インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板
お笑い。娘漂流記
- 1 名前:pp 投稿日:2002年11月11日(月)12時17分07秒
始めまして。
某板で短編バカネタ集を書いてる者です。
今回は話が長くなりそうなので、こちらで新たに始めようと思います。
よろしければお付き合いを。
- 2 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時17分43秒
「あれっ。私…助かったんだ。」
瞼に感じる照りつけるような太陽の眩しさと、うだるような蒸し暑さに襲われた少女は
自然と眼が覚めていた。
目の前には静かな海。
辺り一面に広がる綺麗な砂浜。
どうやら、ここへ流れ着いたらしい。
長時間海水に浸かっていたせいか、髪の毛はゴワゴワに固まり
肌もガサガサに荒れている。
顔を上げると、頬に付着した砂利がパラパラと剥がれ落ちた。
(それにしても凄い嵐だったな。危うく遭難するところ……いや、してる。確実に。)
少女は昨夜の悪夢を思い返していた。
- 3 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時18分21秒
半年ぶりのオフを利用して、モーニング娘のメンバー全員で極秘旅行に出かけたのだが
行きの船が突然の嵐に巻き込まれ難破してしまったのだ。
冷たい海中に投げ出され、右も左も解からない暗闇の中で必死にもがきながら助けを求めたが
その声も暴風と豪雨の音に虚しく掻き消されるだけだった。
やがて、声も出なくなる。
手足の感覚が無くなり始め、体が言う事を聞かなくなる。
薄れ行く意識の中で、はっきりと死を覚悟しながら濁流に飲み込まれて行くしかなかった。
それから先の事は何も覚えていない。
誰かに助けられたのか。
何かに掴まり、この島まで流されたのか。
もしかしたら、自力でここまで泳いできたのかも知れない。
いずれにしても大変な危機的状況を乗り切った事だけは確かだ。
- 4 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時18分55秒
あれから何日たっているのだろう。
どれほど気を失っていたのだろう。
空はあの嵐が嘘のように晴れ渡っている。
遠くで鳴いている小鳥のさえずりと、静かに揺れるさざなみの音しか聞こえない。
大都会の暮らししか知らない少女には、とても新鮮な静寂。
(そうだっ、他のみんなは?。)
辺りの状況を確認しようと、おもむろに立ち上がったその時だった。
「あ、梨華ちゃん、気がついたべか?。」
後方から自分の名を呼ぶ聞き慣れた声が聞こえてきた。
振り返ると、砂浜の奥の森の中から美味しそうな沢山の果物を抱えた一人の少女が
微笑みながら近付いて来る。
「あ、安倍さん?!!。」
「良かったべ、全然動かないから死んでるんじゃないかって心配したべ。
さ、そんな事より食うべ食うべ。なっち腹が減って死にそうだべさ。」
(…そんな事よりって。…この人、私の命より食べ物の方が大事なのかしら?。)
- 5 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時19分30秒
石川からの軽蔑の視線にも動じない安倍は、その場に座り込むと取ってきた果物を
一気にむさぼり始めた。
右手にバナナ、左手にパイナップル、その足元には砂にまみれたキウイやマンゴーが転がっている。
その安倍の姿に、石川は昔見た有る光景を思い出していた。
(…チンパンジーだ。)
幼い頃に両親と訪れた動物園で、檻の中に居たチンパンジーに誰かがお菓子を投げ入れた。
そのチンパンジーは地面に落ちたお菓子を必死に拾って食べていた。
『ねえママ。あのチンパンジーさん、お行儀悪いね。』
『そうね。梨華はいい子だから、あんな意地汚いマネしちゃ駄目よ。』
今の安倍は、意地汚いチンパンジーと瓜二つだった。
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時20分03秒
「ほれ、どうした梨華ちゃん?。早く食わねーと全部なっちが食っちまうべ?。」
「…あの、安倍さん。その前に色々聞きたい事が、グーー。」
不意に石川のお腹が鳴った。
考えてみたら、あの嵐の日から何も食べていないのだ。
その事実に気付いた時は、もう遅かった。
今まで体験した事も無いような空腹感に襲われ、目の前の景色がグニャグニャと揺れ始める。
今置かれている現状について聞きたい事は山ほど有るのだが、そんな事より
今は空腹を満たす事のほうが先決なようだ。
「じゃあ、…私も遠慮無く。」
石川は安倍のとなりに座り込むと新鮮な果物に夢中でしゃぶりついた。
(ママ、ごめんなさい。梨華は…今日から悪い子になります。)
色取り取りの新鮮な果物達は、今まで味わった事も無いほどのご馳走に感じた。
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時20分39秒
- 「美味しかった。…で、他のみんなは無事なんですか?。」
「解かんないべ。なっちも気を失ってて、気が付いたら横で梨華ちゃんが一人で寝てたべさ。
食料調達のついでに近くを探してみたけど、誰も居なかったべ。(ガツガツ)。」
「…所で、ここは何処ですか?。」
「そんな事、知る訳ないべ。でも人が住んでる形跡は無かったべさ。(パクパク)」
「って事は…無人島?。」
「多分そうだべ。(モグモグ)。無人島に、…お年頃の可愛いレディが二人っきりだべ。(ポッ)。」
「…何でそこで赤くなるんですか?。…あれっ、…私の服、乱れてる!!。…もしかして。」
「ご、ごめんだべ。(モジモジ)。あんまり寝顔が可愛かったから、ついつい…(ムシャムシャ)。」
「もーう。こんな凄い状況で変な好奇心出さないで下さいよ。TVに生中継されてるプロレスの試合で
寝技の攻防時に妙に不自然な動きを見せる勇気有るホモレスラーじゃ無いんですから。
今度やったら東スポにチクリますよ。…まあ、生きて帰れたらの話ですけど。
って言うか、いい加減食べるの止めて下さい。又、昔の醜態に戻る気ですか?。」
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時21分12秒
「ZZZZ、ZZZZ…。」
(はーあ。安倍さん、食べ終わったら寝ちゃったわ。全く緊張感の無い人ね。)
石川は辺りを見渡すと、大きく一つ深呼吸した。
(さてと、このままじっとしてても仕方無いし、未来への扉を探すか…。)
取り合えず何でもいい。
ここが何処なのか。
本当に無人島なのか。
他のメンバーの消息は。
どんな小さな事でもいいから、色々調べれば何かヒントが有る筈だ。
そう自分に言い聞かせ、辺りを探索する事にした。
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時21分51秒
現在地から見ると、前方は海、左右に砂浜が広がり、後方はさっき安倍が出てきた森になっている。
安倍の話では森には誰も居なかったらしい。
そもそも、この地は本当に島なのだろうか?。だとしたら大きさは?。
(敵を知るには、まず味方からよね。)
言葉の意味は良く解からなかったが、取り合えず海岸沿いを歩いてみる事にした。
もし、ここが島ならば自然と元居た場所に戻って来る筈だ。
踏みしめる砂の音が、キュッキュッと音を立てている。
柔らかい砂浜を歩くのは、思ったより大変で重労働。
それに、……暑い。
今回のオフは、夏の間中ひっきり無しに働いた娘達へのご褒美。
遅すぎる夏休み、と言うより秋休みに近かった。
それなのに、この真夏のような暑さ。
(絶対ここ、…日本じゃない。)
情け容赦無く照りつける太陽が、うらめしい。
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時22分24秒
- どれほど歩いただろうか?。
海岸沿いを歩く石川の左手には海、右には森。
さっきから、ずっと同じ光景のまま。
家を出る時に付けていた腕時計は、いつの間にか無くなっている。
恐らく、海中で外れてしまったのだろう。
正確な時間が解からない。
「ふう、疲れた。…ちょっと休憩。」
直射日光を避ける為に森の木陰に入り、しばし天使の休息。
(今ごろ、日本では大騒ぎだろうな?。)
【モーニング娘。謎の失踪】
【北朝鮮、遂にアイドルを拉致?】
【ここぞとばかりに、カントリー娘大ブレイク】
脳裏に持ち前のネガティブ思考が顔を出し、三流雑誌のインチキ見出しが駆け巡る。
(はっ、!!。駄目駄目、私ったら。もっとポジティブに考えなきゃ。)
【モーニング娘。待望の長期休暇(無期限)】
【オフコースのさよなら、何故か突然再ブーム】
【ここぞとばかりに、りんね復活】
(……駄目だ。考えるの止めよう…。)
石川は再び歩き出した。
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時22分58秒
やはり砂浜の上では足が重い。
頑張っても頑張っても、なかなか前に進まない。
人間の欲望の為だけに無理矢理ダートを走らされている競走馬の気持ちが
ちょっとだけ身に染みる。
と、その時、足元を小さな影が素早く横切った。
(や、矢口さん?……な訳ないか。)
良く見ると小さな影の正体は、体長2センチ程のカニだった。
(いくら矢口さんが小さいからって、こんな間違いは失礼よね。ごめんなさい。…カニさん。)
足元のカニを片手で摘みあげると、そのまま手の平に乗せ軽く会釈した。
カニは不思議そうにじっとこちらを見つめている。
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時23分28秒
(あっ!!。)
ここで石川は有る事に気付いた。
それはとても重要で衝撃的な事実。
(このカニ、…私の事を全然警戒して無い。)
スキューバダイビングでは、人と魚は戯れる事が出来る。
それは本来外敵である筈の人類の存在を、深い海中で暮らす魚達が認知していないから。
逆に言うと、人類と共存しなければならない環境にいる生物ほど、人に対しての警戒心が強くなる。
ましてやカニは人間にとって絶好の食料。
もし、この地に人類が暮らしているのなら、足音を聞いただけで急いで逃げ回る筈だ。
石川は確信した。
(やっぱり…無人島に間違いない。)
- 13 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時23分58秒
石川は、手の平のカニを足下へ降ろすと優しく語りかけた。
「いい?。童顔で北海道訛りの小柄な女の子を見かけたら、すぐに逃げなさい。
ぐずぐずしてたら速攻で胃の中へ放り込まれちゃうから。
あの笑顔に騙されたら駄目よ。」
意味が伝わったのかは不明だが、カニは軽快に海の中へ消えて行った。
「バイバーイ。私はあなたの事、食べたりしないからねー。」
(…今はねっ。…もう少し大きくなったら。)
心の中で、こっそり舌なめずり。
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時24分37秒
これで、この島が無人島だと確定した。
あとは、広さを確認しなければ。
「はっ。」
重い足を数歩踏み出したところで、不意に思い出した。
(そう言えばあのカニ、砂の上を普通に歩いてたな。)
自分がこんなに苦労して必死に歩かなければならない砂浜を、あの小さな生物は
いとも簡単に滑るようにして移動していた。
どうやったら、あんなにスムーズに動けるんだろう。
何が違うんだ。
真剣に考えた。
足の本数、関節の数、硬い甲羅、体重…。
色々思い浮かんだが、真似しようにもやりようが無い。
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)12時25分13秒
やはり、人間とカニでは何もかもが違い過ぎている。
普通に歩くしかないか。
諦めかけたその時だった。
(有った。)
遂に見つけた。
人間にもマネが出来る、カニの決定的な特徴。
それは…横歩き。
効果が有るのかは解からないが取り合えずやってみよう。
体の向きを90度変え、ゆっくりと横側へ動いてみた。
(…………。)
大して変わらなかった。
今度は、両手を顔の横でチョキにしてスキップするように動いてみた。
(…………。)
何か虚しくなった。
- 16 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月11日(月)19時33分58秒
- 面白そう。
期待してます。
- 17 名前:りゅ〜ば 投稿日:2002年11月11日(月)22時59分05秒
- ワラタ。
安倍さんイイです!
更新期待。
- 18 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時55分30秒
「ふわぁぁぁ、良く寝たべ。」
安倍はゆっくり体を起こすと、辺りを見渡した。
「あれっ、梨華ちゃん?。…梨華ちゃーん、何処に居るべー?。」
返事は無い。
(もしかして、…なっち無意識のうちに梨華ちゃんを食っちまったべか?。)
何となくお腹の辺りを触ってみる。
気のせいか、いつもより膨れている感じがする。
馬鹿馬鹿、なっちの馬鹿。
あろうことか、仲間を食べてしまったなんて。
生きていればあんな事やこんな事まで、ネプチューンの名倉にも負けないくらいの
凄い悪戯だって出来たのに。
(グスン。…食いしん坊なっちを許してくれだべ。)
取り合えず、謝罪の言葉。
(それと、…美味しかったべ。………多分。)
食後の感想も忘れずに。
- 19 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時56分02秒
(これから、一人でどうやって生きていけばいいんだべ?。)
安倍は、ぼんやりと考えた。
もう、あの晴れやかなステージには二度と立てないのかもしれない。
もう、北海道で暮らす家族や友人とも会えないのかもしれない。
それどころか、人と話す事さえ無いのかもしれない。
大好きな歌。
綺麗な衣装に、あの大歓声。
仲間や親友、家族の笑顔。
楽しかった思い出が走馬灯のように駆け巡る。
いつのまにか、辺りはすっかり夕暮れ。
- 20 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時56分40秒
太陽は森の奥へと沈もうとしている。
昼間の暑さが嘘のように、髪をくすぐるヒンヤリ冷えたそよ風が心地良い。
(やっぱ、一人じゃ寂しいべ。)
夕焼けに包まれて真っ赤に染まった綺麗な浜辺に、体育座りでうつむく少女が一人。
傾いた夕日に照らされた長い影が、水面で波に会わせてユラユラと踊っている。
顔を上げると、頬にキラリと光る一筋の涙。
まるで映画のワンシーン。
「…退屈だべ。…プレステ持ってくれば良かったべ。」
あくまでマイペースな独り言。
- 21 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時57分17秒
暇つぶしに、近くに落ちていた小石を拾って海へ投げる。
「ポチャン。」
心なしか音も遠慮がち。
今度は二つ投げてみる。
「ポチャン、ポチャン。」
もう一度なげてみようと、小石を握った時だった。
ザバーーーッ。
海からポチャンポチャンに膨れ上がった、一人の大柄な少女が飛び出して来た。
胸には両手でしっかりと押さえた、見た事も無いグロテスクな魚がピチピチとはねている。
「……か、かっけーっ!!。」
大柄な少女は、胸の魚を見つめ満足そうに呟くと、視線を安倍の方へ向けた。
「あぁーーっ、安倍さん?!!。」
「…よ、よっしーだべか?。」
- 22 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時57分53秒
「ふーん、そう言う事っすか…。」
吉澤は安倍のお腹を見つめながら、かつての恋人である石川の事を思い出していた。
「こらっ、何しんみりしてるべ。過ぎた事をいくら悔やんでもしょうがないべさ。」
(…お前が言うのかよ。)
突っ込みたかったが、言葉をぐっと飲み込んだ。
逆恨みされて、自分まで食べられてはたまらない。
「そ、そうっすね。」
取り合えず口裏を合わせておいて、一歩二歩後ずさり。
(…隙を見て逃げよう。)
心の中で、入念なストレッチ開始。
- 23 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時58分30秒
「これで、なっちの話は終わり。次はよっしーの番だべ。
あの遭難から今までの出来事を赤裸々に語るべ。
なっちみたいに泣かせるエピソード満載のやつを頼むべさ。」
(…寝て起きて食うだけのヒッキー話で、どう泣くんだよっ。)
突っ込みたかったが止めた。
逆恨みされて(以下略。)
「私、あの嵐の時、船室で寝てたんです。そしたら急に外が騒がしくなって、気が付いたら
海の中に放り出されてました。最初、訳が解かんなくて誰かに突き落とされたのかと思いましたよ。
まあ、真っ先に頭の中に浮かんだのは梨華ちゃんですけど…。」
「…あの女、そんな酷い事を…。男女関係のもつれは恐ろしいべ。」
安倍はハンカチを片手に、吉澤の話に聞き入っている。
- 24 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時59分00秒
「…そしたら目の前で船が沈んで行くのが見えて。ああ、これは難破したんだって気付きました。
もう、とにかく波と潮の流れが激しかったんで、何か掴まるモノを探すのに必死でした。
すぐ隣で誰かが、『助けてー』とか叫んでたんですけど、私も自分の事が精一杯で
他人を助ける余裕は無かったんです。」
「ふーん。…あの女、そんな酷い事を。(ムシャムシャ)。」
「…で、必死にもがいてたら、目の前にかっけー王子様が現われたんです。ちょっとゴッチン似の。
私はワラにもすがる思いで、そのヒレに掴まりました。
すると、王子は私を嵐の暴風域から連れ出してくれたんです。
やったと思いました。が、油断してはいけません。
何故なら、そこは広い海のど真ん中。
嵐じゃ無くても、手を離したらすぐに溺れてしまうでしょう。
私は必死にしがみついてました。
そう、何日も何日も。
「……。(ムシャムシャ。)」
- 25 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)09時59分53秒
「そうこうしているうちに、最初は深かった海底がどんどん浅くなってきて
いつの間にか普通に立てる位置まで近付いてきました。
助かった。王子が私を陸まで運んでくれたんです。
私は感謝の気持ちを込めて、彼を思いっ切り抱きしめました。
立ち上がると体の半分以上が水面から出てしまう程の浅瀬で、目の前に砂浜が見えました。
喜んで岸へ上がろうとしたら何とびっくり、目の前に安倍さんが居たって訳です。
……あのう安倍さん。……私の話、聞いてました?。」
「…えっ、あーゴメンだべ(ムシャムシャ)。途中から泣くの諦めて軽く他事して聞き流してたべ。
今年の24時間ドラマから教わった、有り難い教訓だべさ(ゲップ)。」
「…そんなあ。私の愛と感動のドキュメンタリーと、泣く気満々で代えのハンカチまで用意して来た
気合十分の徳光を鼻であざ笑うかのような見事な出来栄えで、日本中のお茶の間を騒然とさせた
あの衝撃の猿芝居とを一緒にしないで下さいよ。
っつーか、…その軽い他事のつもりで食べてた魚、…私の命の恩人なんですけど。
馬鹿ー、王子様を返せーーっ。何でこっちが泣かされるんすかっ!!。」
- 26 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時00分27秒
日は沈み、辺りはしんと静まりかえっている。
夜空には満天の星たち。
その中心で、こうこうと光るお月様。
小さい頃、月にはうさぎが住んでいると教えられた。
その頃は信じていなかったが、今は信じてみようと思う。
いや、信じたい。
うさぎさん、そこから私達を見つけて。
そして、いつか助け出して。
はかない願いと知りつつも、必死に祈ってみる。
日本に居る家族達も同じ夜空を見上げているのだろうか。
「コラ、よっしー。なーに感傷に浸ってるべさ。
出来たべ。これから夫婦水入らずで、たっぷり寝るべ(ニヤッ)。」
寄せ集めの木と藁で二人分の寝床を作っていた安倍から
デンジャラスな夜のお誘い。
- 27 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時01分02秒
振り向くと安倍は、寄り添う形で並んでいる寝床の片方でセクシーポーズの練習中。
トロンとした眼の焦点はうつろで口は半開き。
髪を掻き揚げながら片手を突き出し、人差し指をチョンチョン小刻みに動かしている。
安倍流『カモーンナッ』の合図らしい。
「何、馬鹿な事やってんすか。」
笑いながら夜空を見上げる。
「…東京に居た頃は気付かなかったけど、星って綺麗っすね。」
「んだ。北斗七星がこんなに近くに見えるべ。…あっ、カシオペア座。
おうし座に…、みずがめ座も見つけたべ(ジーッ)。」
「…あのう、…ソレ私のホクロですけど。」
「ハハっ、よっしーがあんまり可愛いから、うっとりして見とれちまったべさ。
さあ、もう早く寝るべ寝るべ。大人の時間の始まりだべさ(ムフフッ)。」
ウキウキ、ワクワク。
天使のような悪魔の笑顔。
- 28 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時01分41秒
「他のみんなは、死んじゃったんすかねえ。」
(やっぱ安倍さんの様子変だ。早く逃げ出さないと…。)
「いんや、きっと生きてるべ。なっちの知ってるみんなは、そんなヤワじゃ無いべさ。」
(よっしーが眠ったら、…ムフフフ。)
「そうですね。きっとどこかで生きてますよね。」
(早く寝ろよ、このイモなっち。)
「んだんだ。」
(早く寝るべ。その黒点まみれのホワイトフェイスをなっち色に染めてやるべ。)
「辻ちゃんとか、今ごろなにしてるんだろーな。それにしても、ハロモニの北海道ロケで見せた
ひ辻、あれ可愛いかったなあ。安倍さん、頭の中に思い浮かべてみて下さい。
もし、辻ちゃんが双子だったら。…三つ子だったら。…四つ子だったら…。」
「学校の授業で何が辛いかって、興味無い話を延々と聞かされる時だべ。
今日はなっちが特別に、偉大なる北海道の汗と涙の歴史を、紀元前3000年辺りから
じっくり語ってやるべさ。」
- 29 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時02分17秒
「……。」
「……。」
((…しめしめ。やっと寝たな。よーしっ、今だっ。))
ガバッ。
「あ、あれっ、よっしー。短距離走のスタート時のクラウチングスタイルなんかしてどうしたべさ?。
借金取りに追いかけられる夢でも見てたべか?。」
「えっ、あ、…ちょっとトイレに。それより安倍さんこそどうしたんですか?。
ほっぺをほんのりピンク色に染めながら口をタコのように尖らせて。」
「あ、…いや、…偶然だべ。なっちもトイレだべ。小さい頃からの癖で、我慢すると
こういう顔になるべさ。」
「…じ、じゃあ、行きますか。」
「…い、行くべ。」
微妙な駆け引きに失敗した二つの影が、森の方へトボトボと消えて行く。
- 30 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時02分48秒
「あのー、安倍さん。…何で後をついて来るんすか?。
安倍さんは別の所でして下さいよ。」
「い、いや、何て言うか。…お互い顔を見合わせながらっていうのも、…有りかなって(ポッ)。」
「もー、いい加減にして下さいよっ。安倍さんはこのまま森の中でして下さい。
私は海でやりますから。」
「えっ、海?。海でやるって響きも、なかなか刺激的だべ(ポッ)。」
「ポッポポッポうるさいっすよ。万年12時の壊れた鳩時計じゃ有るまいし。
とにかく、ついて来ないで下さいよ。」
安倍にきつく念を押すと、吉澤は海へ向かった。(フリをした。)
(ヤバイ。…このまま一緒に居たら絶対ヤバイ。)
逃亡計画、いざ実行。
- 31 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時03分24秒
(しょうがない。一人でするべか。)
薄暗い森の木陰で、ゆっくりとしゃがみ込む。
(何か、よっしーの奴(ムシャムシャ)。明らかになっちを警戒してるべ。)
用を足しながら、ポケットに忍ばせておいたリンゴを頬張る。
生き物は、食べるからするのか。
するから食べるのか。
自然の摂理は、とっても不思議で神秘的。
でも、一つ解かったこと。
食べながらするのは、気持ちいい。
「キャアーーーッ。」
突然、メルヘンチックな雰囲気を吹き飛ばす少女の悲鳴。
(よっしーの声だっ。何か有ったべか?。)
- 32 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月13日(水)10時04分55秒
急いで砂浜へ出てみる。
だが、近くに吉澤の姿は無い。
(ひょっとして、溺れたべか?。)
確認しようと海の中へ一歩二歩入った時、はるか彼方から耳をつんざくような
激しい不快音が聞こえて来た。
「うっ、…何だべ、この右脳を直接刺激するような怪しい怪音波は。
や、やめてくれだべ。頭が、…頭が割れる、…もう駄目。…く、苦しいべ。」
必死の思いで音のする方向へ視線を向ける。
視界に映ったのは、衝撃の映像。
「カニさんっカニさんっ、どこ行くの?♪。」
口から泡を吹き、狂ったように鼻歌を歌いながら謎の横移動を続ける石川梨華と
その手前で倒れ込みながら、苦しそうにもがいている吉澤ひとみ。
- 33 名前:りゅ〜ば 投稿日:2002年11月13日(水)17時01分59秒
- 終始笑いがとまりませんでした!
