The Origin

1 名前:桜流 投稿日:2002年10月11日(金)23時29分49秒
初めて書かせていただきます。
ここで短編をいくつか書いていきたいと思います。
読んでくださる方がいるとうれしいです☆
まだ駆け出しで、お世辞にもうまいとは言えないものですが、よろしくお願いします。
2 名前:桜流 投稿日:2002年10月11日(金)23時37分24秒
生涯初の娘。小説はいちごまから!と決めておりました。
それでは、書きます。
3 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月11日(金)23時42分44秒
「おやすみ、後藤」
すでに曖昧な意識の中で聞いた声。

そしてふいに頬に感じた温もり。
「キス…だぁ…」
4 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月11日(金)23時51分24秒
――気がつくとあたしはどこか知らないところにいた。
目の前に広がるのは
地平線の彼方まで続いている草原、あざやかな緑色。
見上げれば雲ひとつない空、吸い込まれてしまいそうな水色。

やわらかく吹く風はあたしの真っ白なワンピースのスカートをふわりとゆらす。
裸足は草に触れて少しくすぐったいけれど、キモチイイ。
5 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月11日(金)23時54分12秒
ただひとつ気になるのは、あたしがかぶっている帽子。
大きな大きな麦わら帽子。
ぶかぶかで不安定な麦わら帽子。
6 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月11日(金)23時58分34秒
どうして自分には合わない大きな帽子をかぶっているのか、わからない。
だけどあたしはこの帽子を脱ぎたくはなくて…
小さな子どもがお気に入りのぬいぐるみをずっと離さずに抱きしめてる。

そんなキモチ。
7 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時00分53秒
ときおりいたずらな表情に変わる風に飛ばされまいと、
あたしは右手を帽子にそえたまま草の上をゆっくりと歩いていった。
8 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時07分04秒
ふと、緑一色の中に違う色があることに気づいた。
あたしはそれに近づいていく。

そこにあったのは一輪のたんぽぽ。
あたたかい黄色は緑の中でよく映えた。

あたしは思わずそのたんぽぽに右手をのばした。
―あっ…!
9 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時12分51秒
そえる手を放すときをねらっていたかのように、
突風は大きな麦わら帽子をさらっていってしまった。

空高く昇る帽子を見上げる。
―あたしからどんどん離れていってしまう

何だか不安でたまらなくて、早くこの手につかまえたくて、
空に向かって必死に手をのばした。
10 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時16分38秒
瞬間――

水色のまぶしさに耐えかねて、あたしは目を閉じてしまう。

それはほんの少しの間だったけれど、
目を開けて再び同じ空を見たときには帽子はいなくなってた。
11 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時20分40秒
―どこ…?
あわてて辺りを見回す。

だけど目に映るのは緑色と水色だけ。
いつのまにかたんぽぽもなくなってた。

どうしようもなくて、悲しくなって、
あたしはその場に座り込んでしまった。
12 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時22分55秒
と…

あたしの耳に飛び込んできた

あたしの『名』
13 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時26分31秒
「後藤!!」


誰より愛しいあの人の声。

あたしはすばやく立ち上がり、声のした方へ振り返る。

「いちーちゃん!!」
14 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時32分15秒
そこにはあたしの大きな麦わら帽子を持って

いちーちゃんが立ってた。

「大事な帽子飛ばしてんなよ…」
しかたないなぁって顔で笑って、あたしのそばへ来るいちーちゃん。
「ほら」

いちーちゃんはあたしに帽子をかぶせてくれた。
ぶかぶかだったはずの帽子はあたしの頭にぴったりの大きさになってた。
吸い付くように、心地よく…麦わら帽子はあたしの頭に。


―もう不安はないよ
15 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時36分43秒
「いちーちゃんありがとう!!」
あたしはニッコリ笑った。

いちーちゃんもおだやかに笑ってた。

うれしさがこみあげてきて、あたしはいちーちゃんに思いっきり抱きついた。

「なんだよ〜甘えんぼ!」
いちーちゃんは少しイジワルに言ったけど、すぐにギュッと抱きしめてくれた。


―あったかいな…
16 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時45分05秒
――ゆっくりと目を開ける。


にじんだ天井がそこにあった。
―ああ、夢…だったんだ…

一度瞬きをすると、雫がこめかみを流れるのを感じた。
それは幸せな涙だった。


天井がクリアに見える。
ようやく意識がはっきりしてきた。


そしてあたしはすぐ横で感じられる呼吸と温もりの方へ体を向けた。
17 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時47分47秒
「…いちーちゃん」

規則正しい寝息をたてて、いちーちゃんは夢の中。
いつもの凛々しさはウソみたいに、ものすごくかわいい寝顔。
18 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時58分11秒
―あなたがいてくれてよかった


いちーちゃんの髪に指をからめてみる。

いちーちゃんの鼻の頭をちょんとつついてみる。

いちーちゃんのくちびるをそっとなぞってみる。

いちーちゃんの頬にそっと手のひらをあててみる。



―あったかいな……
19 名前:イトシイヌクモリ 投稿日:2002年10月12日(土)00時59分29秒

〜〜END〜〜
20 名前:桜流 投稿日:2002年10月12日(土)01時10分15秒
1作目終了です。
初めてなものですから…恐る恐る書き込んでるとものすごく時間が
かかってしまいました…。
こんな自分の作品を少しでも多くの方に読んでいただけることを祈ります。
21 名前:桜流 投稿日:2002年10月13日(日)00時36分41秒
自分の中ではいちごま・いしよしが最上であります。
なので、2作目はいしよしです。

あれは10月が始まったばかりの頃、
いつものように「MUSIX!」を見ていました。
そして最高の萌え場を発見しました。
いしよしを愛でる者として、
妄想…もとい、想像力を膨らまさずにはいられませんでした。

ということで、この作品は事実をもとにしたフィクションです。
22 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)00時47分59秒
「お疲れ様でしたーー!」
musix!のコーナー『クイズ musix!』の収録が終了した。

石川と吉澤は今回モー娘。代表として同じチームで参加していた。
23 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)00時52分56秒
「お疲れ、梨華ちゃん」
「お疲れさま、ひとみちゃん」

一緒にスタジオを出て楽屋へと戻る2人。


途中の廊下で、今日のゲストとして参加していた市井に声をかけられた。
24 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)00時57分25秒
「よっ!」
「あっ、市井さん!お疲れさまです!」

市井は2人の顔をじっくりと見て、ニヤリと笑った。
「吉澤、石川、仲良くやってるみたいだねえ」

石川は頬を赤くした。
吉澤はニコニコと笑っている。
25 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時01分54秒
「市井さん…何言ってるんですか…」
石川は俯いてぼそぼそと言った。

「いやあ〜別にぃ〜仲良いんだなぁって思っただけだよ♪」
そう言って市井は吉澤に向かってウインクした。
吉澤はグッ!と親指を立ててみせた。
26 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時04分46秒
「じゃ、お疲れ〜」
手をひらひらと振りながら市井は行ってしまった。


石川はまだ俯いたままモジモジしていた。

「行こう、梨華ちゃん」
「うん…」
27 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時08分08秒
ガチャリ。
吉澤は楽屋のドアを開けた。

中には今日司会をやっていた矢口がいた。
すでに帰り支度を始めている。
28 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時12分57秒
「矢口さん、お疲れさまです」
「お疲れ〜♪」

矢口は先ほどの市井と同じような笑みを見せた。
何かを企んでいるような、ニヤリという笑み。
29 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時19分55秒
「矢口さん、何なんですか…そんな顔して…」
石川はおずおずと尋ねた。

「いやいや、おアツイことで、うらやましいよねーまったくぅ」
手のひらでパタパタと顔をあおぐ仕草をする矢口。

「へへへ〜いいでしょ!!」
腰に手を当ててエッヘン!と言わんばかりの吉澤。
石川はもう何も言わなかった。
顔全体を真っ赤にしたまま横目で吉澤を見ている。
30 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時24分57秒
「じゃあお先に〜」
バッグを肩にかけて、矢口はドアの方へ向かった。


楽屋を出る直前、矢口はくるりと振り返って楽しそうに言った。

「よっすぃー、今夜もがんばれよ!!」
ガシッとガッツポーズをきめる。
「まかせてください!!」
吉澤もガッツポーズで返した。
31 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時31分13秒
バタン。
矢口が楽屋を出て、ドアが閉まった。

「さあうちらも帰ろうか、梨華ちゃん!!」



『そのときのひとみちゃんの目は、
今までに見たことがないほどに輝いていました…』(石川梨華談)
32 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時43分51秒
数日後 〜musix! ON AIR〜


「ラップdeラリーーー!!」

( ^▽^)<快感♪快感♪
(0^〜^)<毎晩♪毎晩♪



『ええ、そりゃあもう。毎晩♪快感♪ですよ!』(吉澤ひとみ談)
33 名前:連想 投稿日:2002年10月13日(日)01時45分30秒


〜〜END〜〜
34 名前:桜流 投稿日:2002年10月13日(日)01時49分03秒
2作目終了です。

自己満足のために書いてしまったようなものです…。
あの興奮を忘れないうちに、書いておきたかったんです…。
35 名前:桜流 投稿日:2002年10月13日(日)13時30分06秒
見てくださる方がいることを信じて…

川o・-・)ノ <日々精進です!
36 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月14日(月)05時50分11秒
見てますよw
頑張ってください
37 名前:桜流 投稿日:2002年10月14日(月)13時17分25秒
>>36 名無しさん様
ああ!!ありがとうございます!
川o・-・)ノ<感激です!!
とても励みになります☆
少しでもよいものをお見せできるようがんばります!
38 名前:桜流 投稿日:2002年10月14日(月)15時14分44秒
またもいしよしでいきたいと思います。
これから書いていく3作はつながりを持っています。
3つでひとつというふうになります。
ゆっくりとですが、書いていきます。
39 名前:好きだよと言えなくて〜side H〜 投稿日:2002年10月14日(月)23時31分39秒
好きだよと言えなくて、好きだよと言えなくて。



…梨華ちゃん…
40 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月14日(月)23時54分11秒
気がつけばいつも梨華ちゃんをさがしてる自分がいる。
楽屋のドアを開けた瞬間、メンバー達に挨拶しながらも
自分の持つすべての感覚は必死で梨華ちゃんを見つけようとしてる。


そして…あたしの耳は特徴あるかわいい声をとらえる。
あたしの目は愛しいその姿をとらえる。
41 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月14日(月)23時59分09秒
あたしを見て微笑む梨華ちゃん。

「おはよう、よっすぃー」


ああ…梨華ちゃんが言えば『おはよう』も特別なんだよ…。
42 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時12分27秒
気がつけばいつも梨華ちゃんを見てる自分がいる。
にぎやかな楽屋内、あたしは椅子に腰掛けて、少し遠くから梨華ちゃんを見る。


保田さんと楽しそうにおしゃべりしている梨華ちゃん。
…実はジェラシー感じてます。
それにしても…なんてかわいいんだろう…。
くるくると変わる表情、ずっと見ていたい…。

梨華ちゃんに見とれてそ〜と〜マヌケ面になっているあたし。


ふと梨華ちゃんと目が合うと、あたしは慌てて顔をマジメモードに戻す。
…見られちゃったかな、マヌケ面…
43 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時16分35秒
すると梨華ちゃんはそばまで来て、あたしの顔をのぞきこむ。

「どうかしたの?」
「えっ、どうもしないよ?」ウソだけど、必死で平静を装って。


だって…言えるわけないよ、梨華ちゃんに見とれてたなんて…。
44 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時22分26秒
そのままあたしの隣に座った梨華ちゃん。
腕と腕が触れ合うキョリ。
梨華ちゃんの髪からいいにおいがする。
あたしはフツーに顔を向けられない。

こんなにも近くにいると、心臓のドキドキがどんどん強くなる。

何か話しかけなくちゃとは思うんだけど…。
45 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時26分41秒
「ねえ、よっすぃー」
梨華ちゃんから話しかけてくれた。

「ん?」あくまでも表情はクール吉澤で。
梨華ちゃんの方を向く。

顔と顔が向き合う状態。


ああ、やっぱそ〜と〜かわいいや…。
46 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時32分35秒
「ねえちゃんと聞いてるの?何だかボーっとしちゃって…」

またもや見とれてしまってた…。

話が耳に入ってないことに気づいたみたい、
梨華ちゃんは少し頬をふくらませて怒った顔をしてる。
47 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時34分18秒
「梨華ちゃん、怒った顔もかわいいよ」

言っちゃった…。
だけど本当のことだから。
48 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時38分08秒
「何言ってるのよぅ…」

みるみるうちに顔を赤くして、恥ずかしそうに俯いた梨華ちゃん。


もう…たまらなく愛しいよ…。
49 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時48分49秒
かわいい声、少し色黒な肌、女の子らしい華奢な体。
たくさんの表情を持ってて、何より笑顔が最高にかわいくて。
ネガティブになることもあるけど何にでも一生懸命で、健気で…。



梨華ちゃんという存在に、
あたしは心惹かれてやまない。
50 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)00時52分37秒
梨華ちゃんを独り占めしたい。誰も梨華ちゃんに触れてほしくない。
ちょっとしたことでもヤキモチやいてるあたしはわがままな子どもみたいだ…。
51 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)01時03分06秒
梨華ちゃんを独り占めしたい。あたしのものになってほしい。
だけど伝えられないこの思い…


もしも梨華ちゃんに二度と微笑んでもらえなくなったら、どうすればいい…?


拒絶を恐れ、
今の関係を失うことになるかもしれないと恐れ、


あたしは一歩も動けない。
52 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)01時06分10秒
好きで好きでたまらないんだよ…梨華ちゃん…

でも



好きだよと言えなくて、好きだよと言えなくて。
53 名前:〜side H〜 投稿日:2002年10月15日(火)01時07分16秒


〜END〜
54 名前:桜流 投稿日:2002年10月15日(火)23時42分54秒
(0^〜^)<視点でした☆
55 名前:好きだよと言えなくて〜side R〜 投稿日:2002年10月15日(火)23時46分33秒
好きだよと言えなくて、好きだよと言えなくて。



…ひとみちゃん…
56 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月15日(火)23時55分38秒
わたしは早めに楽屋入り。
ひとみちゃんはまだ来ていない。
なんとなく保田さんとたわいのないおしゃべりをする。

そんな間も、
ドアの開く音がするたびに、心はすばやくそっちを見てる。
57 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時03分08秒
ガチャリ。

…あっ…!


「おはようございまぁす」

大好きな人の涼しげな声。
メンバーと挨拶をかわすひとみちゃんにあたしからも挨拶する。
58 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時08分57秒
わたしを見て満面の笑顔をくれるひとみちゃん。

「おはよう、梨華ちゃん」


ひとみちゃんからたくさんの元気ももらっちゃったよ!
59 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時15分19秒
保田さんとのおしゃべりはまだ続く。
保田さんには本当に申しわけないんだけど…
実は心はひとみちゃんの方へ向いたまま。



…なんだか視線を感じる気がする。
ひとみちゃんがわたしを見てる!?
なんて、まさかね。
わたし、自意識過剰かもね…ダメダメ、ポジティブ!

でも、直接見て確かめることができないよ、
保田さんに何か気づかれちゃうかもしれないし…。
60 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時18分57秒
「吉澤、やけにあんたのこと見てない?」

えっ!?ウソ!!


保田さんの突然の言葉。
わたしはやっと、直接ひとみちゃんの方を見る。



ひとみちゃん、少し慌ててる?
「ちょっとよっすぃーのところへ行ってきます」
61 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時23分41秒
ひとみちゃんに近づいて、少し大胆に顔を近づけてのぞきこむ。

「どうかしたの?」すまして聞くけど、必死で平静を装って。
「えっ、どうもしないよ?」


ぜんぜんフツーなひとみちゃん。
…わたしの気のせいだったのかな…。
62 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時27分54秒
そのままひとみちゃんの隣に座る。
腕と腕が触れ合うキョリ。
わたしはちらりとひとみちゃんを見る。
長いまつげ、とてもきれいで凛々しい横顔。

こんなにも近くにいると、心臓のドキドキがどんどん強くなる。

何か話しかけなくちゃ…。
63 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時35分33秒
「ねえ、よっすぃー」
何も話さないのも気まずいし、わたしから話しかけてみる。

「ん?」

顔と顔が向き合う状態。


あまりにもきれいな目で、
まっすぐにわたしを見るものだから…何だか照れちゃうな…。
64 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時42分14秒
顔が熱くなっちゃったのを感じながらも、
わたしはがんばってひとみちゃんに話をする。

だけど…ひとみちゃんはわたしの言うことを聞いてないみたい。
目がぼんやりしてきてるのがわかる。

わたしといるのがつまらないのかな…
ほんとは迷惑だって思ってるのかな…
…ダメだよ、ネガティブ…。
65 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時45分14秒
「ねえちゃんと聞いてるの?何だかボーっとしちゃって…」
思い切って強気に聞いてみる。
プウっと頬をふくらませて見せたりして…。
66 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時47分29秒
「梨華ちゃん、怒った顔もかわいいよ」
そして二カッと笑ってみせるひとみちゃん。

屈託のない笑顔。
67 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時50分18秒
「何言ってるのよぅ…」

わたしが赤くなるのを見てもっとうれしそうな笑顔をするひとみちゃん。


もう…ダイスキ…。
68 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)00時56分58秒
心地よく響く声、透き通るような白い肌、力強い腕、頼もしい体つき。
落ち着きがある冷静な表情は目も眩むほどかっこよくて。
だけどほんとは無邪気で純粋で、本当に楽しそうに、うれしそうに笑う。



ひとみちゃんという存在に、
わたしは心惹かれてやまない。
69 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)01時06分24秒
わたしはひとみちゃんを求めてる。わたしのそばにいてほしい。
他の誰もひとみちゃんのかわりにはならないよ…。
70 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)01時15分21秒
わたしはひとみちゃんを求めてる。そのぬくもりにすべてをまかせたい。
だけど心のままには動けない…


もしひとみちゃんに二度と微笑んでもらえなくなったら、どうすればいいの…?


拒絶を恐れ、
今の関係を失うことになるかもしれないと恐れ、


わたしは一歩も動けない。
71 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)01時17分17秒
好きで好きでたまらないの…ひとみちゃん…

でも



好きだよと言えなくて、好きだよと言えなくて。
72 名前:〜side R〜 投稿日:2002年10月16日(水)01時18分07秒


〜END〜
73 名前:桜流 投稿日:2002年10月16日(水)01時24分31秒
『あたし』ではなく『わたし』でそろえなければと思いながら、
>>57 間違えてしまいました…。

そんなこんなですが、
( ^▽^)<視点でした☆
74 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月16日(水)11時19分51秒
おもしろかったです!!
続編希望!
75 名前:桜流 投稿日:2002年10月17日(木)22時05分59秒
>>74 名無しさん様
おもしろいと言っていただけた上に続編希望まで…!
(* T▽T)0T〜T)<感涙です!!
続編、きっと書きます!
時間はかかるかもしれないですが…
完成したときにはぜひ読んでくださいね☆
76 名前:桜流 投稿日:2002年10月17日(木)22時15分33秒
『好きだよと言えなくて』はつながりを持つ3作で構成ですが、
その3作目を書きます。
題名を替えていますので…番外編と言ってもいいのかもしれません。
上の2作でいしよし以外に唯一名前の出てきたあの御方の視点になります。
77 名前:好きだよとは言わないから〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時22分18秒
好きだよとは言わないから、好きだよとは言わないから。



…石川…
78 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時29分06秒
「おはようございます、保田さん」
「おはよう、石川」

まだメンバーのそろっていない楽屋内。
あいさつをきっかけに、石川と話し始める。


内容なんてほんとたいしたことなくて、たわいないことで笑い合って。
ただそれだけなのに…あたしは心底嬉しい。



…決してオモテには出さないけれど…
79 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時33分11秒
楽屋のドアが開くたびにそっちを気にしてること、わかってる。
あんたが待ってるのはただひとりなんでしょう?


「おはようございまぁす」


そら、来たよ。あんたの『愛しの君』が。
80 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時37分39秒
「おはよう、よっすぃー」
「おはよう、梨華ちゃん」

あんたの目の輝きが違うもの。
気づかないわけないじゃない。



あたしはずっと、あんたを見てるんだから…。
81 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時40分18秒
こうして一緒に話してても、
吉澤が来てから目に見えてソワソワしてるじゃない。

正直よね、まったく…。
82 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時43分41秒
…あら、吉澤がずっとこっちを見てる。
ポカーンとしちゃってマヌケ面。


…石川を見てるのね。


どう見ても相思相愛なんじゃない、この二人。
本人同士ほど気づかないものね。

…言ってやるか…。
83 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時49分44秒
「吉澤、やけにあんたのこと見てない?」
…っていうか見てるのよ。

「えっ!?」
…ああ、うれしそうね…。

「ちょっとよっすぃーのところへ行ってきます」
…すごくイキイキしてる…。



これでいいのよ、これでね…。
84 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時54分11秒
どうしてこうもものわかりのいい大人になっちゃったのかしらね。
だけど…これであの子を困らせないですむから…。

あの子が好きなのは、吉澤。

わかってるのよ、痛いほど。
あたしに入り込む隙はないってこと。


本当に…悔しいけれど…。
85 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)22時56分53秒
ああ、もどかしいわ、あの二人。
さっさとくっついちゃえばいいのよ。

あたしが身をひくと決めたんだから幸せになってくれなくちゃ、
あたしがバカみたいじゃない。
86 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)23時05分24秒
吉澤の横で幸せそうに笑うあの子を、あたしも笑って見ていたいのよ。
そう、あの子を、ずっと見守っているわ。
それくらいさせてくれてもいいじゃない。

ねえ?



好きだよとは言わないから、好きだよとは言わないから。
87 名前:〜K〜 投稿日:2002年10月17日(木)23時06分16秒


〜END〜
88 名前:桜流 投稿日:2002年10月17日(木)23時10分10秒
( `.∀´)<視点だったのよ!
89 名前:桜流 投稿日:2002年10月17日(木)23時37分42秒
3作完成です☆
(0^〜^)( ^▽^)( `.∀´)
続編を希望してくださった方がいるということに果てしなく浮かれモード☆
やる気も湧いてきます!
90 名前:桜流 投稿日:2002年10月20日(日)12時38分23秒
ちょっと狂気にかられてみた…
いしよしです。
91 名前:ホシイ→イラナイ 投稿日:2002年10月20日(日)12時52分10秒
ねえ、ひとみちゃん…


わたしを見つめてくれないなら、そんな目は必要ないよ。
わたしの言葉を聞いてくれないなら、そんな耳は必要ないよ。
わたしの名を呼んでくれないなら、そんな声は必要ないよ。
わたしにキスしてくれないなら、そんな唇は必要ないよ。
わたしと一緒に歩いてくれないなら、そんな足は必要ないよ。
わたしを抱きしめてくれないなら、そんな腕は必要ないよ。


わたしを愛してくれないなら…

あなたが生きてる必要はないよ…。
92 名前:ホシイ→イラナイ 投稿日:2002年10月20日(日)12時58分33秒
あなたから流れ出す『赤』に身を染め、
あなたの『カケラ』を指でもてあそび、

すでにヒトのカタチをしていないあなたを見つめ、



わたしは高らかに笑った………。
93 名前:ホシイ→イラナイ 投稿日:2002年10月20日(日)12時59分27秒


〜END〜
94 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月20日(日)15時41分12秒
いしよし以外を読みたいです
95 名前:桜流 投稿日:2002年10月20日(日)16時12分37秒
>>94 名無しさん様
そうですね、いしよし以外にも挑戦しなければ!!
川o・-・)ノ <修行修行!

読者の皆様、好きなカップリング、読みたいカップリングなどありましたら、
教えてくださいね☆
期待にそえるものが書けるかどうかは危ういですが…
書かせていただきたいと思います。
96 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月20日(日)18時03分20秒
三部作よかったっす・・・
自分は、ん〜・・・おがこん、たかこんが見たいっす!
出来ればでいいのでほのぼのあまあまがいいですw
97 名前:桜流 投稿日:2002年10月21日(月)17時50分06秒
>>96 名無しさん様
ありがとうございます!!読んでくださってうれしいです☆
おがこん、たかこんということですが…
それではおがこんで書かせていただきたいと思います。
川o・-・) <書きます…
98 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)18時01分33秒
今日は雑誌のお仕事です。
私は麻琴ちゃんと二人で取材を受ける予定ですが…
待ち時間が長いです、何だかヒマです…。

待ち部屋に二人きり、
麻琴ちゃんは机をはさんだ向かいに座り、雑誌をペラペラとめくっています。

「あさ美ちゃん、どうしたの?」
麻琴ちゃんは私の視線に気づきました。
「ううん何でもないんだけど…ヒマだね…」
「そうだよね〜この雑誌ももう読むとこなくなっちゃったよ」
そういってバサッと机の上に放り出しました。
99 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)18時05分26秒
「う〜ん…しりとりでもやろっか?」
麻琴ちゃん、ナイスアイデアです。ひまつぶしにはもってこいです。
「うん、やろうやろう!」賛成です。
100 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)20時26分46秒
「じゃあしりとりの『り』からいくね。え〜と…」
麻琴ちゃんは初めに何からくるでしょう、ドキドキ。
「りす!」
う〜ん、『す』のつくものは…
「すいか!」
「かぼちゃ!!」
さすが麻琴ちゃん、『か』といえば『かぼちゃ』しかないですね。
「『ちゃ』だよね。…茶菓子!」
「し、竹刀」
『竹刀』ときますか…では、
「いも」
「も、…モスクワ」
…『モスクワ』とは…何か思い入れでもあるんでしょうか…。
ちなみにモスクワとはロシアの首都です…。
101 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)20時30分31秒
次は『わ』ですね。
「わらびもち」
「ち、ち、ち、地理!」
「りんご」
「ゴリラ」

ら?
「ら〜〜〜…、ラーメン!!………あっっ!!」
『ん』で終わっちゃいました…。
102 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)20時51分34秒
「アッハハハハハハ!!
あさ美ちゃん早いよ!負け早いよ!
しかもあさ美ちゃん食べ物の名前しか言ってないし!!ハハハハハハハ!!」
麻琴ちゃん、爆笑してます…。ちょっと恥ずかしいです…。


「アハハハハ…フゥ〜フゥ〜……」
ようやく笑いがおさまってきたようです。
「そ、そんなに笑わなくても…」実はちょっとショックです…。
「ああ、ごめんねえ〜」
麻琴ちゃんはニコニコ顔で私の頭をなでなでとしました。


……なんだかとてもイイ感じです…。
103 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)21時02分51秒
「あさ美ちゃん食べること好きだもんね!」
「エヘヘ…」まったくその通りなんです。

「あたしおいしいドーナツ持ってるんだ、今一緒に食べちゃおうよ」
麻琴ちゃんはそう言って立ち上がり、少し離れた所にあるロッカーから
カバンを取ってきて私の隣に座りました。
「1個しかないんだけど、半分こね!」
「えっ、ほんと私もらってもいいの?」
せっかくの麻琴ちゃんのおやつをとっちゃうことはしたくないです…。
「いいんだよぉ、はい!」
少し大きめのまあるいドーナツを半分に割って、片方を差し出してくれました。
104 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)21時16分25秒
「ありがとう」ほんとに…ありがとう…。
麻琴ちゃんは微笑んで、パクッとドーナツにかみつきました。
私もパクッと一口。
「おいしい〜!!」
すごくおいしいです!
「でしょ〜!!」
麻琴ちゃんはパクパクと、どんどん食べていきます。
私はゆっくり少しずつ食べていきます。

「あさ美ちゃんおいしそうに食べるよねえ♪」
「だってほんとおいしいから!麻琴ちゃんありがとう!」
「どういたしまして、そんなに喜んでもらえてこっちもうれしいよ」
そして麻琴ちゃんと私はへへへと笑いあいました。



とてもとてもステキな時間でした。
長く待たされることも悪くないです!
105 名前:しりとり 投稿日:2002年10月21日(月)21時17分02秒


〜END〜
106 名前:桜流 投稿日:2002年10月21日(月)21時21分46秒
おがこん、川o・-・)視点でした。
難しいです、5期メン…。
あまあまになってないですよねコレ…。
川o・-・)<ご、ごめんなさい……。
107 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月23日(水)13時18分26秒
いいっす!いいっすよ!
こんなのでOKですよw
自分には書けないっすから・・・
また他のも楽しみにしてますよ〜
108 名前:桜流 投稿日:2002年10月24日(木)13時37分47秒
>>107 名無しさん様
OKですか!安心しました〜☆
楽しみにしてくださっているなんて本当にうれしいです!
∬ `▽´∬ <がんばるぞ〜☆
109 名前:桜流 投稿日:2002年10月24日(木)21時23分43秒
唐突ながら、やぐちゅーでいきます。
110 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)21時41分09秒
薄暗い部屋の中、ベッドの上で重なり合う二つのカラダ。
喘ぎ声の混じる熱い吐息が、時折きしむベッドの音が、響く。

