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専属ケーキ屋さん3
- 1 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月25日(水)10時18分48秒
どーもー☆前スレが容量いっぱいになりそーなんで、お引越しです!!
専属ケーキ屋さん…もう『3』になってしまいました!!嬉しい限りです♪
読んで下さっている皆様、本当に本当にどうもありがとうございます!!!!!
『3』も頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!!
専属ケーキ屋さん
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/silver/1034649375/
専属ケーキ屋さん2
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/silver/1037682356/
- 2 名前:第五十話 投稿日:2002年12月25日(水)10時20分17秒
「は?」
圭は、一人暮らしをしているマンションを訪ねて来た亜依の言葉に、圭は耳を疑わずには
いられなかった。
「も、もっかい言ってくれる?」
「だからぁ、梨華お姉様は実は駆け落ちしちゃったんです。」
「誰と?」
「婚約者の吉澤ひとみさんと。」
圭は額を手で押さえた。
「…ちょっと待って。なんでわざわざ婚約者と逃げるの…?」
「真希ちゃんは、『カクショウが欲しかったんじゃないか』って言ってたけど。」
出されたジュースを一口飲んで、亜依はにっこりと微笑んだ。
「亜依にはよくわかんないんだけど、真里お姉様は『わからないワケじゃない』って言っ
てました。」
「・・・・・・。」
圭は深いため息をつく。
「…いつか、なんかやらかすだろーと思ってたけど…まさか駆け落ちとはね…。」
「ま、梨華お姉様ならそのくらいやりなねないとは思ってたけどー。」
亜依は目を輝かせた。
「ねえねえねえねえ、圭さんっ!亜依が『連れて逃げて』って言ったら、逃げてくれる!?」
そして、圭の膝元にまとわりつく。圭は亜依の頭をなでた。
- 3 名前:第五十話 投稿日:2002年12月25日(水)10時20分48秒
- 「…ま、時と場合によるわ。」
「えっ!?ほんとに!?」
「でも、吉澤さんみたく無条件ではもう無理ね。」
「えぇ〜っ!!なんで!?」
すると圭は、亜依の額に自分の額をくっつけた。
「イロイロ考えちゃうでしょー?こんな六歳も年下の子の人生、狂わせちゃいけないって。」
亜依はぶすっと頬をふくらました。
「年なんて関係ないもん!」
「そうだけどねー…でも、オバチャンとしては考えちゃうワケよ。」
亜依は圭に抱きついて、目を閉じる。
「…まったく、甘えん坊ね。このお嬢様は。」
圭は微笑んで、亜依の唇に軽いキスを落とした。
「きゃ〜♪」
顔を真っ赤にして喜ぶ亜依を見て、圭は頬が緩むのを抑え切れない。
つい先日、恋人になったばかりのこの少女を見て思う。
(…ま、でも吉澤さん。気持ちがわからないワケじゃないわね。)
きっと自分も、亜依に『連れて逃げて』とせがまれたら…駆け落ちしてしまうだろう。
そんな事を考えつつ、圭は亜依の頭をなでた。
- 4 名前:第五十話 投稿日:2002年12月25日(水)10時21分20秒
なつみは、梨華がひとみと逃げた時点で『Tochter.』の閉店は覚悟していた。
しかし、石川家が『営業を続けて下さい』と言って来たので、平常通りの営業をしてい
る。自分のケーキ屋を開くのが夢だったなつみにはありがたい事だ。
「…あ、もうそろそろ三時ですね。」
紗耶香の帰る時間が近付いている。
「あ、本当だ。お疲れ様でした。」
なつみはぺこりと頭を下げてから、ぽつりと口を開いた。
「…梨華お嬢様がウチのひとみと駆け落ちしちゃって…本当だったら閉店しなきゃいけな
かったのに続けさせてもらえて…。しかも紗耶香さんまで変わらずお手伝いに来て下さっ
て…石川家には、感謝してもし足りないべ。」
「いえ、そんな。」
紗耶香は執事スマイルで返す。
「…こちらこそ、感謝しなければなりません。」
「え?」
「なっちは真里お嬢様の心を、救って下さった。」
なつみはちょっと赤くなって、頭をかいた。
「いや、そんな…大した事してないべさ。」
「いえ…誰にもできなかった事です。…私にも。」
紗耶香のその言葉に、なつみの胸が痛んだ。
- 5 名前:第五十話 投稿日:2002年12月25日(水)10時21分55秒
- 「…ねえ、紗耶香さん。」
「はい。なんでしょう?」
「…真里っぺの事、好きなの?」
「…はい…?」
なつみは懸命に涙をこらえつつ、言った。
「…だから、真里っぺにあの日の事がバレて…怒られたら、あれっきり…なっちとの事、
なかった事にしちゃったの?」
その姿は、消え入りそうなくらいに儚かった。
「・・・・・・。」
珍しく、紗耶香は衝撃で口がきけなくなった。そんな紗耶香を見て、なつみの目からこら
えていた涙が零れ落ちる。
「…やっぱり、そうなんだ。」
「えっ!?」
「ごめん…なっち、ちょっと勘違いしちゃってたよ。…紗耶香さんはなっちの事…そーゆー
意味で好きでいてくれるって。」
なつみは背中を向けて、ごしごしと目元を拭う。
「なんでもない。なんでもないんだべさ。だから…気にしないで。」
そう言うなつみの小さな背中を…紗耶香は抱きしめた。
「気にしないでいられるわけ、ないでしょう。」
「…やめて。」
「真里お嬢様は、大切な主です。ですが、恋愛感情は抱いてません。」
- 6 名前:第五十話 投稿日:2002年12月25日(水)10時22分27秒
- 「…嘘だべさ。」
「嘘じゃないですって。」
なつみは、紗耶香を押しのけた。
「やめて!!…なんで…なんで、そんな嘘…!!!」
「嘘じゃありません。」
紗耶香は、真剣な表情──いままで見たことないような顔で、なつみに言った。
「なっちが好きです。」
「・・・・・・。」
「真里お嬢様は、主でず。そして私は二年前、その主である真里お嬢様を守れなかった。
私の目の前で真里お嬢様は誘拐され…無事に戻ってはいらしたけど、真里お嬢様の心には
大きな傷が残った。」
紗耶香はつかつかとなつみに近寄り、指で涙を拭う。
「…私はずっと、負い目を感じていました。だからこそ真里お嬢様に仕えていたのかも知
れません。…でも、それは本当に辛かった。
そんな私を見かねて、旦那様は私を本邸から遠ざけるお仕事を色々と下さったんです。」
「『Tochter.』の店員も?」
「はい。…今考えると旦那様は、私をなっちに会わせる為に、私をこの『Tochter.』
に派遣して下さったのかも知れませんね。」
なつみは首を傾げる。
「…でもなっち、石川家の旦那様になんか会った事ないべ?」
- 7 名前:第五十話 投稿日:2002年12月25日(水)10時22分57秒
- 「旦那様は不思議なお方ですからね。…ですが、いつも正しい事をされる方でもある。」
紗耶香はふわりと、両手でなつみの頬を包み込む。
「…私も、なっちに出会って救われた。
天使のようなその笑顔や、少女のようなその純粋さと…そして、なっちのケーキに。」
「紗、耶香さん…。」
「なっちを、愛しています。」
「・・・・・・っ!!」
なつみは紗耶香に抱きついた。
「なっちも!!なっちも紗耶香さんが、大好きなのっ!!
あれ以来、なにもなくて…本当に寂しかったの!!」
紗耶香は、なつみの唇に何度もキスを重ねる。
客のいない店内で、二人は…何度も何度も唇を重ねた。
- 8 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月25日(水)10時23分56秒
いえーい!!新スレー!!!うれしいな〜♪嬉しいな〜♪
浮かれモード・クロイツでございます。
前回のフランソワーズの衝撃を中和する為、今回は『最近出て来ないな〜』と思われる二組
に幸せになって頂きました(笑)
>ヒトシズク様
フランソワーズの最期…フランソワーズは『げこ』しか言わないので、一歩間違えると笑え
ちゃうのを、無理矢理笑えない方向に持って行くのに苦労しました。
そーか…泣きそうになって下さいましたか。それはよかった…。
新スレでもがんばります!どうぞよろしく!!
>まるみ様
なんだかフランソワーズ、人気あったみたいで…よかった〜。
「カエルだしなぁ…嫌われてるかも」と心配してたのですが…よかったです♪
がけっぷちよしこさんを書くのが好きです(笑)
- 9 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年12月25日(水)11時27分09秒
- 新スレおめでとうございます!
このお話が大好きなのでなが〜く続いて私も嬉しい限りです!!!
今回はあんまり出てこない方々で幸せになってくれて嬉しさ倍増です!!!
これからも目が離せませんね(^−^!
更新頑張ってください!
応援してます!
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月25日(水)12時51分38秒
- 久々にやすかごだぁ!!と喜んでたら非っ常に甘〜い雰囲気に
思わず頬を緩めていたら!!
なっちと紗耶香もぉぉぉ!!
だんだんみんな幸せに近づいてきて嬉しい限りです。
でもこんこんのことがとても気になります・・・。
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月25日(水)17時23分11秒
- フランソワーズの言いたかった事が気になる。
ごっちん、救ってあげるのだ!!なっち可愛いー!!
- 12 名前:まるみ 投稿日:2002年12月25日(水)18時59分19秒
- 新スレおめでとうございます。
連載開始から約二ヶ月でもう3スレ目。
長くて早いこと大変嬉しいです。
これからももっとがんばって下さい。
- 13 名前:あおのり 投稿日:2002年12月25日(水)19時00分09秒
- 新スレ乙&おめです。しかしもう3枚目とは、早いですなぁ〜。かっけー!
楽しんで書いておられるのが伝わってきます。
自分的にはよしいしの子供がかなり見てみたい。
石川家なら何とか…って無理かな?
そしてあさみちゃんvsあややの行方も気になる。
続き期待して待ってます。
- 14 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年12月25日(水)22時35分30秒
- クロイツさま
新スレおめでとうございます。\(o^〜^o)/
しかし、悪役あやゃのフランソワーズへの攻撃は...。泣きそうです。
暴走するあやゃを、柴田さん&大谷さんに止めて欲しいです。
う〜ん、でも、それでも从‘ 。‘从あやゃは可愛いですね。
次の更新も待ってます!
- 15 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時32分14秒
ベンチの前で放心しているあさ美を見つけたのは、明日香だった。
(…あら?あれは…後藤さんの…。)
噂話が大好きなメイド達をまとめる明日香は、真希の『年下の恋人』についてかなり詳し
く知っていた。
例えば、『Tochter.』の四姉妹の末っ子だとか、石川家の末っ子・里沙に勝る
とも劣らない天才的な頭脳の持ち主だとか、現在、柴田家の松浦亜弥にいじめられている
とか。今さっきも、噂話をして来たばかりなくらいだ。
「…紺野あさ美さん?」
そう声をかけると、あさ美はビクッとなって振り向き…そして、ずりずりと後退りをした。
「ああ、あなたは私の事知らないのよね。私は福田明日香。石川家でメイドをしているの。」
「・・・・・・。」
しかしあさ美は、真っ青な顔で目を見開くばかり。しかもその目も、涙で濡れている。
「・・・・・・?」
不審に思った明日香は、ふと視線をベンチの方へと走らせた。
「ひっ…!?」
無残に殺された(としか思えない)カエルの死体に、明日香は思わず悲鳴を上げそうになっ
た。
「…フランソワーズ…!!」
あさ美のその呟きで、明日香ははたと気付いた。
- 16 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時32分44秒
- 噂話によると、あさ美はいじめを受けているらしい。
唯一の友達は、カエルらしい。
そして…松浦亜弥の、異常なまでの残酷さ。
明日香の頭の中で、全ての点が線でつながった。
「…殺されたの?そのカエル。」
あさ美はこくんと頷いた。
「埋めて、あげなきゃ。」
あさ美はふるふると首を横に振り、接着剤でベンチに貼り付けられたフランソワーズの手
足を指差す。
「・・・・・・。」
明日香は、フランソワーズの足に鼻を近づける。
「…このニオイ…柴田家系列の会社で作られた接着剤ね。商品名は確か『ぴったりしたい
X'mas』。去年のクリスマスに限定発売されて、物珍しさからかなり売れた…。」
「…なんでそこまで…わかるんですか?」
明日香はにっこりと笑った。
「だって私、家事のプロだもの!」
明日香は携帯を取り出した。
「…もしもし?私。至急、『七つ道具』を持って来てくれない?石井公園まで。至急よ。
来なかったら、後々後悔する事になるからね?」
電話口で早口にそう言うと、電話を切って…あさ美に微笑みかけた。
「…もう、大丈夫だからね。」
あさ美の真っ青だった顔に、だんだん赤みが戻って来ていた。
- 17 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時33分16秒
「ただいま、梨華ちゃん!」
「お帰りなさい、ひとみちゃん♪」
梨華はひとみに抱きついて、目を閉じる。ひとみはそんな梨華の唇に、自分の唇を重ねた。
すぐに唇を離すと、梨華は眉を寄せた。
「もっとぉ〜!」
「・・・・・・。」
ひとみは真っ赤になって、もう一度キス。
何度かそんな事を繰り返し、ようやく梨華が納得する。…その頃にはひとみが梨華を離
し難くなってしまっていて、しばらくぎゅ〜っと抱き合う。
「もぉ〜、ひとみちゃんっ。ごはん冷めちゃうよぉ〜。」
「うぅ〜ん、でも…もーちょっと!」
「仕方ないわね、ひとみちゃんってば♪」
砂糖を吐きそうな程のイチャつきっぷりである。
ようやく離れて、食卓につく。今日の夕飯はカレーライス。
「今日ね、管理人さんの娘さんとお孫さんがいらしてたの!それで、このカレーのレシピ
を教えて下さったの♪なんでも、亡くなった管理人さんの奥様の秘伝なんですって!」
「へ〜!うまそー!いただきま〜す♪」
「ねぇねぇ、どう?おいしい?」
「うめェ!!すっごいおいしいよ、梨華ちゃん!!」
「きゃ〜♪良かったぁ〜♪」
…こんな感じで、夕食も進む。
- 18 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時33分48秒
- 昨日の夜から、二人はもう『我慢する』と言う事をやめたのだ。
…まぁ、梨華の誕生日まではえっちは我慢するそうだが。
そんなワケで、二人は活き活きとイチャついているのだった。
夕食を食べ終わり、片付けも終わり、風呂にも入ると…二人の時間はますます甘くなる。
ひとみは梨華を後ろから抱きしめながらテレビをつけた。
「お、この子可愛い。」
「…もうっ。ひとみちゃん!?」
「でも、梨華ちゃんのがもっと可愛い♪」
「やだぁ、もう♪ひとみちゃんってばぁ。」
「ん〜、梨華ちゃ〜ん。」
ひとみは梨華のうなじにキスをする。
「きゃんっ。やんっ。ひとみちゃん、くすぐったいよぉ。」
「梨華ちゃん可愛い〜♪」
「ひとみちゃんも…素敵♪」
…これ以上の会話は、割愛させて頂きたい。
これ以上聞くのは、精神衛生的に悪いかと思われる。
こんな二人を見て、平家みちよはぽつりと呟く。
「…バカップルが。」
この二人をあらわす上で、これ以上適切な言葉はないかも知れない。
- 19 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時34分21秒
その頃、あゆみは…見合い写真を強制的に見させられていた。
「どれが、良いのはありましたか?」
「…No.77444とか?」
「そんじゃ、その方といっちょお見合いしてみましょうか。」
「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待った!そんな簡単に…!!」
「こーゆーのはインスピレーションが大切ですからね。」
「っだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!私は見合いはしないってば!!!」
あゆみは慌てて見合い写真を置く。そして、深々とため息をついた。
「…ねえ、大谷。」
「はい、なんでしょう。」
「・・・・・・。」
黙ってしまったあゆみに、雅恵はにっこりと笑って言った。
「石川家の次女のように、『女に男の戸籍を取らせて』ってのはあゆみ様には無理ですよ。」
あゆみは無言で雅恵をにらみつけた。
(…ムカつく。)
梨華と同じ手段が取れない事がムカつくのではない。雅恵が、あまりにも優秀なのがムカ
つくのだ。
昔からそうだった。雅恵はあゆみがやる事なす事、すべて先回りして言い当てる。
- 20 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時34分55秒
- あゆみにだって、それが無理な事はちゃんとわかっている。既に当主に祭り上げられ
ている自分は、跡取りを産まなくてはならない。だから、子供を作れない女同士の結婚は、
法律が認めたとしても柴田家が許してくれないのだ。
更に、もう当主になってしまっているあゆみは、逃げる事すら許されない。
「はぁ〜…。」
ため息をついた。
学校はもう新学期を向かえ、授業も開始しているはず。だが、仕事が忙しくて行けない。
「梨華ちゃんに会いた〜い。」
そのあゆみの呟きに、雅恵は珍しく反応しなかった。
「…そうだ、あゆみ様。藤本様のお勉強を、あゆみ様が見て差し上げたらいかがです?」
「えっ!?良いの!?」
「ええ。そのくらいのお時間なら取れますから。」
目を輝かせ始めたあゆみを見て、雅恵は内心ほっとため息をつく。
(なんとか、話を逸らせましたね。)
雅恵は、梨華がひとみと駆け落ちした事などとっくの昔に掴んでいる。しかし、それを
あゆみにひた隠しにしているのだ。
- 21 名前:第五十一話 投稿日:2002年12月26日(木)12時35分27秒
- (知ってしまったら、仕事どころじゃなくなっちゃいますからね。)
でも雅恵自身、それが建前だと言うのはわかりきっている。
あゆみが傷つく姿は、見たくない。
雅恵は、ひとみが嫌いだった。あれだけあゆみに愛されながら、最後の最後まで裏切り
続けたひとみが、大嫌いなのだ。
幼い頃からずっと、あゆみしか見ていなかった。
だけどあゆみは、雅恵の事を見ていない。『いるのが当然』なのだ。
雅恵は、それで良かった。恋愛対象にならなかったとしても…いつか、あゆみにとって
『空気』のような存在になれれば。
当たり前にあるモノだけど、なければ死んでしまう。
あゆみの、そんな存在になりたい。
(それが…私の望み。私の幸せ。)
美貴の話を喜々とするあゆみを前に、癒されない傷を抱えて…雅恵は、微笑むのだった。
- 22 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月26日(木)12時36分30秒
あまあまいしよしが書きたかったのれす。さーて、梨華ちゃんの誕生日が楽しみになっ
てまいりました(笑)。
>ラヴ梨〜様
純潔はどうやら、誕生日に(以下略)こんこんはこれから、反撃に出る事でしょう。
ついて来てくださいますか?いやん、うれすぃ〜☆
>ヒトシズク様
ありがとうございます!!大好きだなんてそんな、嬉し過ぎです!!
これからも頑張りますので、どうぞよろしくでっす!!
>>>10名無し読者様
あいぼん、積極的にがんばったみたいです!!
こんこんは…これから、ですねぇ〜(笑)
>>>11名無し読者様
ごっちんより先に明日香さんがいらっしゃいました。明日香さんすごいです。
フランソワーズの言いたかった事…想像におまかせする、かも知れません(笑
- 23 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月26日(木)12時37分09秒
- レスの続きでっす♪うれしいな〜♪
>まるみ様
ありがとうございます♪がんばります!!
3もよろしくおねがいすますね〜!!
>あおのり様
ありがとうございます☆
いしよしの子供…み、見たいっ!!どうでしょうね、石川家(笑)。
がんばりますので、どうぞよろしく!!
>ななしのよっすぃ〜様
よかった〜!あやや、今回本格的に嫌われたらどーしよーかと…(汗)
そして、出て来ましたよ〜見合い写真No.77444!!
柴ちゃんちょっと気に入ってます(笑)
がんばりますね〜!!
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月26日(木)14時03分52秒
- 遅くなりましたが、新スレおめでとうございます。
あの、精神衛生上よろしくない会話ってどんなんですか(w
平家さんこれから毎日大変だろうなぁ…でもうらやましい…
そして…こんこん、頑張ってくれ…
こんなシーンなのに「ぴったりしたいX'mas」に笑いそうになってしまいました…
- 25 名前:まるみ 投稿日:2002年12月26日(木)16時07分31秒
- 「ななしのっすぃ〜」さんと柴ちゃんの見合いを見たかった・・・。
出てくる執事さんは、みんな秘めた思いを隠していて、
それでも頑張っているのは大変だね。
がんばれ!オオタニ!
- 26 名前:あおのり 投稿日:2002年12月26日(木)16時47分17秒
- 砂糖をザーザー吐きながら今回もモニターを見入ってしまいました。
おかげで周りにいっぱいアリがたかっております。
我慢をやめたよしいしたまらん!
まだまだ続きますよね?ね?ね?
しっかりウオッチしてるへーけさんからしたら迷惑かもしれませんが(w
続け!
- 27 名前:桜流 投稿日:2002年12月26日(木)21時03分21秒
- 遅ればせながら新スレおめでとうございます☆(^▽^)
甘い甘いいしよし!たまらないですね〜顔がニヤケてきますよ!
そして…雅恵せつないですね…なんかすごく共感できて、泣きたくなります…。
- 28 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年12月26日(木)22時49分37秒
- クロイツさま
更新お疲れさままです。
>「…No.77444とか?」
>「そんじゃ、その方といっちょお見合いしてみましょうか。」
>「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待った!そんな簡単に…!!」
>「こーゆーのはインスピレーションが大切ですからね。」
川σ_σ||「大恋愛が始まるよなインスピレーション♪」
ありがとうございます。お見合いしていただければ、きっと幸せにします!
川o・-・)「...」
(0゜-゜0) 「だって私、家事のプロだもの!」
(0^〜^0)「かっけ〜」
( ^▽^)「やだぁ、もう♪ひとみちゃんってばぁ」
あまあまないしよしも最高です!そして、明日香もかっこ良いです!
無言の紺野さんが不気味ですが、あやゃ早くいい子に戻って!
そしたら、柴田さんに出したお見合い写真bV7444をあやゃ用お見合い写真に交換でお願いします。(笑)
では、次回の更新を楽しみに待ってます!
- 29 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時23分25秒
「あっははははははははは!!あははははははは!!見た!?紺野のあの姿!!」
駅前の喫茶店で、数人のとりまきに囲まれた亜弥は高笑いをしていた。
「たかがカエル一匹で、馬鹿みたい!!」
とりまき達は、亜弥に合わせるようにして笑っていた。全員その笑顔が引きつっているの
だが、本音を出すわけには行かない。
とりまき達は、亜弥が怖いのだ。だが、それをちょっとでも態度に出せば…明日から自
分も亜弥の『ターゲット』になってしまう。
『ターゲット』になれば、自分は必ず殺される。
それを、愛を自殺に追いやった時に思い知ったのだ。
「てゆーかさぁ、馬鹿だよね紺野って!!」
「そうそう!紺野ごときが亜弥にたてつくなんて、百万年早いっつーの!」
「ホントだよ!あー良い気味〜!」
口々にそう言いながらも、全員本心では亜弥を恐れている。どちらかと言うとあさ美に同
情している。
それがわからない亜弥ではない。
亜弥はニヤリと笑った。
「…それじゃあさ、もーそろそろ…愛ん時みたくしよっか?」
亜弥以外の全員の顔が、強張った。それを見て、亜弥は機嫌を損ねたような表情を作る。
- 30 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時23分57秒
- 「…何?嫌なの?」
「う、ううんっ!!そんな事ない!!」
「わ〜、またアレできるんだね!!」
「超楽しみ〜!!」
青ざめた顔で必死に笑顔を作り、喜ぶフリをするとりまき達を見て、亜弥は絶対零度の微
笑みを浮かべた。
「そー来なくっちゃ♪」
その笑顔の冷たさにぞっとしながら、とりまき達は必死に楽しげな雰囲気を作る。
亜弥は携帯を取り出した。
「あ、もしもし?あややだけど…一年ぶりね!また頼みたい事があるの♪」
とりまきの内の一人が、席を立った。
「ちょっとトイレ、行って来マース!」
亜弥はひらひらと手を振る。
とりまきのうちの一人…ミカ・トッドは個室に入るやいなや、震える手で携帯を取り出
し、メモリーを呼び出す。
「もしもし…里沙お嬢様?ミカです。た、大変な事になりマシタ…。」
ミカは声を潜め、涙目になりながら必死で状況を説明するのだった。
- 31 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時24分59秒
ミカからの電話を受けた里沙は、携帯片手に立ち上がった。
「…ミカさん。落ち着いて。落ち着いてくださいませ。」
足早に部屋を出て、玄関に向かう。
「私が、なんとかしますわ。だからミカさん。すぐにそこから離れて。そんな近くであな
たがこんな話をしている事がバレたら…ミカさんの身が危険ですわ!」
『は、はいっ!』
「すぐに家に帰って…引越しの準備を。次の入居先も転校手続きも、手配はこちらでいた
しますわ!だから早く!」
『わかりマシタ!』
電話が切れてから、里沙は舌打ちをする。
(まさか、松浦亜弥がそんな危険人物だったなんて!!)
権力を握るには若すぎて、それ故に調子に乗ってる女としか見ていなかった。だから里
沙も、自分の部下の娘をさりげなく側に置く事くらいしかしなかったのだ。
ミカは、ハーフだ。父親は里沙の管轄の会社のハワイ支店の支店長。ミカは日本に単身
留学して来ている。
- 32 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時25分29秒
- ミカが日本にやって来たのは、去年の春。愛が自殺した半年後だ。
そんなクラスに、日本に不慣れなミカを送り込むのは気が重かった里沙だったが、ミカ
は意外にも優秀なスパイだった。自然の流れのように亜弥のとりまきに加わり、亜弥の動
向を逐一報告してくれていた。だから里沙は、あさ美がどのようにいじめられていたかは
全て把握している。
「…松浦亜弥、放置しておいたら石川家の損害となる存在だと思ったからこそ監視してい
たのに…まさか、こういう形で厄介者になるとは…。」
里沙は使用人用の寮に飛び込んだ。
「アヤカさん!アヤカさんはいる!?」
すると、里沙の背後に突如気配があらわれた。
「はい、ここにおります。」
里沙は対して驚いた様子もなく、振り返った。
「…実は…非常事態が起きたましたの。」
「出動ですか?」
アヤカの目がきらりと光る。里沙はこくりと頷いた。
- 33 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時25分59秒
- 「紺野あさ美を守って!このままだと大変な事になりますわ!」
「かしこまりました。」
アヤカは、一瞬にして姿を消した。
里沙は爪を噛む。
(冗談じゃないわ!紺野あさ美は、殺させたりなんかしない!)
里沙は呟く。
「…紺野あさ美の価値に気付き、それを手に入れた者こそが…勝利を得られるんですから!!」
里沙は、あさ美の天才的頭脳の活用の仕方を知っている。
彼女を手に入れれば、もう柴田家にも誰にも煩わされる事はないのだ。
里沙は祈るような気分で、天井を仰いだ。
- 34 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時26分30秒
当のあさ美は、真希の部屋にいた。
明日香に言われて『七つ道具』を持って来たのは、真希だったのだ。
『…あさ美!?』
真希はあさ美に駆け寄り、抱きしめてくれた。
そんな二人を横目で見ながら、明日香は透明な液体をガーゼに染み込ませ、それでフラ
ンソワーズの両手足を拭った。するとまるで魔法のように、貼り付けられていた手足がベ
ンチから離れた。
驚くあさ美に、明日香はにっこりと微笑んでくれた。透明な液体の原材料は、内緒なん
だそーだ。
あさ美は真希の部屋で、真希の腕の中で涙を流し続けていた。真希も、何も言わずにあ
さ美を抱きしめている。
「…出会って、まだ三ヶ月だったんです。」
しばらくして、あさ美がぽつりと言った。
「その三ヶ月…私、フランソワーズにずっと救われていました。
フランソワーズがいたから、毎日学校に行けたし…何をされても気にならなかった…。」
「…うん。」
「なのに私は…私はフランソワーズに何もしてあげられなかった…。守ってあげる事すら
できなかった。
なんで…なんで、目を離しちゃったんだろう。『ちょっとだから大丈夫』なんて思っちゃっ
たんだろう。」
- 35 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時27分00秒
- 「・・・・・・。」
真希はぎゅっと、あさ美を抱き寄せる。
「…私が、いるよ。」
「真希さん…。」
「フランソワーズの分も、これからは私が守る。フランソワーズの分まで、あさ美を愛す
るから。
だから…だから、そんなに自分を責めないで。」
「う…っ!!」
あさ美は真希に、ぎゅっと抱きついた。
- 36 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時27分32秒
一晩明けて、朝。
PiPiPiPiPi…
「うぅ〜ん…。」
アパートの一室で、梨華は目覚ましの音で目を覚ました。そして隣に眠るひとみの、安ら
かな寝顔を見る。
梨華は微笑み、その腕にきゅっと抱きついた。
そして、起こさないように布団を出て…顔を洗い歯を磨き着替えて、朝食の支度を始め
る。
(今日の朝ごはんは目玉焼き〜♪)
心の中で鼻歌を歌い、二人分の朝食を作り終えると…足音を忍ばせてひとみに近づく。
「ひとみちゃん、朝ですよ〜♪」
歌うようなその口調だが、ひとみは起きない。
「ひ・と・み・ちゃん♪」
「う〜…ん。」
耳元で囁かれたその言葉で、ひとみは身動ぎをした。あともーちょっとだ。
「起きて、ひとみちゃん♪」
梨華は、ちゅっと頬にキスをする。
- 37 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時28分05秒
- 「・・・・・・。」
ひとみの目が、ぱっちりと開いた。梨華はにっこりと微笑んだ。
「おはよう、ひとみちゃん。」
「…まだ眠い。」
「そんな事言わないで。遅刻しちゃうよ?」
「・・・・・・。」
ひとみは、じーっと梨華を見た。
「…キスしてくれたら、起きる。」
「もぉっ。ひとみちゃんの甘えん坊さんっ!」
梨華はそう言いつつ、ひとみの唇に自分の唇を重ねた。
触れるだけのキスをして、梨華が身を起こそうとすると…ひとみの手が、梨華の腕と腰
をつかんだ。
「えっ!?」
「とりゃっ。」
あっと言う間に梨華は布団の中に引き込まれ、ひとみに押し倒される形になった。
そして、ひとみからの熱い熱いキス。
唇を離すと、梨華はとろん、とした目でひとみに言う。
「もう…ひとみちゃんってば…。」
- 38 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時28分36秒
- そんな梨華に、ひとみは言う。
「梨華ちゃん、誕生日おめでとう!」
梨華はピンクに染まった頬を押さえて、にっこり笑う。
「ありがとう、ひとみちゃん。」
「ウチが一番最初、だよね?」
「もちろんっ!」
もう一度、キス。
「…あっ!もうこんな時間!ほら、ひとみちゃん!早く支度して!遅刻しちゃう!!」
「おっ!本当だ!!」
梨華が起こし始めてから、きっかり十五分。ひとみはようやく布団から起き上がった。
全ての支度が済んで、ひとみは玄関に立った。
「…それじゃ、言って来ます。」
額に軽くキス。
「いってらっしゃい♪がんばってね!」
頬に軽くキス。
そして見つめあい、唇にキス。
- 39 名前:第五十二話 投稿日:2002年12月27日(金)10時29分09秒
- 唇が離れた直後、梨華が言った。
「…プレゼントは、ひとみちゃんだからね?」
ひとみは笑って、梨華のブラウスの胸元を開け…唇をつける。
「…これが、約束のしるし。」
「ひとみちゃん…。」
玄関先である。
そして、扉はちょっと開いている。
平家みちよは、ため息混じりに言った。
「…せめて扉閉めてやってくれへんかね。」
しかし、二人の世界に入ってしまっている梨華とひとみには、その呟きは届かなかった。
- 40 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月27日(金)10時29分44秒
ココナッツ参上。実は私、最近ミカちゃん好きです。
そしてあまあまいしよし。『えーかげんにせーよ』と言われるくらいにあまあま、を目
指しました。
そして…梨華ちゃん誕生日です!!
>>>24名無し読者様
ありがとうございます!3も頑張ります!!
精神衛生上よろしくない会話…激甘です。そして、その甘さ故に本人たち以外は聞いて
られません(笑)
>まるみ様
大谷さんは後藤さんより辛いかもですね…柴ちゃん『攻』に回っちゃったし(笑)
いっそ『受』にまわるか?大谷さん!
( `_´)<…ノーコメントとさせて頂きます。
>あおのり様
続いてます(笑)しかも梨華ちゃん誕生日、始動です!!
今回はアリさんはどーですか?(爆笑)
>桜流様
いしよしあまあまが書きたくてたまらない病、と言うのにかかっております(笑)
まだまだ書きます!!こころゆくまで!!
>ななしのよっすぃ〜様
あややがドツボにはまって行く…(汗)なんで!?矢口さんは良い子に戻ったのに…。
いしよしあまあま、多分次回も続きます!!
- 41 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年12月27日(金)14時02分42秒
- ずっとROMっとりました。我慢できずにカキーコ。
本当、マジ面白いです。大好きです。
なにげに虐めるあやや好き。大谷さんと柴田さんもイイ!!萌え萌えw
毎日楽しみにしてますヤヨー
- 42 名前:桜流 投稿日:2002年12月27日(金)20時54分01秒
- 平家さんになりたい!!
しれ〜っと二人の甘々見放題じゃないですか!!
誕生日ってことは……フフフフ☆楽しみ楽しみ!
- 43 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年12月27日(金)21時37分17秒
- おお!あまあまないしよし♪
めちゃ楽しみ〜^^
大谷さんの隠れた気持ち!!!空気になりたい、くぅ〜><やられました!!!
更新頑張ってください!
応援してます!
