あっち向いてホイッ!
- 1 名前:gamax 投稿日:2002年11月18日(月)13時50分38秒
吉澤さんと石川さん中心の小説です。
- 2 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)14時01分48秒
とある病院の個室。そこで二人の若い夫婦が今、涙に暮れていた。
「あなた。」
「どうした。」
妻から伸ばされた右手を、ガシッと夫が両手で握り締める。
「ごめんなさい・・。生まれたばかりのひとみを残して、私だけ先に・・」
「何も言うな!!大丈夫だ。何もかも大丈夫だ。オールオーケーだ。」
滝のように涙を流し二人は見詰め合う。
「最後に私から・・一つだけお願いが・・あるの。」
「一つと言わず、三つでも四つでも!!」
「ありがとう・・あなた。私、あなたのお嫁さんになれて・・幸せだっ・・た。」
「馬鹿野郎。それは俺の・・俺のセリ・・フ・・。」
涙でむせ返り言葉にすることが出来ない夫と
そんな夫をウルウルと見つめる妻。
とても美しい光景だ。
- 3 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)14時11分52秒
「バカね・・」
そう言って妻は涙を拭う。
「あなた、ひとみを・・私達の愛の結晶を・・」
「そうとも!二人の愛の」
「ちゃんと聞いて。」
「お、おう。」
コホンと妻は一つセキをして、もう一度改まる。
「二人の・・愛の結晶を。どうかたくましく。強く。育ててやって下さい。
逆境にも挫けない、誰にも負けない。そんな子に・・。」
妻は苦しそうに言葉を紡いだ。
「くっ・・分かった。約束・・するよ。ひとみを・・。たくましい人間に・・。」
夫はガタッと勢いよく椅子から立ち上がり、拳を高々と挙げる。
「ひとみを!!立派な強い『男』に育ててみせる!!」
- 4 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)14時18分21秒
二人はその時、あまりにも自分達の世界に浸りすぎていて
重大な過ちに気付いていなかった。
否、例え気付いていたとしても突っ込むことなぞ出来るはずがない。
その猛々しく涙を流し宣言した人間に、誰が突っ込めるというのだろう。
だが、そこで一言。誰かがこっそりでもいいから
教えてやるべきだった。
医者でも良い。通りがかりの入院患者でも良い。
たった一言。
『おいおい、君達の赤ちゃんは『女の子』じゃないか。』
っと。
- 5 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)14時19分26秒
((あっち向いてホイッ!))
- 6 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)14時33分34秒
ジリリリリと、大きな音をたてて目覚ましが鳴る。
布団にもぐったまま、吉澤は手だけを伸ばしそれを止める。
そして再び深い眠りにつこうとすると、ドタドタと音がして
バンッ、と勢いよく部屋のドアが開かれた。
「ひとみ!起きろ!何時だと思っているんだ!!このアホ息子がっ!」
毎朝お馴染みの吉澤父の怒号が部屋中に響きわたる。
「るっせぇーなぁー。」
まだ完全に目覚めていない朦朧とした頭で吉澤がそう言うと
とたんにその布団がひっくり返される。
その勢いでタンスの角に頭を打ち付けた吉澤は
ズキズキと痛む頭をさすりながら仁王立ちしている父親を下から睨みつけた。
「ってぇー。何しやがる!」
「起きろ起きろ!!お前はまったく。父さんはお前をそんな風に
だらしなく育てた覚えは無いぞ!大体・・」
説教を続けようとする父親を、吉澤は無理矢理部屋から追い出した。
- 7 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)14時45分44秒
「ったく、毎朝毎朝叫びやがって。」
寝癖のついた髪をかきあげがらブツブツと文句を言い
モソモソと制服に着替えた。
二階からリビングへ下りていくと、父親はテーブルに座って朝食を取っている。
吉澤も所定の席へと着く。
「挨拶はどうした挨拶は。」
吉澤の片方の眉がピクリと動く。
「挨拶も出来んなんて。そんなんじゃ母さんに顔向け出来ないじゃないか。」
父親はトーストを持った手をプルプルと震わせている。
「はよ。」
吉澤は鬱陶しそうにそう言った。
- 8 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)15時00分43秒
「馬鹿者!『はよ。』とは何だ!『はよ。』とは。日本語はちゃんと
綺麗に美しく使いなさい!!そんなんじゃ亡くなった母さんに・・」
「あなたぁ〜早く支度しないと仕事に遅れるわよぉ〜。」
父親は台所に向かって『はーい。』と機嫌よく返事をした。
「母さん勝手に殺すなよ。」
再び父親の視線が吉澤に移る。
「母さんはお前を生んだ時本当に危なかったんだ。だが俺の愛の力で・・」
「もう耳が腐るほど聞いたよ。」
うんざりと吉澤が呟くと、父親は我に返り少し頬を染めた。
「と、とにかくだな。俺は母さんとその時約束したんだ。お前を
ちゃんと立派な男に育てるって。」
「俺は男じゃねぇー。」
「何?何だ?言いたいことがあるならハッキリと言え。それでも
吉澤家の長男か?」
吉澤はガタッと席を立ち父親を睨み付ける。
「俺は男じゃねぇ!!」
「何だと!!もういっぺん言ってみろ!!」
父親もトーストを持ったまま立ち上がり、暫し睨み合いが続く。
- 9 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)15時16分25秒
「このクソ親父!!いつもいつも勝手なことばかり言いやがって。
俺はなぁー。女なのに男として育てられて。それを周りには秘密にして
こうやって学ラン着せられて。そんな親どこの世界にいるんだ!!」
「親に向かってその口のきき方は何だ!ははぁ〜ん、さてはお前反抗期だな。
高校生にもなって反抗期か!?」
「論点を逸らすんじゃねぇ!!大体なんで戸籍を提出する時に
男だって嘘ついて申告しやがったんだ!!」
すると父親はストンと椅子に座り、ガクッと首をうなだれた。
「約束したんだ。母さんと。お前を、強くたくましく育てると・・。
俺は母さんと交わした約束をたがえる事は出来ない・・。」
その時又、台所から『あなたぁー。』と声がした。
父親も又『はーい。』と機嫌よく返事を返す。
「母さんはなぁ。あの時必死の思いでお前を俺に託したんだ。」
「だぁかぁらぁー。母さんは生きてるだろうが!!」
「男に二言はなぁーーーーーーい!!」
そう言うが早いか父親は台所へとすっ飛んで行ってしまった。
「待てこら!話はまだ終わっちゃいねぇ!!」
だが勿論父親は戻ってはこない。
- 10 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月18日(月)15時23分29秒
その場に残された吉澤は怒りでプルプルと体を小刻みに震わせた。
自分の境遇を呪った。あの両親から生まれた事を呪った。
吉澤家の日常はいつもこんな風にして始まる。
平和なようで平和ではなく。
平凡のようで平凡ではなく。
ちょっと一風変わった一家なのである。
「俺の人生返しやがれぇぇええ!!」
虚しいその叫び声が、今日一日の始まりを告げた。
- 11 名前:gamax 投稿日:2002年11月18日(月)15時26分28秒
今日はこの辺で・・。
よろしくお願いします。
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月18日(月)15時46分45秒
- 母さん生きてたんですか!
こういうテンション好きですよ〜
父さん素敵すぎ♪愛する人との約束を守るのは大事な事ですよね、人として。
- 13 名前:名無しです 投稿日:2002年11月18日(月)16時05分12秒
- 川o・-・)期待してます!
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月18日(月)16時14分54秒
- おもしろそう!期待してます。
梨華ちゃんとの絡み?が楽しみです。
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月18日(月)20時54分57秒
- なんかよっすぃーの本当の両親もこんなっぽい。
こういうテンション小説?好きです。頑張ってください。
- 16 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時37分58秒
- 「もう!お母さん!はやく起こしてって言ったじゃない!」
はしたくなく制服のスカートをまくりあげながら、ドタドタと木造の
階段を降りる。
「お母さん!」
テーブルに味噌汁を並べているお母さんに不満をぶつける。
「起こしたわよ。梨華ちゃん、何度起こしても起きないんだもの。
自業自得よね?」
涼しい顔してこの人は・・。
「それより、もっと女の子らしくしなさいな。ドタドタと騒がしい。」
「何言ってんのぉ。これでも石川さんって女の子らしいよね〜。で
通ってるんだからね。」
トーストにかぶりつく。
- 17 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時38分38秒
- 「それより貴方、もうこんな時間よ?」
「え?えー!?」
差し出された時計を見て大絶叫。
そんな1日のはじまりも・・
ごくまれにあることで。
おかげで(?)私はそのお味噌汁を飲む暇もなく、慌ただしく
家を後にすることとなった。
「あっ、梨華ちゃん遅ーい。」
家を出て、しばらく歩くと、友達の柴ちゃんと合流する。
柴ちゃんは高校でできた友達で。
「昨日の8時何してた?」
「う〜ん、、宿題?」
「色気なぁ〜い。」
「ほっといてよ・・。」
「それがさー。」
柴ちゃんの話しを適当にやり過ごしてあくびをかみ殺す。
- 18 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時39分10秒
- 「あっ!今見た?見た見た?梨華ちゃん。」
朝っぱらからテンションの高い柴ちゃん。
肩をバシバシ叩かないで・・。
「ごめん、見てなかった。」
とにかく私は低血圧で・・。
学校って朝が早すぎるのよ。
「もう!さっき、吉澤くん通ったんだってば。」
「あ、そうなんだ?」
ちょっと明るい声を出してみた。
「ほら。」
にっこり笑う柴ちゃんが指差す方向を見詰める。
そこには、『吉澤くん』。柴ちゃんの最近のお気に入りが、
寝癖のついた頭を面倒くさそうに整えながら歩いていた。
- 19 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時39分54秒
- 柴ちゃんはミーハーだ。
カッコイイ男の子がいると、すぐに憧れてしまう。
けれど、今まで告白したなんて話しは聞かない。
もちろん、彼氏もいない。
なんにしても、その横顔は・・幸せそうでいいわよね。
私ってどうなんだろうか。
恋をできない体?
周りの子達がカップルになっていく様をぼんやりと眺めて。
未だに、初恋もしてないなんて言ったら、驚かれるに決まってる。
友達の黄色い声を近くで聞くたびに、憂鬱になる。
そんな私の日常。
平凡で退屈な、そんな私の日常。
確かに、その朝思ったんだ。
あ〜あ、このつまらない日常をもう少し、刺激のある日常に
変えてくれないかなぁ?
毎日がドキドキの連続で、もう少し色気のある青春・・。
- 20 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時40分56秒
((あっち向いてホイッ!))
- 21 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時41分43秒
だけど、神様なんてやっぱり、いないわ。
放課後になっても、その私の願いは叶う片鱗さえ見せず、
それどころか、いつもより、少し憂鬱な放課後。
「じゃあー、石川!これ片付けといてくれるかぁ〜?」
げっ・・。
担任の和田先生が私を視線で指す。
『和田って絶対梨華ちゃんがお気に入りだよね〜。』とは
柴ちゃん談。
教師のお気に入りになんて、なるもんじゃない。
なんで私が重い物理の教材持って、倉庫まで行かなきゃならないんだろう。
トボトボと荷物を両手に持って廊下を歩く。
「今日、中学の友達がライブハウスでライブやるの!だから!ごめん!」
友達甲斐のない友達のその声を思い出しながら。
- 22 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時42分18秒
- 2階の校舎の端の端。
でかいものはなんでも詰めちゃえ的な教材倉庫と化した教室。
ん?誰かいるのかな?
カタンと音がして、白い影が揺れる。
トントン。
一応、ノックをして「失礼しま〜す。」と扉を開いた教室で
見たものに。
「キャーーーーーーーーーー!!」
私は悲鳴をあげた・・。
「ちょっ、ちょっと待って、石川さん?」
その後で私は、ポカーンとしちゃってたの。
だって、だってね・・。
男子の着替えてるところに遭遇したと思ってたら、
その男子は・・。
- 23 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時42分50秒
- ああ・・神様、
私はこんな刺激・・いや、衝撃を望んでいたわけじゃないのよ・・。
チカチカする頭を巡るのは、いくつかの単語で。
目の前にいるのは、物凄く怖い形相で私の腕を掴み教室内に引き入れた、
吉澤・・くん。
み、見間違いじゃないよね?
もしかしたら、私の常識が間違ってるんじゃない?
よぉーく考えるのよ、梨華!
目の前で髪をグシャと面倒くさそうに掻きあげてるのは、吉澤くん。
吉澤くん、なのよ。そう。
吉澤くん、なの?
そうよね?
やっぱり見間違いかしら?
でも・・前がまだはだけられてるシャツから覗くのは
サラシでグルグル巻きにされた
・・・胸?
- 24 名前:gamax 投稿日:2002年11月19日(火)08時49分17秒
更新です。
>12 名無し読者さん
>13 名無しですさん
>14 名無しさんさん
>15 名無し読者さん
レスありがとうございます。
期待に沿えるように頑張りますので
よろしくお願いします。
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月19日(火)20時54分29秒
- キター!
よしこのサラシ!この鳩ムネ!
- 26 名前:りゅ〜ば 投稿日:2002年11月19日(火)21時49分10秒
- オモロイ(・∀・)です!
更新期待!
- 27 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)19時16分17秒
おかしい・・。何かがおかしい。
今朝起きた時はいつもと同じだった。
親父にたたき起こされ。タンスの角に頭をぶつけ。
朝食の席で口論となり・・・。
フム、ここまでは以上無い。
え・・とそれから。
授業中は居眠りこいて。休み時間はクラスの奴等のくだらねぇ〜
エロ話聞かされて。最後の授業は体育だったから、いつも着替えに使ってる
『お化けが出るって噂のあの教室怖いわキァー。』なこの教室で
着替えたわけだ。
フムフム、問題は無い。
で、体育が終わって、日直だった俺は用具を片付けて、日誌を先生の
所に持っていって、再びここに着替えに戻り、現在に至る。
お、完璧じゃん。
何てったって『お化けが出るって噂のあの教室怖いわキァー。』なわけだから
真夜中の肝試し位にしかここは使われはしない。
しない・・しない・・しない・・
はず。
- 28 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)19時24分05秒
お?はず?
何だ『はず。』って。
そぉいやぁ何だかさっき
不可解なことがあったような、無いような。
誰かの名前を口にしたような、しないような。
「あのぉ〜〜。」
今誰かの声が聞こえたか?
否、空耳だ。そうだきっと空耳だ。
こんな所に人が来るわけねぇーもんね。
アハハ、俺ってお馬鹿さんっ。
「あのぉ〜、ちょっと・・。」
「・・・・。」
「吉・・澤・・くん。だよね・・。」
「・・・・。」
「もしもぉーーーし。」
「のわぁぁぁあああああ!!」
「キャァァァアアアアア!!」
終わった。俺の人生終わった。
- 29 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)19時35分44秒
思い起こせばこの17年間。涙無しには語れない。
少しでも女だと周りの人達にばれそうになると転校させられた。
折角仲良くなった友達ともサヨナラバイバイ。
体育の授業でプールに一度も入ったことが無い。
修学旅行は病欠にさせられた。
学校での楽しい思ひ出なんてこれっぽっちもありゃしない。
高校入学を機に絶対女だとばれないようにすると無理矢理親父に約束させられ、
親父は念願のマイホームを手に入れた。(ローン30年。)
だがしかし。だがしかし。
俺は目の前にダンボールを抱えて立ち尽くしている
石川梨華に一瞥をくれる。
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月20日(水)19時45分49秒
- 期待〜期待〜♪素晴らしい!!
- 31 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)19時47分15秒
よりによって石川梨華だ。
隣の隣のクラスの石川梨華。
石川梨華。石川梨華。
一日一回は野郎どもの口から発せられるその名前。
『石川ってすっげーカワイイよ。』
『うわっ。見たかよ、梨華ちゃんの走り幅跳び!なんつぅーか、最高。』
『さっき石川梨華がよぉ〜。』
そういえば前に何回か
『吉澤、おめぇー梨華ちゃんに手ぇ出すんじゃねぇぞ。』
と、クラスの野郎どもからやけに冷たく言われたことがあったが。
『バーカ。俺はあんなガキには興味ねぇよ。』
あの時は鼻先であしらってやった。
だって俺、女に興味ねぇーもん。
だって俺・・
「吉澤・・くん。って、女・・の子・・なの?」
そうだよ。そうだね。ソースだよ。
- 32 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)19時59分52秒
イカンイカン。落ち着け、落ち着くんだ。
どうにかしてこの状況を打破しなければ。
ここは冷静に、冷静にことを運ばなくてはならん。
「い、石川さんは。どどど、どうしてここにキタの?」
声が少し裏返ってしまった。
でもこの調子で優しく語りかけて、仲良くなって事情を話せば・・
「こ、これ和田先生に教材室に持って行けって言われて。」
石川梨華は持っていたダンボール箱をアゴで指した。
ん?教材室?あの、2階の端の端にある倉庫の事?
あれ?ここは『お化けが出るって噂のあの(以下略)』は確か
3階の端の端だったような・・・
「私、教室間違えたみたい。」
「ブァカヤロォォォオオオオオ!!!」
作戦変更。俺、この人殺します。
- 33 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)20時11分49秒
考えてみれば、俺の秘密を知っているのは石川梨華ただ一人。
その細い首をキュッと閉めてしまえばジ・エンド。
だがその時頭の中で、母さんの顔が浮かぶ。
駄目だ・・・。俺には出来ない。母さんを悲しませるなんてそんな事。
(あのタヌキ親父はどうでも良いが。)
人殺しの子供を産んでしまったと、きっと今度こそショック死してしまう。
あぁ俺はなんて親不幸・・
「じゃ、私はこのへんで・・。」
クルリと俺に背を向けて、立ち去ろうとしたその襟首を掴む。
「ぐぇっ。」
しょうがない。母さんの命に免じて、ここは示談でいくか。
「もし、今見た事を誰かに言ったのなら・・・。」
「ぐ、ぐるしい。」
バタバタともがく石川梨華を後ろから羽交い絞めにする。
「もし、俺が女だってことを誰かにバラしたら・・。」
いつもより一オクターブ低い声でゆっくりと言葉にする。
「殺す。」
- 34 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月20日(水)20時15分08秒
ああ、神様。無理なお願いは言いません。
どうかこのカワイソウな俺に。
平凡で退屈な、そんな毎日を
お願いプリーズ。
- 35 名前:gamax 投稿日:2002年11月20日(水)20時21分41秒
更新です。
>25名無し読者さん 吉澤さん鳩胸なんですか・・。知らなかった。
>26りゅ〜ばさん ありがとうございます。頑張ります。
>30名無し読者さん これからも期待に添えればと・・。
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月21日(木)19時36分34秒
- これで石川さんが本当に殺されたら面白いんだけどなぁ。
こんな自分は石川推し。
あっち向いてホイッ!の時は、なぜか全角sageなのにもうけた。
- 37 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時17分30秒
- 「あっ、これ落としましたよ?」
優しい声に振りかえる。
「あ、ありがとうございます。」
差し出されたハンカチを俯いて受け取る私。
偶然、舞い降りてきた出会い。
もうそれは神様の思し召しのよう。
毎日がドキドキの生活(はぁと
遠のいていく・・遠のいていく・・。
- 38 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時18分14秒
「殺す。」
耳元に落とされた声。
『キャーーーー』って叫んで逃げ惑って・・
駄目駄目駄目駄目。
これは映画じゃないの。つい映画のワンシーン思い出してる場合じゃないの、梨華。
ヤだヤだ。確かにホラー映画は好きだけど、
『石川さんって女の子らしいよね〜。』で通っちゃう私が
絶対誰にも言えないぐらい入り込んで見ちゃうほど好きだけど・・
自分が殺されるのは好みじゃないわ。
男の子(の筈だった人)に後ろからギュッと抱きしめられて、
キャッ!どうしたの?吉澤くん・・
ドキドキする私。
実は俺、石川さんのことが・・
駄目よ、駄目。
梨華、今はそんなお馬鹿な想像をしてる場合じゃないの。
いくら夢見がちな年頃でもそんな場合じゃないの。
ドキドキどころか、血液が全部頭を抜けてった感じ・・。
殺されちゃうの?
既に首が閉まってかなり苦しい状態なんだけど・・。
- 39 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時19分05秒
今、神様が目の前に現れたなら、
必死にお願いするのに。
もう絶対贅沢なんて言いません。
平凡で退屈なあの日常に・・
どうかこれが夢でありますようにと
誰か助けて・・お願い・・。
- 40 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時19分48秒
「死・・ぬ・・。」
「ん?」
背後からドスのきいた声が響く。
「死ぬ・・離・・して。」
腕をグイグイと引っ張る。
「あ、わりぃ。」
全然、悪いと思ってないような口ぶりで少しだけ、腕の力を緩める。
「ゴホッ!」
思わず、咽返る。
ゆっくりと、その腕をほどいて振りかえると、
すんごく怖い顔をした吉澤くん・・。
何度も言うけど、吉澤くん、よね?よね??
「わかりまちたか、石川さん、バ・ラ・し・た・ら・コ・ロ・ス。」
肩に手をかけて、そう言う吉澤くんの大きな瞳は・・
これ以上ないぐらい・・血走ってる。
コワイ。
- 41 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時20分25秒
- コクコクコクコクコクコクコクコク。
と私もこれ以上ないぐらいのスピードで頷いた。
「イイコです。」
言葉とは裏腹に、その手は私の襟元のリボンをギュッと掴んで、
焦点がボヤけるほど近づいたその顔は、もう・・なんていうか・・
見ただけで石にされちゃいそ・・
駄目駄目柴ちゃんに怒られるわ、そんなこと考えたら。
何度、『梨華ちゃん?』ってニッコリお叱りを受けてきたことか。ん?
柴・・ちゃん?
「困る!」
「は?」
腕の力が弱まって、目の前の顔が怪訝そうにしかめられる。
「そんなの困ります!」
「はい?」
「だって、好きなのに!!」
そうよ。柴ちゃんは吉澤くんが好きなのよ。
吉澤くんが女?そんなの困るわ。
- 42 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時20分58秒
- 「は・い?」
吉澤くんの血走った目がやや平静を取り戻して、
「だから、友達がアナタのことをっ・・。」
言い出して慌てて口を抑えた。
何、バラしてんだろぅ・・。
チラッと吉澤くんを見ると、また面倒くさそうに前髪をかきあげてる。
「そんなの、知ったこっちゃないんだよね。
アンタ、馬鹿か?アホか??
こっちはな!コロスって言ってんだぞ!
そのくらい、真剣な問題なんだよ!!」
ドン!!
と机を叩きつける大きな音が聞こえて・・
ギロリと私を睨みつけた吉澤くんは・・
「えぇぇえええええ!!」
だって、だってね・・。
仕方ないでしょう。
「なんで泣くんだよ・・。」
こんな風に誰かに怒鳴られたことなんてなかったんだもん・・。
なんか、ビックリしちゃって・・。
「こっちが泣きたいよ・・。」
吉澤くんは机に手をかけたまま、ガックシとうな垂れた。
そして、深いため息を一つ。
- 43 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時21分42秒
そもそも、何?
そもそも、なんで私は泣いてるの?
そう。ちょっとしたパニック。
パニックに落とし入れたのは、誰だっけ?
「ちょっと・・さっきから聞いてればひどくない!?」
「は?」
「私は、言わば被害者じゃない!なんでそんなこと言われなきゃ
ならないのよぉ。」
涙のせいで語尾が情けなく震える。
「見たくもないのにそんなもの見せられて。
バラしたらコロス?勝手過ぎるっ!勝手よぉ。馬鹿ぁ〜〜。」
私は一層声を荒げて泣いてしまった。
「・・・・・・。」
吉澤くんはぼーっと私を見てる。
ヤメてよね。都合のいい時にだけ、泣く女みたいに思わないでよね。
今、涙が出てるのは不可抗力だもん。
ちょっとしたパニックよ。言わばこの教室はパニックルームよ。
ああ、何考えてんだろ。
- 44 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時22分17秒
- 「あ〜もう、泣き止めよ。」
「泣き止め?命令?」
「面倒臭い・・。」
カッチーン
「アナタね、仮にも女の子なんでしょ?よくそれで今まで」
「わぁ〜かった!!」
言葉が吉澤くんの声によって遮られる。
「泣かないで。お願いします。」
「や、やればできるじゃない。」
「それから、今すぐここからいなくなって。この惑星からいなくなって。
お願いします。」
カカカカカカカカカッチーン!!
ご丁寧に頭まで下げちゃって。
ムムムカツクのよっ!!
- 45 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月22日(金)01時23分16秒
「もう嫌い!吉澤くんの顔なんか見たくない!吉澤なんて名前も口にしたくない!
安心して!ここであったことは忘れるわ!遠いお空の彼方にファラーウェイよっっ!!」
私は、完璧なタンカを切ってその教室を飛び出した。
- 46 名前:gamax 投稿日:2002年11月22日(金)01時26分45秒
更新です。
>36 名無し読者さん 石川さんはこうなりました・・。
全角sage、言われてはじめて気付きました(笑)。
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月22日(金)21時18分52秒
- ファラーウェイ最高(w
自分は石川さんの魅力は顔は綺麗なのに、ひどく人間くさい所だと思っているので
この小説の中のダメ人間っぽい石川さんが好きどぇす。
- 48 名前:リエット 投稿日:2002年11月23日(土)00時57分59秒
- 面白いのは吉澤さんのパートだけかと思ったら、石川さんのパートも笑わせられました(笑)
そして、>>47さんの、ファラーウェイ最高に禿同!
- 49 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)16時13分12秒
ポッカ〜ン。
今の俺を表現するのに、これ以上の的確な言葉は無い。
ポッカ〜ン。ポッカ〜ン。ポッカ〜ン。
石川梨華が驚いた。
石川梨華が怒った。
石川梨華が泣いた。
石川梨華が怒鳴った。
週刊誌のような文字の羅列が頭の中を駆け巡る。
こんな事を考えてる場合じゃないんだ。もっとこぉー。なんつぅーか。
あれだ。なんだ。どうした。ワッショイ!ワッショイ!
・・・・。
帰ろう・・。帰って家でゆっくりコタツに入ってみかんが食いたい。
俺は今猛烈にみかんが食いたい。否、確か家にあったのはみかんではなく・・
ポンカ〜ン。
- 50 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)16時25分23秒
ガラッ。
「い゛っ。」
石川梨華再び登場。って、だからそんな場合じゃ無いっての。
うわー。まだ泣いてるよ。ほんっと、女って面倒臭い。
俺、女じゃなくてよかった。って、あれ?
やばい、こいつの顔見たら又頭がこんがらがってきた。
だが石川梨華は俺を完全に無視して、置きっぱなしにされていた
ダンボール箱に手を掛け『よっこらしょっ。』って感じに持ち上げる。
あ、成る程。忘れ物を取りに来ただけですか。そうですか。
ん?もしかして俺の事睨んでます?
