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ポジとネガ
- 1 名前:ラッキー 投稿日:2002年12月23日(月)01時05分34秒
- 相変らずいしよしです。
よろしくお願いします
- 2 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時06分07秒
- 「梨華ちゃん…」
「…よっすぃー…」
あ、はじまっちゃったよ。
目の前でブチュッとブチュッとしてるのは、
オイラのご主人様のひとみちゃん、そしてその恋人の梨華ちゃん。
唇が一瞬離れたときに、梨華ちゃんがオイラのことを見た。
ひとみちゃんがまたキスをしようとしたら、
梨華ちゃんは体を離した。
「…どうしたの?」
「…だって、ポジが見てるんだもん」
ひとみちゃんのトロンとしたままの目がこっちを向けた。
「ポジ、見んなよお、スケベだなあ」
ひとみちゃんはオイラのことを指さして、鼻の頭をこすりながら言った。
「ん?相棒はどうした?」
「あ、ネガならさっきベッドに行ったよ」
そうそう、2人のラブシーンがはじまった途端、
恥ずかしがり屋のネガは、フトンの中に入ってしまった。
「お前もさあ、ちょっと気ぃ遣えよお」
ひとみちゃんはオイラのことを抱き上げて、フトンの中に押し込んだ。
「ニャー(まったくジャマしちゃダメじゃない)」
ネガがつぶやいた。
「ニャン(そんなつもりはなかったんだけど)」
オイラはネガと並んで丸くなった。
- 3 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時06分40秒
- オイラたちは3ヶ月前くらいに、近所の公園で拾われた。
優しいひとみちゃんは、動物嫌いのお母さんを説得して、
吉澤家で飼われることになったのだ。
オイラの体は真っ白で、相方の体は真っ黒。
あと、なんかマンガの女の子が飼ってる2匹の猫の名前だったらしく、
「ポジ」「ネガ」なんて名前をつけられた。
ちなみにオイラは男で、ネガは女の子だ。
ひとみちゃんはオイラたちのことを、家族や友達みたいに思ってくれて、
いつもいろいろ話しかけてくる。
もちろん梨華ちゃんのこともいろいろ相談されていた。
- 4 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時08分08秒
- オイラたちが、この家に来て1週間くらいのときのこと。
「あーっ!ネガだ!!」
夕食のあと、ソファーでテレビを見ていたひとみちゃんが突然叫んだ。
「どうしたの?何がネガなの?」
お母さんが不思議そうに聞いた。
「いやね、ウチのクラスの子でね、
女の子っぽいっていうか、おとなしいっていうか、そういう子がいるんだけど、
今日、初めてまともにしゃべってさ。
誰かに似てるなってずっと気になってたんだよね」
「え?その子に似てるのがネガなの?」
「うん、そう。なーんか似てる。
別にネコ顔ってワケじゃないんだけど、雰囲気かなあ」
ひとみちゃんは床で丸まっていたネガを抱き上げて、ひざの上に乗せた。
ネガはなんだか恥ずかしそうにうつむいて、
ひとみちゃんのお腹に顔をうずめるようにした。
「あはは、やっぱ梨華ちゃんに似てるわ」
ひとみちゃんはうれしそうにネガの耳の後ろを撫でた。
- 5 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時08分41秒
- いいなあ、ネガばっかりかわいがってもらって。
オイラもしてほしいよ。
「ミャーミャーミャー」
オイラはソファにのぼって、ひとみちゃんの脚に手をかけた。
「まったくポジは甘えん坊だなあ」
ひとみちゃんは、オイラのことも撫でてくれた。
「そんなこと言ったら、ポジはひとみに似てるわよ」
「へっ?ウチとポジが?」
「そうよ、やんちゃなくせにクールに振舞ってるとことか、
本当はすっごく甘えん坊のとことか。
あと色が白いとこも似てるわね」
お母さんが笑いながら言った。
「ふーん、そうかあ、ウチらは似てるのか」
オイラはひとみちゃんに首根っこをつままれて、
ひとみちゃんの顔の前にぶら下げられた。
「似たもの同士、仲良くやろうな」
「ミャー」
うん、ひとみちゃん好きだもん。
「よし、いい返事だ」
そのまま、ギュッと抱きしめられた。
- 6 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時10分07秒
- ひとみちゃんが学校から帰ってくると、
いつもオイラとネガは玄関までお出迎えして、そのまま部屋までついていくんだけど、
それからというもの、必ず『梨華ちゃん』の話題が出るようになった。
梨華ちゃんは勉強もできて、テニス部で、
がんばり屋さんなんだけど、どっかカラ回りしてるとこがあって、
いつもそれを楽しそうに、ひとみちゃんは話していた。
ある日、ネガがトイレかなんかでひとみちゃんの部屋から出ていったとき、
オイラのことを膝にのせて、ひとみちゃんが聞いてきた。
「なあ、ポジはネガと仲良しだよなあ」
「ニャン」
もちろん仲いいよ。ネガのこと大好きだもん。
「ウチもさあ、梨華ちゃんともっと仲良くなりたいんだよ…
どうしたらいいのかなあ」
ひとみちゃんは大きくため息をついた。
なんだか切なそうな顔をしてた。
「なんかさ、ごっちんがさ、梨華ちゃんのこと『カワイイ、カワイイ』って
言ってるの聞くとさあ、ムカついてくるんだよ」
- 7 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時11分12秒
- 『ごっちん』は、ひとみちゃんと1年生のときに同じクラスになって
2年生になった今でも大の仲良し。
この家にもよく遊びに来るし、優しいしキレイだし、
オイラ、ごっちんも大好き。
そんなごっちんは、カワイイ子が大好きで、
ひとみちゃんのクラスに遊びにきては梨華ちゃんにちょっかいを出していくらしい。
自分より梨華ちゃんと仲良くなってるごっちんに対して、
なんだか面白くないと思ってるみたい。
「ウチもさあ、ごっちんみたく自然に仲良くしたいのにさ、
梨華ちゃんと話すとき緊張しちゃってうまく話せないんだよ」
ほほう…それは、恋、恋わずらいってヤツじゃあないの?
ネガが戻ってきたらしく、ドアを開けてとシャカシャカ爪の音をさせた。
オイラがドアの前までいくとひとみちゃんはドアを開けた。
ネガはひとみちゃんの足に体を擦り寄らせて、部屋に入ってきた。
すかさず、オイラはネガにじゃれついた。
するとネガもオイラに飛びついてきて、2人でしばらく遊んでいた。
- 8 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時11分47秒
- 「いいなあ、お前ら仲良くてさあ…」
オイラはひとみちゃんの足にも飛びついた。
「ニャー(いっしょに遊ぼう)」
しばらく3人で遊んだ。
遊び疲れて、オイラが一抜けしてもまだネガとひとみちゃんは遊んでいた。
少ししてから、ひとみちゃんがつぶやいた。
「あ、そうか!梨華ちゃんと2人だとうまく話せなくても、
誰か仲いい子と3人で話せば、そのうち2人でも話せるようになるよな。
よし!柴ちゃんともっと仲良くしよ」
柴ちゃんというのは、同じクラスで梨華ちゃんの親友。
カワイイ上に面白いらしい。
うん、きっとひとみちゃんなら仲良くなれるよ。
「ポジ、ありがと。教えてくれて」
「ニャン(どういたしまして)」
いやいや、オイラも無意識にやってたんで。
- 9 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時12分55秒
- それから、ひとみちゃんは柴ちゃんと仲良くなり、
梨華ちゃんとも普通に話せるようになりつつあって。
ある日、ひとみちゃんがすごく困ったようなうれしいような顔をしていた。
部屋に入ると机のイスに座ったので、オイラたちは机の上にちょこんと座った。
「今週末さあ、ごっちんの家でパーティーやるんだけどさ、
梨華ちゃんも来るんだよお…」
ごっちんは楽しいことダイスキ!なので休みの日に大人数でパーティーをやるのもしょっちゅう。
しかも自分のお気に入りのカワイイ子ばっかりに声をかけるらしい。
だから、今回は梨華ちゃんも、あと柴ちゃんも、誘われたみたい
- 10 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月23日(月)01時13分27秒
- 「いや、ほら、ごっちん家のパーティーって一晩中でしょ。
つーことは梨華ちゃんとずーっと一緒にいれるじゃん。
だからこっそり2人で抜け出すようにして、『告白』しようかなーなんて思ってるんだよ」
ひとみちゃんは、オイラとネガをギュッと抱きしめた。
「梨華ちゃんがウチのこと好きかわかんないけど、たぶん、嫌われてはないと思う。
せっかくの機会だからがんばろうかと思って」
「ニャー(がんばれ)」
「ニャー(がんばって)」
オイラとポジはひとみちゃんを応援するよ。
「もしダメだったらなぐさめてよね」
「ニャン(きっと大丈夫だよ)」
ひとみちゃんはオイラたちの頭を優しく撫でた。
- 11 名前:ラッキー 投稿日:2002年12月23日(月)01時18分49秒
- 更新終了です。
このお話じたいはそんなに長くないのですが、
別の視点でも書こうと思っておりますので、
よろしくお願いします。
- 12 名前:REDRUM 投稿日:2002年12月23日(月)05時53分52秒
- ラッキーさん、待ってましたぁ!
よっちぃかぁいいっす。ネガポジもかぁいい!
すんごい楽しみにしてるんで、がんがってくださーい(o^〜^o)
- 13 名前:名無し蒼 投稿日:2002年12月23日(月)06時00分23秒
- ラッキーさんお待ちしてましたぁ。
前々から読んでました!いやー嬉しいです(w
ネガとポジすっげー可愛いっす!いたら欲しい♪
楽しみしています!頑張って下さい
- 14 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年12月23日(月)17時00分48秒
- 師匠の新作が、また読めるなんて光栄です。
がんがって下さい!今回も可愛いですね(^▽^)
- 15 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時52分06秒
- そして、その日曜日の夜。
ひとみちゃんがごっちんの家から帰ってきた。
なんだか沈んだ表情…梨華ちゃんに断られちゃったのかな…
オイラたちはひとみちゃんの部屋についていく。
部屋に入るなり、ひとみちゃんはベッドに横になった。
オイラたちも、そのすぐ側に座る。
「…はあ…ウチ、梨華ちゃんと絶対無理だよ…嫌われちゃったよ」
オイラとネガは顔を見合わせた。
ひとみちゃんは自分では言わないけど、すごくモテると思う。
よくラブレターとかもらってるし、告白されたって話しもよく出てくる。
で、今回ごっちんの家には10人くらい来たみたいなんだけど、
ひとみちゃんのことを好きな人も何人かいたみたいで。
さんざん飲まされて、お酒が弱いひとみちゃんはすぐにノックダウン。
結構早い時間からオヤスミになってしまったらしい。
もちろん、ひとみちゃんのファンはそんな機会を逃すワケなくて、
ひとみちゃんの唇を何人もの人が奪っていった。
それは目が覚めてからごっちんが教えてくれて。
ま、ちなみにごっちんもしたらしいけど。
残念ながら梨華ちゃんはそのメンバーに入ってなくて。
- 16 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時52分55秒
- しかも、どうやら柴ちゃんがひとみちゃんのことを好きらしい。
今回も一番ひとみちゃんの側にいたのは柴ちゃんで。
親友の梨華ちゃんは気を遣ってか、全然近くにきてくれない。
2人っきりになれるチャンスなんかなくて、告白なんてできそうもない。
だから、ひとみちゃんは余計にお酒がすすんでしまったみたい。
ヤケ酒ってやつだね。
さらに、明け方には寝ぼけてて梨華ちゃんのことをネガと間違えて抱きしめてしまい、
太ったとか新しいシャンプーいい匂いとか言ってしまったらしい。
梨華ちゃんには、付き合ってる人がいると思われちゃったって。
いくらウチのネコだと言っても信じてもらえなかったみたい。
「はあ、梨華ちゃん…」
ひとみちゃんはガックリと落ち込んでいた。
オイラたちではどうすることもできないけど、
とりあえずひとみちゃんの手のひらを舐めた。
「あはは、くすぐったいよ…」
ネガはひとみちゃんの体の上に乗って、抱きつくように手足を伸ばして
ひとみちゃんの顔を舐めていた。
「ポジもネガもありがと。慰めてくれてんだね」
うん、ひとみちゃんが元気ないとオイラたちも元気なくなっちゃうよ。
- 17 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時53分26秒
- 数日後、ひとみちゃんは超ゴキゲンで帰ってきた。
どうやら、柴ちゃんが心変わりしたらしく、
パーティーがきっかけでごっちんのことが好きになったらしい。
で、ひとみちゃんに相談してきたというのだ。
「えへへへー、つーことは、ウチがもっと梨華ちゃんに近づけるチャンスだよねえ」
柴ちゃんが好きなのがごっちんなら、梨華ちゃんは柴ちゃんに気遣うことなく
ひとみちゃんとも仲良くしてくれる。
しかも、柴ちゃんとごっちんがうまくいったら、
余計にひとみちゃんと梨華ちゃんは仲良くなれるはず。
「とりあえず、梨華ちゃんも入れて4人ででかけようかと思ってるんだあ」
ひとみちゃんはかなりデレデレした表情になっていた。
そのダブルデートのとき、柴ちゃんをごっちんと2人にさせるために、
ずっとひとみちゃんは梨華ちゃんと側にいれたみたい。
それをきっかけに、2人は本当に仲良くなれた。
部屋にいてもしょっちゅう梨華ちゃんとメールしてて、
よく内容をオイラたちに話して聞かせる。
ま、いわゆるノロケってやつだね。
でも、まだ告白はしてないみたい。
- 18 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時54分38秒
- ある日、学校から帰ってきたひとみちゃんを出迎えると、もう一人玄関にいた。
あ!梨華ちゃんだ。
写真をさんざん見せられてるし、いつも話しを聞いてるから、
何だか初めて会う気がしなかった。
それはネガも同じだったらしい。
どうやら、宿題を一緒にやろうっていうことらしく、
ひとみちゃんと梨華ちゃんは部屋に入ってすぐにテーブルに、
教科書やらノートを広げはじめた。
ネガは梨華ちゃんに擦り寄っていき、遊んで欲しそうにしていた。
「お、珍しいよ。ネガって人見知りだから、初めての人には絶対寄っていかないのに」
ひとみちゃんがうれしそうに言う。
「はじめまして。よろしくね」
梨華ちゃんは、ネガを抱き上げて膝の上にのせて、顎の下を撫でた。
「やっぱ、似てるわ」
ひとみちゃんは満足そうに梨華ちゃんとネガを見つめていた。
「何?黒いところが?」
「そーゆーわけじゃないよお」
- 19 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時56分24秒
- オイラはひとみちゃんの膝に乗った。
「ポジはよっすぃーに似てるんでしょ?」
「うん、お母さんが言うからそうなんだろうね」
ひとみちゃんはオイラの頭を撫でた。
梨華ちゃんはニコニコとオイラたちのことを見ていた。
うん、確かにカワイイよ。ひとみちゃんが惚れるのもわかるなあ。
しばらく2人は勉強に集中してたので、オイラとネガもベッドの上に行って、
2人のジャマにならないようにしていた。
とはいっても、ひとみちゃんは完全に集中しきれてなくて、
シャーペンを動かしながらチラチラと梨華ちゃんのことを見ていた。
ん?