- 44 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時13分28秒
なつみは、ケーキに『HAPPY BIRTHDAY』とチョコで書いた。
「よし、できあがりっ♪」
「…それ、バースデーケーキですか?」
「そうっ!梨華お嬢様の、十七歳の誕生日祝いだべさ!」
なつみは紗耶香を指差した。
「紗耶香さん、石川家の執事っしょ?なーんでわからないかなぁ?」
「…すみません。二十日が真里お嬢様のお誕生日なので、そっちに気をとられていて…。」
なつみがちょっと頬をふくらます。
「…なっち?」
しかしなつみは答えず、紗耶香に背を向けた。
「なっちってば。」
「・・・・・・。」
ちらりと紗耶香を盗み見たその目は、涙で潤んでいた。
「…なんでもないべ。」
その様子があまりにも可愛かったので、紗耶香はなつみを抱きしめて頬にちゅーをする。
- 45 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時14分13秒
- 「どうしたんですか?なっち。さっきまであんなに上機嫌だったのに。」
「なんでもないってば。」
「…本当に?」
頬を両手で包み込まれて、目を見据えられる。なっちは跳ね上がる心臓を押さえながら、
真っ赤な顔で言った。
「…紗耶香さん、なっちの誕生日は?」
「八月十日でしょう?」
即答した紗耶香を見て、なつみはますますぼっと赤くなった。
それを見て、紗耶香は悟る。
「…もしかしてなっち、まだ疑ってるんですか?『私が真里お嬢様を好きなんじゃない
か』って…。」
「・・・・・・。」
紗耶香は、黙ってしまったなつみの唇を奪った。
「んんっ!?」
突然の事に、講義のうめきをもらすなつみ。紗耶香は一度、唇を離す。
「…目を、閉じて。」
なつみは目を瞬かせてから…素直に目を閉じた。
- 46 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時15分02秒
- 長い長いキスが終わり、なつみがうっとりとした表情になる。そのなつみに紗耶香は
言った。
「私がこんな風なキスをしたいと思う人は、ただ一人。なっちだけですよ。」
「・・・・・・。」
真っ赤になったなつみに、紗耶香はもう一度口付けた。
今度は、優しい優しい…甘いキス。
なつみの頭の中で、新しいケーキのアイデアが浮かんだ。
- 47 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時15分43秒
亜弥は、携帯で指示を出していた。
「…そう。紺野はもーそろそろ、その道を通るはず。」
電話の向こうでは、荒い息の男が何やらぶつぶつ言っている。
「興奮するのは良いけど、失敗しないでよ?」
それだけ言うと、亜弥は電話を切った。
(…これで、良し。)
亜弥の顔に、絶対零度の微笑が浮かぶ。
亜弥が電話をしたのは、知り合いの変質者。
中学生の少女を見ると襲い掛かり、今までに何度も強姦罪で捕まっている男だ。
亜弥は一年前、保釈金を出してその男を刑務所から引き取った。愛を強姦させる為に。
愛の時は成功した。愛のいつも使う道は人通りが少ない場所だったし、愛は援助交際
させられていたので、帰りはいつも深夜だったから、そこを狙えばやりやすかった。
犯され、呆然とする愛に、亜弥は写真を突きつけた。『これを、あんたの両親やお姉
さんに見せて、親戚中…いや、近所中にバラまく。どうしてもやめてほしかったら…こ
の写真とネガは、あんたの命と引き換えに燃やしてあげる』と言ったのだ。
- 48 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時16分20秒
- 愛はその翌日、亜弥の目の前で首を吊った。
それと同じ事を、あさ美にしようとしているのだ。
亜弥はカメラを持って、身を隠す。
そんな亜弥に、一つ気がかりな事があった。
(…ミカに、連絡が取れないのよね。)
そう。昨日、急に『用事が入った』と言って帰ったっきり、ミカから連絡がないのだ。
胸騒ぎがした。
時間があるので、亜弥はもう一度ミカに電話をする。
『この電話番号は、現在使われておりません。』
「!!?」
さっきまでは、『電話に出る事ができません』と言う内容のアナウンスだった。と言う
事は、ミカが携帯を解約した事になる。
嫌な予感が亜弥の全身を貫く。
と、その時。あさ美が来た。亜弥は、嫌な予感は一瞬忘れる事にして、カメラを構え
る。
- 49 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時17分01秒
- 男が、出て行こうとした…その時。
「うわぁっ!!」
男は、情けない声を上げて路上に転がった。
「「えっ!?」」
亜弥も驚いたが、あさ美も驚いたようだ。声が重なった。
「…まったく、物騒な事考えるお嬢さんもいたモノね。」
出て来たのは、ロングヘアーにけっこうなナイスバディーの少女。
アヤカこと木村絢香は、くるりと亜弥の方を向いた。
「…それで隠れてるつもりなの?そこの人は。」
そう言われて、亜弥は渋々出て行く。
「ま、松浦さんっ!?」
カメラを持った亜弥を見て、あさ美は首をかしげた。
「…何がしたかったんですか?」
「・・・・・・。」
「そこの男に、あさ美ちゃんを襲わせようとしたのよ。…『愛ちゃん』の時と同じ手を
使うつもりだったんだろーけど…そうは問屋が卸さないわよ!」
答えない亜弥の代わりに、説明するアヤカ。
そんなアヤカに、亜弥は背を向けて一目散に走り出した
- 50 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時17分35秒
- 「…逃げたか。」
アヤカは、足元に転がる男を踏みつけ、携帯を取り出した。
「もしもし?アタシ。ひとまず、あさ美ちゃんは守ったわ。
それで、処理して欲しいゴミがあるから至急来てくれない?…そう、何人か連れて。
アタシはあさ美ちゃんを、ボスんトコ連れて行かなきゃだから。頼んだわよ。」
電話を切ってから、アヤカはあさ美に頭を下げた。
「ご無事で何より。アタシはアヤカって言うの。よろしくね♪」
「は、はぁ…よろしく、です…。」
あさ美は状況が飲み込めないまま、アヤカと握手をした。
- 51 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時18分16秒
「しっあわせになり〜たい〜♪あっなたを守ぉ〜ってあげたい♪」
梨華は洗濯物を干しながら、上機嫌に歌う。
最近、この上機嫌な(ちょっぴりオンチな)歌はこの近所の名物となっている。毎朝
十時頃になると聞こえて来て、かなりの美少女が窓から顔を出し、洗濯物を干し始める。
その声を聞いて、近所の主婦達も洗濯物を干し始めるのだ。
「本当の〜気持ちはきっと〜伝〜わる〜はず♪GO!GO!GO!GO!♪」
干し終わった洗濯物を、うっとりと眺める梨華。
「WE ALIVE〜♪」
語尾がちょっと上がっている。それを見た近所の主婦達は口々に囁いた。
「…吉澤さんちの奥さん、今日はなんだかエラいご機嫌ね。」
「何かあったのかしら?」
「ま、でも…オンチなのに変わりはないけどね。」
「「確かに。」」
梨華はそんな事を言われているのも知らず、上機嫌なまま窓を閉める。
「次はっ♪おっそうっじおっそうっじ♪あ!お布団も干さなきゃ!」
梨華は押入れから布団を引きずり出し、もう一回窓を開ける。
- 52 名前:第五十三話 投稿日:2002年12月28日(土)11時18分52秒
- 「♪、♪〜♪、♪〜♪♪♪♪〜♪」
今度は鼻歌。一組しかない布団を干しながら、思う。
(今日は…ひとみちゃんと…。)
頬が、ぽっとピンクに染まる。
(…よーやく…よーやく本当に『ひとみちゃんのもの』になれるのねっ!や〜ん、緊張
しちゃう〜!!)
梨華は、晴れ渡った空を仰いだ。
(ひとみちゃん大好きっ♪ひとみちゃん愛してるっ♪
だから梨華は今夜、ひとみちゃんに全てを捧げますっ!!)
頬を押さえて、歌の続きを叫ぶ。
「カモーンナ!!!」
それを見て、近所の主婦達はまた囁き合う。
「…ホンットに上機嫌ね。吉澤さんちの奥さん。」
「見てて微笑ましいんだか痛々しいんだかわかんないわよね。」
「ま、私は…吉澤さんはアレで良いと思うけど。」
主婦達は、こくこくと頷き合った。
- 53 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月28日(土)11時19分23秒
オンチ・梨華ちゃん。名物です(笑)
そしてあやや…君は、どこまで行っちゃうんだ…。
>名無しどくしゃ様
はじめまして〜♪ありがとうございます!!嬉しいでっす☆
未熟者ですが、頑張ります!!どうぞこれからもよろしくお願いしますね!!
>桜流様
みっちゃん、見たいワケじゃないのに見えちゃってますからねぇ(笑)
あぁ〜、モデルとなってるウチのじーちゃんトコにもいしよし来て〜!!(爆笑)
>ヒトシズク様
何気にけなげな大谷さん、高感度UPUP!!
がんばりますね〜!!どうぞよろしく!!
- 54 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年12月28日(土)14時00分53秒
- お!待ってました!!!
あやや、ホントどこまでいっちゃうんでしょうか・・・?
あまあまないしよし♪めちゃ楽しみにしてます!
オンチの梨華ちゃん、名物ですかぁ〜^^見てみたいですね^^
何気に近所の主婦さんの呟き、ハマりました><
更新頑張ってください!
応援してます!
- 55 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年12月28日(土)15時57分27秒
- 川o・∀・)イイ!
あやや…怖いよあやや…でもそんなあややもイイねぇ(ワラ
更新頑張って下さいねぇ〜
- 56 名前:まるみ 投稿日:2002年12月28日(土)17時50分35秒
- 定時連絡のような梨華ちゃんの歌が良い!!!
近所の奥さん方のつぶやきに、笑いました!
いよいよ誕生日、どーなるんだろう?
あやや何処にいくんだ・・・
- 57 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2002年12月29日(日)01時53分42秒
- 近所名物な梨華ちゃんに爆笑!!
よく石川家に所在バレないな〜
いよいよ買物もできなかったスーパーお嬢様がオトナになってしまうんれすか(複雑)
よっすぃ〜うらやまし…いや、コンドーム忘れずに(笑)なんちゃって
- 58 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2002年12月29日(日)12時01分47秒
- だいぶ乗り遅れました新スレおめでとうございます。
石川さんの素敵なキャラにますます磨きがかかってますね(w
昨日のドラマのなっちがこちらのあやゃに見えて恐ろしかったです
- 59 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年12月29日(日)21時31分28秒
- クロイツさま
更新お疲れさまです。
やばいです。よっすぃ〜推しのいしよし好きなのに、あやゃが気になってしょうがないです。
あ〜愛しいあやゃ、早く良い子になって、良い子にならないと、ひとみ烏がやってくるよ。カァカァ♪
機嫌よく歌っても、普通に歌っても、物悲しく歌っても、音痴なんですね。
愛しい人が優しかった♪
誕生日も楽しみです。
では、次の更新を楽しみに待ってます!
- 60 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時49分20秒
あさ美は、問答無用で石川邸に連れて来られていた。そして、石川姉妹の長女・真里
と四女・里沙の前に通された。
(…真里お嬢様は大学生だからわかるけど…なんで里沙お嬢様も、この時間に家にいる
んでしょう…。)
答えは簡単。学校を休んだからだ。
里沙は中学生であると同時に、優秀な経営者でもある。会社が忙しい時にはよく学校
を休むし、事情を知っている学校側も特に何も言わない。
「紺野さん。」
「は、はいっ!!」
真里に急に声をかけられて、あさ美は飛び上がるように返事をした。そんなあさ美を見
て、真里は笑みをもらす。
「そんなにカタくならないで。」
「は、はぁ…。」
「所であなた…とんでもない女に目をつけられたわね。」
「・・・・・・。」
あさ美は、さっき会った亜弥の顔を思い出した。
まるで何かに取り付かれたような暗い目に、生気のない表情。
真里は紅茶に手を伸ばした。
「…松浦亜弥。厄介な女よ。…それに、最近なんだか追い詰められてるみたいね。知っ
てる?」
- 61 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時50分00秒
- 「はい…彼女の立場が危ないって事くらいは…。」
「そう。それなら話は早いわ。」
真里は紅茶を一口飲んだ。
「…今日から、この家に来なさい。」
「…はへ?」
間抜けな返事をするあさ美に、今度は里沙が口を開く。
「今朝、あなたを襲おうとした人物は、強姦魔なんですの。」
「えっ!?」
「松浦亜弥は、そいつにあなたを襲わせて…その現場を写真におさめ、脅して自殺に追
い込もうって魂胆でしたのよ。」
そこで、あさ美は気付く。
「…もしかして、愛さんも…?」
「そう。その手で自殺に追い込まれましたわ。」
里沙は真剣な顔で、あさ美を見る。
「学校に行って松浦亜弥と顔を合わせるのも危険ですし、家にいるのも危険。
ですから、厳重な警備体制を敷いている我が家に、しばらく滞在して頂きたいの。」
「・・・・・・。」
あさ美はぽかんとするばかり。
真里は席を立ち、そんなあさ美の手を取って言った。
「なっちには、私から連絡しておくわ。心配しないように、言葉を選んで。」
「す、すみません…でも…なんで、そんな、私なんかの為にそこまでして下さるんです
か?」
真里はふわん、と微笑む。
- 62 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時50分55秒
- 「だってあなた、真希の恋人なんでしょう?」
「!!?」
驚きの表情を隠せないあさ美。
「…真希は、私達姉妹と一緒に育って来た…いわばもう一人の妹みたいなものなの。そ
の真希の恋人が、そんな危険な状態にあるなんて…放ってはおけないじゃない?」
「・・・・・・。」
あさ美は真っ赤になって、言う。
「で、でも…ご迷惑じゃ…」
「そんな事、ありませんわ!」
里沙も立ち上がって、あさ美の手を取る。
「私、あさ美さんとお友達になりたいの!」
その言葉に、今度は真里が目を丸くする。
自分よりも遥かに優れた頭脳を持つこの妹の口から、そんな言葉が出る日が来るなど
想像もしてなかったのだ。
- 63 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時51分35秒
『あさ美を石川邸で引き受ける』との電話が入った時、なつみは慌てた。
「な…っ、なんで!?そんなご迷惑、かけられないべさ!!」
電話の向こうの真里は、くすっと笑った。
『迷惑なんかじゃないわ。里沙が気に入っちゃって離さないのよ。』
「そ、そんな…。」
『それにね、なっち。』
真里は、真剣な声で続けた。
『…じつはあさ美ちゃん、ちょっと面倒な事に巻き込まれてるの。』
「えぇっ!?め、面倒な事って…何だべさ!?」
『いじめ、受けてるでしょ?それがエスカレートしちゃってるみたいなの。
それで、もしかしたら家にいるのも危険かもしれないくらいなのよね。
だけど、ウチなら警備も厳重だし。あさ美ちゃんも安心してられると思うの。』
「・・・・・・。」
なつみは愕然とした。
(いじめが…エスカレート!?)
なつみは全然気付かなかった。そう言えば昨日、泣きはらした目をして帰って来たが、
それは『友達のカエルが死んでしまったから』とあさ美は言っていた。
- 64 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時52分17秒
- (もしかしたらアレ、本当はひどーくいじめられて…それで傷ついて泣いたのかも知れ
ない…。なっち、駄目だなぁ。気付いてあげられないなんて、お姉さん失格だべさ…。)
なつみの顔が、曇る。そんななつみに、真里は言った。
『だからなっち、あさ美ちゃんは石川家で預かるわ。』
「…わかったべさ。」
なつみは、見えないとわかっていながらも…深々と頭を下げた。
「あさ美を、よろしくお願いします。」
『まかせて!』
その直後、真里の口調が変わった。
『ところでさ〜…紗耶香とはどーなのよ?』
「はへっ!?ど、どどどどど、どうって!!?」
『くっついたんでしょー?話聞かせなさいよー!』
「は、はははははなしィ!?」
電話の向こう側で、真里が爆笑した。
『ねえねえ、どーなのよ恋人としての紗耶香って!!私、執事の紗耶香しか知らないか
らさー♪』
「・・・・・・。」
なつみは真っ赤になって、ようやくぽつりと呟く。
「や…やさしくて、かっこいい…かな?」
『キャハハハハハ!!!惚気たー!コイツ惚気たよー!!』
- 65 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時53分02秒
- 「な、なんだべさっ!!真里っぺが訊いて来たんじゃんっ!!」
『そーかそーか、やさしくてかっこいいかー!!んもぉ、紗耶香ってばカッコつけちゃっ
てコノコノォ!!』
「もー!真里っぺー!!」
その会話を、ちょっと離れてた所で聞いていた紗耶香。
真希同様に恐ろしく耳が良い紗耶香は、全て聞こえてしまったのだ。
「・・・・・・。やさしくて、かっこいい…ですか。」
人知れず、真っ赤になっているのだった。
- 66 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時53分40秒
不幸と言うのは、突然訪れるものらしい。
「…梨華お嬢様。」
スーパーで買い物をしている梨華の目の前に現れたのは、石川家の手の者だった。
「・・・・・・っ!!!」
逃げようとした梨華だったが、すぐに捕まってしまう。
「は、離して!!」
「探しました、梨華お嬢様。」
「さあ、帰りましょう。石川邸へ。」
「嫌!!嫌よ!!!」
抵抗もむなしく、梨華はあっと言う間に外に連れ出された。
「やめてよ!!ひとみちゃんっ!!ひとみちゃんっ!!」
「り、梨華お嬢様、落ち着いて下さい!」
「嫌だってば!!わたしは帰らない!!ここで…ひとみちゃんと二人でずっと暮らすの!!」
「梨華お嬢様!!」
梨華を車に押し込みながら、黒服の男は言った。
- 67 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時54分16秒
- 「今帰れば、まだ間に合います!!でも、もうこれ以上になると…旦那様と奥様に報告
をしなくてはならなくなります。そうしたら…もう、吉澤ひとみとの婚約は、駄目になっ
てしまうんですよ!?」
梨華は涙の浮かんだ目で、きっぱりと言い切った。
「わたしは『石川家の次女』じゃなくて『石川梨華』として、ひとみちゃんと結婚した
いの!!」
その抗いがたい迫力に、一瞬止まった黒服達だったが…すぐに本来の任務を思い出す。
「とにかく、帰りましょう。梨華お嬢様。」
「嫌!!嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
暴れる梨華を無理矢理押し込んだ車は、石川邸に向かって発進した。
- 68 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時54分56秒
その頃、ひとみの所にも黒服が来ていた。
「吉澤ひとみ。」
名指しで呼ばれ、振り返って…ひとみはギクリとする。
(マズい…こいつら、石川家の…!!)
そう思うが早いか、ひとみは逃げ出そうとした。しかし、相手はプロ。すぐに取り押さ
えられる。
「おとなしくしろ。…今、梨華お嬢様の所にも追っ手が行っているはずだ。」
「・・・・・・っ!!」
ひとみが悔しそうな表情をしていると、視界の端に店長の困り顔が見えた。
「あの、お客様。ウチの従業員に何か御用ですか?」
「・・・・・・。」
黒服は何も言わず、店長に白い封筒を渡した。封筒はかなりの厚みがあって、中身が札
束だと言う事は見るだけでわかる。
店長は、やんわりとそれを押し返した。
「いりません。ですから、ウチの従業員を放してやってください。」
「…それは、できない。だから、コレを受け取ってください。」
「いえ、それはできません。従業員は、こんなお金で引き渡せるような軽い存在じゃあ
りませんから。」
ひとみの目頭が、熱くなった。
- 69 名前:第五十四話 投稿日:2002年12月30日(月)18時55分32秒
- 「…店長。」
ひとみはそう呟いてから、黒服に言った。
「…わかった。連れて行って。」
「吉澤君!!」
「店に迷惑はかけられないから。」
店長に向かって微笑みかけて、ひとみは言った。
「…お世話に、なりました。」
「そんな…」
「また後で、電話をかけさせて頂きますので。」
ひとみは深々と頭を下げた。
そして、他の従業員達にも頭を下げる。
「皆さん、お世話になりました!!」
そして、黒服に連れられて…ひとみは車に乗った。
全員、それを見送る事しかできなかった。
- 70 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月30日(月)18時56分14秒
今日は家族でおせちを作りました。
しかし、父と姉は側で見ていただけです。作ったのは私と母です。
それなのに父と姉は『ふ〜、やっぱおせち作るって大変だね〜』『そうだね〜。でもコレ
が日本人としての伝統的な姿よね〜』などと言っております。
父よ。そして姉よ。
オマエらなんもしてないじゃんよォォォォォォォォォ!!!!
そして多分、コレが今年最後の更新になるかと思われます。
そ、それなのにこんな展開にしてしもうた私…(大汗)
来年もよろしくお願いいたします!!
>ヒトシズク様
いやはや…こんな事になってしもうて…ほんとにもう…(汗)
来年もがんばります!どうぞよろしくお願いします!!
>名無しどくしゃ様
よかった〜あやや嫌われなくて…。ちょっとやりすぎた?とも思ったのですが…。
来年もがんばりますので、どうぞよろしくお願いします!!
>まるみ様
こーなってしまいました…(汗)
近所の奥様方、なにげに毎日楽しみにしてます。毎日歌が違うんで(笑)
来年もがんばりますね!どうぞよろしくお願いします!!
- 71 名前:クロイツ 投稿日:2002年12月30日(月)18時57分13秒
- レスの続きでっす♪
>ラヴ梨〜様
名物です!!『オンチ美人若妻』として(笑)
てゆーかこんな展開になってしまって…(大汗)ご、ごめんなさいです…。
来年もがんばります!どうぞよろしくお願いします!!
>名無しかも〜んな!様
ありがとうございまっす!!3でもテンション高く突っ走りたいと思います!!
先日のドラマ、私は梨華ちゃんをみつめるヨッスィーに思わず『仕事中よ!駄目よ!
そんな本気で見つめちゃ!!』と叫びました(爆笑)。
来年もがんばります!どうぞよろしくお願いしますね〜!!
>ななしのよっすぃ〜様
おおっ!!こんなあやや、でも愛してくれますかっ!!よ、よかった〜。
今度こそ見放されたらどーしよーかと…。
来年もがんばりますので、どうぞよろしくお願いします!!
- 72 名前:名無し。 投稿日:2002年12月30日(月)20時14分19秒
- 初レスです。
だはぁぁぁっ!!ついに…ついに見つかってしまいましたかぁ!!
衝撃的です。
梨華ちゃん、よっすぃー。試練が大きければ大きい程、後々燃えるものです(w
その時は、隠さずじっくり公開してくださいよ〜(w
クロイツさん、本年最後の更新お疲れさまです。
来年もよろしくお願いしまぁす☆
- 73 名前:桜流 投稿日:2002年12月30日(月)21時18分30秒
- ああ、二人の行く末そ〜と〜気になりすぎですよぉぉ!
そして密かにカッコイイアヤカに萌えております…!!
それからクロイツさまの父上と姉上…(・∀・)イイ!ですね〜☆
来年もクロイツさまの作品を楽しみにしております。
お互い頑張りましょうね!!よき年末年始をお過ごしください☆
- 74 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年12月30日(月)22時12分02秒
- つ、ついに…!!!
どうなっちゃうんですかーーーぁ?!(w
そして…あややとみきてぃもどうなるのだぁ〜。
幸せになってほすぃ〜。続きがますます気になりますw
来年もよろしくです!
- 75 名前:ぐっちぃ〜。 投稿日:2002年12月31日(火)01時00分39秒
- 初めまして!!
ちょっと前から読んでいたんですけど、
今年も終わるので、御挨拶だけでもと思いまして (w
梨華ちゃんの『カモーンナ!!!』etc...
柴ちゃん、大谷さんの漫才では笑いを。
矢口&紺野では涙を...。
笑いあり、涙ありの小説。もー、作者様天才ですよ!!
これからも頑張って下さい!!続き期待してますー!!
PS.ドラマでの吉澤に、作者様と同じ突っ込みしてました (w
- 76 名前:まるみ 投稿日:2002年12月31日(火)01時42分52秒
- うぅ・・・この状態で年越しとは〜!
「いしよし」連れてかえってど〜するんだ〜!
あさ美は「石川家ブレーン計画」?が発動するのか?
楽しみに待っています。
クロイツさん&読者のみなさん、良い年末年始をお過ごし下さい☆
- 77 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年12月31日(火)08時42分57秒
- このところ、しばらくROMってました。
いよいよ目が離せない展開になってきましたね。
いつも楽しみにしています、来年もよろしくです。
あちらの方の投稿、有り難うございます。
又、機会が有れば宜しくお願いします。
(スレ立てた本人より、クロイツさんの方が評判がいいので)
- 78 名前:ヒトシズク 投稿日:2002年12月31日(火)14時15分31秒
- おぉ!追っ手が・・・
かな〜り、気になる展開ですね^^
気になりながらもお正月過ごさせていただきます><
いやぁ、私もおせちつくりの手伝いをしまして・・・
て言っても、栗きんとんに使うサツマイモを裏ごししただけなんですけどね^^;
てか、食べれないんですよね・・・イモ・・・><
じゃ、作らなきゃよかった、と後悔の日々です^^
よい、お正月お迎えください♪
これからも更新がんばってください!
- 79 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年12月31日(火)21時12分20秒
- 更新お疲れさまです。
見放さないですよ。あやゃがどんなに悪い子で、世界中があやゃを悪く言っても、大きな愛で包んで味方でいますよ。(^_^)v
あ〜でも、自ら連れて行かれたよっすぃ〜もかっけ〜っす。
も〜梨華ちゃんの幸せ者!
- 80 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時22分28秒
「えっ!?梨華お姉様と吉澤さんが見つかった!?」
亜依はその情報を、希美と共に真希から聞いた。
「どこどこどこっ!?どこにいたの!?」
「O区…ここから電車で一時間程離れた所にある、下町ですね。
梨華お嬢様は、住んでいたアパートの近くのスーパーで買い物中に発見されて…吉澤ひ
とみは、勤め先のケーキ屋で働いている所を発見されたようです。」
「・・・・・・。」
希美は真っ青になった。
「へぇ〜。のののお姉様すごいね!!駆け落ち先でもケーキ屋さんで働いてたんだぁ。」
能天気な亜依の言葉も、今の希美の耳には入らない。
希美は目に涙を溜め、がくがくと震えながら叫んだ。
「…ごめんなさいっ!!!」
「「へ?」」
亜依と真希が同時に希美を見る。
- 81 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時23分05秒
- 「ごめんなさい…ごめんなさいっ!!やっぱり、ひとみおねーちゃんがわるいのれす!!
ののが…ののもあやまるから…らから、ひとみおねーちゃんにヒドいことしないで欲しい
のれす!!!」
「「・・・・・・。」」
涙を流しながらそう言う希美に、亜依と真希は目を見合わせてたらりと汗を流した。
「…のの、なんか勘違いしてない?」
「うっく、えっく…え?」
「そうですよ。いくらなんでも、ヨッスィーが罰せられる事はないでしょう。」
涙でくしゃくしゃになった希美の顔を、亜依はハンカチで拭いながら言った。
「どっちかってぇーと…怒られるのは、梨華お姉様だから。」
真希もこくこくと頷く。
その読みは、的中していた。
- 82 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時24分00秒
ばしーん!!
ものすごい音を立てて、真里の平手打ちが梨華の頬に命中した。
「きゃぁっ!!」
あまりの勢いに、梨華はバランスを崩して床に座り込む。
「…この…馬鹿娘ッ!!!」
真里を拳を握って、わなわなと震えている。
「こっちがどれだけ心配したと思ってるのよ!!
しかも、一人で逃げるならまだしも…他所様の娘さんまで巻き込むなんて!!おねーちゃ
ん情けないよ!!?」
「う…うぅ…。」
じんじんと痛む左頬を押さえて、梨華はうめく。
それを見守るギャラリー…亜依、里沙、なつみ、あさ美、希美、紗耶香、真希、明日香
の八人は、真里の剣幕にハラハラしていた。
「もっと考えてから行動に移しなさい!!まったく、本当に!!!…紗耶香!!」
「はい?」
いきなり名前を呼ばれた紗耶香は、彼女らしくもなく焦った様子で答える。
- 83 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時24分36秒
- 「梨華が吉澤さんと逃げてから今日まで、何日?」
「二十八日、でございます。」
「そう。…梨華。」
ビクっとなった梨華に、真里は冷たく言い放つ。
「これから二十八日間、謹慎よ。部屋から一歩も出る事は許さない。もちろん、吉澤さん
に会う事も許さないわ。」
真里はそう言い残して、部屋から出て行った。
「・・・・・・。」
梨華は静かに、涙を流していた。そんな梨華に、真希は近付く。
「…梨華お嬢様。」
「・・・・・・。」
真希はひざまずき、ぺこりと頭を下げた。
「おかえりなさいませ。」
梨華の目から、ますます涙が溢れ出した。
- 84 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時25分14秒
一人、部屋を出た真里を呼び止めたのは…なつみだった。
「真里っぺ!」
しかし、真里は振り返らない。
「真里っぺ…。」
なつみはにっこりと微笑んで言った。
「一人で憎まれ役、お疲れ様。」
くるりと振り返った真里の目からは、ハンパじゃない量の涙が溢れていた。
「…なっちぃ。」
「なんだい?真里っぺ。」
「…よかったよぉ、梨華が見つかってぇ…!!」
真里はなつみに抱きついた。
「し、心配してたの、本当に…!!駆け落ちしたって言うけど、本当は誘拐されたんじゃ
ないかとか、色々考えちゃって…この一ヶ月、生きた心地しなかったんだよぉ!」
「うんうん、わかるよ真里っぺ。
梨華お嬢様は、ウチのひとみと違って…箱入りだからね。」
「世間知らずのくせに、そんな…冷蔵庫も洗濯機もないアパート暮らしなんて…馬鹿じゃ
ないの!?」
なつみは優しく、真里の背中をなでる。
- 85 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時25分45秒
- 「あの子の手…真っ赤で、しもやけとか出来てたのよ!?洗濯板なんて時代物で洗濯して…
お湯も出ない水道で洗い物してたのよ!?
今まで、お風呂とか手洗いとか洗顔とかプールとか以外で、水に触れた事もないクセに!!」
「うんうん。」
「それを見た時の私の気持ち…梨華にはわからないのよっ!!」
「そんな事ないよ。梨華お嬢様だって、心配かけて悪かったなぁ、くらい思ってるべ。」
「思ってないわよ、あの馬鹿妹はっ!!」
なつみはふと、影から顔を出す人物達に向かって親指を立てた。
そして、口だけを動かしてこう言った。
(…真里っぺは、なっちがなんとかするべさ。)
影から顔を出す人物…梨華と真希は、こくりと頷いて去って行った。
- 86 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時26分23秒
梨華は真希に、左頬に湿布を貼ってもらいながら呟いた。
「…わたしやっぱり、悪い事したのよね。真里お姉様を、あんなに心配させて…。」
「そうですねぇ。」
真希は湿布を貼り終え、今度は梨華の指先を見る。
「ま、ヨッスィーも悪いんですが。」
「ひとみちゃんは悪くないわ!!わたしが、ワガママを言っちゃっただけなの!」
「それでも。やっぱり、ヨッスィーは梨華お嬢様を止めなくてはいけなかったんですよ。」
「・・・・・・。」
手にクリームをぬられながら、梨華は天井を仰いだ。
「真里お姉様や、みんなには…本当に悪い事したってわかってる。」
「・・・・・・。」
「でもね…。」
梨華の目じりから、涙が流れ始めた。
「幸せ、だったなぁ…。」
真希の手が、止まった。
- 87 名前:第五十五話 投稿日:2003年01月01日(水)15時26分53秒
- 「毎日毎日、ひとみちゃんの隣で目覚めて、ひとみちゃんにお弁当を作って、お仕事に送
り出して、二人の愛の巣をお掃除して、二人分の洗濯物を洗って、二人分のご飯の買い物
をして…。」
梨華の目から次々に流れ落ちる涙を、真希はポケットからハンカチを取り出して拭った。
「明日になれば、ひとみちゃんのお給料が入るはずだったのになぁ。…わたし達が持って
出たお金、もうけっこう残り少なくて…それを考えながらお買い物したりするの、本当に…
楽しかった。」
「梨華お嬢様…。」
「誕生日プレゼント、もらい損ねちゃったしね。」
梨華は、胸元の『約束のしるし』を思った。
それだけで、涙が止まらなくなる。
梨華は静かに目を伏せて、ひとみを想った。
- 88 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月01日(水)15時27分27秒
あけましておめでとうございます!!新年一発目の更新でっす!!
今年も張り切ってまいります!!どうぞよろしくお願いします!!
なちまりの友情は不滅です。
そして後藤さん、久々に執事っぽい事してます。
>名無し。様
どーもはじめまして!!じっくり隠さず…が、がんばってみる…かもです(笑)
ありがとうございます!今年もがんばりますので、よろしくお願いします!!
>桜流様
父と姉。よくないですよ。しかも出来上がったおせち食べて『やっぱいらないよね。お
せちって。』
とかぬかしやがりました(怒)。
今年も、どうぞよろしくお願いします!!
>ぶらぅ様
あややとミキティ…どーなるんでしょうかねぇ(←オイ)
今年もがんばっていきます!!どうぞよろしく!!
>ぐっちぃ〜。様
はじめまして〜!!ありがとうございます!!いやいや、天才なんてそんな…大したモ
ンじゃないッスよ。
でも、そー言って頂けると超うれしいです!!ありがとうでっす☆
今年もがんばります!!どうぞよろしくおねがいします!!
- 89 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月01日(水)15時28分07秒
- レスの続きでっす♪
>まるみ様
すげぇ状態で年越ししちゃいましたね(汗)まるで私の部屋のようだ(笑)
今年もがんだりますので、どうぞよろしくでっす!!
>ひとみんこ様
ちょっぴりお久しぶりですね!!あちらではどうも、お世話になりまして…。
いやいや、私のなんか大した事ないですから(汗)ひとみんこ様の作品も楽しみにして
ますから!
今年もよろしくお願いいたします♪
>ヒトシズク様
くりきんとん大好物な私。ヒトシズク様の作ったくりきんとん食べた〜い☆
ありがとうございます!今年もがんばります!!
>ななしのよっすぃ〜様
ありがとうございますぅ〜!!くぅぅっ!!あやや!ななしのよっすぃ〜様が見放さな
いでいてくれるってさ!!
人‘ .^人〜<ホントに〜!?ありがとっ!!
今年もよろしくおねがいします!!
- 90 名前:チップ 投稿日:2003年01月01日(水)16時13分30秒
- クロイツさん、明けましておめでとうございます!
ちょっと目を離した隙に色々起こってて混乱中です。
新年早々レンコンが喉に詰まって逝きそーになりヘコんでた心が
これ読んで救われました。まりっぺかっこ良すぎ&かわいすぎ☆
- 91 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月01日(水)16時47分27秒
- あけおめで〜す!
今年もイイ!作品みせてくださいね。
期待してマス。更新がんばってください。
- 92 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月01日(水)18時57分17秒
- クロイツさん、新年明けましておめでとうございます。
>> ありがとうございますぅ〜!!くぅぅっ!!あやや!ななしのよっすぃ〜様が見放さな
いでいてくれるってさ!!
そうですよ、ななしのよっすぃ〜は、あややの味方です。
本年もよろしくお願いいたします。
- 93 名前:まるみ 投稿日:2003年01月01日(水)19時44分59秒
- 新年明けましておめでとうございます!
年明け一発目から、真里っぺお疲れさまです。
今年も追いかけて行きますので、クロイツさんもがんばって下さい!
- 94 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月01日(水)22時24分52秒
- 年始、一発目お疲れ様です!
いやぁ〜梨華ちゃん切ないっす><
それに、真里っぺ、憎まれ役がなんだか切なくて・・・・
これからどーなるんでしょうね!?
ドキドキわくわくです!
更新楽しみに待ってまーす!
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月01日(水)23時51分30秒
- 新年初泣きをさせていただきました。
なんか、ホントいいです。これからも楽しみにしています。
- 96 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月02日(木)02時23分28秒
- あけおめ、ことよろ。そして新スレおめでとうございます(遅っ)
ああー。バカッポー、連れ戻されちまいますたか。ヤグ(いや、ここでは真里っぺがいいか)
いいヤシですな。姉の心を妹は分かっているとオモワレ
今年も、クロイツさんの甘いいしよしを期待してます。ご自分のペースでがんがってください。
追伸
クロイツさんの書くちゃむはカッケーです(他のキャラもですが)。私が書くと
アフォになるのでうらやましいです(w ヽ;^∀^ノ<アフォて!
- 97 名前:ぐっちぃ〜。 投稿日:2003年01月02日(木)23時59分25秒
- 明けましておめでとうございます!!
妹想いな矢口、、、見習わなければ (w
辻ちゃんの姉想いなところ、、見習って欲しい (w
新年から作者様の小説が読めてとても嬉しいです♪
今年もよろしくお願いしますー。
- 98 名前:あおのり 投稿日:2003年01月04日(土)17時21分53秒
- あけおめ、ことよろです(遅
よしいし新婚生活も終わりですか…毎回大変萌えさせていただきました。
そして流れ星のお銀なアヤカ良かったです。
アヤカ好きの私としては大満足でした。かっけぇー!
