オムニバス 電話
- 1 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月09日(土)21時56分53秒
- 皆様、初めまして、seek、でびゅうーです。
某所で連載中ですが、痛く、暗く、重いのを書き始めまして、行き詰まってしましました。
気分転換に、軽い目のものを、オムニバスで書かせていただきます。
一応、10話をめどにしています。
もしご覧の方で、スレタイトルに有りますように「電話」と言うテーマで
作品をお持ちでしたら、UPしていただいて結構です。
只、UPする際は一気完結で、ラストにエンドマークをお願いします。
それでは、つたない作品ですが、よろしくお願いします。
- 2 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)21時57分52秒
♪♪〜♪♪♪〜♪〜♪♪〜♪♪
ディスプレーには「石川梨華」の表示。
「はい・・・・」
『あ、私、 今帰って来たの』
「うん・・・」
『よっすぃ〜、怒ってる?』
「楽しみにしてたから、ちょっとね」
『ごめんね、柴っちゃんが急に付き合って欲しいって言うから』
「断ればいいじゃん、久しぶりに会えると思ったのに」
『話が有るって言うし、柴っちゃん、なんか泣きそうになってたから』
「それでどんな話だったの?」
『よっすぃ〜、この話は内緒だよ』
- 3 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)21時58分53秒
- 「うん、余計なことは喋らない」
『柴っちゃん、付き合ってる人がいるんだって』
「へぇ・・・・・・」
『相手、誰だか聞かないの?』
「興味ないもん、ウチが興味有るのは、梨華ちゃんだけ」
『ばかね 何、言ってんのよ』
「で、誰よ?」
『大谷さん』
「え! 大谷さんって、あの大谷さん?」
『そうなの、びっくりしちゃった』
「ホント、全然そんな素振り見えないけどね」
- 4 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)21時59分36秒
- 『私たちとおんなじね』
「ン・・・・・」
『どうして言葉がないの?』
「それで柴っちゃん、どうしたって?」
『大谷さんが浮気してるって言うの』
「相手は誰よ?」
『それがね、分からないって』
「気の所為じゃないの?」
『なんか避けてるみたいだし、連絡しても繋がらない事が多いって』
「それって恋人同士に良くある、パターンじゃないの?」
『そうかな〜』
「いざふたを開けてみると勘違いで、後はのろけになるってやつ」
- 5 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時00分16秒
- 『うん、私もそう思うんだけどね、大谷さん、よっすぃ〜と違って
まじめだもんね』
「ちょ! それどう言う意味?」
『よっすぃ〜は誰にでも優しいし、もてるもんね』
「梨華ちゃん、なんか話がずれて来てない?」
『あっ、そうそうそれでね、柴っちゃん
みんなに大谷さんと付き合ってる事、言うんだって』
「へぇ・・・・・」
『また、興味の無さそうな声出して』
「興味ないもん」
『私たちはどうするの?』
「何を?」
- 6 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時00分47秒
- 『みんなに付き合ってるって言わないの?』
「・・・・・・・」
『それってどういう沈黙?』
「・・・・・・どういうって?」
『私がこの話しをすると、よっすぃ〜話をそらすじゃない』
「そんなことはない・・・・」
『じゃぁ、どうするの?』
「どうするって言われても・・・・」
『結局、よっすぃ〜は私との事を秘密にしておいて
みんなにいい子になろうとしてるんだ』
「そうじゃ無いけど、ウチら女同士だよ!」
『それがどうしたの?』
「変に思う人もいるじゃない、そうなったら・・・・・」
『じゃぁ、あの日、女同士とかそんなの関係なく
「愛してる」って言ってくれたのは嘘だったの?』
「嘘じゃないよ、でも、もう少し待ってよ!」
- 7 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時01分17秒
- 『・・・うん、わかった』
「・・・・・・・・うっ・・・・うん・・・・」
『よっすぃ〜?』
「ウチ、もう寝る・・・・」
『うん、それじゃ、おやすみ』
「おやすみ・・・・・・」
- 8 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時01分48秒
- ♪〜♪〜♪〜♪♪〜♪〜♪〜♪〜♪♪
ディスプレーには「吉澤ひとみ」の表示。
「はい・・・・」
『あ、ウチ、ごめん、急な仕事で』
「うん・・・」
『梨華ちゃん、怒ってる?』
「楽しみにしてたから・・・・・」
『ごめんね、グラビア写真の撮り直しが有って』
「ホントに仕事なの?」
『えっ? どういう意味よ?』
「よっすぃ〜、他に好きな人がいるんじゃ無いの?」
『何言ってんの?』
「じゃあ、どうして私たちのこと、秘密にしなくちゃいけないの?」
『えっ?』
- 9 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時02分20秒
「私たち、不倫でも何でもないのよ、女同士ってそんなにいけないこと?
そんなに秘密にしないといけない事なの?」
『・・・・・・・・・・・・』
「また、黙っちゃう、ちゃんと答えて」
『ちゃんと答えるも何も・・・・・」
「何よ?」
『もし、みんなに知られて、気持ち悪がられたり、変な目で見られたりしたら
梨華ちゃんもウチも、モーニングにいられなくなるんだよ。
それでもいいの? そうなったら終っちゃうじゃん』
「そう言う可能性、あるんだ」
『えっ?』
「私たち、終わっちゃう可能性、あるんだ」
『いや、万が一、億が一の話だよ、世の中どうなるか分からないじゃないの』
- 10 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時02分51秒
- 「それを前提に考えてるわけね」
『前提じゃなくって、可能性も・・・・』
「ホラ!」
『・・・・・・・』
「願望なんでしょ?」
『違うよ・・・・・』
「やっぱり、他に好きな人が出来たんだ・・」
『違う・・・・・』
「はっきり言ってよ!」
『ホントに違うって』
「じゃあ、私たちが付き合ってる事、みんなに言っちゃう!」
『だから・・・・・』
「どうしてダメなの?」
『・・・・・・正直言って、迷ってる』
「・・・・・・・・・・・・」
- 11 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時03分31秒
- 『梨華ちゃんのこと、嫌いになった訳じゃないし、他に好きな人が出来た訳でもない
梨華ちゃんのことは世界で誰よりも愛してる、大切な人だ』
「・・・・・・・・・・・・・」
『でも、なんていうのかな、怖いんだよ』
「世間の目?」
『それだけじゃ無い、そうなったときに梨華ちゃんが・・・・』
「私を信用できないわけ?」
『そうじゃないよ、判ってくれないのかな』
「判ンない」
『信じているけど、不安なんだよ』
「今さらそんな事言うなんて信じらんない!」
『あっ! もしもし!? 梨華ちゃん!』
- 12 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時04分01秒
ディスプレーには「非通知」の表示。
誰だろ?
「もしもし」
『私』
「梨華ちゃん、携帯じゃ無いの?」
『うん、充電切れで普通の電話から』
「そうか、非通知だから誰かと思った」
『今、話してても大丈夫?』
「うん、スタジオの近くの公園だから、大丈夫」
『・・・・・・』
「昨日はごめんね」
『いいの、別に・・・ 一つだけはっきりしてくれれば』
「うん、何?」
- 13 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時04分32秒
- 『石川梨華は、吉澤ひとみの一体なに?』
「・・・・・・」
『単なる遊び相手? 同期の仲間? 友達? それとも恋人?』
「・・・・・・・・・・恋・・」
『どうなの? よっすぃ〜の答えによっては、これっきりにする』
「そう言う事をさ、電話で言わないで、今夜、逢おう」
『いゃ! 今、はっきりして欲しいの』
「・・・・・・・」
『判った、じゃあ、さようなら』
「梨華ちゃん、待って!」
『じゃあ、ちゃんと言って』
- 14 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時05分04秒
「石川梨華は・・・・・」
『石川梨華は?』
「吉澤ひとみの・・・・・」
『吉澤ひとみの?』
「恋人です・・・」
『吉澤ひとみは石川梨華を?』
「吉澤ひとみは石川梨華を、誰よりも愛しています、世界の誰よりも」
『・・・・・・・』
- 15 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時05分37秒
『ぎゃはっはーーー! わーーーーぃ! やったーーーー!』
『よっすぃ〜、言っちゃった、ぎゃはははーーーー!』
やぐっつぁん?
『よしこ、とうとう言っちゃったよ』
ごっちん?
『吉澤! 往生際が悪いよ!』
保田さん?
『よっすぃ〜、言いよった! 言いよった!』
あいぼん?
『よっすぃ〜、じたばたしすぎれす』
のの?
『『『『吉澤さん、おめでとうございま〜す』』』』
高橋、紺野、新垣、小川? おめでとうって?
- 16 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時06分08秒
『まあ、なんにしてもよかったべ』
なっち?
『吉澤、カオは思うわけ、これが自然じゃ無いかと・・・・・・・・・・・・・・・』
飯田さん?
『よっさん、これで年貢の納め時やなぁ』
中澤さん?
- 17 名前:非通知 投稿日:2002年11月09日(土)22時06分41秒
『よっすぃ〜』
「梨華ちゃん、これは?」
『みんなが祝福してくれてるの』
「みんな?」
『そう、みんなが』
「梨華ちゃん、それ何処?」
『レッスン場の控え室』
「・・・・・・」
『レッスン場の控え室の電話って、スピーカーホンなのよね
よっすぃ〜の声、みんなに聞こえてたのよ』
くそっ! モーニングなんてやめてやる!
教訓「非通知」の電話は取るな!
- 18 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年11月09日(土)22時09分31秒
- 第一話 「非通知」 終わりです。
こんな調子でやらせて貰いますが、更新ペースは遅いと思いますので
ご了解ください。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月12日(火)12時14分23秒
- 面白いです。
会話だけで成り立っているのが、余計雰囲気出てます。
某所の作品も読ませていただきましたが、確かに痛くて重いですね(w
オムニバスということは、石吉以外のCPもあるんでしょうか?
更新、楽しみにしています。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月28日(木)17時03分10秒
- 次は?
待ってる間にお前も電話で考えろって事?
そしてここに放り込めって事?
- 21 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時09分57秒
「もしもし、裕子ママ?」
『あぁ、よっさん、お早ようさん、どうしたん?』
「ママ、あたし、相談があって・・・・・」
『相談? それよりもちょっと聞いてよ』
「・・・・はい、なんですか?」
『なぁ、よっさんかて、こんな商売してるからゆうて
誰とでもネる、なんて思われたら嫌やろ?』
「はい、そりゃぁいやです」
『うち、よお口説かれんねん、いろんな男に』
「ママ、もてるから」
『まっ、大体はカラダが目的やねんけど、中には本気で『好きや』
って、言うてくれる人もいてんねん』
「寺田さんですか?」
『そや・・・・』
「寺田さん、いい人ですもんね」
『最近ウチな、寺田さんに惹かれて行ってんねん。』
「・・・・・」
『もう、ミチオとは別れようかなと思うほどやねん』
「・・・・・・・・・」
『もちろん、寺田さんとは、Hしてないで。
そやからカラダの相性が合うのかどうかわらんけどな』
「・・・・それって、やっぱり重要ですか?」
『そらそうやで、好きな人とHした途端に嫌いになる事もあるで
よっさんは無いか?』
「あたしは・・・・・・・」
- 22 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時10分32秒
『なぁ、よっさん、聞いてぇな』
「・・・・・・・聞いてますけど」
『ミチオがな、また浮気しよってん』
「・・・・・・・・」
『この前バレた時にな、土下座して、『もう二度としません』て言うて
泣いて謝ったから、許してしもてん』
「・・・・・・・」
『あれが間違いやった、一ヶ月も経って無いのに、昨日、浮気の証拠
体中につけて帰って来てん』
「・・・・・・・・・・・」
『ウチが店から帰ったらベッドに、大の字に寝てんねんで、堂々と。
ウチ、カッとなって台所へ飛んで行ってん』
「えっ!? ひょっとして・・・・・」
『そや、包丁や』
「ま、まさか・・・・・」
『アホ、ウチかて人生棒に振りと無いわ、殺す気は無いけど
アソコちょんぎってやろかなと思てん、寝てる間に』
「やっちゃったんですか!?」
『ううん、出来んかった』
「・・・・・・驚かさないでくださいよ」
『なぁ、よっさん、なんでか分かる?』
- 23 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時11分07秒
「下手するとミチオさん死んじゃうし、犯罪になるからでしょ?」
『違う・・・ もったい無いやん』
「えっ?」
『包丁片手に、寝てるミチオのパンツ脱がせてん、そしたら
あのアホなんの夢みてるんか知らんけど、大きなっててん』
「うぁ・・・・・」
『まあ、それ見たら、もったいないって思てん。
切ったら、もう出来へんって・・・ アホやろ』
「・・・・・・・・」
『ホンマ、アホやろ、何遍も裏切られてんのに』
「・・・・判ります、ママの気持ち」
『ほんまに判るんか? よっさん』
「・・・・・・」
『よっさん、男、好きになる時、どこ? 好きになる?』
「どこって、その人の雰囲気とか、匂いとか」
『うんそやな、匂いって判るなぁ』
「・・・・・・」
『ウチら動物なんよ。絶対別れてやるって思てる、ミチオに
抱かれて感じてる自分が嫌やねん。』
「・・・・・・」
『なあ、よっさん、どうしたらええやろ、このままミチオと
付きおうてたら、不幸になるばっかりやろ?』
「だったら、寺田さんの処に行くしかないんじゃないですか?」
- 24 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時11分49秒
『怖いねん、寺田さんとネて良お無かったら・・・ どうする?
よっさん、責任とってくれるか?』
「そんな事言われても・・・・・」
『思い切って抱かれてみよかな、寺田さんに』
「でも、ママ、寺田さんって結婚してるんでしょ?」
『へぇ、よっさん、そんな事気にするんや』
「・・・・・・」
『どうせ好きになった男が独身やったとしても
結婚出来るわけないやんか、ウチらの場合』
「・・・・そりゃ、そうですけど、寂しくないですか?
