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夢の後で

1 名前:(0^〜^)チュキチュキ 投稿日:2002年11月16日(土)02時13分31秒
初めまして。皆さんの書くいしよしを見て自分も書きたくなりました。
アンリアルで唄モノです。
まだ構想しか練ってないので更新遅いと思いますが、よろしくお願いします。。。
2 名前:夢の始まり 投稿日:2002年11月16日(土)04時09分20秒
ここ一週間、晴れの日が続いている。
初夏の陽射しが午後の教室に溢れ、わたしは窓の外に輝く太陽へと視線を這わせた。

わたしはつい先日、小学校の頃から七年間続けてきたバレーボールを止めた。
毎日部活に追われていた頃は、休みが欲しいねー、などと笑いあっていたものだが、
いざ現実になってみると、言いようのない喪失感に襲われてしまっている。
何に対しても、やる気がでなかった。
3 名前:夢の始まり 投稿日:2002年11月16日(土)04時10分04秒
「よっすぃー、今日暇?」
ごっちんに声を掛けられ、窓の外から視線を戻す。
教室内に溢れるざわめきと、まばらな人影。
いつのまにか授業は終わってたらしかった。
「あ、うん。暇だよ」
ぼうっとしていたと思われるのが嫌で、慌てて微笑み返す。
「じゃあさ、買い物付き合ってよー。買いたいの結構あるんだ」
「うん……いいよ」
そう言ってから、ごっちんの右手に鞄がぶら下がっていることに気付いた。
「あ、ごめん。すぐ準備するから」
教科書は机の中にしまったまま。
必要なものだけ取り出すと、わたしは慌てて席を立った。
4 名前:夢の始まり 投稿日:2002年11月16日(土)04時11分02秒
「へへー、大漁大漁」
買い物帰りの並木道。
西日に照らされた歩道に、二つの影がならぶ。
次第に街灯も灯り始め、街は夜の気配を帯びてくる。

交差点に差し掛かったところで、自然とわたしの足が止まった。
夕暮れの街に澄んだ唄声が染み渡る。
「あれ?」
ごっちんも気付いたようだ。
「いってみよっか?」
わたしはごっちんの言葉にコクリと頷く。
交差点を右に曲がり、少しだけ路地の方へ入っていく。
5 名前:夢の始まり 投稿日:2002年11月16日(土)04時11分42秒
そこには、一人の少女が通りを見据えて佇んでいた。
肩から掛けたギターを爪弾き、美しい音色を響かせる。

――綺麗な人。

長い黒髪が夜風に揺れ、整ったその輪郭をぼかす。
同性のわたしも見とれてしまうほどに、彼女は美しかった。

「へ〜、上手いもんだねぇ」
ごっちんも珍しく感心している。
それほどに、彼女の唄声は人を惹きつける何かを持っていた。
夢を見ているような感覚。

「もう遅いし、かえろ」
ごっちんの声で、私は現実に戻される。
「うん、そうだね」
後ろ髪を引かれるような思いで、わたしはその場を立ち去った。
6 名前:夢の始まり 投稿日:2002年11月16日(土)04時12分47秒
「え、ごっちん。あの人と友達なの?」
帰り道。
自然とあの人の話題になった。
「いや、別に友達って訳じゃないけどさ」
ごっちんはそう前置きをして、言葉を続けた。
「だってあの人、うちの学校だよ?」
「え?」
自分のことながら、笑ってしまいそうなほど素っ頓狂な声が出る。

「石川梨華。聞き覚えない?」
必死に記憶の断片を辿るけど、雲を掴むようにその手は空を切った。
「ない…と思う」
「ま、学年違うしね」
ごっちんは、途端に興味がなさそうに言う。
7 名前:夢の始まり 投稿日:2002年11月16日(土)04時14分02秒
その後、二人とも無言のまま帰路についた。
ごっちんは何を考えていたんだろう。
わたしは見えない記憶の向こうから、あの人の影を探そうとした。
それでも、一向にその姿は浮かんでこなくて。

