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ルポライター如月京矢
- 1 名前:名無し改 投稿日:2002年12月23日(月)19時17分46秒
- 俺の名前は如月京矢。
フリーのルポライターをやっている。
ルポライターの仕事がどんなものかは知らないがそんな事は関係ない。
なぜなら俺は如月京矢だからだ。
今日も俺は事件を追い求めて街をうろついていた。
「キャァァァァ!!」
おやおや、さっそく事件のお出ましだぜ。
俺はすぐさま悲鳴が聞こえた路地の方へと駆けつけた。
- 2 名前:名無し改 投稿日:2002年12月23日(月)19時19分08秒
- どうやら中学生の女の子が黒いコートの男に絡まれているようだ。
残念だが俺の守備範囲外だ。
俺は、きびすを返して立ち去ろうとした。
その時だ。
「たっ助けてください!あたし、こう見えても短大生の19歳です!!」
俺はきびすを返すと男を指差して叫んだ。
「その子を放せ!」
かなりかっこよく決まった。
俺が女なら惚れてるね。
- 3 名前:名無し改 投稿日:2002年12月23日(月)19時19分53秒
- 俺は改めて女をまじまじと見つめた。
良く見ると結構好みの顔だ。
胸は小さいがなかなかいいケツをしている。
ここで恩を売っておくのも悪くはない。
俺が一歩近づくと男は怯んだように一歩下がった。
勝てる!
俺は思った。
「ちくしょう!!」
男はポケットから折畳式のナイフを取り出した。
やばい!
俺は思った。
- 4 名前:名無し改 投稿日:2002年12月23日(月)19時20分53秒
「うおぉぉぉぁぁあ!!」
男は飛び掛ると俺を刺しやがった。
プスって音がしたよ。
あぁ……いてえよ。
「キャァァァァァ!!」
女は悲鳴を上げると逃げていきやがった。
救急車呼べよ。
携帯ぐらい持っているだろう。
「ひっ、ひゃぁぁぁぁ!!」
男はナイフを抜いて逃げていきやがった。
抜くなよ。
血が吹き出てくるだろうが。
- 5 名前:名無し改 投稿日:2002年12月23日(月)19時21分48秒
- 俺は傷口を抑えながらその場に蹲って倒れた。
まじでやべぇよ。
体が動ごかねぇ。
声もだせねぇよ。
血があったけぇよ。
そういえば何で家の近くの自販機にはあったか〜いお飲み物がないんだ?
おい、かんけーね−だろって思ったお前!お前だよ!
とりあえず俺に謝れ!
そして財産全てを金に買えて俺の口座に振り込んでおけ。
あ、やべ、意識が薄れてきた。
血が止まんねぇ……。
完
- 6 名前:名無し改 投稿日:2003年01月28日(火)21時14分10秒
お豆ちゃん観察日記
- 7 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時15分13秒
- 大学の帰り道、私は1cmほどの小さなお豆を拾った。
いつもなら気にも止めないのに何故そのお豆にかぎって拾ったのかと言うと、
そのお豆には眉毛が生えていたからだ。
眉毛のような後があるのではなくて、実際に生えていたのだ。
私の2.0の視力はその眉毛をしっかりと捉えたのである。
私は無性に育てたく思い、そのお豆をポケットに入れた。
私は家に帰る途中で小さな植木鉢と肥料を購入し、
部屋に入るやいなやさっそく植木鉢の八分目まで肥料を入れて中央に穴をあけ、
お豆をその穴に落とした。
そして、新しいノートを開くとその事をノートに書いた。
お豆の様子を記録しようと思ったのだ。
- 8 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時15分54秒
- そして、一通りの作業を終えるといつものようにパソコンの電源を入れ、
お気に入りからいつものサイトを開いた。
マウスをヘッドラインに合わせるとクリックしてそのページを開く。
画面には緑の枠で区切られ幾つかのタイトルが並べられていた。
普段良く開くタイトルの右横の数字を確認し、ふう、とため息をつく。
「残念。今日は更新されてないなー」
そして、再びメニューのお気に入りから別のサイトを開いた。
そのサイトはフレームで上下に分かれており、下方には名前、文章、日付を一行とし、
名前ごとに色分けされて会話形式で文章が書かれている。
早い話チャットである。
「坊主説教読めないよ」
私は微笑み、そして上フレームの「入室」ボタンを押した。
その日、私は拾ったお豆の事には一切触れなかった。
- 9 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時16分40秒
――あれから10日経つ。
お豆の様子はまったく変化がなく、やや拍子抜けだ。
もしかしたらハワイの水が合わないのかもしれない。
今日は少し勿体無いがミルクを代わりにかけてみた。
そしていつものようにお気に入りサイトを巡回する。
私は夢中でチャットをしていた。
「ちょっと、ご飯って言ってるでしょ!早くしなさい!」
最近お母さんがうるさい。
うるさいのは前からだけど最近は特にだ。
「わかったー。今行くー」
私は叫ぶと、退出の挨拶を済ませ、パソコンの電源を落とした。
- 10 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時17分17秒
失敗した!
