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午後3時の王子様

1 名前:彪夏 投稿日:2002年10月02日(水)21時47分34秒
初めまして。飼育で書くのは初めてです。
今凄く緊張しています・・・(汗

かなりの駄文なんですが、書かないと上手くならないと自分で思っているので、書かせて下さい。
誤字・脱字はどんどん注意してやって下さい。
心の広い方、厳しい方、大歓迎です。レスしてやって下さい。
更新は、早い方だと思います・・・。

それではよろしくお願いします。
2 名前:午後3時の王子様 投稿日:2002年10月02日(水)21時51分25秒
もうすぐ3時。
3時になれば、あの人がやってくる。

今は家に、家政婦さん達しかいない。
大嫌いな父も、きっとどこかで難しい会話でもしているはず。

早く来て。
午後3時の友達。
3 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月02日(水)21時57分16秒
コツン

来た。
窓に小石をぶつけるのが、私達の合図。
「ひとみちゃん!」
「こんちわ!」
「まってね!今開けるからー!」

ひとみちゃんは裏口(非常口)を出入りしている。
これは父と母、勿論家政婦さん達にも秘密(1人を除いて)。
バレたら、あたしどころかひとみちゃんもどうなるか分からない。

けど、一緒にいたい。
だって、初めて出来たお友達だもん。
4 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月02日(水)22時01分33秒
父は「勉強は家でもできる!」と言って、私を学校に行かせない。
母は母で、父には頭が上がらないらしく、
「お父さんも心配してるのよ」
なんて軽々しく言う。

でも実は、何回か抜け出して行った事がある。

その時にひとみちゃんと会ったんだ。


5 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月02日(水)22時14分58秒
私が学校へ行くと、皆私の事を「お嬢様」って呼ぶ。
クラスに初めて入って、初めて席に着く。

「ずっと来ないから、どんな人かと思ってたんですよ。よろしく、石川さん」

その時隣だったのが、ひとみちゃん。
敬語なのは皆と一緒だった。
けど、「石川さん」と呼ばれたのが、何故かすごく嬉しかった。
私は「石川梨華」なんだ!って強く思える様になった時。
何せ、先生方からも「お嬢様」と呼ばれていたんだもん。

彼女は優しかったけど、それは普通の友達としての接し方だった。
その彼女の優しさが、胸に染みた。
でも、本当はもっと仲良くしたい。学校に行きたい。ひとみちゃんに会いたい。
皆で、クラスで、ひとみちゃんと一緒に勉強とかいっぱいしたい。
こんな事を呟いてたら聞かれていたらしく、ひとみちゃんは学校帰りに、
私の家に寄ってくれる様になった。

6 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月02日(水)22時28分57秒
けど、本当にして欲しい事は、「梨華」って名前で呼んで欲しい。
「石川さん」じゃ、やっぱり嫌だ。
それに私は「ひとみちゃん」と呼んでいる。
なのにひとみちゃんは「石川さん」なんて変すぎる。

いつかは呼んで欲しいなぁー……「梨華」って。
7 名前:作者 投稿日:2002年10月02日(水)22時32分40秒
更新しました。
あぁ緊張する……(滝汗

ご意見・ご感想どんどんどーぞ。
待ち構えています。(汗
8 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月03日(木)22時38分36秒
「うわ!涼しい〜!」
「ひとみちゃん、汗すごいよ。」
「ご、ごめん」
「何で謝るの?はい、ハンカチ。」
「す、すまん。」

ひとみちゃんは一生懸命敬語をやめようとしているみたいなんだけど、
それが時々変な日本語になる。
面白すぎる・・・・。

「すまんって何ー!?おじさんみたーい。」
「そんなに笑わなくたっていいじゃん!!」
ひとみちゃんは頬を膨らまして、ブーッと拗ねる。
「ゴメンゴメン。今日のとこ、教えて?」
「ほいほい。」
9 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月03日(木)22時44分54秒
今日は英語と古文と……とボソボソ呟きながら、
ノートと参考書を鞄から出すひとみちゃん。

コンコン

机に向かおうとした時、ノックがして振り返る。
「はーい。」
「矢口でーす。」
「ちょっと待ってね。」

ガチャッ

「はい。紅茶とクッキー。吉澤来てるんでしょ?」
「どーも矢口さん。」
ひとみちゃんは私の後ろから、ヒョコッと顔を出す。
「あ、出たなー、このキザ男ー!」
矢口さんは、私とひとみちゃんの事をよーく分かってくれる人。
ここの家政婦さんだけど、歳が近いのもあって凄く仲が良い。
なにより、学校に行けたのも矢口さんのお陰。

10 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月03日(木)22時51分45秒
「学校行きたいんでしょ?」
そう言って、制服と鞄を用意してくれた矢口さん。
つまり、ひとみちゃんと会えたのも、矢口さんのお陰。
私にとって父より誰より頼りになる存在だ。

でも、何だろうこの気持ち……。
嫉妬っていうのかな?だって矢口さんとひとみちゃんあんなに仲が良いんだもん。

「ん?石川さん?何怒ってんの?」
「怒ってなんかないよーだ!」
「あぁ、嫉妬してんだよ、お嬢様。」
矢口さんはキャハハと笑いながら言う。
その態度に私はカチンと来た。
「嫉妬なんかしてませんよー!!」
「え?嫉妬?どうゆう事ですか?」
「あーんた鈍感ねー、それは」
「もー矢口さん余計な事言わないで下さい!!」
私は矢口さんを見下ろした。
恋より経験より何より、矢口さんに身長では勝ってる!
でもこんなこと言ったら、また笑われるんだろーな……。
11 名前:作者 投稿日:2002年10月03日(木)22時54分59秒
短いですが、更新しました。
うーレスが来ん!
でも更新しなきゃ始まらないので、どんどん作者は突っ走って行きます(爆)
もしかしたら誰からもレスが来ないまま終わるかも……。
なんて考えています。何個か短編を書いたら、リクも受け付けたいな、
と思っているので、お願いー誰かレスして下さい(T▽T)
あ、でも荒らしは勘弁です……。(汗
12 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月03日(木)23時56分16秒
更新お疲れ様です。
どんどん突っ走って下さい。
頑張って下さい。
期待してますー。
13 名前:ココナッツ 投稿日:2002年10月04日(金)00時29分53秒
は〜いはいはい!見てます見てます!(w
お嬢様梨華ちゃん、いい感じです。
期待してるんでがんばってくださいね。
14 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月04日(金)01時12分33秒
読んでますよ!おもしろいでつ。
続き楽しみにしてますね。
15 名前:あおのり 投稿日:2002年10月04日(金)15時51分01秒
よしいしの匂いに引かれてやってきました。吉澤王子かっけぇ〜
今回のやぐよしいしの3人は私の一番好きな組み合わせなんで読んでいて周りにニヤケ顔を隠すのに大変です。
よしいしも期待ですがやぐよしも期待。
16 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月04日(金)19時38分15秒
「おぉーっとこんな時間!吉澤ぁー!お嬢様にあんまり変な事教えんなよ。」
矢口さんはククッと悪魔みたいに笑って言った。
「へ、変な事なんて教えませんよ!」
ひとみちゃんは顔を赤くして怒っている。
怒ってる・・・?にしては変だな。
「それから、ごっちんヨロシク♪」
「分かってますよ。」
「じゃぁね、バイ☆」
矢口さんはトレーを持って部屋から出て行った。

「もー・・・あんな家政婦あり?」
ひとみちゃんはまだブスーッと頬を膨らましている。
「父の前では激変よ?矢口さん。」
やっと頬を膨らますのをやめ、ひとみちゃんはクスッと笑った。

17 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月04日(金)19時48分08秒
何でこんなにもひとみちゃんと矢口さんが仲が良いーかというと。
ひとみちゃんのお友達、真希ちゃんこと後藤真希ちゃんが、
矢口さんと付き合っているからだ。
いつしかひとみちゃんと真希ちゃんが遊んでる所に、矢口さんが偶然出くわしたらしい。
そこで矢口さんは一目惚れ、というわけだ。
ちなみに私はその頃家で猛勉強中。
父がいたから、家から出るなんてもってのほかだった。

そして今度矢口さんは真希ちゃんとデートというのをするらしい。
デートって何なんだろう……?
この前矢口さんが「好きな人と楽しく過ごす時」って教えてくれた。
イチャイチャしたーい!とか言ってたけど……イチャイチャって何?
好きな人、か……。何かいいな、矢口さん。

「石川さーん?おーい。」
ハッと気づくと、ひとみちゃんが目の前で手を振っていた。
「大丈夫?今日ボーッとする日?」
ひとみちゃんは自分で言ったのに、1人で笑っていた。
「悩み事でもあるの?」
今度はちょっと本気な顔で、心配そうに私の顔を覗き込む。
「悩み事なんてないよっ!さぁ勉強勉強♪」

18 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月04日(金)20時11分53秒
「そうだね!」
そう言ってひとみちゃんは参考書を開き始めた。
好きな人って考えたら、何故かひとみちゃんが出てきた。
なんでだろ?変な私。

「そんなわけでここの答えはコレになるわけ。分かった?」
「あ、うん、ありがとう。」
「どういたまして。あ、もうこんな時間……・」
ひとみちゃんは部屋の掛け時計を見て、ちょっと悲しそうに言った。
「ゴメンね、こんな時間まで……送って行こうか?」
「いいよ。石川さん襲われたら困るし。」
可愛いからね、と付け足してひとみちゃんはヘヘッと笑う。
「襲われる程じゃないよ。ひとみちゃんこそ襲われるんじゃないの?」
「いえいえ!こんな男みたいな奴が襲われると思うー?」
アハハ……と笑うと、ちょっと彼女は悲しそうな顔をした。
「ゴメン……。」

19 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月04日(金)20時19分00秒
「へっ!?何が!!」
ひとみちゃんは上の空だったのか、私が謝った理由がわからないらしい。
「ううん、何でもないよ。」
「そう、それじゃぁね!」
「またね、気をつけて。」
部屋から出て行くひとみちゃんを見送ると、ダッシュで窓まで走る。
「バーイバーイ!」
窓を開けて大声を出すとひとみちゃんは気づいてくれて、
こっちに大きく手を振ってくれた。
そして走って帰って行った。

あぁ……ひとみちゃんってカッコ良い……。
勿論可愛いんだけど……。

何か、王子様みたい。

窓から手を振る私と、外から手を振るひとみちゃん。
まるで小さい頃(無理やり)読まされたロミオとジュリエット……。
私はジュリエット程綺麗じゃないけど、ひとみちゃんは充分。
いや、ロミオ以上にカッコ良い。
ひとみちゃんが王子様だったらいいのにな……。
父から私を取ってくれればいいのに。

私だけの王子様になってくれればいいのに――――。


20 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月04日(金)20時24分21秒
でも、死ぬのは嫌だな……。
あれ?ロミオが死ぬんだっけ。
それならもっと嫌だ……。
ひとみちゃんが死ぬんだったら、私だった死んじゃうよぉ……。
違う、二人とも死ぬんだっけ?
忘れちゃった。久しぶりに本、読もうかな。
そう考えた私は、ロミオとジュリエットを探し始めた。
と、そこで

「お嬢様ぁぁ!!ご飯ですよぉぉぉ!!!」

矢口さんのうるさいぐらい大きい声が、私の家中に響いたので、
探すのをやめて一階に降りていった。

何でそれほど声が大きかったのかは、食事中良く分かった。
今日の晩餐は、矢口さんの「ごっつぁん惚気」大会で幕と閉じたのだった。
21 名前:作者 投稿日:2002年10月04日(金)20時35分43秒
レスがきた!!!凄く嬉しいです、家で踊っています。
浮かれモードなので、いつもより多く更新を。

>12 名無し読者さん
突っ走らせて頂きました(w
これからもどんどん突っ走って行きますゾー!
期待しないで付いて来てください。(願)

>13 ココナッツさん
お嬢様のわりにはお嬢様っぽくないですかね・・・梨華ちゃん。
まぁここの梨華ちゃんはそんな感じだったりします!(言い訳)
頑張りますゾォー!!

>14 名無し読者さん
おもしろいと言われると、何よりです。
期待していただいてる名無し読者さんのためにも、良い小説になる様に勉強します!

>15 あおのりさん
匂いがしましたか、何せ作者はいしよし馬鹿な奴なんで……。
ぐはぁーゴメンなさい。矢口さんにはごっちんという先約がいたのでした。(汗
やぐよしにはなりませんがこの先もアフォな作者も見守って下さいませ。

レスがこんなに嬉しいなんて思ってもみませんでした!
もうこの作品はレスして下さった皆さんに捧げます!(w
よぉーし張り切って行くぞぉーい!
22 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月05日(土)10時07分36秒
やぐのキャラが生きてますね。ひそかにやぐごま期待!!
23 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月05日(土)21時44分31秒
寝る前、今日の事を思い出した。
矢口さん上手く行くといいな。今日凄く上機嫌だったなぁ〜。
好きな人ができるとそんなに変わるのかな?
好きな人、かー。

そういえば何で「好きな人」って考えたら、
ひとみちゃんが出てきたんだろう?
私の好きな人はひとみちゃん?
ううん、違う……ひとみちゃんは、お友達、だ。
第一、ひとみちゃんは女の子だし……。

いや、女の子は関係ない?
だって、矢口さんと真希ちゃんも女の子同士だし。
あ、でもひとみちゃんは男よりカッコ良いぐらいの女の子だし、
ってこれはまた別の問題で……。

あーもうわけわかんない!!
寝よう…おやすみなさぁぃ。
24 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月05日(土)21時58分03秒
「お嬢様、おはようございます。」
5人程の家政婦さん達が、私1人の朝食を用意してくれる。
何から何まで……。
あーあ、これくらい私だって出来るよ!

朝食を食べた後は、「今日の予定表」が来るのを待つ。
何で家にいない父から予定表がくるかなー、どうせ送ってんだろうけど。
予定表っていっても、一日の約半分が勉強。
何でも、世界プロ級の家庭教師とか言ってたけど……。
ひとみちゃんにかなう家庭教師はいないね!
それに世界プロ級ってなんだろう……。

「お嬢様ぁぁ―――!!!」

やっぱりいつにもまして矢口さんの声は大きい。
テンションも高い。声も高い。顔もスマイリー。

「どうぞ。」
「今日の予定表でーす。」

〔今日の予定〕
7:00【起床】
7:30【朝食】
8:00〜12:30【学習】
12:30〜13:00【昼食】
13:00〜19:30【学習】
8:00〜8:30【夕食】
9:00【就寝】
25 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月05日(土)22時09分34秒


「はぁ……。」
父は私を殺す気?
何時間勉強してんのよ!何時間!!
えーと、8時9時10時……。

「お、お嬢様?」
「はい?」
「また学校でも行きますか?」
ニヤリと笑う矢口さん。
「え?」
「今日はご主人様ご出張の日でーす!」
嬉しそうに言う矢口さん。おまけにパフパフとか、よっ!めでたい!とか、
いらない事まで言っている。
勿論のごとく、矢口さんも父が嫌い。
というか、この世に父が好きな人なんているのだろうか…?
26 名前:午後3時の友達 投稿日:2002年10月05日(土)22時11分24秒
「でも、矢口さんには迷惑かけられませんし。」
「とかなんとかいっちゃってー、吉澤に会いたいんでしょ?」
ボッと音がなる程赤くなる頬。
「で、でもひとみちゃんは学校終わったらきてくれますし……。」
「学校行けば倍の時間過ごせるのに?」
うっ…矢口さんには弱い。言っている事は本当だし。でも…。
「今なら2校時目に間に合いますよ。」
制服を出して言う矢口さん。
この制服も矢口さんが内緒で取り寄せてくれた。


「うん……。」
制服に着替える。ひとみちゃんに会いたい!学校に行きたい!
「ありがとう矢口さん!」
いつもの裏口からこっそり出る時、小声で矢口さんにお礼を言った。
「どういたしまして。」
行ってらっしゃいの言葉と鞄を受け取って、私は学校へ出発した。

今から行きます!学校の皆さん!ひとみちゃん!
…………私を待っている人なんているのかな?