夜も更け、布団の中で、わたしは瞼の裏に焼きつく彼女の姿を想う。
石川梨華。澄んだ歌声と美しいギターの音色が鮮明に思い出されて、
わたしは何故かドキドキした。

明日、もう一度会いに行ってみよう。
薄れ行く意識の中で、そんなことを思った。
8 名前:(0^〜^)チュキチュキ 投稿日:2002年11月16日(土)04時15分47秒
第一話終了です。
よろしければ、感想などお願いします。。。
9 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月16日(土)10時57分56秒
いいです!いいですよ(w
続きお待ちしてますよー
描写もいいですねぇ…伝わってきます
10 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時11分16秒
夏の陽は長い。
もう六時過ぎだというのに、いまだ陽はその姿を消さない。
昼間に降った雨の残り香が街に漂い、コンクリートはその雫を色鮮やかに反射させる。

わたしは今日、再び駅前へと足を運んでいた。
タイルの剥がれかけた歩道をゆっくりと歩き、昨日の場所へと向かう。
昨日と違うのは、ごっちんがいないこと。
そして、わたしの中に、確かな目的があるということ。
11 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時11分54秒
駅前の十字路で、わたしは昨日と同じ唄声を聴いた。
軽く深呼吸をして、その声の聞こえる方へと歩き出す。

昨日と全く同じ場所に彼女はいた。
その瞳は遥か遠くを捉えていて、わたしになど気付かないかのようにその唄声を響かせる。
しばらく夢見心地のままでその音の波に身を委ねていた。

マイナー調のコードで音が途切れ、曲の終わりを告げる。
顔を上げると、交わりあう視線。
そこで初めて、石川梨華さんが、わたしの方を見ていることに気付いた。
12 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時13分17秒
「あの!」
少しの沈黙の後、わたしが切り出す。
「上手かったです、感動しました!」
目を伏せ一息で言葉を吐き出す私に向け、石川梨華さんは柔らかく微笑んだ。
「ありがとう」
それだけ言って、彼女は再び唄へと戻る。
時の流れが緩やかになり、生じた隙間から澄んだ唄声が耳へと溶け込んでいく。
わたしはもう一度、夢の世界へと放り込まれた。
13 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時13分56秒
「最後まで聞いてくれてありがとう。少しは楽しめた?」
全ての曲が終わったときには、時計の針は既に八時を回っていた。
ギターケースをしまいながらの言葉に、わたしはドギマギする。
唄っているときの落ち着いた雰囲気とは裏腹に、その話し声は想像以上に高かった。
それだけで随分と印象は変わるものだ。
唄っているときの美しい印象と違って、今の彼女は愛らしかった。

「は、はい」
色々と話すことを考えてきたはずなのに、いざ彼女の口から言葉が発せられると、
上ずった声で一言返すのがやっと。
そんな私をよそに、彼女はギターケースを背負い、歩き始める。
「それじゃ、よければまた来てね」
14 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時14分35秒
気付けば、駅前の方へ向かっていく彼女を追いかけていた。
「ちょっと待って下さい!」
必死に呼びかけるわたしの方へ、彼女は振り返る。
まだ何かあるの、とでも言いたげな瞳。
それでもなんとか、自分の中の言葉を振り絞る。
「ギター、教えてくれませんか?」
彼女は立ち止まり、不思議そうにわたしを見る。
わたしだって不思議だった。
どうして面識もない人にこんなことを頼んでいるんだろう。
15 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時15分06秒
「ごめん、そういうの苦手なの」
彼女は静かにそう告げると、再び前を向く。
「お願いします、一生懸命やりますから!」
振り返らない彼女の背中越しに、わたしは必死に呼びかける。
見えるはずもないのに、頭を下げた。

