタをトップで使ってるの!
もっとよく考えて練習しなさい!!」
「ハ、ハイ…」
- 265 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月18日(月)00時43分49秒
あーあー。
当の本人は、練習が終わってもしょんぼりしたまま沈んでいた。
未だに半べそで、眉間にシワが寄ってる。
それでも、途中で投げ出さないで弱音も吐かないのは、
あたしも正直すごいと思った。
練習が始まればニコニコしてるし、相変わらず陰口は叩かれてても、
まるで気づかないかのようにのほほんとしている。
…いや、気づいてないんだろーけど。
でも、それは本人曰く「笑顔を大切に♪」とのコトだった。
…あたしも、見習わなきゃなぁ。
他のメンバーも疲れているのか、帰り道ではみんな無言だった。
あの松浦でさえも、ぐったりして顔に精気がない。
「…あ、じゃあまた明日…」
「さよーなら」
あーあー。
大丈夫かぁ?こんなんで…。
- 266 名前:なっちとこんこん 投稿日:2002年11月18日(月)00時47分11秒
- (●´ー`●)ノ<なっち名前出演キターべさ。なっちレスだべ。
(●´ー`●)ノ□<>>240さん。
こんなカタチでニィニィが活躍するとは、意外だべ。
(●´ー`●)ノ□<>>241さん。
姉妹愛があればこそのごまかごだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>242さん。
ズバリだべさ。そのイメージで書いてるべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>243さん。
作者本人はダンスはやってないべさ。
でも、友達がストリートやってて、その練習を見に行ったりはしてるべさ。
- 267 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月18日(月)00時50分55秒
- 川о・-・)ノ□<>>244さん。
ごまかご展開、どうですか?
こんこんはレギュラーじゃないので、これから出るかどうかは未定ですが。
(●´ー`●)ノ□<>>245さん。
続きキターーーー。
(●´ー`●)ノ□<>>266さん。
投票ありがとうだべ。こんな稚拙な作品に投票して頂けて、ありがたいべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>267さん。
運動会は期待はずれだったべ。
川о・-・)ノ<物語も中盤に差し掛かってきましたね。
次回をお楽しみに。
- 268 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月18日(月)23時41分31秒
- いいらさんの使い方もきちんとしてるね
なっちは名前だけだけど
- 269 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月20日(水)15時53分35秒
- ごっつぁむさん、最近はごまかごスレによくいるよね(w
- 270 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月22日(金)02時44分17秒
- なっちキターーーーーーーーーーーーーーーー!
って名前だけかよっ!
でも、毎日振り回されるゴッチソ萌え〜。
- 271 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月22日(金)11時03分33秒
- あれ。更新が止まってる・・・。
- 272 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月26日(火)14時12分22秒
- 更新待ち。
- 273 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月26日(火)21時07分20秒
電話が鳴った。
今日も練習が終わって、家でエアコン効かせながらグダグダしてる時に。
蛍光アンテナがピカピカと光り、あたしは乱暴にそれを掴んだ。
ディスプレイに映し出された番号は…。
知らない番号だった。
「誰ッスかぁ?」
あたしは一瞬躊躇しながらも、ケータイのボタンを押した。
ところが返事はなく、電話の向こうは沈黙。
…イタ電かよ、おい。
「もしもし〜!?」
今度は強く問い掛けてみたけれど、相変わらず電話の向こうは沈黙だった。
「出ないと切っちゃうよ!?」
………。
あー。もう切っちゃおう。
そう思って、耳からケータイを話そうとした瞬間。
『保田よ』
電話の向こうから、小さくそう聞こえた。
- 274 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月26日(火)21時08分51秒
その一時間後。
夕暮れの喫茶店に、あたしはいた。
目の前には───。
「で、何ですか?用って」
「まあ、そう焦らないで」
保田コーチはアイスコーヒーを一口すすると、
不敵っつーか不気味な笑いを浮かべた。
…怖ッ…。
なんでまた、こんなトコにいるかっつーと。
何てコトはない。
保田コーチに、「駅前の喫茶店“モーニング”で待ってる」とか言われたから。
いきなりなんだ、って思ったけど…。
少しだけ悪い予感を胸に残しつつも、あたしはそこへ向かった。
ということで、今、向き合ってるワケだ。
- 275 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月26日(火)21時12分58秒
「単刀直入に言うけど。後藤、あなた…アメリカ行く気ない?」
「ないです」
あたしは、あくまで単刀直入に、即答した。
「…ちょっとくらいは考えなさいよ」
苦笑いを浮かべ、アイスコーヒーを口に含む保田コーチ。
いや、そう言われましても…。
どうせ、そうくるなっていうのは予想済みだった。
「事情は、飯田さんに聞きました」
「あ、そうなの。…だったら、話が早いじゃない。
ね、悪い話じゃないでしょ?」
保田コーチが身を乗り出して、あたしに同意を求める。
けれどあたしは、薄っぺらい笑いを浮かべて言った。
「あたしは、ただの助っ人ですから」
あたしは、目の前に置かれたミルクティーに初めて口をつけると、
それを一気に飲み干した。
「じゃ。そーゆーことで。あ、これミルクティーのお金」
「あ、ちょっと後藤!」
お金を無造作に置いて立ちあがったあたしを、保田コーチはもちろん止めた。
けれど、あたしは振り返ると、これまた薄っぺらい笑顔で言った。
「あたし、今の生活を壊したくないんで」
それだけ言うと、もう振り返らずに店を出た。
- 276 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月26日(火)21時14分10秒
あたしは、もう薄暗い帰り道で、一人ボーっとしていた。
本当は…。
本当は、あたしだって、ちょっとは行きたい気はある。
いや、ちょっとどころか結構あるかも知れない。
それが、自分にとってのチャンスであるコトももちろん解ってる。
保田コーチには、ああ言ったけれど。
ダンスはやっぱり好きだし、自分のしたいコトを見つけられたカンジ。
この先、そっち方面の仕事につきたいという夢もちょっと生まれてきた。
けれど、今の生活を壊したくないというのも事実。
…というより、そっちの方がまだ大きいんだよなー。
だから、もしかしてこんなチャンス二度とないかも知れないけれど、
今この想いがあるうちは…。ここを離れるワケにはいかない。
あたしは、まだみんなといたい。
ただ、それだけ…。
そう、今はそれでいいんだ…。
- 277 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月26日(火)21時14分46秒
「亜依は…夢とかある?」
「はにゃ?」
雑誌を見ていた亜依が、視線をこちらに向けた。
その顔には、「いきなりなんだ」というような表情が浮かんでいる。
「いやさぁ…。あんまり今まで聞かなかったけど…」
「う〜ん…。んっとね、亜依の夢はねー。
真希ちゃんと一緒にいるコトかなぁ」
ぶっ。
あたしは、丁度飲みかけていたウーロン茶を噴き出した。
「…アンタ、ハズいからそういうのは…」
あたしは照れ隠しに、頭をポリポリと掻く。
けれど、当の本人はいつものニコニコ笑顔であたしを見つめていた。
…な、なんだよ…。
「あのね。亜依はずーっと昔からそう思ってたよ。
真希ちゃんがいて、ひとみちゃんがいて、梨華ちゃんがいて、
マリちゃんや紗耶ちゃんがいて…。亜依にはそれが当たり前なんだもん」
- 278 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月26日(火)21時16分05秒
「かぁ〜っ…。まったく、ハズかしいコだねぇこのコは…。
でも、亜依。その気持ち、あたしも同感だよ」
「本当?」
「うん。約束する」
あたしは、自分の手を亜依の眼前に差し出すと、
小指一本だけを立てた。
そして、自分でも驚くくらい飛びっきりの笑顔を見せた。
「うん、約束」
亜依はその小指に、自分の小指を絡ませ、
同じようにとびっきりの笑顔を向けた。
あたしたちは笑い合った。
そうだ───。
だから、あたしはこの小さな夢に蓋をしよう。
蓋をしてしまえば、きっと……。
あたしはだから、そんな想いが変わってしまうなんてないと思ってた。
この時は───。
- 279 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年11月26日(火)21時20分26秒
- (●´ー`●)ノ<作者、受験中だったべさ。なっちレスだべ。
(●´ー`●)ノ□<>>268さん。
なっちとカオリは二人暮らししてるべさ。
カオリはなっちがこの仕事してるの知らないべ。
(●´ー`●)ノ□<>>269さん。
あのスレの「実は1」=「ごっつぁむ」なのはバレバレだべ(w
これ、ナイショだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>270さん。
なっちキタべ!!
(●´ー`●)ノ□<>>271さん、>>272さん。
遅れてしまって申し訳ないべさ。
川о・-・)ノ<後藤さんの身になにが!?
次回をお楽しみに。
- 280 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月26日(火)23時29分30秒
- ごまかごはほのぼのでいいなぁ・・
この後の展開に期待!!
- 281 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月28日(木)03時07分32秒
- ごっちん行っちゃダメだー!!!
しかし、マジで萌えッスね・・
- 282 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月28日(木)14時09分58秒
- ごっちんがリアルで好き
- 283 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時26分04秒
さて、いよいよダンスの練習も今日が最後。
「ハイ、じゃあ集まって」
保田コーチの声が、体育館に響く。
こんなのも、今日で終わりなんだなー…。
この蒸し暑い体育館も、保田コーチの激しい叱咤も、
飯田サブコーチのワケのわかんない話も。
少しだけ感慨深くなった。
明日が大会で、それが終わったらあたしはダンスとはまた縁のない生活を送る。
ちょっとだけ、寂しいけれど…。
初めから、そう決めてたし。
簡単に捨てられる夢ならば、捨ててしまえばいいんだ。
「じゃあ、明日が本番だけど…。
あたしは応援に行けないかもしれないけれど、最後まで頑張って。
いつものようにやれば、絶対上手くいくから」
「ハイ!」
「じゃあ、頑張って:
「ハイ!!!」
あたしたちは、そうやって気合の入った返事をした。
- 284 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時27分05秒
「それじゃあ、明日」
「うん、またね」
「後藤先輩、加護ちゃん、バイバ〜イ」
「明日は頑張ろうね」
「またね〜」
それぞれの帰り道。
こんなのも、今日で最後…か。
ダンス部の練習も、楽しかったなぁ。
ミキティに、松浦に、高橋に、小川たち。
ダンスしたり、みんなでだらだらバカ話したり、
サイコーだった。
いつもの幼なじみ組ももちろん楽しいけれど、
凄く貴重な経験をしたと思う。
一夏の、経験ってか。
「よし、亜依。帰るか」
「OK〜」
あたしと亜依は手を握り合うと、家へと急いだ。
- 285 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時27分40秒
さて、展開早く翌日。
バスに乗り込んだあたしたちは、この辺りで一番大きい総合体育館に着いた。
会場の大きさは、まあまあ中規模。
小さな大会だけど、それなりの出場者の数だ。
すでにアップするために、選手たちが続々と練習を始めている。
入り口で渡されたパンフレットを、パラパラとめくる。
あたしたちの番は…。
ゲッ…。ラストじゃん…。
マジかよ〜!?
「ラスト…だね」
引率で着いてきた、飯田サブコーチが呟く。
別に彼女が踊るワケじゃないけど、やっぱり同じく緊張してるようだった。
「後藤先輩、頑張りましょうね〜」
「後藤せんぱぁい、2トップ、キメてくださいねぇ」
高橋や松浦が、あたしの元へ励ましにやってきた。
んなのなくたって、あたしは頑張るってーの。
「二人も頑張れよ」
「ハイ!」
- 286 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時28分10秒
「あいぼん、大丈夫?」
「う…うん…」
「大丈夫だよ。後藤先輩を信じて、一緒にがんばろ?」
「う、うん…」
今にも泣きそうな亜依を、小川が必死に励ましている。
あーあー。そんな小川も、緊張してるのか、
今にも泣きそうな顔になってる。
「おし、お前ら。そんな顔するなよなー」
「真希ちゃん…」
「後藤先輩」
「頑張るのみ!」
あたしは二人の頭にポン、とそれぞれ手をかけて、
とりあえず笑ってみせた。
「ごっちん、アップ終わった?」
「あ、ミキティ。役員ごくろー」
大会役員として、本部の方へ行っていたミキティ。
今、ようやくこっちに戻って来た。
「順番、ラストだって」
「ラスト!?うそでしょ〜!?」
目をおっ広げて、両手を頬につくミキティ。
いや、そんな素で驚かなくても…。
「まあ、とにかくなるように頑張ろうよ」
「そだね」
- 287 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時28分43秒
順番が巡り巡って、ソッコーであたしたちの番。
マジ早いって。
緊張とかはそんなにないけど…。
やっぱ、怖いってのはある。
でも、そんな気持ち捨てないと、上手く踊れないもんね。
よし、いっちょやったろう!!!
