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僕と君との物語り。
- 1 名前:匿名匿名希望 投稿日:2002年12月28日(土)00時34分11秒
- 〜前書き〜
某板で書いているものなんですがあえて今はHNは控えさせていただきます( 作風の違いなどにより)
今書いているものの前からずっと考えていた構成があったのですが、ありえない程に長く
なりそうだったのでここに書くかどうか悩んでました(何せ構成の中では老後まで)
が、せっかく出た案なので書かせていただきます。
基本のCPはいしよしの予定です。
その他登場人物やCPはまだあんまし決まってません。
この話しは物語りの中に物語りが出てきたりします。
一言で言ってしまえば長くなりそうです(あくまでも予定です)
だらだら長くなりましたが、気が向いた方はちらりと読んでみて下さい。
- 2 名前:〜吉澤ひとみという人物〜 投稿日:2002年12月28日(土)00時39分03秒
- 「ひとみちゃ〜ん御飯よ〜」
「はぁい、すぐに行くぅ」
ひとみは動かしていた手を止め、今まで持っていた筆やちらかった絵の具を
片付け、足早に階段を下りていった。
「遅くなりました」
長く伸びた髪をいじくりながらひとみは席につく。
「ひとみちゃん、いい加減前髪切ったら?もっと目悪くなっちゃうわよ」
母の言葉にひとみは少し苦笑いをして、かけていた眼鏡をクイッと少しだけ持ち上げる。
「そのうち切るよ。それより早く食べよ。お腹すいちゃった」
ひとみの母親は『そうね』と笑って箸を取った。
小さなテーブルに向かい合うように座って楽しく食事を食べる。
2人っきりだが今は決して寂しいと思わない。
さすがに4DKという家に2人というのは最初は寂しかったが、慣れてしまえばそんなでもない。
母はどうかは分からないが、少なくともひとみはそう思っている。
ひとみの父は、ひとみが高校生の時に事故で他界してしまった。
父が他界した後、もっと小さな所へ引っ越そうかと母と話したが、せっかく父が汗水かいて
建てた家から出て行くのも何だか寂しくて結局はここに住むことになったのだ。
- 3 名前:〜吉澤ひとみという人物〜 投稿日:2002年12月28日(土)00時43分19秒
食事が終わって、母と一緒に食器の片付けをした後、ひとみは2階の自室へと戻って行った。
ひとみは部屋に入るといつものようにベッドに向かってダイブをし、その衝撃でずれた眼鏡をかけ直してから仰向けになる。
天井を見上げれば自らが描いた星空が広がっている。
その星空を見つめてひとみは自分の前髪をいじくり、さっき母から言われた言葉を思い出していた。
たしかに長い。
でもそれは今に始まったことではない。
昔からなのだ。
ひとみには悩みがある。
それは顔が女っぽい男顔ということだ。
ただでさえ『ひとみ』という女の子っぽい名前なのに、顔までそうなのだ。
本人としてはたまったもんじゃない。
昔、両親に何でひとみと名付けたのかと聞いたことがある。
しかし両親の答えはあっさりとしていて『生まれた時になんて瞳の大きな子なんだろう』と思った
からと言われた。
ひとみはベッドから立ち上がって部屋の隅にある全身が写る鏡の前に立った。
鏡に写っている自分の姿をじっと見てみる。
目元まであるさらさらの黒髪に縁無しの眼鏡。
部屋着であるTシャツから出ている腕は真っ白。
背は高いがそこまで頑丈そうには見えない妙に細っこい体。
・・・不健康そうだ。
- 4 名前:〜吉澤ひとみという人物〜 投稿日:2002年12月28日(土)00時47分00秒
小さい頃からひとみは名前とその容貌から、よくからかわれた。
だから前髪を伸ばして顔を隠すようになった。
もともとあまりよくなかった目は顔を隠す道具としても使える為に、あえてコンタクトではなく眼鏡をかけるようにした。
色白のこの肌は生まれつき。
背はどういうワケか高校の時にぐんぐんと伸びた。
おかげで目立ちたくもないのに背で目立ってしまう。
人生思うように進まないものである。
ひとみはもう一度鏡に写った自分を見つめてからベッドに戻った。
また眼鏡がずれた。
ちなみに・・・
名前:吉澤ひとみ
年令:20歳
生別:男
備考:彼女いない歴20年
・・・である。
- 5 名前:匿名匿名希望 投稿日:2002年12月28日(土)00時48分55秒
- はじめから短いです。
申し訳ございません。
そしてこんな感じで書かせていただきます。
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月29日(日)12時50分56秒
- このよっすぃーに梨華ちゃんがどう絡んでくるのか?
想像しただけでニヤけてきます(w
続き、期待してます。
- 7 名前:僕と紗耶香 投稿日:2002年12月29日(日)18時33分37秒
- 僕、吉澤ひとみは現在都内の専門学校に通っている。
ちなみに2年生。
都心からあんまり離れていないけど、微妙に離れている家に住んでいるから朝はいっつも混雑してる
満員電車に乗り込んで、学校まで通ってます。
はっきり言ってここ来るまでで疲れるんだよね・・・。
適度に講議うけて絵描いて、僕は1人で絵を描いている空間が好きだか教室が開いている時は遅くまで
残って絵を描いていたりしてる。
『お前って根暗だよな』って数少ない友達に言われたりするけど、僕自身、こういう時間が大切だったり
してるから満足してる。
刺激が無い毎日って言われればそうなんだけど、現状維持派の僕は高望みというものをしようとしない。
僕の想像の中の絵を描いたり、目に見えるモノを描いたり、古本屋でバイトしてみたり、毎日を淡々と
過ごしている。
僕の仲の良い友達に市井紗耶香ってやつがる。
こいつの名前も女っぽい。
だからかもしれない、こんなにも性格というか生き方が正反対の僕達が友達になれたのも。
ちなみに僕に『お前って根暗だよな』って言ったのは紗耶香だ。
- 8 名前:僕と紗耶香 投稿日:2002年12月29日(日)18時36分22秒
- 僕が紗耶香に出会ったのは、高校3年の冬。
夕方、僕は美術室で絵を描こうと思って鞄を持って誰もいないであろう教室に入っていった。
美術室の隣には小さな倉庫みたいになっている部屋がある。
イーゼルとか昔の作品とかを保管している部屋だ。
僕が美術室に入ると、その部屋からバタンとかガサッガサッとか動き回る音ご聞こえてきて、
何いるのかと思った僕はそこの部屋の扉を開けてみたんだ。
部屋の中には私服姿の紗耶香(この時点で名前なんて知らなかったけど)と同じクラスの藤本さんがいて、
さらに藤本さんの制服はほとんど脱げていて・・・
あの、え〜っと・・2人はそういう行為をしていた。
そんなの生で見たことのない僕はお約束のように固まった。
で、僕のことに気がついた紗耶香が一言僕に言ったんだ。
「もうすぐ終わるからちょっと出ててもらえる?」
って。
その言葉で動くようになった僕はあわててそこから出て行った。
眼鏡という落とし物をして。
- 9 名前:僕と紗耶香 投稿日:2002年12月29日(日)18時39分36秒
- 逃げるように教室から飛び出した僕は、下駄箱の所でやっと自分の眼鏡がないことに気がついた。
眼鏡がなくても見えるっちゃ見えるが、僕は自分の顔を隠す道具である眼鏡がないことに妙に不安感を覚えた。
でもそれより何よりあの教室へ戻る方がもっと不安にも思えた。
どうしようかと悩んでぐるぐると同じ所を歩き回っていたら、紗耶香が遠くから手を振って走ってきたんだ。
それも満面の笑みで。
「お〜い!!眼鏡忘れッてんぞ〜!!!」
僕は思った。
この人はすごいって。
紗耶香から眼鏡を渡されて、お礼とさっきの謝罪(何で謝ったんだろう?)を述べて帰ろうとしたら、紗耶香
に僕は見事捕われ、無理矢理コンビニ連れていかれて、どういうワケか2人しておでん買って道端に座り込んで
『さぁ語るぞ』っていう雰囲気を作られた。
紗耶香は煙草を吸いながら聞いてもいないことをどんどんと喋りだした。
僕は途中からそのテンションと止まらないお喋りからか、紗耶香の吸ってる煙草がクスリに見えてしかたなかった。
- 10 名前:僕と紗耶香 投稿日:2002年12月29日(日)18時43分07秒
- 紗耶香はひとしきり喋った後、今さらながらの自己紹介をしてきた。
僕は目の前にいる人の口から『市井紗耶香』という名前を聞いて驚いた。
たしか僕よりも3年先輩で、そのタラシぶりは市井紗耶香卒業後の今でも学校で伝説になっているくらいだからだ。
つまり目の前にいるのは有名人だ。
僕の目の前に今有名人がいるのだ。
ちょっと感動した。
『僕の心は星空と一緒だ』何て自分でもよく分からないことを思って、余計に感動した。
数分間1人妄想ワールドへと入り込んでた僕は紗耶香のげんこつによって現実へと引き戻された。
紗耶香は数分間ずっと僕と握手をしようと手を出していたらしい。
ってか引っ込めればいいのにと思ったけど、またげんこつを食らうのも嫌なので素直に謝っておいた。
それから紗耶香に『お前この数分間何処行ってたの?』っていう質問を受けた僕は1人妄想ワールドを紗耶香に熱烈に語った。
紗耶香は夜だというのにありえない程大声でお腹をかかえて笑ったんだよね。
まったく、失礼な人だ。
怒った顔をするとそれも紗耶香の笑いのツボを綺麗に抑えたらしくて紗耶香は涙を流しながら笑った。
- 11 名前:僕と紗耶香 投稿日:2002年12月29日(日)18時46分51秒
- 少し落ち着いた紗耶香は僕に自己紹介を求めてきた。
そういえばまだ僕は自己紹介してなかったことに今頃になって気が着いた。。
いつもなら自分の名前を言うのにためらう僕だけど、何だかその日はもうどうでもいい気分だったから。
僕は手を出しながら『吉澤ひとみ』って言ったんだ。
そしたら紗耶香はちょっと驚いて、それでも嬉しそうに笑って僕の手を握り返した。
僕らは同じような名前だ。
お互いに女の子のような名前を持っている。
僕と紗耶香は性格も生き方も正反対だ。
でも今も友情が続いているのは、あの時お互いの名前で意気投合して語り合ったからだと思う。
本当は違うかもしれないけど、今の僕はそう思っている。
あの日から1年ちょっと。
タラシの紗耶香と今だ人と付き合ったことのない僕は見事なまでの親友になっていた。
人との出会いっていうのは不思議だ。
- 12 名前:僕と紗耶香 投稿日:2002年12月29日(日)18時48分42秒
- 余談だが、あの日からちょっとして紗耶香は浮気がばれて藤本さんと別れたらしい。
さすが伝説になるだけの紗耶香だ。
でも僕はそんなことで有名になんてなりたくないと心から思った。
ちなみに・・・
名前:市井紗耶香
年令:23歳
生別:男
備考:女ったらし。
・・・である。
- 13 名前:匿名匿名希望 投稿日:2002年12月29日(日)18時52分14秒
- >6名無し読者様
初レスありがとうございます。
次の次の更新くらいで梨華ちゃんは登場する予定です。
私も想像しただけでニヤけてます(w
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月29日(日)21時10分57秒
- おもしろそうですね〜。ごっちんもでちゃったりするのかな?
続き楽しみです(^.^)
- 15 名前:僕とごっちん 投稿日:2002年12月30日(月)13時51分18秒
- 僕には兄弟みたいな親友な幼馴染みがいる。
物心ついた時かた一緒にいた『ごっちん』こと後藤真希という娘だ。
昔からごっちんはよく寝て、よく食べる。
それは今も昔も変わらない。
小さい時から僕はよく名前でからかわれてた。
僕はありえない程によく泣いた。
もちろん今は慣れたから平気だけど、昔はよく泣いていたんだ。
僕が泣く度にごっちんは僕を泣かしたヤツラと喧嘩した。
『よし子をいじめるなぁ!』って言ってたのを今でも覚えている。
ごっちんは僕のことをからかって遊んでいたヤツラのことを追い払うと、僕の所に来て必ず僕の頭をポカッと叩く。
『よし子は男の子なんだから戦わなきゃだめじゃない!』って。
僕はごっちんに叩かれて必ず又泣いた。
そして困り果てたごっちんは必ず僕が泣き止むまで僕の隣にしゃがみこんで居眠りをした。
僕はごっちんに守られていた。
今思うとこれじゃあどっちが男でどっちが女かさっぱり分からない。
- 16 名前:僕とごっちん 投稿日:2002年12月30日(月)13時53分16秒
僕は殴り合いの喧嘩というのが好きじゃない。
殴られるのは痛いし、殴るのも痛そうだから。
そして何よりも、相手のことを本当に殴ってやろうって思った時には見たことも相手の母親の顔を思ってしまうからだ。
きっと自分の子が傷付いて帰ってきたら、親は心を傷めるんじゃないかとか考えてしまう。
子供ながらに相手の子よりも相手の子の親の方を心配していた。
そのことを僕は一度ごっちんと話したことがあった。
そうするとごっちんはふにゃって笑って『よし子らしいね』って言った。
何が『よし子らしい』のか僕には分からなかったけど、ごっちんがふにゃって笑ったから
それでいいのかなぁなんて思ってた。
- 17 名前:僕とごっちん 投稿日:2002年12月30日(月)13時54分43秒
ごっちんと僕は年も同じだし、幼馴染みだし仲が良い。
そして僕の母とごっちんの母も仲が良い。
父の名前がここに上がってこなかったのは。ごっちんのお父さんは、ごっちんが中学校の時に病気で
他界されてしまったからだ。
僕の母とごっちんのお母さんは1年に2回くらい旅行に出かけていた(ほとんど温泉)
昔は僕達もひっついてたけど、中学校くらいからはもう一緒に行かなくなった。
ごっちんの家と僕の家は隣同士だ。
小料理屋を経営しているごっちんの家は、1階はお店で2階に住むような形になっている。
僕の部屋の窓とごっちんの部屋の窓は昔糸電話で繋がれていた。
向かい合うようにお互いの部屋があったから、夜その糸電話を使ってよく話しをした。
まぁ小学校の低学年でそれは終わったけどね。
- 18 名前:僕とごっちん 投稿日:2002年12月30日(月)13時55分46秒
- でも僕とごっちんの幼馴染みな友情は終わっていない。
僕は男で、ごっちんは女だけど、そんなことほとんど意識してない。
僕よりもごっちんの方が男っぽいって思う時はあるけど・・・。
まぁともかく何でも話しあえる仲の良い関係なのだ。
ちなみに・・・
名前:後藤真希
年令:20歳
生別:女
備考:よく眠る。
・・・である。
- 19 名前:匿名匿名希望 投稿日:2002年12月30日(月)13時59分06秒
- 短いですが更新しました。
>14名無し読者様
本日ごっちん登場です。
これははずせないです(W
続き楽しみにしていてただけるなんて私は幸せです。
ちまちまですがこれからもよろしくお願いします。
- 20 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時03分00秒
- 今日も特に何もない一日の授業が終わろうとしている。
特に何かを求めているワケでもないけど、ここまで見事何も無いと、ちょっと退屈でもある。
僕は卒業製作にどんな絵を描くかをずっと悩みながら頭の隅でそんなことを思っていた。
今日の授業は一番最後が絵画だ。
僕はいつものように授業が終わった後もそのまま教室に残って絵を描いていた。
友達やクラスメイトもぽつぽつと帰っていき、一番最後に残っていた僕の友達は帰る間際に僕の肩を叩いて
『たまには一緒に飲みに行こうな』って言っていった。
僕は『いつかね』と言ってそいつに手を振った。
多分行くことはないだろうなんて思いながら。
- 21 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時04分59秒
- 誰もいなくなった教室。
そこは僕にとってとても居心地の良い場所だ。
時たま通る電車の音も、蛍光灯のジージー鳴る音も全て僕を束縛しない。
いつも通りに一番窓側にいってイーゼルの前に座って筆を取る。
少しだけ開いた窓からは心地よい風が吹いていて、その風になびいて僕の長い前髪が目の前で揺れる。
そんな揺れる髪を見ていたら、目の前を小さな花びらが横切った。
ここは5階で、教室の中には花なんてものは置いていない。
僕はその突然表れた花びらを無意識のうちに追いかけた。
ヒラヒラと揺れながら飛んでいく花びら。
それは天井へと飛んでいき、蛍光灯の光りに一瞬吸い込まれてから左右に揺れられながらそこに立っていた人の
足下に音をたてることなく落ちていった。
花びらに気を取られていて僕は人が入ってきていたことに気がつかなかったみたいだ。
ゆっくりと花びらから視線を上げて行く。
- 22 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時06分27秒
- 茶色いウェスタンブーツに少し除く素足、膝下くらいまでのベージュのスカート、ピンクの薄手のジャケットで、
ちょっと困り顔の・・・
・・・石川さん?
たしか同じクラスの石川さんだよね?
あれ?どうしてそんな困った顔してるの?
って僕が見すぎてる?
・・・ですよね。
「あ、あのぉ・・・」
あ、そういえば石川さんて声高いんだっけ。
1年前石川さんの声聞いた時ちょっとびっくりしたんだよな僕。
って僕が石川さんに話しかけられてる?
自慢じゃないけど、僕はごっちん意外の女の子とほとんど喋ったことないんだよな・・・。
「あのぉ・・・」
- 23 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時07分39秒
- 「あ、ご、ご、ごごめんなさい、いや、あの、花びらがね?そう、花びらが・・・」
「へっ?花びら?」
「う、うん、そう、そうそうなんだです・・・」
「『そうなんだです?』ちょ、ちょっと落ち着いてよ」
「ふぇっ?」
「え?ふえっ?って・・・」
そう言うと石川さんはいきなり吹き出して笑い始めた。
「はぁ、吉澤くんっておもしろいんだね」
ちょっと石川さんの笑顔を見て緊張が溶けた僕は少しさっきよりも落ち着いて石川さんの言葉が聞けた。
あれ?今石川さんが僕の名前呼んだ??
「石川さん・・・何で僕の名前・・・?」
そう言うと石川さんはまたちょっと笑った。
「だって1年ちょっと同じクラスなんだよ。普通は覚えるよ。それに吉澤くんだって今私の名前呼んだでしょ?」
- 24 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時09分18秒
- 確かに。
「それと同じことだよ」
石川さんの笑顔は何だか柔らかい。
見ている人を優しい気持ちにさせてくれる。
今日始めて僕はそう思った。
「そう言えば吉澤くんと話すのって初めてだよね?」
「あぁ、そういえばそうですよね」
「ははっ、そんなにあらたまらないでよ。クラスメイトなんだしさ」
そんなことを言われても始めて話した相手だし、それも女の子だし、
そのうえ・・・2人っきりだし
あぁ、また緊張してきちゃった。
「そういえば吉澤くんさっき何言おうとしてたの?何だか『花びら』とか言ってたけど」
昔から人付き合いがちょっと苦手で、そのうえ2人きりっていうことを意識しだしてしまって何だか恥ずかしくなってしまって
下を俯いている僕に、石川さんは何気なく話しをふってきた。
- 25 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時10分12秒
- 「花びら・・・あぁ、そう、そうなんです。ここって5階じゃないですか」
僕が顔を上げて石川さんを見ると石川さんはちょっと驚いた顔をして頷いた。
どうして驚いた顔したんだろう?
まぁいいや。
「なのに、何処からか分からないんですけど花びらが入ってきたんですよ。
それも一枚だけ。
その花びらが僕の目の前を横切って、天井に舞い上がって石川さんの足下に落ちていったんです」
僕の言葉を聞いた石川さんは自分の足下を見た。
そして自分の足下に落ちていた花びらを細い指で拾い上げた。
「何だか幻想的じゃないですか?
こんな都会にある学校の5階に一枚だけの花びらが舞い込んでくるなんて」
石川さんは花びらを見つめながら『そうだね』って小さく呟いた。
- 26 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時11分26秒
- その時の顔がすごく儚さそうで、窓から入ってきた風が揺らす石川さんの髪がよけいにそれを強調しているようで・・・
僕は石川さんから目が離せなかった。
そしてこんな時だけどすごく綺麗だと思った。
生まれて初めて女の人を綺麗だと思った。
「そ、そういえば石川さんどうしたんですか?」
そんな気持ちを知られたくなくて僕は口を開いた。
「え?」
石川さんが花びらを見つめていた視線を僕にうつす。
「何か忘れ物とかですか?」
「あ、あぁそうだ。吉澤くんここら辺で定期見なかった?」
「定期?」
「そうなの、鞄の中とか調べたんだけど無くて・・・」
「あ、じゃあ僕も一緒に探しますよ」
「本当!?ありがとう」
僕は持っていた筆を置くと、椅子から立ち上がった。
立ち上がった僕を見て石川さんが口をポカーッと開ける。
- 27 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時12分24秒
- 「・・・何かついてます?」
「・・・吉澤くんって背高いとは思ってたけど、近くでみると本当に背高いんだねぇ」
石川さんは自分の頭のから僕の頭に向かって背を計るように腕を伸ばす。
何だか一つ一つの仕種が可愛い人だなぁ。
「僕昔はそんなに高くなかったんですけど、高校に入ったら一気に背伸びたんですよ」
僕はそう言ってちょっと笑うと、石川さんはつられるように笑った。
「吉澤くんって意外に話しやすい人だね」
「意外って何ですか・・・」
「だってあんまりクラスの人と関わろうとしないでしょ?誰かと話してるところあんまり見ないから。
私も話したの初めてだし」
「そうですね、1人でいること多いですからね。昔からこんななんですよ。ほら、それよりも早く定期探しましょう」
「あ、うん。そうだね」
この後、僕らは特に何を話すわけでもなく、黙々と定期探しに没頭した。
石川さんは何か言いたそうにチラチラとこっちを見ていたけど、僕から声をかけるのも恥ずかしくて、
僕はそれに気付かないふりをしていた。
- 28 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時13分47秒
そして約20分後・・・
「・・・無いですね」
「・・・うん」
教室はもう隅から隅まで調べまくった。
おい、そこには無いだろうって所まで丁寧に調べた。
が、無い。
だったら何処にある?
・・・ひょっとして。
「石川さん」
石川さんはどうしたの?っていう顔をして僕のことを見上げる。
「あの、ひょっとしたら何ですけど、石川さんポケットとか調べてみました?」
「鞄のポケットなら全部調べたよ?」
「じゃなくて、服のポケットですよ」
石川さんはハッとして自分の着ていたジャケットのポケットを探る。
「あっ」
- 29 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時15分10秒
- 胸ポケットに手を当てて石川さんの動きが止まる。
ポッケに指を入れて薄いカードみたいなものを取り出す。
僕の予想的中です。
「・・・あった。そうだ、今日柴ちゃんに定期かして、返してもらった時に鞄持ってなかったからここに入れておいたんだ」
石川さんは僕の方へ顔を向けると申し訳なさそうに眉毛をハの字にする。
「ごめんねぇ。さんざん手伝わせちゃったのに・・・」
「いえいえ、僕もたまにやりますから」
「でも・・・」
「気にしないで下さい。ほら、それに春ですし」
「春?」
「ボーッとしちゃう季節じゃないですか」
石川さんはもうしばらく眉毛をハの字にしてたけど、僕がちょっと笑ってみせると『そっか、ありがとう』って言った。
「でも本当にごめんね、絵描いてる途中だったんだよね?なのに時間とらせちゃって」
「いいですよ。何だか今日はのらなかったし」
もちろん嘘である。
でもこうでも言わないと石川さんはいつまでも謝り続けそうだと思った。
「・・・ありがとう」
石川さんの眉毛はやっと通常通りになった。
- 30 名前:僕の出会いは春の花びらと共に 投稿日:2002年12月31日(火)13時16分34秒
- 「じゃあ、私帰るね」
そう言って石川さんは床に置いていた鞄を拾い上げた。
僕はあぁ言ってしまった手前、今すぐ絵を描くのもどうかと思って、意味もなく窓に近付いた。
「あ、吉澤くん!」
石川さんのちょっとはった声が聞こえて僕は後ろを振り向いた。
「あの・・・この花びらもらってもいい?」
石川さんは右手を高く上げてそれを左右にふっている。
見えないけど多分手に花びらを持っているんだろう。
僕は定期を探している間じゅうあの花びらを持ってるんだということに半ば感心しながら『はい』と言った。
石川さんは嬉しそうに笑って『また明日』って言って教室から出ていった。
教室の中にまた優しい風が吹き込んできた。
僕はその後、絵を描くこともせずにしばらく窓から吹き込んでくる風に当たっていた。
今日は何だか良い夢が見れそうだ。
- 31 名前:匿名匿名希望 投稿日:2002年12月31日(火)13時17分48秒
- 今年最後の更新終了です。
ちまちま更新で来年も頑張っていこうと思っております。
皆様、良いお年を・・・。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月31日(火)15時48分19秒
- おもしろいっ!!
今までにない雰囲気(・∀・)イイ!
吉澤と石川の出会いがドラマみたいで(・∀・)イイ!
今後の二人が楽しみ(ニヤニヤ
更新楽しみにしてます。作者様も良いお年を…
- 33 名前:名無しX 投稿日:2002年12月31日(火)17時51分04秒
- いいです!なんか優しい気持ちになれるお話です。作者様、来年も期待です。やっばいしよしです。
- 34 名前:きいろ 投稿日:2003年01月02日(木)10時04分28秒
おもしろい!!