逢いたいときに逢えないって」
『そやなぁ・・・・』
「祐子ママ」
『・・・・・・・・・・・』
「祐子ママってば」
『あぁ聞いてるで』
「あたし、ママに相談が有って電話したんです」
『何? 相談って・・・・・』
「・・・・・・ママ、あたしのこと、軽蔑しない?」
『よっさん、何かヤバいことやったんか?』
「違いますよ、好きな人が出来たんです」
『良かったやん、よっさんに好きな人が出来て、なんでウチが軽蔑すんねん』
「・・・・・・相手が問題なんです」
『誰やねん? ウチが知ってる人か?』
「はい・・・・・・・」
『まさか、寺田さんや無いやろな?』
「ち、違いますょ」
- 25 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時12分25秒
『ホンマやろな?』
「ホントです」
『そやったら誰を好きになっても、応援したる』
「・・・・・・・」
『どおしたん、何悩んでるん?』
「・・・・・・・」
『判った、妻子持ちなんや、そんなん気にせんでも・・・』
「違いますって」
『へぇ、そしたら誰やねん?』
「お店の外で知り合った人なんです」
『何処で知り合ったん?』
「渋谷の行きつけのお店で」
『お店?』
「はい・・・・・」
『そこの店の子かいな?』
「いえ、お客さんです」
『何してる人?』
「仕事はまだ聞いてません」
『その店って、何の店?』
「ブティックです」
『ブティックって・・・・・・?』
「いつも服を買いに行ってるお店です」
- 26 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時13分01秒
『よっさん、まさか、いつも行ってる店って?』
「・・・・・・・・」
『相手の人の名前って?』
「はい・・・・ 石川梨華って言います」
『よっさん、何いうてんねん!?』
「・・・・・・・・」
『ホンマやんねんな?』
「・・・・・・はい」
『よっさん、それ絶対おかしいで』
「・・・・・やっぱり、そうですよね」
『信じられへんわ、よっさん、そんなん・・・・・・』
「あたし、初めてなんですこんな事、だからどうしようかと思って・・・・」
『あ゛ー 何か気持ち悪いわ』
「そんな事言わないでくださいよ、ママ」
『石川梨華って、女やろ?』
「そうなんです」
『おかしいやろ、オカマが女を好きになるなんて!』
「でも、どうしようもなく、好きになってしまって」
『もう、知らん、知らん、好きにして、ウチは知らん!』
「ママ、ちょっと・・・・・」
『ツ− ツ− ツ− ツ−』
- 27 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時13分33秒
- 28 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時14分12秒
「もし、もし」
『あ、あの、私、梨華です・・・・・・』
「あっ、梨華ちゃん・・・・・・・」
『ごめんね、急に帰ってりして・・・・』
「ううぅん、当然だよ・・・」
『違うの・・・、ビックリしただけ』
「そりゃぁビックリするよね、『女』だと思ってたあたしが
女の子の梨華ちゃんに、告白するだけでも変なのに
その上、ホントは『男』でオカマだったなんて
気持ち悪いよね、軽蔑するよね。
でも、梨華ちゃんの事、本気で好きになっちゃたんだ。
断られるって判っていても、言わずにはいられなかった。
ごめんね、もう忘れてくれていいよ。
もう二度と逢うことも無いかも知れないけど
もし、何処かで逢ったら、笑って逢えれば嬉しいな。」
『ちが、違うの、ホントにビックリしただけなの
あれから家に帰って、落ち着いて考えて見たの。
私は・・・・・
あっ? ひとみちゃんの事、どう呼んだらいいのかな?』
「あぁ、そうだね、あたし『ひとむ』って言うの」
『じゃぁ、ひとむちゃん、私ね、ひとむちゃん事が『女』だから
好きだったのかなって、思ったの。
違う、『女』でも無く『男』でも無く、ひとむちゃんの事が
好きだって気が付いたの』
- 29 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時14分45秒
「梨華ちゃん・・・・・」
『ねぇ、ひとむちゃん、好きだよ』
「ありがと・・・・ 梨華ちゃん・・・・」
『ひとむちゃん、少し聞いてもいい?』
「うん、何でも聞いて」
『ひとむちゃんは、どこまで『女』になってるの?』
「えっ・・・? あぁ、そのことね、赤ちゃんが産めないだけ」
『そうなんだ、それじゃほとんど『女』の人なんだ』
「うん、大変だったけどね」
『でも、ひとむちゃん、どこから見たって『女』の人だよ
肌は白くて綺麗だし、声だってアルトだけど『女』の声で
言われなきゃ、絶対に分かんないよ』
「小さい頃から、あたしは『女』だと思ってたし
『男』っぽいのが嫌だったから『女』になろうと思ったんだ」
『バカね、黙っていたって分かんないのに』
「梨華ちゃんに嘘は付きたくなかった
嘘を付いてて、バレた時、梨華ちゃんを傷つけるよりは
フラれる方がいいと思ったから」
『ひとむちゃん、ありがと』
「・・・・・・」
- 30 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時15分18秒
『ねぇ、ひとむちゃん、もし私にひとむちゃんを傷つける様な
過去があっても、ひとむちゃんは私のことを愛してくれる?』
「もちろんだよ、梨華ちゃん、どんな事を聞いても
あたしに比べれば、大したこと無いよ。
大丈夫、全て受け止めるから、話して」
『うれしい! ホントはね、『電話』じゃなくって
逢って話す事なんだけど、勇気が無いから、今、言っちゃうね』
「うん、いいよ」
『・・・・・・私・・・・・も、ニューハーフなんだ』
「え゛ーーーーーーーーーー!」
『そんなに、驚かないでよ』
「だっ、だって、梨華ちゃん・・・・・」
『だって、なに?』
「だって、梨華ちゃん、あたし以上に『女』じゃん」
『ふふ、ありがと』
「ホント、驚いた」
『私も『男』だって知ったら、嫌になった?』
「ううん、そんな事無い、梨華ちゃんが『女』でも『男』でも
そんなの関係無いよ、梨華ちゃんが好きなんだ」
『嬉しい、ひとむちゃん、愛してる』
- 31 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時15分57秒
「ねえねえ、梨華ちゃん、あたしも聞いていい?」
『うん、何でも』
「そのぅ・・ 梨華ちゃんはどこまで『女』なの?」
『あぁ、それね、ひとむちゃんと一緒』
「それじゃ、完璧に『女』同志なんだ」
『そうね、私達ってどうなるのかな、『男』同士ならホモでしょ
でも、『女』同士ならレズになるし』
「ホントはね、梨華ちゃんを好きになった時に
結婚出来るかもって思ったの、あたしが『男』だから
でも、そんな事はどうでもいい、梨華ちゃんと一緒にいられれば」
『ひとむちゃん、ずっと一緒にいてくれる?』
「うん、一緒にいるよ」
「ねぇ、ところで梨華ちゃんはホントはどう言うの?」
『私? 利夫って言うの』
「そっか、利夫か・・・
ねぇ、これからも、『ひとみ』と『梨華』で行かない?」
『そうだね、そうしよう、じゃ、ひとみちゃん』
「うん・・・ 梨華ちゃん、愛してる」
『ひとみちゃん、私も・・』
- 32 名前:女同士。 投稿日:2002年11月29日(金)00時25分21秒
- 遅い更新で申し訳有りません、第2話です
>19さん
レス有り難うございます。 多分、あの方ですね?
どんな、内容になるか未定ですが、お付き合い頂ければ幸いです。
他のCPは余り得意では無いのですが、有るかも?
>20さん
更新しようと思ってる日にレス頂けるんですもの〜
いえいえ、一応は責任分は更新しますが
もし、読者の方で「オレの方が、ええもん書くぞ!」
と言う方がいらっしゃったら、UPお願いしますと言うことで。
この後も、亀更新ですが、宜しかったら、お付き合い下さい。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月29日(金)01時39分18秒
- いやぁ〜、面白いですね!
電話の会話だけで成り立ってるストーリー、すごく新鮮な感じがします。
今回はオチが2段オチでヤラレました(w
- 34 名前:チップ 投稿日:2002年11月29日(金)02時34分03秒
- 最初『としお』かと勘違いし、ショックで
ごんぶと(きつね)を吹き出してしまいました。
自分は3段オチでヤラれました・・・
- 35 名前:クロイツ 投稿日:2002年11月30日(土)19時27分42秒
- どぉぉぉ〜〜〜もぉぉぉぉ〜〜〜〜!!!
遅くなって申し訳ございません!!
こんな楽しい企画(?)、今まで知らなかったなんて…なんか悔しいっ!!!
すっごいおもしろいです!!二本とも!!素敵です!!
一話目のラストにも、二話目のラストにも、笑わせて頂きましたよー!!
オチが最高です!!
次回作も楽しみにしてますね☆
んでもって、私も書けたら書いてみます♪うわー、なんか超楽しいー!!
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月01日(日)15時04分48秒
- 20でケンカ売った者ですが。
これよりおもろなもん書けるはずないじゃん。
っつうことで大人しく読書。
- 37 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時42分03秒
『はい、もしもし』
「あのう・・・・ そちらでは、その・・・ 女が女の人を・・・・・」
『はいはい、こちらはそう言う方専門です、どんなリクエストにもお答えします』
「あの・・ どう言うシステムに・・・・」
『90分、¥25,000で、延長は30分、¥10,000です』
「それで、もし違うなぁって時は・・・・」
『はい、もちろん、チェンジ出来ますよ』
「チェンジって・・・・・」
『・・・・・・・ 失礼ですが、お客さん、こう言うとこ初めてですか?』
「・・・・・済みません・・・・」
『いえいえ、謝って頂くことでは無いのですが』
「・・・・はぁ」
『もし、その子が気に入らなければ、別の子に替える事が出来ます。
その時はその子にタクシー代を¥2,000、渡して下さい』
「それだけですか・・・・・」
『はい、他には頂きません、それでどんな子がお好みですか?』
「えーっと、こう言う場合・・・・ その、どちらが・・・・・」
『あぁ、それね、ウチは一応、仕事ですから、どの様にも対応出来ます』
- 38 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時42分41秒
「あのう、タイプ的には・・・ 済みません、モーニング娘。って知ってます?」
『はい、知ってますよ、お客さん、モーニング娘。のファンなんですか?』
「はっ、はい・・・・・」
『それじゃ説明しやすいですね、どんなタイプがお好みです?』
「出来れば、石川梨華さんタイプが・・・・」
『申し訳有りません、石川さんタイプは今、予約が入ってるんです』
「そうですか・・・ 石川さんがいいんですけどね、他にはどんな・・・・・」
『それでは、今すぐにOKな子を言いましょうか?』
「はい・・・、お願いします」
- 39 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時43分21秒
『まずですね、後藤真希さんタイプはいかがですか?』
「ごっちんですか?」
『はい、ちょっと愛想は悪いですが、人気が有りますよ』
「はぁ、タイプには違いないんですが・・・・ なんか友達とシてるみたいで・・・」
『只、この子は『あの時』に『いちーちゃん』と叫ぶ癖が有りましてね』
「あっ、それじゃいいです・・・」
『そうですか、次はね、安部なつみさんですかね?』
「なっちですか? なんかしつこそうじゃ無いですか?」
『はは、よく分かりますね、ちょっとねちっこいかも?』
「あの目で迫られたら、おかしくなっちゃいそうで」
『その代わり、嵌るといいらしいですよ』
「いや、いいです、次、お願いします」
『えーっと、矢口真理さんなんてどうですか?』
「まりっぺねぇ・・・?」
『この子は楽しいですよ、『きゃはは・・・ いいよ・・ もっと!』なんてね』
「うーん・・・ 少し考えさせてください」
- 40 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時43分54秒
『それじゃぁ、保田圭さんでは?』
「結構です!!」
『えぇー、テクニシャンですよ』
「嫌です!(きっぱり)」
『お客さん・・・、お子ちゃまは?』
「まさか・・・ 辻加護では・・・?」
『そうです・・・』
「ロリ趣味は有りません!」
『困りましたね、後は飯田香織さんも行けますが?』
「カオリンですか? 何か問題が有りますか?」
『はい、時々、宇宙と交信します』
「タイプかなとは思うんですけど、あの時に交信されるとちょっと・・・・」
- 41 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時44分40秒
『お客さん、一人忘れてました、吉澤ひとみさんがいました』
「駄目です!!!!! 嫌です!!!! 絶対に!!!!!!」
『どうしたんです、お客さん?』
「よっすぃ〜は駄目です! 気持ち悪いです!」
『どうして? 可愛いじゃ無いですか?』
「だって、あんな男みたいな子嫌です」
『それが、いいんじゃ無いですか?』
「どうしても嫌です!」
『後は、中澤祐子さんしか、いませんね』
「もっと嫌です!!」
『これで全てのメンバーですが?』
「・・・・分かりました、少し考えてみます」
- 42 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時45分38秒
『今どこにいらっしゃるんですか?』
「赤坂のホテルです」
『あっ、だったら10分で行けますよ』
*コンコン*
ドアをノックする音。
「あっ! ちょっと待って下さい!」
『はい?』
- 43 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時46分16秒
「もしもし、済みません・・」
『どうされたんですか?』
「彼女が戻ってきたかと、思ったんですが」
『はぁ?』
「彼女とお泊まりのつもりだったんですが、喧嘩して帰っちゃったんです」
『それで? 戻ってきたんですか?』
「・・・・・ルームサービスでした」
『そうなんですか、それでホテル代が勿体ないから女の子を・・・』
「そうじゃなくて、・・・なんか一人で寝たくなくて・・・」
『ウチは泊まりはやって無いんですけど』
「・・・・・・・」
『もしもし?』
「・・・・・・」
『ため息付かないでくださいよ』
「・・・・・・・」
『あなた、ひょっとして今夜初めて彼女と・・・・』
「・・・・・えぇ・・・」
- 44 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時46分58秒
『付き合って、どれ位です?』
「・・・・・1年です」
『それは長いですね、さっさとヤれば良かったのに』
「なんか、勇気が無くて・・・」
『でも、今日は彼女もソノ気で来たんでしょ?』
「・・・焦って、いきなり押し倒してしまって」
『あぁあ、それで怒って帰ったと?』
「はい、殴られて『あんたなんか嫌い!』って言われて・・・・」
『お客さん、元気出してくださいよ』
「あの・・・、もう一度電話します」
『はいはい、お待ちしています』
- 45 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時47分40秒
『もしもし、石川でございます』
「夜分済みません、吉澤です」
『あぁ、ひとみちゃん、こんばんは』
「あのう・・・ 梨華さんは・・・・」
『梨華は、今日は柴田さんのところに泊まるって言ってましたけど』
「・・・・・・そのつもりだったんだ」
『はい?』
「いえ、なんでもないです、それじゃ失礼します」
『また、遊びに来てね、ひとみちゃん、それじゃ』
「はい、どうも」
- 46 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時48分11秒
『はい、もしもし』
「あのう・・・・ 先程電話をした者ですが」
『あぁ、どうもどうも、お客さん喜んで下さい』
「はい・・・・」
『石川梨華さんタイプの子なんですが、延長が無いので
すぐに行くことが出来ますが?』
「ほんとですか?」
『何と言うホテルですか?』
「プリンセスホテルです」
『なんと、赤プリですか、張り込みましたね』
「はい、初めてですから」
『まぁ、仕方ないですね、今夜は『石川梨華』とよろしくやって下さい』
「それで、どれくらいの時間で?」
『10分から15分です』
「それじゃ、待ってます」
- 47 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時49分23秒
数分後
*コンコン*
ドアをノックする音。
!? もう来たの?
吉澤がドアを開けると・・・・・・
梨華が立っていた。
「どういうこと? 梨華ちゃんだよね?」
「・・・えっ? そうだよ?」
「まさか・・・・ 梨華ちゃん・・・」
「まさかって何よ?」
「いや、何でもない・・・・」
「ひとみちゃん、ごめん。 私、やっぱりひとみちゃんの事、好きだから・・・・」
と、梨華は吉澤の胸に飛び込む。
「嬉しい・・ 梨華ちゃん」
って、そんな事言ってる場合じゃない!!!