27 名前:作者 投稿日:2002年10月05日(土)22時13分37秒
風邪をこじらせてしまって、鼻グズグズ喉ガラガラ頭クラクラです。
少ない(?)ですが更新しましたー。

>22 名無し読者さん
やぐは本当に良いキャラになります、まいどまいど(w
考えてなかったですけど、やぐごまも良いですね。
終わったら番外編で書こうかな・・・?
28 名前:あおのり 投稿日:2002年10月06日(日)01時04分54秒
自分の気持ちに戸惑っている梨華ちゃんかわえ〜
ヨスコも男前だ〜!
やっぱ何はなくともよしいしですね。うんうん

作者さん風邪大丈夫ですか?まあ無理しないでマターリやってください

>21 矢口さんは後藤さんがお買い上げ済みでしたか。失礼しました。(w

スイマセンなんか作者さんに悪いレスしちゃったなぁ。気にしないで聞き流してください。
私はよしいしが読めるだけで幸せな、いしよし馬鹿2号ですので今後ともヨロスコ。
29 名前:ココナッツ 投稿日:2002年10月06日(日)07時53分24秒
おぉ!姫は脱走しますか。(w
やぐっつぁんも協力的な理解者でイイ感じ!
作者さん、無理せずにがんばってください。
30 名前:学校へ行こう!! 投稿日:2002年10月06日(日)21時38分50秒

ガラガラッ

「お、おはようございます。」
沈黙。
いつもそうだ。皆は私をお嬢様という目で見ている。
私は皆と変わらない、ただの生徒でいたいだけ。

「おはよー!」

一人の生徒の声に、クラス中がざわめく。

元気な声で挨拶を返してきたのは、ひとみちゃんだった。
「おはよ。」「おはよー!」「おはよう〜。」
クラスメイトが一人、また一人と私に挨拶を返してくる。

驚いてひとみちゃんを見ると、彼女は笑いながらウィンクした。
何だか照れくさくて、俯きながら席に着いた。
「おはよ、石川さん。」

私をお嬢様と呼ばない先生。この学校でただ一人。
「中澤先生、おはようございます。」
「よっしゃ!久しぶりに皆そろったな。今日はバリバリ行くで〜!!」
「え〜!」とクラス中から不満の声が湧き起こる。

「え〜と56ページの……。」
先生は皆の声を無視して、教科書を開いた。
皆は「なんだよー。」とブツブツ言いながらも楽しそうに、
先生の指示通り、教科書を開く。

ひとみちゃんも開く。
私も、鞄から出して開く。
開いた教科書がちょっと重なった時、
2人で顔を見合して、フフッと笑った。
31 名前:学校へ行こう!! 投稿日:2002年10月06日(日)21時53分06秒
「あぁ〜〜〜!!!疲れた!!!!!」
授業終了をチャイムが告げると、一人、一人と生徒が席から立っていく。
ひとみちゃんは伸びをして、おまけに欠伸までしている。

「ありがとう。ひとみちゃんのお陰で、大体分かったよ。授業。」
「そうでしょー?この天才吉澤にまかせなさい!!」
天才吉澤かー…どうせなら天才王子とか…。
そういえば、私昨日考え事してたんだっけ……。
えぇーと、んーなんだっけ…?

32 名前:作者 投稿日:2002年10月06日(日)21時54分53秒
めちゃくちゃ短いんですが、ここでストップです!
ちょっとしばらく、っていっても1,2日更新できません。
本当にゴメンなさい。
レスも、復帰したらします。
本当にゴメンなさい。m(_ ""_)m
33 名前:学校へ行こう!! 投稿日:2002年10月08日(火)17時24分05秒
「ちょっと、石川さん?大丈夫?おーい。」
「あ、うん。何でもないよ。」
「最近ちょっとおかしいんじゃない?」
「え…」

「石川さーん!!」
何が?って聞こうとしたら、他のクラスメイトに呼び止められた。
「何?」
「あのさ、石川さ……梨華ちゃんでいい?」
「う、うん。」
いきなり言われるとビックリするけど、やっぱり嬉しい。
こうやってクラスメイトに声をかけられるのは。
それに名前で呼んでくれるは、もっと嬉しい。

「梨華ちゃん、一緒にお昼食べない?」
「うん、いいよ!」
お昼の約束も勿論初めて。嬉しいな…。
今日は凄く運が付いている日かもしれない。
挨拶はちゃんとしてくれたし、話しかけてくれたし、
名前では呼ばれるし、お昼ご飯も誘われちゃうし、
ひとみちゃんはカッコ良いし。
って、これは違う、いや、違くないや。いつもの事。
じゃなくて、何を言ってるんだ?私は。

34 名前:学校へ行こう!! 投稿日:2002年10月08日(火)17時26分19秒

そういえば、学校のご飯を食べるのも初めてだなぁ〜。

いつもは事前に計画を立てて、矢口さんと一緒にお弁当を作っていた。
けど今日は、いきなりだったからお弁当なんて用意している暇無かった。
慌ててたっていうより、早く学校に行きたかったから。

「ね、食堂行こーよ!ひとみもね?」
「あん?あ、うん。」
ひとみちゃんはボーッとしていたのか、目をパチパチ瞬きさせていた。

「ねぇ、ひとみちゃん。」
「ん?」
食堂に行く途中、腕を引っ張って呼びかけた。今言わなきゃ、言わなきゃ……。
「梨華って呼んでね?ひとみちゃんも。」
「う、うん。分かった。」

何だか、心が軽くなった。重荷がひとつ無くなった感じ。
なんとなくそのまま腕を組んで食堂に向かった。

石川梨華、今日は至上最強・最高についている日かもしれない―――――。

35 名前:失恋!? 投稿日:2002年10月08日(火)17時31分44秒
「さようなら。」
楽しい時間ほど、過ぎるのが早く感じると言うけれど本当にその通りだ。
あっという間に帰る時間になってしまった。

「ひとみちゃ〜ん?」
いないなぁ……どこ行ったんだろう?
あんまり学校に詳しくないから、ちょっと迷っちゃう。

理科室。「ひとみちゃーん?」……いない。
音楽室。「ひとみちゃん!!」……いない。
美術室。「ひーとーみちゃん!」……いない。
体育館。「もうひとみちゃん!」……いない。

いない、いない、いない。
いない―――!!!!もう、どこ行っちゃったんだろう?

あ、教室に鞄置いてあったっけ。
それじゃぁ戻ってくるかな?さっき見たら下駄箱にはまだ靴があったし。
取り敢えず、教室に戻る事にした。

36 名前:失恋!? 投稿日:2002年10月08日(火)17時37分12秒
「っく…で…き…ぐすっ。」
教室に帰る階段、すすり泣く声が…。
う、うちの学校ってこういう系の話あったの?
聞いた事はなかったけど、やっぱり誰か自殺したとか…?
しかもその声は私のクラスの教室から聞こえている様で……。
「(あーどうしよう!!)」
石川梨華、覚悟を決めます。

「っく…でも、好き……なんで、す。」
「ごめんね。好きになってもらえて嬉しいよ。」
好き……?……ん?
私はこっそり教室を覗き込む。
「!!!!」

な、んで……?

どうして―――――――。


―――――――…………
37 名前:作者 投稿日:2002年10月08日(火)17時44分24秒
んあ〜更新しました!
ちょっくら学校の修学旅行があったもんで、更新できなくてスンマセン(汗
終わりに近づいてきています。

>28 あおのりさん
風邪っていうか、喉と鼻がグズってます(w
あ、これが風邪か(爆)

>スイマセンなんか作者さんに悪いレスしちゃったなぁ。気にしないで聞き流してください。
いいんですよほー、気にしないで下さい。自分はやぐごま好きなもんで…。

いしよし馬鹿2号ですかー。やったー1号だー!!(浮かれ)

>29 ココナッツさん
姫は見事脱走しました(w
でも今日は脱走しなかったほうが良かったかも分かりません(謎)
いしかーさんはどうなるでしょうか・・・?

無理せずマイペースでがんがって行きますー。
こんな作者ですが、どうかよろしくお願いいたしますね。
明日、明後日には終わると思うので、最後までお付き合いお願いします。
38 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月09日(水)19時30分42秒
初めて読ませていただきました!!
すげー好きっす!!…お嬢様も。
告白されてるのはやっぱり…(w
39 名前:失恋!? 投稿日:2002年10月09日(水)22時12分25秒
私の教室にいる2人の生徒。
ココは女子校。勿論2人共女の子。
それは、別におかしい事じゃない。今となっては。
けど、いくらなんでも、私の前で……。

「吉澤さんが好きなんですよー!」
「タカハシ……。」
タカハシさんとやらは、ひとみちゃんの胸に飛び込んだ。

何だろう、この胸のモヤモヤは。
凄く居心地が悪い。気持ちも良くない。

「タカハシ、ごめん。泣かないでよ。」
ひとみちゃんはタカハシさんをなだめる様に、頭を撫でる。
「よしざわさん…っく…。」
「たかはすぃー。もー…。」
タカハシさんは、ひとみちゃんに強くしがみ付く。
あんなにひとみちゃんが好きなんだ……。

40 名前:失恋!? 投稿日:2002年10月09日(水)22時15分43秒




――――胸がきゅって痛い。
――――本当にきゅん、って鳴るぐらい。




ねぇひとみちゃん、胸が痛いよ。
痛い、痛いよ。凄く痛い―――――。




気づくと私は涙を流してながら、家に向かった走っていた。




41 名前:失恋!? 投稿日:2002年10月09日(水)22時22分16秒
帰ってから、誰にも気づかれない様にベットで泣いた。
声が枯れる程泣いた。
布団の中にもぐって、気づかれない様に、気づかれない様に。


声を押し殺して泣いた。
こんなに泣いたのは初めてだな、なんて頭の奥隅で思った。


何で涙が溢れてくるのかは分からない。


ただ、思う事は一つ。考える事も一つ。原因も多分、一つ。



ひとみちゃん―――――――…………


42 名前:作者 投稿日:2002年10月10日(木)15時32分55秒
少ない更新+中途半端申し訳ありません。m(_ ""_)m
姉にパソを取られてしまって、次の日になってしまいました、ごめんなさい!

>38 名無し読者さん
遅レス申し訳ございません。
そんな事言ってもらえて、凄く嬉しいです。
可愛いお嬢様も、がんがって書ける様になります!!
告白されてるのはやっぱり…でした(w
43 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月10日(木)21時40分25秒
次の朝。
父はまだ出張らしく、いなかった。
私は自分の顔を見てびっくりしていた。

「酷い顔……。」

泣いた後には、人間こんな顔になるんだ。
こんな顔見せたら、何言われるか分からない。


今日は、具合が悪い、とでも言っておこう。
いや、これじゃ心配して家政婦さん達が入ってくる。
お腹が痛い?これもダメ。会いたくない?余計心配される。
んーどうしよう…言い訳が見つからない。

こんな肝心な時に、矢口さんは真希ちゃんとデート。
あーあ、ついてないな…。
昨日は最高な日だと思ってたのに。

44 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月10日(木)21時48分08秒


「ごめん。タカハシの気持ちには応えられないよ。」


「それでもいいです!好きでいさせてくれませんか!」


「タカハシ……。」


「誰なんですか?好きな人って!」


「そ、それは……。」


「石川先輩、ですか?」


「え?」


「そうなんですか…?」


「そんなわけないじゃん。あんなお嬢様。」


「そうですよね。」


「そうそう。あんな奴なんか好きでもないよ。やっぱお嬢様とは仲良くした方がいいじゃん?」


「そうですよね…。」


「やっぱりタカハシと付き合おっかなー。」


「そうしましょうよ…。」


「そうだね、付き合おうタカハシ。」


「吉澤さん……。」


 
45 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月10日(木)21時52分57秒
嫌な夢を見た。
何で人間って、見たくもない夢を見るのだろう。
ひとみちゃん、やっぱり私の事、ただのお嬢様としか見てないのかな…?
お嬢様とは仲良くしておいた方が、何かと便利だと思ってるのかな…?

これは、私が夢で見たひとみちゃん。
現実のひとみちゃんは、これの100万倍優しくて、カッコ良くて、
良い人なのは分かってる。

けど、やっぱり心配だし、恐いし。
タカハシさんと付き合うのかな…?
でも、それはひとみちゃんの意志だもんね。
私には関係ない。

これっぽっちも関係無い。

46 名前:作者 投稿日:2002年10月10日(木)21時56分12秒
更新しましたー。
おそらく明日で終わります。
作者が無駄な事をしなければ。(汗
クライマックス!です。やっと王子様が出てきます。(w
47 名前:名無し香辛料 投稿日:2002年10月11日(金)00時26分14秒
…作者さんがどなたなのか、わかってしまった気がします(w
ヒント:風邪、修学旅行     ……これで違ってたら恥ずかしいな(w
面白いです。こういうシチュエーション好きだな〜。
もう最終回ですか。正直もっと読みたい!
48 名前:あおのり 投稿日:2002年10月11日(金)01時45分48秒
おかえりなさーい。
すげー!更新だー!って喜んでいたら…
大変なことになっているじゃないですかー
さらにクライマックス直前じゃないですかー
高橋チャンみたいにびっくり顔のまま次回待ってます
49 名前:オガマー 投稿日:2002年10月11日(金)18時04分08秒
名無し香辛料さんのレスを読んでビビっていたり…
この間、レスつけようかと思ったんですが、作者様のコメントがまだだったから控えた
んですよね。
矢口がすごいかわいいなー、と思って(をぃ
クライマックスかー。楽しみにしてますよほ。
50 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)20時00分19秒
コツン

「え?」

恐る恐る窓を開けた。こんな事するのは、あの人しかいない…。
「ひとみちゃん。」
前はこの瞬間がたまらなく待ち遠しかった。
なのに何故だろ。たった一日で、私の苦痛の瞬間と化した。
今頃来て何…タカハシさんは?

「昨日なんで先にかえっちゃ―――」
彼女の言葉を聞き終わらない内に、私は窓を閉めた。
今ひとみちゃんと会ったら喋ったら。
私は何をするか、何を喋るか分からない。

嫉妬なのかな…?分かんない。考えるだけで頭が痛い。
もうヤダ。ヤダ…。

ひとみちゃんなんてタカハシさんとどっか行けばいいんだ!
風が気持ち良い丘なんかで、2人でピクニックしてればいいんだ!
「お弁当美味しいね。」
「ヤダー、吉澤さん。お弁当ついてますよ。」
「あ、ありがとう。タカハシ。」
なんてやっていればいいんだ!

51 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)20時09分13秒
そういえば、何でご飯粒が付いているのに、お弁当って言うんだろう。
…お弁当がほっぺに付いてたら、恐いなぁ…。
「吉澤さん、お弁当付いてますよ。」
「あ、どうりで頬が重いと思ったんだよねー。」
「そんな遠回りな事言わなくても、ベーグルは持ってきてますよ。」
「うーんタカハシ大好き!」
なんてやってるんだ!!

そういえば、何で頬が重いとベーグル…?
これって、恋人の事はすぐ良く分かる、って奴?
恋人の特権?恋人の資格?
タカハシさんとひとみちゃんは、やっぱり恋人なの?

コツン

「いたっ。」
私が、ひとみちゃんとタカハシさんの楽しいデート【ピクニック編】を考えていたら、
彼女はもう一回石を投げてきた。
私は窓を背に、妄想、じゃなくて想像してたわけで、石がの衝撃が痛いのなんの。
でもココで、彼女と喋っちゃダメだ。
我慢しなきゃ……!

ゴツーン

「何よ!」
今度はさっきより大きい石を投げつけてきた。
何なのよ!!石が大きけりゃいいわけないじゃない!
お馬鹿さんじゃないのー?全く。
さっさとタカハシさんの所に行けばいいのに!
コヅーン
ゴヅーン
ゴドーン

もう我慢、してやんない…………………!!!!!!!
52 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)20時15分46秒
「あのねー!」
ちょっと怒りっぽい、っていうより完全に怒り声で、
窓を開けながら、私は言った。
けど………。

「何なのよ!何よ!」
彼女はいなかった。これってゴツゴツダッシュじゃないの!?
ゴツゴツって何か嫌だけど…。

それにしても、本当に嫌だ!もーう!!

ひとみちゃんなんて

ひとみちゃんなんて

ひとみちゃんなんて

「ひとみちゃんなんて!!――――――」


「あたし、なんて?」
ドアがキィッと音をしながら開いて、ひとみちゃんが入ってきた。
「あたし、なんて何?聴かせてもらおうか。」
ドアをしめ、鍵をしめ、私に近づくひとみちゃん。
言葉が出ない私。それを待っている彼女。

3分ぐらい見詰め合ったまま、というより私は睨んでるけど。
両方とも何も言わない。話がないなら出ていってよ…。
「何で、昨日先に帰ったの?」

53 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)20時26分57秒
ちょっと呆れた様に、ひとみちゃんは口を開けた。
「別に…。」
「何怒ってんの?」
「怒ってなんかないよ!!」
「どうしたの?梨華ちゃん。」
ひとみちゃんは優しく私の肩に手を乗せる。


「私が怒っていようがいなかろうが、ひとみちゃんには関係ないでしょ?」
ひとみちゃんはちょっと、ビックリした顔をしていた。
「関係あるよ、だってあたしは…。」
「私なんかより、タカハシさんの所に行ったらどうなのよ?」
今度は、明らかに固まったひとみちゃん。


「見てた、んだ。」
「なにが好きな人がいる、よ!タカハシさんが好きな人なんじゃないの!」
「それは違うよ!」
「私には一度も好きな人の話なんてした事ないじゃない!」
何も言わずに俯くひとみちゃん。
何か、終わった、って思った。


54 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)20時36分59秒
「タカハシさん、いいんじゃないの?可愛いじゃない。お似合いだよ。」
なんだろ、視界が…。
「梨華ちゃん…。」
「2人でどこにでも行ってきなよ。楽しくデートしてくれば?」
「梨華ちゃんてば…。」
「なんならプランたててあげようか?」
「ねぇ、話聞いてよ…。」
「もう、勉強も教えてくれなくていいよ。」
彼女の大好きな手を振り払って、私は彼女に背を向けた。


「話聞けって言ってんじゃん!!!!」



ひとみちゃんは私を物凄い力で振り返らせて、抱きしめた。
初めて感じる彼女の腕の中。
……昨日タカハシさんも味わったひとみちゃんの腕の中。

「なんなの!離して!!」
頬に、涙が通ったのが分かった。
これじゃ、タカハシさんと同じ扱い。
「私はタカハシさんじゃないんだよ!石川梨華だよ!」

「分かってるよ…。」
ひとみちゃんはちょっと腕をゆるくして、私を見た。
「あたしが大好きな、石川梨華だよ。」
「え……?」

55 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)20時56分41秒
神様は、酷く意地悪みたい。

私はタカハシさんと自分の名前を聴き間違えたみたい。


それか、夢、カナ?