あれ?梨華ちゃんも同じことをしてるみたい。
ときたま手が止まっては、ひとみちゃんの顔を盗み見ている。
それにネガも気付いたらしく、オイラたちは顔を見合わせた。
少しすると、お母さんがひとみちゃんを呼ぶ声がしたので、
ひとみちゃんは部屋を出ていった。
- 20 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時57分00秒
- すかさずネガが梨華ちゃんの側に行った。
「ニャン(梨華ちゃん)」
梨華ちゃんは笑顔で、ネガを抱き上げた。
「いいなあ、ネガは。よっすぃーとずっと一緒にいられて…
よっすぃー、家でも優しい?かっこいい?」
「ニャン(うん)」
「いいなあ…私もよっすぃーと一緒にいたい」
梨華ちゃんはネガをギュッと抱きしめた。
ほほう、やっぱりねえ。
梨華ちゃんもひとみちゃんのこと好きなんじゃん。
確かにひとみちゃんは優しいよ、
でもオイラはかっこいいとは思えない。
だって、梨華ちゃんに対してすっごくヘタレなんだもん。
どうして、もっとガーッといけないのかねえ。
- 21 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時57分34秒
- ひとみちゃんが、シュークリームと紅茶を持って部屋に戻ってきた。
「ちょっと休憩しよ」
大きなシュークリームだったので、かじりつくと、梨華ちゃんのほっぺにクリームがついていた。
「梨華ちゃん、クリームついてるよ」
ひとみちゃんが、笑いながら言う。
「えっ?どこどこ?」
ひとみちゃんはさっと手を伸ばし、梨華ちゃんのほっぺのクリームを取ると、
その指を舐めた。
「あっ…」
その行動に梨華ちゃんが驚いた。
「へっ?」
ひとみちゃんは無意識にやってたみたい。
そう、オイラたちになんかくれたときも同じことするもん。
でも、梨華ちゃんが赤くなってうつむいてるのを見て、
やっちゃったと思ったみたい。
「あ、あの…ご、ごめん」
そのあと、2人は黙々と勉強をして、ほとんど口をきかなかった。
夕食前の時間になると、ひとみちゃんは梨華ちゃんを駅まで送りにいった。
- 22 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時58分10秒
- 「はあ、また梨華ちゃんに嫌われちゃったかなあ…」
帰ってきて部屋に戻ると、ひとみちゃんはガックリと肩を落とした。
「結局、さっきも駅まで行くのに、全然しゃべってくれなかったよ…」
はあ、オイラのご主人様は超超超超ドンカンだねえ。
そんなの、好きだから照れてるに決まってるじゃん。
ネガもなんだかあきれ顔。
オイラはひとみちゃんの足に軽くかみついた。
「痛いじゃんか!何すんだよお」
ひとみちゃんは、軽くオイラの頭を叩いた。
「ニャー、ニャー!(鈍感、ヘタレ!)」
「なんだよお!」
オイラが怒ってるのがわかったらしく、ひとみちゃんはオイラのホッペをひっぱった。
「もう、ウチは落ち込んでるのにい」
- 23 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月24日(火)01時58分44秒
- ひとみちゃんがドカッとベッドに横になると、ネガは隣りにピッタリ寄り添った。
「おー、誰かと違って、ネガは優しいなあ」
ひとみちゃんはネガを抱き上げて、自分の上にのっけた。
悪かったな、強暴で。
その辺はご主人様に似たんだと思うケド。
「そういえば、梨華ちゃんと会うの2人とも初めてだったよね。かわいかったでしょ?」
「ニャン(かわいい)」
「ニャー(優しかったよ)」
オイラたちが好意的な返事をしたのはわかってくれたらしく、
ひとみちゃんは満足気に頷いた。
「それにしても、やっぱネガと梨華ちゃん、似てるよ」
ひとみちゃんはネガをギュッと抱きしめた。
えーい、ネガじゃなくって、梨華ちゃんのことをギュッとしてみろってーの!
オイラはひとみちゃんの上に乗って暴れた。
「なんだよ、ポジ!ヤキモチかあ?」
そんなんじゃないやい!
ひとみちゃんの意気地のなさにあきれてるんだい!
- 24 名前:ラッキー 投稿日:2002年12月24日(火)01時59分34秒
- 更新です。
>REDRUMさん
ありがとうございます。
今回はカワイさ重視なんで(笑)
がんがりま〜す。
>名無し蒼さん
いえいえこちらこそうれしいです。
自分も欲しいですね、ネガとポジ(笑)
>名無しベーグルさん
いつもありがとうございます。
しばらく隠居生活してますた(笑)
しかし「師匠」は今だに慣れません(笑)
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月24日(火)14時04分51秒
- >ラッキーさま
ポジとネガ、な〜んて可愛いんでしょう。
もうニヤケつつ、頬がゆるみつつ、ほのぼのしながら読ませていただいております。
これからも楽しみに待っております。
- 26 名前:オガマー 投稿日:2002年12月26日(木)04時43分28秒
- かわうぃ〜。
もう全員かわいーです。
更新楽しみにしていますね(w
- 27 名前:トロイ 投稿日:2002年12月26日(木)15時30分53秒
- 初めてカキコ。
応援してるっすよ。
とっても面白い!
いしよし大好きな僕にとってはたまらない!
これからもがんばれ〜!
- 28 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時46分41秒
- その後も、ひとみちゃんと梨華ちゃんは別に今まで通りで、
もちろん険悪なムードでもないけど、進展もない。
そして、ある日、また梨華ちゃんが吉澤家にやってきた。
実は、ひとみちゃんのお父さんが会社のパーティーで、
温泉旅行ペアが当たったらしく、お母さんと2人で行っている。
追加すればいいとひとみちゃんも誘われたようなんだけど、
オイラたちのことが心配だからと断った。
優しいよ、ひとみちゃん。
でも、それに便乗して、梨華ちゃんのことを誘った。
今回はオイラたちはいるけど、実質2人っきり。
しかもお泊りだよ。
昨日ひとみちゃんは一生懸命ダンドリを考えていたのと、
緊張してたのであんまり寝てない。
- 29 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時47分14秒
- 2人は楽しそうに夕御飯を一緒に作って、
食後はレンタルしてきたビデオをソファーに並んで座って見ていた。
なんかホラーっぽいのだったらしく、怖いシーンで
「きゃっ!」って、梨華ちゃんがひとみちゃんに抱きついた。
ひとみちゃんは顔を赤くして、どうしようかと迷いながら、
エイッってなカンジで、梨華ちゃんの肩を抱いた。
梨華ちゃんは一瞬ビクッってしたけど、
それからはひとみちゃんに完全に体を預けていた。
なーんだ、もう完全にカップルみたいじゃん。
オイラとネガは2人のことをずっと観察してたんだけど、
全然心配することもなさそうじゃん。
ビデオが終わって少ししてから、まず梨華ちゃんがお風呂に入りに行った。
- 30 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時47分50秒
- 「うわああ、どーしよ、どーしよ」
ひとみちゃんが何だかバタバタと暴れている。
「ね、ね、梨華ちゃんに告白していいよね?大丈夫だよね?」
オイラの肩をつかんで、ひとみちゃんは言った。
つーか、いい加減告白しろよ。
どう考えてもうまくいくに決まってるじゃん。
梨華ちゃんに失礼だよ。
「い、いつしたらいいかな?やっぱ寝る前とかかな?」
昨日さんざんシュミレーションしてたじゃん。
寝る前に告白して、OKもらって、
一緒にベッドに入って寝るんじゃないの?
「で、でもさ、寝る前だとなんか下心あるみたいで、イヤがられないかな?」
あのねえ、実際、下心全開でしょ。
もう言葉で言えないなら、態度で示せって!
梨華ちゃんだって完全に惚れてるんだから、イヤがんないから。
全く、男ならガツンと行けって!
あ、男じゃなかったか。
- 31 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時48分22秒
- ひとみちゃんはかなり緊張してるみたいで、
弱気なことをしゃべり続けてたら、
梨華ちゃんがお風呂から出てきてしまった。
すぐにひとみちゃんもお風呂に入る。
梨華ちゃんが髪の毛乾かしたり、化粧水をつけたりしているときも、
ネガはずっと側にくっついていた。
ネガ自身も梨華ちゃんのこと好きなんなんだろうな。
似てるって言われてるだけあって同じニオイを感じるのかもしれない。
「ネガ、私、今日、よっすぃーに告白しようと思うの」
寝る準備が整った梨華ちゃんは、ネガを膝に乗せた。
「ニャン(がんばって)」
- 32 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時48分54秒
- そうだな、ひとみちゃんがあんな調子じゃ告白できるかわかんない。
梨華ちゃんから告白してもらった方が確実だろうな。
「でもね、よっすぃー、モテるから、私なんか相手にしてくれないんじゃないかなって」
「ニャー(そんなことないって)」
「断られてぎこちなくなるんだったら、今の関係のままの方がいいのかなって思うし」
「ニャー(大丈夫)」
「よっすぃーに嫌われたら、私、生きていけない…」
「ニャン(嫌ってないから)」
ありゃりゃー、梨華ちゃんってネガティブなんだな。
しかし、そこまで思わせるなんて、ひとみちゃんも罪つくり。
オイラも梨華ちゃんの側に行き、足をつついた。
「ニャーニャー(ひとみちゃんのことよろしく)」
梨華ちゃんはニッコリ微笑んだ。
「なんか応援してくれてるみたいね?ありがとう」
梨華ちゃんは、オイラとネガの頭を撫でてくれた。
少ししてひとみちゃんが、お風呂から出てきた。
そして2人はひとみちゃんの部屋へ。
もちろん、オイラたちもついていくんだけど。
- 33 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時49分29秒
- 本当は一緒に寝るつもりのくせに、ベッドの下にちゃんと布団が敷かれている。
ひとみちゃんとオイラはベッド、梨華ちゃんとネガは布団に入った。
それからもしばらく2人は話しをしていたが、
ふと話しが途切れたときに時計を見たらしく2時くらいになっていた。
「…もう寝ようか…」
「うん…」
ひとみちゃんがスタンドの小さい明かりだけにしてベッドに戻る。
「おやすみ…」
「…おやすみなさい」
ちょ、ちょっと!
2人とも告白するつもりじゃなかったの?
このまま寝ちゃったら、今までと何も変わらないじゃん。
- 34 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時50分43秒
- 「あ、あのさ!」「あ、あのね!」
2人が体を起こして同時に叫ぶ。
「あ、ああ、梨華ちゃんから、いいよ」
「えっ?よっすぃーから話して」
「あ、いや、その、なんつーか…」
なかなか言い出せないひとみちゃん。
あー、イライラすんなあ!
「…あのね、そっちいってもいい?」
梨華ちゃんが言った。
よし、やったぞ!梨華ちゃん、ガンバレ!
「…うん……おいで」
ひとみちゃんはかけ布団をあげた。
すぐに梨華ちゃんが入ってきた。
しょうがない、オイラは出るよ。
でも、ちゃんと様子は見させてもらうからね。
- 35 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時51分13秒
- 梨華ちゃんがひとみちゃんに寄り添っていくと、
ひとみちゃんも梨華ちゃんのことを優しく抱きしめた。
そして…
「…梨華ちゃん、スキ」
「…私もよっすぃーのこと好き」
パチパチパチパチ、おめでとう。
オイラは安心して、ネガの側、布団の中に入っていった。
ネガは相当うれしかったらしく、涙目になっていた。
かわいいヤツめ。
その夜はオイラとネガもじゃれあって眠ったから気付かなかったけど、
ひとみちゃんと梨華ちゃんはもっとすごかったんだと思う。
- 36 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時51分44秒
- 朝、お腹がすいたから、ひとみちゃんにゴハンをねだろうとベッドに行ったら、
ひとみちゃんも梨華ちゃんも裸のまんまで抱き合っていた。
あららら。告白して、その日のうちにですか?
すごく幸せそうな顔してる2人を見てたら起こすの悪いなって思ったけど、
やっぱりお腹がすいた。
「ニャーニャー(ゴハンゴハン)」
ひとみちゃんの耳元で鳴き、顔を舐めた。
「…ん?ポジ、なんだよお…あ…」
ひとみちゃんは、梨華ちゃんが隣りにいることをすっかり忘れてたみたいで、
顔を真っ赤にして、梨華ちゃんを見た。
- 37 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時52分15秒
- 梨華ちゃんも目覚めたらしく、
「あ…おはよ…」
恥ずかしそうに布団にもぐって、目だけを出してひとみちゃんを見た。
かわいいなあ…
ひとみちゃんもそう思ってたらしく、顔が完全にゆるんでデレデレだった。
とにかく、オイラはハラ減ったんだあ。
「ニャーニャー(何か食わせろお)」
「わかった、わかった、お腹すいたんだろ?
すぐ用意するから、待ってろって」
ひとみちゃんは脱ぎ捨ててあった下着とパジャマを着た。
部屋を出る前に梨華ちゃんの方に向き直ると、
かけ布団を少しどかして、チュッってキスした。
梨華ちゃんは恥ずかしそうに、また布団をかぶってしまった。
なかなかやるじゃん、ひとみちゃん。
- 38 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時53分34秒
- 部屋のドアを閉めた途端、ひとみちゃんはガッツポーズ。
「やったあ!」
オイラのことを抱えて、キッチンまでハナ歌歌いながらスキップしていった。
「えへへ、マジで梨華ちゃん、サイコー!」
オイラのゴハンを用意しながら、昨日の夜のエッチの様子を語り出した。
うーん、ネガにはちょっと刺激が強い話しだな。
オイラがゴハンを食べてる隣りにしゃがみ込んで、ずっと話しつづけてるひとみちゃん。
ホント、幸せそうで何よりだよ。
「もう、よっすぃー、何言ってんのよ!」
すぐ後ろにネガを抱いた梨華ちゃんが立っていた。
ひとみちゃんは話しに夢中で気付かなくて、
しかもその話しの内容が昨日のエッチがどれだけよかったかってことだから、
そりゃ、その相手の梨華ちゃんは恥ずかしいだろうね。
「そんなこと、他の人に話さないでよお」
梨華ちゃんは真っ赤になっていた。
「ご、ごめん。でも、ポジとネガにはずっと相談してたし、隠し事したくないんだよ。
それに梨華ちゃんのこと誉めてるんだからさ、いいでしょ?ダメ?」
- 39 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時54分09秒
- ひとみちゃんの甘えるような目ってかわいいよなあ。
きっと梨華ちゃんもこんな目で見られたら、ダメなんて言えないはず。
「…ポジとネガ以外にはそんな話ししないでよ」
「もちろん!あ、でも付き合ってることは話してもいいよね」
頷いた梨華ちゃんをひとみちゃんはギュッと抱きしめた。
「梨華ちゃんのこと誰にも渡したくないから。大切にするから」
「よっすぃー…」
なんだよ、朝から。
オイラは2人のことは無視して、ゴハンを食べ続けた。
ネガもこのバカップルに愛想が尽きたみたく、ゴハンを食べはじめた。
- 40 名前:ポジとネガ 投稿日:2002年12月28日(土)02時54分46秒
- 「…ん…」
「…はあ…ん…」
そんなワケで2人は結局うまくいってる。
ひとみちゃんの家が学校から近いのもあって、
こうやって学校帰りに部屋でエッチすることもしょっちゅう。
今度はさっきオイラたちが追いやられたベッドに入ってきた。
またどかなきゃなんないじゃんか。
しょうがない、オイラとネガはテーブルの下に移動して丸くなった。
しっかし、2人が幸せなのはいいんだけど、
オイラたちの居場所がなくなるのはカンベン。
あと、ノロケ話しをさんざん聞かされるのもいい加減にしてほしい。
それから2人のケンカにオイラたちを巻き込むものやめてほしい。
「ね、ネガは私の味方だよね?」
「ポジはウチの言ってることわかってくれるよな?」
ま、いつもしょーもない原因のケンカだから、すぐに仲直りするんだけど。
絶対してほしくないのは、2人が別れること。
そんなことになったら、どれだけグチを聞かされるかわかんないよ。
だから、ずっとずっと仲良くしててよね。
fin
- 41 名前:ラッキー 投稿日:2002年12月28日(土)02時55分42秒
- 以上でこのお話は終了です。
>25さん
ありがとうございます。
ほのぼの系と言っていただけるのは、とてもうれしいです。
>オガマーさん
どうもです。ありがとうございます。
オガマーさんもがんばって下さいね!
