小さな丸い好日

1 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月24日(木)12時49分42秒
初めて小説を書きます。
続き物は書けないので超短編で行きたいと思います。
CPはいろいろです。
2 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月24日(木)13時05分03秒
・桃色・
「・・あのぉ〜、重たいんですけど・・・」
「ん〜?」
いや・・「ん〜?」じゃなくてさ、そんな首傾げて言われたら可愛いよ?
可愛いんだけどさ・・、ダンスレッスン終わってくたくたなのに、
膝の上にあがられると物凄く疲れが増すんだけど・・ね。
「だーかーら!重いってー!」
「ふーん?」
ぜんぜん降りる気ないみたいだね・・。
「降りませんかー?」
「・・嫌だぁ」
首に回してる手が下に行き、ぎゅうっとあたしの体を抱きしめる。
「・・麻琴はあたしの事嫌い?」
「は?そんな訳ないじゃ・・」
「じゃーこのままでいいよね?」
・・そんなやってまた首傾げて聞かれたら、

「・・うん」

・・て言うしかないじゃんか。
もしかして知能犯?
3 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月24日(木)13時39分26秒
・花火・
「やぐちー!花火しよー!」
「え〜?もう十一月になるのに〜?」
「夏に買ったんだけどしてる暇がなかったの!ねぇやろう?」
「うん、いいよ」

・・夜。

「きれいだねぇ?なっちー?」
「やぐちの方がきれいだよー?」
「な・・!何言ってんの!!」
「本当の事だもーん」
「もー・・」
「・・ねぇ?なっちがお月様で、やぐちが線香花火だとするでしょ?」
「なんでやぐちが線香花火なんだよぅ?」
「まぁまぁ例えだって。お月様から見て線香花火なんてすっごーい小さい光でしょ?」
「んー」
「でもねなっちにとってその光はとても眩しく見えるんだ」
「?」
「お月様は綺麗だけど当たり前に在るだけだから」
「・・・」
「線香花火は小さくても頑張って綺麗に見せようとしてるんだ」
「・・・」
「なっちは線香花火になりたいな」
「・・変な奴ー」
「・・変て何さー!言うの恥ずかしかったのにー」
「言いたい事はわかったよ。要するに「なっちはヤグチの事が大好きー!」て事でしょ?」
「・・まぁそういう事にしとくよ」
4 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月24日(木)20時08分11秒
・あなたと握手・

・・・絶対手に届く事のない人だと思ってた。

「おはようございます!」
「おー、おはよう、高橋」

あなたはすごくもてるからあたしの事なんて見てくれるはずないと思ってたから。

「今日はどこ行こうか?」
「・・・吉澤さんといられたらどこでもいいです」

−ダメもとで告白したのに
『あ、あたしと付き合ってください!!』
『・・・いいよ〜』
『・・へ?えぇ?!』

「もー可愛い事言うねー高橋は」

そう言って抱きしめてキスをしてくれた。

そして手を握って・・・今日はどこに行こうかな?
5 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月24日(木)20時27分14秒
・今度までには・

「保田さんっっ!!」
「何よ?石川」

保田さんは気だるそうに振り向く。あぁその姿もす・て・き。

「呼んでおいてぼーっとしてるんじゃないわよ!」
「いたっ」

デコピンされました。痛いけど・・嬉しい。

「何?何ニヤニヤしてるのよ?何の用?」

「あ、あのですね!石川は保田さんの事が・・!!」

『おばちゃーん!!』

「まぁたおばちゃんって言ったわねー?待ちなさい加護ー!」

あー行っちゃった・・。けどあきらめません、ポジティブだもん。
今度までには言うんだから、

「保田さん、好きです!」

って。
6 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月24日(木)22時18分06秒
つらつらと駄文を書き上げました。
こんなCPがみたい!というリクがあれば書きます!駄文ですが・・・。
ちなみに作者押しは矢口×安倍、小川×高橋。後は雑食です。
マイナーマンセー!安倍×吉澤、高橋×松浦も良いです。
出来ればリクは娘。さん&松浦さんのみでお願いします。
卒業メンバーあり!
7 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月24日(木)22時41分55秒
いちごまプリーズ
8 名前:名無し 投稿日:2002年10月25日(金)11時57分52秒
よしあや読みたいなぁ〜w
関係ないけど作者さんaiko好き?
9 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月25日(金)13時32分23秒
なちまり&なちよしを是非お願いします。
10 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月25日(金)19時56分01秒
おぉ!読んでくれた人がいるんですね嬉しいです。

7>いちごますぐアップします。王道なのに初書き(汗
見苦しかったらすいません・・。
8>よしあや良いですね(W
頑張ります!aiko好きです(W
9>なちまりは先に書いてるのでなちよしから書こうと思います。
11 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月25日(金)20時16分13秒
・あなたの唄・

「いちーちゃん?」
「・・おー、後藤じゃん。どうしたの?」
「へへっ、ぶらぶらしてたらいちーちゃんの楽屋見つけたから」
「そっかー」
「いちーちゃん、それって・・・」

後藤は机の上の紙に目をやる。

「んー?コレ?今作詞してんの。わかるー?」
「へぇー、どんなやつ?」
「遠距離恋愛、かな?」
「えんきょり・・」
「あ、参考までに聞いとこうかな?後藤にも経験あるでしょ?」
「けいけん?」
「あたしが娘。辞めてまだ再デビューする前。遠距離っぽかったじゃん?」

あの頃は(今もだけど)後藤は娘。で忙しかったし、市井も市井で忙しかった。
だから会うこともほとんどなくて、仕事中だと悪いから電話もしなかった。

「ごとーは会いたかった。忙しくても眠くても仕事ほっぽっても会いたかった」
「・・うん」
「でもそんな事したら迷惑かけるから、かけたくなかったから会わなかった」
「うん。えらいよ・・」
12 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月25日(金)20時28分50秒
「いちーちゃんはごとーの事すっごーく愛してくれてる事知ってたから」
「随分自意識過剰だね、キミ」
「だっていちーちゃんにはごとーしかいないでしょ?」
「・・・む」
「ごとーにだっていちーちゃんしかいないもん」
「・・・」
「あと、会えない事憎んでもしょうがないから会えたときの事いつも考えてた」
「そう・・」
「信じてるしかないから」
「実際会えてどうだった?」
「もぅうれしー!!いちーちゃ〜〜ん!!って感じ」
「なんだそりゃ」
「・・ねぇ?ごとーの話参考になってる?」
「いや、全然」
「えぇー!せっかく話したのにー!」
「あたしは会えなかった時の後藤の気持ち聞きたかっただけ〜」
「騙したー」
「人聞きの悪い」
「うー・・」
「ゴメン、怒るなって。ちゃんと参考代出すからさ」
「えー?な・・ん」



ちゅっ。



『なに?』の『に?』を言う前にあげた報酬。
喜んでくれるといいんだけど。
13 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月25日(金)21時15分05秒
・歌姫・

「亜弥ちゃんって歌うまいよね」
「吉澤さんってかっこいいですよね」


同時に言うもんだからびっくりして顔を見合わせる。そしてふきだした。


「あははっ、それって褒め言葉?」
「褒め言葉ですよ!吉澤さんはかっこいいです!」
「はは、ありがと。亜弥ちゃんは可愛いぜ?」

少しおどけて吉澤さんは言った。でもすぐにまじめな顔になった。

「亜弥ちゃんは将来すごい歌手になると思うんだ」
「そんなこと・・」
「あるの!・・その未来の亜弥ちゃんの隣にはちゃんとあたしがいるのかな・・・」
「!な・・んでそんな事言うんですか?・・松浦の事嫌いになりました・・?」
「違うよ!・・・亜弥ちゃんは魅力的だからさ、あたしよりいい奴いるよな〜とかヘコんでみたり・・」

「・・・隣にいて下さい」
「ぇ?」

「何年後も、何十年後もずっと隣にいて下さい」
「・・うん」
「あたしはいつでも吉澤さんの為だけに歌い続けますから!」
「・・・ん」



吉澤さん・・泣いてるように見える・・。



今あたしが出来ること。



まずは元気の出る歌を歌おう。



そして一緒に笑いましょう?
14 名前:ダンサー 投稿日:2002年10月26日(土)00時24分07秒
私もこの板で書いているものです
うちの小説にも高橋×松浦もうすぐ出てきます
なんでこの2人リクしていいですか?
あんまりないんで
15 名前:名無し 投稿日:2002年10月26日(土)08時26分26秒
おぉ!よしあやが!嬉しいなぁ〜w
やはりaiko好きですか!aikoは歌詞がよいですなw
16 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月26日(土)12時30分52秒
私も、小川×高橋好きです。
なんでまだリク可能なら、小川高橋を・・・。お願いします。

「桃色」の小川ともう一人は高橋ですよね?
17 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)19時56分34秒
リクってあるもんなんだな〜。頑張って更新しなきゃ!
14>よろしくお願いします。初心者なんで大目に見てくらはい・・。
高松オケィです!
15>よしあやアップしました〜。・・・よしこ弱っ!(W
泣いちゃったし。なんか私ヨワヨワよしこさんかヘタレよしこさんしか書けな(爆
16>おがたかマンセー!!!いいっすよまじ!もっとからめ!(壊
「桃色」はおがたかです。おがこんにもみえますな・・・。

とりあえず今んとこ誰もリクはしてないようですが一個追加。
福田さんと石黒さん絡みは勘弁してくらさい・・。
正直・・あまり知らないんで・・。お願いします。
18 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)20時14分40秒
・終わらない日々・

「へっへ〜、ぷにぷにぃ〜」

今膝の上に乗ってあたしのほっぺをつついてる彼女。
安倍なつみ。全然見えない二十一歳。

「気にしてるんすからやめてくださいよー」
「いーじゃん。かわいい、よっすぃ〜」

ちゃんと語尾にはハートマーク。
・・・あぁ〜、そんな天使のような笑顔で微笑まれたら何も抵抗できないじゃないですか。


ぷにぷに。
ぷにぷにぷに。
ぷにぷにぷにぷに。

・・・だぁ〜!もういいかげんやめてほしい〜!
ちょっとイタズラしますか・・。

「・・・なつみ」

彼女はあたしの膝の上でぴくりとする。
そりゃそーだ。初めて呼んだもん、呼び捨て。
安倍さん、顔真っ赤だね。

「よっすぃー・・・?」

見つめ合って、抱きしめて、・・そして目を閉じるのが合図。

吉澤ひとみ、おいしくいただきます。
19 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)20時36分15秒
・・・って近づいた瞬間、

「「あー!お父ちゃんとお母ちゃんらぶらぶだー!」」

・・・この声は・・・、小悪魔二匹。

逃げるが勝ちかな?ここは。

「わあ!」

膝に乗せてた彼女をお姫様抱っこしてその場を逃げ・・・・


られませんでした・・・。

「うわぁ!」

机の角に服を引っ掛けてお姫様もろともこけた王子。

幸い二人とも怪我はなかったけど、お姫様には怒られるし、今までみんなに「かっこい〜!」ってみんなに言われて来たのに。
「かっこわるーい」って言われるようになりました・・・。


とほほ・・・。
20 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)21時30分20秒
・鳩になりたい・

なんとなくふいに気になる事があったので隣のちっこいのに聞いてみた。

「やぐちぃ〜?生まれ変わったら何になりたい?」
「え〜、いきなり」
「いーから!」
「・・・やぐちは・・・鳩になりたい!!」
は・・?鳩??
「・・鳩って「ポロッポー」って鳴く鳩?」
「うん」
「なんで?」
「だって前さぁ〜、なっちんちのベランダに鳩が来たって言ってたじゃん?」
「うん。すごく毛並み・・毛並みって言うのかな?鳩って・・が良くてきれいだった」
「鳩になればなっちんち行けるじゃん」
「・・・は?」
「なっちの部屋のぞいたり〜」
「・・・ストーカー・・?」
「やだなぁ〜、やぐちは純粋に」
「ストーカーするの?」
「違うっつーの!鳩になればやぐちひとっとびでなっちんち行けるじゃん」
「・・別に鳩にならなくたってすぐに来るじゃん・・・」
「ん?何か言った?」
「いいえ・・・なんでもないデス・・」

やぐちが鳩になるならなっちはスズメにでもなって会いに行こうか?
21 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)21時38分02秒
なんか天使祭り(W
今更ですけど昨日のMステは最高でしたね。
かおのの、なちまり、なちよし、なちやす・・・あれ?また天使祭り?(W
22 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)21時53分42秒
・愛の世界・

「何か不公平だと思わない?」

・・いや、別に・・。

「あたしばっかり・・」

そうゆう訳でも・・。

「・・・ひとみちゃんのバカ!」

・・・。


何か言おうと思ったのに言う前に彼女は部屋から出て行った。
すごい女走りで。

彼女にはどうもあたしの愛がうまく伝わってないみたいでよくこんな事になる。

(はぁ〜・・、なんでこうなるかなぁ〜)

追いかけてやればいいんだろうけどあまりにいつもと同じなので正直、

アホくさい。

大体あたし悪くないんだよ?
安倍さんが「紅茶飲む?」って飲んでた紅茶を差し出したから飲んだだけ。

そんなんで喧嘩って・・・。



・・でも泣いてるかな・・?
なんか泣きっぽい声だったしなぁ・・。

「・・・」

携帯に手を伸ばしメールを送る。

【あたしが悪かった 許して? ごめん!】

ほどなく携帯が震える。

【ひとみちゃんは悪くないから・・・。こっちこそごめんなさい】


「・・・よしっ!」

探しに行こうと思ってドアを開けた。
23 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月26日(土)22時03分23秒
「きゃっ!」
「わっ!」

梨華ちゃんはドアにおっかかっていた様で倒れこんだ。

そこはあたしが見事にキャッチ。まあ当然でしょ?

「あ、ありがとう・・・」

あたしの腕の中で梨華ちゃんはばつが悪そうに俯いている。

あたしは梨華ちゃんをぎゅうっと抱きしめた。
そして向かい合って聞いてみた。

「・・・どーしたらあたしの愛が伝わりますか?」

「・・・・少し、もう少しこのままでいて」

「・・・はい」

ぎゅうっと抱きしめて・・・・・。・・・なんか視線感じる。

目を開けて前を見るとそこには真っ赤な顔した小川と高橋。
・・・あぁ、ドア開いたままだったね。

あたしは人差し指を立てて口にあてて『しぃー』ってポーズしてドアを閉めた。

せっかくだし二人の世界にさせてよ、ね?
24 名前:名無し 投稿日:2002年10月27日(日)00時45分36秒
よっすぃー(・∀・)イイ!よしなちのヘタレ王子も良いし、いしよしのカッケ〜王子も(・∀・)イイ!『しぃ〜』って!そんなカッケ〜事したらマコも愛たんも惚れちゃうって!←エ?
ってことでよしたかとよしおがをリクしてもよろしいでしょうかw
25 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月27日(日)09時34分13秒
・光のさすあしもと・

『私は最近、ようやく自分の道をちゃんと歩き始めたような気がする。
 今までとはガラリと変わってしまった生活。
 慣れなくて、不安で、泣く事なんてしょっちゅうだった。
 でも自分の夢だから頑張った。
 そんな生活の中で、良い事もあった。

 好きな人が出来た。

 その子も昔の私と同じように慣れない生活に苦しんでいる。
 
 今は苦しくても、辛くても、いつかあなたの道が
 光り輝くものになりますように。
 
 そして、その道を一緒に歩けますように』


「くぅ〜・・・。くっさい文章・・。」

(やっぱ今思うことを文章になんてするものじゃないなぁ〜)

あたしは立ち上がり、紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱へ放り投げた。

・・・そして入れ違いに
あたしは部屋の外へ
あの子は部屋の中へ。

「さぁて!仕事行きますか〜!」

気合を入れて仕事に向かう。



・・・その紙を『愛しい人』が見てしまうという事を知ることもなく。
26 名前:読者 投稿日:2002年10月27日(日)11時51分20秒
どれもいいかんじですね。
リクしてもいいですか?
おがたかを希望します。
27 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月27日(日)13時10分36秒
『光のさすあしもと』は高松のつもりなんですが・・・、あやや人格違いすぎ!
今までの中で多分一番の駄文だと思われ(汗
おがたかみたいになってもた・・。
24>あぁ!『愛の世界』のよしこさんはなかなかかっこよかったかもしれませんねぇ〜。
あの後おがもたかもきっとよしこさんにほれたに違いない・・。
26>こんな駄文でよいですか?おがたかよし祭りワショーイ!
28 名前:ダンサー 投稿日:2002年10月27日(日)20時30分46秒
高松ありがとうございます
私も今の作品が終わったら高松で2人暮らし
書こうかなって思ってます
29 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月27日(日)20時37分14秒
・ゴーゴーマシン・

今日は二人で遊園地。天気も良好、今日は最高な一日になりそう。

「麻琴!まずあれ乗ろう!あれっ!」

(かわいい・・。愛ちゃん、急がなくても大丈夫だよ〜。)

愛ちゃんが指差した先にはすっごい絶叫系の乗り物。


小川麻琴、実は大の苦手です。


「も、もうちょっと軽いの乗らない・・?」
「え〜!せっかく来たのに乗らなきゃ〜!」

ぐいぐい腕を引っ張られて乗り場に来た。

あぁ〜・・・、ほんとだめなんだよな・・。
どうしよう、乗らなきゃだよね・・。
こんな楽しそうだし・・。

悶々と悩んでたらしくすごい険しい顔だったんだろう。

「・・・やっぱりやめる・・?」

愛ちゃんが心配そうに覗き込む。

「あ、大丈夫だよ!ほらっ、番が来た乗ろう!」
「うん!」

・・・大丈夫・・きっと大丈夫。



***
・・・だめだった。気持ち悪い・・・。

ぐったりとしたあたしをベンチに座らせ愛ちゃんは飲み物を買いに行った。

うぅ・・・、かっこ悪い・・・。
前言撤回、今日は最悪な日になりそう・・。

30 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月27日(日)20時43分26秒
「大丈夫?ごめんね?無理矢理・・」
「・・・ううん、愛ちゃんのせいじゃないよ・・・」
「ちょっと横になる?」
「・・・え?」

愛ちゃんは少し移動して膝の上をポンポンと叩く。

そ、それってもしかして・・・膝枕ですか・・?

あたしがポカンとしてると

「はやく〜」

って言ってまた膝を叩く。

「は、はい・・」

コロンと寝転んで思う事。

前言撤回を前言撤回。

今日はやっぱり最高な一日になりそう。
31 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月27日(日)20時48分20秒
おがたか楽しいな〜。
28>すみません!なんか駄文になっちゃいました。高松好きだけど書くほどの文才がなかったようです(汗
ダンサーさんの高松に期待しときます(W
32 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月27日(日)21時07分11秒
・夏にマフラー・

最近、ものまねにハマってて。今日はなっちのものまね。結構激似なのよ。

「よっすぃ〜?何してんの〜?」

端っこのほうでごそごそしてるので気になって覗き込む。

「マ、マフラー!?」

今八月だぞ?おかしくなった?よっすぃー!?