イイです!(・v・)
更新期待。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月14日(木)17時11分40秒
- おもしろいっす…(w
続き期待♪
- 35 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時48分49秒
「ふうーっ。本当に死ぬかと思ったべさ。なあ、よっしー。」
「あと2,3秒歌い続けられてたら、多分命無かったっす。…いやマジで。」
余りの恐怖に未だ顔面蒼白の二人が、お互いの顔を見合わせ胸を撫で降ろす。
生きてるって素晴らしい。
「だって…。ただ普通に横に歩いてても楽しくないもん。どうせなら人生楽しまなくちゃ。
ポジティブポジティブ。」
当の殺人未遂犯は、至って涼しい表情。
こんな可愛い笑顔から、あんな恐ろしい地獄の子守唄が生まれるなんて。
人間って不思議。
「でも、探検に行くなら行くって言ってくれれば良かったべ。急に居なくなったから、てっきり…。」
「あっ、そうだ。思い出した。パンパカパーン、チャーミー石川の探検報告ぅ、イエーイッ!!。
えー私石川梨華の情報に寄りますと、ここは日本から遠く離れた南の島で
間違いなく無人島、1週した感じはそれほど大きくなくて昼夜の温度差は結構激しそうでーす。
以上、ハロプロニュースでしたっ、チャオー。」
- 36 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時49分19秒
「…梨華ちゃん。テンションの高さと報告の内容が全然合って無いんだけど。」
「んだんだ。ニュースステーションのサッカーコーナーの川平磁英が日本が負けた腹いせにと
久米宏から原稿奪ってカメラを占拠。あのハイテンションで殺人事件を伝え出した、くらい違和感有るべ。
でも、今の報告は結構重要だべさ。…特に島が小さいってトコ。
そうすると、必然的に食料もそんなに多くないって事になるべ(モグモグ)。
これからは少し控えないと…(ゲップ).。」
言ってる事とやってる事がバラバラな人間がもう一人。
「ねえ梨華ちゃん、何時間くらい歩いた?。」
「うーん、時計持ってないから解かんないけど、…多分5,6時間だと思う。」
「5,6時間か。…確かに小さいな。」
このままでは安倍の言う通り、いずれ食料も底をつくだろう。
そうなる前に何とかしなければ…。
目を細めながら周りを見渡す。
「あぁーーーーっ。!!」
そのとき、吉澤の目には信じられない光景が…。
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時49分51秒
「…ね、ねえ梨華ちゃん、怒らないから正直に答えて。最初、ココに居たのよね?。
ここからどっちへ向かって歩いた?。」
「ん?、あっち。」
「で、どっちから帰って来た?。」
「………あっち。」
石川が指差したのは、さっきと同じ方向。
「ねえ。…途中でマラソンの折り返し地点でも発見した?。何戻って来てるのよっ!!。
一周したんなら逆から来るのが普通よね。
それとも、この島全体がメビウスの輪みたいによじれてるとか言いたいの?。
だとしたら凄い発見よ。今ここでノーベル賞あげてもいいわ、……私の勝手な権限で。」
「あっれー?。おっかしーなー。
途中で横歩きに方針を変えた時に、進む方向も間違えちゃったみたい。
ごめんね。チャーミーうっかりしてた。…って言うか、そんなに怒る事でもないでしょ?。」
膨れっ面で吉澤の顔を覗き込む石川。
良くある恋人同士の内輪揉めの風景。
「そうだべ。人間誰にでも間違いは有るべさ。」
「いや、そうじゃ無くて、私が言いたいのは…。」
吉澤は、震えながら石川が歩いてきた方向を見つめていた。
- 38 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時50分21秒
「ん?、…何?。あっちがどうかしたべか?。暗くて良く見えな…、えーっ?!!。
…うわっ.。……な、何だべ、あれはっ!!。」
安倍の視界に映ったのは、衝撃の映像パートU。
石川の足跡を追うように、砂浜は地割れを起こし、沢山の魚達が死んだまま浜に
打ち上げられ、浜沿いの森の木々は枯れ果て、腐った果物が異臭を放つ。
それは、この世の終わりかと見間違う程の壮絶な光景。
「梨華ちゃん。…誰かと戦争でもしてたべか?。……それもランボー並の荒くれ者と。」
「私はただ普通に歩いてただけですよ。…鼻歌唄いながら。」
「……………。」
安倍と吉澤は固まった。
あの破壊力を身を持って体験した二人には、全ての謎が解けている。
二人揃って、ゆっくりと石川を見つめた。
「何よ、その眼は。あの惨劇が私の歌のせいとでも言いたい訳?。」
ブルブル震えながら、お互いの手を取って無言で頷く二人。
リーサルウェポン発見。
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時50分54秒
「決めたべっ。」
突然、安倍が何かを思いついたように声を上げた。
「この国の初代首相なっち様より提案。ここ平和の島、なっちアイランドに新しく法律を作るべさ。
記念すべき第一条は、もちろん【梨華ちゃん、歌うべからず】。よっしーも賛成だべ?。」
「一部、頷けない部分も有りますが、取り合えず法律の内容には異議無し。…って言うか、即決定っ!!。
我々の命の為にも自然保護の観点からも、反対する理由は無いですよ。
恐らくこの島の全生物はおろか、その守護霊や遠く離れた日本のムツゴロウさんまで
手を叩いて大喜びするに違い有りませんっ!!。」
吉澤、安倍に敬礼。
「全く、失礼しちゃうわ(プンプン)。私の天使の歌声を何だと思ってるのよ。
それに、…法律に名指しっておかしくないですか?。」
「まあ、一種の有名税だと思ってくれればいいべ。
とにかく決まり。梨華ちゃんは今後、その最終兵器を使ってはならないだべ。
もし生きて帰れたら、マッカーサーのポツダム宣言にも追加するようお願いするべさ。
あの広島と長崎の悲劇を繰り返す訳にはイカンだべ。」
これにて1件落着。
島の平和は守られた。
- 40 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時51分25秒
「ふうー、今日は一杯歩いたから疲れちゃった。…まあ、途中から無意味だったけど。
もうそろそろ寝ませんか?。」
「よし、助さん格さん。なっち女王を守るように両側に寝るべ。川の字で。」
安倍は仰向けに寝転がり、両手両足をバタバタさせながらニヤついている。
「あっ、ひらめいた。チャーミーも一つ法律の提案を。
【寝てる間に変な事する奴が居たらすぐに打ち首の刑】って言うのはどう?。」
「全然異議なし。…って言うか、人として賛成。でも、インパクトが足りないなあ。
【サカリのついたメスネコもびっくりのプロポーズ大作戦する奴は殺されても文句言うなよ安部っ!!】
にしたほうが、リアリティー有ると思うよ。」
「は、ははは。そんなに誉められると流石の女帝も照れるべさ。」
「誉めてないですっ!!。とにかく、肩書きは黄門様でも森本レオでも好きなのをあげますから
変な気だけは起こさないで下さいよ。こっちは二人居るんで、すぐに気付きますからねっ。」
(チッ。住みにくい世の中になったべ。)
夜もすっかり更けている。
やがて辺りには3人の寝息が静かに流れ出した。
- 41 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時51分59秒
チュンチュン。
眩しい朝日が、海の上に顔を出す。
又、新しい一日の始まり。
安倍は昨日の昼に眠っていたせいもあり、3人のうちで一番早く目が覚めていた。
隣に眼をやると、石川と吉澤が抱き合いながら眠っている。
これでは手が出せない。
ではなく、もう少し寝かせてあげよう。
そっとその場を離れると、森の中へと入っていった。
何百年、何千年もの月日を過ごしてきたのだろう。
日本では考えられない程の大木が、何本も何本も生い茂っている。
朝露に濡れた葉っぱが木漏れ日に反射してキラキラと輝き、まるで
おいでおいでと呼んでいるような錯覚を覚える。
人類の手が加わっていない自然の地は、森と言うよりジャングルに近かった。
「何か凄い生き物とか住んでそうだべ。」
安倍は何とも言えない恐怖感を感じながら、コソコソと3人分の食料を調達すると
大急ぎで来た道を引き返していった。
- 42 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時52分30秒
行きは良い良い、帰りは怖い。
さっきから誰かに後をつけられている気がする。
バナナをかじる口を止め、不安げに何度も後ろを振り返る。
が、何処にも人の気配は無い。
と、その時だった。
ガクン。
足元の何かにつまずき、バランスを崩して転倒してしまった。
せっかく取った果物は、バラバラに散乱した。
膝を覗くと、擦りむきキズの下から血が滲んでいる。
「いってー。やっちまったべ。…ん?、何だべコレ。」
安倍は自分の足元をすくった物体の正体に愕然とした。
それは、木の枝で作った対人用のトラップ。
明らかに人の手によって作られたもの。
「…なっちの知らない間に…梨華ちゃんかよっしーが?。……それとも…。」
『ガツーン。』
考えている途中、不意に後ろから強い衝撃が襲って来た。
全身の力が抜けていく。
もう、立っていられない。
『ドサッ。』
安倍は意識を失ったまま、その場に倒れ込んだ。
- 43 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時53分03秒
「おはよう、よっしー。」
「わっ、…お、おはよう。」
眼が覚めたら、10センチ前方に石川のニコニコ顔。
ファンには溜まらないシチェーション。
「あれっ、安倍さんは?。」
「多分、森に食べ物探しに行ってると思う。」
「ふーん、で、梨華ちゃん。…起きてからずっと私の顔、眺めてたの?。」
「…うん。」
恥らいながらも、嬉しそうに呟く美少女。
可愛い。
「どう?。寝顔も格好良かったでしょ?。」
「うん。…192、…あっ、もう一個見っけ。193だ。」
「…………。」
吉澤は無言で体を起こすと、顔を洗う為に海へ向かう。
「ご、ごめん。…勝手にほくろ数えて。…謝るから許してよっ。」
後ろから、石川の怯えた声が聞こえて来る。
吉澤の背中は語る。
(194だよっ!!。間違えんなっつーの。)
- 44 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時53分34秒
「よし、じゃあ梨華ちゃん。許してあげるから、ちょっとここに立ってよ。」
石川を向き合うように立たせた吉澤は、軽く微笑んだ。
「いくよ。…あ、言っとくけど、梨華ちゃんは歌っちゃ駄目だから。…では、改めて。
新しい朝が来た、希望の朝だ、喜びに胸を開け大空仰げー♪。」
「…ねえ、何これ?。…何かの罰ゲーム?。」
「違うよ。ラジオ体操に決まってるじゃん。ホラッ、早くやりなよ。
チャチャチャチャチャチャ、チャチャチャチャチャーン。」
吉澤は自分の歌声に合わせて、しきりに体を動かしている。
どうしていいか解からない石川も、取り合えず言われた通りに一緒に体操してみた。
「スーーーーハーーーー。」
深呼吸が終わった。
「ねえ、よっし…。」
「はい、次は第2っ!!。」
吉澤の掛け声とともに、2ラウンド目に突入。
- 45 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時54分05秒
「スーーハーー。」
今度こそ終わった。
「ね、ねえ、よっしー。今のラジオ体操、何か意味が有るの?。」
「別に?。でも気持ちいいでしょ?。毎朝体操するの、吉澤家の家訓なんだ。
おかげで、この抜群のプロポーションを維持出来てるってワケ。羨ましいでしょ?。
梨華ちゃんも続けたほうがいいと思うよ。」
「…あ、うん。…そ、そうね。」
急遽決まった石川家家訓。
継続は力なり。
でも、結果の出ない継続は、見ていて痛々しい。
おまけの家訓。
吉澤家の体重計は、きっと壊れてる…。
- 46 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時54分37秒
「それにしても、安倍さん遅いね。」
さっきから、お腹がグーグー鳴っている。
(お姉ちゃーん、早く食べ物持って来てよ。)
吉澤の気分は、ひとみペンギン。
だが、もう待てない。
「ちょっと探して来るよ。」
「じゃあ、私も行く。」
二人は仲良く、森の中へ足を踏み入れた。
考えてみたら、これが初めての森の中。
「うっわー、すごいな。」
安倍から話は聞いていたが、百聞は一見にしかず。
テレビでしか、いやテレビでも見た事が無い程のすさまじい秘境。
- 47 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時55分09秒
道無き道を切り開き、どんどん奥へと進んで行く。
安倍の話では、もう少し進むと果物が沢山なっている一帯に出くわす筈。
まだ見ぬ楽園へ向けて、二人は無言で突き進んだ。
「あれっ、あんなところにバナナが落ちてるよ。」
途中、石川が無造作に地面に落ちているバナナを発見した。
半分食べかけのバナナの身には、くっきりと歯型の跡が付いている。
「あっ、…向こうにも色々転がってるっ。」
続けて吉澤が、付近に散らばる数々の果物を発見。
それらは全て新しく、取れたて新鮮のモノばかり。
- 48 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時55分58秒
「こ、これって。………果物屋の夫婦喧嘩の傷跡?。」
「…梨華ちゃん、冗談言ってる場合じゃ無いよ。そんな訳ないでしょ。」
「じゃあ、シャブ中毒の入院患者が、お見舞いに貰った果物セットを半狂乱でバラ巻いたとか?。」
「…それ本気で言ってる?。悪い事言わないから病院行ったほうがいいよ。
強制入院で世間から隔離してくれるから。
そんな事より、見てよコレ。全部、人の手でもぎ取われてるじゃん。…きっと安倍さんだよ。
あの安倍さんが食べ物放ったらかして、どっか行っちゃうなんて。
絶対、何か有ったんだよ。」
二人は不安げに辺りを見渡した。
「安倍さーん?。」
「大統領ぉーー?。」
付近を散々探したが、安倍の姿は何処にも無かった。
- 49 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時56分42秒
長時間、薄暗い森の中を歩き回るのは、余り気分のいいものでは無い。
それに、ここは未開のジャングル。
恐ろしい猛毒を持った生物や、とんでもない化け物が居ても不思議では無い。
二人は今後の対策を練る為にも、一旦浜辺に戻る事にした。
「ん?。」
先頭を歩いていた吉澤の足がピタリと止まる。
「…梨華ちゃん。今、何か聞こえなかった?。」
「別に?。」
「…そっか、……気のせいかな。」
首をかしげながら再び歩き出す。
が、2,3歩進んだところで、再び吉澤の足が止まる。
「よっしー、どうしたの?。」
「シーッ。」
吉澤は後ろの石川へ降り向くと、口に人指し指をあてがいながら目で合図した。
(…何か居るっ!!。)
- 50 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月15日(金)17時59分12秒
今回は、これで終了です。
> 16さん
面白くなるかどうか解かりませんが
精一杯頑張ります。
> 17、33 りゅ〜ばさん
有難うございます。
笑えたと言って頂けるのは素直に嬉しいです。
これからも頑張ります。
でも、あまり期待しないで待ってて下さい。
> 34さん
嬉しいです。
更新の励みになります。
でも、あまり期待されると…(汗)。
- 51 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月16日(土)11時52分48秒
- こんなところにppさんの新作発見。
相変わらずオモロイです。
こっちも某板の短編バカネタ集も頑張って下さい。
- 52 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月16日(土)18時36分34秒
- この小説を読むとどうしてもなっちが昔のふと(ry
どっちも応援してるんでがんがって。
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月18日(月)11時32分34秒
- おもしろい〜
吉澤さんが比較的一番まともなのが一番面白いです。
残り他メンがどんなぶっ飛びぶりを見せてくれるか期待
- 54 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時38分48秒
「ガサッ、…ガサッ。」
深く生い茂った葉に邪魔をされて、正体をはっきりと確認する事は出来ないが
明らかに何かが動いている音がする。
音の大きさから考えると、それほど距離も離れていないようだ。
(安倍さんかな?。…それとも)
(…解かんない。とにかく様子を見よう。)
二人は気配を殺して、じっと息を潜めた。
「ガサガサッ、ガサガサッ。」
こちらの気配に気付いているのか、音はどんどんと近付いて来る。
ほんの数メートル先の木の葉が揺れ動いているのが見える。
もう既に、音の正体とは目と鼻の先。
石川はさっきから吉澤の腕にしがみついたまま。
腕を通して震えが伝わってくるほどガクガク震えている。
- 55 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時39分21秒
もう限界だ。
もし相手が恐ろしい動物なら、これ以上接近されると命が危ない。
ここは一発勝負の大博打。
吉澤は近くに落ちている木の枝を拾い上げると、大きく息を吸い込んだ。
ドックンドックン。
心拍数は赤丸急上昇のうなぎ登り。
強く枝を握り締める手の平にも、自然と力が入ってしまう。
安倍さんだったらゴメン。
後で謝るから許して。
(ゴー、ヨン、サン、…)
心の中で打って出るタイミングを計る。
こうでもしないと、踏ん切りがつかない。
(ニィ、イチ…)
神よ、我を救いたまえ。
吉澤ひとみ。今、戦いの時。
(ゼ…)
「あ、吉澤さんでねーかぁ。」
目と目が合ってドッキドキ。
吉澤の勝手なタイミングを見事にフライングし、茂みの中からヒョッコリ顔を出したのは
五期メンバーの高橋愛。
- 56 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時39分55秒
「高橋ぃ。…お前、こんなところで何やってたの?。」
「アイドル生活に限界を感じ、ふと息抜きにサバイバルでも……してるように見えるんかぇ?。
何してるって遭難してるに決まってるでねーかぁ。」
高橋はニッコリと微笑んだ。
「…ごもっとも。…ゴメン、聞き方が悪かったみたいね。今までどうしてた?。」
「いやー、気が付いたらこの島に流されててぇ、そんで森の中を一人で彷徨ってただぁ。
しっかし、こん中は落ち着くわぁ。思わず故郷の優雅な景色を思い出して、『ただいまっ』て
30回くらい連呼したもん。」
「…お前、どんな所に住んでたんだよ。…って言うか本当に日本人か?。
小さい頃ボロボロの船に乗っけられたまま、シート被されて日本海越えて来た記憶有るだろ。
普通の日本人なら、この状況で優雅なんて単語、まず出てこないぞっ。どの辞書探してもなっ。
…あっ、そうだ。ところで、安倍さん見なかった?。」
「いや、見てないだぁ。…原住民なら一人見かけたけどもぉ。」
「「げ、原住民?。」」
石川と吉澤は二人同時に驚きの声を上げた。
- 57 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時40分29秒
まさか、原住民が居たなんて…。
「それ、いつの話?。」
「つい、さっきですぅ。」
「何処で見たの?。」
「こっから少し行くと、何故か急に緑の森林が荒れ果てた荒野に変わってる場所が有るだぁ。
あれは多分、巨大隕石か何かが落っこちて、変な科学反応起こしたと思うわぁ。
辺り一面灰だらけでペンペン草も泣いて謝るような凄まじい光景に、プチ氷河期にでも襲われたのかと
思わず恐竜の死体を捜しちまったよぉ。
もし、あれが人の力によるものなら、間違いなくドラフト1位でビンラディンから逆指名されるんでねーか?。
…で、そん中の枯れ木の根っこに、ポツンともたれかかるようにして原住民が眠ってただぁ。
あれっ、石川さん。何で怒った顔して拳握りしめながら震えてるんかぇ?。」
「ま、まあ梨華ちゃん落ち着いて。…高橋、その件については深く追求するな。
