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片道切符。

1 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)13時33分53秒
冗談には出来んようになってた。
前はとりあえず
「矢口ぃ〜好きやで〜。」
って言っとこうみたいな感じで言えてたのに
もう、そんな風に言葉にするんは無理になってた。
このまま好きやとかって連発しとったら一生言われへんようになる。
ここ一番、今回だけはマジやねんっていう時の好きですら
冗談やと思われかねんから。
正直、矢口を見るんが辛い。
胸の奥がギュッてなって、息出来へんようになりそうやねん。 
2 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)13時43分47秒
せやけど、会わないかん時はやってくる。
今日もまたこうしてハロプロの収録は行われる訳やねんから。
あー、何かユウウツやわ。
ハア...。
「五回目。」
いきなり横から声がした。
「な、何やの、いきなり。」
カメリハが済んで本番が始まるまで少し間があったから
スタジオの隅に目立たんように立っとこうって思ったのに。
吉澤に見つかってしもた。
「今日もう溜め息つくの五回目ですよ?」
「え、そうかぁ?」
「そうです。何か悩んでるんですか?」
と、顔を覗き込んでくる。
3 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)13時49分44秒
「別に何もないよ。」
「嘘ですね。バレバレですよ。当てて見せましょうか。」
吉澤は腕を組んで考えるフリをしてる。
...明らかにフリってわかる感じで。
「よし、ひらめきましたよ。」
「何?」
「矢口さんの事とか、矢口さんの事とか、矢口さんの事とか...」
「もうええ。分かったって。」
自分の手で吉澤の口を塞いだ。
こいつ、意外と目ざとい。その上に確信犯や。
ほら、やっぱりってカオしてるんやもん。
4 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)13時52分16秒
気の利いた挨拶も無く始めましたが、
適当に傍観してくれる人募集してます。
あ、一応、なかよし(?)です。
5 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)14時00分56秒
「よくないですよー、体に溜め込むと。」
病院でセンセに言われた覚えのあるセリフを投げてくる。
「それに、溜め息ってついた分だけ幸せが逃げるって言いますし。」
「...幸せなんか初めっからあらへんわ。」
しもた。
「じゃあ、吉澤があげますよ?」
予想外のセリフが返ってきた。
「はいはい。ありがとーな。」
―アレ?
「私の方に振り向かせてみせますから。」
さっきのセリフの時の真剣なカオのままそう言うて、
最後に何でかウィンクまでついてきた。
去っていく吉澤の背ぇ見送ってたら
「中澤さーん、本番始まりまーす。」
と呼ばれてたんに気付いて、慌てて同じ方へ走っていくハメになった。
6 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)14時05分27秒
本番中に何度か目が合うたけど別にいつもと変わらん感じやったから
年下にからかわれたんやなって思った。
それに、吉澤は矢口の事が好きなんやろうし。
―あぁ、新手の宣戦布告か。
せやったらしゃあない、大目にみたるわ。
って自分の中ではもう片付いてた。
吉澤もそうやろって思ってた。
7 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)14時16分22秒
収録が終わって、帰り際に吉澤が声かけてきた。
「中澤さん、この後お仕事は?」
「ない。」
「ご予定は?」
「ない。」
「...寂しい生活ですね...。」
「うっさい。」
おでこに一発でこピンくらわしたった。
「痛っ。でもまあ、奇遇ですねぇ。
吉澤もヒマしてるんですよぉ。」
何や、急に猫なで声に変わりよった。
「吉澤ハングリーっす。」
「あっそ。」
こいつ相手にしたらアカン。本能がそう言うてる。
とりあえず逃げるのが勝ちやと思て前に足を出したのに、
ガッチリ腕つかんできよった。
「アイムハングリー。ユーアーハングリー?」
「………………ワリカンやで。」
こんな調子やからやっぱりさっきのんは嫌がらせやったんやなって
もっかいそう思い直そうとした途端に
「初デートですね。」
なんて言うもんやからその考えは見送ることにした。
8 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)14時33分37秒
マネージャーに吉澤とご飯食べるからって断りを入れてテレビ局を出た。
「何食べたいん?」
「うーん。中澤さんの手料理とか?」
「ええけど肉とかをマヨネーズで煮込んだんとか出したるで。」
「うわっ。それはダメっすねぇ。じゃあファミレス。」
歩きながら話してたから、どうやら最初から行き先は決まっとったらしい。
吉澤が指差す方向、つまり進行方向にたしたにファミレスはある。
「ちょっと距離あるけど歩くん?」
「ダメですか?」
「ダメやないけど...。」
「家に帰るまでが遠足。目的地に着くまでもデートですから。」
今日何か、変な事ばっかり言いよるな。
「何か、変やで。何か...」
「そんな事ないですよ。」
ニカッって微笑むカオはいつもと同じやのに。
「…走りますか?」
「え?」
「バレ始めてるっぽいです。」
吉澤は目を前に定めたままそう言うた。
「ほんまな?しゃあないなぁ。」
しかたなしに逃走体勢に入ろうとしたら
「行きますよ。」
って吉澤の左手が私の右手をつかんでそのまま走り出した。
まだ心の準備が出来てなかったもんやから
ひきずられとるみたいになりながら。
9 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)14時47分42秒
何とか力尽きる前にファミレスに入った。
店員さんの
「何名様ですか?」
の問いに
「あ、2人です。」
って息も切らせんと答えるあんたを私は心底尊敬するわ。
席に案内されて腰を下ろしたら
「...死ぬかと思た。」
開口一番そんなこと言うてしもた。
やっぱ29にダッシュはきついて。
「無理するんですからぁ。」
無理さしたんは今私の目の前に座っとるあんたや。
「何にしますか?」
そんなことはお構いなしに訊いてくる。
「...コーヒーでええ。」
運動直後の飲食は控えましょうって訳やない。
ただ、最近あんまり食べる気がおきんのよなぁ。
「マジっすか。ガシしちゃいますよ?」
「そんな簡単に人間は死なへんて。」
「そーですかぁ...。じゃあ吉澤はオムライスにします。」
「オムライスぅ〜?」
「なっ…ダメっすか?」
「あ、いや、全然。ええよ、好きにしぃ。」
あぶなぁ。つい反応してしもた。
オムライスいうたら、矢口が家来た時に作たって、
おいしい言うてくれたもんやったから。
「またですか。」
「ん?」
「嘘。吉澤今日2回も嘘つかれちゃってますよ。」
10 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月17日(木)15時49分28秒
お待ちしてましたって感じです(w
「なかよし」大好物です。
固定読者第一号としてしっかりついていかせてもらいますので頑張ってください。
11 名前:オニオン 投稿日:2002年10月17日(木)16時42分58秒
読者発見。どうもです。
―この話、予想外に短くなりそうなので、別の話も入れます。
矢口視点の片道切符も考えてますが、他のがよければ24時間だけうけつけます。
これから仕事なので明日のこの時間までうけつけます。
どうぞ。
12 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月18日(金)01時50分33秒
吉澤・矢口、それぞれの視点が読みたい!って欲張りですか?(w
13 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)12時43分22秒
「嘘って?」
自滅行為かなぁとも思ったけど、平静を装って訊いた。
「何か、思い出ありそうです。今の中澤さんには、バッドな思い出が。」
バッド、か。正解やな。確かに思い出すと胸が少しギュウってなるから。
バッド、やな。
「あんたいつから人の心読めるようになったん?」
「中澤さんだけですよ。いつも、見てましたから。」
またや。
あの時と同じ真剣なカオして言いよる。
たぶん、こういうきちんとしたカオが
女の子にモテてる理由のひとつなんやろうな。
って、何を考えとんねん、自分。
「吉澤、その事なんやけど...」
言いかけの言葉を遮ったんはまだ呼んでもないのにきよった
ウエイトレスの姉ちゃんやった。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
14 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)12時55分16秒
ハア...。
アカン。今日は何か調子出んわ。
「コーヒーとグラタンで。」
グラタン?
「ええのに、オムライスで。」
「いいんです、グラタンで。」
「気ぃ遣ってんの?」
「吉澤がヤなんです。」
行っちゃってください。ってウエイトレスの姉ちゃんに手ぇ振ってる。
「...あんた、グチャグチャしてるん好きやなぁ。
オムライスもグラタンもよう似てるで。」
「じゃあやめましょうか?」
ってコールボタンに手ぇのばしてる。
「冗談やって。もう、ほんまに...。」
あわててその手をつかんだ。
「...そういうカオ、させたくないんです。」
吉澤の右手をつかんでる私の右手を
余ってた左手でつかんで言う。
「いつも笑ってて欲しいんです。」
「笑え...てるよ。」
なんてセリフ言うた割には絶対上手く笑えてなかったんが、自分でも分かった。
「好きです。中澤さんのことが好きです。」
アカン。
「や、矢口の事は?」
「矢口さんにはあこがれていただけです。」
「...でも...。」
「吉澤じゃダメですか?今すぐにじゃなくていいんです。
いつか、吉澤のことを...。」
15 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時01分21秒
「...せんといて。」
「え?」
「やさしくせんといて。
私、絶対吉澤の事傷付けるから。」
「構いません。それで中澤さんの気持ちが少しでも楽になるのなら。」
吉澤は私の手を離した。
「吉澤の、中澤さんを好きだって気持ちも変えられないですから。」
そう言うと席を立ってしもた。
ミケンにシワ寄せてたから、きっともうすでに
私は吉澤の事を傷付けてたんやろうなって思ってしまう。
16 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時06分46秒
家に帰ってからも何度か思い出した。
真剣なカオしてたんと、辛そうなカオしてた吉澤を。
―私が矢口を見てるときと同じカオやった。
もう、どうしようもない気持ちを抱えてて...
吉澤も同じやったんやろうか。
好きやって気持ちを伝えたくて、でも、言ってしもたら
何かをなくしてしまうんちゃうかって弱気になって。
吉澤がうらやましかった。
あのこはそれでも好きやって言いよったから。
17 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時14分44秒
あれから数日。
一度も吉澤には会うてない。
まあ、一緒の仕事が一本やから娘。自体と会うてないねんけど...。
なんて、仕事帰りの車の中で考えてた。
次、会うたら何て言うたらええやろう。
何て言うてくるやろうか。
…思いつかへん。
あいさつ以外言葉交わさへんに1000点、やな。
頭の中で、その”次会う日”はハロプロの収録日やった。
せやからまあ、何とかなるやろうて(ならんけど)思てたのに。
マンションの前で車降りてふと顔上げたら
今、頭の中におった奴がそこに立っとる。
カベに背ぇつけて、両手ポッケにつっこんで、うつむいて、
自分の足元じぃっとみて、明らかに人待ってますってポーズで。
18 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時24分13秒
あぁ、はく息がしろい。
「凍え死ぬで?」
まだ11月とはいえ、夜は流石に冷える。
いつからここにおるんか知らんけど。
「...死にませんって。」
私のカオ見た途端、笑顔でおう言う。
「何してんのよ。」
「いや、どうしても今日会いたいなぁって。」
それだけでこんな寒い中、じっと待ってられるなんて
その若さがうらやましかった。
「あがってきぃ...。」
吉澤の前を横切ったらすごい冷気を感じた。
「あ、あんた、いつからおんの?」
思わず立ち止まってしもた。
「まあまあ。気にしない気にしない。」
行きましょうって無理やり背中押されて中に入った。
エレベーターに乗って、少し無言やったんやけど、
「あ、そいえば。」
「何?」
「おかえりなさい(はあと)。」
ドアが開いたと同時に言うもんやから
おおかた”閉”押すとこやったわ。
19 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時32分06秒
「...よう言うなぁ、そんなん。」
「だって最近誰にも言われてませんよね?」
「一人暮らし長いから、そっちの方が慣れてるって。」
「じゃあ、おかえりなさいのセットのセリフは?」
こいつ、言わす気ぃやな。
「忘れた。」
玄関のカギをあけながらトボケたった。
ノブを回そうとしたら吉澤の手が扉を押さえた。
真後ろにおったもんやからその手と体で囲まれてるみたいになってて...。
「”ただいま”。」
耳のすぐ近くで吉澤の声がする。
「”ただいま”。」
やってることは子供っぽいのに無駄に色気があるっちゅんねん。
「...ただいま...。」
うーわぁー、何やようわからんけどテレる。
「よくできました。」
扉を押さえてた手をようやく離した。
20 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時38分58秒
「何か飲むやろ?コーヒーかぁ...」
部屋に入って静かにソファーに座っとる吉澤に台所から訊いてんけど。
「あー、コーヒーは寝れなくなるんでパスしたいっす。」
って言うねん。
「小学生か、あんたは。」
とりあえずヤカンに水入れてコンロにかけながら
何か他にあったけかなぁと思ってたらヒトツ思い出した。
「あ、ココアやったらあるで。甘いんいける?」
なっちか誰かが来たときに買うてたんがあったんや。
「あー大丈夫ですよ。ミロだったらダメだったんですけどねぇ。」
「何でや?同じやん。どっちも同じ位の甘さやろ?」
こいつ、時々不思議なこと言いよるなぁ。
21 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時47分13秒
「ココアの甘いのは、
好きな人が愛してるって言ってくれているのと同じ甘さで
ミロの甘さは、
お母さんとかが愛してるって言ってくれている甘さなんですよねぇ。」
「ごめん。全然分からんわ。」
「えぇー、分かりませんかぁ?」
「全く。」
分からん上に何でそれがミロがダメっていう理由になるんかも分からんし。
「まあ、じゃあココアはええねんな?」
「はい。」
カップを二つ出して片方にココアの粉を入れた。
そんなもん飲んでるこの隣でアルコール飲むっていう気にもなれんかったから
もう一つの方にはコーヒーをスプーン一杯分入れて
沸騰したお湯を注いだ。
コーヒーの匂いよりココアの匂いが勝ってて
部屋の中が甘ったるい匂いでいっぱいになってた。
22 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)13時56分30秒
差し出したココアを一口飲んだんをみて、自分もコーヒーに口をつけた。
「ぬくぅ...。」
体のシンがあったまっていく感じがした。
ちらっと吉澤の方見たら、両手でカップ包んでて。
「寒いん?」
「あ、いえ。」
ブンブン首横に振るもんやからおかしなって笑ってしもた。
「―こないだとは違うな。何か緊張してる?」
「...。緊張っていうか、不安で。」
「不安て?」
「いつかこのまま理性保てなくなって
襲ってしまったらどうしよう、とか。」
まだ余裕あるやん。
「吉澤、そんなキャラやったっけ?」
「だって、好きな人がこんなに近くにいるんですよ?
吉澤が男子高校生だったら確実に押し倒してますよ。」
「……。ごめんな?吉澤にはあげられんのよ。
目も心も全部、矢口にあげてるから。
そら、一方的にではあるけど…。」
「謝られても困ります。」
そうやわな。
23 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)14時04分30秒
「でもな、あんたがどんだけ好きやって言うてくれても
私は吉澤の事を好きになってあげられんよ。
せやから、諦めて。忘れて。嫌いになってって。」
「ヤです。諦めません。忘れられません。嫌いになんてなれません。
この気持ち、捨てることなんて…絶対…。」
吉澤の目がまっすぐ私を見つめてくる。
「何でや?吉澤やったらなんぼでも好きや言うてくれる人おるやん。
男でも女でも…やのに…。」
「何で中澤さんがいいかって?グモンですよ。
何でじゃなくて、それでも中澤さんがいいんです。」
ギュウって肩を抱き締められた。
隣って座ってたから、結構無理な体勢で。
やけど、吉澤の心臓の音が聞こえてきてる気がした。
まだ17やもん。こういうの慣れてないんやろうなって思う。
24 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)14時14分17秒
「やめときって。後悔するでって。」
「どっちにしろ後悔するなら、やめません。」
私の肩に沈んでた吉澤の頭が上がった。
「吉澤...。」
かすかに唇と唇が触れた。
止めようと思えば、きっと止められた。
せやけど、さっきから何かちょっとどきどきし始めてるから。
「…時間、かかるで?」
「構いません。」
「私、来年もう30やで?」
「構いません。」
「楽な方、選んでるだけかもしれんよ?」
「構いません。もう、今は何でもいいです、とりあえず…。」
ええんかなぁ。この手を取っても。
忘れられるかどうかなんて分からんのに。
「…ほんとはもうダメかなって思ってたんですよ。
この、中澤さんへの想いは片道切符なんだって。」
……。また何か訳わからんこと言いよる。
「あ、つまり、吉澤から中澤さんへの愛が
中澤さんの元へ届いた所で、その愛が、折り返して
吉澤の元へ来る訳じゃない。
このまま終着駅に着くんだろうなって。」
25 名前:オニオン 投稿日:2002年10月18日(金)14時21分36秒
「…。ごめん。やっぱ分からんわ。」
「ええー!分からないですかぁ…。」
信じられないってカオそてこっち見てくる。
「何、分からへん私が悪いん?
意味不明な事言う吉澤が悪いんとちゃうん?」
「中澤さんが美人過ぎるのが悪いんですよぉ。
さっきからずっと心臓が暴れてて、いっぱいいっぱいなんで…。」
「そんなん言うてもアカンよ。
バツとして今日は泊まっていく事。」
「それ、バツっすか?」
「バツやで。何もしたらアカンからな。」
「うっわ、ひどいっ。」
「待つんやろ?私の心が振り返るまで。」
「――。」
黙りよった(笑)。
とちあえず当分はからかわさしてもらおう(邪)。
           
