バイト始めました

1 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月19日(火)16時49分33秒
 はじめまして。  はじめましてといま言ったのはタイトルの「始めました」とは
何ら関係ありません あしからず。
 今、某女子高の1年です。普通科ですもちろん。高校入学して半年超、そろそろ高校生らしき
事もしてみるかってことでバイト始めました。 これがタイトルです。
 そりゃあ勉強も大事だけどもっと遊ばないとね。遊ぶためにはお金も必要だと思います。
社会勉強にもなりますし、自分の小遣いくらい自分で稼ぐ年でしょ?
2 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月19日(火)16時57分06秒
 バイトしようかな?と思ったのは学校からの帰り道、友人と立ち寄ったコンビニで
目に入ったバイト情報誌でした。「あ。  バイトもありかな」って。
 家と学校の往復なんてつまらないでしょ?私だって刺激を求める権利くらいありますよ。
そのバイト情報誌、店員がトロそうな奴だったんで万引きしてやろうかとも
一瞬思ったんですが、それは犯罪なんでやめました。払いました2百数十円。
 
3 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月19日(火)17時09分13秒
 一口にバイトって言っても色々あるんですね。フツーの店員、オープニングスタッフ、交通量をカチカチ調べる人、
ファストフードの店員、 あ、ファストフードの「ファスト」って「速い、迅速な」って意味なんですよ。
決して「最初の」とかのファーストとは意味が違うんですよ。ご存知でした?私は知ってましたよ。
あと「ラウンジレディー」ってこれってスナックとかにいる女の人、
つまりホステスみたいなもんでしょ?その給料の多さに危うく騙される
とこでした。 くわばらくわばら。
4 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月19日(火)17時22分25秒
 万引きし損ねたバイト誌片手に帰宅後思案すること約3時間32分、
「いいかな?」ってバイト見つけました。某大手居酒屋チェーン店です。
 時給750円、ホールスタッフ、日時相談可、交通費支給。結構いいでしょ?
見る目あるでしょ?ホールスタッフていわゆるウェイトレスでしょ?
 週3日、夕方5時〜9時まで働けばそこそこいい収入でしょ?よくわからないけど。
ドキドキワクワクしながらその居酒屋に電話してみました。
労働生活への第一歩、なんか大人になった感じ。
 
5 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月19日(火)17時30分12秒
 あ、そうそう、この短編には色恋だのセックスだのは出てきませんよ。
謝罪します ごめんなさい。
 面白くしようと努力しますのでよろしくお願い致します。
6 名前:リエット 投稿日:2002年11月25日(月)00時53分11秒
なんか切り口が新しい。
楽しみにしてますよー。
7 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)17時32分49秒
 面接の日が来ました。学校終了後私は一目散に人生初のバイト先に赴き、面接に
臨むのでした。思えば私今まで面接ってしたことない・・・・電話に出た人はおばちゃんだったし。
 どうなることやら。でも素直に答えれば大丈夫でしょう、前科前歴無いしね。
目標の居酒屋は某繁華街の中心とは少し外れたとこにありました。午後4時半頃でしたので
あまり客は入ってませんでした。電話では「裏口から入れ」との偉そうな指示なので私は店の裏口に
回りました。雇われ人なので入り口から堂々と入るわけにはいきませんよね・・・資本主義の矛盾を感じながら
私は路地に面したきったないドア横のインタフォンのボタンを押しました。

8 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)17時43分15秒
「はーい」と間の抜けた男の声がしました。そうよね、裏口から入るのは関係者のみですから
店内で使うようなよそ行きの声とは違うんですね。
 私も負けじとよそ行きの声でバイトの面接に来た旨伝えました。
男の抑揚の無い「はいーどうぞ。」の声とともにドアが開いたのでした。
ドアが開いてひ弱そうな男が現れました。っていうかこの男が私の管理者、いわゆる上司になるかも
しれないってんで私は本能的に「私はバイトです。文句は言いません。不平もタレません」
みたいな淑女を演じ、店長(あの電話の人?)部屋へと通されたのでした。
9 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)17時53分58秒
 3階の店長(?)の部屋へ通された私はその店長(?)を目の前にして唖然としました。
やっぱり電話の声の主がこのおばちゃんだったのですよ。年の頃なら55位?独身のやり手ババア
って感じ?「紺野さんですね。私が店長の寺田です。よろしく!今日から出られますか?」
今日から出られますか。この言葉の真意を読み取るのに約4、75秒。
え?出勤日や交通費の相談は???その約4、75秒後に「は、はい、よろしくお願いします!」
と答えた私の押しの弱さに辟易しながら私は一緒に来ていたひ弱男に更衣室に案内されたのでした。
この店は人が足りないんだな、猫の手も借りたいんだな。それが私が即採用された理由に関する結論
でした。
10 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)18時07分11秒
 日本を取り巻く不況の波、私は図らずも高校生の身でその波に巻き込まれたのでした。
ひ弱男に案内されたのは同じ3階にある女子更衣室。並んだロッカーの一番端っこが私のロッカーでした。
ロッカーの鍵を差し出すひ弱男の指先の何といやらしいこと!右手の中指と薬指に引っ掛けたキーを渡された
のですがその指先のいやらしさに私は一気にこの男が嫌いになったのでした。
 ロッカーには真新しい私の制服が、制服といっても無論アンナミラーズみたいな
可愛いのではなくて職人が着るみたいな作務衣でした。しかも茶色!センスゼロですね。
私はこれが労働なんだ、資本主義なんだと無理やり自分に言い聞かせ、
バイト代を受け取ったウハウハ顔の自分を思い浮かべながらひ弱男から
受け取ったタイムカードを手に1階にタイムカードを打ちに行ったのでした。
11 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)18時16分29秒
 タイムカードを入れる機械、名称はわかりませんがそれにガチャンと私のカードを
入れると「タイムレコーダーガッチャンガッチャン押せば ♪」とタイムボカンシリーズの
アニメ イッパツマンのエンディングテーマが頭の中に流れてきました。 それはよしとして、
             私の労働生活が始まる・・・
父さん母さん!誕生日楽しみにね!!カードには私の労働生活の輝くべき記念すべき第1歩はガッチャンと
記されたのでした。機械の前で目を閉じて感慨にふける私の素晴らしきワンダフルワールドを
ぶち壊したのは一発のアニメ声でした。  
12 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)18時42分55秒
 ドーン!と大きな音がしたと思ったら私の背後の例の裏口ドアをノックせずに入ってきた
のは一人の女の人でした。   びっくりさせんなよ。
 「おはようございマーす! おつかれさまでーす!」とけたたましく野鳥のごとくタイムカードを
押しに走ってくる一人の女性、
私は(この声、なんかのアニメで聞いたことあるな・・・声優?)と思ったのもつかの間、
その色黒な女性は私を押しのけ慣れた手つきでタイムカードを押すのでした。あなた誰??
 するとその女性は私にやっと気づき、私を上から下までじろじろ鑑賞したのでした。
あれ?この色黒の女の人結構可愛いかも、なんか変だけど。と考えているとその人は
「今日からホールに入ってくる人でしょ?!石川です!!よろしく!!」と言いのけ、握手を求めて
きたのでした!暖かい手でした。さすがの私もあっけにとられたのは言うまでもありません。
ホールってことはやっぱりあの色黒の可愛い人、私といっしょのホールなんか!?
大変そうだけど楽しくなりそうだなと思いながら私の「職場」である2階へと向かったのでした。
あの色黒の人はいつの間にかあの女子更衣室へと消えていました。


13 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)18時47分44秒
>>6
ありがとうございまーす。紺野頑張ります!
ホールではまだ裏方の仕事をさせられるみたいですよー。
14 名前:名無し 投稿日:2002年11月25日(月)18時56分09秒
あれ?まさかこの話って・・・
おもしろそう。紺野さんバイト頑張って下さい。
15 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年11月25日(月)19時53分32秒
>>14
私はあまり長続きしないほうだから
又違うバイトに変わってしまうかもしれませんね。
そこでの新しい出会いも
楽しみの一つなんですが。
16 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)14時22分19秒
 初めて足を踏み入れた生まれて始めての私の「職場」・・・・巨大ないけすおよび調理場が中央にあり、
それを囲むようにしてカウンターやお座敷があります。どうやら本格的活魚料理を提供
しているようです。 
 感慨無量でした・・・ここで働くのね。人生の大きな一歩にかのコロンブスもこんな気持ち
だったのでしょうか。私の「新大陸」・・・・・・立ったまま周りをボーッと眺めていると
背後から声が。   「そこで何してんの?新しく入った人?」
 その声は どう表現すればいいでしょうか、いわば「よくドラマやアニメに出てくる
トンガリ眼鏡をかけた女教頭」って感じでしたね。
 あわてて振り向くとそこに立っていたのは私と同じ作務衣を着た一人の
若い女性でした。 
17 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)14時37分50秒
 厳しい顔をして私を見るその人は多分同じホールの人なんでしょう。無表情な
顔でお互い見つめあうこと約2,00秒。私の高性能な頭脳=紺野コンピューター
略して紺コンは「新入りなんだから可能な限りニコヤカにこっちから挨拶すべし」との
回答をはじき出したのでした。「今日からお世話になります、紺野です。」と
自己紹介したところ、その人は 「ああ、辞めた福田の後釜ね。大谷といいます。
フロアチーフですよろしく。パントリーに入ってもらいますからそのつもりで。あとその笑顔を何とかしなさい。客商売なんですよ。」
 と無表情のまま告げてあっちへ行ってしまいました。「パントリー」って何?
初めての職場で初対面の人に訳のわからん配属先を告げられたときの気持ちって想像できますか?
それは不安でしたよ。そこへ現れた作務衣姿の石川さんにパントリーについて質問してみました。  
18 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)14時47分17秒
 石川さんは笑顔で「え?パントリー?サントリーの子会社?」などとのたまうので
我が紺コンが「この人は寒い人だ」とはじき出すまでに約0、007秒。そんな子会社聞いたことありません。
 石川さん曰くパントリーとは酒、チューハイ、その他ドリンク類を一手に引き受ける4畳くらいの
場所で注文が入ればそこでグラスに酒類を注入するそうです。一通りの機材の説明を石川さんから
受けた後、早速私は業務に入ったのでした。ちなみに扱ってるビールはキリンでした。断じてサントリーではありません。
 あ、そうそう。キリンのロゴの麒麟いるでしょ?あの子の体には「キ」「リ」「ン」の3文字が隠れているんですよ。
今度缶ビール片手に探してみてくださいね。 それはそうと、お客さんが増えてきました。
さあ頑張るぞ!
19 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)14時52分00秒
 生ビールの注文が入れば冷蔵庫からジョッキを取り出し、サーバーでビールを入れます。
レモンチューハイが来ればレモンの切り身+レモンシロップ+サワーって感じです。
「何だ簡単じゃん!」私はテキパキと大谷チーフ(以後 大谷教頭)、石川さんのオーダーを
こなしていったのでした。
20 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)14時58分45秒
 パントリーで待機する私に見慣れない作務衣の女性が「生中3つお願いします!」とオーダーを
入れにきました。先輩なんでしょう、っていうか絶対先輩なので挨拶しなきゃと少し余裕の
出てきた私は思い、「サントリ・・・いやパントリーの紺野です!よろしくお願いします!」と笑顔で
挨拶すると、その女性は「あー、今日から福田さんじゃないんだね!里田です!頑張ってね!」と好感触の返事。
「はい!生中3つ、紺野頑張ります!」
21 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)15時13分53秒
 そのほのぼのムードを破ったのはまたしてもあの大谷教頭でした!
「紺野さん、頑張るのは当たり前です。生中4つにライムサワー1つ、1分30秒以内にね。」
里田さんは隣で苦笑い。教頭の冷たい迫力に思わず私は大谷教頭のオーダーを先に作成してしまった
のでした。やっとの思いで教頭のオーダーを完成したとき、その教頭はというと
「はい、2分21秒、新人としてはまずまずね。精進しなさい。」


22 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)15時29分18秒
 精進?「精進」って・・・修行じゃないんだから。と思いつつ里田さんにオーダーが
遅れたことを謝罪すると「ううん、気にしなくていいよ。あの人いつもああだからね。
私もこっぴどくやられたから。」と言ってくれました。器の大きい人です。
 そこへ石川さんが様子を見に来てくれました。「どう?快調?」「はい、いまのとこは」
そんな会話を傍で聞いていた里田さんが「梨華ちゃんが入ったときより全然速いよ。2分21秒だって。
アイスが褒めてた。」「えー?!すごいねー。私なんか最初は4分半かかったんだから!店長になれば?」
3人の笑い声がパントリー付近に響きました。
23 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)15時35分06秒
 聞くところによると里田さんはフリーターで石川さんは某短大でアフリカ哲学を
学んでるそうです。アフリカ哲学?何それ聞いたこと無い!ってんで石川さんに
アフリカ哲学について色々質問したんですがどれも曖昧な答えばかりで、あまり勉強のほうは
してないんんだなと思いました。大谷教頭はレジ係も兼ねているのでパントリーに来ることは少なく、
石川さんと里田さんと3にんで結構楽しく仕事してました。
「結構ちょろいじゃん?ひょっとして楽勝?」なーんて思ってる私の考えが崩れたのは
午後7時を回ったころでした。
24 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月01日(日)15時36分04秒
 更新はここまでです。
行が詰まってて読みづらい点は謝罪します。
25 名前:名無し 投稿日:2002年12月01日(日)19時50分13秒
さすが紺野さん博識だなぁ。
キリンが隠れてるなんて知らなかったよ。
でも石川さんが寒い事はたぶん本人以外みんな知ってる。
午後7時何があったのかな?楽しみだ。
26 名前: 学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)12時58分49秒
>>25
読んで下さったんですね。有難う御座います。
ヒントは頭の部分と尻尾の部分ですよ。
27 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)13時46分48秒
ここは居酒屋なのにみんなそんなにお酒飲まないのかな?なんて考えながら私はパントリーでひとり
指の爪に挟まったゴミを取っていました。癖なんですこれ、ごめんなさい。
私の勤務日は週3日、時間は午後5時〜午後9時まで。あと1時間56分で初日も終わりか!
家に帰ったらご飯食べて、造りかけのシャアザクに色でも塗るか〜。と大きく伸びをした瞬間、
大谷教頭が「生中6つ宜しく。ファイアーセブンに入ってるんだから気を抜かない!」と注意されて
しまいました。
28 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)13時57分12秒
急用ができました。 また更新しますね。



29 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)19時34分13秒
 「(ファイアーセブン?・・・何だろ?新手のショータイム?料理の火加減が7倍に?客を病気にする気?)」
そう自分自身で疑問符を投げかけながらも私は生中6つを完成させ、「お願いします!」
の声とともに大谷教頭の前にジョッキを6つ並べたのでした。
 私の性格上、判らないまま物事を進めるという事がタモリと同じくらい嫌いでして、他の先輩に聞いてみようと
決心したその刹那、「生中4つにレモンチューハイ3つ、あとカルピスハイ1つお願いします!」とアニメ声。
 いい機会だ、とファイアーセブンについて石川さんに聞こうとしたのですが多分
「ファイアーセブン? (例)ウルトラセブンの強化形態?」とかロシア人でも4秒で凍死しそうな事を言いそうなので
ここはぐっと堪えてオーダーの処理にあたりました。 
30 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)19時47分18秒
「生中6つに梅チューハイ4つ、ライムチューハイ2つ、熱燗1つヨロシク!
ファイアーセブンだよ!」の声、里田さんです。よかった・・・と早速聞いてみました。
「ああ、他の店はどうか知らないけどいつもこの店は午後7時過ぎたら鬼の様に客足が増えまくって
とっても忙しくなるのよね。大体午後10時までの時間をここではファイアーセブンって言うのよ。
誰が名付け親か知らないけど。 ほら早く手を動かす!」  
 はいわかりましたと里田さんのオーダーを処理しながら疑問が氷解した私でした。なるほどそうだったのね。
アメリカの警察では凶悪事件が多発する深夜の時間帯を「サードウォッチ」と呼ぶそうですが
まあそんなもんですね。  ファイアーセブン・・・80年代の香りがするネーミングですね。
31 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)20時00分51秒
休む間もなくオーダー我がが紺野パントリーに雪崩れ込んできます。
教頭「生中5つ、熱燗3つ、カルピスハイ1つ宜しく。」
里田「熱燗4つ、マンゴチューハイ1つに生中1つお願いします!」
石川「マムシチューハイ6つ入り間ま〜す!」
こんな感じでオーダーの百鬼夜行が続きます。
 それはまさに仕事の名を借りたイジメの様でした。超高校級の記憶力を誇る
私もこれには参りました。マムシの干物片手に記憶したオーダーを処理する間にも次々と
新しいオーダーが入ってくるんですから・・・・
そう、ゲームの「ぷよぷよ」でいうなら
「次に青いぷよぷよがきたら3連鎖なのにまた透明ぷよかよ!!」
そんな感じですね。  判りにくいですか?ごめんなさい。



