だから、いちばん好き
- 1 名前:マーチ。 投稿日:2002年10月14日(月)18時01分19秒
- 赤板でいちごまを書いています。
リアルものを書きたくなって、挑戦してみました。
- 2 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月14日(月)18時02分44秒
「市井ちゃん、入ってもいい?」
「あ、うん…もちろん」
市井ちゃんの楽屋に足を踏み入れた。
卒業スペシャル番組の生放送を終えたあたしは、着替えもそこそこに直行した
んだ。
「びっくりしたよ…まさか、来てくれるなんて」
「ん…」
明日を最後に娘。を卒業するあたしは、今日が最後の娘。としてのテレビ出演。
つんくさんからのメッセージがあったり、夏先生が来てくれたり、もう、びっ
くりの連続だった。
そのびっくりは最後が一番大きくて。
だって、市井ちゃんが来てくれたんだもん。
あの市井ちゃんが―。
- 3 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月14日(月)18時03分31秒
- 市井ちゃんとはいつも一緒だった。
娘。に入りたてで何もわからないあたしに一から歌とダンスを教えてくれて、
あいさつの仕方やMCのコツを教えてくれて、悲しくて涙が止まらなくなった
ときはそばにいてくれて。
先輩、メンバー、親友、姉妹。
どれもあてはまるようであてはまらない、誰よりも近くて大切な存在。
あの頃は、市井ちゃんがいない世界なんて想像もできなかった。
- 4 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月14日(月)18時04分16秒
「となり、すわっていい?」
「うん…」
市井ちゃんが座っているソファの横。
どんな距離で座ればいいのか、ちょっと迷う。
昔のようにぴたっとくっついたら、どんな顔するだろう?
いろいろ考えて、あたしはすこし離れて座った。
市井ちゃんがほっとしたような顔をしたのは気のせいかな。
- 5 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月14日(月)18時05分11秒
- 市井ちゃんを特別に意識したのは、そう、あのときだ。
『恋のダンスサイト』のダンスレッスン中、裕ちゃんが市井ちゃんにキスをし
てる瞬間をばっちり見ちゃって、なんだかすごくショックでそのあとぜんぜん
練習に集中できなくなったんだ。
その日の夜、ホテルの部屋で市井ちゃんにおこられた。
『なんだよ、後藤。今日のレッスンさ…』
市井ちゃんの言いたい事はわかる。
ほんとに集中できなかったんだもん…でもそれは。
『市井ちゃんが…!』
あたしは衝動的に気持ちをぶつけていた。
好きだって気持ちが、自分でもびっくりするほどほんとに素直に溢れてきて。
市井ちゃんは顔を真っ赤にしながら前髪をかき上げて、そして言ってくれた。
『好きだからさ…もう泣くなよ』
あの夜のこと、あたしは一生わすれないよ。
- 6 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月14日(月)18時05分59秒
- 「どうして来たの?卒業だから?」
「ん…それもあるけど」
「けど?」
「会いたかった…後藤、会いたかったんだ…ずっと…」
市井ちゃんは視線を合わせようとせず、苦しそうに言葉を吐き出した。
会いたかった…?
嘘でしょ?
だって、会うのを避けたのは市井ちゃんなのに。
- 7 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月14日(月)18時06分51秒
- 『市井ちゃん、明日オフなんだ。会いたいなあ!』
『ごめん。先約があるんだ』
市井ちゃんが卒業してから、結局一度も会えなかった。
毎日交していたメールも、日に日に間隔が開いてしまって、それっきり。
あたしが勇気を出して追いかけても、市井ちゃんはするっと逃げてしまって。
それが答えなんだって、自分を納得させるのにどれだけ泣いたか市井ちゃんは
知らない。
どれだけ泣いたか―。
- 8 名前:マーチ。 投稿日:2002年10月14日(月)18時08分31秒
- まずはここまで。
こんな感じのいちごまです。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月15日(火)12時03分21秒
- 卒業ネタでいちごまって、実はあまり出回ってないかも…
ごまヲタですが、市井さんにはあまり詳しくないので、二人の絡みが楽しみです!
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月15日(火)22時43分18秒
- おお!こんなところに新作が!
赤板も読んでます。
どちらも楽しみにしてますので、頑張って下さいね。
- 11 名前:和尚 投稿日:2002年10月16日(水)23時28分56秒
- 市井さんの想い、後藤さんの想い・・・
特に市井さんの想いがスッゴク気になります!!
頑張ってください!!
- 12 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時52分24秒
「会いたいって…、信じられないよ…そんなの」
「ごめん…今まで…」
もう忘れなきゃって言い聞かせてきた。
もう終わったんだって。
「どんなにさびしかったか、わかる…?」
「わかるよ、おなじだから…」
同じなんかじゃない。
会いたがっていたのは、いつもあたしの方。
- 13 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時53分54秒
- 「じゃあ、どうして会ってくれなかったの?」
「それは…」
「きらいになったから…でしょ?」
「ち、ちがう…」
市井ちゃんは大きく首を横に振って否定した。
そしてじっと足元を見たまま、顔を上げようとしない。
番組とはいえ会いに来てくれて、会いたかったって言ってくれて、そのこと
自体は舞い上がってしまうほど嬉しいのだけれど。
それですべてをリセットするには、あまりにも離れすぎていた。
あたしたちの距離、時間、…心。
- 14 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時54分46秒
- だからなのかな。
あたしは信じられない言葉を口にしていた。
「後藤は…、市井ちゃんがきらいになったよ…」
市井ちゃんの肩が一瞬びくっと動いた。
でも顔はずっと下げたままで、口をぎゅっと結んで。
なんか言ってよ、市井ちゃん。
本当に会いたいと思ってくれたのなら。
本当に嫌いになっていないのなら。
はやくあたしをとりもどして―。
- 15 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時56分04秒
- 黙っている市井ちゃんの横で、あたしは言葉を待った。
廊下を歩くスタッフの声が気になったけど、じっと市井ちゃんからの言葉を
待った。
そして、壁にかかっている時計の針が11時をまわった頃、市井ちゃんが
ぽつりぽつりと口を開いた。
顔をゆがめながら、ひどく辛そうに。
「娘。をやめて一人になったとたん、後藤の存在が遠くて…。会うのがこわ
かった…会って、幻滅されるのがこわかったんだ」
「なにそれ…、そんな…そんなことあるわけ…」
「わかってる、後藤がそんなふうに思うわけないって…。でも、つまらない
プライドが……。だから、逃げてた…後藤からも、自分の夢からも…」
「……」
- 16 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時56分58秒
- 両方の手をぎゅっと握って、すこし震えながら下を向いている市井ちゃんは
泣いているようにも見えて、あたしは言葉を失った。
初めてだね。
あたしの前でこんなに感情を吐き出したのは。
市井ちゃんはいつだって、かっこいいとこしか見せなかったから。
でも、市井ちゃん。
会うのがこわいとか、逃げたとか、そんなことであたしたち今まで…。
- 17 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時58分38秒
- 「テレビを見るたび、ひとり取り残されたみたいで…」
「後藤だって、市井ちゃんがいなくなってから、娘。の中でひとりだった…」
そうなんだ。
いつも一緒だった市井ちゃんかいなくなって、あたしは一人になった。
いちばん辛かったあのときも―。
娘。にいながらあたしはソロデビューが決まって、裕ちゃんや圭ちゃんはおめ
でとうって言ってくれて、でも、なっちとやぐっつぁんは…あたしを避けた。
一時的とは言え、あのときは周りにすごく気をつかって、精神的にきつかった。
あの頃からなんだ、後藤が無表情でやる気がないって言われたのは。
ソロデビューなんて別にしなくたってよかったのに、あたしはメンバーと一緒
に歌うほうが好きだったのに。
- 18 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月18日(金)18時59分52秒
- 孤独感で押しつぶされそうになってたあの頃、あたしの心が求めたのはやっぱ
り市井ちゃんだった。
いくら梨華ちゃんやよっすぃとなかよくなっても、心にぽっかり開いた穴は埋
まらなくて。
どんなに笑っても、どこかで冷めていて。
気がつけばいつもいつも、心の中で市井ちゃんに話しかけていたんだ。
会いたかった。
話したかった。
触れたかった。
市井ちゃんが、欲しかった―。
- 19 名前:マーチ。 投稿日:2002年10月18日(金)19時02分15秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>9 名無し読者さん
初レスありがとうございます。
卒業SP番組を見て書いてみたくなったのですが、うまくいくかどうか…。
楽しんでもらえるように、がんばります。
>10 名無し読者さん
赤板も読んでくれてるんですか!?感激です!
それぞれの雰囲気を生かしながら、両方とも進めていきたいと思います。
今後もおつきあいください。
>11 和尚さん
ふたりの想いが書ききれるか不安ですが…がんばります。
和尚さんもがんばってください!
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月19日(土)17時22分44秒
- 赤板の方から飛んできました。
いいですね〜。続きが気になります。
頑張ってください!
- 21 名前:素人○吉 投稿日:2002年10月20日(日)01時21分27秒
- うわぁ!!
久しぶりにネット繋いだらマーチ。さんのリアル!!?
しかもあの日の夜……。
期待大です、頑張って下さい!!
- 22 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時18分32秒
いちーちゃんのデビューが決まったとき、あたしは少しだけ期待した。
きっと仕事場で会うこともあるだろうから、それをきっかけに元のように戻れ
るんじゃないかって。
だからMUSIXにいちーちゃんがゲストで来るって聞いたとき、何日も前から
緊張してドキドキして。
収録の日はもう朝からそわそわして、マネージャーさんに注意されたっけ。
打ち合わせを終えた後、『紗耶香の楽屋に行こう』って誘ってくれたのは、圭ち
ゃんだった。
でも、あたしは…それを断ってしまった。
会いたいのに、いざ会うとなるとこわくて…。
いちーちゃんに拒まれつづけたあたしの心は、知らないうちにとても臆病にな
っていたんだ。
- 23 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時19分28秒
- 会いには行けないけど、顔は見たい。
矛盾を抱えたままのあたしは、やっぱり気になってどうしようもなくて。
いちーちゃんと裕ちゃんが二人でフォークソングを歌っている収録現場にこっ
そり足を運んだ。
そこにね、いちーちゃんがいたんだ。
ステージの真ん中で、ライトを浴びているいちーちゃん。
変わってなかった、ぜんぜん、涙が出るくらい。
- 24 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時20分11秒
- いちーちゃんは、少し緊張気味だったけど、裕ちゃんと一緒に、楽しそうに歌
っていた。
あのとき、裕ちゃんがすごくうらやましかったよ。
いちーちゃんのとなりで歌っている裕ちゃんが。
いちーちゃんの笑顔を独り占めしている裕ちゃんが。
あれは、まちがいなく嫉妬。
- 25 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時21分07秒
- トークの収録は、座る位置がいちーちゃんととても近くて、あたしは金縛りに
あったかのように固くなった。
やぐっつぁんと圭ちゃんが楽しそうに絡んでいるのを横目に、なんでもないよ
うな顔を作って。
感情を押し殺すことがいつのまにか上手くなっていたあたし。
それからも何度か同じスタジオで仕事をしたけど、あたしたちの距離は遠いま
ま変わらなかった。
- 26 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時21分54秒
卒業の話を事務所の人に言われたとき、あたしはしばらく落ち込んだ。
たしかにソロはやりがいがあるけど、でも、あたしはみんなと歌っているとき
が一番楽しかったし好きだったから。
それに、仕事を超えてメンバーにはすごく支えられていたから、一人にはなり
たくなかった。
いちーちゃんがいなくなって、メンバーもいなくなったら、あたしはほんとに
ひとりぼっち。
どうしようもなく寂しくて眠れない夜が増えて、そんなときあたしは、よくケ
ータイを見つめてたっけ。
ずっとかけていない、かかってこない電話番号。
ボタンを押す勇気はなかった―。
- 27 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時22分53秒
「いちーちゃんなんて、きらいだよぉ……さびしかったんだから…ずっと…
ずっと…」
「ごめん…」
いちーちゃんがはじめて、こっちを見た。
もうだめ…。
ずっとがまんしてたけど、いちーちゃんの顔を見たとたん、涙が…。
いちーちゃんは苦しそうな顔をしながら、あの頃いつもしてくれたように、
あたしの頬に手を添えて、流れる涙を拭ってくれた。
そのあたたかい手のぬくもりは、あたしの頑なな心を簡単に溶かすんだ。
ずるいよいちーちゃん。
そんなことされたら、何も言えなくなっちゃうよ。
あたしの心はまたいちーちゃんを求めちゃうよ。
- 28 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時23分44秒
- 「いちーちゃん…うっ…っ」
「ごめん…」
「いちーちゃんの…ほんとの心が聞きたい」
「うん…」
頬にあったいちーちゃんの手がやさしく髪を撫でてくれて、そして、ふわっと
抱きしめてくれた。
あたしは目を閉じて、いちーちゃんのぬくもりを確かめる。
いいの ?
このあたたかさを信じていいの?
聞かせて、いちーちゃん。
- 29 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時24分35秒
- 「今までも、後藤との対談とかいろいろ企画があったんだ。でも、全部断って
きた」
「そう、だったんだ。…でも、今日のは断らなかったんだね」
「うん…これ逃したら、もう会えないと思って…そんなのいやだから。後藤と
一緒に…」
いちーちゃんの腕の中はあたたかくて、いちーちゃんの匂いがして。
もうそれだけでいいよ。
なにもいらない。
いちーちゃんがいてくれればそれでいい。
- 30 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時25分26秒
- 「また一緒にいてくれるの…?」
「許してくれるなら」
「ほんとに?」
「うん、後藤と一緒に夢を追いかけたいんだ。もう、逃げたくない」
一緒に夢を…。
いちーちゃんがあたしの目をまっすぐ見て言ってくれた言葉は、さびしさで渇
ききっていたあたしの心をあっという間に潤していく。
もう、気持ちを抑えなくていいんだね。
臆病にならなくてもいいんだね。
- 31 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月24日(木)23時26分23秒
- 「ごとーも、いちーちゃんと一緒に夢を追いかけたい」
少し涙声だったけど、でも、はっきり言えた。
いちーちゃんはあたしの大好きな笑顔で大きく頷いてくれて、そしてまた強く
抱きしめてくれた。
ずいぶん回り道しちゃったね、あたしたち。
嫌いになったわけじゃないのに、ごまかして、がまんして、こんなに長い間す
れ違ってしまった。
もう、はなれないよ、いちーちゃん。
もう、はなれられないよ―。
- 32 名前:マーチ。 投稿日:2002年10月24日(木)23時28分26秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>20 名無し読者さん
赤板からきてもらえて嬉しいです。
楽しんでもらえるようにがんばりますので、またのぞいてください。
>21 素人○吉さん
こっちにもレスをしてくれたんですね。ありがとうございます。
たぶん、いやきっと構想があまいかもしれません…が、なんとか進めていきます。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月25日(金)07時14分06秒
- なんでだろう…この幸せな一時が嵐の前の静けさのように感じるのは(w
赤板も読んでます。リアル、アンリアルともに最高です!
- 34 名前:素人○吉 投稿日:2002年10月25日(金)12時50分48秒
- 33名無しサンと同じような心境。
大丈夫、大丈夫なのかなぁ!?
- 35 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時24分45秒
「いちーちゃん、あのね…」
「ん?」
抱きしめていた腕を緩めて、いちーちゃんがあたしの目をじっと見る。
息がかかるくらいの距離。
こんなに近くでいちーちゃんの顔を見たのって、いつ以来だろう。
変わらないね、そのやさしい眼差しは。
いつもあたしを見守ってくれたその眼差し。
- 36 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時25分31秒
- 「12時になるまで一緒にいたいな」
「うん、いちばん最初におめでとうって言うよ」
「誕生日、覚えててくれたんだ」
「バーカ、忘れるわけないって…」
そう言っていちーちゃんが笑ってくれたから、あたしも嬉しくなってやっと声
を出して笑うことができたんだ。
- 37 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時26分25秒
日付が変わる少し前、あたしといちーちゃんは、手をつないで外を歩いていた。
ひとりだったら即タクシーに乗せられて家に帰されるとこだけど、いちーちゃ
んと一緒だと、マネージャーも寄り道を許してくれる。
ほんとに昔から、いちーちゃんはメンバーだけじゃなくて事務所の人やスタッ
フの人に信用されているんだ。
夜更けのこの時間は、やっぱり風がすこし冷たい。
でも、となりにいちーちゃんがいるから、平気だよ。
いちーちゃんはあたしの心をぽかぽかとあったかくしてくれるから。
- 38 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時27分46秒
- 「後藤、髪、のびたね」
「いちーちゃんは、背がのびたね」
あの頃は並んで歩くとあたしより低かったのに、今はほとんどおんなじくらい。
あ、でもまだちょっとだけ、あたしの方が高いかな。
どうしてだろう、こんな小さな発見が、なんだかすごくうれしい。
「だいぶやせたし」
「あっ、ひどーい!どーせあの頃は」
「ぱんぱんだったもんな」
「むぅ!いちーちゃん」
ぱんぱんて…確かに、ちょこLOVEの頃はそうだったけどさ。
だいたい、いちーちゃんが華奢すぎるんだよ、昔から。
口をとがらせて抗議したら、笑っていたいちーちゃんが急にまじめな顔になった。
そして、少しうつむきかげんで言ったんだ。
- 39 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時28分43秒
- 「それに、きれいになった」
「えっ…」
「なんか、まぶしいよ」
「…」
なんて言ったらいいんだろう。
いちーちゃんがそんなこと言ってくれるなんて滅多になかった、っていうか、
初めてだから。
びっくりしたのと、うれしいのとで、言葉がでない。
- 40 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時29分55秒
- あたしが真っ赤になってどぎまぎしていると、いちーちゃんが目の前に腕時計
を差し出した。
時計の針が指していたのは、ちょうど12時。
「誕生日おめでとう」
「あっ、ありがと、へへっ」
「プレゼントなんもなくて、わるいけど」
「いちーちゃんと一緒にいることがなによりのプレゼントだよ」
ほんとにそうなんだよ。
ずっとずっと、いちばん欲しかったものなんだから。
- 41 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時31分19秒
- でも、いちーちゃんはそれに納得できないみたいで、『なにが欲しい?』って
何回も聞いてくる。
なにがって言われても…、いちーちゃん以上のものはないのに…。
あっ!
「いちーちゃん、欲しいものあった」
「なに?」
「いちーちゃんの歌」
「へっ!?」
「ごとーの前で歌って欲しい。いちーちゃんが作った歌」
たとえば、ベッドの上でふたり並んですわって、いちーちゃんがギターを弾き
ながら歌を歌ってくれる。
うん、いいね、これ!
- 42 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時32分07秒
- 「そんなんでいいの?」
「いい、いい!」
「じゃ、こんど家で」
「やったぁ!」
いいのかな、今日は嬉しいことがいっぱいだよ。
幸せすぎて、こわいくらい。
こんな誕生日を迎えられるなんて夢にも思っていなくて、なんだかまだこの状
況が信じられなかったあたしは、つないでいる手にぎゅっと力を込めた。
いちーちゃんはなんだよって言いながら下を向いて、でも、指を絡めて握り返
してくれて。
照れたとき、急にぶっきらぼうになるとこ、変わってないね。
- 43 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時32分52秒
- 「17歳か…」
「うん、いちーちゃんと、いっこちがいだよ」
「…そうは思えないけど」
「もぉ…、どーせ、こどもですよぉ」
頬を膨らませてにらんだら、指で突っつかれて、ふたりで笑いあった。
後藤真希は大人っぽいって、世間では言われてるけど。
いちーちゃんの前では、こどもになっちゃうんだ。甘えちゃうんだ。
17歳になった今も、それは変わっていない。
- 44 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時33分32秒
このままずっと手を握って歩いていたかったけれど、大事なライヴがあるから
そうもいかない。
あたしが先にタクシーに乗って、いちーちゃんが見送ってくれた。
がんばれよって言いながら、手をふってくれて―。
- 45 名前:卒業前夜 投稿日:2002年10月31日(木)22時34分16秒
- 卒業ライヴ、がんばるよ。
いちーちゃんにほめてもらえるように。
『よくやったな、後藤』って、頭を撫でてもらえるように。
だからいちーちゃん、見ててね。
これからもずっと、あたしのこと見ててね―。
- 46 名前:マーチ。 投稿日:2002年10月31日(木)22時35分43秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>33 名無し読者さん
最高だなんて…お世辞でもそう言ってもらえると、やる気倍増!?
赤ともども、おつきあいください。
嵐の前の静けさ…ん〜、どうでしょう。
>34 素人○吉さん
大丈夫、きっと大丈夫♪
甘いはずです…予定では、はい。
次は、卒業の日。
- 47 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月01日(金)21時11分43秒
- やっぱりリアル、いいですよね…。
もうあかんです。
ノンフィクで考えちゃっていいですか?w
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月01日(金)23時30分38秒
- ラヴラブないちごまマンセー!ブラボー!!
…な気分なのですが、やっぱり何故か不安が残る……(w
照れ屋でぶっきらぼうな市井さんがリアルでいいですね。何気に子供に戻るごまも
最高です。続きが楽しみで仕方ないっす。
- 49 名前:和尚 投稿日:2002年11月03日(日)01時22分50秒
- 更新されていたとは気付きませんでした。
二人の想いが満たされていくのがとてもいいッス。
何度読んでもいいッス!!
素人○吉さんと同じでノンフィクで考えていいですか?
- 50 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時15分14秒
「ごっつぁん、おつかれ〜!」
「みんなも、おつかれさま〜!」
娘。としての最後のライヴが終わった楽屋は、最初こそしんみりしていたけど、
今はみんなで乾杯しながら盛り上がりっぱなし。
全ステージを終えた充実感で、みんないい顔してる。
もちろん、あたしもそう。
歌もダンスもせいいっぱいやったから、今すごく、すがすがしい気分。
13人で最高のステージを作り上げたって、自信を持って言える。
- 51 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時16分15秒
- いちーちゃんがきのうの番組で言ってたこと、すごくよくわかったよ。
『あたしが武道館を忘れられないように、後藤も…』
うん、やっぱり卒業のライヴは特別で。
メンバーがかけてくれたたくさんの言葉。
ファンのみんなの応援、ごっちんコール。
横アリの風景、なにもかもすべてが心に刻まれて。
今日のステージ、ううん、今日一日あったことすべて、ずっとずっと忘れない。
いちーちゃん、見ててくれた?
あたし、がんばったよ。
娘。として、いちーちゃんの後輩として―。
- 52 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時17分01秒
「ごっちん、また、遊べるよね…」
「えっ…?」
いつのまにか隣に立っていた加護が少し泣きそうな顔をして、あたしの服を引
っ張った。
いつも天真爛漫な子だから、こんなふうに曇った表情をされるとすごく困る。
加護にとってあたしは一応教育係だったから、歌やダンスはもちろん、芸能界
のしきたりなんかを教えたり、いろいろ相談にのったりで、他のメンバーより
絆は深い。
だから、あたしがいちーちゃんの卒業の日に悲しんだように、加護もそうなの
かなって思うと、胸が痛む。
- 53 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時17分52秒
- あたしはできる限りの笑顔と大きな声で加護を元気づけた。
「あたりまえじゃん!また、うちにおいでよ。ゲームしよっ!」
「うん!わ〜い、ごっちん!」
「こらこら、重たいって〜!」
かわいいな。
いつもあたしにくっついてきて、ふざけたり、甘えたり。
あっ…、やっぱりあの頃あたしがいちーちゃんにしていたのとおんなじか。
あたしはいちーちゃんにくっついているうちに、恋愛感情を抱いてしまったけ
ど、加護は…まさかね。
- 54 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時18分44秒
「あっ、紗耶香だ!」
「紗耶香、来てくれたんだー!」
なっちとやぐっつぁんの声で、あたしと加護のおしゃべりが止まった。
えっ!?えっ!?
いちーちゃん!?
振り返ると、向こうの入り口近くに花束を持ったいちーちゃんがいた。
みんなに囲まれて一言二言会話を交すと、圭ちゃんたちがまとわりついてくる
のをさらっと流して、まっすぐこっちに向かって来る。
来てくれた。
見ててくれたんだね。
- 55 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時19分37秒
「いちーちゃん…」
「よくやったな、後藤。いいステージだったよ」
そう言って頭を撫でてくれたから、もう胸がいっぱいで、涙が溢れてきて。
「いちーちゃん…うっ…ぅうっ…っ」
「泣くなよ…バカ。新メンが見てるだろ?」
5期メンはびっくりしているだろうな。
あたしがこんなに声を上げて泣いたとこ、きっと見たことないから。
でもね、いちーちゃんの前だと、あたしはいくらでも泣けてしまう。
いちーちゃんが肩を抱いてくれたから、もう止まらないよ。
- 56 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時20分28秒
「…見てて…うっ…っ…くれたんだね…」
「ん…仕事あって、とちゅうからだったけど、ちゃんと見てたよ」
「ありがと…っ…」
「がんばったな…」
そう言っていちーちゃんがもう一度頭を撫でてくれた。
そしたら急に3年間の思い出がいっぱい込み上げてきて、楽しかったことも辛
かったこともいろいろ…。
もうだめだ、この涙、しばらく止まりそうにない。
- 57 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時21分18秒
「あ〜あ、昔のごっつぁんに戻ってるよ」
「ほ〜んと、甘えちゃって!」
「紗耶香を独り占めじゃんかー!おいらだって抱きしめてもらいたいのに!」
「ははっ、同期の絆なんて、もろいものね」
圭ちゃんとやぐっつぁんがあたしたちを見てからかってる。
いちーちゃんは笑いながらなんか言い返していたけど、あたしを抱きしめてい
る腕の強さは変わらなくて。
もう、いちーちゃんの声以外は耳に入らない。
- 58 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時21分58秒
どのくらいいちーちゃんの胸で泣いていたんだろう。
気がついたら楽屋には二人しかいなくて、シーンと静まり返っていた。
気をきかしてくれたんだね、たぶん、やぐっつぁんあたりが。
「服、汚しちゃった…ごめんね」
「いいよ、そんなの」
「みんなは?」
「とっくに帰ったよ」
「ごとー、おいてけぼり?」
「もう、娘。じゃないから」
そうだね、いちーちゃんもあたしも、もう、娘。じゃないんだ。
あたしたちのつながりだったものが、なくなったんだ。
- 59 名前:卒業 投稿日:2002年11月06日(水)19時23分09秒
「さびしい?」
黙っていたからそう見えたのかな。
あたしは強く首を横に振った。
さびしくなんかないよ。
いちーちゃんがいるんだもん、さびしいわけない。
「いちーちゃんが、そばにいてくれるんでしょ?」
「うん、いるよ、ずっと」
「なら、さびしくない」
いちーちゃんがにこっと笑った。
まだ夢を見てるみたいだよ。
きのうからずっと夢が続いているみたい。
だって、あんなに遠かった人が、今ここに、あたしのそばにいてくれる。
いちーちゃんが、そばに―。
- 60 名前:マーチ。 投稿日:2002年11月06日(水)19時26分01秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>47 素人○吉さん
自分が怖くなるくらい思いっきり妄想して書いてます…いいんでしょうか?
もし危なくなったら止めてくださいね。(怖!
ノンフィクで…この際そう思っちゃいましょう!?
>48 名無し読者さん
連続レスしてくださってありがとうございます。
感想をいただけて、とても励みになります。
えっと、その不安の方は…今はなんとも言えません…。お楽しみに…!?
>49 和尚さん
赤ともどもレスくださって、ありがとうございます。
卒業の裏側を思いっきり妄想しています…ノンフィク化しちゃいましょう!?
和尚さんもいちごまが一推しですか?
- 61 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月06日(水)19時40分01秒
- 思いっきり妄想して下さい。
大丈夫、ちゃんと付いて行きます(w
赤の方も頑張って下さい!
- 62 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月07日(木)23時39分21秒
- ノンフィクケテーイ!!
いやいや、止めませんw
いちごま不足な最近。既にマーチ。さん生き甲斐www
- 63 名前:和尚 投稿日:2002年11月10日(日)21時45分02秒
- はふぅ〜二人が純粋すぎて倒れてしまいそうです。
妄想しすぎて顔がニヤけてしまいます。
いちごま一推し・・・そうですね。よしやぐ、やすいしときたんですけど、決定的になったのがテレビの卒業前夜で
市井ちゃんがケーキを持って登場した時でしょうか・・・市井ちゃんが登場したのが嬉しくて、テレビの前でガッツポーズしましたから。
- 64 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時11分01秒
「いちーちゃん、好き…」
だから言えたのかな。
ごく自然に、好きって。
ずっと言いたくて、でも言えなくて、行き場のなかった言葉。
いちーちゃんはやさしい目をして微笑んでくれた。
ほんとは好きって言ってほしいけど、いちーちゃんはなかなかそういうこと言
ってくれないんだ。
最初の頃はそれがすごく不安だったけど、今はね、いちーちゃんの目を見れば
わかるよ。
うん、この目は、ごとーを好きって言ってくれてる目だね。
- 65 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時12分14秒
もっと、いちーちゃんに近づきたくなって、もっともっと、いちーちゃんを感
じたくなって。
あたしはゆっくり唇を寄せていった。
心臓の音、聞こえちゃうかと思うくらいドキドキで。
でも、今にも触れるという距離でいちーちゃんはあたしの肩に手をやって止めた。
「えっと…楽屋は、まずいよ」
「なんで?」
「なんとなく…、背徳的で…」
「ふふっ、なにそれ。意味わかんないよ…」
ハイトクテキ?
いちーちゃんって、時々難しくて訳わかんないこと言うんだ。
だからあたしは気にせず、いちーちゃんの唇に触れた。
- 66 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時13分17秒
「…んっ……」
おぼえてるよ、この感触。
いちーちゃんは?おぼえてる?
毎日キスしていた頃があったんだよね、あたしたち。
触れてるだけじゃ足りなくなって、あたしはキスを深くした。
受身だったいちーちゃんもそれに応えてくれて。
あたしたちはキスに没頭した。
会えなかった時間をとりもどすように、お互いを求め合った。
- 67 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時14分01秒
- だから、だんだん熱くなってきたのは当然のことで。
いつのまにかいちーちゃんの手がシャツの中に入ってきて、あたしの肌を撫で
ていた。
背中から胸へやさしくゆっくりと。
身体中が甘くしびれていく感じ、もう立っていられない。
このまま流されてしまいそうになったけど、あたしは先を欲しているその手を
つかんで止めた。
やっぱり、楽屋は…ね。
ハイトクテキ…だっけ?
- 68 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時14分45秒
「ちょっ、いちーちゃん…ここでこれ以上は…」
「うん…そうなんだけど…」
言いながらいちーちゃんの手がまた動き出して、確実にあたしをとらえていく。
「んっ…あ…っ」
「だめ…止まんない…」
「あっ…だ、め…っ」
首筋に顔をうずめて、いちーちゃんはさらに先へ進もうとする。
あたしはぎりぎりの理性を奮い立たして、両手でいちーちゃんの肩をつかんで
押し返した。
- 69 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時15分28秒
「ス、ストップ…やばいよ…いちーちゃん。誰か来るかもしれないし…」
「う、うん…」
なんとか行為を中断したけど、あたしもいちーちゃんも顔が真っ赤で、鼓動も
激しくて。
熱くなった気持ちを静めるかのように、いちーちゃんがテーブルの上にあった
ミネラルウォーターを口にした。
あたしもそばにあった椅子にすわって、飲みかけのウーロン茶を手にした。
からだが、熱い―。
- 70 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時16分30秒
「楽屋はまずいって言ったの、いちーちゃんだよ…」
「ごとーが、…キスするから」
「だって、したかったんだもん」
「……」
さっきまでの大胆ないち―ちゃんはどこに行ったんだろ。
めちゃくちゃ照れてて、なんか、かわいい。
「うちに帰って…」
「ん?」
「うちで、つづきしよ」
「……」
いちーちゃんはあたしの頬に軽くキスをして、照れくさそうに髪をかき上げた。
うん、それが返事だね。
- 71 名前:卒業 投稿日:2002年11月11日(月)19時17分19秒
今日は特別な日だから。
朝まで一緒にいて、いちーちゃん。
ライヴをがんばったご褒美に。
だからいいでしょ。
朝まで一緒に―。
- 72 名前:マーチ。 投稿日:2002年11月11日(月)19時19分08秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>61 名無し読者さん
ここまで妄想してしまいました。
ちゃんとついて来てくださいね。絶対ですよぉ!