「梨華ちゃん、ちょ、ちょっと待ってて」
吉澤は梨華から離れ、ベッドルームに戻り電話を掛ける。
- 48 名前:ご注文。 投稿日:2002年12月05日(木)21時50分06秒
『はい、もしもし』
「あぁぁのう、先程の者ですが」
『はいはい、焦らないで、もうすぐ着きますよ』
「いや、そうじゃなくて、キャンセルして欲しいんですが」
『どうしたんですか?』
「彼女が・・・・・」
『戻ってきたんですか?』
「そうなんです、だから・・・・」
*コンコン*
ドアをノックする音。
「は〜〜い」
ドアヘ向かう梨華の声。
「梨華ちゃん、出ちゃ駄目!」
*カチャ*
「はーーーい! お客さんお待たせ『石川梨華』で〜す」
- 49 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年12月05日(木)21時54分26秒
第3話、更新です。
今時、携帯は持ってないんかい! チャミさまは一人暮らしちゃうんか!
と言う、ツッコミは入れないように、おながいします。
>36さん
ずぼらな作者ですので、ケンカ売って、ケツ叩いてやって下さい。
- 50 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月05日(木)23時16分04秒
- >ひとみんこさん
ぐははは〜!最高です!
いいなぁ、こういうの、大好きですw小ネタが満載でw
何か本当にやってそうな会話ですよねぇ。
また次回更新、楽しみにしています。
- 51 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月06日(金)21時47分18秒
唐突に先ほど出来上がったので…悩みましたが、投稿させていただきます。
題名は『怪電話』です。
感想など頂けたら、幸いです☆
そして、『ご注文』…笑わせて頂きました!!最高に!!
てゆーか梨華ちゃんのそっくりさん!!本物はヨッスィーにゆずるので、そっちが欲しい
かもです(笑)。
- 52 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時47分50秒
全ての始まりは、一本の電話からだった。
番号日通知でかかってきたその電話の主は、梨華が出ると同時に言った。
『石川梨華さんですね。』
明らかにボイスチェンジャーで変えてあるその声に、梨華はちょっと身構えた。
「…ち、違います。」
『そうですよね。芸能人ですから、「はいそーです」とは言えませんね。良い心がけです。』
「は、はぁ…どうも…。」
そう答えてしまってから、梨華ははっと口をふさぐ。すると電話の向こうで、押し殺した
ような笑いが聞こえて来た。
『…本当に、あなたは嘘がつけない人ですね。しかも正直でまっすぐ。人を疑う事を知ら
ない。人を信用し過ぎてしまう。
そんなあなただからこそ、教えて差し上げたい事があるんですよ。』
梨華は、なんとなくけなされたような気分になった。
「…べつに、結構です!知らない人から教えて頂く事なんて…そりゃ、たまにはあるけど…
でも、あなたに教えてほしい事なんて一つもありません!!」
『吉澤ひとみさんの事でも?』
「え!?」
思わず反応してしまって、梨華は赤面する。
- 53 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時48分23秒
- 吉澤ひとみ。
同期でモーニング娘。に入って来た、男前な女の子。
娘。の中で一番信頼してて、何でも話せる…親友。
『…知りたいようですね?』
「べ、別にそんな…!!!」
『それでは、私は今から独り言を言います。聞いていても聞いていなくても結構です。』
そう前置いてから、電話の主は言った。
『吉澤ひとみさんには、石川梨華さんに、秘密にしている事があります。』
「…え…っ?」
『さて、石川梨華さん。あなたはどうします?』
それだけ言って、電話は切れた。
ツー、ツー、と言う音が鳴っている携帯を握り締めて、梨華は呆然と立ち尽くした。
「よっすぃーが…わたしに、隠し事…?」
しばらく、立ち直れそうになかった。
- 54 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時48分54秒
何がこんなにショックなのか…梨華にはわからなかった。
ただ、ヘンな電話がかかって来ただけだ。
(…何考えてるのよ!よっすぃーがわたしに隠し事なんかするワケないじゃない!)
梨華は、両手で頬を叩いた。
(…そうよ!何ショック受けてるのよ!!)
そう思って、楽屋に入る。
「ただいまー!」
「お、お帰り石川。」
梨華を迎えたのは、保田ただ一人だった。
「あれ?みんなは?」
「長い休憩だからね。カオリとなっちと矢口は買い物に行って、辻加護と五期は食堂に行っ
た。吉澤は、ごっちんの楽屋に行ったよ。」
「そうなんだ…保田さんは何してるんですか?」
「見りゃーわかるでしょ。読書よ。」
保田は本を振って見せる。
「…あの、保田さん。」
「何?」
「…飯田さんとか安倍さんとか矢口さんとかに、隠し事ってしますか?」
「はぁ!?」
保田は本から顔を上げ、梨華を見る。その形相に、梨華はちょっとひるんだ。
「だ、だからその…たとえば、恋人とかできたりとか…なんか良い事とか悪い事があった
りしたら…飯田さんとか安倍さんとか矢口さんとかに言いますか?」
- 55 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時49分26秒
- 「うぅ〜ん…まぁ、言うかもね。」
「…それは、何故?」
「何故って…。恋人ができたら誰かに自慢したいし、嬉しい事あったら一緒に喜んで欲し
いし、嫌な事あったらとりあえず聞いて欲しいし。」
「・・・・・・。」
「それに、カオリやなっちや矢口なら信頼できるしね。」
「・・・・・・。」
梨華は黙って頭を下げて、部屋から出て行った。
「?」
その様子を見て、保田は首をかしげる。
「…何だったんだぁ?」
- 56 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時49分58秒
梨華はとぼとぼと、廊下を歩く。
(…もしも、あの電話の人の話が本当だったら…わたし、よっすぃーに信用されてないって
事になるわよね…。)
梨華は、自分とひとみは親友だと信じている。少なくとも梨華は、親にも話せない事でも
ひとみになら話せるのだ。
ふと顔を上げると、『後藤真希様』の文字。
後藤の楽屋だ。
「…ごっちん…よっすぃー…。」
ぽつりと呟くと、涙がこみ上げて来る。
(そう言えばこの二人は、学年同じなのよね…。)
同じ年生まれだが、梨華は早生まれなので二人よりも学年が一つ上だ。
そして、二人は趣味は好みも似ている。そんな二人と一緒にいるのは楽しかったが、梨華
はいつも、どこか寂しさを感じていた。
梨華は、頭を振る。
(…惑わされちゃ駄目。あんな得体の知れない人の言葉を信じて、よっすぃーを疑うの?)
と、その時。
「「あっはははははははははははは!!!!」」
ひとみと後藤の笑い声が、同時に聞こえて来た。
- 57 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時50分29秒
- 「超おもしろーい!!よしこ最高!!」
「マジ、そう思わない!?だって、そう考えるしかないじゃん!!」
「あっははははは!!やめて〜!!笑い死ぬから〜!!」
梨華はしばらくその場で立ち尽くした。
(ふたりとも、わたしがいる時は…こんなに激しく笑わない。)
そんな梨華のネガティブな思考に、追い討ちをかけるように二人は言う。
「てゆーか、今ここに梨華ちゃんいなくてよかったよー!」
「だよねー!いたらこんな話できないしー。」
梨華は、走り出した。
(…やっぱり!!わたしはよっすぃーにもごっちんにも信用されてないんだ!!)
梨華は涙を流しながら、屋上へと駆け上がった。
- 58 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時51分00秒
「…はぁ、はぁ、はぁ…。」
膝に手を置いて、肩で息をする。涙が頬を伝って、コンクリートの地面にシミを作る。
携帯が、震えた。
非通知からの着信だ。
「・・・・・・。」
梨華は震える手で、通話ボタンを押す。
『どうでしたか?』
まるで、全てを見通しているかのようなその言葉に、梨華の涙は量を増す。
「…それで、あなたはわたしに何をさせたいのよ!!」
八つ当たり半分で、梨華は言葉を叩きつける。
『そんなに怒らないで下さいよ。ただ、聞いて欲しいだけなんですから。』
電話の相手は、咳払いをしてから言った。
『もしも、吉澤さんに好きな人がいたら…石川さんはどうします?』
「え!?」
『もしも、の話です。』
「・・・・・・。」
梨華は、何故か胸が痛むのを感じた。
「そ、それは…応援するわよ。」
『本当に?』
「ほ、本当よ!」
- 59 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時51分30秒
- 『それがもしも、許されない想いでも?』
「え!?」
梨華の手が震える。
「…もしも、にしては…なんだか、話が具体的じゃない…。」
『まぁ、そうですね。』
電話の向こうで、押し殺した笑い声。
『それじゃ、単刀直入に言っちゃいましょう。
吉澤ひとみさんの好きなひとは、女性なんです。』
「え…えぇ!?」
『それも、あなたもよぉぉぉく知ってる方ですよ。』
「・・・・・・。」
梨華は息を詰まらせる。涙の量がさらに増えて、涙で前が見えなくなった。
「…そ、それは…モーニング娘。の中の誰かが好きだって事?」
『そこまでは限定しません。「ハロープロジェクトの中の誰か」とだけ言っておきましょ
う。』
(ごっちんだ…!!)
梨華は心の中で叫んだ。
そして、それと同時に気付いた。
「いや…そんなの!嫌!!」
『なんで、嫌なんですか?』
「だ…だってわたし…今、あなたのせいで気付いちゃったんだもん!!」
- 60 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時52分01秒
- 『何を?』
梨華はしゃがみこんだ。
「わたし、よっすぃーが好きなんだもん!!」
『・・・・・・。』
「応援なんか、できないよ…!!気付いちゃったんだもん…あなたが気付かせちゃったん
だもん!!そりゃ確かに、ごっちんは可愛いわよ!だけど…でも!!」
梨華はしゃくりあげる。
「知りたくなんかなかった…こんな苦しくなるなら!!
知らないままなら、よっすぃーがごっちんを好きでも、付き合い始めても…こんなに苦
しくならなかったのに!!」
『…っくっくっくっく…。』
押し殺した笑い声が、電話から聞こえて来る。
『本当に、石川さんは人が良いですね。』
「…え?」
『あなたも、ハロープロジェクトの一員なんじゃないんですか?』
「へ?」
すると、唐突に電話が切れた。切れた電話をまじまじと見つめ、梨華が目を見開いている
と…。
「どーして、自分だって可能性を考えないのさ。」
背後から、優しいアルトの声が聞こえて来た。
- 61 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時52分34秒
- 「!?」
驚いて振り返ると、そこにいたのは…
「よ、よっすぃー!?」
で、あった。
ひとみは右手に携帯を持ち、にっこりと笑っている。
「てゆーか、なんでごっちんなのさ?」
「…そ、それは…。」
よく考えれば、可能性は他にもいっぱいあった。加護とか飯田とか矢口とか松浦とか、も
ちろん自分とか。
「…だって、さっき…楽屋でごっちんと大笑いしてたし。」
「聞いてたの!?」
「聞いちゃったの…たまたま、扉の近くにいて…。」
ひとみは気まずそうに頭をかく。
「…わたしがいない方が、盛り上がれるんでしょ?」
「ち、違うって!そーじゃなくて、あの時は…!!」
「何?」
ひとみは明後日の方向を向いた。
「…下ネタ話してたんだよ…。梨華ちゃん、嫌がるじゃん。そーゆーの…。」
「・・・・・・。」
梨華はひとみに、疑いの視線を投げつける。
「そ、それにさぁ!!好きなひとの目の前だと、やっぱ緊張するじゃん!!」
梨華はきょとん、と目を見開く。
「…はい?」
「だから、梨華ちゃんの前だと…ドキドキしちゃって、いつもみたいに振舞えないんだよ!」
「…なんで?」
- 62 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時53分05秒
- 「…もしかして、ここまで言っても気付かない?」
梨華は『?』を飛ばして首を傾げる。
「…鈍ッ。」
「ひどーい!!」
頬を膨らます梨華を、ひとみは抱きしめた。
「それでは、私は今から独り言を言います。聞いていても聞いていなくても結構です。」
一番最初の電話で言われた台詞だ。梨華の心臓が、跳ね上がる。
「吉澤ひとみさんの好きなひとは、石川梨華さんなんです。」
「…嘘ぉ…。」
梨華は顔を伏せた。
「…本当だよ。ずっと好きだった。だけど、女同士だから…言えなくて。」
ひとみの手が、ちょっと震えている。
「それで、ごっちんに相談したら…ちょっと様子をうかがってみようって話になって。で、
あんな電話したんだ。」
「・・・・・・。」
「まさか、梨華ちゃんもあたしを好きになってくれてるとは知らなかったよ。」
梨華は恐る恐る、ひとみの背中に手を回す。
「…本当?」
「本当。」
「絶対?」
「絶対。大好きだよ、梨華ちゃん。」
梨華は顔を上げた。その顔は、ちょっと怒っている。
- 63 名前:怪電話 投稿日:2002年12月06日(金)21時53分40秒
- 「…もう、紛らわしい事しないでよぉ!!」
「お、怒らないでよ。ウチだって不安だったんだからさ。」
そしてひとみは、一回咳払いをしてから言った。
「…ちょっと遠回りしちゃったんだけど…あらためて。
石川梨華さん。ウチと、付き合ってください。」
梨華は、背中に回されたひとみの手の震えを意識しながらちょっと笑った。
「…告白って、こーゆー体勢でするものなの?」
「いいじゃん、体勢なんて。」
「良くないよぉ。」
「…そ、そうかな。」
しかし、梨華はひとみから離れようとしていない。
「…ところで、梨華ちゃん。返事は?」
梨華は、ちょっと笑ってから言った。
「キスしてくれたら、答えてあげる。」
梨華が『わたしも好きです。付き合いましょう』と言うまでに、たっぷり三十分はかかっ
たそうだ。
おしまい。
- 64 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年12月07日(土)08時19分05秒
- クロイツさん
投稿、有り難うございます!!!
さすが、甘々『いしよし』の大家クロイツさん、ご馳走様です。
書いても、読んでも、どうして『いしよし』はこんなに気持ち良いんでしょうね?
私もいつかは甘々に挑戦してみたいです。
又、何かネタが有ればよろしくお願いします。
- 65 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月17日(火)15時01分32秒
- だいぶ待ってるつもりですが、まだ待ってなきゃだめっすか?
- 66 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年12月18日(水)13時18分24秒
- 更新遅れて申し訳有りません。
年末だと言うのに仕事が立て込んで目一杯です。
もうしばらくお待ち下さい。
- 67 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月23日(月)11時41分30秒
- どーもー☆もういっこできましたので、投稿させて頂きます!!