「吉澤さん、ギターに全ての力を注ぎこめるの?」
振り返らずに、そのまま言葉を紡ぐ。
「バレーボールの片手間じゃ、やらない方がマシよ?」
突然自分の名前を呼ばれ、頭の中が混乱した。
「石川さん、どうして、わたしの名前を知ってるの?」
16 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時15分36秒
彼女の表情が、一瞬だけ揺れたように見えた。
でも、すぐに言葉を返す。
「何度か学校で見かけたことがあるもの。あなただって、私の名前、知ってるじゃない」
ごっちんの言葉を思い出す。
緊張のあまり忘れていたけど、確かに彼女は同じ学校の生徒らしかった。

「それでバレーボールのこと知ってるんだ……」
私の脳裏に、一ヶ月前の出来事が浮かぶ。
忘れようとして、今でも忘れることの出来ない過去。
「でも、大丈夫。もう止めたから」
なるべく明るく、なるべく平静を装って答えた。
事細かに話して同情を誘うなんてフェアじゃない。
17 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時16分35秒
「いいわ」
「え……?」
彼女の言葉が、私の思考を止める。
「そこまで言うなら、教えてあげる」
戸惑う私をよそに、彼女は言葉を続けた。

「その代わり」
少しだけ微笑みながら言う。
未だに混乱しながら、私は次に来る言葉に身構えた。
「その、代わり……?」
彼女と同じ言葉を繰り返す。
それだけのことなのに声が震えてしまう私が、私自身おかしかった。
バレーボールをやっていた頃は、決勝の前だってこんなに緊張しなかったのに。
18 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時17分05秒
「一生懸命やるって言うのなら、何か証拠を見せて?」
「証拠?」
再び戸惑う私に、彼女は構わず言葉を続ける。
「そう、証拠。吉澤さん、ギターやったことある?」
「ないけど……」
ピアノなら、と続けようとして止めた。
素人の私にも、その違いは痛いほどにわかる。

「どうせ、ギターも持ってないのよね?」
その言葉に、黙って頷く。
「ギター持ってないんじゃ、話にならないわね」
頭の中に財布の中身が広がる。
確か、三百六十円。
……絶対無理だ。
19 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時17分38秒
「いいわ、貸してあげる」
「え、本当?」
思いがけず大きな声になって、言葉を飲み込む。
通りを歩く人々が、何事かとこちらを覗き込んだ。
「本当に……?」
今度は、彼女だけに聞こえるようにそっと囁く。
「ギターがなきゃ、証拠見せてもらえないから」
何でもないように言う。
証拠とは、ギターを弾くことなのだろうか。

「土曜日の放課後、校門の前で待ってて」
彼女はそう言い残すと、再び歩き出す。
「それって、どういう……」
「話は、ギターを貸した後」
今度こそ、振り返らない。
遠くなっていく背中を見つめながら、わたしは体から力が抜けていくのを感じた。
20 名前:目的の場所 投稿日:2002年11月16日(土)23時18分10秒
そのまま、その場に腰を下ろす。
地面が思った以上に温かかくて、確かに彼女の姿が瞼に浮かんだ。
ギターを手に唄う彼女の姿の先に、わたしは何を求めているのだろう。

通りを眺めれば、赤や黄色のネオンが煌いて、その下を背広や学生服を着た人たちが
通り過ぎていく。
思った以上に眺めは良かった。

――私もいつかはここで。
そう考えると、少しだけ勇気が沸いてきた。
だから、口に出して何度も呟く。
夜も更けていたけど、しばらくの間ここに座っていたかった。
21 名前:(0^〜^)チュキチュキ 投稿日:2002年11月16日(土)23時21分16秒
>>9 名無し読者 様
ありがとうございます!
受け入れてもらえるかどうか不安だったんですが、
いきなりレスがもらえて小躍りしております(^^;
これからも飽きられないように頑張ります!
22 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月17日(日)09時48分05秒
こういうの好きなんですぅ。
頑張ってくださいネ。
23 名前:オガマー 投稿日:2002年11月20日(水)05時05分28秒
証拠ってなんだろう…。
続き、楽しみにしてます。
24 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時47分30秒
週末の昼下がり。
なかなか動こうとしない時計の針とにらめっこしながら、午後の予定に思いを馳せる。