32 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)20時02分20秒
 今日はここまでです。
又更新しますね。おやすみなさい。
33 名前:学籍番号 81982 紺野 投稿日:2002年12月03日(火)20時14分27秒
誤字多いです。ごめんなさい。
34 名前:名無し 投稿日:2002年12月03日(火)21時55分50秒
超高校級・・・ルカワだ
ぷよぷよは一回失敗するとやる気がうせますよね。
35 名前:田宮 投稿日:2002年12月07日(土)11時23分26秒
ひたすらに紺野さんの主観で進むのが大変面白いですね。
ちなみに昔居酒屋でバイトをしていたのですが
やはり午後7時からは客足も多く大変だったことを
しみじみと思い出しました。これからも楽しみです。
36 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)19時25分13秒
>>34
ルカワといえば不良にモップで殴られて血まみれになった人でしょ?
でも私JOJO派なんですごめんなさい
>>35
ありがとうございます。労働の厳しさを実感しております、はい。
田宮さんの苗字で思い出したんですけど私が生まれて初めて作った
プラモデルが田宮模型のレオパルド2でした。 なつかしい・・・
37 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)19時44分26秒
 お酒を教頭が持っていったと思ったら石川さんが、そして石川さんが去ったと
思ったら里田さんが、という風にまさに息つく暇も無い紺野パントリー。
 途中でビールサーバのガスが切れました。サーバがブジュルルブジュとJOJOの
効果音のような音を出し、ビールが出なくなってしまいました。半泣き顔でジョッキ片手に
うろたえる私に教頭が、「ガスが切れたのね、教えるから覚えてて。」とガス交換を
教えてくれました。教頭って顔怖いけど結構いい人でした。以後校長って呼ぼうかな。
人は見かけによらないものですね。
38 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)19時52分52秒
 私のつぶらで大きな目もクルクル回るような忙しさの中、やはりオーダーを間違う事も
ありまして、里田さんのオーダーでビールの数を間違って余分に出してしまったときも
里田さんは嫌な顔一つせず「いいよ、次のオーダーにまわしてよ、ホントはだめだけど。」と
笑顔で言ってくれました。いい人だ〜!でも里田さんの笑顔はジャイアントロボ(実写版)に少し
似てました。里田さんごめんなさい。
 
39 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)20時04分57秒
 石川さんといえば怒涛のように押し寄せるオーダーにあたふたする私を見かねて
パントリーに入場し、自らオーダーの処理を手伝ってくれて助かりました。流石アフリカ哲学!
と思ったんですが「あ〜お腹空いた!」と梅チューハイ用の梅の実をひとつ口に放り込んだのでした。
梅の実をボリボリ音を立てて喰らいながらサーバに向かう石川さん、かなり可愛かったです。手が滑って
ビール入りのジョッキを落とし、ジョッキを1つ破壊したのはその約18秒後でした。その大きな音に
調理場にいる原田龍二似の板前もこちらをチラリと見たんですが、私は「私が割ったんじゃないですよ!」と
言いたかったのですが言えませんでした。当たり前です。
40 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)20時26分26秒
 「ふぃふゃ〜ん、ふぉふぇ〜ん!わっふゃっふぁ〜!」と梅の実で口いっぱいの石川さんがあのアニメ声で謝罪しました。
その言葉を我が紺コンは「いや〜ん、ごめ〜ん!割っちゃった!」と解析しました。梅の種を口から飛ばさんばかりの勢いでしたね、ええ。
 最悪のタイミングでした。そこへ教頭と里田さんが来たんです。
里田「あーあ、これ梨華ちゃんが割ったの?お給料から天引きだ、アハハ。」
大谷「もう!忙しいのに!まあいいわ、それより怪我しなかった?生中6つとレモンチューハイ4つね。」
私「はい!いますぐ!」
石川「(大げさな身振りで)天引き?冗談はよしこさん!今すぐお掃除しますね!ごめんねジョッキちゃん・・・」

      石川さん? あなたは 邪魔しに きたのですか?(心の叫び)

石川さんは決して悪い人じゃないんですけどね。むしろいい人なんですが。  
それはそうといつの間に梅の実を飲み込んだのですか?胃が荒れませんか?
他人事ながら心配です。 時刻は既に午後8時42分でした。 ロスタイムに入りました。
41 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)20時42分47秒
 ついに午後9時になり、3人の「同僚」の「お疲れ様でした!」の声を背に私のバイト初日は終わりました。午後9時からラスト(午前1時)
までは年配の男性がパントリーを守るそうです。ひょっとしてリストラされた人でしょうか。。。他人事ながら心配です。
 ようやくロッカールームにたどり着いたのですが数時間前この作務衣に着替えたのが遠い昔の出来事に思えるほどでした。
疲れた・・・このまま眠りたい・・・でもそれは無理です、明日も学校です、しかも私の嫌いな体育があります、KARATEなら得意なんですが。
「(しんどいな・・・私やっていけるのかな・・・    このバイト辞めようかな・・・」
月が見えました。とっても綺麗な上弦の月でした。
「平安歌人もこの月を見て歌を詠んだのかな?」そんなことを考えながら家路に着きました。
 
 
42 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月07日(土)20時44分49秒
 今日の更新を終わります。
また更新しますね。おやすみなさい、良い週末を!
43 名前:名無し 投稿日:2002年12月08日(日)17時16分39秒
梅の種の中身を食べるとお腹を壊すと言いますよね。

それはそうと紺野さんあなた本当に高校生ですか?
ジャイアントロボ(実写版)、田宮模型のレオパルド2…怪しい。
いや紺野さんの知識が豊富って事だな、あはは、あはは……
44 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)16時35分49秒
>>43
そう、そうです!
わ、私の役に立たない知識が豊富ってことですよ!
今はサブカルの時代ですから、はは・・・はははは・・・はは

45 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)16時51分51秒
 このバイトを始めてもはや一ヶ月経ちました。
石川さんも例の梅の実による急性胃炎から立ち直り、元気にアニメ声を
「ヴォルガードU(懐かしのファミゲー)」の8方向ビームのごとく撒き散らし、
 教頭こと大谷さんもその教頭ぶりを発揮し、フロアーをまとめています。
 かくいう私もパントリー生活にすっかり慣れてファイアーセブンの修羅場にも
きっちり対応しております。作業中の滑り止めのためには何がいいか?ということで
サッカーで使うキーパーグローブをおととい買ったんですよー!しかも松永成立(元日本代表)
モデルなんです!「紺野」とネームまで入れてもらいました!居酒屋でこんなの着けてる人って
私だけでしょうね。でもぴったりフィットしていい感じなんです!
46 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)17時02分43秒
 あと、私が暇なときに考案したオリジナルノンアルコールカクテルその名も
「アサミin the sky」が好評なんです。石川さんなんかは「あ〜 この味イケてるー!」
て言ってくれましたし、大谷さんと里田さんは厳しい表情で無言で飲み干しました。
昔CMで「旨さは人を黙らせる」というコピーがありましたが、まさにその通りですね!
そのうちこの店でもメニューに加えてもらおうかな?なんて思った次第です。
47 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)17時14分20秒
 それはそうと、最近里田さんが元気ないんです・・・仕事中も複雑な表情で
俯いていることが多くなってきてるんですよ。それにオーダーを間違えてお客さんに
注意される事が多いみたいです。この前フロアの隅っこで大谷さんと深刻な顔で話してるのを
見てしまったんですよね。里田さんは半泣きで大谷さんは40%増しの険しい顔をしてましたね、ええ。
 石川さんはいつも通りでした。元気が取り柄のアフリカ哲学ですからね。 
里田さんはここでも石川さんと「得点王」ならぬ「笑顔姫」を争う明るい人だったのにそんな深刻な顔で
過ごすなんて何かあったに違いないと我が紺コンも分析し、しばらくは里田さんに何があったかを観察する事に
しました。
48 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)17時24分59秒
 「それとなく探る」こういう回りくどい事は私嫌いなんです、B型ですので。
ファイアー7に入ってからも大谷さんに聞いてみたんですよ。
大谷「生中5つ、ザクロサワー1つよろしく。」
里田「あ、コンちゃん。生中4つにキーウィサワー2つお願いします。」
これはいい機会と思い、意図的に大谷さんのオーダーを後回しにして東海林のり子ばりに
大谷さんに事の真相を聞いてみることにしました。スクープハンター紺野の血が騒いだんです
ごめんなさい。
49 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)17時37分13秒
 里田さんが行った後、大谷さんの盆にジョッキを並べながら「私は全然興味ないですよ、
ええ、ないっすよ。」ってな感じで「里田さん最近どうかしたんですか?」とツッコんでみました。
すると
大谷「ん?あ、いや、体調がわるいんだって。  あ、似合ってるねその松永モデルのグローブ。」
 私がそんな初歩の「話題のすり替え」に乗るとでも思ったのでしょうか。明らかに大谷さんは困ってましたね。
松永モデルを褒めてくれたのは収穫でしたが。
50 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)17時49分34秒
 さすが大谷さん、口が固い、諜報員向きだ。何も聞けなかったと失望と感心を同時に
味わっているとそこに
 石川「生中3つ熱燗4つあとココアサワーお願いしマンボー!」と鼓膜を再起不能にしそうな
アニメ声。そう、石川さんです。「(この人は・・・事の次第を知ってる  かな?)」
と一応同じ様に梨本ばりに聞いてみました。すると石川さんはその可愛い唇を私の耳元に近づけ、
 石川「(気付いてたの?教えたげる。里田さん  妊娠してるみたいよ!)」
話しながらの吐息が耳にこそばゆかったです。
 松永モデルのおかげでジョッキを落とす事態は避けられましたがはっきり言って腰が抜けそうでした。
まあこれで腰を抜かすようではまだ青いんでしょうが、これで点と線が繋がったわけです。
51 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月13日(金)17時50分18秒
 更新終わります。
よかったら読んでくださいね!
52 名前:名無し 投稿日:2002年12月13日(金)20時52分38秒
石川と里田と言う名前が出てくるどうしてもあさ美があさみに思えてしまう。

しかし最近の子はコレだから怪しからん!!
ねぇ紺野さん改めオサーn(ry
53 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)16時09分32秒
>>52
あさみ? ああ、戸田女史を追い出したといわれてる女でしょ?
よく判りません。

オサーn(ryって言われてしまいました。まあ仕方ないですね。
でもこの小説書いてる奴は20代前半らしいです。 
54 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)16時17分24秒
「点と線が繋がった」といっても里田さんの下腹部ではオタマジャクシと卵
との間で「くっついた」わけで。
私、紺野と里田さんとはそんなに年齢差無いのにね。ママになるとは驚きです。
  で、この子の父親は誰なんでしょうか?
神に誓って大谷さんや石川さんではないでしょうし、彼氏はいないって言ってたし、
ひょっとしてゆきずりの客?はたしてレープ?それとも皇太子御用達の試験管ベイビー?
55 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)16時26分09秒
 私の中で青い妄想が膨らんでいきます。 そう、透明色の炭酸水にブルーハワイシロップが
注入されていくようにね。  ふふふ。
 大谷さんがオーダーを受けたカルピスサワーを作る時、カルピスの原液を見て
私、紺野はあろう事か少し淫らになってしまいました。
グラスの中の原液をしげしげと見つめ、頬を真っ赤にする私。
その私と同じ職場内で仕事に意勤しむ新米ママ。(無理しないでね!)
その新米ママとすれ違う様にパントリーにやってきたアニメ声。
56 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)16時38分53秒
 「??原液眺めて何してんの?変な子ね。生中5つ!お願いしベリア!」
何ィ?「変な子」だァ?今なんんつったお前。「オマエモナ」という某巨大サイトで覚えた
言葉が奥歯(現在治療中)の辺りまで出かかってましたが飲み込みました。自分でも
偉いと思います。 大谷さんが去ったのを見計らって妊娠の事実を石川さんに
再確認しようと思った次第です。なんせ事情をダイレクトに聞けるのはこの
人だけですからね。
57 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)16時50分19秒
生中を作成しながら私、紺野は詳細を聞き出そうと「石川さん、さっきの話・・」
と切り出しましたがそれを遮る様に「あ、コンちゃん、さっきの話だけどこれだけは言っとくね。」
と真剣な顔で石川さんが身を乗り出すので、(あ、詳しい話が聞けるのかな?ヤバイ話なのか?
緘口令が発令されるのか?)と期待して石川さんのピンクの唇に耳を近づけると、

 「カルピスの原液飲み干したら熱が出るよ。気を付けてね!」
58 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)17時10分30秒
  もうこの人には何も言うことはありませんでした。私がカルピスの原液をわざわざ
仕事中の時間を利用して飲んでいたと勘違いしたのでしょう。紺コンからも煙が出ました流石に。
「逝ってよし」とはこういう時に使うんでしょうか?私は「忠告」の礼をしつつ、
「石川さん、里田さんはホントに妊娠されてるんですか?」と聞くと
「うん、本人から聞いたもん。あの人とは付き合い長いからね。」とさっぱりした返事。
「あれ〜、お子ちゃまには刺激がきつい話かな〜?」と彼女は追い討ちをかけてくるので
「そ、そんなことないですよ!(アンタも中身は子供そのものじゃん!)」と思いながら
それ以上は聞けず、生中5つを石川さんに託したのでした。
大人の世界って色々あるんだ〜 石川さんはまだ私以上に子供ですけどね。
59 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)17時21分27秒
 それから2週間が経ちました。 私、紺野はこのバイト辞めることにしました。
いつまでも接客させてくれずちょっと飽きてきたっていうのもあるんですが、
他のバイトで他の世界も見たいというのも大きな理由です。私は好奇心旺盛ですから。
ちょうど同じ時期に里田さんも辞めるということでみんなでささやかな送別会をしてくれました。
土曜日の閉店後、フロアを貸しきってのちょっとした食事会です。
 大谷「最初貴女を見た時は不安だったけどよくやってくれたわ、ありがとう。
頑張ってね。」涙が出るほど嬉しかった。やっぱりいい人でした大谷教頭!
 石川「(泥酔状態で)や〜ん、コンちゃんも辞めるなんて・・私これからどうすればいいの〜?」
あなたは大丈夫です。どんな状況でもやっていけますよ。でも何か寂しかったです。
60 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)17時31分44秒
 里田「嬉しいよねこういうの(送別会)って!(笑)コンちゃんには黙ってたけど
私、妊娠してるの。」
(知ってましたよ、ええ。)
里田「相手はね、副店長なの。付き合ってたのよ実は。    今度結婚するの。」
今度こそ腰が抜けて立てませんでした。副店長といえば私にロッカーの鍵を差し出した
あのひ弱男じゃないですかオイ! ひ弱男と太陽娘・・・・お似合い・・・かな?
 里田さんは今までどうりの明るい笑顔で幸せそうに見えました!

