いしよし小説「サンタクロース」

1 名前:あきら 投稿日:2002年12月23日(月)19時58分19秒

サンタクロースなんているわけない。
こんな寒い中、トナカイに空飛ばせて世界まわるなんて
絶対ムリだし。
だってそれに、この世で一番不幸な私の所にこないし。
だから、絶対にいるわけない。
もし、いるとしても、不幸な私の所にこないんだから、きっと意地悪なんだ、サンタさん。
2 名前:「サンタクロース」act1 投稿日:2002年12月23日(月)20時16分11秒
静かな病院の診察室で、梨華は涙を流していた。
梨華の前に座っている医者はすまなそうに顔をふせている。
看護婦さんは泣いている梨華の背中をよしよし、をなでた。

「残念ですが。もう長くありません。」

重い口をあけて医者は梨華にそう告げた。
梨華はその言葉に絶望し、また声をあげて泣いた。

なぜ、こんなに世の中不公平なのか。

「入院、しますか?」

気休めにしか、ならないでしょうけど。
そう付け加えて医者が言うと梨華は首を横に降った
病気に対するせめてもの抵抗だった
それに入院するお金も、梨華には・・・なかった

「それでは、お大事に」
看護婦サンから薬をもらい、梨華は病院をでた。

(この薬だって、気休めにしか、ならないんだろうな)

そう思うと梨華はまた涙がでてきた。
一ヶ月前、心臓がひどく痛くなり、病院に検査をしてもらったところ
梨華の身体には悪魔のような影が訪れていた
原因不明。医者はそう一言、梨華に告げた
なんとか、よくしようと医者は薬を進めた
が、その薬も意味がなかった。結果的にはさらに悪化させてしまった。
3 名前:「サンタクロース」act1 投稿日:2002年12月23日(月)20時17分02秒

(なんでこんなに不幸なの・・・)

溢れてくる涙をふきながら梨華はため息を一つ。
思えば梨華の人生は不幸続きであった。

高校一年生の頃、親が死んだ。交通事故だった。
それから、学校をやめてバイトと親の保険金で生活をまかなってきた
決して楽とはいえない毎日。
そして、今日。命への宣告をされてしまった。

(・・・寂しいよ)

涙をふいた指がどんどん冷たくなっていくのを感じて
梨華はまた泣いた。これから家に帰ってもどうせ誰もいない。
これから寂しく死んでいくのだろう、と梨華は思った。

と、その時。空からはらりはらりと白い粉がふってきた

「雪・・・?」

雪、だった。雪が降っていた。
気づけば目の前に大きなクリスマスツリーがあった。

(もう少しで、クリスマスなんだ・・・)

そう思うと、今度は何年前かの家族で過ごしたクリスマスを想い、
また梨華はクリスマスツリーの前で泣いた。
4 名前:「サンタクロース」act1 投稿日:2002年12月23日(月)20時21分04秒

サンタクロースなんか、いるわけない。

梨華は再び思った。

「サンタクロースさん、の、バカ」

大きなクリスマスツリーに向かってそう呟くと、
梨華はクリスマスツリーに飾られていたサンタクロースの小さなマスコットを
ひょいっ、ととってぎゅっと抱きしめた

「さみしいよ・・・」

5 名前:あきら 投稿日:2002年12月23日(月)20時22分08秒
はじめてここで小説かきます。
下手な文章ですが、応援していただけたら幸いです!!
6 名前:「サンタクロース」act2 投稿日:2002年12月23日(月)20時33分40秒


「って、アタシに言われてもなぁ」

後ろから聞こえてきた少しだけ低い声に、梨華はぎょっと驚いた
急いで後ろを振り向くと、そこには黒のパーカーをきた少女がいた
ざっとみてみると梨華と同じ年だろうか?