――証拠を見せてもらう。
そう言った石川さんの端正な顔立ちを思い出し、緊張をしながらも、ほう、と一つ、
溜め息が漏れた。
わたしも女子高に毒されちゃったのかな。
そう頭の中で呟いた言葉が、ちっとも冗談めいた風に聞こえなくて、思わずドキリとした。
25 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時48分22秒
次第にあたりからも、週末特有の浮ついた空気が流れ始める。
前の席の人にちょっかいをだしたり、誰かとメールをしたり、授業が終わってもいないのに、
鞄に道具を詰め始めたり。
先生も諦めているのか、何食わぬ顔で黒板と会話をする。

わたしも多分に漏れず、机の中の勉強道具を鞄に詰める。
週末くらいは、家に教科書持ち帰らなきゃね。
最後の一冊。現文の教科書に手をかけたとき、ちょうどチャイムが鳴った。
始まりの音。
弾かれたように教室内のボルテージが高まる。
26 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時48分59秒
ばつが悪そうに退散する先生を横目に、わたしは席から立ち上がる。
これからが本日のメインイベント。
嫌がおうにも緊張は高まる。

「よっすぃー、ご飯食べに行こうよ」
普段ならありがたいごっちんの言葉だけど、今日はパス。
「ごめん、今日は用事があるから!」
そう言うと、すぐに教室を飛び出す。
廊下で何人かに声を掛けられたけど、「ゴメン、急いでるから」とだけ言って、学校を出る。
27 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時50分01秒
息を切らせながら校門のたどり着くと、既に彼女の姿があった。
「……ゴメン、待たせちゃった?」
「別に。これから私の家に来てもらうから」
わたしの言葉を軽く流し、昨日のように私をおいて歩き出す。
私はそれに、慌ててついていく。
彼女の歩くスピードは思った以上に速く、話し掛けることもままならない。

必死についていきながら、私は彼女の言葉を思い返した。
石川さんの家。
たったそれだけのことに、これほどまでドキドキしている。
これはやっぱり、そういうことなのかな。
28 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時50分50秒
「ここよ」
いつのまにかついていたようで、目の前には真っ白な壁。
ざりざりとした壁が大したくすみもなく高くそびえ立っている。
「ほぇー」
思わず声が漏れた。
思った以上の大きさに、自分の想像力の貧困さを呪った。

「用があるのは、家じゃなくてこっち」
ぼぅっと家を見上げているわたしに声を掛け、彼女は玄関を通り過ぎる。
車庫。これも大きい。
「車庫が私の練習場所なの。それで……」
車がいないスペースへと歩いていき、壁にかけてあるギターを手にとる。
しばらく細部を事細かに眺め、何度か音を鳴らした後、わたしに向け差し出した。
「これ、私が最初に買ったギター。今は違うのを使ってるから、貸してあげる」
「わぁ……」
そっと受け取る。初めてのギター。
さっきまでとは違った意味で、胸の高まりが押さえられない。
29 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時52分03秒
「それで、ここからが本題だけど……」
……忘れてた。
そうだ、わたしはこんな所で浮かれてちゃいけない。
真剣な顔で石川さんを見つめる。
「証拠を見せてもらう、って言ったよね?」
わたしが頷くのを確認して、石川さんは言葉を続ける。
「吉澤さんには、一週間で一曲覚えて欲しいの」
そう言って、二三枚の楽譜を取り出す。
目の前に出されたその紙を、わたしは目で追った。未知の世界。わたしにとっては、
ただの紙切れと変わらない。
30 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時52分52秒
「……わかんない」
心の中が、そのまま言葉になった。
数字や音符の羅列に、わたしの頭はヒート寸前だった。
「今日は、一通り教えてあげる」
彼女もギターを取り出し、慣れた動作で構える。
彼女の指が弦に触れた瞬間、優しい音色が車庫一体に響き渡った。
その波は空気に溶け込み、優しくわたしの鼓膜を震わす。
我に返ったわたしが彼女の指の動きを追い始めた頃、その曲は終わった。
31 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時53分58秒
「今のとおりに弾いてみて」
促されるままに、ギターに手をかける。
……えっと、無理。
そんなわたしを見て、彼女は一つ溜め息をついた。
「そっか、初心者だったよね」
「はい、申し訳ない……」
「じゃあ、私の言ったとおりに押さえてみて?」
落ち込むわたしをよそに、彼女の言葉は止まらない。
元々発言権を持たないわたしは、黙ってその言葉に従う。