里田「バイト変わるんでしょ?頑張ってね!」
私「はい!里田さんも元気な赤子産んでくださいね!」
里田「もちろん! アハハ!」
私達2人は最高の笑顔で笑いました。












61 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)17時39分18秒
 さて、私といえば居酒屋でのバイト代で自転車を買ったんです。
これで駅までの通学路もひとっとびですよ。皆さん貴重な体験をありがとうございました!
 そうそう、次のバイトは「ミスタームーンライト」っていう喫茶店です。
居酒屋はどこも募集締め切りだったもんで、最後に決まったのがこの店だったんですよ。
どんな仕事なのかな?どんな出会いがあるのかな?
 
62 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2002年12月24日(火)17時40分05秒
 更新終わります。
よいクリスマスを!
63 名前:名無し 投稿日:2002年12月25日(水)11時37分29秒
ムーンライト…
ん〜勝手に恋の予感。
紺野さんバイトお疲れ様でした。
64 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)10時42分23秒
明けましておめでとうございます。
第2部開始させていただきます。
65 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)11時00分52秒
 そこはまるでヨーロッパの古城のごとき外観でした。
蔦の絡まるレンガ壁、そこに掛けられた銅版には筆記体で「MR、MOONLIGHT」と
書いてあり、その横には渇ヤ王の月のマークを格好よくしたようなエンブレム。
 「場所間違えた?これってマジで喫茶店?」
すると某RPGで見たような重厚な扉が開き、カランコロロ〜ンと喫茶店特有の
ドア鐘の音。
66 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)11時20分33秒
 (あ この鐘の音は。やっぱり喫茶店だ)
ドアを開けたその長身の青年はその真っ赤なジャケットのポッケから
ドアストッパーを取り出して 開いたドアの下にいそいそと挟むと、
素早く立ち上がって(お笑い芸人のような動きでした)ドア枠にもたれ掛かり、
 「紺野さん・・・だね? 電話くれた子だね。良かった、可愛い子で。待ってたよ。」
と腕組をしながら私の目を見つめて言うのでした。
67 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)11時28分20秒
 (やだ・・・この人カッコいいかも?)
胸がキュンとしてしまいました。「キュン」だって(笑
 でもこの人が中腰よりやや低めの体勢でストッパーを挟む間抜けな姿を私は
見てしまいましたので(そんなキザなポーズと台詞でこの紺野様をとりこに
しようなんてそうはイカのキンタマ!)という思いも強かったのは確かです。ええ。
 「さあ、中に入って。あそうそう、ストッパーは外して中に入れといて。高かったんだから。」
(自分で出したモンは自分でかたしてくれや)
68 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)11時36分36秒
 ドアをくぐると喫茶店のくせに5mくらいの通路が続くんですが、
喫茶店と多寡をくくっていた私自身を反省しました。いかにも金がかかってそうな
内装に、所狭しと並ぶ絵画や彫刻。普通の人には成金主義のくだらん店に見えるのでしょうが
ウブ過ぎるくらいウブな私にこの店はワクワク物のワンダーランドに映ったわけですよ。
 この若旦那、いやマスターか?  と話すまではね。
69 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)11時42分28秒
通路を抜けてフロアに着くと私と変美青年はテーブルにつき、「面接」が
始まりました。青年はイスに座るなり新宿カリスマホストよろしく大げさに足を組み
目を閉じてその綺麗な形の顎に手を当てて黙ったのでした。
 何か考えているように見せているのでしょうが、大したことは考えてないのでしょう。
70 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)20時10分28秒
 その後約14秒、「グゥ・・・あ!寝てた!」という5流芸人でもしないような
オチだけは勘弁してくれと思っていたその刹那、聖闘士星矢のシャカみたいに
静かにその青年は目を開き、「紺野さん キミ、コップに水、汲める?」
「はい。前のバイトではパントリーを担当してました!」
「ああ・・・パントリー・・・サントリーの子会社か?知らないな。
とにかく汲めるんだね?」「は、はい。」ボケたらよかったのでしょうか?
71 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)20時22分25秒
 「じゃあ、その水を運べますか?お盆に乗せて。」
この人は綺麗な顔ぶら下げてさっきから何を言ってるんでしょうか。
「は、はい。できます。」
それを聞くなりその青年はパチンと指を鳴らし、身を乗り出したかと思うと
握手を求めてきたんです。その手は  柔らかかった。
「君が来た時から決めてた。採用だ。ちょっと変わった喫茶店だけど・・・頑張ってね。」
72 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)20時30分24秒
(え?変わった?)
 「は、はい!がんばります!よろしくお願いします!」
するとその人はやさしく微笑み、
「こちらこそ、店長の飯田です。マスターでなく・・・・ジークフリード、
略してジークと呼んでくれ。一緒に盛り上がろう・・・」
(ハア?ジーク?盛り上がる?ひょっとして変な店?)
今頃気付きました。 この喫茶店、変わってます中身が。 
73 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)20時40分52秒
 目の前にはいつの間にか差し出されたマスター、いやジーク(wの免許証。
「いつか来るであろう驚きを今のうちに済ましちゃえ・・・」
 ジーク(wの中指と人差し指の間にキザに挟まれた免許証を受け取り、
その写真を見た私は「・・・・・・・・!!!!?!」
 顔写真は紛れもなくジーク(w 今は髪をひとつに束ねて上着に入れてるけど
ロングヘアーの時代もあったんだ・・・・
 名前は飯田圭織、年は23歳でした。
「驚いた?こういう店なんだよね。はい今日はここまで。今週から早速
来てくれる?待ってるよ、マイリトルハニー・・・」最後は棒読みの英語でした。
そのあと曜日と時間を決める話し合いをしたんですがはっきり言ってよく覚えてません。
74 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)20時46分21秒
 家までの帰り道、正直(変なバイト始めちゃったな・・・)とも思い少々鬱に。
      し   か   し
(まさか殺されて売られるわけじゃあるまいし、こんな世界を覗くのも楽しいかも)
とも思いました。この切り替えが出来るところが私の凄いとこなんですよね。ええ。
「色んな経験をして世界を広げる」というのがバイトを始めたきっかけなんですから。
 でもマスター、いやさジーク(wって 変だけど面白そうな人だな・・・
75 名前:(作者)学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月02日(木)20時52分40秒
>>63
読んで頂きありがとうございます!
恋の予感(by安全地帯)かぁ。いいかも知れない。
でも>>5もあるしねぇ。

先の話は明日以降考えます(w
76 名前:名無し 投稿日:2003年01月02日(木)21時17分23秒
頑張れ!>>5なんて忘れて世界を広げろ!!
それにしても相変わらずの面白さ、しかも思いついたら速攻書いてるんですか?
尊敬するわ…

飯田さんは付け髭していないのかなぁ…
飯田さん好きなのであえて言わせてもらいますカオリであると!!
ジークカオリ!!ジークカオリ!!
77 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月26日(日)04時25分24秒
hozen
78 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)15時59分36秒
 実はこのバイト、週1日出勤で日当1万4千円なんですよ。結構いい方じゃないすか?
72回出勤したら欽ちゃんの仮装大賞で1回優勝したのと同じ金額稼げるわけですよ。
それはさておき、土曜の午後6時半に私、紺野は未知の扉を開いたわけですよ。ええ。
 店内に入ると、もう既に本日の開店の準備は整い、あとは午後7時の開店を待つばかり
という雰囲気でした。お!例のジークがさすが店長というだけあって色々指示を出してました。
たかが喫茶店なのに・・・ あ、ジークがこっちにやってきました。やっぱ綺麗な顔してる・・・
79 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)16時08分20秒
 「やあ、クララ。今日からだったね。君の衣装は用意してあるから2階の部屋で
着替えてくれ。ビリーが待ってる。じゃまた後で。」
 そう言うとジークは行ってしまいました。私はいきなりクララと呼ばれたことを
なるべく頭の中から排除しながら2階の従業員部屋にむかったのでした。
着替え部屋にしてはえらく豪華なドアを見つけ、足を向けた瞬間、廊下に足組みして
座っていた人に声を掛けられたんです!
 「紺野・・さん? いや、クララ。  だね?」
80 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)16時20分15秒
(ひょっとして私は今日からここではクララかよ!ハイジもいないし、金髪じゃないし
第一、ちゃんと歩けるっちゅうねん!) その人は姿勢を崩さずに続けます。
「クララ、バイトにしては結構可愛いじゃないかクララ。しばらく君の教育係をすることになった
ビリーだ。よろしく!」 ああ・・・腹を決めました。私は今日からここではクララです。
やや俯き加減の私の目の前には「ビリー」からキザに差し出された免許証が・・・
(また免許?この店のマニュアルなん?)不安75%、期待20%、諦め5%でその免許を見ると、
その免許は 柴田あゆみ 20歳 その写真はやはり女そのものでした。
81 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)16時26分49秒
 顔を上げ、「ビリー」を見ると、写真のロングヘアーとは違い、ショートでしたが
至極綺麗な顔つきではありました。「よろしく。さあ着替えな。」小首をかしげてそう言う
ビリーに従い、私は黒ズボン、白シャツ、黒チョッキに着替えたのでした。
これっていわゆるショットバーとかの女バーテンの衣装だよね?
 「よく似合うよ、紺野あさみさん、今日から君はクララだ。楽しくやろうよ。」
マジな話、グラリといきそうでした。そして2人は1階の調理場(?)に向かいました。
82 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)16時39分26秒
 1階へ着くと、店内を歩きながらビリーは
「ジークから聞いてる。水は汲んで運べるらしいね。それ以降が僕の役目だ。」
(え??僕?あんた女でしょ??)
厨房の中で、客が入り始めた店内を見回しながら、
「ごらん、これが学校やテレビでは教わらない世界さ。女で在りながら女が好き、
男で在りながら男の格好した女が好き、女で在りながら女の格好した音かが好き、色々あるよね。」
「は、はぁ・・」柴田さ・・いやビリーは長いタバコに火を着けながら言うのでした。  
            よくわからないっす。
「ある意味特殊な世界だから、お客も刺激しないように、自分も傷つけないように、頑張ってね。」
83 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)16時44分19秒
 「さあ君の初仕事、そこのおしぼりをきちんと丸めてヒーターで暖めといて。」
それだけ言うとビリーはタバコをゴミ箱に指ではじき、店内に向かったのでした。
私はというと業者から納入されたくしゃくしゃのおしぼりを1本ずつ丁寧に丸め、
ケースに入れて暖める作業をしておりました。
 しば・・ビリーはというと、30代後半のお客さんとジュースを飲みながら楽しそうに
談笑しておりました。いま気付いたんですけどこの店はお酒無しなんですね。
84 名前:(作者)学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年01月30日(木)16時46分34秒
更新終わります。
>>76
読んでいただきありがとうございます!
今日もほぼ思いつきで書きますた(w
今後あなたのカオリも活躍させますんでよろすく!
85 名前:名無し 投稿日:2003年01月30日(木)19時13分37秒
新旧タンポポの登場ですね。
子供にも大人にも優しいお店、素晴らしいです!(藤本さん風)
86 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)19時01分16秒
更新期待sage
87 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)16時24分06秒
それから時間にして約1時間足らず、おしぼりの作業も終わって手持ち無沙汰に
なった私、紺野は調理場から店内を見回してみたんです。
 すると我が優秀な頭脳紺野コンピュータ、略して紺コンはある事に気付きました。
満員御礼なお客さん達の内訳は男性が3人しかおらず、他は全て女性だったんです。
(え〜? 何これ?なんかレズバーみたい(苦笑) 男は皆出稼ぎかい?
戦時中じゃあるまいし。やっぱ変だわこの喫茶店。)そう思いながらボーっと眺めて
いると耳元で指をパチンと鳴らす音。 ギクッとして振り向くと、ジーク飯田店長でした。
88 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)16時47分36秒
 「おしぼり終わった?ほらごらん、今日も満員御礼だ。すばらっすぃよね〜。さあ着替えようか。」
「え。着替える?もうバイト終わりですか?」するとジークは
「んなバカな、面白い子だよ全く。君をお客さんにお披露目するのさ。2階行こう。」
 ↑の台詞の「んなバカな」を言う時にジークは大袈裟な動作で私の胸にツッコミのチョップを
入れたことも付け加えておきます。言わば4流芸人のノリでした。ハイ。
2階の例の従業員部屋についてまず私の目に飛び込んだのは真っピンクの綺麗なドレスと
その横でいたずらな笑みを浮かべて煙草をくゆらすビリーの姿でした。
89 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)17時04分25秒
 「どうしたんだい?びっくりした顔して。そんな赤ちゃん河豚みたいな顔も可愛いよ。
さあ、今日はクララの2回目の誕生日だ。」そう言うが早いかビリーは私を椅子に座らせ、
テキパキとドレスを着せ始めたのでした。
   それにしても赤ちゃん河豚だって(w なにこの比喩 怒る気にもなれない。
 「さあ出来上がり!見てごらんクララ。僕は君の教育係になったことを神様に感謝しなきゃね。」
一部始終を腕組みしながら見ていたジークも「すげえ、お前すっげえよビリー。ドレスもメークも
完璧だ。さっすが当店ナンバーワンだよ。」「ありがとうジーク、会心の出来さ。」
 その時私は鏡に映った自分の美しさに見とれていてこの2人の会話も10キロ先で針が落ちた音の
ようでした。(でもバルタン星人には聴こえるんですよねこの音!たしか。)
90 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)17時15分04秒
 純ピンクのドレスにナチュラルに4割り増しのメーク。私がこんな美しく化けるなんて
嬉しすぎる誤算でしたね、ハイ。
 「可愛いよクララ、おっとこれも忘れちゃいけない」ビリーが私の耳元で指を鳴らすと
いつのまにかビリーの手にはピンクの可愛い花が。私の髪に差してくれました。
「お披露目」が始まりました。テーブルを廻り、新人バイトである私をお客さんに紹介するそうです。
階段を下りる途中、ビリーが私の胸にそっと手を触れ、
「緊張してるんだね。君のハートが激しく揺れてるよ、それとも僕と一緒だから?」
そこら辺の男にこんな台詞吐かれようもんなら全治2ヶ月くらいにしてやりますが、
なぜか「はい・・・・やや緊張してます」としか言えませんでした。
91 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)17時32分22秒
 最初に向かったテーブルには30歳代くらいの女の人が4人、あとはこの店の
「ボーイさん」でした。「彼等」は皆女性で胸ポケットに免許証を入れてるんでしょう。
「ご歓談中失礼します。この子は今日からの新人、クララです。可愛いでしょ?
可愛がってください。」キザな身振りでビリーが紹介した後に、私が
「こん・・・いや、ク、クララです。以後お見知りおきを・・・」
 その4人のうち女優の篠ひろ子に似た女性が
「あらやだ!可愛い女の子ぉ〜!さあこっち来てお座り!さあ!」やけにハイテンションな
篠ひろ子でした。「申し訳ありません佐々木様、お披露目がありますので後ほど・・・この子は必ずや
あなたの胸にお届けしますので。それでは。」「あ、そう ビリーの頼みじゃ仕方ないわね。じゃあクララ、後でね!」
ま そういうこっちゃで全てのテーブルを廻り終えました。
 (私って女受けする顔なのね・・・・私のファンができちゃった、どうしよう。)嬉しい誤算その2です。
「モテモテだねクララ、君なら正社員になれるよ。僕が保証する。じゃあとで。」そう言い残してビリーはいそいそと1階に戻って行きました。
92 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)17時46分13秒
(正社員って何?   まあいいか!)
私は奇妙な満足感で天井を仰ぎ、大きく息を吐くと作業着に着替えるため従業員部屋
へ向かおうとしたんです。すると背後から大きな怒鳴り声。
  「おい、アンタ!そこの桃色ドレスゥ! ちょっと待ちぃや!」
振り返ると真っ赤なドレス、おめめパッチリの女の子が微笑と共にゆっくり歩いてきました。
1階では喧騒と楽しそうな笑い声。
 「アンタ、クララとか言うたねえ、ド新人の。ビリーさんの下に付いてええ気かも知れんけども、
あんまり舞い上がっとったらアンタのそのぷっくりホッペに傷が付くから覚悟しときぃや。」
93 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)18時02分42秒
 (え?何? 中国の人?韓国の人?それとも訛りかよ?)
あまりの訛りの激しさに日本語だと理解するまで紺コンでも4秒かかりました。
 「そんな・・・あなた誰ですか?失礼します」始めはお客さんだと思ったんですこの人。
するとその2秒後にその人に胸ぐらを掴まれましたね、ハイ。
「誰ですかとは失礼千万やねえおい、オラをハイジやと知ってて言うとるんかい!」
(クララにハイジかよ・・・誰だこいつ?)
「まあ今日はこれくらいにしといたる。あくまでもこの店のレディース部門の
ナンバーワンはこのハイジや!高橋様や!アンタはナンボ頑張ろうがオラの足の親指の黒い垢やから!
わきまえることや!」そう言うとハイジ(w は1階に降りたんですが私がそっと1階を
覗くとハイジは「可愛い女」を演じ、客のお姉さま達と楽しそうに・・・・・
     女って解らないものなんですね・・・・・・

ハイジの台詞は訛り訛った感じで読んでくださいね。
94 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月17日(月)18時07分10秒
更新終わります!