今後も更新楽しみにしております。
- 99 名前:第五十六話 投稿日:2003年01月05日(日)11時07分44秒
梨華とひとみを見つけ出す決定打となったのは、あさ美のこの一言だった。
『灯台下暗し、って言いますよね。』
その一言によって、里沙は海外まで延びていた捜索線を都内に集中させる事にしたのだ。
そして…梨華とひとみは発見された。
里沙は自室で、拳を握り締めていた。
「…欲しい…やっぱり欲しいですわ。紺野あさ美…!!」
あさ美の助言が梨華とひとみを見つけ出す鍵になったと言う事は、もう石川家の一部で
は有名な事だ。それ以外の部分にも、あさ美の有能さはアピールしてある。そして里沙は、
熱心にあさ美をスカウトしている。あとは、本人の気持ち次第なのだが…。
『ええっ!?わ、私そんな大したモノじゃありませんよっ!無理ですよ、会社の経営のお
手伝いなんてっ!!』
と言って、断り続けているのだ。
「…才能に溺れ、自画自賛しまくる人間も考え物ですけど…自分の才能をこうまでも自覚
してない人間ってのも厄介ですわ…。」
- 100 名前:第五十六話 投稿日:2003年01月05日(日)11時08分20秒
- 里沙はパソコンの画面を見る。
「…柴田家…今度は飲食関係も伸びて来ましたわね。」
里沙の額に、汗が浮かぶ。
「やっぱり柴田家、昨年のクリスマスの『各地域限定ケーキ』企画がヒットしてましたか
ら…。」
各地域限定ケーキ企画…それは、新当主に就任したばかりのあゆみの立ち上げた企画。
柴田家の傘下の、全国展開しているケーキ屋チェーンを有効に使ったのだ。北海道から沖
縄まで、百以上を超える店舗の一つ一つに、全部違うクリスマスケーキを作らせた。
それ故に、ケーキ屋をはしごする消費者も多く…コストも高かったが売り上げも大きかっ
たそうだ。
それ以来、今まではあんまりパッとしなかった柴田家のケーキ屋チェーンが脚光を浴び
る事になった。
「…ったく、柴田家めっ!」
パソコンで柴田あゆみのデータを呼び出し、その本人画像にでこピンを食らわす。
- 101 名前:第五十六話 投稿日:2003年01月05日(日)11時08分58秒
- そこで、はたと気付いた。
「…ケーキ屋…?」
ぽん、と浮かんだのは、先日食べた『Tochter.』のケーキ。
上品だけど決して気取らない、暖かいケーキ。都会の中に故郷を見付けるような、そん
な不思議な感覚を味わわせてくれるケーキ。
里沙の目が輝いた。
「行ける…!!!」
あのケーキなら、柴田家を追い抜く事ができる。そして自分の家のケーキ屋がからんでい
れば、あさ美も手を貸してくれるかも知れない。
「…そして、吉澤さんも!」
この計画に手を貸し、それが評価されれば…ひとみの評価もあがると言う事だ。
里沙は、あさ美だけでなくひとみの能力もほしかったのだ。
それにひとみは、里沙と利害が一致する。ひとみの評価が上がれば、また一歩梨華との
結婚に近付くのだ。『駆け落ちした』と言う事実も、帳消しになる。
「…やってみせますわ!」
そう叫んだ里沙の目は、恐ろしいまでに輝いていた。
- 102 名前:第五十六話 投稿日:2003年01月05日(日)11時09分43秒
ひとみは、なつみの前に座らされていた。
「まったく…なっちびっくりしたべ。」
「…ごめんなさい。」
「ま、ひとみの事だから、どっかで生きてるとは思ってたけどね〜。」
「・・・・・・。」
なつみはひとみの頬に触れた。
「ひとみ、反省してる?」
ひとみは、こくりと頷く。
「それじゃ、後悔は?してる?」
ひとみはふるふると、首を左右に振った。
それを見て、なつみは微笑む。
「それなら、なっちが言う事はなーんにもない。」
「…え?」
なつみは立ち上がって、ひとみに近付いた。
「そりゃーさ、なっちもののもあさ美も心配したよ?だけどね…思ったんだ。
『ひとみは、これで良いんだ』って。」
なつみは、ひとみの頭を抱きしめる。
「覚えてるかな?なっちとひとみが初めて会った時。
ひとみは、なまら豪華なマンションにいてさぁ。可愛〜い女の子に囲われてて…。」
「う、うん…。」
- 103 名前:第五十六話 投稿日:2003年01月05日(日)11時10分20秒
- 「その時、なっち思ったの。『この子はきっと、すっごく寂しいんだ』って。」
ひとみは、なつみの腕の温かさに…いつの間にか眠ってしまいそうなくらいに安心してい
た。
「寂しくて寂しくて、どうしようもないんだって。この豪華なマンションと可愛い女の子
は…その寂しさを和らぐ…ホッカイロみたいなもんだって思ったんだ。」
「・・・・・・。」
「だけどね、ホッカイロって…いつか必ず冷たくなっちゃうっしょ?だからなっちは、言っ
たんだべ。『このままじゃひとみは駄目になる。なっちと一緒に暮らそう』って。」
それは、ひとみは今でも覚えている。
「…なっちはね、ひとみの『春』になりたかったんだ。
暑過ぎもせず寒過ぎもせず…ひとみがのんびり幸せに、寂しさを感じる事なく暮らせる
『春』になりたかった。…ううん、ひとみだけじゃなくてののにもあさ美にも。」
なつみの腕の力が、ぐっと強くなった。
「ののとあさ美の『春』には、なれたと思ってる。あの子達の『ホーム』はここだって…
なっちは胸を張って言える。
だけど、ひとみに関してはそうは言えないんだよなぁ。」
「え…っ?」
なつみはひとみの目を覗き込んだ。
- 104 名前:第五十六話 投稿日:2003年01月05日(日)11時11分18秒
- 「なっちは、ひとみの『春』にはなれなかった。心の奥底に潜む寒さは、温めてあげられ
なかった。」
額同士をこつん、とくっつけて、なつみは言う。
「だけど…そんな『永遠の冬』を抱えるひとみの前に、梨華お嬢様が現れた。」
「・・・・・・。」
「ひとみの『春』は、梨華お嬢様っしょ?」
ひとみの目から、ぼろぼろと涙がこぼれだす。なつみはそんなひとみの頭を抱きしめた。
「よかったね、ひとみ。ようやく…寒さに凍えなくてすむようになったんだべ?」
「…う、うん…!!うん…!!」
「なっち嬉しいよ。」
なつみは、ひとみの頬に軽いキスをする。
「ひとみが…ううん、ひとみとののとあさ美が幸せなら、なっちはすごく嬉しいの。」
そう言って微笑むなつみの顔は、まるで女神のようだった。
- 105 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月05日(日)11時13分35秒
なっち…書きながら思わず『おかーさぁぁぁぁんっ!!』と叫んでしまいましたよ私。
前回から三日もあいてしまったんですね(汗)今日から多分、いつもの更新ペースに戻
ります。
>チップ様
今年もよろしくお願いします。
救われましたか…それはよかったぁ〜。私はサトイモを喉につめました(泣)
>名無しどくしゃ様
今年もよろしくお願いします。
がんばりますよ〜今年もっ!!いしよし命で!!
>ななしのよっすぃ〜様
今年もよろしくお願いします。
あややを見捨てないでくださるなんて…うれしいっ!!彼女を悪役にすると止まらなく
なってしまう私。そー言って下さると…救われます☆てゆーか私、あややけっこー好きな
んですけどねぇ…(汗)
>まるみ様
今年もよろしくお願いします。
年明け二発目はなっちです(笑)今年もこのテンションで行かせて頂きまっす!!
- 106 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月05日(日)11時14分29秒
- レスの続きでっす♪
>ヒトシズク様
今年もよろしくお願いします。
なっちも真里っぺも、おねーさんは大変なのれす。がんばりますね〜!!
>名無し読者様
今年もよろしくお願いします。
ありがとうございます!!そー言っていただけると、本当に嬉しいです!!
>ごまべーぐる様
今年もよろしくお願いします。
私は、ごまべーぐる様の書かれるアフォ…もとい、陽気ないちーちゃんのが好きなので
すが…(汗)
( ´ Д `)<んあ〜。こっちのいちーちゃんはスカしてるんだよ〜。
>ぐっちぃ〜。様
今年もよろしくお願いします。
ををっ!ぐっちぃ〜。様には妹さんがいらっしゃるのですか!!…ウチの姉には、なっ
ちを見習ってほしいと思います(笑)
>あおのり様
今年もよろしくお願いします。
アヤカさん、今後もちょびちょび、かっこよ〜く出て来る予定です♪…ミカちゃんはどー
なるんだろう…(大汗)
- 107 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月05日(日)12時36分45秒
- どうでもよくないけど、小川が前スレから出てないよね。まさかこのまま…?
- 108 名前:まるみ 投稿日:2003年01月05日(日)13時09分19秒
- なっちのホワホワしたムードも良いですね〜
里沙とあさ美のコンビを早く見たい!
柴ちゃんも陰では頑張ってるみたいなので、石川家もがんばれ!
- 109 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月05日(日)19時04分26秒
- クロイツ様
更新、お疲れさまです。
あややは、可愛いですよね。
悪役でも天使のような役でも、何をどうしてもあややは憎めません!
すっかり、あややはぁとはぁとに夢中です。(笑)
もちろん、甘々なよっすぃ〜&梨華ちゃんも大好きです。
あ〜でも、柴田さんとのお見合いもあるし、どうしよう。
柴田さんいつ逢ってくれるんでしょう?楽しみです。
では、次の更新も楽しみに待ってます。
- 110 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月05日(日)22時36分20秒
- いやぁ、ただいまなのれす。
なっちぃ〜・・泣きそうでした。。。
まるで母さんのようで・・・まぁ、そこがなっちのいいところなんですけどね^^
いしよし、これからどうなるんでしょうか!?
ごっちん&紺ちゃん、なっち&いちーさん・・・
これから目が離せませんね^^
更新楽しみに待ってます♪
がんばってください!応援してます!!!
- 111 名前:ぐっちぃ〜。 投稿日:2003年01月06日(月)00時06分10秒
- 柴田さん頑張ってるんですねー。
頑張りながらも、大谷さんと漫才、、。
想像しただけで笑えるなぁ (w
紺新がコンビを組んだら柴田さんは勝てるのか!? (w
- 112 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時32分39秒
あゆみはため息をついた。
「…つーかさぁ、大谷…。」
「はい。何でしょう?」
「石川家の末っ子…里沙だっけ?…に、なんか恨みでもあんの?」
あゆみは資料をパラパラとめくりつつ、雅恵にジト目を向ける。しかし雅恵は余裕の微笑
みを返す。
「何故そう思われるんですか?」
「だって、『柴田家改革』で立て直した部門って…石川家の末っ子が任されてる部門とぴっ
たり一致するじゃない。服飾部門も飲食部門も…あと、書籍部門も。それからコンビニも。」
すると雅恵はぱちぱちと手を叩く。
「おおっ!あゆみ様、よくぞ気付かれましたね!」
「…気付くに決まってんでしょーが…ここまであからさまだと。」
「鈍感…いえ、おおらかで、大雑把…いやいや、こだわりの少ないあゆみ様が気付くとは
思っていませんでしたよ、私。さすがに当主ともなると違いますね。」
「おおたにィィィィィィィィィィィィ!!!」
「ま、いつもの漫才はさておき。」
雅恵はハリセンをひょいっと避け、別の資料を取り出す。
- 113 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時33分19秒
- 「石川家は、柴田家と違って柔軟な思考の持ち主が多いですからね。だから、どんな手を
使っても出し抜くと言うのは難しい。
ですから、天才とは言えまだ十三歳で経験値も少ない末っ子の部門を、集中砲火させて
頂こうと思ったんですよ。」
「へぇ〜…でも、なんか小さい子いじめてるみたいで、後味悪くない?」
「悪くないです。会社の経営と言うのは、そーゆーモンです。」
「そうかなぁ。」
即答する雅恵に、あゆみは首をかしげる。
そんなあゆみに、雅恵は遠い目をして言った。
「私、こまっしゃくれたガキって嫌いなんですよね。」
「…それが本音かよ…。」
「それはさておき。」
雅恵は声を潜めた。
「藤本様の方は、どうなっているんですか?」
「別に。普通よ。空いた時間に勉強見てるけど、『あやっぺ』の『あ』の字も言わない。」
あゆみは、背もたれに全体重を預けた。
「…なんかなぁ。やっぱ、騙してるのよね。ミキティの事。」
- 114 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時33分51秒
- 「そうなりますが…しかしこれは、言ってみれば必要悪。これ以上松浦様を野放しにして、
柴田家の顔に泥を塗られるよりはマシです。」
「・・・・・・。」
あゆみは、一番下の引き出しを開ける。その中はダイヤル式の鍵がかかった金庫になって
いて、あゆみはそのダイヤルをひねった。
取り出したのは、『松浦亜弥 12月31日〜1月19日』と表紙に書かれた一冊のファ
イル。今朝届けられたばかりの、できたてほやほやのファイルだ。
「…だんだん、手段を選ばなくなってるみたいよ?このままだと、ひとみの妹は…」
「石川家が保護したそうですから、大丈夫ですよ。」
「え!?そうなの!?」
雅恵はこくりと頷く。あゆみはなんだか複雑そうな表情になった。
「…なんか石川家に尻拭いしてもらってるみたいで、嫌な感じ。」
「仕方ありませんよ。この場合、『協力してもらってる』と思い込みましょう。」
あゆみのため息は、鉛よりも重かった。
- 115 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時34分29秒
連れ戻された翌日、ひとみは学校に出てきた。
「おはよう、ヨッスィー。」
「お…おはよう、ごっちん…。」
目をそらそうとするひとみの頬を、真希は両手でつねる。
「…挨拶する時は相手の顔を見てする。基本でしょ?」
「ふぉ、ふぉふぇんふぁふぁい…。」
頬をつねられている為、マトモに発音できないひとみ。一応謝ってるらしい。
真希はひとみの頬をつねったまま、ため息をつく。
「…梨華お嬢様を連れて逃げるだけの行動力と決断力、それに梨華お嬢様に家事一切を任
せて自分は働きに行く頼もしさ、どこにでも溶け込める順応性…それだけ持ち合わせてる
のに、なんで普段はこんなにヘタレなんだろう…。」
「うぅ…。」
そろそろヨダレが垂れそうになってるのを見て、真希はぱっと手を離した。ひとみは赤く
なった頬をさする。
「てゆーか止めろよ。『連れて逃げて』って言われたら。」
「だってさぁ、あの状況で断ったら梨華ちゃんに嫌われちゃうだろうし…それにあたしも、
梨華ちゃんとだったら良いかなー、なんて…って…!!」
ひとみの顔が真っ青になる。
- 116 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時35分17秒
- 「な、なんで梨華ちゃんの方からそう言ったって知ってんの!?」
「…私が何年、梨華お嬢様に仕えてると思ってんの?」
こーゆー事を言い出すのは、絶対に梨華だろう。
最初からずっとそう確信していた真希であった。
そんな真希に、ひとみは複雑そうな表情を見せる。
「・・・・・・。」
「…何?その目は。」
「別に…なんでも…。」
真希はフッと微笑む。
「…そー言えばあさ美、石川邸で預かってるんだよね。」
「ああ、なつみ姉ちゃんから聞いた。いじめがエスカレートして…って…!!!」
ひとみの顔が、驚愕に染まる。
「あ…『あさ美』!?」
勝ち誇った表情の真希は、ひとみを指差した。
- 117 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時35分49秒
- 「ホントに見てて飽きないね。その百面相。」
「あ、あ、あ、あさ美って!!あさ美って!!呼び捨て!?ごっちん、まさか…!!?」
「さーて、どうだろうねぇ。」
「や、やってないよね!?ごっちんはそんな…そんな事しないよね!?」
「さーてどうだか。」
「ごっちぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!!」
真希はひとみに背中を向けた。そして内心思う。
(梨華お嬢様を取られた時の私の気持ち、ちったぁ味わえ。このヘタレ。)
追いすがるひとみをすげなく払い、真希は不敵に微笑んだ。
- 118 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時36分25秒
くれるのはいつも、軽いキスだけ。
抱きしめてくれるけど、すぐに放してしまう。
「うぅ〜。」
亜依は目の前に座る、愛しい恋人をにらみつけた。
「な、何?」
「・・・・・・。」
でも、恥ずかしくて自分からは言えない。
「…だから、何よ?」
そんな乙女の恥じらいもわかってくれないこの人。
(乙女心がわからないんだからっ!!圭さんには『乙女』だった時代がなかったの!?)
かなり失礼な事を思っちゃったりしちゃってる亜依。
圭はため息混じりに、亜依の頭をぐりぐりとなでた。
「なんだかよくわかんないけど…とりあえず、お姉さん見つかって良かったわね。」
「そーなのっ!!O区にいたんだって!!」
「O区ぅ!?けっこー近いじゃない!」
「そーなの!亜依もびっくり!」
- 119 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時37分05秒
- 亜依はえへん、と胸を張った。
「あさ美ちゃんが『灯台下暗し、って言いますよね。』って言った言葉がヒントになった
んだよぉ!」
「へぇ!」
圭は感心したような表情になった。
「さすがは天才少女ね!O区に住居を決めた吉澤さんもすごいけど…紺野さんやるじゃな
い!」
そのあまりの感心っぷりに、亜依はぷーっと頬を膨らます。
「NASAが狙ってるって噂も伊達じゃないわね〜…って、どうしたのよ。亜依?」
「別にっ!」
亜依は圭に背中を向ける。
(ふんだっ!そんなにキョーミあるなら、亜依と別れてあさ美ちゃんに告ればいいじゃん!)
ふてくされて、そんな事を思う亜依。しかし、自分から告白して付き合う事になった身と
しては、怖くてそんな事口に出せない。
亜依はそれが、悲しくなった。
- 120 名前:第五十七話 投稿日:2003年01月06日(月)17時37分35秒
- 「亜依ってば。」
肩をつかまれて、泣きたくなった。
泣き顔を見られたくなくて、亜依は圭に抱きつく。
「…亜依?」
「今は、まだいいもん。」
「え?」
「亜依の事、そんなに好きじゃなくてもいいもん。」
「はぁ!?」
「でもね、圭さん。」
亜依は涙に濡れた瞳を袖で拭って、圭を見つめた。
「いつか…亜依しか見えないよーにしてやるからね!!」
「・・・・・・。」
亜依はまた、圭の胸に顔をうずめる。
だから、圭の顔が真っ赤な事に気が付かなかった。
そして圭が『もう既に亜依しか見えてない』と言う事にも気付いてないのだった。
- 121 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月06日(月)17時38分43秒
やすかご、なにげにらぶらぶです。
そして『梨華ちゃん大好きーズ』は健在。ヨッスィーは『娘を嫁に出す父親の気持ち』
を味わってます。ハピサマです(笑)
>名無し読者様
小川さんは、後々出て来る予定ですよ〜。けっこー活躍してくれる予定♪どーぞお待ち
下さいませ!…そーいや、出てませんね…ずっと(大汗)
>まるみ様
なっちは『女神』です(笑)。ののたんは『天使』なのれす。で、こんこんは『妖精』
でヨッスィーは『男前』。…一人だけ異色なのがいらっしゃいますねぇ(笑)
にぃにぃ、大谷さんに嫌われてます。ごめんよにぃにぃ!!
- 122 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月06日(月)17時39分21秒
- レスの続きでっす♪
>ななしのよっすぃ〜様
柴田さんとのお見合いには、大谷さんが付いて来ます。保護者です、大谷さん。
柴田さんの見合い相手は全員、大谷さんのスルドいツッコミに耐えなくてはなりません。
ななしのよっすぃ〜様、頑張って下さいませ。
>ヒトシズク様
なっちは、四姉妹の中で『母』になろうと努力をしているのです。
がんばれなっち!!…ヨッスィーは『姉』なんだか『兄』なんだか(笑)。
がんばりますね〜!どうぞよろしくっ!!
>ぐっちぃ〜。様
紺新VS大柴!!楽しそうですねぇ。漫才合戦(違うって)!!
紺新ではやっぱ、ボケはこんこんでツッコミがにぃにぃなんでしょうか…(だから違う
って)?
- 123 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月06日(月)19時10分03秒
- (*・e・)イイ!
ごっちんと紺野先生の絡みが気になりつつ
あややがどうでてくるのかワクワク。ァャャマダー?
- 124 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月06日(月)20時11分16秒
- おぉ!毎回感心してばっかりで^^
いや、さすがクロイツ様!!!引き込まれますっ!
今回は柴ちゃん&大谷さんの漫才が見られなかったけど、圭&亜依がラブラブで^^
紺&ごっちん、これから目が離せませんね〜・・・
もちろん、いしよしもですけどね^^
次の更新楽しみにしてます!
これからもがんばってください!
応援してまーす!
- 125 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月07日(火)00時12分25秒
- クロイツさま
更新お疲れさまです。
> 柴田さんとのお見合いには、大谷さんが付いて来ます。保護者です、大谷さん。
> 柴田さんの見合い相手は全員、大谷さんのスルドいツッコミに耐えなくてはなりません。
うぉ、大谷さんのツッコミに耐えなくては...。
うっ、鋭いツッコミがこころに刺さりそうです。(笑)
グサッ!ときました。あ〜、つらいから、あややに慰めてもらおっと。
あっ、柴田さんごめんなさい。あややの方が大好きです。(笑)
では、次の更新も楽しみに待ってます!
- 126 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月07日(火)00時40分01秒
- 只今到着、颯爽とこのスレを確認(笑)
梨華ちゃんはどうやら影も形もないですね(泣)
ところで、天才少女・にぃにぃは一人でお買物できるんですか?
経営者だからいくらなんでも…へんなこと気にしてスミマセン(汗
- 127 名前:ぐっちぃ〜。 投稿日:2003年01月07日(火)01時13分43秒
- 紺新VS大柴の漫才合戦、、、見たい (w
ボケてるつもりがない、天然紺野さんとツッコミ新垣。
最強コンビの大谷さんと柴田さん。
どっちが勝つか分からない勝負ですねー。(w
やすかごもラブラブで良かったです!
真里お嬢様にもラブラブになれる相手が出来る事を祈ってよう。
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月07日(火)12時00分46秒
- なんでもお見通しのごっちんにビックリ。
そげなとこもすきだってばよ。
- 129 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時02分28秒
亜弥は、『Tochter.』の前にいた。手には、数枚のプリントが握られている。
昨日今日と欠席しているあさ美にプリントを届ける役を、自ら引き受けたのだ。
作り物の笑顔を、顔に浮かべる。
本物の笑顔なんて、とうの昔に消えてしまった。彼女が覚えている表情は、憤怒か恨
みか悲しみしかないのだ。
自動ドアをくぐると、コック姿の女性が亜弥を出迎えた。
「いらっしゃいませ。」
希美やあさ美を思い出させる、天使のような微笑み。亜弥のどす黒く染まった心に、不
快感が走る。
しかし、それを表に出すような亜弥ではない。
「…こんにちは!えっと、あさ美ちゃんのお友達なんですけどぉ…あさ美ちゃんのプリ
ントを届けに来ましたぁ!」
すると、コック姿の女性…なつみは、驚いたような顔をしてから…今度は包み込むよう
な、女神のような微笑を浮かべた。
「それは…どうも、ありがとう!」
「あさ美ちゃん、いますか?」
「ごめんなさい。今ちょっといないの。」
- 130 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時03分02秒
- 「え?どこに行ったんですか?」
「実はね、お友達の家にお泊りに行ってるんだ。」
「…あさ美ちゃん、風邪じゃなかったんですか?」
するとなつみは、困ったような微笑を浮かべる。
「ちょっと、家庭の事情ってやつでね。」
その顔を見て、亜弥は内心舌打ちをした。
(…逃げられたわね。)
しかしやっぱり、顔には出さない。
「それじゃ、このプリント渡しておいてくださいっ!」
「はい。わざわざありがとう!…そうだ!ねぇ、ケーキ食べて行かない?」
「え…?」
突然の申し出に、亜弥は面食らう。
「あさ美の、お友達なんでしょう?今、ちょうど新作ケーキが出来たトコなんだ。試食
してって!」
あれよあれよと言う間に、亜弥は小さいカフェのテーブルに着かされた。
- 131 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時03分37秒
- 出てきたケーキは、真っ白なケーキだった。
「…コレ…ショートケーキ?だけど、苺がない…。」
亜弥は首をかしげ、ケーキにフォークを入れる。
「…スポンジが黒い…。」
「食べて見てっ!きっとびっくりするから!」
亜弥は恐る恐る、と言った感じでフォークに突き刺したケーキの欠片を口に運ぶ。
そして、目を見開いた。
「コレ…チョコレートケーキ!?」
「ぴんぽ〜んっ!ホワイトチョコレートケーキなんだっ♪」
そして、見るものすべてを癒すような微笑を浮かべる。
「その名も、『100回のKISS』!!」
「…『100回のKISS』…?」
「そうっ!!」
すると亜弥は、もう一口口に含む。
「…甘い。」
「もちろん。だってコレは、幸せなキスだから。」
「…幸せなキス?」
「うん。」
- 132 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時04分09秒
- なつみは手を組み合わせ、遠くを見るように言った。
「大好きな人とする、幸せな幸せなキスなんだ。」
「…恋人とのキス、って事?」
「ううん、それだけじゃなくって…」
なつみは、亜弥の暗く冷たい目を見つめた。慈愛の眼差しで。
「恋人だけじゃなくて、家族とか友達とかも含めた…『大切な人』とのキス。」
亜弥の目から、涙が流れ始めた。
「…あ…れ…?」
「どうしたの!?」
「なんでも…なんでも、ないっ!!」
- 133 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時05分04秒
- 亜弥はカバンとコートをつかんで、立ち上がった。そして、涙を溢れさせ続ける瞳でなつ
みを見据えた。
「おいし…かったよ。ほんとに…ごちそうさまっ!!」
亜弥は、走り去った。
その後姿を見て、なつみの顔も曇る。
「…あの子…冷たくて悲しい目ぇしてたな…。」
ふと視線を戻すと、椅子の下に小さな手提げ袋が残されていた。
「・・・・・・?」
持ち上げ見ると、名前が刺繍してあった。
『まつうら あや』
その名前に、なつみは驚く。
「まつうらあや…って…あ、あさ美をいじめてるって子じゃなかったっけ!?」
そして、あの暗く冷たい瞳を思い出す。
もう一度、手提げ袋の刺繍を見る。
お世辞にも『上手』とは言えなかった。まるで子供が一生懸命背伸びして、ようやくで
きたようなへたくそな刺繍。だけど…愛情のこもった暖かい印象を受ける。
「・・・・・・。」
なつみは、亜弥が走り去った方向を見つめた。
- 134 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時05分45秒
目が覚めて、隣にひとみがいない事に気付き…梨華は涙が止まらなくなった。
「…ひとみちゃん…。」
昨日の朝までは、ひとみのぬくもりを感じながら目覚めたのに。そう考えると、ますます
涙が止まらない。
広い部屋全体に、むらなく暖房が効いている。かかっている布団も、世界最高級の羽毛
布団。シーツもカバーも、一般庶民には手も届かないであろう高級品。だけど梨華は、たっ
た二十八日間しかいなかったあのボロいアパートが恋しかった。借り物の布団が恋しかっ
た。そして、ひとみが恋しかった。
むくっと起き上がって、頭を振る。
(…落ち込んでばかりはいられないわ!ポジティブポジティブ!!)
そして、梨華専用の洗面台の前に立ち、洗顔と歯磨きを終わらせ…両頬を叩いた。
「気合入れるぞーっ!!」
着替えが終わると、まるで見計らったかのようにノックが聞こえて来た。
「おはようございます。明日香です。」
- 135 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時06分24秒
- 「あっ、明日香さん!!どうぞ!!」
梨華の返事の直後に、明日香はいつも通りのきびきびした動作で入室して来た。
「…昨夜は泣かれたようですね。」
「そ、そんな事ないわよっ!!」
意地を張る梨華だが、見事に腫れている目が『泣きました』と物語っている。明日香はそ
んな梨華に、微笑んで見せた。
「ま、それは良いですわ。…それでは、学校も欠席なさる事ですし。レッスン再開ですわ
ね。」
「えぇっ!?また、教えてくれるの!?」
明日香はきょとんとした顔をする。
「何をおっしゃってるんですか。私が『梨華お嬢様は一人前になった』と判断するまで、
挫折は許しません、と最初に申し上げたでしょう。」
「そ、それは覚えてるし、嬉しいんだけど…」
梨華はごにょごにょと小さな声を出す。
- 136 名前:第五十八話 投稿日:2003年01月07日(火)16時07分05秒
- 「明日香さんは…怒ってないの…?」
「怒って欲しいんですか?」
ふるふると首を横に振る梨華に、明日香は苦笑した。
「私には怒る理由がありません。」
「なんで…?」
「だって梨華お嬢様、家事の実習に行ってらしたんでしょう?」
目をぱちくりさせる梨華に、明日香はにっこりと微笑む。
「ですから、私には怒る理由がございません。ちょっとは上達しましたか?」
そんな明日香に、梨華は抱きついた。
「…あのね、明日香さん。焦げ付いたお鍋をどうして良いのかわからなかったわ。」
「それなら、卵の殻を使うんです。スポンジに卵の殻をつけて、焦げ付いた部分をこする
んです。キレイに取れますよ。」
「あとね、揚げ物の最中に油が汚れて来ちゃって困ったの。」
「梅干しをきつね色になるくらいに一、二個揚げると、あと二回くらい使えるようになり
ますよ。」
梨華は、明日香に抱きつきながらくすっと笑った。
「まだまだ、いっぱい学ぶ事がありそう。」
「もちろん。極めるにはまだまだかかりますよ。」
二人は顔を合わせて、ちょっと笑った。
- 137 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月07日(火)16時08分14秒
家事の達人・明日香さんの為に裏技を調べながら、家庭の主婦達の知恵に驚きました。
世の中のお母さん方…尊敬いたします!!
そして、ミキティ娘。加入…授業中(音楽科目。しかも実技系)、友人からのメールでそ
の情報を聞き、派手におったまげてたら先生の目にとまってしまい、思いっきり難しい課
題で指名され、見事に失敗した私。
びっくらこいたわ、ほんとにもう…。
>名無しどくしゃ様
今回のあややは…いかがでしたでしょうか?
てゆーかようやくケーキ出せたー!!ばんざーい!!
>ヒトシズク様
らぶらぶやすかご、書いてて楽しいです!!今回は梨華ちゃん参上ですね♪
がんばりますねー!!どうぞよろしくっ!!
- 138 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月07日(火)16時08分55秒
- レスの続きでっす!!
>ななしのよっすぃ〜様
川σ_σ||<私より亜弥ちゃん!?なんでよ〜!!
( `_´)<やっぱり若い方が良いんですよ。あゆみ様はもう果てちゃってますからね。
川σ_σ||<おぉぉぉぉおぉぉぉぉたぁぁぁぁにぃぃぃぃ!!!
二十歳になった瞬間、友人(私よりも五ヶ月前に二十歳になった)に『あんたも果てた
のね…』としみじみ言われた私。…違うっ!!私はまだまだ…!!
でも、階段は避けてなるべくエレベーターを使う私。
>ラヴ梨〜様
カッケ〜!!颯爽と現れたんですか〜!!超カッケ〜!!
にぃにぃは…知識としてはお買い物は梨華ちゃんよりは知ってますが、実践した事は一
度もありません。
>ぐっちぃ〜。様
紺新VS大柴の漫才合戦…なんか書きたくなって来たかも…(笑)
真里っぺのお相手…やっぱあの人にしよーかな、などと考え中です。
>名無し読者様
執事・後藤は完璧です(笑)。私もそんな後藤さんが好きです。
川o・-・)<完璧…です
- 139 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月07日(火)17時30分48秒
- ケーキイイ!あややイイ!
从;‘ 。‘;从な感じのあややにちとウルウル来た。
にしても美貴帝が娘。に編入とは…ビクーリした
- 140 名前:まるみ 投稿日:2003年01月07日(火)19時40分42秒
- なっちのケーキとともに、あやゃの氷も溶けてほしい〜!
モー娘。すごいことになるな・・・
- 141 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月07日(火)20時24分48秒
- あややケーキに感動♪ってケーキ食べてるバヤイじゃないぞ!
なんとミキティモームスへ?!音楽ならってるミキティみたいです。
作者さん。
- 142 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月07日(火)20時42分55秒
- クロイツさま
更新お疲れさまです。
川σ_σ|| には、申し訳なのいのですが、、从‘ o‘从 のほうが好きです。
悪役のあやゃが流す涙。なっち、あやゃを元に戻して...。
あやゃは、素直で優しくて、いい子なんです。(必死)
あやゃがいい子に戻るなら、柴田家のコンピュータ部門で、遊び人の副社長として働いてもいいですよ。
もう、精一杯働きますよ。(笑)
でも、あやゃ好きがばれてしまっては、川σ_σ|| には、見捨てられましたかね?
続きが楽しみです。更新待ってます!
PS:藤本さんのモー娘。入り、驚きました。
モー娘。には、よっすぃ〜が居てくれればOKな、ななしのよっすぃ〜です。
あ〜でも、あやゃも柴田さんも可愛いしどうしよう?
- 143 名前:Nami 投稿日:2003年01月07日(火)23時20分16秒
- 明日香さんの裏技には参りました (w
最強のメイドさんですね、彼女は。
なっちのケーキで泣いてしまった、あやや。
なっちー、真里お嬢様みたいにあややを助けて (泣
今回ちょっとウルウルと、、、。
真里お嬢様のお相手もいるっぽくて良かったです。
そして朝から驚きをありがとう、つんく♂さん。
おかげで目が覚めました (w
- 144 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月08日(水)16時45分16秒
- いやぁ、私も藤本が娘。加入でびっくりしてご飯をのどに詰まらせてしまいました^^;
娘。すごいことになりそうですね。。。
なっちのケーキすごいですねぇ・・・・あの、あややを泣かせてしまうなんて・・・
これまたビックリしました^^;
梨華ちゃんこれからどうなるか楽しみです♪
それに明日香さんすごいですねぇ・・・あんな裏技を・・・
私も少しは見ならわなければいけませんね(笑。
それでは次の更新楽しみに待っています!
がんばってください♪
- 145 名前:桜流 投稿日:2003年01月09日(木)22時29分50秒
- ご挨拶が遅れてもうしわけないです、風邪と忙しさでぶっ倒れていました…。
今年もクロイツさまのステキな作品を読み続けさせていただきます☆
お互いがんばりましょう!
ミキティの加入ニュースで持ちきりですねぇ。
こちらの作品でのミキティは、そしてミキティに限らずそれぞれみんなは
どうなっていくのか!?楽しみです!
メイド明日香さんほんと尊敬☆人間が大きいって感じがします!