知らないほうが幸せな時も有る。…って言うか忘れろ。命が惜しかったらなっ!!。」
- 58 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時41分06秒
とにかくその原住民に会ってみよう。
それが、3人で出した結論。
もしかすると、日本に帰る足掛りになってくれるかも知れない。
行方不明中の安倍の居場所も知っているかもしれない。
それに、…他のメンバーの消息も。
言葉は通じなくても身振り手振りで表現すれば、きっと解かってくれる筈。
「そんだら、オラが案内しますぅ。
けど、何で石川さん怒ってるんだぁ?。」
3人は現場へ向かう。
一人は勇ましく、一人は怒りながら、一人は不思議そうに首をかしげながら。
- 59 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時41分41秒
遂に、デンジャラスゾーンへ足を踏み入れた。
「うっわー、確かにヒドイな。この世の終わりって感じだよ。」
木は枯れていると言うより、燃え尽きた炭のようにガサガサにひからびている。
花や葉っぱは赤紫色に変色し、枯葉と言うより突然変異後の哀れなドライフラワー。
ツンと鼻につく何とも言えない異臭と、辺りに広がる灰色の砂塵。
まさに狂乱の地獄絵図。
「なっ。すんごいでしょ?。地中深くに息を潜めてたんで助かったラッキーなモグラさんも
うっかり顔出した瞬間、あまりの惨劇に何匹かショック死してるだぁ。ホント、自然の脅威は恐ろしいわぁ。」
「……。」
石川、ずっと黙ったまま。
- 60 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時42分20秒
「…ほらっ、あそこだぁ。」
高橋が指差した先には、クルクルに丸まった縮れッ毛のアフロヘヤーをなびかせた
丹精な顔立ちの少女が眠っていた。
年は吉澤達と余り離れていないようだが、食生活の違いだろうか明らかに小さい。
「本当に原住民が居たんだ。…でも、何か様子がおかしくない?。」
異変に気付いた吉澤が、二人を引き連れてゆっくり慎重に近付いていく。
遠くからでは解からなかったが、少女は耳を押さえたままどこか苦しそうな表情で固まっていた。
「…この人、眠ってるんじゃなくて……死んでるんじゃ…。」
吉澤は、石川を見つめながら呟いた。
遂に、遂に犠牲者が…。
石川は怒っていいのか悲しんでいいのか解からない困惑の表情で
じっと少女を見つめていた。
- 61 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時46分31秒
「グスン。…グスン。」
やがて、石川の瞳から大粒の涙が溢れ出す。
(ごめんね…。)
この惨劇が自分のせいだとは信じたくないし、認めたくもない。
だが、一人の少女の命が奪われたのも事実。
溢れ出る涙を止める事が出来なかった。
「石川さんは優しい人だわぁ。見ず知らずの人なのに、そこまで泣けるなんてぇ。」
高橋はポケットからハンカチを取り出し、そっと少女の顔に被せると
両手を顔の前で会わせてお祈りした。
「梨華ちゃん、高橋。…そろそろ帰るよ。」
「…てる。」
帰路を歩き出した吉澤の耳に、石川のか弱い呟きが聞こえて来た。
「えっ。」
「息、…してるよ。」
少女の顔に置かれたハンカチは、風も無いのにゆっくりと上下に動きながら
ハラリと地面に舞い落ちた。
- 62 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時47分01秒
「何よ、人騒がせな原住民ね。気絶してるだけじゃないの、プンプン。」
「やっぱ石川さんは優しい人だわぁ。見ず知らずの人なのに、そこまで怒るなんてぇ。」
「何か微妙に日本語の使い方間違ってる。…あなた本当に何人?。」
突っ込む声も心なしか弾んでいる。
「でも良かった。じゃあ、さっそく起こしてあげよっと。」
「あいや、ちょっと待ったぁ。」
はやる石川を、寸前で高橋が止めた。
「あの顔、よーく見てみるだぁ。すっごい凶暴そうな顔してねーか?。
起こした瞬間に襲われる可能性も有るんでないかぁ?。」
言われてみれば確かにそうだ。
この原住民が自分達に協力的で有る保証はどこにも無い。
しかも、この環境で暮らしているのなら、相当の身体能力を持っている筈。
素人3人が束になって掛かった所で、相手にもならないだろう。
- 63 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時47分36秒
「でも、せっかく掴んだ手掛かりだし…。」
「…よし、こうしようっ!!。」
しばらく考え込んでいた吉澤が、妙案でも思いついたのか軽く手を打った。
「取り合えず、梨華ちゃんは危ないから離れてて。
こっちで原住民を起こしてみて、友好的に話が進んだら呼んであげる。
もし仮に暴れ出して戦いにでもなったら、一目散に安全な場所まで非難して。
体を張って出来るだけ時間を稼ぐから。…………高橋が。」
吉澤は、どうだと言わんばかりに胸を張る。
本人の中では、かなりの自信策らしい。
「あのぅ、…最後に気になる固有名詞が出てきたのは気のせいかぁ?。
明らかに凄い可愛そうな役を押し付けられてるみたいだけどぉ。
って言うかぁ、一人だけ名前が出て来なかった吉澤さんは何する役なんだぁ?。」
「私は梨華ちゃんより遠くで見守る。で、梨華ちゃんより早く逃げる。
位置取りを東京ドームに例えるなら、球審が原住民でキャッチャーが高橋。
センターに梨華ちゃんが居て、私は外野席で応援してる。……広島市民球場の。
とにかく、そう心配するなよ、もしもの時は手厚く葬ってやるからさ。」
- 64 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時48分13秒
頼んだぜ。
そう言いたげに高橋の肩を叩いた吉澤は、親指を突き出しグッドラックの合図。
さきほどの発言が嘘のような男前。
だが、高橋も負けてはいない。
「やっぱ、何かおかしくねーかぁ?。ビジュアル的に考えても事務所の推しで考えても
殉職するのは吉澤さんしか居ねえだぁ。最近の活躍度から見れば一目瞭然でねーか。
……石川さん、モーニングで2列3列に並ぶ時って、いつも何処に居るぅ?。」
「うーん、一番前が多いかなっ。」
「偶然だ、私もぉ。…で、吉澤さんは?。」
「……。」
(う、後ろの端っこ。)
「石川さん、安倍さんの顔で思い浮かぶのはぁ?。」
「うーん、横顔かなっ。」
「偶然だ、私もぉ。…で、吉澤さんは?。」
「……。」
(こ、後頭部。)
高橋は、吉澤の肩をポンと叩くと不敵な笑みを浮かべた。
威風堂々、王者の風格。
これぞ、下克上の肩叩き。
- 65 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時48分48秒
「…く、くそっ。一番気にしてる事をサラッとホザきやがって。
とにかく先輩命令だ。言われた通りやれっ!!。」
「嫌ですぅ。」
「やれっ。!!。」
「嫌ですううぅ。」
「やれーーっ!!。……福井のくせに。」
「はいっ!!。そういう理由なら仕方無いのでありますぅっ!!。」
「や………えっ、いいの?。」
高橋は脇目もふらず一直線に原住民に向かい歩き出した。
踏みしめる一歩一歩に並々ならぬ闘志が溢れ出ている。
額には、どこから取り出したのか必勝ハチマキ。
一方、残された二人はしどろもどろ。
(ど、どうしよう梨華ちゃん。冗談のつもりだったのに本気になっちゃったみたい。)
(何か福井ってキーワードが出たとたん急に素直に…。よっぽどコンプレックスを…。)
- 66 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時49分20秒
「ふうーっ。」
原住民の前に立ち、大きく深呼吸。
(行きますよぉ。)
吉澤達を振り返り、目で合図する。
緊張の瞬間。
震える手を押さえながら、軽く肩をゆすってみる。
…変化は無い。
「おい、…起きろぉ。…こんなとこで寝てっと風邪ひくぞぉ。」
今度は幾分強く揺すってみた。
が、依然起きる気配は無い。
最後の手段。
原住民の耳元に唇を寄せ大声で叫ぶ。
「…(スーッ)、福井だって人間だぁぁーーっ。」
「ハッ。……ウ、…ウーン…。」
心の叫びが国境の垣根を飛び越えた。
原住民は小さな目をしっかりと見開き、声に成らないうめき声を上げていた。
- 67 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)10時51分07秒
今回はこれで終了です。
>51さん
下らない馬鹿話に、いくつも付き合わせてしまってゴメンナサイ。
と言うか、見捨てないで下さいね。
>52さん
僕の中の勝手なイメージですが、安倍さんはいつまでたってもピンチランナー時の三瓶顔で
プレステやり続けてます。
っつーか、そうしないとネタに成りません(ゴメンナサイ)。
>53さん
ご期待に添えたでしょうか?。
っつーか、この話にマトモな人は登場しません(ホントにゴメンナサイ)。
- 68 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年11月19日(火)11時03分24秒
- 高橋でしたか(w
福井で反応面白いです…!!
原住民は誰なのかな?
楽しみにしてます
- 69 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月19日(火)21時09分58秒
- すてっぷさんの小説がコーラだとしたら
ここの作者さんの小説はドクターペッパーだな。
いや良い意味で。
- 70 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)13時57分16秒
目の前には息を吹き返した原住民。
石川の殺人ソングがよほど強烈だったのか、こめかみを押さえ小刻みに震えている。
高橋、勇気を持って自己紹介。
「あっ、…え、えーと、…モ、モーニング娘の高橋愛ですぅ。
今日のゴナゴトは…って違うわぁ。どうしよぉ、緊張して何言うてええか解からんわぁ。」
「馬鹿っ。日本語しゃべっても通じる訳無いでしょ?。しっかりしろよ、田舎モンっ。」
後ろから吉澤の的確な指示(野次)が飛ぶ。
「あっ、そうやったわ。…じ、じゃあ。
…マ、マイネームイズ、アイタカハシですぅ。………アー、…ウー、………ディスイズアペン。」
「タイムタイム、ちょっとタイムね。…高橋、こっち来い。」
吉澤監督の作戦タイム。
石川コーチも交え、3人で基本戦術の打ち合わせ。
- 71 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)13時57分51秒
「高橋、よく聞け。日本語も英語も通じないから。…しかも鉛筆紹介して何がしたいんだよ。
こんな所で変な商売して、一発当てようなんて企んでるのか?。
まあ、とにかく落ち着け。いいか?、ボディランゲージだよ、ボディランゲージ。
我々は日本人で、旅行中に遭難しこの島へ流れ着きました。
どうしても帰りたいので、力になってもらえませんか?。
ちなみに私達は日本を代表するトップアイドルグループで、お金は沢山持っています。
もしも助かった暁には、それなりのお礼はさせて頂くつもりです(ニヤッ)。
…ってのを、パントマイムで的確に表現するんだよ。解かったな、よし行けっ。レッツゴーっ!!。」
「…そんなの中村有志さんでも難しいん…。」
ピーーーッ。
作戦タイム終了。
試合再開の笛が鳴る。(脳内で)
- 72 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)13時58分28秒
「お、お待たせしました(ペコリ)、では始めるだぁ。……あーっと、えーっと。」
原住民は、目の前で奇妙な動きを見せる高橋を不思議そうに眺めている。
まだ意識が遠いのか、目の焦点は定まっていない。
「うわっ。」
余りの手応えの無さに焦りを感じていた高橋は、ジェスチャーするのに必死で足元を見ていなかった。
地割れした溝に足を踏み入れ、バランスを崩したまま原住民の方向へ倒れ込んでしまう。
「きゃっ、危ないっ!!。」
ゴーン。
石川の黄色い声も虚しく、辺りに鈍くて思い音が鳴り響いた。
「い、いったぁ。…ご、ごめんだぁ、原住民さん。……大丈夫かぁ?。」
高橋が心配そうに覗き込む。
「…つっ、・・・いってぇなー、何だよいきなり。……って……高橋?!!。
高橋じゃない、元気だった?!!。…あーっ、よっしーじゃんっ!!。それに…石川もっ!!。」
- 73 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)13時59分07秒
一人大騒ぎする原住民をよそに、3人は呆然と立ち尽くす。
「お、驚いただぁ。モーニングの人気も捨てたもんじゃねーなぁ。
こーんな所にまでファンが居たなんて。」
黙って頷く3人。
「…馬鹿っ、何がファンだっつーの。オイラだよオイラ、ヤ・グ・チ。
セクシー隊長の矢口真里様だよ。まさか忘れた訳じゃないでしょ?。」
「…あ、あなた…矢口さんっすか?。
…嘘付くんじゃねーよ、このチビッ。全然違うじゃねーかよっ!!。」
ファイティングポーズで威嚇する吉澤。
高橋と石川の影に隠れながら。
「あっ、そうか。メークもパーマも取れちゃってるから解かんないんだ。
自慢じゃ無いけど素顔の私は別人だもんね。…って納得してる場合じゃ無くて
何とか証明しないと…。」
- 74 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)13時59分38秒
-
矢口(原住民の疑い有り)は考えた。
自分を証明する方法を。
自分が自分で有る事の意味を。
(やっぱり、コレしかないか。…オイラの原点だし。)
ゆっくり立ち上がると、何かを決意した鋭い目で3人を見据える。
「お前ら、よーく見とけよっ。これが矢口真里の生き様じゃーーーっ。
それっ、セクシーーービーーーームッ。」
矢口真里の集大成、セクシービームが3人のハートを貫く。
「ホラッ、見てよこの右腕の角度。腰の動きに艶やかな流し目。
一世を風靡した矢口の伝説の奥義、セクシービームに間違い無いでしょっ?。
なっ?。さあ、早くこの胸に飛び込んで来いよっ。感動の再会をみんなで喜ぼうぜっ!!。」
- 75 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)14時00分14秒
「あんなの誰だって出来るんでねーかぁ。」
「ライブとかでも、キショヲタは全員やってるしね。」
「いや、むしろキショヲタの方が上手い時有るし…。」
三人は冷静そのもの。
矢口渾身の一撃も空砲に終わる。
「くっそー、じゃあどうやったら信じてくれるんだよ。」
「…どうしよっか?。」
作戦タイム再び。
- 76 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)14時00分47秒
「パンパカパーン。クイズ矢口真里さんに聞きました。司会の吉澤でーす。
今から矢口さんに関する簡単な質問をします。
見事、全問正解したら本人と認めてあげますから、頑張って下さいねっ。」
「えっ、何?。何が始まるの?。」
慌てる矢口をよそに、証人喚問が開始される。
「では、第一問。中澤裕子の本当の年齢は?。」
「…えーっと、確か36。」
「続いて第二問。後藤真希がモーニング娘を辞めた本当の理由は?。」
「オイラが聞いた話によると、LOVEマシーンの踊りが急に恥ずかしくなったって…。」
3人の顔に驚きの表情が浮かぶ。
「あなた、なかなかやりますねえ。…でも、今までの問題は勘のいいヲタなら
解かるくらいの簡単な問題ですから出来て当たり前。
次は難しいですよ。いよいよ最後の問題ですから真剣に答えて下さいね。」
訳が解からぬまま、うなずく矢口。
これに答えれば、再びモーニング娘の一員に。
気分はLOVEオーディション。
- 77 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)14時01分22秒
「第三問。誰にも言ってない、あなたの秘密を教えて下さい。」
「…何ソレ?。何かの極秘アンケートか?。誰にも言ってないんだから正直に答えたところで
正解かどうか解かんな……ヒッ!!。」
吉澤が、持っていた木の枝を怒りに任せ矢口へ投げつけた。
「おいっ、そこのニャンニャンチビっ!!。自分の置かれてる立場がよく解かってねえようだな。
減らず口叩かねえでとっとと答えやがれっ。……この天然パーマめっ!!。」
「…は、はいっ。………すみませんでした。」
(殺す、絶対ブッ殺してやる。日本帰ったら覚えてやがれ。
…ってか『ニャンニャンチビ』って100%私の正体見破ってるじゃん。)
- 78 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)14時02分00秒
「ほらほら。早く言わねーと、その可愛い顔に一生モンの傷が付いちまうぜっ。へへへ」
吉澤は狂ったようにニヤけながら、木の枝で矢口の頬をピチピチと打ちつけている。
「お前、いつの間にかキャラ変わってるぞ。」(ボソッ)
「ん?。何か言ったか?。このラーメンの小池めっ!!。」
「あっ、いえ何も。………では、発表させて頂きます。」
(…くそっ、この状況じゃ何言っても無駄だ。)
矢口は覚悟を決めた。
生唾を飲み込むと、恥ずかしそうに口を開く。
「えーっと。……実は、………2回ほど……整形を。」
ジロッ。
吉澤の眼光が鋭く光る。
「……テメー、やっぱ矢口じゃねーな。…おい野郎共っ、殺っちまえ!!。」
「ひえぇぇー、ゴ、ゴメンナサイ。……3回です、3回っ!!。」
ピタッ。
矢口に襲い掛かかった三つの影の動きが突然止まる。
顔を見あわせ、何やら確認する3人。
何とも言えない空気が辺りを包む。
「…………や、矢口さん!!。…矢口さんじゃないっすかっ!!。」
四人は抱き合って喜んだ。
とっても薄っぺらい、上辺だけの友情を再確認。
- 79 名前:pp 投稿日:2002年11月21日(木)14時03分21秒
短いですが、今回はここまで。
>68 ぶらぅさん
多分バレバレだったと思うのですが矢口さんでした(笑)。
っつーか、矢口さんファンの方、ゴメンナサイ。ついでに福井のみなさんも。
いや、むしろ全ての人に謝っときます。
あくまでシャレなので許して下さい。
>69さん
ごめんなさい、ドクターペッパーの意味が解かりません。
バッタモンとか安物とかの意味でしょうか(良い意味で)?。
いずれにしても、すてっぷさんを引き合いに出して頂けるとは光栄です。
あの作者さんは僕の憧れで、『いつかあんな素敵な小説を。』と無謀な野心を胸に秘め
日夜努力のキーパンチなのですが、結果はこのザマです(つーか最初っから無理。あの御方は天才!!。)
取り合えず、こっちは独自のバカ路線をフラフラ歩いて行くんで、良かったらついてきて下さい。
- 80 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月21日(木)20時27分07秒
- 今度はオールナイト日本ネタか。本当に娘の出演している番組たくさん見てるなぁ。
ドクターペッパーはある意味伝説を残せる味がする飲料水です。
常人が飲むと首を傾けてしまうんですが、一部の人にはコーラより支持されています。そして健康に良いです。たぶん。
確かにあの御方は色々なジャンルで勝負ができるし、ちゃんとオチがあります。
でもppさんだってブラックジョークの他にも・・・でもでもちゃんとオチはついてるし・・・ついてるのか?
イイじゃないか!!ボケのオンパレード、つっこみほとんど無しでもイイじゃないか!!
ぼかぁそんなppさんの作品が大好きだー!!これからも応援してます。
長レス&かなり失礼な事を言ってすいません。
- 81 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月22日(金)18時17分40秒
- 笑った。!!
ppさんの作品の馬鹿馬鹿しい面白さは、すてっぷさんやボブさんをも
凌いでると思います。
自信を持って頑張ってください。
更新楽しみにしてます。
- 82 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2002年11月25日(月)20時27分51秒
- 既にお笑い系作家の巨頭ですね(w
更新の早さに脱帽です!
ネタの泉が湧き出てらっしゃるのですね(w
- 83 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年11月25日(月)22時43分11秒
- 笑いました(w
矢口かな〜とは思ってたんですが
そう来ましたか!!!
