インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板
教育係
- 1 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時13分56秒
- 皆様初めまして。こちらでは初めて書かせていただきます。
話は変わりますが、後藤さんが娘。を卒業して一ヶ月と一日が過ぎました。
今回書かせていただくのは丁度一ヶ月前の脱退翌日の話です。
少しこの機会に書こうと思っていたのですが遅くなってしまいました。
勿論「いちごま」です。皆様気が向きましたら読んでいただき、感想等いただければ幸いです。
それではお付き合いください。よろしくお願いします
- 2 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時18分01秒
- 「ついに後藤もモーニング辞めちゃったか・・・」
後藤が正式に脱退した翌日の24日、たまたま私はその日、仕事もなく1日休みであった。
「後藤は今頃何考えてるんだろうな〜。でも翌日ぐらいじゃ大して実感もわかないか、私もそうだったし」
特にやることもなくあまり外出が好きでない私は自分の部屋の中でただゴロゴロしながら
そんな風に後藤のことを考えながら一人でぶつぶつと呟いていた。
「でもその内本当に辞めちゃったって事に気づくんだよな〜。何にもすることがなくなっちゃうって言うか・・・
ん?待てよ、あいつはすぐソロの活動があるんじゃん。な〜んだ私と全然違うのね」
モーニングを辞めたという事実は同じだったが、その後の生活が自分と後藤とは全く違うことに
すぐに気付かなかった自分が少し恥ずかしくなった。
ただこんなに後藤を気にしている自分が何か懐かしいような感じがした。少なくとも自分が
後藤の教育係だった頃はいつもこんな感じだったように記憶している。
- 3 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時32分59秒
- 「そう言えばあの時、後藤前みたいに『いちいちゃん』って呼んでくれたよな〜」
私にはそれが嬉しくてたまらなかった。あぁ後藤は変わっていないんだなぁなんて思いながら・・・。
あれは後藤が脱退する前日の22日のことだった。
最後のテレビでの生放送ということで、私は後藤の誕生日のでっかいケーキを運ぶことになっていたのだが、
やはり久しぶりに後藤に近づいた時は少し緊張した。
だけどそんな時に言ってくれた一言。
「いちいちゃん」
今でもその響きが私の頭にはリピートがかかったように何度も何度も繰り返されていた。
しかしながら、あの後私は後藤と全く会話を交わすことはできなかったのだった。
私は一度ゴロリと回り、抱きついていたぬいぐるみを上に上げた。
「はぁ〜・・・こんなこと考えるなんて、私ってやっぱ後藤のこと・・・」
そう思うと無性に後藤の声が聴きたくなった。いや、話がしたかった。
- 4 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時33分31秒
- いくらなんでも今日は休みだろう。そんな軽い気持ちで後藤に電話でもしてみようと携帯を手に取った。
よ〜し掛けてみるか。そう思ったその時だった。
(ピロリロリロ・・・ピロリロリロ・・・)
「うわっ!」
急に携帯の着信音が鳴ったので私は驚いた。
改めて画面を覗くとそこには『圭ちゃん』と出ていた。
こんな時に何だろう?と思いながら私は電話に出た。
「はい、はい、圭ちゃんどしたの?」
「紗耶香?いい、落ち着いて聞いてよ」
その圭ちゃんの声が明らかに興奮気味だったので、私はそっちが落ち着いてよと言おうとしたが
どうもそんな様子ではなかったのでそのまま話を聞くことにした。
「わかったよ。それでどしたの?」
「実は・・・後藤が・・・」
「後藤?あっ、丁度良かった。後藤って今日休みかわかる?」
圭ちゃんから後藤の名前が出るとは思いもしてなかったが、一応予定を確認しておいた方が
いいかなと思い、私はそう聞いていた。
すると圭ちゃんは先ほどより少し声を張った。
- 5 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時34分09秒
- 「ちょっと!そんなことはこの際どうでもいいことなのよ!実は・・・後藤が・・・後藤がどこにもいないらしいのよ」
「ハハハ、圭ちゃん何言ってんの?後藤はモーニング辞めたんだからいるわけないじゃん」
全く状況を把握していなかった私は、前私が辞めた時もこんなこと思われてたのかなぁなんて考えて少し笑っていた。
しかし、実際はもっと重要なことだった。
「バカ!そんなもんわかってるわよ。そんなんであんたにいちいち電話かけるわけないでしょ!