今度は凄く良い夢だな。私スゴク怒ってるけど。


「ねぇ、キスして。」
ひとみちゃんは、一瞬驚いていたけど、コクリと頷くと唇を重ねてきた。
「もっとギュッてしてよ。」
ひとみちゃんは私の言うとおり、力強く抱きしめた。
都合の良すぎる夢だ。それにリアルだ。
このひとみちゃんのぬくもり。本物そっくり…。

「もうそろそろ目覚めなきゃ。」
「はい?」
「これ、夢でしょ?夢だよね。」
「え?」
「ひとみちゃんが、私の事好きなわけないもん。」


「梨華ちゃん、勘違い、してるよ。」
56 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)21時00分56秒
「好きだよ、大好き。」
「ひとみちゃん…。」
「夢じゃないんだよ。例え、夢の中でもあたしはきっと梨華ちゃんが好きだ。」
「本当に?夢じゃないの?」
「夢なんかじゃないじゃん。だって、梨華ちゃんを好きなあたしがここにいる。」
止まってた涙が、また溢れてきた。

もう意地悪しないで神様。
私を夢から覚まして―――――――。

「夢じゃ、ない。」
どんどん目から涙が出てくる。
視界がぼやけて、ひとみちゃんが見えないよぅ。
「ひとみちゃん…?」
「ココにいるよー。」
涙を拭られて、目の前に見えたのは、優しい笑顔の王子様だった。


「お嬢様、大好きです。」
「私も…。」

57 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)21時54分01秒
ひとみちゃんはふざけて、私の手を取るとチュッと口付ける。
「バカ…。」
「バカですから。」
ひとみちゃんはフッと笑って立ち上がると、私を軽く抱き寄せた。



「ひとみちゃんってさ、王子様みたいだよね。」
「へ?何ソレ。」
ベットに腰かけて、足をブラブラさせる。
「何かね。ロミオとジュリエットみたいじゃない?」
「ろみおとじゅりえっと?」
「うん。ロミオがひとみちゃんで、ジュリエットが私ー。」
えへへって笑いながら、ひとみちゃんの方に倒れてく。
「ちょっとー、梨華ちゃん!重い!」
「ひどーい、酷いよ、ひとみちゃん。」
「あ、ゴメン!泣かないでよ!ちょっと!!」
心配そうな八の字眉毛の王子様を、グッと引き寄せる。

「アハハ。王子様、頼りない顔しないで♪」
「梨華ちゃんこそ酷いじゃーん!」
笑いながら、二人でゴロゴロしていた。
頬を擦りあったり、グルグル上になったり下になったり。

58 名前:失恋翌日 投稿日:2002年10月11日(金)22時05分41秒



――――夢じゃないっていうのが、未だに信じられない。
けど、目の前にひとみちゃんはいる。
好きな王子様がいたら、愛するのが姫の役目でしょう。
だったら、夢の中でも、現実でも、私は貴方を愛す。
なんてったって、大好きな王子様だもん―――――………



「それより、姫?」
「はい?」
寝っ転がっている私を、優しく起こすひとみちゃん。
そして、ひとみちゃんの顔ギリギリまで背中を押される。
「ロミオとジュリエットは、王子と姫の話じゃないですよ?」
「えー?そうだっけ?」
「うん。」
自信有りげに言う王子。
「じゃ、一緒に読もうよ!」
「本あるの?」
「うん!」


「じゃぁ読みましょうよ。」
そう言うと、私をひょいっと抱き上げるひとみちゃん。
「本当に王子だね。」
フフッと笑いながら、ひとみちゃんの首に手を廻す。
「そりゃぁ王子ですから。」

59 名前:午後3時の王子様 投稿日:2002年10月11日(金)22時10分17秒


口に軽く唇を落とすと王子は得意げに笑い、お姫様は幸せそうに笑いました。
そして本を見つけて、二人で読みました。
けれど、姫は王子の胸の中で安心して眠ってしまいました。
王子は起こぬ様に、姫をベットに入れました。
そして起きたら、姫に話してあげよう、と床に座って一人で本を読み始めました。


その頃姫は、夢の中でも王子に抱きかかえられていて、
幸せそうに微笑んでいました。
そして時折、王子の名前を口にしては、また幸せそうに微笑むのでした。


そんな姫の可愛い寝顔を見て、
王子も幸せそうに微笑みました。


幸せそうな姫と王子を、ドアからこっそり覗いていた、
王子の友達と姫のお城のお手伝いさんは、顔を見合して、
こちらもまた幸せそうに笑いました。

               

                   <end>
60 名前:作者 投稿日:2002年10月11日(金)22時14分53秒
どだんどだん!!(謎)
最後のに誤字発見・・・泣き。

59
起こぬ⇒×
起こさぬ⇒○

最後までこんなやろうでスイマセン(汗)

終わってしましましたー。
うぅーん駄文・・・。(汗)
ご感想ビシビシ言って下さい!もう作者開き直っているので!!(w

スレ、もったいないんで、ちょこちょこ短編をうpしまーす。
ここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました!
61 名前:作者 投稿日:2002年10月11日(金)22時24分03秒
>47 名無し香辛料さん
ん〜誰でしょうかねー?
今は修学旅行と風邪のシーズンですから、合ってるとも分かりませんよー?(そこがバレバレ)
一応名前は出さないでおいてくだせい。(汗
そして作者は名無し香辛料さんが誰だか分かっていないという思い罪。(泣
ほんとゴメンなさい!思い当たる節が10人以上いるもので・・・。

もっと読みたいなんていわれると、
こうゆうシチュエーション好きだと言われてしまうと、
次のがうpできなーい!(w
暗いんでお気をつけを(謎)

>48 あおのりさん
あっという間に終わってしまいました(w
あ終わったので、顔を普通に戻して下さい、
ほらほら、顎外れちゃいますよ?(w
高橋チャンは、石川先輩にはかないませんでした。m(_ ""_)m

>49 オガマーさん
ワーオガマーさんからレスだぁ!!
作品読ませてもらってますよ!(w
相変わらずの駄文で、目を潰さぬ様気をつけてください。
やぐごまは今考えています。あんまりシチュエーションが思いつかなくて。
その前に暗いのを書いちゃいますが、
甘いやぐごま書けあゴルァァァ!!と作者をしかって下さい。

暇なので、早速短編を上げてしまいます(爆)
62 名前:貴方のために〜G.var〜 投稿日:2002年10月11日(金)22時35分13秒

私は貴方のために生まれてきた。
何をするのも貴方と一緒。
全てが貴方中心。


貴方が楽しいと私も楽しい。
貴方が悲しい時は、私も寂しい。


「あたしさぁ、梨華ちゃんが好きなんだ―」

ある日、唐突に言った貴方の言葉―――――――。
何で?

私は貴方だけだよ。貴方だけが好きだよ、愛してる。
あの子のせいだよね?あの子が悪いんだ。全部あの子のせいだ。


「殺す……。」
「え?」


ドスッ


鈍い音がした。
「ひとみちゃぁぁん!!」
何で?
何デコノ子ヲカバウノ?

「ごっちん、あたしが好きなのは梨華ちゃんなんだよ…。」
「ひとみちゃぁぁん!!いやぁぁぁぁぁ!!!!」
「梨華ちゃん、愛してる…。」
「いやだ!いやだよぉぉ!!ひとみちゃん!ひとみちゃぁん!!」

よっすぃーは本当に、梨華ちゃんが好きだったんだ。

冷たい吉澤。叫ぶ石川。涙を流す後藤。
窓からは、欠けた月が血の海を静かに照らした。

              <END>
63 名前:貴方のために〜Y.var〜 投稿日:2002年10月11日(金)22時48分09秒

私は貴方のために生まれてきた。
貴方を守るために生まれてきた。


いつも貴方を見ていた。
ずーっとずーっと。
かなわなくても良いと思った。届かぬ想い。
貴方がただ傍で笑っていてくれていれば、それで良い。
貴方が幸せなら、私はどうなろうと構わない。



私はただ貴方を守りたい――――――


「殺す……。」
「え?」


―――――――…………


「ひとみちゃん!」
彼女の叫び声が聞える。
生きて、いるんだよね。貴方はいるんだよね。

「梨華ちゃん、愛してる。」


守った。
貴方を守った、この手で。
それだけで、幸せなんだよ。
だから、お願い。
これ以上泣かないで。悲しそうな顔しないで。
「ひとみちゃぁぁぁん!!!!!」


梨華ちゃん、笑ってよ―――――



ありがとう、梨華ちゃん。

大好き―――――――……

           <END>    
64 名前:貴方のために〜T.var〜 投稿日:2002年10月11日(金)22時59分10秒

私は貴方のために生まれてきた。
貴方を愛するために生まれてきた。


ずっと愛していた。
遠くから、見つめていた。
貴方が微笑む度、ドキドキしていた。
大好きで、大好きで、たまらなくて、
泣いてしまった日もあった。


私は貴方を愛す。
ただ、それだけ――――――




「殺す……。」
「え?」


頭が真っ白になった瞬間、優しい貴方の匂いがした。
私が愛した貴方の匂いがした。


目を開ければ、真っ赤な貴方。
いつもの白い肌のまま、微笑んでいた。


「梨華ちゃん、愛してる。」


言うのが遅いよ。遅い遅い遅い………。


「ひとみちゃぁぁぁん!!!!!」


貴方に、守られた。
愛した人に、守られた。


涙が溢れてくる。どうしようもなく溢れてくる。
愛しとおしたかった。本当に愛していた。こんなに愛したのは初めてだった。


私はただ、貴方の名を呼ぶ。愛する人の名を呼ぶ。



ひとみちゃん、ありがとう。

愛してる、永遠に―――――――

           <END>
65 名前:作者 投稿日:2002年10月11日(金)23時03分32秒
本当にパパッと上げました。
授業中に書いた物です。(爆)

狂った愛。守る愛。貫く愛。
殺して、守って、愛したって感じで(謎)

謎な部分が多いですか、作者も深く考えてないので、皆さんも考えないで下さい。(汗
ここは、何でこおうなのかとか、細かい事は気にしないで下さい(滝汗
なぜなら、何も考えていないからです。(爆)

本部同様、コチラも厳しいご意見、有難いレス、何でも蜘蛛女!です。
(引き続き荒しは勘弁ですが)
66 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月15日(火)16時21分34秒
―後藤視点―

「は、初めまして。後藤真希です。」
「や、矢口真里です。」
「何緊張してんのーごっちん。矢口さんも、ホラ、リラックスリラックス♪」
よしこが居たから話せたけど、きっと二人だけだったら沈黙続きだろーなー……。


「ねぇねぇごっちん!日曜ヒマ!?」
いつもとは違うニヤニヤ顔で、よしこは餌に飛びつく犬の様勢いで
私の机をガタガタ揺らした。
「んあー。暇があれば寝てる…。」
「ヒマね!OK!!あのさー…紹介したい人がいんだよねぇ。」
これまた気味悪い笑顔でよしこは言う。
「またー?もういいって…アンタは梨華っちとラーブラブしてれば…。」
「すごーくごっちんタイプだと思うんだよねー…。」
瞳をキラキラ輝せてよしこはこっちを見る。

「わーった。わーったよ。行きゃーいいんでしょ?」

ちょっとイジけ気味に言ったのに、よしこったら人の話聞いていない。
スキップしながら教室から出て行った。
何なんでしょう…あの子。

67 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月15日(火)16時31分32秒
―矢口視点―

「は、初めまして。後藤真希です。」
「や、矢口真里です。」
「何緊張してんのーごっちん。矢口さんも、ホラ、リラックスリラックス♪」
うぅー話難そうな人!!何かオイラとは合わなそうだなぁ…。

「やーぐちさっん!」
「おおー吉澤ぁー。あっ!今お嬢様いないんだけど…。」
確か今の時間、お嬢様は…。えーと、何だっけ。

「そんな事とっくのとうに知ってますよー。それより今日は矢口さんに話が…。」
「だ、だめだよ吉澤!!お嬢様に怒られ…。」
「告白なんてしませんよ。」
「告白以外に、この可愛い可愛い矢口さんに何の用だ?」
吉澤は一瞬呆れた顔をしたが、ハッ!とした様に私の方を見る。
「矢口さん日曜ヒマですか?ヒマですよね!!OKですよね!ハイ!さよなら!」

誰もOKなどとは言ってない…吉澤は話も聞かず、走り去った。
暇なのは本当だけど…ソコが悔しい。クソーッ!
にしても何の用だよ…一番大事なソコを言えっつーの。

68 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月15日(火)16時47分19秒
―後藤視点―

「ごっちーん!約束、覚えてるよね?」
「お、覚えてるよ…。」
よしこがあまりにも恐い顔で睨んでくるので、
つい覚えてる、と言ってしまった...。
いや、確かに覚えてはいるけど、覚えてないとでも言ってしらばっくれようと思った。
てゆうーか、いつから約束になったわけ…?


「そ、それなら良かった。」
「ちょちょ、よしこっ!!何するの?どこで?何時?」
ルンルン気分で今にも飛んでいきそうなよしこを、
慌てて引き止める。
詳しい事は何も聞かされていないんだ。


「えっとね。駅前の喫茶店。ホラ、この前開店記念に二人で行ったとこ。」
「ああ、ハイハイ。」
「あそこに2時に来て。それだけ。」
「うん。」
空飛ぶ浮かれ人ことよしこは、本当に飛ぶ様に消えて行った。
何か怪しいなぁー……。私のタイプの人なんて知らないクセに…。
それと、何か言おうとしたんだよねぇー…。

あ……。


「よしこぉー!そこの喫茶行った時奢った分返してぇー!!」


69 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月15日(火)17時08分32秒
―矢口視点―

「矢口さん。」
「あ、ハイ!」
階段の掃除をしていると、お嬢様に声をかけられた。


「これ……。」
お嬢様から手渡された一枚の手紙。
手紙と言っても、ただのメモ帳にスラスラッと書いただけって感じの物。


[矢口さんへ(はぁと)
 この前の約束(はぁと)覚えてますよね(はぁと)
 えーっと、駅前の喫茶店。あの新しくできたとこです。
 あそこに2時に来て下さい。絶対ですよ(はぁと)
 
              吉澤(はぁと)]


何これ、はぁとばっか…。
「うへー吉澤の野郎、何企んでんだか…。」
ボソッと言った瞬間、何か上からすさまじいパワーが…。
見上げると、お嬢様が物凄い形相でこっちを見ていた。
「矢口さん、ひとみちゃんとデートするの?」
「はいぃ?」


「だって、そんなにいっぱい(はぁと)書いてあるし、
 この前の約束って何よ……。何よ!
 それにひとみちゃんは、「これ秘密だから見ちゃダメ」なんて言うし…。」
「いやそんな事言われてもですね…?」
お嬢様は今度泣きそうな顔をして、グズグズ言っている。
何だよ…何でオイラが吉澤のせいで怒られなきゃいけないんだよー!


70 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月15日(火)17時09分16秒



てゆうか見ちゃダメって言われた筈なのに、さり気なくお嬢様見てるしぃぃ!
何なんだよーもう!
日曜日、吉澤しごいてやる…。




71 名前:作者 投稿日:2002年10月15日(火)17時10分13秒
やぐごま編をスタートさせてみました。
相変わらず駄文・・・。うぅ恥ずかしい。
最後収まらなくて、ちょっと変な感じになってしまいました。(汗
72 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月17日(木)18時12分44秒
―後藤視点―

土曜日。
私は、悩んでいた。
明日は、行くべきなのであろうか。
でももう、よしこに変なのを紹介させられるのは真っ平だ。
でも、今回に限って飛びっきり良い人だったらどうする?ゴトー。
でも、いつもと同じ変な人だったら?