>トロイさん
応援ありがとうございます。
自分もいしよし大好きですから!(笑)
途中でも申し上げましたが、別視点(石川さん視点)で、このお話を書いていく予定です。
引き続きよろしくお願いします。
- 42 名前:トロイ 投稿日:2002年12月28日(土)16時21分23秒
- 面白かったー!
すごく気に入りました!
いつまでも応援しています!
がんばってください!
- 43 名前:オガマー 投稿日:2003年01月03日(金)04時55分13秒
- やっぱかわいいですな(w
オイ!ポジうらやますぃ〜ぞ!w
ひとみちゃんとりかちゃんが(ry
…石川さん視点、楽しみに待っております!!
- 44 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月19日(日)01時37分42秒
- メチャクチャサイコーな設定ですよ
かわいさ満点甘さバッチリなとこがすごいっす
その後の二人と二匹を期待したいです
- 45 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時49分34秒
- あー、もう最悪ぅ!
今日は朝から生理痛がひどいのなんのって。
歩くのだって辛いのに、満員電車の中なんてずっと立っていられるわけない。
何回も途中下車してはベンチで休憩してたから、トーゼン遅刻なわけで。
しかも今日って朝礼のある日だった…本当にツイてない。
講堂にこっそり入ると、入り口付近にいたのがたまたまウチの担任で、
クラスの列の一番後ろに着くように指で指示された。
しっかし、校長の話しって長いんだよね、しかも全然面白くないし。
………あ、どうしよう、また気持ち悪くなってきたかも…
でももう終わるよね、ガマンガマン。
ぎゅっと目をつぶって耐えていた…つもりだったんだけど、フラフラしてたらしく、
前に並んでた人の背中に思いっきり倒れ込んでしまった。
「…大丈夫?」
その人が振り向いて、私のことを抱きかかえた。
もう返事をする余裕なんてなくて、その人に体を預けるだけだった。
あれ?なんか体が持ち上げられたみたい。
その人の顔がすごく近くにある。
あ、この人って、吉澤さんだ…
- 46 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時51分12秒
- 私が連れていかれた先は保健室で、
少し開いていたドアを吉澤さんは足で開けた。
「けーちゃーん、いないの〜?」
返事がなく、私はそのままベッドに寝かせられた。
「ね、もしかして今日、生理?」
私は小さく頷いた。
「薬飲んだ?」
今度は首を振ると、吉澤さんはすぐに薬と水の入ったグラスを持ってきた。
「ウチも生理痛がひどくて、よくもらって飲んでるヤツなんだ。
強いから眠くなっちゃうけど」
そう言って吉澤さんは私の口に薬を入れると、グラスを近づけた。
首だけを起こして、薬を水で流し込んだ。
「…あ、り、がとう…」
なんとか、御礼だけは言えた。
吉澤さんが口の片端だけ上げて微笑んだのが見えた。
- 47 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時52分03秒
- 私は、そのまま寝てしまおうと目を閉じた。
すると、ブレザーを脱がされた。
あ、ハンガーにかけてくれてるみたい。
ネクタイがゆるめられて、シャツのボタンも2つはずれる。
そして背中に手がまわったと同時に、ブラのホックがプチッ。
さらにはスカートのホックがはずれ、ファスナーが下りた…
えっ?こ、これって…まさか…
「な、なにするのっ!!」
力をふりしぼって、キッと睨むと当の吉澤さんはキョトンとしていた。
「え?だって、窮屈なところ、楽にした方がいいでしょ?」
「あ、あ、そ、そうだよね…」
は、恥ずかしい…親切でやってくれたのにカン違いもいいところ。
吉澤さんはクスクス笑っていた。
「もしかして、襲われるとでも思った?」
「えっ!?」
だって、だって、すごく慣れてるカンジだったんだもん…
なんか吉澤さんって、コワイんだよね…
よくいえばクールなんだろうけど、私には冷酷ってカンジに見える。
この口の片端だけ上げる笑い方も、なんかバカにされてるみたいで。
- 48 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時52分41秒
- 「ね、石川さんって、そういう経験ないの?」
「えっ?」
「処女?」
「はあっ!?」
な、何を聞くの!?この人は!
すると、保健室のドアが開けられる音がした。
「あ、圭ちゃーん?何してたの?」
吉澤さんがドアの方に向かった。
とりあえず助かった。
襲われないってわかってても、吉澤さんと2人っきりでいるのはなんかコワイんだもん。
「何って、朝礼に出てたわよ。アンタこそ何してんのよ」
「そっか。あ、急病人を運んできました!」
こっちに保田先生と吉澤さんが来た。
- 49 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時54分45秒
- 「ああそうなの。気分はどう?」
「…はい、なんとか…」
「あ、生理らしいんで、いつものやつ飲ませておきました」
「そう、じゃゆっくり休んでいくといいわ。よっすぃー、よくやったじゃない」
「まあね」
えらそうに胸を張る吉澤さんのお腹に、保田先生がパンチを入れた。
「うっ!死ぬ…」
「アンタは1限始まるんだから早く教室戻りなさーい」
「えー、いいじゃん、もう少しいてもー」
「アンタまでサボリ癖つけないの!とっとと行く!」
「…はーい」
吉澤さんは渋々保健室を出ていった。
「あー、ごめんね、うるさくして。私、あっちにいるから、何かあったら声かけてね」
「…はい」
保田先生はニッコリ笑って、ベッドルームを出た。
先生に微笑まれるのも、違う意味でコワイな…
それにしても、先生のこと『圭ちゃん』なんて呼んでるんだ…
コワイ人だと思ってたら、やさしくしてくれるし、
そうかと思ったら突然ヘンなこと聞くし、よくわかんない人だな、吉澤さんって…
- 50 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時55分32秒
――――――――――――――――――――
んー、よく寝たなあ。すごくよく寝た気がする。
もしかして授業全部終わっちゃったりしてないよね!?
「きゃっ!」「いったーい!」
慌てて体を起こしたら、目の前に誰かいたらしくて、
思いっきり頭をぶつけてしまった。
「あはっ、ごめんねー。かわいいなーと思って見とれてたの」
おでこをさすりながらだるそうな声を出したこの人、誰だっけ?
確か吉澤さんと仲いい人で、うちの教室でも何回か見たことある。
「…何してるの?」
「んー、早く来ちゃったから寝ようと思ってー。
1限数学だから出るつもりないしー」
「・・・」
なんなの、この人?
こんな堂々と遅刻してて、さらに寝るために保健室ってどういうこと?
ま、こんな不良の人の考えることなんて、私にはわからなくていいわ。
とりあえずまだ1限みたいだし、教室戻ろうっと。
- 51 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時56分17秒
- 気を取り直して、ベッドから下りた…のはよかったんだけど、
腰の辺りからするりと、何かが落ちた。
「きゃあっ!」
…ファスナー下がってたんだった。
落ちたのはもちろんスカート…
慌てて上げたけど、彼女はニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「ふーん、やっぱ梨華ちゃんってピンクってカンジだよねぇ」
やっぱ、見られちゃってたよぉ。
今日はオキニのピンクのだったからまだよかったけど…いや、よくない!!
っていうか、『梨華ちゃん』って呼ばれたよね?
私、この人と全然しゃべったことないのに…
「あ、さっきね、圭ちゃんに名前教えてもらったの。
よっすぃーと同じクラスの石川梨華ちゃんでしょ?」
私がスカートのファスナーをしめながら軽く頷くと、彼女は手を出した。
「アタシは2年C組の後藤真希。よろしくね、梨華ちゃん」
「は、はい。よろしく」
後藤さんの手が握手を求めてることに気付いて、
私も手を出すとギュッと握られた。
「あはっ、手もオンナノコってかんじでカワイイねー」
- 52 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時57分07秒
- 私は返事に困ったので何も言えなかった。
とにかく早く教室戻ろう。
あ、その前に、ブラのホックも留めないと。
シャツの背中に手を入れたが、なかなかうまくいかない。
「何してるの?」
「え?ブラのホック…」
「んー、手伝おうか?」
後藤さんの手が私のシャツの下に入ってきた。
「!!大丈夫!自分でできるから!」
と言ったのに、あっという間に、簡単にホックをはめてくれた。
「はい、OK」
「…ありがとう…」
「あ、起きたー?どう、体は?」
保田先生が来てくれた。またまた助かった気分。
「はい、だいぶ楽になりました」
「無理するんだったら、帰った方がいいからね」
「あー、アタシにはいつも学校来いって言ってるくせにー」
後藤さんが口を尖らせて、保田先生を睨む。
「あったりまえでしょーが!アンタとこの子を一緒にしないっ!」
保田先生が後藤さんの頭を小突いた。
「いったいなー」
- 53 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時57分53秒
- 1限の終わりを示すチャイムが鳴り響いた。
「あ、休み時間だぁ。遊んでこよっと!じゃ、梨華ちゃん、またね〜」
なんていうか不思議な人…
走って保健室を出ていく後藤さんの背中を見ていた。
「ったく、あの子はホントに…」
保田先生も困ったような声を出した。
それでいて微笑んでるんだから、本気で怒ってるワケじゃなさそう。
「失礼しまーす」
保健室のドアが開いて、柴ちゃんが入ってきた。
「梨華ちゃん、大丈夫?」
「ごめんね、心配かけて。もう大丈夫だから」
「よかった〜ホントびっくりしたよ」
柴ちゃんの姿を見たらやっと安心できた。
だって吉澤さんにしても後藤さんにしてもコワイんだもん。
話したの今日が初めてだったし。
「保田先生、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。
「はいはい。またいつでもいらっしゃいよ」
やっぱり保田先生も笑顔がコワイ…なんか吸い込まれそう。
「は、はい、失礼します」
- 54 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時58分34秒
- 「でもさー、さっき梨華ちゃんがうらやましかった」
教室へ向かう途中、柴ちゃんがつぶやいた。
「えっ?なんで?」
「だって、あの吉澤さんにお姫様だっこされてるんだもん」
「へっ?」
『あの吉澤さん』ってどういうこと?
「すごくキレイでかっこいいじゃない。
2人がいなくなってから、かなりみんなザワついてたもん」
「そ、そうなの?」
吉澤さんって人気あるんだ。
確かに顔キレイだよね…背も高いし、運動もできるみたいだし。
「梨華ちゃん、全然知らなかったの?」
柴ちゃん、本当に驚いてる。
そりゃ私は噂話とかあんまり興味ないけど。
「…うん。だって、吉澤さんとか後藤さんって怖いってイメージだから、
みんなそう思ってるのかと思ってた」
「後藤さんもね、モテるよー。あそこのグループの人たちはみんなキレイだから」
「へー、そうなんだぁ」
「梨華ちゃん、そういうことに疎すぎだよ〜」
「だってー、不良グループなんじゃないの?」
「あははは、そんなんじゃないでしょー。
だってあのグループって基本的に生徒会の人たちじゃない」
- 55 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時59分11秒
- 柴ちゃんの話しからすると、吉澤さんがよく一緒にいる人たちは、
主に生徒会をやってる人たちで、お昼も生徒会室で食べてるみたい。
後藤さんは生徒会ではないけれど、1年のときから吉澤さんと仲が良くて、
一緒に生徒会室でお昼を食べるのが習慣になって、人懐っこい性格のためか
先輩たちにもかわいがられてるし、後輩たちにも慕われてるらしい。
「ふーん、柴ちゃん、詳しいねぇ」
「何言ってんの!梨華ちゃんは知らな過ぎだよ。あんな有名な人たちなのに」
柴ちゃんにあきれられてしまった。
別にいいもん、私とは世界が違う人たちだし。
「それにしても、吉澤さんいいよねー」
柴ちゃんがうっとりと夢見る乙女の表情で言った。
「…あのー、大谷先輩は?」
「うーん、いいんだけど、やっぱり今は吉澤さんがイチバンかな」
またはじまったよ…
私と柴ちゃんは1年のときから同じクラスで、ずっと仲良しなんだけど、
この柴ちゃんの心変わりの早さだけはどうも理解できない。
1年のときだけでも、5人以上は好きになってるし…
- 56 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月19日(日)23時59分43秒
- でも、確かに吉澤さん、カッコよかったかも。
抱きとめてくれて、お姫様抱っこしてくれて、薬を飲ませてくれて、
ブレザーを脱がしてくれて…
あ、どうしよう?私、ヘンな勘違いしちゃったんだった。
でも、ブラのホック外すのとかって、普通、確認してからするよね?
すごくすばやくて、そのまま服を脱がされそうな勢いだったんだもん…
それに、別に処女だっていいじゃない!まだ高校2年生なんだから!
いくらカッコよくても、あんなイジワルなこと言うし、
あんな冷ややかな目で見る人なんて、やっぱりキライ!
吉澤さんに対して怒りが込み上げてきたら、教室のドアの前に到着してしまった。
私は柴ちゃんに続いて教室に入った。
- 57 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月20日(月)00時00分18秒
- 「あー、梨華ちゃーん」
…なんで、後藤さん?
廊下側の真中あたりの席に後藤さんがいて、手を振っている。
あ、そうか、その前の席は吉澤さんの席だ。
吉澤さんはチラッとこっちを見ただけで、すぐに目をそらしてしまった。
あー、やっぱ、吉澤さん、コワイよぉ…
でもやっぱり御礼はいわないとね。
私は、意を決して吉澤さんに近づいた。
「梨華ちゃん、もう大丈夫なのー?」
後藤さんのだらけた声に私は笑顔で頷いた。
「吉澤さん、あの、さっきはいろいろとありがとう」
「いーえ、どういたしまして」
吉澤さんは、私を一瞥しただけで、下を向いたままだった。
なんなのよ〜人が御礼言ってるのにその態度は!
- 58 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月20日(月)00時01分50秒
- 「あはっ、そうだ。梨華ちゃん、メアド教えて〜」
後藤さんのノンキな声に私の怒りはかき消された。
「あ、うん、いいよ」
携帯の自分のデータの画面を見せたら、
後藤さんは自分の携帯にすばやく登録していった。
「やった〜!梨華ちゃんのアドレス、ゲットだぁ!」
ニコニコと吉澤さんに携帯の画面を見せている。
吉澤さんは『だから何?』と言わんばかりに、一瞬後藤さんをにらんだ。
後藤さんが、ササササッと指を動かすと、私の携帯が震えた。
「ソレ、あたしの電話番号とメアド。またメールするねー」
「…うん。ありがと」
チャイムが鳴ったので、私は後ろの方の自分の席に戻った。
後藤さんはマイペースっぽいけど、イヤな人ではないかな。
実はすごくいい人なのかも。
キレイなのに、子供みたいなカワイさもあるし。
うん、モテるのもよくわかる気がした。
- 59 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月20日(月)00時03分16秒
- それにひきかえ、吉澤さんのあの態度!!