石川梨華の口許が動く。
「バーーーーーーーカ。」
本当はそれが言いたくて戻って来たわけですね・・。
あ、お客さぁーん。すいませぇーん。入り口のドアは閉めて行って下さぁーい。
・・・・。
ポンカ〜ン。
- 51 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)16時39分39秒
何だか家への帰り道は足もとがおぼつかなかった。
地に足が着いていないっていうか。雲の上を歩いているような感じっていうか。
「あら?ひとみちゃん帰ってたの?」
自分の部屋のコタツでボー、っとしていると、母さんが乱入してきた。
だからノックぐらいしろって。もう慣れてっけど。
「うん。ただいま。」
「どうしたのよ、着替えもしないで。」
母さんは俺の向かいの場所にモゾモゾと座る。
「何かあったの?普段からボー、っとしてるけど
更に呆けちゃって。」
「更に・・って・・。まぁいいけど。」
心配そうに俺の顔を覗き込む母さん。
「何でもねぇよ。って、ゲッ。」
母さんは目をウルウルさせて今にも泣きそうになってる。
「ひとみ・・ちゃん、が・・反抗期・・。」
「ちがっ、違うって。その、今日学校で女の子泣かしちゃって・・」
パッシーーーーン。
俺は母さんに頬を張られた。
な、なんなんだこの展開。
- 52 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)16時48分36秒
「ひとみちゃん!どんな事情があれ、女の子を泣かすなんて最低よ!?」
いきなりそうなるわけね。
どんな事情って、じゃ言うよ?言っちゃうよ?
家庭崩壊の始めの一歩だよ?俺なんかグレちゃってグレちゃって・・・
「男の子が女の子を泣かせていいのは嬉し涙の時だけ!!」
「あ?」
「女の子は傷つきやすいんだから大切に扱ってあげなくちゃ駄目!!」
「ん?」
「ちゃんとその子に両手をついて謝りなさい!!」
土下座かよ。ってか事情は本当にどうでも良いんだな。
ダメだこりゃー。次行ってみようー。
- 53 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)16時56分51秒
あいつの所為で今日は厄日だ。
大体2階と3階なんて普通間違えるかよ。
(だがあいつは俺があそこを着替えに使っているなんて微塵も知らなかった。)
ピーピーピーピー放送禁止用語みたいに泣きやがって。
(だがあいつは俺に絞め殺されそうになった。)
俺に向かって『仮にも女の子なんでしょ?』なんて偉そうに言いやがって。
(まぁ確かに(仮)なんだが。)
・・・・。
(・・・・。)
ひょっとすると・・悪いのは全部俺ですか?
(ピンポーーーーン。)
- 54 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)17時04分18秒
考えてみれば、随分ひどい言い方をしたような気もする。
あれはいくらなんでもひでぇーよ。
人間じゃねぇーよ。人間失格だよ。
やっぱもう一回ちゃんと謝まっとくべきだろうか・・。
『バーーーーーーーカ。』
今更ながらカッチーン。
俺のこめかみあたりがピシリと音をたてた。
駄目だ駄目だ。
もう石川梨華に関わっちゃいけない。
俺の中の第六感がそう告げている。
- 55 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)17時21分45秒
「ひとみちゃん、約束して。もう二度と女の子は泣かせないって。
女の子には優しくするって。」
あ、まだいたんだ母さん。
「約・束・し・て。」
母さんはそう言って小指を俺に突き出した。
この年で指きりかよ・・。
だが渋々俺も小指を差し出す。
「指きりげんまぁ〜」
「それはいいから!」
まぁ、どうせもう石川梨華に関わる事は一生ねぇーだろうから。
あんな風に女を泣かせる事はねぇだろうし・・。
約束しましょう。OK牧場!
そして、今日の事はすべて忘れよう。石川梨華の言葉を借りるなら。
『遠いお空の彼方にファラーウェーイ。』(なんじゃそりゃ。)
グッバイ今日という日。俺の苦い青春の一ぺージよ・・。
- 56 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月23日(土)17時26分37秒
だが甘かった。それはもうハチミツにアンコをかけて食す位甘かった。
石川梨華はそれ以降、俺の苦い青春の2ページにも3ぺージにも
登場することとなるわけだが。
その時の俺は、揚々とポンカンを食べていた。
- 57 名前:gamax 投稿日:2002年11月23日(土)17時30分03秒
更新です。
>47名無し読者さん。自分もそんな石川さんが好きです(w
>48リエットさん。嬉しいです(w
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月23日(土)22時33分20秒
- この親にしてこの子あり。
少女漫画に出てくる親っぽくてイイネ!!
あ〜そういえばこの小説「俺」って単語が使えていいなぁ・・・
- 59 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)17時58分04秒
- バカバカバカバカバカバカパカパカパカパカパカパカ・・
頭の中をお馬さんが駆け巡ってるわ。
もう一度よ、梨華。
諦めちゃダメ。
バカバカバカバカバカバカハカハカハカハカハカハカ・・
ツーと背筋に冷たいものが走って・・
聞こえてきたのは
『殺す』
到底、女の子の声とは思えない。冷たい・・声。
駄目よ、梨華。諦めちゃ駄目。
ん?
何を諦めちゃ駄目なの?
何を?なんで?何が?なんのため?
誰がため?鐘は鳴るの?いつ?
- 60 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)17時58分58秒
駄目駄目駄目っ!
かなり、混乱してるわ。
・・涙が止まらない。
一体、なんの涙なんだろう。
こんな涙など、この際無視よ!
・・前が見づらいのよ・・。
取り敢えず、教材室までこのダンボールを持っていって
そして、お家に帰りましょう。
ハウスっ、よ、梨華。
そう。マウスよ。そうそう。
チュッチュッチュチュチュ!サマ〜パ〜ティ〜♪
そう。マウス。
そう、ホウスよ。ホース。
お馬さんの軽快な。
パカパカパカパカパカパカパカパカバカバカバカバカバカバカバカ・・
あ れ?
- 61 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)17時59分29秒
- 駄目よ、駄目。駄目だわ、駄目。
何度も言うようだけど、駄目なのよ。
ごめんなさい、和田先生。
根性なしの私を許してください。
廊下にそぉっと荷物を置いて・・
ダッシュ!!
涙は心の汗よ!!
ぬぐって走るのよ!
とにかく何でもいい。
取り敢えずなんでもいいから、
・・はやく、家に帰って眠りたい。
- 62 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時00分07秒
おやすみ、夢の中の私。そう、全ては夢なの。
明日からはそう、退屈で平凡で涙なんか・・
まぁ、とにかくおやすみなさい。
そ・し・て・吉・澤。
グッチャ〜〜〜〜〜〜
よし、サヨォナラ♪
たった1日の私の厄日。
- 63 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時00分38秒
「・・・ん?」
俺は不自然極まりないことに
やけに静かな朝に、自然に目を覚ました。
ここは・・どこ?
ああ、ベッドから落とされてるのか。
景色が違うから一瞬わからなかった。
この、頭痛の原因はなんだろう・・。
頭をゴシゴシと手のひらで擦りながら階段を降りる。
「ひとみちゃんっ!」
・・何何??
母さん、目に涙を一杯溜めちゃって・・
昨日の約束は守るよ。なんたって指きりしたし。
「よかった!反省し過ぎて植物状態になっちゃったんじゃないかって
お母さん、心配してたのぉ〜。」
ワンワンと泣き始める母さん。
す、すごい飛躍だな。
俺はあの女・・ん?誰?知らない。
女のこと如きで植物状態になるような親不孝ものじゃないよ。
- 64 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時01分19秒
- ん?この場合、反省して植物状態の方が親孝行?
否、今はそんなことはどうでもいい。
「母さん、ほら、ピンピンしてるから。」
なんか、アレだな。
泣いてる人を見ると、あいつを思い出すっつーか。
否、思い出さないだろう。だいたい、あいつって誰?
しっらなぁ〜い。
「それより、ひとみちゃん。」
んげ?なんかすっぱり泣き止んでるんだけど・・。
「ん?」
「もう一時間も遅刻よ?」
だから、その穏やかな微笑みで恐怖のセリフを吐くのは
止めて欲しい。
- 65 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時01分57秒
「はぁ〜・・。」
ついてない。
昨日、なかなか眠れなかった所為で、今朝起きれなかった。
しかも、頭が痛かったことから考えて俺は親父に投げ飛ばされでも
したんだろう。
なのに、だ。
しかも・・なんだかわからないけど、物理の和田から呼び出しときた。
放課後・・逃げても無駄だよなぁ〜。
「はぁ・・。」
「よぉ〜しざわぁ〜〜!!」
現代文の寺田から、チョークが飛んでコメカミにヒット。
「なにすっだよ!!」
授業中という事実を忘れていた。
つい、頭に来て立ちあがった俺は、ベタに廊下に立たされることになった。
つーか、今時やるか?
しかも、両手にバケツ・・。
最悪だ。
- 66 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時02分30秒
だがしかし、
石川梨華に関わった俺の不幸は、どうやらまだプロローグをも
終えてないことに気付かされることとなる。
目の前には、怖い顔をした和田。
「だからな、石川はお前の所為だといっとるんだよ。」
・・
あんの石川梨華め・・。
やらかしてくれた。
まさか・・あんなに大事そうに抱えて出ていったダンボールを
廊下の真ん中に放り出して帰っていたなんて・・。
「お前、石川になんかしたのか?素直に言えば怒らないこともない。」
「なんかって・・別に。」
ドン!!
目の前の机に和田の両手が叩きつけられる。
「石川はな、『吉澤くんが怖いから言えないです。』なんて・・
ああ・・今にも泣きそうな顔をして言ったんだぞ?
それを、知らんとは言わせん。」
冷静な・・ように勤めようと頑張っているのが見え見えな
和田の言葉がゆっくりとおとされる。
- 67 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時03分20秒
- あんの石川梨華め・・。
バラさなくても、そんなこと言っちゃおしまいだろーがっ!!
「吉澤、吐け!吐くんだ!」
「い、いや、そのアレですよ。あの、石川さんがですね、
俺が着替えてる教室に入ってきたんですよ。」
「ほぅ。」
「それだけ、です。」
俺が言えるのは・・。
ヤバイ。母さん。俺やっぱり『あんの石川梨華め』を殺しそうです。
ごめんよ、母さん。
でも、仕方ないことなんだ。
だって目の前の・・
和田の表情から怪訝なものがすっかり・・抜けて?
ん?
「そうか!なるほど!それは仕方がない。
男子の着替えに遭遇したら、そりゃ石川もビックリするだろう。
うん。そうか、そういうことか。
よし、吉澤。もう帰っていいぞ。」
「へ?」
つい間抜けな声を出してしまった。
- 68 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時03分51秒
- 「ん?」
和田はニコニコ笑って尋ねてくる。
「あ、いや、はい。では、失礼致しますです・・。」
俺はいそいそとその場を去った。
おお。バレずに済んだじゃないか!
ありがとう、石川梨華。
ん?
なんか間違ってねぇ?
えっとぉー、
石川梨華は俺に感謝されるようなことをしてたかなぁ?
よく考えるんだ。落ちついて。
ポン・ポン・ポン・ピーーン!!
「してなぁぁあああああああああい!!」
そうだ!
なんだ、アイツは!!
バラしかけたな?バラしかけたよな?
きっと俺の前で間抜けにも友達の気持ちを言ってしまった
あの時のように、つい口から滑りおちたってところだろう。
- 69 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月24日(日)18時04分31秒
- ツメが甘いんだ!
いや、俺のツメが甘いのかもしれん。
俺が今、一番やっとかなきゃならんことはなんだ?
そう、石川梨華との接触。
そして、石川梨華に何千本もの釘を刺すっ!
待ってろ、待ってろ石川梨華。
今度こそ、その口。
もう、2度とっ!!
耳障りな超音波を発せないものへと変えてやる・・。
- 70 名前:gamax 投稿日:2002年11月24日(日)18時06分05秒
更新です。
>58 名無し読者さん 俺、ですか。確かになかなか使える小説って
ないかもしれないですね。
- 71 名前:リエット 投稿日:2002年11月25日(月)00時52分05秒
- いいっす、おもしろいっす!
こうして再び出会うわけですか(笑)
- 72 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月25日(月)19時01分39秒
- やっちゃえ。まずやっちゃえ。よっすぃー。
- 73 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)19時06分36秒
ズキズキズキ・・・。
「大丈夫?梨華ちゃん。まだ頭痛治らないの?」
そう言って柴ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「ん、まだちょっと・・。」
「風邪でも引いた?」
風邪だったらどんなに良かったことか。
さっき和田先生からしつこく問いただされて。つい言っちゃった。
『吉澤くんが怖いから言えません。』って。
その時から何故か頭が痛い。
これは呪い?
呪いなの?
- 74 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)19時17分14秒
今頃吉澤くん和田先生に呼び出されているんだろうなぁ・・。
でも、『吉澤くんに怒鳴られて、脅されて、殺されかけて
ショックで何も考えられませんでした。』って言ったわけじゃないし。
『吉澤くんは実は女の子です!』ってバラしたわけでもないから、
約束破ったわけじゃないのよね。
いわば痛み分けよ。
後のことは自分でフォローしてほしい。
だって半分はあっちの責任だもん。
私を呪うなんておかど違いよ。
ズキズキ・・。
- 75 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)19時29分50秒
昨日の自分を思い浮かべるとほんとゲンナリする。
あんなに取り乱して。あんなに人前で泣いて。
おかしな事考えて。激しく反省。
きっと普段は使わない左脳の働きが活発だったのね。
「和田に何か嫌なこと言われた?」
「言われたというか、もう二度と口に出したくもない名前を言ったというか・・。」
「梨華ちゃん?」
柴ちゃんがニッコリと笑う。あ、これはお叱りの前触れ。
「分けわかんない。」
「だよねぇ。あはは。」
引きつり笑いを浮かべる私を、柴ちゃんは呆れたように眺めて
『ま、いっか。いつものことだし。』と、背伸びをした。
あれ?なんか柴ちゃんやけに緊張してない?
- 76 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)19時42分36秒
「柴ちゃん、何かあった?」
「ん〜。あのね、実は私、今日告白しようと思ってるんだ。」
コクハク?
コクハクって告白?
ああ。何?この全身のうぶ毛が逆立つような嫌な予感は。
「何かさ、今回は本気なんだよね。」
「ちょっ、ちょっと待って・・。少しの間私に考える時間頂けないでしょうか?」
「へっ?」
キョトンとする柴ちゃんに背を向け、私は考え込む。
それはそれは深く考え込む。
右脳も左脳もフル回転させて、私はありとあらゆるデータを分析し、
そこにある答えを導きだそうとする。
今の私はスーパーコンピューター。
カタカタカタ。
ピーピーピー。
ガチャンガチャン。
分析終了。
- 77 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)19時57分54秒
カクカクと不自然に振り返る。
「相手は・・吉澤・・くん?」
「他に誰がいると?」
スーパーコンピューター石川梨華。近日発売。(予定)
まずい。それはもう非常事態よ。
避難警報発動よ。
「だって柴ちゃん、今まで誰かに告白したことなんてないじゃない・・。」
「だからぁ〜、言ったでしょ?今回は本気なんだって。」
私はアワを吹いて気絶しそうになる。
でもここで倒れてしまったら、誰が悪魔の囁きから
柴ちゃんを救うことが出来るというの!?
しっかりするのよ梨華!ファイッ!!
「今日は・・ちょっと止めたほうが、良い・・と思う・・。」
「駄目!決めたの!絶対今日じゃないと駄目!」
「その頑なな決意は何処から・・。」
「占いで今日の恋愛運が二重マルだったの!」
ここにも夢見がちな乙女が一人。
- 78 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)20時10分06秒
「最初はね、ただカッコイイな、位にしか思わなかったんだけど。」
「柴ちゃんミーハーだもんね・・。」
「いつもはクールなのに、たまに見せる笑った顔がすごく可愛いくて。」
「クールじゃなくて冷淡なのかも・・あの人笑ったりするの?」
「今時珍しいほど硬派だし。もう男の中の男って感じ!」
「あ、それが一番の間違え・・かも・・。」
柴ちゃんの夢見がちな表情が怪訝な表情へと変わる。
「梨華ちゃん。なんか変。」
違う。違うのよ柴ちゃん。変なのは私じゃない。
私じゃなくて吉澤くんなのよ!?早く気付いて!
「もしかして・・。」
あ、嫌な予感。
「梨華ちゃんも吉澤くんのこと・・好き?」
ボンッ(壊)
スーパーコンピューター石川梨華。エラー発生。(発売中止。)
- 79 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)20時20分58秒
駄目。もう一杯一杯。
耳から煙が出そう。
こうなったら、覚悟を決めるしかない。
この身を呈して柴ちゃんを救うしかない。
『バ・ラ・シ・タ・ラ・コ・ロ・ス。』
怖くないわ!負けない!私は負けない!!
たとえこの肢体が無くなったとしても。私が柴ちゃんを守ってみせる。
お父さん。お母さん。今まで育ててくれてありがとう。
梨華は今、友達のために短い生涯に幕を降ろそうとしています。
どうか私のこと、親不孝だと思わないで下さい。
こんな私を誇りに思って下さい。
それじゃあ
グッチャー。(涙)
- 80 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)20時32分08秒
「あのね、柴ちゃん。真剣に聞いて・・って、あれ?」
なぜか柴ちゃんの視線は私を通り越して、そのずっと後ろを見ている。
「柴ちゃん?」
「アンパンマンが・・。」
アンパンマン?
アンパンマンってあの、愛と勇気だけが友達のあのアンパンマン?
どうしてここでアンパンマンが出てくるわけ?
もしかして柴ちゃん、吉澤くんが実は『女の子』だったのがショックで
おかしくなっちゃったの?
んん?私言った?吉澤くんが女の子だって言った?
言ってないよね。じゃあそれは関係ないって事だよね。
?????
私はとりあえず柴ちゃんの視線を追ってみることにする。
- 81 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月25日(月)20時39分06秒
あ、本当だ。
アンパンマンだ。
アンパンマンが凄い勢いであっちから走って来てる。
でもどうしてアンパンマンが学ラン着てるわけ?
どうして心穏やかな正義の味方があんなに禍禍しいオーラを放ってるわけ?
え?え?もしかして私達に向かって走ってます?
え?え?
「イヤァァァアアアア!!」
宇宙広しといえど、アンパンマンの肩に担がれて
風を切ってるのって
たぶん私だけ。
どうなるんですかぁ?
- 82 名前:gamax 投稿日:2002年11月25日(月)20時42分13秒
更新です。
>71 リエットさん。 出会うわけです。
>72 名無し読者さん。 (汗)
- 83 名前:リエット 投稿日:2002年11月26日(火)02時25分39秒
- アンパンマンに爆笑(w
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)12時37分58秒
- スーパーコンピューター石川梨華。秋葉原あたりで探してみます。
- 85 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時54分33秒
- み、見付けたぞ石川梨華・・。
ぜぇぜぇ。
全速力で走ってきたから息が切れる。
何やら、放課後の教室前の廊下で友達とお話中みたいですねぇ(ニヤリ)
・・なんか、俺キャラがかなり変わってきてるみてーだけど
ま、気にしない。
あの友達、どうする?
はやく話終わらないの?
なぁ、い・し・か・わ・さ・ん♪(呪いのオーラ発信中)
- 86 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時55分12秒
・・・・・
長いな。
・・・・・・
長い、長すぎる。
女って長話が好きだよなぁ。
俺なんかクラスの女子に・・ってその話しは今はいい。
ああああれ?なんか石川梨華の耳から煙が出てるように
見えるのは錯覚だろうか?
錯覚だよな、うん。
ってゆーか、なんだか大切なことを忘れかけてるような・・
思い出せ。俺は壁に張り付く為にここに来たわけじゃないよな?
ウム。・・
ポン・ポン・ポン・ピーーーン!!
『どぅああああああああ!!!!!』
思い出した!
余りの事実に思わず声に出しそうになっちまった。
にっくき石川梨華めっ!!
はやく!はやくアイツの口を塞がねば!
もしや、隣にいるお友達は例の彼女だったりするのか?
とってーーーーーーもいやぁーーーーーーーな予感。
額に汗が滑り落ちる。
どうしたもんか。どうしたモモンガ。
- 87 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時55分43秒
- イカン。また混乱モードだ。
あ、イカン。なんだかすぐそこにアンパンマンが見えるぞ。
混乱モードだ。
って、ん?
アンパンマンは本物??
廊下に置いてある・・アンパンマンのお面?
本物みたいだ。よかった。
ついに幻影まで見るようになっちまったんじゃないかと・・。
ポン・ポン・ポン・ピーン!!
これは使える。これを使わずして何を使う?
フハハ。
俺ってやはし天才だ。
石川梨華目掛けてアーーーーーンパーーーンチ!!
俺は全速力で駆け出した。
- 88 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時56分22秒
- お友達が先に気付いたようだけど、これでは俺だとはわかるまい。
フハハ。
石川梨華はもらった!!!
「イヤァァァアアアア!!」
フハハ。
どうだっ!女一人この吉澤ひとみにかかればちょろいもんよ♪
ん〜?落ちついて話ができるところがいーかなー。
ジックリコッテリミッチリ石川さんを絞らなきゃいかんからねぇ。
ポン・ポン・ポン・ピーン!!
吉澤くんてばやっぱ天才♪
サイコーな場所があったじゃん。
フハハ。
- 89 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時56分55秒
- フハハ。
フッハッハー・・。
ヒーヒーフー・・。
マズイ。コイツ(暴れてる石川梨華)をかついで
三階まで上るのはちとキツかった・・・。
はぁ・・・・・。
連れてきたのは三階の端の端の教室。
そう、石川梨華と俺の『思い出』の場所(苦汁)。
ドカッと石川梨華をテーブルの上に座らせる。
「ひっ!だ、誰!?」
「『誰?』だとぉ?」
低く、ひくぅーく呟くと、石川梨華は表情を強張らせた。
俺はゆっくりとアンパンマンのお面を取る。
「怖っ!」
なに!?コイツ今、なんて言った?
- 90 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時57分29秒
- 「なんだと?コラぁ。」
「いや、なんでもないっ、です・・。」
「よろしい。」
俺は腕組をして、石川梨華の正面に仁王立ち。
「てめぇ、コラ。あ、コラ。俺が今日呼び出されたって知ってるか?」
石川梨華はコクンと頷く。
俺もうん、と頷いて
「で、なんで呼び出されたか、わかるかなぁ〜?」
脅迫する気満々な笑顔を顔に張りつける。
「い、いや、だってアレはほら、ほら、ほら。」
「な・に?」
いい訳などできない筈だ。
バラしたらコロス。
それが僕と君との永遠の約束だね?ベイベー
顎をグッと掴んで持ち上げる。
- 91 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時58分22秒
- 「言ったよな?バラしたらコロス。もう一回言うか?後100回言うか?
それとも、殺されたいのかぁ。」
俺がニッコリ笑うと
フルフルフルフルと首を横に振る石川梨華。
「だよなぁ。じゃ、一体なんのつもりだったか」
「誰か来る!!」
俺の言葉を遮るようにして石川梨華がまたあの超音波を発した。
「はい?」
こんなところに誰も来る筈がないでしょう。
だってここは(以下自粛)なんだから。
あああああれ?
それにしては・・パタパタと足音が聞こえたような・・。
「梨っ華ちゃぁ〜〜〜〜〜〜ん!!」
んげ。マジで誰かいるぅー!
俺は急いでマイマスク(アンパンマン)を装着した。
- 92 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時58分55秒
- 「柴ちゃん・・。」
「オイ、なんとかしろよ!」
ヒソヒソと声を殺して言葉をかける。
「なんとかって・・。」
「あ、おまい、いや、おまえ、ケータイ持ってるよな?」
「う、うん。」
「それで呼び出せ。外にいるから来て!チャオー♪とか言って。」
「う、うん。」
石川梨華は制服のポケットからケータイを取り出して
マナーモードに切り替える。
そして、2,3個ボタンを押すと、話し始めた。
「柴ちゃん、何してんの?」
仕方ないので、マイマスクを貸してやった。
だってさ、外に声聞こえちゃうもんねー。
手と顔を同時に突っ込んで話している石川さん、
後姿がなんとも・・マヌケだ。
- 93 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)18時59分37秒
- 「・・え、うん。もう外だよ。そう、来て!うん。チャオー♪」
・・ほんとに言ったんだな。
チャオー♪は要ったのか?要ったのか?
要ったみたいです。
マイマスクから顔を出した石川梨華は満面の笑顔だし、
外にいる筈の柴ちゃんさんは走り去った気配。
「ね、」
「何?」
「私、帰るね。」
「は?」
「だって、外にいないとまた探しに来るよ?それで見付かっちゃうよ?
なんで二人でいるの?なんで嘘ついたの!?ってしつこく聞かれるよ?
いーの?」
石川梨華は得意げにそう言う。
「・・わかった。ならば仕方ない。お前の首を今すぐここでっ!!」
「ひっ!」
「と、言うぐらい俺はお前を殺したい。それだけは覚えておけ。」
「わかったわよぉ。」
そう言うと石川梨華はトボトボと教室を出ていった。
- 94 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月26日(火)19時00分10秒
- よし、俺達も帰るか、マイマスク。
ん?
今、気付いたけど、なんだ、コレ。
どっから持ってきたんだっけ?
アンパンマンのマスク?
まさか全ては幻なんて・・。
「いっでぇえ!!」
ベタにほっぺたをつねってみたら、かんなり痛かった。
・・・・・
ま、ほっときゃいいよな。
その辺の廊下に。
- 95 名前:gamax 投稿日:2002年11月26日(火)19時03分48秒
更新です。
>83 リエットさん。アンパンマンの謎(w
>84 名無し読者さん。見付けたら教えてください(w
- 96 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)20時43分55秒
- 吉澤コンピューターの音最高。
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)23時12分10秒
- 石川さん、マジで耳から煙出てたのかぁ…(w
そして何故廊下にアンパンマンのお面…
- 98 名前:リエット 投稿日:2002年11月26日(火)23時29分42秒
- てか、アンパンマンは比喩じゃなかったんだ(w
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月27日(水)17時31分27秒
- 石川さんも吉沢さんも死なない程度にがんばれ。
何を?さぁ…
アンパンマン…てっきり被り物(ショーとかでみる着ぐるみ)かと
思ってたら…お面だったのか(笑)
- 100 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)11時24分41秒
否、そこら辺の廊下にほっぽっとくなんて
それはいくらなんでも非人道的すぎるだろう・・。
落ちていたのを俺が勝手に拾って、勝手に被って。
あまつさえ正義の味方を勝手にマッドにしてしまったんだし。
それに、もしかしたらこれを落とした人が、今必死で捜しているのかもしれん。
もしかしたらこのお面が、その人の親の形見だったりするかもしれん。
もしかしたら・・・
もしかしたら・・・
やっぱりもとにあった場所に戻してこよう。
そうしよう。そうしよう。
では、今生のお別れにもう一度被っとくか。
カポッ。
・・・。
ハァ〜。何か落ち着く・・。
- 101 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)11時35分24秒
ガラッ。
「い゛っ。」
「怖っ!」
又だよ。又再登場だよ。
俺はガックシと首をもたげた。
そんな俺を尻目に石川梨華は携帯のボタンをピコピコと押す。
人差し指を唇の前で立てて『シーッ。』と言いながら。
「あ、柴ちゃん?うん。うん。ごめん。あのね、今ね・・。え?
アンパンマン?そ、それはぁ〜、つまりぃ〜、余興よ。そう!
余興の予行練習。ほら、もうそろそろ忘年会の時期でしょ?」
忘年会って・・。余興・・って。
じゃああれだな。余興のタイトルは
『それ行け!珍パンマン!』
さぶぅ〜〜〜。
「そんな事より。今ね、私吉澤くん見つけたの。うん。そう。
呼び止めちゃう?それとも今日はやっぱり止めちゃう?」
「ちょっ、おま、何言」
俺が猛烈に抗議しようとすると、
石川梨華はあろうことかマイマスクの上から俺の口を押さえつけた。
- 102 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)11時42分38秒
「ふがっ!?」
「え?誰も居ないよ?オンリーミー。
で、で、どうするの?」
「ふが!ふがふがふががが!(おい!あんま力一杯押さえつけんな!)