梨華ちゃんはこの人のおかげで、そしてよっすぃーへの愛のおかげでどんどん
すてきな奥さんに成長ですね☆
- 146 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時03分04秒
ひとみは里沙に呼び出され、石川邸の応接室に来ていた。
(…な、なんなんだろうなぁ、里沙お嬢様…。)
座り慣れない豪華なソファーの、背もたれに寄りかかる。足を組もうと思った瞬間、前に
真希に勉強を教わっていた時に行った監視室の存在を思い出した。
(やべぇやべぇ。誰かに見られてるかもなんだ。)
背筋を伸ばして、キチッと座る。
どこででもリラックスできる性質のひとみには、ちょっと辛い体制である。
と、そこに。
「…こんにちは、吉澤さん。お久しぶりですわね。」
「ひ、ひとみ姉さん!?」
里沙があさ美を連れて入って来た。
「あ、あさ美!?」
二人は同時にお互いを指差す。
「「なんでここに!?」」
ハモッてしまった二人を見て、里沙はぷっと噴出す。ひとみとあさ美は驚き顔のまま、里
沙を見る。
「…ごめんなさい。ずいぶん仲がよろしいのね、あなた方姉妹は。」
里沙は、ひとみとあさ美に座るよう促す。ひとみとあさ美は、おおきくゆったりとした二
人がけのソファに並んで腰掛けた。そして里沙は、その正面の一人がけのソファに座る。
- 147 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時03分42秒
- 「お二人を呼び出したのは、お願いしたい事があるからですの。」
「「お願い?」」
「そう。」
メイドが運んで来たウェッジウッドのティーカップから、里沙は優雅に紅茶を飲む。
「…紺野さんには、前にも話したわよね。」
その言葉で、あさ美ははっと気付く。
「もしかして…会社のお手伝いですか?」
「そう。それ。」
あさ美はティーカップを、静かに受け皿の上に置いた。
「吉澤さんと紺野さんに、会社の手伝いをして欲しいんですのよ。」
「うえぇ!?」
驚きの声を上げたのはひとみだ。あさ美は困り顔で里沙を見つめる。
「前も言いましたけど…無理ですよぅ。私なんかがそんな…」
「そ、そーだよ!あたしだって無理だよ!」
里沙は内心、ため息をつく。
ここまで自分の能力を把握してない人間に、初めて出会った。
(謙遜、ではありませんわね。コレは本気で言ってる…まったく、宝の持ち腐れも良い所
ですわ。)
里沙は笑顔を作った。
- 148 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時04分58秒
- 「ですけど、お二人以上の適任者が見つかりませんの。だって…。」
里沙はもったいつけて、視線をさ迷わせた。
「お二人に手伝って欲しいのは、他でもない『Tochter.』の経営なんですもの。」
「「はいぃ!?」」
またしてもハモる二人。
「と、『Tochter.』の経営って…な、なつみ姉ちゃんがやってるハズじゃ…」
「もしかして、何かマズい事があったんですか!?」
(…血が半分しか繋がってないとは思えませんわね。私と亜依お姉様よりも息がピッタリ
ですわ。)
同じように真っ青になってる二つの顔に、里沙は言う。
「いいえ。『Tochter.』は順調に行っています。当初の計画よりも、ずっとずっと。」
同時に胸をなでおろすひとみとあさ美。
「…それで、私は…『Tochter.』二号店を出したいと思ってますの!」
「「へっ!!?」」
里沙は目をキラキラと輝かせる。
「いいえ、二号店だけではありませんわ!三号店四号店…全国、いえ世界中に『Tochter.』
の支店を作りたいんですの!!
安倍さんのケーキならば、きっとできますわ!私はそう確信を持っております!!」
- 149 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時05分42秒
- 「「は、はぁ…。」」
「きっと、世界屈指の名店となる事でしょう!!そこで、お二人の力を借りたいんですの!!」
二人の顔が渋くなる。里沙は計算し尽くしたように口を開いた。
「…心無い赤の他人が『Tochter.』の経営の実験を握るようになったら…安倍さんは今ま
でのように、自由にケーキを作れる事はなくなってしまうでしょうね。」
ぴくり。
「…それに、お正月の集まりに梨華お姉様が顔を出さなかった事を、不審に思って…調査
をして来ている関係者もおりますわ。そして『どうやら石川梨華には恋人がいるらしい』
って噂が…ちょっと流れてるみたいですわね。」
ぴくり。
「…『Tochter.』経営が上手くいって、それに『梨華お姉様の恋人』が関わってるってわ
かったら…本人たちから言い出さなくても関係者の方から結婚を言い出すようになるでしょ
うね。」
ぴくり。
- 150 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時06分12秒
- 「…しかも飲食部門…特に喫茶部門で我が石川家の一番のライバルは、柴田家だったりす
るんですの。
お二人が力を貸して下さったら…柴田家を打ち負かす事ができるかも知れないのに…。柴
田家の喫茶部門を仕切ってるのは、確か松浦とか言う…。」
ぴくぴくり。
ひとみとあさ美は、顔を見合わせ…同時にこっくり頷く。
「「やらせて頂きます!!」」
姉は、愛しい愛しい婚約者との将来の為に。
妹は、大事な大事な親友の敵討ちの為に。
熱い視線を受け取りながら、里沙はにっこりと微笑んだ。
- 151 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時06分50秒
その話を持ち込まれたなつみは、目を大きく見開いた。
「えぇぇぇぇぇ!?」
反対に、希美は目を輝かせる。
「すごいのれす!!もしかしたらなつみおねーちゃんのケーキが、有名になるかもしれな
いのれす!!」
「だよね〜!!すごいよね〜!!!」
手を取り合って喜ぶ妹達に、なつみは困り顔で言う。
「ちょっと、待ってってば!えぇ!?だ…だって…。」
なつみは頭をぽりぽりとかく。
「こんな小さな店の切り盛りでも大変なんだべ?それなのに二号店だなんて…『Tochter.』
のパティシエは、なっちしかいないっしょ?」
「里沙お嬢様は『人材を育てる』って言ってたよ?」
「育てる…って、見習いが使い物になるまで一体何年かかると…」
- 152 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時07分24秒
- 「そうじゃなくて、若手のプロのパティシエになつみ姉ちゃんのやりかたを学ばせるだけ。
それで、『Tochter.』二号店ではそれをベースにして、そのパティシエの味を出
させるんだって。
コンセプトは『同じケーキ。だけど違う風味』だそうだよ。」
希美が首をひねりながら口を開いた。
「うぅ〜ん…つまり…べつのケーキ屋さんらけど、おなじ名前、ってかんじれすか?」
「そう!だいたいそんな感じ。」
ひとみはにっこり笑う。
「なつみ姉ちゃんのレシピを使って、なつみ姉ちゃんとは違うケーキを作らせるんだって。」
その説明に、なつみは安心したような微笑を見せた。
「…それならよかった。
なっちと同じようにやって、同じようなケーキを作らせるなら反対だけど…それなら構
わないべさ!つまり、なっちのケーキ達に『いとこ』ができるんだね♪」
なつみの笑顔を見て、ひとみは安心する。
- 153 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時07分55秒
- 「それでね、なつみ姉ちゃんに弟子入りさせるパティシエなんだけど…」
資料を渡し始めたひとみの後姿を見て、希美はにこにこと笑っていた。
(『Tochter.』に…妹ができるんれすね!)
携帯を開くと、メールが一件届いていた。あさ美からだ。
希美は、にっこりと微笑みなおす。
(妹ができるって、しあわせなことなのれす♪)
メールを開きながら、心底そう思う希美であった。
- 154 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時08分33秒
その、十五分前の事。
「Mr.Moonlight〜♪こ〜んやちかうっよ〜♪Mr.Moonlight〜♪で〜きるだっけ〜♪」
梨華は小声で歌いながら、応接室近くの窓拭きをしていた。
「Mr.Moonlight〜♪あ〜いしてっくっ♪」
窓を拭き終え、雑巾をバケツに入れて立ち上がる。
「び〜なっぱっどぅ〜いっざっ♪ふゅぅ!ちゃりずま〜いん♪」
かなりアヤしい発音である。
一応言っておくのだが、梨華は英語はかなり堪能だ。パーティー等の席で鍛え上げたの
で、かなり高度な会話も出来る。
しかし、歌になると途端に発音が崩れる梨華であった。
「さ〜てっ。次は厨房でお料理お料理〜♪」
バケツを持ち上げて、くるりと振り返った瞬間。
「!!!」
梨華はとっさに、物陰に隠れた。
- 155 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時09分23秒
- (目の錯覚。きっと、そう。)
そう思った梨華だったが、ちょっと遠くに聞こえる話し声が、それが錯覚でも幻覚でもな
い事を思い知らせた。
『…それじゃ、なつみ姉ちゃんにはあたしから話を通しておくよ。』
愛しい愛しい、あのひとの声。
「・・・・・・っ。」
遠くから聞いただけで、涙が流れて来る。
梨華はそっと、顔をだした。…いた。あさ美の頭をなでている。
梨華の胸が、きゅんっと鳴った。
物陰から姿を盗み見るだけで、こんなにも胸が高鳴る。梨華はなんだか嬉しくなった。
会えないと覚悟していたのに、姿を見る事が出来るなんて!!
しかし、それと同時に悲しくなる。
昨日の朝までは、あんなに近くにいたのに。抱きしめてもらえたのに。
それに愛しいひとは、梨華がいなくても平気そうに見える。
「・・・・・・。」
- 156 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時10分01秒
- 梨華は、顔を引っ込めた。
(どうせ、気付いてもらえないし。)
でも、気付いてほしい。
そう思った、その時。
『…梨華ちゃん?』
廊下に反響するつぶやきが、梨華の耳に入った。
梨華の身体が、びくっと震える。
『ひとみ姉さん?どうしたんですか?』
『…梨華ちゃんがいるような気がしてさ…。』
『そりゃーいるでしょう。ここは石川邸なんですから。』
『いや、そーゆーんじゃなくて…すぐ近くにいるような…。』
飛び出して行きたかった。姿を見せて、抱きつきたかった。ひとみの香りを、胸いっぱい
になるまで味わいたかった。
だけど、昨日の真里の姿が頭をよぎって…足が動かない。
- 157 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時10分37秒
- 真里をはじめとする、みんなに迷惑をかけてしまった。心配もかけてしまった。だから…
まだ、会えない。それが、けじめ。
真面目過ぎるのかも知れない。だけど、梨華は、この想いが真剣であるとみんなに知っ
てほしかった。もう二度と、引き裂かれない為に。
(ひとみちゃん…ひとみちゃん!!ひとみちゃん!!ひとみちゃぁんっ!!!)
心の中で、叫んだ。
会いたい。抱きしめられたい。キスがしたい。
そんな想いを込めて。
『…梨華ちゃん!!』
そんな梨華の心の叫びが聞こえたのか、ひとみも叫んだ。
『待ってて!絶対…絶対、迎えに行くから!
梨華ちゃんに相応しい「人間」になる!…もう、絶対に引き裂かれないように。
…あたし、がんばるよ!!』
梨華は、顔を両手で覆った。その表情は、驚きに満ちている。
- 158 名前:第五十九話 投稿日:2003年01月09日(木)23時11分12秒
『だから…待ってて。』
梨華は、こくりと頷いた。
そして…ひとみが去った後も、しばらくその場から動けなかった。
「…ひとみちゃん…。」
梨華は、さっき自らが拭き終えたばかりの窓から空を見上げる。
空は、もう暗くなり始めていた。
「待ってる。いつまででも。…ううん、そうじゃない。」
涙を流しながらも、その顔は明るかった。
「わたしも、がんばる。ひとみちゃんに相応しい『人間』になる為に。
わたしの方が、ひとみちゃんをつかまえに行くんだから!!」
梨華はすっくと立ち上がった。
「そ〜、し〜て〜♪らんららん♪あっいじょ〜にみ〜ち〜た〜♪」
調子はずれな歌が響く、白亜の豪邸。
明日も良い天気になりそうだった。
- 159 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月09日(木)23時12分05秒
梨華ちゃん。オンチなあなたが大好きだ。
そして、なっちに入門するのは誰だ!?…そーいや私、レポートまだ一個もやってない
や…(全部28日締め切り)。
ま、いっか。
>名無しどくしゃ様
にぃにぃの計画、スタートです!!これからはもっとケーキ出せるかな〜?
ミキティ加入、ビビりましたよね〜…。
>まるみ様
なっちのケーキ、どーなっちゃうのかっ!?そして娘。もどーなっちゃうのかっ!!?
しかも二号店計画…誰にパティシエをやらせるか、あみだくじで決めてる最中です(笑)
>名無し読者様
音楽習ってるミキティ…ミキティにはピアノよかフルートとかが似合いそうですねぇ。
いっちょ吹かせてみせましょーかねぇ…とか考えてたりなかったり(笑)
- 160 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月09日(木)23時12分45秒
- レスの続きでっす♪
>ななしのよっすぃ〜様
川σ_σ||<コンピュータ部門…ほしいかも…。
( `_´)<今、改革の真っ最中で優秀な人材が足りてませんからねぇ。
ををっ!!!大谷さんも乗り気ですよ!!
ミキティ加入…私も梨華ちゃんがいてくれれば…あ、でもヨッスィーも…。
そんな感じです(笑)
>Nami様
全国の主婦の皆様の知恵には、舌を巻かされるばかりです!!
今後も『裏技』出して行きたいとおもいます!!
真里お嬢様のお相手…うっふふふふふふふ…♪(←決定したらしい)
>ヒトシズク様
なっちのケーキ…私が『食いてぇ〜…』とか思ってるものを出しております。
梨華ちゃんは相変わらずオンチです(笑)
>桜流様
風邪、大丈夫ですかー?私の周囲もみんな風邪ひいてて辛そうです。
お大事にして下さいませっ!!
( ^▽^)<心配…。桜流様がはやく元気になりますようにっ!!
(O^〜^)<無理しちゃ駄目だよ〜!!
- 161 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月10日(金)00時19分42秒
- うぅぅ…(涙)
泣かせてくれるぜ、梨華ちゃん
英会話すごいくて音程が変なとこ…じゃなくて、さぞ抱擁したかろうに…引き裂かれないように努力か〜
私も誰が何と言おうとこの小説から離れるもんか!引き裂かせません!
- 162 名前:まるみ 投稿日:2003年01月10日(金)02時31分28秒
- 逢いたいのに逢えない、我慢している二人を見てて・・・(涙
がんばって早く逢ってほしい。
『Tochter.』二号店・・・誰がパティシエになるのか?
たのしみだよ〜!
- 163 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月10日(金)17時49分17秒
- >しかし、歌になると途端に発音が崩れる梨華であった。
川’ー’川が歌では訛らないようなもんでしょうかね。
いしよし、ここはガマンだ。
川o・-・)<しあわせは…ガマンしてこそ味わい深くなるものなのです
新しいケーキ屋さんも楽しみです。続き期待。
追伸:とりあえずレポートもがんがってください(w
- 164 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)17時55分25秒
美貴は柴田家本邸に用意された部屋のソファに、ごろりと横になる。
「・・・・・・。」
天井に手を掲げて、閉じたり開いたりを繰り返してみた。
やっぱりまだ少し、反応が鈍い。
むっくりと起き上がって、手をテーブルの上に乗せる。そして、ピアノを弾くように指
を動かした。
だが、それもすぐに止めてしまう。思うように動かなかった。
もともと、ピアノはそんなに好きじゃなかった。だけど、ここまで指が動かないのはちょっ
とショックだ。
(これじゃ…バイオリンなんてもっと無理ね。)
そう思って、ため息を吐く
バイオリンが、好きだった。
そう思って、ふるふると首を振る。
違う。そうじゃない。
(あやっぺのピアノと合わせるのが、好きだった。)
亜弥がピアノを弾き、美貴がバイオリンを弾く。
学校から帰ると毎日、そうやって過ごしていた。言葉なんか必要なかった。お互いが奏
でる旋律だけで、十分に会話ができたのだ。
こんこん
ノックの音で、現実に戻される。
- 165 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)17時57分57秒
- 「…大谷です。藤本様、よろしいでしょうか?」
その声に、美貴はちょっとうろたえた。
「えっ、あっ、は、はいっ!!」
そう答えて、髪や服に触れる。ショートの髪を手櫛で整えてから、頬を数回叩く。
「どうぞ…。」
やっと出た、と言うような声でそう呟くと、雅恵が扉を開けた。
「申し訳ございません。お取り込み中でしたか?」
返事をするのに時間がかかった為、雅恵はそう思ったらしい。美貴は真っ赤になって、手
を大きく左右に振った。
「いえっ!ち、違うんです!大丈夫です!ほんとうに…ごめんなさい…」
真っ赤になって俯いてしまった美貴に、雅恵は首をひねる。
「いえ、藤本様が謝られる必要はございません。…ところで藤本様。」
「はいっ!」
声が上ずってしまった事を恥じながら、真っ赤な顔の美貴はますます俯く。
そんな美貴に、雅恵は頭を下げた。
「え…っ?」
「申し訳ございません。姉妹同然に育った松浦様と会ってはいけない、などと強制し、そ
の上更にこのような退屈な目に遭わせて…。」
「そ、そんな事ないですっ!!」
美貴は胸の前で拳を握る。
- 166 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)17時58分33秒
- 「あやっぺに会わない方が、あやっぺの為なんでしょう?それならあたし、いくらでも我
慢できます!」
雅恵が、優しく微笑んだ。
「そう言って頂けると、助かります。」
美貴の顔の赤みが増す。
「…あと、柴田家から藤本様に贈り物がございます。」
「えっ?」
「こちらにどうぞ。」
まだちょっと頼りない足元で歩き出そうとする美貴に、雅恵は自然に手を貸した。美貴は
ますます赤くなる。
雅恵に手を引かれてやって来たのは、防音設備の整った部屋だった。そこにはグランド
ピアノと、バイオリンのケースが用意してある。壁の近くに置かれた書棚には、新品の楽
譜がずらりと並んでいた。
「・・・・・・!!こ、これは…!!」
「柴田家が藤本様の為に用意いたしました『練習室』です。」
部屋を見渡すと、メトロノームやバイオリンの予備の弦…それにチューナーまで置いてあっ
た。
「…こ、ここ、あたし、使って良いんですか…!?」
「もちろん。藤本様専用の『練習室』ですから。」
美貴は雅恵を見る。
「なんで…あたしがバイオリン弾くって…?」
- 167 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)17時59分09秒
- 雅恵は微笑を浮かべる。
「それはもちろん。三年前のクラシックオーディションジュニアの部で、全国大会優勝を
果たした『期待の星』…ですよね?」
「そ、そんな…」
「実は、私もそのオーディション会場にいたんです。」
「え…?」
「あゆみお嬢様が、ピアノの部で出られてましたから。」
「・・・・・・。」
美貴の心に、二つの感情が浮き上がった。
雅恵が三年前、自分の演奏を聴いてくれていたと言う喜び。
その雅恵が、あゆみの為にその会場に来ていたんだと言うあゆみへの嫉妬。
入院していた病院に、あゆみと共に迎えに来た雅恵に、美貴は一目惚れをした。
この人こそ、運命の人!
美貴はそう直感した。だけど雅恵は、美貴が一目惚れした瞬間でさえあゆみを見ていた。
気付かないワケがない。雅恵の、押し殺しているとは言えそれでも溢れ出そうなくらい
大きなあゆみへの想い。
(あゆみさんはあたしの恩人…それなのにこんな事を思うなんて、あたしはきっとすっご
く嫌な人間なんだ…。)
- 168 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)17時59分42秒
- そんな美貴の様子に気付かず、雅恵は笑顔を浮かべて言う。
「ここは防音ですから、思う存分練習なさってください。それでは、私は失礼致します。」
「あ、ありがとうございます!!本当に!!」
ぺこりと頭を下げた美貴に、雅恵は言う。
「いえ、お礼は私ではなくあゆみ様におっしゃってください。それから…」
「え?」
「もしよろしければ、いつかあゆみ様と合奏をして差し上げてください。」
その言葉が、美貴の心にどれ程の衝撃を与えたのか…雅恵は想像もしなかった。
雅恵は何も知らずに退室して行った。
残された美貴は、へなへなと床に座り込む。
「…やっぱり…大谷さんの目にはあゆみさんしか映ってないんだ…。」
美貴は立ち上がって、ピアノの前に座り…ピアノのふたを開けた。
(あゆみさんはあたしの恩人…それなのにこんな事を思うなんて、あたしはきっとすっご
く嫌な人間なんだ…。)
もう一回、心の中で繰り返す。
- 169 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)18時00分13秒
- 「それでも…。」
美貴は鍵盤に指を置いた。
「それでもあたしは…あゆみさんが羨ましい。…恨めしい!!」
あまり動かない指に苛立ちながら、美貴はピアノを弾き始めた。
曲は、バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』。
指がうまく動かないため、すぐに途切れる。その度ごとに美貴の表情が苛立ちに染まる。
美貴は完全防音の『練習室』の中で、狂ったように同じ曲を弾き続けた。
- 170 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)18時00分47秒
その頃、石川邸では。
「…何しとんねん、石川…。」
「あ、中澤先生!」
裕子は、取り込んだらしい洗濯物の山を持って走る梨華を見つけて、思わず言った。
「お前…『史上最強のお嬢』じゃなかったんか?」
「な、なんですかその名称…。」
「いや、だって…。」
混乱する担任教師に、梨華は目をキラキラさせて言う。
「わたし、修行中なんです!」
「は?修行?」
「はいっ!」
「何の?」
「もちろんっ!!花嫁修業☆きゃ〜!!言っちゃった言っちゃったぁ♪」
頬を押さえて恥ずかしがる梨華のこめかみを、裕子はぐりぐりと拳で押す。
「痛ッ!!痛い痛いッ!!何するんですか、中澤先生っ!!」
「やかましいっ!!16、17の身分で『花嫁』!?百年早いんじゃ、このボケッ!!」
「ひゃ、百年も経ったら117歳になっちゃうじゃないですかっ!!痛い〜っ!やめてく
ださいよぅっ!!」
- 171 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)18時01分23秒
- 「117歳になったから何だっちゅーねん!!」
裕子の手から逃れた梨華は、頬をぽっと赤くする。
「さすがに…そんなに待たせられません♪」
「てめぇっ!!このガキっ!!」
「嫌ぁぁ〜!!何するんですかっ!!どこ触ってるんですかっ!!!」
「ウチでさえ恋人おらんっちゅーのに、マセやがってオラオラオラッ!!!」
「八つ当たり!?八つ当たりですかっ!?てゆーかやめてくださいよっ!!ひとみちゃん
にだってまだ、そこまでされた事ないんですからっ!!」
胸を押さえて、ばっと離れる梨華。裕子ははたと気付いたように眉を寄せた。
「…そーいや石川。肺炎起こしとるんじゃ…」
「う…っ。」
(そ、そーゆー事になってたのねぇぇ〜…。)
梨華はとっさに、胸を押さえる。
「げほっ!ほ、発作がっ!!」
「…メッチャメチャわざとらしーっちゅーねん。」
と、そこに。
「何の騒ぎ?」
真里が現れた。
「お、石川・姉。」
「真里お姉様!」
真里は困った顔で微笑む。そんな真里に、裕子は言った。
- 172 名前:第六十話 投稿日:2003年01月10日(金)18時01分55秒
- 「ウチはずっと、石川は肺炎で入院しとるって連絡受けとった。せやから見舞いに来て見
れば…石川、元気やないか。」
「それよりも先生、どうして邸内にいらっしゃるの?ドアチャイムは鳴っていないはずな
んですれど…。」
「ああ、執事みたいなヤツ…確か『いちい』とか呼ばれてるヤツが、裏から入れてくれた
んや。」
(さぁぁぁぁぁ〜やぁぁぁぁぁ〜かぁぁぁぁぁ〜!!!
彼女出来てから、ちょっとユルくなってんじゃないの!?色ボケ!?)
真里は内心紗耶香に呪いの言葉を吐き出しながらも、余所行きの笑顔を作る。
「…ま、何ですから、応接室にどうぞ。誰か!お通しして!!」
するとどこからともなく明日香が現れた。
「かしこまりました。」
裕子が連れて行かれると、梨華は自分よりも背の低い姉に囁く。
「ど、どうしよう…何て言ったら…!!」
「しょうがないでしょう。」
「全部話すの!?」
「こうなっちゃった以上ね。まったく紗耶香のヤツ…。」
真里は梨華に言った。
「ここは私がなんとかするわ。だからあなたは、お部屋に帰って大人しくしてなさい。…
何かあったら呼ぶから。」
梨華は困り顔でこくりとうなずいた。
- 173 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月10日(金)18時02分29秒
紗耶香さんユルくなってます(笑)そして…柴田家、三角関係なのれーす!!!
あ〜あ…レポートどうするべ…。五つもあるのに、資料すら集めてねぇ…。
ま、いっか。
>ラヴ梨〜様
>私も誰が何と言おうとこの小説から離れるもんか!引き裂かせません!
嬉し過ぎで死にそうです。ありがとうございますぅぅぅぅぅ〜!!!
見捨てられないよう、努力いたします!!ええ、レポート仕上がらなくても更新は致し
ますとも!!
>まるみ様
会えない分だけ想いは深くなり…初夜も遅れれば遅れる程熱くなるでしょう(笑)
パティシエ、公正なあみだくじにより決定いたしました。
どうぞ、登場をお楽しみに〜♪
>ごまべーぐる様
私のイタリア語は、歌になると発音が良くなるそうです。
それもこれも全て、先生の(厳しすぎる)ご指導のおかげです。
ドイツ語と英語は、歌でも普通でもだめだめなんだそうです。
…くすん。
レポート…ちょっぴりがんばってみます(笑)。
- 174 名前:まるみ 投稿日:2003年01月10日(金)18時51分19秒
- 石川家でも柴田家でも執事は人気者ですね〜♪
ミキティーの気持ちに大谷さんは気づくのでしょうか?
ひさびさの姐さんの登場に石川・姉(真里)はどうするか?
パティシエも決まったとの事、登場楽しみに待ってます。
- 175 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月10日(金)21時37分02秒
- 大谷さん、もててますねぇ〜^^
いやはや、藤本さんいい感じですね〜^^私の好きな感じで嬉しい限りです^^
そ・れ・に!いしよし♪最高ですっ♪
よっすぃ〜かっけぇーすぎですっ!惚れました!いや、惚れまくりですっ!!!
それでは次の更新楽しみに待ってます!
がんばってください♪
- 176 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月10日(金)23時47分24秒
- クロイツさま
あやゃのことが気になっているのに、ミキティに振られること確実な柴田さんも気になります。
もちろん、甘々な石吉は大好きですが、眉毛ビ〜ムにすっかり載せられるよっすぃ〜&コンコンの運命はいったい...。
続きも楽しみです。
PS:柴田家で雇っていただけるなら、さっそく辞表出してきます。(笑)
大谷さん、さりげなく77444番のななしのよっすぃ〜を柴田さんにお勧めして、雇ってくださ〜い!
- 177 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時38分54秒
真里と裕子は、向かい合わせに座った。
「…それで?アレはどーゆー事やねん。」
真里は内心、ため息をついた。
(嘘で誤魔化しても良いんだけど…この人相手に嘘ついても、見破られそうね。)
カラーコンタクトの入った瞳を見つめて、真里は口を開く。
「まずは、謝らなくてはいけません。私どもはずっと、先生や学校の皆様に嘘をついてい
ました。」
「・・・・・・。」
「でも…こちらの事情もわかってくださいね?」
「事情?」
「ええ。」
真里は右手を頬にやり、ため息をついてみる。
「だって、『実の妹が駆け落ちした』なんて…口が裂けても言えませんでしょう?」
裕子は、驚きの表情のまま凍りついた。
「…なんやて?」
「先生も信じられないでしょう?しかもその駆け落ちした相手、婚約者ですのよ?
まったく…我が妹ながら、誰にも反対されてない相手と駆け落ちなんて…ワケわからな
いでしょう?」
「…まぁ…なぁ。」
- 178 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時39分28秒
- 「それに、我が家はこーゆー家ですから。あまりそう言う話は外に出したくありませんで
したの。」
真里は裕子の目を、もう一度見た。
「先生。」
「な、なんや?」
衝撃から未だ立ち直れない裕子。
「おしおきでしたら、私の方から十分しております。ですから先生はどうか、梨華を責め
ないでやって下さいませね。」
「・・・・・・。」
裕子はぽりぽりと頭をかく。
「…まぁ、そんな理由じゃ…しゃーないな。」
「…それで先生、欠席の理由を…学校に報告なさるんですか?」
真里の顔が曇る。
「都合の良い事を言うようなんですが…できれば、先生の胸の中だけにとどめておいて頂
けません?」
「…あんたはなんでそう思う?」
裕子の目が、鋭く光った。
「梨華は、何もわかっていません。駆け落ちした事だって『ただちょっとわがままを言っ
てみた』と言う程度にしか認識してない。」
真里は深いため息をついた。
- 179 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時40分03秒
- 「だけど…駆け落ちが周囲に発覚してしまった時、傷付くのは梨華です。
頭の固い長老連中は、駆け落ちした相手との婚約を白紙に戻そうとするでしょう。いく
ら二人が愛し合ってても、いくら相手が優秀な人材でも。」
「・・・・・・。」
「私は、三人の妹を愛しています。」
真里の表情が和んだ。
「梨華も亜依も里沙も。私は、あの子達を守りたいんです。
一番幸せな道を、歩いてもらいたいんです。
それが…私の手の届く範囲で起きている事なら、私は全力を持ってあの子達を守ります。」
決意に満ちた眼差しだった。それを見て、裕子もふっと笑う。
「…前に会った時とは、別人みたいやな。」
「まぁ、色々ありましたから。」
「そっか。」
裕子はソファから立ち上がった。
- 180 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時40分42秒
- 「…それならええ。黙っといたる。『家の体面』とか『世間体』とか言ったら、即座に校
長に報告しようと思っとったけど…そーゆー事ならしゃーない。」
「本当に!?」
「ああ。家族の姿って、そーゆーモンやろ。」
ちょっと遠い目をして、裕子は笑う。そして、真里に近付いて…頭をなでた。
「…前に会った時の『追い詰められたあんた』も可愛かったけど、今の『優しいあんた』
の方がもっともっと可愛かったで?
ウチは…あんただったら、笑顔の方が好きやな。」
「・・・・・・。」
真里がきょとんと目を見開く。
「ウチがこう言うのは、珍しいんやで〜?覚えとき。」
裕子は部屋から出て行った。外で待機していた明日香が、裕子に頭を下げる所までは見え
た。
扉が閉まったその後で、真里は一人で顔を赤くしていた。
- 181 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時41分20秒
亜弥は家に着くなり、半狂乱でカバンの中を探した。
大切なものをなくした。
「ない…ないっ!!ないないないっ!!!」
未だに止まらない涙が、探し物の最中の亜弥には邪魔だ。亜弥は乱暴に涙を拭いつつ、
カバンの中身をブチまけた。
探しているのは、小さな手提げ袋。へたくそな刺繍で『まつうら あや』と書かれてい
る、ちょっと古い手提げ袋。
「どこ…どこに行っちゃったの!?」
大切なものなのだ。
五年前、クラスで『刺繍の名前入りグッズ』が亜弥のクラスで流行した。クラスメイト
達は全員、母親達が愛情を込めて刺繍を施したカバンやハンカチを持っていた。
亜弥だけは、持っていなかった。
亜弥の母は、そんな事をしてくれるような女じゃなかった。当時は祖父が生きていた為、
表面的に『仲の良い夫婦』を演じていた両親だったが、その実、仲は冷え切っていた。
その冷たさを知っていた為、亜弥は母に『刺繍をしてくれ』なんて頼めなかったし…頼
んだとしても、鼻で笑われて終わりだろう。恥ずかしいので、使用人にも頼めなかった。
- 182 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時41分57秒
- 『あたしでよかったら、してあげるよっ!』
そう言ってくれたのは、一つ年上の美貴だった。
危なっかしい手付きで、指に針を刺してしまったりしながら…それでも美貴は、精一杯
の愛情をこめて手提げ袋に刺繍をしてくれた。
そんな思い出のある、大切な『宝物』なのだ。美貴が行方不明な現在、亜弥の唯一の心
の支えでもある。
「どこで…どこでなくしたんだろうっ!!」
ぼろぼろと零れ落ちる涙で、顔はもうくしゃくしゃだ。
そこで、亜弥は気付いた。
「…『Tochter.』!!!」
すぐさま立ち上がろうとして、身体が止まった。
もうこの時間になってしまったら、希美が帰宅している。顔を出しても追い返されてし
まうだろう。
「・・・・・・っ!!!」
そして、あの暖かいケーキの味を思い出して、また涙が流れ始める。
- 183 名前:第六十一話 投稿日:2003年01月11日(土)10時42分32秒
- 「『100回のKISS』…か。」
食べ物を『暖かい』と感じられたのは、実に三年ぶりだった。
美貴が事故に遭って眠り始めてから、もう三年目に入った。その三年間、亜弥の感じる
世界は全て冷たかった。色なんてなかった。
『100回のKISS』は、一瞬だが亜弥に色と暖かさを教えてくれた。
「…手提げ、取りに行ったら…買おうかな。ケーキ。」
ふるふると頭を振る。
「…もう、辻希美が帰って来てて…あの手提げの名前見て、お姉さんにあややの事説明し
てるに決まってるじゃん。もう行けないよ…。」
亜弥は、悲しかった。
もう二度と、あの暖かいケーキは食べられない。
そして、あのお姉さんに自分のしている事を知られてしまう。
その二つが、これ以上なく悲しかった。
「あの人…ちょっとだけ、ミキスケに似てたなぁ…。」
胸が痛んだ。傷がうずいた。
誰かに、思いっきり抱きしめて欲しかった。
- 184 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月11日(土)10時43分06秒
切ない系あややです。あやや…何故にそんな痛いのが似合うのか…。
あややがどんどん追い込まれて行きますが、そんなあややが大好きです。
あやや以外に、この味を出せる人が見つかりません…(汗)
>まるみ様
執事大人気…言われてみればそうですね!やっぱり執事と言うのは魅惑の職業なのでしょ
うか…(笑)大谷さん、気付いてんだか気付いてないんだか…。
>ヒトシズク様
ミキティ、好きな感じですか!それは良かった〜!浮かれモードな彼女を書きたくてた
まりません(笑)大谷さんと、どうなっちゃうんでしょーかねぇ。
私も明々後日から試験が始まります(泣)お互いがんばりましょう!!
>ななしのよっすぃ〜様
眉毛ビームは強力ですからねぇ(笑)なにより、ウチのにぃにぃは天才です。『ピン・
チャポー』なんて答えは書きませんから(爆笑)。
大谷さん、現在履歴書No.77444を検討中です。
- 185 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月11日(土)11時01分27秒
- おぉ!切ない系のあややすごい似合う!!!
何でそんなにも似合うんでしょうね・・・・。。。
これから目が離せませんね!
それから真里っぺ!あんたえらいよ!ていいますか、見習います!!!
その優しさ!!!感動しました〜^^
これからもがんばってください!
応援してます♪
- 186 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月11日(土)12時45分48秒
- 切ないあやや、イイですね!
最初の頃は怒りのあまり八つ裂きにしてやりたいとも思いましたが、今では
すっかり「この子を救ってあげて!」と哀願したい今日この頃ですw
こんな自分はお調子者れしょうか?
なっちと美貴ティ、確かに似てますよね。
横顔が特にそうだなぁと思います。同郷だからか!?←カンケーないか
クロイツさんの更新速度、毎回感心しております。
速い、うまい、楽しい、どこかで聞いたようなフレーズが浮かびますw
次回更新も期待しております。
- 187 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月11日(土)21時18分19秒
- 切ないあややドキドキ…(*´д`*)
あやや良いよあやや…可愛いよ(氏
作者様サイコォー!!
- 188 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月11日(土)23時28分42秒
- クロイツさま
更新お疲れさまです。
切ないあやや、はまり役です。
なっちの作る100回のキスのように、だれからも憎まれる黒いあややをホワイトチョコのように優しく包んであげたいです。
切ないあややを慰めてあげたいです。(泣)
あやや、立派に更正して、100回のKISSを作ってくれ〜い!!