こういう性格のよしこは中々いないですよね〜。
このまま石川とよしこの関係はどうなってゆくのか・・
(●´ー`●)<続き大期待ですっ
- 35 名前:石川梨華とその周りの人々の出会い 投稿日:2003年01月03日(金)01時02分37秒
- 私は現在1人暮し中。
実家は神奈川。
通おうと思えば全然通える場所なんだけど、1人暮ししてます。
そんでもって私は今専門学校に通ってます。
学校は楽しいよ。
クラスメイトも良い人ばっかりだしね。
絵がそこまで好きってワケじゃないけど、嫌いじゃない。
入学してから早1年。
別にこれといった事件、出来事もなく私のスクールライフは続いている(ちょっと悲しい)
私はけっこう人見知りをする。
だから高校から専門学校にあがった時、友達ができるか不安だった。
だって同じ高校から私と同じ専門学校来る人いなかったんだもん。
初めてクラスの教室に入った日、先に教室にいた人達は隣とかに座ってる人と話ていたけど、
人見知りする私はそんな輪に入ることもできなくて、教室の一番隅の方に座っていた。
- 36 名前:石川梨華とその周りの人々の出会い 投稿日:2003年01月03日(金)01時04分27秒
- やっぱり登校初日っていうのは皆早く来るものみたいで、集合時間の10分くらい前なのに結構な人数が集まっていた。
で、今だ誰とも話せないでいた私はボケ−ッと入り口の方を見ていたの。
だってそれくらいしかやることがなかったから。
そんな感じでしばらく人間ウォッチングみたいのをしていたら一際背の高い人が教室の中に入ってきたんだ。
真っ黒な黒髪に眼鏡。
その人はわざと顔をかくしているように俯きながらあたしと反対側の教室の一番隅に座った。
私以外の人も何人かその人のこと見ていたみたい。
でも皆そんなに気に止めるでもなく、またお喋りとかに戻っていった。
私も例外ではなくて、また扉の方へ視線をうつした。
その後も人はバラバラとやってきた。
私は背い高のっぽの黒髪眼鏡さんの存在なんてすっかり忘れてそんな風景を眺めてたんだよね。
- 37 名前:石川梨華とその周りの人々の出会い 投稿日:2003年01月03日(金)01時06分11秒
- 手元に送られてきた資料に書いてあった集合時間になって学校らしいチャイムが鳴って、教室にいた皆の
話す声がちょっとだけ小さくなった。
皆がこの教室に入ってくる先生のことでも考えてたんじゃないかな?
私はそう考えてた。
でも次に教室に飛び込んで来たのは大汗かいた女の子だった。
皆がその娘を見ている中、そんな視線をモノともしないような態度で教室の中をきょろきょろとする女の子。
もう教室で空いてる席なんてほとんどない。
その娘は教室中を見渡して私の目の前の席を視界に捕らえると、早足でそこにやってきた。
「出席ってもうとった?」
額に汗を浮かべながらその娘は人懐っこそうな笑顔で私に話しかけてきた。
「え、ううん。まだだよ」
「そっか、よかった。あ、そうだ私『柴田あゆみ』柴ちゃんって呼んでね」
「わ、私『石川梨華』って言うの」
柴ちゃんはニヤって笑って『よろしくね梨華ちゃん』って言った。
その後、すぐに教室には私達の担任になる先生が入ってきたからその時の会話はそれだけで終わっちゃたんだ。
これが私の親友の柴ちゃんとの出会いだった。
- 38 名前:石川梨華とその周りの人々の出会い 投稿日:2003年01月03日(金)01時08分42秒
- どこの学校も出席というのはとる。
もちろんウチの学校も例外じゃない。
担任が出席簿を開いて次々名前を呼んでいく。
それも五十音順。
私の名字は『い』だから結構前の方で呼ばれる。
初めての出席って何だかちょっと緊張するんだよね。
ま、返事して終わりなんだけどさ。
そのうえ自分の名前が呼ばれ終わってちょこっと余裕が出てくると、他に名前を呼ばれている人達を観察する余裕までもが出てくるってもんです。
だから私はクラスメイトウォッチングを開始したわけですよ。
『あぁこの人は田中っぽいなぁ』とか『おぉ!丸太杉尾なんてこの人っぽい名前』とかちょっと失礼なことまで考えながら。
で、最後に先生は『吉澤ひとみ』って言ったの。
誰かなぁって思ってたら、あの私の反対側に座ってる背の高い人が控えめな声で『はいっ』って言ったんだよね。
先生は普通に出席とってただけだからすぐに違う話を始めたんだけど、教室の中は教室の隅にいる『吉澤ひとみ』という人のことでざわざわしていた。
- 39 名前:石川梨華とその周りの人々の出会い 投稿日:2003年01月03日(金)01時09分47秒
- それを見ていて、私はちょっと腹がたった。
もう小学生じゃないんだからって。
そしたら前に座ってた柴ちゃんも同じこと思ってたみたいで私に同じようなことを言ってきたんだ。
私は自分の前に座ったのが柴ちゃんで良かったってその時思った。
話しの中心にもってこられていた吉澤くんは教室に入ってきた時と同じように顔を隠すように俯いていた。
それを見ていた私は何が出来るわけでもなくて、ただ黙ることしかできなかったんだ。
皆に呼び掛けることも、吉澤くんに話し掛けることも、何も出来なかった。
ちなみに・・・
名前:石川梨華
年令:20歳
生別:女
備考:ネガティブ思考。
・・・である。
- 40 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月03日(金)01時18分03秒
- あけましておめでとうございます。
新年最初の更新終了しました。
沢山のレスありがとうございます。
かなりの励みになります。
>32名無し読者様
どうもありがとうございます。
何だかここまで言ってもらってしまうと照れてしまいますね(w
今後もゆっくりな更新だとは思いますが暇な時にでも覗いてみて下さい。
>名無しX様
どうもありがとうございます。
何だか時間の流れがいやにゆっくりですよね・・・(汗
優しい気持ちになっていただけたなんて嬉し恥ずかし照れくさいですね。
今年もいしよしは熱いです。
>きいろ様
どうもありがとうございます。
たまにはこんなよし子がいても良いんではないかと思いながら書いています。
期待に答えられるようにできるかぎり頑張ってみます(w
- 41 名前:14の名無し 投稿日:2003年01月05日(日)05時58分04秒
- あけおめです。ゆっくりした時間がながれてて心地いいです。レスはあんましないほうなんですが読み続けさしてもらうんで、これからも更新がんばってくださいね。
- 42 名前:きいろ 投稿日:2003年01月05日(日)12時56分06秒
明けましておめでとう御座います。
石川視点でのひとみですね。
これから二人がどう発展していくのか楽しみです。
- 43 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時41分34秒
- 入学して1年ちょい、私はそれなりに友達も出来て、順調な学校生活を送っている。
入学当初の話題のネタになってしまっていた吉澤くんも友達も出来たみたいで(まぁ、あまりクラスメイトと関わりを
持とうとしていないけれど)たまに笑ったりしながら過ごしているみたい。
吉澤くんは私にとってただのクラスメイト。
それも一度も話したことのないクラスメイト。
普通は1年も一緒にいれば多少なりとも話すこともあるのだろうけど、私は吉澤くんと話したことがなかった
(理由は自分でもわからないけど)
柴ちゃんは何度か軽く話したことがあるみたいだけど、私はない。
ともかく、昨日までは一度も話したこのないただのクラスメイトだったんだ。
- 44 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時43分37秒
- 現在休み時間中。
梨華は机に肘をついて手帳に挟んでいる花びらを見つめていた。
どこからどう見たって普通の花びらである。
それも梨華の好きなピンク色の花びら。
梨華はそれをさっきからずっと見つめ続けている。
そしてたまぁに鞄の中を見たり、1人で本を読んでいるひとみの方を見たりしているのだ。
昨日、家に帰った梨華は今日のお礼とお詫びをひとみにしようと思っていた。
定期を一緒に探してくれたからという理由でそこまで考えるものでもないとは思うのだが、梨華としてはあんなにも時間を取らせて
しまったお詫びと、それに対する感謝の気持ちをひとみに伝えたかったのだ。
律儀といえば律儀だが、気を使いすぎるといえばそれもあてはまる。
が、ここで問題が一つ持ち上がる。
梨華はひとみのことについて何も知らないのだ。
趣味も知らなければ好きなものも知らない。
- 45 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時44分54秒
- 自分よりも多少ひとみのことを知っているであろう柴田に聞くのも考えたが、からかわれるのが嫌で聞けない。
否、聞きたくない。
しばらくそのネタでからかわれる。
だから梨華は必死で考えた末、誰でも食べれるだろうとクッキーを作ってみたのだ。
で、それが今梨華の鞄の中に入っている。
しかしクラスの中でひとみに話しかけたことのない梨華。
人目がかなり気になる。
昨日自分で『クラスメイトなんだから』とか言っておきながらこの様である。
昨日の花びらを見て、行く決心をしようとしているのだが行けない。
こんなことをくり返していて今に至る。
もうすぐ休み時間も終わってしまう。
次はここの教室で講議がある。
その後は特に授業もない。
梨華は小さくため息をはいた。
- 46 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時46分06秒
- 「なぁにため息なんてはいちゃってるの」
「うわ!び、びっくりしたぁ」
「ははっ、ごめんごめん」
そう言いながら柴田は梨華のことを腰で隣の席へずらしながら今まで梨華が座っていた所に鞄を置ながら座った。
「ちょっと、柴ちゃん来るの遅いよぉ」
「だって目覚ましが鳴ってくれなかったんだもん」
「もう、毎回毎回そう言ってぇ。出席率で単位落としちゃっても知らないからね」
「大丈夫だって。ちゃぁんと計算してるもん」
「やっぱ目覚ましのせいじゃないじゃない」
「あ、ははっこりゃ一本取られちゃった」
「・・・おバカ」
梨華は大袈裟に鞄からノートを取り出して机に置いた。
「ま、次からは遅刻しないように来るからさ。
それよりどうしたの?ため息なんてついちゃって」
「・・・え、ううん何でもないの」
「ふ〜んそっか。まぁ何か思い悩むことあるんだったら言ってね。
助けにはならないかもしれないけど聞いてあげることとか出来るからさ」
「うん、ありがとう」
- 47 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時47分01秒
- 梨華が柴田に向かって微笑むと、柴田も梨華に向かって微笑みかけ自分も鞄から教科書を出した。
その間に教室にチャイムが鳴り、講師の先生が入ってきてマイクを握る。
2人はしばらく講議を聞きながらノートをとっていたが、柴田が突然思い出したように梨華の肘をペンでつっついた。
梨華はノートをキリの良い所まで書くと、柴田の方を向いた。
「そういえば昨日定期見つかった?」
柴田の何気ない質問に梨華は思わずペンを落としてしまう。
多少静かな教室にペンの落ちた乾いた音が響く。
梨華は真っ赤になりながら机の下に落ちたペンを拾った。
姿勢を起こす時に何気なくひとみの方をチラッと見るが、ひとみはノートにペンを走らせ続けている。
梨華はそれを見てどうしてか分からないけどほっとした気持ちになった。
「もう、何やってんの?本当にドジなんだから」
「うぅぅだってぇ・・・」
「はいはい、それよりあったの?」
「あ、うん。ちゃんと見つかったよ」
- 48 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時48分00秒
- そう言って梨華は自分の胸の少し上を手でポンポンっと叩く。
「え?胸??・・・まさか胸ポケットにあったの?」
「昨日柴ちゃんから定期返してもらった後に自分で入れてたみたいなの」
梨華の言葉を聞いて柴田は呆れたように大袈裟にため息をついた。
「まぁ梨華ちゃんらしいか。でもそれにしては時間かかり過ぎじゃなかった?」
「え?柴ちゃんあの後すぐ帰ったんじゃなかったの?」
「やっぱり待っててあげようかなって思って待ってたんだよ。でもさすがに15分くらいしたら限界で帰っちゃたけどね。
でもそんなにかかるなんて一体何処まで探しに行ってたのよ?」
「・・・5階のデッサン室まで」
梨華が机の下で指をいじいじさせながら小さく呟く。
そんな梨華に柴田は『そこまで行ったんだ・・・』と呆れ顔で梨華と同じように呟いた。
そして『だってさぁ・・・』とか言っていいながら俯いている梨華のほっぺを柴田はつんつんとつつく。
- 49 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時49分19秒
- 「何?」
「昨日デッサン室行ったんだよね?」
梨華が首を縦に動かす。
「ひょっとして吉澤くんいなかった?」
俯いていた梨華が柴田の方に顔を向けて目を大きく見開く。
「やっぱりね、で、何でそんなに驚いてるの?」
「何で柴ちゃん吉澤くんがいたこと知ってるの?」
「何でって、前もいたから」
「前も??」
「そ、前も。私、課題が終わらなくて教室に残った時があったじゃん?その時に課題でもないのに
吉澤くんがいて、ずっと絵描いてたの見たから」
梨華は柴田から視線をずらすと『そうなんだ』と横にいる柴田ですら聞き取れない程の声で呟いた。
それを見て柴田がニヤッと口元を上げて薄ら笑いを浮かべる。
「なんだいなんだい遂に男運のない梨華ちゃんにも春が来たのかい?」
- 50 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月05日(日)13時50分29秒
- すけべ親父のような笑みを浮かべながら梨華のことを肘でつつく柴田の腕を梨華は顔を真っ赤にさせながらパチンと叩く。
「ち、違うわよ。ただ昨日定期探すの手伝ってもらったお礼をいつ言おうかずっと悩んでたから・・・」
「あ、吉澤くんに見つけてもらったんだ。っていうかお礼くらい今でも言ってくればいいじゃない」
「だって、今まで話したことなんてなかったし、ここじゃ人がいっぱいいるし・・・」
今だ赤い顔のままでいる梨華に柴田は思わず吹き出す。
「梨華ちゃんって本当に恥ずかしがりやだよねぇ。でも、それだったら今日も吉澤くん5階のデッサン室にいるんじゃない?
この授業終わったら行ってみなよ」
柴田が梨華の背中をポんッと叩くと梨華は赤い顔で唇をとがらせながら小さく小さく頷いた。
そして黒板の板書に戻ろうとした柴田の服の袖をつかんで『別に何とも思ってないからね』と先程から続いている赤い顔のまま呟いた。
そんな梨華に柴田は『はいはい』と苦笑いをしながら返事をした。
- 51 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月05日(日)13時55分29秒
- 更新終了です。
明日から学校・・・。
>14の名無し様
いえいえ、読んでいて下さってるってことがわかっているだけでも十分です(w
今後もまったりと時間は流れていく予定です。
そう、予定です。
>きいろ様
2人もシャイな人達なので多分まったり進んでいくことでしょう。
でも作者的には早いことくっついて欲しいです(矛盾?)
- 52 名前:きいろ 投稿日:2003年01月06日(月)09時59分54秒
そうですねぇ。
このまま二人共マッタリ進んでいって欲しいです。
シャイな吉澤君のままで(w
- 53 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月07日(火)23時46分35秒
- キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
チャイムがこの日の授業の終わりを告げ、講師の先生の締めの言葉と共に教室にいた学生達が伸びや話しをしながら立ち上がり、
受講カードを提出して教室を次々と出て行く。
柴田は梨華のカードを取ると、変わりにノートの切れ端に書いたメモを梨華の前に置いていった。
メモには『ちゃんと結果報告しなよ』と書いてあった。
梨華は『結果報告って何よ』と思いながらそのメモを鞄の奥にしまいこんだ。
自分の鞄の中にノートや筆箱をしまいながら梨華がひとみの方を見てみると、ひとみはすでに上着を来て鞄を持って受講カードを
出しに行っていた。
梨華は少し時間をかけながら上着を着ると、昨日と同じ5階のデッサン室に向う為に教室を後にした。
- 54 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月07日(火)23時47分51秒
- ひとみはいつものように教室に入って窓側の席に自分の作業場所を作る。
上着を脱いで簡単に畳むと空いてる椅子の上に置く。
教室の隅に置いてある完成途中の作品の中から自分のモノを取り出すと、それをイーゼルに立てて鞄から鉛筆を取り出した。
服の袖を肘までたくしあげて椅子に座る。
並べた鉛筆から柔らかいB3の鉛筆を選び、それを掴んでから何かを考えるように窓の方を向く。
ひとみは窓の外を眺めてから椅子から立ち上がると少しだけ窓を開けた。
「・・・ひょっとしたらまた何か運んでくるかもしれないしね」
開けた窓から入ってくる風が昨日と同じようにひとみの長い前髪を少し揺らした。
その風をしばらく受けてから、椅子に座ろうと思い体の向きを変ると、誰もいなかったはずの教室の入り口に、鞄を両手で掴んで俯きながら立っている人の姿があった。
「・・・石川さん?」
- 55 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月07日(火)23時48分51秒
- ひとみとしてはそこまで梨華だという自信があったワケではない。
ただそんな感じがしただけだった。
が、不思議と間違える気もしなかった。
そしてそれは間違いではなかった。
入り口の所に立っていた梨華はひとみの方へとゆっくりと歩いて行く。
その梨華のことを見つめるひとみの前髪は今だに、窓から吹き込んでくる風に揺らされている。
2人の距離が一歩一歩近付いていく。
ひとみに近付くにしたがって梨華の少し茶色い髪も風で揺れ始めたていた。
「「あ、あの」」
2人の距離が1メートル程になった時にお互いが同時に口を開く。
「あ、あの先にどうぞ」
「え、あ、いいよ吉澤くんから先にどうぞ」
どうぞどうぞとお互いに先をゆずりあってなかなか話しが進まない2人。
窓から吹き込んでくる風がそんな2人の髪を柔らかく揺らし続ける。
- 56 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月07日(火)23時49分46秒
- やがて風が2人を包む中でお互いが顔を見合って笑い始めてしまった。
「ははっ、あぁ何だか全然話しが進まないですね」
「本当だねぇ」
「課題か何かの残りですか?」
「あ、あぁうん。そう、そうなんだ」
梨華は自分の前で持っていた鞄をつい後ろに回す。
「あ〜・・・吉澤くんは?」
「僕?僕は課題じゃないですよ」
ひとみは柔らかく笑うと自分の画板に手をかけた。
そんなひとみの仕種を見て、何となく梨華はそれ以上踏み込まない方が良い気がして『そうなんだ』とだけ言ってひとみから距離をとった所でイーゼルを立て始めた。
- 57 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月07日(火)23時55分03秒
- 短いですが更新しました。
次はもうちょい多めに(願望です)
>きいろ様
ですね。
焦らずゆっくりと。
そして私は更新しっかりと頑張ります・・・。
- 58 名前:きいろ 投稿日:2003年01月08日(水)12時26分03秒
更新お疲れ様です。
う〜ん、二人共恥ずかしがりやさんですね〜(!?)
さ、さっさとくっつかんかいっ!!(●´ー`●)
この前と言ってる事がまったく違いますね(笑)
嘘です。このままマッタリと進んでほしいものです。
でも、この二人が付き合ってからの吉澤君の反応なども見てみたかったり(w
- 59 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
- 川o・-・)ダメです…
- 60 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
- 川o・-・)ダメです…
- 61 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月10日(金)21時30分54秒
- 削除依頼出せますよ。
ttp://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/imp/998148102/l25
- 62 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
- 川o・-・)ダメです…
- 63 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月12日(日)00時02分35秒
- >木琴様
いえいえ、間違えてしまったものはしょうがないです。
お互いにこれからも頑張りましょう。
>61名無し読者様
親切なレスありがとうございます。
ここんところ忙しくて更新できないですみません。
ちらりと覗いてみてちょっとびっくりしました。
明日か明後日には更新したいと思っております。
- 64 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月13日(月)00時40分24秒
- 静かな教室の中には鉛筆が紙の上を滑る音と、絵の具が紙の上を染めていく音、そして時折通る電車の音とが蛍光灯の鳴るあまり広くない小さな部屋を包んでいた。
ひとみは時折窓の外を眺めたり、天井を仰いだりしながら鉛筆を進めていく。
梨華も当初の予定とは違ってしまったものの、この不思議と筆の進む空間が心地よく感じ、焦らなくても終わる課題の筆を走るように進めていた。
ひとみと梨華、お互いが口を交わすわけでもないがお互いが壁を作りあっているわけでもない。
時間だけが刻々と過ぎていく空間で、2人は自分の目の前に置かれた自分だけの想像の世界に浸っていた。
- 65 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月13日(月)00時41分42秒
- やがて窓から入ってくる風の温度が変わり始めた頃、ひとみは持っていた鉛筆を置き、曲げていた長い足を伸ばした。
時刻はすでに20時を回っている。
今日はいつも以上に自分の腕が進んだ。
ひとみは立ち上がって、自分の描いていた絵を見ながらそんなことを思った。
横を見ると、梨華が柔らかい表情で楽しそうに筆を進めている。
石川さんってこんな表情もするんだ。
楽しそうに筆を動かす梨華のことをしばらく見つめていたら、その視線に気付いた梨華が顔を上げてひとみの方へと顔を上げた。
「あ、あのもう時間ですよ」
ひとみに言われて梨華は教室の中にある時計に目をやった。
「本当だ。何だかすごく時間が過ぎるのが早く感じちゃった」
- 66 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月13日(月)00時42分48秒
- 梨華は筆を丁寧に置くと服が汚れないようにつけていたエプロンをはずし、体を伸ばすように大きく伸びをした。
それから絵が乾くまでの時間に散らかった画材などを片付ける。
ひとみも梨華が動き出したのを見て、自分の片付けが終わっていないことに気がつき、合わせるように片付けを始めた。
数分してお互いの片付けはほとんど終わった。
ひとみはたくし上げていた袖を元通りにし、椅子の上に置いておいた黒のジャケットに袖を通して前のボタンをきっちりとしめている。
そんなひとみを見ながら梨華は自分の鞄の中にある包みをいつ渡すかどうか悩んでいた。
梨華はもう帰り支度も終わっている為、何だか手持ち無沙汰な感じだ。
これではひとみが帰り支度が終わるのを待っているようになってしまっている。
しかしどうやって話しをきりだしたら良いのかがいまいち分からない口下手な梨華は全く関係のないことを口にしていた。
- 67 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月13日(月)00時44分00秒
- 「ねぇ吉澤くん」
ボタンをしめ終えて、窓を閉めようかと思っていたひとみが梨華の方に顔を向ける。
「吉澤くんっていつもここで絵を描いてるの?」
「はい。何だか習慣みたいな感じになってるんですよ」
「そうなんだ。ここって素敵な場所だね、私こんなに筆が進んだのって初めてだよ」
「僕もそうですよ。ここにいると何だか落ち着いて絵を描いていられるんですよね」
照れ笑いを浮かべながら話しをするひとみを見て、梨華はこの1年間どうしてひとみと会話をしなかったのだろうという後悔に捕われた。
こんなにも純粋に柔らかく笑う異性に出会ったことのなかった梨華は心からそう思ったのだ。
だから恥ずかしがり屋であまり男性免疫のない梨華が自然と次の言葉を発したのだろう。
「あのさ、もし吉澤くんが平気なら、私もたまにここに来て絵を描いていてもいい?」
と。
その言葉に驚いたのは言った梨華本人よりもひとみだった。
- 68 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月13日(月)00時44分41秒
- 自分自身が人と距離を置いていた為、人からあまり近付かれることがなかったひとみ。
こんなことを言われたのは初めてだった。
言葉だけのクラスの男友達もひとみにあまり近付こうとはしない。
来るものは拒まないが、来ないものに特に気を使う必要もない。
こんな感じなのだろう。
だから梨華の言葉に驚いた。
ここは学校の教室なのだから誰が使おうと勝手なのだが、ひとみも梨華もこの時はそんなことに頭がまわっていなかった。
言われたひとみに特に断る理由なんてない。
もちろん誰もいないこの空間は好きだ。
しかし今日梨華がいたからといって何があったワケでもないし、この場所を侵されたワケでもない。
だからひとみの答えはすぐに出た。
「全然かまわないですよ」
この言葉に梨華は嬉しそうに笑った。
一枚の花びらが運んできた出会いはただの他人どうしだった2人の距離を少しだけ縮めてくれた。
- 69 名前:不思議な時間は春の花びらと共に 投稿日:2003年01月13日(月)00時49分02秒
- 更新終了しました。
指先が荒れまくってしまい、キーボード打つのが結構つらい今日この頃。
地味に更新しようと思っていたら、一回目から思いっきりageてしまった今日この頃。
なかなか上手いこと物事は進まないものですね。
>きいろ様
この2人はどうなっていくのですかねぇ・・・。
まったりと距離が縮まってくれれば嬉しいです。
毎回レスありがとうございます。
めちゃ励みになります。
- 70 名前:名無し香辛料 投稿日:2003年01月13日(月)01時13分17秒
- よっちぃが男な設定のお話は好きではないのですが
ここのはスキ!