「あっ…!あん…裕ちゃ…ハァ…ハァ…」

「へっ…へーーっくしょん!!……」



「ハァ、ハァ……だ…ダメぇ…ん…」

「うっ、ゴホン!ゴホッ、ゴホッ、ガハッ!!」


たまらず裕子は体を起こし、真里に背を向けて思いっきり咳き込んだ。
111 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)21時59分58秒
「裕ちゃん…」
真里は冷ややかな目で裕子を見た。
「ああ〜ごめんなぁ、中断してもーて…」
そう言ってまた真里に覆いかぶさる裕子。

「ゴホン!ゴホッ、ゴホッ…」
「…裕ちゃん!!今日はこれでおしまい!!」
真里は裕子の体から逃れ、ベッドからでた。
部屋の明かりをつけ、床に散らばる下着やパジャマを拾い、身に付ける。

「ええ〜〜〜!」
裕子はものすごい鼻声で残念そうに声をあげた。
「やっぱり風邪ひいてるときはあったかくして早く寝なきゃダ〜メ!」
「ほなけど最初はOKしてくれたやんか〜」
「もうダメったらダメ!!さっさと服着ろ!」
真里は裕子のパジャマをベッドの上へ投げつけた。
渋々ながらも裕子は真里に従った。
112 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)22時33分43秒
パジャマを着た後、裕子はもそもそと布団をかぶり、
はぁ…とひとつため息をついた。
中途半端に終わってしまったことに相当不満であるらしい。
しかし真里には逆らえない裕子なのであった…。


「裕ちゃんほら、薬飲んで」
真里は風邪薬のカプセルひとつと水の入ったコップを持っていた。
「ああ、すまんなぁ」
ゆっくりと起き上がってそれを受け取る。
カプセルを口に放り込み、水で一気に飲み干した。

「それじゃ寝よっか」
真里は明かりを消し、裕子の隣にそっと入った。
「おやすみ裕ちゃん」
「おやすみ…」
真里は裕子に背中を向ける。

静寂に時計の秒針の音が、響く。
113 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)22時56分55秒
眠りに入ろうとすること数分……。

「やぐちぃ……」
くぐもった鼻声。

「どしたの…?」
仰向けになってから、顔を右に向ける。
裕子がさみしそうな顔を見せる。

「なんか寒いわ……もっと近くに来てや…」
泣きそうな声。


真里は体を裕子の方へ向け、ぴったりとくっついていった。

裕子の右腕が真里の腰にまわり、離れまいとするかのように力がこめられる。
真里も左腕を裕子の脇から背中へまわし、力をこめた。
114 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)23時18分23秒
「矢口の体温…気持ちええな…」
「裕ちゃんの体温もだよ…」
二人の心臓の音が混ざり合う。



「病気になったら…なんか弱気になってもーて、さみしーてたまらんわ…。
けど、ここにこうして矢口がおってくれて、矢口を感じれたら、
そんなん全部消えていくなぁ…」
そう言って真里のおでこに唇で軽く触れた。
「へへ♪おいらのパワ〜はすごいだろっ」
照れくさいのを隠すように、はしゃいだ声で言ってみせた。

「ほんますごいわ…矢口……好きやで……好きや…」
裕子の真剣な言葉。

真里の心は痺れるように熱くなった。
「裕ちゃん…矢口も……」



いつしか二人は眠りに落ちた―――
115 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)23時31分06秒
次の日―――

真里が目を覚ますと、隣に裕子はいなかった。
体を起こしてしばらくぼんやりと佇む。

と、
「おはよーさん」
コーヒーの入ったカップを持って、ベッドのそばに歩いてくる裕子。

「裕ちゃん!風邪治ったの?」
「いや〜もうバッチリ元気になったでぇ〜!!
矢口のぬくもりが風邪をビシッとやっつけてくれたんやなぁ〜」
ハハハと軽快に笑う元気な姿に、真里は安心した。
116 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)23時37分45秒
「さて!ほな始めよか〜♪」
ニヤニヤ顔でベッドへ入ってくる裕子。
そして真里を押し倒そうとする。

「ちょちょちょちょっと!何してんの!」
慌てて裕子を押し離す。
「なんでって決まってるやろ、昨夜の続きを…」
「バカ!朝から何言ってんの!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る真里。
「ええ〜昨日我慢したんやから今でもええやんかぁ」
「仕事だってあるのにダメだってば!」
バシッと一発裕子の頭をはたく。
117 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)23時44分58秒
「たたくことないやろ!ちょっとくらいええやん…」
不満だらけの表情、そして少し涙目にもなっている。

「もう…裕ちゃんは…」
ふいに、真里は裕子の唇に唇をかさねた。

「……!!」
裕子は突然の出来事に目を丸くする。
118 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)23時50分14秒
「や、やぐちぃ…」

「裕ちゃん、……夜まで待ってて…」

真っ赤な顔で、恥ずかしそうに視線をそらしている真里を見て、
裕子もキスを返した。


「夜がめっちゃ待ち遠しいわ〜〜☆」
119 名前:風邪 投稿日:2002年10月24日(木)23時51分32秒


〜END〜
120 名前:桜流 投稿日:2002年10月24日(木)23時58分28秒
文章がちぐはぐでたまらんですね…。
実は作者本人が風邪なもので…。(なんて言い訳がましひ…)
それでも読んでくれた読者様がいらっしゃるなら…
从#~∀~#从 (〜^◇^〜)<ありがとうございます!!
121 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年10月25日(金)00時22分23秒
やぐちゅー。たまらないッスね♪
最後の矢口さんなんてホント可愛いっす
122 名前:桜流 投稿日:2002年10月25日(金)21時45分39秒
>>121 やぐちゅー中毒者セーラム様
つまらぬコメントだなんてとんでもないです!
反応があるって本当に感激なんですよ…☆
从#~∀~#从 <ありがたいわぁ☆
123 名前:桜流 投稿日:2002年10月25日(金)23時33分57秒
痛めないちごまを書きたいと思います…。
124 名前:遺書 投稿日:2002年10月25日(金)23時35分45秒
―――あたしたちは永遠を手に入れようと決めた
125 名前:遺書 投稿日:2002年10月25日(金)23時43分35秒
「後藤…あたしは後藤との永遠が欲しい。
他の誰でもなく、後藤がいいんだ…」



「いちーちゃん、あたしはいちーちゃんとの永遠が欲しい。
他の誰でもなく、いちーちゃんがいいの…」
126 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時06分42秒
二人は強く、強く、抱きしめあった。


「誰にも邪魔されない、二人だけの世界へ行こう…」
市井は後藤の耳元で優しく囁いた。

「うれしいよいちーちゃん…ずっと二人一緒にいられるんだね」
後藤は市井の耳元にそっとキスした。
127 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時21分58秒
市井は後藤を腕の中に閉じ込めたまま、ベッドの方へと進んだ。
そして後藤をベッドに座らせる。

市井はすぐ横にある机の上に置いてあった、
手のひらにおさまるほどの小さなビンを手にとった。
ビンの中では透明の液体が揺れている。

「これを飲めばいいんだよ」
フタをまわし、はずす。
128 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時28分50秒
「いちーちゃん…いちーちゃんが飲ませて…」

「うん」


市井はその液体をすべて口に含んだ。


そして後藤に顔を近づける。

後藤は目を閉じた。

二人のくちびるがかさなる。
ほんの少し開かれた隙間から、後藤の中へ液体を半分流し込んだ。
129 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時30分24秒
そして、二人同時に飲み込んだ。

コクリ…と、喉が鳴る。
130 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時33分30秒
「いちーちゃん、ずっとずっと、一緒だよ。
何処にも行かないで、ずっとそばにいてね…」
後藤の目から涙が流れた。

「ずっとずっとそばにいるよ…」
市井は後藤を抱きしめた。

そのままゆっくりと横たわる。
131 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時39分44秒
二人の意識はだんだん遠くなっていった。


もう声も出ない。


ゆっくりと目を閉じてゆく。
132 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時42分47秒
呼吸音も消え、静かな空間が広がる。


そこはすでに『永遠』だった。



二人の顔は穏やかで…
幸せそうに笑いあっているようだった…。
133 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時45分08秒
『遺書

  私達は、愛しあっています。

               市井紗耶香・後藤真希』
134 名前:遺書 投稿日:2002年10月26日(土)00時45分43秒


〜END〜
135 名前:桜流 投稿日:2002年10月27日(日)22時56分57秒
( ´ Д `)<んあー……。
まだまだ未熟な自分に…
( ゜皿 ゜) <喝!!!!!


…ということで(?)、
『好きだよと言えなくて』の続編を書いていきたいと思います。
136 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月27日(日)23時09分53秒
「梨華ちゃん、ずっと好きだった…あたしのものになってほしい!」
目の前にいる梨華ちゃんを真っ直ぐに見つめて。
真剣に、真剣に伝えた。

「うれしい……わたしも…好き」
熱く潤んだまなざしを向けてくれる。


「梨華ちゃん!!」
そしてギュッと抱きしめた。

――なんて幸せなんだろう……好きだって伝えてよかった…。
ああ、これはウソじゃないよね。
もしも夢だとしても…どうかこのまま覚めないで……。
137 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月27日(日)23時18分09秒
―――気がつくと、薄暗い部屋。
ベッドに寝ている自分。

「…マジに夢かよぉ…」
もそっと起き上がって時計を見る。
――夜中の3時ちょうど。


鮮やかに記憶に残る夢を思い返しながら、
少し離れた隣のベッドに目をやる。

「……梨華ちゃん」
138 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月27日(日)23時39分24秒
仕事の都合で地方に来て、数日間ホテル暮らし。
それも明日には帰る予定だけれど。

今回梨華ちゃんとあたしは同じ部屋。
それでも梨華ちゃんのことでクヨクヨ悩まず、考えずにいられたのは、
仕事がそ〜と〜にハードだったから。
ここに来た初めこそ動揺はあったものの、忙しさにそれは紛れていった。
夜になっても疲労だらけであっというまに眠りに落ちちゃってたし。



そして目が覚めてしまった今…
あたしは梨華ちゃんを意識せざるを得ない状態になってしまっている…。
139 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月27日(日)23時51分19秒
好きで好きでたまらなくて、
でも好きだよと言えないでいる、あたしの大切な人。

薄暗い中に見える梨華ちゃんの寝顔。


涙が出そうなほど、惹かれる。
140 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)00時01分24秒
―少し風にあたろう…。
立ち上がり、足音を忍ばせて歩く。
上着を一枚羽織ってから、バルコニーへのドアを開けて、出た。
そしてもちろんきっちりと閉めておく。


海に近いこのホテルは夏のリゾートにもってこいの場所だ。
しかし秋も深まるこの季節。
あたしの頬にあたる風は、冷たい。
141 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)00時14分24秒
目を閉じて波音を耳にしながら、梨華ちゃんのことを思う。

―心が、痛い。

梨華ちゃんを求めてやまない気持ちと、
梨華ちゃんに告白するのが怖いという気持ちが
いつだってぶつかり合っていて…。

あたしはムジュンのカタマリだ。
142 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)00時34分13秒
だけど近頃、
『梨華ちゃんを求めてやまない気持ち』の方が、
『怖れ』を少しずつ圧倒し始めた気がする。


ホシイ、ホシイ…。梨華ちゃんがホシイ…。


心が悲鳴をあげ続ける。
143 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)01時00分45秒
「はぁ…」
大きくひとつため息をつき、空を見上げた。
月と星が、やけにまぶしくてたまらない…。

バルコニーの手すりに顔をふせて、再び波音に耳をかたむける。



いつしかあたしは、飯田さんとの会話を思い出していた…。
144 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)01時40分37秒
いつのことだったか思い出せないけれど、
ものすごく唐突な飯田さんの語りかけ。

「吉澤ぁ、黙ってるってすっごく苦しいんだよ」
「な、何なんですか急に…」
なおも詰め寄ってくる飯田さん。
「伝えたいこと抱えたままだと本当に苦しいんだよ」

なんだか…あたしの心の中を知ってるみたいに言うもんだから、
少し胸の内を話してみようという気になった。

「確かに…苦しいですよ…」
「このままでいいの?」
「いいことはないですけど…言うのが怖いんですよ…。
例えば今あるものよりもっとすごいものを欲しいと言ったときには、
今まであったものまでなくしかねないというリスクがあるわけですから」
あたしの心に影が落ちる。
145 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)15時25分19秒
飯田さんはふぅと一息ついて、こう言った。

「…怖い怖い言って逃げ回るくらいならさ、
最初から欲しいなんて思っちゃダメだよ」

心臓がどくんと大きく鳴った。

「いつまでも自分の気持ちから逃げ続けてさ…
だいたい本当に欲しいって思ってるの?
テキトーにいつか忘れてしまえばそれでいいような、
軽い気持ちしか持ってないんじゃないの?」


「テキトーなんかじゃない!!」
あたしは思わず激昂した。
146 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)15時36分38秒
しばらく沈黙が続いた。



と、飯田さんが微笑んだ。
「本気持ってるんじゃん」


…そうだよ…本気なんだよ…。


「きっと、きっと前に進めるよ、吉澤」



…そして飯田さんは行ってしまった。
147 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)15時57分05秒
ふせていた顔をあげ、海の向こうを見つめる。

飯田さんはあたしの『苦しいよ電波』をキャッチしていてくれたんだろうな…。
…すごい人だ。



「前に…進む…か」
こんなままじゃ、いられないから。


幾度も幾度も飲み込んできたこの言葉を、

梨華ちゃんの目を見て、

声にして、

伝えなければ、何もかわらないんだ…。



「梨華ちゃん…好きだ…好きなんだ…」

…涙が一筋、頬を流れた。
148 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)16時00分11秒
「よっすぃー…どうしたの…?」



……この声は……!



ハッとして、後ろを振り返る。



そこには…梨華ちゃんが立っていた……。
149 名前:夢ならどうか覚めないで〜side H〜 投稿日:2002年10月28日(月)16時02分15秒


〜To Be Continued〜
150 名前:読者A 投稿日:2002年10月28日(月)16時52分54秒
はじめまして、今日一気に読ませていただきました。
凄く良いです。続きを楽しみにしています。
151 名前:桜流 投稿日:2002年10月30日(水)22時18分10秒
>>150 読者A様
初めまして!!
読んでくださってありがとうございます☆
(0^〜^0)<うれしいYO!!
どうかあたたかく見守ってやってくださいね☆
152 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月30日(水)22時29分52秒
「梨華ちゃん、ずっと好きだった…あたしのものになってほしい!」
ひとみちゃんはとても、とても真剣なまなざしで、
わたしを見つめてくれている。

「うれしい……わたしも…好き」
潤んだ瞳で熱く、熱く見つめ返す。


「梨華ちゃん!!」
そしてギュッと抱きしめられた。

――なんて幸せなんだろう…好きな人から『好きだ』って言ってもらえた…。
ああ、これはウソじゃないよね。
もしも夢だとしても…どうかこのまま覚めないで……。
153 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月30日(水)22時38分24秒
―――気がつくと、薄暗い部屋。
ベッドに寝ている自分。

「…ゆ、夢かぁ…」
ごそごそと手探りで枕もとのケータイを手にとり時間を見る。
――午前3時10分。


鮮やかに記憶に残る夢を思い返しながら、
少し離れた隣のベッドに目をやる。

「……ひとみちゃん…いない…!?」
154 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月30日(水)23時11分29秒
仕事の都合で地方に来て、数日間ホテル暮らし。
それも明日には帰る予定だけれど。

今回ひとみちゃんとわたしは同じ部屋。
初めはすごく意識しちゃってあせりもしたけど…
そばにいられることを純粋にうれしく思った。
仕事がとても忙しくてゆっくりすることなんてできなかったけど
離れているよりはマシかもって…。



そして目が覚めた今…
そこにいるはずのひとみちゃんは、いない…。
155 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月30日(水)23時18分56秒
好きで好きでたまらなくて、
でも好きだよと言えないでいる、わたしの大切な人。

「どこいっちゃったのかな…」
布団を頭までかぶり、考える。


―まさか、他の誰かのところ…?
156 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月30日(水)23時31分48秒
わたしはすごく後悔した。
嫌なことを考え始めると、止まらないというのに…。

布団から顔を出して、空っぽなベッドを見る。

―心が、痛い。

ひとみちゃんはすごくかっこよくて、誰にだってやさしくて、
…いつ、誰かのものになっちゃってもおかしくない…。

だけどわたしは…
ひとみちゃんが誰かにとられるのが嫌なくせに、
ひとみちゃんが欲しいと思ってるくせに、

何も言えない。ずっと、言えないまま…。
157 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月30日(水)23時51分14秒
『そばにいて、二人楽しく笑いあっていられれば、それでいいじゃない』
そう思おうとしたこともあった。

だけど、それじゃわたしの心は納得してくれないってわかった。


ホシイ、ホシイ…。ひとみちゃんがホシイ…。

心が悲鳴をあげ続ける。
158 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)00時03分30秒
「はぁ…」
大きくひとつため息をつき、目を閉じた。
夜の闇、閉じたまぶたの闇、心の中の闇が合わさって
重く重く、わたしを支配していく…。

もぞもぞと体を動かし、ひとみちゃんのベッドに背を向けた。



そのまま眠れるわけもなく、
いつしかわたしは保田さんとの会話を思い出していた…。
159 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)00時12分08秒
いつのことだったか思い出せないけれど、
ふとしたことから始まった保田さんの語りかけ。

「ねぇ石川、あんたはポジティブじゃないわね」
「ずばっと言いますね保田さん…。
わたしはポジティブでありたいと思って、努力もしてるつもりですけどぉ」
本当にがんばってるんだけど…。

「ムリしてるのがみえみえ」


…鋭い、保田さん。
160 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)00時19分43秒
「ムリとかじゃないですよぅ」
ニコニコと笑ってみせた。

「……」
沈黙のまま、じっとわたしの目を見る保田さん。

「保田さ…」
と、呼びかけの済む前に、ポンと肩をたたかれた。
161 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)00時50分54秒
「???」
きょとんとしているわたしをよそに保田さんは話し始める。

「なんていうか、ポジティブになろう!!って努力とかじゃない気がするわよ。
もっとおおらかに、自分の気持ちに素直になって考えられれば、
それこそがポジティブにつながっていくと思うんだけど。
ムリがみえみえとかじゃなくね」
保田さんはニコッと笑った。

「素直になって…」
「そうよ。そうすれば悪い結果にはならないわよ」

「えっ!?」
…どういうこと?

「まあそういうことだから、あんたは心配せずにぶつかってみなさい」
そういってまたわたしの肩をポンとたたき…

…保田さんは行ってしまった。
162 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)13時57分20秒
閉じていた目をゆっくりと開く。

保田さんはなんであんなことを…?
『心配せずにぶつかってみなさい』

わたしがひとみちゃんを好きってこと、
好きだって言いたいのに言えないこと。

…気づいてるみたいだった…。


『悪い結果にはならないわよ』
どうしてそんなことわかるの?

…わたし…期待しちゃうよ…。
163 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)14時18分39秒
『ムリしてるのがみえみえ』って言われても当然なほど、
ひとみちゃんのことで悩んじゃうわたし…。


わたしはひとみちゃんを失うことが怖い。
告白が失敗に終わり、最悪の結果を招くことばかりを想像してしまう。


でも…素直に、本気で心の底から思うのは

ひとみちゃんに思いを伝えたいということ。
164 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)14時29分17秒
本当は言いたくて言いたくて、たまらない。
溢れてくる思いを声にしたい。
ひとみちゃんに聞いてほしい…。


そうよ、言いたいのよ。

だったら、言えばいいじゃない!

好きなんだから、それを素直に…

素直に、口に出せばいい……!


きっと言えないままでいることのほうが、
思いを伝えた結果おとずれるかもしれない悲しみよりも、
後悔が大きくなるに違いないもの…。
165 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)14時37分17秒
そう、少しずつ、
伝える勇気が湧いて来た…!

ガバッと布団をはねのけ、勢いよく体を起こす。
「よしっ!」
小さくガッツポーズ。
わたしようやくポジティブになれてきたかも!

そして…ひとみちゃんのベッドを見る。


…いないことにかわりはなく…。
166 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)14時43分49秒
…やっぱりダメかもわたし。
くじけるの早すぎだけど。

それにしてもひとみちゃん、ほんとどこ行ったんだろう。
ベッドから出て、立ち上がる。


トイレじゃないのは、わかってる。
もしそうなら明かりが外に漏れてるのがここから見えるはずだから。

そう思いながらもトイレのドアの前まで行き、そっと開ける。
「…うん、いないよね」


もし他の人のところに行ってるなら、
こんな夜中に確かめて歩くことはできないよ…。
167 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)14時51分32秒
なんだか…告白前に玉砕決定かもしれないなんて…。
今ひとみちゃんが一緒にいるかもしれない誰かとすでに○○○だとしたら
わたし…やっぱり伝えられなかったことに後悔だよ…。

「はぁ…」
大きなため息をつく。

こんな状態で眠れるわけない。

「少し風に当たろう…」
誰に言うともなくつぶやいて、バルコニーへのドアに手をかける。
168 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)15時02分10秒
―あれ…?

バルコニーにはすでに人影があるのに気づいた。

よくよく見ると…

…ひとみちゃんだ…!!
こんなところにいたんだ……本当、すごくほっとした…。

わたしはバルコニーへ足を踏み入れ、ゆっくりドアを閉めた。
冷たい風、海の香りを感じる。
ひとみちゃんの後姿は…どこか悲しげ…?

「梨華ちゃ…、………」

ひとみちゃん、今わたしを呼んだ…?
169 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)15時08分14秒
「よっすぃー…どうしたの…?」

そっと声をかけてみる。


ひとみちゃんはわたしの声にすばやく振り返った。
その頬に光るのは…


…泣いてるの…?



わたしたちは見つめあったまま、しばらく立ち尽くしていた…。
170 名前:夢ならどうか覚めないで〜side R〜 投稿日:2002年10月31日(木)15時09分42秒


〜To Be Continued〜
171 名前:桜流 投稿日:2002年11月11日(月)23時05分46秒
・゚・(ノД`)・゚・
えらく長い間小説(と呼ぶには程遠いけれど)を書けずにいました…。
結局時間のやりくりをうまくできなかった自分が悪いわけですが…。

それでは、
「好きだよと言えなくて」「夢ならどうか覚めないで」
この続きを、完結になるわけですが、書きます。
172 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時07分39秒
目の前にいる梨華ちゃんと
ものすごく長い間見つめあってた気がする…。



実際にはほんの一瞬だったのだろうけど。
173 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時10分49秒
「眠れないの?よっすぃー…」
梨華ちゃんはパジャマ一枚の姿で、あたしの方へ近づく。


あたしは慌てて頬の涙を拭った。


そばまで来ると、不思議そうな表情であたしの顔をのぞきこむ。



「うん……何だかわかんないけど目がさえちゃってね…。
星でも眺めようかな、と」



いや、眠れない理由、ほんとはわかってる。

梨華ちゃんのことを、考えていたからなんだよ…。
174 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時14分41秒
「そうだったんだ…」



…梨華ちゃん、ほっとしたような表情に見えたのは、気のせいなのかな…。
175 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時17分02秒
ふと、強い風が吹き抜けた。
幾分慣れてきた冷たさだが、強く吹かれては寒さを感じずにはいられない。

――そうだ。

あたしは着ていた上着を脱いで、梨華ちゃんにかけた。

「パジャマ一枚じゃ寒いでしょ?」寒いに違いないし。
「でも…よっすぃーが…」
「あたしは、平気だから」梨華ちゃんの方が、大事だから。
そう言って笑って見せた。


「優しいね、よっすぃー」



―――ジーン……―――



梨華ちゃんの微笑みと甘い声に、頭の芯が熱くなるのを感じた。
176 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時21分09秒
「星、ものすごくたくさん…すごいね」
そう言って空を見上げる梨華ちゃん。


あたしはその横顔を見つめた。


いつもは、『かわいい』って思ってたけど…
今日はとても『きれい』だ…。

女の子らしい細くやわらかいシルエット。
風になびく髪の間から艶かしくのぞく首筋。

星と月のたくさんの光。
そのすべてを一身に纏った梨華ちゃんは、
すごく神秘的で…。


心が受け止めきれないほどの美しさに、軽く眩暈を覚えた。


――ああ、梨華ちゃん、きれいだ…梨華ちゃん、梨華ちゃん、梨華ちゃん――
177 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時23分09秒
「梨華ちゃん…」


……!?
あたし、今声に出しちゃった!?


「なぁに?」
梨華ちゃんはまっすぐにこっちを見てくれてる。


だけど…心の声がつい出ちゃったなんて言えるわけもなく…。

「なんでもないよ、呼んでみただけ〜♪」
おどけてごまかす。


「もう、何よそれ〜」
「アハハハハ」

ふたり顔を見合わせて、笑った。
178 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時25分09秒
―――波音は絶えず響き渡る。
ひとしきり笑い終わった後、その音に耳を傾け、ぼんやりと空に目をやった。



ザワザワ、ザワザワ。


波音にあわせて心もざわめきをたてているような、そんな気がした。


梨華ちゃんと静かな夜にふたりきり…。

沈黙があたしを責めたてる。


――伝えるんだ、好きだ、と。

――前に、進むんだ。


もうのどを出掛かっている声。

『スキ』の形を作ろうとするくちびる。



しかし、なおも沈黙は続いた―――。
179 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時28分15秒
「よっすぃー」
沈黙を破ったのは梨華ちゃんだった。

「なに?」
梨華ちゃんが話し出すごとに、何かな?何だろう?ってドキドキする。



梨華ちゃんは遠くを見たままポツリポツリと話し始めた。


「わたしね、目が覚めたときによっすぃーがいなかったから、
すごく心配しちゃった」
少しトーンの沈んだ声…。


「ああ…ごめんね…」こんな夜中だし、いなくなってたら驚くよね…。



「わたしが寝てる間にね…誰かのところに行っちゃったのかなって…」



……梨華ちゃん…?

何だかいつもとは様子が違う…?
180 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時30分21秒
俯き加減で、もじもじしながら、なおも言葉を続ける。


「こんなこと言う権利なんてわたしにはないんだろうけど…、
よっすぃーに他の人のところに行っちゃわないでほしいっていうか…」



……梨華ちゃん、それって……。
181 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時35分39秒
「わたしね、よっすぃーといると安心する。
もっともっと、近づきたいって…思うの…」


……梨華ちゃん、梨華ちゃん……。



「ごめんね、こんなこと言われても、よっすぃー困るよね…」

…いいのかな、梨華ちゃん…、あたし、梨華ちゃんが…。

「でもね…わたし…わたし…よっすぃーのことが……」



梨華ちゃんは俯いていた顔をあげる。

その表情はせつなくて、

今にも泣き出してしまいそうで、



――キレイ。




あたしの中で、何かが弾けた。
182 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時37分26秒
瞬間―――


あたしは梨華ちゃんの左腕を掴み、自分の方へ強く引いた。


あっ、と、梨華ちゃんが声を出す。


細い腰と小さな背中に両腕をまわし、閉じ込める。


そして、きつく、抱きしめた。
183 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時39分20秒
梨華ちゃんは今、あたしの腕の中にいるんだ…。



…泣きそうになった。



梨華ちゃんは驚いていたようだったけど、

すぐに両腕をあたしの背中へまわして、ぎゅっと力をこめた。



…もっと泣きそうになった。
184 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時40分35秒
涙をどうにかこらえながら、


ずっと言いたかったこのコトバを、


梨華ちゃんに伝えたかったこのコトバを……



「梨華ちゃん、好きだ……」
185 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時43分42秒
ゆっくりと腕を解き、梨華ちゃんと顔を見合わせた。


梨華ちゃんは、泣いていた。



さぁ、まっすぐに目を見て、もう一度。



「好きだよ…梨華ちゃん」


あたしの思いは
やっと、やっと声になったんだ。
186 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時48分28秒
「…わたしも、…ひとみちゃんが好きなのぉ…!」



涙の一粒一粒も、泣き顔も、

何より欲しかったその言葉も、


ただただ、愛しい……。




ああ、もう、死んだっていいかも。

そう、思った。
187 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時51分58秒
あたしはたまらず、再び、梨華ちゃんを抱きしめた。

梨華ちゃんは顔をあたしの胸元にふせている。


「名前で、呼んでくれたね」


梨華ちゃんは、こくりと頷く。


「特別ってかんじですごくうれしいよ」


腕の中でこくりと、また頷く。
188 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月11日(月)23時55分02秒
「ずっとずっと、好きだよって言いたかったんだ」
狂おしいほどに、梨華ちゃんを思ってた。


「うん…」
せつなさのこもった声。



「でも、なかなか言えなかった」
怖かったんだ…。


「うん…」
苦しさのこもった声。



「ずっとこうしたかったよ」
心から、望んでいたよ。


「わたしも、ずっとこうしたかった」





梨華ちゃんと心通じ合えた瞬間、あたしは決して忘れない。
189 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月12日(火)00時04分35秒
梨華ちゃんの顔を少し上へ傾けさせる。
あたしと、顔を向き合わせる。


お互いに、笑みがこぼれる。



「ねぇ梨華ちゃん。うれしくてうれしくて、眠れそうにないよ」

いや、マジで。



「わたしも、うれしくてうれしくてたまらないよ」

梨華ちゃんは照れくさそうに笑った。
190 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月12日(火)00時13分49秒
「とりあえず、部屋の中に戻ろうか」

「うん」



あたしは梨華ちゃんの手をとり、ぎゅっと握った。


梨華ちゃんもぎゅっと握り返してくれた。



…今までに感じたことのない温かさが全身に染み渡っていく気がした…。
191 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月12日(火)00時19分08秒
部屋に戻り、ひとつのベッドにふたりで入り、


ゆっくりと横たわる。


見つめあって、体を寄せ合って、


ただ、お互いの温もりを伝え合う。



絡めあった指は、決して解けることなく。


やっと、ふたり、ひとつに。
192 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月12日(火)00時20分34秒
これからは、梨華ちゃんとどこまでも。




ずっと、手をつないで。
193 名前:ずっと、手をつないで〜side H〜 投稿日:2002年11月12日(火)00時21分21秒


〜END〜
194 名前:桜流 投稿日:2002年11月12日(火)22時47分07秒
(#`.∀´#)ノ凸<さぁ、書くわよっ!!