しっかし…『電話』ってテーマは難しい…。
ともすれば、まるで関係のない方向に行ってしまいそーになる…(汗)
ま、頑張って書きましたので…感想とか頂けたら幸いです♪
- 68 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時42分04秒
石川梨華。職業・モデル。
「お、お疲れ様でした〜…。」
すると、カメラマンさんとかスタッフの人は、笑顔で返事をしてくれる。
でも…同業者の皆様は…完璧に無視。
わたしは肩を落として、家路についた。
「お疲れっ!」
声をかけてくれたのは、同期のモデルの柴ちゃん。
「ああ、柴ちゃん。お疲れ〜。」
「大変だね、梨華ちゃん。」
「…まぁね。」
ため息をつく。
そう…前までは同業者の皆様も、ここまでわたしに冷たくなかった。
ここまで冷たくなったのは…先日、若者に絶大な人気を誇るわりと新しいブランドの専
属モデルに選ばれてから。
「わかりやすいよね、みんな。」
「・・・・・・。」
「早く帰りなよ。いつまでもいると、また前みたく呼び出されちゃうよ?」
「…柴ちゃんは…。」
「え?」
「柴ちゃんはわたしの事、嫌いじゃないの?」
すると柴ちゃんは、にっこりと微笑んで言ってくれた。
- 69 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時42分36秒
- 「何言ってんの。嫌いなワケないじゃん。私、モデルの仕事はバイトだし。」
そう。柴ちゃんの本業はOLさん。暇がある時だけモデルをやってる。
「…ありがとう。」
「イエイエ。…それよか、早く帰らなくて良いの?『愛しのよっすぃー』から電話来てる
かも知れないんでしょ?」
その言葉に、わたしは急いで帰る事にした。
- 70 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時43分40秒
わたしの恋人は、優秀な優秀な会社員。
有名国立大学をストレートで卒業して、一流企業に就職して、若いながらもかなり期待
されてる…素敵な女性。
出会ったのは、夜のオフィス街。ロケで撮影中、ぼーっとしてたらスタッフさん達とは
ぐれちゃって…迷子になってるわたしを、彼女が助けてくれた。
一目惚れだったわ…だって彼女、女の人なのにすごーくカッコイイんだもん!!
告白したのはわたしから。玉砕覚悟だったんだけど…彼女は照れ笑いを浮かべながら、
『あたしで良かったら。』って言ってくれたのー!!きゃー!!!
…そんな、綺麗で優秀で気配りも出来る彼女は今年の春、ニューヨーク支社に配属とな
り…現在は遠距離恋愛中ってワケ。
そんなわたしたちをつなぐのは、現在は電話だけ。
ただでさえ電話代のかかる国際電話。携帯でなんかかけられないし、携帯にかけてもら
うのもなんか悪い。ってなワケで、わたしは毎日仕事が終わると家に飛んで帰って、電話
を待つ。
…だけど最近、あんまかかって来ないのよね…。わたしからかけるばっかりで。
- 71 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時44分11秒
- 「えっと、今八時だから…ニューヨークは朝の六時か。」
時差を確認して、ため息をつく。
少なくとも、あと二時間は待たなきゃかけられない。
「しょーがない。テレビでも見ようかな。」
と、その時。
tururururu…tururururu…
電話が鳴った。この番号は…彼女だわ!!
「はいっ!!ひとみちゃん!!?」
久々の、彼女からの電話。わたしは勢い良く電話を取った。
しかし、聞こえて来たのは…彼女の声じゃなかった。
『Good Morning!…いや、日本は夜かしら。』
「え…っ?」
わたしは一瞬、混乱する。
「ど、どちら様ですか?」
コレ、ひとみちゃんの家の番号よね…?
すると電話の向こうの女の人は、ケラケラと笑いながら言った。
『ああ、そっか。梨華さんは私の事知らないのよね。
私は、アヤカ。覚えておいて。』
「は、はぁ…。」
- 72 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時44分41秒
- 胸に、嫌な予感が通り過ぎる。
ニューヨークでは今、朝六時。
そんな朝早くに、ひとみちゃんの家にいる女の人。
…やっぱり…そーゆー事なの?
『アヤカさん?何やってんの?』
電話の向こうから、愛しい愛しいあの人の声が聞こえた。
『電話してるの♪』
『え?誰に?』
『梨華ちゃん、に♪』
『な…ッ!!!』
ひとみちゃんの声が、焦ったように叫ぶ。
『な、何すんですか!?もしもし、梨華ちゃん!?』
「・・・・・・。」
『違うんだ、コレは…』
その反応だけで十分よ。
わたしは迷わず、電話を切った。そして、電話線も引っこ抜く。
一心不乱に、お風呂に向かう。
タイマーで沸かしてたお風呂は、暖かくわたしを迎えてくれた。
「…っく…!!!」
浴槽の中で泣くと目が腫れない、と教えてくれたのは…誰だったっけ?
そんな事を考えながら、わたしは思いっきり泣いた。
- 73 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時45分13秒
それから数日。電話線は抜きっぱなし。
今ひとみちゃんの声を聞いたらわたし、絶対に詰ってしまう。
…ニューヨークは遠いし、仕方ないのかも知れない。そう思いたい。
それも、ひとみちゃんの声を聞いたら終わりだ。
「…みっともない終わり方だけはしたくないから。」
隣で話を聞いてくれてる柴ちゃんに言うと、優しく頭を撫でてくれた。
「意地っ張りだなぁ、梨華ちゃんは。」
「・・・・・・。」
「本当は、終わりたくないんでしょ?」
「・・・・・・。」
柴ちゃんの言う通り。
まだ、大好き。
涙が出そうになったけど、ぐっと押しとどめる。
泣いちゃ駄目。目が腫れちゃう。まだ撮影残ってるんだから!
「それにさ、まだ梨華ちゃんは、吉澤さんの弁解を一切聞いてないじゃない。」
「…うん。」
「って事は、もしかしたら勘違いかも知れない。」
「…でも、ひとみちゃんはものすごく慌ててたよ?」
「誤解された、と思って慌ててたのかも知れない。」
「・・・・・・。」
- 74 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時46分13秒
- 柴ちゃんはわたしの頭を、もう一度撫でた。
「『別れよう』って言われたワケじゃないんだしさ。吉澤さんの話も聞いてあげれば?」
わたしは複雑な気分で、水を口に含んだ。
柴ちゃんがそう言うから…家に着いて、恐る恐る電話線をつないだ。
だけど、電話が鳴るのが怖い。
今までは本当に楽しみだったのに…今は怖い。怖すぎる。
また、あの『アヤカさん』って人から電話が来るんじゃないか、とか…ひとみちゃんか
ら別れを告げる電話が来るんじゃないかって…。
tururururu…tururururu…
無情にも、電話は鳴り出してしまった。番号は非通知。
取りたくない。でも…。
わたしは勇気を振り絞った。
「…はい、石川です。」
『梨華ちゃんっ!!!』
電話の向こうで、ひとみちゃんの安堵のため息が聞こえた。
『よぉぉ〜やくつながった…よかったぁ〜!!!』
「・・・・・・。」
『ここ四日間、ずーっとずーっとかけてたのに繋がんないんだもん。』
「・・・・・・。」
すごい、複雑。
何を言うつもりなんだろう、ひとみちゃんは。
- 75 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時46分43秒
- 『…あの、実は…誤解を解きたくて。』
「誤解?」
『アヤカさんの事。』
「・・・・・・。」
今、あなたの口から一番聞きたくない名前だわ。ソレ。
『ち、違うんだよ!アヤカさんは、そんなんじゃないんだ!会社の同僚で…ただ、仕事
してたら遅くなっちゃって、それで泊めてあげただけなんだよ!』
「…それだけなの?だったらなんで、あんなに焦ってたの?」
『それは…やっぱ、あの時間にアヤカさんが家にいるって知ったら誤解するだろーなぁ、
って思って…。』
わたしはふっと笑った。
「…相変わらず、嘘が下手ね。ひとみちゃん。」
『嘘じゃないって!』
「寝ちゃったんでしょ?アヤカさんと。」
『・・・・・・。』
…本当に、嘘が下手な人。
せめて『違う!』くらい言ってよ。
「…もう良いわ。そうよね。東京とニューヨークは遠すぎる。ひとみちゃんが寂しくなっ
ちゃっても仕方ないわ。」
- 76 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時47分15秒
- 『違…っ、そうじゃなくって!!…そうじゃないんだよ!酔った勢いで…』
「だから、もう良いってば。」
わたしは、自分でも信じられないくらい冷たい声で言った。
「わたしも、寂しかった。だけど、ひとみちゃんしか考えられなかった。
だけど、ひとみちゃんはそーじゃなかったんだね。」
『梨華ちゃ…』
「ばいばい。」
わたしはまた電話切って、電話線も引っこ抜いて…お風呂場に走った。
- 77 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時47分46秒
それから、更に一週間。
電話線を引っこ抜いた電話は、そのまま捨てた。電話番号も変えた。
「ねーねー柴ちゃん。合コンとかないのー?」
「今、会社忙しいからねー。」
「うぅ…恋人ほしいよぉ。」
「・・・・・・。」
黙っちゃった柴ちゃんの隣で、わたしも黙って水を飲む。
電話線は引っこ抜いたまま。ひとみちゃんの写真も思い出の品も全部捨てた。
「今度は、近場に住んでる人が良い!しかもあんま優秀じゃなくって、転勤とかそーゆー
のとは無関係で…出世とかも考えなくて良い人!!」
「・・・・・・。」
「窓際族ってゆーの?アレなんか良さげ!だって毎日帰って来るの早いだろうし!」
「梨華ちゃん…。」
柴ちゃんは、ものすごく心配そうな顔してくれてる。
そんな柴ちゃんに、わたしは笑顔を向けた。
「…大丈夫よ。わたしは。強いんだから!」
「・・・・・・。」
柴ちゃんは、わたしの顔を正面から見た。
- 78 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時48分18秒
- 「…新しい恋人、欲しい?」
「うん!!」
「それじゃぁ…今すぐ、三階の物置に行って!!」
「…はい?」
柴ちゃんは真面目くさった顔で、頷く。
わたしは首をかしげたまま…とりあえず従う事にした。
物置は…ほこりっぽかった。
「…初めて入るわ、ココ。」
そこかしこに、小道具の残骸みたいなのが落ちてる。あ、わたしが初めての撮影で使った
マグカップもある!
「懐かしいなぁ〜。」
手にとって見ると、意外と軽かった。
「あの時は、あんなに重く感じたのに…」
そうつぶやいた、直後。
「しってる、ソレ。確か通販雑誌の写真で使ってたよね。」
信じられない想いで、振り返る。
- 79 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時48分48秒
- 「梨華ちゃん、ピンクのセーター着ててさ。」
「・・・・・・。」
「商品番号は、No。1444。」
そこにいたのは…ひとみちゃんだった。
「な…んで…!?」
するとひとみちゃんは、照れたような笑顔を浮かべた。
「会社、辞めて来ちゃった。」
「は!?」
「だって、今度はサンフランシスコ支社に行けって言われたんだもん。」
「・・・・・・。」
「それで…帰国して、前よりも小さな会社に就職したんだ。」
ひとみちゃんは、つかつかとわたしに近寄る。
「どこだと思う?」
わたしはちょっと後ずさりした。
「・・・・・・。」
答えられないわたしに、ひとみちゃんは笑顔で言う。
「梨華ちゃんの、所属事務所。」
「はいぃ!?」
頭の中は真っ白。
- 80 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時49分21秒
- 「そうすれば、あたしも海外とか行く必要なくなるワケだし。一緒にいられるじゃん。」
「・・・・・・っ!!待って!!」
わたしは叫ぶ。
「わたしたち、別れたんじゃなかったっけ!?」
「嫌だ。」
そ、即答だわ…この人。
でも、その真面目な顔にわたし…ドキドキしてる。
「アヤカさんの事は…本当に、誤解だったんだ。
た、たしかにその…やっちゃったけど、それは酔いすぎてアヤカさんを梨華ちゃんと間
違えちゃってたってワケで…。」
「・・・・・・。」
「アヤカさんにも、謝って来た。ひどい事したって。それに、けじめとしては梨華ちゃん
と別れた方が良いのかも知れない…。
…でもあたし…やっぱ、嫌だよ。別れたくない。」
ひとみちゃんは、わたしを抱きしめた。
「初めて、通販の広告で梨華ちゃんを見た時から…ずっと好きだったんだ。会社の近くで
迷ってる姿を見て…思わず仕事投げ出して駆け寄っちゃった。
付き合う事になって…本当に、本当に嬉しかった。」
わたしは、ひとみちゃんの背中に腕を回せないでいた。
だって驚きの方が強いんだもの…。
そんなモデルの初期から、わたしの事知ってたの!?
- 81 名前:遠距離恋愛 投稿日:2002年12月23日(月)11時49分57秒
- 「…駄目?もう、あたしの事嫌い?」
そう言うひとみちゃんに、わたしは恐る恐る言った。
「でもわたし…ひとみちゃんの写真、全部燃やしちゃった。」
「また、撮れば良い。」
「電話番号変えちゃったよ?」
「また、教えてくれれば良い。」
「…もらった指輪も…洋服もアクセサリーも、全部捨てちゃった。」
「また、買ってあげる。」
「それから…」
いいかけて、ひとみちゃんに唇を塞がれた。
「もう、なんでも良い。大好きだよ、梨華ちゃん。」
わたしは、ひとみちゃんのキスを受け入れた。
電話じゃ味わえないこの感触に…酔ってしまったのかも知れない。
いや、そうじゃなくてきっと…わたしはコレを求めてたんだわ。
「…毎日、会おうね?」
「うん。」
「電話を待つのは、もう嫌。」
するとひとみちゃんは、目をキラキラさせてこう言った。
「じゃあ、一緒に住もう!!!」
…わたしがひとみちゃんの『行動の早さ』を実感するのは、この三日後の事だった。
おわり。
- 82 名前:名無し香辛料 投稿日:2002年12月23日(月)14時53分13秒
- めっちゃくちゃヨカッタです…。
途中、梨華ちゃんの気持ち考えたら涙出そうになっちゃっいました。
クロイツさんの事だからハッピーエンドだって判ってるのに!(w
大変面白かったです。お疲れ様でした。
- 83 名前:名無し 投稿日:2002年12月23日(月)17時18分41秒
- 涙・涙でした・・・。
ホント良かったデス。続編希望!!!
- 84 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月24日(火)15時48分27秒
- >名無し香辛料様
ありがとうございます!!そー言って頂けると…本当に嬉しいです!!
バッドエンド…いつか書いてみたいのですが…(汗)
>名無し様
ありがとうございます!!
名無し様のお声に調子に乗りまして、続編書かせて頂いちゃいました(汗)!!
投稿させていただきますので、こちらも感想頂けたらうれしいです♪
- 85 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時50分01秒
ひとみちゃんの『行動の早さ』を実感した、先週の土曜日の朝。
彼女はにっこり笑って、こう言った。
『ねえ、一緒にココに住まない?』
そう言って見せられたのは…マンションじゃなくって、一戸建て。
おいおいおいおいっ!!ちょっと待てェ!!と思ったわたしは、『一戸建てなんか買う
資金、わたしにはないわよ!』と抗議してみたんだけど…彼女は微笑んだまま、こう言っ
た。
『大丈夫。コレ、もともとウチが所有してる家だから。』
…今まで知らなかったんだけど、ひとみちゃんのご実家は…かなり裕福なお家らしい…。
尻込みするわたしに、彼女は更に言った。
『やっぱマンションだと、隣に声聞こえちゃうからね。
一週間に一回とか二回だったらまだ良いだろーけど、毎晩はさすがに近所迷惑だろーし。』
…何の話をしてるのか、考えたくもないわ。
まぁ、そんなワケで…わたしとひとみちゃんは一つ屋根の下に暮らすようになった。
- 86 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時50分31秒
PiPiPiPiPiPi…
目覚まし時計が、七時を告げる。
「うぅ〜ん…。」
目が覚めると、目の前には白い腕。ぎょっとして腕の主を探すと、大きな茶色い瞳と目が
合った。
「うきゃっ!!」
ちょっと驚いて声を上げると、ひとみちゃんは不機嫌そうな顔をした。
「…何ビビッてんの?」
「だ、だって…起きてたんなら、起こしてよぉ。」
そう言うと、ひとみちゃんにぎゅっと抱きしめられた。
「起こそうかとも思ったんだけどさぁ、寝顔が可愛くて…もったいなくなっちゃった♪」
「何よ、それ…。」
ほっぺやらおでこやらに軽くキスされる。
心地よさを感じて抵抗しないでおいたら…だんだんキスが下に下がって行く。
「ちょ、ちょっと!!やめてよ、朝っぱらから!!」
「止まんな〜い♪」
「と、止まんない、じゃなくって!!」
あたしは思いっきり、ひとみちゃんを押し戻した。
「今日は駄目!!撮影で、肩出すんだから!!」
ひとみちゃんはぶすっと頬をふくらませる。
「…そー言って、昨日もえっちさせてくんなかったじゃん。」
「あ、あたりまえでしょ!?」
- 87 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時51分02秒
- キスマークつけて撮影に行くなんてできないじゃない!!
