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Avenge〜真実のサヨナラ〜
- 1 名前: 投稿日:2002年11月26日(火)21時19分01秒
- 始めまして。カップリングとかはきまってないんですけど、
書かせて頂きます。よろしくお願いします。
- 2 名前: 投稿日:2002年11月26日(火)21時25分54秒
小さなあたし。
「ただいまぁ。」
玄関のドアを開けても、なんの応答もない。
部屋を覗くと―――――――――
3姉妹の長女、なつみが立っていた。
両親は赤い海の中で倒れている。
三女の愛を追いつめているところだった。
「おね…ちゃん…?」
「真希?驚いた?あたしこんなに強いんだよ。」
「は?」
わたしは愛を庇って姉に切り付けられた。
意識がなくなった。
- 3 名前: 投稿日:2002年11月26日(火)21時30分13秒
- すみません、都合によりまた明日更新します。
ちなみにミス発見。
>>2三女の愛を追いつめているところだった。
↓
三女の愛をナイフで追いつめているところだった。
です。すみません。
- 4 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月26日(火)21時45分42秒
- ガンガレ!
- 5 名前: 投稿日:2002年11月27日(水)12時15分37秒
- >>4ありがとうございます。頑張ります。
レスとても嬉しいです。
- 6 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時16分34秒
私立、朝日奈学園。
校舎裏。
「金だせよ。」
「も、持ってないですぅ。」
「その声がむかつくんだよっ!!」
小麦色の肌をした女の子が数人の
女子に囲まれている。
- 7 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時17分05秒
三階、教室。
「美貴、はやく着替えてよ!」
「まってよぉー…。あ、ごっちんは?」
「廊下にいるよ?もーいいからさーはやくしてよ!」
美貴と呼ばれた女…藤本美貴は自分を急かす
松浦亜弥にジャージを渡す。
「これ持ってて。」
「ん。」
藤本はTシャツを長いジャージから出し、松浦からジャージを
受け取る。
- 8 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時17分55秒
「今日陸上だよ!」
「100メートルテストじゃん?あ〜あ…。」
二人はジャージの前を開けたまま着ている。
教室のドアを開けるとごっちん…後藤が窓から外を見ていた。
彼女も少しゆるめの長いジャージ上下を着ており、前を開けている。
でも、彼女だけ…
右手に警察官が付けているような白い手袋をしていた。
「ごっちん、美貴したく終わったよ。いこ?」
「(あれは確か……)ごめん、先行ってて。」
「え?」
後藤は窓を開ける。
- 9 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時18分25秒
「ちょっとごっち…?!」
両手で窓淵を持ち、体を横にしてそこから飛び降りた。
「「ごっちん!?」」
二人は慌てて窓から下を覗いた。
- 10 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時19分27秒
下では・・・・
「このっ!殴るぞコラっ!」
ヒュッ…
ザシュッ…
女の子と数人の女子の間に後藤がジャージの上着をなびかせ
着地した。
- 11 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時20分01秒
「はっ?!こいつどこから…?!」
後藤は無言のままその団体に近づく。
眼は何も写していなかった。瞳の色が湖の氷のような色に
変わり、右手を前に突き出した。
「やめろ!後藤!!」
ショートカットの女が近づいてくる。
- 12 名前:第一章 友達は凄い人 投稿日:2002年11月27日(水)12時20分36秒
「あ、こいつ後藤だよ!!あのめっちゃくちゃ喧嘩の強い…。」
「に、逃げろっ!」
団体で逃げようとしているが、後藤にすぐ捕まってしまった。
「………死よ……彼女達を安らかに葬りたまえ……。」
右手を振り上げる。
パシッ。さっきの女に止められた。
「お前いい加減にしろよ!」
「黙れ。」
上から見ていた松浦と藤本はビックリしてそのまま見入っていた。
- 13 名前: 投稿日:2002年11月27日(水)12時22分27秒
- 更新終了です。
友達は凄い人>>6-12
彼女達の着ているジャージはピンチランナーのときの蒼バージョンです。
- 14 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時05分51秒
団体が逃げていったのを確認して女が言う。
「お前馬鹿か!こんなとこで無駄してる暇ないんだぞ!」
「………わかってるよ。でもこの人はあたしの恩人だから。」
後藤は小麦色の女の子を指差す。
「だれ?」
「石川梨華。なにかと助けてもらったから。大体市井……ちゃんは
心配しすぎなんだよ。」
後藤は市井ちゃん、と呼ぶのに戸惑っていた。
「でもな後藤っ!お前どっから降ってきたんだよっ!!