赤の方ものぞいてくれているみたいで、嬉しいです。
>62 素人さん
いちごま不足…はい、ホントにそうですよね。
あのSP番組だけでここまで引っぱっている自分…
素人○吉さんが止めないのなら、このまま突き進むのみです。
引かないでくださいね〜。
>63 和尚さん
おおっ!市井ちゃん登場でガッツポーズ…まさに同士ですね。
あの感動を引きずって妄想を続けている自分…
このままニヤけていきましょう。
- 73 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月11日(月)22時10分23秒
- 是非とも突っ走って下さいw
どこまでも付いて行きますぜー。(ぐ)
ホント、いちごま、も少し絡みを見たいところ…。
ごっちんがレコード会社を移籍した時、少しは(いや、かなり)期待したのに…。
でもあのSPは今でも想えば心を熱くしてくれます!
やっぱいちごまー♪
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月12日(火)22時08分11秒
- 赤に続いて、こっちもいい所で・・・。
どんどん突っ走っちゃって下さい!
ついて行きますよ、嫌がられても(w
- 75 名前:和尚 投稿日:2002年11月12日(火)23時19分19秒
- 妄想爆走中・・・
朝までと言わず、ずっと一緒に居てください!!
和尚も絶対ついて行きます!!
- 76 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時14分57秒
体に残る少しのけだるさと充足感の中で、あたしは目を覚ました。
ここは…、そうだ、後藤の部屋だ。
ゆうべ、娘。として最後の後藤のライヴを見に行って、そして―。
- 77 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時16分09秒
すぐ横に後藤がいる。
あたしの腕をしっかり枕にしてぐっすり寝ているその顔は、何時間でも見てい
られるほどかわいくて。
テレビで見るたび綺麗になっていった後藤だけど、すっぴんの寝顔は無垢であ
どけないまま。
あの頃とぜんぜん変わっていない。
ほんと、かわいいや。
やっと、取り戻したんだ。
どうしようもなく欲しかったくせに、自分から遠ざけていた大切なものを。
- 78 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時17分10秒
「好きだよ」
寝ている後藤にあたしは気持ちを告げる。
後藤はいつだって素直に気持ちを伝えてくれるのに、あたしはそれができない
から。
でもね、後藤。
ほんとに、いつだって、だれよりもいちばん、キミが好きなんだ。
- 79 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時18分08秒
後藤のことをそういう意味で意識したのは、いつだったかな。
初めて会ったときは、ただ年下ってことにびっくりしたっけ。
やたら色っぽくて、どう見ても、あたしや矢口より年上に見えたから。
いちばん年が近かったあたしが教育係になって、それをきっかけに常に一緒に
行動するようになった。
ダンスレッスンのときも、移動のときも、楽屋でお弁当を食べるときも、隣に
はいつも後藤がいて…、それが自然で。
用もないのにくっついてきて、なんかかわいかったんだ。
それに、時折見せるやけに大人っぽい表情とか、さりげなく絡められた腕なん
かにドキッとしたりもして。
もうその頃から、好きになっていたのかもしれない。
- 80 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時18分53秒
泣かしたときもあった。
あんまり遅刻が多かったから、ちょっときつく叱って。
そしたらぽろぽろ涙を流しちゃって…。
あんまり泣くんで、あたしがみんなに責められたっけ、厳しすぎだって。
そういや、プッチで合宿したときも泣かしちゃったし…。
だから、後藤から突然気持ちを告げられたときは、ほんとにびっくりした。
そんなふうに見ててくれたなんて、夢にも思わなかったから。
- 81 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時19分47秒
あれは…、ダンスレッスンのことで後藤に注意していたときだ。
あまりにも集中力が欠けていたから、その日の夜、怒ったんだ。
そしたらとつぜん後藤が、あたしと裕ちゃんがキスしたことをしつこく絡んで
きて怒って。
『遊びなんだからいいじゃん』って言ったら、
『いちーちゃんが…、いちーちゃんが好きだからそんなのやだ!』
そう言って後藤が泣きだした。
その瞬間、胸がぎゅっとしめつけられるような感じがして。
あのとき自分でも驚くくらい、素直に後藤の気持ちを受け入れられたんだ。
- 82 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時20分28秒
あんなに好きだったのに、好きなのに、あたしは後藤を…。
『きらいになったから…でしょ?』
『ごとーは…、いちーちゃんがきらいになったよ…』
『さびしかった…ずっと…ずっと…』
辛そうな顔をしていたね、今思い出しても胸が痛いよ。
あたしがバカなせいで、あたしがこの手を離してしまったせいで…。
- 83 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時21分16秒
卒業を決めたのは自分自身。
興味を持った音楽、そして自分が表現したいこと。
それと現実が、あまりにもずれていくことに納得できなくなって。
事務所やメンバーの反対を押し切って、卒業を決めた。
そう、後藤が泣いてすがってきたのを振り切って―。
『やめないで!そばにいてよ、いちーちゃん!』
『やめたって、なにも変わらないから』
『そんなのわかんないじゃん…離れたら、不安だよぉ…うっ…っ…やだよぉ…』
『ごめん、決めたんだ』
一人になったら好きなことがやれる、なんて思っていたんだ。
娘。時代は自分中心にものごとが進んでいたから。
現実は、ただデビュー前の市井紗耶香に戻っただけ。
自分を過信していたことに気がついたときは、もう何もかもが遅かった。
- 84 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月16日(土)15時22分03秒
それでも夢は捨てたくなかったから、英会話の勉強をしたし、詩もたくさん書
いたし、ギターの練習もした。
でも、その成果を発表する場所も評価してくれる人もいなくて、ある日、ふと
その虚しさに耐えられなくなってしまって、すべてを止めてしまった。
なにもかも中途半端な自分。
ブラウン管の中でいっそう輝いていた後藤に会うことなんて、どうしてできる
だろうか。
だから、何度『会いたい』って言われても断り続けた。
あたしの見栄、プライド、虚栄心が後藤を遠ざけてしまったんだ。
- 85 名前:マーチ。 投稿日:2002年11月16日(土)15時24分05秒
- 更新しました。
語り手がいちーちゃんに。
レスありがとうございます。感謝!
>73 素人○吉さん
どこまでもついて来てくれるみたいなので、安心して暴走します!?
いちーちゃんの語り、どうでしょうか?
視点を変えても文体を変えられなくて…模索中です。
自分もレコード会社移籍を聞いたとき、いちごまユニットを夢見ました。
ごまっとうがアリなら、いちごまだっていいだろー!って思いますよね。
>74 名無し読者さん
いい所!?のシーンは残念ながら朝になってしまったので…いずれまた!?
今度はいちーちゃんの語りで、妄想が続いています。
決して嫌がりませんので、ついて来てください!!
>75 和尚さん
毎回レスありがとうございます。
視点をいちーちゃんに変えてみましたが、文体はなかなか変えられないので悩み中。
ワンパターンになってしまって…だめですね。
- 86 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月17日(日)19時49分53秒
- いいですね〜、なんか本当の話みたいで。
続きが楽しみです。
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月17日(日)20時00分16秒
- 知らないうちに夜が明けてるし・・・。
ごっちんの寝顔、可愛いだろうなぁ。
いちーちゃん、羨ましいっす。
いずれ、を期待しております(w
- 88 名前:和尚 投稿日:2002年11月17日(日)21時49分26秒
- 市井さんの腕枕にしてぐっすりと寝ている後藤さん。
幸せなんだろうなと思います。
市井さんの後藤さんへの純粋な想いがヒシヒシと感じます。
マーチさん文体がワンパターンなんてとんでもないっすよ!!
ワンパターンなのは和尚の方です(号泣)
- 89 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月19日(火)16時26分13秒
- いちーちゃんの想いがひしひしと…。
あぁ、もうこのふたりからは離れられません。
- 90 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時43分27秒
再デビューが決まったとき、あたしは心のそこからほっとした。
見失っていたアイデンティティを取り戻せた気がしたから。
後藤に伝えたいって思って、ケータイを握り締めた。
デビューが決まったことが、あたしにそうする勇気を与えてくれたんだ。
でも、結局ボタンは押せなくて、少しだけ期待していた後藤からの連絡もなくて。
いつのまにかふたりの距離がとてつもなく大きくなっていたことに愕然とした。
全部、自分のせいなんだけれど。
- 91 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時44分26秒
雑誌の企画で後藤との対談が何度か持ち込まれた。
事務所は進めたんだけど、あたしが強く拒否してすべて流れた。
後藤に会って、幻滅されたり、軽蔑されるのが何よりこわかった。
でも、あたしの心はまちがいなく後藤を追いかけていて。
だからゲスト出演したラジオで自分の詩を公表することになったとき、あたし
は迷わずあの詩を読んだんだ。
後藤を想ってつづった詩。
どこかで聞いてくれることを願いながら。
- 92 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時45分21秒
MUSIXに初めてゲスト出演したときは、メンバーが自分を受け入れてくれる
のかどうかすごく不安だった。
緊張感も半端じゃなくて、一緒に出演した裕ちゃんが心配してくれたっけ。
でも、その不安は取り越し苦労だったみたいで、収録前にみんな楽屋に来てく
れたんだ。
会ったことのなかった新メンさえも。
来なかったのは…そう、後藤ひとり。
あのときは打ちのめされたな。
今まで自分がしてきたことを後藤にされたんだ。
拒絶されるって、こんなにも痛いことなんだって、そのとき初めてわかった。
あたしはずっと、こんな思いを後藤にさせていたんだって思ったら、苦しくて、
涙が出そうになって。
- 93 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時46分07秒
収録中もそのショックを引きずったままで、あのトークの時間、なにを喋った
か今もあまり思い出せない。
すぐそばに後藤がいたことが、あたしを平静でいられなくしていたことは確か
だけれど。
結局、目も合わせず、もちろん会話も無く…。
悲しいほど、よそよそしい関係になってしまっていた。
あのとき、ちらっと一瞬だけ見た後藤は、やけに大人びた顔だった。
いや、まるで作っているかのような無表情とも言えた。
どっちにしても、あたしの知っている後藤じゃなかった。
- 94 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時46分53秒
歌収録が終わったあと、裕ちゃんがあたしに声をかけてきた。
たぶん、あたしの精神状態が普通じゃないことを見破ったんだろうな。
「あんたら、どうなってんの?」
「なんのこと?」
「…あたしにもとぼけるつもりなん?」
「いや…そんなつもりじゃ、…ごめん、裕ちゃん」
裕ちゃんになら、心の内を吐き出してもいいのかなってそのとき思った。
だから正直に話したんだ、後藤への想いと自分がしてきたこと。
それと、後藤に無視されてへこんでる自分。
- 95 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時47分47秒
裕ちゃんはあたしの話を黙って聞いてくれた。
目を閉じて、時々相づちを打ちながら。
「待ってるだけじゃ、もう、あかんとちゃうかな。後藤だって、いつまで娘。
でいるかわからんし。紗耶香が一歩踏み出すべきやろ。手遅れになるで」
そう最後にあたしに言った裕ちゃんの言葉は、ぐさりと胸に突き刺さった。
「でも、今さら、なんて…」
「ったく,へたれなとこ変わってないんやな。好きだって言って、ぎゅって抱
きしめるだけでいいやんか」
「……」
「本気なんやろ」
「……うん」
でも、あたしはやっぱりその一歩が踏み出せなかった。
- 96 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月20日(水)22時48分34秒
そして、夏のある日。
事務所の人から後藤の卒業の話を聞かされた。
あたしは裕ちゃんに言われたことを真っ先に思い出した。
後藤が娘。じゃなくなったら、きっと今よりも遠い存在になる。
今度こそ自分から後藤を追いかけなきゃって、本気で思った。
もう遅いかもしれないけど、一歩踏み出そうって。
だから、卒業SPにゲスト出演依頼がきたとき、もうこれしかないって思った。
これを逃したら、後藤と完全に切れてしまうって。
そして、一生分くらいの勇気をふりしぼって、あの日―。
- 97 名前:マーチ。 投稿日:2002年11月20日(水)22時50分09秒
更新しました。
いちーちゃんの独白で終わってしまった…。
レスありがとうございます。感謝!
>86 名無しさん
本当の話だったら…泣いて喜んじゃいますよね。
また、楽しんでもらえるよう、がんばります。
>87 名無し読者さん
かわいい寝顔を独り占めするいちーちゃん、ホント幸せ者です。
いずれは…いずれ!?
>88 和尚さん
ぐっすり寝ているごっちんは想像しやすいですよね。
いちーちゃんの想い、伝わったみたいでよかったです。
>89 素人○吉さん
離れないで見守っててくださーい。
でも、絡みネタが皆無で、この先の展開が…。
- 98 名前:和尚 投稿日:2002年11月20日(水)23時56分20秒
- 市井さんの心の師中澤さん・・・素敵です。
市井さんの語りで妄想・・・・悲し過ぎて涙が出ます。
- 99 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月21日(木)18時35分22秒
- 和尚さん同様。涙が出そうになりました。
いちーちゃんの想いが、切なくて。息が詰まります。
絶対に離れませんよーっ!大好きです。
- 100 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時01分21秒
「ん……うんっ…」
「おはよ」
首筋に垂れていたその長い髪をすくったら、後藤が目を覚ましてしまった。
もう少し寝顔を見ていたかったけど、でも、寝起きのぼーっとした顔もかわい
いからいいか。
「…へ?…あれ…いちーちゃん…?」
「ん…」
目をこすってあたしを見つめるその仕草。
…めちゃめちゃかわいい。
- 101 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時02分21秒
「あいかわらず、寝起き悪いな」
「あ…そっか…ゆうべ」
そう言ったまま、後藤の顔がみるみる真っ赤になっていった。
そしてふとんを顔の半分までぐいっとあげて、目を合わせようとしない。
ふたりで朝を迎えたのは初めてじゃないのに、なんでそんなに恥ずかしがるか
なあ。
「なんで?」
「わかんない…。けど、恥ずかしい…」
「こっちまで照れるだろうが」
「だって…」
「なに?」
「いちーちゃん、やさしかったんだもん…」
なんだなんだ、朝からこの甘い雰囲気。
急にドキドキしてきて、心なしか体温も上がっていくような。
- 102 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時03分47秒
「あたしはいつだってやさしーじゃんか」
精いっぱいの照れ隠し。
「ん…そうだけど、ゆうべのいちーちゃん、特別やさしくて…。ごとーね、溶
けちゃいそうだったよ…」
「……」
そういう顔で、そういうこと言われたらさ…。
急に激しくなったこの胸のドキドキ。
なんとか静めようとして顔を逸らしたら、後藤がそれを阻止するように腕をま
わしてきて。
だめだ、もう、抑えられない。
- 103 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時04分36秒
「今日って何時入り?」
「1時から、ドラマの撮り。いちーちゃんは?」
「2時からアルバムのジャケ写撮り」
「……」
たぶん同じこと考えてるって自信があったから、あたしは言ってみた。
- 104 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時05分18秒
「しよっか」
「うん」
後藤の白い肩を抱いて唇を重ねたら、あとは求めるままに―。
- 105 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時06分10秒
身体を重ねることに特別な意味をもたせる気は無いけれど、今はダイレクトに
後藤を感じていたい。
そして後藤にも、あたしを感じて欲しい。
「…すきだよっ、ごとー…」
「…うんっ…っ…いちーちゃん…もっとぉ…」
あたしの腕の中で、少し震えながらすべてを委ねてくれる体。
「…ごとぉ、…熱いね」
「いちーちゃんの…はぁっ……せい、だよ…んっ…っ」
熱い吐息とともに漏れ出す声と、あたしの名を呼ぶ声。
- 106 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時06分58秒
後藤のすべてが愛おしい。
何ものにも代えることができない、あたしにとって絶対的な存在。
後藤を守るためなら、あたしはなんだってするだろう。
あいしてる≠ネんて言葉、ドラマの中だけだと思っていたけど、心のそこか
ら湧き上がるこの気持ちはきっと―。
- 107 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時07分38秒
「あいしてる」
「……へっ…!?」
まだ息が整っていない後藤の髪を撫でながら、あたしはその言葉を口にした。
好きって言葉もめったに言わないのに、なぜか自然に言えたんだ。
もちろん、言った後は照れくさくて顔から火をふきそうなんだけど。
- 108 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時08分52秒
「い、いま…なんて…?」
枕から顔を上げて、目をまん丸くしている後藤。
ほんと、かわいいな、まったく。
「聞こえただろぉ…」
「もういっかい…」
さすがに二回は言えない…かなり恥ずかしい。
「また、気が向いたら言うよ」
「いつ気が向くの?」
「んー、ごとーの来年の誕生日とか、またその次の誕生日とか」
「…うっ…いちーちゃん……っ」
「なんだよ、泣くなって」
「だって…だって…うれしいよぉ」
- 109 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時09分30秒
あたしの言葉ひとつで、そんなにきれいな涙を流してくれるんだね。
嬉しいのはあたしの方だよ。
泣き虫な後藤だから、これまできっと、たくさんの悲しい涙を流していたんだ
ろうね。
でも、もう二度とそんな涙は流させないよ。
ほんとだよ、約束するよ。
- 110 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時10分27秒
いつまでもベッドの中でじゃれ合っていたかったけど、時間は待ってくれない。
気持ちを切り替え、あたしたちは仕事へ向かう。
「じゃ、あたしはこっちだから」
「うん、撮影がんばってね、いちーちゃん」
「ごとーも、セリフ忘れんなよ」
「忘れたら、いちーちゃんに電話して聞く!」
「バーカ」
「へへっ」
街中の雑踏で、あたしたちは別れた。
それぞれの仕事場へ向かって―。
- 111 名前:キミさえいれば 投稿日:2002年11月23日(土)10時11分20秒
後藤の後ろ姿を見送っているうちに、あたしはなんだか無性に歌いたくなった。
自分の中でこれほどまでに躍動する気持ちがわきあがったのは久しぶりかも。
これって、ごとーのパワーなんだろうな、やっぱり。
うん、いつだってあたしの元気の源なんだ、後藤は。
キミさえいれば、あたしは―。
- 112 名前:マーチ。 投稿日:2002年11月23日(土)10時12分45秒
更新しました。 C:BOXを聞きながら。
(3曲目と6曲目がお気に入り!8曲目もかっこいい)
レスありがとうございます。感謝!
>98 和尚さん
裕ちゃん、キーパーソンになりました。
心の師…まさにそうですね。
悲しみが大きかった分、幸せも…。
>99 素人○吉さん
そんなにいちーちゃんに同化してもらえて嬉しいです。
せつない想いを乗り越えて、そして幸せに。
今回はそんな感じをめざして…。
- 113 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月24日(日)17時02分04秒
- マーチ。さんの作品を読むたびいちごま熱がフツフツと。
三曲目と言えば『帰りたくない』ですね。
かなりいちごまな歌w
その次の曲の二番はどう考えてもいちごまにしか聴こえないw
- 114 名前:和尚 投稿日:2002年11月24日(日)21時51分34秒
- 甘いムードに漂ういちごまに嬉しくて倒れそうです。
SP番組(ビデオ録画)を見てからもう一度読ませていただきます!!
C:BOXまだ買ってないんで(金がなかったので)明日早速買いに走ります!
ライヴに行くので勉強を・・・
- 115 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時38分10秒
ソロになってから、あたしの仕事はますます忙しくなっていた。
ドラマ、コマーシャル、新曲、ミュージカル…。
それはとてもありがたいことなんだけど、いちーちゃんと会う時間がなかなか
ないのは辛かった。
やっと…、やっと気持ちが通じ合ったというのに。
- 116 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時39分02秒
あの日、街中でいちーちゃんとわかれて以来、もう、2週間がたっていて、そ
ろそろ電話やメールだけじゃあたしの心は満足できなくなっていた。
そんな中、やっと今日時間ができて、仕事帰りにいちーちゃんの家に行くこと
になったんだ。
- 117 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時39分39秒
「…今さら、松浦と藤本とだなんて」
「がんばれって、期待されてるんだから」
来るなりあたしはいちーちゃんに愚痴っていた。
突然決まったユニットのことで。
そんなつもりぜんぜんなかったんだけど、いちーちゃんの顔を見たら、心の中
でくすぶっていた思いが出てしまって。
新ユニットごまっとう
……なんだよ、それ。
娘。を卒業して、プッチも卒業して、ほんとにごとーはソロになったんだって、
怖いけどこれからは一人でやっていくぞって、自分に気合いを入れていたのに。
……三人でユニット!?
- 118 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時42分44秒
事務所の人からその話を聞いたとき、あたしは久しぶりに反抗した。
声も大きくなって、取り乱してしまった。
でも、わかってる。
あたしに決められることなんて何もないんだ。
あたしは、いや、あたしたちは、ただ言われたとおりに動くしかない。
どんなに納得がいかなくても、それがどんなに理不尽でも。
今のポジションにい続けるためには、自分の意志を曲げることが必要なんだ。
- 119 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時43分22秒
いちーちゃんはそれが嫌で、娘。をやめちゃったのかもしれない。
正直で、純な人だから、事務所のやり方についていけなくて。
今ならすごくわかる、そのときのいちーちゃんの心境が。
でも、あの時はあたしも子どもだったから、ただいちーちゃんを責めることし
かできなかった。
『どうして、やめるの!?』
『ごとーをおいていくの!?』
『もう、一緒にいたくないの!?』
毎日毎日、責めて、泣いて、いちーちゃんを困らせたっけ。
- 120 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時44分00秒
もう、あの頃のあたしじゃないから、どんなことも仕事と割り切って考えられる。
それがいいことなのかはわからないけど。
でも、さすがに今回のユニットはね…。
正直、…まいった。
いつまでも膨れっ面のあたしに、いちーちゃんはなだめたり、励ましたり、怒
ったり。
なんか、これって、むかしと一緒だね。
やっぱり、成長してないのかな、あたし。
- 121 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時45分03秒
「事務所が推してるトップ3じゃんか。後藤がリーダーだろうし、後輩を引っ張っ
ていかなきゃ」
「だって、ソロになった意味がないよ。こんなのありなら、プッチにいたかった」
「プッチモニか…」
そうだよ。
あたしが大切にしてきたプッチモニ。
いちーちゃんと作り上げたプッチモニ。
- 122 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時45分38秒
「後藤がそんなにプッチにこだわりを持ってるなんて思わなかったな」
「だって、いちーちゃんとがんばって作ったから」
「ん…必死だったもんな、あのころ、三人で」
「うん…だから、大切だった」
3人で合宿までしたっけ。
いちーちゃんは高熱で辛い体だったはずなのに、あたしと圭ちゃんを引っ張っ
てくれて。
あの頃からもう、あたしはいちーちゃんに惹かれていたんだと思う。
- 123 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時46分47秒
「でも、仕事は仕事だよ。後藤はもう、甘えられる立場じゃないし、期待に応え
る義務があるんだ。プッチのデビューのころを思い出してさ、がんばれって」
「うん…」
プッチのデビューのころか…。
たしかに、あの頃のあたし、がんばってた。
いちーちゃんと圭ちゃんを必死に追いかけてた。
もう一度あんなふうにがんばれるのかな。
もう一度…。
「ちゃんと、見てるから」
「…ほんと?」
「ん…」
「ありがと。がんばってみる、いちーちゃんにほめられるように。…ごめんね、
やっと会えたのに愚痴なんて…」
「いいよ。嫌なことは全部吐き出してよ、まるごと受けとめるからさ」
「いちーちゃん…」
- 124 名前:ユニット 投稿日:2002年11月27日(水)18時47分26秒
どうしてそんなかっこいいこと、スラスラ言えちゃうのかな。
あたしは一瞬、ぼーっとして見惚れてしまった。
いちーちゃん、ありがとう。
もし一人だったら誰にも相談したり愚痴ったりできなくて、いつまでもぐすぐ
す落ち込んで、仕事に影響していたかもしれない。
いちーちゃんのおかげで前向きにやっていかなきゃって思えるようになったよ、
このユニットも。
やっぱりあたし、いちーちゃんがいてくれないとだめだ。
- 125 名前:マーチ。 投稿日:2002年11月27日(水)18時48分47秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>113 素人○吉さん
教育係っぽいいちーちゃんでした。
ごっちんはごまっとうをどう受けとめているのか…。
紅白落選でしたね…ごっちん、どうなるのかな?
>114 和尚さん
SP番組は何度見てもいいですよね。
ライヴ行くんですか!?うらやましい!
私の分まで声援よろしくお願いします!
- 126 名前:和尚 投稿日:2002年11月27日(水)23時46分33秒
- 実は最初ごまっとうを聞いた時、マーチさまの後藤さんと同じ事を思ってました。
まるごと受け止める・・・市井さんカッコイイっす!
頑張れ後藤さん!!
ライヴ行きますよ〜!マーチさまの分まで、
喉がつぶれるぐらい声援してきます!!
- 127 名前:素人○吉 投稿日:2002年11月28日(木)07時44分30秒
- 自分はごまっとうを初めて聞いた時は複雑でしたね〜。
ごっちんの心境も気になったけど、
あの中でごっちんが浮かないか、心配でした。
ごっちんもごまっとうよりはソロを優先にしたいって言ってるし。
紅白…四組決定してんならなぜその中にごっちんがいない!?
まぁ、まだひとりになってそんなに経ってないし、
卒業してからソロ曲も出してないし、仕方ないのかも。
来年に期待しましょう!
やっぱりいちーちゃんとごっちんの関係っていいですよね。
- 128 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時13分39秒
「そんなに見つめられると」
「へっ?あっ、ごめん…」
気がつかなかった、あたし、いち―ちゃんの顔をずっと見てたんだ。
「いや、あやまることじゃないけど…」
「いちーちゃん…」
髪を指で梳かれ、あたしは目を閉じる。
「いいんだけどさ」
「…んっ…」
いちーちゃんのキスはやさしくて好き。
だんだん深くなっていくところも…好き。
- 129 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時14分18秒
そして、ゆっくりソファに倒されて、いちーちゃんの重みを感じる。
この瞬間も、すごく好き。
「今日は、泊まってくよね?」
慣れた手つきでボタンをはずしながら、いちーちゃんがあたしの目を覗き込んだ。
「ん…そうしたいんだけど、朝いちでドラマなんだ」
いちーちゃんの首に手をまわしてそう答えたら、器用にボタンをはずしていた
手が急に止まった。
- 130 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時14分56秒
「えっ…朝いちなの?」
「うん」
「…じゃ、やめておこ」
そう言っていちーちゃんは、はずしたボタンをはめなおしていく。
え!?
やめちゃうの!?
もう完全にその気だったのに…。
- 131 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時15分58秒
「なんで…だいじょうぶだよ、まだ時間あるじゃんかぁ」
あたしはボタンをはめている手を止めた。
久しぶりに会ったんだし、もっといちーちゃんを感じたいよ。
「仕事に差し支えるようなことはできません」
「いちーちゃんのいじわる…」
仕事のこととなると、途端に教育係の顔に戻るんだ、いちーちゃんは。
こんなシチュエーションなのにさ…。
「いじわる言うな、こっちだって我慢してんだから」
「我慢は身体に悪いよ」
いちーちゃんが笑いながら身体を起こした。
「我慢強い子だって、小学校の担任によく言われたんだ」
「そんな小学生かわいくなーい」
ソファにすわり直したいちーちゃんを今度はあたしが押し倒した。
- 132 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時16分39秒
「こらこら、やめろって」
「やぁ、やめない」
あたしはいち―ちゃんの口、頬、まぶた、耳にキスの雨を降らす。
なんか新鮮かも。
いつも見上げていたいちーちゃんをこうして見下ろしたのはこれが初めて。
「ちょっ、ごとぉ、だめだって…」
「キスするくらい、いいでしょ?」
「いいけど、よくない」
「いちーちゃん、意味わかんないよ」
- 133 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時17分33秒
あたしはいちーちゃんの唇に何度もキスをした。
だめだって言ってたくせに、ちゃんとしっかり受けとめてくれて。
あたしがリードしようと思っていたのに、やっぱりいちーちゃんに主導権を握
られてしまって、ちょっと悔しい。
「ふぅっ…、いちーちゃん…はぁっ…」
頭がクラクラしてきて、あたしから口を離したら、いちーちゃんはなんでもな
い顔をしていた。
「もう終わり?」
なんて、余裕たっぷりで。
「うっ…。お、おわってなんかやらないもん」
もう一度、いちーちゃんに覆い被さってキス。
でも、やっぱり、結局、最後は、あたしの方がいちーちゃんのキスでとろけて
しまうんだ。
ほんとに、悔しいけど、勝てないよ。
- 134 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時18分27秒
そしてまた、あたしから口を離してしまった…。
だって、気持ちよくて、身体も熱くなってきて、わけわかんなくなってきたん
だもん。
「いちーちゃん、キスうますぎ…」
「へっ…」
「なんでそんなにうまいのさぁ…」
「なんでって…そうかな…」
いちーちゃん、顔が嬉しそうだよ。
あたしは悔しいのに。
それに、そんなにうまいと、心配になるし…。
「あたし以外の娘ともしてるとか?」
「はっ…なに言ってんの」
「白状しろぉ〜」
「こ、こら、やめろって…」
いちーちゃんの脇腹をくすぐったら、さっと体勢を入れ替えられた。
- 135 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時19分21秒
「この誘惑娘が」
いちーちゃんが乗っかってきて、あたしを見つめる。
あっ、かっこいい。
今の前髪のかき上げ方、ぞくっとしたよぉ。
「なにそれ?ユニット名?」
「……そんなユニットにごとーを入れるわけにはいかない」
「なんで?」
「ごとーに誘惑されたら、いちころじゃん…誰だって」
「いちーちゃんはぜんぜんだけどね」
「……」
一瞬黙ったいちーちゃんが、チュッと軽く唇に触れた。
- 136 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時20分10秒
「だから我慢してるんだって…」
チュッとまた触れる。
「ほんとは今にも…」
もう一度唇が重なって、今度は触れるだけじゃなくて…。
やっぱりあたし、いちーちゃんのキスが好きみたい。
- 137 名前:ユニット 投稿日:2002年12月01日(日)12時21分12秒
その日はそれで帰った。
仕事を考えて、ちゃんと日付が変わる前に。
いちーちゃんの我慢強さ、もう少しでくずれるところだったけどね。
ソロの仕事、新しいユニット、不安なことはたくさんある。
でも、こうしていちーちゃんに会うだけで、あたしの心は元気になる。
うん、いつだってあたしの元気の源なんだ、いちーちゃんは。
アナタさえいれば、あたしは―。
- 138 名前:マーチ。 投稿日:2002年12月01日(日)12時24分07秒
- 更新しました。
こんな感じの二人が好き!
レスありがとうございます。感謝!