だから言ったでしょ?どこにもいないって・・・」
「えっ?・・・ってことは」
一瞬にして自分の心拍数が高くなってきているのがわかった。
何か嫌な予感がした。
「そう・・・行方不明なのよ・・・あの子ったらいったいどこ行ったのかしら・・・。ねぇ知らない?」
「・・・・・・いや・・・知らないよ・・・」
「う〜んもしや紗耶香のとこじゃないかな〜と思ったんだけどね。それじゃ私は他あたるから
またもし何かあったら連絡してね。忙しいとこ悪いね。そんじゃ」
「あっ!ちょっ・・・」
(プー・プー・プー・)
- 6 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時34分40秒
- 後藤が消えた?冷や汗が徐々に流れ始めた。
いつの間にか首筋まで汗が流れてきているのがわかった。
(後藤が・・・後藤が・・・後藤が?・・・いけない!探さなくちゃ!)
私は大急ぎで外出できるような格好をすると、適当に身支度をして
急いで玄関まで向かった。はっきり言って当てはまるでない。
だが、ただじっとしているわけにもいかなかった。
後藤が自分を呼んでいるようなそんな気がしたから・・・。
そして私は勢いよく玄関を飛び出した。もう体は感情のみで動いていたと言ってもおかしくはなかった。
しかしドアを開け一歩外に出たその時だった。目の前に自分より大きな人の気配がした。
いや、気配と言うより確かにそこには誰かがいる。ただ私の意識はもう違うところに飛んでいたようで
それが誰なのかすぐには認識することができなかった。
すると、その人は私にこう声をかけてきたのである。
「いちいちゃん・・・」
その声が耳を通り抜けた時、私はやっと顔をあげることができた。
「・・・・・・」
そこで一瞬私の思考回路はストップした。
- 7 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時35分13秒
- それからまた頭が回転し始めるまでに少し時間がかかった。とは言っても2,3秒程度のことである。
あまりにも突然であり、私の頭はそれでも混乱していた。
しかしその中でも一つだけ確実に理解できることがあった。
「・・・ご・・・後藤?」
目の前に立っていたのは、行方不明になっているはずの後藤だった。
- 8 名前:morizo 投稿日:2002年10月24日(木)21時36分59秒
- >>2->>7
今回の更新分です。
書き忘れましたが、誤字脱字あるかと思います。もしありましたら申し訳ございません。
お気づきになったことがあればどんどん言っていただきたいです。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月24日(木)22時43分36秒
- つづき期待
- 10 名前:りゅ〜ば 投稿日:2002年10月24日(木)22時50分32秒
- いきなり急な展開!
続きが気になります。文章も綺麗!
更新待ってます^^
- 11 名前:まめ大福 投稿日:2002年10月24日(木)23時14分17秒
- うわ〜い!