……飲んでませんよ、未成年ですから>(0^〜^0)
では、書きます。
195 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)22時49分18秒
目の前にいるひとみちゃんと
ものすごく長い間見つめあっていた気がする…



実際にはほんの一瞬だったのだろうけど。
196 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)22時51分53秒
「眠れないの?よっすぃー…」
遠慮がちにひとみちゃんに近づく。


少し慌てているような雰囲気。


……何かあったのかな……



「うん……何だかわかんないけど目がさえちゃってね…。
星でも眺めようかな、と」


そう言って穏やかな笑顔を見せてくれた。
197 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)22時53分51秒
「そうだったんだ…」



ここにいたのなら、それでいい。

誰かのところじゃなかったのなら、それでいい。
198 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)22時56分48秒
ふと、強い風が吹き抜けた。
パジャマ一枚のわたしには想像していたより、寒い。

――何か着てくるべきだったな…。

と、わたしの横でひとみちゃんは上着を脱ぎだした。
そして…わたしにかけてくれた。

「パジャマ一枚じゃ寒いでしょ?」
「でも…よっすぃーが…」寒くなっちゃうじゃない…。
「あたしは、平気だから」
そう言っていつもみたいに無邪気に笑う。


「優しいね、よっすぃー」



心の底から温かくなって、自然に笑みがこぼれてしまう。

ひとみちゃんのにおいに、かすかに残る体温に包まれて…


―――後ろから抱っこされてるみたい―――


頬がかぁっと熱くなるのを感じた。
199 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)22時59分58秒
「星、ものすごくたくさん…すごいね」
照れを隠すように、空を見上げた。



都会じゃ絶対見えない、こんな素敵な空…


そして横にはひとみちゃんがいて…



まるで夢の中にいるような気がした。
200 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時05分58秒
「梨華ちゃん…」


つぶやくようにわたしを呼ぶ声。
わたしの意識は素早くそちらへ。


「なぁに?」
こっちをまっすぐに見ているひとみちゃん。
大きく開いた瞳にわたしが映っているのが見えた。


「なんでもないよ、呼んでみただけ〜♪」
ぺロっと舌を出しておどけてみせるひとみちゃん。


「もう、何よそれ〜」
「アハハハハ」

ふたり顔を見合わせて、笑った。
201 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時25分28秒
―――波音は絶えず響き渡る。
ひとしきり笑い終わった後、わたしはその音を意識の遠くに聞きながら
そっとひとみちゃんの横顔を見た。



普段見せる少年のようなあどけない表情とは違った、凛とした表情。
儚げな美しさがある…。

月と星の光に照らされて、白い肌はよりいっそう白く輝く。
その輝きの中に、黒く澄んだ瞳がくっきりと浮かぶ。

何か思いを秘めたようなまなざしは今、遠くに向けられている…。



あの瞳がわたしを映し出すときに、
ひとみちゃんは何を思ってくれているだろう…。

優しさを見せてくれるとき、
ひとみちゃんはどんなことを考えているんだろう…。



わからない、わからない、…知りたい。



わたしはもう、黙っていられなくなった。
202 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時45分14秒
「よっすぃー」
わたしは思い切って沈黙を破った。

「なに?」
ひとみちゃんの優しい声、優しい目は、わたしに向けられているのがわかる。



わたしは視線をひとみちゃんには向けずに、話し始めた。


「わたしね、目が覚めたときによっすぃーがいなかったから、
すごく心配しちゃった」


「ああ…ごめんね…」
しゅんとした声。心から謝ってくれてる…。



わたしのこと、少しでも気にかけてくれるんだなぁって、思うよ。

それは、うれしい。


けど、ひとみちゃんは誰にだってそんなふうに優しい。

それが妬けてしかたないの。

わたしだけを、特別にしてほしいの。


もう、気持ち、止まらない。


「わたしが寝てる間にね…誰かのところに行っちゃったのかなって…」



言っちゃった。
203 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時47分37秒
わたしは俯いてしまった。
ひとみちゃんの顔が、見れない。


…だけど、言いたい。


「こんなこという権利なんてわたしにはないんだろうけど…、
よっすぃーに他の人のところに行っちゃわないでほしいっていうか…」



…権利がほしいの、ひとみちゃんを独占する権利。
204 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時50分33秒
「わたしね、よっすぃーといると安心する。
もっともっと、そばに近づきたいって…思うの…」


誰よりわたしをそばにおいて…。



「ごめんね、こんなこと言われても、よっすぃー困るよね…」


困らせるかもしれないけど、言いたいの。


「でもね…わたし…わたし…よっすぃーのことが……」

たまらずわたしは顔をあげた。


ひとみちゃんはとても真剣な顔でわたしを見つめてくれていた。
わたしの言葉を聞いていてくれた…。



…ああ、泣きそう、泣きそう、涙が、涙が…。
205 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時52分58秒
…………えっ!?



一瞬、何が起こったのかわからなかった。


わたしはひとみちゃんに左腕を掴まれ、ひっぱられ、


…気が付けば、腕の中。


わたしよりもたくましい腕が、腰と背中にまわされて、


そして、きつく、抱きしめられた。
206 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時54分00秒
とても力強い、けれど、とてもとても優しい抱擁。



わたしも腕をひとみちゃんの背中にまわし、ぎゅっと力をこめた。



わたしの目から涙が溢れた。
207 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月12日(火)23時55分14秒
抱きしめる腕を解くことなく、


熱い涙は止まることを知らず、


わたしの耳に聞こえてきたコトバは……




「梨華ちゃん、好きだ……」
208 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時01分52秒
…わたしはわたしの耳を疑ってしまった。

ひとみちゃんの声は、わたしが望んでいた二文字を……?



ゆっくりと腕が解かれ、ひとみちゃんと顔を見合わせた。


ひとみちゃんは泣いちゃいそうな目をしてた。


だけど、ゆっくり微笑んで、わたしをまっすぐに見てくれた。



「好きだよ…梨華ちゃん」




もう疑う余地なんてない。


夢でも、幻でもない、ひとみちゃんの言葉…!!
209 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時33分05秒
「…わたしも、…ひとみちゃんが好きなのぉ…!」



よりいっそう溢れ出す涙…。

きっと泣き顔はグシャグシャ。


そんなわたしを見つめているひとみちゃんのまなざしは

ずっと愛しさでいっぱいだから…


うれしくて、涙は止まらない…。




『ひとみちゃん』


愛しい、愛しい、あなたの名前……。

呼んじゃった……。
210 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時34分33秒
ひとみちゃんはあたしをもう一度抱きしめた。

わたしは顔をひとみちゃんの胸元にふせる。


「名前で、呼んでくれたね」


わたしは恥ずかしくなって、頷くしかできなかった。


「特別ってかんじですごくうれしいよ」



本当にうれしそうにいうんだから…わたしはやっぱり頷くしかできなかった。
211 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時37分58秒
「ずっと、ずっと好きだよって言いたかったんだ」
せつなさのこもった声。


「うん…」
わたしも…、言いたくて言いたくてたまらなかった。



「でも、なかなか言えなかった」
苦しさのこもった声。


「うん…」
わたしも、同じ…怖かったの…。



「ずっとこうしたかったよ」

「わたしも、ずっとこうしたかった」
どれだけ望んでいたか、わからないくらいだよ…。




これ以上の喜びは、きっとないね……。
212 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時43分41秒
ひとみちゃんがわたしに顔を上げるよう促す。
わたしと、顔を向き合わせる。


お互いに笑みがこぼれる。



「ねぇ梨華ちゃん。うれしくてうれしくて、眠れそうにないよ」

ひとみちゃんはへへっ、と子どもみたいに笑った。



「わたしも、うれしくてうれしくてたまらないよ」
ほんとの、ほんとに…。
213 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時50分33秒
「とりあえず、部屋の中に戻ろうか」

「うん」



ひとみちゃんはわたしの手をとり、ぎゅっと握った。


わたしもぎゅっと握り返した。



…その温かさが、わたしの中にゆるぎない幸せを運んでくれたのを感じた…。
214 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時52分14秒
部屋に戻り、ひとつのベッドにふたりで入り


ゆっくりと横たわる。


見つめあって、体を寄せ合って、


ただ、お互いの温もりを伝え合う。



絡めあった指は、決して解けることなく。


やっと、ふたり、ひとつに。
215 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時53分00秒
これからは、ひとみちゃんとどこまでも。




ずっと、手をつないで。
216 名前:ずっと、手をつないで〜side R〜 投稿日:2002年11月13日(水)00時53分43秒


〜END〜
217 名前:桜流 投稿日:2002年11月13日(水)01時08分13秒
(#´▽`)´〜`0)
「好きだよと言えなくて」「夢ならどうか覚めないで」「ずっと、手をつないで」

この3題でひとつの物語として、ここに完結とします。


…しかしつくづく、自分には才能も鍛錬も足りていないと感じます。
ここに書かせていただくこと、実はとてもおこがましい気がするのです。

それでも…書きたいという気持ちは止まりません。
ほんの少しずつでも進歩していけたらいいなと思います。
218 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)11時57分40秒
完結、お疲れ様でした。
素敵な3部作をどうもありがとうございます。
sideHとsideR、ふたりの心の動きが手に取るように分かる書き方ですね。
思わず力が入って、感情移入して読んでしまいました。
生意気なことを言うようで恐縮ですが、「書きたくなる」という気持ちが何より
一番大切なことなのではないでしょうか。
もしまだ桜流さんの書きたいものがおありでしたら、とことんお付き合いさせて
いただきます。出来ましたら続編も読んでみたいです。
219 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)17時45分11秒
とてもよかったです!
218さん同様続編希望です。
素敵な作品ありがとうございました。
220 名前:桜流 投稿日:2002年11月15日(金)22時58分49秒
レスありがとうございます☆ ・゚・(ノД`)・゚・感激のあまり嬉し泣きです…。
思えば「好きだよと言えなくて」これだけで終わりだったはずが、
続編を希望してくださる読者様方のおかげで「続きも書こう!」という気持ちになれたんですよね。
そして今もそれを望んでくださる方がいる。とてもうれしいことです。
今書きたいと思うものがいくつかあります。長編にもチャレンジしたいと考えています。
そして、続編を書くということも自分の中の目標のひとつにしたいと思います☆

>>218 名無しさん様
そうですよね、書きたいという気持ちを大切に、いろいろと挑戦していきたいと思います☆
>とことんお付き合いさせていただきます。
この言葉、とても心強いです!!
是非付き合ってやってください。見てくださる方がいるということ、何より励みになりますから☆

>>219 名無しさん様
本当にありがとうございます!!
続編希望の期待にそえられるようにがんばります☆
他にも書きたいものがいろいろとあるので、
更新できたときにはもしよければ読んでやってくださいね!
221 名前:桜流 投稿日:2002年11月18日(月)23時10分29秒
何だかワイワイしたものが書きたいなぁとか思いました。
実際どんなふうになっていくか今のところあまり想像がつかないですが、
書いてみようと思います。
細かい設定などはお気になさらずでよろしくです…。
222 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!平家編〜 投稿日:2002年11月18日(月)23時22分48秒
平家みちよ宅にて――


平家は何をするでもなくぼんやりとテレビを見ていた。
時計は午後8時を示している。
(特におもしろい番組もやってないなぁ…)


〜〜〜♪♪♪〜〜〜
携帯電話の着信音が流れだした。

手元においてあった電話を手に取り、画面を見る。

(おっ、ねえさんからやな…)
223 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!平家編〜 投稿日:2002年11月18日(月)23時30分56秒
「はい、もしもし」
「もしもし〜みっちゃんかぁ?」
「(わかってるけど)……あんた誰?」
「何言うてんの。あたしや、ピチピチ食べごろの24歳、『中澤・美人・裕子』やがな」

平家の顔に苦笑いが浮かぶ。

「ねえさんこそ何言うてんの、もう三十路ギリギリ29歳やろ」
「………最初からわかっとるくせに誰?とか聞くなや!!」
「はいはいすんませんでした!で、何の用なん?」
「今から酒買うて持ってきてえ〜」

(はぁ?)
自分の顔がひきつるのを感じた。

「……パシリ?」
恐る恐る尋ねる。

「そんなんちゃうて。
一緒に飲もうや、圭坊もおるしこれからどんどん楽しなるとこやねんて!!」
「はいはい、ほな酒ガンガン買うていきますわ」
「待ってるでぇ」



プツッ………プーッ、プーッ……。
224 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!平家編〜 投稿日:2002年11月18日(月)23時34分55秒
切れたことを確認して、パタンと電話を閉じた。


「やれやれ……ま、どうせヒマやしな」



財布と携帯電話を手に、
平家は中澤宅へと向かうことにした…(コンビニで酒を買うことも忘れずに)。
225 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!平家編〜 投稿日:2002年11月18日(月)23時48分31秒
〜平家編 オワリ〜
226 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)17時29分11秒
酒盛り酒盛り♪野球拳とはどんな展開になるのでしょうか?!ワクワクワク(w
227 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)21時38分19秒
市井紗耶香宅にて――


市井紗耶香はゲームのコントローラーをしっかりと握り締め、せわしなく指を動かしている。
視線はテレビに釘付けである。

「いちーちゃん」
後藤真希は市井のベッドに寝そべりマンガを読んでいたのだが、それに飽きたようだ。
のそりと起き上がって市井のそばに座り、声をかけた。

「んー?」
市井は返事をしながらも、視線はやはりテレビに釘付けである。
「後であたしにもゲームやらせてね〜」
後藤は市井を背中から抱え込むようにしてもたれかかり、甘えたような声で言う。
228 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)21時41分52秒
市井は後ろへ首を捻り、後藤の方を見た。
そしてニヤニヤと笑う。

「ん?いちーちゃん、ほら、画面見てないでいいの?」

「いや〜後藤さん、イイねえ〜、うん。実にイイ!」

「何がイイの?」
後藤は一体何のことなのかわからなかった。


「背中にとてもやわらか〜いモノが…」

後藤は市井に密着していたので、当然の如く背中には胸が当たっていた。
229 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)21時43分44秒
「いちーちゃんのエロ!!」
後藤は市井のお腹に腕をまわし、ギュウっと強く締め上げる。
「ぐええええっっ!!ご、ごとーー…く、くるしぃ…!」



パッと緩められる腕。
はぁはぁと荒い息を、少しずつ整える。

「よ、よくもやったなぁーーー!!」
コントローラーを放り出し、後藤を押し倒しにかかる。

「きゃああああ!!いちーちゃーーん♪」
230 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)21時52分02秒
仰向けになっている後藤にまたがり、顔を見下ろす。

後藤はニコニコしていた。


「イヤーンって抵抗しないのかよ…」

「だって嫌じゃないもーん♪」



市井は一瞬あっけにとられたが、
「ハハッ、正直なヤツ!」
すぐに笑顔にかわって、後藤のおでこをピンと指ではじいた。
231 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)21時54分43秒
「ほら、起こしてやるよ」
市井は後藤の手を握り、手前へグッと引く。


後藤は起き上がりざまに、目の前にある市井のくちびるに軽くキスした。


少し照れくさく感じながらも、ふたりは見つめあって微笑んだ。
232 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)21時58分37秒
「あー……今何時だー?」
市井はゲームの電源を切りながら尋ねた。
「もう八時だよ」
「どーしよ、風呂入っちゃおうか」
「うん!一緒に入ろうよいちーちゃん!」
後藤の目がキラキラと輝いている。

「そだな、じゃ、入るか」
「うん!!」
はきはきとした返事、満面の笑顔の後藤。

市井もつられてニッコリと笑う。
(ほんとうれしそうな顔するよな〜カワイイヤツだよ)
233 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時05分33秒
〜〜〜♪♪♪〜〜〜
〜〜〜♪♪♪〜〜〜
市井と後藤の携帯電話が同時に鳴り出した。

「すごい偶然だね…」
「そうだな……あ〜圭ちゃんからだ。後藤のは?」
「裕ちゃんから〜」
「…ま、とりあえず出なきゃな」
234 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時07分31秒
「「もしもし」」
ふたりの声が重なる。


「「イェ〜〜〜イ!!!」」


突然の大声に市井と後藤は同時に耳から電話を離す。


「えっ??」
「あれ??」


そしてふたりは目を丸くして顔を見合わせた。
235 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時08分48秒
「後藤、ケータイ貸せ!」
市井は後藤の手から電話をひったくるように取り、両手にひとつずつ持ち両耳に当てる。
「裕ちゃん、圭ちゃん、そこに一緒にいるの!?」

「「そうでーーーす!!」」

やけにハイテンションなふたりに、市井は一気に脱力感を覚えた。

「いちーちゃん、どうなってるの?」
後藤が市井の肩をポンポンたたく。
「…裕ちゃんと圭ちゃん一緒にいるんだってよ…」
「そうなんだぁ〜」
後藤はいたってのん気そうである。
236 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時13分32秒
両耳にふたつの電話を当てたまま、市井は話を続ける。
「ていうか何であたしたちが一緒にいるってことがわかったんだ?」

右耳から中澤の声。
「いや〜紗耶香とごっちんのオフの日がおんなじやて聞いたから絶対一緒におると思ってなぁ」

左耳から保田の声。
「ほんとに一緒にいるしぃ〜☆」


「………それで、何の用すか…」
ものすごく不機嫌な声。
「まぁまぁそない怒らんと!
これからふたりでうちに来いやぁ」
「裕ちゃんちに集合よ!!」


「え〜今から裕ちゃんちに来いって?」
後藤はその言葉に素早く反応し、市井の手から電話をふたつとも奪い取り、両耳に当てる。
そして焦ったように大声で言う。
「今から市井ちゃんとお風呂タイムだよ?行けるわけないじゃん!」


(後藤よ、そこまではっきり言わなくても…は、ハズカシイ…)
237 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時17分22秒
「なぁ・ん・や・てええぇぇぇ!!!
アカン!アカンでぇ!まったくこれやから最近の若いモンは!」
「裕ちゃん、今墓穴掘ったね…」
保田の冷たいツッコミ。

「むっっ!と、とにかくごっちん!紗耶香と一緒に今すぐ来い!
もし来んかったら…紗耶香にあんなことしたりこんなことしたりするでぇ!!」

「ええっ!?それはゼッタイイヤ!!」
「ほな来い!今すぐ来るんや!」
「じゃ、待ってるからね〜☆」



プツッ………プーッ、プーッ…。

電話はふたつ同時に切れた。
238 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時19分30秒
「どうなったんだよ?後藤」

と、後藤の表情がみるみるうちに泣きそうな顔になる。
「あのね…行きたくないけど、行かなきゃ困るのぉ〜〜」

「はぁ??なんじゃそりゃ…。
う〜ん……なんか面倒だけど…しゃーない、行くかぁ」
頭をガシガシと掻いて立ち上がる。

「ううっ…いちーちゃぁん…」
市井の足に両腕でしがみついてぐずつきながら、本当に嫌そうな顔をしている。

「そんなに嫌ならやめればいいんじゃないの?」

「それじゃあもっと嫌なことになるのぉぉ…」



(ほんとワケわかんねぇ…)

市井はふう…と大きくため息をついた…。
239 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!市井・後藤編〜 投稿日:2002年11月21日(木)22時21分38秒
〜市井・後藤編 オワリ〜
240 名前:桜流 投稿日:2002年11月21日(木)22時36分28秒
>>236
ここだけなぜに『市井ちゃん』……少々、鬱。

それはさておき…
>>226 名無しさん様
从#~∀~#从<たーのーしーくー♪
( `.∀´)<いきまっしょい♪
241 名前:ROM読者 投稿日:2002年11月23日(土)08時24分17秒
お初です。めっちゃ楽しく読ませてもらってます。
UFA系列の面子を全員巻き込みそうな勢いですね。
姐さんの誘いを断れる人はいないと思いますが。
242 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時25分34秒
石川梨華宅にて――


時間は午後八時過ぎ……
吉澤ひとみはリビングでソファにもたれかかり、
キッチンでいそいそと動きまわる石川梨華の背中に目をやった。
ひらひらとしたレースのついたピンク色のエプロンをつけて、
時々調子の外れる鼻歌を歌いながら楽しそうに料理をしている。


(ああ…なんか…こういうのって幸せだなぁ…)
243 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時28分36秒
今から一時間ほど前、今日の仕事終わりに――


石川と吉澤はふたり肩を寄せ合って帰り道を歩いていた。
「よっすぃー、ついに明日は久しぶりのオフだね」
「うん。ふたりでゆっくりまったりしようね。もちろん今夜から☆」
「うん!うれしいな、お休みの間もふたり一緒に過ごせるなんて。
今日の夕食はわたしがよっすいーのためにおいしい料理作るからね!」
「へへへ…すごく楽しみだよ」
244 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時32分03秒
(梨華ちゃんの手作り料理〜〜☆
そして…夜はあたしが梨華ちゃんを料理しちゃったりなんかしちゃったりして…)
妄想の世界に入りかける吉澤。

「よっすぃーちょっと来てぇ」
石川の声が吉澤を現実世界へ引き戻す。

「なになに〜?」
立ち上がってキッチンの方へと向かった。

「ね、これ味見してみてよ」
小さな皿にお玉でスープをそそぎ、吉澤に差し出す。
ふぅふぅと少し冷ましてから飲んでみる。
「ん!おいしくできてるじゃん」
「ほんと?よかった!」
ニコニコしながら別の料理に取り掛かろうとする石川。

(かわいいなぁほんと…)
そう思いながら吉澤は石川の背後から腰のあたりにそっと腕をまわした。
245 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時34分24秒
「どうしたのぉ、よっすぃーの甘えんぼさん。お料理中だからだめよ」
優しい声でなおも作業を続けようとする。
「だってさぁ、なんか我慢できないっていうか…」
石川の顔にくちびるをよせて、頬にキスする。
「もぉ、しょうがないよっすぃーね」
そう言いながらもうれしそうな顔をしている石川。

ふたりのくちびるとくちびるがゆっくりと近づく。
今にも触れるか触れないかのその刹那………。


〜〜〜♪♪♪〜〜〜
携帯電話の着信音が流れる。

ふたりは驚いて体を離した。

「梨華ちゃんのケータイだね…」
「この着信音は保田さんね…
わたしお料理続けてるからよっすぃー出といてくれない?」
「ん、わかった」
(ちっ、いいとこで邪魔しやがってぇ〜保田さんめ!!)
246 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時36分31秒
吉澤はリビングへ戻りソファの前にある机の上で鳴り続ける電話をとる。


「もしも〜し」
「もしもし?…その声は吉澤ね!?」
『あらぁ二人一緒なんて偶然やわぁ』と、電話の向こう遠くで聞こえる中澤の声。
わざとらしく聞こえるのは気のせいではないだろう。
(何だか嫌な予感がするな…)

「保田さん…中澤さんといるんですか…?一体何の用なんですか…」
「よっさん!今からうちに集合や!石川と一緒に今すぐ来い!!」
いつのまにか電話は保田から中澤にかわっていたのだ。
「な、中澤さん、びっっくりしたぁ〜声デカすぎですよ…
ていうか今からですかぁ?うちらこれから……」
「ブツブツ言わんと集合や!!ちゃんと来るんやで!」

プツッ………プーッ、プーッ…。

(き、切れちゃったし…)
247 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時46分43秒
机の上に電話を置いて、重い足取りでキッチンへ戻る。

「よっすぃー、保田さん何の用だったの?」
石川が問いかける。
「梨華ちゃんそれがさ、中澤さんも一緒にいるみたいで…
これから中澤さんのとこに集合だって…」
「えっ…じゃあ急いで行かなきゃ!」
石川は驚き焦ってコンロの火を消す。
「でも…ふたりっきりの食事が…(あと夜のナニが…)」
吉澤は行きたくなかった。どうしても、行きたくないと思っていた。

しかし、

「……中澤さんに逆らえるの?」

「…………」



ふたりは出かける支度を始めた……。
248 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜集合や!石川・吉澤編〜 投稿日:2002年11月29日(金)20時48分46秒
〜石川・吉澤編 オワリ〜
249 名前:桜流 投稿日:2002年11月29日(金)20時59分35秒
ゆっくりと少しずつですが更新です☆

>>241 ROM読者様
楽しんでいただけるなら光栄です☆
姐さんはまさに最強、UFA系列全員集合も不可能ではないでしょう。
(ただ、作者自身が難しいと感じるわけで…その辺は申しわけないことですが…)
某ガキ大将のように有無を言わさないあの迫力に乾杯!
250 名前:DK 投稿日:2002年11月29日(金)21時06分44秒
素晴らしい!!
251 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月30日(土)11時15分21秒
甘々具合が最高にツボでっす!!
次回更新が楽しみです〜
252 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月30日(土)20時53分38秒
どうも、はじめまして!!いしよし命☆な石ヲタ・クロイツです!!
最初からここまでいっきに読ませて頂きました!!

っくあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!(興奮)

素敵です!!超良いです!!
いちーちゃんとごっちんのイチャつき具合も、ヨッスィーの梨華ちゃん大好き具合も、梨華ちゃんのヨッスィー大好き具合も!!!
素敵過ぎます…!!!

そして、梨華ちゃんの「……中澤さんに逆らえるの?」に爆笑。
そうですね〜。ちょっと彼女らには無理ですね〜。
続き、楽しみにしております!!頑張ってくださいね!!
253 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜よー来てくれた!!編〜 投稿日:2002年12月02日(月)22時34分38秒
「「「「あっ!!」」」」

中澤の住むマンションの前で市井と後藤、石川と吉澤はばったり鉢合わせ。
「市井さんにごっちん!!」
「吉澤に石川!?」
両カップルはゆびを指し合って驚く。

市井はハッとした。
(もしかして……)
「なぁ吉澤、おまえらもか……?」
その言葉ひとつで吉澤も理解した。
「そうなんです…市井さんたちもですか…」
4人は顔を見合わせて苦笑する。

「とりあえず行くか…」

「はい…」
254 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜よー来てくれた!!編〜 投稿日:2002年12月02日(月)22時45分12秒
ピ〜ンポ〜ン……

ガチャリ。

「おっ、4人おそろいで!」
玄関から顔をのぞかせたのは保田だった。
「さ、早くあがんなさい!」
4人はぞろぞろと中澤の家に入った。


短い廊下を通り、中澤のいるリビングに着く。
大き目のソファの前に低く小さなテーブルがひとつ。
その上にはすでに空っぽになったビール缶が数本置いてあった。

「はぁ〜い4名様ごあんな〜い☆」
(ここは何の店だよ!!)
吉澤、心のツッコミ。

「ご苦労圭坊〜☆」
中澤はゴキゲンな表情でビールの缶を高く掲げた。
255 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜よー来てくれた!!編〜 投稿日:2002年12月02日(月)22時56分35秒
中澤はニコニコ顔で4人を歓迎した。
「ちゃんと来たやんかぁ、エライエライ☆」
「…だっていちーちゃんが危ない目にあうのは嫌だし…」
「…中澤さんに逆らったら後でどうなるか……」
後藤と石川がぼそぼそと呟く。

不満の声や明らかに迷惑そうな表情にも構わずに
手に持っているビールをぐいっと飲み干す。
「まあまあ、つっ立っとらんとそこらにテキト〜に座りや」
4人はけだるそうに腰をおろした。


と。

ピ〜ンポ〜ン……

「おっ!!酒が来たでぇ!酒が酒が酒がぁ〜〜!!」
喜々として中澤自ら玄関へと向かう。

「みっちゃん待ってたでぇ〜!!」
「姐さん、えらい歓迎してくれるんやねぇ」
「みっちゃんを心待ちにしてたんやでぇ〜☆
みっちゃんを、やで!!よ〜来てくれた、裕ちゃんうれしいで!」
「そない言うてくれたらあたしもうれしいわぁ」


((((……ああ、平家さん……))))

4人は情けな〜い気持ちでいっぱいになった……。
256 名前:桜流 投稿日:2002年12月02日(月)23時21分08秒
ヽ;^∀^ノ<す、少ないね…
川o;・-・)<たったこれだけですが…更新です…

>250 DK様
( ´ Д `)ンア

( *´ Д `)<テレルヨ…

>251 名無しさん様
(●´ー`)<楽しみにしてくれてて嬉しいべさ…
本当に少なくてごめんなさい、もっとがんばらなくては自分!!