「続きましては、NO.16チーム『K』のみなさんです!」
いつの間にか決まっていたあたしたちのチーム名が、本部のアナウンスに呼ばれた。
ワァァァ…。という歓声が響き渡る。
あたしたちは、舞台裏から歓声の中を、手を繋ぎあって歩き出した。
観客の中に、ひとみや梨華たちがチラッと見えたけれど、
今はそんなコト気にしてられない。
…ふぅ。
あたしは深く深呼吸すると、自分の立ち位置に着いた。
隣の亜依を見ると、目が合う。
あたしは不安そうなアイツに向かって、不慣れなウインクをすると、
すぐに真剣な顔に戻って構えのために下を向いた。
亜依もすぐに、下を向いたようだ。
はは、あたしの顔見て、安心したってコトね。
可愛いヤツ。
さて…。
大丈夫。きっと…大丈夫。
そう思った瞬間に、音楽が鳴った。
- 288 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時29分15秒
* * * * *
- 289 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時29分47秒
あれよあれよ、といううちに演技は終わった。
正直、踊ってる時のコトはあんまり覚えてない。
でも、いつも以上の手応えはあったと思う。
んまあ、とにかくあたしなりに凄く上手く行った。
いや、あたしなりじゃなくて、チームんなりに上手く行ったと思う。
さて、結果やいかに。
「みんな、よく頑張ったねー」
迎えてくれた飯田サブコーチが、スポーツ飲料のペットボトルを両腕に抱えてやってきた。
その後ろから、保田コーチもやってくる。
「お疲れ様。ギリギリで間に合って、良かったわ」
「保田さん。どうでした!?」
あたしが聞くと、彼女は笑顔になって、
「上出来よ。優勝間違いないわ」
と、いつもの薄笑いで言った。
結果発表まで、しばらく時間がかかる。
あたしはその時間の間に、もう一度呼び出された。
───保田さんに。
- 290 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時30分17秒
「お疲れ様」
体育館のロビーのソファに、どかんと座り込むあたしたち。
保田コーチは、スポーツ飲料のペットボトルをあたしに差し出した。
「ども」
あたしはそれを受け取ると、ふたをキュッと開けて、
一口だけ飲んだ。
「さて、呼び出した理由はわかるわよね?」
保田コーチが、あたしの目を見ながら言う。
あたしも小さく頷くと、今度は逃げなかった。
目を逸らさずに、あたしはその目を見た。
「わかってます」
「…いい目だわ」
保田コーチはいつものようにニヤニヤ笑っているけれど、
あたしは───。
「単刀直入に、もう一度だけ聞くわよ」
「もう、答えは出てますけどね」
「そう。じゃあ、聞くわ。
…アメリカに、一緒に行きましょう」
保田コーチが、重いその言葉を吐いた。
あの、突き刺すような視線を感じる。
けれど、やはりあたしは逃げなかった。
- 291 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時30分51秒
理由は色々あった。
今の生活を壊したくないって言うのが。
それでも、夢を追いかけたいとも思った。
けれど、やっぱり葛藤があって、この間は断ってしまった。
けれど、けれど…。
ダメだね。
あたし、自分に嘘つけないんだ。
どんなに今の生活を壊したくなくても、あたしは…。
あたしは、夢を追いかけたくなった。
ダンスが好きだ。
もっともっと踊りたい。
今、目の前のチャンスをもう逃せない。
今、この場所で踊ってハッキリした。
そんなに簡単に揺るぐ思いだったワケじゃないけれど…。
あたしは、夢を追いかける。
誰にも邪魔はさせない。
それが、例え…。あのコでも。
それが全て。それが、答え。
もう、何もない。
誰の為でもない。
あたしの為に、あたしは決めた。
- 292 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時31分21秒
「行きます。もう、何も悩みません」
あたしは、そう返事をした───。
- 293 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年11月30日(土)00時32分03秒
作者です。
物語が佳境なトコなんで、今回「なっちとこんこん」お休みです。
レスもまとめて後でします。
- 294 名前:川o・-・)ノ完璧 投稿日:2002年11月30日(土)00時58分27秒
- 今回は更新が早かったですね
がんばってくらはい
- 295 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年11月30日(土)11時21分39秒
- むむむ・・ついに佳境か・・やっぱりごっちん行っちゃうのね・・
マジで目が離せないね、こりゃ
- 296 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月02日(月)21時11分40秒
- 続き期待。
- 297 名前:nanasi 投稿日:2002年12月04日(水)03時14分12秒
- もしかして、更新終了のための書き溜め中ですか!?
・・・ああ、もっとごまかごプリーズ。
- 298 名前:nanasi 投稿日:2002年12月04日(水)05時43分10秒
- 作者さんがレス控えてるんで、レスは今回しません。
次回更新を期待してます。
- 299 名前:ごっつぁむいじり 投稿日:2002年12月05日(木)03時54分03秒
- こらごっつぁむ、短編書いてる暇あったら続き書け!w
- 300 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時42分39秒
パコン、という小さな音が、広いロビーに響いた。
驚いて、その音がした方を向いてみたけれど、
あたしと保田コーチ以外に、人影は見当たらなかった。
「何の音かしら?」
保田コーチが、その音のした方向に向かって歩き出す。
様子を伺いながら、ちょうど、応援席へと通じる方へ。
そして、ちょうどあたしのいる位置から死角になる、曲がり角。
そこでしゃがんで、何かを拾った。
「ペットボトルみたいだわ」
保田コーチが、手にペットボトルを握り締めながら、
こちらへと戻って来た。
その手に握られたペットボトルは、まだキャップが開封されてなくて、
中身もそのままで床に転がっていたみたい。
「誰かが落としたみたいね」
「そうですね。でも何でだろ…」
誰かが置き忘れたのかな。なんだろう…。
- 301 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時43分09秒
「っと、それより」
保田コーチが、ペットボトルを床の端っこに置いた。
そして、あたしの目を見つめた。
その、縛り付けるような強い目で。
「あっちに行ったら、しばらくはレッスン漬けになるわ」
「覚悟してます」
「…日本にも戻って来られないけど、いいのね」
あたしは無言で頷くと、ハッキリ強く言い切った。
「構いません。もう、決めたんで」
「そう。じゃあ、もう何も言わないわ。
出発は夏休みが終わる頃になりそうだけど、それまでに準備もしておいてね」
「わかりました」
あたしは、またも強く頷いた。
「それじゃ、結果発表に行きましょうか」
「ええ」
- 302 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時43分42秒
会場全体に、微妙な空気が流れていた。
みんな、心待ちにして、結果発表を待っている。
それは、あたしたちのグループも一緒だ。
「先輩、どこ行ってたんスかぁ」
小川が、あたしの姿を見つけて側に寄ってきた。
不安になっているのか、少しだけ、顔が青白く見える。
「ん、ちょっとね」
「発表、始まりますよ」
「うん、すぐ行く…」
あたしは、そう言うと、周りをキョロキョロとしながら、
小川に聞いた。
「アレ?亜依は?」
ミキティも、松浦も、高橋も、みんないる。
だけど、何故かアイツの姿だけが、控え席にない。
どーしたんだろ。
「あいぼんッスかぁ?そういえば、さっきどっか行ったまま…」
「あ、そう…」
多分、あたしを探しに来て、見つからなかったから、
ののたちの所に行ってるのかな?
だとしたら、すぐ戻ってくるだろうし…。心配はないか。
とりあえず、結果発表を待とう。
- 303 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時44分58秒
結果発表は、第5位から始まった。
優勝できる自信は、そこそこある。
ま、それほど大きな大会でもないし、
なんたって、あの保田圭のコーチありだもんね。
「第4位…」
ワァァァ…。
違う。他のチームから、歓声があがる。
「第3位!」
キャァァァ!!
またまた違う。
「第2位!!」
ウァァァァ!!!!
違った。となると、呼ばれる可能性があるのは、最後…。
「優勝は───!!!」
- 304 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時46分11秒
* * * * *
- 305 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時47分17秒
「あ、真希ちゃん〜。お疲れ様〜」
「カッコよかったよぉ、マキ〜」
「やるじゃん。お疲れ」
結果発表が終わって、帰り際。
二階の応援席に、あたしは向かった。
応援に来てくれたひとみたちの所に。
この後、チームのみんなと打ち上げに行くので、
今会っておかないと、今日は会えないかも知れないしね。
「もう、私、真希ちゃんのダンス超好き〜」
「ハハ、ありがと」
「特にあそこの〜……」
梨華は、甲高い声を更に声高々にしたけれど、
あたしはそれを遮った。
「ねぇ。ののは?ってか、亜依知らない?」
あたしが聞くと、三人は曖昧な顔つきをして、
微妙な感じに顔を合わせた。
- 306 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時48分57秒
「さっき、亜依ちゃんが来て、ののちゃんと一緒に出てったけど……」
「そーいえば、さっきから帰って来てないよね。のの」
「亜依は、下にしたんじゃないの?」
三人とも、知らないみたい。
ん…。そこ行ったんだ?アイツら…。
「じゃあ、あたし…チームのみんなと打ち上げあるから」
「うん、お疲れ様」
「じゃあね〜」
「うん。来てくれてありがとね。じゃね」
あたしは三人に手を振ると、もう一度、下に下りた。
「ごっちん、遅いよ〜」
「ゴメンゴメン」
あたしが、控え席に戻ると、荷物をまとめ終えたミキティが、
あたしの荷物を預かってくれていた。
「ごっちん、加護ちゃんは?」
「え?やっぱ、帰って来てないの?」
あたしが逆に聞くと、ミキティは、頷いた。
「うん。ってか、ごっちんが探しに行ってたんでしょ?」
「…マジで?」
「うん…。あ、ごっちん。ケータイが鳴ってるみたい」
ミキティはあたしのバッグから、あたしのケータイを取り出した。
言った通り、アンテナが光って、バイブがブルブルと鳴っていた。
「サンキュ」
あたしはそれを受け取ると、ディスプレイを見た。
電話は、ののからだった。
- 307 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月08日(日)22時50分27秒
- 更新が遅れてしまってごめんなさい!!
受験が無事に終わったので、これからまた、がんばって書きます。
最後まで、どうぞよろしく。
- 308 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年12月09日(月)15時08分29秒
- 更新キター!!!!
波瀾の予感・・
- 309 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月09日(月)21時22分41秒
「……そう、わかった。すぐ行くから」
あたしは電話を切ると、そのまま、ポケットに滑り込ませた。
そして、振り向き様に両手を顔の前で合わせると、
「ミキティ、ゴメン!あたしと亜依の荷物、持って帰っておいて!