お前のあし…」
「!!」
ヒュッ
後藤は風を切るかのような速さで市井ちゃん…市井紗耶香に近づき
口をふいさいだ。
- 15 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時10分56秒
「そっから先は言うな。」
「わ、わるかったよ、ったく。」
市井は手を振り払った。
「次の授業体育だしもう行くから。」
後藤はゆっくりと歩き、校舎を曲がった。
「ごっちん!」
「あ?」
石川は叫んだ。
「助けてくれてありがとう。」
「別に。」
後藤は嬉しそうにも喜びもせず、無表情で答えた。
「石川グループの跡継ぎなんだろう?しっかりしろよ。
あんたがついだら日本の経済目茶苦茶だろうな。」
フン、と鼻で笑って去っていった。
- 16 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時12分51秒
石川は俯いた。
見かねた市井が声をかける。
「ごめんな、あいつ本当は優しいやつなんだけど…。」
「いいんです、本当の事だから。」
石川は目に涙を浮かべながらも笑って、市井の横を通り過ぎていった。
- 17 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時16分19秒
校庭。
「ごっちーん、びっくりしたよもう!三階から飛び降りるなんて。」
「はは、ごめんね。美貴があまりに遅いから…。」
「ほらー!ごっちんはやっぱ美貴が遅いから怒っちゃったんだよ〜!!」
松浦も藤本も後藤がいつも通りだと解り、冗談を言い合っていた。
後藤は歩みを止める。
「ごっちん?どうしたの?」
藤本が振り返り、松浦もそれに続く。
- 18 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時19分57秒
「ふたりに後で話があるんだ。」
「なになに〜?恋バナ?」
「彼氏できたの〜?!」
二人は冗談めかして場を盛り上げようとする。
後藤はそんな二人に嫌な思いをさせたくなかった。
だから言っておかなければならない。
自分の事を…
「そんなんじゃないよ〜…。」
精一杯作った笑顔は、松浦にも藤本にも後藤の『話』が
真剣なものだと解らせた。
- 19 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時24分41秒
体育の授業はなんなく終わり、みんな教室に戻る。
しかし3人は屋上へ向った。
「話ってなに?」
藤本が口を開いた。
後藤は空を見ていた。
「二人にはさ、誤魔化したくなかったんだ。」
「え?」
松浦が反応する。
「この手袋の下…アレルギーで隠してるんじゃないんだよ。」
後藤は白い手袋を取り外す。
「「!!」」
二人とも言葉を失った。
- 20 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時26分09秒
手袋の中に隠されていたもの、それは・・・・・・・
痛々しい、銀色の
義手だった。
- 21 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時30分33秒
「ごっちん…それって…。」
松浦が驚きながら言う。
「そうだよ、義手なんだ。肩までね。」
グイッとジャージをめくる。
「でも…」
後藤は言いかけて辞めた。
もう一つの秘密を言ってしまったら、この二人が狙われるかもしれない。
けど自分に始めて優しく接してくれたのがこの二人だった。
嘘は付きたくない。
でも…
- 22 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時37分19秒
「ごっちん、ありがと。」
藤本が言った。
「こういうの、変かもしれないけどさ…。嬉しかったよ。
あたし達だけに、本当の事いってくれて。嘘は付きたくないって
言ってくれて。ずっとこれからも一緒だよ?だからさ…だからさ…。」
藤本は泣きながら後藤に抱き付いた。
「そんな悲しい顔、しないでよ…。」
「そうだよ、あたし達に出来る事あったら…っていうか、
そんな事でごっちんをファブッたり…じゃなくって
はぶいたりしないよ!!ね?」
松浦は訂正しながらいった。
「ありがとう…。」
後藤は笑顔を見せた。
- 23 名前:第二章 手袋の下には… 投稿日:2002年11月27日(水)17時42分00秒
後藤は藤本を抱きしめ返した。
「………。」
肩に自分の顔を沈めさせる。
「ごっちん?」
しんぱいそうに藤本が言う。
後藤はもう一つの事を言えなかった。
悔しかった。
今まで一人でこなしてきて、友達なんか必要ないって思っていた。
二人と一緒にいるときも、つまらないときがたくさんあった。
でも、ここまで心配してくれると思わなかったから…
そして後藤は今までに抱きしめられた事がなかったから。
ふいに、涙が零れた。
- 24 名前: 投稿日:2002年11月27日(水)17時42分51秒
- 更新終了。
- 25 名前: 投稿日:2002年11月27日(水)17時45分12秒
今日の更新分です。
『友達は凄い人』 >>6-12
『手袋の下には…』>>14-23
- 26 名前:名無し蒼 投稿日:2002年11月27日(水)22時36分08秒
- はじめまして!