>252 クロイツ様
( ( ( ((((( ( (((;゜Д゜)))) ) ) ))))ガタガタ ブルブル  クロイツさま!
なんということでしょう!こんなにもお褒めの言葉を…!!
実は…クロイツさまの小説を密かに読ませていただいておりました。
レス…したことはないのですが…ヽ;^∀^ノ<微妙に小心者……
クロイツ様の作品にものすごく惹かれているもののひとりであります。
応援、本当に光栄です・゚・(ノД`)・゚・頑張ります!!
クロイツ様もすばらしい作品作りを!
これからも楽しみに読ませていただきますから☆
257 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月03日(火)14時35分31秒
ごっちんと梨華ちゃんの呟きが、かなりヒットです!!
そして、ヨッスィーの心のツッコミ…口に出せないヨッスィーが、なんだか愛しい…!!
やっぱ好きです、この作品!!
次回も楽しみにしてます!!頑張って下さい☆

P.S.
おおっ!私のも読んで下さってるんですかー♪嬉しいな☆
いやいやいや、私のはそんな大した事ないですよー。
お互い、頑張りましょう☆
258 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時23分43秒
7人はテーブルを囲んで座った。


中澤と保田の二人だけがすさまじくハイテンション。
「さぁみんながそろったところでパァ〜っといきまっしょい!!」
「イェ〜イ!!」

「ちょ、ちょっと待った!!」
待ったをかけたのは市井だった。
「これで全員なの!?」
「そうやで」
中澤は平然として言う。
「中澤さん、なんでこの面子なんですか?飲んで盛り上がるなら
もっとオトナな安倍さんや飯田さんを呼ぶのが筋なんじゃ…」
石川も不思議そうに問う。
後藤も、
「そうだよーなんであたしたちが選ばれたの??」

そして4人から次々とブーイングが飛ぶ。
それぞれの甘い時間を邪魔されてしまったのだから無理もない。

と、吉澤は何より不思議な部分に気付いた。
「あっ!そういえば中澤さん、矢口さんはどうしたんですか?
愛しの矢口さんも明日はオフなんですから
今夜から二人っきりで一緒に過ごせばいいじゃないですか!」
259 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時25分45秒
「………」
中澤は突然俯いてしまった。
その周囲にどす黒いオーラが集結し始める。

「ねっ、姐さん…どないしたん?」
平家がおそるおそる顔をのぞきこもうとする。

瞬間、バッと顔をあげる中澤。

その顔を見た一同が、時が止まったかのように凍りつく。



中澤の目から涙が、流れている……!!



「矢口は、矢口は……ああ…」


「な、なんかあったの?」
市井は保田と目を合わせる。
保田はすべてを知っているという表情でこくりと頷いた。
「あたしから話してあげるわ」
260 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!(保田語り)編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時29分07秒
数時間前のこと……
とっくに仕事を終えていた中澤はモーニング娘。の仕事終わりを待っていた。
正確に言えば、娘。の中の『ひとり』を待っていたのだが。

「やーぐーち!!」
楽屋前の廊下でその『ひとり』、矢口真里を発見した中澤。
すぐさま矢口を抱きしめに走る。
「あっ、裕ちゃん」
矢口はぎゅうっと抱きしめられるが、もう慣れたもの、特に反応は示さない。
「矢口、明日オフなんやろ〜?あたしもそうなんよ〜
せやから今夜うちに泊まりぃや、一緒に甘い甘い時を過ごそうや!」

「あ〜今夜はダメ」
中澤の言葉を一刀両断。

「……へ?」
思いっきり、拍子抜けである。
「なんでだめなん?なんかあるん?」
「なっちと約束してるんだよねー、ショッピング&食事。
夜は疲れをとるためにゆっくり寝たいしぃ」


「えーーーーーーーーーーー!!!!!!」
不満いっぱいの声。
中澤の叫びが廊下中に響き渡った。
261 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!(保田語り)編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時31分46秒
「だいたいさ、普段から泊まりに行ったりしてるし…
今更オフとか関係なくない?ってことで、じゃあねぇ〜」
矢口はひらひらと手を振り、楽屋へと消えていった。


中澤は呆然と立ち尽くす。

「……倦怠期突入、ってか?なぁ?」

答えは…返ってきやしない……。
262 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時32分54秒
「……というわけで、矢口は今ごろなっちと遊んでる、と」


ダン!!!
中澤がテーブルに缶をたたきつけた。
みんなの体がビクッとなる。

「あたしは…今夜は矢口とええことしまくるでぇ〜とかいろいろ考えてたんや…
つきあいが長いったってなぁ、裕ちゃんの愛はいつまでもでかいままやねんで?
普段は普段、オフはオフでとにかく一緒におりたいやんかぁぁぁぁ…」

ううう…とうめきながら涙している。

恋人と一緒にいたい気持ち、一緒にいられなくてさみしい気持ち。
4人には痛いほどわかる。


わかるのだが…。
263 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時43分11秒
「ちょっと待て……じゃああたしたちを選んで呼んだのはもしかして……」
市井は考えたくもないことを考えてしまった。
そして、それは見事に正解を導き出した。

「フッフッフ……!!
ああそうや、あたしが悲しみにうちひしがれとるっちゅうのに
イチャイチャしとるようなヤツらは許してはおけんからな!!
あんたらぜーーーったい!!二人きりの甘〜い時間を過ごしとると思てたわ!!
ハハハハハァ!!道連れや、ざまぁみろ!!!」
さっきの涙はどこへやら……思いっきり開き直っている中澤。
どこぞの魔王様よろしく、笑い声が悪意に満ちている。


「こ、こんな……
矢口さんと過ごせないことへのうさばらしにあたしたちは呼ばれたなんて…」
吉澤はガクリと肩を落とす。
「裕ちゃんひどい!ひどすぎる!!いちーちゃんとのお風呂タイムを返せ!!」
後藤の悲痛な叫び。
「中澤さん……そんなの悲しすぎるぅぅぅ」
石川は泣きそうな顔をしている。

「ああもううっさいうっさい!!観念して付き合えやぁ!!」
264 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜選ばれし者達…なーんてな!!編〜 投稿日:2002年12月07日(土)22時50分58秒
トントン。

背後から中澤の肩をたたく者がある。
それは、平家であった。
「姐さん姐さん」
「うん?なんやのみっちゃん」
「あたし別に姐さんの邪魔する対照になってないし、
おもしろいことあるから来いとか言うてものすごい悪行見届けさせられたし……
もしかしてあたしはやっぱり……」

「ホントのところ、酒調達隊隊長や」

そして中澤は敬礼のポーズで
「任務完了ご苦労であった!!」
ガッハッハと愉快に笑って、終了。



平家は、
(……どこか遠く、そう、遠い遠いところへ旅に出よう…)
そう思った…。
265 名前:桜流 投稿日:2002年12月07日(土)23時13分40秒
みっちゃんいい子なのにね……
(`◇´ ;)<………。

>257 クロイツ様
まだまだ学ぶべき部分はたくさんあって、行き詰まることも本当に多いんですが
それでも読んでいただけて、好きだと言ってもらえて…励みになります。
大した事ないなんてとんでもないですよ。
見習いたいと思うところがたくさんあります☆
これからもお互いがんばりましょうね!
266 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月08日(日)00時08分25秒
みっちゃん本当、いい子なのにね…(w

中澤姐さん恐るべし
267 名前:和尚 投稿日:2002年12月08日(日)01時26分22秒
初めまして空板で書いてる和尚と言います。
夜中なのに爆笑しつつ読んでました。

姐さん、幸せな人達を道連れにするなんてワガママです!
でも、そんな姐さんが大好きです♪
268 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月09日(月)15時28分23秒
とっても暴君な中澤さんが素敵過ぎます!!
今、学校のパソコンから来てるんですが…わ、笑いが止まらなくてもう…っ!!
そしてみっちゃん。悲しいね…。頑張れみっちゃん。いつかきっと良い事あるさ!!

次回も楽しみにしております!!
269 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜いわば建国記念日☆編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時09分32秒
石川は保田を涙目で見つめて言う。
「保田さんもひどいです…中澤さんのこと止めてくれればいいのに…」
「だっておもしろいじゃない、止めるわけないわ」

(こっ、この人は…)
仮にも教育係であった保田に手を出しそうになるのをグッとこらえる。
270 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜いわば建国記念日☆編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時11分53秒
「こうなりゃとことん飲まなきゃやってらんないよな」
市井はチューハイの缶をとり、開ける。
「あたしたち未成年ですけどね…」
そう言いながら吉澤もチューハイに手をのばす。
「あー、ごっちん・よっさんは同い年やったな、なんぼやっけ?」
「17ですけど」
「あーいけるいける、17歳以上は酒飲んでよし!っちゅー法律を
たったいま裕ちゃんが作った!さぁ飲め飲め!!」
「何それ…」
後藤は痛いほどの冷たい視線を中澤に送るが、何のダメージにもならず。
271 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜いわば建国記念日☆編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時14分40秒
「姐さんが権力の中心や……ここは中澤帝国なんや!!」
平家はすっかりやさぐれて酒に溺れきっている。
「あたしが帝王様ってやつやな!イイ気分やわぁ☆
さぁみっちゃん!存分にあたしを褒め称えてや!」
「はいはい、裕子ばんざ〜い」
ビールを飲みながらだるそうに左腕だけを挙げる。
「おいおいやる気あるんかみっちゃ〜ん!!」

(…あるわけがない…)
とは思うものの決して口には出さずに、また黙々と飲み始める。

「平家さんハイピッチですよぉ!」
そういう石川もすでに相当の量を飲んでいるようだった。

「ええ調子やでみんな!!もっとガンガンいけいけ!!」
すっかりゴキゲンな中澤は
遠慮なしに隊長の調達した酒を飲んで飲んで飲みまくる。


……こうして時が過ぎるうちに、
不満だらけだった雰囲気もいつしか明るいものへと変化していった。
272 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜結局ノロケまくりかい!編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時18分51秒
「いや〜市井さん、酒強いんですねぇ〜」
「吉澤こそ、わりと飲んでる割には平気そうだな」
「そうなんですよ〜大丈夫なもんですねぇ」
「吉澤は大丈夫でも…石川はちょっと弱いみたいだな」

市井のその言葉に、吉澤は隣に座っている石川に目をやる。
石川は地黒な肌をほんのりと赤らめて、気持ちよさそうに目をとろんとさせていた。
「梨華ちゃん大丈夫?かなり効いてきてるんじゃないの?」
「ん〜ん、ヘイキぃ〜。お酒って…おいすぃーよねぇ」
フワフワとした口調で喋りながら吉澤にもたれかかってくる。
吉澤は石川の肩を抱くようにして支えてやった。

「おアツイことで、吉澤クン」
市井はニヤリと笑ってまた一口飲む。
273 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜結局ノロケまくりかい!編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時29分53秒
「ねぇ〜いちーちゃんいちーちゃんいちーちゃんいちーちゃんいちーちゃん」
後藤が市井の肩に顎をのせる。
「おいおい、そんな何回も呼ばなくても聞こえてるよ。どうした?」
「あのねぇ〜、ちゅ〜してよちゅ〜」
見た目にはわからなかったが後藤はなかなかに酔っていることがこれで判明した。
くちびるはどんどんと迫ってくる。

「ちょちょちょちょっと!こ、こんなとこでか??」
焦りながら両手で後藤を制する。
「いいじゃんこんなとこでもぉ、ちゅ〜してってばぁ」
「だって恥ずかしいじゃんよ〜…」

「ごっちんめちゃカワイイじゃないっすか市井サン」
吉澤もニヤリと笑う。
市井は照れくさそうな顔をしながらも言う。
「まぁ、かわいいのは認めるよ」
「いやはや、おアツイことですねぇ〜」
274 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜結局ノロケまくりかい!編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時31分04秒
「おまえらウザいんじゃあぁぁぁぁ!!!!」

おノロケ状況を打破するために中澤が突如乱入。
市井と吉澤の首を後ろから両脇に抱きこむ。
「あたしがどんだけ邪魔しようとしても屁でもないってか?ああ?
だいたいな、矢口よりカワイイヤツはこの世に存在せえへんねん!わかったか!」
ヤクザ顔負けのドスのきいた声でまくしたてる。

「わ、わかりましたから…」
「裕ちゃん、首、絞まる、って…」
二人は中澤の腕をたたいてあがく。
275 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜秘技・オトナの色気!編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時34分01秒
「ふん!!」
ゆるめられた腕からするりと抜け出してゴホゴホと二、三度咳き込む。
「中澤さ〜んそのうち死人がでますよ…」
苦しげな表情の吉澤を、中澤は黙って見ている。

ふと、中澤は吉澤の顔に正面から顔を近づけ、色気を帯びた目で見つめた。
そして手を吉澤の頬にそっと添える。
吉澤はビクッとした。
(な、なんだ?あたし何されるんだ??)

「なぁよっさん、あんた…ホンマきれいな顔しとるなぁ…」
さっきとはうってかわってやさしいやさしい声。

「えっ…?」
思わずたじろいでしまう。

「なぁ…石川はやめてあたしにのりかえんか…?
いろんなええこと教えてあげるで…」

(な、中澤さんて……)
きれいだ、と、吉澤は心から思った。
艶っぽいくちびる、カラーコンタクトの入った妖しげに光る青い瞳、
添えられている手がゆっくりとやわらかく動き頬をなでる。
オトナの色気にあてられて、吉澤はヘンな気分になってしまいそうになった。

「中澤さん……」
中澤に触れようとのばすその手を……グッと横から掴む者があった。


その手は、黒い。
276 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜秘技・オトナの色気…不発。編〜 投稿日:2002年12月12日(木)22時41分20秒
「よっすぃー、何してるの?」

おそるおそる振り向いたそこには、ニッコリ笑顔の石川。
しかし…心の底では笑っていないのがわかる。

「え、い、いや、あの、その…いっ、痛いよ梨華ちゃん…」
腕を掴むその手に、信じられないほどの強い力がこめられている。

「ちっ、もうちょいでよっさんを落とせるとこやってんのに」
思いっきり舌打ちして、中澤は退散した。


「り、梨華ちゃん、あたしは別に何も…」
(ただちょっとヤバかったのは事実かもしんない…)

石川は笑顔ではない笑顔を崩すことなく問う。
「よっすぃーの愛する人はだぁれ?」
「も、もちろん梨華ちゃんに決まってますっ!!」
「はい、よろしい」
そしてようやく手を離してくれた。


「あ〜あ、酔いが醒めちゃった!」
石川の吉澤を横目に見るその視線がきつい。

(こりゃ腕を掴まれるよりも痛いや……)
吉澤、ほんの少しでも中澤の誘惑にかかりそうになったことを
マリアナ海溝よりも深く深く反省。
277 名前:桜流 投稿日:2002年12月12日(木)23時12分33秒
(;0^〜^)<梨華ちゃん最強……

更新がとても久しぶり!ってかんじになってしまいました……。
最近とても寒くなりましたが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。
( ^▽^)<風邪ひかないように気をつけてくださいね☆

>266 名無しさん様
姐さん強すぎですよ姐さん……・。・゚(ノД`)゚・。・
しかし!姐さんのためなら自分は酒でも何でも買って来ますよ!!
だから中澤帝国に加えていただきたい……!!

>267 和尚様
初めまして!読んでくださってありがとうございます☆
こんなにもワガママだけど、それでも憎めないんですよね☆从#~∀~#从
和尚さまの作品読ませていただきました。
自分はヽ^∀^ノ大好きなのでとても楽しませていただいておりますよ☆
これからもお互いにがんばりましょうね!

>268 クロイツ様
とっても暴君だけれど中澤帝国は永遠に不滅ですよ。
なんせみっちゃんがものすごく苦労しながらもしっかりと働いちゃいますからね☆

クロイツさま更新が速いですね、自分も見習いたい!
…と思いながらこんなに遅くなっちゃってるんですよね……。
それでもがんばりますので、これからも覗いてやってくださいね☆
278 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月12日(木)23時41分21秒
誘惑に弱いヨッスィーと、最強な梨華ちゃん…すっごいツボです!!
そして、どんどん傍若無人っぷりに磨きがかかって来る姐さん。最高です。
中澤帝国…別名『矢口帝国』だったりして(笑)などと思ってしまった私。
さすがの姐さんも、ラバー・矢口には勝てないでしょうからね☆

更新…速い、ですかねぇ?多分私、暇なんだと思います(笑)。
279 名前:和尚 投稿日:2002年12月15日(日)00時28分21秒
後藤さんの「ちゅ〜してよちゅ〜」で出血多量しています(笑)
石川さんが吉澤さんを見る視線・・・きっと氷点下なんでしょうね。
石川さん一筋で頑張れよっすいー!!

お互い自分のペースで更新頑張りましょう。
280 名前:タモ 投稿日:2002年12月20日(金)22時16分23秒

黄版で小説を書いているものです。
ここまで一気に読みました。
やっぱりいちごまはいいっすねェ!!
作者さんのいちごまを見て突然いちごまを猛烈に書きたくなってしまいました・・・
と、ゆうわけで、続きを期待して待ってます!
良かったら自分の作品読んでやってください。
281 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロイことはないかな?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)22時34分52秒
「あ〜ほんまバカップルにはかなわんわ〜どこででもイチャつくしノロケるし…
なぁ?圭坊」
「でもまぁ裕ちゃんだって矢口がそばにいたらベタベタしてるし…」

バシッ!
保田は背中に痛い一撃を受けた。

「あーーあ、なんかずーっと飲みっぱなしっちゅーんもあれやな。
なんかゲームでもやるかぁ?何がええかなーーー?」
誰も賛同の意思は見せていないというのに、中澤は一生懸命に考えている。
「姐さんまた有無を言わさずやらせる気なんやね…」

バシッ!
平家は背中に痛い一撃を受けた。
282 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロイことはないかな?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)22時38分11秒
「おっ!そうや!
やっぱ大勢集まったこういうときにうってつけのゲームと言うたら……
『王様ゲーム』!これっきゃないんちゃう〜?」
「裕ちゃんベタだね〜」
「なんや紗耶香、文句あるか?」
「ん〜文句は特にないかな。
もしかしたら裕ちゃんにギャフンと言わせることができるかもしんないし」

中澤はしまった!というような顔をした。
「あーやっぱやめ!王様ゲームはやめ!!」
手を交差させてバツを形作る。

「市井さん、一言多かったですね…」
吉澤は苦笑した。
「よーしよし、いちーちゃん、よしよし」
後藤はホワンと笑いながら市井の頭を撫でた。

「…………」
市井は心底ヘコんでいた…。
283 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロイことはないかな?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)22時42分30秒
「ほな何がええかな〜」
中澤はまだ考え続けていた。

「フフフフフ……裕ちゃん、こういうときこそのいいゲームがあるわよ!」
先ほどの一撃の痛みを少々引きずりながらも保田は得意げに、そして不敵に笑う。
「なんや、ちょっと言うてみ?」
保田は中澤に近づき、こそこそと耳打ちした。


市井の顔に緊張が走る。
「なんか果てしなく嫌な予感が…」
石川は思いっきり不安そうな顔をする。
「市井さん、怖いこと言わないでくださいよぅ」
「ていうかここにきた時点であたしたちは何かを期待しちゃいけないですよね」
吉澤は悟りを開いていた。
「んあ」
後藤はよくわからない返事をしてコクコクと頷いた。


「よっしゃあああああ!!」
中澤が勢いよく立ち上がった。
そしてその口から出た言葉は………



「中澤裕子に保田圭(モーニング娘。)企画、第一回野球拳たいか〜〜〜い!!」
284 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)22時46分08秒
沈黙…………。


「…ってみんな乗ってこいよ!!」
中澤のツッコミ。
「いや、…乗れるわけもなく……」
市井を始め、明らかに場がしらけている。

「ちょ、ちょい待ってや!これはただの野球拳ちゃうんやって!さ、圭坊!」
中澤はパチンと指を鳴らした。
「おまかせあれ!」
保田が立ち上がる。

(なに?圭ちゃんは中澤さんのシモベ??)
(成り下がっちゃったわ、保田さん…)
吉澤と石川は目で会話した。

「そう、これはただ野球拳をするわけじゃないのよ。
まず脱ぐ担当は石川とごっちん!」
「ほえっ!?」
「んあ!?」
突然の名指しに二人は目を丸くした。
「そしてジャンケン担当は吉澤と紗耶香よ!!」
「どういうことなんすか…」
「…いったい何を狙ってんの…」
二人はすっかり呆れ果てている。
285 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)22時54分18秒
「まぁなんちゅうかな、
石川・よっさん、ごっちん・紗耶香は実にラブラブなカップルやん?
アイシアッテルわけやん?
そんな愛情で結ばれた両カップルに試練の場的なものを与えてやって
愛を深めるというか、愛を証明してみろみたいな??」
「イチャイチャすんなって散々怒り散らしてたくせに…。
要はあたしたちを見世物にして面白がりたいだけなんだろ…」
そんな市井の言葉を聞こえないフリをしてなおも続ける。
「男やったら好きな女を守るために是が非でも勝ちまくらんかい!な勢いで」
「まぁ男じゃないんですけどね…」
吉澤は苦笑した。

「ていうか負けたら後藤が脱がされるんだよな…(イヤダナ)」
「そう、それですよ!
梨華ちゃんが脱がなきゃならないかもしれなくて…(イヤダナ)」
市井と吉澤はそう乗り気ではなかった。
286 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)22時57分27秒
しかし……何やら石川の目がキラキラとしている。

「愛する人がわたしのために一生懸命戦う姿……いいかもぉ〜〜!!」

「ええっっ!り、梨華ちゃん!?
もしかして脱がなきゃならないかもしれないんだよ?いいの?」
(きっと反対すると思ったのに…)吉澤はうろたえた。
「よっすぃーが勝てばいいじゃない♪」
「そ、そりゃそうだけどぉー」
中澤は石川の肩をうれしそうにバシバシとたたく。
「石川乗り気やなぁ、ええことやで!他の3人はどうや?
ていうかやってや、っちゅーかやれ」
中澤は一瞬にして真顔になり、まわりを睨みつける。

「姐さん、犯罪ギリギリちゃいますの…」
「なんやのみっちゃん。任務は終えたんやから後はガツンと楽しんどけばええやん。
生娘がどんどん脱いでくれるでぇ〜こりゃ止める手はないやろ!」
287 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)23時04分06秒
平家は少し考え込んで言った。

「それもそうやな」

「えーーーー平家さんついに中澤さんに洗脳されてきてるーーーー!!」
吉澤は頬を膨らませた。
「みっちゃんわかってきたやんか〜それでこそやで!!
そうや、ごっちんは…」
中澤は後藤の方を見た。

後藤は幸せそうな表情で酒を飲み続けていた。

「ごっちんはどうにでもなりそうやな。
というわけで、やってもらおうか〜☆」
中澤はとまどいのある市井と吉澤をニヤニヤ顔で見る。

「なんや〜ほんなに嫌か?
なんなら『裕ちゃんが石川・ごっちんを好き放題いただいちゃうぞ』ゲーム。
こっちに変更しよか?」
288 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月20日(金)23時06分18秒
「くっそー…やればいいんだろやれば!」
「ほんと中澤さんにはかなわないですよ…」
二人は渋い顔をしながらも了解した。

「こうなったら絶対負けねーぞ吉澤ぁ!!」
「こっちこそ負けませんよ!必ず梨華ちゃんを守ってみせる!!」
こうなりゃヤケだ!と言わんばかりの二人。
お互いグッと睨み合い、その間には火花が飛び散る。

「よっすぃー、わたしのために勝ってね☆」
「まかせてよ梨華ちゃん!!」
吉澤はガッツポーズをしてみせる。

「後藤…あたしは絶対勝ってみせるぞ!」
「いちーちゃんステキ〜〜!!」
後藤はフニャフニャと笑って手をパチパチとたたいた。



「なんだかんだいうて乗ってきてるやんな」
「ホントホント☆まぁ楽しませてもらいますか」
「ほんま二人は最強やね…まあ便乗させてもらうワ」
中澤、保田、平家の三名の囁き。

こうして『中澤裕子に保田圭(モーニング娘。)企画、第一回野球拳大会』は
開幕を迎えるのであった………。
289 名前:桜流 投稿日:2002年12月20日(金)23時46分22秒
ヽ^∀^ノ<負けねえぞ!!>(^〜^0)
( ´ Д `)<いちーちゃん☆ よっすぃー☆>(^▽^ )

題名にある『野球拳』ですが、やっと来れたかってかんじですね(`◇´;)

>278 クロイツ様
( ^▽^)に弱い(0^〜^)、愛しちゃってますから!
それにしてもクロイツさま、実によくわかってらっしゃる!!
姐さんは激しく矢口ラブですからねぇ☆

自分忙しいわけじゃないわりに動かないという習性が……(;´ Д `)<ぐーたら

>279 和尚様
甘えたな( ´ Д `)、好きなんですよぉ〜☆
(0^〜^)ついフラ2しちゃうよっすぃーだけどやはり心から(^▽^)ラブ☆

お互いがんばりましょうね!見てくれる方々がいることを力にかえて…!!

>280 タモ様
初めまして!読んでくださってありがとうございます☆
自分はいしよしも好きだけどいちごまもかなり好きなんですよ!
いいですよねいちごま!もっとステキに書けたらいいなって思います。

タモさまの作品も是非読ませていただきますね!
290 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月21日(土)01時39分05秒
ところどころ小ネタが効いていて面白いです。
ついにゲームスタートですね!
…今後の展開、楽しみにしています(どきどき)
291 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月21日(土)09時59分21秒
いよいよ本番って感じですね!
萌える展開だ〜
292 名前:和尚 投稿日:2002年12月21日(土)22時36分27秒
どっちが勝つんだろう!?
考えただけで鼻血が出そうです(笑)

中澤総統に洗脳された平家さん、中澤帝国恐るべし!!
293 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月24日(火)16時35分07秒
ををををを〜っ!!どーなってしまうのか!?
…個人的には、『じゃんけん弱々ヘタレよしこ&一枚一枚脱がされて行くエロエロ梨華ちゃん』が見たかったりもするんですが(笑)
てゆーか中澤さん…素敵過ぎます!!よくぞ思いついたー!!と叫びたい…!!

