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屋根の下のベース弾き #4

1 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)21時21分42秒
同じ海板の続きです。よろしくお願いいたします。

http://mseek.obi.ne.jp/kako/wood/1018614026.html(最初)

http://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/1020511804.html(その次)

http://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/1026291110.html(パート2)

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=sea&thp=1032237720(パート3)
(倉庫行きになったらhttp://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/1032237720.htmlに多分なるかと)
2 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月19日(木)21時31分19秒
―――吉澤視点

「ひゃぁ〜。ホンマ寒いなぁ」
あたしはお風呂から上がって、みんなにヘンだと言われる関西弁で言った。
お風呂から上がると、ホントに冷え込むようになった。
もうじき11月だし、当たり前か。

スリッパをぱたぱたいわせて廊下を歩いていたら、居間のドアが開いて、
「ひとみちゃん、お風呂上がったの?ヤキイモあるよ」
と梨華ちゃんがにっこり笑った。
「やったー!」
早速、お邪魔する。
居間には辻加護や中澤さん、平家さんとかもいて、みんなでお茶を飲んでいた。
「よう。久しぶりやなぁ。梨華ちゃんとあんじょうやっとるか」
平家さんが軽く片手を上げる。
「エ。あ、あ、ハイ」
「ハッハ。照れ屋なんは相変わらずやなぁ」
平家さんはおかしそうに笑って、ぬくいうちに食べ、とおいもを手渡してくれた。
「よっすぃ〜、コレ割ってみてくらさい。おもしろいれすよ」
ののの言う通り、おイモを真ん中で割ったら、中身は紫色だった。
「あ、紫イモっすね。ソフトクリームは食べたことあるけど、ヤキイモは初めてっス」
ほふほふ言いながら、口の中に入れる。

「あ、電話や」
あいぼんが携帯をポケットから取り出す。
「あ、ちょっとゴメン。…もしもし?あ、お母ちゃん。ウン、ウチ。亜依や」
あいぼんはしばらくお母さんと話していた。
少しして、
「エ…ホンマなん?」
何か信じられない、という口調で言った。
どしたんだろね、と梨華ちゃんがウチに小声で言う。
「ウン…なんだろね」
様子を伺ってると、
「ウン、ほなまた。体に気ィつけてな」
携帯を切った。
3 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月19日(木)21時41分57秒
「あいぼん、何かあったんれすか。お母さんかられしょ」
ののが心配そうな顔で、あいぼんの腕を取る。
「あ、いやまぁ、何と言うか」
何故かあいぼんは決まり悪そうにもじもじした。
「どうしたんや、お母さんの具合悪いんか」
中澤さんも心配そうに言った。
「いやその…うちのお母ちゃん、子供できたんです」
あいぼんが言うと、みんな一瞬しーんとして次の瞬間、
「よかったなぁ〜!」
中澤さんは嬉しそうにあいぼんの背中をばーんと叩いた。
「アタタタタ…いや、この前電話した時、体調悪いとは言うてたんですけどね。
正直びっくりしましたワ」
「わぁ、あいぼんまたお姉ちゃんになるんれすね!」
「う、うん」
「どないしたん」
平家さんがあいぼんの顔を覗き込んだ。
「いや…今3ヶ月らしいですからウチが16の時に生まれて…この子が16に
なる時、ウチ、32や。…ハァ」
あいぼんは小さくためいきをついた。
「それ言うなら、ウチの下の弟、まだ小学生よ?」
上の弟もあたしが6つの時に生まれたし。
「あたしと裕ちゃんも10歳離れてるよ」
梨華ちゃんも自分を指さして言った。
「そやな…」
あいぼんは何か複雑そうな顔だったので、それ以上みんな何にも言わなかった。
4 名前:The Girl Next Door 投稿日:2002年12月19日(木)21時52分19秒
加護は夜遅く、机の引き出しから古い写真を取り出し、じっと眺めていた。
自分の七五三の時の写真で、亡くなった母と手をつないで写っている。

『お母ちゃん、ウチこんなきものイヤやぁ』
『なんやの、この子は。ワガママ言うてからに』
『となりのあっちゃんみたいなきものがエエ』
『もう。今さらどうしようもないやろ。辛抱し』

七五三のお参りで、着物がイヤだと散々ごねたことを思い出す。
いとこのおさがりだったのもあって、泣きながら母に新しい着物をせがんだ。

『お母ちゃん、今のお母ちゃんに赤ちゃん生まれんねん。ウチ、また兄弟増えるんや。
お父ちゃん、もうエエ年やのになぁ〜。まだ頑張らんかてもエエのにな』

加護は写真の中の母に向かって苦笑した。

『兄弟が増えて嬉しいはずやのにな。ウチ、ホンマは年の差なんかどうでもエエねん。
弟とも結構離れとるし。ホンマは…お母ちゃんのこと、忘れてまうんちゃうやろかと
思て、それがコワイねん…』

『お母ちゃん。ウチ、今のお母ちゃんも好きやねん。ごめんな』

加護は心の中で詫び、写真をそっとしまってベッドにもぐりこんだ。
5 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)22時01分46秒
更新しました。


 @ノハ@
 ( ‘д‘)つ□<……
 

ついにパート4です。
どうぞよろしくおながいします。

 (0^〜^)ノ<オイラと梨華ちゃんもますますラブラブ!

 (* ^▽^)<キャッ!

 ヽ;^∀^ノ<アタシと後藤はどうなんの?

 ( ´ Д `)<…んあ?

∋8ノハ8∈  
 ( ´D`)ノ<ますますもりもり食べるのれす!


 @ノハ@
 ( ‘д‘)/ <今に始まったこっちゃないやろ!

 川o・-・)ノ<ますます完璧です!

 ( `.∀´)y−~~<ホホ!アタシの魅力にしびれたい?

 ( ゜皿 ゜)<フグノドクヨリキケン


そういう訳で、よろしくれす。
6 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月19日(木)22時07分12秒
>>2 ミチャーソの台詞

「よう。久しぶりやなぁ。梨華ちゃんとあんじょうやっとるか」


( `◇´)<梨華ちゃんとうまいこといっとるか、とか、仲良くやっとるか、って
       ニュアンスで読んでな
7 名前:南風 投稿日:2002年12月19日(木)22時07分59秒
初めましてで新スレおめでとぅございます。
ずっとずっと読ませていただいていました。
緊張でどくどくしながらレス打ってみたりしてみます。

あいぼんは優しい娘やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
そしていしよしの今後のらぶらぶに・・・(両鼻から鼻血)

更新お疲れさまです。
8 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年12月19日(木)23時05分31秒
新スレおめでとうございます。
もう、5スレ目ですね。
私の、大好きな作品なんで、これからもガンガッテください。
9 名前:あおのり 投稿日:2002年12月20日(金)00時17分30秒
またまた新スレかっけぇ〜!
マターリした雰囲気が素敵過ぎます。でも萌えどころはしっかりあるんですよねぇ。
今回はあいぼんの独白に少ししんみりした師走の夜中です。
AA劇場もますますパワーアップで、今後もよろしくお願いであります。
10 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月20日(金)03時58分56秒
新スレ、おめでとうございます。
もはや大河ドラマ的な作品となって参りましたねぇ・・
いや、「渡る世間は・・」のような感じでしょうか。
この作品のキャラにはまんまとイッパイ食わされてますw
ずっと続いて欲しいような、目が離せない作品です。
TDSデートで未遂(?)に終わった石吉は、この先どうなるのか・・
かな〜り期待してます。
11 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月20日(金)17時52分34秒
新スレおめでとうございます。
さざ○さん並みの長寿番組(小説)目指してガンガッテください。
最近この小説のおかげで加護ヲタになりつつあるオイラです(w
12 名前:ベリィ 投稿日:2002年12月20日(金)23時38分22秒
新スレおめでとうございま〜す!
あいぼんいい子ですねぇ…。おねぇちゃんホレそうですよ。(笑)
これからもフグの毒より危険なヤッス〜を楽しみにしていますv
この作品、本当に好きなのでこれからも頑張ってくださいねw
13 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)20時26分49秒
いいらさん視点で、ちょこっと番外編を。( ゜皿 ゜)
14 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)20時31分27秒
―――飯田視点


猫を拾った。


―――バイトから帰る途中、いきなり雨が降り出した。
あともう少しで家なのに。
傘を持っていないことを後悔し、中澤ハイツまでダッシュする。
階段の下で滴を垂らして濡れた髪を指で上げてると、視界に何か濡れそぼったものが入る。

「にぁ」
心細そうに、それは鳴いた。
茶褐色の子猫だった。
赤い首輪も、雨に濡れていた。

「あれ?誰かネコ飼ってたっけ?何にせよ、カゼひいちゃうね…」
自分の荷物もあったけど、カオはその猫を抱き上げてうちまで連れて帰ったんだ。

15 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)20時36分49秒
自分もお風呂に入るついでに、猫も入れてやった。

猫って水とかお湯とか嫌うもんだと思ってたけど、その子はいい湯加減だったのか、
湯船の中でカオに抱っこされて気持ちよさそうだった。
「あなたはどこの子なの?」
「にゃぁ」
「フフ、通じるワケがないね」
「お名前は何て言うのかな」
猫は答えてくれず、カオの腕の中で気持ち良さそうに頭をもたげた。
チョイチョイ、とアゴのところの黒いホクロのような斑点を触ると、くすぐったのか、
『にぁ』と身をよじらせた。

しかし、この子の顔、誰かに似てるわ。

湯船の中で、思いつく限りの顔を思い浮かべてみた。


お風呂から上がって、バスタオルで拭いてやり、ドライヤーで乾かした。
人に慣れてるのか、ちっとも抵抗しない。
ネコ缶とかそういうエサがないので、朝の残りの鮭をほぐしておかかと一緒に
小皿に入れたらペロっと平らげた。
「みゃぁ」
ごちそうさま、とでも言いたいのか、猫はカオのほうを向いて目を細めた。
「どういたしまして」
あごの下を撫でてやると、また目を細めた。
16 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)20時41分53秒
「猫?」

その夜。
うちに晩ご飯を食べに来た圭ちゃんが、ソファーに丸まって寝てる猫を見て
目を丸くした。
「ん。下の郵便ポストんとこでびしょ濡れになって震えてたの。
みっちゃんと後藤に聞いたら知らないって言うし」
「へぇ。飼うの?」
「一応、飼い主は探してみるよ。ポスター作ったから後で貼りに行くよ」
「ふうん。しかし…なんかどっかで見た顔ねぇ」
圭ちゃんが怪訝な顔をする。
アゴの右側にあるホクロ。大きなつり目。
さっき圭ちゃんがうちに来た時、玄関先でカオ、この猫が誰に似てるか確信したんだ。
本人も気付いてくれたみたい。
「その猫の呼び名を考えたの。1.ダーヤス 2.ケメ子 3.子ヤッスー どれがいい?」
「…どれもこれもビミョーね。しょうがない、『2』」
しょうがなくて、『2』なのか。
「ケーメ子♪」
目を覚ましたケメ子を抱き上げると、圭ちゃんはすっごく複雑そうな顔で缶ビールを呷った。
17 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)20時50分27秒
すぐポスターを貼り出し、色んな人に協力を頼んだ。
見つかるまで、ケメ子はうちで面倒見ることにする。


ケメ子はカオが帰ると、玄関まで飛んでくる。
昼間は留守だから、きっと退屈な思いをさせてるんだろうな。
「ケメ子、ただいまー」
「にゃあ」
抱き上げて頬ずりするのが、ここのところの日課になってる。


「ただいまー」
もうひとりのケメ子が仕事から帰ってくる。
「おかえりー、ケメ子」
「にゃっ」
「ケメ子て!なんなのよ、アンタまで」
圭ちゃんはそう言ってケメ子を抱き上げた。
人間のほうはご立腹だ。
せっかくふたりでお出迎えしてあげたのにね。


ゴハンの後、DVDを見ることになってケメ子を連れて圭ちゃん家に移動した。
圭ちゃんは最近液晶テレビに買い換えて、ますます映画にハマってる。
今日も、カオが帰りに『アメリ』をレンタルしてきた。
ケメ子はカオたちが映画見てる横で、ひざ掛け毛布にくるまって、
すやすや寝息を立てている。
18 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)21時04分12秒
映画のあと。
ウチらは着てるものを脱いで、ベッドにすべりこんだ。

「…寒い」
圭ちゃんはぶるっと震えた。
圭ちゃん、冬生まれなのに、寒さに弱いなぁ。

何度もキスをし、カオは仰向けになった。
圭ちゃんはカオの上にいる。
目を細めて、じっとカオのこと見てる。

「…ん?や、やだ、く、くすぐったいよお!う、うひゃひゃひゃひゃ!」
「へ?まだ何にもしてないわよ…?」
圭ちゃんは怪訝な顔をして、お布団をめくった。
ケメ子がいつの間にかベッドに入り込んで、カオの足の甲とかを舐めてた。
「…たく、コイツはもう」
圭ちゃんはやれやれと、というように、ケメ子を抱っこする。

「…しかし、ヘンな絵ヅラだねぇ。まっぱの人間たちとネコ」
「フフ。たまにはいいじゃん」
カオがケラケラ笑うと、圭ちゃんは仕方なく笑って、カオのほっぺたにキスしてくれた。

その夜は。
ケメ子を真ん中にして、ぐっすり眠った。



19 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)21時11分27秒
ケメ子を抱っこして寝るのがカオの日課になっていた。

圭ちゃんが帰りに白子を買ってきて、カオの家で食べた時もケメ子はぬっと現れて、
ぱくっと珍味をくわえた。

「やっぱり珍味野郎だね。ケメ子だけあって」
「『珍味野郎』て。一応、メスじゃん」
同じ顔のよしみで、圭ちゃんはケメ子をかばった。


―――10日ほどそうして過ごしてたと思う。

お別れの時は、突然やってくる。
ケメ子の飼い主から連絡があった。
若い女の人で、その人は隣町のケーキ屋さんの焼き菓子の詰め合わせを持って、
猫を引き取りに来た。

「どうもありがとうございました」
飼い主のひとが頭を下げて、猫を抱っこする。

あの猫は、本当は『チャーミー』というらしい。
チャーミーは車で帰って行った。
小さく手を振って、カオはムリヤリ笑ってみた。

20 名前:いつもふたりで 投稿日:2002年12月21日(土)21時18分32秒
―――圭ちゃんはこういう時、そっとしておいてくれるのが、いいところだと思う。
タイミングを見計らって、コーヒーを入れてくれるのがいつものケースだ。


「カオ、コーヒー入ったわよ」
圭ちゃんに呼ばれて、カオはのろのろキッチンに行った。
さっきもらった焼き菓子を、圭ちゃんは箱から取り出す。

「圭ちゃん」
「ん〜?」
「あの猫ねぇ、『チャーミー』っていうんだって」
「マジで?」
「チャーミーってカオじゃないよねぇ」
くすくす笑うと、圭ちゃんはカオのほっぺたを引っ張った。
「痛い〜」
「チャーミーの代わり」
圭ちゃんはそう言って、もうかたっぽのほっぺたも引っ張った。


あの猫にはまた会えるかもしれない。
そう言うと、圭ちゃんはそうね、と言った。


ふたりでいるから、あったかいよ。
ね、圭ちゃん。
21 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月21日(土)21時42分29秒
更新しました。番外編はこれで終わりです。

タイトルはオードリー・ヘプバーンの映画『いつも2人で』(原題:TWO FOR THE ROAD)より。
オードリーとアルバート・フィニー扮する最高に愛し合って結婚した夫婦の12年間を追う、
という映画です。

( ´ Д`)<んあ〜。アルバート・フィニーはジュリア・ロバーツの
       『エリン・ブロコビッチ』にジュリアの上司の弁護士役で出てたよ〜。
       またよかったら見てみてね〜

レスのお礼です。

>南風さん
(0^〜^0)ノ<初レスありがとYO!両鼻から鼻血、カッケー!

どこかでお見かけしたHNなのですが、どこかで書かれてませんか。
あいぼんは心の優しい娘なのです。ただ、不器用でそれをうまく表現できないのです。
どうもありがとうございます。がんがります。

>よすこ大好き読者。さん
(0^〜^0)ノ<オヒサスブリ!カッケー!

いつもありがとうございます。いやはや、どこまで続くねん、てカンジなんですが(w
よすこ大好き読者。さんが鼻血ブーとなるような、カッケーよっちぃが
書けたらな、と思います。これからもどうぞよろしくおながいします。

>あおのりさん
( ´D`)<ありがとうなのれす、てへてへ

どこまで続くのか、書いてる私が一番分かってないかも知れません(ダメじゃん)。
あいぼんはお母さん思いのいい子なのです。これからもどうぞよろしくお願いします。
取りあえず、自分は萌えシーンを書く特訓をします。(萌えシーン養成ギプスとか装着して)




22 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月21日(土)21時54分30秒
>名無し読者さん
( ゜皿 ゜)<コンナニナガクツヅクト オモワナカッタ

大河ドラマはたまに言われます(w 『渡る世間は―』ですか。赤木春恵はここでは
誰なのかと小一時間(ry これからもどうぞよろしくお願いします。
いしよしにも、進展があることを願い、わたくしの挨拶と代えさせて頂きます。

>名無しかも〜んな!さん
( ‘д‘)ノ<ののには負けへんで!

どこまで続くのか、線路は続くよどこまでも、状態です(ニガワラ
『サ○エさん』だとアナゴさんはここでは誰なのかと子一時間(ry
ののヲタのほうにも拍車をかけられるようにがんがります。よろしくお願いします。

>ベリィさん
(;`.∀´)y−~~ <料理のアクとか言われるし、ロクなものに例えられないわねッ!

毒のあるいい女、やすすです。いしよし小説なのに、世界の保田のほうが目だってます(w
あいぼんはいい子ゆえに、悩んでしまうのです。青春ですねぇ。
楽しみにしてくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
23 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月21日(土)22時07分51秒
初リアルタイムでした。ヤッター!!
ラブラブかおけいにじゃれつくケメ子に萌え
サイドストーリもいいっすね〜

24 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月22日(日)00時15分48秒
猫好きにはたまらない番外編…ズワーイ!
猫の本名には笑いました(〜^◇^)<キャハハハハ

本編は色鮮やかな色彩に彩られた長編大河ドラマのような作品だと思うのですが、
今回の番外編はセピア色が似合う、どこか懐かしく温かい作品だと感じました。
セピアも似合うイイ女、ケメ子(人間)に完敗(w
最後の川゜〜゜)||の言葉にケメ子(人間+猫)への愛を感じました。

そして遅ればせながら、新スレおめでとうございます。
25 名前:南風 投稿日:2002年12月22日(日)00時41分23秒
番外編読んで、ほろ酔い頭もすっ飛んでニコニコしてました。
心暖まるってこういう感じッすね。
今日は良い夢見れそうです(笑)
更新お疲れ様です。
あ、同海板でひっそり書いてたりします。
26 名前:名無し蒼 投稿日:2002年12月22日(日)00時59分27秒
遅くなりましたが新スレおめでとうございます〜!
番外編読みました♪いやぁいいっす♪
そして本編も高橋と紺野のストーリー?楽しみに待ってます。
いつもいい話をありがとうございます♪w
27 名前:ベリィ 投稿日:2002年12月22日(日)20時20分54秒
更新お疲れ様ですvこの番外編はなんていうか冬の寒さを
忘れさせてくれるような暖かいお話ですねぇw
何だか最近ヤッス〜とかおりん好きなんですよねぇ。
しかも猫好きにはたまらないお話でしたv
あぁますますこのふたりが好きになっていく…。
…あれ?はじめはいしよしが好きでこのオハナシを
読み始めたような気がしたんだけどなぁ…?(w
28 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月24日(火)16時58分32秒
で、出遅れた…!!!すみません。遅くなりましたが、新スレおめでとうございます!!
あいぼんのおかーさんへのつぶやき&ケメ子ことチャーミー…泣かせて頂きました…。
あいぼんエエ子や…!!
そして二人と一匹には、もっかいくらい川の字で眠って欲しかったなぁ(号泣)。

次回も楽しみにしております!!
29 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月26日(木)23時54分13秒
―――吉澤視点

4限の授業が終わったくらいに、メールで市井さんに召集をかけられたので、
部室へ向かった。
中に入って行くと、ごっちんやアヤカさんはもう来ていた。

「ハイ、ちゅうも〜く!」
市井さんが呼びかけて、みんな(と言ってもウチらだけだけど)注目した。
「今日から学祭準備に本格突入する。ウチのクラブは野外ステージと喫茶店をやるぞ。
それと併行してカントリー娘。のライブの準備もする。何か質問は?」
「ハイ」
ウチは真っ先に手を挙げた。
「ハイ、吉澤くん」
「あの…朝構内に掲示してある呼び込みのポスターで
見たんスけど…『カワイイウエートレスもいるヨ!』って一体?」
「宣伝文句どーりじゃねーか」
「んあ」
「そんでここに置いてあるポスターに…どっかで見たよーな顔のイラストが」
ウチは机に置いてあったポスターをがざがさ広げた。
それはごっちんが書き上げたヤツで、どー見てもウチとしか思えないタレ目で
ほくろの多いマンガっぽい絵の女の子が、ぶりぶりなウエートレスの格好をしてる。
ふきだしには『お待ちしてるワはあとはあと』の台詞つき。
「あっは!やっぱ分かった〜?似てるっしょ?」
ごっちんが言うと、
「あ、ホントに似てる〜」
「後藤は絵はうまいからな〜」
アヤカさんと市井さんはポスターを広げて言った。
「喫茶店の衣装はこの通りもうバッチリだから。ウエートレスの応援も柴っちゃんに
頼んであるし」
アヤカさんが紙袋からその衣装を出して言った。
30 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月26日(木)23時57分53秒
「おー、アヤカはさすがだなー」
「んあ、さすが副部長。部長より仕事が早いよ」
ごっちんのひとことに、市井さんはちょっとヘコんだようだ。
「と、とにかく、そういう事だ」
そそくさと部室を出て行った。
その後は3人でその衣装を広げてしばらく見ていた。


夕方、大学から帰ると居間で賑やかな声がした。
玄関先に女物の靴がいくつかあったし、お客さんのようだ。
「ひとみちゃん、おかえり」
台所で梨華ちゃんがお茶の支度をしていた。
「あ、ただいま。お客さん?」
「ん。りんねさんたちが来てるの。あのね、ちょっと来てくれる?」
「うん?」
梨華ちゃんと一緒に居間に行くと、
「あ、お邪魔してま〜す」
「ひさしぶり〜」
カントリー娘。のみんなだった。
「あ、ども。会合っスか?」
「うん。あ、衣装できたんだよ〜。ちょっと見てみて〜」
あさみさんがそばにあった服を広げる。
「…すげ…。セ、セクシーっすね」
こんな衣装で『ア〜ン セクシーベイベ』なんて言われた日にゃあ。
「うちの里田が頑張ってくれたからね」
りんねさんが満足そうに頷く。

31 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月27日(金)00時25分03秒
「…それにしても、露出、激しいっスね」
ウチなんか、まずこういうの着ることないだろうな。
見たいってひともいないだろうけど。

しばらく手に取って眺めていると、
「よっすぃ〜んトコも着々と準備進んでるんだよね」
あさみさんが言った。
「あ、ハイ。衣装は大体揃いましたし」
「今度の土曜は合同練習だしね」
りんねさんは自分のスケジュール帳をめくった。
この日は保田さんが休みなので、スタジオを借りてすることになってる。
うちのクラブは終わってからも引き続き自分とこの練習。
前からナゾだったんだが、うちのクラブは部員が少ないのに何故かどうにか
成り立っている。


その夜はカントリー娘。も入れての夕食だった。
りんねさんが北海道のじゃがいもを持ってきてくれたので、うんめ〜コロッケが食べられた。
ののなんか、すんごい勢いで食べてむせて里田さんに背中を叩いてもらってた。

ウチがお風呂から上がると、居間で梨華ちゃんがひとり、ビデオを見ていた。
そっと覗いてみると、何度も同じとこを繰り返して巻き戻しては見、
メモ用紙に時々書き込んでる。
最初は何のビデオかと思ったけど、しばらく見ているうちにカントリー。の
練習風景だと分かった。

『練習のとき、頼んでビデオ撮ってもらったんだ。家でも練習したいし』
梨華ちゃんはちょっと前にそんなことを言っていた。
梨華ちゃんらしいと思うよ。
真面目だなぁ。

ウチがいることにも気づかないようなので、そのままドアを閉めて2階に上がって行った。





32 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月27日(金)00時51分40秒
更新しました。

タイトルはジョセフ・コスマ作曲のジャズのスタンダードナンバーより。
イヴ・モンタンが一番有名ですが、とにかく色んな人が歌ってます。

( ´D`)<キャノン・ボール・アダレイの名盤「サムシン・エルス」のが一番好きれす
      
レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん
( ‘д‘)<猫の写真見してもうたけど、ホンマオバチャンに似とったワ!

ヤッスーはネコっぽい顔なので、このネタで一回書いてみたかったんです。名前も確定で(w
淡々とした中のラブラブ加減が伝われば、と思いますた。

>名無し読者さん
( `.∀´)<ホホッ!勝ったわ!

猫の本名にも目をつけて頂き、幸いです(w 好きと言葉に出さずにラブラブっぷりが
書けたらな、と。これからもどうぞよろしくお願いします。

>南風さん
( ゜皿 ゜)<サクシャ オキニイリニイレテル

ああー。あのお話の作者さんですたか。失礼しますた(汗 時間のある時に
まとめて読ませて頂いてます。いい夢見れますた?お互いがんがりませう。






33 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月27日(金)01時08分05秒
>名無し蒼さん
川;▼ー▼川<いつになったら名前だけじゃなくて直接出れるんだスかねェ?

現在は名前のみの登場につき、ここでは顔はグラサン着用、音声も変えております(w
楽しみにして頂いてありがとうございます。がんがります。

>ベリィさん
( `.∀´)<カオリには負けないわよッ!

私もいしよし小説書いてるつもりなんですけど、おいしいとこはヤッスーが持って
いくんですよね(w ヤッスーに似てるネコがいたら迷わず飼います。

>クロイツさん
( ´ Д`)<んあ〜。出遅れなんて気にしないで〜。いつもありがとう〜

あいぼんは素直ではないのですが(イヤ、ある意味素直か?)、優しい娘なのです。
いいらさんたちは何回かは3人で眠ったようです。ケメ子が乱入したりして。



34 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月27日(金)01時18分45秒
・ファッションアイテム

( ^▽^)つはあとはあと<見て見て〜はあと新しいピアス買ったの〜♪ピンクノハートはあとはあと

从 #~∀~从<…またヘンなモン買うてきてからに

(;´D`)<なんていうか…ビミョーなのれす

( ´д`)<まぁ、エエんちゃう?ファッションなんてすきずきやし

(;^▽^⊂<エエ〜?じゃぁ、今日してるピアスはどう〜?

( ‘д‘)<あ、今日のはワリとフツーやな!

( ´D`)<かわいいれす〜

从 #~∀~从<ホンマやな、オマエにしては

( ^▽^)<だって今日のは柴ちゃんにもらったんだもん!

从 #~∀~从( ´D`)( ´д`)<<…やっぱり



いしかーさんのファッションセンスは、昭和のかほりが漂う。
35 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月27日(金)04時22分51秒
「たく」
その日。
小川麻琴はワケもなくむしゃくしゃしていた。
気晴らしに出かけようと、Gジャンを羽織って玄関に行く。
「麻琴ぉ、出かけるの?出かけるんなら油揚げ買ってきてー」
居間から、母の声が聞こえた。
「えー」
口を尖らせると、
「あ、ついでに牛乳とお味噌とサラダ油もね」
母はこともなげに言った。
「ついでが多いんだよ!しかも重いモンばっか!」
ブツブツ言いながら自転車を出す。

「まこっちゃん、出かけるの」
ちょうど、隣の新垣里沙も玄関先に出ていた。
「ああ」
「あたしも行っていい?ヒマだし」
「悪ィけど、ひとりになりてーんだ」
素っ気無く言うと、
「あ、そ」
あっさりあきらめたようだった。
「まこっちゃんもお年頃だねぇ」
そんな呟きが聞こえて、
「初潮もきてねェよーなガキがナマ言ってんじゃねーよ」
「…な!あ、あるもん!まこっちゃんのバカ!」
新垣の叫びを背中に受けて、小川は自転車を漕ぎ出した。
36 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月27日(金)04時27分39秒
30分ほど当てもなく漕いでいた。
隣町も過ぎて、普段あまり来ない街に来ていた。
もう夕暮れだ。
汗びっしょりになった小川は、いったん自転車を降りる。
気がつくと、この界隈で有名な進学塾のそばに来ていた。
別に何てこともなく建物を眺めてると、ふと見覚えのある顔が視界に入った。
紺野が、塾の前で壁を背にして数人の少女に何か言われている。

「おい、紺野」
小川の声に、紺野たちは振り向いた。
他の少女たちも顔見知りだ。
付属中学のチアリーディングの後輩だった。
「あ…小川先輩」
彼女たちは頭を下げた。
「なにしてんだ、おめーら。アタシのダチに何か用か」
小川は全員の顔を見渡した。自分では意識せずに睨みつけていたようだ。
小川の迫力に、全員ビクッとなる。
「あ、あ。違うんです。いじめとかそんなんじゃなくて、その」
紺野が慌てて弁明しようとすると、後輩たちのうちの一人が口を開いた。
「あたしが…紺野さんのことすっごい好きで付き合ってほしいって言ったんです。
みんなには付き合ってもらってたんです。すみません」
「…なんだ。びっくりさせんなよ」

小川はちょっと自分が恥ずかしくなった。
37 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月27日(金)04時43分43秒
紺野は今日、この塾の見学会に来ていた。
後輩たちは元々ここに通っており、たまたま紺野を見かけ、思い切って声をかけた。
それから、さっき小川が見かけたあのシーンに続く。

「たく。おめーはモテんなー」
小川は自転車を押して歩く。
「そんなこと…ありません」
その横で紺野が俯く。
足元の小石を、彼女は軽く蹴った。
「駅まで送っちゃる。乗れよ」
悪いからいいです、と紺野が断る間もなく、小川はもうサドルにまたがっていた。

「JRか?地下鉄のほうがいいか?」
「地下鉄のほうが乗り換えなくていいんですが…小川さん、遠回りになるんじゃ」
紺野はスカートのすそを気にしながら、荷台に腰を下ろした。
「いいって、いいって。どっちにせよ帰り道なんだし」
しっかりつかまってろよ、と小川は漕ぎ出した。

「で、おめーアイツと付き合うの?」
『ストレートですね。まぁ、小川さんらしいですが』
小川があんまりにもさらっと聞くので、紺野は心の中で思う。
「いえ…好きなひとがいるとはっきりお断りしました。お気持ちは有り難いのですが」
「エ!?マジ!だれ、ダレ!?」
思わず小川は首を曲げて後ろを振り返る。
「お、小川さん!マエ!前見てください!!」
「あ、悪ィ。で、誰?」
38 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月27日(金)05時05分37秒
「アメリカの中学校で一緒だったひとです。年は向こうがひとつ上ですが」
「へぇ〜。日本人?」
「ハイ。わたくしと同じように、お父様のお仕事の都合で、ご家族ごとアメリカに
いらしたんです。家も近かったので、よく一緒に遊びました」
「ふうん。そのひと、今もアメリカいんの?」
「いえ…今は福井にいます」
「へぇ。遠恋か」
「そんなんじゃ…ありません」
紺野はそっと目を伏せた。




39 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月27日(金)05時08分29秒
「どんなひと?写真とかないの」
紺野はいったん止まるように小川に頼み、携帯を渡した。
以前、加護にも見せたプリクラである。
「おー!かわいいじゃん!紺野おめー、面食いだなー」
「ハイ、完璧です」
そうかー、年上かー、と言いながら小川はまた自転車を漕ぎ出す。
「好きって言ったん?」
小川の質問に、紺野は何故か悲しそうな顔をし、
「…いいえ」
とだけ答えた。
「告白とかしねーの?」
「いえ…何というか、離れていると自分の気持ちが分からなくなるんです」
「はぁ、そうなん?」
「好きなんだけど、自信が持てないっていうか」
それっきり、紺野は黙ってしまう。
「まぁ、アタシにはむずかしーことは分かんねーけどさ。自分の気持ちに嘘つかなきゃ
いいんじゃねーの?」
しばらくして、小川は言った。
「そう…ですね」

自転車の後ろに乗って、夕方の街が小川の背中越しに過ぎていく。
「小川さん」
「あー?」
「今日、わたしがいじめられてると思って、助けてくれたんですね」
「ああ、すっげー恥かいたけどな。まぁ、この前のこともあったし」
小川はおかしそうに笑う。
「ありがとう…」
「いいって、いいって」
屈託のない笑顔が、とても眩しかった。


『キレイな夕焼けです…悲しいくらいに』
小川の背中をずっと見つめて、紺野は胸がつまった。
40 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月27日(金)05時12分32秒
更新しました。

おう!>(`▽´∬∬ (・-・o川<……きれいな夕陽ですね
41 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月27日(金)10時44分17秒
うおあぁぁぁぁぁ…セクシーな衣装だけでヤラレそーになってるヨッスィー、最高です!!
そして、ビデオでお勉強中の梨華ちゃん。背後のヨッスィーに気付いてあげて!!
哀愁漂う背中を想像してしまいました。

 こんこん可愛い!まこっちゃんかっけ〜!!
 おがこん好きにはたまらないシチュエーションでした…!!
 次回も楽しみに待ってます!!
42 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年12月27日(金)13時54分21秒
ぬぉお〜〜!いいれすいいれす!!
セクシー衣装…想像しただけで再度萌え♪
もうあの衣装はエロイっす(w

紺ちゃんもファイっ!(なにを?
オガコンも好きだが高紺も好きなんでうぉ〜って思ってしまいまふ(w
43 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年12月27日(金)14時45分56秒
あ、書き忘れ(w
グラサン着用・音声変えて!
これすっごくウケマシタ(笑
44 名前:ベリィ 投稿日:2002年12月27日(金)22時17分41秒
こんこん、切ないですね〜。
ぢつはベリィもおがこん好きなのでちょっぴりドキドキしてます。
まこっちゃんかっこいいですね〜。男らしい…。(w

梨華ちゃんのセクスィ〜衣装とよっすぃ〜のウェイトレスも
楽しみにしてますw
45 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月28日(土)05時20分24秒
―――石川視点

お昼から、大学に行く。
図書館で本を返した帰り、廊下を歩いていたら、柴ちゃんが壁にもたれて
メールを打っていた。
「おー。1日ぶり」
「柴ちゃん、授業は?」
「今日はもう終わった。今から帰るとこ」
「そっか」

「お」
柴ちゃんが窓からグラウンドを見下ろした。
「見てみ。ヨシコが元気に体育しとる」
慌てて窓に近づくと、ひとみちゃんがドッヂボールを嬉々としてやっていた。
すっごいなぁ。
次々ボール当てて相手チームの子を外に出してる。
「ヨシコ頑張れー!」
ごっちんがラインの外から声援を送る。
ああ、そうか。
体育で一緒のカリキュラムを取ってるんだ。
いいなぁ。
あたし、ひとみちゃんと学年も学科も一緒だったら、必修の体育受けられるのになぁ。
46 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月28日(土)05時24分58秒
「う〜む。いるよねぇ、ドッヂが異様に強い子って」
柴ちゃんの言う通り、ひとみちゃんは嬉しそうに所狭しと走り回ってる。
どんなボールも、素早くキャッチしてどかどか当ててる。
「うおおおおおー!」
ボールを受け損なって、ひとみちゃんは何故かバレーの回転レシーブのように
ズザーッとすべりこんだ。
「ぎゃはははは!ヨシコ最高〜!」
ごっちんを始め、みんなオナカを抱えて笑ってる。

結局ひとみちゃんは何回か外には出たが、最後には残りチームを勝利に導いた。
「やったー!」
ひとみちゃんはボールをポ〜ンと放り投げて飛び跳ねる。
「オイ!そんなに嬉しいんかい!小学男子かよ!」
柴ちゃんのツッコミをよそに、あたしはかわいいなぁとぽうっとしてしまった。
「あ!りかちゃぁ〜ん!見てた〜?オイラ、勝ったよー!」
あたしたちに気づいて、ひとみちゃんは下から手を振ってくれた。
「ウン!見てたー!」
ひとみちゃんが満面の笑顔で振ってくれるので、あたしもぶんぶん振り返す。
「イエーイ!」
ひとみちゃん、両手でピースしてる。
「かわいいねぇ、おたくのダンナは」
柴ちゃんは横で、苦笑いしてた。
47 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月28日(土)05時30分37秒
―――吉澤視点

「何やってるんスか?」
授業が終わってから部室に行くと、市井さんが真剣な顔でプラモを組み立てていた。
タミヤのセメントやら色々机に広げている。
その横で、ごっちんがツメ切りでポチポチとプラモの部品を切り取ってる。
「ガンプラ組み立ててんだよ」
「何も部室でやんなくったって」
ウチは机の空いてるとこにカバンを下ろした。
「部室の大掃除した時、どっかから出てきたんだよ。プレミアもんでもないし、
で、組み立ててんの」
「はぁ。そうッスか」
換気扇がごうごうと回ってる。
それでもちょっとセメントくさい。
しかし、また散らかしてアヤカさんに怒られないだろうか。
「色塗りはアヤカに禁止令出された」
やっぱり…。
しばらく部室にいて用事を片付けてから帰った。
ウチが帰る時も、ふたりはまだガンプラに夢中だった。


―――その夜。
「り〜かちゃん」
ウチはコーヒーの載ったお盆を持って、梨華ちゃんの部屋のドアをノックした。
「ハイ」
梨華ちゃんは誰かに電話をしてたようで、
「それじゃ、また。おやすみなさい」
と携帯を切った。
「あ、ごめん。電話してたんだ」
「ううん、いいの。もう切るとこだったし」
「友達?」
「うん、柴ちゃん。『ドッヂヨシコによろしくって』」
ハハ。そーいや、今日梨華ちゃんと一緒に柴っちゃんも窓から見てたっけ。
「あのね、柴ちゃんが電話で言ってたんだけど、ひとみちゃん、学祭でウエートレスするんでしょ」
「情報早いねー。うん、まぁ、ちょっとね」

48 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月28日(土)05時32分37秒
正直、あのぶりぶりのコスチュームを見られるのは恥ずかしい。
ふだん、ジーンズばっかだから、どうにもああいう服がてれくさくって仕方ない。
「あたしも見に行くね。喫茶店でしょ」
「あ、うん。なんか保田さんも来るって言ってた」
この前コンビニで偶然会ったら、飯田さんと一緒で『ホホ!学祭で喫茶店やるんだって?
ライブの合間に茶ァでも飲んで売り上げ協力してやるわ!』とウィンクして言われた。
飯田さんは横で『圭ちゃん、キショッ!』とかゲラゲラ笑ってたけど。

「あのね、ひとみちゃん」
不意に、梨華ちゃんが眉をひそめた。
「なに」
「あたしね…不安なの」
「ライブで失敗しないかって?」
「うん…あたしがみんなの足引っ張ったらどうしようとか、歌とかダンス間違ったらどうしようとか、
そんなことばっかり考えちゃって」
「だーいじょーぶ!この前も遅くまでビデオ見て自主トレしてたじゃん」
「なんで知って…?」
「梨華ちゃんウチに気づかないくらい必死だったからさ、声かけなかったの。間違えても、誰も
責めないと思うよ?ウチだって、ライブで間違えるのなんてしょっちゅうよ。まぁ、その度に
保田さんに『ゴルァ!』ってとび蹴りされてるけどさ」
ウチが苦笑いしながら言うと、
「そう…保田さん、とび蹴りするの」
なんか違うところを神妙に受け止めてるようだった。
「ウチだってついてるし」
ぽんぽんと頭をたたくと、梨華ちゃんはウチの手に自分のを添えて、
「ウン!」
と笑った。
49 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月28日(土)05時52分16秒
  (´⌒(´⌒;;          ∩         
        (´⌒(´⌒;; -=≡と___⌒つ^〜^)つ  ○
    
          ズザザザザ   

更新しました。ドッヂをしてる時のよっちぃは輝いてるよ(w

レスのお礼です。     

>クロイツさん
(0^〜^)<練習のじゃまになると思って声かけなかったんだYO!

衣装だけでこれですから、実際着用したらどうなるんでしょうね(ニガワラ
紺野先生は、せつねー女心に揺れているのです。完璧です。

>ぶらぅさん
(0^〜^)<オイラも着てみよーかなぁ?
オナカのシースルーがワケもなくエロかったっすよね、あの衣装は(w
T・Aさん(事情によりイニシャルのみ)の登場はいつの日になることやら(w

>ベリィさん
∬`▽´∬ノ<サ〜ンキュ〜!がんがるぜぃ!

おがこん、すっごい人気ですよね。私も結構好きなんですが。
まこっちゃんはヘタレだけど、まっすぐで熱いヤシなのです。
50 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月28日(土)11時37分14秒
ドッヂよしこ!最高に輝いてます!!
不安がる梨華ちゃんも可愛い…はあとはあと

セクシーベイべー梨華ちゃんも楽しみですが、ウェイトレスよしこはもっと楽しみかも…。
果たして周囲はどんな反応を示すのかっ!!
次回も楽しみにしてます!!
51 名前:あおのり 投稿日:2002年12月28日(土)14時00分09秒
梨華ちゃんネガ全開ですなぁ〜そこまで思いつめなくても…って思ったけど
もしかして旦那の前だから甘えたくて言ってんの?
とバカップル妄想をしてしまう俺氏ね(w
52 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月29日(日)00時48分22秒
やーばい!とくばんのドッジよし子に激萌えしてたトコロに、コレですか!
反則!またまた激萌えだよー。眠れなーい。
53 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月29日(日)11時51分04秒
ドッヂヨッスィーかっけー
とくばんで観た身体能力はすごかったですね。さすが体育会系
ひさしぶりにPC開けたら大量更新してたのでびっくりです。
この小説 小川のキャラが一番好きかも・・と浮気性なオイラ(w
54 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月30日(月)18時41分48秒
―――吉澤視点

―――いよいよ学祭を来週末に控えた金曜日の午後。

大学中、いたるところで金槌を打つ音とかが響いている。
看板も、あちこちに設置されだした。
ウチらフォークソング部も、グラウンドの隅で大道具を作成中。
頭に手ぬぐいを巻いて、トンカントンカンやってる。

「ヨシコ、釘そっちまだある?」
「ん」
軍手を外して、ごっちんに釘を手渡す。
「こんなモンっすかねぇ?」
柴っちゃんは額を拭って、ハケを新聞紙の上に置いた。
時間があるからと、ペンキ塗りを手伝ってくれているのだ。
「おー。いいじゃん、いいじゃん。柴田、ありがとな」
市井さんは満足そうに笑った。
「そんじゃ、そろそろバイトの時間なんで」
「あ、そうなんだ。忙しいのにありがとね」
アヤカさんが顔を上げると、
「では!柴田あゆみ、労働して参ります!」
と敬礼して帰って言った。

「ヨシコもそろそろ時間じゃないの?行ってきなよ」
ごっちんに言われて、ちょうど時間なのに気づく。
今日のバイトは4時入りなのだ。
「あ、うん。そんじゃ、今日のところはお先に」
「おう。お疲れー。しっかり稼いで来いよー」
市井さんが振り返って手を振った。
「おいッス!」
軍手を外し、カバンを提げてグラウンドを後にした。
55 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月30日(月)18時59分30秒
「で、学園祭ではよっすぃ〜、何歌うんだべ」

バイト中、お客さんが一段落してひと休みしてる時、なっちさんが聞いてきた。
「あ、ハイ。『大きな古時計』っす。最初、あみんの『待つわ』を市井さんと
弾き語りする予定だったんですが、アヤカさんのほうが声的によかったもんで」
曲のアレンジはウチが手がけた。
『おしゃれじゃん』とみんなにほめられて、ちょっとうれしかった。
「ほう!そんじゃ、ソロかい?」
「あ、ごっちんがちょっとコーラスで入ります。ごっちんは完全にソロでやるんスよ、これがまた!」

『サントワマミー』フォークバージョン。
ごっちんは小阪明子の『あなた』とどっちにしようか迷って、結局こっちにした。
中澤さんにこのことを話すと、『越路吹雪やな』と言っていた。
『♪目の前が暗くなるサントワマミー』と歌まで歌って。
さすが年の功…。

「なっち、その日は店も休みだし見に行くっしょ!梨華ちゃんがなんかライブに出るんしょ?」
「そうっす。ウチら、バックで演奏するんス」
「楽しみだね〜、こりゃ」
「ええ、是非来てください」
そう言うと、何着て行こうかね〜、となっちさんはギターの弦の交換を始めた。
かわいらしい声で『子犬の横にはあなーたー』と歌いながら。
56 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2002年12月30日(月)19時19分42秒
―――喫茶タンポポ

辻はその日、タンポポにバイトで入っていた。
夏休みが終わってからも、週2〜3日のシフトで続けている。

「辻ー、休憩入ってー」
「へいっ」
矢口に言われ、辻はエプロンのまま、外に出ようとした。
ドアを開けると、見覚えのあるひとたちがやってきた。

「よー、辻ー。働いてるかー」
保田と飯田、そして加護だった。
「あ、いいらさん、オバチャン。あいぼんまで」
「よう」
加護は学校帰りのようで、制服のままだった。
そういえば、今日は紺野と学校の図書館で勉強すると言っていた。
「たまたまそこで会ったのよ。おごっちゃるって言って連れてきた」
保田はそう言って笑った。
「オバチャンらのデートの邪魔なるんちゃうかなー、思てんけどな。たまには若者と
茶ァしばくのもオバチャンにはエエかって」
加護の発言に、飯田はウケてゲラゲラ笑っている。
保田は『ゴルァ!オバチャン言うなー!』と拳を振り上げるマネをする。

矢口にみんなとお茶を飲んで休憩していい、と言われたので、辻も保田たちの
テーブルに加わる。
辻は飯田と保田をチラチラと見ていた。
「何、辻?アタシが見惚れるくらいイイ女?」
「いや、圭ちゃん。違うし」
飯田にツッコまれて、保田はチョップをお見舞いする。
ふたりの様子に、自分が入れないものがあることを改めて実感する。
加護はココアを飲みながら、そんな辻の様子を見ていた。

『恋いうのは、理屈で割り切れんなぁ』
しみじみ思う加護だった。


57 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月30日(月)19時37分54秒
更新しました。
年内最後の更新です。

( ゜皿 ゜)<オバチャンノクセニー (`.∀´;)<うっさいよ!(´D` )<……


今年最後のレスのお礼です。

>クロイツさん
(*^▽^)<ひとみちゃん最高はあとはあと(0^〜^0)ノ <イエーイ!

川;σ_σ||ノ <小4男子かよっ!( ´ Д`)<んあ〜、確かに

ヨシコはテレまくってますが、ウエートレスは珠玉のかわいらしさです。
ドッヂが異様に強い小4男子・ひーちゃんに乾杯(w

>あおのりさん
( ゜皿 ゜)<アオノリサンイ` ( `.∀´)<たく、バカップルはしょうがないわねッ

(#0^〜^)ノ<じ、自分だってラブラブじゃないっスかぁ!(*/▽\*)<……

いしかーさん、素でネガチブだと思います(w 甘えたい気持ちも無きにしもあらずです。
そんで、きっと未だに自分のセクシーベイベーぶりを分かってません。
58 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年12月30日(月)19時58分36秒
>名無し読者さん
(0^〜^)ノ<イエーイ!ドッヂ大好きー!(^▽^*)<フフ、かわいはあとはあと

( ‘д‘)<きっと休み時間はダッシュしてドッヂしに行ってたクチでんな、師匠!(´ Д` )<んあ〜、そうだね ネムイ… 

あのかわいさは反則でしたよね。やっぱり彼女は動いてる時がイキイキしてますね。
私もテレビの前で激萌えでした。えーと、夜はゆっくりお休みください(w

>名無しかも〜んな!さん
∬`▽´∬ノ<サーンキュー!がんがるぜィ!(・-・o川<わたくしも…負けませんよ

(;‘д‘)<のの、ピンチやぞ! (´D`;)<油断できないのれす!

小川、最近人気です。飼育全体でも、おがこんブーム。実際の紺野も小川大好きだと思いますが。
とくばんはヒサブリにスポーツ万能よっちぃが堪能できてよかったです。



今年一年、『ベース弾き』をご愛読頂き、本当にありがとうございました。
皆様からのたくさんのレス、大変励みになっております。心より、お礼申し上げます。
来年も『ベース弾き』の連中をかわいがってやってください。
わたくしも精進するようがんがります。

それでは、少し早いですが、みなさまよいお年を!
来年もよろしくお願いします。

ごまべーぐる拝

     (0^〜^0)ノ<イエーイ!新年、カッケー!(^▽^)ノ<チャオー!

59 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月30日(月)23時08分54秒
今年一年の更新お疲れ様でした。
登場人物のキャラが生き生きしている素晴らしい作品に
出会えてオイラはとても幸せです。

ぜひ来年も楽しませて頂きたいと思います。
60 名前:名無し蒼 投稿日:2002年12月30日(月)23時22分59秒
今年最後の更新お疲れ様でした〜!
この素晴らしい作品に出会えたので嬉しいです♪(飼育にも出会った…w
学祭が楽しみですねぇ〜。そして梨華ちゃんの衣装…(鼻血
T・Aさんも早く!!!(w CP好きなのばっかで嬉しい作品ですw
アヤミキもありましたしねこの作品♪
来年もどうぞよろしくです!!!
61 名前:婆金 投稿日:2002年12月31日(火)00時27分52秒
2002年、お疲れさまでした。
毎日読むのが楽しくてしかたなかったです。ありがとうございます
来年も楽しみです!
62 名前:南風 投稿日:2002年12月31日(火)12時52分41秒
今年1年お疲れ様でした。
除く度に『お、・・・おぉ!』という感じに読ませて頂いてました。
来年もこんな感じで読ませていただきたいと思っております。
良いお年を・・・☆
63 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月01日(水)16時50分36秒
明けましておめでとうございます。
今年も『ベース弾き』をよろしくおながいします。

レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん
( ‘д‘)<今年もよろしゅうにな〜! ( ´D`)<ののは今年は8段アイスいっぱい食べるのれす

どうぞ本年もよろしくおながいします。(; ´д`)<今年『も』やん… 

>名無し蒼さん
∬∬`▽´)<アンタ誰? 川;▼ー▼川<ソレはいまちょっと言えんのよ… 

こちらこそよろしくです。从‘ 。‘从<アヤミキ覚えててくれてうれしいでェーす♪

>婆金さん
( ^▽^)<ひとみちゃん、今年もがんがろうねはあとはあと(0^〜^0)ノ<ウイッス!

読んでくださって有り難いです。(*´▽`)<ひとみちゃん、カワイイ…

>南風さん
( ´ Д`)<んあ〜、がんがるよ〜 (`.∀´ )<アンタは新年から眠そうね!

こちらこそ覗く度『お…おぉ!』です(w( ´ Д`)<今年もよろしく〜
64 名前:A HAPPY NEW YEAR 投稿日:2003年01月01日(水)16時59分22秒
A Happy New Year!
大好きなあなたの部屋まで
凍る街路樹ぬけて急ぎましょう

ヨシコイソゲ!
((((0^〜^)

今年も最初に会う人が
あなたであるように はやく はやく

               ハッピー!
(0^〜^).。o ( \(^▽^)/ )


A Happy New Year!
新しいキスを下さい

(*^▽^)^0 )

そして鐘の音 通りにあふれて

今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

     .。.:*・゜  *
           . . *・ ゜
(*0^〜^)    *    .。.:*・゜ (^▽^*) 

65 名前:A HAPPY NEW YEAR 投稿日:2003年01月01日(水)17時19分38秒
A Happy New Year!
今日の日は ああどこから来るの

             リカチャンノアンデクレタ マフラーカッケー!
( *^▽^).。o ((0^〜^0)ノ )

陽気な人ごみにまぎれて消えるの

こうしてもうひとつ年をとり
あなたを愛したい ずっと ずっと

(#´▽`)´〜`0)

今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも





松任谷由実「 A HAPPY NEW YEAR 」より
(#^▽^)〜`O)<ユーミン、カッケー!
66 名前:A HAPPY NEW YEAR 投稿日:2003年01月01日(水)17時26分01秒
o
    ゜    o   ゜            。                ○
゜    ○             o      o      o   ゜    。
 o ゜      .   ○    ゜          ゜             o
_\  _   ゜         。    。   ゜      o    _  ○ ̄ ̄
  ○ \    o    ゜               。       / /
 ̄ ̄|__ \\ 、     。     ゜     ゚     ○//。__| ̄ ̄ ̄ ̄
∃  |   |  | l l ゜           ゜    。 l l |  |   |○田 田
    |田 | 。| | l      ゜     ゜    。  ゜   l | |  | 田|    o
∃○|   |  | |。  ゜ . .. ... .. ... . ... ...゜ . .. .. ..    l |。|  |   | 田 田
    |田 |  | l‐    .....   ....     .....     -| |  | 田|
∃  |   |○― ....    o      ....   ○ ..... ―  |   | 田 田
   o.... 一      ....     ○    ...  o   ....  ー- | 。
―  ̄   o                       
  ....               ....     ⌒   o  ....      ....                     ⌒ 
                     
松任谷由実「 A HAPPY NEW YEAR 」より
(#^▽^)〜`O)<ユーミン、カッケー!
67 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月01日(水)17時33分37秒
( ´D`)<あ、わんつーすりーふぉー

( ‘д‘)<♪なんでだろう〜

( ´D`)<♪なんれだろう〜

( ‘д‘)<♪牛乳ふいたあとのぞうきんくさいのなんでだろう〜

( ´D`)<♪なんれだろう〜

( ‘д‘)<♪中澤はんが化粧濃いのなんでだろう〜

( ´D`)<♪なんれだろう〜

从 #~∀~从<…アンタら、分かってるやろね?

(; ‘д‘)(; ´D`)<<♪ななななんで(れ)だろう〜
68 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月01日(水)17時45分50秒


正月早々爆睡する後藤…

    ZZZZZ…
( ´ Д`)

ヽ;^∀^ノ<雑煮とおせち食ったとたん寝やがった。ま、毎年のことだけど←実家に遊びに来てる。近所なので

ヽ^∀^ノ<そろそろ夕方だよ。起こすか

(母 ´ Д`)<さやちゃん、すき焼き食べていきなさいね。お肉たっぷりあるし

ヽ^∀^ノ<やった!おばさん、ありがとー!