後でまた電話するッ!」
と言い、返事も聞かずに体育館から飛び出した。
「え!?ちょ、ちょっとごっちん!!」
ののからの電話。
何だかよくわからなかったけれど、切羽詰まっているみたいだった。
荒々しい声で、「あいぼんが…!」との一言。
ののは、体育館の外で待っているとの事だったので、
すぐにそっちに向かった。
どうしてそうなったのか、あたしにはすぐに理解できた。
多分、アイツは聞いてしまったんだろう。
あたしと、保田コーチの会話。
…あたしが、アメリカに行く話。
あんなところにあったペットボトルを、亜依が落としたとすれば、
全部合点がいく。
どっちにしろ、きちんと話さなければいけなかったコトだ。
あたしがここで、頑張らないと…。
- 310 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月09日(月)21時23分51秒
「真希ちゃん…!!あいぼんに何したの!!?」
「ゴメン、ゴメンね、のの…」
あたしの姿を見つけたののは、顔を合わせるなり、
あたしに向かって怒声をあげた。
普段怒ることなど滅多にない彼女が、怒りをあたしにぶつけている。
「ゴメンね、のの。亜依はあたしが探すから、梨華たちと一緒に帰ってて」
「あいぼん、泣いてた。でも、ののはなんもできなかった」
「うん…。ゴメン」
「あいぼん、絶対見つけてください」
「わかった。ありがと」
ののは、両目を手で覆いながら、小走りに体育館の方へ走り去っていった。
言いたいコトは、あのコなりに一杯あったと思う。
親友の亜依を、傷つけたあたしに対して。
…けれど、それをあたしにそれを委ねてくれた。
ゴメンね、のの。
あたしは心の中で謝ると、まだ暑い夏の日差しの中を、走り出した。
- 311 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月09日(月)21時25分10秒
ケータイには出ない…。
地元じゃないし、この辺のコトは何も知らない。
もしかしたら、もう、家に帰ってるかも知れない。
でも、あたしはあのコを探す。
幼い、あの日と同じように…。
道行く人に、聞いてみた。
誰も、亜依のコトなど、目にもしていない。
あちこち走り回って探したけど、どこにもいなかった。
公園、デパートの中、川沿い…。
いない。
どこにもいない。
も〜〜!!!どこにいるんだよ!!亜依〜!!!
額にはり付く髪。
頬を伝う、一筋の汗。
まとわりつくような、ビショビショのTシャツ。
靴ズレが痛くて、思うように足は動かない。
あたしは、ついに諦めて、その歩みを止めた。
どこかの小学校の、グラウンド。
そのど真中に、バタリと大の字になって倒れた。
ヤバイ…。もう、限界。
あたしは静かに目を閉じた。
- 312 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月09日(月)21時26分03秒
ぽつん。
頬に、何かが当たる感覚がした。
冷たい感触。
ゲッ…雨!?
あたしはガバっと起きあがり、まだ重いその足を無理矢理に立たせた。
頬に当たった雨は少しずつ勢いを増し、
あたしが、グラウンドの隅まで辿りつく頃には、
地面の色が変わるくらいに、雨は強くなっていた。
参ったなぁ…。
この雨じゃ、亜依を探しに行くこともできない。
最も、もう、あたしの足はボロボロで歩くのもままならないけど。
あたしは、濡れた髪を絞りながら、ヨタヨタと歩き出した。
向かう先は、グラウンドの隅に作られた、人工の小山。
その中央を通るように設置された、土管の中。
そこで、夕立が通り過ぎるまで待とうと思った。
土管の中に足を踏み入れると、あたしは反対側の方に誰かがいるコトに気付いた。
つまり、先客がいた。
「誰かいるの?」
あたしの問いかけは空しく響き、返事はない。
あたしは腰を低くしながら、奥の方へと歩み寄った。
そこに、やっぱり居た。
- 313 名前:名無し。 投稿日:2002年12月10日(火)02時27分21秒
- うを!2回も更新されてる〜
ついに物語も終盤です・・か?
楽しみです
- 314 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月10日(火)23時06分45秒
- 面白くなってきたなぁ〜…。
- 315 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月11日(水)02時22分44秒
- クライマックスのヨカーン!!!!!
ごっちん、あいぼん、頑張れ・・・。
- 316 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年12月11日(水)05時08分55秒
- 更新乙。
ところで、大会の結果が書かれてないのはわざと?
ちょっとドキドキ。
- 317 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時20分05秒
「やっぱね。なんとなく、いるかとは思ったけど」
「…………」
あたしの問いかけに答えようともせず、
亜依は体育座りで顔をうずめたままだった。
「ほら、帰りますよ」
「……イヤです」
カッチーン。
「あんたね。一体、どんだけ人に迷惑かけたと思ってんの?」
「……大会……」
「んあ?」
「…大会、どうだった…」
「ああ、うん」
あたしは、そういえばついさっきまで、
ダンスの大会があったコトまですっかり忘れてた。
しかも、優勝したコトも。
- 318 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時20分46秒
「優勝だったよ。メダル、亜依の分もあるよ」
「いらない」
「いらないって…。あんた、頑張ったじゃん」
「いらないもん。ダンスなんて、大ッ嫌い」
亜依はそう言うと、眉間にシワを寄せ、
頬を膨らませたまま、また黙り込んだ。
「…ダンス、好きだったんでしょ?」
「好きじゃない。嫌いになった」
「そう…。残念だわ」
「…………」
沈黙が続く。
あたしも、何となく話を切り出し難くて…。
このままじゃ、埒があかないなぁ〜…。
- 319 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時21分16秒
「真希ちゃん」
「え?あ、はい」
あたしがしどろもどろしていたら、逆にあっちから話を切り出してきた。
「嘘つきだよね。真希ちゃん」
「え……」
「ずっと一緒って言ったよね。どこにも行かないって言ったよね」
「………それは」
いいわけをするつもりはない。
でも、あたしにはあたしなりの理由がある。
あたしは、本当は夢を失いたくない。
やっと掴みかけた自分の夢を、諦めたくなくなった。
「ごめん」
「嘘つき…」
「え?」
小さくだけど、確かにそう聞こえた。
- 320 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時21分47秒
「嘘つき。嘘つき。嘘つき。嘘つき。嘘…つき…!!!」
最後の方、声が泣き声に変わっていた。
悲痛なほど、辛い言葉…。
睨みつけるよな鋭い視線で、あたしを見つめている。
その瞳を見つめるのが、辛い。
「嘘つき…。嘘つき〜!!!」
「…ごめん…」
「嘘つき。嘘つき。嘘つき!!」
「……もう。やめて」
あたしは、その震える肩を抱きしめた。
ピクン、と、その肩が跳ね上がる。
そして、今度は大きく揺れ始めた。
泣いてる…。
「嘘…つき…」
亜依は、あたしの胸の中に顔をうずめると、
小さく呟いた。
それ以後、もう、彼女は言葉を発さなかった。
どのくらい、そうしていただろう。
あたしのTシャツが、絞れるほどにビチャビチャになっている。
それでも、亜依の涙は止まることはなかった。
- 321 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時22分18秒
「亜依…」
「…………」
「亜依、もう帰ろう」
「…………」
言葉を発するコトなく、亜依はあたしのTシャツをギュッと掴む。
『帰らない』の意。
もしくは、あたしとは帰れないってコトか…。
どっちにしろ、いつまでもここにいるワケにはいかない。
夏だというのに、この雨のせいもあって、随分と気温は下がってる。
「亜依、お願い。あたしを困らせないで」
「………」
相変わらず、返事はない。
ただ、あたしが何か喋るたびに、その小さな肩はピクン、と鼓動し、
そして、Tシャツを握る力が、少しだけ強まった。
「今、迎えに来てもらうから…ね?」
「………」
ギュッ。Tシャツを掴む力が、また強まる。
「お願いだから…」
「………」
「帰ろう、ね」
「………」
「亜依」
「………どこにも、行かない?」
あたしの胸の中で、小さく微かに、声が蠢いた。
可愛らしいいつもの声とは違い、声はかすれ、か細かった。
- 322 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時22分59秒
だけど、あたしはそれに応えられない。
「それは、できない」
「………じゃあ、帰らない」
「亜依…」
『ゴメンね』
そう言いかけて、あたしは口を噤んだ。
そんな言葉をかけて、何になるの?
本当に、それであたしは許される?
あたしは、今まさにこのコを裏切ろうとしている。
それに、自分の意志を曲げる気もさらさらない。
もうダメかもしんない。
あたしは、亜依の両腕をガシっと掴んだ。
その肩が、またビクンと震える。
亜依は、顔を上げ、泣きそうな顔であたしを見つめた。
怯えるかのような瞳だった。
けれど、あたしは…。
亜依の両腕から手を離し、静かに立ちあがった。
立ちあがると言っても、土管の中だから、中腰でだけど。
そして、亜依の瞳を見るコトもできず、
ただ、目を逸らしながら───。
言った。
- 323 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時23分31秒
「さよなら」
- 324 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時24分05秒
静かな土管の中で、あたしの声が響いた。
あたしは───。
振り返らなかった───。
- 325 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時24分38秒
朝から、頭が重い。
ひどい頭痛がして、ついでに体もだるい。
…夏風邪かも。
そりゃ、あんな雨の中、ずぶ濡れで帰ればねぇ…。
あたしはタオルケットの中で、まだ痛みの残る足首を軽く揉んだ。
靴ズレも痛くて、その部分を指でそっとなぞってみる。
あーあー…。こりゃ、痛いわ。
枕元に置いてあるケータイを、何気に掴むと、
ディスプレイをチェック。
…わお。
不在着信が、18件も…。
そのうち、11件がミキティから。
ひとみと梨華から3件ずつ。
そして…。保田さんからも着信がある。
うう、どれも出るのイヤだなぁ…。
ついでに、メールの方もチェックする。
未開封になっているメールが…。
ゲゲッ…。82件も着てるよ…。おいおい。
その多くがまたもやミキティだったり、ひとみだったり、梨華だったり。
一つ一つチェックするのも面倒だけど、一応ざっと見てみた。
- 326 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時25分13秒
15:22 ミキティ/『ごっちん!!早く連絡して!』
15:24 ミキティ/『ごっちん!!?どこにいるのよ〜〜!!』
15:27 ミキティ/『荷物重いよ〜』
15:33 ミキティ/『電話するって言ったじゃん〜』
15:38 ミキティ/『そっちがその気なら、こっちも考えがあるよ』
15:39 ミキティ/『なんちゃって、嘘だよ〜ん』
15:42 ミキティ/『…もしかして、怒ってる?』
16:23 ミキティ/『私のコト、嫌いなの?』
16:25 ミキティ/『ロマンティック浮かれモードって曲、いい曲なの〜(^о^)』
16:37 ミキティ/『もういい、もういいわ!!』
18:11 ミキティ/『そろそろ連絡してくれてもいいでしょ?』
・
・
・
20:00 ミキティ/『明日 連絡』
うわぁぁぁ…。ヤバッ!!!
ミキティ、やさぐれちゃってるよ!!
ってか、82件中、75件も送るなー!!!
意外に、しつこい人なのね、この人。
- 327 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時25分51秒
まあ、そんなのはともかく。
こんなメールが入って来てた。
ショートメール受信 3:57
『ゴメンネ。サヨナラ』
ショートメールで、しかも非通知。
差出人が、誰だかわからない。
…なんてコトはさすがにないんだけど。
こんな内容のメール送ってくるの、アイツしかいないしなぁ…。
多分、相当こたえてたんだろーなぁ。
でも、あたしも結構キレてたもんだし…。
あの状況で、どーしていいかわかんなかったのよ。
あーあー…。
- 328 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時26分32秒
「ええ〜!!?アメリカに行く!?」
「何で突然!?」
案の定の反応。
梨華もひとみも。
驚いた顔で、二人して数センチのところまで顔を近づけて来た。
「何でって…。ダンスの勉強しに…」
あたしはちょっと引き気味にそう答えるが、
二人とも勢い余って、ぐんぐん顔を寄せてくる。
「ちょっと、二人とも…」
「説明してよ!真希ちゃん!!」
「説明しろよ!!真希!!!」
「ハ、ハイ…」
「まあね、最初は断るつもりだったの。
あたし、今の生活壊したくなかったし。
でも、いざ大会になって、踊り終わった後だったし…。
なんか、自分でも、無意識に“ハイ”って言っちゃったの。
でも、もう後悔したくないし。あんたらが何を言っても、あたしは───」
「ストップ」
つらつらと、一気に事情を説明したあたしの言葉を、
ひとみが遮った。
その隣で、梨華も同じような顔して頷いている。
「少なくとも、アタシは止める気はないよ」
「うん、私も」
「…あ、そう」
あたしは、その言葉を聞くと、一息ついた。
- 329 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時27分03秒
なんか、こう。
ちょっと焦り気味なところを、上手く冷静になるコトができた。
「それ、亜依に言ったんだ?」
ゲ。あんたねー、それ、単刀直入すぎない?