>126 和尚さん
後藤さんの前ではいつもかっこいい市井さん。
仕事優先ということで…今回は我慢しました!?
ライヴ好評みたいですね。
アルバムを聞いてから、歌っているところをすごく見たくなりました。
>127 素人○吉さん
テレビで見る限り、やっぱりごっちんだけ浮いてますよね。
トークのとき、アヤミキの楽しげなやり取りの中に入れないでいるごっちん…
その不器用っぽいところがまたよかったりするけど。
二人の師弟関係の部分がかなり好きです。
それでいて、時おり立場が逆転してしまうようなところとか。
ごっちんに押されるいちーちゃんとか。
- 139 名前:素人○吉 投稿日:2002年12月01日(日)13時07分04秒
- どうでもいいけど、初武道館のラブマで、
姉さんといちーちゃんがすれ違いざまに髪を書き上げるシーンを
思い出してしまったw
今でもついつい出てしまう教育係ないちーちゃん凄く好きです!
てか、ついに四月、いちごまが見れますね!
幕張なので(家からかなり遠いので)行けるのか、真剣に悩むトコロ…。
でも行きたいーっ。
ビデオ待ちなんかしたくない…。
- 140 名前:和尚 投稿日:2002年12月02日(月)01時27分13秒
- 市井さん我慢は良くないですぞ!(笑)
『誘惑娘』・・市井さんを誘惑する後藤さんしか入れないユニット!?
だったらイイなぁ・・・妄想進行中(爆)
- 141 名前:読者 投稿日:2002年12月02日(月)18時53分02秒
- ごまの誘惑に耐える市井、尊敬!
師弟愛はいいねぇ〜。
- 142 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月03日(火)04時03分18秒
- いちごまはエロ一歩手前が一番萌えるw
- 143 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)10時55分28秒
「ごっつぁ〜ん、これからみんなでご飯食べに行くんだけど、一緒にどう?」
「えっ、あっ…んーと、ごとーはいいや。今日はちょっと…またね」
ハロモニの収録が終わって急いで帰り支度をしていた時だった。
圭ちゃんからの食事のお誘い。
久しぶりにみんなと…それはとっても嬉しい誘いなんだけど、今日はだめ。
だって、今日はいちーちゃんと会う日だから。
- 144 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)10時56分11秒
この前いちーちゃんのマンションに行ったのは、もう随分前。
あの日も久しぶりに会ったというのに、次の日朝いちで仕事が入っていたため、
ぜんぜんゆっくりできなかった。
なかなかふたりの時間が合わない中、今日、やっと会える時間ができたんだ。
だから、圭ちゃんの誘いも…ごめん!
だって、もうずっと顔を見ていなくて、あたしはいちーちゃん不足で体調が悪
くなりそうだよ。
はやく、はやく会いたい!
- 145 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)10時56分57秒
じゃあねと勢いよく楽屋を飛び出したところで、よっすぃにぶつかりそうになった。
「あっ!ごめん、よっすぃ」
「ごっちん、そんなに急いでどうしたの?みんなと食事に行くでしょ?」
「よっすぃ、ごめーん。今日はパスなんだ。じゃ、おつかれ!」
「ごっちん!」
走り出そうとしたあたしの手をよっすぃがつかんだ。
「なんでさ?もう、今日の仕事終わりって言ってたじゃん」
「ん…と」
言葉に詰まった。
よっすぃには、っていうか、誰にも言ってなかったから、いちーちゃんのこと。
隠すつもりもないんだけど、なんとなくあらたまって言うのが恥ずかしくて。
まぁ、先輩メンバーには完全にばれてると思うけど…。
- 146 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)10時57分40秒
言いよどんでいたあたしに、よっすぃは抑揚のない声で言った。
「市井さんに会うの?」
「えっ!なんで…」
「やっぱり、そうか…」
いちーちゃんのことを突然言われたのもびっくりしたけど、もっとびっくりし
たのはよっすぃの表情。
見たことないくらい、硬くて、険しくて、なんだか冷たくて。
「よっすぃ、なに?どうかしたの?」
「許したの?市井さんを…」
「え…」
- 147 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)10時58分27秒
意外な言葉にあたしは戸惑う。
よっすぃが何のことを言っているのかわからなかった。
「許したって、何?何のこと?」
「ごっちんをずっとほっといた人じゃん!あの人は!」
「よっすぃ…?」
ほっといた人!?あの人!?
よっすぃ、何言ってるの?
あたしの頭の中の混乱はますます増していった。
- 148 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)10時59分50秒
「よっすぃ、何言ってるの?へんだよ…」
「へんなのは、ごっちんだよ!」
ぐいっと引っぱられたあたしは、よっすぃの腕の中にすっぽり入った。
一瞬何が起きたのかわからなくて、反応できないあたし。
よっすぃの腕の力だけがダイレクトに伝わってきた。
「ちょっ、…よっすぃ!?」
「ごっちん泣いてたじゃんか、ずっと一人で…あたしは見てたよ」
「えっ…」
「いつもごっちんのそばにいたのは、あたしだったじゃん…」
「……」
「いつか、忘れてくれるって思ってた。いや、忘れさせてやるって…」
よっすぃ…あたしのことを!?
頭の中がさらにパニックになって、うまく思考が回らない。
ただ、よっすぃの気持ちは痛いほどストレートに伝わってきた。
- 149 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)11時00分49秒
だって、よっすぃは―。
いちーちゃんがいなくなって魂が抜けたように落ち込んだ時期、黙ってそばに
いてくれた。
笑わせてくれたのも、励ましてくれたのも、泣いちゃったときなぐさめてくれ
たのも、みんなみんな…よっすぃだった。
よっすぃがいてくれてどんなに救われたかわからない。
でも、あたしはそれを親友として…。
よっすぃが想ってくれてるような気持ちは抱いたことはなかった。
どんなに離れても拒まれても、あたしの中にはいつもいちーちゃんがいたから。
- 150 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)11時01分40秒
いくら想ってくれても、あたしはよっすぃの気持ちを受け入れることはできない。
だから、自分の気持ち、ちゃんと言わなきゃね。
よっすぃのこと、大事な親友だと思っているから、ちゃんと誠実にこたえるよ。
抱きしめられていた腕を解いて、あたしはまっすぐよっすぃの顔を見つめた。
「よっすぃ、あたしね…」
「好きなんだ」
決定的な言葉を先に言われてしまい、あたしの言葉は行き先を失う。
「よっすぃ、待って…」
「好きなんだ、ごっちんが…だれにもわたしたくない…市井さんにも」
「……」
- 151 名前:親友 投稿日:2002年12月07日(土)11時02分19秒
とつぜん親友のラインを超えてきたよっすぃ。
あたしはどうすればいいのだろう―。
- 152 名前:マーチ。 投稿日:2002年12月07日(土)11時04分16秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>139 素人○吉さん
すれ違いざまに髪をかきあげる…いちーちゃん、かっこいいです!
よっすぃ登場しました。かなり積極的です。
よしごまは今も絡みネタがあっていいですよね…悔しい!?
>140 和尚さん
ライバル登場で、いちーちゃんも我慢なんてしてる場合じゃなくなりました。
よっすぃ、強敵かも!
>141 読者さん
いちごまの師弟愛は最高ですよね。
我慢強いいちーちゃん、今回はピンチかもしれません。
>142 名無し読者さん
一歩手前の微妙な絡みが、かえって甘さを引き出してくれるのでしょうか。
とくにいちごまはそうかもしれませんね。
- 153 名前:素人○吉 投稿日:2002年12月07日(土)11時37分43秒
- おぉっ。
よっすぃーw そうきましたかw
確かによっすぃーとは絡みが多くて…。
基本的にごまと市が他の人と絡むのは絶対駄目なんで…。
このピンチをどう切り抜けるか楽しみ。
- 154 名前:和尚 投稿日:2002年12月08日(日)01時10分24秒
- ぬわにー!!
こういう展開になるとは・・・
てっきりあいぼんだと思ってたのに・・・(笑)
赤板もそうですが、この青板でも展開が気になって眠れないかも・・・
ライヴ行ってきました♪
市井さんカッコ良すぎ!マーチさまの分まで声援して来ました!!
声援しすぎで喉が・・・(笑)
また行ってきます!!
- 155 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)12時02分05秒
- うーん、このままよしごまでもいいなあ…
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)12時19分48秒
- いやいや、やはりいちごでいってもらわんと
- 157 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時37分48秒
「好きなんだ、ごっちんが…だれにもわたしたくない…市井さんにも」
あたしを見るよっすぃの瞳は、今まで見たことのない強さと熱さがあって。
こんなにも激しく想いをぶつけてくるよっすぃに、あたしはただ驚いていた。
いつもの穏やかでまったりとしたよっすぃとはまるで別人。
よっすぃに、こんな一面があったなんて…。
「好きなんだ…ずっと好きだった…」
そう言って両手の拳を強く握って下を向いたかたと思うと、肩がだんだん震
え出した。
え…!?
泣いてるの、よっすぃ!?
- 158 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時39分12秒
あたしはよっすぃを空いている楽屋に連れて行った。
まずは落ち着かせなきゃいけないと思って、誰もいない部屋に。
いすに座らせると、よっすぃは堰を切ったように涙を流した。
よっすぃ、その涙はあたしのせいなの?
つらいよ…声を押し殺して泣いているよっすぃの姿は。
いつも明るすぎるくらい明るいよっすぃの、こんな姿を見るのは。
あたしはどうしていいのかわからなくて、ただ黙って、よっすぃの背中を撫で
ていた。
- 159 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時39分58秒
やっと、よっすぃの涙が止まったとき、あたしのケイタイが鳴り出した。
静かな部屋にちょこLOVE≠フメロディが鳴り響く。
その場違いな明るいメロディに、あたしはいたたまれない気持ちになった。
「鳴ってるよ、ごっちん…」
「うん…」
「行っていいよ…市井さんと待ち合わせなんでしょ。迷惑かけてごめん…」
よっすぃはいつものおだやかなよっすぃに戻っていた。
- 160 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時40分38秒
「泣いてるよっすぃをおいていけないよ」
「それは…同情?」
「わかんない…でも、よっすぃは大切だよ」
これは本当。
仕事でも、プライベートでも、よっすぃの存在はとても大切。
娘。をやめた今だって、ぜんぜん変わってない
だから今は、よっすぃのそばにいるよ。
心配して電話してきたいちーちゃんには悪いけど、今はよっすぃのそばに。
- 161 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時41分23秒
「かっこわるいね、あたし。こんな、泣いちゃうなんて…」
よっすぃの目からまた涙があふれる。
「たまには、いいかもよ。思いっきり泣くのも」
「じゃあ、ごっちん、胸貸してよ」
「いいよ」
あたしはよっすぃを抱きしめた。
あたしのために流してくれた涙が止まるまで、ずっと…。
- 162 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時42分04秒
「あたしじゃだめなのかな」
「ん…?」
子どものようにあたしの胸に顔をうずめながら、よっすぃが言った。
「ごっちんのそばにいたい。ごっちんを守りたい。…だめ?」
「だめって…、そんな…」
「初めてなんだ、こんなに人を好きになったの」
あたしの背中に回されたよっすぃの腕に力がこもって、それとともに熱い言葉
がどんどん心の中を占めていく。
- 163 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時43分00秒
「ごっちんのためなら、なんでもできるよ」
「もういいから、よっすぃ…」
「世界中を敵にまわしても戦うし…」
「…もういいってば」
「好きで好きでたまんない、ごっちんをあたしのものにしたい」
「よっすぃ…」
そのままずっと、あたしたちは抱き合っていた。
- 164 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時43分47秒
よっすぃが帰ったのはそれから1時間後。
「市井さんには負けたくない」
帰り際のよっすぃの言葉が耳から離れない。
泣き腫らした目であたしをまっすぐ見据えながら、まるで自分に言い聞かせる
かのように言い放って、タクシーに乗って帰って行った。
手を振るよっすぃを見送りながら、あたしは結局、自分の気持ちを一言も伝え
ていないことに気がついた。
どうして言えなかったのかはわからないけれど。
- 165 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時44分36秒
時計を見たら当然のことだけど、もうとっくに約束の時間が過ぎていた。
急いでケータイのメールを開くとやっぱりいちーちゃんからのメールが。
『仕事押してるの?とりあえず家にいるから』
ごめんね、いちーちゃん。
ずっと待たせてしまって。
しばらく考えてあたしは返信した。
- 166 名前:親友 投稿日:2002年12月14日(土)13時45分37秒
『ごめん、急に仕事入っちゃって。今日は会えそうもないみたい。帰ったら
電話するね』
いちーちゃんにこんな嘘をついたのは初めてだ。
罪悪感に苛まされて胸が痛い。
でも、今はよっすぃのことで頭がいっぱいで、いちーちゃんに会える状態じゃ
ないから。
だからごめん、いちーちゃん。
結局その日はずっとよっすぃのことばかり考えてしまい、あたしは約束の電話
をしないまま眠りについてしまったー。
- 167 名前:マーチ。 投稿日:2002年12月14日(土)13時48分26秒
- 更新しました。
かなり、よしごま!?
レスありがとうございます。感謝!
>153 素人○吉さん
積極的、情熱的、攻撃的なよっすぃ。
いちーちゃんとはまた違った魅力で、ごっちん押され気味です。
いちーちゃん、かなりピンチ!?
>154 和尚さん
よっすぃが有利な展開になってしまって、いちーちゃんヤバイです。
ライヴのいちーちゃん、やっぱりかっこよかったですか。
いいですね〜うらやましい。身代わり声援、ありがとうございます。
>155 名無し読者さん
よしごまですか?
ん〜、それは…どうでしょう…!?
>156 名無し読者さん
そうですね、いちごまが好きなので…。
でもわかりませんよ!?
- 168 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月14日(土)23時13分35秒
- いちごまに順風満帆は似合わないw
- 169 名前:和尚 投稿日:2002年12月15日(日)00時02分20秒
- 市井さんマジピンチ!
でも、よっすぃーの気持ちも解るんですよね。
後藤さんの気持ちも・・・
また眠れない日々が続きそうです(泣)
身代わり声援・・・これくらいお安い御用です!
- 170 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月16日(月)22時20分36秒
- 大丈夫きっと大丈夫。
いちーちゃん、頑張って!
- 171 名前:素人○吉 投稿日:2002年12月19日(木)09時01分10秒
- あわわ。
個人的によっすぃーの気持ちが解り過ぎるから……痛い。
この後のいちごまの絡み気になるなぁ。
- 172 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時36分37秒
翌日、あたしはドラマの撮影日だった。
ドラマは撮りよりも待ち時間が長くて大変。
日によっては早朝から深夜まで拘束されてしまうこともある。
あたしの今日の予定も、ほぼ一日中ここだ。
- 173 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時37分31秒
結局、いちーちゃんには電話もメールもしていない。
よっすぃのこと言うわけにはいかないし、一度嘘をついたからきっとそれに合
わせるためにまた嘘を重ねることになってしまいそうで、それがすごく嫌で…。
いろいろ考えているうちに、きっかけを失ってしまった。
いちーちゃんからも、なにも連絡はない。
怒ったかな…。
約束ドタキャンした上に、電話もしないで。
あたし、どうしちゃったんだろう。
自分の気持ちがわかんないよ。
自分がどうしたいのか、どうすべきなのか―。
- 174 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時38分19秒
午前中びっしり撮影だったあたしは、午後になってやっと休憩時間に入った。
楽屋で冷たいものを飲みながら一息つくと、浮かんでくるのはよっすぃの顔。
あんなに泣いちゃって…、今日ちゃんと仕事できてるのかな。
そんなことを考えていたら、圭ちゃんから電話が来た。
『よっすぃが!?』
『ん…具合悪いから休むって』
『…』
『きのうのことでしょ、たぶん原因は』
『えっ!?な、なんで?』
『聞こえてたわよ、あたしたちの楽屋のまん前だもの』
- 175 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時39分38秒
- 聞かれてたんだ…。
そうだよね、けっこう大きな声出しちゃってたし。
あのときは周りの事を考える余裕なかったから、気がつかなかったけど。
『圭ちゃん、ありがとう。よっすぃのとこ行ってみる』
『それはいいけど…、それよりさ』
『なに?』
『紗耶香のこともちゃんと考えなさいね』
『あ…、うん。もちろん…』
『やっと、より戻したんでしょ?しっかりつかまえてないと』
圭ちゃんって、こういう人なんだ。
表立って目立つことはしないけど、陰ではいろんなことに気を配ってくれて、
さり気なく助けてくれて。
- 176 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時40分43秒
『どうせ、あんたのことだから、よっすぃのことで頭がいっぱいになってんで
しょ!?』
『圭ちゃん…なんで、わかるの』
『ったく…、どうしようもないわねぇ。いい!?あんたと紗耶香は今がいちば
ん大事なときよ。まちがっちゃだめ!』
『ん…』
『よっすぃのことはあたしたちがちゃんとフォローするから、あんたは紗耶香
のことを一番に考えなさい!』
『うん、…そうだね。わかったよ、圭ちゃん』
こんど3人で会おうって言いながら、圭ちゃんは電話を切った。
と同時に、あたしは急いでいちーちゃんにメールを打った。
『きのうは電話しなくてごめんなさい。今日仕事終わったら、そっち行っても
いい?』
- 177 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時41分39秒
圭ちゃんの言葉で目がさめた。
今が大事なとき―。
うん、そうだ、そうなんだ。
やっといちーちゃんがあたしの気持ちを受けとめてくれて昔のように戻れて、
それ自体、奇跡に近いことかもしれないのに。
よっすぃのことは好きだけど、いちーちゃんへの想いとは違うこともわかって
いるのに。
あたし、よっすぃの突然の告白で動揺しちゃって、いちーちゃんの方を見てな
かった。
『待ってる』っていう返事が欲しい。
今すごく、いちーちゃんに、会いたい。
想いが募る一方でいちーちゃんからの返事いつまでたっても来ず、そのまま撮
影開始の時間がきてしまった。
- 178 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時42分28秒
NGなしで撮影を済ませ、あたしは急いで楽屋に戻った。
カバンの中からケータイを取り出すと、いちーちゃんからメールが来ていた。
『ごめん、今日は先約があって会えない』
会えない…。
その文字を見たとたん、ズキンと心臓が大きく跳ねた。
この感じ、この痛み、何回も味わった…。
いちーちゃんが娘。をやめてから、あたしが何度会いたいって言っても、答え
は会えない≠セった。
あのときと同じ…。
いちーちゃん、ちがうよね。
ほんとに、ただ、約束があっただけだよね。
あたしを避けたわけじゃないよね。
- 179 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時43分08秒
いちーちゃんしか見えなくなって、あたしは仕事が終わるとすぐその足でいち
ーちゃんのマンションへ行った。
震える指でインターホーンを押したら返事はなくやっぱり留守。
先約って、ほんとだったんだ。
ほっとして、なんだか身体中の力が抜けてしまった。
会いたい―。
- 180 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時43分53秒
もう、外は真っ暗で気温も下がってきて。
何時まで待てばいちーちゃんが戻ってくるとかわかんなくて。
ほんとは帰らなきゃいけないんだろうけど、あたしはどうしても今日いちーち
ゃんに会いたかった。
今日会わなかったら、またいちーちゃんが遠くに行っちゃいそうで。
また離れ離れになってしまいそうで。
だからあたしはマンションのそばでずっといちーちゃんを待った。
- 181 名前:親友 投稿日:2002年12月21日(土)01時44分47秒
月がね、まん丸できれいなんだ。
久しぶりに夜空を見上げた気がする。
いちーちゃん、覚えてる?
地方でコンサートした日の夜は、よくホテルを抜け出して散歩したよね。
ふたりで手をつないで、満天の星空を見上げて。
やたら星に詳しいいちーちゃんは、星座の名前をたくさん教えてくれたっけ。
『あれがオリオン座だよ』
『どれ?』
『だから、あれだって』
『星だらけでわかんないよぉ』
『三つ並んでるじゃんか、あれだって』
『あの縦にならんでるやつ?』
『ちがうって、ほら、横にさ…』
ほんとはあのときね、ちゃんとわかっていたんだよ。
でも、むきになるいちーちゃんがかわいくて、わかんないふりをしてたんだ。
冬の空は空気が澄んでいて、星も月もすごく綺麗だったな。
いちーちゃん、一緒に見たいよ。
また一緒に…。
- 182 名前:マーチ。 投稿日:2002年12月21日(土)01時46分14秒
- 更新しました。
圭ちゃん、大活躍。
レスありがとうございます。感謝!
>168 名無し読者さん
順風満帆は似合わない…かもしれませんね。
障害があった方がもえるってこともありますし。
>169 和尚さん
よっすぃの純な想いも成就させてあげたいのですが…。
圭ちゃんのおかげでごっちんの気持ちの揺れは落ち着いたみたいです。
>170 名無し読者さん
いちーちゃんへのエールありがとうございます。
きっと、がんばってくれるでしょう。
>171 素人○吉さん
よっすぃの真っ直ぐな想いはごっちんに届いたけど、
ごっちんの気持ちはやっぱりいちーちゃんに。
次からいちごまの絡みが始まります。
- 183 名前:タモ 投稿日:2002年12月21日(土)14時40分31秒
市井・・・。
ごっちん切ないっ!!!
いちごま大好きなんですよ。
市井さんの『先約』って、まさか・・
黄版で小説書いてます。
良かったら見てやってください。
それでは、更新楽しみに待ってます!
- 184 名前:和尚 投稿日:2002年12月21日(土)22時06分18秒
- ぬおおおお!!いいトコで終わってるぅ!!
市井さんの心の師が中澤さんなら後藤さんの心の師は保田さんですね。
頑張れ後藤さん!今の気持ちを市井さんに!!
- 185 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月22日(日)23時39分01秒
- ごっちんが自分の気持ちに気付いて良かった。
市井ちゃん、早く帰って来いよ〜!
続き楽しみにしてます。
- 186 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時44分11秒
「ごとぉ…?」
「あ、おかえり、いちーちゃん」
いちーちゃんが、やっと帰ってきた。
びっくりした顔してる、こんなところで待ってたんだもんね、そりゃおどろくか。
「まさか、ずっと待ってたの?」
「ううん、今来たとこ」
「…うそつけ、こんな冷えて」
「あっ…」
ふわっと頬に触れたあたたかい手。
ずっと待っていたいちーちゃんの手だ。
あたしはその手にそっと自分の手を重ねた。
- 187 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時45分25秒
「手も冷たいじゃんか」
「ん…いちーちゃんは、あったかいね」
そう言ったらいちーちゃんがあたしの両手を包んで、はあっと息をかけてくれた。
なんかくすぐったかったけど、こういうの、うれしい。
心まで暖かくなる。
「メール見てないの?今日は…」
「見たけど…会いたくて…」
あっ、目を逸らした。
照れたときのいちーちゃんだ。
「とにかく、入ろ」
「うん」
そのままあたしはいちーちゃんに手を引かれて行った。
- 188 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時46分03秒
ふたり並んでソファにすわって、いちーちゃんが作ってくれたココアを口にする。
ほど良い甘さと熱さが体にじわじわとしみこんでいく。
なにから話せばいいんだろう。
よっすぃのこと?とつぜん来ちゃったこと?
- 189 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時46分42秒
いちーちゃんも部屋に入ってから一言も口を開いていない。
両手でマグカップを持ったまま、その中をじっと見つめている。
コンポから流れている音楽だけが、あたしたちとは無関係に心地よいメロディ
を刻んでいた。
やっと会えて嬉しいはずなのにいつものように話せないのは、笑顔になれないの
は、やっぱりあたしが後ろめたいからなのかな。
きのうあたしは、いちーちゃんとの約束よりよっすぃをとったから。
そして、嘘をついてしまったから…。
- 190 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時47分32秒
「いちーちゃん、きのうね…」
よっすぃのこと、言いかけて、でもやめた。
考えてみたら、あたしはまだよっすぃに、ちゃんと自分の気持ちを伝えていない。
順番か逆だよね。
まず、よっすぃにはっきり言わなきゃ。
「きのう?」
「あっ、うん。えっと…約束してたのにごめんね。あと、電話も。するって言
っておいて、忘れちゃって…」
「ああ。いいよ、気にしてない」
よっすぃのことは、後できちんと話そう。
今は隠し事みたいになってしまうけど仕方ない。
- 191 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時48分07秒
「今日さ、矢口と会ってたんだ」
「えっ…やぐっつぁん?」
「うん、話があるからって、急に呼び出されてさ」
カップが空になったところで、いちーちゃんが話し出した。
どうやら、先約というのはやぐっつぁんだったらしい。
仕事の愚痴を聞かされたって、笑いながらそのときの様子を話してくれた。
でも…、なんか、無理してるっぽい。
きっとあたしがいつもと違うから、いちーちゃん、気をつかっているんだ。
だめだ。
こんな状態でいちーちゃんといるなんて苦しいよ。
後ろめたい気持ちで一緒にいるなんて、耐えられない。
- 192 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時48分45秒
「いちーちゃん、帰るね」
会話が途切れたところであたしは立ち上がった。
「え…もう?」
「うん、今日はいちーちゃんの顔を見たくなって来ただけだから。いちーちゃ
んの顔見たら、ごとー、元気になるんだ」
「…」
よっすぃに会いに行かなきゃ。
そして、ちゃんと言うんだ。
あたしが好きなのはいちーちゃんだって。
まずそこから始めないと、いちーちゃんとまっすぐ向き合えない。
- 193 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時49分28秒
帰り支度をするあたしをいちーちゃんはじっと見ていた。
でも、どうしてだろう、いつもとは違う視線。
なにか言いたそうで、それでいて、言い憚っているようで。
もしかしたら今日のあたしもそんな目をしているのかもしれない。
「全部、言っていいから…」
「え?」
「いや…、もし、なんかあったんならさ」
まるですべてを見透かしているようないちーちゃんの言葉は、やさしくあたしの
心に響いて、今すぐその胸にとび込みたくなる。
「いちーちゃん…うん、ありがと。大丈夫、なにもないよ」
「そっか…」
そうすればきっと、楽なんだろうけど。
でも―。
- 194 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時50分08秒
とちゅうまで送ると言って、いちーちゃんも一緒に外に出た。
そして並んで歩くとすぐに、いちーちゃんから手をつないでくれた。
やっぱり横なんか向いて、すごく照れてたけど。
いつもならあたしがうるさいくらい喋りかけて、いちーちゃんが笑いながらこた
えてくれて。
そんな楽しいはずの帰り道が、今日は痛いくらいに静まり返っている。
仕事のこととか、娘。のこととか、話そうとすれば話題はいくらでも見つかる
けれど、あたしはどうしてもそれができなかった。
形だけ取り繕うようなこと、いちーちゃんの前ではしたくないから。
- 195 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時51分05秒
「じゃあね、いちーちゃん、おやすみなさい」
「ん…気をつけて」
「また…来るね」
「ん、待ってるよ」
別れるときはいつも辛い。
また会えるってわかっていても、目の前にいるいちーちゃんから離れたくないから。
特に今日は、胸がきゅんとなって、すごく痛いよ。
でもあたしは、今できるせいいっぱいの笑顔でバイバイって言って、いちーちゃ
んに背を向けて歩いた。
いつもなら何度も振り返って、いちーちゃんに『いいかげんにしろっ』っておこ
られるくらいなのに、今日はそのまま歩き続けた。
- 196 名前:親友 投稿日:2002年12月28日(土)00時52分05秒
「ごとー…!」
突然後ろから大きく聞こえてきたいちーちゃんの声。
はっとして振り返ると、そこにはどこか思いつめているようないちーちゃんの顔。
「ごとーだけじゃないから」
「…え?」
「顔を見て元気になるのはさ、同じだから」
「……」
「今日、来てくれてうれしかった」
「いちーちゃん…」
そんなこと言われたら…、もう、なんにも考えられないよ。
今まで必死に我慢していたものがくずれていって、あたしは真っ直ぐいちーち
ゃんの胸にとびこんで行った―。
- 197 名前:マーチ。 投稿日:2002年12月28日(土)00時54分09秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>183 タモさん
いちごまお好きなんですか?同士ですね。
先約は…矢口さんでした。(よっすぃパターンも考えたのですが)
タモさんの小説、最初からずっと読んでいたのでレスいただいてびっくり。嬉しかったです!
あのような楽しいストーリーが書けるようになりたいなって…密かな目標です。
>184 和尚さん
ほんとに、圭ちゃんは心の師ですね。
実際の圭ちゃんも、こんなふうに仲間のために動き回っているような感じがします。
ごっちんといちーちゃんは、微妙な感じ…。
でも、ごっちんは頑張ってくれるはずです。
>185 名無し読者さん
自分の気持ちに気づいたごっちんですが、いちーちゃんとは微妙な感じで…。
これからのふたりを見ててください。
レスありがとうございます。楽しみと言ってもらえて嬉しいです。
- 198 名前:マーチ。 投稿日:2002年12月28日(土)00時56分03秒
- 年内の更新はこれが最後かと思います。
みなさん、よいお年を。
- 199 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月29日(日)01時39分43秒
- 二人がもどかしくてせつないね…
- 200 名前:和尚 投稿日:2002年12月30日(月)03時19分07秒
- 市井さんの後藤さんの想いを受け止める深さに感動。
恐らく、後藤さん顔をクシャクシャにして飛び込んだんでしょうね。
後藤さん頑張れ!
- 201 名前:素人○吉 投稿日:2002年12月30日(月)15時30分16秒
- いろいろと困難難関あるけれど。
やっぱり相思相愛で互いを大切に想い合っているふたりが凄くいいですよね。
- 202 名前:タモ 投稿日:2003年01月05日(日)13時01分05秒
自分の方でも、いちごま書かせていただきました。
マーチ様の作品に比べたら・・・ですよ。
続きがきになるーー!!
マーチ様のいちごまは甘系が多いですよね(●´ー`●)
甘いいちごま大好きです。
これからも期待しています。頑張ってください。
- 203 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時33分56秒
「いちーちゃん、ごめんね…」
「ん?」
あたたかい、いちーちゃんの腕の中。
胸の中に隠しておいたことが溶け出していく。
「ごとーね、いちーちゃんに、嘘言ってたんだ」
「嘘…?」
「うん…。きのう仕事が押してたって…、あれ嘘なんだ。嘘ついて、いちーちゃん
との約束…」
「そっか…」
いちーちゃんは特に驚きもせず怒りもせず、あたしの言うことを静かに受けとめて
くれた。
それが少し意外でもあり、物足りなくもあったのかもしれない。
あたしは、言うつもりのなかったことまでー。
- 204 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時34分52秒
「よっすぃにね、好きだって言われたの…とつぜん」
「ん…」
いちーちゃんはやっぱりやさしく受けとめてくれる。
「よっすぃ泣いちゃって…。ごとーそのときね、よっすぃのそばにいたいって
思って…っ…ずっと一緒にいて、約束の時間過ぎちゃって…」
「ん…」
だからあたしは言葉と一緒に涙までどんどん溢れてきて。
「…それにね、いちーちゃんが好きって…ぅうっ…よっすぃに言えなかったんだ…」
「そっか」
泣きながら心の中にあったものをぜんぶ吐き出してしまった。
- 205 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時35分47秒
すすり泣くあたしをいちーちゃんはずっと抱きしめてくれた。
時々、髪や背中を撫でながら、泣き止むまでずっと。
「吉澤のこと……」
「…え?」
頭を撫でながら、いちーちゃんがなにか言いかけてやめた。
「あ、いや、…吉澤、今日、仕事休んだんだって?」
「うん、えっ、なんで…?」
どうして知ってるの?
いちーちゃんがなんで…?