>>85
読んで頂き有難う御座います!
新旧タンポポですか。そりゃ気付きませんでした。
>>86
有難う御座います。
やっと更新しました。

95 名前:名無し 投稿日:2003年02月17日(月)18時17分03秒
やはりハイジはいたのか!!
関西弁っぽいけど、たぶんあの子だろう……。
更新期待。
96 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)16時59分19秒
 紺野です。この喫茶店、もしかしてオナベアンドレズ喫茶?まさか  ねって
思ってたらやっぱりそうでした!初日の仕事終わりにビリー柴田から聞かされたんです。
そりゃビックリしましたよ。こんなのありえないってんで辞める事も考えたんですが
2回、3回と出勤するうちに余りのモテモテ紺野ぶり(女性限定)にそんな感覚も麻痺し、
「ま  いっか」という思考に相成りました。
97 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)17時03分46秒
どうですか?この素晴らしい頭の切り替えの速さ。本職の水泳がダメなんで
女優になると言いのけた某ブススイマーと同等かそれ以上ですよね!
 だってね、その世界(同性愛)にどっぷり染まらなきゃ良いんですから。

それでは少しだけ更新させて頂きます。
98 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)17時13分11秒
 (雪の降るある夜、閉店後の店長室にて)
 ジーク飯田(以後 ジとする)は水槽の中に一匹だけ入っている大きな魚に
餌を与えていた。どんな図鑑にも載ってない様なワシントン条約ものの綺麗な
魚だ。
 ビリー柴田(以後 ビとする)「お取り込み中かな?」
ジ「あ、いたのか。今日の君の上がりはそこに置いといた。もってけドロボー。」
ビは机上の一万円札の束を掴み、金額も確認せずに胸ポッケにしまい込んだ。
ビ「こりゃまたブ厚い札束だこと。こんなの胸ポケットに入れたら片方だけ
Dカップになっちゃったよ。」
99 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)17時24分47秒
 ジ「Dカップ?そんなもの君には要らないだろ?フフ」
いたずらに微笑むジは餌を与えるのを止めた。例の魚は満足そうに餌を食んでいる。
 ビ「その魚、 名前はジャッキーだっけ?来た時は4センチ位だったのにいまや怪魚じゃないか。
全く畏れ入るよ。」
 ジ「畏れ入るってのはこのジャッキーに対してかい?それとも私に?」
 ビ「   両方。 」

 ビリーが細長い外国煙草に火を着けると、ジークも一本咥えた。煙草を咥えたままジークに顔を
近づけると  2本の煙草の先端が触れ、火が着いた。 
100 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)17時35分48秒
 煙たさに目を細める2人、旨そうに煙を吐いた。
 ビ「それで、話っていうのは?」
 ジ「そうそう、クララの事について。あの子はどうだい?頑張ってる?」
机上にはいつの間にか紺野、いやクララの履歴書があった。 綺麗な字だ。
 ビ「ああ、言うことないよ、人気もあるし頭も良い。会話の端々にその知性が出てるよ。
接客に昇格させて正解だった。今度のカラオケ大会に出してもいいよね」
 ジ「それは問題ない しかしあの子、ハイジと仲悪いんだよな〜。」
 ビ「それは気付いてた。仲が悪いというよりもハイジが一方的にね。クララは
頭良いから無駄なケンカはしないと見えるんだけど。 この前もクララの靴の中に自分の
噛んでたロッテ梅ガムを入れてたのを見たんだ。梅ガムだよ?梅ガム!発覚前に僕が剥がしたけど。」
101 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)17時43分17秒
 ビ「本当に!? 自分もハイジがクララの衣装にマジックで「ビリーはオラのもの
だ。絶対に渡さん」って書いてるのを影から見てた。衣装をソッコー取り替えたけど。」 
 
 ジークはその状況を説明する際、その身振り手振りが大きくすぎて机の角にその肘を
激しくぶつけてしまった。 痛みをクールに堪えるジーク。こみ上げる笑いを必死に堪えるビリー。
2人の間に沈黙が広がった。
 ビ「な、仲良くしろよな〜」
 ジ「楽しくやろうぜ〜」 2人は困った顔をして黙り込んだ。

 お前等店の経営者とその右腕なんだから 気付いたら注意しろよ 
102 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年02月26日(水)17時47分41秒
>>95
 ありがとうございます!
そう、「あの子」ですよ多分。
嫉妬するのはわかるけど  ねぇ。

このエピソードが終わっても次のエピソード・・・と続けていきたいので
よろしくおねがいしま〜す。
103 名前:名無し 投稿日:2003年02月26日(水)21時03分20秒
個人的にはビリーさんの自問自答が受けましたw
確かに二人ともボケの感じがする。
性急にこの喫茶店につっこみの出来る子を入れる事をお勧めします。
更新マターリお待ちします。
104 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月18日(火)14時35分29秒
「今度のカラオケ大会、歌う歌を決めといてくれハニー。」
鏡台でバリバリとメーク中の私にそう言ったのはビリーでした。
   カラオケ=歌!!
オイオイマジかよオイ、私にとっての歌唱とはいわば大凶、或いは鬼門。
そうそう、東京の浅草にお寺が多いのは浅草が鬼門の方角にあるかららしいです。
何処からの方角で鬼門なのかは忘れました。
 
 今や当「ミスタームーンライト」で赤丸、いや金丸急上昇の私、クララ紺野
略してC・K(カルバン・クラインみたいですね。格好いい。)はメジャー級の
音痴でとにかく歌が苦手です。どうしてみんなカラオケなんかでわざわざ声帯を
すり減らすようなことするんですか??
105 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月18日(火)14時44分43秒
(どうしよう・・・・音痴がばれてこの小さな世界でとはいえ私の輝かしいキャリアに
ミソが付いてしまう・・天使って残酷・・・)
 出場を断ろうと振り向くともうビリー柴田はそこに居ませんでした。

その代わりに私の視界に入ってきたのは「例の」ハイジ高橋。

「あ〜れ、こ〜れはこれはクララさんじゃないっすか。どしたの?おめかし
なんかして これからデイトっすか?   イケメン河豚とぉ〜」

・・・・あの刺激的な初対面以後、一事が万事こんな調子なんです。
一方的なライバル視、困りますよね。
106 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月19日(水)14時44分21秒
 新調したんであろうオレンジ色の夢見少女的なドレスが似合ってるのがちと悔しい。
 
 「カ〜ラオケ大会、歌う曲決めたん?まあオラの心地よい美声聞いたら皆腰ぬかすから。
アンタも含めて。これでオラの評価及び人気もドジョウ登りだがら。これでアンタに
対してドタマ2つも3つもリードってわ〜け、ごめんちゃいね。」

ドジョウ登りだって。 バ〜カ。

「おっと、大会用の衣装準備しなきゃ。 あ〜 忙し忙し! ま、アンタは細々とヴォイトレ
するこった。」

・・・と ハイジはアルプスの彼方へ風のように去っていきました。
忙しいなら 来るな
107 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月19日(水)14時57分28秒
 ・・・この前だって「紺野って人からこの店に届けるようにと・・・」と
宅配ピザが店に届いたんです。トッピング一切無し、ただ生地の上にチーズだけという
掟破りのピザが10枚、しかもLLサイズ。

 私そんなの絶対注文しません。 なにがあっても。

 ジーク飯田店長が応対してくれたんですけど、涙目で「・・・あいつだ・・・」って小声で
言ってたのを私は見逃しませんでしたよ。ええ。
 結局、「数量限定!特製チーズピザ 君の具で満たしてみないか?」という
支離滅裂なお品書きを私は書く事になり、店内に貼りました。
ビリー柴田も忙しい中手伝ってくれました。涙目でね。 
 こんなことすんのあいつしかいません。
ピザの方は  好評でした。
 
108 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月19日(水)15時13分36秒
 一応私が歌う曲はジークに伝えときました。

 泣けど笑えど「大会」の日はやってきました。不安と絶望でその日の学校の授業は
全く耳に入らなかったわけですが遂に私は出勤時間を迎えて店内へと入ってしまったのでした。
(もう逃げられない・・・)
 既に店内にはステージが・・・ああ・・・これって処刑台だよ・・・
ビリー「ぃよう!元気?君、シブイ選曲したらしいね〜。衣装は準備してある。着替えな。」
ジーク「お疲れ〜、今日は盛り上がろうよ!ガンバレ!」
 私はこの人達みたいに元気でもないしましてや盛り上がることなんて・・・
控え室へと入ると私の曲に合わせた「冷たい冬の雨と女の悲しみ」が見事に再現された
青と銀のキラキラした衣装が準備されていました。一瞬その衣装の綺麗さにハッとしましたが

 「やっぱ歌うの?大勢の人前でカラオケなんて・・・嫌だよ・・・」

そんな気持ちになったのも事実ですハイ。  でも衣装は着ました。
109 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月19日(水)15時20分43秒
 更新終わります!
>>103
 読んで頂き有難うございます!
自分はツッコミの出来る人間のつもり  なんですが
 今はそれどころではないんです 

 ミスタームーンライト篇は次回で終了とします。
ではまた!
110 名前:名無し 投稿日:2003年03月19日(水)20時13分58秒
遂に・・・遂に封印が解かれる!!
紺野さんの美声で何人の方がお亡くなりになられるのかとても不安です。
111 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)11時21分44秒
 衣装を着てみて大鏡の前に立つ私、紺野。大きくひとつ深呼吸。
どんなベテラン女優でも舞台初日には心臓が飛び出る思いをするといいます。
第三者から見ると詰まらない事かも知れませんが私には危機なんです。
 それから開店及びカラオケ大会開始までの小一時間は何もする気が起こりませんでしたね。
その時の私はまるで「ロッキー4」のドラゴ戦前になぜかトイレで神に祈るロッキーのようでした。

 このカラオケ大会、当店の恒例イベントで客と従業員(大半がオナベ)の交流を深めるためのもので、
スター性のある従業員(大半がオナベ)と客が交互に熱唱し、大いに盛り上がるそうです。

 いやだ・・・マジ凹む・・・ 
112 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)11時31分21秒
 泣いても笑っても開店してまったわけで・・・・
お客さん(オナベ好き)に接客してる間も、私の眉間には不安による皺ができて
いたのでしょう。馴染みのお客さん(オナベ好き)からも
「クララどうしたの?難しい顔して。今日歌うんでしょ?楽しみにしてるよ!」
 有難うございますとは言っておきましたが難しい顔の理由はその「カラオケ」なんです。
113 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)11時50分26秒
 ジーク「あーあー、テステス、マイクテス。今宵集いしキラキラ星達とそれに群がる
駄天使達よ・・・・神を罵倒する程の歌声と狂おしいばかりの嬌声で銀河系を完膚なきまでに
・・・・・ピンク色に染めようぜ   ベイベー。」

 遂に始まった・・・心の準備もしてないのに・・・このあと神を冒涜する歌声を披露しなけりゃ
ならないのに・・・」
そんな私とは裏腹に場内は割れんばかりの完成。賽は投げられました。

 一曲目を飾るのはなんとビリー、ビリーファンのまっ黄っ黄な歓声に包まれて
シックなスーツを着たビリーが登場。歌うのはリック・アストリーの「TOGETHER FOREVER」。
アップテンポなこの曲を英語、振り付きで歌うビリーははっきり言って格好良かったです。
さすが私の教育係ですね。
114 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)12時19分59秒
一曲目から場内のテンションはすでに最高潮。・・・ある意味嫌な選曲だよビリー・・・
いつしか出番は「あの」ハイジに・・・私といえば極度の緊張で放心状態。
次々と熱唱される曲も耳に入らず、ハイジの歌を聴くことになったのでした!
 
 司会のジーク「えー続きまして〜当店が誇る、アルプスに咲く一輪の白い花、ハイジ!
口笛はなぜ遠くまで聞こえるの!?あの積乱雲はなぜ私を待ってるの?!
・・・そっと  野薔薇に尋ねます・・・  歌ってもらおう! シューベルト作!野ばら!!」
 
 登場したハイジはドギツい真っ赤なドレス、頭に赤いバラを4本ほど挿したいでたち。
関西風に言うと「アイドルアイドルしてる」って感じです。

 とてもチーズピザを10枚も注文する人間には   見えない
 
115 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)12時32分59秒
 薔薇のトゲが数本刺さって少し血が出ていることでしょう。
お手並み拝見といきましょうか・・・  その美声とやらを
 
 子供が見つけた 荒れ野のばら  ♪
(紺野心の声)「アンタは身も心も子供だけどね。野ばら?このクララのこと?」
赤くてきれいだな 摘んで帰りたい ♪
(綺麗って認めるの?でも摘ませるか!)
見れば見るほど きれい
(わかってんじゃん!)
ばら ばら 赤いばら 荒れ野のばら
子供が 折ると ばらに言えば
(折る=クララを潰すってことか?)
折られりゃ 刺して 忘れぬように
痕を残すわ
(私、紺野も黙っちゃいねえぞ。)
ばら ばら 赤いばら 荒れ野のばら
子供は摘んでいった 荒れ野のばら
(結局摘まれるんかい!!)
刺してはみても 空しいばかり
苦しみだけが残る
(?・・・ん?和解?仲良くしたいのかな?・・・何を・・・いまさら・・・)
ばら ばら 赤いばら 荒れ野のばら  ♪

116 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)12時45分58秒
 ・・・とシューベルトに無断で歌詞の勝手な解釈をした私、紺野でした。
その間にハイジは歌い終え、両手でドレスのすそを掴み片足を「チョコン」とする
「お姫様挨拶」をして大歓声の中、舞台袖へと消えて行きました。
ビリー「次はクララの番!一発かましてくれよハニー。」

 あ、そうだ!忘れてた!     歌うんだった・・・・

お客さんに別れを告げ、処刑台に向かうとハイジとばったり出会ったんです!

ハイジ「あ〜〜!緊張した!  次はアンタかい、・・・・・アンタの野ばらを精一杯咲かしいや!
この大舞台ではビリーの取り合いなんて缶ジュースのプルタブほどに無意味だがら、アンタの
出来る限りの魂をマイクにぶつけて来ぃ!
・・・・・せいぜい摘まれんようになクララ、いや 紺野。    気張れ!」

紺野「ハイジ・・・いや、高橋さん・・・   うん!頑張る!」
117 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)12時57分08秒
 劇的な和解劇でしたね、ええ。変な一方的なライバル視ではなく、ビリーという一人の
オトコオンナを取り合っての一食触発バトルだったんですね。少し感動・・・・・・っていうか
私別にビリーには恋愛感情なんて抱いてません!!!