                         END
26 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月18日(金)14時28分33秒
えー、作者一人、読者一人でお送りしましたこの小説。
微妙な感じで完結です。
今日は絶好調で続編を4時間で作ってしまったのでそのうち出します。

勝手に次回予告。

矢口バージョン行く予定です。
その合間で吉澤バージョン書けたらいいなってことで。

近況報告。

読むのは苦手なくせに”なかよしDEパラレル”を
書き上げちゃいました。苦手じゃなければいっときます。
                      オニオンでした。


27 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月18日(金)14時33分50秒
更新お疲れさまです。
なかよし大好きです。
固定読者第2号です。
続編キボンです。
28 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月18日(金)15時59分39秒
うぬぼれてた。
裕ちゃんは矢口を好きなんだって。
ずっと好きでいてくれるって思ってた。
だけど最近、”好きやで”って言ってくれなくなった。
目が合うと辛そうなカオしてそらすんだよ。
ねぇ、矢口が何かした?
矢口の事、嫌いになったの?
29 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月18日(金)16時09分00秒
裕ちゃんが構ってくれないから、なっちと話したり、
新メンにちょっかい出してみたりしてるんだけど、何かねぇ―
物足りないんだよねぇ。

あーっ。よっすぃ〜が裕ちゃんに話しかけてる。
いいなぁ。最近そんな至近距離に入った覚えがないよ。
「加護ぉ〜、辻ぃ〜。ちょっとさ、あの2人のとこいって
何しゃべってるか聞いてきて。」
「了解れす。」
ビシッと敬礼してスキップで近づいていってる。
っておい、スキップはやめろよぉ。
「何、矢口。気になるなら自分で行けばいいのに。」
「できるわけないじゃん。」
「わかいなぁ。」
何かわかんないけど、なっちはそういって
頭をイイコイイコしてくる。
そうしてたら本番始まりそうだし。
「矢口、いくべさ。」
「分かってるって。」
30 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月18日(金)23時25分06秒
お疲れ様でした。
固定読者第一号、すでに次のなかよしが楽しみでたまりません。
まずは、矢口編、吉澤編頑張ってください。
31 名前:隠れ読者3号 投稿日:2002年10月19日(土)02時58分42秒
なかよし大好き読者3号です(w
なかよしの長編は某HPでしか読んでないんですが・・・ずっと読みたかったものです。
続編かなり楽しみです。続々編とか・・・長編になるように勝手に祈ってます。(w
32 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月19日(土)06時37分33秒
”なかよし”は初めて見たかも。
やぐ視点も何気によさげですね。
33 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)15時06分38秒
訊かなきゃよかったよ。
収録の合間に加護辻に訊いたら
「ええっとお、よっすぃ〜が中澤さんに告ってました。以上れす。」
って言うんだよ。
やばくない?
裕ちゃん、美少女好きじゃん。
うっわぁ〜!やられる!!
このままだとよっすぃ〜に裕ちゃん取られちゃうよ。
―仕方ない。
考えよう。考えてみようよ、自分。
どうすれば裕ちゃんが矢口の元へ還ってくるのかをさぁ。
34 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)15時12分38秒
1.裕ちゃんに色仕掛けで迫る。
2.よっすぃ〜に色仕掛けで迫る。
3.諦める。
…。矢口の頭の中ってつくづく単純だよ。極端過ぎるよ。
色仕掛けか諦めるの二択じゃん。
ダメだなぁ。
――ここは正々堂々真っ向勝負しかないっすよねぇ?

でも、次裕ちゃんに会うのってこのハロプロの収録日でしょう。
その間によっすぃ〜が行動に出なきゃいいんだけど…。
すっごいヤな予感するんだよねぇ。
35 名前:オニオン 投稿日:2002年10月19日(土)15時17分09秒
知らない間に読者さん増加で光栄です。
矢口バージョンは完成してるんですが
吉澤バージョン、煮詰まってます(汗)。
まぁ、今月中には出したいと思ってますんで。
 追伸。
長編苦手ですが、いつか出来れば、と思ってる次第であります。

36 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)15時25分00秒
――翌週。
やっちょったよ。やられちゃったよ。
予想通りっていうか何ていうか。
絶対よっすぃ〜何かしたなぁ〜?!
だってさぁ、今まで矢口だけにしか見せなかった崩顔スマイル見せてるんだよ、
裕ちゃんってば。
どうしよう、そのうちよっすぃ〜まで”裕ちゃん”とか呼び出しそう。
こわっ。こわいっすよ。
ダメダメダメダメ。
裕ちゃんは矢口のモノなんだから。
よし、とりあえず、邪魔しちゃえ。
「裕子ぉ〜。」
お、2人とも振り向いたぞ。
「おっす。元気?」
「ん〜?元気やで。」
あれ?何だろう。何かいつもと違う感じが…。
「ごめんなぁ。」
って頭をポンポンってされた。
何?何がごねんなの?
どれに対して?
「何謝ってんの?」
「や、別に。」
37 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)16時21分00秒
あぁ、よっすぃ〜、そんなにじっと見ないでよ。
怖いから。マジで。
「矢口さん。」
「ん?何。」
よっすぃ〜が耳元で何かをいって……。
「中澤さんは渡しませんから。」
!!!!
「そ、それってどう言う…。」
「そう言う意味です。」
本気だ。このカオしてるよっすぃ〜はマジなときなんだもん。
「どないしたん、2人とも?」
「何でもないですよ。」
よっすぃ〜はニカッて微笑む。
「―ねぇ、よっすぃ〜。」
「はい?」
「何か、した?」
「…。ちょっと。」
だーっ!ダメじゃん。
矢口のせいだ。
矢口が裕ちゃんにちゃんと好きだよって言わなかったから。
あぁ、泣きそう。
自然と頭下がってきちゃうし…。
「矢口、どないしたんや?」
裕ちゃんがカオを覗き込んでくる。
「気分悪いんか?なぁ、矢口?」
痛い。裕ちゃんのやさしさが痛いよぉ。
「屋上行って空気吸うか?な?
吉澤、ちょっと行って来るから…。」
「……。」
「…大丈夫やから。」
胸が苦しくて、その言葉を矢口は聞き逃してた。

38 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)16時27分14秒
裕ちゃんにつれられて屋上に上がった。
ずっと声かけてくれてて、だけど
まともにカオ見ること出来なくて。
落ち着くまで、手を握ってくれてて。
「気分、良うなった?」
矢口が勝手なだけなのに。
裕ちゃんの気持ち知ってて、
知らない振りしてて、
好きって言ってあげられなくて、
それで自分で後悔してるんだもん。
自業自得だよ。
もう、間に合わないのかな…。
「裕ちゃん…。」
「何や?」
「矢口ね…。」
「うん。」
「裕ちゃんのこと、好きだよ。」
「――。」
「裕ちゃんのこ…」
裕ちゃんの両手が矢口の口を塞いだ。
39 名前:隠れ読者3号 投稿日:2002年10月19日(土)16時44分21秒
もしかしてよしやぐちゅー?ですか?
吉澤→矢口⇔中澤 吉澤⇔矢口←中澤・・・は何度か読んだことあるんですが・・・
吉澤→中澤←矢口・・・は珍しい(w
なかよしバンザイ。やぐちゅー両思いの気もするのですが・・・なかよしスレてことで・・・
どんでん返しがあるのか?先がはやく読みたい〜!!!(w
40 名前:隠れ読者3号 投稿日:2002年10月19日(土)16時46分01秒
申し訳ありません・・・あげてしまいました。本当にごめんなさい。m(._.)m
41 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)17時54分37秒
「アウトやわ。」
「……。」
「間に合わんかったよ、矢口。」
「……。」
「裕ちゃんな、やめてしもてん。」
「……。」
「矢口のこと、好きやったよ。
今でも好きやけど、それは
この前のとは別モンやねん。」
「……。」
「辛くなってな、やめてしもたんよ。」
矢口の口を塞いでいた裕ちゃんの手を払った。
「裕ちゃん、好きだよ。
好きだよ。好きだよ。好きだよ。
何度でも言うからさぁ、好きって言ってよ。
裕ちゃん…。」
勝手だってわかってる。
だけど、それでも失くしたくなかったんだもん。
「矢口…、ごめんなぁ。」
―さっきのごめんは、このごめんだったんだ。
「勝手に矢口の事諦めてしもて、ごめん。」
「謝るなぁ〜!!」
裕ちゃんは何も悪くないのに。
矢口が悪いのに。
「…みんな待っとるから戻ろ?」
裕ちゃんは手を差し出す。
「……。」
もうその手は矢口のためのものじゃない。
「矢口?」
「…いい。」
その手は取れないよ。
「よっすぃ〜に怒られちゃうから…。」
数秒間その手は出されていたけど
そのうち下ろされた。
「ありがとうな。好きって言うてくれて。」
42 名前:片道切符(矢口) 投稿日:2002年10月19日(土)17時57分53秒
エンドです。
入れ忘れました。スイマセン。
43 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月19日(土)18時01分45秒
またしても微妙な最後でしたが、終了です。
あえていうなら
まぁ、なかよし推しだし?
ってことで。
     オニオンでした。
44 名前:オニオン 投稿日:2002年10月19日(土)18時44分33秒
勝手に明日予告
 