更新、マイペースでがんがって下さい。楽しみにしてます。
- 71 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時37分18秒
- 「ただいまぁ」
僕が家に入ると玄関にはよく見なれた靴があった。
「お母さん、ごっちん来てるの?」
そう言いながら自分の靴を脱ぎ、脱ぎ散らかしたようなごっちんの靴をきちんと揃えて並べて、その隣に自分の脱いだ靴を並べて置く。
母さんからの返事を待たずにキッチンへと入っていくと、母さんは電話で楽しそうに話していた。
僕はそれを見て、小さく『ただいま』と言ってから、キッチンを出て階段を上がり自室へと向う。
ゴンッ
「んがっ!」
部屋に入る為に扉を開けようとして、ドアのぶを捻って扉を押したら木に何かがあたるような音がして木に当たったごっちんの声がした。
重たい扉をぐいぐいと体重をかけながら押し開ける。
- 72 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時38分50秒
- 「ちょっと、ごっちん早く扉の前からどいてよぉ」
直も体重をかけ続けていると突然扉が軽くなって、全体重をかけていた僕は当然のようにバランスを崩して、フローリングの床に見事倒れこんでしまった。
その衝撃で眼鏡が落ちて、床に乾いた音が響く。
「っててて・・・」
「あららららぁ、ごめんねぇ」
立ち上がろうとする僕に、これっぽちも悪びれた様子のないごっちんがふにゃふにゃ笑いの顔で、両手を短パンの浅いポッケにつっこんで謝ってくる。
「寝るなら僕のベッド使っていいっていつも言ってるじゃんか」
「後藤もいつも言ってるでしょ?あれはよし子のベッドなの。後藤のベッドはここなわけよ」
そう言ってごっちんな今僕が手をついている位置を指でちょいちょいとさす。
僕が立ち上がって扉を閉めると、端においやられた毛布やクッションがひょっこり顔を出す。
「風邪ひいたって知らないからね」
- 73 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時40分11秒
- 眼鏡を拾って机の上に置き、鞄と上着をいつもの場所に片付ける。
そしてごっちんの体温が少し残るぐちゃっとなった毛布を畳んでクッションを床に置くと、今だポケッに両手を突っ込んでフふにゃふにゃ笑いのごっちんが畳んだ毛布の上にボフッとジャンプをしながら座る。
あぁせっかく畳んだのにちょっと崩れてきちゃったよ。
「よし子は良い嫁さんになるねぇ」
「僕は男です。嫁さんにはなりません」
「あれま」
「あれまじゃないよ」
こんなやりとりはもう慣れたもんで、僕は大袈裟にため息をつきながらソファーに倒れ込むように浅く腰かけて、多分ごっちんが使ったままでそこいらに放っておいたであろうコンポのリモコンを手に取って電源を入れる。
「ねぇねぇよし子ぉ」
「ん?何?」
「そこのクッション投げてぇ」
「はいよぉ」
- 74 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時41分52秒
- 毛布の上で両足をダラーッと伸ばしているごっちんに向かってクッションを投げる。
ごっちんはそれを両手でがっちりとキャッチすると、胸の前で抱えるようにぎゅっとクッションを抱きしめて伸ばしていた足を胡座に変える。
「・・・ごっちんさぁ」
「んあ?」
クッションを気持ちよさそうに抱きしめながらごっちんが口をぽかーっと開けてこっちを見てくる。
ごっちん、目眠そうだよ。
僕が今話し掛けなかったら絶対にすぐ寝てたでしょ?
「なぁにぃ〜」
「ごっちんは一応女の子でしょ?」
「一応っていうのは良く分からないけどそうだよ〜」
「あのさぁ、今日ごっちん短パンじゃん」
コクリと首を縦に振るごっちん。
「胡座とかかくとさぁ・・・見えちゃうよ?」
次は首を横にコテッと傾ける。
「だからさ・・・」
- 75 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時43分00秒
- ちょっと僕が言葉を濁すとごっちんは『あはっ』と笑って体を左右に振り始めた。
「だって、ここにいるのよし子と後藤だけじゃん。だったらパンツ見えようが見えまいが関係ないじゃぁん」
確かにそうだけど、年頃の女の子が大股開いてるんですよ?
それも男の前で。
「僕だからいいけど、他の男の前とかでやるのはどうかと思うよ」
「だぁいじょぉぶぅ。後藤だってよし子以外の男の人の前じゃそんなことしないもぉん」
ぶいぶいと両手でピースを作ってまだ左右に揺れているごっちん。
何だかなぁ。
「ま、気をつけなよ。それよりどうしたの?今日はお店の手伝いしなくて平気なの?」
「今日はお客さん少ないからいいんだってさ。んで、家にいてもなぁって思ったからよし子の所来たの」
- 76 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時45分33秒
- そう言うとごっちんは膝で歩くようにずりずりと僕の目の前までやってくると僕の顔を覗き込むようにぐいっと顔を近付けてくる。
もうすっかり慣れたその行動から避けるよに僕は背を仰け反る。
「よし子もったいないよ」
「それ聞き飽きた」
「でも直してないじゃん」
「直す必要ないもん」
「前髪伸びたよね」
「昔からだよ」
「眼鏡してないね」
「ごっちんしかいないからね」
- 77 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時47分58秒
- こんなような台詞のやり取りを昔から僕らはしている。
昔といっても頻繁にごっちんが僕に髪を切れだの眼鏡外せだの言ってきたのは中学入ってからだ。
ごっちんは僕を改善したいと心から思ってるらしい。
僕がどんなに拒否をしても絶対に諦めない。
もうパターンの分かっている僕はいつも適当に流すように『今度切るから』とか言うんだけど、最近のごっちんはそんなことじゃ納得しない。
『よし子の今度は聞き飽きた』と力で僕のことをねじ伏せようとしてくる。
しかしここは男の僕。
ごっちんの力がいくら強かろうと負けるワケにはいかないってもんです。
「よし子、今日は断髪式だよ」
「いや、別に切らなくてもいいよ。だって僕別に困ってないし」
「後藤も困らないけど、今日こそ切る」
「じゃあ僕が後で切るからいいよ」
「じゃあ後藤今日は帰らない」
「じゃあ泊まっていけば?」
「よし子のこと襲っちゃうよ」
何故そこまで僕のことを変えようとするのかは『もったいない。原石は磨かなきゃいけない』という妙な使命感からだそうだ。
別に僕は原石でもないし、磨く必要もないとは思うけど、そう言うとごっちんは頬をぶくッと膨らませてピスタチオをぽいぽい投げてくる。
あれ力強く投げられると結構痛いんだよね・・・。
- 78 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月16日(木)15時52分37秒
- 色々なことを思い出していたら、ごっちんがぐいぐいと迫ってきた。
ごっちんは艶かしい目線で僕の顔を見てTシャツの首の部分を指でひっぱて胸元を見せようとしてくる。
僕は恐怖のあまり背中に冷たい汗が流れた。
この脅しは初めてだ。
僕は決して女性恐怖症なわけではない。
ただごっちんはこれが本気なのかがわからないうえ、言うがままになってしまったらこの後の方が恐い。
- 79 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月16日(木)15時56分25秒
- 更新終了しました。
単純なコピペ失敗して投稿して焦ること数分。
空回りな毎日です。
>名無し香辛料様
ここのよし子を気に入っていただけたみたいで(照)
ありがとうございます。
まったりですが今後も頑張っていきます。
- 80 名前:きいろ 投稿日:2003年01月16日(木)17時02分29秒
- ごっちーーーーん!!!
って感じでしょうね。今のよしこは…。(自分もですけど
この後よしこはどうなってしまうのか。
いつも更新楽しみにしています。
これからも頑張ってくださいね。
- 81 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月16日(木)17時53分01秒
- よっちぃの前髪や眼鏡を変えさせようとするごっちんに、ついユニコーンの
『シンデレラ・アカデミー』という曲を思い出してしまいました。
あれは男の子が冴えない女の子を変えようとする歌でしたけど。
とにかく、面白いです。楽しみにしてます。
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月18日(土)00時37分05秒
- ほんわかした、いい雰囲気のお話ですね。
これからもマイペースで更新がんがって!
- 83 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月18日(土)22時56分20秒
- ・・・で5分後
「よし子は本当に綺麗な顔してるよねぇ。眼鏡と前髪で隠しちゃうなんてもったいないよ」
とごっちんに言われながら僕の髪は見事にはらはらと下に敷いた新聞紙の上に落ちていっていた。
チョキチョキと器用にハサミを使いながらごっちんは僕の髪を全体的に切っていく。
たまにちょっと離れて全体を見ながらチョキチョキ切っていく。
数カ月ぶりに切った僕の髪の毛は確かに伸びていた。
頭からかぶったゴミ袋の上を真っ黒な髪がどんどんと滑り落ちていく。
「ちょっと目瞑っててねぇ」
言われた通りにぎゅっと目を瞑ると前髪を持ち上げられて、目の前で髪を切る音が聞こえてきた。
- 84 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月18日(土)22時57分39秒
- チョキチョキ
チョキチョキ
・・・チョキッ
「あっ」
ん!?ごっちん今『あっ』って言ったよね?
それってどういう意味??
恐る恐る目を開けようとすると、ごっちんの手が僕の目を塞ぐ。
「10秒待って」
いや、急ぐくらいならばゆっくりやってくれていいです。
失敗されたくないです。
「・・・ごっ」
「今いいところなのぉ」
- 85 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月18日(土)22時58分43秒
- ・・・さらに1分後
「出来たぁ!」
ごっちんが嬉しそうな声を上げて僕の方へ鏡を持ってくる。
クルッと両手で両端を持ちながら僕に鏡を向ける。
「・・・。」
僕は久しぶりに思いっきり鏡とにらめっこをした。
「・・・ごっちん、これ前髪そろってるよ」
サイドは別に問題ない。
長からず短からずのなかなか丁度良い感じ。
だけど・・・
「んぁ。このままだととてもオタクっぽいでしょ?むしろ女の子っぽいでしょ?」
「うん」
「だから・・・」
- 86 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月18日(土)22時59分59秒
- そう言うとごっちんは鏡を僕の机の上に立て掛け、自分の鞄の中からヘアワックスを持ってきて、
それをよく手に馴染ませると僕の髪全体をいじり始めた。
前髪をセンターよりも横から斜に走らせるように左右にわける。
「こうやって前髪を左右に分けると格好良くなるでしょぉ?」
確かにオタクっぽくはないけど・・・
「よし子はさ、もっと自分に自身を持っていいと思うよ。
そんな心配しなくたって大丈夫。
絶対によし子は格好いいって」
- 87 名前:cut cut cut 投稿日:2003年01月18日(土)23時00分41秒
- そう言ってごっちんは僕の両肩をぽんぽんと叩いた。
「はい、これにて断髪式しゅ〜りょ〜。ねぇねぇ後藤お腹すいちゃったよぉ。
よし子ぉごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはん〜」
「分かったよぉ、ちょっと髪の毛片付けるから先下行ってて」
「んあ、じゃあよし子も早く来るんだよぉ」
「あ、走らないでよ、髪が散らばるじゃんか」
ごっちんはまさしく風という言葉がぴったりな感じで僕の部屋から出て行った。
あぁ、こりゃ掃除が大変だ・・・
- 88 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月18日(土)23時09分09秒
- 短いですが更新しました。
更新とストックのバランスが上手いこととれないんですが、更新ペースを
頑張って守れればなぁと思っておします。
>きいろ様
ごっちんの妖艶さ、きっとよし子以外の男ならば喜ぶくらいなのでしょうが
よし子には恐怖のみですね(苦笑)
今後もまったり頑張ります。
>名無しさん様
知りませんでしたねぇ、今度探して聞いてみます。
どんな感じの曲調なのかなぁ。
>82名無し読者様
ほんわか感出てるでしょうか?
だったら嬉しいです。
今後も頑張ります。
- 89 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年01月19日(日)00時57分30秒
- いいですね〜
カッケ〜よっすぃモテまくったりして、梨華ちゃんがジェラシー状態なんかになったらサイコー(妄想
今後が楽しみっす
- 90 名前:きいろ 投稿日:2003年01月20日(月)19時30分27秒
- ついに断髪しましたか!!
これによって他の人や石川がどう吉澤の事を思うのか。
楽しみに期待してます。これからも頑張ってください。
- 91 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時51分52秒
- 梨華は教室の中をチラチラと盗み見するように見ていた。
今日は講議だけの日。
教室には自分のクラス以外の人達も集まっている。
講議も終わりに近いせいか教室内はざわざわと騒がしくなり始めていた。
皆がやっと1週間の授業から解放される金曜日。
若者の集まりのような場所で静かにしろという方が酷なものである。
いつもと変わらない金曜日のはず。
が、珍しくその中にひとみの姿だけない。
「梨華ちゃんは今日すぐ帰る?」
「ん〜今日は課題やってくよ」
「何か最近学校残ること多いよねぇ。何かあったの?」
柴田の質問に梨華はくすりと笑うとペンを机の上に置いた。
「特に何があったってワケでもないよ。ただ前よりも絵を描くってことが楽しくなっちゃっただけ」
「ふ〜ん、そっか」
「うん、そういうこと」
あまり納得しきっていない顔の柴田をよそに、梨華は板書をしようと再びシャーペンを持とうとした。
が、突然その手を柴田がさっと止める。
- 92 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時53分31秒
- 「ん?どうしたの?」
「梨華ちゃんさぁ、前私が渡したメモの存在覚えてる?」
「メモ?」
梨華は記憶の中でそのようなことがあったかを思い出そうと腕を組んでいかにも『考えているぞ』というポーズをとる。
「あれだよ、この前梨華ちゃんが吉澤くんに離しかけようかどうか悩んだた日に渡したやつだよ」
「・・・あ」
そう言うと梨華は鞄の中をごそごそとあさり始めた。
「梨華ちゃん・・・鞄の中汚いよ・・・」
「あった!」
梨華が勝ち誇った顔で鞄から取り出したメモはありえない程にぐちゃぐちゃで、所々やぶれていた。
柴田は半ば諦めた顔でそのメモを梨華の手から奪い取ると、ぐちゃっとなった紙をのばして梨華の目の前に置いた。
- 93 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時54分27秒
- 『ちゃんと結果報告しなよ』
忘れていた。
その日はせっかく作ったクッキーですら渡すのを忘れてしまっていたりしたのだ。
梨華の頭の中からは、こんなこと頭の中から綺麗さっぱり消えていた。
「はぁ、やっぱり忘れてたのね・・・。まいいわ。それよりもどうだっだたの?」
「どうもこうも何もないよ。でも吉澤くんが思ったよりも喋りやすくてびっくりした。
後は思ってた以上に背が高くてびっくりしたってことくらいかな?」
「びっくりオンパレードだねぇ。私はそんな話やすいなんて印象受けなかったけどなぁ。まぁ話せたならよかったじゃん」
「そうだね」
2人は顔を見合わせて笑いあうと、黒板の方を向き、たまに雑談などをしながら講議の時間を過ごした。
- 94 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時55分35秒
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「結局吉澤くん来なかったね」
「うん、風邪でもひいたのかね?」
「どうだろう、まぁ人には色々あるからね」
柴田は『じゃあまた来週ねぇ』と言うと大きく手を振りながら帰っていった。
梨華は柴田と別れた後、その足で5階のデッサン室へと向かった。
「・・・やっぱ今日はいないんだ」
デッサン室の中には誰もいなくて、いつもいるはずの吉澤くんもいなくて、何だか静かな空気だけがその教室の中を支配している気がした。
窓は開いていなくて、私はいつも窓は吉澤くんが開けていたんだと、そんなことを思いながら窓に近寄り、閉まっていた窓を少しだけ開けた。
春らしい風が待っていたといわんばかりに教室の中に入ってきて、静かな空気と融合して柔らかい空気となり、その空気が教室の中の時間を動かしはじめる。
- 95 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時56分34秒
- 私は荷物を床に置くと、イーゼルを立て、いつも作品を置いている所にいき自分の作品を探し始めた。
ここで吉澤くんと話し始めて早3週間。
私は自分でも驚く程に作品に思いを込めて描いている。
前までは課題が出されたからその作品を考えて描いて提出して、絵を描くということは進級や卒業の為の手段だった。
始めはもっと上手くなりたくて絵が好きだと思っていたからこの専門に入ったはずなのに、いつの間にかそ
んな気持ちは忘れてしまっていて、学校があるから来る、来ないと卒業できないから来る、そんな感じになってしまっていた。
しかし吉澤くんと話したあの日、久しぶりに絵を描く楽しさを思い出し、作品の一つ一つにすごく思い入れがあるようになった。
ここのデッサン室で過ごす時間が自分の生活のリズムの中に溶け込み始め、いつしか私はここに来ることが楽しくなっていた。
- 96 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時57分34秒
- 梨華は絵を見つけるとイーゼルの上にそれを立て、続きを描き始めた。
本当に誰もいない空間。
窓から入ってくる風は梨華の所に届く前にその力を失って部屋の中へと溶けていく。
絵に色をのせながら梨華はいつもひとみが座っている所をちらりと見た。
いつも窓から入ってくる風を受けながら描いているひとみの表情がふと見たくなったからだ。
梨華はひとみの顔をほとんどきちんと見たことがなかった。
意識をしているワケではないのだが、いつも前髪と眼鏡で隠されていく顔をきちんと見てみたい。
その思いから自然ととった行動だ。
いない今だからこそ思いきりひとみが居た場所を見ることができる。
恥ずかしがり屋で男性に対して免疫がない梨華だから、今しか出来ない行動。
ひとみの表情はかすかに分かるのだが、それだけではやはり悲しいものである。
梨華の気持ち的には同じ時間を共有しあう仲間同士、顔くらいは知っておきたい。
どこか隠し事というか秘密を持っているような感覚、ならばもっとお互いのことを知ったっていたい。
- 97 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年01月21日(火)11時58分28秒
- 「まぁ言えないのが現実なんだよね・・・」
ため息をついた瞬間だった、思わず梨華の手から筆が落ちてしまった。
いつもはつけているエプロンをこう日に限ってつけていなかったりする。
「あぁ、やっちゃったよぉ」
今日梨華が着ていたピンク色のジャケットに思いっきり青色の絵の具がついている。
泣きそうになりながら梨華は扉のすぐ外にある流し場に走って行く。
蛇口を捻り冷たい水をハンカチに浸すとそのハンカチをジャケットに押し付けて絵の具を落とそうとするが
そう簡単に落ちるものでもない。
梨華はしばらくハンカチと水のみで格闘していたが、やがて諦めたようなため息をはいて階段を降りてお手洗いへと向かって行った。
- 98 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月21日(火)12時06分46秒
- 更新しました。
ちょっと遅いですが『石川梨華祝18歳』
めでたいことです。
>ラヴ梨〜様
今後この2人の人生はどうなっていくのですかねぇ(遠い目)
書いてて楽しいここの2人。
きっと様々なことが起きるでしょ(笑)
>きいろ様
ごっちんの数年間の願い『断髪』ついに行われました。
これがきっかけで2人はどうなっていくんでしょうか・・・
次回更新をお待ち下さい(笑)
- 99 名前:名無し香辛料 投稿日:2003年01月21日(火)16時21分13秒
- ああ〜。本当に更新楽しみです。
あまずっぱい…。
- 100 名前:きいろ 投稿日:2003年01月21日(火)22時50分12秒
- 今回よしこ出番なし!!(W
密かにショックを受けている自分…。(笑)
変わった吉澤を見て石川だどう思うのか、
ワクワクしながら待ってます(●^−^●)
- 101 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年01月27日(月)09時55分36秒
- PCぶっ壊れて全データぶっとびました。
PC修理中なのでこっそり学校から書き込みです。
なおり次第すぐに更新します。
すみません。
- 102 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時23分40秒
- その梨華がお手洗いへと入った後、入れ代わるようにしてひとみがデッサン室のへとやって来た。
本来授業というものをほとんど休むことのないひとみだったが、昨日後藤によって切られてしまった前髪が原因で今日の授業の全てを休んだのだ。
ひとみの中の言い訳としては『どうせ講議だけだから』らしい。
そして原因となった前髪理由というのは顔を思いっきり出さなければ変(もろ女の子みたくに)なるというものだ。
顔は出したくないが前髪を下ろすことなんて絶対に出来ない。
他の人から見れば相当にカッコ良いのだが、ひとみ本人は人に見られている=女の子っぽい顔をしているから見られているという思い込みにかられてしまうのだ。
ならば何故今日わざわざ学校に来たのかというと、今デッサン室で書いている絵だけは描きたいからだ。
授業も講議だけ、そのうえ明日は土曜日で提出期日の近いものもない。
この条件ならばただでさえ人があまり来ない5階のデッサン室に残っている人などほとんどいないだろうという考えだ。
が、ひとみの視線の先には見なれた鞄が置いてある。
- 103 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月11日(火)15時25分19秒
- その鞄の少し先には青い絵の具のついた筆が床の上に落ちている。
今だその乾ききっていない筆は、そこに誰かが今までいたことを意味する。
誰かというのはひとみには分かっている。
ひとみは自分の前髪を軽く触りながら今ここからすぐに出ていった方が良いのかどうか悩んだ。
ここに来るまでに色々な人からじろじろ見られ、帽子をかぶってこなかったことを後悔していたのに、ここ最近よく話すようになっていた梨華から自分のことをどう思われるか気になってしまってしょうがない。
今までは前髪と眼鏡で顔の大部分を隠せてていたのに、今日自分の顔を守るものは眼鏡一つだ。
ひとみはいつものように窓なで歩み寄ると、暗くなった外を眺めるように窓に写った自分の姿を見た。
昨日、無理矢理後藤からワックスの使い方講座を受け、ついでにそのワックスまでもらった。
ある程度男らしくみえるように頑張ってみたつもりだ。
- 104 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時26分15秒
- ちょっと窓から離れて立ち、着て来た真っ白なパーカーをぐいぐいっと引っ張てシワをのばす。
ついでじ前髪もちゃんと分けて整える。
『何だかこれじゃあ石川さんに合うつもりみたいだな』なんて思って苦笑いを浮かべてしまう。
「くしゅんっ!」
突然くしゃみが聞こえたひとみは慌てて後ろを振り向いた。
「い、石川さん!?」
鼻をすすりながら前でピンク色のジャケットを脇に抱えてデッサン室に入ってきた梨華の格好にひとみは思わず出すつもりもなかった声を出してしまった。
「へ?あ、あぁ!!吉澤くん!!!」
梨華は目を大きく見開いて脇に抱えていたジャケットを胸に前に持ち替えた。
トイレに行って石鹸をつけてジャケットを洗ってきた梨華の格好はその下に着ていたキャミソール姿だったのだ。
水をたっぷり含んだジャケットはそう簡単に乾くものでもなく、梨華は誰もいないだろうと踏んで思いきってキャミソールの姿のままで戻ってきたのだ。
- 105 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時26分58秒
- しかし戻ってきたデッサン室の中にはクラスの中でも一際背の高い人の姿。
独特のハスキーがかった声は間違えるはずもない声。
が、いつも隠されたいたその顔はしっかりと表情が読み取れる程に表れていて、思わず本当にひとみかどうかを認識するまでに時間がかかってしまったのだ。
「ご、ご、ごごめんなさい。すぐに僕行きますから」
そう言ってひとみは大急ぎでデッサン室を出ようとした。
「っくしゅん!」
さっきよりも大きな梨華のくしゃみ。
ひとみは急いでいた足をぴたっと止めて梨華に背中を向けるようにして立ち止まった。
ひとみの中で葛藤が始まる。
- 106 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時27分29秒
- 春とはいえさすがにあんな薄着じゃ寒いにきまっている。
今着ているパーカーをさり気なく渡すだけで梨華は風邪をひかないですむかもしれない。
しかしそんな行動とったことのないひとみは悩む。
まるで格好つけているみたいではないか。と。
そんなことは全くないのだが、悩む。
「あ、あのぉ・・・吉澤くん?」
寒いせいか少し震えた梨華の声に、ひとみは『そう、これは良心なんだ』と言い聞かせて自分のパーカーをがばっと一気に脱ぐと梨華の方を向かうずにぐいっとそのパーカーを差し出す。
「こ、ここここれ着てて下さい」
パーカーを脱いだ拍子でずれてしまった眼鏡も直さないままひとみは固まっている。
パーカーを差し出された方の梨華も驚きのあまりひとみ同様、固まってしまっている。
- 107 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時28分12秒
- 「そそそんな、格好じゃ風邪ひいちゃいますから・・・」
黙ってそのままの格好でいるひとみの手から梨華はそっとそのパーカーを受け取った。
「あ、ありがとう」
梨華は戸惑いながらも受け取ったパーカーに袖を通す。
案の定大きい。
身長差がかなりある2人なのだから当たり前だ。
ひとみには丁度良くても梨華には相当大きい。
でろんでろんに長い袖を捲り上げて首元から髪を外に出す。
「あのぉ、もう振り向いても大丈夫だよ・・・」
梨華の言葉にもなかなか振り替えれないでいるひとみに梨華はもう一度声をかけてみるが、やはり同じようにひとみは梨華の方を振り向こうとしない。
「吉澤くん?ねぇどうしたの?」
梨華が心配そうな声でひとみの様子を伺うと、ひとみは自分を落ち着かせるように大きく息を吸い込んで自分の前髪をいじりながらずれてもいない眼鏡を直した。
- 108 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時28分54秒
- 「・・・あのですね」
「うん」
「・・・実は昨日幼馴染みに前髪を切られてしまいまして・・・」
「うん」
「あの、僕・・・昔から名前だけでも女の子みたいなのに、顔つきまで女の子みたいだって言われてたんですけど・・・」
「うん」
ひとみが前髪をいじいじといじくっているのを何も言わずに見つめている梨華。
ひとみの手がぴたっと止まる。
「お願いがあるんですけど、僕を見た率直な素直な感想を言っていただけますか?」
「へ?」
「あ、あまり深く考えないで下さい。僕、結構言われ慣れたますから」
梨華がずれ落ちてきた袖をたくし上げながらちょっと首をかしげた。
「あのぉ、何だか言ってる意味が掴みがたいというか何というか・・・」
ぴたっと止まっていたひとみの手がまたいそいそと動きだす。
ちょっと遠回しに言い過ぎた自分に後悔し、今一番クラスの中でも信頼できると勝手に予想していた梨華に対してとった自分の行動ど言動に照れが出てくる。
- 109 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時29分28秒
- 本来人付き合いの苦手なひとみ。
一瞬見てしまった梨華のキャミソール姿が忘れられないのと、パーカーを渡すといった自分の行動が恥ずかしくてしょうがなかった。
だから止まってしまった会話を何とかしようと頑張った結果、人生の中での一番のコンプレックスである自分の顔の話題を出してしまった。
失態。
そして後悔。
でももう後戻りできない。
ひとみはもう一度大きく息を吸った。
「僕の顔どう思うか言っていただけますか?さっきも言ったんですけど僕昔から女の子みたいな顔してて、人前で顔出すことがすごく嫌で、でも昨日幼馴染みにおもいっきり前髪切られてしまって、あの、それで・・・あ、え〜っとその、突然こんなこと言ってしまってごめんなさい。
ぼ、僕今クラスの中で一番よく話すのが石川さんだし、あのですね、すごく勝手な考えなんですけど、何て言うか石川さんなら隠さずに本当のこと言ってくれる気がして・・・って僕何言ってるんだろう??」
黒の長袖のワイシャツから覗く肌がみるみるうちに赤く染まっていく。
- 110 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時30分24秒
- 黒の長袖のワイシャツから覗く肌がみるみるうちに赤く染まっていく。
頭をがしがしと照れたようにかき、落ち着き無くシャツのシワをのばしてみたりしている。
梨華はそんなひとみの姿が何だかとてもおかしくて思わず口に手をあてて小さ声を出して笑った。
ひとみは落ち着き無く動かしていた手を止めて本日3度目となる、自分を落ち着かせる為の息を大きく吸った。
「あの、本当に素直にお願いします」
「うん」
ひとみは震える両手をぐっと握りしめて目をぎゅっと瞑って梨華の方を振り向いた。
「ど、ど、ど、ど、どどうですか?」
「全然いいよ。だから少し落ち着きなって」
- 111 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時30分54秒
- ひとみが何かにおびえるように声を絞り出す。
目を瞑ったのは梨華にまで昔の皆のような表情を見たくなかったから。
少しの勇気を出してみても心の中に植え付けられた自分にとっても傷というのはなかなか乗り越えられるものでもない。
図体はでかいくせに何処か小心物のひとみは今、瞑った目の裏側で必死に過去の思い出を消そうと努力をしていた。
そしてどれくらいそうしていたのだろうか?