展開が中々読めそうで読めませんね
続きが凄く気になります!
がんがってください!
- 27 名前:いちご 投稿日:2002年12月01日(日)18時54分56秒
- ごまっとうの3人いいですね。ごっちんの秘密も気になるし…続き楽しみにしてます。頑張って下さい。
- 28 名前: 投稿日:2002年12月06日(金)17時33分31秒
- >>26始めまして。展開は謎ですよね、自分でもそう思います。
続いては後藤さんの近しい人が出てきます。メル欄ウケていただけたようで、
嬉しいです。
>>27ごまっとう最近好きなんです。ごっちんの秘密は…秘密です(w。
- 29 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)17時38分42秒
時々、夢を見る。
自分を探している彼女。
慌てて隠れようとする、自分。
心の何処かで、無事でいて欲しい、一目会いたいと思っているくせに、
素直になれない。
やっぱり、あたしは…
- 30 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)17時42分13秒
「…ちん、ごっちん!?」
「ぇ……?」
いつのまにか眠ってしまっていたようだ。
薬品の匂い、つまりここは保健室なのか、と冷静に考えてしまう。
別の事を考えて、さっきの弱気な夢を振り払いたかったからだろう。
「大丈夫?」
「さっき屋上で倒れたんだよ?」
美貴も亜弥もすごく心配してくれている。
- 31 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)17時45分50秒
「平気だよ、ちょっと貧血気味だったから。」
「心配させないでよ。じゃぁあたし達先生に伝えてくるね。」
美貴が亜弥の手を引いていこうとする。
「ねぇ、授業は?」
まさかずっと傍にいてくれたの…?
「何いってんの、もう放課後だよ?ごっちん、病院へいったん行かなきゃ。」
「そうだね、全然起きなかったもんね。」
美貴達は真剣な顔をしてその場を去った。
- 32 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)17時51分07秒
「あ、ちょっ…。」
止めようと右手を伸ばしたら激痛が走る。
「っ…。」
それはもちろん腕にじゃなく、肩に。
手を動かさないように、そっと覗いてみる。
「あっ!!」
あたしの義手の手首の部分が、取れかかっている。
「なんで…?だってさっきまで何とも…。」
驚いていると、保健室のドアが開く。
- 33 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)17時55分35秒
「オッス、後藤。目ぇ覚めたか?」
「やぐ…っつぁん。」
ちっちゃくて金髪、明るいイメージの矢口真里。
「義手、なして取ろうとしたの?」
「はっ?!」
どういう意味?
「矢口がさ、サボりにきたら後藤うなされててさかんに義手を
外そうとしてたよ。どんな夢見てたの?」
「……別に。」
自分でもぎ取るなんて、信じられない。
なんでよ…
なんで…
- 34 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)17時59分57秒
「妹の夢、見たの?」
「なっ、そんなわけないじゃん!」
恥ずかしいくらい動揺した。
だって…今までもずっとあの夢であたしは…。
「会えば良いじゃん。どうしてやなの?昔言ってたじゃん、
妹を暖かい家族に入れてもらったんだって…。」
「昔は昔!いつの話だと思ってるの!?小学校のころじゃない!」
やぐっつぁんはあたしの膝の上にまたがる。
- 35 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)18時04分04秒
「なにが後藤を苦しめてるの?」
「え?」
急に穏やかな、けど顔は真剣そのものになった。
「妹の夢を見る事が、なんで後藤にとってそんな耐え難い事なの?」
「し、知らないよっ!!!!」
柄にもなく大声で叫んだ。
「いつの日からか、夢に出てくる度にあたしを苦しめてった。
あの日の夢だけじゃない…。今度は、今度は愛までっ…!!」
ぎゅっ・・・・。
- 36 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)18時10分00秒
「落ち着いて。後藤はなんにも悪くないんだよ?妹を助けてあげた。
立派なことじゃない。どうしてそれが苦痛になるの?誇りを持って
いいと思うよ?」
「けど、けど…あたしはもう会いたくないの!!夢にでさえ
出てきて欲しくないのっ!!」
思いっきり、叫んだ。
なんであたしはこの人に過去を話しちゃったんだろうって馬鹿な事も考えた。
その時だった。
- 37 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)18時11分47秒
「嘘でしょ、お姉ちゃん…。」
「………え?」
- 38 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)18時17分12秒
「あ……い……?」
どうしてここに…?