考えた瞬間、思い当たる顔がふと浮かんだ。
- 206 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時36分50秒
「あっ!?…もしかしてやぐっつぁん?」
「うん、…ごめん、黙ってて。矢口が全部おしえてくれて…」
「そう…、だったんだ」
いちーちゃん、知ってたんだ。
だからあたしが何を言っても平然としてたんだ。
あっ、じゃあ、今日いちーちゃんがいつもと違っていたのも、あのとき何か言
いたそうな顔をしていたのも、全部知ってたからなのかな。
いろんなことが今やっとわかった気がする。
「吉澤が告ったから、ごとーが動揺してるって。ちゃんとつかまえてろって、
矢口がさ」
「やぐっつぁんが、そんなこと…」
そっか、そういうことか。
圭ちゃんはあたしに、そしてやぐっつぁんはいちーちゃんに。
圭ちゃんもやぐっつぁんも、あたしたちのことを心配して…。
- 207 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時37分47秒
「どうして黙ってたの?」
「ごとーが黙ってたから」
いちーちゃん、怒ってる?
声が冷たいのは気のせい?
「ごとーは、よっすぃに…」
どうして黙っていたのかを言おうとしたところで、いちーちゃんの強い声が響
いた。
「ごとーが決めていいから」
「えっ…」
「もし、ごとーが…、ごとーが吉澤のこと…、好きなら…」
…!?
一瞬、自分の耳を疑った。
まさか、いちーちゃんがそんなこと言うなんて!
- 208 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時38分54秒
「なにそれ…、どういう意味?」
「いや、だから…、ごとーはさ、いちーに縛られることはないって…」
いちーちゃんのその一言は、とどめとなってあたしの心に突き刺さる。
「いちーちゃん、なに言ってるの…!縛られることないって…、そんな…、
そんな言い方…」
思わず声に力が入って、そして震えてしまった。
だって、決めていいとか、縛られることないとか、そんな言い方って突き放さ
れたみたいで悲しいよ、さびしいよ、いやだよ。
どうしてはっきり断らなかったんだって、そう怒ってくれるくらいの方があた
しは嬉しいのに。
- 209 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時39分41秒
「ひどいよ、いちーちゃん…」
「…」
あたしはいちーちゃんの腕をつかんで、力任せに揺すった。
まるで小さい子が駄々をこねるかのように。
「なんでそんなこと言うのさぁ…」
「…」
いちーちゃんは黙ったまま下を向いているだけ。
あたしはもどかしさと苛立ちで段々と感情が高ぶり、いちーちゃんを責めつけ
ていた。
「何も言ってくれないの?いちーちゃん!」
よっすぃよりも強い言葉を心のどこかで求めていたんだ。
- 210 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時40分26秒
「不安だったんだ…。今日、矢口から吉澤のこと聞かされて、ずっと不安だった…」
ひどく弱々しい声で不安≠ニいう言葉を口にしたいちーちゃんに、あたしは驚く。
「え…?不安って、なにが…?」
「もしかして振られるのかなって…今日のごとー、いつもと違ってたし…」
「……」
いちーちゃんがそんなふうに思っていたなんて。
あたしはしばらく声が出なかった。
- 211 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時41分30秒
「いちーちゃん…」
「……」
呼んでも目を合わせてくれず、それどころか背を向けられて…。
どうしてなの、いちーちゃん。
どうしてあたしからどんどん遠ざかっていくの?
悲しくなるよぉ…。
「いちーちゃん、おかしいよ…」
「…なにが」
「だって、そんなわけないじゃんかぁ、ごとーがいちーちゃんを振るなんて…」
「そんなわけないって、…わかんないよ。吉澤はあたしより長くごとーのそば
にいたわけだし…」
どうしてそんなによっすぃ拘るのか全然わからなくて、頭の中が混乱して。
ただ、振り向いてくれたいちーちゃんが遠い眼をしていて、あたしの悲しみは
ますます深くなっていった。
- 212 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時42分25秒
「長くって、それは…」
「わかってる、それも全部自分のせいだって。だから、ごとーが吉澤に告白さ
れて心が動いたとしても…」
「動いたと…しても?」
「それは、仕方ないんだって…覚悟はある」
全身の力が抜けていくような感じがして、心の中の何かが切れたような感じが
して、あたしはぎゅっと目を閉じた。
いちーちゃん…なんでそこまで一人で決めちゃうの?
あたしの気持ちって、ぜんぜん届いていないのかな?
いちーちゃんの気持ちも…仕方ないですむくらいの軽いものなの?
すごく、さびしいよ。
- 213 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時43分26秒
「覚悟って…。ごとーがよっすぃの方に行くって、本気で思ってるの?」
「……」
「ねぇ!いちーちゃん、答えて!」
「それは…だってさ…吉澤は…」
いちーちゃんは言葉を濁して答えてくれない。
どうしてはっきり言ってくれないの!?
…そう、よっすぃのように、あのくらいはっきり言ってほしい。
あたしをつかまえててほしいよ。
「よっすぃは『だれにも渡したくない』って言ってくれたよ。いちーちゃん
は…言ってくれないの?『しかたがない』ですむの?」
「……」
返事がないのが、返事なんだね。
それがいちーちゃんの答えなんだね。
- 214 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時44分16秒
「……わかった、もういい。これからよっすぃに会いに行く」
「えっ…」
歯がゆくてやり場のない感情があたしを苛立たせて、いちーちゃんに向かって
投げやりな言葉をぶつけてしまう。
いちーちゃんはその言葉に一瞬びっくりしたみたいで目を丸くしてあたしを見
たけど、すぐにまた視線をはずした。
あたしはいちーちゃんの顔をじっと見て、そして言葉を待った。
でも…、『行くな』って、やっぱり言ってくれないんだね。
- 215 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時45分09秒
「じゃあね、いちーちゃん…」
「……」
涙をこらえて背を向ける。
歩き出したあたしはどこかで呼び止めてくれるのを待っていたのだけれど、
いちーちゃんの声はとうとう聞こえてはこなかった。
- 216 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時45分55秒
足早に歩きながら涙がこぼれないようにと空を見上げたら、そこには輝くたくさんの星。
いちーちゃんと、見たかったな…。
- 217 名前:親友 投稿日:2003年01月05日(日)21時46分58秒
一緒に星空を見上げることなく、あたしたちは別れてしまった。
心がすれ違ったままで―。
- 218 名前:マーチ。 投稿日:2003年01月05日(日)21時48分56秒
- 新年初更新しました。
今年もよろしくお願い致します。
レスありがとうございます。感謝!
>199 名無し読者さん
その通りですね。
もどかしすぎて、すれ違ってしまいました…。
>200 和尚さん
こんなふうになってしまいました。
二人の想いが空回りです…。
>201 素人○吉さん
相思相愛でありながらすれ違い…。
さらに困難な状況になってしまいました。
>202 タモさん
読むのも書くのも甘いのが好きです。(今回は痛いですが…)
いちごま編読ませてもらいました。
いちーちゃんに惚れこんでるごっちんが可愛くて熱くてよかったです!
- 219 名前:素人○吉 投稿日:2003年01月06日(月)01時08分49秒
- お互い、精一杯の優しさが空回りしてすれ違って……。
よっすぃーはこの状況をどう受け止めるのか。
痛い!いちーちゃん、素直になってくれ〜!
- 220 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月06日(月)11時49分44秒
- 皆素直にいかないと…
- 221 名前:和尚 投稿日:2003年01月06日(月)21時32分31秒
- ハンマーで頭叩かれた様な驚きの展開!
後藤さんが勇気出したんだから、市井さんも勇気出して!!
気になってしまい、眠れない日々が始まりそうです。
- 222 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時42分52秒
「ごめんね、こんな遅くに」
「いいよー、むしろ嬉しいって!」
いちーちゃんと別れて、あたしはまっすぐよっすぃの家に来た。
自宅を訪問するにはかなり遅い時間になっていたけど、あたしたちの不規則な
仕事の状況を理解しているよっすぃのお母さんは、快くあたしを迎えてくれた。
ごゆっくり、なんて言って、部屋に紅茶を運んできてくれたりもして。
- 223 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時44分12秒
久しぶりのよっすぃの部屋は相変わらず綺麗に片付いていた。
本やCDもきちっとラックの中に整頓されていて、几帳面なよっすぃの性格が
表れている。
あたしは香りたつ紅茶のカップに手を伸ばした。
きのうの今日で、なんとなくよっすぃと顔を合わせるのが恥ずかしい。
意識しすぎだってわかってるけど、やっぱり照れくさい。
「あー、あのさ、ごっちん」
「ん?」
「えっと、あっ、この前借りたDVDまだ見てないからさ、もうちょっと貸して?」
「あっ、うん、いいよ」
「…」
よっすぃもいつもと違う。
こんなにあたしたちがぎごちないなんて初めてだね。
いつも冗談ばっかりで、笑い転げている二人なのに。
- 224 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時45分35秒
よっすぃが紅茶を口にした。
やっぱりあたしが話すべきなんだよね。
言わなきゃならないことが確かにあるし。
でも、なんて切り出せば…。
「なんか、照れくさいんだよね、実は」
「えっ?」
あたしがごちゃごちゃと迷っていたら、よっすぃが先に話し出した。
「ほら、一応きのう、告白?しちゃったわけで…、泣いちゃったりもしたし…」
「あ…」
「ごっちんの顔まともに見れないくらい…けっこう恥ずかしい」
「よっすぃ…」
なんか可愛い。
真っ赤になってもじもじしてるよっすぃなんて、そう見れるもんじゃない。
- 225 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時46分53秒
「あたしも恥ずかしかった、実は」
「へ?ごっちんも?」
「うん。でも、よっすぃの照れた顔って可愛くて、もう恥ずかしくなくなったよ!」
「はっ!?なんだよ〜それ、意味わかんね〜」
そこでやっとよっすぃがいつもの笑顔になったから、あたしも笑うことができて。
よかった、これでふつうに話せそう。
- 226 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時47分48秒
「よっすぃ、…仕事、休んだんだって?」
「あっ、知ってたんだ。へへっ、ずる休みしちゃった」
言いながら舌を出しておどけてみせるよっすぃ。
「だめじゃん…みんな心配してたよ」
「うん、わかってる。たっくさんメールとか電話きて大変だった」
よっすぃがケータイを手にして静かに笑った。
目を伏せて、やさしく。
そのやわらかい笑顔は、今のあたしには痛いくらい胸に沁みた。
いちーちゃんは最後までこんなふうに笑ってはくれなかったから。
- 227 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時49分01秒
「ごっちん…?なんかあった?」
「え?なんで?」
よっすぃがあたしの横に来て顔を覗き込む。
普通にしてるつもりなのに、どうやらうまくいかなかったみたい。
「いつものごっちんじゃないから」
「そ、そんなことないよ、べつに…」
あわてて取り繕うとしてもやっぱりうまくいかなくて。
「べつにって顔じゃないけど…」
「あ…」
よっすぃの手が頬に触れた。
それはいちーちゃんとは違うぬくもり。
でも、あったかい。
あたしはぎゅっと目を閉じた。
- 228 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時49分53秒
「ごっちん…?」
「…いちーちゃんが……」
それっきり言葉が続かなかった。
あたしはさっきのいちーちゃんの言葉を思い出してしまい、どうしようもなく
せつない思いに駆られてしまって。
一生懸命平静を装うとしてもダメで、涙がこぼれてしまって。
泣くつもりなんかないのに勝手に溢れ出した涙は止まってくれない。
よっすぃを困らせたくないのに、どうしても止まってくれない。
- 229 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時51分11秒
「ごっちん…」
「…え、あっ…」
気がついたらあたしはよっすぃの腕の中に包まれていた。
「好きだよ」
「…」
「あたしなら、ごっちんを泣かせたりしない」
「よっすぃ…」
きつく抱きしめられた腕の中がきっといちーちゃんに似ていたからだと思う。
あたしはそのままよっすぃに身を預けてしまった。
さびしくて苦しくて、そんな感情がすぐそばにいる人を求めてしまったのかも
しれない。
そんなこと虚しいだけだってわかっているのに、あたしはよっすぃの背中に腕
を回してしまった。
- 230 名前:親友 投稿日:2003年01月11日(土)20時52分28秒
だからよっすぃが肯定と受けとめたのもしかたなくて。
「ごっちん…」
「え…」
耳元で名前をささやかれたかと思うと、あたしの身体はゆっくり倒されていった。
「いいの…?」
「…ん…」
背中に感じるフローリングの床は少し冷たくて、でもあたしの身体が震えたの
はたぶんそのせいじゃない。
何が正しいとか、何が欲しいとか、今のあたしにはわからなかった―。
- 231 名前:マーチ。 投稿日:2003年01月11日(土)20時54分44秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>219 素人○吉さん
ここでもよっすぃは押しが強くて。
ごっちんはさびしさ故に近くの愛を求め…。
>220 名無し読者さん
そうですね。
でも、素直になるのも時に難しい…。
>221 和尚さん
よっすぃと比べるといちーちゃん弱すぎですね。
眠れる日はまだ遠いかも!?
- 232 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月11日(土)21時43分10秒
- あかんて!身を任せたらあかんて!!はよ気づかなあかんて!!!
- 233 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月11日(土)22時02分36秒
- 後藤ー!目を覚ませー!
続きが気になって、眠れないっすよぉ〜。
- 234 名前:タモ 投稿日:2003年01月12日(日)12時31分25秒
後藤・・・・
せつないっすね。うん、切ないっす(●´<`)
市井さーん!!はやく後藤の気持ちを取り返さないと吉澤に傾いちゃうよ!
自分の気持ちにみんな素直になってくれ・・・・。
と、ゆーわけで次の更新に期待。
- 235 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月12日(日)22時06分42秒
- あーあー・・・・・市井ちゃんのバカー!!!
どうするんだよぉぉぉ。
ごっちんも流されるなぁぁぁ。お二人ともお願いしますよ〜。
- 236 名前:和尚 投稿日:2003年01月13日(月)00時47分14秒
- 一瞬思考が停止してしまいました・・・
市井さん、ここで頑張んないと!!
後藤さんもホントにこれで良いのかぁ〜!!
折角、寄りが戻ったのに・・・(号泣)
更新待ってます。寝ないで待ちます!!
- 237 名前:素人○吉 投稿日:2003年01月23日(木)21時57分44秒
- 痛過ぎです……。
でもいちいの気持ちもわかるんだよなぁ〜。
束縛したくないというか、そんなん。
- 238 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時31分32秒
よっすぃの顔をこんなふうに見上げるなんて、あたり前だけど初めてだった。
色白な肌は赤く染まり、瞳はかすかに潤んでいるように見える。
きのう想いを告げられたときと同じ。
その熱い視線はあたしを捕らえて決して離してくれない。
- 239 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時32分53秒
「ごっちん…」
よっすぃの手が髪に触れた。
「友達のままはもう嫌だ」
少し震えながら撫でる仕草がぎごちなくて涙が出そうになる。
「好きなんだ…」
なんて眼であたしを見るんだろう。
よっすぃ…、そんなにあたしのことを?
- 240 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時34分01秒
そんなにあたしを求めてくれるのなら、よっすぃのまっすぐな想いに今は溺れ
てしまいたい。
そんな感情があたしの心を占めていって。
「いいよ…」
「え?」
「友達、超えよ…?」
自分で言いながら、その言葉の重さに声が震えた。
「ごっちん、それって…」
髪を撫でていた手が止まった。
その手が頬に移って、よっすぃがゆっくりと近づいてくる。
- 241 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時35分09秒
このままあたしたち、友達のラインを越えてしまうんだ…
案外かんたんなものなのかもしれない…
あたしはすべての思考を止めて静かに目を閉じた―。
- 242 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時36分08秒
『ごとー、遅いぞぉ』
『待ってよ、いちーちゃん!』
あれ、なんで…?
『今日のダンス、うまかったじゃんか』
『ほんと?いちーちゃんにほめられるなんて嬉しい!』
どうしてこんな昔のこと…?
『あしたのオフ、どうする?』
『ん〜、ずっといちーちゃんと一緒にいたい!』
閉じられた瞼にいちーちゃんの姿が映って、心が大きく揺さぶられる。
- 243 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時37分10秒
『好きだからさ…もう泣くなよ』
いちーちゃん…
『後藤と一緒に夢を追いかけたいんだ』
いちーちゃん…
『あいしてる…』
いちーちゃん…、ごとーもだよぉ…
- 244 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時38分14秒
「やっぱりだめ!!」
今にも触れるというぎりぎりのところだった。
あたしは顔を背けて、よっすぃの肩をぐいっと押し返した。
暗闇へ迷い込んでいたあたしの心は、土壇場で一筋の光を見つけたかのように、
いちーちゃんに向かって行ったんだ。
- 245 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時39分31秒
「なんで…」
悲しそうに顔を歪めるよっすぃを見て、あたしは自分の置かれた状況に今さら
ながら悔やんだ。
「ごめん、どうかしてた、あたし…」
それしか言いようがない。
想いはひとつなのに、あたしは…。
「どうかって…」
「あのね、よっすぃとは友達で、あたしが好きなのは…」
言いながら起き上がろうとしたけど、よっすぃはそれを許してくれない。
どうかしてた≠ナ終わるほど、よっすぃの気持ちは軽くなかったんだ。
- 246 名前:親友 投稿日:2003年01月25日(土)23時40分57秒
「もう遅いよ、ごっちん」
「え……」
よっすぃが両方の手首を掴んで床に押し付ける。
その強引で乱暴な行為に、あたしは驚いて言葉を失ってしまった。
「もう、もどれない…」
「……」
「市井さんなんか、忘れなよ…」
「よっすぃ…やめて…」
抵抗の言葉は受け入れてもらえず、あたしを押さえつけたまま、よっすぃの唇
が頬に触れる。
「忘れさせてやるから…」
「やっ、よっすぃ!やだ…やだよ…!」
どうあがいてもよっすぃはやめてくれない。
上から押さえ込まれる圧倒的な力の強さにあたしは恐怖心さえ感じた。
- 247 名前:マーチ。 投稿日:2003年01月25日(土)23時42分36秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>232 名無し読者さん
ごっちんはぎりぎりのところで本当の気持ちに
気がついたのですが、すでに遅くてこんなことに…。
>233 名無し読者さん
続きはこうなりました…また眠れないですね!?
ごっちんは目を覚ましたのですが、よっすぃーが…。
>234 タモさん
ごっちん、ほんとにせつないですね。
市井ちゃんに何とかしてほしいところですが…。
タモさんのいちごまは甘くていい感じですね!
楽しませてもらってます。
- 248 名前:マーチ。 投稿日:2003年01月25日(土)23時44分32秒
- レスありがとうございます。感謝!
>235 名無し読者さん
やっぱり市井ちゃんのせいですよね。
流されていたごっちん、やっと気づいたときには…
>236 和尚さん
市井ちゃんもがんばってくれると思います。きっと…
一途なよっすぃに勝てるか!?
>237 素人○吉さん
束縛したくないという気持ち、ごっちんにしてみれば
不安に感じてしまってこんなことに。
一度すれ違うと元に戻るまでが大変です。
更新遅れてすいません。
週に一回はと心がけていたのですが忙しくなり
二週も空けてしまいました。
これ以上は空かないようにがんばりたいです。
- 249 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月26日(日)01時05分10秒
- よっよっちぃー!!!
もう遅いのか?遅いんですかぁー???やっとごっちんが気付いたってのに。
続きが気になる。
- 250 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月26日(日)01時30分38秒
- よっすぃー、ダメだーっ!
いちーちゃん助けてくれー!
ああ、眠れない眠れない…。
- 251 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月26日(日)09時02分11秒
- よすぃ、ごまを奪ってまえー
- 252 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月26日(日)21時37分50秒
- いちいさん、死守なのれす。走れ紗耶香!なのれす
- 253 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月26日(日)21時47分41秒
- ヘタレなよっすにゴマを傷つけることができるとは思えない。
大丈夫、きっと大丈夫〜。がんばってくらさい。
- 254 名前:和尚 投稿日:2003年01月26日(日)22時01分03秒
- うわぁ〜スゴイ気になるトコで終わってるぅ〜
後藤さんが市井さんを心から好きなのがわかって嬉しいんですけど、遅すぎたのでしょうか!?
- 255 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時12分25秒
決して力が弱いわけではない、むしろ強いほうだというのにどうにもならない
のは、この体勢の差なのだろうか。
組み敷かれたあたしの抵抗はまったくと言っていいほど無力だった。
「やめてっ!よっすぃ…!」
届かない言葉がむなしく響く。
どうしてこんなことに…?
あたし、なにやってんだろう…
よっすぃにはっきり自分の気持ちを伝えようって、そう思ってここに来たのに。
- 256 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時13分37秒
「よっすぃー…」
あたしが甘えてしまったから、よっすぃのやさしさにすがったからこんなことに…?
そっか、全部自分のせいだ。
自業自得って、こういうことを言うのかな…?
ふと自分の弱さが情けなくなって、あたしは抵抗していた力をすっと緩めた。
いちーちゃん、ごめん…
- 257 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時14分36秒
急におとなしくなったあたしによっすぃは驚いて顔を上げた。
「なに…その気になったの?」
「よっすぃがしたいなら…」
罰だと思った。
さびしいからって、簡単によっすぃに傾いた罰。
「…ごっちんはどうなのさ」
よっすぃの強い視線が痛い。
でもあたしはそれに負けないように、目を逸らさずに答えた。
「あたしの気持ちはずっと前から決まってるから」
「…」
「よっすぃに会う前から。会ってからも変わらない」
「…」
「だから、心はあげられない…」
押さえつけていた手が外れた。
- 258 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時15分19秒
「なっ、なんだよ、それ…」
「ごめん…」
よっすぃが起き上がって、そして少し離れたところに胡坐をかいて座った。
あたしも身体を起こして乱れた服を直す。
俯いているその表情は垂れた髪で見えないけれど、よっすぃを傷つけたことは
間違いない。
よっすぃ…、ごめん。
あんな言い方、ひどいよね…。
- 259 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時16分05秒
「よっすぃ…?」
「…」
「あの…、ごめん、あたし…」
「…」
よっすぃは何も言ってくれないし、こっちを見てもくれない。
でも、言わなきゃ。
自分の気持ち、ちゃんと伝えなきゃ。
- 260 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時16分52秒
「聞いて、よっすぃ。あたしね、いちーちゃんが好きなんだ」
「ん…」
「だから、よっすぃの気持ちにはこたえられない」
「ん…」
「ごめんね」
「ん…」
よっすぃはやっぱり静かに頷くだけだった。
静まり返った部屋は決して居心地の良いものではなかったけど、だからといっ
てかける言葉は見つからなくて。
すっかり冷えてしまった紅茶を口にしながら、あたしはぼんやりテーブルの上
を見つめていた。
- 261 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時17分59秒
「…さっき、圭ちゃんから電話きたんだ」
「え、圭ちゃん?」
ずっと黙っていたよっすぃがこっちを見てぼそっと話し出した。
突然圭ちゃんの名前が出てきてちょっとびっくりしたけど、よっすぃの声がい
つものように落ち着いていて、あたしはほっとした。
「うん、きのうの告白、聞かれてたみたいで、全部ばれててさ…。ずる休みも
ばれてめっちゃ怒られた。すっげー怖かった…」
圭ちゃん…、よっすぃにも電話したんだ。
そういえば、“よっすぃのことはフォローするから”って言ってたっけ。
- 262 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時19分27秒
「ごっちんのことほんとに好きなら重荷になるような惚れ方はするなって言わ
れた。圭ちゃん、きついよね、まじで」
「……」
「本気で好きだったんだ。いや、これからだってずっと好きだと思う。でも、
今はっきり振られたからさ、もう、ごっちんを困らせるようなことは言わ
ないよ。重荷にはなりたくないから」
「よっすぃ…そんな」
「んと、…友達でいてくれるよね?」
「も、もちろんだよ、なに言ってんのさ」
よっすぃが照れくさそうに笑顔を見せてくれた。
よっすぃ、ありがとう。
あたしたち友達でいられるんだね。
- 263 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時20分09秒
「あっ、さっきはごめん、その…手、大丈夫?」
「え?あっ…」
言われて見てみたら、手首が赤くなっていた。
さっきのよっすぃの力の強さを思い出す。
「やばっ、赤くなってる、ごめん、ほんとに」
「ん…いいよ、大丈夫。こんなのすぐ治るよ」
笑ってみせたけど、よっすぃはいつまでも心配そうな顔をして。
何度大丈夫って言っても謝り続けた。
- 264 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時21分11秒
「でも、ごっちん、その…市井さんと、なんかあったの?」
「へへっ、ちょっと喧嘩しただけ…ん…大丈夫…」
「あっ、もしかしてきのうのこと?約束あったんだよね、あたしのせいで遅れて」
「ちがっ…よっすぃのせいじゃないよ」
「あたしが市井さんにちゃんと理由を言うから、仲直りしなよ」
「そんなんじゃないんだ…ほんと…大丈夫だから…」
よっすぃのせいじゃない。
いちーちゃんのせいでもない。
悪いのは…、あたし…。
- 265 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時22分00秒
その後もよっすぃはあたしを心配してくれて、『市井さんに電話する!』とか言
い出して。
だんだん『ごっちんを泣かせるなんて許さない』なんてすごい勢いで怒り出し
て、なだめるのに大変だった。
そのせいですっかり遅くなってしまって、その夜、あたしは久しぶりによっす
ぃの家に泊まることにした。
布団に入っても、よっすぃはまだ一人でぶつぶつ怒っていたけど。
- 266 名前:親友 投稿日:2003年02月06日(木)23時22分45秒
いろいろあった一日。
さすがに疲れたのか、あたしはすぐに眠りについた。
夢の中のいちーちゃんとあたしは、満天の星空の下、手をつないで歩いていた―。
- 267 名前:マーチ。 投稿日:2003年02月06日(木)23時23分37秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>249 名無し読者さん
続きはこうなりました。
とりあえず遅くはなかったですね。
よっすぃとごっちんも強い絆なのです!
>250 名無し読者さん
よっすぃはごっちんを思いやることができました。
いちーちゃんは…。
これでやっと眠れますね!?
>251 名無し読者さん
よっすぃはそこまでできませんでした。
いいやつなのです。
- 268 名前:マーチ。 投稿日:2003年02月06日(木)23時24分45秒
>252 名無し読者さん
こんな状況、いちーちゃんはまったく知らず…。
ヘタレです。
>253 名無し読者さん
まったくそのとおり、ごっちんを傷つけるようなことはできません。
二人の絆も強いのです。
>254 和尚さん
いちーちゃんを想うごっちんの気持ち、ごっちんを想うよっすぃの気持ち。
それぞれが本物で、こんなふうになりました。
次回、語り手がいちーちゃんに変わります。
- 269 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月07日(金)22時18分28秒
- とりあえずよかった!
いちーがんばれ!
- 270 名前:和尚 投稿日:2003年02月08日(土)01時07分41秒
- 保田さん良い仕事するなぁ・・・
後藤さんはとりあえず安心ですね。
後は市井さん。
市井さんの後藤さんへの想いが非常に気になります。
是非ヘタレ返上して欲しいッス!
- 271 名前:素人○吉 投稿日:2003年02月08日(土)08時10分42秒
- よっすぃーやっぱいい奴やなぁ、とひとりで感動w
ごまの真っ直ぐな気持ちも泣かせるー。
- 272 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)18時12分13秒
- 良かった良かった。
あとは市井ちゃん次第だね。
素直になってくれ〜。
- 273 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)22時55分28秒
もうどのくらい、後藤と会っていないんだろう。
声を聞いていないんだろう。
あの日、後藤の後ろ姿を見送ったのが最後。
すれ違ったままのあたしたちは、あそこですべてが止まっていて。
また同じ過ちをくり返そうとしているのだろうか。
やっと取り戻した後藤をあたしはまた―。
何度も電話しようと思ったんだ。
でも、あの時の後藤のあたしを責めるような眼が頭から離れなくて、どうして
もボタンが押せなかった。
後藤からの電話を待った。
でも、待ち続けた着メロは決して鳴ることはなくて、しだいにそれに慣れてし
まってー。
- 274 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)22時56分40秒
『よっすぃーがごっつぁんに告ったんだ』
矢口から吉澤のことを聞いたとき、矢口の前だから平然を装っていたけど、内
心は焦りと不安がごちゃ混ぜになって、頭の中が真っ白になっていた。
二人の仲のよさはテレビのトークでも十分わかっていたし、娘。の中で、常に
後藤のそばにいたのは吉澤だったことも知っていたから。
『ごっつぁんをしっかりつかまえててね』
つかまえるどころか、不安でいっぱいになったあたしは、また自分で逃げ道を
作ってしまった。
仕方ないとか、覚悟があるとか。
精いっぱい強がって、かっこつけて。
それがどんなに後藤を傷つたか気づいたときには、もう…。
どうしてあたしは後藤を大切にできないんだろう。
心はこんなに後藤を求めているのに。
- 275 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)22時57分30秒
『もういい、よっすぃに会いに行く』
あれは、あの言葉は、やっぱり別れを意味するのだろうか。
後藤の横には、もう、吉澤がいるのだろうか。
あの時『行くな』って手をつかんだら、去って行く背中に声をかけていたら、
違っていたのだろうか―。
すべてが後の祭りだった。
いつまでも後悔と自己嫌悪に苛まされる自分…。
- 276 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)22時58分19秒
後藤のことを引きずったまま、次の日から地方のイベントや学園祭のライブが
始まってしまった。
それらはすべて初めてのことで、一つ一つを夢中でこなしているうちに、時間
はどんどん流れていった。
この時のあたしは、仕事の忙しさに救われたと言えるのかもしれない。
ステージに立っているときだけは、後藤のことを考えずにすんだから。
- 277 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)22時59分12秒
そんな忙しい日々が一段落した今日、矢口と一緒に圭ちゃんの家に遊びに行く
ことになった。
焼肉パーティーをするからって、久しぶりのメンツだ。
誘われたときはすごく嬉しかった。
あのときからずっと沈んでいた心が少し軽くなった気がした。
気心の知れた二人の存在の大きさをあらためて実感した。
- 278 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)22時59分55秒
「とりあえず、カンパイしとく?2期メン同窓会ってことで!」
二人に会えた嬉しさで気分が高揚しているあたしは真っ先にグラスを持ってカ
ンパイのスタンバイ。
なのに、二人からはまったく反応なし。
グラスを持とうともしない。
「なーに、のんきなこと言ってるかなあ」
「わかってないのね、やっぱり」
なんか二人とも心なしか顔つきが険しい。
同期で仲良く語り合うって雰囲気じゃないかも。
誘ってきたのはそっちのくせに、なんで…!?