ホント、私のこと、完全にバカにしてるってカンジ。
そりゃ、生徒会をやるような人から見たら、私なんかすごく愚かに見えるだろうけど、
成績だっていい方だし、テニス部だって次期部長なんだからね!
ちょっと人気あるからって、いい気になっちゃってさ。
あーあ、これから、あの人と関わらないようにしよっと。
さっき御礼言ったし、今回のことはこれで終了。
もう、あの人のこと考えるのも辞めておこうっと。
「…しかわ?石川!」
「は、はいっ!」
「次のページ読んで」
あっ、どうしよ。全然授業聞いてなかったよ…
「…あの、えっと…」
「63ページ。ちゃんと聞いておけよ」
「…すみません…」
吉澤さんがこっちを見てニヤッと笑った。
あー、ムカつくぅ!
あなたのこと考えてたから、授業聞けてなかったんじゃない!
- 60 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月20日(月)00時03分47秒
- それからというもの、後藤さんはうちのクラスに来る度に私に声をかけていくようになった。
何か面白いことがあったりすると、メールも送ってくれたし。
そうそう、本人から言われたんで『ごっちん』って呼ぶようにもなったし。
いつも私が柴ちゃんといるから、柴ちゃんまでごっちんと仲良くなれた。
そんなときでも吉澤さんは相変らず、チラッと冷ややかに見るだけだった。
あー、ホント感じ悪いったらありゃしない!
- 61 名前:ラッキー 投稿日:2003年01月20日(月)00時09分26秒
- 遅くなりましたが、梨華ちゃんとまりっぺの誕生日またぎで更新です(笑)
とりあえずは、ヨシザワさんのことがキライなイシカワさんです…
>トロイさん
ありがとうございます。
引き続き応援して下さい(笑)
>オガマーさん
ありがとうございます。
ポジもかわいがってください(笑)
>ラブ梨〜さん
どうもです!
石川さんの視点見るとで、実はこんな設定だったのです(笑)
- 62 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月20日(月)01時04分21秒
- 石川さん編、お待ちしておりました!
石川さんサイドではこんな事情だったんですね・・
それにしても、いきなり(^〜^0)「処女?」
ってオイオイw
キライがスキになる過程、期待してま〜す!
- 63 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月20日(月)03時38分47秒
- いいっすねー!ポジとネガから見てました。
続編を待ち望んでいたのでとても嬉しいです。
いしよし最高です。頑張って下さい!
- 64 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時21分25秒
- そんなある日のお昼休み。
私たちはだいたい教室でクラスメート8人くらいでお弁当を食べてるんだけど、
その日も食べ終わったあと、いつものようにみんなでおしゃべりをしていた。
ふと肩を叩かれたので、振り返った。
ひえっ!?よ、吉澤さん!?
「あ、あのさー、ちょっと一緒に来てほしいんだけどー、いい?」
「えっ?う、うん」
私が一緒にいた子たちはもちろん、教室全体が一瞬静まりかえった。
ドアを閉めると外に出ると、教室が一気に賑やかになる。
聞こえてきたのは、『なんでなんで?』『告白?』『吉澤さんが石川さん?』みたいなものだった。
こっちが、なんでって聞きたい。
いつも私のことバカにしたように見てる人が告白なんてありえないでしょうが。
あーあ、あんなに関わらないって決めたのに…
でも断ったら、何されるかわかんないし、コワイ…
- 65 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時21分56秒
- 吉澤さんは何も言わずにスタスタ歩いていく。
「あ、あのっ!」
「ん?」
吉澤さんはチラッとだけ振り返っただけで、歩くスピードは変わらない。
「どこに行くの?」
「生徒会室。みんながいるから」
「へっ!?」
みんなって、あのグループの人たちだよね?
…どうしよう、私、生意気だとかいって、リンチとかされちゃうのかな…
な、何かされたら、せ、先生に言いつけてやるんだからっ!
- 66 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時22分28秒
- すぐに生徒会室に着き、吉澤さんがドアを開けて、私に先に入るようにうながした。
中にいた人の視線が一斉にこっちを向いた。
「梨華ちゃ〜ん!よっすぃーにヘンなことされなかったぁ?」
…ヘンなことって何?
ごっちんもいたけど、なんか安心はできなかった。
「バーカ。何言ってんだよ」
吉澤さんは、ドアの前に立ち尽くしてる私の横をすり抜けて、近くのイスに座った。
「あなたが石川梨華ちゃん?」
突然言われたので驚いて何度も頷いた。
この人は矢口先輩だっけ?
優しそうだけど、金髪ってどうなの?
「ふーん、カワイイねえ、スタイルもいいし」
その隣りで、必要以上にじっと見てるこのモデルさんみたいな人は飯田先輩だったはず。
「ホントかわいいですねー」
手前の席で、品定めをするように見てるこの子は1年生っぽいな。
でも、この『私がイチバン』みたいな雰囲気がなんだかコワイ。
あっ、入学式で新入生代表をやってた子、松浦さんだ!
- 67 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時22分58秒
- 「でっしょー?梨華ちゃんの『はじめて』は後藤が狙ってるからねー」
ごっちんが隣りにやってきたと思ったら、ギュッと抱きしめられた。
思わず身を硬くしてしまった。
「あははは!」
矢口先輩の甲高い笑い声がした。
飯田先輩も松浦さんもその隣りにいる子も笑っている。
そういえば、ごっちん、『はじめて』って言ったよね?
みんなも笑ってるってことは…
ちょ、ちょっと待って!!
私、ココでレイプとかされちゃうの!?
しかも、こんなにたくさんの人に!?いくら女の人っていっても…
早く、早く逃げないと!
でも体は震えるだけで、足も全然動かない…
- 68 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時23分28秒
- 「ん?梨華ちゃん、どした?」
ごっちんが、私の顔を覗き込みながら体を離した。
あ、もうダメ…
私は腰がぬけたようでヘナヘナと座り込んだ。
「ごっちん、何してんだよ!こわがってるじゃん!」
吉澤さんが、私の側にしゃがみこんだのはわかったけど、
またどうせ私のことバカにしたように見てるんでしょ!
今日は、負けないんだから!
私は上目遣いで吉澤さんをにらんだ。
…あ、れ?…
…すっごく優しい目…
本当に心配そうに私のことを見てる…
- 69 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時24分05秒
- 「あー!よっすぃーが梨華ちゃんのこと泣かしたぁ!」
何か、吉澤さんの優しい目を見て安心したせいか、
涙が溢れてきて止まらなくなってしまった。
「な、何言ってんだよ!どう考えてもごっちんじゃんか!」
吉澤さんがポケットからハンカチを出して、私の涙をぬぐってくれた。
「…大丈夫?」
何か言おうを思ったけど、ヒックヒックしてしまうだけで、言葉にならなかった。
吉澤さんは、いつものイジワルな笑い方じゃなくて、
優しく小さく微笑んで、子供をなだめるように私の背中を撫でた。
…なんで、なんで、今日に限ってこんなに優しいの?
無意識に、おでこを吉澤さんの肩につけていた。
- 70 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時24分36秒
- 「ごめん、ごめん、『すごくかわいい』って聞いたから、
ウチらが見たいって言って連れてきてもらったんだよ」
「別に、なんかしようってわけじゃないから安心して」
矢口先輩と飯田先輩が申し訳なさそうに言った。
「梨華ちゃん、ごめんね〜アタシ、そんなにコワイ?」
ごっちんが、私の顔を覗き込んできた。
この人のこのフニャっとした笑顔にはなんだか癒される。
全然コワイことなんてないのに。
「ご、ごめんなさい…私の方こそ、泣き出したり、して…」
自分の勘違いがみんなに対して失礼だったし、
顔を上げてみんなの顔を見渡して、素直に謝った。
「ウチらってそんなコワイかなあ?」
飯田先輩が、さみしそうにつぶやいた。
- 71 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時25分06秒
- 「コワイっていうか、迫力っていうか、なんかオーラがあるんで、
確かに最初は近寄り難かったっすけどね。ホントは全然そんなことないんっすけど」
松浦さんの隣りにいた子、後で自己紹介してくれたんだけど、
高橋さんっていう1年生が言った。
「つーことで、ウチら、コワイ人じゃないからね、そこんとこヨロシク!」
矢口先輩がおちゃらけたように言った。
「しっかし、よっすぃーがコワイよ。梨華ちゃんのこと見すぎ」
飯田先輩が笑いながら言った。
「えっ!?そ、そんなことないです!」
吉澤さんが慌てて立ちあがった。
「あ、私もソレ気になってましたあ。
すごーくジーッと見てて、しかも顔真っー赤にしてるしー」
松浦さんもケラケラと笑った。
「!!真っ赤になんかなってないよ!」
でもこのときの吉澤さんの顔は、私が見てもわかるほど真っ赤っ赤だった。
- 72 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時25分47秒
- 「ウ、ウチ、教室戻ります!」
「じゃ、愛しい梨華ちゃんと一緒に帰ったら?」
矢口先輩までからかった。
「な、何言ってるんすか!!1人で帰りますんで!」
吉澤さんは飛び出していってしまった。
みんながお腹を抱えて笑ってる。
「吉澤先輩が、あんなに慌てるのはじめて見ました」
高橋さんは感心している。
「あはははー、なるほどねー、よっすぃーがねえ…」
ごっちんもニヤニヤしていた。
…えっと、つまり、吉澤さんが私のこと…スキってこと!?
そんなの絶対ありえない!
いっつも私のことバカにした目で見てるし、
だいたい私と全然話そうとしないじゃない!
今日はたまたま優しかったけど、いや、あの倒れた日も最初だけは優しかったけど。
- 73 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時28分05秒
- 午後の授業がはじまるチャイムが鳴ったので、教室に戻ったら、
クラスの子たちは、みんな驚いた顔をしていた。
あとで、柴ちゃんに聞いたんだけど、
吉澤さんが1人で慌てて帰ってきて、何か落ち着きないから、
吉澤さんと私の間に何かあったに違いない、
石川さんが吉澤さんをふったんじゃないかとか、
クラスのみんなはコソコソ話してたらしい。
でも教室に戻った私の顔が泣いたあとの顔だったので、
もしかしたら、吉澤さんが石川さんに襲いかかったのか?
私も吉澤さんなら襲われたーい、ってみんな言ってたらしい。
全く、本当に襲われるかもって思った私の気持ちも知らないで。
- 74 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時29分30秒
- 次の休み時間にごっちんが心配して来てくれて、
柴ちゃんにお昼休みのできごとを話してくれたので、誤解は解けたみたい。
ごっちんは、吉澤さんのことをこっちに来るように、
ニヤニヤしながらしきりに誘ってたけど、
吉澤さんはごっちんのことを軽くにらんだだけで、無視していた。
「あららら、照れちゃって、よしこ、カワイイ」
ごっちんが吉澤さんの席の方に行くと、からかうように絡んでいた。
吉澤さんは本気で怒ってる、イヤがってるようで、顔を真っ赤にさせながら、
『今度そんなこと言ったらただじゃおかない』みたいなことを言ってた。
いつもクールな吉澤さんなのに、何か変なの…
- 75 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時30分43秒
- 次の日。
体育でバレーボールがあった。
吉澤さんがコートに入ると、キャーキャーこそはないけど、
「よっすぃー、がんばって〜」とか、
得点決めたときなんかは拍手が沸き起こってて、
みんなが吉澤さんのことを見てるのがわかる。
柴ちゃんなんか「かっこい〜」ってつぶやいてて、
目がハートになってるよ、確実に。
こーんなかっこいい、モテモテの人が、私のこと好きなんてありえない。
吉澤さんのことを見つめてる女の子たちだって、
私よりカワイイ人なんていっぱいいるし。
それにしても、なんで、こんなに吉澤さんのこと気になっちゃうんだろ…
ごっちんたちが変なこと言うからだよ、もう!
- 76 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時31分16秒
- コートの中を移動している吉澤さんのことを見てたら、目が合ってしまった。
吉澤さんの方から目をそらされちゃったけど、
何か顔赤くなってるような…ううん、勘違いだよね。
ホント、私って自意識過剰だな…
次に吉澤さんがサーブを打つところだったらしく、
ボールを受け取ると、チラリと私の方を見た。
いや、違う違う、きっと、私の近くにいる人のことでも見たんだ。
すると、吉澤さんはサービスエースを決めた。
みんな大喜び。
うーん、吉澤さんのいるチームと戦いたくないな、誰も応援してくれなさそう。
ん?またこっち見たでしょ?
もう、誰のこと見てるんだろ?
自分の周りを見たけど、この付近で一番カワイイのは柴ちゃんだなあ。
それにしても、吉澤さんは大活躍だった。
今日はとくに絶好調だったらしく、先生まで誉めてたくらい。
- 77 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時31分54秒
- 「あー、梨華ちゃんのブラかわい〜」
授業が終わって更衣室で着替えてるとき、柴ちゃんが言ってきた。
「ホント?この前買ったばっかりなんだ」
「うん、かわいいよ」
ふと、視線を感じたので、そっちを見ると吉澤さんだった!
あ、ブラ見られちゃった…恥ずかしい…
私は慌てて背中を向けてブラウスのボタンをはめた。
「どうしたの?よっすぃー?大丈夫?」
誰かの声がしたので、振り返ると吉澤さんがしゃがみこんでいた。
「あ、あは、何でもない…」
「保健室行く?」
「…いや、大丈夫…ちょっと貧血っぽくなっただけ…すぐ直るよ…」
「バレーがんばってたもんね。ベンチに座ったら?」
「…ううん、大丈夫」
吉澤さん、顔が真っ赤になってて苦しそうなんだけど…
「吉澤さん、大丈夫?」
側に寄って声をかけた。
「ひゃあっ!だ、大丈夫、大丈夫、大丈夫だから!」
そんな驚かなくてもいいのに。大丈夫ならいいんだけど。
- 78 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時32分28秒
- その日の休み時間は、吉澤さんはやたらと柴ちゃんに話しかけていた。
しかも、すごく楽しそうで、私が会話に入る余裕もないくらい。
っていうか一緒にいるのに、私のことはチラチラとしか見てくれない。
やっぱりね。そうだよね。
私のことなんて興味あるはずないよね。
体育のときも見てたのやっぱり柴ちゃんだったんだ。
柴ちゃん、カワイイし、面白いし、いい子だもん。
しかも吉澤さんのこと好きなんだもんね。
よかったね、両想いだよ。
親友として2人の仲を応援してあげないとね。
その日以来、ホント吉澤さんは柴ちゃんとすっかり仲良くなって。
たまにごっちんも加わるから、私も何だか仲良くなってて、
『よっすぃー』って呼ぶようになったし、
よっすぃーは今まで私のことを呼んでくれたことすらなかったけど、
『梨華ちゃん』って言ってくれるようになった。
- 79 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月23日(木)10時33分02秒
- しかも、今週末にやるごっちんの家のパーティーに誘われた。
よくやってるらしいんだけど、生徒会の人とか10人くらい集まって、
オールでどんちゃん騒ぎするらしい。
よっすぃーはもちろん、柴ちゃんも行く。
「どうしよー?よっすぃーにちゃんとコクってみようかな?」
柴ちゃんはパーティーの時に気持ちを伝えるつもりみたい。
「うん。絶対大丈夫だよ。がんばって!」
「よーし、がんばろっと」
うん、どう見てもよっすぃーは柴ちゃんに気があるよ。
私と2人でいるときは、あんまりしゃべってくれないくせに、
柴ちゃんといると本当に楽しそうなんだもん。
私もいい人いないかな…
ふと周りを見渡すと、席に座ってたよっすぃーと目が合った。
私がニコッと微笑むと、よっすぃーは何だか照れたように微笑み返してくれた。
いいな、柴ちゃん。
あんなかっこいい人と相思相愛なんて。
- 80 名前:ラッキー 投稿日:2003年01月23日(木)10時44分19秒
- 更新しますた。イシカーさん、勘違いの巻です(笑)
>62さん
キライキライもスキのうちですねえ(笑)
でも自分のホントの気持ちには気づいてない梨華ちゃんです
>63さん
どうもありがとうございます。
がんばりますので、これからもよろしくお願いしますです
- 81 名前:62 投稿日:2003年01月23日(木)12時16分41秒
- 大量更新、お疲れ様でした。
オールスターキャスト登場にビックリ!何て豪華な生徒会なんだろw
もぉ石川さん、天然鈍感過ぎです・・吉澤さんはヘタレだしw
自分の気持ちってなかなか気づかないものなんですね・・
ラッキーさんの描くいしよしは最高ですね!ブラボー!!
