Caterpillar Chronicle
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月23日(土)05時23分00秒
あせばんだ腕が触れあうだけでドキドキ
もうやめちまえ、恋なんて。
- 2 名前:1 投稿日:2002年11月23日(土)05時23分35秒
- 1〜2レスで終えられる様な短編を各種取り揃えたいと思いました。
ちょっとずつですが更新していきます。出演者は一応ハロプロ全般という事で。
- 3 名前:1 ヨシザワヒトミの場合。 投稿日:2002年11月23日(土)05時24分14秒
- 「梨華ちゃぁん、今日泊まってもい〜い?」
猫なで声はいつも出るわけではない。
むしろ、ふだんは当然のごとく泊まると宣言するのだ。
しかし、彼女には今日おおいなる野望がある。
それを実行する為には石川梨華の喜ぶ事ならばなんでもしようと、
今日は心に決めたのだ。
「いいけど、どうしたの?そんな声出しちゃって。」
「いいじゃん、別にぃ。」
ニコニコしながら彼女は腕を絡ませてみる。
これもまた、石川梨華が喜ぶ手段の一つ。
「ひとみちゃん、なんか変」
彼女は変だと言われようとも、
今日こそは石川梨華と一線を越えようと思っていた。
そう。その一線は友達と恋人の境界線でもあり、
今までぼんやりしていたそこがはっきり見える場所でもある。
帰りのタクシーの中でも吉澤ひとみは落ち着かない。
「ひとみちゃん、どうしたの?」
「なんでもないよぉ」
明らかに嬉しそうな声はそれがなんでもある事を物語っていた。
- 4 名前:1 ヨシザワヒトミの場合。 投稿日:2002年11月23日(土)05時24分50秒
- 石川の部屋についた彼女はやけに落ち着かない。
そんな彼女を見て石川は思いきって抱き着いてみた。
「梨華ちゃんっ?!」
驚く彼女に石川は深刻そうな声を出す。
「ひとみちゃん、悩んでる事があるなら言って?
私じゃ頼りにならないかもしれないけど、一生懸命頑張るから」
吉澤は硬直しちゃって何も言い返せない。
「やっぱり、言ってくれないんだ。友達失格なのかな……」
ひとりで落ち込みはじめる石川に吉澤は思い付く限りの事を言った。
「ち、違うんだよ、梨華ちゃん。実はね、この近くに
べ−グル屋さんの美味しいのがあるって聞いてさ、行ってみたかっただけなんだよ」
「そうなの?」表情をぱっと明るく変えて石川が問いかける。
「そうなの。そうなの。」吉澤は嬉しそうに言った。
「なぁんだ。悩んでるのかと思って、心配しちゃったじゃない」
「ごめんごめん」
心の中で落胆しながら吉澤は石川の隣にひかれる布団を眺めていた。
吉澤ひとみの挑戦は、まだまだ続く。
- 5 名前:2 マツウラアヤの場合。 投稿日:2002年11月23日(土)05時25分26秒
- いつもの癖で携帯に触る。
今メールしたってミキスケはブラウン管の中にいるのに。
こんな時、ひどくつまらなく感じる。
走って帰ってこーい。寂しいぞー。
メールしたってどうせまだ帰ってこれないんじゃ
強奪した合い鍵も、つながらない携帯電話もなんの意味も持たない。
どうせ疲れて帰ってきたミキスケは私に一応ただいまのハグをしてすぐ寝ちゃう。
そんなのつまらないじゃない?
テレビの中でミキスケが歌ってる。
恋人にはなれませんか?こっちの台詞だわ。
むかつくのにどうしても最後まで見てしまう。
二人お揃いで出る番組も今日はやってない。
ねぇ、ごまっとうで後藤さんばっかり見ないでね?
私の事もちゃんと見てね?
はっきり言うわけじゃないけど、私はそんな気持ちで破裂しちゃいそう。
- 6 名前:2 マツウラアヤの場合。 投稿日:2002年11月23日(土)05時26分11秒
- もうずっと違う物を流しているテレビにクッションを投げ付けたのと同じぐらいにドアが開いた。
「何やってるのさー」
呆れた声でミキスケがそこに立っていた。
「つまんなかったんだもん」
「そうなの?」
私のつまらない原因なんて分かりもしない癖に
彼女は取りあえずのハグをしてまた立ち上がった。
彼女のハートビートがいつもよりも早いのは気の所為かしら?
「急いで帰ってきたら疲れちゃったよぅ」
「お風呂に入れてあげようか?泡風呂」
急に嬉しくなって私は飛び上がる。
なんだ。急いで帰ってきてくれたんじゃん。
「とかってあやっぺも一緒に入るとか言うんでしょう?」
「当たり前じゃん」
ミキスケはちょっと考えて、私にかるーくキスをした。
「体洗いっこしよっか」
「どしたの?急に」
ミキスケはにっと笑ってバスルームに走る。
「眉間の皺、とってあげたいじゃーん」
どうやら眉間に皺がよってるらしい。
バスルームから湯気がもれてくる。
私はどうやったら眉間の皺がなくならないか、必死に眉間と格闘した。
- 7 名前:1 投稿日:2002年11月23日(土)05時27分19秒
- じゃあ今日はこの辺で。
これから暫くの間、お借りします。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月23日(土)14時51分59秒
- アヤミキ(・∀・)イイ!!
凄くいいっす(w
- 9 名前:3 ムラタメグミの場合。 投稿日:2002年11月25日(月)01時32分47秒
- 愛してるなんて重い言葉を、彼女は簡単に使う。
「マサオ」
呼んだら簡単に振り返る彼女に私は苦笑しながら近づいた。
「今日さうちに来ない?」
これでも勇気を出した方だ。いつもは彼女から言われるのを待つだけだから。
「ごめん!今日は柴ちゃんと帰る約束しちゃった」
「そっか。ならいいや」
なんでもない様な顔で私は言う。
彼女があゆみに恋をしてるのを知っていてそれでも私は平気な顔をする。
ーーねぇ、私を抱くその腕であゆみも抱くの?
何度も喉からでかかった言葉をまた飲み込む。
それを聞いたら負けだ。心のどこかでそう思っていた。
嬉しそうに小走りで去っていく彼女の背中を見ながら小さくつぶやいた。
「本当はよくないんだぞー」
誰かにも聞こえてないのを確かめて、私は楽屋に戻った。
もう誰もいない楽屋の私の鞄の上に紙がはらりと置いてあった。
『ごめんね。愛してるぜ、めぐみ マサオより』
- 10 名前:3 ムラタメグミの場合。 投稿日:2002年11月25日(月)01時33分24秒
- 私の小さな失笑が楽屋に響きわたった。
人の気持ちも知らないで良く言ったもんだ。
この紙の軽さだけ、自分も軽い気がした。
それでも大事にその紙を鞄にしまうと私は立ち上がって楽屋から出た。
「お疲れ様でしたー」
空虚に聞こえるその言葉を連呼して私は一人でその場を立ち去った。
うちに帰れば、また一人。愛してるを言う事も聞く事もないだろう。
何故だろう。少しだけほっとしながら私は家路についた。
寒さで身が引き締まる。一人には最適の温度。
それだけがあの人がいない事の救い。
- 11 名前:1 投稿日:2002年11月25日(月)01時34分09秒
- こんな感じ。
>>8
アヤミキはいいよねぇ。どもありがと。
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月25日(月)18時30分32秒
- おぉ、メロンって柴ちゃん以外あんまないので新鮮。
てか、今後にも期待してます。
- 13 名前:4 アベナツミの場合。 投稿日:2002年11月26日(火)23時20分57秒
- 「ねぇ、なっちは悲しくないの?」
いつだったか、目の前を歩く少女にそう聞かれた事がある。
あれは、そう。確か紗耶香がいなくなった日だ。
「そりゃ寂しいよ?けど、応援しなきゃ」
「私は嫌だよぉ……」
そう言って泣いていた少女は、今自分で飛び立とうとしていた。
ねぇ、いつの間にそんなに強くなったの?
みんなと離れて寂しくないの?
「ごっちん」
「あ、なっち。見て、見て、これ」
梨華ちゃんが泣きながらくれたって嬉しそうに言いながら、
彼女は私に笑ってみせた。
「なっち、寂しい?」
「当たり前っしょ?でも頑張ってね」
「うん」
さようならを口にはせずに、私はその場を立ち去った。
結局、みんなが私を置いていく。
ふと圭織の事を思い出した。
出来たらさよならは言いたくないな、なんて
天井に息を吹き掛けてから私はまた歩き出した。
- 14 名前:5 フジモトミキの場合。 投稿日:2002年11月26日(火)23時21分31秒
- 仕事が終わるのはいつも夜中に近い。
仕方のない職種ではあるけれど結構疲れるわけで、
私はため息まじりにタクシーの座席に体を埋めた。
当然の様に隣に座ったお姫様が不満そうに唇を尖らせる。
「ちょっと、ミキスケ。あたしとの仕事楽しくなかったのぉ?」
「いや、今日忙しかったからさ。楽しかったよ」
投げやりな返事を返すと、彼女はもっと不満げな顔をする。
ついつい今日は勘弁して欲しいなんて思っちゃう。
「楽しくなかったんだぁ……」
「そんな事ないよ。それより今日はお風呂にする?シャワーにする?」
「お風呂!」
「じゃぁ、帰ったらいれますか」
思わず嬉しそうな顔をする彼女にしてやったりの顔をする私。
「話、変わってない?」
「変わってないない」
会話に夢中になりそうな私達にタクシーの運転手が困った様に言った。
「あのー、行き先は?」
- 15 名前:1 投稿日:2002年11月26日(火)23時23分56秒
- そんな訳でアヤミキ〜。
>>12
いや、忘れたわけじゃないのよ。メロンは四人でメロンだから。。
三角関係萌えなだけです。はい。
- 16 名前:リエット 投稿日:2002年11月26日(火)23時38分37秒
- アヤミキ、落ちが良いですね(w
次は誰の場合なのかなと、今からワクワク。
- 17 名前:6 オオタニマサエの場合。 投稿日:2002年11月28日(木)04時22分25秒
- 忙しい彼女とそれなりな私の時間差は大きくて、それを埋めるだけで時は終わってしまう。
- 18 名前:6 オオタニマサエの場合。 投稿日:2002年11月28日(木)04時26分08秒
- 「一緒に帰ろうよ」
と誘ってみたはいいものの、本当は期待していなかった。
彼女は私達の三倍ぐらいは忙しい身で、
それを他の三人の中で一番理解してるのは私だったから。
「いーよぉ。ひさしぶりじゃん?」
簡単に返事をされて浮かれ気分になる。
めぐみの誘いも少しだけ惹かれるものがあったけど、
ここは勝負時?みたいな感じで私はあゆみと帰路についた。
「珈琲飲まない?」
「いいよ。じゃぁ歩きながら飲もう!」
つれない彼女との時の流れはとても早くて、
あっという間に分かれ道になってしまった。
「じゃ、また明日」
そんなに簡単に言うなよ、なんて言える訳もなく
「じゃ」と軽く返して私は笑顔を見せた。
別れた後に軽く振り返っても彼女は振り返らない。
分かっている。彼女の時間と私の時間は流れが違うのだ。
それでも少し寂しい気持ちになってしまうのは何故だろうか。
- 19 名前:6 オオタニマサエの場合。 投稿日:2002年11月28日(木)04時31分20秒
- ふと携帯を見るとメールが受信されている。
『今日は牡蠣鍋。1人で食べまーす。 めぐみ』
思わずふっと笑みを浮かべてしまった。
寒さで身が縮こまる。1人でいるには寂しい温度。
私は軽く携帯を握ってリダイヤルの一番目の人に電話をかけた。
「私も食べたいな、牡蠣鍋」
待ってるよ、という声に少しだけ罪悪感を覚えながら進路を変える。
マンションが見えてきたのはそれから本当に少しの時間で
私はいつだったかキーホルダーのおまけでもらった合鍵を使ってマンションに入った。
玄関の前でインターホンを押すと、待っていたかの様にドアが開いた。
「おかえりー。早かったね」
「寒かったよー」
下唇を出して顔で表現するとめぐみが困った様に笑って私を抱き締めた。
「しょうがないなぁ。御飯出来てるから、早く食べよ?」
冷たくなった耳を暖める様にめぐみの両手が耳を覆う。
「うん。食べるよ」
先刻までの罪悪感はどこへいってしまったのだろう?
我ながらいい性格だ。
軽く彼女に口付けをするとクスクスと彼女が笑う。
部屋の中は暖かくて、寂しさはインターホンを押した時に消えてしまっていた。
- 20 名前:1 投稿日:2002年11月28日(木)04時35分00秒
- 3レス使っちゃった。
>>16
凄いべたべたな落ちですけどね。どもです。
ちょっとメロンとあやみき中心にがんがっていこうかと思ってます。
と言いつつ娘。も出ると思いますが。
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月28日(木)16時36分01秒
- メロンだぁわーい!!
こうなったら次は”シバタアユミの場合。”
を期待してしまいます…(笑)
もちろん、吉澤さんのその後の挑戦も…。
- 22 名前:7 イシカワリカの場合。 投稿日:2002年11月28日(木)22時18分40秒
- 恋をする事に恋をしていた私は、それが恋だなんてなかなか気付けなかった。
「ねー柴ちゃん聞いてってばぁ」
「もういいよ、その話題は」
「だってぇ」
石川の言葉に柴田は読んでいた雑誌をテーブルに放った。
「だって梨華ちゃんは何が言いたいのさ」
「うん。最近、全然会ってなかったのに、急にメールが来てー。
嬉しかったんだけど、なんか恥ずかしくなっちゃってさ」
もじもじと石川はテーブルを人さし指で触りながら上目遣いで柴田を見た。
「それって、どういう意味?」
「わかんないけど、恥ずかしかったの」
彼女の恋はまだ始まらない。
- 23 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月28日(木)22時20分46秒
- >>21
シバタアユミの場合。ですか。
その内出てくるんじゃないでしょうか?
ていうか、サイトウヒトミの場合。が自分で気になる(w
- 24 名前:LVR 投稿日:2002年11月29日(金)03時54分21秒
- 色々と話がつながってるんですね。
村田さん可愛いです(w
- 25 名前:8 ゴトウマキの場合。 投稿日:2002年11月29日(金)15時29分32秒
- 一緒に仕事をしたのは初めてだったけど、ここまでとは思ってなかった。
「ミキスケ、今日はちゃんとお風呂に入ろうね」
「昨日入ってなかった訳じゃないじゃーん」
「入ったけど別々だったんだもん」
正直勘弁してほしい。
「ちょっと真希ちゃん困ってるから」
「別に困ってないよ?気にしないでやっといて」
笑って答えてみせると恨みがましい表情で美貴ちゃんが私を見た。
それはないでしょう。痴話げんかを見させられてるのは私なんだから。
彼女にメールしたのは別に理由があった訳じゃなくて。
ただ単にこないだもらったペンダントのお礼と、
この二人から逃げたいだけだった。
後々の事なんて考えてもみなかったこの時の私は、
この行為に喜びと後悔の両方を感じる事になるとは思っても見なかった。
- 26 名前:1 投稿日:2002年11月29日(金)15時30分38秒
- >>24
最初は繋がってないものを考えてたんですけどね。
いつの間にやら繋がってました。
おっかしいなぁ。。。
- 27 名前:リエット 投稿日:2002年11月30日(土)03時59分27秒
- この話も続きそうな予感……。
てか、既に続いてるのかな……?
でも、この一個の短編だけでも、想像の余地が残されててすごい好きです。
- 28 名前:9 シバタアユミの場合。 投稿日:2002年12月01日(日)21時26分42秒
- 彼女は私に向かって駄々をこねたそぶりを見せる。
その姿が見たくて、いつも少しだけさり気なく素っ気無い素振りをしてしまう。
その日、珍しくいつも「よっすぃーが、よっすぃーが」と言っていた梨華ちゃんは違う人の話をし始めた。
「有難うなんて言われてね、なんか恥ずかしくなっちゃったの」
その恥ずかしがり方はまるで初恋を告白する少女の様で、
私は少しおかしくなった。
一体私はいくつの子と話しているんだろう?
「で?何が言いたいの?」
「だーかーらー、その後ね食事に誘われたんだけどさ」
思わず吹き出した私に、彼女は拗ねた様な顔をした。
「柴ちゃん、ひどい!」
「だってさぁ、元メンバーじゃん」
普通に行けば?と続けた私に納得した様に彼女は頷くと、
自分に言い聞かせる様に言った。
「そうよね。普通にしてればいいのよね。普通に」
彼女にその素振りがなかったと言ってしまったらそれは嘘になる。
私はこの時からなんとなく気付いていたのだ、彼女の恋のはじまりに。
- 29 名前:10 ヨシザワヒトミの場合。 投稿日:2002年12月01日(日)21時27分22秒
- その日の吉澤は嫌な予感がしていた。
天中殺だと言えばいいのだろうか?
しかし、その根源に彼女は気付いていなかった。
「梨華ちゃん、今日泊まっていい?」
「え?ごめん。今日はね、ちょっと駄目」
理由を教えない石川を不思議に思いながらも、
吉澤は納得した様に頷いて、彼女を見送った。
まだ気持ちを伝えてはいないものの、
自分達は通じ合っていると吉澤は思っていた。
柴田に相談した時も、二人の間でそれは罷り通っていた。
その日の挑戦はお預けになった事だけが少し残念だったが、
彼女はその日が一日ついていなかった事を思い出す。
黒猫に前を横切られたし、靴紐もちぎれた。
レッスンではすごく叱られたし、歌詞も間違えた。
こんな日もあるさと吉澤はため息を隠した。
これで石川の家にいければ帳消しになる筈だったのに、と
心の中で文句を言った。
「のの、一緒に帰ろっか?」
「駄目。今日はあいぼんの家にお泊まりー」
「ちぇっ。いいよ、1人で帰りますー」
子供の様な声をだして、拗ねた素振りを見せると
辻がおかしそうに笑った。
それを見て、吉澤も一緒に笑う。
明日ならうまくいくんじゃないかな?