なんてことだ!
植木鉢が臭くてたまらない、昨日のミルクのせいだ。
臭いを中和する為今日はビールをかけてみた。
上手く中和してくれると良いのだが……こんな醜態誰にも話せない。
幸いお豆の事は誰にも話していない。
そう、お母さんにも。
だから誰もお豆の様子を気にして訊ねてくる人はいない。
今日もお気に入りサイトの巡回は怠らない。
しかし、今日はチャットには入室しなかった。
とてもそんな気分にはなれない。
お豆に臭いがうつらないか心配だ。
- 11 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時18分03秒
――最悪だ。
翌朝、この世のものとは思えぬ悪臭で私は目覚めた。
もはや手遅れだ、もうこの植木鉢は捨てるしかないだろう。
残念だ、僅か12日にしてお豆の観察日記が終わってしまうとは……。
とにかく今は大学に遅れないよう支度を済ませ、早々にこの部屋から出よう。
私は支度を済ませ着替えを持ち部屋を出ると、浴室にかけ込んだ。
やや熱めのシャワーで眠気を覚まし、丹念に石鹸で体を洗った。
寝汗と強烈な臭いで気持ち悪い思いをしていた体が洗浄されてゆく。
浴槽を出て水滴をぬぐうと、バスタオルを全身に巻き濡れた髪にドライヤーを当てた。
ふと、下着にも臭いが移ってないか気になり、空いた手で下着を掴むと鼻し当て匂いをかぐ。
どうやら大丈夫のようだ。
とりあえず大学から帰ってから植木鉢は始末しよう。
そう心に決めた。
- 12 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時19分14秒
- 大学から帰ると、私は覚悟を決め、部屋のドアを開けた。
すると、どうしたことだろう、あの、形容し難い臭いが跡形もなく消えていたのだ。
私は嬉しくなり植木鉢を覗き込んだ。
なんと! 少しだが地表から頭が出ているではないか!
植物の芽が伸びてきたのではなく、本当に頭が生えてきたのだ。
丁度額から上あたりが地表から飛び出している。
何故臭いが中和したのかは分らないが、おそらくこの頭が関係しているのだろう。
私はさっそくこの事を記録した。
私はこのお豆の事を「お豆ちゃん」と呼ぶ事にする。
そして、その日は一日お豆ちゃんを眺め、眠りについた。
- 13 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時20分16秒
- 翌朝、目が覚めお豆ちゃんを覗くと、今度は鼻の上までが突き出ていた。
あの、可愛い眉毛もくっきりと見て取れる。
本当はずっと様子を観察していたいのだがそうもいかない。
今日は難しい心理学の講義があるし、何より休むとお母さんがうるさい。
不意に部屋のドアがノックされた。
「ちゃんと起きてる? 入るわよ」
思ってるそばからお母さんだ。
まったく、何時までたっても子離れしないで困ったものだ。
「もう起きてるよー。今行くから」
そして、私はお豆ちゃんに「言ってくるね」と挨拶をし、部屋を出た。
- 14 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時21分22秒
- 大学から帰ってくると、私は真っ先に部屋へと飛び込んだ。
お豆ちゃんのことが気が気でなかったのだ。
私はすぐさま机の上に視線を向ける。
そこには、あるはずの植木鉢が影も形もなくなっていた。
「どう……して……まさか!」
私は急いでお母さんを探した。
お母さんはリビングで雑誌を読みながら寛いでいた。
「お母さん、私の部屋にある植木鉢知らない?」
「あぁ、あれなら日当たりがいいようにベランダに置いているわよ」
涼しい顔をして言う。
「もう、勝手な事しないでよ!」
私は急いでベランダへ向かった。
- 15 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時22分11秒
- 植木鉢は、窓際にぽつんと置かれていた。
私はほっと胸をなでおろし、植木鉢を覗き込む。
私はショックで凍りついた。