うーん……迷うなぁ。
よしこを信用するべき?
…あの人は……もう何年も一緒にいるけど、うーん、信用できん。
こんな事言ったら、梨華っちに殺されるだろーなぁー…。
いや、あの人お嬢様だからやりかねないゾ…。


行こおーっと!
もし嫌な奴だったら、また「トイレ行ってきまーす。」なんて言って、撒いてやればいい。
次の日、今度はよしこに殺されるけど…。
まぁその時はベーグルでも買って行こう。そんでもって機嫌取ってやろう。
うん!行くゾー!!


やったぁ…もっとゴタゴタ考えようと思ったけど、こんなに早く解決したじゃーん。
予定より1時間も多く寝れるよ…。
おやすみなさぁぃ………。


そして私は気持ちよーく、眠りにつく―――――――――筈だった。


「姉ちゃん!!!!電話!!!!」
うっせーユウキの一言がなければ……。

73 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月17日(木)18時21分32秒
―矢口視点―

とうとう明日。
吉澤は一体何をやらかす気なんだろう…。
恐いなぁー、お嬢様が好きになった人だもん…じゃなくて。
ドッキリ?うーん分かんないなぁ。考えてる事。


駅前の喫茶2時か…。
うぅん…悩む。行くべき?行かぬべき?



行こう――――――――――



どうせ家にいたって暇してるし、明日もどうせご主人様いないし。
久しぶりに外にも出たいもんねー。
このメイド服も、最初の頃は可愛くて毎日着てても飽きない!って思ったけど、
やっぱりそう、何ヶ月もずーっと同じ格好してると、生きてる感が無くなるわけよね。
私服も久しぶりに着たいし。


イタズラでもドッキリでも何でもかかってきなさいよぉ!!
石川家のご指名No.1のメイド、矢口さんが相手になってやるぅ!!


「吉澤、見とけよぉぉぉぉ!!!!」


熱く燃えていた私だったけれど、その熱はスグに失う。
お嬢様から発している寒いさむーいネガティブな気。
私の推測からすると、お嬢様の場合別名………「嫉妬」とも言う。

74 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月17日(木)18時36分05秒
―後藤視点―


『んあー!?もしもしー!?』

『あ、ごっちん!明日の約束覚えてる?』
その為だけに電話してきたのか…よしこよ。

『覚えてるよ!用事は?あん?それだけ?』
怒っている私を見て、隣でユウキがコソコソ笑う。

『何怒ってんだよー。あ、まさか寝起き?』
よしこが面白そうに笑う。あームカツク!!
ユウキが抑えきれなくなった様に、お腹を抱えて笑い出す。


プイッと、ユウキと逆方向を向く私。
電話があるリビングボードの脇には、鏡があるんだけど…。


(ぎょえっ!!)


私の顔は、頬に畳の後がビーッシリ付いてて。
まるで猫に引掻かれた様な顔をしていた。
そっか…お姉ちゃんの畳の部屋で寝ちゃったんだっけ。
やっと自分の異変に気づいた私を見て、ユウキは一段と笑い声をデカクする。


私の、何かが「キレ」た。



75 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月17日(木)18時38分26秒


いくらマイペース、温厚なゴトーでも………しまいには怒るぞ、ゴルァァァ!!!



【ユ・ウ・キ・デ・ン・ワ・オ・ワ・ッ・タ・ラ・コ・ロ・ス】




ユウキは恐怖に満ちた顔で、後ずさりした。
フッ。口パクでよく分かったわね。
流石私の弟。もう双子に近いし。



『あ、それからヨシコ。あんたもね。』

『へ?何が?』


受話器片手にお惚け顔したよしこが頭の中をグルグル回って、つい吹き出した。



明日が楽しみ…。




笑う私を見て、ユウキは2階の自分の部屋へと駆け上がっていった。
階段から何回も滑り落ちながら上っていくユウキは、今年最高にウケた。
木に登れない猿みたいだった。(確かに猿顔だし)


76 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月17日(木)19時58分36秒
―矢口視点―

「矢口さん、ひとみちゃんとデート…するんだ。」
うわぁぁ…大変だぁ。お嬢様のネガ100%が再発…。


「デート、なんかしませんって!ね!?」
「本当…?」
「ほんとですよ!」
「ほんとのほんと…?」
「マジですって!それに吉澤…様はこんな私よりお嬢様の方がお好みですって!」
調子めかして言ってみる。うん…いい感じ。
お嬢様の顔の色が戻ってきたよ。元の黒い色…健康的な色に。


「でも、そしたら何でひとみちゃんは矢口さんだけを誘うの?」
「え、えぇ?」
やっと戻った!と思ったら、お嬢様のネガネガ病は進行していたらしい。
「何で?クラスメイトの私じゃなくて、私の家政婦さんの矢口さんを誘うの?」
「そ、それはですね…。吉澤様は、ご主人様が厳しいので、お嬢様を心配してらっしゃるのですよ。」
あー上手く言ったな、今の。我ながら上出来じゃない?


「そっか…そうよね。ひとみちゃんはやっぱり優しいなぁ。」
「そうですね!吉澤様はとっても心の優しいお方ですよ!」
お嬢様は納得したのか、部屋に戻っていこうとした。
上手く行った…冷や汗出たよ。





そう思った次の瞬間――――――



77 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月17日(木)20時00分22秒



「矢口さーん!!!吉澤さんという方からお電話でございますー!」



放送がかかった。
吉澤という名に反応したのは、オイラよりお嬢様の方が先だったらしい。
「よし…ざわ?」
「あ、私の友人なんですよ!中学時代の!!吉澤…吉澤麗子!!」
「そう…。」
お嬢様はさっきの言葉が相当気に入ったらしい。
それ以上問い詰めては来なかった。
そして部屋に戻っていく。
嘘が…上手くなったな。




「繰り返します!矢口さん!吉澤様、吉澤ひとみ様からお電話です!!!」




………―――――ヤバッ!!



後ろに殺気を感じながら、私は1階へと長いらせん状の階段を駆け下りていく。



「矢口さぁぁぁん!!!」




「ヒエーッ!ゴメンなさーい!!」

何でオイラが怒られなきゃいけないんだよ!!!


クッソー…新しく入ったあの子…。紺野、だっけ?
電話が終わったら、しごいてやる!!

78 名前:作者 投稿日:2002年10月17日(木)20時02分34秒

駄文更新です。
やぐごまは書いててとっても楽しいと発見しました。
あー…レス来なさそうだからsageで書いて行こうと思ったのに、
2回目でageてしまいました・・・・。
作者のダメっぷりは、小説以外でも現れます。(汗

79 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月18日(金)17時36分43秒
二人の対面がすごい楽しみ。
やぐと梨華ちゃんの会話おもろい。
80 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月19日(土)10時40分02秒
瞬間冷却チャミさま素敵です、0.1秒でマイナス200度まで下がります。

私は「いちごま」より「やぐごま」の方が気持ちええれす。

81 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月19日(土)21時09分10秒
―後藤視点―

「んあぁぁぁ!!!!」
今何時!?
「5時……?」
私はちょっと混乱した。今は朝の5時?夕方5時?
AM?PM?
外が暗い……どっちやねん!
慌てて携帯を見ると、【am 5:07】
ディスプレイはそう表示していた。


「良かったー…。」
こんなに早く起きたのは初めてだった。
だからこんなに混乱したんだ。
むしろ、今がpm5:07だった方が私は冷静でいただろう。
夕方まで寝るなんてコト、良くある話だ…私の中では。




昨日は、ユウキと夜遅くまで殴り合って…じゃなくて遊んでいた。
そしたらもう夜の2時とかになっちゃってて、ウトウトし始めたから寝たんだけど…。
最短記録だよ、就寝時間役3時間。
よしこに言おうと思ったけど、言ったら絶対
「明日は雪が降るよ、ごっちん。いや、槍かな?血の雨かもね…。」
なんてキザっぽく言われるんだろーからヤメタ。


ベットにゴロンと寝転がる。
3時間しか寝てないんじゃ、喫茶店で眠くなっちゃうよなぁ…。
もうちょっとだけ寝よう…。
82 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月19日(土)21時37分12秒

―矢口視点―

「うるさい。」
今何時だっつーの!5時!?
はぁー?ココの鶏1000羽も起きてねーっつーの!
自分が犯した罪とはいえ…ここまでするコトないじゃんかよー…。


私、矢口真里が何故こんな朝早くに起きた理由。
お嬢様。
昨日の「アレ」のせいで、お嬢様は一晩中泣いている。
いや、詳しく言うとさっき4時から。
昨日はう〜んと、1時30分ぐらいまでかな?って…。


お嬢様泣きすぎだっつーのぉぉぉぉ!!!!


あんな事ぐらいでそんな何時間も泣くなよぉ…。
でも正直言うと、私は怒ってはいない。うん、多分。
それに呆れているわけでもない。
ぶっちゃけ………


ここまで一途なお嬢様可愛すぎるぅぅぅぅ!!!!


こうゆうとこが可愛いんだよ、可愛いんだけどね?
お嬢様が思っているのが、あんなヘタレ野朗(お嬢様称:カッコ良くてスポーツもできて…な王子様)
なのが悔しいぃぃぃぃぃ!!!!
でも自分が犯した罪だもんね…さっさと電話に出てれば…。
けど、やっぱり吉澤のせいだよぅ…。うぅ何でオイラが……。




お嬢様、いい加減泣き止んで下さいヨ……。
あぁこっちが泣きたくなってきたぁ。


83 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月19日(土)21時50分37秒

―後藤視点―


【am6:11】
「ハァー……。」
携帯を見て、私はため息をついた。
何でこんな日に寝れないんだよぉ!
いつもの爆発的眠気が、今日に限っては襲ってこない。
なんでぇ?私昨日特別な事したっけー…?


ユウキと殴っ…遊んだ。
ご飯食べた。
お風呂入った。
テレビ見た。
お姉ちゃんと話した。
お母さんとも喋った。


全部いつもしている事。
なんら変わりないいつもの生活。
なーんでこんなに寝れないんでしょーかー?
誰か答えて下さぁぁぁぁい!!


する事がなくて、明日の服でも決めようと、クローゼットを開ける私。
けれど、着る服は勿論明日持って行くものや、メイクの仕方。
全てお姉ちゃんと決めてしまっていた。
いつもなら、テキトーに服決めて、テキトーにメイクして。
何だか今回だけ、変に気合入ってる。お姉ちゃんも熱入れてるし。



何でだろう、緊張するんだよね。
私、とてつもなく変わる気がする…………―――――――


84 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月19日(土)22時49分43秒


―矢口視点―



「おはようございます!」
「おはよこんの…。」
紺野の声が妙に頭に響く。まるで二日酔いみたいに…。



「今日はどんな仕事を!」
「いつもと同じ朝食の準備を…。」
「はい!分かりましたぁ!」
こんの…なんでそんなに元気なんだよ。
寝てないんだから…もうちょっと静かにしてくれ…。



「紺野…。」
「はい!何でしょうか!」
「なんでもない…。頑張って。」



「はい!紺野頑張ります!」
自衛隊じゃないんだからそんな大声出さないでいいっつーの…。
呆れて物が言えないって、こうゆう事なんだろうか。


85 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月19日(土)22時50分57秒


いつもと同じ様に食器を準備する。
この皿一枚5万円とか言ってたっけ…。
気をつけながら皿を準備する。

前に、紺野が割りそうになって私がナイスキャッチしたんだよね。
あの時パンツ見えてチョー最悪だった。

あれ?私って、ひょっとして紺野に振り回されてる?


「キャッ!」
言ってる傍から紺野が皿を落としそうになった。
ていうか落とした?
そんなこと確認する前に私は皿に飛び込んだ。
「あぶなっ!!!」



数秒後。
皿が割れるガシャン!って音じゃなくて、
ドテン!て私がコケた音がした。




もうやだぁ…。
今日は寝られないし、紺野は皿割りそうになるしぃ…。
メイドになってスライディング(しかも2回も)すると思わなかった…。


86 名前:作者 投稿日:2002年10月19日(土)22時54分57秒
更新でーす!
遅れましてすみませんm(_ ""_)m


>79 名無し読者さん
どうしてもやぐごまは面白くなってしまいます(w
次回はとうとう二人ごたいめーん!ですぞ(w

>80 ひとみんこさん
いいですねぇ。瞬間冷却。(w
それだけうちの梨華お嬢様は吉澤様が好きだそうです。
自分もやぐごまの方が好きですが、いちごまも良いですなー。

次回二人ご対面です。(w
付き合って頂いてる方々有難う御座います。
最近更新マイペースでスイマセン。
87 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月22日(火)20時55分09秒

―後藤視点―


「はぁ〜。」
「姉ちゃん、3回目。」
平日は遅刻ばっかり。休日は寝てばっかり。
の、私だから家族と朝食っていうのは、結構珍しいと思う。
今日の朝食は休日だからか、ちゃんとした和食。


「はぁ。」
「姉ちゃん!」
「うっさい!」
テーブルの下で、ユウキの足を蹴る。
「真希、今日どこか行くの?」
「へ?」
「こんなに早く起きているから。気持ち悪いわね。」
「酷いなーお母さん!」
苦笑するお母さん。その隣で笑うユウキ。
私はキッとユウキを睨む。
ユウキは笑いを止めて、ご飯をバクバク食べ始める。


「駅前の喫茶店に行ってくる。」
「誰と会うの?」
「よしこ…と紹介人。」
「紹介人?」
「う、うん…。」
そう、と言いお母さんもご飯を食べ始めた。
あまり人の事をどうこう言わないお母さん。


「また会うのかよ〜。会うだけムダムダ。」
ユウキが何故か得意げに笑いながら言う。
「姉ちゃんに合う人なんて、この世にいね〜よ。」
バカ笑いするユウキ。
私はさっきの5倍以上の力で蹴り飛ばす。
「いっでぇ!」
「うるさいんだよ!!」
涙目でこっちを見るユウキ。
へん!ばぁ〜〜か!!
88 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月22日(火)21時23分17秒

―矢口視点―



「矢口さんいいな!」
「何言っても連れて行かれませんよ。」
何で?って目で見ないで下さいよ。
「ズルイよ〜!」
何がずるいんですか。誰も行きたくて行く訳じゃないんですけど。
「ひとみちゃんと休日に会えるなんて……。」
だから泣く事じゃあないと思うんですけど……。


「矢口さん。吉澤さんからお電話です。」


またかよ……。
「矢口さん。」
「じゃ、ちょっと出てきま〜す!!」
ずるい!という声を背に受けて、電話の所に行こうとした。


「矢口さーん?矢口さん!いないんだったら松浦が出ちゃいますよ!」


何やってんだ、バカ浦。
あーあ…お嬢様がまた暗くなるじゃん。
「はあ…。」


「矢口さーん!矢口真里さん!もう亜弥出ちゃいますからね!知りませんよ!」


「わーった!今行くからぁ!!」
本当にバカ浦………。どこまでバカなんだよ。
ちぇっ。ご主人様がいたら即クビなのに………。


「やーぐちさぁん!!亜弥怒りますよ!」


放送でそんなの流すなよ!
っていうか何でお前が怒るんだよ!
たく、バカ浦もブラックリスト入りだよ。


……頭の痛い日曜日。


89 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月22日(火)21時37分25秒

―後藤視点―


『あ、もしもし?』

「よしこ?」

『ごっちーん!何やってんだよ!!』

「ご、ごめん……。」

『なんつって☆まだついてないよ。』

「驚かさないでよぉぉぉ!!!」

『ごめんごめん…。ごっちん気合入ってんね〜』

「な、何言ってんの!!」

『バレバレだよ〜。期待して待っててね☆それじゃっ!』

「ちょっ!よしこ?」


プチッ ツーツーツー


「何なのぉ!!」
私は駅の喫茶店まで歩いている。
ちょっといつもと違ってオシャレしちゃったり。
髪もパーマかけたりしちゃってるんだけど…ドキドキする!!
相手の人、どんな人なんだろぅ………。

90 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月22日(火)21時47分31秒

―矢口視点―

「やぁ〜ぐちぃさんっ!」
1時30分になると、吉澤が迎えに来た。
「どうしたんだよ〜?」
「行きましょうよ!」
「え?相手の子は?」
「もう出発してますよ!!早く降りてきてください!!」
「あ、うん。」


お嬢様にバレない様に静かに降りていく。
「こんにちわ。」
「何で?迎えにきたの?」
「早くしないと、相手怒っちゃいますよ!怒ると魚ですよ!!」
「はぁ?」
怒ると魚…?どういう意味だよ。ってか人間かよ。


「あ、もしもし?」
吉澤は急に電話をかけ始めた。
「ごっちーん!」
ごっちん……?ごっちんなんて魚いたっけ?