勝手に思って吉澤はパーカーを羽織った。
- 30 名前:11 マツウラアヤの場合。 投稿日:2002年12月01日(日)21時28分09秒
- ミキスケは私をお風呂好きだという。
でも、私が好きなのはお風呂じゃなくてその時間なんだけど。
絡まりあった躯が溶けて繋がっちゃえばいいのにって思った。
でも簡単に離れてミキスケが言う。
「シャワー浴びてくるね」
「えー。もうちょっといてよ」
腕に掴まる私の頭を撫でてミキスケはその腕を離した。
「明日早いじゃん?だからもう寝なきゃ」
「じゃぁお風呂にしようよ」
少し黙ってから彼女は困った顔を見せながら私にキスをした。
「お風呂の中でまたしちゃうから駄目」
「してもいいよ?」
悪戯に躯をあわせる様になってからどれぐらい経っただろう?
確か、七ヶ月と三日だ。
彼女の胸に顔を埋めて息を吹き掛けると少し激しい口付けをされる。
そのままシーツにくるまって、私達は浴室に向かった。
- 31 名前:11 マツウラアヤの場合。 投稿日:2002年12月01日(日)21時37分19秒
- 「よっわいよねぇ、私も」
欲望の赴くままに行動して何が悪いの?
彼女に耳たぶをかじられて私は熱っぽい息を吐き出した。
まだ夜は終わらない。
愛してるんだから、それでいいじゃない。
それでも貴方は意味を欲しがる。
そんなのなんの意味もないのに。
こんなに近くにいるのに、とても遠い気がして私は何度も躯をあわせる。
それだけしか方法が分からないから。
ねぇ、ミキスケ。本当に私の事好き?
恐いから、どうしても聞けないその質問は浴室の湯気に連れられて飛んでいった。
- 32 名前:1 投稿日:2002年12月01日(日)21時40分41秒
- 真面目モードはいるとあやみきは面白くないね。反省。
>>27
続けるつもりはなかったんですけどね。
続いちゃってます。しかも最初から。
おっかしいなぁ。。
- 33 名前:リエット 投稿日:2002年12月02日(月)00時14分38秒
- ほんとだ、全部続いてる……。
三つ…四つの話が交錯する日は来るのかな?
- 34 名前:12 ムラタメグミの場合 投稿日:2002年12月04日(水)03時17分33秒
- 別の人を好きな人が好きなのは、どうしてこんなにも無意味に感じる事があるのだろう?
今日も、マサオは幸せそうにあゆみを見ていた。
それを見ていた瞳がぼそっと呟いた。
「わかりやすいよね、あんたらも」
「え?」
瞳はクスクス笑いながら私の顔を指差した。
「幸せそうな顔してマサオの事見てたよ?」
思わず顔が赤くなった。
マサオをもう一度見た。
私もあんな顔で彼女の事を見ていたのだろうか?
私は小さな声で瞳に告白をした。
「あのね、ここだけの話なんだけどさ」
瞳は少し近寄って耳を傾ける。
「もしかしたら私、あゆみの事好きなマサオじゃなきゃ
好きになってなかったかも」
瞳は軽く笑うと頷いた。
「それは言えてるかもね」
難儀な子だね、なんて頭を撫でられて私はもう一度マサオを見た。
私の視線の先にいるマサオは、あゆみの事を見ていて
その時の顔が私は一番好きだった。
あんな顔をされてみたいと思いながら、
されてしまったらどうなるか分からない自分がそこにいた。
もしかしたら逃げてしまうかもしれない。
あの真剣な目に私が焼き付く前に。
- 35 名前:12 ムラタメグミの場合 投稿日:2002年12月04日(水)03時18分24秒
- 二人が私達が会話している事に気付いて近寄ってきた。
「何話してたの?」
いつもの顔で私にマサオが笑う。
あゆみを見ている時とはまた違う顔。
それが少しだけ悲しくって、少しだけ嬉しかった。
恋の相手にあゆみを選ぶなんて、さすがマサオ。
素直にそう思っていた。
実際、あゆみはきれいで可愛かったから。
誰もが恋をしていても不思議はなかったから。
「マヨネーズは御飯にかけて食べるかどうかって話」
全然関係ない答を瞳が言うと、二人は笑いながら
その会話に参加しはじめた。
どうしてもやっぱりマサオだけを見てしまう自分がいた。
気付かなくていいよ?
二人きりになれるだけ、私はマサオより幸せなんだから。
こっそり呟いたその言葉は、誰にも聞かれなかった。
それが少しだけ、救いだったのかもしれない。
- 36 名前:1 投稿日:2002年12月04日(水)03時21分16秒
- 村さんは可愛いね。書いてて楽しいね。
>>33
えーと、前言撤回します。続いてます。もう短編とは言えません。
ただ、たまに短編を乗っけます。
だから許して。。
- 37 名前:リエット 投稿日:2002年12月04日(水)05時34分25秒
- 村田さん確かにものすごい可愛い……。
そう言えば、メロンのPVでむらまさ結構ありましたよ。
- 38 名前:12 投稿日:2002年12月04日(水)16時57分46秒
- 斎藤さん来たー!!!(違)
意外にあややが切なかったり…
いや、吉もだけど…。
>37
どの曲のPVでしょう?
- 39 名前:12 投稿日:2002年12月04日(水)16時58分50秒
- すいません…ageてしまいました
- 40 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月05日(木)03時30分02秒
- あやみきも石川とかの行方もメロソも何もかも気になりますw
- 41 名前:13 オガワマコトの場合 投稿日:2002年12月07日(土)02時44分14秒
- 彼女の歌声はとてもきれいで繊細で。もっと聞きたいと言えば消えてしまう。
そんな気がした。
「まこっちゃん、何しとるん?」
「見てたの」
何を?と不思議そうに聞く彼女に私は首を横に振って教えなかった。
だって言える訳がない。君を見ていたなんて。
ポカリスエットのボトルの蓋を回して開けると、私はそれを口に含んだ。
なんとなく上手く飲み込めないでいると、彼女が私を見て言った。
「一口ちょうだい?」
ポカリはまだ喉を通ってくれない。
頷いて手渡すと、彼女の唇に先刻私が触れたボトルが触れた。
無理矢理、ポカリを喉にとおす。
「げほっ」
あまりに無理矢理すぎたのだろうか、私はむせてしまった。
「大丈夫?ほら、これ飲みなよ」
ボトルを渡されて、げほげほ言いながら彼女の唇が触れたそこに唇が近付く。
友達じゃん。なら平気じゃん。
そんな言い訳が頭をよぎるけれど、全然理由になっていなかった。
唇がボトルに触れた。
「ゆっくり飲み?また変なとこ入っちゃうから」
「うん」
今度は上手く飲めた。
- 42 名前:13 オガワマコトの場合。 投稿日:2002年12月07日(土)02時45分01秒
- 「ごめんね、愛ちゃん」
「えーよ。大体これまこっちゃんのだし」
嬉しそうに笑ってる姿はとても可愛くて。
まさか貴方と間接キスしたなんて言える訳がなかった。
「ねぇ、まこっちゃん」
「何?」
幸せそうに笑って彼女が言った。
「間接キスやのー」
「え……あぁ、うん」
もしかして脈有りとか思っちゃダメですか?
- 43 名前:1 投稿日:2002年12月07日(土)02時51分45秒
- これは短編。正真正銘短編。
>>37
どのPVで?まだPV集手にいれてないのれす。
村さんは誰が書いても可愛いと思うのです。
>>38-39
ageても別にいいれすよ。気にしてないから。
瞳さん、来ましたねー。分かってる立場って凄いなと。単純に思いました。
>>40
ありがとーございます。
個人的にはメロン書いてたいのですが順番が。。
なんか自分のスレで感想書いてる気分だ。
- 44 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月07日(土)04時56分55秒
- おがたかキタァ━━━(゚∀゚)━━━!!
高紺とかもないですか?(w
好きなもので…
もちろんアヤミキメロソも(w
- 45 名前:14 フジモトミキの場合 投稿日:2002年12月07日(土)23時36分50秒
- 「ねぇねぇミキスケー。どうしたのってばぁ」
後ろから彼女が追い掛けてくるけど、私はそれをしかとし続けた。
時間は既に遅い時間で、もうテレビに出ていい時間じゃないので
私達は帰路につこうとしていた。
「ねぇ、今日は自分の家に帰ったら?」
「なんで?どうしてそんな事言うのさー」
大体、あやっぺが悪いのだ。
映画共演したからってあんな男の子と嬉しそうに話しちゃって。
「いいから。帰りなよ」
「絶対嫌なんだから!」
無理矢理タクシーに乗った彼女は私よりも先に私の家の近所を言う。
タクシーがテレビ局を出発しても私は何も話さなかった。
「ねぇってばぁ」
彼女が握ってきた手はそのままにして私は寝た振りをする。
少しぐらい気付いてよ。
いつも自分ばっかり好きな気でいるんだから。
- 46 名前:1 投稿日:2002年12月07日(土)23時39分42秒
- はい。今日の更新。アヤミキは一方通行気味な気がする今日この頃。
そんな気分を台無しにしたく書いてみました。
>>44
高紺ね。わかった。順番まで待っててね、書くからさ。
オガタカはいいよねぇ。あのおっとりした小川が好きだ。。
- 47 名前:リエット 投稿日:2002年12月08日(日)09時23分54秒
- ミキティかわいすぎる……。やきもちいいですね〜。
ムラマサは香水のPVの撮影風景です。
- 48 名前:名無し蒼 投稿日:2002年12月08日(日)17時25分19秒
- ヤキモチみきてぃ可愛い(w
あややが悩んでるけどみきたんも好きらしくよかったw
- 49 名前:15 オオタニマサエの場合 投稿日:2002年12月10日(火)00時10分53秒
- 彼女はいつも真面目な顔で真面目に疑問を追い掛ける。
そこがいいとこでもあるんだけど。
「ねぇ、マサオはどう思う?」
「うーん。梨華ちゃんも面白い発言をするね」
「あ、真面目に考えてないでしょー?」
ちょっと怒った様な顔で彼女は私の頬に指を突き刺す。
その部分が異常に熱くなるのを感じながら、私は答を探した。
「やっぱ、メンバーって言ってもあそこは大所帯だからさ」
やっと出てきた答にあゆみは満足げに頷いた。
そうかもね、なんてうんうんと頷きながら彼女は手にした紙コップの紅茶を飲む。
「味しない」
「自動販売機のだからねぇ」
こっそり自分の珈琲を勧めてみると彼女はそれを手にはとらなかった。
「いいよ。これで大丈夫」
ありがとう、なんて言う姿がまた愛らしくて、私は思わず微笑んだ。
後ろのほうではめぐみと瞳がなにか話していた。
「ねぇ、柴ちゃん」
貴方に告白する勇気はないけれど。
「ん?何?」
「クリスマスどうするの?」
できたら皆ででもいいから一緒に過ごしたかった。
- 50 名前:15 オオタニマサエの場合 投稿日:2002年12月10日(火)00時11分48秒
- 「ごめん!梨華ちゃんと約束しちゃってるんだ」
「じゃぁ、いいよ。気にしないでね」
「ん。また今度の機会にね」
自分が親友と友人の壁を越えられない事に少しだけ寂しく感じながら、
私は彼女にめぐみと瞳がこそこそ会話をしてるのを囁いてみた。
「あ、ホントだ!」
嬉しそうな顔で彼女が二人に近付く。
私もそれにならって彼女の後ろにくっついて歩いた。
「なんの話してんの?」
「……御飯はマヨネーズにかけて食べるかって話」
こっそりめぐみの顔を覗くと、めぐみは小さく微笑んだ。
その笑顔はとてもかわいらしくて、残酷な気がした。
ねぇ、私を許してくれるのは何故?
その質問はまだ出来そうになかった。
- 51 名前:1 投稿日:2002年12月10日(火)00時18分10秒
- >>47 香水のメイキングですか。買えたらチェックしてみよほ。
>>48 あややは美教でも片思いっぽいところが可愛いですよね。
ミキティも満更じゃなさそうだけど。
- 52 名前:リエット 投稿日:2002年12月10日(火)03時17分41秒
- オソロですね…。
少しずつですが話が絡み合ってきて、続きが楽しみです。
- 53 名前:16 イシカワリカの場合 投稿日:2002年12月11日(水)04時56分13秒
- 三宿にあるメキシカンのお店で、石川は固まっていた。
「何食べたい?」
後藤の質問に石川は少し緊張気味に答えた。
「なんでもいいよ、ごっちんのお勧めは?」
後藤は少し考えてから軽く手をあげて走ってくるウェイターに告げる。
「お勧めのを二人分お願いします」
「かしこまりました」
慣れた様子の後藤を見て、石川は少しどもりながら言った。
「す、凄いね、ごっちん。ここよく来るの?」
「んぁ?いや、初めて。長瀬さんに教えてもらったんだ」
そっか、と石川が小さな声で言うと、後藤はおかしそうに笑った。
「梨華ちゃん、今日なんかおかしくない?」
「だって、久々だから……」
「なーんか、可愛いんだね」
そう言うと笑いだす後藤に石川もやっと笑顔を見せた。
ふと、グラスに伸ばした手が後藤に触れる。
「ごめんっ」
「何謝ってるの?やっぱ今日おかしいよ」
けらけらと笑う後藤に、石川は困った様な笑顔を見せるだけだった。
- 54 名前:1 投稿日:2002年12月11日(水)04時57分36秒
- >>52
あれを聞いた時、なんだか可愛いなぁと思ったので。
- 55 名前:リエット 投稿日:2002年12月11日(水)07時01分05秒
- 出てくる人たちみんな可愛い……。
作者さんの話はキャラの表情が見えてくるので好きです。
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月11日(水)10時21分22秒
- いしかーさん、本当に小学生の初恋みたいだ(w
気になるなぁこの2人。
- 57 名前:17 ゴトウマキの場合 投稿日:2002年12月11日(水)22時39分00秒
- 久々に会ったといっても、結局は一緒の仕事が多いので
一週間かそこらで会っている。
それでも彼女は嬉しそうに遠くから手を振っていた。
駆け寄ると、白い息を吐いて頬を赤く染めながら小さくおはようと言われた。
「おはよう。夜だけどね」
「そっか。こんばんわ?」
一週間かそこらで変わるとは思えないけど梨華ちゃんはとっても可愛く見えて、
私は思わず笑った。
彼女は不思議そうな顔をしてそれを見つめる。
なーんか照れるな。
それが感想だった。
別に泊まりあった事もあるぐらいには仲が良かった相手なのに、
卒業しただけでちょっとだけ遠い存在に見えた。
それは彼女も同じだったらしく、
食事をしている間中、彼女はとても緊張した素振りを見せていた。
私にもそれは伝染して、二人ともなんだか訳がわからなかった。
この時点で言えた事は、梨華ちゃんがやけに可愛く見えた。
それぐらいしか、記憶にない。
- 58 名前:18 シバタアユミの場合 投稿日:2002年12月11日(水)23時11分04秒
- こないだから、梨華ちゃんはなんか変だ。
その話をマサオにしてみたものの、本気にしてくれない。
「ちゃんと聞いてよぉ」
失笑まじりにマサオが感想を述べる。
それを見て、私は思うのだ。
めぐみと話している時には絶対しない顔だと。
ちょうど私はマサオがめぐみの事を好きな気がしていた。
少し甘えた様な態度で、彼女はめぐみに接する。
めぐみも優し気な表情でそれに答える。
私と話している時のマサオは、くだけていてでも少し緊張しているみたいだった。
皆が他の人と恋いに落ちていく中、私だけひとり。
充実してない訳じゃないけど、やっぱりちょっと寂しかった。
今年も梨華ちゃんと過ごすクリスマス。
別に楽しいけどマサオとめぐみの事を考えると羨ましい気がした。
「クリスマスどうするの?」
突然マサオが聞いてきた。
「ごめんっ。梨華ちゃんと約束しちゃった」
例え梨華ちゃんと約束してなくても断るってば。
不粋な事はしたくないからね。
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月11日(水)23時16分08秒
- もうすぐ3周目ですな。
クリスマスまでには終わらせたいなと思ってます。
>>55
ありがとうございまつ。
ハロプロは可愛いですからねぇ。
>>56
いやいや、鈍いだけなのかもしれないですよ(W
このまま行くと気付かずに終わったりしちゃって。
……私が怒られそうだな、そりは。
- 60 名前:リエット 投稿日:2002年12月12日(木)00時47分54秒
- いししばじゃなかった(ノд`)・゚・。
でも、柴田さんはこれからどういう方向に向かっていくんだろう…。
- 61 名前:19 コンノアサミの場合 投稿日:2002年12月12日(木)08時10分16秒
- それはたった1人で居残り練習をしていた日の話。
私は自分のふがいなさに少しだけ自己嫌悪になっていた。
なんでこんな簡単な事が出来ないのだろう?