次回も楽しみにしております!!
294 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時04分51秒
「おっと、始める前に少々確認しとかなあかんことがあるな」
中澤は石川と後藤の全身を上から下までじっくりと見る。

石川の格好はピンク色のセーターに赤いチェックのミニスカート。
そしてパンストをはいている。
後藤の格好は大きな白いパーカーに細身のジーンズ。
そして紺色の短い靴下をはいている。
295 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時06分14秒
「この下は何着てるんや?」
中澤は石川のセーターの胸元を指でひっぱると中を覗き込んだ。
その動きがあまりにも自然で、
石川は目をまんまるにしながらも一瞬動けなかった。
「ちょちょちょちょっと中澤さん何見てるんですか!!」
吉澤は即座に石川を抱き寄せ中澤からかばうように背を向けた。
「いやいや〜何枚着てるんか確かめようと思っただけやんかぁ」
へらへらと笑う中澤、それを思いっきり睨みつける吉澤。
市井は後藤が同じ目にあわないように警戒した。

「ていうかこれからガンガン脱いでいくんやから少々見たって一緒やん」
「脱ぐとは限らないでしょうが!!」
「…はいはいすんませんでした!
ほなけどジャンケンに負けたときには絶対脱がすで!
ルールやからな、往生際の悪いんは許さんからな!」
ビシッと吉澤の鼻先を指差して言い放つ。
「わ、わかってますよ!」
思わず指先を見てしまい、少しより目になっている吉澤の顔はマヌケだった。
296 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時07分06秒
「結局のところその服の下は二人とも下着だけやな。
枚数にして5枚ずつか、無難なとこやな」
「よし!!じゃあいよいよ始まりね!!」
保田はものすごくはりきっている。

「ついに……」
「もう、逃れられないぞ…吉澤」

市井と吉澤は向かい合って立つ。

「よーし…いきますよ市井さん!!」
「来い、吉澤!!」
297 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜オモシロクなってきたんちゃう?編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時08分48秒
保田はテレビのリモコンをマイクに見立てて持ち、司会進行役を務める。
「じゃあ第一戦いくわよ!せ〜の!!」


♪野球〜す〜るなら〜こういう具合にしやしゃんせ〜
アウト!! セーフ!! ヨヨイノヨイ!!♪


「「「おおーーーっっ!!」」」
周りから大きな歓声があがる。


「よっしゃあああ!!勝ちゲットお!!」
ガッツポーズをしてみせたのは『チョキ』を出した吉澤。
「あああああああああ〜」
市井は『パー』の手を見つめたまま情けない声を上げた。


「まず最初に脱ぐのはごとーーーまきーーー!!」
298 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時10分57秒
「やったよ梨華ちゃん!」
「ステキよよっすぃー!!」
二人は抱き合って喜ぶ。

「すまんごとぉ」
「だーいじょうぶだよぉいちーちゃん。まだ最初だし〜☆
それじゃ後藤、脱ぎまーす」
酔った状態でほんの少しフラフラしながら、後藤が脱ごうとする。


おおっ!と身を乗り出す中澤。

しかし…
当然ながら、後藤が脱いだのは靴下だった。

「ま、まぁ最初やからな、ハハハ」
中澤の顔は少し残念そうにひきつる。
「まさかいきなり上とか下から脱ぐわけないでしょ〜姐さん期待込めすぎ」
「…わかってるて」
冷静な平家の言葉に、チッ、と舌打ちをした。
299 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時12分53秒
「さぁそれでは続いていってみましょー!」

「いちーちゃん次は勝ってねぇ」
「後藤…いちーの名にかけて次こそは勝つ!!」


♪野球〜す〜るなら〜こういう具合にしやしゃんせ〜
アウト! セーフ! ヨヨイのヨイ!!!♪


「うっわぁー……」
「ヒャッハッハッハ〜!!」
気の毒だといわんばかりの平家の声。
バカウケしている中澤の笑い声もあがる。

「うっそお〜〜とほほ…」
がっくりとうなだれたのは市井だった。
またも出したのは『パー』
「やーーーったぁ!ピース!!」
出していた『チョキ』をそのまま石川の方へ向けて吉澤はニッコリと笑った。


「なんとなんと連続で後藤真希が脱ぐことになってしまいましたっっ!!」
300 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時14分08秒
「よっすぃーつよーい!!さすがマイダーリン☆」
「いやぁ、マイハニーのためなら☆」
そしてギュッと抱きしめ合った。

「後藤、あたしダメかもしんない…」
市井は暗い顔をで後藤を見つめる。
「うーん、でもだいじょぶだよいちーちゃん。次こそ頼むよぉ」
特に危機感もなさそうに市井の肩をぽんぽんとたたいた。

「じゃあ後藤脱ぎまーす!!」
と、パーカーを上にたくし上げようとする。
「後藤!!そうくるのかよ!」
市井が焦って止めようとする。
301 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時15分14秒
「おお〜っ!来るか来るかぁ!?」
中澤がいよいよ身を乗り出し目を大きく開く。

「おおっ、ごっちん!!」
吉澤も大きな目をもっと大きく見開いて後藤に思いっきり注目する。
「なんなのよよっすぃー!!見過ぎ!!」
石川は怒り顔で吉澤の右耳をぐいっとひっぱった。
「イテえっっっ!……」
ギロリと睨みつける石川を見て
「ご、ごめん梨華ちゃん…」
耳をなでなで小さくなってしまった。
それでも意識は相変わらず後藤に釘付けな吉澤だった。
302 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時17分26秒
市井は後藤の腕をぐっと掴み、動きを止めた。
「んあ?」

「ゴルァ紗耶香何止めとんねん!!」
中澤が手に持っていた缶をボコリと殴りつけ抗議する。
「どこから脱ぐか話し合いくらいさせてよ頼むから!!」
市井は相当に必死な様子。
中澤もそれを認めざるを得なくなってしまった。

「後藤、それ脱いじゃったら明らかに…その…丸見えになるじゃん…」
「うーん、そうだねえいちーちゃん☆」
「頼むからもうちょっと考えていこうよ……しかたないから中から…な?」
「うん、じゃあそうするよ〜」
そうして後藤はパーカーから腕を抜くとその中でもぞもぞと動き始めた。
「いちーちゃん、後ろはずしてぇ」
やけに甘え声で市井に頼む。
市井は少しうろたえながらも後藤の背中に手を入れた。
またもぞもぞと動くと後藤の手がパーカーのお腹の方から出てきた。

握られているのは、赤色のブラジャー。

「うわお!後藤さんブラから脱いできましたっ!
う〜ん今日は赤ですか、いいですね〜」
野球界の某名誉監督の口調で保田が実況&解説をつけている。
303 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時18分39秒
「あの下はもう何もないんやなぁ…それ想像したらかなり萌えるんちゃう!?」
中澤はニヤニヤ顔で吉澤の腕を肘でぐいぐいとやる。
「そうですよね〜☆ああ〜ごっちん………い、イテテテテテっっ!」
石川はまたも吉澤の耳をひっぱっていた。
「よっすぃー!!!」
頬をふくらませて、先ほどよりもキツイ怒り顔。
「いや、その、あの…」
吉澤はあたふたしてどうにかフォローしようとするが言葉がうまくでてこない。

「よっさん困っとる困っとる」
ヒヒヒヒとおもしろそうに笑う中澤。
「中澤さんがあたしを煽ったんじゃないですかぁ…」
「知らん知ら〜ん」
ゴクゴクとビールを一気に飲み干して、
「さぁ、サクサクいきや!!」
吉澤の背中をバシっと一発たたいた。
304 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時20分04秒
「さぁ、紗耶香そろそろ勝ちたいところ!!それではぁ」


♪野球〜す〜るなら〜こういう具合にしやしゃんせ〜
アウト! セーフ! ヨヨイノヨイ!!

市井と吉澤両名とも『グー』

「はいもういちどぉ!」

ヨヨイノヨイ!!


「おおっ、ついに!ついに石川が脱ぐときがきたあぁぁっ!」
保田の声によりいっそうの力がこもった。

「よっしゃよっしゃよっしゃあ!!!」
市井はバンザイをして歓喜する。
「やったねいちーちゃん!!」
「やっと勝ったよごとぉ〜」
そしてパチ〜ンときれいな音のハイタッチ。
305 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時22分39秒
「うっあーーさすがに三連勝とはいかないかぁ…梨華ちゃあん」
吉澤は力なく『チョキ』の手を崩し、トホホ顔で石川を見る。
「だめじゃないよっすぃー…」
「ごめんよぉ梨華ちゃん…ああ、やだなあ…たとえまだ一枚目でもやだなあ」
吉澤はぐずぐずとごねているが、
「よっさんルールやで、さぁ脱げや石川!」
中澤の言うとおり負ければ脱ぐということを初めに承諾していた以上、
そうするしかない。

「もう…、じゃあ石川梨華脱ぎます!!」
全ての視線が石川に集中する。

石川はミニスカートの下から手を入れパンストに手をかけようとした。
「ちょ、見えそうだよ梨華ちゃん!」
吉澤は皆の視線から守るために石川の前に立ちふさがる。

「よっさんそこどかんかーーい!!」
「見せろよーブーブー」
中澤だけでなく平家までもがブーイングをとばす。
「はーい吉澤さ〜んこっちにきてくださいねぇ〜」
保田が吉澤をぐいぐいと引っ張る。
「うわぁん離せぇ〜〜……」
嘆いてもどんどん引き離され、石川の姿は完全に皆の視線にさらされる。
306 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時24分07秒
恥ずかしさにほんの少し頬を赤らめている石川。
すでに腿の下まで下ろしたパンストから足を抜こうと右足を曲げて少し上げる。
スカートの中がギリギリ見えるか見えないかの一瞬。
「梨華ちゃんサービスしないでよぉぉ」
吉澤の半泣き声。
「うっさいでよっさん!いやぁ石川ナイスチラリズム〜!!」
中澤はすっかりオヤジな発言をとばす。

ようやく脱ぎ終わった石川を吉澤が後ろからギュッと抱え込む。
「梨華ちゃあん、もう絶対負けたくないよぉ!負けないよぉ!」
「ほんとがんばってよね、よっすぃー!!」
胸元にまわされている腕をポンポンとやさしくたたいた。
307 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時25分30秒
「さぁさぁどんどん熱くなってまいりました野球拳大会!!
続いていってみましょう!」


♪野球〜す〜るなら〜こういう具合にしやしゃんせ〜
アウト! セーフ! ヨヨイノヨイ!!


「よっしゃよっしゃよっしゃあああ!」
一番に喜びの雄叫びを上げたのは中澤だった。

「うわあぁっとこれは実にヤバイことになってしまった!
なんと市井紗耶香また負けてしまったぁぁぁ!!」

「うっそぉぉぉぉ!」
「い、いちーちゃん…」
後藤の表情が一気に愕然としてしまった。
さすがにこの事態は、重かった。

「よかった!勝ったよ梨華ちゃん!」
「グッドよよっすぃー!」
親指を立てた手を二人がっちりと合わせる。


「よっさんよー勝ってくれた!ほめてやるでぇ!」
「でしょ〜これ見たかったでしょ!」
石川がピクリと反応する。
「よっすぃーも見たかった、と?」
「えっ、いや、あの、中澤さんのためにね!ね!」
「わたしのために勝ったのではない、と?」
「も、もちろん梨華ちゃんのためにだってば!」
(梨華ちゃん細かく反応しすぎだよぉ…)
308 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時26分38秒
「いちーの名にかけてとか言いながら…こんなことに…」
市井の瞳が潤んでいる。
「いちーちゃん…どうしようか…」
酔いも一気に飛んでしまい、少しオロオロした感を隠せずにいる後藤。
「……とりあえず上はダメだ…ぜったいに…」
「じゃあ…下…?」
「下なら、どうにかなると、思うから…」
後藤はコクンとひとつ頷いた。
309 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時27分47秒
「さぁぬーげ!ぬーげ!ぬーげ!」
中澤、平家、保田の脱げコールはどんどん大きくなる。
(ごっちんくるか?くるか!?)
吉澤も密かに興奮気味。

「…後藤!いきます!」
思い切ってジーンズのベルトに手をかけ、勢いよく引き抜く。
おお〜と歓声があがる。
そしてこれまた勢いよくジーンズのチャックを下ろす。
おお〜っと歓声があがる。
そしてついに勢いよくジーンズを一気に下ろした。


「やった〜…んん」
瞬間、後藤はパーカーの裾も下へぎゅっとひっぱった。
大きめのパーカーのおかげで肝心な部分は十分にかくれている。
そこから細いわけではないが適度な肉付きのあるすらりとした足が出ていた。

「…ええ足してんな〜ってのはわかるけど、
なんやわりとおもろない結果になってんなぁ」
中澤は眉間にしわを寄せる。
「姐さんの想像してたものほどきわどくもないってか」
平家も少しおもしろくなさそうにつぶやく。
310 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜ええもん見せてもらいましょ☆編〜 投稿日:2002年12月28日(土)13時30分33秒
「いちーちゃん、助かったね。これもいちーちゃんのおかげ☆」
「そだな、着替えてこないでよかったよなぁ〜」

このパーカーは市井のものだった。
メンズ仕様のために大きい。
後藤が市井の家に来たときにラクな格好でいるために貸していたものだった。
今日の納得のいかない外出に際して不機嫌だった後藤は
着替えるなんてやってらんない!とそのままの姿でここまで来たことは
まさに不幸中の幸いである。


「どうも期待通りというわけにはいかなかったようだけど…
気を取り直して次へいくわよ〜!」
311 名前:桜流 投稿日:2002年12月28日(土)13時48分35秒
萌え少ないですよねこれ…あまり期待にそえられていないことにお詫びをしつつ…
あっ!295〜297のサブタイトルは『ええもん見せてもらいましょ☆』
のまちがいです…・。・゚(ノД`)゚・。・
次回で最終更新になりそうな予感です。

>290 名無しさん様
面白いですか?嬉しい限りです☆
なかなかうまいこと書けないもので、苦労しっぱなしです(;0^〜^)

>291 名無しさん様
本番来ましたが…どうでしょうか?ヽ^∀^ノ
少しでも楽しんでいただけたらうれしいです☆

>292 和尚様
鼻血な展開には遠くなってしまった感がありますが…いかがでしょうか…?
姐さんはあいかわらずなテンションです☆

>293 クロイツ様
へタレいちーちゃんの方が強くなってしまったですかね?
でもよっすぃーは梨華ちゃんにやられっぱなしなのである意味へタレ全開です☆
312 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月28日(土)21時23分27秒
…一言だけ言わしてください。

  待 っ て た よ 、 桜 流 さ ん 。 (w
313 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月29日(日)10時05分35秒
>萌え少ないですよねこれ…
いえ、もうすでに鼻から血が(w
314 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)00時53分52秒
「ふうううぅぅ…ほんとーのほんとーに負けられない…負けられないんだ…」
市井は自分に言い聞かせるようにブツブツと呟く。
「市井さんギリギリだもんなぁ…ってか他人事じゃないな、勝たなきゃ!」
吉澤は改めて闘志を燃やし、次なる戦いへと赴くのだった。

「さぁ後藤の運命やいかに!?石川が再び脱ぐ時は来るのか!?
全く目が離せない展開、それではいってみよう!せ〜の!」


♪野球〜す〜るなら〜こういう具合にしやしゃんせ〜
アウト! セーフ! ヨヨイノヨイ!!♪


両名とも『パー』

「それもう一度!」

ヨヨイノヨ……


「ちょっとまった!まったまったまった!!」
市井があわてて止める。
「どうしたんですか??」
出しかけていた手を上げたまま吉澤が驚いて言う。
「いや、ドキドキするからさぁ〜ちょっといったん間を…」
そしてひとつ深呼吸をする。

「見てるこっちもドキドキするなぁ姐さん?」
「どっちでもええねんはよ脱いで!」
「………姐さん」
315 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)00時55分52秒
「さ、いいかしら?もう省いていくわよ!あ、それ!」

ヨヨイノヨイ!!

『グー』と『チョキ』


「げえぇぇ!!ま・け・て・し・ま・っ・た……」
吉澤の体がわなわなと震える。

「ふわ〜〜どうにか免れたぞ後藤!!」
「よかったよぅいちーちゃん!!」
後藤が市井に飛びついて喜ぶ。
ほんの少しよろめきながらも市井はその腕でしっかりと受け止めた。


「しかたないわ…じゃあごっちんみたいにブラを…」
石川が腕を抜こうとしたその時、
「待てやぁ石川〜それはちょいとつまらんのとちゃうかぁ?」
中澤が何かを企んでいるような表情で言う。
「…梨華ちゃんにどうしろというんですか…?」
吉澤は恐る恐る問う。

「スカートなんやしぃ、…な?下の『中』からいってもらいまっしょい!!」
頭の上でパチパチパチと拍手をする。
それに乗じて周りからうわぁという歓声とも驚声ともつかぬ声があがる。
「姐さんあんたほんまに恐いお人や!!」
そして平家も拍手を送る。
316 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)00時56分51秒
「ちょ、そんなのひどいっすよ!!ごっちんのときはブラからだったのに!!」
「おんなじような道を辿るだけならおもろないやろ!石川は下からや!」
「そ、そんなぁ〜」
吉澤の目に涙が浮かんでいた。
「さすがに恥ずかしすぎますよぉ…」
石川は俯いたままポツリとこぼす。
「中澤さん!せめて脱ぐシーンだけは!
勘弁してくださいよぉお願いしますこの通り!」
吉澤は土下座をし始めた。
お願いしますお願いしますと地に額をつけたまま何度も請う。

平家はさすがにいたたまれないのか、王に進言した。
「姐さんちょっとは勘弁したったらどうです?」
「んんん〜肝心のシーンなんやけどな…しゃ〜ないな!
仏の裕子やからな、そこは勘弁したろか!」

「……仏だったら最初からこんなことさせねえだろ…」
市井は誰にも聞こえないようにグチった。
317 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)00時58分14秒
「んじゃ向こうの部屋行ってきぃや。
脱いだものはこのあたしが直々に預かる!!」
「「嫌です!!」」
石川と吉澤の声がハモった。

向こうの部屋へと消えた二人。ドアがパタンと閉められた。
かと思うと再び開き、吉澤が追い出されてきた。
「梨華ちゃんなんでぇ〜?」
ドア越しに怒りの声がする。
「恥ずかしいからに決まってるでしょ!!」
「……うちらの間柄で今さらそんなこと…」
残念そうにドアにもたれかかり文句をたれた。


石川は数十秒ほどで部屋から出てきた。
もじもじした様子、顔は赤くなっている。
石川を迎える面々の表情にはどこか黒い笑みが秘められていた。
「石川ほんまに脱いだん?」
「脱ぎました!!」
「脱いだものはどうしたん?」
「ここにちゃんとありますってば!!」
石川のスカートのポケットが軽く膨らんでいた。
「うむうむ、オッケ〜☆」
手でOKの形を示して中澤はよりいっそう嬉しそうに笑う。
318 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)00時59分56秒
「スースーして落ち着かない〜」
両手でスカートを押さえるようにして小刻みに歩く。
「ごめんね梨華ちゃん、負けてしまったばっかりに…」
「もうやだ〜!
よっすぃーこれ以上は絶対負けないで!早く終わらせたい〜!!」
石川は吉澤の腕にぎゅっとすがる。
「負けないよ、負けないよ〜!!って何度も思ったんだけど
こうなっちゃってるんだよね…」
「…不安がらせないで」
「ごめん……ね」
石川の髪をそっと撫でた。
「…お願いだから勝ってよね…」
上目遣いに吉澤をみる悲しさをたたえたその表情がやけにセクシーに見える。

(…ふたりっきりのときにこういう状況なら…
そ〜と〜楽しませてもらうのになぁ…)
少々不謹慎なことを考えてしまう吉澤であった……。
319 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)01時01分10秒
「そろそろ後がない後藤!見た目より実はすごい状態の石川!
さぁ次はどうなるかしら?
いってみましょう!!」


♪野球〜す〜るなら〜こういう具合にしやしゃんせ〜
アウト! セーフ! ヨヨイノヨイ!!♪


「……………」
本当の窮地に立ったときにはむしろ言葉なんて出ないのだと、市井は知った。

「やったあ!!よっすぃーの勝ちね!!」
「おおぅマイハニー☆ボクは君を守りぬけたようだネ!!」
吉澤は『ひとむ』モードで石川にウインクをひとつしてみせた。

「負けちゃったねいちーちゃん…」
「後藤になんて言えばいいのか……あたしには後藤を守る力はないのか…」
下唇をかみつつ悔しさを見せる。
「…そんなに気にやまないでいちーちゃん…
ジャンケン弱いいちーちゃんだけど、こんな結果になっちゃってるけど………
それでも愛してるよいちーちゃん」
「……ごと〜〜〜!!」
320 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜どんどんエライコトなってくるで!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)01時04分01秒
「さぁごっちん脱いでもらおか〜」
中澤がゆっくりと忍び寄る。

「裕ちゃん…頼むよ、もう勘弁してよ…」
市井は後藤を背に、中澤の前に立つ。
「下脱いでもデカいパーカーやったら見えへんやろ?まだ続けれる!」
「もうこっちの負けでいいからさ…お開きにしてくんない?」

…中澤の表情がみるみるうちに不機嫌に変わる。
「何言うてんねん紗耶香!ここからがほんまにエエトコやないか!
ここでやめたら今までのんは何やったんやっちゅー話やで!?」
「十分楽しんでたじゃん!もうそろそろ勘弁してよ!!」
吉澤と石川も一歩前に進み出る。
「中澤さんうちらからも頼みますよ(梨華ちゃんがこれ以上脱ぐ前に終了を!)」
「お願いします…(…早くぱんつ穿きたいよぉ…)」


「ぬあああ〜っっ!!こんなんでおさめてたまるかぁぁぁぁ!!」
中澤の目の色が明らかに変わった。
ギラギラ感がすさまじくアップしている。

その恐ろしさに声も出ない4人。ただ唖然と中澤を見ている。


中澤は後藤の正面に立ち…


瞬間、思いっきり抱きしめた…!!
321 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜乱心!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)01時07分26秒
「んあぁ!!!」
中澤が後藤の体をきつくしめると同時に苦しげな声が絞り出される。

「な、何してんだよ裕ちゃん!」
「「中澤さんっっ!!」」
市井、吉澤、石川は大いに驚く。

「王よ…ついに御乱心ですか!!」
平家隊長は芝居かかった台詞を吐くが、それだけで結局は何もしようとはしない。

「ルールも何もあったもんやないゲームならこっちにやって考えがあるがな!
ごっちんもらったるぅぅぅ!」
中澤は後藤のパーカーをめくり上げようとぐいぐい引っ張っている。

「ちょ…やめてよぉぉいちーちゃん助けてぇ!」
折角うまく隠れていた後藤の守るべき部分はすでにほとんど丸見え。
ブラと同じ『赤色』が鮮やかに…!
322 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜乱心!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)01時10分13秒
「離れろよ裕ちゃん!!くっそー吉澤も手伝えよ!」
なんとか中澤をひっぺがそうとするが、どうにもこうにも離れない。

半ば放心状態だった吉澤はハッとして市井に加勢した。
「中澤さんどうか落ち着いてくださぁぁい!!」
後藤のパーカーを掴む手をどうにか開かせようと力をこめる。
しかしどうにもできない。
中澤にこれほどの力があったのかと感心してしまうほどの強さに
吉澤は参ってしまいそうだった。


ふと、中澤の手がゆるんだ。


(お、ようやくあきらめたか…?)
ほっとしたのも束の間。


中澤は後藤を市井の方へ押しやると、吉澤との間合いを一気につめた。
なんと素早いことか、逃れようにも動きが頭に追いつかない。


目の前で中澤がフッと微笑むのがわかる。



そして、吉澤は唇を……奪われた…!
323 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜乱心!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)01時11分18秒
「いやあああああぁぁぁぁぁぁよっすぃーーーーー!!!!!」
石川の悲痛な叫びが部屋中に響く。


吉澤は何がなんだかわからないが、とにかく逃れなければともがく。
しかし中澤は両手で吉澤の頬をしっかりとはさみこんでいて動けない。
それどころでなく唇を舌でこじ開けてどんどんと中へ入り込んでくる。

「んんっ!!んんーーんー!!」
しゃべろうにも言葉にならない。


市井と後藤は顔を歪ませたまま固まってしまっていた。
324 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜乱心!編〜 投稿日:2002年12月30日(月)01時15分42秒
「よっすぃー…よっすぃーがぁぁ!!」
半狂乱になった石川は中澤にかかっていこうと踏み出した。


すると、それを制したひとつの小さな影。


「「「あっっ!」」」

小さな救世主とも言えるべきその人に皆気付いたが、
諸悪の権化中澤は全く気付いていない。

その人は中澤のそばへ近寄ると、
手に丸めて持った新聞でその頭を思いっきりシバき倒した。

バッシイィィィ!!!

プハッと息を吐く音がして、吉澤からようやく離れる。
「いったぁぁぁぁ!」
中澤は頭を押さえてその場にうずくまった。

「何すんねんゴルァァァ!!………あ!?」
立ち上がるなり自分をシバいたその人を威嚇する…が。

見た瞬間、サアァァっと血の引いていく音が聞こえる気がした。
中澤顔面蒼白。


「や、や、矢口ぃ!?」


「ぬぁーーーにやってんだこのバカ裕子がぁ!!!!」
325 名前:桜流 投稿日:2002年12月30日(月)01時32分44秒
次が最後の更新と言ってましたがまだ続くことになりました。
前言撤回……申しわけないです(`◇´;)

>312 名無し読者様
待 っ て て く れ ま し た か !!
あなたの言葉に笑いましたよ☆( ´ Д `)アハ

>313 名無しさん様
鼻血きちゃいました?自分としては嬉しいことですが
( ´ Д `)( ^▽^)にはこんな格好させてしまって、
正直「ごめんなさいっっ!!」ですね(^〜^0;)
326 名前:和尚 投稿日:2002年12月30日(月)03時10分05秒
夜中なのに笑いが止まりませんでした。
後藤さんの下着が赤色だと知った時出血多量で逝ってしまいました。
中澤さんにが唇奪われた吉澤さんと
それを見た石川さんの悲痛な叫びご愁傷様しか言えません(苦笑)
矢口さんが出て来たという事は中澤帝国崩壊か!?
更新わくわくして待ってます♪

327 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年12月30日(月)11時26分06秒
おぉ〜!影から読んでいたものです^^;
矢口ついに登場ですね^^
もぅ、笑いまくっておなか痛いです^^;
これからもがんばってください〜♪
328 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月30日(月)12時44分32秒
桜流さん、気にしないで続けてくれ。私はいっこうに

  構 わ な い 。
329 名前:タモ 投稿日:2002年12月30日(月)19時09分57秒


更新乙です。

これは・・もう鼻血が止まりません!!!!
市井じゃんけん弱くて良かった・・・(W
矢口が来て中澤さんはどうなるのか!?
次回更新楽しみに待ってます。
330 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜この子にだけはかなわんねん…編〜 投稿日:2002年12月31日(火)02時47分47秒
矢口は怒りに鼻息を荒くして中澤を睨みつけている。
中澤は絶望的といった表情で凍りつく。


「よく来てくれましたよ矢口さあぁん〜」
石川が涙を流して喜ぶ。
「おお〜いったいいつのまに?どうやってここに?」
市井が驚いて言う。
矢口は手に持った鍵をチャリンと鳴らしてみせる。
「んあ、合鍵持ってるんだぁ〜出入り自由ってわけだねぇ」
納得納得、と頷く後藤。
331 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜この子にだけはかなわんねん…編〜 投稿日:2002年12月31日(火)02時51分21秒
「や、矢口さん…でもなんで…?」
吉澤は口元を手で拭いながら苦しげに問うた。


中澤に背を向けくるりと振り返る。
矢口は怒りを消し、ほんの少しはにかむような顔をした。
「今日さ…裕ちゃんの誘いをあんなふうに断ったのは
ちょっとひどかったかなって思って…」
落ち込んだように俯く。
「それで、さみしい思いしてるに違いないって思って…
突然行って驚かせてやろうって…」


矢口の体がふるふると震え出す。


「…………そ・れ・な・の・にぃぃぃぃいいいい!!!!!
なんだぁこのザマはよおおおお!!!!」


紅蓮の炎を吐く怪獣のような迫力で雄叫びをあげる。
332 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜この子にだけはかなわんねん…編〜 投稿日:2002年12月31日(火)02時53分03秒
中澤はなんとか矢口の怒りを解きたいところ。
しどろもどろに話し始める。
「矢口ぃ…これはな、酒、そう、酒が入ってたからその勢いっちゅーか。
遊んでふざけただけでな……」

ダァン!!