いちごまだぁー。期待大!がんがって下さい。
- 12 名前:morizo 投稿日:2002年10月27日(日)22時16分35秒
- とは言ったものの、私にはその状況が全くと言っていいほど理解できなかった。
おろおろすることさえできず、動きを完全に止めてしまった。
後藤が何故自分の目の前にいるのか、ということだけを考えて・・・。
そんな私を見てだろうか、後藤は一度「いちいちゃん」と言った後は一言も喋らない。
ただ気持ち後藤の顔が崩れてきているように思えた。
その中での静止・・・。
まるで自然が作り出したような空間だった。
いつも玄関を開けるとすぐ目に入ってくるような見慣れた大きな木の葉は一枚も揺れていない。
- 13 名前:morizo 投稿日:2002年10月27日(日)22時17分18秒
- 「・・・・・・」
「・・・・・・」
(ヒュ〜)
突然風が私たちの間を走り抜けていった。
今まで絵に描いてあったような大きな木の葉はゆらりゆらりと踊り始める。
すると後藤は目に涙を浮かべながら私に思い切り抱きついてきた。
「いちいちゃ〜ん・・・あ、会いたかったよ〜・・・ヒクヒク・・・」
「ご、後藤!?」
自分より随分背が高い後藤を支えるのは容易なことではなかったので私は少しよろめいてしまったが、
後藤が倒れないようにしっかりと支えた。
「ヒック・・・ヒック・・・ヒック・・・いちいちゃ〜ん・・・」
「ねぇ、ちょっと後藤落ち着いて。一体何があったの?ほら、泣いてるだけじゃわかんないでしょ?」
- 14 名前:morizo 投稿日:2002年10月27日(日)22時17分50秒
- 私の言葉は聞こえているのかわからないが後藤は先ほどより強く私に抱きついてきた。
そしてそっと後藤の顔を優しく上げると、もう顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
私はまだ落ち着いていない様子の後藤を抱きなおし
「まぁまぁ、取りあえずこんなとこじゃあれだから私の家に入んな。ゆっくり聞いてやるからさ」
と言うと、後藤はすぐに小さくコクリと頷いたので、
後藤の右手を掴んでゆっくりと家の中の先ほどまで自分が寝転んでいた部屋まで連れて行った。
「ほら、座って座って。まぁ相変わらず汚い部屋だけど」
笑ってそう言ったのだが、後藤は反応を示さずそのままペタンを座った。
「よっこらしょっと」
私は後藤の丁度正面に座り、少し間をとった。
- 15 名前:morizo 投稿日:2002年10月27日(日)22時25分05秒
- >>12-14
少量更新です。短編なので後1,2回で完結予定です。
>名無し読者さん
期待していただけると嬉しいです。ただ期待に答えられるかどうか・・・(笑)
>りゅ〜ばさん
短編は上手く文章の流れを作るのが難しいです。
文章が綺麗と言っていただけるとは・・・嬉しい限りです。
>まめ大福さん
はい、がんがらせていただきます(笑)
僕はいちごまで育ったんでこれからもいちごまを色んな方向から書いていきたいです
皆様レス有難うございました。
- 16 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月31日(木)23時49分31秒
- おおっ、いちごまだ〜。
楽しみにしてます。
がんがってください!
- 17 名前:綺羅星 投稿日:2002年11月03日(日)22時46分13秒
- うわぁ〜☆久々にいちごま発見!!!
この間、市井さんのコンサートに行ってから、いちごまにはまっちゃってます!
更新楽しみにしております☆☆☆
- 18 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月08日(日)16時58分49秒
- 待ってます。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月27日(金)21時27分38秒
- 頑張れ…
- 20 名前:morizo 投稿日:2003年01月04日(土)20時15分04秒
- すみません。言い訳はよくないんで言わずに誤ります。
来週になればまた続きを書こうと思います。
頭に構想はあるので待っていてください。どうもすみません
- 21 名前:morizo 投稿日:2003年01月13日(月)23時55分10秒