 ともあれ、ハイジとの和解で死の緊張から少し解き放たれたのは事実です。
お客さんの歌う「孫」も終わりに近づき、私の心臓もオーバーヒート気味。
さっき食べた牛タンが胃から戻りそう・・・

 ジーク「そんな固くならないで!君はスターなんだから!」
なぜかその場に残っていたハイジも
「聴かせでもらおかアンタの歌を。さあ、野ばらは咲くかな?」
 
「ええ、咲きますとも!」
118 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)13時04分56秒
 なぜか  あんなに怖かった舞台も嘘の様。マイクの前に立つともひとつ深呼吸。
イントロが流れてきました。場内も盛り上がってます。
ジーク「外は寒いねぇ・・・いつになったら春になるのかなぁ・・・いつになったら車椅子なしで
歩けるのかなぁ?  しかしこの舞台では  立った立ったクララが立った!!!
歌っていただきましょうクララ!!  氷雨!!!」
(紺野心の声)「神のご加護を!!!」
 飲ませてくださいもう少し ♪
(あ・・拍子抜けしてる人が何人か・・・)
 今夜は帰らない帰りたくない
(笑ってる人もいる!・・・やっぱだめなのかな・・・)
誰が待つというのあの部屋で そうよ誰もいないわ今では


119 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)13時13分37秒
(やっぱ下手だ!歌えん!!!逃げたい!帰りた〜い!!)
そう思い、ふと舞台袖を見るとジーク、ビリー、ハイジの3人が手拍子と共に
氷雨を口づさんでくれているではありませんか!
(一人じゃないんだ・・・舞台では一人だけど・・・)
外は冬の雨 まだ止まぬ ♪
下手は下手なりに必死で一所懸命歌い続けました。お客さんも「下手だなぁオイ」と思いながらも
手拍子して大人しく聴いてくれてるんですね。お客さんがイングランドのフーリガンなら
暴動の1つや2つ起きていたでしょうに。

酔うほどに飲んで あの人を 忘れたいから ♪
  忘れたいから ♪
120 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)13時20分58秒
 歌のの終盤を歌ってる頃までは憶えてたんですが舞台袖にはけるまでの記憶は
飛んでます。気付いたらジーク、ビリー、ハイジと手を取り合っていたんです。
ジーク「音痴だねぇ!!激ヤバイよ!!でも  情感こもってた!!」
ビリー「よく頑張ったね・・・これで君も一人前か?   お疲れ。」
ハイジ「歌ド下手やねぇアンタァ!!こっちまで氷雨だったで!でもみんな最後は真剣に
聴いてたよ!それでこそ相手に不足は無いっす!」

 意識が朦朧としていた私はハイジに
「あんたも「摘まれ」ないようにね。アハハ」
というのが精一杯でしたねハイ。
121 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月21日(金)13時30分39秒
 大会の最後の曲はジークが歌うモーニング娘。の「ミスタームーンライト」。
場内は大合唱で私もハイジとならんで大いにハジけました。

 その日の帰り道、私紺野は初めてハイジと一緒に帰ったんですがハイジの私服たるや
地味〜なスカートに地味〜なブラウスといういでたちで
 この子、ホントは田舎っ子純情娘でいままでの私への悪行も不器用さの現れだったんだな」
と感じずにはいられませんでした。
 「アンタ、今日の日の根性で私の正式なライバルと認めたる!!!」
「ビリーなんてくれてやるわ、私は次期店長だから。」
そんな会話をしながらの帰り道はすごく楽しかったんです!!

 「壁を乗り越えたものだけが味わう境地」とでもいうんですかね?
私の部屋の壁にハンガーで架けた「氷雨」衣装はキラキラと、明かりを消しても
輝いていました。
122 名前:学籍番号81982 紺野 (作者) 投稿日:2003年03月21日(金)13時45分30秒
>>110
 なんとか殺人犯にならずに済みました、はい。
ある意味奇跡が起こりましたから。
いつも読みにくくて御免なさい。

「野ばら」の日本語訳は某シューベルトサイトを参考にしました。
有難う御座いました。(實吉晴夫氏訳)

次回からはホテルニューモータニで働きます! 
123 名前:学籍番号81982 紺野 (作者) 投稿日:2003年03月21日(金)13時56分44秒
 毒ハイジが日本語で歌ったシューベルト「野ばら」。
バツイチ子供アリの椎名リンゴも二枚組アルバムでカバーしてます。いい感じですよ。
一度ご拝聴ください。でもこれはリンゴの宣伝ではありません。
124 名前:名無し 投稿日:2003年03月22日(土)00時20分17秒
感動です!
自分もパソの前でスタンディングオベーションを一人でやっていました。
林檎は自分も聞きました。
125 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)12時19分19秒
 「でー、君はいつからここでバイトしてんの?で、知ってたわけ?ん?」と
「料理の鉄人」の陳健一そっくりな警察の捜査員(生活安全課)に質問された時、
公園の鳩が豆鉄砲喰らったような顔してたのは認めます。ハイ。
 
(「知ってる」も何も・・・何のこと?  え? 何? )

そう、事件は突然起こったんです。奇跡のカラオケ大会から一週間後、意気揚々と店に
向かう私、紺野の真ん丸目玉に飛び込んだのは店の前に止まっている2台の国産車でした。
(ジークったら、いつから従業員の送迎始めたの?私の時はフェラーリF50にしてね。)
なんて呑気150%なことを思ったのもつかの間、店内で私が見たのは「桜の大紋」付きの帽子をかぶった
警察官、いや捜査員、いやお巡りさんだったんですねこれが。
126 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)12時30分11秒
 硬直してる私を見つけ、捜査員との会話を中断して私のところに駆け寄ってきたのはビリー柴田でした。
ビリーはいつもと違う生活感漂うジャージ姿で
「すまないクララ、今お上の手入れを受けてる。「ガサイレ」ってやつだ。「みっちゃん」
を雇ってるのがバレた。ジークは署に連れて行かれた。   知らぬ存ぜぬで通してくれ。」

「みっちゃん」というのはかの斜陽アイドル平家みちよの事ではなく密入国者の事らしいです。
よく解りませんが そういう事らしいです。
陳もどきに事情聴取される際に言われた言葉が今回冒頭の台詞です。
127 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)12時35分13秒
 (そういえば、やたらと濃い顔のムハンマドっていう女の子もいたっけ・・・イラン人?)
頭の隅でそう思いながらも陳もどきには知らぬ存ぜぬと通したのでした。でもしっかり
住所氏名はもちろん、電話番号(携帯もね)、好きなアイドルについても聴かれましたよ。

 ここでのバイト生活を通して私は知ってます。ジークは法を犯してまで営利を追求するような
守銭奴ではないと。ジークとムハンマドの間に言うに言われぬ事情があったのでしょう。
128 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)12時50分07秒
 ジーク飯田はムハンマドの家庭の事情かなんかを知ってて雇ったんでしょう!
そんなんでなきゃジークは・・・

 「これから警察署へ行くから。じゃまた連絡する。今日も可愛いよクララ。」
そういい残すとビリーは車(国産車)へ押し込まれたのでした。
 そうなのか、今私は騒動の真っ只中にいるのか。大変だこりゃ

ふとホールの端を見るとハイジが別の捜査員と話しています。涙目で泣きそうなのを堪えて
対応しているハイジを見るととてもいたたまれない気分になりました。

(ハイジ、貴女はド田舎から出てきたんでしょ?ひどい目に遭ったね・・・でもこれが都会の掟なの。
貴女が一回りも二回りも成長することを祈ります。都会には魔物が棲んでいるのよ。)

そんな私の心の言葉もハイジには届きません。ハイジはいつしか号泣していました。捜査員の前でね。
(ハイジ・・・これもいつかはいい思い出になるから。   わたしは平気だけどね)
129 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)13時04分12秒
 春近しといえどお空が暗くなるのは早く、陳もどきから解放された時には空は暗かった。
ハイジ「こんなごどになるなんて・・・」
私「今頃ジークとビリー、どうしてるかな?」
ハイジ「それを考えると辛い・・でもまあブダ箱に入ることはないわ。」
私「うん。ビリーが上手く立ち回るでしょうね。2人ともきっと大丈夫だよ!」
ハイジ「あ〜これでまた無職に逆戻りか〜あ痛〜!」
私「無職って事は   好きなことが出来るって事だよね。不況なんて糞だよね!」
ハイジ「ああ、糞だ! どうって事無い!明日からバイト情報誌とまたにらめっこか?!
辛いね〜」
 
私「辛くなんか無いよ!明日への充電だよ。  人生至る所に青山あり!」
ハイジ「へ?セイザン?」
私「まあ 逃げ道はあるって事!」
130 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)13時12分31秒
 ミスタームーンライト最寄りの駅でハイジ高橋とは別れました。
駅のホームを挟んでの読唇術合戦。
ハイジ「(元気でな!オンチクララ!成長しろよ!)」

 クララ(野薔薇畑で待ってるぞ!)

ハイジ高橋を乗せた電車はいつしか遠くへ・・・電車の灯が遠ざかっていく・・・
いいお嫁さんになるでしょうねハイジ。根はいい子ですから。

 そんな私はまたもやバイト誌とにらめっこ!
良さそうなの見つけた!ホテルの厨房スタッフ! 早速電話! 
131 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)13時22分38秒
 電話した際に指定された事務所へ向かう私、紺野。向かう先は巨大オフィス街!
その中のビルの中のテナント「ラブ美装」へと向かい、例のごとく面接を受けたのでした。
「ラブ美装」にて私に応対したのは・・・なんだかか平均年齢高っ!還暦?赤チョッキ?
一発採用だったんですが、私の仕事は「巨大ホテル厨房の鍋及び調理用具を綺麗にする係」
だそうです。
この際なんでもいい!粉骨砕身精一杯働くのみです!
兎に角頑張ります!




132 名前:学籍番号81982 紺野 (作者) 投稿日:2003年03月27日(木)13時25分48秒
>>124
奇跡の力ってややっぱ凄いですね。
ホテルでの労働も応援ヨロシク!!
133 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年03月27日(木)13時27分49秒
次から「ホテルニューモータ二」編開始します。
よろしく!
134 名前:名無し 投稿日:2003年03月27日(木)23時34分29秒
斜陽アイドル……なんだか胸に響く言葉です。
しかしまたもや危険の匂いのするバイト先へ…さすが紺野さんです。
とりあえず一仕事ご苦労様でした。
135 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月05日(土)14時07分42秒
春の訪れを告げるような優しい青空の下、私は聳え立つシロガネの建物を見上げていました。
そう、それは「ホテル ニューモータニ」!私、紺野の第三のバイト先!

 ああっ、眩しい・・・眩しいのはモータニの建物のせいか、はたまた空の青さが眩しいのか・・・

両方でしょう。最近ゲーム(FFX−U)のし過ぎで目が弱ってるのか、晴れた空を直視すると
眩しく感じるんですよ、ハイ。

 早速ホテル内部に入場してみました!眼前の広がる巨大なロビー、豪華なシャンデリア、
足に優しいフカフカ絨毯。待ち合わせのためのソファーやテーブルもきっと海を越えてやって来た物
なんでしょうね・・・。    風格が違うよ風格が。
 
 ミスタームーンライトのギラギラした感じとはまた違った煌びやかさでした。
136 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月05日(土)14時20分34秒
 嗚呼!ここで働くんだ!やったぜ自分!
 意味は違いますけど、「凱旋」って感じの堂々さでフロントへまっしぐら。
「あの〜、今日からここで働かせて頂く紺野といいますが、どちらへ行けば?」

「バイトでございますか?紺野様ですね、失礼ですがどちらの会社の・・・?」

「ラブ美装です。」
「ああ!ラブ美装様でございますか。鍋洗いの方でございますね!でしたら一旦外
へ出て頂きまして裏側へ廻っていただくと従業員入口がございますのでそちらから・・・」

 明らかに雲行きはダメ×2モードに。ビートマニアで言えば曲が途中で転調して速くなり、
グレート100コンボ浮かれモードだったのが一気に赤ゾーンに!って感じです。

  「(え?一旦外へ?せっかくのこの夢見る世界から出るの? ウワーン)」

137 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月05日(土)14時32分39秒
 フロントマンの指示どうり退場して裏側へ廻ると、ありましたありました。
地下へと降りる階段が、夢の終わりを告げることになる階段が。その横には

      ホテルニューモータニアルバイト専用出入口

 でも私はまだ希望を捨ててませんでした。大根の葉っぱ部分と希望は捨てちゃいけないんです!
ミスタームーンライトの時みたいなドレスは無理でも、ホテル従業員のあのプチ可愛い制服や至極
小奇麗な仕事場はまだ心の中にあったんです。

 しかし階段を降りきった私を迎えたのは白いシャツに白いズボン、おまけに床まで届きそうなデカエプロン
を着けた小柄なおじいさんでした。

「(え?何この人、仙人?)」 

「おお!君が紺野さんか!よう来た!さっきフロントから電話があってな。ささ、こっちじゃ!」
じいさんは続けます。
「新入りは女の子とはなぁ!まあいい。君と年の近い女の子も二人居るぞい。話もあうじゃろうて。」

この「白仙人」は私を案内し始めました。
138 名前:学籍番号81982 紺野 (作者) 投稿日:2003年04月05日(土)14時34分01秒
>>134
 有難うございます。
失望の臭いがします。
また近々更新します!
139 名前:名無し 投稿日:2003年04月05日(土)21時40分16秒
FF、ビートマニア…気持ちがわかってしまう自分が悲しい。
誰が出てくるのか酷く楽しみです。
140 名前:学籍番号81982 紺野 (作者) 投稿日:2003年04月09日(水)15時20分57秒
 このバイト決まった時はどんな業務や場所でもいい、頑張る  とは思ったものの
この白仙人の格好を見るとフロントで見た光景との落差に落胆したのも真実でした。
 しばらく進むと私の目の前には大きなホテル厨房、いわばコックの仕事場が広がったのでした。
「(大きい!小学校の体育館くらい大きい!すごい!)」
「大きいじゃろ。ウチみたいな大ホテルになると宴会場の調理場の規模はこのくらいないとのお。
ここが君の仕事場、いわばオフィースじゃよ、ここで頑張ってもらうからのお。ワハハ!」
 
 白仙人はその村山元首相ばりのフサフサ眉毛を揺らしながら笑います。
その笑いに包まれて我が紺コンは「キボウ シボウ」のメッセージを弾き出したのでした。

 「(ああ・・・プチ可愛い衣装が・・・・・こんなオチ?)」

気が遠くなっていきました。
 
141 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月09日(水)15時38分16秒
 「(「オフィース」の「ー」は余分ですよ白仙人。)」
「さっそく働いてもらうぞい!さあ着替え部屋へいくぞ!」
テンション160パーセントの白仙人。

 白仙人に案内され、通路からの自動ドアを抜けるとそこはホテルへの荷物搬入口でした。
地上へと続くスロープの上にはトラックが待機しています。広い空間にはイベントで使用した大道具や
マネキンといった、廃棄されるであろう物が所狭しと並んでおり、その横ではトラックから次々と食材が
運び出されておりました。

 なんか「雑」な空間・・・

 なんと着替え室はその「空間」の隅にあり、白仙人が重たそうにドアを開けると
やっぱりそこは着替え室でした。ロッカーも並んでたし。しかも男女共用。
でもなんか「倉庫」って感じ。
 
 ご丁寧に私、紺野用の巨大エプロンと白シャツ、白ズボンが用意されてましたね。ハイ。
着替えが終わり、白仙人ならぬ白紺野の誕生です。

 がっかりし過ぎてため息もでない。 

 
142 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月09日(水)16時02分48秒
その私の見た目といえば、そう、ドラクエVの「そうりょ」。体を覆い隠すエプロンは
まさに「そうりょ」。青くないけど。

 「このエプロンが優れものでのお、水を一切通さないんじゃ。わはは。」

(機能の問題は別としてこれはカッコ悪いでしょう白仙人。前職の衣装のことを
思うとこれは辛いよオイ。)
 
 「ジンセイアマクナイヨ」テレビでお馴染みのゾマホンもそう言ってましたよね。

  あんた正しいよゾマホン。

その約5分後、私と白仙人は厨房隅っこの鍋洗いコーナーにいました。
想像上の私、紺野はヴェルサイユ宮殿みたいなとこでプチ可愛い制服を着てシャボンに包まれて
高価な食器を洗っていました。それなのに嗚呼それなのに。

 「さあはりきって教えていくぞい!!」
「(テンション高っ!!身長低っ!!!)は・・はい、よろしくお願いします。」

 ふと、鍋洗いコーナーから10mくらい離れたとこに2人の女子がいるのを発見。
一人は赤い野球帽を目深に被った金髪の人で、デザートのお菓子を一生懸命作っていました。

 (うわ〜、おいしそ〜)

 
143 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月09日(水)16時13分54秒
 もう一人はお下げ髪の背の低い可愛い子で・・・ん?人参で何か彫刻してる!
あれって中華料理で出てくるやつでしょ?見たところ   龍ですよ龍彫ってる!
すごいすごい!