あたしとアイツが、昨日ケンカして帰って来たコト、知ってるだろうに。
…あ、知ってるから聞くのか。
「…知ってる。ってか、バレた」
あたしがそう言うと、二人はお互いに顔を見合わせて、
深く深くタメイキをついた。
「そっか…」
「でも、私は応援するよ!真希ちゃんが、あのやる気なくて、
いっつもボケーっとしてて、夢も未来もない真希ちゃんが───」
パコン。
「いたたた…。えっと、ゴメンゴメン」
「あんた、けなしてどーすんのよ、けなして。失礼なヤツだわね」
「じゃなくってぇ…。とにかく!!
真希ちゃんが、夢に向かって頑張るんだもん!梨華、応援するっ!」
「ん。アタシも同感だねぇ。頑張れよ」
顔が蒸気していくのがわかった。
なんか、ハズい…。
その日は、二人ともすぐ家に帰った。
あたしはあたしでやるコトがあったので、有難かった。
- 330 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月11日(水)16時27分34秒
- 次回で最終回です。
レスもまとめてします。
- 331 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月11日(水)16時46分08秒
- ちょっとみきごまが好きになりそうになった…(w
- 332 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年12月11日(水)21時38分37秒
- 次回最終回!!?!?ショボーン・・
ミキティ、ちょっとウケた(w
- 333 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月11日(水)23時39分26秒
- 「やんパパ」見て思ったんだけど、「I WISH」と展開が似てる気がする。
アメリカ行っちゃうところとか。
まあ、こっちの方が数倍面白いんだけどさ。
ごっつあむさん、ラスト、期待してます。
- 334 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月12日(木)01時18分33秒
- ヒサブリに来てみたら、次回最終回とは…。
感想は、その時に書きます。
- 335 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月13日(金)16時12分47秒
- 更新、楽しみに待ってます
- 336 名前:名無し 投稿日:2002年12月15日(日)14時14分16秒
- ごっちん行かないでごっちん
- 337 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月15日(日)22時47分49秒
- かなり楽しいですね。はやくラストがみたいです
更新待ってます
- 338 名前:( ´ Д `)!きっと大丈夫! 投稿日:2002年12月16日(月)04時12分45秒
- 初めて読みました。最終回直前で初レスできて、嬉しい限りです。
『ごまかご』(かごまとも言いますね)というCPは初めて読んだのですが、
とても面白いです。それだけじゃなくて、お話もしっかりしていると思います。
(特にごっちんが、あいぼんに「さよなら」というシーンが気に入りました)
そして、私自身も「I wish」という歌がとても好きなので、
巧く使われているなぁ・・・と感じました。
とにかく、ラストが楽しみです。
期待しております。
- 339 名前:なっちとこんこん。 投稿日:2002年12月17日(火)20時55分23秒
- (●´ー`●)<ヒサブリだべ。なっちレスだべ。
川о・-・)ノ<私たちの出番も、ここで終わりですね。
(●´ー`●)<結局、出番はなかったべさ…。
(●´ー`●)ノ□<>>331さん。
みきごま、なっちも好きだべ。でも、この作品はごまかご。
(●´ー`●)ノ□<>>332さん。
今回で終わりだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>333さん。
「やんパパ」は微妙だったべさ…。
でも、この作品はもっと微妙だべ?
(●´ー`●)ノ□<>>334さん。
お願いしますだべ。
(●´ー`●)ノ□<>>335さん。
はい、ありがとうだべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>336さん。
ごっちん行かないでごっちん。
(●´ー`●)ノ□<>>337さん。
お待たせして申し訳ないべさ。
(●´ー`●)ノ□<>>338さん。
長文感想ありがとうだべさ。また、感想よろしくだべさ。
川о・-・)ノ<それでは、最終回をお楽しみに下さい。
- 340 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)20時56分32秒
保田さんと電話した。
出発の日時とか、詳しく教えてもらった。
出発は、8月23日。
とりあえず、一回だけあっちに行って、一週間くらい生活する。
それで、9月に入ってから、本格的にあっちで暮らすコトになるそうだ。
時が流れるのは早く、だらだらと日々は流れ、
すでに出発まで二日というところになっていた。
親は、何も反対しなかった。
姉ちゃんも、やるだけやって来いと言った。
弟は、興味がなさそうだった。
ひとみや梨華、マリちゃんは応援してくれる。
ミキティや高橋、松浦、小川は、ダンスを本格的に学べるコトを羨ましがった。
飯田さんは、保田さんのコトについて話してくれたし、
当の保田さんも、色々と気を遣って、準備を進めてくれた。
アメリカにいる紗耶ちゃんが、英語のテキストを送ってくれた。
ただ、祝福してくれないのは二人だけだった。
- 341 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)20時57分51秒
ののは───。
完全に、あたしのコトを敵視し始めている。
それもそうだ。親友が、ズタズタに傷つけられたんだもの。
あのコにとってのあたしは、あのコの親友の“お姉さん”でしかない。
そして、亜依は───。
あの日から、一言も喋っていない。
いや、むしろ、会ってすらいない。
もう、半分あたしは諦めかけている。
…半分どころか、もう確信している。
このまま、サヨナラになるだろう。
名残惜しいけれど、仕方のないコトだと思った。
「マキのォ、出発を記念してぇ、カラオケにみんなで行こうと思うのォ」
マリちゃんがそう言ったので、みんなでカラオケに行った、出発二日前。
案の定、亜依もののも来なかった。
ひとみ、梨華、マリちゃん、あたしの四人。
何か物足りないとは、誰もが思ってただろう。
でも、誰も口にしなかった。
あたし自身も、いちいち気にしたくない。
そんなカンジの、中途半端な盛り上がりを見せた。
- 342 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)20時58分26秒
そして、出発一日前。
朝から雨が降っていて、出発前日なのにイヤなカンジだった。
こんな日に限って早起きしてしまう自分が悲しい。
あたしは、いつも通りに起きて、いつも通りに身支度して、
いつも通りにだらだらとしていた。
こんな日々も、アメリカに行ってしまったら、もう過ごせないかも知れない。
…ふぅ。考え過ぎかな。
あたしは、何だかムショーに寂しくなって、ケータイを取り出した。
みんなにメールを打つ。
『ゴッメーン!今日は、試合なんだよね。遅いんだ、帰り』
ひとみ、×。
『今日は、お出かけするの。ゴメンね』
梨華、×。
『今日〜?デートだしぃ』
マリちゃん、×。
ミキティも、高橋も、松浦もみんな予定入り。
ハァァァ〜〜〜…。
なんか、取り残された気分。
いいや、寝る。プン。
・
・
・
ぐぅzzzzz
- 343 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)20時59分54秒
目が覚めると、夜になっていた。
今、何時?と思ってケータイを開くと、午後八時。
残念ながら、不在着信も、メールもない。
…チッ。
んだよー。明日出発なのにさぁ。
みんなして、予定入ってるんだもんなぁ。
仕方ない、暇つぶしにアルバムでも見るか…。
赤い、あたしのアルバム。
その一枚目には、幼い頃のあたしと亜依が写っている。
何故だか、いつもそれを見ると悲しくなっていたあの頃。
でも、今は違う。
子供の頃ばかり思い出して、今を疎むようなコトは、
いつしかなくなっていた。
あたしは、今を生きてるんだ。
この夏休みの間で、あたしは、そうやって思えるようになったんだな。
なんとなく、今気付いたんだけどさ。
- 344 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時00分25秒
たくさんの思い出が、詰まっていた。
ひとみに泣かされる梨華と、それを見て笑ってるあたし。
町内のカラオケ大会でのマリちゃんとあたし。
紗耶ちゃんに勉強を教えてもらってるあたし。
バレーボールを抱えるひとみとあたし。
そして…。
笑顔で笑ってる、あたしと亜依。
みんなみんな、あたしの思い出たち。
そうだよ、亜依。
離れてたって、大丈夫だって、何で気付かなかったんだろう。
こんなに思い出があるんだよ。
……。
思い出、かぁ。
………。
- 345 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時03分33秒
あたしがぼんやりとしながら、アルバムを閉じようとした時。
ケータイが、連続でブルルルルと鳴った。
バイブにしてたせいなんだけど、それが一件、二件のメールじゃない。
約2〜3分ほど、ケータイはブルブルと震え続けていた。
「な、なんだよ…」
新種のウイルスか何かかと思い、おそるおそるケータイを手に取る。
そして、メールを開いた。
メール受信数、10件。
20:03 小川『先輩!アメリカ行っても、頑張って下さい!小川のコト、忘れないで下さいね!』
20:03 松浦『せんぱ〜いvvv あややのコト、忘れないで下さいNe☆』
20:03 高橋『せんぱーい!!ファイトです〜〜』
20:03 ミキティ『ごっちん!アメリカでも、頑張ってね!』
20:04 ひとみ『目指せ!!ダンシングクイーン。』
20:04 リカ『辛くなったら、ポジティブポジティブ!真希ちゃん、Fight!』
20:04 マリちゃん『Americaとか、チョ→カッコE!おみやげ、世露死苦ゥ☆』
20:04 のの『アメリカでは、ハンバーガーを食べたいです。』
20:04 飯田さん『後藤!圭ちゃんに負けないように、頑張ってね!』
20:04 保田さん『明日、遅れるなよ』
- 346 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時04分13秒
こ、これは…。
頭が真っ白になった。
そんでもって、自分の中で何かが込み上げてくる。
な、なんだよ〜〜。みんなして…。
くだらなくって、笑えるよ…。ったく…。
なんか、涙止まらないよォ…。
バカだなぁ…。みんなしてさぁ…。
こんな…。
ブルルル…。
最後にもう一回、ケータイが鳴った。
すぐに、わかった。
誰からか。
20:05 亜依
『真希ちゃん。今は、何も言わないよ。
でも、亜依は、真希ちゃんのコト、めっちゃ2応援してるからネ!
頑張ってネ!笑顔を大切にネ!!!』
「うん…。うん、わかってるよ…。わかってる…」
あたしは、震える手で、ケータイのボタンを押した。
『今から、行く。外で待ってて』
そう送ると、あたしは部屋を出た。
- 347 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時06分12秒
「ユウキ。あんた、原付持ってるよね。アレ、ちょっと借りるね」
あたしは、珍しく家に居た弟の部屋の戸から顔を出し、
返事を聞く前に、玄関に置いてあった原付オートバイのカギを握った。
…ユウキが、「ねーちゃん免許持ってるのかよ!!」とか叫んでたのは、
聞こえなかったというコトで…。
大丈夫、こう見えても、何回か無免で乗ったから!!
姉ちゃんのヤンキー時代に、後ろに乗ったりもしてたし!!
あたしは、実は慣れた手つきで原付のキーを回し、門から飛び出した。
「バ、バイク…」
「おっし、亜依。後ろ乗れ」
あたしは、家の前であたしを待っていた亜依を拾うと、
予備用のヘルメットを被せて、後ろに乗せた。
「だ、大丈夫なの…?」
「任せろ。飛ばすから、しっかり捕まってろよぉ〜〜」
あたしは、思いっきりハンドルを回した。
雨は止んでいる。
これなら、行ける。
向かう先は、海。
よーし、飛ばすぞー!!
あたしは、風を切って走るバイクのスピードを、更に早めた。
気持ちいいーーーー!!!!!
- 348 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時08分31秒
途中、何度か車とぶつかりそうになったけれど、
どうにか無事に、海に辿り着いた。
ま、チャリでもこれる距離だから、そんなに走ってもいないけど。
「…ムチャクチャ、しすぎだよ…」
亜依が、ヘルメットを外しながら言う。
その顔色は、ちょっと悪い。
うーん。後ろに乗ってると、やっぱり違うみたいね。
あたしは、至って気分爽快なんですけど。
原付を止めると、ヘルメットをハンドルに掛け、
テキトーにその辺を、二人で歩いた。
夜の海だというのに、今日は人っ子一人いない。
カップルとか居ても、良さそうなのにねぇ。
あたしは、砂浜にどっこらしょ、と、服が汚れるのも気にせずに座り込んだ。
亜依もそれにつられて、かかとを地面につけたまま、しゃがみ込む。
あたしの右側に。
「……アレ。メール」
「……うん」
「どーしたの?みんなしてさ」
「…うん。亜依が、みんなに頼んだ」
「……あ、そう」
- 349 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時10分33秒
・・・・・・・・・・・・・・・・。
沈黙が、二人を包む。
どうもまだ、ぎこちないなぁ。
そりゃそうだ。
まだ、仲直りしてないんだもんね。
あたしは、右半身にちょっと神経を集中させた。
何、緊張してんだよ、真希。
言いたいコト、言うつもりでここに連れて来たんだろー!?