「昨日も一昨日もその前も、させてくんなかったし!」
「…仕事入ってるんだから、しょーがないんだってば!」
先日、わたしが専属モデルをしているブランドの、冬の新作が発表になった。その広告
用の写真が撮り終わってない。
「多分、あと一週間はかかると思うから…覚悟してねって言ったじゃない。」
「…でもぉ〜。」
わたしはひとみちゃんのほほに、ちゅっとキスをした。
「…その代わり、撮影終わったら暇になるから…ね?」
ひとみちゃんの目が、妖しく光る。
…もしかしてわたし、余計な事言っちゃったかしら?
撮影終わったらわたし、何をされる事やら…。
- 88 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時51分33秒
最初はスタジオで撮ってたんだけど、デザイナーさんの要望で急遽ロケに行く事になっ
てしまった。
しかも、北海道。
「…ご、ごめん…。撮影終わるまで帰れないかも…。」
『・・・・・・。』
電話の向こうのひとみちゃんは、ものごっつ不機嫌そう…。
先日、ウチの事務所に事務員として入社したひとみちゃん。今は研修中で、お休みを取
れるよーな立場ではない。
『…わかった。』
「ごめんねっ!お土産買って帰るからっ!!」
『…お土産よか梨華ちゃんが欲しい。』
「ひとみちゃんっ!!!」
そう叫んだ直後、マネージャーさんに呼ばれた。
「おーい、石川!何しとるんや!もー行くで!」
「は、はーい!今行きますー!…それじゃぁね、ひとみちゃん…。」
切りかけて、わたしは携帯を持ち直した。
「浮気しちゃ、嫌だからね。」
すると電話の向こうで、ひとみちゃんはぽつりと呟く。
『…しない内に、帰って来てね。』
ううぅ〜ん…やっぱ怒ってるなぁ…。
- 89 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時52分03秒
北海道に着くなり、撮影は始まった。
大自然の中で、いろんなポーズで撮られてるんだけど…さ、寒い…。ハンパじゃないわ、
この寒さ…。
そして、休憩の合間に思い出すのはひとみちゃん。早くもわたしは恋しくなっちゃって
る。
ついこの間までは、日本とニューヨークで遠距離恋愛してたのよね…。それ考えると、
こんな東京〜北海道なんて近い方じゃない!
頭ではわかるけど、気持ちがついて行かない。ついつい携帯を確認してしまう。
しかし携帯は、通常の待ち受け画面を映し出すのみ。って事は、電話もメールも来てな
いって事。
「・・・・・・。」
わたしはため息をつく。
わたしからもう一回かけようかなぁ。でもなぁ…もうお昼休みは終わっちゃっただろう
し、仕事中だったら悪いし…。
ああ…愛しいあの人。お昼ごはん、何食べたんだろう?
ひとみちゃんの携帯番号を眺めつつ、そう考えて…もう一度ため息。
「…石川。辛気臭いで。」
「ほっといてください…。」
マネージャーの中澤さんは、わたしの首に腕をかけた。
- 90 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時52分33秒
- 「ええぃっ!石川のクセに偉そうやでっ!!このこのこのっ!!」
「な、なにするんですか!!やめ、やめて、やめて下さいよっ!!」
「やめろー言われてやめるヤツがおるかー!!おりゃー!!」
「なっ、なにするんですか、ちょっと、どこ触って…!!」
「うわっ!!デカっ!!石川、お前プロフィールのスリーサイズ、脚色ナシやったんやな〜。」
「きゃ、脚色だと思ってたんですか!?ひどーい!!」
「やかましいっ!!っかー!!しかも細ッ!!」
「そりゃー…気をつけてますし…」
「ムッカつく〜!!もっと太りや!!その方が触り心地も良うなるやろうし。」
「そ、それ、マネージャーの発言じゃありませんよ!!」
「ええぃ!!こいつぅ!!ちゅーしたる!!」
「きゃ〜!やめて〜!!」
そこで、はたと気付いた。
携帯、光ってない?
驚いて携帯を見ると…『通話中』になってる。
「やだっ!わたし、間違ってボタン押しちゃった!!」
「あ〜りゃりゃこりゃりゃ〜。誰にかけたん?」
「わ、わかんないです!!あの、もしもし!?ごめんなさい!わたし、間違って…」
『…何やってんのさ、梨華ちゃん。』
うげっ!!!こ、この声は…ひとみちゃんっ!!!
- 91 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時53分08秒
- そー言えばわたし、さっきまでひとみちゃんの番号眺めてたんだっけ…!!!
「ご、ごめんね!!中澤さんがふざけかかって来るから…間違って押しちゃった!仕事中
だよね!本当に…」
『…何してたんだよ、梨華ちゃん。』
「へ?」
ひとみちゃんの不機嫌そうな声が、わたしに言った。
『…中澤さんと、今、何してたの?』
そこで、ようやく気付いた。ひとみちゃん、なんか誤解してる?
「別に、何もしてないわよ。ただ、ちょっと…お話してただけで。」
『…お話してるだけで、どうして「スリーサイズ」とか「触り心地」って話になるの?』
「う…っ。」
わたしは言葉に詰まる。ひとみちゃん、どこから聞いてたんだろう…。
『…あたしがいなくても、楽しそーじゃん。』
「そ、そんな事…」
『それで、ちゅーされたの?』
「うぐっ…。」
された。ほっぺにだけど…。
「で、でもさ、中澤さんはキス魔だから…誰にでもやっちゃうのよ。」
『・・・・・・。』
沈黙の後、電話は切れた。
…ま、まずいよぉ〜…!!!
- 92 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時54分08秒
精神的に、ちょっとガタガタだったんだけど…わたしはプロ。なんとか撮影を、予定の
一週間で終わらせて…東京に降り立った。
ひとみちゃんには、あれから電話してない。
…だって、気まずいんだもんっ!!それに、ひとみちゃんからもかかって来ないし…。
「た、ただいまぁ〜…。」
もう、ひとみちゃんは帰ってるはずの時間。恐る恐る玄関を開ける。
ひとみちゃんの靴が、あった。
き、きまずい…。けど、電話で話すより面と向かって話した方が、伝わる事は多いと思
うし!!
わたしは気を引き締めて、ひとみちゃんを探す。
「ひとみちゃ〜ん?」
リビングとダイニングにはいないみたい。って事はひとみちゃんの部屋かしら?
ひとみちゃんの部屋に行ってみても、ひとみちゃんはいない。…寝室?と思って寝室も
見るけど…いない。
- 93 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時54分38秒
- ど、どこ行っちゃったの!?
靴はあるから、家の中にはいるんだろうけど…。お風呂場とトイレにも行ってみたけど、
やっぱりひとみちゃんはいなかった。
まさか…出て行っちゃったの!?
でも、靴も荷物もまだあるし…あ!!後で取りに来るつもりなのかしら!!
「・・・・・・。」
わたしは、廊下にへなへなと座り込んだ。涙が浮かんで来る。
もし…出て行っちゃったんだとしたら…!!
そう考えると、まるで心が引き裂かれるみたいに痛い。
どうしてわたし、あの後すぐに電話しなかったんだろう!!電話で誤解を解かなかった
んだろう!!
面と向かって話した方が良いなんて、建前に過ぎない。本当はわたし、誤解を解くのを
先送りしてただけだったんだわ!!
…大好きな人が、自分以外の人に…そーゆー事してるって言う辛さ、わたしが一番良く
知ってたはずだったのに!!
自分の馬鹿さ加減に、涙が止まらない。
「うぇ…っく、ひっく…。」
まるで子供みたいに、泣きじゃくる。
目が腫れちゃうかも知れないけど…もう良い。明日から四連休だし。
- 94 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時55分11秒
- 「ひと、みちゃぁん…ひ、とみちゃん…!!!」
愛しい愛しいあの人の名前を呼ぶ。
もう、帰っては来てくれないかも知れないあの人の…。
と、その時。
「ただいま〜。」
「…へ?」
振り返ると、そこには…出てったハズのあの人の姿。
ひとみちゃんはわたしを見るなりぎょっとして…それから、サンダルを脱ぎ捨てて駆け
寄って来た。
「どうしたの!?なんかあったの!?どっか痛いの!?」
涙を、指で拭ってくれる。
その手の感触があまりにも優しかったから…わたしの涙は量を増す。
「…な、んで…」
「え?」
「なんで、いなかったのよぉ…。」
「あ、ちょっと買い忘れがあって…」
ひとみちゃんの手には、塩とタバスコが入ったビニール袋が下がっていた。
- 95 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時55分42秒
- 安堵したわたしは、ひとみちゃんの胸にもたれかかった。
「…よかった…怒って、いなくなっちゃったのかと思った。」
「えぇ!?なんで!?」
「…中澤さんとの事、釈明の電話もかけなかったから。」
ひとみちゃんはくすっと笑う。
「ウチ、そんなに心狭くないから。」
「…そう、だったね。」
「でもね、梨華ちゃん。」
ひとみちゃんは、床にわたしを押し倒した。
そして、胸をもむ。
「な…っ、ひ、ひとみちゃ…っ!?」
「梨華ちゃんにこーゆー事して良いのは、あたしだけだからね?」
「てゆーか、ひとみちゃん以外にいないからっ!!わたしにそんな事するのっ!!」
にやっと微笑んだひとみちゃんは、至近距離で呟いた。
「…そーいや梨華ちゃん、あたしが『初めての人』なんだよね?」
「…うん。」
真っ赤になったわたしの頬に、ひとみちゃんはちゅっと口付ける。
「じゃあ、誓って。あたしが、梨華ちゃんの『最初で最後のひと』だって。」
涙が、出そうになった。
- 96 名前:遠距離恋愛2〜北海道と誤解と勘違い〜 投稿日:2002年12月24日(火)15時56分18秒
- 「誓う。…誓うわ。だからひとみちゃんも…わたしをひとみちゃんの『最後のひと』にす
るって…。」
「もちろん。」
そして、誓いのキス。
…誓いのキスが終わると同時に、ひとみちゃんはわたしの服を脱がしにかかった。
「ちょ、ちょっと待って!!」
「待てない。」
「ここでするの!?廊下だよ!?しかも床、フローリングで…!!!」
「それでも待てない。」
ひとみちゃんは目を妖しく輝かせた。
「今日から四連休なんだよねぇ?」
「な、何故それをっ!!!」
「事務所のスケジュール表見た。
四日もあるんだったら…多少身体痛くなっても大丈夫だよねぇ?」
その笑顔の中に、わたしは見た。
『おしおき』の文字を。
「せ、せめて絨毯のある所でぇぇぇぇ〜〜〜〜〜っ!!!!」
そのわたしの叫びは、完全に無視された。
おわり
- 97 名前:名無し 投稿日:2002年12月28日(土)19時11分05秒
- 83の名無しデス・・・・・マジ良かったですよー!!
今連載してるいしよし小説の中でダントツ好きッス!!!
よかったら是非、連載を〜!!
ヨロシクお願いします!(^▽^)人(0^〜^0)
- 98 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年12月31日(火)15時01分35秒
- お〜!クロイツ様、ここにもかかれてましたか^^
面白いですねぇ〜^^電話ってトコがはまります^^
これからもここで書かれますかね?
応援してます〜^^
- 99 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時31分11秒
「研修旅行?」
わたしを抱きしめたまま離そうとしないひとみちゃんに言うとひとみちゃんはわたしに頬
擦りをし始める。
「そーなんだよ…。」
「どこに行くの?」
「…沖縄。」
心底嫌そうな声のひとみちゃん。
「行きたくな〜い!」
「ひ、ひとみちゃん、そんな…」
「梨華ちゃんと離れたくなぁ〜い!!」
「・・・・・・。」
顔が真っ赤になるのがわかる。
「ねえ、梨華ちゃんも一緒に行こ?」
「む、無理よ!だってわたし、仕事あるし…」
「サボっちゃえ。」
「そう言うワケには行かないでしょ…。」
ひとみちゃんが出発するのは一週間後。ちょうど、雑誌のインタビューや対談のお仕事
とカブる。
「あぁ〜!!離れたくないよぉ〜!!」
「ひとみちゃん、たった三泊四日でしょ?」
「一晩だって梨華ちゃんを離して寝るのは嫌だ〜!!」
「・・・・・・。」
「だけど、研修旅行は遊びに行くんじゃないんだから。同期入社の皆と一緒に、色んな事
を学ぶ為の…合宿みたいなものだって中澤さん言ってたし…。」
「仕事の上でわからない事なんて、もうないもん。」
そうでした。この人は天才的に仕事ができるって事務所でも評判なんだった。
- 100 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時31分51秒
- 「…だけど、同期の人ともっと仲良くならなきゃ、この先やりにくい事とかもあるだろう
し…」
「梨華ちゃんは、あたしが他の人と仲良くなっても良いっての!?」
「・・・・・・。」
わたしはちょっと俯いた。
「…ひ、必要以上に仲良くなっちゃ嫌だけど…。」
「…梨華ちゃんっ!!!」
「きゃあっ!!?」
突然抱きしめられて、押し倒される。
「…行きたくないなぁ…。」
その呟きの直後、激しいキスと共に…わたしはひとみちゃんの白い身体に抱かれる事になっ
た。
今日は、なんだかいつもより激しくなりそうな予感。
- 101 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時33分02秒
ひとみちゃんが研修旅行に出発する前日、事務所で時間待ちをしていた時の事。
「おはようございます、石川さん!」
「お、おはようございます…。」
知らない女の子に声をかけられて、わたしは戸惑いながらも返事を返す。…誰だろう、こ
の子…。
そんなわたしの様子に気付いたのか、彼女はにっこりと笑いながら言って来た。
「ああ、『はじめまして』が先ですね!すみません。石川さんの事は、雑誌とか宣材とか
で知ってたんで…。」
「い、いえ…。」
「私、藤本美貴って言います!先日、この事務所に就職しました。」
「あ…そ、そうなんですか…!どうも、はじめまして。石川梨華です。」
右手を差し出すと、藤本さんはその右手を握り返しながらにっこりと微笑んだ。
「えへへ、よろしくお願いしま〜す♪」
…う〜ん、事務所の人って言うけど…このままモデルになってもかまわないくらいスタ
イルも良いし、顔も可愛い。
「…あの、石川さん。」
「えっ?な、何でしょう?」
「…吉澤さんと付き合ってるって、本当ですか?」
その言葉に、わたしは驚きを隠せない。
- 102 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時33分34秒
- 「な…んで…!?」
「私、吉澤さんと同期なんですけど…なんかいつも『梨華ちゃん梨華ちゃん』って言って
るから。付き合ってるのかなぁって。」
「・・・・・・。」
藤本さんは楽しそうに微笑んでから、言う。
「素敵ですよね、吉澤さんって!!良いなぁっていつも見てるんですよ。私。」
何が言いたいの…!?まさか…!!