読んでるとき飲み物を飲んでなかったことがよかったです(w
- 84 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時04分28秒
ピチャーン。…ピチャーン……。
遠くで水の滴る音がする。
何かに反響しているのか、エコーが掛かったようにこだましている。
空気が濁っているのか、どこか息苦しい。
寝そべっている地面は、ヒンヤリ冷たく湿っている。
ゆっくりと目をあけてみたが、暗くて何も見えない。
起き上がろうと体を動かすが、手足が言う事を聞いてくれない。
状況から考えると、此処は洞窟の奥。
ぐるぐるに縛られながら何者かに監禁されているようだ。
(…くっそう。)
安倍は唇をギュッと噛み締めた。
- 85 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時05分06秒
(それにしても、一体誰が?。)
ジャングルで襲われた状況や縛られている今の現状から見ても、犯人は人間に間違い無い。
しかも森にワナを仕掛けてその隙に襲う手口など、相当な知能犯の筈だ。
だが、ここで有る疑問にぶち当たる。
何故、あの場所を通る事を知っていたのか。
何故、こんな所に閉じ込めるのか。
何故、自分が襲われたのか。
犯人も犯行の理由も目的も全てが謎だらけ。
考えれば考えるほど、頭がこんがらがってくる。
取り合えず何とかしなければ。
必死に手足を動かし脱出を図るが、硬く結ばれた縄はビクともしない。
ただ悪戯に時間が流れるだけ。
- 86 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時05分36秒
コツーン、コツーン。
(ハッ。)
耳をくすぐる奇妙な音に目が覚めた。
ほんの少しの間だったのか、気の遠くなる程の時間が経ったのか。
いつの間にか眠ってしまったらしい。
気付くと遠くにボンヤリと明かりが見える。
音は光りの方向から一定のリズムで流れてくる。
寝起きの為ハッキリしない安倍の頭でも、状況を理解するのにそれほど時間は掛からない。
(…誰か来るっ!!。)
明かりの正体は懐中電灯。
音の正体は人の足音で、しかもハイヒールを履いている。
……女だ。
いよいよ犯人のお出ましか。
- 87 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時06分08秒
「…ま、眩しいべ。」
突如、暗闇に慣れきった安倍の目に強い光りが当てられた。
懐中電灯を手に持つ女の正体は、……見えない。
通常このような場合、光に照らされた部分は何とか視界に捕らえる事が出来るが
光源の向こう側、つまり犯人側は強い光に遮られて見る事が出来ない。
ぼんやり照らしだされた洞窟内は、それほど広いわけでも無く
高さも大人がやっと立っていられるほどの規模。
壁には、びっしりとコケが生え揃っていて、大きな岩や石が剥き出しで
ゴロゴロと転がっている。
「…だ、誰だべ?。何でなっちにこんな事するだべ。」
光りに目を細めながら、まだ見ぬ犯人へ疑問を投げ掛ける。
「……。」
返事は無い。
- 88 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時06分40秒
しばらくにらめっこ状態が続いたが、女はゴソゴソと何かを取り出すと
それをポイと地面へ投げ捨てた。
「…えっ。」
光りに照らされた物体を見て唖然とする。
それは色取り取りの食料。
どうやら、これを食べろと言っているようだ。
女は何も言わずにクルリと背を向けた。
その瞬間。
ほんの一瞬で顔まで確認する事は出来なかったが、女の着ていた服装に見覚えが有る事に気付いた。
(あの服、…確か。)
コツーン、コツーン。
女は来た道を引き返して行く。
「ちょ、ちょっと待ってくれだべ。せめて手を洗わせて…、いや、手を解いてくれだべ。
こんなんじゃ、食えねーべさ。」
安倍の叫びも虚しく、足音はどんどん小さくなっていく。
やがて洞窟内には再び暗闇と静寂が訪れた。
安倍は嗅覚を頼りに体をよじりながら移動させると、口だけで食料を食べ始めた。
もはや、その姿はチンパンジー以下。
イモムシに近い。
- 89 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時07分13秒
「それにしても、矢口さんのスッピンがこんなにヤバかったとは知りませんでしたよ。」
さっきから、怒り心頭の矢口に三人は平謝り。
「しょうがない、許してやるか。自分でもメークの名を借りた詐欺だって自覚してるし。
だって8時間掛かんのよ?、化粧すんのに。……ホント大変だよ。
夜、お風呂上がったらすぐに取り掛からないと、次の日の仕事に間に合わないんだから。
おかげで、一日の平均睡眠時間2,3分。そりゃ、ライブ中にも倒れるっつーの。」
冗談交じりにおどける矢口。
「ん?…おい石川。…何メモってんだよ?。」
「あ、…いや、東スポかアサヒ芸能、ブブカでも…。一番高く買ってくれるトコに…。」
「…殺す。…情報売ったら殺すからな。それにお前、何描いてんだよっ。
その汚い小ギャルが金髪パンチパーマのヅラ被って笑いながらラーメン食ってる絵。
それも一緒に載せる気か?。矢口のスッピン初公開(こんな感じでした)って。
そんな事したら、ヲタ暴動よ。俺たちの青春を返せって事務所に放火されても
知らないからねっ!!。」
- 90 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時07分48秒
「ん?。あれ何だぁ?。」
不意に高橋が波間に浮かぶ奇妙な物体を指差した。
それは、人間の手の平にスッポリ納まる程の大きさで色は半透明。
太陽の光に反射しながらキラキラユラユラと水面を漂っている。
「あれ、カプセルだよ。…ガチャガチャの。」
吉澤の言葉に全員が頷く。
「でも、おかしくない?。こんなところにカプセルなんて。」
石川の言葉に全員が頷く。
「何か気になるなぁ。よーし、いっちょう取って来るか。……高橋が。ホラ急げよっ!!。」
矢口の言葉に全員が頷く。(一人を除いて。)
(結局、人が増えても私の役目は変わらんわぁ。)
高橋、トボトボと海の中へ。
- 91 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時08分23秒
「あぁーーっ!!。……コ、……コレは。」
カプセルを片手に驚きの表情を見せる高橋。
海の中から目を点にして、ワナワナ震えながら3人を見つめている。
「……。いいから早く戻って来いよ。そんなトコでいくらアピールしたって
私達は海になんか入らないから。……だって濡れるのイヤだもん。」
作戦失敗。
高橋、トボトボと陸上へ。
「はい。これですぅ。中に何か入ってますよぉ。」
「ん?。あっ本当だ。」
矢口は受け取ったカプセルをしげしげと眺めると、中身を確認する為に
そのフタを開けた。
「…紙切れが入ってる。……何か書いてあるよ?。…しかも、……日本語だ。」
水に濡れてクシャクシャになっている紙切れに、全員の視線が集まる。
所々消えかかっている文章を、矢口が口に出して読み出した。
- 92 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時09分00秒
『私は………ニン…娘…………です。
……島で遭難し………・どうか助け…下さ…。』
「こ、これって…。」
四人はお互いの顔を見合わせて息を飲み込んだ。
「偶然だわぁ。私達の他に、ソニンさんの娘も遭難中なんてぇ。」
「……高橋。………お前、少し黙ってろ。」
あきれ返ったように矢口が呟く。
続けて石川が追い討ち。
「そうよそうよ。この内容見てソニンの娘が出てくるなんて、あんたの頭どうかしてるわ。
これは絶対、『…ニンッ!!でお馴染み元てんぷくトリオの生き残りで、現在は伊東家の食卓等
本業のバラエティーのみならず、ドラマやクイズ番組の司会までこなし、顔の広さに負けない程の
マルチな活躍を見せるガマガエル似の電線マン。ご存知、伊東四郎の娘… 』に決まってるじゃない。
しかも、ニンと娘の狭いスペースにこれだけの文字を入れるなんて、かなりの書道の達人か
相当な父親想いのどちらかと見たっ!!。」
- 93 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時09分34秒
「ほえーっ。さすが石川さん。鋭い洞察力持ってるわぁ。感服しただぁ。」
「でしょっ。」
羨望のまなざしで見つめる高橋に対し、人指し指の付け根で鼻の下を擦りながら
勝ち誇ったように頷く石川。
ゴールデン師弟コンビ、今ここに誕生。
「………おい、そこの馬鹿二人組。お前ら、そこでお互いを殴り合え。………特に脳の辺りを重点的にな。
間違いに気付くまで止めんじゃねーぞっ!!。」
矢口と吉澤は再び紙切れを見つめながら首脳会談。
「オイラ達の他にも、まだ生き残りが居るみたいね。」
「でも、これ何処から流れてきたんすかねぇ。もしかしたら遠く離れた別の島って事も…。」
「あのさぁ矢口思うんだけど、結局よっしー以外は全員この島に自然と流れ着いた訳でしょ?。
行方不明中のなっちも含めてね。
って事は、多分あの嵐の時の潮の流れがそうなってたんだよ。
だから他のみんなも同じようにこの島に流されてる可能性高くない?。」
二人は黙って森を振り返る。
多分、何処かに…。
- 94 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時10分07秒
辺りは、すっかり夜。
この島で迎える夜は何度目だろうか。
この先、ずっと続くのか。
それとも、もうすぐ終わるのか。
それは誰にも解からない。
「矢口さーん、ご飯出来ましたよー。」
何故か顔中アザだらけの石川が遠くで呼んでいる。
少し前、吉澤が森の中で野生のブタを捕まえたと騒いでいた。
どうやら今夜はご馳走らしい。
ゆっくり立ち上がった矢口は、どこか浮かない表情を浮かべながら
夕食の場につく。
「ほらっ。矢口さん、凄いでしょ。豚肉ですよ、豚肉。偶然見つけたんすよ、豚の群れを。
結構一杯居たんで、当分食うには困らないっすよ。」
「ふーん。…やっぱ一杯居たんだ。」
はしゃぐ吉澤達とは対象的に、矢口の箸は止まったまま。
- 95 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時11分24秒
ワーワー、キャーキャー。
気分はまるでキャンプファイヤー。
「どうしたんすか矢口さん。早く食べて下さいよ。…あっ、言っときますけど
いくら私が太ってるからって別に共食いしてる訳じゃ無いブー。」
「もう、ヤダー。よっしーったら。キャハハッ。」
吉澤の捨て身ギャグに石川は大ウケ。
釣られて高橋も微笑んでいる。
とても遭難中とは思えない平和な夜。
「お前ら、いい加減にしろよっ!!。」
突然、矢口の怒号が闇夜を切り裂いた。
「全く、どいつもこいつもニコニコ笑いやがって。そんなに遭難が楽しいのかよっ!!。
……おい高橋っ。『そうなんです』なんてギャグかましたらブッ飛ばすからな。
帰りたくないのかよっ。こんなトコで一生暮らすつもりかよっ。
家族とか友達とかつんくさんとか祐ちゃんとか…、会えなくても平気なのかよっ!!。
オイラは嫌だねっ。絶対、何が何でも帰ってやるからなっ!!。」
- 96 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時12分02秒
シーン。
賑やかだった晩餐会が、急に水を打ったような静けさに包まれた。
「……私、…帰り…たい。」
ポツリと石川が呟く。
懐かしい生活を思い出したのか、瞳には大粒の涙が浮かんでいる。
「…私も。」
「…お母さんのぉ。…お母さんの料理が食べたいわぁ。」
3人は口々に日本への想いを口にした。
「だったらさ、『当分食うには困らない』じゃなくって、食料が有るうちに
何とかこの島から脱出する方法を考えようよ。」
- 97 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時12分33秒
矢口は若い3人を諭すように語り出した。
「昔さ、何かの本で読んだ事有るんだけど、ある森にリスとかウサギとかの小さい草食動物と
その小動物をエサにする肉食動物が一緒になって住んでたんだって。
で、それじゃあリス達が可愛そうって事で、政府が肉食動物を大量虐殺したの。
…どうなったと思う?。」
「草食動物が増えすぎた?。」
「ううん、逆。結局、草食動物達も死んじゃったんだって。
草食動物が食べる木の実や草は、肉食動物のフンを肥やしに育ってたの。
肥料が無いと草木は育たない。
草木が育たないから食べるエサが無くなった。
エサが無ければ生きていけない。
自然界ってのは、上手くバランスが取れてるの。
本当は人間が入り込む隙間なんて無いんだよ。」
3人は矢口の話を聞き入るように黙りこくっている。
- 98 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時13分07秒
「同じ事が、この島にも言える。
私達が色々動けば動く程、大自然に人間の手が加われば加わる程
結果的に自分達の首を絞めてるのよ。
それに、…逆に考えるとブタが沢山居たって事は、そのブタを狙う肉食動物も一杯住んでるって事だから。
例えばトラとかオオカミとか怖い猛獣がすぐ近くに…。」
『ウォーーーン。…ウォーーン。』
矢口の話に会わせるように、森の奥から不気味な雄叫びが聞こえてきた。
「い、…今の何?。トラ?、オオカミ?。…何か怖い。」
石川が不安気な表情で矢口の顔を覗き込む。
「…まあ、なっちじゃ無い事だけは確かね。
とにかくさ、早いトコ残りのメンバーを見つけて、みんなで脱出しようぜっ。
私の言いたい事はそんだけ。…さっ、食べよ食べよっ頂きまーす。」
四人は正体不明の鳴き声に怯えながら、引きつった笑顔で食事を再開した。
- 99 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時13分45秒
今回はここまで。
>80さん
ありがとう(涙)。
『常人が飲むと首を傾けてしまうんですが、一部の人にはコーラより支持されています。』
これは正に僕が目指してる終着駅で、最高の誉め言葉だと感じています。
嬉しいし少し感動しました(嘘)。
これからも、コーラよりドクターペッパー、石原軍団よりたけし軍団の誠心で頑張ります。
あと、全然失礼とは思ってませんよ。ドンドンつっこんで下さい。
>81さん
ボブさんまで引き合いに出して頂けるとは…。
すてっぷさんを尊敬している事は前に書きましたが、ボブさんに至っては尊敬を通り越し
芸風をパクっ…、いや、多大な影響を受けてる作者さんです。(面白さをマネ出来ないのが最大のネック。)
そのうち、PPフラッシュとかやっちゃうかもしれませんが許して下さい。(嘘です、出来ません)。
- 100 名前:pp 投稿日:2002年11月26日(火)12時14分18秒
>82さん
ネタの泉が湧いてるのは事実ですが、面白いかは別問題。
ZARDの坂井泉水を探してるのにピン子しか出て来ません(笑)。
っつーか、ピン子が『更新しろ更新しろ』と頭の中で騒いでるので
えなり並の勢いで頑張ります。(つまんなくてごめんなさい)。
>83 ぶらぅさん
『読んでるとき飲み物を飲んでなかったことがよかったです』
これは、余りのくだらなさに空き缶で画面を叩き割る所だった、との抗議の声明文でしょうか?。
それとも、何か飲んでたら怒りに喉を詰まらせ窒息死してたので保険金払え…。
…嘘です。凄く嬉しいです。
これからもヨロシクお願いします。
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)13時05分54秒
- 豚の群れの中に、なっ(ryがいるかと思った。あれ?もしかしてネタバレになっちゃった?
どんどん突っ込んで(字が違うか?)良いと許可が降りたので訊きます。
この話に終着駅はあるのですか?
このメンバーでは永遠にこの島から脱出できない気がします。この島に順応してしまって、モー娘。キングダムを設立し、
そしてそこでトップを争った派閥の対決が発生して・・・(これより永遠に続く妄想)
- 102 名前:名無し読者82 投稿日:2002年11月26日(火)19時39分05秒
- おお!サスペンスの様相が・・・
きっとこれも更なる笑いのフリに?
楽しみですっ!
ピン子に感謝です(w
- 103 名前:リエット 投稿日:2002年11月26日(火)23時13分28秒
- もう、なにはともあれ笑いました(w
- 104 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時42分11秒
翌朝。
「それじゃあ、手分けしてみんなを探すよ。」
セクシー隊長の号令が下る。
「私とよっしー、石川と高橋がペアになって探索する、いいわね?。」
「「えーっ。」」
石川と高橋から同時に不満の声が上がった。
「何だよ、お前ら。そんなに仲悪かったのか?。」
「ううん、違います。よっしーと一緒がいいのっ。」
「私もだぁ。」
二人は、それぞれ吉澤の両腕にしがみついた。
モテモテの吉澤は苦笑い。
「ダーメ。よっしーは私って決まってるの。」
今度は矢口が吉澤の両足にしがみつく。
吉澤、恋のやじろべえ状態。
「矢口さん、汚いですよ。自分だけ助かろうなんて。」
ギクッ。
「うんだぁ。もし凶暴な動物に襲われても、美味しそうに丸々太った吉澤さんと居れば
標的にされねーだぁ。現金掴み取り大会で100円玉の山ん中に嫌がらせみたいに入ってる
1円玉みたいなもんでねーかぁ。金魚救い中に一匹だけひっくり返って底に沈んでる
デメキンよりノーマークだわぁ。」
…正論。
- 105 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時42分43秒
「うっさーーいっ!!。とにかく命令だっ。さっさと行け、さっさと。
私とよっしーは砂浜を探索するから、お前らは森の中。
昨日、変な鳴き声が聞こえた辺りを徹底的に調べろ。
命は惜しむなよ、以上っ!!。」
「…鬼っ!!。…死んだら生きて帰さないからなっ。」
「…悪魔ぁっ!!。…死んだら訴えてやるだぁっ。」
石川と高橋は、恐怖で頭がおかしくなったのか意味不明の捨て台詞を残し
どちらが先を歩くかで揉めながら森の中へ消えて行った。
「…よっしー。よーく目に焼き付けとけよ、あいつらの後ろ姿を。
遺族のみなさんには,、『勇ましい最後でした』って報告しようぜっ。」
敬礼ポーズで黙祷。
- 106 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時43分17秒
「じゃあ、オイラ達もそろそろ行くか。」
矢口チームは石川に破壊されていない側の海岸へ足を踏み出した。
太陽は、東から昇り西へと沈んでいく。
朝日が右に有ると言う事は、北へ向かって移動している事になる。
矢口達は、真っ白な砂浜を北へ北へと進んでいた。
「はあ、はあ、……砂浜って…結構キツイな。」
「ええ、…矢口さんが星一徹に見えてきましたよ。…思い込んだーら試練の道を♪。」
「……。ごめん、ツッコめない。」
前方には果てしなく続く砂浜。
センチメンタル逆南向きのメンバー探し。
手がかりは……無い。
- 107 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時44分41秒
「はーあ。…人が居る形跡、何処にも無いね。」
何度目かの休憩を終えた矢口が呟く。
顔には疲労と落胆の表情が浮かんでいる。
「…あっ。そうだっ!!。」
突然吉澤が声を張り上げた。
「矢口さん、ソレですよソレ。……形跡ですよ。
何で今まで気付かなかったんだろう。ハハハッ、馬っ鹿みたい。」
「何?。どういう事よ。」
矢口が不思議そうに訪ねる。
「探してるのはウチらだけじゃ無いって事っすよ。
他のメンバーだって必死になって私達を探してる筈なんです。
だから何でもいい。こっちも形跡を残すんですよ。
そうすれば、向こうからも見つけて貰えるじゃないっすか。」
「あっ!!、なるほどね。……何か、犠牲にするのが惜しくなってきたよ。
…しまったな。…向こうのバカ二人を太らせとくべきだった。
……っつーか、何でお前そんなに太ってんだよ?。」
「め、面目無いっす。」
吉澤、思わず謝罪。
- 108 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時45分16秒
早速二人は、砂浜にメッセージを書き残す事にした。
『どすーん。埼玉出身、吉澤ひとみでーす。』
『矢口だよー。早く見つけてね。小ちゃいからって見落とすなよっ。』
願いは砂の上に託された。
誰かに読んで貰える事を祈りつつ…。
「さ、後はコレを色んなトコへ残せばOKね。
…ところでさぁ、…石川達もこうすればいいって気付いてるな?。」
「………気付いてない方に10万ドル。」
「………オイラ100万ドル。」
矢口チームは再び北へ向かった。
- 109 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時45分51秒
どれほど歩いただろうか。
他のメンバーもこの島で生存していると言う仮説は間違いだったのでないか。
半分諦めかけた頃だった。
突然二人の足が止まる。
「ん?。」
「あれ何っすかねえ。」
前方に置かれた不自然な創造物を発見した。
時には縦。
時には横。
真っ白な砂浜に茶色い大木が不規則に並べられている。
「どうみても、自然に出来上がったモノ………じゃ無いよねっ!!。」
「手掛かり第一号発見っ!!。」
二人は疲れも忘れ、一目散に走り出した。
- 110 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時46分21秒
「おーい、誰か居ないのかー?。」
大木の隙間や枝の下。
砂の中まで確認したが、何処にも人が居る様子は無い。
「…居ないみたいっすね。」
「…うん。…でも、コレ何の意味が有るんだろ?。」
二人は大木を前に一生懸命考えた。
が、答えは闇の中。
「取り合えず、オイラ達がコレを見つけた証拠を残そうぜ。
適当に配列を変えちゃえば、コレ作った人間も気付くじゃん。」
ゴソゴソ、ゴソゴソ。
「これでヨシっと。じゃあこの辺りを探してみようよ。まだ近くに居るかも知れないし。
ホラ、そこに丘が有るじゃん。あそこ行って周辺を見渡してみっか。」
二人は、入り江にそびえる小高い丘へ向かった。
- 111 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時46分54秒
「ふう、やっと着いた。しかし、この丘からの景色は最高にいい眺めっすね。」
前方には青く広がる海が無限に続き
空には白い雲が雄大に流れている。
もし、遭難中じゃなければ『ヤッホー』とでも叫びたい気分。
「あーーっ!!。…矢、矢口さん、………ア、アレ。」
突然、吉澤が先程の大木の集まりを見下ろしながらモジモジし始めた。
「ん?。何だよ、………わっ!!。」
二人の視線に映ったモノは衝撃的。
縦、横、斜め。
無造作に並べられた大木は、堂々と【SEX】の3文字を創造していた。
- 112 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時51分42秒
「……ハァ、……ゥフン、……ヒィッ。」
その時、丘の下からなまめかしい喘ぎ声が聞こえてきた。
「ちょ、ちょっと矢口さんっ。!!何すか、この声は?。…だんだん昇って来てるみたいっすけど。」
「な、何って…この声は、……ま、まさにアレだよアレ。……ど、どうしよう。
このままだと、……凄い現場を目撃しちゃうかも。」
丘の頂上には隠れる場所が無い。
ハラハラ、ドキドキ。
…ちょっとだけワクワク。
- 113 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時53分17秒
色々な想像が頭を駆け巡り、ボーッと立ち尽くす二人の前に現われたのは
妙な上下運動を見せ.、顔を真っ赤に火照らせた一人の少女だった。
「あっ、吉澤さん。(ウグッ)お久しぶりです、(…クゥ)紺野あさ美と申します…(アゥッ)。」
「チッ、何だ女一人か。……じゃなくて、紺野ぉぉ。紺野じゃんっ!!。やっぱ生きてたんだっ!!。
…………っつーか、そのジャンピングスクワットを今すぐ中止しろっ!!。
いや、…むしろソレは許す。…何しててもいいから、会話の間に入ってる謎の掛け声を止めてくれ。
何の修業か知らないけど、こっちは思春期の男子中学生並に期待と興奮で胸が一杯だったっつーの。
この純情ハートの熱い高鳴りをどーしてくれるんだよっ!!。」
再会早々、鼻血混じりの猛抗議。
- 114 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時53分49秒
「でも良かったですよ、仲間に出会えて。一人じゃ心細かったんで。」
紺野は大きな目を見開き、改めてジッと二人を見据えた。
「あのう、ところで吉澤さん。…さっきから私の事をニコニコ眺めていらっしゃる
隣の小さなアジャコングは何者?、…って言うか何処で拾った新種のハグレ猿ですか?。」
ズンズンッ。
矢口は黙って紺野へ近付くと、鼻と鼻をくっつけながら(無理して背伸び)
ドスの効いた低い声で呟く。
「殺されてーのかテメーは?。補欠のくせに、…ああ?。」
「…に、日本語喋ったぁ。」
真ん丸な目を更に丸くさせた紺野は、口をパクパクしながら驚いた。
- 115 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時54分29秒
「紺野よ。…考えるでない、心の目で感じるのじゃ。さすれば真実が見えてくるじゃろう。
…ワシも信じたくないが、多分このUMAは矢口さんじゃ。」
吉澤和尚より、悟りの教え。
「多分って何だよ多分って。オイラは正真正銘の矢口だよ。変なインチキクイズで証明しただろ?。」
「ははは。とにかくそういう事。梨華ちゃんと高橋も無事だよ。
安倍さんとは途中ではぐれちゃったけど、多分何処かに居ると思う。」
紺野の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「そうですか。…で、さっき私の顔見て『やっぱり生きてたんだ』って言ってましたけど
あの魂のメッセージを読んでくれたんですよね?。」
「メッセージ?。」
「そうです。飛行機からも解かるように大きくSOSって……アレッ?!!。」
まだ幼い少女には刺激が強すぎたのか、今度は紺野が鼻血を噴き出した。
- 116 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時55分13秒
「スマン、紺野。……矢口さんが本能でアレンジした。
欲求不満でムラムラした生理中の御茶目なカラスが引き起こした、願望交じりの可愛い悪戯だと思ってくれ。
てか、有る意味アッチの方が興味引くんじゃない?。飛行機どころかUFOや風船おじさんまで
興味津々で降りてきそうじゃん。」
「そうだよ。それに、もし助かったら伝説になるぜ。史上初の淫乱アイドル奇跡の生還ってな。
おめでとう紺野。悔しいけどその称号はお前に譲る。イヨッ有名人、ヒューヒュー。」
「…あ、ありがとうございます。これで遂に飯島愛を『ねーさん』って親しみ込めて呼ぶ事が…
って…オイ、そこの稲葉のズラ被った座敷わらしっ!!。
とっとと元通りに直さないと私の正拳突きで、…胃に穴が開きますよ?。」
「……。フツーはどてっ腹に風穴開けるんだろ?。ストレス溜まってどーすんだよ。
どんな魔力を秘めてんのよ、お前の拳は?。リストラされた中年親父の魂でも
乗り移ってんのか?。そんな芸当出来るんなら是非お目に掛かりたいね。」
「フッ。…ではお見せしましょう。
紺野の顔つきが変わった。
- 117 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時55分46秒
「あたたたたたたたたたたたたたたたたたっ。」
次の瞬間、間髪入れずに見事な正拳突き連打が矢口を直撃した。
かに見えたが、実際は寸止めでも無くダメージを与える訳でも無い。
ただ、うっとーしいだけの絶妙なバランス。
「どうですか?。」
「………うーーーん。……何か微妙にイライラしてきた。」
仏頂面で感想を口にする矢口。
(ニヤッ。)
「石川さんが言ってましたよ。タンポポから奴が抜けてホッとしたって。
奴って誰の事か聞きたいですか?。…それは言えません、口が裂けてもねっ。
気分はどうですか?。」
「………何となーくイライラしてきた。」
(フッ。)
「ミカさんのモノマネしまーす。…ミカは思うんだけどー、ミニモニって私でモッテた訳じゃーん。
だから、奴をクビにして私を新リーダーに指名するなんて、つんくも割と見る目有る…。」
「あー、何かムカつく。……どうしてか解んないけど凄いムカつく。
いーよ、解かったよ。…直せばいいんだろ、直せばっ。」
矢口はグッタリしながら丘を下った。
紺野あさ美。
新種の口撃空手を今ココに極めたり。
- 118 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時56分47秒
「ねえ、紺野。ところでさあ、こんなトコに飛行機なんて通るの?。」
まだダメージが抜けきっていない矢口が不満そうに訪ねる。
「うーん、私の計算上では3%くらいの確立ですね。極度の方向音痴に悩まされてるパイロットが
酔っ払いのハイジャック犯に脅されて、目隠ししたまま逆立ちで操縦しながらテトリスでも
やらされてれば、ひょっとして何かの間違いで飛んで来るかも…。
まあ、その場合は外が見えませんから、発見される確立は0.00001%まで落ちますけど
ゼロじゃ有りません。望みは有りますよ(ニコッ)。」
「……有り得ない。……絶対有り得ねえよ、そんなの。……っつーか、どんな複雑な計算したら
そんなマジックナポレオンズがインチキ超能力者に挑戦してる光景が出てくんだよっ!!。
もう最初の3%からして無理が有るもん。」
「フフッ。安心して下さい。この他にも色々手は考えてあるんですよ。」
紺野は不敵な笑みを浮かべた。
- 119 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時57分22秒
「北の天才軍師、紺野あさ美ちゃんプレゼンツッ!!。無人島脱出計画ぅーーっ!!。」
「……。」
ジロッ。
紺野が二人を睨みつける。
(や、矢口さん。多分拍手を要求してるんじゃ…。)
(…取り合えず、やっとくか?。)
「「パチパチパチパチ」」
期待と同情が入り混じった拍手が沸き起こる。
「よろしい。では奇跡の脱出スペシャル案、第@弾を発表します。
名付けて、【明日への道を切り開け。粘りの大脱走作戦】。イエーイ。」
ジロッ。
「「…イ、イエーイ。」」
ノリノリの生徒二人を前にして、紺野先生ご満悦。
- 120 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時58分40秒
「えーっと、コレはですね。みなさん大脱走って映画ご存知ですか?。
戦争中に敵に掴まった捕虜達が、収容所の下から長いトンネルを掘って脱走したって言う
アクション映画なんですけど、今回私はこの映画にヒントを得ました。
そう、同じようにトンネルを掘るんです、日本へ向けてねっ。
…アレ?、どうしたんですか?二人とも渋い顔して…。
ハハーン、さては気付きましたね?。あなた達、なかなかやりますねえ。
そうなんです。今からトンネル掘ってたら、あと60万年くらい掛かってしまうんです。
私も3Mくらい掘った時点で気付きました。…頭いいですから(ニコッ)。
よって、この案は却下。」
紺野はポケットからメモ帳を取り出すと、自ら1の案に大きくバツ印を付けた。
- 121 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)10時59分16秒
「続いて第A弾。
その名も、【その手で地図を書き換えろ。一人地殻変動大作戦】。
この作戦はですね、まずこうやって手の平に島の砂をすくいます。
で、この砂を浜と海の境界線へ投げ入れるんです。
これを延々と繰り返せば、この島ごと移動する事が出来ますよね?。
あと、1億8000万年くらいすれば長崎辺りに上陸……。
これも、却下。」
紺野は、再び2の案にバツ印を付けた。
- 122 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)11時00分06秒
「…なあ、紺野。あんた頭いいんだよね?。だったら、もっとまともな作戦思い浮かばなかったの?。
っつーか、メモ書きする前に気付くでしょ、フツーは。」
「まあまあ、取り合えず第B弾を聞いて下さい。これは凄いですよー。
【地球の自転を利用しろ、ジャンピング大作戦】。
みなさん、地球って自転しているのは知っていますよね。
その回転を利用ればいいんです。
やり方は簡単。まず、真上に思い切り飛び上がります。
その間、地球は回ってますから、真上に飛んだつもりでも着地地点は別の場所な訳です。
計算上では、20日間くらい浮いてれば東京に戻れます。……あれっ?。つまんないですか?