他の皆は軽々と飛び越えていく中、
私はいつも怒られていた。
『紺野っ!テンポ遅れてるよっ!』
先刻聞いた怒鳴り声が私の頭の中でこだました。
悔しかった。
すごく、すごく悔しかった。
なんでこんなに頑張っているのにそれが形にならないんだろう。
なんで皆と同じぐらいの練習量で出来ないんだろう。
答は簡単な気がしたけど、私はそれに目を向ける事が出来なかった。
それを知らされるのが、とても恐かった。
だんだん、汗と一緒に涙がこみあげてきて、
私は吐きそうな声を出して泣いた。
息がきれていたのと、涙が出てきたので苦しくなって何度も咳き込んだ。
- 62 名前:19 コンノアサミの場合 投稿日:2002年12月12日(木)08時10分55秒
- もうとっくに窓から陽はさしていない。
蛍光灯がチカチカとそろそろ命が尽きる事を知らせていた。
涙を拭ってもう一度踊りだそうとした時、ドアの開く音がした。
「誰っ?」
思わず攻撃的な声を出すと、相手はびくっと肩を竦めた。
「あさ美ちゃん、やっぱりまだ残ってたんや」
「愛ちゃん……」
私が無理矢理笑顔を作ると、彼女は少し笑ってから真面目な顔をした。
「無理に笑っても、しょうがないよ?」
思わず顔が歪んだ。否、歪んだ気がした。
きっと今の自分は複雑な顔をしているんだろう。
彼女は鞄をドアの横に置くと私の隣に立った。
「いいよ、帰りなって」
私が言うと、彼女は前を見たまま口を開いた。
「1人で練習してもタイミングとかあわせられんよ?」
「……」
「ほら、早く始めよ?」
CDをリモコンで再生させた。
音楽が練習場に流れ出す。
それから私達は一言も口を開かず練習した。
私が彼女と同じタイミングで踊り終えた時、彼女が歯を見せて笑った。
「今のうちら、かっこよくなかった?」
「うん」
涙が出そうになったけど、無理矢理笑顔を見せた。
それが本当の笑顔になったのは、それから数秒後。
- 63 名前:1 投稿日:2002年12月12日(木)08時12分41秒
- >>44に捧ぐ。ていうか、>>1の台詞とはあってないけど。
>>60
あ゛。いししばのがよかった?
今ならまだなおせるけど。。。
- 64 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月12日(木)11時28分19秒
- 柴→石がいいな
- 65 名前:1 投稿日:2002年12月12日(木)22時57分53秒
- わかった。大分後のほうになるだろうけど、柴→石にするよ。
- 66 名前:リエット 投稿日:2002年12月13日(金)00時46分23秒
- しばいしいいっすね。
物語が崩れるようなら、気にしないで流しちゃってください。
って、自分以外にも望んでる方がいるみたいですが…(w
ついに五期にも触手が。次は、たかおがなのかな…。
- 67 名前:20 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2002年12月14日(土)08時38分13秒
- 携帯電話をいじる時、まっ先に顔が浮かぶ相手がいる。
いつも電話でなくメールになってしまうのは、
彼女が出なかった時が恐いから。
何してるんだろう?とか、もしかしたら自分が嫌なんじゃないかとか。
下らない考えが頭に浮かんでくる。
こういう時は親友だ。
私はダイヤルを軽く動かして電話をかけた。
「はぁい」
「おっす。今大丈夫?」
「うーん……」
ちょっと待っててって声が受話器の向こうから聞こえてくる。
誰かといるらしい事は分かったんだけど、誰かまではわからない。
「あのさ、今」
「あ、いいよっ。また今度で」
彼女の言葉を遮ると私は電話を切った。
ただ単に、他人といる人に下らない内容の電話をするのはどうかと思っただけ。
それだけの単純な行動。
それが後々後悔する事になるって事を、私はまだ知らなかった。
- 68 名前:21 マツウラアヤの場合 投稿日:2002年12月14日(土)08時39分16秒
- 今日のミキスケはなにかに怒ってる。
それがなんなのか、ミキスケの家の近くに来ても、私にはわからなかった。
「ねぇ、ミキスケ?」
「今日はやっぱり帰りなよ」
無表情で彼女は言うと、タクシーの運転手にお金を払って勝手に行き先を告げた。
「ねぇ、何怒ってるの?」
私の問いかけにミキスケは首を横に振って軽く私の頬にキスをして去っていった。
呆然としてる私の耳にはタクシーの運転手さんの「出発してもいいですか?」という声に頷く事しか出来なかった。
何を怒ってるのか、ちゃんと考えてみる。
でも、今日私がした事でミキスケが怒るような事が見当たらない。
だから怒ってるのかもしれない。突然そう思った。
ミキスケは私がしてる事に気付かないから怒ってるのかもしれないと。
久々に帰る自宅。最近はいつもミキスケの家にいっていたから、
鍵を鞄の中で見つけるのが大変かも。
「明日になったら許してくれるかな?」
タクシーの運転手は聞こえない振りをしてくれてるのか答えなかった。
私らしくない態度は、もう止めよう。
私は両頬を叩いて気を引き締めると、鞄の中から鍵を見つけだした。
- 69 名前:1 投稿日:2002年12月14日(土)08時40分57秒
- 切な系二人組。あややってよっすぃーも好きだったよな。と今思い出す。
>>66
最初はそのつもりだったから無問題。
ただちょっと梨華ちゃん好かれ過ぎかなと思ってやめてみただけだから。
- 70 名前:1 投稿日:2002年12月14日(土)08時47分13秒
- あ。文法変だ。
×>呆然としてる私の耳にはタクシーの運転手さんの「出発してもいいですか?」という声に頷く事しか出来なかった。
○>呆然としてる私の耳にはタクシーの運転手さんの「出発してもいいですか?」という声が響く。
私はただそれに頷く事しか出来なかった。
- 71 名前:リエット 投稿日:2002年12月14日(土)11時33分48秒
- どんどん面白くなってきてワクワクしてます(w
吉澤さん、これから大変ことになりそうですね…。
柴田さんのこと、予定にあったようで嬉しいです。
- 72 名前:22 ムラタメグミの場合 投稿日:2002年12月20日(金)05時08分02秒
- 大事なのは、貴方が笑顔でいられる事。
それだけしか望まないからお願い、そんな顔をしないで下さい。
今夜のライヴは大成功だったって皆が思えたと思う。
私達は全員全力を尽くして、アンコールが終ってもまだ私達を呼ぶ声が聞こえてきていた。
「ライヴ成功おめでとー!!」
その高い声に振り向くと嬉しそうな顔で梨華ちゃんがやってきた。
楽しそうに見てくれていたのを思い出して、私はふと笑顔になる。
「梨華ちゃん、来てくれて有難うっ」
梨華ちゃんよりも嬉しそうな顔であゆみが答えた。
いつものあゆみよりも若干大人ぶった態度で、それが見なれなくてつい私まで笑ってしまう。
とろけそうに優しい顔であゆみは梨華ちゃんと話していた。
- 73 名前:22 ムラタメグミの場合 投稿日:2002年12月20日(金)05時08分50秒
- 気付くとそこから少し離れた場所にマサオがいた。
「マサオ?」
「ん?」
少し寂しそうにしながら彼女は私に寄り掛かってきた。
「どした?」
「いや、なんかさ、柴ちゃんて梨華ちゃんといると幸せそうだなって思ってね」
無理矢理作られた笑顔はどこか切なくて、私はあゆみ達が見えない様に彼女を抱き締めた。
「ライヴ、楽しかったね?」
「うん」
「また春も頑張ろうね?」
「うん」
外の雨はもう止んだのに、マサオの周りだけ曇り空。
彼女の周りが晴れるには、私はどうしたらいいんだろう?
- 74 名前:1 投稿日:2002年12月20日(金)05時10分13秒
- タイムリーなネタ満載。
今日のコンに石川さん来てるの知ったのは帰ってきてからだけど。
- 75 名前:1 投稿日:2002年12月20日(金)05時11分31秒
- レスするの忘れてた。
>>71
まぁでもあまり期待しないで下さい。
柴田のそんな思いなんて最後の方にしか出て来れないし。
- 76 名前:リエット 投稿日:2002年12月21日(土)03時01分24秒
- 以前のクリスマスネタといいコンサートネタといいツボに入りっぱなしです。
全員が晴れになることは、やっぱりないのかなぁ……。
- 77 名前:23 オオタニマサエの場合 投稿日:2002年12月21日(土)03時26分02秒
- あゆみの口から直接聞いた事はないけど、
多分彼女にとって大事な人は梨華ちゃんだと思う。
それが少しだけ寂しかった。
高くて可愛い声が楽屋に響いた。
あんな声、私には出せないし出す気もなかったけど、
やっぱりどっかうらやましかった。
声で選ばれる訳じゃないんだけど。
めぐみがなんとなく傍にやってくる。
私はいつだって彼女を利用ばかりしているのに、
彼女はただそれを受け入れてくれていた。
その理由は簡単そうで難しい。
私には彼女の胸の中で感動している振りをしながら、あゆみを目で追った。
バイバイという仕草を梨華ちゃんがしたのはそれから五分後。
あゆみが寂しそうな顔をしているのが凄く気になって、めぐみの胸の中に更に顔を埋める。
「ほら、いっておいでよ?」
ねぇ、だからなんでそんなに優しいの?
相変わらずその質問は聞けないままで、私は小さく頷くと立ち上がった。
「柴ちゃん、そろそろ皆打ち上げ行くって」
「あ、そうだね。準備しなきゃ」
どこか遠慮気味になってしまう私の背中をめぐみが軽く叩いた。
「柴ちゃんもマサオも、早く着替えなきゃ駄目っしょ」
二人で頷くとどこか満足そうにめぐみが笑った。
- 78 名前:1 投稿日:2002年12月21日(土)03時27分21秒
- >>76
つぼに入れて頂けて光栄です。
全員がお天気って事はさすがに無理かと。。今の時点では。
- 79 名前:リエット 投稿日:2002年12月22日(日)00時20分58秒
- 全員が縦に並んで同じ方向を向いているから、交わる気持ちがなかなかありませんね…。
何処に収束するんだろう……。
- 80 名前:24 ナカザワユウコの場合 投稿日:2002年12月26日(木)21時21分36秒
- 一体どうしてこんな事になったのか、私にもよく分からない。
「だからね、中澤さん聞いて下さいよ」
「聞いてるっちゅうねん」
大体、石川が後藤の話をしている事自体が珍しかった。
しかもその様子はまるで恋をしている少女の様で。
「明日来るって話になっちゃって、どうしようって」
「別にええやないの。泊めてやりぃな」
「でもまだ片付けてないんですよ、私の家」
だからなんだと言うのだろうか。
彼女の家が片付いていないのは有名な話であるというのに。
「なんや、あんた。恋しとんちゃうん?」
思わず口からでた言葉がそれだった。
自分の若い頃を思い出す。
甘酸っぱい思い出の中には、そんなワンシーンも含まれていた。
「恋?私が?」
石川は驚いた様に目を丸くさせていた。
- 81 名前:1 投稿日:2002年12月26日(木)21時22分17秒
- >>79
その内、横線になっていくかと思います。
斜も多そうだけど。
- 82 名前:リエット 投稿日:2002年12月27日(金)03時25分48秒
- 吉澤さんにしたら、「中澤さん、余計なことを」って感じですかね(w
- 83 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月27日(金)05時40分45秒
- 一気に読ませていただきました。面白いです!
上手くつながってますねー。鈍感な石川さんも目覚めるんでしょうか。
続き期待しています。
- 84 名前:25 フジモトミキの場合 投稿日:2003年01月03日(金)22時23分12秒
- タクシーを見送った後に残った感情は沢山の後悔とちょっとだけの憂さ晴らし。
いつも振り回されてばかりいては私も我慢の限界が来る。
そんな本音を彼女に伝えたら、なんと答えるだろうか。
きっと勝手に振り回されてるんだとか言うのかな?
私は自宅の鍵を開けて寒い部屋に入った。
「暖房つけよ……」
独り言が寂しく部屋の中に響き渡る。
もう1人の私が私に言った。
『 寂しいなら追い返さなきゃ良かったのに 』
残念ながら、もう後の祭りで彼女は帰ったままだ。
暖房のリモコンに指が触れた時、頬に水が流れ落ちてきた。
なんであたしは泣いているんだろう?
- 85 名前:26 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年01月03日(金)22時23分44秒
- 打上げの席でも、あゆみはしきりに梨華ちゃんの事を気にしていた。
「なんか明日、ごっちん泊まるんだって」
「そうなんだ」
取りあえずの返答しか出来ない自分がちょっと憎かった。
もう少し上手い答え方は出来ないものか。
めぐみがオレンジジュースをあゆみに渡して言った。
「大丈夫だよ、きっと。だって別に仲良かったじゃない?あの二人」
「そうだよね?」
あゆみが少しほっとした様な顔をしてオレンジジュースを口にした。
めぐみはこんな時凄いと思う。
欲しい言葉をそのままくれるというか、安心できる言葉を持っている。
あゆみはやっと安心した様でオレンジジュースを一気に飲み干していた。
私にもオレンジジュースを渡してめぐみが笑顔を見せる。
「大丈夫だよ」
めぐみが言うなら本当に大丈夫。
そんな気がした。
- 86 名前:27 イシカワリカの場合 投稿日:2003年01月03日(金)22時24分23秒
- 目の前に座っているのは紛れもなく本人で、
私は心臓の鼓動をゆっくりさせるのに四苦八苦していた。
中澤さんが先刻変な事を言うからだと自分に言い聞かせながら、
目の前のごっちんに向かって笑いかけようとした。
事件があったのは午後十一時。家路に着こうとしていた私に携帯電話が教えてくれた。
『泊まるのさー、今日でも平気かな?』
平気と返そうとする指が震えていたのも、家に着いてから大急ぎで掃除をしたのも、
全部中澤さんが変な事を言ったからだと思いたい。
ピンポーンとドアベルが鳴ってから三十分。
心臓が変になりそうになってたらごっちんが私に言った。
「なんか飲まない?って人の家であれだけど」
「あ、うん、そうだね。あの何がいい?」
しどろもどろな私に彼女は少し考えてから呈示する。
「紅茶、とか?」
「そうだね。うん。紅茶、いれてくるね」
紅茶を煎れようとする手が震えていた。
缶がかたかた音をたてる。
ねぇ、どうして私、こんなにドキドキしてるのかしら?
- 87 名前:1 投稿日:2003年01月03日(金)22時29分37秒
- なんか、順番がおかしくなった。。まぁいっか。
>>82
まさにその通りですね。中澤さん言い過ぎたかな?
>>83
ありがとうございますれす。今後も読んでくれると嬉しいのれす。
- 88 名前:リエット 投稿日:2003年01月04日(土)00時55分08秒
- 凄い動き出してきましたね!
後藤さんの気持ちはどう動いていくんだろう……。
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)22時31分33秒
- 期待してます
- 90 名前:28 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年01月20日(月)22時05分24秒
- 梨華ちゃんの家についてから三十分。
とりあえず紅茶が出てきた物の、梨華ちゃんは何も話そうとしない。
ときおり、梨華ちゃんは恥ずかしそうに私を見て、
目があってはそらした。
その動作はくり返されて、私もいい加減飽きてきた。
ちょっとからかってみようかなって。
ただそれだけだったのに。
まさか、よっすぃ〜の好きな人だし。
恋人だと思ってたし。
そんな事になるなんて夢にも思ってなかったから。
「僕には分かる。君は恋をしているね?」
芝居がかった声を出していたにも関わらず、
梨華ちゃんはすっとんきょうな声を出して顔を真っ赤に染めた。
「なんで、ごっつぁんまでそんな事言うのぉ?」
うるうるしていた瞳から涙がこぼれ落ちた。
私はどうしたらいいか分からなくて、
取りあえずテーブル越しに彼女の涙を拭いた。
彼女の涙は暖かかった。
- 91 名前:29 シバタアユミの場合 投稿日:2003年01月20日(月)22時14分39秒
彼女からメールが途絶えて三時間。
多分、今頃真希ちゃんが梨華ちゃんちについたぐらいじゃないだろうか。
せっかく開いてくれた打上げだし、私が盛り上がってないと他の人たちにも
心配をかけてしまうので、私は人一倍元気を装った。
なんだか最近、気持ちが変だ。
それに気付いたのは、梨華ちゃんとのあの会話から。
よっすぃーの話をされていても何も感じないのに、
真希ちゃんの話をされると、何故か胸が疼いた。
心の中で警報が鳴らされている。
でも、それがなんの為の警報なのか、私にはさっぱり分からなかった。
「飲む?」
めぐみがお茶を持って隣に座る。
「うん。ありがとう」
冷たい烏龍茶は私の喉を通って胃に広がった。
- 92 名前:1 投稿日:2003年01月20日(月)22時16分25秒
- >>88
動き過ぎですね。こんなに急変して平気なんでしょうか?
>>89
有難うございます。頑張ります。
- 93 名前:リエット 投稿日:2003年01月21日(火)20時48分16秒
- 色んな人が石川さんの気持ちに気付き始めてきましたね。
吉澤さんに柴田さんは、どうするのでしょう。
- 94 名前:30 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年02月03日(月)19時41分29秒
- ひとりぼっちでちょっと寂しい夜。
こんな時に必要なのは他人の温かさだったりするのに、
親友も愛しい人も電話が繋がらない。
梨華ちゃんは今日何してるんだろうとか。
ごっつぁんは今日何してるんだろうとか。
頭に浮かぶのは他人のしてる事の想像ばっかりで、
自分のする事が浮かんでこなかった。
「お風呂、入るかな」
やっと出てきた考えもそんな稚拙なもので、
我ながら少しだけ嫌になった。
これから何日か、ごっつぁんにも梨華ちゃんにも会わない。
確かに、やぐちさんとか安倍さんに会うのも楽しいけど、
やっぱり梨華ちゃんに会いたかったし、
卒業したって親友はごっつぁんだった。
めちゃくちゃ下らない事を考えよう。
例えば、好きなベーグル屋さんの新メニューの味とか。
梨華ちゃんの事を考えるのも、ごっつぁんの事を考えるのも寂しくなりすぎるから。
思いっきり腹筋を使って起き上がると、ちょっとだけ脇腹が痛くなった。
「もうっ。運動不足だなぁ」
独り言が寂しく部屋の中をこだました。
- 95 名前:31 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年02月03日(月)19時42分36秒
- あれ以来、ミキスケの家に行ってない。
行こうと思ってても、行きたいって言えなかった。
毎日の様に仕事で会ってて、その時のミキスケの態度は変わらないのに、
なんでか私は彼女の家に行きたいという言葉を出す事が出来なかった。
ねぇ、ミキスケ、あたしなにした?