吉澤バージョン書き上げれなかった場合は
なかよしDEパラレルが
強引にスタート。
45 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)12時45分52秒
泣いていた。
同じマンションの同じ階の、ふたつ手前に住む女の人は
玄関の扉の前で、鍵を握り締めて泣いていた。
振られたのかな…。
何度かここですれ違ったことのある背の高い、いつもスーツ姿の男の人に。
―結構仲良さそうだったのになぁ…。
あっ。
しまった。目が合ってしまった。
やばいなぁ、じっと見てたもんなぁ、自分。
「…なぁ。」
あぁ、声がかすれてる。
「は、はい。」
やっぱり怒ってるよねぇ。何見てんだって感じだもん。
「これ、どっか捨ててくれへん?」
ん。って左手に何かを持っていて、それを差し出された。
「え、あの…。」
2歩、3歩近付いてわけも分からずそれを受け取った。
――この感触…まさか…。
それを受け取ったてのひらをゆっくりあけてみると
やっぱりそうだった。
46 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)12時56分06秒
「こ、これ指輪じゃないですかっ!?」
結婚?婚約?何かの記念?
とにかく何にしろそんなもの受け取れないっすよ。
それに捨ててって。
「せや…。ウチはよう捨てんから、あんたが捨てといて。」
真っ赤になっている目から未だ溢れている涙を拭いながら、そう言う。
「できませんよ、そんなこと…。」
よくわからないけど、きっと思い出とか、あるんだろうし。
「頼むわぁ…。」
「頼まれてもっ。」
無理っす。責任取れませんもん。
「す、捨てられないなら、捨てなくていいんじゃないんですか?」
こうなったら地雷覚悟で訊いてみた。
「…辛いんよ。それみると絶対思い出すから。」
そう言うカオは確かに眉毛が八の字になっていた。
47 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)13時08分48秒
「あんた、人を好きになったことある?
一緒に居る時が幸せやったら、幸せやった分だけ
思い出すのが辛いねんて。」
そんな事、思った事がなかった。
一年の頃付き合っていた相手とは今でも友達って感じで、
よく話しているし、よく笑い合えるし。
「やけどまだ、未練があるから、自分じゃよう捨てれんのよ。」
OLさんっぽい服装の彼女はきっともう20代後半くらいだろう。
10こくらい吉澤とは違うのかもしれない。
その10年の差を感じていた。
恋愛ってものひとつ取っても、これだけ考え方は違う。
大人になると、こんなカオしなきゃいけない恋愛ばかりなのかなぁ。
自分の手の中にある指輪と彼女のカオを見ながら、
なんだかとてつもない虚しさに襲われていた。
「…やったら…。」
「え?」
「捨てれんのやったら、あげるから、どうにでもして。」
一方的にそう言い放つと、彼女は自分の家へと入っていった。
吉澤と、手の中にある指輪だけが取り残されていた。
48 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)13時15分50秒
仕方なく自分も家に帰って、着ていた制服からジャージとTシャツに着替えた。
目の前の机では、指輪がまばゆいくらいに光を放ってきていて…。
「これ、どんな気持ちで贈ったのかな…、
どんな気持ちで受け取ったのかなぁ。」
相手の人もたぶん普通のサラリーマンだろうから、
無理したのに違いないだろうし、
それを受け取ったんだから、覚悟だっていっただろうし。
「うわぁー。そんなのやっぱりどうにもしようがないよぉ。
返そう。次会った時、絶対、何が何でも返さなきゃ。」
49 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)14時18分45秒
翌日。
いつもと同じように家を出た。
制服を着て、カバンを持って、ポケットには
定期と、財布と、リップとかが入っていて。
昨日と違うことといえば
校章の刺繍が入っている胸ポケットに、あの指輪が入っている事。
朝は一度も会ったことがなかったから、きっともっと早く出ているか
その逆だった。
だから狙うのは帰り。
昨日も帰ってきたらいたんだよねぇ。
横切った時、全く動かないから電池切れかなぁって思いながら
チラ見したのが運の尽き。
とんでもない色恋沙汰に巻き込まれております、吉澤ひとみ17歳。
授業中、何気なくその指輪を見ていたら
内側に数字が刻まれているのに気がついた。
2002/6/19
誕生日…もしくは何かの記念日だよねぇ…。
6月っていったらついこの間、ほんの3ヶ月前じゃん。
3ヶ月で人の気持ちって変わっちゃうんだなぁ…。
覚えておこう。振られる前に振れ。
これ、教訓だな。あんなカオしたくないもん。
50 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)14時27分50秒
さぁ、返そう。よし、返そう。
意気込みだけは十分に帰宅したんだけど…会いません。
たぶんまだ帰ってきてないのだろう。物音しないし。
ってこれじゃあただの不信人物じゃん。
携帯の時刻を見たらまだ5時。
よく考えれば昨日この時間帯に会った事自体がおかしかったんだ。
普通、仕事って5時までだよねぇ?
じゃあ、まだ会社じゃん。
とは思ったけど、着替えに戻ってる間に帰宅されちゃったら悔しいから
とりあえず待ってみる事にした。
玄関に背中をつけて立っていて、最初はブラウス一枚越しじゃあ
鉄の扉は少しひんやりしていたけど、そのうち
自分の体温が勝っちゃって、それもなくなった。
51 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)14時40分45秒
廊下に窓はなかったから、外の景色は見えなかったけど
夕陽も沈んで、真っ暗に近くなっているだろうなぁって頃。
階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
カツン。カツン。ってハイヒール独特の音だから女の人だというのは分かった。
心臓が少し縮こまっていく感じがした。
何か、少し緊張してる。
その足音はやっぱりこの階で止まって、こっちへ向かってきている。
そぉっと見てみると
ビンゴ。
あの人だった。
向こうも気がついてちょっと驚いたカオをされた。
「何しとんの?」
「あー、その、これ、返そうと思って…。」
ポケットから指輪を出そうとしたら、ガッっとその手をつかまれた。
「あんた、イヤガラセする気な?そんなん見たら
やっとこさ収めた涙がまた出てくるやんか。」
おっと、怒られちまったよ。
「でも…。」
視線を上げるとすぐそこにその人のカオがあって。
近くで見ると何気に美人だなぁって思ってしまった。
「自分も、困るんで…。」
美人オーラに圧倒されながらも何とかそう言うことが出来た。
「やから、捨てたらええって。」
これじゃあ、昨日の繰り返しだ。
52 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)14時49分11秒
”ハックション”
言葉よりもくしゃみが先に出てしまった。
「そういえばあんた、いつから居んの?
制服のままやし、廊下寒いやろう?」
大丈夫?って吉澤の手をつかんでない方の手を額に当ててきた。
―やっぱりその手だけは離さないらしい。
そんなに見たくないのか。
「はよ、帰り。親も心配すんで?」
あぁ…。
「や、ここには居ないんで…。」
あんまり親には触れて欲しくないんだよねぇ…。
「何や、捨てられたんか?」
捨てられたのはあなたの方でしょうって言いかけたけど、
さすがにそれは飲み込んで。
「他に言い方ないっすかぁ?
かわいそうにとか、寂しいでしょうとか。」
みんな、そう言ってくれるけど。
「それ言われても嬉しないやろ?」
って。うん…。嬉しくなんてなかった。
みんな教科書で習ったみたいに口を揃えてそう言うから。
53 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時02分40秒
「自分、一人で住んでんの?」
「…まぁ…。」
そう言ったらその人は頭をなでてくれて。
「それで、よう卑屈にならんかったなぁ。
あんた、素直でええ子そうやもん。」
近所のオバさんに言われたこともあったけれど、それとは違う気がした。
この人のそのセリフは何だか、本物って感じがした。
「それ、引き受けてくれへん?
お礼に今度、お袋の味作ってあげるから。」
そんなロングな爪して、お袋の味が作れるんすか。意外。
「うーん。魅惑ですねぇ…。」
お袋の味がっていうよりむしろ、この人本人に興味があった。
「あ。」
「ん?」
「吉澤です。吉澤ひとみ。
よく考えたら名前、知らなかったんで。」
「あぁ、せやな。ウチは中澤裕子や。」
中澤裕子さん。
「じゃあ、中澤さん。
とりあえず今日のところは引き下がりますんで。」
「そら助かるわ、ひとみちゃん。」
54 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時07分17秒
うーあーーっ!!
「や、やめてください。したの名前は…。」
クラスメイトでさえそんな呼び方しないのに。
いきなり”ひとみちゃん”って。
はずかしいっす。
「そ−かー?ええ名前やん。」
「や、ホントに勘弁してください。」
「なら、吉澤さん。」
「いいっすよ、吉澤で。」
「はな、またな、吉澤。」
「はい、中澤さん…。」
中澤さんが家に入るのを見送っていたけど、
昨日とは全然印象が違っていた。
きっと普段はあんな風に気さくな人なんだろうな。
昨日は特別だったんだ。
55 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時13分12秒
あれから何度か、偶然会って、少し話をしたり
ホントに手料理をご馳走になったりした。
まるで、あの日見たには、幻だったみたいに思えてきた。
けれど、吉澤のポケットの中にはあの指輪は入っているし
どんな時も、何か、その話はしてはいけないって感じがしていた。
捨てることもできなくて。
もちろん大切なものだからっていうのもあるし、
それ以上に、中澤さんと出逢わせてくれたこの指輪を手放すのが怖かった。
あの日どころか、こういう関係も幻となって消えていきそうだったから。
56 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時18分18秒
そんな日々が気がつけばもう3ヶ月も続いていた。
制服も冬服にかわった。
中間テストも、期末テストも終わって、
もうすぐ冬休みだった。
冬休みといえばアレ。
恋人たちの一大ビッグイベントがある。
だけど、あのスーツ姿の人以来、中澤さんに
付き合っている人はいないっぽかった。
毎日7時頃には帰ってくるし、いつ会いにいっても、家にいた。
もう、恋はしないのかなぁ。
なんて腐っている場合じゃない。
57 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時23分54秒
吉澤は何故か百貨店にいて、何故かジュエリーコーナーにいて、
何故か物色していた。
目的はコレを購入するため。
気分はお嬢さんを僕にくださいって言いに行く男の人。
バツが悪いってこと。
だってあれ、完全にアウェイだもんね。
まあ、別に百貨店のジュエリーコーナーがアウェイってわけじゃないけどさ、
なんかね、そんな感じなわけよ。
小さな箱をコートのポケットに突っ込んで、来た道を引き返して帰った。
今にも雪が降りそうな空に見下ろされながら。
58 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時27分24秒
12月24日。
今日のテーマは何もするな。これひとつ。
動くな、気にするな、見るなって感じ。
やっぱり好きな人がいるんだったら
勝負するのは今日でしょうってことで、
吉澤は人の恋路を邪魔するようなやぼな子じゃありませんってことで。
でも、気になって家中歩き回ってたけどね、結局。
59 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時35分06秒
12月25日。
今日のテーマは当たって砕けろ。これひとつ。
昨日もなんだかんだで一人だったみたいだし、
ここはサンタクロース気取りで吉澤が登場するのがお決まりでしょう。
と、とりあえず上下赤でキメてみる。
……イケてない。
前代未聞でイケてない。
まぁ、いいや。見なかったことにしよう。
ヘコんだ心を何とか引きずり上げて中澤さんの部屋に向かった。
ピンポーン。
「今日和ー。吉澤でーす。」
すぐにドアが開いた。
「久しぶりやん。」
「たった3日ぶりですよ。」
「せやったけ?」
「そーすっよ。そんなに吉澤禁断症状が出てたんですか?」
「あほう。」
あーつかみはハズしたな、これ。
60 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時41分07秒
「クリスマスに何の用なん?」
ヒマ人だって言いたいらしい。
でも、それはお互い様じゃん。
「サンタクロースになりにきました。」
「ヨシザワクロース?」
「ぶはっ。」
何てナンセンスな…。
「まぁ、そうっすねぇ。」
中澤さんもつられて笑っていた。
「手、出してください。」
「手?」
言葉と同時に出された右手。
ポケットから小さな箱を取り出して、その手に乗せた。
「メリークリスマスです。」
「…ウチに?」
「ええ、まぁ。」
ダメか?
「開けるで?」
「はい。」
お世辞にも立派とは言い難い指輪がそこには入っていて。
61 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時47分26秒
「何でなん?ウチによりあげたい人居るんとちゃううん?」
「いえ、中澤さんにもらって欲しいんです。」
少し、不思議そうなカオをしてた。
「あの日から、指輪に対する印象っていうか
それが悪くなってると思うんです。」
だから。
「だけど、指輪って断然いいイメージの方が多いと思うんです。」
だから。
「だから、その、指輪に対して絶望して欲しくないなって。
この先いつか、中澤さんの事を本気で愛して、
中澤さんも本気で愛してるって言える相手が現れたときに
その人が差し出した指輪をもらうことをためらって欲しくないんです。
いつか、幸せになるために。」
「吉澤…。」
62 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時53分01秒
国語の授業じゃ、こんな時に役立つ文法は習わないから、
変な日本語だったかもしれない。
「ありがとうな。」
でも、中澤さんはそう言ってくれたから、きっと伝わったと思う。
「いえ…。」
中澤さんは笑っていた。
今なら――
「ちょっといいっすか?」
部屋の奥へ上がり込んで、窓を開けさせてもらった。
さっきの指輪を出したのとは違う方のポケットから
あの、数字の刻まれた指輪を出して、
思いっきり外へ向かって投げた。
下は、東京の街だったけど、
海なんかじゃなかったけど、
まぁ、それはそれとして。
63 名前:205・203 投稿日:2002年10月20日(日)15時55分28秒
遠くで一瞬キラッて光って、どこかへ消えて行った。
それは、これからが、今日からが、
中澤さんと吉澤の新しいスタートなんだっていう合図に思えた。
                    
                   END
64 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月20日(日)16時00分08秒
なんだ、またサワヤカじゃん。
って思うことでしょう。
作者も同意見です(ヲイ)。
ちなみにタイトルは2人の住む部屋番号ってことです。
次は、もうちょい大人な感じでいければなと思います。