まさか、今の会話全部聞いてたの…?
何処から…?
聞かれた方が良かったと思わず、なぜか絶対に聞いていて欲しくなかった。
「お姉ちゃんは、愛の事嫌いになっちゃったの…?」
愛はベッドに駆け寄り、あたしの腰にしがみつく。
「愛はぁっ…会いたかったのにぃ…!!!!」
胸がぎゅーっと締め付けられた感じがした。
愛が叫んでいる声すらも届かなかった。
自分の今の気持ちが、何処にあるのかすらもわからなかった…
- 39 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)18時20分47秒
「後藤、素直になりなよ。」
「どういう…こと…?」
やぐっつぁんはあたしの足から降りようとして、頬に手を当てた。
「気付いてないの?」
「……?」
やぐっつぁんが指で拭ってくれて初めて気付く。
あたしは泣いていたんだ…
- 40 名前:第三章 どんなに強がっても… 投稿日:2002年12月06日(金)18時24分23秒
「どんなに強がっても、後藤の感情はちゃんと良く分かってる。
意地はってないで、抱きしめ返してあげな。」
やぐっつぁんは保健室を出ていった。
あたしはずっと愛に会いたかったのに…
義手を見られるのが嫌で…
愛に自分を責めて欲しくなかったから…だから…
それを愛の所為にするなんて
「ごめんねぇ、愛っ……!!」
ぎゅっと抱きしめ返した。
- 41 名前: 投稿日:2002年12月06日(金)18時26分15秒
- 更新終了です。
『どんなに強がっても…』>>29-40
- 42 名前: 投稿日:2002年12月06日(金)18時28分01秒
- 次回は後藤さんがある大きな決断をします。
そして現れた人物とは…?
あたしは泣きながら抱きしめた。
「最後の五分間、あなたを愛していいですか…?」
- 43 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月06日(金)18時31分55秒
- 予告の最後のセリフが気になります。
続き期待。
- 44 名前:チップ 投稿日:2002年12月06日(金)21時53分03秒
- 同じくすんごい気になる。
愛ちゃんとごっちん会えてよかった。
続き楽しみにしとりやす。
- 45 名前: 投稿日:2002年12月12日(木)21時16分19秒
- >>43最後のセリフ…とても辛いものになりました…。
うう…(泣。
>>44愛ちゃんとごっちん巡り合えました。
会いました。会ったのに…?