ゴホン。…………えーっと、……続いて第C弾。
【もうお荷物とは呼ばせない、ガリバー旅行記大作戦】。
これも簡単です。モーニング娘で、すっかり活躍の場を失いつつある飯田さんを海岸に立たせ
後ろから突き倒すんです。すると、倒れ込んだ長身の飯田さんの手が沖縄を掴みます。
私達は背中を渡るだけで無事生還……。」
- 123 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)11時00分39秒
「なあ、……第何弾まで有るの?、その面白夢物語。……っつーかネタ。
本気で言ってるんなら、今ごろカオリはこの島につま先立ちして
雲の上に顔出しながらバランス取ってなきゃイケナイじゃん。…パンツ丸見えで。
何処に居るんだよ、その人間山脈は?。
なあ、よっしー。」
「…あ、私も思い付いた。
【地球の温暖化を食い止めろ。秘技、寒い寒い大作戦】。
この海岸で、飯田さんと梨華ちゃんにブリザードトークで漫才してもらうの。
するとどうでしょう。
零コンマ何秒の早業で氷の海に早替わり。少し冷えるけど、スケートしながら凱旋帰国。
どうよ紺野?。」
「…しまったぁ、その手が有ったか。…でも、私だって負けませんよ。
【離れているならコッチ来い、北島サブちゃん大作戦】。
ここからみんなで思いっきり息を吸い込みます。
逆鼻息で少しづづ日本列島がこっちに引き連られて…。」
二人の脱出案(ボケ合戦)は延々と続いた。
- 124 名前:pp 投稿日:2002年11月29日(金)11時02分28秒
今日はこの辺で。
>101さん
『この話に終着駅はあるのですか?。このメンバーでは永遠にこの島から脱出できない気がします。』
…確かに。でも、僕も鬼では無いのでそれなりのハッピーエンドは考えてます(本当か?)。
っつーか、101さんの妄想のほうが遥かに面白そうな気が…。
いつかパクらせ(以下略)。
>102さん
お察しの通り、ふざけた方向に進みます。(っつーか、真面目なストーリーなんて無理。)
これからも、ピン子ピン子。たまーに節子(元彌ママ)の逆ギレ記者会見並に頑張ります。
(自分でも、何書いてるのか意味不明。)
>103 リエットさん
ありがとうございます。
もう、なにはともあれ笑ってください。
それが、一番嬉しいです。
- 125 名前:名無し読者82 投稿日:2002年11月29日(金)19時42分14秒
- 大量更新お疲れ様でした。
大量のネタありがとうございました。
【塩分過多で成人病に気をつけよう、飲み干せ大海原大作戦】。
いかがでしょう?
次回更新お待ちしております。
- 126 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月29日(金)19時51分39秒
- 爆笑しました。
紺野最高。矢口最高。
ついでに作者さんも(w。
更新楽しみだあーー。
- 127 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年11月29日(金)20時15分12秒
- 違います、違いますよ(w
飲んでいたらもちろん…画面にお茶を…(ry
しっかし、紺野に矢口おもしろい(w
紺野の長所が生かされましたね!(w
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月29日(金)21時14分27秒
- 威風堂々並び立つあの三文字に恥ずかしながら小生、大爆笑してしまいました。
僕は人を感動させて泣かせたりする事よりも人を笑わせる事のほうが数倍難しい事だと思います。
それを文章だけというハンデを背負いながら成し遂げてしまう作者さんは尊敬に値します。
追伸
残念ながら僕には作者さんの様なこんなにも低レベルで、くだらない妄想はできません。
いや、いい意味で。
あと、もしパクッたら最高裁まで争う覚悟はできています。
- 129 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時04分44秒
一方、石川チーム。
「ちょ、ちょっと待ってよ、高橋。そんなに早く歩かないで。
足跡消すの大変なんだから。」
「あぁ、ごめんだぁ。でも石川さん、よく気付いたわぁ。
こんなトコに足跡残したら、『私達はココよ、早く食べて』ってアピールしてるのと同じだもんなぁ。
決して形跡残してはなんねーだ。」
二人はビクビクしながら、慎重に歩を進めていた。
『ザーーッ』
何時間程歩いたのか。
いつしか、二人の前には小さな川が流れていた。
深さは腰の辺りまでだろうか。
横幅もそれほど広くない。
川の真ん中には、大きな岩が一つ置かれている。
- 130 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時05分17秒
「石川さん、あの岩まで飛べるかぁ?。」
高橋が悪戯っぽく笑う。
バレエをやっていた高橋には、朝飯前の事なのだろう。
ピョンっと軽くジャンプすると、見事に岩へ着地した。
「さあ、次は石川さんの番ですよぉ。」
「ん?、…あわ、…わ…わ……。」
石川は高橋を指差しながら、ワナワナと震えている。
「ナーニ震えてるだ。そんなに怖いんか?。」
高橋は再び石川の側へ飛び戻ると、馬鹿にしたように石川を見つめる。
「……ま。……く、…く……ま。」
『グウォーーーーーっ!!。』
突然、高橋の背後から雄叫びが上がった。
先程飛び乗った岩の正体は、川で昼寝中の熊の背中。
眠りを邪魔された怒れる熊が、二人を襲う。
- 131 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時06分11秒
「う、うわぁーー。」
石川達は夢中で脱げ出した。
熊は襲うのを諦めたのか追って来ない。
「…ハァ、ハァ。…ここまで来れば大丈夫ね。危ないトコだったわ。」
「……なあ、石川さん。熊さんって本当は優しい動物だって知ってるかぁ?。
よっぽどの事が無い限り、人を襲う事はねーだぁ。
熊吾郎に熊吉、熊衛門やレオナルド…。
福井で一緒に暮らしてた仲間達は、みーんなイイ子にしてただぁ。」
高橋はクルリと反転すると、再び川の方へ歩き出す。
「ね、ねえ高橋。…何するつもり?。」
「謝るだぁ。さっきは急に背中に乗られてビックリしただけだと思うんだぁ。
ちゃんと話せば解かってくれるだぁ。」
額には再び必勝ハチマキ。
必と勝の間に『福井魂』の3文字入り。
- 132 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時06分47秒
「ねえ、本当に大丈夫?。」
再度川の中で眠る熊を前にして、石川は心配顔。
「任せるだぁ。ここだけの話、国が発表してる福井の総人口、半分以上は
熊と野良犬が入ってるだぁ。動物と解かり合えない奴は福井人として失格だわぁ。」
高橋はズンズン川の中へ進んで行くと、軽く熊の背中を叩いた。
「よっ、オメー名前なんて言うだ?。オラ高橋、高橋愛だぁ、さっきはゴメンなぁ。」
『…?!!。グォーーグォグォー』
「はははっ、そうけえ。オラ達、いい友達になれそうだなぁ。」
(…ほ、本当に会話してる。)
木の陰に隠れるようにして震えている石川は、信じられないといった表情で高橋を見守っている。
「ところでブラザー。オラ達の他に誰か人間見なかったかぁ?。」
『グォグォーー。』
「えーーーっ!!。…ほ、本当け?。」
『グォーー。』
「ちょ、…ちょっと待っててな。」
血相を変えた高橋が、石川の元へ戻ってきた。
- 133 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時07分22秒
「ど、どうしたの高橋?。あの熊、何て言ってたの?。」
「うーん、…………わっかんね。」
顔面蒼白の高橋がポツリと呟いた。
「…解からないって何よ。ちゃんと会話してたじゃない。…しかも、もの凄くフレンドリーに。」
「いや、言葉は何となく通じてるだぁ。…けど、オラの訛りが酷すぎて
意味が解かんねーみたいなんだぁ。あいつ意外とシティー派やわぁ。
石川さん、あんた話してけれ。オラがアイツの言葉を通訳すっからぁ。」
「……ほ、本当なの?。………本当に大丈夫なの?。……信じていいのね?」
半信半疑の石川は恐る恐る足を踏み出した。
- 134 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時07分52秒
「あ、あの…、あなたお名前は?。」
『グォーー。』
「通訳すると、『ベアーーーーッ、ディスコ。』って言ってるだぁ。」
(………本当なの?。本当にそんなふざけた名前なの?。)
疑問に思いながらも、次の質問へ。
「あのう、ベアーーーーッ、ディスコさん。
安倍さんって言う女の子見なかった?。20歳くらいの童顔で可愛らしい娘。」
『グォーーグォーー。』
「安倍さんかどうかは知らないけどぉ、ついさっき、二人連れの女の子はみかけたって。
双子みたいで、お互いを『のの』と『あいぼん』って呼んでたって。」
(辻ちゃんと加護ちゃんだ。…生きてたんだ。)
「そ、その二人はどっちへ行った?!!。」
「グォーーグォーー。』
「切り株に乗りながら、キャーキャー言って川を下りてったって。
とっても楽しそうだったって。」
「よし。ありがとう、ベアーさん。もっと色々話したいけど、私達忙しいから。
じゃあ高橋、二人を追うわよ。」
石川と高橋は急いで川を下り始めた。
- 135 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時08分28秒
『グォーーン。』
下流へ歩きかけた石川達の背後から、先程の熊が何かを訴えかけるように
わめいている。
「うるさいなあ、あの熊。何て言ってるのよ?。」
「グスン。昨晩、女房と喧嘩して家を追い出されちまったぜ。
原因?。そんな野暮な事聞くもんじゃねーよ。コレだよ、コレ。…女だよ。
1回だけだぜ?。ほんの一回、女と一緒に飯食っただけなのに、あのクソババア目くじら立てて
怒りやがってよう。全く、あいつの嫉妬心は凄いよな。
………そこで相談だ。
俺とは口聞いてくんねーから、あんた達代わりに謝まってくれねーか?。
なっ?。頼む。助けてくれよ、この通りだ、お願いします…って言ってるだぁ。」
「……。ねえ、高橋。…あなた通訳に余計なアドリブ入れてない?。
どう考えても熊の発言量とあなたの言葉数が全然合ってないけど…。
中澤さんに酷評された、新垣のトルシエの通訳のモノマネより無理が有るわ。
……とにかく熊さん。ゴメンなさい、私達時間無いから。」
- 136 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時08分58秒
『グオーーン。』
「俺はあいつの事を愛している。あいつ無しでは生きていけないんだ。
この張り裂けそうな胸の想いを解かってくれ。…って言ってるだぁ。」
「…でもねえ、辻加護ちゃんや安倍さんも探さないといけないし…。」
『グオーーン。』
「この哀れな熊を見捨てるのか?。この根性無しめっ。…って言ってるだぁ。」
「うるさいわねえ。ダメなものはだめなのっ!!。」
『グオーーン。』
「そこの綺麗なお嬢さん達、特に大きい方。あんたみたいな美人は初めて見たよ。どっかのモデルさんかい?。
…ところで、俺の願いを聞いてくれ。…って言っ…。」
「もー、しょうがないなぁ。ルンルン。じゃあ高橋、あなたは辻加護コンビを探してねっ。
私は、この正直者の熊さんの頼みを聞いてあげるから。
ほらっ、早く案内しなさいっ。よーし、梨華ハリキっちゃうぞーっ!!。」
石川は、上機嫌で熊と共に森の奥へ消えて行った。
- 137 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時09分37秒
(解りやすい人だわぁ。…ほんだら、オラは辻加護さんを探すかぁ。)
高橋は川の中を真っ直ぐに下りて行く事にした。
透明な水はヒンヤリと冷たい。
目の前で気持ち良さそうに泳ぐ小魚達のウロコが
太陽の光に反射してキラキラ輝いている。
つい先程、あのうるさいチビッココンビが通ったとは思えないほど
のどかで静かな光景。
川の流れはさほど強くない。
と言うよりも、ゆるやか。
熊の話だと,、二人は川くだりを楽しんでいるようだが
どちらかというと、川浮かびと呼んだほうがいい。
普通に歩いた方が、よっぽど速い筈だ。
二人に追いつくのも時間の問題か。
- 138 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時10分14秒
「おーい辻さーん。加護さん居ねーかぁ?。」
もう随分歩いた。
そろそろ追いついてもいい頃だ。
(ん?あれ何だぁ?。)
前方に、水泡がプクプクと浮かんでいる一帯を発見した。
近付こうとしたその時だった。
『ザッブーンッ』
水面から懐かしい顔が浮かび上がってきた。
「…か、加護さんっ!!。」
「…お、おう…愛ちゃんか?。久しぶりやのう。」
水に濡れた加護の髪の毛は、ペタンと頭に張り付いている。
それは遠目からでもハッキリ解かる程のボリュームの無さ。
可愛そうにこの若さで…。
高橋は出来るだけ目線を上げないようにして挨拶する事にした。
- 139 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時10分46秒
「どうも、お久ぶ……・、キャーッ!!。」
驚いた高橋の悲鳴が森内を駆け抜ける。
加護の背後から一体の水死体が浮かんできたのだ。
力無く手足を放リ出し、ピクリとも動かない遺体は…女。
しかも、まだ子供のようだ。
「…そ、それって…。」
「ああ、そうや、ののやで。…うちの手で殺したった。
ののが悪いんやでぇ。何か覚醒した覚醒したってインターネットに書かれて
エエ気になってんねんもん。」
加護は拗ねたように頬を膨らませ、水死体となった辻を見つめる。
「あ、あんたぁ…何て事を。…ま、まだ間に合うかも知れねーだぁ。陸に上げて人工呼吸するだぁ。」
急いで辻の側へ駆け寄ると、体を引っ張るように陸へ引き上げた。
…少し重かった。
- 140 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時11分21秒
引き上げた体を仰向けに寝かせる。
辻の顔は顔面蒼白で、唇も紫色に染まっている。
「加護さん、何ボーッとしてるだぁ。早く手伝ってくんろ?。」
「…し、しゃーないのう。」
高橋の必死さに負けたのか、加護は渋々ながら川を出て
ゆっくりと辻の側に座る。
「じゃ、オラが人工呼吸するからぁ、加護さんはお腹を押すだぁ。」
「おうっ、任せろや。…………って早うツッコマんかいっ!!。
今、うちが押してるの愛ちゃんのお腹やろ?。
『違うがなーっ』って条件反射でウチの頭叩かなアカンわ。ハゲ気にしとる場合や無いで。
『おうっ、任せろや』の『任せ』の時点で、うちの目が愛ちゃんのお腹ジーッと見てるの
気付けへんかった?。そんなんではミニモニ入っても活躍出来へんでぇ。」
「…はっ、はいぃ。…以後、気を付けるだぁ。」
「よし。ほな、これからはウチの事を師匠って呼べや。色々鍛えたるからな。」
高橋、リトルデビルに弟子入り。
- 141 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時11分53秒
「ほんで、もう一個忠告…いや命令や。…役変われやアホンダラ。
何でお前が人工呼吸すんねん。ののの唇を奪ってええんは
うちだけって決まっとんねん。交代や交代っ、さっさと変われやボケッ!!。」
席替えタイム終了。
「よし。ほな行くでぇ。準備ええか?。………アカン、駄目。全然駄目や。
あんだけ振ってんねんからボケんかいっ!!。
そこは自分のお腹押すトコやろ?。100歩譲ってもウチのお腹や。
有り得へん。普通にのののお腹押すなんて芸人として有り得へんわ。
ミニモニ辞めさせるでぇ。なんなら平家はんと替わるか?。
今のがもし平家はんやったら、刀で自分の腹を切り開いて
『やってもーたーっ!!』言いながら、命懸けの落ち武者ギャグかますトコや。
あの人の落ちぶれ方を見習えっちゅうねん。
隙が有ったらボケる、ボケたらツッコむ。それが芸の基本や。
解かったな。………このロリータ中学生っ!!。」
「……そ、それはお前だぁ。」
「ゴォールァーー。何ぬかしとんねんボケーッ!!。殺すぞっ!!。殺って殺って殺りまくるぞっ!!。
先輩にツッコむなんて100万年早いんじゃーっ、このビックリ顔めがっ!!。」
- 142 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時12分48秒
「………あ、あれ?。」
師匠の理不尽な説教に耐えていた高橋は、不意に死んでいる筈の辻の口元が
モゾモゾと動いている事に気付いた。
「あ、あのう、…何か辻さんの口元、微妙に震えてるけどぉ。」
「おっ。ええトコに気付いたな。よしっ、軽くお腹押してみい。…ボケんでええからな。」
言われた通り、辻のお腹を軽く押してみた。
「プシューッ。」
辻の口元から噴水のように川の水が吹き出した。
「よし、もう一回や。」
「シューッ。」
今度は、先程より少量の水が溢れ出した。
既に、辻の顔は半笑い。
「よし、次はラストや。準備はええか?。まあ、勘のいい読者さん達には
バレバレやろうけどぬかるなよ?。レディー、ゴーッ。」
最後は少しだけ強く押してみた。
「ポンッ!!。…ピチピチピチッ。」
予想通り、辻の口から勢い良く小魚が飛び出してきた。
「…ダ、ダチョウのデブかよぉっ。」
ムクッ。
「…赤点ギリギリれすが、ヨシとするのれす。
本当は、『父さんっ!!。口から蛍が産まれましたっ!!。』が正解れすけろ
取り合えずミカよりは使えるのれす。」
高橋愛。ミニモニセンター試験に補欠合格。
- 143 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時13分24秒
「本当にビックリしただぁ。小芝居なら小芝居って言ってくれれば良かったのにぃ。」
「ソレやったらテストになれへんやないか。まあ、取り合えず合格オメデトウや。」
加護がゆっくりと右手を差し出す。
手の平を上に向けて。
「あ、あのう加護さん。ソレも何かのテストかぁ?。そんな握手見たことないわぁ。」
「…まら、解かってないようれすね?。」
辻の目が怪しく光る。
「はよ、出さんかい。はよ。」
加護の右手が激しく上下に動く。
何かを要求しているようだ。
「…あっ、解かっただぁ。オヒネリだなや。カッパの花道のつもりなんだぁ。
はいはい。小銭しか無いけどぉ、あげますよぉ。辻っぱさん、いい演技だったケロ、はい10円。
加護っぱさん、色々勉強になりましたぁ、10円。二人合わせて20円、…足りんかぁ?」
「やったでえ、ののっ!!。」
「大金持ちなのれすっ!!。」
高橋愛。ミニモニセンター試験でトップ合格に繰り上げ。
- 144 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時14分45秒
その頃、石川は熊に連れられて森の奥へ。
奥へ進めば進む程、道は険しさを増す。
そこは、熊でさえ迷子になってしまいそうな想像を絶する世界。
道を行く途中で、草木に隠れるように穴を開けた洞窟が顔を出した。
「ねえ、熊さん。この中には何が住んでるの?。」
『ガオーー、ガオーーー』
(昔はヘビとかコウモリとかが一杯住んでたけど、今は解からねえなあ。
ん?、ちょっと待て。…人だっ!!。奥から人の匂いがするぞっ!!。
もしかしたら、あんたが探してる安倍って人かも…。)
「…って、よく考えたらあなたに聞いても何言ってるか解からないのよねっ。
ウフフ。チャーミーったらお茶目っ。ルンルン。
さあ、早く奥さんの所へ案内しろーーーーーいパンツ。きゃはははっ、80点っ!!。」
『……。』
相変わらず上機嫌の石川を前に、熊は言葉の壁以上の何かを感じていた。
- 145 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時15分15秒
木は森の入り口と比べ、かなり太く高く茂っている。
大きく広げた葉に太陽の光りを遮られ、まだ昼間だというのに辺りは薄暗い。
「ねえ、あなた何処まで追い出されたの?。もう随分歩いてるんだけど。
こんなに遠くまで家出させるなんて相当酷い鬼女房ねっ。
会ったら絶対ガツンと言ってやるんだからっ、プンプン。…会話は出来ないけど。」
『ウォーーーーーーン。』
突然、近くで獣の雄叫びが聞こえた。
『ガウガウ。』
(に、女房だっ!!。姉ちゃん、頼んだぜ。あと言い忘れてたけど、うちの女房は
このジャングル最強の暴れん坊だから怪我しねーように気をつけなっ。
…まっ、どうせ通じねーからいーや。)
「今のが奥さんねっ。よーし、話つけてくるから、あなたはココで待っててね。」
…コクッ。
熊は震えながら頷いた。
- 146 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時16分36秒
今日はここまで。
>125 名無し読者82さん
『塩分過多で成人病に気をつけよう、飲み干せ大海原大作戦』
うむむっ?。なかなか素晴らしい発想をお持ちのようで(笑)。
っつーか、名無し読者82さんには僕と同じ匂いを感じてしまったので、今スグ病院へGOーっ!!。
電光石火で強制入院。
ベッドに縛られ終身雇用。
これで、あなたもネタきり老人。
>126 名無しさん
『紺野最高。矢口最高。ついでに作者さんも(w。』
ついで扱い、誠に有難うございます。
ついでに更新待ってて下さい。
ついでにとっても嬉しいでーす(笑)。
- 147 名前:pp 投稿日:2002年12月04日(水)12時17分10秒
>127 ぶらぅさん
『飲んでいたらもちろん…画面にお茶を…(ry』
これは、画面にお茶を吹きかけてしまい、もったいないからペロペロ舐めていたら
とっても綺麗になったのでお礼に100万円さしあげ…。
ごめんなさい、調子に乗ってしまいました。もう、このネタ止めます(反省)。
紺野さんのところは自分でも書いてて楽しかったです。
やっぱり僕には下らない馬鹿ネタが一番合ってると再認識しました(今頃かよっ!!)。
>128 名無し読者さん
な、なんか物凄く嬉しいお言葉を…。
でも、僕は感動するような話を書けないからギャグに逃げてるだけですよ。
追伸
もし裁判になったらオウムの横山弁護士を社会復帰させ、二人で色んな裏技を駆使して
頑張ろうと思いましたが、どう考えても勝ち目が無いので諦めます。
…っつーか、パクりません。
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月04日(水)17時26分23秒
- 今度はハロプロニュースに河童できたか・・・
しかし恐ろしい・・・熊と戯れる日本一の勘違い女石川さん
他人のお笑いに厳しく、関西人のくせにあまり場の空気を読めない加護さん。
恐ろしい・・・恐ろしいセンスだ・・・。
- 149 名前:名無し読者82 投稿日:2002年12月04日(水)19時43分24秒
- パンチの効いた中堅芸人の2人も登場で、
更にパンチドランカーの症状が進みそうですw
廃人覚悟で読ませてくださいw、
同じ匂い…光栄です!病院では同室を希望させて頂きます!