- 少しずつ時間が経過していくとともに後藤も落ち着きを取り戻してきたようだった。
まだいつものようにとまでは行かない様子だが、話をするくらいなら十分な感じである。
「ちょっとは落ち着いてきたみたいだね。それじゃあ改めて聞くけどどうしたの?」
「・・・た・・・しさ」
「ん?何?」
「私さ・・・もう疲れちゃったんだ・・・もう仕事やりたくないよ・・・」
「え?それどういうこと?」
「疲れちゃった・・・」
「・・・・・・」
私は一度目でしっかり聞き取れていたのだが、思わず聞き返してしまった。
しかもそれにすぐ答えられないでいた。
後藤は私の顔を見て話しておらず斜め下を向いていた。
正直この後に何を言えばいいのかわからず。
時計の針が動く音が聞こえるほど静かになってしまった。
- 22 名前:morizo 投稿日:2003年01月13日(月)23時55分49秒
- 後藤をちらりと見る。
私には次の私の言葉を待っているように思えた。
「でさ、何かあったの?」
「・・・・・・」
「話してくれる?」
「・・・うんとね・・・私娘。辞めたじゃん?そんで辞める前はソロで頑張るんだ〜って気持ちで
いっぱいだったのね。それもすごい楽しみでさ」
やっと私の口から出た言葉がこれだったが、どうにか後藤も話し始めてくれた。
私はもう一度真剣な顔になって後藤の話を聞いた。
「だけどさ、何て言うかわかんないんだけど急に何にもやりたくなくなっちゃって・・・。
前からわかってたんだよ。もう娘。じゃないから何でも自分でやらなきゃいけないって。
でも実際にそうなっちゃったらさ・・・すっごい寂しくなっちゃって何にもやる気
起きなくなっちゃったんだ・・・」
「・・・・・・そう」
「それで私どうしたらいいかわかんなくて、飛び出してきて気付いたら市井ちゃんの家の前だったんだ」
後藤はようやく顔を少し上げて私の顔を見た。
その顔はまるで自分がモーニング娘。で後藤の教育係をしていた頃のものにそっくりだった。
それが私には不思議に見えた。
- 23 名前:morizo 投稿日:2003年01月13日(月)23時56分21秒
- 何故ならつい昨日見た後藤はもう自分の知らない後藤になっていたように見えたのに、
今はあの頃の後藤だったからだ。
「じゃあさ、仕事以外でも何でもいいんだけど今後藤は一番何がしたいの?」
「・・・うんとね・・・えっとね・・・特にやりたいってかやりたいことがなくなっちゃった・・・。
そうだ、市井ちゃんは辞めた時どう思ったの?」
「ごめん、その質問に答える前にもう一つ聞いておきたいことがあるの。後藤は将来もっと
有名になるような歌手になりたいんだよね?」
「うん・・・それは勿論思ってるよ・・・BIGな歌手にね」
それを聞いて私は少し安心した。
「ふふふ、じゃあ結論から言うと後藤には仕事を続けろって言うしかないかな」
「えっ!?・・・なんで?」
「それはね・・・」
私も後藤と同じようなことを思ったことがあった。そして私は1年半という期間を空けてしまった。
だけどそれは・・・。
後藤には私のようになって欲しくなかった。
- 24 名前:morizo 投稿日:2003年01月13日(月)23時58分48秒
- 「それはね、やっぱり音楽活動を続けていくのが一番だからだよ。私も確かに後藤みたいに思ってた。
だけど私は特に今の後藤みたいに仕事はなかったから、すぐに音楽活動をすることはできなかったの。
それで結局1年半も空いちゃった・・・。この期間は私も楽しくのびのびと過ごすことができたのは
確かなんだけど、やっぱり環境が違うから努力して音楽活動的なことをしようにも限界があったわけ・・・」
「・・・・・・」
後藤は黙ったまま聞いていた。
「・・・ん?ごめん、気付いたら話ずれてたかな?要するに私の経験からするとやっぱり続けた方が
いいと思うんだよ。私も復帰してからそのブランクって言うのかな?すごく大きいって感じたんだよ。
でもそこで後悔しても遅かった・・・。もっと早くやっときゃよかったって何度思ったか・・・。
だけど後藤には私と一番違うところがあるじゃない?わかる?」
「・・・・・・・」
- 25 名前:morizo 投稿日:2003年01月13日(月)23時59分26秒
「わからないかな?さっき言ったことなんだけどさ」
「・・・・・・仕事があること?」
「そう、そこ。後藤は今からすぐに新しいことができるじゃない。私が偉そうに言うのも難だけど