そしたら柴田家を裏切って一緒にお店を出そうか?
あっいかん、大谷さんのスパイロボットが...。
『いやだ〜!大谷さん勘弁してくださ〜い、助けて〜』(叫)
次の更新も楽しみに待ってます!
- 189 名前:あおのり 投稿日:2003年01月12日(日)01時28分11秒
- 良いですあやや。作者さんナイス配役!
お話が進むにつれあややの本当の姿も見え隠れしてきてちょっと安心です。
真理お嬢様はときめきのヨカーン?このままいっちゃえいっちゃえ!(w
- 190 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月12日(日)15時28分14秒
- 救われるのか、あやゃ!
みなさんはあやゃ良いと言いますが、愛ちゃんを亡きモノにした罪を私は見過ごしてません
これは許せない事実ですからね。保田さんは果たしてどう償わせるのか…
この作品こそ私にとって救いです、作者様
- 191 名前:桜流 投稿日:2003年01月12日(日)18時58分32秒
- 風邪も随分よくなりました、ありがとうございました☆
ほんのりやぐちゅーがいいですねぇ、進展しちゃったりするんでしょうか…(期待)
やっぱりあややの手提げの刺繍はミキティが…!
なんだかいろんなところで一番追い詰められてるあややが読んでいて苦しいです…
だけど!!ずっと読ませていただきますよぉ(^▽^ )
- 192 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月12日(日)22時05分38秒
- >190に私も同感だったり…松浦の処遇はこの後どう転んでも後味痛くなりそう。
でもそんなシビアさとコミカルさが同居してるのはすごいね…。
- 193 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時47分56秒
気温は低いがよく晴れた、とても気持ちの良い朝。
妹二人を学校に送り出し、石川家に厄介になっている妹に電話をしてから、なつみは厨
房に入った。
「ん〜、気持ちの良い朝だべさ〜!!」
伸びをするなつみだったが、背後からどす黒い空気が流れて来た事に気がつく。
「?」
振り返ってみると、そこにいたのは紗耶香だった。
「…ど、どーしたんだべ?紗耶香…。」
ようやく呼び捨てに慣れたなつみが言うと、ギャルソン服に身を包んだ紗耶香は、どす黒
い空気を発し続けながら口を開く。
「なっちは…なっちは…私がなっちを愛する程、私の事を愛してくれていないんだね…。」
驚き顔で首をかしげるなつみ。
「…はい?」
聞き返すなつみに、紗耶香は哀愁漂う背中を向ける。
「やっぱりそうだ…私はこんなにこんなにこぉぉぉぉんなになっちを愛してるのに…!!」
「さ、紗耶香?何言ってるのかサッパリわかんないんだけど…?」
- 194 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時48分32秒
- 紗耶香はちらりとなつみを見る。
「戸田鈴音。」
「今日から『Tochter.』に来る見習いさんね。…それがどうしたんだべさ。」
紗耶香はどす黒い空気を一層濃くした。
「…なっちは良いの?私と二人っきりの時間に…別の人が割り込んで来るんだぞ?」
「割り込んで来る…って、戸田さんはケーキの修行に来るだけだべさ。」
なつみは、思い出したかの用に嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「えっへへへへ♪なっち、見習いさんの面倒見るなんて久しぶりだべさー♪気合入っちゃ
うなぁ♪いい子だと良いな〜♪贅沢は言わないけど〜♪楽しみ楽しみっ♪」
やたらと『♪』を飛ばすなつみに、どす黒い空気を向ける紗耶香。
紗耶香は、なつみに抱きついた。
「なっ!?なんだべさ、紗耶香っ!!」
「…ああ…私の気持ち、わかってくれないんだねなっち…。この、焼け焦げる程に苦しい
この胸の痛みを…。」
「えっ!?紗耶香、病気!?」
紗耶香がズベッと転ぶ。
- 195 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時49分12秒
- 「…そ、そうだなぁ。ある意味病気、かな。」
すぐに立ち上がり、ちょっと長めの前髪をかきあげる。
「そ、それだったら病院行かなきゃ!薬とか…」
心配顔でそう言うなつみの唇を、紗耶香は自分の唇でふさいだ。
「…!?」
突然の事に、なつみは驚きを隠せない。手を動かそうとしたが、紗耶香におさえつけられ
てしまった。
後退りするなつみに、どんどん迫る紗耶香。
いつの間にかなつみは、巨大な業務用冷蔵庫の扉に身体を押し付けられていた。
「…んんっ」
「・・・・・・。」
二人きりの厨房に、二人の唇が合わさる音と荒い息遣いが響く。
紗耶香がようやく唇を離すと、なつみは顔を真っ赤にしていた。
「…きなりっ!」
なつみは涙目で紗耶香をにらむ。
「いきなりなにするんだべさっ!!」
「キス、に決まってるだろ?」
「〜〜〜〜〜〜っ!!そーじゃなくてっ!!」
紗耶香はなつみを、ぎゅっと抱きしめた。
「…だって、なっちがあまりにも平気そうだから。」
「…へ?」
- 196 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時49分47秒
- 「二人きりの時間が減るんだぞ?それなのに…なっちは、『楽しみ』とか言うし。」
なつみの赤い顔が、もっと赤くなる。
「で、でも…」
「ん?」
「定休日は一日、ずっと二人っきりだべ?」
『Tochter.』は水曜が定休日である。水曜日はひとみも希美もあさ美も学校があ
るので、なつみは家に一人きりだ。そこに毎週必ず、紗耶香が来るのだった。
「見習いの子が来るって言っても、住み込みじゃないんだから…水曜日は今まで通り、ずっ
と一緒にいられるっしょ。」
「それじゃ、足りない。」
切なげな瞳に見据えられて、なつみは身動きが取れなくなる。
「…これは石川家の決めた事で…既に決定済みの事だから、『なんとかしてくれ』とは言
わない。」
「う、うん。」
「だけど…なっちが、私と同じ気持ちでいてくれないのは…寂しい。」
なつみの胸が、きゅんっと鳴った。
なつみは、至近距離にある紗耶香の右頬に軽くキスをする。
「…ごめんね。なっち、紗耶香の気持ちとか…全然考えてなかった。」
「・・・・・・。」
- 197 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時50分23秒
- 無表情な紗耶香の、今度は左頬に軽くキス。
「だけどね、なっちは思うんだ。二人っきりでいる時間が減るからって、駄目になる関係
じゃないって。信じてるんだべさ。」
「なっち…。」
自分の名を呟いた唇に、軽くキス。
「それに、なっちだって不安なんだべ?」
「え?」
なつみは赤い顔でちょっと俯き、上目遣いにぽそぽそと言う。
「…紗耶香が、見習いの子の事好きになっちゃったらどうしよう…って。」
紗耶香はもう一度、なつみの唇を奪う。
何かに突き動かされているような、激しく優しいキスだ。なつみはなんだか、溶けてし
まいそうになる感覚に包まれた。
唇を離した紗耶香は、なつみの耳元で囁いた。
「私がなっち以外を愛するなんて、あるはずないだろ。」
「・・・・・・。」
なつみはまた、上目遣いで紗耶香を見る。
「本当に?」
「…あああああっ!もう!!」
紗耶香はなつみをぎゅっと抱きしめた。
「…そんなに可愛い顔されたら…抱きたくなっちゃうだろ?」
ぼんっと言う音を立てて、なつみの顔は極限まで赤くなった。
- 198 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時51分02秒
見習いとして『Tochter.』にやって来た戸田鈴音は、なつみと紗耶香を一目見
て思った。
(この二人…恋人同士なんだぁ…。)
彼女は昔から、クラスの中で誰が誰を好きで、誰が誰と付き合ってると言う事を最初に
見つけられる、と言う特技があった。
「りんねって呼んで下さい!先生っ!!」
するとなつには慌てた様子で首を振る。
「せ、先生なんて!なっちはそんな大したモンじゃないべさ!!」
「それじゃ、師匠っ!!」
「そんな大それた名称じゃなくても良いってばぁ…そーだ!なっちって呼んで!」
「…なっちさん?」
「さんはいらないべ。」
りんねはふわんと微笑んだ。
「そ、それじゃ…なっち。」
なつみは満足げに頷く。
- 199 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時51分57秒
- 「それじゃ、りんねちゃん。まずは開店準備!仕込みから教えるべ!」
「はい!なっち!!」
なんともほのぼのした修行風景が展開され始めた。
それを、カウンターからちらちらと覗き込みながら紗耶香は思った。
(…キスだけじゃ…足りない…。)
開店まであと二時間。いつもだったらまだじゃれ付いたりできる時間である。
紗耶香はため息と共に、今度は灰色の空気を発し始めた。
『だけどね、なっちは思うんだ。二人っきりでいる時間が減るからって、駄目になる関係
じゃないって。信じてるんだべさ。』
そのなつみの言葉を思い出すと、なんだかニヤケが止まらない紗耶香。
だが、やっぱりいつものようになつみに触れられないのは寂しい。
それが灰色の空気となって、紗耶香から発せられているのであった。
- 200 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時52分33秒
「・・・・・・!!!」
フランソワーズの無残な最期を聞いた麻琴は、顔の色を失った。
「…そ、それであさ美ちゃんもフランソワーズも、学校でみかけなかったんだね…。」
「ごめんなのれす…。本当はもっとはやく、まこっちゃんにしらせなきゃいけなかったの
に…。」
希美は思い出して、ぐすっと鼻をすする。
「ううん、良いんだ。ののちゃんも心の整理が必要だったんだろうし。」
麻琴の顔色は青い。
「…だいじょうぶれすか?まこっちゃん…。」
「う、うん。大丈夫だよ。ちょっと驚いただけ。」
そこで担任教師が来て、話は一時中断となった。
(…フランソワーズが…。)
麻琴とフランソワーズが顔を合わせるのは、昼休みだけだった。
この中学は週の半分は給食で、もう半分はお弁当と言うシステムだった。給食の時もお弁
当の時も、いつもおかずを競いあった。お互いかぼちゃが好物で、時にはかなり真剣なにら
み合いをしたものだった。
(そのフランソワーズが…もういない。)
胸が、締め付けられるような思いだった。
- 201 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時53分55秒
- (それに…あさ美ちゃん!!)
一番の友達に死なれる辛さは、麻琴が一番よく知っていた。しかも犯人は同じ人物なのだ。
犯人…亜弥の冷酷な微笑が、脳裏に浮かぶ。
麻琴は、机の下で拳を握った。
(…愛ちゃん!!)
もう、呼んでも呼んでも返事はない。多分、麻琴の中で彼女を超える者は、一生出て来な
いであろう。
もしかしたら、それは恋だったのかも知れない。
気付きかけて、麻琴は頭を振った。
(…違う。そうじゃない。愛ちゃんは…本当に大切な友達だったんだ。)
胸の奥ではわかってる。希美といても、愛といた時のような切ない感覚には陥らない。…
と言うより、希美といて初めて思い知った。
愛に向けた気持ちは、『友達』と言うレベルはとっくに超していた。
- 202 名前:第六十二話 投稿日:2003年01月14日(火)16時54分48秒
- だけど麻琴は、信じたくなかった。
認めてしまったら、もっと辛くなるだろうから。
(愛ちゃんは、本当に大切な友達だった。)
机の下で握り締めていた拳を、ゆっくりと解く。
(そうだ…帰り、あさ美ちゃんのトコを訪ねよう。)
同じ『友を失った者』同士、傷をなめ合えるかも知れない。
そうでもしなければ、麻琴は…思い出してしまった怒りと悲しみで、押しつぶされてしま
うだろうから。
- 203 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月14日(火)16時55分23秒
昨日、成人式行って来ました。着物、苦しいは動きづらいは…。
昔の人って、大変だったんですね…。
そして、見習いパティシエ初お目見え〜♪あみだくじの神様が決めて下さいました。
更にまこっちゃんようやく再登場〜。いやぁ〜、長かった。多分これ以後はけっこう出て
来るんじゃないかと…。
>ヒトシズク様
あややに引き続き、まこっちゃんも切ない系です。
がんばりますね〜!どうぞよろしくっ!!
>>>186名無し読者様
やっぱり最初の方はそうでしたか(汗)あやや…嫌いじゃないんですけど、憎まれ役のが
書きやすいんですよね(大汗)。
なっちとミキティ、ちょっと似てますよね!それに最初に気付いたのは私の姉でした。
○野家・クロイツ(笑)。がんばって参りますので、どうぞよろしく!!
>名無しどくしゃ様
切ない系あやや、人気があって良かった〜♪
サイコォー!!だなんて…嬉し過ぎます!!ありがとうございますっ!!!
- 204 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月14日(火)16時57分37秒
- レスの続きでっす!!
>ななしのよっすぃ〜様
>あっいかん、大谷さんのスパイロボットが...。
>『いやだ〜!大谷さん勘弁してくださ〜い、助けて〜』(叫)
爆笑いたしました。スパイロボット…大谷さんやりそう〜!!
がんばりますねっ!!どうぞよろしく!!
>あおのり様
このまま突き進むんでしょ〜かねぇ〜、やぐちゅー♪
ナイス配役とのお言葉、嬉しいです!ありがとうございまっす♪
>ラヴ梨〜様
>この作品こそ私にとって救いです、作者様
う、嬉しい…!!嬉しいです、そのお言葉っ!!!ありがとうございます!!
あややのラストは、もうあややが登場した頃から決定しております。
どーなるか…どうぞ見守ってて下さいませ☆
>桜流様
風邪、良くなったみたいで…よかったです♪
ミキティ、手ぇ針でぶっ刺してバイオリンの先生に怒られた事は、あややには内緒なん
です(笑)
がんばりますね〜!!どうぞよろしくお願いします!!
- 205 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月14日(火)16時58分27秒
- 更に続きなのれ〜す♪
レスがいっぱいで嬉しいなぁ〜♪
>>>192名無し読者様
ラヴ梨〜様のレスでも書きましたが、あややのラストは、もうあややが登場した頃から
決定してるんですよ〜。痛く…なるんだかならないんだか(笑)
じっくり出して行きますので、どうぞ見守っててやってくださいませ!!
>でもそんなシビアさとコミカルさが同居してるのはすごいね…。
ありがとうございます!!これからもがんばって行きますね〜!!
- 206 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月14日(火)20時16分50秒
- Σ∬∬´▽`)!
コレハ…まこあいと読んでよろしいのですね?マコアイズキナノデ…w
マコが愛さんを思う所で自分も胸キュンしました。
- 207 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月14日(火)23時00分13秒
- クロイツさま
更新お疲れさまです&成人おめでとうございます。
罪には罰が必要ですが、罪を許せる広い心...う〜ん、あんまりないけど、でも、あややも真里お嬢様も許しちゃいますよ。
でも、何がおきてもコテコテ甘々な『いしよし』をよろしくです!
あと、スパイロボット、ほんとに大谷さん使ってそうですよね(笑)
柴田さんの行動が、大谷さんにバレバレなのは実は...
『ごめんなさい。大谷さん、もうしゃべりませんから...助けて...ウグッ』(静)
大谷さんに粛清されないことを祈りつつ、次の更新も楽しみに待ってます!
- 208 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月15日(水)01時21分38秒
- 成人おめでとです!
年上でしたとは…今まで失礼な発言も多かったらスミマセン
素敵な人間模様を描ける作者様はホント、カッケーです。尊敬ものです。
最近の気掛かりは作中みな良い相手をみつけてますが、はたして希美にはあらわれるのか…(笑)
- 209 名前:まるみ 投稿日:2003年01月15日(水)15時22分29秒
- 成人おめでと〜♪
パティシエは鈴音さんに決定ですか〜
どんなお店&ケーキになるのか楽しみです!
この頃いちーちゃんのしっかりしている所を見てないような・・・
- 210 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時03分04秒
真里は、携帯の画面を見ながら困り顔を浮かべる。
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
お気に入りの豪奢なソファから、立ち上がったり座りなおしたり…最終的には落ち着かな
く立ち上がり、部屋の中をうろうろと歩き始めた。
画面に出されているのは、なつみの携帯の番号だ。
「…ただ、新しい見習いの子はどうかって訊くだけよっ!それだけなのよっ!別に、そん
な…それだけなんだからっ!!」
しかし、『Tochter.』は里沙の管轄だ。跡取り娘とは言え、妹の領域まで踏み込
む理由はない。
「・・・・・・。」
携帯を見つめて、深いため息。
「…やっぱ、いいや…。」
通常の待ち受け画面に戻して、表情を曇らせる。
真里はなつみから、裕子の話を聞きたかった。
なつみは昔、裕子と付き合っていたと言う情報は入手済みだ。だからきっと、誰よりも
裕子の事を知っているはず。
昨日から、裕子の事が気になって気になってしょうがない。こんなの初めてなのだ。
だけど、それがどうしてかをわからない程子供ではない。
(…意気地なし。)
心の中でそう呟いた直後、携帯が鳴り始めた。
なつみからだ。
- 211 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時03分35秒
- 「ももももしもしィっ!?」
『ど、どうしたんだべさ真里っぺ…声、裏返ってるべ?』
「いや…その…ちょっと驚いて…。」
真里は顔を赤くして、ぽりぽりと頬をかいた。
『びっくりさせちゃったんだ…それは悪かったなぁ。』
「いや、別にそんな…それより、どうしたの?まだ仕事中でしょ?」
『ううん、もう閉店した。』
「えっ?」
時計を見ると、もう八時を回っていた。
(そ、そんなに長い時間、私…うろうろしてたのね…。)
なんだか情けない気分になって、そう言えばメイドが『夕食の準備が出来ました』と呼び
に来たのを追い返した事を思い出した。
『もう里沙お嬢様には連絡したんだけど、一応真里っぺにも報告しておこーかなって思っ
て。見習いのりんねちゃんの事。』
「あ!そーだ!今日から来てたのよね!どうだった?」
『良い子だったべさ!素直で、ちょっとのんびりしてる子だけど…ケーキに対して本当に
誠実で。』
「そ〜んな事言っちゃったら、紗耶香が嫉妬しちゃうよ〜?」
『…ははは。』
(…嫉妬して、なんかしでかしたってワケね。あの執事は…。)
なつみの笑い声から、真里はそう推測する。
- 212 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時04分07秒
- 『そーだ!所で真里っぺ、裕ちゃんに会ったんだって?』
「えっ!?」
いきなりのその言葉に、真里はうろたえる。そしてまた、声が裏返った。
『紗耶香に聞いたんだ。裕ちゃんどーだった?』
「ど、どうって…」
真里が心臓をドキドキ言わせながら答えると、なつみはちょっと楽しそうに言った。
『…もしかして真里っぺ、何か言われた?』
「べっ、別にっ!!」
『なんだよ〜。なっちにまで嘘つかなくったって良いんだべ?』
「・・・・・・。」
真里はその場にしゃがみこんで、小声でぽそぽそ言う。
「別に…大した事言われてないわよ。」
『何て言われたの?』
「…私だったら、笑顔の方が好きだって…。」
『うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
あからさまに驚きの声に、真里の方がびっくりする。
「えっ!?何なに!?」
『笑顔のが好き!?そう言ったの!?』
- 213 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時04分52秒
- 「う、うん…。」
思い出すと、鼓動が一層速くなる。そんな真里に、なつみは興奮気味に言う。
『真里っぺスゴイ!!裕ちゃんがそんな事言うの、珍しいんだべ!?』
「…え…?」
『裕ちゃんひねくれてるから、いつも初対面から「泣き顔の方が良い」って言うんだ!!』
真里の心臓が、どくんと跳ねる。
(それって…)
真里はしゃがんだまま、真っ赤になった顔をぺちぺちと叩いた。
- 214 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時05分37秒
その、二時間前。
「あ、もうこんな時間だ。」
麻琴は時計を見上げてから、あさ美と亜依に言った。
「私、もう帰らなきゃ。」
「え?もう?…本当だ!もう六時!」
亜依は立ち上がって麻琴に言う。
「暗くなっちゃったから、車を出させるよ。家まで送らせる。」
「えっ?良いよ!悪いし…」
「ううん。」
亜依はにっこりと笑った。
「まこっちゃんと遊べて楽しかったし、お礼を含めて。亜依の専属運転手に送らせる。」
「本当に?…ありがとう!」
「亜依も一緒に車に乗るね。」
「あ、私も…」
言いかけたあさ美だったが、亜依と麻琴に止められる。
「あさ美ちゃんは、家にいて。」
「そうだよ!松浦がどこから来るかわからないんだから!」
「は…はぁ…。」
- 215 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時06分11秒
- よく礼を言って、亜依と麻琴を玄関まで見送る。
閉まった玄関を見つめて、あさ美はふわんと微笑んだ。
(まこっちゃん…元気で良かったです。やっぱり、友達って良いですね。)
今は亡きフランソワーズの事を思うとやっぱりまだ胸が痛い。だが、麻琴が来てくれた事
でずいぶん癒された。
(…ま、一番癒してくれるのは…真希さんですけど。)
そう思って頬をピンクに染め、くるりと振り返って部屋に帰ろうとするあさ美。そのあさ
美の目に、真希の姿が映った。
「真希さんっ!」
あさ美は嬉しくなって駆け寄るが、真希は浮かない顔だ。
「…小川さん、帰ったの?」
「はいっ!!」
「…楽しかった?」
「はいっ!!とっても!!」
真希の顔が、一層曇る。
「…真希さん?」
ようやく真希の表情が暗い事に気付いたあさ美。
- 216 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時06分44秒
- 「そうか。楽しかったんだ。」
「ええ…まぁ…どうなさったんですか?」
「私といるより?」
あさ美の目が、点になる。
「…はい?」
「私といるより、小川さんといる方が楽しいの?」
「そ、そんな…比べられませんよ、そんなの…」
(だって、真希さんは特別で…)
そんなあさ美のニュアンスを汲み取る余裕のない真希は、あさ美に背を向けた。
「…ごめん。頭冷やして来る。」
「待って下さいっ!!真希さん、何か勘違いを…」
必死な声のあさ美を振り返った真希の顔は、無表情だった。抑えきれない程の感情を無理
矢理抑えてる時の表情だ。
あさ美は、びくっとなる。
そして、そんな真希に抱きついた。
「そんな顔…しないでください…。」
「・・・・・・。」
「まこっちゃんは…まこっちゃんは友達だから…。フランソワーズの次に仲が良い友達だ
から、楽しかったんです。
真希さんとは、違うんです!!真希さんは特別だから…あああっ!もう私、何言ってる
んだかっ!!」
- 217 名前:第六十三話 投稿日:2003年01月15日(水)16時07分17秒
- 「…あ、あさ美?」
真希にしがみついたままふるふると頭を振り、涙で目を潤ませるあさ美を見た真希は、思
わず怒りを忘れる。
「楽しかったです。とっても。…でも、真希さんといる時は違うんです。」
「…え?」
「真希さんといる時は、私…幸せですから。」
・・・・・・。
しばらくその場が静まり返る。
真希は、廊下の向こう側に向かって言った。
「…盗み聞きしてるのはわかってるから。あさ美。場所を変えよう。」
「はい…って、へっ!?」
くるりと周囲を見渡すと、急いで去っていく足音や人影がいっぱい見えた。
「ったく…メイドってのは本当に…。」
「・・・・・・。」
ため息をつく真希に、顔を赤くして呆然とするあさ美。
そして真希は、真希の背後にある石膏像の影に隠れてる人物にも言った。
「…いちーちゃんまで、悪趣味だよ。」
「気配は消したのに…気付くとはなかなかやるようになったな、お前も。」
出てきた紗耶香とにらみ合う真希。
あさ美はひとすら、顔を赤くして俯いていた。
- 218 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月15日(水)16時07分47秒
いちーちゃん…なんでだんだん壊れて来るんだろう…。
次回、いしよし出て来るかもっ!!
つーか今日、合唱の試験でした。私はソプラノです。んでもってメサイアです。
アルト二人に対してソプラノ一人で頑張りました。
まだ、足の震えが止まりません。
明日はドイツ語試験です。やっべぇ…なんもやってねぇ…(大汗)
>名無しどくしゃ様
実は、おがたかよりもおがこんが好きな私。おがたかにするかどーか、ちょっと悩みました。
喜んで頂けたようでよかったデス☆
>ななしのよっすぃ〜様
(〜^◇^)人‘ .^人<ありがと〜!!
大谷さんのスパイロボット…きっと最新の科学技術を駆使して作ってあるんだろうなぁ…。
頑張りますので、どうぞよろしくっ!!
>ラヴ梨〜様
ありがとうございます!!
いやいやいや、そんな、年齢なんぞ関係ないッスよ!!今までどーり、どんどんお願いします!!
ののたんのお相手…どーなるんでしょう(笑)
- 219 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)16時18分20秒
- いち〜ちゃんマジ壊れすぎ(w
もう完璧な執事っていうより完璧な芸人!
- 220 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)17時11分31秒
- メイドが盗み聞き?もしかしてモテてる?
てゆーかそれに気が付く後藤さんは最高の執事ですね。
市井さん…気配は消したって…獣じゃないんだから…。
- 221 名前:まるみ 投稿日:2003年01月15日(水)20時19分02秒
- いちーちゃん・・・セリフはカッコイーのにな〜
やっぱり恋愛ボケなのかなー?
こんごまのラブラブには、メイドさん達も興味津々かな?
- 222 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月15日(水)20時50分12秒
- なーんか金持ちの友達ホスィくなってきたw
嫉妬するごっちんイイ!嫉妬強いやのぉ〜ホエホエ
- 223 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月15日(水)20時51分20秒
- クロイツ様!成人おめでとうございます!
いやぁ、ごまこんラブラブで♪いいですねぇ〜・・・(//o//)
いちーちゃん、壊れてきましたね^^;
セリフはかっこいいのに・・・ま、壊れた、いちーちゃんもいいですね^^
次、おがわぁが切なくなるかもしれませんね。一人想像して喜んでるヤツです。
な〜んか、切ないですねぇ・・・恋のようで恋ではない。くぅ〜。
次の更新楽しみにしてます!
がんばってください♪応援してます♪
- 224 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月16日(木)01時16分15秒
- ごまこんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
場所変えて何する気だ、ごっちん(笑
- 225 名前:チップ 投稿日:2003年01月16日(木)13時07分27秒
- やっぱり市井ちゃんはムッツリスケ(ry
ごっちんの嫉妬っぷりがツボですけど、そろそろいしよし不足が・・・
次会えるのかな?まだまだかな?
あと遅いですけど成人おめでとうございます。
私もついでに成人しました、まだ十代ですけど・・・・
成人つながりでやぐちゅーも楽しみにしとりやす。
- 226 名前:あおのり 投稿日:2003年01月16日(木)14時20分22秒
- 「急いで去っていく足音や人影がいっぱい」って最強メイド軍団キター!
よしいしのイチャイチャもしっかり覗かれていたのかと思うと…結構萌え(←氏ね自分
石膏像の影にいた市井さんは気づかれてしまいましたが、
その場面にアヤカさんはいたのでしょうか?やっぱり天井裏とか?(w
- 227 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時12分03秒
梨華は、とんでもない事に気付いた。
「に、一月十九日から二十八日経ったら…バレンタイン過ぎちゃう!!」
そう。真里から提示された『二十八日間謹慎』を守っていたら、バレンタインにもひとみに
会えないのだ。
「ど、どうしよう…。」
チョコレート系のお菓子のクッキングブックや、包装紙の見本などがそこら中に見える、
なんとも『バレンタインに向かってます』な梨華の部屋。その部屋の主は、眉を八の字にし
ながらうろうろと歩き回っていた。
(抜け出しちゃおうかしら…。)
そんな考えが頭に浮かんだが、すぐにふるふると頭を振ってそれを追い出す。
(駄目よっ!!ズルは許されないわ!!もう二度と引き離されない為にも…。)
梨華は床にしゃがみこんで、ため息をついた。
「…でも…本当にどうしよう…。」
床に落ちていた見本の包装紙の切れ端に、さらさらとペンを走らせる。
『@真希に頼む』
「…やっぱ駄目よね。真希からだと思われたら悲しいし。」
『A明日香さんに頼む』
「…万が一にも、明日香さんからだと思われたら嫌だし…。」
『B里沙に頼む』
「…他力本願から離れよう。」
包装紙の切れ端をビリビリと破る。
- 228 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時12分39秒
- 「…あきらめて、二十八日謹慎が終わるのを待とうかしら…。」
確かに、バレンタインデーは恋する乙女には重要な日だ。だけど、こんな理由があるので
は仕方ない。
梨華は、泣きたくなった。涙腺が緩んで、涙が溢れ出しそうになる。それを歯を食いしばっ
て止め、梨華はベッドにごろんと横になった。
枕もとの『ひとみちゃん人形』を抱きしめる。
「・・・・・・。」
ぎゅっと強く抱きしめて、ごろごろとベッドの上を転がった。
「会いたいっ!!会いたいよぉっ!!会いたいのぉっ!!」
お仕置きが始まってから、既に十日が経過している。今日はもう、一月二十九日。その間、
石川邸で偶然出会った以外は声も聞いていないのだ。
「…浮気とか、してないよね?」
しかし、『ひとみちゃん人形』は何も言わない。
「…わたしとずっと一緒にいる為に、がんばってくれてるんだよね?」
やっぱり、『ひとみちゃん人形』は何も言わない。
「…愛してるわ、ひとみちゃん。」
それでも、『ひとみちゃん人形』は何も言わない。
- 229 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時13分18秒
- 「…あぁぁぁぁ〜っ!!!もう!!!」
涙に潤んだ目で『ひとみちゃん人形』をにらみつけても、やっぱり無反応。梨華はため息を
ついて起き上がった。
「ひとみちゃん、モテるんだろうな…。」
しかも通っているのは女子高だ。梨華の眉がぴんっとつりあがる。
(…それで、わたし以外のコからチョコもらっちゃったりするのかしらっ!!それでのほほ〜
んと『ありがとう』なんて答えちゃったりして、勘違いするコが激増とか!?)
「そんなの駄目よっ!!」
ふかふかの布団をぼすっと叩き、梨華はぐっと拳を握る。
「…やっぱり、バレンタイン当日に渡さなきゃ!!」
ベッドから降りて、またうろうろと部屋の中を歩きまわる。
「この際、人の手を借りる事も厭わないわ!!…だけど、やっぱり…例えわたしからのチョ
コでも、ひとみちゃんがわたし以外の人からチョコを受け取るのは嫌!!」
なかなか難しい年頃である。と、そこに。
こんこん。
「梨華お嬢様、郵便物が届いております。」
真希が来た。
「え?郵便物?」
真希から数通の手紙を受け取る。クラスメート達からだ。
- 230 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時13分50秒
- 「お見舞いの葉書もたくさん来ておりますよ。」
「…なんか、ピンピンしてる事に罪悪感を感じちゃうわね…。」
「ま、しかたありません。」
「・・・・・・。」
梨華はふと真希の顔を見て、あさ美を思い出した。
「そう言えば、あさ美ちゃんはどうしてる?」
同じ邸内にいても、この広さである。しかもあさ美は最近、里沙の事業に手を貸しているら
しく、なかなか顔を合わす機会がないのだ。
「元気にしていますよ。」
真希の笑顔を見て、梨華も微笑む。
「そう…それは良かった。」
フランソワーズの事は、梨華も明日香や真希から聞かされて知っている。
完全に『元気』とは言い切れないだろうが…少しずつ前に進んでいるようだ。それを感じ
取って、梨華はちょっと安心する。
「セキュリティは万全なの?」
「もちろん。石川家系列の警備会社が威信をかけておりますし…それに、里沙お嬢様直属の
ボディーガードも動いているみたいですから。」
- 231 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時14分24秒
- 「あ!アヤカさん?」
「ええ。」
平然と答えてはいるが、真希の心中はちょっぴり複雑だった。
そんな真希にも気付かず、梨華は顔を上げる。
「あっ!!!!!」
「えっ?」
「良い事思いついちゃったーッ!!!」
梨華は近くにあったクッキングブックを抱きしめて、頬をピンクに染めた。
真希はワケがわからず、首をひねるばかりだった。
- 232 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時15分12秒
その頃あさ美は、里沙の部屋で資料とにらめっこをしていた。
「どう?何か気付いた所とかありまして?」
「うぅ〜ん…。」
あさ美はがばっと顔を上げ、真剣な眼差しで里沙に言う。
「…里沙さん、学校行かなくて良いんですか?」
里沙は額に手をあてて、ため息をついた。
「…私が聞きたいのは、『私に関する疑問』ではなくて『経営上の助言』でしてよ。」
「ご、ごめんなさい。完璧です。でも…」
「私は良いんですの。学校側でもわかっておりますわ。それに、授業なんて聞いてても退
屈なだけ。違いまして?」
「・・・・・・。」
否定できないあさ美。
里沙もあさ美と同じように、人並みはずれて優れた頭脳の持ち主なのだ。学校で教わら
なくても大抵の事は理解できている。授業を聞いているより、本や資料を読んだりしてい
る方が、得る物が多いのだ。
- 233 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時16分07秒
- 「…まぁ、それはともかく…どうですの?」
「うぅ〜ん…特にコレと言ってないですけど…強いて言うなら、バレンタインにもっと力
を入れた方が良いんじゃないでしょうか?」
「バレンタイン?」
「はい。」
あさ美は資料を並べる。
「どこも、コレ!と言ってやってる部署は少ないですよね。飲食関係…お菓子の製造でも
せいぜい、バレンタイン用のチョコレートを大量に作る程度。それだったら誰にでも思い
つきます。」
「そうですわね…」
「ですから、ここはいっちょどどんっと!!」
「どどんと?」
あさ美は満面の笑顔を浮かべた。
「渋谷のハチ公の隣に、原寸大チョコレート製ハチ公なんか作ってみたらどうでしょうっ!!!」
里沙はくるりとあさ美に背を向けた。
「却下。」
「えええええっ!!なんでですかぁっ!?」
「んなモン、アリやら虫やら子供やらがたかって、大変な事になるのは目に見えてるでしょー
がっ!!しかも溶けたり服についたりで苦情殺到間違いなしですわ!!」
「ええっ!?大丈夫ですよぅ!冬だから溶けません!」
「そーゆー問題じゃありません!!」
里沙とあさ美は、しばし向かい合う形でにらみあった。
- 234 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時16分43秒
その争いを部屋の外で聞いていた執事二人は、同時にため息をついた。
「…原寸大チョコレート製ハチ公…」
「甘い物がそんなに好きじゃない私には、ちょっと所じゃなくキツい代物だな…。」
真希と紗耶香はもう一度、同時にため息をつく。
「…だけど、そんな突飛な思考の持ち主のあさ美も愛してるよ…。」
そう呟いた真希に、紗耶香は冷ややかな視線を向ける。
「…変わったなオマエ。前は『愛?恋?ハッ。アホ臭い』みたいなカオしてた癖に。すっ
かり『バカップル片割れ』になりやがって…。」
「いちーちゃんも変わったよね。前は『私は完璧なる執事。私を見本とせよ』みたいなタ
イプだったのに。すっかり『センチメンタル壊れモード』になっちゃって…。」
二人同時に黙る。
「…つーかオイッ!!『センチメンタル』って何だよ!?」
「そーだ、バレンタイン近いんだ。後藤どうしよっかな。
手作りにするか買うか…それともチョコじゃなくてなんか他のモノにしよっかな。」
「…後藤自身をプレゼントとか?」
「『壊れモード』は黙ってて。」
真希は紗耶香に向き直った。
- 235 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時17分33秒
- 「そー言えばさ、明日香さんに聞いたんだけど…梨華お嬢様とヨッスィーが駆け落ちした
原因作ったの、いちーちゃんなんだって?」
「まぁな。」
平然と言ってのける紗耶香に、真希は責めるような眼差しを向ける。
「…てゆーか、私はただ吉澤と会話してただけだぞ?『Tochter.』は梨華お嬢様
の買い物用に作られた店だって。」
「…それを梨華お嬢様に聞かせる為に?」
「・・・・・・。」
紗耶香は黙って、目線を逸らす。
「いつまでも隠しておける事じゃないだろ。」
「だけど…!!」
「それに吉澤だって、アレ肩の荷が下りたんじゃないか?ずっと嘘を吐き続けなければい
けない状況から開放されて。」
真希は頭を振る。
- 236 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時18分04秒
- 「もっと、やり方があったハズだ!そんな、梨華お嬢様を傷付ける方法じゃなくて、もっ
と他に…!!」
「人間、傷つく事も必要なんだよ。」
その言葉が、あまりにも重く感じられて…真希は紗耶香を見つめた。
「ま、結果オーライってヤツだ。」
紗耶香は真希に背中を向けて、去って行った。
真希はしばらく、その場から動けずにいた。
そして次の瞬間、里沙の部屋から突然出てきたあさ美と『嬉しい衝突』とする事となる。
- 237 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時18分46秒
いしよし…つーか今回梨華ちゃん登場♪
梨華ちゃん誕生日当日は更新できないかも知れない…(大汗)
>>>219名無し読者様
芸人・市井紗耶香(笑)。最初のシリアス&カッコ良さはどこ行っちゃったんだか…。
>>>220名無し読者様
メイドさん達は恋バナらいすっきです(笑)後藤さんは、何気にモテます。
芸人・市井に続き獣・市井!!素敵過ぎます、市井さん(笑)。
>まるみ様
最愛の彼女ができましたからね〜。
ごまこんらぶらぶもいしよしらぶらぶも、メイドさん達興味深々です。
>名無しどくしゃ様
石川家並の金持ちのお友達…私もほすぃ〜。石川家は『ありえない』を基準に書いてお
ります。
嫉妬ごっちん…書いてて超楽しいです(笑)。
>ヒトシズク様
ありがとうございまっす♪成人…もう二十歳なんですねぇ、私…。
壊れたいちーちゃん、いかがでしょうか?