- 150 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月05日(木)20時31分52秒
- レオナルドに爆笑。
- 151 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時08分15秒
「それにしても遅いっすねえ、梨華ちゃん達。 もしかして本当に…。」
吉澤と矢口、それに紺野を加えた3人は、待ち合わせ場所の海岸で
石川達の帰りを待っている。
『暗くなる前に戻って来いよ。』
別れる前に念を押した言葉。
だが、辺りは既に真っ暗。
約束の時間は、とっくに過ぎていた。
「おーいぃ、今帰ったぞぉー。」
森の中から待ちわびていた言葉が聞こえてきた。
「高橋っ。…それに…辻加護じゃんっ!!。会いたかったぜーっ。」
矢口達は一目散に走り出した。
- 152 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時08分49秒
「なあ、のの。…あの両手広げながら先頭きって走ってくる小っこい異星人もどきは何者や?。
っちゅうか出来損ないのブッサイクなダッチワイフに知り合いなんておったか?。」
「きっと地獄からの死者なのれす。のの達が悪い子らったのれ捕まえに来たのれす。」
「「「ウワァーーー。」」」
辻に加護。
それに何故か高橋も一緒になって逃げ出した。
「あっ、ちょっと待て、逃げるなよ。オイラだよ、矢口。矢口だよーーっ。」
「はっ!!。そうだぁ、そうだったわぁ。辻さん加護さん、あの人矢口さんだったわぁ。特殊メイク前の。」
ピタッ。
辻加護の動きが止まる。
「…それホンマか?。アイツの顔面のドコ探しても、ヤグチの矢の字のカケラも無いがな。」
「…ろちらかと言うと、顔面に矢が突き刺さってグチこぼしてる痔のカケフに近いのれす。」
「悪いけど、試させてもらうか?。」
「そうれすねえ。」
2匹の小悪魔がニヤリと笑う。
- 153 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時09分19秒
「パンパカパーン。クイズお前ホンマに矢口はんか?。司会のあいぼんや。」
「ののなのれす。」
「証拠見せてみいや。ホレッ。」
「ホレッ。なのれす。」
矢口の目の前に、ちいさなボストンバックが投げ捨てられた。
「お前がモノホンの矢口はんなら、そん中に入れる筈や。5分間笑顔を絶やさずに入っとったら
真里っぱ姉ちゃんと認めたるわ。」
「認めたるわ。なのれす。」
「……なあ。…何でカメラも回ってない無人島で、ニコニコ笑いながらエスパー伊藤ゴッコしなきゃいけない訳?。
っつーか、ソレの何処がクイズよ?。ただの一人我慢比べ大会じゃんか。
まだ、自爆アンケートの方がマシだっつーの。
ねえ、よっしー頼むよ。このチビッコ共にちゃーんと言い聞かせてくれ。オイラは本物だって。」
矢口は堪らず吉澤にすがりついた。
- 154 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時09分52秒
「へへへっ、矢口さんよう。あんたが本当の矢口なら、バックの中に入りゃあ済む事じゃねーか。
それとも入れない理由でも有るってのかい?。例えばニセモノだとか…。
ガタガタ言わねーで、さっさと入りやがれっ。このニセ浜崎っ。」
(…よっしーの奴、この期に及んで裏切りやがったな。…しかもキャラまで戻ってるし。)
「ね、ねえ紺野?。頭のいいあんたなら解ってくれてるでしょ?。」
「覇ァァァァーーーーーッ!!。」
(…ダ、ダメだ。又あのインチキ空手を発動する為に瞑想してる。)
「こうなったら高橋……は聞くだけ無駄か。
くそっ、こんな時に石川が居てくれたら……もっと無駄だ。
…いいよ、解ったよ。入ってやるよ馬鹿ヤロー。
5分でも500年でも、ずっとこのままで暮らしてやるってんだ。
オラーッ、早くチャック閉めやがれっ!!。
このまま日本までテイクアウトしてみろよっ。
税関で『ビーッ』って鳴っても知らねーからなっ!!。」
バックから顔だけを覗かせた怪しい生き物が、半狂乱でわめき散らした。
- 155 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時10分24秒
「何やコイツ、新種の毒舌シーマンか?。ゲーム業界もエライ賭けに出たもんやのう。」
「れたもんやのう。なのれす。」
「ほんならやるか?。(ニヤッ)」
「やるのれす。(フフフッ。)」
ジジジジジーーー。
2匹のラブラブデビルは、バックのチャックを閉め終えると
ポケットから油性マジックペンを取り出した。
「?!!。…な、なあ辻ちゃん加護ちゃん。…ゴメン。何かオイラ、図に乗っちゃったみたい。
あのう、早く出してくんないかな。……何かすげー嫌な予感すんだけど…。」
「「イエーイ。レッツ、落書きターイムッ!!。」」
「う、うわーーっ。止めろっ、止めてくれーーーーっ!!。」
暗い海岸に、少女達の明るい笑い声がこだました。
- 156 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時10分59秒
30分後。
「グスン。…矢口はん、ホンマにスマンかった。…許してえなあ、もう絶対せーへんから。」
「エグッエグッ。ゴメンナサイなのれす。反省してるのれす。」
顔中を真っ黒に落書きされて怒り狂う矢口の前で、全員が正座させられていた。
「本当にテメーら、いい加減にしろよ。アイドルは顔が命だろ?。その商売道具に何て事すんだよ。
特に石川ぁ。…お前、途中から参戦してきたくせに、何獅子奮迅の暴れっぷり見せてんだ?、コラ。
オデコに【小】って書いたのお前だろ。何のヒーローだよ。何マンを名乗ればいいんだよ、オイラは。」
「……オマンっ!!。」(ププッ)
「ゴォルァーッ、テメエーーッ!!。全然反省の色が見えねーじゃねーーかっ!!。
よーし、テメーにも同じ屈辱を与えてやるぜっ。顔中に一生消えない放送禁止用語を
書きまくって二度とテレビに映れないように………ん?…………し、しまった。
こいつ元々黒いから何書いても見えねえ……。そうか、お前の反省の色は黒だったか。」
…矢口、何となく納得。
- 157 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時11分32秒
「さっ、石川さんも反省してる事だし、そろそろ許してあげますかっ?。」
「……なあ、紺野。今の言葉、一緒に正座して謝ってる奴のセリフとは思えないん…。」
「「「「「「ふうーーっ、やっと許して貰えたよ。」」」」」」
矢口の言葉を無視するかのように全員がその場に立ち上がった。
ハイタッチする者や首をコキコキ鳴らす者、大きく欠伸をする者など
各自思い思いの方法で解放感を表現している。
「でねっ。パッて見たら醜い亀がバックの中に閉じ込められてて、可愛い女の子達にイジメられてたの。
正義の味方の浦島チャーミーとしては黙ってられなくって、玉手箱開ける覚悟で叫んだわ。
『私にもやらせてーーっ』ってね。ルンルン、早く竜宮城に連れてってくれないかなー?。」
「ガハハハっ。」
石川達は、矢口をよそに先ほどの武勇伝で勝手に盛り上がっている。
もはや、一人だけ蚊帳の外。
(…もうイヤ。こいつらと居ると頭おかしくなってくるよ。…助けて、祐ちゃん。)
上空を見つめる矢口の瞳に、悔し涙ポロリ。
- 158 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時12分04秒
「そうだぁっ。石川さん、熊の奥さんとは話ついたんかぁ?。」
「あっ!!。そうそう、忘れてたよ。みんなに重大なお知らせが有るんだった。…はいっ、注目ぅーー。」
石川は周囲の気を引く為に軽くポンポンと手を叩いた。
「アンソニー2号っ。!!。………じゃ無かった。
コホン。………実はね。」
石川は今までの経緯を説明し始めた。
「…で、その奥さんの所へ向かったのよ。そしたら…。」
「そしたら?。」
先ほどとは打って変わった真剣な表情の石川の話に、全員が身を乗り出すように聞き入っている。
「目の前に出てきたのは、…全身を緑色の体毛で埋めつくし、頭に生えた角を磨きながら
死んだ子豚の周りで歓喜の舞を披露する世にも恐ろしいゲテモノ。……の保田さんだった。」
「…!!。」
あまりの報告に全員声も出ない。
高橋や紺野などは、その変わり果てた保田の姿を想像したのか口元を押さえ嗚咽している。
- 159 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時12分34秒
「この短期間の間に、保田さんの中で眠ってた妖怪の魂が息を吹き返したみたい。
完全に猛獣達と溶け込んでた。…って言うか既にジャングルを支配してた。
もう、あの人は保田さんじゃない。…野性の女ターザン、…いやビーストよっ。
ジャングルの奥地に潜む恐怖の大魔王、…ビースト・ザ・ケメコよっ!!。」
「ひえーーっ。ビースト・ザ・ケメコなのれすーっ。」
突然辻がその場にうずくまり、おへその辺りを手で隠しながらガタガタ震えだした。
どうやら、高木ブーのカミナリ様と勘違いしているらしい。
「いつか聞いた遠吼えの正体も保田さんだったみたい。
何日かに一回叫ばないと、元の醜い人間の姿に戻っちゃうんだって。
だから、変な鳴き声が聞こえても気にしないでくれって言ってた。
…とにかく、あの人はモーニングどころか人間まで卒業して、幸せに第2の人生を歩んでるわ。
ジャングルを統べるモンスターとしての新しい道をね。
私達に出来る事は、そっと見守っててあげる事だけよ。」
『ワオーーーン。』
森の奥から、その存在を鼓舞するかのように雄叫びが上がる。
さよなら、保田圭。
どうかお元気で。
全員笑顔で敬礼。
- 160 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時13分13秒
みんなで感傷に浸っている時だった。
『おい、テメーらっ!!。全員でイカダ作れ。脱出用のなっ。』
後方の崖の上から、少女の怒鳴リ声が聞こえてきた。
「?!!。あれって、…小川?。…暗くて良く見えないけど、あの顔のデカさは小川に
間違いないよね?。」
「…多分そうや。遠くから見ると遠近法で前傾姿勢に見えるんは、マコッちゃんの特徴や。
アヤカはんも可愛そうにのう。ヨッシーとマコっちゃんと並ばされたら、まずテレビには映れんでぇ。
ずーっと二人のデッカイ顔のドアップで、画面の奥の方に足元がチラッと映るぐらいやな。
けど、突撃英会話でも一番目立っとったんは、あの色気ムンムンの足やったから
顔映らんでもヲタは満足やろ。」
全員納得。
- 161 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時15分25秒
「そんな事より、…イカダで脱出するってのは結構いい考えっすよねえ。」
感心したように吉澤が呟く。
「うん。……誰かのネタと比べたら全然現実的だよ。」
矢口は皮肉たっぷりに紺野を見つめた。
「あっ、イカダなら私も考えましたよ。1番最初に。
って言うかメモ帳の裏表紙に書いてたから忘れてて、うっかり2番目から
発表しちゃいました(ニコッ)。」
紺野が胸を張る。
「…なあ。…メモ帳にメモ書く時に、裏表紙から書き始めるバカ居るか?。
カレンダーの上に字書いてどーすんだよ。
っつーか、何で最初イカダで次にいきなりトンネル掘る気になったんだ?。
オイラ、そっちのほうが不思議だね。」
矢口は首をかしげながら振り返ると、小川の居る崖を見上げ大声で叫んだ。
- 162 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時16分00秒
「おーい、小川ぁー。取り合えずコッチ来いよー。みんなでイカダ作ろうぜーっ。」
『……みんなで?。寝ボケてんじゃねーぞコラーッ。お前らが汗水垂らしてつくるんだよ。
俺様が脱出する為のイカダをなっ!!。手抜きすんじゃねーぞ。』
「お前、何言ってん………えっ。」
突然、小川の横から月明かりに照らされた二つの人影が現われた。
ロープでグルグル巻きに縛られ、気を失っているのは安倍。
その安倍にナイフを突きつけて、楽しそうにニヤニヤ笑っているのは……飯田だった。
- 163 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時16分31秒
『いいかテメーら、良く聞けコノヤロー。3日だ、3日待ってやる。
その間に完成させろ。もし出来なかった場合は、…解かってるだろうな。
コイツの命はねーぞ。」
小川はシャクレた顎を安倍に向け、首を切るポーズを見せた。
「ちょ、ちょっと待ってよ。…小川ぁ、お前何してるのか解かってんのか?。
カオリもだよ。なっちを離せってんだ、頭おかしくなったのか?。」
『よし、帰るぞ。飯田。』
『はいっ、小川様。』
小川達は崖の上から姿を消した。
かに見えたが、飯田が振り向きざまに大声を上げる。
『…ところで、そこの見知らぬ…。』
「ヤーグーチーっ!!。」
何度目かの自己紹介終了。
- 164 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時17分02秒
「どうしちゃったんだろ、小川と飯田さん。…あんな怖い二人見るの初めてだよ。」
石川が泣きそうな声で呟く。
「信じられねーのれす。」
「何か変な物でも口にしたんでしょうか?。」
全員が下を向いて考え込んでしまった。
「…まあ、とにかくさ、なっちを人質に取られてる以上、小川達の要求を飲むしかないよ。
考えるのは後にして取り合えずイカダつくるか。………高橋が。」
「…絶対そう来ると思ってただぁ。」
ギロッ。
「来るって思てるんやったらツッコマんかいっ!!。何度も言わすなやボケ。
相手が矢口はんやからって遠慮しとんのか?。笑いに先輩後輩なんて関係有るかタコ。
芸の世界はな、弱肉強食、オモろいモンの勝ちなんや。
食うか食われるか、毎日が戦争や。負けたら明日は無いんやでえ。
それを心に刻んどけっ。……解かったなっ、この鼻詰まりっ!!。」
「そ、それは辻さ…。」
「何らとコラァァァーーッ!!。」
(……オ、オラ、どうしたらいいだぁ?。解からんわぁ。)
ミニモニへの道は険しく長い。
- 165 名前:pp 投稿日:2002年12月10日(火)12時17分37秒
…今日は以上。
>148 名無し読者さん
誉めて頂いてるんですよね?。
余りのセンスの無さに、呆れて怖がってる訳じゃ無いんですよね?。
あっ、有難うございます。(誉めてるよって声が聞こえた。…いや間違い無く!!。)
石川さん並の勘違いとポジティブ思考で頑張ります。
>149 名無し読者82さん
申し訳ないですが、廃人になってください(笑)。
あっ、…男性ですよね?。
女性なら愛人でも可。
>150 名無し読者さん
レオナルドに反応して頂けるとは…。
失礼ですが、名無し読者さんもかなりのオッサンとみた(笑)。
ちなみに、僕はお笑いスタ誕に出てたコントレオナルドを
リアルタイムで見てたくらいのオッサンです。
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月10日(火)12時37分13秒
- 失礼ですが働いていらっしゃいますよね?
何でこんなに娘。達の出演番組をチェックできるのかわからない。
純粋に娘。が好きだから見るのではなくてネタ集めのために見ていらっしゃいませんか?(w
僕は娘。の番組はハロモニさえあれば良いと思っている人間なので24時間TVに出ると聞く度に泣きそうになります。
だけどチェックしてしまいます。悲しいけどこれがモーヲタなのよねぇ。
話は変わりますが作者さんが書いていらっしゃる物語は紫板とココだけですか?
- 167 名前:りゅ〜ば 投稿日:2002年12月10日(火)20時11分37秒
- やっぱ最高でつ。更新がくる度にいつも一人でPCの前で吹き出してます。
展開も面白いし、作者さんのファンになってしまいそう…いや、既にファンか(ry
更新期待してるんで頑張って下さい!!
- 168 名前:名無し読者82 投稿日:2002年12月10日(火)23時10分39秒
- あとはビーストとビーンズだけですね。
人数の増加と共にネタも加速しているのが素晴らしいです!