    ピクッ
( ´ Д`)

    クンクン…
( ´ Д`)

( ´ Д`)<…んあ〜、よく寝た。今日はすき焼きだね〜

ヽ;^∀^ノ<…本能?
69 名前:ベリィ 投稿日:2003年01月02日(木)20時25分07秒
あけましておめでとうございます!
今年も楽しいお話を読ませてくださいねw
まだまだ寒い日が続きますが、がんがって下さいv
今年はいち〜ちゃんの想いも届きますように…w
70 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月03日(金)01時24分50秒
あけましておめでとうございます。
今年もガツーリ「ベース弾き」にのめり込まして貰いたいと思います。
ひ辻年の今年はののさんもよろしくとプレッシャーをかけてみます(w
71 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月06日(月)17時20分47秒
―――石川視点

あたしはカントリー娘。のみんなと、牧場同好会の部室でライブの総復習のような
ことをしていた。

「そんで、ここ、こうで間違いないんだよね」
「うん、そうそう」
ビデオを見ながら、ダンスのチェックをする。
りんねさんとあさみちゃんは何度も巻き戻しては、入念に見ている。
「衣装も完璧だね!ダンスももう間違いなくカッコいいよ!」
「ハハ、明日の市井さんたちとのリハでもうバッチリだね」
あたしはりんねさんたちが笑って言うのを、曖昧に笑って聞いていた。
明日は、都内のスタジオでキュービックのみんなと合同練習をする。
――自分で、かなり情けないのだけど、あたしはかなりアガっている。
今も、足がすくんでいるのが、自分で分かる。

「あの、あたしお手洗いに」
頃合を見て、椅子から立ち上がった。
「あ、うん。行ってらっしゃい」
気分転換も兼ねて、外の空気を吸いに行こう。
廊下に出ると、ふと里ちゃんがついてきてるのに気づいた。
「大丈夫?」
「え…どうして」
「なんか梨華ちゃん、顔色悪いよ。具合でも?」
里ちゃんは心配そうにあたしの顔を見た。
「あ、ううん。大したことない…よ」
「それならいいんだけど…」
「里ちゃんは優しいんだね」
「え、いや…そんなこと」
「ありがとう」
にっこり笑って、そのままお手洗いに行った。
72 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月06日(月)17時27分50秒
『…まいったなぁ』

里田は、廊下にひとり残って頭をかいていた。
『梨華ちゃん、よっすぃ〜がいるのに…』
窓に自分の顔を映し、彼女は大きくためいきをついた。


―――吉澤視点

翌日。
都内のスタジオで、カントリー娘。との合同練習を行った。
保田さんは早めにスタジオ入りし、もうドラムを叩いてた。

2時間くらいほぼ休憩ナシでやったけど、出来は上々。
梨華ちゃん、ちゃんと踊れてるじゃん。
今日はジャージだけど、本番は…。
なんて考えてたら、保田さんに読まれてたようで『このムッツリ!』とゲンコツで
どつかれてしまった。

練習は特に問題なく、終わった。
昼頃、
「んあ、差し入れだよ〜」
と、ごっちんがおにぎりを持ってきてくれる。
唐揚げと卵焼きも、タッパーに入っていた。
みんなクタクタだったので、喜んで食べる。

ウチらキュービックは、りんねさんたちが帰ったあとも、自分らの練習を続けて
やった。
結構、みんなテンションあがってる。
73 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月06日(月)17時39分41秒
―――週明け
授業の合間にウチは市井さんのお使いで、差し入れを持ってりんねさんたちの
部室を訪れた。

ちょうど練習中で、ウチは邪魔にならないように隅のほうに座って見学する。
熱気ムンムンだ。
つーか、梨華ちゃん夜中までビデオ見て自主トレしてた甲斐あるわ。
合同練習の日も、早速家で復習してたし。

「―――あ!」
「梨華ちゃん!」
梨華ちゃんが顔をしかめて足を押さえてる。
どうやら、挫いたようだ。
「梨華ちゃん、挫いた?」
立ち上がって、彼女のそばに行く。
「ん、だいじょう、ぶ…」
「うっし!保健室行くよ!」
ウチは梨華ちゃんを抱え上げ、速攻保健室に走ってった。

「ひとみちゃん…はずかしいよお」
保健室に向かう道すがら、梨華ちゃんは真っ赤な顔をして、体をじたばたさせる。
「――ちょ!梨華ちゃん、動かないで。あぶないよ」
「ごめんなさい…あのね」
「ん〜?」
「ありがとう」
梨華ちゃんはウチのほっぺに、軽くキスしてくれた。

―――残されたメンバーは。
「…お姫様抱っこだよ。カッケー」
とあさみ。
「うん…実際やってるひと、初めて見たよ。長生きはするモンだね」
りんねも強く頷いた。
―――里田はぼんやりと吉澤たちの後ろ姿を見ていた。
「…オーイ?だいじょうぶかぁ?」
顔の前でりんねに手の平をサササと動かされて、はっと我に返る。
「あ、はい。大丈夫…」
里田の様子に、りんねとあさみは顔を見合わせるのだった。



74 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月06日(月)17時48分56秒
更新しました。

  @^~^@ 
(,,( ´D`))  
と" (ひ)ノつ  
.,,.、(_,/"(_,,),,.、.,  

おまけでひ「辻」です。

(;〜^◇^)<やっぱ、オイラのアイス食っちまうのかな?

レスのお礼です。

>ベリィさん
ヽT∀Tノ<くー!ありがとう!がんがるよ!

おめでとうございます。本年もどうぞよしなに。今年は(も?)市井ちゃんにもがんがってもらうとします(w

>名無しかも〜んな!さん
( ´D。`)<おしょうがつらいすっき!

おめでとうございます。今年もよろしくです。
正月早々ギネス達成の、ののさんに乾杯、ということで、がんがってもらうとします。
75 名前:名無しごま 投稿日:2003年01月06日(月)21時05分33秒
おやおや?里田さん、どうしましたか?w
こういう展開はヨイデスw
76 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月06日(月)23時44分36秒
りんねさん「長生き」って・・・w
いよいよセクシーベイベーですね〜ちょっと里田さんが気になりますが
それはそれで楽しみが1つ増えました(w
77 名前:あおのり 投稿日:2003年01月07日(火)14時18分09秒
拡大版AA劇場かっけー!楽しませていただきました。
本編では里ちゃんの登場で波乱のヨカーン!
梨華ちゃんどっちにするの?
78 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月07日(火)16時19分48秒
かなり遅れましたが…あけましておめでとうございます!!
今年も更新がんばってくださいね〜♪…私もがんばります(笑)

里ちゃん…!!!涙がちょちょ切れました…!!
そしてヨッスィー…お姫様だっこ!?お姫様だっこ!?お姫様だっこ!?お姫様だっこ!?お姫(以下略)
ほっぺにちゅーで、鼻血が…んぶぶっ(鼻血噴出中)。
次回も楽しみにしてます!!
79 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時24分17秒
―――吉澤視点

―――その日の夜。
ウチはバイトに8時まで入っていた。
梨華ちゃん、足大丈夫かなぁ。
そんなことを考えながら、閉店の準備をしていた。

「いらっしゃいませ…あれー?圭ちゃん、珍しいね。こんな時間に」
なっちさんの声がする方を向くと、保田さんが立っていた。
外は寒いのか、ベージュの少し丈の短いトレンチコートを着ていた。
…どうも様子がおかしい。
いつもなら、『ホホ!しっかり稼いでる?』とか軽口のひとつも叩くのに。
「吉澤、終わってからちょっと付き合ってくれる?」
いつものふざけた様子はなく、表情が強張っている。
「あ、ハイ。いいっスよ」

『アベ楽器店』を出てから、近くのスタバに向かう。
「あの。なんかあったんスか?」
保田さんの背中越しに声をかけると、
「後で説明するわ」
それだけ言って、ずんずん歩いて行った。
道すがら、『遅くなる』と中澤さんに電話を入れた。
この様子だと、すぐに帰れる、ということはなさそうだから。

店に着くと、アヤカさんが奥の席で手を小さく振っていた。
アヤカさんも何だか青ざめた顔をしている。
「好きなの頼みな。奢るから」
カウンターで、保田さんがウチのほうを見た。
「あ、や。いいんスか」
保田さんは黙って頷いた。
80 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時28分13秒
ウチはキャラメルマキアート、保田さんはエスプレッソを頼んだ。
トレイを持って、アヤカさんのいる席に行く。
「待った?」
保田さんが声をかけると、
「ううん。ちょっとだけ」
と小さく笑った。
「あ、ウチのバイト終わるの、待っててくれたんスか。スイマセン」
席に着きながら頭を軽く下げると、
「いや、アンタもだけど、カンジンのもうひとりのヤツが来ないことには…」
「来たよ」
保田さんが言い終わらないうちに、ごっちんが立っていた。
ナゼだか、不機嫌そうだった。
みんな、今日はどうなってるんだろ。
「よく来てくれたわね。座んな」
保田さんに促がされ、ごっちんは無言で席に着いた。

「さて。全員揃ったトコで本題に入るわね。…後藤、いい?」
「……うん」
ごっちんは相変わらず不機嫌だったが、保田さんは構わず続ける。
「あのー」
「何、吉澤?」
「全員って、バンドメンバー全員ってコトっすか?…市井さん、いないんスけど」
3人が、一斉にあたしの方を見た。
保田さんはアヤカさんに、
「も、言っちゃうわよ」
と低い声で呟いた。
アヤカさんも
「うん…」
とだけ答える。


「実はね…紗耶香が昨日から行方不明なのよ」
「て…エエ!?」
ウチは飛び上がりそうに驚いた。
昨日って…確かウチはバイト帰りに、市井さんとこのすぐそばのマックで待ち合わせてて、
自分は用事あるからりんねさんたちに差し入れ渡してくれってクッキー渡されて…。
記憶の糸をたぐっていると、
「いちーちゃんが悪いんだよ」
急に、ごっちんがぼそっと言った。

81 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時31分28秒
「まぁね、アンタの気持ちも分かるけど…」
保田さんがなだめるように言うと、
「ごとーは知らないからね」
立ち上がって帰ろうとした。
「ヨシコ、通らせて」
ごっちんの席は、ウチがどかないと出られないようになっている。
ウチはその時、何でだか立ち上がらずに、そのまま座っていた。
ごっちんはすごいカオでウチを睨みつけた。
あまりの迫力に…正直ビビった。

やがて諦めたのか、彼女は大きく溜息をついてまたすとんと座った。
「あの…一体ナニが?」
「これ聞いてみてくれる?」
アヤカさんが自分の携帯を差し出した。
留守電だろうか。
受け取って聞いてみる。

『アヤカ…アタシだけど、もう、イッパイイッパイなんだ。
ゴメン、迷惑かけるけど…しばらく頭冷やすから』
市井さんがいかにも疲れ切った声で、呟くように入れていた。

「昨日…夜中にアタシがお風呂入ってた時にかけてきたみたいなの」
「そうッスか…」
携帯をとりあえず返す。
「後藤、まだ怒ってんの」
保田さんが腕を掴んで言うと、ごっちんは俯いて黙っていた。
やがて、ぽつぽつと話し出す。
「だって…いちーちゃん、ひどいんだよ?ごとーのこと好きでもないのに、
ナンパしてきた子、追い払うのにてきとーに『彼女と一緒だし』とか言うし」
「まあねぇ…よっぽどめんどくさかったんかね」
「あの、ごっちん?それで怒ってんの?」
ウチが口を挟むと、
「それだけじゃないもん。いちーちゃん、ホテルに連れ込もうとしたんだよ?」
「へ…?」
「今からコイツとラブホ行くから、とか言ってムリヤリ…」
い、市井さん…ムリヤリはだめっしょ。
82 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時34分12秒
ウチがボーゼンとしてると、
「いや、実際何かあったワケじゃないんでしょ?」
保田さんが言った。
「実際何もなくても…ショックだと思うよ」
アヤカさんがポツンと言った。
「とにかく、ごとーは知らないからね」
ごっちんはその一点張りだ。
何となく、事情は分かった。
やっぱ市井さん、ホテルはマズかったんじゃ…。

「紗耶香はバカだけど、アンタを雑には扱わないと思うわよ?幼なじみなんだし」
「知らない」
「後藤ぉ」
保田さんが困り果てて眉を下げると、ウチの携帯が鳴った。
「あ、スンマセン。もしもし?」
『あ…吉澤か』
「市井さん!?」
みんな一斉にあたしのほうを向いた。
「ちょっと紗耶香!!アンタどこにいんのよ!?」
保田さんはウチの携帯を掴んで怒鳴りつけた。
ウチのすぐそばで叫ぶので、耳がキーンとした。
『あ、あはは…岩手』
「岩手のどこ!?」
『盛岡…温泉にちょっと。湯治なんかしちゃったりなんかしちゃったりして』
市井さんの言葉に、保田さんは今にも噴火するんじゃないかというくらい怒っている。
ちらっとごっちんを見ると、じっと保田さんとウチを見てた。
ウチと目が合うと、慌ててそらす。
なんだ。ヘソ曲げてても、心配なんじゃん。
83 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時37分31秒
あとで保田さんに聞いたところ、市井さんは帰りのキップを失くし、
温泉から身動きが取れなくなったそうだ。

「銀行のカードを家に忘れたんだと。あのバカ」
保田さんは怒って携帯を切った。
宿代を払うと、所持金3千円しか残らないらしい。
それを聞いて、みんなほっとしたのとあきれたので、体から力が抜けた。

「後藤、アンタが迎えに行ってやんな」
保田さんが言うと、ごっちんは
「なんでさ。いちーちゃんが悪いのに」
むっとしていた。
「アタシの頼みでもムリ?」
保田さんはじっとごっちんの顔を見ていた。
ごっちんはしばらく黙っていたが、
「…駅まで送ってくれる?」
カバンをつかんで立ち上がった。

その夜。
ごっちんは、保田さんに車で送ってもらい、寝台特急で上野から盛岡に向かった。
ウチは10時前に帰り、遅い夕食をとり、お風呂に入ってすぐ部屋に行った。

「ひとみちゃん」
梨華ちゃんが自分の部屋から出てくる。
もう寝るところだったのか、ピンクのパジャマに着替えていた。
「ただいま。足の具合はどう?」
バスタオルでがしがし頭を拭きながら、自分の部屋に入った。
「ん。もう大丈夫。あのね」
「ん?」
「今日、一緒に寝ていい?」
ウチはうん、とだけ答えると、ドライヤーで髪を乾かし、化粧水を顔にはたいたりしてた。
「先寝てて。寒いっしょ」
梨華ちゃんはおやすみなさい、とウチのベッドにもぐりこんだ。
84 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時41分33秒
―――ディズニーシーに行って以来、たまにだけど、ウチらは一緒に寝るようになった。
『寝るだけかいな。カンジンのナニはないんかい』
と中澤さんはあきれているが、いちおー姉上様公認ではある。


「ねえ」
ベッドに仰向けになったまま、梨華ちゃんが言った。
「ひとみちゃん、なんか元気ないよ。何かあった?」
「いや…なんつーか」
言ってもいいものか迷ったが、しばらく考え、思い切って切り出す。
「実はね」
「うん」
「市井さん、ちょっと家出してさ」
「え!?」
梨華ちゃんはがばっと起き上がった。
85 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月08日(水)17時43分07秒
「あ、や。岩手にいることが分かって、いまさっきごっちんが迎えに行ったんだけどさ」
「どうして?」
「んー。ウチも詳しくは…なんかごっちんとケンカしたっぽいけど」
「そうなんだ…」
起き上がって座った姿勢のまま、梨華ちゃんは何か考え込んでるようだった。
「市井さん、ごっちんのこと、好きなんだよ」
「うん、知ってる」
「あたしも市井さんじゃないからよく分かんないけど…疲れたのかも」
さっき聞いた、アヤカさんの携帯の留守電の声を思い出す。
あたしのトコにかけてきたとしても、心配して保田さんに連絡するだろう。
そういや。
さっき市井さん、何であたしの携帯にかけてきたんだろう。
保田さんのはつながらなかったのかな。

―――特別何かしたワケでもないのに、どっと疲れがでてきた。
ベースの弦を張り替えるつもりだったけど、明日にしよう。

「ウチも寝るワ。おやすみ」
電気を消して、ごそごそとベッドにもぐる。

「ひとみちゃん」
「ん〜?」
「元気出してね」
梨華ちゃんがぎゅっと抱きしめてくれたので、ウチも笑って抱き返した。
86 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月08日(水)17時57分01秒
更新しました。

レスのお礼です。

>名無しごまさん
(⌒ ー ⌒)<里ちゃん最近ぼーっとしてさ。どしたんだろ?

初レスの方でしょうか。ありがとうございます。でも、何だか初めてな気が
しないのは気のせいでしょうか?HNにウケますた(w

>名無しかも〜んな!さん
(o゚v゚o)<りんねちゃんって素で枯れたコト言うよね〜

りんねは本当に素でそういうコトを言いそうな気がしたので(w
天然部門はメロソの村田リーダーが一番だと思いますが。

>あおのりさん
(;^▽^)<え…どっちって?←気づいてない人

AA劇場、元旦からがんがりました(wお年玉というか、お年賀です。
喜んでくだすってうれしいです。今年もどうぞよろしくです。

>クロイツさん
(0^〜^)つ□<鼻血噴出カッケー!ハイ、ティッシュ!

おめでとうございます。本年もどうぞよしなに。クロイツさんの甘いいしよしを、
今年もキボン。お互いがんがりましょう。
87 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月08日(水)21時29分25秒
ヨッスィー、ティッシュありがとうです。
抱き合って眠るいしよしに萌え〜はあとはあと
そしていちーちゃんカッケー!!
最後の最後で抜けてる所が最高に良いですぅ☆
そんないちーちゃんが大好きだぁぁ!!
 ごっちんとどーなるんでしょう…どきどきっ!!

次回も楽しみにしております!
88 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月09日(木)17時59分17秒
「ありがとうございました」

市井を追って後藤が盛岡に向かった夜、アヤカはバイトに入っていた。
何度も雑誌に載った、深夜も営業しているカフェで彼女はバイトしている。

『サヤカ…大丈夫かしら。ごっちんがちゃんと連れて帰ってきてくれるとは思うけど』
自分が入浴している間に市井から携帯に連絡があったので、彼女は少し罪悪感があった。
『あたしがあの時、お風呂なんかに入ってなかったら…』

「アヤカちゃん、休憩入って」
「あ、ハイ」
店長に言われ、彼女は店の奥のスタッフルームに入って行く。
濃い目のコーヒーを入れて、彼女はためいきをつきながらカップの中を眺めた。


「―――ただいま」
後藤を上野まで送った保田は、夜遅く帰宅した。
疲れきって、車と家のキーをキッチンのテーブルに、すべり落とすように置く。
「あ、おかえりー」
居間で本を読んでいた飯田が顔を上げた。
今日は、飯田が夕食を作りにきてくれることになっていた。
「ごめん、遅くなって」
「いやー、いいけど。よかったじゃん、どこにいるか分かって」
アヤカから昼に市井の行方が分からない、と連絡を受け、
保田は仕事が上がってからバタバタしていた。
すぐ飯田に事情を説明したメールは送ったが、待っててくれたようだ。
自分の分のカレー皿が、テーブルの上でぽつんと待っていた。
89 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月09日(木)18時05分20秒
「うん…お風呂、入ってくる」
保田は着替えを持って、バスルームに行った。
「ゴハンは?」
風呂から上がると、飯田がコンロの鍋を温める準備をしていた。
「うん…もう寝るわ。明日食べていい?」
「そう。じゃ、おやすみ。カオ、ゼミのレジュメの準備してから寝るから」
「うん」
保田は早々とベッドに潜りこんだ。
一緒に夕食をとる日は、いつの間にかどちらかの家に泊まるようになっていた。
飯田がキッチンで、コーヒーを入れるのかガスコンロを点ける音が聞こえた。


「―――圭ちゃん、寝たの?」
1時過ぎに、飯田は寝室に入って行った。
保田からの返事はない。
「さて、寝るか」
飯田も布団に入る。
「…起きてるわよ」
保田は飯田が入ってくると、もそっと動いた。
「反応遅っ」
保田の背中を軽く叩いて、飯田は笑う。

「眠れないの?」
「…ん〜」
保田は寝返りを打った。
飯田は『それじゃ』と言い、
「次のうちからひとつ選んでね。1.コーヒーをガブ飲みして胃を重たくして眠気を誘う
2.カオが手を握って子守唄を歌ってあげる 3.いっそ朝まで起きてる」
「…2」
保田は寝返りを打った姿勢のまま、飯田の手を握った。
「高くつくよ、カオの美声は」
飯田はおかしそうに笑い、低い声で歌い出した。
90 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月09日(木)18時08分56秒
―――後藤視点

ごとーは、上野から夜行列車に乗っていちーちゃんのいる岩手に向かった。
みんな心配してるというのに、いちーちゃんはのんきに東北で温泉なんか浸かってるんだ。
ソレを考えると、なんかむしょーにハラが立ってきた。

キップは、圭ちゃんが買ってくれた。
お金を出そうとすると、『帰ってからでいいから』と言ってくれた。
『これ、困った時に使いな』と、ごとーが改札を通る前に封筒を手渡してくれた。
中はまだ見てないけど、きっとお金が入ってるんだろうと思う。
圭ちゃんはこういう時、すごくオトナだ。
ごとーなんか、かなわないなぁといつも思う。

列車に乗り、自分の席をキップを見て探す。
一番下のベッドで、上は空いていた。
お隣さんは、早々と白いカーテンを閉めて寝ているようだ。
窓際の、小さなテーブルのような台に、口の開いたチューハイの缶が載ってる。
浴衣の裾がはだけた足をカーテンからはみ出させて、その人はいびきをかいてガーガー寝ていた。

ごとーも、上着を脱いで細長いベッドに体を横たえた。
浴衣に着替えようかとも思ったけど、盛岡に着くのは朝の5時半頃だ。
ごとー、絶対爆睡して着替える時間なんかないよ。
だから、服のまま休むことにした。

隣のひとみたいに、お酒でも買えばよかったなぁ。
そしたら、ぐっすり眠れたのに。
91 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月09日(木)18時11分16秒
寝台列車って初めて乗るけど、ヘンな感じだった。
背中の下で、車輪がギシギシいってるのが分かる。
電車の中で横になったまま、目的地に着くってすごいなあ。
そんなことを考えて、お布団をかぶり直した。

…宇都宮に着いて、郡山を通過したぐらいまでは覚えてる。
浅い眠りの波が何度も押し寄せて、ごとーは夢の中にいた。


―――ヨシコ、ごとー今日すっごいイヤな子だったね。ごめんね。
ヨシコは悪くないのにね。いちーちゃんのせいなのに。

アヤカちゃん、いちーちゃんがバカなせいで、迷惑かけてごめんね。
『あたしがお風呂入ってなかったら、引き止められたのに』なんて言ってたけど、
気にしないで。
いちーちゃんが悪いんだからさ。

圭ちゃん、いっぱい心配かけてごめんね。
圭ちゃん、初めて会った時から、お姉ちゃんみたいだったね。
いつもごとーたちの面倒見てくれて。
圭ちゃんヘンだからいつもイジってからかってるけど、みんな圭ちゃんのコト
大好きなんだよ。
いちーちゃんがバカなせいでごめんね。
圭ちゃんから預かったお金、なるべく使わないようにするからね。
92 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月09日(木)18時14分12秒
…次に覚えてるのは、やっぱり車輪の音だった。
時々『キキー』という音を立てながら、列車は進む。
ごとーは枕をあてがい直して、また眠りについた。

「…おはようございます」
カーテンの外で、誰かの声がした。
はっとして起き上がり慌ててカーテンを開けると、
「おはようございます。そろそろ盛岡に着きますよ」
車掌さんが起こしてくれたんだ。
…いったいどれくらい寝たんだろう。
「あ、ハイ。スミマセン」
ごとーは慌ててカバンを取り出し、お布団とかも畳んで降りる準備をした。

「…寒い」
当たり前だけど、盛岡は寒かった。
ホームに降り立ったとたん、ブルブル震えた。
圭ちゃんから車に置いてあったフリースのジャケット借りて着てるけど、それでも寒い。

「…いちーちゃんのせいだよ。こんな寒いのは」
ブツブツ言って、改札を出た。
93 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月09日(木)18時24分54秒
更新しました。

( ´ Д`)<♪上野発〜の夜行列車降りたときから〜

でも、いるのは盛岡な罠。

レスのお礼です。

>クロイツさん
( ´ Д`)<んあ〜、ホント抜けまくってるよね〜 キップナクスシ

ヽT∀Tノ<…も、も、なんとでも言え

ちゃむは最初から抜けてます(w で、最後の最後に仲間に泣きつくあたりがらしいかなと。
その上、ゴチーンになんでもかんでも悪いように言われてます(爆
94 名前:ベリィ 投稿日:2003年01月09日(木)21時47分22秒
なにやら二人の関係が進みそうな感じですね〜v
年明け早々、ベリィ好みな展開になってまいりましたw(笑)
ここはゼヒともいち〜ちゃんにかっこよく決めて戴きたいものです。
がんばれ!いち〜ちゃん!!(w

…最後に、オトナなケメ子に萌w(笑)
95 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月09日(木)23時38分18秒
ごっちん…!!!そんなごっちんが大好きだぁぁぁぁぁ!!!
しかしすまん…やっぱり一番は梨華ちゃんなのれす…。
抜けてるいちーちゃんに怒るごっちん、すっごい好きです!!
ああ、この二人が顔を合わせたらどーなってしまうのかっ!!
どきどきわくわくっ♪
次回も楽しみにしておりますね〜☆
96 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月09日(木)23時50分24秒
なんかいちごまがいい感じになりそうな予感

さすがやすすは大人ですねかっこ良いです。
でもいいらさんには甘えてるんですね(w

97 名前:婆金 投稿日:2003年01月10日(金)11時47分09秒
突飛な行動をしてしまう、いちーちゃんがツボです。
それにしても、いちーちゃんを見守る面々の反応が、いちいち良いなぁ。
特に大人の気遣いが出来る保田さんと、ごっちん。
全部いちーちゃんのせいにしてしまう、ごっちんがかわいすぎです。
98 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月10日(金)20時32分21秒
―――後藤視点

あんまり朝早い時間だから、当然店も開いてるはずがない。
携帯を取り出して時間を見ると、まだ6時前だった。
ごとーは適当に駅前を歩いて、コンビニがあるのを見つけた。
早速中に入り、旅行に必要なものを最小限と、そんで朝ごはんにと
おにぎりとあったかいお茶を買った。

また駅に戻り、構内で時間をつぶす。
そのうち7時を過ぎたので、そろそろいいかと思い、タクシーを拾って
いちーちゃんが泊まってる温泉に向かった。

30分ばかりして到着した。
車を降りてから、とりあえずいちーちゃんの携帯に電話する。
…出ない。
まだ、寝てんのかな。
もう一度かけても出ないので、あきらめて携帯を閉じた。

どうしたらいいものかと思案し、とりあえず旅館のフロントに行った。

「あのー」
「はい、いらっしゃいませ」
「こちらに市井紗耶香さんってひと、泊まってますか。
市井さんの友人の後藤といいます」
「市井様ですね。お待ちください」
フロントの男の人が、部屋に電話をかけてくれてるようだ。
「お部屋のほうにいらっしゃらないようですね。露天風呂のほうに行かれたのかもしれません」
「そう、ですか…」
なんか、力が抜けちゃった。
ごとー、何のためにここまで来たんだろ。
携帯もつながんないし。

99 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月10日(金)20時36分54秒
旅館を出て、とぼとぼと歩いて行った。
あてもなく歩くって、こんな感じなんだろうな。

しばらくすると、湖が見えた。
朝の光を浴びて、とても綺麗に輝いてる。
ヒマつぶしに駅で見た観光案内のパンフに、そう言えば温泉の近くに有名な湖が
あるって書いてあったっけ。
さすがにこの時間なので、人影もなかった。
ごとーは湖岸にしゃがみこんで、その辺にあった木の棒で地面にガリガリと落書きを始めた。

はぁ〜あ。
なんかツイてないな。
昨日の昼からちゃんとしたもの食べてないからオナカ空いたよ。
おまけに…すっごい眠い。
寒いし。


「…後藤?」
思わずビクッと振り返った。
「…いちーちゃん」
「オマエ…来てくれたのか」
いちーちゃんはうれしーのかフクザツなのか、何ともいえないカオをしてた。
ごとーはジーンズのおしりをはらってゆっくり立ち上がると、いちーちゃんに
近づいていった。
100 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月10日(金)20時40分33秒
「…いって」
いちーちゃんが自分のほっぺたを押さえる。
…叩いたごとーだって痛い。
「…バカ」
「会うなりビンタかよ」
「ばかばかばかばか!いちーちゃんのばか!!」
「…後藤」
「ご、ごとー。どんだけ心配したと思って、るのよお!」
…ダメだ。
いちーちゃんの顔見たら、張り詰めてたモノが切れちゃって、ぼろぼろ泣けてきた。
嗚咽しながらばかばか言うと、いちーちゃんは
「…許してくれ。悪かった。アタシが悪かった」
ごとーを抱きしめて言った。
「そうだよ!いちーちゃんが悪いんだよ!ハゲでスケベで女ったらしのクセに!
とにかく全部いちーちゃんが悪いのお!」
「…うん、そうだな。そうだ」
いちーちゃんはごとーの背中を撫でてくれた。
「…寒い!」
「それはアタシのせーじゃねーぞ」
「いちーちゃんのせいだもん!」
「…ワケわかんね」
いちーちゃんはごとーの頭をくしゃくしゃかきまぜた。

湖はとても澄んで。
穏やかに、ごとーたちを映していた。
101 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月10日(金)21時01分45秒
更新しました。

( ´ Д`)<オナカすいたー 

『追いかけて、雪国』の巻。

レスのお礼です。

>ベリィさん
ヽ;^∀^ノ<カ、カッコよくかぁ…

ご期待に応えられたらよいのですが(w ヤッスーはオトナです。
いいらさんにはカナーリ甘えたですが。(;`.∀´)<い、いいじゃん!付き合ってんだからさぁ

>クロイツさん
( *´ Д `)<あっは!ありがとう〜 

とりあえず、こうなりました。ゴチーン大活躍です。私の趣味で(w 夜行で
雪国へ行く羽目になりましたが(爆 ( ^▽^)<一番なんてうれしいです♪

>名無しかも〜んな!さん
( ^▽^)<ウフ♪どうなるか楽しみ〜

とりあえずこんな感じで。いちーちゃん八つ当たりされてますが(w
そうです、ヤッスーはいいらさんには甘えたなのです。( ゜皿 ゜)ノ<ヤーイ!アマエタアマエター

>婆金さん
(+ ` Д ´)=3 <も〜お!いちーちゃんのハゲ!

ヤッスーはメンバーのアニキ…あわわ、アネキ的存在ですから。
いちーちゃん、早速八つ当たりされてます。ヽ^∀^ノ<寒いのまでアタシのせいにすんなっつーの!

102 名前:ベリィ 投稿日:2003年01月10日(金)21時15分19秒
ごっちんかわい〜ですねぇ♪
( ` Д ´)<いち〜ちゃんのハゲ!(←このセリフお気に入りです。)
いち〜ちゃんグッジョブでしたwかっこよかったです。(笑)

…甘えたなヤッスーにも萌。(w
しかもいいらしゃんだけにってのがまたいいじゃないですか。(笑
103 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月10日(金)22時07分16秒
>「そうだよ!いちーちゃんが悪いんだよ!ハゲでスケベで女ったらしのクセに!
>とにかく全部いちーちゃんが悪いのお!」
大爆笑いたしました…。ええ、もう、派手に大爆笑。特に「ハゲ」で。

いちごま、なんかイイ感じですねぇ♪
複雑そうないちーちゃんがすっげぇツボです!!
先が気になる二人ですね〜ホントにっ♪

次回も楽しみにしております!
104 名前:わく 投稿日:2003年01月11日(土)00時14分27秒
いちごまの予感??!!
ハゲのいちーちゃん(笑)頑張れ!!とりあえずごっちんにメシを・・・・
2人の中が進展することを願っっっっ!!!!
105 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月11日(土)00時47分12秒
いちごま放置についに光が差してきましたね(w
いっぱい萌えさして下さいね。
市井さんがんがってごっちんをゲットしてくれ〜
106 名前:婆金 投稿日:2003年01月11日(土)02時58分46秒
いちーちゃんを迎えに行く道中の、ごっちんの心情がいいですよね。
ごっちん、かわいすぎます!
いちーちゃんにはぜひ、ハゲを返上して欲しいです。
107 名前:あおのり 投稿日:2003年01月12日(日)01時38分19秒
ビンタの後に甘えるごとーさんに萌え〜
今後の進展に禿げしく期待
108 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)22時58分01秒
―――後藤視点

「…オマエ、ホンットによく食うな」
いちーちゃんがタバコを吸いながらあきれて言う。
ごとーたちはバスに乗って、盛岡の駅までやってきた。
最初に冷麺を食べて、いま名物のじゃーじゃー麺のお店にいる。

「んあ?だって、きのーからあんまし食べてないもん」
「そっか…」
いちーちゃんはそう言うと、タバコを消した。
「食べ終わったら、皿に卵割って入れてカウンターに持ってったら、
スープ入れてくれるんだと。いるか?」
「もっちろん」
ごとーはいちーちゃんとふたり分の卵を入れて、カウンターのおばさんのとこに行った。

その後、温泉にまた戻った。
圭ちゃんにさっき『いちーちゃんと会えた』とメールを送ると、
『せっかくだし、アンタも今日は泊まってきな』
と返ってきた。
確かに、思わぬ旅行だったけど。せっかく来たんだしな。
それもあって、ごとーは駅前の銀行でお金をおろした。
圭ちゃんに預かってるのは、そのまま返すつもりで。
109 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時03分51秒
宿に戻ると、
「あ、市井ちゃん」
ロビーのところにいた、お客さんらしい女のひとに声をかけられた。
「あ、ユキさん」
ユキさん?
誰だろ…。
「後藤、こちら前田有紀さん。ウチの隣の部屋に泊まってるんだ」
「あなたがごっちん?よろしくね」
手を差し出されて、ごとーは『はぁ』と手を握った。
きれいなひとだなぁ。
いちーちゃん、さてはナンパしたな。
そう思うと、ごとーはなんか知らないけど、無性にハラがたってきたんだ。

「あのさ、これからヒマ?」
前田さんが言った。
「あ、ヒマっすよ」
「そんじゃあさ、みんなで小岩井のまきば園ってトコ行かない?
あたしの連れが明日まで来られないし、ヒマなのよ」
「いいっすね。行きましょう、行きましょう。な、後藤。行くだろ?
ソフトクリームとか食えるらしいぜ」
「…うん」
…なんでだろ。あんまし気乗りしないのは。

なんかモヤモヤとしたモノを抱えたまま、ごとーたちは前田さんの運転するレンタカーで
小岩井農場に向かった。
110 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時07分14秒
「でっけー!」
まきば園で、いちーちゃんは大はしゃぎだった。
ごとーも笑ってみせるんだけど、なんかいまいちいちーちゃんのテンションについてけない。

「お昼はジンギスカンにしない?」
「いいっスね!」
前田さんの提案に、肉好きのいちーちゃんはふたつ返事だった。
ごとーもてくてくふたりのあとをついて行く。

「アタシ、ちょっとトイレに」
オーダーしたあと、いちーちゃんはちょっと席を外した。
ごとーはなんとなく手持ち無沙汰で、窓の外を見たりしてる。

「疲れた?」
不意に、前田さんに声をかけられた。
「え、あ、いや。そんなことないです」
「さっきから『つまんない』ってカオしてるよ」
「あ…」
顔に出てたのか…。前田さんに失礼だったな。
いちーちゃんが悪いのに。
ごとーが思わず顔を赤くさせると、前田さんはくすくす笑った。
「市井ちゃんとあたしが何かあると思った?」
「え、えーと…いちーちゃんが温泉で前田さんをナンパしたのかと思いました」
「いやー。声をかけたのはあたしだけど。なんか一人でつまんなさそうだったから」
「そうですか」
でも、誘いに乗ってるんだよね、あの女ったらしは。
「あたしも彼女と来る予定だったんだけどねぇ、むこーが仕事忙しくって。
で、急遽ヒマそーなのを誘ったのよ」
「はぁ」
「んで、その子も都合で明日まで来れなくって」
「へぇ」
「市井ちゃんのこと好き?」
いきなりの質問に、ごとーは飲んでいたおひやにむせてしまった。

111 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時12分07秒
「え、あ、いや、なんですか。急に」
「いや、ずっとやきもちを焼いてるのかと思ったからさ」
「そんな…」
やきもち?ごとーが、いちーちゃんに?
そんなことを考えてると、いちーちゃんがお手洗いから戻ってきた。
「お。会話弾んでる?」
いちーちゃんはいつもの調子でおちゃらけて言った。
「いや、まあね」
前田さんは苦笑いした。
弾んでる、と言えば、弾んでるんだけど。


ジンギスカンを食べてから、羊を見たり、おみやげを買ったりした。
みんなに何か買って帰ろう。迷惑かけたし。

考えて、ごとーは圭ちゃんにジンギスカン(生ものだし宅配で届くようにした)、
アヤカちゃんとヨシコにはお菓子を買った。
もちろん、いちーちゃんにも少しお金を出させた。
「圭ちゃんへのみやげがやたらと豪華だけど」
「んあ!とーぜん!」
いちーちゃんの申し出は、無視することにする。

前田さんは、やっぱり宅配扱いでお肉とかを買ってた。
東京の彼女に送るそうだ。
いいなぁ。

「彼女思いなんですね、前田さん」
ごとーが言うと、
「いや、買わないとみやげもないのかとうるさいし」
言葉とは裏腹に、うれしそうに答えた。
そんで、『前田さんはよそうよ』と言ってくれた。
112 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時16分53秒
ごとーはユキさんにソフトクリームを買ってもらった。
「ユキさん、アタシのは〜?」
いちーちゃんが自分を指さして言う。
いいトシしてさ。
「市井ちゃんよりごっちんのほうがカワイイからごっちんだけ」
「え〜!」
いちーちゃんは情けない顔をして、とぼとぼと自分で買いに行った。
それを見て、ユキさんと笑う。


―――その夜は。
有名なお店のわんこそばを、みんなで食べに行った。
食いっぷりが気に入った!とユキさんがうちらの分をおごってくれた。


宿に戻り、温泉にゆっくりつかって、部屋でのんびりする。
圭ちゃんにまず電話をかけた。
ごめんね、と言うと、『帰ってから紗耶香をしばくからいい』と笑ってた。
アヤカちゃんはバイト中みたいだったので、留守電に明日帰るとメッセージを入れる。
最後にヨシコにかけると、
『温泉カッケー!』と相変わらずだったので、少し笑ってしまった。
梨華ちゃんが横で、よかった、よかったね〜と言ってるのが聞こえる。
梨華ちゃんも心配してくれたんだろうな。
113 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時20分09秒
日付が変わる頃、お布団に入った。

「寒いか?」
いちーちゃんがごとーのほうを向いた。
「ん〜。ちょっと」
「こっち来いよ。ちっとはあったかいぞ」
「いいけど…ヘンなコトしないでよ」
「しねーよ」
市井ちゃんはお布団をめくって笑った。
中に入ってくと、確かにあったかかった。
枕に頭をのせて、ごとーは目を閉じた。

「ガキの頃はよくこーやって寝たな」
「ん」
ごとーはうっすらと目を開け、天井を見つめた。
「オマエが勝手にアタシの布団なかもぐりこんできて」
「いちーちゃんがそのあとおねしょして」
「…ハハハ」
いちーちゃんは暗闇の中、乾いた笑いを浮かべた。
子供の頃は確かにこうやってよく寝た。
けど、いつからか。
いちーちゃんはごとーの知らないオンナノコといっぱい寝るようになって。
ごとーはジャマなのかな、といつも思ってた。
…おさななじみって、なんだろう。
そう思ってたら、いつの間にかうとうとしてきた。

「おやすみ…いちーちゃん」
「ん〜」
いちーちゃんはごとーを抱っこするように背中に腕を回した。
あったかくて、気持ちよかった。
114 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時25分19秒
翌朝。

「いちーちゃん!早くしなよ!」
ごとーはいちーちゃんをせかして、旅館を出た。
ユキさんに盛岡駅に冷麺弁当っていうのが売っていると聞いたので、
電車に乗る前に買わないと。
10時売り出しで、限定3個だそうだ。

宿代を払って、いちーちゃんは走ってきた。
「ふたりとも元気でね」
ユキさんが、玄関まで見送ってくれる。
「ハイ、色々ありがとう。お元気で」
「またね」
ユキさんは優しく笑ってくれた。
「市井ちゃん、ごっちんの言うことよく聞くんだよ〜」
「何でッスか!」
いちーちゃんはちょっと怒ってる。
あっは!ユキさん、よく分かってるなぁ〜。

「ホラ!いちーちゃんタクシー来たよ!」
ちょうどごとーたちがタクシーに乗り込もうとしたとき、向こうから
タクシーが一台やってきた。
「柴田!やっと来たー!」
柴田…?
ユキさんの声に、思わずごとーたちは振り返った。
「悪いー!あたしどんくらい遅刻?」
…ああ、違った。
柴っちゃんかと思ったけど、違うひとだった。
「ああ、びっくりしたー。柴田かと思ったよ」
いちーちゃんも同じコトを思ったようだ。
「んあ、違うひとだったね」
「ああ」
ごとーたちを乗せたタクシーは、ゆっくり走り出した。
115 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時28分21秒
「―――今車に乗ってったふたり、どっかで見たことあんだけど」
柴田、と呼ばれた女性は、走り去ったタクシーを見て言った。
「うん。今朝まで泊まってた子たちだよ。あんたが来ない間、遊んでもらってたのよ」
「ほう。それはそれは」
前田と柴田は、フロントに向かう。
「すいませーん。前田有紀の連れの柴田です。遅くなってすみません」
「柴田めぐみ様ですね、お待ちしてました」


「―――はぁ〜あ。漫画家がエッセイなんて手ェ出すモンじゃないよ。
湯治ルポ書けって言いやがるんだよ?あたしゃどこも悪くないっちゅうに」
部屋に向かうすがら、柴田めぐみはためいきをついた。
「まあまあ、久しぶりにのんびりしようよ。あゆみちゃんは元気?」
「ああ、元気だよ。土産買って来いってさ」

「漫画家に演歌歌手か。濃ゆい湯治客だねぇ〜」
柴田は前田に軽く小突かれるのだった。
116 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月13日(月)23時37分51秒
―――ふたたび後藤視点

無事冷麺弁当も買え、ごとーたちは新幹線に乗り込んだ。

―――なんか色々あったけど、楽しかったなぁ。
ユキさんにメアド聞いたから、帰ってから携帯にでもお礼のメール送ろ。

「後藤、アタシのハンドタオル知らん?」
いちーちゃんが自分のカバンをごそごそ探しながら言った。
「んあ、知らないよ。どっかポケットにでも入れたんじゃないの」
「そうか、な…。あ、あれ…?なんじゃ、こりゃ?」
いちーちゃんがカバンの中から出したのは…。

「ア…アハハ。キップ…あった」
「…よかったね」
―――ごとーは心底あきれて、窓の外を見た。

―――いちーちゃんはカバンの中の、隠しポケットみたいになってるとこに、
無意識のうちに帰りのキップを入れてたそうだ。

「いやー。めったに使わんカバンだからさぁ〜。油断しちゃって」
「そう」
「…オマエ、怒ってる?」
「別に」

ごとーは窓の外を見たまま、いちーちゃんに気づかれないようにくすっと笑った。
117 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月13日(月)23時56分42秒
更新しました。

( ‐ Δ‐) <あたし、何ヶ月ぶりくらいの登場?

その前に、覚えてくれているひとはいるのだろうか。
念のため、川σ_σ||の姉です。職業:マイナーメジャーな漫画家
(;‐ Δ‐) <マイナーは余計だっつーの

『冷麺弁当』というのは盛岡駅構内で売っていて、一日三個しか売らないそーです。
聞くトコによると、冷麺とおにぎりが入っているそうです。
買いに行った知人の話では「10時売り出しと聞いたから、10時に買いに行ったら、
もう売り切れていた」とか。幻の駅弁です。いやはや。

レスのお礼です。

>ベリィさん
( ´ Д`)<んあ〜、そうそう。いちーちゃんはハゲなんだ〜

『市井ちゃんハゲ』はどうしてこんなに食いつきがいいのでしょう(w
いいらさんはヤッスーが唯一甘えられる相手なのです。

>クロイツさん
ヽT∀Tノ<…『ハゲ』て

こうなりますた。進展があったのかないんだか、て感じですが。いやはや。
いちごまに光を、と思って書いたのですが、どうにもこうにも。

>わくさん
( ´ Д `)<んあ〜、麺類ばっか食べちゃった

盛岡は麺がうまいです。ゴチーン、大食い選手権のようにわんこそばを食べたとオモワレ
で、ハゲのいちーちゃんは相変わらずですた。いやはや。





118 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月14日(火)00時05分50秒
>名無しかも〜んな!さん
ヽ;^∀^ノ<うーん…進歩してんのかなぁ

いちごまスペシャルでした。萌えていただけたらよいのですが。
ゴチーンはやや自分の気持ちに気づきかけたなーという感じで。

>婆金さん
( ´ Д `)<いちーちゃん、温泉で『でけー胸。まるで牛だな』なんてゆーんだよ!

いちーちゃん、ハゲ返上できたかどうかビミョーなところなのですが。
多少はふたりの仲に変化があるとオモワレ

>あおのりさん
ヽ;^∀^ノ<あのばか力で殴られていてーのなんの!

ご期待に応えられたらよいのですが。そうです、ゴチーンは甘えてるんです。
しかしこれからもことあるごとに『ハゲハゲ』言われるとオモワレ
119 名前:登場人物紹介 投稿日:2003年01月14日(火)00時24分18秒
(丼`ー´):前田有紀(24)。高知県出身。後藤と市井が旅先で知り合った。
      実は演歌歌手なのだが、後藤たちは見事に気づかなかった。
      柴田姉とは大学の同期。ひろしを好きかどうかは不明。


( ‐ Δ‐)<ほう。温泉でギャルをナンパして遊んでたのか

(丼`ー´)<人聞きの悪い。ギャルゲー愛好家に言われたくないよ


―――帰京してしばらくたったある日

部室で音楽雑誌を見ていた後藤―――

煤i ´ Д `)<ん、んあ!

ヽ^∀^ノ<どした?

( ´ Д `)<んあ!いちーちゃん、コレ見てよ!


『今月のひと・前田有紀 (丼`ー´)
新曲『東京、宵待ち草。』をリリースした前田有紀さん(愛称:ゆきどん)…』


ヽ;^∀^ノ<え、演歌歌手だったんか…

(;´ Д `)<んぁ…ぜっんぜん、気づかなかったねぇ〜 ダマサレタ…
120 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月14日(火)00時53分55秒
訂正です。

>>110

オーダーしたあと→お店でオーダーしたあと
121 名前:ベリィ 投稿日:2003年01月14日(火)01時29分50秒
や〜、ごっちん可愛いなぁw
ちょっと抜けちゃってるいち〜ちゃんもイイですね☆
ふたりの仲が一歩前進してよかったです!

…ゆきどんのAAはじめて知りました。。。(汗)
122 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月14日(火)08時57分22秒
後藤さん食ってばっかり(w
自分の気持ちに気づきかけたなんて素晴しいですね(萌え
いちごま・・生暖かく見守りたいと・・
123 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月14日(火)10時30分00秒
新成人・クロイツでございます。『おめでとう』と言って頂けたので、『ありがとうございます』と言いたいと思います。

ありがとうございまっす♪

成人式、一言だけ感想を漏らすと…着物、動きずらかったのれす…。
 そしていちごま!!いちごま素敵!!
 食べまくりごっちん可愛いッ!!
 最後の最後で切符見つけるいちーちゃんカッケー!!

 次回も楽しみにしております☆
124 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月14日(火)12時03分48秒
更新、お疲れ様でした。
いちごまスペシャルwithゆきどん、最高です!
何だか「ぶらり途中下車の旅」を彷彿とさせるような、地域色に満ちた
内容でオナカイパ〜イでございます。
それにしてもごっちん、ホントによく食べますなぁw
そして「冷麺弁当」、無性に食べたくなりました!
今度盛岡に行ったら絶対買ってやるゥ〜!!
125 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月15日(水)17時57分11秒
―――吉澤視点

市井さんの家出(?)騒動が一件落着した。
ウチが見る限りでは、市井さんとごっちんの仲は以前と変わらない。
今も部室で、
「いちーちゃん、ジャンプ買ってきて」
「ジャ、ジャンプね」
「午後ティーも。ミルクで。あったかい方だよ」
「へいへい」
「牛乳プリンもね」
「…てめー」
市井さんは軽くごっちんをにらみつけた。

「なんかふたりともいい感じですよね」
部室に遊びに来てた梨華ちゃんが、ニコニコしながら言った。
「あ、やっぱしそう思う?」
アヤカさんも嬉しそうに笑う。
「ですよねー、なんかね」
ふたりは頷き合って盛り上がってるけど。
その横でウチは首を傾げた。
…ウチには、市井さんがごっちんにパシらされてるよーにしか見えない。
「単に市井さんがパシってるようにしか見えないけど」
口に出して言うと、梨華ちゃんがフフっと笑って
「ごっちんがね、変わったんだよ」
またもやうれしそーに言った。
「はあ、そうなの?」
「フフフ。ごっちんもやっぱり女の子だね」
アヤカさんが笑う。
梨華ちゃんとアヤカさんは「ねー」と微笑みあっている。

…女の子の言うことは分からん。
126 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月15日(水)18時03分25秒
―――今日は金曜日。
いよいよ、明日から学園祭だ。
明日の午前にウチらフォークソング部のステージをやり、日曜の夕方にカントリーのライブがある。
梨華ちゃんは思ってたよりは落ち着いてる様子で、今もフォークソング部の準備を手伝ってくれている。

「牧場同好会って部全体で何やるんだっけ」
作業しながら彼女に尋ねる。
「ん。展示とアイスクリーム屋さんだって」
「へえ、アイスかあ。うまそ」
ウチも時間あるときに買いに行こ。

夕方頃、いったん切り上げて大学を出る。
あの後牧場同好会へ手伝いに行っていた梨華ちゃんと合流し、家に帰った。

ウチはお風呂とごはんが済んだら、また大学に戻って準備をする。
今日は泊まりだ。
明日使うギターは部室にもう置いてきたから、ベースを運ばないと。

「ああー。いいフロだったー」
バスタオルで髪をがしがし拭いて自分の部屋に入ろうとすると、
「ひとみちゃん」
梨華ちゃんにそっと声をかけられた。
「おー、梨華ちゃん。どしたのさ」
「ん…今日はもう行っちゃうんだよね」
「うん、支度したらもう行くね」
「明日、帰って来れそう?」
「んー、どうだろ?多分泊まりになりそう」
「そっか…」
笑いながら俯くので、ウチは彼女に近づいて顔を上げさせた。

「どしたのさ。元気ないじゃん」
梨華ちゃんは笑った顔を一瞬歪ませて、
「…ごめん。あたし、かなりアガってる」
あたしの胸に顔を埋めて言った。
こもった声に、何とも言えない色気を感じ…いやいや。
そういうことを考えてる場合じゃなくてー。
127 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月15日(水)18時06分10秒
「大丈夫だって。ウチもいるし、みんなもいるし。ね?」
顔を上げさせて、両手で頬をはさんで彼女の顔を覗き込んだ。
梨華ちゃんは少し震えていたけど、小さく頷いてまたウチの胸に頬を埋めた。

「梨華ちゃんもやるだけやったじゃん。仮に失敗しても何か残るって」
「うん、そうだね」
梨華ちゃんが顔を上げたとき、ウチは彼女の唇に自分のを重ねた。
「ひとみちゃん…」
何度聞いても、クラクラするよ、その声に…。

角度を変えたりして、何度もその甘い味を楽しんでいると、梨華ちゃんが不意に
ウチの背中をバンバン叩いた。
「何?」
彼女は何も言わずに、顔をそらし指だけ指した。
そっちの方を見ると、あいぼんとののが無表情でじっとウチらのことを見ていた。


128 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月15日(水)18時09分21秒
「…うわ!おまえら、ずっと見てたんか!!」
あいぼんはニヤっと笑い、
「いやぁ〜、お若い方はよろしいなぁ〜。辻さん」
どっかのオバチャンのように、ののにフった。
「そうれすね〜、加護さん」
ののもノッてオバチャンコントを続けてる。
梨華ちゃんのほうをチラっと見ると、俯いてても真っ赤なのが分かった。
「愛してるよ、のの子」
「…あいぼん夫さん」
今度はメロドラマかよ…。
ふたりはタコのような口をし、ちゅう〜っと口で効果音を出し抱き合って
キスするマネをしていた。

…たく!オトナをからかって。
ウチも赤くなって、しっし!と手でマセガキどもをおっぱらった。


「そ、そんじゃ。行ってくるね」
恥ずかしさを隠すように、わざと明るく振る舞い、ベースを担いで玄関を出る。
「う、うん。行ってらっしゃい。気をつけてね」
梨華ちゃんもややひきつった笑顔で見送ってくれた。

…いよいよ明日かぁ。
駅のホームで電車を待ち、ポケットの携帯を弄った。

『今日はありがとう。おやすみなさい』

梨華ちゃんからメールが来てた。

『吉澤、てめー早く来い!』

市井さんのメールは速攻消して、梨華ちゃんのには大事に保護をかけた。
129 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月15日(水)18時11分15秒
…のの子>( `д´(´D`*)<あいぼん夫さん… \(^〜^#;)<コラー!(*/∇\*) <……

更新しました。
『お父さん、子供が見てるわよ』の巻。

そんで、パシリいちーちゃんの巻。

( ´ Д `)<ジャンプね、今週号の モウキンヨウビダケド ヽ^∀^;ノ<…てめー

レスのお礼です。

>ベリィさん
( *´ Д `)<あっは!かわいいなんて照れるよお〜

ふたりの仲、ビミョーに一歩前進です。そんで、いちーちゃんは帰ってからはパシリです。
ゆきどんの顔文字、私もついこないだ知りました。『丼』が効いてるなと(w

>名無しかも〜んな!さん
ヽ^∀^;ノ<わんこそばの大会に出ろって店の人に勧められてやんの

そうです、ゴチーン食ってばっかりです。一番そばにいる人間の気持ちっていうのは、
案外気づかないモンですが、市井も多少は報われたかと。生暖かく見守ってください。

>クロイツさん
(0^〜^0)ノ<成人、カッケー!

ということは、クロイツさんはあたくしが学校で分数の割り算に四苦八苦しておる頃に
生まれたのですね。若い…(w。最後の最後にオチるのがいちーちゃんらしいかとオモワレ

>名無し読者さん
( ´ Д `)<ジンギスカンもおいしかったよ〜

私も書いてて岩手に行きたくなりました(w。宮沢賢治や石川啄木、文豪を生んだ地でも
ありますしね。「冷麺弁当」は本当に手に入りにくいそうです。がんがってくださいね(w
130 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月16日(木)12時22分36秒
甘い!甘すぎる!溶けてしまいそうです(w
PCの前でニヤニヤしてしまいました。

>…のの子>( `д´(´D`*)<あいぼん夫さん… 
これツボれした(w
131 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月16日(木)20時23分37秒
アガりまくり梨華ちゃんが可愛過ぎるぅ〜!!!
鼻血噴きました。…あ、やば、キーボードにかかっちゃった…。
そしてあいぼん&ののたんのまねっこが…笑いました。激しく。
本番どうなっちゃうのか…楽しみです!!