「ごっちんもうついてますって!急ぎましょう!!」
「お、おう…。」

ごっちん……魚……。
どんな人なんだ?ちょっと不安…。

91 名前:作者 投稿日:2002年10月22日(火)21時49分24秒
うぅーーん今日、もう会う所まで行こうと思ったんですけど、
ダメですた(汗

更新遅気味ですけど、がんがります。(滝汗
92 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月23日(水)18時39分20秒
よすぃこの行動で、
何人もの被害者(被害予定者)が出る模様です。
てかすでにでてますね(w

ん〜ん、嫉妬してる梨華ちゃんもイイ!
そうか、二人が知合うにはこんな経緯があったとは…。
93 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月23日(水)19時23分13秒
氷柱の中の少女、チャミさま凍り付いてます。
史上最強のブリザードが吹いてます。
当然、氷の色はピンクです。
94 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月24日(木)18時10分47秒

―後藤視点―


あと10歩……9歩…8歩…7歩…6歩…5歩…4歩…3歩…2歩…1歩…
あれ?まだだ。
もう…………1歩――――――!!!!!


「おはよう!よしこ!!」

「あ〜ごっちん!おはよっていうかもう昼だっつーの」

「あ、ゴメ…いつもの癖で。」

「いいっていいって!!あ、それより…。」



よしこの後ろにいる小さい人。
っていうかマジで小さい、小人?これが紹介人…?

「ごっちん。これが……あ、何でもないや。とにかく中入ろっ♪」

「あ、うん...。」

う〜何だか…ゴトー、緊張。汗がダラダラ垂れてくるぅ…。

95 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月24日(木)18時30分18秒

―矢口視点―


携帯を取り出して見ると、ディスプレイは【1:58】


「吉澤ってさー、携帯持ってるよね?」
「は、はい。何でですか?」
「お嬢様にもさ、電話してやってよ。もう嫉妬ぶかくてしょうもないんだ…これが。」
「はい…?梨華ちゃんが?」
「あ、もう梨華ちゃんって呼ぶ様になったんだぁ〜。」
「まぁ、はい。」
「何照れてんだよ!コイツ!」


肘で突っつくと、吉澤は頬を赤く染めた。
「そんな〜恋人じゃないんですから。」
「はっ!?」
何?お嬢様家じゃあんなに凄いのに、告白してないわけ?
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない…。」


「おはよう!よしこ!」

すぐ傍から声がした。
見ると、吉澤の向こう側にパーマかけた茶髪の子が立っていた。

「あ〜ごっちん!おはよっていうかもう昼だっつーの」

駆けてきた女の子は、吉澤と同じくらいの身長だった。
何か、ごそごそ話している。

「ごっちん。これが……あ、何でもないや。とにかく中入ろっ♪」


結局……この子が紹介人?
何か、ちょっと恐いなぁ………。


96 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月24日(木)18時44分30秒

―後藤視点―


「は、初めまして。後藤真希です。」

「や、矢口真里です。」

「何緊張してんのーごっちん。矢口さんも、ホラ、リラックスリラックス♪」
よしこが居たから話せたけど、きっと二人だけだったら沈黙続きだろーなー……。

「えっと…矢口さんは何してるんですか?」
「え、えーとねぇ…。」
私の前に座る矢口さん。ほんっと小さいなぁー。


「矢口さん、ごっちん。ごめん。トイレ行ってくるね〜。」
「あ、うん。行ってらっしゃい。」
私がよしこに手を振ると、気持ちわりー笑顔でよしこは消えた。
何か企んでそう………。


よしこがトイレに行くと、しばらく沈黙………。


沈黙………。何か喋んなきゃ!!



沈黙…………。んあー喋る事ない!!



沈黙…………。矢口さん怒っちゃうかな…。


矢口さんの方を向くと、矢口さんは。



笑った。



「あのさぁー、吉澤と同じ学校でしょ?」

「は、はい。」

「あ、敬語はよそーよ。あとヤグチ、とか何でもいいから。」
コーヒーを飲みながら言う矢口さん……。
何だかちょっと渋いなぁ…。


97 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月24日(木)18時47分37秒


「後藤さん…だっけ。」
「あ、ゴトーも後藤でいいですよ!」
緊張してたのか、ちょっと言葉がおかしくなった。
矢口さんはまた...笑った。


「面白いね。なんて呼ばれてる?」
「ごっちん。あと、ごっつぁんとかゴトーとか。」
「やっぱりゴトーって言うんだ…。」
矢口さんはもう一度、吹き出した。



「な、何か面白いですか!!?」
「ご、ごめん…。敬語はやめよ、って言ったじゃん。」
「あ………ごめん。」
「いや、別に謝る事でもないって。」
今度は顔を歪めて笑う矢口さん。



「じゃぁさ。」
「な、なに?」
ちょっとぎこちないなー…けど敬語ではないと思う。



「ごっつぁん。」




「ごっつぁんって呼んでいい?」
「う、うん!!」
なんだろ…今…………



―――――――――メチャクチャ可愛かった。





98 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月24日(木)19時10分07秒

―矢口視点―


「は、初めまして。後藤真希です。」

「や、矢口真里です。」

「何緊張してんのーごっちん。矢口さんも、ホラ、リラックスリラックス♪」
うぅー話難そうな人!!何かオイラとは合わなそうだなぁ…。



「えっと…矢口さんは何してるんですか?」
「え、えーとねぇ…。」
あれは…仕事?学校も行ってないしー…家政婦?


「矢口さん、ごっちん。ごめん。トイレ行ってくるね〜。」
「あ、うん。行ってらっしゃい。」
トイレ行くのに行ってらっしゃい…面白い子だなぁ。


「………。」
「………。」




あり?これ沈黙ってやつ?
やば…何か話さなきゃ。




話題が無いか探したけれど、こうゆう時に限って出てこない。
困って後藤さんの顔を見ると、彼女も何か考えてる様子。
困った顔…考えてる顔…面白いなぁ…百面相だよ。


私の視線に気づいたのか、後藤さんもこちらを見た。



「あのさぁー、吉澤と同じ学校でしょ?」

「は、はい。」



無意識に言葉が出た。考えて出てきたワケじゃーない。
あんまり考えすぎない方がいいのかな…。
私は(吉澤の奢り)コーヒーを一口啜った。


99 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月24日(木)19時50分47秒

「あ、敬語はよそーよ。あとヤグチ、とか何でもいいから。」


「あ、ゴトーも後藤でいいですよ!」


「面白いね。なんて呼ばれてる?」
「ごっちん。あと、ごっつぁんとかゴトーとか。」
「やっぱりゴトーっていうんだ…。」
私は押さえ切れなくて声に出して笑ってしまった。


「な、何か面白いですか!!?」
あー、やっぱり怒るよね?謝るべきだよね。


「ご、ごめん…。敬語はやめよ、って言ったじゃん。」
「あ………ごめん。」
「いや、別に謝る事でもないって。」


「じゃぁさ。」
「な、なに?」



「ごっつぁん。」







あ、声に出すとちょっとハズいかも。
「ごっつぁんって呼んでいい?」
「う、うん!!」


「ごっつぁんいいね〜。」
「………。」
「ごっつぁん?」
あり?馴れ馴れしすぎた?







「や、やぐっつぁん!!」







「へ?」
「やぐっつぁんって呼んでいい?」
「う、うん。」
やぐっつぁんかー…。

「っつぁん同士だね。」
「うん♪」
楽しそうだな、ごっつぁん………。





か、かわいい――――――――





100 名前:作者 投稿日:2002年10月24日(木)19時57分28秒

ひーやっとのことで二人が出会いました!
次回から本当にやぐごまメインで行きますーー!!


>92 名無し読者さん
よすぃこは罪な男です・・男じゃねぇよ!<(^〜^O;)
嫉妬梨華たんがうちの売りなので。(謎

そうなんです・・・やぐとごとーにはこんな出会いの物語が・・・
( ´ Д `(〜^◇^)>ねえよ!
ただ吉澤さんが紹介しただけです(爆

>93 ひとみんこさん
吉澤さんに早く氷を溶かしてもらわないと、
あややが桃色片想い状態に陥る危険アリ(謎

おそらく今チャミさまの部屋には別の意味の春が・・・。
(;〜^◇^)>吉澤ぁ!早く本当の春届けろやぁ!!
(;O^〜^)>な、なんでオイラが氷の世界へ・・・
川o・-・)ノ>早くしないと屋敷がこおります
( ´ Д `)>よしこの責任だよね

101 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月24日(木)20時16分32秒
えっ? チャミさま、告って無いんですか?
よしこ! 何してんだよー! おめーから告れよ!

( ^▽^)<ひとみちゃん! アヤヤなんかにふらふらしたら殴るよ!
102 名前:オガマー 投稿日:2002年10月24日(木)23時05分35秒
あー!もうよすぎ!!
もう萌えて萌えて萌えてどーにかなりそう!
かわいくて面白くてほんとに好き!この話(w

何気にバカ浦もすげーかわいいw
バカなあやや…萌え(爆

続き期待してまーす。がんがってね!w
103 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月25日(金)20時19分09秒

―後藤視点―


「そうだ!さっきの質問答えてよ!」
「…何やってるかって…?」
「うん!」


あり?…やぐっつぁん、どんどん困った顔になってく…。


悪い事、聞いたかな…?
何だか私は耐えられず、俯いた。



「ごっつぁん?」
「はい!」



呼ばれて、体が反応して顔をビクッと上げた。

やぐっつぁんは、またニコッて笑った。



「メイド、やってるんだ。」
「メイドォォ!?」



あ、ビックリしすぎちゃった…。明らかにオーバーリアクションだ。



「そんなに、驚くの…?メイドって。」
「いや、ちが!メイドのやぐっつぁん可愛いだろうな!!って。」
「へ?」
「違う!絶対可愛いだろうなぁ!!!」



私何言ってんだ……?




やぐっつぁんは…俯いちゃった。店員さんやお客さんも、クスクス笑ってる。
どうしよ…やぐっつぁん怒ったかな?




「ごっつぁん、そんな大きい声で恥ずかしいよぅ……。」




上目遣いで、やぐっつぁんは見つめてきた。

やぐっつぁんは、小さい。

小さい所が…小さい所も、可愛い。








上目遣いなんかされちゃ、たまんないよ…。










104 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月25日(金)21時02分44秒

―矢口視点―


「そうだ!さっきの質問答えてよ!」
「…何やってるかって…?」
「うん!」


あーどうしよ…さり気なく流してたんだけど…。
メイドなんてなー…退かれるかな…。
しかも学校行ってないし…不良じゃん。


秘密事はしたくない。


嫌だな…折角ごっつぁんと仲良くなったのに。




「ごっつぁん?」
なぜか俯いている彼女に、声をかける。
「はい!」



大丈夫だ。


私はこう思った。彼女なら退くなんてない。

なぜか、凄く自信がもてた。


「メイド、やってるんだ。」
「メイドォォ!?」
……すんげー驚いてる…。


「そんなに、驚くの…?メイドって。」
「いや、ちが!メイドのやぐっつぁん可愛いだろうな!!って。」
「へ?」
可愛い…?何言い出すんだ?



「違う!絶対可愛いだろうなぁ!!!」




恥ずかし……。




「ごっつぁん、そんな大きい声で恥ずかしいよぅ……。」




こういうの、上目遣いっていうのかな?

これって、別の時に使うんだよねぇ。

でも、しょうがない。ごっつぁんの方が大きいから、自然にこうなるんだ。



あれ、またごっつぁん固まった。





105 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月25日(金)21時09分17秒

―後藤視点―


「ごっつぁん…?」


……どっひゃぁぁぁ!!!!!


「どうしたの?」
「い、いや何でもない!」


びっくりした…心臓止まった。あ、止まったら死んでるじゃん。


何かに取り付かれた様にボーッとしてて、
意識がビクッて戻ってきたら、目の前にやぐっつぁんの顔があった。

やぐっつぁん、近くで見ても可愛いな……。




………!!


今、私何考えてた!?オヤジみたいな発想してた気が…。
無意識ってこれ?ヤバ…本当に何かに取り付かれてるよ。


「ごっつぁん?だいじょぶ?」
「あぁぁ!だいじょぶ、だいじょぶ!!」
やぐっつぁんがまた顔を近づけてきたから、慌てて反応した。



私どうしちゃったんだろう………おかしい!!

106 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月25日(金)21時17分19秒

―矢口視点―


「ごっつぁん?」

何だかごっつぁんおかしいぞ…?

「どうしたの?」
「い、いや何でもない!」


おかしい!?おかしすぎる。熱でもあるのかな…?
顔近づけた時、真っ赤だったし…。


でもちょっと近づけすぎたな。
あとちょっと動けば、キスできたぐらいだったしぃー……。



………!!!!!



私今何考えてた!!?何か物凄くヤバーイ様な事…。
あーもしごっつぁんが心読める人だったら、退かれてる。完璧。



あれ?またごっつぁんがSTOP……。


「ごっつぁん?だいじょぶ?」
「あぁぁ!だいじょぶ、だいじょぶ!!」


明らかにおかしーなぁ…。あれ…私も顔熱い!?
おかしいのって、私だったの!?


顔近づけたからかな…。
ごっつぁん綺麗だった……って何言ってんだよ!!

いや、でも本当に綺麗だった。


あれ!?どんどん熱が上がってく!!!
私、どうにかなっちゃった……。


107 名前:作者 投稿日:2002年10月25日(金)21時26分17秒

やっと更新が・・・(ホッ
ごとーさんもやぐちさんも作者もおかしくなってきました(爆

>101 ひとみんこさん
チャミ様は、想いをアピールする相手を間違えている様です(w

(;〜^◇^)>そうだ!吉澤さっさと告れ!!
(;O^〜^)>い、いや・・・だって梨華ちゃんの事・・・
|T▽T) |彡サッ
(;O^〜^)>ヤバ・・・!
(〜゜◇゜)>ひぇ・・・

>102 オガマーさん
萌えて萌えて萌えてどうにかなって下さい(w
バカっぽい話しかかけないんですよ・・・トホホ

バカ浦はもう出てこなそうです(w 一度きりの爆裂キャラでしたm(_ ""_)m

期待していただいてる様になるか分かりませんが、がんがりまーす!


次回〜吉澤失踪〜をお送りします。(ちょっとウソ

108 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月29日(火)20時31分43秒

―後藤視点―

「あ、そうだやぐっつぁん…。」
「何?」
「あのね…よしこ。」


よしこが消えていったトイレの方を向く。
トイレなんて絶対嘘。長すぎ。


「よしこ、いなくなっちゃったと思う…。」
「へ?」
やぐっつぁんは何が何だか分かってない様子。

「だーかーら、よしこどっか行っちゃった。」
「え?だってトイレに…。」
「長いと思わない…?」
「そ、それは…。」
「汚い事言わないでよ。」


まだ信じてないのか、やぐっつぁん。
私はやぐっつぁんの口の前に人差し指を立てる。


「ま、マジ…?」
「マジマジ。大マジ。」


109 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月29日(火)20時37分19秒

―矢口視点―


「あ、そうだやぐっつぁん…。」
しばらくすると、ごっつぁんが思い出した様に言った。
「何?」
「あのね、よしこ…。」


そういえば吉澤、遅いよなー。
お腹でも痛いかな…?

「よしこ、いなくなっちゃったと思う…。」
「へ?」
私は本当に間抜けな声を出してしまった。
いなくなった…?何、拉致ってやつ……。


「だーかーら、よしこどっか行っちゃった。」
「え?だってトイレに…。」
「長いと思わない…?」
「そ、それは…。」
ウ…じゃない?って言おうとしたけど、ごっつぁんに読まれた様子。


「汚い事言わないでよ。」
私の口の前に、ごっつぁんの人差し指が立った。


「ま、マジ…?」
「マジマジ。大マジ。」



110 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月29日(火)20時49分24秒

―後藤視点―


「前にも数回あったんだぁー。」
「何が?」
「よしこにこうゆう風に…人紹介されんの。」

私の脳にはにがーい嫌な思い出ばっか張り巡らされる。
私が苦い顔をしたのを真似したのか分かんないけど、
やぐっつぁんもあまり良い顔にはなくなった。


「ふーん。」
しかも何か怒ってる…?」
「そ、それでーいっつもよしこ逃げるんだよ。二人にさせて。」
「ふーん…。」
やぐっつぁん、コーヒーを啜りながら窓を見た。


あれー…後藤なんか悪い事言った?
やぐっつぁんメチャメチャ怒ってない?
「でも最近は、ゴトーが逃げてたんだけどねぇ。」
アハハハ…って笑ってみる。


「ふーん……。」


何?ナニ?何でやぐっつぁん怒ってんの!?