勝手に次回予告

片道切符続編。
 
以上。オニオンでした。
    
65 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月20日(日)17時18分03秒
205.203の続編もキボ−。
66 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月20日(日)18時50分04秒
お疲れ様でした。
パラレル、いいですね、ふわっとした雰囲気で。
片道切符の続編マターリとお待ちしてます。
67 名前:オニオン 投稿日:2002年10月21日(月)12時42分11秒
感想どうもです。
だ、大丈夫ですかね?こんな青春群像劇風になってて。
不安ですが、片道切符続編行きます。
視点が交錯しますが、何とか読んでやってください。
68 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)12時47分59秒
今日の目標はただひとつ。
吉澤に「中澤さん」呼びをやめてもらう事や。
「裕ちゃん」「裕子」「裕子さん」
百歩譲って「中澤」もあり。
とにかく何か「中澤さん」は他人行儀な気ぃすんねん。
せやからやめさしたらな。
69 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)12時52分42秒
今日の目標はただひとつ。
この間はひどい目にあったから
今日こそサイゴまでっ…。
やっぱり矢口さんを忘れるには
そうするのが手っ取り早いと思うんだよねぇ。
よし、何が何でもやらせてもらいます。
70 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時00分52秒
ピンポーン。
あぁ、緊張するなぁ。
だって初めてなんだよね。
付き合うっていうカタチを手に入れてからここに来るのは。
「はーい。」
ガチャッ。
「いらっしゃい。」
「今日和っす。」
「…。」
何?何かマズイ事ありましたっけ?
絶対勝負服で来るなって言うから
極力普通で来たつもりなのに。
「…何か、問題でも…?」
「あ、いや。相変わらず美人やなぁって思って。」
うーわー。もう死んでもいい。
来るなら来いっ死神め。
ダメだ。今日はそんな事で胸キュンしてる場合じゃない。
「中澤さんこそ、ステキな生足で…。」
「エロオヤジか、あんたは。」
「いやー、だって、吉澤のために見せてるんですよね?」
「…。」
「だったらしっかり見とかないと損じゃないっすか。」
あー、ダメだなぁ。
何か今日はダメな気がする。
71 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時10分14秒
「まぁ、中入り…。」
確かに勝負服で来るなって言うたけど、
そんな格好でくることないやん。
ジーパンにセーターって。
ご近所にちょっとお買い物にって服装やん。
「おじゃましまーす。」
ガサッ。
ん?ガサッ?
「何持っとんの?」
「あー、これですか?
さっきそこのコンビニで中華まんを買って来たんですよ。」
「…釣った魚にエサやるって感覚で言いよるなぁ。」
「そ、そんなことないっすよ。
やっぱり冬と言えば中華まんってことで。」
「ふーん。」
「全種類買って来ました。」
ほめてって感じで言われても…。
「あんまん以外食べれへんのやって。」
「げっ。マジっすか。」
お。あからさまに肩落としとる。
「嘘やって。ちょっとからこうてみただけや。」
困ったカオもまたカワイイかったりするから。
72 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時16分08秒
部屋の奥へ誘導されて、
「座っときぃ。」
って言われてソファーに座った。
あぁ、何かこの前と似てるなぁ。
あの時は奇跡的に心の隙間に入っていけたけど、
今日はそれ以上に真剣勝負だからなぁ。
中澤さんのペースにはめられたら負けだな。
と、考えていたら、中澤さんがカップを二つ持って近付いて来た。
「吉澤、今日はあんたラッキーやわ。」
「ラッキー?」
「せや。ココアとミロ、どっちがどっちでしょうゲーム!」
いきなりテンションの高い声でそういって
よく似た色をしたカップを二つ差し出した。
73 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時22分27秒
「えーと。つまり、どっちかがココアで
どっちかがミロってことですよね?」
「ご名答。見るだけでどっちがココアか当ててみて。」
「…当てれば何かいい事ありますか?」
「せやなぁ、当たっとたら吉澤のお願い一個聞いたる。
アカンかったら私のん聞いて。それでどうや?」
「いいですよ。」
これはまさにラッキーじゃん。
ホントはどうやって切り出そうか悩んでたんだけど、
当てちゃえばオールオッケーってやつ。
「ひとつ質問なんですけど。」
「何や?」
「どっちもミロって事はないですよね?」
「そんな卑怯な事するかいな。」
74 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時28分08秒
あぁ、しもた。その手があったか。
ついうっかり素直にひとつずつにしてしもたやん。
「じゃあ…。」
「アカンよ。匂いもかいだらアカンから。
あんまり近付いたら。」
「はーい。」
じぃっ。て音がしそうなくらい真剣に見入っとる。
何や、吉澤も何か言いたい事があんのか?
「決まった?」
「うーん…。」
こんなん私やったら絶対分からんけどなぁ。
どっちも同じような色やし、匂いやし、
味かてそんな変わらんと思うねんけどな。
「…決めました。」
「よっしゃ、どっちや?」
ハズせよぉ、吉澤。
75 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時35分47秒
ココアの方が普通だったら少し色が濃いんだけど、
そんなの水の量次第でどうにでもできるんだよねぇ。
まぁ、そんな卑怯な手を思い付いてないって事を信じて。
「こっちです。」
指差したのは右側の方。
「はい、不正解。」
「えぇっ!嘘ですよねぇ!?」
だって絶対こっちですって。
「嘘やないよ。ほな、飲んでみいって。」
「そうします。」
右側のカップを手にとって一口。
「…。」
「な?違うやろ?」
ココアじゃなーいっ!!!
「何かしたんですか?水の量変えたとか。」
「してへんよ、そんなん。」
「だって普通濃い方がココアですって。」
「あんた、安もんのミロしか飲んだ事無いんとちゃうの?
アカンよ、ミロをなめたら。」
終わったなぁ。これで今日は言い出せないかも…。
「じゃあ、私のお願いきいてもらうで。」
「はーい…。」
76 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時42分01秒
「私の事、”中澤さん”って言うんやめてもらえんかなぁ。」
「は?」
「や、だから、他の呼び方にしてって。」
「…他のって…。女王様、とかですか?」
―あんたの思考回路どうなってんのかいっぺん見てみたいわ。
「あほう。ちゃうって。ほら、あるやん、何か。」
「裕子。」
やーーーーっ!!!!
アカン。カッコよすぎ。
そんなギラって言うなっちゅうねん。
「どーかしましたか?裕子。」
アカンて、アカン。
「ごめん。それ、なしにして。」
「何でですか?いいじゃないっすか、裕子。」
か、からかわれてる?確実にからこうてるよなあ!?
「自分で言わせておいてテレてるんですか?」
「…。ちょい、な。」
77 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時48分50秒
あれ?何かこの展開、いけそうだよねぇ。
「…じゃあ、裕子さん?」
「…、普通に言うてって。
何か危険な感じがする言い方やで。」
「危険って?」
「男子高校生と教師、みたいな…。」
「そうっすか?じゃあむしろ全然オッケーじゃないっすか。」
「オッケーやないよ。」
「オッケーですよ。
だってそういう楽しみ方もあるって事で…。」
ギュッて抱き締めてみたけど抵抗してこないなぁ。
「どういう楽しみ方よ。」
「イケメン吉澤に迫られる美人教師裕子さん。」
「…自分でイケメンて。」
「いいんですよ。間違ってないから。」
「……。なぁ、さっきのんでもし勝ってたら
何言うつもりやったん?」
「…それは…。」
あー、言葉より先に手が出そうだ。
――ほら、チュ―しちゃったよ、これ。
78 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時55分03秒
「…答えになっとらんやん。」
「すいません…。」
「何やの?言うてみぃ。言うだけやったらタダやで。」
「そうっすねぇ、その…。」
「んー?」
「したいなあって。」
「…。」
つまり。
「つまり、AしてBしてCし…」
「言うなぁ!!それにABCってあんた、古いわっ。」
すぐそこに頭あったからデコでデコいったった。
「抱かせてください。」
「…ストレートやなぁ。」
「だって、揉ませてとかじゃあ変…」
「やーかーらー、言うな、言うてんねん。」
「もー文句が多いっすよ。」
もっかい無理やりキスされてもうた。
「ダメ?」
そんなカオせんといてって。弱いねんから。
79 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)13時58分35秒
「ダメ…やないよ。」
そう言うたら、さっきまで吉澤が座っとったソファーに押し倒された。
きもち、私の服のボタン外しよる手が震えてる気がした。
口ではあんな余裕言うてても
こういうカワイイとこがあるから、まいってまう。
80 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)14時04分17秒
ソファーの上やったから体を浮かせんでも、
ブラのホックは外された。
吉澤は何も言わんとただ、体のあちこちに唇で触れてくる。
まるで私が壊れやすいガラスか何かのように。
―何年振りやろう。何人振りやろう。
私の事を、そんな風にあつこうてくれるんは。
「好きやで…。」
声に出したかった。
言葉にしたかった。
私は吉澤が好きや。
「いい匂いがします…。」
吉澤は見当違いな事言うて来よったけど、
それもまぁ、ええかなって思う。
81 名前:目標。 投稿日:2002年10月21日(月)14時08分55秒
スカートのファスナーも下ろされて、人の下着みて
「勝負下着っすか?
吉澤には勝負服で来るなって言っときながらぁ。」
って言いよる。
あんた、どこにまだその余裕があんねん?
絶対あんた、Sやろって事がこんな満載なんは初めてやわ、とか。
あぁ、中華まん冷めてもうたなぁ、とか考えてもうたんは黙っとこう。
気ぃ悪いやろうし。
まぁ、所詮17歳やもん。
まだまだやな、吉澤。
           END
82 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月21日(月)14時14分10秒
自分の中におけるなかよしは
中澤さん攻なんですが、そのせいか
書いてて自分で寒気がしました。
真夜中に読む事をオススメします。
昼間じゃない方がいいと思われます。

勝手に次回予告

中澤さんが吉澤の事を好きっていうのが書きたい(願望)。
ウチじゃ、アカンのって言わせたい(切望)。

言い逃げです。オニオンでした。
83 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月21日(月)14時52分01秒
予告も楽しいですなw
吉子が可愛い
いや、中澤ヲタなんですが
次回も期待
84 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)12時47分05秒
いつからやろう。
矢口を見てたはずが、気がつけば矢口を通り越して
その隣におる吉澤と目が合うようになったんは。
そら、元々美人やし、カワイイし、おもろいし、カッコええし、
やけど、ウチは矢口が好きやねんて。
あかんよなぁ、こういうの。
気が多いってやつやわ。
85 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)12時52分18秒
矢口、矢口、矢口、矢口、吉澤、違う。
矢口、矢口、矢口、吉澤、違う。
矢口、矢口、吉澤、吉澤、吉…。
アカンやん。完璧に吉澤寄りやん。
アカンなぁ…。矢口とさえ10も年離れてるいうのに、
吉澤やいうたら12やで。一回りやん。干支、一緒やん。
―恐っ。ウチが24の時、あいつまだ12やん。
うわー、犯罪や。犯罪やで、中澤さん。
86 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)12時55分48秒
あぁ、矢口ちっこくてカワイイなぁ。やっぱ女の子はああやなかったらアカンな。
それに比べて吉澤は…。
見てみい、あいつの髪のかきあげ方とか手付きとか。
絶対女にモテようとしてる風やん。
あいつ男にモテる気ないな。
明らかにターゲット女やん。
…カッコええ…
ってアカンて、マジで。
87 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時01分24秒
「中澤さん、吉澤のカオに何かついてますかぁ?」
おっと、急にアップになんなや。
「べ、別に何もないよ…。」
「あ、分かった。見とれてたんですねぇ。
もー、それならそうと早く言ってくださいよぉ。」
って言うて色んなポーズで”キメッ”しよる。
「…元気やなぁ…。」
「もー、中澤さん、年よりくさいっすよ。
しょーがないっすねぇ、吉澤のパワーをあげますから。」
吉澤は両手を前に伸ばして、「パワー」っていいよる。
―誰がこのコをこんなコにしたんやろか。
最初からこんなんやったっけ?
88 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時09分16秒
「どうっすか?
元気100倍、勇気も100倍になったでしょう?」
「…アンパーンマーン…。」
「そうっす。吉澤は中澤さんのアンパンマンっす。」
「えぇーっ。吉澤のカオや食いたないわー。」
「あぁ、だから最近チュ―してこないんすね?」
痛いトコ突いて来よる。
「吉澤の事、嫌いになったんすか?」
いや、むしろ、好きになってしまいよるくらいやけどな。
「…ええやん。あんたのこと好きな人はいくらでもおるやん。
石川やろ、矢口やろ、それから…」
「えー、だって2人とも同世代なんすもん。
なんか、大人な人に好きって言われたいんすよ。」
「じゃあ、どっかその辺歩いとる人捕まえて言わせればええやん。
みんな言うてくれると思うで。」
89 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時16分13秒
「えー、ダメっすよぉ。
中澤さんの口から聴きたいっす。」
「ウチはなぁ、無駄の事はせえへんようにしとんのよ。」
「無駄じゃないっすよぉ。」
「無駄やん。言うた所で吉澤が撃ちのモンになる訳でもないんやし。」
あっ。
「何すか、手に入れたいんすか?」
ほらぁ、目キラキラさしとる。
ええおもちゃ見つけたみたいに。
「……。」
言ってまえ。言ってまえって、中澤。
「…いらん。手間のかかるコはええ。」
どの口が言うとんね―んっ!!
「吉澤、いらないコなんすか?」
あぁ、お得意の上目遣いして…。
90 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時22分15秒
「…なぁ、何で今日、そないに構って欲しそうにするん?」
いつもやったらこの辺で、
「矢口さーん、中澤さんがヒドイんですよー。」
とか言うてよそ行きよるのに。
「吉澤がですか?」
「他に誰がおるん?}
ずっと、あんたと話っしょるやん。
「や、中澤さんが、構って欲しそうにしてらっしゃるんで…。」
ウチ?ウチか?!
「そ...かな...?」
「んー。」
「ん?」
!!!
急に頭なでらててもっ…。
「な、何しとんの?!」
「いや、何か気がついたら手が出てました。」
あわてて手ぇ、ひっこめよる。
91 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時26分28秒
「…吉澤…。」
「はい。」
「…一回だけ、言わして…。」
「…はい…?」
「ウチな、吉澤の事、好きになってしもたみたいやねん。」
…言うて、もうた…。
「…一回、だけなんすか?
もう、言ってくれないんですか?」
「…よう、言わんよ…。
吉澤かて、ウチなんかより…。」
「なんかって何すか?」
―ん?怒っとるんか…?
92 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時31分43秒
「ちょっ、どしたん?吉澤。」
両手でウチの肩つかんできよる。
「ダメっすよ。自分の事、下に見ちゃぁ。
いいんすよ、中澤さんで。
いや、中澤さんがいいんす。」
「…そんなカオで冗談言うんなしやわ。」
冗談にできんようになるから。
「こんな場面で冗談言う程、吉澤は大人じゃないですよ。」
「やから、何、怒っとんのよ?」
「怒ってないっす。ただ、吉澤バカみたいじゃないっすか。
さっき、好きって言われて、1人で浮かれてて…。」
あ…うつむいてもうた。
93 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時37分35秒
――もっかい、カオ見してぇや…。
ウチの事、ちゃんと見て…。
「吉澤、カオ上げぇ…。」
「…嫌っす…。今、すごいカオになってると思うんで…。」
「ええよ…。ウチだけしか見いひんから…。」
吉澤のカオを両手ではさんで上げさした。
「…聴きたい。…もう一回、聴きたいっす…。」
「…好きやで…・」
「もっかい…。」
「好きやで…。」
「もっかい…。」
「好きや。吉澤が好きや。」
言葉にしたら、すごい心拍数が上がっていきよる。
それで、実感する。
ウチは、ほんまに吉澤のこと、好きになってもうたんやって。
「吉澤も、好きです。」
吉澤のカオも赤くなっとった。
94 名前:中澤さんの事情。 投稿日:2002年10月22日(火)13時42分19秒
「…簡単な事やったんやな…。
ウチは吉澤が好きで、吉澤もウチを好きや言うてくれよる。
そんな、簡単なことやったんやな。」
矢口を好きやっていうキモチにすがりついとる事なかったんや。
もっと早く、気がついて、もっと早く、言えとったら、
もっと早く、好きやって言うてもらえたかもしれんのに…。
「…じゃあ、2人の両思い成立の記念に、
吉澤からチュ―します。」
と言って、吉澤はほっぺたにキスをした。
                    END
95 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月22日(火)13時47分23秒
み、短いっすねぇ。
回を追う事に短くなってる気がしますが…。
お詫びにパラレル続編も作ったので上げさしていただきます。
懲りずに読んでやってください。   
96 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月22日(火)13時51分51秒
なかよしいいです。
はまりました(w
97 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)13時55分36秒
200×年1月。
吉澤は、203号室の中澤さん宅にお邪魔しております。
…しっかし…
「中澤さん、ほんと、男の影がこれっぽっちも見辺らないっすねぇ…。」
休日だっていうのに、こうして近所の女子高生とまったりしてるんだから。
「あんたこそ、花の女子高生の割には、浮いた話、ないやんか。」
「そりゃ、そうっすよぉ。最近の吉澤の興味は
中澤さんに全部注がれてるんで。」
「何?ウチにホレたん?」
「ホレる要素がねぇ…。」
と、上から下まで見てみる。
「ないっちゅうんか?
あるって。めっちゃあるやん。」
98 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時00分12秒
「…例えば?」
「この美貌。」
「…呆れてモノも言えません。」
「この色気。」
「…もっと自分の事、見つめ直すべきっすよ。」
「この関西弁。」
「ああ、それはある!ありますよ。
すごく耳障りがいいですもん。」
「…ウチのええとこって、関西弁だけなん?」
「一個あれば十分です。」
「―じゃあ、吉澤のええとこは?」
「若さ。」
「ケンカ売っとんの?」
「そんな事ないっすよ。」
だってほんとの事だもーん。
「…自分、好きな人おらんの?」
「好きな人っすかぁ…。」
99 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時03分34秒
うーん。どうだろう。
クラスにモテ男君はいるけど、あんまり興味ないし。
他はザコばっかだし。あとは――。
「いないっすねぇ。中澤さんは?」
「おったらあんたとお茶してへんわ。」
「ごもっともです。」
そのおかげで休日1人でいなくて済んでるわけだし、感謝っす。
100 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時09分34秒
…あぁ、そういえば中澤さん、29歳って言ってたから、
母親とあんまり変わらないだなぁ。
あの人、35歳だし。
18で産んだんだから、大変だったんだろうなぁ…。
…今年、吉澤も18歳だ。
あの人が吉澤を産んだのと同じ…。
「どうしたん?」
おっと、トリップしてたよ。
「いえ、中澤さん、ウチの母親とあんまり変わんないなぁ、と。」
「マジで?いくつなん?」
「35っす。」
「若っ。あんた17やろ?…18で産んだん?すごいなぁ。」
すごい、かぁ…。
「あんた、お母さんに感謝せなアカンよ。
並大抵の事やなかったばずやで。
18で産むん勇気も、育てる事も。」
101 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時14分29秒
「手放す事に勇気は要らないんだ…?」
声に出すつもりはなかった。ただ、気がついたら言ってしまっていて。
「…吉澤…?」
「…、自分、もう3年も会ってないんすよねぇ。父親にも、母親にも…。」
忙しいのは知ってる。それでもメールやFAXをくれて
たまに、電話もしてくれる。けど…。
たまに、思ってしまう。
見捨てられてしまったのだろうかって。
「もう、温度がないんすよ。家中、どこを捜しても何か、冷たいんすよぇ…。」
102 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時19分54秒
「…ごめんな?」
意外な言葉が飛んできた。
「素直でええコやってずっと前、言うたやん?そうやなかってんなぁ。
ワガママ言うことも、嫌やって言うことも、
吉澤の選択肢には、なかってんなぁ。
それ、知らんと、知った風な事言うて…。」
「そんな事ないっすよ。アレ、嬉しかったんで…。」
だって、本気でそう言ってくれてるって、分かったから。
「ホンマに?せやったら、ええねんけど…。」
中澤さんは、すごく優しい。あの時にしても、今にしても、
吉澤の心、救ってくれてる…。
103 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時24分34秒
「…でも、中澤さんの事、
あの人の代わりにして見てるって訳じゃないんです。」
「うん…。」
「そばに居ると、安心出来るんです。」
「うん…。」
「誰かがそばに居ると、こんなに温かいんだって…。」
涙が、溢れていた。
…久しぶりに泣いた気がする。
もう、泣く事も忘れちゃったんじゃないかって思ってたくらいだし…。
涙が止まらなくなった吉澤の肩を引き寄せて、
中澤さんは黙って、頭をなでてくてれていた。
104 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時30分30秒
どれくらいか、時間が過ぎて、ようやく涙も収まってきた。
「もう、大丈夫っす…。」
中澤さんの肩に沈んでいた自分の頭を起こそうとした。
けれど、中澤さんはもう一回、ギュッて頭ごと抱き締めてきて。
「あんな?子供は親にワガママ言うてええねんで。
親も、それを聞くんが仕事やねんから。
やけど、どうしても困らせたないって言うんやったら
ウチに言い。聴いたげるから。」
って言ってくれた。
…ダメだよ。そんな事したら、やっぱり代わりにしてるのと同じじゃん。
105 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時36分30秒
「大丈夫ですから。」
せいいっぱい普通に言ったつもりだった。
「ほら、また無理してる。」
だから、そんなに優しくしないで。
「してないっすよ。」
「いいや、してる。アカンよ。
子供の内は言いたい事言うたモン勝ちやねんから。」
敵わないなぁ、中澤さんには。
吉澤はあなたに出逢ってから、いっぱい、いっぱい救ってもらってるんですよ。
「…ありがとうございます。」
「んー?何よ、急に。」
「ほんとに、もう大丈夫なんで…。
もうちょっとだけ、素直なイイコでいたいんです。」
「そうか…。」
ようやく手が離された。
106 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時41分31秒
「やっぱり、遠くの親戚より、近くの他人ですねぇ…。」
「他人なん?ウチはてっきり友達のつもりやってんけどなぁ。」
「友達っすか?困りましたねぇ…。
吉澤は好きになってしまってるっぽいんすけどねぇ。」
「…はい?」
「素直に言ってみました。」
「いや、素直に言うた、言われてもっ…。」
そうとう不意をつかれたらしく、
動揺を隠せない中澤さんを見てるのが楽しかった。
「あー、何かスッキリしました。
いやぁ、よかった、よかった。」
107 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時45分12秒
「…あんた、さっきまであんなに泣いとったくせに…。
何やの、その変わり様は。」
「いや、暗いのは苦手なんで。
それに、すごく言いやすそうなタイミングだったんで。」
「…ウチはそんなん言われるタイミングやなかったで…。」
「まあ、これから、吉澤ひとみの中澤さん奪取作戦が始まるってことで。」
「は、始まんの?」
「イエース。」
ピースしてみました。
108 名前:続・205・203 投稿日:2002年10月22日(火)14時47分30秒
「あぁ、何か、楽しくなりそうっす。」
「ウチは全然そんな気せえへんけどなぁ…。」
「そのうちにしてきますって。」
「…そんな日が来ん事を祈っとるわ。」
ガンバレ吉澤ひとみ。
負けるな吉澤ひとみ。
ってことで。    
        END
109 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月22日(火)14時58分15秒
本日2回目の言い訳です。
いや、よかったんじゃない?
夜中3時に書き上げた割には
いい出来だったと思うんすけど…(自己満足)。