ふがふががふがが!(息が出来ねぇだろうがよぉ!)」
「はいはい。占いはもういいから。じゃ、体育館裏で待ってて。
うん。うん。じゃっ。」
ピッと携帯を切って、やっと石川梨華は手を離した。
「ブハッ!ぜぇぜぇ・・。て、てめぇ俺を殺す気かぁぁあ!!」
「だってうるさいんだもん。」
カッチィィィ〜〜〜〜ン。
- 103 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)11時48分47秒
もぉ、あったまきた。もぉ許さねぇ。
こりゃあ小指詰めるだけじゃ〜許さへんで?
その体スマキにしてカスピ海に沈めてやるさかい覚悟しいや?
「あ、吉澤くん。頭のてっぺんから煙出てる。」
「じゃあかぁしぃ!!だまらんかい!」
石川梨華の体がビクッと震えた。
「今更何言うたかて遅いけぇのぉ。ワイはもう決めたさかい。」
「それって何弁?」
ホカ弁。シャケ弁。和田ベン。
「たのむ。たのむからもう何も言わないでくれ。黙って俺に
殺されてくれ。」
「いいよ。」
混乱モードの俺の目の前で
石川梨華はあっさりとそう言ってのけた。
- 104 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)11時56分16秒
「いいよ。殺しても。」
もう一度そう言うと、石川梨華は俺の両手を取って
自分の首へと誘う。
読めねぇ。こいつの行動が読めねぇ。
さっきは殺されたくない。って言ってたくせに、
それがこの3、4分の間にどうして心変わりしたんだ?
どうなってんだ一体?
「死んでくれって言うなら死んでもいいよ。だけど、お願い。
柴ちゃんが待ってるの。」
「だぁかぁらぁ、昨日も言った通り」
「柴ちゃんね。真剣なの。今回は本気で。」
「俺には関係ねぇ。」
俺の手を掴む石川梨華の手が心なし震えている。
「大切な友達なの。傷ついてほしくないの。」
- 105 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)12時04分22秒
あぁそうか。友達の為にか。
友達の為に殺されるの覚悟でここに戻って来たのか。
「俺にどうしろっていうんだよ。まさか付き合ってやれっていうんじゃ」
「馬鹿にしないで!そんな酷い事考えるわけないでしょ?!
なんかこいつといると調子狂う。
俺の手ずっと首にあてたままで冷たくないのかなって、
そんなこと今考えてるし。
「わぁーーった。」
「え?」
今日は俺の負けだ。1ラウンドKO。
おまえの友情パワーに乾杯ベイベー。
「ちゃんと行って断ればいいんだろう?」
「う・・ん。でも・・。」
「傷つけないよう優しく断るよ。」
石川梨華は安堵の表情を浮かべた。
- 106 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)12時11分00秒
「そのかぁーし。条件が一つある。」
「な、何?」
「明日からはほんっとぉーーーに。俺に関わらないように!きれいさっぱり
ミジンコも残さず俺の事を忘れるように!」
「ミジンコ?」
「微塵もって意味。いいか?これが最後の約束ごとだぞ?」
石川梨華は、豆が鳩でっぽう・・もとい!
鳩が豆でっぽうをくらったような顔をした。
「私の事・・殺さ・・ないの?」
「ああ。もうめんどーだからいい。」
「吉澤・・くん。」
「あんだよ。」
「いつまでお面つけてるの?」
忘れてますた。ごめんなさい。
- 107 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月28日(木)12時16分50秒
「と、とにかく。いいな、約束出来るか?」
「うん。」
「イイコです。」
俺はマイマスクを指指す。
「コレ、もとあった場所に戻してから行くから、先行ってろ。」
「あ、うん。」
俺はボーッとしている石川梨華を残して教室を後にした。
今の俺の頭の中はかなり正常。
だよな。
- 108 名前:gamax 投稿日:2002年11月28日(木)12時20分19秒
更新です。
>96 名無し読者さん。 吉澤コンピューター(非売品)
>97 名無し読者さん。 あれは吉澤くんにしか見えません(w
>98 リエットさん。 (w
>99 名無し読者さん。 着ぐるみ・・。
- 109 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月28日(木)12時59分20秒
- さまかここでチンパンマンネタを見れるとは(w
ちょっとワラタヨ作者タン
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月28日(木)13時16分26秒
- アンパンマンの顔で殺す・・・最高のカタルシスだ。
しかし更新の早さには感服っす。
- 111 名前:リエット 投稿日:2002年11月29日(金)02時48分14秒
- アホっぽいやり取りの中にも、新しい展開が・・・。
- 112 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時14分25秒
- アンパンマン。
正義の味方、アンパンマン。
やっぱり、人殺しはしないのね、アンパンマン。
おもいっきりおびえてごめんなさい。
私は吉澤くんの背中を見送って、教室を出る。
柴ちゃんは振られちゃう運命だけど、でも、これでよかったんだよね?
でぇも、
なんだかさっきから胸にひっかかるものがあるんだよね。
なんだろう。
頭をひねりながらトボトボと歩く。
こぉ、喉の辺りまで出かかってんだけど、そこから
出てこないのよ。
- 113 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時15分01秒
- 私、お昼何食べたっけ?
普通にお弁当だったよね。
じゃ、胃もたれじゃないし。
そんなことを考えていると、前方に柴ちゃんが見えた。
そうだそうだ。
今は胃もたれなんてしてる場合じゃないんだった。
柴ちゃんは地面の上をぴょんぴょんと跳ねながら
「梨華ちゃ〜ん。」と手を差し出す。
「どうしよう〜。」
「どうしようって。」
もう、かわいいなぁ。胸が痛くなるよ。
私は、その結末を知っているから・・。
胃もたれ現象の正体はこれ?
「私、いなくなっとくね。」
「え、あ、うん・・。」
柴ちゃんは手をギュッと握って胸の辺りに当てて私に笑顔を
見せた。
どうにもならないことって、この世に、あるんだね・・。
- 114 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時15分39秒
- どうにもならないこと。
そう。吉澤くんは女の子。
女の子だから、柴ちゃんのことは・・。
ん?吉澤くんってどんな女の子なの?
男な女の子なの?
だったら、女の子を好きになるの?はい?
あれ?男の子だけど、体が女、なの?
駄目だわ。混乱してきた。
「なぁに、ボーッとしてんだよ。」
俯いて歩いてたら、声をかけられる。
吉澤くん、だ。
「よ、吉澤くんっ!」
「ん?」
「い、いや、やっぱりなんでもない・・。」
「アハハ。なんだ、それ。」
あ、笑った。
吉澤くんが笑ってるとこはじめて見ちゃった。
ちょっと・・いや、結構・・かわいい。
柴ちゃんはこんな笑顔を見てたんだ。
- 115 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時16分16秒
- 「裏にいるんだろ?」
「あ、うん。」
「まかしとけってそんな顔しなくてもちゃんとやるよ。」
そんな顔?私、どんな顔してた?
吉澤くんはそれだけ言うとさっそうと体育館裏に向かって
歩き出した。
でも、あれ?
違和感があったような、なかったような・・。
さっきから、私、こんなのばっかだわ。
柴ちゃんと一緒で緊張してるのかしら。
- 116 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時17分17秒
走っていた足を止めると、
目の前には体育館。
それにしても、アイツってベタだよな。
告白には体育館裏って・・。
なんだか今日は温かい日差しが降っていて、日に当たっていると
寒さは感じない。
いい日、なんだけどな・・。
前方から石川梨華が歩いてくる。
そっか。告白する時にいるのは変だもんな。
- 117 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時17分53秒
- 石川梨華に安心しろと伝えると、体育館の裏に回る。
そこには、石川梨華とさっきしゃべっていた彼女がいて
俺が来たことに気付くとパッと顔を上げた。
彼女の頬は、まぁ当たり前かもしれないけど、少しだけ
赤く染まっていて。
「あの、急に、ごめんね。」
「いや、いいけど・・。」
やっぱり苦手だ。
アイツに言われなくても、ひどい振り方なんかしたことないけど(たぶん)。
それが余計に心にくる。
自分を好いてくれる女の子。
勇気を振り絞って告白するんだろーね。
したことねーからわかんねーけど。
「あ、あの・・。」
「うん。」
「あたし、吉澤くんのこと、好きです。」
キタ。きたぞ。
傷つけないように。石川梨華が望んだように。
俺は彼女を振らなければならない。
- 118 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時18分26秒
- 「付き合ってくれませんか?」
「・・えと、ごめん、俺今彼女とかつくる気ないんだよね。」
俯く柴ちゃんさん。そう言えば名前も知らない。柴子?
否、今はそんなこと考えているバアイじゃなかった。
もしかして柴子さん、傷ついてる?マズイ。
「わかった。」
あ、笑った。任務完了?
「でも、一つだけ聞かせて欲しいことがあるんだ。」
「何?」
「吉澤くんって、好きな人いるの?」
アリャ。予想外の展開。否、今までにも聞かれたことはあったけどさ。
その時は、「実は忘れられない人がいて。」なんつって誤魔化した。
でも、今回は傷つけずに断る。「いる。」って傷ついちゃうかもな・・。
「い、いないよ。」
「嘘。」
へ?
- 119 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時18分57秒
- 「嘘って、なんで?」
柴子さんが怒ってる?
「梨華ちゃんが好きなんでしょ?」
ボンッ(壊)
俺今、耳から煙出てない?
「なななななんで?」
まるで、壊れたロボットだ。今まさに俺は故障した。
どこからそうなるんだYO!
「隠さなくてもいいよ。」
柴子さんはうっすらと笑う。
「梨華ちゃんもお人好しだよねぇ。」
そしてクスッと笑う。
「え、ちょっと待って。なんの話?」
「だって、さっき梨華ちゃんを連れ去ったでしょ。」
ボンップシューガコンッ
俺まだ立ってる?立ってる?立ってるよな。
ナナナナンデシッテルデスカ?
- 120 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時19分35秒
- 「え、つつつ連れ去ったってなんのこと?」
柴子さんが指差したところに視線を向けて、俺は
「どぅぁああああああああ!!」
思わず、手に持っていたそれを高く放り投げてしまった。
忘れてた。忘れてた。
そーだ・・。ヤバイ。石川梨華!助けろ。
さっき石川梨華に会ったからだよ!
そうだ。体育館の前に置いてこようと思ったのに。
だってさ、このアンパンマンマスク。凄い形相で探してる人が
いたんだもん。
『俺のアンパンマン!誰だよ!コロス!!』とか言いながら・・。
だからそのままここに来て・・。
ああ・・
ああああああああ。
どうすれば?石川梨華!どうすればいーんだぁ。
- 121 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時20分06秒
- 「クスッ。」
「へ?」
俺が目を向けると柴子さんは笑ってた。
「そんなに青ざめないでよ。あたしが悪いことした気分に
なっちゃうじゃない。」
「・・。」
俺、青ざめてたのか。
だってそりゃあそうだ、俺の一生が・・。
バ レ る 。
石川梨華の所為じゃなく、俺の所為でバレちまう。
どどどどどうする。れれれれれ冷静に、ここここ言葉を選んで・・。
「あー、あのさ・・」
「いいよ。」
「へ?」
「でも、もう一つだけ質問。」
「あ、え?うん。」
「梨華ちゃんと、付き合ってるわけじゃないんだよね。」
「んなわけないっ!」
俺はブンブンと手を振った。
- 122 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年11月29日(金)14時20分51秒
- 「じゃ、しょうがないよね。」
「へ?」
「誰かに恋するのって、しょうがないことだもん。
例え、友達と同じ人だって。」
「はい?」
「いいこと教えてあげるよ。」
柴子さんは、少しだけ自嘲するように笑うと、その言葉を放った。
「梨華ちゃんも吉澤くんのこと、好きだよ。」
「へ?」
その後のことを俺は覚えていない。
気がついたら、日がスッカリ暮れていた。
- 123 名前:gamax 投稿日:2002年11月29日(金)14時25分24秒
更新です。
>109 名無し読者さん。
>110 名無し読者さん。ここからが話的に難しくなっていくのかも、て感じです。
>111 リエットさん。新しい・・展開?(w
- 124 名前:gamax 投稿日:2002年11月29日(金)14時27分26秒
- レスが抜けてる・・。すみません。
>109 名無し読者さん。わかってよかった(w
- 125 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月29日(金)20時44分16秒
- お正月はこのドラマが見たいどす。
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月29日(金)21時45分16秒
- おもしろい!
- 127 名前:リエット 投稿日:2002年11月30日(土)03時50分19秒
- なんてアホっぽい展開(w
でも、しっかり進展してるじゃないですか・・・(?)
- 128 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月01日(日)21時43分31秒
のぞきたい・・。
吉澤くんの事、疑っているわけじゃないけど・・。
けど・・。けど・・。
・・・・。
ちょこっとだけなら良いよね?
ホフク前進で行って、二人の視界に入らなければいいんでしょ?
冴えてるわ!梨華!
そうと決まれば前進あるのみ!
この際制服の汚れなんぞ気にしてる場合じゃないわ!
『隊長!石川梨華。敵陣へ偵察に行ってまいります!』
ビシッ。(敬礼)
- 129 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月01日(日)21時52分33秒
さぁ〜行くわよぉ〜。レッツゴー三匹!
吉澤くんがもし、ほんの少しでも柴ちゃんを傷付けたりしたら、
私、武力行使も辞しません。
ではでは、まずは腹ばいに・・。
「何やってるの?」
はれ?その聞きなれた懐かしい声は・・。
「柴ちゃん?」
「梨華ちゃん。何で四つんばいになってるの?」
だって、腹ばいになる途中だったんだもん。
任務遂行の途中だったんだもん。
ブーブー。
私は一先ず立ち上がり、両手と両膝についた土をパンパンと掃う。
「ちょっと今、アリさんの観察を」
「梨華ちゃん?」
柴ちゃんはそう言うとニッコリと微笑を浮かべた。
おしかり3秒前の表情。
よかった。いつもの柴ちゃんだ。
吉澤くん、ちゃんと約束守ってくれたんだ。
ホッとすると同時に涙が出てきた。
- 130 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月01日(日)22時04分24秒
「ちょっとぉ。何で梨華ちゃんが泣くのよぉ。」
「だっ・・だって、柴ちゃん・・ふられたのに・・元気なんだ・・もん。」
そんな私を見て、柴ちゃんは非常に微妙な表情を浮かべる。
「ねぇ。その言い方って、まるで私がふられるのを予想していた
みたいじゃない。」
あっ。涙が引っこんじゃった。
「梨華ちゃん。お家の人に、電話入れてくれる?」
「へ?」
柴ちゃん。どうしたの?そんな鬼のような顔して。
それじゃあまるで吉澤くんみたいよ?
「今日は帰りが遅くなります。ってちゃんと言っておかないと
梨華ちゃんのお父さんとお母さんが心配しちゃうでしょ?」
「帰りが遅くなる?どうして?私今日は特に用事は」
「聞きたい事が山程あるの。今日はじっくりみっちりお話を
聞かせて頂きます。」
たらり・・。
汗が額を伝う。
「さぁ行くわよポチ!」
柴ちゃんは、私の二の腕をガシリと掴んで歩きだした。
ここ掘れワンワン・・・。
- 131 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月01日(日)22時23分50秒
「で?」
結局連れて来られたのは柴ちゃんのお家。
部屋のドアに鍵までかけちゃって。
ブーブー。
「で?って何?」
「しらばっくれるおつもり?じゃあはっきり言わせてもらいますけど。
どうして私がふられるって知ってたわけ?どうしてアンパンマンの
お面を被った吉澤くんに梨華ちゃんがさらわれなくちゃいけないわけ?」
「はぃぃ?どうしてアンパンマンが吉澤くんだったって柴ちゃんが
知ってるの!?」
あ。やばっ。バラしちゃった。てへっ。
「アンパンマンはこの際どうだっていいのよ!!」
その時私の頭の中で、お花畑をアハハオホホと
スキップしている私とアンパンマンの姿が浮かんだ。
これが俗に言う白昼夢ってやつね。
身をもって体験。
「それと・・梨華ちゃんはいつから吉澤くんの事・・好きなの?」
その時私の頭の中で・・・。って
「えぇ!?何言ってんの柴ちゃん!私吉澤くんに対してこれっぽっちも、
それこそミジンコも恋愛感情なんて持ち合わせてございませんよ!?」
「梨華ちゃん。日本語変。」
「ごめんなさい。」
柴ちゃんはフゥと息を吐いた。
- 132 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月01日(日)22時33分56秒
「あのね、梨華ちゃん。もし梨華ちゃんが私に気を使って
そう言ってるんだとしたら。私すごく悲しい。」
柴ちゃんは本当に悲しそうにそう言った。
「別に梨華ちゃんが吉澤くんの事好きでも、私怒ったりしないよ?
そんな心の狭い人間だって、梨華ちゃんはそう思ってるの?」
「違う!違うよぉ。柴ちゃんの事、そんな風に思った事なんて一度も無いよぉ。」
なんでこうなっちゃったの?
あの憎っくき吉澤(くん)の所為で、ダイヤモンドよりも
堅かった私達の友情にヒビが入ってしまった。
「じゃあ正直に言って。」
「正直に・・って。」
ああもう、吉澤くんじゃないけど
何もかも面倒臭くなってきた!!
もうどうにでもなれ!!
言っちゃえ言っちゃえ!まず言っちゃえ!
- 133 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月01日(日)22時43分17秒
でも・・・。
でも、吉澤くんは、私との約束をちゃんと守ってくれた。
柴ちゃんが泣いていなかった所を見ると
私の我侭聞き入れて、優しく断ってくれたんだよね・・・。
「梨華ちゃん、どうしたの?眉間にしわなんか寄せちゃって。」
私はゴクリと口の中にたまった唾液を飲み干す。
「あのね。柴ちゃん。私、吉澤くんの秘密知ってるの。」
「秘密?」
「そう・・。ビックリしないでね。実は吉澤くん・・・。」
柴ちゃんは瞬き一つせず私の事を凝視している。
「女の子」
スーパーコンピューター石川梨華!!再起動ぉぉぉおおお!!
「じゃなくて!!男の子が好きなの!!」
- 134 名前:gamax 投稿日:2002年12月01日(日)22時48分07秒
更新です。
>125 名無し読者さん。 アハハハハ(汗)
>126 名無し読者さん。 ありがとうございます。(w
>127 リエットさん。 よかった(w
- 135 名前:リエット 投稿日:2002年12月02日(月)00時36分56秒
- あくまでも行き当たりばったりなんですね(w
- 136 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月02日(月)12時47分42秒
- 石川さんフォローになってない、フォローになってないよ。
- 137 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時03分48秒
- キョトンとしてる柴ちゃん。
当然よね当然よね。
キョトンとしてる私。
当然よね。当然よ。
まさか、吉澤くんが女の子・・じゃなくて男の子が好き!
なんて口からでまかせが・・・。
「はい?」
よ、ね。
そうくるよね、普通。
たらりたらり。
「じ、実はね、実は実は・・。」
頭の中のコンピュータが辻褄を合わせようとそれこそフル稼働。
「私、吉澤くんの秘密を・・。」
「男の子が好きなの?」
そう、言っちゃったのよね。
- 138 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時04分31秒
- こ、怖くて柴ちゃんの顔が見えないわ。
だって信憑性がないもの。
私だって疑うわ。
どうにかするの梨華。
こうなったら『嘘から出た誠大作戦』よ。梨華。
ちょっと違う気がするけど。
この際かまってらんないわ。
「よよよよ吉澤くんのね、パスケース、じゃなくって・・」
そうよ、確か、彼(仮)は徒歩通学よね。
「生徒手帳にね、男の子の写真が入ってたの。だから、それを拾った
私を、よよよ吉澤くんがね、ほら、バラされたら困るじゃない?じゃない♪
だから、さっきアンパンマンになって・・。」
たらりたらりたらり。
「梨華ちゃん?」
柴ちゃんの声が怒ってる。
当然よね当然よね。
もう終わりかしら?
吉澤くんに『コロス』って言われた時よりもハラハラするのはなんでかしら?
柴ちゃんが怖いとかじゃ全然ない・・筈なんだけど。
- 139 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時05分04秒
- 「なんで・・」
そんなに悲しそうな顔しないで。
ほんとうのことを言えなかった私を許して。
わかったわ、柴ちゃん。
親友に嘘をついた罪は女、石川梨華、この身をもってつぐなわせて
「なんで言ってくれなかったの!?」
「へ?」
「あ、そうね。口どめされてたんだもんね。」
あああああああれ?
柴ちゃんまさか・・。
「吉澤くん・・ホ○だったんだ・・。」
信じちゃった?
「そうなの!!」
しょうがないわよね。例の如く、『女であること』をバラさなければ
いーんだし。なんか、昔、それでも痛い目に合ったような合わなかった
ような、気がするけど。
一応、柴ちゃんの手を握り返しておこう。
吉澤くん、背に腹は変えられないでしょう?
そうよ、きっとそう。
- 140 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時05分39秒
- 「考えてみれば、そーよね。あんなにカッコイイのに、あんなに告白
されたって噂は聞くのに、一度も彼女がいないなんて変だものっ!」
たらりたらりたらり。
これはこれで信じられるのも、なんかちぉーっとだけ吉澤くんに悪かった
ような・・。
「しっ!柴ちゃんっっ!!」
「なぁに?梨華ちゃん。」
「あ、あのね・・。」
「うん。」
「ふ、二人だけの秘密だよ?」
「もちろんよっ!」
なんか、柴ちゃんの「もちろんよ。」には、散々痛い目に合ってきたような
そんな気がするけれど・・。
これで大丈夫、きっと大丈夫。
オーイッツイーズィー、きっとやる気次第。
オーイッツイーズィー、全部柴ちゃん次第。
私が、生きるか死ぬか。
きっと、柴ちゃんの友情にかかってるわ。
- 141 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時07分10秒
- 『私を殺さないでね、柴ちゃん。』
念じながらジッと目を見詰めると、『うん。』と頷いて見せる柴ちゃん。
「だから吉澤くん、固まってたのねー。」
炬燵に向かい合って座って、ミカンを口に放りこむ柴ちゃん。
「ん?何が?」
「だから、梨華ちゃんを好きか、って聞いた時。」
「ごぼっ!」
「梨華ちゃん?」
大丈夫、柴ちゃん。
ちょっとミカンが変なところに入って、ちょっとだけ咳が止まらなくって
ちょっとだけ涙が出てるだけだから。
そんなこと聞いたのね。
まぁ、なんでもいいわ。
この際何でもいいの。
只一つ、今の私に必要なのは・・
「柴ちゃん、絶対にぃー!秘密だからね?」
もう悲願よ。だって・・こんなこと言ったって吉澤くんに知れたら・・。
- 142 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時07分40秒
「てめぇ!コロス!!」
俺がハッとして顔を上げると、物凄い怖い顔で走ってくる人が見えた。
なになになになに?
「俺のアンパンマン!返せよぉ!!」
あ、これね。
これか。
つい、驚いて逃げちゃったよ。
「はい、どーぞ。」
俺は、アンパンマンのマスクに話しかけるその人を残して、トボトボと
日の暮れた学校を後にする。
なぁーんか、記憶がズッポリと抜けてる気がするんだけど。
そんでもってなんだか悪寒がするんだけど。
気の所為だろうか。
なんかすっごぉーく意外なことを言われたような。
石川梨華が・・
- 143 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月03日(火)01時08分32秒
否、もう、俺は疲れた。
人生に疲れてしまった。
もう、細々と一生を暮らすことに決めた。
もう、誰とも関わるもんか。
座敷童子のように影の薄い存在になろう。
そうすればきっと、もう何も考えなくて済む。
- 144 名前:gamax 投稿日:2002年12月03日(火)01時12分24秒
更新です。
>135 リエットさん。石川さんがねー、と責任転嫁してみる・・(w
>136 名無し読者さん。スーパーコンピューターもバグるんです(w
- 145 名前:リエット 投稿日:2002年12月04日(水)02時16分55秒
- 面白いくらいに、墓穴掘ってますね(w
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月04日(水)03時13分31秒
- 引きこもりよっすぃーカッケー
- 147 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)10時53分49秒
ウジウジ。ウジウジ。
「たっだいまぁーーー!!」
「おかえりなさい!あなた(はぁと)今日はいつにも増して
元気なのね。」
グジグジ。グジグジ。
「おうっ!今日も痴漢を三人程ひっつかまえて、スマキにして
地中海に沈めてきてやった!」
「まぁ、すごいわあなた(はぁと)」
ラブラブと見詰め合う二人。
部屋中がピンク一色。
「ん?何だ、部屋の一部が妙にじめじめしめっているのは気の所為か?」
「あ、忘れてた。ひとみちゃんがね、ああやって隅っこでずっとうずくまってるの。
学校で何かあったのかしら。私心配で心配で。(うるうる)」
俺は座敷童子。大人には見えない。見えないんだ。
「おいっ!」
ちっ。
俺は親父にぺシリと頭を小突かれた。
- 148 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)11時03分24秒
「どうしたどうした!ドス黒い顔して。それじゃあお前、貧乏神みたいだぞ。」
ドス黒い・・・。貧乏神・・・。
突っ込み所満載だ。だが今はいちいち突っ込んでる気分じゃない。
ウジウジ。グズグズ。
「ほっといてくれよ・・・。」
「お?貧乏神が喋った。」
「るっせぇー。」
「ははぁ〜ん。お前さては失恋したな?反抗期の次は失恋か!?
ベタな青春。プッ。」
プチッ。
「ってめぇ」
「怒った。怒った。貧乏神が怒った。ヤァーイヤァーイ。」
「ひとみちゃん失恋したの!?相手はどこの子!?うちのひとみちゃんを
ふるなんて!月に変わっておしおきよ!!」
吉澤ひとみ放心中。
暫くお待ちください。
- 149 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)11時11分53秒
どいつもこいつも。ドイツも地中海も。
もう勝手にしてくれ。
好きにすればいいさ。
フッ。ちゃんちゃらおかしいぜ。
否、おかしいのは俺じゃない。
俺の周りにはびこる奴等がおかしいんだ。
親父も、母さんも、石川梨華も、柴子さんも、
柴子さん・・。
『梨華ちゃんも吉澤くんのこと、好きだよ。』
やべ。嫌な事思い出した。
だがしかし、謎だ。何故に柴子さん突然あんな事言い出したのだろう。
挙句のはてに俺も石川梨華の事を好いてるときたもんだ。
勘違いもはなはだしい。
ん?
勘違い?
ポン・ポン・ポン
ピィィ〜〜〜〜〜〜ン!!
- 150 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)11時19分04秒
「そうか!勘違いだ!!」
「のわっ!何だ急に!」
「どうしたの!?ひとみちゃん!」
あのすっとこどっこいの友達は、アンパンマンが俺だと気付いた時。
『梨華ちゃんと吉澤くん。一緒に余興の予行練習をする程仲が
良かったのね。キィーーーー(くやしそうにハンカチを噛む。)』
とでも思ったに違いない。
だからあんな、ウスラトンカチな事を言い出したのだ。
何でこんな安直な事今まで気付かなかったんだ。
そーか。そーか。
そうだったのか。
「おっ、部屋が明るくなった。」
「あなたの愛の力が、ひとみちゃんを救ったのよ!」
- 151 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)11時28分42秒
この二人はとりあえず放置。
と、なるとあれだ。
石川梨華とは今度こそ接触が無くなる。
するってぇーと、柴子さんも自分の勘違いに気付いて、
『いやだわ私ったら、きっとあの時は恋の病におかされていたのね。』
と、顔を赤らめ反省するはず。
そして俺は平穏な生活を取り戻す。
完璧。ガッツポォォーズ!!