床を強く踏み鳴らす。


一同は体をビクッとさせる。


「うるせえよ!!
何なんだよ!
ズボン脱いだごっちんにニヤニヤ、パンツ脱いだ石川にニヤニヤ。
勘弁してって言う紗耶香たちに怒ってごっちんを襲い、
よっすぃーに思いっっっきりディープキス!!!!
ふざけるにもほどがあるだろうよぉぉぉ!!」


「そんなとこから見てたんや…」
「ああ見てたよ見てましたよ!!」
ぽつりと呟く平家にまで火の粉が飛びかかる勢い。
矢口は完全にキレている。
333 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜この子にだけはかなわんねん…編〜 投稿日:2002年12月31日(火)02時55分07秒
「やぐちぃ〜裕ちゃんが悪かった〜ごめんよぉごめんよぉ〜」
何度も何度もへコヘコと頭を下げて謝る中澤。
「バカ裕子!!許す気になんてなれるか!!
だいたい普段からいつもいつもいつもいつも…………!!!!!!!!」
「堪忍してやぁ矢口ぃ、ホンマに愛しとるんは矢口だけなんやぁぁぁぁ…」


怒って説教をする矢口、ただひたすらに謝る中澤。
周りは完全放置である。

保田はゆっくりと皆の顔を見る。
「………帰ろうか………」
「…そうやね……」
平家の返事に皆もそもそと帰り支度を始めた。

石川はそそくさと『脱いだとき』と同じ部屋へと入っていく。
後藤も市井に手伝ってもらいながら素早く服を着けていった。



「矢口ぃ〜悪かったってぇ〜反省しとるって〜」

「ふん!!そんなこと言って、どこまで本気だかわかんねぇよっ!!」



いつまで続くことやら、二人のやりとりを遠くに聞きながら
一同は中澤宅を後にした………。
334 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜嵐のような時は過ぎ…編〜 投稿日:2002年12月31日(火)02時58分20秒
時刻はすでに0時をまわっていた。
マンション入り口前の通りに人影はない。

「タクシー拾いに行くわよ」
保田が先導して大通りの方へと歩く。



夜中でも車通りは盛んである。
幸運にもタクシーが一台すぐにつかまった。

「さぁ、子どもはこれに乗って帰んなさい」
ドアが開かれて石川と後藤が後ろへと乗り込む。
吉澤が続いて乗る前に、ふと動きを止めた。
「保田さんに平家さんはどうするんです?」
「うーんそうねぇ…みっちゃんウチ来て飲み直ししない?」
「そやなぁ、そうしよか」

「というわけであたしたちはオールナイトよ!」
「圭ちゃんあんま飲みすぎんなよ!」
市井はハハッと笑う。
「あんたたちこそこれからオールナイトなんじゃないのぉ?
がんばりすぎには気をつけなさいね」
335 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜嵐のような時は過ぎ…編〜 投稿日:2002年12月31日(火)03時01分02秒
「「なっ…!」」
市井・吉澤は同時に理解し、うろたえた。
「いや〜うらやましい限りやねホンマ、あっついあっつい夜になりそうってか?」
平家がヒラヒラと手で顔を仰ぐ真似をする。


「いちーちゃん早く乗りなよ?」
「よっすぃー?」

タクシーの中から声をかけられ、ようやく二人も乗り込む。
後ろに4人は無理なので、市井は助手席に乗った。


バタンと閉まるドア。
市井が運転手に行き先を告げた。


4人は保田と平家に手を振る。
二人も手を振り返す。

そしてゆっくりとタクシーは動き出した…。
336 名前:桜流 投稿日:2002年12月31日(火)03時24分18秒
なんだかバタバタしちゃってますが…
( ´ Д `)<いちーちゃん誕生日おめでと〜☆ヽ^∀^ノ

そして、この作品次こそが最終更新になりそうです。
きっと年内には…( ^▽^)<今日しかないよ☆

>326 和尚様
この作品のせいで血を流す方が多発しているようですねえ(笑)
矢口さんしか姐さんをとめることはできない!
中澤帝国その歴史は今まさに終わりを迎えました(^^;

>327 ヒトシズク様
読んでいてくださったのですか!
ありがとうございます、応援とても嬉しいです!!
最後までどうぞお付き合いくださいませ☆

>328 名無し読者様
矢口さん降臨によってお開きになってしまって…
申 し わ け な い 。ですね…。
姐さんもきっともっと続けていたかったでしょうね(^^;
最後まで見守っていただければ幸いです☆

>329 タモ様
ある意味『よくやってくれた!いちーちゃん!』ですよヽ^∀^ノ☆
姐さん一気に弱くなっちゃいましたが、
こういうところが愛すべき部分であるかなぁと思うのですよ☆
337 名前:名無し野郎 投稿日:2002年12月31日(火)20時00分08秒

この後、このカップル二組は何をするのか・・
考えるだけで鼻血が5ℓほど・・

続き、かな〜り期待しています
338 名前:和尚 投稿日:2002年12月31日(火)21時17分58秒
中澤帝国も矢口さんには叶いませんでした(笑)
矢口さんの怒りは治まらないでしょうね・・(苦笑)

この作品読むとスグ出血多量で逝ってしまうので、
最終更新の為に鉄分補給し、血をたくさん作ってお待ちします。
339 名前:桜流 投稿日:2002年12月31日(火)23時21分42秒
今年も残すところあと数十分ですね。
最終更新をしたかったのですが…今日は今年の中で一番忙しかったように思います。
年内と言いながらこんなことになってしまって申しわけありません。
2003年を迎えた後に更新をしようと思います、今日の深夜ということですね。
最後までいいわけがましかった作者をどうかお許しください……( T▽T)

>337 名無し野郎様
期待してくださってありがとうございます!
是非とも期待にそえられればいいのですが…最後までよろしくおねがいします☆

>338 和尚様
矢口さん激しく怒りです、
それでも、姐さんのことを愛しているのも確かなんですよ☆
鉄分しっかりとっといてくださいよ!倒れちゃったらたいへんですから☆

作品を読んでくださった皆様、応援してくださった皆様、
本当にありがとうございました!!来年もどうかよろしくお願いします。
よいお年をお過ごしください!!
340 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 石川・吉澤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)03時48分46秒
ほどなくタクシーは石川の住むマンションへと到着した。


吉澤と石川は後部座席から降りる。
市井も後藤の横へ移るべく一度タクシーから外へ出た。

「お疲れ様でした…」
「おう、ある意味仕事よりもお疲れ様だな…」
四人は顔を見合わせて苦笑した。

「それじゃあ失礼します」
「おやすみなさい」
石川・吉澤二人そろって軽く頭を下げた。
「ああ、おやすみ〜」
「バイバ〜イ」
341 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 石川・吉澤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)03時50分42秒
ガチャリ。

いつもよりどこか重く感じる玄関を開け、二人は中に入る。


パチリ。

スイッチを押すと一瞬にして明るくなった部屋に、眩しくて顔をしかめた。
食事の支度もほぼそのままに出かけたものだから、あたりは少し散らかっていた。


「梨華ちゃん、疲れたね」

「そうね、よっすぃー…」

吉澤は身を投げ出すようにソファに腰掛けた。
「ふぅ………」
石川は離れたところから、じっと吉澤を見つめている。
ふと、その視線に気付く。
「どうしたの…?こっちに来なよ…」
両腕を大きく広げてみせると、石川はゆっくりと近づいた。
どこか、うかない顔をしている。
342 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 石川・吉澤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)03時53分02秒
「ここに座って」
吉澤は両足を閉じると、石川に跨るように促す。

ほんの少し恥ずかしそうにしながら足を開くと、
吉澤と向かい合わせに足に跨って座った。


吉澤は顎を上げ、ほんの少し高いところにある石川の顔を見つめた。
やはりうかない表情はかわっていない。

「梨華ちゃんなんでそんな顔してんの…?」
頬に手を添えてやると、石川はその手に自らの手を添える。

「よっすぃー…」
「何…?」


沈黙したまま、見つめあう。

石川はゆっくりと吉澤に顔を近づける。

吉澤もそれを受け入れる。

軽く、キス。


また目と目が合って。
吉澤はニコリと微笑んだ。

しかし石川は笑わない。
343 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 石川・吉澤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)03時57分46秒
「梨華ちゃん…?」

不思議そうな顔をしたままの吉澤。
石川はもう一度吉澤にくちづける。


今度は、とても長い。

離れない。


石川の舌が吉澤の唇をなぞる。

吉澤がほんの少し隙間を作ってやると、そこからゆっくりと入ってきた。


二人は舌をからめあう。


唇を唇でやわらかく、強く、はさみあう。


石川の細い腰を吉澤は腕で強く引き寄せ、
吉澤の頭を石川はその腕に抱き、

ずっとずっと、求め合った。
344 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 石川・吉澤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時00分34秒
「はぁ…はぁ…」

二人の熱い吐息が混じる。
ゆっくりと顔を離し、お互いに見つめあう。


「梨華ちゃん…」

「これで…消せたかなぁ…」

「…中澤さんのキスを…?」

「本当に…嫌だったんだから…つらかったんだから…」
泣きそうな顔で、ほんの少しかすれた声で、言う。
その様子を見て、吉澤も泣きそうになった。


「梨華ちゃん……もっとしてよ……」
それでもがんばって微笑んで見せる。


石川もようやく笑顔を見せてくれた。


「好きだよ…よっすぃー…他の誰にも…絶対渡さないんだから…ね…」
「あたしだって…梨華ちゃんは誰にも渡さないよ…」


時も忘れ、二人は夢中になって互いを求め合った。


夜は、更けゆく…………
345 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 石川・吉澤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時02分20秒

〜end〜
346 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時04分32秒
「だりぃ〜よぉ〜」

バタリ!!

帰り着くなり、市井は自分のベッドに思いっきり倒れこんだ。


「いちーちゃん…疲れちゃった?」
「すんげえ疲れたよ〜」
布団に顔をうずめたまま、もがもがとしゃべった。

「もう寝ちゃう…?」
後藤は悲しそうに言った。

市井がちらりと見ると、後藤が寂しい子犬の様な目をしているのが見えた。

「……寝ないよ」

その瞬間ニンマリと、心底嬉しそうな顔に変わる。

(わかりやすいやつだなほんと…!)
やれやれと思いながらも、後藤に元気の素をもらったような気がした。

「じゃあお風呂タイムにしようよ!もう邪魔されないよ☆」
「そうだな、今度こそ入るか」
「やったあ!」
347 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時06分19秒
風呂の湯が沸いた頃に二人は脱衣所へ入った。

ためらいなくどんどん服を脱いでいく後藤。
ついさっき見た赤いブラに赤いパンティーが目に入る。
市井は思わずぼんやりと見入ってしまった。
「…いちーちゃん?どしたの?」
「うあっ!?や、なんでもないっす!!」
あわてて市井も脱ぎ始める。
「へんないちーちゃん!!じゃあ先行くね」
その『赤』もすべてとっぱらうと、後藤はスタスタと入っていった。
348 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時08分18秒
市井がドアを開けると、後藤は湯船につかっていた。
「いちーちゃん早く早く☆」
「お、おう」
ひととおりシャワーを浴びると市井も湯船に入った。


二人で入るとさすがに狭い。
足をおりたたみ、いわゆる体育座りで後藤と向かい合った。

「エヘへ☆いちーちゃんとお風呂嬉しい!」
はちきれんばかりにふくらんだ胸元。
市井は何だか恥ずかしくて見ていられない。
(…なんなんだ!この熟したカラダはよぉ!)

「いちーちゃん、もっとくっつきたいよう」
後藤が甘えるように言う。
(中身は子どもっぽいのにな…)
「んじゃどうしようか…?」
「足ちょっと開いて座って」
言われるままにすると、後藤は背を向けて、
市井の股の間にお尻をおさめてもたれかかるようにして座った。

「なんかいいな、これ」
市井は後藤の腹に腕をまわして、きゅっと抱きしめた。
「あっ、後藤腹やわらけえ〜」
指でプニプニとつまむ。
「もう!気にしてるのに!」
バシャバシャと水面をたたく。


二人はしばらくじゃれあっていた。
349 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時09分28秒
「やっぱ…二人っきりっていいね」
後藤は体ごと市井の方へ向き直した。
「そうだな…てゆーか今日のは裕ちゃんが無茶言いすぎだよな…」
「いちーちゃんジャンケン負けまくっちゃったもんね」
アハッとからかうように笑う。
「いや〜あれは本気ヘコんだんだぞ……」
「確かにちょっと恥ずかしかったしね…」
「守りたかったのにな……。
後藤の下着姿とかさ、誰にも見せたくなかったのに。
自分だけが知ってる…っていうのが理想だったのにさ…」
そしてふぅとひとつため息をついた。
350 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時12分49秒
しばらくの沈黙。
それを破ったのは、後藤だった。

「…いちーちゃん…ここでしようよ…」

「ええっっ!!なななナニ言ッテンダヨ…」
突然の言葉に動揺してしまう。

「ねえ…触ってよ…」
後藤は市井の手をとると、自分の胸にぎゅっと押し付ける。


「ばかやろぉ……とまんなくなるだろぉが…」
市井は胸に手を押しやったまま後藤に強くキスした。

「ん……」
切なげな声に市井はもっと熱くなる。
唇を首筋に当て、だんだんと下へずらしていく。
「あ、ん…」
湯に浸かるか浸からないかのところにある後藤の突起をそっとくわえる。
「い、ちーちゃん…ん…」
口の中に入ってくる湯を飲み込むことも気にせず、
そっと歯をたてたり吸ったりしてみる。


「あぁん…いちーちゃん…いちーちゃぁん……!」


そのまま手を下の方へと滑り込ませると、指をそっと入れ込んだ。

「……!!!!!」


声にならない快感。


二人はこのままそれに溺れていった……。
351 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時14分21秒
あれから何度いきにいっただろうか。
くたくたになった二人は裸のままベッドに横たわっていた。

「…後藤…体、大丈夫か…?」
「ん…ありがと、だいじょぶだよ…」
ふふ、とやわらかく微笑むのを見て市井は安心した。


「いちーちゃん」

「…何?」


「こんな後藤を知ってるのはいちーちゃんだけなんだからね」

「……うん」


そして、ぬくもりを伝え合う。


…お互いの唇で…、体で……。
352 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 市井・後藤編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時15分17秒

〜end〜
353 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 中澤・矢口編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時16分45秒
「ごめんな、矢口…」
「ふん……」

皆が帰ってしまったことは気にとめず、二人はこのやり取りを続けていたのだが
さすがに疲れたのか、矢口に初めの頃のような勢いはなくなっていた。

そして中澤の謝罪には真剣味がどんどんと増してきているようだった。
354 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 中澤・矢口編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時18分28秒
「でもな…裕ちゃんさみしかったんやで…矢口にあんなふうに断られてもうて…」
視線を床に落とす。

「それは…悪かったって、思ったんだってば…」
気まずそうに中澤を視界からはずす。

「自分ちょっとやけになってた部分もあるんや…
でもさすがにやりすぎたって、ほんま悪かったって思ってる」

「………」
矢口は何も言わない。


「それでな、今矢口がここに来てくれたことがな、ほんまにうれしいねん。
気にかけてくれて、ここに今おってくれることがごっついうれしい…」

中澤は心から嬉しさを見せて笑った。
355 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 中澤・矢口編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時20分23秒
矢口は悔しそうに唇を噛んでいたが、
突然、中澤に抱きついた。


「矢口…」

「…ほんとのほんとにバカ裕子!!
そんなふうに言われたら許しちゃうじゃんかよぉ!!」

ふふっとやわらかく声を漏らして、中澤は矢口を抱きしめる。

「ごめんな、ほんまに……」
「……もういい、もういいよ…」
356 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 中澤・矢口編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時23分50秒
「ほな仲直りのチューしようや!!」
うーーっと唇を突き出して矢口に迫る。

「〜〜〜!!すぐ調子に乗りやがってぇ!バカヤロオ!!」
怒って拳を振り上げる。


中澤はぎゅっと目をつぶり、衝撃に備えた…が。

唇にそっとやわらかい感触。


目を丸く見開いて目の前にいる矢口を見ると、
怒っていながらも頬を赤くして恥ずかしそうに俯いていた。


「ああ〜もうほんま矢口大好きやあ、愛しとるわぁ☆」

「うるさいうるさい!ちくしょ〜!!」


なんだかんだで、二人にも熱い夜がおとずれることは必至なのであった……。
357 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 中澤・矢口編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時24分39秒

〜end〜
358 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 保田・平家編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時31分30秒
なみなみと注がれた赤ワイン。
そのグラスを片手に、見つめる先は…一台のパソコン。
そっと口元にグラスをあてると、ゴクリと喉をならして一口飲む。


「…てゆーかなんでそんなカッコつけてんのん…」
平家はどこか冷めた目で、パソコンに向かっている保田を見る。

「フッフッフッ…!!良いわ…これは実にイイ!!」
画面を凝視したまま喜びの声を上げる保田。

「圭ちゃんち来たはええけど…
ほとんど酒よりパソコンに釘付けやん、飲みなおそう言うたんは圭ちゃんやのに。
なんかおもしろいもんでもあるん?」
「みっちゃんには特別に見せてあげようとがんばったんじゃないよ!
その名も『保田圭編集☆思い出のアルバム』を!!」
「はぁ?なんやのんそれは…」

ひょいっと画面を覗き込んでみるとそこには……

「こ、これは!!」
359 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 保田・平家編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時34分10秒
今日の野球拳の画像がずらりと画面いっぱいに!!


後藤の脱ぐ姿、石川の脱ぐ姿。

落胆する吉澤や市井の姿。

後藤を襲い、吉澤にキスした中澤の問題のシーン。

そして…怒る矢口と平謝りの中澤の姿も…!!


今日という日のイベントを
うまく凝縮してまとめた作品『保田圭編集☆思い出のアルバム』
360 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 保田・平家編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時35分48秒
「これはすごい…!!」
「でしょ〜!」
エッヘン!といい気になっている保田。
「いつのまにこれを…?」
「まぁ、隙を見てはデジカメでちょいちょいとね」
「こっわ〜!!シャレならんて!」

「まさかこれどっかにばら撒いたりは…せんよな?」
「そんなことしないわよみっちゃん!!それはさすがにヤバイわ!!
この日の思い出をただ純粋に残しておきたいと願ってのことよ!」
「そ、そーなん?」
361 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 保田・平家編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時38分50秒
「ただ惜しまれるのは…」

「何やの?」

「石川がパンツを脱ぐ姿までは撮れなかったことよお!!」




「……何が思い出やああああ!!!!
ただの趣味やんかあああああ!!!!」




平家の叫びが遠くどこまでも響き渡った………。
362 名前:あんたら野球拳でもやってや!!〜それぞれの夜 保田・平家編〜 投稿日:2003年01月01日(水)04時39分24秒

〜end〜
363 名前:桜流 投稿日:2003年01月01日(水)04時44分31秒
あけましておめでとうございます!
今年が皆様にとってすばらしい年になるようお祈りいたします…。

元旦ですね。夜中というか、もう朝が来ますね。
新年早々にやってしまったという感じでしょうか、
しかも完結させてしまいました。
こんな私はダメダメでしょうか…?

こんな私ですが、今年も小説を書いていきたいと思っています。
少しずつ精進しながら、がんばりたいと思います。
よろしければ、これからも見てやってくだされば幸いです☆
364 名前:和尚 投稿日:2003年01月03日(金)01時26分50秒
年明け早々、出血多量で逝ってしまいました。
鉄分しっかり補給したハズなのに全然足らなかったみたいです(グハァ・・)

(0^〜^)<梨華ちゃん・・・
石川さんの愛情に包まれてたくましく生きて行って下さい。

ヽ#^∀^ノ<なななナニ言ッテンダヨ・・・
市井さんとシンクロしてしまいました・・・
後藤さん、市井さんの事を想って・・・優しい人です。

(〜^◇^〜)<ちくしょ〜!!
なんやかんや言いつつ、中澤さんを好きな矢口さん。
いつまでも中澤さんと仲良くして下さい。

( `.∀ ´)<石川がパンツを脱ぐ姿までは撮れなかったことよぉ!!
この事で1番良い思いしたのは彼女かもしれない・・・

これからもこの様な素敵な作品を待っています。
頑張ってください!!
365 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月05日(日)11時22分10秒
ちょっと遅いんですが…あけましておめでとうございます!!
 そして完結おめでとうございます!
いやー、もう、ラストにはもう…吐血しそーな勢いで萌えましたよっ!!ゲフッ(吐血)。
いしよしが!!いーしーよーしーがぁぁぁぁぁっ!!!梨華ちゃん可愛くて可愛くて…!!

悶絶!!

そして保田さん。吉澤さんの落胆写真ください(笑)
…でも、完結かぁ…寂しいなぁ…。次回作も楽しみにしておりますから!!
366 名前:タモ 投稿日:2003年01月05日(日)12時51分56秒


これで完結ですか!?
なんか、すごく寂しいですね・・・
このカップリングでまた別の話や、この話の続編など、期待しています!
367 名前:桜流 投稿日:2003年01月09日(木)23時32分58秒
ちょっと忙しいとすぐぶっ倒れ状態な自分…皆様、お久しぶりです。

>364 和尚様
逝ききっちゃダメですよぉ!帰ってきてくださぁぁい!!
素敵だなんて照れちゃいますねぇ(´ Д `♯)
応援ありがとうございます!本当幸せ者ですよ自分は…ヽ^∀^♯ノ

>365 クロイツ様
萌えていただけましたか、嬉しいですねぇ(#´▽`)´〜`0)
保田圭編集☆思い出のアルバム、作者自身そ〜と〜見たいです(切実)
楽しみにしてくださる方がいるということ、
とても励みになります☆ありがとうございます!

>366 タモ様
完結しちゃいましたですよ…最後まで読んでくださってありがとうございました!
そして期待に応えられるように精進していきたいと思います!(^〜^0)
次に書いたものも読んでいただけるなら幸いです☆
368 名前:桜流 投稿日:2003年01月09日(木)23時34分05秒
書きたいものがいくつかあります。
『ずっと、手をつないで』の続編や、書いたことのないCPのお話や、
『野球拳』系のワチャ2話や、できることなら長編にチャレンジなど……
しかし今は頭に体が追いつかない感じです。
ほんのしばらく充電期間に入って、それからまたここに書きたいと思います。
次の作品ができたときには皆様、どうかのぞいてやってください☆
それでは、失礼いたします。。。
369 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月10日(金)22時09分17秒
>>368
いつまででも待っております。
ひとまずお疲れ様です!!
370 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)22時48分48秒

今日というキセキを、忘れない。
371 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)22時50分24秒
冬の夜道を二人で歩く。

寒いけれど寒くないのは、あなたと一緒だからだね。
372 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)22時52分14秒
―――ねぇ梨華ちゃん
―――なぁに?よっすぃー

ふわりと広がる白い息が、キレイ。

―――すごくない?
―――…何が?

いつだってどこか唐突だね、よっすぃー。
373 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)22時56分12秒
―――もしもさ、娘。に入ってなかったら
―――…うん

何を言いだすのだろう。

―――もしもあたしが中学生時代のある日の朝ご飯にパンを食べなかったら
―――フフ…何それ

何なの?面白いよ、よっすぃー。

―――まぁ最後まで聞いてよ。
   もしもあたしが小学生時代のある日の体育の時間に
   転んでケガしたりしなかったら
―――………

ちょっとわかってきたかも。

―――もしもあたしのお父さんとお母さんがあの日あの時エッチしなかったら
―――ちょっと何いいだすのよぉ!!

あからさまに言いすぎなんですけど!

―――まぁまぁ落ち着いてよ。
―――……もう

きれいな顔して言うことが…。

―――おんなじように、
   もしも梨華ちゃんが今まで生きてきた中で
   ほんのひとつでも違うことをしてたら、
   ほんのカケラほどでも違ってたとしたら。
―――………

ほんの少しでも違ってたら…。

―――ここでこうして梨華ちゃんとあたしが一緒にいることはなかったんだろうね
―――……ほんと、そうだね

ほんとに、ほんとにそうだよねよっすぃー。
374 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)22時58分22秒
―――なんかカッケ〜!!
―――カッケ〜?

よっすぃーの目、キラキラしてる、カワイイ。

―――だってコワイくらいの偶然に次ぐ偶然が、今の瞬間を作ってるんだよ?
   キセキじゃん!?カッケ〜!
―――カッケ〜……うん!カッケ〜!!

感動だよね、カッケ〜!!だね。

―――エヘへ
―――ウフフ
375 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)23時01分24秒
―――梨華ちゃん、あたしうれしいよ
―――うれしい?

どうして?

―――今日はね、どんな日よりもステキな日だよ?すっごくステキな瞬間だよ?
   それをあたしが梨華ちゃんと迎えられたなんてさ、うれしいよ
―――わたしも、よっすぃーと今日この瞬間、
   一緒にいられることがうれしいよ。
   なんて幸せだろうって、思うよ

わたし、うまれてきてよかったって、心からそう思う。



―――…誕生日おめでとう、梨華ちゃん
―――…ありがとう、よっすぃー

きっと誰が言ってくれるよりもうれしいお祝いのコトバ。

―――ここからまたいろんな偶然がかさなって、
   来年のこの日この瞬間を迎えるんだろうけど、
   そのときも、梨華ちゃんのそばにいたい
―――よっすぃー、すっごくうれしいこと言ってくれるんだね

泣いちゃいたいかも、すごく。

―――本当に、そう思うから、正直に言ってるだけだよ
―――…ありがとう、本当にありがとう、よっすぃー…
376 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)23時02分51秒
来年も、きっと、大好きなあなたがそこにいて。


今と同じことを思うんだろう。
377 名前:キセキ 投稿日:2003年01月19日(日)23時04分48秒

今日というキセキを忘れない。


 〜fin〜
378 名前:桜流 投稿日:2003年01月19日(日)23時10分29秒
梨華ちゃん誕生日おめでとう!
ということで充電中、コードを一度はずしてここへ来ました。
今日という日にツッコミたいこと、実は山ほどありますが。。。
何より梨華ちゃんの誕生日を祝いたい気持ちでいっぱいなので、
やめておこうと思います(^^;

>369 名無しさん
待っててくれる方がいるってうれしいですね☆
帰る場所があるってのはステキです。
ほんのちょこっとですが戻ってきました、読んでいただけたならうれしいです。
379 名前:桜流 投稿日:2003年01月20日(月)20時47分30秒
>378
ちょいとミスです、名無しさん<様>とつけなきゃなのに。。。
失礼しました(^▽^;)

まだまだ充電期間中。
皆様も流行りの風邪にはお気をつけて、日々をお過ごしください…ヽ^∀^ノ
380 名前:和尚 投稿日:2003年01月26日(日)22時43分01秒
更新お疲れ様でした。
コワイぐらいの偶然に次ぐ偶然が、今の瞬間を作ってるんだよ・・・
よっすぃーカッケーとそして純粋だと思った瞬間でした。
石川さん幸せ者ッス〜。

充電期間中ということですが、いつまでもお待ちしております。
381 名前:桜流 投稿日:2003年02月14日(金)23時48分04秒
>和尚様
感想ありがとうございます☆
バレンタインということでひとつ書いてみましたので…
読んでいただけたならうれしいです。
382 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時50分04秒
部屋中に甘い香りが広がる。
たくさんあった板チョコはすべて溶けてひとつになってしまった。
その中へ人差し指を差し込んだ後引き上げると、
線を引くようにチョコがついてきた。
つうっと落ち続ける雫をひとしきり眺めてみる。


「ちょーっとよっすぃー何してんのよぉ!」
「いや〜なんとなくだよ〜ん。お疲れ梨華ちゃん」
簡単なねぎらいの言葉に、フフッとやわらかく微笑みを返してくれた。
383 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時50分58秒
2月14日バレンタインデー。

一緒にチョコを作ろうと言った梨華ちゃんの言葉を受けて、あたしは張り切った。
目の前に並ぶのは梨華ちゃんが用意してくれたたくさんの板チョコ。

あたしにまかせなさい、と。

振りかざした包丁はキラリと光る。
あたしはひたすらチョコを切り刻んだ。
溶けやすいように、細かく細かく。


すべてが小さな破片になったとき、あたしはもう疲れ切っていた。
張り切りすぎた、もう飽きた。

「梨華ちゃん後はまかせた〜」
「はいはい、じゃああたしが溶かしちゃうから」
あたしの成果は湯せんでトロトロになっていった。
384 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時51分30秒
―――指に絡みついたチョコレート。

あたしはためらうことなく口に入れた。

甘いなぁ。当然だけどな、チョコだもん。
385 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時52分28秒
あたしはもう一度指を差し入れた。

「よっすぃー…舐めた指入れちゃったらちょっとマズいんじゃ…」
「うへっ、ごめん!…てか少々いいんじゃん?」
「いい、のかなぁ…」
不服そうな顔した梨華ちゃんを横目にあたしはまた舐めた。

ああ、甘い。うまい。
386 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時54分13秒
「あたしもちょっと舐めよっかな」

梨華ちゃんは人差し指と中指、2本一度に差し入れた。
引き上げた指から2本の線が落ちる。

雫に顔を寄せ素早く口に入れる姿がなんともかわいいもので。

「てゆーかちょっとじゃないよね、それ」
「いいじゃん、よっすぃーだって2回舐めてたじゃん」

おあいこだよ、なんて言ってるそのそばからあたしがまた指を入れると
梨華ちゃんはあっ!て悔しそうな顔をした。へへへ。
387 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時54分54秒
「なんか止まんないかもしんない、うまいよこれ」
「これからが本番だっていうのによっすぃーってば…」

ブツブツ言いながらもあたしを止めない梨華ちゃん萌え。

ああ、甘い。うまい。
388 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時55分50秒
「よっすぃー、そろそろ型に入れようよ〜」
そんな催促をしながら梨華ちゃんもチョコを食べている。


指の根元までたっぷりと絡めると、それを顔よりも高く挙げる。

ゆっくりと落ちてくる線。

舌を出して受け止めるその横顔に、あたしは少し身震いした。


ああ、ヤバい。
389 名前:甘い。 投稿日:2003年02月14日(金)23時57分30秒
―――さすがに甘さを満喫した気がする。かな?