そんな単純な言葉さえ出てこない。
仲直りをしようと思った日には、もうミキスケはいつものままで。
私はそのタイミングを完全に失ってしまった。
「ねぇ、あやっぺ」
「へ?」
間のぬけた声を出してしまった。
ミキスケは失笑まじりに私に言った。
「今日さ、ひさしぶりに家にこない?」
ねぇ、ミキスケ。
ミキスケの考えてる事わかんないよ。
私に何を求めてるの?お願いだから、仲直りさせて?
そんな言葉、彼女にはとうてい届かなかった。
- 96 名前:1 投稿日:2003年02月03日(月)19時43分56秒
- >>93
そうですねぇ。どう変わっていくか、まだ考えてません(ヲイ
まぁ、ぼちぼちと進んでいくので、見ていてやって下さい。
- 97 名前:リエット 投稿日:2003年02月04日(火)23時15分19秒
- 松浦さんしおらしくて可愛い……。
読者の立場としてはどっちの気持ちも分かってるだけに、ドキドキです。
- 98 名前:瑞希 投稿日:2003年02月04日(火)23時54分38秒
- いつもいつも更新を心待ちにしています。
短い文のなかにも、それぞれのキモチとか想いとかがぎゅって詰まった感じで、
読むたびに切ない気持ちにさせられます。
- 99 名前:32 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年02月10日(月)04時05分18秒
- 十二月は思っていたよりもハイスピードに事が行われていて、
さすが師走というだけあると妙な感慨にふけっていた。
今年最後の仕事だと言うのに、なんにも変わらない気がしていた。
来年こそはあの舞台に立ちたい。
こんな、端役で満足なんてしていたくなかった。
「村ッち、何してんのさ?」
「ん?編み物」
「本番終って、編み物?どうしたのさ」
驚いた調子で言う彼女に私は笑って答えた。
「だって誕生日にまで間に合わせなきゃでしょう?」
「誰の?」
「内緒」
- 100 名前:32 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年02月10日(月)04時05分53秒
- 手作りなんてもらったら迷惑?とまではさすがに言えず、
雅恵がそこを去るまで静かに編んでいようと思った。
「村っち、あたしさぁ」
「ん?」
「諦めた方がいいと思う?」
「……何それ。冗談?」
相手の呼吸がとまった気がした。
恐る恐る彼女を見ると、少し傷付いた顔をしていた。
「ねぇ、私は、マサオが幸せならなんでもいいよ?」
「そんなの、聞きたくなかったよ」
雅恵が立ち上がった。私は相変わらず編み物をしていた。
「だって、マサオが何しようと、私きっとマサオの事好きなんだもの」
「……え?」
「どんなに嫌われたって、遠くからでも見ていくよ?それが私運命だもの」
「村さん、愛してる」
「……ありがとう」
愛してると言われて納得した振りをする私。
愛してると取りあえず言っておいて私を放さない彼女。
さて、どっちが悪者なんでしょう?
- 101 名前:1 投稿日:2003年02月10日(月)04時08分42秒
- はい。そゆ訳で、時を流してみました。
最近のネタが書けないのが辛いですね。
コンビーフネタつかいたかった。。
>>97
うぃ。これからはもう少し現実的になります。
>>96
そう言っていただけると暖かくなった気分になります。
また読みに来て下さい。
- 102 名前:リエット 投稿日:2003年02月11日(火)15時58分48秒
- メロンが絡むとかなり切ないです……。
最年少の方以外、全て周りの人の気持ちがわかってるんですよね……。
村っち可愛い!
- 103 名前:33 アベナツミの場合 投稿日:2003年02月12日(水)19時33分13秒
- 「どーしよーって言われても……」
正直言って、まいってしまった。
電話の向こうでは今にも泣きそうな顔をしているのだろう。
それぐらいの検討はつく。
『なっちは、どう思う?』
受話器の向こう側が混乱気味に聞いてきた。
「うーん。難しいな……そうなってみないと分からないかな?」
『でも、でも、なっちがもしそうなったらどうする?』
私は思わず考え込んでしまった。
仮に矢口から告白されたとして、どうするのかと聞かれたら、
答は……。
『なっちぃ、どうしよぉ』
「うーん、うーん、どうなんだろう」
思わず自分でも考え込んでしまった。
どうしたらいいのかなんて、私にも分からない。
「てか、なんで私に?」
そもそもこういった内容の相談には上手く乗れないのだ。
それを彼女も知っていたはずなのに。
『だって、なっちの顔が最初に浮かんだんだもん』
「そっか……でもごめん。答が見つからないや」
彼女は納得していないものの、それでいいと言ってくれた。
- 104 名前:33 アベナツミの場合 投稿日:2003年02月12日(水)19時33分44秒
- 「あ、そうだ」
肝心な事を言うのを忘れるところだった。
え?と受話器の向こうで慌てて声が戻ってきた。
「あのね、もし、もし、同情とかで梨華ちゃんに接するんだったら、止めた方がいいと思う」
「あー、うん。それは分かってる」
「なら、いいけど」
電話がきれた後も私は考えていた。
梨華ちゃんが恋をしている姿はとても可愛らしいのだろう。
彼女にはそういうスタンスが似合う。
しかし、彼女が巻き起こした突然の嵐はまだ止みそうになかった。
どこかで心配しているのは、
彼女に愛情めいた視線があるのに気付いていたからだろう。
あの子はどうなるんだろう?
ごっちんはどうするんだろう?
私の周りではかり知れない世界が広がっていた。
- 105 名前:1 投稿日:2003年02月12日(水)19時38分04秒
- ちょっと軌道修正。
そっち派の人には申し訳ない気もしますが。
>>102
村っち、可愛いですよねぇ。本物は更に拍車がかかって可愛いです。
いや、メロンは柴ちゃんには甘いんですよ、きっと(w
あぁ、メロンの春コン行きたいなぁ。
- 106 名前:リエット 投稿日:2003年02月13日(木)01時04分22秒
- おお、そう言う方向に! 何となく納得ですが(w
話が進んでいるはずなのに、また一つ先が見えなくなりました……。
- 107 名前:34 フジモトミキの場合 投稿日:2003年02月15日(土)03時38分08秒
- モーニング娘。に入る事になった。
その話はニュースにもまだ出ていない。
突然落ちてきたその事件を、あやっぺにはまだ言っていなかった。
言わなきゃと思いながらも、最近の彼女は私と距離を置きたがっている様で
私は何も言う事が出来なかった。
こないだうちに泊まった日も、彼女は先にお風呂に入り、
先に寝間着を着て、ベッドの片隅で目を閉じていた。
「ねぇ?起きてる?」
話し掛けてみても、彼女の返事はなかった。
いつもなら起きて待っていてくれていた彼女。
一緒にお風呂に入ろうと私を困らせていた彼女。
その全てが今では何もなかったのではないかと思わせる程に
彼女の態度は頑で、私をシャットアウトしていた。
それ以来、私は彼女を家に呼ぶ事はなかった。
来たいと思ってくれているなら、彼女から言う筈だ。
だけれど、こんなにも胸が痛むのは何故だろう。
こんなにも悲しくなってくるのは何故だろう。
- 108 名前:34 フジモトミキの場合 投稿日:2003年02月15日(土)03時38分51秒
- モーニングに入る。
それは決定事項でかえる事はできない。
しかし、なんで私が?という疑問は残ったままだ。
あやっぺに相談したい気もしたけれど、
今の状態じゃ伝えられないだろう。
距離がありすぎる。
そんな気がした。
私の口から出てくるのは意味のない言葉しかないのではないだろうか。
そんな私が彼女にモーニングに入ると伝えたとして、
あやっぺの反応は決まってしまう。
「そうなんだ」とたった一言で終らせられたくなかった。
どうしたらいいのだろう。
今更、ソロでやってきた私がグループにいれられるのは、不思議だった。
ごまっとうは新しくソロの三人を集めたユニットで、
それとモーニングは全く別物の様な気がしていた。
ねぇ、どうしたらいいかなぁ?
私は目の前にいない彼女に頭の中で呟いた。
当たり前だが彼女からの返事はない。
他愛のない話の中にそれとなくニュースを伝えるメールを送ってみた。
彼女からの返事が来なかったとしても、それは忙しいからだと思いたかった。
- 109 名前:1 投稿日:2003年02月15日(土)03時41分18秒
- こんなにも連動した話、作るんじゃなかった。
大変だよ、なんだか。
楽しいからいいけども。どっちなんだ、私。
>>106
いや、これはちゃんと決まっていたのですよ。
決してこっからそういう流れにはなりませんです。
まぁ、見えない圧力もかかってましたが(w
- 110 名前:リエット 投稿日:2003年02月16日(日)04時28分59秒
- 確かに、ここまで絡めてきたものをほどいて収束させるのは大変そう……(w
藤本さんの変化がすごく印象的です。変化というか、隠していたものが出てきたというか……。
それにしても、いい圧力がかかってますね(w
- 111 名前:35 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年02月20日(木)22時21分07秒
- 紅白が終って、数日が過ぎた。
私達はいつもの様に集まって仕事をして、
何ごともなく日々は過ぎていった。
この間、めぐみに言われた事が、私の中でずっしりと重みを持っていた。
彼女の思いに答えたい、最近はそう思えてきた。
ふと見るとあゆみは今日も元気そうに笑っていた。
ぼんやりと遊んでいる彼女を見つめていると、めぐみが隣に座った。
「なんか、飲む?」
「ん?今はいいよ」
「そっか」
会話が終っても、めぐみはそこに座ってじっとしていた。
こっちを見るでもなく、ただ隣に座って私の視線を追う様に遠くを見つめる。
「村っち、今日泊まりにいってもいい?」
「いいよぉ」
ふんわりとした笑顔でめぐみが答える。
いつになったら私達は幸せになれるだろうか?
そんな言葉がつい口に出た。
「ちょっと、私は幸せよ?」
「そぉ?」
「うん」
めぐみは少し怒った様に言って、それから笑った。
私も幸せなのかと問われたら、幸せなのかもしれない。
好きな人の傍にいて、私を好きな人も傍にいて。
でも、なんでだろう。
すごく悲しい気持ちがどっかにあった。
- 112 名前:1 投稿日:2003年02月20日(木)22時23分24秒
- メロンは楽しいね。メロンだけ書いててもいいぐらいだ(w
>>110
そうですねぇ。あやみきはそろそろバカップル路線に戻したいぐらいなので。
或いはミキティが、そろそろ仲直りしたいと言ってるのかも(w
- 113 名前:36 イシカワリカの場合 投稿日:2003年02月21日(金)02時15分43秒
- 恋だと分かった瞬間にはもう泣いていた私は、
結局あの日、答を聞くまでもなく泣いただけだった。
ごっちんは相当困った顔をしていて、
私はなんて勝手な女なのだろうとひたすら自己嫌悪して約一ヶ月が過ぎようとしていた。
ごっちんにあっても挨拶をするだけで、会話ができなかった。
無視しているようにも見えるのかもしれない。
でも、私にはなんて言ったらいいのか分からなかった。
なんて、弁明したらいいのかわからなかった。
「おはよぉ、梨華ちゃん」
「お、おはよ……」
避ける様にその場を去ろうとした私の腕をごっちんが掴んだ。
「ちょっと待って、今日は話がしたいんだ」
「え?……うん」
- 114 名前:36 イシカワリカの場合 投稿日:2003年02月21日(金)02時16分24秒
- 廊下の隅ではなんだからと言う事で、私はごっちんに連行される形で
ごっちんの部屋に入った。
「あの、さ」
「なんか飲みながらにしない?喉乾いてきちゃった」
私はこの後に及んで逃げようとしていた。
だって、怖かった。
どうしたって、目の前の人が私に好きだと言ってくれる可能性なんてないに等しいんだから。
「すぐ終るからさ」
簡単に片付けられてしまって、少しだけ悲しくなった。
やっぱり簡単に終らせられてしまえる関係なのだと。
それでもドキドキしながら彼女の言葉を待つと、
それはごく簡単に告げられた。
- 115 名前:37 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年02月21日(金)02時17分13秒
- 「ごめん」
何が一番適切な言葉なのかを考えたけれど、それぐらいしか浮かばなかった。
目の前の梨華ちゃんはと言うと、ごめんという言葉だけでうるうる瞳が潤んでいた。
「あのさ、私さ、梨華ちゃんの事今までそんな風に見た事なくってさ」
罪悪感に襲われる。なんか悪い事をしている気分にさせられた。
「だからって訳じゃないんだけど……。あのね、ちゃんと考えたんだよ?
あの、例えば恋人になったらどうするのかとか凄く考えた。
でも、梨華ちゃんとの未来って想像出来なかったんだよね……。
だから、こないだの答は」
そこまで言うと、梨華ちゃんは耐えきれなかったらしく涙をぼとぼとと床に落とした。
「ごめん、また今度にして」
それだけ言うと彼女は走って外に出ていってしまった。
最後まで私の言葉を聞かずに。
「だから、こないだの答は保留でもいいかなぁって聞いてないよねぇ」
あー。ちょっと面倒かも。
そんな風に思う時点で、梨華ちゃんには私は相応しくない気がした。
- 116 名前:38 シバタアユミの場合 投稿日:2003年02月21日(金)02時18分00秒
- 慌ただしくスケジュールがすぎていく。
ラジオ収録の合間に携帯を見ると、梨華ちゃんから何度か電話があったみたいだった。
「ほら、曲あけちゃうよ」
ひとみがこっそり私に耳打ちしてくれた。
頷いて、私は携帯を閉じて、しまった。
梨華ちゃんにはラジオが終ったらメールでもしてみよう。
私達がメールが繋がる時間帯は、常に夜中ぐらいなものだったから。
今は平気だろうと勝手に思っていたのだ。
後々の事など考えずに、私はより明るい声をだしてラジオに挑んだ。
ごめんね、梨華ちゃん。もしこの時簡単にでもメールを返していたら、
ちょっとは違ったのかな?
- 117 名前:1 投稿日:2003年02月21日(金)02時19分30秒
- 色々出来事が進む。次の次の週ぐらいで終われますでしょうか?