「プレゼント用に編んでるんです。多分間に合わないから今から編まないと」

よっすぃーは顔も上げず黙々とマフラーを編んでいる。

・・・どうやらこの声がヤグチだと気がついていない様子。

「・・・ふーん。誰にあげるの?」
「ヤグチさんに・・誕生日プレゼントで・・」

よっすぃーは今難しいとこ編んでるみたいで超真剣。
でもそんなの関係ありません。

「うれしー!よっすぃ〜〜!!」

思わず抱きついてしまった。

「!???や、矢口さん!!!」

かなり動揺してる様子。とっさに隠してももう全部見ちゃった訳でして。

「・・内緒にして驚かそうと思ったのに・・」

かなりしょんぼりしている。



楽屋なんかで内緒で編めるわけないって事を学びましょうね、よっすぃ〜?
33 名前:名無し 投稿日:2002年10月27日(日)22時44分43秒
よしなちのヘタレ王子もいしよしのカッケ〜王子も(・∀・)イイ!と言った私ですが、改めて言わせもらいます。
よしやぐも(・∀・)イイ!←オイ すいません、雑食なんです!吉がからんでればなんでもいいんですっ!
とか言いつつおがたかもほのぼのでいいなぁ〜等と思っていますが←やっぱり雑食
34 名前:7 投稿日:2002年10月27日(日)23時36分39秒
リクしといておそくなってスマソ・・・
いちごま〜〜〜!!
甘えてるごまはすっごくいい!!
ありがとございましたです
35 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月28日(月)17時27分16秒
33>よし良いですよね〜。へタレ万歳!
34>いちごま良かったですか?
甘えごま好きです。
甘えなちも好きです。
甘えやぐも好きです。
甘えたかも好きです。
きりがないです・・・。
36 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月28日(月)17時37分58秒
・オレンジな満月・

眠れなくて横で眠っているごっちんを起こさない様にベットから抜け出した。

カーテンを開けるとそこにはとてもきれいな満月があった。

(わぁ・・・、きれい・・・)


「・・・なっちぃ・・?・・・ドコ・・・?」
「ごめん・・・、起こしちゃった?」
「・・・う、ん?」

まだ寝ぼけてるね、ごっちん。

「何、してたの・・・?」
「月を見てたのさ」
「ふぅ・・・ん」

のそのそと起き上がってなっちの隣に立ち、ぼーっとしながら空を見上げる。

「わぁ・・・、満月だぁ・・」
「きれいっしょ?」
「・・・うん。なっち〜、ありがと〜」
「え?」
「きれいなもの見せてくれてありがと〜・・」
「ごっちん・・・」

ふにゃっと笑うと相当眠いらしくゆらゆら揺れている。

「・・・寝よっか?」
「・・・ん」



その日はごっちんと二人、手を繋いで月に行く夢を見た。
37 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年10月29日(火)20時03分27秒
・アイツを振り向かせる方法・

今日もかっこいいな〜・・。あ、笑ってる。笑顔はかわいいんだよね・・。


「「・・・やっぱり好きだなぁ・・」」


え!?ハモった!?

隣を見るとそこにはあさ美ちゃん。

「・・・もしかして・・・、あさ美ちゃん・・」
「・・愛ちゃんも・・?」


二人とも唖然としていると、

「どーしたの?二人とも固まっちゃって。そろそろ時間だって」

声をかけてきた渦中の人物。


「「う、うん・・」」

これまたハモってしまった。

「仲良いね〜、二人とも。もしかしてラブラブ?」

ニヒっと笑って行ってしまった。


((違うんだよぉーーー!!))


心の中までもハモってしまった二人だった。
38 名前:みょ 投稿日:2002年11月05日(火)20時01分39秒
高小紺〜♪めっちゃおもしろいです!!
小川×高橋いいでしょうか?
応援してます!!
39 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月05日(火)21時54分35秒
はぁ・・、久しぶりすぎてヘマしてしまった。
・・・逝ってきます・・。
38>ヨカタっすか〜。この三人は好きです。お豆さんはよくわからんのでカプしにくいのです。
40 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月05日(火)22時33分09秒
小高紺(・∀・)イイ!!

自分は、高紺いいでしょうか?
凄く好きなんでw
41 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月05日(火)23時05分27秒
・おやすみなさい・

「もぅ寝ようかな・・」
「え〜!もう?!」

今日は家にまこっちゃんが泊まりに来た。
・・のにもう寝るの??まだ11時だよ?夜はこれからじゃないの??

「だって眠いんだも〜ん・・。寝て良い?だめ?」

とろ〜んとした目でそんな事言わないでよ〜〜!・・・かわいいじゃんか。

「うん・・・いいよ」

眠いんだね、わかってる。疲れてるんだもんね。わがまま言わないから寝てもいいよ・・。

「ん」

布団をめくってあたしを見つめてるまこっちゃん。

「愛ちゃんも寝よ?」



・・・寝ます。はい、寝ます。すぐ寝ます。


まこっちゃんの隣に滑り込むように入ると首に手を回され抱きつかれた。

「・・おやすみ〜・・」
「お、おやすみ・・」



まこっちゃん・・・、こんな状態であたしは眠れないよ・・・。
42 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)14時53分28秒
補足。
「おやすみなさい」の二人はまだ付き合っていません。
おが→たか は友達。たか→おが 好きな人って感じです。
付き合ってないので高橋さんは「麻琴」とは呼んでいないのです。
43 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)15時04分57秒
・微熱・

・・・・ピピッ。


「・・・あ、やっぱちょっとあった・・」
「何度!?」
「37度2分。・・・微熱だよ・・」
「やっぱり・・・」

会った時からおかしいと思ってた。
赤い顔して少しぼーっとしてるから。
試しに体温測ってもらったら・・・やっぱり。

「たいした事ないよ、だいじょう・・」
「だめ!今日は家でゆっくりしよう?」
「えー・・。せっかくオフなのに・・」

出かけようとする麻琴ちゃんを必死に止めて寝かせた。

「今おかゆ作ってあげる!」
「あさ美ちゃん作れるの?」
「ううん、作ったことない」
「・・・は?」


数分後。


「はい、出来たよ」
「・・・見た目は普通だね・・」

一応褒めて(?)くれたけど麻琴ちゃんが食べる様子がない。
やっぱりまずいかもしれないから?
もしかしてお腹すいてない??

うーん、と悩んでいると麻琴ちゃんは拗ねたような顔で言った。

「・・・食べさせてくれないの?」
「・・あ、うん」

あぁ、そういう事か。
44 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)15時12分20秒
パクッ。


一口食べた。

感想は・・・?


「・・・・・なかなか個性的な味で・・」
「え」
「・・塩と砂糖間違ってない・・?」

まさか、と思って食べたけど・・・なんだコレ。
食べ物じゃないよ・・。


「ゴメンね・・麻琴ちゃん」

ベットに横になってる麻琴ちゃんに謝る。

「あんなの食べたら熱上がっちゃうよー」

そうだよね・・。

「あたし違うの食べたいな〜」
「何?」

えへっと笑ってあたしを指差す。

「あさ美ちゃん食べたい」

「え。えええええ!!???」
「うっそ。冗談だよ」

それはまた今度元気になったらにするね、って言ってあたしの頬にキスをした。


・・・麻琴ちゃん・・・、きっと今あたしの方が熱あるんじゃないかなぁ・・。
45 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)15時16分24秒
もてまこいいな〜。小高紺で小の取り合いみたいなの書こうかな〜。
「微熱」は川本真琴さんです。好きなので。
46 名前:うはうは 投稿日:2002年11月06日(水)16時45分51秒
めっちゃおもしろいです!!
小高紺で小の取り合いっすか!!楽しみにして待っときます!!
川本真琴さん、私も大好きです
ごーしゅさん応援中
47 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)19時57分53秒
・ジーザス!ジーザス!・

楽屋でぼけ〜っとしていると愛ちゃんがトコトコとやってきた。

「麻琴!クッキー焼いたんだけど食べる?」
「え、いいの?食べる〜」


モグモグ・・・。


「ん、おいひぃよコレ!」
「でしょ〜?愛がこもってるからね!」

そう言ってあたしの右腕に抱きつく。

うーん、かわいいね、愛ちゃんは。

「麻琴ちゃん!!」

振り向くとそこにはあさ美ちゃん。

「どうしたの?」
「あ、あたしもクッキー焼いたの。食べてくれる?」
「うん、もちろん」


モグモグ・・・。


「ふぁ、これもおいひぃ!」
「でしょう?麻琴ちゃんの為に頑張ったんだよ」

そう言ってあたしの左腕に抱きつく。

あさ美ちゃんもかわいいなぁ・・・。


って、ぼ〜っとしてると目の前に火花が。


愛ちゃんとあさ美ちゃんがあたしの腕をつかんだまま睨み合っている。

「ねぇ、麻琴。どっちのがおいしかった?」
「・・・え」
「あたしのだよね?麻琴」
「違うよ、あたしのだよね?麻琴ちゃん」
「あの・・・」
「「どっち!?」」
48 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)20時06分32秒
「・・・どっちも、っていうのは・・」

「「ダメ!!」」

あたしだよね?って言いながら右手をぐいっと引っ張る愛ちゃんと
あたしだよね?って言いながら左手をぐいっと引っ張るあさ美ちゃん。

・・うぅ、幸せだけどちょっと痛いよ二人とも。

そんなあたし達の目の前を通る救世主(?)吉澤さん。

「吉澤さん・・。助けてください・・」
「悪いけどあたしも昔、今の小川みたいな状態になった事があって懲りてるから関わりたくないんだ〜、ごめんね〜」

そんなぁ・・・。

そしてまた二人はあたしの目の前に火花を散らしているのでした・・。
49 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月06日(水)20時11分59秒
なんだか小川さんが吉澤さんちっくだが気にしない事にしよう・・。
46>応援ありがとうございます!面白いといわれると活力が沸きます。頑張ります!
「ジーザス!ジーザス!」はJAMから。歌の内容とは全然違いますけどね。
50 名前:名無し。 投稿日:2002年11月06日(水)22時40分26秒
ジーザス!ジーザス!でさりげなく登場したよしこの昔が気になりますね(w
小高紺の三角関係が可愛らしくてイイです!
51 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月07日(木)10時32分45秒
50>過去のよしこさんの取り合いはですね、なちまりでもいしごまでもつじかごでも圭圭でもいちゆうでも(え?)松柴でも(えぇ?)それ以外でも楽しめます。(は?

52 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月07日(木)16時53分28秒
考えてみたら甘めとコメディーしか書いていなかったので、暗めも書こうと思いまして。
で、アップしますけど、暗いです。
「甘いのが好きなんだ!」とか「悲しいのは嫌だ!」と言う人は読まない方がいいかも知れません。
題は「カブトムシ」です。
出来ればすぐに甘めOrコメディーをアップしますので読みたくない方はそっちまで飛んでください。
53 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月07日(木)17時07分58秒
・カブトムシ・

明日の新聞やテレビのニュースは全て同じ内容だろう。


『モーニング娘。安倍なつみ、交通事故に遭い意識不明重体』


あたしが知ったのはついさっき。

仕事が終わって、なっちとご飯食べて、ちょっと公園でまったりして、
そこでキスして、二人それぞれの家に帰った。

家に着いて数分後に鳴った携帯。

マネージャーからの話を聞いて、涙よりも何よりも、めまいと吐き気でくらくらした。

迎えに来てもらって病院に着くと泣いているみんなの姿があった。
辻なんかは可愛がられてたから手がつけられないくらい泣いていた。



・・・なんでだろう。
あたしは泣けない。
涙が出てこない。
そういえば声も出ないかもしれない。
マネージャーからの電話も一言もしゃべれなかった。

「・・やぐ・・・ちさ・・」
よっすぃー・・・。
「安倍さんは・・・向こうです・・」
石川・・・。


ガラス越しに見えるなっちはチューブみたいなのを何本もつけられてて、
見ててとても痛々しかった。


ねぇ・・・?これってドラマじゃないの?
なっちこんな役してたじゃん。
54 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月07日(木)17時16分40秒
・・・・わかってる。認めたくないだけ。



・・・ねぇ、なっちは死ぬの?



やっと流れ出た涙と同時に聞こえたのは一定の音の機械音。


みんなの泣き声が一層強くなったような気がしたけれど、その後はあたしの耳にはもう何も聞こえなかった。


ショックで何も話せない。

絶望の音を聞きたくないから何も聞こえない。

こんな光景見たくないから・・・きっとそのうち何も見えなくなるだろう。


・・・なっち、そうなる前にあたしもそっちへ行くから待っててね。


きっと明日の新聞やテレビのニュースは全て同じ内容だろう。


『モーニング娘。安倍なつみ、交通事故に遭い死亡。矢口真里、後追い自殺』



・・・きっとね。
55 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月07日(木)21時31分26秒
・ココア・

−あたしは知っているの。麻琴ちゃんはいつもココアを飲む事を−


今加護さんと麻琴ちゃんと愛ちゃんと自動販売機の前にいて。

加護さんはオレンジジュース。
愛ちゃんは紅茶。
・・・麻琴ちゃんはココア。

あたしは・・・。



「あれ〜?めずらしいね、いつもあさ美ちゃんスポーツドリンクなのに」

・・う、加護さん。するどいですね。

「同じだね〜」

嬉しそうに笑う麻琴ちゃん。

「・・・・」

何かいいたげな愛ちゃん。

ごめんね、ちっちゃい事でも共有することが欲しかったの。

ココアおいしいね、って微笑んでくれるの、こんなに嬉しいと思わなかった。
・・・のに。

「麻琴〜、一口ちょうだい」

愛ちゃんはひょいっと麻琴ちゃんのココアを取ってぐいっと一口飲んだ。

・・・あ、間接キス。

飲んだ後、ありがとって言いながらにやっとあたしを見て笑った。


・・・おそるべし愛ちゃん。

でも負けるわけに訳にはいかないから。



(今の所は愛ちゃんのほうが上手だなぁ〜)

加護は密かに思うのでした。
56 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月07日(木)21時39分01秒
「ココア」は「アイツを振り向かせる方法」の続編みたいな感じで。
高VS紺です。この時の小は誰の事が好きなんでしょうねぇ〜?
「カブトムシ」読まれた方、こんなのどうでしょう・・?
感想などあればお聞きしたいです。

追伸
おがたか好きな人はテレビ○ョン見ましょう。
たか→おが、な感じがとても楽しめます。
57 名前:彪夏 投稿日:2002年11月08日(金)00時06分22秒
削除の件、ありがとうございました。(ペコリ
ほんとのろのろしている間に、ごーしゅさんが素早く削除して頂いて助かりました。
自分も初心者なので、お仲間ですよ(w
それに全然気にしていないので、これからも頑張って書いてください!

短編なのに、きちんと話しになっていて尊敬します。
自分は石吉大好き野郎なので、石吉以外あまり読まないんですけどね(ニガワラ
同じ板同士・・・といってももう自分は終わりましたがこれからも、
頑張りましょう!!
58 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月08日(金)14時15分35秒
カブトムシみたいな感じのはイタイですが嫌いじゃありません(w
ところでリクしてもよろしいでしょうか?オイラは吉柴好きなんですがまったく見かけないので是非吉柴を書いてほしいです。
59 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月08日(金)20時21分26秒
57>応援に答えられる様にがんばりまっす!ありがとうございます!
58>「カブトムシ」大丈夫でした?ありがとうございます、意見も参考になります。
吉柴・・・。一応最初のほうに「出来れば娘。と松浦さん(卒メン含む)のみ」と書いてあると思うのですが〜。
うーん、新境地吉柴。トライしてみようかな?と思うんですけど、私柴田さんの人格が全くわからないのできっと駄文になる事間違いなしだと思うんですけど、それでも良かったら書いてみます。
60 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月08日(金)20時55分12秒
あわわわわわ!
すいません、すっかり頭から抜けてました!すいませんm(_ _)m
無理していただかなくていいんですがチャレンジしてくださるなら嬉しいです!ずうずうしくてすいません…
61 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月08日(金)20時58分17秒
・くじら12号・


RPGゲームをして思う事。


まぁ、あたしが勇者で、僧侶は梨華ちゃん?
ごっちんあたりが魔法使いで武道家は・・・紺野か。

もちろん悪の親玉がいて、そこには捕らえられたお姫様。

あたし達は敵と戦ったり、茨の道を通ったり、時には野宿したり。

経験値も貯めて、武器や防具も最強に調えて。

目の前には親玉の城。

戦ってモチロン勝ちました。(早っ、って思っても気にしない事!)

さっそく捕らわれたお姫様と感動の対面。・・・のはずなのに。


今勇者の目の前にいるのは不服そうな顔のお姫様。

※※※
「・・・よっすぃー、せっかく遊びに来てるんだからゲームやめてよー!」
「ちょっと待ってあゆみちゃん、もうちょっとで倒せるから」
「・・・も〜」


(・・この勇者、現実世界のお姫様には興味がないの〜・・・?)



・・まぁ、この後勇者は親玉を倒してお姫様とラブラブに過ごすんですけどね。
62 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月08日(金)21時04分45秒
60>超駄文に仕上がりました(泣
柴田さん全然出てきません(鬱
やっぱ私には 無 理 で し た 。(涙
いしよしやんけ!(怒
ああああ・・・、今度またよく案を練ってみます。
雑食宣言したからにはいろいろかけないといけないんで!
今んとこはこんなんでご勘弁を・・・。
63 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月09日(土)17時18分25秒
ワガママを聞いて頂きありがとうございます!イイです!感謝感激です!ありがとうございました!
64 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月10日(日)21時48分49秒
・明日からの手紙・


なっちがいなくなって何にもする気になれなくてずっと家に閉じこもってた。


電話がいっぱいかかってくる。
・・・多分マネージャーやメンバーからなんだと思う。
ごめんね、ごめんなさい。
ヤグチは今一人になりたいんです。
そっとしておいて下さい。

水を一杯飲んで布団の中にもぐった。


・・・・・・・・。



・・ぐち。


・・・?


・・やーぐちっ。


!!!