…別に、ここに来たかったワケでもないけどさ。
とにかく、亜依にちゃんと、謝りたくて。
話が、したかった。
「…あのね」
あたしは、緊張した右半身に気を遣いながら、口を開く。
亜依も、あたしから視線を逸らして、あたしの顔を見つめていた。
「あたしね。ダンス、好き」
いきなり突拍子もない言葉だなぁ、とは我ながら思った。
けど、何か、自然と言葉が出てきた。
「でも、亜依のコトも好き」
「……それが、どしたの?」
「…うーんっと。好きって、ヘンな意味じゃないよ」
「わかってるよ」
「あ、そう?」
あたしは、左の後頭部を、ポリポリと掻いた。
- 350 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時12分27秒
うう、やっぱ緊張してるよぉ…。
自分でも、何言ってるか解らないくらいに、頭が真っ白。
ヘンな気分。
でも、言わなきゃ。
ちゃんと、言うって決めたんだ。
「あのね、亜依。真剣に聞いて欲しいんだけど」
「…うん…」
「あたしね。
夢を、諦めたくなかった」
「………」
亜依は何も喋らない。
何も、答えない。
けれど、あたしは続けた。
「ダンスしててね、解った。あたしはダンスが好き。
今の生活を壊してもいいくらい、ダンスが好きだった」
「………」
「でも、それは間違ってた」
「……どういうコト?」
「わかんない」
「……ダメじゃん」
「アハッ」
笑ってごまかした。
「ま、とにかく。あたしは、ダンスがしたいのです」
「…そうですか」
お、こりゃあ素直な反応。意外。
あたしがおどけながらそう言うと、亜依は膨れっ面をしている。
けれど、その目は、この間とはちょっと違った。
笑ってる。
- 351 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時13分14秒
「真希ちゃん、あのね」
「…ん?」
「亜依ね。思ったの」
「…うん?」
「夢を、諦めないで」
「…あ?」
「だってね。真希ちゃん…」
亜依は一瞬下を向き、言葉を詰まらせた。
けれど、んん、と咳払いを一回してから、
ついにあたしと視線を合わせて言った。
「真希ちゃん、自分の好きなコトしてる時、目が違うんだもん…」
「ぬぇ?そ、そうかな?」
「うん。キラキラしてる」
そ、そーなんだ…。気付かなかった、自分では。
「だからね…」
亜依は立ちあがった。
遠くの夜空を見上げながら。
力強く、言った。
「…だからね、夢を、諦めないでね」
- 352 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時13分45秒
亜依はそう言うと、勢いよく、あたしの方に飛び込んできた。
ガバッ、と、あたしに負いかぶさり、
あたしは体勢を崩して、砂浜に仰向けに寝転んだ。
「な、なんだよ〜」
「…真希ちゃん、ダイスキだよ。離れてても、妹だよ」
「バッ…。恥ずかしいよ…」
あたしは、その小さな頭を抱きしめた。
そして、恥ずかしいけれど、耳元で囁いた。
「あたしも、ダイスキだよ」
見上げた夜空には、星が輝いていた───。
- 353 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時14分17秒
* * * * *
- 354 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時14分47秒
【エピローグ〜真希〜】
8月23日。
あたしは、保田さんと二人で空港に居る。
今ごろきっと、みんな、あたしの乗る飛行機を見上げているんだろうな。
…みんな、あたし、行って来るよ。
夢を諦めない。
きっと、きっと、すっげーダンサーになって、戻って来るから。
それまでみんな、忘れるな!!
「さ、行くわよ」
保田さんが、あたしの手を引く。
「ハイ」
あたしも、その手につられ、ゲートを進んで行った。
飛行機は離陸し、空へ舞うだろう。
一度戻って来るとは言え、これがあたしの旅立ちになる。
さようなら、みんな。
さようなら、日本。
さようなら…。亜依…。
・・・・・・。
───END───
- 355 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時15分44秒
* * * * *
- 356 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時17分30秒
【エピローグ〜亜依〜】
同じ頃、空港では、亜依たちが、真希の乗った飛行機を見上げていた。
「…真希ちゃん、行っちゃったんだね」
亜依が、寂しげな表情で、ポツリと呟く。
それを耳にした希美が、亜依の頭をポンポン、と撫でた。
「のの…」
「あいぼん、真希ちゃんは、自分の夢を叶えに行ったんだよ」
「わかってるよォ…。もう、泣かないって決めたんだもん」
亜依は、涙に滲んだ瞳を両手でぬぐうと、
飛行機が見えなくなるまで、空を見上げた。
「遠くなってくね〜…」
能天気な声で、梨華が呟く。
昨日は彼女も泣き明かしたのだろうか、目が真っ赤になっている。
「でもまぁ、一回はすぐ帰って来るんだろ?待っててやろうよ」
ひとみが、そんな彼女たちを励ました。
みんな、その言葉に頷いた。
「じゃ、今日はひとみのおごりでカラオケねぇ〜♪」
ひょうきんなマリが、盛り上げようと、声を張り上げる。
いつも元気な彼女のコトだ。
自分は寂しくても、他の者をしんみりムードにさせたままになど、しない。
- 357 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時19分24秒
「なんだよ、マリちゃん。アタシ、金ないってば〜」
ひとみが、自分より20cmも低いマリの頭をポンポンと叩いた。
「さーて、夏休みも後ちょこっとだよ〜!!みんな、元気出して行こうぜー!」
「おーー!」
ひとみ、梨華、希美が腕を上げてそれに賛成した。
…が、やはり亜依だけは沈んだ表情のままだ。
「亜依。ガンバろ、ね?」
「そーだよ亜依ちゃん!真希ちゃんだって、そんな顔見せたら、怒っちゃうかもよ!」
「あいぼん…」
みんなが口々に、亜依を励ます。
亜依は、もう一度両手で涙とぬぐうと、大きく笑顔で頷いた。
(真希ちゃん…。亜依、頑張るよ!頑張るからね!!)
亜依は、今度こそ本当に笑顔で、真希の旅立った空を見上げた。
- 358 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時19分54秒
「さ、行こうかぁ〜。ひぃふぅみぃ…。ひとみ、五人分のカラオケ代ねぇ」
「だっからぁ。金ないってば」
「五人分くらい、どーにかなるでしょ?」
「ならねーっつーの!!」
「ねー。あたしの分は、おごってくれないのー?」
後ろで、聞き覚えのある声がした。
「ハ?」
「え?」
「うそっ?」
「なんで?」
「……???」
『なんで、お前がここにいるんじゃ〜!!!!!!!!』
- 359 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時20分28秒
【真・エピローグ】
あーあー。みんな驚いちゃってるねー…。
そりゃそうか。
今旅立ったハズの人間が、目の前にいるんだもんねー。
あーあー。
みんなして、バカ面しないでよぉ。
口、開きっぱなしだよ、みんな。
「ねぇ、なんで、いるの!!!??」
「真希ちゃん…」
あたしは、重い旅行用のトランクを引きずりながら、
みんなに近づいた。
ま、最も、みんなの方が近寄って来たんだけど。
- 360 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時21分20秒
「いやぁ、飛行機に乗り遅れちゃってさぁ…」
「ハ?」
「え?」
「バ、バカ…」
「アホれすね」
「……???????」
「つーことで、もーしばらく、日本に居ます」
あたしは、後頭部をぽりぽりと掻きながら、
へらへらと笑いながら言った。
「………呆れた」
「バッカみたい…」
「かえろかえろー」
「時間の無駄でした」
「……私の流した涙って……」
「あれ〜?ちょっとー!!
みんな、何で〜?どこ行くの〜!?ねぇ〜!!!
シカトしないでよー!ねぇ〜!!!
ねぇってばぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」
- 361 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時22分04秒
「真希ちゃん」
亜依が、振り返った。
「何も聞かないよ。全部わかってるよ」
亜依が、笑顔で手を差し出す。
あたしはそれを見て、笑顔を返した。
「おう」
あたしはニッコリ笑って亜依の隣へと歩き、
そして、その手を握った。
アレも夢ならコレも夢。
こっちの夢を大事にするのも、間違いじゃないよね?
いつまでも、一緒にいるよ。
ねえ、みんな。
───END───
- 362 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時22分52秒
* * * * *
- 363 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時23分24秒
* * * * *
- 364 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時23分56秒
* * * * *
- 365 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時24分26秒
【エピローグのエピローグ〜これで終わり〜】
「ホンットに、バカよねぇ…」
飛行機の中、保田圭は、キャンセルになったチケットを一枚、握り締めていた。
「ギリギリで、ドタキャンとはね」
保田は呆れていたが、結局こうなるコトは予測していた。
「まったく…。まだまだ子供よね」
「ま、今の生活をやっぱり壊したくないってなら、
それもまたいいわ…。
後藤、もーちょっとオトナになってから、こっちに来なさいね」
保田は、後藤に貰ったプリクラを眺めながら、
いつものあの薄笑いを浮かべていたのだった───。
- 366 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時25分57秒
夢を諦めない、全ての人たちへ
FIN.
- 367 名前:I WISH@ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時26分30秒
あとがき。
短編のつもりが、いつのまにこんなにだらだらと…。
でも、書けて楽しかったです。
自分は「I WISH」という歌が大好きであり、
ごっちんの卒業特番で見た「I WISH」が印象的でした。
それも、つい最近みた「I WISH」の完全版PVでは、
「夢」というのをテーマにしていて、嬉しく思ったりもしました(w
自分自身、「ごまかご」というCPがとてもお気に入りで、
いつか小説にして書きたいと思っていたので、本当に書けて良かったです。
なんかこう、ぐだぐだと意味のない話ではありますが、
読んでくださった方、とても感謝です。
これからもどこかで小説を書くと思いますが、
そん時はまた、読んでくださいね☆
ありがとうございました。
- 368 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時27分23秒
- サブタイトルのないこの作品ですが、簡単に目次などを
つくってみました。活用していただけると、ありがたいです。
- 369 名前:やっぱりごまかご 投稿日:2002年12月17日(火)21時29分00秒
- 。・゚・(ノД`)・゚・。 ハッピーエンドでよかった。
- 370 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月17日(火)21時44分23秒
- この後の番外編がみたいなぁ〜ってね
作者さんごくろさんでした。楽しかったですよ
- 371 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時45分10秒
「I WISH」目次。
プロローグ・・・・・・・・・・・・>>2
いつもの日々・・・・・・・・・>>15
おさななじみ・・・・・・・・・・>>36
とまどい・・・・・・・・・・・・・>>56
妹・・・・・・・・・・・・・・・・・>>94
ダンスチーム結成!・・・・・>>130
たいせつなひと・・・・・・・・・>>181
守るべきもの・・・・・・・・・・>>223
めっちゃホリディ・・・・・・・・・>>248
約束・・・・・・・・・・・・・・・・>>274
決意・・・・・・・・・・・・・・・・>>283
すれ違い・・・・・・・・・・・・・>>300
- 372 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時45分51秒
サヨナラ・・・・・・・・・・・・・・>>317
笑顔を大切に・・・・・・・・・>>340
真希・・・・・・・・・・・・・・・・>>354
亜依・・・・・・・・・・・・・・・・>>356
真・エピローグ・・・・・・・・・・>>359
そして・・・・・・・・・・・・・・・・>>365
あとがき・・・・・・・・・・・・・・>>367
- 373 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月17日(火)21時48分06秒
- >>369さん。
即レスありがとうございます〜。
自分なりに、色々考えましたが、やっぱりハッピーエンドじゃないと…と思いまして。
こんな終わり方かよ!と思われる方もいるやも知れませんが、
自分的には大満足ですです。
>>370さん。
読んでいただいて、ありがとうございます。
番外編…ですかぁ。実は構想が…(!?)