あぁ、神様。終らせて下さいませ。
全然関係ないメロンの小説が書きたくなりました。
書いたらこれの後に載せますね。
皆さん、アルバムは買われますか?私は買います。
- 118 名前:リエット 投稿日:2003年02月21日(金)21時42分50秒
- 怒涛のように石川さん編が進む……。
それにしても、みんな思い通りには進みませんね。
メロンのアルバムは勿論買います(w
- 119 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2003年02月24日(月)00時21分28秒
- >>117
新作も楽しみにしてます
アルバムは2枚予約しますた
- 120 名前:39 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年02月26日(水)02時57分54秒
- とたとたと走ってる様な足音がした。
別に普段から聞き慣れているのでなんにも感じていなかったけれど、
廊下の角でぶつかってそれが梨華ちゃんなのを知った。
「どうしたの?」
「なんでもない」
よく顔を見ると、涙の後が見えた。
なんでもない訳がない。
「ねぇ、今までどこにいた?」
「なんで?」
少しおどおどした口調で梨華ちゃんは問い返してきた。
「ちょっと気になったから」
「大丈夫よ、気にしないで?」
梨華ちゃんはそれだけ言うとまた足早に私の元から去っていった。
何かがおかしくなってから一ヶ月とちょっと。
私はその原因が分からずに悶々とした毎日を過ごしていた。
- 121 名前:39 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年02月26日(水)02時58分44秒
- 「うぃーす」
「お、どしたん?」
迷ったあげく、結局はごっつぁんの所にきてみた。
彼女が何か知っているとは思えなかったが、
たまにすごく的を得た事を言ってくれるからだ。
「なんかさっきさぁ」
私は大きな溜息をついて切り出すと、
ごっつぁんはそこに置いてあったポテトチップスを差し出した。
「食べる?」
「あぁ、サンキュ」
ポテチを一枚食べてからもう一度言った。
「なんかさっきさ、梨華ちゃんとぶつかったんだけどさ」
少しだけくもった顔でごっつぁんが口を挟んだ。
「なんか言ってた?」
「いや、言ってはいないんだけど」
ポテチをもう一枚頬張って私は言葉を続ける。
「なんか泣いててさぁ、理由も教えてくんないの」
「それさぁ」
なんか甘いものも欲しくなってきたなぁ。
そんな事を思っていた。
私の人生が終りかけるカウントダウンがはじまっていたと言うのに、
私は全然そんな事考えていなかったのだ。
- 122 名前:39 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年02月26日(水)03時00分58秒
- はいな。そんな訳で更新です。
>>118
石川編、急変しすぎですね。
そろそろ終えられるかもしれません。
>>119
2枚ですか。ヲタの鏡ですねぇ。
私は初回がブックレット仕様だと聞いてやっと予約しますた(w
- 123 名前:リエット 投稿日:2003年02月27日(木)20時56分38秒
- いよいよ、全てがわかっちゃうんですね……。
続きが気になる。
- 124 名前:40 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時44分35秒
- みきすけがモーニングに入る。
そのニュースを教えてくれたのは、みきすけ自身だった。
大好きだって伝えたいのに、伝えられないみたいな、
そんな状況下で私は「そうなんだ」しか答えられない。
歯がゆい気持ちで一杯だった。
あの夜、眠った振りをする私にみきすけが珍しく声をかけてくれた。
なんであの時、振り向けなかったんだろう。
なんであの時、明るく起きてるよって言えなかったんだろう。
いつでもどこかで繋がっていないと不安だったのに、
今ではどこも繋がっていない。
案外平気な自分に少し驚いた。
私はあの時からすこし強くなれたのかもしれない。
でも、でも、やっぱりみきすけの傍にいたかった。
みきすけに笑いかけてもらいたかった。
みきすけにいっぱい、いっぱい、キスして欲しかった。
今日は一緒に仕事をする事がない。
後、一周間後までない。
待てないよ、みきすけ。会いたいよ。
でもそんな言葉、宙に消えていくだけだった。
- 125 名前:41 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時45分54秒
- 最近、あゆみの様子がおかしい。
瞳と私は空元気に見えるあゆみの笑顔について話し合っていた。
「……なんでだろう?」
「思い当たる事はある?」
「うーん……私達の知らない所での事じゃないかな、取りあえず私には見当がつかない」
「聞いても、知らない振りするよねぇ?」
「うん……多分」
いつも以上にはしゃいで雅恵と楽屋で盛り上がってるあゆみはたまに物憂気な顔をする。
その物憂気な顔に雅恵は気付いてか知らずか、そんなあゆみに付合って一緒にはしゃいでいた。
「とりあえず、マサオとジュースでも飲んできて?」
「村さんのが自然じゃない?」
「んー、でも邪魔したみたいになりそうで」
「そっか。そう見えちゃうよね」
私のわがままなお願いを聞いてくれた瞳は雅恵を誘って楽屋から出ていった。
残されたあゆみはすこし寂しそうにぽつんと立っていた。
- 126 名前:41 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時47分08秒
- 「しばっち、座ったら?」
「あ、うん」
自分が座ってなかった事にすら気付かなかったのか、あゆみはやっと椅子に座った。
私はどう話を切り出すか、すこし悩んでいた。
彼女がなんにも言ってこないときは、私が聞いたって答えないだろう。
そんな事ぐらい分かってはいたけれど、これ以上そのままにしておきたくなかった。
理由は色々あるけれど、一番は仕事に反映するからだ。
「あのさぁ、最近さ」
私がどうやって話そうか考えている間に、あゆみから話し始めた。
案外簡単にかなってしまったお悩み相談に少し拍子抜けしながら私は彼女の話を聞いた。
「梨華ちゃんがね、なんかさぁある、人の話を沢山する訳よ」
梨華ちゃんはあゆみにとって親友の様な存在だった。
よく泊まりにいったりとかメールしたりとかそう言う話を聞く時は大抵彼女の事だった。
「で、例えば他の人の話だと聞き流せるんだけどさ、
その人の話する時の梨華ちゃんがなんか凄くいつもと違ってて」
「うん」
「それがすっごい気になっちゃうんだよね、なんでか分からないんだけど」
そんな事気にしながら仕事しちゃいけないよね、とあゆみは笑った。
- 127 名前:41 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時47分49秒
- でも、なんだか私は嫌な予感がしていた。
予感と言うよりも確信に近いかもしれない。
「それってさ、梨華ちゃんがその人と話してるのが嫌だなって感じ?」
私が感じてる感情に近いかもしれない。
わかっている。雅恵があゆみの事が好きな事ぐらい。
それを承知で私は彼女の傍にいる事を望んだのだから。
でも、心のどこかで私は彼女に嫉妬していた。
「んー、なんかもやもやしてる感じ」
だからあゆみの答に少しだけ喜びを感じた。
雅恵がこっちを向いてくれるかもしれない。
そんな汚い感情が私を支配しようとしていた。
「そっか……私もね、同じ様な感情をある人に感じてるんだけどね」
私はその汚い感情を一生懸命振払いながら彼女に言った。
「私は、その人の思うままに行動して貰う事を選んだ、かな」
あゆみは納得したのか、頷いたまま黙ってしまった。
- 128 名前:42 フジモトミキの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時48分31秒
- あやっぺと仕事をしない期間が一週間ぐらいあった。
なんとなくほっとしながら私は建前上笑顔でその間を過ごしていた。
今までになかったはりつめた空気が嫌だった。
笑って抱き締めたいのに出来ないあの空気が嫌だった。
少しだけ彼女の温もりを思い出す。
このままじゃいけないのかもしれない。
このままじゃ、私達は終ってしまうかもしれない。
だけど。私は思う。
だけど、最初から関係等なかったのではないだろうか。
あの関係はただの遊びだったのではないだろうか。
手帳を開けてプリクラを見る。
幸せそうに笑ってる私達がいた。
頬を寄せあって、楽しそうに笑っている。
やっぱりこのままじゃいけない。
このまま終らせたくない。
私は一週間も待てなかった。
携帯のメモリから彼女の名前を見つけだして、メールを打つ。
『今夜、ウチにこれますか? ミキ』
- 129 名前:43 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時49分22秒
- あゆみの様子がおかしいのに気付いていたのは何も瞳達だけじゃない。
私は誰よりも彼女の事を見ていた。
だから、多分彼女達よりも先にあゆみの変化には気付いていた。
瞳から呼び出された時、私はなんとなくめぐみが彼女に何か話すのだろうと思った。
そういう役回りはいつも彼女か瞳の仕事だったから。
「ねぇ、なんで村っちが呼びに来なかったの?」
瞳が誘いに来た時、少しだけ驚いた。
たまに2人きりになる時間をめぐみはとても大事にしてくれていたから。
「そりゃ、恋敵と会話してる間に入ったら悪モノに見えるじゃない」
あっさりと瞳に言われる。
瞳はなんでも知ってるんだ。少しだけ感心した。
「しばっち、大丈夫かな」
「村さんがどうにかするでしょ」
駄目だったら私達総出で話を聞くまでよ、と簡単に言って退ける瞳は凄いと素直に思った。
- 130 名前:43 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年02月28日(金)02時50分11秒
- 「あのさぁ、ひとみん」
「ん?」
私は紙コップのふちを人さし指で拭いて続けた。
「私、悪い子かな」
「うーん、どうだろ。めぐみはそのままでいいみたいよ?」
瞳は笑ってから珈琲をもう一口飲んだ。
「まぁでも、今後の課題にしてほしいですね、新リーダーとしては」
「分かった」
「嘘。分かってないっしょ」
へへ。笑ってごまかすと、瞳は軽く私の頭を叩いた。
この時はまだ分かっていなかったけど、嫌でも分かる時がもうそこまで来ていたらしい。
私はその事にはまだ気付かずにジュースをもう一口飲んだ。
そろそろスタジオに向かわなければいけない時間だ。
私達はそれぞれ、飲み干した紙コップを捨てて楽屋に戻った。
- 131 名前:1 投稿日:2003年02月28日(金)02時51分33秒
- そんな訳で夜更けは筆が進むようです。更新です。
>>123
そろそろこのお話も終りに近付いて参りました。
斜線ぐらいは出てきたでしょうかね?
- 132 名前:44 イシカワリカの場合 投稿日:2003年03月01日(土)03時52分18秒
- 失恋してから、暫くの時が経った。
仕事にのめり込む事でごっちんの事を忘れようと思ったら、
それが良い結果を生み出したらしく、スタッフさんに褒められた。
なんだか、少しだけ複雑。
泣いていたのを見られてから、よっすぃーにも少し避けられている気がした。
仕方ないよね、ごっちんの親友なんだから。
最近は誰も家に泊まりにこなかった。
否、来させていなかった。
なんとなく傍に人がいたら頼っちゃう気がした。
だったら、ひとりでいた方が良かった。
だって、女の子好きになったなんて言えなかったから。
メールの着信音が聞こえてきた。
ぱっと手に取ってみるとそれは柴ちゃんからだった。
『泊まりにいっていい?』
柴ちゃんにならいいかな、相談しても、大丈夫かな。
私は携帯を両手に持ちかえると、すぐさま返事をした。
『いいよ。ちょっと相談あるんだけど、いいかな?』
ほどよくして返信メールが届く。
その内容を確認して私はまた笑顔満載で仕事に向かった。
- 133 名前:45 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年03月01日(土)03時53分20秒
- の話を聞いたよっすぃーは凄くショックを受けていた。
何を言っても、「そうだよね」以外の言葉を発しなかった。
「あ、なっちぃ」
「ん?おぉ、ごっちん。どした?」
目の前を歩いているのを見つけてつい相談した。
「へぇ……うん、じゃぁ梨華ちゃんは」
「多分嫌われてるとか思ってるんじゃないかな」
なっちは傍にあった自販機でミルクティーを買って私に手渡した。
同じ物が彼女の手の中にもあった。
「でもね、多分無理だと思うんだよ」
「なして?」
ミルクティーはまだ熱くて飲めるぐらいの温度じゃなかった。
「私さ、面倒だなって思っちゃったの。梨華ちゃんに泣かれた時」
「……」
紙コップの中の茶色い飲み物を見つめていると、なっちが切り出した。
「それはどういう面倒さだった?例えば「しょうがないな」みたいな感情じゃなくて、
うざったいな、みたいな感情?」
なっちの言葉に私は黙ってしまった。
- 134 名前:45 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年03月01日(土)03時53分57秒
- うざったいと思ったかと言われたら、それはそうなのかもしれない。
でも、決して嫌だからだって訳じゃなくて、なんとなく普遍的な何かを感じたというか。
そう。この後もこの調子だったら嫌だなぁと思ったのだ。
なっちを見た。ふーふーと息を吹き掛けながら紅茶を飲んでいた。
「うざったいけど、ずっとじゃなきゃいいなって思った」
突然喋り出した私に驚いた様な顔をしてからなっちは言った。
「じゃぁ、友達としてもういっかいはじめてみたら?その方がいいと思うんだけど」
「うん。なっち、ありがとぉ」
「……上手く行くといいね」
「ん」
私が立ち上がっても、なっちはにっこり笑ってその場から離れなかった。
「いかないの?」
「も少ししたら行く」
それじゃ、とだけ言い残して私は自分の楽屋に戻った。
- 135 名前:1 投稿日:2003年03月01日(土)03時56分36秒
- えぇ、どう見ても終りが近付いてきております。
最初の頃からくらべるとちょっと淡白になってきたかなって気もしますね。
さて私ごとですが
美貴様アルバムでなら満月
あややアルバムでならナビの壊れた王子様
ごとーアルバムでなら愛ってどんな×××
が好きです。
- 136 名前:リエット 投稿日:2003年03月01日(土)22時36分07秒
- 確かに、終わりが見えてますね。
終わりは見えてますけど、やっぱり収束地点はわからない……。
ちなみに、松浦さんのアルバムは同じ曲が好きです(w
- 137 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2003年03月02日(日)22時43分11秒
- 雅恵がまだ気付いてない「その事」ってなんだろう
なんとなく自分で予想してみたけど・・・当たってない事を祈ります
まだ松浦さんのアルバムしか持ってないけど
ナビが壊れた王子様とDiaryがよかったです
- 138 名前:46 シバタアユミの場合 投稿日:2003年03月03日(月)02時28分51秒
- 梨華ちゃんの家についた時、彼女は笑って出迎えてくれた。
私に相談したい事があると言っていたけれど、それがなんなのかはっきりしないまま、
私達はお菓子を食べたり、雑誌を見たりして過ごした。
「ねぇ、梨華ちゃん」
「ん?あ、ほら柴ちゃんこれ可愛いよ」
「だね」
梨華ちゃんからは言い出し難い話題なのかもしれない。
私は勇気を出して聞いてみる事にした。
「ねぇ梨華ちゃん、相談ってなに?」
「あ……」
梨華ちゃんはちょっと黙ってから口を開いた。
「あのね、私さ、今恋してるみたいなんだけどね」
少し、ショックだった。
そんな話は一度も聞いていないし、そんな素振りもみせていない。
みせていない?否、いたのだ。
私も気付いていたんだ、その思いに。だから嫌だったんだ。
「それ、ごっつぁんに?」
「え、なんで知ってるのっ」
驚いた様に私を見て梨華ちゃんが言う。
「いや、なんとなく」
「気付いてたんだ……」
梨華ちゃんが黙って俯いた。
- 139 名前:46 シバタアユミの場合 投稿日:2003年03月03日(月)02時29分32秒
- 私はなんと答えていいのか分からず天井を見る。
応援すべきなのだろう。彼女が恋をしていると言うのなら。
親友なのだから、応援すべきなんだ。
でも、今までよっすぃーと付合ってるんだとばっかり思っていたし、
それよりもなんだかもやもやした気持ちが私から離れなかった。
膝の上にポツンと水がこぼれて落ちた。
何かと思ったらそれは私の涙だった。
「やだっ、なんで柴ちゃんが泣くのよぉ」
「ごめん。なんとなく。なんでもないから」
どうしよう。よりによって今気付いてしまった。
どうしたらいいんだろう。自分でもその気持ちに歯止めがきかない。
私の頭を梨華ちゃんが撫でた。
その手にされるままに私は涙を止めようと頑張ってみた。
神様は残酷だ。
こんな時に気付かせなくてもいいじゃないか。
そう。私は梨華ちゃんがどうしようもなく好きだった。
- 140 名前:47 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年03月03日(月)02時30分46秒
- 梨華ちゃんはいつもと変わらずに仕事をしていた。
いつも以上に元気に明るい笑顔で。
私はごっつぁんから聞いた言葉がどうしても信じられなかった。
だって、梨華ちゃんと私はずっと仲良しで、ずっと一緒で、
そりゃ柴ちゃんのが一緒の時間は長いかもしれないけど、
足りない部分は補えていると思っていた。
この数年間、私が信じてきたものが今、まさに壊れようとしていた。
梨華ちゃんは私を好きじゃない。
いや、嫌ってはいないのだろうけれど、その好きは……恋じゃない。
ぼんやりとしたおおよその事実を見るだけでも十分に心に響いた。
私は今まで、勝手に恋人気分でいたんだ。
そう言えば、ハグはするけどキスはした事がなかった。
したいなと思っても彼女を汚す気がして怖いといつも逃げていた。
あの時、キスしてしまえば彼女の気持ちは手にはいったのだろうか。
色々な事が頭を巡る。
どれを信じていいのか分からなくなりそうになる。
でも一つだけ言える事があった。
私は梨華ちゃんが好きだった。
事実を突き付けられてなお、彼女が恋しかった。
- 141 名前:1 投稿日:2003年03月03日(月)02時31分55秒
- 梨華ちゃん愛されまくり。幸せなのか不幸なのか良く分からない人になってる。
>>136
>>137
- 142 名前:1 投稿日:2003年03月03日(月)02時33分50秒
- 間違えちゃった。
>>136
はい。収束地点はやっと作者に届いたぐらいの情報なので、
もう暫くお待ち下さい。
>>137
ダイアリーもいいですよね。台詞の入り方が凄く好きです。
やっぱりナビ壊は最高なんだっ。(自己満足
- 143 名前:リエット 投稿日:2003年03月04日(火)13時46分33秒
- 柴田さんの場合を見て、思わず、すげー、と口に出しそうになりました。
村さんの誕生日を祝して、次は村さん編なのかな。と思ったり。
- 144 名前:48 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年03月08日(土)06時53分43秒
- その時はいずれくるだろうと心の準備万端で、あやはトビラをノックした。
「おかえりー」
「ただいま」
にっこり言われてしまってはそう返すしかなかったのだ。
彼女に避けられ始めてからもう既に数カ月もあった。
言いたい気持ちも沢山あった。
会いたかった。なんで避けてたのか。
私の事嫌いになったのか。
全てに置いてはっきりと指せなければいけない日。
だから私は彼女には甘えずに颯爽と部屋に入った。
少し散らかり気味の彼女の部屋のかつて特等席であったそこに座る事にした。
「ねぇ、あやっぺ、ひさしぶりじゃない?」
「そうかな」
「だって会ったの本当、一週間振りじゃん」
そんなに仲いいのかとメイクさんに問われて、
「仲良しですよ〜っ。ね、あやっぺ」
無理矢理化粧を落として素っピンの姿に戻る
私は喜ぶ素振りを見せていると小さく囁かれた。
「今日、泊まりに来ない?」
誰にも聞けない様な声で囁かれて、恥ずかしそうにあやは首を縦に何度も降った。
- 145 名前:49 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年03月08日(土)06時54分37秒
- それは仕事の空き時間だけで作ったとは思えない程綺麗に出来ていた。
「はい。遅いバレンタイン、で早い誕生日」
「これ、全部村っちが作ったの?」
「うん。本を片手にだけど」
尊敬に近い眼差しはくすぐったくもなかった。
むしろ、あえて、「何が」は聞かない方が良心だろう。
私は今年は自分の手だけで作ったものがないと言っても過言ではない。
これは大事だと思った。イベントなんて、年中起きている祝日よりも、
サンタさんの熊の人形よりも大事だった祭事なのである。
とにもかくにも雅恵は無事、めぐみからのバレンタインをもらえた事になる。
めぐみさんがある程度本人をモデルにしてそれを着せるとうん、と頷いた。
これなら全然オッケイだわ。ベストはモスグリーンの少し濃い色合いだった。
「似合う?」
「うん。とっても素敵」
いい色合いのそれはマサオの良くきるベストとなる事に決定した。
リブで編まれているその魅力的な商品に、マサオは大喜びでさっそくそれを来てくれた。
サイズもさり気なく計っておいてよかった。
私はそれだけで満足してしまった。
- 146 名前:49 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年03月08日(土)06時55分50秒
- 「ねぇ、村っち」
「え?」
「村っちの誕生日ももうすぐじゃん?」
「……うん」
「その時さ、プレゼントあげるよ。何がいい?」
貴方がいてくれればそれで良かったのに。
ほら、またそうやって甘やかして私に居場所を与えてしまう。
「じゃぁ、デートしたい」
「デート?何処に?」
「どこでもいいから、行きたいな」
私は困った様に天井に顔を見せて天井とにらめっこを始めた。
「じゃぁ、マサオの行きたかった所」
雅恵は思っても見なカッタだろうその台詞に少し考えると、言った。
「じゃぁ、どっか探しとくよ」
「宜しくぅ」
時間を何時にするか、等色々話していた時に時間を知らせるベルが流れる。
私は飲んでいたジュースをマサオに渡して立ち上がった。
少し残っていたのが一瞬でマサオの口の中に入っていく。
- 147 名前:49 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年03月08日(土)06時56分31秒
- 「村さん、好きな所考えといてよ」
「駄目。マサオが選んでくれた場所じゃなきゃ駄目」
これはベストを作るよりも大変な難題を押し付けてしまったかな?
まぁ、日頃悩まされているんだから、これぐらいは悩ませても罰はあたらないと思う。
カミコップを捨てると、雅恵は私に手を差し出した。
「ありがと」
「どいたしまして」
私達はゴミを捨てるとスタジオに向かった。
雅恵とデート。考えてみたら、そんな事あまりしてなかった気がする。
あぁ、今度の休みが楽しみだな。
嫌な事とか、気になる事が沢山あるけど、神様お願い!