「だっ、だれですか?」
「石川梨華。17歳、だよね?」

梨華の質問に答えず、少女はのほほんと梨華の名前と年齢をのべた。

「そっ、そうですけど…。って、なんで知ってるんですか!?」
「さて、どうしてでしょう?」

少女は梨華の質問に答えずにんまりと笑った。
梨華は頭が混乱した。
当たり前だ。いきなりあらわれたわけのわからない少女に
名前と年齢を言われて、しかも微笑まれたのだから。

「今、願ったでしょ?」

少女はじっと梨華の目を見て、そういった。
梨華は・・・ちょっとかっこいいな、と思った。
7 名前:いちごま中毒者 投稿日:2002年12月23日(月)21時30分22秒

ん?誰だ??
黒のパーカー・・、なんとなくここまで読んで
二人ほど思いついたんだけど・・さて、誰でしょう?
続き希望です。
8 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月24日(火)15時35分00秒
ものすごくネガティブな環境の石川さん・・
救ってあげられるのでしょうか、あの人は。
期待しております。
9 名前:「サンタクロース」act2 投稿日:2002年12月25日(水)18時53分34秒

少女は梨華の瞳をじっとみつめる。
梨華も、その少女の瞳をじっとみつめかえした。

(なんか・・・すいこまれそう)

梨華は思った。
少女の瞳はとてもキレイで、吸い込まれそう、だと。
まるで・・・汚れを知らない、かのように。

「な、にをですか?」

その瞳をみつめながら、先ほど少女がした質問に答えた。
少女は変わらぬ微笑で梨華の手をとる。
梨華は突然のことでびっくりしたが、少女の手のぬくもりに安心した。

「一人は寂しい、一人はイヤだ。・・・しにたくないって。」

それは梨華の思っていたことだった。
心の叫び、だった
特に、最後は・・・本当に願っていたことだった。

「なんでっ・・!!」

梨華は突然の少女の言葉に、驚いた
少女は梨華の驚く様子を見て、また変わらぬ微笑で答えた

「お待たせいたしました。サンタクロースです。」

・・・この人、頭おかしいのかな?

梨華はそう思った。
10 名前:あきら 投稿日:2002年12月25日(水)18時59分27秒
どうも、あきらです^^

>>7 いちごま中毒者様
どうも、感想ありがとうございます。
続きを書きましたが、まだ名乗ってません(笑)
いや、次で名乗ります。あのひとが
(^▽^)<死にたくないよ♪
よければ、これからも見てください。

>>8 名無し読者様
どうも、感想をありがとうございます。
救えるでしょうか…あの人は。鳴るでしょうか、奇跡の鐘
(;^▽^)<「ねぇ救って」♪
期待にこたえられるかわかりませんが、
全力投球で書いていくので、どうかよろしくおねがいします。
11 名前:いちごま中毒者 投稿日:2002年12月25日(水)20時57分36秒


ぬおぉ!
まだですか!
>「サンタクロースです」
サンタクロースですか!!(笑)
続き楽しみに待ってます。
12 名前:ROM読者 投稿日:2002年12月27日(金)10時06分40秒
プレゼントって、物とは限らないですよね。
13 名前:「サンタクロース」act3 投稿日:2002年12月27日(金)22時07分18秒

その時、その人が、頭おかしいんじゃないか、って普通に思えた。
by梨華。

梨華は一瞬止まった思考回路をなんとか動かして
必死に少女に問い掛けた
「な、なにいってるんですか?」
「いや、だからサンタ」
梨華が聞いても、少女は変わらず自分をサンタ、だと言う。
サンタクロース。聖なる夜、クリスマスに純粋な心をもった
人にプレゼントを運んでくる、あのしろひげのおじいさんである。
(そう、おじいさん。おじいさんのはず。
でも・・・私の目の前にいるのは、ちょっとかっこいい女の子。)
梨華はまた頭がパニクッた。本日三回目である。
サンタと名乗る少女は梨華が理解不能な様子を見て、静かに笑った
「やっぱ、信じられないよねぇ。でも、マジなんだよね。」
そういって少女は梨華の後ろにあるクリスマスツリーをじっと見上げた
梨華もつられてツリーを見上げる
「ま、とりあえず、家に帰ろう?」
14 名前:「サンタクロース」act3 投稿日:2002年12月27日(金)22時08分27秒
少女は梨華の手をとった
梨華は慌てて、少女から手をはねのける。