「なっち!?」

布団から飛び出すとベランダになっちが立っていた。

「よっ!」

「・・・なっち・・、なっちぃ〜・・」

ベランダに走ってなっちを抱きしめた。

温かいよ、なっち。・・生きてるの?それとも・・。

「苦しいよ、矢口!」

「だって・・嬉しいんだもん・・。なっち・・ずっと矢口のそばにいてくれるよね・・?」

「・・・ごめんね、矢口。なっちは向こうに行かなきゃなんだ」

「嫌だよ・・!なっち!」

「・・・これ・・」

なっちが差し出したのは一通の手紙。
65 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月10日(日)22時08分44秒
「な・・に・・・?」

「矢口、なっちは死んだから過去の人?」

「・・・っく」

「・・・なっちはね、矢口よりも先に未来に行くの。なっちは・・『安倍なつみ』はいなくなってしまうかも知れないけど。でもね?きっとまた矢口に会いに行くから」

「・・・やだぁ・・」

「なっちは笑ってる矢口がだいすき!」


ふわっとヤグチの頬に触れた手と塞いだ唇は氷のように冷たかった。


「じゃ、元気出せよ!矢口!」

一言言い残しフッと消えてしまった。

「なっちーーー・・・!!」


泣き叫んだ後、手の中にあるくしゃくしゃになった手紙を開いてみた。


【今までありがとう。今度は二人で幸せに暮らそうね】


手紙をテーブルの上においてうずくまった。

たった一行なのにすごく重い言葉だよ、なっち。

うん、幸せになろう?

今度会った時、胸張って会えるように。

笑ってるヤグチが好きなんだよね?

頑張るよ。ありがとう。


立ち上がって、服を着替えて、みんなに電話して、家を出た。



テーブルの上の手紙は音もなく消えていった。
66 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月10日(日)22時15分46秒
更新しました。
「カブトムシ」の『矢口が死ななかったバージョン』です。
「カブトムシ」を読んでなかった人は意味不明作品ですね・・・。
なんかちょっと明るい未来にしたかったのです。
あ〜、なちまり好きだー!
ここに来てくださる人はおがたか好きは結構いるみたいですけど
なちまり好きはいないのかな〜?
次何書こう・・・。
67 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月11日(月)13時53分44秒
私はなちまり大好きですよ〜
でも、暗い話はニガテ…
68 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月11日(月)17時15分13秒
67>おお!なちまり好きさんが!・・・暗い話は私も苦手だったんですけどね・・、甘甘話ばっかり書いてるとみんな同じになりそうで・・・。
たま〜に暗くて痛い話も載るかもしれませんがお許しを〜。
69 名前:なしこ 投稿日:2002年11月11日(月)20時43分32秒
なちまりだぁ〜!!
確かに小高も好きだけどなちまり!!
明日からの手紙に号泣させてもらいました(/Д;)ぬあ〜!!
作者さん万歳
厚かましいかもしれませんが、なちまりVS小高を!!
作者さんに栄光あれ!!
70 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月12日(火)20時06分31秒
・心日和・

「なっち〜!!ちゅうしよ〜!」
「や、矢口、みんながいるのにダメだよ!」
「えー、いいじゃん、ちゅう〜」


こんな二人の会話は日常茶飯事で。


飯田さんはぼーっとしている。
保田さんは本に熱中。
後藤さんはさっきから市井さんと携帯でお話中。
吉澤さんと石川さんは二人の世界。
辻さんと加護さんとあさ美ちゃんと里沙ちゃんはおしゃべりに夢中。

・・・あたしはちょうど視界に入った安倍さんと矢口さんを見ていて。
不意に横を見ると愛ちゃんも二人を見ているようだ。

・・・とても羨ましそうに。

そしてくるりと振り向きとんでもないことを言った。

「・・・麻琴〜、あたしもちゅーしたい!」

はぁ?!
・・・いや、それはまずいでしょ。

「み、みんないるから無理だよ」
「・・・そうだよね、ごめん・・・」

あ〜、もう。
そんなにしょんぼりされたらあたしが悪い事したみたいじゃんか。

・・・そりゃ、あたしだってしたいけどあのお二人のようにオープンになれないよ。

あたしの苦悩にお構いなしに目の前のお二人はいちゃいちゃで。
(・・・まぁ若干もう一組いるけれど)

愛ちゃんはとても羨ましそうに見ている。
71 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月12日(火)20時19分00秒
あー、もう。

「愛ちゃん・・・」

ん?と振り向いた瞬間回りを気にしつつキス。

愛ちゃんは少しの間ぽかんと口を開けていたが、照れたように笑って

「ありがと」

って言った。

「・・・もう人前でしないからね」
「はーい」


その現場を見ていた人物。


「小川と高橋だってちゅうしてんじゃーん。ヤグチ達もしよー」
「先輩としての示しがつかな・・・」
「もー、黙って!」

強引にくちづけた。

「・・・矢口のばか」
「えへへ〜」
「もう絶対人前でしないでね!」
「んー、それはどうかな〜?」
「・・・怒るよ」
「ごめんって、怒らないで?なつみさ〜ん」


いちゃいちゃしながらも二組の一部始終を見ていた吉澤。

(そーゆう事は家でゆっっっっくりするもんだよねぇ〜)

不敵な笑みを浮かべながら石川を見つめる。
石川は?マークを浮かべたが、微笑んでる(?)吉澤に微笑み返した。

彼女は今夜この狼に襲われる事をまだ知らない。


そして最後にぼーっとしながらも全てを見ていたリーダー飯田が思う事。


(今日も平和だなぁ〜・・・)



・・・ちょっとした休憩時間のお話でした。
72 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月12日(火)20時24分45秒
69>「明日からの手紙」良かったですか!そう言ってもらえると嬉しいです。
なしこさんの要望通りなちまりVSおがたかを書いたつもりがよからぬ方向へ逝ってしまいました。
おかしいな(汗
73 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月12日(火)20時36分12秒
・それだけ・


もし、ヤグチと紗耶香が出会っていなかったらどうなっていたかな?


普通に恋愛して、
結婚して、
子供がいたりして。

少なくとも今挙げたうち、最初の一つしかヤグチ達には許されていないんだよね。
・・・それに堂々と胸張って言える事じゃないし。

でもね、ヤグチは紗耶香がいてくれればそれでいいんだよ。

紗耶香が隣にいてくれるだけでヤグチの不安は解消されるんだ。


・・・望む事があるとすればただ一つ。



ずっと紗耶香と一緒にいたい。








ただ、それだけ。
74 名前:なしこ 投稿日:2002年11月12日(火)22時48分02秒
これはこれでおもしろいです♪
紗耶香さん愛されてます(笑
75 名前:なしこ 投稿日:2002年11月13日(水)15時24分05秒
じっくり読んで気付きました!!
石吉までついてる!!
なんか、めっちゃうれしいですよ〜(泣)
作者さん万歳!!
76 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月13日(水)18時09分49秒
75>そんなに「万歳!」言われるとこんな駄文で申し訳ない(W
「心日和」実は何気にいちごまもあったり・・。
77 名前:なしこ 投稿日:2002年11月13日(水)21時59分20秒
あっ!!ほんとだ!!
78 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月13日(水)22時32分20秒
・風に吹かれて・

奇跡的に近い確率で二日間もオフをもらった。


・・・しかも麻琴も同じ。
いつもはあんまり信じていないけれどこの時ばかりは神様ありがとう。

二日間思いっきり二人っきりでまったりするぞ〜!と思っていたのに、

「麻琴!オフどうするの?」
「ん〜、ちょっと久しぶりに実家に帰ろうかな〜と思う・・・」
「え〜〜〜〜!」

あたしは永遠に続くんじゃないかというくらい麻琴に不平不満を言う。


少しあきれたように麻琴は口を開く。

「・・・じゃあ一緒に行く?うちに」
「行くっ!」

即答。
麻琴は驚いて後ずさり。

冗談で言ったみたいだけどあたしは本気。


次の日駅で待ち合わせ。


「・・・ほんとに来たんだ」
「あたしはいつでも本気だよ!」
「・・・そう・・」



新幹線に乗っていざ新潟へれっつごーーーー!!!
79 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月13日(水)22時44分38秒
そして着きました、新潟。

「さむーーーー!!!」
「白い息が出るね、帰ってきたぞ、って感じ」

麻琴はとても嬉しそう。
そーだよね。
久しぶりだもんね。


「愛ちゃん!ちょっと寄りたいとこあるんだけど・・いい?」
「うん、いーよ」

麻琴、すごいテンション高くなったね。


麻琴に連れられて来た所は・・・海。


「ささささささ、さむいよーーーーー!!!!」
「さみぃー!」


海はすごく寒くて風はごうごうと音を立てていた。


「あたしね、ここによく泳ぎに来たんだよ」
「へぇ〜」
「・・・なんとなく愛ちゃんに教えたかったんだ」
「・・・うん」
「・・・・・・さむいね」
「・・・・・・うん」
「帰ろうか?」
「うん」

麻琴はあたしの右手を握って歩き出した。



あたしはもう一度振り返って海を見た。

一瞬、幼い麻琴が海で泳いでいる映像が目に映ったような気がした。



何か知らないけど、嬉しくなった。
80 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月14日(木)22時09分50秒
・傷跡・

あなたはあたしを愛していますか?



否。


あんなに愛し合った夜も、明ければ残酷な毎日が始まって。


あなたは気まぐれにやって来て、
あたしに愛の言葉をささやいて。

・・・でも最後にはあの子の元へ帰っていく。

「愛してるよ、梨華ちゃん」

「あたしには梨華ちゃんしかいない」


あなたの嘘がどれだけあたしを傷つけているかあなたは知ってる?


「梨華ちゃん、愛してるよ」
嘘。本当にあなたが愛してるのはあの子。

「あたしには梨華ちゃんしかいない」
嘘。あの子にも同じ台詞言ってるくせに。


あたしは何も知らないフリをするの。

あなたといたいから。
このまま嘘を我慢して聞き続ければ、あなたとずっといれるから。



でも聞いてしまった。
81 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月14日(木)22時14分33秒
携帯で話すあなたがあの子にささやく本当の愛の言葉を。


「・・・ごっちん、愛してるよ・・・・」


あなたは今日もあたしの所へやって来て、
用が終われば帰っていく。



・・・あのね?

あなたが眠ってる間、
あなたの乗っているバイク、少しイタズラしたの。







・・・あの子のところに帰れるといいね。
82 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月14日(木)22時22分31秒
黒っ。暗っ。怖っ(W
今までラブラブ〜作品ばっか書いてたから反動が(汗
83 名前:なしこ 投稿日:2002年11月14日(木)23時07分45秒
うおおぉぉっ!!
い…石川さんが…ブラックだぁ〜…(w
囁いているのはもしかしなくてもよしこですね?
か…帰れるの?(汗
84 名前:ダンサー 投稿日:2002年11月16日(土)19時28分16秒
私はなちまり、おがたか、よしごまが大好きです
ここはなちまり、おがたかが多くてうれしいです
85 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月17日(日)21時47分17秒
83>多分帰れませ(略
こんないしよしも好きです、私。
84>なちまり、おがたか、よしごまですか!ダンサーさん、よしごま物書いてますもんね〜。
よしごまそういえば書いた事ないなぁ。
今度挑戦しよう!
86 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月17日(日)21時59分47秒
・イジワルな天使よ、世界を笑え!・

「おはよーございまーす!」

挨拶して楽屋入ってまずあたしがする事。
そりゃ決まってます。

それはごっちんを探す事!

・・・いた!見つけた!!・・・・けど。
なにやら安倍さんといい雰囲気。

・・まーね、あの二人は仲良いし、うんうん。


そうは思っても内心気になって仕方がない。


ので、とりあえず遠くから監視。

・・・あ!コラ、なんで安倍さんに抱きついてんだ、ごっちん!オイ!

ぶつぶつ言ってるあたしを見て保田さんが横でくすくす笑う。

「あんたもなかなか苦労人なのねぇ」
「・・・保田さんほどじゃないですけどね」

と、言ってあたしが指差す方向には何か言いたげな梨華ちゃん。

「あれ、うちらがしゃべってるの妬いてるんじゃないすか?」
「あぁ・・・」

保田さんはしょうがないなぁと呟いて梨華ちゃんの所へ行ってしまった。

・・・は!こんな事してる場合じゃなかった。
安倍さんとごっちんは・・・!!
87 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月17日(日)22時09分34秒
!!!!
抱き合ってる!!!
(と言うより安倍さんが抱っこされてるだけだけど)

さすがにあたしもこれには黙っちゃいられません!

二人の所に走って行って猛抗議。

「ふ、二人!何してるんすかー!!」

声をかけると安倍さんは困ったような顔。

「・・・だからよっすぃー怒るからやめようって言ったのに・・」

え。

「だってヤキモチ妬くよしこが見たかったんだも〜ん」

そ、そんなぁ。

「ごめんね、イジワルして」

にいっと笑って安倍さんを膝の上から下ろしてあたしの手を握る。

少し(いや、だいぶ?)イジワルなあたしの天使。




今度やったらちょっと本気で怒るかも。








・・・この後、ごっちんはこっぴどく矢口さんに叱られていました。
88 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月26日(火)23時01分18秒
・小さな丸い好日・ side O

今日はレギュラー番組の収録でメンバー全員が集まっていた。

楽屋では本を見ている人もいれば、喋ってる人もいる。
辻さんは相変わらずお菓子食べてるし…、あ、あさ美ちゃんも、ね。
…まぁ、そういうあたしも一緒に食べてたんだけど…、のど渇いたな〜。

立ち上がるあたしに愛ちゃんが声をかける。

「どこ行くん?」
「ちょっと飲み物買ってくるね」
「ん〜、行ってらっしゃ〜い」

楽屋を出て少しすると後ろから名前を呼ばれた。
振り向くと安倍さんが追いかけてきた。

「どーしたんですか?」
「小川、飲み物買いに行くんでしょ?なっちものど渇いたんだ〜。一緒に行こう?」
「はい」

安倍さんはニコニコしながら「何にしようかな〜?」とか言ってる。
正直、安倍さんって可愛いです。
…いや、こんな事愛ちゃんに聞かれたらどんな目に遭うかわからないから心の中だけで思う事だけど。
でもまぁ安倍さんにも恋人いますからね、だから可愛いなって思うだけです。

「でね、その時矢口ってばね…」

安倍さんは話に夢中。
あたしはその話を真剣に聞いていたから気がつかなかったんだ。




目の前に階段がある事を。
89 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月26日(火)23時18分57秒
「危ない!!」

って、声に出した時にはもう遅くって。
先に階段を踏み外した安倍さんを助けようとして自分もバランスを崩して二人とも落ちてしまった。

目を開けると階段の下の広場まで落ちていた。

「いたた…」

すぐ横から声が聞こえた。

「大丈夫ですか…?安倍さ……」


言葉を無くした。


「だいじょーぶ……、うぇ?!」

安倍さんも気がついたようだ。
この不自然さを。

それもそのはず。
今、あたしの目の前にいるのは『あたし』なのだから。

「な、なんで…?」
「体が…入れ替わった…?」

あたしは何が起きたのか理解できなかった。
…いや、何が起きたかはわかってる。
でもどうしたらいいかわからなくてその場に座り込んだ。

すると、目の前のあたし…じゃなくて安倍さんはガバっと手をあたしの肩に置いて、

「と、とりあえず戻ろう?そろそろ時間だから…。その後これからのこと考えよ?わかった?小川!」
「は、はい」

周りから見たら今の絵はとても変だろう。
二人で座り込み、あたし(安倍さん)に肩をつかまれ、説得(?)されてる安倍さん(あたし)。



これから一体どうなるんだろう…。
90 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)08時06分32秒
side A

小川にそう言ったものの、なっちだってかなり不安…。
でもあそこで「なんで?なんで?」って言ってても何も解決しないことはわかってたからそう言うしかなかった。

楽屋に戻る二人は終始無言だった。

とりあえず中に入ると矢口が走ってきた。

「遅かったじゃーん、なっちー」
「…ごめん、いろいろあってさぁ…」
「へ?オイラなっちに喋ってんだぞ?どーした?小川?」

「「あ」」

そうだ、入れ替わってるんだった。
あたしと小川は顔を見合わせた。

「麻琴ー?飲み物は?」

あたし達を見つけた高橋がやってきた。
小川はあたしに目で合図する。

「あ、…えと、忘れちゃった」

…我ながら下手くそな言い訳。

「はぁ?わざわざ買いに行って?」
「じゃ、じゃなくてやっぱりいらなくなったんだ」
「…ふーん?何か変な麻琴」

そんな会話の中言葉を発した彼女。

「ねぇ?なっち!向こういこ〜!」
「わぁ!!」

小川は矢口に引っ張られていってしまった。
91 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)20時26分46秒
そしてこっちは…。

「麻琴〜?今日泊まりに行ってもいい?」
「ええ!?泊まりに?!」
「だめ?」
「…いや、だめじゃないと思うんだけど…、でもそれはかなりまずいんじゃないかな〜と…」

しどろもどろになって話すと目の前の高橋は不機嫌そうな顔になった。

「…なんなの?さっきから!からかってるの?」
「からかってないよ!」
「もしかして…」
「な、何?」
「…ううん、なんでもない。もういい、麻琴なんか知らない!」

ぷいっと顔をそむけ、高橋は行ってしまった。


…ごめん、小川。
高橋怒らせちゃったよ…。
92 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)20時40分53秒
side O

あたしは矢口さんに引っ張られて楽屋の隅っこに来た。

「なーっち〜」
「は、はい?」
「ぷっ、なんでどもってんのさ〜」
「や、別に…」
「なーんか小川変だったけどなっちも変だね?なんかあった?」

首を傾げて矢口さんは聞いてきた。

…ここはいっその事本当の事言った方がいいんだろうか…。
でも「階段踏み外して一緒に落ちたら入れ替わってました」なんて言って信じてくれる人がいるだろうか。
もしそんな事言われたらあたしだったら一発殴っているだろう。
「何寝ぼけてんだー」って。

…ここは言わない方が正解かな…。

うー、と悩んでるといきなり矢口さんが抱きしめてきた。

「ぅわあ!!」

声が裏返った。

「ヤバイ!悩んでるなっち超可愛い!ちゅーしたい!」

え!?と思った瞬間矢口さんの顔が近づいてきた。

「だ、だめ!」

顔の前に手を出し、遮った。

「えー?」
「み、みんながいるから…」

…ていうか出来ませんよ、あたし安倍さんじゃないから…。

「もー、いっつもそのセリフだもんな〜」

ちぇっ、と言ってあたしの頭をなでた。
93 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)20時45分55秒
久しぶりに現れました、作者です(W
今回のはちょっと長くなりそうです。
頑張れ、自分。
94 名前:なしこ 投稿日:2002年11月27日(水)21時29分08秒
おお!!なちまり&おがたか!!
入れ替わってしまうとわ思いも寄りませんでした!!
長くなりますか?じゃあ、自分も根気良く読みます♪
最近毎日見に来ているので作者さんに期待
がんばって〜♪
95 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)22時29分22秒
『そろそろ収録始まりますんでー』

スタッフさんの声であたしはまた矢口さんに手を引かれ歩き出した。

とりあえず…キス…されなくて良かった。

ほっとして前を見るとあさ美ちゃんと並んで歩くあたし(安倍さん)がいた。

あれ?愛ちゃんはどうしたんだろう?