「母さん、ひとみのやつ失恋のショックでとうとう脳ミソをやられたらしい・・。」
「カワイソウなひとみちゃん。大丈夫。大丈夫よ。母さんが今、
救急車呼んであげるからね。」
「呼ぶなぁぁぁあ!!」
何処かで、まともな親買えないでしょうか?
- 152 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)11時39分06秒
次の朝、俺は久しぶりに元気よく教室の扉を開けた。
こんなに気分の良い朝を迎えられたのは久しぶりだ。
頭は少し痛むが・・。
だが大丈夫。元気一杯オロナミンC。
スキップスキップランランラン。
アンパンマンは君っさぁ〜♪
「おう。吉澤。昨日の放課後何処行ってたんだよ。」
「あ?」
なんだねちみは。あいさつもなく突然話かけやがって。
それにしてもクラスの奴等やけにウキウキソワソワしてないか?
「もう皆昨日のうちに衣装合わせ終わらせちゃったんだぜ?」
「衣装合わせ?」
「おいおい、もしかして知らねぇつぅ〜んじゃねぇ〜だろうなぁ。」
何何?何のお話?
「ほれ。」
パサッと投げつけられた一着の服。
「そういやぁ、学園祭の打ち合わせの時いっつもお前さぼってたもんな。」
学園祭??
- 153 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月04日(水)11時46分26秒
「しっかりしてくれよ。言わば今回はお前が主役みてぇなもんなんだから。」
俺はやはり頭がおかしくなってしまったのだろうか。
昨日素直に救急車を呼んでもらうべきだったのだろうか。
俺は手にした服をビロ〜ン。と広げてみる。
こ、これは。
セッ、セッ、セッ
「すべてはお前の頑張りにかかっている。」
セーラー服!?
「俺等・・・のクラス・・の出し物・・・って・・・何?」
「女装喫茶。」
吉澤ひとみ。セーラー服を持ちながら放心中。
暫くお待ち下さい。
- 154 名前:gamax 投稿日:2002年12月04日(水)11時48分55秒
更新です。
>145 リエットさん。 もうそりゃあ掘りまくりです(w
>146 名無し読者さん。 カッケー(w
- 155 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月04日(水)17時11分32秒
- いや〜ん!!吉澤君の女装姿ミターーイ!!
- 156 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時53分21秒
- おはーーーーーーーーっ!!
よい子のみんな?元気かな?
ワッツアップ?
ハッピーーーーーー(はぁと!!
梨華はとっても元気♪
もうスキップなんかしちゃうわ!
何かいいことがあったかって?
そうっ!!
よく聞いてくれたわ!
だってだって、もう吉澤くんと関わらなくて済むんだもの。
そうよね?きっときっと。
この胸に渦巻く不安は何かしら?
- 157 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時53分53秒
- そう。きっとその原因は・・
「おはーっ!!」
私が元気よく振りつきで挨拶したら、即ため息を吐いて
「梨華ちゃんキショイ。」
すぐに突っ込みを入れてくれる大親友!柴田あゆみーっ!!
「柴ちゃん、今の気分は?ハッピー(はぁと?」
「・・まぁまぁってとこね。」
「どうしたのぉ?いつも朝からハイテンションな柴ちゃんがぁ!!」
「・・梨華ちゃんこそ、どうしたの?宇宙一低血圧なくせに。」
寝れなくてハイテンションだとは言えないわ。
まさかまさか、吉澤くんへの罪悪感で一睡もしてないなんて・・。
つい、テレビをつけてミカと一緒に英会話しちゃったとは言えないわ。
イッツクール。
- 158 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時54分39秒
「は?クール?」
あれ?私、声に出しちゃってた?
さすがミカ先生。
「もう、とにかくその話しはいいわ!今日からまた仲良くしましょ♪」
「・・まぁ、いいけど。」
腕を組んだ私に柴ちゃんは呆れながらも頷いてくれた。
サヨウナラ。
吉澤くん。
ちょっと怖くてかなり怖くてそぉとぉ怖かった貴方のことは
たぶんきっと今日限り綺麗スッパリ忘れるわ。
チャーオーーーー(はぁと
- 159 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時55分14秒
平和。平和。
平和過ぎて睡魔が私を誘う。
こんなにゆったりとした気分で1日を終えるのなんて、
とっても久しぶりな気がする。
黒板には学園祭の出し物を決めるべく、いろんな案が並んでる。
そう言えばもうすぐ学園祭だったのね。
ボンヤリとした目で黒板の文字を追う。
『珍パンマン』って何?劇?劇をやるなら、私には全く関係のないことね。
きっとお調子者の男子にまかせておけばいいわ。
『男装喫茶』?これになったら、私達が男装するのかしら?
男装ってどうやるの?例えば、胸をサラシでグルグル巻きに・・。
駄目駄目駄目!!
今、ふと忘れた筈の苦い思い出が蘇ったわ。
「ちょっと待ってくれよぉ!!」
ビ、ビックリしたぁ。
大きな叫び声を上げて立ちあがったのは、教卓の正面の席の佐伯くん。
- 160 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時56分13秒
- 「佐伯くん、発言は手を挙げてお願いします。」
そう言ったのは実行委員の柴ちゃん。
柴ちゃんって、すごいよね。
バイタリティーがある。
面倒くさがりの私には考えられないわ。
ふぁああ。
ちょっと眠い。寝てもいいかしら?
「俺のつくったアンパンマンはどうなるんだよー!!」
佐伯くんが机の横にかかっていたやけにまぁるく膨らんだ手提げ袋から、
のっそりと其れを取り出した。
ぱちくり。ぱちくり。
思わず、キョトンとして瞬きを2回ほど繰り返してしまった。
教卓の向こう側、柴ちゃんも少しだけ驚いてる。
だって、其れは・・
そのアンパンマンは・・
ピー(記憶から消去された後です)くんが
昨日かぶってたものだったんだもん。
- 161 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時56分50秒
- 頭がガンガンと痛み出す。
・・もう、いいわ。
忘れたいことが多すぎる。
寝よう。
柴ちゃん、お願いだから授業終わるまで起こさないでね・・。
「梨ぃ華ぁちゃん!」
私を起こしたのは、柴ちゃんの優しい声。
「もう授業終わったよ?」
ああ、やっぱり平和ね。
悪夢は終わった後なのよ。ザ☆ピ〜ス!だわ。
そうよ。こういう日常を待ってたの。
でも、あれ?
なぁに?柴ちゃん、そんなにニコニコとして・・。
「どうしたの?」
「あれ。」
柴ちゃんが指差した方向を見ると、一人の男の子が挙動不審に立っている。
- 162 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時57分30秒
- 「梨華ちゃんに話しがあるんだって!キャー!はやく行ってきなよ!!」
へ?話し?
「ほらほらぁ!!」
柴ちゃんに腕を引っ張って起こされ、それからポンと背中を押される。
話しって何かしら?
「ごめんね、こんなとこまで来て貰って。」
あ、やっと思い出した!隣のクラスの鈴木くんだ。
1年の時、同じクラスだったけど・・。なんかあんまり見ない間に
随分と背が高くなったのね。
「ううん、いいんだけど・・。」
この胸の高鳴りは何かしら?
だって、連れてこられたのはあまり人通りのない教材室の前。
ここには、いい思い出がないけれど・・。
だけど、これってこれってもしかして・・。
少し赤い顔をした鈴木くんが、口を開く。
「い、石川さん、」
「はい?」
何故か私まで声が1オクターブ上がっちゃったわ。
- 163 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月05日(木)20時58分14秒
- 「オ、オレ!ごほっ。」
大丈夫かしら?今、私の頭に浮かんだのはカルメン飯田。
カルメン飯田って言うのはね・・、
いや、今はそんなお馬鹿なことを考えている状況じゃ
きっとないわ。
「大丈夫?」
「うん、ははっ。」
鈴木くんが、そう言って笑ってもう一度軽く咳払いをする。
「石川さん、」
「はい。」
「俺と付き合ってくれませんか?」
- 164 名前:gamax 投稿日:2002年12月05日(木)21時00分25秒
更新終了です。
>155 名無し読者 さん。吉澤くん女装はそれはもうかわいいですよ(w
- 165 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月05日(木)22時27分57秒
- ちょこちょこはさんで来る小ネタが好き。
鈴木ってもしかしてモヒカンですか?
- 166 名前:リエット 投稿日:2002年12月06日(金)02時46分46秒
- 飯田さん……(w
今度こそ展開が……ッ!
- 167 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)22時42分25秒
あらあら、そんなに顔を赤らめちゃって。
苦しゅーない。苦しゅーないわ。
こういう時はリラックスが大事!
肩の力を抜いてぇ〜。大きく深呼吸。
スーハースーハー。
「石川さん?」
「え?」
あら嫌だ。私が深呼吸したって意味無いじゃないの。
これまた失礼致しました。
「ごめん。いきなりで驚いたかな?」
そう言うと鈴木くんは恥ずかしそうに頭を掻いた。
ポリポリ。
- 168 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)22時47分00秒
驚いた?誰が?私が?
って、あれ?
こんな状況なのに私。やけに冷静じゃない?
いつもなら男の子と二人きりになんかなろうものなら、
ワッチャワチャチャでろくにお話も聞く事が出来ないでいた筈なのに・・。
どうしてかな?
う〜〜〜〜〜ん。
ポクポクポク。
チーン。
- 169 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)22時52分32秒
免疫だわ。きっと、男の子に対して免疫が出来たのよ。
ここ最近、超ド級に恐ろしい男の子(仮)と数日間否が往無しに
接していたから。
ある意味ありがとう?
そこまで考えて私は頭をブンブンと横に振る。
クラクラ。
「い、石川さん?」
あ、ギャラリーが居たのね。忘れて物思いに耽ってしまいました。
石川梨華激しく反省。
- 170 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)23時03分13秒
「ちょっと待ってて!リカイシカワ。シーンキィーングタァーイム!!」
「え゛っ?」
えーと。えーと。えーと。
何考えてたんだっけ?
あれ?思い出せない。思い出せないわ。
何か恐ろしい事を考えていたような・・・。
でも、その前に。
この際だから説明しちゃうね。オスカル飯田さんの事。
オスカル飯田さんっていうのはね。私の近所にある喫茶店の
店長さんの事。
どう見たって女の人なんだけど、付けヒゲなんかしてるの。
前に一度。
『オスカル飯田さんはどうして付けヒゲしてるんですか?』
って、質問したことがあるんだけど。
『フッ、それは愚問ですよ。お嬢さん。』
なんてトンチンカンな答えが返ってきて・・
- 171 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)23時11分56秒
で、更に私が、
『その、口から出るレシートの手品私にも教えて下さい!』
って言ったら。
『でっかい宇宙には愛があります。』
って、これまたトンチンカンな答えが・・・
「やっぱり俺じゃ駄目だよね。」
そうね。私ごときに手品の種をあかすなんて。流石に駄目よね。
「でも、少しでいいから考えてみてくれないかなぁ。」
そうね。まず頑張って自分で考えてみなくちゃ駄目よね。
「友達からでもいいから。」
「そうね。お友達になってから、こっそり聞き出すって手もありよね。」
- 172 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)23時20分17秒
「マ、マジで?友達からならOKなの?」
「そうね・・・。」
ん?
あれ?鈴木くんもオスカル飯田さんの手品に興味があるの?
っていうかシンキングタイム中は話かけないで。
お願いプリーズ。
ゴゴゴゴゴゴォォォオオ。
その時突然の地響きに私は思考中断を余儀なくされる。
「何事?!」
目の前を一陣の疾風が駆け抜ける。
その風の所為で乱れた後ろ髪が顔にまとわりつき視界がゼロになる。
- 173 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)23時32分41秒
「逃げんなよ(着音拒否)!!」
「(以下同文)が居なけりゃ客が入らないじゃないか!!」
「まってぇ〜(以下同文)くぅ〜ん(はぁと)」
大勢の人が一人の名前(私には聞こえない。)を叫びながら走り抜けていく。
何?!何が世間様では起こっているの?!
私は必死で髪を掻き分け視界をクリアにする。
でもそこにあったのはさっきと同じ鈴木くんの顔だけ。
ただし横顔。
さっきまでは真正面だった顔面が、廊下のはしっぺを眺めている。
「何?!何?!今のなんだったの?!」
「さ、さぁ。」
・・・・。
そ、そうね。そうね。
世の中には知らないでいた方が良い事柄がたくさん存在するもんね。
うん。
あんなのは、ほっとけほっとけ。ホットケーキ。
- 174 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月08日(日)23時57分02秒
「そ、それよりも。さっ。」
鈴木くんがやけに嬉しそうに語りかけてきた。
何か良いことあったのかな?
「さっきの石川さんの言葉。俺、すっげぇ〜嬉しい。」
「は・・い?」
「俺にとって石川さんって、高嶺の華だって思ってたから。」
「『高値』の花?」
そもそもどうして私は鈴木くんと二人でお話なんかしてるんだろう?
何か大事なことを忘れているような・・・。
「石川さんがそう言うってことはまだ俺にも望みがあるってことだよね。」
えーと。えーと。えーと。
「取り合えず。友達から。」
「はあ・・・。」
ポクポクポク。
「これ、俺の携帯の番号。」
「はあ・・・。」
チーン。
「じゃ、又明日。」
爽やかに手を振り去って行く鈴木くんと、
まっ白に燃え尽きている私。
これ程までに対照的な二人の人間を
私は今だかつて見たことが無い。
- 175 名前:gamax 投稿日:2002年12月08日(日)23時59分58秒
更新終了です。
>165 名無し読者さん。 モヒカン・・ではないです(w
>166 リエットさん。 (w
- 176 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月09日(月)12時49分28秒
- gamaxさんがあの人に思えてきた。
いや、あの人に違いない!絶対あの人だ!誰かは言わないけど・・・
- 177 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月09日(月)16時36分48秒
- すばらすぃ。マンガ化したい。むしろ正月にドラマ化したい。
- 178 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時14分10秒
- 来るな来るな来るなぁ〜〜〜〜〜!!
さっ、流石に10分も追いかけっこしてると疲れて
くるな・・。
ん?
俺はふと視線の先に焦点を合わせる。
石川梨華じゃん。
どけよ!どけよ!
って別に避けて通れるけど、
ん?なんか男と一緒にいない?
何?石川さん好きなヤツいんの?カレピ?否、彼氏?
なんか、アレだな。
故障寸前の顔だな、アレ。
- 179 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時14分52秒
- 「逃げんなよ!!吉澤!!」
あ、いけね。
ついぼーっとしてたら追いつかれちったよ。
覚えておけ!石川梨華!
あれ?
なんか変だな。『覚えておけ!石川梨華!』は俺が
スッキリする為に使う言葉だった筈なのに。
なんか、スッキリしねーなぁ。
なんで・・
「うわっ!!」
ガクッ
ズサササササー
「いってぇ・・。」
コケた。
- 180 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時15分41秒
- 「おっ!いた!!いたぞ!ほかぁーく!」
「イェッサー」
ってお前等・・。
痛い!痛いって!!
こんな大きな網どこから持ってきたんだよっ!
「はぁ・・。」
マジかよ。
マジで?
「ホラ、吉澤くん。よろしく頼むよ。」
実行委員の剛田が、わざとらしい笑顔で肩をポンッと叩く。
まぁ、いつまでも逃げてられるとは思わなかったけど。
でも、女装か・・。
ってゆうか・・バレる?
- 181 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時16分44秒
「わぁお!吉澤くんキレイー!!」
そう言って俺を覗いてきたのは中澤先生。
さっきセーラー服を見てハシャイで、『なになに?女装?』と
大声で騒ぎたてた挙句、『先生がメイクしてあげるわよ!』
なんて・・ムリヤリ化粧までさせられて。
ま、女の先生だから、着替える時は別の部屋にいて貰えたんだけど。
けど、今、俺の目の前の
鏡の中には・・
否、これは俺じゃない。
俺なわけねーじゃねーか。
俺じゃ・・
ん?
俺って・・結構かわいくない??
かわいーかも。
フハハ!
「あーら♪笑うともっとかわいいわ。でも、その笑顔は
失敗ね。ほら、もっとこぉ。」
中澤先生によるスマイル講座が開かれる。
でも、先生・・。
俺には自分の笑顔よりも貴方の笑顔の方が(以下自粛
- 182 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時17分25秒
- 「おう!よっしざわ!」
ヤベ・・。
先生はまだしも、剛田にだけは見られてはいかん・・。
なんたってジャイアンと姓が同じだけで、しゃべり方までコピーしちゃった
って言う恐ろしい人だかんね。
けど、背は150センチで色白の上にひょろひょろなんだけどね。
俺はこそこそと学ランを羽織る。
「よぉーしざわくん!何してるの?見せてあげなさいっよぉー!」
中澤先生(涙)
脱がさないで!お願いしますから。
セーラー服を♪脱がさ〜
否、脱がせてるのは学ランなんだけどさ。
「うわ。」
俺を見た剛田の目が点になる。
- 183 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時18分01秒
- マズイマズイマズイ。
ヤバイヤバイヤバイ。
助けろ!石川梨華。
いかんいかんいかんいかん。
つい最近の俺は何かと石川梨華梨華と。
そう言えば、あの男誰だったんだろうな。
「吉澤・・。」
って今はそんな場合じゃなかった。
気付いた時にはもう既に遅し。
学ランはスルリと剥ぎ取られていた。
半ば、放心状態のまま、剛田が声を上げる。
「な、なんでしょう?」
ああ、父さん母さん、ありがとう。
大切な人はできてないけど。
ハッピーでもないし親孝行も何一つできなかったけど。
俺がアンタ方二人に育てられたことは、不幸でしか
なかったけど、それでも・・
ほんの少しなら、楽しい思い出があります。
サヨナラ・・バイバイ・・チャオー
- 184 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時18分50秒
- 「かわいい♪」
「は?」
「やっぱお前、女装が似合うと思ったんだよなー。」
剛田は満面の笑みで俺の肩を叩く。
「でも、もうちょっと欲を言わせて貰えば、髪は真っ黒じゃない
方がいいな。そんで、胸はあった方がいいな。そしたら、
彼女にしてやるよ。」
彼は俺を見上げてそう言う。
無性に腹が立つから殴ってもいい?
ボコッ
「いってぇー。のび太の癖に生意気だぞぉ!!」
「のび太じゃねーし。」
「まぁ、いいわ。これでうちの出し物も完璧に決定だな!」
「やっぱやめようぜ・・。」
「なんで?お前、自分を見てみろ!」
俺はグッと顎を掴まれて鏡に向き合わせられる。
俺ってかっわいー♪
・・じゃなくて。
- 185 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月10日(火)11時19分36秒
- 「ちょっと男臭いけど、完璧な美少女じゃねーかよ!
もう、天才的だな。これは。」
剛田がそう言う。
男臭いのか。結構かわいくない?
俺はイケてると思うけど。
「あ、お前、早速役に入りきってるな?よし、これで
異存はないよな。せいぜいカマってくれぃ。」
・・ちょっと調子に乗ってウィンクとかかましてしまった。
いかん。いかん。
これじゃ、俺が女だってことが・・
バレ・・・なかったけど・・。
複雑な気分なのは、なんでだろうな・・。
- 186 名前:gamax 投稿日:2002年12月10日(火)11時21分57秒
更新終了です。
>176 名無し読者さん。誰だろう?気になりますね。聞かないけど・・(w
>177 名無し読者さん。目指せ!年末ドラマ化(嘘
- 187 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月10日(火)11時34分37秒
- 天才的な美少女……懐かしい響きだ…
ハワイに行ったときのあの制服姿が思い出されました。
あれハワイだったけ?
- 188 名前:リエット 投稿日:2002年12月11日(水)07時34分08秒
- チャオーって吉澤さん(w
石川さんの名前が出る回数増えてきましたね。
- 189 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月11日(水)11時12分18秒
- はうあっ!天才的に可愛いって(w お互いに気になり始めてる
けど、アホワールド継続中なのがなのがイイ!←褒め言葉w
- 190 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月13日(金)09時27分55秒
複雑な気分といえば、さっき石川梨華とそのカレピを見た時
みょ〜〜に俺の心に引っかかるものがあった。
なんでだろな。
(確かにあいつのスカートのファスナーは半開きだったけれど。)
困った事が起こると
『助けろ!石川梨華』
って思うのなんでだろうな。
(助けてもらった事なんてミジンコも無いのに。)
ウーン。ウーン。
・・・・。
分かんね。
- 191 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月13日(金)09時40分53秒
こんな時は誰かに相談してみんのが一番なんだろうけど。
なにぶん俺は今までなるべく人に関わらんように生きてきたから、
何でも相談出来る友達って居ないんだよな。
あ、なんか悲しくなってきた。
寂し涙ポロリ。
「おい、のび太。もう着替えてきても良いぞ。」
「あ?」
「兎に角お前はうちのクラスの看板娘。とっておきの引き出物だってこと、
自覚してくれ。」
引き出物って事は、皆は俺をお持ち帰りOK牧場?
つーか。前から不思議に思ってたんだけど。
ジャイアンはタケシってちゃんとした名前があるのに、
ジャイ子はジャイ子が本名なのな。
なんでだろうな。
「まあいいや。」
俺は学ランを手に取り皆に温かく送られながら教室を後にする。
つーか『学ラン』って何の略?
『学生ランニング。』『学生ランキング。』『学生ランドセル。』
『学生リンリンランラン。』
・・・・。
リンリンランランじゃあ無いのは確かだな。だってソーセージだもんな。
はぁ〜。世の中謎ばかり。
- 192 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月13日(金)09時48分46秒
『助けろ!!石川梨華!!』
「ヒッ!」
脳に直に響いてきた声にビックリして身をすくめる。
何何何ィィ?!
誰よ誰よ誰よぉぉ?!
急いで周りをキョロキョロと見渡す。
『隊長!何処にも異常は見当たりません!』
ビシッ。(敬礼)
「梨華ちゃん何一人で敬礼なんてしてるの?」
「はぅあっ!」
柴ちゃん・・・。いつの間に私の背後に回りこんだの?
も、もしかして柴ちゃんあなた・・
「凄腕スナイパ」
「梨華ちゃん?」
- 193 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月13日(金)09時59分09秒
またやっちゃった。だからたまに『アホの石川』って
柴ちゃんに呼ばれちゃうのよね。
石川梨華。一人反省会中。
「で?で?どうだったの鈴木くん。」
そんなキラキラした目で見詰められても・・。
「あれ?何その手に握り締めてる紙切れ。」
ピッ、と私の手からその紙切れをすばやく抜き取る柴ちゃん。
流石凄腕スナイパー。侮りがたし。
「キャッ。これ携帯の番号じゃない。よくやった。よくやったわ梨華ちゃん。」
「ははぁ。ありがとうございます。」
って。深々と頭を下げている場合じゃあないのよ梨華!!
「ちょっ、ちょっと待って柴ちゃん。」
「やっぱりねぇ〜今回はいけると思ってたんだよね。」
「はい?」
「ルックスもそこそこ性格も良さげだし。絶対梨華ちゃん気に入ると
思ったんだよ。」
嬉々と話す柴ちゃん。
お願い。私の話を聞いて。
- 194 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月13日(金)10時09分21秒
「大体梨華ちゃんてば、こと恋愛に関しては今イチ消極的なんだよね。」
「自分だって積極的になったのはここ最近じゃない・・・。」
柴ちゃんはギロリと私を睨みつける。
だって本当のことじゃない。
ブーブー。
「ま、取り合えず今日の所は大目に見てあ・げ・る。じゃ、私は
これで。『珍パンマン』の準備手伝わないといけないから。」
「あれ?『男装喫茶』じゃなくなったんだ。」
「それがさぁ、B組が『女装喫茶』やるらしいんだ。」
「じょ、『女装喫茶』?!」
「うん。どう考えてもうちのクラスの方がインパクトに欠けるでしょ?」
B組って。確かぁ〜〜〜。
「なんてったって(着音拒否)くんが居るし。」
アワワワワ。
「まぁ、でも(以下同文)くんにとってはハーレム状態よね、
なんてったって男」
私は激しく柴ちゃんの口を押さえつける。
- 195 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月13日(金)10時17分43秒
『女装喫茶』って、男の子が女の子の格好して
ウエイトレスやるんだよね。
でも(発音拒否)くんは男の子じゃなくて女の子で・・
だから『女装』にはならなくてぇ。
言うなれば(以下同文)くんにとっては
ポクポクポク
『正装喫茶』
チ〜〜〜ン。
で、でもでも私には関係のない事柄に属するよね。
ミジンコも残さず忘れろって当の本人に約束させられたんだもん!
そうよそうよ。あんなのは
ほっとけほっとけ
ホットヶ‐・・・・・・
- 196 名前:gamax 投稿日:2002年12月13日(金)10時22分18秒
更新終了です。
>187 名無し読者さん。 ハワイ。だったですよねぇ(爆
>188 リエットさん。 増えてきますた(w
>189 名無しさん。 最高の褒め言葉ありがとうございます(w
- 197 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月13日(金)20時42分18秒
- はいはいハムじゃない
正装喫茶意味ね〜〜〜〜
- 198 名前:189 投稿日:2002年12月14日(土)18時23分00秒
- リンリンランランリューエン♪はっ!(着信拒否)くんの呪いが俺にまでw
正直、今更新が一番楽しみです、コレ。
- 199 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時37分40秒
- ピコンピコンピコン。
頭の中に変なサイレンと、変なダジャレが飛びまわる。
「し、柴ちゃん。」
「なぁに?梨華ちゃん。あ、そーだ。電話かけてみなよー。」
柴ちゃんは私の腕を取ってグラグラ揺らす。
揺らしすぎ・・柴ちゃん。
クラクラ。
「あ、そ、そうしよっかな。」
大丈夫かしら?ここ一番の時になるとおそろしく棒読みになって
しまう・・。
「梨華ちゃん。」
ニッコリ。あ、これは・・この感じは・・。
「な、なぁに?」
「頑張ってね!」
あれ?おかしいわ。
私の演技が柴ちゃんに通用するなんて。
- 200 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時38分23秒
- 「あ、うん。」
「じゃ、あたしはこれで♪」
何故か廊下をスキップして遠ざかっていく柴ちゃん。
何か、そのあまりの衝撃に忘れていることがあるような気が。
確か確か・・。
ポクポクポク チィーン。
クラクラ。
よぉーく思い出して梨華。
さっき鈴木くんが私には難解過ぎる言葉を目の前でしゃべって
いた時、貴方、誰かを見たわよね。
そう。何人かの生徒に物凄く怖い顔で追いかけられてる
ピィーー、じゃなくて・・吉澤くんだわ。
ああ、なんてこと?
私ってなんて人が良いのかしら?
心配してるなんて。
忘れようとした名前まで思い出してあげたなんて。
- 201 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時39分07秒
- でもね、でも、
なぁーんか嫌なものを目にした記憶があるのよ。
なんだったろう・・。
確か、背の小さいヒョロヒョロとした男の子の手に
微かに見えたのよね。
あ、やっぱり確かに見たわ!