次回も楽しみにしておりますね♪
132 名前:わく 投稿日:2003年01月17日(金)02時39分21秒
甘っ!!!!!!笑
最高のカップルですね☆梨華&よすこ♪
いちーちゃんとごっちんも1歩前進うれすぃ〜〜〜♪
133 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月18日(土)01時15分36秒
―――吉澤視点

―――土曜日

いよいよ、今日から学祭だ。
ゆうべ遅くまで準備して、部室に泊り込んだ。
フォークソング部のステージは朝11時からなので、ギターやアンプとかの
機材の最終チェックもやんないと。

ウチらクラブがやる喫茶店(その名も『喫茶プッチモニ』)の飾りつけも、
アヤカさんとごっちんが中心となって頑張ってくれた。
特に、アヤカさんはウエートレスの衣装も用意してくれたし。
ホントになんでもできるんだな。
市井さんは家出騒動でみんなに迷惑をかけたバツとして、今日の飲み会で
おごらされることになってる。
「んあ!とーぜんだね!」
とは、ごっちんの弁。


「吉澤、そっちのギターの調子はどうだ?」
「バッチシっす。市井さんは?」
「おう。上々よ」

出番の30分前、ウチらは会場の野外ステージの脇で待っていた。
アヤカさんとごっちんも自分のセミアコの調子をみてる。
ウチの出番はイチバン最初だ。
その後、ごっちん、市井さん・アヤカさんペアに続く。
「んあ、ごとー今日声の調子いいんだ〜」
ごっちんは小さめな声で『大きな古時計』のコーラス部分を口ずさんだ。

「フォークソング部さん、そろそろスタンバイしてください」
進行の人から声がかかる。
「んじゃ、いきますか」
頷いて、市井さんにみんな続いた。
134 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月18日(土)01時18分02秒
―――石川視点

「ま、間に合った!」
あたしは慌てて、野外ステージに走ってった。
今日はひとみちゃんが『大きな古時計』をギターで弾き語りするというのに。
ゆうべよく眠れなくて、あたしは見事に寝坊してしまった。

「おっそいよ〜、ギリギリじゃん」
柴ちゃんはもうすでに客席の芝生に、レジャーシートを敷いて座っていた。
ビデオも撮るとかで、カメラ持参だった。
「ご、ごめん!ゆうべよく眠れなくて!」
「まあまあ、お疲れさん。ほれ、始まるじょ」
柴ちゃんがステージを指差す。
そこには…愛用のモーリスのギターを手にしたひとみちゃんがいた。

『おおきなのっぽの古時計
 おじいさんの時計
 百年 いつも動いていた
 ご自慢の時計さ
 おじいさんの 生まれた朝に
 買ってきた時計さ
 いまは もう動かない その時計』

ひとみちゃん…カッコよすぎる。
そう思ったのはあたしだけじゃなくて、周りの女の子もとろけた顔でステージに
熱い視線を送っていた。

『何でも知ってる 古時計
 おじいさんの時計
 きれいな花嫁やってきた
 その日も動いてた
 うれしいことも 悲しいことも
 みな知ってる 時計さ
 いまは もう動かない その時計』

『うれしいことも 悲しいことも
 みな知ってる 時計さ
 いまは もう動かない その時計』
135 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月18日(土)01時20分45秒
キュービックのライブで激しくベースを弾いてるひとみちゃんもカッコいいけど…。
こうして椅子に腰掛けて、静かに歌うひとみちゃんもうっとりするほどキレイだ。
ごっちんは後ろで、コーラスで参加してる。
ひとみちゃんは低く穏やかな声で歌う。
それに合わせて、ごっちんも普段より少しキーを低くして歌っていた。
ああ、あたし歌さえ上手ければなぁ。
そしたら、ひとみちゃんと一緒に歌えるのに。

『真夜中に ベルがなった
 おじいさんの 時計
 お別れのときがきたのを
 みなにおしえたのさ
 天国へのぼる おじいさん
 時計とも お別れ
 いまは もう動かない その時計』

『百年 休まずに
 チク タク チク タク
 おじいさんと いっしょに
 チク タク チク タク
 いまは もう動かない その時計』

『いまは もう動かない その時計』

曲が終わり、一瞬シーンとしたあと、客席から大喝采が起こる。
「よっすぃ〜!」
「ヨシコー!」
声援に、ひとみちゃんは
「ウイッス!」
いつもの様におどけて応えた。
あたしに気づいたようで、視線が合う。
ひとみちゃんは恥ずかしそうに笑ったあと、一瞬だけウィンクしてくれた。
136 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月18日(土)01時24分55秒
ステージはごっちんの『サントワマミー』につながり、いよいよラストの『待つわ』となった。
市井さんはベージュの細身のパンツ、アヤカさんは同じ色のスカートで。
ふたりとも、白いコットンのシンプルなシャツを着てる。

『かわいいふりしてあの子
 わりとやるもんだねと
 言われ続けたあのころ
 生きるのがつらかった
 行ったり来たりすれ違い
 あなたと私の恋 いつかどこかで
 結ばれるってことは 永遠(とわ)の夢』

『青く広いこの空 誰のものでもないわ
 風にひとひらの雲 流して 流されて』
 
『私 待つわ いつまでも 待つわ
 たとえあなたが ふり向いてくれなくても
 
『待つわ』
『待つわ』
アヤカさんに市井さんが続く。
ダブルフレーズのようだ。

『いつまでも 待つわ
 他の誰かに あなたがふられる日まで』

うわー…このふたりもうまいなぁ。
アヤカさんの歌ってカラオケとかライブのコーラス以外で初めて聴いたけど。
中音域のすごく張りのあるきれいな声だった。


2番も歌い、静かに曲は終わった。

「フォークソング部でした!みんな今日はありがと!」
市井さんが普段のライブのように激しくギターを掻き鳴らし、客席は大歓声が起こる。
「いちーちゃーん!」
「サヤカー!」
さすが、市井さんは大人気だ。
柴ちゃんも元々は市井さんファンなので、ビデオカメラ掲げて、空いてる手を振っていた。
137 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月18日(土)01時26分42秒
更新しました。

(0^〜^0)<その時計〜♪


レスのお礼です。


>名無しかも〜んな!さん
( ´D`)<梨華ちゃんとよっすぃ〜、ちゅうちゅうしてたのれす!

廊下でベタベタしてると、こないな目に遭うのが中澤家なのれす。
辻加護はすぐ管理人さんに報告したとオモワレ。从#~∀~#从<キスだけかい!

>クロイツさん
(^〜^*)<梨華ちゃん、めちゃカワイイんだぁ〜 デヘヘ!

辻加護の小芝居は『ハロモニ』のコント風に。
从#~∀~#从へ、多分チクられてるでしょう、お若いふたりは。


>わくさん
ヽ^∀^;ノ<一歩前進かぁ…ナンカパシらされてるだけって気がすっけど  <いちーちゃーん、ジュース!←後藤の声

いちごまも成長しますた。いちーちゃんはごまに借金がありますが(w→飲食費・交通費等
( ´ Д `)<いちーちゃーん、次はごとーの肩もんでね〜
138 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月18日(土)15時35分05秒
大きな古時計、キターーー!!!
先週の「ハロモニ」で、感情こめて歌ってた(0^〜^0)を思い出し
ました(w
「待つわ」、なつかすぃ〜です・・微妙にツボをつかれますた!
昔京都への修学旅行で、当時チャート1位だった「あみん」を駅で見かけました。
もみくちゃにされて握手攻めにされてた可憐なお二人を覚えています。
139 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月18日(土)23時57分06秒
レスのお礼です。

>名無し読者さん
(0^〜^0)<あみんに会ったの?カッケー!

その頃はどこに行っても「待つわ」が流れてた気がします。あの曲は本当に
大ヒットしましたよね。「大きな―」はヨシコがテレビでモノマネしてるのを見て
思いつきますた。
140 名前:初めてのハッピーバースディ! 投稿日:2003年01月19日(日)00時03分45秒
(0^〜^)<HAPPY BIRTHDAY HAPPY BIRTHDAY
       HAPPY BIRTHDAY HAPPY BIRTHDAY

「明日は明日の風が吹く!」
あなたはのんびりお人好し

(^〜^0)エヘヘヘ…

まぁいい風に言えばホノボノ系
マイペースマイペース主義らしい

(0^〜^0)マターリ

今度の日曜日おめでとうだよね
初めて迎えるあなたのバースディ

(*^▽^)ホントウハアタシノダケド…

もしかしてこういうの些細な幸せですか
もしかしてこういうの本当の幸せですね

(0^〜^)つ由 オイラノタカラモノアゲル!

もうすぐHAPPY BIRTHDAY

\(^▽^)/<HAPPY BIRTHDAY!HAPPY BIRTHDAY!
141 名前:初めてのハッピーバースディ! 投稿日:2003年01月19日(日)00時08分06秒
春だというのに夜になりゃ
昼間と裏腹まだ寒い

((((;0´〜`)ウー サミー!ブルル…

まぁその分くっつく口実が
出来るわ出来るわ

(*^▽^)<「寒いぞ!」

あなたに内緒で友達と買い物してるわ迷ってる

(0^〜^0)リカチャン ベーグルスキカナ?

あぁようやく決めたプレゼントどんな風に渡そうかな?

(;`.∀´)ソリャアンタノスキナモンデショ

何度も指折りに数えてる私
何回寝れば2人のバースディ

(*^▽^)ヒトミチャンハ ハルウマレナノヨネ…

もしかして来年もこうして過ごせるかしら
もしかして私って欲張りなのかな?マイダーリン!

(*´▽`)人(´〜`0*)

もうすぐHAPPY BIRTHDAY

\(0^〜^0) /<HAPPY BIRTHDAY!HAPPY BIRTHDAY! 


もしかしてこういうの些細な幸せですか
もしかしてこういうの本当の幸せですね…

ウフフ…(#´▽`)σ)´〜`0#)シアワセカッケー!
142 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月20日(月)21時28分11秒
―――吉澤視点

ライブが終わってほっとしたのも束の間、今度は『クラブ対抗大根早食い競争』に
フォークソング部代表でムリヤリ出させられる。
どういう催しかというと、大皿いっぱいの刺身のツマを、制限時間内に
全部食べたら勝ち、というショボイものだった。

優勝賞品はMD付きCDラジカセ。
最近クラブの備品のCDデッキが壊れたので、みんな目の色が違う。
市井部長に、『勝って来い!』と発破をかけられる。

ウチは最後の出場だった。
ゲーム開始のゴングが鳴る。
今までに食べきったのは、テニス部とお笑い研究会のひとだ。
「ひとみちゃーん!がんばってー!」
あの高い声は梨華ちゃんだな。
どこにいるのかすぐに分かるよ。
醤油もなんもナシでツマだけってのは…ツラい。
「ひとみちゃーん!がんばってー!」
市井さん…裏声で言うの、やめてくださいよ。
みんな、笑ってるじゃないッスか。
ほとんど噛まずに、次から次へとがばがばと口の中に放り込む。
途中むせそうになりながらも…どうにか食べきった。

ゴングが鳴り、涙目になりながらも審判役のひとに片手を上げられる。
「ハイ、おめでとうございまーす!文句なしにフォークソング部さん優勝ですね!
ひとことどうぞ!」
司会のひとにマイクを差し出されて、
「…大根ってカンジ〜」
みんな、大笑いしてる。

143 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月20日(月)21時39分08秒
昼ゴハンを食べる間もなく、次は『喫茶プッチモニ』のウエートレス。
ライブに出てたメンバーと、朝から喫茶のほうをやってたメンバーと何人か交代する。

…つーか。
ウチのクラブ、結構人数いるじゃん。
いかに幽霊部員の多いクラブか、今日知ったよ。

「いらっしゃいませー」
ウチはぶりぶりのコスチュームを着て、ややひきつったやけくその笑顔で
お客さんを案内する。
「んあ、ヨシコちゃん。笑顔、笑顔」
ごっちんに言われる。
「笑ってるよ」
「目が笑ってない。恥は捨てないと」
鋭い指摘を受け、裏に引っ込んで鏡の前でニコっとか笑ってみせる。
たまたまそばを通りかかった市井さんに、『キショッ』と言われたが。

「ホホッ!しっかり稼いでる?」
昼過ぎに、保田さんが飯田さんと現れた。
「あ、圭ちゃん!」
アヤカさんが走って行く。
「久しぶりー」
アヤカさんと飯田さんははしゃいで抱き合ってる。
「ごめんね、あたしそろそろバイトだから」
手伝ってくれてた柴っちゃんが、大急ぎでエプロンを脱ぐ。
「おお、気をつけて行けよ、柴田」
市井さんがエプロンを受け取って言った。
「…圭ちゃぁ〜ん」
アヤカさんはにっこり笑って、保田さんのほうを見た。
144 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月20日(月)21時55分11秒
「…つーかさ」
保田さんは憮然とした顔でお盆を抱えた。
「アタシ、この部のOGでもないんだけど」
柴っちゃんがバイトで抜けて人数が足りなくなったので、保田さんは急遽ウエートレスを
させられることになった。

「ぷ…ぷふふ!け、圭ちゃん!可愛いよ!」
飯田さんは大ウケして笑ってる。
ウチも悪いなー、と思いながらも少し笑ってしまった。
「ひとみちゃーん!…あ!」
他のところを回ってきた梨華ちゃんは、いきなり保田さんのウエートレス姿に遭遇し、
一瞬固まった。
「や、保田さん…」
「何よ、石川」
「可愛いです、ホントに」
梨華ちゃんは素直に褒めたのに、何故か保田さんに軽くヘッドロックをかけられた。
「たく!ホラ、キリキリ働くわよッ!」
ああ、保田さん、照れてるのか。
「フフッ。圭ちゃんは素直じゃないからねー」
飯田さんはウチの隣で腕組みして、楽しそうに笑っていた。








145 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月20日(月)22時09分33秒
更新しました。

(;`.∀´)<あたしゃ、客よ?

( ゜皿 ゜)<ファンサービス、ファンサービス

喫茶プッチモニの衣装は、ミュージカルの時の「アンブラン」のです。


(〜^◇^)生誕記念日なので…


・寒い夜だから

(〜^◇^)o□<寒いときはあったかいココアに限るよ!

( ・´ー`)o□<そうだね〜。なっちも好きっしょ!

(〜^◇^)<でもオイラ、ココアよりもっとあったかいモノ知ってるよ!

( ・´ー`)<なんだべ?

         ピトッ
エヘヘ!>(((*^◇^(´ー`・)

ほらね?>(*^◇^(´ー`*)<うん!


 アツウテヤットレンワ!  アツアツレス
(;´д`) (´D`*)
146 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)21時42分34秒
―――石川視点

喫茶プッチモニは大盛況だった。
それも当然だと思う。
だってフォークソング部って、美人ぞろいなんだもん。
特にひとみちゃん。

「ありがとうございましたぁ」
あたしはさっきから、お茶を飲みながらくるくる忙しく立ち働くひとみちゃんを見ていた。
なによりも。
ウエートレスの格好が、もう!
可愛すぎる…。

「オイ石川ー。さっきから目がハートんなってるぜ」
飯田さんがあたしの目の前で、手の平をササッと動かした。
「あ、スミマセン…ひとみちゃんがかわいすぎて」
「ハッハ。いつもどっかのニイチャンみたいな格好だもんなー。
カオ、カテキョあるからそろそろ帰るわ。んじゃな」
「あ、はい。お気をつけて」
飯田さんは立ち上がって、
「圭ちゃーん。帰るねー」
とキリキリ働いてる保田さんに声をかけ、帰って行った。

あたしもちょっと牧場同好会のほうに行ってみようかな。
いつまでも、長居していたら悪いし。
「ひとみちゃん、あたしそろそろ行くね。りんねさんとこにも行ってくる」
「あ、うん。ごめんね、あんま相手できなくて」
「ううん。それじゃ」
「石川、おめー今日の夜ヒマか?ウチら飲み会やるんだけど、よかったら来いよ」
店を出るときに、市井さんに声をかけられた。
「いいんですか」
「おう。7時半に駅前の『養老の瀧』な」
「分かりました」
「んあ。梨華ちゃんまたね〜」
ごっちんにも手を振って、牧場同好会の模擬店に向かう。
147 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)22時10分59秒
牧場同好会のアイス屋さんもすごいひとだった。
あさみさんが次から次へとディッシャーでアイスをすくって、コーンカップにのせている。
その横でりんねさんがお客さんにアイスを渡したりしてる。
「あ、石川さん!」
顔なじみになった、1年生の部員の子が気づいて、顔を上げた。
「こんにちは。忙しそうだね」
「ハイ。昼から特に飛ぶように売れて」
「里ちゃんは休憩?」
「里田先輩は、いま展示のほうの受付に行かれてます」
「そっか。じゃ、あたしも売り上げ協力しよっかな」
「ありがとうございます!」
いちご味のアイスをなめながら、里ちゃんに会いに行く。

「あ、梨華ちゃん」
展示の教室に入って行くと、里ちゃんがひとりドアのそばの机に座っていた。
「里ちゃん。ひとりなの?」
「ハハ。うん、受付なんてそんな人数いらないし。アイスのほう行った?すごかったでしょ?」
「うん、すっごい行列できてた」
里ちゃんがパイプ椅子を広げて出してくれ、お礼を言って腰掛ける。

展示のほうは、牧場のパネル写真や、酪農についての資料が置いてあった。
「いつも食べ物のほうはそんなに忙しいの?」
他にひともいなくて静かだったので、ふたりでしばらく話をする。



148 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)22時12分54秒
「あ、去年はじゃがバタだったから、売るほうはそんな手間はかからなかったけどね」
「そっか」
去年はあたし、休学中で学園祭にも行かなかったからなぁ。
イベントやったり、一緒に出し物を回ったりする友達もいなかったし。
それを考えると、今年こうしてることが夢みたいだ。

「あのね」
「うん?」
「牧場同好会のみんなは、どうしてあたしのこと知ってたの?あたし、去年休学してたし、
りんねさんとあさみさんも今年編入で入ったって聞いたから、不思議だなと思って」
「ああ、それは」
里ちゃんは何故か一瞬顔を伏せた。
「あたしが知ってたから。ずっと、梨華ちゃんのこと」
「そうなんだ。学部も入学年度も違うのに」
「いや、話せば長くなるんだけど」
ちょどその時、どこかから、携帯のバイブのくぐもった音が聞こえた。

「あ、ごめん。あたしだわ。もしもし?」
里ちゃんはパーカーのポケットから携帯を取り出して、話し始めた。
「…え?あたし出ると、ここひといなくなりますよ?」
「どうしたの?」
電話のジャマにならないように、こっそり里ちゃんに話しかける。
「あ、ちょっと待ってください…。いやね、アイスのほう応援来てくれって
電話がきてさ」
里ちゃんは携帯の下のほうを押さえて、困った顔で言った。
「あたし、ここ見てようか?」
「…へ?」
里ちゃんは、ポカンとしたカオをした。
149 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)22時32分21秒
「ごめん!30分で戻ってくるから!」
里ちゃんはそう言い残して、ばたばたと走って行った。
『展示なんてどうせ誰も見に来ないから大したことはないと思う』
フフッ。里ちゃん、毒舌だなぁ。自分のクラブなのに。

待ってる間に、受付の机に置いてあった、同好会のパンフ
『牧場同好会・愛の日記〜北海道シャララ』というのをめくって読んでみる。
夏休みに、北海道の牧場へ泊り込みでバイトした体験記とか書いてあって、
とても面白かった。

里ちゃんの言うとーり、誰も来ないけど。
来ない分、とてもヒマではあった。
ま、いいっか。
約束の7時半まで、かなり時間あるし。


…小一時間ほど過ぎた頃だろうか。
もう夕方だ。
窓の外はきれいな夕焼け。
そろそろ、模擬店とかも閉める頃だ。

「ごめん、梨華ちゃん!」
不意に、里ちゃんが走って戻ってきた。
よっぽど忙しかったんだろうな。
「あ、おかえりー」
里ちゃんは荒い息を吐いて、手に持ってた袋をどさっと机の上に置いた。
「ヤキイモ買ってきた。食べて」
「わ、ありがとう〜♪」
ふたりでヤキイモを食べる。
食べてる間も、里ちゃんはずっと平謝りだった。



150 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)22時38分48秒
「あのね、里ちゃん」
「うん」
「さっきの続きなんだけど…どうしてあたしのこと知ってたの?」
里ちゃんはおイモを置いて、困った顔をした。
あたしは言ってしまって、しまったと後悔する。
「あ、あ、ごめんね。あたし…言いたくないんなら、いいから」
「いや…。あのさ、あたし入学してから1回学校んなかで迷ったことがあって」
「うん」
「この学校、中の構造分かりにくいじゃん?あたしもーすっごい迷ってさぁ。
そんとき、梨華ちゃんが『どうしたの?』って声かけてくれたの」
「そうだったんだ…」
そんなことがあったんだ…。
自分では、全然覚えていなかった。

「それから、ずっと梨華ちゃんのこと意識してた。
あの事件のときも…梨華ちゃんのこと悪く言うヤツがいたら、自分でも怒ってんの、
よく分かったし」
「……」
「カントリーのライブに、梨華ちゃんに助っ人で入ってもらおうって言い出したのも
あたしなんだ。ごめん」
「どうして…謝るの?」
「なんか…やっぱ迷惑かけたかなって」
「ううん…迷惑なんてそんな」
ひとみちゃんの言う通り、あたしにはすっごいプラスになった。
友達も増えたし、ほんの少しだけど、自信もついた。
明日、すっごいヘマをして迷惑をかけてしまうかもしれないけど。
いま、不思議なくらい落ち着いてる。
151 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)22時46分58秒
「あたしね」
里ちゃんは椅子から立ち上がった。
「ずっと、梨華ちゃんのこと、好きだったんだ」
「―――え?」
「よっすぃ〜がいるって分かってても、好きだった」
里ちゃんの目は真剣だった。
あたしは―――何を言われたのかしばらく分からず、呆然としてしまった。

「ご、ごめんなさい…あたし」
俯いて、とにかく謝った。
膝のうえに、ぽたんと水滴が落ちる。
「泣かないで。泣かせたくて、好きになったんじゃないよ」
里ちゃんは首を振って、ハンカチを手渡してくれた。
「梨華ちゃんの気持ち、知ってるし。あたしもこれで諦めつくから」
「ごめんなさい」
「明日のライブ、頑張ろ。ね?」
「…うん!」
里ちゃんは、1回だけ、あたしの頭を抱きしめてくれた。
152 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)22時57分41秒
「…はぁぁぁぁ〜」

―――梨華が去ってから、里田はぺたんと床に座り込んでしまった。
『ありがとう。これからも友達でいてね』
さっき、梨華はそう言って自分に笑顔を見せた。
「まいったなぁ…」
そう呟いて、頭をかく。
『泣かせたのは失敗だったなぁ…言わなきゃよかった』
今更後悔しても遅いのだが、彼女は自分が情けなくなった。

自分でも知らずに、涙を流す。
「…う、ひっく…ぐす」
しばらく膝を抱えて、顔をうめて泣いた。

「…誰?」
顔を上げると、人の気配を感じた。
りんねとあさみが、椅子に座って自分を見ていた。
「りんねさん…あさみさん」
何も言わず、ふたりは頷いた。
「う…うわーん!…み、見てたんですかぁ?」
里田は泣きじゃくりながら、ふたりに近づいていった。
「よくやった。えらい、えらい」
りんねは里田を抱きしめて、頭を撫でてやった。
153 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)23時11分58秒
―――ふたたび石川視点

約束の時間が迫り、あたしは駅前の居酒屋さんに向かった。
「おー、やっと来た」
みんな既に来ており、あたしが最後のようだ。
「ごめんなさい。お待たせしました」
「いいよー。まだ時間前だし。ウチらも来たトコ」
ひとみちゃんが自分の隣を空けてくれる。
「たく、アタシが今日車で来てて飲めないのをいいコトに、コイツらガンガン飲んで
やがるのよ!」
保田さんはそう言って、いまいましそうに烏龍茶のグラスを口にした。
ホントだわ。
飲み屋でソフトドリンク飲んでる保田さんって、初めてカモ。
「吉澤ー!今日はでかした!さ、この刺身のツマ好きなだけ食え!」
市井さんはお刺身のお皿を、ひとみちゃんに差し出した。
「えー!?もー大根はカンベンっすよー!!」
ごっちんやアヤカさんは横でゲラゲラ笑う。
あたしもつられて笑ってしまった。


10時前になり、お開きとなった。
「保田さん、しっかり梨華ちゃん送ってくださいよ」
とひとみちゃん。
「ぎゃっはっは!圭ちゃん、送りオオカミになんなよー!」
市井さんの冷やかしに、
「うっさいよ!」
保田さんは顔を赤くして怒る。

保田さんの車に乗せてもらい、家に帰る。

「…どうしたの?」
しばらくして、保田さんが窓の外を見てたあたしに声をかけてきた。
「…え?」
「今日、飲み屋でもずっとぼーっとして。疲れた?」
「あ、いえ…別になんでも」
「吉澤とケンカしたワケでもなさそうだし。言いたくないんならいいけど」


154 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月21日(火)23時18分29秒
保田さんは、大人だ。
突き放すようでいて、ちゃんとフォローしてくれる。

しばらくして、あたしは途切れ途切れに、夕方あった出来事を話した。
里ちゃんのことも。自分はみっともなく、泣き出してしまったことも。
保田さんは運転しながら、黙って聞いてくれる。


「…自分の知らない間に、ひとを傷つけてたんでしょうか」
「それはアタシにも分からないわ」
保田さんに言われて、あたしは頷いたものの、涙が止まらなかった。
「誰のことも」
カーステレオの音量を調節して、保田さんはこう続けた。

「傷つけずに生きていけたらいいわねえ」


カーステレオからは、ビル・エヴァンスの『枯葉』が静かに流れていた―――。
155 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月21日(火)23時21分13秒
更新しました。

(#T▽T)エグエグ… ( `.∀´)y−~~ <たく!よく泣く子ねぇ…
156 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月22日(水)10時29分41秒
里ちゃん…!!!んもぅ、素敵過ぎる里ちゃんに涙が止まりません…。
ヨッスィーの存在を、一瞬忘れてしまった程に…里ちゃんに感動してしまいました…。
 かっけ〜です、里ちゃん…。
刺身のツマの大量処分に成功したヨッスィーよりもかっこよく見えてしまいました。
ごめんよヨッスィー…。
 そして最後の保田さんも、カッコ良すぎです。

 これから試験なんですが、試験前に良いモノを読めて幸せです☆
 次回も楽しみにしております!!
157 名前:婆金 投稿日:2003年01月22日(水)16時36分33秒
保田さん、相変わらず大人で素敵です。
里ちゃん…。よく頑張りました。
ホントに実写でやって欲しい!
158 名前:わく 投稿日:2003年01月22日(水)23時00分25秒
↑婆金さんの言うとおり!!実写でみたいものですw
まいちゃんもよく頑張った!!
よっすぃ〜、梨華ちゃんがネガってるぞ!そんな梨華ちゃんに元気玉を☆

それにしてもこの作品・・・・本当に良い!!!!心打たれます!!
159 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月22日(水)23時06分25秒
里田さんよく頑張りました!オイラも泣きそうです
ヤッスーはやはり男前っす(惚れそうw

いしかーさん&矢口おやびん誕生日おめ!!(遅い・・吊ってきますとスレ違い


160 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)03時55分36秒
―――翌朝。

―――大学構内。
後藤は友人のバンドで今日、助っ人として学祭のステージに立つため、
早朝からリハに来ていた。
保田もカントリー娘。のライブリハのため、9時過ぎには大学にいた。

「圭ちゃん」
学食の自動販売機で保田を見つけ、後藤はぱたぱたと駆けてゆく。
「おはよ。アンタも早いわね」
「んあ。DRがさっきあったからさぁ」
「アタシはこれからよ。…ふぁ〜あ、コーヒーでも飲まなきゃ眠くてやってられないわよ」
紙コップの販売機の前に立ち、ホットのブラックコーヒーを選んでボタンを押した。
「んあ。あのさ」
「ん〜?」
「昨日、梨華ちゃんどうしたの?なんか、元気なかったけど」
保田の手が一瞬止まる。
「ん〜…まぁ、あの子も色々あるみたいよ。詳しくは知らないけど」
「そう…大丈夫かな」
「大丈夫でしょ、吉澤もいるし」
ふたりはしばらくお互いの顔を見ていた。
保田は何か知っているようだが、あまり触れないほうがいいようだ。
後藤はそう思った。
「そうだね」
後藤は保田が手にしてた紙コップのコーヒーを口にし、あまりの苦さに顔をしかめた。
「何コレ?にっが!圭ちゃん、よくこんなの飲むね。さすがケメ子だけあって」
「ケメ子は関係ないでしょうがよ」
「あっは!ごとーもリハ見ていい?時間あるし」
「ん。いいわよ」
ふたりは学食を後にした。
161 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)04時03分23秒
講堂でカントリー娘。とCUBIC−CROSSのDR(ドレスリハーサル)が行われた。
後藤は邪魔にならないように、隅に立って見学する。

『んあ…梨華ちゃん、この前よりうんとダンスうまくなってる。
いっぱい練習したんだろうな。梨華ちゃんマジメだし。
あーあ。ヨシコ、鼻の下伸ばしてでれでれして…。
梨華ちゃんかわいいのは分かるけどさぁ』

吉澤は、セクシーな衣装の梨華を目の当たりにし、端から見ても丸分かりなくらい
でれでれしている。
たまにぐっと表情を引き締めているようだが、すぐに目尻が下がっていた。

『カッコいいアレンジだなぁ。これ、いちーちゃんだろうな。
すぐに分かったよ、いちーちゃんの作る曲とかって本人と違ってすっごいカッコいいし』
市井は今日は、衣装に合わせたのか黒のギブソン・レスポールだった。
バックバンドが全部黒づくめの衣装だと客席から見て重たく感じる上、白っぽい衣装の、
カントリー娘。とのバランスも悪くなる。
そのため市井・保田・吉澤の3人は白っぽいトップに黒いボトム、
アヤカも他の3人と似た色合わせでひとりタイトなワンピースだった。

162 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)04時11分30秒
「んあ。アヤカちゃんだけスカートなんだね。おっちゃんたちはズボンで」
リハが終わった後、後藤はそう声をかけた。
「ウフフ。だって女の子だも〜ん」
アヤカはうれしそうに笑う。
おっちゃん、と言われた3人は、お互い顔を見合わせて悲しそうな表情になった。
その様子を見ていた梨華やりんねたちは、腹を抱えて笑っていた。

『んあ…よかった。梨華ちゃん、元気そうだ』
後藤は安心して、市井と『いちーちゃんのアレンジ、1回聴いてスグ覚えたよ』と
話したりしていた。


その後、後藤はクラブのウエートレス当番まで少し時間があったので、
出し物を回ってから喫茶プッチモニに顔を出した。
保田はリハの後、フォークソング部の部室で備品の寝袋に入って、死んだように眠っていた。


「んあ。ハイこれ」
後藤は市井に、大きな箱を差し出した。
「何?」
「んあ、ごとーさっき友達と野外ステージの『漫才バトル』出てたの。
そんで、3番だったから賞品。コーヒーの詰め合わせだって」
「…お歳暮みてーな賞品だな。で、そのビデオは?」
「横でビンゴ大会やってたから、おもしろそーだしやってみたの。
ビデオテープ10本組だって」
「ジャパネットたかたのビデオデッキのおまけみたいだな」
コーヒーとビデオは、そのままフォークソング部の備品となり、睡眠中の保田の横に
無造作に置かれた。



163 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)04時19分37秒
その日はとりわけ忙しく。
柴田と梨華も、喫茶のほうを手伝っていた。


2時半過ぎに、後藤はライブの準備もあるため、ウエートレスを他の部員に引き継いだ。
「んあ。そろそろ時間だし、ごとー歌ってくるね〜」
ひらひら手を振って、喫茶店を後にする。
入れ違いに、大谷が『よっ』と挨拶して店に入って来た。
「あ、マサオ」
柴田がすぐ気づいて近づいて行く。
「おー。なんかかわいらしいカッコして」
「フフ。ホレ直した?」
カップルがじゃれていると、
「こんにちは」
梨華が奥から現れた。
「よー、久しぶりー。元気だった?」
「あ、はい。マサオさんも」

しばらくしてフォークソング部の部員が交代でやってきたので、柴田は彼女に引き継いで
大谷と店を出た。
梨華に『頑張りすぎなくていいからね』と声をかけて。
164 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)04時44分20秒
「―――圭ちゃん。おーい、圭ちゃん」

―――少し時間は遡り。
フォークソング部の部室で、飯田は爆睡している保田を揺すり起こしていた。
「…ん?カオリ?」
「そろそろ起きなよー、もうお昼だよー」
「ん…今、何時?」
「1時前。よく寝てたねー」
保田は寝袋から出て、ぼーっと辺りを見渡した。
頭はすごい寝癖だ。
飯田はそれを見て、ぷっと笑う。
「喫茶のほう行ったら圭ちゃん、部室で爆睡してるってゆーからさぁ、ついでに
起こしに来た」
「ああ、うん…」
「お昼食べに行こうよ。おなか空いたっしょ?」
頷いて、保田は飯田について行った。


―――後藤は準備を終え、友人たちとステージの脇で出番を待っていた。
友人のバンド『39 STEPS』は、この春から活動を始めた。
そこのドラマーとは古い付き合いで、後藤が『CUBIC−CROSS』で
活動を始める前から知っている。
今日は特別に、ギター兼ヴォーカルで参加する。


165 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)04時46分00秒
「39 STEPSさん、準備してください」
進行係の学生が呼びに来る。
「んあ?まだ出番まで30分以上あるんじゃ?」
後藤が言うと、
「一組遅刻してるんで、順番を早くしてるんです」
思いがけない返事だった。
「はぁ」
『…んあー。こりゃまた』
意外にアガリ症の後藤は、ドキドキする心臓を手の平でそっと押さえた。


後藤は友人たちとステージに立った。
人気のあるバンドなので、歓声が沸く。
「おー、ごっちんはやっぱステージ映えするわ」
カントリー娘。のライブまでの時間つぶしで、柴田と大谷はたまたまその客席にいた。
柴田は満足げに頷いて、ビデオカメラを向ける。

「んあー。39 STEPSでーす。なんか出番早くなっちゃって。
んじゃ、まず一曲目いきまーす」


『あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね』

後藤は力強く歌い始めた。
166 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)04時59分51秒
後藤が歌っている頃、CUBIC−CROSSとカントリー娘。はメークなども終え、
ステージで調整を行っていた。
保田は物凄い寝癖を作っていたため、ヘアメーク担当のアヤカにえらく怒られる。
アヤカはドライヤーとヘアスプレーを駆使して、かなり力技で直した。

「いよいよだね」
梨華はベースの調子を見ている吉澤に話しかけた。
「ん。あんまり余計なコト考えちゃダメだよ」
「うん、ありがとう」
梨華はにっこり笑い、りんねたちのところに戻って行く。


一方、後藤は―――

「んあ。んじゃ今日最後の曲でーす」
バンドのオリジナルも歌い、ラストの曲に入っていた。

『報酬は入社後並行線で
 東京は愛せど何も無い
 リッケン620頂戴
 19万も持って居ない 御茶の水』

『マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
 毎晩絶頂に達して居るだけ
 ラット1つを商売道具にしているさ
 そしたらベンジーが肺に映ってトリップ』




167 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)05時08分30秒
客席は大盛り上がりだった。
柴田は『ごっちーん!愛してるわー!』とふざけて叫ぶ。
横にいる大谷は苦笑いする。
気づいた後藤は照れながら、柴田にはにかんだ笑顔を向ける。


『将来僧に成って結婚して欲しい
 毎晩寝具で遊戯するだけ
 ピザ屋の彼女になってみたい
 そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って』


「ごっちんだったら、ぶたれてもいいわ」
柴田の発言に、
「いや…あんなごっついギターでぶったらフツー死ぬぞ?」
いたって常識人の大谷は、もっともらしいコメントを返した。


カントリー娘。のライブの時間が迫っていた。
助っ人ライブを終えた後藤は、時計を見てまだ間に合うことを確認し、
ギターケースを抱え大急ぎで会場に向かった。

168 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)05時12分46秒
「―――んあ!間に合ったー」
先に来て場所を取っていた柴田が、後藤に気づいて手を振る。
「ごっちん、さっきの衣装のまま来たの?」
後藤は、ホットパンツにロングブーツ姿だった。
「んあ。だってみんなのライブ見たかったし」
「ま、座んなよ」
大谷に促がされ、後藤は礼を言って席に着いた。

『―――後藤!てめー何ひとり座ってんだよ!』
ステージ上から、市井は目ざとく後藤を見つけた。
流石の後藤もびっくりして、顔を上げる。
「んあ、いちーちゃん」
『後藤!上がって来いよ!』
市井がマイクを通して叫ぶ。
「…へ?」
周りでごっちんコールが起こる。
『なんだかなー。…行くか』
「いちーちゃーん!ごとーもギター弾くのぉ?」
後藤は客席から、両手で口をメガホンのようにあてて叫ぶ。
『あたりめーだ。バカ』
ステージのメンバーも、客席からもどっと笑いが起こる。
「バカってなにさぁ〜」
『いいから来い』
えっらそーに、とブツブツ言いながら、後藤はギターケースを抱え、
ステージに上がって行った。
169 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)05時21分08秒
「んあ、お願いします」
後藤はカントリーのメンバーにぺこりと頭を下げ、素早く準備をし、
市井に向かい、
「準備できたよ。うまくいったら、いちーちゃんごとーの一日下僕ね」
挑戦的に言い放った。
「オマエが女王様なのは、今に始まったこっちゃないぞ。お待たせ、みんな。
…いくぞ!」
CUBIC−CROSSとカントリー娘。、全員集まって円陣を組み、
それぞれ手を出し合って『張り切っていきまっしょい!』と声を掛け合う。


カントリー娘。と梨華はステージ前方に出て行く。
『こーんにちはー。カントリー娘。でーす』
まずりんねが挨拶する。
『今日はたくさんのお客さんに来て頂いて、本当に感謝してまーす』
とあさみ。
『今日はですね、ステキな助っ人がいます』
里田にマイクを渡された梨華は、
『こ、こんにちはー。社会学部2年の石川梨華です。今日は頑張ります』
少しつっかかったが、どうにか言えた。
『CUBIC−CROSSでーす。今日はがんばりまーす』
市井が梨華のマネをして裏声で言い、客席はどっと沸く。

「それでは、『色っぽい女〜SEXY BABY〜』」
りんねは曲紹介を終え、立ち位置に戻る。
170 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)05時23分44秒
『Ah セクシーベイベー
 大人のように
 上手なキスが出来るかしら
 あの子のように
 色っぽい女に
 Ah なりたい』

『お洋服 無理して買ったの
 似合うかな? 少し派手が過ぎる
 今までの 私のままなら
 あの人は 振り向かない

『ウソなんかつきたくない
 自分の気持ちだもん
 数えるほどもない位
 Ah 恋は未熟だけど』

『Ah セクシーベイベー
 大人のように
 上手なキスが出来るかしら
 あの子のように
 色っぽい女に
 Ah なりたい』

飯田は少し離れた所にいた柴田に気づき、そこに移動する。
肩をたたかれ、柴田は『ああ』と頭を下げた。
171 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)05時31分08秒
保田は飯田に気づき、ニヤっと笑う。
『まーたカッコつけちゃってさ』
保田の笑いの理由に気づいた後藤たちは、一瞬ドラムのほうを振り返り、
冷やかすようにニヤニヤする。

『あたし…なんとか歌えてる』
間奏で、梨華はようやく、いっぱいいっぱいになるくらいの緊張から解放されていた。
客席を見渡すくらいの余裕も出てきた。
柴田たちが手を振っている。
梨華も、微笑んでみせる。
隣の里田とも目が合い、微笑み合う。


『コンビニで お弁当買っても
 真夜中に テレビを見ていても
 あの人の 事を思ってる
 時間だけが 過ぎてく』
『ホントの気持ちだけでも
 なんとか伝えないと
 昨日までの私じゃない
 Ah 私にならないと』

172 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)05時34分52秒
『Ah セクシーベイベー
 大人みたいな
 口紅を引いてみたいけど
 あの子みたいな
 色っぽい女に
 Ah ならない』

『Hey... Oh My Love... Oh Yes...
 Sweet My Baby... C'mon... Stay With Me...』

―――吉澤はここのところを熱っぽく囁いた。
途中で梨華と目が合う。
吉澤は、笑ってウィンクする。

『Ah セクシーベイベー
 大人のように
 上手なキスが出来るかしら
 あの子のように
 色っぽい女に
 Ah なりたい』

『Ah セクシーベイベー
 大人みたいな
 口紅を引いてみたいけど
 あの子みたいな
 色っぽい女に
 Ah ならない』


ステージは大成功だった。
客席から、アンコールも起こる。

「ありがとうー!カントリー娘。とCUBIC−CROSSでしたー!」
全員、歌いきった満足感に包まれて笑顔だった。
173 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月24日(金)05時48分13秒
更新しました。
気がついたら後藤スペシャルになっていた罠。( ´ Д `)<んあ〜
そんで、随所随所でおいしいところをさらってゆくヤッスー。ネグセ→ノリ`.∀´)

( ´ Д `)<DR(ドレスリハーサル)は、演劇等で本番前に衣装をつけて
        行う総稽古のことだよ〜。
        ゲネプロ(「ゲネラルプローベ・【独】」の略)ともいうんだって〜

( ´ Д `)<ごとーが歌ってた『正しい街』と『丸の内サディスティック』は
        椎名林檎のアルバム『無罪モラトリアム』に入ってる曲だよ〜。
        曲に出てきたベンジーっていうのは元ブランキー・ジェットシティーの
        浅井健一のことだよ〜。林檎が尊敬するミュージシャンなんだって〜

( `.∀´)<後藤が助っ人で歌った『39 STEPS』ってバンド名は、
        アルフレッド・ヒッチコックのイギリス時代の映画
       『三十九夜』(原題:THE 39 STEPS)からだそうよッ






174 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月24日(金)06時02分40秒
レスのお礼です。

>クロイツさん
(マ;⌒_ゝ⌒;イ)<…ありがとうございます

里田嬢はいいヤツなのです。アヤカほどオトナではないですが。
というか、テストは大丈夫なんですか?何だか心配になってきたのですが。

>婆金さん
( `.∀´)y−~~ <フフフ。金なら…ないわよ

実写でやってもらえたら、自分はコーヒーはキツイので、ポッキー絶ちます。
この週末にでも、のんびり『枯葉』を聴き返そうと考えております。

>わくさん
(マ⌒_ゝ⌒イ)<梨華ちゃん泣かしたのは失敗でした…

いつか里田嬢にもいい相手が見つかることを願って…。
心が打たれると言って頂けてうれしいです。ありがとうございます。

>名無しかも〜んな!さん
(〜^◇^)<キャハハハハ!ありがとう〜、うれしいよ!

ヤグもハタチになるんですねー(遠い目)。2期メンは昔よく泣いてたなーと
感慨にふけます。「フッ。ヤケドするわよ」←ヤッスーからの伝言です。



175 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)11時43分25秒
『いいライブだったべ』

柴田や飯田たちと少し離れた席で、安倍は拍手を送っていた。
2時間ほど前に大学に来て喫茶プッチモニのほうでお茶を飲み、そしてこのステージを
観に来た。

『それにしてもフフッ。紗耶香も粋なことをするねぇ』
先ほど市井が客席の中にいる後藤を見つけ、ステージに上がらせたのも、
安倍は見ていた。
後藤は『えー』と口では言っていたが、さらっと急なステージをこなした。

安倍は祖父の店を継いだ時から、市井と後藤のことを知っている。
特に市井は、祖父の代の頃からの常連客だった。
CUBIC−CROSSの結成と変遷もすぐそばで見守ってきたので、最近
ようやくバンドが軌道に乗り出したのを、嬉しく思っていた。

「あ、なっち」
ライブを終えた市井と後藤が、安倍に気づいて近づいてきた。
「ホホ!来てたのね!」
保田も後ろから顔を覗かせる。
「なっちさーん!」
吉澤と梨華も手を振る。
安倍は笑って、手を振り返した。
176 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)12時01分19秒
夕方、5時を過ぎてそろそろどこの模擬店も片付けに入る。
今日は学園祭最終日なので、夜はダンスパーティーがある。
本当かどうかは知らないが、『最終日のダンスパーティーで愛を告白したら永遠に結ばれる』という
伝説が昔からあり、学生たちは虎視眈々とその時を待っていた。

矢口と約束のある安倍は、吉澤たちに挨拶だけして帰って行った。
ダンスパーティーのジンクスを、以前吉澤から聞いて知っている安倍は、
『頑張るっしょ』と市井の肩を叩いて、大学を後にした。


「あのさ」
ステージの片付けの合間、保田は飯田に声をかける。
「何?」
「夜…空いてる?」
「ん〜、空いてるよ」
「そう…あのさ、ダンスパーティーがあるんだけど」
「うん?」
「付き合って…くれない?」
何をもじもじしてるんだろ、と思いながらも、飯田は頷いた。


「後藤、ダンスパーティーは相手いるのか」
市井はニヤニヤしながら、後藤に近づいて行く。
「そーゆーいちーちゃんはどうなのさ。最近オンナ日照りじゃん」
『日照り』と言われて市井は一瞬ひるんだが、それでもめげずに、
「お嬢さん、踊っていただけませんか?」
床に片膝をついて、後藤の手を取った。

177 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月24日(金)12時09分11秒
『ひとみちゃん、ダンスパーティーは一緒に踊ってね』

梨華から届いたメールに、吉澤はニヤけていた。

「『ひとみちゃん、ダンスパーティーは一緒に踊ってね』。カァ〜、お熱いこって!」
市井は荷物を運びながら、通りすがりに勝手に携帯を覗き込む。
「な!ちょっと!勝手に見ないでくださいよー!」
「おめーがスキだらけなんが悪いんだろ〜」
何か言い返そうと思ったが、口で勝てる相手ではないので、吉澤はブツブツ言いながら
携帯をポケットにしまった。
「市井さんは、ダンスパーティー出るんスか」
それとなく、話題を変える。
「ウチの姫と出る」
「姫、っスか」
「そう、姫」
市井はそれだけ言い、荷物を部室にしまいに行った。

『よかった…ごっちんOK出したんだ』
吉澤は自分のことのようにちょっと嬉しくなり、梨華に
『片づけが終わったら、迎えに行くよ』
と返事を送った。
178 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月24日(金)12時12分21秒
更新しました。

(*^〜^)¶.。oO( ( *^▽^)ムカエニキテネはあとはあと )
179 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月24日(金)17時06分21秒
ぐがほっ…。
あぁ、いしよしあまあまに、砂糖まじりの血を吐いてしまいました。
 あ、製作途中のレポートに…(笑)
 試験、なんとかしました(爆笑)。

 大丈夫、きっと大丈夫…ホントかよ!

 ダンスパーティー…すっごい楽しみィィィィィィ!!
 いしよしも楽しみですが、いちごまが!!いちごまが気になりすぎですよぅ!!
楽しみにしておりますねっ♪
180 名前:ベリィ 投稿日:2003年01月24日(金)21時43分41秒
お久しぶりです!ダンスパーティーい〜なぁw
いしよしもヤッス〜といいらしゃんも楽しみですが、
なんと言ってもいちごまには目が離せませんな!!
平家さんたちもくるんですかね・・・?

ベリィは8年ぶりに大風邪をひいてしまいました。
ごまべーぐるさんも気をつけてくださいねw(T▽T;)
181 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年01月27日(月)00時45分08秒
保田さんならヤケドしてもいいかも(w

ダンスパーティー期待してます。
市井さんがんがってね!!
182 名前:あおのり 投稿日:2003年01月27日(月)10時59分22秒
遂に市井さん告白ですか?
後藤さんもダンスパーティーOKってことは期待していいのかな?
最近、この二人の微妙な関係のエピソードが続いていただけに、
是非、市井さんにはがんばって一刻も早く、脱ヘタレをしてほしいです(w
183 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月29日(水)04時25分59秒
―――吉澤視点

「梨華ちゃん!」
クラブとかの片づけが済んだあたしは、大急ぎでダッシュして梨華ちゃんの待つ
講堂前に行った。
「あ、ひとみちゃん」
梨華ちゃんはもう着替えて、髪もポニーテールにしている。
「ごめん!待った?」
「ううん。行こっか」
手を差し出されて、ウチは汗ばんでる自分の手を、羽織ってるフリースパーカーに
こすりつけ握った。
その様子を見て、梨華ちゃんは少し笑った。


「いちーちゃん、さっき話してたひと、誰?」
ダンスパーティー会場に向かう途中、後藤は市井に尋ねた。
市井は女の子数人に囲まれ、振り切ってきた。
「ん?うちのバンドのファンなんだってよ」
「ふうん。なんかしきりに誘われてなかった?」
「ああ、うん。踊ってくれって言われた」
「踊ってあげないの」
「今年は、一緒に踊りたいヤツがいるからって断った」
「…ふうん」
市井に『行くぞ』と促がされ、後藤はついて行った。


「圭ちゃん、なんかすっごい汗かいてない?」
一足先に会場にいた飯田は、キリキリ踊る保田に声をかける。
「若いからね。新陳代謝が激しいのよ」
『…そういう問題か?』
飯田は横で踊りながら、首を傾げるのだった。
184 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月29日(水)04時28分11秒
「やれやれ。ライブも無事すんだしー。これでしばらくはのんびりできるねー」
会場で、あさみは壁際で隣の里田に言った。
「そうッスね。あ、りんねさんは?」
「向こうで、アヤカさんと話してる。踊んないの?」
「あさみさんこそ。…あの、踊ってくれますか?」
あさみは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑って、里田と手をつないで輪の中に入って行った。


―――吉澤視点

「…ひとみちゃん、どうしたの?」
ダンパの会場で、ウチは梨華ちゃんに、ぐったりもたれかかっていた。
「…何か、だるい」
「何処かで休む?」
気遣うように顔を覗き込んで、梨華ちゃんはウチを連れて踊りの輪から外れた。
「人が多いから、気持ち悪くなったのかもね。もう帰る?」
「いや、せっかくだし…」
額にイヤな汗をかいて、ウチは踊るひとたちを会場の出入り口らへんから、
ぼんやりと見ていた。
何でだろ。体が重い…。

「帰りたくないよ…」
ウチの微かな囁きを、彼女がどう捉えたのか。
「分かった」
梨華ちゃんは強く頷いて、ウチに腕をからめてぐんぐん歩いて行った。
185 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月29日(水)04時28分59秒
「いちーちゃん、他にも誘われてるんじゃなかったの?」
チークタイムとなり、後藤はやや遠慮がちに市井に体を預けた。
「まあな」
「ヘンなの。なんでごとーと踊ってんのさ」
「いいだろ。アタシが踊りてェんだから」
「ヘンないちーちゃん」
「あのなぁ…こういうときはもっと色っぽいコト言うモンだぞ」
「何?」
市井は後藤の耳元に口づけて、
「ここのダンパのジンクスって、知ってっか?」
甘く囁いた。
「…なんだっけ?」
焦らしでもなんでもなく、後藤は本気で忘れていた…。

「…さっき吉澤に聞いたんだけどさぁ」
「ああ」
「ここのダンパって、ジンクスあるんだってね」
飯田と保田も、体を寄せ合ってチークを踊っていた。
「…何かカオに言いたいことあるんじゃないの?」
飯田は保田の顔を見て、くすくす笑う。
保田は紅潮し、
「あ、や…なんというか。ずっと、一緒にいてほしい…」
それだけ言うと、照れて俯いてしまった。
「カオ、すっごいヤキモチやきだよ?」
「知ってる」
「ワガママだし」
「うん」
「それでもいい?」
『アンタ以外、考えらんないわよ』と囁き、保田は飯田に口づけた。

「…いちーちゃんはね」
「うん?」
「ギター弾いてるときが、イチバンカッコいいよ」
「そうか」
後藤の言葉に、市井はちょっと気をよくした。
「他はダメダメだけど」
市井がギャグのようにずっこけるのを、後藤はいつものふにゃっとした笑顔で見ていた。
186 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月29日(水)04時31分07秒
―――ふたたび吉澤視点

「梨華ちゃん、どっか…ふたりだけになれるトコ行きたい」
今にして思えば。
どうして、そんなこと言ったんだろう。
梨華ちゃんは頷いて、ウチの手を引いて大学から離れ、バイパス沿いの道を歩いて行った。



―――その後帰宅した保田と飯田。

深夜の保田宅のベッドで。

「…圭ちゃん、明日仕事なのによかったの〜?」
いつもにも増して盛り上がってしまったふたりは、体を寄せ合って
余韻を楽しんでいた。
「ん〜…」
保田は飯田に抱きついて、気だるそうな声を出す。
「明日なんだったら、湿布貼ったげるね」
飯田はそう言って、保田の腰に触れた。
「…うん、頼むわ」
毛布と飯田にくるまれて、保田は心地いい眠りにつくのだった。
187 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月29日(水)04時32分55秒
更新しました。

( ´ Д `)<んあ〜…いちーちゃん、何考えてんだろ?

レスのお礼です。

>クロイツさん
(;^▽^)ノ□<タ、タイヘン !早く拭かないと!

レポートは無事仕上がったのでしょうか。ダンスパーティー…どうなるのでしょう(w?

>ベリィさん
( ^▽^)<平家さんはお仕事なんです〜

おヒサスブリです。風邪の具合はどうですか。あったかくしてゆっくり休んでくださいね。

>名無しかも〜んな!さん
(   `.) <フッ。覚悟はできてる?