あぁ、名無し読者のみなさん、読んで下さっててどうもです。
何か、リクありましたらどうぞ(なくてもどうぞ)。


勝手に次回予告

寒いから、温かいのが食べたい。
ってことでお得意の甘めで(大嘘つき)。
予定は未定。言い逃げです。オニオンでした。
110 名前:名無しリク 投稿日:2002年10月22日(火)15時41分13秒
片道切符で・・・
どっちがどっち(なかよし)でもいいのですが、
風邪っぴきを他のメンバー(出来たらなっち・圭ちゃん・矢口あたり)を抑えて看病・・・リクしてもいいですか?
111 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月23日(水)18時42分09秒
ほのぼの系?でいいっすねぇ…。

やばいなぁ…他CP押しだったはずが…
このスレのせいで(失礼)「なかよし」に
はまりそうです…(笑)
112 名前:オニオン 投稿日:2002年10月24日(木)12時51分07秒
えーっと、もっとガンガンにはまってください。
ここ、なかよししか見れないっすから。

名無しリクさんのリクにおこたえします(二日かかっちゃったよ)。
どうぞ。
113 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)12時59分21秒
……居ない。
今日は嬉し恥ずかしハロプロの日やいうのに、一緒の仕事やいうのに、
吉澤がおらー―んっ!!
何でや?何でやねん、吉澤?!
…ここはあのじゃりんこ共捕まえて訊いたろ。
「高橋ー。今日、吉澤どないしてん?」
「え……。」
何や、何言葉に詰まっとんねん。
「お休み…です…。」
お休みぃ〜!?
「何や、何かあってんか?」
「…風邪を、少々?」
風邪を少々…?
コショウを少々みたいに言うたけど、あんた、風邪!?
…あいつ、アホやなかったんやなぁ…。
ホッとして…る場合やない。
「マジか?」
「はい。」
114 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時03分10秒
あぁ、しもた。今日は会えるからメールでオハヨウやのうて
直接言いたいなんて思てもうて、メール送っとらんのや。
「中…澤…さん?」
「や、そうか。すまんかったな、呼び止めて。」
「いえ…。」
――今日、めっちゃウキウキで来たのに吉澤おらんて…。
テンション上がらんわ。
115 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時08分31秒
「裕ちゃーん。」
ん?誰か呼んでんなぁ。
「今日、収録終わったら、なっちとお出かけしよ?」
「…パス。」
悪いけど今日ばっかりは、そんな事しよる場合やないねん。
「えぇー。なっちじゃ不満て言うのかい?悲しいよぉ〜。」
って言うて、なっちは長袖のスソを引っ張ってくる。
「アカンよ、そんなカワイイカオしてもアカン。」
「冷たいよぉ、裕ちゃんー…。」
なっちが文句を言うてるへど、それはもう聞いてへん事にした。
今日はなっちより吉澤や。
116 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時12分53秒
「裕ちゃん。」
今度は誰やねん。
「何や?」
あぁ、今度はあんたか。
「今日、一緒に飲みに行こうよ。」
「悪いな、圭坊。今日は無理や。」
「付き合い悪ぅー。」
「何とでも言うたらええ。今日は何が何でも無理や。」
「夜、化けて出るよー。」
…それはちょっとお断りしたいけども。
「出てみい。そん時はそれから考えたるから。」
「…。」
何や、今日はえらいからんで来よったなぁ。
117 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時17分23秒
「ゴメン、石川。無理だった。」
はぁ?!
「そーですか、矢口さんの方もダメだったみたいなんですよぉ。」
…こいつら…。
「もー、誰なんですかねぇ、中澤さんに言っちゃったの。」
「新メンでしょう。裕ちゃんに逆らえなさそうだし。」
――なっちは矢口に、圭坊は石川に頼まれて
からんで来よったんやな。
「矢口ー、石川ー。ちょお来な。」
「えぇーー。」
文句ありげやな。やけど、それはこっちや。
118 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時23分40秒
「何ぃ?」
「何でしょう?」
「自分ら、今日吉澤のとこ行くん禁止な。」
「「えぇっ!!」」
「もし、それ破ったら、東京湾のもくずになってもらう事になるでぇ。」
「…や、矢口は、行きません…。」
「石川も、です…。」
「分かればええねん。」
いやあ、関西弁て、ホンマに便利やなぁ。
自分で言うてて恐いなぁって思たくらいやもん。
まぁ、これで邪魔する奴はおらんようになったな。
待っとけ、吉澤。
裕ちゃんが助けたるからな。
119 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時26分37秒
数時間後。
…来てもうた。
よう考えたら、初めてやん。吉澤ん家来るん。
とりあえず、住所も表札も間違いないし、ここやろう。
よし、インターホンを押し…
カチャ…。
ん?まだ押してへんのに玄関が開きよった。
120 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時30分58秒
「うわぁ、本物だぁ。」
その、開いた扉から姿を見せた吉澤は、ウチを見るなりそう言うた。
「な、何で…?!」
「や、アツくなって、水飲みに行こうとしたら、
窓の外に、人影が見えて…。」
「…。風邪、ひどくなるで?寝とかな。」
「大丈夫っすよ。セキがひどいだけで、
熱はあんまりないんで…。」
そのセキも、今は薬で落ち着いてるっていう。
けど、やっぱりいつもの吉澤とは顔色が違った。
熱っぽい感じに、赤くなってた。
121 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時33分09秒
パジャマの上、何も羽織らんと出てくるもんやから、
吉澤を押し込むようにして家の中へ入った。
「お邪魔します。」
とは言うてもたけど、静かやった。
「仕事。買い物。」
…家族の今現在を報告したんやろな、たぶん。
122 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時38分44秒
階段を上がって、吉澤の部屋に入った。
「はよ、布団入りって。ひどなるよ?」
っていうたら、
「…お母さんみたい…。」
って。
あぁ、それはきっとホメ言葉やないな。
「んー。」
素直に布団に入った吉澤は、左手をのばしてて。
「手。」
「手?」
その左手を自分の左手で握った。
やっぱり、その手もアツくて。
「大丈夫なん?めっちゃ手ぇアツイで。」
「大丈夫っす。中澤さん、来てくてらから…。」
「…ゴメンな?今朝、メール打ってへんかったから
寂しかったんちゃう?」
「んー、いいっすよ、別に。今、ここにいるから…。」
カワイイ事言いよる。
123 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時44分09秒
「…。」
明日、休みやなぁ…。明後日も、午前中はオフやわ…。
「―。吉澤。」
「はい。」
「チュ―しよか?」
「…。ヤだ。」
「ええやん、しようで。」
手ぇつないだ時から、吉澤のカオを覗き込んどる態勢やったから、
そのままカオを近付けた。
「嫌っす。ダメっすよ。」
右手でウチの口元を塞いできた。
「風邪、持って行く気っすよね?ダメっすよ。
そんなの反則っすよぉ。」
「吉澤、明日仕事あんねやろ?ウチはないから…。」
「そんなの理由になんな…」
吉澤の言うとおり、反則やったかもしれん。
やけど、無理やりキスをした。
124 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時50分05秒
「…。」
目が合うたら、怒った風ににらんできよった。
「吉澤、どうすればいいっすかぁ…?
風邪、ホントにうつしちゃってたら…。」
「ええよ、何もせんで。ウチが勝手にしたんやから。」
元気のない吉澤を見るんは嫌やったから。
「…もう、二度と風邪ひきません…。
こんなチュ―、嫌っすから…。」
「…そうか…。」
そのうち、ウチの手をギュッと握ったまま、吉澤は眠っていった。
…うぬばれて、ええか?
ウチのカオ見たから、安心して、眠れたんやって…。
―おやすみ、吉澤…。