今活動を打ち切っちゃったら絶対後悔するよ。歌手としての道を完全に捨てるならそれもいいけど
さっき確認したよね?だったらもう私にはこのくらいしか言えないよ。だから後藤には続けて欲しい。
私みたいな思いをして欲しくないから」
「・・・・・・」
私は自分の思っていることをすべて言葉にした。
ただちゃんと後藤に届いたのだろうか?反応がない後藤に少し戸惑った。
「・・・ちょっとわかり難い言い方だったかな?」
「・・・ううん、市井ちゃんの言うことすんごいよくわかったよ」
「そう?そりゃよかった。後は後藤自身が決めることだよ。私の言う事は参考程度にしてくれればいいし、
後藤がどういう風にしたとしても私は応援するつもりだから」
「うん・・・ありがと市井ちゃん」
- 26 名前:morizo 投稿日:2003年01月13日(月)23時59分56秒
- 後藤はそう言ったものの、また顔を下に向け俯いてしまった。やはりまだ色々と迷っているに違いない。
私もその気持ちが痛いほどよくわかったので答えを急かそうとは思わなかった。
「じゃ、ちょっと何か飲み物でも持ってくるよ。何でもいいよね?」
私はそう言ってその場から立ち上がろうとしたその時。
「!!!・・・後藤?」
後藤は立ち上がろうとした私に後ろから抱き付いてきた。
「・・・市井ちゃん・・・ずっとそばにいて・・・」
「・・・わかったよ」
何故かこの感覚に心臓が激しく動き出した。
そう、すごく暖かいこの感覚。
私は立ちかけた格好からもう一度ゆっくりと腰を下ろした。
- 27 名前:morizo 投稿日:2003年01月14日(火)00時04分37秒
- >>21-26
今回更新分です。やっと更新することができました。待っていてくれる方もいなく
なってしまったかもしれませんが、せっかく立てましたので無駄にしたくないので
必ず完結させます。新たに読んでくれる方がいましたら、これからは更新ここまで
遅くならないようにしますので読んでみてください。
>名無し読者さん
どうもすみません。長い間お待たせしてしまいました。
もしまだ読んでいただけるのなら、よろしくお願いします。
>綺羅星さん
どうも、当方市井ファンなんでコンまでいってるとは驚きです。
よいいちごま作品になるよう頑張りますのでよろしくお願いします
皆様レス有難うございました
- 28 名前:読者Z 投稿日:2003年01月14日(火)00時22分17秒
- ようやく再開しましたね。
今後は定期的にお願いします。
- 29 名前:morizo 投稿日:2003年01月17日(金)23時38分17秒
- どれだけ時間が経っただろうか。
私は今時間が止まってしまってもいい。そう思った。
「後藤?・・・まだこのままでいた方がいい?」
「うん・・・市井ちゃんの背中ってあったかいね・・・」
「そうか?へへへ、ありがと」
私がそう話しかけると自分の心拍数が少しずつ落ち着いてきたのがわかった。
(ドク…ドク…ドク…ドク…)
後藤の心音が背中からしっかりと感じられ、
次第に私と後藤の心音が重なり始めた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
私たちはその時一つになったような気がした。
- 30 名前:morizo 投稿日:2003年01月17日(金)23時38分53秒
- 「ねぇ後藤?ちょっといいかな?」
「・・・・・・」
「おい、後藤?」
「・・・・・・」
「ちょっ・・・ありゃりゃ・・・寝ちゃってるよ。後藤疲れちゃったんだね」
「・・・・・・」
どうやら後藤は寝てしまったらしい。
それもそうだ、色々と悩んだり泣いたりしたからに違いない。
ただ、『自分の背中で安心して寝てくれたのかな?もしそうだったら少し嬉しいな・・・』
などと考えながら一人でくすっと笑ってしまった。
しかし残念ながら私から後藤の寝顔は見れなかった。
- 31 名前:morizo 投稿日:2003年01月17日(金)23時40分42秒
- 少量ですが、更新させていただきました。
更新しないと忘れそうなので(笑
>読者Zさん
どうもです。どれも図星の言葉です、申し訳ないです(汗
これからはなんとか保っていけたら言いと思ってます。
レス有難うございました。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月18日(土)18時45分52秒