そんな事を考えていると隣の矢口さんがとんでもない事を言った。

「あ〜…、紺野切ないよね〜。恋人がいる人好きになっちゃうんだからさ〜」

「え」
「え、って…小川だよ〜!どっからどーみても紺野って小川の事好きでしょ」

うそ。

そんなわけない。

だって。

「そんなわけないよ!!」
「わ!びっくりした。何?なっちがそんなに否定しなくても」
「あ…、…ごめん」
「矢口が勝手に思っただけだからさ〜」

手をヒラヒラさせながら笑ってる矢口さん。

でもあたしは笑えない。
あさ美ちゃんがあたしの事好き?
ありえない。
だって、愛ちゃんと付き合う前、告白しようか迷ってた時、あさ美ちゃんは相談相手だったから。
そして付き合ってわかった事。
愛ちゃんもあさ美ちゃんに相談してたって事。


…だからありえないんです、矢口さん…。
96 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)22時33分33秒
94>なしこさん
毎度毎度ありがとうございます(涙
ホント活力源です。頑張ります!
ベースはなちまり&おがたかなんですけどいろいろな事が起こります(多分
97 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月27日(水)22時46分25秒
side A

やはり高橋は相当ご立腹の様で新垣と先に行ってしまった。

「はぁ…」

ため息をつくと隣の紺野が心配そうに話しかけてきた。

「喧嘩でもしたの…?」
「え…?あ〜、でもたいした事ないから!…多分」

あたしが元気一杯に言うと紺野はくすくすと笑い出した。

そんな二人の光景が見えたのか前方から誰かが走ってくる音が聞こえた。

「…っ、麻琴!」
「た、…愛ちゃん」
「行こ!」

高橋はあたしの手をぐいっと引っ張り前に進んだ。

あたしは振り向き紺野に「ごめん!」と呟いた。
紺野は「気にしないで」と返してくれた。

前を向くとあたしの視界には紺野を睨んでいる高橋がいた。




…どーもあたしはうまくいかないみたいだ。
98 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月28日(木)19時30分02秒
side O

『ハイ、OKでーす』

今日の収録は、やたらテンションの高いあたし(安倍さん)とやたら低い安倍さん(あたし)で、なんか自分たちの事ながら笑えた。

その中で一つ気になった事。
それは終始あさ美ちゃんを気にしている愛ちゃん。

…あたしも矢口さんに言われた事が気になっていた。

「どっからどーみても紺野って小川の事好きでしょ?」

だからなんとなくあさ美ちゃんを目で追っていた。
すると自然に目に入る愛ちゃん。
あさ美ちゃんを見る愛ちゃんはなんとなく睨んでいる感じだ。

何かあったんだろうか…?

…はやく安倍さんと相談しよう。

そう思って安倍さんを探しに行こうとすると誰かに袖を引っ張られた。

「なっちこの後仕事ないでしょ?ヤグチもないんだ〜!一緒に帰ろ?」

や、矢口さん…。
99 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月28日(木)19時38分36秒
「ごめん…、ちょっと小川に話があって…」
「また小川〜?」

矢口さんは「何で今日は小川ばっかり〜」とぶーぶー文句を言い出した。

そしていきなりハッとした顔をした。

「もしかして小川に紺野の事相談されてるの?」

え。

「ち、ちが…」
「いいって、そっかそーなんだね〜」

矢口さんは腕を組みながらうんうん、と頷いていた。

…いや、違うんですけど…。

「そーゆう事なら仕方ない、ヤグチはさき帰るよ。でも今日の夜!約束!覚えてるよね?」
「…約束?」
「まさか…、忘れたとは言わせないからね!」
「わ、わかってるよ」
「よしよし、じゃあまたあとでね〜」

矢口さんはニコニコしながら帰って行った。






…約束?
100 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月29日(金)16時01分59秒
side A

収録前、「行こう」と言われ手を引かれたものの、一言も会話していない。

さすがにこのままじゃ元に戻った時、小川に申し訳なさ過ぎる。
なんとかしなきゃ…。

そう思い、高橋に話しかけてみる。

「愛ちゃん…?」
「……」
「まだ怒ってる…?」
「………」

…こりゃダメだ。
お手上げだべ。

と、思ってると高橋が口を開いた。

「…麻琴は隙がありすぎる」
「…隙?」
「…ね?あたしの事、好き?」
「す、好きだよ」
「本当?」
「ほんと…」

全てを言う前に高橋は抱きついてきた。



やややや、やばいよね?!この状況!!
101 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月29日(金)16時09分51秒
でもここで振り払ったらまた高橋を傷つけてしまう。
それは絶対避けなければいけない。

あたしは高橋を抱きしめ返した。

「…あ、愛ちゃん…」
「ん、…麻琴ぉ…」



ガタン!!!



突然大きな音が鳴った。

驚いて振り向くとそこには紺野が立っていた。

「ご、ごめん…」

紺野は逃げるようにその場を立ち去った。

でもあたしは見てしまった。
あれは見間違いなんかじゃない。

…紺野…?泣いてた…?

自然に体が動き、あたしは紺野を追いかけようとした。
けれどそれは高橋に止められた。

「あいちゃ…」
「お願い…行かないで…」



あたしはその場から動く事が出来なかった。
102 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月29日(金)22時39分56秒
side O

遅いなぁ…。

あたしは待ち合わせした場所で安倍さんを待っていた。
なんかあったのかなぁ…。

ふぅ、っとため息をついて自動販売機で紅茶を買い、長椅子に座って待った。

と、急に視界が暗くなった。

「え?」
「…だーれだ?」


え…と、この声は…。


「…後藤さん?」
「後藤『さん』〜??娘卒業したからって『さん』はないでしょ〜?なっち〜」
「え、あ、ごめん!」

なんかあたし今日は謝ってばかりだなぁ…。

「…やぐっつあん?」
「え」
「やぐっつあん待ってるの?」
「ううん、矢口…なら帰ったよ」
「ふ〜ん?彼女置いて?」
「あ、なっち…ちょっと用があって…」
「ふーん…」

後藤さんはあたしの隣に座った。

「それ」
「ん?」
「一口ちょうだい」
「うん」

あたしは飲んでいた紅茶を後藤さんに渡した。
103 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月29日(金)22時48分44秒
コクリ、と後藤さんの喉が鳴る。

「ねぇ…?」
「うん?」

声をかけられ振り向いた瞬間、あたしの頭の中は真っ白になった。

「…ん!」
「…」

振り向いた時、後藤さんの顔は物凄く近くにあった。
そして重なった唇。

後藤さんは立ち上がり、固まったままのあたしを見下ろし、

「…やぐっつぁんには内緒ね?」

と、言い、紅茶をあたしに手渡して去っていった。

…何が起こったのだろう…。
今日は何かがおかしい。
これは夢じゃないのかな…?




…後藤さんは…安倍さんの事が………好き?
104 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月29日(金)22時52分48秒
ふぅ、ちょっと一段落しました。
主要人物が出ました、後藤さん&紺野さん。
これからどうしようかな?
ていうか、コレ読んでる人はいるのだろうか…?
105 名前:チップ 投稿日:2002年11月29日(金)23時13分21秒
読んでます。てかハマりました。
おがたか好きなんで(なちごまも・・・矢口ごめんなさい)
どうなるか楽しみにしております。
106 名前:なしこ 投稿日:2002年11月29日(金)23時25分51秒
>ホント活力源です。
いやいや(w、ごーしゅさんの文才に溺れているだけですって(笑
ダブル三角関係!!なんて大胆(w
これからどうなるのか、、、(汗
107 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月30日(土)22時12分01秒
105>チップさん
読んでくれてありがとうございます(涙
なちごまですか!なちごまには…なるかな…ならないかな…?
106>なしこさん
文才なんてないっすよ〜!いっぱいいっぱいです…。
108 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月30日(土)22時22分08秒
side A

何分たっただろう…。
高橋を抱きしめて…、フッと小川の顔がよぎった。

そういえば!約束!

「…愛ちゃん!」
「ん…?」
「…ゴメン…、あたしちょっとこれから安倍さんに用があって…」
「安倍さん…」
「終わったらすぐ連絡するから…!」
「…わかった」

高橋はあたしから離れて小指を出した。

「約束…」
「…うん」

あたしも小指を出し、指きりをした。

「じゃあ…」

あたしはその場を離れた。




紺野を追いかけられなかった事とと、
高橋をあのまま置いてきた事に胸がチクリと痛んだ。
109 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年11月30日(土)22時35分52秒
待ち合わせた場所に行くと、紅茶の缶を持ってボーっとしているあたし(小川)がいた。

「ごめん!遅くなって!」
「……いえ」

小川の顔は暗かった。

「…暗いね?なんかあった…?」
「…いえ、別にないです…」

あまりあたしの目を見ようとしない小川に疑問を持ちつつ、それよりもまず先にこれからの事を相談しなければ。

「…どーしたら、元に戻れるかなぁ…」

あたしが呟くと小川がぽつりと言った。

「また…あの場所から落ちてみるとか…。そもそもあそこが原点ですし…」
「う〜ん…」
110 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月01日(日)22時17分27秒
side O

安倍さんはあたしを見て「なんかあった?」って聞いてきたけど理由など話せる訳がなかった。


【後藤さんとキスしました】


…口が裂けても言えない。

安倍さんはあたしの事を気にしつつも、元に戻る方法を考えてる。

…あたしも…考えないと…。

あたしが出した一つの提案。
『またあの場所から落ちる事』

でも安倍さんはあまり良い顔をしなかった。

「…なっちたちさぁ、あそこから落ちたのにほとんど無傷だったよね?」

安倍さんは現場となった階段を見ながらあたしに問う。

…よく考えてみたら階段の上から下まで落ちたのに無傷ってのはオカシイ。

痛みはあった。
でもどこも怪我はしていない。
血だって出てないし、骨だって折れてない。


…ただ、中身が入れ替わっただけで…。
111 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月01日(日)22時29分24秒
「…なっちもさ、それは考えたんだよ。でも今度同じ事して大怪我するかもしれないし…、それにもとに戻れる保証もない訳だし…」

確かに…安倍さんの言うとおりだ。

「「うーん…」」

また二人で悩み始めた。

…。
…ほとんど無傷、か…。

「…外傷がないって事は…なんか、こう…、精神的な事ですかね…?」
「精神的な事?」
「階段から落ちても…、無傷で…体が入れ替わったんですよね?…体は問題ないけど心は異常になった訳だから…」
「…うん」
「二人同時に精神的ショックみたいなのが起きれば…、…や、でもそれは違うかなぁ…?」

あたしが話を続けていると安倍さんは目をぱちぱちしながらあたしを見た。

「ど、どうかしました?」
「え?…いや〜、小川って結構冷静だなぁと思って。きっとこれがののや梨華ちゃんだったらもっと大変だったろうな〜って」



…あぁ、それは確かにそうかも。
あたしもなんとなくそれはわかります。
112 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月01日(日)22時40分10秒
辻さんは多分泣いちゃうだろう。
石川さんはパニックになりそうですもんね。

…って失礼だな、あたし。

…あたしなんでこんなに冷静に考えてるんだろう?

確かに安倍さんと入れ替わった時、すごく動揺した。

でもその後起こった後藤さんの事の方が動揺した。
ていうか、今もしてる。

安倍さんと入れ替わった事の方が大事なのに。


…あたしの心の中には今の状況を楽しみたい自分がいるんだ、多分。


でもやっぱり戻りたい。
愛ちゃんと『あたし』として話がしたい。


…愛ちゃん…、あ!そういえば。

「安倍さん、なんで収録行く時愛ちゃん一緒じゃなかったんですか?」
「え」



安倍さんはばつが悪そうに下を向いた。
113 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月01日(日)22時44分19秒
少し更新。
もうちょっとなち&おがの会話が続きそうです。
てか、この話長くなりそうな予感。大丈夫か?自分よ。
おが結構頭の良い人になってるかもしれませんが気にしないで下さい(W
114 名前:チップ 投稿日:2002年12月02日(月)00時17分38秒
小川ってしっかり者さんなイメージあるけど
実際はすんごい泣き虫さんだから
本当に入れ替わったらののより泣いちゃうでしょうねぇ。
知的なまこっちゃんもかっこいいのれす。

115 名前:なしこ 投稿日:2002年12月02日(月)07時47分01秒
あはは!!結構頭の良い人になってるかもってそりゃあ、おがに失礼ですよ(w
でも、妙に似合いますよね〜♪
ごーしゅさんファイトぉ〜
116 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月02日(月)21時40分07秒
side A

小川…見てたのか…。

「ちょっと…喧嘩しちゃったみたいで…」
「え!」
「あ!でも大丈夫…だと思う…」
「はぁ…」
「ゴメン…」

小川は立ち上がり、空になった紅茶の缶をゴミ箱へ放り投げた。

「…愛ちゃん、結構意地っ張りなんですよ。で、ズバズバ結構言うくせに大事な事は隠したり」
「へぇ〜」

高橋は小川に愛されてるね〜。

「元に戻るまで愛ちゃんの事、よろしくお願いします」

小川はあたしに軽く頭を下げた。

「まぁ任せといてよ!」
「…泣かさないで下さいね?」
「う、うん」

目が怖いよ、小川。

「あぁ!そうだ、もう一つ聞きたい事があったんです」
「何?」

「矢口さんが言ってたんですけど…『約束』って何ですか?」

「約束…?」

約束?
なんだっけな?
えーと…。



「あ!!!!!」



あたしが急に立ち上がったから小川はびっくりしていた。
117 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月02日(月)21時53分45秒
side O

いきなり立ち上がった安倍さんに驚きつつも、あたしは聞いた。

「何なんですか…?約束…」

安倍さんは青ざめた顔でぽつりと言った。

「…今日…、矢口が泊まりにくるの…」

へぇ〜、泊まりにですか〜。
………。
って!泊まり?!

あの矢口さんが?!
あの、目が合うだけで「ちゅ〜しよう〜」って言ってくる矢口さんが?!
今日はまだ周りに人がいたから逃げれたものの…、家で二人っきり…?

これは…かなり…。

「…ヤバイですよね…?」
「……」

無言で下を向く安倍さんにガバッと腕をつかまれた。

「な、なんとか断ってみてくれない?!」
「え!で、でもかなり楽しみにしてましたよ?…断ったら…」

…どうなるかわからないですよ!

「…じ、じゃあ逃げ続けて!」
「に、逃げる?!」

あたしに必死に頼む安倍さん。



…やっぱ、襲われるんですかね…?

118 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月02日(月)22時05分32秒
114>チップさん
そーですね、確かに泣いてる姿よく見ます。
おがーは頭の回転が速そうなイメージがあるんですよね、私。
紺野さんとは別の頭の良さを持ってる感じ。

115>なしこさん
ありゃ、これはおがに申し訳ない。
謝らないと(W
応援ありがとうございます。でも更新量が少なくてすみませぬ。

なちおがの会話は二人が入れ替わってるって事がわかりにくいですね〜。
だめぽ。
119 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月09日(月)21時24分08秒
side A

その後も(矢口が泊まりにくるのもとても重要な事だけど、それはさておき)
元に戻る方法を考えた。
…けれど一つも戻れそうな方法は浮かばなかった。

「…う〜ん」

あたしが腕を組みながら唸ってると小川が話し出した。

「…この際、矢口さんと愛ちゃんに本当の事伝えませんか?」
「…あたし達が入れ替わったって?」
「はい…。なんかもうごまかし続けるのもやだな…って思って」
「…信じてくれるかな?」
「ダメもとで…今日矢口さんに言ってみます!」
「…そうだね…、わかった。あたしも高橋に電話して伝えてみるよ」
「お願いします!」
120 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月09日(月)21時33分26秒
『二人とも、用がないのなら早く帰りなさい』

遠くのほうからマネージャーさんの声が聞こえた。

「…じゃ、帰ろっか」
「はい」

とりあえずお互いが自分の鞄を持つと不審なので、あたしは小川の鞄を手に取った。

「…携帯とかも小川のやつ持ってた方がいいよね?なっちの携帯に小川の声で出たら変だし…」
「そーですね…」

小川はあたしの鞄を手にした。

そしてお互いの住所が書かれた紙を交換した。

「じゃあ、健闘を祈る」
「はい、安倍さんも」

あたしは小川に手を振り、その場から去った。
121 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月09日(月)21時47分41秒
side O

…ハァ。
さて、どう伝えよう。
もしコレが失敗したら…あたしは矢口さんに…………。
…いや、考えないことにしよう…。

安倍さんを見送り、あたしも帰ろうとした時、あたしの目の前を通った人物。

「あ…、紺野?」

みんな帰ったと思ったのに…。

「…安倍さん…」

…あ、さ美ちゃん…?
目が赤い…。

「…泣いてた…?」

あたしが聞くとあさ美ちゃんは目をごしごしこすってニコッと笑った。

「安倍さん、お疲れ様でした」

一言だけ言うとあさ美ちゃんは逃げるように帰ってしまった。

…なんで…そんな、辛そうな笑顔…。


愛ちゃんがしきりにあさ美ちゃんを気にしていた事。
あさ美ちゃんが…泣いていた事。



やっぱり…安倍さんに詳しく聞いてみるべきだったのかもしれない。


122 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月09日(月)22時07分29秒
side A

突然、ポケットに入れた携帯がけたたましく鳴った。

びっくりしてディスプレイを見るとメールが届いたようだった。


【ちょっと会えないかな?話がしたいんだけど…。 あさ美】


「…紺野…」

あたしは迷った。

入れ替わってみてわかったけどきっと、…いや絶対紺野は小川の事が好きだ。

小川は気がついてるのかな…?
…そして紺野が小川の事が好きだという事をきっと高橋も気づいてるはず。
でなかったらあんなに睨んだりしない。

…ここは会うべき?会わないべき?

小川ならどうする?

……矢口…ならどうするかな?

高橋の気持ちは?

もしこれがあたしと矢口と誰かの話だったら…?

…あたしは会って欲しくない…。

紺野は?

紺野はどうするの?

………。

…あたしは…。




紺野を放っておく事が出来ない。


【いいよ。どこにいけばいい? 麻琴】





小川なら…こんな時どうする…?
123 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月09日(月)22時16分30秒
ヤバイ…。かなり駄文化してきた…。もともとそうだけど…。
悩むおが、悩むなち。
これから少しおが(中身はなち)こんの話になります。
124 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月10日(火)21時26分06秒

約束した場所(公園)に行くとすでに紺野はいた。

「…ゴメンね?急に呼び出して…」
「ううん、気にしないで」

あたしと紺野はベンチに腰をかけた。

……沈黙…。

どうしようかなぁと悩んでいると紺野が話し始めた。

「さっき…ゴメンね。見るつもりじゃなかったんだけど…」
「……あぁ」


『さっき』っていうのは多分高橋といた時の事。


「…泣いてたね?」

あたしが紺野に問うと慌てた素振りで必死に弁解した。

「あ、あのね、あの時あくびしてたんだ」

紺野はニコッと笑った。

嘘をつくのが下手だね、紺野。
声、震えてるよ?
目だって泳いでる。

ショックだったんでしょう?
小川(あたし)と高橋が抱き合ってるのを見て。
だから泣いてたんでしょう?


