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イシカワさん大成功です!

1 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月02日(水)00時55分58秒

主人公:石川梨華。
好きな人をゲットするためにならなんでもする。
恋には不器用。

憧れの人:小川麻琴。イシカワさんの大好きな人。
特別可愛いわけではないがモテる。

イシカワさんのライバルたち:
飯田圭織。
麻琴を狙っている保健室の先生。

紺野あさ美。
麻琴のクラスメイト。くせ者。

他のメンバーも登場予定です。よろしくお願いします。
元ネタありです。
2 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時00分14秒
『うぁ〜、イシカワ菌だぁ〜』

『イシカワ菌だ。
えんがちょ〜〜』

……なんでみんな、あたしの名前の後に「菌」をつけるのっ!?


『手がくさるぅ〜〜』

『オエ〜〜』

どーしてみんな、あたしの手だけゾーキンみたいにつまむのっ!?


『いらっしゃいま…!』

『どーぞ奥の席へ……どーぞ、どーぞ。もっとずーっと奥の席へ』

なんでっ!?

あんなに明るい窓際の席が空いているのに…

なんであたしだけトイレに近い席なのっ!?


『ごめんね……。アナタに対してそんな気持ちにはなれない…』

なんでっ!?
なんであたし、こんなヒトにさえふられちゃうのっ!?


なんでっ!!?

なんでっ!!?



やっぱりあたしがブスだからっっ!!?


3 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時04分23秒
「いやぁぁーっ!!」

ガバッ――

涼やかな秋晴れの朝。ボロアパートの6畳間に、住人・石川梨華の甲高い悲鳴が響いた。

「…はぁ…はぁ、はぁ」

荒く息を吐きながら、梨華は周りを見回す。いつもと変わりのない自分の部屋。
充満するカビ臭さも
変わりない。
ピンクだらけの趣味の悪いインテリアも。
朝日に照らされた時計は、AM7:00を指している。

「なんだ夢か…」

ほっと息をついたのも束の間だった。

(ああ……またいやな一日が始まるわ…)

すぐに溜息に変わる。のそのそと布団から出ると洗面台へと向かった。
小さなヒビの走った鏡をゆっくりと覗く。

(まったく…ブスになんて生まれるもんじゃ、あ……ええっ!?)

鏡の中の人物と目が合った瞬間、梨華は身を後ろに退いた。
ほっそりとした可愛らしい女性が、目を見開いて自分を見ているのだ。

4 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時07分35秒
「なっ、なんなのなによっ、あなたはっ!?だれっ?勝手に他人の部屋にっ……」

そこまで言って梨華は、永遠のアイドル・松田聖子ちゃんよりも激しくビビビッときた。ぷるぷると震える両手で頬に触れる。
すると、鏡の中の女性も梨華と同じ動作をする。
そして、顎に触れた。少しシャクレている。

(あ……これ、あたしだっ……!!?)

動揺を抑えて、梨華は何度も何度も顎を撫でた。
ぺたぺたと頬を打ったり、はちきれんばかりの胸の膨らみを誇示しながら、鏡の前でモデルポーズをとった。

「そ、そーかっ……。これっ……あたしなんだわっ」

(そうよっ!!
今日からずーっと、あたしってば美人なんだーーっっ!!)

5 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時10分09秒
梨華は自分が美人だと分かった途端に、いそいそと出掛ける準備を始めた。
いつもの梨華なら考えられないくらい表情が明るい。
ヘタな歌までポロリしてまう浮かれモード。

「あーあ、愛しいあの人…朝ごはん何 食べたんだろう」

そんなことを考えつつも、三段重ねの重箱にお手製の焼きそばを詰める。

(高校生は育ち盛りだから、もっと入れた方がいいかしら?)