大ヤケドを負いますよ(w?いちーちゃん、ちょっとがんがってみました。

>あおのりさん
( ´ Д `)<んあ〜、いちーちゃん一体ごとーに何を言いたいんだろ…

このようになりましたが…まだ微妙かも(w。一応、「カッコイイ」とは言ってもらえましたが。
188 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月29日(水)16時26分33秒
どきどきどきどき…
すっごく続きが気になる…!!いちーちゃん!!言うのか言わないのかっ!?
漢だったらビシッと決めてくれ!!(いや、女だって)
そしてヨッスィーってば!!大胆なんだからぁ☆おねーさんはドキドキが止まらないのれす…うぐはっ!!(吐血)

レポート、なんとかなりました!試験も!!
…提出締め切りの27日の、締め切り時間(五時)ちょっと過ぎに、提出先の教務課の前を通りがかったら…
『受け取ってよぉぉ〜!!』と泣きながら、閉まってしまった扉をガシガシ叩いているお姉さんをみかけました。
ごまべーぐる様が心配して下さったおかげで、私は余裕を持って提出できたのれす。
ありがとうございました☆
189 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月30日(木)03時00分23秒
―――吉澤視点

『HOTEL BLUE MOON』

目の前に現れたのは、『いかにも』なネオンライトだった。
『HOTEL』がピンクで、『BLUE MOON』が水色で。
バイパス沿いにある、お城のような外観の建物で名前が『HOTEL BLUE MOON』。
…ラブホ以外の何物でもないじゃん。

「梨華ちゃん…ここ?」
あたしは隣の彼女を見た。
「―――ご、ごめん!やっぱ…イヤだよね!」
梨華ちゃんが今にも泣き出しそうな顔であたしの手をぎゅっと握る。

『ふたりだけになれるトコ』
ああ。梨華ちゃんは、こう解釈したのか。
確かに…ホントにふたりだけになれるトコって、こういうトコくらいだなー。
「や、やっぱり喫茶店とかファミレスのほうがいいよね!この先に…」
「いいよ」
梨華ちゃんの手をギュッと握った。
「ここで、いい」
190 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月30日(木)03時02分37秒
―――後藤視点

『海に行きたい』
いちーちゃんは、ごとーのワガママに最初は『エー』とか言っていたけど、
渋々クルマを出してくれた。
会場を出る時、アヤカちゃんと目が合い、何故か親指を突き出してウィンクされる。
ガンバレってことだろうか。
ごとー、何を頑張ればいいんだろう…?


「東京湾でいいか?」
「どこでも」
海が見れたら、どこでもよかった。
大勢のひとの熱気から離れて、静かなトコに行きたいという気持ちもあった。

人は、どうして海を求めるのか。
運転中のいちーちゃんにそれとなく聞いてみたら、
『オマエの場合は、仲間が呼んでるんだろ』と言いやがるから、
黙ってほっぺを引っ張った。
191 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月30日(木)03時06分28秒
―――吉澤視点

…ウチも、余裕がない状態だったんだろうなぁ。
フロントでキーを受け取って部屋に入ったとたん、梨華ちゃんを強く抱きしめ、
今までにないくらい激しく口づけた。
「―――ん!んん!」
梨華ちゃんはびっくりしたように、ウチの肩を押し返そうとする。
自分とは違う、別の自分が行動してるみたいだ―――。
理性が利かなくなって、梨華ちゃんの細い体を強い力で抱いた。

「梨華ちゃん、ウチ…もう」
何を急ぐ必要があるのか。
自分でも、焦っているのが分かる。

「…ひとみちゃん」
唇が離れた後、梨華ちゃんはウチの目を見つめてきゅっと抱きついた。
「…梨華ちゃん?」
彼女は、黙って頷いた。
192 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月30日(木)03時10分46秒
―――後藤視点

途中、コンビニであったかい飲み物とお菓子を買って、東京湾に着いた。

「まぁ〜…見事にカップルばっかだなー」
いちーちゃんはコーヒーを飲んで、うんざりするように言った。
埠頭では、寒さをものともせず、恋人たちが寄り添って海を見ている。
ごとーたちは車の中で、その光景を見ていた。

「いちーちゃんはさぁ」
「ん〜?」
「彼女ができたら、海とかやっぱ見に行くワケ?」
「ああ、まぁ…」
いちーちゃんはヘンな顔でごとーを見た後、カーステレオから中のMDを抜いて
新しいのに入れ替えた。
すぐに曲が流れてくる。
ユーミンだった。
ユーミンということは分かったけど、ごとーが知らない歌だ。
「これ、何て曲?」
「『埠頭を渡る風』」


『青いとばりが道の果てに続いてる

 悲しい夜は私をとなりに乗せて

 街の灯りは遠くなびくほうき星

 何もいわずに 私のそばにいて』


「いちーちゃん、ユーミン、好きなの?」
「アヤカにCD借りたんだよ」
いちーちゃんはそう言うと、ハイライトに火を点けた。
193 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月30日(木)03時13分00秒
『埠頭を渡る風を見たのは
 いつか二人がただの友達だった日ね
 今のあなたはひとり傷つき
 忘れた景色探しにここへ来たの
 もうそれ以上
 もうそれ以上
 やさしくなんてしなくていいのよ
 いつでも強がる姿うそになる』

『白いと息が闇の中へ消えてゆく
 凍える夜は 私をとなりに乗せて
 ゆるいカーヴであなたへたおれてみたら
 何もきかずに横顔で笑って』


「…青いとばりが 道の果てに続いてる…」
ごとーも曲に合わせて、小声で歌ってみた。

「…いい歌だね」
「そうだろ?」
ごとーは目をつぶって、いちーちゃんの肩にもたれかかった。
194 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月30日(木)03時15分14秒
―――吉澤視点

―――その後は。
シャワーも浴びずに、ウチは梨華ちゃんを下にして、ベッドに倒れこんだ。
「ひとみちゃん、ひとみちゃん―――!」
ウチは夢中になって、彼女の首筋に口付ける。
甘い香りが鼻腔をくすぐって、余計に興奮した。
「ん!やぁ…ひとみちゃぁん」
ニットのカットソーの裾をまくりあげて、インナーにも手を伸ばそうとした時。
背中にすさまじい悪寒が走り、思わずベッドに突っ伏した。
「…ひとみちゃん?」
梨華ちゃんは衣類の乱れを直し、ウチの顔を覗き込んだ。
「―――スゴイ熱!」
額に手を当てて、梨華ちゃんは叫んだ。

―――それからどうなったのか。
実は、ほとんど覚えていない。
気がついたら、自分の部屋のベッドに寝てて。
さっきまで履いてた皮のパンツが、きちんとハンガーにかかってるのが見えた。
ウチはちゃんとジャージに着替えてて。
額に冷却シートみたいなのを貼ってて、首元まできちんと布団をかけていた。

…記憶はないけど、自分がもんのすごくダサい失態を演じたのは、手に取るよーに分かる。
何だか何かに押さえつけられてるように、頭が痛い。
暗闇の中、目を閉じて。
朝が来るのを、ひたすら待った。
195 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月30日(木)03時28分17秒
更新しました。

( ´ Д `)<♪埠頭を渡る風を見たのは〜

『埠頭を渡る風』はユーミンのアルバム『流線形’80』に入ってます。
ドライブのおともに…。

(;`.∀´)<というか、夜の東京湾にドライブ行ってBGMが『埠頭を渡る風』て!
        ベタすぎるわよッ!ベタベタだわ!

ヽ;^∀^ノ<うっさいなぁ!いいじゃんよ!( ´ Д `)<んあ〜?そなの?←ワカッテナイ 

レスのお礼です。

>クロイツさん
ヽ;^∀^ノ<うーむ。なまじっか付き合い長いとねー、ナカナカ…

( ´ Д `)<あっは!レポートは間に合ったんだね〜 ヨカッタ

とりあえず、いちごまチームは夜のドライブへと繰り出しました。
よっちぃは…こうなりますた。

196 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月30日(木)13時35分18秒
いつになく強引な吉澤さんにどっきどっきしながら読んでたら…そうかそうか。そのせいだったのか…。
熱が下がったら…とか期待してしまう私。どうなっちゃうんでしょうか…。

そしていちーちゃん。かっけ〜!!マジかっけ〜!!!
>『オマエの場合は、仲間が呼んでるんだろ』
ごめんなさいごっちん…笑ってしまいました…激しく。
ビシッとバシッと言っちゃってほすぃ〜なぁ…。

次回も超!楽しみにしておりまっす!!
197 名前:138 投稿日:2003年01月30日(木)13時55分07秒
更新、お疲れ様でした。

「埠頭を渡る風」、キタ〜!
自分も、ユーミンの中では「流線形'80」が一番好きです。
名作ですよほ・・(しみじみ)
いちごまチームにもようやく、春の足音が近づいてきたのでしょうか?
おぉっ、遂に!と思われた石吉チーム、やっぱりオチがありましたかw
たまには本能の赴くままに・・と行きたいところですが、ここは一筋縄
では行きませんなぁ・・
熱にうなされる(0^〜^0)を看病する(^▽^)の姿が目に浮かぶ・・
198 名前:あおのり 投稿日:2003年01月30日(木)16時08分55秒
石川さんのほうからホテルに誘うなんて…
なーんて素敵なことなんだー!と東京湾に叫んでしまいました。
でも、結局はへたれに…
そして東京湾のいちごまもマダ微妙な雰囲気

市井も吉澤もしっかりせー(でもこの雰囲気もなんか萌えたりしたりしちゃったりして
199 名前:わく 投稿日:2003年01月31日(金)02時28分36秒
今後の展開に期待大!!!!
いちーちゃん、よしこ、頑張れ〜〜〜
200 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月31日(金)14時34分43秒
―――日付が変わって。
人影も、少なくなった。

「…後藤?」
自分の肩先にもたれた後藤に、市井は目をやった。
後藤からの返事はない。
代わりに、すうすうと静かな寝息が聞こえた。
「…寝ちまったか」
タバコを灰皿にもみ消し、小さく笑って後藤の顔にかかってる髪を直してやる。
「いちーちゃん…」
むにゃむにゃ、というように寝言が漏れた。
子供の頃から、もう何千何百と見ている光景だ。
『人の気も知らないでよお…呑気に寝やがって』
ついこの前、大ゲンカして盛岡に逃亡した時も。
後藤と旅館でひとつの布団に入って、実は結構ドキドキした。
『アタシは中坊のガキかっつーの』
隣からは、変わらず規則的な寝息が聞こえる。
市井は後藤の顔を少し上げて、ほんの数秒キスをした。

「バレたら…殺されるかな」

また新しいタバコに火を点け、起こさないようにボリュームを絞って
カーラジオを流した。
201 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月31日(金)14時37分42秒
―――吉澤視点

ふたたび目を開けると、カーテンの裏側が明るかった。
…どれくらい寝たんだろう。
さっき起きてた時は、頭痛がひどいのもあってひどくヘコんでいた。
体もいうことを聞かないし。
イヤな夢から覚めたような寝心地の悪さから逃れたくて、必死で目をつぶってた。

…ほんとうは。
自分のゆうべの行動を、思い返すのがこわいんだ。
梨華ちゃんにあんなことして。
どうやって帰ったのか分かんないけど、彼女にすっごい迷惑をかけたのは確かだろう。
あんなことしといて、許してほしいとか、すっごい虫のイイこと考えてる自分にあきれた。

「…ひとみちゃん?起きてる?」
戸の外から梨華ちゃんの声がして、慌ててベッドに体を起こした。
「あ、うん!」
「入るよ」
梨華ちゃんはタオルを腕にかけ、土鍋の載ったお盆を手にしてた。
怒ってないだろうか。
あたしは、そればっかり考えて、ビクビクしてた。
「具合はどう?」
額に手を当てられて、何でか少し腰が引けてしまった。
梨華ちゃんは特に気にせず、
「少し…下がったかな」
自分の額と比べて、確認してる。
「あ、あのさ…」
一番、恐れてることを尋ねてみる。
「何?」
「ゆうべ…ウチ、どうなったの?」
「うん。ホテルで高熱出して、慌ててタクシー拾って帰って来たの」
梨華ちゃんは特に怒る、という様子ではなかったが。
あの場所からここまでタクシー。
予想金額にも、ゾーッとした。

202 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月31日(金)14時39分49秒
「あ、あの…。いく、ら?」
「いいよ、直ってからで」
「よ、よくないよ!こういうことはちゃんと…」
梨華ちゃんは無言で土鍋からおかゆをすくい、お茶碗に盛った。
「そういうことは、コレ食べてから言いなさい」
お茶碗を差し出され、しばらく逡巡した後、受け取って黙々と食べ始めた。


「…怒ってる?」
食べながら、恐る恐る尋ねてみる。
「怒ってはないけど…何か自分にあきれた」
「な、何でさ!」
あたしは思わずおかゆにむせてしまい、軽く背中を叩いてもらった。
「ここまで具合が悪いのを見抜けなかったし、気づいてたらホテルなんか行かないで
すぐ家に連れて帰ってきたのにな、って」
「それは…」
場所としてホテルを選んだのは梨華ちゃんだが、そもそもどこかふたりだけになれるところに
行きたい、と言い出したのはウチだ。
で、結果としてこうなってしまって。
ウチ…ヘタレじゃん。
今更ながら自分の情けなさに、ためいきをついてしまった。
203 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年01月31日(金)14時41分04秒
「ひとみちゃん」
「はい?」
「あたしのこと…好き?」
「あ、当たり前じゃん!」
「当たり前なの?」
彼女がじっとウチの目を見つめてる。
ああ。この目に弱いなぁ。
そんなことをぼんやりと考えてると、
「あたしは、ひとみちゃんのこと好きだよ。初めて会った時から、日ごとに好きになってる。
でもね、人を好きになるのは当たり前とかじゃないと思うの」
「う、うん」
「知り合えたことも、こうして一緒にいられることも、すっごい幸運なことだと思ってる。
普段そんなしょっちゅう考えることじゃないし、忘れがちだけど」
梨華ちゃんは自分もベッドのふちに腰かけて、ウチの頭をきゅっと抱きしめた。
「大好きだよ」
…こんな分かりやすい言葉で、ここまであたしをとろけさせたひとは、今までいなかった。

あたしはどう答えたのか。
何かしどろもどろなことを言い、残りのおかゆを食べ終え、おとなしく寝てろと
言われてまた布団にもぐった。

「おやすみ。目が覚めたら、きっとラクになってるよ」
彼女は戸を閉めて出て行く前、こう言った。
ウチはというと、さっきの彼女の言葉を思い出して、恥ずかしくなって布団を
頭からすっぽり被ったのだった。
204 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月31日(金)14時43分51秒
更新しました。

とりあえず食べなさい!>( ^▽^)つフ(;´〜`0)<…ハイ

ヘタレひーちゃんの巻。


レスのお礼です。

>クロイツさん
( ´ Д `)<んあ…ヨシコもタイヘンだったんだね〜

すみません、ゴチーンこうなりますた(w いちーちゃんはちょっとおいしい思いをしてますが。
ヽ^∀^ノ<♪〜 …バレたらどうなるかってのがミソなんですが(w

>138さん
ヽ^∀^ノ<♪春よ 遠き春よ

「流線形'80」は名作ですよね…(しみじみ)。今回は(0^〜^0)のほうがヘタレでした。
いちーちゃんのほうがスマートかと。

>あおのりさん
(;^▽^)<さ、誘ったというよりは…休ませてあげたいと思って(あわわわわ)

よりヘタレなのは、今回よっちぃでしたね。思わぬ出費はあるし(w(0T〜T0)
東京湾チームは、やっぱり微妙かもしれません(爆

>わくさん
ヽT∀Tノ(0T〜T0)<<…ありがとうございます〜

ヘタレコンビの応援、ありがとうございます(w 今後の活躍に期待するとしましょう。
いざとなったら強いのは女子チームなのですが(w
205 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月31日(金)15時28分30秒
ヘタレなヨッスィーが素敵過ぎる…。
そしてヨッスィーと共に、私もとろけました。どろどろ…(流出中)
おお、やばいやばい。もとに戻れなくなるトコだった。…あ、眉毛が戻らない…。
(ё)<眉毛ビィィィィィィィィィィィィィィム!!!
あ、戻った。ニイニイありがとう。

いちごまも…くあぁぁぁぁぁぁ!!やったねいちーちゃん!!
寝ちゃうごっちんが超かわええ!!
バレたらどーなるんでしょうねぇ(ニヤニヤ)

次回も楽しみにしております!!
206 名前:ベリィ 投稿日:2003年01月31日(金)23時09分48秒
いしよしイ〜感じですねぇv強いいしかーさん
ナカナカ素敵ですね。ヘタレひ〜ちゃんもかわいいしw
いちごまはあとホントにもう一押しって感じですね!
でも、今のトモダチ以上コイビト未満ってのもなんか良いですね。
甘々もモチロン好きなんですが、もどかしいのもなかなかツボですw

おかげさまで風邪治りました!やっぱり健康管理は大切ですね〜。
207 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月01日(土)05時15分00秒
―――吉澤視点

その日の夕方―――。
4時ごろに、ごっちんと市井さんが連れ立ってやってきた。
ふたりとも何だかニヤニヤしてる。

「具合はどうだ」
市井さんは、畳の上にどかっとあぐらをかいた。
梨華ちゃんからごっちんに届いたメールで、ウチが熱を出しことを知ったらしい。
わざわざ見舞いに来てくれ、コンビニのだけどプリンとかヤクルトをくれた。
「まあ、何とか。すみません、わざわざ」
「ん?いいよ〜。つーか、キミ今日の片付けのこと忘れてたでしょ?」
「―――あー!!」
市井さんに言われて、ウチは大声を上げた。
今日は朝早く集合して、学園祭の残ってる片付けをクラブのみんなですることになっていた。
熱で頭がぼやけて、完全に忘れてた…。
「す、すみません!すみません…!」
謝ってももうどうにもならないが、謝るしかない。
「まあ、熱でうなされてたヤツに来いとは言わんよ」
市井さんはウチの肩をポンポンたたく。
「私服も忘れて帰っちゃうし〜」
ごっちんは、ハイとウチに紙の手提げを渡した。
アヤカさんが預かってくれてたらしい。
ああ〜…メールででも謝んないと。
208 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月01日(土)05時17分17秒
昨日、ライブのあとすぐ片付けに入ったから、着替える時間がなかった。
梨華ちゃんと待ち合わせもしてたし。
財布と携帯だけ持って、朝着て来た服は、そっくりそのまま置いてきてしまった。

「市井さんたちは、昨日どーしたんスか」
ウチが尋ねると、
「んあ、東京湾にごとーたちドライブ行ったの。いちーちゃんのクルマで」
ごっちんは小さくあくびして『眠いね』と言った。
「ふたりで?」
「んあ」
それって…デートじゃん。
チラッと市井さんのほうを見ると、フンフンとか鼻歌歌って、ヤケにご機嫌だった。

「そっちもー、お楽しみだったみてーだな」
「ハ?」
市井さんは畳から何かを拾い上げて、ニヤッと一言、
「『BLUE MOON』って、あんましサービスよくないんじゃねーの?」
「――――――!!」
市井さんの手には…昨日のホテルの水色のマッチが握られていた。
209 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月01日(土)05時19分12秒
「サービスタイムもあんま安くなんねーし」
「ち、違います!ここここここれは!」
ウチは真っ赤になって、そのマッチを奪い取る。
…いつの間に、マッチなんか持って帰って来たんだ。
上着とかから落ちたんか?

昨日のおぼろげな記憶をたぐってみる。
…確か、梨華ちゃんがウチが熱出してるコトが分かって『タイヘン!早く家に帰んなくちゃ!』とか
言って電話でタクシー呼んでる時に、ウチ…無意識のうちに枕元の灰皿に手をのばしてた。
まさか思い出とか記念とか思って、マッチを手にしたんだろうか。
それならもっとマシなモンにすればいいのに。
自分であきれて、ウチはうなだれ、とほほと片手で顔を押さえた。

「んあ?いちーちゃん、行ったコトあるんだ?」
「あ、イヤ、それはなんだ、ホレ」
市井さんは慌ててしどろもどろになり、手でおかしなゼスチャーをしだす。
タコ踊りのようだ。
何がホレなんか分かんないけど、ごっちんのツッコミのおかげでウチはそれ以上、
詮索されずにすんだ。

「で」
それがひとしきりすんだら、市井さんはまた口を開いた。
「どっちが受け?」
「―――――してません!」
また顔を赤くして叫ぶと、ふたりは心底がっかりしたよーに
「「…なぁーんだ」」
と声をそろえて言った。
210 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月01日(土)05時23分02秒
ヽ^∀^ノ( ´ Д `)<<…なぁーんだ(チェッ)  \(^〜^0#;)<も、もぉ〜!ふたりとも!

更新しました。

レスのお礼です。

>クロイツさん

ヽ^∀^ノv<イエーイ!サ〜ンキュ〜!

キスで満足してるあたりが、案外ウブないちーちゃんです。『BLUE MOON』情報に詳しいくせに(爆
もしバレたら…それは恐ろしくて恐ろしくてとても言えません。((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル ( ´ Д `)y−~~<フッ
>(ё)<眉毛ビィィィィィィィィィィィィィィム!!!
>あ、戻った。ニイニイありがとう。
すみません、笑い死ぬかと思いました(爆。ひとときの笑いをありがとうです。

>ベリィさん

(;^▽^)<ひ、ひとみちゃんを守れるくらい強くなりたいんです!
(#0^〜^)<(……梨華ちゃん)

いしかーさん、強くなってます。ヘタレなのは相変わらずですが。今回はかなりオトコマエなところを
見せてくれました。元々張り切り屋さん(死語?)ですし。( ^▽^)<ファイ♪
『トモダチ以上コイビト未満』ってシチュエーション好きなんですよ(w じれったくて。
風邪治ったようで何よりです。どうぞお大事に。
211 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月01日(土)11時49分25秒
・夜食を食べよう


@ノハ@
( ‘д‘)つ〔CUP〕<秋の夜長にインスタントラーメンいうのも、オツやな!カップヌードルハエエワー

∋8ノハ8∈
( ´D`)つ〔 UFO 〕<へいっ。ののはヤキソバれすけど

@ノハ@
( ‘д‘)<焼いてへんのに、ヤキソバとはこれいかに!やな

∋8ノハ8∈
( ´D`)つ〔 UFO 〕<あっは!ホントれすね。…さて、お湯をすてるれす サンプンタッタレスシ

@ノハ@
( ‘д‘)<気ィつけんと、流し『ボン!』ゆうで ユトイッショニソースイレテヘン?

∋8ノハ8∈
( ´D`)つ〔 UFO 〕<ああ、あれイヤれすね。ビックリするれす ノノハソンナシロートジャネーノレス

@ノハ@
( ‘д‘)<ヤケドせんようにな

∋8ノハ8∈      ドボドボドボ…
( ´D`)つ〔 UFO 〕<へいっ
       
     ボンッ!
∋8ノハ8∈     
(;゚D゚)つ〔 UFO 〕<ヒィッ!

@ノハ@
(;‘д‘)<あ…

∋8ノハ8∈      
(;´D`)つ〔 UFO 〕ミ∬ ←音に驚いてフタの押さえが甘くなった
            ミ∬

∋8ノハ8∈       @ノハ@  
( ;´D`;)<……    (‘д‘ ;)<……


@ノハ@
(;´д`)<…分かった。ウチのカップヌードル分けたるさかい



@ノハ@
(;´д`)<ラーメンくらいで泣きな 
∋8ノハ8∈      
( ;´D`;)<らって、らって…ぐすん


―――台所前の廊下
         ゴロゴロゴロ…
ノ(;0^〜^)ノ<――― ウヲ!!  ←流しの『ボン!』に驚いて、ゆで卵を落とした
212 名前:名無し蒼 投稿日:2003年02月01日(土)15時09分22秒
お久しぶりれす。
会って早々、どっちが受け?!とか聞くいちごま!!!w
なんか雰囲気もよくなってきたようでどうなっていくのか楽しみです。

PS.顔文字の…オイラもたまにありますw
213 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月02日(日)10時57分11秒
いつも楽しく拝見しています。

…流しのボンッは シンクに少し水を出しながら
お湯を捨てると鳴らなくて良いようです…。
214 名前:あおのり 投稿日:2003年02月02日(日)13時34分14秒
顔文字劇場グッジョブ!
UFO通なののさんはちゃんとキャベツをメンの下に入れてお湯を注いだんでしょうね
私も「ボンッ!」でメンを流しに落とした口です。
拾って食べるか5分ほど悩んだ記憶が…ヒロッテタベタノハヒミツ
215 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月02日(日)23時31分24秒
AA劇場いいっすね〜大爆笑っす
ひさびさに覗いたら微妙に進展してる2カップルに萌え(これって進展してるんですよね?w

216 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月03日(月)09時50分25秒
異常に詳しいいちーちゃん素敵ー☆えーい、ごっちん!責めちゃえ責めちゃえ〜!!
そして、同時に落胆するいちごまカッケ〜!!わーい!

そして顔文字劇場、大爆笑致しました。
私の笑い声で、姉(土日会社で月火が休み)が起きました。『うるさい』と怒られました。
泣いてるののたんが愛しい…。よしよし、お姉さんがぺヤング三つプレゼントしましょう。

由由由はあとはあと←ぺヤング&私の愛(笑)

流しのボンッは、私は紅茶入れる時にいつもビビらされます。
ポット暖めたお湯捨てる時にボンッとなると、思わずポット落としそうになります。
217 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月04日(火)15時06分17秒
吉澤たちが学園祭の頃―――。


紺野は、泊りがけで福井に住む友人のもとを訪れていた。

「あさ美ちゃ〜ん!」

待ち合わせしてる駅で。
その友人―――高橋愛は紺野の姿を見つけると、笑顔で手を振りぱたぱたとかけてきた。
「久しぶりじゃのぉ!」
自分が夏に帰国した時、一度東京で会って以来だ。
元気だったかとか、相変わらずの早口で聞かれる。
「寒くないかの?」
「うん、ちょっと」
紺野はちょっと震えた。
「東京はぬくいかのぉ?」
「北海道ほどじゃないけど…やっぱり寒いよ」
「そうか、そうか」
高橋は自分がしてたマフラーを外し、紺野の首に巻いてやる。

「あさ美ちゃん電話でソースカツ丼、食べたいって言とったがし。お店行こっせー」
「うん!」
駅前の大通りを歩いて、ふたりは高橋のなじみの店に向かう。
「あたしもひさしぶりに食べるわ!」
「そう」
「うん。ここんとこ、ダイエットしとったがし」
愛ちゃんのどこをダイエットするというのだろう。
紺野は首を傾げた。
218 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月04日(火)15時12分15秒
土曜の昼過ぎだが、店は割に空いていた。

「おばちゃん、カツ丼ふたつください」
注文を取りにきた女性に、高橋は早速注文する。
ソースカツ丼がくる間に、ふたりは学校のことや友達のことなど色々話をした。

運ばれてきて、黙々と食べ始める。
紺野はカツ丼のごはんがのどにつまり、涙目でむせた。
高橋は慌てて、背中をたたいてやる。
「慌てんでエエ。ゆっくり食べるんやで」
「う、うん」
「おばちゃん、すいません。おひやのおかわりください」
高橋は水を頼む。
注がれた水を飲み、紺野はやっと一息ついた。
219 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月04日(火)15時25分42秒
店を出てから、ふたりはバスに乗り海岸に出た。

風は冷たいが、波打ち際をゆっくり歩いて行く。
とりとめのない話から、将来のことを高橋はぽつりぽつり話し出した。

「宝塚、受けるの?」
話を聞き、紺野は驚いて目を丸くする。
高橋が宝塚に憧れていることは昔から知っていたが、劇団付属の音楽学校の受験まで
考えていることは初耳だった。
「うん…でもあたし、全然背が伸びんのよ。今、153なんやけど、
宝塚は最低157はないと受けれんの。
うちのお父さんもお母さんも、大学行けって反対しとる」
高橋はよっと言って、少し高くなってるコンクリートから飛び降りた。
「高校は出ろって言われてるんやけど、高卒まで待っとったら、
受験のチャンスは1回しかないんよ」
『背さえ伸びたら、今すぐにでも受けれるんやけど』
高橋は寂しそうに笑う。
それを見て、紺野は胸が詰まった。

「オーストラリアは?行くんだよね」
「うん、行くがし。あさ美ちゃんは?」
「行くよ」
冬休みを利用した短期のホームステイに、ふたりは参加することになっていた。
クリスマスは、今年は南半球で過ごす。

「オーストラリアはちょうど夏やね。半袖また用意せんと」
「そうだね」
ふたりは笑って、また波打ち際を歩いて行った。
220 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月04日(火)15時36分47秒
更新しました。

川o・-・)<福井では、『カツ丼』といえばソースカツ丼を指すそうです。
      カツを卵でとじたものは『上カツ丼』と呼ぶそうです…

レスのお礼です。

>名無し蒼さん
( ´ Д `)<んあ、いちーちゃん絶対聞くだろうなと思ったよ〜

おヒサスブリです。特にいちーちゃんは聞かないほうが不自然だと思います(w
そんで、バンドの他のメンバーに情報が渡るとオモワレ

>名無し読者さん
( ´D`) <それはろうほうなのれす!ありがとうれす!

レスから察するに初レスの方でしょうか。駄文を読んで頂いてありがたいです。
流しボン対策、よいことを聞きました。今度試してみます。ありがとうございます。

>あおのりさん
( ´D`) <へいっ。待ってる間フタにはちゃんとソースのふくろのせるれす

最近のUFOは、フタがプラスティックじゃなくて紙なんですよね。
私も流しにうっかりメンを落とし、悩んだ挙句少し食べました(w

>名無しかも〜んな!さん
ヽ^∀^ノ<アタシ的には、進展なんだけど

後藤さん的には『んあ?いちーちゃん、最近ヤケに優しいなー』かもしれませんが(w
AA劇場、がんがりました(w

>クロイツさん
(* ´D`)つ 由由由はあとはあと<ありがとうれす〜。てへてへ

当方関西人なので、ペヤング食べたことないんですよ。気になる存在ではあるんですが。
えーと。私からもお姉様にすみませんでした(w
221 名前:登場人物紹介 投稿日:2003年02月04日(火)15時39分54秒
川’ー’川:高橋愛(17)。福井県出身。紺野の親友でアメリカの中学で知り合った。
      チャームポイントは訛りで、宝塚に入るのが夢。物凄い早口で喋り、
      さながらモールス信号の如し。合唱部にも所属している。       


川’ー’川<やっぱりソースカツ丼やよ!アサミチャン クチニツイトルガシ

川o・-。・)つ∀<うん…そうだね←黙々とクレープを食ってる
 
(;´∀` )Oh〜!(・∀・;)ココ ドコヤネン ←外国人観光客

柏’ー’川<あ、あんひとら道に迷っちょるね!

川’ー’川<Can I help you?

( ´∀` )( ・∀・)<<Oh!Thank you!

川o・-。・).。oO(…英語は、訛らないんだよね。何でか)


222 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月04日(火)19時00分10秒
高橋さん宝塚ですかー!!実は私の中学の同級生も宝塚入りました。現在、新人公演出てるそうです。
そして英語では訛らない高橋さんも素敵☆
ソースカツ丼食べた事ありませんが、こんこんが食べてるの見て、激しく欲しくなりました。
こんこんひとくちちょーだい?

次回も楽しみにしてますね〜♪
223 名前:名無し蒼 投稿日:2003年02月04日(火)20時44分20秒
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
高橋ついに登場(w
お待ちしてました。彼女はまだ向こうなんですね〜
宝塚の身長ってそんぐらいだったんですか知らんかった(笑)
英語は訛らないのに日本語訛る…う〜むw(・∀・)イイ!!
ソースカツ丼はオイラも食いたくなりますた。
次回もお待ちしてまーっす
224 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月04日(火)23時41分07秒
ついに高橋出てきましたね。
でも彼女が喋る言葉は紺野以外には意味不明なのでは?(W

225 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月05日(水)13時28分42秒
それからふたりは、またバスに乗り高橋の家に向かった。

「うちのお母さん、あさ美ちゃん来る言うたら、張り切ってごっつぉ(ご馳走)作る
言うとったがし」
バスの後部座席に並んで座り、高橋は笑って言った。
「ほんと?うれしい!」
「あさ美ちゃんは食べモンの話しとる時が、一番輝いとる」
からかうように言われて、紺野は照れ笑いする。


翌日、昼過ぎに帰るときまで、ふたりはずっと一緒だった。
高橋が言った通り、彼女の母は夕飯にたくさんご馳走を作って用意してくれた。


紺野は帰りの電車に揺られて、高橋のことを考えていた。


『今度の旅行で…もっと分からなくなった。自分が誰を好きなのか』

愛ちゃん。
可愛くて、あたしなんかよりずっとしっかりしてて、それでもたまにヌケてて。
明るくて。すっごく優しくて。
大好きだった。
今でも、好きなのは変わらない。
でも、改めて自分の気持ちを見つめて。
気づいたよ。
誰を一番好きなのか、分かんないって。
…あたし、迷ってる。
ごめんね、愛ちゃん…。


やがて電車は米原に着き、新幹線に乗り換えるため、紺野は大勢の乗車客にまぎれて
降りて行った。






226 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月05日(水)13時34分34秒
―――朝比奈女子高校

翌日の放課後。
紺野は、辻加護と1階の購買部でアイスを買い、店の前のベンチで食べていた。
「寒い時のアイスもオツれすね」
辻は大事そうに、カップのバニラアイスをすくって口に入れる。
「おこたで食ったら、完璧やな」
加護がモナカを食べながら答える。
「そうですね…ステキです」
「よー、みなさんおそろいで」
首にタオルを巻いた、水色のジャージ姿の小川がやってきた。
「何や、猪木。クラブちゃうんかい」
「今は休憩だよ。スポドリ買いにきたの」
ポカリを自販機で買い、ふと小川は紺野のそばに立った。
「おー!みんないいモン食ってんな!」
言うが早いか、小川は紺野に近づいて、彼女が食べていたジャイアントコーンにかじりついた。
ギリギリまで顔と顔が近づいて、紺野の心臓は爆発しそうになる。
『ま、まつ毛が!お、小川さんの口が、ここ、こんな近くに―――!』
227 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月05日(水)13時38分57秒
「う〜ん。うめー!紺野、サンキュー!」
口の端についたアイスを手の甲でぬぐい、小川はポカリのペットボトルを
持ったほうの手をぶんぶん振って別れを告げ、また練習に戻ってしまった。
「紺野ちゃん、暑いんれすか?顔が赤いれすよ」
他意なく、辻が言った。
指摘されて、ビクッとする。
「あ、あ!そうですね、ちょっと!」
あ、あははは、と落ち着きなく笑い、紺野はさっき小川が齧ったアイスの箇所を見て
また顔を赤らめる。
「…間接キッス」
加護はボソッと言い、モナカを齧る。
紺野は何とも言えない気持ちで、加護の顔を見た。
特に何てこともなく、加護はマイペースに食べている。
「あいぼん、のののちょこっとあげるからあいぼんのくらさい」
「へいへい」
加護は邪魔くさそうに返事し、辻とアイスをトレードする。
『小川さん…罪な方です。完璧です』
放っておいても溶けるだけだし、紺野は自分のほてったほっぺの熱を冷ますかのように、
アイスに齧りついた。
228 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月05日(水)13時42分48秒

更新しました。

川;・-・)ノ<か、完璧です! (´д` )<…なにがやねん  ((( ∬∬`▽´)<♪


レスのお礼です。

>クロイツさん
川o・-・)つフ<よろしければどうぞ…ソースが効いてます
川’ー’川<作者の母校も宝塚受ける人多いがし!

親戚がジェンヌ、って友達もいました。ソースカツ丼、ソースがよくしみててうんまいっす。

>名無し蒼さん
川o・-・)つフ<こちらの方も…よろしければどうぞ
川’ー’川<男役と娘役のボーダーは身長164くらいやよ〜(豆知識)

ここの高橋は元々福井在住なのです。ビミョーに遠距離。紺野の片想いなのですが。

>名無しかも〜んな!さん
川o・-・)<愛ちゃんが話す時のヒアリングも完璧です!
( ´D`)つフ<へいっ!カツ丼いっちょうなのれす!

高紺の会話って、ビデオ早送りとスロー再生くらいにスピード差がある気が…(w
229 名前:ベリィ 投稿日:2003年02月05日(水)16時12分42秒
いや〜、こんこん揺れてますねぇ…。
いいなぁ、青春だなぁ。(笑)いちごまが一段落したので、
今度はこんこんが気になってきました…。(←浮気性。)(w

高橋さん宝塚ですか…。ベリィも嫌いじゃありません。
あんまり関係ありませんが、その昔宝塚市に住んでたんですよ。(笑)
230 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月06日(木)00時36分05秒
うあぁぁぁぁ〜!!おがこん〜!!!おがこん頑張って〜!!
なにげにおがこん大好きです☆
でもなぁ…たかこんも…捨てがたいんですけど、やっぱりおがこんに頑張ってほすぃ〜!!

あ、こんこん、ソースカツ丼ありがとう。

てゆーかまこっちゃんのかっこよさにクラクラです。
かっけ〜!!
次回も楽しみにしております!!
231 名前:あおのり 投稿日:2003年02月06日(木)10時35分55秒
うははーい!きたよあいぼん。
人の心の揺れにいち早く気づき、的確なツッコミ。関西人の鑑です。
自分が見たところ、あいぼんの頭に装着されている2つのお団子は
ツッコミどころをいち早く捉えるツッコミセンサーだと思われ。
だから時々AAでも頭部パーツがずれるん…ん…えー、ゲフゲフ
( `д´)===○☆)TDT)<なんれののが?!
オコサマだけど悪魔大王なあいぼんにメロメロです。
232 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月06日(木)17時20分28秒
揺れてますね紺野さん
オイラは小川さんが良いと思いますよw
スピード差たしかに最速と最遅ですねこれで会話が成立するんか?

>あおのりさん
ツッコミセンサー大爆笑でした
233 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月07日(金)14時00分05秒
―――吉澤視点

「こんちゃーっす」
学園祭も明けたある日。
授業が終わったウチは、いつものように部室に入って行った。
すると、何か書き物をしてたアヤカさんが顔を上げて、
「風邪の具合はどう?」
と声をかけてくれた。
「はい、熱も下がりました。あの、服預かってくれてたんスよね。すんませんでした」
「フフッ。サヤカたちにさんざんからかわれたでしょう?いつの間にか梨華ちゃんといなくなるし」
「ハハ…」
苦笑いしてカバンをおろし、アヤカさんの手元を見る。
「手紙っすか?」
何だか繊細な感じの薄紙で、淡いブルーの便箋に同じような色のペンでしたためていた。
「うん。ハワイの従妹にね。これも一緒に送ろうと思って」
アヤカさんがそばに置いてた携帯のストラップを持ち上げる。
これまた可愛らしいピンクのビーズ細工のヤツだった。
梨華ちゃんとか見たら、「キャー、カワイイ!」って喜びそうだ。
「名前なんでしたっけ。従妹さんの」
「ミカよ。美しい歌って書いて『美歌』。あたしも正式には『絢香』っていうんだけど」
そう言ってアヤカさんはシャーペンで机に『絢香』と書いた。
ずいぶん風流な名前だ。
「へえ。カッケーっすね」
「『ひとみ』もカッケーよ」
そう言ってアヤカさんは、笑って手紙を折りたたんだ。

「さて、面接に行って来るわね」
机の上を片付けて、アヤカさんは立ち上がった。
「え。バイトっすか。何とかいう夜遅いカフェは」
「うん。それ以外に期間限定でね。12月に入ったら授業も減るし」
「へえ」
「じゃ。梨華ちゃんによろしく」
そう言って、アヤカさんは出て行った。
234 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月07日(金)14時02分07秒
ひとりになってヒマなので、携帯を弄る。
しばらくたって、あやゃからメールがきた。

『ひーちゃん、ひさしぶりー。
ねえ、今度の連休空いてる?
美貴と渋谷行くんだけど、ひーちゃんにも会いたいよ〜。
ひーちゃんの彼女もナマで見たいー!』

『もしもし、ひーちゃん?』
メールが届いてすぐ、あやゃから電話がかかってきた。
「ウヲ!なんじゃ、ビックリするじゃん!」
『う〜ん、ごめん。あのね、メール着いたぁ?』
「着いたよ。てか、いま電話で確認してる意義は一体?」
『無事届いたか確認!』
学校にいるのか、後ろで女の子たちのざわざわした声が聞こえる。
時間的にも、4時間目とかが終わるくらいだ。

「ハハ。今度の連休来るんだって?いつよ」
『えーと。ねえ、ミキスケ。いつだっけ?』
そばにいると思われる美貴ちゃんの『姉さん、しっかりしてくださいよ』という声が聞こえる。
まったくだ。

『美貴にかわるねー。ハイ、ミキスケ』
いきなり携帯を渡されたのか、『エ!?』という声が漏れてくる。
『あ、あの。吉澤さんですか。どうも、お久しぶりです』
やや緊張した声が聞こえてきた。
「ヒサシブリー。いつもあやゃがごめんねー」
とか保護者な会話を交わす。

そんなワケで。
次の連休は渋谷でダブルデートとなった。
235 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月07日(金)14時06分52秒
「失礼いたします」

アヤカは、ある出版社の編集部を訪れていた。
平家の紹介で、ここで来月から臨時でバイトすることになったのだ。
以前ひょんなことがきっかけで平家と知り合い、それからメールなどのやりとりをしている。

「えーと。木村さんでしたっけ?お話は平家さんから聞いてるわ」
20代半ばくらいの女性が応対に出た。
案内されて、編集部の隅の方のソファで面談を行う。

女性は自分の名刺を差し出した。
『クライム出版社編集部 斉藤瞳』と書かれていた。
「で、仕事の内容なんだけど。主にここの雑用になるけどいいかしら」
「はい」
「そうよかった。それでね、今度ウチから村田めぐみって漫画家の、書き下ろしエッセイ漫画出すのね。
急にアシスタントがやめちゃって困ってるらしいんで、この人の面倒も見てもらうことになると思う」
「え、漫画のお手伝いをするんですか」
「ああ。原稿取りに行ったりってくらい。もしかしたら、細々としたものの買物とかも頼まれるかも
しれないけど」
「そうですか。分かりました」
「うん、よろしく」
斉藤は椅子から立ち上がり、手を差し出す。
アヤカも握手に応じた。
「じゃ、12月からよろしくね」
「ハイ」
236 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月07日(金)14時10分43秒
アヤカが斉藤に連れられて、編集部内の挨拶に回っていると、
ショートカットの小柄な女性がやってきた。

『あ!あの人、テレビで見たことある!えーと…名前なんだっけ』
アヤカが女性の名前を必死に思い出そうとしていると、
「おー、石井ちゃん。久しぶりー」
他のデスクにいた男性社員が声をかけた。
「どうもご無沙汰してます」

『そうだ、童謡のおねえさんだ。
ここの出版社、レコード会社の系列だからか』

『斉藤いうんが、ウチの知り合いやから』
電話で、平家がそう言っていた。
平家もここが出している音楽系の月刊誌に、連載コーナーを持っている。
(平家の日記のような読み物で、コーナー名は『みっちゃん、いい子なのにね』である)

「石井ちゃーん。ウチの新しいバイトさん。来月から臨時で来てもらうの」
斉藤に呼ばれて、石井はそばにやって来た。
「知ってるかもしれないけど、童謡歌手の石井リカさん。前はここの編集部で電話番とか
事務をしてもらってたの。石井ちゃん、こちら木村アヤカさん。朝日女子学院の3年生なんだって」
「初めまして。石井です」
「は、初めまして。テレビでよく拝見しております」
バイトの挨拶なのに、緊張のあまりアヤカは素人のファンのような挨拶になった。
芸能人なのに、石井はとても腰が低く
「よろしくお願いしますね」
と、ふんわり笑った。
「よ、よろしくお願いいたします!」
緊張でテンパったアヤカを見て、斉藤は
「肩の力を抜いて。芸能人は他にもウロついてるぞ!」
と両手をアヤカの肩に置いて笑った。
237 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月07日(金)14時12分18秒
更新しました。
ヒサブリのみきあやコンビ。

ねぇ、渋谷行くのいつだっけ?>从‘ 。‘从¶ 川VvV;从 <…あの、誘ったのそっち 

(;0^〜^)¶<(…苦労が目に浮かぶ)

そんで、あいぼん誕生日おめ。

@ノハ@
( ‘д‘)/<ウチの登場シーンあらへんがな!

レスのお礼です。

>ベリィさん
川;・-・)<い、いえ。気持ちに少し変化があっただけで…(ゴニョゴニョ)

こんこん、青春です(w「高橋宝塚受けたいネタ」はずっと使いたかったんです(w
川’ー’川<作者も関西やけど、家が田舎やから宝塚は専らテレビの中継を見とったんやと

>クロイツさん
∬`▽´∬ノ<イエーイ!サ〜ンキューだぜ!このヤロー!

人のアイス勝手に食ってますが(w 小川は辻がお気に入りだし、紺野先生なかなか大変そうです。
ソースカツ丼はローソンの弁当コーナーにも以前ありますた。川’ー’川<ローソンのも結構イケルやよ〜

>あおのりさん
(;´D`)<の、ののも知らなかったのれす!

レスを読んでお腹の皮がよじれるほど笑いました。そうかぁ、センサーだったのかー。@ノハ@
ツッコミに関しては、最早無敵かもしれません。弱点はありますが(w →( ´D`)?


>名無しかも〜んな!さん
川;・-・)<ア、アドバイスありがとうございます

揺れまくってます、紺野先生。ナニゲに面食いだし。川o・-・)<このわたくしが好きになる方ですから
高紺の会話は、足して2で割ったくらいがちょうどいいのではないのでしょうか。
238 名前:登場人物紹介 投稿日:2003年02月07日(金)14時15分39秒
(0⌒ v.⌒0): 斉藤瞳(25)。新潟県出身。アヤカのバイト先の編集者。
        平家の雑誌連載の担当をしている。かなり肉感的。

(O゚ー゚O):石井リカ(23)。広島県出身。童謡歌手。デビュー当時は関連会社の
       電話番などをしていた。「Peachy」名義でシングルも出している。


(0⌒ v.⌒)<新しいバイトさん、どう?

(O゚ー゚)<カワイイ子だね。みっちゃんの紹介なんだって?

(0⌒ v.⌒)<うん。そういやみっちゃん、彼女いるらしいよ

(O゚ー゚)<へえ。どんな人?

(0⌒ v.⌒)<うーん。あんま言わないんだけどねぇ、一般の人らしいよ

(O゚ー゚)<そうなんだー


一般の人→从 #~∀~从ノ<みちよのクセにナマイキじゃ!(`◇´ )<なんやのー、もう〜
239 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月07日(金)14時18分41秒
・恋占い


―――ある日の夕方。中澤家居間にて

∋oノハヽo∈
 ( ´D`)<ふむ。なるほどれす ←テーブルにあった雑誌の占い特集を見ている
 ( つ\_/O   

@ノハ@
( ‘д‘)<のの、何見てんねん

∋oノハヽo∈
 ( ´D`)<相性占いれすよ。えーと、あいぼんは水瓶座でののは双子座れすから…
 ( つ\_/O 

∋oノハヽo∈
 ( ´D`)<相性は80パーセントれす
 ( つ\_/O 

@ノハ@
(* ‘д‘)<ふ、ふうん

∋oノハヽo∈
 ( ´D`)<ちなみに血液型も入れたら相性は50パーセントれす
 ( つ\_/O 

@ノハ@
(;´д`)<ハ、ハハハ…さよか


―――その夜

@ノハ@
( TдT) <…ビミョー ←コソーリ見ている
( つ\_/O  


―――同じ頃。紺野宅

川*・-・) <さ、蠍座O型と牡牛座B型の相性は…(ドキドキ)←同じ雑誌
( つ\_/O


240 名前:ベリィ 投稿日:2003年02月07日(金)20時26分19秒
ついに斎藤さんが!!(←だから何というわけでもないですがw)
みっちゃんの連載は何気にヒットでしたwいったいどんな事
書いてるんだろう…。あと、お誕生日オメデトウなあいぼんと
青春真っ只中なこんこんが同じ雑誌を見て悩んでいるところが
とても微笑ましくてすきでした。(w

ベリィが宝塚市に住んでた頃も、まだ小学生だったので
見に行けませんでした。(;_;)よくチャリで前は通りましたがw 
241 名前:あおのり 投稿日:2003年02月09日(日)02時52分40秒
斉藤瞳さん登場。紹介文の「かなり肉感的」でツボに入りました。
確かにセクシーというより漢字で「肉感的」と書くほうが斉藤さんにはあっている気がします。
そしてピーチな石井ちゃんも登場です。やっぱり電話番ですか…(w

あいぼんのお誕生日記念AA劇場もせつない感じで相変わらずいい仕事されてます。
あいぼんこれからもがんがれ!

>名無しかも〜んな!さん
自分のつたないレスに反応していただきありがとうございます。
どうやら名無しかも〜んな!さんにもツッコミセンサーが付いているみたいですね。(w
私も皆さんのレスを見てよく爆笑したり、感心したりしています。
(ごまべーぐる様ちょっと間借りさせていただきました、スイマセン)
242 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月09日(日)15時17分05秒
初レスです
どうも最近真心ブラザーズ狂いのせいか市井ちゃんとごっちんの関係が
「FLYINGbaby」の歌詞とだぶってしょうがないんです
まあ個人の妄想なんですけどね(笑)
それではこれからもがんばってください
243 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月12日(水)13時32分16秒
―――吉澤視点

その夜。
バイトの後、梨華ちゃんや柴っちゃんと駅前のケンタで落ち合った。
次のライブのチケットもついでに渡すことになってる。
「わりィー、待ったー?」
息を弾ませて店に入ってくと、梨華ちゃんたちが振り返った。
マサオさんも一緒だ。
「ようー。風邪はどうよ?」
「あ、ども。ダイブいっス。マサオさん、仕事帰りッスか?」
「うん、明日代休だからねー。そのかし次の土日は出張だけど」
「大変っすね」
「まあ、休みでも誰かさんに連れ回されてるけどね」
マサオさんがニヤニヤ笑うと、柴っちゃんは『なによぉ』と頬をふくらませた。
ハハ、女の子だねぇ。
「ねえ、ひとみちゃん。見て見て」
梨華ちゃんが嬉しそうに、カバンの中から水色の袋を出した。
「これ、安かったのぉ〜」
袋から出てきたのは、ピンクのニットだった。
「またピンク買ってんだよ〜、このピンク星人は」
柴っちゃんが言うと、梨華ちゃんは『エー。この色は持ってないよぉ』と
服を広げてみる。
ウチ的にも梨華ちゃんのワードローブはかなりピンクだらけな気もするが、
本人がそう言ってんだから多分そうなんだろう。
でも…そういう色、見た気がする。

市井さんから預かってるライブのチケットを、柴っちゃんたちに渡す。
特に柴っちゃんは学祭の時、準備や喫茶店の手伝いまでしてくれたので、
今回はペア優待券(何か、クイズ番組の賞品みたいだな)を進呈することにした。
「やっりィ!マサオ、一緒に行こうね〜」
「おう」
ふたりはとても喜んでくれた。
244 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月12日(水)13時33分19秒
「ところでさー」
何かのついで、というように柴っちゃんが言った。
「何?」
「よっすぃ〜、初めてはやっぱ痛かった?」
「―――ハァ!?」
びっくりして急に立ち上がってしまい、ウチは太ももをテーブルにしたたか打ち付けてしまった。
イテテテ…。
隣で梨華ちゃんが大丈夫?と軽く腿に触れる。
「柴ちゃん、突然何言うのよ〜」
「オマエ、ダイレクトすぎ」
梨華ちゃんとマサオさんもあきれ顔だ。
「いやいやいや、だってダンパの途中でふたりしてドロンするんだもん。
ソッチ方面を考えるのが人情ってモンでしょうが」
柴っちゃんは分かったような、分からんような言い訳をした。
どんな人情なんだ。
「エ?もしかして…まだ?」
ウチらふたりの様子を見て、柴っちゃんは『マジかよ!』という顔をした。
ウチらは仕方なく、それぞれ俯いて赤い顔で頷いた。
「ヨシコ…まだ童貞だったんかぁー」
柴っちゃん、そんな遠い目をされても…。
それまで黙っていたマサオさんが、
「童貞は、恥ずかしいことじゃない!」
急に力強く、キッパリ言った。
「マサオさん…」
「恥ずかしいことじゃない」
もう一度繰り返して、ウチの目を見て頷いてくれた。
「兄貴…」
オイラ、一生ついていきやす!
「野郎同士結束してるよ」
と言う柴っちゃんの呟きを無視して、ウチらは手を握り合って何度も固く頷き合っていた。
それを見て、梨華ちゃんは困ったように笑っている。
245 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月12日(水)13時35分39秒
ふたりと別れ、家に戻る。
お風呂の前に、洗濯物を取り込まないと。
物干し場に向かうと、ちょうど梨華ちゃんが自分のを取り込んで出てきた。
結構な量だったので、ちょっとすれ違った時、せっかく畳んだのがいくつか落ちてしまった。
「あ!ごめん!ウチ、拾うわ」
「ああ、いいよ、いいよ」
梨華ちゃんがかかんで拾おうとするのを押しとどめて、床に落ちたのをひょいひょいと掴んだ。
「あとは、これだね…」
最後のひとつを掴んで渡そうとすると、急に梨華ちゃんの顔が赤くなった。

どうしたんだろう、と思って何の気なく自分の手元を見る。
…彼女が赤くなった理由が分かった。

ウチが掴んでたのは、彼女のパンツだった。

「ごごごごごめん!」
慌てて梨華ちゃんが抱えてる洗濯物の山のてっぺんに載せて、『それでは失礼します』と、
とんちんかんな挨拶をして早足でそのままその場を後にする。

246 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月12日(水)13時38分36秒
「パンツくらいで純情やねェ」
「―――わぁ!?」
洗濯物を取り込み家の中に入ると、廊下の陰から、小悪魔な笑いを浮かべたあいぼんが
スっと出てきた。

「オ、オオオマエ!全部見てたんかい!」
「ピンクでレースびらびらやったな。まあ、梨華ちゃんらしいっちゃ、
梨華ちゃんらしいけど」
ニヤニヤ笑うあいぼんに言われ、さっきのシーンを思い出す。
…ウチだったら、絶対履かないよーな、ひらひらなヤツだった。
さっきケンタで見せてくれた、ピンクのニットといい、梨華ちゃんのピンク好きは
他の追従を許さない。

「しっかし、自分もハデなパンツ履いてんなぁ」
あいぼんの目が、ウチの洗濯物に注がれる。
「――――!!う、うっせーな!いいだろー、パンツくらい!!」
「オトナはフケツやわ」
やれやれ、というように首をすくめ大袈裟に両手を広げ、この小悪魔はさっさと
2階に上がって行った。
247 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月12日(水)13時46分58秒
@ノハ@
( ´д` ))))<オトナはフケツやわ   (;0^〜^) トホホ…

更新しました。

レスのお礼です。

>ベリィさん
川*・-・)<い、いえ。たまたま妹がその雑誌を持ってて…ゴニョゴニョ

( ´D`)<ののが見てたのは、梨華ちゃんのれす

紺野先生、夜中にコソーリ妹の部屋に忍び込んで自室に持ち込んだとオモワレ
みっちゃんの連載は、一部マニア(誰?)から熱い支持を受けてます。

>あおのりさん
( `◇´)<斎藤は擬音で表すと、『ムチムチ』かな〜
     ムチーン
(0⌒ v.⌒)<そうお? 