がんばりますね〜!どうぞよろしく♪
- 238 名前:第六十四話 投稿日:2003年01月16日(木)19時19分23秒
- レスの続きでっす♪
>>>224名無し読者様
場所変えて何したんでしょうねぇ…うふふ。ご想像にお任せいたします(笑)
おがこん・いちごま派だった私ですが、ごまこん書いてて楽しい事に気付きました(爆笑)
>チップ様
会えるのは…もーちみっと先みたいですね(汗)あああああっ!!見捨てないでぇぇぇぇっ!!
チップ様、タメですか!!うわーい!タメみっけ〜♪うれしいですねぇ。
チップ様もおめでとうございます♪
>あおのり様
のぞかれてました(笑)。ごっちんと違って気付きませんでしたが、しっかりのぞかれ
てました。
アヤカさん、こんこん護衛の任務についてますからねぇ(笑)
川‘▽‘)||<もちろんのぞいてたわよ!でも、天井裏じゃないの。窓の外にはりついてたの。
…お疲れ様です…。
- 239 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月16日(木)20時25分30秒
- クロイツさま
更新、お疲れさまです。
梨華ちゃんひさぶりの登場で何を思いついたんでしょうか?
何かろくでもないことをしないといいのですが...。
だって、梨華ちゃんが張り切ると空回りしちゃうので...。
でも、そんな梨華ちゃんも大好きですよ。
PS:柴田さんのために、コンピュータ部門の業績上げますYO
- 240 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月17日(金)02時26分37秒
- 梨華ちゃん登場っすね!!!
バレンタインどーなるかわくわくドキドキしながら待ってます!
梨華ちゃんの思いつきなんでしょう???
かなーり気になります!!!
次の更新も楽しみにしてます!
がんばってください♪
- 241 名前:まるみ 投稿日:2003年01月17日(金)11時43分32秒
- 梨華ちゃん、何かまたやってくれそうですね〜!
あさ美ちゃん、等身大「忠犬ハチ公」作ってど〜すんのよ!
いちーちゃんの「壊れモード」には・・・(笑
みんなに壊れモードの名をあげたいですね...。
次もがんばってください
- 242 名前:チップ 投稿日:2003年01月17日(金)15時22分30秒
- タメな上に私の親友も大学の音楽科に行ってるんで
勝手に妙な親近感を抱いていました。かなり大変みたいですね。
梨華ちゃんの企みも気になるけど衝突のその後が気になる・・・・
いしよしとごまこんはどっちが先にヤ(以下自粛)
- 243 名前:第六十五話 投稿日:2003年01月17日(金)17時29分52秒
ひとみはいつも通り、『Tochter.』でレジを打っていた。
「ありがとうございました。」
頭を下げて、一息つく。これが今日最後の客になりそうだ。
ふと、真っ暗になった外を眺める。
「・・・・・・。」
呼び寄せられるようにして店から外に出た。道路を隔てた先に、石川邸の豪華な門があ
る。街灯に照らし出された門は、昼間とは違った姿を見せていた。
『すきなの。』
(ここで梨華ちゃんに告られたんだっけ。)
遠い昔のようにも、ついさっき起こった事のようにも思える。まるで映画のように、頭の
中で再生されるその映像。
だけど不思議と、梨華の声や抱きしめていた梨華の華奢な体の感触は鮮明に思い出せる。
「…会いたいなぁ…。」
闇に向かって呟く。すぐに溶けてしまったが、白い息がその呟きの存在感を残した。
今でも変わらない、この想い。
…いや、時が経つ程にどんどんと想いは深く強くなって行く。
ひとみは頭を振った。
(あと、ちょっと。あとちょっと。)
口の中で、自分に言い聞かせるように呟く。
- 244 名前:第六十五話 投稿日:2003年01月17日(金)17時30分22秒
- と、そこに。
「吉澤君?」
ひとみは一瞬、動きを止める。
「…え?」
「やっぱり、吉澤君!」
そこにいたのは、駆け落ちした時に働いていたケーキ屋の店長だった。
「…て、てんちょぉ!?」
「久しぶりだね。」
変わらぬ笑顔に、なんだか目頭が熱くなりそうになる。
「…な、なんでここ…!!?」
「石川家の人が店に連絡をくれた事があったんだ。その時に君の居場所を聞いたんだよ。」
店長はカバンの中をごそごそと探り出した。
「店の忙しい時間が終わってから来たから、こんな遅い時間になっちゃったけど…。」
「は、はぁ…。」
「あ、あった。」
店長はカバンの中から、茶封筒を取り出した。そしてそれをひとみに差し出す。
「はい、これ、君の給料。」
ひとみは目を丸くした。
「…はい?」
- 245 名前:第六十五話 投稿日:2003年01月17日(金)17時30分58秒
- 「君、給料日前日にいなくなっちゃっただろ?」
店長は人のよさそうな笑顔を浮かべた。
「ずっと渡したくて…それで、ここまで来たんだ。」
「・・・・・・。」
ひとみはふるふると首を横に振る。
「う、受け取れませんよ!」
「なんで?」
「だって…。」
驚いた顔のひとみに、店長は笑いながら言った。
「君は、よく働いてくれた。誰よりも真面目に、真剣に。君ほど一生懸命働く子は、今ま
で見た事なかった。」
「・・・・・・。」
「君がいなくなってから、常連さんにいっぱい『あの子はどうしたの?』って聞かれたよ。」
「・・・・・・!!」
ひとみの脳裏に、あの店での常連客の顔が浮かんで来た。
胸が熱くなる。
「…これは君が、ウチの店にいたって言う証だから。だからずっと、渡したかったんだ。」
「店長…。」
ひとみは茶封筒を受け取った。
そんなに厚くない封筒だったが、ひとみにはずっしりと重く感じられた。
- 246 名前:第六十五話 投稿日:2003年01月17日(金)17時31分30秒
- 茶封筒をひとみに渡し終えた店長は、目を伏せて微笑む。
「…よかった。吉澤君に渡せて。」
目を開くと、店長はひとみの目を見つめた。
「僕はもう、これで帰るよ。」
「えっ!?中でお茶でも…」
「いや、ちょっと用事があるから。」
店長は右手を差し出した。
「…また、来るよ。こんどは僕の彼氏も連れて。」
「はい!…あたしも、また店に顔出します。あたしの彼女を連れて。」
二人は目を合わせて、ちょっと笑った。
- 247 名前:第六十五話 投稿日:2003年01月17日(金)17時32分06秒
麻琴は胸を押さえながら、自宅の壁に持たれかかった。
「…ゲホッ!はぁ…はぁ…はぁッ!!ゲホゲホ…ッ!!!」
荒い息と嫌な咳が、廊下に響く。
(お母さん…!!)
そう叫ぼうとしたが、とてもじゃないけど声が出ない。
「ゲホッ!!」
咳の勢いが強すぎて、喉の奥が切れたらしい。口から少し、血が飛び出る。
「はぁ…っ、はぁっ!!」
「麻琴っ!?」
ようやく気がついた母親が、すぐに麻琴に駆け寄る。
「大丈夫!?お薬…お薬は!!」
麻琴は震える手で、自分の部屋を指差す。母親は麻琴の部屋へ駆け込んだ。
麻琴は心臓に、先天的な病気を持っていた。麻琴の祖父も同じ病気で死んでいる。
「麻琴、ほらっ!!」
母親に差し出された薬を、必死の思いで水と共に飲み込む。
「…はぁっはぁっ…!!」
少し楽になったが、気休め程度だ。
(…だんだん、薬も効かなくなって来てる…。)
- 248 名前:第六十五話 投稿日:2003年01月17日(金)17時32分38秒
- 「…麻琴、大丈夫?」
(大丈夫なワケないじゃん…)
そう思いつつも、笑顔を作る。
ちょっと落ち着くと、母親によって強制的にベッドに入らされた。
(しばらく、外に出させてもらえそうにないなぁ。)
まだ心臓は、不規則な鼓動を打ち続けている。息もまだ苦しい。だが麻琴は、そんな事は
どうでも良かった。
(愛ちゃん…。)
死の恐怖をリアルに感じられる発作を起こす度、今は亡き親友を思い出す。
(愛ちゃんも、死ぬ瞬間は…こんな気分を味わったのかな?)
だけど、記憶の中の親友は何も答えてくれない。それに、発作の苦しみが本物の『死の恐
怖』だったとしても、麻琴は死んでない。
(・・・・・・。)
ベッドに横たわった麻琴は、胸の辺りを押さえた。
(…死んだら…また愛ちゃんに会えるのかな?)
窓から見えた四角い空は、どんよりと曇っていた。
- 249 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月17日(金)17時33分08秒
明日と明後日は更新できそうにありません(泣)ううぅ〜ん…梨華ちゃん誕生日なのにぃ(号泣)
次回更新は矢口さんの誕生日ですね…多分…。
>ななしのよっすぃ〜様
梨華ちゃんの考え付く事は、ヨッスィーでも予測できそうにもありません(笑)
空回り梨華ちゃん、私も大好きです。
>ヒトシズク様
バレンタイン…くくくくく(←不気味)早く書きた〜い♪
がんばりますね〜!どうぞよろしくっ!!
>まるみ様
原寸大チョコレート製ハチ公、個人的に一度見てみたいものです(笑)。
がんばりまっす!どうぞよろしくでっす!
>チップ様
>私の親友も大学の音楽科に行ってるんで
マジですか!?親友の方は何学科なんでしょうっ♪楽器ですか?
いしよしとごまこん…どっちが先にやっちゃ(以下略)
ごまこんは…やっぱこんこん中学生だからなぁ…(笑)
- 250 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月17日(金)18時42分49秒
- よっすぃーんとこでちょっとウルッきますた。
マコは心臓病すかチョトカコイイ。治ってほすぃのぉ・゚・(ノД`)・゚・
- 251 名前:まるみ 投稿日:2003年01月18日(土)09時51分28秒
- よっしー耐えてます。
もう少しで逢えるから頑張るんだよ!
マコちゃん、今まで病気を隠していたのか?
この頃、甘々いしよしを見てないよ〜な・・・さびしい。
- 252 名前:あおのり 投稿日:2003年01月18日(土)11時46分42秒
マコィ`(涙
- 253 名前:チップ 投稿日:2003年01月18日(土)16時01分32秒
- 何気に店長の再来が嬉しかったり・・・ポッ(深い意味はありません)
まこっちゃんの意外な展開に私まで心臓が痛い(勘違い)
親友は教育学部の音楽科なんでピアノやら琴やら
オケ部でバイオリンやら軽音部でギターやらベースやら色々やってるみたいっす。
- 254 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月18日(土)21時15分35秒
- ま・・・まこっちゃん〜!!!!
めちゃ切ないっ!あ〜も〜好きです^^切ないの^^
店長再来ですね。感動しました。店長かっこよすぎです><
これからもがんばってください!
応援してます♪
- 255 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月19日(日)08時32分55秒
- 更新お疲れさまです。
ケーキ屋の店長、いいひとです。(泣)
いろいろな優しい人に見守られて、いしよしは幸せそうです。
あやゃの冷たくなってしまった心を、そして、死の恐怖におびえる麻琴ちゃんを誰か救って欲しいです。
鍵は藤本さんが握ってるんでしょうか?
続きも楽しみです。
- 256 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時37分49秒
喧嘩をした。
「どうしてひとみちゃんはそうなのよっ!!」
「どうしてもこうしてもないよっ!!別に何もしてないじゃん!!」
「してるのぉ!!」
涙目の梨華に、怒り顔のひとみ。
「超ワケわかんねぇよ!!」
「なんでわからないのよぉ!!」
しばし、じーっとにらみ合う。
駆け落ちして来て、このアパートに腰をすえてから一週間。梨華とひとみは『初めての
喧嘩』の真っ最中だ。
しかし、喧嘩の口火を切ったのは梨華。ひとみは何故、梨華がこんなにも怒っているの
かがわかっていない。最初はなんとかなだめようとしていたのだが、仕事の疲れやその他
諸々の事情が重なって…ひとみも喧嘩腰になってしまったのだ。
(ワケわかんねぇ〜!!マジで!!なんであたし怒られてるワケ!?)
そう思って梨華をにらみつけるも、そのうるうるした瞳を見てしまうと…無条件で抱きし
めたくなってしまう。無条件で謝ってしまいたくなる。
- 257 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時38分25秒
- ひとみは心の中で頭を振る。
(駄目だ…だってあたし、何も悪い事してないもん!!)
気合を入れなおして、また梨華をにらむ。
「「むむむむむ…。」」
梨華の目にたまった涙が、どんどん量を増して来る。
ひとみは焦った。
(い、いかん!!梨華ちゃん泣いちゃう!!…いや、でもあたしは何も悪い事してないし…
でも…泣きそうな梨華ちゃんも可愛いなぁ…ハッ!!違う!そーじゃなくて!!なんであ
たし、こんな理不尽に怒られなきゃなんないんだよ!!…でも、多少立場弱くて良いから
笑顔が見たいなぁ〜…抱きしめたいなぁ〜…キスもしたいなぁ〜…なぁんて…いやっ!!
でもここは夫として!!)
- 258 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時39分03秒
- ひとみがこんな葛藤をしているなどとは露とも知らない梨華は、ますます涙ぐみながら思
う。
(どぉしてひとみちゃん、わからないのよぅ!わたし、見たんだから!今日お店で、若い
女の子に言い寄られて鼻の下デレ〜ってさせてたの!!しかもしかもっ!!手まで握っちゃっ
て!!わたし以外見ないでよっ!!どうしてあんな笑顔、わたし以外の人にも見せちゃう
のよっ!!あの笑顔はわたしだけのものだったハズよっ!!…でも…早く謝らないと嫌わ
れちゃうかも…でもでもっ!!許せないんだものっ!!…でも…抱きしめられたいしキス
してほしいし…でもでもッ!!駄目よ!ここはビシッとしなくちゃ!!)
「「むむむむむ…。」」
二人は、超能力者ではない。なので、お互いの心の中など読めない。狭いアパートの中で、
二人はにらみあったまま動けないでいた。
ふいに、ひとみがため息をつく。
「…あのさぁ。あたし本当に、なんで梨華が怒ってるのかわかんないんだけど。」
「・・・・・・なんでよぉ。」
涙声になってる梨華。その声を聞いたひとみは、一瞬顔が緩みそうになったが…必死で抑
える。
「だって、あたし何もしてないもん。」
「…したもん!!」
- 259 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時39分38秒
- 「あたしが梨華ちゃんに、何したって言うんだよ?」
むしろ、何もしなさ過ぎるくらいである。毎晩毎晩同じ布団に眠りながら、手は出してい
ないのである。同じ家に住んでいるのに、キスだって何だって全て我慢しているのである。
(…我ながらよくぞ理性保ってると思うよ。ホントに。)
梨華はそれが不満でもあるのだが、ひとみはその事に気付いてない。
とうとう、梨華の目から涙がこぼれ落ちた。
「…その無意識さが嫌なのぉ!!」
「はぁ!?」
「今日のお昼くらいに、お店に来たお客さん、よ!!」
「今日の昼ぅ!?」
そこでひとみは思い出した。
「…あの、『ファンなんですぅ!!』とか言ったまま、釣銭渡そうと出した手を握り締め
て離さなかったお客さん?」
「そう!!ソレ…って…。」
梨華は目を丸くした。
「…え?」
ひとみは深い深いため息をついた。
「…困ったんだよね、アレ。お客様だから無下にするワケにも行かないし、手は離してく
れないし。握り返したり笑顔見せたりすれば、満足して帰ってくれるかと思ったら…逆効
果だったし。」
「・・・・・・。」
- 260 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時40分13秒
- 「…もしかして梨華ちゃん、それで怒ってたの?」
「・・・・・・。」
梨華はこくりと頷いた。
「…馬鹿だなぁ。」
涙目で俯く梨華を、ひとみはそっと抱き寄せた。甘い香りが、ひとみの鼻腔をくすぐる。
「あたしには、梨華ちゃんだけ。」
「…うん。」
「連れて逃げたいと思うくらい、愛してるんだから。」
「…うん。」
「自信持ってよ?…本当だよ?愛しているのは梨華ちゃんだけ。梨華ちゃんがいなかった
らあたし…」
ひとみは梨華に顔を上げさせ、額同士をこつんとくっつける。
「…この世がこんなに楽しいなんて、思えなかったよ。」
梨華は、ぼろぼろと涙を流し始めた。
- 261 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時40分49秒
- 「…ごめんなさい…。でも、不安だったの!わたし以外に触れてほしくなかったのぉ!!」
「ううん、あたしこそごめん。」
ひとみの唇が、軽く梨華の頬に触れた。
「愛してるよ、梨華ちゃん…。梨華ちゃんだけを…。」
「うん…わたしも愛してる。ひとみちゃんだけよ。」
唇同士が重なる。仲直りのキスだ。
唇を離すと、梨華は名残惜しそうにひとみに抱きついた。
「…だけどね、ひとみちゃん?」
「うん?」
「…もう、どれだけ迫られても…お客さんの手を握ったり笑顔を見せたりしないでね?」
「客商売だから、笑顔はしょうがないと思うんだけど…」
「そうじゃなくて!!」
梨華は眉を八の時にする。
「営業用は良いのよ。だけど…わたしに見せる笑顔は、わたしだけにちょうだい!」
- 262 名前:番外編 投稿日:2003年01月19日(日)10時41分26秒
- 「…わかりましたよ、お姫様。」
ひとみが心底愛しそうな表情で梨華を見つめる。すると梨華は満足そうに微笑んで…目を
閉じた。
ひとみはもう一度、優しく唇を重ねる。
「…もっとぉ…。」
離れた瞬間にそうねだられて、ひとみは思った。
(…コレ以上はマズいよなぁ…。止まれなくなりそう…。)
「ひとみちゃぁん…もっと…。」
(…梨華ちゃん…え、エロいよ…。エロ可愛いよ…。)
ひとみは内心、ため息をついてから…梨華の唇を奪う。
ひとみからの激しく熱いキスを受け止めながら、梨華は完全にひとみに身体をあずけた。
ひとみの理性は、危ないところまで行ったそうだ。
番外編・おわり
- 263 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月19日(日)10時42分53秒
番外編です。
梨華ちゃん誕生日記念〜♪コレを更新する為、昨夜は夜中までレポートがんばりました。
五本中三本、昨夜中に仕上げましたよ…ヲホホ…。
パソコンに向かって児童虐待について論じながら、膝の上にいたピンクのうさぎ(ぬい
ぐるみ・名前は『うしゃぎ』)に向かって「ああ…今日はもう梨華ちゃん誕生日なんだよ…
これで夜九時以降も梨華ちゃんを見られるようになるんだよ…』と呟き続けた午前三時。
なんにせよ…更新できてよかったー!!!
梨華ちゃん、誕生日おめでとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
(睡眠時間足りてないんで、ちょっぴりハイです。)
>名無しどくしゃ様
まこっちゃんの心臓病、癌とどっちにしよーか悩みました。
ヨッスィーんトコでうるっとなってくれましたか…うれすぃ〜です!!
>まるみ様
番外編でもヨッスィー耐えてます(笑)。まこっちゃん、病気隠してます。体育は見学
してますが。ののたんには
∬ `▽´∬<体育なんかタルくってやってられっかよ!!
と言っておりますが。
久々のあまあまいしよし、どうでしたでしょうか?
- 264 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月19日(日)10時43分39秒
- レスの続きでっす♪
>あおのり様
まこっちゃんは出てきた当初から何か病気持ってるって設定でした。
どーなるんでしょぉねぇ、まこっちゃん。
>チップ様
店長再登場…よかった店長忘れ去られてなくて(笑)唯一とも言えるオリキャラですか
らね〜。
親友の方、すっごいですね!!私は声楽学科なので、楽器は駄目駄目ばbbですよ。え
え、ピアノも素晴らしく下手なのれす。
>ヒトシズク様
ををっ!!店長を覚えていて下さった方がここにもっ!!よかったね店長〜。
番外編いかがでしたでしょうか?次回からは本編にもどります。がんばりますよ〜!!
試験中だけど〜〜(笑)!!!
>ななしのよっすぃ〜様
現在会えないいしよしの、アパート時代の番外編です。
鍵を握ってるのは…ミキティかまこっちゃんか、はてまたアヤカさんか。それとも意外
に平家さんか(笑)。どうぞ見守っててやって下さいませ☆
- 265 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月19日(日)15時38分37秒
- おぉ!番外編!!!!
クロイツ様、夜中までお疲れ様です。
やっぱり、いしよしはあまあまでなければっとか思いながら読んでました。
初めてのケンカ。。。ん〜・・・サイコ〜!
試験がんばってくださいね!
更新楽しみに待ってます!
がんばってくださいね!応援してます♪
- 266 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時36分09秒
ひとみと真希は弁当を広げながらも、それに手もつけようとせずに考え込んでいた。
「「はぁ…。」」
ため息がハモる。
「…真似すんなよごっちん。」
「ヨッスィーこそ、真似しないでよ。」
そして顔を見合わせて、また同時にため息。
「…金はあるんだよね。金は。」
「うん。私もある。今まで仕事に没頭されるまま、ほとんど使わずに貯められてる給料が。」
「あたしも、こないだ店長にもらった一ヶ月分の給料と…それから『Tochter.』
でなつみ姉ちゃんが『バイト代』っつって小遣いの他に毎月くれてる給料が。」
「ウチら、けっこーリッチだよね。」
「うん。だから、かなり豪華なモンも買えるんだよね。」
また、同時にため息をついた。
「「これで、何贈ったら良いのかがわかれば完璧なのに…。」」
こんな台詞すら、ハモッてしまう。
この二人は、バレンタインデーに恋人に何をプレゼントするかで悩んでいるのである。
「…てゆーかさぁ、今まで仕事第一だった私と違って、ヨッスィーは遊びまくってたんで
しょ?過去、どんな女に何贈ったのか…参考までに聞かせてよ。」
「んなっ!!人聞き悪い事言うなよごっちん!!」
- 267 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時37分02秒
- 「事実じゃん。」
「お、女だけじゃないもん!男とも付き合ったもん!!」
自分でそう口走ってから、更にタチが悪いと言う事に気付いて…ひとみはがっくりと肩を
落とす。
「…で、何贈ってたの?」
真希が重ねて聞くと、ひとみはようやく重い口を開く。
「…参考にならないと思うんだけど…ウチ、バレンタインデーは、ほとんどもらうばっか
りだったから。男にはその辺で売ってるチョコしかあげなかったし。」
「それじゃ女の子にはホワイトデーに何かあげてたの?」
「いや…あげてない。」
「なんで!?もらいっぱなし!!?」
「・・・・・・。」
ひとみは遠い目をして、明後日の方向を向いた。
「…ウチ、バレンタインデーに一緒にいた子と、ホワイトデーになるまで付き合ってた事
ないんだよね…。」
真希は額に手を当てて、深い深いため息をつく。
「…なんか不安になって来た。本当にコイツを梨華お嬢様の夫と認めて良いんだろうか…。」
「かっ、過去の話だよ、過去の!!」
- 268 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時37分55秒
- 「てゆーか、柴田家の三女の時はどうしてたの?」
「・・・・・・怒らない?」
「…何?」
ひとみはもじもじしながら口を開く。
「…身体で返してた…。」
どびしっ
真希は、持っていた箸をひとみの顔面に向かって投げつけた。
「痛いッ!!しかも危ないッ!!何すんのさ!!」
「やかましい!!聞きたくなかったわ、そんなハナシ!!」
「ごっちんが聞いたんじゃん!!それに最初に『怒らない?』って訊いたのに!!」
「『怒らないから喋ってみろ』とは一ッッッッッ言も言わなかったわ!!」
確かに、言ってない。
そして、ひとみから箸を回収した真希は、疑わしげにひとみを見て呟く。
「…ヨッスィー、梨華お嬢様にそんな事したら…許さないよ?」
「わかってるよ…てゆーか、過去の話なんだってば。本当に。
梨華ちゃんは、今まで付き合ってきた人達とは違う。永遠に一緒にいたいって思う。…
だからこそこんなに悩んでるんじゃん。バレンタインに何贈ろうかって。」
二人はまた、同時にため息を吐く。
「「…どーしよう…。」」
呟きは、誰もいない教室に必要以上に反響した。
- 269 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時38分31秒
りんねはなつみの元で、確実に色々な事を身に付け出していた。りんねは素直で、なつ
みの教える事全てを確実に学ぼうと、日夜努力しているようだった。
そんなりんねに、なつみは言った。
「ねえ、りんね。りんねのオリジナルケーキ…試しに作って見て。」
「えっ?」
突然の事に、りんねは驚きを隠せない。
「もし、そのケーキをなっちがすっごく気に入ったら…お店に出してみるべさ。」
「…えぇぇっ!?」
「どう?やってみる?」
りんねは頬を紅潮させた。
「…やりますっ!!やりたいですっ!!」
なつみは満足そうに頷く。
「期限は一週間だべさ。どんなケーキでも良い。りんねが『誰かに食べてもらいたい』っ
て思うケーキを作ってね。」
「はいッ!!がんばります!!」
なつみは笑顔で、りんねの頭をなでた。
- 270 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時39分39秒
- その様子を厨房の外から見ていた紗耶香は、不機嫌な様子でため息を吐く。まるで胸で
燃え盛っている嫉妬の炎の欠片が、口から出ているようだ。熱い。
なつみを信じていないわけではない。間違いなくなつみは、紗耶香を愛している。それ
はわかっている。
(だけど…面白くない。)
りんねにしても、なつみに恋をしているわけではない。しかし、この短期間でりんねは
なつみに、最上級の尊敬を抱いているようなのだ。
尊敬の感情は、恋愛感情にひどく似ている(ように、紗耶香には見える)。
(…それなのに、なっちはわかってくれないし…。)
りんねを残して厨房を出てきたなつみは、悶々としている紗耶香を見つけて駆け寄った。
「紗耶香〜?どうしたんだべさ?」
(…人の気も知らないで。)
いつもと変わらぬ天使の微笑み。この天使の微笑が、ベッドの中ではまるで悪魔のように
色っぽくなるのだ。それを思い出して、紗耶香はなつみに抱きついた。
- 271 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時40分14秒
- 「なっ!?何するんだべさ、紗耶香っ!!」
紗耶香はその言葉を無視し、なつみの首筋についばむようなキスをする。
「駄目、駄目だってば!!店内でそんな事しちゃ…!!」
客は誰もいないが、いつ来るかわからないのだ。特に今日は、ケーキの予約をしている常
連客がいる。
「紗耶香ってば!」
なつみは渾身の力で、紗耶香を自分から押し戻す。
紗耶香の表情を見て、なつみははっと息をのむ。
「…紗耶香…」
「なっちを、ガラスケースに閉じ込めてしまいたい。」
「…はい?」
「そうすれば…私以外、触れられない。私にだけ微笑みかけてくれる。…私だけのなっち
になる。」
強引に抱き寄せられるが、なつみは抵抗できなかった。
「もう、辛いんだ。」
「…りんねの事?りんねはそんなんじゃないべ?ただ、なっちの弟子ってだけで…」
「私よりもなっちに近い人間がいるなんて…耐えられないんだ…。」
- 272 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時41分28秒
- なつみはふっと笑った。
「なーに言ってるんだべ。」
紗耶香の背中に、腕を回す。
「一番近くにいるのは、いつも紗耶香っしょ?」
「…だけど…」
「紗耶香には…抱きしめてほしいとかキスしてほしいとか…だ、抱いて欲しいって思うけ
ど…りんねとか他の人には思わない。」
「・・・・・・。」
「これって、『紗耶香以外見えない』って事じゃないかい?」
なつみは真っ赤になった顔を、紗耶香の胸にうずめた。
「ひゃ〜…恥ずかしい〜…」
紗耶香はそんななつみを抱く手に、力を込めた。
「…だからね、紗耶香。安心して。」
「…わかった。」
「…お、お客様来ちゃうかもだから、離してくれないかなぁ?」
「・・・・・・。」
紗耶香は不満そうな顔でなつみを離す。
なつみがちょっとホッとした顔をした、その時。
「んんっ!!!」
唇を奪われた。しかも、激しく。
「んんん〜っ!」
逃げようとするが、相手は紗耶香。どうあがいても逃げられない。
- 273 名前:第六十六話 投稿日:2003年01月20日(月)17時42分05秒
- やっとの事で唇が離れると、なつみは涙目になっていた。
「…もうっ!!紗耶香っ!!」
「なっちがいけないんだぞ?可愛過ぎるから。」
「そ、そーゆー問題じゃなくってぇっ!!」
そこで、二人とも気がついた。
客がいる。
しかも、この時間には珍しい制服姿だ。
「・・・・・・。」
驚いた顔で二人を見ていたが、すぐに顔を真っ赤にしてうつむいた。
「ごっ、ごごごごごごごご、ごめんなさいっ!!!」
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
うろたえるなつみに、何事もなかったかのように振舞う紗耶香。
客は背中を向けて、店外へと飛び出して行ってしまった。
「あっちゃ〜。見られちゃったか〜。」
「…『あっちゃ〜』じゃないべっ!!紗耶香っ!!!」
真っ赤になって怒るなつみの額に軽くキスをし、紗耶香は床に目線を走らせる。
「これは…名札?」
拾い上げて見ると、『1年B組 道重』と書いてあった。
「…あの制服…1年B組…って事は、里沙お嬢様のクラスメート…。」
紗耶香はもう一度なつみにキスをしながら、名札をポケットに入れた。
- 274 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月20日(月)17時42分42秒
さっそく出してみました。新メンバー。
あの三人の中では、道重さんが一番のお気に入りかも知れません。
そして…誕生日なのに矢口さんの出番がなくてごめんなさい…(大汗)
>ヒトシズク様
あまあまになってましたか〜?(汗)ちょっと心配だったんですよ。
喜んで頂けたみたいで…よかったデス☆
頑張りますよ、試験。そしてレポート。
…テクマクマヤコンテクマクマヤコン、『レポートの代わりにいしよし小説提出すれば
オッケー』って言う事になぁ〜れっ。
…無理か。
- 275 名前:まるみ 投稿日:2003年01月20日(月)18時26分51秒
- 番外編と本編お疲れさまです。
苦悩する吉とごっちん、良かったです。
それにしても、吉の過去は改めてすごい!
梨華ちゃんに逢って更生出来て良かったっす!
バレンタイン本当になに渡すのでしょうか?
楽しみに待ってます。
- 276 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月20日(月)19時35分43秒
- 番外編(°д°)アマー市井さんやるぅう〜(氏
よっすぃーはやっぱりプレイボーイっすね!吉柴なにげに萌えw
道重さんですかぁ〜自分、6期には興味があるようで無いですね。
- 277 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月20日(月)22時26分21秒
- 道重キターーー!!!
いきなりの登場にビックリです!そして本当にほっぺを赤くしてそうw
自分も6期の中では道重がお気に入りです。
存在自体が面白い子ですね、彼女はw
バレンタインデー、いろんな人の想いが交錯してますなぁ・・
皆、ガンバレ〜!
- 278 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月20日(月)22時26分50秒
- 更新お疲れさまです。
道重さん、早くも登場ですね。番組見ててこの子は受かるなと思ってましたが、3人とは...。
ミキティを入れると4人。う〜ん、実に多い。
プレゼントに悩むよっすぃ〜の暴走も心配です。
いしよし二人して暴走して店ごと壊しそうですね。(笑)
柴田さんは、ミキティに『赤いフリージア』を送り愛を告白!
しかし、玉砕!!
そしてその様子を監視する大谷さんのスパイロボット。
想像するだけで笑えます。
すみません、読者のたわごとです。
では、更新を楽しみに待ってます!!
- 279 名前:あおのり 投稿日:2003年01月21日(火)01時00分58秒
- バカ旦那のバレンタインの懺悔に大笑いしました。
あまりにも予想通りな回答に、さすがの後藤さんも怒り心頭ってところでしょうか
このコンビいい仕事しますねー(w
相変わらずさやなちは熱くて死にそうです。
市井さんにはこの調子でもっと壊れてもらいたいです。
道重さん初仕事がさやなちのキスシーンとはキッツイ洗礼を受けちゃいましたね。
現実でもヨシコエロ旦那のセクハラ攻撃にあわないか密かに心配だったりして(w
- 280 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月21日(火)20時27分59秒
- おぉ!道重さん登場!!!
私も道重さん推しです^^
プレゼントに悩むごっちん&よっすぃー、何か絵になりますねぇ・・・
それにごっちんのつっこみ!あれは笑いました(笑。
りんねのケーキ完成するのでしょうか!?
かなり、楽しみに待ってます!
それにバレンタインデー!いろんな人の想いが交差している日っ!
めちゃ楽しみに待ってまーす!