    to be continued.
125 名前:オニオン 投稿日:2002年10月24日(木)13時52分19秒
このまま、中澤さん編にいけそうだったので、
行く事にしました。
どうぞ。
126 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)13時58分12秒
翌日。
歌番組の収録に見事復活で参加できたのはいいんだけど…。
「よっすぃ〜、元気?」
「あ、矢口さん。元気っすよ。」
「…。あのさぁ、さっき、マネージャーが言ってたんだけど、
裕ちゃん今日、熱が出てるらしいんだよねぇ…。」
「……。」
「何でだろうねぇ…。」
…矢口さん、分かってて訊いてますね?
127 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時03分03秒
「昨日、何かあったのかなぁ。」
「…。吉澤が、うつしちゃいました。」
「…やっぱり。ダメだよ、裕ちゃんもうトシなんだから、無理さしちゃぁ…。」
「無理なんかさせてなしですよ。むこうが…」
「むこうが?」
しまったっ!!やばい。
「あぁ、裕ちゃん、病人に手ぇ出すから
天罰が下ったんだねぇ。」
「…。」
黙っとこう。むしろ自ら天罰とやらを引き受けた事は…。
「よし、矢口がいって看病…」
「ダメっすよ、手ぇ出しちゃぁ。
中澤さんは吉澤のなんですから。」
後ろから羽交い締めにしてそう言ってみた。
128 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時07分12秒
「んー。じゃあ。」
「じゃあ?」
「なっちー。今この態勢をケータイで撮ってぇ、
そんで裕ちゃんに送っちゃえー。」
矢口さんは、自分の目の前に絡まっている吉澤の手をつかんで叫んだ。
「うわぁーっ!ダメっす。ダメっすよぉ。」
「いくよー、矢口ぃー。」
「よし、こい。」
「ダメっすってぇー。」
あわてて手を離そうとしたけど、
矢口さん見かけによらず力が強い。
129 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時14分58秒
パシャ。
あ。
「おっけぇーい。完璧。」
「ホント?よくやったそ、なっち。」
いや、待ってくださいって。
「ダメっすよ、送っちゃダメっすよ、マジで。」
「いいじゃん、よっすぃ〜はこんなに元気にやってますってことで。」
「よくないっす。」
「んー。よくないって言われてもさぁ、
もう送っちゃったんだよね、これが。」
「…。」
「よっすぃ〜、ごしゅうしょうさま。
今日何があったか明日教えてね(はあと)。」
「シュラバかなぁー。」
「うわー、別れちゃうとか?」
「じゃあ、その時、ねらい目だねー。」
「だねー。」
矢口さん、安倍さん。今日ばっかりは恨みますよ。ホントに。
いい時間つぶしだったねぇ、とか言いながら
スタスタセットの中に入って行ってるし。
あぁ、どうしよう。
行くのやめちゃおっかなぁ。
いや、そういう訳にもいかないしなぁ。
ハア。気が重いっす。
130 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時18分01秒
午後7時。
吉澤は今、中澤さんの部屋の前に来ております。
右手には鍵を握ってあります。
何故かって?
それはさっきエレベーターに乗ろうとしたら、
中澤さんのマネージャーに会って、
「今、寝てるから。」
って鍵を渡されたからです。
起こすなって事っすよねぇ?
まあ、そのほうがこっち的にも、都合はいいんすけどねぇ。
131 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時22分17秒
…よし、行くぞ。
そぉっと鍵をあけて、そぉっと扉を開けて、そぉっと入室。
「お邪魔しまーす(小声)。」
しぃぃんっとしてて…。
靴を脱いで、とりあえず電気を付けて、中澤さんの寝ている部屋へ向かった。
キィッ。
木の扉はどうしても音がしてしまう。
―スタンドの明かりが点いていて、
その隣には水とタオルの入った洗面器がおかれていた。
132 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時27分37秒
…。だから、ヤだっていったのに。
あぁ、まいったなぁ…。
吉澤のせいで、こんな辛そうな姿になったんだよねぇ…。
こんなに好きなのに、何も出来ないなんて…。
「ん…。」
苦しいっすよねぇ…。
「よし…ざ…わ…。」
!?
「中澤さんっ…。」
「元気、そうやん…。」
って言って微笑むカオが痛かった。
「すいません。起こしちゃって。」
「ううん…そんなこと、ないよ…。」
頭をなでてくれるその手の温度が痛かった。
「ちょーど、会いたいなぁって、思てたとこやってんで…。」
こんな時にまで優しいのが、痛い。
133 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時31分21秒
「…吉澤、しょうが汁のモトを持ってきました。
気休めっすけど…。」
ない知恵絞って考えて…。
「飲めますか?だったらお湯沸かせて作りますけど…。」
「…うん…。」
カバンを足元に置いて台所へ向かった。
これくらいの事しか出来なくて、
中澤さんを好きってキモチが大きい分だけ、辛かった。
―。昨日、中澤さんも、同じキモチだったのかなぁ…。
134 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時36分38秒
ピィーッ。
しまった。お湯沸騰しすぎちゃったよ。
あわててコンロの火を消した。
ダメだ。こんな滅入ってちゃあ、ダメだ。
カップにお湯を注いで、しょうが汁の粉を入れてかき混ぜた。
あぁ、ハナにつきニオイがする。
苦手かも、このニオイ。
「出来ました…。」
再び部屋に入ると中澤さんは、天井を見つめてて。
「中澤さん?」
「あ、あぁ…。」
「大丈夫っすか?目がうつろっすよぉ。」
「…不死身やから…。」
「…そうっすか…。」
こんな時でも忘れない関西人魂は恐れ入りますけど…。
135 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時40分07秒
いったんカップをスタンドの置いてある台に置いて、
起きようとしている中澤さんに手を貸した。
「…絶対的に、アツいっすよ。」
カップを渡しながらそう言うと、
「相変わらずやな…。」
って微かに笑って言われた。
「…うまいよ。」
「ホントっすか?すごい、ニオイがやばそうなんすけど…。」
「―。吉澤が作ってくれたから、な。」
136 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時45分07秒
「…。何か、出来る事ないっすか?
何か、吉澤、すごい無力なんだなぁって思って…。」
「…昨日も、言うてたなぁ…?」
「だって、何の役にも立ってないんすもん。」
「立ってるよ。こうして会いに来てくれて、
しょうが汁作ってくれて…。」
「でもっ…。」
「――。」
「――。」
「せやったら、声、聴かせてて。
吉澤の声、すごく、心地ええねん…。」
「…じゃあ…。ふるさとを歌います。」
「な、何でやねん…。」
そんな無理してツッこまなくてもいいんすけどねぇ…。
137 名前:片道切符。3rd. 投稿日:2002年10月24日(木)14時50分42秒
「いきまーす。
うーさーぎーおーいし かーのーやーまー…」
そっちかいっていうツッコミはなかったけど、
やめろって言われなかったから、
永遠一番だけを歌い続けた。
さぞ、歌がよかったのか、しょうが汁が効いたのか、
中澤さんが再び眠るまで時間はかからなかった。
―明日は元気になって、いつもの笑顔、見せてくださいね。
……。一つだけ、謝っときます。
安倍さんが送った、矢口さんとの2ショットが見れるメールを
まだ見てないらしいので削除させて頂きました。
だって、アトが恐いんだもん。
                END
138 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月24日(木)14時58分48秒
望んでたのは、こういうのだったかどうかは疑問ですが、
これが自分のせいいっぱいでした。すいません。

近況報告

パラレルの案はあるけど、なかよしじゃないから
とりあえず封印(設定なかよしにすればいけるんすけどね)。

勝手に次回予告

何もまだ決まってません。
まぁ、痛くないヤツを書ければいいなと、思っております。
とか言ってて、痛かったらすんません。
オニオンでした。
139 名前:隠れ読者3号 投稿日:2002年10月25日(金)01時27分53秒
痛いのでも甘いのでも、なかよしならノープログレム。
なかよしヲタになっちゃたじゃないですか。
どうしてくれます?(w
140 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月25日(金)11時05分00秒
むしろ痛いのキボンしたいぐらいですが(w
どちらでも構いません。
頑張ってください。
141 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月26日(土)20時06分17秒

実際このCPの絡みは少ないのに・・・なかよしを読まないと寝れません(W

この頃は少しハロモニであるかな?
作者さんのせいです。(W
142 名前:オニオン 投稿日:2002年10月27日(日)12時41分46秒
何か、すごい久しぶりな気がする。
2.3日ぶりなのに。
今日は片道切符。です。
2作上げときます。どうぞ。
143 名前:片道切符。4rh.「ひとみちゃん」 投稿日:2002年10月27日(日)12時49分27秒
ひとみちゃんは中澤さんと付き合っていて…。
2人とも「付き合い始めました」なんて報告はしなかったけど、
メンバーはみんな知ってる。
付き合っている事も事実、知っている事も事実。
…私は、嫌いじゃない。どっちかっていうと好き。
2人とも、すごくやさしくて、気ぃ遣いぃなんだよね。
…だけど、もう嫌なの。
ひとみちゃんが中澤さんを好きなのは知ってた。
だけど、中澤さんが振り向く事なんてないと思ってた。
だから全然あせってなかったのに、あっという間に展開は変わって
2人は付き合い出してしまった。
そしたら私の気持ちはもう、行き場を失って、
ずぅっと抱え込んでいるほかなかった。
144 名前:片道切符。4rh.「ひとみちゃん」 投稿日:2002年10月27日(日)12時53分30秒
抱え込んで、押し殺して、そのまま消えてしまえばよかったのに、それどころか
その気持ちは増殖していくばかりで。
このままじゃよくない。もう、言ってしまおうって決めたの。
今のまま物分りのいいお友達でいるほうが楽なのかな、とか、
言ってしまって距離を置かれたほうが楽なのかな、って
何度も考えたけど、どっちが正しいかなんてわかんなかった。
ただ、今の私の気持ち的に、このままじゃダメな気がするから
もう、言っちゃいます。
145 名前:片道切符。4rh.「ひとみちゃん」 投稿日:2002年10月27日(日)12時57分58秒
「梨華ちゃん?」
「え、あ、何?」
「や、さっきからずぅっと、こっちにらんできてたから…。」
「あ、ごめん。別にそんなつもりじゃ…。」
ダメだなぁ。目の前にひとみちゃんが座ってる事にすら
気付いてなかったわ。
「…。何か、考え事?」
「ん―。ちょっと、ね。」
「ふーん。」
あぁ、あんまり興味なさそうね。もう目線が私を通り越して
撮影してる安倍さんたちのほうへ行っちゃったし。
146 名前:片道切符。4rh.「ひとみちゃん」 投稿日:2002年10月27日(日)13時02分14秒
「煮詰まってるなら、考えるのやめればいいよ。
ドツボにはまる前にさ。」
目線はむこうに行ったままだったけど、
ひとみちゃんはそう言ってくてた。
やっぱり、やさしい。やっぱり、好き。
「――。ひとみちゃん。」
「んー?」
「私ね…、好きな人がいるの。」
「…。」
カオはむこうを向いたまま、目線だけが、一瞬こっちを見た。
「…ひとみちゃんが好きなの。」
―言っちゃいました。
「――。知ってる。」
147 名前:片道切符。4rh.「ひとみちゃん」 投稿日:2002年10月27日(日)13時09分19秒
え?
「え、えっと…。」
「けど、言われてもさぁ、どうする事も出来ないよ?」
表情一つ変えずにそう言う。
「―。本気なの。」
本気だった。嘘でも冗談でも大袈裟でもなく、本気だった。
「中澤さんが、好きなんだ。」
…念を、押されてる。
「知ってるよ。でも…。」
「梨華ちゃんが本気なのは分かった。
でも、私も本気だから。」
私の目を見てそう言ったひとみちゃんは
何だか、大人びていた。
「ごめん。」
――ダメ。泣いちゃダメ。こらえて、お願いだから…。
148 名前:片道切符。4rh.「ひとみちゃん」 投稿日:2002年10月27日(日)13時15分52秒
「…。きっと私、こうやって今までも梨華ちゃんの事、
傷付けてたんだろうね…。」
テーブルにあるティッシュの箱を引っ張て、私の目の前に置いた。
…こらえきれなかった。
泣きたくなんかなかったのに。
「これからも、きっと、傷付けてしまうと思う。」
いいのに…。それは、私がひとみちゃんを好きだから
いけないだけなのに…。
「けど、中澤さんを傷付けないためなら、
それも後悔してないし、これからもしない。」
愛してるから。って言葉が最後には付いてる。
言わなくても分かった。
私は本気でひとみちゃんを好きだけど、
ひとみちゃんは本気で中澤さんを愛してるんだって、分かった。
――私の負けなんだね、ひとみちゃん…。
            END
149 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月27日(日)13時21分42秒
何日も待たしてソレ?みたいな感じですが
次も中澤さん出て来ません。
でも、まぁ、上よりはマシか?
とりあえず、読んでから考えましょう。
p.s.こっちでは今日ハロモニ。やってません(笑)。
150 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時27分15秒
今日和。モーニング娘。の矢口真里です。
えー。突然ですが、吉澤さんが、変です。
「そこ、スカートの丈が短い。」
「胸元開けすぎ。」
などと、さしずめ風紀委員といった所であります。
理由は単純です。
先週、ハロプロの収録が2本撮だったため、今週は仕事場で
思い人、中澤さんに会えないからかと思われます。
っていうか、それ以外考えられません。
151 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時31分12秒
と、いうわけで、雑誌の取材にもまるっきりやる気の出ない吉澤さんに
声を掛けてみる事にしました。
「よっすぃ〜、ダメだよ。ちゃんとやんなきゃ。」
「…あ…茶髪。」
は?茶髪??
「中澤さん…。」
ヲイヲイ。
「違うよ、矢口だよ。」
「……中澤さん。」
やばい。末期だ。
「もー、何でたかだか仕事で会えないくらいで
気力奪い去られちゃってんだよぉ。」
152 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時36分45秒
「……。あぁ、矢口さん。」
あぁって…。今頃気付いたのかよ。
「だってもう8日も会ってないんですよ。
先週のハロプロから一回も会ってない…。」
「…。何で?」
素朴な疑問。
「忙しい。眠い。明日早い。って、もうずぅっとそんな調子なんすよ。」
ハア。ってすっごい目が遠いっすよ、よっすぃ〜。
「…ケンタイ期?」
「…。噛み付きますよ。」
―君はライオンかい?
そして矢口はハイエナかい?
「…会いたい…。」
んー、若干カワイイ。
「ギュッてしたい。されたい。」
って言って”ギュッ”のマネをする。
153 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時41分27秒
「会いに行けばいいじゃん?」
首を2回だけ横に振る。
「――。会いたいって言われたいんすよ。」
「…。それは、意地?」
「う…ん。いや、違います。」
「じゃあ、何?」
「会いたいから、会うんじゃなくて、
会いたいって言われてから、会うのが大事なんすよ。」
うーん。
「どう違うの?」
「…思い通りになりたいっていうか…。
自分の意思で会いに行くんじゃなくて、
あくまで、相手の意思で動いてる。
って言うのが…ね。」
ねって…。
「その方が、よく分かるじゃないっすか。」
「何が?」
「吉澤は中澤さんのトリコだって事が。」
154 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時45分43秒
…面白い。不器用に素直だ。
「あれ〜、矢口さん。いつの間によっすぃ〜に乗り換えたんですかぁ?」
この声は。
「石川。」
「はぁい。石川です。」
「…いいよね、梨華ちゃんは。中澤さんと一緒のコーナー持っててさぁ。
スキンシップ取り放題じゃん。」
おっと、心がすたれてきてるぞ。
「ハロプロニュース?
別名チャーミーと中澤さんの愛の劇場…」
あぁ、火に油を…。
第一ラウンド、ファイってかんじ。
155 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時50分06秒
「…ケンカ売ってる?」
「えー、何でぇ?」
「愛とか言うの禁止。むかつくから。」
「…じゃあ、公開浮気現場…。」
石川、勇敢だねぇ…。
「…梨華ちゃん、この間圭ちゃんと、デ…。」
ん?石川の顔色が変わったぞ。
しかも、勢いよくよっすぃ〜の口塞いでるし。
「ダメ。それは言っちゃあ…。」
「…じゃあ、もう色目遣わないでね、どっちにも。」
どっちにも?…あぁ、裕ちゃんにも、よっすぃ〜自身にもって事かぁ。
156 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時53分37秒
「矢口さんも。」
「は?」
矢口もなのかい?
「19のくせに、全くそうは見えないキャラで微笑むの禁止。
胸キュンだから。」
胸キュンなのか?!
「…了解っす。」
矢口の返事を聞いてよっすぃ〜は立ちあがって伸びをした。
「あ、矢口さん。スカートの丈はひざ下っすよ。」
…。全然大丈夫じゃないね。
少しは気が晴れたかなぁって思ったのに…。
157 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)13時57分05秒
「…よっすぃ〜はさぁ、会いたいって言ったの?」
「…人の話聞いてましたか?」
「聞いてたさ。だから訊いてんじゃん。」
「――。会えますか?はありますけど、
会いたい。はないっす。」
「じゃあ、言えばいいじゃん。
裕ちゃんも言ってくれるの待ってるだけかもしれないでしょ?」
裕ちゃんも、よっすぃ〜に負けず劣らず不器用なヤツだから。
158 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)14時01分25秒
「…いいのかなぁ…。」
「いいんだよ。」
「…でも…。」
「あのさ、裕ちゃんにワガママ言っていいのはよっすぃ〜だけなんだよ?」
散々ワガママ言ってる人の代表みたいな矢口が言うのも
なんなんだけどね。
「無理言うんじゃなくて、
それは愛なんだから。」
「…サブイっすよ。」
「矢口もよう思うよ…。」
「…電話、してみます。」
「うん。」
いったん去って行こうとしてたのに、その足を止めて振り返った。
「ありがとうございます。」
って100万ドルの笑顔もらっちゃったよ。
159 名前:片道切符。5th.-第三者的意見- 投稿日:2002年10月27日(日)14時04分05秒
あぁ、いいなぁ…。
矢口も会いたいって電話してくれる人が欲しいよ。
それで、もー仕方ないなぁ、とか言いたい。
嬉しいのかみ殺して、
そっちが言うから来たんだぞって言ってみたい。
あぁー、言ってみたーいっ(切実)!!
        END
160 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月27日(日)14時10分29秒
だんだん、なかよしから視点がずれてきてますね。
分かってます、分かってるんです。
明日はこの続きでなかよしど真ん中行くつもりです。
さぼってる間に読んで下さった方、どうもです。
こりずに書くので、こりずに読んでやって下さい。