『色っぽい』もちと違うし、何だろうと考えて、そう書きますた。
ツッコミセンサーのくだりに笑った方には、もれなくツッコミセンサーついてます(w

>名無し読者さん
( ´ Д `)<♪晴れた午後にはバイクに乗り 風を浴びて

ヽ^∀^ノ<真心ブラザーズが好きって渋いね!アタシも好きだよ〜
 
初レスありがとうございます。歌詞はうろ覚えですが、『君を見に行くよ 正面から
君と関わり合うよ 真っ直ぐに』ってくだりが好きです。なるほど、確かにぽいですね。
ご指摘ありがとうございます。

248 名前:ベリィ 投稿日:2003年02月12日(水)20時50分52秒
あ〜も〜なんであいぼんはこんなオバンくさいセリフを
言っていても可愛いんでしょうかwマサオさんカッコイイなぁ…。
マサオさんの前では(も?)可愛い柴ちゃんにも萌。

@ノハ@
( ´д` )<「パンツくらいで純情やねェ」
このセリフ、はじめ裕ちゃんが出てきたのかと…。(w
249 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月12日(水)21時37分10秒
ピンク星人な梨華ちゃんが愛しい…はあとはあと
そして、あいぼんに大爆笑いたしました。素敵ですあいぼん!!
派手なパンツの吉澤さん。どんなのはいてるんでしょう。豹柄とかかしら。
妄想が膨らみまくりで収拾つきません。

次回も楽しみにしておりまっす!!
250 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月15日(土)00時10分24秒
―――吉澤視点

その数日後。
ウチらCUBIC−CROSS一同は、次のライブの打ち合わせで、
アヤカさん家に集まっていた。
酒とかつまみを持ち寄った、ちょっとした飲み会も兼ねていて、
どっちかっつーとソッチがメインだ。

「んあー、ピザ来たよ〜」
ごっちんが宅配ピザを玄関先で受け取り、とてとてと持ってきた。
「おー、待ってましたー!」
市井さんは今日は車で来ているらしく、控え目にコーラを飲んでいる。
「アヤカー、こっち来て飲もうぜー」
台所で支度しているアヤカさんに、バーに飲みに来たおっちゃんのように声をかけた。
案の定、台所から『オヤジ!』という声が上がっている。
「あ〜あ。今日は飲むわよ〜」
仕事帰りでお疲れの様子の保田さんは、早くも2本目の缶ビールを開けている。
ウチも、何となく飲みたい気分だったので、いつもより早いピッチで飲んでいた。

「んあ〜。アヤカちゃん、電話だよ〜」
リビングの電話が、せわしく鳴った。
エプロンで手を拭き、ぱたぱたとスリッパの音を立ててアヤカさんは走ってきた。
「ハイ…Oh,MIKA!」
ミカって…ハワイの従妹ってひとだよな。
アヤカさんはしばらく英語で近況を尋ねたりして、時々笑みをこぼしていた。
251 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月15日(土)00時15分48秒
「ちょ、ちょっとミカ!Wait…!」
アヤカさんは受話器を持ったまま、何か呆然としてた。
「…どしたの?」
保田さんが声をかけると、我に返ったように、いったん受話器を置いた。

「あのさ」
アヤカさんは、しばらく何か考えたような様子を見せた後、
「圭ちゃん、あたし今からハワイ行くわ」
と、まるで『そこのコンビニに行く』というように宣言した。

「…は?」
市井さんは目が点になってる。
ウチも、事態を把握するのに少し時間がかかった。
ハワイって…あのハワイだよね?
「また急だね〜。何かあったの?」
ごっちんが割に冷静に尋ねる。
「ハワイの従妹…ミカがね、両親から本当は自分と血のつながりがないことを聞いて、
すっごくショックを受けてるの。今、電話で泣いてたんだけど…」
「アンタはその、ミカちゃんと血のつながりがないってことは知ってたの?
さほど驚いてるようには見えないけど」
保田さんが言うと、ぽつりぽつりと話し出した。
「うん…子供の頃、偶然うちのパパとミカの両親が話ししてるの、聞いたことがあって。
…ミカの両親、あたしの父方の叔母夫婦なんだけど子供ができなくて、
施設からミカを引き取って養子にしたのね。
本当の子供のように…ううん、本当の子供以上にうんと愛情をこめて育てたんだけど、
養子だってことはなかなか言えなかったみたいなの。
…今、ちょうど感謝祭でミカが大学の寮から家に戻ってて、いい機会だから話したみたい。
本当のこと」
252 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月15日(土)00時18分39秒
「で。電話してきて、それを聞いたアンタはいてもたってもいられなくなったワケね」
「電話で…泣いてるの。『アヤカに会いたい』って」
アヤカさんは、すっごく切なそうな顔をした。
それを見て。
みんな顔を見合わせて、頷いた。
そして、市井さんが口を開く。
「成田まで送ってやるよ」


急遽、成田空港まで夜のドライブとなった。
アヤカさんは最小限の荷物だけ持って、常夏の国に向かう。
「♪はーるばるきたぜ はーこだて〜」
「「「違うやろ!!」」」
運転席の市井さんに、全員の容赦ないツッコミが入る。
アヤカさんはおかしそうに笑っている。
ウチは隣のごっちんとワケもなく頷きあう。
253 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月15日(土)00時20分39秒
最終便で一路ハワイ。
カッケー!
いくらキップが取れたからといって、ウチにはマネできない行動力だ。

アヤカさんはいつも落ち着いてて、ウチらのアホな暴走を、暖かく見守ってくれている。
保田さんがアニキなら、アヤカさんはアネキだ。
さっきの電話で、アヤカさんは普段の落ち着きからは考えられないくらい、呆然としていた。
それほど、大事なひとなんだろう。


ウチらに手を振ってゲートに向かうアヤカさんを見送った後。
あたしは保田さんにポツンと、
「大事な、従妹なんですね」
と言った。
「どう大事なのか、あの子も分かってないと思うけどね」
前を向いたまま、保田さんは薄く笑った。
「…へ?それって…」
「何でもないわ。それより、帰るわよ」
どうにも釈然としないものは残ったが、ウチも保田さんを追いかけてみんなと空港を後にした。
254 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月15日(土)00時28分14秒
更新しました。

♪>(`.∀´ ))))  (0^〜^0;)<???


レスのお礼です。

>ベリィさん
@ノハ@
( ´д` )<まあ、ツッコミは関西人のたしなみやしな

確かに読み返してみたら、姐さんと何ら変わりないですね(w
つーことは、姐さんはオバハ…(以下自粛)从 #~∀~从ノ<ゴルァ!

>クロイツさん
@ノハ@
( ´д` )<…ウチの口からはちょっと言えんワ

ご想像にお任せします(爆 ヽ^∀^ノ<Tバックだったりしてな!ギャハハ!
いしかーさんはピンク星人です。ピンクのために生まれてきたようなおひとです。
255 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月15日(土)17時46分38秒
ミカ登場ですか!三推し、いや四推し、まてよ!五推し!?
なので期待してますw
>あおのりさん
アホなレスにレスありがとうです
ここは小説スレだと小一時間(ryって感じで作者様スレ汚しスマソ
256 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月17日(月)11時49分17秒
アネキなアヤカさんが素敵過ぎます!!しかも最終便でハワイ…!!
か、かっけ〜!!一度やってみたいぃぃ〜!!

ミカちゃん登場楽しみ楽しみ♪
そして全員一致の突っ込みに爆笑。
いいですね〜!!彼女らのテンポ、大好きです♪

次回も楽しみにしております!!
257 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月19日(水)01時24分22秒
―――ハワイ。ホノルル空港。


約6時間半の旅を終え、アヤカはハワイに降り立った。
腕時計を見たら、朝の10時。
日本はまだ早朝だろう。一日先の。

『さて…』
実のところ、彼女はほとんど何も持たずに来てしまったのだ。
財布とパスポートだけ、とりあえずひっつかんで来た、というような状態だ。
スーツケースすら持ってない。


『とりあえず電話を…』
叔母の家に、公衆電話から連絡することにした。
二、三度呼び出しのベルの音が鳴って、
『Hello?』
ミカが直接出てきた。
『あ、ミカ?あたし…アヤカだけど、寝てた?』
受話器の向こうで一瞬沈黙があり、
『アヤカ…国際電話じゃないよね?今、ドコ?』
「空港。ホノルル」
電話の向こうの従妹は、絶句していたようだった。
258 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月19日(水)01時35分20秒
しばらくたって、ミカが車で空港まで迎えに来てくれた。
空港の前で待っていたら、白いオープンカーがすべり込んできた。

東京のアヤカに、あんな電話をかけてしまって顔を合わせづらいのか、
ミカは恥ずかしそうなバツが悪そうな表情だった。

「荷物は?それだけ?」
車のトランクを開けて、ミカが振り返る。
アヤカの手元には、小型のバッグだけだった。

「うん。何も持たずに来たから」
「着替えも?」
ミカは少なからず、驚いた様子だった。
「うん、急いでたから。足りないものはこっちで買えばいいと思って」
「そう…」
車に乗り込んで、ミカの家まで走る。


海沿いの道を、風を受けて走る。
アヤカは助手席で、気持ちよさそうに伸びをする。
ミカはしばらく無言だったが、やがて口を開いた。

「アヤカ」
「ん〜?」
「急に…どうして」
「どうしてって」
アヤカはおかしそうに笑う。
「『会いたい』って言うから」
ミカからの返事はなかった。
アヤカはさほど気に留めず、風景を見たりしていた。
259 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月19日(水)01時39分56秒
家に着くと、叔母夫婦は不在だった。
「ママたちは、朝から出かけてるから」
「うん」
ミカはキッチンに立ち、コーヒーの支度をする。
アヤカはリビングのソファーから立ち上がり、キッチンに歩いて行った。


「大学はどう?」
「ん〜。まぁまぁ。授業は厳しいけどネ」
ミカはコーヒー豆を挽きながら答える。
アヤカは頷いて、支度するのを手伝った。

ミカは今年、地元の大学に入学した。
普段は寮にいて、休日などに時々実家に帰っている。

「アヤカ、感謝祭まではいるんでしょ」
「うん、そのつもりで来たし」
「それなら…何でそんな少ない荷物で」
「最終便ギリギリだったから」
「どうして?」
「どうして…どうしてだろうね?」
アヤカは困ったように笑う。
確かに、無謀だったなとは思う。
朝が来るのを待って、改めて出発してもよかったのだが。

ミカはしばらくアヤカの顔を見ていた。
そして、
「…来てくれてありがとう」
鼻を鳴らして、アヤカのシャツを掴んで抱きついた。
260 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月19日(水)01時52分02秒
更新しました。

レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん

[ ^д^]<Oh!Thank you!

ミニモニ。コンボです。ミカがしっかり日本語喋ってるのは、私の拙い語学力ゆえです。
( ´D`)<レスにレスは気にしないでくらさい

>クロイツさん
川;‘.▽‘)||<さすがにちょっと無謀でした

アヤカ姉ちゃん、ロッカーの熱い血が騒いだようです。何しろアネキですから。
[ ^д^]<サスガニ、ビックリシタヨ
261 名前:登場人物紹介 投稿日:2003年02月19日(水)02時07分07秒
[ ^д^]:ミカ=タレッサ=トッド(18)。アヤカの父方の従妹。
      日本人とオーストラリア人のハーフだが、施設で育ち、
      3歳の時今の両親に引き取られた。義父はジャズピアニスト。


・海辺のアルバム

夏休みでハワイに来ているアヤカ―――

川‘.▽‘)||<写真撮ろうよ。ホラ、笑って ←アヤカ・13歳

[ ^д^]<えー、恥ずかしいヨ ←ミカ・10歳

川‘.▽‘)||<フフッ。ミカもそんなコト思うようになったんだぁ〜

[ ^д^]<もう〜。アヤカったら



ああ、覚えてる。覚えてる>川‘.▽‘)|| □と[^д^ ]<コレ、覚えてる? 
262 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月20日(木)00時13分35秒
昼食を取った後、ミカとアヤカはまた車でショッピングセンターまで出かけた。
夕食の材料の買出しと、アヤカのものを見に行く。

「ホンットに下着の替えすら持って来ないなんて」
運転しながら、ミカはあきれたように言う。
「だから急いでたんだってば」
「感謝祭まで着たきり雀でいるつもりだったの?」
「あ、結構近いかも。なければ洗えばいっかぁって」
「…あきれた」
アヤカは悪びれず、ニコニコ笑う。
ミカはルームミラー越しにちらっとアヤカの顔を見て、少しためいきをついた。


アヤカが日本のインターナショナルスクールを卒業した時。
『あたし、日本の大学行こうと思うの』
電話でそう聞いて、ミカは少なからずやショックを受けた。
『ハワイの大学受けるって…』
『うん。色々考えたんだけど、やっぱりこっちの大学にしようってね。
もういくつか資料とか取り寄せたんだ』

それを思い出して、ミカはまたためいきをついた。


―――その頃。日本では。

―――朝比奈女子高校。
「失礼しましたぁー」
小川麻琴は、職員室のドアを閉めて、だらだらと歩き出した。
そこで、ちょうど前を通りかかった紺野と目が合う。
「小川さん」
「お。ちょうどよかった。一緒に帰んねえ?」
「え?小川さん、クラブは?」
「いや…ハハ、しばらく出れねェの」
小川はバツが悪そうに、頭をかいた。
263 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月20日(木)00時16分58秒
実は小川のクラスでは、今日ちょっとした騒ぎがあった。
授業中に、生徒数名がいかがわしい写真集を回し読みし、教師に見つかったのだ。
ちょうど小川に回ってきたところで、運悪く教師に気づかれてしまった。
更にその数学教師はチアリーディング部の顧問でもあるので、こうやって放課後
呼び出されて説教をくらった上に、しばらくクラブの出入りも禁止された。

「いやー、まいったよー。まさかアタシのとこでピンポイントで見つかるとはさぁ」
下駄箱でスニーカーに履き替え、小川は笑う。
既にローファーに履き替えた紺野は、小川のそばで、あまり愉快でない気持ちで事情を聞いていた。

「まったく、ついてねェなぁ〜」
その割には、小川は楽しそうだ。
あまり落ち込んでる風にも見えない。
校門を出て、紺野は小さな声で、
「…そういう本を見て、楽しいものなのでしょうか」
小川の顔を見ずに言った。
「エー?べっつに、楽しいとかじゃないと思うけど…なんだろ?う〜ん、興味があるっつーか」
「小川さんも…そういうのがお好きなんですね」
相変わらず、紺野は目を合わせない。
「え?オーイ、紺野?なになに、なんだよぉ〜」
スタスタと歩いていく紺野を追いかけ、小川は小走りになった。

―――同じ頃

学校の図書室前で、加護は泣きじゃくる辻を慰めていた。
「うえ…ヒック!ま、まごっぢゃんがクラブ出られなくなっだのは、のののぜいれす!」
「ハァ?なんでまた?」
「の、のののクラスの子がエ、エッチな本見てて、まこっちゃんのクラスまで本が行ったれす。
ののが止めなかったのが悪いんれす。だから、今から先生にのの、怒られに行くれす」
264 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月20日(木)00時20分26秒
「でも、でも!」
「まあ、また騒ぎが大きくなるんはアレやから、しばらく様子見ような。猪木も別に停学くらったとかや
ないんやし」
そう言って、加護は辻の頭をぽんぽんと叩いた。
「ホラ、帰んで。今日は中澤はん、クリームシチューって言うてはったで」
辻は両手で目をこすりながら、コクンと頷いた。


「よ〜う。紺野、何怒ってんだよ?」
「怒ってません」
学校近くの公園で、やっと追いついた小川は、紺野に並んで彼女の顔を覗き込む。
紺野はやはりスタスタ歩く。
「アタシ、何かヤなこと言ったか?」
「いえ」
「じゃ、何でムシすんだよぉ」
「ご自分の胸に手を当てて聞いてみてください」
そう言われて、小川は素直に手を当ててみる。
何度か首を傾げ、
「分かんねえ」
キッパリと言い放つ。
その様子を見て、紺野はあきれるのを通り越して、ある種の愛しさすら湧いてくるのを感じた。
オリーブ色のダッフルコートを着て、自分の方を悪気なく笑って見てる小川を見て。

『…まったくこのひとは』
恋に落ちたことを、実感した。
265 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月20日(木)00時23分32秒
更新しました。

∬∬;`▽´)<オーイ?ナニ怒ってんの? 川o`-´)<……
266 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月20日(木)00時48分38秒
>>263最後の行に追加してください。コピペで抜けておりますた。スマソ

>>263

「べっつに自分が悪いワケやないやん。猪木も運が悪かっただけやがな」
加護はあきれて言った。
267 名前:南風 投稿日:2003年02月20日(木)11時41分01秒
更新お疲れ様です。
そしてお久しです。
紺ちゃん・・・恋に落ちたあなたが素敵です☆
青春最高ッス!!かっけ〜☆☆☆
268 名前:ベリィ 投稿日:2003年02月20日(木)12時56分28秒
や〜こんこんったら、ついに恋に落ちてしまいましたか!
うんうん、おねぇさんは応援しますよ。(←ヲイ!)

泣いてるののちゃんを慰めてあげてるシーンいいですね〜。
あいぼん優し〜w 愛を感じました。(w

…ごっごめんなさい、中澤さん!そ、そんなつもりじゃ…!
从 #~∀~从ノ<わざわざ蒸し返すな!ゴルァ!!
( `◇´)<まーまー落ち着き。
269 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月20日(木)21時03分09秒
―――中澤家

「んで、アヤカさんカッケーの!最終便でハワイだよ、ハワイ!」
時は少し遡って。
空港でアヤカを見送った翌日。
朝食の席で、吉澤は興奮気味にアヤカのことを梨華に話していた。
昨夜は戻るのが遅く、梨華はもう休んだ後だった。
辻加護は先ほど慌しく学校へ出かけて行った。
「すごいね」
梨華も興味深くその話を聞いている。
尤も、会話に挿入される吉澤のゼスチャーが面白いのもあるのだが。
さっきなんかはフラダンスをくねくね踊り、出かける寸前の加護に冷めた視線を投げかけられていた。

「なんつーの?大事なひとのために一直線?くぅ〜!カッケー!」
吉澤は箸を握り締めて唸る。
「ひとみちゃんも」
梨華が口を開いた。
「あたしがツライ時に、そばにいてくれる?」
「もっちろん!犬ぞりに乗ってでも行くよ!くぅ〜!」
一体ひとみちゃんはどこへ来てくれるつもりなのだろう。犬ぞりって…。
多少困惑する箇所はあったが、梨華は吉澤によりかかって腕を取り、
「…ありがとう」
微笑んで、目を伏せた。
270 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月20日(木)21時13分14秒
――― 一方、ハワイのアヤカは

いきなり自分が来たことを、叔母夫婦は驚いていたが、歓迎してくれた。
初日の夜は流石に疲れたので、ゲストルームでシャワーを浴びたら、そのまま
ベッドにつっぷして眠ってしまった。

気がついたら、部屋中に明るい光が満ちている。
アヤカはひどい喉の渇きを覚え、ぐったりと枕にすがった。
「いま…何時だろ」
ベッドサイドの目覚ましを掴むと、昼の1時を過ぎている。
少なくとも、14時間は寝ている。
「寝過ぎた…ヒドイ顔してるだろうな」
体を起こして、ぼさぼさの頭をかいた。

ドアがノックされた。
「ハイ」
「起きてる?そろそろランチにするけど」
「あ、うん」
ベッドから出てドアを開けると、ミカが少し驚いた顔をし、やがてぷっと吹き出した。
「何?」
「ううん…お化粧してない顔、ヒサシブリに見たから」
そう言われて、アヤカは思わず自分の顎に手を当てる。
着替えたら来てね、と言い、ミカはドアを閉めて行ってしまった。
271 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月20日(木)21時14分32秒
キッチンに行くと、ミカがエプロンをつけてチキンを焼いていた。
「おばさんたちは?」
「あ、うん。パパが急に仕事入って、ママも一緒に行っちゃった」
テーブルに手紙があるから、と言われて、走り書きの紙を手に取る。
せっかく来てくれて申し訳ないが、知り合いに頼まれて急にピアノ演奏の仕事が入ったので
しばらく家を空ける。感謝祭までには戻るので、家の事とミカを頼む、と書いてあった。

「ミカは一緒に行かなかったの?あたしなら留守番してたのに」
「遠いし」
サラダを盛り付けながら、ミカは答える。
「アヤカといたかったから」
そう言われて、何故だか、柄にもなく照れてしまった。

それから2,3日は特に何もなく穏やかに過ごしていた。
ある日の朝。

「おはよう、おねぼうさん」
昨夜遅くまで話し込んでミカの部屋で寝てしまい、気がついたら朝だった。
先に起きて朝食の支度をしてたミカが起こしに来て、頬に軽くキスをする。
「うん」
自分もキスを返す。
「顔洗ったら、キッチンに来てね。目玉焼きが冷めちゃうヨ」
パタパタと室内履きの音を立てて、部屋から出て行く。

キスなんて挨拶で、昔から朝晩してるが。
何か普段とは違うものをアヤカは感じ、しばらくミカが触れた頬を押さえていた。
272 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月20日(木)21時21分38秒
更新しました。

>南風さん

川#・-・)<い、いえ。そんな…わたくしの片想いですし…

どうもオヒサスブリです。紺野先生、ついに自覚しますた。
青春…甘酸っぱくてイイ感じですね(w

>ベリィさん

川#・-・)<は…恥ずかしいです。

落ちました(w 若いってスバラシイ。姐さんはみっちゃんがなだめてるのでOK牧場。
>あいぼん優し〜w 愛を感じました。(w
辻には優しいんです(w
273 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月20日(木)23時03分35秒
ココナッツ娘コンビ良い!
小川さんエロ本なんてヲヤジですね(w
274 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月21日(金)15時29分12秒
うをををををを…!!!
おがこん最高です…!!怒っちゃうこんこんも可愛いですが、エロ本回し読みに参加するまこっちゃんも素敵☆
…そーいや私も高校時代、回って来たなぁ。エロ本。女子校だったんですがね。
しょっぱい思い出を思い出しました。…いや、私はそんなに見なかったですよ?ホントですよ?

ミカちゃんとアヤカさんも…なんだか良いカンジっ!!
先が楽しみな二人です♪
次回も楽しみにしております!!
275 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時39分39秒
―――ある日の夜。
アヤカはネットカフェで、日本にいる保田とチャットをしていた。
用事で出かけてるミカとここで合流し、その後クラブへ繰り出す予定だ。

Kei:で、アンタ次のライブはどうすんの。
AYAKA:間に合うように帰るケド…間に合わなかったらゴメンナサイ
Kei:カオリが代われって言ってる
KAO:やっほー!元気〜?
AYAKA:うん、元気〜!また飲みに行こうね
KAO:圭ちゃんはムシして(笑)
AYAKA:(笑)
Kei:放置かよッ!

入り口の方に目を向けると、ミカが小さく手を振っていた。

AYAKA:ごめん。ミカが迎えに来たから、もう行くね。サヤカたちによろしく。
Kei:おうよ。
KAO:バイバ〜イ
AYAKA:カオリン、おやすみ〜
Kei:アタシはムシかい!(爆)

笑ってPCを閉じ、カフェを後にする。

ミカの運転で、彼女がよく行くというクラブに向かう。
『ミカも…クラブ通いするようになったんだなぁ』
保護者のような気持ちで、しみじみとする。
276 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時41分45秒
アヤカは中学3年から高校2年になるまでハワイにいた。
元々日本でもインターナショナルスクールに通っていたが、両親の意向で
ハワイに留学したのだ。

『遊びまくってたよなー、我ながら』
学校では優等生だったが、夜遊びは派手だった。
学校の寮に入っていたが、週末になるとクラブへ足を向けていた。

『あの頃遊んでた子たち、元気かなー』
しばし、思い出にふける。

「アヤカはすっごい遊んでたんだよね」
おかしそうに、ミカが言った。
「あ、うん。若気のいたりっていうか」
「今も遊んでるの?」
「あ、今は…フツー」

『年取ったなぁ〜…いや、昔が遊びすぎたのか』
帰国してバーで初めて保田と会った頃には、すっかり派手な遊びに飽きて
多少おとなしくなっていた。
むしろ、保田とつるんで遊ぶのが楽しかった。

『圭ちゃんとよく飲んだっけ』
『飲んだっけ』などと言ってるが、その時点で、アヤカはまだ17歳だった。
保田はからかうとムキになるので、楽しくて、アヤカはよくちょっかいを出していた。
本気でムキになって怒っている、大学時代の保田の顔を思い出す。

クラブに到着し、中に入って行く。
顔なじみの常連とおぼしき連中に、ミカは次々明るく挨拶していく。
『まあ…さほどヤバくはなさそうね。健全、健全』
店の様子を見て、アヤカは心の中で呟く。
自分が昔遊んでたからこそ、従妹がどのようなところで遊んでいるのか気になる。
ミカと特に仲のいいグループのところに連れて行かれた。
ミカに従妹と紹介され、アヤカは自分よりやや年下の男の子や女の子たちと握手する。
気のよさそうな子たちだったので、よかったとまた安心する。
277 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時43分17秒
「ヤバそうなトコじゃなくて安心したわ」
席に着いて、アヤカはぼそっとミカに言った。
「え〜?」
「よさそうな子たちじゃん」
ミカは苦笑して、
「コドモ扱いして〜」
口を尖らせた。

とりあえず、ほとんど何も持たずハワイまで来たが。
ミカは両親と夜通し話し合い、自分が本当に大切にされていることを改めて実感したようだった。
数日前、ミカの部屋で話した時、彼女は照れくさそうに『ごめんね』と謝った。

『よかった…あたしの出番も、もう終わりかなぁ』

アヤカは、もうこの子の姉代わりは卒業かなぁ、と考える。
ここ数日、ミカと行動をともにして。
本当にオトナになったな、と何度も思った。
小さい頃は自分にくっついて回ってたのに。
クラブまで通うようになった。

『もう、妹じゃなくなるんだよなぁ』

一抹の寂しさを感じ、アヤカはタバコをくわえた。


「どうぞ」
声がする方を向くと、ハタチ前後の男の子が火を点けたライターを自分に向けていた。
『なんだかなぁ』
アヤカは少々げんなりしたが、ミカの友達なのでムゲにはせず、
「ありがとう」
笑顔でタバコを向ける。
「ミカの従妹だそうで」
「エエ。あなたは日本人?」
「ハイ、高校から留学してるんです」
なるほど、髪は染めているがよく見ると日本人だった。
彼はきっとモテるのだろう。
立ち居振る舞いも、スマートだった。
278 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時44分25秒
「踊りませんか」
めんどくさかったが、了解し立ち上がる。
ミカに『踊ってくるね』と声をかけると、一瞬驚いた顔をし、すぐに
「ああ、うん。行ってらっしゃい」
笑顔で言った。

『…なんだろ?ヘンなカオしてたけど』
アヤカは首を傾げる。
踊っていても、気もそぞろだった。

彼は踊っている間、どこに住んでるのかとか、いつまでハワイにいるのかとか。
親しげに聞いてきた。
昔、遊んでた頃。
こうやって何人にも声をかけられたな、と冷静に考える。
男にも。女にも。
彼らは親しさを装った強引さを、駆け引きの中でチラつかせた。
遊びに夢中だった頃は、そのスリルが楽しくて仕方なかった。
今はただ、鬱陶しいものでしかない。
モテることを鬱陶しく思うようになれば年かな、とアヤカは思った。



「アヤカさん」
声をかけられ、ビクっとする。
「あ、何?」

『一緒に、抜け出しませんか?』
彼は耳元でいたずらっぽく囁いた。
279 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時45分47秒
「やめとくわ」
アヤカは笑顔だったが、きっぱりと言い放った。
ちらっとフロアの隅の方に視線を移すと、ミカが泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
「残念。すごく僕好みなのに」
彼は肩をすくめた。
『アンタの好みはどうでもいいのよ!』
アヤカは心の中で罵倒し、それでも笑顔で『失礼』と言いミカの元へ行った。

「ミカ!」
アヤカが声をかけると、ミカは泣き出してしまった。
「何?どうしたの?」
事情を聞きだそうとしても、ただ泣くばかり。
アヤカは途方に暮れた。

「アヤカさん」
さっきの男がまた近づいてきた。
『何の用よ!』
アヤカは人知れず舌打ちする。

『今度は年上の日本人かぁ?』
どこからか、茶化すような声が聞こえる。
振り向くと、男や自分たちを囲んでニヤニヤと笑っている連中がいた。
「察するに」
アヤカは今にも爆発しそうな自分を抑え、努めて冷静な声を出す。
「アナタはミカと付き合ってるのね」
「もう別れましたけどね」
悪びれず、彼は言った。
ミカは耐え切れず、その場から走り出してしまう。
「そう」
アヤカはニッコリ笑った。
そして、男の胸倉を掴んで、こう言った。
「アタシがキライなのはね」

「大勢の前で、女に恥をかかせるヤツよ!」
思いっきり床に転がして、クラブを後にした。
280 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時46分41秒
「ミカ!」
アヤカはミカを追って、夜の繁華街を走っていた。
ミカは道を曲がろうとしたところで、アヤカに腕を掴まれる。
「離してよ!」
「何言ってんの!」
ずるずると引きずって、乗って来た車を取りに行く。

帰りは、アヤカが運転した。
ミカは何度もすすり上げ、泣きじゃくっている。
「まあ、とりあえずすぐ追いついてよかったわ」
「…何で」
「うん?」
「どうして、追いかけて来たの」
アヤカは脇に車を寄せて、一旦止めた。
「どうしても何も…あのまま追いかけずに、ミカにもし何かあったら」
アヤカは少し間を置いて、
「アタシは一生、後悔する」
静かにだが、強く言い切った。
「ママとパパに頼まれてるから?」
「それだけじゃない」
「従妹だから?」
「それだけじゃないってば」
「じゃあ、どうして?」
それを言われると、アレなんだけど。
ミカの方を見ると、潤んだ目で、自分を見ている。
アヤカは困惑した。
「あ〜…『ミカだから』って言えば、納得してくれる?」
「分かんないヨ!妹みたいなモンだからデショ!」
「ああ、もう〜!じゃ、ミカはアタシのことどう思ってんのよ!」
アヤカは半ばヤケになって叫んだ。
だが意外にも返ってきたのは、

「一番愛してるヒトだヨ!」
「…え?」
アヤカは、固まってしまった。
281 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時47分58秒
「あ、あのぉ?」
恐る恐る尋ねると、ミカは真っ赤な顔をして俯いている。
「ミカ…?」
とっさに、ミカが顔を上げる。
「好きだったヨ!子どもの頃から、ずっと!アヤカが!」
あまりにもストレートな告白に、アヤカは呆然とする。
「子どもの頃って…あの、さっきの男の子は?それに、アタシが知ってるだけでも過去に
何人かと付き合ってるんじゃ?あ、責めてるんじゃないわよ。好きって言うんなら、
何でかなぁっていう純粋な興味であって…」
「だって、アヤカはあたしを妹としか思ってないんだもん」
『あたしなんか眼中にもなかったし』とも付け足す。
「ああ…うん」
「いっぱい付き合ってるひといたし」
過去の話を出され、苦笑する。
さっきの男のようなのに、過去何度声をかけられたか。
悪行を知られてるだけに、笑うしかなかった。

車を走らせ、ビーチに出た。
赤道直下の国とはいえ。
感謝祭前の夜の海は暑くない。
「寒くない?」
アヤカは助手席の方に声をかける。
「うん…大丈夫」
ミカはノースリーブのドレスだった。
言葉とは裏腹に腕をさすっているので、少し笑って上着をかけてやる。
282 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月21日(金)23時49分26秒

「子供の頃は、よくこうやって夜、家を抜け出してビーチに来たね」
ミカがアヤカの肩に顔をもたげて目を閉じる。
「うん」
「ママたちにすっごい怒られて」
「ハハッ。外出禁止令出されて」
「それでもアヤカ、踊りに行ってたヨ」
アヤカは苦笑して、ミカの髪をくしゃくしゃと撫でる。
ミカは少し顔を上げて、悪戯っぽく笑う。

満天の空の下。
軽くキスはしたけど。
アヤカの中では、まだいとこ同士のキスだった。


―――東京。保田宅。

「お、メールが来てる」
保田がPCを起動させると、アヤカからメールが届いていた。

『自分の気持ちが分かりません』

たったひとこと、こう書かれていた。
283 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月22日(土)00時01分53秒
更新しました。

どしたの?>川‘〜‘)||  うん?フフッ♪>( `.∀´)〔PC〕

レスのお礼です。

>名無しかも〜んな!さん

川o・-・)<ヲヤジとは思いませんが…破廉恥です
∬∬;`▽´)<素で怒ってる!怒ってる!マジ、こえー!

女子校ならではです(そうか?)。今回は、ココナッツスペシャルです。

>クロイツさん

川o・-・)<怒ってはいないのですが…あきれました
∬∬;`▽´)<だから目が笑ってねェて!

いや、なかなかしょっぱい思い出で(w ココナッツ、今回出ずっぱりです。





284 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月22日(土)00時38分17秒
間違いハケーン。スマソ

>>276

ミカに従妹と紹介され→ミカに従姉と紹介され
285 名前:あおのり 投稿日:2003年02月22日(土)10時52分44秒
従姉妹⇔恋人でアヤカさん揺れ動いていますねー
普段オトナなアヤカさんのこんな姿は非常に新鮮です。かっけー
ヤッスー同様私も応援させていただきます。

遠距離恋愛にしても程がありますが、毎回ハワイにいけるのは良いかも(w
286 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月22日(土)11時42分58秒
ヤッスーへのメールが素敵過ぎるわ、アヤカさん…!!
遊び人な過去も大暴露。…か、かっけぇぇ〜!!!
ますます目がはなせませぬ…。

しょっぱい思い出…授業中、カップラーメン回って来た事もございます。
次回も楽しみにしております!!
287 名前:南風 投稿日:2003年02月22日(土)23時09分53秒
かっけえッスよねぇ(しみじみ)
『あのまま追いかけずに、ミカにもし何かあったらアタシは一生、後悔する』
自分も思ったことあります。
アヤカ姉さん、あんたぁ悩んでてもかっけ〜☆
288 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月24日(月)23時13分57秒
―――吉澤視点

アヤカさんがハワイに旅立った数日後。
ウチは梨華ちゃんと恵比寿に向かった。
連休を利用して、幼なじみのあやゃと美貴ちゃんが東京へ来てるのだ。
駅の改札でふたりと待ち合わせ。ウチのバイトが上がってからなので、
時間は夜の8時半になった。

「はぁー、緊張する…」
電車で恵比寿に向かう。
梨華ちゃんは、自分の胸を押さえてぎゅっと目をつぶった。
「なんで?緊張するよーな相手じゃないよ」
ウチはつり革につかまって笑う。
「だって、ひとみちゃんのおさななじみなんでしょ?
家族みたいな人なんだし」
「まあ、妹みたいなモンだけどさ。そんなアガることないから」
「うん…」

待ち合わせにはまだ10分ほどあったけど、ふたりとももう来ていた。
「ひーちゃ〜ん!」
あやゃはぴょんぴょんはねてる。
ハハ、めちゃ浮かれてるな。
美貴ちゃんは笑ってペコリと頭を下げた。
「よー、お待たせー」
「あ、その人が梨華ちゃん?」
あやゃはウチの後ろにいた梨華ちゃんを見て、うれしそーな顔をする。
「あ、あ、ハイ!石川です!よ、よろしく!」
梨華ちゃん、緊張しなくていいって言ったのに。カチンコチンだ。
真っ赤になってる…かわいいなぁ。
「や〜ん、かわいい〜!ひーちゃんにはもったいないよ」
「何でさ!」
「アハハ、ひーちゃんマジ怒ってる」
「あ、当たり前じゃん!」
「まま、とりあえずゴハンにしましょう」
美貴ちゃんがとりなして、ウチらはあやゃが行きたいという焼肉屋に向かった。
289 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月24日(月)23時14分53秒
「あ、ここ柴ちゃんと来たコトある」
お店に入る前、梨華ちゃんが言った。
「そうなの?」
「うん、ハラミがおいしくってね〜」

ウチはあんまり肉には興味がないので、サンチュばかり食べてた。
梨華ちゃんおすすめのハラミを少し食べたら、なるほどおいしかった。
「も〜!ひーちゃんはぁ!焼肉屋に来たらお肉食べなきゃダメじゃん!」
あやゃに怒られる。
あやゃの横で、美貴ちゃんはうれしそうにひたすら食べてた。
「美貴ちゃん、お肉好き?」
その様子に感心しながら言うと、
「ハイ!毎日でも一日三食でもいけます!」
満面の笑みで返ってきた。
肉食だぁ〜。
「美貴の主食は焼肉だもん」
あやゃはしみじみと言った。
…主食。
ウチには考えられん。
「レバ刺し追加していいですか?」
美貴ちゃんはウチらの了解を得ると、即店員さんを呼んでレバ刺しを追加注文した。
290 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月24日(月)23時16分02秒
腹ごなしにブラブラして、カラオケルームへ。
これからオールでカラオケだ。

「あ、あたし歌は…」
梨華ちゃんがあたしの服の袖を引っ張って、泣きそうな顔になる。
「あ、や。大丈夫。ヤなら歌わなくていいし、オールだから眠たくなったら寝たらいいし」

そういや、ウチらCUBICのライブの打ち上げでカラオケ行った時も、
梨華ちゃんは『あたし音痴なのに…』と暗いカオをしてたな。
柴っちゃんと市井さんに煽られて、結局『セクシーベイベー』を歌わされてたっけ。
まあ、ウチが助っ人で一緒に歌ったんだけど。
梨華ちゃん、人見知りするからなぁ。
つーか、あやゃは緊張するよーなヤツじゃないし。

「だーいじょーぶ。ホラ、この前みたく一緒に歌おうよ?梨華ちゃんの好きな歌でいいからさ」
梨華ちゃんの背中をぽんぽんと軽く叩いて、案内された部屋に入って行く。

さすが、あやゃの彼女と言うべきか。
美貴ちゃんも相当なカラオケ好きだった。
藤元ミキの『ロマンティック浮かれモード』を美貴ちゃんが歌った時、あやゃがサビの部分で両手を
上で叩きながら回り出した。
ウチもつられてやっちまった。
梨華ちゃんはやや引いてたけど、2番の時は笑いながら一緒に回ってた。
あやゃの『東京美人』の時は、『エルオーヴィイー!ラブリーユウコ!』とか
フリつきで叫んで。
291 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月24日(月)23時17分25秒
最初の緊張はどこに行ったのか。
梨華ちゃんは結構ノって歌ってた。
どうも、柴っちゃんあたりが慣れさせてるようだ。

ウチもめちゃ感情こめて『大きな古時計』歌ったら、
あやゃに『ひーちゃん!“動かないィ〜”の“いィ〜”長すぎ!』とゲラゲラ笑われた。

そんな感じで、明け方5時まで過ごして。


「じゃ、ひーちゃんまた遊んでねー!」
渋谷で適当に朝ゴハンを食べた後、あやゃは手を振って美貴ちゃんと帰って行った。

何か、ふたりに当てられっぱなしな一日だった。
梨華ちゃんはふたりの後姿を見送りながら、「亜弥ちゃんってかわいいね」と微笑んだ。
「うん、まあ。幼なじみだしね」
ウチはとんちんかんな答えを返し、明けたばかりの渋谷の街を、梨華ちゃんと
手をつないで歩いた。
292 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月24日(月)23時18分58秒
更新しました。

(((0^〜^0))) ♪ローマンティック コーイノ

マワリスト・ひーちゃんの巻。


>あおのりさん
( `.∀´)<飛行機乗ったらあっという間じゃん
川;´.▽`)||<いやぁ…さすがにねぇ。それより何より従妹だし

ヤッスーは東京で届いたメールを見てニヤニヤしてるとオモワレ。応援どうもです。
時差19時間。日付変更線を越える恋ですからねぇ。

>クロイツさん
( `.∀´)<ホホッ。アヤカは『勉強の出来る不良』だったからね〜
川;´.▽`)||<も、も。昔のことだし… 

ハワイに行ってハジけたワケではなく、日本にいる頃から遊んでたようです(w
カップラーメン、本当にしょっぱくって女子校ならではですね(w

>南風さん
( `.∀´)<ヒューヒュー!カッケー!よっ!オトコマエ!
川;´.▽`)||<自分だってカオリちゃんには弱いクセに〜

恋愛感情うんぬんは別にして、ミカは心から大事な存在なのです。
南風さんもカッケー!
293 名前:南風 投稿日:2003年02月24日(月)23時49分16秒
ぬおっ!!
自分今日恵比須経由で広尾まで(こんな雪のちらつく中・・・)行ってきました。
何だか景色がだぶって不思議な感覚ですねぇ。
よし子の歌う『大きな古時計』・・・名作ですね(w
294 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月25日(火)01時00分34秒
あやゃ&美貴タン、キタ〜!!!
いいらさんと3人で食事して以来の登場でしょうか?
ごまさんの書くあやゃ、自分は一番好きです。可愛くて最高れす♪
随所にMステやハロモニの小ネタが入ってて、ツボでしたw
295 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月25日(火)14時29分18秒
はずかし梨華ちゃん可愛い〜!!
Wデート…なんだかこっちがドッキドキはあとはあと
あやみきも良いですが、やっぱいしよし最高〜!!!

焼肉屋で肉を食わないヨッスィーと、焼肉が主食のミキティ…素敵過ぎます。
次回も楽しみにしてますね〜♪
296 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月25日(火)17時19分14秒
マワリストかっけー ラブリーゆーこもいいっすね〜
カラオケのオール若い時はできてたのに今は・・・(ニガワラ
若いっていいな〜
297 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月25日(火)19時56分38秒
―――吉澤視点

帰ったら、ちょうどみんな朝ゴハンだったらしく、
中澤さんや辻加護、平家さんがいっせいに
「「「朝帰りや〜(れす〜)」」」
とニヤニヤした。

「なななな、なんスか!なんもしてませんよ!ええ!カラオケオールでガンガン歌いまくりましたよ〜!」
「ほぉ〜。若いってエエなぁ〜。なあ、みちよ」
中澤さんがやっぱりニヤニヤして横の平家さんにフッた。
「何でウチにフんの」
余計なことを言ったと思われる平家さんは、ばしっとはたかれ、涙目で頭をさすりながらお味噌汁をすする。
「メシは食ったんやな」
さっき、梨華ちゃんが電話をかけてたので、ウチらの分は用意してない。
「あ、ハイ。すんません、少し寝ます…」
コーヒーだけもらい、そのまま2階に上がる。
部屋を開けてベッドにつっぷして、気がついたら…爆睡してた。

「…ん」
目が覚めたら、毛布をかぶって寝てた。
ウチのじゃない。
ああ〜…また、お布団かぶらないで寝て、梨華ちゃんにかけてもらったんだな。
ぼりぼり頭をかいて畳の目覚ましを見ると、12時を過ぎてた。
おおー。4時間は寝たな。
爆睡したから、結構すっきりしたよ。

「うおー!遅れるでェー!」
戸を開けると、あいぼんが休日なのに制服を着てどたどた廊下を走ってた。
「どこ行くのさ」
「ガッコや!今日は泊りがけで天文部の天体観測あるんや!」
「天文部?アンタ、ギター部じゃん」
「地学のセンセーが来てもエエゆうたんや!うおー!のの、もう支度したやろか?」
でかいボストンバッグを抱えて、どっどっどと、階段を駆け下りてった。
298 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月25日(火)19時57分35秒
「ひとみちゃーん、起きてる…あ、起きてたんだね」
入れ替わりに、梨華ちゃんが階段を上がってくる。
「あいよ。あ、布団あんがと」
「あ、ううん。あのね、ごっちんが遊びに来るって」
「ほう。あ、平家さん来てたけど、中澤さん出かけたの?」
「うん、ドライブだって。朝ゴハン食べてから出かけたよ」
そういや、帰ってきた時、平家さんの車が停まってたな。
今日は天気いいから、ドライブしたら気持ちいいだろうな。
「すぐにごっちん来るって」
「うおーい。じゃ、ウチも支度するよん」
ベッドに仰向けになる。
ああー、いい天気だなぁ。
絶好の、まったり日和。
ぐーんと伸びをして、窓から差し込む太陽の光に目を細めた。

「んあ〜」
ごっちんは、本当にすぐやって来た。
「おおう、いらっしゃい」
ウチはベッドから体を起こした。
戸を開けたままだったので、ごっちんは『お邪魔しまーす』とそのまま入ってきた。
「んあ、いちーちゃんから預かってたバンドスコアね。んで、これはオミヤゲ」
ごっちんは、カバンからごそごそと何かを取り出した。
見ると、駄菓子だった。
子供の頃、よく買って食べたような。
「昨日、いちーちゃんと行って来たの。梨華ちゃんも好きかな〜」
「ん。んじゃ、呼んでくるわ」
階段を降りてって、梨華ちゃんを呼びに行く。
ちょうど、お茶の支度をしてたようだった。
299 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月25日(火)20時00分20秒
―――同じ頃。

紺野は、昼過ぎから保田の家に遊びに来ていた。
リビングのソファに座り、ケーキとお茶をごちそうになる。
「ホホッ!何にもないけどね、くつろいで頂戴!」
「ハイ、ありがとうございます」
「今回は、前回の反省も踏まえ、買物に行かせました」
紺野の横で、飯田がクッションを抱え、ニヤニヤ笑う。
連休は札幌の実家に帰る予定だったが、両親が旅行に行くため、そのまま東京にいたのだ。
からかわれた保田が飯田にゲンコツを振り上げるマネをするのを、紺野は笑って見ている。
「先生とカオリさんは…お似合いのカップルですね」
そう言われて、保田はコーヒーを飲むのを一瞬止める。
飯田も、さすがに照れて赤くなって微笑んだ。
「まぁ…友達の期間が長かったしね」
保田は苦笑いして、飯田と顔を見合わせる。
飯田も、同じように笑って頷く。
「どれくらいですか」
「う〜ん…初めて会ったのは、カオリが大学入って北海道から出てきた時だから…もう4年くらい?」
「早いねぇ」
飯田も当時を思い出して、しみじみする。
「コイツはホントワガママでさぁ」
保田が苦笑いしながら言うと、飯田は『もぉ〜』と頬を膨らませる。
その後しばらくお茶を飲みながら、紺野はふたりのなれそめを聞いていた。
300 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月25日(火)20時01分38秒
更新しました。

レスのお礼です。

>南風さん
(0^〜^)¶<♪今はもう 動かないィ〜!

何となく恵比寿辺りの叙々○とかで焼肉を食ったって感じで書きますた。
よっちぃの『大きな古時計』は熱唱だったとオモワレ

>名無し読者さん
从‘ 。‘从<ありがとうございま〜す♪

それ以来の登場です。細かいとこまで覚えててくださってて嬉しいです。
あやゃはいしかーさんくらい書くのが難しいんですが(ニガワラ。ありがとうございます。
 
>クロイツさん
( ^▽^)¶<♪〜 ←マイクを握って離さない

恥ずかしがってたワリには、マイク握って離しません(w
美貴帝はよっく食べますよね〜。なのに何であんな細いんだ(w?

>名無しかも〜んな!さん
((( ^▽^)))<♪楽しいでーす!

カラオケオール、この前ヒサブリにしました。若いっていいな〜と確かに思いますたね(ニガワラ
最近娘。さんたち、テレビでよく回ってますよね(w?
301 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月25日(火)22時33分56秒
朝帰りいしよし。うれしそうに疑われてる二人が素敵ですわ♪
そして…こんこんの発言が意味深に聞こえちゃったんですが!!私!!錯覚?
思わずニヤニヤしてしまいましたYO。
ノロケに突入しそうなかおけいもナイス☆

カラオケオール…私、した事ないんですよ。家が厳しくて…。
昔、連絡したにもかかわらず、帰りが一時過ぎたら…捜索願出されそうになっておりました(爆笑)。
厳しいっつーか過保護っつーか。
しかも十二時過ぎたらおきてられません☆(←子供)
ののたんはどうなんでしょうねぇ…。
302 名前:名無し川o・-・) 投稿日:2003年02月26日(水)10時17分21秒
いつも楽しみにしています。
ごまべーぐるさんの書くカップリングって本当に素敵ですよね。

カラオケオール、この前久しぶりにしました(笑)
桃色片想いのフリの指差しは普段、後藤さんもやるようですね(笑)
303 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月26日(水)23時04分37秒
―――吉澤視点

下の居間に移動して、ごっちんのおみやげの駄菓子をみんなで食べる。
出かけたはずのあいぼんとののが何故かいるので、『出かけねーの?』と尋ねたら、
「あいぼん、集合時間を一時間半も早く勘違いしてたれす」
と、ののがよっちゃんイカを食べながら笑った。

玄関のチャイムが鳴る。
梨華ちゃんが出ると、ウチあての宅配だった。
「ひとみちゃん、ハイ」
「おー、やっと届いたかぁ〜」
念願の品が届いたので、ほくほくと箱を開ける。
「なんやの?」
あいぼんが、後ろから覗き込んだ。
「通販で買ったシーツと布団カバーだよん。枕カバーもあるでよ」
「はぁ〜…これから冬やのに、この色…」
通販のカタログで見て、何かよかったので思い切って申し込んだ。
ウチはよく知らないんだけど、有名な雑貨屋さんのものだった。
「んあ〜、キレイな色だね〜」
ごっちんが、のんびり言った。
海の底みたいな、濃いブルーだ。
カタログの写真と現物は結構、差があるものだけど、このシーツはそんな言うほどでもなかった。
梨華ちゃんも、『キレイね』と笑った。
「海みたいな色れす」
ののも笑って言った。
304 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月26日(水)23時06分02秒
しばらくたって、ののとあいぼんは出かけて行った。
ごっちんがアメ玉をあげると、あいぼんは嬉しそうに頬張った。
あいぼんはあたしの言う事なんかまず聞かないけど、ごっちんの言う事は素直に聞く。
ホンット、ごっちんが好きなんだな〜。



「本当に、送って頂いてもよろしいのでしょうか」
夜。
夕食をよばれた後、紺野は保田に車で送ってもらうことになった。
「ハハハ、構わないわよ。そのままウチらはドライブして帰るから」
保田が言うと、助手席の飯田も頷いた。
「カオリさんはお料理が上手ですね。今度、教えてください」
「オッケー。圭ちゃんとまとめて特訓するよ」
「アタシは一応出来るわよ」
「いや、応用きかないし」
ふたりがじゃれてるのを、紺野は後ろでほのぼのとした気持ちで見つめる。

今日聞いて印象的だったのは。
まだ保田と飯田が友達だった頃。
飯田が付き合ってた男性にドライブに誘われ、出かけたら。
車内で別れ話を切り出された。
どういう訳か、彼の浮気相手の女性も同乗していた。
飯田が相手をなじると、逆ギレされて深夜のサービスエリアで降ろされた。
途方に暮れた飯田は、携帯で泣きながら保田に助けを求める。
『何時だと思ってんのよ!』
文句を言いながらも、保田は車で迎えに来てくれた。
305 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月26日(水)23時07分35秒
『その頃からアタシは振り回されてんのかねェ』
言葉とは裏腹に、保田はとてもうれしそうだった。

『運命とは…そういうものなのですね』
紺野は、満ち足りた表情で深々とシートに身を沈めた。

―――ふたたび吉澤視点

夕方。
梨華ちゃんやごっちんと、ギョーザを作る。
ごっちんは器用なので、お店のみたいにキレイなヒダのを作ってる。
コツを伝授してもらうと、
「んあ?てきとーにしてるだけだよ」
と、サラッと返された。
カッケー!

「一応、裕ちゃんの分も作っとくか」
中澤さんは何時に帰って来るのか分からないので、梨華ちゃんはひとり分だけ別に
お皿に移した。
「ああー!餃子三昧!カッケー!」
せっかくなので、焼餃子と水餃子、あと蒸餃子も作ることになった。
ごっちんは焼餃子担当。ウチは蒸餃子、梨華ちゃんは水餃子をそれぞれ作る。
ホットプレートに餃子を並べ、ごっちんは片栗粉を水で溶いたのを上から回しがけし、素早くフタをした。
「あっは!後は待つだけ。手伝うよ」
自分のが大方済んだので、ごっちんは梨華ちゃんの方を手伝っていた。
その姿を見て、ふとウチは市井さんはいつもごっちんの手料理を
食べてるんだろうなぁ、なんて考えた。
306 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月26日(水)23時12分02秒

更新しました。

ゴチーン方法で焼くと、皮がパリパリのうんまい餃子がでけるのです。
( ´ Д`)<片栗粉の水が蒸発してパリパリになってきたら食べ頃だよ〜
        ある程度焦げ目がついてから、水入れてね〜

レスのお礼です。

>クロイツさん
川o・-・)<おふたりは…ノロケ放題でした。完璧です。

私もそんなにオールはしないんですが(w もう若くないです、ハハハ(遠い目)。
>こんこんの発言が意味深に聞こえちゃったんですが!!
確かに読み返してみたら意味深ですね(w ののさんは平日は早寝です。( ´D`)ZZZ…

>名無し川o・-・)さん
川o・-・)ノ<作者はカップリングヲタであります!完璧です!