こうなったら…………。


111 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月29日(火)21時00分32秒

―矢口視点―


「前にも数回あったんだぁー。」
「何が?」
「よしこにこうゆう風に…人紹介されんの。」


え…?ごっつぁんは、私以外の色んな人紹介されてんの?
何かちょっとムカつく。


「ふーん。」


あれ私怒ってる?よね?
そりゃー、高校生だもんね…彼氏ぐらい、いたっておかしくないもんね。


ごっつぁんには、彼氏がいるんだ。


別に不思議な事じゃない。
ごっつぁんは可愛い。可愛い女の子。そうだ、女の子。


「でも最近は、ゴトーが逃げてたんだけどねぇ。」
そりゃぁ彼氏いるもんね。


「ふーん……。」


「やぐっつぁん!!何で怒ってるの?」
そりゃ怒るさ。ん?何でだ。
だってごっつぁんには彼氏が…私彼氏が欲しい?そんなわけない。
男なんて、ウザいだけだ。


「怒ってないよ。」
「もう…。」
何でごっつぁんが怒るんだよ…。


「どっか行こう!」
「え?」
「よしこもどっか行っちゃったし!二人でどっか行こう!」
「え、えぇ?」
「デートしようよ!!私やぐっつぁんとデェトしたぁい!」


え……?


112 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月29日(火)21時01分48秒















「デートしようよ!!私やぐっつぁんとデェトしたぁい!」















113 名前:作者 投稿日:2002年10月29日(火)21時02分56秒
少ないですが、更新しました。

レス来ないから、sageで行こうと思ったのに・・・(泣
ageちゃったよ・・・ダメダメ作者…。

114 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月30日(水)15時56分07秒
長すぎるよしこのトイレ。

まっまさか? いいえ、ひーさまとチャミさまはしません!(w
115 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月31日(木)20時15分08秒

―後藤視点―


何でやぐっつぁん怒ってんのか知らないけど……。
やっぱり一緒にどっか行っちゃえば…機嫌なおるっしょい!!


「ね!?ねぇ〜!!どっか行こうよぉ!」
「え?え……えぇ?」
やぐっつぁんは…困ったっちうより、驚いてる感じ。

「どっかって…どこ行くの?」
「どこか分かんないからどっかなんでしょ!ねぇ!!」
「ねぇ!!って言われても…吉澤は?」
「ほんっとにいないってー。」


もうやぐっつぁんよしこばっか…!


「ほんとーにいないの?」
「ほんとだってば!!何でやぐっつぁん。よしこばっかー。」
「いや、だって本当はいたのに置いてったら吉澤かわいそうじゃん…。」
むぅー……後藤を信じていないですね。矢口さんは!!


「じゃぁさ!賭け!!」
「賭け?」
「やぐっつぁんが、トイレに行ってよしこがいたらこのままお茶する。」
「いなかったら?」
「後藤とデェト(はぁと)。」
「ま、マジ…?」
「マジまじ大マジ!!」


「……分かった。」
やぐっつぁんは意を決した様に立ち上がった。

116 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年10月31日(木)20時59分49秒

―矢口視点―


貴方彼氏いるんでしょうが!浮気じゃないんですかー?
でも、女相手じゃ浮気じゃないかぁ。


「ね!?ねぇ〜!!どっか行こうよぉ!」
「え?え……えぇ?」
…行きたいけど。
……コレがバレて、彼氏に殴られたりしたりしたら……。


「どっかって…どこ行くの?」
「どこか分かんないからどっかなんでしょ!ねぇ!!」
「ねぇ!!って言われても…吉澤は?」
「ほんっとにいないってー。」



「ほんとーにいないの?」
「ほんとだってば!!何でやぐっつぁん。よしこばっかー。」
「いや、だって本当はいたのに置いてったら吉澤かわいそうじゃん…。」


「じゃぁさ!賭け!!」
「賭け?」
「やぐっつぁんが、トイレに行ってよしこがいたらこのままお茶する。」
「いなかったら?」
「後藤とデェト(はぁと)。」
「ま、マジ…?」
「マジまじ大マジ!!」

行っていいのかなぁ…?…でも吉澤いるかもしんないし。
そうだよね、いるよ!
なーんて自分に言い訳した。
だってこのおねだりっぽい、ごっつぁんの表情。



「……分かった。」



ごっつぁんの彼氏君、スマン!

117 名前:作者 投稿日:2002年10月31日(木)21時01分59秒
あぁーもっと更新しようと思ったのに・・・(泣
少なくてすいません・・・うたばん見てたらつい。
あの二人がいけないんですって!!聞いて下さいよ!!(氏

>114 ひとみんこさん
しません!(w
ひーちゃんはしませんよ!!(w
よしこはトイレにいるのでしょうか・・・?

今度はもっと更新したいなぁ・・・。
118 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月31日(木)22時12分36秒
ひーさまとチャミさまは、神です!
神だからしません!
でもアレは・・・・・・・・・・・・・? 

まっ、ともかく、ごちんに彼がいると思いこんでる
まりっぺ、ちゃみさまの、ねがちぶが移ってます。
119 名前:オガマー 投稿日:2002年11月04日(月)06時41分22秒
よしこはいなくなってんだよね?ね?(w

だってひーちゃんは( ^▽^)<しないよ♪
120 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月04日(月)18時37分30秒
―矢口視点―


「失礼しまぁ〜す…」
誰もいないトイレに…いや、吉澤がいる「はず」のトイレに向かって言う。
「吉澤ぁー?」
他に誰か居ると恥ずかしいから、ちょっと小さい声で言う。
「……」
いない・・・?まさか、ね。
「吉澤ぁ!!いるんだろ!?」
まさか、ね。ほんっと、まさかだよ・・・。
今日ばっかりは、冗談は本当によして欲しい。

「吉澤ぁぁ!!!」
…応答無し。
まさかまさかまさか・・・。
私の頭に最悪の事態の想像図が張り巡られる。

吉澤が出てこないから悪いんだからな・・・。
オイラはそんな趣味無いんだかんな!!

「入るぞ!!」

ガシャンッ!

「………。」


ていうか今考えたら、中に居たら居たで殴られるし。
居なかったら居なかったでごっつぁんの彼氏にボッコボコ…。


どっちとっても良かったなぁ…。後悔。


121 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月04日(月)18時38分21秒
―後藤視点―


「フフフ…やぐっつぁん…。」

私は自分でもヤバイと思う程、悪戯な笑顔してたと思う。
だってだって…笑わずにいられないじゃん!
今、今にでも泣きながら飛び出して来るやぐっつぁんの顔想像しちゃったら、
楽しくてしょうがない。


泣いては来ないと思うけど…。
あーでもやっぱり面白い!!

ダンダンとその場で行進してしまう。

取り敢えずアイスティーを飲んで落ち着こうとする…。

ゴクッ

落ち着こうとする…。

ゴクッ

落ち着こうと、している…。

ゴクッ

落ち着けなぁぁい!!!

早くやぐっつぁん帰ってこないかなぁ…。
あ!またニヤけてる。


122 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月04日(月)18時39分33秒
―矢口視点―


トイレの中は、空だった。
個室2つとも覗いてみたけど…吉澤は居ない、っていうか人居ない。


見事に賭けに負けてしまった……。


どんな顔して戻っていけばいいだろう。
ごっつぁんには悪いが、吉澤は居たことにして賭けにも勝った事にするのが、
一番ベストだと思う。
でもなぁ……ごっつぁんとどっか行きたいんだよ。実は。


でもごっつぁんはちゃんとした彼氏がいるんだし、ダメだよねやっぱ。
これはごっつぁんの為を思って言ってるんだ!そうだ矢口真里!恐がる事は無い!!


「ごっつぁ〜ん!」
「居なかったでしょ…?」
「居た。」
「え!?ウソ!!ウソだ!」
「ホント、ホント。これで賭けはこっちの勝ち。」
「やぐっつぁん……。」

ごっつぁんの拳がチラッと見えた。震えている気がした。

ま、まさか怒ってる……?
嘘ついたのバレてんのかなぁ〜……分かってそうだもんなぁごっつぁん。


「そこまでして、ウソついてまで後藤と出かけたくないの?」
「はぁ?」

また変な事言い出したぞ、ごっつぁん……。
123 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月04日(月)18時46分25秒
―後藤視点―

まだかなまだかなやぐっつぁん。

早く来い来いやぐっつぁん。

来たらデートだやぐっつぁん。


フフ……私怪しい。

「ごっつぁ〜ん!」
「居なかったでしょ…?」
「居た。」
「え!?ウソ!!ウソだ!」
「ホント、ホント。これで賭けはこっちの勝ち。」
「やぐっつぁん……。」

まさか、そんな事ありえない。
だって、だってだって、
よしこがもし居たら、一緒に出てくるでしょ、普通。
どうして嘘つくんだろう、やぐっつぁん……。


ひょっとして、やぐっつぁんと遊んだりしたいのって、後藤だけだったの?

「そこまでして、ウソついてまで後藤と出かけたくないの?」
「はぁ?」

やっぱり…やぐっつぁんちょっと冷たい。
もういい。


「もういい!!」



124 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月04日(月)18時53分16秒

―矢口視点―

「もういい!!」


ごっつぁんは勢い良く立ち上がった。
そう、そのまま椅子が倒れそうなぐらいの勢いで。
明らかに、怒ってる。

「ど、どうしたんだよ、ごっつぁん!」

「もういいもん!私帰る!」

な、何を怒っているんだこの人は!

ごっつぁんはズンズン歩いて店の出口へ向かう。

「ちょっと待ってよごっつぁん!!」

私も慌てて追いかける。店のお代…よりごっつぁんの方が大事だ!!


ごっつぁんは走る。
私も走る。
……ごっつぁん足はえー。でもこんなんでくたばる矢口じゃなーい!!


「どうしたのさごっつぁん!」

やっと追いついたごっつぁんの腕を、掴む。

二人とも肩で息をしている。


ごっつぁんがパッと振り返った。

125 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月04日(月)19時04分27秒

―後藤視点―

もう知らない…やぐっつぁんなんて知らない!

「ど、どうしたんだよ、ごっつぁん!」

「もういいもん!私帰る!」

やぐっつぁんなんて、よしことイチャイチャしてればいいんだ!

「ちょっと待ってよごっつぁん!!」

嫌、ダメだ!よしこには梨華っちがいるんだもん!
私には…誰がいる?やぐっつぁんには?
……何考えてるんだろ。

走って逃げた。何かもう嫌だ。やぐっつぁんの顔見たくない。

やぐっつぁんも走って来る。こっちだって走る。

けどもう疲れてきて………。


「どうしたのさごっつぁん!」


やぐっつぁんに腕を掴まれた。
言いたい事を、全て言ってやる!
決心して振り返った。


「何よ!やぐっつぁん、よしこがいないなんて嘘までついて…。私とデートなんかしたくないんでしょ!?」
「はぁ!?」
「何で嫌いなのに追っかけてくるのよ!もう意味分かんない!」
「き、嫌いなんかじゃねぇよ!」
「じゃぁ何で嘘なんかつくのよ!」
「嘘は……嘘は。」

ほら黙った。嫌いなんじゃん。

126 名前:作者 投稿日:2002年11月04日(月)19時14分21秒
更新しました!
ちょっと自信無くしてたんですが…あるお方のお言葉で、やらなきゃダメだ!と思いました!!
あるお方様ありがとうございました!!w
もうババーンとたくさんしましたよ!
次回もこのぐらいやれば、終わりそうです!!

>118 ひとみんこさん
そーです!神様です!!(w
矢口さんの誤解が、大変な事になります。
(〜^◇^)>お嬢様責任とってよね!!

>119 オガマーさん
あぁ!レスありがとうございます!がんがります!!
ひーちゃんですからね・・・w
(O^〜^)>しねえよ!
127 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月05日(火)08時34分00秒
普通このボケボケは、いしよしにありがちですが、今回はやぐごまですか。
このパターンはどのCPでもおもろいです。
視線がうまく繋がって良いです。
128 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
129 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
130 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月06日(水)09時30分25秒
びくーりしますた。

削除依頼しといた方がいいかも。
131 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)20時55分37秒

―矢口視点―

「何よ!やぐっつぁん、よしこがいないなんて嘘までついて…。私とデートなんかしたくないんでしょ!?」
「はぁ!?」
やっぱりごっつぁんは絶対おかしい。

「何で嫌いなのに追っかけてくるのよ!もう意味分かんない!」
「き、嫌いなんかじゃねぇよ!」
嫌いなんかじゃない!デートだって本当はしてぇんだよぉ!!

「じゃぁ何で嘘なんかつくのよ!」
「嘘は……嘘は。」

嘘はごっつぁんの為についた、って言ったらごっつぁんは納得してくれるだろうか。
てゆうか今日会った人の為に嘘つく私も私だよね……。
もう会う事もないかもしれないのに、何を必死になっているのだろう。
バカだなぁ………。

「笑ってないで…答えてよ!」
「え?」
ごっつぁんの声が、変にグズグズしてる気がした。
ひょっとして……泣いてんの?


「ごっつぁん?」


132 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)20時57分02秒

―後藤視点―

やぐっつぁんは、俯いて何も言わない。
……そしてしばらくすると、フッと笑った。

その笑みを見たら…何か目がぼやけてきた。
やっぱりやぐっつぁんに嫌われてたんだなぁ、私。
バカな人、とか思われてたんだろうな…じゃなきゃこんな笑い方しないもんね。

男だったら悔しいと思うんだけど…いや、男じゃないとかは関係ない。
何か、やぐっつぁんだと……悲しい。


「笑ってないで…答えてよ!」
「え?」


あれ?声がフラフラする……。
鼻が詰って、声が思う様に出ない。


「ごっつぁん?」

ハッと、やぐっつぁんの方を見ると心配そうな顔してた。

「ゴメン…嘘ついてゴメンね。」
「もういいよ……。」
「ごっつぁん、聞いてよ。」
「ごっつぁんてば!」
「もういいっていってんの!聞えない?何なのやぐっつぁん!嘘までついてよしこといたいならよしこと一緒にいなさいよ!!
 私は邪魔しないように帰ろうとしてんのにおっかけてくるし!」

やぐっつぁんの顔が、どんどん歪んでいく。
何でこんなに悲しいんだろう。

133 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)21時05分33秒

―矢口視点―
 
「嘘ついてゴメンね。」
「もういいよ。」
ごっつぁんはどんどん泣き顔になっていった。
「ごっつぁん、聞いてよ。」


「ごっつぁんてば!」
「もういいっていってんの!聞えない?何なのやぐっつぁん!嘘までついてよしこといたいならよしこと一緒にいなさいよ!!
 私は邪魔しないように帰ろうとしてんのにおっかけてくるし!」
泣きながら怒るごっつぁんは、私には、可愛く見えた。


「あのね、嘘をついたのはごっつぁんの為だよ。」
「え?」
「ごっつぁん彼氏いるんでしょ?なのに、デートなんて言ってさぁ。」
「……。」
「あとで彼氏にバレたりしたらさ、ごっつぁん殴られたりしたら嫌じゃん。」
「やぐっつぁん…。」
「だから嘘ついた。ゴメン。」



「やぐっつぁん?」


「彼氏なんかいないよ…私。」
「えぇ!?」
「勘違い、だよ。よしこから紹介された人だって、全員断ってきたんだもん。」
「う、嘘だぁ・・・・・。」
「本当。」

やっとごっつぁんは笑った。

「好きな人ぐらいいるでしょ・・・?」
聞いてから後悔した。 これでいるって言われたら、すごい寂しくなりそう・・・・・・。



134 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)21時07分13秒

―後藤視点―

「あのね、嘘をついたのはごっつぁんの為だよ。」
「え?」
「ごっつぁん彼氏いるんでしょ?なのに、デートなんて言ってさぁ。」
「……。」
やぐっつぁんは、何か間違ってる……。
「あとで彼氏にバレたりしたらさ…うちはいいんだけどごっつぁん殴られたりしたら嫌じゃん。」
「やぐっつぁん…。」
「だから嘘ついた。ゴメン。」
やぐっつぁんは、どこまでお人よしなんだろう。
初めて会った人に、ここまでするなんて普通考えられないよ。

「やぐっつぁん?」
「彼氏なんかいないよ…私。」
「えぇ!?」
「勘違い、だよ。よしこから紹介された人だって、全員断ってきたんだもん。」
「う、嘘だぁ……。」
「本当。」
やぐっつぁんはちょっと驚いてる顔してた。
ていうより、すごい面白い顔だった。
私は笑った。


「好きな人ぐらいいるでしょ……?」
妙に真剣な顔してやぐっつぁんが言った。
でもスグに、何だか寂しそうな顔した。
好きな人、かぁ〜……あ。

「いる、かもね。」
「そっか…これからも、恋バナとかしてよ。相談乗るからさっ!」
相談乗る…かぁ。無理だろうな、それは。


135 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)21時08分56秒

―矢口視点―
 
「いる、かもね。」
「そっか…これからも、恋バナとかしてよ。相談乗るからさっ!」
あぁ…バカした。聞かなきゃ良かった。


「相談か…それは無理だよやぐっつぁん。」
「え?」
もしかして、相談相手にも満たしてない?
私って何なの?
そりゃあ今日初めて会った人だけどさー。
普通の人以上に、ごっつぁんは親しみやすいていうか…すぐ仲良くなれたし…。


ぶっちゃけ、好きっていうか…。


今何考えてたんだ?
好き…なわけないない。だってごっつぁんは女の子だよ?可愛い女の子だよ。
そこが……好きなんだけど。

「………。」
「………。」

沈黙が続く。
一度意識したらごっつぁんの目が見れなくなった。
好きなわけない…好きなわけない…好きなわけない。


「やぐっつぁん。私の目…見て?」
ごっつぁんの甘い声が頭の上から降りそそいできた。
私はごっつぁんの言うとおり、ごっつぁんの目を見る。
136 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)21時10分25秒

―後藤視点―

「相談か…それは無理だよやぐっつぁん。」
「え?」
私は、やぐっつぁんに告げなきゃいけない事、発見しちゃった。
ちゃんと伝えない気持ちを自分の左胸に発見。
やぐっつぁんは……どんどん顔が曇っていく。

ひょっとして、こんな事言ったから嫌われたのかな?
それでもいい。
今から言う事を聞いたら、どっちみち元には戻れない。

やぐっつぁんは何か考えると…赤くなった。
赤くなるって何なんだろう。やぐっつぁん何考えてるんだ?