 お菓子とドラゴンに見とれ、白仙人の話は全く聞いてませんでした。

「うわの空かの?」その声に振り向いた私の眼前にあったのは白仙人の顔でした。
「ごめんなさい!聞いてませんでした!」
「ムハハ、まあよい。あの子らが気になるんじゃな。紹介しようぞ。お〜い!ひとみ!野埜!」

 白仙人が呼ぶと2人の女子は手を止めてこっちに駆け寄ってきたんです!
(え?白仙人ってここの権力者なの?)

赤野球帽「は〜い、何?爺っちゃん。」
チビ「なんですか?おじじさん。」 
144 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月09日(水)16時31分04秒
 「おじじさんはやめろっちゅーに!」

チビ「はい、ごめなさい。えへへ」
赤野球帽「この子っすか?爺っちゃんの新しい部下は。」

「そう!今日からここで働く紺野さんじゃ!皆仲良くな!」
紹介されるからには直立不動の私でした。

 赤野球帽「巨大超有名ホテルニューモータニ厨房でお菓子を作ってるハイパーパティシエこと
吉澤ひとみです!よろしく鍋洗い!」
 チビ「食材の装飾つくてます。劉 野埜といます。「のの」とよんでくさい。
吉澤「くさいじゃ臭うでしょ!ウンコじやん!「よんでください」が正しい日本語。」
野埜「あ そうでした。 よんでくだっさーい!」

 「紺野です。わからない事ばかりなので色々教えてください!頑張ります!」

「皆仲良くな!おい吉澤、厨房でウンコはNGワードじゃろウンコは!」
吉澤「あ、ゴメン、でも臭いといえばウンコじゃん。」
「まあいい!作業開始じゃ!」「はい!」
人生ケセラセラですよね。なるようになります。ここで頑張る気になりました。
同年代の女子がいて私も少し安心したしね!

 
145 名前:学籍番号81982 紺野 (作者) 投稿日:2003年04月09日(水)16時35分37秒
>>139
 いつも有難うございます!
女子が2人いたので頑張れそうです!
146 名前:名無し 投稿日:2003年04月09日(水)17時53分49秒
半端じゃない二人組みですね。
紺野さんが太ってしまわないことを願っています。
147 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月21日(月)01時23分33秒
今日、序盤戦をよまさしてもらったんですが、
松永グローブ、めっさツボでした。。。
アディダス製でめっさカッコ良かったなぁ。。。。
148 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)16時16分08秒
 「さてと! じゃあ少しづつ教えていくかの。お前さんも知ってのとおり、ここは
主に宴会に出す料理を作る厨房じゃ。その際に出た洗い物、つまり鍋や濾し器、レードルとかを
綺麗にして元の場所に戻すんじゃ。只それだけだけど結構シンドイぞ、頑張るのじゃ。」

 なるほど、シンクに溜まってる洗い物はどれも結構大きい。その分シンクも大きい。
カップや皿などといった小物は皆無でした。あ、そうそう、レードルっていうのは要は「かき混ぜ棒」ですよ。
私は「ビーファイター」のレッドルを連想してしまいました。
149 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)16時31分34秒
 白仙人によると午前中は洗い物は少なく、昼を越えると急に多くなっててんてこ舞いに
なるそうです。

 「じゃあこのプレートから始めるかの!」白仙人は台所用手袋(あの長〜いやつね。)
を装着し不敵すぎる笑みを浮かべたのでした。

 この洗い場では一つ一つタワシで洗うというようなまどろっこしいスッとろい事はしないんですよ。
巨大なウォーターガン、つまり「業務用水鉄砲」で汚れを剥ぎ落とすんです。
 私、紺野も白仙人にならい、水鉄砲を手に、シンクからプレートとやらを1枚引き上げたところ、
0.14秒で鼻を突くゲロ臭。

 「(え??何この匂い!ここは新郎新婦にゲロ食べさせてんのかい!?)」
その元はプレートにこびり付いた、 何でしょう、ミニグラタンでしょうか? グラタンっぽいソースが
等間隔にこびり付いていました。これがゲロ臭の正体、いわば私紺野への洗礼。隣では白仙人が鼻歌混じりに
嬉々として水鉄砲を高橋名人(はたまた毛利名人?)よろしく連射し、次々とプレートを綺麗にしてゆきます。
150 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)16時42分06秒
 そのプレート約20枚が終了するといつのまにかシンク内に置かれていた、
熱で可哀相な位にひん曲がったステーキ用鉄板約15枚!こっちは手強く、水鉄砲でも
時間を要しましたね、ええ。 飛び散る水飛沫、広がるゲロ+焦げ臭。

 「お前さんは鉄砲で大まかに汚れを落としてくれ。後はワシがタワシで擦るからの。」
どうやらタワシは最後の手段だそうです。それにしてもこの鉄板重っ!

 人生初めての肉体労働は続き、あっという間に時間は午前11時54分。

「メシ喰ってこい。向こうも一息つくみたいじゃ。」

ふと顔を上げると2人の女子が近づいて来てました。

吉澤「メシ喰いに行かない?」
野埜「ご飯の時間が来ました!」

 白仙人は霞でも食すのか、仕事を続行してたので私達3人は「メシ」へと向かったのでした。
151 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)17時00分59秒
 厨房と同じフロア、(と言っても地下ですけど)には従業員用の食堂と売店があり、
吉澤さんはピザパン3つ、キムチベーグル2つとダイエットコーラ、野埜ちゃんは焼きそばパン2つ、
メロンパン3つと同じくダイエットコーラを購入。2人ともこんなに食べるのにダイエットコーラとは泣かせますね。
私はカレーパン1つとアイスティー。  まだダイエットは必要ありません。

 吉澤「こんだけで腹いっぱいになんの? マジで? 悩み事あんの?」
野埜「ダイエット中ですか? いい漢方薬ありますよ。」

 悩み事も無いですし漢方薬も要りません、ただ  パン5つ食べるだけの胃袋は生憎持ってません。

そんな3人(どんなんだよ!)はエレベーターでホテル屋上へと向かいました。
152 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)17時26分41秒
 「あ〜!気持ち良い!晴れてますね!」
吉「だろ?いつもメシはここ!」
野「あ、あのベンチが空いてますよ。座るですよ」

 3人は黙々と「メシ」を食べていたといころ、口火を切って
 野「ときに紺野さん、貴女の夢ってなんですか?聞かせてくさい」
聞かせてくさい  あのゲロ臭が脳裏に思い出されました。

 「夢 ですか?  特にないです」
すると3つめのパンにとりかかっていた吉澤さんが
 
 「夢が無いだって? そりゃいかんねぇ。 自分が無いのと一緒じゃん!」
「は、  はぁ。」

 
153 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)17時42分11秒
 吉「センチュリーランドって覚えてる?自分もあそこで働いてたんだ。潰れる直前までね。
ショーに出てたんだ。アイドルになりたくてね。」
 「センチュリーランド?  あ、小さい時に何度か・・・ 経営陣の怠慢で潰れたとか・・・」
吉「経営陣の怠慢か・・・そう見えるかな・・・でも経営陣だけでなくってみんな頑張ってたんだよ
あん時は。今でも思い出すとしんみりするよね〜。」
 「そうなんですか。」
吉「浅ヤンに応募しなかった自分も悪かったんだけどね、ハハハ。何とか自分達のセンチュリーランドを
立て直そうと色々やってみたんだけど  ね。  ダメだった。」
 センチュリーランド・・・そういえばそんな遊園地あった・・・吉澤さんは続けます。
吉「あそこが潰れて途方にくれてた時にテレビでパティシエの番組やってて、
それを見た次の日にはもうその手の学校に入る決意をしてね。そこで頑張った結果、
いまじゃモータ二のパティシエさ。 この仕事は楽しいよ。人生至る所になんとかってね。」
 
154 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)17時49分24秒
 「人生至る所に青山あり」ですよ吉澤さん、まあ生きてりゃ逃げ道あるってことですよ。
吉「本当は、本当はアイドルになって死ぬほどチヤホヤされたかったんだけど、今のこの仕事で
自分は満足。  夢って何かを捨てて生きてきたご褒美みたいなもんさ。」
 「は、はい、なんとなく解ります。」
吉「世界一のパティシエになるのが今の自分の夢なんだ。センチュリーランドで一緒に働いてたみんなは
いまでも頑張ってるよ。」
 そういうと吉澤さんは1枚の写真を見せてくれました。ショーのお仲間でしょうか、みんな良い顔してます。
何かをやり遂げてまた新しい目標に向かうような。 
155 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)17時58分54秒
  「夢って何かを捨てて生きてきたご褒美みたいなもんさ。」
・・・・そうなのか・・・
 吉「そうそう、この野埜だって一人っ子政策かなんかで親がジャンジャン投資してくれて
日本で勉強させてくれてるんだって。見たろ?あの彫刻、結構評価されてるらしいよ。」
 野埜ちゃんはメシ全てをいつの間にか食べ終え、空を行くヘリコプターと凝視してました。
中国ではヘリがめずらしいのかな?
 吉「こいつもこの年代じゃあ家族や友達と一緒に楽しく過ごしたいんだろうが、親の期待もあって
今は異国の地で・・・  まあ本人も望んだ事だろうけど。」

 いつのまにかヘリは空の彼方へ・・・
野「紺野さんもなりたい自分を探すべきです。そのために過ごす時間は無駄じゃありません!」

さっきまでヘリ見てたくせに・・・  まあ間違った事言ってないね。

156 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)18時12分55秒
 吉「まあそういうこと! なあ紺野、人はなぜ炭酸飲料を飲むか解るか?」
「(え?)喉のシュワシュワ感を楽しむ為ですか?」
 吉「ブッブ〜、  心地よいゲップをするためさ。シュワシュワはおまけ!」
確かにゲップは心地よいけど・・・
 吉「死ぬ時もそのゲップといっしょ!いい死にかたをするために人は生きてるんだよ!
その最後のゲップが大きいほど満足だろ?」
 解るような解らんような・・・兎に角満足できる大ゲップを「最後」にできるように
生きていったらいい   そうですよね吉澤さん?
157 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年04月24日(木)18時17分41秒
>>146
読んでいただき有難うございます!

パン5つなんて  食べれません

>>147
有難うございます!
何かで載ってた「松永成立物語」でドーハの悲劇のシュートについての台詞
「飛べるもんなら・・・飛んでましたよ・・・」
には痺れました。結局日本はアメリカ行けなかったけど。
158 名前:名無し 投稿日:2003年04月24日(木)21時56分44秒
生きることとは死ぬ事と見つけたり!
吉澤さんに男を教えてもらいました!
オッス!!
159 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月20日(火)03時26分11秒
あげ
160 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月04日(水)22時09分38秒
更新期待sage
161 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月07日(土)11時45分47秒
 さて、豪勢な昼食を終えて例の地下厨房に戻ってきた私達3人を待っていたのは・・・
吉澤さんが午後の宴会のためのデザートの準備。どうやら苺を使うらしく、ザル一杯の
「佐賀とよのか苺」を運ぶ吉澤さんはまるでお洒落な雑貨屋で売ってるような絵葉書の絵のようでした。
恥ずかしくない美貌をお持ちなのに大食は危険ですよ〜。

 一方野埜ちゃんは太目の大根を数本目の前に並べ、腕組みをしてなにやら考え中。その目は何か楽しそう。
それにしてもあの食材彫刻ドラゴンは見事でした。傍から見ると遊びのようですが仕上がりがあんだけ見事だと
野埜ちゃん程の技術があれば    許します。

 
162 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月07日(土)12時02分19秒
 さて私、紺野には・・・言うまでも無くシンクからはみ出ん\\ばかりの洗い物の山、
山、そして最後にもいちど山。
 「お、来たな!休憩は終わりじゃ!どんどん片付けていってくれ!」 白仙人の怒号。

(あの2人とはやっぱ差があるよね・・・  これもバイトの辛さかい? ああ階級社会!)
仕方なく乗車率120%の年末年始の東北新幹線(緑色のやつね。)のようなシンクに向かいました。
 
 私はタワシと例の水鉄砲を駆使しながら「幸せな宴会場に幸せな料理を提供する」という崇高な
役目を束の間ながら終えた鉄板やプレート達を一枚一枚洗い続けるのでした。
 まるで写経のようです。ちなみに紺野家は浄土宗です。白仙人が住職に見えてくるから不思議です。

 単調な仕事をこなしつつ快調に仕事をこなす私、天才紺野は波に乗ってきてあのハイジ高橋が熱唱した
シューベルトの「野ばら」の鼻歌をドイツ語で歌いだしたその刹那、天才ゆえの私の余裕の世界を「キャプテン翼」の
早田くんのカミソリシュートよろしく切り裂いたのは一陣の怒号でした。


 「だ〜か〜ら〜!!!(「ら」の部分は舌を巻いて読んでね)何度も言わせんなよ!!!」
163 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月07日(土)12時21分29秒
 ニューモータニみたいな名門ホテルの厨房で働く優秀な(ですよね?)シェフであろうと
人の子です。仕事中にあんなチンピラみたいなタンカ聞いたらビクッとするでしょうに。
その声の主は予想どうり吉澤さんでした。厨房にいた全ての目はその大声の発信地に。
どうやら吉澤さんの「相手」は痩身高身長の一人の若い男性パティシエのようです(恐
  
 (あっ!掴み合いの喧嘩が始まる!どうしよう!)
思わず「野ばら」も止まり、手も止まってしまいました。

 野埜「ああ!おじじさん!また喧嘩おっ始めてしまったよ!止めてください!」
(そうそう!やばいよ!止めさせてよ白仙人!)
周りのシェフ達が見て見ぬフリするのも変でしたが白仙人も手を止めなかったのも変でしたね。はい。
 
 見るに見かねたシェフ達が何とか仲裁してその場は収まったんですが、闘犬と化した吉澤さんはツカツカと厨房を離れて
しまいました。痩身高身長のパティシエは乱れた服を整えながら吉澤さんの方を見向きもせずにデザートの準備に
取り掛かっていました。
164 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月07日(土)12時28分59秒
 こんな時、好奇心旺盛といいますか、物見胡散といいますか(いい意味でね)
私の血は騒ぎ、白仙人に対して 
 「ちょっとすみません、トイレ行ってきます!」
 彫りかけの大根を置き、「野埜も!」
白仙人は全て悟ったのでしょう、「よかろう、言って来い。おぬしらが受け止めてやれ。」