ちなみに自分はぶるうたすもミスター梅介も知らない
イージュウオサーンセクシープッシーキャットですw
次回更新心待ちにさせて頂きます。
- 169 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時22分07秒
その日から、全員でのイカダ作りが始まった。
建設界のプリンセス、ミニマム矢口の指揮の元
紺野が木を蹴り倒す。
辻が長さを調節し、加護が枝を切り落とす。
吉澤が木を並べ、高橋が森の中から取ってきたツルで石川が縛る。
見事なチームプレイ。
- 170 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時22分45秒
「ねえ、何か普通に作ってても面白くないよね。
ゲームでもやりながら作ろっか?。」
矢口の一言で古今東西ゲームが始まった。
「じゃあオイラが司会ね。…行くぞ。古今東西、こんな新メンバーはイヤだ。はい石川っ。」
「えっ、えーっと、……ヒゲが濃い。」
「ぶははは。何だよソレ。…っつーか男じゃん。次、吉澤。」
「じゃあ、………俳句をこよなく愛している。」
「ぎゃはは。そいつ幾つだよ。…次、紺野。」
「…口グセが、ござる。」
「がはは。何処の侍だっつーの。」
「気付くと血だらけ。」
「知らないオヤジの胸で3回泣いた。」
「給料日は必ず行方不明。」
「十字架を怖がる。」
「何かにつけてアリバイ調査。」
「油断してるとすぐ脱ぐ。」
「やたらとエジプトに詳しい。」
「地球が丸いのを認めない。」
・
・
・
- 171 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時23分15秒
3日後。
決して立派とは言えないが、それなりのイカダが完成した。
その名もアントン丸。
「ようやく完成したようだな。やれば出来るじゃねーか。
よーし、お前ら全員1列に並んで、うつ伏せに寝ろ。
いいって言うまで動くんじゃねーぞ。」
何処からともなく現われた小川がゆっくり近づいて来た。
「それから、加護。…2日目のお題、こんな娘は要らないで、『ケロンパ』って
言ったのお前だよな?。…アレどう考えても俺の事だろ?。ピーンと来たぜ、ピーンと。
…それと辻。3日目のお題、こいつ本当に娘でいいの?で言い放った『顔がゲロゲーロ』って
絶対俺の事だよな?。心の中で確実に俺の顔思い浮かべてただろ、ふざけやがって。」
小川は砂を握り締めると悔しそうに地面に叩きつけた。
(…何処で聞いとったんや。)
(…きっとのののTシャツの中なのれす。この3日間、ずっとお腹がモゾモゾしてたのれす。
平面ガエルのピョン吉様に変装してたのれす。)
- 172 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時23分53秒
砂浜には小川一人。
飯田と安倍の姿は無い。
「そんな事より、なっちは何処?。早く返してよ、約束でしょ?。」
背中越しに矢口の冷たい言葉が突き刺さる。
「そう焦るなよ。俺様が無事に脱出したら返してやるからよっ。」
小川はイカダに座り込むと、森を見上げながら吐き捨てた。
「じゃあさ、せめて理由を教えてくれない?。何でこんな事するの?。
何で私達と一緒に帰ろうとしないの?。」
「…理由だぁ?。」
小川の大きな顔が一段と険しくなった。
- 173 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時24分26秒
「そんなの簡単じゃねーか。お前らと一緒だと目立てねーんだよ。
みんなで仲良く帰ったって、又隅っこで踊らされるの目に見えてるだろ?。
『ブルルルルルー』って訳解かんねー寄り目で笑い取る役しか貰えねーだろ?。
だから一人で帰るんだよ。仲間を失った悲劇のヒロインとして
マスコミにちやほやされながらソロデビューして目立ってやるんだよっ。
……おい、高橋っ。」
「は、はいぃっ!!。」
突然の名指しに驚いた高橋は、普段の倍のびっくり顔。
「お前はいいよな。いつもいつもメインでよ。
新曲出せば真ん中で、ドラマ撮れば主役。
一人で藤井隆とからんだり、挙句の果てはピンで写真集か?。
出世街道まっしぐらかじゃねーか。偉くなっちまったぜ、全くよう。」
(…解かる、解かるぜ小川、その気持ち。…痛いほど。)
吉澤の胸に熱いモノが込み上げた。
- 174 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時24分58秒
「…それから紺野っ。テメーもだコノヤロー。お前、何目立ってんだよ赤点のくせに。
加入していきなり怪我なんかしやがって話題独占じゃねーかチクショウ。
なあ。…あれ絶対ワザとだろ?。体張った売名行為だろ?。白状しやがれコラッ!!。
おかげで、13人がかりのクリスマスとかミュージカルとか完全にメイン扱いだもんな。
すげー差が付いちまったもんだよ。
特にミュージカルなんて、俺の100倍は出番有ったよなっ。羨ましいぜっ。
っつーか、あのミュージカル、俺居なくても全然OKじゃねーか?。
…いや、……むしろ居る方が不自然だっただろ?。
脚本家が、『あっ、一人忘れてた。取り合えずテキトーに出番作っとくか?。』
って鼻くそほじりながら面倒臭そうに台本に付け足したの見え見えだったじゃねーかよっ!!。」
(…解かるのれす。のの同じ気持ちらったのれす。)
辻の胸に熱いモノが込み上げた。
- 175 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時25分28秒
「あと、……ん?。…あと五期メンバーに誰か居たか?。……居ねーよな。
思い出せねーって事は最初から居なかったんだよっ。
俺より影が薄い奴なんて居る訳ねーもんなっ、バッカヤロウっ。
とにかく、ここから脱出するのは俺様だけで十分なんだよっ!!。
テメー達はこの島でおとなしくしてやがれっ!!。」
小川の瞳には欲望の炎がメラメラと燃えている。
まさに、燃える闘魂。
「小川様ぁー。無事終わりましたー。今行きまーす。」
その時、森の奥から安倍を抱えた飯田が大急ぎで走ってきた。
「…おっ。もう帰って来やがったのか。図体デケーくせにやる事は早えな。」
小川は独り言を呟くと、素早くイカダを離岸させ一人で大海原へ飛び出して行く。
「えっ!!。ま、待って下さーーい、小川様ぁぁぁっ!!。」
『…あばよーっ。飯田ぁー、お前が馬鹿で助かったぜー。
テメーらの分まで頑張ってやるからなーっ。
行くぞーっ。1、2、3、……だぁーーっ!!。』
遠く離れた海の上で、小川の勝利の雄叫びがこだました。
- 176 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時26分03秒
「…あのね(グスン)、…カオリ嵐の後ずっと気を失ってたの。…そしたらね、耳元で
『ワレワレハ、ウチュウジンダ。オガワサマノユウコトヲキケッ、コノヤロー。』
って神のお告げが有ったの。で、目を覚ましたら目の前に猪木のモノマネしてる
小川が居たから、思わず小川様って呼んじゃった(グスン)。」
「…何でそんな簡単に騙されるんだべ。カオリは一応リーダーなんだからしっかりするだべさ。」
飯田を中心に遅すぎる反省会。
「小川に言われたわ。森の向こうの浜辺で、なっちと石川と吉澤が一緒に居るって。
でも、向こうには行くなって。俺に考えが有るから言う通りにしろって。
小川は調べてた。いつ、どこで、誰が、何を、………いや、誰と誰が隠れてナニしてるのかまで
行動を全部調べてた。」
「………(ポッ)。」
石川と吉澤、赤面。
- 177 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時26分38秒
「そこで今回の計画を聞かされたの。
みんなを出し抜いて二人だけで帰国して、ユニットで再デビューする計画を。
ビジュアル的に見て、キロロや花*花よりは上に行けるだろうって。」
「…まあ、有る意味それほど差は無いと思うでえ。」
「流球の顔面岩と、浪花の妖怪人間と、越後のケロッコデメタンによる
仁義無き戦いですね。」
「そう言えば、昔ベイブって二人組みにクロマティーが居たべ。
どうせなら、奴らもエントリーさせるべ。熱い戦いが期待できるべさ。」
「…なら、特別枠でピンクの電話にも出場権を…。」
メンバー達は口々に夢のバトルを語り合った。
「ちょっと、みんな聞いてーーーっ!!。」
飯田の説明は続く。
- 178 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時27分11秒
「…でね、脱出するにはイカダが要るでしょ?。
でも、カオリ達は力も無いし不器用だから上手く作れない。…って言うか面倒じゃん?。
だから、一番ドン臭いなっちを人質にとって、あんた達に替わりに作ってもらう事にしたの。
ちょうどいい具合にメンバーが続々と集結したのも好都合だったわ。
そのほうが早く出来上がるし、敵が一箇所にまとまれば監視しやすいもんね。
それで、頃合を見て計画を実行したの。
あっ、もちろんカオリは反対したのよ。信じて。
けど、再デビューしてもリーダーにしてくれるって言われたから、…つい、嬉しくて…。」
「じゃあ、飯田さんを騙したのも、安倍さんを人質に取ってイカダ作らせたのも
…矢口さんが別人なのも、……チャーミーがこんなに可愛いのも
ぜーんぶ小川が一人で仕組んだ計画だったのね。」
「ひえーっ。さすが梨華ちゃんなのれす。するろいのれす。」
(……どうしてウチのメンバーってバカしか居ないの?。)
矢口の胸に熱いモノが込み上げた。
- 179 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時27分52秒
「でも、いいじゃないっすか。ウチらも、もう一個イカダ作れば…。」
「…そう。……小川様…いや、あのニセ猪木も同じ事考えてたわ。
だから命令通りに森に火を点けてきた。木や食料を全部焼き払う為にね。
…カオリ、必死に頑張ったのに。…ガソリン巻き散らして大活躍してきたのに。
それなのに、…それなのに、あの春一番はカオリを捨てて…(ウワァーン)。」
「「「「「「えーーっ!!。」」」」」」
全員の視線が森へ集中する。
森からは何本もの炎が立ち昇っていた。
今まで気付かなかったのが不思議なくらいに。
「バカッ。何でソレを先に言わないんだよ?。」
「…(グスン)。モノには順序が…(ウワァーン)。」
(…こっちが泣きたいよ。)
矢口の胸に、更に熱いモノが込み上げた。
- 180 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時28分25秒
今日は少し風が強い。
この分だと、森全体を焼き尽くすのにも、それほど時間は掛からないだろう。
「紺野ちゃん、ろうしたらいいれすか?。頭のいい紺野ちゃんなら、きっといい考えが浮かぶのれす。」
「あっ、はい。……では、お言葉に甘えて。
ジャジャーン、【何故かお腹が真っ赤っ赤。それ飛び込みじゃなくて飛び落ちだろ?作戦】。イエーイ。
みなさん水泳の授業で経験有ると思うんですけど、飛び込む時に勢い良く腹打ちすると凄い波が立ちますよね。
これは、その波を利用する画期的な作戦です。
えーっと、まずみんなで吉澤さんを担ぎあげ海の中へ放り込みます。
すると、全長300mの高波が襲って来ますので、各自何とか耐えて下さい。
波が通り過ぎれば、多分火は消えてると思います。」
「よーし、コッチは準備OKよ。私、想像以上に重いけど頑張ってねっ。どすこーいっ。」
吉澤は、ヤル気マンマンで四股を踏んでいる。
(………頭悪いにも程が有るだろ。)
矢口の涙は枯れ果てた。
- 181 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時28分57秒
「馬鹿なこと考えてないで、取り合えず火が回ってないトコから
木や食料を集めるんだよ。まだ、間に合うかも知れない。急げっ!!。」
矢口を先頭にして、全員が森の中へ駆け出した。
だが、中は予想以上に火の回りが早かった。
激しく燃える炎と舞い上がる排煙が行く手を阻む。
採取作業は思いのほか困難だった。
数時間後。
「…もう、……これ以上は無理っすよ。」
メンバー達の前には、ほんの少しの食料と木材が集められただけだった。
「これだけでは、イカダも作れないし、…食料も……1週間が限界…。」
目の前でメラメラ揺れる炎は、まるで運命をあざ笑うかのように燃え続けている。
メンバー達は、それを黙って見つめる事しか出来なかった。
- 182 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時29分30秒
「しゃーないなあ。…やる事無くなってもうたし、暇つぶしに『なぞなぞ』でもするか?。」
加護の提案。
「ほな、梨華ちゃんからいくでえ。なぞなぞの”ぞ”や。………はいっ、…ぞ、ぞ。」
「えっ、…ぞ?。……そんな急に言われても。…”ぞ”の付く言葉なんて…。
……うーんと、…えーっと、…………あっ、……ソーメンマンさん。」
ギロッ。
「高橋ぃっ、今やぁーーーっ!!。」
「キ、キン肉マンの三つ編みかよぉっ!!……………………。」
シーン。
時が止まった。
その瞬間、確かにソコだけ時が止まっていた。
余りのシュールさに、全員声も出ない。
「…ま、また、…また駄目かぁ?。」
高橋の怯えた目が加護を見つめる。
「……おめでとう。…最終試験、……見事合格や。」
加護は思いっきり高橋を抱きしめた。
「よう頑張ったな。辛かったやろ?。キツかったやろ?。
もうお前に教える事は何も無いわ。今すぐ山を降りて独り立ちしいや。
ウチは遠くで見守ってるからな。」
「あ、ありがとうだぁ。
オラ、…お師匠様の事は一生忘れねーだぁ。ウヮーン。」
高橋、悲願のミニモニ免許皆伝。
- 183 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時30分09秒
「…なあ、お前等。…何ごっこだよソレ。全然意味解かんねえよ。
……っつーか、本当に今のでOKなのか?。
もっと根本的な部分にツッコミ入れるトコ沢山有るんじゃないのか?。
だって、無理矢理『さん』付けて終わってるし。…いや、付けなくても終わってるし。
それに、『そ』じゃ無くて『ぞ』だろ?。勝手に変えてるじゃねーかよ。
しかも、ラーメンマンと勘違いしてるし。
おまけに、どう考えても今のは『しりとり』だよな。…『なぞなぞ』とは違うよな。
…そもそも、今はそんな事やってる状況じゃ無いだろ?。生きるか死ぬかの瀬戸際だろ?。
絶対絶命の大ピンチに何やってんだよっ!!。
なあ?、…何とか言ってみろよコラーーッ!!。」
矢口は怒ったように立ち上がると、ギュッと拳を握り締めた。
ポロッ。
余りに勢い良く立ち上がったせいか、矢口のズボンのポケットから丸い固まりがこぼれ落ちた。
前に海岸で見つけたカプセルだ。
「あーーっ!!。そ、それ、…私のです。……私が流したんです。」
声の主は紺野だった。
- 184 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時30分41秒
「そのカプセルに手紙を入…」
「はい、みんな注目ーっ!!。いつも真実、いつも実話。チャーミーの重大発表、その2っ!!。
ただいまの証言により、モーニング娘の紺野あさ美さんの両親は、…ぬ、ぬ、ぬわぁーーんと
ソニンと伊東四(バコッ、………………………………バコッ。)」
矢口のブーメランフックが石川の後頭部を直撃した。
……念の為、高橋にも。
「紺野、…続けろ。」
怒りの矢口、遂に鉄拳制裁。
- 185 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時31分18秒
「…ぐ、偶然持ってたカプセルに手紙を入れて海に浮かべておいたんですよ。
どこかの漁師さんとかが拾ってくれないかなって思って。
全部で3つのカプセルを別々の場所から流してみたんですけど、2つは
すぐにこの島へ戻って来てしまいました。
でも、残りの一つは何処にも無かったから、絶対遠い所まで流れてると
密かに期待してたんですが、……結局駄目だったんですね。
何かこの近辺の潮の流れって、全部この島へ向かってるみたいです。
これでは自力で島から脱出するのは不可能ですよ。」
「じゃあ、……完全に…。」
「打つ手、…無しじゃん。」
全員に落胆の表情が浮かぶ。
- 186 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時32分08秒
「はっ!!。ちょっと待って。」
紺野の話を聞いていた飯田が、突然声を張り上げた。
「自力での脱出は不可能なのよね?。」
「はい。」
紺野が頷く。
「こっちに戻される潮の流れなのね?。」
「はい。」
「………って事は(ニヤッ)。」
飯田は後ろの砂浜を振り返った。
そこには、波に押し戻されたイカダの上で
白旗を掲げながらジッと土下座している小川が居た。
- 187 名前:pp 投稿日:2002年12月16日(月)12時32分44秒
…今回は以上。
このところ風邪で頭がガンガンしてるので、自分でも何書いてるのか訳が解からなくなってきました。
滅茶苦茶な話でゴメンナサイ。
(最初から滅茶苦茶じゃねーか、って言う指摘は無しの方向で。)
>166 名無し読者さん
それなりに毎日働いてるし、モーニング娘も大好きですよ(笑)。
僕が書いてるのは、その二つだけです。
向こうはほとんど放置ですが…。
>167 りゅ〜ばさん
僕も、りゅ〜ばさんの作品読んでますよ。
お互い、頑張りましょう。
>168 名無し読者82さん
今回は(も?)、無理矢理ネタを入れてみました。
ビーストとビーンズ…上手いなあ(メモメモ)。
- 188 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月16日(月)12時54分03秒
- 矢口がつっこみを溜め込んで一気に放出するのがオモロカッタ
高橋は矢口に弟子入りするべきだったね
- 189 名前:名無し読者82 投稿日:2002年12月16日(月)21時24分46秒
- ソーメンマン…たしか親父でしたね。拉麺男の…w
今回も盛り沢山で感服しております。体調を崩されていてもこのクオリティ!