期待して待っててくださいね〜。
って、こんな発言しちゃっていいんだろうか…。
- 374 名前:川o・-・)ノ完璧 投稿日:2002年12月17日(火)22時44分27秒
- よかったです
感動しました
簡単な言葉だけど本当にいい作品に出会えたことを嬉しく思います
- 375 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月17日(火)23時11分14秒
- ごっつぁむタン、お疲れ。
ごっつぁむタンの書いた作品は全部リアルで読んできたけど、
どれもこれもマターリとした作品で、大好きです。
この作品も、"ごまかご"という未開拓的な要素があるCPだったけれど、
巧くまとまっていて、萌え所や感動の場面もあって、
素敵な作品になって良かったと思います。
番外編、期待してます。
- 376 名前:ちゃぁみぃ後藤 投稿日:2002年12月18日(水)02時23分07秒
- 更新おつかれッス
萌え萌えだったよ
番外編、是非ともキボンヌ!
- 377 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月18日(水)05時33分53秒
- ごっつぁむ(敬称略)乙彼ですた。
いつのまにやら3ヶ月もたってたんだね。
いやぁ〜しかし、こりゃぁ大作になりましたな。
「ごまかご界に金字塔を打ち立てた」みたいな?
またいつかごっつぁむの作品に出会えたらえ〜な〜。
- 378 名前:( ´ Д `)!きっと大丈夫! 投稿日:2002年12月18日(水)05時41分14秒
- ごっつぁむさん、更新お疲れ様でした。
何とか、終わる前にレスも頂けたようで、嬉しく思います。
最後のシーンは、「おぉ、そう来るか・・・」とは思いましたが、
やはり、「これこそこの作品のラストにふさわしい」とも思いました。
まったり、非恋愛な感じで、のほほんとした文章がとても好きです。
これからも、小説を書き続けて下さい。
そして、頑張って下さい。
お疲れ様でした。
- 379 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月18日(水)16時08分01秒
- ほんまにええ話や
お疲れさん
- 380 名前:名無しバッカーズ 投稿日:2002年12月18日(水)20時58分14秒
- もう、すばらしすぎて何も言えないです。(泣)
マジで感動しました・・・。
凄い人と同じ板で書いてて、凄い嬉しいです。
お疲れさまでした。
- 381 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月19日(木)00時23分39秒
- うあぁぁぁ〜…いっぱいレス貰ってるぅ(嬉
と、いうことでレス返しをば。
川o・-・)ノ完璧さん>
ありがとーございます!感動したと言ってもらえると嬉しいです。
>>375さん
本当にありがとうございます。
番外編、頑張って書きますね。…ってもう、書くこと決定かよ!(爆
ちゃぁみぃ後藤さん>
毎回、レスありがとうございました。
励みになりました。
- 382 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月19日(木)00時28分29秒
- >>377さん
ありがとうございますぅ〜〜。気軽に呼び捨てでも何でもOKです(w
これからもごまかご書きつづけたいッス。
( ´ Д `)!きっと大丈夫!さん>
ありがとうございます〜。
小説はこれからも書き続けます。同じような作品ばっかりだ…
と言われないように、頑張ります〜。
>>379さん
ありがとーございます。
良い話かどうかは、微妙なとこですが(爆
名無しバッカーズさん>
おお!読んでますよ〜。
実は、名無しでレスした事もあります(w
お互いに、頑張りましょうね〜。
- 383 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月19日(木)00時29分30秒
- …ということで、番外編、今書いてます。
乞うご期待〜。
- 384 名前:名無しバッカーズ 投稿日:2002年12月19日(木)13時27分37秒
- マ ジ で す か 〜 !
レスもらったなんて・・光栄です!あなた様のような人気作家にレスしてもらえるとは・・・。
川o・-・)ノ<完ぺ・・じゃなかった最高です!
( ´ Д `)<番外編期待・・・
- 385 名前:boiya- 投稿日:2002年12月21日(土)11時30分16秒
- この小説はすばらしかった。感動した。感動をありがとう。
ってな感じでした。とても楽しかったですよ〜
番外編待ってます
- 386 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月22日(日)02時28分57秒
- 番外編、期待してるよ
- 387 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月23日(月)17時08分32秒
- ごっちゃん、短編書いてないんだね。
ごまかご二作あったから、どっちかかと思ったんだけど・・・
- 388 名前:ちゃぁみ後藤 投稿日:2002年12月24日(火)03時43分05秒
- ごっつぁむじゃなかったんだ、短編ごまかご
- 389 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月27日(金)06時02分49秒
- 短編期待age
- 390 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月30日(月)11時58分26秒
- 期待
- 391 名前:ごっつぁむ 投稿日:2002年12月31日(火)20時36分22秒
- どもどもー。みなさん姿くらましてすんまそんw
紅白見ながらカキコ。
年内のうちに番外編書き上げるつもりだったんですけど、
冬休みの方が忙しい罠。・゚・(ノД`)・゚・。
もう少しお待ちをー。
>>387、388
短編集の方はノータッチです。投稿も投票も、読んですらいません(爆
ごまかごあったらしいですけど、実は読んでません(爆
ではではみなさま、よいお年を〜
- 392 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月05日(日)02時23分29秒
- ごっつぁむハケーン!
元旦から、あいぼんの
「あけおめことよろ」
攻撃に萌え死にますた。
でもゴチーソがいない罠。・゚・(ノД`)・゚・。
- 393 名前:ごっつぁむ 投稿日:2003年01月05日(日)10時16分41秒
- 再びごっつぁむ登場w
ハロコン逝ってきました。初の最前列!!!!
ごっちん、あいぼん両名ともに微笑んで(←カンチガイ)くれました。
いや、でも、ヲタ臭い格好はしてないので、引かれてはいないはず(爆
あと、マコが何度も手振ってくれた。サンクス。
それから、カン娘のまいちゃんも。
あー、このコ好きだったんだよ、前からーw
…ということで、番外編もーすぐ書き終えますw
- 394 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月05日(日)14時05分10秒
- お〜〜〜
いいな、最前列!
番外編も早いとこ、期待してるから(w
- 395 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時23分19秒
I WISH-smile again.-
- 396 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時23分51秒
一人の少女が、少しだけ変わった季節。
それからいくつかの季節が流れ、
あの夏の日々が思い出の中のものになった頃。
「いや〜ん、遅れちゃう!」
ギリギリまでベッドでうたた寝してしまったせいか。
それとも、昨日きちんとコーディネートを考えておかなかったせい?
はたまた、お風呂に浸かりすぎてたせいか。
絶対にいつもは遅刻しない梨華が、珍しくドタバタしている。
髪はまだ半乾きでバサバサだし、メイクもまだ。
とりあえず、おととい新調したばかりの、ピンク色のワンピースを着て行くコトだけ決めた。
約束の時間まで、後三十分。
これはまずい…。
「あ〜ん…」
甲高いその声をさらに張り上げて、部屋と洗面所を行ったり来たりしていた。
梨華の可愛らしく女の子らしい部屋に貼られたカレンダー。
これまた可愛らしく、花柄のフチで模ったカレンダーに、
ピンク色のマーカーで丸印がつけられていた。
『見送り』と。
- 397 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時24分52秒
* * * * *
- 398 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時25分54秒
「珍しいじゃん、梨華が遅刻なんてさ」
「ゴメンネ〜」
梨華を出迎えたのは、あれから、また少しだけ背が伸びたひとみだ。
最近は、以前よりは女性らしさがでてきた。
前は化粧もロクにしなかったのに、ほんのりとファンデーションを塗ったりしている。
服の趣味も、前はラフな格好ばかりだったのが、
シックだけれど、女性的な服も好んで着るようになった。
…スカートは相変わらず苦手だが。
いつもは遅刻ばかりのひとみが、今日は珍しく梨華より早く待ち合わせ場所にいる。
…といっても、梨華とひとみの家は二軒挟んで隣同士なので、
待ち合わせというほどでもないのだが。
「お。そのワンピース。カワイイじゃん」
「えっ…?」
思わず、梨華は声のトーンを上げてしまった。
- 399 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時27分00秒
(カワイイ…って…)
顔中真っ赤にして、恥ずかしがっている。
そんな梨華を見て、ひとみも爽やかに「アハハハ」と笑った。
この二人の関係も、付かず離れずいい感じのようだ。
ま、最も二人とも未だに自分の理想の男性像に出会えないだけで、
お互いにそれが恋心でない事はもちろん気づいているけれど。
それでも、ラブラブカップルのように熱々な光景だった。
梨華にとって、一番信頼のできる、理想の相手。
ひとみにとって、一番憧れる、理想の相手。
それだけの関係だった。
「あれから、もう1年半かぁ。早いねぇ」
「ん。そーだね」
「何、ひとみちゃん。興味なさそう…」
「ん?別にンなコトないけどさ」
ひとみがポリポリと、頭を掻いたその時。
- 400 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時27分32秒
プップー…というクラクションが二回ほど鳴った。
目を向けると、向こうから青いスポーツカーがノロノロと走って来る。
そして、二人の前で止まると、ウィンドゥがジジジーと開いた。
「おまたせ」
「やっほ〜。待ったぁ?」
中から顔を出したのは、紗耶香と真里だった。
「紗耶ちゃん、このスポーツカー…やっぱどうかと思う」
後部席に乗るなり、ひとみが口を開く。
「うん?何か文句あんなら、降りるか?」
売り言葉に買い言葉。
自慢の愛車をバカにされた紗耶香の、軽いアメリカンジョーク(本人はそう思ってる)。
「…別にないけどさぁ。イマドキ、青いスポーツカーなんて流行らないって」
ひとみがため息混じりに呟いた。
「あたし、流行に疎いかんねぇ。向こう暮らしが長かったし」
「キャハハ、出た出た!!紗耶香はすぐそれだぁ」
高校を卒業してから、短大に入った真里。
相変わらず遊び癖は抜けてないけれど、当時よりは落ちついた趣がある。
髪の色も、今は黒い。今は。
短大で勉強するよりも、実は芸能界デビューを果たすのに熱を入れているようだが…。
さて、世の中そこまで甘いものか。
- 401 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時28分22秒
一方の紗耶香は、ついこの間帰国したばかりだ。
高一でアメリカに留学してから、向こうの日本人学校を卒業したのが三月。
それからあちらの大学に入学したのはいいのだが、気まぐれで日本に帰ってきた。
紗耶香というのはそういう女だ。
今は、真里と同じ短大に編入して通っている。
そこも、いつ辞めるのかは解らないけれど。
辞めるかもしれないし、辞めないかもしれない。
それは、本人にもわからない。
「しっかし、入れ替わりでアメリカとはねぇ」
「ん〜?でも、前からあの話はあったじゃん。
あの時は、飛行機に乗り遅れたとか言ってたけど」
真里がそう言うと、当時は話でしか聞いていなかった紗耶香が、
ポツリとつぶやいた。
「どーせ、ギリギリで恋しくなったんでしょー?」
鋭い。実に鋭い。
「キャハハ、そりゃないっしょぉ」
紗耶香がどんだけ鋭いのかは、真里の発言がそれを明確にしていたのだった。