対して時間もたっていないのかもしれないが、今のひとみには数秒の沈黙が数十分もの沈黙に思えてしかたない。
何も言わない梨華にひとみは小さく呟く。
「・・・やっぱ変ですよね?」
「・・・綺麗な顔」
「えっ?」
- 112 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時31分49秒
- 梨華の言葉に思わずひとみは瞑っていた目を開けてしまった。
自分よりも少し前で自分のことを見ている梨華の顔は、今まで自分の顔を見ておもしろうそうに笑ったり、不思議そうに眺めている人達とは違って、本当に普通にひとみを普通の人として見ている表情だった。自分のことを特別変だなんて思っていない。
もちろんひとみが思い込んでいる部分というのも結構あるのだが、それでも今まで自分の顔にコンプレックスを持っていたひとみは、この梨華の何気ない表情が嬉しかった。
「変なんて思わないよ。吉澤くんって整った顔してるんだね」
その言葉に嘘なんて見つけられることはできなくて、梨華の表情も決して気を使っているようになんて見えなくて、ひとみは思わずずっと反らし続けてたた梨華の目を見つめかえしてしまった。
「それに綺麗な瞳。きっと御両親は吉澤くんのそんな瞳を見て『ひとみ』ってつけたんだね」
優しく微笑む梨華の顔にひとみはどういうわけか恥ずかしくなってしまって、落ち着いていた白色の肌をまたしても赤くしていった。
- 113 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時32分26秒
- 「他の人がどう言うかなんて私には分からないけど、私は吉澤くんの顔だちってすごく綺麗だと思う。
女の子っていうよりは何だろう?優しい顔してるって感じかな」
梨華が言葉を発する度にひとみの肌はその温度を上げて色付いてゆく。
自分で聞いておきながら、その答えを聞いて人生のうちでも数えるくらいしかなかった程に照れていて、そんな言葉を本当に正直に照れることなく発する梨華を心の何処かですごいなんて思っていて、立っていることしかできない自分がもどかしくて、ひとみはどうにもこうにも出来ない状態になっていた。
「ひょっとして・・・髪が原因で今日講議休んだの?」
思いっきり核をつかれてひとみはこれ以上にない程顔を赤らめて小さく頷いた。
梨華は柔らかく優しく微笑む。
その笑顔を見て、ひとみはこの柔らかい表情は梨華の生まれ持ったものなのかもしれないと思った。
決して媚びを売ってうるわけでもなく、本当に優しく笑う。
その笑顔はひとみから緊張などといった気持ちを落ち着かせてくれる作用がある。
- 114 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時32分56秒
- 『不思議な人』
ひとみの梨華に対する素直な思いだった。
梨華はじょじょに落ち着きを取り戻すひとみの目を見つめながら、優しく語りかけるように言葉を紡ぐ。
「世の中には沢山の人がいるから沢山の考えがあって、沢山の思いってあるから、ひょっとしたら吉澤くんを見て『女の子みたいな顔』って思う人もいると思うの。
でも、そう思っている人達と違って、そうだなぁ、私みたいに思う人だっているよ。
顔が名前がじゃなくて『吉澤ひとみ』っていう人物に惹かれる人がいて、近くにいる人がいて、きっとその人達っていうのは顔がどうこう、名前がどうこうとかいうの抜きで吉澤くんと付き合ってると思うんだよね。
何だろう?どう言えばいいのかな?
う〜んと・・・やっぱ最初は何も知らない人同士だから距離あるの当たり前だし、その第一印象とかだけで判断されちゃうってことあるけど、じょじょに時間かけて吉澤くんていうのを分かってもらえばいいんじゃない?そして吉澤くんもその人のこと分かっていってあげてさ」
梨華はいつになく饒舌な自分に驚きつつも、言葉を続けた。
- 115 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時33分31秒
- 「何だか話しがそれてきちゃったけど、あれだよ、吉澤くんは吉澤くんなんだからさ、いいじゃんそれで。
どうこう言う人もいるだろうし、じろじろ見る人だっているだろうけど、生まれもっちゃたものなんだからしょうがないって割り切っちゃうしかない気もするんだよね。
そんなこと抜きで吉澤くんを見ていてくれる人だっているよ。
そう言ってた人だって吉澤くんを知れば変わる人だっているよ。
そんな名前と顔を嫌うようなことしないで。
私はまだ少ししか話したことないけど、私は顔だとか名前だとか抜きで『吉澤ひとみ』っていう人物と話すこと楽しいって思ってるよ」
ひとみは梨華の言葉を真剣に聞きっていた。
そしてそんなひとみの目をふと見た瞬間、梨華はとんでもない恥ずかしさにかられた。
- 116 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時34分19秒
- 何説教をたれるようなこと言ってるんだろう?
何故ここまで話しが広がってべらべらと喋ってしまったのだろう?
途中なんて自分を他人に置き換えているみたいではないか。
ひとみからかりたパーカーがその存在を突然表してくる。
『は、恥ずかしいよぉ』
そして一方のひとみは梨華の言葉が胸にがんがん響いていた。
まさかここまで自分のことを言ってくれるなんて想像もしてなかった。
あの日、梨華と初めて話した日のような風があの時よりも少し短くなったひとみの前髪と、黒のワイシャツの襟をさわさわと揺らす。
その風が何だかとてもくすぐったかった。
「・・・何だか石川さんってお姉さんみたいですね」
素直に自分に対して言葉を発してくれた梨華に、ひとみも今思ったことを素直に言葉にする。
が、正直に発した言葉で梨華の顔はネガティブ丸出しの顔になる。
- 117 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時34分56秒
- 「・・・ごめんなさい・・・何か説教みたいの言ったりしちゃって・・・」
「ち、違うんです!僕、そんな出会ってまだ日も浅い人とかにこんなに色々言ってもらったことなかったし、
すごく嬉しかったんです。
あの、僕一人っ子だし、お姉さんがいたらこんな感じなんだろうなぁって思って・・・ついあの、こちらこそごめんなさい」
「いや、吉澤くんが謝らないでよ。ほら、私の方がどう考えたって悪いわけだし・・・」
「そんなことないですよ、僕ですよ」
「違うよぉ・・・」
いつか見たような画。
2人はどちらが折れることなく謝り続け、そしてまたいつかのように顔を見合わせて笑いはじめる。
「何か前にもこんなことありましたよね」
「そうだね、私達って何だか進歩ないねぇ」
- 118 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時35分26秒
- そう言って顔を見合わせてまた小さく笑う。
ひとみは前髪こちょこちょっと指でいじくると眼鏡を少し上げて、梨華が今さっきまで座っていたであろう椅子の近くに落ちている筆を見つめた。
さっきよりも乾いた絵の具と筆が今までの時間の経過を少し語っているようだった。
「あ、そうだ!!私ったら筆そのままにしちゃってたんだった」
梨華はそう言うと転がっている筆の所へと走って行き、床とくっついてしまった筆を剥がそうとしゃがみ込んだ。
ジャケットを脇に抱えたまま必死になって床にくっついた絵の具を剥がそうとしている梨華の後ろ姿が何だか放っておけず、ひとみは腕まくりをすると梨華と同じようにしゃがみ込んだ。
「ジャケット持ったままじゃ作業しにくくないですか?僕も手伝いますから、先にそれ置いてきていいですよ」
ひとみの言葉で今だに自分が濡れた服を抱えていることに気付いた梨華は、慌ててジャケットとパーカーを離した。
- 119 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時36分13秒
- 「別に少しくらい濡れてたって平気ですよ。
それよりも濡れたジャケット、そのままにしておくとシワになっちゃいますよ」
ひとみが梨華に微笑みかけると、梨華は困った時に見せるハの字眉毛になり、小さく頷いた。
さっきはお姉さんっぽかったのに、今は悪いことをしたのが見つかった子供のように小さくなって、濡れた服を並べた椅子にシワをのばしながら広げている姿に、ひとみは梨華にばれないように小さく静かに笑った。
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「何だか吉澤くんにはいっつも助けられてる感じだなぁ」
2人して濡れたタオルで床をごしごしと拭いていると、呟くように梨華が言葉をこぼした。
- 120 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時36分46秒
- 「この間は定期、今回は服に絵の具。何だかこれじゃあ悪い感じ」
「そんなことないですよ」
「でもぉ・・・」
少し情けない顔をして唇を尖らせる梨華に、ひとみは動かしていた手を止め、梨華の方へ顔を上げた。
「いじゃないですか、僕達クラスメイトなんですし」
ひとみは始めて梨華とひとみが話した時に梨華がひとみに対して言った言葉を思い出すように優しく梨華に語りかけた。
「・・・っへ?」
梨華も動かしていた手を止めてひとみの方を見る。
「僕と石川さんが始めて話した日、石川さんが僕に言ったじゃないですか『そんなにあらたまらないでよ。クラスメイトなんだしさ』って。それと同じですよ」
- 121 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月11日(火)15時37分17秒
- ひとみは白い腕で額にかかった前髪を上に上げるようにして額の汗を拭った。
そんなひとみの仕種をじっと見つめながら梨華は自分の言った言葉を思いしてみる。
あの時はひとみの使う敬語を直そうと思って言った。
たったそれだけだったのに、自分の言った言葉を覚えていたひとみを梨華は素直にすごいと思った。
「・・・うん。分かった。じゃあ、ありがとう」
梨華の言葉に笑顔で答えるひとみを見て、梨華は落ちてきた袖をたくしあげて急いでまた床を拭き始めた。
何だかその笑顔が妙にくすぐったかったから。
- 122 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年02月11日(火)15時40分43秒
- 更新しました。
お久しぶりです。
データがふっとんでしまってから早3週間あまり。
いつまでも繋がらないネットにやきもきです。
ネットカフェからの更新、なれないウインドーズに焦ったりしてます。
>111の「全然平気だから・・・」の石川さんの台詞は思いっきり無視して読んで下さい。
また早いこと更新したいです。
- 123 名前:匿名 投稿日:2003年02月11日(火)15時45分02秒
- >名無し香辛料様
大変おまたせしました。
おちつかない更新になりますがよろしければ今後もよろしくお願いします。
>きいろ様
お久しぶりです。
まだワクワクしていて下さったんでしょうか?
今後もどうにかして更新しようと思うのでよろしくお願いします。
- 124 名前:きいろ 投稿日:2003年02月11日(火)17時14分17秒
- 更新キタ――――!!
ついに、ついに、二人が出会ったわけですね…
髪を切った吉澤君の他の人の反応なども見てみたいです。
初々しい石川さんと吉澤君が可愛いですね。
- 125 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月12日(水)20時39分03秒
- はじめまして。ななしのよっすぃ〜ともうします。
面白くて一気に読んでしまいました。
初々しい二人の様子を想像して、ついついニヤニヤしてしまいます。
続きも楽しみに待ってます。!!!
- 126 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時03分57秒
- 「本当に吉澤くん寒くないの?」
「この下にも着てますから大丈夫ですよ」
結局床掃除も終わり、全ての片付けが終わっても梨華のジャケットは乾かず、乾くまで適当な場所で時間を潰すと言っている梨華に、ひとみは自分のパーカーをそのまま着ていてと渡していた。
思った以上に掃除に時間がかかってしまい、このまま残って絵を描くにはもうあまり時間がないのだ。
「・・・やっぱり悪いよ。吉澤くんそれじゃあ風邪ひいちゃうかもしれないじゃん」
「石川さんの方が風邪ひいちゃいそうですよ」
ひとみは開いている窓に近付くと、窓ガラスに手をそっと置いた。
- 127 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時04分52秒
- 「それにもし今日僕がパーカーを着て帰って風邪をひかなかったとしても、そのせいで石川さんが風邪でもひいたら僕きっと後悔すると思うんですよね」
「それは私だって同じだよ」
少し強めの風がデッサン室の中に入ったのをきっかけにひとみは窓を閉めた。
「着てて下さい。じゃなきゃ僕帰れないですよ」
少しはにかんだ笑顔を見せながらひとみは梨華の方を向いた。
まくっていた袖を下ろすと、そのボタンをとめてズボンの後ろポッケに片手を入れ、中から一冊の単行本を取り出す。
そして窓によりかかるような姿勢をとると、本を開いた。
「・・・吉澤くん?」
「何ですか?」
- 128 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時05分40秒
- 本から視線を上げずに返事をするひとみに、梨華は両手を後ろに組んで 大袈裟にため息をつくとひとみの顔を見た。
きっとこのまま自分が着て帰らないと、本当にこの人はここで小説を読み続けるのだろう。
「わかった。これ貸してもらうね」
そう言う梨華の言葉に、ひとみは顔を上げると小説を閉じてまたズボンのポケットにしまいなおした。
そして腕時計をちらっと見る。
「そろそろ出た方がいいですね」
そう言って鞄を取る為に屈んでいたひとみに梨華は恐る恐る声をかけた。
「・・・吉澤くんって何処に住んでるの?」
「えっ?あぁ埼玉の方ですよ」
「あのぉ、吉澤くんがよかったらでいいんだけど今日のお礼とかもしたいから途中まで一緒に帰らない?」
「別にお礼なんていいですよ」
「あ、そ、そうだよね。ごめんね突然・・・うん、今の言葉忘れて」
- 129 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時06分45秒
- そう言って急いで鞄を掴んで梨華はデッサン室を飛び出して行った。
その梨華の行動で、ひとみは今自分が言ったことの失態に気付き自分の頭を叩いた。
『何て僕は無神経なんだ!』とすぐに後悔の念に捕われる。
いつもならばしばらくそのままで立ち止まってしまうひとみだが、視界の中に梨華のピンクのジャケットが入った途端にそれを掴むと梨華を追いかけてデッサン室を梨華同様に飛び出して行った。
階段をかけ降りて行くと少し先を行く梨華の後姿が見える。
「・・・石川さん!!」
初めて聞くひとみの張った声に梨華は一瞬その場で立ち止まった。
その隙にひとみは階段をかけ降りて行く。
今だに立ち止まったままでいる梨華の背中に向かってひとみは正体するように立つ。
「石川さん・・・」
- 130 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時07分40秒
- ひとみの呼び掛けに梨華は振り向かずに答える。
「・・・ごめん、突然飛び出したりしちゃって・・・後もう一つ、いきなり一緒に帰ろうなんて言っちゃてごめん・・・私ってばちょっと調子のっちゃってたよね、まだちょっとしか話してないのに何だか、その・・・急に親し気な感じで接しちゃって・・・」
「石川さん・・・」
「迷惑だったよね、本当にごめんね・・・」
俯く梨華の背中にひとみは息を整えてもうもう一度梨華の名前を呼んだ。
その優しい声につられるようにして梨華はゆっくりとひとみの方を向く。
「石川さん、謝らないで下さい。僕、そんなつもりはなかったんです。
ただあまり誰かと一緒に帰るっていうこともなくて・・・ごめんなさい言い訳ですね。
僕、無神経で・・・石川さんのこと傷つけちゃいましたよね・・・すみませんでした」
そう言ってひとみは梨華に向かって深々と頭を下げた。
そして頭を上げると、少し照れたような顔で笑いながら眼鏡を直す。
- 131 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時08分25秒
- 「あの、もし石川さんが良ければ・・・一緒に帰りませんか?」
「・・・無理しないでいいよ」
「無理なんかしてません。僕がもっと・・・石川さんと話したいんです」
最後の方の言葉を濁すようにひとみは小さく呟く。
それが照れなのかどうかを梨華には判断することが出来なかったが、ただひとみの顔が真っ赤になっているのを見て、きっと本心なんだろうというのを感じて梨華は一歩だけひとみに近付いた。
「吉澤くん」
梨華はひとみと視線が合うと、悪戯ッ子のような笑顔を作る。
「それって私への告白?」
「な、な・・・ち、違いますよ!」
「うわぁそんなに思いっきり否定することないじゃんかぁ。
あぁ、何だか私傷ついちゃった・・・」
- 132 名前:絵の具と筆と教室と 投稿日:2003年02月14日(金)18時09分09秒
- 胸のあたりに両手を当てて梨華が視線を落とすと、ひとみは焦ったように言葉を探す。
その様子が梨華はたまらなくおもしろくて、思わず吹き出してしまった。
「はははっ、嘘に決まってるじゃない」
「ちょ、騙すなんて酷いですよ」
「吉澤くんって本当お人好しっていうか心配性なんだね。そう簡単に騙されちゃダメだよ」
そう言って歩き始める梨華の背中を、ひとみは追いかけてよいものかどうか考えてしまう。
動かしていいか分からない足を廊下にぴたっとくっつけていると、梨華がくるりとひとみの方を向く。
「早く行こ、もうそろそろ警備員さんの見回り来ちゃうよ」
ちょっと戯けたように笑う梨華に、ひとみの顔は自然と笑顔になる。
「石川さん、ジャケット忘れてますよ」
そう言いながらひとみは梨華に追い付くように足を少しだけ早く動かした。
- 133 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年02月14日(金)18時15分03秒
- 本日の更新終了しました。
祝ネット開通☆
長かったです。
>きいろ様
おまたせしました。
御対面後は一歩前進ってところですかね(笑)
他の人の反応はもうちょいで分かることでしょう。
>ななしのよっすぃ〜様
こちらこそはじめましてです。
自分も書いていて想像してニヤけたりしてます(笑)
今後もよろしければよろしくお願いします。
- 134 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月14日(金)23時32分59秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。また、ネット開通おめでとうございます。
>「それって私への告白?」
やば〜い、梨華ちゃん可愛い〜よ。
>「な、な・・・ち、違いますよ!」
正直になりなよ、よっすぃ〜といいたいです。(笑)
では、次の更新も楽しみに待ってます!!!
- 135 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月14日(金)23時43分51秒
- たびたびすみません。ななしのよっすぃ〜です。
娘。小説の保存をさせていただいております。
もしよろしければ、こちらの作品も保存させていただければと思います。
作品は下記URLにて保存させていただいております。
http://kuni0416.hp.infoseek.co.jp/text/index.html
ぶしつけなお願いで申し訳ありませんが、是非、保存させてください。
よろしくお願いいたします。
- 136 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時21分12秒
- 駅につくまでの道を2人は間に少し距離をおきながら歩いていた。
「吉澤くんって意外に頑固なんだね」
「そうですか?でもそうならきっとこれは幼馴染みの影響ですよ」
そう言ってひとみは持っていたピンクのジャケットを持ち直した。
「幼馴染みって吉澤くんの前髪を切ったっていう幼馴染み?」
「はい、ごっちんって言うんですけど、多分僕よりも変に頑固だと思いますよ」
にっこり笑うひとみの笑顔は本当に『ごっちん』という人のことを大切に思っているんだと思わせるような笑顔だった。
今までひとみのこんな表情を見たことがなかった梨華はひとみにこんな表情をさせる『ごっちん』という人がどんな人なのかちょっとだが興味がわく。
- 137 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時21分58秒
- 「へ〜何だかちょっと会ってみたいかも」
「じゃあ今度会ってみますか?いい奴ですよ」
2人は取り留めもない会話をしながら歩調もゆっくりと歩いて行く。
『平和』
この言葉がぴったりだと言える空気。
街は金曜日の夜ということもあり人でにぎわっている。
道路の脇に座りこんで語り合う若者や、スーツ姿で疲れ顔のサラリーマン、制服のまま遊び回る女子高生。
様々な人達が1週間ぶりの休日を楽しみにしているように見えた。
ひとみは梨華と雑談をしながら、何気なく道の脇にあったBerの入り口に視線を向ける・・・
「・・・紗耶香?」
「どうしたの?」
- 138 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時22分53秒
- ひとみの小さな呟きが耳に入ったのだろう、梨華がひとみの顔を覗き込んで、その視線の先を見るようにひとみと同じ方を向いた。
「何あれ?喧嘩でもしてるのかなぁ」
そう、梨華の言葉のようにひとみと梨華の視線の先では若い男と若い女が口論のようなことをしていた。
どう見たって男の方は『市井紗耶香』その人である。
仕事帰りなのだろうか、スーツを着て手には鞄を持っている。
「・・・あれ僕の親友なんです。市井紗耶香って言うんですけど、ありえないくらいに女っタラシなんですよ」
ひとみが大きなため息をついて前髪を片手でかきあげる。
- 139 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時23分44秒
- そんなひとみと今紹介されたばかりの市井紗耶香という人物を梨香は交互に見ていた。
Berの前の2人の口論はさらにエスカレートしている。
(あ、市井さんって人がビンタされた・・・痛そうだなぁ・・・)
まるで他人なのに梨華は自分が叩かれたかのように紗耶香が叩かれた方と同じ側の頬をおさえる。
「行きましょう、あれはいつものことですから」
立ち止まり紗耶香の方を見ている梨華のことを促すようにひとみは歩き始める。
梨華は紗耶香のことを叩いた女の人が泣きながら走って行く姿を見つめてからひとみの後に続いた。
「ねぇ吉澤くん、あの市井紗耶香って人のこと放っておいていいの?」
「多分また紗耶香が浮気したんですよ。あいついつもそうなんです。
彼女出来てもすぐに別の女の人にちょっかい出して、それがバレて別れてのくり返しなんです」
- 140 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時24分38秒
- 眼鏡の奥でひとみが顔をしかめているのを見て、ひとみが少し怒っているのを梨華は感じた。
そしてその怒りの対象であろう紗耶香がいた方をちらっと見る。
「!!」
「ん?どうしたんですか?」
梨華が気まずそうに俯くと、その肩を突然誰かの手が掴んだ。
「きゃっ!」
悲鳴と同時くらいにひとみが視線を梨華の後ろに移す。
「お嬢さん、今俺と目合ったよね?何だかすごい偶然じゃない?この偶然を祝って今から一緒に飲みに行こうよ」
ひとみが大袈裟なため息をつく。
- 141 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時25分39秒
- 「・・・紗耶香」
「あれ?何で俺の名前知ってんの?ひょっとして前に会ったことあったっけ?