「な、あなたなんなんですか?」
「だから、サンタ」

本日2度目の答えである。

「そういうんじゃなくて…、その、なんで私があなたと家に帰らなきゃいけないんですか!?」

梨華が必死に落ち着いてそういうと、少女はにっこり微笑んだ。

「アタシ、今日来たから、泊まるとこないんだよね。」

来たってどっから?と聞こうとしたが、またわけのわからない答えが
帰ってくるのを予想して、梨華は口をつぐんだ
・・・学習能力のある子である。

「なんなら今日だけでいいよ。すれば、きっとわかるから」

少女はまたそういって微笑む。
その少女の笑顔が、今まで少女を警戒していた梨華の心を
柔らかくさせた。

(なんだろう・・・この笑顔。すごい懐かしい)
15 名前:「サンタクロース」act3 投稿日:2002年12月27日(金)22時09分54秒
梨華は、少女の笑顔に、ほんの少し。本当に少しだけ見とれた
なぜだか、懐かしいキガした。ほんのちょっとだが。

「じゃ、今日だけ。」

どうせ女の子同士だし、と梨華は思い自称、サンタの願いを聞いた
それに、ほんの少し、興味が沸いていた。このサンタクロースに。

16 名前:「サンタクロース」act3 投稿日:2002年12月27日(金)22時11分13秒
「オーケイ。じゃ、いこっ」

再び、少女は梨華の手を握り、歩き出した
梨華は今度は手をはらわず、握り返した

「あ、あのっ」
「んー?」
「名前、教えて。」

梨華がそういうと、少女はちょっとだけ顔をしかめた

「だから、サンタ」

因みにこの答えは本日3度目である。

「サンタさんって街の中で呼べると思う?」
「きみならできるよ!」
「いや、そうじゃなくて・・・」

梨華がちょっと困った顔をすると少女は「ふぅ」とため息をつき
今までふざけていた顔から急にまじめな顔になった
そして、梨華の手を再び握り返す
17 名前:「サンタクロース」act3 投稿日:2002年12月27日(金)22時12分09秒

「―――ひとみ。って呼ばれてたなぁ。」
「え?」
「うん。ひとみ。アタシの名前はひとみ。・・・にする」

サンタ・・・ひとみはそういって、またにっこりと笑った
梨華はひとみの言葉に少しだけ戸惑ったが、彼女の笑顔を見ると
そんなことどうでもよくなってしまった

「じゃ、ひとみちゃん、いこっ」

そういって、家路を急いだ。
梨華はなんだかんだいってひとみを受け入れてしまった。
自称サンタクロースを。
それは今まで孤独だった梨華が、何年振りに感じれた人のぬくもりが
自称サンタクロースひとみを受け入れた理由なのかもしれない。

次回へ続く。
18 名前:作者(o^〜^)σ(;^▽^)作者 投稿日:2002年12月27日(金)22時18分43秒
どうも。act3なげぇー!upして気づいた(゚Д゚)

>>11いちごま中毒者様
とうとう名乗りました。サンタクロース吉澤!!(芸名っぽい)
これから段々とナゾめかしいサンタのナゾがとけていく!はず!です!
(^▽^)<プレゼントが欲しいが人間の本能♪

>>12ROM読者様
どうもはじめまして!!そうです、プレゼントがものだとはかぎりません
これはそんな石川と吉澤の物語です(どんなだ)
(^▽^)<よければまた感想よろしくおねがいします♪
19 名前:ROM読者 投稿日:2002年12月28日(土)01時14分05秒
でも、サンタ自身がプレゼントってのも(略
20 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2002年12月28日(土)22時08分31秒
梨華はひとみを自分のマンションへと案内すると
部屋へとあげた

「へー。キレイじゃん。汚いっていうわりには。」

ここへくる道中、散々ちらかっている、といっていた梨華に
ひとみはそういって、はやくもソファでくつろいだ

「なんか、飲む?」

梨華は何か準備しようとキッチンへ向かおうとしたが
すぐひとみの手によって、ソファに座った

「そんなことよりも。こちらとしては説明したいんだよね。」
「何を?」
「サンタ。つまり、アタシのこと。後、これからのこととか」

梨華はちょっとまだサンタのことを疑っていたが、
先ほどのようにひとみのことを頭がおかしいひとだとは思わなくなっていた
数分、一緒に歩いて、少しだけ話してわかったのである
ひとみは、不思議な人だ、ということが
もちろん、まだサンタクロースだということは信じていないが
話に興味はあった