「さ、梨華ちゃん。チョコを作ろう!」
「なんなのぉ〜やっとやる気が戻ってきた?…ってなんでまたそれ!!」

あたしが親指でチョコをすくい取る様を見て、いよいよ本気で怒ってる。


「これで、最後だから」


あたしはチョコのついた指で梨華ちゃんのくちびるをなぞった。
上にも下にも、口紅を塗るように。

そしてそっと顔を寄せて、それを舌で舐め取った。



ああ、甘い。甘い。



オワリ。
390 名前:桜流 投稿日:2003年02月14日(金)23時59分57秒
2月14日、メチャクチャギリギリの更新になってしまったわけですが。。。

パソが止まっちゃったんですよ…と言い訳してみたり…(^〜^0)
391 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月15日(土)12時27分22秒
甘いぃぃぃぃぃぃ!!!本当に甘いぃぃぃぃぃぃ!!
タイトル通り、マジ甘くて…幸せ
砂糖吐きまくりで、マジ面白かったです♪特に最後の所!!
超お気に入りですよ〜!!
 本当に面白い作品、ありがとうございました♪
392 名前:和尚 投稿日:2003年02月16日(日)00時40分55秒
更新お疲れ様です。
チョコを切り刻むよっすぃー。板前を想像してしまいました(笑)
よっすぃーの行動に子供っぽさとエロさを感じてしまいました。
この後、ちゃんと作ったんですかぁ?(笑)
(0^〜^)<・・・・・
(#^▽^)<・・・・・
393 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月07日(金)16時36分30秒
保全。
続きキボンヌ!!
394 名前:桜流 投稿日:2003年04月03日(木)01時25分48秒
本当にご無沙汰しております……。

>クロイツ様
甘さ感じていただけたようで何よりです☆
褒めていただけて本当に光栄ですよ〜!!

>和尚様
板前(0^〜^)<かっけー ですよね!!
この後はそりゃあもう、ね☆アレですよね!!(何だw)

>名無しさん様
保全してくださる方がいるなんて!!すごくうれしいです!!
本当にありがとうございました☆
これから書くものは何の続きでもない、唐突すぎるものですが…
読んでいただけたら幸いです。


では、短編をひとつ。。。
395 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時27分48秒
いつのことかなんてわからないいつか。
どこのことかなんてわからないあるところに、
ピンクずきんちゃんと呼ばれる?かわいい女の子がおりました………。
396 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時35分04秒
ピンクずきんちゃんは小さな森の中の小さな家で
お母さんと二人で暮らしていました。

暖かい春の日、ピンクずきんちゃんは庭で切り株に腰掛けて、
たくさんの花たちを眺めています。


「おぉーい梨華ちゃ〜ん!!ちょっと来てぇ〜」
家の中からお母さん、なっちママの声が聞こえました。
ピンクずきんちゃんはたちまち不機嫌な顔をして立ち上がります。

「ちょっとなっちママ!わたしのことはピンクずきんちゃんって呼・ん・で☆」
「なーに言ってるべさ!あなたは梨華ちゃんでしょ」
「ピンクのずきんがお気に入り☆わたしはかわいいピンクずきんちゃん!」
ピンクずきんちゃんこと梨華ちゃんは、
ピンク色のずきんにピンク色のフリフリスカートでくるりと一回転してみせました。
397 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時36分45秒
「まぁなんでもいいべさ。それより、梨華ちゃん…」
「ピンクずきんちゃんだってば!」
「……ピンクずきんちゃん、
これからなっちのお姉さんのカオリおばさんのお見舞いに行ってきてほしいべさ」
ええっ!とピンクずきんちゃんは驚いた顔をしました。
「おばさん病気なの!?」
「うーん、何だか電波の調子が悪いとかって、メールが来たんだベさ」
なっちママはケータイに届いたメールを見せてくれました。

『( ゜皿 ゜)<………?』


「なんでこれだけでわかるの……」
「というわけなので、よろしくね☆」

どうも納得のいかないピンクずきんちゃんですが、
とりあえずおばさんのところへ出かけることにしました。
398 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時39分59秒
「なっちママ、行ってくるね!」
「ああ、ちょっと待って!!」
いざ行かん!とするところをなっちママが引き止めます。
「いいかいよく聞くのよ。この辺にはよっすぃーが出るの」
「よっすぃー?よっすぃーってなぁに?」
「よっすぃーはカワイ〜イ女の子が大好きで、気に入ったらペロリと食べちゃうの」
なっちママが舌をベロンと出して怖い顔をしてみせました。
「だから気をつけて行かなくてはだめよ」
「は〜い!」
ピンクずきんちゃんは元気よく出かけていきました。
399 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時41分20秒
「オンナノコ〜リカイシテヨ〜♪」
大好きな歌を歌いながらピンクずきんちゃんは小道を歩いていきます。
手に持っているカゴの中にはムースポッキーがたくさん入っています。
優しいピンクずきんちゃんはおばさんと一緒に食べようと思って、
隠しておいたお菓子を大放出することに決めたのでした。

ピクニックに行くようなルンルン気分でしばらく歩いていくと
向こうから誰かが歩いてきました。
400 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時42分35秒
「こんにちは」
ニッコリと笑った顔がとてもステキでした。
ピンクずきんちゃんもニッコリ笑って挨拶をしました。
「こんにちは、あなたは誰?」
「オレかい?オレはよっすぃーさ!」
フフンと得意そうに笑います。

なっちママが言っていたよっすぃーとはこれか、と思いましたが、
なんてことはなさそうだと少し安心しました。

「君はピンクずきんちゃんだね?」
「あら、どうして知っているの?」
「なぜって君はピンクのずきんをかぶっているじゃあないか」
「ああ、そうだったわね!!」
あっはっはと二人は声をあわせて笑いました。
401 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時44分07秒
「ところで君どこへ行くの?」
よっすぃーが尋ねます。
「わたしはこれからおばさんのお見舞いに行くのよ」
「それはえらいね!ここから遠いのかい?」
「いいえ、ここをまっすぐ行ったらじきに見えてくる赤い屋根の家なのよ」
「そうか、じゃあお見舞いに花でも摘んで持っていってあげたらどうだい?
この道をほんの少しはずれて歩いたところに大きな花畑があるんだ」
「それはいい考えだわ。教えてくれてありがとう」
ぺこりとお辞儀をして歩き出そうとしたその時、
「ちょ〜っと待った!!」
よっすぃーがピンクずきんちゃんを引き止めます。

「その…おばさんとやらは美人かい?カワイイ系かい?」
「う〜ん…美人系かな?でもなんでそんなこと聞くの?」
「いや、なんでもないんだよハッハッハ〜!さぁ、花を摘みに行きなよ!」

そして首を傾げながらもピンクずきんちゃんは花畑の方へと歩いていきました。
402 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時45分39秒
それを見送ったよっすぃーはニヤリと笑いました。
「ふっふっふ…なかなかカワイイ子だったな〜☆
おばさんも美人系とか…歳はとってるとしても前菜くらいにはなりそうだ!!」
よっすぃーはおばさんとやらもピンクずきんちゃんも
両方いただいてしまおうと考えたのです。
ピンクずきんちゃんが花に夢中な間に
まずはおばさんのところへ向かうことにしました。
403 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時49分36秒
よっすぃーはピンクずきんちゃんのおばさんの家にやってきました。
「赤い屋根…間違いないな」
表札には『カオリ』と書いてあります。
「カオリっていうのか、チェックチェック」


トントン、とドアをたたくと中からはーいと声がします。
「梨華ちゃん来たの?」
ドアから顔を出したのは流れるような長い髪をもつ女性でした。

(おおっっ!!)
よっすぃーは目を見張りました。

長身に整ったスタイル、醸し出す妖艶な大人の色気、
すいこまれそうな深みをたたえた瞳。
思いの外『おばさん』はものすごく魅力的だったのです。

(こりゃあいい女だ!!よっすぃー様のテクでとことんやってやるぜぇ〜)
体がどんどんアツく燃えてくるのを感じました。
404 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時50分42秒
「こんにちは」
よっすぃーは努めてクールに挨拶をします。
「なんだ梨華ちゃんじゃないのか、あなた誰?何の用?」
「いえ、その梨華ちゃんとやらに伝言を頼まれた者なんですが」
「それはそれは、まぁ中へどうぞ」
簡単に招き入れてくれたカオリに少々驚きましたが、
心の中でニヤリと悪魔の笑みがこぼれます。
405 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時51分59秒
よっすぃーは部屋の中に入り、さりげなく辺りを見回しました。
一人で暮らす分には十分な広さの部屋には
小さなキッチンに小さな丸いテーブルと椅子。
そのすぐそばにはいい具合にベッドが置いてありました。

よっすぃーはカオリに促されて椅子に腰掛けました。
「病気じゃなかったんですか?」
お茶の用意をしているカオリに声をかけます。
「いや〜電波復活してきたみたいで、もうだいじょぶなんだよね〜。
ところで伝言というのは?」
よっすぃーの前に紅茶の入ったカップを置きながら尋ねました。
406 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時53分25秒
「実は…伝言というのは嘘なんです」
「えっっ…?」
カオリは少し訝しげな表情をしました。

よっすぃーはゆっくり立ち上がり、
カオリの前に対峙するとその肩に手をかけました。


「ちょ、ちょっと何………」



「いっただっきま〜〜〜す!!!!」
407 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時55分31秒
「ああ、たくさんのきれいな花を摘めたわ!よっすぃーに感謝しなくちゃね!
なっちママの言うような怖いことなんて何もなかったし〜」
花束を持って歩いていくと、おばさんの家が見えてきました。
「おばさんはきっと喜んでくれるに違いないわ!!楽しみ〜☆」


ドアの前まで来てノックをしようとした時、
ピンクずきんちゃんは家の中から聞こえる声に気付きました。
「???誰か来てるのかしら…」
ドアに耳をつけて、その声を注意深く聞いてみました。



『あっ………ん…ん………もっと、……ほら、まだ足りないってばぁっ!!……』


『……はぁっはぁっはぁっ……う…ん……ちょ、ちょっと……』
408 名前:ピンクずきんちゃん 投稿日:2003年04月03日(木)01時59分51秒
「!!!!!!!!!!!!!!」

ピンクずきんちゃんは目をまんまるにして驚きました。
そして勢いよく、思いっきりドアを蹴破りました。


「昼間っから何してんのよおおおおおおおおっっっ!!!!!」



ピンクずきんちゃんが見たのはぐったりとして動けないでいるよっすぃーと
ケロリとした顔のカオリおばさんがベッドの上にいる光景でした。

「あっ、梨華ちゃんじゃない」
情事の最中に踏み込まれたというのに、
カオリおばさんはさして問題なさそうに答えます。

「なんなんだよチックショ〜〜!!!!
このよっすぃー様が先にダウンしちまうなんて………
なんて女だカオリーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

最後に思いっきり叫ぶとよっすぃーは力尽きました。



ピンクずきんちゃんは唖然として、
いつまでもいつまでもその場に立ち尽くしていました。



めでたしめでたし?
409 名前:桜流 投稿日:2003年04月03日(木)02時02分24秒
…………何なんですかね、これは…。
書いた本人が言うのもなんですが、何なんですかね、これは………。
いろいろ、ねぇ?なんていうか………スマソ。
410 名前:和尚 投稿日:2003年04月06日(日)13時16分50秒
お久しぶりでございます。

『いしよし』かと思ったら『吉飯』・・・いや『飯吉』か?
なにはともあれ、飯田さんタフですねぇ(笑)
さすがのよっすぃーもダウンしますわ(爆笑)

一番笑ったのはやはり『( ゜皿 ゜)<………?』でしょう!!
411 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)02時56分41秒
消すだけなら簡単だ、そんなことはわかってる。
『削除』を押せばいいだけだ。

電源を切ってしまえば、何も受け付けないで終わる。
解約してしまえば、そして番号もアドレスも誰にも知らせなければ、
いよいよ誰とも繋がらずに済む。



だけど、あたしはそんなんじゃつまらないなんて、思ってる。



誰かに向けた『復讐』なんてものでもない。
あえて言うならば、あたしを捨てた彼女にこの話をしたらどんな顔をするだろうって
想像すると楽しい。


ただの自己満足にすぎないものだよ、うん。
412 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)02時59分15秒
「ひとみ、どこへ行くの?」

「ちょっと、本屋まで」

靴を履きながら、あたしはお母さんの顔を振り返ることなく答えて外へ出た。




自宅から徒歩で3分ほどのところに小さな公園がある。
滑り台に狭い砂場、ブランコがふたつ。
鮮やかなピンク色のベンチがふたつ。
そして背の高い木がいくつか生えている。

夜の八時、この公園に唯一ある街灯はほの暗い明かりを時折り点滅させながら、
あたりを照らしていた。



あたしは片手に赤いスコップを持ってここへやってきた。
辺りには誰もいない。
413 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時00分24秒
昼間ならいつも子ども達の声が響き渡っているこの空間は
夜にもなるとまったくの別物だった。
この公園だけをぐるりと切り取って誰もいない世界に持って来たかのように思える。


湿気を含んだ重い空気が体中にまとわりつく。
ほんの少し汗ばむ額に張り付いた髪の毛をあらっぽくかきあげた。

薄気味悪さにためらいもせず、あたしは公園に入る。
そしてまっすぐに木の下へと歩みを進めた。
414 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時01分35秒
木の幹にそっと手を触れるとほんのすこし冷たかった。

ぐっと顔をあげると、あたしの上に空は見えず、黒い葉に覆い隠されていた。
そう強くはない風がそれを揺らしている。


ザワリ、ザワリ、と小気味よい音。

あたしはふっと笑った。
415 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時04分07秒
その場にゆっくりとしゃがみこむと、
あたしは手にしているスコップで木の根元を掘り始めた。
土は柔らかく、苦労することなくザクザク掘り進むことができる。

たまに出てくる小石はわざわざ遠くへ投げ捨てた。
それらはときどきブランコやすべり台に当たり、キィィィンと金属音が響かせる。
なんと爽快な音だろう。



しばらく掘りつづけると、あたしの手の平くらいの大きさと、
こぶしがすっかりと入るほどの深さまでの穴ができた。

「これでいいかな・・・」

誰に言うともなく呟いた。



風がザワリ、と、あたしの言葉に頷いたようだった。
416 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時07分27秒





「ねえ、よっすぃー。あたしがいなくても、もう一人で歩いていかなきゃだめだよ」



突然の彼女の言葉、その意味をあたしは即座に理解した。

だけど、心がすぐにそれを受け入れてくれるはずはなかった。

「梨華ちゃん、嫌だよ。あたしは、梨華ちゃんがいてくれなきゃ嫌だ。
好きなんだよ、ずっと、梨華ちゃんとじゃなきゃ生きていけない…」


彼女にすがって、あたしは思いっきり泣きじゃくった。



あたしの頭をそっと撫でながら、彼女はずっと『泣かないで』と言っていた。
417 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時09分43秒
彼女が去ってから後、あたしのケータイが震えた。
そこには梨華ちゃんからのメールが入っていた。



『よっすぃーへ。
もう、だめなんだよ。あたしたちは今までずっと一緒にいて
…恋人みたいにいろんなことしてきたよね。
本当に幸せだったよ、ウソじゃない。

でも、あたしはもうそれができなくなっちゃった。

よっすぃーのことは好きだよ。でも、あたしは、現実が怖くなっちゃった』




梨華ちゃんが言ってることはあたしにだってよくわかってる。

あたしも梨華ちゃんも女だってこと。

それがきっと、簡単じゃないってことも、好きだけじゃだめなんだってことも。




誰よりあたしが知ってる……!
418 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時11分41秒
あたしは返信をしなかった。
だけどほどなく次のメール来たことをケータイが知らせてくる。


こみ上げる吐き気と溢れ出す涙を懸命に喉の奥へ押しやりながら、
ふたつ折りになったそれをパチリと開いた。



『あたしね、彼氏ができたんだ…。
まだ始まったばかりだけど、誰よりよっすぃーに応援してほしいし、
見守っていてほしいの』



………聞かなくてもわかってた。なんとなくそう思った。




『梨華ちゃんへ。
あたしは、誰より一番梨華ちゃんを愛してる。
だから、梨華ちゃんの幸せを願うよ』



送信。
419 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時13分11秒

『幸せを願う』だってさ。



バカじゃねえの??



ウソばっかりだよ。





「ハッ…ハハハハハハッッ!!!!」





あたしは大きな声で笑いながら、泣いた。
420 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時14分44秒
…………ケータイに残るのは彼女からの着信履歴。


数々の愛の言葉がこめられたメール。
しかもあたしは誤ってそれ消してしまわないようにご丁寧に保護までかけていた。
今となっては皮肉なものだけれど。


そして彼女が入れた留守電のメッセージ。


ケータイのカメラで撮ったあたしと彼女の写真。たくさん。


着メロは彼女が好きだった歌ばかり。


電池の蓋の裏には一緒に撮ったプリクラ。


力なく揺れている、彼女がくれたアンパンマンのストラップ。
421 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時18分14秒
それらをどうすることもなく、あたしは日々を過ごした。
その間に梨華ちゃんからはメールや着信がいくつかあったけれど、
あたしはそれに冷静に応対した。



梨華ちゃんから送られるメールはどれもあたしにとって痛いものばかりだった。
彼女は平気であたしに彼氏とのノロケ話を聞かせてくる。
まったく、神経を疑ってやまない。


それでも時にはあたしにすまないという気持ちや、
過去を振り返ってのさまざまな感情についての
メールを送ってくることもしばしばであったが、
あたしはもうどうでもよかった。
あれほど愛していた梨華ちゃんに対する今現在の気持ちに名を付ける術も
あたしにはもうないと思った。




……ただ、過去の幸せも、現在増え続ける痛みすらも、
すべてを所有しているあたしのこの黒い携帯電話を
どうしてくれよう、どうしてくれようと常に思うようになってしまった。
422 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時21分14秒




そしてあたしは今ここにいる。



出来上がって穴を見つめて、あたしはズボンのポケットから携帯電話を取り出した。

と、知らない間にメールが来ているのに気付いた。


送り主は梨華ちゃんだった。


あたしは自嘲の笑みを浮かべた。
そして、そのメールを見ないことにした。




あたしは穴の中に携帯電話をそっと横たえた。

まるであつらえたように美しくおさまったその様を見て、
あたしはとてもうれしくなった。



「バイバイ」



穴の横に積み上げられていた土の山を手の平で崩す。

バサバサと、穴の中は土で埋まっていった。




電話ももう見えなくなった。
423 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時23分28秒
すっかり穴を埋めた後、スコップの背でタンタンと叩く。


「よしっ」


汚れたこぶしで顔の汗をぐっと拭った。

きっと顔に泥がついたに違いない。
けれど、今のあたしの心には大きな達成感と満足感で満ち溢れていたから
そんなことは気にならなかった。



立ち上がり、そして一度背伸びをすると
あたしは埋めた場所を見据えたまま後ろ向きに歩いた。

顔をぐっと上げると、空には星がいくつか見えていた。

あたしは小さないたずらを仕掛けてそれに引っかかる人が現れるのを
影から見張っている子どものようにウキウキしていた。


くるりと公園の出口の方へ体を向けて歩きながら、
何度も何度も振り返っては埋めた場所を見た。
424 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時24分56秒
家に帰ってから泥まみれなあたしを見て家族は呆れていたけれど、
そんなことはどうでもよかった。

食事中もニヤニヤしているあたしにいいことでもあったのかと問うてきたが
答えることはしなかった。



これはあたしだけの秘密であるし、きっとわかってくれるはずもないだろうから。
425 名前:携帯電話 投稿日:2003年07月15日(火)03時33分35秒
夜ベッドに入ってからも、ずっと今日のことを思い浮かべていた。



……あの土の下であたしの携帯電話は誰に知られることもなく、

今も震えているのかもしれない。

誰の目に届くこともない光を発しているのかもしれない。

そしてあの機械はいつまでも土には還らずに、

ただその身を冷たい土に委ねているのだろうか。

だけど、今まであいつが持っていたものはすべて、

地面が吸い取ってくれるに違いないんだ……!!



ああ、楽しくて、気が狂いそうだ。




その日あたしはとても安らかな眠りについたのだった。


終わり。
426 名前:桜流 投稿日:2003年07月15日(火)03時40分12秒
スレッドの容量増えたんですね、本当に久しぶりにここへ来たので…知りませんでした。
文字が飛んでたり意味がわからない(いつものこと)部分が多くて、何やってんだ
自分!!てなもんですが(^^;)
読んでくださる方がいたらうれしいです。
てか、自分も小説読みたくて2たまんないのに!!夏休みにまとめて読めたらいいなぁと
思います☆

>和尚さま
ピンクずきんちゃん読んでくださってありがとうございます☆
しばらく書くことも読むこともしていないワタクシのことなど忘れておられるかも
しれませんね・・・
レスもこんなに遅くなってしまったし…本当に申しわけないです(T▽T)
427 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年07月16日(水)18時28分19秒
よっすぃ〜・・・黒っっっっ!!!!
でも何か寂しげで、切なかったです。。。
復活、おめでとうございます^^
今後とも作品を楽しみにしています!
頑張ってくださいませ♪
428 名前:和尚 投稿日:2003年07月17日(木)21時26分27秒
ども、お久しぶりでございます!!
忘れてませんよ、ええ忘れませんとも!!

よしざーさんの気持ち何となく判るような気がします。
シチュエーションは違いますが、自分もやるだろうなと思い共感しながら読みました。
429 名前:桜流 投稿日:2003年08月09日(土)00時42分37秒
>ヒトシズクさま
読んでくださってありがとうございます☆
書きたいものができたときにはマターリとですが書きたいと思いますので、
見てやってください(^^)

>和尚さま
覚えていていただけて感激です☆
黒よっすぃーの気持ち、わかっていただけますか(^^)
作者自身がやってしまいたいと思う気持ちをぶつけてみたようなものなのですよ☆


8月8日は飯田さんの誕生日でしたね☆リーダーおめ!!
ていうかもう過ぎてるし!!
でも誕生日に絡めての話をたった今考えたので…遅ればせながら書きたいと思います。
430 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時45分52秒
風呂を出て時計を確認すると、すでに22時をまわっていた。

体にバスローブをまとい、長い髪を丁寧にタオルで拭きながらソファに腰掛ける。


「もうすぐ…本当に、くるんだろうか…」
ぽつりと独り言を呟くと携帯電話を手にとり、夕方頃届いたメールを開いて見直す。


『今日の夜23時、プレゼントはそちらへ向かいます』


そんなバカな。

まさかあの子は本気にしたのだろうか。

あたしの望んだプレゼントがここに来ることをあの子が許すはずはないのに。



ここまで否定しながらも、あたしの胸は否応なしに高鳴っていた。

一度でいい。

叶えてくれるのなら、それに甘えようじゃないか。
431 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時47分47秒
8月7日、15時。


「飯田さん!!」

あたしの後ろからかけられた声はとてもよく聞きなれた明るく、特徴ある女の子の声。


「石川ぁ」


あたしよりも大分背の低い彼女をほんの少し見下ろす。

「どしたの、何か用かい??」

彼女はニコニコしながらあたしに問うてきた。

「飯田さんは何がほしいですかぁ?」
432 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時48分44秒
彼女がそんな質問をするワケはすぐにわかった。


明日は8月8日。
あたしの誕生日だ。


「飯田さんがほしいものをあげたいんです」

うれしいこと言ってくれるものだ。

「う〜ん…ほしいものかぁ…」


「あたしがんばってかなえちゃいますよ?」
やけにはりきっている石川。
433 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時50分00秒
あたしはいろんなものを考えた末に、ほんの少しのイタズラ心で
このかわいいメンバーを困らせてみることを思いついた。


「あたしがほしいのはね…」
石川の目をまっすぐに見つめる。

「飯田さんのほしいものは…?」
真剣な顔をしてあたしの言葉を待つ。



「よっすぃーがほしい」


瞬間、石川は目をまんまるくした。


「吉澤をちょうだいよ」

あたしは表情を努めて真剣なままにし、心の中で大爆笑していた。
驚いたような困ったような表情のまま固まってしまった石川の顔が、おもしろい。

意外にも、石川はそのまま考え込んでいた。

すぐに『よっすぃーは誰にも渡せませんよぉ〜』って言うと思ったのに。



まさか、本当に…くれるのか…?
434 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時52分35秒
「なっ、な〜〜んてね!!!冗談に決まってるっしょ!!
石川の愛しいあの人を奪おうなんて思うワケないし!!」



そう言ってはみたものの、ほしいと思うのは本当だった。


あの子、吉澤が娘。に入ってきたときから惹かれていたのは事実。

容姿のキレイさもさることながら、
それをあっさりとくつがえすようなキャラクターにも心を揺さぶられる。
サバサバとあっさりしているという印象、
その実周りに対してよく心をまわし、繊細で優しくて、安心感を与える包容力を持っている。



その吉澤が特別優しい目を向けているのは、石川。
誰にでも優しいのはわかるけれど、石川には、違う。

石川に触れる吉澤の手や、その視線、かける言葉のひとつひとつには、
あたしに向けられるものにはない意味がこめられているんだ。
435 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時55分39秒
そんなことを考え始めてしまうと、あの二人の関係や…
つまり、その関係ならきっとこうなるのであろうという
その行為を想像せずにはいられなくなってしまう。



そのような無粋な想像と吉澤に愛されたいと願う気持ちが、
何度も吉澤との行為に溺れる自分自身を想起させていた。


あたしには吉澤との真実はない。
ただあたしの中で思い描かれるだけのものでしかないのだ。


だけど石川は吉澤と深い絆を持っている。
石川は吉澤の愛を一身に受け、そして愛し返すことができる。



どれほど妬ましいと思っただろう………。
436 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時56分35秒
「飯田さん…飯田さん…!!」


石川の声にハッと我に返った。


「交信してたんでしょう」
石川は困った顔で笑っていた。


「石川……」

「飯田さん、あたし、少し考えてみますから」

石川はそういい残すと向こうへ行ってしまった。
ほんの少し、不敵な笑みを見せたのは気のせいだろうか。
437 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時57分39秒
そして夕方頃、一通のメールが届いた。

石川からだった。


『今日の夜23時、プレゼントはそちらへ向かいます』
438 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)00時58分57秒
約束の時間はもうすぐやってくる。

誕生日を迎えるその時をたとえ一夜ではあっても、
吉澤と過ごせるかもしれないということが
あたしにとっては充分すぎるほどのプレゼントだ。

後でむなしさを感じるだろうか。


だけど、それでも、あたしは吉澤がほしいと思った。
439 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時00分05秒
そして、23時。


ピンポーン。


インターホンの音に心臓がドクンと反応した。


吉澤が来たのだろうか。


マンションの玄関前を映し出した画面を見てみると


……そこには石川がいた。
440 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時00分49秒
吉澤じゃない……?


あたしはひどく狼狽した。
そして期待がいっきにしぼんでしまうのを感じた。


ともあれこのまま無視をするわけにもいかない。
何も言わず扉を開くと、石川はそちらへ入っていった。


しばらくしてあたしの部屋へとたどり着く。
441 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時01分45秒
部屋へと招き入れると石川はソファへすっと腰掛けた。
あたしもその隣に座る。


「石川、どういうこと?プレゼントはあんた?」
冗談めかした口調で問いかける。

「飯田さん…飯田さんはよっすぃーがほしいって言いましたよね」

「言ったけど、冗談に決まってるじゃんか」

ふっ、と石川が笑った。

その表情は笑っていても、笑っていない。

「あたしは、飯田さんが冗談でそう言ったんじゃないってわかってるんですよ?」



……心臓が跳ね上がった。

あたしの吉澤への思いはすべて見透かされているというのか…!!