体が勝手に動いた。
気がついたら紺野を抱きしめていた。

「ま、まこっちゃ…」
「……」
「ダメだよ…!愛ちゃ…が…」
「……」

あたしは抱きしめていた体をばっと引き離した。
125 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月10日(火)21時44分32秒
「あさ美ちゃん、なんか悩みがあったら相談してよ!親友なんだから!」

あたしは笑顔で紺野に言った。



気がついた?
多分…何も知らない小川だったら言うであろうセリフだよ?

『親友』って言葉の意味。

「まこっちゃん…」

紺野は一瞬悲しそうな顔をしたけど、またすぐに笑顔になった。

「うん、相談するね」

一言だけあたしに言うと紺野はベンチから立ち上がった。

「ありがとう、来てくれて」
「ううん」

紺野はあたしの顔を見ようとしない。
泣いてるかもしれない。
でも、これしか方法がなかったから。

「じゃあ、また明日ね」

あたしはなるべく明るくその場を去った。
一人になりたいだろうから。

あたしの言葉に紺野からの返事はなかった。





あたしはこれでよかったんだって何回も心の中で繰り返した。

けれどなぜか涙が止まらなかった。





幸せの裏側って辛いんだね。

126 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年12月14日(土)01時13分31秒
なっち天使!ちょっと大人なマコかっこいいっす!
127 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月14日(土)13時56分30秒
切ない…
128 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月14日(土)22時45分29秒

あたしは紺野と別れ、家へと向かっていた。

自分の事じゃないのに涙が止まらない。

小川は高橋と付き合ってるんだもん…。
しょうがないよ…紺野。

下を向いて歩いていると急に後ろからぐいっと手を引っ張られた。

「!?」

振り返ると帽子を深くかぶった人物。

どうしよう!
あやしい人?
誰かに助けを求めないと…!

「助け…!」
「…がわ!あたしだよ!ごとー!」

ごっちん!?

「何泣いてんのさ?みんなにバレバレだよ?」

ごっちんはあたしを気遣ってひと気のない所へ移動した。

「…ごめんなさい」
「いや、別にいいんだけどさぁ〜。どうかした?」

ごっちんは心配そうにあたしを覗き込む。


129 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月14日(土)23時00分16秒
あたしは迷ったけど今あった出来事をごっちんに話してみた。

ごっちんは人にベラベラ話すタイプではないし、あたしは信頼してるから話しても問題ないと思った。
…勝手に小川と高橋と紺野の事を人に話すのはどうかと思ったけど…。


「…そっかぁ、紺野が…」
「…はい」
「で、何で小川が泣いてるの?」
「え…」
「紺野をふったから?」
「…」
「…泣いたらだめだよ。…紺野が勝手に好きになったんだから。小川が泣く事なんてないよ…」

ごっちん…?

「恋人がいる人好きになったんだもん。それくらい紺野だって覚悟してたよ…」

泣きそう…?

「優しいね、小川」

なんで…?



「多分…、ごとーの好きな人も優しいから…苦しんじゃうだろうなぁ…」



最後のごっちんの言葉は車の音でかき消されて聞こえなかった。
130 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月16日(月)21時28分14秒
side O

…どれくらい時間がたっただろう…。
家に入る勇気がなくてドアの前でうろうろしているあたし。

矢口さんからは【まだー?】とか【遅ーい!】とかメールが届く。

…この中には矢口さんがいて…、
中に入れば矢口さんと二人きりになる訳で…。


どうしよう。


きっぱり本当の事話すって言ったくせに今更怖気づく自分が嫌になる。
…でもこの扉を開かなきゃ何も進まないから。

あたしは意を決してドアを開けた。

「…た、ただいま」
「なーっちー!!!」

前方から物凄い勢いで走ってくる矢口さん。
そしてあたしに抱きついた。

「遅いよ〜!」
…う、そんな上目遣いで言わないで下さい…。
「…ごめん」
「ま、なっちだから許すけど〜。早くあがってよ!って、ヤグチんちじゃないけどさ」

靴を脱いで部屋に上がるといい匂いがした。

「カレー…?」
「そ、ヤグチ最近料理始めたばかりだからなっちみたいに凝ったやつ作れなくて」

へへへ、と笑う矢口さん。


ふと、脳裏に愛ちゃんがよぎった。
131 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月16日(月)21時56分40秒
******
「愛ちゃん!鍋!焦げ臭いよ!」
「うそー!あ〜焦げてる…」
「愛ちゃん…、カレーくらい作れるようになろうよ…」
「麻琴が見ててくれれば焦げなかったのにー」
「…いや、「麻琴の為に作るから楽しみに待ってて」って言ったのはどこの誰?」
「…う、あたし…」
「あーもう!怒ってないからさ、そんな泣きそうな顔しないでよ〜?ね?食べよ?」
「…うん」

「「いただきまーす!!」」

******

「…っち!なっち」
「ぅえ?」
「もう!ぼーっとしてないで早く食べよう?」
「あ、うん」

テーブルの上にはカレーライスとサラダ。
向かい合って座り、手を合わせた。

「いただきまーす!」
「いただきます」

パクッ。

モグモグ…。

…コレは…。

なんていうか…。






…辛っ!

ゲホゲホとむせ返るあたしを見て矢口さんはケタケタ笑った。

「遅く帰ってきた罰〜!」

…なんか言い返したいけど辛くてそれどころではない!
水を流し込むけど辛い、てか痛い。

何入れたんすか、矢口さん…。

あまりの辛さに涙がポロポロ出てきた。

泣いてしまったあたしを見て矢口さんは驚いてあたしの隣にやってきた。
132 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月16日(月)22時03分44秒
「ゴメン!そんなに辛かった?!」

声が出せないのでコクコクとうなずく。

「うぅ…ごめ〜ん…」

矢口さんはしゅんとしてしまった。

「はひ…じょうぶだよ…」
「ごめん…、ちょっとしたイタズラだったのに…、まさか泣くとは思わなくて…」

はは…、あたし泣き虫なんで…ね。

それから矢口さんはジュースを出したり、果物を出したり、アイスを出したり
133 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月16日(月)22時07分15秒
してなんとか辛さを和らげようとしてくれた。

…は、早く言わなくちゃ…!
長引くと言えなくなっちゃう…。

「矢口さん!」
「へ?」

矢口さんは急に大きな声を出したあたしに驚き目を丸くした。

「実は………」
134 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月16日(月)22時14分46秒
何か失敗した…(鬱
126>なっちは天使です。その一言に尽きます。
うちのおがーは矢口さんといるとへタレになってしまうようです…。
127>紺野さーん!!(号泣
大丈夫、キミも幸せになるから(多分…

なんか次スレ立ちそうな感じ…。
長編書くと短編書きたくなる罠。
135 名前:青のひつじ 投稿日:2002年12月18日(水)22時00分46秒
うう・・・
紺野に泣いた。
更新楽しみです。
136 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月21日(土)23時14分06秒
side A

それからごっちんはあまり話さなくなった。

「…ごとーさん?」

あたしが顔を覗き込むと「ゴメンゴメン」って言ってふにゃっと笑った。

「ま、とりあえず小川はいつもと同じように紺野に接する事!変に避けたりしたら傷つくんだからね!それと、あんまり考え込まないようにね?」
「は、はい!」

あらら、励まされちゃった。
…ごっちんも大人になったんだね〜。

…そーいえばごっちんて好きな人とか…どうなんだろ?

いつもそれ系の話になると逃げられちゃうんだよね…。
矢口と三人で話してる時も…。
137 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月21日(土)23時23分49秒
******

「ごっつぁんって好きな人とかいないの〜?」
「えー?」
「あ、なっちも聞きたーい」
「…別にいないな〜」
「うそー?」
「ほんとにー?」
「ホント、いたら二人に言ってるって!」
「そっか」
「好きな人が出来たらヤグチ達に言うんだぞ?協力するから!」
「…うん」

******

そういえばあの時も今みたいな顔してたかも…。

「後藤さん」
「ん?」
「後藤さんって…好きな人…」

核心をつこうとしたら携帯がなった。

もう、いいとこだったのに…。
誰だよ〜。

「ん、携帯なってるよ?けーたい〜」
「あ、ちょっとすいません」

あたしは携帯を取り出し電話に出た。

「もしもし?」
『あたしだけど…』

この声は…。



高橋!!
138 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月22日(日)16時41分23秒
気になるシーンが連続だ
139 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月24日(火)21時09分22秒
やばい…、あたし話が終わったらすぐ電話掛けるって言ってたんだった…。

「ごめん!遅くなって!」
『……』

うわぁ…無言だ…。
どうしよう…。

あたしがおろおろしていると目の前のごっちんの口がパクパクしているのが目に入った。


【ごとー、帰るから、頑張れ】


声には出さなかったけど多分そう言った。
そして手を振り帰って行った。

…ていうか帰るの?!ごっちん!
助けてよぉ…。

そんな事を思っていると高橋が話し始めた。

『…あさ美ちゃん…?』
「え?」
『あさ美ちゃんといるの…?』
「いないよ!」
『そう…』

やばい!
この展開!
絶対一緒にいると思ってるし!



今しかない!!!



「高橋!!」
『…へ?』
「実は………」
140 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月24日(火)21時22分06秒
side O

「あたし小川麻琴なんです!!」

言った!
言い放った!
…言ったぞー!!

………。

目の前の矢口さんは今にも「はぁ?」って言いたそうな顔。
…まぁ普通そうでしょうね…。

「や、矢口さん…」
「……ヤグチの目の前にいるあなたはなっちじゃなくて小川だと…?」
「はい…」
「…なっち…、疲れてるんだよ…」
「本当なんですって!」

あたしが詰め寄ると矢口さんも大声を上げた。

「そんな事言われたって「そーですか」なんて言えないっつーの!」
「でも本当なんです」

やば。

「事実なんです」

涙が…。

「信じて下さい…」

…止まらない。



安倍さん…。
安倍さんの方はうまくいってますか…?
141 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月24日(火)21時41分20秒
side A

「実は…」
『…実は…?』
「実は〜…」


…なんか言うタイミング…はずした。
言うぞ!って力んだ拍子に言葉が飛んでった。

だいたいさぁ!体が入れ替わったって聞いて信じてくれる人ドコにいるんだよ!
いるんなら出て来い!
なっちが相手になってやる!

…って逆ギレしてる場合じゃない!

…いいや。
明日言う事にしよう。
うん。

『実はなんなの…?』
「あ、あのね、あさ美ちゃんと、会ってた」
『……!』
「でもね?あたしは愛ちゃんが好き。好きなのは愛ちゃんだけ」
『…』
「あさ美ちゃんにもそれは伝わったと思う…」
『…』
「だから安心してていーよ?」

…こんな感じ?
小川って。
よくわかんないよ。

『麻琴』
「は、はい?」
『今すぐ会いたい』
「うん…」
『来て』
「ん」

あたしは電話を切り高橋の家に向かおうとした。

…。
あたし家知らないよ…?

しょうがない、小川に電話して家を聞くか。




あたしは小川に電話を掛けた。
142 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月24日(火)22時02分28秒
135>紺野さん切ないですね。
なんかこう…、可愛そうなキャラになってしまった…。
ごっちんもかわいそうなはずなのになぁ〜。
138>重要シーンがちょっと固まってしまいましたね(鬱
初心者なんでお許しを…。

更新スピード遅いは、更新量少ないはで申し訳ありません…。
放置はしませんので長い目で見てやって下さい(土下座
143 名前:なしこ 投稿日:2002年12月26日(木)12時43分59秒
いえいえ、十分早い方ですよ〜。
私のお気に入りの作者さんの中では一番早いです。
ごっちんも紺野さんもいつか幸せな日が来るといいですね〜。ふたりともいい子ですから。
144 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月26日(木)22時14分01秒
side O

…遠くの方から着信音が聞こえる…。
泣いてるから音があんまり聞こえないけど…。

「携帯…鳴ってるよ…?」

矢口さんは泣いてるあたしに気まずそうに話しかけてきた。

「…っく…」

でも涙の勢いが止まらなくてとても電話になんか出られそうにない。


鳴り続ける携帯。


「ヤ、ヤグチが出るぞー?いいのー?」

気遣って明るく接してくれてる。

あたしは矢口さんの問いかけに頷いた。

矢口さんは鞄の中から携帯を取り出し、通話ボタンを押した。


ピッ。


『…もー、小川ー、早く出てよ!急いでんだからさぁ〜』
「………」
『小川?あ、あたしだよ〜、なっち!』
「…なっち…?」
『!!?矢口!?』




…どうやら電話の主は安倍さんのようだ…。
145 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月26日(木)22時26分47秒
「…本当なの?ほんとに…今ここにいるのが小川なの?」
『やぐ…』
「ちゃんと説明して!今すぐここに来て!」
『…わかった。矢口…、小川と替わってくれないかな…?』
「ん」

矢口さんはあたしに携帯を差し出した。

「…なっちから…。小川に替わってって」

あたしは携帯を手にした。

『…小川?矢口に話したの?』
「はい…、でも信じてもらえなくて…」
『そんな時になっちが電話したと…』
「はい…」
『…今からそっちに行くから。高橋も連れて行く、いいよね?』
「わかりました…」
『じゃあ、あとで…』

あたしは電話を切って矢口さんの方へ振り向いた。

「…なっちが来たら…、詳しく聞くから…、ちょっと考えさせて…」


矢口さんは寝室の方へ行った。




…あたしはその場にしゃがみ込み、携帯を握り締め、安倍さんと愛ちゃんが来るのを待った。
146 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月26日(木)22時39分47秒
side A

あたしは小川との電話を切ると、すぐに高橋に電話を掛けた。

「…もしもし」
『麻琴…?着いたの?』
「ううん、よく聞いて?今から安倍さんちに行って?」
『安倍さんち…?なんで…』
「理由は後で話すから。今から言う住所のとこだから」

あたしは住所を高橋に教えた。

「あたしもこれからすぐ向かうから、お願い」
『……わかった』

あたしは電話を切った。

小川が矢口に言ってくれた事でもしかしたらいい方向へ向かってるかもしれない。

…ごめんね、小川。
なっちは高橋に言えなかったのに。
あとで謝るね。


元に戻れる訳じゃないけど、何か前進するはず。




あたしは首に巻いていたマフラーを巻きなおし、自分の家へ急いだ。
147 名前:ごーしゅ 投稿日:2002年12月26日(木)22時49分38秒
次あたりから四人集結します。
今山場なのかしら…?書いててわからん…。

>143
「お気に入り」になってるんですか!こんな小説が!
あわわわ…、どうしよう…(震
皆さん、後藤さんと紺野さんが気になるご様子ですね(W
148 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月29日(日)10時13分00秒
>後藤さんと紺野さんが気になる
なりますねぇ。がんばってください。作者さんのペースで。
149 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月06日(月)21時17分34秒
side O

安倍さんと愛ちゃんはまだ来ない。

一人ぼっちでリビングに座り込むあたし。

静かな部屋に…一人。

矢口さんは寝室に入ったまま出てこない。

…………。

早く戻りたいよ…。

初めはちょっとドキドキして楽しかったけど…、もうやだ…。

愛ちゃん…。

また涙が出そうになった時、矢口さんが部屋から出てきた。

「矢口さん…」
「ごめんね、小川。…小川なんだよね?言われてみれば雰囲気がなっちとは違う気がしてたんだ」
「…」
「不安なのに一人にしてごめん。ヤグチ、ダメな先輩だったね」

優しい言葉に反応するかの様に涙が溢れ出した。

「な、泣くなよ〜!大丈夫だよ!なっち達が来たら一緒に考えよ、ね?」
「…はい」



全然ダメな先輩じゃないですよ?矢口さんは。
150 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月06日(月)21時30分45秒
side A

家の前に着くと高橋の姿があった。

「麻琴!」
「高橋!」

名前を呼ぶとちょっと怪訝そうな顔であたしを見た。

「…さっきもそうだったけどなんで名字で呼ぶの?」
「あとで…全部説明するから」

あたしは高橋の手を握り、自分の部屋に向かう。
高橋は何も言わず、ついてきた。

インターホンを鳴らすと何やら中からドタバタ聞こえた。

扉を開けるとすぐ目の前には、あたしに抱きつくまで一秒前くらいの矢口と、
その後ろで携帯を握って立っている小川が見えた。

「うわぁ!」
「なっちーー!!」
「安倍さ〜ん…」
「????」

高橋だけ理解してないからびっくりした顔で頭の上には?マークが飛んでいた。

「ちょ…、矢口、高橋に説明しないと…」
「うん、わかった、中入って!」

中入ってって…ここはあたしんちでしょうが!