デートの日ぐらいは、私にラッキーを与えて下さい。
- 148 名前:1 投稿日:2003年03月08日(土)07時01分09秒
- えーと。いしよしごまの更新、あやみきの更新、めぐまさしばの
更新色々ありますが次は、初心に戻って短編。
2レスじゃ納まらなそうな感じなのでいつもとは違った感じに。
なんでかって?村さんの誕生日が3日だったからです。
村さんSPとでも言いましょうか。
>>143
柴ちゃん、今更かよっ。って突込みいれたくなりますよね(w
いやぁ、あんな気付き方しちゃって、可哀想に。
一生の傷ですよ。痕が残らなければいいんですけど。
- 149 名前:1 投稿日:2003年03月09日(日)00時57分56秒
- ちょっとたってみて来てみて、びっくり。
松浦編、なんかおかしいですね。
書き直してきます。。
- 150 名前:48 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年03月11日(火)00時28分27秒
- いつものメイク室に入ると、ミキスケが既にそこに座っていた。
隣に座ってメイクを始めると、ミキスケはいつもよりも少し明るい声で言った。
「ねぇ、あやっぺ、ひさしぶりじゃない?」
「そうかな」
「だって会ったの本当、一週間振りじゃん」
そんなに仲いいのかとメイクさんに問われて、
「仲良しですよ〜っ。ね、あやっぺ」とミキスケが答えた。
一度、化粧を落として素っピンの姿に戻る。
私はまだ少しだけ素っ気無い素振りを見せていた。
素っ気無い素振りになるのは、怖いから。
嫌われるかもしれないという恐怖に私は勝てないのだ。
テレビ用のファンデーションを塗る私の袖をミキスケが引っ張った。
「今日、泊まりに来ない?」
誰にも聞けない様な声で囁かれる。
上手く声を出す事が出来なかった私は慌てて首を縦に何度も降った。
- 151 名前:1 投稿日:2003年03月11日(火)00時29分31秒
- 48は>>145-147
- 152 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月16日(日)07時05分36秒
- 春にはまだ少し遠いが、花粉はしっかりと出始めているこの季節。
雅恵は数日前からずっと悩んでいた。
「うーん」
「どうしたの?」
瞳に訪ねられて思わず彼女に逆に問い返す。
「ひとみん、デートと言ったらどこにいく?」
「デートォ?」
暫く考えてから瞳は遊園地と水族館を提案してきた。
理由は簡単。2人でいて楽しい場所を選んでくれたのだそうだ。
「なんか違うんだよねぇ」
「なにが?」
「村さんの行きたい所」
「めぐみで迷ってたの?」
「うん」
- 153 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月16日(日)07時06分12秒
- 途端におかしそうに笑い出すと瞳は雅恵に顔は向けずに言った。
「どこでもいいんじゃない?自宅でも許すと思うけど」
「それじゃデートじゃないじゃん」
「おうちデート。それもまた味があるじゃない」
雅恵の頭をぽんと叩くと瞳は座っていた場所から立ち上がる。
外の空気を見て、今日は風が強いね、なんて言いながら背を伸ばすように手を高くあげる。
それを合図にかどうかはわからないけれど、あゆみがめぐみと楽屋に戻ってきた。
「ねぇ、2人ともさ」
「ん?」
「なに?」
「デートならどこいきたい?」
突然、瞳が彼女達に話題を振った。
雅恵が少しだけ恥ずかしそうにそっぽをむいているのをみつけためぐみは
少しだけ嬉しく思いながらその様子を観察していた。
- 154 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月16日(日)07時06分51秒
- あゆみの方はあっけらかんとした声で言った。
「別にどこでも。好きな人とだったらそうじゃない?」
「じゃぁ、始めてのデートならどうする?」
「うーん。映画、とか?」
あゆみはそれ以上の答が出てこなかった様だ。
一方のめぐみはというと、かなり真剣に考えている様で答は出てこない。
「村さんは?」
せかされる様にそう聞かれても、めぐみはやんわりと答えるだけだった。
「好きな人に連れっててもらえる所が嬉しい所だよ」
「村さんもかぁ」
「そんなものじゃないかしら?」
瞳にからかわれながらもめぐみは柔らかい笑みを浮かべるだけだった。
これは多分、雅恵に絶対その場所は雅恵が決めてこいという意思表示なのだろう。
雅恵は悩みに悩みながら、その日の来るまでの時を過ごした。
その事を考えなかったのは、仕事中ぐらいだった。
- 155 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月16日(日)07時07分28秒
三月三日がもうすぐ来てしまう。
夜中には仕事が入ってるめぐみと出会えるのは昼間の数時間である。
外を見るとそこはぽつぽつと雨が降っている状態だ。
空を見上げて雅恵は思い立った。
空を見に行けばいいんだ。きっといい思い出になる。
こんなグレーで寂し気に雨の降ってる空じゃなくて。
雅恵の考えはたった一つの場所に決まっていた。
子供の頃一度だけ連れてってもらった事がある。
あの場所は確かに特別で、誰にも見せていなかった。
あれを見せたら、めぐみはどんな顔をするだろう。
雨が降っていようがいまいが関係ない場所。
めぐみの携帯に電話をかける。
興奮は最高潮に達していた。
これからお前を連れていくぞって気持ちで一杯だった。
「はい?」
「村っち?」
「はい」
「明日の昼空いてるよねぇ?」
「え?あ、うん。空いてるよ」
- 156 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月16日(日)07時08分00秒
- 少し息切れをしてる自分に驚く。
雅恵はそれ程急いでめぐみに伝えたかったのだ。
「で、どこに決まったの?」
「なーいしょ」
めぐみはちょっと残念そうな声を出しながら
待ち合い場所の確認をした。
「じゃぁ、○○駅の前で」
「多分雨降ってるけど、傘はなしでね」
「え?傘は駄目なの?」
めぐみは少し困った様な声ででも分かったというと、
小さな声で囁いた。
きっと、聞こうとしていなかった人間には聞けないぐらいの声だった。
「楽しみに、してるね」
雅恵はそれを聞いただけで少しだけ満足していた。
- 157 名前:1 投稿日:2003年03月16日(日)07時09分28秒
- お約束とおり、短編。しかも前編。
楽しんで頂けてるでしょうか。
楽しいのは作者だけなんて説もございますが。
後半にもおつきあいいただけると有難いです。
- 158 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時38分25秒
- 雅恵がその日の天気予報を見ると、テレビでは雲マークと傘マークが戦っていた。
微妙な天気のお昼過ぎ。ぱらぱらと小雨が降り始めていた。
約束の駅に雅恵がつくと、めぐみは既にそこに立っていた。
茶色い革のコートに花柄のシャツに、カーキのスカートをはいていた彼女は、時折雨を気にしながらもそこに立っている。
「村ッち」
「おぉ、おはよ」
「待った?」
「ん?今来た所だよ?」
お約束通りな台詞に2人はおかしそうに笑うと、雅恵が手を屋根の外に出す。
「これくらいなら平気だよね?」と言うと、雅恵はめぐみを連れ出して歩き始めた。
「ホントに傘なくていいの?」
「すぐ近くだからさ」
その場所は、雅恵の言う通り、本当に近くにあった。
歩いて5分程である。
めぐみはそこが何をする場所なのかまだ分かっていない様子で、
雅恵はそれが少し楽しかった。
雨はまだぱらぱらと彼女達に雫をもたらす。
「じゃーん。ここ」
「ここ、なぁに?」
「雨なのに、お天気な場所」
実際、雅恵はその場所を誰かに教えた事はなかった。
なんとなく、めぐみには教えたかった。
日頃のおわびと言う訳ではないが、不思議とそんな気持ちになったのだ。
- 159 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時39分03秒
- めぐみの手をひいて雅恵はその場所の中に入った。
あたり一面に空が描かれている。
「プラネタリウム?」
「あったりー」
めぐみは目を輝かせてあたりを見回していた。
雅恵はそんなめぐみを横目に入場券を買う。
「ねぇ、私、プラネタリウムって初めてかも」
「ホントに?楽しいよ」
「楽しいね」
プラネタリウムの座席は少し斜めがかっていて、座ると空が良く見える様になる。
じぃーという音が聞こえはじめるのはもう少し先の話だ。
めぐみはあたりを見回して、そこがカップルだらけなのを見つけてしまった。
「ねぇ、マサオ、カップルだらけだよ」
「うちらも一応カップルじゃん」
当たり前といった口調で返すと雅恵は芝居がかった口調で
彼女に「そうだろ、ベイベ」と同意を求めた。
めぐみは少し考えてから、うん、と頷いた。
- 160 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時40分11秒
- 瞬く間に時は過ぎた。
太陽惑星のできた経緯や、今の星座についてお兄さんが熱弁を振るっていたのにも関わらず、
それはたかだか15分程度の様に感じた。
途中で手を繋いでみると、めぐみはそれに優しく答えた。
雅恵は自分の気持ちを思い出してみる。
あゆみが好きだった自分。あゆみとデートをしたいと思っている自分。
この時間の全てが予行演習にすぎないのだろうか。
それとも、この時間はまったく別の意図の為に作られたのか。
プラネタリウムを出ると、雨は止んでいた。
「早かったねぇ」
「うん。あ、でも1時間だからね」
「そっか」
めぐみは幸せそうに笑っていた。
願わくば、その笑顔が本物であるように、と雅恵は頭の中で唱えた。
「この後、どうする?」
「御飯食べようか」
「うん……じゃぁ、外で食べられる場所に行こうよ」
プラネタリウムから歩いて七分の所に、小さなカフェがあった。
覗いてみると、お客さんはあまりいない様子である。
- 161 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時40分48秒
- 雅恵が覗いているのをボーイさんは素早く見つけ、
彼女達をテーブルまで通した。
「私は、オムライスと、あさりとガーリックのスープ」
「私はじゃぁ、野菜のスープと5種の野菜盛り合わせパスタで」
「はい。かしこまりました」
相変わらず肉食べないよねと笑ってその理由を聞こうと思ってみたけれど、
笑い話にしかならなかった。
めぐみが傍にいる時の心地よさは、それが四人でいるから感じていたものではなく、
めぐみが傍にいるという時にだけ感じられる事に気付いた。
これって結構大事かもしれない。
「もうすぐだね」
「ん?」
「ほら、もうすぐコンサート」
「あぁ」
テーブルの上にはまだコップが二つと、フォークとスプーンが並んでるだけだった。
- 162 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時41分20秒
- 手を持て余した様に遊んでいると、めぐみがまるで子供みたい、と笑った。
実際、雅恵は子供な部分を持ち合わせているのかもしれない。
「大変お待たせ致しました」
パスタとオムライスを持ってきた店員さんが、各自に確認を取りながらそれを渡していく。
あゆみといる時のドキドキ感と、このまったりとした落ち着く雰囲気はどっちの比重が重いのだろう。
「美味しいよ?一口食べる?」
「うん。めぐみも食べるよね?」
店員さんにお皿を貰おうとしためぐみを止めて、私はスプーンでオムライスをしゃくると、彼女の口の前に持っていく。
こんな事、皆のいる前では当たり前の事だ。
「うあ、なんか照れるよ」
「いいから食べなって」
めぐみの口の中に私のあげたオムライスがゆっくりとおさまる。
胸がどくんって鳴った気がした。多分、気のせいだけど。
「じゃぁ、はい」
「頂きます」
綺麗にフォークに巻かれたそれは、少しだけピリ辛だった。
2人で美味しいと言い合いながら他愛のない話を始める。
メロンの今後、今お勧めの映画、最近気になってるアーティスト。
話はいくらでも尽きなかった。
- 163 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時42分38秒
- ふと、めぐみが外を向いた。
「どうしたの?」
「いや、雨降ってきたなぁって」
外を見ると、少し強い雨風が窓ガラスの向こう側で木を踊らせているのが見えた。
「このまま」
「へ?」
雅恵の疑問には答えずにめぐみは続ける。
机の上に組み合わされている手には少し力が入っていた。
「このまま、雨止まないといいな」
「濡れちゃうよ?」
「ずっと雨宿りしてるの」
雅恵は窓の外を眺めて、それからめぐみの両手を覆い隠すように持った。
自信に満ちたその笑顔は何かを語りたいと心から思っている様に見えた。
- 164 名前:雨の日は傘をさすよりも先に 投稿日:2003年03月22日(土)05時43分24秒
- 「なに?その顔」
「ん?あのさ」
店員さんがやってきて、フォークやらお皿やらを片付け始めた。
その動作をゆったりと見ながら、彼がその場を離れるまで待った。
「で?」
「うん。雨止んでも平気だよ」
「そう?」
「だって、村っち私の傍から離れないんでしょ?」
自信を持って言えた。彼女は私を愛してくれているからこそそう言ったのだ。
めぐみは少し驚いた様な顔をして、それから唇を突き出した。
「ずるーい。自分だけ分かった気になっちゃって!」
「しょうがないじゃん。分かっちゃったんだもん」
テーブルの上の水をいれたグラスが氷にあたってからんと鳴った。
- 165 名前:1 投稿日:2003年03月22日(土)05時43分57秒
- 短編終了。これから先はまたいつも通りの展開になります。
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月23日(日)01時21分57秒
- う〜ん。
面白すぎです。
絡み合う人間関係、どう収束するのか楽しみにしてます。
- 167 名前:50 フジモトミキの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時28分53秒
- ひとり、部屋にいると少し寂しい気持ちになる。
私は先日やってきた時のあやっぺとの会話を思い出していた。
考えただけでも少し落ち込む。
『久々だね』
『そだね』
あやっぺはいつものクッションの上に座って、私を見上げた。
その仕草が愛らしくて思わず笑うと、あやっぺは心外だという顔をした。
『なんで、最近そうかな』
ぼそっと呟いた言葉を、きっとあやっぺは聞いていない。
うつむくあやっぺを置いて、私は冷蔵庫を覗いた。
オレンジジュースとコカ・コーラを取出す。
コカ・コーラの缶を開けて飲みながらあやっぺのところへ戻ると
彼女にオレンジジュースを手渡した。
『ねぇ、お風呂入る?』
『……後でいい』
- 168 名前:50 フジモトミキの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時31分15秒
- 彼女を誘った時に嬉しそうに頷いていた様に見えたのは嘘だったのだろうか。
『じゃ、私入ってくるよ』
少しだけ期待していたのは、一緒に入るという言葉。
だけど反ってきたのは全然違う言葉だった。
『ミキスケさ、私の事どうしたいのよ』
『はぁ?』
驚いて思わずハワイヤン娘さながらの声が出た。
『もうさ、嫌いなのか好きなのかはっきり言ってよっ』
『……』
私が答えないでいると、あやっぺはもういいと言って立ち上がると部屋を出ていった。
あの時、私が素直になってたら少しは違ったのだろうか。
- 169 名前:51 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時32分24秒
- デートが終ってからというものの、私は毎日めぐみの家に行っていた。
彼女の隣にいるのが心地よくて、好きだった。
あゆみへの想いがある分、少しだけ罪悪感があったものの、
彼女は何も気にしていないかの様にふるまって、私もそれに従った。
「ねぇマサオ」
「ん?」
当然の様に自分のパジャマを棚から取出す私にめぐみが話し掛けてきた。
「もし、よ?もし、あゆみに好きな子が出来たらどうする?」
彼女の言ってる事を理解するのに少しだけ時間がかかった。
それはもしかしなくても、あゆみを諦めるかどうかを聞かれている訳で。
「分からないよ、そんなの」
「……そっか。ごめん、変な事聞いて」
パジャマと下着を棚の横に置いて私はめぐみの前に座った。
「なんでそんな事聞くの?」
「別になんでもないよ」
「諦めてほしいの?」
もし、彼女が頷いたら私はどうするのだろう。
考えてみたら、彼女の好意に私は甘えてばかりである。
「そんな事ないって。それに、諦めないでしょ?」
彼女がそう言うのは分かっていた。
そうやって関係が続いてきたのだ。
「不安なら言えばいいじゃん」
「不安なんて」
めぐみは少し困った様な顔をして言い返す。
- 170 名前:51 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時33分19秒
大事なのは、誰だろう。
私は誰を大事にすればいいのだろう。何を大事にすればいいのだろう。
- 171 名前:52 イシカワリカの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時33分53秒
- 最近、よっすぃーが少しだけ冷たい気がする。
別に気にする程の事ではないのかもしれないけれど、
急に私を避けてる様な対応をされて少しだけ困っていた。
柴ちゃんは心配する事はないと言っていたけれど、
彼女はよっすぃーの態度を直接見てる訳じゃないし。
「あ……」
目の前をごっつぁんが歩いていた。
「ごっつぁんっ!」
思わず声をあげる。
まさかこんな所で会うとは思っていなかった。
だって、もう卒業しちゃってから暫く会って無かったから。
「梨華ちゃん……ひさしぶり。」
「ひさしぶりだね」
思わず笑顔が出た。
どうしよう。やっぱりごっつぁんの顔を見ると嬉しい。
でも、今はそんな事よりも。