- 82 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時10分38秒
- そして、その週末。
ごっちんの家には、飯田先輩、矢口先輩、よっすぃー、松浦さん、高橋さんの
いつものメンバー、そして柴ちゃん、私以外にも、
1年生の加護さん、辻さんという子が来ていた。
高橋さんと同じクラスでごっちんとよっすぃーのファンらしく、
前にもこのパーティーには参加したことがあるみたい。
お庭で昼間から夕方までバーベキュー。
いつも来てるからなのかよっすぃーもホスト役って感じで、
柴ちゃんだけじゃなく私にも気を遣って、肉やら野菜やらを取りわけてくれた。
飲み物もなくなってないかちょこちょこ気にかけてくれてたし。
加護さん、辻さんは、見た目もだけど中身も子供みたいで、
よっすぃーにべったりとして甘えっぱなし。
でもイヤな顔なんかしないで、ニコニコとして相手してあげてる。
よっすぃーって本当に優しいんだ。
みんなを楽しませようと面白いこと言ったりして、サービス精神も旺盛だし。
なんで私、冷たい人なんて思ってたんだろう?
むしろ、こんなに優しい人ってあんまりいないかも。
- 83 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時11分10秒
- 何か無意識によっすぃーのこと目で追っちゃってた。
よく目が合うんだけど、その度にニコッってしてくれて。
それにしても、今日は柴ちゃん、がんばってる。
常によっすぃーの隣りをキープしてるもん。
「りっかちゃーん!飲んでるう?」
チューハイの缶を2つ持ってごっちんが近づいてきた。
そして缶の1つを私に渡した。
「ありがと。お肉もおいしいよ」
「よかった〜よーし、じゃんじゃん飲んでじゃんじゃん食べよう」
ごっちんにがっしりと肩を組まれて、庭に置いてあるイスに腰を下ろした。
何となくよっすぃーの方を見たら、ちょうど柴ちゃんがビールを渡しているところだった。
でも、私とごっちんに気付くと、何だかこっちばっかり見てて。
「よっすぃー、聞いてる?」
なんて柴ちゃんに突っ込まれてるのまで、聞こえてきた。
いいな、柴ちゃん、よっすぃーと仲良くできて…
- 84 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時11分35秒
- 夜はリビングにある通信カラオケでカラオケ大会。
しかし、ごっちんの家ってスゴイな…
みんなお酒もかなり飲んでて、よっすぃーも部屋の端っこの方で、
完全に横になって寝ちゃってる。
よっすぃーって、どうやらお酒弱いらしい。
あんまり飲んでないみたいなのに。
柴ちゃんは不満そうにしながらも、やっぱりよっすぃーのすぐ側にいた。
「おりゃあ、よっすぃー襲ってまえ〜!」
「おう!!」
加護・辻コンビが仰向けになってるよっすぃーの上に乗り、唇を奪った!
ズルイ…ってそういうことじゃあなくて!
- 85 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時12分10秒
- 柴ちゃんは驚いてたけど、お酒が入ってるせいか
「私も〜」
とか言ってキスしちゃってる。
よっすぃーは、全然ビクともしてないんだけど。
「あー、オイラもよっすぃーとチューしたい!」
矢口先輩までキス。
「松浦、行きまーす!」
何で、そんなノリノリなの?
「では、ワタクシも失礼して」
高橋さんってそういうキャラだったの?
「じゃあ、カオリも」
うわあ、飯田先輩のキスって色っぽい。
「アタシもしちゃおうっかなー」
ごっちんまで…
あ、あれ?
キスしてないの私だけ?
みーんなの視線が私に向いている。
…やっぱり、私もするべきなの?
でも柴ちゃんの手前できるわけないでしょ!
私はみんなの視線に気付かないフリをしてトイレに向かった。
- 86 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時12分40秒
- よっすぃーってホントもてるんだな。
柴ちゃん、大丈夫かな。ライバルたくさんだね。
あーあ、私にもよっすぃーみたいな王子様が現れないかなあ…
……………
あっ、トイレでついウトウトしちゃってた。
はやくあっちに戻らないと!
リビングでは、よっすぃーの隣りに加護ちゃん、その隣りに辻ちゃん、
そしてよっすぃーの逆隣りには柴ちゃんがぐっすり眠っていた。
ごっちんは自分の部屋に行って寝ちゃったみたい。
ソファでは高橋さんと松浦さんがお互い寄りそって寝てる。
起きている矢口先輩と飯田先輩は何やら真剣に話し込んでいる。
今後の生徒会をどうするみたいなことを、2人して熱く語っていた。
- 87 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時13分11秒
- じゃ、私もどっかで寝ようかなあ。
一応、ごっちんが自分の部屋に布団いくつか敷いてあるから、
寝るときはそっちに来てとか言ってたから、ごっちんの部屋に行こうかな。
「あ、梨華ちゃん、うちら、コンビニにアイス買いに行くんだけど、一緒に行く?」
矢口先輩が声をかけてくれた。
「あ、いいです。私ももう寝ますんで」
「そっか、んじゃ、行って来るね」
矢口先輩と飯田先輩は出ていってしまった。
んー、さっきトイレで居眠りしてせいか、実はあんまり眠くない。
そういえば、柴ちゃんは、よっすぃーに告白できたのかな。
よっすぃー、あんなに早く寝ちゃってたし、たぶんできてないんだろうな。
なんとなくよっすぃーの側までいって近くで顔を見てみた。
- 88 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時13分42秒
- ホント、色白くてキレイだなあ、うらやましい。
…うふふ、みんなにキスされちゃったのわかってないんだろうな。
…………
やっぱ、私もやっぱりしちゃおうかな…
誰も見てないよね。うん、大丈夫。
せっかくだからファーストキスは素敵な人としたいもん。
私はよっすぃーの足をまたいで、膝のあたりで立て膝をして、
そっとよっすぃーの上に体を重ねた。
あったかーい。
いいな、柴ちゃん、このぬくもりを独り占めできるんだよね。
「…ん」
ああっ!まずい!よっすぃーが起きた!?
まだキスしてないのに!
体を離そうと思ったのに、逆にギュッと抱きしめられてしまった。
え?え?どうしたらいいの?
- 89 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時14分13秒
- 「…ん、お前、太ったんじゃないの?…重くなったぞ…」
えっ?誰のこと?
私こんなことしたの初めてだし、柴ちゃんだってしてないはず。
「…あ、シャンプー変えたんだよね…うん、いいニオイだね…」
よっすぃーが、私の髪のニオイをクンクン嗅いでいる。
…よっすぃーって、やっぱり付き合ってる人いるんじゃん。
確かにはっきりいないとは聞いてなかったけど、
いないような素振りしてたのに…ひどいよ。
柴ちゃんも騙されるところだったね。
よっすぃーの手が私の背中を撫でまわした。
「…あっ…」
お尻の方まで手が伸びてきたので、つい声出しちゃった。
- 90 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時14分44秒
- 「………り、梨華ちゃん!?」
よっすぃーがやっと目覚めたようで、素っ頓狂な声を出した。
私は急いでよっすぃーから離れた。
よっすぃーも慌てて起き上がる。
「あ、いや、あの…ウチ、変なこと言った、よね?」
私はコクリと頷いた。
「ご、ごめん。間違えちゃったみたいで」
「よっすぃー、そういうことする人いるんだね」
「へっ?『そういうことする人』って?」
「抱きしめたり、シャンプーを変えたことも知ってるような仲の、私より痩せてる人!」
「ち、違うよ!そんな人いないよ!ウチのネコと間違えたの!」
- 91 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時15分17秒
- 「ネコと人間を間違えるワケないじゃない!」
「だって、ウチのネコ、梨華ちゃんに似てるんだもん!」
「何よ、ソレ。そんなウソつかなくてもいいじゃない」
「ウソじゃない!」
「ウソ!」
よっすぃーは悲しそうにしていた。
「…信じてくれないならしょうがないけど、ウソはついてないよ…
そういうことする人だっていないし…」
それだけ言って、よっすぃーはリビングを出ていってしまった。
つい、カッとなっちゃったけど、なんでよっすぃーの話しウソって決めつけちゃったんだろう。
もしかしたら、本当によっすぃーの家のネコと私が似てるのかもしれない。
確かに『太った』にしても『シャンプー変えた』にしても、
ネコに対して言ってもおかしくない言葉だったし。
どうしよう?すごく悪いことしちゃった。
とりあえず謝らないと!
- 92 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時15分47秒
- よっすぃー、どこ行ったんだろう?
トイレでもない。お風呂場でもない。庭でもない。
…あ、ごっちんの部屋!
部屋の前に行くと少しドアが開いていた。
「…もうバカだなあ、最初っから相談してくれてればいいのに」
「だってさあ…」
隙間から覗いたら、ベッドの上でよっすぃーがごっちんに抱きついてて、
ごっちんはよっすぃーの背中や頭を撫でていた。
――とても入れる雰囲気じゃない。
あんな弱々しいよっすぃー、はじめて見た。
- 93 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時16分18秒
- ごっちんと何を話してたの?
あんな風に弱いとこごっちんにだけしか見せないの?
ごっちんとはただの友達なんだよね?
柴ちゃんが好きなんでしょ?
でも本当に柴ちゃんと付き合っちゃうの?
本当に今付き合ってる人いないんだよね?
なんで私とは話しもあんまりしてくれないの?
もっとよっすぃーと仲良くなりたいのに…
リビングに戻ると、赤ワインのボトルが目に入った。
もうすごく飲みたい気分で、ラッパ飲みしてみた。
う…ん…このワイン、飲みやすくてオイシイかも。
…ヒック…あ、もう空になっちゃったよー…
あっちにあるのも開けちゃおうかな…
「…梨華ちゃん?」
遠くで矢口先輩の声がする。
「ちょ、ちょっと、さっき、このボトルほとんど残ってたよね?」
飯田先輩の声も聞こえた。
私の手に持ってるワインボトルのことかな?
うーん、もういいや、どうでも…
バタン。
「なんかやばそうじゃない?」
「とりあえず、ごっちんの部屋に寝かせよう」
ズルズルと体が引っ張られるのを感じていた。
- 94 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時16分48秒
- あー、なんかまぶしいよお。
うぅ、しかも頭ガンガンする。
なんでだろ?
あ、そういえばワインをいっぱい飲んだ気がするなあ…
目を開けると、よっすぃーがカーテンを開けたところだったらしく、窓際から私のことを見つめていた。
んー、やっぱ、キレイだな、よっすぃー。
「あ、起きた?」
「…ん、おはよ」
何となく周りを見渡したら、ここはごっちんの部屋だった。
昨日、矢口先輩と飯田先輩に運ばれたような気が…
しかも部屋には、よっすぃーと私以外誰もいない。
「みんな今、お昼ゴハン食べてるよ」
えっ?
時計を見たら1時を過ぎていた。
- 95 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時17分18秒
- 「ゴハン食べれそう?」
私は首を横に振る。胃もかなりムカムカしていた。
「あ、じゃ、コレ飲んだ方がいいよ」
よっすぃーがベッドのサイドテーブルにあった小ビンを渡してくれた。
二日酔いの薬みたい。
「じゃ、ウチはゴハン食べてくるから。まだゆっくり寝てて大丈夫だからね」
よっすぃーは、立ち上がって部屋を出ていった。
とりあえず薬を飲む。うぅ、マズイ。
んー、何か重要なことを忘れてるような気がする。
だいたい何で二日酔いになるまで飲んだんだろう?
誰かに飲まされた記憶もないし。
- 96 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時17分50秒
- そういえば、よっすぃーも起きたばっかりだったのかな?
でも、みんながゴハン食べてるって知ってたし、
服も昨日と違ったから、起きてたんだ。
サイドテーブルに空ビンを置くと、携帯が置いてあった。
あ、コレ、確かよっすぃーのだったはず。
二つ折りの外にも小さい画面がついているもので、
白と黒の子猫の写真が待ち受け画面になっていた。
2匹ともお行儀良く座ってカメラを見てる。
すっごくカワイイ。
どっちもカワイイけど、とくにこの黒い方がカワイイ。
この子たち、きっとよっすぃーの家で飼ってるんだろうな…
ん?
- 97 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時18分23秒
- 「ああっ!!!」
わ、私、よっすぃーに謝らなきゃいけないんだった!
ネコ飼ってるみたいだし、やっぱりウソなんかついてなかったんだ。
でも、よっすぃー、全然気にしてないのかな。
さっきもいつも通りどころか、いつもより優しかったし。
今リビングに行っても、みんながいるから言いづらいな。
あとでタイミングみてこっそり謝っておこう。
それにしても、何かまだ眠い…
今は食べるものも見たくないし、もう少し寝るとしますか…
結局私が起きたのはみんなが帰る少し前で、よっすぃーと2人になんてなれなかった。
よっすぃーもやっぱり全然普通だし、忘れちゃってるのかも。
- 98 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時19分04秒
- その次の日も、学校でなんかタイミングがつかめなくて、
何も言えなかった。
もういいや。
変に蒸し返して、気悪くさせちゃうのも何だし。
「週末楽しかったねえ」
昼休み、柴ちゃんがうっとりとしたように言った。
「梨華ちゃーん、柴ちゃ−ん」
「あ、ごっちーん」
昼休みも終わり近いので、よっすぃー、生徒会室から戻ってきたみたい。
なぜかごっちんもうちのクラスに立ち寄り。
「ごっちん、昨日は本当にありがとうね」
「ありがとう、楽しかったよー」
「いえいえどういたしまして。また誘うから絶対来てね」
「「うん」」
ごっちんは、そのまま自分の教室に戻っていった。
- 99 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年01月27日(月)10時19分49秒
- 「ねー、ごっちんっていいと思わない?」
「はあ!?」
「あんなキレイであんなお金持ちなのに、全然気取ったとこなくてさあ。
みーんなに対して常に同じ態度でいるってすごいと思わない?」
「い、い、いや、それはよくわかるんだけど、よっすぃーは?」
「よっすぃーもいいんだけどねー、お酒強い人の方がいいかなーなんて」
はあ…やっぱりね。
薄々感じてはいたけど、柴ちゃんって片思いしてるのを楽しむ人なんだ。
今までも絶対うまくいく!って人に結局コクらないで、
別の人に心変わりしちゃうってことも何回かあった。
よっすぃー、フラれちゃうんだ…かわいそう…
- 100 名前:ラッキー 投稿日:2003年01月27日(月)10時22分47秒
- 更新です。
>62さん
ありがとうございます。
「最高」なんて最高の誉め言葉でホントうれしいです!