初レスありがとうございます。素敵と言って頂けて有難きシアワセです(w
>桃色片想いのフリの指差しは普段、後藤さんもやるようですね(笑)
ゴチーン、結構カラオケ好きだそうですしね(w ( ´ Д`)ンアー
307 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月27日(木)12時06分42秒
ギョーザ作るごっちんにトキめいてしまいました。
いちーさんは、料理してるごっちんの姿を見る事はあるのでしょうか…。
だとしたらもー、ドッキドキでしょうねぇ…。くす☆

振り回されるヤッスー素敵〜!!
かおりさん、どんどん振り回してください。見たいです!!
次回も楽しみにしてますねっ!!
308 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時28分34秒
―――吉澤視点

夕食の後。
ごっちんは
「んじゃ、ごとーそろそろおいとまするね」
と立ち上がった。
「え、もう?泊まっていかないの?」
梨華ちゃんがお皿を片付けながら振り向く。ウチもデザートの林檎の皮を剥いてて、思わず顔を上げた。
「んあ。いちーちゃんに車で拾ってもらって実家帰るの。ごめんねー、言っときゃよかったね〜」
「いや、いいけど…あ、林檎だけ食べていきなよ」
「んあ、ありがと」
3人でお茶を飲んで林檎を食べてると、ごっちんの携帯がブルッた。
「んあ、もう来た。すぐソコまで来てるみたい」
メールを確認したごっちんは、林檎を口にしたまま、台所の窓を開けて外を見た。
車のエンジン音がする。
「ごめーん、もう行くね。ごちそうさまでした」
「ごっちん、またあの餃子の焼き方教えてね」
梨華ちゃんはサランラップを取り出して、いくつか林檎を包んでごっちんに持たせた。
「あっは!あんなのでよければいつでも。んじゃね、ヨシコ」
「おう」
玄関先で見送ると、市井さんが車から出てきて「よう」と少しだけ挨拶した。
そのまま、ふたりは行ってしまう。
309 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時29分34秒
居間で梨華ちゃんと少しテレビを見て、お風呂に入る。
先に入った梨華ちゃんはもう2階に上がったようで、居間の電気も消えてた。
「ひとみちゃーん、ギター教えてー」
部屋で髪を乾かしてのんびりしてると、梨華ちゃんが前にあげたピンクのZO−3ギターを手に
いそいそとやって来た。
彼女はちょっとずつ練習して、それなりに形になってきた。
複雑なコード進行の曲とかはムリだろうけど、簡単なものならどうにか弾ける。
時々、時間のある時とか、こうやって見てあげてた。

ウチはお布団とかを、今日届いた青いシーツに、早速取り替えてみた。
枕カバーとかも全部ブルーなので、梨華ちゃんは『ホントに海みたい』と目を細める。

ベッドの下に座り、背をつけてギター指導を行う。
「いや〜、随分ウマクなったね〜」
「いえいえ、先生がいいですから」
ふたりで顔を見合わせて笑う。
『ひとみちゃん、あたしがギターうまくなったら、バックでベース弾いてね』
いつか、彼女に言われたことを思い出す。
今考えたら。
あの時には自分で意識してなくても、この子の事を気にかけてたのだろう。
思い出に浸りながら、彼女のZO−3を爪弾いた。

下の方で電話が鳴った。
「あ、ちょっと行ってくるね」
「あ、うん」
梨華ちゃんが立ち上がって階段を降りていく。
その足音を聞きながら、ウチはギターをポロンポロンとはじく。
310 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時30分16秒
「裕ちゃん、平家さん家で飲んでベロンベロンになってるんだって」
また上がってきた梨華ちゃんは苦笑しながら報告した。
「今日は、泊めるって」
彼女は、ちょっとあきれたように笑う。
「ハハ」
酔っ払った中澤さんにからまれてる平家さんが容易に想像できて、少し笑ってしまう。
「じゃ、あたし戸締りとかしてくるね。1階はののちゃんも今日はいないし」
「あ、うん。じゃ、ウチ、上見るわ」
「うん、お願い」
彼女が下に降りてったので、ウチは2階の窓とかを残らず見て回った。
あんまり冷えるので、上に着てたフリースのジャケットの前を合わせて、少し震えた。

――― 予感、というのは何となくしていたのかもしれない。
2階に上がってきた彼女と、ウチの部屋の前の廊下で見つめ合い、そっと抱きしめ合った。

―――テンパる、とはまさにこのこと。
ウチは、自分の部屋に入ってからも。
頭の中がいっぱいいっぱいになった状態で、梨華ちゃんと激しく口づけた。
どちらから、とかそういうのはなく。
ただ、彼女も同じことを考えていたのか。
それとも、何となく伝わるものなのか。
廊下であの目を見たとたん、目をふせて彼女に腕を伸ばした。

「…好きだよ」
ベッドに斜めに折り重なって、アタシは腕の中の彼女に囁いた。
彼女は何も言わず、頷いた。
311 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時31分06秒
―――夢のようなひととき、って、ホントにあるんだな。
彼女が暗闇の中、ニットを脱ぎ捨てるのを見てそう思った。
アタシはベッドに腰掛け、もそもそと自分のシャツのボタンを外す。

下着だけになったウチらは、おそるおそるベッドに入る。
しばらくそっと腕に触れ。
お互いの体温を感じた。

冷え切った体に、彼女の熱が伝わる。
ウチはおずおずと彼女の背中に腕を回し、耳元で「いい?」と囁いた。
彼女はやはり、何も言わない。
返事、のかわりだろうか。
ウチの背中にも腕を回して、ブラのホックを外した。
ホックが外れる微かな音が、何だかやけに現実感なく感じる。
ウチも思い切って、彼女のを外す。

みんな、この緊張感とどう向き合ってるのか。
道をくぐり抜けてきたひとたちを、マジで尊敬した。

ウチが外したブラをベッドの外に落とそうとすると、ウチのを持った彼女の手の平が
偶然重なったので、そのままふたりぶん外に放り出す。
「あ、あの」
緊張しすぎで、声が掠れてたと思う。我ながら。
「なに?」
彼女は、とても優しい声を出した。
「あ、あのさ…知ってるとは思うけど、ウチ、めっちゃビギナーなのね?だ、だからう、うまくででで、
できるとは思わな…んん!」
最後は、彼女の唇で塞がれ、声にならなかった。

「そういうことは、いいの」
「ハイ…」
初手から、怒られてしまった。
312 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時32分36秒
青いシーツに広がる、彼女の褐色の体。
本当に、海に浮かんでるようだった。
あんまり綺麗なので、しばらくぼんやりと見とれてた。

ウチはおそるおそる、その体に触れてみる。
彼女は目を閉じた。


彼女の体に、触れれば触れるほど手の平が吸い寄せられるようになる。
不思議だ。

「…ん…あ、はぁん…ひとみちゃん…」
とぎれとぎれの声を聞いてると、アタマの中が沸騰しそうになる。
アタシはしゃにむに、彼女の胸の先端を咥えた。
首筋や胸、鎖骨、お腹。
本能のままに、でも彼女の声に導かれるように。
彼女を愛した。

沈んでいくんだ、ふたりで。
もう、戻れないかもしれないけど。

下肢に手を伸ばすと、そこはもう熱く潤っていて。
彼女が一層、高い悲鳴を上げた。
ウチは腰を落とし、彼女の足に割って入る。
「いくよ」
彼女はウチにしがみつき、潤んだ目で頷いた。

お互いの熱いものに触れ合い、一心不乱に求め合う。
「う…ああ!ウチ、もうダメ…!り、梨華…!」
「ひとみちゃん…ああ、ああ…!」

一緒に、というワケではなかったが。

ウチらは、高みに昇った。
313 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時33分40秒
「…寒くない?」
梨華ちゃんは、少し笑って「ううん」と首を振る。
嵐が通りすぎて。
ウチらは、寄り添ってまどろんでいた。
あんなにかいてた汗も、やっとひいてくる。

嵐のあとの静かに凪いだ海。
カーテンの隙間から、月明かりが差し込んでる。

「初めて」
梨華ちゃんが思い出したように笑う。
「うん?」
「初めて、『梨華』って呼んでくれた」
「…そうだっけ」
多分、無意識で呼んでたんだろうな。
さっきなんか、アタマ真っ白だったし。
何か『ちゃん』づけを忘れたって気もするし。

「綺麗だね」
梨華ちゃんが起き上がり、窓辺に立った。
『借りるね』とウチがさっきまで着てたフリースのジャケットを羽織った。
部屋に控え目ながら、夜の月が光を差してた。
ウチも体を起こし、彼女のそばに行く。
後ろから抱きしめて、自分の腕の中に彼女をくるんだ。
首筋に口づけると、くすぐったそうに笑った。

『ウチがいちばんキレイだと思うのは』
続きは、ベッドで言った。

また、あの青い海に沈んでゆく―――。
314 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時34分18秒
―――目が覚めたら。
夜が明けきっていないようで。
部屋の中は、まだ薄青の光しか届いてなかった。
淡いブルーの光の中、青い海の色のシーツを何となく見ていた。

ゆうべ。
あの後、ウチは処女じゃなくなった。
初めて、ウチの中に入ってきたひとは、梨華ちゃんで。
それは、想像以上に痛みをともなうもので。
ウチは、みっともないくらい泣いてしまった。

『ごめんね、本当にごめんね』
泣きじゃくるウチを強く抱きしめて、梨華ちゃんはウチ以上に泣いた。
でも、とても幸せだった。
今、こうして。
穏やかな気持ちでいるから。


梨華ちゃんは、ウチのそばで満ち足りた表情で眠っていた。
朝、目が覚めたとき。
あなたが隣にいる。
それだけのことが、こんなにうれしいなんて。

次に目が覚めたとき。
きっといちばんに『おはよう』を言おう。
そう考えて、ウチはまた目を閉じた。
315 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時35分58秒
目が覚めたら。
梨華ちゃんは、もう起きたあとで。
ゆうべウチが着てた服も、きちんとたたんでベッドの下に置いてた。
眠たい頭をこすりながら、ベッドから体を出すと。
冷気にブルッと震えた。
慌てて服に着替え、下に降りて行く。

台所のそばまで行くと、お味噌汁の香りがした。
何かを刻んでる、トントンという音もする。
「あ、おはよう」
ウチに気づいた梨華ちゃんが振り向いた。
「よく眠れた?」
朝の明るい日差しの中で笑う彼女は、とても綺麗だった。
「う、うん。梨華ちゃんは?」
言いながら、中に入って行く。
「うん。あ、玉子焼きと鮭の塩焼き、どっちがいい?」
「あ、や、どっちでも」
「じゃ、あたし鮭にするからひとみちゃん卵ね。半分こしよ」
「あ、ハイ」
彼女が包丁から手を離したのを確認すると、そっと背中から抱きしめた。

「おはよ」
そして、一足遅れの挨拶をし、キスを交わす。
316 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月27日(木)20時36分44秒
317 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年02月27日(木)20時38分03秒
318 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月27日(木)20時39分33秒
更新しました。


レスのお礼です。

>クロイツさん
ノ( ゜皿 ゜)ノ<クロイツサンノ キョカオリタカラ ドンドンフリマワスゾーーーーー!!! 

(;`.∀´)<マジで!?←チョットウレシイ

ゴチーンはたまーにいちーちゃん家にごはん作りに行ってます。市井母に頼まれて(w
海板パート1の311−314らへんでゴチーン、いちーちゃん家でメシの支度してます。( ´ Д `)つフハイ、ゴハン
  
319 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月27日(木)21時19分10秒
あぁ、つ、ついに・。・(ノд`)・゚・
( ´ `)赤飯なのれす♪
320 名前:水海 投稿日:2003年02月27日(木)21時38分34秒
おめでとぉ^^(^▽^)人(0^〜^0)
321 名前:名無し蒼 投稿日:2003年02月27日(木)22時03分46秒
お久しぶりです。
そしてついに…
おめでとう♪

(*^▽^)人(^〜^*)<照れるね…
322 名前:ごっちん激ラブ 投稿日:2003年02月27日(木)22時40分28秒
最初から全部読みました!こんなに続きが読みたくなったのは初めてです!すごい次が待ち遠しいです。期待してるんで頑張ってください!
323 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月27日(木)22時48分19秒
つ、ついに…祝!合体! (#´▽`)´〜`0)
324 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月27日(木)23時02分48秒
なんか・・・すごいです。
なんでそんなきれいな表現ができるんですか!
読んでて気持ちいい小説って、あるんですね。
尊敬します。
これからも期待しています!
325 名前:南風 投稿日:2003年02月27日(木)23時03分45秒
二人に乾杯☆
326 名前:婆金 投稿日:2003年02月27日(木)23時30分52秒
ついに!ついに!!(*^▽^)人(^〜^*)
お母さんは待っていたよ、この日がくるのを。
今宵は祝杯をあげなければ!これから勝利の美酒に酔います、ありがとうございます!!
327 名前:名無し 投稿日:2003年02月28日(金)03時06分49秒

明日も仕事なのに、こんな時間にインターネットを繋いだのはこのためか…。
自分の無意識の行動がすごいと思いました。

っていうか、祝!!ですね。よっちぃ可愛いよよっちぃ。

328 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月28日(金)07時33分20秒
ありがとう作者様 ありがとういしよし
オイラモーレツに感動してます(w
329 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月28日(金)09時20分27秒
お、お赤飯!!おかーさんお赤飯炊かなきゃ!!
ヨッスィーもテンパッてましたが、私もかなりテンパりました。

よくやった、ヨッスィー!!

朝から萌え尽きそうです。ぐはぁっ!!(吐血)
しかも私石ヲタなんですが、真っ最中は梨華ちゃんよりもヨッスィーにくぎづけでした。
可愛かったです!!ものすっごく!!
ああ、続きが楽しみですぅ!!
330 名前:あおのり 投稿日:2003年02月28日(金)11時24分11秒
よしこさんおめでとうございます。
さり気なく石川さんリードが良かったです。

姐さんの二人っきりにすることでさり気なく後押しかっけー
331 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)02時48分08秒
ハワイのアヤカは―――。

ミカに『ずっと好きだった』と言われてから数日。
叔母たちが演奏旅行から帰って来たのもあって、表面上は特に変化なく過ごしていた。


『コッチはめっちゃ揺れてるけどネ』
昼下がりのゲストルームでタバコをふかしながら、アヤカは自嘲するように笑う。
ライティングデスクで、日本の友人に送る絵葉書を認めていた。
心ほど、不確かなものはない。
彼女がいくつかの恋愛をしてきて、学んだことだった。

超遠距離恋愛で寂しい思いをさせるのが心苦しいのも確かだし、何より、自分もツライ。
『いつの間にかオトナになってさぁ。おねーちゃんは寂しいよ』
ミカが綺麗になったことにも、アヤカは戸惑っていた。

『コドモ扱いしないで!』
ミカの潤んだ目を思い出す。
海岸でキスしたとき、アヤカがあまりにもコドモ扱いするので、ミカは怒って言った。
「…ホントにコドモなら、いっそラクなんだけど」
呟いて、新しいタバコに火をつける。
傍らのラジオから、カーペンターズが流れる。
332 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)02時52分01秒
『Every Sha-la-la-la
 Every Wo-o-wo-o…』
口ずさみながら、ペンを走らせる。

このところ、タバコの本数が増えた気がする。
元々愛煙家だが、ハワイに来てからより増えた。


DJが今日、最後の曲だと紹介する。

『Your love's put me at the top of the world…』

アヤカは椅子の上で膝を抱えた。
床に出来た日溜まりのスペースを見つめ、小さな声でラジオの曲に合わせて歌った。

「アヤカ」
ミカがドアの向こうから声をかけた。
「なに?」
「ポストオフィスに行くけど、何か用事ある?」
「ああ、一緒に行くわ。日本に送るハガキあるし」
タバコをもみ消して、アヤカは立ち上がる。
家を出る時、ミカの母が『ディナーまでには戻ってらっしゃい』と念を押した。

「また吸ってたでしょ」
郵便局に向かう途中、ミカが言った。
どうやら、匂いで分かるようだ。
「ああ、うん」
「タバコは体に悪いヨ」
「分かってる」
素っ気無く答え、アヤカは髪をかきあげる。
333 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)02時56分57秒
「さっきね」
ミカが口を開いた。
「うん?」
「ラジオで、カーペンターズの特集やってたの。リビングで聴いてたんだけど」
「ああ、やってたわね。『イエスタディ・ワンス・モア』とか『トップ・オブ・ザ・
ワールド』とか」
ミカも頷いて、
『Your love's put me at the top of the world…』
一緒に口ずさんだ。
「あの曲も流してたヨ。えーっと…『タッチ・ミー』だっけ?」
「ああ、そうなんだ。途中から聴いてたから分かんなかった。
えーっと…どんな曲だったっけ」
ミカは
『Play us song we can slow dance on…』
と出だしのところを口ずさんだ。
「ああ、あの歌ね。随分とまた色っぽい歌を」
「そうなの?」
「うん、だって」
言いかけて、アヤカはハッとなりやめた。
ミカ相手にこんなことを言うのが恥ずかしくなったのだ。
ミカはきょとんとした顔をしている。

『囁いて
 そして、あたしにキスを奪わせて

 あたしに触れてよ
 踊りながら
 優しいその手で

 踊りながら
 あたしに触れて

 あなたを感じたいの
 恋に、落ちたから』

頭の中で曲の一部を日本語に直し、アヤカは恥ずかしさに俯いてしまった。
334 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)03時12分03秒
郵便局で用事を済ました後、ふたりはビーチに出た。
ちょうど日暮れ時で、水平線の向こうに、太陽が沈みかけている。

望んでいたものがすべて
特別に叶えられようとしてるわ
理由は簡単よ
あなたがそばにいるから

『トップ・オブ・ザ・ワールド』は、確かこんな風な歌だった。

『Your love's put me at the top of the world…』
アヤカは風に吹かれる髪を片手で押さえて、また口ずさんだ。

『アナタの愛が、アタシを世界の頂上へ運んでくれたの』

…歌を気にするとは。
アタシも恋煩いかしらね。
アヤカは自分で可笑しくなって、笑った。

「あさってになったら、もう帰っちゃうんだね」
ミカが手をかざして言った。
ビーチはどこもかしこも、夕方のオレンジの光に満ちている。
ミカの横顔も、その色に染まる。
「ああ、うん。またお正月に来るわよ」
「クリスマスは?」
「いや…今年は多分バイトだと思う」
「そう」
ミカはそれっきり、何も言わなかった。
怒ってるのだろうか。
アヤカはそっと横顔を盗み見た。

『ここで帰りたくないなんて言ったら…姉としての威厳が』
アヤカは溜息をつく。

彼女の本心は分からないが。
夕陽に染まった、ミカの横顔は美しかった。

その日、アヤカが保田に送ったメール。

『ハワイの夕陽は、だまされます』

受け取った保田は、その一文を読んで爆笑した。
335 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月01日(土)03時15分04秒
更新しました。

( `.∀´)<で、アンタはかつてダマしたクチ?ダマされたクチ?

川;´.▽`)||<いやぁ…もう、昔の話だし ←ダマしまくった(しかも本人結構無意識)

部屋でアヤカが口ずさんでるのは、カーペンターズの『イエスタディ・ワンス・モア』と
『トップ・オブ・ザ・ワールド』です。『トップ・オブ――』はちょっと前にドラマ『未成年』の
主題歌にもなりました。で、端々に登場する妙な和訳は、私が英語の歌詞カード見ながら
ムリヤリ訳したものです(ニガワラ うさんくさいので、あまり信じないでください。
日本語もアヤしいのに、やるんじゃなかった…。・゚・(ノД`)・゚・。

レスのお礼です。お若いふたりに、たくさんの祝電をありがとうございました(w (*^▽^*)人(*^〜^*)

>319の名無し読者さん
( ´D`)つフ<ありがとうなのれす♪
ついにです(w お赤飯、ゴチです。ずっと見守ってくださってありがとうございます。

>水海さん
(0^〜^0)ノ<イエーイ!
ありがとうございます。思えば、長い道のりですた。あの海辺のシーンから思えば遠くにきますた。

>名無し蒼さん
(*^▽^)<シアワセ♪
オヒサスブリです。ついにです。ありがとうございます。AA、とてもステキです。

>ごっちん激ラブさん
( *´ Д `)<激ラブなんて、テレル…
初レスありがとうございます。ご期待に少しでもそえるよう、がんがります。

>323の名無し読者さん
(0^〜^0)ノ<釣りバカみたい!合体、カッケー!
ありがとうございます。そして、お待たせしました。合体…ステキな言葉です(爆

336 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月01日(土)03時17分06秒
>324の名無し読者さん
( *´ Д `)<そんなに褒めてもらったら、作者、テレるよ〜
どうもありがとうございます(照。キレイとまで言って頂けて(涙。がんがります。

>南風さん
(0^〜^)ノ□<南風さんにも、乾杯☆
どうもありがとうごいます。私もご相伴に預かって、コーラ飲みます(下戸なので)。

>婆金さん
(*^▽^)ノ□<祝杯、ステキ☆いただきます!
ありがとう、お母さん(爆 娘たち、やっとこの日を迎えられました。

>名無しさん
(0^〜^)ノ<無意識の行動、カッケー!
よっちぃ、普段より女の子です。ありがとうございます。お仕事、がんがってくださいね。

>名無しかも〜んな!さん
(0^〜^)ノ<オイラもモーレツに感動ッス!
やや、お礼を言うのはワタクシの方です。長い間お待たせしました&ありがとうございます。

>クロイツさん
(*^▽^)つフ<お母さん、お赤飯ありがとう☆
石ヲタの方にそう言って頂けてうれしゅうございます。どうもありがとうございます。

>あおのりさん
从 #~∀~从ノ□<いや、気づいてくれてんな!おおきに!ノモカ?
姐さんの作為(?)にも、気づいてくだすってうれしいです。ありがとうございます。
337 名前:わく 投稿日:2003年03月01日(土)04時18分33秒
やーーーーーーー!!ついに!!
が。。。合体!!
おめでたい!ってかまじクラクラで〜す(^^ゞ
ちょっと気になったこと・・・梨華ちゃんは初めてじゃないの??
338 名前:南風 投稿日:2003年03月01日(土)08時02分12秒
けいちゃんじゃないけど最後のアヤカのメールに朝っぱらから口元に笑みが・・・。
人に見られたら薄気味悪いって言われそう(w
揺れる乙女心っすよねぇ。
いいですねぇ
339 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月01日(土)11時59分32秒
アヤカさん、最高です。
またしてもメールの一文に爆笑いたしました…!!

どーなるんでしょうかねぇ、ココナッツは♪楽しみです!!
どっちに転んでも泣かせてくれそうで…うああああ、先が気になるっ!!
次回も楽しみにしております♪
340 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時01分15秒
感謝祭当日。

アヤカはミカ一家と共に、父方の祖父母の家を訪れた。
クリスマスや新年なども、親族がここに集まる。
祖父母はふたりとも日本人で、結婚して間もなくハワイに移住した。
アヤカの両親はハワイで知り合ったが、父の仕事の都合でずっと日本にいる。
ミカと会えるのも、昔から夏休みだとかクリスマスホリデーなど、限られた時だけだ。
だから余計、会える時は甘やかしてしまう。

祖父母はアヤカが来たのを殊のほか喜んでくれた。
高校までは感謝祭の前後に休みがあり、ほぼ毎年来てたが、大学に入ってからはご無沙汰だったからだ。
料理の支度を手伝った後、ハワイで新調したフォーマル用のドレスに着替えた。

「黒を着る年頃になったのねぇ」
同じ部屋で着替えていたミカのほうを見て、ニヤッとアヤカは笑う。
後ろを向いていたが、鏡の中のミカはとても怒っている。
「なによぉ〜…あん!もう〜!」
「なに、どしたの」
「ビスチェが…ホックがちゃんとはまらなくて。サイズが合わないのかしら?」
「じっとしてて」
後ろに回り、ホックをはめてやる。
「痩せたんじゃない?ウエストがちょっとあまるけど」
「そうかな」
その時のミカは、黒一色の下着姿だった。
アヤカは何となく目のやり場に困り、自分の荷物を持って隣の部屋に続くドアを開けた。
「あたしは荷物の整理してるから。何かあったら呼んで」
「あ、うん」
彼女たちのいる部屋は二間続きで、真ん中に仕切りの壁があり、そこのドアで
行き来できるようになっていた。
341 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時02分27秒
「まいったなぁ…」
ベッドに腰掛け、アヤカはタバコを吸いながら頭をかいた。

明日はここから直接、空港へ向かうことになっている。
祖父母の家は、ミカの家よりはホノルル空港に近い。
朝の便で、明日はもう機上の人となる。

部屋のキャビネットの隅に、何か古ぼけた本があった。
何気なく手に取ってみる。
『赤ずきんちゃん』の絵本だった。
そう言えば。
子供の頃ここに泊まり、夜寝る前に、ミカにこれを読み聞かせた覚えがある。
ここに泊まる子どもたちに代々受け継がれているようで、絵本はすっかり黄ばんで、痛んでいた。

大きな悪いオオカミを、ミカは本気で怖がった。
『だいじょうぶ。アタシが追い返してあげるから』
そう言って、泣きじゃくるミカをあやしてやった。

「『大きな悪いオオカミ』か…」
タバコをふかし、アヤカは絵本を見つめた。
342 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時03分35秒
ディナーの時間となった。
テーブルには、七面鳥を真ん中に色々ご馳走が並んでいた。
祖父はそばで見てても微笑ましいくらいのはしゃぎっぷりで、秘蔵のロマネコンティーも開けた。
『おじいちゃん…。後で、おばあちゃんに怒られなきゃいいけど』
アヤカは笑いながらも、内心心配になった。
どれだけ高価なものか、容易に想像できたからだ。
その年のものは初めて口にしたが、口にしたとたん夢心地となる。
『同じ酔うのなら…美味しいお酒に限るなぁ』
アヤカはワイングラスをかざし、複雑な赤い色を見ていた。

ふと隣を見ると、ミカが赤い顔で俯いていた。
「ミカ、酔ったの?」
「うん…少し」
今にも、眠りそうに目がトロンとしていた。
「もう休む?」
「うん…」
生返事だったが、アヤカは祖母に一言声をかけると、ミカを立ち上がらせ、部屋に連れて行った。

「はい、お水」
ベッドでぐったりしているミカに、アヤカは冷蔵庫から取ってきたミネラル・ウォーターを渡す。
「うん…ありがとう」
少し体を起こし、冷えた水を口にする。
「ロマネコンティーが効いた?」
ベッドのふちに腰掛け、アヤカは笑った。
「うん…結構」
「あんな美味しいの飲んで、二日酔いしても後悔しないわ」
アヤカがそう言うのを、ミカは黙って聞いていた。
343 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時04分49秒
「アヤカ」
「うん?」
「昨日ね、アヤカが言ってたカーペンターズの歌って、どんなの?あたしも特に集中して
聴いてたワケじゃないから、全部は知らないの」
まだ覚えてたのか。
アヤカは、気まずさを感じた。
出来たら、このまま忘れててほしかった。
「あー、えーっと」
「色っぽい歌なんでしょ?」
「まあ…そうね」
「サビはどんなの?」
…試してるのか?
アヤカはそう思いながらも、歌い出す。

『Come on and touch me
 When we're dancing
 You know you've got that loving touch
 Touch me when we're dancing
 I want to feel you when I'm falling in love 』

「サビの前は?」
ミカは寝転んだまま、額に手をかざしていた。
まだ酔いが残っているようで、顔が赤い。

…やっぱり試してるな。
あえて挑発に乗るように、アヤカは言われた通りに歌う。

『When we're close like this
 Whisper in my ear and let me steal a kiss…』
344 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時06分28秒
最後のフレーズは、微妙に消えた。
ミカは仰向けのまま、潤んだ目で見つめた。
アヤカはベッドのそばに立ったまま体を傾け、ミカに近づく。
自然に体を近づけ、そのまま口づけた。
胸の奥が疼くような、そんなキスだった。

「悪い大きなオオカミに」
アヤカはすぐに、体を離した。
ミカは背中に腕を回したままだ。
「食べられてしまうわよ、赤ずきんちゃん」
ベッドに手をつき。
上からじっと、ミカの目を見る。

「いいよ…」
「よくない」
「いいってば」
「よくない」
「いいって言ってんのに」
「分からずや。おねーちゃんの言うことは聞きなさい」
アヤカは隣の部屋に行こうと、ベッドから離れた。
345 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時07分20秒

「どうしてコドモ扱いするの?」
背中越しのミカの問いに、
「…アタマでは分かってるんだけどね、もうコドモじゃないって」
苦笑まじりに答えた。
「じゃあ、何?」
「心が」
ドアのそばで、アヤカは振り向いた。
「ついて来ないのよ」
「あたしをキライ?」
「違う」
「…アヤカを好きだよ」
「うん」
「アヤカじゃないと、イヤだよ」
ミカは泣き出してしまった。
アヤカは泣かせたことに、心の中で舌打ちする。

泣かれると弱い。
どれだけ拒否しても。
あの潤んだ目で見上げられると、お手上げになる。

「…負けたわ」

アヤカは、今度は自分から抱きしめた。
346 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時08分44秒
『脱がせる立場になるとは…』

アヤカはミカの、黒いドレスのファスナーを下ろしながら、そんなことを考えた。
脱がせる時、シルクの衣擦れの音が足元でした。

さっきつけてやった、ビスチェのホックを外す。
さすがに恥ずかしいのか、ミカは顔をそらした。
ミカは手を伸ばし、アヤカのエンジのドレスの肩紐をずらす。
そのまま背中に腕を回し、自分がされたようにファスナーに手をかけた。

白っぽい下着が、姿を現した。
「キレイだね…」
囁くように、ミカは言った。
「それは」
アヤカはクスッと笑う。ミカの唇に人差し指を当て。
「こっちの台詞」
そのまま、ベッドへ押し倒し、体を預けていく。


『囁いて
 そして、あたしにキスを奪わせて

 あたしに触れてよ
 踊りながら
 優しいその手で

 踊りながら
 あたしに触れて

 あなたを感じたいの
 恋に、落ちたから』

ミカを抱きしめて。
アヤカはもう一度、さっきの歌を思い出していた。
347 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時11分08秒
――― 翌朝。

庭に面した大きな窓から、まだ夜明け前の光が差し込む。
アヤカは薄目を開く。
腕の中で、ミカはぐっすり眠っていた。
「…モーニン」
額に、いつもするように、キスしてやる。

…抱き合って、初めて分かることもあるが。
多分自分は、もうこの子を手離せないだろう。
ミカの寝顔を見て、そう思った。

『叔母さんたちに見られたら…殺されるわね』
アヤカは苦笑する。
ミカを受け入れるのに戸惑っていた、最大の理由のひとつ。
従姉妹同士で愛し合うのを、果たして許してもらえるだろうか。
最悪、自分が勘当されるだろう。

それでもいい。
ミカを守るためなら、それも厭わない。
寝顔を見て、彼女は思った。

名残惜しくなりそうなのをこらえ、ミカの頬にキスすると隣の部屋のバスルームへ行った。


荷物をまとめ、家を出る。
まだ叔母しか起きておらず、短い別れとお礼を述べた。
部屋を出る時、ミカはまだ夢の中だった。
ドアのそばからしばらく寝顔を眺めていたが、そっと閉めて出て行った。
348 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時12分34秒
「黙って帰るつもりだったの?」
アヤカの目の前に、白いオープンカーが現れる。
運転席のミカは、少し怒っていた。
一体いつ起きたのか。
アヤカはあっけにとられたが、そのまま助手席に座る。

「…いつ起きたの?」
「アヤカがシャワー浴びてる時。音で分かったヨ」
前を向いたまま、ミカは答えた。
「サヨナラもナシ?」
「…別れづらくなるからよ」
ミカはちょっとびっくりした。

アヤカはいつでもオトナで。
いつも憎らしいくらい、余裕がある。
少なくとも、自分の目の前をいつも走ってて。
その背中を、ずっと追っていた。
少しでも、追いつきたくて。

そのアヤカが、珍しく自分に弱音を吐いた。
言ったきり、アヤカは押し黙ってしまう。


ふたりとも何も言わないまま、空港に着く。

「じゃ」
ロビーで、アヤカは簡単に別れを告げる。
行かないで。
ミカは声にならず、ずっと見つめていた。
段々遠ざかっていく背中を見送る。
小さくなって、やがてすぐ見えなくなるだろう。
ミカは耐え切れなくなって、嗚咽を漏らす。
こんな自分の姿は見られたくない。
俯いて、両手で顔を覆った。
349 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時17分16秒
「泣き虫」
背中から、あったかい腕が回される。
「…アヤカ」
「ミカの、泣き虫」

アヤカは困り果てた顔をしている。
自分が小さい頃、駄々をこねると、アヤカはいつもこんな顔をしていた。
両親の言いつけで、絶対食べさせてもらえなかった、
着色料の入った派手な色のキャンディーが欲しいと泣いた時も。
アヤカは自分のお小遣いで、『絶対ナイショだよ』と買ってくれた。
ゆうべも。
自分が泣いたのを、こういう表情で困って見ていた。

『こんな泣き虫残して、日本に帰るのは不安ね』
そう言って、今度は正面から抱きしめてくれた。
『…I need you』
ミカの髪に指を埋め、アヤカはそう囁いた。


『大晦日には、絶対帰るから』
そう言い残し、後ろ髪を引かれる思いでミカと別れた。
また泣いてるだろうか。
ぼんやり、考えた。

飛行機に乗る前に、日本へ電話をかけた。
向こうは夜中の2時くらいだろうか。
少し躊躇したが、案外早くつながった。
350 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時19分10秒
『ハイ…』
「もしもし、圭ちゃん?」
『ああ、アンタね…どしたの』
「アタシ、今から帰るから。ごめんね、何かしてた?」
『ううん…セックス』
アヤカは困惑した。
保田は、自分をからかってるだろうか。
それとも、単に寝ぼけてるのか。
「ああ、そうなんだ…ごめんね、お忙しいところを」
『いや…やっと終わったトコだから』
やっぱり寝ぼけてる…。
アヤカは、確信した。
「そう。それじゃ、切るね。おやすみなさい」
『うん…』
アヤカは笑って、電話を切った。

『圭ちゃん…アタシ、腹を括ったわ』
帰ったら、きっと言おう。
アヤカはそう思った。

―――保田宅。

「誰から〜?」
保田の隣で、飯田は半分寝ぼけながら声を上げた。
「…バンドの誰かよ。着メロがソレ用のだったし」
保田も無意識に電話を切り、コードレスの受話器を床に置いた。
「う〜ん…もうぉ〜、カオとこういうコトしてる時に、カオ以外のひとと話しちゃダメ〜」
「分かってるわよ」
保田は顔をしかめる。相当眠いようだ。
「分かってない〜!」
「あ…コラ!噛むな!」

ハワイより19時間先の、夜は静かに更けて行った。
351 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時20分59秒
352 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月01日(土)16時21分50秒
353 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月01日(土)16時32分03秒
更新しました。

レスのお礼です。

>わくさん
( `.∀´)<祝電が届いてるわ!

どうもありがとうございます。(0^〜^)<合体カッケー!
いしかーさんは、過去に恋人がいますた。

>南風さん
( `.∀´)<ホホ!青春ね!

親戚の子に手を出すのは、さすがにためらいがあるようです。
乙女心、揺れまくりですた。( ^▽^)<ステキ♪

>クロイツさん
( `.∀´)<ホホ!アタシも爆笑したワ!

泣かせられたでしょうか?ココナッツ、こうなりますた。
川‘.▽‘)||つ□<圭ちゃん、おみやげのパインの缶詰! 

354 名前:南風 投稿日:2003年03月02日(日)07時38分53秒
おぉ〜こうなったんっすねぇ。
ハワイは熱い。
そしてこの2人ももっと熱い☆
超遠距離恋愛楽しみス
355 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年03月02日(日)23時07分29秒
いいらさんヤッスーと何してるんすか?w
カーペンターズのCDいっぱい持ってるんですが
CLOSE TO YOUとかも良いっすよ
そういえば今日3月2日はカレンの誕生日ですね
356 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月03日(月)00時18分49秒
アヤカさん…!!よーやく正直になったのね…!!
おかーさん、こっちにもお赤飯ー!祝いじゃー!!!祭りじゃー!!!

いやぁ、なんつーかもう…素敵です!!
ミカちゃん可愛い!!よかったねミカちゃん!!
そしてヤッスー最高。出るなって。そーゆー時は(笑)。
やきもちやきな飯田さんも可愛いです♪

次回も楽しみにしております!!
357 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)00時53分17秒
―――吉澤視点

ライブ当日。
新宿のライブハウスに昼頃集合し、準備を始める。
今日、アヤカさんが帰ってくるらしい。
2時過ぎに保田さんの携帯に『今、成田』と連絡が入ったそうだ。

「さて」
市井さんが楽屋の椅子から立ち上がった。
「アヤカちゃんは間に合うでしょうか?」
タバコを吸いながら、ニヤニヤ笑う。
「んあ〜。アヤカちゃんが来ないと、ごとーひとりで歌うコトになるね」
そう。
今回のライブはシャンソンがテーマなので、『枯葉』とかの超定番と、
フランス・ギャルの『夢みるシャンソン人形』をやるのだ。
特に『夢みるシャンソン人形』はごっちんが一番を日本語で歌い、2番をアヤカさんが
原曲どーりフランス語で歌うことになってる。
一応、全部出来上がってはいるけど。
…どーなるんだろ。

「まあ、アヤカが来ない場合は…アタシが歌うわ。サックスはナシになるけど」
「圭ちゃんフランス語できるの?」
ごっちんが眠そうな目を開く。
「大学の第二外語でやって以来だけど、『シャンソン人形』くらいなら何とかなるわ。
練習でも何回かアタシも歌ったし」
「んあ、出だしのフルートは?あれ、アヤカちゃんパートだよ」
「ああ…そっか」
保田さんは頭をかいた。
358 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)00時58分15秒
「…ごめん!」
その時、アヤカさんが息を切らして現れた。
空港からそのまま駆けつけたようだ。
「…ちーこーくぅ〜」
市井さんがまたニヤニヤする。
「みんな、ホントにごめん!」
アヤカさんが頭を下げた。
みんな何も言わず笑ってお互いの顔を見渡す。
「ワンフレーズでも間違ったら、今日の打ち上げはアヤカ持ちな」
市井さんが厳かに宣言する。わざと咳払いとかして。
「エエー!?全部なのぉ〜!?」
アヤカさんは目を丸くして、荷物を置いた。
…ハワイに行って何でそんな少ない荷物なんだろ。
小さいカバンひとつだけだし。
(後に、お土産とかは航空便扱いにしたと判明)

とにかく、ギリギリでも間に合ったので、リハ開始。


359 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)01時00分26秒
着替えの時間となる。

保田さんが、グレーのタートルネックを頭から抜いた。
「圭ちゃん…」
アヤカさんが保田さんの首元を指さす。
「あ?」
「首の付け根に噛みあとが…」
指摘され、保田さんは慌てて首に手をやった。
「んあ?犬にでも噛まれたの?」
ごっちんも保田さんのほうを見た。
「ギャッハッハ!どっちかっつーと子猫ちゃん?」
市井さんが大笑いするとごっちんは納得したようで、
「ああ…猫ね」
と頷いた。
保田さんは開き直り、首を押さえ
「…でかい猫だけどね!」
と赤くなって叫んだ。
「圭ちゃーん」
楽屋のドアがノックされた。
飯田さんがやって来た。
「差し入れ持って来たよー」
メンバー一同、しーんとして。
次の瞬間、大爆笑となった。
「な、何?」
「いいから…いいから」
保田さんは素早く服を着、ワケが分からないって顔の飯田さんの背中を押して
楽屋から出て行った。
360 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)01時02分33秒
入れ替えに、梨華ちゃんがやって来る。
柴っちゃんとマサオさんも来てて、客席にいるらしい。

―――あれ以来、梨華ちゃんと顔を合わすのが何となく照れくさい。
特にこういうトコで。
ふたりなら、まだいいんだけど。
こういう、知り合いとか友達とかいるトコだと。
何故か、あの夜のことを思い出してしまう…。

「それじゃ、もう戻るね」
梨華ちゃんは差し入れだけ置いて、そのまま出て行った。
手を振って見送り、支度に戻る。
「おめでとう」
アヤカさんが、ウチの肩をポンと叩いた。
「へ?なんスか?」
「もう、よっすぃ〜もオトナだね」
「て…エエ!?なな、なんで!?」
つーか、誰か言ったんか!?
いや、ウチも梨華ちゃんも話してないと思うケ、ド…。
「見れば分かるわよ」
アヤカさんの答えは明確だった。
「今日久しぶりに会ったら、よっすぃ〜、すっごい女っぽくなってんだもん」
「…ハァ。あの、分かるモンなんスか?」
「よっすぃ〜はウソがつけないからね〜」
アヤカさんはウィンクし、後ろを向いてメークを始めた。
361 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)01時06分48秒
ライブが始まる。
「おごらせるのは圭ちゃんに」
と豪語し、アヤカさんは緊張の面持ちでスタンバイする。
どうやら、保田さんとも賭けたようだ。
「負けないわよッ」
保田さんも、鼻息が荒い。


―――石川視点

今日のライブは『シャンソンのゆうべ』というタイトルらしい。
チケットとかにも、そう印刷されてた。
一曲目は『枯葉』。
ひとみちゃんがウッドベース(オーケストラとかの大きいヤツだ)、市井さんがギター、
保田さんはサックス、ごっちんはドラム(鼓笛隊みたいに、肩から吊るして前に出てた)、
で、アヤカさんはバイオリン。
静かに、曲は始まった。
362 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)01時14分30秒
『The falling leaves drift by the window,
 The autumn leaves of red & gold
 
 I see your lips the summer kisses,
 The sunburned hands I used to hold

 Since you went away the days grow long
 And soon I'll hear Old winter's song』


『この歌ってひたすら「枯葉よ〜」って言ってんだよね』
家で、ひとみちゃんが大真面目に言ってたたのが、可笑しかった。

市井さんが英語で歌った後、アヤカさんがフランス語で囁くように歌う。
しっとりとしたムードが、客席に流れた。


ひとみちゃんは、今日は髪を黒くしてる。
前髪にディップか何かつけて、おでこを出してた。
『スプレーだし、洗えば落ちるよ』ってさっき会った時笑ってたけど。
黒髪のひとみちゃんも新鮮だし、ステキだった…。
「夫しか見えてないよ…このヒトは」
横の柴ちゃんが最初のメンバー登場のとき、ぼそっと言った。

今日の衣装はみんな黒いベストに白いシャツだ。
蝶ネクタイもパンツも黒。
そういや、お昼に駅で会った時。
保田さんが首筋をしきりに気にしてたような。
寝違えたのかしら。



But I miss you most of all my darling
When autumn leaves start to fall
363 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)01時23分06秒
最後に全員で歌い、曲は終わった。
それまで静かだった客席が、一気に弾ける。
「ヤッスー!今夜は離さないでェー!」
…ハ!
あの人は!


オリジナルの曲を挟んで、その日最後の曲となった。
アヤカさんとごっちんは着替えて、別の衣装になってる。
シンプルだけど、大人っぽい感じのノースリーブのドレスだった。

「んじゃ、今日最後の曲ね。
『夢みるシャンソン人形』」
市井さんが紹介し、曲が始まった。

『私は夢見るシャンソン人形 心にいつもシャンソン溢れる人形
 私は綺麗なシャンソン人形 この世はバラ色の飴玉みたいね

 私の歌は誰でも聴けるわ 皆私の姿も見えるわ

 誰でもいつでも笑いながら 私が歌うシャンソン聴いて踊りだす
 皆楽しそうにしているけど 本当の愛なんて歌の中だけよ』

一番を歌い終わったごっちんは、カスタネットを手にし、フラメンコのように叩いた。
市井さんもノリノリでギター弾いてる。
二番はアヤカさんがフランス語で歌う。
すっごい…。
完璧な発音だ。



364 名前:AUTUMN LEAVES 投稿日:2003年03月05日(水)01時29分03秒

「つーか…アヤカさんて何ヶ国語話せんの?」
マサオさんが目を丸くする。あくまで小声で。
「『フランス語はニガテ』って前言ってた…」
飯田さんが前を向いたまま言った。
「ハァ〜…あれで」
柴ちゃんが小さく溜息をつく。

ひとみちゃんはいつものブルーのベースに持ち替え、嬉しそうに弾いてる。
…あの人のこと、大好きだ。
世界中の人に叫びたい。
『ひとみちゃんが好き』って。

「…あーあー。石川、自分の世界に入ってるよ」
飯田さんが苦笑いする横で、あたしはステージのひとみちゃんを見つめてた。


秋は、もう終わる。
そして、ひとみちゃんと出会って、初めての冬がくる。

365 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月05日(水)01時39分18秒
更新しました。


『夢見るシャンソン人形』はフランス・ギャルの歌で、セルジュ・ゲンズブールが
手がけたものです。
曲自体はアップテンポでマイナー調なのですが、アレンジがとにかく派手。
リズムセクションが何故かフラメンコで(w カスタネットが全編に響き、
ストリングス・エレキギター・ブラスの編成、フルート、
トライアングルのパーカスまで加わり、かなり賑やかです。
結構哀愁漂うメロディーなのに、華やかなサウンドに仕上がってるのが
不思議な曲です。

原曲は「恋もできぬ蝋人形の私が恋の歌を歌ってる」というような歌詞です。
(原題は「蝋人形、音の人形」という意味だそうです)
この頃のフランス・ギャルは押しも押されぬ人気絶頂のアイドルでした。
早く言えば皮肉たっぷりな歌です。
(日本語カバーのものは、結構可愛らしく作ってるようですが)
最近では、カバーされたものが車のCM(スズキ「MRワゴン」確か青い車の)で流れてます。

( ‘д‘)<♪ホントの愛なんて、歌の中だけよ〜 
366 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月05日(水)01時41分47秒

レスのお礼です。

>南風さん
( `.∀´)<ホホ!あっついあっつい!
川;‘.▽‘)||<自分は電話であんなコト言ってたじゃん〜

お姉ちゃんはやはり、妹の涙には弱かったようです(w
彼女は今まで、年下と付き合ったことはないんですよ。

>名無しかも〜んな!さん
(;`.∀´)<あ、や…な、何もしてないわよッ!ホントよ!
川;‘.▽‘)||<もう遅いって

ヤッスーは猫に噛まれてたんです(爆 
カーペンターズお好きなんですか。CLOSE TO YOUもいい曲ですよね。

>クロイツさん
川;‘.▽‘)||つフ<あ、ありがとうございます
( `.∀´)<10合くらい炊こうかしらね ←多すぎ

ヤッスーはいついかなる時でも、生真面目なのです(爆
祭り、カッケー!アヤカ姉ちゃん、腹を決めました。
367 名前:婆金 投稿日:2003年03月05日(水)13時56分40秒
ゲンスブール キタキタキタキタ━━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!
ウッドベース弾きには惚れます。石川さんの、幸せ者!憎いねッ、良いねッ
368 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月05日(水)20時24分59秒
梨華ちゃんの心の中の台詞と、柴ちゃんの発言に…悶絶しております…ッ!!

くはー!!いしよし最高ー!!!

ああ、鼻血タレそう…はあとはあと
そして皆様、かっけ〜!!いいですね〜!!メッチャかっこいいですぅ〜!!
…結局、打ち上げは誰持ちになったんでしょうか…ちょっぴし気になる(笑)

ラブラブないしよしに、腰が抜けそうです。
次回も楽しみにしております!!
369 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月05日(水)22時51分38秒
一皮向けたよしこ萌え

それにしても圭ちゃん・・・振り回されるのが似合いすぎ・・・
オロオロしてるのが目に浮かぶよぉ
370 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)02時56分08秒
―――平家視点

は〜。エエ天気やな。
外は寒いけど、早よう起きて洗濯した甲斐があったワ。

ウチの名前は、平家みちよ。
一応、歌手や。
確定申告する時も、『歌手』って書類に書き込んでんで。
ウチはマジメな納税者やからな。

今日は昼過ぎからいったん出かけて、今度仕事に必要な菓子折りと、
圭坊へのみやげのケーキとを買いに行った。
あ、せやせや。
姐さんとこ晩ご飯よばれに行くし、辻加護とかもおるさかい、買うとこか。
ああ、そや。後藤の分も。
玄関のドアノブんとこでもぶらさげとくか。いつもおかずもうてるしな。
「菓子折りの分だけ領収書お願いします。名前は平…」
って売り子の姉ちゃんに言おうとしたら、
「…あ!歌手の平家みちよさんですね!」
やて。
ウチて…?

『サインしてください〜!』て言うから素直にサインしたけど。
ウチ、前にもここで買物(それは仕事用のやないけど)したし、
このねーちゃんに何回かケーキ詰めてもうたで。
まあ…ええワ。
『ありがとうございます!』て喜んでくれたし。
371 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)03時05分47秒
いったん家に戻って荷物置いてから、ギターとケーキ持って、上の圭坊ん家へ。
最近、ウチは仕事と趣味を兼ねてギターを始めたんや。
で、たまに圭坊に教えてもうてる。
休みやし、カオリもおるかもしれんな。
まあ、ケーキは余分に買うたけど。
「いらっしゃーい、みっちゃん」
やっぱり、カオリはおった。
というか。
ここ、アンタん家か?
フツーに家事しとるし。
テーブル、ふきんで拭いたりして。
圭坊はベランダで洗濯モン干しとった。
「ああ、ちょっと待ってね。
まったくシーツ洗うと一苦労ね…」
それはダブルやからやろ…。
ウチは心の中で呟いた。
噂によると、圭坊のベッドには、カオリのマイ枕があるそうや。
さすがに寝室までは見たことないけど。
市井と後藤が言うとったわ。
あいつらは、こっそり見たそうや。

ヤスダ先生に、カオリとふたりでギターを教わる。
圭坊は教えてる合間に、『バラ色の人生』なんか口ずさんで弾いとった。

『あなたの胸で 私は聞くやさしの言葉
 いつもかわらぬ言葉なのに
 私はうれしい』

「あ、カオその歌好きー!」
…ホンッマ、コイツらいちゃついてかなわんワ。
372 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)03時12分09秒
いや、別にウチの目の前でブチューンとかしとるワケやないけどな。
なんつーの?
絡み合う視線がもう。
見てられへんくらい、ラブラブやねんて!
ああ、もう。
ウチがひとりモンなら、目の毒やワ。
姐さんがおってくれてホンマよかった。

「休憩しよ。お茶入れるね」
ひと段落ついて、カオリがソファから立ち上がってキッチンへ行った。
そういや。
何となく、気づいてたけど。
この子ら付き合いだしてから、この家に圭坊の趣味のとは違う小物とかが増えた。
圭坊のとさり気にコーディネイトしてるマグカップやら、ベランダで風に揺れてる
枕カバーやら。
それは圭坊の生活の邪魔をするでもなく、それでもちゃんと自己主張していた。

「うまくいっとるみたいやないの、あの子と」
今更やけど、あえて圭坊に「このこの〜」みたいに、肘でウリウリしながら言うたった。
こんだけ見せつけられてんねんから、これくらい許されるやろう。
「え〜?」
コラ!
嬉しそうに困るな。
顔、満面の笑みやないかい!
「まあ、ね。付き合い長いし」
そう言うて、圭坊はキッチンのほうに目を向けた。
コラ圭坊!
ウチもおるいうのに。
自分のカノジョが台所立っとるのを、そういうエロい目で見んな!
ホンマにもう。
ギターでも弾こ。
373 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)03時16分20秒
『バラが咲いた バラが咲いた
 真っ赤なバラが
 淋しかった僕の庭に バラが咲いた…』

「―――ああ!
圭ちゃん、どしたの!?
みっちゃんが、もんのすごい影背負って弾き語ってるけど!」
お茶を運んできたカオリが声を上げた。
「ああ、いや、まあ…」
圭坊は、困ったように笑う。

『バラが散った バラが散った
 いつの間にか…』

…はぁ、姐さん。
今日ほど会いたい思たことはないわ。


『ゴハン食べてかないの?』
というおふたりさんの誘いを丁重に断って、圭坊宅を後にする。

後藤はまだ帰ってへん。
メモつけて、さっきのお菓子ドアにぶらさげといたろ。


ウチはケーキを手に、姐さん家に向かった。

ハア。
姐さん、今日はおかず何作ってるんやろ。
久しぶりに姐さんのごはんおなかいっぱい食べたいわ。
374 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)03時19分35秒
「あ、平家しゃんれす」
声のほうを見ると、辻加護コンビやった。
ふたりとも、フランクフルトをかじっとる。
駅前のお好みとか持ち帰りで売ってる店で買うたんやろな。
「よう。今からソッチ行くんやけど」
「そうなんや。ウチらは本屋行ってから帰んねん」
加護ちゃんはそう言うた。
「そうか。気ィつけて行きや」
「へいっ」
「のの、口のハタついてんで」
加護ちゃんがいったん立ち止まって、辻ちゃんの口元のケチャップを、
ティッシュで拭ってあげたった。
あらまあ。
微笑ましい光景やワ。
さっき、エロエロなモン見てもうたから、なんやサワヤカやわ。

あ、そうや。
ついでに姐さんに電話して、いるモンないか聞いといたろ。
電話したら、
『三つ葉があらへん。ネギも』
やと。
375 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)03時26分00秒
商店街まで行って、頼まれたモンを八百屋で買う。
ああ、そやそや。
ついでになっちんトコ行って、ギターの弦買うとこ。
そろそろ換え時やし。

『アベ楽器店』のそばで、休憩中なんか、よっすぃ〜が携帯で話しとった。

「うん、ウチ今日6時上がりだから一緒に帰ろ。あ、今ドコ?駅?」
ホンマにとろけそうなカオしてからに。
聞かんでも、相手が誰か分かるわ。
「ひとみちゃーん!」
携帯を耳に当てたまま、梨華ちゃんがぱたぱたと走ってくる。
駅て!
この駅かいな。

…いやまぁ、おふたりさん。
とりあえず、すぐ隣に相手おるんやし。
携帯、切ったら?
376 名前:バラ色の人生 投稿日:2003年03月06日(木)03時28分56秒
買物も済んで、姐さん家へ。
台所から、煮物のエエ匂いがしとった。
「遅かったやん」
姐さんは、そう言うて小皿に取ったおつゆを味見する。
「いや、ごめんごめん。とりあえず、ハイ」
ウチは八百屋の袋を手渡し、姐さんに後ろから抱きついた。
「なんやねん」
「いやー、今日は行く先々でエライ目に遭いまして」
何となく、背中にすりすりなんかしてみる。
『あなたゆえの私よ
私ゆえのあなたなの』
とか歌ってみて。
「なんや、ケガでもしたんか」
「いやぁ〜…ケガはしてへんけどね」
「そうか」
姐さんはいつものように素っ気無く言うて、菜箸で煮物の小芋を掴んだ。
「ホラ」
口元に近づいてきたイモを、遠慮なく頂く。
「うまい…やっぱりエエわ」
「何が」
「…アンタがいれば、何もいらんワ」

…ウチはこの後、フツーにしばかれたワ。
377 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月06日(木)03時37分46秒
更新しました。
行く先々でバカップルにいちゃつかれるミチャーソ。(;`◇´)<トホホ…
みっちゃん、いい子なのにね。

タイトルは、シャンソンのスタンダードナンバーより。
いいらさんのソロアルバムでも原語(フランス語)でカバーされるようです。

蛇足ですが、みっちゃんがやさぐれて歌ってたのは、
マイク真木の『バラが咲いた』です。( `◇´)<♪真っ赤なバーラーがぁ〜

レスのお礼です。

>婆金さん
(0^〜^0)ノ<オイラ、ウッドベース特訓したYO!
( ´ Д `)<んあ〜、めちゃ圭ちゃんにシゴかれてたよね〜

ゲンスブールは我が人生のテーマですから(w ( *^▽^)<ハイ!幸せです!

>クロイツさん
川σ_σ||<ほとんど視界に(0^〜^0)しかなかったでしょう?
( *^▽^)<ウン…

打ち上げはお約束で(;`.∀´)持ちですた。( ゜皿 ゜)<ウマカッタ シーハシーハ ←便乗

>名無し読者さん
(*^〜^*)<エヘヘ!
( ´ Д `)<♪大人の階段登る〜ってカンジ?

振り回されてこそヤッスーです(w ノ(;`.∀´)ノ<いいからいいから! ( ゜皿 ゜)<ナニアワテテンノ?