更新がんばってくださいね♪
応援してます♪
- 281 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時04分17秒
道重さゆみは、石川家付近をうろうろとさまよいながら、真っ赤になった頬をぺちぺち
と叩いた。
(…キスシーン、生で見ちゃった…。)
さゆみはいわゆる、『箱入り娘』だ。ドラマなどでのキスシーンですらもチャンネルを変
えてしまうくらいの。
そのさゆみには、先ほどの紗耶香となつみの濃厚なキスシーンは、刺激が強すぎた。
とてとてと石川家周辺を歩きながら、さゆみははたと気付く。
「あっ…お菓子の詰め合わせ買うの、忘れちゃった…。」
さゆみは、クラスメートである里沙にプリントを届けに来たのだ。里沙はここの所ほとん
ど登校していない。その為ハンパじゃない量のプリントがたまってしまったのだ。
さゆみは、昔から里沙に憧れていた。
天才的頭脳を持ち、会社の経営までできる里沙。一人を好み、誰ともつるもうとしない
孤高の人。さゆみは初等部の頃から里沙に憧れの念を抱いていた。中等部に入って、同じ
クラスになれた時は…失神する程嬉しかった。
だが人一倍内気なさゆみは、中等部に入学してから今日まで一度も里沙に話しかける事
ができなかった。この『プリントを届ける役目』は、天がさゆみに与えた一世一代のチャ
ンスなのだ。
- 282 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時04分48秒
- (だからこそ…失敗はできないっ!!手ぶらでお宅訪問なんてそんな失礼な事…!!)
だけど、キスシーンを目撃して逃げ出して来てしまった手前、もう一度あの店に入る事な
ど内気なさゆみにはできない。
(こんな事なら、駅前で買っておくべきだったわ…。)
だが、前に里沙がぽつりと『我が家の目の前に出来たケーキ屋さんのお菓子が好き』と言っ
てるのを耳にしたさゆみは、『手土産はそのお店で!』と思っていたのだ。
さゆみは携帯を取り出して、さっき追い返してしまった道重家の専属運転手を呼び戻そ
うと思った。『この周辺をうろうろしてますから、帰りには呼んで下さいね!』と言って
いたから、呼べばすぐに来るはずだ。
さゆみの家も、石川家・柴田家には及ばないものの、かなりの金持ちである。
(運転手に頼んで、買って来てもらおう。)
そう思った、その時。
「道重様?」
「はひっ!?」
突然名前を呼ばれた事に驚いて、さゆみは変な声を出してしまった。
- 283 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時05分22秒
- 恐る恐る振り返ってみると…そこにいたのは、紗耶香だった。
「…あ…さ、さっきの…。」
「さっきは申し訳ございませんでした。」
「いえ…。」
さゆみは思い出して、また真っ赤になる。そんなさゆみに、紗耶香は執事スマイルを炸裂
して言った。
「『Tochter.』に、御用だったのでしょう?」
「え、ええ、まぁ…。」
「それでは、どうぞいらして下さい。」
「でっ、でもっ!!」
紗耶香はぷっと笑った。
「…もう、キスシーンはございませんから。」
さゆみの顔が、ますます真っ赤になった。
「さあ、どうぞ。」
紗耶香が手を出し、さゆみは恐る恐るその手を取った。
紗耶香は笑顔で、さゆみを『Tochter.』に導く。
- 284 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時06分17秒
- そんなさゆみの視界に、一瞬だけ人影が映った。
「…あら?」
「どうなさいました?道重様。」
「いえ…ちょっと…。」
もう一度そちらを見て見るが、今度は何も見えなかった。
(見間違いかしら?)
「…なんでもありません。」
さゆみは首をかしげながらも、その人影の事をなかった事にした。
- 285 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時06分56秒
その人影は、亜弥であった。
「・・・・・・。」
亜弥は身を隠しながら、ため息をついた。
刺繍の入った手提げ袋を返して欲しくて、あれ以来毎日来ているのだ。
亜弥は、ふいに悲しくなった。
(…なんであややが、こんな事!!)
希美がいない時間を見計らって、学校を抜け出して来ているのだ。それなのに、何故か
店内には入れない。
大切な物なのだ。どんな手段を取ってでも取り返したい。
だが…なつみと顔を合わせるのが怖い。
きっと、希美から自分の事は聞いているだろう。なつみの妹をあそこまでいじめている
張本人が自分だと言う事も、きっとバレている。
(…それがどうしたって言うのよ!!)
そう思っては見るものの、亜弥には十分わかっていた。
亜弥は、なつみに嫌われるのが怖いのだ。
あのケーキの味が、忘れられない。そして、なつみの笑顔も忘れられない。
- 286 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時07分44秒
- (違う!ミキスケがいないから…寂しいから、そう思うだけよ!!)
それだけではない事は百も承知だが、亜弥は認められない。
認めてしまったら、全てが終わってしまいそうで怖いのだ。
「・・・・・・。」
亜弥は、なんだかすごく情けなくなった。そして、自分が惨めに見えて来た。
ぶるぶると頭を振る。
(そんな事ないっ!!あややは…あややは特別なの!!誰よりも優れてて…誰よりも偉い
の!!)
呪文のように、心の中で唱え続ける。
そうしていなければ、心の平衡が保てないのだ。
「…ミキスケ…!!」
そう呟いた言葉は、小さいが悲鳴のようだった。
- 287 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時08分22秒
「…え?」
柴田家の、美貴専用の練習室の中で、美貴は何かに呼ばれたような気がして振り返った。
「どうなさいましたか?藤本様。」
お茶を届けに来た雅恵に言われて、美貴は慌てて笑顔を作る。
「いえ…なんでもないです!」
すると雅恵は、にっこりと笑顔を作った。
「それでは、お茶はここに置いておきますので。」
「はいっ!ありがとうございました!」
深く頭を下げる美貴に軽く頭を下げ、雅恵は退室しようとした。
「…あのっ!!大谷さんっ!!」
「はい?」
切羽詰ったような声を出す美貴に、雅恵は少し驚いたような顔を見せた。
「あのっ…そのっ、なんて言うか…っ!!!」
「何でしょう?」
「チョコとか、甘いものとか、好きですかっ!!?」
「え?」
雅恵は何の事だかわからず、面食らった顔をした。
「・・・・・・っ。」
- 288 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時09分28秒
- 美貴は真っ赤になって、目をぎゅっと閉じている。心臓は、破裂せんばかり。
そんな美貴に、雅恵はふっと笑顔を浮かべた。
「好きですよ。」
どくんっ!
心臓が最大級に跳ねる。
「…あ、あ、あ…ありがとうございますっ!!!」
「いえ…。何でですか?」
「そっ、それは…なんてゆーか…そのっ!!」
挙動不審になる美貴に、雅恵はまた笑みを漏らす。
雅恵は微笑んだまま、美貴の頭に触れた。
「おもしろい方ですね。藤本様は。」
「は、はははははいっ!!ありがとうございますっ!!!」
「…いや、礼を言われるべき発言ではないのですが。」
雅恵は美貴の顔を覗き込んだ。
「本当に…あなたを見てると、実家に残して来た妹を思い出します。」
「…え?」
- 289 名前:第六十七話 投稿日:2003年01月21日(火)22時10分22秒
- 顔を上げた美貴に、雅恵は語る。
「妹も、音楽をやっているんです。フルートを。」
「…妹さん、いらっしゃるんですか?」
「はい。年の離れた妹が。…父親が違うのですがね。」
美貴の髪をなでながら、雅恵は懐かしそうに目を細める。
「…だけど、不思議です。容姿も性格も、藤本様とは全然似ていないのに…何故、あなた
を見ると妹を思い出してしまうんでしょうか。」
「・・・・・・。」
美貴は、心臓を鷲掴みにされた気分になった。
切ない。なんだかとても、切ないのだ。
雅恵が退室した後も、切なさは消えなかった。
いや、むしろどんどん量を増しているようだった。
- 290 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月21日(火)22時11分38秒
罪作り執事・大谷雅恵。妹がいる事が発覚です。
最近、柴大の漫才書いてないですねぇ。寂しい…。
>まるみ様
バレンタインのプレゼント、ヨッスィーのはもう決まってるんですが…ごっちんのが決
まりません(泣)
吉澤さん、過去はジゴロですから(爆笑)
>名無しどくしゃ様
私も微妙に、6期には興味が無いんですが…でも、やっぱ新しいのが入ったら使いたい
じゃないですか(笑)特に道重さん、名前が可愛いし…。
>名無し読者様
バレンタインデー交錯の中に、ミキティも参加です(笑)
道重さん、あの三人の中では一番好みです。外見的にも存在的にも。
>ななしのよっすぃ〜様
素晴らしい想像力です。一瞬パクろうかと思ってしまった程に(笑)。
ミキティもバレンタイン参戦しますので、どうぞ見守っててやってくださいませ!!
- 291 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月21日(火)22時12分32秒
- レスの続きでっす♪
>あおのり様
後藤さんもね〜。予想つくんだから、わざわざ質問しなけりゃ良いのにね〜。最終的に
は怒るんですから。いっつも(笑)
メインのいしよしよりも熱いさやなち…なんでやねん(泣)
>ヒトシズク様
絵になるでしょー♪テスト中にふと、『悩む吉澤さん&後藤さん』の図がぽんっと浮か
んだんですよー♪(テストに集中しろよ…私…)
がんばりますっ!!どうぞよろしくっ!!
- 292 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月22日(水)00時13分36秒
- やっぱり私、クロイツさんの書く文章、好きです。(*/∇\*) キャ
あーもう、酔いに任せて言ってしまいます。
『Tochter.』、何 て 読 む ん で す か ?
散々調べ倒して、それでも分からない私はただの酔っ払いですが何か・・・・゜・(ノД`)・゜・
ほんと、スレ汚しもいいとこです。
- 293 名前:チップ 投稿日:2003年01月22日(水)18時08分03秒
- プレゼントは・・・(果てしなき妄想)
ごっちんアレでいいのではないかと、中学生でもいいじゃないかと。
私普通にトッチャーとか父ちゃんとかって読んでしまってたんですけど・・・
何て読むんでしょ?素面で聞きたい、ごめんなさい。
- 294 名前:名無し 投稿日:2003年01月22日(水)19時17分45秒
- >292>293
作者さんじゃないけど…。
ドイツ語で「娘」って意味っす。
発音するなら「トホター」かな。
- 295 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月22日(水)20時46分06秒
- うわぁぁぁ!大谷さん、妹がいるんですか〜・・・
かなりびっくりです^^
藤本さん、可愛い♪
しかも切ないっ!サイコーですっ!!!
バレンタインデーどうなるでしょうか?
気になる1組が増えてかなーり楽しみになってきました♪
これからもがんばってください!
応援してます!
- 296 名前:第六十八話 投稿日:2003年01月22日(水)21時45分26秒
麻琴は自室のベッドの上で、ぼんやりと外を眺めていた。
「・・・・・・。」
外の景色はいつもと変わらないハズなのに、麻琴にはなんだか別世界のように見えた。
『…麻琴ちゃんの心臓は、もう…ほとんど手の施しようがありません。』
扉の向こうから漏れ聞こえて来た、医師の声。医師も母親も、麻琴は眠っていると思って
いたが、実はバッチリ起きていた。寝た振りをしていただけなのだ。
『先生、どうにかする事はできないんですか!?お金なら…なんとかしますから!!』
『申し訳ございません。現代医学では、どうする事もできないんです。』
小さい頃から…いや、生まれた時から診てもらっている医師だ。
どうやら医師は本気で落ち込んでいるらしい。声が、今まで聞いた事もないくらい落ち込
んでいる。
『僕に出来るのは…薬で、発作の苦しみや痛みを和らげてあげる事くらいなんです。』
『そ、それじゃあ…麻琴は…!!』
『持って、あと半年。早ければ三ヵ月後には…』
麻琴はがばっと布団を被った。
(…覚悟はしてたよ。昔から。)
- 297 名前:第六十八話 投稿日:2003年01月22日(水)21時46分34秒
- 生まれた時から、麻琴の心臓は病んでいた。その為に両親が莫大な治療費を苦労して払っ
ている事も、とっくの昔に知っている。
麻琴は、布団の中でぎゅっと目を閉じた。
(…これで、お父さんやお母さんの負担が減る。それに、死んじゃえば苦しい思いもしな
くて済む。)
だけど、やはり麻琴もまだ十四歳の少女。覚悟はしていたものの、『死』と言うのは恐ろ
しい。
脳裏に、今は亡き親友が浮かび上がった。
「…愛ちゃん。」
口に出したら、こらえきれなくなって涙が溢れ出した。
声を殺し、布団の中で丸くなる。
きっと今頃、母親も声を殺してないているんだろう。そんな事を考えながら、麻琴は呟
く。
「…お父さん、お母さん…苦労ばっかかける娘でごめんね。
私がもっと健康だったら…治療費の為に借金もしなくて済んだし、別荘も手放さずに済
んだんだよね。」
麻琴でさえも聞き取れないくらいの小さな声。
- 298 名前:第六十八話 投稿日:2003年01月22日(水)21時47分10秒
- 「…ののちゃん、あさ美ちゃん…それにフランソワーズ、ごめん。
私は…松浦の事が片付くまで、この世にいられないかも知れない。『まかせておけ』な
んて言ったのに…嘘吐きだね、私。」
シーツに、点々と涙の跡がつく。
「…愛ちゃん…!!!」
悲鳴に近い声だった。
「もうすぐ…もうすぐ、会えるんだね…!!だけど…私、愛ちゃんに合わせる顔がないよ…!!」
亜弥の事は、何一つ片付けていない。
そんな状態では、麻琴は愛に合わせる顔がないのだ。
「だけど…っ!!」
麻琴は布団から這い出て、空を見上げる。
「今は…早く愛ちゃんに会いたいよ!!」
何かを吐き出すような叫びをあげた後、麻琴は掛け布団を顔に押し付けた。
- 299 名前:第六十八話 投稿日:2003年01月22日(水)21時47分50秒
その頃ひとみは、里沙の部屋で資料とにらめっこをしていた。
「どう?何か気付いた所とかありまして?」
「うぅ〜ん…。」
あさ美とも、コレと同じやり取りをした事を思い出した里沙は、渋い顔で言った。
「…『原寸大チョコレート製ハチ公』とか言い出さないで下さいませね?」
「はい?な、何それ。」
「いえ、なんでもございませんわ。」
『原寸大チョコレート製ハチ公』を言い出しそうもない気配に、里沙は安堵のため息を吐
く。
「バレンタインデー企画は、あさ美さんのアイデア通り、順調に進んでおりますわ。です
からひとみさんは、ホワイトデーの企画にアイデアを出して頂きたいの。
何でも良いんですのよ?」
「うぅ〜ん…そう言われてもなぁ…。」
ひとみは考え込んだ。
「バレンタインデーとかホワイトデーって、なんかあんまり…よくわっかんないんだよね、
ウチ…。」
「そこをなんとかっ!!」
「うえぇ〜?…あ。」
ひとみはぽんっと手を打った。
- 300 名前:第六十八話 投稿日:2003年01月22日(水)21時48分33秒
- 「どどんっとやるのはどう!?」
「…どどんっと…?」
嫌な予感が里沙の心を横切る。ひとみは屈託のない笑顔で、高らかに言った。
「池袋の『いけぶくろう』の隣に、原寸大キャンディー製いけぶくろうを…」
「却下ぁ!!」
「えぇっ!?なんで!?」
「っか────────────────────────────────!!!もう!!
姉妹揃ってこの人たちはッ!!妹はチョコレート製ハチ公で、姉はキャンディー製いけぶ
くろうって!!何か示し合わせてるんですの!?」
ひとみは『わからない』と言う顔で首をかしげる。
「何がいけないの?」
「ちょっと考えればわかるでしょうっ!!アリとか虫とか子供とかがタカるでしょうっ!!!
んでもって苦情が殺到するでしょうッ!!!!」
「あ、そっか。」
ひとみはぽりぽりと頭をかいた。
「…だけどさぁ、いきなり出せって言われても…」
「不可能を可能にする!これが経営の基本ですわ!!」
「そ、そーなの?」
里沙は自信たっぷりに頷く。
- 301 名前:第六十八話 投稿日:2003年01月22日(水)21時49分08秒
- ひとみはもう一度、資料に目を落とした。
(…とは言っても、コレ…突っ込む隙がないくらい完璧だよなぁ。)
資料を目で追いながら、ひとみは頭をかかえた。
何か良いアイデアを出さなければ、家に帰してくれなさそうだ。
(…だけど、今…同じ建物の中に梨華ちゃんがいるんだよなぁ。)
にへら、と顔がゆるむ。
「…ひとみさん。顔、ゆるんでますわよ。」
「うっ…ご、ごめん。だって…。」
「梨華お姉様より、今はお仕事!これが成功すれば、石川家の中でのあなたの評判はうな
ぎ上りですわ。そうすれば…もう二度と、こんなに引き離される事はないんじゃありませ
ん事?」
「…そ、そうだよね。」
ひとみは頬をたたいて、顔を引き締めた。
あの、誰よりも愛しい彼女を永遠に手に入れる為に。
ひとみは今、誰よりも燃えていた。
- 302 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月22日(水)21時49分44秒
次回、バレンタイン前夜編です。
まこっちゃん…なんでこんな事に…!!!(←作者が言うなよ)
そして、『Tochter.』は「トヒター」と読みます。ドイツ語で「娘。」と言う
意味です。
>名無し読者様
>やっぱり私、クロイツさんの書く文章、好きです。(*/∇\*) キャ
ありがとうございます!!そう言って頂けると、本当に嬉しいです!!
がんばりますので、どうぞ見捨てないでくださいませ!!
>チップ様
英語読みだと「とっちゃー」なんですよね〜。
ごっちんのはアレ…こんこんはどう思ってるんでしょうかねぇ。やっぱしてほしいんで
すかねぇ♪
>名無し様
意味、大正解です!読み方は「ホ」じゃなくて「ヒ」だと思います。多分…(汗)
ありがとうございました♪
>ヒトシズク様
大谷さんの妹、あの子にするかあの子にするか、ちょっと悩んでおります(笑)
次回、バレンタインデー前夜編です!!どうぞよろしく!!
- 303 名前:292 投稿日:2003年01月22日(水)23時04分31秒
- 読みを教えてクンです(w
ありがとうございました!これで胸のつっかえがすっかり綺麗に。
ドイツ語かぁ・・・わからん訳です(w
バレンタインの企画、私も悩んでます。
石川家のようにお金に糸目はつけない!ってんなら話は別ですが
いかんせん貧乏なお店なので・・・。里沙様お持ちの資料、ちょっと見せてくださいよ(w
- 304 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時47分29秒
「で…できたぁ…!!」
梨華は震える手で、ピンク色の糸を通した針を置いた。
「長かった…気がする。」
出来上がった『ソレ』を高々と抱き上げた。
『ソレ』は、ひとみへのバレンタインのプレゼントだ。もちろんチョコも作ってある。
最初はチョコだけのつもりだった。しかし、明日香に『チョコだけなんていけませんわ!
他のライバル達を蹴散らす為には、やはりチョコだけじゃ足りません!!本命の余裕も結
構ですけど、やっぱり努力できる所は努力しなきゃ!』と言われて…一昨日の夜から作り
はじめたのだ。
「…やっぱり、急ごしらえ感が漂ってるかなぁ…。」
明日香にみっちりとしごいてもらってるとは言え、梨華の家事のレベルはまだ『高い』と
は言えない。だから、一昨日の夜から徹夜して作った『ソレ』も…お世辞にも上手くでき
ているとは言いがたい。
「で、でもでもっ!!愛はこもってるもん!!」
ぎゅっと『ソレ』を抱きしめて、ため息をつく。
と、そこに。
こんこん。
「梨華お嬢様〜?アヤカです。」
- 305 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時48分10秒
- 「あっ!!どうぞ、入って!」
梨華はそう言って、裁縫道具を片付けた。
「失礼しま〜す。…里沙お嬢様から、『梨華お嬢様が私に用事がある』と伺ったのですが…。」
梨華はアヤカに、ソファーに座るよう促した。そして、その正面に梨華も腰掛ける。
「アヤカさんて、護衛もスパイも隠密もできるのよね?」
「…まぁ、一通りは。」
にっこりと微笑んだアヤカに、梨華は祈るような視線を投げかける。
「お願いっ!!今夜、忍び込んで欲しい所があるのっ!!」
「・・・・・・。」
アヤカは目を点にした。
父親はボディーガード、母親はスパイと言う家庭に生まれ育ったアヤカ。幼い頃から双
方の訓練を受けさせられていた。だから、感情をコントロールするのは得意だ。
そのアヤカが、目を点にしている。
これは極めて珍しい事である。
だが梨華はそんな事にも気付かずに、ひたすら目を潤ませてアヤカを見つめていた。
- 306 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時48分46秒
その頃、石川邸の厨房では。
「ラッキー♪やっぱり梨華お姉様も、チョコ手作りしたんだ!」
ハラハラした顔で見守るコックを尻目に、亜依は手を叩いて喜ぶ。
「残った材料、ちょ〜っとだけ使わせてもらおうっ♪」
亜依は浮かれた様子で鼻歌を歌う。それを見て、メイドの田中麗奈は言う。
「良いんですか?梨華お嬢様に了解を取らなくて。」
「大丈夫だよ〜♪だって梨華お姉様、もう作り終えてお部屋に持ってっちゃってるし。」
亜依は今日の夕方、唐突に圭へのチョコレートを手作りにする事に決めた。しかし、亜
依は今まで料理をした事がない。そこで、一番仲の良いメイド・田中麗奈に手伝ってもら
いながら手作りする事にしたのだ。
そして今日は、バレンタイン前日。さすがの石川家でも、バレンタイン前日の夕方に、
手作りチョコの材料を完璧に揃える事はできなかった。トッピングやデコレーションが、
少し心もとない。
- 307 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時49分26秒
- 特に今年は、紺野あさ美のアイデアにより『手作りを応援する』と言う企画で進んでい
るのだ。手作りの為の材料や道具は、在庫が底をつく程に売れてしまった。
そこで亜依は、梨華が半月前から集められるだけ集めた『手作りチョコの材料』に目を
つけたのだ。
「でも、亜依お嬢様…なんでいきなり手作りにしようなんて思ったんですか?」
麗奈の言葉に、亜依は鼻歌を止めた。
そう。亜依は、もうチョコを用意していたのだ。世界でも有名な、高級チョコレート専
門店のチョコを。だけどそれを捨て、手作りに切り替えると言い出したのだ。
『保田先輩っ!!一日早いんですけど…これっ!!受け取って下さいっ!!!』
『え…?』
『わ、私…明日、実家に帰らなきゃいけなくなっちゃったんで…っ!!とにかく、受け取っ
て下さい!!私の気持ちなんです!!』
『な、なんで!?』
『ずっと…入学して、先輩に出会った時から…私、保田先輩の事が好きなんです!!』
今日の夕方、圭のマンションの廊下で目撃してしまった光景を思い出す。
亜依は、それ以上は聞いていられなかった。圭に会わずに、逃げ帰って来てしまった。
- 308 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時50分04秒
- そして、その女が圭に渡していた包みの包装紙は、世界でも有名な、高級チョコレート
専門店のモノ。
(…大きさとカタチからして、アレ…亜依が用意したのと同じモノだったもん!!)
圭が受け取っているとは、考えたくない。
(でも、圭さん優しいから…絶対、受け取っちゃってる!!)
亜依はぎゅっと目をつぶった。
(誰かと同じモノは嫌!!亜依は…亜依は、『特別』をあげたいの!!)
そう心の中で叫んで、亜依は麗奈を見た。
「…これは、戦いなんだよ。麗奈ちゃん!!」
「は、はぁ…?」
「さ、さくさく作ろう!!」
異様な燃え方をしている亜依に、麗奈は面食らいながらも手を動かし始めた。
- 309 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時50分38秒
更に、真里の部屋では。
「・・・・・・。」
真里はリボンのついた小さな箱を机の上に置いて、それとにらめっこをしていた。
(…だって、亜依が…チョコレートのカタログを置きっぱなしにしとくんだもの!なんと
なぁ〜く『可愛いな』って思って…それで、衝動買いしちゃっただけよ!)
ふるふると頭を振る。
(別に、あげる相手なんかいないのよ!私が食べちゃっても良い…ううん、私が食べる為
に買ったの!)
だけど、そんなに食べる気はしていない。
ふっと、真里の頭に一人の女が浮かんだ。
中澤裕子だ。
(ち、違うっ!!違うってば!!あの人の為に買ったワケじゃ…!!)
ぼんっと赤くなってしまった顔を、両手で押さえつける。
(…あげるとしても…そう!あげるとしても、他に相手がいないから、よ!!)
こくこく頷いて、また箱に目線を戻す。
(…あげたら、どんな顔するのかしら。)
そう思って、真里はまた激しく頭を振った。
髪はボサボサ、顔は真っ赤。
それでも、不思議と…真里は、いまだかつてない程に可愛く見えた。
- 310 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時51分14秒
そのまた更に、石川邸・執事控室。
「…し、失礼しまぁ〜す…。」
控えめなノックと、控えめな声。あさ美である。
「…あさ美!?」
控室には現在、真希と真希の弟がいた。
真希の弟・ユウキは、あさ美を見ると顔を輝かせた。
「おっ!君があさ美ちゃん!?」
「へっ?」
真希とものすご〜く似た、スーツ姿の少年を見て…あさ美は面食らう。
「あ、あさ美ちゃんは俺の事知らないんだっけ?俺、ユウキって言うんだ。今、執事見習
い修行中〜!!」
「は、はぁ…。」
「ユウキ!!」
真希の叱るような声も気にせず、ユウキはあさ美の手を握る。
「いつも真希ちゃんがお世話になってるんだってね〜。」
「い、いえ、そんな…。」
「しかも優秀なんだって?バレンタインの企画、ずいぶんうまく行ってるみたいじゃん!!
すっげぇ〜!!」
- 311 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時52分12秒
- 「そ、そんな…私は別に、何もしてませんよ。」
「謙遜しちゃって、可愛いね〜あさ美ちゃん!」
「…ユウキ?」
真希の声に、怒りがこもる。ユウキはにっこり笑って、あさ美に言った。
「あ、大丈夫大丈夫。俺、彼女いるから。」
「は、はい…。」
「真希ちゃんに用事?じゃ、俺出て行くね〜♪」
ユウキはそそくさと控室をあとにした。
「「・・・・・・。」」
気まずい沈黙。
(…はっ!!いけないっ!!ペースを乱されている場合ではありませんでした!!マイペー
スマイペース。)
(…ユウキ…後で覚えておけ…って、それはともかく。あさ美、呼び出そうと思ってたの
に…来てくれるなんて好都合!)
「「あのっ!!」」
きまずい沈黙。
「…あさ美、先に…」
「いえ、真希さんこそ…お先に…」
そしてまた沈黙。
- 312 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時53分06秒
- 「あの、さ!バレンタイン企画!!上手く行ってるみたいじゃん!」
真希は、動揺した。とても不自然な口調になってしまったのだ。
「里沙お嬢様が、喜んでたよ。去年の今頃よりも売り上げが伸びてるって!」
「いえ…そんな。」
原寸大チョコレート製ハチ公は却下されてしまったが、次に出した『手作り応援フェアー』
と言うのは採用されたあさ美。顔を赤くして、頭をかいた。
そんなあさ美を、真希は突然抱きしめた。
「まっ、真希さん!?」
あまりに予想できない行動だった為、あさ美も戸惑う。
「…明日、私は…仕事で、一日外出しなきゃいけなくなったんだ。」
「え…。」
真希は、途端に泣きそうになったあさ美を抱きしめる。
「明日、夜の八時には帰れると思う。
帰ったらすぐにあさ美の部屋に行く。だから…待ってて。」
どくんっ!!
あさ美の心臓が、跳ねた。
- 313 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時54分10秒
『Tochter.』の店内。
「…は〜、ようやくラッシュが去ったべさ〜。」
「…そうだね…。」
「…あさ美の手もかりたいくらい、いそがしかったれすね…。」
「お、お疲れ様でした…。」
「すごい人でしたね…。」
なつみ、ひとみ、希美、そして紗耶香、りんねは、順番に呟いた。
「クリスマスの時は、もっとたいへんらったんれすよ?」
「そうだべ。ひとみは駆け落ち中だったし、りんねはまだいなかったし、あさ美は微妙に
役に立たないし。」
「…そうでしたね。でも、あさ美さんも頑張ってたじゃありませんか。」
「がんばってても、手がおそくてマイペースれすからねぇ…。」
「ご、ごめん…。」
なつみ、希美、紗耶香はため息をついた。
りんねは、『SEXY BABY』と言う名札の置いてあるトレイを見た。
完売している。
「・・・・・・。」
りんねは嬉しそうに微笑んだ。
- 314 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時55分15秒
- 「…お、『SEXY BABY』完売してる!」
気付いたひとみが言うと、希美もぱちんと手を打った。
「ほんとうれす!!りんねちゃん、やったのれす!!」
「ありがとうございます!!」
『SEXY BABY』は、りんねが作ったケーキだ。
ビターチョコレートケーキに、多少手を加えた。スポンジにブランデーを加え、まさに
『大人の味』を感じる事が出来るのだが、やはり作った人間の人柄だろう。『ちょっと背
伸びして、大人ぶってみました』と言う印象を受ける味だ。
これは八日前になつみの前で作って見せて、見事合格をもらい…今日、試験的に店に出
して見たのだった。
「よかったね、りんね♪」
「あ、ありがとうございますっ!!」
なつみの言葉に、りんねは感動した様子で叫んだ。
「…さて、そろそろ店じまいにしよっか。」
なつみの言葉で、それぞれが動き出す。
- 315 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時56分25秒
- その時、なつみは思い出したかのように手を打った。
「そーだ、閉店した後…ひとみ、厨房使うんだっけ?」
「うん!」
「梨華お嬢様へのプレゼントを作成、ですか?」
「…まぁ、ね。」
紗耶華に言われて、ひとみは顔を赤くする。なつみはにっこりと微笑んだ。
「頑張って…って言うのも何だべ。とにかく、心を込める事を忘れちゃ駄目だべさ!!」
「おー!!」
「で、使い終わったらちゃんと元栓しめて、電気消してね。」
「了解〜。」
「ののにもあじみさせてほしいのれす〜。」
「駄ぁ〜目ッ!!」
「けちぃ〜!!」
明るい笑い声が、店内に響いた。
- 316 名前:第六十九話 投稿日:2003年01月23日(木)15時58分05秒
明日は、バレンタイン。
女の子が、ありったけの勇気を振り絞る日。
その前日は、このようにして終わったのだった。
そして…女の子の戦いが、始まった。
- 317 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月23日(木)15時58分41秒
バレンタイン前夜編終了〜♪出てない人もいますが、バレンタイン編ではとりあえず、
出てるカップリングは全部出る…ハズ(笑)
バレンタイン編は前後編になりまっす!!
>292様
ドイツ語、今年度一年間やりましたが…私にもワケわかってません。
文法難しいです。そして読み方も難しいです。
バレンタイン…こんこんは『手作り応援企画』を出したそうですよ〜(笑)
- 318 名前:277 投稿日:2003年01月23日(木)23時00分09秒
- 新メン田中キタ〜!!!
今度はそう来ましたか・・確かにメイド服が似合いそうな気がしますw
こうなると、亀井さんがどこで出て来るか、いよいよ興味が沸きますねぇ。
クロイツさんのセンス、今更ながらですが脱帽です・・
バレンタインデー、やっぱり女の子にとっては一世一代のイベントですね。
皆幸せになれますように・・
- 319 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月23日(木)23時16分55秒
- 今日、CSの番組で「ホワイトクリスマス」の作者、アーヴィング・バーリンの生涯(前編)を
やってたんですけど、まるでココのいしよしのようでした。
社交界で名の知れた大富豪の娘とユダヤ移民の息子の恋愛。
もうこの小説をすぐ思い出しちゃって。
頭の中でいしよしに変換して、番組見てしまいました(笑)
- 320 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月23日(木)23時22分38秒
- クロイツさま
更新お疲れさまです。
ここ数日、体調が悪くてROMって保存するだけで精一杯でした。
いしよしの逢えなくてもラブラブ全開な甘々さは最高です!
梨華ちゃん不法侵入を頼むとはやっぱり、ろくなこと考えてないし。
なっちの100回のKISSで、少し素直で優しい子に戻りつつあったあややも気になりますが、
柴田家のコンピュータ部門で大谷さんにこき使われている身としては、最近出番の減った、あゆみちゃんのことを淋しく思いつつ、『あ〜あ、愛しいあの人、お見合い写真、見てくれたのかな?』
なんて、ぼやいている、ななしのよっすぃ〜でした。
次回も楽しみ待ってます!!
- 321 名前:あおのり 投稿日:2003年01月24日(金)11時09分59秒
- アヤカキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
なにげにちょこちょこ出てきて嬉しいです。
6期メンも出てくるの早いー
アヤカさん夜中に忍び込むんでしょうか?
そうなるとヨシコの寝顔なんか見ちゃうんでしょうか?ハァハァ
それぞれが気合入っていてバレンタイン後半戦もかなり萌え期待です
- 322 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時29分00秒
午前四時。まだ日は昇り切ってっておらず、周囲は少々薄暗い。
「・・・・・・。」
アヤカは木の上で、目をこらした。ボディーガード・スパイの両方の訓練を受けたアヤカ
は、夜目が利く。だからこの程度の薄暗さならば、標的は確実に見えている。
アヤカは手元の写真と、カーテンの隙間から見える人物の顔を見比べた。
(…よし、間違いない。)
アヤカは心の中だけでそう呟いて、するすると木を降りる。地面に着くと、迷わず壁を登
り始めた。
何の手がかりもない壁を、アヤカは難なく登って行く。コツがあるんどそうだ。
先ほど眺めていた部屋の窓に、手を触れる。
鍵は、かかっていなかった。
(…おいおいおい…。)
アヤカは顔には出さなかったが、内心呆れた。それにしてもこの部屋の主は、無用心にも
程がある。
(…ま、ラッキー☆って事にしておこう。)
音を立てないように窓を開け、カーテンも開けて部屋に侵入。標的に気付かれないよう、
気配は完全に消してある。そしてすぐさま靴を脱ぎ、窓も閉める。
- 323 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時29分32秒
- 「・・・・・・。」
アヤカは、持っていた紙袋を…寝ている人物の枕元においた。
(…フフ。気分は『SantaClaus』ね。…いや、『Cupid』かしら。)
顔には出さず、心の中だけで微笑んだ。
そして、アヤカは最後の仕上げに…依頼人に託された香水を少量、部屋に撒く。
(任務、完了。)
アヤカ元通りにカーテンを閉め、窓を閉じた。
そして、呟く。
「Happy Valentine Day!!」
そう言って、アヤカは音もなく姿を消した。
そう。
乙女の戦いの一日が、始まったのだ。
- 324 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時30分09秒
午前五時五十九分。
ひとみの鼻は、かすかに漂う甘い香りをキャッチした。
(…なんか…甘い…。この香りは…この香りッ!!!)