- 101 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月28日(火)01時26分03秒
- 初レスです。
初期の作品から読ませて頂いてます。
また作者さんの甘いいしよしが読めるのが、とても嬉しいです。
続き期待してます。がんがってください。
- 102 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時02分37秒
- 次の日。
1限と2限の間の休み時間に、柴ちゃんがよっすぃーを誘って2人で教室を出ていった。
なんだろう?告白じゃないし。
結局、2人が戻ってきたのは2限のチャイムが鳴ってからだったから、
話しは聞けなかった。
でも、何か2人ともすごくうれしそうな表情をしていた。
なに?何があったの?
その次の休み時間、柴ちゃんがニコニコしながら寄ってきた。
「ね、ね、今度の土曜日、部活ないよね?」
「うん、ないよ」
「じゃあさ、学校帰りに買い物行こうよ」
「うん、いいよ」
「よっすぃーとごっちんと4人でね」
「へっ!?」
- 103 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時03分32秒
- 「さっきね、よっすぃーに相談したの、ごっちんのこと」
「ええっ!?」
柴ちゃん、ザンコクだよお。
よっすぃーは柴ちゃんのことが好きなはずなのに。
「そしたらね、とりあえず梨華ちゃんも入れて4人ででかけようって」
そりゃ、いきなり2人にさせるのも、よっすぃー的にも複雑だろうしね。
「だから、土曜日。よろしくね」
「…うん」
よっすぃー、落ち込んでないかな。
今は席で周りの子たちと楽しそうに話してる。
カラ元気なのかな?
土曜日、私がなぐさめてあげよう。
- 104 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時04分15秒
- そして土曜日。
渋谷に出て、マックでお昼を済ませて、マルキューに向かう。
よっすぃーと柴ちゃんで作戦を立てていたせいなのか、
基本的に、ごっちん&柴ちゃん、よっすぃー&私っていう組み合わせで歩いていた。
ごっちんが柴ちゃんに「コレいいんじゃない?」なんて、
服を合わせてあげたりしている。
うん、なんかいいカンジだね。
よっすぃーは今日は何だかボーッとしちゃってる。
やっぱり、落ち込んでるんだろうな…
ココは私ががんばらないとね!
- 105 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時04分53秒
- 「よっすぃー、コレ似合いそう!」
私はよっすぃーに茶色いニットのキャスケットをかぶせてみた。
「へっ、そ、そう?似合う?」
よっすぃーは顎に人差し指と親指をあててポーズをつくった。
「かっこい〜」
本当にかっこいい。ちょっと見とれちゃった。
よっすぃーは照れたように微笑んだ。
よかった。笑ってくれて。
「でも、梨華ちゃんも似合いそうだよ」
今度は私にかぶせてくれた。
私もよっすぃーと同じポーズをとる。
「どう?似合う?」
よっすぃーはぼんやりとしたカンジで私を見てた。
「…うん…かわいい…」
よっすぃーはつぶやくように言った。
よっすぃーに『かわいい』とか言われるとなんか恥ずかしいな…
- 106 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時05分53秒
- そのあとは、よっすぃーも私も大ハシャギして楽しんでいた。
やっぱりカラ元気かもしれないけど、ごめん、実はちょっとうれしい。
だって、こうやってよっすぃーと一緒に笑っていられるんだもん。
よっすぃーの携帯が鳴った。
「あ、ちょっとゴメンね」
「…うん、うん、わかった…あ、変わってー…
ポジ?…よーし、ちょっと高いの買ってってやる。ネガは?…
うんうん。ゴハンまでには帰るから待ってろよー…」
よっすぃーは楽しそうに電話を切った。
「お母さんとウチのネコたち。エサ切らしちゃったから、買ってこいって。
ウチのお母さん、動物嫌いだったくせにさー、今じゃすごいかわいがってんの。
きっと、私より、ポジとネガの方がカワイイと思ってるよ」
「あ…ネコ飼ってるんだよね?」
「うん。あ、話ししたよね…」
…やっぱり覚えてたよね…ちゃんと謝らないと。
「この前はごめんね…よっすぃーがウソついてるなんて思って」
「いやー、あんときは、ウチが間違えたのが悪いよ。ゴメン」
「なに言ってんの!私の方が悪いよ!」
「でも、無理矢理抱きしめちゃったりしたしさ」
- 107 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時06分57秒
- …よっすぃー、勘違いしてる。
私の方から抱きついてたなんて思ってないんだ。
…えへへへ、ちょっといじめちゃおうかなあ。
「そうだねー、また襲われるかと思ったもん」
「そんなことしないよっ!!だいたい『また』って何さ」
「誰もいない保健室で、人のブラのホック外して、
スカートのファスナー勝手に下ろしたじゃない」
よっすぃーが、みるみるうちに真っ赤になる。
「あ、あれは、梨華ちゃんが苦しそうだったから、しただけだよ!
あのときはやましい気持ちなんかなかったもん」
「あ、今『あのとき』って言った?
じゃ、やっぱ、この前はやましい気持ちがあったんだ?」
「ち、違うよ!絶対、そんなつもりなかったからね!」
「ホント?」
「あったり前じゃん!」
よっすぃーが真っ赤になりながらも、怒ったように私のことを睨んでる。
「なーんだ。私はちょっと、そんな気になってたのに…」
私は、そのまま、よっすぃーの前を歩いていった。
- 108 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時07分32秒
- 「……へっ?い、今なんて言ったの?」
「何でもない」
「今、言ったじゃん?あの、そんな気になってたとか…」
「えー、何にも言ってないよー」
「・・・」
…あれ?
よっすぃー何も言い返してこないの?
振り向くと、よっすぃーが口を尖らせながら、ガックリしてうつむいていた。
「空耳だったのかな」とかブツブツ言ってる。
カワイイなあ、よっすぃー。
いつもはかっこよくて頼り甲斐がある人なのに、
たまにこういう子供みたいなとこもあるんだよね。
私はよっすぃーの目の前に行って、顔を覗き込んだ。
「ごめんね。やっぱり私が悪かった」
「…そんなことないよ」
- 109 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時08分04秒
- 何かイヤなムードになっちゃったかも。
どうしよ…調子に乗り過ぎた私が完全に悪いんだけど。
ふと、よっすぃーの手にある携帯が目についた。
「このネコちゃんたち、よっすぃーんちで飼ってる子たち?」
「…うん、そう。白いのがポジ、黒いのがネガ」
よっすぃーは笑顔で、携帯の画面を見せてくれた。
よかった、機嫌も直ったみたい。
「ね、どっちが、私に似てるの?」
「ネガ。何か女の子っぽいところが似てるのかも」
「じゃ、今度会いに行ってもいい?」
「もちろん!!」
よっすぃーはさっきのすねた顔がウソのように、うれしそうな顔になっていた。
ホント、柴ちゃんは罪な女だよ。
こんなにこんなに魅力的な人をふっちゃうなんて。
- 110 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時08分37秒
- それから、よっすぃーとよくメールも電話もするようになった。
よっすぃーのメールには、あのネコちゃんたちがよく写真で登場する。
『ポジが悪さをしたので叱りました。只今反省中』
ポジがおサルさんみたいに反省ポーズしてる写真。
『ネガをかわいがってあげたら、喜んで笑ってます』
ネガが目を細めて、口の両端を上げてるようにしてると、
ホント笑ってるように見えて、かわいかった。
私は動物も飼ってないから、
代わりに部屋に置いてあるぬいぐるみだとか、
私の変顔の写真を送ったりすることくらいしかできないんだけど。
- 111 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時09分10秒
- その数日後、英語で結構大量な宿題が出た。
しかも、次の授業までって、明日じゃない!
実は私は英語があんまり得意じゃない。
図書室にでも寄ってやっていこうかな。
わかんなかったら、職員室行って聞けばいいし。
「柴ちゃーん、宿題どうするの?」
「えへへー、今日はごっちんと遊びにいくんで、放置!」
「いーなー、デートかあ」
「つーことで、明日の朝、見せてね」
「ええー!?」
「じゃねー」
柴ちゃんは颯爽と走って教室を出ていった。
「梨華ちゃーん、一緒に帰ろう」
あ、よっすぃーだあ。
「うん」
よっすぃーと2人で帰れるなら、図書室じゃなくてもいいや。
「よっすぃーは、宿題は家でやるの?」
廊下を歩きながら聞いた。
「うん」
- 112 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時09分40秒
- あ、よっすぃー、英語得意なんだっけ。
「私、終わるか不安だよお。さっきちょっと見たけど、わからないのあったし」
「あ、じゃ、じゃあ、ウチ来て一緒に宿題やる?」
…断るワケないでしょ。
「いいの?」
「うん、もちろん」
よっすぃーはすごく笑顔だった。
すぐに家に電話してママに伝えたみたい。
よっすぃーの家は、学校から自転車で15分ほど。
わーい、よっすぃーと2人乗りだあ。
でも後ろに荷台がない自転車だったから、後ろに立ち乗り。
肩に手を置くくらいしかできなかったんだけど。
でも、ちょっと細い道のときはしっかり抱きついちゃった。
本当に危なかったし、こわかったからだからね。
他のところではそんなことしてないし。
ホントはしたかったけど。
- 113 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時10分17秒
- 家に着くと、自転車の音でわかったのか、よっすぃーのママが玄関までお迎えにきてくれた。
優しそうなママ…うん、よっすぃーはママ似だね。
あ、よっすぃーママの足の後ろに、黒いのと白いのが見えた。
ポジとネガだあ。超カワイイ!
私が初めてだから、警戒してるのかな?
よっすぃーが自分の部屋へと階段を上がっていくとすぐに、2人はついていった。
よっすぃーのお部屋に入って、すぐに宿題を広げた。
終わるかわかんないから、急ぎでやらないと。
座ってすぐに、ネガが寄り添ってきた。
カワイイ。なんだか遊んで欲しそう。
「お、珍しいよ。ネガって人見知りだから、初めての人には絶対寄っていかないのに」
余計なお世話よとでも言いたげに、よっすぃーの方を見るネガ。
「はじめまして。よろしくね」
ネガがギュッと目をつぶった。
人間だったら頷いたってカンジなのかな?
とりあえず、膝の上に乗せてみたら、私の顔を一旦見上げてから
何だか恥ずかしそうに顔を私のお腹にうずめてきた。
うふふふ、いい子だねえ。
顎の下を撫でると、グルグル言ってるのが聞こえた。
- 114 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時10分48秒
- 「やっぱ、似てるわ」
最初はネコに似てるなんて、ちょっと複雑だったけど、
こんなカワイイ子に似てるって言われるならうれしい。
でも、よっすぃーがすごく愛しそうにネガのことを見るもんだから、
何だか私もそう見られてる気がして恥ずかしくなっちゃった。
「何?黒いとこが?」
「そーゆーわけじゃないよお」
ちょっとイジワル言っちゃった。
でも単なる照れ隠しだからね。
ポジの方が寂しくなったのか、よっすぃーの膝に乗った。
「ポジはよっすぃーに似てるんでしょ?」
「うん、お母さんが言うからそうなんだろうね」
うーん、言われてみればこの2人似てるのかも。
色は白いし、クリクリおめめだし、その気のないフリしてるくせに
本当はかまって欲しくてしょうがないんだろうってとことか。
ポジが私のことをじっと見てたかと思うと、何か言いたげによっすぃーの顔を見上げた。
言葉はなくても心と心が通じ合ってるかのように見えた。
いいな、私もよっすぃーとそんな風になりたい。
- 115 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時11分18秒
- あ、そうだ!今日は宿題がメインなんだった!
ちょっとがんばらないと!
よっすぃー、やっぱペンが動くのが早い。
すごいなあ。
それにしても、やっぱりダメ。できそうもない。
宿題の内容がどうこうじゃなくて、目の前によっすぃーがいて、しかも2人っきり。
ま、ポジとネガはいるけど、今は2人ともベッドの上だし。
そんな状態で、勉強に集中できるワケないじゃない。
なんで先に気付かなかったんだろう。
「ひとみー」
よっすぃーのママの声がしたら、よっすぃーはすぐに部屋を出ていってしまった。
- 116 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時11分48秒
- ふぅ。
もう、全然宿題はかどらないよ…
「ニャン」
あ、ネガだあ。
すぐ側に来てたのに気付かなかった。
ネガを抱き上げて、膝の上に乗せた。
「いいなあ、ネガは。よっすぃーとずっと一緒にいられて…
よっすぃー、家でも優しい?かっこいい?」
「ニャン」
たぶん、コレ、『うん』って言ってるんだと思う。
よっすぃーが言ってたけど、ポジとネガは、人間の言ってることを理解してるみたいで、
ちゃんと会話ができるって。
確かにそうみたい。
「いいなあ…私もよっすぃーとずっと一緒にいたい」
よっすぃーはいつも、どんな話しをしてるんだろう?