- 279 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時00分53秒
「ごっつぁんをつかまえときなって、あのとき、矢口言ったよね」
「へっ?ああ…」
「ああって…、あんたねぇ!」
今日って、もしかして、後藤のことで…。
そっか、そういうことか。
…二人とも目が怖いよ。
「ごっつぁん、紗耶香とぜんぜん会ってないって言うし、またさびしそうな顔
するようになったしさ。うちらには何も言わないけど、無理してるのが見え
見えなんだからね!」
「どうなってんのよ、あんたたち、いったい!仲良くなったんじゃなかったの!?」
「ん…」
しばらく考えて、あたしはあの日のことを二人に話した。
- 280 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時02分33秒
「まったく…ヘタレなとこ変わってないわね」
「圭ちゃん…それ、裕ちゃんにも言われた」
「男前のくせに、案外弱っちかったもんね、紗耶香って」
うっ…言いたい放題、言われ放題。
あたしってそんな弱キャラだったっけ。
「決めていいとか、縛られることないとか、そんなこと言われたら矢口だって
ショックだよ。突き放されたみたいでめっちゃ悲しいもん!不安定なときこ
そ支えてもらいたいのにさ!」
「ほんとっ!そういう女心がわかってないのよねー、昔っから」
「ごっつぁんも苦労するわ…矢口同情する」
「よっすぃーの熱い告白にぐらっときちゃうのも無理ないかもね〜」
「あ〜、ごっつぁん!なんでこんなやつに惚れたのさ〜」
「ほんとにねぇ〜、かわいそうなごっつぁん!」
焼けた肉をどんどん口に入れながら、矢口と圭ちゃんの会話が盛り上がっていく。
あたしは口を挟むことさえ許されない雰囲気で、ウーロン茶をちびちびと飲むだけ。
- 281 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時03分40秒
「ちょっと紗耶香!紗耶香の方からなんとかしないと、まじでもう戻れないか
もよ!ごっつぁんとよっすぃ、今すごく仲いいんだから!このままよっすぃ
のものになってもいいの!?」
「いや、いくないっす…」
矢口の勢いに押されるあたし。
「いつまでもごっつぁんが、いちーちゃん♪≠チてなついてくると思ってた
ら大間違いなんだからね!手遅れになるんだから、わかってる!?」
「ん…」
さらに厳しい言葉を投げつける圭ちゃんにたじたじになるあたし。
- 282 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時04分36秒
いつまでもなついてくるか…、そんなこと…。
いや、もしかしたらそう思っているのかも。
だから、いつも自分は逃げて、後藤から来てくれるのを待ってしまうのかもし
れない。
まったく…
臆病で卑怯な自分に嫌気がさす。
これじゃ、後藤に愛想をつかされるのも当然だ。
- 283 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時05分36秒
「怖かった…、後藤が離れていくかもしれないって…。でもそんなこと後藤に
言えなくて…、なんでもないふりして…、余裕あるふりして…」
「紗耶香…」
「後悔、してるんだ…」
この二人だから言えた、あたしの本音。
あの日からずっと悔やんで、ずっと自分を責めてきた。
- 284 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時06分25秒
「だったら行動しなさいよ!」
「うん…」
「せっかくより戻ったんでしょ!あたしたちがどんなに喜んだと思ってるのよ。
ふたりにはあの頃のように仲良しでいて欲しいって、圭織もなっちも、それ
に裕ちゃんだって思ってる」
「ん…」
裕ちゃんもか…。
そういや、後藤に会いに行くきっかけをくれたのは裕ちゃんだったっけ。
あのとき、後藤を取り戻したいって本気で思って。
- 285 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時07分10秒
そして勇気を出して一歩踏み出したはずなのに。
確かにこの腕の中に取り戻したのにー。
後藤、会いたいよ。
会ってもう一度ちゃんと話したい。
弱気になって逃げたことを謝りたいし、後藤への変わらない想いを伝えたいよ。
- 286 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時07分51秒
「まだ、間に合うかな…」
ごとーを取り戻すことができる?
まだ、手の届くところにいる?
「それは紗耶香の気持ちしだいだよ」
「気持ちは変わってない、後藤が好きなんだ」
こんなにはっきり口に出して言ったのは初めてかもしれない。
今までは照れくさくて、なんだかんだごまかしていたから。
やっぱり二人とも、少し驚いた顔をしている。
- 287 名前:星空 投稿日:2003年02月17日(月)23時08分52秒
「じゃあ、とにかく行動することね!待ってるだけじゃ離れていくだけ」
「…うん、わかった。もう一回、ぶつかってみるよ」
あたしの力強い言葉を聞いて、二人はやっと笑顔を見せてくれた。
そして、まったく世話が焼けるんだからと言いながら、また焼肉をがつがつ食
べ出した。
同期っていいもんだな。
心配してくれたり、怒ってくれたり、励ましてくれたり。
本当にありがたい存在だ。
そう、そのありがたい存在が後藤にはいないんだ。
だからこそ、あたしが側にいて支えてあげなきゃいけないのに。
吉澤になんか渡したくない。いや、渡さない。
後藤だけは絶対に―。
- 288 名前:マーチ。 投稿日:2003年02月17日(月)23時11分08秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>269 名無し読者さん
いちーちゃん、これからがんばります。
見ててください。
>270 和尚さん
保田さんはここでもいい仕事ぶり!
現実もそんな感じしますよね。
いちーちゃん、ヘタレは返上します。がんばります。
>271 素人○吉さん
ごっちんを傷つけることはできない、やさしいよっすぃー。
泥沼の展開も考えたのですが、よっすぃーがいいやつなのでできませんでした。
…サイト、休止?閉鎖ですか?
>272 名無し読者さん
やぐちと圭ちゃんのおかげで素直になりました。
いちーちゃん、これからがんばってくれますので見守ってください。
- 289 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月18日(火)20時13分45秒
- 2人の前ではヘタレな市井ちゃん(w
やっぱり同期の絆は永遠ですね。
がんばれ市井ちゃん!
- 290 名前:タモ 投稿日:2003年02月18日(火)20時30分21秒
- 後藤を捕まえろ!市井!(笑)
- 291 名前:素人○吉 投稿日:2003年02月19日(水)22時09分41秒
- ヽ^∀^ノ<ごめんな後藤、やっと自分の気持ちに気付いたよ…!
いちいちゃん、かっけーです。
そしてに二期メン!!いろんな意味で一番絆は深そうな三人ですしね。
マーチ。さん、申し訳ないです。復活です。
- 292 名前:和尚 投稿日:2003年02月20日(木)00時17分48秒
- 同期ってホントいいモンですね。
本気で心配して、本気で叱ったり、そして、ホンネで話す。
こーゆー関係が羨ましいと思いました。
ある意味、不甲斐無い妹を叱るお姉ちゃん達・・・(苦笑)
お姉ちゃん達に背中押された市井さん頑張れ!!
- 293 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時50分58秒
圭ちゃんの家を出て矢口と別れた後、後藤に電話をすることにした。
今あるこの気持ちをどうしても伝えたくて、どうしても―。
でも、いざとなるとヘタレなあたしが顔を出してしまって。
後藤の反応が怖くて、なかなかボタンを押せないでいる。
なにが怖いというのだろう。
後藤を失う以上に怖いことなんてないのに。
『待ってるだけじゃ離れていくだけ』
そうだ、自分から行動するんだ。
もう、ためらってる場合じゃない。
一度大きく深呼吸して、目をつぶって、そして、震える指で…押した。
- 294 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時51分45秒
プルルルル…
呼び出しのコール音がいつもより大きく耳に響く。
5回、6回…
早く出てほしいような、このまま出ないでほしいような…。
8回、9回…
出ない…、まだ仕事中なのかな。
あと3回だけ待とう。
と思った瞬間、繋がった。
ドキンと大きく心臓が鳴る。
- 295 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時52分36秒
『あっ……ご、ごとー…?』
『…うん……』
電話に出た後藤は返事をしただけで何も言わない。
あたしも咄嗟に言葉が出なくて、沈黙が続いてしまう。
お互いの息遣いだけが伝わって、やたら緊張感が増していって。
なんて言ったらいい?
伝えるべきことは何?
- 296 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時53分48秒
『……えっと…、今から、会えないかな…?』
『……』
一番言いたいことが自然と口から出た。
会いたい。
会いたいんだ、後藤。
ケータイを耳にぎゅっと押し付けて、後藤の答えを待つ。
でも、後藤は何も言ってくれなくて。
あたしの不安はますます大きくなっていく。
後藤、何も言ってくれないのは、会いたくないっていう返事なの!?
- 297 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時54分37秒
逃げ出したくなる弱気な自分を奮い立たせて、あたしは必死に言葉を続けた。
『…会いたいんだ…』
『……』
『…会って話したい…』
『……』
何も言ってくれない後藤に、かっこ悪いくらい話しかける。
こんなふうに最初から気持ちをぶつけていればよかったんだ。
逃げたり、引いたりせずに。
- 298 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時55分36秒
『ごとぉ……』
『………うん、今どこ?』
『え…あっ、えっと…』
やっと答えてくれた。
でも、とつぜんどこって聞かれて、あたしはしどろもどろになってしまって。
『んと…圭ちゃんちのそばの公園』
『…前に、行ったとこ?』
『あ、ああ。そう、そこ』
そうだった。
前に圭ちゃんの家に二人で遊びに行ったとき、帰りにここに寄ったんだ。
久しぶりにブランコに乗りたいなんて後藤が言い出して。
『行くから待ってて』
『えっ…いや、あたしがそっちに行くから』
『今、近いから、ごとーが行くよ』
そう言って、ぷつっと電話が切れた。
手のひらの汗と早い鼓動が、あたしの緊張の度合いを物語っていた。
- 299 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時56分27秒
とりあえず第一関門突破。
やっと後藤に会えるんだ。
一気に脱力したあたしは、どかっとベンチに腰を下ろした。
ふと空を見上げたら、…星。
満天とは言えないけど、輝く星たちがそれぞれの星座を成している。
後藤、おぼえてる?
よくツアー先のホテルを抜け出して、ふたりで夜道を散歩したよね。
星を見に行こう、なんて言ってさ。
でも、ほんとは星を見たかったわけじゃなくて。
ただ、ふたりで手をつないで歩きたかっただけなんだ。
無邪気な顔をして星を見上げている後藤を見ていたかっただけなんだ。
こんなこと恥ずかしくて絶対言えないけどさ。
- 300 名前:星空 投稿日:2003年02月26日(水)22時57分22秒
あの頃はいつも二人でいたね。
仕事のときも、仕事が終わった後も、あたしの横にはいつも後藤がいた。
毎日毎日忙しくて、一日を振り返る余裕さえもなかったけど、決して辛いとは
思わなかったのはきっと後藤がそばにいたから。
あたしには後藤が必要で、きっと後藤にもあたしが必要なんだ。
だから、取り戻したい。
もう一度後藤をこの腕の中に―。
- 301 名前:マーチ。 投稿日:2003年02月26日(水)22時59分12秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>289 名無し読者さん
市井ちゃん、がんばりましたよー!
ヘタレ返上かな!?
>290 タモさん
捕まえました!
やるときゃやります、いちーちゃん!
>291 素人○吉さん
そうですね、2期メンは苦労が多かった分、絆は深そうです。
二人のおかげで、いちーちゃんがやっと前に進みました!
サイト復活!いちごまサイトいいですね!!
>292 和尚さん
叱られる市井ちゃんもいいかも!?
同期の仲間だからこそできることですよね。
いちーちゃんがんばりました。次もきっと…。
- 302 名前:和尚 投稿日:2003年02月26日(水)23時44分38秒
- 更新お疲れ様です。
市井さんの緊張が移ったのか、こっちまで手に汗握って緊張してしまいます。
ここからが肝心、頑張れ市井さん!!
- 303 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月28日(金)23時54分21秒
- ついに後藤と対面ですね。
ふぁいとぉ!
- 304 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)01時06分09秒
- いつの間にか進んでる・・・。
また眠れない日々が復活しました(w
がんばれ、いちーちゃん!
- 305 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時39分32秒
「いちーちゃん…」
少し冷たい風とともにあたしの名を呼ぶ声が聞こえてきた。
反射的に立ち上がり声の方へ振り返る。
「ごとー…」
街灯の明かりに映し出されたその顔はほんのり愁いを帯びていて、それでいて
息を呑むほど綺麗だった。
- 306 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時40分25秒
「あ、ごめん…、わざわざ…」
「ううん、ちょうど帰るところだったし」
「そっか…」
「ん…」
途切れる会話。
重くのしかかる沈黙。
やっと会えたというのに、言いたいことはいっぱいあるのに。
いざ後藤の前に立つと言葉が出ない。
鼓動がどんどん早まって、汗がじわじわ滲んでくる。
後藤はずっと下を向いたままで、あたしとの距離も微妙に遠いままで…。
きっとこの距離が今のあたしたちなんだね。
なんとかしなくちゃ、これ以上離れないように。
- 307 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時41分14秒
こうなってしまったの自分のせいだから。
だから今日はちゃんと伝えるんだ。
溢れるほどの後藤への想い。
もう絶対ごまかしたり逃げたりしない。
意を決したあたしは、目を閉じて大きく息を吸い込んだ。
- 308 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時42分16秒
「嫌いに…なった…?」
「えっ…」
先に口を開いたのは後藤だった。
「ごとーのこと…もう、嫌い…かな…」
「……」
思いがけない言葉にあたしは驚いて固まってしまった。
だって、嫌いになったって…えっ…?
嫌われたのはあたしの方だし…。
全然意味がわからない。
混乱してどう答えていいのか戸惑っていたら、後藤があたしの上着の袖先を
ぎゅっと掴んできた。
- 309 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時43分31秒
「わがままでごめんね…でも、ごとーは…、ごとーは、いちーちゃんが好きだ
から…、だから、嫌われたくない…」
今にも泣きそうな顔をして言った後藤の言葉は想いがいっぱい込められていて、
あたしは胸がきゅんと締めつけられる。
でも、なんか違うよ。
嫌いになるとか、嫌われたくないとか。
「なんでそんな…ごとーのこと嫌いなわけないじゃん…」
「だって…ごとー、あのとき…っ…うっ…うっ…いちーちゃんを…責めたりし
たし…よっすぃーのとこ行くとか、言って…っ」
そんなこと、気にしてたのか。
そう言わせてしまったのはあたしなのに、後藤は自分を責めていたのか。
- 310 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時44分19秒
「…うっ…ごめんね、…いちーちゃん…」
「そんなの、なんでもないことだよ。悪いのはこっちの方だし」
まだ何か言いかけていた後藤をあたしは思いっきり抱きしめた。
後藤があの日のことをそんな風に思っていたなんてショックで。
てっきりあたしの不甲斐ない態度に愛想をつかしたと思っていたのに、後藤は…。
なんでもっと早く会おうとしなかったんだろう。
そうしたらこんなふうに後藤を苦しめずにすんだのに。
自分の弱さと臆病さにあらためて怒りが込み上げる。
- 311 名前:星空 投稿日:2003年03月08日(土)21時45分45秒
「いちーちゃんからぜんぜん連絡なくて、もう嫌われたと思って…、怒ってる
と思って……うっ…っ」
「ごとぉ…」
同じだ…。
あたしもそう思ってたんだ。
だから怖くて電話もできなくて…。
「もうダメなのかなって…寂しかった…苦しかったよぉ…」
「ごめん…」
後藤があたしの腕の中で震えている。
ごめん、本当にごめん。
あたしが不安にさせたばっかりに。
ごめん、後藤……、もう泣かないでー。
- 312 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月08日(土)21時47分37秒
- 更新しました。
久しぶりに二人のシーンが書けた!
レスありがとうございます。感謝!
>302 和尚さん
すれ違っていた二人ですが、やっと…。
市井ちゃん、がんばった甲斐がありました。
>303 名無し読者さん
二人、対面しました。
やっと、わかりあえましたよ。
>304 名無し読者さん
二人の想いが通じあいました。
これで眠れますね!?
- 313 名前:きいろ 投稿日:2003年03月09日(日)08時26分11秒
- 更新乙です。
いやいや、久しぶりに甘い(?)いちごまが見れました。
後藤さんはやっぱり素直で良い子ですねー。
市井さんもこれで自分の気持ちを素直に言えれば…ですね。
- 314 名前:和尚 投稿日:2003年03月09日(日)23時47分33秒
- 後藤さん健気だわ・・・。
後藤さんの言葉に市井さんと一緒に胸がきゅんと締めつけられました。
あらためてマーチ。様の書く切ない文章に脱帽。
次の更新が非常に気になります。
- 315 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)23時08分02秒
- 後藤の想いは純粋ですね。
泣けてきました。
- 316 名前:素人○吉 投稿日:2003年03月11日(火)23時17分59秒
- 良かったです…。
その言葉しか見つからないど。
これ以上の言葉が見つからない。よかったぁ。
- 317 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時04分42秒
「好きだよ、ごとーが」
「…うっ…っ…」
何度でも言うよ。
後藤が泣き止むまで、後藤の心に届くまで。
「好きだよ、大好きだから…」
「…うっ…ほんと…?怒ってない?」
「バカ…怒ってなんか…んなわけないじゃん」
「よかった…」
やっと後藤の震えが止まった。
- 318 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時05分59秒
「ごとーの方こそ、怒ってないの?」
「え…?」
きょとんとした顔の後藤を真っ直ぐ見つめて、あたしは愚かで情けなかったあ
の日の自分を謝った。
「あの日のこと…ごめん。吉澤のこと聞いて動揺して…、ごとーの気持ち考え
てなかった…ほんと、ごめん」
「いちーちゃん…、謝らないで。ごとーが悪かったんだから」
「いや、ごとーは悪くないよ。悪いのは…」
「もういいっ」
言葉を遮るように後藤がぎゅっと抱きついてきた。
全身で感じる後藤のぬくもり。
もう二度と離したくない。
- 319 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時06分59秒
「好きだから」
「ん…」
「もう絶対離さないから」
「うん…、絶対離れない」
後藤の涙を唇で拭って、そしてそのままそっと唇を重ねた。
やわらかい後藤の唇に、そっと、触れるだけ。
それだけで、幸せになる、満たされていくんだ。
唇をゆっくりはなして、今度はおでこをこつんとくっつけた。
目と目が合って、微笑んで、そしてまたキスをして。
すれ違いからできてしまった隙間をそうやって二人で埋めていった。
- 320 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時08分14秒
「いちーちゃん、今日はいっぱい好きって言ってくれたね」
「ん…?そっかな…」
「うれしい…」
めずらしく後藤が照れて下を向いた。
あたしの言葉がそんなに嬉しいなんて…。
後藤のように素直に気持ちを言えるようになりたい。
いいかげん、弱キャラから抜け出さなきゃ…。
「そんなの…、いくらでも言うよ…」
「え…いいよぉ、無理しなくて」
「や…べつに無理じゃないし」
「じゃあ、今言って」
「えっ…今?」
「うん、無理じゃないんでしょ?」
いや、でも、そんな、後藤にじっと見つめられたこの状態で!?
ぜんぜん無理じゃなくなかったかも。
- 321 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時09分01秒
「…えっと、……」
「好きっ!」
あたしが口に出すのを恥ずかしがっていたら、後藤が勢いよく抱きついてきた。
しかも、先にその言葉を言われてしまって…。
「ちょっ…なんで、先に…」
「ごめん、待ちきれなかった」
「…」
「だって、照れてるいちーちゃん、かわいいんだもん!」
なんか、完全に後藤に押されてる気が…。
でも、いっか。
こんな関係が、今すごく居心地いいから。
- 322 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時10分20秒
「歩こっか」
「うん」
後藤の手をつなごうとしたら、一瞬早く先につながれてしまった。
また先を越された…やっぱ押されてるな。
「いちーちゃんの手だぁ」
「なんだよ…、こら、引っぱるな!」
「へへっ、ごとー専用!」
ほんとに嬉しそうに笑ってくれるね、後藤は。
その無邪気な笑顔をあたしだけに向けてくれることに、今さらながら幸せを噛
み締める。
でも、ひとつだけ気になっていることがあるんだ。
言っていいのかわかんないんだけれど、どうしても心の奥で引っかかっていて。
- 323 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時11分16秒
「あのさ、…」
「なあに?」
今、その名前を出していいのかどうかやっぱり迷って、言いかけたのに止まっ
てしまった。
「いや…うん……」
「よっすぃのこと?」
「え…なんで…」
「大丈夫だよ、今まで通り仲良しだから。ちゃんと、ごとーの気持ちも言ったし」
「そ、そっか…」
後藤って、こんなに大人だったっけ。
今日は完全に負けた、完敗だ。
- 324 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時12分27秒
「いちーちゃん、あれ、オリオン座でしょ?」
後藤が空を見上げて指差した。
思い出してくれてるのかな、あの頃ふたりで歩いて、星空を見ながら語り合っ
たこと。
「ん?ああ…よく見つけたね」
「いちーちゃんがおしえてくれたんだよぉ。ほら、ツアー先でさ」
あっ、やっぱ後藤もあの頃のこと…。
大切な二人だけの秘密の思い出。
「なかなかおぼえなかったけどな」
「そんなことないもーん」
立ち止まった後藤がずっと空を見上げている。
あたしはその横顔に魅せられて、ただじっと見つめて。
綺麗だよ、後藤。
いつのまにキミはそんなに―。
- 325 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時13分18秒
「このへんはやっぱり、あんまり見えないね」
「ん…」
後藤が少しがっかりしたような顔をしたから。
だからあたしは思わず後藤に―。
「見に行こ、こんど、ふたりで」
「え…?」
「星がいっぱいのところに、ふたりで行こう」
「…うん!約束だよ、いちーちゃん!」
「ん、約束!」
- 326 名前:星空 投稿日:2003年03月19日(水)17時14分23秒
絡めあった小指に誓うよ。
いつか、必ず行こう、ふたりだけでさ。
空いっぱいに輝く星の下で、今度こそちゃんと言うから。
後藤より先に、大きな声で。
キミがいちばん好きだってー。
…end…
- 327 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月19日(水)17時15分16秒
更新しました。
これにて『だから、いちばん好き』終了です。
- 328 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月19日(水)17時16分07秒
- レスありがとうございます。感謝!
>313 きいろさん
市井ちゃんもやっと素直になれました。
最後はやっぱり甘い二人です!
>314 和尚さん
健気で一途な後藤さんを書きたかったので
そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。
>315 名無し読者さん
そうですね、純粋で一途で素直で…
泣けてもらえて嬉しいです。
>316 素人○吉さん
いろいろありましたが、二人は乗り越えました。
ハッピーエンドです!よかった、よかった!
- 329 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月19日(水)17時18分19秒
- 構想ではこれで完結!
なのですが、この後も書きたくなりそう…。
そのときはまたよろしくお願いします。
読んでくださった方、感想や励ましの言葉をくださった方、
ありがとうございました。
- 330 名前:タモ 投稿日:2003年03月19日(水)18時21分08秒
- 更新そして完結お疲れ様でした。
『いちごま』というカプは今や娘小説界の定番となり、しかし最近ではあまり見られなくなってしまいました。
市井が脱退してからもめまぐるしいメンバーの入り変わりが続いているにも関わらずこの二人の小説が今でも根強くファンに好まれているのは、いちごまが好きな自分自身としてもとても快く思います。
その中でもマーチ様の作品は『いちごま』でも甘くて読んでいてとても幸せな気持ちにさせられる素晴らしいものだと思います。
この作品も本当に最後の方は感動しました。レスは途中から控えさせて頂きましたがずっと応援しておりました(w
完結お疲れ様でした。それと、これからも頑張ってください(●^ー^●)
- 331 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月19日(水)20時51分42秒
- 完結お疲れさまでした。
よかったよ〜、やっとゆっくり眠れます(w
ステキなお話、ありがとうございました。
また書きたくなったらお願いしますね。
- 332 名前:素人○吉 投稿日:2003年03月19日(水)22時47分00秒
- すみません。
なんか胸が一杯でドキドキしていい言葉が見つけられません。
とにかく。マーチ。さんの書くいちごまのお陰で、
以前よりもずっとずっといちごまを大好きになりました。
素晴らしいいちごまをありがとうございます。
マーチ。さん、ホントにありがとうございます。
是非、この次もついて行きたいです。
そして、おつかれさまでした…。
- 333 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月20日(木)00時19分58秒
- がんがん書いちゃってください。いつでも待ってます〜
- 334 名前:和尚 投稿日:2003年03月21日(金)00時48分17秒
- 完結お疲れ様でした!
読んだ後、幸せな気持ちになりました。
弱キャラ(笑)だけど後藤さんを大切に想っている市井さん、
健気で純粋で無邪気な後藤さん。
2人の仲がいつまでも続けばいいなと思いながらをもう一度卒業スペシャルを見ようと思います。
ありがとうございました!
- 335 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月22日(土)15時50分47秒
- 甘くてよかったです。
続きがあるなら是非!
- 336 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月28日(金)01時53分18秒
- レスありがとうございます!
>330 タモさん
丁寧なレス、ありがとうございます。
読んでて幸せな気持ちに…そんなふうに言ってもらえると、本当に嬉しいです。
こんな拙い文でも書いてよかったと励まされます。
いちごま好き同士、がんばっていきましょう!
>331 名無し読者さん
熟睡してますか〜?
レスありがとうございます。
やっぱりまた書きたくなってます。
っていうか書いてますので、またおつき合いください。
>332 素人○吉さん
レスありがとうございます。
いつも身に余る言葉をいただいて恐縮しています。
いちごま好き度アップしましたかー?
これからも書いていくつもりですので、是非ついてきてください!?
- 337 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月28日(金)01時54分35秒
- 続きです
>333 名無し読者さん
がんがんまでは…でもその勢いでいきたいですね〜。
待っててください!
レスありがとうございます。
>334 和尚さん
いつも丁寧な感想をありがとうございます。
卒業スペシャル見たんですか?何回目ですかー?
あのシーンは何度見てもいいですよね。
いちごまシーン、また見れる日は来るのでしょうか!?
>335 名無し読者さん
レスありがとうございます。
最後は思いっきり甘くしてみました。
短編書いてますので、近々UPします。
感想や励ましの言葉、本当にありがとうございました。
近々更新の予定です。
- 338 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時01分09秒
「お疲れっす!」
「へへっ、カンパ〜イ!」
ビールの入ったグラスをカチンと合わせる。
今日は後藤のミュージカルが無事終わったことをお祝いして、家でささやかな
打ち上げパーティー。
久しぶりにゆっくりできる時間ができたから外で食事でも…と思ってたんだけ
ど、この前(あたしの誕生日の日)作った料理を後藤がえらく気に入ってくれ
て、また食べたいなんてリクエストされて。
それで今日もまたテーブルいっぱいにがんばってしまった。
もちろん新メニューもあり。
- 339 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時02分46秒
「すごいねぇ、いちーちゃん。お店みたいだよ!」
グラスを置いた後藤がテーブルの上の料理を見回しながら目を輝かせる。
そりゃそうだろう。
後藤の好きなものと栄養バランスを考えながら絶妙にアレンジを施したスペシ
ャルメニューだ。
もちろん愛情がたっぷり込められているのは言うまでもないし。
うん、プロにだって負けてないはず。
「ははっ、そのへんの店よりはうまいぞ」
「ほんとにー!?いちーちゃんがそこまで言うなんてめずらしいね」
「いいから、はやく食べなさい」
「は〜い!いっただっきま〜す!」
両手を顔の前で重ね合わせ、後藤がスプーンを手にした。
- 340 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時03分46秒
「おいしー!」
市井オリジナル野菜スープを口にした後藤が感嘆の声を上げる。
具のブロッコリーを口いっぱいに頬張り、満面の笑顔だ。
「ん〜、サイコー!」
「そりゃよかった」
こんなに喜んでくれるなら毎日だって作ってやりたい…なんて思ったりして。
あれ?もしかして市井は尽くすタイプだったのか!?
「こっちもおいしー!」
後藤はニコニコしながらどんどん料理を平らげていく。
昔からよく食べるやつだったけど今も変わってないな。
- 341 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時04分48秒
「いちーちゃん、料理上手だったんだね?ごとー負けそうだよ」
「そんなことないけど、本読んで研究したからなぁ…、がんばったんだぞ」
ちょっとだけ偉そうに言ったら、後藤の手がふと止まった。
「…それって、ごとーのために?」
へっ…そういうこと真顔で聞くかぁ。
いや、もちろんそうなんだけどさ…。
「うん…まあ…ほら、ミュージカルがんばったご褒美だよ」
「うれしい…ありがと!」
後藤の喜ぶ顔が見たくてがんばったなんて、やっぱ恥ずかしくて言えないな。
- 342 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時05分57秒
「ねぇ、いちーちゃん、感想は?ごとーのミュージカル」
すっかりテーブルの上が片付いた後、後藤が改まった顔をして聞いてきた。
「感想?」
「うん…。ちょっと怖いけど聞きたい、いちーちゃんがどう思ったのか」
怖いって…。
ダメだしでもされると思ってるのかな。
後藤はとっくにあたしを超えているのに。
「よかったよ。観客を十分に惹きつけてたし」
「ほんとに!?」
「うん、一人でよくがんばったなって思う。いい舞台だったよ」
「へへっ、よかったぁ!」
顔をくしゃっとして喜ぶ後藤。
あの頃とおんなじだなぁ、無邪気で幼いその顔は。
- 343 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時07分41秒
「ん?なに?」
「…あ、いや、ずいぶん嬉しそうな顔するなって」
「だってほめられたんだもん、うれしいよぉ」
ますます表情を崩す後藤は、ほんとに嬉しくてたまらないという様子。
これぐらいのほめ言葉はいくらでも言われているだろうに…。
「いっぱいほめられてるだろ?今まで、いろんな人からさ」
「うん、そりゃあ…ね。でも、いちーちゃんにほめられるのが、ごとーは
一番うれしいんだもん!」
ったく…、かわいいこと言ってくれるなぁ。
言われたこっちも嬉しくなるじゃんか。
「そっか、よくやった後藤!」
「うん!」
頭をくしゃくしゃっと撫でると、後藤は満足そうな笑みを浮かべて頷いた。
- 344 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時09分00秒
いつまでたっても、後藤にとってあたしは先輩であり教育係。
それが重荷に感じたときもあったっけ、あたしが後藤から逃げていたころ。
でも、今は違う。
強くならなきゃと思う。
ずっと後藤を支えていけるような絶対的な強さが欲しい。
- 345 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時10分17秒
「あの…いちーちゃん…」
「ん?」
あれ?
後藤の顔が赤い。
「…いちーちゃんも?」
「へ?」
「いちーちゃんも観客として惹きつけられたりした…?」
かっわいいな…。
自分で言っておいて、めっちゃ照れてるし。
あっ、ダメだ…その顔ツボだ。
- 346 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時12分02秒
「もちろん、ずっと目が離せなかったよ」
「え…そんな…」
ますます照れる後藤が可愛くてたまらないから、ついからかってしまう。
「後藤のミニスカートに釘付け!」
「はあっ!?なに言って…もう!いちーちゃんのバカ!エロおやじ!ごとーは
まじめに聞いたのに!」
そして真っ赤になった後藤はあたしの肩や背中をバシバシ叩くんだ。
これ、いつものパターン。
「イタッ!おい、やめろって〜、力強すぎぃ」
「いちーちゃんがエロいからでしょー」
「なに〜!?んなことないっ!」
振り上げた瞬間の腕をぐいっとつかんで、勢いでそのまま押し倒した。
- 347 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時13分01秒
「…え…?」
見下ろす後藤の顔は、さっきビールを飲んだせいか頬が薄っすらと赤い。
その上、目がトロンとしていて、色っぽいとしか言いようがなくて。
さっきあんなに幼い顔をしていた後藤はどこにもいない。
目の前にいるのは、あたしをドキドキさせて止まない大人の顔をした後藤だ。
「あの衣装は反則でしょ…」
指を絡めながら手を握って、ゆっくり顔を近づけていく。
「…似合ってなかった?」
「そうじゃなくて…」
赤く染まった頬に唇を寄せて。
そのまま首筋へ移り軽く吸い付いたら、後藤が身を捩った。
- 348 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年03月31日(月)01時14分05秒
「…待って…」
「ん…?」
「シャワー、浴びてから…」
「…いいよ、そんなの」
久しぶりだったからかな。
気持ちが…、身体が…、後藤を性急に求めて止まらなかったんだ。
- 349 名前:マーチ。 投稿日:2003年03月31日(月)01時15分00秒
- 更新しました。
ミュージカル見てないくせに…
- 350 名前:素人○吉@激しくごま推し。 投稿日:2003年03月31日(月)03時11分47秒
- ごめんなさい…。
おいらもごまのミニにはミュージカル忘れて望遠鏡でくぎ付けになりました(爆)
もうあれは反則ですよ!!二階だから絶対最前列のひととかいい想いしてるもん!(お馬鹿
そしてめちゃくちゃ泣かされました(笑)笑わされました(笑)ライブでは盛り上がらせて頂きました!