ひとみはがばっと飛び起きた。
「梨華ちゃん!!!」
そう、これは間違えようもなく梨華の香り。O区のアパートで毎日かいでいた、愛しい
愛しい梨華の香り。
「梨華ちゃん!?」
部屋中を見渡しながらひとみは叫ぶが…梨華はいない。
「ね、寝ぼけてんの!?あたし…でも…!!」
甘い香りは、目が覚めた今でもリアルに感じられている。
Jiririririririririririri…
目覚ましの音が鳴り始めた。
ひとみはそれを聞きながら、ため息を吐く。
目覚ましのベルは、現実を思い知らせる音。ひとみは、何度思い知らされたかわからな
い『隣に梨華がいない』と言う現実を、今朝もまた思い知らされてしまった。
「・・・・・・。」
ひとみはもう一度ため息をついてから、目覚まし時計を止めようと振り返った。
- 325 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時31分13秒
- 「…何、コレ…。」
昨夜、眠りに落ちるまでは無かった紙袋が、目覚ましの横に置いてあった。
「…サンタさん?」
恐る恐る、紙袋を手にとって見た。
紙袋の中に入っていたのは、ピンクのうさぎのぬいぐるみ。
「…ピンクのうさぎっ!!」
これで思い出せる相手は、ひとみには世界でたった一人しかいない。
更に紙袋の中からは、リボンのついた30cm×30cmくらいの正方形の箱と、封筒
が入っていた。
ひとみは、まるで壊れ物を扱うかのようにその手紙を開いた。
- 326 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時31分53秒
『大好きな大好きなひとみちゃんへ。
バレンタインの贈り物です。誰よりも早くひとみちゃんに渡したくて…ちょっと、不法
侵入と言う手段を取ってしまいました。ごめんね。
会えなくて…本当に本当に寂しいです。
毎日毎時間毎分毎秒…時間が過ぎる程、ひとみちゃんをどんどん好きになって行くのが
わかるの。ああ、早く会いたい…。
ひとみちゃん、大好きです。愛しています。
会える日を、本当に本当に心待ちにしています。
ひとみちゃんが心変わりなんてしませんようにって、毎日お祈りしてるわ。
うさぎのぬいぐるみ、がんばって作ったの。それをわたしだと思ってください。
あなたの梨華より』
- 327 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時32分37秒
- 「梨華ちゃん…。」
ひとみは目頭が熱くなるのを感じた。
そして、手作りのうさぎをぎゅっと抱きしめる。
「馬鹿だなぁ、梨華ちゃんは。心変わりなんて、ありえないよ。」
うさぎは、梨華の甘い香りを漂わせていた。
ひとみはうさぎを見つめて、呟いた。
「決めた。キミの名前は『リカ』だ。」
リカのつぶらな瞳をみつめて、ひとみはくすっと笑う。
「…梨華、愛してるよ。」
そして、リカの唇の部分にキス。
ひとみは一人で赤くなって、リカを丁寧にベッドの上に置く。
そして、正方形の箱を開けた。
『ひとみちゃん、愛してる』
真っ先に見えたのは、そのピンク色の文字だった。
30cm×30cmの箱ギリギリの大きさの、ハート型チョコ。
ひとみはそれを見て、真っ赤になった。
「…スケールでか過ぎだぜ、梨華ちゃん…。」
梨華が『本当は1mくらいのチョコを作りたかったのだが、明日香に止められて諦めた』
と言う事は、ひとみは知らない。
- 328 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時33分17秒
午前七時三十二分。
ぴ〜んぽ〜ん♪ぴんぽんぴんぽんぴんぽん♪ぴぃぃ〜んぽぉぉぉぉ〜ん♪
「…んうぁ…?」
圭は、しつこいくらいのチャイムで起こされた。
「…ったく、誰よ…。うわっ!まだ七時半!?…マジ勘弁〜…。」
大学は、もう一月中に終わっている。今はもう春休み中だ。圭はのろのろとインターホン
の受話器をとりあげた。
「…はい…?」
『圭さぁ〜んっ!!亜依だよぉっ!!』
その声で、いっきに目覚める。
「あ、亜依ぃ!?」
画面に映っている亜依は、コートを着ていなかった。それに気付いた圭は、慌ててオート
ロックを解除する。
「早くあがってらっしゃい!」
『は〜い♪』
受話器を置いて、一分も経たないうちに…今度はドアの方のチャイムが鳴った。圭は早足
でドアに近づき、開ける。
- 329 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時33分59秒
- 「圭さんっ!!」
ドアを開けるなり、亜依に飛びつかれた圭は…ちょっと面食らう。
「ど、どーしたって言うのよ?こんな朝早くに…」
「だって、学校終わるまで待てなかったんだもんっ!!」
「はぁ?」
圭は、ドアが閉まった事を確認して鍵を閉める。亜依は圭から離れて、部屋の中に駆け込
み…部屋中を見渡す。
机の上に、昨日の女が渡していたチョコレートが、置いてあった。
「・・・・・・。」
亜依は、泣きそうになった。
(圭さん…やっぱ受け取っちゃったんだ…。)
「亜依?どうしたのよ?」
「…圭さんの、ばか。」
「はぁ!?」
圭は寝癖のついた頭をかく。
「…自慢じゃないけど、頭には自信あるわよ?」
日本最高の偏差値を誇る国立大学にストレートで入学し、現在学年トップの成績を誇って
いる圭は、そう言ってみる。
「・・・・・・。」
しかし、亜依は泣きそうな顔のままだ。
- 330 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時34分52秒
- 「…亜依?」
頬に手を差し伸べてみるが、亜依はぷいっと横を向いてしまう。
亜依は、机の上の包み紙を指差した。
「…受け取ったの?」
「え?」
「コレ…受け取っちゃったんだ…。昨日の、あの人から…。」
「…亜依、まさか…」
見てたの?と続けようとした圭であったが、その言葉は亜依の涙によって口の中で止めら
れた。
亜依は圭に、抱きついた。
「嫌…嫌だよぉ!!亜依だけ見てよぉっ!!」
「…亜依…。」
圭はそっと、亜依を抱きしめる。
「…もう、亜依しか見てないわよ。」
「・・・・・・。」
「だから、安心して。」
「…嘘。」
亜依の涙は、止まらない。
- 331 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時35分29秒
- 「ならなんで、他の人からのチョコを受け取っちゃうの!?」
「…だって…お父さん危篤らしいのに『受け取ってくれるまでここにいます』って言うん
だもん…。」
それはまた、気合の入った脅し文句である。
だけど、相手は亜依。
「それでも、受け取っちゃ駄目なのぉ!!お父様危篤でもぉ!!」
人間としてどーかと思う発言である。
「うぅ〜ん…。」
圭は、涙に濡れた亜依の顔を持ち上げた。
「それじゃ、質問。」
「・・・・・・?」
「『アタシには、可愛くて可愛くて仕方ない彼女がいる。その彼女以外、見えない』って
言っても引き下がらなかったら、アタシはどうすれば良いのかしら?」
亜依は、きょとんとした顔になった。
「…言ったの?」
「言った。そしたら泣き出しちゃってさ。それで『お父さん危篤だけど、受け取ってくれ
るまで帰らない』って言い出したの。」
- 332 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時36分08秒
- 「・・・・・・。」
亜依は、顔を真っ赤にした。
「ねぇ、どうすれば良い?」
「…そ、その時はぁ…。」
「その時は?」
「…すみやかに、亜依を呼ぶ事。」
「わかったわ。次からそうする。」
笑顔でそう言う圭に、亜依は真っ赤なまま頬をふくらました。
「駄目っ!次なんかあっちゃ駄目ッ!!」
「…そればっかりはどうしようもないと思うんだけど…。」
そう呟いた、その時。
ぴ〜んぽ〜ん♪
チャイムが鳴った。画面には、女の子が映っている。
「…はい?」
恐る恐る出て見ると、相手は裏返りそうな声でこう言った。
『あ、あのッ!!保田先輩ッ!!私、ゼミで一緒の末永です!!チョコ、受け取ってくだ
さいッ!!』
「「・・・・・・。」」
二人の間に、沈黙が下りる。
「…誰、アレ。」
「ゼミで一緒の、末永真己ちゃんよ。」
- 333 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時36分49秒
- 亜依の顔が、不機嫌に染まる。その直後。
『す、末永ッ!!アンタも…まさか保田先輩に!?』
『アミちゃん!?「も」って事は…まさかアミちゃんも!?』
「…アレは?」
「やっぱり、ゼミで一緒の…北上アミちゃんよ。」
亜依の不機嫌顔が、いっそう不機嫌になる。
言い合いを始めそうな二人の前に、もう一人人影があらわれた。
『真己!?アミ!?』
『『荒井先輩!!?』』
「…アレは…?」
「ぜ、ゼミの先輩の…荒井紗紀さん…。」
亜依は、圭につかみかかった。
「ちょっと圭さん!?なんなのよなんなのよっ!!!」
「ちょ、ちょっと、落ち着いてよ亜依ッ!!」
「落ち着いてられないよ、もうっ!!」
『…え?この声、誰?』
『聞いた事ない…。』
『圭ちゃんの声ではないわよね…。』
- 334 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時37分30秒
- そう口々に言う三人に、亜依は言った。
「はじめまして。お顔が見えない所でごめんなさい。わたくし、亜依と申します。圭さん
の恋人ですわ。いつも、圭さんがお世話になっております。」
『『『んなっ!!?』』』
「ちょ、ちょっと、亜依…。」
止めようとする圭を振り切って、亜依は続ける。
「ごっめんなさいねぇ〜!圭さんは、あなた方からのチョコは受け取りませんのよ!圭さ
んが受け取るのは、このわたくしのチョコだけですの。
わかったらさっさとお帰りあそばせ!」
がしゃんっ
音を立てて、受話器は置かれた。そして亜依は、インターホンのコードを引っこ抜く。
「ちょ、ちょっとちょっと!!」
「駄目!!絶対、今日は外出ちゃ駄目っ!!お客さんが来ても居留守使わなきゃ駄目!!」
「亜依っ!」
「だってぇ!!」
また涙目になった亜依を見て、圭は思わず噴出してしまった。
「…ったく、このお姫様は。」
- 335 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時38分12秒
- 亜依は圭に抱きつく。
「…亜依のチョコしか食べちゃ駄目。」
「はいはい、わかりましたよ。」
「絶対だよぉ!?」
「約束しましょう。」
亜依は圭から離れて、カバンの中をさぐった。そして、ちょっと大きめの箱を取り出す。
「大好きです。受け取ってください。」
「もちろん。ありがとう、亜依。」
受け取ってにっこり笑った圭に、亜依は笑顔を見せた。
「開けて開けてっ!!亜依ね、手作りしたの!」
「本当に!?」
そんなに小さくない箱の中には、小さなハート型のチョコがたくさんたくさん入っていた。
圭は一つ取って、口に放り込む。
「ねぇっ!!どう?どう!?」
「うん、おいしい。」
「ほんとに〜!?やったぁ!!」
はしゃぐ亜依を見つめて、圭はにっこりと微笑んだ。
そして、もう一つ口に放り込んで…十分溶かしてから、亜依に口付けた。
- 336 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時38分51秒
- 「ん…。」
触れるだけのキスから、だんだんと舌が進入して来る。
「んんん…ん…。」
圭の口の中のチョコが完全になくなっても…キスは終わらなかった。
「んはっ」
ようやく唇が離れた後、亜依は真っ赤な顔でへたり込んだ。
「…ね?おいしいでしょ?」
亜依はこくんと頷く。
「ところで、亜依。学校は?」
「…休む。」
「おいっ!」
「だって…。」
亜依はとろんとした目で圭を見上げた。
「もう、離れたくなくなっちゃったんだもん…。」
圭は苦笑いを浮かべた。
「…しょうがないわね。」
「え?」
「今日だけよ?」
亜依は顔を輝かせた。そして、はにかんだような表情で圭に言った。
「…チョコ、もういっこちょうだい?」
- 337 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時39分25秒
午前八時十二分。ひとみは、逃げていた。
「「「「「吉澤さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」」」」」
チョコを持って追いかけてくるクラスメートやら先輩やらから。
(な…なんで!!なんでこんな事にぃ!!)
校門をくぐってから、早二十三分。待ち構えていた女の子達にチョコを差出され、それを
断ったら…追いかけられ始めたのだ。
おかげでまだ、教室にも行けない。
「も、もう十二分じゃん!!早く教室行かないとみんな、遅刻になっちゃうよ!?」
この学校は、八時十五分に点呼を取り始める。そこにいないと、遅刻という事になるのだ。
だけど、聞こえてるのか聞こえていないのか…少女達に止まる気配はない。
「あああああああああっ!!!もぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ひとみは、梨華以外からチョコレートを受け取る気がない。だからさっきから『ウチに
は彼女がいるから、受け取れないんだよぉぉぉぉ〜!!!』と叫んでいるのだが…聞こえ
ていないのか、はてまた無視されているのか、少女たちの勢いは弱まる気配を見せない。
裏門が見えた時、別方向からも『吉澤さ〜ん!!』と言う声が聞こえて来た。
- 338 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時40分08秒
- (だ、大ピンチ!!)
そう思った、その時!!
「こっちです!!早く!!」
「へっ!?」
はるか昔に聞いた事があるよーなないよーな、そんな声だった。
見るとそこには、金髪スーツ姿の男みたいな女が、車の扉を開けて待っていた。
やっぱり、はるか昔に見た事があるよーなないよーな、そんな顔だった。
ひとみは迷わず、車に飛び乗った。そしてすぐに扉を閉める。
ひとみが扉を閉めたと同時に、車は発進した。
すぐに、学校が見えなくなった。そして、女の子達も。
ひとみは、制服のネクタイをゆるめた。
「ふぃ〜、助かったぁ〜…。」
そしてひとみは、隣に座る金髪スーツ姿の男みたいな女に頭を下げた。
「誰だかわからないけど…ありがとうございました。」
「…本気で言ってるんですか…?」
「へ?」
顔を上げると、金髪スーツ姿の男みたいな女はため息を吐いた。
「…本気、みたいですね。」
「…どっかで会った事、ありましたっけ?」
「ええ、ありますよ。あなたが忘れても、私は絶対忘れられません。」
- 339 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時40分41秒
- 「はい?」
「…あゆみ様が、あなたと会いたいんだそうですよ。」
その言葉を聞いて、ひとみはぽんっと手を叩いた。
「…あ〜あ〜あ〜!!あんた、柴ちゃんトコの執事!!」
「…大谷雅恵、です。」
「そーそー!!大谷ちゃん!!」
「その呼び名、やめてください。」
「じゃー、まさえっちょ?」
「もっとやめてください。」
ひとみは雅恵の右手を握る。
「いやー、久しぶりだね〜!元気してた?」
「…興味もないクセにそーゆー事きかないでください。」
「いや、あるって。ずっと思ってたんだぞ〜?まさえっちょ元気かな〜って。」
「覚えてなかったクセに。」
「相変わらず、ツッコミ鋭いね〜まさえっちょ。」
「だから、その呼び名やめてくださいってば!!」
車は一直線に、柴田家本邸へと向かって走って行った。
- 340 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時41分20秒
午前九時三分。美貴は柴田家本邸の中をうろうろとしていた。
(大谷さん…どこかな?)
「あれ?ミキティ?」
そう呼ばれて、美貴は振り返る。そこにいたのはあゆみだった。
「あ、あゆみさん!おはようございます!」
「おはよう、ミキティ。どうしたの?何か探してるの?」
「ええ…その…お、大谷さんを。」
ぽっと赤くなった美貴。そしてあゆみは、美貴の手元を見た。
オレンジ色のリボンがかかった、小さな箱。
「・・・・・・!!」
あゆみには、全部わかってしまった。
(み、ミキティ…!!大谷の事が…!!?)
心に、大きな衝撃が走る。
思わず、ちょっとよろけた。
「あゆみさん!?大丈夫ですか!?」
美貴は驚いて、あゆみに手を差し伸べる。あゆみはその手を取りながら、無理矢理笑顔を
作った。
- 341 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時41分58秒
- 「…だ、大丈夫よ。大丈夫。」
「でも…。」
あゆみは、心配顔の美貴を…力いっぱい引き寄せた。
「きゃ…!」
美貴は、あゆみの腕の中に倒れこむ。
「大谷の事、好きなの?」
美貴の顔がぼっと赤くなったのを、感じた。あゆみの胸が痛む。美貴は、真っ赤な顔でこ
くりと頷いた。
「今日、告白するの?」
「…はい。」
「そう…。」
あゆみは美貴を離した。そして、にっこりと笑顔を浮かべる。
「大谷は手ごわいわよ〜?覚悟しときなさいっ!!」
「は、はいっ!!ありがとうございますっ!!」
「それから…大谷だけど、今ちょっと出かけてるの。…そうね、十二時にミキティの練習
室に向かわせるから、そこで待ってて。」
- 342 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時42分52秒
- 「え…っ?」
「それまで、告白の練習しておきなさい♪」
美貴は心底嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「はいっ!!…ありがとうございます、あゆみさんっ!!!」
去っていく美貴の後姿を見ながら、あゆみは呟いた。
「…告白を しようと呼びとめ 振られたよ…byあゆみ…」
季語が入っていないが、そんな事には気がつかないあゆみであった。
- 343 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時43分29秒
午前十一時五十四分。ひとみと雅恵を乗せた車は、柴田家本邸にたどり着いた。
「…エラい時間かかったね…。」
「…まぁ、遠いですし…それに、タクシー使って追いかけて来るお嬢さんがいましたから
ね…。」
さんざん遠回りして、ようやく撒いて来たら、この時間になってしまったのだった。
「あゆみ様は、執務室にいらっしゃいます。」
「執務室?…ああ、当主になったんだっけ。」
真希から前に聞いた話を思い出して、ひとみはぽんっと手を打った。
執務室に着くと、雅恵は頭を下げた。
「それでは私は下がります。」
「えっ?一緒に会うんじゃないの?」
「私は『ここまで連れて来るように』と命じられました。…失礼します。」
雅恵はさっさと背中を向けて、去ろうとした。
そこに。
「大谷ー!!新しい仕事があるから一緒に入って来なさいー!!!」
あゆみの声が響く。
雅恵は内心で舌打ちして、回れ右をする。
「…大変だねぇ、まさえっちょ…。」
「その呼び方、やめてください。」
- 344 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時44分15秒
- そして雅恵はノックをし、扉を開いた。
「…失礼します。」
「ど〜も、久しぶり…。」
あゆみは、雅恵をみつめた。
「大谷。十二時に、練習室に行きなさい。」
「…え?」
「いいから。」
「…かしこまりました。」
雅恵は時計を確認し、頭を下げてから退室して行った。
残されたひとみは、気まずい思いであゆみを見つめる。そんなひとみに、あゆみは言っ
た。
「今、梨華ちゃんと会えないんですって?」
「…う、うん…。」
「そう。」
そしてあゆみは、執務机の下からビンを取り出した。
『久保田』
ビンのラベルには、そう書いてあった。
「…し、柴ちゃん?それは…?」
「飲むわよ。」
「へ?」
- 345 名前:第七十話 投稿日:2003年01月24日(金)16時44分53秒
- 「いいから、飲むの。」
「…だってそれ、酒じゃないの?」
「酒よ。しかも日本酒の中では高級品よ。」
「・・・・・・。」
完全に、目が据わってる。こうなると誰も逆らえない。
「…なんつーか…変わってないね、柴ちゃん…。」
「そー簡単に変わってたまるかぁ!!あああああっ!!もう、相手があんただけじゃ辛気
臭くてたまんないわ!!他にも誰か呼ぶわよっ!!」
「…だ、誰を?」
あゆみはニヤリと笑った。
「酒…と言えば、あの人よね。…それから、あの人も。」
楽しそうに携帯を取り出すあゆみ。ひとみは、首をかしげるしかなかった。
- 346 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月24日(金)16時45分31秒
バレンタイン前編(午前中)です!!
柴ちゃん、誰呼ぶつもりだ!?やっぱりあの人か!?それともこの人か!?
>277様
亀井さん、後々出てきます。もう役柄決まってます。やっぱあの三人の中でメイド服着
せるなら、田中さんでしょう!!
>バレンタインデー、やっぱり女の子にとっては一世一代のイベントですね。
>皆幸せになれますように・・
…ごめんなさい…既に柴田さんが…(泣)
>名無し読者様
>社交界で名の知れた大富豪の娘とユダヤ移民の息子の恋愛。
『専属ケーキ屋さん』を思い出して下さったなんて…感激です!!
うわ〜、私も見たかった〜!!!
>ななしのよっすぃ〜様
久々に出てきたのに、こんな事に…ごめんよ柴ちゃん…!!
川σ_σ||<お見合い写真も履歴書も見たわよ〜!!ちゃんと!!
( `_´)<コンピュータ部門、お陰で業績伸びました。
>あおのり様
今回もアヤカさん出てます(笑)いかがでしたか〜?
川‘▽‘)||<寝顔?見たわよ〜!!ヨダレたらして爆睡してたわよ〜!!
次回はバレンタイン後編(午後)になります!!どうぞよろしくお願いしますっ!!!
- 347 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月24日(金)21時25分31秒
- おぉ!バレンタイン!!!
柴ちゃん誰を呼ぶのでしょう・・・気になります!
そ・れ・に!いしよし!めちゃ気になる〜♪
よっすぃーどうなるのでしょう?酒を飲んじゃうのでしょうか???
次の更新楽しみに待ってます♪
がんばってください!応援してます♪
- 348 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月24日(金)23時25分12秒
- 雅恵イイ!!カコイイ!!
イヤーバレタイン甘々ッスねぇ〜
柴ちゃん…またあたらしい恋をするんでつかw
サァ!続きを( ^▽^)<カモーン
- 349 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月24日(金)23時55分35秒
- クロイツさま、更新お疲れさままです。
>久々に出てきたのに、こんな事に…ごめんよ柴ちゃん…!!
>川σ_σ||<お見合い写真も履歴書も見たわよ〜!!ちゃんと!!
>( `_´)<コンピュータ部門、お陰で業績伸びました。
柴田さんいつ見てもお美しくて...。影ながら、石川家に勝てるように働いてます!
業績伸びて良かったです。(笑)
これで、婿決定レースでライバルより一歩、あゆみちゃんに近づけましたかね?
ガードの固い大谷さんの目が藤本さんに向いているうちに...。
コンピュータシステムに『ななし』で入って...。
うわっ!こんなとこにも大谷さんが〜〜〜。
『許してください出来心だったんです・ハリセンは勘弁して...』(叫)
バレンタイン後編(午後)も楽しみに待ってます!
- 350 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月25日(土)01時13分27秒
- きたぁ〜いしよしバレンタイン!!
これはレスするっきゃない!!
テスト・レポートに忙しくて…心中察します。
ところで末永とか北上っていうのはハロプロの人ですか?(じつは私、いしよし以外あまり把握していないアホです)
- 351 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月25日(土)01時57分02秒
- 久保田飲むあゆみ萌え。
やっぱり万寿か?万寿飲むんか?
ええなあ…(オサーントヨバナイデ
- 352 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時45分24秒
練習室で、美貴は正午になるのをずっと待っていた。
(…あと、三十秒…。)
雅恵の事だ。十二時ぴったりに、この練習室にあらわれる事だろう。
「・・・・・・。」
美貴は緊張しつつも、自己嫌悪に陥っていた。
(あたし…嫌な子だな。あゆみさんが大谷さんを好きなんじゃないって事に、本当に安心
してる…。)
美貴は、雅恵の気持ちをしっている。だからこの告白は、玉砕覚悟なのだ。
(だけど…ちょっとでも、あたしを見て欲しい…。あゆみさんに敵うとは思わないけど…。)
と、そこに。
「…失礼いたします。」
雅恵が来た。
「あっ、はっ、はいっ!!」
声が裏返ってしまった。美貴は顔を赤くした。
「…藤本様、何か用事でも?」
「えっ!?は、はいっ!!そのぉ…。」
美貴は、拳を握り締めた。
「あのっ、お話が…あるんです。」
- 353 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時45分59秒
- 「話?」
深呼吸を数回。
「大谷さんが…好きなんです。」
心臓はバクバク。雅恵の顔はマトモに見られない。コンクールやコンサートの時でも、こ
れほど緊張した事はない。
「・・・・・・。」
雅恵は、面食らっていた。
美貴は今、目を閉じてしまっているから見えないが…目を開けていたら、『執事・大谷雅
恵の驚き顔』と言う世にも珍しいモノを拝めただろう。
「つ、付き合ってほしいんです…これ、受け取ってくださいっ!!」
差し出されたのは、オレンジのリボンがかかった小箱。
雅恵は、ハタと気づいた。
(あゆみ様に命じられて、私はここに来て…それで藤本様に告白されていると言う事は…
もしかして、あゆみ様…!!)
「あの…」
「はいっ!?」
「あゆみ様に…何か、言われませんでしたか?」
美貴の顔が、曇る。
(…やっぱり、あゆみさんの方が気になるんだ…あたしの告白よりも…。)
- 354 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時46分34秒
- 「…はい。大谷さんは手ごわいから、覚悟しとけって…。」
雅恵は、がっくりと肩を落とす。
(あの方は…どうしてそう…。そんな事言ってる暇があったら、ご自分が告白すれば良い
ものを…。)
「…お、大谷さん?」
「え?あ、はい…。」
「駄目…ですか?」
美貴の目が潤み始める。それを見ると同時に、雅恵の脳裏に昔の思い出が蘇った。
『おねえちゃん…いっちゃうの?なんで?どうしていっしょにくらせないの?』
実家を出た当時、妹はまだ小学生だった。家を出る時、目にいっぱいの涙をためて、雅恵
を見上げてそう言ったのだ。
(まいったなぁ。)
雅恵は、美貴の頭をなでた。
「…ごめんなさい、藤本様。私はあなたを…そのようには見ておりません。」
「・・・・・・。」
- 355 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時47分05秒
- 「あなたを見てると、妹を思い出す…そう言った事がありましたよね。」
「…はい。」
「私にとって、あなたはそう言う存在なんです。」
「・・・・・・。」
「だから、受け取れません。」
美貴は、こみ上げて来る涙を必死に押し戻し、言った。
「…でもっ!!嫌いなワケでも…望みがないワケでもないんですよねっ!!?」
「え?」
「だったら…受け取って下さい!!」
美貴はチョコを差し出す。
「あたし、頑張りますから!!いつか、『妹』から卒業できるように…!!!」
雅恵は、うろたえながらも…受け取った。
「…わかりました。」
「・・・・・・。」
美貴は、目に涙をためながらも嬉しそうに微笑んだ。
- 356 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時47分42秒
午後一時二十分。柴田家本邸に二台のタクシーが到着した。
「おっまったっせ〜!!!」
「・・・・・・。」
入ってきたのは、金髪の女が二人。片方は浮かれてて、片方は渋い顔だ。
「・・・・・・。」
ひとみはその内のひとりを、ちょっと知っていた。
「へ…平家さん!?」
そう。二人の内の浮かれてる方は、駆け落ち先のアパートの隣室だった平家みちよだった。
「おおっ!!吉澤の旦那!!元気やったか〜?つーかあんた女の子だったってマジやった
んやな〜。」
「な…っ、柴ちゃん!!」
「んっふふふふふふふ。みっちゃんは実は、柴田家のスパイ兼隠密なの☆」
「なにぃ!?」
みちよはにっこにっこと微笑んでいる。
「悪いなぁ、旦那。あんたらの事は、全て柴田家に報告させてもらってたんよ。」
「…柴ちゃん、最初から全部知って…?」
「ううん。みっちゃんを使ったのは、私じゃなくて大谷。」
- 357 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時48分19秒
- ひとみは頭をかかえた。
「まさえっちょ──────────────────────────────!!!!!」
怒りとも悲しみともつかない雄たけびを上げてから、ひとみはあゆみをにらむ。あゆみは
微笑んだまま口を開く。
「でも、石川家にチクらないであげたんだから感謝してよ。」
そう。見つかったのは、あさ美の発言がもとだ。柴田家は関係ない。
「ま、そんな事どーでもええやん♪飲もうぜ飲もうぜ〜!!」
そう言うみちよをどついてから、みちよの隣にいた渋い顔の女性はあゆみに言う。
「…柴田ぁ。オマエなぁ…酒盛り開いてる暇あるんなら、学校来いや!」
「いいじゃん、中澤先生〜。たまには飲みたい時もあるんだよぉ〜。」
「・・・・・・。」
「所で先生、学校は?」
「抜けて来た。…もう、どこ行っても『チョコ受け取ってくださ〜い』て追い掛け回され
て…授業にならん。」
そこで裕子は、ふとひとみを見る。
「…お、石川の旦那やな。『ひとみちゃん』とかゆーの。」
「えっ!?」
「中澤先生は、私と梨華ちゃんのクラスの担任なの。」
「ついでにアンタのねーさんの元カノやねん。」
「・・・・・・。」
ひとみの思考回路が、ついていけなくなった。
- 358 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時50分00秒
- 「ま、世間は狭いっちゅーやつやな。」
「はぁ…。」
「ってなワケで、飲むわよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
柴田家当主・柴田あゆみの掛け声により…酒盛り、スタート。
ひとみは巨大な不安をかかえつつ、渡されたグラスを見つめた。
そして、一人一本支給されている『久保田』を見て…背筋に冷たいものが走った。
- 359 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時52分13秒
午後二時ジャスト。石川邸の自室にいる梨華は、『ひとみちゃん人形』をかかえてベッ
ドに転がっていた。
「…ひとみちゃん、学校で…チョコ、もらっちゃったのかしら…。」
ふぅ、とため息。その時、携帯が鳴り出した。メールだ。
「…柴ちゃん?」
メールを開いてみる。
『やっほ〜!!旦那は預かってるわ!!んもぅ旦那、相変わらず酒弱いんだからぁ〜。一
升瓶飲み終わったくらいでツブレるんじゃないわよって感じ〜!!
あ、しかも今、中澤先生にキスされてやんの〜!!』
そこまで読んで、梨華はメールを削除した。
「・・・・・・。」
額には怒りマーク。
- 360 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時53分35秒
- 「…酒盛り?柴ちゃんと?中澤先生もいるの?」
怒りマークはどんどん大きくなって行く。
「…しかも、キス…ですって?」
梨華は、携帯を取り上げた。
会えるようになるまでは、電話もメールもしないと誓った。それを今、破ろう。非常事
態だ。妻として、何か一言言わなくては。
『ひとみちゃんの、ばか。』
これと同じメールを、過去に送った記憶がある。あの時もひとみは担任教師に…。
怒りゲージがMAXまで上りそうになった。
ぼすっ
『ひとみちゃん人形』をベッドにたたき付けて、梨華はちょっと涙ぐんだ。
- 361 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時54分40秒
午後五時ジャスト。ひとみは、目を覚ました。
「…うはっ!!」
時計を見て焦る。どうやら酔っ払って、眠りこけてしまったようだ。
「やっべぇ〜!店番!!」
そう思って周囲を見回してみれば…あゆみもみちよも裕子も眠りこけている。
「・・・・・・。」
ひとみは起こさないよう、こっそりと部屋を出た。
(…なんだかなぁ。あの柴田家の当主の執務室で、酒盛りしちゃったよ…。)
「吉澤様。」
「うひっ!?」
声をかけられて、おそるおそる振り返る。
「ま、まさえっちょ…。」
「その呼び方、やめてください。」
見えた顔に、安堵するひとみ。これがあゆみやみちよや裕子だったら…確実に、帰してく
れないだろう。
「お帰りですか?今日はお泊まりになるのかと…」
「いや、帰るよ。」
- 362 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時55分29秒
- 「…それならば、お送りいたします。…それから吉澤様。一つだけ。」
「?」
雅恵は、ひとみの首筋を指差した。
「キスマーク、ついてますよ?」
「んなっ!!!?」
慌てるひとみに、雅恵はそっと手鏡を渡す。
それで確認してみると…首筋に、三つのキスマークが確認できた。
「う…あああああああ…!!」
頭を抱えるひとみ。そんなひとみのポケットから、携帯が転がり出た。
メールを受信しました。
そう表示されている。
「・・・・・・。」
おそるおそる開くと、未読メールが一件。
『ひとみちゃんの、ばか。』
「ち、違うんだ梨華ちゃんっ!!別にあたしはっ!!あああああっ!!もう、柴ちゃんの
ヤツ!!梨華ちゃんに報告しやがったなぁ!!!」
「…静かになさらないと、他の方たちが起きてしまいますよ?」
「・・・・・・。」
ひとみはがっくりとうなだれて、床に手をついた。
その様子を見た雅恵は、流石に同情した。
「…ご自宅まで、送ります。それから…石川梨華様には、私のほうから弁明のメールを送っ
ておきますから。」
「…頼んだよ、まさえっちょ…。」
「その呼び方、やめてください。」
- 363 名前:第七十一話 投稿日:2003年01月25日(土)11時57分29秒
ごめんなさい…バレンタインデー編、『前・中・後編』になってしまいました…。
今回はバレンタイン中編(午後)です。次回はバレンタイン後編(夜)です。
>ヒトシズク様
ヨッスィー、こんな事になってしもうた…(汗)バレンタインも楽じゃないですね(大汗)
ありがとうございまっす!!後編もよろしく!!
>名無しどくしゃ様
ごめんなさい…バレンタインデー編、まだ終わりません…。
雅恵さん、今回の最後ではやさすぃ〜ですねぇ。
>ななしのよっすぃ〜様
>『許してください出来心だったんです・ハリセンは勘弁して...』(叫)
爆笑です。神出鬼没な執事・大谷。みんなで『まさえっちょ』と呼んでみましょう。
( `_´)<やめてください。
>ラヴ梨〜様
末永真己・北上アミ・荒井紗紀は、シェキドルの人たちです。
レポート、月曜日提出のが一個残ってます。…やらなきゃ…。
>名無し読者様
ええ、飲みましたとも。しかも万寿。かなり大量に。
私が生まれて初めて飲んだ酒は、久保田でした。十歳の時でした。親戚のおじさまに飲ませ
て頂きました。
ヨッスィーが酒弱いんじゃないのれす。残りの三人が強すぎるのれす。
- 364 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月25日(土)11時58分08秒
次回こそ、バレンタイン後編(夜)です!!
そして…スレッド引越し警報が出たので、次回から新スレになります。
なんでだろう…?まだ500行ってないのに…(汗)
- 365 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月25日(土)14時27分46秒
- はっ!よっすぃー、ごっちんに殺されてしまうぞ!!
( ^▽^)<ごっちん、お仕置きよ!
( `Д´)<はぁ〜い。。
(oT〜To)/~<だ、誰か助けて…。
- 366 名前:まるみ 投稿日:2003年01月25日(土)15時59分42秒
- ちょっと見れない間に面白いことになってる〜♪
ミキティーちょっとせつない・・・
柴田家の宴会が楽しそうだな〜!
しかし、なんで「まさえっちょ」なんだろう・・・?
- 367 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月25日(土)23時52分47秒
- ワラタ。
イヤイヤ、バレンタイン面白いです。
それと毎日的更新ほんとお疲れ様でっす
- 368 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月26日(日)19時35分53秒
- おぉぉぉ。いしよし、やばいぃことになってますね^^;
バレンタインホント面白いです^^笑いっぱなしです^^
藤本さん、けなげですね・・・おーたにさん!アンタは罪深き奴だーーー!!!
宴会ってね・・・未成年でしょ!って1人突っ込んでました^^;
では、次の更新楽しみにしてます。
がんばってください!応援してます♪
- 369 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月27日(月)07時04分53秒
- クロイツさま、更新お疲れさまです。
まさえっちょと藤本さんいい感じです。まさえっちょと藤本さんがくっついてくれれば、あゆみちゃんへのマークがはずれ、チャンスがめぐってくるはず...。
いしよしにもまたもや波乱が!波風たった後の方がますます、ぴったりしそうです。
バレンタイン(後編・夜)も期待して待ってます!
- 370 名前:あおのり 投稿日:2003年01月27日(月)10時42分05秒
- アヤカマタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
かっこいい!かっこいい!もう感涙ものです。
よっちぃの寝顔見ましたか、よだれ垂らしてましたか、爆睡してましたか、アワワアワワ
アヤカ=スパイ、この公式が確実に自分にインプットされてしまい
現実世界でアヤカさんを見ると「あ、スパイの人だ!」と思ってしまう変態な人になってしまいました。
バレンタイン本編、今までの積み重ねの総決算みたいでかなりニヤニヤしてます。
まあ一言で言うと、よっちぃイ`(w
しかし凄い更新量ですね、無条件に尊敬してしまいます。後編も禿げしく期待です
- 371 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月30日(日)09時22分01秒
- kakakakaka
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