378 名前:ベリィ 投稿日:2003年03月06日(木)11時24分59秒
みっちゃ〜ん、会いたかった〜!最近出番が少なくて寂しかったですw
バカップル…よきかなよきかな。仲良きことは美しきかなですねw
みっちゃんと姐さんはもう長年連れ添った夫婦のようですな。素敵ですw

では、最後に一言。
『ヤッスー!今夜は離さないでェー!!』
・・・ごめんなさい、かおりん。別に他意はありませんw
379 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月06日(木)12時43分46秒
エロエロかおけい。サワヤカつじかご。ういういいしよし。
…最高…!!
みっちゃん、お疲れ様でした。
最後でらぶらぶできて良かったですねぇ。しばかれたけど(笑)

かおけいのらぶらぶっぷりに、私までノックアウトされそうです。
380 名前:あおのり 投稿日:2003年03月06日(木)15時01分06秒
ミチャーン乙!
相変わらずのバカップルウォッチャーぶりでした
今後とも詳細な報告お願いします。

しかし、やすかおはエロいですな
381 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月07日(金)01時38分03秒
―――吉澤視点

商店街を歩いてると、クリスマスソングを耳にするようになった。
いよいよ12月。
あっという間の一年だった。
去年の今頃は、親から急にどこでもいいから大学受けろって言われて、専門に通いながら
受験勉強してたっけ。
あやゃも高3でちょうど受験だったから、一緒に勉強とかして。
「も〜!ひーちゃんいきなし大学行くなんてー。ギター職人になるんじゃなかったのー」
と、大学受かって東京出てからもしばらくあやゃに言われ続けてた。
ウチは元々、ギター製作の学校へ行ってた。
高校の頃は大学とか進学する気なかったし。
それなら、手に職つけようと思って、そっちの方に進んだ。

…結局、こうやって東京出てきたけど。
これでよかったのかなぁ、と思うこともある。
でもまあ、梨華ちゃんと出逢えたから、回り道してよかったかな〜って。

『吉澤、オマエ就職しないんだって?どうすんの、卒業してから』
専門で一緒だった友達の言葉を思い出す。
『うん、いや、ちょっとね』
ちょうどあちこちの大学受けてた時だったから、ウチは曖昧に言葉を濁した。
ウチが大学入ったと後で別な子から知らされ、その友達は、何か散々ウチの悪口を
飲み屋で言ったらしい。
伝え聞いた話によると。
『アイツも結局親の言いなりかよ』
というようなことを言われたとか。
382 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月07日(金)01時41分09秒
…クリスマスソングを聞きながら、商店街を人込みを避けて歩く。
あの子も元気かなぁ。
楽器店に勤めてるって聞いたけど。
悪口言われたのはムカついたけど、元々イヤなヤツじゃないし。

お惣菜屋さんの店先で、ののがじっと、おばさんがコロッケ揚げるのを見ていた。
「のーの。何やってんの」
ポン、と後ろから肩を叩くと、必要以上にビクッとされる。
「うお!びっくりしたれす!」
「…そんな驚かなくたって」
「へへ、ごめんれす。コロッケに魂を奪われてたれす」
ののが今度はじっとウチの目を見る。

『買って』
瞳の奥には、その三文字が浮かんでた…。


「おいしいれす〜♪」
結局、おごらされる。
ののはご機嫌でアツアツのコロッケを齧る。
さほど寒くもなかったので、近くの公園に来た。
春には満開の桜が咲く。
下宿して間もなく、一回みんなでお花見に来たことがある。
「そっか、そっか。よかったな〜」
ウチも自分の分を齧った。
香ばしい匂いが、鼻先をかすめる。
ののはペットボトルの烏龍茶を半分くれた。
あったかい液体を、ゆっくり喉に流し込んだ。
383 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月07日(金)01時43分43秒
「のの、クリスマスはどうすんの。親戚の人の家行くんか?」
子供が滑り台で遊んでるのを、ウチらはぼーっと見ていた。
「ううん。オーストラリアに行くれす」
「ほう!お父さんとこだね」
「そうれす。お姉ちゃんも学校お休みれすから家族全員集まるれす。のの、お父さんたちにメールで教えてもらいながら、
自分で飛行機のチケットも取ったんれすよ」
「ほうほうほう!いや〜、ののももうオトナだな〜」
「えへへ、褒めたってなんにも出ないれすよ」
そう言いながらも、『あげるれす』とポケットからアメを取り出し渡してくれた。
「よっすぃ〜は?どうするんれすか」
「え〜?ウチは…」
「梨華ちゃんに指輪とかあげるんれすか」
「エ!?ああ、クリスマスプレゼントだね…!!」
「この時期、他に何があるんれすか」
辻先生は、やけに冷静だった。
ゴクリと烏龍茶を飲む。
384 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月07日(金)01時46分46秒
「ゆ、指輪かぁ〜。いや、やっぱしクリスマスの定番?カッケー!
ああ、あんまし高価なモンあげたら梨華ちゃん、『ええ〜!?そんな、高いものもったいないよぉ〜』って
眉ハの字にして困って言うかな〜?
いやいやいや!やっぱしココはバーン!と奮発すっかな!つ、付き合いだして、
は、初めて?のクリスマス?ってヤツだしィ〜。
いやいやいや、やっぱりプレゼントは心?
心がこもってないと…そんでもって―――ああ!?
のの、ドコ行ったぁ〜?」
ウチが気づいた時には、ののはもう立ち上がり、公園を出ようとしてるところだった。
…ウチ、さり気に放置されてた?

『バカップルののろけって、聞いててもつまんないのれす』
…くっ!
ののにまで言われちまったぜ!
せっかく梨華ちゃんのモノマネ(ひーちゃん渾身の作)までしたのに…!!


―――そんなこんなで。
クリスマスシーズンは慌しくやって来た。
385 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月07日(金)01時50分49秒
更新しました。
タイトルはジェイ・リビングストン作詞、レイ・エバンズ作曲のクリスマスソングより。  
1951年のボブ・ホープ主演のパラマウント映画「The Lemon Drop Kid 」主題歌でもあります。
ビング・クロスビーなど多数のアーティストがカバーしてます。

( `.∀´)y−~~<ホホ!スプリームスのカバーとかもオススメよッ

  ,......⌒⌒......ヽ
                           (..........................:
                            (..............人........ノ
                             人..( ^▽^)ノ<そう?(´ Д `;)<んあ〜、ムダに大きいヅラだね〜 コリャマタ

 (0^〜^0)ノ<モータウンカッケー!アフロでファンキー!イエーイ!

(;`.∀´)y−~~<(…ビミョーだわ)






386 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月07日(金)01時52分28秒
レスのお礼です。

>ベリィさん
( ;`◇´;)<おおきになぁ〜。人の情けに泣けてきたワ 从~∀~#; 从<本気で泣くなよ…

ミチャーソは出番のない間は、いしよしウォッチングに勤しんでますた(w
ヤッスーにメッセージを伝えておきます(w ありがとうございます。

>クロイツさん
( `◇´)<ハァ〜…外は寒い冬やけど、バカップルにはカンケーないな (`.∀´;)<……

しばかれたけど、ミチャーソ本人はシアワセだったかと(w
やすかおはほぼ同棲状態です。元々隣に住んでるんですが。

>あおのりさん
( ゜皿 ゜)<エーロ!エーロ! ヽ(`.∀´;)<アンタも言われてるって

ミチャーソといえば、いしよしウォッチャーの第一人者ですから(w
いい子ですから、今後も詳細なルポが期待できるかと。
387 名前:南風 投稿日:2003年03月07日(金)08時08分20秒
ほのぼ〜のって感じが癒されますねぇ。
ののと絡みが出てくると不思議なことに皆がほのぼ〜の系に見えてしまいます(w
のろけるよし子・・・最高です
388 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年03月07日(金)17時52分49秒
ヨッスィーのろけカッケー!
ののさんすら呆れるなんてそーとーでしようね
姉さんとミチャーンってほんとに大人でかっこいいっす(でもしばかれるんですよねw
389 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)02時45分34秒
―――石川視点

ライブのあった2日後の月曜日。
大学の帰りに、柴ちゃんやごっちんと恵比寿で映画を観た。
「ごとー、今日は起きてたよ」
映画を観終わった後のごっちんの台詞に、あたしたちは吹き出した。
お店のクリスマスのディスプレイとかを見て歩いて、スタバでお茶をする。


パンフを広げて、映画の感想を言い合う。
柴ちゃんは「誰もソンナトコ覚えてないよ」っていうよーな、マニアックな場面ばかり
覚えてた。
意外にもごっちんは、「そうそう、ごとーもそう思ったんだ〜」と頷いてる。
ふたりに付いていくので精一杯なので、あたしは聞き役に徹することにした。
柴ちゃんおすすめのランバフラペチーノが甘くておいしい。

「そんじゃ、そろそろ帰るわ」
柴ちゃんはそう言った。
「え、もう?」
びっくりした。
まだ4時過ぎだし、普段ならもうちょっと遊んで帰るから。
「うん、ねーちゃんがね今日は帰ってくるし…」
「そっかー」
「ちょっと込み入った事情で、最近よく帰ってきてんのよ」
「んあ?」
ごっちんも顔を上げた。

390 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)02時48分58秒
「いや、ねーちゃんさ」
柴ちゃんは声のトーンを落とした。
「アシスタントにお金盗られて、逃げられたのよ」
「…へ?」
あたしは思わず聞き返してしまった。ごっちんは声には出さなかったが、目を丸くしてる。
「結構仕事出来て頼りにしてたから、相当ヘコんでてさぁ」
「んあ、そりゃまた…」
「で、最近ちょくちょく帰ってきてるわけ」
「お金って…」
「あ、や。お金そのものの被害は大したコトないんだけど、
トーンまで大量に盗られてさ。それでまたヘコんでて」
「トーン?」
「んあ、漫画の原稿とかに貼る柄みたいなヤツだよ。ホラ、こういうの」
ごっちんが自分のカバンから漫画を広げて、指で示してくれた。
登場人物の服に、それらしきものがある。
へえ、これがトーンなんだ。
「おねーさんタイヘンだね〜。お金もだけど、トーンすごい使う人なのに」
「そうなのよ」
どうもごっちんの口ぶりからすると、柴ちゃんのお姉さんの漫画を知ってるらしい。

「んじゃ、またね」
「んあ、おねーさんによろしく〜」
「気をつけて」
柴ちゃんが帰ってから、ごっちんに
「ね。柴ちゃんのお姉さんの漫画知ってるの」
と尋ねてみた。
「んあ、何冊か持ってるよ。ああ、ついでに本屋さんで見てみる?
大きなトコならあるかもしれないから」

『大きなトコなら』
どういうことなのだろう。
391 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)02時57分35秒
「あっは!あったあった!」
ごっちんが本屋さんで、目的のものを見つけて声を上げる。
連れてこられたのは、漫画専門のところだった。

「ココ、立ち読みできるんだよね。読んでみる?」
ごっちんに漫画を渡されたので、しばらく見てみる。
…何だか、こういう表現はアレだけど。
お姉さんが柴ちゃんと姉妹なのが、分かる気がした。

「どう?」
隣で別の漫画読んでたごっちんが、感想を尋ねてきた。
「…何か、シュールだね」
「まあ、それが売りのヒトだしね。絵はうまいっしょ?」
「うん。あ、あたしね、前に似顔絵描いてもらったことあるんだ」
「マジで?」
「うん」
「ああ〜。いいなぁ〜」
ごっちんはファンなんだろうか。
何冊か持ってるっていってるし。
そう思って、聞いてみた。
「最初はいちーちゃんに薦められたんだけどね。面白いから読んでみろって」
ごっちんは読んでた漫画を棚に戻し、その辺のをパラパラとめくって答えた。
「そうなんだ」
ごっちんの口から、市井さんの影響部分のエピソードがその後もいくつか語られた。
何となく微笑ましいものを感じ、あたしは棚の漫画を選ぶごっちんの横顔を見ていた。
392 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月08日(土)03時00分15秒
更新しました。珍しい組み合わせのお出かけの巻。

( ´ Д `)<んあ〜、いちーちゃんの薦めるマンガヘンなのばっかだけど、オモシロイんだ〜

レスのお礼です。

>南風さん
( ´D`)ノ<アーイ!ありがとうなのれ〜す

この話の中で一番の癒し系でしょうね、彼女は。
ヨシコさんは帰り道もののさん相手にのろけてますた。(*^〜^*)<デヘヘヘ!

>名無しかも〜んな!さん
( `◇´)<おおきになぁ〜。姐さんにも言うとくワ〜

姐さんのしばきはある意味愛です(w 甘んじて受けるミチャーソ。
よっちぃののろけは辻姐さんもあきれるほどですた。( ´D`)<やってらんねーのれす
393 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)04時35分28秒
12月に入って。
アヤカは早速出版社のバイトが始まった。
週3ほどだが、年末進行の関係もあるので、今年はクリスマスはハワイでというのは
望めないだろう。
ミカにそのことで電話すると、見事に拗ねられてしまった。

「で、アヤカねーちゃんはどんなコト言って怒らせたのかなぁ〜?」
保田はニヤニヤと笑う。
ふたりは久しぶりに銀座のショットバーで飲んでいた。
「ああ、それが」
アヤカは苦笑する。
「ミカに電話で『クリスマスに間に合うようにプレゼントは送るから』って言ったら、
『アヤカのバカー!ダイッキライ!』だって。ハハ、まあ、見事にヘソ曲げちゃって」
そう言って、カクテルを口に含む。
今夜は冷えるので、ホット・ウィスキー・トディにした。
保田もバーボンをお湯で割り、レモンを加えたものを飲んでいる。
「仕事じゃなくて、『プレゼントを送る』の部分なんだけどね、怒ってるのは」
「そうなの?」
「うん、そういう子だから」
「そりゃまあねえ、プレゼントだけ郵送されてもねえ」
保田は更に可笑しそうに笑う。
「う〜ん…機嫌直してくれないかしら」
「つーか、アンタ自分も女のクセに女心を分かってなさすぎ」
「圭ちゃんに言われたくないよぉ〜」
「あ゛あ!?」
ふたりが冗談半分で罵り合ってると、保田の携帯がブルった。
『ちょっと失礼』と断って、外に出る。
「もしもし?」
『圭ちゃ〜ん…今ドコ〜?カオ、オナカが痛いよぉ〜』
飯田は半泣きだった。
394 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)04時44分50秒
「オナカ?アンタ、冷たいモン飲みすぎたんでしょ?」
『違うよ〜…アタタ!』
「…分かった」
溜息をついて、携帯を切る。
店内に戻り、
「あのさ…」
「カオリちゃん?帰ってあげて」
全部言い終わらないうちに、アヤカは了解、というように頷いた。
「『オナカ痛い』だと。コドモかよぉ〜」
保田は苦笑いする。
「たく、もうワガママ言わないんじゃなかったのかよぉ〜」
自分が事故で入院した時、飯田が泣きながら言ったことを出して、
保田はやれやれ、というように頭をかいた。
言葉とは裏腹に、幸せそうだ。
アヤカは何だか嬉しかった。

地下鉄の駅で別れ、それぞれ帰路に着く。
帰ったら、もう一度ミカに電話をかけよう。
アヤカは電車の中で考えた。




395 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)04時54分54秒
ミカへの電話は、空振りに終わった。
まず、電話に出てくれないのだ。
叔母たちに取り次いでもらうのだが、『今、拗ねてるのよ』と言われ、
アヤカは困ったように笑った。
多分、『アヤカだったら出ないよ。いないって言って』とでも家族に言ってるのだろう。
容易に想像できた。

最終手段として、メールを送る。

『プレゼントは、直接渡すわ。
喜んでくれるといいな』

『ここまでは、こっちも譲歩したわ』
『送信』をクリックして、アヤカはコーヒーを飲み干す。

『バカ』
しばらくたって届いた返事に、脱力してしまった―――。


―――その数日後。
「ここね」
アヤカはあるオートロックのマンションに来ていた。
今日は自分が担当する、漫画家の村田めぐみの原稿を取りに行く。
やや緊張しながら、インターフォンを押す。
もう一度押す。
『ハイ…』
いかにも寝起きという声が聞こえてくる。
「あ、あの。プライム出版社編集部のアルバイトの者で木村と申し…」
『ハイ。今、開けます』
最後まで言い終わらないうちに、ロックが解除された。
「申し訳ありません。お休みのところを」
「ああ、や。いいですよ」
その女性――村田めぐみはそう言うと、小さく欠伸した。
『村田は仕事のツメに入ってる時は、2日起きてぶっつづけで描いて、丸2日死んだように寝るから』
編集部の斉藤が言っていたことを思い出す。

396 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月08日(土)05時03分09秒
「コーヒーでも飲みます?」
「いえ、そんな!先生に入れて頂くなんて!私が入れます!」
「ああ、別に先生とかじゃないので。自分のも入れるし」
村田はひょろひょろと動き回り、コーヒーの支度を始めた。
本格派のようで、冷凍室から豆を取り出しミルでガリガリやりだした。
何を食べてるのか、と思うくらい村田は細い。
動物というよりは、植物的な細さだった。

『まあ…天然だけどいい人だから』
また斉藤の言葉をアヤカは思い出す。
『天然…カオリちゃんみたいに交信とかするんだろうか』
淹れてもらったコーヒーを飲みながら、アヤカは気づかれないように様子を伺う。
「あのさ」
「ハイ」
「スケッチしていい?」
「ハイ?」
「美人は必ずスケッチさせてもらってるんだ。美人は貴重な文化財だから。無形だし」
別にウケを狙ってる様子でもなく、村田はスケッチブックを開き大真面目に言う。
『なるほど…これが天然か』
納得しながら、アヤカは指定された姿勢で鉛筆が走る音を聞いていた。


こうして、村田宅のアルバイト第1日目はモデルに徹することで終わった。
397 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月08日(土)05時07分59秒
更新しました。

川;‘.▽‘)||<ハァ… (‐ Δ‐ )<美人は、スバラシイ。そう思わない? 
398 名前:南風 投稿日:2003年03月08日(土)18時52分51秒
!?かおりんどうしたの!!?
お腹か!お腹痛いんか!!
圭ちゃん走れぇええええ!!!


そして美人はすばらし。
激しく同意
399 名前:あおのり 投稿日:2003年03月10日(月)12時09分16秒
アヤカさんは美人!そうそう村田さんは良く分かっておられる。
梨華ちゃんも似顔絵を描いてもらったってことなんで
村田さんから美人のお墨付きがもらえてよかったね
ミカちゃんも吉澤さんもこんな美人の恋人がいるなんてウラヤマー

で、やはりカオリのメンテナンス担当はヤスス(w
400 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)01時41分12秒
―――朝比奈女子高校。

期末テストも近いある日。
紺野はたまたま帰りが小川と一緒になった。
テスト前なので、クラブ活動は休みである。


少し前に、ある写真集を授業中に回し読みしてた罰で、小川はクラブの顧問から
1週間ばかし部の出入りを禁止されたが、先輩やクラスメートのとりなしで
2日で復帰できた。


つい先日。
進路指導の調査票が配布された。
目の前のテストを片付けるので精一杯なのに、その先のことまで考えなきゃならないのかと思い、
小川は少しうんざりする。
考えた挙句、『進学志望(学校等は未定)』と書いて提出した。


「今からハッキリ進路考えてるヤツっていんの?ココに進む、とかさぁ」
小川は足元の小石を軽く蹴る。
「そうですね」
学校の近くのコンビニで買った缶コーヒーを飲みながら、公園に行く。
冬枯れの公園は秋に比べて色がめっきり少なくなり、おじいさんと犬が寒そうに散歩していた。
401 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)01時42分46秒
紺野は何て書いたのだろう。
ふと興味がわき、尋ねてみる。

「紺野は?将来なんになりてーの?」
「…獣医です」
紺野は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「へぇ。動物のお医者さんかぁ〜。犬とか好きなん?」
「ハイ…わたくしが子供の頃、うちで犬を飼ってたんですね」
「うん」
「ちっちゃくて可愛い犬だったんですが…伝染病にかかって死んでしまったんです。
ワクチンは毎年打っていたのですが…」
「そっか…」
小川はしんみりと聞いていた。
「将来はどうなるか分かりませんが…できればそちらの道に」
そこまで言って紺野は、ふっと笑った。
「子供っぽい動機で恥ずかしいんですけどね」
紺野は照れたように笑う。
小川は笑って首を振った。
「小川さんは…?大学でチアをなさるんですか。スカウトがちらほら来てるって
噂で聞きましたが」
「ああ…どうしよっかなって考えてるトコ」
「そう…ですか」
402 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)01時45分54秒
「確かにチアは好きだけど、一生踊るのはムリだし。かといってある程度の年で現役引退して
後進の指導に回るっつーのもアタシ的に違うっつーか」
「ハイ…」
「だから、アタシじーちゃんとかばーちゃんの面倒見る仕事とかしたいなって。
元々ばーちゃんっ子だし」
「福祉の方に進むんですか?」
「まあ、そうなるんかな。いや、こればっかはどうなるかわかんねーけどな」
「…ステキな、夢ですね」
紺野が言うと、小川は
「よせよ〜!」
と思いっきり背中を叩いた。
体育会系なので、腕力も並ではない。

苦笑して背中をさすりながらも、紺野は何となくあったかい気持ちになるのだった。

403 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)01時47分43秒

一方。
辻と加護も「喫茶タンポポ」で寄り道をし、進路の話をしていた。
一応テスト前なので、ノートなどを見せ合う。

「進路調査なんか2年になってからでエエやんなぁ」
加護はうんざりした顔でノートを広げる。
辻も『そうれすね』と相槌を打つ。
「自分、何て書いたん?『希望する職業でもよい』とかって書いてたやん」
加護はチラッと辻の顔を見上げた。
「ののはれすねぇ〜」
「ああ」
「食べ物のお店を開きたいれす。うんとお金貯めて」
「はあ」
「ののの作ったごはん食べて、みんなにおいしいって思ってもらいたいれす」
「…ふうん」
「おいしいもの食べておなかいっぱいになって幸せになったら、みんな仲良くなれるれす」
「…そうか?」
「へいっ。少なくとも、ののはそう思うれす。毎日あったかいおうちで、
おいしいごはんを食べれたら、ののはとても幸せれす」
「…まあ、そうやな」
「あいぼんは?」
「…秘密」
加護はまたノートに目を戻し、問題を解くフリをする。

『しっかし…ののらしい夢やなぁ〜』
ちょっとおかしくなって、加護は気づかれないように小さく笑った。
404 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月11日(火)01時53分58秒
更新しました。
意外に(?)進路をマジメに考えてる小川さんの巻。∬∬;`▽´)<意外って…

前回更新分に間違いがありました。

>>395


誤:『ここまでは、こっちも譲歩したわ』

正:ここまでは、こっちも譲歩したわ。そう考え『送信』をクリックして(略)


レスのお礼です。

>南風さん
(;`.∀´)<賞味期限切れたモン食ってハラこわしてんのよ、たく…

圭ちゃん、走りました。そして、上の台詞のよーな結果だったそうです(w
美人はすばらしいのです(w ご賛同ありがとうございます。

>あおのりさん
( ‐ Δ‐) <あゆみの友達は美人多くてうらやましいよ…

本物のアヤカは美人の上、めちゃ勉強もできるそうですね。うらやましい(w
ハイ、いいらさんのメンテはヤッスーが一手に引き受けてます(w

405 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時07分01秒
―――12月6日。

その日は、保田の誕生日だった。
保田は朝から見るからに機嫌がよかった。
仕事を片付ける手も弾んでいる。

「保田さん、何か今日は機嫌がいいのう」
郵便局の常連の老婦人も、満面これ笑顔の保田を見てそう漏らした。
「すみません、無記名為替1500円分ください」
常連の女性がまたひとり現れる。
保田の大学時代の知り合いで、飯田より背が高いのでどこにいても目立つ人だった。
ちなみにその人はそのまま大学院に進んだ。まだ学生である。
「ハイ…1500円ですね。今年もですか?」
「ハイー、やっと冬にワンスペース取れたんですよー。保田さんのライブもまた観に行きますねー」
「ハハ、お願いします。ハイ、こちらになります」
「どうも。それじゃ、また」
女性は軽く会釈して局を出て行った。
406 名前:南風 投稿日:2003年03月11日(火)11時09分12秒
ののらしい夢だねぇ。
ほのぼのします。
そしてあいぼんは何って書いたんだろう?
『秘密』って言われれば言われる程知りたくなるのが人間ってもんですかね(w
407 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時10分54秒
『圭ちゃん、カオ今日はごちそう作るからね』
昼休みに携帯メールをチェックし、保田は鼻歌まじりにパンを齧った。

その頃。
「んあ〜。圭ちゃん、ホントにこんなん喜ぶかな〜」
市井の車からカサ高い荷物を取り出し、後藤は疑問の声を上げた。
取り出したのは、おもちゃのドラムセットである。
雑貨屋で、破格の値で売っていたのだ。
本物だと皮を使用してる部分はアクリル製だが、バスドラ装備でちゃんと
ちゃっちいものながら、フットペダルももれなくついている。
「おめーがまず大喜びで買おうっていったんでしょーが」
「んあ」
「見ろよ、シンバルまでついてるしー」
市井は申し訳程度にくっついてるシンバルを指で弾く。
いかにもおもちゃな音がした。
リボンで結んだかなり短めのスティック(これもセットに付いていた)も持って、
ふたりは後藤宅へ大荷物を運搬した。

「保田さん、喜んでくれるかしら」
一方、大学では。
昼休みに梨華、吉澤、柴田、アヤカの4人が学食で昼食を取りながら話していた。
ドラムセットはバンドメンバー、飯田、梨華、柴田、大谷でワリカンした。
ワリカンしてもひとり500円である。
飯田と大谷も面白がって、ノッてくれた。
「いやぁ〜。もうひとつのオマケもあるし〜」
吉澤はアヤカの発言にニヤニヤ笑う。
梨華と柴田はきょとんとした表情で顔を見合わせた。
「おまけ?」
柴田はそう言って、紙コップのミルクティーを口にした。
「ウン、スペシャルプレゼント〜!カッケー!」
吉澤は箸を握ったまま叫ぶ。
「ラッピングもカンペキ♪」
アヤカはウフフと笑った。
「カッケー!」
吉澤は、もう一度叫んだ。
408 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時15分06秒
「ねえ、保田さんへのスペシャルプレゼントって何?」
学食を出て、梨華は隣に並んで歩く吉澤に聞いてみた。
「あのね…」
こっそり耳打ちされて、
「エ!?」
梨華は赤くなって、ホントなの?と聞き返す。
「ウン。ホント、ホント♪」
吉澤は楽しそうに、自分のオーバーオールの中に手を入れてスィングした。

6時頃、保田はいったん後藤宅を訪ねた。
先にこちらへ来るように、みんなに言われていた。
ドアを開けると、吉澤たちがクラッカーを鳴らす。
「「「♪ハッピバースディー圭ちゃ〜ん!」」」
「ウオ!ナニゴト!?」
クラッカーのヒモや紙まみれになった保田は、目を丸くする。
「みんなのアイドルヤッスー!」
と市井。裏声である。
「「エルオーブィイー!ラブリーヤスス!」」
梨華と後藤がフリつきで叫ぶ。
「カッケー!ヤッスー命っす!」
雄々しく叫ぶ吉澤。
「もう24歳なのね!でも、おめでとう!」
シメのアヤカの言葉に、全員どっと笑う。
「『でも』て!でも嬉しいわ!ホホ!アンタたち全員長生きするように
このアタシが祈るワ!」
保田は頬を紅潮させた。嬉しさ全快である。
「んあ〜、プレゼントだよ〜」
後藤が奥から、例のビミョーなドラムセットを押し出してくる。
「…ハハ」
案の定、保田は笑顔のまま固まってしまった。
409 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時18分43秒
「これは…?」
「んあ、みんなでプレゼント見に行って、ごとーがお店で見つけたの。いいっしょ?」
「ハイ、スティックはあとはあと
市井はニヤニヤしながら、赤いリボンのついたスティックを握らせる。
「分解できるから邪魔にならないッス!カッケー!オイラも叩きてぇ〜!」
「保田さ〜ん!イシカワもウレシイでぇ〜す!」
吉澤に負けじと、梨華も一際甲高い声で叫んだ。
「ハァ…どうもね。バスドラまで…」
「んあ、もれなくフットペダルもついてるよ〜」
後藤はひょこひょこと足元のペダルを動かした。
「カオリちゃんや柴っちゃんとマサオくんもノッてくれて、
みんなでワリカンしたんだよ〜」
アヤカが言うと、
「へえ、そうなんだ。お礼言わないとね。メール送っとこ」
保田は早速携帯を取り出した。
「で、ドラムだけではありません。このように」
アヤカはそう言って、立派な包装の品をドラムから取り外した。
赤い包みが、よりゴージャスだった。
「ちゃんとメインも用意しております。ドラムはあくまでおまけで」
保田の目が輝く。
「ホホ!そういうコトは早く言ってよ〜!開けていい?」
「どうぞどうぞ」
一同は意味アリゲに笑う。
梨華と吉澤も顔を見合わせてクスッと笑った。
「じゃ〜ん!――――エエ!?」
包みをはがし、保田はさっきのドラムの時より固まった。
中身は。
いかにも、な。
真っ赤な下着セットだった…。
410 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時20分14秒
「どうしろっちゅうの!こんなハデなの〜」
保田はブツブツ言う。
一応、礼は述べたのだが。
しっかり上下揃いで、ガーターまでついている。
「アタシの知り合いに頼んで、安くしてもらったの」
アヤカは得意げに言った。
「カオリちゃんに好きな色聞いたら、赤だっていうしさ〜」
「カオリの趣味かい!」
「え〜。勝負下着は相手の好みに合わせるもんじゃないの〜?」
「どこで勝負しろっちゅうの!」
「どこって…ねぇ」
アヤカは他のメンバーと顔を見合わせた。
一同は決まってんじゃん、などとあくまで保田にツッコむ。
梨華はオナカを押さえて、苦しそうに笑う。
目の端には、うっすら涙が浮かんでいる。
「まあまあ、ウチらの愛を受け取ってよ。さて、圭ちゃんはカノジョがお待ちかねだろーし、
そろそろお開きにすっか」
市井が宣言すると、
「そうね、アタシもバイト行かないと」
アヤカも自分の腕時計を見て立ち上がった。
「んあ、ドラムは今日はごとーが預かっとくよ〜。圭ちゃんまた取りに来て〜」
「ウチもそろそろごはんなんで帰ります。お疲れっした〜。行こ、梨華ちゃん」
「うん」
後藤と市井以外は、ぞろぞろと家を後にした。
「あの、マジ嬉しかったから。ありがとう!」
保田は通勤用のカバンは肩、さっきの派手な下着(しかも赤)を持ち、
その手をぶんぶん振って2階の自宅へ上がって行った。
411 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時22分23秒
「ただいまー」
保田がドアを開けると、クリスマスの絵本のようなご馳走がテーブルに所狭しと並んでいた。
「おかえりー。お疲れさまー」
飯田はミトンをはめて、オーブンからグラタンを取り出しているところだった。
「お誕生日おめでとう」
といったん皿を置いて、保田の頬にキスをした。
「すっごいじゃん!」
保田は感嘆の声を上げた。
「ハハ、さすがにチキンは売ってるのを買ったけどね」
「いや、もう。充分くらい豪華だって!」
「よかった、喜んでくれて」
ふたりは顔を見合わせて、微笑んだ。

ディナーが始まった。
保田はあらかじめ買っておいたシャンパンを開ける。
ハーフボトルだが、ふたりで少し乾杯するくらいなら充分な量だ。
「キレイな色だね」
飯田はグラスをテーブルに置き、下から覗き込む。
薄い赤の液体から、細かな泡がいくつも立ち上っていった。
飯田の横顔を、保田は幸せそうに見ていた。
「後藤たちからプレゼントもらった?」
飯田に言われて、保田はシャンパンを噴きそうになった。
その様子を見て、飯田は笑う。
「あのね〜!アンタまで調子に乗って!」
「クリスマスにはあれつけてね♪」
頬にキスされて、保田は渋々頷いた。

飯田からのプレゼントは、手編みのセーターだった。
極細の、編むのが難しい毛糸を使って器用に編んである。
保田は子供のようにはしゃぎ、まず当ててみて、すぐに着ているニットを頭からすっぽり脱いで
プレゼントに身を包んだ。
『似合ってるよ』
飯田に言われて、保田は得意げに人差し指で鼻をこすった。
412 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月11日(火)11時24分59秒
―――その頃。

市井と後藤は、遅い夕飯を調達するため、出かけようとしていた。
ちょうど、保田宅の灯りが消えるのが見えた。
中澤ハイツの窓を外から見て、「お!今圭ちゃんちの電気消えた!」と
盛り上がる。
声が聞こえないのがザンネンです、と後藤はわざと神妙な面持ちで言った。
「圭ちゃんは今宵は上でしょうか、下でしょうか」
と市井は実況アナよろしく、右手でマイクを握るフリをする。
「あっは!今度圭ちゃんの首筋のアトで確認するナリよ〜!」
後藤ははしゃいで、市井の腕をぶんぶん振り回す。
「仕事行くときは、必死こいてファンデで隠してな」
市井もぎゃははと笑う。
「んあんあ!ファンデでは追いつかなくて結局湿布貼って、
『イヤー寝違えちゃって』とか誤魔化してね!」
「ギャハハ!おかしすぎる〜!」
市井と後藤は笑い転げながら、駅に続く道を歩いて行った。
413 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月11日(火)11時30分13秒
更新しました。

( `.∀´)y−~~<キリキリ逝くわよッ!

ノ( ゜皿 ゜)ノ<イクゾーーーーー!!

ヤッスーSPですた。

レスのお礼です。

>南風さん
( ´D`)<あいぼん、どんなに聞いても教えてくれないんれす〜

加護さんは照れ屋なので、まず簡単には教えないでしょう(w
辻さんは食べっぷりは別として(w、案外無欲な人なのです。
414 名前:南風 投稿日:2003年03月11日(火)11時58分35秒
ぐわぁぁぁぁ!!ごめんなさい!!!
更新途中にレスしてしまいました・・・
しこたま反省して帰ってきたいと思います。
415 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月11日(火)12時03分28秒
素敵過ぎるお仲間に、涙が出る程笑いました…!!
最高だ、みんな…!!

しかも最後の予想に、更に大爆笑。
きっとその通りなんでしょうねぇ♪…ああ、目に浮かぶようです。

でもっておがこん!!おがこん!!万歳ッ!!!
こんこんと一緒にどきどきしましたっ!!

次回も楽しみにしておりますきほし
416 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年03月11日(火)12時29分18秒
ヤッスー勝負下着かっけー!
勝負下着は相手の好みに合わすのか〜勉強になりますた
ついでにおがこん、ぶりんこの進路調査かっけー!
ののさん、君は食い物にしか興味がないんかw
417 名前:あおのり 投稿日:2003年03月11日(火)16時26分50秒
お!出ましたねエロコンビ(w
真っ赤な勝負下着とはカオリもェロい
418 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月12日(水)11時17分36秒
―――吉澤視点

次の週の月曜。
ウチは、朝銀行に寄り、通帳の残高をじっと見ていた。
そこそこあるけど…クリスマスに『カノジョに指輪プレゼント』ってキツイな。
年末は何かと物入りだし…。
「…ハァ」
タメ息をついて通帳をカバンにしまい、銀行を出た。

大学に着くと、廊下でアヤカさんに後ろから肩を叩かれた。
「あ、おはよっす」
「どうしたの〜。シケたツラして」
『シケたツラ』て…。
アヤカさんのような上品なひとが言うと、なんかオモロイな。
市井さんあたりの影響だろうか。
「あ、いや。もうすぐクリスマスじゃないですか」
「そうね」
「いや。それでね、その…ウチ的には梨華ちゃんにナンカ、ばばーんと
カッケー!プレゼントしたいって思ってるんすよ」
「ほう」
「そんで…困ってるんスよ」
ウチらは昼過ぎからの授業なので、いつものように部室へ行った。
アヤカさんはコーヒーを入れてくれた。
(ちなみにこのコーヒーは、ごっちんが学祭のイベントでゲットしてきた賞品だ)
419 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月12日(水)11時19分59秒
「あのぉ…」
「ん?」
アヤカさんは自分のマイマグカップを手にして、振り向いた。
「あの、オンナノコって、ぶっちゃけ、クリスマスにどういうモンを欲しがるんスかねぇ」
一瞬間があって、アヤカさんは小刻みに肩を震わせる。
「よっすぃ〜…自分もオンナノコだって、分かってる?」
肩にポンと手を置かれた。
その手もビミョーに震えてる。
大笑いしたいんだけど、かろうじて耐えてるってカンジだった。
「あ、いや、まあ」
そこなんだよなぁ。
いや、ウチもいちおーオンナなんだけど、別にクリスマスに指輪なんてほしくなかったし。
当然、もらったコトもない。
それなら、カッケーシルバーアクセとかの方がいいって思ってたし。

すっげー昔に、あやゃが自分の食べさしの『指輪キャンディー』を
「ひーちゃん、ハイ」ってくれて、えらく困惑したコトあっけど。
つーか、食べる前のをくれよって。
(まあ、向こーに悪気はないんだろうけど)
420 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月12日(水)11時21分24秒
「アヤカさんは?今までそーゆーの、もらったコトあるんスか?」
「いや…その辺を言い出したらキリないんだけど」
キリがないくらいもらってるんだ…!カッケー!
アヤカさんは『いやまぁ、そういうのは』などと言い、熱いコーヒーを口にした。
「昔モテモテだったってホントっすか?」
「いやぁねぇ〜、ダレに聞いたの?」
「保田さんに…えーと市井さん、ごっちんとか」
特に保田さんは『アイツは勉強のできる不良だった』と言ってた気がする。
「もう〜、圭ちゃんとサヤカはどーせロクなこと言ってないんでしょう〜」
「ハハ、いやぁ〜、今もモテモテじゃないっスか。ライブも声援多いし」
「いやぁ〜、今はあんましモテると色々ホラ?厄介なコトがあるしね、お互い」
アヤカさんはそう言って笑った。
アヤカさんは、ハワイで従妹の女の子と恋人同士になったらしい。
『妹みたいな存在ってのは、変わらないんだけどね』
前に一回、そう言って彼女の写真を見せてくれたことがある。
アヤカさんよりうんと小柄で、カワイイ子だった。
『昔からワガママ言ってはこっちを困らせてさぁ〜』
アヤカさんは幸せそうに愚痴ってた。
421 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月12日(水)11時22分45秒
「クリスマスはナンカ贈るんスか?ハワイとかって、家族でパーティーとかするんじゃ?」
「ああ、うん。今年は例のバイトでダメなの。いや、そのことで今ゴネられてんだけどね」
「へ?」
「『クリスマスプレゼントは郵送する』って言ったら、口聞いてくれなくなっちゃった。
今もメール送っても、『もう知らない』って返ってくるし」
あれあれまあ。
カップルってカンジ?
アヤカさん、愚痴りながらもニヤけてるし。

「とにかくまぁ、プレゼントはそんな高価なものじゃなくても、よっすぃ〜のハートがこもってたら
いいと思うよ」
「ハート…ハートっすか」

そんならもう…年中無休であげてるんだけどな。
なんて考えてニヤけてたら、アヤカさんに『ナニ考えてるか分かるよ』と冷やかされた。
422 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月12日(水)11時23分42秒
更新しました。
クリスマスプレゼントに悩むひとたちの巻。

どうしようかしらね〜>川‘.▽‘)|| (^〜^0)<んで、ナニ贈るんスか? 

訂正です。

>>407
本物だと皮を使用してる部分はアクリル製だが →本物だと皮を使用してる部分が、これはアクリル製だ。

>>408
全快→全開

>>410
通勤用のカバンは肩、→肩には通勤用のカバン、手には(略)

レスのお礼です。

>南風さん
(0^〜^)ノ<ケコーン!カッケー!

いやいや、こんなコトはそうそうあるもんではありません。どうぞお気になさらず。
記念に200万ヤッスー差し上げます。返品は不可です(w( `.∀´)y−~~

>クロイツさん
( ^▽^)<保田さん、スッゴクうれしそうでした〜はあとはあと

ヤッスーはみんなのアイドルですから(w いじられまくりな生誕記念日の巻。
小川さんは無意識にワイルドなミリョク(爆 を振りまいてます。∬∬`▽´)<♪〜

>名無しかも〜んな!さん
( ‘д‘)<勝負が常って女性も世の中にはおんな!

進路希望調査、私は確か『仮面ライダー』って書いて怒られました。勝負下着は、まさしく
『かゆいトコまで手が届く』至れり尽くせりな一品です(w(;`.∀´)<なんだかなー

>あおのりさん
( ゜皿 ゜)ノ<エーロ!エーロ! (`.∀´;)<いやだからアンタも言われてるってば

ヤッスーにしてみりゃ、「あ、赤て…」ってカンジでしょうね(w
アヤカのことだし、下はおろか、上もジャストフィットかとオモワレ
423 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月12日(水)16時14分07秒
年中無休で愛をあげてる吉澤さん…素敵過ぎますっ!!!
何あげるんでしょうねぇ、ヨッスィー☆どきどき。
そしてあややの指輪キャンディーに爆笑。あややらしいと言えばあややらしい…(爆笑)
最近また、アレ売り出しましたよねっ。

さ〜て、アヤカさんもヨッスィーもどーするんでしょうねぇ、プレゼント☆
楽しみに待っております!!
424 名前:南風 投稿日:2003年03月12日(水)20時11分17秒
ただいま戻りました。
戻ってみたら突然財布の中に200万ヤッスー・・・。
押し入れの奥深くに封印(お札つき)決定(w

プレゼントかぁ・・・気になるなぁ。
年中無休よし子かっけー!!!!!!!!!!!!!
425 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月13日(木)02時05分06秒
―――石川視点

ある日の晩ごはん。
今日は珍しく、みんなそろっている。
いつもだと、ひとみちゃんがバイトで遅かったりするので、彼女はひとりになることが多い。
今日は早上がりだったようで、ついさっき帰って来た。

「今、歳末大売出しで楽器店も商店街のどの店も、スッゲー忙しいの!タンポポも矢口さんが、
期間限定のオリジナルメニューっていうのやってて、お客さん入ってるみたいだよ」
ひとみちゃんはいっぱい働いて疲れてるみたいだが、食卓で楽しそうに話した。
「タンポポのメニューはののもアイディア出したんれすよ〜。チョコモンブランの中に、ふわふわの
ムースがあるんれす」
「へえ、うまそやな」
あいぼんが興味深そうに視線を向ける。
一回あたしも喫茶店で見かけたけど、ののちゃんはあーでもない、こーでもない、と矢口さんと言いながら、
モンブランのクリームを絞ってた。
「へいっ!矢口さんとののの、愛の結晶れす!」
「いや、結晶の使い方間違ってるし。それに矢口さん聞いたら、『キショッ』って言うで」
あいぼんの返しに、みんな笑った。
確かに、言いそうだ。
あたしなんか、女子校で一緒だった頃から『イシカワ、オマエキショイよ!』って
言われ続けてるし。
言われないと、なんか安心しないっていうか。
…イヤだ。重症かしら。
426 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月13日(木)02時05分41秒
「アンタら、冬休みはどうするんや。辻はオーストラリアのご両親とこ行くて言うてるけど」
「―――エ?」
裕ちゃんの言葉に、一瞬あいぼんが固まった。
「なんや、言うてへんかったんかいな。終業式済んだら、すぐ行くんやろ?」
「へい。あ、なんかあさ美ちゃんが冬休みに、オーストラリアでホームステイとかするみたいで、
ののと同じ飛行機なんれす」
「へえ〜。あ、オーストラリアは今、夏か。南半球だし」
「また半袖を引っ張り出したのれす。ハァ、ののはお家に行くからいいようなものの、あさ美ちゃんは
もっと荷造り大変れしょうね」
ひとみちゃんとののちゃんが話してる横で、あいぼんはお茶碗を手に持ったまま、ずっとうつむいてた。
「…加護?どないしたんや」
裕ちゃんに顔を覗き込まれて、
「―――あ!いえ、別に何でもないです。ちょっとボーッとして」
あいぼんはお茶碗を置いて、見るからにムリして笑った。
「のの、ウチにもみやげ買うて来てや〜。『AUSTRALIA』とか胸に書いたTシャツは不可な」
「エ〜。そんなダサダサなTシャツ、ののもイヤなのれす」
「いや、分からんで。なにしろ旅行中は舞い上がってて、ヘンなモンを買いがちやからな」
「分かったれす。あいぼんがギャフンというよーな、カッコイイおみやげ買ってくるれす」
「ギャフンてアンタ」

あいぼんの横顔を、見てると胸がチクリと痛んだ。
427 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月13日(木)02時08分07秒
『ごちそーさまー。これからののに、ダサないみやげのレクチャーしてくるワ』
あいぼんはそう言って、ののちゃんと2階に上がって行った。
ひとみちゃんは自分の食器を洗ってから、お風呂の支度を始めた。

「加護のヤツ、またムリしてからに」
裕ちゃんが、ボソッと言った。
やっぱり気づいてたんだ。
「ん…ののちゃんに迷惑かけちゃいけないって思ってるのかな」
「まあなぁ〜。…なぁ、オマエやったらどうする?」
「エ…あたし?」
「そうや。もし吉澤がクリスマス日本におらへんってなったら、どないや」
「…それは」
答えに困ってると、裕ちゃんがフッと笑って、あたしの頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
「ヘンなこと聞いたな。堪忍な」
裕ちゃんは、また片づけを始めた。

やっぱり、裕ちゃんはあたしのこと、分かってくれる。
ひとみちゃんも大好きだ。
でも裕ちゃんも、あたしにはとても大切なんだ。


…こういうの、『シスコン』って言うんだろうな。きっと。うん。
428 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月13日(木)02時15分42秒
更新しました。
複雑な乙女ごころの加護&今更己のシスコンぶりを自覚するいしかーさんの巻。(;^▽^)<?

レスのお礼です。

>クロイツさん
川‘.▽‘)||<よっすぃ〜と一緒に見に行ったけど、なかなか迷うわね〜 (^〜^0)<そうッスね

よっちぃ、ロー○ン状態です(w 指輪キャンディー、復活しましたね。
食してるうちに手がベタベタになる悲しいシロモノでしたが。

>南風さん
(;`.∀´)<アラ!いきなり押入れ? (´ Д ` )<圭ちゃんが200万だよ?フツーそうするって

よかったです、戻ってきてくだすって。封印カッケー!しかも押入れの奥(w 
プレゼントは選んでる時が結構楽しかったりするのですが。遠足の前の日みたいで(w
429 名前:南風 投稿日:2003年03月13日(木)07時03分43秒
あいぼんも複雑な心境なんですねぇ(しみじみ)
何だかそっと優しく見守っていきたい気持ちでいっぱいでござります。
ねぇやんなねぇやんかっけーです!
430 名前:ベリィ 投稿日:2003年03月13日(木)10時42分16秒
お久しぶりです。ヤッスーお誕生日おめでとうw(←遅っ!!)
…スイマセン、遅くなって。でもどうしてもいいたかったんです!(w

シスコン梨華ちゃんかわい〜っすね〜wベリィも裕ちゃんみたいな素敵な
お姉ちゃんが欲しいです。(w そらシスコンにもなりますって!(笑)
あいぼーん!トランクに入ってついてっちゃえ☆(←ダメです。)
431 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月13日(木)11時01分40秒
シスコン梨華ちゃん素敵〜!!ま、でもこんなお姉様なら、なりますわよねぇ。
やっぱ、ウチの姉とは格が違いますわ。格が。
…姉に絶対服従を誓わされた十五歳の夏を思い出します…。

てゆーかあいぼん…!!切ない…!!
ううう、良い事あると良いですね、あいぼんっ!!
次回も楽しみにしております!!
432 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年03月14日(金)23時39分03秒
加護さんがんがれオイラ隠れて応援してるよ〜
いしかーさんてやっぱりシスコンなんすねカコイイ!!
433 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月15日(土)11時30分48秒
アヤカが出版社でアルバイトを始めて早や10日―――

彼女は大分、新しいバイトに慣れてきた。
いや、自分が担当している村田のペースに慣れてきた、と言うほうが正しいかも知れない。
村田は相変わらず、黙々とマイペースに描いている。
今も、カリカリとペンの音が奥の仕事部屋から聞こえている。

『いったん集中しだすと、周りが見えなくなる人だからね。
彼女に用事があるなら、仕事が一段落ついた時にでもまとめて言ってね』
編集部の斉藤は、そう言っていた。

何度か原稿を見せてもらったが、ホワイトで修正した跡が、まるで見当たらなかった。
『ハァ…これがプロの原稿なんだな』
その完成度の高さに、アヤカは思わずため息をついたのだった。

出版社に言われた仕事は、原稿取りの他に、村田の確定申告用の領収書整理など
雑用だった。

『領収書の整理だけお願いね。忙しくて、そこまで手が回らないらしいの』
と斉藤に言われた時、アヤカは紙くずの埋もれた部屋で、どれが領収書か分からないような、
最悪の事態を覚悟していた。
自分はきっと、紙くずの山に埋もれる。
しかしこれも給料のためだ。
そう思って、整理を始めた。
434 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月15日(土)11時40分15秒
―――先生に失礼だった。
アヤカは素直にそう思った。
大き目の箱がいくつかあり、大雑把ではあるが、買い物の都度レシートなどを
分けて入れてたようだ。
それぞれ箱の側面に、 『メシ』『マンガ材料』『本とか』
と項目に分けて、村田のシュールなイラストとともに描かれている。

『よかった…もっとスゴイことになるかと思った』
安堵の溜息を漏らし、早速整理を始める。

玄関のチャイムが鳴る。
ちょうど休憩して、お茶を飲んでいた。
村田は気分転換に、『お茶のおかわりを入れるアヤカ』をスケッチしていた。
『ハイ…おう、上がれよ』
村田のインターホンでの口ぶりから、誰か友人でも来たのだろうと立ち上がった。

「アレ…アヤカさん?」
玄関で、村田の妹―――柴田あゆみはポカンと口を開けた。
ちなみに、『村田』はペンネームである。
本名は、柴田めぐみという。

「あれー。知り合い?」
鉛筆を耳にはさみ、村田は二人の顔を交互に見る。
柴田とアヤカは、それぞれ頷いた。
姉から出版社からのバイトで来てもらっている、と聞いて、柴田はニヤッと笑った。
「いや〜、出版社も考えたねェ〜。
ねーちゃんに原稿描かすなら、美人の担当者がイチバンだわ」
柴田は感心したように、腕組みして頷く。
「彼女は直接の担当じゃなくてアルバイトだっちゅーに。確かに美人だけど」
「美人の部分は受け入れると」
「当たり前じゃ」
姉妹の漫才のような遣り取りを、アヤカはハタで笑って見ていた。
435 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月15日(土)11時51分21秒
柴田は母に言われて、お歳暮に親戚からもらった牛肉をいくらか姉の元に届けに来た。
「肉!」
村田は目を丸くする。
彼女は、肉がニガテなのだ。
「好き嫌いすると大きくなれんよ。ホラ、アヤカさんも一緒に」
柴田はあっけにとられるふたりをよそに、いそいそと台所で焼肉の支度を始めた。

―――その夜は。

村田は自分の夕食用に、あらかじめコンビニでパスタを買っていた。
妹が急にやってきて焼肉大会になったので、『肉にカルボナーラ』という
濃いメニューとなる。

「これが肉か!」
村田は高級黒毛和牛をひとくち食べ、そう言った。
柴田とアヤカは困ったように笑う。

「ねーちゃん、パスタをうどんのように食うのはやめれ」
「うっさいよ。音はたてとらん」
村田は、静かにパスタをうどん食いしていた。
最初のふた巻き、三巻きくらいで、フォークにパスタを巻きつけるのが面倒になってきたのだ。

「義理は果たした」
いったい何の義理かは分からないが、村田は立ち上がっていそいそと食器棚からマイ箸を取り出した。
「ずるいよ〜!ねーちゃんばっかぁ〜。おかーさんに言うかんね」
「―――あ!卑怯なヤツめ!母ちゃん出しやがって」
「オマエの母ちゃん、デーベーソー!」

姉妹のくだらない諍いは続く―――。
アヤカは耐え切れず、フォークとスプーンをテーブルに放り出し涙が出るほど笑った。
436 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月15日(土)12時00分34秒
更新しました。

レスのお礼です。

>南風さん
从 #~∀~从<おおきになぁ!カッケーやて照れるわぁ〜
( `◇´)<まあ、姉御肌のおひとやさかいね

あいぼん、思春期真っ只中ですから(w どうぞ見守ってやってください。ありがとうです。

>ベリィさん
( `.∀´)y−~~ <ホホッ!ありがとう!その気持ちが何よりのプレゼントよッ
( `◇´)<姐さんもごっつシスコンやねん

トランク…それもひとつのテですね(ヲイ)。シスコン姉妹、久々に書きました(w

>クロイツさん
从 #~∀~从<いやぁ〜。エエ加減、姉離れしてくれたらエエねんけどなぁ
( `◇´)<自立したらしたでまた寂しいんちゃうの?(アンタも妹離れしてへんて)

それぞれ恋人がいてもやっぱりシスコンなんです(w クロイツさんの姉上様…イカしてます(爆

>名無しかも〜んな!さん
(*^▽^)<あ、ハイ。なんかそうみたいです…
(;〜^◇^)/<―――もしかして自覚なかったのかよッ!←姉妹とは古い付き合い

ハイ、シスコンです(w シスコン姉妹なんです、このひとたちは。応援カッケー!どうもです。
437 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月15日(土)12時02分43秒
・ライフスタイル

川‘.▽‘)||<2日ぶっつづけでお仕事して、で、2日間爆睡ってすごいですね マネデキナイ…

( ‐ Δ‐)φ ゛<結構、あたしに合ってる キョウガナンニチカ タマニワカラナクナルケド

川‘.▽‘)||<2日起きて、2日寝る…

( ‐ Δ‐)φ ゛<ん?

川‘.▽‘)||<それって、長寿世界一のおばあちゃんのライフスタイルですよね

(;‐ Δ‐)φ


川‘.▽‘)||<お茶入りましたー (;‐ Δ‐)φ<(天然か…いやいや、計算?美人の毒舌…くぅ〜 タマラン)

438 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月15日(土)14時13分45秒
柴田&村田姉妹も素敵ですね〜!!
うどんのようにパスタを食べる村田さんかっけ〜!!