>あれ?もしかして市井は尽くすタイプだったのか!?
「気づいてなかったんですか!?市井さん!!」と思わず突っ込んでしまいました(笑)
精神的にはかなりごまに尽くしているような……(笑)
あ〜〜〜〜やっぱりいちごま(・∀・)イイ!!ですね!!マーチ。さんのいちごまが読めて幸せです。
- 351 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月01日(火)21時00分20秒
- また始まったんですね。
嬉しいです!
続きがたのしみ〜
- 352 名前:卒業スペシャルは既に十回以上見ています(笑)和尚 投稿日:2003年04月02日(水)02時05分50秒
- すみません・・・
素人○吉様に激しく同意。
視力が悪く眼鏡かけてるんですけど、その時だけ視力が5.0になってました(苦笑)
でも、後藤さんのミュージカルは何回見てもイイっす!(勿論ミニスカートは別にッス)
前に『マーチ様。の書く切ない文章に脱帽』と書きましたが、もう一つ付け足します。
『マーチ様。の書く甘い文章にノックアウト』です。
もう〜たまらん!状態ッス。
市井さんの「この前〜」というのは赤板作者フリー短編用を参照ですね。
- 353 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月02日(水)23時42分04秒
- おお、新作発見!
もういちごまは、ここと月板のぐらいですから、
また楽しみができて嬉しいです〜。
続き、お待ちしてます。
- 354 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時41分13秒
「ちょっ…いちーちゃん…っ」
セーターをたくし上げ、露になった肌を撫でる。
脱がしたかったんだけど、後藤はまだ拒んでいて無理っぽい。
「…んっ…ねぇ、待ってよ…いちーちゃん…」
「やだ」
やばい…、自分が抑えられない。
これって無理矢理だよなあ…。
そう思いながらもやっぱり止められなくて、右手が柔らかな感触をとらえた。
- 355 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時43分31秒
♪♪♪〜
タイミングを計ったように、テーブルの上にあったケータイが鳴った。
瞬間手が止まり、後藤と目が合う。
「…いちーちゃんのだよ」
「…だね」
「出ないの?」
「こっち優先」
「バカ…早く出ないと切れちゃうよ」
「…」
「ほら」
「ん…」
この着信音は事務所からだもんな。
やっぱ出なきゃまずいか…。
しぶしぶ後藤から離れて、ケータイを持ちながら別の部屋に入った。
- 356 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時44分40秒
大した用事でもなかったことに腹を立てながらリビングに戻ったら、後藤の姿
がない。
もしかして怒って帰った!?
やっぱ、無理矢理はやばかったか…。
焦っておろおろしていたら、バスルームからシャワーの音が聞こえてきた。
あ…そっか…。
ほっと安堵しソファに身を沈める。
飲みかけだった紅茶を口にしたらすっかり冷めていた。
- 357 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時45分52秒
特にすることもなくて、テレビのリモコンをいじったり、読みかけの雑誌をパ
ラパラと捲ったり。
そうやって意味のないことをくり返しているうちに、抑えられないほど熱くな
っていた気持ちもだんだんと静まって、しだいに眠気さえ漂ってきて。
ティーカップに手を伸ばし最後の一口を口にしたら、カチャリとドアの開く音
がした。
振り向くと、白いバスタオルを巻いた後藤が濡れた髪を拭きながら入ってくる。
って、えっ!
な、なんだよ、その…バスタオル1枚ってのは。
いつもはちゃんとパジャマ着てるのに…。
一瞬にして眠気も吹っ飛んでしまった。
- 358 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時46分40秒
「ふ〜、いちーちゃん、ウーロン茶もらうね」
「…あ…うん」
冷蔵庫からペットボトルを取り出しそのまま口をつける。
ごくごく鳴る喉元。
火照っている肌。
バスタオルから伸びるスラリとした脚。
おさまっていた衝動が再び湧き上がってきたのは言うまでもなくて。
年頃の男の子だったら絶対我慢できないだろうなって…、妙に納得。
- 359 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時47分47秒
「めっちゃ視線感じるんですけどぉ」
「あ…」
はっとして目を逸らしたけどもう遅かった。
見惚れていたことを気づかれたのは、かなり恥ずかしい。
「やっぱいちーちゃん、エロおやじだね〜」
「そ、そんな格好するからだろ」
見ないやつなんているのか!?
後藤がバスタオル1枚で…、しかも湯上り…。
「シャワー浴びたんだもん、普通でしょ?」
「そうだけど…、パジャマくらい着ろって」
「だって熱いんだもん。ダメ?」
ダメって…。
そんな目で見つめられたら…。
こいつ確信犯だな、絶対。
「…や、いいけど」
「あはっ、いちーちゃん、顔赤いよぉ!?」
「うっさい、……シャワー浴びてくる」
なんだか形勢が不利みたいなので、逃げるようにバスルームに向かった。
- 360 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時49分02秒
「早くね〜、ごとー寝ちゃうかもよ〜」
後ろから聞こえてきた声に立ち止まり振り返ると、後藤がにやにやしながら
こっちを見ていた。
「寝ないで待ってろって」
「ん〜、わかんな〜い」
なんだよ、その余裕たっぷりの態度は。
なんか悔しいぞ…。
「寝てたら…襲っちゃうからな」
「うわっ、いちーちゃん、野獣モード!」
けたけたと笑いながら後藤が寝室に入っていった。
早くしないとまじで寝ちゃうかも…後藤のことだから。
うん、さっさと浴びちゃおう。
- 361 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月05日(土)11時50分08秒
慌しくシャワーを終え、髪を乾かすのもそこそこに寝室に入ると、部屋の電気
は消されていて、ベッドの横にあるスタンドの明かりだけが薄暗く点っていた。
すでに毛布にくるまっている後藤の顔は見えないけど、何も反応がないってこ
とはたぶん寝ちゃってるんだろうなあ…。
「ごとー?」
「…」
「寝たの?」
「…」
やっぱり返事はない。
後藤ってどんな状況でも信じられないくらいの早さで寝るやつだし…。
はぁっ…しかたないか。
落胆のため息をつきながら、あたしは後藤を起こさないようにゆっくりベッド
の中に入った。
- 362 名前:マーチ。 投稿日:2003年04月05日(土)11時51分04秒
- 更新しました。
いちーちゃん…残念…
レスありがとうございます!
>350 素人○吉さん
望遠鏡でくぎ付けですかー!?
ごまのミニの魅力は最強ですね!
素人○吉さんのレスを読んでとっても見たくなりました。DVD購入決定!
読んで幸せになるだなんて、嬉しすぎる言葉…ありがとうございます!
>351 名無し読者さん
そうなんです、また始めてしまいました。
嬉しいと言って貰えて、こっちが嬉しいです。
ありがとうございます!
- 363 名前:マーチ。 投稿日:2003年04月05日(土)11時53分13秒
>352 和尚さん
またまたミュージカルごまにくぎ付けにされた人、発見!
視力がアップするほど魅力的なんですね、ごま最強!
…甘い文になってますかねー?
もっともっと和尚さんをノックアウトさせたいのですが。
>353 名無し読者さん
発見してくださって嬉しいです。
確かにいちごまは数少ないですよね、残念なことに。
細々と書き続けていけたらなと思っています。
また見つけたらのぞいてください。
- 364 名前:タモ 投稿日:2003年04月05日(土)13時29分57秒
- …本当に後藤さんは寝てるのか!?
気になりますね〜、市井襲っちゃえ(笑)
- 365 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年04月06日(日)02時15分42秒
- 小悪魔ごまキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
この手のいちごまが一番好きなのでめちゃくちゃ嬉しいです!
嗚呼、やっぱごま可愛いな〜〜市井には少し可哀想だけどw
- 366 名前:和尚 投稿日:2003年04月06日(日)13時29分35秒
- 後藤さん何か企んでいますねー。
市井さんはどうなっちゃうのか?続きが楽しみッス。
これ以上ノックアウトされたら仕事中にその文(シーン)を思い出しちゃって仕事にならないッス(苦笑)
- 367 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月07日(月)23時45分04秒
- 市井は行くしかないでしょう!
たとえ後藤が寝てたとしても、行け〜!
- 368 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時04分55秒
目を閉じてそのまま眠りにつこうとした時だった。
「襲っちゃうんじゃなかったの?」
後藤の声にふっと意識が戻される。
「……へ?…あ、起きてたの?」
「ん…いちーちゃんが待ってろって言ったんじゃん」
後藤がこちらに身体を向け甘えるようにすり寄ってきた。
てっきり寝ちゃったと思っていたのに、どうやらがんばって起きててくれたらしい。
じゃあ、さっきのあれは寝た振り?
なんでそんなこと…?
「さっき返事なかったから、寝たと思った」
「それは…さ」
ん?
なんでそこでそんな照れるわけ?
…あっ!?
- 369 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時05分54秒
「なんだ、そっか」
「え?」
「襲われたかったんだ?でしょ?」
「ち、ちがっ…」
言葉を遮って、いきなり後藤の上に圧し掛かる。
キスがいつもより乱暴なのはもちろんわざと。
さっきからかわれた分、ちょっとおどかしてやろうなんて思ったりして。
後藤が言ってた野獣モードってやつに変換!?
「…んっ!…やっ…」
突然のことに後藤はびっくりしているようで、あたしを押し返そうとする。
でも抵抗されると逆に燃えてしまって…。
押さえつけながらの強引なキスを何度も繰り返した。
これじゃ、まじで野獣かも…。
- 370 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時06分49秒
さすがにちょっと心配になって、いったん顔を離した。
濡れて光っている唇は激しかったキスの名残…かなり艶かしい。
後藤は涙眼でじっとあたしを見ていた。
やばっ、もしかして怯えてる?
やりすぎたかな…。
「んと…たまにはこういうのもと思ったんだけど…」
「やぁ…」
後藤が小さく首を振る。
「いつものが…いい…」
「いつもの…って?」
「…やさしいいちーちゃんがいい」
潤んだ目。
甘い言葉。
一瞬で射られてしまうあたしの心。
- 371 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時07分36秒
「…わかった。ごめん」
頬にそっと手を添えたら後藤が安心したように目を閉じた。
無防備にすべてをゆだねてくれるから愛しくてたまらない。
好きだよ、後藤。
好きで好きでどうしようもない。
どうすればこの想いをすべて伝えることができるのだろう。
- 372 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時08分25秒
「どうしたの?」
「え?あ…なんでもないよ」
そんなつもりなかったのに、ずいぶん後藤を見ていたらしい。
訳がわからない後藤は不安な目をしてこっちを見ている。
「でも…」
「ごとーに見惚れてただけ…悪いか…」
「え…?」
とたんに真っ赤になる顔。
かわいいな…まじで。
- 373 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時09分35秒
「キス…していい?」
「うん…」
今度は嫌って言われないように、やさしく触れた。
そして後藤の腕が背中にまわったのを合図に少しずつ深くしていく。
探り合って、絡め合って、溶け合って。
想いが後藤に伝わるように−。
- 374 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時10分27秒
「やっぱり、いい…な」
「ん…?」
「いちーちゃんのやさしいキス、好き」
「…んじゃ、もう一回」
「やだ…」
「え…?」
「一回なんてやだよ」
「…」
いったい後藤はどこまであたしを虜にしてしまうんだろう。
- 375 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時11分18秒
「いちーちゃん?」
「ごとーが…」
「え…?」
「ごとーが悪いんだからな」
「なに…あ…んっ…っ!」
キスして、触れて、お互いを感じ合う。
身体が熱くなって、何も考えられなくなって…。
あたしはどこまでも深く後藤に溺れていったー。
- 376 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時12分16秒
「やっぱ、野獣だったね、いちーちゃん」
「なっ、なんでさ…」
早めの呼吸を抑えながら後藤があたしを上目遣いでにらむ。
こめかみに光る汗は激しさの余韻。
「だって、やだって言ったのに…、あんなこと…」
「うっ…」
それを言われると…
「ごとー、恥ずかしかったんだからね…」
「やっ、でもさ、身体は嫌がってなかっ…」
バシッ
「痛っ!」
枕が顔面にクリーンヒット。
- 377 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時13分13秒
「…なにすんだよぉ」
「いちーちゃんがえっちぃから!」
「だってほんとのことじゃ…あっ、いや、なんでもないっす」
また枕を握りかけたのを見て、すかさず訂正。
後藤の力はハンパじゃないし、ここはおとなしくしておこう。
「もう寝る?電気消すよ」
「うん」
横向きになってスタンドのスイッチに手を伸ばすと、後藤が背中にピタッと
くっついてきた。
- 378 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時14分39秒
「ん?どした?」
「今日みたいないちーちゃんもね、ほんとは好き…」
「…野獣モード?」
「うん、やさしい野獣!」
「なんだそりゃ」
「へへっ」
甘えてくる後藤を腕の中に引き寄せた時ふと思った。
こういうのを幸せって言うのかなって。
心も身体も満たされたいるこのひととき。
- 379 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時16分41秒
「幸せ…」
「え…」
「なんかね、幸せだなって…へへっ」
びっくりした…、後藤もそんなふうに感じたなんて。
同じときに幸せを感じるなんて、これってすごいことじゃないか。
「同じこと思ってた」
「え、同じって…?」
「ん…こうして後藤が腕の中にいてさ、笑い合えてさ。もうそれだけでいい。
何もいらないって感じで…」
「いちーちゃん…」
「今このひとときが何ものにも代えがたい…つまり、幸せだなって…ははっ、
ちとキザっぽいかなー」
「…」
言っててだんだん照れてきて、最後は笑ってごまかした。
一緒に笑ってくれると思った後藤は、笑うどころか涙眼であたしをじっと
見ていて…。
- 380 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時18分00秒
「え…あの、ごとー?」
「…うっ…いちーちゃん…」
「な、なんで…泣くなって…」
「だって、いちーちゃんが…泣かせるようなこと言うからだもん」
泣かせるようなことか。
確かにこんなことめったに言わないし…。
「じゃあ、もう言わないよ」
「やだっ!そんなのダメ!絶対ダメだからね!」
必死な後藤が可愛くてたまらない。
「わかった、わかった…。ったく、泣いたり怒ったり…忙しいやつだなぁ」
「むぅ…いちーちゃんのばかぁ…」
- 381 名前:幸せのひととき 投稿日:2003年04月14日(月)10時21分12秒
催促されておでこにチュッとおやすみのキスをしたら、後藤はふにゃっとした
笑顔になって、そのままあたしの腕の中ですやすやと眠ってしまった。
よくそんなに早く眠れるよなぁ…。
まっ、そのおかげでこんなかわいい寝顔が見れるからいいんだけどさ。
ゆっくり休むんだよ、後藤。
これからまた大きな仕事が待っているだろうから。
今はゆっくり、この腕の中でー。
〜おわり〜
- 382 名前:マーチ。 投稿日:2003年04月14日(月)10時22分55秒
- 更新しました。
甘いですかね〜?
レスありがとうございます!
>364 タモさん
そのとおりです。後藤さん、起きてました!
いちーちゃんに待ってろと言われて寝るはずはありません。
どこまでも甘甘なふたりです!
>365 素人○吉さん
小悪魔ごま、いいですよね〜。
最近悪魔づいてるし…やっぱり、天使より悪魔ですよね!?
その悪魔もいちーちゃんには敵わなかったりしますが…
- 383 名前:マーチ。 投稿日:2003年04月14日(月)10時23分59秒
>366 和尚さん
こうなっちゃいました。
眠いのを我慢していちーちゃんを待つかわいいごま。
幸せな二人って感じ、出てますかね?
>367 名無し読者さん
そうですね、行くしかないですよねー。
いちーちゃん、がんばっちゃいました。
また出来上がったら更新したいなと。
短いと思いますが…
- 384 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年04月15日(火)00時22分25秒
- あうあー(T□T)。
もうやさしい野獣さんも泣いたり怒ったり忙しいちゃんも最高ですうぅぅ。
市井さんの新曲聴いたりしながら(かなりイイ!)読むと、
市井さんがいつもよりずっとめちゃくちゃかっこよく見えました(笑)
次回作も幸せにして下さいー。
- 385 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月16日(水)23時08分17秒
- 更新お疲れさまです。
二人、いい感じで最高〜!
- 386 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月17日(木)00時22分57秒
- 甘いなぁ〜。最高です!
どうもありがとうございました。
また近いうちに新作が読める事を期待します(w
- 387 名前:和尚 投稿日:2003年04月17日(木)22時33分40秒
- 更新ありがとうございます。
市井さん変りましたねぇ〜。
後藤さんに対して思った事を素直に言ってます。
その後、後藤さんの態度が可愛いっす。
幸せな二人・・・溢れまくって、こちらまで幸せになりました。
次の日からこの文章(シーン)が思い出しちゃって仕事にならない(笑)
- 388 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月01日(木)00時11分18秒
『ずっとずっと』発売日に更新!
- 389 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時13分17秒
『遅くなりそう。ごめん、今日は帰って』
それはたった今ケータイに入ったいちーちゃんからのメール。
久しぶりに仕事が早く終わったあたしは、いちーちゃんの家に直行。
でも早めに帰れるはずだったいちーちゃんに予定外の仕事が入ったようで、
それが案外長くかかるらしく、こんなメールが来てしまった。
やっと今日会えると思ってものすごく楽しみにしていたからすぐにはあきらめ
切れなくて、マンションの前からなかなか動けないでいる。
だって、ここで待ってれば会えるんだもん…会いたいよ。
- 390 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時14分43秒
マネージャーも、いちーちゃんの家ならいいって。
実はさっきお許しが出たんだんだ。
というのも、時々自宅に帰らなかったり、自宅外から仕事場に来るようになっ
たあたしの行動を密かに怪しんでいたらしく。
今日、事務所の一室に呼び出されて、『男ができたのか?』って追求されたんだ。
最初はごまかそうとしたんだけど、その追求があまりにも厳しくて、迷った末
に言ってしまった…いちーちゃんの家に行ってるって。
怒られるかなって恐る恐る顔を上げたら、ぜんぜんそんなことなくて、むしろ
すごくほっとした顔だった。
『なんだ、そうなのか!?市井なら安心だ!』なんてみるみる笑顔になったり
して。
あたしたちは見事、公認?になってしまったのだ。
- 391 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時15分40秒
このまま帰るのはやっぱり嫌だから、もう一度メールを送ることにした。
『待ってる、いいでしょ?』って送信。
そして返ってきたメールは『いや、何時になるかわかんないからダメ』という
返事。
ダメ、か……。
でも、会いたい、帰りたくない。
帰らない。
待つもん。
バッグから取り出したMDプレーヤーのイヤホンを耳につけ、あたしはレンガ
色の壁に寄り掛かった。
- 392 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時16分26秒
◇
- 393 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時17分12秒
「ったく、ずっと外で待ってるなんて…、なんかあったらどうすんだよ」
「うん…」
「急に帰れなくなることだってあるんだからさ」
「うん…」
「自分の立場考えなきゃダメだろっ」
「うん…」
「もう少し考えて行動を…」
「ごめんなさい…」
結局2時間近く待って、こうしていちーちゃんに会えたんだけど。
でも部屋に入ってからずっとこんな調子なんだ。
いちーちゃん、怒ってる…。
- 394 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時18分30秒
あたしのことを心配してくれてるからだっていうのは十分わかってる。
でも、やっぱり、あたしはいちーちゃんに会いたかったから。
「なんかすごく会いたくてね…」
「え…」
「今日ちょっと嫌な仕事があって…、それでいちーちゃんの顔見たくなって、
どうしても帰れなかったんだ」
「…」
「でももう待ったりしないから。いちーちゃんの言ってることわかるし」
「後藤…」
「ごめんね」
「…」
泣きそうになったのを最後までぐっと堪えた。
会いたかったっていうのはあたしのわがままで、いちーちゃんが怒るのは当然
だから。
人一倍心配性の人だしね。
- 395 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時19分35秒
でも、がんばって謝ったのにいちーちゃんは何も言ってくれなくて、部屋の静
けさがだんだんと胸を締め付ける。
まだ怒ってるの?
笑ってくれないの?
隣に座っているいちーちゃんをそっと横目で見ると、コーヒーが入っている
マグカップを両手で持ったまま、じっと何かを考えてるみたいだった。
今日は帰ったほうがいいのかな…。
さすがにいたたまれなくなって、そんな思いが強くなる。
帰るねと喉まで出掛かったとき、いちーちゃんが無言のまますくっと立ち上がった。
「…いちーちゃん?」
見上げたけどいちーちゃんは視線を合わせてくれない。
「ちょっと待ってて」
そう言葉を残して、ひとりで別の部屋に行ってしまった。
- 396 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時20分42秒
でも、がんばって謝ったのにいちーちゃんは何も言ってくれなくて、部屋の静
けさがだんだんと胸を締め付ける。
まだ怒ってるの?
笑ってくれないの?
隣に座っているいちーちゃんをそっと横目で見ると、コーヒーが入っている
マグカップを両手で持ったまま、じっと何かを考えてるみたいだった。
今日は帰ったほうがいいのかな…。
さすがにいたたまれなくなって、そんな思いが強くなる。
帰るねと喉まで出掛かったとき、いちーちゃんが無言のまますくっと立ち上がった。
「…いちーちゃん?」
見上げたけどいちーちゃんは視線を合わせてくれない。
「ちょっと待ってて」
そう言葉を残して、ひとりで別の部屋に行ってしまった。
- 397 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時22分47秒
「…手、出して」
「え…?」
戻ってきたいちーちゃんはなんだかすごく真剣な顔。
あたしは訳がわからず言われたとおりに右手を差し出した。
「これ、持ってて」
手のひらにいちーちゃんが乗っけたものは、ピカピカに光っている鍵。
なに?
なんの鍵?
「これがあればさ、もう外で待つことないから」
「…え……!?」
その言葉からやっとこの鍵の意味するものがわかったけど、わかったとたん
驚きとか戸惑いとかいろんな思いが混ざり合って、あたしはすっかり混乱状態。
- 398 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時23分47秒
「えっと、あの…えっ…えっ?」
「なんだよ、ちょっと落ち着きなさい」
くすっと笑われたけど、あたしはそんな余裕なくて。
「これって、その…合鍵…?」
「そっ。失くすなよぉ、これしかないんだから」
いちーちゃんが鍵を包むようにあたしの手をぎゅっと握った。
手の中に感じる硬質な感触が胸をドキドキさせる。
だって、合鍵…って。
なんだかすごく特別な感じがするから。
でもいいのかな、このまま受け取っても。
きっと、あたしが外で待ったりしたからだよね…。
いちーちゃん、またそんなことされたらたまらないって思って、それで鍵を
くれたんだと思う。
やっぱり無理させちゃったんだろうな…。
- 399 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時24分29秒
「いいの…?家の鍵をごとーが」
「うん」
「あの…、無理しないで、いちーちゃん。もう外で待ったりしないから」
「へっ?無理なんかじゃ…、あっ、それとも欲しくないとか?」
「ち、ちがっ!そうじゃなくて、すっごく嬉しいんだけど…」
「けど?」
だってこれがあれば好きなときにいちーちゃんの家に入れるってことだよ。
ってことは毎日だって来れちゃうんだよ。
いいの?いちーちゃん…
合鍵の重さ、わかってる?
- 400 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時25分16秒
「こんなのもらったら、ごとー、毎日来ちゃうかもしれないよ?」
「うん」
「うんって…いいの?」
「いいよ」
あたしはドキドキしながら真剣に聞いているのに、いちーちゃんはそれが普通
のことのように平然と頷く。
いちーちゃん、意味わかってるのかな。
こんな大事なもの、っていうか大事なことを突然あっさり決めてしまうなんて。
「ねぇ、いちーちゃん、言ってる意味わかってる?」
「わかってるって、しつこいなぁ」
し、しつこい!?
その言い方にカチンときたあたしは思わず声が高くなって。
「しつこいって…!もお!ほんとに毎日来るからね!」
そして、いちーちゃんの声も負けずに大きかった。
「毎日来てほしいから渡したんだって!!」
- 401 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時26分04秒
「え…?毎日…」
来てほしい…?
ほんとに?
「いや、毎日は無理だってわかってるけど、でも、できるだけ来てほしいって
いうか…。一緒にいたいしさ…」
嬉しすぎる言葉にあたしは胸が熱くなって何も言えなくなって、ただいちーち
ゃんをじっと見つめてしまった。
「な、なんだよ」
「うれしくて…、泣きそ…」
「バーカ…」
目を逸らしたいち−ちゃんは明らかに照れていた。
あたしも溢れてきた涙を見られたくなくて下を向いてたら、いちーちゃんの手
がふわりと髪に触れた。
- 402 名前:合鍵 投稿日:2003年05月01日(木)00時26分57秒
「いつか渡そうって、ずっと思ってたんだ」
いつもより低いトーンの声。
いちーちゃんが真剣に話すときの声だ。
「後藤への気持ちとか自分の仕事への思いとか…そういうの全部しっかりした
ら渡そうって…」
「いちーちゃん…」
そうだったんだ。
今突然思いついたわけじゃなかったんだ。
うれしい…。
そんなふうにちゃんと考えてくれてたなんて。
「今日がいいきかっけになった。だからさ、受け取ってよ、ね?」
合鍵に込められたいちーちゃんの想いがひしひしと伝わってくる。
「…うん。ありがと」
手の上で光っているそれをあたしはもう一度しっかりと握り締めた。
- 403 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月01日(木)00時28分34秒
- 更新しました。
ん〜、こんなんでいいのでしょうか…。
あと、二重投稿…やってしまった…
- 404 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月01日(木)00時29分17秒
- レスありがとうございます。感謝!(遅くなってすいません)
>384 素人○吉さん
新曲いいですよね〜!たくさんの人に聞いてほしいです。
ヘタレだけど、たまにかっこいい!それが市井ちゃん!
>385 名無し読者さん
二人、いい感じですか?そう言ってもらえると嬉しいです。
仲良く、甘く!…作者の願望。
>386 名無し読者さん
甘いもの好きなもので、ついついこのような展開に。
新作も甘いと思われます。楽しんでもらえればいいのですがどうでしょう。
>387 和尚さん
そうですね、和尚さん鋭いです。
二人の関係の深さとともに、市井ちゃんも変わってきてるみたいです。
- 405 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年05月01日(木)02時37分20秒
- んぐぐぅ〜!待ってました!!!
いやぁ、これは反則です。いちごまですよねやっぱ!!
市井の決心にグッと来ました。
それに『ずっとずっと』発売日にこの話しってのは凄く嬉しいです。
- 406 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月01日(木)18時10分15秒
- いちごま最高ー!!!
( ´Д`)<いちーちゃんの愛カギgets☆
これでほぼ日後藤は市井の家にいけますね(藁
今回も良かったです。更新お疲れ様でした〜
- 407 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月03日(土)13時07分26秒
- 市井ちゃん、かっけー!
どんどん仲が深まっていますね。
- 408 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月04日(日)02時32分24秒
- あぁまぁいぃ〜〜〜〜!!!!
甘いいちごまを久々に見つけました。
そしてツボにハマリました…
ごまが可愛い…☆
更新頑張ってください。
- 409 名前:和尚 投稿日:2003年05月06日(火)23時52分07秒
- 更新お疲れ様です。
ん〜、こんなんでいいのでしょうか・・・ハイ!良いんです!!
市井さんの素直な気持に後藤さんはまた泣かされちゃいましたが、それがまた良い!!
これでまた一歩仲が深まった証拠ですもの♪
次の更新が気になります。
- 410 名前:合鍵 投稿日:2003年05月08日(木)23時58分30秒
「もう、返さないからね」
「うん、返されても困るし」
こぼれた涙を拭いながら顔を上げたら、穏やかな笑顔が待っていて。
あたしの顔も自然とほころんでいく。
「毎日来るんだから」
「ははっ、どーぞどーぞ」
やんちゃっぽいその笑顔も好き。
もう、ほんと、大好き。
「浮気したらばれちゃうよ」
「あっ、それは困るかもー」
こうやって軽口を叩き合って、じゃれ合って。
「もぉ!いちーちゃん!」
「うそうそ…、あ、いや、やっぱ返してもらおっかなー!?」
一緒にいる時間が何より大切だから、大事にしていきたいって思うんだ。
- 411 名前:合鍵 投稿日:2003年05月08日(木)23時59分21秒
「だめー!もう返さないもん!」
いちーちゃんがすっと手を伸ばしてきたから、あたしは鍵を取られないように
両手を頭上高く上げてかわした。
そう…上手くかわしたはずだったのに。
いちーちゃんは鍵じゃなくて、無防備になったあたしの腰に手を回して抱きつ
いてきた。
「え…?ちょっ…」
不意をつかれたその行動にあたしは慌ててしまう。
でもいちーちゃんは黙ったままあたしの胸に顔をうずめて、回している手にも
だんだんと力がこもっていった。
- 412 名前:合鍵 投稿日:2003年05月09日(金)00時00分16秒
「…い、いちーちゃん?」
「ん…」
「どうしたの?」
「ん、あのさ…。さっき、ごめん…」
ごめん?
いちーちゃんに謝られることなんて何かあったかな。
さっぱり事態が掴めなくて、あたしの頭の中は?マークでいっぱい。
「なに…?なんのこと?」
「…待っててくれたのに、怒ったりしてさ」
へ!?
そんなこと…?
いちーちゃん、そんなこと気にしてたの!?