- 402 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時28分53秒
青いスポーツカーはゴーゴーと走り、途中で希美の家の前に止まった。
「おまたせ、ののちゃん」
「あ、さやちゃん。こんちわです」
「あら〜、ののちゃん、今日はオシャレしてるのねッ」
最近、とても大人っぽくなった希美。
四月からは、高二になる。
それはそのはず、大人にもなるものだ。
以前のような、舌足らずな喋り方も随分治って、身長も結構高くなった。
中学の頃は真里と並んでいたけれど、今では見下ろすくらいの高さだ。
「亜依ちゃんから、何か聞いてない?」
「…ん、何も」
「そう…」
その名前が出た途端、皆の表情が曇った。
特に希美は、複雑な顔をしていた。
- 403 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時29分53秒
亜依は、もうすぐ高二になる。
結局、希美と一緒に、真希と同じ高校に進学して、ダンス部に入部した。
臨時ダンス部の時に仲の良かった、小川麻琴と一緒に。
ダンス部は、真希や、部長の藤本らの活躍もあって、
着実に部員を増やしていた。
今では、高橋愛が部長を務め、立派にダンス部をまとめている。
一番の問題児は、副部長の松浦亜弥だったけれど。
まぁ、とにかく亜依はそれなりに楽しい高校生活を送っていたわけだが。
亜依が今この場にいないのは、
やはり真希がアメリカにいる事に関連した事であった…。
「さて、沈んでても仕方ないね。曲でもかけようか?」
“お姉さん”紗耶香が、みんなの気を使って、お気に入りのMDを取り出した。
「おっ、いいねぇ」
ひとみも無理矢理、場を盛り上げるように調子に乗る。
「そーだね。沈んでても仕方ないもんねー」
「うん。ポジティブ!」
そういうと、みんな無理してテンションを上げるのに必死になったが、
ただ沈んでいるよりは気分が晴れる。
紗耶香のかけたMDが、『♪青いスポーツカーも…』と歌っていた。
- 404 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時30分24秒
* * * * *
- 405 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時31分14秒
空港にて。
五人と対面した、少女二人。
これが、しばらくの間の別れの場面だろう。
ところが、実にあっさりしていた。
「あれー。みんな、来たんだぁ?」
「なーにすっ呆けたコト言ってんの、アンタは」
自分の見送りに来た幼なじみたちに対して、
さらっと言いのけたのは、もちろん真希だ。
実は、すでに別れは済ませていたので、空港まで来ると思っていなかった。
梨華たちも内緒にしていたのだが。
「今度は、乗り遅れないでよねー」
「大丈夫きっと大丈夫ー」
「何それ」
「アハハハハハ」
朗らかな光景の、真希たち。
だけど、それとは明らかに雰囲気の違う少女が二人居た。
- 406 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時31分46秒
「あいぼん…」
「のの…」
遠くから、他の五人を見つめる二人。
どこか、寂しげなその表情。
「元気出して、ね?」
希美が亜依の肩に、ポンポンと手を置いた。
亜依もそれに無言で頷いて、肩に置かれた手を握った。
「寂しくなんか、ないよ」
「あいぼん…」
希美が、亜依を慰めようと言葉を詰まらせた時。
- 407 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時32分20秒
「あ、時間になっちゃう」
真希の声が聞こえた。
その言葉で、全員の顔が、少しだけまた沈んだ。
けれど、晴れ晴れしいその姿を見て、すぐに晴れた。
「がんばれよ」
「乗り遅れちゃダメだよ?」
「キャハハハ!保田さんにヨロシクねぇ〜」
「英語の勉強、ちゃんとしなよね」
それぞれに別れの言葉をかけると、真希は頷いた。
とびっきりの笑顔で。
「うん!後藤真希、行ってきやす!!」
真希は「敬礼!」のポーズを決めた。
そして、少し離れた所にいる亜依と希美を見た。
「のの、元気でね?」
「うん。真希ちゃんもお元気で」
希美が握手を求めると、真希はその手を握った。
その温もりが、とても温かかった。
そして…。
- 408 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時33分10秒
「亜依……」
「真希ちゃん…」
真希は、亜依の瞳を見つめた。
亜依も、真希の瞳を見つめる。
そして、お互いに頷くと、
手を差し出し合った。
真希の手に、亜依の手の温もりが伝わる。
亜依の手には、真希の手の温もりが伝わった。
「うぅっ…」
亜依が、涙をこらえようとして、声を詰まらせる。
それを見た真希は、とても優しい笑顔を向けて、
亜依に言った。
「亜依。大丈夫だよ、またすぐ会えるから。ね?」
「うん…」
亜依は、涙を一滴も零さないに注意しながら、
深く頷いた。
「じゃあ…」
真希がそう言うと、皆がそれぞれに軽く手を振った。
そして、亜依は───。
- 409 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時33分41秒
「じゃ、行こうか」
「うん」
真希の手と、亜依の手は握られたままだ。
え?どういうこと?
感動の別れのシーンじゃないの?
「あいぼん、向こうでも頑張ってね?」
「もちろん!!真希ちゃんがいるし、大丈夫だよ!」
「うん…。頑張ってね、ダンス…」
亜依と希美は固く握手を交わすと、
真希がそれを見届け、ニコニコと笑顔のままだ。
そして、真希と亜依は、二人で手を握ったまま空港のエスカレーターへ消えていった。
つまりは、そういうコトだった───。
- 410 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時34分12秒
「真希ちゃん一人で行かせるなんて、心配だもんね」
「よく言うよ。保田さんに“連れてってくれ”って、何度も泣き喚いたくせに」
「ふ〜んだ。でも、保田さんのテストに受かったからいいんだもんだ」
「あっそー」
「あー。すっごいテキトーな返事したぁ!!」
「してませんよー。まったく、いつまで経ってもガキなんだからさぁ」
「真希ちゃんに言われたくありません〜。もう高校卒業したくせに」
「卒業したから、これから大人になるんだもーん」
「亜依の方が大人だもんねー」
「違います」
「違いません」
「ありえません」
「ありえます」
「サンタはいるね」
「絶対おらへん」
・
・
・
つまりは、そういうコトだった。
- 411 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時34分58秒
「亜依さん、アメリカでの目標は?」
「そうでっすねぇ。笑顔は、大切にしたいですねぇ」
「ふーん」
「誰のためか、わかる?」
「う〜ん…愛するあたしのためにかな」
- 412 名前:番外編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時35分28秒
「I WISH」END。
- 413 名前:なっちとこんこん 投稿日:2003年01月08日(水)06時39分07秒
(●´ー`●)<ずいぶん久々だべ。作者、なめてんのか?オラ?
川o・-・)ノ<安倍さん、そんな発言は困りますよ。
(●´ー`●)<やっと終わったって感じだべさ。
川o・-・)ノ<ええ、終わりました。唯一、私たちの出番はなかったですけどね。
(●´ー`●)<困ったもんだべ。
川o・-・)ノ<しかし!安心してください!!朗報がありますよ。
(●´ー`●)<なんだべ?
川o・-・)ノ<秘密です。
(●´ー`●)<何だべ…まったく…。
川o・-・)ノ<詳細は作者あとがきにて!!
- 414 名前:ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時43分42秒
- ということで、遅くなりましたが番外編うpりました。
(以下、ネタバレ注意。
読んでしまった場合、責任はとりませんw)
えっと、番外編ですが、珍しく気に入ってます。
多分、「そういうオチかー!!」って騙された人もいるかとw
そして、きちんと歌の歌詞通りに終わらせてるんですよね〜♪
実は、この本当のラストは、最初から予定されてましたw
でも、本編を終わらせる目途が立たなかったんで、番外編という形になりました。
実は、いしよし的な番外編とか、ミキティ(娘加入おめ。。。複雑だが)たちが活躍する話も
考えてはいたんですが、やっぱごまかごかな、とw
とりあえず、これ以上番外編も書きはしないと思いまするw
以上ネタバレ終了。
次レスに続く。
- 415 名前:ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時48分04秒
レス隠しのために無駄にレスを使う(を
えっと、とにかく番外編は気に入ってます。
それから、珍しく三人称なんですよね。
色々大変でした。時間もなかったし。
んで、今後の予定ですが。
待ってくれてる人がいるかは微妙なトコなんですが(爆
羊で書いてた時に告知した短編を一本、ここに載せます。
どんな話かはお楽しみに♪w
このスレに書いていいものなのか…。
書きあがってるんで、多分今週中にはうpします。
そして、次回作ですが(読んでくれる人はいるだろうか。。。いや、それでも書く!!)
ごまかごから離れてファンタジーを書きます。
いや、ファンタジーなのかどうかは微妙w
でも、ちょっと今まで書いたお話とは違う感じの話が書きたいですね。
次スレに進む。
- 416 名前:ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時50分14秒
- すっごくムズそうなヨカーンなんですが、めちゃめちゃ書きたいです。
っていうか、小説書くの命みたいな。
めっちゃ楽しくて仕方ないですね。
ガンガン書いてスキル磨いて、「ごっつぁむの作品はいいね」といわれるように精進したいです。
そのためにはまずは書く!!ですね。
ごまかごの小説も書きたいものです。
時間があれば(爆
他にも書きたいCPがたくさんあるんですが。。。
それは、またの機会に。
ではでは、長々と失礼しました。
感想よろしこ(爆
- 417 名前:ごっつぁむ 投稿日:2003年01月08日(水)06時53分58秒
- 余談なんですけど、「ごまかご」って一般的には「かごま」なんですよね…。
でも、個人的なこだわりですw
自分的には「ごまかご」。
- 418 名前:ちゃあみぃ後藤 投稿日:2003年01月08日(水)23時41分04秒
- 番外編キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
またまた泣かせるね・・・
- 419 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月09日(木)03時06分13秒
- 最初から全部読みました。
好きという言葉が出てくるけど同性愛ものでもないというのがよかったです。
この雰囲気は「ごまかご」だからこそなせるものだと思います。
番外編含めて楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます。
- 420 名前:名無し 投稿日:2003年01月09日(木)16時36分26秒
- 本当に大好きな作品でした
番外編含め、お疲れ様でした〜
次回作も絶対読みます!!
- 421 名前:名無しバッカーズ 投稿日:2003年01月09日(木)21時01分33秒
- (0^〜^0)<奪還ゲトー
じゃなかった(w番外編、読ませていたらきました。
( ´D`)<感動なのれす!すんばらしいのれす!
次作も、期待してます。よいですね?よいですね?
- 422 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月10日(金)02時00分15秒
- これで本当に完結ですか。
たくさんの癒し、たくさんの萌え、
ありがとうございました。
そして、おつかれさま。
久しぶりにゴチーソ卒SPの I wish 見よっかな。
ちなみに私も「ごまかご」派です。
- 423 名前:ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時29分36秒
- ということで、そろそろ約束通り(?)短編を載せます。
その前に、レス。
>>ちゃぁみぃ後藤さん
いえいえ。何度もレスありがとうございました〜。
>>419さん
自分的にごまかご=姉妹のような関係と思ってますので。
基本的に恋愛CPものは苦手なんですよね。。。
>>420
はい!次回も期待しててください!!