勝手に次回予告

片道切符。6th.(4でrhって間違えてた)
「会いたい」の行方
―なんか、B級ドラマのタイトルみたいになってきた。
言い逃げです。オニオンでした。
161 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月27日(日)16時41分19秒
作者さん最高!続き待ってます!!
162 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月27日(日)17時07分40秒
めちゃめちゃ続きが読みたい・・・早く明日になれ〜!!(w
なかよしど真ん中はやく来い!!(w
楽しみにしときます。

ハロプロの日ってか・・・ハロモニの収録の日のことですよね?
ハロプロはコンサートかと・・・すいません前からちょっと気になってたもんで(w
ごめんなさい。
163 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月28日(月)11時13分09秒
直球ストレートのなかよし
激しくよみたい。
164 名前:オニオン 投稿日:2002年10月28日(月)12時39分52秒
今日和。
えぇっとぉ、ハロプロって書いちゃってるのは正直気付いてたんですけど…
1.めんどいから訂正しない
2.忘れて、また書く
3.数時間後気付く
の繰り返しな訳っす。すいません×100
っていうか、第一話から書いてますね(驚愕)
凹み気味で6thスタート。
165 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)12時42分43秒
今から約2時間前。
吉澤から電話がかかってきた。
珍しく声のトーンが落ち着いてなくて、少し上ずってた。
そんな吉澤の口から出た言葉は
「会いたい。」やった。
あんまり素直に言うもんやから、
こっちもあっさりええよって言うてしもた。
166 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)12時47分15秒
あれから2時間。
もうすぐ吉澤の言うてた時間になる。
○×公園。大きな時計の真下のベンチ。
…学生時代以来やなぁ。こんな場所で待ち合わせするなんて。
…あぁ、走って来よる人影が見える。
そんな急がんでええのに…。
「…。遅れました。」
ハアハア息切らしてそう言うた。
まだ、時間には遅れてないのに。
「そんな事ないよ。」
カチッ。
ほら、今が8時やもん。
「でも、吉澤が呼び出したのに…。」
「私が、待ってたかっただけやから。」
「…。」
167 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)12時52分13秒
「…髪、わややで。」
前髪が全開になってたから、どんだけ必死で走ってきたかがよう分かる。
その前髪を手で揃えたげると、照れくさそうに微笑む。
そのカオが、結構、好き。
「…寒いっすねぇ…。」
「―あんたがここで待ち合わせって言うたんやんか。」
「…そうっすけど…。」
「何で、待ち合わせにしたん?」
「や、最近、月が…満月が見えるから…。」
何や、今日はやけに吉澤ん中の乙女チック回路が発動しよるやん。
「ほら…。」
って言葉にうながされて、2人して空を見上げた。
168 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)12時58分04秒
「ほんまや…。」
雲が、目に見えるくらいの速さで走ってて、
その上に月がめっちゃキレイな黄色して輝いとる。
「―降って、来そうやなぁ。」
「…そうっすねぇ…。」
「気分は、かぐやひめやわぁ。」
「――。ダメっすよ。月に帰っちゃ。」
手を握ってくるでもなく、
抱き締めてくるでもなく、
ただ、まっすぐに、
いつものようにまっすぐウチを見てそう言うた。
「…帰らんよ、吉澤のおらん世界になんて…。」
吉澤の返した”ギャグ”にのった訳やない。
ただ、そう思たから、そう言うただけ。
吉澤もきっと、そうやったと思う。
169 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時01分26秒
「…会いたい時は、いつも会いたい。
中澤さんが会いたいって言ってくれる時も、会いたい。
もっと、いっぱい一緒にいたいです。」
「…そうやな…。」
「もう、我慢するの、やめます。
会いたいって思ったら、無理にでも会いに行きます。
無理も、無理じゃないから。」
何や、言うとる事、めちゃくちゃやな。
―でも、分かる気がする。
大切やから、無理さしたない。
けど、大切やから、無理したい。
170 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時04分51秒
「…さっきの…。」
「はい?」
「電話の会いたいは嬉しかった。
今までのどの言葉よりも、嬉しかったで。」
会えますか?は無理にとは言わんけどって意味が含まれてる気がして。
やけど、会いたい。はそれよりも少し強引に、
ヤダって言うても会うから、みたいな感じがする。
それくらい想てくれてるんやなって思って、すごく嬉しかった。
171 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時12分27秒
「…帰ろか…?」
右手を差し出した。
吉澤はその手を取って、自分の方へ引っ張った。
今日はかかとのある靴はいとったから、
背が吉澤と同じくらいになってて、
いつも下やった目線が、今は同じになってた。
吉澤の顔がウチの右肩にあって
左手はウチの右手をつかんでて
右手はためらいながらコートの左ポケットのあたりを引っ張てて
風で冷え切った吉澤の髪が頬をかすめてて。
「…充電。」
声なき声で言う。
「…中澤さんは、吉澤の太陽なんです。
そのソーラーパワーで動いてるから…
もう、バッテリー切れ寸前だったんすよぉ。」
「ごめんな。おおかたつかいもんにならんようにしよったなぁ。」
「ホントっすよぉ…。」

172 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時16分44秒
持て余してた左手でギュッて力いっぱい抱き締めた。
「ウチも、充電しとくわ。
吉澤のぬくもり…。」
きっと、ウチもギリギリやったはずやから。
「…好きです…。」
「…何よ、テレるやんか。」
「…愛の囁きがオプションでついてくるんですよ。」
「…まだ、選んでへんよ…。」
「一択っすから。」
「…あんた、おもろいなぁ。」
相変わらずで嬉しい。
「充電がきいてきてるんすよ。
何か、調子戻ってきてますもん。」
173 名前:片道切符。6th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時19分15秒
「って事は、また訳分からん事言いよる吉澤に戻んの?」
「――。そんな吉澤が好きなくせに。」
「…よう分かってるやん。」
「あなたの吉澤ひとみですから。」
惜しげもなくそんなセリフ言いまくってくれるとこも、好き。
         END
174 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月28日(月)13時22分26秒
おまえのど真ん中ってどこだ?!
っていうのはなしの方向で…。
反省ついでに片道切符。7th.を献上します。
どうぞ。
175 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時28分10秒
ある晴れた土曜日。
私は中澤さんと2人、中国地方のとある町の
各駅電車に乗っています。
暖房がきいてあったかい車内。
窓の外には果てしなく田園風景が広がっていて、
雲ひとつない空が、冬って事を忘れさせてくれるくらい
青く澄み切っていた。
朝早くだからなのか、地方だからなのか、
車内は思いのほかすいていて、この車両にも私たちを含めても
10人程度しか乗っていない。
静かで、ただ、電車が線路を走る音だけが響いていた。
―何故、こんな時間、こんな場所にいるかっていうと
それは1日前にさかのぼる事になる。
176 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時31分14秒
昨日。
「吉澤がハタチの時、ウチもう32やん。
何か、12個って大きいなぁ。」
って中澤さんは言った。
「32でもいいっすよ、全然。
その時も一緒にいたれたらいいっすね。」
って言ったら、
「…けど、永遠に一緒におるって訳にはいかんからなぁ…。」
って言うんだよ!?
177 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時37分15秒
そりゃ、吉澤だって死ぬまで一緒にいられるって思ってる訳じゃない。
だけど、、ずっと、ずっと一緒にいたいって、今は思ってる。
なのに、何か、中澤さんは、何か、諦めてんだよね。
よくない、よくないよ、そういうのはさぁ。
そしたら頭の中で、一本キレちゃったみたいで…。
「永遠、誓いに行きましょう。
○×県にある聖地で、愛、誓って来ましょう。」
「な、○×県の聖地ってもしかして、あの鳥居の事?」
「そうっす。」
「あそこで愛誓うっていうたら、永遠の愛を手に入れられる…。」
「だから、永遠の愛を手に入れに行くんすよ。」
178 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時40分06秒
9割9分強引に決定して、現在に至るって感じっす。
初めは文句を言っていた中澤さんも、
最終の新幹線に乗り込んだ所くらいで観念したらしくおとなしくなった。
……っていうか、その文句以来、口きいてもらってないんすけどね…。
179 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時45分20秒
この電車に乗ったきり、頬杖をついて、窓の外をじっと見つめたまま
全く動かなくなってます。
目も合わせてくれません。
すっごい話し掛けずらいっす。
「次はー××駅ー、××駅ー。」
40分ほどで目的の駅に着いた。
「お、降りましょう?」
無言で立ちあがる中澤さん。
あぁ、完璧なポーカーフェイス。
全く顔色がうかがえないっす。
電車を降りると、無人駅で、車掌さんが走ってきて
「切符を拝見します。」
って拝見された。
何か、すごい、貴重な体験だ。
○×県ってすごい。
180 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時49分13秒
―じゃなくて。
ホームを歩いて仮設かと思っちゃうくらい質素な、
時刻表だけが貼ってある待合室みたいな所を抜けて
町み降り立った。
そこで、久しぶりに中澤さんは口を開いた。
「ホンマに行くん?」
不安げとも、寂しげとも、悲しげともとれる声で。
「…中澤さんがどうしても嫌だっていうならやめます。
だけど、吉澤は、あなたに、永遠を誓いたいです。」
181 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)13時56分31秒
何が中澤さんを不安にさせたかは知らない。
だけど昨日、確かにあなたは何かを諦めてたみたいだったから。
嘘でも、迷信でも、何でもいい。
それでもいいから誓いたかった。
「…私は、このまま吉澤のそばにおってええん?
私のせいで何か、大事なもん見落としたりせえへん?」
「中澤さんを失う事が、何よりも嫌ですから。」
あなたより大事なものなんて、何ひとつ
ただのひとつもないのに。
「…永遠なんて、誓って手に入れるようなもんと違うで?」
そんな事くらいは分かっている。けど。
「それでも、誓っときたいんです。
それで、一秒でも長く一緒にいられるのだとしたら
それにこした事はないっすから。」
これまでの17年間、これからの人生の中で、
誰よりも長く、少しでも長く一緒にいられるのならば。
182 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)14時00分37秒
「何でなん?そんなんせんでも私は…」
「だって、あんなにも力ない声で言うんすもん。
何があなたを諦めさせたのか、吉澤には分からないです。
だけど、私はまど、何も諦めるつもりはないです。
これからも、一緒にいたいんだからっ!」
「…。おるよ、大丈夫や。
私は、ここにおるから。」
目をのぞきこんで、ポンポンって頭をなでて。
手を差し出した。
「行くんやろ?永遠手に入れに。」
「…はい。」
その手をとって、細い道を歩いて行った。
183 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)14時05分26秒
永遠が手に入るといわれる鳥居は、
一本の道をまたぐように立っていて。
両サイドには、ごく普通の家が立ち並んでいた。
二本の柱には何か文字が刻まれているようだけど
すりへっていて、もう読めなくなっていた。
愛の誓い方は、こう。
両方の柱に1人ずつが手を触れて、同じ愛を誓う。
ただ、それだけ。
中澤さんは左、吉澤は右の柱に手を触れて、
「中澤さんをずっと愛し続けます。」
と誓った。
中澤さんも吉澤をずっと愛するって誓えば、
同じ愛を誓ったってことになる。
184 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)14時10分44秒
「これで…永遠やなぁ。」
「そうっすねぇ…。」
「もう、引き返されへんよ。」
「引き返す必要がないっすよ。」
「そうかぁ…?」
「そうっすよ。」
「とか言うて、来年とか別の人と誓いに来るんちゃうやろな?」
「来ないっすよ。もう、一生、二度と来ないっす。
っていうか来世も中澤さんと来たいくらいですもん。」
嘘じゃない。
また、生まれ変わってもあなたと逢りあいたい。
同じ時代に生まれて、出逢って、永遠の愛を誓いたい。
「吉澤、私の事大好きやねんなぁ。」
「超大好きっす。」
「そうか。」
って中澤さんは鳥居を見上げた。
185 名前:片道切符。7th. 投稿日:2002年10月28日(月)14時14分52秒
「帰りに、カメラ買うて、写真撮ろか。」
「え?いいっすけど…。」
何すか、突然。
「永遠誓った記念日やから。」
「…何か、吉澤が言いそうなセリフっすね、今の。」
「…ホンマやなぁ、うつってしもたんかもしれん。」
「あぁ、ほら、猫は飼い主に似るっていうし。」
「あぁ、そうかぁって私はあんたの飼い猫か?!」
「ご、ごめんなさい。」
何はともあれ、元気回復したみたいだから、ま、いっか。
          END
186 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月28日(月)14時21分00秒
もう、返す言葉もございません。
はったり話で1話作ってまいました。
そんな鳥居あったら
自分もなかよしに永遠を誓いに行くさ(行くな)。

勝手に次回予告

どうしようか(相談?)
どこよりも早くクリスマスネタやったから
どこよりも早くバレンタインとかやっちゃう?
たぶんやらないと思います。
結果は翌日。
言い逃げです。オニオンでした。
187 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月28日(月)18時04分22秒
恐ろしい更新スピードですね。
ただただ見習うばかりです。
オーバーヒートにならないよう頑張ってください。
188 名前:片道切符。8th. 投稿日:2002年10月29日(火)12時37分13秒
「中澤さん。
吉澤が男だったらいいのになって思った事、ないですか?」
吉澤は突然そんな事を訊いてきよった。
「…ないよ、どして?」
「や、吉澤はあつんすよねぇ…。
自分が男だったら、もっと普通に恋愛できるんじゃないのかなぁって。」
「何?何か今不満があんの?」
「ないっすよ。ただ…。」
189 名前:片道切符。8th. 投稿日:2002年10月29日(火)12時43分49秒
「吉澤が言う普通って何?」
「普通って言うのはぁ…
手ぇつないで街歩いたり、結婚とか考えたり…。」
…その間は何なんよ?
「吉澤が男やっても、手つないで街は歩かれへんやん。
芸能人やもん。」
「――。でも、中澤さんもう29だし、
結婚とか、考えるんじゃないんすか?」
―何か、ドッカンドッカン地雷踏んできよるなぁ、こいつ。
「考えへんって言うたら嘘になる。せやけど、ウチは吉澤が好きやねんで?
一緒に居れんねんからそれで幸せや。」
「だからこそ、吉澤が男に生まれてれば万事うまくいくのにって。」
190 名前:片道切符。8th. 投稿日:2002年10月29日(火)12時48分34秒
大事な事を忘れとる。
「なぁ、ホンマにそう思うん?」
「…だって…。」
「あんたが男に生まれた時点で、吉澤ひとみやないねんで。」
「そりゃ、ひとみは男の子にはつけない名前で…。」
「そうやない。そういう意味やのうて、
ウチが好きなんは今、目の前におるあんたや。
ここにおる吉澤ひとみやねん。」
「――。」
「分かるか?」
「…はい…。」
「あんたは吉澤ひとみやないとアカンねん。
あんたがあんたで生まれて来たから私はあんたと出会えたんやから。」
あんたは、唯一無二やねんから。
191 名前:片道切符。8th. 投稿日:2002年10月29日(火)12時52分25秒
「もう、そんなん言うんナシやで。
そんなん考える必要ないねんから。」
「…はい。」
と、吉澤は返事をして髪をかきあげて。
「――。ひとつだけ、言わせてください。」
「…ええよ。」
「今、すっごい幸せです。中澤さんも、幸せなんすよね?」
「そうや。」
「で、今よりもっと幸せになるにはどうしたらいいだろうって考えてたら、
もう、コタエはひとつしか残ってなかったんすよ。」
192 名前:片道切符。8th. 投稿日:2002年10月29日(火)12時56分31秒
「…それが、アレ?」
「そうっす。もう、最終兵器の不可能な事しか残ってなかったんすよ。」
「…。」
「だから、中澤さんにとって、最も幸せなカンケイって何だろうって…。」
「――。目の前にウチの好きな吉澤がおって、
愛してるって言ってくれれば、それが一番幸せやわ。」
嘘や、ないよ…。
「…愛しています。」
曇りのない瞳で、吉澤はそう言うてくれた。
       END
193 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月29日(火)13時04分32秒
えー、マジでネタ切れです。
もう訳わからん状態で書いております。
片道切符。シリーズの限界が見えてます。
なので、超短編行っていいっすか?
心の休息がほしいんで。
超短編すらなかよし。オニオンでした。