「あ、私、呼ばれてたんだ!行かなきゃ!…それじゃ石川さん、また!!」
「え…ええ…。」
手を振って別れたけど…わたしの頭の中はぐるぐると回ったまま。
…ひとみちゃんと同期って事は…研修旅行、行くのよね。
もしも藤本さんもひとみちゃんが好きで…わたしのいない間にひとみちゃんに迫ったり
したら…!!
「〜〜〜〜〜〜っ!!!」
ふるふると頭を振る。
そ、そんな誘いに乗るようなひとみちゃんじゃないわっ!!
…だけど、前科持ちなのよね…ひとみちゃんってば…。ニューヨーク時代、アヤカさんっ
て人と…。
「おーい、石川〜!!時間や!行くで〜!!」
中澤さんの声で、我に返る。
そうだ、これからお仕事なんだ。
泣き出しそうな顔をぱんっと叩いて、わたしは走り出した。
- 103 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時34分36秒
ひとみちゃんは『渋々』と言った様子で沖縄へと出発して行った。
行って欲しくなかった。側にいて、『梨華ちゃんだけだよ』って囁いていて欲しかった。
三泊四日でも…藤本さんの側に行かせたくなかった。
だけど…負けず嫌いで意地っ張りなわたしは、それを口に出せずじまい。笑顔で送り出
してしまった。
「・・・・・・。」
「石川、なんか黒いオーラが出とるで?」
「・・・・・・。」
「ま、肌が黒いのは前からやけどな。」
「・・・・・・。」
中澤さんに何を言われても、上の空。わたしの心を占めているのは、ひとみちゃんの事。
今頃ひとみちゃん、何してるんだろう?
藤本さんと仲良く話したりしちゃってるのかしら。
もうそろそろ、沖縄に着く頃よね。
- 104 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時35分06秒
- 「オイオイオイ、石川〜。大丈夫か?顔が青黒いで?」
「…黒い、は余計です…。」
「お、よーやく喋った。」
中澤さんはわたしの頭をぽんぽんと叩く。
「ま、何があったんかは知らんけど…仕事はキッチリやれよ〜。」
「…はい。」
もう、仕事どころじゃない。本当は撮影もインタビューも対談も投げ出して、ひとみちゃ
んの所に行きたい。
…でも、それじゃわたし自身が納得できないから。
わたしは携帯を握りしめて、目を閉じた。
- 105 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時35分41秒
夜、七時になると同時に家の電話が鳴った。
『梨華ちゃんっ!』
愛しい愛しいひとみちゃんの声。…なんか、涙が出そうになっちゃった。
「ひとみちゃん…。」
『ようやく自由時間になったよ〜!もう保田さん厳し過ぎだよ!』
保田さんと言うのは、事務所の人事課の人。なかなか迫力のあるお局様。
「…沖縄、どう?楽しい?」
『それなりに楽しい。でも…梨華ちゃんがいないのが寂しくてしょーがないよぉ〜!』
「もう…ひとみちゃんってば。」
わたしはぽふっとベッドにダイブする。ちょっと大き目のパジャマが、肩からずり落ちた。
実はコレ、ひとみちゃんのパジャマ。
こう言う不安な時は、ひとみちゃんの香りに包まれていたいから。
『大好きだよ、梨華ちゃん…。』
「もう、ひとみちゃんってばぁ…」
と、その時。
『うっわ、吉澤さんがクッサい事言ってる〜!!』
受話器の向こう側から…藤本さんの声が聞こえて来た。
『うるさいな、ミキティー!あたしは正直なんだよ〜!』
『それにしたってクサ過ぎですってば!…あ、相手、石川さんですか〜?』
『他に誰がいるってんだよー!』
楽しそうなその会話に…胸がぎゅっと痛む。
- 106 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時36分12秒
- 「…ふ、藤本さん、そこにいるの?」
『え?うん!二人部屋でさ。ミキティと同室なんだ。』
心臓が、嫌な感じでドキドキ言ってる。
「そう…なんだ。」
大き目のパジャマの胸元を、ぎゅっと握り締める。
『…あ!吉澤さん!保田さん来るみたいですよ!』
『嘘、マジ!?それじゃあね、梨華ちゃん!また明日っ!!』
「え…あ…」
何も答えない内に、電話は切れてしまった。
受話器からは、つーっつーっと言う音が聞こえて来ている。
だけどわたしは…体がしびれたように、受話器を下ろす事ができなかった。
- 107 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時36分48秒
今日の昼、ひとみちゃんは帰って来る。
昨日の電話では『早く会いたい』とか『抱きしめたい』って言ってくれてたけど…それ
は、本心?
…毎晩電話をくれたひとみちゃん。だけど…だけど、その背後ではいつも藤本さんの声。
疑ってるワケじゃ…ないとは言い切れないけど、わたしはひとみちゃんを信じてる。
だけどね、だけど…想像すると泣きたくなるの。
気持ちがわたしの方に向いていたとしても、わたし以外の誰かには触れないで欲しい。
ひとみちゃんの全部が欲しい。
わたし、ワガママなのかしら?
心だけじゃなくて、身体も全て欲しいだなんて…。
「…しかわ。オイ、石川!!」
中澤さんの怒声ではっと我に返る。
「は、はいっ!!?」
「オイオイオイ。オマエも圭織みたいに交信するようになってもーたのか?」
先輩モデルの飯田圭織さん(現在は独立して、パリで活躍中)の例を出されて…思わず
苦笑。…そーか、交信してるみたいに見えたか。
「まぁ、ええわ。それよか着いたで。」
いつものスタジオを見上げて、なんかホッとする。
- 108 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時37分21秒
- 昨日までは、インタビューや対談なんかもあるからって、知らない場所で撮影してたの
よね。こうやっていつものスタジオに来ると、『帰って来たなぁ〜』って感じがする。
「よーし!今日は春夏物の撮影!石川、寒いけどがんばりますっ!!」
「おー、頑張れ〜。…と、その前に。」
中澤さんはニヤっと笑った。
「石川に、ビッグでスペシャルなプレゼントや。先に、三階の物置に行け。」
「はいぃ?」
三階の物置?って言うと…ひとみちゃんと再会してヨリを戻した、思い出の場所よね。
ビッグでスペシャルなプレゼント?わたし、誕生日はもう過ぎちゃったし…何のプレゼ
ントかしら?
首をかしげながら、エレベーターに乗って三階に行く。
物置に着く直前で、携帯が鳴った。…非通知?
「…もしもし?」
『梨華ちゃん?』
「ひ、ひとみちゃん!」
その声に、驚く。だって今頃、飛行機の中じゃないの!?飛行機の中って、携帯禁止で…
電源も切ってなきゃいけないんじゃぁ…!!
「な…なんで!?」
『いや、昨夜、梨華ちゃん元気なかったからさ。』
「・・・・・・。」
とぼとぼと、足が重くなる。
- 109 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時37分56秒
- 「…そ、そんな事ないよ。大丈夫。」
『梨華ちゃんの大丈夫は、当てにならないんだよなぁ。』
「そ、そんな事ないもんっ!!」
『で、物置着いた?』
「へ?」
気がつくと、丁度物置の前だった。
「なんでわたしが物置に向かってるって…」
『シッ!静かにして…物置の扉、ちょっと開いてるでしょ?』
「う、うん…?」
『中、見てみ。』
ワケがわからないまま、そっと中を覗く。
「…だから、あやっぺ。誤解なんだってば。」
焦ったような藤本さんの声。…ふ、藤本さん!?藤本さんも今頃、飛行機の中のハズじゃ…!!
「誤解!?本当にそうなの!?」
その藤本さんの腕の中にいるのは…アレは、わたしの後輩モデルの…あやや!!!?
「本当だって!私はあやっぺだけだって!」
「…吉澤さんとあんなに仲良さ気にして…同室だったクセに。」
「だから、何もなかったってば!」
「証拠は!?」
藤本さんは、シャツのボタンを開いて見せた。
「…ホラ、何もついてないでしょ?」
- 110 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時38分33秒
- 「…つけなかっただけかもじゃん。」
「あやっぺ…。」
「もう、嫌だよぉ…。離れたり不安になったりするのはぁ…。」
「あやっぺ!」
抱き合う二人。
…ど、どーゆー事…!?もしかしてあの二人…!!
『付き合ってるんだよ。ミキティとあややは。』
「・・・・・・。」
『だから、あたしとも何もなかった。』
「・・・・・・。」
『梨華ちゃん、疑ってたみたいだね。中澤さんに聞いた。』
「…だ、だってぇ…。」
泣き声が出てしまったので、慌てて物置の近くから立ち去る。
「信じてるよ?…信じてるけど…でも…やっぱり、側にいないのは不安なんだもん…。電
話の声だけじゃ、わからないんだもん。」
めったに使われない階段にたどり着いた。
「やっぱり、電話でしか会えないのは嫌。抱きしめて欲しいし、キスして欲しい。離れる
のは、もう嫌なのぉ…。」
声が反響する。
…だけど、不思議。電話でなら素直な言葉が言えた。
『・・・・・・。』
沈黙のあと、ぶつっと電話は切れてしまった。
…言うんじゃなかった。もしかして、呆れられちゃったかな?重いって思われちゃった
かな?
- 111 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時39分09秒
- 「…はぁ。」
ため息と共に、足を踏み出した。その時。
「梨華ちゃん。」
背後から…暖かい感触と、やさしい声と、愛しくてたまらない香り。
「え…?」
わたしは、背後からひとみちゃんに抱きしめられていた。
「ひ、ひとみちゃ…!?」
「ミキティと二人で、皆よりも先に帰って来ちゃった。」
「・・・・・・本当に、ひとみちゃんなの…!?」
「他に誰がいるってのさ。」
「だ…だって…。」
振り返ると、目が合うよりも先に唇を奪われた。
「ん…。」
三日ぶりのキスに、わたしは溶けそうになった。触れるだけなのに…。
これ以上激しいキスになったら、わたしきっと死んじゃうっ!!
「ちょ、ちょっと待った!」
ひとみちゃんから離れて、胸を押さえる。ひとみちゃんは、メチャメチャ不満そうな表情
をしていた。
「なんで〜?『抱きしめてキスして欲しい』って言ってたじゃん。」
「で、でも…なんてゆーか…!!こ、これ以上ドキドキしたら死んじゃう…!!」
その言葉に、ひとみちゃんはちょっと噴出す。
「なにそれっ!可愛い〜♪」
- 112 名前:遠距離恋愛3〜沖縄と疑惑と本音〜 投稿日:2003年02月06日(木)11時39分52秒
- 「・・・・・・。」
「梨華ちゃん、会いたかった。」
「たった三泊四日じゃない…。」
「あれ?梨華ちゃんは会いたくなかったの?」
「…あ、会いたかった、けど…。」
つかつかと寄って来て、またキス。今度は最初から容赦してくれない。
「んんんっ」
やばい…こ、腰がくだけそう…。
ようやく唇を離したひとみちゃんを、わたしをぎゅっと抱きしめて囁いた。
「あたしは、梨華ちゃんだけだってば。」
「…前科持ちのクセに。」
「もう、梨華ちゃん以外にはこーゆー事しない。」
「・・・・・・。」
「あたしは全部、梨華ちゃんのモノだから。」
目頭が、じ〜んと熱くなって来る。
「…本当?」
そう尋ねると、ひとみちゃんは優しく微笑んで頷いた後…キスをくれた。
わたしも、全部ひとみちゃんだけのものだよ。
唇が離れたら、そう言おう。
でも、しばらくは離してくれなさそう。
…わたしも、しばらくは離して欲しくない。
結局わたしがその言葉を伝えられたのは…あまりの遅さに中澤さんが呼びに来た後でし
た。
おわり。
- 113 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月06日(木)11時40分27秒
どーも、また書いてしまいました。ありがとうございました。
今回はどうだったでしょうか?
>名無し様
連載、と言うのでしょうか、コレ…とにかく、第三弾です!!
>今連載してるいしよし小説の中でダントツ好きッス!!!
ありがとうございまっす!!すっごく嬉しいです!!
…銀の『専属ケーキ屋さん』もよろしくおねがいします(笑)いしよしです。
宣伝しちゃってごめんなさい…(大汗)
>ヒトシズク様
おおおっ!!こちらも読んで下さったんですか!!ありがとうございます!!
いつも応援、ありがとうでっす!!がんばりますので、これからもよろしく!!
- 114 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月09日(日)11時00分39秒
- うぉぉぉ!
すごいあまあまじゃないですかっ!
しかも、いしよしっ!!!!
あぁ、もうたまりません・・・いしよしぃ〜!!!
次回もあるんでしょうか?
楽しみに待たせていただきまーす♪
- 115 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月07日(金)19時32分21秒
- ほぜん
- 116 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月22日(土)21時44分17秒
- 保全
- 117 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)21時47分44秒
- 保全
- 118 名前:遠距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)20時58分21秒
- 嵐とは、突然やって来るモノらしい。
「Hello!!」
玄関を開けたわたしは、あんぐりと口を開けてその来訪者を見つめる事しかできなかった。
「・・・・・・。」
「あなた、『梨華ちゃん』よね?」
「は…はぁ…。」
呆然とするわたしに、その来訪者は言い放つ。
「ワタシはアヤカ。…久しぶり、ね?」
アヤカ…?
わたしはしばし考え込んでしまった。
どっかで聞いた事はあるんだけど…。
「直接会うのは初めてね?N.Yから電話でお話した事はあるけど…。」
その一言で、全てを思い出した。
「・・・・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
指差すわたしに、アヤカさんはヘラヘラと手を振る。
その時、わたしの悲鳴のような叫び声を聞きつけたひとみちゃんが顔を見せる。
「梨華ちゃん?どうしたの・・・・・・」
さすがのひとみちゃんも固まる。
「あ…アヤカさん…!!?」
顔面蒼白になってわたしを見て来るけど…わたしも同じくらい顔面蒼白。
まさに、嵐がやって来た朝だった…。
- 119 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)20時59分39秒
アヤカさんとは、ひとみちゃんがニューヨークにいた時の同僚さん。
「同じプロジェクトチームにいたんだけど、日本語話せるのがワタシとヒトミだけでね〜。
それで意気投合して、仲良くなったワケよ。」
「・・・・・・へぇ…。」
笑顔で応対しながらも、わたしの心はどこまでも暗い。
ちらりとひとみちゃんを見て見れば、気まずそうに視線を逸らすばかり。
なんか…複雑って言うか、泣きたい気分。
だって、思い出しちゃったんだもの。ニューヨーク〜東京で遠距離恋愛してた時、ひと
みちゃんはこの人と…。
ひとみちゃんは『酔っ払ってて梨華ちゃんと間違えて、そんな事しちゃったんだよ』っ
て言ってたけど…ううん、信じてないワケじゃないのよ?…でもさぁ。
心の中でぐるぐると考えていると、アヤカさんはにっこり笑った。
「梨華ちゃん、そんな暗い顔しなくても大丈夫よ。」
「・・・・・・へっ!?」
驚いて顔を上げると、アヤカさんの笑顔をまともに見てしまった。
か、考えてる事、顔に出ちゃってたかしら。恥ずかしくて顔が赤くなる。
- 120 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時00分12秒
- 「ワタシとひとみは、あれ一回きりだし。」
「・・・・・・。」
「あ、アヤカさん…。」
焦ったようなひとみちゃんの声に、ちょっとムッとする。
…なんで焦るのよ。
これ以上バラされたくない事でもあるワケ?