- 413 名前:合鍵 投稿日:2003年05月09日(金)00時01分13秒
「それはだって、ごとーを心配してくれたからでしょ?」
「そうだけど…。でも、待っててくれて、後藤の顔見れて、ほんとはすごく
うれしかたんだ」
「いちーちゃん…」
「なのに、文句ばっか言ってさ、ごめん…」
いちーちゃん、最近変わったね。
ずいぶん気持ちを表に出してくれるようになった気がする。
強い面も弱い面もいちーちゃんのことは全部知りたいから、すごくうれしい…。
まるで子どものようにしがみつくいちーちゃんをあたしは包み込むように抱き
しめた。
- 414 名前:合鍵 投稿日:2003年05月09日(金)00時02分25秒
「謝んないで、わかってるから」
「ん…でも…」
「いちーちゃんの気持ちはちゃんと届いてるよ」
「ごとぉ…」
顔を上げたいちーちゃんと目が合って、二人でくすっと笑い合って。
このままキスされるのかなって目を閉じようとしたら、いちーちゃんはまた
あたしの胸に顔をうずめて、そしてゆっくりと体重をかけてきた。
ソファの上で重なり合うのはいつものことだけど、今日のいちーちゃんはいつ
もと違う。
あたしに抱きついているだけで何もしようとしない。
そしてそんないちーちゃんがとってもかわいく思えたりして。
- 415 名前:合鍵 投稿日:2003年05月09日(金)00時03分18秒
「どうしたのかなー?」
「なにが?」
「なんかぁ、甘えん坊」
「…」
言い返してくると思ったのに、いちーちゃんはただぎゅっと腕の力を強めた
だけだった。
否定しないなんて、ほんとに甘えたい気分なんだね。
いいよ、そんないちーちゃんもあたしは大好きだから。
少し伸びたサラサラの髪を指に絡めながら、あたしはいつもいちーちゃんが
してくれるように、そっと頭を撫でた。
- 416 名前:合鍵 投稿日:2003年05月09日(金)00時04分40秒
「疲れてる?」
「ん、少し…、でも心地いい疲れかな」
たぶん仕事のことを言ってるんだろうなって思った。
今回のシングルにかなり力を入れていたことは、直接聞いていなくてもそばに
いるだけで伝わっていたから。
「今度の曲さ、めっちゃ苦労したんだ。発売日も遅らせて何度もやり直しして」
「そうなんだ…、なんとなく大変そうなのは感じてたけど」
「途中で投げ出しそうにもなって…、もうこれ以上無理とか言って…」
「でもがんばったんでしょ?いちーちゃん」
「ああ、もうぎりぎり。ほんと、やばかった。でも、今まで手探りだったこと
が見えてきたっていうか。んーと、上手く言えないけど、形になってきたん
だよね…」
一生懸命に気持ちを伝えてくれるから、嬉しくてたまらない。
- 417 名前:合鍵 投稿日:2003年05月09日(金)00時05分37秒
「前進?」
「うん…」
「よかった」
「ん…」
そこでやっといちーちゃんが顔を上げて、ゆっくりと唇を寄せてきた。
いつも以上にやさしいキスを繰り返しながら、腰にあった手が胸に移る。
「…ん、ねっ…」
「だめ…?」
「んと、あっち行こ…」
「ここで…」
やさしかったキスに激しさが加わって、全身が熱を帯びていく。
握っていた鍵をそっとテーブルに置いて、あたしはいちーちゃんの背中に手を
回した。
- 418 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月09日(金)00時07分15秒
- 更新しました。
妄想が止まりません…
レスありがとうございます。感謝!
>405 素人○吉さん
部屋の中も頭の中も「ずっとずっと」がエンドレスで流れてます。
今回は弱さを表に出す市井ちゃん…たまにいいですよね?
甘えるごまもいいけど、逆もまた…
>406 名無し読者さん
良かったという言葉に励まされます。
ありがとうございます!
愛カギで二人の生活は…。あっ、また妄想癖が…
- 419 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月09日(金)00時08分58秒
- >407 名無し読者さん
そうですね、二人の仲はこれからもっと深く、熱く!?
ぜひ見届けてください。
今回の市井ちゃんはかっけーとは言えませんね、どーでしたか?
>408 名無し読者さん
見つけていただいて、そしてツボにはまっていただいて光栄です。
甘いの久しぶりですか?
それしか書けない性分だったりしますが、もしよければこれからも
おつきあいください。
>409 和尚さん
ハイ!良いんです!!という和尚さんのお言葉に甘えて更新。
いつもどうもありがとうございます。
今回は素直な気持ち、そして弱ささえももごまに見せるよう
になった市井ちゃんでした。
赤が倉庫へ…。
中途半端にしてしまって、読んでくれた方に申し訳ないです。
- 420 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年05月09日(金)01時41分58秒
- 「甘える市井ちゃん」と聞き、すっ飛んできました。
まさかこの手とは…。はぁ(溜息)
マーチ。さん、やってくれます…!!!ありがとうございます!!!!!
なんかもう「マーチ。さんって現実にふたりのストーカーか!?」なんて
超失礼なことを考えてしまいました(^^;ゞ
以前までは見せなかった弱い部分。
ふたりが徐々に前に進んでるのが伝わってきて嬉しくなりました。
- 421 名前:名無し野郎 投稿日:2003年05月10日(土)00時24分38秒
- かなりいいっす。
続きにかなり期待!!
- 422 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月11日(日)02時45分35秒
- 甘えるいちーちゃんいいですねv
ごっちんの包み込む優しさも大好きです。
お互いの深い絆を感じました。
- 423 名前:和尚 投稿日:2003年05月12日(月)22時14分19秒
- 更新ありがとうございます。
妄想が止まりません…良いんです!極めて下さい!!(笑)
絶対ついて行きます!!
2人の関係が良い感じで、読んでで顔が笑ってしまいます。
仕事中妄想しちゃってマジ仕事できない〜(笑)
- 424 名前:和尚 投稿日:2003年05月12日(月)22時15分54秒
- ごめんなさい〜ageちゃいました。
- 425 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時01分37秒
軽く目を閉じて一切をゆだねる。
今日のいちーちゃんはいつも以上にやさしい。
「…ん…はぁ…っ」
静かな部屋に漏れてしまう吐息。
いちーちゃんに触れられると、とたんに反応してしまうあたしの身体。
ゆっくりと唇でなぞられて、感覚のすべてがそこに集中して。
内から湧き上がる高ぶりはもう止められない。
- 426 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時02分29秒
「好きだよ…」
かすれ気味の声が耳に届く。
それはあたしが一番欲しい言葉。
「…うん…はぁっ…、ごとー…も…っ……」
好きって声に出したかったけど、もう無理。
浅い呼吸が早まっていくから、上手く言葉にできない。
好き
いちーちゃんが大好き
ねぇ、わかってる?
おかしくなっちゃうくらい、こわいくらい、ごとーはいちーちゃんが好きなんだよ。
- 427 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時03分22秒
初めて身体を重ねたときー。
あのときのいちーちゃんは今より余裕がなくてぎこちなかったけど、でもやっ
ぱりやさしかったね。
二人の気持ちが通じ合ってからキスはすぐにしたけれど、それ以上はなかなか
進まなくて。
お互い十分にそれを意識していたのに…、関係を決定付けるのが怖かったのか
もしれない。
じれったいくらいその一歩を踏み出すことができなかった。
- 428 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時04分33秒
ツアー先のホテルでの夜。
ライブが最高に盛り上がったその日、二人ともハイテンションになっていて。
いつものようにベッドでふざけ合ってるうちに、なんとなくそんな雰囲気に…。
『…いい?』
『うん…』
『ほんとに…?』
『そんなこと何回も聞かないで…。いいに決まってる。好きだもん、いちーちゃんが』
『後藤…』
その後のことはあまり覚えていない。
いちーちゃんがやさしかったことと触れ合った肌の気持ちよさを除いてー。
- 429 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時05分34秒
「…やっ…んっ!…っ…」
痺れるような感覚が走り抜けて、思わず大きな声が出てしまった。
恥ずかしくて両腕で顔を隠すと、下のほうからいちーちゃんの声。
「今の、いいかも…」
「…やだ……いちーちゃんっ…」
恥ずかしくてしかたないのに、いちーちゃんはさらに深く激しくあたしを導い
ていく。
「もっと聞きたい」
「なっ…やぁっ…んっ!……だめっ…」
そうしてあたしの身体は完全にいちーちゃんにコントロールされていく。
- 430 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時06分19秒
「…好き?」
「…はぁっ……ぅんっ…っ」
「言ってよ…」
言う隙も与えてくれないくせに、そんなこと…。
でも、いちーちゃんがそんなこと言うなんて初めてだね。
あたしから催促することは何回もあるけれど。
やっぱり今日のいちーちゃんは甘えん坊…?
- 431 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時07分05秒
「…好き…はぁっ…、いちーちゃん…好きっ…」
とびそうになる意識をなんとか留めて、あたしはせいいっぱいの想いを伝える。
無性に言葉が欲しいときってあるから。
信じられないとか不安だとかそういうんじゃなくて、ただ言葉で満たされたい
ときがある。
大丈夫だよ、いちーちゃん。
いくらでも言ってあげるからね。
- 432 名前:合鍵 投稿日:2003年05月18日(日)17時08分08秒
「ごとー…、もっと…」
「ん…好きっ…、好き、いちーちゃん…んっ…あ…」
身体中を駈け巡る熱い想い。
伝わってる?いちーちゃん?
ちゃんと、受け止めてくれてる?
「好きだよ、ごとぉ…」
「…好きっ…大好き…あっ…んっ!……好きぃっ…っ!!」
二人の気持ちが一体となった瞬間、あたしの身体は限界に達したー。
- 433 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月18日(日)17時08分55秒
更新しました。
たまにはこんなシーンも…あり?
- 434 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月18日(日)17時09分41秒
レスありがとうございます。感謝!
>420 素人○吉さん
ふたりのストーカー…やってみたい気も…いやいや冗談です。
たぶん実際はもっと甘くて、見ていられないと思われ…(願望)
絡み、見たいですね〜。
>421 名無し読者さん
うれしい言葉、ありがとうございます。
少しでも期待に応えられればいいのですが。
どうでしょう?
- 435 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月18日(日)17時10分37秒
>422 名無し読者さん
甘えるいちーちゃん、いいですよね。
かっこいいのに、甘えん坊。
ごまの母性本能をくすぐります!
>423、424 和尚さん
仕事中の妄想は控えましょう、お互いに!
仕事どころじゃなくなります。
age、sageはあまりこだわってませんので、お気になさらずに。
慣れないシーンを書くと汗が…
- 436 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年05月18日(日)23時35分07秒
- エロシーンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
っつーか…なんか気持ちが止まれません。
ごまの市井に対する気持ち、とか。
凄い痛烈に伝わってきました!
くぅ〜!やっぱエロシーン最高!!(ぐぐッ)
- 437 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月19日(月)02時46分36秒
- キタ━━━*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!
ごちそうさまです。
頑張って下さい。
- 438 名前:和尚 投稿日:2003年05月19日(月)12時04分08秒
- キタ━━━━(゚∀゚三(゚∀゚三゚∀゚)三゚∀゚)━━━━ッ!!
こんなシーンもあり?・・・ありです!!(断言)
素人○吉@ごま。様のレスと同じく、ごとーさんのいちーさんへの想いが溢れまくってます。
いちーさんも絶対ごとーさんの想いと同じハズ。
あらためて『いちごま』っていいなぁ・・・と思いました。
それにしてもマーチ。様の文章で、Hシーン書かれた日には・・・
妄想、更に倍!
これから会社なのに・・・仕事にならん!!
- 439 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月20日(火)20時04分42秒
- キタキタ━━━━(ノ゜∇゜)ノ━━━━!!!
かなりイイっす!
- 440 名前:G 投稿日:2003年05月21日(水)22時39分49秒
- キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!!
エロシーンなのにこの空気の柔らかさは何事ですか!?
ごまめちゃめちゃ優しい子ですね〜
いちーちゃんは幸せものだーーーー!!
- 441 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時38分51秒
「ねぇ…」
「…んー?」
終わった後の深い余韻の中。
「今日のいちーちゃん、なんかさぁ…」
「ん…」
軽く手を握ったり、意味なく指を絡めたり。
「なんかぁ…」
「なに?」
この緩くて甘い時間がいい。
- 442 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時39分58秒
「んーと、いじわるだった…」
「あ…うん……、ごめん」
「そんな、謝らなくていいよぉ。ちょっとね、びっくりしただけ」
別に責めたわけじゃなかったんだけどな。
いちーちゃんがすまなそうな顔をするから、こっちの方があわててしまった。
- 443 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時40分54秒
「かわいくてさ…」
ぼそっとつぶやいた言葉は聞き取りづらかったけど、でも確かに届いた。
瞬く間に早まる胸の鼓動。
「え、あの…」
「止まんなかった…。で、癒されたっていうか…、元気補給?」
言いながら照れくさそうに俯くいちーちゃんを見て、あたしは胸がいっぱいになる。
いちーちゃんを癒してあげられるなんて。
いちーちゃんに元気をあげられるなんて。
うれしくてたまらない。
だって、あたしはいつもいちーちゃんにもらってばかりだったから。
- 444 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時41分47秒
「ほんと?ねぇ、ほんとに元気出た?」
「うん、ごとーのおかげ」
「えへっ、うれしい!」
いちーちゃんの肩に寄り掛かって、腕を絡める。
いくらくっついても足りないと感じるのは、あたしが欲張りなのかなぁ。
「そんなにくっつかれるとさ…」
「ん?」
「もっと元気もらいたくなる」
いたずらっ子のような目をして、にっと笑ういちーちゃん。
あたしはその笑顔に簡単にやられてしまって、何も言えなくなってしまって。
でもダメ。
もうこれ以上は…、明日も仕事だし。
- 445 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時42分34秒
「だ、だめだよぉ…、身体もたないもん」
「ちょっとだけ…」
手が胸に置かれたかと思うと、せっかく着たばかりのパジャマのボタンがはず
されていく。
耳にキスなんてしながら…、弱いの知ってるくせに。
「やぁ…、…だめっ……」
「だめじゃな〜い」
もぉ…。
そりゃ、いちーちゃんに求められるのは悪い気しない、っていうかむしろ嬉し
いんだけど。
- 446 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時43分23秒
「…んっ…ねぇっ…」
最後のボタンに手がかかった。
一連の動作がスムーズで、このまま流されてしまいそうになる。
いちーちゃん、だめだってぇ…。
「仕事に差し支えることはするなって…、いつも言ってるくせに…」
「うっ…」
手がピタッと止まった。
昔からこの言葉は効果てきめん。
根っからの教育係だもんね、いちーちゃんは。
- 447 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時44分11秒
「だからね、今日はもうおしまい」
「……はい」
頭をかきながら素直にうなづくいちーちゃんは、さっきまでのかっこいい
いちーちゃんとは別人のよう。
「ふふっ…」
「な、なんだよ」
「いちーちゃん、かわいい」
「うっさい…」
このギャップがね、たまらなかったりするんだよねぇ。
- 448 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時45分27秒
「あー、そーいえばさ、なんだったの?嫌な仕事って」
「え?」
いちーちゃんがキッチンの方へ向かいながら、思い出したように言った。
冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出し、喉を鳴らしながらおい
しそうに飲み干す。
「ふぅー。あっ、ほら、さっき言ってたじゃん、今日嫌な仕事がって…」
「あっ、うん…」
つい言ってしまった一言。
小さなことなのに、いちーちゃんは覚えていたんだ。
「レッスン?んなわけないか」
「んー、…あのね」
隣に戻ってきたいちーちゃんからボトルを受け取って、渇いていた喉を潤す。
いちーちゃんはその間、じっとあたしを見ていた。
- 449 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時46分23秒
「ごとーね、番組のコーナーで心理テストやることになったんだ」
それはテレ東で始まった深夜番組。
お子様路線の対極を狙ったらしいけど、とっても微妙だったりする。
あたしはそこで心理テストのコーナーを担当することになった。
実はそれが嫌で嫌で仕方ない…。
「へぇー、おもしろそうじゃん。って、えっ…それが嫌なこと?」
「うん。心理テストはね、ごとーも嫌いじゃないからいいんだけど、その衣装
とかセットがね…」
「なになに、そんな変な衣装なの?」
いちーちゃんが興味津々という顔で身を乗り出してきた。
「変っていうかぁ、かなりエッチっぽいんだよねぇ…」
「へっ!?な、なに…どういうこと?」
うって変わって怪訝な表情を浮かべるいちーちゃんに、あたしはその番組を詳
しく説明した。
- 450 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時47分10秒
そこでのあたしの衣装はパジャマ、しかも上だけ。
いくら仕事だからって、こんな格好をテレビでするなんてものすごーく恥ずかしい。
それでベッドの上に寝転んだりするんだもん。
狙ってるんだろうけど、ホントにえっちな雰囲気。
おでこ出してとか、脚もっと見せてとか、細かい注文もいろいろ入ってきて…。
スタッフさんの目も絶対にやけてるし。
ついでに天使と悪魔の衣装まで着せられて、声色を変えさせられて。
もう、やだよ〜!
- 451 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時48分00秒
「まじで?」
「うん…」
「ほんとにそんなきわどい格好すんの?」
「ん…だから嫌なんだもん…」
「今してるみたいな?」
「へ!?今?…あっ…!!」
言われて気がついた、まさに今、パジャマの上だけ。
場所がベッドじゃなくてソファなだけで、ほとんど番組と一緒。
だって…、ねぇ…。
とりあえず上だけ羽織ってたんだもん。
「ほんとにそれ?」
「うん…」
「ったく、事務所もなに考えてんだか」
「うん…」
会話が途切れてしまったのは急に恥ずかしくなったのと、いちーちゃんが不機
嫌になったから。
- 452 名前:合鍵 投稿日:2003年05月30日(金)21時49分41秒
「怒ったの?」
「いや、べつに」
「うそ、怒ってる」
「怒ってないよ、ごとーには。事務所にむかついてるだけ」
「それはごとーも同じ。でも、仕方ないんだよね」
「事務所の命令は絶対か…」
そこでまた会話が途切れて、重苦しい雰囲気に。
もお!あの番組のせいだ!!
二人っきりの大切な時間なのに。
あたしは側にあったクッションを手に取ると、そのまま無造作に投げつけた。
- 453 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月30日(金)21時50分56秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!
>436 素人○吉@ごま。さん
喜んでいただけてうれしいです。
でも、興奮しすぎですよっ!
素人さんの好きなシーンはもうないかも…です。
>437 名無し読者さん
おそまつさまです。
まだまだおなかいっぱいにはなりませんよね。
がんばります!
- 454 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月30日(金)21時52分00秒
- >438 和尚さん
喜んでいただけたようで何よりです。
妄想さらに倍って…お仕事のほうは大丈夫ですかー?心配…。
『いちごま』っていいなぁ…はい、ホントにそうですね!
声高らかに叫びたくなります。
>439 名無し読者さん
喜んでいただけてうれしいです。
励みになります。
甘いシーンがお好きですか?
>440 Gさん
Gさん、はじめまして。(ごとーのG?)
空気の柔らかさ…そう感じてもらえたのがすごく嬉しいです。
ふたりのやさしさを表したかったので。
レスありがとうございます。
- 455 名前:マーチ。 投稿日:2003年05月30日(金)21時52分53秒
- キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!! の別バージョン、かなりうけました!
こんなにいろいろあったんですね。
みなさん、スゴイです!
- 456 名前:和尚 投稿日:2003年05月31日(土)04時28分34秒
- 更新お疲れ様です。
Hが終った後のマッタリ感が良いなぁ
『仕事に差し支えることはするな』この言葉に動きが止まるいちーさんに笑ってしまいました。
さすがごとーさん!
最後は(某深夜番組の所為で)重苦しい雰囲気になってしまい
次回はどうなってしまうのか気になります。
キターバージョン、何気に続いてましたよね。自分もウケてました(笑)
- 457 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年06月01日(日)00時39分12秒
- キター!の別バージョンに和尚さんと同じく、自分もウケましたw
今回の話し、いちーちゃんらしさがてんこ盛り!!
エロかったり少年ぽかったり教育係に戻ったり。
>素人さんの好きなシーンはもうないかも…です。
ええ、大好きですけど何か?
っていうのは冗談で。え?もうない………?(滝汗)
ちょっぴり不安覚えました←やっぱり好きらしいw
- 458 名前:G 投稿日:2003年06月01日(日)01時28分32秒
- ぐあぁぁぁ〜いちーちゃんがへ・た・れ!!(w
教育係の立場を捨てられないいちーちゃん…可愛いですねぇ
ごまの前ではカッコつけていたい(主導権を握りたい?)、
そんないちーちゃんの姿が想像できました
自分が感想書く前からキターシリーズが始まっていたのでこりゃ便乗するしかないぞ!!
と思い、
キターのAA検索かけて探したりしました(w
いちごまファンの団結力がキターシリーズを生んだのですっ(違)
- 459 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月01日(日)15時50分54秒
- キターシリーズに参加できて嬉しかったです。
甘い時間は戻るのか?
市井ちゃん、なんとかして!
- 460 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時42分46秒
「で〜、心理テストってどんなの?おもしろい?」
「えっ、あ、…んーと」
いちーちゃんが沈んだ空気を取り払うように明るく話しかけてくれた。
こういうとこ、やさしいね、やっぱり。
「ほんとにできんの?」
「できるよぉ!」
そうだ、あのテストやってみよう。
いちーちゃんの答え知りたいし。
「じゃあ、やってあげるから。いちーちゃん、質問に答えてよ」
「おお、来い来い!」
あはっ、いちーちゃん、ノリノリだ。
- 461 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時44分14秒
「あなたは恋人のためにサラダバーで盛り付けをします。どんな盛り付けをする?
A、量は普通だけどいろんな種類を盛り付ける。B、好きな1,2品を山盛りに
する。さあ、どっち?」
「そりゃBでしょ。絶対B!」
間髪いれずに答えるいちーちゃんは本当に楽しそう。
嫌いじゃないんだね、こういうの。
えっ、でも、Bって…!
「Bなの?」
「うん」
「ほんとに…?」
「うん。だって、好きなものを盛り付けてあげたいじゃん。…ってなんで怒ってるの?」
なんでかって?
だって、Bは…。
- 462 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時45分25秒
「これはあなたのプレイボーイ度を診断します」
「へっ…!?そ、そんなテスト…?」
びっくりしてるいちーちゃんをじっと睨んで、あたしは悪魔に変身。
「Bを選んだあなたは、恋人に対し思いやりがない、大人しそうに見えて嘘で
女性を誘惑する隠れプレイボーイに間違いなし!!」
やばっ、感情入りすぎ!?
番組以上に悪魔だったかも。
- 463 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時46分10秒
「嘘で女性を誘惑するだって!…そうだったんだ、いちーちゃん!!」
「な、なに言って…全然当たんないじゃないか?この心理テスト…」
あたしの勢いに押されて、焦って否定するいちーちゃん。
なんか、かわいい。
「隠れプレイボーイ!」
「んなわけないだろが…そ、そんな眼で見るなっ」
いちーちゃんをからかうなんてあんまりないからね。
あはっ、ちょっと楽しいかも。
- 464 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時46分57秒
「じゃあ、もう一問。いい?」
「う、うん」
今度はあれにしよう。
いちーちゃんの深層心理、探ってやる〜。
「ちゃーんと天使の答えを選んでよねっ!」
「わ、わかってるって…、つぎは大丈夫っ!」
っていいながらも顔が引きつってる。
いちーちゃんって、結構むきになるんだよね。
- 465 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時47分44秒
「あなたは食料を買いだめするために冷蔵庫をチェックしました。冷蔵庫の中に足りな
いものはどっち? Aドリンク類。 Bデザート類。さあ、どっち?」
「んー、そうだなあ…」
今度はさっきと違ってじっくり考えてる。
天使の答えを選ぼうと必死なんだね、きっと。
「冷蔵庫の中でしょ…んーと…」
腕を組みながら顔をしかめて。
こんなことに真剣ないちーちゃんって…、くくっ…かわいいよぉ〜。
- 466 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時48分58秒
「よし、Bだ!」
「B!?」
「う、うん…」
やっぱりBか。
遊びってわかってても、いい気持ちしないなぁ。
「これはあなたの浮気願望度テストです」
「へっ…う、浮気…?」
「Bを選んだあなたは、浮気を軽く考えてて当たり前って思ってるでしょ、
サ・イ・テーッ!」
最後のサイテーという言葉を思いっきり強調して、あたしはかなりの悪魔ぶり。
いちーちゃん、めっちゃ焦ってる。
- 467 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時50分09秒
「ま、まじで…?まいったなぁ。ほんとに?」
「…いちーちゃんって、浮気者でプレイボーイだったんだ…」
今度は悲しそうな感じで、いちーちゃんを責めてみたり。
あれ?あたしって、いつからこんな悪魔に…?
「なっ…、浮気なんて1回もしてないじゃん…。でしょ?」
「隠れてしてたりして…」
「バカ言うなよぉ、そんな暇ないし、そんな相手だって…」
あはっ、必死ないちーちゃん、かわいい。
いっつもあたしをからかう気持ちがわかったかも。
「それに、もしそんなことしてたらさ、合鍵渡したりしないって!」
「さっき返してって言ったもん」
「あ、あれはさ、冗談で…、別に浮気なんて…。大体そのテストさ…」
焦ってる、焦ってる。
もうこのへんで許してあげよっ。
- 468 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時51分04秒
「なーんてね、こんなのごとーも信じてないんだー」
「はあっ!?な、なに、じゃあ…」
「へへっ、ちょっといちーちゃんと遊んでみただけ〜」
「こ、こいつ…」
「怒った?」
「怒った!!」
「ごめんなさ〜い。でも楽しかった!」
「ごとー…許さん!」
ぐいっと引き寄せられたかと思うと、そのまま勢いで押し倒されてしまった。
- 469 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時52分29秒
「よくもこの市井をからかってくれたなっ!!」
「えへへっ」
いちーちゃんが威圧するようにぐっと顔を近づけてくる。
「笑うとこじゃない、つーかにやけるな!」
「ごめんなさ〜い♪」
だって、怒った顔もかっこいいんだもん。
大好き、いちーちゃん!
- 470 名前:合鍵 投稿日:2003年06月07日(土)23時54分05秒
「罰として…」
「え〜、罰なんて嫌だよぉ」
口を尖らせたらチュッとキスされて。
そしていちーちゃんの言う罰≠ェ……。
〜おわり〜
- 471 名前:マーチ。 投稿日:2003年06月07日(土)23時55分25秒
更新しました。 『合鍵』終わりです。
いちーちゃんの罰がどんな罰かは、みなさんの妄想におまかせしま〜す!
- 472 名前:マーチ。 投稿日:2003年06月07日(土)23時57分16秒
- レスありがとうございます。感謝!
>456 和尚さん
某深夜番組のごまがかわいくて、ついこんな話を。
パジャマごまはイイですよね〜
>457 素人○吉@ごま。さん
今回はごまに遊ばれる市井ちゃんでした。
ヘタレ全開!!
>458 Gさん
主導権を奪われた市井ちゃん…こんな感じでしょうか。
>いちごまファンの団結力がキターシリーズを生んだのですっ
はい!すばらしい団結力!いちごま、サイコー!
>459 名無し読者さん
結局は甘〜い二人でした。作者の願望です!
キターシリーズはいちごまファンの団結力!
- 473 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年06月08日(日)02時29分15秒
- へたれへたれへたれへたれ悪魔ごまキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
はぁーっ。
やっぱごまにからかわれて遊ばれる市井いいなぁ〜(鬼w)
そして何より大好きないちーちゃんといちゃいちゃ(?)して笑うごまが可愛い!!!
- 474 名前:和尚 投稿日:2003年06月08日(日)08時59分17秒
- からかうごとーさんがキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
見事にプレイボーイ度、浮気願望が高いいちーさん。
ヽ;^∀^ノ<絶対違う!!
読んでて笑っちゃいました。
いちーさんの罰はやっぱりアレでしょう(笑)
パジャマごま・・・イイっすよね。
最後に手を振ってお別れするごとーさんに一緒になって手を振る自分が・・・(苦笑)
- 475 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月08日(日)19時50分37秒
- 更新お疲れ様です。
最後まで甘くてイイ感じでした!
楽しませてもらいました。
- 476 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時48分53秒
今日は早く帰れるって言ってたじゃんか。
一緒にご飯食べようって――
テーブルに並んでる料理を見て大きくため息。
これで何度目だろう。
少し遅くなる≠チてメールはきたけど、ここまで遅いなんてさ。
仕事はもう終わってんだろ?
いったい何してんだよ…。
すっかり冷めてしまったから揚げ。
ひとつ摘んで口に頬張ったとき、待ち焦がれていた音が鳴った。
- 477 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時50分11秒
「仕事、早く終わるって言ってたよね」
「うん、…わあ、おいしそう!」
テーブルの料理に気づくと、あたしと同じものをパクッとつまみ食い。
『おいしいね』なんて言いながらにこにこしてる。
怒りをぐっと抑えてるこっちの気持ちなんかまるで気づいちゃいない。
…さすがにちょっとムッとしてきた。
- 478 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時51分08秒
「うんって…、じゃあこんな時間までどこ行ってたんだよ」
「べつに〜。んーと、ちょっと遊びに行ってただけだよ」
まったく悪びれない後藤。
遊びに行ってた!?
あたしとの約束は…?
いやはっきり約束したわけじゃないけどさ、でも一緒にご飯食べようって…。
大体、最近こういうの多くないか!?
この前も急にドタキャンされたし。
その前はたしか約束の時間をかなり過ぎてたし。
- 479 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時53分31秒
「どうしたの、いちーちゃん。そんな考え込んで」
「まさか…」
「ん?」
「まさかほかに好きな人が…?」
ぜったいおかしいよ。
前はもっとこう…。
「へっ?なに言ってるの?」
「だって、最近こんなんばっかだろ。遊びって…、まあ、遊びたい年頃だって
わかるけどさ、芸能人なんだし少しは考えた方が…。それに何度も言うよう
だけど、後藤は昔から無神経なとこがあって、約束したことをちゃんと…」
「んも〜、今日のいちーちゃん、うるさいよ」
「なっ、うるさいってなんだよ!」
カチンときて後藤に詰め寄った。
そりゃあ、ついグチグチ言っちゃって説教くさかったのは認めるよ。
この際、おやじくさいのも認めるてやる。
でもうるさいって…、悪いのは後藤じゃんか。
今日はとことん言ってやるぞ。
と、意気込んだとき――
- 480 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時54分42秒
「いちーちゃんだけ…」
後藤の腕があたしの首にまわって、ぎゅっと抱きしめられる。
「ごとーはいちーちゃんだけだよ」
耳元でもう一度ささやかれて、カーッと顔が熱くなった。
さっきまでの怒りは後藤の一言で嘘のように消えていく。
「ほかに好きな人なんているわけない。ごとーが好きなのはいちーちゃんだけだもん」
上目遣いで見つめられて、頬にチュッとキスされて。
…もう、勝ち目はない。
- 481 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時55分29秒
「あ、あぁ。ごめん。いちーが悪かった…」
結局いつもこうなるんだ。
後藤には絶対かなわない、うん、わかってる。
好きだから。
めちゃめちゃ惚れてるから。
- 482 名前:キミの勝ち 投稿日:2003年06月26日(木)01時56分26秒
後藤が目を閉じてあたしを待つ。
あたしは引きつけられるように唇を重ねる。
いつもよりそれが長くなったのは、後藤が激しく求めてきたからで…。
「…ごとぉ」
「ん…ベッド、行く?」
真っ赤になった後藤が小さくつぶやく。
あたしは頷く代わりにもう一回キスをした。
〜おわり〜
- 483 名前:マーチ。 投稿日:2003年06月26日(木)01時59分58秒
- 更新しました。
久しぶり〜♪
- 484 名前:マーチ。 投稿日:2003年06月26日(木)02時01分16秒
- レスありがとうございます。感謝!
>473 素人○吉@ごま。さん
微妙に変わってます。
へたれ&おやじ具合はそのままですが〜
>474 和尚さん
こんな感じになりました。
テーマはへたれ&おやじな市井ちゃん
>475 名無しさん
これも甘いですよね。
気に入っていただけましたか?
- 485 名前:和尚 投稿日:2003年06月26日(木)21時22分55秒
- うっひゃ〜!読んでてドキドキしちゃいました。
何気にいちーさんがおやじくさいのを認めているのが・・・(笑)
この後の続きを読みたいと思うのは自分だけでしょうか?(ニヤリ)
- 486 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月27日(金)18時15分59秒
- 市井ちゃん、ごっちんにべた惚れですね〜。
- 487 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年06月27日(金)23時28分04秒
- エロくておやぢくさくて何よりへたれ!!!(ここ重要w)
この三つがいちーの三大要素ですからw
そして何より、"後藤さんに弱い"。
ね、マーチ。さんもちょっとはツボってきたのでは?w
- 488 名前:素人○吉@ごま。 投稿日:2003年06月27日(金)23時28分43秒
- やってしまった!汗
申し訳ないです。
- 489 名前:G 投稿日:2003年06月28日(土)13時00分11秒
- 小悪魔ごまの本領発揮ですね〜
冷たい態度をとりつつも最後は「いちーちゃんだけ」と甘える…
いちーはもちろんですが、こんなごまが目の前にいたら
誰でもノックダウンされてしまいますね!!