「……これでいいのかな?」
「じゃあ、弾いてみて」
鳴らない。
言われた通りに押さえているのに、音がほとんど出ない。
「もっと強く押さえてみて」
言われるまま、指に力を込める。
不恰好な音が漏れた。彼女には敵わないけど、確かに音が出た。
32 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時54分51秒
「やった!」
そう言って顔を上げたときには、目の前に彼女の姿はなく。
「……あれ?」
そう言った瞬間、背後に気配を感じた。
「だから、こうやるの」
後ろから抱きしめるような感じで、わたしの左手に、彼女の左手が触れる。
確かな体温が伝わってきて、わたしは思わず硬直する。

そ、そんな。急に石川さんってば――
「強くって言ってるでしょ!」
「いでででででっ!?」
うああああ!
左手に予想外の力を加えられて、わたしの指は弦の張力との板ばさみ。
声にならない声が漏れる。
33 名前:新たな感情 投稿日:2002年11月21日(木)17時55分48秒
「ちょっと、石川さん、痛いッ!」
ギターから指を離し、必死で擦る。
まだ微かに痺れていた。
「そのくらい我慢できないようじゃ一生ギター弾けないよ? 次は一人でやって」
「うん……」
怒られたうえに突き放されて、わたしはショボーンとしたままギターを握る。
涙をこらえ、力いっぱい押さえると、多少の雑音を伴いながらもしっかりと音が出た。
「出たよ!」
「はい、じゃあ次はこれね」
「……」
誉められもせず淡々とスパルタ教育は続く。
憧れた人の怒声が、いつまでも室内に鳴り響いた。
34 名前:(0^〜^)チュキチュキ 投稿日:2002年11月21日(木)18時01分43秒
……何故こんなおちゃらけた展開に。

>>22 名無し読者 様
ありがとうございます!
自分もこういう話が好きなので、思わず書いちゃいました!
頑張りますので、これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

>>23 オガマー 様
ありがとうございます。そして初めまして!
証拠については次回に続きます。
よろしければ次回もどうぞ。
35 名前:オガマー 投稿日:2002年11月22日(金)02時59分28秒
よしこがかわいい。
次回も読みますよ(w
36 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月22日(金)18時12分44秒
吉がギターというのはありそうですが、逆はかなり新鮮な設定ですね。
惹きこまれております。
自分がギターを始めた頃を思い出しました。FとかB7を押さえられなくて
泣きそうな頃、なつかすぃ(w
更新、期待しておりまする。
37 名前:変化、一歩目の景色 投稿日:2002年11月29日(金)06時34分28秒
「もう痛みすら感じないよ。あっはっは――」
 無駄な元気をふりまきながら、自分の指に視線を落とす。
 水ぶくれ。それも、丸々とでっかいのが。
 少しだけ、涙が滲んだ。

 それでも、まだまだ完成には程遠い。
 それどころか、楽譜の意味と弾き方を知るだけで、数時間が経ってしまっている。
38 名前:変化、一歩目の景色 投稿日:2002年11月29日(金)06時35分05秒
「ふぅ。まあ、こんなとこかな」
 石川さんがギターを壁に立てかけ、私に微笑みかける。
「初心者にはちょっと難しいけど、毎日五時間くらい弾けば、大雑把になぞる位は
出来るんじゃないかしら」
「五時間!?」
 聞いた途端、左腕がぷるぷると震え始めた。