「じゃ、話して。」

梨華はそういうと、ひとみはにっこりと笑った
21 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2002年12月28日(土)22時09分31秒
「何から話せばいんだろう。んーと、じゃサンタのことから」

ひとみはしばらく考えて、話始めた
梨華はじっと、ひとみの横顔だけをみつめていた

「12月23日の夜、子供の願いを聞いて、
プレゼントをあげるってのがサンタだと思ってると思うけど。
実はそれは違うんだ。」
「え?違うの?」
「まぁ、作り話でもないんだけどね。実際そういうのあったし。
サンタってのは一種の死神だよ。」

―――死神。
死をつかさどる神で、人間の魂を狩るモノ
それが・・・サンタ?

「信じられないって顔してるねー」
「だって、じゃあ、ひとみちゃんも?」
「そ。アタシはサンタだからね。死神の一種。」

ひとみはそういって「驚いたっしょ?」と笑った
梨華はただ頷いた
22 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2002年12月28日(土)22時11分18秒
「っつってもただの死神じゃないよ。
 サンタっつーのは、クリスマスに死ぬ者に最高の幸せを与えるんだ。
 つまり・・・梨華ちゃんね。クリスマスに死ぬ人」
「へぇ・・・ってうそ!?」

梨華は驚いた。まさか自分がクリスマスに死ぬなんて、と
カレンダーを見てみる。本日11月24日。あと、一ヶ月。
梨華余命一ヶ月ということをサンタクロースに言われてしまった

「後・・・一ヶ月。」
「そ。だから、一ヶ月間、アタシが梨華ちゃんを幸せにしてあげる」
「は?」
「それが、サンタの役目だから。クリスマスに死ぬときに、幸せだったって感じさせて
あげるのが、アタシの役目。だから、この一ヶ月間、アタシは梨華ちゃんの
願い事をぜーんぶかなえてあげるんだ。って、理解してる?」

「な、なんとなく。」

ぼやーとしてる梨華をみてひとみはため息した
無理もない。自分の命が後一ヶ月としったのだから。
23 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2002年12月28日(土)22時11分51秒
「つまり」

梨華は頭を横にぶんぶんとふって、ひとみに言った

「つまり、ひとみちゃんはこの一ヶ月間、私の願い事、全部聞いてくれるの?」
「イエス。」
「・・・なんでも?っていうか本当に?本当にサンタさんなの?」
「イエス。衣装、忘れてきて、今パーカーだけど、マジでサンタだよ」

ひとみはそういうとソファから立ちあがり、梨華の目の前にたった
梨華はまだ信じられないでいた
ひとみが不思議な存在、だということはなんとなく理解していたが
本当に願いごとをかなえてくれるなんて到底、信じられなかった
24 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2002年12月28日(土)22時12分54秒
「んー。いまいち信じてなさそうだから…ね、梨華ちゃん、今何が欲しい?」
「え?」
「なんでもいいから、いってみ?」

ひとみがそういうと梨華はんんーとうなって考えた

(欲しいもの・・・欲しいもの?・・・ポッキ―食べたい)

普通ならお金とかグッチとか言うものだが、梨華はなぜかポッキ―が頭の中に思いついた。

「ポッキー。10箱ぐらい。」
「・・・10箱も食べるの?あれ甘くない?」
「買いだめするのが癖になちゃってて。」

梨華が照れたようにいうと、ひとみはクスッと笑って
目を閉じて、スぅーと息をすった
すると、音もたたずに梨華の目の前に、ポッキ―10箱がいきなり現れた

「・・・うそ」
「信じた?」

梨華はただ、うなづくしかなかった。
そして、梨華は信じた。ひとみがサンタ、だと言うこと
梨華が後一ヶ月で、死ぬということを。
25 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月31日(火)11時04分31秒
おもしろいです。
続き期待。
26 名前:サンタクロース作者 投稿日:2003年01月01日(水)00時55分32秒
みなさんあけおめでーす!!