- 490 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月28日(月)02時17分41秒
- ほぜ〜ん
- 491 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月05日(火)01時05分07秒
- 保全。
- 492 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月08日(金)11時04分49秒
- んぎゃー!!マーチ様不足じゃ(w
久しぶりに甘いいちごまが見たいっす〜。
更新まってます
ヽ^∀^ノ ( ´ Д `)
- 493 名前:マーチ。 投稿日:2003年08月11日(月)22時50分12秒
ちょこっと短編です。
- 494 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時51分18秒
バッグの中に手を入れて、ごそごそと手探り。
………あった!
チリーン♪
中から取り出したのは、小さな黄色い鈴が付いている鍵。
チリーン♪
『できるだけ来てほしいっていうか…。一緒にいたいしさ…』
この鍵を見るたび、あのときの言葉がよみがえって胸が熱くなる。
いちーちゃんの家の合鍵。
ごとーのたからもの。
- 495 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時52分45秒
『遅くなるから入っててよ』
『え?う、うん。わかった』
さっきケータイで交わした会話。
この鍵を使うのは初めてじゃないけど、それはいつもいちーちゃんといるとき
に使ってただけ。
ただ単にこの鍵が使いたかったあたしは、いちーちゃんがポケットから鍵を取
り出す前に素早くこの合鍵で開けたりしていたんだ…ははっ。
だから、ホントに誰もいない部屋に入るのは今日が初めて。
この合鍵、やっと出番が来たってわけだね。
- 496 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時53分45秒
ゆっくり鍵を差し込んで、そーっと左へ回す。
カチャッ
開いちゃった…。
合鍵だもんね…。
一歩足を踏み入れたそこは当たり前だけどシーンとしていて、別に無断で忍び
込んでるわけじゃないのにドキドキして、変な汗まで出てきてしまう。
こんなとこ人に見られたら、たぶんめっちゃ怪しまれそう。
不審人物間違い無しだよ。
- 497 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時54分49秒
もう何度も来てる部屋なのに、初めて入ったような感覚がするのはどうしてな
んだろう。
整然と整頓された部屋は侵入者を拒否しているような気がして、なんだか落ち
着かない。
とりあえずソファに座って、テレビのスイッチをつけて。
いちーちゃんが帰って来るまでの時間をどう使うか考える。
ん〜、ご飯は食べてくるって言ってたしなぁ…。
お風呂の用意でもしようか…。
それとも…。
……。
…。
- 498 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時56分07秒
『ただいま!』
『あっ、いちーちゃん、おかえり〜♪』
『遅くなってごめん』
『もお、さびしかったよぉ』
『打ち合わせ延びちゃってさ。ほら、こっちおいで』
『うん!』
『ごとー、好きだよ』
『いちーちゃん…んっ…』
『ごとぉ…』
『…いちーちゃん…待って、先にお風呂…』
- 499 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時57分54秒
「…ごとー」
ん…いちーちゃん、だめだよ、こんなとこで…。
「ごとー、お〜いっ」
だからだめだって…んっ!?お〜い!?
「…ん……?」
「あっ、やっと目開けた」
ぼやけた視界に入ってきたのは、タオルでゴシゴシ髪を拭いているいちーちゃん
だった。
- 500 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時58分47秒
「…い、いちーちゃんっ!?」
「なにそんな驚いてんの?」
今のって…、夢!?
…あたし、いつの間にか眠っちゃってたんだ。
は〜っ、…どおりで上手く行き過ぎてると思った。
「遅くなってごめん」
「ううん、ごとーこそ、寝ちゃって…」
って、え!?
今のいちーちゃんのセリフって夢の中と同じじゃない!?
うん、絶対そう。
こういうの、正夢って言うんだよね…んと、予知夢とか。
ってことは…
その瞬間、あたしはひらめいてしまった。
- 501 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)22時59分48秒
「もお、さびしかったよぉ」
さっきの夢のシーンを思い出してリアルに再現。
とびっきり甘えた声でいちーちゃんを上目遣い。
「ああ、ごめん、打ち合わせ延びちゃってさ」
やった!
やっぱりさっきのって正夢だよ。
いちーちゃん、次の言葉は?
ほら、こっちおいで≠チて、両手を広げてごとーを誘うんだよ。
じっと見つめてその言葉を待った。
なのに、いちーちゃんはなかなかその一言を言ってくれない。
むぅ〜、次がいちばん重要なのにぃ〜。
- 502 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)23時00分38秒
「ごとぉ」
やっぱ無理かと諦めかけたときだ。
いちーちゃんが近づいてきて、あたしをまじまじと見つめた。
いよいよ…くる!?
期待に胸を膨らませて、あたしもいちーちゃんを見つめ返す。
「なにボーっとしてんの?…あ、寝ぼけてんのか」
がくっ……
現実って、こんなものなんだね。
夢の中ではあんなに甘くて幸せだったのに…。
- 503 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)23時01分52秒
「寝ぼけてなんかないもん、いちーちゃんのバカ!」
「バカってなんだよ、ごとーに言われたくないなぁ」
「フンだ!」
八つ当たり気味にクッションを投げつけた。
いちーちゃんは笑いながらそれをさっとかわして、あたしの頭をポンポンと軽
く叩く。
「ごとーって、こんな寝起き悪かったっけ?ほら、早くシャワー浴びといでよ。
今日は泊まれるんでしょ?」
「…」
「え?帰るの?もう遅いよ?」
拗ねて黙ってたらいちーちゃんが勘違いしたみたいで、余裕たっぷりだった表
情がそこでちょっとくずれたように見えた。
だからつい調子に乗って――。
「泊まってほしい?」
「泊まるつもりなんでしょ?」
「いちーちゃんが泊まってほしいなら泊まってもいい」
「…なんだよそれ、かわいくないの」
小さなため息一つ、そして駄々っ子を見るような呆れ顔。
そのままいちーちゃんは何も言わずに向こうの部屋へ行ってしまった。
- 504 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)23時02分48秒
バカバカ、ごとーのバカ!
いちーちゃんが夢の通りに言ってくれないからって一人で勝手に拗ねて。
どうしよぉ。
いちーちゃん、怒っちゃったよ。
…謝んなきゃ
泣きそうになったけどぐっと我慢して、あたしはいちーちゃんを追った。
- 505 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)23時03分49秒
「いちーちゃん、ごめんなさいっ!」
ドアを開けるなり頭を下げた。
怒ってる顔を見たくないからそのままずっと下を向いて、こぼれ落ちそうな涙
を一生懸命我慢して…。
いちーちゃんの返事をドキドキしながら待った。
「ん?ああ、やっと機嫌直ったか〜」
返ってきたのは予想に反していつものやさしい声。
…よかった、もう怒ってないみたい。
そっと顔を上げたら、ほらね、ごとーが大好きないちーちゃんの笑顔。
「いちーちゃん…うぅっ…」
安心したらとたんに涙腺が緩んでしまった。
- 506 名前:夢の中より 投稿日:2003年08月11日(月)23時05分44秒
「な〜に泣いてんだよ、ほら、こっちおいで」
「うん…っ…」
涙声で大きく頷いて、いちーちゃんの腕の中にとび込んだ。
いちーちゃんはぎゅっと抱きしめてくれて、そしてずっと、髪とか背中とかを
撫でてくれた。
それは夢の中よりもずっとずっと甘くて幸せ。
いちーちゃんがこっちおいで≠チて言ってくれたことにも気づかないくらいにね。
〜お・わ・り〜
- 507 名前:マーチ。 投稿日:2003年08月11日(月)23時07分03秒
- 更新しました。
レスありがとうございます。感謝!(遅れてすいません)
>485 和尚さん
和尚さんにドキドキしてもらえて嬉しいです。
続きは各自ご自由にということで…存分に妄想しちゃってください。
>486 名無しさん
はい、その通りです。
それが基本です!
>487 素人○吉@ごまさん
いちーちゃんの三大要素、しかと心に刻みました。
え〜、今回のは…、甘えっ子ごま炸裂で!
- 508 名前:マーチ。 投稿日:2003年08月11日(月)23時07分52秒
>489 Gさん
ごまが目の前にいたら…そりゃノックダウン確実ですよね。
小悪魔ごまが続いたので、今回は甘えっ子にしてみました。
どうでしょ…?
>490 名無しさん
>491 名無しさん
保全ありがとうございます。
そーいえば、保全されたのって初めてかも…
>492 名無しさん
待っている方がいるなんて…感激。
いちごま不足、少しは解消されたでしょうか?
甘さ加減、足りました?
- 509 名前:マーチ。 投稿日:2003年08月11日(月)23時09分04秒
この場をお借りして――
分類板に紹介してくださった方、素敵な紹介文をありがとうございます。
>基本甘々は揺るぎなし
最後のこの一文に大きく頷いてしまいました!
- 510 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月11日(月)23時35分25秒
- わー、更新だ更新だー。あ、更新お疲れさまです。
甘っ!! 甘いよー、嬉しいよー。
やはり基本甘々は揺るぎなしですなあ。はい、分類板で紹介させていただきました。お喜びいただけて光栄です。初レスですが、愛読し再読三読しておりましたです。
後藤一人で空回るだけ空回って、見てるこっちは微苦笑で幸せ…二人が一番幸せ。良い短編をありがとうございました。
次回をのんびりお待ちします。
- 511 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月13日(水)23時08分57秒
- おっ!更新されてる!
後藤かわいいなー、好きだなー。
いちごまはイイなー
- 512 名前:素人○吉 投稿日:2003年08月14日(木)01時33分47秒
- ………………萌え!!!!!!(ぐ)
はい、ごとーさん可愛過ぎます。ダメ過ぎです。
そしてエロ(ry←重要ねw
久しぶりに読めて感激です。
次はあっちも楽しみにしてますよw
- 513 名前:G 投稿日:2003年08月14日(木)23時53分09秒
- 甘いの大スキ!!
かわいいなぁもぅ!
マーチ。さんのごまは可愛すぎます!!
いちーはほんと幸せものですねぇ・・・
更新有難うございました。
- 514 名前:和尚 投稿日:2003年08月15日(金)00時06分30秒
- 更新お疲れ様です。
やっぱ甘えのごとーさんは良いですなぁ〜。
このラブラブがたまんないです!!
そして、このままず〜とラブラブに行って欲しいなあ〜と思ってます。
- 515 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時11分55秒
「ん…っ…」
「ごとぉ…」
明かりを消した寝室。
ベッドの中。
長い長いキスのあと、いちーちゃんの手が動き出した。
「待って」
「ん?」
「なんか、疲れてて…。今日は無理みたい」
「…そっか」
いちーちゃんの目に少し落胆の色。
ごめんね、いちーちゃん。
「怒った?」
「ばーか、そんなんで怒るわけないって」
「よかった、へへっ」
上に乗っかっていたいちーちゃんが横に移動して、布団をかけなおしてくれた。
- 516 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時12分50秒
久しぶりの疲労感だった。
身体全体が重たくて、言いようもなくだるくて。
原因はたぶん連日の握手会。
ファンの人と直に触れ合えるのはとても嬉しかったけど、正直言うと肉体的に
はかなり辛かった。
「あの人数と握手は辛いよね」
「あ、うん」
「もうすぐライブだし、体調整えなきゃ」
なにも言わなくてもわかってくれる。
やっぱりやさしいね、いちーちゃん。
「じゃ、いちーちゃん整えて?」
「へっ?」
「ぎゅってして、朝まで。それが一番効くから」
「…」
自分で言っておいてちょっと恥ずかしくなった。
いちーちゃんもすっと目を逸らす。
それはいつもの照れたときの表情。
- 517 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時14分27秒
いちーちゃんの腕の中はあったかい。
身長差はほとんどないのに、あたしをすっぽり包み込んでくれるんだ。
「これでいい?強すぎるかな」
「ううん、大丈夫だよ。ありがと」
抱きしめられるのはいつものことなのに、今日はなんだか照れる。
疲れてるあたしをすごく気遣ってくれるから、なんとなく雰囲気が違うんだよね。
やさしすぎてくすぐったいよぉ。
「そーだ。握手会、変なやついなかった?」
「変って?」
「ん〜、例えば、握ったままなかなか離さないとか」
「ああ、いたいた。スタッフさんに怒られてよ」
せっかく来てくれた大切なファンの人だから、あたしも嫌な顔はできないけど。
でも、マナーを守らない人とかはやっぱり困る。
「あ、そうだ。変な人じゃなくて、変な質問する人がいたんだ」
「変な質問?えっちなこととか?」
「ちがうちがう。あのね、いちーちゃんのこと好きですかって聞くの。それも
ね、1回ならまだしも2回だよ、違う会場で」
「はっ!?なんで?え…マジ?」
- 518 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時15分15秒
あのときは焦ったぁ。
急にいちーちゃんの名前が出てくるんだもん。
しかも好きですかって…
一瞬真っ白になって、でも答えは無意識に正直に出たんだけどね。
「で、なんて答えたの?」
「んとね、だ〜い好きです!って」
「なっ…、おいおい、そんな…」
「だって、ごとーアドリブに弱いから、正直にしか答えられないんだもん。
2回目は落ち着いて答えられたけど」
そう、2回目は慌てず焦らず『好きですよ』って言えた。
にっこり笑顔でね。
- 519 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時16分14秒
「質問した人、驚いてただろ?」
「ううん、すっごく嬉しそうな顔してたよ。んと、満足そうっていうのかな…」
「なんで満足するんだよ。っていうか大体なんでそんなこと聞くんだ?」
「わかんない…、あっ、もしかしてばれてるのかも」
「なにが?」
「ごとーといちーちゃんのこんな関係」
「ま、まさか…」
「一緒に歩いてるとこ見られたのかもしれないし」
外出する時は必ず帽子をかぶって、ばれないように気をつけてはいるけど。
二人でいると嬉しくて、ついぴったりくっついちゃうんだよね。
いちーちゃんも最近拒まなくなったし。
- 520 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時17分34秒
「見られたとしてもそんなふうには思うかな。元メンバーで仲いいんだなぐら
いにしか普通は思わないって」
「そっかな」
んー、それもなんか悔しい。
『市井・後藤が熱愛か!?』みたいに少しは思われたいじゃない。
「たとえば…ごとーとキスしてるとこ見られたとしても大丈夫だと思うよ。
ハロプロのキス好きは有名だからさ、またやってるよみたいな感じで」
「んー、それはちがうよ」
辻や加護のキスと一緒にしないでよね、いちーちゃん。
「へ?」
「だって…」
少し身体を起こして、いちーちゃんの唇を塞ぐ。
大好きって気持ちを込めて甘く激しく。
だってね、悔しいもん。
キスしてるとこ見られても大丈夫なんてさ。
そんなことないって、いちーちゃんに思わせてやるんだ。
「…ちょっ…ごとっ…」
「…ん…まだっ…」
1回離れてもう一度いちーちゃんの中を味わう。
あたしからこんなキスすることってあんまりないから、めっちゃドキドキだよ。
- 521 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時18分39秒
さすがに苦しくなってゆっくり離れると、いちーちゃんの唇が艶っぽく濡れて
いて、今さらながら恥ずかしくなった。
「ね…?大丈夫じゃないでしょ?こんなキス見られたら…」
「うん…」
あ、いちーちゃんもすっごくドキドキしてる。
密着してるからお互いの鼓動がダイレクトに伝わるんだ。
「っていうか、人前でこんなキスするわけないじゃん」
「あっ、そっかぁ」
「ったく、ごとーってたまにすごいことしてくるよね」
「えへへっ…。あ、いちーちゃんももうすぐ握手会あるんだよね。聞かれるか
もよぉ?後藤さん好きですかって」
冗談でそう言ったら突然いちーちゃんが「あっ!」と大きな声を出した。
- 522 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時19分23秒
「思い出した」
「なに?」
「聞かれた、同じこと」
「ええっ!?」
なにそれ、どういうこと?
「再デビューのときの握手会で、後藤さんのこと好きですか≠チて」
「うそ…」
まるであたしの時とおんなじだ。
わけわかんないけど、とにかくびっくり。
- 523 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時20分08秒
「あの頃に、ごとーのこと好きか聞かれたの?」
「うん、めっちゃ焦ったから覚えてる」
あの頃のあたしたちは、まったく会っていない状態。
そんな時にそんなことを聞く人がいたなんて…。
「それで、なんて言ったの?いちーちゃん」
「えっ…それは…んと」
あ、聞かないほうがよかったかも。
言葉を濁してるのはやっぱり言いづらいからだよね。
あの頃、いちーちゃんはあたしを避けていたから…。
- 524 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時21分53秒
「あ、いいよ。ごめんね、変なこと聞いて」
「別に変なことじゃないよ、うん。ちゃんといちーも正直に答えたから、好きって」
「え…」
好き…?
いちーちゃん、好きって言ったの?
「そんな驚くことかな」
「だって…、あの頃は…」
「好きだったよ、あの頃も。勇気がなくて言えなかったけど」
「いちーちゃん…」
あの頃のさびしかった記憶が蘇る。
もう嫌われたんだって、いちーちゃんのことは忘れようってがんばってた
あたし…。
「ど、どうしてごとーに言ってくれなかったのさぁ。握手会で言うくらい
ならごとーに言ってよね!」
「ははっ…ごもっとも」
今だから笑えることだね。
今がこんなに幸せだから――。
- 525 名前:好きですか? 投稿日:2003年09月08日(月)18時22分59秒
「ねぇねぇ、またごと−のこと聞かれたらさ、ちゃんと好きって答えてくれる?」
「う…それは…ん〜……」
答えの代わりにチュッとおでこに落とされたキス。
「あ〜、ごまかしたなぁ」
「まあまあ、ははっ……ごとー、疲れてるんだろ、もう寝よっ」
ま、いっか。
またそんなことを聞く人が握手会に来るかどうかわからないしね。
「うん、おやすみ、いちーちゃん」
「おやすみ、ごとー」
でも、もしいたら嬉しいな。
ごとーといちーちゃんを見守ってくれるような気がして心強いから。
ぎゅっと抱きしめられた腕の中で、あたしはそんなことを考えながら眠りについた――。
- 526 名前:マーチ。 投稿日:2003年09月08日(月)18時23分46秒
更新しました。
- 527 名前:マーチ。 投稿日:2003年09月08日(月)18時24分18秒
レスありがとうございます。感謝!
>510 名無しさん
のんびりお待ちいただいてありがとうございます。
基本甘々を忠実に守っております。
>511 名無しさん
いちごま、いいですよね!
カッケー市井ちゃんと甘えっ子ごまがサイコーです。
>512 素人さん
え〜、了解を得ずに書いてしまいました。
許してくれますよね!
- 528 名前:マーチ。 投稿日:2003年09月08日(月)18時26分07秒
- >513 Gさん
Gさんも甘いのが好きなんですか。
今回のはどうでしょ?甘いと言うのでしょうか…?
>514 和尚さん
了解を得ずに書いてしまいました。
許してくださ〜い!
このままず〜とラブラブに…ですね!
- 529 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月08日(月)21時32分00秒
- 更新お疲れさまです。
変な質問…確かに変だ。うんと変だ。
いや、そりゃ変だけど、いやいや、そうじゃなくて、いちごまはありなんだ!
ごとーさんもわかってるくせに…ああ、わかってるね、うん、一時はどうなることかと…
また今回も甘いというか微笑ましいというか。ごちそうさまです。
- 530 名前:和尚 投稿日:2003/09/09(火) 23:23
- え〜とその〜・・・変な質問したその1です(苦笑)
許すも何もこの話を書き上げたマーチ。様に脱帽しっぱなしです。
( ´ Д `)<ちゃんと好きって答えてくれる?
いちーさんの握手会では失敗しました・・・。
<(T◇T)>わぁああああ!
- 531 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/12(金) 06:17
- そんな質問してみたいな。
- 532 名前:S 投稿日:2003/09/12(金) 23:54
- 今回は、とってもリアリティのあるお話でしたね〜。
次回作も楽しみにしてます。
- 533 名前:素人○吉 投稿日:2003/09/16(火) 00:31
- 変な質問をしたその2ですw
気付かなくて申し訳ないです。
いやぁしかし自分たちの事をこのふたりが話してるってのはどうにも不思議な感覚ですね
ごっちんの握手会…もうやるとは思ってませんがいちーちゃんの時には聞きたいと思います!
- 534 名前:G 投稿日:2003/09/16(火) 23:33
- おぉー更新されている!!
いやぁ〜ここの二人はラブラブですねぇ〜
現実にあったことを絡めるとホントにリアルになっておもしろい・・・
甘いのすきですよー今回もめちゃ甘々でうれしかったです。
甘いやつは癒されますね!!
有難うございましたー。
- 535 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 18:54
-
「ねぇねぇ、これ可愛い」
「ん〜、ちょっと派手じゃない?」
ベッドの上でごろごろと。
ふたり肩を並べてうつ伏せに寝そべって。
一冊のファッション雑誌を、あれがいいこれが好きなんて言いながらパラパラとめくって。
「じゃあね、これは?ごとーに似合う?」
「そうだなぁ。それもいいけど、こっちの方が似合いそう」
何をするわけでもなく、こうしてゆったり流れる時間に身を任せる。
あたしが一番好きなひととき。
いちーちゃんといると、どうしてこんなに安らぐんだろう。
仕事の疲れとか今日会った嫌なADさんのこととか、全部どっかいっちゃうみたい。
- 536 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 18:55
-
「ねぇ、ごとー」
「んー?」
いちーちゃんがふと手を止めてあたしの方を見た。
ちょっと首を動かせばキスできそうなくらいの近さ。
う〜、だめだ、ドキドキするよ。
いつまでたってもいちーちゃんのアップには慣れそうもない。
「決めた?」
「な、なに、なにを?」
あー、ドキドキしすぎて噛んじゃったよ。
恥ずかしい〜。
「ほら、前に1回聞いたじゃん、プレゼント何がいいかって」
「あ…ああ」
そうだった、いちーちゃんに『何がほしい?』ってずっと前に聞かれてたんだ。
あの時すぐに答えられなくて、言葉を濁したんだったっけ。
あれから1年、またあたしの誕生日がくる――――。
- 537 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 18:56
-
「考えとくって言ったよね」
「ん、言ったね」
「で、考えた結果は?」
「…」
この雑誌に載っていたピアスとかリングとか、言おうと思えばいくらでも言えたけど。
誕生日の日は一緒に過ごしたい。
あたしが望むのはただそれだけ。
だからホントはいちーちゃんの質問にはそう答えたいんだけどね。
でもその日は福岡でコンサートがあって、さすがに一緒にいたいとは言えない。
遠いよ、福岡は…。
- 538 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 18:57
-
「どした?」
「ん…」
「まだ考えてない?」
「ううん、考えたよ。ほしいものはあるけど…でもね、それは絶対無理で…」
まさかいちーちゃんに福岡まで来てなんて言えないし。
でも特別の日だからこそいちーちゃんと過ごしたいし。
誕生日のことを考えると、結局いつもそこで止まってしまうんだ。
「無理ってなんで?あ、海外旅行行きたいとか、そういうの?そういえばハワイに行きた
いって言ってたよね」
「ちがうよぉ!そうじゃなくて…」
別に海外じゃなくていいもん。
いちーちゃんと一緒ならどこでもいい。
「んじゃ何?はっきり言ってよ、ごとーらしくないじゃん」
うっ、そりゃあ言いたいよ、あたしだって。
でも言ったら、いちーちゃんを困らせることになるから…。
- 539 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 18:58
-
「ごとー?」
いちーちゃんがさらにぐっと近づいてあたしの顔を覗き込む。
そんな真っ直ぐな目で見ないで。
気持ちが溢れちゃう、抑えきれなくなる。
「んと…ね…一緒にいたい」
あー、とうとう言っちゃった。
福岡にいるおまえが言うなーって、心の中で自分につっこんじゃったよ。
「あ…うん…」
「誕生日はいちーちゃんと一緒にいたい、それが一番ほしいものだよ」
一度言葉にした想いは止められなくて、あたしはいちーちゃんを困らせるとわかっていて、
もう一度言ってしまった。
- 540 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 18:59
-
「……」
いちーちゃんは何も言わずに視線を落とした。
きっと困ってるんだ、あたしが無茶なお願いするから。
やっぱり言わなきゃよかった、我慢しなきゃならなかったんだ。
あたしってホントだめだね。
「あ…わかってる、うん。だから絶対無理って言ったの。ごとー、福岡にいるんだもん。
2公演あって夜遅くなるから東京には戻れないし。だからその日いちーちゃんと会うの
は絶対無理で…、会いたいっていうのはごとーのわがままで…」
言いながらちょっと悲しくなってきた。
18歳の誕生日。
ホテルの部屋で一人さびしくケーキを食べるシーンが目に浮かぶ。
- 541 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 19:00
-
「じゃあその日はさ、夜が来たら後藤を攫いに行くよ」
「……へ?」
なに今のかっこいいセリフ。
いちーちゃんって時々さらっとキザなこと言うんだけど、今のは相当だよ。
「誕生日の夜、ふたりで星を見るってのはどう?」
「……な、なに?え、えっ?」
いちーちゃんがにっと笑ってこっちを見てる。
あたしがどぎまぎしているのを楽しんでるみたい。
- 542 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 19:01
-
「で、でも、ごとー福岡だよ?」
「うん」
いちーちゃんは何でもないように普通に頷いた。
どういうこと、いったい?
「まさか、福岡まで来てくれるの?」
「っていうか、福岡でライブなんだ、その日」
「ええっ!」
い、いま何て言ったの?いちーちゃん。
福岡でって言った…?
「福岡…?ほんとに?ほんとにいちーちゃんも?」
「ん、だからさ、今年も一緒に過ごせるよ」
そんなことってあるんだろうか。
胸がいっぱいで言葉が出ない。
- 543 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 19:02
-
「たぶんこっちの方が早く終わるからさ、ごとーのライブに行けるかもしれない。あっ、
どっかいい店探しておかなきゃね…って、ごとー、聞いてる?」
「…」
いちーちゃんが話している間、あたしはシーツに顔をうずめていた。
びっくりして、嬉しくて、まだ信じられなくて、泣きそうで。
「お〜い、ごとー?」
「…」
「なんで黙ってるんだよ、嬉しくない?」
「う、うれしいよ!!」
がばっと顔を上げたら、そこにいちーちゃんのやさしい笑顔。
すっと手が伸びてきて、頬に触れた。
- 544 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 19:03
-
「泣きそうな顔してる」
「う…だって、今年の誕生日は会えないって思ってたから」
「ははっ、だよなぁ。なんかすごい偶然だけど」
「ホントだよぉ」
「まあ、おたがいライブがんばって、で、その後はゆっくりさ」
「うん!もちろんがんばるよぉ。近くでいちーちゃんも歌ってるんだもんね、絶対がんばるっ!」
言いながら、いちーちゃんの背中の上に重なってぎゅっと抱きついた。
全身で感じるいちーちゃんのぬくもり、いちーちゃんのにおい。
――――ぜんぶ、大好き
- 545 名前:同じ空の下で 投稿日:2003/09/23(火) 19:05
-
18回目の誕生日。
ライブでファンの人たちと会えて。
そして、いちーちゃんと会えて。
なんて幸せなんだろう。
大好きな人と、同じ空の下―――
〜お・わ・り〜
- 546 名前:マーチ。 投稿日:2003/09/23(火) 19:06
- 更新しました。
(マルチの指定レス、さりげなく使わせてもらったり)
ごっちん、Happy Birthday〜♪
思えば1年前のあの特番を見てこれを始めたんだったなぁ。
長々続けてすいません、いちごま熱が冷めないもので。
- 547 名前:マーチ。 投稿日:2003/09/23(火) 19:07
- レスありがとうございます。感謝!
>529 名無しさん
そうなんです、いちごまはありなんです!
だからこんな特別な日に、ふたりは引かれあうように同じ地に。
これって偶然なんでしょうかね…?
>530 和尚さん
>いちーさんの握手会では失敗しました・・・。
もし聞いてたら、いちーちゃんは動揺しまくりで反応できない?
福岡の夜、ふたりは…
>531 名無しさん
ぜひがんばって言ってみてください。
そのときには、報告を…!
- 548 名前:マーチ。 投稿日:2003/09/23(火) 19:09
- >532 Sさん
リアリティ出すためにも絡んでほしいのですが。
1年前の再現は夢でしょうかね。
楽しみと言っていただいて、とても励まされました。
>533 素人○吉さん
お、いちーちゃんに聞いてくれるんですかー。
そのときはまた詳細報告お願いしますよ。
今日はごまコンですね〜、今頃壊れてるかな?
>534 Gさん
もっともっと現実と絡めた話が書きたいのですが、何分ネタが…
からんでくれ〜!
これからも甘いのでいっちゃう予定です。
楽しんでくださいね。
- 549 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/25(木) 18:09
- 更新お疲れ様です☆
私もいちごま熱が全く冷めてない内の一人なので、これからも待ってます!
ヽ^∀^ノ(´д`)
- 550 名前:S 投稿日:2003/09/27(土) 00:16
- 更新おつかれさま〜。
これからも、どんどん甘いの、いっちゃってください。
私も、いちごま熱、ありまくりです。
つづき、楽しみにしてますね☆
- 551 名前:和尚 投稿日:2003/09/27(土) 00:28
- 更新ありがとうございます。
いちーさんの優しさ、ごとーさんのいちーさんへの想い・・・
全てがたまらん状態でした。
やっぱ、いちごま大好きです!
- 552 名前:G 投稿日:2003/09/29(月) 01:33
- 更新ありがとうございます。
9/23の二人はラブラブな夜を過ごしたんですかねぇ?
福岡のごまコンはものすごい盛り上がりでした・・・
誕生日・コンサート・いちーちゃんとごっちんには
幸せな誕生日だったでしょう!!
- 553 名前:素人○吉 投稿日:2003/09/30(火) 15:44
- Gさん同様福岡の盛り上がりは…
夜公演が終わった後の会場内のヲタの団結(自分も混じってましたが)はウケましたw
ごっちんー大きなケーキ、今年は誰が持ってきたんだー!?
- 554 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/31(金) 20:14
- 作者さん、待ってますよー
- 555 名前:マーチ。 投稿日:2003/11/09(日) 23:06
- ごめんなさい。
いちごまリアルはもう書けそうもありません。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
- 556 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/10(月) 00:55
- ま、まじっすか!?
かなりのショックです。。。
うぅ・・・今までありがとうございました。
- 557 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/10(月) 01:05
- 仕方ないですね…こんな状況では…
あまりに突然すぎて俺も何がなんだか…
- 558 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/10(月) 02:21
- 確かに、リアルものは…そうでしょうね。
難しいと思います。
とにかく、いままで素敵で楽しいお話をありがとうございました。
- 559 名前:和尚 投稿日:2003/11/10(月) 05:54
- 心中お察しいたします。長い間素敵なお話ありがとうごさいました。
- 560 名前:S 投稿日:2003/11/10(月) 18:01
- 長い間楽しませてくださって、ありがとうございました。
- 561 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/15(土) 02:24
- どうかマンゴープリンの方だけでも続けていただけることを切に
願っております。
マーチさんのお気持ちは深くお察っししますが、これでいちごま
小説まで消え去っていってしまったらこの心に空いてしまった穴
をどうやって埋めたらよいものか・・
勝手言ってごめんなさい
- 562 名前:名無し 投稿日:2003/12/23(火) 23:32
- ほぜん
Converted by dat2html.pl 0.1