でも君みたいに可愛い娘を忘れるはずないんだけどなぁ」
「・・・紗耶香、お前今女の子に叩かれたばっかだったじゃんか」
「!!あれ?そんなところまで見られてたの?まいったなぁ、っていうか腹話術上手いね。
さっきから口動かしてないのに喋ってるよね」
市井紗耶香。
ひとみに怒った感情を出させ、梨華に悲鳴を出させ、おまけに梨華以外もう目に入っていない。
親友であるひとみのことに気付きもしない市井紗耶香。
一言でいうならばアホである。
そんな親友が、今一番クラスで仲が良いであろう梨華に思いっきりからんでいる。
ひとみは再度大袈裟なため息をつくと紗耶香の肩をぐっと掴んだ。
「何だよ、誰だよ邪魔すん・・・って吉澤じゃんか!?」
「今ごろ気付かないでよ・・・」
- 142 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時26分38秒
- 大きく目を見開いてひとみの顔を見る紗耶香。
その隙に紗耶香からさっと離れてさりげなくひとみの陰に隠れる梨華。
「何だよ突然びっくりするじゃんかよ。ってかお前前髪どうした?」
「あぁごっちんに切られたんだ・・・。
ってじゃないよ、何フラれたばっかりで他の女の子にちょっか出そうとしてるのさ」
「何だ、お前も見てたんだ。
あれ、彼女がトイレに行ってる間に隣に座ってた女の子にキスしようとしたの見つかっちゃってさ」
「もう、いい加減浮気とかするの止めなよって言ってるじゃんか」
「だったら早く後藤に会わせてくれよ。写真だけじゃもの足りないんだよ」
「僕は大事な幼馴染みを紗耶香みたいな女っタラシに会わせるつもりなんてないの」
2人が険悪なムードで言い争っているのをじっとひとみの陰から見ている梨華。
こんな時だが初めて聞く敬語以外のひとみの言葉に少しばかり感動してしまっている。
が、ここで気付く。
(・・・あれ?私ひょっとして忘れられてる?)
と。
- 143 名前:忘れ物はいつだって・・・ 投稿日:2003年02月17日(月)12時27分46秒
- このまま立ち去るのも手なのだが、せっかくひとみと仲良くなれたのに、突然黙って帰るなんてこと出来ない。だけど紗耶香はちょっと恐い。
「・・・あのぉ」
梨華の声に2人はぴたっと口論を止める。
「あ、まだいてくれたんだね」
と嬉しそうに梨華に向かって手を振る紗耶香に対してひとみは申し訳なさそうに梨華のことを見た。
「すみません、紗耶香に代わって僕が謝ります」
「ううん、別に吉澤くんが悪いわけじゃないし・・・」
「あれ?何??2人って知り合いだったの?」
1人驚いた顔をする紗耶香にひとみと梨華はそろってため息をついた。
- 144 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年02月17日(月)12時32分07秒
- 更新終了しました。
今日は天気がいいですねぇ。
こんな日はやっぱりお散歩ですね。
>ななしのよっすぃ〜様
こんな駄文でよろしければ全然OKです。
何だか恥ずかしいもんですね(笑)
更新スピードはあまり上がらないとは思いますがこちらこそよろしくお願いします。
- 145 名前:きいろ 投稿日:2003年02月17日(月)15時52分34秒
- 更新お疲れ様です(○^〜^)
まだまだシャイな吉澤君と
一歩距離を置き気味な梨華ちゃんとが続きそうですね。
しかし、距離が段々ちぢまっていっているのは確かでしょう。
これからも楽しみにしてます。頑張ってください。
- 146 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月17日(月)21時30分17秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
また、保存の件、ご了承いただきありがとうございます。
早速、保存させていただきました。
ページのスタイルなどご要望がありましたら、遠慮なくおっしゃってください。
初々しい二人とたらしな市井さんのギャップが面白いです。
果たしてよっすぃ〜は幼馴染のごっちんといとしの梨華ちゃんを守りきれるのか?
次回の更新も楽しみに待ってます!!
- 147 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時15分37秒
- その後、いつまでも石川さんにつきまとおうとする紗耶香の所にさっき紗耶香をひっぱたいた女の人がやって来て、紗耶香は耳を引っ張られて何処かへ連れて行かれた。
僕も石川さんもその一部始終を見てお互いに顔わ見合わせて少しだけ笑ってしまった。
何だか時間も遅くなってきてしまったので、僕達は何処によるでもなく、駅へと歩いて行った。
「何だかお礼しそびれちゃった。だから次の機会まで待っててね」
「あ、はい」
改札で立ち止まっている2人を避けるように早足で人々が駅の中へと入って行く。
何だか忙しく動き回る空間に僕達だけが取り残されたようだ。
「それじゃぁ、僕はこっちなんで」
少し起きた沈黙をごまかすように僕は財布の中から定期を取り出す。
- 148 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時17分26秒
- 「あの、吉澤くん・・・」
僕の動きを止めるように石川さんは口を開いた。
「明日学校来るでしょ?」
「え、あ、はい。多分」
正直あまり自信はない。
皆が皆石川さんのように思っていてくれるワケでもないし、僕自身が代わらないといけない問題だってある。
その自信の無さが声に出てしまったらしく、石川さんは心配そうに僕の目をじっと見つめた。
「・・・あのね、もし、もしだよ?もし明日学校行って周りの誰かから何か言われたとしても、私は・・・何んて言ったらいいか分からないけど・・・あの、吉澤くんのこと応援してるからね」
そう言うと石川さんは鞄の中から急いで定期を取り出して駅の中へ消えて行った。
時間に終われているお姫様のように急いで階段をかけ登る石川さんは、ガラスの靴の代わりにピンクのジャケットを残していった。
- 149 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時18分35秒
- 月曜日、吉澤くんはちゃんと学校に来た。
金曜日と同じように眼鏡をかけて、金曜日とは違う上着を着て。
私はあの日、電車に乗った後に自分のジャケットを吉澤くんに持たせていたままだったことに気付いて、戻るにももう吉澤くんはいないだろうし、携帯の番号も知らないし、どうすることもできなくてそのまま家に帰った。
着て帰った真っ白なパーカーは洗濯しておいたけど、何だか荷物の多い日に渡すのも気が引けて今日は置いてきた。
クラス内外の皆は初めてまともに見た吉澤くんの顔でワイワイと盛り上がっている。
今まで少し話したことのある男の子達は吉澤くんの所に行って冷やかしてたみたいで、吉澤くんは曖昧に笑ってごまかしているようだった。
他の女の子達は男の子達みたいに話しかけるんではなく、遠くからキャアキャア言いながら吉澤くんのことを見ていた。
- 150 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時19分18秒
- さっきの昼休み。
教室で1人本を読んでいる吉澤くんとは反対側に座っている私は廊下や教室聞こえてくる会話を聞いていた。
廊下や教室の隅からは遠巻きに吉澤くんのことを見てきいろい声を上げている女の子達。
「誰?あのかっこいいい人」
「2年の吉澤くんだよ」
「えっ!?吉澤くんってあの吉澤くん?」
「そう、あの吉澤くんだよ」
「へ〜あんなカッコ良かったんだぁ。ねぇねぇ今度声かけてみようよ」
「あんた前まで『暗そう』とか言ってたくせに」
こんな会話が朝かずっと続いている。
私は自分のことではないけれど、何だかもやもやした気持ちになっていた。
- 151 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時21分03秒
- 皆前まで吉澤くんのことなんか気にもとめてなかったくせに。
吉澤くんが自分の顔や名前に対してコンプレックスを持っていることなんて知らないくせに。
遠巻きに自分のことを話されるってことがどんな気持ちか分かってるの?
・・・何も知らないくせに。
「・・・それは私も同じか」
「なぁにが同じなの?」
小さく呟いたつもりだったのに、私の声が聞こえたみたいで柴ちゃんが私のことを後ろから抱きしめながら明るい声で話しかけてきた。
「ん〜私も皆と同じなのかもなぁっと思ってさ」
「ん?どうしたのさ、そんな遠くを見るような目しちゃって」
「何だか分からないことだらけだなぁって思っちゃったのよ」
柴ちゃんは何言ってんの?って顔して私の頭をぺちこんと叩く。
何だかいきなりで理不尽な感じがしたから頬をぶくっと膨らませて無言の抗議をしたら次は頭をわしわし撫でられた。
髪、乱れちゃうじゃない。
- 152 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時22分09秒
- 「分からなかったら聞けばいいの。知りたければ聞けばいいの。簡単でしょ?
ほれ、うじうじすんなぁ!」
「ちょっ、何処触ってんのよ!!」
「うおっ!梨華ちゃんまた胸でかくなったでしょ」
「ばかぁぁあぁぁぁぁ!!」
柴ちゃんがすっごい声で笑いながら教室を飛び出して行く。
だから私は思いっきりダッシュしてその背中を追いかけた。
廊下ですれ違う子や職員室から出てきた先生とかは全速力で走る私達を見て不思議そうな顔をしていたり、指さして笑ったりしてる。
けど、全然へっちゃらだよ。
- 153 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月20日(木)11時22分58秒
- 目の前には優しい柴ちゃんがいるし、このことで少しでも吉澤くんへの感心が減るんだったら。
応援してあげるって約束したんだから私は頑張るよ。
だから吉澤くん、顔上げて頑張ろう!!
「頑張るぞっ!おぉ〜!!」
全速力で走りながら大声で叫んだら前を走ってた柴ちゃんが立ち止まってしらけた顔して自分の体を両手でぐっと抱いて震える振りをした。
ひどいなぁ。
でもその顔、悪戯ッ子みていで結構可愛いよ。
ぷはって空気を出すように笑ったら柴ちゃんは私の頭を捕まえて頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
休憩時間ももうすぐおしまい。
ちょっと人気の少なくなった廊下には私達の笑い声だけが響き渡っていた。
- 154 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年02月20日(木)11時31分39秒
- 更新終了しました。
そしてタイトル間違えました。
今回の更新分のタイトルは
<・・・小さな心を残してく>
になります。
一応前回の続きです。
うっかり次回更新分のタイトル入れてました。
ごめんなさい。
>きいろ様
その通りです。
きっとその通りです。
じょじょに距離は縮まっていく予定です←まだ書き上がっていないので憶測(汗
(私自身のいしよし熱はなかなか冷めそうもないので)
>ななしのよっすぃ〜様
こちらこそありがとうございます。
市井ちゃん何だか格好良いとこ出てないですね(大汗
まぁきっといつかは格好良いところを見せてくれるんではないでしょうか(大量発汗
- 155 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月21日(金)00時36分45秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
確かに市井さん、3枚目のシーンが多いです。今後のたらしっぷりに期待です(笑)
梨華ちゃんと柴っちゃんの関係が心地よいです。梨華ちゃんは、吉澤くんと上手くいくのか?
お互いに意識してるのになかなか打ち明けられない。じっれったさが、最近は快感です。
最近危ない人になりつつある、ななしのよっすぃ〜でした。
では、次回の更新も楽しみに待ってます!!
- 156 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時28分38秒
- 「前も言っておいたけど、後期は授業のほとんどが卒業製作の時間になるからねぇ。
あと、もうそろそろ自分の中でどんなモノをつくるのか考えておかなきゃダメだべよ。
夏開けにはそれぞれが作品にとりかかれるようにね。
はい、じゃあ今日の授業はおしまいです。
皆さんさよ〜なら〜」
そう言って授業を締めくくった安倍先生はあまり早くない足でてとてとと走って教室を出て行った。
最近の安倍先生は何だか浮かれモードだ。
理由は誰も知らないけど、皆先生のことが好きだし、いつもと変わらない温かい笑顔をふりまきながら仕事をして、廊下をスキップをして他の先生に怒られている先生の姿を見て悪く思う人はいないと私は思う。
- 157 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時29分50秒
- 春(もうすぐ梅雨だけど)人間とか生き物は浮かれる季節なのかもしれない。
何か変化が訪れて、何かが人を変えていく。
吉澤くんには話しで聞いた『ごっちん』って人。
安倍先生には先生を浮かれさせるような何か。
柴ちゃんは分からないけど、私には・・・何だろう?
分んないや。
でも、きっと何かが訪れて変わっていくのだろう。
だって何だかそんな気がするもん。
- 158 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時30分36秒
- 「今日どうするの?」
柴ちゃんはすでに帰る準備万端。
鞄を肩にかけながら私の頬をむにっと掴む。
「ひょうふぁろこっへくよ」
「そっかぁ、じゃあ今度一緒帰った時にでもお茶でもしよぉね」
そう言って柴ちゃんは教室を出て行く人達にまぎれて帰って行った。
何だか少し寂しそうな顔に見えたのは私の気のせいだったのだろうか?
でも柴ちゃんの姿はもう見えなくなっていて、私には確かめる術が無かった。
- 159 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時31分32秒
- 私は先週の金曜日のようなへまがないように、今日はきちんとエプロンも持ってきた。
この間は中途半端になってしまったから、今日はその続きをしよう。
そんなことを思いながらデッサン室の扉に手をかける。
すると扉の中から知らない人の話し声が聞こえてきた。
誰かいると分かっただけで何だか入るのに躊躇してしまい、扉を開けることができないでいたら後ろに背の高い人の気配を感じた。
「・・・吉澤くん?」
デッサン室の中にいる人達に声が聞こえないように、できるだけ小さい声で話しかけて後ろを振り向く。
やっぱり後ろに立っていた人は吉澤くんで『どうしたんですか?』って顔して私の顔を見ている。
- 160 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時34分48秒
- その顔は何だかちょっと疲れているみたいだったから、私は吉澤くんの袖をちょっと引っ張ってデッサン室から離れると屋上に向かった。
吉澤くんは何だかよく分からないって表情をしていたけど何も言わずについてきてくれた。
屋上には誰もいなくて、置いてあるベンチは外の空気に触れていて座ると少しひんやりした。
「何だか疲れた顔してるね、やっぱり疲れちゃった?」
私よりも少し離れて座っている吉澤くんは苦笑いを浮かべる。
やっぱりその顔は疲れていて、吉澤くんにかかったストレスの量を物語っていた。
- 161 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時35分51秒
- 「さっきさ、デッサン室入ろうと思ったら中から知らない人達の声が聞こえて、吉澤くんの顔も疲れてる顔してたから思わずあそこから逃げてきちゃった」
勝手なことしちゃったかなぁって思って笑いながらも吉澤くんの顔を見たら、吉澤くんは少し驚いた顔をしていたけど、苦笑いなんかじゃなくて少しほっとした顔をして力の抜けた笑い顔をつくった。
「ありがとうございます。
実は本当にちょっと疲れてたんです。
今まであんまり話したことのない人から話し掛けられたり、全く知らない人が僕のこと指さしてたりしてるの気付いてましたから・・・。
やっぱり珍しいんですかね、こんな名前でこんな女の子みたいな顔してるのって・・・」
- 162 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時36分50秒
- 何だか吉澤くんの横顔は今まで見たことがにくらいに暗くって、見ている自分の方が心を締め付けられるような思いがした。
励ますとかそんなじゃないけど、誤解をしている吉澤くんに私は皆が言っていた言葉を伝えたくなった。
「・・・あのさ、私が皆の会話を耳にした内容って、ほとんどが吉澤くんのこと格好いいって言ってるやつだったよ。本当に」
「格好いい?僕が??そんなじゃないですよ」
- 163 名前:エールは風に流されて? 投稿日:2003年02月23日(日)20時37分29秒
- 長い足を器用に折り曲げて両手を組んでいる吉澤くんの髪は外の暗さに溶け込むような黒色で、こんな時だけど、すごく綺麗な髪をしているんだなぁって思っている自分がいて・・・だけどその髪よりも沈んだ声を出した吉澤くんの次の言葉は、心ではなくて、胸が締め付けられるような感覚に陥った。
「・・・何でこんな顔に生まれちゃったのかな・・・。」
本当に呟くという言葉があてはまるほどの声のトーンで、私はその声を聞き取ったというよりは、風がその声を耳に届けてくれたという感じで、だからよけいに切なく聞こえてしまって。
でも今の私と吉澤くんの距離はそれをどうすることもできない程の距離で、私は何も言うことも何もしてあげることもできなくて、ただ横に座っていることしかできなかった。
- 164 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年02月23日(日)20時43分39秒
- 更新しました。
春こないかなぁ。
そして卒業シーズンです。
悲しきことです。
>ななしのよっすぃ〜様
本当じれったいですよね(笑)
何だかこう甘ったるいのも書きたいんですけど、
いしよしはもっとじっくり行ってみたかったり・・・
矛盾だらけの私でございます。
でも・・・ふふっ。
- 165 名前:きいろ 投稿日:2003年02月23日(日)20時50分43秒
- 更新お疲れ様です。
いつまでも吉にはピュアなままでいてほしいですね(w
しかし…。く、そ、じれったいぞ吉いぃぃ!!!
あまりの作者様の引っ張りに破壊してゆく自分の頭の中。
いいんです。わかってます。作者様のペースで…二人の発展は…くすん(w
- 166 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時32分30秒
- 屋上で私が吉澤くんの呟きを聞いてから数日後、吉澤くんは学校へ来なくなった。
もう今日で3週間も来ていない。
専門学校というのはあまり休むと単位が取得できなくて卒業ができなくなってしまう。
あの日のように私には何もできなくてただ声に出すことなく心配をつのらせていた。
そしてその声に出せなかった心配はやがて私に動く力を与えたみたいだ。
そうでなければきっと私は安倍先生に聞いたりなんかしなかい。
吉澤くんの家の場所なんて。
- 167 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時33分25秒
- 「吉澤ひとみの家?」
安倍先生はデッサン室を片付けている最中で、誰もいなくなったデッサン室の床を掃いている。
「はい。ちょっと借りてるモノがあったんですけど、最近来てないみたいだから・・・」
「ふぅ〜んそっか。んじゃちょっと待っててねぇ」
そう言うと安倍先生は動かしていた手を止めてちょっと笑った顔を作ってデッサン室を出て行った。
その時の安倍先生の笑顔の理由を私は不思議に思いながら、久しぶりに来たデッサン室の空気を一人楽しもうとして、前みたく窓を開けて湿気を帯びた空気を体に受けた。
「もうすぐ梅雨なんだよねぇ」
誰に言うわけでもなく、ただ呟いてみる。
- 168 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時34分13秒
- 外の雲は暗くって今日はきっと雨降るのかなぁって思った。
キャミソールの上に着た白色の薄手のシャツが湿気を帯びた空気のせいで何だか少ししっとりと感じる。
「はいよぉおまたせぇ」
私が振り向くと安倍先生が私に一枚の紙を差し出して立っていた。
その顔はやっぱり笑顔で何だかとても嬉しそうだ。
「これ、吉澤ひとみの住所。一応電話番号も書いておいたから分からなくなったら電話でもしてみなね」
「あ、わざわざありがとうございます」
ペコリと頭を下げると、安倍先生は私の頭をぽんぽんと叩いて、私のことを早く行くように促した。
私は手に吉澤くんにかりたパーカーの入った紙袋をぎゅっと掴むと、もう一度安倍先生に頭を下げてデッサン室を出て行った。
- 169 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時35分07秒
- 「よし子大丈夫?」
「・・・ごっちん」
薄暗い部屋の中、ごっちんが手に御盆を持って部屋に入ってきた。
この3週間、ごっちんは毎日のように家に訪れては何か料理を作りに来てくれている。
ごっちんも大変なはずなのに、幼馴染みと言っても何だか申し訳ない感じがする。
「あんまし無理しちゃダメだからね」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、ここ置いておくから」
そう言ってごっちんは家へと帰って行った。
そっけないのはごっちんなりの気の使い方。
- 170 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時36分14秒
- 閉まった扉を見つめてからもうずっと行っていないデッサン室にいる時のように窓の外を眺めてみる。
雲が重くて黒くて、雨が降りそうな空だった。
「・・・梅雨か」
春が終わろうとしている。
僕の人生の中で最後であろう学生としての春が終わろうとしている。
僕は何だか春を何処かに置き忘れてしまっているような気する。
暗い空の遠くの方で雷が鳴った。
- 171 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時37分16秒
- さっきよりも空が暗くなってきた。
多分もうすぐ雨が降り始めるのだろう。
こんな日に限って傘を持っていないなんてことはよくあることで、そういう日に限って自分のモノ以外のモノとか大事なモノとかを持っているっていうのもよくあることで。
静かな駅のホームにボーッと立っているよりは早く吉澤くんの家を探さなきゃいけないと分かっていても、久しぶりに味わうゆっくりな時間の流れと穏やかな空気が私の足をこの無人に近いホームに縛り付ける。
風が出てきたせいで顔に髪がかかって、それをどけようと手を髪に当ててみたら、さっきよりも湿った空気に自分の髪が少ししっとりとしてきていた。
- 172 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時38分15秒
- 時間をゆっくりとすごそうとしている私のことを遠くで聞こえる雷が自然と動かし、懐かしいにおいに別れを告げるようにと背中を押しす。
改札を抜けるとそこには小さな商店街が広がっていた。
夕方を少し回った時間、いつもならもっとにぎわっているはずなんだろうけど、この天気のせいか人々は足早に家へと向かっているみたいだ。
さっきよりも風が強くなってきている。
私は駅のすぐ近くにあった簡単な地図を見て安倍先生に教えてもらった住所に近いところを見つけると、そこに早足で向かって行った。
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- 173 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時39分36秒
- さっきよりも雷が近くなってきている。
駅前で見た地図通りに来てるはずなのに電信柱とかに書いてある住所の番号は一向に近付かない。
近付く雷と焦る気持ちの中、何故交番で家までの行き方を聞かなかったんだろうと今さら後悔する。
ここで雨に降られるのも困ってしまうので、私は近くにあった煙草屋さんに行って吉澤くんの家を教えてもらうことにした。
その煙草屋さんは木造の家の1階部分をお店にしたすごく年代を感じさせるつくりで、ケースに入った真新しい煙草だけが何だか浮いて見えるようだ。
色褪せた赤色ののぼりに書かれている『たばこ』の文字は、生地の赤色同様すっかり色褪せていて、所々に穴があいていた。
- 174 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時40分13秒
- 「すいません」
私が一歩お店に入ると、レジの横に座っていた眼鏡をかけた腰の曲がったおばあさんは動かしていた手を止めて顔をあげた。
どうやら縫い物をしていたらしい。
「あの、お伺いしたいんですけれども、ここの住所なんですけどどうやって行けばいいか分かりますか?」
「ん〜?あぁここならねぇ、この通りのもう一つ横っかわだねぇ」
「あ、そうだったんですか。どうもありがとうございました」
私は頭を下げると、おばあさんはニコッと笑って頭を下げ返し、また縫い物を始めた。
- 175 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年02月26日(水)20時41分14秒
- 「あ、コーヒー牛乳がきれてる」
何か飲み物を出そうとして冷蔵庫を開けると、風呂上がりに腰に手をあてて飲むのが僕の楽しみであるビンのコーヒー牛乳がなくなっていた。
僕はここ数日は着続けている黒色のスウェットの上下を見つめてみる。
ここ数日家の外に出ていない。
ごっちんは冷蔵庫に残ったモノやたまに自分の家から持ってきてくれた材料で料理を作ってくれていたが、そろそろそれも限界だろう。
冷蔵庫の中が寂しくなってきている。
「・・・しょうがない、買い物にでも行くかな」
冷蔵庫を閉めてぼさぼさになった髪を手で整えて着替える為に階段をのぼっていこうとすると、外からポツッポツっと瓦を叩く音が聞こえてきた。
- 176 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年02月26日(水)20時45分09秒
- 更新しました。
この『春の忘れモノ』何だか長くなりそうです(まだあがってません(汗))
ので、数回に分けて更新していこうと思います。
>きいろ様
やっぱりひっぱりすぎですかね・・・(大汗)
まったりしすぎてなかなかくっつかないんですよねぇ。
早い所くっついた後とか書きたくてしょうがないんですが・・・。
とりあえずは頑張ります。
見捨てられないうちにくっつけます(うぅあぁぁ)
- 177 名前:きいろ 投稿日:2003年02月26日(水)21時17分37秒
- 絶対に見捨てません!!(w
から、くっ付けなくてもくっ付けても良いですよ(ぇ
吉澤は家に来た石川にどんな反応を見せるのか…楽しみです。
- 178 名前:名無し香辛料 投稿日:2003年02月26日(水)22時23分36秒
- 更新の度にレスこそしてませんが、毎回すぐに読ませていただいています。
ものすごくゆっくりですが二人の距離は近づいているようですね。
あのシャイな吉澤君がどう石川さんに告白するのか
楽しみにしています。執筆頑張って下さいね。
- 179 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月28日(金)22時01分31秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
内気なよっすぃ〜と梨華ちゃん、ありったけの勇気を振り絞るのはどっちでしょう?
こんな純愛もいいもんです。ヘタレでコンプレックスの塊のよっすぃ〜の心を梨華ちゃんはつかむことができるのか?
雨が降りそうなのも気になります。
続きが楽しみです!!