セーラー服よ!
ゴィーン・・
さ、探してみようかなー・・。
「あ!!吉澤くん!!」
意外に、直に吉澤くんは見付かった。
まだ、10歩ぐらいしか歩いてなかったんだけど・・。
あれは、中澤先生の声かしら?
今、このドアの向こうに人影が消えたような・・。
- 202 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時39分53秒
- 「吉澤くん!駄目よ!そのままの顔で帰っちゃあ!
貴方の綺麗なお肌が荒れてしまうわ!」
中澤先生って、いつ見てもハイテンション&熱血教師だわ。
そんなことより、吉澤くん、女装してるのかな?
このドアの向こうで・・女装・・。
あ・れ?正装だったわ。
梨華のお馬鹿さん♪
だから、すこぉーしだけ覗くだけなら・・
なので、すこぉーし覗くだけな・・
ガシャン
たらり。
「ここここのドア、建付けが悪いわぁ〜。」
なんて、小芝居をかじってみたりして・・。
梨華ったら、もう!大女優♪
この調子で、通りすがりの振りを・・。
「あら、貴方は確か・・。」
気付かれたわ。気付かれたわ。
中澤先生の奥にいる女生徒が私を向く。
ってアレよよよ吉澤くんじゃーーーーーーーーーーん!!
- 203 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時40分27秒
- ぱくぱく。
「貴方、大丈夫?」
おおお思わず、指を指して口をパクパクさせてしまった。
「どぅぁぁああ!!石川・・梨華・・・。」
いや、吉澤くん。
貴方、遅い。遅すぎるわ、反応が。
もうちょっとはやく反応してよ。
ああ、きっと死にそうなのね。
・・にしては顔がキラキラしてない?
っていうか、よく見てみると・・。
吉澤くんの後ろから回りこんで、鏡を覗く。
「よよよ吉澤くん。」
「なんだよ、石川梨華。」
「・・かわいー♪」
「あ、やっぱり?」
へ?
あ・れれれれれれ?
ちょっと梨華ちゃん、展開についていけないわ。
考える時間を頂戴プリーズ。
- 204 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時41分11秒
- 私、さっきなんて言ったっけ?
確か、かわ、かわ・・『かわいー♪』って言ったのよ。
そしたら、この人、なんて言った?
確か・・やっ、やっ・・『やっぱり?』って
プスプスプス。
「石川さん?空気抜けてるわよー。」
「な、なんなのよ!そのオカマ言葉!!」
「あら?変かしら?」
「へへへへへ変よ。」
変よ。なんでオカマ言葉なのよ。
なんで、裏返した声でしゃべるのよ。
容姿とギャップがあり過ぎだわ。
「それより、石川さぁーん。」
「だから、そのしゃべり方やめてって。」
「ぶーぶー。なんで。ま、いいわ。石川さんさ、
もしかして、心配で来てくれた?」
「はぁあ!?」
駄目よ、梨華。
これじゃバレバレじゃない。
吉澤くんは目の前で素敵な笑顔を修羅みたいな顔に変えて・・。
あ・れ?怖い。
- 205 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時41分58秒
- 「吉澤くん!!貴方、皺よせちゃ駄目!あら!ヤだ。
皺なんて言わせないでよぉー!!」
バチーン!
「いてぇ・・。」
中澤先生・・いたのね。そこにいたのね。
吉澤くん、腕大丈夫?
ギロ
あれ?なんか私、結局吉澤くんに睨まれてるわ。
なんで?
だって、心配したのよ。素直に言わなかったのがいけないのかしら?
心配して来てあげたのに。
そうよ、心配、心配??
ポクポクポク
チィーン!!!!!
「何よ!その態度!!」
なんか、とてつもなくムカついてきたわ。
- 206 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月15日(日)12時42分56秒
- 「どの態度?」
吉澤くんが、淀んだ顔で湿ったコットンを顔に擦りつけてる。
「しししし心配してきてあげたのに!」
「あ、そりゃどうも。でも、カレピがヤキモチ妬くんじゃねー?」
「カレピ?」
カレピって何かしら?
梨華石川シンキングターイム!
「だから、彼氏だよ。」
ちょっと、邪魔しないでよ、吉澤くん。
まだ一つも考えて・・
「どぅぇぇえええええ!!?彼氏???」
吉澤くんが冷めた目で私を見詰める。
「彼氏って何。」
「アンタの彼氏。」
は?
- 207 名前:gamax 投稿日:2002年12月15日(日)12時45分35秒
更新終了です。
>197 名無し読者さん。話の展開上だと少しは意味が。たぶん、きっと(w
>198 189さん。あ、嬉しいです(w
- 208 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月15日(日)17時22分34秒
- こっちまで混乱してきた…
吉澤さんの言葉はたぶんオカマ言葉ではないですよね?
- 209 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)18時40分41秒
何だよ。その埴輪みてぇな顔は。
いやいや埴輪なんてそんな可愛いもんじゃない。
あれだ、ほら、歴史の教科書とかによく載ってる。
土偶。
プッ。微妙にブサイク。
・・・・。
ハッ!!
馬鹿か俺は!!そんなことよりも
『カレピがヤキモチ妬くんじゃねぇ?』
ってあれじゃあまるで俺がヤキモチ妬いてるみてぇじゃん。
ヤバイヤバイ。マズイマズイ。
「ち、違うぞ!誤解すんなよな!!断じてそういう意味じゃないぞ!!」
「理解不能。」
お前に言われたかねえ!
- 210 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)18時54分06秒
さっきは少しだけ嬉しかっただけだいっ。
もしかして俺の事心配して来てくれたのかなって、
ほんのちょ〜〜〜っぴり期待してしまった。
だけどさっ。あいつが
『はぁあ?』
って言った時顔に
『なぁに寝言みたいなこと言っちゃってるの?私はただ大嫌いな
あなたのへコンでる姿を目に焼き付けようと、カレピを待たせてまで
こんなヘンピな所までやって来たんじゃない。理解して!女の子。』
と、映画の字幕のように顔面に文字がスクロールしているのが分かった。
そうだよな、俺の事心配なんてするはず無いよな。
こいつには柴子さんっていう大事な友達も
カッコ良い(よく見なかったが。)カレピも居ることだし。
俺の事心配する余裕なんてないよな。
- 211 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)19時05分35秒
俺の心の隙間に入り込みやがってバカヤロー(涙)
少しだけ、ガラスのハートにヒビが入ったぜベイべー。
「あっち行けよ。しっ、しっ。」
俺は石川梨華と視線が合わないようにして手だけをプルプルと振った。
ガッコォォオオオン。
ピヨピヨピヨ。
チカチカチカ。
ひよことお星様のイルミネェーション。
「何なのよ!何なのよあなた!!」
「お、おま・・けっ・・こう、力・・あんの・・な・・。」
石川梨華はあろうことか椅子に座っていた俺の頭に肘鉄
を食らわせやがった。
「あなた一体何者よ!!」
つけもの。くせもの。あみもの。
漢字すら思い浮かばない。
こりゃあマジで脳ミソやられたな。
「人が心配して様子を見に来てみれば。何なの何よその言い草ぁ!!」
何でこいつこんなに怒ってんの?
理解不能。
- 212 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)19時14分36秒
「わ、私に彼氏がいようがカレピがいようが焼肉定食だろうが
あなたには関係ないじゃない!!」
「焼肉定食って・・・。」
「言葉のアヤよ!いちいち突っ込まないで!!フンッ!!」
「お前鼻息荒」
ガッコォォォオオン。
『本日二度目の肘鉄入りましたぁ〜。』
『はぁ〜い。じゃあ、ひよこ飛ばしまぁ〜す。』
『お願いしまぁ〜す。』
ピヨピヨピヨ。
「バーーーーーーーカ!!」
バタン。ガタン。ドタンドタン。
石川梨華。ひよこと共に去りぬ。
- 213 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)19時32分37秒
「な、何なの何よ。今のは一体・・・。」
「オワッ!」
まだ居たんだ。中澤ティーチャー。
存在すら忘れてますた。
「吉澤くん。石川さんといつからお友」
「違います!!断じて違います!!」
俺は声を大にして言い放つ。
そうだ。友達なんかじゃない。
友達なんかじゃないやい!
あんな奴。こっちから願い下げだ!
だって、あいつには友達も恋人もいて・・
「吉澤くん?」
理解してくれる人達がきっとたくさんいて・・
「ちょっと、聞いてるの?」
俺は心から気の許せる友達が居ないから羨ましいな・・と
なんかさっきスッキリしなかったのはこの所為か・・。
俺のロンリーハートがキシキシと痛んでたんだな。
- 214 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)19時40分40秒
「ちょっと吉澤くん!!」
「うわっ!」
気が付くと至近距離に中澤先生の顔面が。
俺は驚いて仰け反る。
「何か悩んでるわね。」
「はぁ、まぁ。」
曖昧に頷く。
すると突然先生の両手が俺の顔に伸びてきて、
物凄い勢いでその胸の中へと引き寄せられた。
「一人で悩んでないで先生に打ち明けなさい!」
「せ・・んせ・・ぐるし・・」
「生徒の心を癒すことも教師のさだめ!さぁ、ほら言ってみなさい。」
否、この状態じゃあ無理だから。
理解して!男の子(仮)!
つーか俺の周りなんでこんなんばっかり・・・。
ガラッ。
- 215 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月17日(火)19時46分03秒
「あら、石川さん忘れ物?」
飄々と言い放つ中澤ティーチャー。
きっと入り口で土偶のように固まって立っているであろう
石川梨華。
そして半分意識が飛んでいる酸欠状態の俺。
どこまでもどこまでも
果てしなく静寂が続く。
- 216 名前:gamax 投稿日:2002年12月17日(火)19時47分39秒
更新終了。
>208 名無し読者さん。 ではないです(w
- 217 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月17日(火)21時56分42秒
- これは、なかよしと受け取ってよいのですかな(w
- 218 名前:189 投稿日:2002年12月19日(木)02時23分50秒
- ネタのちりばめ具合が楽しいです。
なかよし?修羅場カモンナ(w
- 219 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時23分37秒
ふんが!ふんが!!
あっぶねーっ!!
マジで息止まってたって中澤先生ーっ。
あ・れ?
何時の間にか石川梨華がいない。
「ぜんぜい、・・ア゛イツ゛は?」
「あ、石川さん?」
やっと、腕から開放される。
「さっき慌ててドア閉めたけど。どーしたのかしら?
あの子変わってるわねぇ。」
否、たぶんきっと、おそらく
馬鹿な勘違いをして。そしてその勘違いに
今ごろ気付いてる頃だと思います。
なんだか、ヒューヒューと心に風が吹きすさぶな。
- 220 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時24分21秒
- 「ちょっ、吉澤くん!?血が出てるわよ!!」
「中澤先生、ほっといてください。ロンリーハートから滲み出る
血は心の汗です。勉強になりました。どう致しまして。」
俺は、キョトンとしている中澤先生に一礼すると、
朦朧とした意識のまま、今度こそ教室を出た。
何故だか家に帰り着くまでチラチラと何人かの人に見られたけど、
そんなこと、別にどうでもいい気分。
夜風が心に染みる。
ザッツ青春。
嗚呼、なんだか俺、はじめて高校生らしい体験をしたような
気がするな。
否、もしかしたら大抵の人は小学生ぐらいで
乗り越えてきたことなのかもしれんが。
「たっだいまー。」
「おかえりー!ひとみちゃん。
今、晩御飯つくってるからもうちょっと待ってね。」
おタマを手に持って廊下に顔を覗かせた母さんが固まる。
「ひ、ひ、ひとみちゃん!血が!!」
「あ、母さんにも見えるの?さすが、母さん。
気にしないで。明日になれば傷も癒えるから。」
- 221 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時25分23秒
- そう。もう今日でほんとに終わりだ。
あんな、強暴女。ミジンコも関わるのを辞める。
今度こそ、だ。
俺は、半ば固まったままの母さんを残して
自室に向かう。
ふぅ。
落ちつくな。
部屋着に着替えて炬燵に入る。
そう言えば、今日はじめて女の格好したよな。
小さい頃から、そもそも赤ん坊の頃からブルーのベビー服しか
着てなかったもんな。
俺が女として育てられてたら、今ごろあの制服とかで登校してるのか。
「おはよー。」
なんつって俺がかわいらしいスマイルで挨拶をする。
「あ、おはよー、吉澤さん♪」
ちょっと待て。
否、よくない。こんな想像は。なんで記念すべき『俺がもし女として
育てられてたら』に出演してくる友達が石川梨華なんだ。
- 222 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時26分22秒
- 頭がヒリヒリと痛んできた。
もう、ヒヨコは飛んでないのにおかしいぞ。
「ひとみぃぃぃぃいいいいいいいい!!」
階段をドタドタと上ってくる騒がしい音と共に、物凄い叫び声。
バタン!!
肩で息をしてる親父が額に汗を浮かべて立っている。
と、思ったら俺の頭をガシッと掴んだ。
「おお!!これか!危ない目に遭っていたという女の子を助けて
できた名誉の負傷というヤツは!!」
「は?」
心なしか目に涙を溜めている親父の後ろには、同じく目に涙を
溜めて口元を抑えている母さん。
「ひとみ!お前もやっと一人前の男に!父さん嬉しいぞ!!」
オイオイと泣く親父と母さん。
・・負傷って何?
まさかまさか。
もしかして・・。
「あぁぁああああ!!!」
俺は親父の腕を振り解き、鏡を手に取って気付いた。
ほんとにおでこに血が滲んでる。
- 223 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時27分09秒
- 「どうした?まさか気付いてなかったのか?ハハハッ。
そんな傷は気にしないってか!で、相手はどんなヤツ
だったんだ?2mあるマッチョか?そーか!アハハハハ。」
顔を見合わせて笑い合う親父と母さん。
言えません。
俺より身長が低くて体なんかほそっこい、女の子だなんて。
「アハハハハハハ!!」
とりあえず俺も笑ってみる。
もう一度、鏡を覗く。
「アハハハハ!!」
もう笑うしかない。
なんだよ、これ。
たぶん制服のボタンとかが当たったんだろうな・・。
擦り傷から血が滲んでる。
- 224 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時27分48秒
「ハッハー・・。」
否、なんか俺、今日・・。
なんか俺、今日。
いろんなことが、起こったよな。
もんの凄く疲れた。
俺は、手を取り合ってダンスを踊っている両親を放って
ベッドの中に潜りこむ。
もぞもぞ。
とにかく、疲れたから。
ほんとに起こさないでくれ。
できれば、学園祭が終わるまで起こさないでくれ。
頼むからプリーズ。
- 225 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月19日(木)06時28分20秒
そんな願いも虚しく、毎日すさまじい勢いで親父に叩き起こされ
何度も直談判をしたけれど、結局『女装』は避けられないまま。
斯くして憂鬱な、史上最高に憂鬱な学園祭はやってきた。
- 226 名前:gamax 投稿日:2002年12月19日(木)06時31分31秒
更新です。
>217 名無し読者さん。状況的にはそうなります(w
>218 189さん。おっかしいな、何もなかったですね・・。
- 227 名前:189 投稿日:2002年12月19日(木)16時52分38秒
- 嗚呼・・この家は両親ともどもなんて素敵なんだ。
次回は素敵過ぎる文化祭のヨカーンですなぁ…
- 228 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月19日(木)17時47分01秒
- 血は心の汗…カッコイイ!
しかもその傷跡は女につけられた物…かっこいい?
- 229 名前:よっすぃー大好き 投稿日:2002年12月21日(土)08時58分14秒
- これはまさかあの漫画のお人では・・??
だとしたらその人大好きなんで頑張って下さい!
- 230 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月21日(土)11時58分26秒
- 読んでいるときはたっぷり笑えるんだけど、読後の切なさはなに?
- 231 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)15時54分12秒
3・2・1。キュウッ!
『それ逝け!珍パンマン!』
それ逝け!っておかしくない?
『やぁ!皆。こぉ〜〜んにちはぁ〜〜〜。ん?声が小さいぞぉ?
もう一度!こぉ〜〜んにちはぁ〜〜〜。うん!皆元気だね。』
皆って・・。元気だねって・・。誰も返事なんてしてないし。
『初めまして!僕、珍パンマン!正義の味方さっ。』
上半身裸で、唐草模様の風呂敷羽織る正義の味方が、
でっかい宇宙のどの辺りに存在するのか教えてほしい。
『趣味は嫁探し!!』
それ、趣味ちゃうやろ!!
・・・。
今何かが私に憑依したわ!怖っ。
- 232 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時10分01秒
私は柴ちゃんに引っ張られて、うちのクラスの出し物『それ逝け!珍パンマン!』
を観賞していた。否、させられていた。
今日までそれがどんな内容か、柴ちゃんが断固として
教えてくれなかったから。ちょっぴり期待していたのに・・。
だのに・・じゃなくて。なのに・・。
『フッフッフッ。珍パンマン。どうして嫁が見つからないのか
この、『細菌マン』さまが教えてやろうか?』
うわっ。細菌マン。グロッ。キショ。
そんな姿お子様には見せられないじゃない!!
何よ、その口から滴る緑色の液体は!!
『き、貴様ぁー。さてはお隣の山田さんにいらぬ事を吹き込まれたな!』
誰よ。お隣の山田さんて・・。
『そんな事より。いいのか、聞きたくないのか?この間まで付き合ってた
バイト先のカトリーヌが、どうしてお前から離れて行ったのか知りたく
ないのか?』
『何故その事を知ってる!その情報も山田さんか!』
山田さんはもういいから!!(怒)
- 233 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時15分59秒
『カトリーヌが言っていたぞ。お前程甲斐性無しの男は見た事が無い。
と。何でもお前、サボテンに話かけるのが日課らしいな。』
『細菌マン。貴様まさか。カトリーヌが言っていた。第二の男・・なのか・・。』
不敵な笑みを浮かべる細菌マン。
・・・・。
もう駄目。このまま一々突っ込んでいたら、
ショートして又、耳から煙が出ちゃう。
プスプス。
- 234 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時28分13秒
私はたまらず横で満足気に見入っている柴ちゃんを、肘で突付く。
「し、柴ちゃん・・。これって一体・・。」
「ドロドロとした人間模様を。誰もが正義の味方として疑わないヒーロー
を使って表現することで、人間の本質というものを理解してもらおうと」
「アンパンマン。って。アンパンで出来てるんじゃ・・・。」
「アンパンマンじゃなくて!珍パンマン!」
こだわってる。こだわってるぅ。
シュ、シュールなのね。シュールリアリズムなのね!
でもこれ、学園祭向きじゃあないのでは?
「この後どうなるの?」
「もう梨華ちゃんのせっかちさん(はぁと)実は細菌マンは、珍パンマン
の事が好きで・・」
「はぁいい??」
「で、それに気が付いた珍パンマンは、始めは戸惑うんだけど・・」
「・・・。」
「自分も本当は細菌マンの事を愛してるって気付いて。二人で愛の逃避行。」
キャッ。と頬を染める柴ちゃん。
何がここまで柴ちゃんを突き動かしているの?
誰か。教えてプリーズ。
- 235 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時38分56秒
結局私は最後まで『それ逝け!珍パンマン!』を観賞させられ。
ショートどころかセカンドサード。
流石に珍パンマンと細菌マンが抱き合うシーンは気持ちが悪くなった。
「ね、ね、よかったでしょ?」
「はぁ・・。」
私は、青ざめた顔で引きつり笑いを浮かべる。
「石川さぁ〜〜〜〜ん!!」
遠方より友(?)来たる。
教室の入り口から覗くのは、輝く笑顔を携えた鈴木くん。
「キャッ。梨華ちゃん頑張って!私の努力を無駄にしないでね。」
努力って・・。私の携帯番号勝手に教えちゃって。
ブーブー。
『学園祭一緒に回らない?』
って、電話がかかってきたのはつい昨日。
何だかその震える声が可哀相で、ついOKしちゃった。
- 236 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時46分26秒
だって、柴ちゃん。後夜祭の準備があるから午後は忙しいっていうし。
どうしようかって考えていた所だったし。
ブーブー。
でも・・・。
ちらりと鈴木くんに目線を向けると。すごく嬉しそうな顔。
だからま、いっか。
私も調度、恋をしたいなって思っていた所だし。
鈴木くん優しそうだし。
一人の人に夢中になって、この世の嫌な事。
ぜぇ〜〜〜〜〜〜んぶ。忘れるの。アハハハハ。
「石川・・さん?」
ハッ。
いけないわ。今は鈴木くんに集中しなければ。
石川梨華。一人反省会。再び。
- 237 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時51分25秒
「ど、どこから回ろうか?」
ふんわりと笑ってみせる私。
照れたように笑い返す鈴木くん。
いいわ!!これでいいのよ!!
アイラブ・ブルー・スプリング。
「石川さん映画とか好き?」
「うん。大好き。」
特に・・・
「映画同好会でホラー映画上映するらしいんだけど・・。やっぱホラーは・・」
「行きます!絶対行きます!!」
見所あるじゃない鈴木くん。
私が無類にホラー映画好きってどうして分かったの?
- 238 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月22日(日)16時58分57秒
「石川さんて結構強がりなんだ。」
「は?」
鈴木くんの言葉にハテナマークが頭の中を飛び交う。
なんで?
「怖くなったら途中で抜け出してもいいからね。」
「う・・・ん。」
何だか釈然としないけど、取り合えず私は鈴木くんと
並んで歩き出した。
甚だしくエキサイティングな。
史上最高にエキサイティングな学園祭はこうして幕を開けた。
- 239 名前:gamax 投稿日:2002年12月22日(日)17時04分18秒
更新です。
>227 189さん。 ドカーン。です。(w
>228 名無し読者さん。 名誉の負傷です。
>229 よっすぃー大好きさん。 漫画?いえ、特に原作とかはありません。(w
>230 名無しさん。 きっとそれは吉澤くんが憑依しているからだろうと・・。
- 240 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月22日(日)17時14分25秒
- バトルロワイアルを繰り返し見る女。
エキセントリック少女石川梨華に栄光あれ!!
- 241 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時18分27秒
- 「ひとみちゃ〜ん、一緒に写真撮って♪」
なんだ。
何がどーしてこうなった?
よぉーく思い出してみそ。
ウムウム。
ウグウグ。
ちょっと隣の彼女、あんまりくっつかないでくれないかな。
えーと、これは学園祭だよな。
で、うちのクラスは『女装喫茶』。
俺は朝一番で、中澤先生がいる美術準備室に連れて行かれて、
そんで、このセーラー服と、このメイクをほどこされたわけだ。
それから、店(教室)に出た。
途端。
『キャー吉澤くんかわいー!!』
ってそこにいた女子に叫ばれて。
- 242 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時18分59秒
- 確か、確か剛田がこう言ったんだ。
『お前、そこでお客さんと写真撮ってやれ。』
って・・。
確かクラスの出し物は『女装喫茶』。
今の俺の状態は、『女装写真館』。
「はい、ひとみちゃん笑ってー♪」
ニッコリ。
って!なんで俺笑ってんだよ!!
もう、30組は撮らされた。
疲れた・・。
「ひとみちゃん、次のお客さんだよー。」
- 243 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時19分29秒
- はーい。って
どぅええええええええええ!!???
「ひとみちゃん!かわいい!!」
「俺は嫌だと言ったんだ。俺はひとみのこんな姿など・・
のわっ!!かわいい!流石、俺の息子!!」
親父に・・母さん。
なんで?
「なんでいんだよ!!」
俺の怒鳴りは呆気なくスルーされ・・。
「ひとみちゃん、ほら、笑って?」
俺は、笑える筈もなく、
満面の笑顔でWピースの両親に挟まれて、写真におさまった。
- 244 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時19分59秒
「お疲れさん!」
途中から、なんと整理券が配られ、なんとか全員と俺は写真を
撮り終わった。
「ひとみちゃん、足開けてすわんなよ。」
そういいながら、剛田が紙コップに注いだオレンジジュースを
差し出してきた。
「うっせぇ。勝手にさせろ!」
こんな疲れるとは思ってもみなかった。
なんなんだ。
「で、吉澤くん?」
あ、何だろ、この嫌な口調。
「なんだよ・・。」
あの嫌な笑顔。
- 245 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時20分30秒
- 「お客さんがいらしてますよ?」
「ん?あ、あの人等って・・。」
剛田が指差した先には、二人の女子生徒。
「どうも。実行委員長の保田です。」
「はぁ。」
3年の保田先輩がそう言う。
「で、」
「副委員長の後藤です。」
保田先輩に促されて、隣に立っていた後藤さんは挨拶をした。
A組の後藤さんだ。
後藤真希って言えば、石川梨華と対ぐらいで男どもに人気の・・。
って何故石川梨華が出てくる。
「あの・・。」
申し訳なさそうな声に、我に返る。
「あ、はい。」
「単刀直入に言うとね、」
保田先輩の目がギラリと光る。
何?なんか、すげー怖いんだけど。
- 246 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時21分07秒
- 「貴方、ミス青空にエントリーさせるから。」
「は?」
ちょっと待て。
ジャストモーメントプリーズ。
プリーズ。
『ミス青空』。
それは、毎年学園祭で必ず開催される我が青空学園の
一番の催し。
学園一かわいい女子を決めるって言う、あの『ミス青空』?
「ミス青空?」
慎重に、
もう一度確認♪ミニモニ!
「そ。」
有無を言わさず一等両断。簡潔な答えが保田先輩から返ってきた。
確か、去年のミスは後藤さんで・・。
後藤さんは保田先輩の隣でニコリと笑っている。
やっぱり、やっぱりあの『ミス青空』?
- 247 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時21分41秒
- えーと、なんかなんか大切なことを忘れてる気がする。
俺って確か、俺って確か・・。
ポンポンポン ピィーーーーーン!!
「・・男、ですけど?」
自分を指差して尋ねる。
男だよな。
確かに、セーラー服着てるけど。
『男』として俺はこの人生を生きてきたよな。
ウム。
「アンタ、馬鹿ね。そんなの関係ないわよ!
はい、決定!!ごとー次!」
「はぁーい。」
・・・。
一等両断。風と共に去りぬ、保田。
- 248 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月25日(水)07時22分11秒
ちょっと待て。待ってくれ保田先輩。
今日半日の疲れを引き摺り、土気色した顔の俺なんかが、
きっと引きとめられる相手じゃない。
そう思わす、背中。なんだろ・・あの威厳。
「ま、頑張れ。」
どっから沸いてきたのか剛田が肩をポンッと叩く。
「冗談じゃねーーーーー!!」
俺の渾身の叫びは、蚊の鳴くような声だった。
ヘナヘナヘナ。
- 249 名前:gamax 投稿日:2002年12月25日(水)07時24分33秒
更新です。
>240 名無し読者さん。血がドバーと出る映画見に行っちゃいましたね(w
- 250 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月25日(水)11時09分15秒
- 少しだけでど元プッチモニキタ───!!
- 251 名前:189 投稿日:2002年12月26日(木)00時47分50秒
- ゴチーンとヤッスーキター!!なんかドカーンなヨカーンキター!!