柴ちゃんのこととか相談したりもしてるのかな。
- 117 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時12分39秒
- よっすぃーが、シュークリームと紅茶を持ってきてくれた。
「ちょっと休憩しよ」
休憩するほどがんばってやってないけど、
シュークリームも紅茶も好きだし、よっすぃーも好きだし、すごくうれしい。
でも、この、部屋で2人っきりっていう雰囲気がなんだかやっぱり落ち着かない。
無言のままで、シュークリームにかぶりついていた。
「梨華ちゃん、クリームついてるよ」
「えっ?どこどこ?」
よっすぃーの手が伸びてきて、さっと私のほっぺをぬぐった。
そして、何とその指を自分でなめた。
「あっ…」
「へっ?」
恥ずかしいよお…ラブラブカッポーみたいで。
「あ、あの…ご、ごめん」
よっすぃーはきっと無意識にやってたんだろうな。
今までも、そういう仲だった人にはそういうことしてあげてきたんだ。
よっすぃー、モテるもん。
きっと過去にもそういう人いっぱいいたんだろうな…
- 118 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時13分09秒
- 結局、そのあとも宿題はあんまりはかどらなくて、
あまりにすすんでなかったから、よっすぃーができてるところまではうつさせてくれたけど。
あー、私ってダメな子だなあ。
夕食も食べていってと誘われたけど、
そこまでお世話になるわけにいかないし、帰ることにした。
何か気持ち的にも沈んじゃってるし。
そんな私の雰囲気を察してるのか、
そのあと、よっすぃーもほとんど口をきいてくれなかった。
私が勝手に恥ずかしがって、よっすぃーの過去を考えてオチてるだけなのに…
- 119 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時13分44秒
- 次の日の朝。
いつも早めに登校してるよっすぃーに合わせようと思って、
今日は私もいつもより10分も早く着いちゃった。
あ、やっぱもう来てるんだ。
教室には、まだ10人も来ていないけど。
みんなにおはようと声をかけつつ、自分の席にかばんを置いてから
よっすぃーの側にいった。
「よっすぃー、昨日はどうもありがとう」
よっすぃーはすごく驚いた顔をしていた。
なんで私に話しかけてるの、くらいに。
あ、昨日やっぱり、実は迷惑だったんじゃないかな…
またオチかけていたら、よっすぃーがニコッとしてくれた。
「どう?宿題終わった?」
「うん。よっすぃーのおかげだよ」
すると柴ちゃんが教室に入ってきた。
「あー、おはよー。梨華ちゃん、ノート貸して!」
柴ちゃんはものすごい勢いでノートを持っていくと、机に向かった。
「柴ちゃん、あの様子じゃ全然やってないの?」
「うん、昨日、ごっちんとデートだったんだって」
…あ、無意識に言っちゃったけど。
気にするよね、自分の好きな人が他の人とデートなんて。
私はよっすぃーの顔が見れずにうつむいていた。
- 120 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時14分21秒
- 「柴ちゃんってさあ、今までどんな人と付き合ってたの?」
…やっぱり気になるよねえ。
「…誰とも付き合ってないよ。いつも片思いだから」
一応ウソじゃない。
よっすぃーも傷つかないだろうし。
「タイプ的に『愛されるよりも愛したい』人でしょ、柴ちゃんって」
「…うん、そう思う」
よっすぃー、やっぱりよくわかってるね。
「じゃ、ごっちんはちょうどいいと思うよ」
えっ?顔を上げたら、よっすぃーはすごく笑顔だった。
「ごっちんはさあ、誰とも付き合う気ないんだよね、なぜか。
いろんな人と遊んでるのが好きだから、特定の人をつくりたくないみたい」
「…そうなんだ…」
じゃ、つまり柴ちゃんとも付き合う気がないってことだよね…
「だから、柴ちゃんみたいに追いかけてるのが好きな子は、
ごっちんみたいな人を好きになるのがいいと思う。
いくらがんばっても振り向いてもらえないけど、
そういう状態でいられるのが一番幸せなんだろうし」
- 121 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時15分41秒
- …よっすぃー、ふっきろうとしてるんだ。
柴ちゃんには自分じゃなくて、ごっちんとがいいんだって、自分に思い込ませて。
笑顔のままで、柴ちゃんの方を見ている。
よっすぃーの強がり、なんだか切ない…
私がよっすぃーのココロのすき間をうめてあげたい。
「…よっすぃーはどっち?愛したい?愛されたい?」
「うーん、どっちかなあ…
そりゃ愛されたいのはもちろんだけど、
まず自分がたくさんたくさん愛したいな」
よっすぃーの視線が私の方に戻ってきた。
なんだか切なさそうな目。
私も愛されたいな、よっすぃーに。
- 122 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時16分32秒
- 「梨華ちゃんはどっち?」
「私?そうだなあ、私もまず、すっごく愛するの。
で、そのあとにその何倍も愛してもらいたいかな」
よっすぃーは本当に楽しそうに笑った。
「あははは、欲張りだなあ、梨華ちゃんは」
「そうかなあ?でも将来、絶対そういう人現れるはずだもん」
「…実は、もう現れてるのかもしれないよ…」
よっすぃーがじっと私を見て言った。
はあ、将来の王子様がこの人だったらなあ。
でもまずは私がよっすぃーのこともっともっと愛してあげるんだ。
そうしたら柴ちゃんのことも完全に忘れてくれて、
私のことを愛してくれるようになってくれるかもしれない。
- 123 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月01日(土)23時17分03秒
- 「…よっすぃーは、愛したい人いるの?」
「へっ?あ、あ、愛したいっていうか、
もうすっごく愛しちゃってるんだけど…」
なんだか、よっすぃーは小さくつぶやくように言った。
またやっちゃった。
せっかく柴ちゃんのこと、忘れようとしてるのにね、ゴメン。
次の言葉を考えてたら、担任がやってきた。
しょうがない、自分の席に戻った。
どうしよ、また、よっすぃーに悪いことしちゃった…
最近はよっすぃーは柴ちゃんじゃなくて、
本当に私メインに話しかけてきてくれるようになった。
ある意味、柴ちゃんの心変わりのおかげだよね。
よっすぃーのこと、どんどん好きになっていくのが、
自分でも苦しいくらいわかっていた。
- 124 名前:ラッキー 投稿日:2003年02月01日(土)23時17分51秒
- 更新です。
また途中でミスであげてしまいますた。すみません…
>ごまべーぐるさん
ありがとうございます。初期からなんて恥ずかしいです。
がんばります。ごまべーぐるさんもがんばって下さい!
- 125 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月01日(土)23時54分10秒
- いいなぁ。もう、このもどかしさがたまりません。
プロセスの醍醐味ですね。
次も楽しみにしています!
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)14時54分08秒
- 声に出さなきゃ伝わんないってのはまさにこんな感じで(笑)
最終的には分かってるんだけど…それでも読んでしまう。
切ない感じで。
- 127 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時02分19秒
- 『今度の土曜日空いてる?映画でも見に行かない?』
そんなある日、メールで私はよっすぃーを誘ってみた。
『映画館じゃなくて、ウチでビデオ見ない?
親たち旅行行っちゃうんだよね。
ポジとネガさみしいだろうから、なるべく家にいようかと思って』
…それって、お家に2人っきりになるってこと…?
ポジとネガはいるんだろうけど。
ホントに私でいいのかな?
『うん、いいよ。じゃ、私がゴハン作ってあげる!』
正直、料理の腕は自信ない。ラーメンくらいしか作れないし。
でもまだ日にちあるから、ママに教えてもらおう。
『えー?梨華ちゃん、料理できんの?
ちょっとコワイから2人で作ろうね。
あ、よかったら、泊まっていって』
『2人で』かあ…初めての共同作業…うふふ。
…えっ…『泊まって』って…
一晩1つ屋根の下で2人っきりってことだよね…いやん。
- 128 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時03分06秒
- 『うん。じゃあお泊りセット持っていくね』
『勝負パンツも用意してきてね(笑)』
もう、最近、よっすぃー、こういう冗談多いんだよね。
最近っていうか、元々下ネタ系がスキらしくて、
ごっちんとの会話聞いてるとかなりきわどいことも話してる。
まともに話したことのない私に『処女?』なんて聞いたのも、
普段から言ってる冗談のつもりだったみたいだし。
この前も、2人で学校帰りに買い物してたら、
マネキンが着てた服一式がすっごくかわいくて。
よっすぃーも「勝負服にいいんじゃない?」なんて言うもんだから
その気になって試着してみて、よっすぃーに見てもらったら
「すげーカワイイ!今すぐ襲っちゃいたいくらい」
って。
冗談ってわかってても、内心うれしかったりする。
まるっきり冗談じゃなくて、心のどこかでちょっとでも
そう思ってくれないかななんて思いつつ。
- 129 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時04分12秒
- そして、そのお泊り当日。
よっすぃーは駅まで迎えに来てくれた。
そして、レンタル屋でビデオを何本か借りて、
スーパーに寄って夕食のお買い物。
今日はお酒はヌキね、よっすぃー、早く寝ちゃったらさみしいもん。
簡単だし、おいしく食べられるだろうってことで、
お鍋にすることになった。
よっすぃーはお肉があまり好きじゃないみたいなので、
お魚と野菜中心のヘルシー鍋。
家で2人っきりで鍋をつつくのって、なんかいいカンジ。
よっすぃーは私のお皿が空になると、すぐに入れてくれた。
あー、こういう気がきく人って、ホントいいなあ。
「エビちょうだい」
「えー?」
いつものことだけど、いろいろワガママ言っても、
よっすぃーは全然イヤな顔しない。
今も『えー?』って言ってるわりにはニコニコしてるんだもん。
もちろん、私に対してだけじゃないんだけど。
でも、今日はせっかく2人っきりだし、思いっきり甘えさせてもらうんだ。
- 130 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時04分43秒
- 最後に雑炊をつくってくれて、デザートのアイスを食べて。
片付けも終わったので、ビデオを見ることにした。
よっすぃーと2人っきりで、おいしいものを食べて、
しかも大好きなホラー映画を見れるなんて、それだけで充分幸せ。
「きゃっ!」
思わず、コワイっていうかビックリさせられるシーンで、
よっすぃーの腕にしがみついちゃった。
もちろん無意識にしたんだけど、一度くっついてしまったらすごく離れづらくて。
でも、ずっとこのままでいるのはおかしいよね。
まさに体を離そうとしたときに、ギュッと肩を抱かれた。
よっすぃーの顔を見ると、目線は画面に向いたまま。
でも真っ赤になってて明らかに照れてる。
カワイイ。
私も安心して、そのまま腕をよっすぃーの腰にまわして、
しっかり抱きついた。
なんだか、カップルみたい。
さすがに映画館ではこんなことはできないし。
こんな風にできただけでも、やっぱりお家に来られてよかった。
- 131 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時05分27秒
- 映画が終わっても、離れるのがもったいないと思っちゃって、
お互い感想を言うときも、そのままの体勢だった。
「お風呂沸いたみたいだから入ってきていいよ」
映画を見てる途中で、何かメロディが流れてたのは、
お風呂が沸いたからだったみたい。
「うん。ありがと」
さすがに私も体を離して立ちあがった。
自分のカバンから、着替えなんかを取り出すと、
よっすぃーがお風呂場まで案内してくれた。
シャワーの使い方を教えてくれて、バスタオルを出してくれた。
さすがに、『一緒に入ろう』って言ったら、びっくりされちゃうよね。
「ん、どうした?」
私は身動きせず、じっとよっすぃーのことを見てたから、不思議に思ったみたい。
「ううん、何でもない」
「ん、じゃ、ゆっくり入ってね」
- 132 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時05分58秒
- お湯はピンクの色に染まってて、いいニオイで、体もすごく温まった。
はぁ…
私、やっぱり、よっすぃーのことダイスキ。
最初は怖かったし、大嫌いだったのに。
あの冷たい目がイヤだと思ってた。
でも、今思うと、アレは冷たい目なんかじゃなくて、
ただ単によっすぃーがボーっとしてるときの目だった。
もともと風格があるっていうか、デーンとしてるところがあるから、
にらんでる風に見えたけど、全然そんなんじゃなかった。
仲良くなればなるほど、よっすぃーが人のことをにらんだりする人じゃないし、
冷たくなんかなくて、すっごくあったかい人だってこともわかった。
- 133 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時06分41秒
- そう、たぶん、生徒会室に呼ばれたときに、
あの優しい目を間近で見ちゃってから、
私の気持ちは傾いていったんだと思う。
柴ちゃんが好意を持ってるのがわかってたから、
自分の気持ちをごまかそうとしてたけど、
ごっちんの家で、よっすぃーが私をネガと間違えたとき、
私はよっすぃーに恋人がいるんだと思ってすごく動揺してた。
柴ちゃんが心変わりして、心のどこかで喜んでた。
すごくイヤな女だな、私って。
たぶん、よっすぃーはもう柴ちゃんのことはふっきれてると思う。
でも私のことは好きでいてくれてるかはわからない。
だけど、やっぱり、よっすぃーともっともっと一緒にいたい。
他の子と違う特別な関係になりたい。
そうするためには、私がちゃんと自分の気持ちを伝えるしかないんだ。
- 134 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時07分15秒
- お風呂を出て、タオルで体を拭き、鏡にうつった自分の姿を見る。
自分でいうのもなんだけど、たぶん、スタイルはいい方だと思う。
よっすぃーも最近は平気で「梨華ちゃん、胸でかいよね」とか言ってくるし。
言葉だけだから、もちろん実際は何もしてないんだけど。
私からせまってみたらどんな顔するかな?
でも『そういう気はない』とかキショがられたら悲しいよね。
はぁ…
よっすぃーに言われた通り、今日は勝負パンツを持ってきたんだよね。
ピンクのでブラとオソロ。
でも勝負することなんてなく終わっちゃうかも…
私がお風呂場から出ると、すぐによっすぃーが入っていった。
- 135 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時08分17秒
- ソファに座って、一応お肌のお手入れなんかをしている間中、
ネガが側にいてくれた。
何か心配そうな顔をしているようにも見える。
「ネガ、私、今日、よっすぃーに告白しようと思うの」
ネガを膝の上に乗せて、顎の下を撫でた。
「ニャン」
何か『がんばって』って聞こえた気がして、不安に思ってることを
ネガに聞いてもらっていた。
すると、ポジも私の側にやってきて、足をつついてきた。
「ニャーニャー」
カワイイ。たぶん、励ましてくれてるんだろうな。
「なんか応援してくれてるみたいね?ありがとう」
ポジとネガがせっかく元気づけてくれたんだもん、がんばんないと!
- 136 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時08分50秒
- よっすぃーがお風呂から出てきたので、お部屋に向かった。
あ、さすがに布団は別だよね。
せめて、布団同士で並んでたら、同じ布団にコッソリ入っていくこともできるだろうけど、
布団とベッドじゃムリ…
私が布団に入るとネガも入ってきた。
こんなに懐いてくれて、ホントかわいい。持って帰りたいくらい。
ポジの方は、よっすぃーより先にベッドに入っていった。
- 137 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時09分22秒
- お互い布団に入ったまま、しばらくいつもと同じような話しをしていた。
それはそれでもちろん楽しいんだけど、
私はいつ告白しようかと、結構ウワの空になってしまっていた。
ふと、沈黙が訪れる。
なんとなく、2人とも時計を見た。もう2時だった。
「…もう寝ようか…」
「うん…」
どうしよう、どうしよう。
今がチャンスなのに、なかなか言葉が出てこない。
よっすぃーがスタンドの小さい明かりだけにして、
部屋の電気を消して、ベッドに入った。
「おやすみ…」
今よ!今言うしかない!
「…おやすみなさい」
やっぱり、言えなかった…
- 138 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時09分52秒
- 明日でいいかなあ…
でも、せめて隣りに寝るくらいはしたい。
やっぱり、今のうちに言っておかないと!
「あ、あのさ!」「あ、あのね!」
私が体を起こしたら、同時によっすぃーも起き上がっていた。
「あ、ああ、梨華ちゃんから、いいよ」
「えっ?よっすぃーから話して」
よっすぃーが何を言うのかわかんないけど、
悲しいお知らせだったら先に聞いておけば、私の気持ちは封印しておける。
「あ、いや、その、なんつーか…」
よっすぃーはなかなか言い出さない。
なんかじれったい。
ネガが布団の中で、催促するように私の足をつついていた。
- 139 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時10分22秒
- 「…あのね、そっちいってもいい?」
もし断られたら、告白するのはやめよう。
OKだったら…がんばるしかない。
「…うん……おいで」
よっすぃーはかけ布団をあげて、私に入ってくるようにうながした。
…つまり、『がんばるしかない』
私がよっすぃーのところに行くと、ポジが遠慮したのか出ていってくれた。
でも机の上にちょこんと座って、こっちの様子を見ていた。
うん、ポジ、それにネガ、がんばるよ。
- 140 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時10分55秒
- 私はよっすぃーにピッタリくっついた。
するとすぐによっすぃーは私の背中に腕をまわしてきて、
優しく抱きしめてくれた。
そして、耳元でささやかれた。
「…梨華ちゃん、スキ」
一瞬自分の耳をうたがった。
自分の願望が聞こえたのかと思った。
でも目の前にある、このぬくもりは本物だし、
やっぱり聞き間違いでもない。
「…私もよっすぃーのこと好き」
…言えた。
よっすぃーの腕に力が入った。
しばらく抱きしめ合ったあと、よっすぃーは体を離して、
私の顔をのぞきこんだ。
- 141 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時11分26秒
- 「…キス、していい?」
そんなこといちいち聞かなくてもいいのに。
私はコクンと頷いた。
初めは優しいキスだったけど、どんどん激しいものになっていって。
キスだけなのに、体がとろけてしまいそうだった。
「もっと…キス以上のこと、してもいい?」
もう、いちいち聞かないでって。
私はまた、首を縦にふった。
「…もし、イヤになったり、痛かったら、言ってね…」
よっすぃーはこんなときでも本当に優しい。
- 142 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時11分58秒
- ………………
今、すごく幸せ。
よっすぃーはがんばって疲れたのか、私を抱きしめたまま、
スースー寝息をたてている。
その、エッチそのものはちょっとだけ痛いときもあったけど、
すっごく気持ちよかった。
やっぱりすごく優しくしてくれたし、
よっすぃーの体じたいも透き通るように色が白くて
本人は気にしてるけど、最近ちょっと太ったせいか、
柔らかくてフワフワしてるようなカンジだった。
―マシュマロマンみたい―
元アイドルのタレントが、自分と結婚相手の初夜の感想を聞かれて、
そう答えていたのを思い出した。
まさに、よっすぃーもマシュマロマン。
- 143 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月04日(火)16時13分07秒
- よっすぃーのお腹のお肉をちょっとつまんでみた。
「…んん…」
あ、痛かったかな?