自分的には紺野の次の作戦にも期待してたりもしますw
次回更新も期待してお待ちしております。
ちょこっと古今東西に参加…「元お○ャン子だ」…スイマセン
- 190 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月17日(火)20時07分13秒
- 爆笑しました。
十字架を怖がる新メンバーは確かに嫌だ。
もっと書いて下さい。
- 191 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年12月20日(金)23時04分25秒
- …バスの中で必死に笑い堪えてました(w
それでも笑いを堪えてるのはばれるわけで…
目の前に居るお姉さんに変な目で見られました(w
次回も楽しみっす!!w
- 192 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時07分19秒
「も、申し訳有りませんでしたぁーーっ!!。」
「……ダメ。心がこもってない。もう一回。」
「許して下さい。お願いしまーすっ!!。」
飯田の愛のお仕置きは延々3時間も続いている。
「…カオリ、もう許してやるべ。本人も軽い出来心だって言ってるべさ。なあ小川。」
「…はい。反省してます。グスン。」
小川の瞳に涙が浮かぶ。
「本当の本当に、心の底から反省してる?。」
「…ふぁい。…エグッエグッ。」
小川は飯田の問いかけにもまともに答えられないほど泣き崩れている。
- 193 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時08分01秒
「あっ、それ嘘泣きだわぁ。マコっちゃんいつも言うてるもん。
『ハロモニの鍵開けゲームとか24時間テレビとかよう、取り合えず泣いとかねーと
俺の場合テレビ映んねーから大変なんだよ。
おかげで松田聖子も真っ青の嘘泣きマスターになっちまったぜ。
見てろよ、この可愛い涙で芸能界の頂上まで登りつめてやるからなっ。
くうぅーーっ、ハリウッドが俺を呼んでるぜっ。まあ、そん時はお前も映画出してやるよ。
部屋の中に飾られてる絵の役で。言っとくけど、コンマ1ミリでも動いたらブッ殺すぞ。
えっ?何、他のメンバー?。馬鹿野郎、あんな奴ら放っとけばイイんだよ。
特に飯田、あいつ全然駄目。
何処の星で義務教育受けてきたのか知らねーけど言ってること意味解かんねーもん。
あんなの映画に出したら、ピグモンとかバルタン星人がツアー組んで観に来るぜ?。
ウルトラマンも暴力事件起こす暇もねーくらいの忙しさだっつーのっ。』
って遠い目をしてオラに語ってくるだぁ。……すんごいドアップで。」
「……。」
高橋のチクリにより、飯田の愛の説教は延々5時間も続くのだった。
- 194 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時08分38秒
又、新しい一日が始まる。
昨日と変わらない、絶望の一日が。
眩しい朝日が大地を照らす。
島は一面焼け野原。
「…私達、もうダメかも知れないね。」
メンバー内一番の元気娘にして一番のムードメーカー。
精神的支柱でも有る矢口まで弱音を吐く。
あれから1週間。
もう、食料は完全に底をついている。
「お腹空いたね。」
「うん。」
「なっちも死にそうだべさ。」
みんな腹を押さえて上目使い。
「…あっ!!。い、今まで黙ってたけど、…実は私、癌なんですよ癌。
多分、私食べた瞬間、速攻で死にますよ?。」
吉澤、懸命の命乞い。
- 195 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時09分13秒
「みんなゴメンナサイ。私のせいで…。」
「もういいってば。誰もあなたのせいなんて思ってないから。
元々は、あの嵐が原因だもん。自然の脅威には逆らえないよ。
ホラっ。ちゃんと顎を張りなっ。」
落ち込む小川を石川が慰める。
猪木から猪木へ闘魂伝承。
「とにかくさ、ウチ達に出来る事は祈る事だけだべ。
みんなで神様にお願いするべ?。きっと助けてくれるべさ。」
安倍の提案も何処か寂しげ。
虚しさだけが心に残る。
「あっ、そう言えばっ!!。」
不意に小川が何かを思い出したかのように大声をあげた。
- 196 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時09分43秒
「みなさん。今日が何の日か覚えてますか?。」
皆、一斉に首をかしげる。
「今日は…12月31日。大晦日ですよ、大晦日。」
「あっ、…もうそんな時期なんだあ。」
既に、この島へ流れ着いてからかなりの月日が経っている。
メンバー達は、懐かしい日本での生活を思い出していた。
「はっ!!。…って事は、多分ウチらの替わりに後藤が一人で紅白出てるべ。
ムキーッ、めっちゃムカツクべさ。」
「いや、きっとカントリーよ…。私が唄ってれば放送禁止の筈なのに。…くっそう、りんねめっ!!。」
「ミカのアホも呼ばれてへんのに調子こいて出てるんちゃうか?。
『赤組頑張れ』の衣装着てレコ大に乱入して笑い取ってるんちゃうか?。
アカン、殴りたい。もう一回この手で思いっきりブン殴りたいわ。」
「…………年越しソバが食べたいのれす。」
それぞれの想いが頭の中を駆け巡る。
待ってろ日本。
絶対帰ってやるからな。
「頑張って生きまっ…」
「「「「「「しょーーいっ!!!!。」」」」」」
全員の心が一つになった。
- 197 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時10分13秒
「あ、あのう…一致団結してる所を悪いんですけど、私が言いたかったのは
そんな事じゃなくって、今日の24時を回ったらお正月って事なんです。」
小川が申し訳無さそうに呟く。
「小川も気が早いべさ。いくら何でも毎年恒例の正月ハロプロコンサートに出るなんて
話が飛躍しすぎてるべ。それとも、さりげなーくお年玉を要求してるべか?。」
「ちゃうがな。毎年恒例の猪木総帥による年越し闘魂ビンタやがな。
今年はニセ者やけど、形だけはやっとかんとプロレスファンに示しがつかへんねん。
よし、飯田はん。今年はリーダーが代表して怒涛の108連発を受け止めいや。
ほないくでえ、カーン!!。」
加護と辻が飯田を羽交い締めにして押さえ込む。
精神治療(ショック療法)、準備完了。
- 198 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時10分43秒
「あ、あのう、…それ凄く魅力的なんですけど。……でも違います。
ビンタでもコンサートでもなくって初日の出ですよ。
昔から初日の出にお願いすると、願いが叶うって言うじゃないですか。
明日の朝、みんなでお願いしましょうよっ!!。」
困った時の神頼み。
信じる者は救われる。
いや、今は信じるしか道は無い…。
「グーーー。」
お腹の中で除夜の鐘。
限界は近い。
- 199 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時11分22秒
薄暗い浜辺で全員が時を待つ。
夜が明ける瞬間を。
希望の光の出現を。
今日は特別な日。
1日の始まりにして1年の始まり。
謹賀新年、ハッピーニューイヤー。
そして、…明日への望みを繋げる日。
水平線が、ボンヤリ揺れ始める。
東の海が少しづつ明るくなっていく。
そろそろだ。
出る、出る、出る、…………出たぁ。
待ちに待った初日の出が、ようやく顔を出した。
- 200 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時11分59秒
「さーて。太陽に向かってお願い………ん?。
……消えた?、…消えよったがな。
昇った瞬間、降りてもうたがな。
なんちゅう照れ屋なお日様や。……芸人としては致命傷やな。
っちゅうか、これではお願い出来へんやんか。どないなっとんねん。
おい高橋ぃ、打ち上げ準備はエエか?。
よーし。ほな大気圏突破して太陽に捨て身のツッコミ入れて来いっ。レディーGOッ!!。」
一瞬昇ったかに思われた太陽の光は、完全に視界から消えている。
今日もいい天気。
別に曇っている訳ではない。
では何故だ。
不思議がるメンバー達に、やがて答えが見えてきた。
「あぁーーっ!!。……あれ、………船だ、船だよっ!!。
船が初日の出と重なってたんだよっ!!。
おーーーいっ。………助けてくれーーっ。……こっちこっちーっ!!。」
手を振る者や叫ぶ者。
みんな思い思いの方法で必死に助けを求めた。
- 201 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時12分33秒
「…オイラ達の事、気付いてんのかな?。」
ここからでは、船がどちらへ向かっているのかも解からない。
最悪の場合、このまま通リ過ぎる可能性も有る。
何とかこちらの存在を知らせなければ。
「ジャジャーン。北海の知恵袋、紺野あさみがお届けする今年最後の贈り物っ!!。
名付けて、【そ、その通りです。…すみません刑事さん、私が犯りました…。大作戦。】
みなさんも、過去に1回や2回サツにパクられた甘酸っぱい経験が有ると思うんですけど
取り調べでどれだけシラを切っても、奴らには必ず見破られますよね?。
それは、『バレたらヤバイ』っていうオーラを無意識に振りまいて、逆にバレバレだからなんです。
そこで発想の転換。
今からみんな素っ裸になって、笑顔でヨダレ垂らしながら『かくれんぼ』しましょう。
『頼むから見つけないでくれ』オーラを全員で発すれば、絶対見つけてくれる…」
- 202 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時13分52秒
「えーっと、…そこで首捻りながら太陽に向かって幅跳びしてる高橋と
ヨダレどころか鼻まで垂らして服脱ぎかけてる石川と、……あとカオリも付けてやる。
島のずぅーーーっと奥のほう行って、四人仲良く遊んできなっ。
っつーか、誰も邪魔しないから一生隠れてていーぞ。」
矢口は再び海を見つめる。
「…何とかあの船に気付いてもらう方法は無いかな。」
「しょうがないれすねえ。らったら、ののに任せるのれすっ!!。」
自信満々に言い放った辻が、そのまま海へ飛び込んでいった。
どうやら船の所まで泳ぎ、直接助けを求めるつもりらしい。
が、見た目では、かなりの距離が有りそうだ。
「…大丈夫かな?。」
メンバー達は、船に向かって泳いでいく辻の後ろ姿を期待を込めて見送った。
- 203 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時14分31秒
数十分後。
船はゆっくりと島へ近付いていた。
最初は米粒程度にしか見えていなかった船が、ドンドンと大きくなってくる。
その船首は、…真っ直ぐにこちらを見据えている。
間違い無い。
あの船が向かっているのは、この島だ。
明らかにこの島へ向けて舵をとっている。
辻の命がけの行為が成功したようだ。
双眼鏡で覗いているであろう船員からは、こちらの姿も確認出来ているに違いない。
助かった。
みんな小躍りしながら喜びを分かち合った。
「やったね。…これでみんな帰れるよ。
……圭ちゃんは焼け死んじゃったけど。」
矢口は焼け野原となった森を振り返りながら目を細めた。
- 204 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時15分10秒
「…あのう。すみません。」
紺野が遠慮がちに手を挙げる。
「…前から気になってたんですけど、……私達これで全員揃ってます?。
誰か一人足りない気がするんですけど…。」
「えっ?、そうだっけ。…私でしょ、矢口でしょ、石川と吉澤と…。」
飯田が、この場に居るメンバーを一人一人指折り数え始めた。
「…で、死んだ圭ちゃんと船へ向かった辻を会わせて、……11人。
あっ本当だっ!!。……ひ、一人足りないよっ!!。」
「ははは、ナーニ言ってるべ。後藤が抜けて11人になったんだべさ。
みんなしっかりするべ。」
「あっ、そうか。そうだった。……うっかりしてたわ。
こんな土壇場まで忘れられてる奴なんて居るわけ無いもんね。
ハハハハハ。はははははははははは。ハーハッハッハッハーーーッ。」
疑う余地無し!!。
- 205 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時15分46秒
「ん?。…ちょっと待って、…あの船…戻ってくよ?。」
石川の呟き。
船は180度進路を変え、来た道を引き返している。
さっきとは逆で、今度はドンドンと小さくなっていく。
「…ど、どう言う事?。」
「…さあ。…ウッカリ者の船長が忘れ物に気付いて…。
って冗談言ってる場合やないわ。
おーーいっ、何戻っとんねん。
はよ、助けに来んかいボケーーッ。」
やがて、船は何事も無かったかのようにその姿を消した。
「…まさか辻さん、…オラ達を裏切ったんでねーかぁ?。」
「…そ、そんな事有るわけ…。」
メンバー達はお互いの顔を見合わせ、その場に立ち尽くした。
- 206 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時16分22秒
数十分後。
バシャバシャバシャッ…。
「ふぅぅーっ。やっと帰ってきたのれす。テヘテヘ。」
ビショ濡れの辻がニコニコ顔で島に戻ってきた。
「あっ、辻ぃーっ!!。何だよっ!!。どうしたんだよっ!!?。何が有ったんだよっ!!?。」
ビショ濡れの辻に全員が駆け寄る。
「別に何も無いれすよ?。はつひのれを邪魔する悪い船に帰ってもらったらけなのれす。
説得するのは大変らったれすけろ。…のののお手柄なのれす、エッヘン。
これれお祈りれきますよ。…ほら、はつひのれがあんなにハッキリと……あり?。
…何れみんなガックリしてるれすか?。」
メンバー達は怒るのも忘れ、その場に座り込んでしまった。
- 207 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時16分54秒
「辻に任せたオイラが馬鹿だったよ。」
矢口がうつむいて呟く。
次に船が通るのはいつの日か。
恐らく、その頃にはもう…。
「でも、辻ちゃんも辻ちゃんだけど、そんな理由で説得されて、『はい、そうですか』
って帰る奴も帰る奴っすよねえ、そいつ相当頭悪いっすよ。」
「そんな事無いのれす。新垣ちゃんは頭いいれすよ?。」
「ふーん。そいつ新垣って言………えっ、……新垣っ!!?。」
全員の記憶に衝撃が走った。
そう言えば、そんな名前のメンバーが居たような気がする。
いや、確かに居た。
…筈。
………多分。
- 208 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時17分28秒
「あの嵐の後、偶然通りかかった魚船に助けられて、一人れ日本へ帰ったそうれす。
それれ、潮の流れからこの島に居るらろうって計算して救助に来たらしいのれす。
読みが当たったって自慢してたのれす。
眉毛ピクピクさせて喜んれたのれす。」
「…まあ、頭ええかどうか知らんけど、一番存在感無いくせに
一人だけ助けられるっちゅうのは、ごっつい強運の持ち主やな。
奴にはコネ以上の何かを感じるでえ。」
全員納得。
怒りで眉をピクピクさせながら。
- 209 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時18分41秒
「あっ、そうら。それれ新垣ちゃんからコレを預かってきたのれす。」
辻が小さな金属の固まりを取り出した。
「…ん?、何これ?…。」
飯田が手に取って眺める。
「発信機なのれす。気が変わったらボタンを押せって言ってたのれす。
そしたら船に信号が届いて、すぐに迎えに来てくれる…」
ダーッ。
バシバシバシバシバシバシバシ、ボコッ、バシバシバシ…。
辻の言葉を聞いて、全員が一斉に発信機へ飛びつくと
無我夢中でボタンを押した。
早く助けて。
早く救い出して。
願いを込めた渾身の連打だった。
「…ねえ、誰か一人だけ目的違う人居なかった?。
一人だけ音が違う人居なかった?。
ドサクサに紛れてカオリのボディーに一発入れた奴が居るんだけど…。
って言うか、小川。………………殺すっ!!。」
愛の無いイジメ、再び。
- 210 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時19分17秒
『ブオーーッ。』
しばらくすると、海上から警笛がこだました。
辻の言う通り、救助信号を受け取った船が戻ってきたのだ。
甲板でニッコリ手を振っているのは、懐かしい豆ジェンヌ。
「みなさーーーん、大丈夫ですかーー?。今行きますよーー。」
よっぽど嬉しいのか、小さな体を一杯に使って喜びを表現している。
今度は本当に助かった。
メンバー達は新垣に感謝した。
2003年1月1日。
新垣がモーニング娘に加入して以来、初めて役に立った記念すべき一日。
- 211 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時19分51秒
「色々有ったけど、…それなりに面白かったよね。あの島の生活も。」
ここは、海の真ん中、船の上。
遠ざかる無人島を眺めながら、思い出話に花が咲く。
不思議なもので、いざ脱出してしまうと何となく寂しいもの。
「バイバーイッ。」
一生消える事の無い思い出をくれた無人島へ、万感の想いを込めて手を振ってみる。
『…バイバーイ。』
無人島も寂しげに見送ってくれた。
メンバー達は、島が見えなくなるまで、いつまでも手を振リ続けた。
- 212 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時20分26秒
「…なあ、ところでアレは何だべさ?。ずっとこの船に着いてきてるべ。」
安倍が船の後方に何かを発見した。
そこには、船の最後尾に引っ掛けたロープを口でくわえ、必死な形相で
海上を引き連られている得体の知れない珍獣の姿が…。
「おい誰や?。バケモンをエサにトローリングしてる命知らずなフィッシャーマンは。
ネッシーか海坊主でも釣り上げるつもりか?。」
「あぁーーーーっ。!!。」
石川の絶叫が船上を包む。
「………生きてたんだ。…多分、本能でしがみついてるんだ。」
保田圭。
ゴキブリ並の生命力と執念深さで無事生還。
- 213 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時21分03秒
──────── 1週間後。 ────────
ここは都内のホテルの一室。
奇跡の生還を果たしたモーニング娘の記者会見が始まろうとしていた。
目の前には沢山の報道陣が押し寄せている。
ピカピカピカッ。
カメラのフラッシュが途切れる事なく降り注ぐ。
「おーい、ちょっとこっち向いて下さーい。」
「あっ、こっちにも視線お願いします。」
新聞社やテレビ局のカメラマンから次々に要望が飛んでくる。
現場は、蜂の巣をつついたような大騒ぎ。
日本を代表するトップアイドルの凱旋は、大ニュースになっていた。
- 214 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時21分41秒
喧騒の中、記者会見が始まる。
どこのテレビ局も、この模様を生中継で伝える程のフィーバーぶり。
『では、メンバーのみなさん一人一人にお話を伺いたいと思います。
まずはリーダーの飯田さん。どうですか?。無事に帰られた今の心境は?。』
「はい、とっても嬉しいです。でも、同時にいい経験をさせてもらったとも思っています。
あんまり話す機会の無かった下の子達とも色んな話をして、普段どんな事を考えてるとか
私がどんな風に見られてるのか解かったし…。とにかく、メンバーの結束が強くなりました。」
飯田圭織、思わず涙ぐむ。
- 215 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時22分13秒
『では、サブリーダーの保田さん。何か大変な火傷を負われたそうですが大丈夫ですか?。』
「…ウゥーーッ、…ガル、ガルゥーーッ!!。」
偶然通りかかったボブサップに反応した保田を、安倍が寸前でブロック。
「あっ、ごめんだべ。まだ圭ちゃんは後遺症が残ってて、ちゃんと喋れないべさ。
圭ちゃんは飛ばして次の人に質問するべ。」
保田圭、まだ人間に戻りきれていない。
- 216 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時22分50秒
『…では、安倍さん。無人島生活で一番困った事は何でしたか?。』
「うーん、…やっぱ食べ物だべ(ムシャムシャ)。一人だけ沢山食べる訳にはいかないから
セーブするのに大変だったべさ(モグモグ)。」
安倍なつみ、ポテトチップスを頬張りながらニコニコ顔。
- 217 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時23分27秒
『…次は矢口さん。日本へ帰ってきて一番最初にした事は何ですか?。』
「…化粧っ!!。…あとはノーコメント。」
矢口真里、すっかり変身済み。
- 218 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時23分57秒
『吉澤さん。向こうではメンバーからモテモテだったんじゃないですか?。』
「はい。…色んな意味で。」
吉澤ひとみ、ダイエットを決意。
- 219 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時24分41秒
『石川さん。無人島には凄い生き物とか住んでませんでした?。』
「…ええ。一匹だけ物凄い…。」
「ガルゥーーーーーーッ!!。」
再び、保田が暴れ出す。
「あ、すみません。私、保田さんを寝かせてきます。私の子守唄じゃないと静かにならないんで…。
それと忠告ですけど、半径100m以内には近付かないで下さいね。………死にますよ。」
石川梨華、保田を連れて核シェルターへ。
- 220 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時25分11秒
『加護さん。苦しいサバイバル生活で心の支えになっていたのは?。』
「芸人スピリッツ指導。……と言う名の後輩イビリやな。」
加護亜依、満面の思い出し笑い。
- 221 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時25分46秒
『では辻さん。大自然の中で発見した自分の新しい一面は?。』
「泳げるようになったのれす。今まれはカナヅチれ、顔を洗う時も浮き袋してたんれすけろ
初めて海に飛び込んらら、300キロくらい楽に泳げたのれす。……息継ぎ無しれ。テヘテヘ。」
辻希美、胸に金メダル。
- 222 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時26分23秒
『紺野さん。あなたは天才だと聞いていますが、何か役に立ちましたか?。』
「勿論です(ニコニコ)。私が居なかったら、みんなとっくに息絶えてたと思います。
あっ、そうだ。…コホン、【夢のアイデアてんこ盛り。印税ガッポリ大作戦】。
今度、このメモ帳のネタを出版…。」
「止めとけ。……馬鹿がバレる。」
紺野あさ美、矢口の忠告によりかろうじてイメージを守る。
- 223 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時27分49秒
『では、既にバレてる高橋さん。……問題です。福井って何処に有る?。』
「……そんなの簡単でねえかあ。、……多分、…福岡の隣?。………………ってアホかぁ。」
高橋愛、ぼける。(半分本気。)
- 224 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時28分25秒
『最後に小川さん。極限の生活の中で頼りになった先輩は誰ですか?。』
「…グスン。…い、飯田さんです。」
小川真琴、あれからずっと飯田に足を踏まれている。
- 225 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時30分06秒
『はい、みなさんどうも有難うございました。』
パチパチパチパチ。
報道陣から、はちきれんばかりの拍手が沸き起こる。
どの顔もみんな笑顔だった。
続いて、プロデューサーのつんくがマイクを取る。
「まあ、とにかくホッとしましたわ。
こいつらが稼いでくれんと、ココナッツや稲葉の給料が払えませんから。
石井なんて、先月から受話器握ったままピクリとも動かへんし。
あいつ、腹空かして死んでるんちゃうかな?。
せっかく、ハロプロ卒業後もバイトで雇ってやったのに。
まあ、ええわい。取り合えず、お前らには明日からビシビシ働いてもらうからな。
この11人で力を合わせ……………アレ?。……モーニングって11人やったか?」
ポツーン。
無人島に一輪の花。
新垣里沙、南の島に一人きり。
──── 完 ────
- 226 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時30分51秒
えー、終わりです。
所感を少し。
今までハッキリと明記していませんでしたが、紫の「ブラックドリーム」も書いてます。
あっちは幾つかの短編ネタ話の集まりで、この「娘漂流記」が2作目になります。
(あと、匿名でチョコチョコと色々な企画にも出してます。)
今作は思い切って長い話に挑戦してみました。
当初の予定では巧みな文章力と練りに練ったストーリーで勝負する筈だったのですが
気付いたら開始5分でネタ考えてました。(笑)
でも、これが僕のスタイルだし、何よりも馬鹿な事考えてる時が1番楽しいので
芸風は変えません。…っつーか変えられません。
又、どこかで下らない話を書き綴ると思いますが、その時はよろしくお願いします。
最後に、こんな馬鹿物語に付き合ってくれた皆さん、本当に有難う御座いました。
それでは、さようなら。
- 227 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時31分24秒
>188 名無し読者さん
矢口さんのツッコミ部分は、頭痛のピーク時に書きました。
それが逆に良かったのかもしれません(笑)。
>189 名無し読者82さん
紺野の次の作戦…あれしか思い浮かびませんでした。
ゴメンナサイ。
- 228 名前:pp 投稿日:2002年12月23日(月)12時31分57秒
>190 名無し読者さん
こんな新メンバーはイヤだ。
・29のくせにアイドル。
・ユウキに騙された。
・デブの嫁。
・保田。
…この辺で許して下さい。
>191 ぶらぅさん
警察に通報されたら大変なので、一人で読んで下さい。
っつーか終わりました。
これで安心ですね。
- 229 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月23日(月)13時21分51秒
- ぶっとんだ!!本気で彼女の存在を忘れていた!!
十角館以来の衝撃だった…今年度最大のミステリーでありトリックだった。
一人一人についてツッコミたいけど石川フリークの自分としては、やはりこの人に注目したいです。
『私が唄ってれば放送禁止の筈なのに』これ!!確信犯だったのかよ!!恐ろしい…計画的的殺人じゃないか!
石川さんが本気になったらいつでも世界取れるね。
ppさんの作品が好きだと言う事は僕の中の良心であり恥ずべき所でもあります。
勝手に羊の感想スレに紹介してしまいました。すいません。
これからも嫌だといっても保田さん並のしつこさで読ませて頂きます。
最後まで重ね重ね失礼な事を言ってすいませんでした。お疲れ様でした。
- 230 名前:名無し読者82 投稿日:2002年12月23日(月)20時12分22秒
- 長編脱稿お疲れ様でした。
いつものようにラストのまとめ方に感嘆致しました!
最後のインタビューシーンなんかはpp様節全開でしたねw
(今後は調子に乗ったレスは控えますwすいませんでした…)
pp様の芸風大好物なんで次回作も加護しく期待させて頂きます。
- 231 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年12月23日(月)20時59分08秒
- 一人で読みましたw
その場所がたまたま…(w
長編乙です!言われて気づきました!
紫の方も読んでいました!ppさんの作品楽しくていいですw
また次回があるのでしたら楽しみです。
- 232 名前:りゅ〜ば 投稿日:2002年12月24日(火)01時07分21秒
- 完結お疲れ様でした!最高でした。めちゃくちゃ面白かったです。
それぞれのギャグに感想を言いたいぐらいです。どれも深くて面白かったです。
私は209の小川の行動に一番笑いました。最高です。
語り口調も凄く上手いし、軽快に読み進められます。
ヲタ心をくすぐるようなこと細かいネタも最高でした。
本当にお疲れ様です。次回作、期待してます。
PS.Σ私なんかの作品を読んでいただけてたんですか?!驚きです。
でもありがとうございます。頑張ります。
- 233 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月13日(月)01時24分35秒
- 今全て読みました。
僕も他に漏れず素でニイニイを忘れてました。
この言い知れぬ罪悪感から必ずやニイニイヲタが増えるヨカーン。
まいった。ある意味で導かれし娘。を越えた(当社比)
しかし、この中学時代好きな子が僕のロッカーに忍ばせたチョコが、
実は出席番号一個違いの中村君宛だったことを知った時のような
寂寥感はなんだろう。ppさんの次回作に加護しく期待。
Converted by dat2html.pl 1.0