- 今日はじめて読んだけど、面白いです。
がんばってください。
- 33 名前:morizo 投稿日:2003年01月20日(月)20時39分18秒
- 目を覚ました時にはもう背中は軽かった。
私はまず一番最初に後ろを振り返ると、先ほどまで自分の背中で眠っていた
後藤の姿はもうなかった。
寝ぼけていたわけではないのだが、私は暫くその場で呆然としてしまった。
その時、実は今までのことがすべて夢なんじゃないかと思った。
しかしすぐ後ろの床をそっと触ると少し温かかったので
今までのことが夢じゃなくて現実のことなんだと確認できた。
「・・・・・・」
私でもまだ後藤が座っていた床が温かかったことから、後藤がいなくなってから
あまり時間が経っていないなということは容易にわかった。
- 34 名前:morizo 投稿日:2003年01月20日(月)20時40分09秒
- もしかしてまだ家のどこかにいるんじゃないかと思ったが
大きく辺りを一瞥した後、家の中には自分以外人の気配がしないことがわかり
その思いはあっさりと消えた。
「・・・・・・」
私は顔を少しそばめながら右手でおもむろに頭を掻き毟ると、
ようやく自分が今までどんな状態だったのかを考え始めた。
「・・・・・・」
取りあえず後藤が自分の背中で眠っていたことまではしっかりと覚えていたが、
その後の記憶が全くと言っていいほどなかった。
「・・・・・・」
それは考えるまでもないことだった。理由はどうあれ、あの後おそらく私も眠ってしまったのだろう。
そしてその間に後藤の方が先に目を覚まして、私に気を遣って起こさないように出て行ったのだろうか・・・。
勿論根拠はないが、それが一番辻褄が合うような気がした。
- 35 名前:morizo 投稿日:2003年01月20日(月)20時40分56秒
- ただそれはそれで納得できたのだが、何故何も言わずに出て行ったのだろう?
何かメッセージでも残しておいてくれればいいのに・・・。
私には少しの疑問が残った。
「・・・そう言えば喉渇いたな」
私は座ったまま一度大きくのびをしてから立ち上がると
先ほど用意しようとしていた紅茶を一杯だけ作ると、ゆっくりと口に運んだ。
「んん?・・・砂糖入れすぎちゃったな・・・」
紅茶は少し甘かった。
- 36 名前:morizo 投稿日:2003年01月20日(月)20時43分40秒
- ということで今回も少量更新です。
このくらいの量でも更新が早い間隔で多くできるといいなぁと思ってます。
>名無し読者さん
どうもレス有難うございます。そう言っていただけるのが一番嬉しいです。
これからも頑張りますので完結までよろしくお願いします♪
- 37 名前:りゅ〜ば 投稿日:2003年01月22日(水)20時08分29秒
- 更新キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
市井さんの記憶がない部分で、何が起きたのか気になります!
(もしかしてミステリー?!)
いちごまは実はmorizoさんのが初めてなので、更新期待します。
これからも頑張って下さい!
- 38 名前:読者Z 投稿日:2003年01月23日(木)02時14分03秒
- 更新お疲れ様です。
今のところ先が読めな〜い。
これからが楽しみです。
- 39 名前:morizo 投稿日:2003年01月23日(木)22時26分57秒
- 私はその後紅茶を少しずつ口に運んで全部飲んだ。
口に運ぶ度にどんどん砂糖の甘さが広がっていき、普段ならとっくにくどくなりそうな味だったが、
今回は何故かそんな感じはほとんどしなかった。
そしてふらふらと歩きながらソファーに倒れるように寝転がった。
(バフッ!!・・・・・・)
寝転がりながら天井の方を見ると、窓から射し込む光がふわふわ浮いている毛のようなほこりを照らしていた。
その様をぼ〜っと見ているとなんだか少し虚しくなった。
「・・・・・・」
何をすることがない。いや厳密にはする気がおきなかった。勿論外出なんて考えもしなかった。
「・・・そうだ」
私は思い出したかのようにポケットに入れておいた携帯電話を手に取り後藤の電話番号を表示させたが、
一度表示画面をぐっと凝視した後、思いとどまってそのままの状態で床に放り投げた。
(ガタッ!)