- 180 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時31分02秒
- 煙草屋さんのおばあさんに教えてもらった通りに一本横の道に入ったら吉澤くんの家に近い住所の所に出た。
しかし、さっきより強くなった風に混じって雨が降出し始めてきた。
私は吉澤くんに借りたパーカーの入った袋を胸に抱くと、体をくの字に丸めて袋とパーカーを守るようにして駆け出した。
雨が湿らすコンクリートを同じ雨で濡れた靴で蹴って通りを走りながらきょろきょろと目を動かして行くと『吉澤』
という表札は結構すぐに見つかった。
その表札のついている家の前で立ち止まって少し顔を上げてみる。
あまり生活感が感じられない家に見えるがポストに新聞はたまっていないし、車庫に止めてある車はホコリが
かぶってあるわけでもなく誰かが定期的に使っている雰囲気を出している。
多分ここであっているのだろう。
- 181 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時31分51秒
- もう私の髪や服はずぶぬれだし、一体何を吉澤くんに言えばいいのかんて分からない。
考えようとする頭の中はぐちゃぐちゃだし口実みたいなパーカーもせっかく濡れないようにしたのにすでに所々雨で濡れたシミで変色している。
でも言わなきゃ。
私は吉澤くんのこと変だなんて思わないよ。
そんなに名前とか顔のことで落ち込まないで。
吉澤くんは吉澤くんなんだって。
皆がどう思おうと私は吉澤くんのこと応援し続けるよって。
偽善とか言われるかもしれないし、思われるかもしれない。
でも、言わなきゃ。
もう後悔なんてしたくないよ。
知り合いが傷付いているのに救ってあげられないなんてもう嫌だよ。
- 182 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時32分34秒
- 雨と風は強さを増していく。
濡れた体で濡れたパーカーの入った紙袋を抱き締めている私の姿は誰かが見たらさぞかし滑稽だろう。
それも家の目の前でじっと立って動こうともしないのだから。
でも私は帰らない。
うんん、帰れない。
私をこんなにも強く縛り付けているものは、腕の中にある濡れた確かな存在の服だけだった。
- 183 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時33分35秒
- =================================================
「母さん、ちょっと買い物行ってくるね」
扉越しに母親に声をかけて僕は玄関に向かった。
さっき瓦に落ちてくる雨の音を聞いたと思っていたら、その音はすぐに大きくなって強くなってた。
何もこんな台風のような日に買い物に行くのも変な話しだ。
風も雨も叩き付けるように静かな家を攻撃している。
こんな日に傘なんてさしても無駄なんだろうし、車で出るしかないか。
そう思って僕は靴をはいて玄関にかかっている車の鍵を掴んだ。
- 184 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時34分13秒
- 鍵とつけていた キーホルダーがぶつかりあってチャリンと乾いた音が外よりも静かな玄関に響く。
その鍵をポケットに無造作につっこんで扉に手をかけようとした瞬間だった。
僕の家のインターホンが静かに鳴った。
こんな雨の日に来るなんて誰なんだろう?
僕は何も考えずに不用心だが外を確認もせず扉を開けた。
「・・・えっ?」
- 185 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時36分01秒
- 僕の数メートル前はにはずぶ濡れになった石川さんが立っている。
一瞬だが僕はその場に紙袋を抱えて立ちすくんでいる石川さんを見て今の空間を支配していたはずの雨の音も風の音も聞こえなくなったきがした。
もちろんそんなのありえるはずじゃないけど、僕は確かにその時静寂を聞いた。
僕は後ろ手に玄関の扉を閉めると、傘もささずにずっと俯いている石川さんに吸い寄せられるように屋根の下を離れて降りしきる雨と吹き荒れる風の世界に一歩踏みだした。
思っていた以上に雨も風も強くて、すぐに僕の乾いていた服は洗濯が終わった直後の服のようにずぶぬれになった。
「・・・石川さん?」
- 186 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時37分43秒
- 僕の呼ぶ声が聞こえたのだろうか、石川さんは抱えていた紙袋をぎゅっと強く抱き締めると下に向けていた顔をゆくりと上げた。
久々に見たハの字眉毛は相変わらず変わっていなくても、いつもは健康的な色のはずの唇は紫色に変色していた。
一体どれくらいここにいたのだろう?
見上げられたその顔も心持ち青白い感じがする。
僕と石川さんの距離は多分2メートルくらい。
数歩歩けば濡れてはりついているシャツの上に何か暖かいものでもかけてあげられる距離。
手には車の鍵しか持ってなかったけど、こんなに雨風の強い所よりはもっとマシな場所につれて行ってあげられる距離。
でも、僕の足が動かすことが出来ない距離。
何だかもどかしい距離。
- 187 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時38分38秒
- 「・・・風邪、ひいちゃいますよ」
雨風に吹かれ続けている人に対してなんとも気のきかない言葉。
眼鏡が濡れて石川さんの顔がよく見えない。
「・・・よ、吉澤くん。あ、あの・・・」
震えた声。
緊張か寒さからくるかは分からないけど、耳をすませなければ雨風にかき消されてしまう程に弱々しい石川さんの声は、僕と石川さんの間にあった2メートルの距離を少し縮める。
「あのぉ・・・3週間も学校来なかったのってさ・・・」
石川さんは何だか言葉を必死で選んでいるいたいだ。
目は何だか泳いでいるようで、いつもみたく真直ぐ僕を見ようとはしない。
- 188 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時40分26秒
- 「・・・ごめんね。応援するとか言っておきながら全然そんなこと出来てなくて・・・吉澤くんの悩みとかそういうの解決するような
アドバイスとかも出来なくて・・・」
石川さんはもう一度俯くと、子供が拗ねた時にするように抱えた紙袋の上に顎をのっけた。
その顔はすごく真剣で、すごく思いつめていた。
「こんなこと言って吉澤くんの悩みが解決されるかどうかなんて全然分からないし、ひょっとしたらウザイとか思われちゃうかもしれないし、
前も言ったことなんだけど私吉澤くんの顔とか名前とか変だなんて思ってないよ。
他の皆がどう思っているかなんて分からないけど私・・・」
「・・・石川さん」
「・・・やっぱ、ただのクラスメイトにこんなこと言われたって困っちゃうよね」
「あ、あのぉ石川さん?」
「でも、吉澤くんが拒否しないかぎり私応援し続けるよ。
だからさ、来週からはちゃんと学校来ようよ」
- 189 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時41分26秒
- 最後の方は声がだんだんと小さくなってきていたから聞き取りにくかったけど、石川さんが僕がこんなにも長く休んだことに心配していてくれたというのはすごく分かった。
でも・・・
「石川さん。ひょっとして僕が皆の反応のせいで学校来なくなったって思ってここまで来てくれたんですか?」
「・・・違うの?」
紙袋にのせていた顎を上げて石川さんはゆっくりと僕の顔を見た。
さっきと同じハの字眉毛。
雨風でぐっしょりとした髪が顔に張り付いている。
・・・ちょっと恐いかも。
- 190 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時42分09秒
- 「だって、吉澤くん学校に来なくなる数日前に屋上で言ったじゃない。『何でこんな顔に生まれちゃったのかな』って。私隣にいたのに何にも言ってくれなくて・・・すごく気になってて・・・でもただのクラスメイトだし・・・」
「・・・あぁ、そんなこと言った気がしますねぇ」
「気がしますねぇって、それが理由じゃないの?」
「すみません、あれって何だか僕の口癖みたいなもんで・・・」
「口癖って・・・私心配して安倍先生に住所まで聞いてここまで来たんだよ?」
あれ?雨のせいだかどうだか分からないけど何だか泣きそうな顔に見える気が・・・ってか安倍先生!?
「えっ?僕安倍先生にはちゃんと理由言っておいたんですけど・・・」
「理由?」
「はい。母がちょっと倒れてしまったんで・・・。
僕の家母子家庭だから、僕母が治るまで学校行けませんって・・・聞いてませんでしたか?」
- 191 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時43分06秒
- ガサッ。って音と共に落ちたのは石川さんが持っていた紙袋。
その音の後ちょっとして飛び出して来たのは僕が前に石川さんに貸した真っ白・・・否、今は泥っぽい黒のシミが広がっている僕のパーカー。
石川さんはそれに続けといわんばかりに濡れた地面に膝をついた。
「・・・あの、ありがとうございます」
石川さんの顔は上がらない。
僕のこんなとんちんかんな言葉に反応なんてしないらしい。
それでも良い。
僕は今聞いてもらえれば良いんだ。
- 192 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時43分39秒
- 「僕、石川さんの言った通り皆の反応が恐かったです。
っていうか皆が恐かったのかもしれません。でも、それでも僕が学校とか行けたり道とかを歩けたのは石川さんがあの日『応援する』って言ってくれたからです。
だから・・・ありがとうございます」
雨と風は弱まるどころか強まってきていて、。春の終わりを告げる雷も近付いてきている。
石川さんはやっとのことで顔を上げてくれた。
多分今顔が濡れているのは雨じゃなくてきっと涙。
「『ただのクラスメイト』だなんて言わないで下さい」
僕と石川さんとの距離多分今1メートル50センチくらい。
それはさっきよりも近付きやすい距離で、僕の中ではクラスメイトという境界線を超えるには十分な距離。
- 193 名前:春の忘れモノ 投稿日:2003年03月01日(土)07時44分30秒
- 「僕と友達になって下さい」
近付いて差し出した僕の手を見つめて石川さんは顔をぐしゃってさせて、涙をボロボロこぼしながら僕の手を両手でつかんで言った。
「ばかぁ・・・」
って。
雨で風で雷の中。
過ぎ去ろうとしている春。
僕が置き忘れていたような春。
それはきっと今僕の手を両手でつかんでいる大切な出来たての友達だったんだと思う。
もし違くたってそうだったんだって勝手に思ってやる。
- 194 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月01日(土)07時46分25秒
- 一応スレ隠し。
- 195 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月01日(土)07時48分28秒
- 更新しました。
数回にわけるとかいいながら、一体次はタイトルを返るべきなのかを悩む日々。
まぁ、一段落ついたといえばついた感じです。
- 196 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月01日(土)07時53分08秒
- >きいろ様
見捨てないでくれるんですね(涙)
どうもです。
吉澤くん家に来た梨華ちゃん&よし子はこんな感じになってしまいました。
・・・じれったい。
>名無し香辛料様
いえいえ、読んでくださってるというのが分かるだけでも励みになります。
かなぁりゆっくりですが距離縮めてるつもりです(汗)
じょじょにじょじょに・・・早くくっつかないかなぁ
>ななしのよっすぃ〜様
純愛、そうですねぇ。
気がつけば純愛ものになってました(苦笑)
2人とも、相手のおかげで成長していく。
こんな感じで進みそうです。
- 197 名前:きいろ 投稿日:2003年03月01日(土)11時39分34秒
- (○^〜^)<激しく勘違い梨華ちゃんキタ―――――!!
吉澤君の素直な想いは梨華ちゃんにとどいたのでしょうか?
続きに期待です。
- 198 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月01日(土)15時55分03秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
すでにただの友達以上にお互いが意識しているのに...。
じれったい、よっすぃ〜と精一杯の勇気を振り絞った梨華ちゃん最高です!!
ゆっくりとお互いを知り好きになっていく二人に幸せを!!
次回の更新も楽しみに待ってます。
- 199 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時04分37秒
- ドラマみたいに雨が止んで虹が出るなんてことは起きなくて、雨も風も激しさを増して僕達に降り注いでいた。
石川さんはもう地べたにべったりと座りこんじゃって僕の手を両手でつかんだまま泣いている。
こんな時肩でもさりげなく抱いてあげればいいんだろうが僕にそんな度胸もあるはずがなくて、ずっと握りしめられた手をそのままにすることしか出来ない。
『僕って格好悪い』そう思って落ち込みそうになった時だった。
「あれ?よし子ぉ何やってんの〜?」
真っ赤な傘をさして買い物袋を片手にぶら下げたごっちんが珍しいモノでも見るように僕達の近くまでやってきた。
- 200 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時05分31秒
- こんな日に傘なんてものはあまり役に立たないのは誰にでも分かるようなことなんだけど、ごっちんはそんなこと気にしないといった風に傘をクルクルと回している。
「んあ?この娘、後藤初めて見るよぉ。誰?誰?誰?」
ごっちんは石川さんと同じくらいの視線になるようにしゃがみ込むと、自分のさしていた傘を石川さんの頭の上に持っていった。
「友達の石川梨華さん。同じクラスなんだ」
「梨華ちゃんね〜、後藤は後藤っていうんだ。ごっちんって呼んでねぇ」
石川さんは僕の手を離すと顔を上げてごっちんのことを見た。
ふにゃって笑ったごっちんにつられるように、石川さんは涙がまだ残る顔でごっちんに向かって笑いかける。
- 201 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時06分37秒
- 「よし子ぉ、こんな可愛い娘泣かしちゃダメじゃないか〜」
しゃがみこんだまま僕のことを見上げてごっちんはいかにも怒ったぞっていう風に頬を膨らませる。
「ち、違うの。吉澤くんが悪いワケじゃないの。ただ私が勝手に泣いちゃっただけなの」
ただ苦笑いしか出来ないでいる僕とそれをむすっとした顔で睨み付けるごっちんとの間に入り込むように泣き止んだばかりの石川さんはあたふたと両手を振りながら立ち上がろうとした。
グシャッ・・・
そんな時に石川さんの足下から何かを踏み付けるような音。
苦笑いをしていた僕も、怒った顔のごっちんも、今だ泣き顔の石川さんもその場にいた全員の視線がその音のした方へと向けられる。
- 202 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時07分32秒
- 「・・・ふんじゃった」
石川さんの足下には真っ白だったはずの僕のパーカー。
それは今や雨と泥を存分に含んだ最高に汚い固まりと化しているが確かに僕のパーカー。
「「「・・・。」」」
そりゃ黙るしかないよね。
踏んでいるその足だって退かしにくいよね。
僕でも石川さんの立場だったらそうだもん。
「・・・あはっ」
で、固まる3人を動かしいたのはごっちんのこの笑い声だった。
そしてこうなりゃ笑うしかない。
皆傘なんて必要ない程に濡れている。
綺麗だったはずのパーカーも過去形。
さっきまで泣いていたはずの石川さんにわずかだけど笑顔が戻った。
・・・僕がこんなにも声を上げて笑える友達が周りにいる。
- 203 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時08分28秒
- これって最高に幸せって言うんじゃないの?
今日は幸せを何だか沢山見つけられる。
こんな日は雨に濡れるのも悪くもない。
ちらっと石川さんを見たら困った顔をしながらも僕の視線に気付いてはにかみ笑顔を見せてくれた。
同じようにごっちんを見てみるとあいかわらずふにゃふにゃしんがら笑っている。
「そういえばごっちんこんな日に買い物行ったの?」
「うん。だってよし子ん家の冷蔵庫ほとんど空だったじゃん」
そう言うとごっちんは立ち上がって買い物袋を僕に握らせた。
袋の中には雨がちょっとたまっている。
「・・・わざわざありがとう」
「なぁに言ってるのさ。よし子家にはいつもお世話になってるんだから気にしな〜いの」
ごっちんは雨でぐしょぐしょになった髪をかきあげると石川さんの手を取って立ち上がらせた。
- 204 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時09分44秒
- 「ねぇねぇ梨華ちゃんはこれから暇?」
「え、あ、うん」
「そんなだったら帰れないでしょ?よかったら後藤ん家寄っていかない?」
「え、でも突然お邪魔して迷惑じゃない?」
「大丈夫だよ。ね、行こうよ」
いつもよりも強引なごっちんの姿。
ごっちんは家の手伝いとかで忙しいせいか年の近い女友達とかがあまりいない。
だから会ったばかりだけど石川さんと仲良くなりたいのだろう。
っていうかすごく事の展開が早い・・・まさに嵐って感じ。
こんな嵐のようなごっちんを見たのは本当に久しぶりだ。
そしてそんなごっちんに巻き込まれるような形になってしまったが、こんなにも簡単にごっちんと打ち解けてしまう石川さんにも驚きだ。
- 205 名前:友達 投稿日:2003年03月05日(水)17時10分26秒
- 僕がそんなことを思いながら2人のことを見つめていると石川さんが僕の方をチラッと見てきた。
どうやら悩んでいるらしい。
「行ってきて下さい。いつまでも雨に濡れているワケにもいかないですよ。
それに僕の服じゃ合わないかもしれないですけど、ごっちんのだったら多分合うはずですし」
軽く背中を押してあげるように声をかけると、ごっちんがそれに食い付いてくる。
「うん、うんその通りだよぉ。服とか乾いたらよし子の家行けばいいんだしさぁ」
ぶんぶんと石川さんの腕をふるごっちんの姿は、何だか無邪気な子供みたいでとても可愛らしい。
で、腕を振られていた石川さんは『じゃあ・・・』と言うとまだ踏み付けていたパーカーを拾い上げて素直に手を引かれてごっちん宅へ向かって行った。
取り残された僕と買い物袋は2人が玄関について家の中に入っていくまでその後ろ姿を見つめていた。
「・・・僕達も帰ろうか」
・・・もちろん買い物袋とから返事なんて返ってくるはずもない。
この時の僕の『ただいま』という声は、後日母から聞いたところずいぶんと楽し気に聞こえたということだ。
- 206 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月05日(水)17時18分52秒
- 更新しました。
昨日冒険しすぎて更新できず・・・私の友達ないすふぁいと。
お部屋にいるにもかかわらず、どうしてここはこんなにも寒いのでしょう?
手、かじかんでます。
>きいろ様
多分梨華ちゃんには届いたはずです(w
そして吉澤くんにも同じくらい素直な気持ちが届いたはずです。
ゆっくりまったりじっくりと。
しかし書きたいものは甘々なのです。
>ななしのよっすぃ〜様
一歩先に進む為には勇気って必要ですよねぇ。
梨華ちゃんも吉澤くんもよく頑張った!感動した?
2人に幸せな未来をプレゼントすべく頑張りますです。
- 207 名前:きいろ 投稿日:2003年03月05日(水)21時45分43秒
- ごっちんキタ――――(○^〜^○)!!
>書きたいものは甘々なのです。
ゆっくりと、じっくりと、その機会をお待ちしております。
忍耐です…(笑
- 208 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月05日(水)23時57分23秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
よっすぃ〜、抱きしめろYO!!と言いたいです。
泣き崩れる梨華ちゃんに、惚れました。可憐です。
でも実はふにゃって笑うごっちんが可愛いです。
いったい、ななしのよっすぃ〜は誰推しになってしまったなだろう?
混乱しつつ、次回の更新も待ってます!
- 209 名前:ごっちん部屋にて 投稿日:2003年03月07日(金)21時08分19秒
- びしょ濡れだった私はごっちんに手を引かれるままお風呂場へと連行された。
歩く度に床に私の足跡と雨の雫が落ちる。
ってまぁそれはごっちんも同じことなんだけどね。
「風邪ひいちゃうといけないからお風呂入っておいでぇ」
全身ずぶ濡れの私は確かに体中が冷えていた。
初めて会った人なのに何だか悪いとは思うけど、ここは好意に甘えさせてもらうことにしよう。
それにもそもそとタオルとかをあさるごっちんの顔は何だか楽しそう。
その顔を見ると、今私がここにいるということは別に嫌がられてるワケでもないのかなぁって思う。
- 210 名前:ごっちん部屋にて 投稿日:2003年03月07日(金)21時09分10秒
- 「でもごっちんもずぶ濡れだよ。私は後で良いからごっちん先入っちゃいなよ」
「ダメ。それはダメなの。よし子の友達に風邪をひかせたら後藤家末代までの恥じだもん」
「は、はぁ・・・」
「んじゃ後藤服持ってくるから梨華ちゃんお風呂入っててぇ」
そう言うとごっちんはタオルで頭をがしがしと拭きながら階段を音をたてながら上がっていった。
取り残された私はというとこのまま突っ立て入るのも悪いので、手早く濡れて身体にくっついた服を剥がすように脱いでお風呂場へと直行した。
あ、もちろん濡れてるとはいえ服はきちんと畳んでおいたよ。
- 211 名前:ごっちん部屋にて 投稿日:2003年03月07日(金)21時10分14秒
- ---------------
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「ねぇねぇ、梨華ちゃんは今一人暮らししてるの?」
暖かいお風呂をかりた私の身体はほくほくと良い感じの体温。
ちらっと鏡で見た時真っ青だった顔色も今じゃみごとな桜色になった。
お風呂を上がったら私の濡れた洋服はすでに洗濯機の中で回っていて、代わりにごっちんのであろう洋服が置いてあった。
で、今私の目の前にはクッションを大事そうに抱えながらふにゃふにゃと笑っているごっちんがいる。
ここはごっちんの部屋。
あまりモノがないような印象も受けるけど、決して殺風景とかそういうんじゃなくて『シンプル』って言葉が似合う部屋だ。
- 212 名前:ごっちん部屋にて 投稿日:2003年03月07日(金)21時11分14秒
- 「うん。最近やっと慣れたけどまだ寂しかったりするんだよね」
さっきからこんな感じですごく自然に私達は会話をしてる。
初対面とは思えない程に話しはぽんぽん出てくるし、ちょっとした沈黙も苦にならない。
ごっちんって不思議な感じの人なんだって思う。
吉澤くんといい、ごっちんといい、(市井さんって人といい)この春に出会った人達は不思議な人ばかりだ。
「ふ〜んじゃあ今日後藤の家泊まってく?」
「えっ?でもお家の手伝いとか平気なの?」
ごっちんが家の料理屋の手伝いをしているのはさっきごっちん自身から聞いたんだよね。
私と同い年なのに偉いなぁって思う。
- 213 名前:ごっちん部屋にて 投稿日:2003年03月07日(金)21時11分56秒
- 「うぅん、そっか〜・・・!!じゃぁ後藤頑張って仕事早く終わらせるからそれまでよし子ん所いなよ」
「へっ???」
「よし!きっまりぃ〜☆」
そう言いながらごっちんは携帯片手に部屋を飛び出して行った。
・・・私何も言ってないよ。
呆然としている私をよそに、ついさっき出て行ったごっちんは満面の笑みでさっそうと部屋に戻ってくると、
右手でVマークを作って私に振ってみせた。
・・・ごっちんってすごいね。
- 214 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月07日(金)21時17分35秒
- ちょいちょい更新しました。
何でかとっても書きたくなってしまい、ちょっと更新です。
明日か明後日、遅くても明々後日には長め目指して更新します。
頑張れ私。
>きいろ様
そう・・・忍耐なんです。
私も忍耐なんです・・・。
何でか忍耐なんです・・・。
早くくっつけの舞いとかしながら書きます。
>ななしのよっすぃ〜様
本当だYO!!!
何であそこで抱き締めないんだ『吉澤ひとみ』!!
・・・ごめんなさい。
作者の意気地なしがよし子にまで影響を・・・(汗だらだら
- 215 名前:きいろ 投稿日:2003年03月08日(土)14時08分09秒
- ごっちんパワーはすごい…
続き早く読みたいっす〜。いつも楽しみにチェックさせてもらってます。
がんばってくださいね!
- 216 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時28分32秒
- 僕、今すごく急いで着替えてます。
何故かって言うと、ごっちんから受け取って買い物袋の中身を冷蔵庫の中に入れて、濡れて冷えた身体を暖める為に
ゆっくりとお風呂に入っていた僕の携帯が突然鳴ったからです。
通話時間約10秒。
内容は『今から梨華ちゃんがそっち行くからねぇ。後藤お店の手伝い終わったらすぐよし子ん家行くから』
僕の意見なんて聞こうってはなから思ってないらしい。
多分石川さんも何も言うことが出来ないままごっちんの力に流されたんだと思う。
ごっちんらしいと言えばごっちんらしいんだけど、今はタイミング悪すぎ。
だってお風呂入ってたんだよ?
それもかな〜りのんびりと。
急いで身体を拭いて持ってきていた部屋着に着替える。
- 217 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時29分51秒
- ぴ〜んぽ〜ん
は、早い・・・。
まだズボンしかはいてないのにもうチャイムが鳴っちゃったよ。
まだ外は雨が降ってるし、待たせるワケにはいかない。
僕は眼鏡をかけると上着に袖を通しながら玄関まで走って行った。
「お、おまたせしました!!」
突然扉を開けたせいで石川さん、相当驚いているみたい。
だって今身体がビクッ!!てなったもん。
ちょっと固まっている石川さんを目の前にしたまま、僕は通しかけていた片方の袖に腕を通す。
「と、と、とりあえず外いると濡れちゃいますから上がって下さい」
石川さんから傘を受け取ると水気を払って傘立てに入れる。
僕の目の前を通る石川さんからはごっちんの髪からよく匂う匂いがした。
物珍しそうにきょろきょろとしている石川さんを僕は自分の部屋に案内して、
入っていたままの適当なCDをかけて台所に降りて紅茶を煎れてから部屋に戻る。
- 218 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時31分34秒
石川さんは僕のベッドの近くに立って天井を見つめていた。
「・・・すごいね」
紅茶を机の上に置いて石川さんの横に並ぶようにして、同じように天井を見上げる。
天井には僕が描いた星空が広がっている。
ずっと前に描いたものに何度も何度も手を加えている絵だ。
僕自身これがすごく気に入っていて、眠る前にはこの星空を見上げて星屑の中にいるような
気持ちになって眠るっている。
その存在を誇示するわけでもなく星は輝き続ける。
いつかは燃え尽きてしまう運命にもかかわらず、光り続けその柔らかい光を僕に届けてくれるんだ。
僕が独りぼっちだった時も、僕が泣いている時も、僕が笑っている時も、
いつも見えなくたっ見つめていてくれる気がする。
まるでもう他界してしまった父のように。
- 219 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時32分38秒
- 「夜、僕けっこう好きなんですよ。
静かな世界に包まれて、耳をすませば自然の音が聞こえて。
目を閉じれば真っ暗な闇の中で星が輝き出す。
冷たいって思う人もいると思うんですけど、僕はすごく暖かいって思うんですよね」
両手をポッケにつっこんで、もう少しだけ星空を見つめた。
ちらっと横を見ると石川さんは僕と同じように星空を見つめている。
何だかここまで見入ってもらえると僕のとっておきを見せたくなってしまう。
「石川さんいいもの見せてあげますよ」
星空から視線を僕の方に向けた石川さんの表情はきょとんとしていた。
- 220 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時33分34秒
- 吉澤くんに言われるままにに目を閉じると、横にいた吉澤くんの気配がどんどんと遠くなって行き、
スイッチを押すような音が聞こえた。
目を閉じているせいか、さっきからかかっていた音楽がよりクリアに聴こえる。
何だろうこの曲?