- 46 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時18分41秒
愛は顔をあげた。
「お姉ちゃん、あたしお姉ちゃんと暮らしたいよ。」
「そう…。」
「だから…あれ?」
愛は真希の右手に視線が行く。
「お姉ちゃん…その手はどうしたの…?」
「……。」
愛は急に真希の右手を引っ張る。
取れかかっている為、部品を通して肩に激痛が走る。
- 47 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時20分24秒
-
「っ…!!」
「お姉ちゃん?痛いの?」
真希は答えられなかった。
「痛いよ。」と答えれば、それ以上の痛みが愛に降りかかる。
「やっぱり…愛がぁっ…愛がぁっ…。」
地方での訛りが取れきれていなかった。
けど真希はそれどころではない。
痛みと、愛をどうしたら泣き止ませる事が出来るのか…。
再会してから、愛は昔の無邪気な笑顔を見せてくれていない。
それは自分がいけないからだけど…と真希は思う。
- 48 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時21分06秒
-
昔…いつも愛を泣き止ませてたのは自分だ。
けど、こんな時に泣きやますことが出来ないなんて…。
「!」
真希はなにを思い出したのか、愛の頬に手を当てる。
涙をぐっとぬぐってやる。
「愛のせいじゃない。だからね…泣かないで…。」
「でもっ…?!」
ちゅっ…
大きく目を見開く愛。
優しい、聖母のような穏やかな顔をして目をつむる真希。
長く、長く…
- 49 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時25分51秒
「お姉ちゃん、愛と会えて嬉しいよ。だから…愛も笑って?」
真希は愛の頭を優しく引き寄せ、抱きしめる。
3歳のあの頃。
まだ『あの日』が訪れるなんて知らなかった頃。
愛はよく迷子になった。そしてそれを必ず見つけ出すのは真希。
震えながら泣いている愛を優しく抱きしめて、
オデコにそっとキスをする。それだけで、愛は泣き止む。
「………。」
真希は肩の痛みも忘れ、ずっと愛を抱きしめていた。
愛と一緒に暮らそうか。
小さい頃、ずっと守り続けてきた愛。
幼い真希は、幼いなりにもずっと愛に『初恋』という想いを
抱いていた。
- 50 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時26分51秒
-
『姉妹だから』『女同士だから』なんて、あの頃の真希は
全く気にしていなかった。
それは愛も同じだった…。
けど…
- 51 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時27分47秒
-
(真希…あなたの憎しみはどのくらい溜まった…?)
!!
―ドクン―
ビクッと真希が震えた。
―ドクン―
(もしも憎しみが足りなく…弱いままなら…今度こそ愛を…)
―ドクン―
やめてっ!
- 52 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時28分49秒
(あなたには強くなってもらわないと…。だから…)
やめてっ!!!!
「う、うわぁああああああああぁあぁぁああっっ!!!!」
真希は思いっきり叫んだ。
頭を抱えて。
「お姉ちゃん…?」
「はぁっ…はぁっ…!っあ…うぁ…。」
真希は右手で前髪をかきあげる。
「はぁっ、はぁっ…くっ…ぁ…。」
苦しそうに目をぎゅっと瞑り、汗を流す。
愛は真希の急変にただ驚くばかり…。
- 53 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時29分36秒
-
もう、駄目だ…。
あたしは…
愛を…
守る力なんてない…
- 54 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時30分27秒
「お姉ちゃん…?」
けど…
最後にせめて…
「愛…?」
「なぁに?」
愛は真希を見る。
「あたし、愛の事ずっと好きだった。本当に…好きだった…。
けどね…あたしには…愛を…。」
「お姉ちゃん?」
- 55 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時31分38秒
「愛を好きになってしまったら…一緒に暮らしてしまったら…
今度は愛が…だからね…。」
あたしは泣きながら抱きしめた。
「最後の五分間…あなたを愛していいですか…?」
「さい…ご…?」
真希はずっと愛を抱きしめながら、言えなかった言葉…
言いたかった言葉を叫び続けた…
言葉にならない叫びで…
- 56 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時33分05秒
「愛…愛の名前はなんて言うの?」
「え?」
「今の愛の名前。」
「やだよっ、お姉ちゃんまた居なくなっちゃうの?」
「お願いだから…言って…。」
愛は泣き出す
「やだよぉ…行かないでぇ…。」
「あたしの名前はね…後藤真希って言うんだ。」
「違うよぉ…!お姉ちゃんの名前はっ…!!」
「愛の名前は…高橋愛…。だからさぁっ…。」
- 57 名前:第四章 解けぬ刃 投稿日:2002年12月12日(木)21時34分46秒
「これからも、高橋愛として生き続けて……」
「サヨナラ…」
真希はその場を去った
愛は泣き続けた。
もしかしたら戻ってきてくれるかもしれない…
けれど真希は振り返りもしなかった…
- 58 名前: 投稿日:2002年12月12日(木)21時37分01秒
- 更新終了。メル欄、眠くて上手くいきませんでした。
『解けぬ刃』>>46-57
- 59 名前:うまい棒メンタイ味(i-mode) 投稿日:2003年01月27日(月)18時36分26秒
- 今一気に読ませて頂きました かなり面白くて続きが気になるっす いつまでも マターリ待ちます 続いて下さい
- 60 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月04日(金)22時53分07秒
- ho
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