雑に放り投げられた携帯からの悲鳴は部屋中に広がった。
- 40 名前:morizo 投稿日:2003年01月23日(木)22時28分18秒
- 「はぁ・・・後藤から連絡を待った方がいいか、何も私から掛けなくても・・・」
自分を納得させるかのようにそう呟くと、ゴロリとソファーの上で向きを変えた。
先ほどから射し込んでいる光の角度が少しずつ変わってきた。
時計を見るともう昼はとっくに過ぎていたにもかかわらず、お腹が空くことはなかった。
微妙な無気力感のようなものが体の中に漂っていた。
相談されたことを私は答えた。
しかしそれが伝わってるのかわからないというのがどれだけ気になって仕方がないことか。
ましてやその相手が後藤なのだから・・・。
ある種不安をも覚えそうになった。
- 41 名前:morizo 投稿日:2003年01月23日(木)22時28分58秒
- だがそうならば自分で当の本人である後藤に聞けばいい話であるが、やっぱりそういうものでは
ないような気がしたのだ。後藤の方からそれを聞きたかった。
そうじゃないとなんの意味もないような気がして・・・。
だからさっき電話を掛けようとしたのを思いとどまったのである。
「はぁ・・・」
私はもう一度大きく溜息をつくと、また眠気に誘われた。
まぶたが重い。
(もう一度寝ようかな・・・)
今度は自分の意志で静かに目を閉じた。
それが少し怖かったが、先ほどからの日光のせいかソファーの周りは暖かく、そんな気持ちも和らいだ。
- 42 名前:morizo 投稿日:2003年01月23日(木)22時36分04秒
- 今回も少量ですが更新です。次回の更新はいつもより多めの更新を予定してますので
ってことで今回はご勘弁を。更新頻度は変わらなくできそうです。
>りゅ〜ばさん
どうも有難うございます。
>市井さんの記憶がない部分で、何が起きたのか気になります!
それは・・・いずれ出てくると思います・・・きっと(爆笑
これからもお互い頑張りましょう。
>読者Zさん
楽しみにしていてくださってとても嬉しいです。
先が「読めないで」はなくて「意味わからない」にならないように精進します(なじょ
皆様レス有難うございました。
- 43 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時50分32秒
- 外からの光でいつの間にか部屋の中はオレンジ一色に塗り替えられていた。
私は長い間横になっていた体を起こして首をゆっくり一回転させると、おもむろに立ち上がり
まだ少し閉まっていたカーテンを大きく開けて外を見つめた。
正面から右側の方に燃えるような真っ赤な夕日が静かに佇んでいる。
するとその夕日を真一文字に鳥が切り裂くように横切っていった。
何と言う鳥なのかわからなかったが、その後は大きく翼を広げ優雅に飛んでいた。
しかしそれも次第に小さくなっていき、ついには建物の死角に入って見えなくなってしまった。
すぐ眼下ににある通りには誰一人通行人がいない。
急になんだか寂しくなった。
- 44 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時51分09秒
- もう一度空の方に振り向くと、もう夕日は私にさよならを告げていた。
空は少しずつ闇に食べられていくかのように暗くなっていき、
そしてとうとう食べつくしてしまった。
その間私はずっと窓の前に立ち尽くしていたのである。
それも色々なことが重なり、今度はその寂しさが自分一人取り残されたような孤独感に変わった。
「後藤・・・」
そんな時自分では何も意識していないはずなのにこんな言葉がふっと口から出た。
意思とかそういうものではなく、自分の中ではわからない何かがそう言わせた気がした。
窓が少し曇ったが、またすぐに元に戻った。
私は手早にカーテンを閉じた。
- 45 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時51分47秒
- すると、急にスイッチで切り替わったかのようにお腹が空いた。
お腹がぐ〜っと小さく叫んだ。
と同時に妙な圧迫感のようなものも無くなり、気分的には少し楽になった。
今日初めて部屋の電気を点けてからスタスタと歩いてしゃがむと冷蔵庫のドアを開けた。
しかしこれと言ったものがなかった。