 もちろんトイレになんか行きません。私達2人は吉澤さんの大きな背中目指し、
駆け出したのでした。
 
 シンクには山積みの洗い物。野埜コーナーには彫りかけの大根。
まだほんの数時間しか一緒に居ませんが同僚は同僚です。
放って置けないです。
165 名前:学籍番号81982 紺野(作者) 投稿日:2003年06月07日(土)12時30分45秒
 更新終わります!
気付けば約一ヶ月半更新してなかったです。

 読んでてくれた皆様、ごめんなさい!
166 名前:名無し 投稿日:2003年06月07日(土)16時16分44秒
更新キターーー!!
吉澤さんの暴れっぷりに期待です!
167 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月13日(金)06時39分29秒
庚辰乙!
こちらはマターリ待っとりますぞ。

しかし、紺回のこんこんは「熱い」ですな。
168 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月14日(土)19時23分11秒
 (猛牛パティシエール吉澤を追う2人、その頃厨房では・・・)

 年の頃なら30歳位のシェフが作業を止めてあの痩身高身長で吉澤に怒鳴られたパティシエに
近づいた。

30歳位のシェフ「中島ぁ、またやらかしたなオイ。 そんなに吉澤に気があるんか?」
痩身高身長パティシエ(以後中島)「ちょ、ちょっと勘弁してくださいよ吉田さん、あんな男女こっちから
願い下げですよ!仕事上の意見の相違です!だってあいつ・・・」

吉田「わ、わかったわかった。んなことは判ってるさ。 で、内容は?」
中島「聞いてくださいよ吉田さん!」
吉田「だから、 こうやって聞いてるんだけど。」
中島「あ、すいません。昼からの婚礼に出すケーキが焼きの段階に入ってるんですけどね、
あいつったら! あいつって吉澤の事なんですけど」
吉田「知ってるよ」
中島「あ すいません。プレートに自分が4×10個の40個並べて焼こうとしたら
   奴が・・・あ、奴っていうのも吉澤のことです。」
吉田「しつこいぞお前。(笑)」
169 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月14日(土)19時37分51秒
 中島「あ、すいません・・・  いきなり険悪な顔になって3×8個の方がいいとか言って
ケーキを並べ替えたんですよ!僕はこっちのほうが効率がいいのでそうしたんですけどね。
こっちが何を言っても聞く耳持たずですよ。それでいきなり・・・   怒鳴られて・・・吉澤と言い合いになるのは
これで一体何度目か・・・何とかしてくださいよ!!僕のフランス行きが・・フランス行きが・・・」
 吉田「お前の中ではもうフランス行き決定かよ。夢見がちな男だなお前も。俺は菓子の事はよく判らん。お前の言い分も判る、
時間の勝負ってとこもあるからな俺等の世界は。でもあのお嬢ちゃんにもなにか考えがあったんだろ。
しかし・・・ドスの効いた声だったなぁオイ。」 
 中島「パティシエとしての実力は僕のほうが上と思います!僕の父もお菓子職人だったし、サルブレッドって言うんですかね?
そんな詰まらない事で詰まらない喧嘩ふっかけないでほしいですよ!」
170 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月14日(土)19時59分33秒
吉田「サラブレッドだサラブレッド。 サルブレッドは猿が食べるパンだろう。まあとにかく
この前みたいに殴られなくて済んだのも不幸中の幸いかもな。お前は実力もある。まあ、がんばれよ。」
 中島「はい!有難うございます!  頑張りマッスル!」

吉田は持ち場に戻り、中島はまたプレートにケーキを並べ始めた。「自分が正しい。」とでも言うように。

 「ちょっとええかの?」孫に会いに来たものの都会の喧騒に戸惑い、道を聞く老人そのものの風体で
声をかけたのは白仙人(BY 紺野)だった。

 中島「 ? 洗い場のお爺さん。なんですか?」
白仙人「お前さんたしかケーキを4掛け10とか言っておったがそれはホントか?」
 中島「聞いてたんですか・・・耳は達者なようで・・・たしかにそうですが何か?」
白仙人「ヌハハハハ そんなことしてるようじゃお前さん、あの小娘に負けるぞい。ヌハハハ!」
 中島「 !  な、何を根拠にそんな! 第一時間が・・」
171 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月14日(土)20時07分09秒
白仙人「だまらっしゃい!」
 中島「(ビクッ!!)大声は体に毒ですよ!」
白仙人「時計を見てみぃ・・・」
 中島「時計?   午後1時17分ですが?」
白仙人「4掛け10でも3掛け8でも2時半からの結婚式に間に合うのぉ、微妙じゃが」
 中島「ああ、そうです。でも早く焼きあがったほうが・・・」
白仙人「だまらっしゃ〜い!!!」
 中島「(ウルサイなぁこの爺さん!)な、何か意見でも?僕はモータニのパティシエですけど?」
白仙人「そんなことはどうでもよい、ケーキを焼く数によってケーキへの直接の熱の伝わり方が違うのはご存知か?」
新郎新婦や式の出席者もいい感じで熱の通ったケーキを食べたいじゃろが。」
ちょっと目の怖い白仙人。
白仙人「それだけではないぞ。そのケーキにのってる苺見てみぃ。美味そうじゃろが。」
 中島「ああ、たしかに。」
白仙人「その苺はなぁ、佐賀の契約農家が特殊な栽培法で育てたモータニだけのスペシャル苺なんじゃ。
そのままでも美味いが熱の通し具合によってはより甘みが増してたまらん味になるんじゃ、知ってたか?」 
172 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月14日(土)20時21分10秒
 中島「それは  話には聞いてましたが、婚礼のケーキでしょ?どうせ大して味わって
ないと思いますよ。そんな事言いに来たんですか?」

白仙人「そうじゃ。    まあ   精進しなされ。」

それだけ言うと白仙人は持ち場に戻った。
          「まだ甘いのぉ・・・」      と言い残して。

その白仙人にいつの間にか駆け寄る吉田こと30歳位のシェフ。
 吉田「お見事です浅野様!自分もそれは初耳です!ああ言われたら何も言えませんよマジで、さすが我がモータニ初代総料理長
浅野 軍璽様のことだけはありますね!噂には聞いております!」
白仙人(こと浅野 軍璽)「それを皆にいうでないぞ吉田。あの若造は少し問題ありだが教育次第では伸びるぞい。先輩のお主が
厳しく指導してやるがいい。あの若造には悪いが今度のフランス研修にはあの吉澤を推してやるつもりじゃ。中島の事はお主に任せたぞい!」

 吉田「はい!謹んで!!あの中島を一人前に!」
173 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年06月14日(土)20時28分08秒
 通路にて

野埜「としざわさん!またどうしたんですか!? 何があったんですか!」
紺野「(としざわ?え?)吉澤さん!争いからは何も生まれませんよ!!
イラク戦争を見たら明らかじゃないですか!私達に話してください!!」

吉澤「あーーー!ムカつく!  チキショーーーーー!!!」
174 名前:学籍番号81982 紺野(作者) 投稿日:2003年06月14日(土)20時31分39秒
>>166
 有難うございます!
どうやら暴れる癖があるようです あのパティシエールには。
>>167
 有難うございます!
やっぱあの怒号を聞いた日にゃ黙ってられないです。
175 名前:名無し 投稿日:2003年06月14日(土)22時22分31秒
中島は自分の中ではサザエさんのカツオの友達をイメージして見ていました。
176 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月17日(火)21時19分59秒
こんこん一言だけかよっ!
てゆーか、ののもよっしーもか…。
しかしたまには紺なのもアリかも?
177 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月11日(金)01時22分30秒
 エプロンをかなぐり捨ててその雌牛は通路を突進していきます。通路を歩く他の女性従業員とは
体格が違うよ体格が。なにかぶつぶつ(恨み言でしょうか?)いいながら何処かへ行こうとするこの
暴れん坊を止めようっていうんですから大した根性ですね。私、紺野ともう一人の中国人少女は。
吉「離せ!離してよ!もう帰ってやる!!ムキィーー!!フンガァーーー!!!」
紺「(ムキィーーー ってアンタ漫☆画太郎のマンガじゃないんだから・・・
   それにしてもすごい力・・)」
野埜「ぼ、ぼ、ぼうりょくはんたーい!」
 猛り狂う吉澤さんを私たちチビッ子2人が捕獲、いや止めるのは至難の業。
しかしなんとか引きずる様にして物品搬送所まで連れて行きました。吉澤さんはそこに停まっていた
10トントラックのドアに拳で風穴を開けたんです。バレない事を心から神に祈りました。
神様を信じたくなったのは生まれて初めてでした。はい。
 チビッ子2人に引きずられる恥ずかしさに吉澤さんは少し正気を取り戻したのでしょうか。再び人間の
言葉で話し始めました。
 吉「フゥ・・・・・・いつもあいつは、あいつは表面しか見てないんだよ!何事も表面だけを!」
178 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月11日(金)02時54分15秒
 確かに、物事の本質を捉えない、捉えられない人は大局で失敗するといいます。
前のバイト先のジーク飯田さんもそんな事を言ってました。しかし今は状況が読めない分、
暴れ牛、いや吉澤さんの言ってることは・・・どういうことなんでしょうか?
 野埜ちゃんはさっきから真っ青な顔でトラックのドアに開いた風穴を見ています。
紺「(コラ!見ちゃだめ!バレる!関係ない振りをしなさいってば!!)」

 ようやく落ち着いた吉澤さんはその血の滲む拳をさすりながら事の真相を話してくれました。
ケーキの焼き方に関する意見の相違、ニューモータニからのフランス研修にすっごく行きたいこと、
将来自分の店を持ちたいこと、センチュリーランドの仲間たちと「夢を叶えて再会する」と約束したこと・・・・
はあ・・ちょっぴりセンチになってる吉澤さん。やっぱり女性だたんですね。
ちょっと応援したくなってしまいました。
 
179 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月11日(金)03時25分20秒
 紺「そんな大きな夢と素敵な約束があるんだったら多少のことで足踏みするわけにはいきませんね。
後味悪いじゃないですか。さっきのことはさっきのこと、さあ戻りましょうよ。ね。」
 吉「でも・・フランス行きはどうせ無理だよ。ライバルの中島、あいつの親父はこの世界でもすごい
人なんだ。正直半分諦めてる。あいつとは土壌が違うよ。」
 野「どじょうってあの細長い魚ですか?」
空気を全く読まない野埜ちゃん。 
紺「スタートラインが違うから負けるんですか?ひょっとして逃げてるんですか?そんなの
理由になりませんよ。」
今思うとこんな恐ろしい挑発的な台詞をよく言えたもんです。
 吉「んあ!?逃げてなんかねえよ。自分の腕には自身が・・・」
紺「じゃあ大丈夫ですね。それでこそ吉澤さんですよ。今日あったばかりだけど。
まだまだやるべきことはあるでしょうに。みんな貴女を待ってますよ、。さあ立って。」
180 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月11日(金)03時29分35秒
 吉澤さんの顔つきが変わりました。戦う男の顔ですよ。 
吉「くそっ、逃げるもんか。正々堂々ぶちあたってやるさ!」

      言っちゃ悪いが少し単純な人ですね

「正々堂々」という言葉が世界一に合う戸籍上の女、吉澤さんはついに職場復帰を飾ったのでした。
駄々っ子をなだめる保母さんのように私たち2人は人間に戻った吉澤さんと共に厨房への通路を歩いていると、
視界に入ったのは吉澤さんのエプロンをもって立っている白仙人でした。
白「おお、戻ってきたか。機嫌はなおったか?ん?エプロンを捨てるとは行儀が悪いのお」
すべてを許し、そして包み込む白仙人の笑顔、あんたいったい何者?
吉「ごめんじっちゃん、もう少し頑張ってみるよ。 もうエプロンは投げない。」
生まれ変わった顔つきで颯爽とエプロンを身に着ける吉澤さんでした。男らしいです。
白「そう、その意気じゃ。しかし、おぬしもいい仲間を手に入れたのお。」
その言葉も聞かないうちに吉澤さんは仕事に戻っていました。
181 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月11日(金)03時30分20秒
 ウインクを交わす私、紺野と野埜ちゃん、命の無事を再確認。
 白「紺野、これでおぬしもモータニの一員じゃな、さあ洗物がたんと待っとるぞい。」
野「うわー、相変わらず山積みですよ〜、くわばらくわばら」
どこで覚えたんだそんな日本語。
紺「はい!お待たせしました!現場復帰します!」
午後の婚礼まであと少しです。   
182 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月11日(金)03時39分04秒
 小説は 更新しなけりゃ 倉庫行き 即興で書くのも どうかと思うよ (字余り)
                                       紺  野
>>166
有難うございます!  暴れられたらちょっと困ります
>>167
有難うございます! 約1ヶ月マターリさせてしまいました

 更新は 早くしようと 思います 読んでくれる人が いると思えば(字余り)
                                     紺  野
 
183 名前:名無し 投稿日:2003年07月11日(金)18時12分34秒
更新乙。
よっすぃー復活!オメ!

そして今回のレスはする場所間違っていますよ紺野さん(w
184 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月12日(土)02時53分23秒

川o・-・)ノ<完璧です!

の、ハズなのに…。

まぁ、レスを二重につけても、
目に余るほどの字余りな短歌でも、
マターリマターリお待ち申し上げておりやす。
庚申乙ですた。
185 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月23日(水)00時50分22秒
 一昔前の青春ドラマのような一幕でした。本来なら夕日に向かって駆け出すのでしょうが
なんせここは地下の厨房。時間も昼過ぎなので無理でしたね。

 よくよく考えてみると・・・私、紺野にはこれといった目標、夢が無いことに気づきました。
吉澤さんに、そして野埜ちゃんにも確固としたそれがあるのに。
ただお小遣いがほしい、新しい世界が見たい、と始めたバイト生活ですが・・・これでいいのかな?
お金は得てもただそれだけじゃあ・・・
私も吉澤さんのように自分を突き動かす何かがほしい。暴れたくはないけど。

 もし私、紺野が司馬 遼太郎なら、難解な言葉を並べて今の私の漠然とした状況を
言葉にするんでしょうが、いくらこの私でもそこまでは無理無理。

 もし私、紺野が坂本金八(武田テツヤ)なら、部屋に飾った坂本竜馬の写真に向かって
心情を吐露し、気が楽になるんでしょうが、生憎私は竜馬信者ではありません。
 
 私も将来の事を真剣に考える時期になったんでしょうね。
こんな私ってカッコいい。
186 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月23日(水)01時01分48秒
 居酒屋の石川さんと里田さん、大谷校長。
ジーク飯田(行方不明)にビリー柴田(行方不明)、今でも連絡を取っている
ハイジ高橋さん。今まで知り合った人たちは今の自分をどう考えてるのかな?
私の年代の時には夢や目標があったのかな?一度聞いてみたい。
 少なくとも今の私は吉澤さんや野埜ちゃんからちと取り残されてる模様。
たしかソ連のレーニンが「10年後のことを常に考えろ」といったとか。
そこまでしなくてもいいでしょうが。今だけの事を考えてたらきっと・・・なんか
しっぺ返しがありそうで・・・
187 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月23日(水)01時59分22秒
 ともあれ、初日は終了して女軍団3人は一緒に帰ることにしました。
待ち合わせの場所はホテル横の地下への階段。
 ああ・・・・なんかこの階段を下りたのもなんかずっと前のことの様に感じます。
「紺野さん、おまたせしました!」と野埜ちゃんが現れたのですが、地味〜な茶色の
Tシャツ、その胸には「HAPPINESS byNY club」だって。下はキュロットスカート。
流石中国3000年の歴史、関羽もびっくりです。
しかし、Tシャツの文字って難しいですよね。そのセンスが問われるわけですから、
クールなお洒落とダサダサとは紙一重のような気がします。
「ハッピネス バイ ニューヨーククラブ」ってのはまったく意味不明で後者ですね。
188 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月23日(水)03時22分05秒
 「お〜う、お疲れ〜」という声と共に登場したのはもちろん吉澤さん。
ピーコじゃないけどファッションチェックをしますと・・・
 胸に「男気」、背中には「大仁田」の文字と大仁田敦の顔がプリントされたTシャツ。
下はもちろんジャージ、しかも「吉澤」の刺繍付き。間違いなく高校のジャージです!
さすが吉澤さん、ピーコも心不全で卒倒しそうな吉澤ルックですね。
「悪い悪い、遅れて。」
悪びれる様子も無く吉澤さんは私たちの先頭にたってズカズカとあるきはじめましたとさ。