部屋に入ろうとすると小川が不安そうな顔であたしを見ていた。

「大丈夫だよ!小川!強い味方が出来たしね」




あたしは小川の肩をポンっと叩くと高橋を連れて中に入った。
151 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月06日(月)22時00分20秒
矢口は「紅茶でいいよね?」とか言いながら飲み物の用意をしている。

小川は気になるのかチラチラと高橋を見ている。

高橋は何がなんだかわからないという感じ。


…矢口って順応するの早いね…。


「…どこから話そうかな…」
「待って!なっち、まだ用意が…」

ずっと黙ったままだった高橋が口を開いた。

「…どういうことですか?」

喋りだした高橋にビクッと体をこわばらせた小川が何か言いたそうだったけど、何も言わずうつむいた。
入れ替わった事、矢口には話せたけど、高橋には話せないみたいだった。

「…あのね、よく聞いて?これは嘘でも冗談でも何でもないの」

興奮気味の高橋を落ち着かせる為、出来るだけ優しく話しかけた。


「なんかね、体が入れ替わったんだって!だから小川の姿してるのがなっちでなっちの姿してるのが小川ってワケ」


…あたしがわざわざした前置きを台無しにしてくれてありがとう…。
って矢口!ダメじゃん。


高橋は矢口の言葉を聞き、小川の方を見た。

「愛ちゃん…」
「麻琴…?」

高橋はは少しの間小川を見たけれどすぐに視線をはずした。
152 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月06日(月)22時16分01秒
「…信じられません」

高橋の言葉に小川は泣きそうだった。

「今から説明する、矢口もこっちに来て」
「うん」

矢口は四つのティーカップを持ちあたしの隣に座った。

「…朝、あたし飲み物買いに行った事、覚えてる?」
「うん、確か先に小川が出てったよね」
「はい…」
「一緒に行こうと思って小川を追いかけたの」
「うん、で?」
「話しながら歩いてたら目の前の階段に気がつかなくて…」
「…」
「二人で落ちたの」

「そうしたら…入れ替わった…って事ですか?」

高橋はあたしの目をじっと見つめた。

「そう…、なんで入れ替わったかはあたし達にもわからない」
「……」

まだ疑ってる感じだ。
当たり前か…、矢口がすぐに納得しすぎなんだよね…。

「………あった……は…?」
「え?」
「あたしと麻琴が付き合い始めた日は…?」

高橋はあたしの肩をつかみ、問いかけてきた。

「…わからないよ」

あたしがそう答えると高橋は小川の方へ振り向いた。

「…9月14日。愛ちゃんの誕生日…」




ぽつりと話した小川の言葉は高橋にも届いたようだった。
153 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月06日(月)22時22分33秒
中途半端ですがいったん切ります。
何か無駄に長くなってきた…。

148>後藤さん、紺野さんの話が出てくるのはもっと後になりそうです…。
更新スピード遅っ!っと思っても何卒温かい目で…。
154 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月09日(木)22時59分17秒
初めて読ませてもらいました。
これかなりはまりそうです。
続き期待してます。
矢口受け入れ早!
でもそういうイメージですよね。
がんばってください。

155 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)21時49分00秒
side O

あたしがそう言うと愛ちゃんは安倍さんの肩に乗せていた手を引っ込めた。

安倍さんは困ったような顔をして愛ちゃんに、

「ホラ、ね?」

と言った。

「でも…」

愛ちゃんはまだ信じていないようだ。
自分で伝えるしかない、そう思った。

「愛ちゃん、あたしが小川麻琴。外見は安倍さんだけど…。信じてって言っても無理かもしれないけど本当なんだよ」

愛する人に信じてもらえるように、出来るだけ笑顔で言った。

『麻琴の笑った顔が好き』

愛ちゃん、言ってたから。

と、思い出していてハッと気がつくと首に腕を回され、いい匂いがした。



愛ちゃんの匂い。
156 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)22時04分55秒
「麻琴だ…」
「え…」
「今の笑顔、麻琴だった…」
「うん、そう、あたしだよ…?」
「…麻琴ぉ〜」

愛ちゃんは嬉しそうな顔であたしを抱きしめた。
あたしも嬉しくて抱きしめ返した。




「…ゴホン」




咳払い。

顔をあげると照れくさそうに笑う安倍さんと、
少し怒っているような顔の矢口さん。


あ。


あたし今安倍さんの姿だった。

てことは…、周りからは安倍さんと愛ちゃんが抱き合ってる風に見える…、やば。

あたしは名残惜しかったけど愛ちゃんの腕をはずした。

「…信じてくれてありがとう。えっと…、でこれからどうします?」

なるべく明るく聞いてみたけれど矢口さんはまだ少し怒ってるっぽいなぁ…。
ていうか…、これはしょうがなくないですか?矢口さん…?

「あー…、えーと、信じてくれたわけだよね?」
「はい、…信じられないけど、信じました」

愛ちゃんがそう言うと、安倍さんはふうっと息を吐き、

「よかった」

と微笑んだ。

その顔を見た愛ちゃんの顔は…赤かった。



何か、複雑だなぁ…。
157 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)22時21分47秒
side A

「で、何か元に戻れそうな案はある訳?」

ムスッとした顔で矢口が聞いてきた。
…なんで怒ってるの?

「いえ…、ぐ、具体的にはまだ…」
ビクビクした感じで小川が答える。
…なんで怯えてるの?

「なんか同じ様なショックを与えてみるとかは?」
「うん、また階段から落ちてみよっか、って思ったんだけど元に戻らなくて大怪我するってオチは嫌だね、ってことでそれはやめた」
「あー、そうだねー」

「あのー…話変わるんですけど…」
「ん?どーした?高橋」
「今日は…ほとんど麻琴は安倍さんだった訳ですよね…?」
「うん、朝から」
「あたし抱きついたりしましたよね…」
「…あ、でもそれは知らなかった訳だしねぇ…」

高橋の顔はみるみる真っ赤になった。

「すみませんでした〜、もぉ…はずかし〜」

高橋は手を頬にあて、熱くなった顔を冷やしているようだ。

「あ、それを言うならヤグチもそうだ」

と、矢口は手をポンッと叩いた。
158 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)22時38分58秒
「ヤグチ、小川にキスするとこだったよ」

「「え!?」」

同時に出た声の主はあたしと高橋。
小川は苦笑いを浮かべてる。

「だって〜、知らなかったんだもん。いつもと同じように拒むし」

まぁまぁ…と言いながら手をひらひら動かす。

矢口…。

「ま、まぁ、今はそれより元に戻る方法を…、ね?」

焦った感じで小川が言う。

うん。
今は元に戻ることを考えよう。
今は。

「でも、方法って言ってもねぇ…」
「二人同時にびっくりさせるとかは…」
「びっくりって…」

あーだこーだ考えてると高橋がパチンと手を叩いた。




「キスしてみませんか?」




「「「はぁ?」」」

「なぜ?」
「今?」
「キスを?」

あたし達三人は高橋に詰め寄った。

「だってキスするとドキドキして頭の中が真っ白になったみたいになるじゃないですか?」

「……今更ならな…痛」

矢口の頭を軽く一発。
159 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)22時51分32秒
「で、真っ白になったところで頭を叩くんです!」

叩くんです!って…、何か荒っぽいな高橋。

「待って?誰が叩くの?」

小川が尋ねる。

「あたしと…矢口さんが」
「ヤ、ヤグチが?」

「…じゃあ誰がキスするの?」

何か…嫌な予感するんだけど…、一応…。

「安倍さんと麻琴!」

「「「はぁ!?」」」

「だって入れ替わったのは安倍さんと麻琴でしょ?」
「「う、まぁ…」」

「ちょっと待ってよ!なっちと小川がキスしてもいいの!?」
「じゃあ…何か他に方法ありますか?」
「…う、ないけど…」

あたしは小声で小川に話しかけた。

「ねぇ…、なんか高橋人格変わってない…?」
「…たまに突っ走っていく時があります…」
「少し楽しそうに見えるんだけど…」
「多分…楽しんでると思います…」

矢口よりタチ悪いなぁ高橋…。

「う〜、やっぱやだー!なっちが他の人とキスするなんてー!」

手をじたばたさせて反抗。


おもちゃ買ってー!って駄々こねる子供のよう。
160 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)23時06分12秒
「元に戻らなきゃ一生安倍さんとキスできませんよ?」
「う…」
「それに矢口さんと麻琴、安倍さんとあたしが一緒に居たら少し変だなって思われますよ?」
「うぅ…」

どんどん高橋に説得(と言うかあれは説教に近い)されどんどん小さくなる矢口。

「…高橋の案は頭の中を真っ白にさせて衝撃を与えたら元に戻るかも…?って事だよね」
「はい」
「別にキスしなくても…」
「じゃあ他に何か方法はありますか?」
「え、…いや」

かなり一人で突っ走ってるね、高橋。

「…あぁなったら誰も止められないですね…」
「小川でも…?」
「はい…」

「早速試しましょう?」

高橋は立ち上がり、あたしと小川を向かい合わせに座らせた。

「うー!くそぅー!早くするならしろぉー!」

どうやら矢口は腹をくくったようで。
て、あたしの心の準備が。

目の前の小川はふぅっとため息をついた瞬間目があった。

「すみません、なんか変な方向行っちゃって…」
「べ、別に…」



な、なんかドキドキしてきたんだけど…。
161 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月13日(月)23時16分59秒
更新…。
高橋暴走警報発令。矢口さんよりタチ悪し。
変な雰囲気安倍さんと平然な態度(を装ってる)小川さん。
この先どうなるんだ?(謎

154>読んでいただいてありがとうございます!
矢口さんは多分こんな感じだろうなぁって思ったんですけど、高橋さんは違います。
こんなはずではなかったのに、おかしいなぁ。
162 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)14時21分08秒
高橋おもれー!どんどんいこう。
続き期待。
作者さんがんばってください!
163 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月16日(木)18時17分47秒
side O

まいったな…キスしろとか言い出すとは…。
てか、他の人とキスしていいの?愛ちゃん?!
たまに何考えてるかわかんない時があったけど、今日は過去最高にわかんないよ。

「小川…?」
「は、はい?」
「…えっと、どっちからするの…?」

え?ああ!キスですか!それは…。

「なっちからキスするのはダメ!ヤグチだってなっちからキスされるなんて数えるくらいしかないんだから!」
「…でもあたしからキスしたら安倍さんからキスしてる風に見えますけど…」
「うう〜…」

矢口さんは頭を抱えて唸っている。


「矢口さん全ては元に戻るためです!諦めて下さい!て事で、安倍さんからキスして下さい」


「え!なっちから?!」
「はい!」

…そこまで決めてるの、愛ちゃん。

安倍さんは少しぽ〜っとしてたけど覚悟を決めたのか真剣な目であたしを見下ろす。

「じゃあ…、小川…目瞑って…」

まじですか?!
まままままま、待って下さい、あたしまだ心の準備が…。


頭の中が真っ白になった。





やわらかい感触が唇に伝わった。



…まさか自分(の姿をした安倍さん)にキスされるとは思わなかったよ…。
164 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月16日(木)18時42分11秒
…いつもと違う人とキスすると頭の中って真っ白になるもんだね。
なんてこと考えるあたしは少しは余裕があるのだろうか。




と、突然の衝撃。



頭を殴られた。

いた…い…よ…あいちゃ…もうちょ…と…てかげん…。


倒れる瞬間目を開けると目の前にいた人物はすでに倒れていた。





…それは間違いなく『あたし』ではなかった。



戻れた…?と思いながらあたしは気を失った。
165 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月17日(金)12時31分36秒
おぉ、ついに?!
166 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月18日(土)20時14分53秒
side A

………………。

『なっち!』

……矢口?

『早く起きないと置いて行っちゃうよ?』

…え?待って矢口!

『早く…目を覚まして…』





「矢口ぃー!!!」





がばっと起き上がったら、少し頭がくらくらして蛍光灯の灯りが眩しかった。

「あ…れ?…あたし…?」
「なっち?!」

目の前には心配そうな顔のあたしの恋人『矢口真里』。

あぁ、戻れたんだ。
鏡なんて見なくたってわかる。
『自分』に戻った感じ。

「……ただいま、矢口!」

そう言うと矢口はとびっきりの笑顔になった。

「おかえりー!なっちぃー!」

がばって抱きついた矢口に「やめろよー」とか言いながらも幸せをかみしめるあたし。


……。
………!

「…小川はっ?!」

あたしが尋ねると矢口は「あっち」と指をさした。

そこには高橋と手を繋いで笑い合ってる小川の姿。

「小川!」
「安倍さん!」


「「戻れてよかったーーー!!!」」


あたしたちはぎゅーっと抱き合って元に戻れた事を喜んだ。
167 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月18日(土)20時30分03秒
「はいはい!」

矢口が手をパンパンと叩く。

「元に戻れたんだから二組とも二人の時間を過ごしましょう?と言うことで小川と高橋帰りなさ〜い!」

二人の荷物を持ってきて手渡す。

「んじゃあ、二人もお幸せに〜」

半ば追い出す感じで二人を帰そうとする。

「もー、矢口!」

注意しようとすると小川は笑いながら、

「邪魔者は帰ります、ね?愛ちゃん?」

と高橋と目を合わせ笑い合い帰って行った。

帰ったと同時に矢口の腕があたしの腰に巻きつく。

「やーっとなっちと二人っきりになれたー!」

うん。
やっと。
逢えたね。


でもさ。

「本当に小川とキスしてないよね?」

「あ、当たり前じゃん!」

「ふーん…」

「信じてない…?」

「ううん、矢口はあたしの事信じてくれたから信じるよ」

「…なっち」


部屋には愛する人と、愛する人が作ったカレーの匂いがした。
後で食べようか?二人で。


戻れて…良かったよ矢口?

高橋も可愛かったけどさ、なんて言ったらきっと拗ねちゃうね?
168 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月18日(土)20時46分24秒
side O

二人で手を繋いで月明かりの下を歩く。

「…ほんとにあんな方法で元に戻るなんてなぁ〜」
「うん、あたしもびっくり」
「言い出した張本人のくせに」
「あははっ」

あ、そういえば、一つ疑問。

「なんでさぁ、あんなにキスすることを進めた訳?どっちがするかとかも決めたりさ」

問いかけると少し照れたように言った。

「本当はキスして欲しくなかったよ?…でもさぁ、麻琴って…いつもどんな風にあたしにキスするのかなぁって思って」
「は?」
「安倍さんがキスすれば麻琴がしてる風に見えるでしょ?」
「…あー」

…なるほど。

「それだけ!」
「それだけ…」

うん、やっぱりあなたの言う事、思う事はたまに理解できないね。

でも、ま、いっか。戻れたんだし。

「…あの時の言葉は安倍さんが言ってたのかぁ〜」

「えっ?」

「麻琴にしてはかっこよすぎだと思ったんだよね〜」

「何のこと?」



あたしが頭の上に?マークを浮かべるとぱしっと背中を叩かれた。
169 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月18日(土)21時01分05秒
「いっ…!」

「麻琴、まだ忘れちゃいけない事残ってる」

少し悲しげで、不安そうな顔の愛ちゃんからあたしは直感というか、なんというか、とにかくピンときた。


矢口さんの言った事が本当なら。


愛ちゃんの不安の原因があたしの思う事と一緒なら。


「…大丈夫、ちゃんと…わかってるから」

愛ちゃんの手を強く握ると愛ちゃんも握り返した。

矢口さんの言葉を聞いて「嘘だ」って思う反面「やっぱり…」って思う自分も居たんだ。

…なのにあたしはずっと逃げていたんだ。

はっきり言ったら…今が崩れていきそうで。

でももう愛ちゃんを不安にさせない。

わかってる。


ちゃんとわかってるよ?愛ちゃん。
170 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月18日(土)21時12分48秒
162>名無し読者様
頑張り疲れました(W
高橋さん、最後の方おかしかったですね。失敗…。
165>名無し読者様
ついに…戻りました、戻れました。
意外にあっけない感じになってもた。うん、まあ良かった良かった(逃

一応これで終わりなんですけど、番外編という感じで後藤さん、紺野さんの話を書きたいと思ってます。
…の前に全く関係ない超短編(オガタカorこんまこor吉松)がいきなり入るかもしれませんので、ご了承下さいませ。
興味ない方は超短編の方は無視という形でお願いします。
171 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月18日(土)23時02分37秒
今日ハジメテ知って一気読みさせて頂きましたオナカイパーイ
まこあい大好き人間なんでこんなすばらしい作品に出会えて
めっさうれいしいです!番外編楽しみにしてます。
172 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月21日(火)20時45分07秒
・飛行機・

芝生の上に寝転んで空を見上げた。
吸い込まれるんじゃないかってくらいの青さだった。

「…海みたいだぁ…」

両手を広げて空に向かって平泳ぎをしてみる。

「…何やってんの?」

「空が海に見えませんか?だから泳いでるんです」

「…そう」

少し呆れた感じで隣に座るあなたの手は、すぐにあたしの手を見つけ強く握る。

「意外とロマンチックなんだね」

「『意外』ってなんですかー!」

ふいに強い風が吹いて、乱れる髪を直すしぐさにドキッとした。

「寒いでしょ?」

晴れてても今冬なんだから、と長めのマフラーを半分こ。

なんか嬉しい。

「えへへ…」

「何か今日は女の子っぽいね」

その言葉に反論しようと思ったら。
冷たくなった頬を触られ、重なった唇。

「なんか特別って感じで嬉しいね」



きっと真っ赤であろうあたしの上には、今の様子を見ていた飛行機が飛んでいた。
173 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月21日(火)20時51分58秒
171>名無しどくしゃ様
見てくださってありがとうございます!
オガタカいいですよね!最近なちまりより気になる存在に…。

そして。
よし!いい具合の駄文だ!(鬱
しかもオガタカ、こんまこ、吉松とか言っといて(一応)いちよしなんて書くあたりひねくれてるな自分。
あともうちょい超短編書いたら番外編行きますんで…。
174 名前:チップ 投稿日:2003年01月22日(水)18時14分14秒
ぬぁあ!終わっとるがなー
更新に気づかぬうちにおがたか&なちまりがお幸せに・・よかった・・・
遅れましたけどご馳走様でした。番外編も楽しみにしてます。
175 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月25日(土)18時28分46秒
・二時頃・

違和感を感じて目が覚めた。左手が痺れてる感じ。

右手でまだ眠い目をこすって目を開けるとそこにはあたしの腕の中で丸くなって眠るあさ美ちゃんがいた。

只今の時間、夜中の二時。

寝る前「一緒に寝よ?」って言っても恥ずかしがってこなかったのに、
なんであたしの布団の中にいるんだよー?