194 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月29日(火)15時20分48秒
なかよしかなり良いですね。あんまり探してもなかよしって出てこないから
すごく嬉しい気持ちで読ませてもらってます!短編とかで万事オーケーなの
でよろしくお願いしマース。
195 名前:前書き 投稿日:2002年10月29日(火)16時09分40秒
オニオン心の短編集。
気が済んだら長編行きます。
予定はあるんすよ、一応。
では、どうぞ。
196 名前:水。 投稿日:2002年10月29日(火)16時16分59秒
この無色透明な液体で
心の中まで洗い流せたらいいのに…

玄関のすぐ近くから聞こえて来る水の音。
あなたが浴びているシャワーの音。

台所では洗い終えたばからに食器から
シンクにしたたり落ちる水の音。

その隣に私は立って、水道の蛇口をひねる。

コップ一杯の水。
一気に飲み干した。

喉が渇いていたわけじゃない。
心がそれで潤うわけじゃない。

ただ――
あなたが愛を囁く度に心がギシギシ音を立てる。
全てを奪い去ってしまいたかった。
あなとの瞳にもう、他の誰も何も映らなくしてしまいたい。
私があなたなしでは生きられないように
あなたも私なしでは生きられないようにしていまいたい。

そんな心を浄化したかった。
197 名前:水。 投稿日:2002年10月29日(火)16時19分56秒
気が付けばもう、水の音はしなくなっていた。

微動だにしなかった私の隣にあなたか歩み寄り
アイシテル
と言った。

洗い立ての髪が
真っ白なタオルが
私をきつく抱き締めた。

あなたの綺麗な心に抱かれている時だけ
私の心も無色透明なんだと思いたかった。
    
    END
198 名前:いつか。 投稿日:2002年10月29日(火)16時25分17秒
あなたを自転車の後ろに乗せて走っていた。
初めて付き合った人が学校の帰りに
自転車の後ろに乗せてくれていたって
懐かしげに語るから、少し嫉妬してた。
だから、駅までの道のりをあなたと
ふたり乗りして走った事は嬉しかった。
あの日を語っていた時と同じようなカオをして
あなたは思い出してくれるだろうか。
私の中で掛け替えのない日になったこの日の事を。

    END
199 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月30日(水)00時12分28秒
気が向いたら、痛めのなかよしお願いできないでしょうか?(w
ケンカ(多メンにやきもちとか)とか・・・
書きたくなったらでいいのでお願いします。
200 名前:オニオン 投稿日:2002年10月30日(水)15時12分10秒
ケンカっすか…。
やきもちは好きな単語ですが。
気が済んだら書かせていただこうかと思います。
もうちょっとだけ短編に付き合って下さい。
201 名前:hand. 投稿日:2002年10月30日(水)15時20分44秒
あの日もこんな雨だった。
車のヘッドライトがやけに目に付いて
その光で雨が白く光っていた。
「もう、だめかもしれない。」
あの人を失ったあなたは、その雨の中
傘を開く事さえできずに立ち尽くしていた。
雨が降る度にあなたの溜め息は増えて行った。
「もう、だめかもしれない。」
あの人なしじゃ生きて行けないと言っているかのようだった。
大袈裟じゃなくかなり切実に。
――ほら、今日もまたテレビ局の入り口で躊躇してる。
「中澤さん、帰らないんですか?」
…返事はない。
「中澤さん、帰りましょう?」
バサッと、大きな音を立てて傘を開いた。
「あ、あぁ、吉澤…。うん、帰るで…。」
力なく答える。
数メートル先に停まっているタクシーに歩み寄るその足取りもおぼつかない。
そんな後ろ姿を見る度に想いは強くなる。
――この手じゃだめなのかな。
この手じゃあなたを守る事はできないのだろうか。
202 名前:hand. 投稿日:2002年10月30日(水)15時26分01秒
無意識の内に抱き締めていた。
ギュッて力を入れたら壊れてしまいそうなあなた。
すっぽりとこの両腕の中に収まってしまうあなた。

「吉澤じゃ、だめですか?傍にいるのは。」
「好きなんです。中澤さんの事。」
消えてしまわないで。
この雨の中へあなたは消えてしまいたいんだと思った。
だけど、それだけはだめ。絶対にだめだから。
「この手であなたを守りたい。救いたい。だからこの手を取って。」
涙が、あふれていた。
足元に転がる傘が、微かに揺れていて、風が少し冷たくて、
あなたの身体も冷え切っていて、それから…
「ありがとう。」
とだけ、あなたは言った。
      END
203 名前:オニオン 投稿日:2002年10月30日(水)23時10分48秒
えぇっと、だいぶ気が済んだので
明日は片道切符。で行きます。
某板の某なかよしの痛さに目が醒めました。
自分は痛くないのでがんばります。
204 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月30日(水)23時57分30秒
短編もかなりツボ入りました。
片道切符楽しみにしてます。
205 名前:オニオン 投稿日:2002年10月31日(木)13時31分46秒
ケンカは無理でした。
痛くないバージョンで片道切符。―焼餅―
をお楽しみ下さい。
206 名前:片道切符。9th.-焼餅- 投稿日:2002年10月31日(木)13時37分02秒
問1。あなたの心の中にあるその感情を漢字2文字で表しなさい。
答え。焼餅。またの名を嫉妬。

分かってる。わざとじゃない事くらい分かってるつもり。
だけど。
「裕ちゃんは人肌恋しいねん。なっちぃ〜。」
って、安倍さんをギュッ。
「矢口ぃ〜。今日もビューティフォーやなぁ。」
って、矢口さんをギュッ。
「加護辻〜。大きなったなぁ。」
って、2人まとめてギュッ。
「石川ぁ〜。ついでやぁ〜。」
って、梨華ちゃんまでギュッ。
207 名前:片道切符。9th.-焼餅- 投稿日:2002年10月31日(木)13時42分23秒
――どうなってんすか?
あてつけ?
それにしても思い当たる節がないんすけど。
飽きた?
まさか、だって2人きりだと歯の浮くセリフ連発したら返してくれてるし。
…じゃあ、嫌がらせ?
遊ばれてる?吉澤遊ばれてるんすか?
あぁ、そうこうしてる内に
「ほななぁ。」
って自分の楽屋に帰って行っちゃったし。
…とりあえず…。
返してもらおう。中澤さんのぬくもりを。
ってことで、安倍さん、矢口さん、あいぼん、のの、梨華ちゃんと
順番にハグしてみたけど…。
違う。恐ろしいくらいに違う。
やっぱフィット感がねぇ…。
208 名前:片道切符。9th.-焼餅- 投稿日:2002年10月31日(木)13時49分16秒
「ねぇ、2人共どうしたの?」
脱力してると安倍さんが声を掛けてきた。
「裕ちゃんも、よっすぃ〜も何かさぁ…。」
「訊きたいのはこっちの方っすよ。」
吉澤には目もくれずやって来て去って行くんだもん。
「もうすぐ振られる?だったらなっち、予約入れときた…。」
「そんな訳ないっす。
っていうか振らせないし。」
「―すごい自信だねぇ。」
「自信?…愛っすよ。」
「…。高橋ぃ〜。」
「違う、その愛じゃなくって。」
この人、時々トボケた事するからなぁ。
「分かってるって。でも、よっすぃ〜が愛してても
裕ちゃんは飽きたのかもしんないじゃん。
だから予約を…。」
どっちに予約入れるのかは知らないっすけど、
安倍さんの話を最後まで聞かずに楽屋を飛び出した。
209 名前:片道切符。9th.-焼餅- 投稿日:2002年10月31日(木)13時55分30秒
はす向かいの中澤さんの楽屋のドアをノックして
返事も聞かずに入って行った。
…何かちょっと青春ドラマっぽいなぁとも思ったけど。
「中澤さん!」
「んぁ〜?吉澤ぁ。」
椅子を回転させてこっちを見た。
「吉澤もう、捨てられるんすか?!」
「何?誰に?」
「だからああやって伏線張って…。」
「あぁ、さっきのんなぁ。」
ギシッ。て中澤さんは立ち上がってこっちへ歩いて来て。
「伏線っていうんは正解やわ。」
「じゃあ、やっぱり…。」
「ただ、そうやなくて…。」
コホン。て軽く咳払いをして、背筋を伸ばすから、
つられてしゃんとしてしまった。
210 名前:片道切符。9th.-焼餅- 投稿日:2002年10月31日(木)13時59分04秒
「好きやで、吉澤。」
おぉっと、トキメキキラメキ。
「ドキッとしたやろ?」
「…はい。」
「そのための伏線。」
「…んー…。」
「最近平和やきんトキメキ度が落ちてんちゃうんかなぁと思って。」
「…”中澤裕子の吉澤ひとみよもっとトキメけ大作戦”?」
「まぁ、そんなとこやねぇ。」
って、今度は吉澤の事をギュッてした。
211 名前:片道切符。9th.-焼餅- 投稿日:2002年10月31日(木)14時03分32秒
「…やっぱ、中澤さんの体、好きです。」
「…はあ?」
「さっき、とりあえず中澤さんのハグを回収して来たんすけど…。」
「…何してんのよ…。」
「やっぱ、中澤さんのが一番です。」
「…予定外の副作用もあった訳やな。」
「おかげさまで。」
あぁ、もう離したくないなぁ。
「…体がめあてか…。」
「いや、そうじゃないっすよ。
体も込みで中澤裕子さんが好きっす。」
…結局最後は吉澤が中澤さんを大好きだって
思い知らされるんだから…。
       END
212 名前:後書きと言う名の言い訳 投稿日:2002年10月31日(木)14時05分55秒
なし。

近況報告

次の準備に取り掛かってます。
(片道切符。ももう終わりが近いので…)

勝手に次回予告

片道切符。10th。

以上。撤収。

213 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月31日(木)14時32分30秒
えー!もう少しで終わりなんですかっ!?
最後まで見届けますので、がんがって下さい!!
214 名前:隠れ読者3号 投稿日:2002年11月01日(金)11時24分01秒
終っちゃうのはいやだけど・・・
次の準備もCPはもちろんなかよしですか?
期待しています。
215 名前:オニオン 投稿日:2002年11月01日(金)12時40分16秒
片道切符。10th.は実験作で。
11th.12th.くらいで終わる予定です。
では、どうぞ。
216 名前:片道切符。10th. 投稿日:2002年11月01日(金)12時44分30秒
暦ではもう12月に入って、
日が暮れたらとことん寒いなぁって思う今日この頃。
―やのにあのこはここにおる。
…整理してみよ。
まず、10時頃に収録終わって、そのままスタッフさん等とご飯食べに行った。
で、このあと飲みに行こうって誘われたけど、
何かもう眠いから言うて帰らしてもらった。
その時点でもう12時回ってた思うねんけど…。
何でおんの?
217 名前:片道切符。10th. 投稿日:2002年11月01日(金)12時50分48秒
「…吉澤…。」
仕方ないから声掛けてみたけど。
「あ、お帰りなさい。」
「ただいま…て、そうやなくて、何しとんのよ?」
「んー…ちょっと…。」
「…あんた、待ち伏せ好きやなぁ。あの日も…。」
私が矢口やなくて吉澤を選んだ日。
「あぁ、思い出しますねぇ。そう言えばあの日と同じ様な空の色だし。」
「…夜はだいたい同じ色やろ…。」
「そうっすね…。」
顔と体、半分だけこっち向けて話しとった吉澤は
不意にむき直って両手を伸ばしてきた。
218 名前:片道切符。10th. 投稿日:2002年11月01日(金)12時57分42秒
「わっ。冷た。」
両方の頬に触れたその手は
もう感覚あらへんのちゃうかなって思うくらいに冷え切っとった。
「…やから、心配かけんといてって。もし私がもっと遅帰って来とったら
氷の彫刻になっとったかもしれんやんか…。」
その手を取ってそのまま自分のコートのポケットに押し込んだ。
「この冷たさは、吉澤が中澤さんを想う分だけ冷たくなってるんですよ…。」
「――分かったから。もうこんなんヤメてや。」
「だって、会いたかったんすもん。」
「…あんたにとって私はこの寒さも吹き飛ばす程の存在なん?」
「はい。」
219 名前:片道切符。10th. 投稿日:2002年11月01日(金)13時02分05秒
…このカオ。
いつも寒いセリフ言う時とは違う。
まれにこういうマジメなカオすんねんから。
このカオされたら命中率100%でドキッとしてまう。
「…こっち、来ぃ…。」
私がそう言うたら50センチくらいあった距離を、一歩縮めた。
「私の体温分けたげるから…。」
ポケットに収めた手はそのままで、肩と肩とを合わした。
220 名前:片道切符。10th. 投稿日:2002年11月01日(金)13時09分37秒
少し離れた所でタクシーを降りて歩いて帰って来てたから
私の体温自体、そんなにあったかくなかったやろうと思う。
けど、それ以上に吉澤の体は冷たかった。
もう、霜降りるんちゃうかってくらいになってる服や
冷たい風に吹かれて赤くなってもうとるヒフとは裏腹に
吉澤は微笑んどった。
「何笑っとんな、壊れてもうたんな?」
「や、確かに体は冷たいですけど、心はあったかいなぁって。」
「…もっと、あったかくしよか?」
「…。」
言葉の意味に気が付いたらしくまぶたを閉じた。
その唇にキスをしたら、
ポケットの中でつないでた吉澤の手がさらに強く握ってきて。
221 名前:オニオン 投稿日:2002年11月01日(金)13時28分58秒
最後だけ、入り切りませんでした。
2本目に行って下さい。
すいません。
222 名前:お知らせでも。 投稿日:2002年11月01日(金)15時12分45秒
中途半端に余ったので告知。
片道切符。が終わっても、なかよしです。
自分的に仕切り直そうじゃないかって事で。
そして長編の書ける奴になろうじゃないかって事で。
意気込みだけは十分に。
永遠になかよしで行くぞ。(約束です。誰と?)
223 名前:通りすがり 投稿日:2002年11月04日(月)12時27分20秒
次スレ
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