189 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003年07月23日(水)03時31分19秒
>>183
耳を近づけられて自分の心の声を聞かれると「恥」ずかしいですね?
レスの指定を間違えるなんて   恥ずかしいこと火のゴト師。
いつも有難うございます・・・

>>184
「聡」(さとし)という名前のアナウンサーが某テレビ局にいました(実話)
私は読み違え、「恥だって!へんな名前!」などと失礼なことを考えたものです。
 以後気を付けます
マターリ待っててくださいね・・・
190 名前:名無し 投稿日:2003年07月24日(木)21時01分23秒
確実に吉澤さん以外の女の子が着こなす事は出来ない服装ですねw
続きマターリお待ちします。
191 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月24日(日)02時56分09秒
更新期待sage
192 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003/09/11(木) 13:14
今 我がPCがぶっ壊れてて更新できず・・
他人のPCから書き込んでます

ごめんなさい
193 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 22:59
放棄じゃないとわかって安心
194 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/12(金) 21:47
マターリ待ってるぜ!
195 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003/09/15(月) 11:30
 殺人的な暑さの中をくぐりぬけて私、紺野はいつものようにホテル地下への階段を
降りて作業着に着替えて「日本屈指の高偏差値料理人」の集う厨房へと足を踏み入れました。
但しバイトとして。
 白仙人「おお!紺野か。どうしたんじゃ、約2ヶ月も来なかったような顔して。」

・・・・・・・・だって・・・いや! 誇り高き道産子娘。として 言い訳なんかしません!
っていうか優れた言い訳が見つかりません!
「え?そんな事無いですよ! いやですよ〜 ずっときてたじゃないですかー。」
白「そうか。そんな気もしてきたぞ。 今のところ洗い物は少ないぞい。まあ 徐々に片付けようぞ。」
「はい!」
 確かに少ない。連休といえど婚礼のピークは昨日以前で過ぎたんでしょうか?
午前中はどうやら楽勝のようですね。

196 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003/09/15(月) 11:42
 そこへ、私の肩に野球のファーストミット位の大きさの手の感触が、
「おお〜 来たか〜 今日もがんばれよ〜〜(ドスの効いた声で)」

「あ、吉澤さん!お早うございます! 今日もよろしくご指導お願いします!」
「私はアンタの保護者じゃない〜 自分でがんばれ〜(ドス効)」

 彼、いや彼女なりのギャグなのでしょう。本人はふざけてるんでしょうが顔がちょっと
怖いです。 つむじ風の様に自分の持ち場に歩いていきました。
 白「あいつはな、今日は気合入っとるんじゃ。鼻息荒くなるのも無理なかろうて。」

 
197 名前:学籍番号81982 紺野 投稿日:2003/09/15(月) 11:43
 気合?なんで?  ああ、ひょっとして今日はフランス行く人の発表日?
ああなるほど、そういうことね。そうか〜とうとう決まるのか〜。

 午前の作業は予想どうり余裕で終わり、私はお昼ご飯のため厨房を離れたのでした。
吉澤さんはなにやら別室に呼ばれており、野埜ちゃんはなにやら大作の製作中だそうで・・・
私一人でささやかな昼食を摂った後、職員休憩室で高見の昼寝を決め込んだのでした。
時間は有効に使わないと!
 
 切羽詰った野埜ちゃんの声が私、紺野を起こすまでは  ね。
 
 
198 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/15(月) 11:48
 私の都合で更新が大幅に遅れてごめんなさい。
突然ですが
次の更新、または次の次の更新、または次の次の次の更新で
この作品は終了します。 読んでてくださった皆様、ホントに有難うございました!

 
199 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/15(月) 11:52
 終わったら他の板でもっと更新しやすいのを・・・・紺野主演で。
 
よかったらよんでくださいね。
200 名前:名無し 投稿日:2003/09/15(月) 20:06
リアルタイムで2ヶ月待っていたのにウケた。

終わるのか・・・そうか。
次の作品も楽しみだけど、とりあえずこれの完結を待つ。
半角でsageって書かないとあがっちゃうよ。
201 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/18(木) 17:34
 野「紺野さん! 起きてください!」
「ん?あ もう時間?わかりました〜 昼寝終了しま〜す!」
野「吉澤さんが!吉澤さんが!」
 話の流れから言って、順当に行けば吉澤さんのフランス行きが決まった知らせでしょう。
よかったね吉澤さん、夢にまた一歩近づきましたね!祝賀コメント作成しないと!

 野「ダメでした。中島さんがフランス行くって。」
「え・・・そう・・・ダメだったんだ・・・(慰めコメント作成しないと。)」
 目覚めに至極ヘビーな悲報を聞かされた私、紺野は目糞を取る事も忘れ、チビの中国娘と共に
厨房に向かったのでした。
 
202 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/18(木) 17:44
 (まだ浅い付き合いだけど、吉澤さんの腕と男気なら大丈夫なはずなのに・・・)
私の一学期の期末テスト、満点だと思ってた数学のテストが95点だった時の心境が思い出されます。
 厨房では総料理長以下、シェフ、パティシエ、バイト(私を除く)が勢ぞろいし、フランス行き審査の結果が
報告されてました。  私は  寝てました。
 私は息も切れてたし動揺してたので報告の内容は覚えてません。 吉澤さんがダメだったこと意外は・・・
ただ、目に映ったのは腕を組んで目を閉じ、耳を傾ける白仙人と 意外と冷静に直立不動の姿勢で総料理長の話を聞く
吉澤さんだけでした。
203 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/18(木) 17:55
 私、てっきり結果に不服な吉澤さんが総料理長以下5〜6人を病院送りに
してると思ったんですが、ただ射抜くような目つきで前を見つめるのみでしたね、ええ。
 
 話も終わり、みんな仕事再開です。フランス行きが決まった中島と「中島派」の連中が歓声をあげていました。
仕事どころではないようです。 
 吉澤さんは黙々と仕事を再開、美味しそうなミルフィーユが完成間近でした。
皆さんはこんな時どうしますか?明るく励ましますか?それとも・・・
 白仙人「聞いてのとおり、大人の事情ってやつじゃ。あの兄ちゃんはもう後がないが吉澤はまだ若い。
技術は吉澤のほうが間違いなく上なのに、ワシも力になってやれんかった・・・」
(話は聞いてなかったけど)紺「そうですよね、大人の事情ってやつですか・・・」
204 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/18(木) 18:08
 吉澤さんは黙々と、只黙々と荒れることなく仕事をしていました。
行きたかったフランス研修がダメになっても真剣な顔で仕事。
まるで子を見守る母のような顔で ね。
 同僚のシェフが数人、吉澤さんに声をかけてました。ここからは聞こえませんが・・・
吉澤さんはそれに笑顔で応えてましたね、ええ。失意の時はほんの少しの慰めでも嬉しいし、
また歩き出せるってもんです。
 「人は一人では生きて行けない」って言うのはこういう意味もあるのかもしれませんね。
たかがフランスじゃないですか!あんだけ暴れてクビにならないだけでもよしとしなくちゃ!
 
 でも どうやって声掛けようかな・・・

 野埜「やったー!出来た!完成した! 見てください吉澤さーん!」
あれは人参で作ったんでしょうか?50×50(p)くらいのオレンジ色の物体を野埜ちゃんが
失意の吉澤さんに見せに行ってました。
 野埜・・・!ツマラン事言わないで!! 
205 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/18(木) 18:11
>>200
 ご忠告有難うございます!

更新終わります!
206 名前:名無し 投稿日:2003/09/18(木) 23:09
辻さんの空気の読めなさが逆に良い方向に働く事を祈っています。
207 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 03:28
 デカイお盆に乗せた野埜ちゃんの新作、あれは 鳥でしょうか?
野「(大声で)吉澤さん!フランス行けなかったですねぇ!だめでしたねぇ!残念でしたねぇ!」
 !・・・よりによってそうきたか・・・ルビコン川を渡りやがった・・・さすが熊の手を食べる国の人は根性が入ってるっていうか・・・
野「(大声で)まだトウシロですね!もうちょっと修行するべきですよ!」
 ああ神様  狂獣が目を覚ましてしまいます・・・
そろそろ吉澤さんの目玉が赤く染まる頃でしょう。
吉「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
公開処刑か?
野「そんな吉澤さんに私からの応援ですよこれ!」
私は鉄板を洗いながら「審判」の様子を見守るばかり・・・
野「これ、150本のニンジンで作った不死鳥です!にほんごでいうとこの ふぇにっくすです!
 吉澤さんのために作りました! 灰になった吉澤さんもこの不死鳥のように生き返ってください!」





  
208 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 03:48
 そんな巨大な食材彫刻が実際に使用できるかの話はおいといて、「灰になった」っておい・・・
すると吉澤さんは女神(戦いの女神ですが)のような微笑を浮かべ、
吉「野埜・・・ありがとな。 でも自分まだ 死んでないし。」
あれ、 吉澤さんいつからそんな大人に? 自己開発セミナーにでも?
白仙人も笑いながら聞き耳を立てています。
野「そう!まだ死んでませんよ!フランスはまたいけばいいじゃないですか!」
吉「ああ!そうなんだよな!また挑戦すればいいんだよな! この事にさっき気づいたんだよね!」
野「この羽の部分は吉澤さんがお菓子で飾り付けてください!それで不死鳥最終形態です!
悔しがる暇はないですよ!」
吉「うおぉぉ! 泣きそう!お前やっぱいい奴だよ!燃えてきた! うぉぉ!!」
吉澤さんと野埜ちゃんはまるで30年ぶりに再会した姉妹のように激しく抱き合うのでした。」

 野「イタイイタイ! 吉澤さん力強すぎます!」
209 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 04:02
 白仙人「あのチビっ娘、吉澤がまだ力不足とわかっていたんじゃろ。
隅に置けんわい。」 
 白仙人もなんだか嬉しそう。そうですよね、励ますためにあんな力作を・・・
本質を見抜く目はあるようです。見習わなくては!

 その日も私達は3人で帰りました。吉澤さんは正常でした。
吉「正直、負けるかも知れんとは感じてた、だから負けても冷静にいようってね。先を見ようって。
でも野埜のフェニックス見たときは死ぬほど嬉しかった。味方がいるんだ、大丈夫なんだって ね。」
野「中島なんて私きらいです。 フランスで苦労するでしょう。」
吉「ははは、 そうかもな。でも野埜、フェニックスって日本語でいうとキジだろ?もっと勉強だな!」
野「お互い様ですな〜」

 この2人のなんと微笑ましいこと! 私はつっこむ事も忘れて2人の話を聞いてました。

210 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 04:10
 紺野「吉澤さん、フランスは逃げませんよ。これからもっと頑張ればいいじゃないですか!まだ若いんですから。」
吉澤「ありがと。フランスは逃げないけど夢は逃げるもんな。研修行けなかったくらいで足踏みしてらんねえよ!頑張らないと。」
野埜「日本の人は頑張るってよく言いますが、頑張るのはしんんどいですよ〜 でも みんなで頑張りましょ〜!」
吉「おうともよ!」
 気合の入った吉澤さんが手拳で電柱を倒しました。みんな見てみぬ振りで逃げましたよ。


211 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 04:22
 後日、私達3人は休みの日に空港に遊びに行きました。なぜ空港かというと、吉澤さんがなぜか空港が好きだからです。
吉澤「あ〜空港っていいな〜。 空に次々飛んでいく飛行機見るの好きなんだ〜」
紺野「それってわかります!  なんか別世界って感じで!」
野埜「天気も良いし気持ち良いですね〜!  こんな日はみんなで滑走路でも走りませんか?」
吉「お前いいこと言った!! よし!走ろう!」
紺「(断れない空気だ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」

 いとも簡単に36R滑走路に侵入した私達は端から端までダッシュ開始(困
吉「うおお! 気持ちいいなあオイ! ウッヒョー!」
紺「(あ・・・・後ろから飛行機来た)・・・・・・・・ハイ」
野「待ってくださ〜〜い(笑」
 一足遅れた野埜ちゃんは旅客機の車輪に当たりそうになり、髪飾りがふっ飛ばされました。
野埜ちゃん、どこまでもタイトロープな子です。
 一方吉澤さんは興奮度1000%、お茶目なパティシエールです。
212 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 04:41
 九死に一生を得た帰り道、一人 私、紺野は考えました。
「(今日は吉澤さんも野埜ちゃんも活き活きと楽しそうだったな〜・・・
今3つめのバイトだけど、出会った人々みんな一生懸命楽しく仕事してた・・
嫌々働いてる人なんて居なかったな〜。)」
 
 石川さん、里田さん、大谷教頭、ジーク飯田にビリー柴田、ハイジ高橋。
みんな吉澤さんや野埜ちゃんみたいに活き活きした顔をよくみせてたな・・・

         私も負けてられませんね!

 
213 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 04:51
 そうそう!今までのバイトの給料の一部で私、時計買ったんです!結構いいやつをね。
その時計を身につけて耳を澄ますとみんなの声が聞こえてきそうなんですよね。

 石川「梅チューハイ3つ! ねえ紺野さん、人が食べてるお茶漬けってなんであんなに美味しそうなの?」
里田「生ビール4つおねがいします! どう?パントリー慣れた?」
大谷「もうすぐファイアーセブンだからタンクのガス確認しといて。」

 ジーク飯田「新作ドレス、きっとクララに似合うと思うんだけど どうかな?」
ビリー柴田「いいかい、格好いいタバコの火のつけ方ってのはね・・・」
ハイジ高橋「これで勝ったと思ったら大間違いやよ!」(今では仲良し)

 吉澤「紺野の洗ったプレートはいつも綺麗だよな〜 いい菓子が作れそうだよ!」
野埜「紺野さん! 新しい作品が出来ました! どうですか?」 

 私には 聞こえるんですよ
214 名前:学籍番号81982紺野 投稿日:2003/09/21(日) 04:54
 私、紺野の拙いバイト報告記を一旦終わらせていただきます。

いや〜いい経験してますよ。

今後もいろんなバイトしていきます!

 そのご報告はまたの機会に・・・・


            完璧です!!!!!!!!
215 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/21(日) 05:03
 読んでくださった方々、レスを下さった方々、

ホントに有難うございました!(涙

放置スレスレのような事態にもなりましたが
また新しいネタが出来た時
パート2を か け た ら な  と思います

それまでは↓を  よろしくお願いします
216 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/21(日) 05:14
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/flower/1064088668/
217 名前:タケ 投稿日:2003/09/21(日) 18:07
完結お疲れ様です
前々から見させてはもらったんですがレスをしてなくて(爆
久しぶりに来て見たら更新されてたんで一気に読みました
紺野さんや他のみなさんの語り、つっこみ、ぼけ、笑わせてもらいました(w
花の方でも頑張ってください
218 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/21(日) 23:30
お疲れ様でした!
まだ登場してないメンバーもいるんで、パート2期待してます。
とりあえず、花見てきますわ。
219 名前:学籍番号81982紺野(作者) 投稿日:2003/09/22(月) 01:08
>>217
有難うございます!
頑張ります!
>>218
有難うございます!
まだ出してないメンバー多いので(色々考えてたんですけどね・・・) 
2が書けたら出したいと思います。
220 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/07(金) 20:21
a

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