思わず声を出して笑ったら起きてしまって、もぞもぞと動き出し虚ろな目であたしを見上げた。

「あ、起きた?」
「……?」

寝ぼけてるなぁ。

「なーんであたしの布団の中にいるんだ〜?」
「………!や、ち、違うの!さっき目が覚めて…麻琴ちゃんを見たら布団に包まって寒そうだったから暖めてあげようと思って…」
「うん」
「暖まったらすぐに出ようと思ったらそのまま寝ちゃって…」
「うん」

返事をしながらぎゅうっと抱きしめると「ちゃんと聞いてる?」ってちょっと怒ってる。
にやにやしながら返事してたのが気に障ったらしい。

聞いてるよ、あさ美ちゃん。

「手が痺れて目が覚めたんだけど〜」
「…っ、ごめんてば…」
「あたし寝てるとこ起こされるの嫌いなんだけど〜」
「…ぅ」
176 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月25日(土)18時35分09秒
あたしの言葉に小さくなるあさ美ちゃん。

でもね。

「でも、あさ美ちゃんが可愛いから許す」
「…な、そんな恥ずかしい事言わないでよぉ…」
「なんで?本当の事だもん」
「…もう暖かくなったよね…?」

布団から出ようとするあさ美ちゃんの手を掴んで。

「一緒に寝よう?」

とびっきりの笑顔で言うとあさ美ちゃんは顔を赤くして、
「しょうがないなぁ」なんて呟いてまた布団にもぐった。

「おやすみ、あさ美ちゃん」
「おやすみ、麻琴ちゃん」

同時に出た言葉に二人で笑った。



こんな目覚めなら起こされても怒らないよ?
でも毎日は勘弁してね、ハニー?
177 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月25日(土)19時50分23秒
174>チップ様
ぬぁあ!終わりましたー!!
次回からまずなちまり+ごまの番外編になりますんで、もう少々お待ちくださいませ。
178 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月26日(日)16時46分54秒
ヽ∬´ー`)ノマコーリ
ついに番外編っすか楽しみにしてまっす!!
179 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月28日(火)18時34分00秒
小さな丸い好日 side story by nachimari+goma

・Good for you・

外からの眩しい光と鳥の声で目が覚めた。
目を開けるとまだ矢口は眠っていた。

あぁ、元に戻ったんだよなぁ…って思った。

矢口の鼻をつつくとくすぐったそうにして布団をかぶって、また夢の中へ行ったみたい。
もう一度寝るのも良かったんだけどお仕事がそれを許してくれないようで。

あたしは小さなため息をついて布団からでた。

「朝ご飯でも作るかー…」

矢口が寝ているのを確認してそーっと寝室を後にした。
テーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯を見るとメールがきていた。

「…誰だー?」

メールを開くと差出人はごっちんだった。

【昨日はいきなりごめんね】

昨日?高橋との電話中に帰っちゃった事?
あ、でもあれはあたしだけどあたしじゃなかったんだった。
180 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月28日(火)18時34分59秒
メールの来た時間を見るとほんの数分前に来ていたものだった。
珍しく早起きだなぁ、ごっちん。

ふっと笑った瞬間、携帯がぶるぶると震えた。

「わっ!」

メールだった。
差出人は同じ人。

【なっちの事好きだからしたんだよ】

…訳わかんない。
昨日小川とごっちんは何があったんだろう?
今日聞いてみるかー…。

何か返事をした方がいいかなと思った。
「ごめん」と言ってるからあたしになんかしたんだよね…。

【気にしないで】

とりあえず返信した。

あたしは携帯をソファーの上にぽんっと投げた。



その後すぐに着信があった事にあたしは気がつかなかった。
181 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月28日(火)18時36分09秒
テーブルの上には2人分の朝食。
なんか夫婦みたいじゃない?
自分で思った事に照れて頭をぶんぶん振った。

「…何してんのー?なっち」
「や、お、おはよう」
「おはよ、うあー!うまそー!食べていい?食べていい?」
「食べる為に作ったんだから食べてよ」
「じゃあ遠慮なく!いっただきまーす!」
「どーぞ」

おいしそうに食べ物を頬張る矢口を見て笑った。

「ね?今日も泊まってもいい?」
「えー、またー?」
「いいじゃん、嬉しいくせにー」
「嬉しくないよー」
「何ぃー?!」

このー!って言い合いながらじゃれあった。
……って!
182 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月28日(火)18時37分17秒
「!矢口!時間!!」
「あ!ヤバイ!」

あたし達は急いで片付けて支度をした。
必要なものはぽんぽん鞄の中に放り込んだ。

「財布持った?!」
「持った!」
「携帯は?!」
「持った!」
「ヤグチの写真は?!」
「………持ってないよ!」
「持っててよ!!」
「嫌だよ!!」

そんな事言ってる場合じゃないので矢口を置いて玄関から出た。

「待ってよ!」
「かぎ閉めるよ!早く!」
「厚底靴が…」
「……はーやーくー」
「あ、OK!行こ!」

2人で手を繋いで走った。
矢口は「疲れるー!」とか言ってたけど楽しそうだった。
あたしもなんだか楽しかった。




…またいつもと変わらない毎日が始まると思った。
183 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月29日(水)14時02分24秒
ごっちーん!
ヤグチの写真で笑いました。
続き期待。おもしろいです。
184 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月29日(水)19時27分18秒
目的地に到着するとほとんどのメンバーが集まっていた。

「遅ーい」
「ごめんごめん」
「ラブラブなのはいいけど遅刻はしないでね」
「はーい」

圭織と圭ちゃんに注意されて顔を見合わせて笑った。

「…もう一組遅刻なのよねぇ」

圭ちゃんの言葉を聞いて辺りを見回す。

えーと…、梨華ちゃんとよっすぃーはいるね。
ののとあいぼんもいるし…。
お豆ちゃんに紺野もいる。

てことは…。

「高橋と小川がまだなのよ」

矢口がくいっとあたしの服の袖を引っ張る。
背伸びをして内緒話をするポーズ。

「…きっと昨日の夜はお楽しみだったんだよ、うちらと一緒!」

顔が赤くなったのがわかった。

「矢口ー!」

あたしが怒って叩くポーズをしたら逃げていった。

もう、矢口。
朝からそんな事言ったらだめだべさ!
あ、訛り出ちゃったよ、全く!
185 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月29日(水)19時29分31秒
「遅くなりましたー!」
「すみませんー!」

肩で息をしながら二人が走ってきた。

「大遅刻だぞー!おまえらー!」
「あんたが言える立場じゃないでしょ!」
「イテ!」

圭ちゃんに叩かれる矢口を見てメンバー全員で笑った。

「安倍さん、おはようございます」
「おはよう、小川。調子どう?」
「もうばっちりですよ、やっぱいいですね、自分の体は」
「うん、なっちも同じ」


ごっちんの事…、聞こうと思った。


「あのさ、小川…」

『早く着替えて準備してくださーい!』

「何ですか?安倍さん」
「あ、後ででいーや」
「?はい」

別に急がなくてもいっか。
まだ時間あるし…。

あたしはテレビ収録の準備を始めた。



収録中、あたしはすっかりごっちんの言ってた事など忘れていた。
186 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月29日(水)19時30分55秒
収録が終わって楽屋に行き、飲み物を買いに行こうと財布を取り出した。

今回は一人で行こう。
また同じ目にあうかもしんないし。

財布を出すとき携帯のストラップを引っ掛けて落としてしまった。
拾い上げて壊れてないか確認すると着信があった。

電話の相手はごっちんから3回。
朝と収録中とついさっき。

はっ、と思い出した。
小川にごっちんの事聞くの忘れてた!

慌てて電話を掛け直した。

「もしもし!」
『もしもし、…やっと反応が合ったよ…まったくもう』
「ごめん!」
『…あのさぁ?これから会いたいんだけどいい?』
「これから?ちょっと待って!」

あたしはスケジュール帳を確認した。

「あ、いいよ!どこで待ち合わせる?」
『…あの店』
「ん?」
『2人で買い物に行ったときに見つけた可愛い喫茶店』
「あー、あそこね!わかった。ごっちんすぐ出れる?」
『うん』
「じゃあ、なっちもすぐに行く!」
『待ってる』

あたしは飲み物を買いに行くのを辞めて帰る支度をした。
187 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月29日(水)19時32分23秒
「なっち帰るの?」
「うん、ちょっとごっちんから呼び出しー」
「ごっつぁんから?」
「うん」
「いいなー、ヤグチも行きたい!」
「ダメ!矢口はこれからお仕事でしょ!」
「ちぇー」

口を尖らせて拗ねる矢口の頬に軽くキスをした。
予想していなかったあたしの行動に唖然とする矢口。

「…頑張ってきなさい!」
「…わ、わかったよぅ!」

なんだかおどおどしている矢口を見て笑い、みんなに手を振って楽屋を出た。

あ、小川に聞くの…まいっか、これから本人に会うんだし。




あたしは足早に喫茶店に急いだ。
188 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月29日(水)19時37分49秒
183>名無し読者様
読んでくれてありがとうございます!
とうとうなちまりごま編始まっちゃいました!
なんか本編と同じくらい長くなりそうな気がするんですけど頑張ります。
黒ごまにしようか白ごまにしようか考え中…。
189 名前:名無し希望 投稿日:2003年01月29日(水)21時01分42秒
白ごま希望!
190 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月29日(水)21時02分56秒
同時進行すか!すごいですね!応援してます!
191 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)17時40分55秒
喫茶店に着くとごっちんはあまり人目のつかない端っこの席に座っていた。

「お待たせ」
「…まぁ、座ってよ」

ごっちんと向かい合って座るとウェイトレスさんがオーダーを聞きに来たのでレモンティーを頼んだ。

「ごめんね〜、何回も電話したみたいだよね?」
「…まあ、ね」
「怒ってる…?」
「…怒ってないけど聞きたい事がある」
「なに…?」

あたしはレモンティーを一口飲んだ。

「気にしないで、ってどういう事?」
「え」
「メール、気にしないでって答えは変だと思う」
「あー…、えーと…」

あたしの応対は失敗だったらしい。
あたしが困惑しているのを見てごっちんは話し続けた。

「あたしは!なっちの事が好きなんだよ?」
「…うん?あたしもごっちんの事好きだよ?」
「…そうじゃなくて」

ごっちんはがくっとうなだれた。
192 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)17時41分33秒
「あたしはなっちに一目ぼれしたんだよ?」
「え?」
「初めて会った時から好きだった」

頭が真っ白になった。
今誰かに叩かれたら誰かと体が入れ替わったりするんだろうか?
…とか考えてる場合じゃないな…。

「やぐっつぁんと付き合う前から好きだった…。でもなっちとやぐっつぁんは凄く仲が良くて…」
「……」
「……覚えてる?やぐっつぁんとなっちが付き合う前、あたしと2人で買い物してた時にこのお店発見して…、「なっちとごっちんの秘密基地にしよう」って言ってくれたよね?」
「うん…覚えてる」
「凄く嬉しくて…、なっちと2人だけの秘密だ、って」

あの時のごっちんは本当に嬉しそうだった。
あたしはその時可愛い店を見つけたから嬉しいのかと思っていた。

「でも…その数日後になっちは言ったよね?この店で、2人で来た時に」

…うん。
言ったね。


『ごっちん!あたし矢口と付き合う事になったの!』


一番初めにごっちんに言ったんだ。
嬉しくて誰かに伝えたくて。
あたし達は大親友だから。
…でもごっちんは…。
193 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)17時44分11秒
「ガーン!って感じだった…。頭を思いっきり殴られた感じでさ…」

ごっちんはカラカラとオレンジジュースの氷をストローでつついた。

「ごっちん…」
「…でもさ!まだ好きなんだもん!諦めきれないんだもん…」

ごっちんの瞳からぽたぽたと涙がこぼれていた。
あたしは慌てて自分の鞄の中からハンカチを取り出しごっちんに差し出した。

「…いらない」

ごそごそと鞄の中から財布を取り出し、お金を置いてごっちんは立ち上がった。

「…ごめん、やっぱ言うんじゃなかった…、困らせてごめんなさい」
「ごっちん!」

あたしの呼ぶ声を振り切ってごっちんは店を出て行った。
追いかけなきゃって思って、お金払ってあたしも店から出ようとした時、ウェイトレスさんに笑顔で「ありがとうございました!」って言われた。
あたしは苦笑いを浮かべ軽くお辞儀してごっちんを追いかけた。

店から出るとごっちんの姿はもうなかった。
…大体あたしの足の速さじゃ到底追いつける訳ないんだけど…。

「ごっちん…」

道の真ん中であたしは立ち尽くした。

すると携帯が震えた。
ごっちんかと思って慌てて取り出して見ると相手は矢口だった。

194 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)17時45分05秒
『そう?ね?これから行ってもいい?』
「ゴメン…矢口、今日は一人にさせてくれないかなぁ…?」
『え?……………うん、わかった』

矢口は何も聞かずに了承してくれた。

「ごめん、ありがとう」
『んー?気にすんなって!何かよくわかんないけど…元気出せよなっち!』
「うん」

電話を切った。
きっと矢口は凄く気にしてると思う。
でもあえて聞かないでくれた。
あたしはそんなとこも大好きだ。
ごっちんの話をしてしまったら絶対ギクシャクしてしまう。
だからこの事は秘密にしようと思った。



…ごっちんとの二人だけの秘密がまた一つ増えた。


家に帰っても、お風呂に入っても、ご飯を食べても、ベットに入っても悩み続けた。

「どうすればいいんだよぉ…」

ごっちんは娘。を卒業したから前よりかは会う事が少ない。
それは唯一の救い。
でもそれは正面からぶつかってきたごっちんから逃げてるという事。

「あぁー!もー!」

あたしは叫んで布団をかぶった。

なんでこんなにいろいろな事が起きるんだよ!
神様のばかー!
195 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)17時47分17秒
194の出だし
『仕事終わったよ〜!そっちはー?』
「…あ、うん…」
『元気ないね?ごっつぁんと喧嘩した?』
「…ううん、違う」

…喧嘩の方がまだマシだった。

が抜けてました(鬱
196 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)17時48分27秒
「はぁ…」

今の時刻はAM3:00。

「もう…、寝なきゃ…仕事あるし…」


あたしはため息をついて目を閉じた。

目を覚ますとあたしの心の中とは裏腹に良いお天気だった。

「…なんだよ、もう」

あたしは空に向かって睨んだ。
今日の仕事はごっちんと会う事はない。
昨日の夜は悩みに悩んだ。
その結果、一人で悩んでもらちがあかない、と思ったので相談してみようと思う。
第三者に言うのもどうかと思ったけどきっとあの子は力になってくれるだろう。

ごっちんと同い年で、

ごっちんと仲が良い…



ごっちんの大親友のあの子に。
197 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年01月31日(金)18時06分23秒
189>名無し希望様
はい!白ごまにしてみます!うまく白くなればいいんだけど…。
190>名無しさん
あー、向こうの見ましたか〜。あっちは暗いんでこっちはなるべく明るくしようと思ってます。頑張ります!

警報が出たので黄板に引越しします。
引き続きなちまりごまをよろしくお願いします。
…終わったらおがたかこんか…。
198 名前:LOVE 投稿日:2003年02月01日(土)21時09分23秒
今日みつけていっきに読んじゃいました。
なちまり大好きなんで、かなりツボです(・∀・)イイ!
199 名前:晴れのち雨 投稿日:2003年03月04日(火)22時03分49秒
あれから一週間経ってもあの傘は開かれる事なく傘立てに置かれている。
なんとなく、帰る時必ずあの傘を探してしまう。
あの傘を使う時が来たら告白しようって決めたから。
空を見上げるといいお天気で思わず、ムッとなる。


神様はイジワルです。


今日は部活がお休みで「帰ろうかな?」と廊下を歩いていた時。

「今、雨降ってたよー」
「げー、傘持って来てないよ、最悪ー」

通り過ぎていったコの言葉を聞いて思わず顔がにやけてしまった。


今日、告白できるかもしれない!


走って玄関に行くと傘は置かれたまま。
あたしの足は自然と麻琴のクラスへ走っていた。

ドアの窓から覗くと教室の中は真っ暗だった。
200 名前:晴れのち雨 投稿日:2003年03月04日(火)22時04分49秒
「…もう帰ったかなぁ」

がっかりして下を向くと中から椅子が動く音がした。
もう一回覗くと窓際近くに突っ伏して寝てる人がいた。
それは間違いなく麻琴だった。
声を掛けようとして入ろうとした時。

「まこっちゃん…」

あたしからはちょうど死角になって見えなかった。
麻琴の席の前に座ってるコ。
寝ている麻琴の髪を愛しげに撫でている女の子。

慌ててドアから離れた。
そしてまたそーっと近づいた。

麻琴は起きたみたいで目を擦って笑って何か話している。
あたしはその場にいれなくて玄関まで走った。

玄関には傘は置いたままで。

しばらくそこで立ってると二人の声が聞こえた。
とっさに陰に隠れた。

「あ…雨降ってる…」
「ホントだ。あ、あたし傘持ってるよ」

麻琴はあの傘を差して女の子の隣に並んだ。
201 名前:晴れのち雨 投稿日:2003年03月04日(火)22時06分39秒
「帰ろ」

隣の女の子の顔は赤くって。
なんとなく…わかった。

あの傘を使われた事と
やっぱり麻琴はあたしの事なんとも思ってないんだって事が
頭の中ぐるぐるして。
涙が出た。





あたしは土砂降りの中を歩いて帰った。
202 名前:ジャングルジム 投稿日:2003年04月27日(日)23時50分19秒
────あの日は疲れてたんだ。





勉強とか部活とか友達付き合いとか恋愛問題とか。
うるさい日常生活なんて全部放っておいて一人になりたかったんだ。
学校を出てすぐ近くにある駄菓子屋さんでイカのくんせいを買った。
すっぱくておいしかった。

こんなの食べるの何年ぶりだろう?
毎日外が真っ暗になるまで遊んだ小学生の時以来かな。
遊ぶのが楽しくて帰りが遅いって怒られた事もあったっけ。

「………あ」

いつもはわき目も振らずに帰っていた帰り道。
でも今日はいつもと違った。
目に入ったのは小さな公園。
遊具は雨のせいなのか年期が入ってるせいなのか、
風に押されるブランコはギイギイと鈍い音を奏でていた。
子供が一人も遊んでない公園のシーソーには『故障中』の張り紙が張ってあった。
203 名前:ジャングルジム 投稿日:2003年04月27日(日)23時51分03秒
昔はよくここで遊んでいたっけ…

ブランコとシーソーとジャングルジムと砂場しかない小さな公園。
それでも当時小さかった自分にとってはどこにもない大好きな遊び場だった。
いつまでここで遊んだだろう。
日を重ねるごとに友達は減っていた。
塾とか習字とかピアノとか。
その時習い事をしてなかったあたしは必然的に一人ぼっちになった。
親は共働きだから家に帰ったって一人ぼっちで…そんな家にも帰りたくなかった。

『…ねぇ?一緒に遊ぼう?』

……誰だったっけ?