「………。」
「………。」

それより…言わなきゃ。


「やぐっつぁん。私の目…見て?」
俯いているやぐっつぁんに、声をかけた。
やぐっつぁんに見つめられて何を言うのかわかんなくて、一瞬頭の中が真っ白になった。
でも言わなきゃ。


「私が好きなのは、やぐっつぁんだから。」
「………。」
やっぱり退くかな?
やぐっつぁんは硬直した。石みたいに動かなくなった。
でも、これでいいんだ。
これから何回も会って気持ちが深まっちゃうより、今言っておいた方が絶対良い。



137 名前:作者 投稿日:2002年11月07日(木)21時11分07秒
今日で終わらせるつもりです。
大量更新ですが、構えておいて下さい(謎
これからまだ更新するので、レスはその後・・・。
138 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)23時48分15秒

―矢口視点―

「私が好きなのは、やぐっつぁんだから。」
「………。」
何を言われたのか分からなかった。
目の前のごっつぁん以外が真っ白くなって、何も見えなくなって。
ごっつぁんとの間にビュッて風が吹いた気がして。
自分とごっつぁんしかいない気がして。


身体に電撃が走った。

左胸には雷が落ちた。

今スグ…なんていうかごっつぁんを抱きしめたくなって、
一度思うとそれが凄い。


何か愛しいって…恥ずかしいけどそんな感じの気持ちが、
どこからかすんげぇいっぱい沸いてきた。

「ごっつぁん!」
「ややややぐっつぁん!?」

こういう時小さいのって不便…ちょっとこっちから抱きしめるのは、抱きつくみたいでカッコ悪い。

「あ、あの…付き合ってくれる?」
ごっつぁんを抱きしめたまま、言った。
何か良く分かんないけど…自然に口が開いてて、言った事を確認…って変だけどしたあと、改めて恥ずかしくなった。
なんつー事言ってんだ!……って。

「え?どういう事?」
「あ、順番間違えた…す、好きだよ。私も。」
好きって口に出して、また頬が赤くなった。
よく抱きつけたなぁ……って同じ自分なのに関心しちゃう。


139 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)23時48分54秒

―後藤視点―

沈黙が続いた後。

やぐっつぁんが私の名を呼んだ。そして抱きしめてくれた。


「あ、あの…付き合ってくれる?」


ちょっと小さいやぐっつぁんの声が、私の耳には傍で言ってる様な大音量みたいに聴こえた。
付き合うっていう意味が一瞬わかんなくて…返答に迷った。
付き合うって恋人同士がする事。
付き合うってデートしたりキスしたり。

「え?どういう事?」
「あ、順番間違えた…す、好きだよ。私も。」
やぐっつぁんは頬を赤らめた。とっても恥ずかしそうな顔をした。

私はやぐっつぁんが好き。
やぐっつぁんも私の事を好きと言った。
これはどういう事?

……両想い。


やぐっつぁんが付き合ってと言った。
私もやぐっつぁんが好きで付き合いたい。
答えは……一つ。


「いいよ!!」


140 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)23時49分52秒

―矢口・後藤視点―

「いいよ!」
ごっつぁんはそう答えた。
満面の笑みって、奴だった。最高級な可愛さだった。

「本当に?」
やぐっつぁんは、心配そうな顔して言った。
さっきまでは…嫌われたとか思ったけど、今はそんな事考えない。
だって気持ちは通じたから。通じ合っているから。

「本当だよ!」
ごっつぁんはまた笑った。
今度は私も笑えた。
ごっつぁんを信じる。好きな人を信じなくてどうするっていうんだ。
それに、好きと言ってくれている人を信じなくてどうするんだ。


私たちは付き合っているんだから―――――――


「やぐっつぁん大好きだよ!」
ごっつぁんが頬を擦りつけて言った。これからこの笑顔は私だけのだと思うと、ついついにやけてしまう。

「私もごっつぁん好き!!」
やぐっつぁんも叫ぶ様に言うと頬を擦りつけてきた。
この小さな恋人が、私の大好きな人。だぁぁいすきなやぐっつぁん!


「あ、改めて……。」
「よろしくお願いします…。」
同時に声を出し、二人はふきだした。


141 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)23時50分38秒

「じゃ、デートしよう!やぐっつぁん!!」

「えぇ!?今日?」

「うん!今からぁ!」

「マジ?」

「マジマジ!それに嘘ついたんだからぁ…うぅん何してもらおうかなぁ?」

「ぅっ……ほ、ほら早く行こう!ごっつぁん!!」

「手!」

「あ、はいはい。」

「フフッ…!」

「こわーいごっつぁん!」

「なぁーに言ってんの!よぉーし出陣!!」

「何が出陣だよ……。」


走り出す後藤。追いかける矢口。
ペースを緩める後藤。追いつく矢口。

笑う二人。
手を繋いだ二人。


陽気な二人の声が、夕陽の差し掛かる街に響く。


142 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)23時51分47秒


「っていうことなんだよぉ〜!」
「……。」
「あれ?梨華ちゃん?何怒ってるんですかー?」


陽の当たる梨華の家。
ひとみはいつもの如く梨華の家に遊びに来ていた。


「ひとみちゃんの嘘つき…。」
「はぁい?」
「ひとみちゃん、矢口さんと真希ちゃんが二人でいる所に偶然会ったって言ったじゃん!」
「…そんな事、言ったっけ?」
ひとみは惚けた顔をする。
だが、もう付き合って数週間経った二人。
梨華はひとみの心が分かる様になってきていた。

恋人だからこそ分かるものである。


「もう知らない!」
「お、怒んないでよ梨華ちゃん…。」
梨華は後ろを向くと頬を膨らます。

「梨華ちゃん…。」
「………。」
「いーしかーわさーん!」
「ひとみちゃんなんて、顔も見たくないんだから!」
「いいよ…怒っちゃったんんだね。もう帰るよ。」

ベットが少し揺れて、ドアが開きしまった音がした。
「ひとみちゃん…?(ふざけてるんだよね…。)」
梨華は返事がないのに、泣きそうになってきた。

143 名前:午後3時の王子様―番外編― 投稿日:2002年11月07日(木)23時56分55秒


「ごめんねひとみちゃん…嫉妬してたんだよぅ。」
梨華は独り言だと分かりながら言葉を続ける。

「矢口さんも真希ちゃんもひとみちゃんと仲良いのに、
 私なんか恋人なのに一緒にどこかに行った事ないじゃない。」
梨華は一人で喋っているのが非常に空しくなってきた。


「そっか。」
自分より明らかに低い声が聴こえ、梨華は慌てて振り向く。
ひとみはドアに凭れかかって腕を組んでいた。
「いたの?」

涙でグチャグチャの顔の梨華。ひとみはそれが微笑ましくて、笑顔で梨華に近づく。
「ごめんね怒らせて。梨華ちゃんすぐ嫉妬するから嘘ついた。自分でバラしちゃったね。」
ひとみは無邪気に笑う。だが梨華の顔は相変わらず曇りがちだ。


「梨華ちゃん。」
ひとみはしゃがんで梨華を見上げる。
「ほら、泣かないで。梨華ちゃんが言いたい事は分かったから。」
「うん…。」
子供の様に一生懸命涙を拭う梨華。
「今度、デート行こうね。」
「ほんと…?」
「行きたくないの?」
「行く!!!」
また子供の様にはしゃぐ梨華にひとみは微笑んだ。


              <終>
144 名前:作者 投稿日:2002年11月08日(金)00時02分47秒

終わりましたよぉ〜〜!
付き合って頂いて皆様。読んでくださった皆様。
どうもありがとうございました!!
まだちょっと残ってるので、短編が思いついたら書くかもしれません・・・。

おそらく午後3時の王子様は終了です。本当に毎度どうも有難うございました!!

>127・130 ひとみんこさん
最後までどうも有難うございました。
ひとみんこさんのレスは、凄く嬉しく思い、毎回感激していました。
ヘボ作者ですが、見届けてくれてありがとう。

そうですね・・・石吉に多いかもしれません。でもあえて今回はやぐごまで(w
このパターンは書いてる方も楽しいです、特に誤解が解けた時のところなんか。
>視線がうまく繋がって良いです。
ありがとうございます。
これ実は書くのめちゃくちゃ面倒くさいんですけど、
そう言ってもらえるとやってたかいがあるってもんです!!

それではまた会う日まで・・・・(100%5日以内には出てきますね(w
145 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月08日(金)08時02分04秒
彪夏さんお疲れ様でした。その節はすみませんでした(汗
こんな私に温かい言葉もかけていただいて(涙
私もいしよし好きです。(てか雑食なんですけどね)
次回作楽しみにしています。
またご迷惑かけるかもしれませんが、そん時は「またやったよ、コイツ(笑」って感じで温かい目で見守ってください←(その前にもっと注意して書き込め自分)
146 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月08日(金)20時24分10秒
完結、お疲れさまでした。

痛いのも良いですが、やはり甘々なのは良いですね。
ハッピーになれます、ポジティブになれます。

短編、期待してます!
147 名前:風の日 投稿日:2002年11月09日(土)20時57分38秒

風の日


風の日は嫌いだ。
あの人を思い出すから。


台風は嫌いだ。
あの人とドキドキした時を思い出してしまうから。



「一週間もしたら、帰ってくるから。」


そう言い出て行った貴方。
いつもと変わらなかった朝。

玄関先で、抱きしめてキスしてくれたぬくもり、ちゃんと覚えてる。


「行ってきます。」
笑顔も、忘れてない。


それっきり貴方は帰ってこない。


鳥の様に広い大空へ飛び立ってしまった君。

草原を流れる風の様に去ってしまった君。

148 名前:風の日 投稿日:2002年11月09日(土)21時00分52秒


嘘をついた事はなかった。

いつも私の事を考えてくれていた。

自分より、絶対私を優先する人だった。



雨の日に傘が一本しかなくて、私を入れた貴方はびしょぬれだった。
帰って風邪ひいちゃったんだっけ。


「梨華ちゃんがキスしてくれたら、一発で風邪なんか吹き飛ばすよ。」


私を責めず、ただ傍で笑っていてくれた貴方。



「梨華ちゃん大丈夫!?」

私が風邪をひくと、学校があってもどこにいても貴方は駆けつけてくれた。


雨の中、傘もささずに来た事があった。
夜中に走って来た事もあった。


朝方まで、手をずっと握っていてくれた。

次の日、必ず貴方が風邪をひいていた。


そして、二人で学校サボッてずっと温かい布団の中で手を繋ぎ、笑っていた。


149 名前:風の日 投稿日:2002年11月09日(土)21時07分53秒


風の日は嫌いだ。

あの日、あの朝。

あの時の優しいぬくもりが飛ばされそうで。
貴方が行ってしまう時の笑顔を思い出すから。



私は風が音をたて強く吹くたび、
貴方を思い出して胸が痛くなるの。



「早く帰ってきて……。」


空を大きく羽広げ飛ぶ鳥達。


〔私ハ待ッテル。〕

カギの位置も変えてないよ。

お揃いのハブラシも捨ててないよ。

誕生日だって、まだ祝っていないから。

何年経っても待ってるから。


「誕生日はぜーったい二人でいようね!!」


もう二人とも誕生日過ぎちゃったよ……。

だから貴方が帰ってきたら、

二人分のロウソクたてよう。

せーの!で二人一緒に、ロウソクの火を消そう。


私の灯が消える前に

早く帰ってきて。



そう、あの人に伝えて――――――――――


150 名前:作者 投稿日:2002年11月09日(土)21時29分43秒
試しに短編一本更新してみました。
これにENDが付いていないのは、つづけようか考え中なんです・・・。
是非読んでる皆さん、これの感想お願いします。

>145 ごーしゅさん
ありがとうございますー。
いえいえ、全然本当に気にしていないので、もう忘れちゃって下さいナ。
(↑ここまで言うと失礼(爆)
いいですねー雑食カッケー!(w
自分は1推し以外結構ごろごろ変わります(藁
今はまってるのは吉高だつたりします。

>146 ひとみんこさん
最後まで読んでくださってありがとうございましたー!
そうですね、甘々はいいですよねぇ〜。
ていうかタダ痛いのが書けないだけなんですが(汗
期待されれちゃってこんなのいいのかなぁ〜・・・・(弱気

151 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月10日(日)18時17分02秒
ENDなんか付けちゃいけません。

続き、有る筈です。(決めつけてます)(w
152 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)00時46分15秒
ものすごくいい感じです!!
続きお願いします。
153 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時00分47秒


付き合いだして……もう2ヶ月経つかな。
早い様な遅い様な色々あった2ヶ月。



「よっすぃーカッコ良い!!」
「キャーー!よっすぃー!!」

ひとみちゃんは、校内一モテる子だった。

友達もカッコ良い、って騒いでいた。

「ねっ!梨華も思うっしょ〜?」
「えぇー…」
友達の真里もそう言っていた一人だ。それに真里はファンクラブの副会長。
「梨華も入んなよ!クラブ。よっすぃーの写真……欲しくない?」
「私はいいよ……」


何で皆、あんな人にキャーキャー言っているんだろう。
私は毎日疑問が絶えなかった。

「毎日大変だねぇ」
「……委員ですから」
私が図書の仕事をしていると、必ずあの人はやってきた。
「手伝ってあげようか?」
「結構です」
「相変わらず冷たいなぁ……」


吉澤ひとみは、皆が思っている様なカッコ良い王子様なんかじゃない。
女の子にスグ手を出す最悪な奴。
154 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時01分53秒


「で、この間の事考えてくれた?」
「私、貴方と付き合う気は全くありません。」
「何でかなー……」
「仕事の邪魔なんで帰って下さい」
「何で付き合ってくんないの?」