何処かで聴いたことあるなぁ・・・
「ねぇ吉澤くん。これって歌ってるの誰だっけ?」
目隠しをしたままの会話なんて何だか変な感じだけど気になる。
何故だかとても今聞きたい。
「このCDですか?『BOYZMEN』ですよ」
- 221 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時34分37秒
- あぁけっこう有名な人だ。
だから私でも知ってたのか。
今までじっくり聴いたことなんてなかったけど、こう目閉じて聴くとすごく落ち着くなぁ。
あんまり英語の意味とかは分からないけど・・・。
曲を聴きいっていたら 近くにまた吉澤くんの気配を感じて、その後すぐにその優しい声が
音楽に溶け込むように私の耳に届いた。
「目、開けていいですよ」
今まで聞いた中でも一番ではないかというくらい優しい口調に聞こえたのはこの音楽のせいなのかな?
今さらだけど、吉澤くんの喋る時の声って低すぎず高すぎずで私的にはけっこう落ち着く。
このちょっとハスキーがかった声がいいのかな?
まぁいいや。
とりあえずは今目を開けたらどうなっているかって方が気になる。
- 222 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時35分50秒
- 閉じていた目をゆっくりとあけていく。
まだ目が慣れていないせいか、モノがはっきりと見えなくてちょっと恐い。
音楽がかかっている分で多少は落ち着いていられるんだけどね・・・。
で、思わず近くに気配を感じている吉澤くんを手探りで探して触れた服をちょっとだけ掴んでしまうと、
吉澤くんは少し驚いたみたいだけど、黙ってそれを受け入れてくれた。
「ゆっくりと上を見て下さい」
言われるままに上を見上げる。
- 223 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時36分53秒
「・・・わぁ」
思わず声に出てしまった私の心の呟き。
だってすごいんだもん。
明るい部屋の中で見た天井ももちろんすごく綺麗な星空が描かれていたんだけど、
今この暗闇の中の天井は本当の星空そのものって感じ。
蛍光塗料か何かを使っているのかな?
そこらへんやよく分からないけどともかく描かれていた星が綺麗に光りを放ちながら輝いていた。
閉じられている空間のはずなのに上を見上げるとそこは一面の星空。
さっきは明るくて気付かなかったけど、ベッドがあった所の天井以外にも星は輝いている。
よく見ると壁や扉もだ。
「そのままゆっくりと下も見てみて下さい」
やっぱりすごく優しい声で吉澤くんは私のことを促す。
- 224 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時38分30秒
「・・・。」
本当にすごくて声がでなかった。
小さな呟きがこの綺麗な空間を壊してしまいそうだった。
そしてこの美しい空間に落ちてしまいそうで掴んでいた吉澤くんのシャツを
さっきよりも強く握ってしまう。
足下には天井と同じように星空が広がっていた。
この部屋、いやこの空間全てが星屑の世界。
今掴んでいる吉澤くんのシャツだけが唯一私のことをこの現実という世界に
つなぎ止めていてくれる存在。
それが分かったのかどうかは分からないけど、吉澤くんは掴まっている方の
私の手をそっと握ってくれた。
そのあまりに自然な動きは、私を驚かすどころか安心を与えてくれる。
吉澤くんの手はこの星空のように暖かくて大きかった。
- 225 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時40分19秒
「・・・素敵」
呟くような声は星空と音楽に溶けていく。
聞いてもらいたかった言葉ではないけど、この声を拾ってくれた吉澤くんが
微笑んでくれたのが隣に感じる存在から伝わってきた。
「これ見せたの、石川さんで3人目なんですよ」
静かな口調で吉澤くんは思い出すようにゆっくりと話し始めた。
「一番最初はごっちん。まだこんなに星がかけていない頃に初めて見せたんです。
ごっちんは幼馴染みってこともあって、よくこの部屋来るんですよ。
いつもは僕よりも強いクセに、初めてコレを見た時は石川さんみたく
こうやって僕のシャツ掴んでました」
この話しを聞いて何で吉澤くんがあんなにも自然に私の手を握ってくれたのかが分かった。
私が初めてだったんじゃないんだね、こうやってシャツを掴んだ私の手を自然に掴んでくれたんだね。
何でだろう?ちょっと残念といえば残念って思えるのは・・・。
- 226 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時42分28秒
- 「二番目は紗耶香。見せたって言うよりは見られたって感じ何ですけど、
僕の部屋に突然上がり込んで来て語ろうって言ってきたんです。
でもすでにけっこう酔ってる状態で、あまり話しもしないうちに寝るとか言い出したんですよね。
で、その時にこれ見たんです。
何だか驚いてたみたいですけど、珍しく素直に『いいね』って言ったんですよ」
あの軽そうな市井さんでもそう思うことがあるんだ(ってちょっと失礼かな?)
でも何だか想像できちゃう。
「そして三番目は石川さん」
大分目が慣れてきた空間で、チラッと吉澤くんのことを見ると、
すごく柔らかい顔でこっちを見て笑ってくれていた。
何だかその笑顔がくすぐったくて、照れくさくて、空いている方の手で
前髪を直すフリをして視線を反らしてしまった。
- 227 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時43分50秒
- 変な風に思われてないかな?
気になるけど、何だか恥ずかしくて吉澤くんの方が見れない。
でも、握っていてくれてる手をどけていないっていうのは特に気に止めてないってくとだよね?
自分自身を落ち着かせるように大きく息を吸って深呼吸すると、もう一度この空間を見つめ直した。
音楽はもうさっきとは変わっているけど、この曲も心地よい音楽で、
星空にすごく溶け込む音楽だった。
「・・・吉澤くんと友達になれてよかった」
これは私の本当の気持ち。
吉澤くんの表情は恥ずかしくて見れないけど、きっと少し驚いた顔してから
あの柔らかい表情をしているんだろうね。
- 228 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時45分09秒
- しばらく2人して星を眺めてから、僕はゆっくりと石川さんの手を離して電気をつけた。
『吉澤くんと友達になれてよかった』この言葉、僕はすごく嬉しかった。
すぐに『僕も石川さんと友達になれてよかった』って言いたかったけど、
何だか恥ずかしくて言えなかったんだ。
その後、紅茶を飲みながら学校の話しとかをしてたらごっちんがやってきた。
もちろんチャイムなんて鳴らすはずもないから、突然って言葉がすごくよく似合う。
で、石川さんとごっちんが仲良さそうに話し始めたから、僕はごっちんと入れ代わるように
寝込んでいる母の元に行った。
さっきまで起きていた母は気持ちよさそうに眠っていた。
- 229 名前:春の終わりの星と君 投稿日:2003年03月08日(土)19時46分07秒
- あんなに酷く降っていた雨も今じゃすっかり上がっていて、
明けた窓の外からは雨の匂いと気持ちのよいあたたかな風が入ってくる。
あぁ、春が終わったんだなって僕は思った。
- 230 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月08日(土)19時51分40秒
- 更新しました。
昨日他の板や作品を見ていて、ひょっとしてここ進めるの遅い?
とか思ってちょっと焦っていつもより多めの更新しました。
>きいろ様
毎回毎回レス本当にありがとうございます。
力になります。
励みになります。
何とかくっつけようと頑張ってみるものの、だんだんと登場人物が増えてきて、
CPどうしようかと悩んだり、他の登場人物達の話しも書きたくなったり・・・
なかなかくっつきませぬ・・・もどかしい。
まってて下さいです。
- 231 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月08日(土)20時29分12秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
よっすぃ〜、良く頑張ったYO。手を握れたもん。大きな一歩です。
いつくっつくのか、楽しみです。
お互いを意識しながらのじっれったさがなんか、楽しくなってきまいた。
更新は作者さまペースでかまわないと思います。
でも、更新は楽しみに待ってます。(笑)
- 232 名前:きいろ 投稿日:2003年03月08日(土)21時11分18秒
- 連日更新お疲れ様です。
いいなぁ〜自分もそんな素敵な空間に行ってみたいものです。
最近感動する事が少なくて、なんかそーゆうものに憧れます。
今度外国でもブラリと旅しに行こうかな(w
- 233 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時08分24秒
- 石川さんが家まで来てくれた次の週から僕はまた学校に行き始めた。
母の体調もすっかりよくなったからだ。
久々に学校へ行くと、クラスの皆は心配していたらしくわざわざ僕に声をかけてくれたりした。
それで僕は石川さんが言った通り、今まで別にからかわれていたワケではないのかな?って思えるようになった。
今はもうすっかり梅雨。
僕のバイト先はまったくもっての不景気である。
「吉澤くん、その本ほ整理が終わったらレジお願いね。
ワシらはこれから自治会の会合に出てくるから」
- 234 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時09分57秒
- 僕のバイトしている所は古本屋だ。
それも今全国規模で展開されている『Book O○f』とかじゃなくて、
老夫婦で経営をしている小さな古本屋。
以外に掘り出し物が多い店なので、ちょくちょくとレアなモノを求めてくる人もいる。
背が高くて腕が長い僕は、この狭い店内であまり広げることのできない
脚立いらずということで、以外に重宝されている。
(きっとこれだけが理由ではないんだと思うけど)
「今日は戻ってこれんかもしれないから後のことよろしく頼むね」
そう言うと店長とその奥さんはレジを離れて店を出て行った。
雨はなかなかやまなくて、今日はあまり客足も伸びないかもなぁなんて思いながらレジに向かう。
ちょっと狭目のレジに入って、横からスケッチブックと鉛筆を取り出す。
- 235 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時11分03秒
- 時間が空けば絵を描く。
描きたいように描く。
無限の想像と現実が重なりあう世界を描くのは楽しいものだ。
それから僕は声をかけられるまでずっと集中してスケッチブックと向かい合っていた。
いけないことなんだけど、お客さんが来ていることに気付きもしなかったらしい。
「すいませ〜ん、これ取ってもらえるべか?」
呼ばれて初めてお客さんがいることに気付き、鉛筆とスケッチブックを置くと
急いでお客さんのところに向かう。
「あ、はいこれですね?・・・って、あれ?安倍先生?」
「はいそうですよぉ。こんちゃ〜☆」
安倍先生は買い物袋をぶら下げていた。
あれ?確か安倍先生って東京で一人暮らししてたんじゃなかったけ?
- 236 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時11分48秒
- ちなみに『よっすぃ〜』とは僕のあだなだ。
もう誰がつけたかなんて忘れちゃったけど。
「わざわざ埼玉の方まで来たんですか?」
よいしょっと腕を伸ばして本を渡す。
「ありがとさん。え〜っと・・・何だったけ?
まぁいいっしょ。
後最近住み着いた同居人の御飯買い」
がさっと持っていた袋を持ち上げる。
半透明な袋の中にはネコ缶やら沢山のネコの御飯が入っていた。
「・・・それって先生の家の近くにもあるんじゃないですか?」
「いや、何だかたまには違う環境の御飯もありかと思って」
- 237 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時12分53秒
- ニコニコと笑う安倍先生。
つっこみたいことはあったけど、僕の言葉はその笑顔に吸収されていってしまった。
「溺愛してるんですね」
「そりゃそうっしょ。なっちの大事な語り仲間だもの」
「ひょっとして最近やけに浮かれてるって言われてた理由それですか?」
「あれま、そんなこと言われてたのかい。
でも確かにそうだねぇ、だって本当に可愛いんだよぉ」
この後さんざん安倍先生の我が家のネコ自慢話しは数十分続いた。
で、その話しに終止符をうったのは『馬鹿なっち!忘れモノしてくなよ』という声と共に表れた
小柄で金髪の女の人だった。
- 238 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時13分43秒
- 「ったくもぉ何でこう毎回毎回車乗る度に忘れモノしてくかね」
「あははっ、ごめんちごめんち」
2人も小柄だから人よりも背の高い僕は自然と見下ろす形になってしまう。
それにしても今来たこの人は本当に小柄だと思う。
僕とそれくらい違うんだろう?
「でもなっちがここにいるってよくわかったね」
ニコニコ顔の安倍先生に向かって金髪の女性は大袈裟にため息をつく。
「なっちが言ったんでしょ?『古本屋行く』って。
オイラこの辺の地理とか全然分かんないから色んな人に聞いてここまで来たんだよ。
よかったよ、この辺にある古本屋が一件だけで」
- 239 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時14分43秒
- あきれ顔で安倍先生を見る金髪の女性の頭を安倍先生は子供の頭を撫でるみたいによしよしと撫でる。
それに照れたのかな?女性の耳がぱぁって赤くなっていった。
「ぬぅぅ・・・で、会えたの?そのよっすぃ〜って子に」
「へっ?」
「えっ!?」
「あっ」
ぽんっ
ちなみに解説をつけておくならば、驚いた僕の声に驚いた金髪の女性が声を上げて、
その声に反応した安倍先生が手を叩いたというワケだ。
「ん?君よっすぃ〜とか言う子の知り合いかなんか?」
金髪の女性は僕のことを見上げるようにして訪ねてきた。
- 240 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時16分26秒
- 「あ、あぁ僕のことだと思いますよ。そのよっすぃ〜って」
「そうだべ〜すっかり本に夢中になって忘れちゃってたよ。
ほれ、この前よっすぃ〜のお母さん倒れちゃったって聞いたべ?
んで何かと大変でないかいって思って、実家から送ってもらった・・・
あれ?何処に置いてきたんだべか」
何かを探す安倍先生に向かって金髪の女性が持っていた袋を安倍先生に渡す。
小さな声だったけど『渡すもん車のなかに忘れるなよ』って言っているのが聞こえた。
「あぁ、ありがとう矢口。
ほれ、北海道のじゃがいも。
家届けたらよっすぃ〜のお母さんが出てきて、今よっすぃ〜がここでバイトしてるって聞いてさ。
渡しておいてもよかったんだけど、いきなり先生が来てじゃがいも置いて帰るのもどうかと思って」
「あ、ありがとうございます」
- 241 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時17分30秒
- 安倍先生からもらった意外に重くかった。
わざわざ埼玉まで持ってきてくれるその気持ちもすごく嬉しかった。
普通考えられないよ。
こんなとしてくれる先生なんて。
僕が思いっきり感謝の気持ちを込めて頭を下げると、そんな僕の姿を見た金髪の女性がさっきみたく小さな声で
『こんな良い子の為だったんだ。オイラ車出してよかったよ』と聞こえた。
・・・安倍先生に使われたんですね。
- 242 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時18分26秒
- 「あと・・・えっと・・・」
頭をあげて金髪の女性の方を見る。
目があったら僕の聞きたいことが分かったみたいで、ニヤッと笑って手を差し出してきてくれた。
「オイラは矢口。矢口真里って言うんだ。よろしくね」
「僕は吉澤ひとみって言います。こちらこそよろしくお願いします」
そう言いながら矢口さんの手を握り返すと、矢口さんは何か考えるような顔つきになった。
「・・・ひょっとしてよっすぃ〜『たらしの市井紗耶香』って知り合い?」
「え?あ、はい。そうですけど・・・どうして・・・」
「やぁっぱりそうか!」
- 243 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時19分47秒
- きょとんとする僕を差し置いて矢口さんはひとり納得したように頷いたりしていた。
安倍先生もそれは同じらしく、僕と同じようにきょとんとしながら矢口さんのことを見ていた。
「あぁごめんごめん。いや、紗耶香ってオイラの幼馴染みなんだよ。
んで昔『やたら背が高くて女みたいな名前してるやつと友達になった』って言ってたんだよね。
そん時の紗耶香がやたら嬉しそうで妙に印象に残ってたんだ。
そっかそっか、よっすぃ〜がその人か」
「は、はぁ・・・」
ぎゃははと笑う矢口さんを目の前にして受け答えを困っていると、横から安倍先生が助け舟を出してくれた。
何だか紗耶香が僕のことをそんな風に嬉しそうの誰かに語っていてくれたなんて信じられないけど、
もしそれが本当ならかなり嬉しい。
- 244 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時20分42秒
- 人間不思議なモノで、笑おうとは思っていないのに気がついたら頬の筋肉が
ゆるゆるになっていることがある。
今の僕は見事それ。
そんな風に言っている紗耶香を想像したら口元が勝手ににやけてしまう。
「うわっ、何薄気味悪い笑み浮かべてるんだよ」
薄気味悪いって・・・初対面の人に言う言葉ですか?
まぁ変に壁つくられるよりも全然つきあいやすいけど・・・。
矢口さんの隣では安倍先生がニコニコしながらそんな矢口さんを見つめている。
安倍先生の表情を見ていると、きっとこんな風に人とつきあっていく人なんだろうって思う。
「笑いたい時は笑えばいいんだよ」
- 245 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時21分41秒
- そう言って矢口さんは僕の腕を叩いた。
その時の矢口さんの笑い方は何だかすごく素敵だった。
自然ていう言葉が合うのかな?
紗耶香がナンパした女の子とかの前で言うと決まりそうなな台詞だけど、
矢口さんが言うと全然くさくない。
ってかむしろ格好いい。
僕がぽけーっと矢口さんのことを見つめていたら、矢口さんは思い出したように手をうった。
「そうだ、紗耶香に『もうすぐぐろーばるケメ子日本に降臨』って伝えておいてくれる?」
「へっ?」
「そう言えば分かるからさ。オイラ今携帯ぶっこわれちゃってて連絡取れないんだよ。
紗耶香の家行ってもどうせどっかの女とよろしくやってる最中だろうし」
- 246 名前:古本屋 投稿日:2003年03月11日(火)08時23分33秒
- それには大いに頷ける。
僕が紗耶香の家に行った時、その約束をすっかり忘れていた紗耶香は眠たそうな目で僕を部屋に入れた後、
そのままベッドで寝ている裸の女の人に寄り添うように寝たのだ。
『ありえないよ』
なんていう僕の心の呟きなんかは届くはずもなく、僕は置き手紙だけ残して帰ったという記憶が
今も鮮明に残っている。
「あ、もうそろそろ帰らなくちゃいけないべ。
矢口の食事の時間に間に合わなくなっちゃう」
思い出に耽る僕の腕をぐいぐいっと引っ張た安倍先生が催促する子供のように急げ急げと僕をせかす。
「あぁ、ごめんなさい。じゃあこの本でいいですか?」
「うん」
レジで会計を済ませている安倍先生に向かって矢口さんは本日3度目になる呟きをこぼした。
「だから何でネコがオイラの名前と一緒なんだよ・・・」
その顔は少し嬉しそうだった。
- 247 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月11日(火)08時31分16秒
- 更新しました。
ちなみに起きて1時間もたっていません。
枕元にあるPCはつねに私を誘惑します。
>ななしのよっすぃ〜様
よし子の中で友達とクラスメイトというのは随分な違いがあるようです。
頑張ったよし子に凄まじきスピードの拍手を送りたいです。
『あんたぁ〜よくやったよ』
前回更新分はやたらと早く書き上がりました。
やっぱり甘めのいしよし書きたい願望の表れでしょうか(苦笑)
>きいろ様
そうなんですよねぇ。
感動するっていうことが欠けている最近、自分の憧れとかがもろ出ている感じに
なってるんです(w
癒しが欲しい今日この頃。
私20年の人生の中で海外っていうのに行ったことがないんですよねぇ・・・
行ってみたいです(お金ないです・・・←稼ぎましょう)
- 248 名前:きいろ 投稿日:2003年03月11日(火)13時28分21秒
- 矢口さん、それって一体何の意味なのか…(w
それにしても市井さんのたらしっぷりには喝を入れたくなりますねぇ。
矢口さんと安倍先生の関係も少し気になったりしました。
更新どうもです。
- 249 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)15時19分04秒
- 続き期待してます。
- 250 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月11日(火)20時40分36秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
コンプレックスがあると何もかも自分にとって悪いほうに見てしまいがちです。梨華ちゃんのおかげか、よっすぃ〜がだんだんと生き生きしてきてるような気がします。
よっすぃ〜が描いた絵を一度見たいですね。何気ない日常を描いたものであれ感動できるものを見たいものです。
ほのぼのしたよっすぃ〜&梨華ちゃんの関係、大好きです。
では、次回更新も期待して待っています。
- 251 名前:大親友 投稿日:2003年03月13日(木)21時26分43秒
- 「久しぶりだね、梨華ちゃんの家来るのって」
柴田はすっかりごぶさたとなっていたお気に入りのクッションを梨華にむかって蹴りつけた。
ぼふっという音と共にそれは見事に梨華の顔面を直撃する。
ずりっと落ちたクッションの下から出てきた梨華の顔はむす〜っとした顔だったけど、
柴田がぐわしぐわしと頭を撫でてやるとすぐに笑顔になる。
「ったくあんたは百面相かい?怒ってたと思ったらすぐに笑顔になる」
やれやれといった表情で梨華の隣に腰を下ろすと、柴田は落ちたクッションを拾い上げて抱え込んだ。
「だぁって人に頭撫でられるのって気持ち良いじゃん」
両足をだらーっと前に投げ出して梨華はベッドに背中をもたれさせながら肩をすくめる。
- 252 名前:大親友 投稿日:2003年03月13日(木)21時27分46秒
- 「外人かぶれ」
「ソンナコトナイヨォ」
「ったく何なのよぉ?どうしたの?かまってもらいたい病発病中なのかい?」
「へへっ」
柴田の言う通りである。
梨華がひとみにやたらとちょくちょく会うようになり、柴田と梨華はここ最近じゃれあっていなかったのだ。
久しぶりに学校以外で遊ぶことに梨華はちょっと浮かれていて、さらに柴田にかまってもらいたい。
沢山話したいことはあるし、こうしてまったりとする時間も大切にしたい。
さらに、ひとみの家を訪れてからどういうワケか軽いホームシックになった。
「ほれほれ、で、甘えん坊梨華ちゃんの最近はどうなのかねぇ」
「よぉく聞いてくれましたぁ〜」
「・・・梨華ちゃん声大きいよ」
「私ね、吉澤くんと話すようになってお友達が増えたの!!」
「ふ、ふ〜ん」
「でねぇ・・・」
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- 253 名前:大親友 投稿日:2003年03月13日(木)21時28分29秒
- 数十分後・・・
「吉澤くんの肌って驚く程白いの!!
一瞬見えちゃったんだけど、上半身とか凄く白くてさぁ」
さっきから梨華の口から出てくるのはひとみのことばかりだ。
楽しそうに話しをする梨華を見ているのは楽しいが、何処か楽しくない柴田。
だからちょっと口から出た言葉の語尾がきつくなってしまった。
「・・・ひょっとして梨華ちゃんって吉澤くん好き?」
「え?何で?」
「だって、さっきから梨華ちゃんの口から出てくる言葉は全部吉澤くんがらみだよ」
喋り方や口調が自分の言葉として出てくる度に何だか自分が小学生の子供のように思えてしまう。
自分の親友が少しの間に知らない人になってしまったような感じだ。
置いていかれてしまったような孤独感。
そして親友を取られてしまったように感じ、ひとみに対する嫉妬感が出てきてしまう。
- 254 名前:大親友 投稿日:2003年03月13日(木)21時29分33秒
- 「吉澤くんはお友達だよ。どうしたの?何だか柴ちゃん怒ってない?
私何か気に触るようなこと言っちゃた?」
さっきまでの楽しそうな表情が一遍、梨華の今の顔は泣き出しそうな表情だ。
ベッドのふちにもたれかけさせていた身体を起こすと、投げ出した足をひっこめて
体育座りの姿勢になって縮こまる。
その梨華の姿を見て、柴田は激しい後悔の念に捕われた。
大切な親友に対する嫉妬。
泣き出しそうな顔は柴田にとって一番辛い。
「ごめんね、そんなことないよ。
だからそんな泣きそうな顔しないでよ・・・」
柴田は梨華の横にぴたっとくっつくように移動すると、頭をゆっくりと撫でてあげた。
その行為に梨華は少し安心したように、柴田の肩に自分の頭をのせる。
- 255 名前:大親友 投稿日:2003年03月13日(木)21時30分35秒
- 「・・・よかったね、友達が増えて」
「うん。でも・・・大親友は柴ちゃんだけだよ」
梨華の言葉に柴田は少し驚き、何処か恥ずかしい気持ちで、何だか嬉しい気持ちになった。
「・・・ごめん」
「違うよ。そういう時は『ありがとう』って言うんだよ」
「・・・あ、ありがとう」
肩に梨華の頬がちょっと上がった感触を感じながら、柴田はもう少しだけ梨華の頭を撫で続けた。
- 256 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月13日(木)21時39分40秒
- 更新しました。
何だか不定期な更新になってきた気が・・・。
さて、今回は高校時代を思い出しながら書きました。
ちょっと実体験に近いかな(w
>きいろ様
矢口はなっちが大好きです。
そしてなっちが飼っている子猫も大好きです。
ので嬉しくてたまらないようです。
やぐなちはとっても書きやすくてけっこうお気に入りです。
そして、市井先輩・・・(汗
>249様
ありがとうございます。
よっぽど大事件が起きない限り更新し続けます。
めざせ老後!!