「あのさぁ、よっすぃー最近変じゃない?」
「え?よっすぃー?」
ごっつぁんの顔が少しだけ困惑した表情になった。
私が頭にハテナをつけていると、ごっつぁんが私の目の前で手をあわせた。
- 172 名前:53 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時34分55秒
- 「ごめん!」
そう言うしかなかった。
梨華ちゃんに会ったらいつかは謝らなきゃいけない事だった訳だし、
それ以外に言葉が見つからなかった。
「へ?何?」
まだ梨華ちゃんは困った様な顔で私を見ていた。
急に謝られたら、そりゃなんだかよく分からないか。
「あのねぇ、言っちゃったんだよ、よっすぃーに」
「何を?」
「だからぁ」
気付いて欲しいと思う私は自分勝手なのかもしれない。
仕方ないので私は梨華ちゃんの耳元に自分の顔を近付けた。
梨華ちゃんは前みたいに過敏反応する事はなく、私を受け入れる。
「梨華ちゃんが私を好きって」
- 173 名前:53 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年03月24日(月)04時35分33秒
- 「えーっ!」
梨華ちゃんの耳元に私の唇があるって事は、彼女の口の近くに私の耳もある訳で。
私は梨華ちゃんの大声に思わず顔を離した。
「梨華ちゃん、声大きい」
「い、言っちゃったの?」
「だからごめんて」
梨華ちゃんは顔を真っ赤にさせてその場を離れていった。
まるで私に気付かないかの様に。
彼女が私を好きなんて嘘なんじゃないかと一瞬思う。
だって梨華ちゃんのそれはまるで友達のそれで。
なんと言ったらいいのかは微妙だけど、
とりあえず今はよっすぃーに言われてショックだったって事ぐらいしか分からない。
なんとなく思い出した。
そういや、彼女はほれっぽかった。
もう私の事を忘れているのかも。
誰かに相談してみようかと思った。
もしかしたら冗談なのかもしれないんだけどさ、とか言って。
なっちの顔が浮かんだ。けど、すぐにそれを打ち消す。
なんでいつもこういう話題が苦手な筈のなっちの顔が私の頭に浮かんでくるんだろ。
もう何が何やら全然訳わからなかった。
- 174 名前:1 投稿日:2003年03月24日(月)04時37分35秒
- 眠れない夜は交信。もとい、更新。
>>166
ありがとうございます。
なんとか収束させたいと思っております。
しかし最近短編といい、48、49といい不完全な更新ばかりだな。
今回はそんな事がなかった様に祈りたいものでつ。
- 175 名前:54 シバタアユミの場合 投稿日:2003年04月02日(水)07時25分05秒
- 泣いてしまってからというものの、私はなんとなく梨華ちゃんに会いづらかった。
梨華ちゃんに会うという事も、そもそもあんまりなく、
たまにメールが来て、それに一生懸命普通を装って返事を返すぐらいだ。
「ねぇ、村さんさぁ」
私はなんとなくめぐみに話し掛けた。
幸い、周りには誰もいない。
「村さん、前言ってたじゃん?」
「何を?」
「ほら、梨華ちゃんの話」
「あぁ」
めぐみは軽く頷いて、私の話を聞く体勢に身体を変えた。
「あたしさぁ、どうしたらいいか分からなくてさ」
「梨華ちゃんが好き、なんでしょう?」
「どどどど、どうして分かったの?」
めぐみはふふっと笑うと私にこっそり耳打ちした。
「女の勘ってやつ?」
「すごいねぇ」
「感心してどうするのよ」
- 176 名前:54 シバタアユミの場合 投稿日:2003年04月02日(水)07時25分42秒
- めぐみは目の前にあるポッキーを一つ手に取って、それを見つめながら言った。
「柴っちはどうしたいの?」
「わかんない」
「あのね、私の経験上の話だけど」
ポッキーはめぐみの口の中に消えていく。
ゆっくりとポッキーを食べ終るとめぐみが続けた。
「大変よ?見てくだけって」
「うん……」
「相手が、こっちの気持ち知らなかったら多分もっと大変よ?」
めぐみの言う事が少しだけ分かった気がした。
だけど私はまだどうしていいのか分からなかった。
- 177 名前:55 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年04月02日(水)07時26分17秒
- 別に、梨華ちゃんに冷たくしようとは思ってなかった。
好きな事に変わりはないし、梨華ちゃんがこっちを向いてくれる可能性だって捨てきれない。
だけど、私はなんとなく梨華ちゃんに冷たい態度をとっていたのかもしれない。
安倍さんがある日やってきて私にこう言った。
「よっすぃー、梨華ちゃんとなんかあった?」
「いや、別にないですけど……」
それは本当だ。直接何かあった訳じゃない。
「じゃぁさ、ごっちんからなんか聞いた?」
妙に確信づいた質問に私はどうしたらいいか分からなくなって、
安倍さんから目をそらした。
「聞いたんだ」
「……はい」
安倍さんは少しだけ溜息をつくと、私の目を見て言う。
「あのね、人の気持ちってどうにもならないって分かってるけど」
「分かってます。梨華ちゃんの所為じゃないですよね」
先に言うと、安倍さんは黙ってしまった。
周りが騒がしくなってきて、安倍さんは私から少し離れた場所に移動した。
安倍さんの目が私を見ていた。
『梨華ちゃん』
そう呼び掛ける事は結局出来なかった。
- 178 名前:56 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年04月02日(水)07時26分53秒
- どれだけ泣いただろう。
もう思い出せないぐらい泣いた。
それでも毎日朝はやってくるし、仕事もあるから、
泣き止まなきゃいけない事ぐらい分かってて。
だから私は泣くのは最低限におさえてたけど、やっぱり涙は出てきた。
毎朝、目薬をさす事が癖になってきている。
ミキスケはやっぱり私が好きじゃなかった。
それだけが今の私の真実で、それだけで押しつぶされそうだった。
仕事で会う事も少なくなって、その度に会話も少しずつ減っていった。
私が話そうとしないだけなんだけど、ミキスケはそれでも平気みたいだった。
当たり前だ。私の事好きじゃないんだから。
- 179 名前:56 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年04月02日(水)07時27分28秒
- 好きじゃないなら、なんであんな事してたんだろう。
疑問に残るけど、答は一つだけ見つける事ができた。
彼女にとって、私との時間は遊びだったんだ。
私が真剣に彼女を求めていたあの時間は、
ミキスケにとってはただの暇つぶしで、私との事なんてなんとも思っていなかった。
ねぇ、ミキスケ、キスしたいよ。
ミキスケの身体中にキスがしたいよ。
それが遊びでもいい。
私が好きならそれでもいい。
だけど、私はそれをミキスケに伝える事が出来なかった。
2人っきりになる時間が少なくなった所為もある。
だけど、一番の理由は怖かったから。
ミキスケに、拒否されるのが私は怖かった。
本気だって知られるのが、凄く、凄く、怖かった。
- 180 名前:57 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年04月02日(水)07時28分06秒
- 私はどうしようか悩んでいた。
雅恵が悲しむような事はして欲しくない。
だけど、あゆみも大事な仲間で、彼女の幸せを心から願いたかった。
時間の空いた時に、私はあゆみに自分の体験談を語ってみる。
「あのね、私はとにかくその人の傍にいたかったのね」
今もそれは同じ。雅恵の傍にいたかった。
雅恵がこっちを向いてくれていなくても、彼女が甘えてくれるだけで嬉しかった。
「だから、私は、私はだよ?好きだって伝えて、それで全部許すって言ったの」
「辛くなかった?」
当然の様に過去の話だとあゆみは解釈していた。
まさか今も、彼女を好きな雅恵を愛してるとは言えない。
「辛くなかったよ。寂しいなって思う時もあったけど、傍にいてくれたから」
「でも、気持ちは別の所にあったんでしょ?その人」
雅恵が少しこちらを気にしていた。
私達の話が聞こえているのかもしれない。
ならば私は堂々と答えよう。
「好きな人がいるその人も含めて、全部が好きだったから」
ねぇ、雅恵、安心して?
貴方がこの先何があろうとも、私は貴方を愛してる。
- 181 名前:1 投稿日:2003年04月02日(水)07時29分31秒
- 更新です。最近、早朝更新ばかりですなぁ。
そろそろ終ると言いながら、全く終る気配がございません。
まぁぼちぼち終らせていきたいと思ってます。
- 182 名前:リエット 投稿日:2003年04月03日(木)04時21分37秒
- 作者さんのおっしゃる通り、どう終わるのか全く予想できません(w
いつのまにか、上手く行っている人が一人もいなくなりましたね……。
- 183 名前:ねえ 投稿日:2003年04月06日(日)13時28分42秒
- こんにちわ。
初めて、こちらに書かせていただきます。
始めからいっきに全部読みました。
いろいな人の思いがいっぱい交差していて、今後どうなっていくのかとっても楽しみです。
みんなの心理描写が丁寧に書かれていて読んでいて、ドキドキしたり、切なくなったりしました。
これからも、楽しみにしています。
それでは、失礼します。
- 184 名前:58 フジモトミキの場合 投稿日:2003年04月15日(火)05時45分25秒
- あれ以来、あやっぺに会う事が極端に少なくなった。
それは仕事の都合やなんかで仕方のない事だったけれど、
私はどこかほっとしていた。
あの時の彼女の顔を思い出す。
傷付いた様な顔。
私達はあんな顔をさせる様なはじまり方じゃなかった筈だ。
そう。思い出す。
誘ったのは私。誘いにのってきたのは彼女。
軽い遊びのつもりだった。
仕事も順調に進み始めて何もかもが楽しくて、
側にいた彼女になんとなく遊び感覚で近付いた。
罪だと言われればそれまでかもしれない。
私はでも、どこかで彼女に惹かれていたのだ。
私では勝てない存在。
私では手に入れる事の出来ない場所に彼女はいた。
手にいれてやると意気込んで、それでもなかなか手に入らないその場所に。
私は傷付けたかったのかもしれない。
私が惹かれていた筈の彼女を。
私には手に入らない彼女を。
- 185 名前:59 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年04月15日(火)05時46分16秒
- ついつい聞こえてしまったその話題は、私の耳に残ったままだ。
どうやら恋愛相談らしかったけれど、そんな事が問題だった訳じゃなくて、
めぐみの一言が私の中でこだましていた。
『好きな人がいるその人も含めて、全部が好きだったから』
それってきっと私の事だ。
私は彼女の愛の中で押しつぶされてしまうんじゃないかと思った。
彼女の大きな愛は、私のあゆみに対する思いよりもはるかに大きく、偉大だった。
あゆみを忘れよう。
そう思った。出来ないかもしれない。
それでも、私はめぐみの愛と自分の愛を比べた時に、
どれだけ自分の愛がちっぽけかが分かったのだから。
「村っち」
「ん?どした?」
私は精一杯の告白をしよう。
いま、できる限りの告白を。
「あのさ、私、柴ちゃんの事忘れようと思う」
「……」
驚いたのか、めぐみは何も言ってこない。
「村っち?」
その次の瞬間だった。
彼女は泣いた。
涙をぼろぼろ流して、声も出さずに、ただひたすらに涙を流した。
驚いている周囲を他所に、彼女の涙が止まる事はなかった。
- 186 名前:59 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年04月15日(火)05時47分08秒
- ここはやはり抱き締めるべきなのだろうか。
抱き締めようかどうしようか悩んでいた時に、
めぐみの隣にひとみがやってきてティッシュを渡した。
「……」
「何にも言わなくていいよ」
ひとみはそれだけ言うとまた少し離れた場所に戻っていった。
「村っち」
「……」
嗚咽すら漏らさない彼女に少し近付くと、私は彼女をゆっくりと抱き締めた。
「……っく。うぇ、ぇ」
やっと彼女から嗚咽が漏れ出した。
それだけで、いまの私には十分だった。
周りの人達が何があったのか心配そうに見守っていてくれたけれど、
私はその人達に手だけでお礼をして彼女を抱き締め続けた。
あゆみが私を見ていた。
いや、正確には私達を見ていた。
心が少しだけ痛んだ。でも、少しだけだった。
- 187 名前:60 イシカワリカの場合 投稿日:2003年04月15日(火)05時48分02秒
- あの日から、よっすぃーの隣になる事が何故か多くなった。
私は私の気持ちを知られてしまったのが
なんだかすごく悪い事をしているかの様に感じられて少しだけ憂鬱だった。
よっすぃーの隣にいると少しだけドキドキした。
よっすぃーがこっちを見ると、なんだか全部見すかされているみたいに感じた。
「あ、あのさぁ」
「なに?」
少しだけ冷たい声でよっすぃーは私が話しかけると答える。
それはいつもの事だったのだけど、今日はなんだか違う気がした。
「ごっつぁんからさ」
「あぁ、その話、したくないから」
いつもなら、普通の会話。
私達の仲だったら、別になんともない、普通の会話。
だけど、その日は絶対違う空気で。
私はどうしたらいいのか分らなくて楽屋から携帯を持って外に出た。
絶対、絶対、泣かないって決めたら、涙はでてこなかった。
- 188 名前:1 投稿日:2003年04月15日(火)05時52分47秒
- >>182
いや、終らせるつもりなんですけどね、
なかなか思うように動いてはくれなくて(w その内きっと終ります。
いや、しかしほんと、うまくいってるところがないなぁ。
>>183
こんにちわ。
読んで下さってありがとうございます。
そこまで褒めていただけると作者、照れちゃいます(w
また読みにきてやって下さい。
- 189 名前:61 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年04月16日(水)08時19分58秒
- 新曲のレコーディングが終ってほっと一息ついていたら、梨華ちゃんから電話がきた。
「はい?」
『もしもし、ごっつぁん?』
少しだけ切羽詰まった声で、私はどきっとしながら彼女への受け答えを考えた。
「どしたの?」
結局でてきたのは単純な言葉だったけれど。
『あのね、よっすぃーがね』
その後聞いたのは、よっすぃーが梨華ちゃんに冷たいって事ぐらいで、
後はあまり意味のない言葉の羅列だった。
「うーん……ごめんしか言えないや」
『そうじゃなくてね、どうしたらいいのか分らないの』
「あぁ、そういう事?」
相変わらず梨華ちゃんはよっすぃーの事ばかりを気にしている。
やっぱり私の事好きって言ったの、嘘なんじゃないかなとか思い出した。
「うーん……よっすぃーも頑固だからねぇ」
『嫌われちゃったり、しちゃったかな?』
「そういう訳じゃないと思うけど」
今までの対応から考えて、よっすぃーは多分傷付いているだけなんだと思う。
でも、それを梨華ちゃんに伝えてもきっと伝わらない。
「とにかく、しばらく様子みたら?」
私に言えるのはそれだけだった。
- 190 名前:61 ゴトウマキの場合 投稿日:2003年04月16日(水)08時20分37秒
- 梨華ちゃんとの電話が終ってすぐ、私はなっちに電話をかけた。
「もっしー」
『おぅ。ごっちん。どうした?』
彼女の声を聞くと何故か安心する。
梨華ちゃんの件を伝えると、なっちは少し考えてから言った。
『よっすぃーにはそれとなく言ったんだけどなぁ……やっぱり無理か』
「なんで?」
『だって、よっすぃー、梨華ちゃんの事好きじゃない』
私は初耳だった出来事に驚いて思わず大声をあげた。
ここが楽屋で良かったとつくづく思う。
『し、知らなかったの?』
「うん」
『あちゃー……言っちゃった』
なっちはなかった事には出来ない事実に頭を抱えている様だった。
その様は容易に想像できる。
『いや、よっすぃーにはもう1回話してみるよ』
「うん。あ、ねぇ」
なんとなく言った一言。
別に、この時はなんとも思ってなかった。
「今度さ、泊まりにいっていい?」
『いいさー、いつでもおいで』
なっちは快く受け入れてくれて、私達は電話を切った。
- 191 名前:62 アベナツミの場合 投稿日:2003年04月16日(水)08時21分26秒
- 最近、頭が痛い事が一つだけある。
よっすぃーと梨華ちゃんが原因な訳だけど、
当人達はお互いの感情が忙しいらしくて、私が頭を抱えているのに気付いていない。
ごっちんから聞いた情報によると、梨華ちゃんはごっちんが好きで、
それを梨華ちゃんの事が好きなよっすぃーが聞いちゃって、
2人の間はちょっとした冷戦状態になっていると。
頭の中でまとめてみたものの、尚更頭が痛くなってきた。
「よっすぃー、ちょっといいかな」
「はい。いいっすよ」
私はよっすぃーを呼び出して、少しだけ息を整えた。
皆の足並みをそろえるのも、年長者の仕事。
「よっすぃーさ」
「梨華ちゃんの事っすよね。分かってます」
「うーん。難しいとは思うんだけどね」
「どうしようもないんですよ。自分だってあんなっ」
少しだけ興奮気味に、よっすぃーが拳を握りしめた。
- 192 名前:62 アベナツミの場合 投稿日:2003年04月16日(水)08時22分20秒
- 「とにかくね、梨華ちゃんと話し合ってみたら?」
「そんな事が出来たら」
私は彼女の言葉を遮って確信に迫る。
「梨華ちゃんに、自分の気持ち、伝えてみたら?」
「え?」
よっすぃーは明らかに動揺していた。
それでもかまわず私は続けた。
「梨華ちゃんに、好きって言ってみたら?」
「そんな事したって、何の意味も」
「それだけで、解決する事もあるんだよ?」
よっすぃーは黙ったまま、うつむいてしまった。
私は彼女の肩をぽんと叩いて、楽屋のまん中に戻った。
幸い、誰もこの話を聞いてる人はいなかった様で、ののが近付いてきてポッキーをくれた。
「ありがと、のの」
「へへー、なっちゃんもお腹空いたでしょ?」
彼女にキスしてあげたいぐらい愛おしかった。
私にとって、ののは天使なのかもしれない。
- 193 名前:1 投稿日:2003年04月16日(水)08時23分44秒
- はーい。更新終り〜。やっと終りが見えてきた、かな?