ミスコンて…だめだろ吉澤、お前は男の・・あれ?(w
- 252 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)17時49分02秒
あ〜。でもこれで俺の役目は無事に終わったわけだ。
なにがどうなって『ミス青空』にエントリーされたのかは謎だが、
俺にか関係ねぇもん。もう帰るもん。
ごくろうさま。
おつかれさま。
「んじゃ、そういう事で俺はこれで・・・。」
「待つのだ。」
剛田は立ち去ろうとする俺の腕をむんずと掴む。
キャッ。セクハラ(はぁと)
「お前は大事な事を忘れている。」
「あ?」
「うちのクラスの出し物は何だ。」
「何だって・・『女装喫茶』だろ?」
俺がそう言うと剛田は満足気にうなずく。
「その通りだ。が、しかし。午前中お前は何をした。」
「何をしたって・・。女共と(あと親父と母さんと)一緒に写真を
撮った(撮らされた)・・・けど。」
剛田は又、うんうんとうなずく。
- 253 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)17時56分42秒
「その通りだ。が、しかし。肝心の『女装喫茶』そのものはどうだ。
まだ何もやっていないわけだ。」
「はあ?」
ザワザワ。
ん?何か教室の外、やけに騒がしくない?
剛田が俺の肩にポン。と手を乗せる。
とびきりの笑顔で。
「今からが本番だ。気合を入れて稼いでくれたまえ。」
タラリ。
「午前の部は言わば予約に入りきらなかった客へのサービスタイムだ。」
タラリ。タラリ。
「大丈夫。午後の部の予約客は8割がた・・・。」
タラリ。タラリ。タラリ。
「オ・ト・コ・ノ・コ♪」
- 254 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)18時07分19秒
剛田は放心する俺をそのままに。スキップなんぞしながら入り口へと向かう。
そぉ〜と、周りを見渡すと。セーラー服に身を包んだ何人ものクラスメート達。
勿論皆男。ご丁寧に全員が無駄毛の処理済み。
「お待たせ致しましたぁ〜〜。ただ今より開店致しまぁ〜〜〜す。」
剛田まで裏声。キショ!!
廊下では野太い野郎共の歓声が響く。
俺は。無事にここから脱出出来るのだろうか。
俺は。自分の貞操を守る事が出来るのだろうか。
吉澤ひとみ保護の会。会員大募集(はぁと)
・・・・。
いやぁぁあああ!!
- 255 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)18時16分49秒
「鈴木くん。大丈夫?」
「う・・・は、ま・・あ。」
まっ青な顔色の鈴木くん。
どうやら今観た映画の所為で具合が悪くなったらしい。
「石川・・さん。平・・気だ・・った・・・の?」
「何が?あ、さっきの映画の事?」
あんなのぜぇ〜〜んぜん。
少しだけ『ドバッ。』
ほんのちょこっと『グシャ。』
期待していただけに少しがっかりした位よ?
「石川さんああいう・・映画・・・苦手なの・・かと・・。」
鈴木くんたら目に涙なんか浮かべちゃって。
私のおすすめホラー映画セレクションを一緒に鑑賞してもらおうと思ってたのに。
残念。
- 256 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)18時24分25秒
「エクスキューズミー。」
「『ちょっとすみません。』」
突然何処からともなく現れた謎の二人組。
謎ってわけじゃないか。この二人学園の中ではかなりの有名人。
「ユー アー リカイシカワ ライ?」
学園の影の支配者。として名高いダーヤスこと3年の保田先輩。
「『あなたは石川梨華さんですか?』」
その右腕、後藤真希さん。
でも何故に保田先輩は英語?
しかも何故に後藤さんが通訳?
- 257 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)18時36分47秒
「んあ〜。最近圭ちゃん英会話習い始めたから使いたくて仕様が無いの。」
「あ、そうなんだ。」
って。えぇ?!私今心読まれた?!読まれました?!
もしかして後藤さん・・・
「凄腕超能力」
「石川梨華さん。あなたは『ミス青空』にエントリーされました。」
お、保田先輩日本語に戻った。きっとまだ難しいのは教えてもらっていないのね。
それにしても保田先輩の鋭い眼光。怖い・・。
「まぁあなたは去年もエントリーされてたから説明の必要は無いわね。」
そういえばそんな事があったような無いような・・。
「んあ〜。忘れちゃったんだ。石川さん『準ミス』だったじゃん。」
!!又読まれた!!
「兎に角これで全員に通知OKと。後藤行くわよ!
それでは。ハブ ア ナイス デー。」
「『良い一日を。』
そして風のように消え去る二人。
やはりうわさ通り侮りがたし。
- 258 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月26日(木)18時46分52秒
「そっかぁ。今年もエントリーか。」
いつの間にかすっかり顔色が良くなっている鈴木くんが
嬉しそうにそう呟いた。
「アハハ。」
笑って誤魔化す私。
「かく言う俺も石川さんに一票入れたんだけどね。」
この。馬鹿が!!
・・・・。
女の子がそんな言葉使っちゃいけないわ梨華。てへっ。
まぁどうせ今年も後藤さんが『ミス青空』だから。大丈夫♪きっと大丈夫♪
それにしても鈴木くんニヤニヤしちゃってどうしたの?
いつも楽しそうでいいわね。はぁ。
「じゃあ、次は何処に行こうか?」
気を取り直して私が言うと。鈴木くんは何やらゴソゴソとポケットから
紙きれを取り出した。
「これ、苦労して手に入れたんだ。おもしろそうだから行ってみようよ。」
そこに書かれていたのは。
『2年B組『女装喫茶』先行予約チケット。(はぁと)』
タラリ。
- 259 名前:gamax 投稿日:2002年12月26日(木)18時48分43秒
更新しました。
>250 名無し読者さん。 (w
>251 189さん。 あれ?(w
- 260 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月26日(木)21時29分06秒
- ついに接触!!
この学校はどこにありますか?自分も行きたいです。
- 261 名前:リエット 投稿日:2002年12月27日(金)03時51分54秒
- 接触ですね。+一名いますが(w
- 262 名前:189 投稿日:2002年12月28日(土)16時10分05秒
- こんな学校があったら留年しつづける。むしろ保体のセンセになって
いしよしを生暖かく見守り続けたい。
- 263 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時39分09秒
- 「よしざわくぅ〜ん、こっちきてぇ〜!」
何をどう勘違いしたのか、入ってくる男ども(客)が
次々と裏声で俺の名前を呼ぶ。
「はいはい。何にしますぅ〜?」
「ねぇ、ひとみちゃんー、俺と付き合わない?」
ウギャ!
ケ、ケツ触った!
「考えとくわ〜。」
例え〜どんなにセクハラされてても〜
オカマの顔には見事な笑顔〜(若干失敗作)
BYジョージ山本。
だって、剛田がハリセンで叩くんだもんな。
客を邪険にあしらうと。
微妙なタッチングが・・
キショ!!
鳥肌が。
うわぁぁあああああ!
- 264 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時39分40秒
見るな。寄るな。触るな〜。
「吉澤くぅ〜ん、来てあげたわ!!」
聞きなれた野太い声が聞こえて、ホッと俺は胸をなでおろす。
「失礼しまぁ〜す。」
さっきのキショいヤツの席を離れて接客。接客。
しかし・・。
ある意味、クラスに詰めこまれた男どもがクネクネした裏声で
叫び合う姿といったら、貞操の危機よりも怖い光景だ・・。
さっきの野太い声は、
隣のクラスなのに何かと俺のクラスにいる為仲良くしてる武田。
「はいはい、なんだよ。武田。」
「あ〜ら女の子がそんな言葉づかいじゃ駄目(はぁと」
ため息を一つ吐くのを合図にボカッと一発殴ってやった。
ほとんどがこんな客。
からかいに来たってわけだ。
- 265 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時40分31秒
「せーっかく立場の弱い吉澤くんの姿をおがみに来て
あげたって言うのに。」
「余計なお世話だ。」
ガシッと肩を組んでくる武田の腕を振り解きながら、
ふと前方の女の子と目が合う。
ヒラヒラ。
あ、イカン。
手を振られたからつい振り返してしまった。
あれって、柴子さんだよね?
なんであんなにニコやかなんだろう?
それより今日はアイツは・・。ん?
アイツって誰?
知らない。知らない。
「あっ!梨華ちゃ〜ん!!」
「梨華ちゃんなんて知らない。」
「は?」
隣の武田がキョトンとして俺を見てる。
- 266 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時41分08秒
- 「え?」
「ほんとだ!なんだ、お前もやっぱ石川さんに
興味あったのかよ?」
コソッと耳打ちされる。
ほんとだ?
あれ?今の会話は俺の中だけでおごそかに行われたものであって・・。
ポンポンポン
ピィーーーーーーン!!!
まさか、来たのか?来たのか!?石川梨華ぁー。
目の前で笑顔を浮かべ1点を見詰めている武田。
何を隠そう、俺の周りで一番『石川梨華』の名前を
出しては騒いでいたその首謀者がこの武田なのだ。
「オイ!隣の男誰だよ?」
俺は、武田が指差した方に目をやる。
だから、肩組むなよ。
隣の男?あれじゃない?カレピ。
ああ、とうとう視界に入れてしまうのか?石川梨華を。
まぁ、石川梨華がいなくなったからってぜぇーんぜん
平穏な日々になど戻る気配などこれぇーっぽっちも
これぇーーーーーっぽっちもないのだが。
- 267 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時41分43秒
ゆっくりと、首を正面に向ける。
・・・。
柴子さんの後ろに隠れているのが石川梨華だよな?
なんで隠れてんだよ。往生際がワリィよ。
しかも、柴子さんより若干背が高いから普通に見えてるよ・・。
「吉澤くん!こっちも来てよ!!」
柴子さんがそう言った後で、石川梨華にコソコソと耳打ちをする。
石川梨華はバッと柴子さんを向く。
そして、俺を向く。
ん?なんだよ、ナンダヨ?
なんか気にかかるやりとりだな。
「はい・・。」
客は客。
俺は仕方なく、柴子さんが陣取ったテーブル脇に立つ。
石川梨華とチラッと目が合ったけど、逸らした。
もう会わないって決めてたのに。
今日はとことんついてない日だ。
- 268 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時42分26秒
「そんなにムッとしないでさー。女の子だか」
「柴ちゃん!!」
・・・。
今何が起こった?
ちょっと目で追いかけられないぐらいのスピードで
石川梨華が柴子さんの口を・・抑えた?んだよな、たぶん。
「鈴木くんも座んなよ!!」
柴子さんが、石川梨華の後ろに突っ立っていた
若干ポカーンな顔のカレピ?の
腕を引っ張って強引に隣に座らせる。
そして、その隣に石川梨華が座る。
それより、石川梨華。手で顔を隠したってもう無駄だから。
お前はもう完全に包囲されている!無駄な抵抗はやめて
「吉澤くん、オーダーとって頂けるかしら?」
「はい?あ、なんでしょう。」
イカン。
つい『何歌ってんの刑事』が出てくるところまで
脳内でVTRを再生してしまうところだった。
- 269 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2002年12月29日(日)17時42分58秒
とにかく、吉澤!オーダーを、通しに行きやす!!
「おめーズリーぞぉー。」
武田の側を通りかかると、そう言ってケツに足蹴を食らわされた。
・・こっちだって好きで相手してんじゃねぇ。
はぁ。
- 270 名前:gamax 投稿日:2002年12月29日(日)17時46分30秒
更新です。
>260 名無し読者さん。教えたら、吉澤くんの人生が・・。
>261 リエットさん。+2名になってしまいました。
>262 189さん。保体のセンセ、には意味が?(w
- 271 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月29日(日)23時52分35秒
- 嫉妬ですか吉澤さん?男の嫉妬はみっともないですよ。
ん、オトコ?
- 272 名前:189 投稿日:2002年12月31日(火)01時40分37秒
- 保体・・・なんとなくムダに漂う背徳のかほりが(ry
そうだ吉澤!オトコは黙って・・・あれ?
- 273 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)20時42分29秒
『あの人、吉澤くんの彼氏なんじゃない?』
不意をついて柴ちゃんが私の耳元で囁いた。
B組の前の廊下でウロウロしていた柴ちゃん。
鈴木くんが予約チケットを持っている事を知ると、
イチも二も無く付いてきた。
しかしさっきの柴ちゃんの言葉。中々脳みそまで伝達されない。
きっと誰かが妨害電波を出しているに違いない。
私は無意識に吉澤くんを見る。
ガガガ。ピィ〜〜〜。
ほらね。
- 274 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)20時52分24秒
でも負けない!!頑張る!!
『あの人』
あ、やっと少しづつ到達してきた。
『吉澤くんの』
はいはい。もうここに来た時点で覚悟は決めてきたから吉澤くんなんて、
そんなに怖くないよぉ〜〜〜だ。何だか見慣れちゃったし。
あれ?ここから続きが中々入ってこない。
あ、ほれ。頑張れ。もう少し。もう少しで頂上よ。
『カカカカレ、カレ、シシ』
まぁ〜た電波妨害ね。
私は吉澤くんを探す。調度ハリセンでスッパーンと頭を叩かれている所だった。
何やってんだか・・・。
『彼氏なんじゃない?』
あ、届いた。
・・・・・。
- 275 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時03分16秒
ホワット?!
「吉澤くぅ〜ん。ミルクティーまだぁ?」
柴ちゃんがそう声をかけると吉澤くんはズカズカとがに股の大股でやって来た。
「はい。お待ちどうさまでした。」
そう言うと。
面倒くさそーにミルクティー2つとウーロン茶を置いて。
面倒くさそーに伝票を鈴木くんに渡して。
面倒くさそーに去って行った。
言わば『面倒臭いセット』又は『面倒臭いづくし』
でも私はいつものように突っかかる気力は無かった。
だって・・
- 276 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時06分17秒
だって。だって。だって。
さっきの柴ちゃんの言葉が頭の中を機関車トーマスに乗って駆け巡っている。
なぜなら。なぜなら。なぜなら。
吉澤くんって。女の人が好きなはずでしょ?!
- 277 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時13分34秒
流石に中澤先生と抱き合ってるのを見た時は驚いたけど。
教師と生徒。だ、なんて噂に名高い
『禁断の愛』
じゃない。キャッ。挙句に吉澤くんは本当は女の子だから
禁断の禁断のそりゃもう禁断の
「石川・・・さん?」
「あー、鈴木くんほっておいて。ああなると当分こっちの世界に
戻って来ないから。」
「はあ・・。」
- 278 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時24分01秒
ハッ。
いけない。論点がズレてしまったわ。
私は吉澤くんを盗み見る。
吉澤くんは柴ちゃんの言っていたあの人と仲良くジャレ合っている。
確かあの人武田くん・・だっけ?
ああ、なんだか本当に楽しそう。吉澤くんセーラー服着てるから
どう見ても本物のカップルにしか見えない。
後ろ姿だから表情は分からないけど。きっと、
嬉しそうに笑ったりなんかしてるんだろうなぁ。
私にはいつも鬼のような形相しか見せないのに・・・。
私だけにかもしれないけど・・・。
・・・・・。
じゃあやっぱり吉澤くんて
男の子が好きなのね。
- 279 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時31分53秒
でも中澤先生はどうなってるの?
まさか二股かけてるって事は無いよね。
そんな人には見えないし・・・。
わっけ分かんない!!
「ごめん。柴ちゃんちょっとおトイレ。」
私は柴ちゃんにコソコソと小声で呟いた。
「あ、うん。気をつけて。」
ヒラヒラと手を振る柴ちゃん。
わけワカメな表情の鈴木くん。
取り合えずこの沸騰寸前の頭を冷やしてこよう。
そうだ。そうだ。クリームソーダ。
- 280 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時39分21秒
どこに向かうでもなくボーーーーっと廊下を歩く。
てくてく。
吉澤くんは男の子の格好をしてるけど本当は女の子で。
てくてく。
でもそれは皆には内緒で。
てくてく。
中澤先生と抱き合っていて。
てくてく。
武田くんともラブラブで。
てくてく。
吉澤くんが好きなのは女の子?それとも男の子?
てくてく。
大体何で男として日常生活を送っているわけ?
てくてく・・。
- 281 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月02日(木)21時46分20秒
ガンッ!!
あまりにもボーーーっと考えごとしながら歩いていたものだから
廊下の曲がり角で誰かと激しく衝突してしまった。
「す、すみません!」
「いやいや、こちらこそ。お嬢さん。怪我は無いかい?」
その人は大人の男の人で。先生じゃないから、きっとここの生徒の
父兄かなんかなんだろうけど・・・。この人の顔。
誰かに似てる気がする・・・。
ゾワッ。(寒気)
- 282 名前:gamax 投稿日:2003年01月02日(木)21時50分14秒
あけました。おめでとうございます(w
更新です。
>271 名無し読者さん。 今年も宜しくお願い致します(w
>272 189さん。 本当にむ(ry
皆様。良いお年をお迎え下さい。
- 283 名前:189 投稿日:2003年01月03日(金)00時03分56秒
- あけおめです。「頭冷やしてくる」なんて、梨華ちゃんもついに
センチメンタルよしこ向きになったと思いきや。なんかまたワッチャワッチャしそう
なヨカーンに…(笑)今年もがんがってください!
- 284 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月03日(金)01時11分45秒
- セカンドインパクト!!
未知との遭遇!!
どうなってしまうんだ…
あっ、こちらこそあけおめ、ことよろみたいな(なっち風
- 285 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時24分51秒
- 「おおおお嬢さん!!」
なんだか、なんだかこのドモリ方、最近耳にしたような。
確か、ついさっきもチラッとチラッと視界に入ってきたような・・。
ほらほら、この大きな目とか特に・・。
ピィー ガガガガガ。
ほらほらほら、この妨害電波の感じとか。
「息子の嫁になって頂けないか!?」
・・・・・。
「それがいい。そうしよう!」
その人は自慢の顎がはずれちゃったかもしれない
私をほっぽって一人クルクルとターンを決める。
コキコキウグウグ。
よし!顎に異常なし。
- 286 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時25分58秒
コホン。
あのー。
もう一度、言って頂けませんでしょうか?
私、日本語が聞き取れなくなったのかしら?
毎日ミカ先生の英会話を見るより、日本語のお勉強を
した方がいいかしら?
「貴方!!」
どこからともなく、またハイテンションな声が聞こえてくる。
「母さん、どこに行ってたんだ!?」
「あら、やだ。いなくなったのは貴方の方じゃない!」
あ・・。
この女の人もだーれかに似てる気がする。
ほくろが目立つところとか。
- 287 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時26分40秒
ピコンピコンピコン。
レインボーなシグナルがチカチカと危険を告げてる。
・・・はやく逃げなきゃ梨華。
こんなところで手を取り合って踊る二人をボーッと眺めてる
バアイじゃないわ。
だって、なんだかこの男の人、さっき不可解なことを言って
いたような気がするし。
だって、二人は誰かに物凄ぉーく似ている気がするし。
「し、失礼します・・。」
「お嬢さん!!」
後ろで私を呼ぶ声がするけど。
振り向いたら駄目。
振り向いたら終わりよ、梨華。
「貴方、どうしたの?」
「いやな、母さん、あの娘さんをひとみの嫁にしようと思ってな!」
「あら、やだわ、貴方ったら!」
なんだか、二人で声も高らかに笑っているわ。
関わるのはやめよう。それが懸命。
- 288 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時27分27秒
でも、さっき誰の嫁って言った?
ピィ〜〜〜。ガガガガ。
まただわ。また妨害電波。
いや、もしかしたら、妨害電波なんかじゃなくて
私が壊れかけてるのかしら?
足取りがガクガクしてきた気がする。
ちょっと頭を整理しなきゃ。
たたた確か私は、柴ちゃんに『トイレに行ってくる』って
伝えて、どこかを抜け出してきたのよね。
その前の記憶とその後の記憶が断片的にしか思い出せない。
きっと、あまりにも衝撃的過ぎたのね。
じゃ、一体何が起こったのかしら?
トイレに行ったらわかるかしら?
『しないよ?』
妨害電波の次は変な声が頭に浮かんできた・・。
- 289 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時28分05秒
嗚呼、短い人生だった。
きっと終わるのね。
サヨウナラ、何故だかもう二度と現実に戻りたくない
気がするわ。
グッチャ
「石川さん?」
誰!?
石川さんって誰!!?
どこかで聞いた名前だわ。
「そろそろ、体育館の方にキリキリ来て欲しいって圭ちゃんが
かなりテンパってたんだけど。」
肩をガクガク揺さぶられてる気がする。
「石川さん?」
ポクポクポク
チーーーーーン!!
あ!『石川さん』は私ね!!
やっと、一つの答えに辿りついたわ。
ナイスよ!梨華!この調子!
- 290 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時28分46秒
で、この人は誰だったかしら?
確か、確か、確か。
「あ、後藤さんだ・・。」
後藤さんは、ニッコリと微笑んだ。
この調子!この調子で・・
もっと思い出してジックリと考えなきゃならないことが
あった筈だから。
確か、確か、確か。
頭の中にボンヤリと浮かんできたイメージ。
そう、さっき会った仲睦まじくダンスを踊る
夫婦を合わせて2で割ったような顔をした。
いつもいつも、怪訝な顔をしてる。
あれは、あの人は。
・・吉澤くん。
「あっ!!そうだっ!!!吉澤くんだっ!!」
ビックリしたぁー・・。
隣にニコニコして立っていた後藤さんが急に大きな
声を出すから。
しかも、きっとまた心を読まれたわ!
- 291 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時29分37秒
「ありがと。石川さん。」
「いえ、どう致しまして。」
ほにゃりとくずれた笑顔を見せられて、つい返事を
してしまう。
「ちょっと一緒に来てくれませんか?吉澤くんも
呼びに行くんで。」
後藤さんは、またニッコリと微笑んだ。
・・・・・
ボンッ(壊)
「圭ちゃん変わってるよねー。吉澤くんは男の子だっちゅーの!
あはっ!」
後藤さん・・
お願いだから。お願いだからそれ以上しゃべらないで。
「『ミスに男も女もないのよ!!』って言うんだよ?
しかも英語で!!あっはっ!!!」
もしかしてもしかして・・
掴み切れない筈の後藤さんの言葉をパチパチと
頭のコンピューターが組み合わせていく・・!!?
いや、そんな筈はないわ。
頭の中に浮かんできた一つの答えを頭をブンブンと
振って追い払う。
- 292 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月04日(土)08時30分32秒
気付いちゃ駄目。
とにかく頭がガンガンしてきて。
このまま、どこか遠くへ逝ってしまいたい。
この世には、思い出さない方が幸せなこともあるよね。
永久に迷宮入りされた方がいいことだってあるよね。
アレ?私ってちょっとラッパー?
YO!YO!YO!
こうなったらアレね。
ラップ犬ぅー♪ワン!ワン!ワン!
ワン!ワン!ワン!
続いてラップねずみぃー♪
チュッチュッチュッチュッチュッ♪サマーパー
「石川さん?石川さん??」
・・・・・
あ、あやうく、どこか遠いお空の彼方にファラーウェイ
してしまうところだったわ。
それより。
後藤さん・・・
お願いだから。お願いだからそんなに力いっぱい
肩をガックンガックン揺さぶらないでぇ・・・。
- 293 名前:gamax 投稿日:2003年01月04日(土)08時33分17秒
更新です。
>283 189さん。石川さんがワッチャワッチャしすぎなヨカム(w
>284 名無し読者さん。どうなってしまうでしょう(w
- 294 名前:189 投稿日:2003年01月04日(土)10時40分20秒
- 更新キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!(早くて嬉しいです)
ワッチャワッチャお家騒動キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!(嫁かよッ)
ゴッチーンアハッ連発キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! (これがないとw)
- 295 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月04日(土)22時49分50秒
- もう石川さんは十分ファラーウェイしてるよ
- 296 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)16時54分14秒
ハリセンで殴りつけられる事14回。
でもあれって音の割にはあんま痛くないって知ってた?(はぁと)
「吉澤。よく頑張った。」
感涙に咽ぶ剛田の顔面は化粧崩れが激しくて、
この世の人間とは思えない程すさまじい形相をしている。
「おま・・よくそんな顔で働いてたな・・。」
「労働は美しい!!」
拳を高々と上げる剛田。
『ウォォォオオオオ!!』
気が付くと剛田だけではなくクラスの連中も一緒になって泣いている。
何なんだこいつら・・。
- 297 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)16時58分49秒
「ま、取り合えず本当に今度こそ俺の役目は終わったようだから。
帰らせてもらう。」
「ん?吉澤ぁ〜。後夜祭に出ないの?」
だからその顔どうにかしろっての!!
「出るかボケッ。」
ムキィーーー。と怒りだす剛田。
ハリセンの恨みじゃ、思いしれ。
そして俺は、疲れきった体を引きずるように教室を出た。
- 298 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時06分41秒
俺専用(?)の更衣室までの道のりを、トボトボと踏みしめながら歩く。
つかれたぁ〜。つかれたぁ〜。
両手をだらりと下げ。うな垂れながら歩く俺の姿を、
誰かが見たらきっと怖いだろうなぁ〜。夜眠れなくなっちゃうだろうなぁ〜。
「お嬢さん。うちの息子の嫁になりませんか?」
「キャッ。あなたったら。」
あーでも今日の石川梨華やけにおとなしかったな。
出て行ったきり戻って来なかったんだけど。
「やや。そこのお嬢さんも器量良しだ。どうかな。君は?」
「キャッ。あなたったら。」
・・・・・。
- 299 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時13分03秒
ガバッ。
俺は廊下のはじにへばりついて顔だけを半分出して
そっと『ソレ』を覗く。
「いやいや。この学園はひとみの嫁候補がたくさんいて誰にしようか
迷ってしまうな母さん。」
「そうね。だけど一生のおつきあいになるんだから。慎重に選んであげないと。」
「そうだな。これだけの人数に声をかけておけば。そのうちの何人かは
真剣に考えてくれるだろう。」
「あ、お父さんあの子なんかも良いんじゃない?」
・・・・・・。
泣いても・・・いいです・・・か?
- 300 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時17分27秒
イヤイヤ。ここは泣いてる場合じゃあない。
どうにかしてあの暴走特急達を緊急停止させなければならない。
俺は手探りでマイマスクを探す。
ハッ。イカンイカン。あれはもうマイマスクではないんだ。
アザーマスクなんだ(哀)
こうなったら、新たに作戦を練らなければならない。
ポンポンポン
ピィ〜〜〜〜〜ン。
- 301 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時26分45秒
「キャァァアア!!助けてぇぇえ!!ひったくりよぉ〜〜。
あのカバンの中には『美しい母との思い出』がぎっしり
つまっているのにぃぃい。」
ズザザザザーーーー。(0.5秒)
(少し遅れて)トタトタトタ。
本当に引っかかりやがった・・・。
「大丈夫ですか?!引ったくり犯はどっちの方向に逃げました?」
「どうしましょ。どうしましょ。火災探知機は鳴らした方が良いの?!