ROM読者さま
どうもです。サンタ自身(笑
そうかもしれませんねぇ。まぁ、そんな展開かも!?
(^▽^)<今年もよろしくです♪

名無し読者様
どうもどうも。あけましておめでとうございます
おもしろいっていわれて光栄です
がんばるのでよければ続き、見ていってください
27 名前:サンタクロースACT5 投稿日:2003年01月01日(水)01時16分08秒
ずっと考えていたことだった
「死」ということ
つまり私の世界がなくなるということ
その「死」を私に与えるのは笑顔が似合うサンタクロース
死神はサンタクロース?あぁ、確かに背が高いかも
28 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2003年01月01日(水)01時17分13秒
「梨華ちゃん、大丈夫?」
「え?」

梨華が目をあけるとひとみが心配そうに梨華の顔をのぞきこんでいた
さっきまで死について考えていたはずが、どうやら自分は寝てしまったのだろうか?
ソファに足をのばして寝ている

「私、寝ちゃったかな?」

ひとみにそう聞くと、ひとみは黙って首をふった

「いきなり意識がなくなったんだ。こういう症状、前からあるでしょ?」

ひとみがそう聞くと梨華はこの前の発作のときのことを思い出した
確かに発作は最近あった。しかし、意識がなくなる、ということは今回が初めてだ

「意識、がなくなるのは初めて」
「そっか。」

梨華がそう答えて、起き上がろうとするとひとみがそれを制した

「おきないで。まだだるいっしょ?」

そういえば、いささか自分の身体を重く感じる
梨華はそれに気づき、首をたてにふった

「ベットどこ?」

ひとみが梨華に聞くと梨華は寝室のドアを指差した
29 名前:サンタ[act4]クロース 投稿日:2003年01月01日(水)01時17分57秒

「よし。運ぶ。」
「え?」
「ここじゃ風邪ひくじゃん。で、アタシがここで寝る。」

それじゃ、ひとみちゃんが風邪ひくじゃない。
そう言おうとしたがどうやら身体は限界にきていた
視界が少しだけぼんやりする

「喋らないで。まだ初期段階だけど用心するには超したことないから」

ひとみは梨華をソファから軽々しく持ち上げて寝室のドアをけった
・・・乱暴である
だか、梨華はひとみの腕の温かさしかもう感じれなかった
身体がだるく、もう目をあけるのも辛い

「大丈夫。梨華ちゃんは苦しまないよ」

ひとみのその言葉を聞き終わると梨華は夢の世界へ、と瞼を瞑った
30 名前:サンタクロースACT5 投稿日:2003年01月01日(水)01時18分27秒
梨華をベットにねかせ、ひとみはその横で梨華を見てみる
すっかり寝てしまった梨華は規則正しい息をしている
そんな彼女を見ていると、一ヶ月後に魂をとることなんてためらってしまう
しかし、自分はプロ。お仕事はきっちりやらなければいけない
ひとみの頭がその言葉をよぎる

「ま、一ヶ月楽しみましょ?」

ひとみはそう呟くと、リビングのソファで寝るため
梨華の寝室からでようとした
静かにドアをしめるとき、かすかに梨華の声が聞こえた

「・・・っおかあ、さん」

ひとみは今回も苦しい仕事になるだろう、と覚悟していた
31 名前:サンタクロース作者 投稿日:2003年01月01日(水)01時19分22秒
うひゃー間違いました
28,29はサンタクロースACT5です!
しつれいしやした
32 名前:ROM読者 投稿日:2003年01月01日(水)08時59分53秒
あけおめ!新年早々更新乙です。
なんか微妙に痛いですね。ひとみサンタが優しいだけに。
死神が良心の呵責に耐えるのも妙で面白いです。(良心?
33 名前:サンタクロースACT06 投稿日:2003年01月02日(木)01時29分41秒

「天使、みたい」

梨華が朝起きて、リビングに向かうとソファにひとみが寝ていた
その無防備な寝顔に対してのコメントが「天使、みたい」である
死神に向かっていう言葉ではないのだと思うのだが・・・