ぎゅうぎゅうに詰め直す。
麺が2・3本ばかりはみ出しているのはご愛嬌で。
それをピンクのトートに丁寧に仕舞っていざ出発。

「それじゃ行ってくるね」

タンスの上で頭をレインボーに輝かせているアフロ犬に声をかけてから梨華は玄関のドアを開けた。

(日焼け止め塗ったから少しは色白に見えるわよね、きっと)

季節はもう秋…。
石川梨華に焼きそば(青海苔・ショウガ山盛り。)
本日、美人デビュー。愛車に乗って目指すは、私立モーニング女学園。
6 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時12分34秒
ママチャリを飛ばすこと約30分後。
梨華はモーニング女学園の校門をくぐった。二人組の少女の後ろを梨華が歩いていると、そのうちの少女が眉を寄せて振り返った。

「なんか芳香剤の匂いしない?……ねえ、見て、すっごい美人!」

匂いも忘れて梨華に見入る。

「ほんとだぁ。キレイなひと〜」

「モデルみたーい!」

校庭を歩く少女たちの群れが梨華に道を明け渡すかのように二つに割れ、モーゼの奇跡が起きた。
羨望の眼差しの中を
梨華は悠々と歩く。

(もう今日からは道の真ん中を歩いていいんだわ)

(堂々と顔を上げて歩いていいのよっ!)

(だってあたしは美人だものっ)

7 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時15分51秒

『そう…彼女は美人。ただひとつ、ふつうの美人と違っているのは…』

学園の玄関まで着いた梨華は、一際 賑やかな女生徒のグループを目敏く見つけた。
ショートカットの少女を中心に、数人で何か話しをしている。

「小川さん、今日は部活 休みでしょう?」

「放課後カラオケ行こうよぉ」

「う〜ん…どうしよっかな…」

「たまには息抜きしなきゃ」

小川と呼ばれたショートの少女が困ったように笑い、小川を見た梨華はニヤリと笑う。

(さあっ!!麻琴ちゃん、あたしを見てっ!)

8 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月02日(水)01時17分36秒
冷たいコンクリートの上をつかつかとヒールを鳴らしてグループに近づいた。
両手を広げ、ハグ体勢はバッチリ。
不穏な気配を感じた少女たちは皆 梨華へと顔を向けた。
梨華の視線を一身に浴びている麻琴は、ヘビに睨まれたカエルに化している。

(あたしっ、あなたのために…)

「どお?麻琴ちゃん」

(ぜーーんぶなおしたのーーーっっ!)

何百万円もするボディを「これが目に入らぬか」と梨華は見せつけた。



『そう。彼女は全身整形美人だったのです』

9 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月02日(水)19時30分06秒
何かすげー面白くなりそう。
楽しみにしてます。
10 名前:akihiro 投稿日:2002年10月02日(水)20時39分39秒
みたことのないタイプの小説なので期待してます。
がんばってください。
11 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時05分17秒
一同が見守る中、梨華は麻琴の前で立ち止まった。
両手は依然、上げたままで、ノースリーブから見える腋の下は永久脱毛の処理が施され、ぷつぷつも見えない。
(あたしを見て。もっと見て。ワキの下まで見て)

好き好きビームを全身から発する梨華に、麻琴は「参りました」と平伏してしまいそうになる。

「小川さん、小川さんてばっ!」

「んっ!?な、なに?」

「なんでしゃがもうとしてるのよ」

「あ、いや、なんとなく…」

「そんなことより、この人だれ?知り合い?」

12 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時07分10秒
突如として現れた不審人物(謎の美人とは言わない)を、少女たちは値踏みするように伺う。
自分たちの王子様を「麻琴ちゃん」呼ばわりするこの不届き者は
いかほどか。
ハンマープライス。

「………どなたでしたっけ?」

失礼にならないよう遠慮がちに尋ねる麻琴。この女、ライバル視する価値はなし。
手を汚さずにすんで良かった…と少女たちは大袈裟に安堵の息をつく。
こうして難を逃れた筈の梨華なのだが、

「あたし、石川梨華。今日からあなたの恋人になっちゃうから」

ポジティブモードの梨華は恐いもの知らずなわけで。
13 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時08分49秒

「なるからって……図々しいっ!」

「なに言ってんのよオバサン」

「小川さんは私たちのものよっ!」

「いやっ、あの、わたしは誰のもんでもないからさ…みんな、落ち着いてよー」

きゃんきゃん噛み付いてくる少女たちだったが、もはや梨華の眼中になどない。

(だって美人は図々しくていいんだもんっ)

それは偏見である。
マンガに影響され過ぎである。
なんとか少女たちを宥めると、麻琴はうっとりと自分を見つめる梨華に首を傾げた。

「石川梨華……あれ?どっかで聞いたような……あと、その声も…」

――ギクッ!!