先ほど妙な圧迫感は取れたのだが、やはり微妙な無気力感は取れていなかったので
勿論何か買いに行く気にはならなかった。
「はぁ・・・」
また溜息を吐いてしまった。
今日何度吐いたか詳しく覚えていないし、当然そんなもの数えてもいない。
ただこんなに溜息を吐いたのは久しぶりであった。ずっとこんな風にしてたら
早く老けちゃうかな?などと考えていると自然と顔が少し緩んだ。
- 46 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時52分17秒
- だが実際のところは何もしなくてもお腹は空いていくため、しょうがないかと思いながら
よいしょと立ち上がると、台所の横に積んであるカップ麺に手を伸ばした。
包まれているビニールを雑に破ってポットからお湯を注いだ。
急いでるせいか、お湯が少し飛び散って手が少し熱かった。
カップに蓋をすると、ちゃんと時間分待ってからいただきますと言っ箸をつけた。
殆ど空っぽの胃に食べ物が溜まっていくような感じが異常に面白かった。
あっという間に食べ終わったが、まだお腹の方の欲求は満たされておらず
もう一つ違う種類のものを食べた。
そしてようやくお腹が静かになった。満腹になって満足してるのだろう。
ただそれによって変わったのは自分の空腹感が解消されただけで、周りの様子は
あれからずっと変わっていなかった。
とても静かなのである。
なのに私はテレビを点けることも、音楽を聴くこともしようとはしなかった。
後ろを振り向いて時計を見るともうすぐ針は7時を刻もうとしていた。
しかし今の私にはあまり時間の感覚というものがなかった。
- 47 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時52分49秒
- 休みは今日だけであって、明日からはまたいつものように仕事が始まるので朝も早い。
そう考えてもまだ何だか不思議な感じは抜けなかったが、それは現実であり、
今日後藤が自分の家に来たことも紛れも無い現実だった。
私はもう今日は早めに休もうと思い、お風呂場に行ってパパッと服を脱ぐと
この日は浴槽に入ることなく、シャワーだけをサッと浴びて汗を流す程度で終わることにした。
体があまり温まっていない分冷えないようにすぐに寝る格好に着替えると、
まだ少し濡れて光を反射している髪をドライヤーで乾かし後ろで束ねた。
そして冷蔵庫から残り半分ほどになっていた牛乳をググッと勢いよく飲み干してから大きく息を吐いた。
もう空になったパックを台所の傍にあるごみ箱に放り投げたが、一度目は上手くいかず弾かれてしまった。
何でも乱暴に扱うもんじゃないねと思い今度は丁寧にごみ箱に捨てた。
- 48 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時53分24秒
- その後寝る準備をしてベットのある寝室へ向かおうとすると、床には寂しそうに携帯が落ちていた。
それはまるで今の自分のように・・・。
私はそれを優しく拾い上げると両手で包み込むように持って寝室へ入った。
一人では少し大きいくらいのベットにうつ伏せに勢いよく倒れ込むと、その時の勢いで
携帯を思わず離してしまいそうになったので慌ててぎゅっと握り締めた。
「おおっ!」
思わず声も出てしまった。
少しの間ベットに顔を潜り込ませるように埋めたままだったが、
その後はそのまま這うようにしてベットの中心まで行くと、
携帯を枕の傍にちょこんと置いてからもぞもぞっと布団に入った。
たくさん昼寝した分すぐには寝られないだろうと思っていたが、
意外にもあっさり意識が無くなった。
- 49 名前:morizo 投稿日:2003年01月28日(火)20時55分32秒
- >>43-48
というわけで今回の更新分です。
少し読み返してみたら誤字脱字あってお恥ずかしいです(汗
この作品ももう少しで終わりますのであと少し皆様お付き合いください。
後半ちょっとくどくなってしまいましたが・・・気にしないで下さい(笑
ではまた
- 50 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月08日(土)13時36分22秒
- 50get
Converted by dat2html.pl 1.0