あれって力一杯押さなくちゃプラスチックが割れないって知ってた?!」
・・・・。
「ここは一まず落ち着いて・・・。うちの息子の嫁に」
「気付けぇぇえええ!!」
「ひとみちゃん?ひとみちゃんなの?会いたかった!会いたかったわ!(涙)」
どうしよう。どうしてくれようこの二人。
(吉澤ひとみ。心の俳句。)
- 302 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時32分08秒
「んあ〜。いたいた。お〜〜〜い。」
その、いつでも何処でも飄々とした間のびした声は・・
「探したよ。駄目じゃん急がないと。後夜祭始まっちゃうよ?」
後藤真希。と、その後ろには・・
「ほらほら早く早く。圭ちゃん司会だから遅れると怖いよぉ〜。あはっ。」
何故か石川梨華。
「あ、因みに後藤が副司会者だからよろしくぅ〜。」
そしていつの間にか居なくなっている両親。
逃げやがった・・・。
放心。
- 303 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時40分49秒
俺は後藤真希にズルズルと引きずられるように歩かされている。
つーか着替え位させろよ。
5m後方には石川梨華。
離れすぎだっちゅーの。
「どうして俺が『ミス青空』にエントリーされなくちゃいけねぇんだよ。
俺はれっきとした男だぞ(嘘)」
一応無駄な抵抗なんぞをしてみる。
「んあ〜。その格好じゃあ説得力無いよ?あのねぇ〜ゴトー思うんだけど
ほら。石川さんに彼氏が出来たじゃない?ま、あくまでも噂だけど。」
何故そこでニヤリとする。
「それできっと男の子達やけになっちゃったんじゃないかなぁ〜。それに
その姿じゃあ尚更だ。石川さんにも負けてない。あはっ。」
笑い事じゃねえ!!そうか。なる程やっぱり石川梨華の所為か(責任転嫁)
- 304 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月06日(月)17時45分47秒
「大体どーせ今年も後藤さんが一等っしょ?」
「んあ〜今年はゴトー、エントリーしてないよ。」
「はぃい?」
「へっ?」
のわっ!いつの間にそんな間近に詰め寄って来やがったんだ石川梨華!!
「だってゴトー学園祭実行委員だもぉ〜ん。不正防止の為って圭ちゃんから
エントリー外されたんだもぉ〜ん。」
だもぉ〜ん。だもぉ〜ん。
これは少しピンチかもだもぉ〜〜ん。
- 305 名前:gamax 投稿日:2003年01月06日(月)17時49分02秒
更新です。
>294 189さん。 連続キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!ありがとう
ございまする(w
>295 名無し読者さん。 確かに(笑)
- 306 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月06日(月)19時37分27秒
- わらったよ ひとみの俳句に わらったよ
- 307 名前:189 投稿日:2003年01月06日(月)19時43分19秒
- 逃げ場はないもぉ〜ん。おいっ!いくら石川さん彼氏(仮)持ちだからって
男はどうかと思うぜv>学園の男子 グッジョブゴッチーンv(え?w
- 308 名前:名無し蒼 投稿日:2003年01月06日(月)21時30分33秒
- いつも読んでいたのですが初めてレスしますw
この作品すっごく好きですw
おもしろい!続きが楽しみです。
- 309 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時01分28秒
- ソワソワ。
・・・・・。
ソワソワ。
落ちつかない。
前方5mに石川梨華。
なんか、鏡見て固まってやがる。
ステージの袖につくられたミスコン出場者のための
控え室。
もちろん、いるのは女だけ。
ここに女装した男(仮)が一人いるわけだが。
ソワソワ。
おちつかん・・。
・・やっぱ逃げよう、今のうちに逃げよう。
そうしよう。
- 310 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時02分08秒
- 勢いをつけて立ちあがる。
何故かバッといっせいに俺に向く視線。
「もう吉澤くん、また逃げようとしてんのぉ!?」
保田さんだ・・。
こ、こわい。
「だって、俺、男ですよ?」
嘘だけど、でも、(一応)男・吉澤、こんなところに
いるべきじゃないと心の底から思う。
負けられねぇ。
「どの面下げてそんなことが言えるワケ?ああ゛??」
こ、こ、こわい・・。
ミスコン出場者が恐れていると兼ねてから密かに
噂になっていた、テンパってる保田先輩・・。
実感。
まさか、この面下げてそんなこといえねーーーーーーっ!!
えへっ。
- 311 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時02分41秒
と、ふと視線に映った石川梨華がクスリと笑う。
カッ チィーーーーーーン。
我慢ならねー!!
「吉澤くん?」
ギロリ。
「はい、すみません。」
立ちあがった途端、
保田先輩に一睨みされ、すごすごと腰を下ろす。
でも、俺、一応男だもんね。
まさか、選ばれるわけねーもんね。
そうだよな、そう。
フゥ。
額に浮かんだ汗を拭う。
でも、ミスコンって一体何で決まるんだ?
後夜祭、今までフケてたから全然わかんねーよ。
- 312 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時03分14秒
よくワイドショーなんかでやってる
「美少女コンテスト」みたいに
パフォーマンスとかするのか?
げっ。
そんなん聞いてねーよ!!
吉澤ひとみの世界のジョークショーとか?
いかんいかん。
あれはそもそも、親父の会社の忘年会とやらで、
ムリヤリやらされたものであって・・。
「あー、それ面白くないね、あはっ!!」
!!!??
側に何時の間にかいた後藤さんが・・俺の苦い思い出を
・・読んだ??
「あはっ!ミスコンはね、投票で決まるの。
だから、出場者はなんにもしなくて大丈夫だよ。
ステージで立ってるだけ、あはっ。」
「そうなんスか。」
「あ、そろそろスタンバイ。あたしも実況席行かなきゃ・・。」
後藤さんは、そう言うとステージの方へ歩いて行った。
- 313 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時03分48秒
ん?
カカカカッチーーーーーン
石川梨華と視線が合ったと思ったら、アヤツ、ニヤニヤと
笑いやがる。
なんだよ、なんだよ。
ぜってーギャフンと言わせてやる!
メラメラ。
何でギャフンと言わせてくれようかっ!
密かに燃える俺の心とはウラハラに淡々と時間はやってきた。
ステージ上では、保田先輩の簡単な挨拶(『キリキリ決めるわよ!』)
が終わって、出場者の名前が一人一人呼ばれている。
プッ。
石川梨華のヤツ、手と足が同時に動いてるよ。
「梨っ華ちゃーーーん!!」
野太い何人かの声援が飛ぶ。
ああ、想像出来るよ、武田。
お前が、その音頭を取って大声で叫んでいる姿が。
- 314 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時04分21秒
次は、俺か・・。
「今回は特別出場、ミスコン初の男性出場者!吉澤ひとみさん!」
なんか違和感だな。
「さん」付けっつーのが。
「おおーーーーーっ!!」
何故か大歓声が沸きあがる客席。
ん?
また笑ってやがる、石川梨華め。
って、をい!
俺も手と足同時に動いてたよ。てへってへっ。
誰かが指笛を鳴らす。
なんだよ、この空気。
やっぱおかしい。
「ひっとみちゃーーーん!!」
・・武田の野郎。
どういうつもりだぁあ。
ちくしょう。
- 315 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時04分55秒
果てしなく恥ずかしい。
その上、隣でクスクス笑う石川梨華。
ちくしょう・・。
男(仮)に生まれて17年。
こんな屈辱は始めてだ。
はやく発表して、とっとと終わらせてくれ!!
「それじゃ、キリキリ発表します!今年のミス青空は!」
まるで、俺の心を読んだかのようにステージに呼ばれて30秒、
保田先輩の声がスピーカーから館内へ響き渡る。
っていうか、いくらなんでも、これははやくね?
いいのか、ミスコン。それでいーのか。
「投票数140票!」
ちょ、ちょっと待て。
こ、心の準備が・・ドキドキ。
・・・・・って俺、何してんだろ・・。
オレ、オトコ、カリ。
オレ、オトコ、カリ。
ウム。大丈夫、きっと大丈夫。
- 316 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時05分30秒
息を呑む客席。
なんだかゲッソリ疲れ果てた俺。
使い古したドラムロールが館内に響く。
そして・・
「石川梨華!!」
え?
がははは!!
ポッカーン。
ポッカーン、って顔だね、アリャ。
石川梨華が固まってる。
ウケケ。
ミスに選ばれてやんの。
ん?
「えぇえええええええ!!!」
ハッ!!
つい、大声をあげてしまった・・。
会場全員の視線が俺に集まっているのを感じる。
- 317 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時06分02秒
チクチク。
視線が刺さる。
だって、石川梨華がミスって・・心底意外だったんだもん。
チクチク。
「あら?吉澤くん、何かご不満?」
保田先輩が、ツカツカと俺に寄ってくる。
「あ、いや、なんでもない、です・・。」
小さくなるしかない俺。
「はっはぁ〜ん。」
な、なんですか、その表情。
なんかなんかなんか、
ヤ・な・よ・か・ん(はぁと
「皆さん、吉澤くんもミスに選んで欲しいそうですよ?」
はい?
やんややんや、と囃し立てる館内に詰めかけた男ども。
「どうします?」
不敵としかいいようのないスマイルを客席に向け
保田先輩はそう言い放つ。
ざわめく館内。
- 318 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月08日(水)07時06分43秒
運命の女神は次の瞬間、俺を谷底へ突き落とした。
「二人でミス!!」
何ぃい!?
誰かが叫んだその言葉に何故かヒートアップする館内。
ギラリと光る保田先輩の眼。
スローモーションで開く口元。
「いいわね、それ。」
チーーーン。
男(仮)・吉澤ひとみ、ご臨終でぇーす。
- 319 名前:gamax 投稿日:2003年01月08日(水)07時10分01秒
更新です。
>306 名無し読者さん。ありがとう 笑ってくれて ありがとう(ショボ
>307 189さん。そうそう。いくら彼氏(仮)持ちだからって・・(w
>308 名無し蒼さん。ありがとうございます。がんがります。
- 320 名前:189 投稿日:2003年01月08日(水)15時02分57秒
- あっけなくご臨終してしまったよすこに合掌。
ムースポキーペアでミスという美味し過ぎる展開に脱帽。
- 321 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)16時51分10秒
- 武田の気持ちがわかる。
頑張れ武田!
オレはお前が好きになってきた!
今日から武田推しで行く!
そしてお前は誰なんだ武田!!
- 322 名前:りゅ〜ば 投稿日:2003年01月09日(木)17時37分50秒
- ワラタ!とにかく笑いました。
男仮よっすぃと石川さんどうなっちゃうんでしょうか?
- 323 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)19時41分27秒
私と吉澤くんはステージの真ん中で白く燃え尽きている。
最近やけに多いわね。このシュチュレーション。
場内は野次と喝采でヤンヤヤンヤ。
『だぁぁあああまらっしゃい!!』
キィィ〜〜〜〜〜ン。
耳をつんざくマイク音と、保田さんの怒号。
場内は波を打ったように静まり返る。
保田さんはマイク片手にいつの間にか私達の前に仁王立ちになっていた。
小指立ってます!!保田さん!!
『ほんの冗談よ。じょお〜〜〜だんっ。』
そんな涼しげな表情で・・。一体。どこまでが冗談なんです・・か?
タラリ。
- 324 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)19時47分16秒
パチン。と指をならすと、長テーブルを肩に担いだ後藤さんが現れた。
長テーブルって肩に担げるものなのね・・。梨華。感心(はぁと)
後藤さんはドカリとそれを降ろし、ステージの端にセットした。
続いて後ろからは、黒子がパイプ椅子を二脚用意する。
『さぁ〜て、仕切り直しよ。フッ。』
そう言って。テーブルにつく保田さんと後藤さん。
これから何が始まるというの?ビクビク。
- 325 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時00分39秒
『私はね。この『ミス青空』に精力を注ぎ込んでいるの!なんてったって
自分からエントリーを自体してまで』
『圭ちゃんもとからエントリーなんてされてなかったじゃん。』
『おだまり!!』
又もやキィィーーーーーン。
『とぉにぃかぁくぅ〜。そんな簡単になりたいからってはいそうですかって
わけにはいかないのよ!!』
『だったら絶対圭ちゃんが無理矢理なってるもんね。あはっ。』
何何?二人で掛け合い漫才なんか始めちゃって。
私達は
「放置?!」
「放置かよ?!」
私と一緒にナイスな突っ込みを入れたのは吉澤くん。
吉澤くん。さっきからずっと付けまつげ片方取れてるって知ってた?
でも教えてあげなぁ〜〜い。
ニヤニヤ。
- 326 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時05分24秒
ハッ。そんな事考えて喜んでる場合じゃあ〜無いのよ梨華!!
え?保田さん私達の事凝視してます?
『仲良きことは美しきことかな。』
さっきのハモリ突込みに対する突っ込み??!!
「仲良くないです!!」
「仲良くなんかねぇ!!」
『相性120パーセント。』
もういい・・。もう何も言わない・・。
- 327 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時12分38秒
『まあまあ。二人共落ち着いて。』
のんびぃ〜りと諭すように後藤さんが言った。
これが
「これが落ち着いてられっかよ!!」
ほっ。やっぱり何も言わないでよかった。
言ってたら相性が150パーセントを越えるところだったわ。
『はいはい。んじゃ。キリキリと本題入るわよ。後藤説明して・・』
『・・・・ZZz。』
『寝るなぁあ!!』
「寝ないでよ!!」
「寝てんのかよ!!」
今度は突っ込みの三重奏。
ああ。ずぃ〜んせぇ〜ってすばらすぅぃ〜〜〜♪
- 328 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時17分17秒
『ったく。しょうがないわねぇ。実は』
『石川さんと吉澤さんは同票だったのです。あはっ。』
『・・・・・。』
「・・・・・。」
「・・・・・。」
保田さんより。後藤さんの方が侮りがたしだわ。
『コホン。え〜と、まぁ。そういう事よ。』
『そう言うことです。』
はい。これにて一件落着。
って。ええ?!
- 329 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時26分37秒
『石川梨華さん140票。吉澤ひとみさんも140票。つまり本当に
二人で『ミス青空』ってわけ。』
『ってわけ。納得した?』
納得したよぉ〜なぁ〜。しないよぉ〜なぁ〜。
「おいっ。おいっ。石川梨華。」
ちょんちょん。と横から小突いてくるのは吉澤ひとみさん。プッ。
「何よ。」
「おま。何さっきから笑っ・・・。まぁそれはいい。それよりも
まさかお前さっきの説明で納得しちゃったんじゃあ、なかろうな。」
「お前って言わないでよ。ちゃんと苗字と名前があるんだから。」
「だから今は・・。ったく。分かったよ。石川さん。これでいいんだろ?で、
どうするんだよこれから。」
ムゥ。と困り顔の吉澤くん。
どうするんだよって言われてもぉ・・・。ねぇ・・。
- 330 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時42分30秒
『が、ここで問題が発生するわけよ。』
『わけよ。』
まだ漫才してるし・・。
『あくまでも『ミス青空』は一人なわけよ。』
『わけよ。・・んあ〜。いいじゃん二人でも。』
後藤さん。あなた結構アバウトなのね。
『駄目よ!駄目駄目!それは私の信条に反している!!』
『どんな信条か言ってみなよ。』
『・・・・・。』
『あはっ。言えないでやんの。』
もういいから!!さっさと進めて!!
『んじゃあさ。本人同士に決めさせちゃえば良いんじゃない?』
『はぁあ?どうやってよ。二人とも優勝したがってるのにどうやって
決めるのよ。』
したがってない。したがってない。
ど〜〜〜〜ぞ。吉澤くんに優勝させて下さい。
さあどーぞ。さあどーぞ。
- 331 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月09日(木)20時44分16秒
『じゃあさ。もうあれで決めちゃいなよ。』
『あれ。って何よ。』
あれ?アレ?荒れ?
『あっち向いてホイ。』
・・・・・。
へっ?
- 332 名前:gamax 投稿日:2003年01月09日(木)20時47分50秒
更新です。
>320 189さん。 同じく合唱・・。あれ?
>321 名無し読者さん。 誰なんでしょうねぇ(w
>322 りゅ〜ばさん。 本当にどうなる事やら(w
- 333 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月09日(木)21時35分29秒
- タイトルが やっと出てきた そうきたか
- 334 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月09日(木)21時41分13秒
- 後藤が加護しく可愛いと言う事に気付いた冬の日
そしてそろそろ終わりそうな気がする午後9時
- 335 名前:189 投稿日:2003年01月10日(金)02時45分11秒
- 仲良く放置されてる二人がなんだかとっても愛しい(w
あっち向いてホイの向うに待ち受ける二人の運命これいかに。
- 336 名前:名無しバッカーズ 投稿日:2003年01月11日(土)22時41分55秒
- はじめまして。
いつも楽しく拝見しております。
( ´D`)ノめちゃくちゃおもしろいれす。
これからも、頑張ってくださいね。
- 337 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時20分41秒
- 「はい?」
「はいぃ??」
・・またハモった。
なんなんだ、石川梨華。
チラッと視線が合う。
「マネすんなよ・・。」
「真似しないでよ。」
・・・・・。
待てよ、待て?
なんか、楽しいな。アハハ!!
こぉゆ〜のってすんごくたぁ〜のすぃ〜。
だから吉澤くん、これから体育館のステージ上で
『あっち向いてホイ。』やらされようとしてんのなんか
無視して帰ってしまっちゃおうか・な♪(はぁと
ギロリ。
「はい、すみません。」
魔術だ。あの、保田先輩の視線は邪術だ。
- 338 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時21分22秒
メラメラ。
お父さん、お母さん、この世に生まれて17年。
私、すごく燃えてるっ!!
だって、私、幼稚園の『あっち向いてホイ。』大会で
優勝した輝かしい成績の持ち主なんだもの。
負ける気がしないわ。
『あぁらぁ〜?石川さん、もう燃えちゃってるみたいね。』
ニヤリと保田先輩。
隣で吉澤くんはしらけ顔で私を見てる。
フフン。そのシラケ顔がいつまで保てるかしらね?
そうね、後藤さんが『凄腕超能力者』だとしたら、
私は『凄腕あっち向いてホイ。勝者』ね。
・・なんか決まらないわ。
でも、気にしない。
負けない負けたくない!
いや、私は負けられないのよっ!!
- 339 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時22分24秒
- 『ほらぁ、着席着席!!』
ダラダラと移動する吉澤くんを尻目にスタスタと歩いて
席に着く。
もう、はやくしなさいよ。
やっと、吉澤くんもガシャンとほんとうに面倒くさそうに
席に座る。
『それじゃあ、あっち向いてホイ。はじめぇるよぉ〜。』
『圭ちゃん、そのキャラ何?面白くなぁ〜い!あはっ!!』
『うるうるうるさいのよッッ!!』
『あはっ!い〜からはじめなよぉ〜。』
- 340 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時22分58秒
保田さんが軽く咳払いをする。
『それでは、せぇ〜の!』
いよいよね、いよいよなのね。
『って言ったら始めますからね?』
ガクッ。
『ふるぅ〜い。あはっ!』
・・見事に引っかかってリアクションしちゃった私って・・。
コホン。
会場がしらけてきてるわ?
保田先輩、はやくはじめてくれないかしら?
吉澤くんも益々シラケモードじゃない。
私を見て呆れている気がするけど、そんなことはないわ。
きっと、ない。
『じゃ、ほんとに行くわ?私の本気、見てなさい!
せぇ〜のッ!!じゃんけんぽん!あっち向いてホイ!』
- 341 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時23分43秒
『
何何何よ?
うげ!また一緒?
そろそろ腕がいたぁ〜い。
なんなんだよ・・。
なんなの、なによ♪
よっしゃ!ホイッ!!
まだまだよ。フフ。
だぁ〜から左向けYO!
あ、今ちょっと下向きかけたのにぃ〜!!
』
『ストォ〜プ!!』
保田先輩のでっかい声が響いて、私達は共に手を
休める。
- 342 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時24分31秒
それにしても・・
『ごとぉー!アンタ何二人の胸の内を解説してんのよ!
気が散るじゃない!!』
そうよ。なんで後藤さんは『凄腕超能力者』なのに、
私は『凄腕あっち向いてホイ。勝者』にはなれないのかしら?
吉澤くん、なかなかやるのよ。
あのシラケ顔もどこへやらよ。
あのつけ睫毛もどこへやらよ。
両目の睫毛とも、どこかに飛んで行っちゃってるわ。
それが、この『あっち向いてホイ。』の凄まじさを
物語っている。
もしかしたら、私達ギネスに乗れるくらいじゃないかしら?
『若干17才の二人のしょ・・少女が』駄目駄目。
バレちゃうわ。吉澤くんの性別が。
だって、ギネスってそこら辺とかキッチリしなくちゃ
ならないのよね?
- 343 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時25分08秒
「せぇんぱい、もぉ腕が上がりません!!」
あらららら?吉澤くん。
ギブアップかしら?
でも、そうね。なんとなく腕がダルイわ。
このままじゃあ、私の『あっち向いてホイ。』暦に
泥を塗る結果に終わってしまうかもしれない。
ん?
何よ?
吉澤くんが視線で私に何かをうったえる。
何よ?その『手で抑えられてるからそれ以上首が回らない扇風機』
みたいな動きは。
- 344 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時25分39秒
- え?
今度は口パク。
『だ』
『ふ』
『ん』
『だ』
?
だっふんだ?
何を言っているのかしら。
『だ』?
『い』
だい?だいじょ〜ぶだぁ?
『あらららららららぁ〜??』
キィィィィィィィィン!!
- 345 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月12日(日)12時26分14秒
『あはっ!圭ちゃん興奮しすぎ!!』
『ちょっとこの二人、アイコンタクトなんかしてるじゃありませんの?
奥さまぁ〜?』
『あぁらぁ〜、ほんとね、奥さま!』
『『オホホホホホホ!!』』
そこはノるのね、後藤さん。
貴方のその基準はどこにあるの?
けど、だいたいアイコンタクトなんて
「「してません!!」」
・・
あーあ、一体この後っ・・私達、どうなっちゃうんだろう?
- 346 名前:gamax 投稿日:2003年01月12日(日)12時31分04秒
更新です。
>333 名無し読者さん。そうきたよ やっと出てきた タイトルが
>334 名無し読者さん。( ‘д‘)<禿言うな!(w)終わるのかなぁ・・?
>335 189さん。これいかに・・(汗
>336 名無しバッカーズさん。ありがとうございます。
- 347 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月12日(日)14時13分44秒
- 食べてた焼きそば吹いたYO!ヽ(`Д´)ノ
後藤面白いよ後藤
- 348 名前:189 投稿日:2003年01月12日(日)21時00分40秒
- もはやボケだらけの世界にツッコミは不要なのか!?
だれかツッコメ!お前等皆変だ!好きだ!(w
- 349 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月14日(火)00時24分11秒
- 今まで我慢してROMってきたが
あえて言わせてもらおう。
おもしろすぎるよ作者サンw
- 350 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)21時57分50秒
ホイッ!
『ねぇ。所でさぁ〜。圭ちゃんって将来何になりたいの?』
『何よ突然。』
ホイッ!
『いいから答えやがれ。』
『逆切れかよ!!・・・・まぁいいわ。そんなに知りたいなら教えてあ・げ・る。』
ホイッ!
『私はね、アイドルか』
『後藤は『星の王子さま』になりたいなぁ〜。』
- 351 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時05分19秒
ホイッ!
『・・・・。』
『だってさぁ〜。ただの王子さまじゃあないんだよ?『星』の『王子さま』
なんだよ?あはっ。』
ホイッ!
『あんたってばいつもそうよ。私の話なんか聞きゃあ〜しないのよ。』
『ゴトーこの間『星の王子さま』の本見て感動しちゃった。』
ホイッ!
『あんたなんか『星の一徹』で十分よ!!』
『それを言うなら『星 一徹』でしょ?バーカ。カーバ。』
っ・・・ホ・・イッ・・・。
- 352 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時17分09秒
ゼェ。ゼェ。
話かけるなら今がチャンスだ!
「おい、石川(メンドーなので呼び捨て。)」
だがしかし石川はそんな俺の呼びかけに気付くそぶりを見せない。
駄目だ。こいつ本気だ。目の中が燃えたぎっている。
さっきの口パクかく乱作戦も失敗に終わったし・・・。
こりゃあ筋金入りの負けず嫌いとみた。
きっとどんなゲームでも熱くなっちゃったりするのだろう。
ある意味嫌な遊び相手NO・1。
俺も、そんなこいつに負けじと参加していたわけだが・・・。
待てよ。このゲームに勝った方が『ミス青空』だった筈。
何か大事な事を見過ごしているような・・・。
ポンポンポン。
ピィィィ〜〜〜〜ン!!
- 353 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時26分42秒
そうか!!石川は『ミス青空』になりたがっているんだ!!
うむうむ。そりゃそうだろう。なんてったって学園のNO・1になれるわけだ。
だからこんなに必死で俺に勝とうとしてるわけだ。
何だそーかそーかそうだったのか。早くそれを言えって(はぁと)
そうと決まれば・・・。
「あっち向いて」
ジャンケンに勝った石川は肩で息をしながら人差し指を俺へと向ける。
今だぁぁぁああああ!!!
「ダルマさんが転んだ!!(相手にだけ聞こえる位の声量で。)」
「へっ?」
- 354 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時34分27秒
石川の人差し指は正面を向いたまま止まる。
更に今だぁぁああああ!!!
「ホイッ!!!(ここは場内に響き渡る位大きく発声するのがミソ。)」
「えっ?」
石川の指は正面。俺の顔面も正面。
と、いうことはぁ〜。
『石川梨華さん優勝ぉぉおおおお!!!』
ビキィィィイイイン・・・・プツ。
あ、マイクが壊れますた。
だが別に、OK牧場。問題ナッシング。
- 355 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時42分18秒
ワァァァアアア!!!
今まで静まり返っていた場内は騒然となる。
おお。何て感動的なシーンなんだ。
よかった。本当によかった。
君も幸せ。僕も幸せ。ちっちゃな思いやりがでっかな愛になるんだね(感涙)
お?石川が俺に向かって何か叫んでいるぞ?周りが騒がしくて聞こえないが。
きっと俺に礼でものべているのだろう。
いいよいいよ。お前に礼なんか言われたら照れるじゃあないか。てへてへ。
俺の心は晴天のように晴れわたっていた。
- 356 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時49分18秒
『はいはぁ〜〜〜〜い。皆さんお静かにぃぃ!!』
今度はメガホンなんか持ち出しちゃってるよこの人達。
『石川梨華さんおめでとぉーございましたぁ〜。もうしばらくその場所で
燃え尽きていて下さぁ〜〜〜〜い。あはっ。』
何がなんだか分けワカメ。
でもまぁいいや。じゃっ、俺はこれで・・・・。
グワシッ!!
お、俺の襟首をもぉんの凄い勢いで掴んだのはだぁれ?
ノワッ!!
やややや、保田先輩だ。タラリ。
- 357 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)22時55分42秒
『誰が帰って良いなんて言ったのよ。ああ゛?!』
タラリタラリ。
「で、でも俺の出番はもう・・・」
『あなた何か大切な事忘れてなぁい?』
ゾワゾワゾワ(鳥肌)
メ、メガホンごしに耳元で囁かないで下さい。お願い・・プリーズ・・・。
「た、大切な・・・こと・・・って・・・。」
すると保田先輩はドスッ。と俺をステージ中央へと突き飛ばした。
『後藤!!!』
『ダカダカダカダカ』
そ、それって。人間ドラムロール?
『それでは発表致します!!』
場内の照明が一斉に消される。
- 358 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月17日(金)23時01分17秒
『今年度。栄えある『ミスター青空』は。投票総数ダントツ一位の212
票を獲得した。2年B組吉澤ひとみくんに決定です!!!』
『ジャ〜〜〜〜〜ン!!』
人間シンバルのその声を合図に、俺へスポットライトが浴びせられる。
『ミスター青空』?
・・・・・。
そんなん聞いてねぇYO!!!!
- 359 名前:gamax 投稿日:2003年01月17日(金)23時04分32秒
更新です。
>347 名無し読者さん。 いいなぁ〜。焼きそば食いてぇ〜。
>348 189さん。 不要なようです(w
>349 名無しさん。 ありがとうございます。これからも維持できればと・・。
- 360 名前:189 投稿日:2003年01月18日(土)20時51分20秒
- 俺も聞いてねえYO!