14 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時11分05秒
夢見る少女になっていた梨華の目が覚めた。いやな予感。
冷や汗タラリで答えを待つ。
麻琴は左サイドに流れる前髪を梳いていた手をパッと離した。

「あっ、ほらぁ。ウチの学食で働いてたオバサンみたいな女の人だ…… 」

思い出せたことが嬉しい麻琴は満面の笑みを浮かべている。
その笑顔が大好きな梨華は……今すぐにでもこの場からBダッシュッして去りたい気分になった。
無邪気なことは時として残酷。

(しっ……!?知ってたの!!?あた、あた、あた、あたしっ、
あんなに、こっそり、そ〜っと生きてたのにっ!?)

15 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時14分29秒
学食で働いていた頃のことが走馬灯のように駆け巡る。
働けドブスと罵倒されながらも皿洗いの手を休めて、学食に訪れる麻琴をカゲから見つめていた日々。

『ああ…なんて素敵なの……。こんなあたしなんか、カゲから見つめているのが精一杯だわ…』

その時、麻琴が重苦しいオーラを感じていたことを梨華は当然知らない。

「ああっ、あのブスのオバサンっ?」

「すっごいブスだったよね。一度見たら夢見そうなブルドックだった……」

無数の血管が梨華の額に浮かび上がり…少女二人の頭がわしづかみされた。

「ブスブス言うなブスっっ!!」

ドゴンと鈍い音が天井を突き抜ける。
と同時に上がる少女の叫びのハーモニー。

「イッタ〜〜イ!!」
「な、なんでアナタが怒るのよ〜!」

少女たちは壁にぶつけられた額をさすった。
16 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時15分47秒

「べっ、別に怒ってなんかないわよっ!そんな人とあたしは別人だものっ。怒る理由がないじゃないっ!」

((嘘つけコノヤロー))

この場にいる全員一致で思った。
言葉とは裏腹に、梨華の顔はムチャクチャ怒っている。
しかし、麻琴の怯えたような視線に気づき、慌てて表情を変えた。
「た、ただぁ…あなたたちごときの女がヒトのことをブスなんて言えるのかしらぁ?と思ってねー」

どっからそこまで自信が溢れ出てくるのか。華やかだが、どこか粘着質なオーラに麻琴は再び首を傾げる。

(う〜ん…どっかで感じたオーラだなぁ)

17 名前:イシカワさん大成功です!〜第1針〜 投稿日:2002年10月03日(木)00時20分43秒
四六時中、少女たちの視線を独占している麻琴には心辺りがあり過ぎて把握できない。
……ただ一人。心辺りがあった。
大きな瞳から怨念めいたビームを発したり、何かと麻琴を呼び出しては身体計測したがる保健室の先生。
そこまで思い出すと、麻琴はその細い体を震わせた。

「やだっ、小川さん!なに見とれてるのよ」

「行こうよ。もうすぐホームルーム始まっちゃうよっ」

「はやくぅ〜」

「ちょっと待って。苦しいってば。死んじゃうよぉ…」

ブレザーの後ろ襟を引っ張られて麻琴はズリズリと退場する。

(まぁ、さっそくあたしに首ったけ!?)

明日からは日本のキャメロン・ディアスを名乗らなければ、と梨華は思う。
真っ青に染まった麻琴の顔が見えなくなるまで梨華は手を振り続けた。

(もう、これからはカゲでコソコソ見つめなくてもいいのね…。
あたし、麻琴ちゃんにつりあう美人になったのね。梨華、し・あ・わ・せ)

18 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月03日(木)00時30分39秒
更新終了。

9名無し読者様
レスありがとうございます。
今更ながら面白い系を書くのって難しいですね(ヲイヲイ
がんばりますっ!

10akihiro様
レスありがとうございます。
整形モノってあまり見ないですからね…。
しかも、小川の為に整形って(ry

石川さんの整形前は、小学校時代の彼女をご想像ください。
19 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月04日(金)00時06分48秒
小川さんが不幸そうで(・∀・)イイ!
面白そうです。楽しみ〜
20 名前:TRUE 投稿日:2002年10月06日(日)19時03分54秒
あの〜もしかしてこれは『カンナさん大成功です!』のネタですか?
ちなみに自分も銀板で『TRUE LOVE ・・・YOU!』という小説を
書いております。よかったら見てやってください。これからも頑張ってください。
21 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月14日(月)08時42分38秒
まだかな〜
22 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月15日(火)20時03分47秒
どうして石川はこんな役がぴったりはまるのか…(ワラ

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