そんな気配を悟ったのか、アヤカさんは更ににこーっと笑う。
「ワタシ、今回は仕事で日本に来たんだけど…自由時間もちょこっとあるのよね。」
…なんか嫌な予感して来た…。
「だから、ヒトミ。元同僚のよしみで…明日一日、案内して!!」
「「ええぇぇぇっ!!?」」
思わず声をハモらせてしまうわたし達。
わたしは泣きそうになりながら、ひとみちゃんを見る。
…忘れてないよね?
明日は…二人が付き合いだした記念日なんだよ?
「・・・・・・。」
ひとみちゃんは神妙な顔で黙りこくっている。
- 121 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時00分45秒
- どうするの…?断るの?引き受けちゃうの?
忘れてないよね?…だからわたし、明日本当は撮影のお仕事入ってたのに…中澤さんに
無理言って休みにしてもらったんだよ?
断るよね?
その直後、ひとみちゃんは言った。
「・・・・・・わかった。案内する。」
「きゃー!!やったぁ♪」
「・・・・・・。」
目の前が暗くなる思いだった。
はしゃぐアヤカさんの声を聞きながら…わたしの心は、どこまでも深くまで落ちていく。
久々に、ネガティブ石川が出てしまいました…。
- 122 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時01分22秒
「…いってきま〜す。」
ひとみちゃんが、控えめの声で寝た振りしてるわたしに言う。
…やっぱり、行っちゃうのね。
そして、あれは悪い夢じゃなかったのね。
玄関が閉まる音を聞いてから、わたしはむっくりと起き上がる。
「・・・・・・ばかぁ。」
涙が溢れて来る。
こんな大事な日に…よりにもよって、アヤカさんを取るなんて!!!
言ったじゃない!!『梨華ちゃんだけだよ』って。『梨華ちゃんしか見えない』って。
嘘だったの?アレは本心じゃなかったの?
クッションを抱えて、もう一回ベッドに転がる。
「…うぅ〜…!!」
撮影、一週間後に延ばしてもらったのに!!
今日何があっても大丈夫なように、明後日までお休み取ったのに!!
ひとみちゃんも同じ日程で休み取ってたから…絶対覚えててくれると思ってたのに!!
「…期待したわたしが馬鹿だったのね。」
諦めのため息をついてみるけど、そうそう簡単に諦められない。
- 123 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時01分54秒
- 本当だったら今頃…アヤカさんが来てなかったら今頃…!!
そう考えると、涙が止まらない。
どこで待ち合わせしたんだろ?もう会えたのかな?
そう考えると、胸の痛みが止まらない。
「・・・・・・ばかぁ!!」
もう一回、今度はクッションを床に投げつけながら叫んだ。
あ〜あ…こんな気持ちで今日一日過ごすのかしら…せっかくの記念日なのに。
一人でケーキ買ってお祝いしよっかな。
…それも切なすぎて嫌。
「決めた!!不貞寝してやる!!」
わたしは布団を頭からかぶった。
寝よう。そしたら嫌な事を考えずにすむ。胸の痛みを感じなくてすむ。
起きたらきっと、ひとみちゃんがいてくれるはず…。
- 124 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時02分30秒
十二時間後。
わたしはベッドから這い出た。
「・・・・・・。」
十二時間も不貞寝してたんだ、わたし。
まぁ昨日の夜、あんまり眠れなかったからしょうがないんだけど…いや、そうじゃなく
て。
重い頭で、携帯を手に取る。
受信メールが一件。
「!!」
嫌な予感が、頭を過ぎる。
・・・・・・。
そ、そんなハズないわよね!?大丈夫よね!?そんな…わたしのネガティブシンキング
から生まれ出た妄想みたいな事、現実に起こるハズないわよね?
そう思って、メールを開く。
『ごめんなさい。今夜、遅くなる ひとみ』
「・・・・・・。」
予感、的中。
な…何なのよ…!!
本当に忘れちゃってるの!?
- 125 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時03分03秒
- 記念日なのよ!?記念日!!わ、わたしが初めてキスした記念日でもあるのよ!?
それなのに…それなのに、別の人と…ッ!!
また涙が溢れ出る。
なんだかわたし、泣いてばっか。
しつこいようだけど、記念日だって言うのに…。
「・・・・・・ッ!!!」
わたしは、携帯を壁に叩き付けた。
ガキッ、みたいな嫌な音がする。だけど、かまってられない。
十二時間も先に寝ちゃったから、もう眠れない。
「うっく…。」
頬を伝う涙を拭ってから、わたしはベッドから出る。
こーなったら…待ってやろうじゃないの!!玄関先で!!
パジャマから洋服に着替えて、わたしは寝室を出た。
- 126 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時03分46秒
チュン、チュン…
「・・・・・・なんてこったい。」
思わず呟いてしまった。
朝になっちゃったわよ。
「…か、帰って来ない…ッ!!!」
頭の中は、パニック状態。
なんで!?なんで帰って来ないの!?
そう言えば、前にアヤカさんとそうなっちゃったのは…酔っ払い過ぎて、だったわよね…。
まさか…考えたくないけど、今回も!!?
「嘘…でしょ…?」
玄関に座り込んだまま、呆然とする。
と、その時。
Tururururu…Tururururu…
家の方の電話が鳴った。
「も、もしもしっ!!」
ひとみちゃん!?と思って飛び出ると、沈黙が返って来た。
『・・・・・・。』
「…もしもし…?」
- 127 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時04分23秒
- 『・・・・・・梨華ちゃん?』
聞きなれた、アルトの声。
愛しくてたまらない、その声。
それが今は果てしなく、わたしの心を傷付ける。
「ひとみちゃん…。」
『なんで…起きてるの?』
カチンと来た。
確かに、現在は朝の六時。
普段のわたしなら絶対目覚めてない時間。
「・・・・・・って事は、寝てると思って電話かけて来たってワケ?」
『いや…その…。』
「ひとみちゃんは、なんでわたしが起きてると思う?」
『・・・・・・うーんと。』
苦しそうなひとみちゃんの背後からは、電車の音が聞こえた。
泣きたいけど、泣けない。
なんでだろう?ひとみちゃんになら全てを見せられるはずなのに。
「何してたの?今まで。」
『・・・・・・寝て、た。』
「どこで?」
『・・・・・・あ、アヤカさんの…ホテルの部屋。』
心臓が、抉り取られるみたいな衝撃。
- 128 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時04分53秒
- …って事は、何?またやっちゃったの?
悲しみと怒りが、ふつふつと湧き上がって来る。
『で、でもねっ!!何もしてないよ!?ただ、酔っ払って寝ちゃっただけで。』
「…今更その言い訳、通用するとでも思ってるの?」
『いや、だから、本当に…』
「もう、いい。」
わたしは言った。
「もういいよ。ひとみちゃんの言葉なんか、もう信じない。」
わたしは自ら、電話を切った。
そして、自分の部屋へと走る。
自分の荷物をまとめる為に。
- 129 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時05分28秒
わたしがひとみちゃんの家を出て、十日が過ぎた。
「携帯買い換えたの?」
友達の柴ちゃんに言われて、わたしは得意げに携帯を見せる。
「うん!!…あ、新しい番号教えてなかったっけ?」
「教えてもらってないよー。」
自分の電話番号が表示された画面を、柴ちゃんに見せる。
「でも、なんで変えたの?」
「ちょっと…壊れちゃって、さ。」
「へぇ。」
そして柴ちゃんは、わたしの隣に座った。
「・・・・・・ヨッスィー、探してたよ。」
「・・・・・・。」
黙るしかない。
「何があったのかは知らないけど…探してたよ。」
「…そう。」
あれからわたしは、中澤さんに頼んで事務所の寮に入れてもらった。
『ひとみちゃんにはわたしの居場所、教えないで下さい』と言って。
中澤さんは、さすが。敏腕マネージャーと言われるだけの事はある。事務所の寮なのに、
未だにひとみちゃんに居場所がバレてない。
- 130 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時06分03秒
- 「…あのさ、梨華ちゃん。」
「・・・・・・え?」
柴ちゃんの声で、はっと我に返る。
「伝言が…あるんだ。ヨッスィーから。」
「…聞きたくないんだけど。」
「そー言わずに聞いてよ。私の顔を立てると思って、さ。」
「・・・・・・何?」
ここまで言われたら、聞かないワケには行かないじゃない…。
柴ちゃんは、宙を見ながら言った。
「愛してる、ってさ。」
「・・・・・・。」
「あの日はごめんって。でも、本当にアヤカさんって人とは何もなかったらしいよ。」
「・・・・・・。」
「…あ、次、私の番だ。」
柴ちゃんは席を立った。
そして、肩越しに振り返って言う。
「…私ができるのは…これだけだから。」
「・・・・・・。」
柴ちゃんの背中を見つめて、わたしは携帯を握り締めた。
- 131 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時06分34秒
- 愛してる?
記念日も覚えてなかったクセに?
ふざけないでよ!!あの日、わたしがどんな思いで…!!
「梨華ちゃん!!」
身体がビクッとなる。
誰だか、なんて、声だけでわかる。
だけど振り返れない。
今振り返ってしまったらわたし、きっと…また許しちゃう。
そう思ったわたしは…そのまま、逃げ出した。
- 132 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時07分07秒
追いかけて来る。
マズいわ…足の速さだったら、あっちの方が断然有利…!!
そう思ったわたしは、とっさに近くの物置に入った。そして内側から鍵を閉める。
「・・・・・・。」
スカートが汚れるってわかってるけど、床にへたり込む。もう、立ってなんかいられない。
「…あはは。」
自嘲気味に笑う。
再確認しちゃった。
わたしやっぱり、ひとみちゃんが好き。
でも…だからこそ許せないの。ひとみちゃんがあの日、帰って来なかった事が。
「・・・・・・。」
手の中の携帯が、震えた。
『柴田あゆみ』
そう表示されている事を確認して、通話ボタンを押す。
「…もしもし?柴ちゃん…?」
『やっとつかまえた。』
「・・・・・・!!」
『待って!!切らないで!!』
必死な声に、思わず電話を持ち直してしまう。
- 133 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時07分40秒
- 『…ごめん。本当にごめん。あたし…。』
「・・・・・・もう、いいってば。」
『良くないよ!!終わりたくないもん!!』
「・・・・・・。」
胸が、じ〜んと熱くなる。
…駄目よ、梨華。許しちゃ駄目。
あんなに苦しかった一晩を、忘れちゃいけない。
もう二度と、あんな目にはあいたくない。
だったら、許しちゃ駄目。
『記念日を覚えてなかったワケじゃないんだ。』
「・・・・・・無理しなくて良いよ。」
『本当だって!!』
「じゃあ…なんであの日、アヤカさんと出かけたりしたのよ!!」
撮影がまだ残ってるから、絶対泣いちゃ駄目。
わかってるのに、それでも涙が零れ落ちる。
「なんでよぉ!!わたしが、どんな気持ちでいたと思ってるのよぉ!!」
『だから…ごめんってば!』
「ひとみちゃんはわかってないのよ!!あの日が、わたしにとってどれだけ大切な日だっ
たか!!だからあんなひどい事ができるのよ!!」
- 134 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時08分12秒
- 『わかってるよ!!あたしにとっても大事な日だったもん!!』
「アヤカさんと出かけたクセにぃ!!」
ぼろぼろぼろぼろ、目から涙がこぼれ落ちる。
『それは…一日くらい良いと思ったんだよ!!』
「はぁ!?何それッ!!」
『このあたしが、記念日覚えてないハズないじゃん!!全部覚えてるよ!!』
・・・・・・は?全部?
困惑するわたしにかまわず、ひとみちゃんは言い始める。
『初めて通販雑誌で梨華ちゃん見つけた記念日も、会社の近所で迷ってる梨華ちゃん見つ
けた記念日も、初めてデートした記念日も、付き合い始めて初めてキスした記念日も、初
めてエッチした記念日も、ペアリング買った記念日も、一緒に暮らし始めた記念日も…そ
の他諸々、全部覚えてるよ!!!』
「・・・・・・。」
『だから、一回くらいいいかなって思っちゃったんだよ!!』
ひとみちゃんの声は、今にも泣き出しそう。
『…愛してるんだよ。本当に。あたしには梨華ちゃんしかいない。本当だよ?』
「・・・・・・。」
『梨華ちゃんが相手じゃなきゃ、こんな記念日記憶してない。こんなにみっともなくなる
まで探さない。』
- 135 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時08分50秒
- 「・・・・・・。」
『だから、帰って来てよ…。』
「ひ、ひとみちゃん…。」
電話越しでも、ひとみちゃんが涙をこらえてるのがわかる。
『もう、精神的にボロボロなんだ…もう耐えられない。』
「・・・・・・。」
わたしはぎゅっと目を閉じた。
「…帰って来て欲しいなら、迎えに来て。」
『え?梨華ちゃ…』
そしてわたしは、電話を切った。
ここが、わかるかしら?
わたしを見つけ出してくれたなら、わたしはひとみちゃんの元へと帰る。
そう心に決めて、携帯を胸に抱いた直後。
「・・・・・・みつけたよ、梨華ちゃん。」
物置の扉が開いた。
- 136 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時09分25秒
- 「な…んで…!?なんでこんなにすぐ…!!」
「決まってるじゃん。だって…。」
ひとみちゃんは物置を見回した。
「ここは、思い出の場所じゃん。」
わたしは立ち上がって、ひとみちゃんに抱き付いた。
そう、ここは…ニューヨークから帰って来たひとみちゃんと、わたしが再会した思い出
の場所。
「馬鹿…!!ひとみちゃんの馬鹿!!」
「梨華ちゃん…!!」
ひとみちゃんは、まるで確かめるようにわたしを抱きしめる。
「…帰って来て、くれる?」
「・・・・・・アヤカさんは?」
「本当に、何もなかったんだってば!!」
「…本当に?」
「本当!!」
わたしは、くすっと笑う。
「仕方ないから、信じてあげる。」
唇を、奪われた。
…寮からまた、荷物を運ばなきゃ。
そんな事を考えながら、ひとみちゃんのキスを受け入れる。
もう今日は、仕事になりそうにない…。
おわり
- 137 名前:距離恋愛4〜記念日と家出とキス〜 投稿日:2003年04月15日(火)21時09分59秒
また書かせて頂きました!!ど、どうでしょうか…?つーか長すぎ…?(笑)
久々の『遠距離恋愛シリーズ』…書いててなんだかドキドキしました(笑)
超私的伝言…ひとみんこ様〜!!復活を心よりお待ちしております!!