インフルエンザなのに気付いたらここをチェックしている俺がいた…
ちょっぴり鬱になってみる。でもしあわせvv(キショ
- 361 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月19日(日)22時36分09秒
- やすごま問答おもろ過ぎ。
- 362 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時14分03秒
- 「おおおおおおおお!!」
当然のように轟々と声援の蠢く館内。
はい?
ジャストモーメントプリーズ?
さっき保田先輩なんて言いました?
確か『ミスター青空』とか
「どぇええええええええ!!?」
「えぇぇえええええええ!!?」
だから、石川。
ヲイ、石川。
ハモんな。
そんなの、あったか?
この学校に。
そんなのってー初耳です♪
- 363 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時14分53秒
- 『ええええええええええ!!!!!?・・え?』
キョットーーーーーーン。
キョットーーーーーーン。
としてんのは・・後藤さん?
は?
さっきはアンタが発表したんじゃなかったっけ?
『圭ちゃん、何!?何ミスター青空って!!』
・・・・・。
『・・・・・・・。』
保田さん、保田さん?そのメガホーン音出てないスけど?
そんな必死にしゃべっても・・。
『から、ミスター青空ってワケよ!わかった!?』
いや、保田さん、保田さん。
後藤さんがなんとかマイクを向けたけど、
最後しか聞き取れませんでしたよ。
- 364 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時15分29秒
- 『へぇ〜。』
あの後藤さん、後藤さん?
一人で納得されても困るんですが。
「あの、保田さん、もう一回言ってください。」
誰?
髪を真ん中で分けて結わえてるおでことまゆげがヤケに
印象的な生徒が、ステージに手をかけて
そうにじり寄る。
ってか、あの子、高校生じゃないでしょ?
なんでウチの制服着てんだろ。
否、今はそんなことはどーでもいいのだ。
『・・・・・・・だっつってんだろー! 新垣!!』
だから、保田さん、保田さん・・。
後藤さんもはじめっからマイク向けようよ。
心読めるんだろ?アンタ。
- 365 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時16分03秒
「あの、保田さん、もう一回言ってください。」
『じゃかぁーしぃいいいいいいいい!!!』
キィィィィイイン ボンッ
あ、後藤さんのマイク破裂した・・。
『あはっ!圭ちゃんキレた!』
後藤さんも持ってたんだ、メガホン・・。
・・・。
もういいよ。
どうにでもしてくれ。
もう決まったってことは帰っていいんだろ?
俺は帰ります。もう帰ります。
『あ、吉澤くん帰っちゃ駄目ですよ?』
・・やっぱ心読めるんじゃん。
- 366 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時16分45秒
- 『・・・・・・・。』
だから、保田さん、そのメガホン音出てませんて。
しかし、なんかさっきから会場の女子がキャーキャーうるさいな
なんでだ。
男どもは水をうったように静まり返ってるのに。
そう言えばそうだな。
おかしすぎやしねぇか・・。
「ミス青空ってアレでしょお?」
「そぉそぉ、アレアレ。」
急に耳に飛び込んできたエントリーされてた他の女子達の声。
アレってなんだよ。
「アレって!?いーの!!?」
「すごいよねー!!」
だから・・アレって何?
「オイ、石川。」
あ・れ?
- 367 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時17分19秒
- なんか、この人も固まってるんですが。
ヒラヒラと目の前で手を振っても無反応。
「オイコラー!!吉澤ぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
あれ?いたのか、武田。
めずらしく静かだからもういないものだと。
それにしても、なんでそんなに怒ってるんだ。
「コロス!吉澤!俺はお前を殺す!!!」
パチーン!
誰?
なんか、妙に頭の良さそうな眼鏡をかけた女子が
指を鳴らすと、数人のでかい男子生徒が武田を
抑えつける。
『あはっ!紺ちゃんいつも悪いね〜!』
『はい、完璧です!』
・・後藤さんは腹話術師ですか?
あの子の口の動きとピッタリ合ってたんですが。
- 368 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時18分07秒
- 『あはっ!じゃ、コールいきまぁ〜す!せぇ〜のッ!』
・・あれれれれ?
これは、一体何なんでしょうか。
館内に詰めかけた生徒が全員口を合わせて・・
・・・・・。
いやいやいや、これは何かの間違いに違いない。
だって、ここは由緒正しき『青空学園』校内ですよね?
そーだよ、そーだよ。
こんなの聞き間違いに違いない。
それか、アレだ。
これは、魚の名前だ。
そうだそうだ。
ねぇ?まさか、ヤだわ。オホホホホ!
館内の生徒がみんな合わせて
よりにもよって『キスキス!!』なんて叫んでるなんて。
- 369 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月23日(木)18時18分37秒
・・・。
不思議の世界に迷いこんだに違いない。
『ぶちゅっとぶちゅっとやっちゃいなさいよ!!』
なんて、保田先輩が叫んでるように聞こえるけど。
そうだ、そうだ。
そうだウィアーアライブ。
そうだよ、吉澤くんのあわてんぼさん♪お馬鹿さん♪
よぉーーーーーーーーく耳を済ませてごらん?
なんて言ってるのかなァ??
「キスキス!!」
・・・・・。
キスって・・言ってる・・。
- 370 名前:gamax 投稿日:2003年01月23日(木)18時21分44秒
更新です。
>360 189さん。インフルエンザの時は休んだ方がいいと思いますよ(w
>361 名無し読者さん。(w
- 371 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月23日(木)22時55分47秒
- 一粒で二度も三度も美味しい小説はここですか?
- 372 名前:189 投稿日:2003年01月24日(金)17時17分01秒
- レモンのような香りはするのか?(^▽^)<しないよ
ここは吉澤、男?をみせろ!
- 373 名前:りゅ〜ば 投稿日:2003年01月26日(日)20時23分24秒
- よっすぃ頑張れ!紺野腹話術にはふきだしました。
新垣が出たのには萌えたしワラタ。ごっちん面白いよごっちん。
- 374 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時31分41秒
- きぃ〜。吉澤くんが『ミスター青空』だなんて驚きぃ〜。
驚き過ぎて数秒間の間固まってしまったわ。
だってあんなに粗暴で凶暴で面倒くさがり屋で加えて、
そう、今回からはこれを加えさせて頂くわ・・。
『卑怯者』
よくもさっきは騙してくれたわね。メラメラ。
『あっち向いてホイッ』の時に『ダルマさんが転んだ!』なんて
それにまんまと引っかかる私も私だけど・・。
違う!!私は悪くない!!
何時いかなる時でも善人を騙す悪人の方が悪いに決ってる!!
吉澤くん、今度からあなたの事、心の中で『越後屋』って呼ばせてもらいますから。
それでもってこんな感じよ。
『越後屋、お前も悪(ワル)よのぉ〜。』(何故か保田先輩の顔が浮かぶ)
『ははは。お代官様には敵いませんよ。』(吉澤くん)
『ふふふ。お前達お悪事しかと見届けた。』(勿論私)
『何やつ!!』(保田先輩)
『皆の者であえぇぇぇえええ!!』(吉澤くん)
『助さん、格さん。やってしまいなさい。』(私)
ん?
水戸黄門?
- 375 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時32分37秒
「んあ〜。ゴトーはうっかり八兵衛が良いな。」
「あ、うん。分った。」
もうこうなったら後藤さんにも慣れたものよ。
「吉澤くん驚いてるねぇ〜。」
ニヤニヤと後藤さんが言う。
「吉澤くん、エントリーされてるって知らなかったの?」
「うん。圭ちゃんが言ったら絶対来ないって。あはっ。」
「やっぱり悪代官だ。でも『ミス青空』にエントリーされてる事は
言いに来たよね?」
「あれはただ、『女装喫茶』のチケットが取れなかったから口実つけて
行きたかっただけ。それに『ミス青空』にまさか自分がなるとは
思わないからそんなに深く考えないはずだって。」
恐るべし悪代官。
- 376 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時33分20秒
「それよりさ。ほら、早く『ちゅっ』とやっちゃいなよ。」
今だに場内に轟いているキスコール。
「キスって言ってもただ手の甲に軽くちゅっとするだけじゃない。」
「まぁねぇ。」
だぁかぁらぁ。何なの何よその不気味なニヤニヤ笑いは。
「ほらほら、吉澤くんの側に行って。」
そう言って私のことをグイグイと吉澤くんの方へと押し出す。
吉澤くんは今だ固まったままスポットライトを浴びている。
そんなに『ミスター青空』に選ばれた事がショックだったのかしら。
「ちょっと、吉澤くん。吉澤くんてば!」
私は吉澤くんの背中をバンバンと叩いた。
- 377 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時34分24秒
「あ、あんだよ石川。」
我に返った途端呼び捨て?さっきまでは石川さんだったのに。
「ちょっと、何で呼び捨てなのよ『越後屋』」
プッ。言ってやった。
「誰が『越後屋』だ、誰が。前から言おうと思っていたが石川お前」
「もお。今はそんな事言ってる場合じゃあないでしょ?」
私はケンケンゴーゴーな場内に目を向ける。
「ちょ、おま、まさか。本当にするつもりなんじゃ。」
本当ぉ〜に失礼な人だ。手の甲にすらキスするのが嫌なんだ。
そんなに私の事嫌いなんだ。
そりゃあ、あの時教室間違えたのは悪いと思ってるわよ。
そりゃあ、たくさん『ばーーーか』って言ったわよ。
でも。
でも。
- 378 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時35分12秒
「ななななな何だよ。何で泣くんだよぉぉぉおおお。」
オロオロする吉澤くん。
泣いちゃ駄目だと思えば思う程涙が溢れてくる。
またこれで一段と嫌われちゃう。
だけど止まらない。
だって。
だって私、こんなに人に嫌われたり嫌がられたりする事って今まで
無かったんだもん。
吉澤くんの事だって本当はそんなに嫌じゃないんだもん。
今考えると結構楽しかった。私のトンチンカンな話に、
いちいち突っ込んでくれたし。
だけど吉澤くんは私にこの世から居なくなってほしいって
思う程嫌いなんだよね。
- 379 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時36分05秒
場内はもう凄い事になっていた。
『このやろお!!吉澤!!』
『梨華ちゃぁ〜〜〜〜ん(号泣)』
『吉澤くぅ〜〜〜〜ん(同じく号泣)』
ああ。あそこで失神してるのは武田くん。
菅野さんだっけ?紺野さんだっけ?にしっかりと抱えられてる。
菅野さん(間違え)も以外と力持ちなのね・・・。
「石川・・。」
吉澤くんが伏目がちに私に話しかけてきた。
「違うの・・。ごめ・・。ごめんな・・・さ・・・。」
「何が違うんだよ。俺もう何が何やら・・。」
そうだよね。わけわかめよね。
「吉澤・・くん。この・・ままじゃ・・暴動起きち・・うか・・ら。」
「すんのか。しなくちゃあおさまらないのか?!」
私はコクリと頷いた。
- 380 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時37分19秒
「分かった。それがこの場を治める最善策なんだな。」
私は又コクリと頷く。
「お前は良いんだな。ほぉんとぉ〜〜〜にそれで良いんだな?」
「私・・は、嫌いじゃないから・・・。」
吉澤くんは目を見開いて驚きの表情を浮かべる。
「初めてじゃ、無いのか・・。嫌いじゃ、無いって。誰でもって事か?」
「理解不能。」
私は吉澤くんに向かって右手を差し伸べる。
これが終わったら今度こそ本当にお別れ。
ちょっと寂しい気もするけど・・・。
でもこれで良いのよ。私にエキセントリックな日常なんて似合わない。
平凡で普通な生活が一番。
そうですよね。神様。
- 381 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年01月28日(火)01時43分58秒
吉澤くんは私の右手を強引に引いた。
痛いってば。女の子はもうちょっと優しく扱わないと駄目だってば。
まったく、自分も女の子のくせに・・・。
・・・・。
え?
え?
何で。
何でこんなに。
吉澤くんの顔が至近距離にあ・・るの・・?
えぇぇぇええええ!!!!
- 382 名前:gamax 投稿日:2003年01月28日(火)01時50分21秒
更新です。
>371 名無し読者さん。 そうだったら嬉しいです(w
>372 189さん。 (^∇^)しないよ!
>373 りゅ〜ばさん。 萌えて頂きありがとうございます(w
- 383 名前:リエット 投稿日:2003年01月28日(火)09時52分53秒
- 吉澤さんの暴走っぷりに爆笑。
果たしてこのまますんなり……行きそうにない気もw
- 384 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月28日(火)14時38分46秒
- ばぁんざぁぁぁぁ〜〜〜い!!
まだ「いしよし」がseekにはあった!!
現実世界じゃ分断されてかなり凹んでいましたが
今回の話を読ませてもらい見事復活できました!!
ありがとうgamaxさん!ありがとうミスター青空、ミス青空!!
- 385 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月28日(火)20時55分26秒
- やっぱり!!!
こういう展開を待っていた(嬉
あー次の更新がすごく楽しみだ。
- 386 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月29日(水)20時43分23秒
- キスに突入しても 突入を阻止されても面白そう
両バージョンとも読みたいくらい
- 387 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時05分16秒
パチーーーーーーーーン!!
ピヨピヨピヨピヨ。
ひよこが飛んでる。
嗚呼、お星様が見えるよ。
ここはどこ?
シーンと静まった館内。
目の前には、アタフタしてる石川梨華。
「ってぇ・・・。」
ってか、今、耳叩いただろ?
鼓膜破れたらどーすんだっ!!
あ・れ?
なんで俺叩かれたんだっけ?
あまりにもあまりにも静かな館内にスッカリ
忘れていたけれど・・。
キスしようとした。
- 388 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時06分00秒
・・・・・。
そりゃ叩かれても仕方ないです。
え?
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!??
キスしようとしたのか?
俺は今?
・・血迷ってたんだ。
逃げよう。逃げよう。それがいい。
そうしよう。
えーと、逃げる場合、俺は一体何をすればいいのだろう。
えーと、えーと、確か右足を出して、それから左足を
出して
出して?
あ・れ?
ちょっと待て!!
なんで俺殴られたんだ?
- 389 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時06分55秒
キスしようとしたから。
うん。それはわかってる。
でも、石川梨華はいいって言ったよな?
言わなかったか?
念押して聞いたよなぁ?
ななななななななんで俺が殴られたんだぁぁあ!!!
「オイ、コラ!石川ぁぁあ!!」
パッチーーーーーーーーーン!
ピヨピヨピヨピヨパタン。
ああ、ひよこがフラフラと倒れているよ。
「あっ、ごめんなさい。つい・・。」
・・・・・。
ついだと?
ついだと?コルァアア!!
- 390 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時07分52秒
「ちょっと来い!!!」
そーだ。そーだ。
そーだウィアーアライブ。
こんなとこで怒鳴ったら、どうなることかわかったもんじゃない。
ここはミスコン会場なワケであって。
何故か石川梨華は今年のミスに選ばれたわけであって。
つまり、館内にはウヨウヨと石川梨華ファンがいるってワケだ。
ヤバイ。
マズイ。
ダッシュだ。
奪取。
誰にも見付からない場所がいい。
いや、それしか道はない。
と、なると・・・
ポンポンポン
ピーィーーーーーン!!!!!!
あの教室しかねー!!!
- 391 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時08分28秒
「痛い。痛いってば離してよ!」
なんだ、この後に及んでまだ反抗する気か石川梨華。
俺は、石川梨華に向いて、真っ赤に腫れてるだろう
左頬を指差した。
おとなしくなる石川梨華。
懸命な態度です。
パタン。
やけに静かな教室にゆっくりと決戦の合図を告げる。
「なんで俺が殴られんだよっ!!」
振り向いてそう怒鳴ると・・・
石川梨華は教室の端の端に背中をついてビクビクしてた。
なんだ・・なんだその態度はぁああ!!!
「だって、吉澤くん、もしかして・・キスしようとしたでしょ?」
ボソボソとそう呟く石川梨華。
「ああ。そうだよ?そうだよ。ソースだよ!!
お前も確かいいって言ったよなぁ!?」
「は!?」
石川梨華が吐き出したのは素っ頓狂な声。
- 392 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時09分10秒
「は!?」
俺までついオウム返ししてしまった・・。
なんだよ、なんだよ、どういうこと?
その心底信じられないみたいな顔はなんですか?
「あのね、吉澤くん、たぶん勘違いされておられると
思うのですが・・キスって、手の甲!」
石川梨華はそう言って、手の甲を突き出した。
ガーーーーーーーーーーン。
おちつけ。おちつけ俺。
意志とは反して、自分の顔がボボボボボと熱を上げるのを
感じる。
恥っずかしーーーーーーーーーーーーーーい。
「あはははは!」
石川梨華は笑い出す。
チクショー。
チクショウ。
コンチクショウ。
- 393 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時09分55秒
「笑うなぁああ!!」
「だって・・。」
なおも笑いが止まらない石川梨華。
そうだよな・・。よく考えればわかることじゃないか。
何がどうなったら、ミスとミスターがみんなが見ている
体育館のステージでキスを強要される、そんな学校が
あるんだ・・・。
・・。
「ごめんね・・。」
ベタンと床にヘタリ込んで、ヘナヘナと力つきていた
俺に、石川梨華がそう声をかける。
「何が?」
「叩いちゃって・・。」
石川梨華は俺の側にしゃがみこんで、そっと頬に
手のひらを当てた。
「別にいいよ・・。」
悪かったのは俺だし。
そりゃ叩くだろう、キスされそうになったんだから。
- 394 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時10分34秒
「でも、すごく腫れてる・・。」
「そりゃあんだけ強く殴られればね・・。」
俺はハハッと笑ったんだけど、何故か石川梨華は
目に涙を溜める。
「は?ちょっと待てちょっと!!」
「何?」
石川梨華は、おもいっきり焦った俺に少し笑って、
そんな風に尋ねてみせる。
「・・なんだよ。」
「泣くと思ったでしょ?」
「・・うん。」
思うだろ。だって、君には前例がありすぎるし。
「吉澤くんの為に私が泣くわけないじゃない。」
「は?」
俺がそう聞き返すと、石川梨華はクスクスと笑い出した。
なんだよ、なんだよ・・。
なんでそんなに楽しそうなんだよ。
- 395 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月02日(日)19時11分26秒
「そんな拗ねることないじゃーん。」
「は?誰が??」
石川梨華は、慌ててそっぽ向いた俺をからかい続ける。
いや、ちょっと待て。
なんだ、この気持ち。
なんだ、なんだ・・おちつけ。俺。
・・・・・。
落ちついてるか。
なんかこういうのって・・ちょっと・・・。
「何、笑ってんのぉ?」
「は?笑ってない。」
「笑ってるじゃん。」
「笑ってないって。」
なんだかなんだか。
「ほら、笑ってるー。」
「笑ってねーよっ。」
なんつーか、なんつーか。
すっごく・・
たっのすぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
- 396 名前:gamax 投稿日:2003年02月02日(日)19時15分43秒
更新終了です。
>383 リエットさん。さすがリエットさんです(謎
>384 名無し読者さん。バンザーイ!・・?
>385 名無し読者さん。期待はずれなヨカム(汗
>386 名無し読者さん。こっちヴァージョン(謎
- 397 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月02日(日)20時48分23秒
- いやぁ〜〜なんかむずかゆいなぁ。
- 398 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時37分27秒
あ美しきかな二人の友情。
今まさに二人は戦場の友となった。
いつまでもいつまでも笑い合う二人の姿を、
周りの人間達は温かく見守る。
「い、石川さんが吉澤ひとみにさ、さらわれた!!」
「落ち着いて!落ち着くのよ鈴木くん!大丈夫。大丈夫よ!」
「だって嫌がる石川さんを無理矢理引っ張って何処かへ連れて行った
じゃないか!よくも俺の彼女を!」
「だから大丈夫だって・・・」
「柴田さん!さっきから大丈夫大丈夫っていったい何が大丈夫なんだよ!」
「そ、それはぁ〜。え〜とぉ(汗)」
「くっそぉ。吉澤ひとみの野郎。許さねぇ。ぜってぇ。許さねぇ。」
「だからぁ〜そのぉ〜つまりぃ〜(滝汗)」
温かく・・・
- 399 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時38分29秒
「吉澤殺す。絶対に殺す。」
「うむ。どさくさに紛れて石川さんにキスしようとしやがった。」
「今まで吉澤ひとみはノーマークだったが、鈴木と一緒に最重要人物ブラックリストの
筆頭にしなければ。」
「ちょっと位女子にもてると思って好い気になりやがって(怒)もぉ許さねぇ。」
「どうなんだ武田!」
「そうだ武田『石川同盟』会長のお前からもなんとか言ってくれ。」
「・・・・・。」
「はっ。お前泣いている・・の・か・・。」
「俺は・・吉澤を・・信じてい・・た。・・のに・・。」
『ウォォォオオオオ!!!』(男達つられて号泣)
見守・・・
- 400 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時39分17秒
「まったく何処行っちゃったのよあの二人。おかげでその後の
プログラムめちゃくちゃになったじゃないのよ。」
「んあ〜。ちゃんと説明しなかった圭ちゃんが悪いんじゃん。」
「馬鹿!言ったらそれこそ吉澤くんが逃げちゃうじゃないの!
それでなくともあの子は去年の学園祭も面倒くさいってさぼったんだから!!」
「あ、圭ちゃん馬鹿って言った。馬鹿って言った方が馬鹿なんだからね!」
「お前は小学生か!ったく。あんたはどうしてそういつもいつも」
「んあ〜。後藤やっぱり『明日のジョー』になりたいかも。」
「・・・・。」
「最後は真っ白に燃え尽きるの。あはっ。カッケー。」
「あんたなんか一生燃え尽きてなさい!!」
タラリ。
- 401 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時40分01秒
「あなた。見て。私達のひとみちゃんよ。ほら、なんて写真写りが良いのかしら(はぁと)」
「おいおい母さん。一体何枚撮って来たんだい。アハハハハ。」
「ざっと100枚以上は撮ってきたわ。あなた(はぁと)」
「それじゃあ俺が撮ったのと合わせて200枚位かな?(ウィンク)」
「嫌だあなたったら。お・茶・目・さ・ん。」
「お嬢さん私と踊って頂けないでしょうか?」
「キャッ。あなたったら。こんなおばさん掴まえてお嬢さんだなんて。」
「君は永遠にお嬢さんさ。フッ。『君の瞳は百万ボルト』」
「それを言うなら『君の瞳に乾杯』。でしょ?」
「アハハハハ。」
「オホホホホ。」
タラリタラリ。
- 402 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時40分44秒
ハッ。
コホン。
どんな困難にでも美しき友情は壊れたりはしない。
手に手を取り合って二人は荒波を突き進む。
「フフフ。ねぇ。吉澤くん。」
「ははは。何だよ石川。」
「そう言えばさっきはよくも騙してくれたわね。」
「あ?何だよ騙したって。」
「あっち向いてホイ。の最中にダルマさんが転んだってどういう事よ。」
「どういう事って。お前が『ミス青空』になりたがってから俺は・・」
「はぁあ?何よそれ。私が何時いかなる時『ミス青空』になりたいなんて言ったのよ。」
「あぁん?『ミス青空』になりたかったからあんなに必死でホイホイやって
たんだろ?!」
手に手を・・・
- 403 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時41分25秒
「違うわよ!私はただ『凄腕あっち向いてホイ!勝者』になりたかっただけよ!!」
「意味不明。」
「何なの何よ!!あなたこそ意味不明よ!存在自体が意味不明よ!!」
「存在自体ってどういう事だYO!!」
「そのまんまの意味YO!!」
「あんだとぉ。」
「何よぉ。」
・・・・。
で、だ。
取り合えず今日の所はこの辺でお開きに・・。
- 404 名前:あっち向いてホイッ! 投稿日:2003年02月04日(火)22時42分24秒
「こぉんのぉ〜。ホイホイ女!!」
「何ですってぇ〜。このバカ殿男(仮)!!」
「(仮)って言うなぁぁああああ!!」
「あぁらごめんなさぁい。思っていた事がつい口から出てしまいましたわ。」
「くぬやろぉ。お前なんか大嫌いだ!!」
「フンッ。私なんか吉澤くんの事好きでも嫌いでもないんですからね!!」
「あ、それ。微妙にカッティィイイ〜〜〜〜ン。」
「吉澤くん。頭のてっぺんの活火山から煙が出てる。」
・・・・。
涙。
『あっち向いてホイッ!』第一部 無理矢理お・わ・り(はぁと)
- 405 名前:gamax 投稿日:2003年02月04日(火)22時47分34秒
第一部無事完結致しました。
今迄レスをくれた皆さん。ROMってくれていた皆さん。
本当にありがとうございました(w
第二部は又新たにスレ立てます(多分・・。きっと・・。)
それまで暫しのお別れです。
- 406 名前:15 投稿日:2003年02月04日(火)23時08分59秒
- 終わったのか・・・。
ここのいしよし好きだった。
ぶっ飛んでてファラウェイなところが好きだった。
でも第2部がきっとある筈!
スラムダンクの様には成らない筈!!
- 407 名前:15 投稿日:2003年02月04日(火)23時09分31秒
- お疲れ様です。といい忘れた。すいません。
- 408 名前:gamax 投稿日:2003年02月04日(火)23時14分31秒
早速戻ってきました(汗)
>397 名無し読者さん。 確かに(w
>406 15さん。 ありがとうございます。第二部あります。ありますとも!!
てへてへ。
- 409 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)23時22分47秒
- 唐突に終わった気がするが、第二部へのプロローグって事で、とにかくお疲れさん。
- 410 名前:リエット 投稿日:2003年02月05日(水)00時17分40秒
- 面白かった。ホントにヒットでした。
さっさと戻ってくるの大歓迎です(w
- 411 名前:189 投稿日:2003年02月06日(木)00時10分23秒
- 正直面白かった。終わってしまうのが寂し・゚・(ノД`)・゚・。
って第一部かよ!?くそっ…尽くすわ、作者さんw(石川さん調で)
- 412 名前:りゅ〜ば 投稿日:2003年02月07日(金)14時19分33秒
- 終わってしまった・・・いつも楽しみにしてました。
お疲れ様です。第二部が来ることを取り合えず禿しくきぼん。
- 413 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月13日(日)21時22分58秒
- うぉー!!!!第二部が待ち遠しいよ!
- 414 名前:達吉 投稿日:2003年04月13日(日)23時52分51秒
- 一気に読ませていただきました。
メッチャおもろかったっス。
第二部に期待!
とりあえず、第一部完結、お疲れ様でした。
- 415 名前:七子 投稿日:2003年05月22日(木)16時43分25秒
- 第二部・・・まだっすかね〜楽しみにしてますYo!
- 416 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月13日(金)15時20分13秒
- 第二部待ってます!
- 417 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月14日(土)00時30分25秒
- 期待してます。
作者さん、見てますか〜?(涙)
- 418 名前:名無し 投稿日:2003年07月23日(水)19時14分14秒
- 第二部が始まるまで保全。
- 419 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月22日(金)20時28分49秒
- 保全
- 420 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/25(木) 14:35
- 保全
- 421 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 20:38
- 保全
- 422 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/08(土) 06:05
- 一気に読んだ。
面白かったです。
第2部期待保全
- 423 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2003/11/29(土) 07:18
- 同じく期待保全
- 424 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2003/12/20(土) 17:12
- 保全
- 425 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2004/01/26(月) 18:52
- 期待保全
- 426 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2004/03/09(火) 05:59
- やっぱだめなのかなあ・・・保全
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