強張ったあたしの顔を一瞥し、石川はなおも続ける。

「飯田さんがよっすぃーを見るその目を見ていればわからないわけなんてないです。
だけどまさか、本当によっすぃーをあげるなんて思ってなかったでしょうね?」



ああ、思っていただけに苦しい。
442 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時02分46秒
「ふふっ、ちょっとは期待していたんですね、カワイイ」
楽しそうに笑っている石川が怖くて怖くてしかたない。


背中を汗がつたい、それがバスローブに染み込むその瞬間が鋭く感じられる。

キモチガワルイ。
443 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時03分38秒
「飯田さんがよっすぃーをほしがったってダメですよ?
よっすぃーはあたしのものですもん」


すると石川は立ち上がり、あたしを見下ろして言う。

「だけど、夢見させてあげてもいいですよ?」

「はぁ?何言ってんの…?」


石川の考えがまったくわからない。
訝しげに見上げると、石川はゆっくりとあたしに重なってきた。
444 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時04分33秒
「ちょっ……何するつもり……」


「あたしはよっすぃーじゃないけど、
よっすぃーがどんなふうに愛するのかはこの体がすべて知ってる」

そうしてあたしの耳元にそっとキスする。


「んっ」

不覚にも、感じずにはいられない。


「よっすぃーはいつもこうして耳元にキスしてくれて…そして唇にくれるんですよ…」

石川があたしの唇に強く口づける。



「始まりの合図みたいなものですかね………」
445 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時05分39秒
吉澤はいつもこんなふうに石川に……。


バスローブの前をそっと開いて入り込んでくる石川の触感。


その行為になすがままに、あたしは目を閉じて吉澤の顔を思い浮かべる。


「ふっ、…ああ………ん…」


声を出さずにはいられなかった。

吉澤を想像するだけで恐ろしいほどに体中が熱くなるのがわかる。



今あたしに触れているのは石川ではなく、吉澤だ。
446 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時07分14秒
狭いソファの上で熱く触れ合う体。


押し付けられる唇、触れる指先。

顔にかかる髪の香り、発せられる汗の香りですらも、
あたしの中ではすべてが吉澤のものに感じられる。

あたしは目を閉じたままで、それらに支配されきっていた。
447 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時08分57秒
何度も堕ちていきそうになるたびに、
吉澤の背にまわした腕にぎゅっと力がこもってしまう。

すると吉澤はふっと優しい笑いを漏らして、唇にキスしてくれる。


こちらから吉澤の感じる部分に触れたときには、はあっとひとつ大きく息を吐く。
その表情はあたしが幾度となく想像していた、
困ったような、快感を示すような、そんなかわいい顔なんだ。



そしてあたしの中に入ってくるのは、吉澤の細くて長いきれいな指。

吉澤を求めて止まないそれは、すんなりと吉澤を受け入れた。


「あっ、…うん…よしざわぁ………」



あたしの中を動く吉澤。

あたしのすべてを支配している吉澤。

今、あたしを愛している吉澤……。



……………………。
448 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時15分09秒
目が覚めたときには真夜中で、あたしの他には誰もいなかった。



あたしは『吉澤との行為』以外に何も考えることができなかった。

もしあたしが正気ならば、
石川があたしに知らしめたかった優越感、
つまりあたしはどこまでいっても『持たざる者』であることを改めて悔やみ、恨み、
嘆き続けていたのであろうけれど。


吉澤の手、唇、匂い、重み………そして心ですら、
あのときはあたしだけのものだったのだと




思ってしまう自分が、怖い。
449 名前:プレゼント 投稿日:2003年08月09日(土)01時15分59秒

end
450 名前:桜流 投稿日:2003年08月09日(土)01時21分20秒
基本いしよしと言えばいしよしですが(^^;)
精神的に吉飯、実質石飯?なんていえばいいんですか、かおりかですか?
それにしても、誕生日を祝ったものとしては実にふさわしくないですね。。。
でも、リーダーのますますの活躍を願う者のひとりとして、
心からお祝い申し上げておる次第でアリマスですよ。
きっとステキな誕生日を迎えたであろうことと思います。
飯田さん、おめでした!!
451 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月10日(日)22時46分08秒
一度に3つのCPが楽しめて最高でした。
桜流さんの書く吉飯もっと読みたいです。
またお願いします。
452 名前:桜流 投稿日:2004/01/12(月) 16:05
>名無しさんさま
レス遅すぎ!なわけですが…読んで下さってありがとうございます☆
飯田さんのどこかむくわれなさが自分は好きだったりします。
また書けるといいなと思っております。

本当に久しぶりになるのですが、短編をおひとつ。。。
453 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:06


大好きな人と過ごす時間は
どうしてこんなにも早く経ってしまうものなのだろうか。

454 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:07
夢中になって愛し合っていた長くて短いような時間から
一気に現実世界へと引き戻すカウントダウンの始まり。
彼女の部屋にある小さな丸い置時計がそれを示し始めると
あたしはいつもため息をついてしまう。
「もう23時(じゅういちじ)か…」
彼女に覆いかぶさっていた体を少し離し上体をそらし、
顔にかかっていた髪を乱暴にかきあげた。
455 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:09


地元の大学に入学し、迎えた初めての冬。
それは彼女と過ごす初めての冬でもあった。

あたしよりもひとつ年上の彼女とは、バイト先で知り合った。
地元は県外で、大学はあたしと同じではないけれど、
あたしの家と彼女がひとり暮らしをしているこのアパートは
原付でめちゃめちゃとばして10分かからない距離にある。
あたしは時間を見つけては彼女の家へと足を運び、
門限である『0時』まで愛を確かめ合うことにしていた。
456 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:10
迫りつつある時間に苦い顔をしているあたしを見て、
荒い息を整えながら彼女は優しい声で言った。
「まだ一時間近くあるでしょ…?」

華奢な肩から伸びる腕。
あたしとは対照的な、少し黒い肌。
ピンクのマニキュアが薄闇で輝く細い指であたしの頬に軽く触れた。

こんなときだけポジティブでいられる彼女は、
本当にあたしを思ってくれているんだと改めて感じさせる。
いつもはいろんなことを余計に考えすぎてネガティブになっちゃうくせに。
あたしが悲しそうにしていれば、
彼女は誰よりも強くあたしを支えようとしてくれる。
457 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:13
彼女を愛する思いはあたしの中にどんどんと溢れだし、止むことはない。
胸のずっと奥の方がジワリと熱くなり、こみあげてくる。
言葉にはせずに、あたしはゆっくりと彼女に顔をよせ、深くキスをした。
ほんの少し開かれた唇から舌を入れ、彼女からも伸ばされたそれに絡めた。
彼女の熱さとあたしの熱さは心地よく溶け合う。
夢中になり始めると行為はどんどんと激しくなり、
あたしは彼女の中へもっと入りたいという欲望に駆られていく。
そこでグッと、今まで以上に深く舌を押しやると、
彼女は「んんっ…」と艶やかな声と「はっ…」という切ないため息を漏らす。

それがとてもとても好きだ。
458 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:14
惜しむように絡めた舌を離しながら顔を離すと、
潤んだ目で微笑んであたしを見つめてくれた。

「梨華ちゃん…かわいい」
そして首筋にひとつキスを落とす。

「かわいくなんてないもん、よっすぃーのほうが、かわいい」
梨華ちゃんがむきだしになっているあたしの背中をそっと撫でる。

梨華ちゃんは何かにつけあたしをかわいいかわいいと言うけれど、
梨華ちゃんの方がよっぽどかわいいのに。
それをどれだけ伝えても彼女は決して認めはしないから、
決着はきっと着くことがないだろう。

だけどやっぱりかわいいよ、梨華ちゃん。
459 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:18
ふと少し現実を取り戻すと、あたしの目はやはり時計へといってしまう。
さっき見たときからもう20分経ってしまっていた。
「おかしいよ、なんでこんなに時間が早く過ぎちゃうんだ…梨華ちゃんといるといつもそうだ。
知らない間に時計を進めてるんだろっ!」
子どものようなことを言って責めると梨華ちゃんは真面目な顔で、
そんなことしてないよと言った。
そりゃあわかってるけどね。
460 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:19
「もう帰る?」
梨華ちゃんはあたしの門限のことをいつもちゃんと気にしてくれている。
実家暮らしのあたしだけれど、両親が特別厳しいというわけではない。
しかし0時には家に帰ってきなさいと前々から言われてはいた。
だからといってそれを完璧に守ったことはかつてない。
10分15分大したことはないだろうと、いつも門限を過ぎて帰ることをしていた。
きっといつかは親から何か言われるに違いないだろうけど、梨華ちゃんと離れたくない、少しでも長く一緒にいたいと思う気持ちにはかなわない。
かといって無断外泊なんて無茶なことをできないのもまた事実で…。

「…たまには門限までに帰っておかないと、だめかなぁとは思ってるんだけど…ね。
いつもいつも過ぎてるんじゃ、門限どうこうの前に外出禁止!
なんてことになったらもっときついし。
だから、今日はもう帰るよ」

無理に笑顔を作って、梨華ちゃんの髪を指で梳いた。

梨華ちゃんはじっとこちらを見つめていた。何かを言いたげな目をしている。
あたしはわからないフリをして、ん?とおどけて見せた。
461 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:20
「帰るんだ…じゃあ仕度しないとね」
そう言いながら明らかに、あたしも梨華ちゃんも動き出そうとはしなかった。
帰りたい、帰ればいいとお互い思っているはずもないのはよくわかっていた。

「帰るよ」
そう言ってあたしは梨華ちゃんにキスした。
最初は軽く。
そうなると我慢する気持ちは消え失せ、長く深くなる。
そして次第に激しく求め合った。
あたしが少し顔を離しても、梨華ちゃんがすかさず顔を持ち上げ
あたしの唇を奪うと、求め合いはまた始まる。それの繰り返しだ。
どうしてこんなにも飽きないものだろうか。
どれだけキスしてもまだまだ足りない。
満たされたと思うのは、触れているその時だけ。
少しでも二人の間に空間が出来てしまえばそれだけですぐに
満たされないものを感じ、いくらでも求め合ってしまう。


離れられない。

462 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:22
梨華ちゃんの唇に唇を重ねた状態で
「帰るよ」
とはっきりしない言葉で言った。

唇を離すことはなく
「うん」
と梨華ちゃんは言った。

そして舌と舌を絡め、お互いを余すところなく味わおうと必死に口中を弄りあう。
漏れるため息と声に欲情し、あたしの手は梨華ちゃんの体中を弄る。

唇を離すとあたしはまた「帰るよ」と言った。
そしてすぐ胸の突起にむしゃぶりついた。

梨華ちゃんは「うん」と言おうとはしたんだろうけど、
言葉にはならない喘ぎを見せただけで。

「声…我慢できないよう…」
恥ずかしそうに顔を横に向け、それでも快感に耐えられず漏れてしまうため息、声。


感じる部分に触れると、素直に反応する体。
艶かしいライン。
時に所在無く彷徨う手が、シーツを掴もうと震える。

「もっとほしい」と耳元で囁くと、「全部あげる」と迷いなく応える。

愛する人。

この世の何よりも美しいと思う。
463 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:23
「帰るよ」
「…うん」
「…帰るよ」
「ん…」

キスをして、抱きしめて、触れて、感じて、
言葉にならない言葉を発し、もっと欲しいと訴えている目を見て。


「帰るよ」


何度も何度もキスをし合った。
464 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:25
「…帰るよ」
「さっきからそればっかり。何度言ったかなぁ」
抱きしめた腕の中でフフッと楽しそうに笑う。

「ほんと、何回言ったかな…全然帰ろうともしないし、梨華ちゃんも帰そうとしないし」
「だって帰したくないんだもん」

ストレートな言葉にものすごく感動してしまったあたしは抱きしめる腕に力をこめた。

「あたしだって、帰りたいなんて思うわけないから」
「じゃあ帰らなきゃいいじゃん!」
キラキラした目でまっすぐにこちらを見る。
「それができれば…」
「苦労はない、よね。ごめん」
「謝るなって。……今何時だ…?」
いつものように置時計を見ると、時間は門限5分前。

「やっべーー!!着替えないと!!」
やっぱり門限に帰るなんてムリだな…なんてわかりきってたけどっ!

梨華ちゃんはちらばった服を探し集め自分も身につけていきながら、
ごそごそもたもたしているあたしを手伝ってくれた。
465 名前:門限 投稿日:2004/01/12(月) 16:26
「じゃあ、ほんと帰るからっ」
玄関で靴を履き、見送りモードの梨華ちゃんに向き直った。
「寒いし、気をつけてね。」
「うん、じゃあ、また」
なんて、言葉だけで終わるはずはない。
あたしはじっと梨華ちゃんを見つめた。
梨華ちゃんもあたしをじっと見つめる。

どちらからともなく顔を寄せ合い、そこでまたキス。
一回だけでは終わらない。浅く、深く、何度も。


「…余計帰りたくなくなるよね」



そして門限が守られる日はこれからも来そうにないという
確信を深めていくのだった。

〜END〜
466 名前:桜流 投稿日:2004/01/12(月) 16:29
とても短いものですが、終わりです。。。
ミスなど多いかもしれません、申しわけないです。。
467 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/12(月) 18:28
キャ〜〜!こういう甘甘いしよし大好きです(*´Д`)ポワワ 
もう、一緒に暮らしてしまえーー!
短編で終わっちゃうのがもったいないなんて思っちゃいました。
468 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/12(月) 19:21
サイコウです。マジで。
469 名前:桜流 投稿日:2004/02/23(月) 02:47
>467 名無し読者さま
読んでくださってありがとうございます!
甘いいしよしは自分もとても大好きです。いつもラブラブであってほしいワケです☆

>468名無飼育さんさま
お褒めの言葉光栄です!うれしい限りです…!

超短編を書かせていただきます。。。
470 名前:君と生きていくことを決めた日 投稿日:2004/02/23(月) 02:48

「結婚してください」


まっすぐにわたしをみつめる瞳と真剣な面持ち。
彼女の手からわたしの手へと伝わる柔らかな体温。
嘘偽りないわたしへの永遠の愛。
困難へ立ち向かわんとする強い意志。


「一生梨華ちゃんと一緒にいたい」
471 名前:君と生きていくことを決めた日 投稿日:2004/02/23(月) 02:51
『誰がわたしたちを祝福してくれるんだろう。認めてくれるんだろう』

よっすぃーへの愛情が世間体に負けてしまう、そんな自分が嫌だった。
よっすぃーが好き、ずっと離れたくないと願いながら
どこかでそれが叶わないことを知っていた。

離さないで、そばにいてと叫びながら、
心のどこかでわたしを捨てていく彼女を想像しては
いつかくるであろうその時を覚悟していた。



けれどよっすぃーはわたしの想像などすべて飛び越え、
そして塗り替えていく。

離れたくないこと、ずっとそばにいてくれること。
わたしはずっとよっすぃーを好きでいていいということ。


すべてを認め、他の誰からの祝福も叶わないほどの喜びをくれるのは
よっすぃー以外にいないと、はっきりと感じた。
472 名前:君と生きていくことを決めた日 投稿日:2004/02/23(月) 02:52

溢れ続ける涙を拭うこともせずに、わたしは一言「うん」と言った。


よっすぃーは「ありがとう」と笑って言った。
473 名前:桜流 投稿日:2004/02/23(月) 02:54
終わりです。。。短いです。。。
これに絡めて何かまた書ければよいなと思っています。。。
474 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/23(月) 22:20
こんなお話待ってました!
是非続編を・・・!!
475 名前:桜流 投稿日:2004/02/27(金) 01:07
>474 名無し読者さま
とても短いものでしたけれど、レスをありがとうございます。
望んでくださることが光栄です。
続編とはいかないのですが、書かせていただきます。
読んでいただければ幸いです。
476 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:10
闇の中であってもわかる彼女の切なさと快感に満ちた表情。
のぼりつめた後はいっきに体中の力が抜けていくのがわかる。
自らの体を両腕で支え彼女に覆いかぶさった状態で、
はぁはぁと荒い息を吐いているお互いの存在をぼんやりと感じている。
少しうつろなあたしの目と彼女の目が合うと、
汗にまみれた背中にためらいなく腕をまわしぎゅっと引き寄せようとする。

「汗だくだから触らない方がいいよ…」
首筋に顔をうずめてそっとつぶやく。
「今更だよ…」
細い指で背中をするりとなでられる。
そしてその手の平にぎゅっと力がこめられるのを感じ取ると、彼女は決まってこう言う。

「離れたくないの」

梨華ちゃんの持つ独特の甘い声がそう囁く瞬間があたしはとても好きで。
同時にあたしという存在がどれだけ彼女を愛しているか、
どれだけ彼女を欲しているかを強く感じさせられる。
あたしと梨華ちゃんがひとつになってしまえればいいと思うほどにお互いの隙間を埋めあい、
深く深くキスをした。
477 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:11

あたしたちは2人の未来をよく空想しては笑い合っていた。
「ずっと一緒にいたいね」
その言葉が空想の扉を開く。

478 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:12
「結婚したらね、あたしのことをよっすぃーって呼ぶのはおかしいじゃん?
梨華ちゃんは吉澤梨華になるんだからさ、梨華ちゃんもよっすぃーって呼ばれることになるじゃん!」
「ええ〜っ、石川ひとみになるんじゃないの?」
「それはいろいろね、なんかかぶったりしてるから」
「ああそうか」
ヘンに納得した様子の梨華ちゃんと顔を見合わせて笑う。

「名前で呼ぶから…そうね、ひーちゃん…??」
「はーーい」
おちゃめに手を挙げて返事をしたあたしの頭をよしよしとなでる梨華ちゃん。
「あとは…やっぱり、…ひとみちゃん…?」
ほんのり頬を赤くして、うつむいてしまう。
「梨華ちゃん??」
顔を覗き込むとチラリとあたしの顔を見て
「名前って少し照れくさいね」
と言って微笑んだ。


こんなとき、あたしの中に梨華ちゃんをいとおしいと思う気持ちが溢れ出してくる。
強く抱き寄せてキスをすると、突然のことに不思議そうな顔をしてこちらを見つめる。
「けど、そう呼んでくれたらすごくうれしいよ」
あたしの心の中をわかったようで、ニッコリと笑顔を見せてくれる。
「喜んでくれるなら、それに決まりだね」
今度はあたしが強い抱擁とキスを受けた。
479 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:14

「どんな家に住みたい?どんな部屋にしたい?」
目を輝かせて「わたしはね…」と話し出すのを早々と遮って

「何もかもピンクはやめようね」

じろりと睨みつける視線が少し痛い。

「いいじゃないかわいいんだから!」
「少しはいいって。怒るなよ〜」
ケラケラ笑っているあたしに不満そうにしつつも、
カーテンはね、絨毯はね、ベッドはね……と考えている様がとてもほほえましかった。
480 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:16

「………今は一緒に暮らしてないから、こうしてたまに泊まりに来てくれてるけど」
いつものように梨華ちゃんの家へ泊まりに来ると、夜は求め合わずにはいられないのが大半のこと。
ベッドの中で裸のまま抱き合い、温かさを伝え合う幸せな時間。
「そしてこうしてエッチとかしちゃってねぇ〜」
デレデレ顔になったあたしの頬を指でグニグニと押してくる。痛い。
「もしも一緒に暮らせたら、毎日こんなふうに…しちゃうのかな…?」

おおっ、と思った。梨華ちゃんは望んでくれてたりするのかな?と思うととてつもなくうれしくて、ついつい調子にのってしまう。
「そりゃもう毎日あんなことやこんなこと!!時に激しく時に優しく……イテッ!!」
叩かれたおでこをさすっていると、梨華ちゃんは小さく「バカ」と言ってあたしにそっとキスした。


「あんなことやこんなこと、今して」

481 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:17

こうしていつもあたしの理性も何もかも吹き飛ぶ。
ただ梨華ちゃんを愛したいと、そう思うだけ。
482 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:18

「子どもができるなら、梨華ちゃんに似れば色黒だね」
「あ〜らいいじゃない?健康的美人とか」
「あたしに似れば色白で素直でおとなしくてさわやかで…」
「誰が素直でおとなしいって言うのよ?」
どこかムキになっているのがまたおもしろい。
「けど梨華ちゃんに似たらその声とかもそっくりとかなのかな?やっぱかわいいに違いないね」
「…よっすぃーに似たら、男の子だったらモテすぎて困っちゃうかもよ?女の子でもね、きっといろんな人にラブレターもらったりするんだわ」
「そのとおりだね」
「何よ!ちょっと褒めたら調子に乗るんだから!」
483 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:18
無理だってことは明らかだ、あたしたちは同性同士だから。
だからこんな話誰にもできない。
バカげてる、おかしいと思われるに違いないんだ。
だけどそれでもあたしたちは、あたしたちの未来がこうあって欲しいと願い、空想せずにはいられない。
これらはすべて2人だけの大切な大切な宝物なんだ。
そして少なくともあたしはそれらの宝物たちを本当にかなえられるように、ずっとずっと梨華ちゃんと一緒にいたいと、心から思っている。
484 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:20
梨華ちゃんもきっとそうだと思いたい。
けれどあたしは知っている。
梨華ちゃんはあたしよりオトナなんだ。
いろんなこと、わかってるんだ。
485 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:21
未来を描いた空想の話はとてもとても楽しくて輝いている。
梨華ちゃんと話す未来はいつだってステキなものばかりだった。
だけど、忘れられない現実の存在に怯え、そして負けてしまうかもしれない。
あたしは梨華ちゃんを誰より近くで見ているからわかる。
あたしたちのささやかな願いを語り合った後に見せるどこかさみしそうな笑顔。


心が痛いと思った。
486 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:22
あたしが梨華ちゃんを愛しているから、そして梨華ちゃんが本当にあたしを愛しているから、こんなにも悲しいんだろう。
梨華ちゃんを悲しませるのがあたしなら、あたしは存在すべきじゃなかったと、どれだけ悩んだだろうか。
けれどそれで彼女を手放すことができるはずもなかった。
あたしにできることは、どこまでも愛し続けること。
梨華ちゃんを守ること。
ままごとなんかじゃない、あたしたちの本当の未来を、2人で作っていきたいんだ。
487 名前:君と生きていく。 投稿日:2004/02/27(金) 01:22


「結婚してください」



あなたのその涙が、あたしたちの幸せな未来を確信させた――――
488 名前:桜流 投稿日:2004/02/27(金) 01:25
終わりです。。。いわゆるよっすぃー視点でした。
これを書こうと思ったのは、よっすぃーに「結婚してください」という
台詞を言わせたかっただけなんです、はい。
489 名前:エム 投稿日:2004/02/27(金) 16:38
あ〜・・良いです☆二人だけの世界ですね♪
あのふたりってこういう信念をもしかしたら持ってるんじゃない
かなあ・・?って思います。っていうか持ってて欲しい・・
素敵な作品でした♪
490 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/01(日) 13:10
マターリ
491 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/01(日) 13:38
ochi
492 名前:桜流 投稿日:2004/08/03(火) 23:23
とても久しぶりにここへきました…ひとつ書いてみましたので、
載せてみたいと思います。よろしかったら読んでみてください。。。

>>489 エム様
レスをつけるのに遅くなりすぎで申しわけないです…。
いしよし二人の強い絆はきっと二人の世界を生んでいるはず…!と信じたいですw

>>490 名無飼育さん様
マターリ(^〜^0)

>>491 名無飼育さん様
( ´ Д `)ノ
493 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:25
抑えられない欲をぶつけるように強く口づけた。
んっ…と切なげな声が漏れるとともにあたしの中の炎がよりいっそう燃え上がる。
梨華ちゃんの唇を食べるように甘噛みを繰り返した後、隙間へと舌で押し入る。
あたしが入り込もうとしていることを察した梨華ちゃんは柔らかく隙間を広げ、迎え入れてくれる。
熱くなった舌を絡めあい、離れまいとまわした腕で強く抱きしめあう。
時に、ゆっくりと離れたあたしと梨華ちゃんの間には一本の細い橋がかかった。
そしてそれを手繰るように顔を寄せ、また口づけあうのだ。
494 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:26
腰掛けているベッドの枕もとにある小さな灯だけの薄暗い部屋。
愛する人の大好きなピンク色に包まれ、愛する人の匂いが立ち込めた空間。
唇を求め合いながらあたしは彼女のシャツの中にそっと手を入れた。
少しだけ体がびくっとなる。
それでもあたしは探る手を止めない。
梨華ちゃんのふくらみにたどり着くとそっと包み込むように撫で、
かたくなったそれを指先でもてあそぶ。

「ああっ…」

梨華ちゃんの声はあたしの口の中に吐き出され、くぐもって頭の芯へ響いた。
495 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:27
もっと、もっとほしいと、あたしのすべてが悲鳴をあげていた。

勢いが止まらない。
496 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:28
梨華ちゃんの着ているシャツを脱がそうと、キスをしたまま裾を掴み上へ引き上げる。

「あっ…よっすぃー…」

梨華ちゃんはあたしから一旦離れようともがいた。
あたしはようやくはっと我にかえる。
「待って…ゆっくり脱がせて…」
「ご、ごめん」

改めて向き合うと、梨華ちゃんは恥ずかしそうに目をそらした。
あたしはもう一度シャツを掴んで、腕を片方ずつ抜かせてから取り去った。
あらわになった胸を隠そうとする仕草、伏せた顔。
じっと見つめているあたしに怒るように「やだ」と言った。

「ごめん」
謝罪の気持ちなど欠片もなかった「ごめん」の言葉はすぐにどこかに消えた。

キスをしながらベッドに押し倒す。なだれ込む。
497 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:31
首筋から鎖骨から、胸元から、たくさんのキスを浴びせる。
梨華ちゃんの腕はあたしの首にまわされ、
時に解かれては体の下に敷かれたシーツを細い指全てでぎゅっと掴む。
そして時にあたしの髪に指を絡ませ、時にやさしく頭を撫でるように触れ、
艶かしいシルエットはあたしの周りをさまよった。


あたしの唇のひとつひとつに反応して声を漏らす梨華ちゃんに、
あたしは身震いするほど感じていた。

自分自身がとても『濡れている』のがわかる。
498 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:33
上半身を余すところなく触れたあとに、
梨華ちゃんの穿いているピンク色のジャージに手をかけた。
唇は梨華ちゃんを求めたまま少しずつジャージを下げていく。
梨華ちゃんもあたしに協力して、片足ずつ抜くように足を上げた。
ほとんど下げてしまうと、あとは梨華ちゃんが自分で脱いでくれた。

次は下着を同じように下げる。
あたしの視線がそちらへ向かうと「見ないでぇ」と頼んだ。

ん、と軽くうなずいてから極力見ないように全てをとりさった。
梨華ちゃんは裸になった状態。あたしはまだシャツとジャージを着たままだった。
499 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:34
脱ごうかと思いながらも、求める手は止まらないまま、
梨華ちゃんの熱い部分へと手をのばした。
あたしと同じように『濡れている』。
「すごい、よ」
「言わないで、わかってるの…」

中指をそっとすべらせ、かたくなった部分をやわらかくこする。
「ああっ!」
梨華ちゃんの腕が素早くあたしの背中にまわされる。
ぐっと力がこめられるのを感じた。

あたしはどんどんと指の動きを激しくし、ついには指を梨華ちゃんの中へ差し入れた。
500 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:35
「はあっ、あっ!!」
声と共に、シャツの上から爪がぐっと差し込むのがわかる。

「梨華ちゃん…シャツの中に手ぇ入れて…背中直に触れて」
「…だめ…よっすぃー…痛くなっちゃう…」
「いいから…直に触って…」

荒く息を吐きながら頼むあたしの願いを最後には聞き入れてくれたのか、
シャツをたくしあげると梨華ちゃんの手が直にあたしの背中に触れた。
501 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:37
「…よっすぃー汗かいてる」
潤んだ目を細めて、えへへとやけにうれしそうに笑っている。
「…おもしろい?」
「…頑張ってくれてるのがおもしろいの」

「おもしろいのかよっ」

そう言うやいなや指をなお奥へと押し入れると「ああっ!!!」と大きく声をあげ、
あたしの背中に深く爪を立てる。

指を止めることなく動かし続けると、背中にこめられる力はもっと大きくなり、
梨華ちゃんの手が徐々に動いていくことで長く傷が入っていくのがわかった。

痛みをこらえながら、それでもあたしのすべてが梨華ちゃんを求め続ける。

梨華ちゃんの中がとても熱く、あたしを溶かすように包み込む。
梨華ちゃんはあたしの全てを受け止め、喜んで受け入れてくれているとわかった。
502 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:37
「気持ちいいって言ってよ…!」

耳元に唇を近づけ荒い息の混じった言葉を何度も繰り返した。
梨華ちゃんは言葉を発しようとするが、形にならず何度も喘いだ。


「……よっ…すぃー…気持ちいいよおっっ……!!!」

やっと言葉になったと同時に、梨華ちゃんは登りつめ、一気に果ててしまった。

503 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:38
「すごく痛そう…ごめんね、いっぱい傷つけちゃったね…」

うつぶせに寝そべるとあらわになったあたしの背中を見て申しわけなさそうな顔をする。

あたしの背中には梨華ちゃんの跡が残った。少しピリピリと痛かった。
だけど決して痛いとは言わなかった。
大丈夫だよと言って頭を撫でてやった。
それでも何度もごめんねと謝る彼女に、これはシルシだからいいんだよ、とつぶやいた。
504 名前: 投稿日:2004/08/03(火) 23:39
梨華ちゃんはあたしを残したまま、先に仕事へ行ってしまった。
気だるさの残る体を起こし、ゆっくりとベッドから立ち上がる。
壁に立てかけられた大きな鏡に対峙すると、それに背中を向けて振り返った。

自分でも思う、とても真っ白な肌。

きっと彼女よりも広い背中の白に残された幾筋もの『赤』は、
かすかな痛みと共に、あたしの中に愛おしさと興奮を蘇らせた。


あたしは震えた。


〜終わり〜
505 名前:桜流 投稿日:2004/08/03(火) 23:40
ちょっとエロエロしたかったんです、許してください(T▽T)
失礼致しました。。。
506 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/04(水) 02:23
気持ちいいーーーーー

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