>>名無しバッカーズさん
毎度レスどーもw
次回作はどこでやるか検討中。。。
でも、長い話だから終わるか心配。
>>422さん
ごまかごはえいきゅーにふめつれす(謎
- 424 名前:短編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時33分32秒
「たいせつなもの。」
- 425 名前:短編@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時35分07秒
「モーニング娘。をこれからも応援して下さい!」
ワァァァァ…。
巻き上がる歓声、止まない「ごっちん」コール。
横浜アリーナに駆けつけたファンたち。
そして、ステージで彼女を送り出すメンバーたち。
「ありがとう!“モーニング娘。”の後藤真希でした!」
後藤は背中を翻すと、中央の階段を駆け下りてステージから去った。
たった、一人で。
9月23日、後藤真希はモーニング娘。を卒業した。
涙に笑顔とでも言うか。
メンバーの全員が、彼女の新たな門出を心から祝った。
ただ一人、加護亜依を除いて。
- 426 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時35分45秒
「あいぼん、元気ないねぇ」
「う〜ん。ごっちんがいなくなってから、ブルー入っちゃってるよね」
顔を合わせて、「ふぅ〜」とため息をつく石川と吉澤の二人。
加入してから今まで、ずーっと加護を見てきた二人だ。
いつも元気なお子様キャラで通ってる加護。
今までは落ち込むことはあっても、テレビに映ればいつもの元気キャラを演じていたのに。
今回ばかりは、少し違った。
楽屋でも一人っきりで端っこに座っていたり、
テレビ収録でも、カメラに映っていない時は笑ってすらいなかった。
「プロ根性がなってない」、と先輩の矢口や保田は叱ったけれど、
今の加護には何を言っても無駄に等しかった。
上の空で、聞いてるのか聞いていないのかも分からない。
保田が声を張り上げて、ようやく「え!?」と驚きの声をあげる始末。
誰にも、どうにもできなかった。
保田や矢口、リーダーの飯田にも、親友の辻にも。
後藤が卒業してから、加護の笑顔はめっきり減った。
- 427 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時37分55秒
「うそつき…」
控え室の端っこ。
ケータイの裏に貼ったプリクラを見ながら、呟く加護。
プリクラには、加護と一緒に映る後藤がいた…。
(あーあ…あの頃が、懐かしいなぁ…)
加護は深くため息をつくと、少しだけあの頃の思い出を振り返った。
言わずと知れているが、後藤は加護の教育係だった。
小学校を卒業ばかりで、礼儀の一つも知らない加護に、
芸能界の礼儀のいろはを教えていたのが、当時14歳の後藤真希だった。
加護にとって後藤は、「モー娘。」に入る前からの憧れの存在。
話をするだけでも嬉しくて、「後藤さん」「後藤さん」と言いながら、
いつもいつも後ろをチョコチョコとつけては、怒られていたっけ。
それから、ずーっと姉のように彼女を慕っていた。
「後藤さん」という呼び方が、「ごっちん」に変わったり、
かつての憧れの存在を、冗談交じりでバカにするようになったけれど。
それもこれも、彼女への「愛慕」だった。
『大切な人』だった。
目を閉じると、あの人の色々な姿が浮かんでくる。
- 428 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時39分08秒
「かごぉ〜」
「かごー、“真希ちゃんです♪”ってやるから、“加護ちゃんです♪”やってちょ」
「かご。歌はいいね。歌を歌うと、気分がよくなるんだ」
「あー。かごォ、あたしのお菓子食べたっしょ」
「だいじょーぶ。泣くよりも、もっと練習しよう。ね」
「今日はうち泊まりおいで、ね」
「かご。ほら、早く早く!!」
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
大好きだった。
先輩であり、姉だった。
一緒にたくさんバカなコトもやった。
一緒に歌った。
一緒にご飯食べた。
レッスンで怒られた時は、一番に慰めてくれた。
ホームシックで泣いた時は、一緒に寝てくれた。
もたもたして遅れても、必ず最後まで待っててくれた。
だから、後藤の卒業を聞いた時は涙が止まらなかった。
- 429 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時40分02秒
多分、今までの人生で一番泣いた。
モー娘に入った時より、レッスンで怒られた時より。
悲しいことがあっても、全部耐えてきたけれど、
今回だけはさすがに耐えきれなかった。
裏切られたとも思った。
「後藤は辞めないから」って言ったのに。
「嘘嫌いだもん」って言ってたのに。
事務所の決めた事だとは知ってても、責めずにはいられなかった。
だけど、本人に問い詰めようとした時に後藤が言った。
「かご。笑えよー。たいせつなもの、忘れないで」
たったそれだけ。
他の言葉は何も言ってくれなかったけど、たったそれだけ。
何もかも見透かされているように、後藤はそう言った。
(笑えないもん…)
そりゃ、確かにステージ上やテレビの前では笑ってみせたけど。
本気で心から、彼女の卒業を喜んだ訳ではなかった。
加護はケータイを乱暴に机に投げつけ、それからポケットにしまうと、
椅子をガタリと倒して立ち上がった。
そして、これまた乱暴にドアを開け閉めして出て行った。
「あっちゃー…こりゃまた、ご機嫌斜めだね」
「矢口さん、あいぼんの前で言ったらダメですからねー」
加護が乱暴に閉めたドアを、矢口と辻が見つめていた。
- 430 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時41分53秒
来週のスケジュールをチェックした加護は、ため息を吐いた。
来週は、「ハロモニ」の収録がある。
…そこには、「番組を卒業できなかった」と称される後藤ももちろん来る。
収録中には、「仲良さそうな姿」を演じてみせたけれど、
実は後藤が卒業してから、一度も普通に喋っていない。
もう、1ヶ月は余裕で過ぎようとしているのに。
だけど加護は、後藤の口から「ごめん」と一言謝るまで、
許す気は毛頭なかった。
もっとも、後藤からそんな言葉が聞けるとは思ってないが。
「ふんだ…。大ッ嫌い」
部屋に貼られた後藤のポスターを、思いっきり殴った。
「バカ…バカぁ〜…」
そのまま、涙をこらえながら走り去って行った。
その様子を見ていた者がいたとも知らずに。
ケータイにメールが入った。
「!!!」
ケータイが鳴るたび、いつも少しだけ期待してしまう。
だけど、すぐに、それを否定してしまう自分がいた。
案の定、後藤からのメールではなかった。
- 431 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時42分25秒
『ヤッホォ→♪あいぼん、元気ィ☆
今度ネェ、あゃゃとミキティと、ごと→san☆でunit組むコトになったYo!
「ごまっとう」(笑)っていうのダ☆応援してNE〜』
メールの送信者は、あややこと松浦亜弥からだった。
「三人祭」のシャッフルユニットで一緒になった松浦とは、
今でもよくメールや電話したりする。
自分の大好きな友達の一人と言っても、過言ではない。
その松浦が、卒業した後藤と…。
加護は、松浦のメールを無視した。
普通のメールだったら返信する気にもなったけれど、
よりによって後藤とのユニットの事が書かれたメールなど…。
もう、何もかも敵になった気がする。
モー娘を卒業したくせに、新ユニットなんて。
ふざけるのもいい加減にしろ。と思った。
卒業したくせに、ユニット…?
(ん?)
そう思った時、とある人物の顔が浮かんだ。
さっきの部屋に、貼ってあったポスター。
三人組のユニットで、真ん中に女性で両脇に男性二人。
そうだ。
何で今まで思い浮かばなかったんだろう。
- 432 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時48分18秒
市井紗耶香。
元モー娘の先輩で、悪いけど今はパッとしないバンドユニットのボーカルをしている。
ショートカットの印象が強い。
それから、後藤の教育係。
ずいぶん昔、後藤がよく「いちーちゃん」って言ってた。
「卒業したくせに、新ユニット」に所属している人。
しかも、後藤の教育係だった人。
……。
加護は一人で大きく頷くと、早速決心した。
相談するなら、彼女…と。
ところが、市井のケータイの番号を加護は知らない。
入ってすぐにいなくなってしまったので、そんなに親しくもないのだ。
もっとも、後藤とは親しいみたいだけど。
他に市井に親しい者といえば…。
オリメンの安倍や飯田だろうか。
あの二人とは、ちょっと話し辛い。
ならば、矢口はどうか?
…矢口はそういうところに鋭いので、きっとバレてしまう。
と、なると。
「保田さんだ!!」
加護はすぐさま、今歩いてきた廊下を引き返した。
ところがどっこい。
保田の所に行く必要はなかった。
- 433 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時48分53秒
「ヤッホ、加護ちゃん。今度はどこ行くの?」
能天気な声が聞こえた。
聞き覚えのある、その声。
まさに今、会う約束を取りつけようと思っていた人物。
「あ、あ、市井さん!?」
目の前に、市井本人が…いた。
驚いた加護だったが、実は市井はさっきからずーっと加護を見ていた。
もちろん、加護は気付いていなかったけれど。
二人は、ロビーのソファに並んで座った。
缶コーヒーと、オレンジジュースの二つの缶を握った市井。
両方とも差し出したが、オレンジジュースをさり気に薦めているようだ。
もちろん、加護がコーヒーを選ぶ事はないとお見通しだった訳だが。
案の定、加護はオレンジジュースを受け取った。
「それで、私に聞きたいコトって?」
「え…あ…」
「ま、言わなくてもわかってるけどね」
「あ、あの…」
「ん?」
喉の奥から絞り出した声に、市井がニヤニヤした顔で反応した。
「あの、市井さんは…」
「うん?」
「市井さん、今日は何でここにいるんですか」
加護の目は、そっぽを向いていた。
その様子を見て、市井はすぐにそれが「嘘」だと気づく。
それは彼女が、何度も“それ”を見てきたからだった。
- 434 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時52分48秒
「アハハ。加護ちゃん。後藤に教わったんだ、それ?」
「え?」
「アハハハハ…こりゃおかしい。ふふふ…」
「??」
笑い飛ばしてばかりの市井に、加護は眉をひそめた。
何か、しただろうか。
(ごっちんに教わった??)
市井は笑いをこらえながら、やはりニヤニヤ目で加護を見た。
加護は、その様子を見て少しだけイヤな感じがしたが。
この人といると、自分の余裕のなさが身にしみて痛い。
市井は笑いを一段落させると、今度は口元だけに笑いを浮かべた。
そして、軽々しく口を開いた。
「じゃあ、質問に答えましょうか?
あんたを心配した、とあるメンバーが私を呼んだのさ」
「とあるメンバー???」
「そう。背の低いギャルッ娘ともうすぐ卒業のサブリーダーが」
「矢口さんと、保田さん───?」
市井は、黙ってうなずくと、加護に気付かれないように、視線を廊下の方に向けた。
市井が視線を向けた瞬間に、ひょこっと出ていた2つの頭が隠れる。
(…影が、見えてるんだよ…)
それを見た市井は、またクスクス笑った。
- 435 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時53分43秒
「本当に、わかってるよ。あの2人は。
あんたのコトも、後藤のコトも、私のコトも」
「え?それって…」
市井の言葉の意味がわからず、加護は何でもいいから、
とにかく食らいつこうとしたのだが、結局その言葉は遮られた。
「おっと。君にはまだわからないコトさ。
わかってたら、後藤の気持ちに気づくコトくらい、簡単だもの」
「あ……」
加護は結局何も言えず終いで、市井だけが一人で喋っていた。
段々、自分が惨めになってくる。
話せば話すほど、自分の無力さが痛い。
苦悩の表情を浮かべていた加護に、市井はあのニヤニヤ笑いで笑って見せた。
そして、加護のお団子頭をポンポンとなでると、
ニヤニヤ笑いを、優しい微笑みに変えて言った。
加護はちょっとだけそれがイヤだったけれど、
そのちょっとの中に、市井の優しさを感じた。
「まあ、私も大人になった今だから言えるのだけどね。
後藤のコトも、きっと私よりあんたの方がよく知ってるだろうよ」
「え?」
「だって、私よりあんたといた時間の方が長いんだからさ」
「あ……」
「後藤から、何教わってきた?」
「え?」
市井が缶コーヒーを、一口だけ口にした。
- 436 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時55分42秒
加護は困った顔でしばらく悩んだ末、
時々詰まりながら答える。
「えっと…挨拶とか…礼儀とか」
加護の答えを聞いて、市井は頭を掻いた。
期待してた答えとそれが違ったから。
どうやら、子供の加護には、ストレートな意味でしか伝わってなかったらしい。
市井は苦笑すると、もう一度加護に言った。
「難しいなら、後藤から教わって一番心に残ってるコト…言ってみ。
それも難しいなら、後藤の好きなところ全部挙げてみな」
「え?…えっと…。
ごっちんは、加護に“笑え”って言った…。
あと、ご飯一緒に食べたし、歌も歌った。泣いたら怒りながら一番そばにいてくれて…。
あと、あと…」
加護がそれを一つ一つ挙げてゆく度、市井は満足そうな顔で頷く。
「ふふふ…。教えてあげよっか。
それね。全部あたしが教えたんだよ、後藤に」
「え?」
「直接教えたワケじゃないけどね。あたしが、今まで後藤にしてきたコトさ」
「あ……」
(市井さんは…ごっちんの教育係だったんだよね…)
- 437 名前:短編「たいせつなもの。」@ごっつぁむ 投稿日:2003年01月12日(日)04時56分40秒
「だけど、“今の”あんたのような後藤を私は見てきた。
だから、私がここに来たんだ」
「あ……」
加護はやはり、ほとんど何も言えずにいる。
それは、反論できないという事ではなく、妙に納得してしまったからだ。
市井の言葉の意味が、痛いほど解った。
自分の中に出ている答えを、まるで市井が一つ一つ引き出してくるように。
自分から、何かを聞くより、彼女にすべてを委ねてしまいたかった。
いちいち考えるより、この人が答えの全てを持っている気がした。
だけど、これだけは聞いておきたかった。
むしろ、それを聞くために市井に会いに行こうとしたのだから。
「…市井さんは」
「ん?」
「市井さんは…」
「どした?言ってみな」
加護は内心焦りながらも、グッと拳を握ると、
意を決して市井に向き直った。
「市井さんは、ごっちんと離れるのが、寂しくなかったんですか…」
「ふ〜ん」
市井がまた、例のニヤニヤ笑いをした。
もう、何もかもお見通しって訳だ。
- 438 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月18日(土)16時07分39秒
- 期待
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