こんな人、絶対好きになったりしない。


「他に私よりかわいい子、いっぱいいるじゃないですか」
「あたしは石川さんと付き合いたいんだけどなぁー」


……私をからかってるとしか思えない。


「仕事の邪魔なんで出て行ってください!」
「ボディーガードになるよ?」
「いりません!」

私は吉澤を図書室から追い出した。



「ったく…何なのよ。いつもいつも…」
時計を見ると、5時を回っていた。
まだ全然早い時間なんだけど、冬だからもう外は暗い。
そろそろ、帰ろうかな……。



155 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時03分16秒


「もう帰っちゃうの?」

後ろから不気味な低い声が聞こえてきた。
私は慌てて振り返ると、口を押さえられた。

「まだ5時じゃん。遊ぼうよ」

暗闇から出てきたのは、評判の悪い用務員だった。
「(離して……!)」
どこから取り出したか縄を出すと、私の手足を縛った。

「さーて…何処から頂こうかな?」
ニヤニヤ笑う用務員。顔を見ただけて私は吐き気がしてきた。
「(……助けて)」

私は悔しさと恐怖感で涙が出てきた。
こんな奴の前で泣くのなんて嫌だ……。
誰か来てよ………。


「あのさぁ。それうちの彼女だから触れないでくんない?」
用務員は驚いてドアの方を向いた。
私もなぞる様にしてドアを見た。
吉澤ひとみがドアに凭れかかっていた。

「は?これがお前の彼女なのか?」

「うん、そうだよ。ね、梨華」
梨華!?キッと吉澤の顔を睨みつけると(「ウナズケ」)。
私は取り敢えず頷いた。

「生徒を襲うなんてサイアクだね〜」


「何だとこの野朗!!」

156 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時03分58秒


用務員は私から離れて吉澤に飛び掛った。
鈍い音がした。
吉澤は思い切り殴られた。

「お前だって生徒だろ?あいつの代わりにしてやってもいいんだぜ?」

「何?もう終わり?力の無いパンチだね〜」

「ふざけてんじゃねぇよ!!!」
鈍い音が連発で聴こえる。
私は…耐えられなくなって瞳を閉じた。
私は弱い……。

「女の子相手にグーで殴るなんて、最低だね」

「もっと殴られたいのかぁー!?」

「殴るっていうのはこういう事」

さっきより何倍も凄い音がした。
どうやら殴られたのは用務員みたい……。

「いってぇ……」

「こんなんで痛がってんのー?アンタ男??」

また鈍い音がした。
こっちは更に強い。


「今のは梨華の分。もう消えて、バイバイ」


157 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時04分31秒


足音がこっちに近づいてくる。
私はそーっと目を開けた。

「帰ろっ」

何も無かった様に手足の縄え解く吉澤。
頬は、凄く赤くなっていた。

「痛くない、の……?」
「うん…っ」
「痛いなら正直に言いなさいよ」
「石川さんって、お母さんみたいだね」
吉澤は苦笑した。

「初めて見た。笑ったところ」
「なーに言ってんの、いつも笑顔じゃん」


「あれ、嘘でしょ?」


「やっぱり気づいてんだ」


「何で、楽しくもないのに笑うの?」



「だから君が好きなんだよ……」




158 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時05分08秒



あれが、告白の言葉だったのかな?今思うと。

ひとみちゃん曰く、「あたしの笑顔が見抜けた人があたしの恋人」らしい。

それに気づいていた私を見つけたひとみちゃんは、毎日の様にアタックしていたらしい。

けどそれを私は本気と取ってなかった。



けど、あの日。私が用務員に襲われた時。

初めてひとみちゃんの気持ちを知ったんだ。







159 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時05分59秒


「あたし前付き合ってた人がいたんだ」

初めてのデートの第一声。

私は正直……ショック受けた。


「あ、嫉妬したでしょ?」

「してない!してない!」

「あ、したー。絶対したねー」

「ショック受けたの……」


「梨華ちゃん、本当にウチの事好きなら…この話聞いて」


いつもより真剣なひとみちゃんの目に、私は覚悟した。



「正式に言うと、まだキチンと別れていない」
「梨華ちゃんと、その人。どっちの方が好きなのか分かんないんだ」
「その人は、彼氏がいるんだ」
「別れたくても、会うと何も言えなくなる……」


次々出てくるひとみちゃんの言葉。

私は耳を塞ぎたくなった。

けど、私は聞いた。ここで聞かないと、私はひとみちゃんから逃げるのと一緒だ。

話を聞き終え、沈黙が続いているとひとみちゃんは突然泣き出した。





160 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時08分24秒


「ゴメン。梨華ちゃんにこんな事言ったってどうしようもないよね」


「ひとみちゃん……」


「梨華ちゃんも悩ますよね…。あたし一人の事なのに」


「いいんだよ。ひとみちゃんの事は、私の事だよ」


「あたしが付き合ってって言ったのにね…。梨華ちゃんを困らせたくない…!!」


「私嬉しいよ。ひとみちゃんが、そういう事きちんと話してくれて」


「梨華ちゃんの事好きだよ…・・・。幸せにしたい…・・・。なのに、あたし……」


「私も好きだよ…ひとみちゃん。私、ひとみちゃんがどんな気持ちだろうと、ひとみちゃんが傍にいてくれれば幸せだよ」


「梨華ちゃんなら分かってくれると思った。けど…好きになっちゃったよ、愛しちゃってる。ヤバイくらい」


「ひとみちゃん」


「好きになっちゃったから言わなきゃイケナイ。けど、好きになっちゃったから……巻き込みたくない」


「いいの、私ひとみちゃんと同じ道歩きたい」


「嫌いにならいないで…」


「ならない…。ひとみちゃんの事、愛してるから」


「梨華ちゃん…」


「一緒に、いよう」




161 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時10分28秒














「「大好き」」













162 名前:風の日 投稿日:2002年11月11日(月)15時11分01秒



この恋が一筋縄ではいかないのは充分承知していた。



けど、不安より何よりひとみちゃんへの気持ちが勝ってた。



だからこの2ヶ月が、



今があると思う。



163 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)15時17分01秒
いいっす。
こういうの好きです。
164 名前:作者 投稿日:2002年11月11日(月)15時19分04秒

ズドンと更新(汗
3日分更新してみました。(謎
やめようと思ったんですけど・・・二人もレスが来ちゃうと・・・。
(二人は今にしてみれば大人数)
続けてみる事にしました!けど・・・いつ辞めるか分かりません。
出来る限り、完結する様に頑張ってみますので、よろしくお願いします。

>151 ひとみんこさん
決め付けられちゃ、書くしかないっす!
ということで続ける事にしたのでよろしくお願いしますよ(何

>152 名無しさん
うおー初レス有難うございます!!
ただいま作者は二つのレスで生き延びている状況です(爆
続ける事にしたので、ゼヒ読んで下さいませ。

165 名前:作者 投稿日:2002年11月11日(月)15時20分56秒

あぁ!時間被った!!(爆

>163 名無しさん
レスありがとうございます!!
自分は暗いの嫌い、と反対されると思っていたんですが・・・。
こういうの好きなんですね(決め付けんなよ
いいですかーありがとうございます!
166 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月12日(火)09時20分56秒
決めつけた甲斐が有りました。(w

マイペースで結構ですので、がんばってください。
167 名前:風の日 投稿日:2002年11月15日(金)20時44分06秒
「石川」

「…どうぞ」
最近矢口さんは、毎日家にやって来る。

「相変わらずピンクだなぁ〜」

「昨日も言ったじゃないですか」
隣同士で幼馴染のひとみちゃんと仲が良い矢口さんは、色々な事を知っている。
でも、まだ秘密にしてることもたくさんあると思う…。 
それはひとみちゃんが言わないで、って言ってるからだと思う。


「何か、飲みますか?」

「あ、うん。もらう」

テーブルの椅子に座って、私の家を見渡す矢口さん。
そして、急に目の動きが止まる。
……多分、ひとみちゃんの部屋を見ているんだろう。


「まだ、わかんないの?ひとみ、どこにいるのか」

「分かんない、ですよ…。何の連絡もないし…」

「そっか…」
マグカップに視線を落として、手に取り紅茶を飲む矢口さん。
どことなく…ひとみちゃんと雰囲気が似ている。
なんていうか…面白い時は面白くて、凄くふざけてたりするんだけど、
キチンとした話になると凄く真面目な顔をするところとか。

「矢口さん、学校は?」
今は1時。思いっきり学校に行ってる筈の時間。


168 名前:風の日 投稿日:2002年11月15日(金)20時44分55秒
「何だよ、お前だって休んでんじゃんかよ」
…そう言われちゃ仕方ない。
ひとみちゃんがいない学校なんて行ったって意味無いし。
だからって家でする事もそれといって、無いんだけれど……。

「いい加減出て来いよなー…ひとみ」
矢口さんはそれっきり黙って窓の方を見る。
雨上がりみたいな、凄く綺麗な快晴だった。

ひとみちゃんは、何処に行っちゃったんだろう。
あの、風の強い日に出て行ってしまった、私の恋人。
どうして帰ってこないんだろう…どこか遠くに行ってしまった。

「石川ってさ」

「はい」

「ひとみの事どこまで知ってんの?」

……ひとみちゃんの事。

私全然知らない。

ひとみちゃんの気持ちとかは、一緒にいたら分かるけど……。

好きな食べ物とか、そういうの全然知らない。


「全然、知らないんでしょ?」

169 名前:風の日 投稿日:2002年11月15日(金)20時45分43秒
「……はい」
矢口さんはいつも、私の答えを分かった様に聞いてくる。
そして、それは当たっている。
最初から答えを知っている様な感じ。

「教えたげるよ」

「ヤグチが知ってる限りの」

「吉澤ひとみを」


こうして毎日、矢口さんは話をしていく。

そして、紅茶2杯目を飲み終わると何も言わずに帰ってくる。


ひとみちゃんがいなくなってから、

私はひとみちゃんの事を知って行くんだ、私。

遅い……よね。


今まで矢口さんに色んな事を教えてもらった。

ひとみちゃんは、小さい頃本物と偽者を間違えたっきり蛇が大嫌い。

お母さんが作ってくれたベーグルが一番好き。

実は遊園地に行った事がない。


いつも冗談交じりに話してくれる矢口さん。
だけど、その裏には……凄く大事な事があるのを私は気づいてなかった。


170 名前:風の日 投稿日:2002年11月15日(金)20時46分17秒
「石川、ちょっと話あんだけど」

「はい?」

「今から石川の家行っていい?」

「どうせ、ダメって言ってもくるでしょ?矢口さん」

「お前なー、ヤグチだって暇じゃねーんだぞぉ?石川が、ヤグチいないと寂しいんじゃ…」

「はいはい。いいですよ」

「お前、今呆れただろ?」

「呆れてませんよ」

「呆れたー絶対呆れたー!……まぁいいや。じゃぁ行くから」

「はい分かりました」

プチッ ツーツー


矢口さんはいつも来るのはやいから、もう紅茶準備しておこうかな……。
ココまでは普通だった。あ、電話がきたのはいつもと違うけど…。
それ以外なんら変わりない。
ひとみちゃんがいない、矢口さんが居る生活。


171 名前:風の日 投稿日:2002年11月15日(金)20時47分06秒
けど、もう矢口さんとキチンと話するのは最後になる、って私全然気づいてなかった。

『ヤグチだって暇じゃねーんだぞぉ?』

矢口さんの言葉が頭の中を駆け巡る。

あれは、【最後】って事を表した言葉。

『ヤグチいないと寂しいんじゃ…』

最後まで聴こえなかったけど、これはひとみちゃんの言葉。



でも、確かにした。


矢口さんが来るほんの前に。



風が物凄く強く窓を叩いていた。



胸騒ぎが苦しくて、思わず胸を押さえた。

172 名前:作者 投稿日:2002年11月15日(金)20時49分36秒
やっと更新できた…。
長らくお待たせして申し訳ありません(誰も待ってねーYO
色々言い訳したいんですけど…もう引越し警報が出ているので失礼します。

>166 ひとみんこさん
そう言ってくださると嬉しいですが…
いくらなんでもマイペース過ぎですね。もっと更新できる様に頑張ります!

風邪ひいたのか、頭痛いです……それともネットしすぎ?
173 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月15日(金)22時57分10秒
待ってましたよ〜
これからもひっそり待ってますんで、マイペースで頑張ってください。
あ〜よしこはいずこ〜
174 名前:風の日 投稿日:2002年11月20日(水)18時07分10秒


「にしてもさー驚きだよねぇ。」

「はい?」

矢口さんはいつもと同じ様に紅茶を一口飲んだ。

「梨華の事を石川って呼ぶ様になるなんてね。ていうか、そもそもはお前が矢口さんなんて呼び始めるから…」

矢口さんはブツブツ言い出した。何だかアヒルみたいな口して。
そういえば、何で矢口さんなんて、呼び始めたんだろう。

「矢口さんも矢口さんじゃないですかぁ〜!」

「うげっ。その喋り方まだ続いてたワケ!?梨華、キモイ〜〜〜」

「そうやって気持ち悪がるクセ、まだ直ってないの!?真里ってヒドイ〜〜〜〜」

私たちは目が合って、笑った。
何だかこんな風に笑うのは久しぶりで、誰かと笑いあうのも久しぶりで。
そりゃぁ……最近の喋り相手なんて真里しかいなかったし。

笑い声が小さくなってきて、余韻が残る。
沈黙が続くと、二人同時に窓を見た。


175 名前:作者 投稿日:2002年11月20日(水)18時10分31秒


「何で、矢口さんって呼ぶ様になったの?」
窓の方を見たまま、真里は口を開けた。

「まさか……ひとみちゃんの幼馴染だって思わなかったし」
私も視線を変えず答える。

「まだひとみちゃん止まり〜?いい加減呼び捨て…」

「もーううるさいなぁ!いちいち突っ込まないでよ!!」

「…梨華変わってないね。 不思議なとこ」

「え?」
真里らしくない突然の言葉に驚く。

「何かさぁ、いつもはちょっと暗くて。でも達といるとうるさいじゃん?」
真里はようやく窓から視線を外した。
でも私には視線を向けず、手元のマグカップに視線を注ぐ。

「なのに…。時々、凄く感情的になるし、ひとみの前だとあんなに大人っぽい…」

「そ、そんなのひとみちゃんが年下なんだから当たり前じゃん……」

真里の口から「大人っぽい」などと言われるのは、絶対無いと思っていたからつい照れてしまう。
変わってないって言われたから、私は変わってないんだろうけど。
真里は凄く変わっていると思う。

前はただ騒ぐ明るくてムードメーカーで、こんな真剣な表情とか絶対見せなかった。
私も……前はそれほど気にしてなかったけれど。



176 名前:作者 投稿日:2002年11月20日(水)18時12分25秒

「いや、そんな事ないって。マジで頼りになってたみたいだよ、ひとみの」

「頼り……?」

あんな強気ででも優しくて…弱みがないひとみちゃんの頼りだなんて。
頼り……ひとみちゃんは悩んでいる事があったんだろうか。


「ひとみはさ、周りから優秀だ、良い子だって育てられてさぁ。学校でもカッコ良い!とか毎日叫ばれて。
 ヒーローっていうか…なんていうんだろう。自分が求めてない事もばかり言われてたんだよね」

私も…頼りにしていた、強くて優しくて何でも出来るひとみちゃん。
毎日、羨ましいって言っていた気がする…。
私はこの言葉を「ひとみちゃんみたいな人が恋人で良かった」みたいな感じで話していたのに、
ひとみちゃんにはこれが……重荷だったの?


「悪い事したら、ちゃんと怒って欲しかった。普通の子と同じ様に扱って欲しくて…。
 出来る奴特権の悩みだよね。 私は、全然だからひとみのそういう気持ちわかってやれなかったけど」

やっぱりひとみちゃんは悩みがあったんだ。
時折見せる、暗い表情を私も何度か見た事がある。
けど…重くは受け止めてなかった。気にしていなかった。

「けど梨華、あんたは違う」


177 名前:風の日 投稿日:2002年11月20日(水)18時13分44秒

いきなり私の名前が出てきて、ちょっとびっくりした。
マグカップから視線を外して、私の目を見る真里。
決心の塊みたいな強い視線が、私の瞳に突き刺さる。


「ひとみは楽しそうに梨華の事話してた。『梨華ちゃんからは、頼りにされると嬉しいんだ』、って。
 普通の人から言われるとどんどん落ちていく。けど梨華に言われると光が見えるって」

ほんと、惚気ばっか…って、小さい声で真里は言った。
光なんか…見えないよ。私が言ったところで、ひとみちゃんはそんなにも助かるの?


「魔法みたい…って言ってたっけ。『自分の事分かってくれてる人がいるのが嬉しい』
 『梨華ちゃんが恋人で良かった』って…梨華は愛され者だねぇ〜」

真里は、笑いながら言ったけど目は空ろだった。

ひとみちゃんの事、私全然知らないよ。貴方が何処に行った、って検討もつかないんだよ?
何にも知らない…。悩みがあるなんて分かんなかった。暗い表情だってわざと見逃した。
ひとみちゃんが笑ってればいいって、二人が楽しければそれでいいって……。



「『あたし、梨華ちゃんの為に今生きてる』って」


178 名前:風の日 投稿日:2002年11月20日(水)18時15分08秒


私はひとみちゃんの何も知らないのに、ひとみちゃんはこんなにも私の事愛してくれる。
本当は、どこかで私が見つけるのを待っているんじゃないか……。
なのに、何も知らない。何も知らない。何も知らない。


無力な自分が、悔しくて、悔しくて。
ひとみちゃんの言葉でどんどん胸が熱くなっていく。


こんなに好きなのに、何も知らなくて。
こんなに会いたいのに、何も分かんない。


こんなに好きなのに、何も出来ない。
身体全部がひとみちゃんを求めてる。会いたくて会いたくて、気持ちが溢れて壊れそう。




好きで
会いたくて
苦しくて
壊れそう―――――――――――――…………………



179 名前:作者 投稿日:2002年11月20日(水)18時20分15秒

最近何をするにもやる気が起きないんですよ、誰か助けて下さい。
でもやっぱり書いてみると小説は楽しい。 それに石吉が好きだ。
こんな単純な理由で書いていると怒られそうですけど、書かせて下さい。m(_ _)m
正直スマンかった、って感じです(w

>173 名無し読者さん
待っているのにこんなに更新が遅くてすみませんm(_ _)m
どうか見捨てないでレスしてやって下さいな〜(汗

175―176、タイトル間違えました、鬱……。
180 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月20日(水)21時24分24秒
石川さん歯痒いねぃ・・・
単純だなんて、その気持ちこそが大事なんですよ〜
こんなに続きが気になるのに見捨てるなんて出来やしません。
マッタリ待ってますんで作者さんのペースで楽しんでくらさい♪

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