そしてアヤカさん。毒舌。爆笑いたしました…!!
村田さんと一緒に萌えております(爆笑)
いいですね、アヤカさんのキャラ!!
次回も楽しみにしております☆
439 名前:南風 投稿日:2003年03月16日(日)00時37分27秒
「オマエの母ちゃん、デーベーソー!」←自分の母をこう言う姉妹。
こんな言い争いをする柴田姉妹、生で見たいもんです(w

うどん食い最高☆
440 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月19日(水)19時02分57秒

―――朝比奈女子高校

今日で2学期の期末テストも終わった。
最後の時間の試験終了を告げるチャイムが鳴ると、生徒たちはめいめい座ったまま伸びをしたり、
分からなかった問題をお互い見せあったりした。

辻と加護、紺野は待ち合わせをして、学食に入って行った。
「頭を使うと、おなかが空いたれす」
辻がおなかを押さえて言う。
「自分いつもやん」
加護がツッコむ横で、紺野は学食の入り口で小川を見かけ小さく手を振った。

「よう、テストどだった?」
小川はこの後クラブのようで、ジャージ着用である。
「まあ、いつもどーりやな。ソッチこそどやねん。梨華ちゃん、必死で練習問題作ってたみたいやで」
加護は隣の梨華の部屋が、最近遅くまで灯りが点いてることを知っていた。
中間テストの小川の成績がまずまずだったので、梨華も張り切っているのだ。
「おう、バッチシよ。先生ゆってたトコ、ほとんど出たしよー」
「ふうん。そなんや」
ふたりが話す横で、辻と紺野は黙々とカツ丼(大盛り・味噌汁つき)を食す。
「辻さん…お新香いかがですか。わたくしのは、少し多いようなので」
「いいんれすか」
「どうぞ…」
「それじゃ、いただくれす」
441 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月19日(水)19時04分12秒
そんなことを言っていると、付属中学の新垣が現れた。
「まこっちゃーん!」
「おう」
新垣は友人と一緒だった。
先に自分だけが小川のそばに行き、
「あのね、あたしの友達がまこっちゃんに用事があるんだって」
簡潔に用件を伝えた。
「なんだ?クラブに入りてーのか?」
「ううん、よく分かんないけど」
新垣は友人の方を向き、視線でこちらに来るよう促す。
彼女は、おずおずとやって来た。
「アタシに用ってナニ?」
小川は彼女の顔をじっと見て言った。
「あ、いえ…あの、噂で聞いたんですけど」
彼女は遠慮がちに切り出す。
「なに?」
「あの…小川先輩、紺野先輩と付き合ってるってホントですか?」
「ハァ!?」
442 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月19日(水)19時05分43秒
小川が素っ頓狂な声を上げる一方、紺野も味噌汁を噴き出しそうになりむせた。
横の辻が、背中を叩いてやる。
「だ、ダレだよぉ!んなコト言ってんの〜」
「いえ、この前一緒に帰ってるところを見たってひとがいて…」
「友達なら、一緒に帰ってもおかしかねえだろ〜。てか、一緒に帰ったくらいで
なんでそーなんだよ。なあ、紺野」
小川は紺野の方を向き、同意を求めた。
紺野もポケットティッシュで口についた味噌汁を拭いながら、こくこくと頷く。
「大体さぁ〜、アタシとウワサなんかなって、紺野も迷惑だって」
「いえ、そういうのは、別に…」
紺野は言葉を濁す。
「じゃ、付き合ってないんだ」
新垣が納得したように言う。
「あったりめーだっつーの。大体さぁ」
小川の最後のひとことは、紺野に大きく響く。

「紺野、好きなひといるんだぜ」


『好きなひといるんだぜ』
小川さんの中に、あたしは少しもいないんだ―――。
箸をぎゅっと握って、俯いて今にも泣き出しそうなのを堪える。
「―――あさ美ちゃん?」
辻が不審に思い、声をかける。
紺野は耐え切れなくなって、カバンを手にすると、席を立ち、走って出て行った。
「―――紺野!」
一体何が起こったか分からず、小川たちは呆然としていた。
443 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月19日(水)19時07分34秒
更新しました。

レスのお礼です。

>クロイツさん
( ‐ Δ‐) ノ<美人は重要文化財だ!

『アイさが』の大喜利で、村さんはアヤカに 川;‘.▽‘)||<メガネこわい
と言われていますた。メガネ呼ばわりかよ!とテレビの前でツッコんでしまいますた(w

>南風さん
( ‐ Δ‐) <パスタはこう食うのがウマイ!

私の中で、村さんはこんなイメージなんです(w 本物はもっと女の子らしいと思いますが。
『デーベーソー!』と言った柴田妹は、姉にしっかりチクられますた。川+σ_σ|| =3 <くそぅ!
444 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月19日(水)20時29分15秒
こんこーん!こんこぉぉぉぉぉぉ〜ん!!。・゚・(ノД`)・゚・。
おがこん、どうなっちゃうのか…ハラハラ。
ツッコミのスルドいあいぼんも素敵です。
お新香もらうののたんも素敵です。
 素敵過ぎますYO!!

次回も楽しみにしております!!
445 名前:南風 投稿日:2003年03月19日(水)23時30分43秒
こんちゃん!!!
大変だよまこっちゃん!!!
青春の荒らし・・・にぶちんまこと最強ですね。
446 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年03月20日(木)00時12分12秒
にぶい!にぶすぎる!!小川さん
少しは紺野さんの気持ちも察してあげてくれ
447 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月21日(金)21時10分22秒
―――その日の夕方。
紺野は、自宅とは逆方向の駅にいた。
ホームのベンチに座り、泣き腫らした目で夕暮れに染まる看板を見つめていた。

『帰んなきゃ…いつまでもこんなトコにいないで』
頭では分かっているのだが、体が言うことを聞かない。
時間が経つにつれ、冷え込んでくる。
紺野はブルッと震えた。
コートとマフラーを、学食に置いてきてしまったのだ。
手袋がカバンにあるのを思い出し、とりあえずはめてみた。

『紺野、好きなひといるんだぜ』
小川は何の疑いもなく、そう言い切った。

『胸に小石が詰まったように苦しいです、完璧に』
小川の屈託のない笑顔を思い出す。

『あたしが…悪いんだ。愛ちゃんのこと好きだったのに…いつの間にか、小川さんに…』
紺野は唇を噛み締めた。

自分とは無関係に、周囲は慌しく時間が流れていく。
家路を急ぐ人、今から出掛ける人がホームを右往左往していた。
448 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月21日(金)21時14分43秒
『愛ちゃん、小川さん…ごめんなさい』
はっきりしない自分を、彼女は責めた。


「紺野?」
聞き覚えのある声に、彼女は顔を上げた。
「保田先生…」
「何してんだ〜。あ、テスト終わったから遊び歩いてんな〜」
保田は小さく笑って、ベンチに近づいてきた。
彼女の暖かそうな、カシミアのコートが目に入る。
「いえ、そういうのじゃ…。先生は…どうされたのですか」
「今日はちょっと用事でね、こっちに出てたの。今から帰るとこ。
…最近の若い子は、えらく薄着だねぇ。寒くないの?」
保田に言われて、紺野は
「…寒いです。学校にコート忘れちゃって」
俯いて答えた。
「どしたのよ?こんなとこで」
紺野の様子に、保田も異変を感じた。
「家に…帰りたくないんです」
「家の人とケンカしたの?」
「いえ…」
「学校で何かあったんか?」
保田はマフラーを外し、紺野の寒そうな首に巻いてやった。
449 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月21日(金)21時18分16秒
『まあ、とりあえずウチ来る?』

保田の言葉に甘え、紺野はついて行くことにした。
電車に乗り込む前、保田は飯田に電話をかけていた。

「今日もうひとり増えたからー。うん、紺野も一緒だから」
携帯を切って、ふたりは電車に乗り込む。

「あの」
扉にもたれかかる保田に、紺野はおずおずと切り出した。
「ん?」
「ご迷惑じゃ…ないのでしょうか。今日は週末なのに、その…突然お邪魔して」
「まあ、アタシがカオリにかるーくイヤミは言われるかもね。
『ゴハンの支度ってタイヘンなんだよー』とか『まったくオンナノコには甘いんだから』って」
保田は苦笑して答える。
「それなら…なおさら」
「言っても冗談だから、アンタは気にしなくていいって」
紺野の頭を、ポンポンと軽く叩いた。
450 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月21日(金)21時19分27秒
ホラ、行くわよ>(`.∀´ ))) (;-;o川 ))<…ハイ

更新しました。
レスのお礼です。


>クロイツさん
(;´D。`) <あ、あさ美ちゃん、どうしたんれしょう!?

辻さん、あまりにも突然の出来事に、危うくお新香がノドにつっかかるところですた。


>南風さん
∬;`▽´∬<な、なんだなんだ!?

青春です。激動です。紺野さん的には大嵐です。そして分かってない小川さんです。


>名無しかも〜んな!さん
∬;`▽´∬<エエ!?アタシのせいなん?

自分が思われてるなんて、夢にも思ってません。誰が悪いわけでもないのですが。
451 名前:南風 投稿日:2003年03月22日(土)08時22分08秒
圭ちゃんは大人ッスね・・・。
こんなカッケ−大人になりたいもんです(w
そして頑張れこんこん!
泣いた分だけ強くなれるってもんだ!
452 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月22日(土)19時48分09秒
紺野が走って出て行ったあと、小川たちはちょっとしたパニックになった。
椅子の背に、彼女のピンクのマフラーと、ステンカラーのコートが置き去りにされている。

「なななな、なんだ!?」
自分が原因と分からない小川は、うろたえる。
辻も、カツ丼の器を手に持ったまま、呆然としていた。
新垣と彼女の友人も、呆然とその様を見ていた。
加護はひとり、落ち着いてパンを齧っている。

「どうしたんだ、紺野のヤツ…」
情けなさそうな顔をして、小川はうなだれる。
「さあな。誰かさんが余計なコト言うたからちゃう?」
加護に言われ、
「―――あ!アタシが『好きなヤツいる』って言ったコトか!!そうだよな、好きなヤツがいるって
みんなの前で言われたら…!ああ〜!!アタシのバカ!」
小川の様子を見て、加護は『…分かってへんし』と気づかれないように小さくため息をつく。
「ああ〜!!アイツ、アタシのこと怒ってるだろうな!謝んないと!」
小川は自分のカバンから携帯を取り出し、すぐさま紺野にかけた。
すぐそばで、バイブのくぐもった呼び出し音がする。
「あ!紺野、コートの中に携帯入れてんだ!うわぁ〜!どうしよ、どうしよ!」
小川は頭を抱える。
「家にかけえな。晩にでも」
加護は心底あきれて言った。
453 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月22日(土)19時48分57秒
紺野の忘れ物は結局、加護と辻が預かることになった。
ふたりは昼食をすますと、まだ早い時間だがいったん帰ることにした。

「紺野…何で泣いてたんだろう」
食堂を出て行く前、小川の呟きに、
「ホンマに分からへん?」
加護はじっと目を見て言った。
小川は黙って頷く。
『悪いヤツやないねんけどなぁ〜。いかんせん、裏表がなさすぎるっつーか』
加護は心の中で呟き、
「まあ、時間置いてしばらく様子見たら?」
それだけ言い、コートに腕を通した。

「あさ美ちゃん、どうしたんれしょう…」
駅までの道を並んで歩いて、辻は悲しそうな顔で言った。
「まあ、あの年頃は色々あるもんや」
加護の台詞に、さすがの辻も違和感を感じる。
「あいぼん…同い年じゃないれすか」
「まあ、それより。日曜、どうする?」
ふたりは今度の日曜に、クリスマスのイルミネーションを見に行く約束をしている。
ライトが点灯する夜までに、色々なところへ遊びに行こうと言っていた。
「ん〜とれすねえ。…クレープれしょ、ラーメンにパスタにパフェに8段アイスに…」
「食い倒れかい!しかもそのラインアップ、ビミョーにカブっとるし!」
加護に言われ、辻は『あ!』と照れ笑いした。
454 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月22日(土)19時51分26秒
保田から連絡をもらった飯田は、保田の家で3人分の夕食を用意して待っていた。

「おー。今日はチキンカツ?」
通勤用のカバンをソファに置き、保田はコートを脱ぐ。
通りすがりにカツをつまみ食いして、飯田に『コラ!』と怒られる。
紺野は軽く会釈して、リビングに入ってきた。
「カツは2人分だけしかないから、この前のコロッケとか揚げたよ。3人で分けよ」
テーブルの大皿には、フライやカツが並んでいた。
「すみません…急にお邪魔して」
紺野は申し訳なさそうに頭を下げる。
「いいよー。それよかさぁ、顔色悪くない?寒い?」
「あ、いえ…」
「この子ったら、アタシが声かけるまで駅の吹きっさらしのホームにずーっといたのよ」
「へえ?かぜひくよー」
じゃ、ま、とりあえずと言い、飯田は棚からバンホーテンの金色の缶を出し、
小鍋でミルクを沸かした。
「ゴハンの前だけどね。あったまるよ」
マグカップに注がれたココアを、紺野は何とも言えない気持ちで見つめた。
ふわふわの白いマシュマロが、とろけながら浮いている。
「へ?マシュマロなんか入れんだー」
保田が自分のカップを見て、素っ頓狂な声を上げる。
「なにー?知らないのー?おいしいんだよ〜、ねー」
飯田に同意を求められ、紺野は笑って『ハイ』と答える。
「圭ちゃん、ダサー」
「うっさいよ!」
保田はイキオイでココアをぐっと飲んで、むせてまた飯田に笑われた。
455 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月22日(土)19時52分19秒
更新しました。

( ゜皿 ゜)ノ<ココアニ マシュマロイレルト、バカウマーーーーー!!

レスのお礼です。

>南風さん

川o;-;)<ありがとう…ございます。

こんこん、大人になるための試練です。
ヤッスーはオトナです。いいらさんには、コドモですけど( `.∀´)y−~~
456 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月23日(日)15時55分30秒
鈍いまこっちゃん素敵ィィィィィィィィ!!!
そしてココアにマシュマロ。知ってましたが、やった事ないのれす。
今度やってみます。
こんこん、おそろいよー!!

ああ、おがこんどーなっちゃうのかっ。
いしよしも楽しみです!!
457 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月23日(日)21時26分13秒
一方。
夜、加護は紺野の自宅に、電話をかけた。
彼女の母が出る。
加護は保護者向けのイイ子ちゃんの声を出し、
『あさ美さんが学食に携帯とマフラーをお忘れになられたので、わたくしの方で預かっております』と
言った。
後ろにいた吉澤が目を丸くして、『加護亜依・優等生バージョン』を見ている。
梨華も興味深げに吉澤の横で行方を見守る。
辻は台所で炒め物を作っている裕子に『ゴハンまだれすか〜』と聞き、『まだじゃ!もうちょっと待て!』
と怒られていた。

『あさ美は今日は、保田さんという方のお宅にお邪魔しているんですよ。
昔、家庭教師で来て頂いてた方なんですけどね』
加護を娘の友人の優等生とすっかり信用した紺野の母は、恐縮して言った。
「そうですか、分かりました。夜分遅くに大変失礼いたしました」
『いいえ〜。こちらこそごめんなさいね。わざわざありがとうございます』
「それではごめんくださいませ」
加護はにこやかに電話を切った。
切った瞬間、
「あ゛〜。優等生のフリはめっちゃ疲れるワ」
やさぐれた表情で、自分の肩をとんとん叩く。
吉澤と梨華はその豹変ぶりに同時に吹き出した。
「ソコ、笑いすぎ」
加護はふたりの方を向き、顔をしかめる。
「だって、だって!ねえ、ひとみちゃん!」
「うん、うん!なんちゃって優等生!カッケー!」
吉澤の台詞が梨華のツボに入り、彼女は腹を抱えて笑い出す。
そんなふたりを横目に、加護は今度は保田の携帯にかける。
458 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月23日(日)21時27分13秒
『ハイ?』
「あ、オバチャン?ウチ、加護やけど」
『どしたん?電話かけてくるなんて珍しい』
「いや、紺野が学校にコートとか携帯忘れて、ウチ持って帰って来てんやんか。
で、さっき紺野ん家に電話したら、おばさんがオバチャン家に行ってるって言うてはったから」
『そっか…あ、紺野に代わろうか』
「いや。これからオバチャンとこに上着とか届けに行ってエエ?」
『アタシは構わないけど…もう外も暗いわよ?』
「まあ、チャリ借りてくし。ほな」
『気をつけて来んのよ』
携帯を切って、加護は梨華に
「チャリ貸してくれへん?」
と言った。

裕子にもらったデパートの紙の手提げに紺野の忘れ物一式を入れ、加護は辻の運転で中澤ハイツへ向かった。
加護は荷台に横乗りしている。
自分ひとりで行くつもりだったが、話を聞いた辻が『ののも行くれす!』と言い張ったので、
2ケツで夜の道を走っている。
加護はピンクのチェック柄のマフラーをじっと見て、
「バーバリーか…侮れんな」
と呟いた。
「なんか言ったれすか」
「いや、別に」
ハイツに着くと、平家がちょうど帰ってきたところで、
「よう、ちびっこら。こんな遅うにどないしたん?」
とふたりに声をかけた。
「宅配屋さんれす。オバチャン家にお届けものれす」
「そうか。帰り、気をつけや。何なら送ったろか?」
「ううん、エエ。すぐ帰るし」
心配そうな平家を残し、ふたりは階段を上がって保田宅のインターフォンを押した。
前もって来ることを保田に聞いてたのか、保田と一緒に紺野も出てくる。
辻は奥にいた飯田を見つけ、うれしそうに手を振る。
飯田もそれに応えて笑顔で手を振った。
459 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月23日(日)21時28分26秒
「加護さん…辻さん、ご迷惑をおかけしました」
紺野は深々と頭を下げた。
「まあ、ウチらは別にエエけどさ。猪木がめちゃ気にしてたで」
「そう…ですか」
「それとー、自分とこのお母さんには『携帯とマフラー忘れたから預かってる』ってウチ電話で言うた
から、口裏合わせてな」
「ハイ…すみませんでした」
紙袋を受け取り、紺野はまた頭を下げた。
「じゃ」
加護が帰ろうとすると、紺野は
「あ、あの!」
慌てて呼び止めた。
「何?」
「あの…小川さんは何か仰ってました?」
「いや。どーして紺野さんが動揺してこのくそ寒いのにコートまで忘れて出て行ったのか、
てんで分かってはれへん様子やったけど?」
「はぁ…」
「『アタシがみんなのいる前で“好きなひとがいる”って言ったから、そのせいか』やと。
どーも自分が思てるのと、違う解釈をしてはるよーやで」
「……」
「まあ、そゆこと」
加護はニヤニヤし、紺野の肩をぽんぽん叩いた。
黙って聞いていた保田も、思わず苦笑する。
「大した役者ね、アンタも」
保田に言われ、加護はニヤッと笑った。

中澤ハイツを後にする。
保田にお茶くらい飲んで行くように言われたが、『ウチら今からゴハンやし』と辞退した。
辻はこっそり、飯田に夕食の残りのコロッケを包んでもらっていた。
460 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月23日(日)21時29分23秒
自転車に乗る前に、加護は小川に電話をかけた。
『もしもし?』
「猪木か。ウチ、加護やけど。今エエ?」
『お、おう』
「単刀直入に言うで。紺野は今日、知り合いの保田ってひとんトコ行ってる。紺野の携帯とかも、
今ウチとののが届けに行ったさかい」
『え?保田って確か…郵便局の』
「よう知ってんな。そう、郵便局のオバチャンや。まあ、ウチらの知り合いでもあるんやけど。昔、
紺野のカテキョしてて、今も付き合いあるらしいわ」
『そっか…ありがとな、わざわざ』
「別にエエけどぉ〜。あとは自分で何とかせいよ。ウチが関与するんは、ここまでや」
『分かってる。とにかく、ありがとうな。辻ちゃんにもお礼伝えてくれな』
「ののなら、今横でコロッケ食っとる」
いきなり自分のネタを出されて、辻はコロッケがのどにつかえてむせそうになる。
電話の向こうの小川は小さく笑った。

「ねえ、あいぼ〜ん」
中澤家に戻る途中、辻は後ろの加護に声をかけた。
「なに?」
「どーしてあさ美ちゃんに『携帯とマフラー忘れたことにしといたから』って言ったんれすか」
「だってさ」
加護は頭をかいた。
「この寒いのに、コートまで忘れるって不自然やと思わへん?今日なんか、何度やねん、ってくらい
冷えるやん。紺野ん家のおばさんに余計な心配かけへんようにな」
加護の見解に、辻は何故か嬉しそうに笑う。
「ソコ、笑うトコ?」
加護はムッとした。
「ううん〜。あいぼんは、やっぱり優しいれす〜!」
「うっさいわ!」
加護は赤くなり、運転手の辻の後頭部を軽くはたいた。
461 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月23日(日)21時32分18秒
更新しました。

(  ´д`)¶<たく、しゃーないな!

あいぼん、根回しするの巻。

レスのお礼です。

>クロイツさん
( ゜皿 ゜)ノ<ココアヲ ジャッカンアマサヒカエメニスルノガ、ポイントーーーーー!!
川*・-・)o□<おそろい…です

小さめのマシュマロの方が見た目もいいです。と言いながら、私は甘いのは苦手なのですが(ヲイ)。
おがこん…どうなるのでしょう。
462 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月24日(月)17時04分20秒
根回しあいぼん素敵!!!優等生あいぼんも素敵!!!!
今回は「あいぼん祭りだー!!!」と勝手に解釈し、狂喜乱舞いたしました。
あいぼん素敵過ぎます。

そして…ココアにマシュマロ、今度絶対やってみます。いいらさん、こんこん、ありがとう!!
ロイヤルミルクティーにマシュマロも、なかなか美味しいらしいですねぇ。
そしてごまべーぐる様、甘いモノ苦手ですか…。私は超甘党なんですYO。
板チョコをイッキに三枚食べて、母に「キモイから近寄るな」と言われた経験アリです。でも、鼻血出した事はないのれす。
うっふふふふ。
ここに出てくる食べ物は、みんなものすごく美味しそうですね…おなかすいて来ました。
ののたん、コロッケ一口ちょーだい?

次回も楽しみにしております!!
463 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月24日(月)22時24分06秒
辻と加護が帰った後、保田たちはコーヒーを沸かしてリビングで飲んだ。
「フフッ。加護もイイとこあるじゃん」
さっきの紺野とのやりとりを後ろから見ていた飯田は、笑って言う。
「まあね。本人、どう思ってるのか知らないけど」
保田も同意する。
「で」
保田は紺野の方に向き直る。
「大体の事情は分かったけど、どーすんの?その小川って子、勘違いしてるようだけど?」
「…分からないんです」
「ん?」
「どうすればいいのか…分かりません」
紺野はコーヒーカップを手にしたまま、俯いた。
保田は飯田の方に視線を移す。
彼女も黙って、カップを持って考え事をしてるようだった。
「まあ、とりあえず誤解は解いた方がいいと思うけど?今後のためにも」
「…誤解、されたままの方がいいのかもしれません」
「へ?」
「言えません―――!好きだなんて!」
いつもか細い声で囁くように喋る紺野が大声を上げたので、保田はぎょっとした。
飯田も思わず顔を上げる。
「まあ、気持ちは分かるけど…」
保田がフォローしようとすると、
「わたしが悪いんです!愛ちゃんのことが好きで好きでしょうがなかったのに、日本に帰って、
あの高校で小川さんと出会って、段々あのひとに惹かれていって…わたしが…わたしは、卑怯なんです。
大事なことを黙ってて、肝心なことからは逃げてばっかりいて…わたしが、悪いんです」
最後の方は嗚咽が混じっていた。
紺野は上半身を倒して自分の膝に顔を埋め、泣きじゃくる。
保田は黙って背中をさすってやる。

「紺野」
「…ハイ」
「自分を責めるのだけは、やめな」
紺野はそのままの姿勢で、保田の声を聞いていた。
464 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月24日(月)22時25分07秒
紺野は泣き疲れて、ソファーで眠ってしまった。
保田は飯田とふたりで、寝室に紺野を運んだ。

彼女の眠りは浅かったようで、二時間ほどたって目を覚ました。
寝室は暗いのに、ドアの隙間から漏れる明かりが妙な感じだった。

『…寝ちゃったんだ。またおふたりにご迷惑かけた…』
上着は脱いでいたが、制服のシャツとスカートのまま、ベッドに入っていた。
『先生たちは…まだ起きてるのかな』
ベッドサイドの時計は、11時を回っていた。
『よかった…泊まってくるってお母さんに連絡しておいて。
何も言ってなかったら、怒られるとこだった』
ベッドから身を起こし、そっと寝室を出てリビングへ向かう。
まだふたりは起きているようで、話し声が漏れてきた。
どうやら、自分のことを言っているようだ。

「圭ちゃんはどう思う?」
「ん〜…こればっかりはねぇ。人間の気持ちだけは、どうしようもないし」
「それは…経験によるもの?」
何か図星だったのか、保田は答えに窮していた。
紺野はそうするつもりはなかったのだが、リビングの外の廊下で、身を潜めて聞いている。
「いや、それはまあ…からかってるでしょ?」
保田は座ったまま、自分の前に立ってる飯田の腰に手を回して、じっと顔を見上げる。
飯田も保田の首に腕を回し、それとなく保田にも立つように促がした。
465 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月24日(月)22時26分28秒
『―――う、うわ!!』
紺野は声を出しそうになるのを、かろうじて手の平で封じた。
顔も一気に紅潮する。
室内のふたりは、長いキスを交わしていた。
保田は飯田の背中に手を回し、シャツの中に手を入れようとしている。
『や、保田先生!?い、いけません!』
教え子に見られているとも知らず、保田は何か甘い言葉を囁いているようだった。
紺野は驚きのあまり腰を抜かし、廊下に尻餅をついてしまった。
「―――わ!」
大音響に、室内の様子が一変する。
紺野は慌ててその場を去ろうとしたが、一足遅く、飯田がドアを開けた。
「よく眠れた?」
「あ、ハイ…すみません、ご迷惑おかけしました」
「紺野、お風呂入んなよ。今日はあのベッド使っていいから」
保田も顔を覗かせた。
さすがにふたりとも気まずそうだ。
決まり悪そうに笑っている。
「あ、そうだ。コレ、ハイ」
飯田が、紺野の携帯を手渡した。
「さっきから、ずっと鳴ってたよ。『小川さん』って画面に出てたけど。
ウチらが出たほうがよかったかな?」
「すみません…」
自分の携帯を手に取って見て、紺野は着信履歴を確かめた。
466 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月24日(月)22時29分35秒
(;゜皿 ゜)(`.∀´;)  川;・-・)ノ<お、お風呂頂きます!

更新しました。
レスのお礼です。

>クロイツさん
( ´D。`) つ〇<へいっ。いいらさんのお手製れす!

あいぼん大活躍ですた。結構イイヤツなのです。やさぐれてますが(w
コロッケはオーソドックスにジャガイモとひき肉のみです。
467 名前:南風 投稿日:2003年03月24日(月)22時46分09秒
うおっ・・・圭ちゃんにカオリン(タラリ←鼻血の出た音
一瞬大人の世界を除いてしまったこんこん、初なあなたが素敵です☆
まだまだ青春まっただなかですね。
若いってすばらしい(w
468 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月24日(月)22時52分49秒
コロッケありがとうののたん!!
こんこぉぉぉぉぉん!!頑張れこんこん!!応援してるぞぉぉぉぉ!!!
おがこんに激しく期待しております。
さぁ、まこっちゃん!!どうするのかっ!!
目が離せません☆
469 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月25日(火)21時04分34秒
紺野は先に入浴を済まし、保田のパジャマを借りて寝室に行った。
保田と飯田は、自分たちは適当に寝るからベッドを使えと言う。
「そんな…わたくしこそ、泊めて頂いてますのに」
「いや、いいからいいから。ウチらは今日は夜更かしするし」
飯田が言う横で、保田も頷いた。
「そう…ですか」
恐縮しながら、寝室へ行った。

ベッドサイドのランプだけ点け、布団に入る。
『ああ…そうだ、電話』
眠りに入りそうになる前に思い出し、さっき飯田から渡された自分の携帯を、
カバンから取り出す。
入浴する前に確かめたら、小川からの留守電が5件、メールが3件入っていた。
着信履歴にいたっては、10件。
すぐにかけたほうがよかったかも、と紺野は今更ながら思った。

小川からの最後の留守電を聞くと、『何時でもいいから電話待ってる』と入っている。
時刻を確かめると12時近かった。
こんな時間にと少しためらったが、思い切ってかけてみる。
470 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月25日(火)21時06分37秒
『紺野!?』
すぐに出た。
この素早さ。
携帯を肌身離さず持ち歩いているのだろうか。
それとも、自分が電話してくるまでずっと携帯とにらめっこしていたのか。
紺野は少々あっけにとられた。
「あ、あの。夜分、恐れ入ります。今、よろしいでしょうか?」
『おう!いつでもいいって!』
「あの…今日は大変失礼いたしました。何度もお電話頂いてたんですね。すみませんでした」
『いいっていいって!アタシが悪いんだしよ』
「いえ…小川さんが悪いわけではありません。わたくしに冷静さが欠けていたのです。
みなさんもいらっしゃるというのに…配慮が足りませんでした」
『違うって!アタシが悪い!』
「あなたのせいじゃありません」
『アタシのせいだって!』
「違います!」
『わかんねーヤツだな!』
「あなたこそ!」
小川につられ、紺野もつい大声を上げる。
ふたりとも一瞬ふっと気が緩み、やや沈黙があって、どちらからともなくクスクス笑い出した。
『いやぁ〜、おどれーた。紺野もおっきい声出すんだな』
小川に言われ、
「…お恥ずかしい」
紺野は頬を染める。
『ハッハ。まあ、無事なんが分かって安心したわ。あ、紺野明日ヒマ?あ、もう12時過ぎてるし今日か』
「ハイ…特に予定はありません」
『この前辻ちゃんとかと行ったラーメン屋覚えてっか?まあ、お詫びと言っちゃナンだけど、おごっちゃる』
「え…そんな、悪いです」
『明日ギョーザサービスデーなんだよ』
「…行きます」
紺野の迷いのない返事に、小川はゲラゲラ笑い出した。
471 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月25日(火)21時08分13秒
携帯を切って、紺野は改めてベッドに入った。
『おやすみ。カゼひくなよ』
さっき切る前に聞いた、小川の声に何故か安心感を覚える。

『恋は…本当に心がざわめくものですね。はあ…』
今日一日、色々なことがあった。
天井を見つめながら、思い返してみる。
ふと枕に目をやる。
微妙に色使いの違うカバーの枕が、ふたつ並んでいる。
自分が頭を載せてないほうの枕に触れると、ソバガラの感触がした。

『さっきも思ったのですが…どちらかはやはりカオリさんのなのでしょうね』
そう言えば、さっきバスルームでも。
種類の違うシャンプーが2本、バスタブの縁に引っ掛けてあるラックに入っていた。

強烈なキスシーンまで思い出してしまう。
紺野はまたボッボと頬を赤くさせた。
『オトナのキスです…完璧です』
今更ではあるが、自分が今寝ているベッドについて、ハッとあることに気づいた。
『こ、このベッド―――!―――ハ!わたしったら!わたしのバカ!!』
紺野は恥ずかしくなり、頭から羽毛布団を被ってランプを消した。
472 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月25日(火)21時09分21秒
更新しました。
レスのお礼です。

>南風さん
川;◎-◎)ノ<オ、オトナの世界です!完璧です!不肖紺野、めくるめく世界に不覚ながら
       目を回してしまいました!

コドモにはちと刺激が強すぎたようです(w ( ‘д‘)つ□<ハイ、テイッシュやでェ〜
そうです、若いってスバラシイのです(w

>クロイツさん
川o・-・)<ありがとうございます…恐縮です。応援して頂いて、大変感謝しております。

まこっちゃんは気が強い割にはヘタレなので、家に帰ってからもオロオロしてたようです(w
∬;`▽´∬<ごめんな…
473 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月25日(火)21時22分58秒
こんこんが可愛くて愛しくてたまりません。
可愛いぞこんこん!!こないだのハロモ二のいしよしがなかったら、確実にこんこんに転んでたかも知れません(笑)
そして、気が強い割りにヘタレなまこっちゃんも良いです!!!

てれてれこんこん、すごい可愛いぃぃ〜〜〜!!!
つーか、そんな大人のキスを小川さんとするようになってほすぃ〜!!
続き、楽しみにしてます!!
474 名前:あおのり 投稿日:2003年03月26日(水)14時22分25秒
やすすといいらさんは隣に子供寝ているのに何をやってんでしょうか?
もうェロすぎて目を手で覆った指の隙間からしか読めなかったじゃないですか(w
いわんやそれを生で見てしまった紺野さんはをや…
ベッドに枕が二つ置いてあるだけで川o・-・)さんの妄想は膨らむ一方ってのに笑わせていただきました

ニブ(0^〜^0)もイイ!ですがニブ∬ ´▽`∬もイイ!
475 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月26日(水)22時34分58秒
翌朝。
白々と夜は明けた。
紺野は眠れぬ夜を過ごした。
小川のことを考えていたのもあるが、ゆうべ入浴する前に、中途半端な時間に寝てしまったせいで、あまり熟睡できず
うつらうつらする程度だった。

「おはよう…ございます」
制服に着替えて、リビングを覗く。
保田と飯田がソファに座り、毛布にくるまって、寄り添うように眠っていた。
テレビがつけっぱなしで、ビデオデッキの差込口から自動的に巻き戻しされたテープが出ている。
テープの背を見ると、『男と女』という映画だった。
レンタルしてきて、ふたりで観ていたのだろう。
いつの間にか寝てしまったようで、テレビはずっと青い画面が映し出されていた。

『正直…うらやましいです。わたくしも、こんなに安心して一緒に眠れるような恋人が…いたら』
紺野の脳裏に、猪木のモノマネをする小川の姿が浮かぶ。
彼女は、小さく溜息をついた。

紺野はテレビを消し、ビデオもテープを取り出して電源を落とした。
テープをそばのテーブルにそっと置き、しばらくソファのふたりの寝顔を見つめる。
『保田先生…わたし、やっぱり小川さんのことが好きです』
保田は、飯田の肩にもたれ、熟睡していた。
476 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月26日(水)22時36分49秒
紺野が帰り支度をしていると、わずかな物音で飯田が目を覚ましたようだった。
「あ…おはよ。もう、起きてたんだ」
飯田は眠い目をこすりながら、壁時計で時刻を確認する。
8時半を回っていた。
保田はまだ眠っている。
「ハイ…どうもお世話になりました。保田先生によろしくお伝えください」
「え、あ。もう帰んの?ゴハンは?何か作ろっか」
「いえ、ゆっくりお休みください。ゆうべはベッドをお貸し頂いて、ありがとうございました」
「いや、まあ。それはいいけど…。圭ちゃん、圭ちゃん」
飯田は自分にもたれてる保田の肩をさする。
紺野はそれを手で制し、
「あ、起こさないでください。わたくしは、このまま失礼いたします」
カバンを持って、一礼した。
「そう?気をつけてね」
相変わらず起きない保田をソファに転がし、飯田は玄関まで見送った。

477 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月26日(水)22時37分56秒
「では、失礼いたします」
紺野は深々と頭を下がる。
「あのさ」
「ハイ?」
「カオが言うのはナンだけど…好きなら好きって言ったほーがいいと思う。
言わなきゃ分かんないことも世の中にはあるし」
飯田はジーンズのポケットに、所在無さげに両手を突っ込んだ。
紺野はしばらく考え、
「ハイ…」
とだけ答えた。


『うまくいくといいね』
飯田は、別れ際にそう言ってくれた。
紺野は電車のつり革につかまり、その言葉を思い出す。

『ハァ…あんなステキな恋人がいらっしゃるなんて。保田先生、完璧です』
以前保田宅に遊びに行った時、ふたりのなれそめを聞いた。
どちらが先に告白したのか、という話で。
『アタシがカオリを選んだんじゃない、カオリがアタシを選んでくれたのよ』
と保田は笑って言った。
飯田は横で照れ笑いしていた。
照れすぎて、保田の腕をばしっと叩き、文句を言われていたが。

『まだ…早かったかな。まあ、いいか。家に電話してから、直接学校へ行こう』
小川と学校の図書館で、11時に待ち合わせしている。
ラーメンをおごってくれるとのことだった。
『これって…デート?』
つり革につかまったまま、紺野はうっすら頬を染めた。
478 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月26日(水)22時39分51秒

更新しました。

( ゜皿 ゜)ノ<ファイトーーーーー!イッパァーーーーーツ!!  (・-・*川<…恐れ、入ります

レスのお礼です。

>クロイツさん
川*・-・)ノ<い、いしよし様には敵いません!完璧です!

こちらのハロモニではまだ見られません・゚・(ノД`)・゚・。 思いきし祭り出遅れ。
紺野先生が大人のキスをするのはいつの日のことでしょう。

>あおのりさん
∬;`▽´∬<エー?アタシ、ニブイの〜?←分かってないひと

状況的には、赤ちゃんがどうしてできるのか知ってしまった子供、て感じでしょうか(w
川o・-・)さん、初な割には想像たくましいです(爆
479 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月27日(木)21時17分40秒
―――吉澤視点
中澤家。

「ごちそーさまぁ〜」
ウチは朝ゴハンを食べ終え、手を合わせたあと、速攻後片付けに入った。
今日も大忙しだ。
朝からバイトに入って、終わったらチョクで次のライブの練習に行く。
だからベース持参でバイトに向かう。
「ひとみちゃん、今日も遅いの?」
流しで食器を洗ってると、背中越しに梨華ちゃんが声をかけてきた。
「ん。ゴハンも外で食べてくる」
今日は土曜だから、元々自炊日なのだ。
でも、ここんとこ、忙しくてあんまし家で晩ご飯食べてなかったなぁ。
昨日は結構ヒサブリに早かったけど。
「今日はウチと梨華は鍋やさかい、アンタの分も置いといたるワ。帰ってオナカ空いてたら食べ」
中澤さんが言った。
「ありがとうございまっす!スンマセン」
お礼もそこそこに、タオルで手を拭いて出掛ける支度をする。
「今日はお鍋れすか。のの、シメの雑炊が好きれす」
ののの分かりやすい要求に、
「分かった。アンタの分も別にしといたるワ」
中澤さんは苦笑いした。

「ののも今日はお昼からバイトれす。バリバリ稼ぐれす」
ののに玄関先で見送られて、ウチは家を出た。

あ。
梨華ちゃん、さっき何か言いたいコトあったんかな。
ウチ、急いでたからあんまし聞いてあげれなかったけど。
後でメール送ろ。

冷たい風が吹き込む。
マフラーをしっかり首に巻いて、ウチは商店街まで走って行った。
480 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月27日(木)21時19分22秒

―――石川視点

ひとみちゃん、もう行っちゃった。
最近、忙しいみたいで、あんまりお話する時間がない。
ひとみちゃんは優しいから、あんまり顔を合わすことがない時は、メールや電話をくれたりするけど。
やっぱり、直接声が聞きたい。

部屋をお掃除した後、あたしは「喫茶タンポポ」までコーヒーの豆を買いに行った。
ついでに、レンタルビデオでも見に行こう。

「よ〜。アゴン、久しぶりー」
矢口さんは相変わらず元気そうだった。
ちょうどモーニングの時間で、店内のお客さんは、トーストをかじりながらスポーツ紙を読んだりしてた。
「矢口さん、いつもの200グラムお願いします」
「合点。200ね」
うちはここのオリジナルブレンドを、いつも挽いてもらってる。
どの豆をブレンドしてるかは、矢口さんの企業秘密だそうだ。

『♪カランカラン』
ドアが軽やかなベルの音を立てて開いた。
長身の女のひとが入ってくる。
飯田さんだった。
「おう、石川」
「あ、おはようございます」
「ナニ?アンタも豆買いに来たん?」
「ええ。飯田さんもですか」
「うん。圭ちゃんがここの好きだからね。矢口、カオもいつもの100ね」
「はいよ」
481 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月27日(木)21時20分56秒

矢口さんに空いてる席に座ってていいと言われたので、あたしたちは窓際のテーブルについた。
「なんか石川、シケた顔してねーかぁ?どしたんだよ」
「あ、いえ…あのぉ」
「あ?」
「その…飯田さんは、保田さんのお仕事とかが忙しくてあんまり会えない時、寂しくなったりしませんか」
「するよ」
飯田さんの答えは明快だった。
「アタシと仕事とどっちが大事なのぉ、とか言ったりはしないけどさ。
会える時はたっぷり相手になってもらうよ」
相手…。
どういう、相手なのだろう。
なんて考えてると、
「あ!コイツ、えっちなこと考えたなー。いやだね〜、この娘は〜」
飯田さんがニヤニヤ笑って言った。
「な!何も言ってませんよ!もうぉ〜、飯田さんったら…」
「ハッハ。ゴメンゴメン。いや、ぶっちゃけ、カオも言いたいことがある時は直接言うようにしてる。
圭ちゃんはああいう性格だし、ちゃんと向き合ってくれるから、ケンカになってもあんま引きずらないし」
「そう…ですか」
482 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月27日(木)21時22分48秒
向き合う…か。
確かにあたし、自分のことばっかりで、ひとみちゃんに何をしてあげれるかってことを
後回しにしてたかも。
ダメだなぁ。

「んじゃ、お先」
コーヒー豆を受け取ると、飯田さんは先に帰って行った。
「まったくあそこはいっつもラブラブでさぁ」
矢口さんがランチタイムの支度をしながら、楽しそうに飯田さんたちの事を言う。
「矢口さんもじゃないですか」
フフッと笑って言うと、
「あ!コイツ、ツッコミなんて10年はぇーんだよ!アゴンのクセにナマイキだ!」
と返されてしまった…。
やっぱり矢口さんには敵わない。
「こんにちはれす〜」
ののちゃんが、バイトの時間のようで白いニット帽をかぶってやって来た。
そろそろ混んできたので、あたしも帰ることにした。
483 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月27日(木)21時25分32秒
更新しました。

(〜^◇^)/<アゴンのくせにナマイキだ! (^▽^;)<エエー?
484 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月28日(金)01時28分00秒
娘。小説というものを知った時には既に話がかなり進んでいたもので
読むのを躊躇していたんですが、カコイイヤッスー見たさに昨日一気読みしますた。

全部読むんじゃなかった……

遠足のオヤツを前日に食い尽くした気分っす。
485 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月28日(金)15時18分12秒
「あ!コイツ、ツッコミなんて10年はぇーんだよ!アゴンのクセにナマイキだ!」
この言葉、素敵過ぎます。ああ、矢口さん。なんて素敵なんだ…!!
飯田さんも素敵です。お姉様〜って感じでかっけ〜!!
そしてヨッスィー。おい!こんな可愛い梨華ちゃんをほっとくとは良い度胸だ!!(爆笑)

いつも、シンクロしながら読んでおります。
やっぱり素敵過ぎますYO!!大好きですはあとはあと
次回も楽しみにしております!!
486 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月31日(月)19時48分26秒
飯田は買物を済ませた後、いったん家に荷物を置きに行き、改めて支度をして出かけた。
今日はアクセサリー教室の日なのだ。

手作りの銀細工の指輪をクリスマスのプレゼントにしようと、大分前から通ってる。
保田には内緒だ。
この前の誕生日にあげたニットも、保田の目を盗んでこっそり編んでいた。

「よう。久しぶりやね〜」
教室に行くと、顔見知りの稲葉に声をかけられた。
「あ。あっちゃん久しぶり」
飯田はカバンを置き、稲葉の隣に座る。

稲葉は、女子校の保健室に勤めているそうだ。
詳しいことは知らないが、若い頃、大阪でアイドル歌手をしていたらしい。
どういう経緯で教師になったのかは知らないが、とてもサバサバした女性だ。
教室で顔を合わすと、よく話をしている。
たまに帰りにお茶をしたりもする。
487 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月31日(月)19時52分59秒
「もうじきクリスマスやねぇ〜」
稲葉はニヤニヤする。
飯田が、恋人のために指輪を作ってるのを知っているからだ。
「ああ〜。あっちゃんも恋がしたいわぁ〜。
なんてーの?身を焦がすような切ない恋が…」
稲葉はメロドラマ調に切なく手を組んで言う。
「あっちゃんも作ればいいのに」
指輪を磨く準備をしながら、飯田は答える。
「そんなん。作ろ思て、ハイどうぞって付き合えるモンでもないがな。
自分かてそうちゃうん?」
オバチャンのように手を振り、稲葉は言う。
「まぁね〜」
長い髪を三つ編みにし、飯田は保田の顔を思い浮かべた。

確かに、恋人を作ろうと思って保田と付き合いだした訳ではないが。
過去恋人を作ろうと思って誰かと付き合い、失敗した経緯をほぼ彼女に見られているので、
そのことを思い出し、飯田はフフッと笑った。
「あ、なんやの〜。ひとりで笑て。
思い出し笑いは、スケベな証拠やねんで〜」
稲葉は飯田の肩を軽く小突いた。

488 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年03月31日(月)19時54分04秒
―――朝比奈女子高校

紺野は、一足早く小川との待ち合わせ場所の図書室に来ていた。
新刊図書のコーナーに行き、面白そうな本を探す。
『あ。今借りてもすぐオーストラリアに行くから、あんまり読む時間ないかも。
う〜ん、でもなぁ…』
本を前に考えていると、図書館の扉が開いた。
大きなスポーツバッグを肩にしょった小川が、手を振っている。
「よう。待った?」
「いえ…。小川さん、クラブはもうよろしいのですか」
「うん、今日はミーティングだけだから」
「そうですか…」
「あ〜あ、ハラ減った〜!行こうぜ」
小川の声が大きかったようで、司書の先生が鼻のそばに人差し指を立て、静かにするよう注意した。
「あ、いっけね。すんませんでしたぁ〜」
謝罪の声もデカイので、先生も苦笑する。
紺野はそのそばで、くすくす笑った。

ラーメン屋に向かう。
道すがら、小川は『おめー、ギョーザ何皿くらい食う?』とかたわいのないことを聞いてくる。
紺野も律儀に『ハイ…可能なだけ』と答える。
「可能なだけ!ぎゃっはっは!一体どんだけ食うんだよ〜」
小川はおかしそうに笑う。
「…ラーメン、大盛りでもよろしいですか?」
紺野の問いに、
「だ、誰もおめーが普通サイズを食うとはハナから考えてねーよ」
小川は涙を流さんばかりに笑った。
489 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年03月31日(月)19時56分24秒
更新しました。
久々の登場の稲葉先生。( `w´)<若いってエエわぁ〜

レスのお礼です。


>名無し読者さん
( ゜皿 ゜)ノ<バナナハオヤツニ ハイラナイ

初レスありがとうございます。書いてる人間には最高の褒め言葉です。ありがとうございます。
当方ヤスヲタでもあるので嬉しいです。

>クロイツさん
(〜^◇^)/<あ〜りがと〜!バシバシツッコむよ!

同じ学校に通ってた頃から、いしかーさん、イジられまくりです。
よっちぃ、いちおーフォローはしてるのですが…(w 応援どうもです。がんがります。
490 名前:南風 投稿日:2003年03月31日(月)23時07分40秒
紺ちゃんの発言、完璧です。
育ちざかりですからねぇ。
しっかり食っていい恋しろよ☆
491 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月01日(火)12時11分19秒
みつあみ乙女はあとはあとな圭織さん可愛いッ!!!
そしてこんこんよ。デートおめでとうッ!!可能なだけギョーザ食べてくださいませっ!!
良く食べるこんこんが…なんだかすごく愛しいんですが(笑)
おがこん良いですねぇ!!いつになったらまこっちゃんは気付くのか(笑)どっきどきはあとはあと
次回も楽しみにしております!!
492 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年04月01日(火)21時55分47秒
ラーメン屋は土曜の昼時だが、まだそんなに客はいない。
「へい、らっしゃい」
店の親父が声をかけた少女たちに、ある先客が気づいた。
「あ」
「あ」
カウンターにいた新垣と、その友人―――道重さゆみは同時に振り向いた。
「よう。里沙じゃん」
小川は何の気なしに声をかける。
紺野は少々体を強張らせた。
昨日、学食で恥ずかしいところを見せてしまったからだ。
道重も昨日、新垣とあの場にいたのだ。
「奥の席が空いてますんでそちらにどうぞ」
アルバイトらしき若い青年に案内されて、小川と紺野はそちらに向かった。
紺野はちょっとホッとする。
あのふたりと席が離れたこともだが、小川とふたりでいたい気持ちもあった。

「さ。好きなん頼めよ。ギョーザは半額だからさ」
小川は先にメニューを手渡してくれた。
紺野は本気で迷う。
声にはあまり出さないが、大きな目をキョロキョロ動かしているので、よく分かる。
「ゆっくり選べよ」
小川はおひやを飲みながら、楽しそうにその様を見ている。
「あ」
「何だ?」
「小川さん…お決めになってらっしゃらないんじゃ」
「アタシはもう決めてるから。おめーはゆっくり決めろよ」
片手で水の入ったコップを持つ小川を見て、紺野は頬を染めた。
493 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年04月01日(火)21時57分36秒
―――その様子を、カウンターから道重はじっと見ていた。
「さゆみちゃん?ラーメンのびるよ」
新垣に声をかけられて
「うん…」
気のない返事をする。

「ねえ、里沙ちゃん」
「なに?」
「小川さんと紺野さんって…ホンットに付き合ってないんだよね?」
「昨日本人たちが否定してたじゃん」
新垣はあきれたように言った。
「なんでそんな気になんの?あのふたりのどちらかが好きなの?」
「あ、や…そんな」
道重は消え入るような声を出し、俯いてぼそぼそと冷めかけたラーメンをすすった。

――― 一方

アクセサリー教室が終わった飯田は、稲葉に誘われ食事に行った。
「ウチの古い知り合いも来んねんけど、構へん?」
「いいけど。向こうのひとはヤじゃないかしら」
「ううん。そーゆーの構わへん子ぉやさかい。フフ、びっくりすんで」
稲葉は楽しそうに鼻歌を口ずさむ。
連れられて行った居酒屋には、平家がいた。
「「あ」」
飯田と平家は、同時に声を出す。
「なんや、知り合い?」
「つーか、同じハイツの住人」
飯田はまじまじと平家の顔を見る。
平家も自分の携帯を弄りながら、
「『べっぴんさんが来んで』ってアンタからメール来たから、誰かいな思たら、カオリかいな」
少し笑った。
「なんや〜。せっかく『あ!歌手の平家みちよ!』ってシチュエーションをあっちゃん期待してたのにィ〜」
稲葉は口を尖らせる。
494 名前:SILVER BELLS 投稿日:2003年04月01日(火)21時59分51秒
「あの〜。あっちゃんとみっちゃんはどういう知り合い?」
飯田はふたりの顔を交互に見た。
おしぼりとつきだしが運ばれてくる。
「いやな、昔関西おった頃、ようオーディション会場で顔合わせとってん。
ウチが受けるん、たいてーみっちゃんも受けとったから」
稲葉はおしぼりで手を拭き、頷きながら言う。
「そうなんだ。あっちゃんアイドルグループにいたってホントだったんだね」
「まあ、関西でそこそこ売れたけどな。みっちゃんには敵わへん」
「よう言うわ。引き止められたのに、あっさりやめてからに」
平家が真ん中の飯田越しに、稲葉の腕を叩く。
飯田は体を少し後ろにやり、よけた。
「オトンが死んださかいな、しょうがなかってんて」
稲葉はそう言い、
『姉さん、こっち注文頼むワ!』
軽く片手を上げた。
495 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年04月01日(火)22時00分56秒
更新しました。
レスのお礼です。

>南風さん
川o・)-・)ノ<ハイ…いつだって食欲旺盛です。完璧です。モグモグ…

( ´D`)<とりあえず何をするにもしっかり食べなきゃいけねーのれす

紺野先生、辻さんほどではないですが軽く大食い選手権に出場可能かもしれません。きっと完食でしょう。

>クロイツさん
(*´D`)<てへてへ。三つ編みのいいらさんすっごくかわいいのれす〜

川*‘〜‘)||<やだもう〜。照れるよ、辻ぃ〜!
 
デート…になったんでしょうかね(w?ギョーザは間違いなく可能なだけ食ったと思いますが(w
496 名前:登場人物紹介 投稿日:2003年04月01日(火)22時06分41秒
从*・ 。.・从 :道重さゆみ(15)。山口県出身。新垣の友人で付属中学の3年生。
       小川たちが気になるらしい。



( ・e・)<なんでそんなに、∬`▽´∬ 川o・-・)ノ たちが気になるの?

从*・ 。.・从 <え、あ…ううん、別に…

( ・e・)<友達になりたいんなら、あたし紹介しよっか?マコッチャントハゴキンジョダシ

从*・ 。.・从 <え…いいよ、そんな…

(;・e・)<ああ、そうなんだ…(結局、なんなんだろう…)
497 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年04月01日(火)22時28分28秒
( ▼D▼)ノ<新スレいってもいいかな〜?

( ▼▽▼)ノ(0▼〜▼)ノ<<いいとも〜!

( ▼皿 ▼)<カミキッタ?

(;`.∀´)ノ<しょーもなさすぎるわよッ!

( ´ Д `)<んあ〜、下のアドレスだよ〜↓ よろしくね〜

http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/sea/1049203127
498 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年04月01日(火)22時44分41秒
・おまけ

(沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」のメロディーで)


ききわけのないヤスダのアゴに

゛ヽ(;`.∀´)ノ゛モツトホルモンガナキャヤダー!!

ひとつふたつ ホクロをふやし

(;`.∀.´)…エ?

背中を向けて ボンドを塗れば

( ゜皿 ゜)つ゛ペタペタ

それで何も いうことはない

(;`.∀.´)ノ<あるに決まってんでしょ!


※ヤッスー ヤッスー あんたの時代はよかった

( `.∀´)y−~~
 
ヤスダがギラギラのやすすでいられた

( ‘.∀‘)y−~~

ヤッスー ヤッスー あんたの時代はよかった
ヤスダがギラギラのケメ子でいられた

(@`.∀´@)



(;〜^◇^)<…なんだかなぁ〜
499 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年04月01日(火)22時53分05秒
・白い朝

―――市井宅

ヽ´∀^ノ<…ん。もう朝か…

ヽ^∀^ノ<…あれ?後藤のヤツは…?

―――台所

トントントン…

( ´ Д `)<♪〜 ←メシの支度をしている

ヽ^∀^ノ<おう。おめー、もう起きてたのか

( ´ Д `)<んあ。いちーちゃん、お味噌汁にネギ入れる?

ヽ^∀^ノ<お、おう

トントントン…

( ´ Д `)<♪〜

ヽ#^∀^ノ<(…なんか、いいよな。こーゆーのも)

500 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年04月01日(火)23時05分58秒
・リクエスト

( ^▽^)<あのですね、ひとみちゃん

クルッ
(^〜^0 )ミ<ハイ、なんざんしょ

( ^▽^)<クリスマスに何かほしいものはありますか?

(0^〜^)<え…そんな

(0^〜^).。oO((#0^〜^(^▽^#))

(0^〜^).。oO((*´▽`)人(´〜`0*))

ハフン
(*´〜`).。oO((^▽^)いしかーさんせくしーべいべー状態・映倫のため自粛)

めくるめくひとみの脳内ワールド…

(*^▽^)<もうやだぁ〜!ひとみちゃんったらなに考えてるのぉ〜!キャッ!

(;*^〜^)<え、あ、そんな…!


( ´д`)<…バカップル (´D` )<まったくれす




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