>ヒトシズク様
書かせて頂きました〜♪
いかがでしたでしょうか?また感想など頂けたら幸いです☆
- 138 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月15日(火)21時11分00秒
- すみません…↑で名前入れるの忘れました…(汗)ごめんなさい〜!!
- 139 名前:シフォン 投稿日:2003年04月15日(火)22時01分39秒
- いや〜、さすがはクロイツさん♪(何)
クロイツさんのいしよし、ホントに大好きれす(素)
吉ヲタにも関わらず、梨華ちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきて、号泣しながら読ませていただきました。
またこのシリーズが読める日が来るのを楽しみに待っています♪
これからも無理はなさらずに頑張って下さい☆
- 140 名前:桜乱 投稿日:2003年04月28日(月)17時42分17秒
- はじめまして!某所で書いている桜乱といいますっ!
『電話』のテーマの文、自分も投稿させていただきます。
超駄文なんで感想はいただけないかとは思いますが、
こういうテーマが決められた短編って大好きなので・・・
題は『誤解〜Gokai』です。よろしくお願いします。
- 141 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時42分50秒
- 『今日は梨華ちゃんのウチ行ってもイイ?』
『ごめ〜んひーちゃん。今日もダメなの。ホントごめんね。』
『・・・うん、わかった。別に謝ることないって。それじゃ〜ね。』
『うん、じゃあね。』
- 142 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時43分52秒
話し終えるとケータイをベッドに投げると同時に自分もベッドに倒れこむ。
枕に顔を埋めながら吼えてみる。
「あ゛ー!!なんで梨華ちゃん最近冷てぇんだよー!!うおー!!」
最近の梨華ちゃんは冷たい。楽屋にいる時もなーんかそっけない態度だし、
電話の時なんてもっとひどくて、こっちから話ふらないと返事しないのね。
「ひーちゃん・・・サビシイんだぞぉ・・・うー」
可哀相なひーちゃんって自分で思っていると、ベッドに転がっているケータイが鳴る。
- 143 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時44分46秒
『はい、もしもし』
『よっすぃ〜!!大変れすっ!!梨華ちゃん、男いるのれすっ!!』
電話をしてきたのはのの。イキナリわけわからんこと言ってきちゃってさぁ。
『はぁ?わけわかんないんだけど。ちょっと落ち着きなって。』
『落ち着いてる場合じゃないのれす。梨華ちゃんには絶対彼氏がいる!!』
そんなことないっしょ。だって梨華ちゃんにはこのひーちゃんがいるんですよ!!
『んなバカなぁ〜。なんか証拠でもあるの?証拠。』
『うん、バッチリ。・・・今日ね、梨華ちゃんと一緒に帰ったんれす、途中まで。』
『うんうん。』
『それで話してる途中にね梨華ちゃんに電話がかかってきたの。』
『うんうん。』
『そしたら梨華ちゃん、急にソワソワしちゃって、声のトーンもいつもより高くなってた。』
フッ・・・辻さん、あなたはそんなことでわざわざ電話してきたんですか。
『それが男とは限らないじゃ〜ん!!そんなんウチだってあるよ。
ごっちんと話すときはミョーにテンション高かったりさ。』
- 144 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時45分37秒
- 『甘いれすよ、よっすぃ〜。ののは徹底的な証拠を見ちゃったんれすっ!!』
電話越しでもわかる。コイツ胸張ってエッヘン♪ってしてるな・・・
『なにさ?』
『梨華ちゃんの手帳を開いたとき、たまたまチラッと見えちゃったんれすよ。
男の子とツーショットで写ってるプリクラを!!』
ん?男の子とのツーショットプリクラ?・・・・
『えーーーーーー!!!!!!???ウッソ!?マジかよ!!!
梨華ちゃんが男とプリクラ?ありえねぇって。それは。』
だってプリクラ帳見せてもらったことあるけどさぁ、メンバーとか、友達とかしかなかったよ。
ツーショットプリクラで目立つのなんてウチとのだけ・・・
『ホントれすっ!!ののはウソなんか言わないよ!!これは、間違いなくいるね、男が。』
『マジで・・・?そんなことは・・・そりゃー、最近楽屋でもあんま相手にしてくれないし、
電話でも冷たいけどさー。梨華ちゃんに限ってそんなこと・・・』
『よっすぃー!めちゃめちゃ彼氏いるイキフンビンビコビンじゃん!!』
- 145 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時46分14秒
- ・・・梨華ちゃん・・・マジかよ・・・ウチ以外の人を好きなの・・・
あまりにショックでケータイがすごく重たくなってきちゃって、耳につけていることも辛くなってきた。
『・・・よっすぃー聞いてるんれすか?とにかく、今日でも明日でもいいから聞いてみるのれすっ!!』
『あぁ・・・うん・・・』
『それじゃあ、ののはあいぼんに電話しなくちゃいけないから。じゃーねー♪』
ツーツーといっているのに電話を切れない・・・ってゆーかそんな力も出ない。
私はケータイを投げて、そのまま仰向けになる。そして真っ白な天井を見る。
「梨華ちゃん・・・」
頭に浮かんでるのは梨華ちゃんの笑顔。私が一番大好きな梨華ちゃんの笑顔。
「梨華ちゃんはもう、ウチには笑ってくれないの??・・・」
梨華ちゃんの事を考えれば考える程悲しくなってくる・・・。
悲しみの中、フッとさっきの、ののの言葉が思い出された。
- 146 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時46分59秒
『・・・とにかく、今日でも明日でもいいから聞いてみるのれすっ!!・・・』
吉澤ひとみの『種』が弾けた・・・
「そうだよね、のの。考え込んでる『吉澤ひとみ』なんて『吉澤ひとみ』じゃないよね。
男前でかっけーのが『吉澤ひとみ』なんだっ!!そうだ、そうなんだ!!よ〜〜〜し・・・・」
思いっきり息を吸う・・・・
「よっしゃぁぁぁ!!!!!!」
近所迷惑な程大きな声を出して家を飛び出した!!
目的地は『石川梨華の部屋!!』ターゲットは『石川梨華!!』
このふたつだけを思って走って電車に乗り込む。
「はっきりさせるんだ、梨華ちゃんはなんで冷たかったのか、なんで部屋に入れてくれなかったのか。
そして・・・梨華ちゃんの気持ちを!!」
電車のドアの手すりにもたれながらボソボソ呟く。周りはちょっと変な目で見てたけど、気にしない。
電車は梨華ちゃん家の近くも最寄り駅へ向かっていく・・・。
- 147 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時49分27秒
駅から出て、走って梨華ちゃんの住んでるマンションへ向かう。走って5分程の距離だ。
私は走りながらジャージのポケットからケータイを取り出して梨華ちゃんに電話をかけた。
トゥルルルトゥルルル・・・・
『はい、石川です。』
『はぁはぁ・・・梨華ちゃん?ひとみです。』
『ひーちゃん??どーしたのそんな息乱して。』
『気にしないで・・・はぁはぁ・・・あのさ・・・今平気?』
『う、うん大丈夫だよ。どーしたの?』
『ウチさ・・・梨華ちゃんの事好きだよ・・・世界でいっちばん・・・』
『な、何言ってるの?ひーちゃん??』
『どんなに嫌われても・・・彼氏が出来ても・・・ウチは梨華ちゃんを・・・愛してる・・・』
- 148 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時50分26秒
- 『どーしたのよイキナリ。ひーちゃん変だよ、いつもと違う。』
『実らない恋でも・・・諦めないのが・・・ウチの・・・ポリシーだから・・・はぁはぁ』
『は、はぁ・・・そーですか・・・』
梨華ちゃんのマンションの玄関に着いた。梨華ちゃんの混乱してるのを気にせず話を続ける。
『はぁはぁ・・・あのさ・・・回りくどいのキライだから・・単刀・・直入に聞くね。
・・・梨華ちゃん・・・彼氏できた??』
『はぁ??!!何言ってるのひーちゃん。』
『いいから・・・答えて・・・』
息がまだ整えきれてない。さすがに長距離を走り続けて喋るのはキツイ。
『いないよ。いるわけないじゃん!!』
『・・・ホ、ホント??・・・はぁはぁ』
『私を信じられないの?ひーちゃん。』
- 149 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時51分20秒
- 『いや・・・そーいうわけじゃ・・・ないけど。
じゃあさぁ、最近、男と・・・ツーショットでプリクラ・・・とった??・・・』
『とってないよ。最近ひーちゃんと撮ったのが最後だもん。』
『じゃあ・・・電話してて・・・声のトーンが・・・高くなるよーな・・・相手はいる??』
『・・・うん』
ちょっと間を置いての梨華ちゃんの返事。
やっぱりいるんだ・・・のの、ウチ、フラれちゃったよ・・・
すると梨華ちゃんはまだ話を続けていた。
『ひーちゃんと話してるとドキドキして、トーンが高くなります。電話越しのひーちゃんの声・・・好きだから』
『・・・えっ?!』
ん?どーゆうことだ??ウチに??
『電話越しのひーちゃんの声ってとってもセクシーでワイルドで・・・好きなの、私。』
- 150 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時52分06秒
- 『・・・ウチの声が・・・好き・・・』
『うん・・・ってゆーか、今度は私が質問!!今どこ??』
『梨華ちゃんが・・・住んでる・・・マンションの・・玄関。』
『えぇ〜!!!なんでそんなトコにいるの!?まーいいわ、ちょっと待ってて。』
オートロックの玄関を梨華ちゃんは開ける。ドアが開いたのを確認すると私は梨華ちゃんの部屋に向かった。
梨華ちゃんの部屋に到着すると部屋のドアを開けて梨華ちゃんが待っていてくれた。
「ひーちゃん!!どーしたの??こんな時間に。」
「エヘヘ・・・夜分遅くにすいません・・・」
「とりあえず中に入って。」
「・・うん」
梨華ちゃんの部屋に入ってリビングにおいてあった座布団に座ると、
テーブルにグラスに入った麦茶とタオルを置いてくれた。
「あぁ、ありがと。」
梨華ちゃんは心配そうな顔で私の顔を覗き込む。
- 151 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時53分38秒
- 「ほんとにどーしたの?こんな時間に・・もう10時すぎてるよ。」
「梨華ちゃんに確かめたいことがあって。」
「え?」
私は梨華ちゃんの肩を持って目をジーッと見つめる。
「・・・梨華ちゃんさ、ウチのこと好き?」
「・・・うん、好き・・・」
梨華ちゃんは頬を赤く染めながら目線をそらす。
私は梨華ちゃんの肩を持つ手に力を入れる。
「ホントにホント?」
「ホントにホント。」
「ホントにホントにホント?」
「ホントにホントにホント。」
「「・・・」」
私は肩から手を離し、フローリングの床に寝転がる。
「マジッすか?マジなんですよね・・・よかった〜!!」
「ん??・・・何言ってるのひーちゃん??」
「実はね・・・」
私は今までの事を梨華ちゃんに話した。
すると梨華ちゃんはクスッと笑う。
- 152 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時54分30秒
- 「フフ・・のんちゃんったら勘違いがスゴイことっ。」
「へ??」
「電話の時に声が高くなってた相手は、たぶん中澤さんだよ。イキナリ電話きたんで緊張しちゃったの」
「どーしたの?中澤さん」
「私があげた縁結びのお守りが全然きかへんわー!!って。今頃になって言われたから驚いちゃったよ」
「中澤さん・・・ちょっと期待してたんだ・・・」
「それと、男の子とのツーショットってゆーのはコレじゃない?」
そう言ってプリクラ帳に貼ってある一枚のプリクラを指差した。
「これ・・・ウチじゃん。」
ウチが梨華ちゃんのホッペにキスしてる、めっちゃラブラブなプリクラ。
「これさー、ひーちゃんジャージだし、髪を一つに束ねてるから男の子に見えたんじゃない?」
「あー、たぶんそーだね。ウチが見てもパッと見、男だもん」
希美さん・・・あなたの証拠、ことごとく崩れましたぜ・・・
「で、でもまだアヤシイ事残ってるじゃん?なんで今まで梨華ちゃんの部屋入れてくれなかったの?
楽屋にいるときとか電話とか冷たかったの??」
- 153 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時55分13秒
- 「それは・・・ついさっきまで掃除してなかったから。すっごい汚い部屋に恋人はいれたくないもん。
楽屋とか電話で冷たかったのは・・・」
梨華ちゃんはうつむいてしまった。
「どーしたの??」
すると頬をふくらまして私の事をジーッと見る。
「最近いっつもあいぼんと一緒じゃん!!私にはしてくれないことたくさんしちゃってさー・・・プゥー!!」
私はニヤけながら膨らんでいる頬を人差し指でつっついた。
「それってさ〜ヤキモチってやつぅ〜??」
「そーよ!!悪い?!あいぼんばっかズルイじゃない。私のひーちゃん独り占めするんだから。」
「あれはあいぼんがくっついてくるんだから、しょうがいないじゃんよー。」
「ひーちゃん嬉しそうだもんっ!!」
そうやってヤキモチ妬いてくれる梨華ちゃん・・・大好きだよ。
私は梨華ちゃんをギューッと抱きしめた。
- 154 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)17時59分49秒
- 「じゃあ、どーすれば許してくれる?」
私の胸の中にいる梨華ちゃんは顔をあげる。
「今日泊まってってくれたら・・・許してあげる。」
「もーしょうがないなー。・・・ってゆーか、イヤがっても今日は泊まるつもりだったんだけどね。」
「なーんだ、ひーちゃん泊まるつもりだったんだ。」
「なんだよその『私がお願いだからひーちゃんは泊まってくれる。やっぱり私の頼みごとだしぃ〜♪』
みたいのを思ってたよーなセリフは〜。
・・まぁいいや。とりあえず、汗かいちゃったから一緒にお風呂はいろーよ。」
「えー!!私もう入っちゃったよ。」
「また入ればいいじゃないですか〜イシカワさ〜ん。・・・よっと!!」
抱きしめていた片腕を膝の部分へもって行き、抱きかかえる・・・お姫様だっこってヤツをした。
- 155 名前:誤解〜Gokai 投稿日:2003年04月28日(月)18時02分01秒
- 「もー!!ひーちゃんおろしてよぉ〜!!」
梨華ちゃんは抵抗してるんだけど、思いっきり拒絶してる抵抗じゃない。とりあえずしてるよーな感じだ。
「それじゃちょっこう〜〜♪」
私と梨華ちゃんはお風呂場へ直行した。
・・・もちろん脱衣所でケータイの電源を切った。またののの電話が来たら怖いからねっ♪
おしまい。
- 156 名前:移動保全屋さん 投稿日:2003年06月15日(日)08時53分24秒
- ほぜむ
- 157 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月10日(日)23時05分07秒
- 保全
- 158 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月03日(水)23時23分42秒
- 保全
- 159 名前:みう 投稿日:2003/10/04(土) 17:53
- 加護ちゃんと辻ちゃんのも描いてもらえるとうれしいです♪
- 160 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/05(日) 00:19
- >>159
ageるな
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 22:04
- 保全
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