お豆ちゃんが消えていたのだ。
「ちゃんと在ったでしょう?」
背後からお母さんの声がした。
私は振り向くとお母さんを睨んだ。
「あらやだ、如何して泣いてるの?」
「お母さんのバカ! お豆ちゃんを何処にやったのよ!」
「何を言ってるの? もともと何も生えてなかったじゃない」
「あったよ! 私のお豆ちゃんを返してよ!」
「お豆ちゃんって何よ。私は知らないわよ。本当に何にもなかったんだからね」
「嘘! お母さんのバカ! もう知らない!」
私は植木鉢を胸に抱き、部屋へと駆け込んだ。
もうお母さんとは話をする気にならなかった。
- 16 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時22分54秒
「うあ゛ぁぁん。お豆ぢゃぁぁぁん!」
私はベットに飛び込むと、声を上げて泣いた。
それほどまでにお豆ちゃんの存在は私にとって大きなものとなっていたのだ。
私が悲しみに打ち震え、涙を流し泣いていると、ちょんちょん、と肩に何かが触れた。
私が煩わしそうに腕を振ると、暫くしてまた肩に何かが触れる。
不意に耳元に声が聞こえた。
「お姉ちゃん。如何して泣いてるの?」
「ほっどいでよぉ! 私のぎもぢなんて、誰にもわかんないんだがらぁ!」
この時は何故この不思議な声が聞こえるのかなど疑問にも思わなかった。
それほど悲しみに沈んでいたのである。
私は声がする方を向いた。
すると、私の顔のすぐ傍に、10cmほどの小さな女の子が立っていた。
見覚えのある眉毛と頭の形をしている。
お豆ちゃんだった。
- 17 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時23分56秒
「おまめちゃん?」
私は鼻を啜りながら、お豆ちゃんの名を呼んだ。
お豆ちゃんはにっこりと微笑む。
「はい、私がまだ成体になる前、土の中にいた頃はそう呼ばれていた気がします」
「お豆ちゃん。お豆ちゃんだぁ」
私は両手でお豆ちゃんを優しく抱くと、涙を流して喜んだ。
お豆ちゃんが居てくれた事が本当に嬉かった。
「あなたは誰? 私のママなの?」
私の手の中でお豆ちゃんは尋ねた。
私は頷くと、にっこり微笑んだ。
「そうだよ。私の名前は――」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
- 18 名前:お豆ちゃん観察日記 投稿日:2003年01月28日(火)21時24分44秒
「ごめんなさい。でも本当に何もなかったのよ」
お母さんだ。
心配して様子を見に来てくれたようだ。
私は涙をぬぐうとドア越しに謝った。
「わかってるよお母さん。疑ったりしてごめんなさい」
私がお豆ちゃんに微笑みかけると、お豆ちゃんも私に笑みを返す。
不安定な手の平の上に居た為か、その拍子にバランスを崩して尻餅をついた。
そして、恥ずかしそうに頭を掻く。
その様子があまりに可愛らしく、つい、顔がにやけてしまう。
「私の方こそごめんね。もう大丈夫だから」
「そう、だったらいいのだけど、本当にごめんなさいね」
そうして、ドアの向こうで遠ざかる足音が聞こえた。
終わり
- 19 名前:萌え萌えりゅ〜ば 投稿日:2003年01月28日(火)22時02分27秒
- うぎゃぁ!!!!お豆ちゃん!最高!!笑った。本気で笑った。
そして感動した。作者さん上手いです!上手すぎです!そして嬉しかったです!
やっと豆タンの主役が・・・ぅ、ぅ。豆タンかわいい!かわいいよ〜。
そして「私」って私ですか?!何かめちゃくちゃ萌えたんですが…。
これはぜひとも直接会ってお話を(ry
出来れば続きがあってほしいのだが・・・それは儚い願いで終わるのだろうか。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)11時14分53秒
- お豆ちゃん(・∀・)イイ!
続きが読みたいですのですが・・・
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