個人的に書きたかったシーンは終ってしまったのでちょっと残念です。
でも終らせるからね〜。
- 194 名前:ねえ 投稿日:2003年04月16日(水)17時03分39秒
- おお、更新をされている。
仕事のあいまに拝見させていただきました。
だんだんと話が確信に迫ってきているような感じがします。
みんな、幸せになれるといいなぁと思っております。
それでは、次回の更新も楽しみにしております。
それでは、また。
- 195 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月17日(木)13時27分44秒
- >>185・>>186
にでてくる「ひとみ」とは、斉藤さんの事ですよね?w
ヨスコとごっちゃになってしまいましたw
- 196 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月21日(月)21時33分06秒
- 昨日の五木マラソンでマサオがゴール前でめぐみと手を繋いで一緒にゴール。
その瞬間この小説の事を思い出してしまい、思わず感動w
小説とは関係ないけど作者さんに伝えたかったのでレスさせてもらいました。
- 197 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月05日(月)00時17分27秒
- 面白すぎるので、更新期待保全sage
- 198 名前:63 シバタアユミの場合 投稿日:2003年05月07日(水)21時22分36秒
- なんだかよく分らないけど、喧嘩でもしていたのか、
めぐみが泣いて、雅恵がそれを抱き締めていた。
ああいうカップルは理想だと思う。
梨華ちゃんとああなれるかと聞かれたら、
どうだろう……と私は考えた。
出来ないかもしれない。でもああなりたいと思った。
雅恵は男前な格好をしているけれど、実際はとても女性らしい人で、
そういう意味合いでは彼女達は私のお手本になる訳だ。
梨華ちゃんの事を思い出す。
彼女はどう考えても、ごっつぁんの事が好きな訳で。
私にはどうしようもない事実がそこに立ちはだかっていた。
彼女に自分の気持ちを打ち明けるべきだろうか。
しかし、それをして関係が壊れるのも嫌だった。
私はかつてのめぐみの様に強くいられるだろうか。
また私は考える。
めぐみは強い人だった。
私よりも、きっとずっと辛い思いをして、乗り越えたに違いない。
私はまだ考えている途中だった。
気持ちを伝えるべきかどうか。
まだ、考えている途中だった。
- 199 名前:64 ヨシザワヒトミの場合 投稿日:2003年05月07日(水)21時23分08秒
- 『梨華ちゃんに、自分の気持ち、伝えてみたら?』
先刻から安倍さんの言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡っている。
そんな事をしてどうなるというのだ。
結局梨華ちゃんは私ではなく、ごっちんが好きな訳なのだから、
意味のない事の様に一見思えた。
しかし、気持ちを伝えないでこのままいて、果たして私は次の恋に迎えるだろうか。
はたして私は、梨華ちゃんを好きじゃなくなれるのだろうか。
答はNOだ。
次の恋になんて到底いけやしないし、彼女を好きじゃなくなる自分も想像できなかった。
告白するしかないのかもしれない。
安倍さんが言っていた様に。
でもまだ迷っていた。
彼女に言ってどうなるのだろう。
どうしたらいいのか、自分でもよく分かっていなかった。
そんな時だった。梨華ちゃんがちょうど目の前を通って。
私をとても気にした様に見ていた。
「梨華ちゃん」
つい、呼びかけてしまった。
時は急に来るものだという事を、今、知った。
- 200 名前:65 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年05月07日(水)21時23分52秒
- 一緒にしていた仕事が終ってしまって、
ミキスケと私は別々の仕事につく事が多くなった。
当然、2人の距離は離れていく一方で、それを仕事の所為にだけするなんて
私には出来なかった。
今日も送らないメールがたまっていく。
『ミキスケ、今日いってもいい?』
『ミキスケ、今日は元気?』
『ミキスケ、今日は仕事で怒られちゃったよ』
『ミキスケ、明日は久々に会えるかもね』
『ミキスケ、昨日はあんまりお話できなかったね』
メールを見る度に泣きそうになった。
好きなの。どうしようもなく、ミキスケが好きなの。
だけど、それを伝えたってミキスケはきっと鼻で笑うだろう。
神様、どうしたらいい?
そう願った時に目の前を通ったのは誰でもなく、ごっつぁんだった。
- 201 名前:65 マツウラアヤの場合 投稿日:2003年05月07日(水)21時24分39秒
- 「へ?」
「だからぁ」
今までの経由を説明する私に根気良く付合ってくれた上で
ごっつぁんは笑いながら言った。
「多分、それ、あやちゃんの間違いじゃない?」
「そんな事ないよ」
「だって、美貴、そういう子じゃないし」
「……」
「そういう子じゃないよ?あやちゃんよりは知らないけど、美貴の事は知ってるから」
ごっつぁんの言葉だけで、少し気持ちが軽くなった気がした。
「とにかく、一度メールでもしてみたら?返事返ってくると思うけど」
今日はメールをしてみようかな。
もしかしたら、万が一にでも、返事がかえってくるかもしれない。
返事がこなかったらそれまでだったんだと思う事にしよう。
それまでだったら泣ける様に、バスタオルを用意して。
ごっつぁんと離れた私は、メールを打つ。
夜、すぐに送れる様に、今打っておく。
『ミキスケ、ねぇ今度のお休みいつ?』
これだけでも結構勇気のいる仕事だった。
- 202 名前:1 投稿日:2003年05月07日(水)21時27分53秒
- 更新終了〜。
>>194
えぇ。だんだんと終りに近付いております。
終りは決まってるんですけど、それに近付けるのが大変で。。
>>195
すみませんでした。。漢字表記ですよね。
申し訳ありません。
>>196
うぉー。まじっすか!かなり感激でございます。
教えてくれてどうもありがとう!!
マサオ、めぐたんの事好きなんやなー(ポワワワ
>>197
更新が遅過ぎて申し訳ありませんでした。。
今後はもうちょっと頑張ります。
- 203 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月11日(日)23時41分12秒
- わ〜い
更新されてる!!
相変わらず面白すぎです。
作者様のペースでがんばってください。
- 204 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月13日(火)03時11分56秒
- 結果としては、い、いしごまで、何とかならんもんでしょうか…
- 205 名前:名無し 投稿日:2003年05月26日(月)22時37分40秒
- 以前、某ラジオで村っちとマサオくんがディズニーランドに行ったって言ってましたね。
これとダブらせちゃいました。。。ポワワ
- 206 名前:66 ムラタメグミの場合 投稿日:2003年06月01日(日)01時52分25秒
- 自分がこんなにも涙もろいとは正直、思っていなかった。
あの一言を思い出すと、また泣き出してしまいそうなので、
私はもう思い出さないでいようと思った。
それは私の中でありえない事で、私はどうしたらいいのかまだ分からなかった。
「無理しなくていいよ?」と言う私に、雅恵は笑って無理はしていないと言い返す。
もしかしたら私は無理していて欲しいのかもしれない。
私だけを見ている雅恵なんて、想像が出来なかったし、
あゆみを好きでいる雅恵を好きになった訳で。
分っている。
雅恵が誰を好きでいるかなんて問題なんじゃないって事ぐらい。
でも、どうしても心のどこかがひっかかった。
本当に雅恵はあゆみの事を忘れるのだろうか。
私と向き合ってくれるのだろうか。
嬉しい筈の言葉がどうしても素直に受け取れなかった。
素直に喜んでいればいいのに。
素直に雅恵の胸の中に収まってしまえばいいのに。
あまりの自分勝手さに、少しだけ笑ってしまった。
好きでいてくれなくてもいいなんて、言っておきながら、
いざ好きになってくれると言われると少しだけ引いてしまう。
馬鹿げていて、また泣き出しそうになった。
こんな気持ち、誰が分ってくれるだろう。
- 207 名前:1 投稿日:2003年06月01日(日)01時55分57秒
- 短いですが、更新です。
>>203
ありがとうございます。
少々まとまりにかけていて苦戦していますが、
頑張ります。
>>204
結果はもう決まっちゃってるので、
なんとも言えないです。
>>205
ディズニーランドでデートですか。
うわー行きたくなってきました!
お揃いのぬいぐるみとか買っちゃったんでしょうか!
あぁ、もう脳内が大変でつ。
- 208 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月08日(日)08時45分31秒
- うぅぅぅ。
続きが気になりすぎて仕事になりません(w
楽しみにユクーリ待ってます。
- 209 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月21日(土)14時20分52秒
- 待ってますよぉ
- 210 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月02日(水)23時53分01秒
- 更新期待age
- 211 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月04日(金)17時17分44秒
- 初めて全部よんだんですけど、とてもおもしろいです。
いしよしごまの恋の行方も気になりますし、あやみきも最高!!!
なっちの家に泊まりに行く後藤さん…なちごまも期待(?)してます。
- 212 名前:67 フジモトミキの場合 投稿日:2003年07月05日(土)04時31分27秒
- メールが入ったのは午後五時。
私はメールになんて返信しようか迷っていた。
いいよ、と答えるのは簡単だ。
いじわるしてやれと心の悪魔が囁いたけど、私はそれを振り切って親指でボタンを押す。
『いいよ。何時ぐらいになる?』
すぐに送信ボタンを押す事が出来なかった。
今更会って何を話すというの?
何もかもが終った気がしていた。
こうして仕事をしていれば会う事も少なくなったし、考える事も少なくなった。
でも、心のどこかが決裂していた。
心のどこかが叫んでいた。
会いたいよ。会いたくないよ。
どっちなのかが自分でも分らない。
送信ボタンをやっと押す。
はぁ、と溜息をつくと前に座っていたマネージャーさんが何かあったのかと聞いてきた。
なんでもないとすぐに答える。
こんな事、言えやしない。
すぐに返事が返ってきた。
『九時ぐらいには仕事終るからその後で。疲れてるのにごめんね』
疲れてるのにごめんね?
今迄聞いた事のない台詞だった。
新鮮さに驚いたけれど、誰もそれには気付かなかった。
- 213 名前:68 オオタニマサエの場合 投稿日:2003年07月05日(土)04時34分15秒
- 泣き終った後のめぐみは意外な程に元気よく仕事をしていた。
いや、空元気なのかもしれない。
妙に笑顔が上手かったから。
ひとりで仕事に行く事なんて殆どないから、私達は常に一緒だ。
だからすぐに分るはずなのに、今日はなんだか上手く言えない表情をしている。
あゆみを見ると少しうらやましそうな顔をしていた。
抱き締めてほしいのかな?なんて思ってから違う事にすぐ気付く。
瞳を見ると複雑な顔をしていてこっちもなんて言っていいか分らない顔だった。
今の私はどんな顔をしているだろう。
気持ちは思っていたよりも晴れ晴れとしていた。
ストレスになってたのかもしれない。
めぐみとあゆみの狭間をうろうろしていた事が。
めぐみの顔をもう一度見る。
今度は目があった。
「マサオ君、緊張した面持ちだねぇ」
カカカッと笑いそうな声でめぐみが言った。
そうか。私は緊張しているのか。
やっと今、気付いた。
- 214 名前:1 投稿日:2003年07月05日(土)04時34分59秒
- 遅くなってごめんなさい。
ようやく更新が出来ました。
しかも少量でほんとにごめんなさい。
>>208
更新できましたので、仕事して下さいませ(w
ペースがゆっくりですみません。
>>209
遅くなってごめんなさい。
本当はもう少し早く書けるつもりだったんですけど。
>>210
あ、あげちゃいましたか。
すみません。。作者の所為だと分っています。
>>211
なちごま、あるんでしょうかねぇ?
どうなんでしょう。それはまだ言えません。
- 215 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月10日(木)23時12分50秒
- 更新乙です
待ってました
- 216 名前:こぶ 投稿日:2003年07月25日(金)09時19分37秒
∩ ノハヽヽ ハヤクツヅキヨミタイヨー…
((( ⊂´⌒つ`_´;)つ )))
バタバタ
- 217 名前:1 投稿日:2003年08月05日(火)22時37分27秒
- ゴメソ。ゴメソ。もうちょっと待っててくらさい……。
- 218 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月05日(火)23時12分55秒
- ノ
- 219 名前:216 投稿日:2003年08月08日(金)08時25分18秒
- 待ちます。
- 220 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月21日(木)00時46分33秒
- 待ちます
- 221 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月25日(月)01時14分19秒
- まーつーわ いつまでもまーつーわ
- 222 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月03日(水)15時08分57秒
- まだかなまだかな〜学研の〜おばさんまだかな〜
- 223 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:45
- 保全。
- 224 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/08(水) 14:06
- 保全
- 225 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/19(日) 20:20
- 保守
- 226 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/02(日) 15:43
- 保守
- 227 名前:1 投稿日:2003/11/10(月) 03:22
- あまりにも放置しすぎてごめんなさい。
続きじゃないんですが、ちょっとした短編を。
これでもう暫くお待ち下さい。
申し訳ありません。
- 228 名前:歩く走る駆ける 投稿日:2003/11/10(月) 03:25
- 十五歩。
十六歩。
十七歩。
数え始めてから数秒で既にめぐみは飽きていた。
十八歩。
十九歩。
ニ十歩。
「ねぇ」
空は青々と輝いていて、めぐみと雅恵は日から逃げる様に日陰に座っていた。
「ん?」
「なんでここにいるのかな」
「いや、呼ばれたからでしょう?」
三十歩。
三十一歩。
三十ニ歩。
めぐみは眼鏡を外してスカートのポケットからハンカチを取り出す。
眼鏡を拭きながら、めぐみはもう一度口を開いた。
「なんで、呼ばれたんだろうねぇ」
「…………」
四十五歩。
四十六歩。
四十七歩。
雅恵はまだ答えない。
- 229 名前:歩く走る駆ける 投稿日:2003/11/10(月) 03:26
- 八十五歩。
八十六歩。
八十七歩。
「それは……あれだよ」
雅恵がようやく答を見つけた様に言った。
「私達が見えたからでしょう?」
自分で思っているよりもずっと退屈な答だった。
百二十六歩。
百ニ十七歩。
百ニ十八歩。
めぐみは自分が何故数えているのかよく分からなくなりながらも数え続けていた。
「なんで、あの子達、ああしているんだろ」
「それは……うーん……」
目の前の少女達は、同じ場所をぐるぐると回っていた。
真っ白の手が褐色の腕に触れそうになっては笑いあい、
日の光がさんさんと照りつける中、2人で汗だくになりながら走っていた。
ここはテレビ局の屋上である。
彼女達と、めぐみ、そして雅恵以外は誰もいない。
- 230 名前:歩く走る駆ける 投稿日:2003/11/10(月) 03:26
- 二百八十五歩。
二百八十六歩。
二百八十七歩。
「でもさぁ」
「ん?」
「ちょっと楽しそうだよね」
「……そうかな?」
そう口にした時は既に遅かった。
雅恵はにやっと笑って、めぐみの腕を掴む。
「いくべっ」
「えーっ!」
三百十一歩。
三百十二歩。
三百十三歩。
眼鏡がずり落ちそうになるのを、直しながら
めぐみと雅恵は2人の後ろにくっついて走った。
春には程遠いとは言え、厚着のまま走ると、
十分に暑い。
四百五十四歩。
四百五十五歩。
四百五十六歩。
「ねぇっ」
「なんですかっ」
「なんで、走っ……てるのぉっ」
「だって…よっすぃーがぁっ捕まえようと……するからっ」
- 231 名前:歩く走る駆ける 投稿日:2003/11/10(月) 03:27
- ならば自分達はいらないのではないかと思いながらもめぐみは走る。
大体、下らない内容でこっちまで走るのは如何なものかと雅恵に目をやると、
雅恵は雅恵でめぐみを捕まえようとしていた。
「ちょっ。なんで捕まえようとしてるのっ」
「え?そういうゲームじゃないの?」
「これ、ゲームなの?」
「知らないけどっ」
雅恵が捕まえようとしているので思わず逃げる。
円が二つになって、二組はそれぞれがそれぞれを捕まえようとしていた。
六百六十六歩。
六百六十七歩。
六百六十八歩。
まだ数えていた自分に驚きながら、めぐみは何時の間にか必死に逃げていた。
捕まえようとしている雅恵も、真剣な目でめぐみを見る。
後ちょっと。後ちょっとで捕まえられる。
後ちょっと。後ちょっとで捕まってしまう。
- 232 名前:歩く走る駆ける 投稿日:2003/11/10(月) 03:27
- それが千歩になりそうになった時に声が聞こえてきた。
「石川っ!よっすぃーっ!」
「村っち!マサオ!」
仁王立ちしている2人を見て、4人はその場に固まった。
瞳はつかつかと歩き出す佳織の後ろを追ってやってきた。
2人の目は怒っていて、それでいて仕方ないなという顔をしている。
「どこに行くかぐらい言ってきなよねっ」
「大体、こんな場所で日焼けするでしょっ」
次々とリーダー達の口からは説教がこぼれ落ちる。
めぐみはやり出したのが自分達ではないと言おうかと思ったが、やめた。
一緒にやってるなら、同じである。
「ごめんなさい」
4人は謝ると、静かに2人の後ろをついて歩いた。
めぐみが振り返ると、梨華とひとみが小さく笑いあっていた。
微笑ましい関係だと、彼女は思った。
もっと後ろを見ると、屋上のコンクリートが
さんさんと降り注ぐ太陽に反射して、光って見えた。
「ね、結構楽しかったよね」
「え?あぁ、うーん。まぁ、ね」
雅恵がにまにま笑っているのを見て、
それだけでちょっと楽しくなった自分がいるのを発見して、
めぐみは笑顔になってきた。
もう屋上には誰もいない。
- 233 名前:1 投稿日:2003/11/10(月) 03:29
- そんな訳で、ほんとに放置しててごめんなさい。
このまま逃げるんだろ?とか思われてても仕方ないです。
でも、ちゃんと終わらせるので、もう少々お待ち下さい。
では。
- 234 名前:名無し読者。 投稿日:2003/11/10(月) 21:01
- 更新乙です。この雰囲気大好きです。
>ちゃんと終わらせるので、もう少々お待ち下さい。
この言葉が聴けて本当にうれしいです。
気長に待っておりますので作者様の納得がいくまで頑張って下さい。
- 235 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/10(月) 21:39
- こうやって一言いただけるだけで安心します。
おとなしくマターリと待ってます。
- 236 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/10(月) 22:35
- たまに作者さんからの言葉があると安心して待っていられます。
ゆっくりでも更新してくれるのは嬉しいです。
頑張って下さいね。
- 237 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/10(水) 00:01
- 保守
- 238 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 13:54
- 更新待ってるよ〜
- 239 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/19(月) 22:20
- 待っております。
- 240 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/09(月) 19:57
- 更新待ってます。保守
- 241 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/10(水) 22:28
- 作者さんを信じて待ってますよー
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