「ん・・・」

梨華の気配に気づいたひとみは目をこすりながら起き上がった
ぼんやりと周りを見まわし、梨華をジッとみる

「お、おはよう」
「身体、大丈夫?」

挨拶よりも先にでてきた言葉は梨華を気遣う言葉だった
梨華は自分が昨日、倒れたことを思い出した

「あー、うん。大丈夫だよ。っていうか忘れてた」
「あはは。でもいいことだ。うん。」

ひとみはよっとソファから立ちあがり「んんー」とうなり背のびをした
そしてくるっと梨華のほうを見てまじめな顔つきになる

「梨華ちゃん、朝からこんな話すんのイヤなんだけどさ」
「なに?」

34 名前:サンタクロースACT06 投稿日:2003年01月02日(木)01時30分17秒
また「死」の話なのだろうか?
だとしたら本当にイヤな話だ。ひとみに非はないだろうが
梨華にとってこのさわやかな朝に「死」の話をされるのはちょっとだけ鬱だった

「いや、アタシは梨華ちゃんのサンタなわけで」
「うん」
「梨華ちゃんを幸せにしなきゃいけないんですよ。だから・・・」

だから?
梨華が首をかしげるとひとみは梨華から目線をはずして
少し間を置いていった

「あの、よければここに住ませてくれない?」

・・・朝からイヤな話というのは
サンタの死活問題である宿のことであった
梨華は大きな声をだして笑ってしまった

「な、笑わないでよ。恥ずかしかったんだから」

ひとみがそういうって照れたように梨華に背を向けた
35 名前:サンタクロースACT06 投稿日:2003年01月02日(木)01時31分13秒
その日、梨華とひとみはでかけた
もちろんひとみの生活用品をそろえるためである
お金をひとみマジック(梨華命名)で呼び出して(ニセ札ではないらしい)気に入ったものを買い
そして今後の計画をたてる、らしい

「ね、質問していい?」
「あい?」

クレープを夢中に食べたせいかひとみの口元にはクリームがついていて
少し、かわいかった

「ひとみちゃんって私のこと、幸せにするんでしょ?どういう風に?」
「んー。ま、とりあえず望まれたことはなんでもするなぁ。可能な限りはね」
「可能な限り?」
「やっぱ自然関係、とかあと人間のココロは絶対動かしちゃいけないから。」

よくわかんないんだよねぇ、そこらへん
と笑ってひとみは残りのクレープを全部ほおばった
「そっか」
36 名前:サンタクロースACT06 投稿日:2003年01月02日(木)01時31分54秒
そろそろ日が暮れてきた
ひとみと生活するためのものを全て買い揃え
梨華とひとみはマンションへと続く土手の道を歩いていた

「梨華ちゃんさー」
「ん?」

少し前を歩いていた梨華がふりむく
夕日に照らされてる梨華はひとみには少しだけまぶしかった

「まず初めに何がしたい?」

質問の意味を梨華はすぐ理解すると
そうだなぁーっとひとみに背を向けて梨華は考えた
梨華は夕日をぼんやりと見つめた
いつか母と一緒に見た夕日もこんな風に綺麗だったかなぁ、と
見つめているうちにひとみの質問と違うことが頭に浮かんできて梨華は頭をふった
37 名前:サンタクロースACT06 投稿日:2003年01月02日(木)01時35分14秒

「思いつかないとか?」

ひとみはその様子を見て呟き、梨華に近づいていた
梨華の肩にポンッとかるく手をおき、梨華の顔をのぞきこんだ

「そうだなー、ひとみちゃんは何かしたいことある?」
「へ?」

梨華の質問にひとみの動きが止まった

「な、何言ってんだよ。あたしは梨華ちゃんを幸せに―――」
「あのね、私ずっと一人だったから、こうやって友達と喋っていられるだけでも嬉しいんだ。多分、今幸せだと思う」

梨華はそういって「さ、いこう?」と少し駆け足気味に
土手を歩き出した
ひとみは呆然とした
これほど贅沢でないターゲットがいたであろうか?
今までひとみが担当した相手はどれもこれもどうしようもない人たちで
ラスベガスにいって豪遊したい、とかそんなくだらないことばかり言っていた
だが、しかし、梨華は違った
38 名前:サンタクロースACT06 投稿日:2003年01月02日(木)01時35分45秒