一人でブランコに乗ってる時話しかけられたんだ。
見たこともない可愛い女の子。
少しの間おばぁちゃんの家に遊びに来たと言っていた女の子。
顔は覚えてるのに名前が思い出せない。
その子は少し怖がりでジャングルジムの一番上まで登る事が出来なかった。
一番上に登ってそこで騒ぐあたしをいつも下から見上げていた。

「…よっ…と」

ジャングルジムに登ると昔のような感動はなかった。
あの時はどんな景色も見れた気がした。
204 名前:ジャングルジム 投稿日:2003年04月27日(日)23時51分45秒
ふっとある事が頭の中をよぎった。

あたしはあの子に恋をしていた。
あれは多分初恋。
毎日会うたびにその想いは強くなっていた。

あの子が帰ってしまう時、私は見送りには行かなかった。
いつものようにここに来てジャングルジムに登っていた。
いつもと違うのはあの子がいないという事。
ジャングルジムの一番上に石で傷をつけた。

【ずっと好きだった】

この文字をきっとあの子が見ることはないだろう。
あの子はここまで登れない。

あれから数年たった今、もう消えてしまっているだろう文字をあたしは探した。

────あった…

古ぼけてかすれてはいるけど確かに幼い時のあたしの文字。
その横には────
205 名前:ジャングルジム 投稿日:2003年04月27日(日)23時52分35秒
【あたしも好き】

同じくらい古ぼけた文字。
多分いたずら書き。
…あの子じゃない。
あの子はもういない。

あの子のおばぁちゃんに会った事があった。
あの子は交通事故に遭って死んだんだ。

それから心にポッカリ穴が開いてしまったんだ。
無気力になったんだ。
目の前が滲んで前が見えなくなった。
止めようとしても止まらなかった。
あの子にはもう会えない。




『麻琴ちゃん』






────私の事はもう見上げてはくれない。
206 名前:ジャングルジム 投稿日:2003年04月27日(日)23時53分29秒
◇◇◇◇◇

名前も忘れてしまった女の子。
それでもあたしの初恋の相手。
…外で泣くなんて恥ずかしすぎる。







────やっぱりあの日は疲れていたんだ。
207 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年04月27日(日)23時55分17秒
果たして何人の人が更新した事に気がつくか楽しみです(w
208 名前:くり 投稿日:2003年04月29日(火)09時03分49秒
いっきに読ませていただきました!なちまり&おがたかも好きですけど、こういう切ない系もすきです!私はなちののも結構好きなのでなちのの希望します!これからもがんばってください!
209 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月29日(火)18時37分58秒
リクリク。みきごまみたいっす
210 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年04月29日(火)19時47分54秒
あ、ありがとうございまする…。

208>くり様
一気に読んでいただいたなんてありがとうございます!
嬉しいです。なちののいいですよねぇ、ほのぼのしてて。
リク…なんですが(下参照)。

209>名無し読者様含め、このスレを読んでくれた読者様へ

このスレでのリクは今受け付けてません(汗
元々このスレは警報が出るまで使い切っていたので終了していたのですが、
容量が増えたという事で今回気まぐれで更新しました。
次はいつ更新するかもわからないし、何を更新するかも決まっていません。
リクされた方、申し訳ございません。
黄板の『小さな丸い好日2』の方で書いていますのでそちらを見て頂けるとありがたいです。
211 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年05月23日(金)23時54分15秒
このスレ最後の更新をしたいと思います。
とある所で出した作品なので見た事があると思う方がひょっとしたらいるかもしれませんが、
一応うpします。
212 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時56分01秒
「ありがとうございました、また連れて行ってください!」

一台の車を見送り、家の鍵を取り出した。
カンカン、と音を立てて二階への階段を上がりドアの前に立つ。

「ただいま」

扉を開けてもそこには誰もいない。
荷物をベットの上に放り投げて一つため息をついた。
遠くから列車の音が聞こえる。それ以外は何も聞こえない。
私はヒーターのスイッチを入れた。程なくして温かい風が吹き始める。
気温はまだ寒いけど大分過ごしやすくなってきた。
ここに来て2年。いろいろな事があった。
親切な人、嫌いな人、楽しい人、尊敬する人、……惹かれた人。
たくさんの出会い。
コーヒーをカップに注ぎ、一口飲んだ。冷えてた体が少し温まった。
見知らぬ土地へ知り合いの紹介という事だけを頼りに私はここにやってきた。
アルバイトと少しの報酬だけで食いつなぐ日々は未だに辛いけれど私には夢があるから。


夢の為に得たもの、捨てたもの────。
213 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時56分34秒
望遠レンズでアパートの窓から外を覗き込んだ。
遠くの方に人影が見える。
他の建物なんてはるか遠くにある。
見渡すは北の広い大地。

「…あ、キツネ…」

シャッターを切るとこちらを少し伺い、逃げて行ってしまった。
もう何匹の動物を撮っただろう。
振り返り、部屋の中を見ると壁が見えないくらい張られた写真。

早朝に川へ行き偶然撮れたエゾシカ。
羅臼へ足を運んだ時撮ったオジロワシ。
絶滅の危機にあるシマフクロウ。
それに近所で見かける犬や猫、鳥。
一枚一枚が私の宝物。私の夢。

部屋の隅のサイドボードの上には写真立て。
そこに笑顔で映る愛しい人。
私の宝物。






…そしてそれは私が捨てたもの。
214 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時57分04秒


「いちーちゃん、また撮ってるの?」
「うん」
「今度は何?」
「すずめ」

学校の帰りは公園に寄って写真を撮る。
散歩中の犬やひなたで眠る猫。
そして。

「ぅわ、フレームに入ってくるなよ後藤」
「だってつまんないんだもん、いちーちゃん全然ごとーの事見てくれないし」

ぷぅ、っと頬を膨らました顔にシャッターを切る。
後藤は驚いた表情をして大声を上げた。

「ああ!そんな顔撮らないでよ!」
「いいじゃん、どんな顔だって後藤はかわいいよ」
「むぅ…」

ベンチに座る私の隣に少しいじける様子で座った。
その様子にもレンズを向けると本当に怒ってカメラを取り上げた。
そしてすかさず地面に投げるポーズをとる。
215 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時57分55秒
「や、やめろー!市井の命の次に大切なカメラ〜!」
「命の次に大切なのはごとーでしょお〜?!」
「わかりました!後藤さんです!命の次は後藤さんです!」
「…よろしい」

カメラを返してもらい、またすずめにレンズを向けた。
吹き抜ける風が頬に当たる。
私は何も喋らないし、後藤も何も喋らない。
私達にとってこれは日常だった。
しかしこの日は違った。

「…ねぇ?いちーちゃん、もうすぐ卒業だね」
「…うん」
「いちーちゃんて大学だっけ?それとも就職?」
「……………」

カメラを下ろさずそのままの格好で私は話した。
216 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時58分36秒
「大学にも行かないし、就職もしない。…卒業したら北海道に行く」
「……え…?なん…?」
「カメラマンになりたい。動物を撮るカメラマン。知り合いの紹介で見習いとしてつく事にした」
「…やだぁ!だって離れていっちゃうんでしょ!?ごとーはいちーちゃんと一緒がいい!!」
「後藤…」
「いちーちゃんは…!いち−ちゃんは平気なの!?」

照準を空に向けていた私は下に戻し、カメラも下に降ろす。
横を見ると泣いている後藤。
私が泣かした。

「後藤、これは私の夢なんだ。小さい頃からの夢。今夢が叶うかもしれないチャンスなんだ。だから……」
「…ごとーは嫌!いちーちゃんについて行く!」

わんわん泣き出してしまった後藤を周りの人は見ていく。
でも私には掛けてあげられる言葉がなかった。
私の心の中の比重は『後藤<夢』になっていたから。
…それでも後藤は私の愛する人。大切な人。
217 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時59分16秒
「…後藤?市井、帰ってくるよ。夢叶えて帰ってくる。約束する」
「…………」
「遠くに行ったって後藤を好きな気持ちは変わらないから」
「………本当に…?」
「うん、本当。後藤は市井の言葉、信じられる?」
「…ひ…っく、…信じられるぅ……っ…信じるぅ…!」

涙でグシャグシャになった後藤の顔を袖で拭いた。
微笑みかけると後藤は泣きながら笑った。
その時私は真っ直ぐ後藤の顔を見る事が出来なかった。

218 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月23日(金)23時59分50秒
「信じられる?」なんてよく言ったもんだ。
最初は書いてた手紙も書かなくなって、毎日してた電話もしなくなって。
「忙しいから」って言い訳にして。
それから手紙も電話も来ることはなかった。
これで良かったのかもしれない。
私は後藤を幸せにする事が出来なかった。
後藤は今、新しい恋人と幸せに日々を送っている事だろう。
私の事など忘れて────。

手に持っていたカメラをベットの上に置いて、写真立てを手にした。
セルフタイマーで撮った2人の写真。
2人は笑っている。まさかこんな未来が待ってる事も知らずに。

「…………」


携帯が鳴り出した。
219 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時00分54秒
「はい、市井です…はい、はい、今からですか?はい、わかりました。すぐに向かいます」

手にしていた写真立てを裏返しに置いて荷物を持った。
玄関で踵が潰れ、くたびれた靴を履いてドアを開けた。









────さようなら、ありがとう。

私はドアを閉めた。
家の鍵に付けていた鈴の音がその場に響いた。
220 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時01分34秒
 
221 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時02分10秒
 
222 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時02分40秒
 
223 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時03分16秒
◇◇◇


今、あなたは何をしていますか?
きっと、物凄く忙しいんだろうね。

「こんな所にいたんだ、探したよ」
「うん。…ねぇー?」
「ん?」
「北海道ってまだ寒いかな…?」
「さぁ?行った事ないからわかんないけど」
「…そーだよねぇ、ごとーも行った事ないからわかんないや」
「ねぇ、風強いから中に戻ろうよ」
「ごとー、もうちょっとここにいるね」
「そう…、早く帰ってきなよー」

友達は屋上から出て行った。
見上げると空にはすずめの群れ。
あなたが私の前で最後に撮った動物。
動物以外のものは撮らないって言ってたのに私だけは特別だ、って言って撮ってくれたよね。
言葉にするのは恥ずかしくて言わなかったけど…特別、って嬉しかったよ。
オレンジ色の空は私の顔を染めて、涙腺も緩ませた。

……あれから2年経った。
224 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時03分50秒
「…ごとー3年生になったよ?」

「あの時のいちーちゃんと同じ学年だね…」

「…いちーちゃん、夢叶った?」

あの時もっと行かないでって言ってたらどうなったかな?
もっと…一生懸命引き止めてたら今も一緒にいたかな?
……きっと今と変わらないよね。

ちゃんとご飯、食べてる?
お掃除してる?
お洗濯もしてる?
風邪、ひいてない?
一人で寂しがってない?


気になること、いっぱいあるよ。
聞きたいこと、いっぱいあるよ。
225 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時04分23秒
いつまであなたの事信じていればいい…?

「…もうね、信じるの、結構辛いんだぁ…」










私の呟きは風に流れて消えた。










────でもね、きっと心のどこかでまだ信じてる。
あなたが帰ってきてくれる事。
226 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時05分01秒
 
227 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時05分33秒
 
228 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時06分06秒
 
229 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時06分39秒
────数年後────


私は北海道に来ていた。
深い意味はない。友達と一緒に単なる旅行。
この時すでに私の中から『いちーちゃん』は消えていた。

「…で〜、これからラーメン食べてー、いくらもいいね〜」
「ねぇ?さっきから食べ物ばっかり…」
「だって〜…、あ、ちょっと飲み物買ってくるから待ってて!」
「はいはい」

初めて来た土地だというのにちょろちょろ動き回る友達に苦笑してその場に立ち止まった。
景色は綺麗だし、空気はうまいし、本当に来てよかったと実感した。
ふと、横に目を移すと小さな公園が目に入った。
滑り台やブランコで子供達は楽しそうに遊んでいる。
脳裏に何かがよぎったがそれがなんなのか思い出せない。
その場にいなければはぐれてしまうかもしれないのはわかっていたのに、私の足は公園の中へと向かっていた。

とりあえずベンチに腰をかけてみた。
心地よい風が私の頬をくすぐった。
ぼうっと周りの様子を見ている時、背中合わせになっているベンチの向こう側から話が聞こえてきた。
盗み聞きをしたかったわけじゃないけどなんとなくそのまま聞いていた。
230 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時07分09秒
おねえちゃん!そのカメラでぼくのことをとってよ!」
「うーん、これね?お姉ちゃんのカメラじゃないんだ。預かり物なの。だから勝手に使うとお姉ちゃん怒られちゃうんだ」
「えー」
「それにね?このカメラで撮っていいのは動物さんだけなんだよ。だからごめんね?」
「…そっかー、じゃあこんどぼくのこととってねーー!」

声の様子から言うと小さい子供だろう。
最後にそれだけ言うとどこかに走っていってしまったようだ。

「……全然わかってもらえなかったみたいだなぁ…」

背中合わせで聞こえてくる小さな嘆きに私は声を出して笑ってしまった。
するとその人はこちらに振り向きニコリと微笑んだ。

「今の子、私が言った事全然わかってませんよね?」
「…ですね」

私は喋ってる最中、その人の横においてある沢山の荷物に目を奪われた。
カメラ、三脚、大きなカバン。
そのカメラはどことなく見覚えがあった。
そして脳裏に『いちーちゃん』がよぎった。
231 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時07分39秒
「…カメラマンさんですか?」
「いえ、私は助手です。これから仕事なんですけどなかなか来ないんですよ」

苦笑いを浮かべるその人につられて私も苦笑いを浮かべた。
その後も何故か初めて会ったその人と話を続けた。
どこから来たかとか、いろいろ。

「…私の好きだった人もカメラマンになりたがってたんですよ」
「え、そうなんですかー」
「きっと…今は凄腕のカメラマンになってると思います」
「へぇ、その人の名前は……」

「ごっちーーん!!」

二人揃って振り向くと怒ったような表情の友達。
でも右手にはしっかりと焼きとうもろこしが握られている。

「…あ、やば…。すみません、私そろそろ…」
「あ、はい。観光、楽しんでいってくださいね!」
「はい!ありがとうございました」

友達の隣に戻ると軽く頭を小突かれて髪の毛をグシャグシャにされた。
232 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時08分10秒
────────
──────
────
──

──
────
──────
────────
233 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時08分44秒
「ごめん藤本、遅くなった!」
「ほんと、遅すぎですよ市井さん!」
「ごめんてば、カメラ、貸して」

受け取ったカメラからチリンチリンと音が鳴る。

「カメラに鈴付けてて邪魔じゃないですか?」
「……これは、これでいいんだよ」
「あ、もしかして恋人から貰ったものとか?」
「………元恋人ね」

藤本はしまった、という表情をしてしどろもどろに話し出した。
その様子がおもしろくてわざとショックを受けた表情を取ってみる。
234 名前:Look Back Again 投稿日:2003年05月24日(土)00時09分15秒
「あ、さっき凄く可愛い子に会ったんですよ!」
「へぇ…」
「その子の好きな人もカメラマンなんだそうです。…名前は聞かなかったですけど」
「誰だろうね、そのカメラマンて」
「その子、自分の事を「ごとー」って言ってましたよ」

最後の言葉を聞いてカメラを落としそうになった。
いつまでも忘れられないのは私の方なんだと実感した。

「…藤本ー!仕事行くぞー!」
「はい!」



バイバイ、後藤。
私も頑張るよ。
いつか、会う時があったら笑っていれると良いな。
その時には一緒に写真をとろうね。

END
235 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年05月24日(土)00時10分16秒
読んでくださった方(いるのか?)ありがとうございました。
これからも精進していきたいと思います。
236 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月24日(土)09時02分22秒
結ばれて欲しい!
ぜひ続きを
237 名前:くり 投稿日:2003年05月30日(金)14時20分02秒
更新されるの楽しみに待ってました!
続編あったらうれしいです!あと、『なちのの』とか希望してます!
238 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月31日(土)18時43分12秒
更新されてたの気がつかなかったー!!
切ないです。こういうの大好きです!
( ´Д`)<是非続きを希望します〜
239 名前:名無し 投稿日:2003年05月31日(土)20時08分23秒
 
240 名前:ごーしゅ 投稿日:2003年06月04日(水)16時32分12秒
読んでくれてる方がいるとは思いませんでした(汗
このスレは終わりですとか書いておいて更新するのもどうかなと思ったのですが、
続きを!というお言葉がありましたので書いてみました。
(というか元々は数年後の話もなかったんですが(w)
自分的にはハッピーエンドでは終わらせない方がいいなと思ってたので、
気持ち悪い終わり方になってしまいましたね(w
今のままでいいという方はこれ以降は読まないで下さい。
しょうがない読んでやるかという方はどうぞ、たいした事ありませんが(w
241 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時33分04秒

何回か四季を通り越して桜の花びらが舞い落ちる頃、
私はあの公園のベンチにいた。
すべり台やブランコもあの時と同じまま。少しさび付いてはいるが。
何年一緒にいるかもよくわからなくなった愛用のカメラと、
未だに後藤の匂いが残る鈴。
ようやく自分の力だけで暮らす事が出来るようになった。
小さいけれど向こうには自分の会社もある。
こんな私について来てくれた仲間、後輩もいる。
唯一ついないのは──────。

立ち上がって桜の木に触れた。
一緒に過ごした時間をなんとなく思い出して笑った。
素直で、無邪気で、泣き虫で。
あの頃の後藤の顔が頭の中に浮かぶ。
今はどうなっているだろう。
242 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時33分59秒
引っ越していなければ家だって知っている。
それでも会いに行かないのは怖いから。
何で迎えに来てくれなかったんだ、って言われるのが怖いんじゃない。
後藤の隣に誰かが居るのを見るのが怖いから。

カメラを取り出してレンズ越しに空を見上げた。
懐かしい。
空なんてどこだって同じだと思った。
でも違う。
北海道とここの空は同じだけど違う。
風とか匂いとか、物を写すだけの写真には関係ないかもしれないけど、
感じるものが違うのならば同じものなんて何もないんだ。
私の今の気持ちと後藤の今の気持ちももちろん同じ事はきっともうない。
243 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時34分35秒
目に入ったものを写真に撮る。
散歩中の犬やひなたで眠る猫。
そして。

「今度は何を撮っているの?」

ゆっくりとカメラを下ろして振り返った。
公園の出入り口。
光が反射してあまりよく見えないけど多分。

「すずめ」
「相変わらず動物ばっか撮ってるんだ」

近づいてくる。
見えなかった顔は鮮明に映し出される。
あの頃よりも大人っぽくなった。
244 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時35分12秒
「おかえり」
「ただいま」
「会いたかった、会ったらいろんなこと言おうと思ってたのに忘れちゃったよ」
「後藤らしいね」
「とりあえず、迎えに来てくれるのが遅すぎ」
「それは謝る、ごめん」
「…でも、来てくれるとは思わなかった」

目の前に立っている後藤はくるりと振り返り体ごと後ろを向いた。

「何度か、忘れた。けど何かの拍子に思い出して忘れられなかった」
「あたしも、同じ」
「ずっと信じてる事なんて出来なかった。でも忘れられなかった」
「うん、同じ」

語尾が震えていて、肩も震えていて、後ろから抱きしめた。
手の甲に水滴が落ちるのを感じた。
245 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時35分46秒
「…もう、一緒に居られる…?離れ離れにならない…?」
「うん、一緒に暮らそう。北海道に小さいけど家があるんだ。そこで暮らそう?」
「本当に…?」
「後藤は、市井の言葉信じられる?」
「今までだって…信じてたもん…」

向かい合って思い切り抱きしめた。
後藤は痛いよ、って言いながら笑った。
私も笑った。
後藤の鞄についてる鈴と私のカメラについてる鈴が二重の音となってあたりに響いた。

2人にこんな結末が待っていようとは
私は信じていなかった。
246 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時36分20秒
 
247 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時37分09秒
新しいフィルムを入れよう。
そして2人の写真をいっぱい撮ろう。
恥ずかしがってる後藤を撮るのも懐かしいね。
248 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時37分39秒
HAPYY END
249 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時38分41秒
 
250 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時40分13秒
 
251 名前:  投稿日:2003年06月04日(水)16時41分30秒
 
252 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月29日(火)09時16分01秒
さいっこうです!!もしリクを受け付けていただけるのならやすいしの保田卒業後の話が読みタいっす

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