でも、よっすぃーは起きる気配はないみたい。
エッチじたいよりも、こうして裸で抱き合ってることの方が気持ちいいって思う。
気持ちいいっていうよりも心地いいってカンジなのかな。
こうやって、よっすぃーに包み込まれて2人で1つになっていられるのが、
何よりもうれしい。
「…梨華ちゃん…」
「ん?」
…どうやら寝言みたい。
私の夢、見てくれてるんだ。
私も夢の中でもよっすぃーに会いたいな…
- 144 名前:ラッキー 投稿日:2003年02月04日(火)16時20分34秒
- 更新です。
マシュマロマンは先日不妊治療をやめてから子供ができた方の発言です(笑)
>125さん
ありがとうございます。あと1,2回で終わると思いますが引き続きよろしくお願いします。
>126さん
どうもです。
そうですね、視点変えただけなんで、結論のネタバレはしてるんですけど、
なるべく新しいネタをちりばめるように努力してますよ(笑)
- 145 名前:いしよし大好き読者 投稿日:2003年02月04日(火)18時07分05秒
- エビネタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
更新待ってました!ふぅ梨華ちゃんよっちぃおつかれ!
まだまだこれからっすね!
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)23時04分50秒
- 更新、お疲れ様でした。
梨華ちゃんサイドのお話は、心の変化が手に取るように分かる感じですね。
小ネタも笑えましたw
マシュマロマン、何かなつかしいって響きです。「ゴーストバスターズ」を
思い出しましたよ。そうか、あの人の言葉だったんだ・・
ふたりを見守るポジとネガがひたすら可愛いです。
- 147 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時46分19秒
- 「ニャーニャー」
頭の上で、鳴き声がする。
このちょっと低めの声はポジかな。
「…ん?ポジ、なんだよお…あ…」
よっすぃーも起きたみたい。
目を開けると、私のことを見つめていた。
「あ…おはよ…」
明るいところで、改めてよっすぃーの肌を見てると、
昨日の行為を思い出しちゃって、恥ずかしくなって、
布団をかけ直して、目だけ出して、よっすぃーを見た。
よっすぃーは、もう顔がゆるんでるってカンジで、よだれでも出そうな表情。
隣りにいるポジまで同じ表情に見えたのは気のせいだと思うけど。
- 148 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時46分51秒
- 「ニャーニャー」
思い出したようにポジがまた鳴いた。
「わかった、わかった、お腹すいたんだろ?すぐ用意するから、待ってろって」
よっすぃーは慌てて脱ぎ捨ててあった下着とパジャマを着た。
着替え終わると、私の方を見て、布団をどかして、キスしてくれた。
もう、朝から…
私は恥ずかしくなって、頭からすっぽり布団をかけ直した。
- 149 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時47分23秒
- 「ニャー」
よっすぃーが部屋を出ていってすぐに、今度は頭の上で高い弱々しい声がした。
布団から頭を出すと、ネガが『おめでとう』と言わんばかりに見ていた。
私はネガを布団の中に入れて抱きしめた。
「ネガ、いろいろありがとうね」
「ニャン」
「今、すっごく幸せ…あ、ネガもお腹すいたでしょ?」
「ニャー」
クスッ、『すいたよお』って聞こえた。
実は私も腹ペコなんだよね。
「よし、ゴハンねだりに行こうか」
「ニャン」
その辺に散らかしたままの下着とパジャマを集める。
コレ、全部よっすぃーに脱がされたんだよね。
よっすぃーの細い白い指が…
いやーん、朝からナニ考えてんのかしら、私ってば。
昨日のことを思い出して、身悶えてたら、ネガが不思議そうな顔で見ていた。
「あはは、ごめんね、早くゴハン食べたいよね」
急いで着替えて、部屋を出た。
- 150 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時47分56秒
- ネガを抱いたままキッチンの方へ行くと、よっすぃーが何やら楽しそうに、
ポジに話しかけてるのが聞こえてきた。
「…でっかくてさ、すっげーやらけーの。
んでさ、ちょっと触っただけで『あん』とか言ってさあ、
声がいつも以上に高くてさあ、ホントエロいの。
あの声だけで、めっちゃ興奮したねー…」
へっ?
あ、あの、それって、昨日の夜の私のこと?
…どう考えてもそうじゃない!!
私がすぐ後ろまで寄っていっても、ゴハンを食べてるポジの横で、
背中を向けてしゃがみ込んでるよっすぃーは全然気付かない。
- 151 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時48分26秒
- 「もう、よっすぃー、何言ってんのよ!」
もう、話しがどこまでもエスカレートしそうじゃない。
よっすぃーは一瞬驚いてたけど、
下から私の全身を眺めて、またふやけた顔になった。
「そんなこと、他の人に話さないでよお」
「ご、ごめん。でも、ポジとネガにはずっと相談してたし、隠し事したくないんだよ。
それに梨華ちゃんのこと誉めてるんだからさ、いいでしょ?ダメ?」
よっすぃーの目が捨てられた子犬のような目になってた。
見上げられてるから、余計にそう見えるのかな。
それにしてもカワイイ。
もうこんな目されたら、なんにも言えないじゃない。
- 152 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時48分59秒
- 「…ポジとネガ以外にはそんな話ししないでよ」
「もちろん!あ、でも付き合ってることは話してもいいよね」
そんなの、私がみんなに言いまくりたいくらい。
よっすぃーは私だけの人なんだからねって自慢したい。
私はコクンと頷いた。
ネガが気を遣ってか、するっと私の腕から降りていくと同時に、
よっすぃーが私のことを優しく抱きしめた。
「梨華ちゃんのこと誰にも渡したくないから。大切にするから」
それは私のセリフなのに…
「よっすぃー…」
よっすぃーが体を離すとゆっくり唇を近づけてきた。
私も目をつぶる。
- 153 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時49分30秒
- グルグルグルグル…
…私のお腹の虫が鳴いた。
もう、こんなときに!
「プッ、梨華ちゃん、お腹すいたの?」
私は真っ赤になってうつむいて頷いた。
「あはは、昨日運動しすぎちゃったかな?」
「も、もう、ナニ言ってんのよ」
私はよっすぃーの背中をひっぱたく。
「ま、とりあえず朝ごはんにしますか」
昨日、朝ゴハン用にと買っておいたベーグルサンド、
あとよっすぃーがゆで卵を作ってくれて、それをおいしくいただいた。
食後はソファに移動して、テレビを見ながら、紅茶を飲んだ。
- 154 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時50分02秒
- 情報番組で今週の主なニュースをやっていた。
今超人気のサッカー選手のインタビューをやっていた。
確かこの人、アイドル歌手と付き合ってなかったっけ?
何て子だったかなあ?
ん?
ほっぺに柔らかい感触。
隣りを見ると、よっすぃーがちょっとすねた顔をしていた。
「ウチと一緒にいるときに、他の人のことばっか見ないでよ」
…えっ?
きゃー、よっすぃー、かわいすぎ。
テレビに出てる人にヤキモチやいてるんだ。
よっすぃーの頭を撫でて、お返しでほっぺにチューしてあげた。
そうしただけで、よっすぃーはすっごい笑顔になる。
いつもはかっこいい人なのに、
私の前ではこんなカワイイなんて、反則。
私のこと、すごく好きでいてくれてるんだなって、つくづく感じる。
- 155 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時50分34秒
- よっすぃーは私のことを抱き寄せて、キスをした。
キスをしながら、パジャマのボタンが外されていくのがわかった。
えー、朝からしちゃうの?
……もちろん、うれしいんだけどね。
「…この、ブラ、カワイイよね」
昨日は行為そのものに夢中すぎてて、
途中で言葉を交わすことなんてなかったけど、
今日は少し余裕が出てきたみたい。
「…ありがと」
「この前、体育のとき、つけてたよね」
ブラの上からゆっくり胸を撫でまわしながら、よっすぃーがささやく。
「ん…あん…覚えてた、の?」
「もちろん。あんとき、梨華ちゃんの胸見ちゃって、
コーフンして気絶しそうになったもん」
あ、そういえば、あのとき、よっすぃー、なんだか、気分悪そうにしゃがみ込んでた。
アレって興奮してだったの?
- 156 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時51分10秒
- 「…あのとき…ん…もう、ワタシのこ、と、好きだったの?…んん…」
よっすぃーの手は今度はブラの中に入ってきた。
「…うん…たぶん、保健室に運んだときに、スキに…なってた」
えっ?
それってつまり、柴ちゃんのことは好きじゃなかったってこと?
よっすぃーは手の動きを止めないまま、私の首筋にキスしてきた。
…もう、柴ちゃんのこと聞きたいのに、私の体がそれどころじゃなくって…
- 157 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時51分40秒
- 結局、柴ちゃんの話しができたのは、その約2時間後。
つまり、『終わって』からだったんだけど。
なんでも、元々は私のことを、おとなしそうな、
真面目そうな子だなくらいにしか思ってなかったみたい。
で、保健室に運んだとき、近くでまともに顔を見てカワイイ、
しかもしゃべってみたら、反応までカワイイって思ってくれたらしくて。
しかもそのあと、ごっちんまで『カワイイ、カワイイ』って言うもんだから
余計に意識しはじめたみたい。
私としゃべりたいんだけど、緊張しちゃってうまく話せなかったのを、
私は冷たい態度と勘違いしてたってことなんだよね。
- 158 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時52分21秒
- 柴ちゃんとは私と仲良くなりたいがために仲良くなって。
ま、普通に気が合ったのは確かみたいなんだけど。
もう、柴ちゃんにふられて落ち込んでるんじゃないかとか
私がいろいろ心配してきたのはなんだったのよー。
でもでも、もうそんなことはどうでもいいの。
だって、今こうやってよっすぃーの腕の中にいるのは私だし、
私を優しい目で見てくれてるのはよっすぃーだし。
あ、でも、もう4つの目が見てた。
ポジとネガもちょっと離れたところから、こっちの様子を見ていた。
こんな優しいご主人様に飼われて、ホント幸せだよね。
私の視線に気付いたらしく、ポジがよっすぃーの背中に飛びついた。
- 159 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時52分53秒
- 「ニャーニャーニャー」
『いつまでやってんだよ、この色ボケが』って聞こえたような…
「あ、やべ、そろそろ、親が帰ってくるかも」
今は午後1時すぎ。
車で行ったから、渋滞にはまる前に、チェックアウトしたら
そのまままっすぐ帰ってくるってことになってたみたい。
私の唇に軽くキスをおとして、
「また、しようね」
って、笑顔で言われちゃったら…すぐにでもしたくなっちゃうじゃない。
- 160 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時53分24秒
- それからというもの、私は部活、よっすぃーは生徒会で放課後も忙しかったりするから、
1週間か2週間に1回くらいだけど、よっすぃーの部屋に行って、
もちろんシテるわけだけど。
今日もいつも通り、私たちがコトに及んでいるときも、
側にはポジとネガがいた。
別にジャマするワケじゃないし、必要以上に見られてるワケでもない。
もうコレが当たり前になってるから、
かえって側にいてくれなかったら、調子が狂っちゃうかもしれない。
- 161 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時53分55秒
- それにしても、この2人―ポジとネガ―がいなかったら、
私たちは付き合うことになってなかったんじゃないかな。
よっすぃーは、私のことをネガに似てるなんて思わなかったら、
気にもかけなかったかもしれない。
相談ができるポジとネガがいなかったら、
よっすぃーは私に告白しようなんて思わなかったかもしれない
私自身もネガに後押しされて、よっすぃーに告白できたようなものだし。
この子たちは、言ってみれば恋のキューピッド・ラブラブエンジェル。
ずっとずっと私たちのことを見守っていてね。
私はそう思いながらポジにキスをした。
ポジはうれしそうにギュッと目をつぶった。
- 162 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時54分35秒
- 「あー、ダメ!」
よっすぃーが怒った。
「えっ?何が?」
「ウチ以外の人とチューしちゃダメ!」
「ニャー!」
よっすぃーは、本当にヤキモチ焼きかも。
ま、そんなとこもいいんだけどね。
それにしても今、ポジが『いいじゃんかよ!』って言ったように思えたんだけど…
私から引き離して、暴れるポジを自分の腕の中に押さえ込むよっすぃー。
「えーい、梨華ちゃんの唇の感触なくしてやるー」
イヤがるポジに何度もキスするもんだから、
しまいには首の辺りをひっかかれてた。
- 163 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時55分08秒
- 「いってぇ!」
よっすぃーの腕から解放されて逃げるポジ。
「あー、もう、ポジが怒るの、当たり前じゃない」
「だってー、あいつ、梨華ちゃんにチューされて喜んでんだもん」
もう、よっすぃー、カワイイってば。
ふとよっすぃーの首を見たらうっすら血が出ていた。
「大丈夫?血出てるよ?」
「うん、ヘーキヘーキ、このくらい、しょっちゅう」
それでも心配だったから、私は優しく傷口をなめてあげた。
「…ん…こうしてもらえるなら、もっとひっかいてもらおうかな…」
「もう、ばかあ」
- 164 名前:ポジとネガとリカ 投稿日:2003年02月07日(金)12時55分38秒
- 「ニャーニャー」
ポジが部屋の端っこからこっちを見てた。
『勝手にやってろ』って聞こえたような…
「ニャン」
ネガまであきれた表情をしてた。
絶対『手に負えないね』って言った!
いいもん!
2人に見放されても、私はよっすぃーとラブラブでいてやるんだからっ!
fin
- 165 名前:ラッキー 投稿日:2003年02月07日(金)13時04分17秒
- 更新&終了しました。
>145さん
エビネタは絶対どっかで使えるなあって思ってますた。
ありがとうございました
>146さん
ありがとうございます。
よっすぃーって体がマシュロマンだよなとずっと思ってました(笑)
もともと、友人とアニメ話をしていて
「ポジとネガ」が出てくるアニメの話にもなったんです。
「ああ、ポジとネガってイシカワさん・・・」って思って、この作品を書きました。
「ポジとネガとリカ」の方はもともと別の話で書いてたものだったんです。
なので、ところどころ矛盾もあるかもしれません(苦笑)
誤字も相変わらず多いのですが、ご了承くださいませ。
最後まで読んでいただいた方々、本当にありがとうございました!
- 166 名前:a 投稿日:2003年02月07日(金)22時58分25秒
- お疲れ様でした。。。
- 167 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)19時53分21秒
- 完結お疲れ様でした。
もはや安定したラッキーさんの世界観に存分に浸らせて頂きました。
今後もこっそり、期待しちゃってます!
有り難うございました。
- 168 名前:ラッキー 投稿日:2003年02月10日(月)10時10分11秒
- >aさん
ありがとうございます
>167さん
どうもありがとうございます。
そんな世界観なんて大それたものじゃないですよ、単なるいしよしヲタですから(W
ちょこちょこと某所に短編は書いております。(名無しですが)
今後も細く長くやっていけたらなあと思ってますので、
どうぞよろしくお願いします
- 169 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
- 川o・-・)ダメです…
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