(贅沢じゃないってのも、なぁ…)

まぁ、いい。これから時間はまだある
彼女もきっと願いを一杯ひとみに託すだろう
人間いつだってみにくいものなのだから
それにひとみは先ほど梨華が自分のことを
「友達」といったことで、なんだか複雑な気持ちになった

「死神を、友達呼ばわりか。」

それがいいことなのか、よくないことなのか、ひとみにはわからなかったが
夕日に照らされている梨華の後姿がとても綺麗、だと思った
命が後少しのものはどんな時代だって儚く美しい
むかし、誰かがひとみに言った言葉をひとみは頭の中で繰り返していた
39 名前:(^▽^)作者(^〜^○) 投稿日:2003年01月02日(木)01時38分50秒
みなさん今年もよろしくですー!!

>ROM読者様
いつも感想ありがとうございます
そうですねぇ、なんだかヨシザワサンタはなんか
良心とかそういういろいろな心の中で揺れると思います、これから
(^▽^)<そんないしよしを見守ってください

かくし芸でのいしよし喧嘩、萌。(何か違うぞこら)
40 名前:ROM読者 投稿日:2003年01月02日(木)07時40分41秒
>かくし芸でのいしよし喧嘩、萌。
ん〜、いくら台本でも正月からあれはやだ。また誤解
する人が増えそうで。でもやぐのつっこみは笑った。
・・さて、よっすぃ〜サンタの心は何色に染まってい
くのでしょうか。
41 名前:サンタクロースACT7 投稿日:2003年01月17日(金)15時15分11秒
梨華とひとみが共同生活を始めてから、三日が過ぎた
「ひとみちゃん、もー、早く起きてよぉ」
梨華の毎朝の行事になりつつあるこの問いかけはいつも
ひとみの
「あー。」
というマヌケな言葉に終わらされる
一緒に暮らし始めてから、というかひとみが梨華の前に現れてから
ひとみは午前中におきることはなかった
といっても、まだ出会ってから4日だったが、これから先、
梨華の朝の問いかけにひとみが起きるとは思えなかった
「ゲームばっかしてるからだよ」
ひとみが興味を持ったプレイステーション2というゲーム機をジロっと梨華は睨んだ
全く、どこがおもしろいんだか
ゲームに興味のない梨華はプレステ2をみながらため息をついた
42 名前:サンタクロースACT7 投稿日:2003年01月17日(金)15時27分23秒
「じゃ、いってきます」
今だ寝ているひとみにそうつぶやき、梨華は玄関のドアをあけた
本日、天気は冬だというのにとてもよく晴れている
「綺麗な空」
ぴぴぴぴ...
澄みきった青空を見て梨華がぼんやりと呟いた時、梨華の携帯がなった
誰だろう、と梨華が携帯をひらくと、画面には
「柴田あゆ美」
とでていた
柴田あゆ美――――梨華の唯一の友達。
急いで梨華は通話ボタンを押す
「もしもしっ」
『梨華ちゃん?ひさしぶりー』
「柴ちゃん!い、いきなりどーしたの?」
あゆ美はあまり連絡をしてきてくれるほうじゃない
というか、あゆ美は普通の女子高生なのでこんな昼間に電話をかけてこれるような人じゃないのに
まさか・・・何かあったんじゃ?
梨華に不安がよぎる
43 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月07日(金)20時26分36秒
待ってます
44 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月05日(土)23時30分17秒
まだかなー
45 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月03日(土)09時30分39秒
保全
46 名前:ただ名がないだけ 投稿日:2003年05月25日(日)00時50分04秒
期待しまくっております。
47 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月17日(火)18時25分48秒

48 名前:名無し 投稿日:2003年06月17日(火)18時57分34秒
保全
49 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月23日(水)18時40分29秒
ho
50 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/29(月) 12:57
待ってますよ
51 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/05(水) 04:09
おお、ここまで一気に読みますた
おもしろいっす
続き期待保全
52 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/09(火) 02:39
ho
53 名前:名無しさん 投稿日:2004/03/01(月) 19:12
保全

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