 毎日五時間。聞いただけで気が遠くなった。
 それを見て、石川さんはクスクスと朗らかに笑う。
 ……こういう顔も出来るんだ。
 わたしは思わずその顔に見惚れた。
39 名前:変化、一歩目の景色 投稿日:2002年11月29日(金)06時35分45秒
「あ、そうだ」
 石川さんは鞄の中を探り、一枚のディスクを取り出す。
「このMD貸してあげる。今の曲が入ってるから」
 何気なく左手でそれを受け取ると、鋭い激痛が走った。
「あぅ……」
 時間が経った為か、指先に感覚が戻ってきていて、それがかえって辛かった。

「来週の土曜日にテストするから頑張ってね。期待はしてないけど」
 わたしは力なく頷く。
 石川さんはそれを見て、可笑しそうに笑った。
「それじゃ」
 それだけを言って、彼女と別れる。
40 名前:変化、一歩目の景色 投稿日:2002年11月29日(金)06時37分11秒
 彼女の家からの帰り道。
 ギターを背負い喧騒の街並みを歩く。
 駅前の並木道は、多くの人たちの唄声やギターの音で溢れ、わたしの心を躍らせた。

 そうだ、あの場所へ行ってみよう。
 浮かれついでにとわたしが向かったのは、石川さんがいつも唄っている場所。
 勇気を貰ったあの場所で、第一歩を噛み締めるのだ。
 そうと決まったら落ち着いていられなくて、わたしは少しだけ歩みを速める。
41 名前:変化、一歩目の景色 投稿日:2002年11月29日(金)06時40分12秒
 主のいないその場所は、その暗さ以上に霞んで見えた。
 何かが違う……。
 そう思いながらも、月明かりすら遮断するその空間に腰を下ろす。
 腰掛けた石段はひどく冷たく、心細かった。
 それになんだか、ピリピリとするような。

 そこで不意に、肩に掛けたギターケースに気付く。
 そしてようやく、違和感の正体がわかった。
 わたしは石川さんと同じ土俵に立ってしまったんだ。
 客としてではなく、演奏者として今、ここにいる。
42 名前:変化、一歩目の景色 投稿日:2002年11月29日(金)06時40分44秒
 右肩がやけに重かった。
 以前勇気を貰ったこの場所が、今はわたしの心をきつく締め付ける。
 少しだけ涙が零れそうになって、慌てて宵の空を見上げた。
 わたしはもう、ここには来ないだろう。
 せめて、石川さんにわたしのギターを認めてもらえるまでは。

 わたしはギターケースの方紐をきつく握り締め、再び喧騒の中へと舞い戻った。
 以前とは違う景色。
 わたしは今初めて、確かに自分の足で歩き始めた。
43 名前:(0^〜^)チュキチュキ 投稿日:2002年11月29日(金)06時48分20秒
短いですが、更新しました。

>>35 オガマー 様
ありがとうございます!
よしこさんブルーになっております。
もっと可愛く書きたいんですが、へなちょこになってしまいます。。。
これからもよろしくお願いします。

>>36 名無し読者 様
バレーコードは最初大変ですよね……。
自分もその頃のことを思い出して書いています。
石川さんに関しては、ギター弾けたらかっこいいだろうなぁ、
という妄想がそのまま設定に(w
吉澤さんもこれから上手くなって、かっこよくなって欲しい。。。
期待に応えられるように頑張ります!
44 名前:オガマー 投稿日:2002年11月29日(金)16時32分27秒
梨華ちゃんにリードされてるぽなヨシがかわいい(w
がんがれ!
45 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月04日(水)21時14分59秒
待ってますよほ
46 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月24日(火)17時11分57秒
( ^▽^)マチボウケーマチボウケー♪
47 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月06日(月)20時43分30秒
待ってますよ〜
ガンガッテ下さい
48 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月02日(日)14時59分42秒
川o・-・)保全です…
49 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月01日(土)00時59分00秒
hozen
50 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月19日(水)22時25分26秒
待ち中
51 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月05日(土)23時45分43秒
待つてるよ
52 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月28日(月)10時44分53秒
待ってるから…

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