>ななしのよっすぃ〜様
そうなんです、吉澤くんは石川さんと出会ってからどんどんと変わっていくんです。
どうにか『成長』というかそんなところを書きたかったので、そう言っていただけると
嬉しいです。
よし子の描いた絵、そうですねぇ、今私の頭の中に描かれている絵を文字で表せる
ようだったら表現したいです。
- 257 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月13日(木)22時45分46秒
- 初めて読んだけどおもしろい!!
市井に後藤を紹介しちゃえよしこ(w
- 258 名前:249 投稿日:2003年03月14日(金)11時44分40秒
- 柴ちゃんって石川さんの親友って設定多いですよね?
実際仲いいんですか?なんて考えながら読んでました。
ここの石川さんとよっすぃーめっちゃ好きです。
作者さん、マイペースで更新がんばってください!
- 259 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月16日(日)00時32分01秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
柴っちゃんと梨華ちゃんのじゃれあうところを想像してほのぼのとしてしまいました。
同性同士の友情とごっちん&よっすぃ〜の異性間での友情もいい感じです。
ただ、市井さんのタラシっぷりに、彼の過去にいったい何がかんぐっています。(笑)
友達以上恋人未満の二人に幸せを!
では、次回の更新を楽しみに待ってます!!
- 260 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時50分45秒
- 店を閉めた後、僕は家に帰り、眠る前に紗耶香にメールを打った。
矢口さんに言われた通りの『もうすぐぐろーばるケメ子日本に降臨』というやつだ。
メールを送信するとすぐに紗耶香から電話がかかってきた。
「もしもし?」
『吉澤!お前何処からその情報入手したんだよ』
「今日安倍先生と一緒に来た矢口さんって人からだよ」
『やぐっちゃん?何であいつこんな回りくどい方法で伝えてくるんだ?』
「携帯壊れちゃってるんだって。
で、どうせ紗耶香の家行ってもしょうがないからって言ってたよ」
『・・・まぁそうだな』
「そこで納得しないでよ。ともかく伝えたからね」
『おう、さんきゅーな。
あ!それと後藤に・・・』
- 261 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時52分52秒
- ピッ
ったく浮気癖直せって言ってるのに治らないやつなんかごっちんに取次いでやるかっての。
僕は紗耶香がごっちんの名前を出そうとする度に電話を切っている。
一度話しを聞こうと思って切らずにいたら、しつこいくらいにせがまれて、
あげくのはてには脅されかけた。
普通親友に向かってそんなことするもんかね?
だから僕は紗耶香の口からごっちんの名前が出るとすぐに電話を切るようにしたんだ。
僕は紗耶香のことを知っているようで知らないでいる。
そんな気がふとした。
- 262 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時53分35秒
- 眼鏡を机に置いて、携帯を充電器にさしてベッドに横になる。
天井に描いた夜空には、石川さんがこれを見た日からまた星が追加された。
その星は今眩しいくらいに輝いている。
梅雨に入ってから星空はあまり見えなくなった。
車通りの少ない道路や、芝生に寝転がって星空を見上げる機会も少なくなった。
星はこういう時期にまた数が増えていく。
ちょっと手を伸ばして星を掴もうとするが、当たり前のようにそれには手は届かない。
「掴めそうで掴めないもの・・・」
伸ばした手を引っ込めてベッドにゆっくりとおろす。
しばらくぼけーっとしていると充電器にさしておいた携帯が静かに震えた。
- 263 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時54分14秒
- メールは石川さんからだった。
あの日、嵐のような雨が降った日に僕達は携帯の番号やアドレスを交換しあった。
あまり登録されていない僕の電話帳に、新しい友達の名前が増えた日でもあったんだ。
『こんばんわ。
もう寝ちゃってるかな?だったらごめんね(;^▽^)
あのさぁ、この前部屋で聴かせてもらったCD今度かしてもらえる?
よかったらでいいんだけど・・・』
CD?
あぁ、あれか。
『いいですよ。じゃあ明日学校に持って行きますね』
・・・送信っと。
- 264 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時55分20秒
- 返事はすぐに返ってきた。
女の子って打つの早いなぁ。
『ありがとう☆じゃあまた明日学校でねぇ。
ぐっちゃ〜☆』
ぐ、ぐっちゃ〜?
何だそれ??
まぁそんなこと考えていたって分かるはずもないので、僕は携帯を閉じると
コンポに入れたままにしておいたCDを取り出して鞄に入れた。
これがす好きならこのCDも気に入るかな?
まぁどっちも王道だからはずれじゃないよね。
そんなことを考えながら『PHIL COLLINS』のCDも一緒に鞄に入れる。
ちらっと時計を見ると針は12のところを指していた。
今日は早く寝ようかななんて思って、僕は電気を消すと、
いつものように星の海の中眠りについた。
- 265 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時55分56秒
余談であるが・・・その頃市井宅
「やぐっちゃん!!なっちの携帯番・・・」
・・・ッツーッツーッツー
「・・・何で皆電話切るんだよ〜!!!!」
市井の叫びが辺に響き渡り、市井はお隣さんから大目玉を食らった。
- 266 名前:市井くん 投稿日:2003年03月17日(月)00時56分35秒
さらに余談であるが・・・その頃の矢口宅
「あれ〜矢口今の電話誰からだったの?」
「ん?ただの悪質な悪戯電話」
そう言うと矢口は携帯をベッドに放り投げてため息をついた。
頭に『?』マークを浮かべた安倍の安全は矢口によって日々こうして守られていた。
- 267 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月17日(月)01時08分43秒
- 更新しました。
忙しい日が続き、更新に穴が空いてしまいました(反省中)
もうしわけないです。
>257様
はじめまして。
そしてありがとうございます。
おもしろいと言っていただけるのは本当嬉しいです。
いちごま自分的にけっこうツボなんですよねぇ、だもんでよし子には今後どう
動いてもらおうか思案中です(w
>249様
どうなんですかねぇ、耳にするのが仲が良いってことなんで親友?何て
思って書いてるんです。
けっこうしっくりきてます(w
こんな不定期更新ですが、地道に行こうと思っております。
よろしくです。
>ななしのよっすぃ〜様
市井くん、今回もいいとこなっしんぐ・・・。
過去ですね。
市井くんの過去ですね。
彼もいろいろとあったようです。
物語りが進んでいくうちにきっと明かされていくことでしょう。
ので、期待せずに期待して待っていて下さい(w
友情とはすばらしいものです!!!
- 268 名前:きいろ 投稿日:2003年03月17日(月)08時33分19秒
- 市井さんほんといいキャラしてますよ(笑)期待してますよ。えぇ(w
あのやぐつぁんの言葉がとてーも気になるところなんですが、
あの暗号(?)は一体解読するとどうなるのでしょうか?
この事が気になって飯も喉に通りません。
- 269 名前:249改めサイレンス 投稿日:2003年03月17日(月)12時18分24秒
- 市井さんいいキャラですね。笑い担当でしょうか?
ぐっちゃ〜☆が石川さんぽくていいですね。
作者さんのペースで次の更新もお待ちしてます!
- 270 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)20時57分28秒
- 久々に晴れた。
昨日が雨だったせいもあって陽射しは少し熱いくらいに輝いていて、薄手の長そでのシャツが
暖かい風を浴びてはたはたと気持ちよさそうになびいている。
僕は自然と背筋が伸びて、歩調がいつもよりも軽くなる。
ついこないだまで自分の顔が大嫌いで、お日さまの下俯いて歩いていたのが嘘のように感じる。
何が変わったなんていうのは分からないけど、この短期間の間に色々な人に出会って
僕は僕自身に少し自信が持てるようになった。
・・・石川さんと話すようになってから。
少しでも僕を認めてくれる人がいる、応援していてくれる人がいると思うだけで心は軽やかになる。
僕を見て笑う人がいるならば笑えばいい。
僕にはそれでも僕から離れないでいてくれる人達がいるんだ。
- 271 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)20時58分36秒
- 何でそんなことに今まで気づけなかったんだろう?
紗耶香もごっちんもいてくれたはずなのに僕は顔をあげれなかった。
本当何でだろう?
こんなにも太陽は気持ち良いものなのになぁ。
いつもよりも早い時間。
電車の中は当たり前たけどいつもと違う人々がいて、駅を降りたらやたらと高校生が沢山いた。
そっか、この時間はちょうど登校時間なのか。
「きょお〜もげんきなあ〜さがきた〜♪」
人込みの中道を歩いていると、元気な歌声が聞こえてきた。
その歌声の持ち主の方を向いてみると、その娘は道行く人達ににこやかに見つめられて
気持ちよさそうに歌い、手を振り替えしたりしていた。
制服からすると高校生なんだろうけど、その風貌はまるで中学生くらいだ。
昨日会った矢口さんも小柄だったけど、この娘もかなり小柄な方だと思う。
- 272 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)20時59分48秒
- 僕も皆と同じ様に微笑ましい気持ちでその娘を見てからゆっくりと学校までの道を歩いていたら、
後ろから聞こえていたその娘の歌がぴたりと止んだ。
「あ〜いぼ〜ん!!」
歌声の代わりに風のごとくという感じのスピードで僕の横を走って、前にいた同じ制服の同じような
御団子頭の娘にジャンプしながら抱き着く。
・・・後ろから見るとほとんど区別つかない。
「吉澤くんおはよう」
ぽけーっとその2人を見つめていたら後ろから背中をぽんっと叩かれた。
振り返ると、そこにはにこやかな笑顔の石川さんがいた。
「あ、おはようございます」
「どうしたの?ぽけーっとしちゃって」
その質問に答えるように2人でじゃれあっているダブル御団子頭の方を見る。
- 273 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)21時00分40秒
- 「あぁ、ののとあいぼんね」
「知り合いなんですか?」
「うん、家が近所なんだ」
そう言うと石川さんは走って2人の方へと向かって行った。
走っている最中に僕に『早く』と催促するように手を振る。
「おはよう、あいぼん、のの」
「「あ!梨華ちゃん」」
「今日も元気だねぇ」
石川さんは2人の頭を優しく撫でる。
2人は嬉しそうに笑っている。
何だか入っていけなさそうな雰囲気なくらい微笑ましい光景。
少し離れたところでそれを眺めていると、僕に気付いたあいぼんと呼ばれた娘の方が
石川さんの服の袖を引っ張った。
- 274 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)21時01分38秒
- 「あそこのでっかい兄ちゃん知り合いなんか?ずっとこっち見てるみたいなんやけど」
「ん?あれは吉澤くんって言うんだよ」
石川さんは手を振って僕のことを呼び寄せる。
僕は照れ笑いをうかべながら呼ばれるままに3人に近付いて行った。
「紹介するね。友達の吉澤ひとみくん」
「ど、どうも」
「おはようなのれす。辻は辻希美っていいます」
そう言うと辻ちゃんは小さな手を僕に向かって差し出した。
背をかがめてその小さな手を握り返すと、辻ちゃんは照れたようにてへてへっと笑う。
可愛いなぁ・・・。
「ウチは加護亜依。よろしくな。
なぁうちらのことは『辻』とか『加護』って呼んでくれてええんやけど、
兄ちゃんは何て呼んだらええ?」
「ぼ、僕は『吉澤くん』とか『よっすぃ〜』って呼ばれてるよ」
- 275 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)21時02分15秒
- そう言って辻の手を離して加護の方に手を差し出す。
握り返してくれた手はののと同じくらいに小さくて温かかった。
「ん、よろしくな『よっすぃ〜』」
あいぼんはそう言うとにやっと笑って僕のことを引き寄せた。
僕とあいぼんはそれなりに背に違いがある。
つまり引き寄せられたっていうのはけっこう辛い体制になったとも言える。
しかしそんなことはおかまいなしのあいぼん。
ぐいっと耳もとに顔を寄せて囁いてくる。
「梨華ちゃん今ってかずっと彼氏おらへんよ。
狙うなら今が刈り時熟れ時食い時や」
「・・・な!!」
自分でも顔が思いっきり赤くなるのが分かる。
『食い時』って・・・な、何てことを言うんだ!!
- 276 名前:おだんご頭×2=未知数 投稿日:2003年03月17日(月)21時03分10秒
- 「あいぼん!!」
このこしょこしょ話しはどうやら石川さんにも聞こえていたらしい。
僕と同じくらいに真っ赤になって両手を握りしめている。
「うわ!梨華ちゃんが怒った。
のの、逃げるで!!!」
「了解なのれす!
それではまたなのれす!!!」
そう言うと辻加護コンビは制服をはためかせながらあっという間に走り去って行ってしまった。
石川さんはまだ赤くなったままぷるぷると震えていて、僕も負けないくらいに真っ赤になって固まっている。
取り残された形になった僕達2人を道行く人々は不思議そうに眺めている。
朝一で、初めて出会った小さな2人。
その2人のペースにすっかり巻き込まれた形になってしまった。
・・・でも憎めない感じだよね。
とりあえずこんな道路のまん中で人にじろじろと注目を浴びるのも何なので、
僕は真っ赤になってぷるぷる震えている石川さんを促して学校へ向かった。
- 277 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月17日(月)21時09分49秒
- 更新しました。
熱は出ていないのに身体の節々が痛い・・・これ風邪なのかなぁ?
>きいろ様
矢口の放った暗号・・・それはすでに手元には解読して置いてあります。
しかし更新スピードが思うように上がらず、なかなか明らかにならないかも(苦笑)
きいろ様の喉に御飯が通らなくて倒れてしまう前には更新したいです。
市井くんねぇ、彼に本当の春はいつくるんでしょうか(けっこう遠い目)
>サイレンス様
市井くん、最初の予定ではお笑い担当じゃなかったんですよね・・・(汗)
気がつけばこんな扱いに(大汗)
『ぐっちゃー☆』狙いますとも流行語大賞!!!
頑張れ石川さん!!!!
- 278 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月17日(月)22時31分05秒
- 更新お疲れさまです。まだ寒いですからね〜。体に気を付けて下さいね。
今回のよっすぃーマジかわいいです。
自己紹介のセリフが自分的にさいこ〜でした。
はい、今年の流行語期待です!次回の更新期待してます。
- 279 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時29分31秒
- あいぼんめ〜〜!!!
何てこと言うのよぉ!そしてののも何であんなに楽しそうに笑ってたのよぉ!!
何も彼氏がいたことないなんて吉澤くんにばらさなくたっていいじゃない・・・(涙)
そのうえ人を果実みたいに扱ってくれちゃって(大泣)
ずっと怒りと恥ずかしさでぷるぷる震えていた私のことを吉澤くんはちょっと困ったように笑いながら
学校まで連れてきてくれたけど・・・その困った笑顔が余計に恥ずかしいさを生む。
あまりにも優しすぎるその性格が・・・私の恥ずかしい歴(彼氏いない歴等々)レベルを10くらい上げる。
こんな綺麗な顔で背も高くて優しい性格でだもんね、きっと今まで彼女とかいたんだろうなぁ。
20歳にもなって今まで一度も付き合った人がいないとかなんて幼いとか思われちゃったかなぁ。
ちらっと横目に吉澤くんを確認しようと思ったらいつの間にか吉澤くんは消えちゃてるし・・・。
- 280 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時30分28秒
- まだ誰もいない講義室。
電気をもつけていないから部屋の中を照らしているのは太陽の光りだけ。
その陽射しをあびるように私は席についた。
・・・温かいなぁ。
何だか眠りたくなるような陽射し。
何も書かれていない黒板、誰も座っていない席。
太陽によって明暗がはっきりと別れている小さな世界。
この世界が私は好きだ。
「石川さん、これどうぞ」
私がぼんやりと太陽が当たっている席と当たっていない席の境目ら辺を見ていたら、
吉澤くんがいつの間にか私の隣に来ていた。
- 281 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時31分24秒
- 手には紅茶の缶を2つ持っている。
吉澤くんはその1つを私に向かって照れたように差し出していた。
「あ、ありがとう」
もらった缶はひんやりしていて、この暖かな陽射しによく合う温度だった。
吉澤くんは私よりも3列後ろである一番後ろの一番端に自分の鞄を置いてから、私の所に戻ってきた。
窓枠に腕をかけるようにして背中をもたれるその姿は、何だかとても絵になる。
黒色だけど日にあたると柔らかい栗色に見えるその髪。
眼鏡越しにある大きくて茶色い瞳。
色の白い肌。
長い手足。
まるで一枚の絵画を見ているようだった。
- 282 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時32分19秒
- こんな人が私の友達なんだって思った。
それは何だか照れくさくて、恥ずかしくて・・・
突然自分には何もとりえが無いような感覚にさせられた。
「・・・大丈夫ですか?」
こんな私に気がついた吉澤くんは心配そうに私の顔を覗き込む。
私はこんなにも人に優しくなれているのだろうか?
吉澤くんの瞳に写る私が歪んで見えた。
泣きたくないのに涙が出そうになる。
歪んだ私がもっと歪む。
吉澤くんは困った顔をしながら私にハンカチを差し出してくれた。
ホームシックというのが後押ししてか、最近涙腺の弱い私はその優しさで目からは涙がこぼれた。
- 283 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時33分03秒
- 「hぅぅ・・・何でそんなに優しいよぉ・・・何で私には何もないのぉぉぉぉぉ」
突然泣いてしまった自分を卑怯だと思った。
そしてこんな言葉を吉澤くんにぶつけてしまう自分を卑劣だと思った。
本当突然だし、きっとワケわかんないし。
ひがみ、妬み、憧れ、自分の持っていないモノに対する嫉妬。
そして何もない自分を拒絶されるんじゃなかっていう恐怖。
突然思ったことを突然簡単に口から出てしまった。
吉澤くんはきっと困っている。
ワケわかんないって思って困って呆れてしまっている。
せっかく出来た友達。
こんな簡単に失う。
・・・自分ってば馬鹿だ。
- 284 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時35分10秒
フワッ
が、私のネガティブ思考はここで途切れた。
大きくて温かい手が私の頭を優しく撫でる。
その手の正体は吉澤くんで、呆れていると思った顔は笑顔だった。
「僕、何となくですけど今石川さんが思っていること分かりますよ。
僕がよく考えているのと同じだと思いますから。
僕が優しいとかどうかは自分じゃ分からないですけど、石川さんがそう感じたなら
それは石川さんが優しいからです。
僕も自分にはないものを持った人が羨ましかった。
友達とか彼女とかいなかったから、そういうの持ってる友達が羨ましかった。
運動できる人、歌が上手い人、絵が上手い人、勉強が出来る人、
全てに憧れて全てを羨みました。
でも、それは羨むだけで何にもならないんです。
今でもよく考えます。
『何で僕はこんなんなんだろう』って。
コンプレックスの固まりでしたからね。
太陽の下を顔を上げて歩くのですら苦痛でした。
- 285 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時36分20秒
- でも、そんな僕にも信頼できる友達がいます。
友達が新しくできました。
その人達がいるから僕は今顔を上げて道を歩くことができます。
そういうきっかけを作ってくれたのは石川さんですよ。
自分に何も無いなんて言わないで下さい。
僕は石川さんのおかげでけっこう救われたりしてるんですから」
こんなにも沢山話す吉澤くんは初めてだった。
話していて照れてしまったのか、色白の肌にほんのり赤みがささっている。
まったくもって吉澤くんは優しい。
こんな私に必死に言葉をかけてくれる。
それも照れながら、自分のことを話してくれる。
さらに彼女がいなかったなんておまけ情報まで教えてくれた。
- 286 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時37分20秒
- どうして私はこうもネガティブ思考なんだろう?
どうして前向きに考えることが苦手なんだろう?
どうしてこんなにも吉澤くんの前でぼろぼろとみっともない程大泣きをするんだろう?
・・・そもそもどうしてこんなにも自分の中で落ちて行ってしまったんだろう。
「あ、あ、あ、あのぉ・・・何だかべらべらと・・・
こう何て言うんでしょか・・・あ、あのぉ・・・」
私の頭に乗せた手を退けて今さらながらにオロオロとする吉澤くん。
自分で言っておきながらどうしてそんなに困っているの?
・・・そっか、それはやっぱり人が完璧じゃないからか。
吉澤くんにだって出来ないことや欠点とかあるんだよね。
私ってばネガティブ思考なうえ単純お馬鹿さんだ。
あっという間に悩んであっという間に立ち直っちゃった。
- 287 名前:梅雨の陽射しと吉澤くん 投稿日:2003年03月19日(水)11時38分30秒
- 今度は私が吉澤くんを励ます番かしら?
友達はもちつもたれつだよね。
だから私はオロオロとする吉澤くんの頭に手を乗せて同じように優しく撫でてあげた。
とたんに吉澤くんの顔は今まで見たことがないくらいに赤くなった。
「ありがとう」
この言葉は静かな教室に吸い込まれるように溶けて行った。
- 288 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月19日(水)11時42分37秒
- 更新しました。
昨日の夜、数年ぶりに39度という高熱だしました。
・・・やっぱ健康一番ですね。
今回吉澤くん頑張りました。
甘々書きたい病の表れのような更新でした。
>サイレンス様
ありがとうございます。
見事風邪ではない病気でした。
やられました。3月半ばになっても寒い日は続きますね、お互い健康に
十分気をつけましょう←説得力がない。
吉澤くん、小さい子にはけっこう弱いです(w
- 289 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月19日(水)12時04分46秒
- こんにちは!いっきにここまで読ませて頂きました♪
いいですねぇぇぇぇぇぇぇッ!!!ほのぼのしてて、超おもしろいです!!
いしよしがどうなるのか…すっごい楽しみです!!
そしてあいぼん。良い味出しまくってます!!すごいです!!
続き、楽しみにしております♪
- 290 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月19日(水)12時59分35秒
- 自分今頭痛いです。水がほしーです。
よっすぃーやさしい、こーゆー雰囲気めっちゃ好きです。
最近、梨華ちゃんよりよっすぃーに心が動かされることが多いです。
作者さん熱大丈夫ですか?心配です。次の更新も楽しみです!
- 291 名前:きいろ 投稿日:2003年03月19日(水)13時33分25秒
- 甘いっすね〜今回のいしよしは(笑)
それにしてもよしこ頑張りましたな。
梨華ちゃんの『吉澤君優しさグラフ』も一気にうなぎ上りですね。
くっつきそうで…OHくっつかない…ってぎりぎりなのもまた良いですよ。
頑張ってくださいね。
- 292 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月19日(水)19時43分23秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
吉澤君と石川さん。こんな初々しい関係は読んでいてほのぼのと癒されます。
加護ちゃんの活躍もいいですね!普段からからかわれている石川さんを想像してにやけてしまいます。
次回更新も楽しみに待ってます!
- 293 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時38分23秒
- わいわいがやがや
ここは高校、只今お昼休みの真っ最中。
で、机を2つ向かい合わせにくっつけて御飯を食べているのは辻加護コンビ。
机の上には加護のお弁当と、辻のお昼であるパン類(自分の机からはみだして加護の机に侵入中)
「お前はいつか胃が破裂すると思うわ」
お弁当のおかずに入っている、たこさんウィンナーを頬張りながら加護は呆れたように
目の前でもりもりパンを頬張っている辻を眺めていた。
そんなことを言われながらも辻は全くおかまいなしに食べ続けている。
辻はてとも幸せそうな顔だ。
それを見守るクラスメイト達も幸せそうだ。
机の上には空の袋が転々としている。
さて、こんなにも量があるとそれなりに食費というものがかかるはず。
高校生の2人はもちろんだがあまりお金があるというわけでもない。
ならば何故辻はこんなにも毎日量を食べることが出来るのであろうか?
- 294 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時40分05秒
- 答えは可能だ。
辻はその愛くるしい風貌から購買のおばちゃんに何も言っていないのにパンをもらっているのだ。
おばちゃん達は加護にも進めているのだが、その度に加護は丁重に断り、
その加護の分を辻はもらっている。
結果こんな量になるのだ。
慣れたといえば加護も慣れたものなのだが、毎回こんな辻を目の前にしていると、
それよりも呆れる方が先走る。
ため息混じりに厚焼き卵をお箸でつかんで口に入れようとすると、
その手がぴたっとビデオの一時停止をしたように止まる。
「・・・。」
「・・・・・。」
辻の口からよだれがこぼれる前に加護は掴んだ厚焼き卵を辻の口元に運んでやった。
- 295 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時40分43秒
- 「お〜いし〜のれ〜す☆やっぱりおいぼんのお婆ちゃんが作るお弁当はおいしれすねぇ」
「いや、食べながら喋らんといて。
口の中めっちゃ見えるって」
「は〜いな〜のれ〜す☆☆」
「・・・。」
そう黙っているのが正解なのだ。
辻は今幸せの絶頂にいるような顔をしている。
きっと漫画とかで描かれるならば辻の周りには花がまっていることだろう。
そんな幸せを潰してはいけない。
親友の幸せそうな顔を見て、加護は本日何度目になるかわからないため息をついた。
(・・・厚焼き卵、帰ったら作ってもらおうっと)
- 296 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時41分48秒
- ながったらしい講議がやっと終わって、僕は少し伸びをした。
授業が終わるチャイムが鳴っても話しを止めなかった講師の先生のおかげで、
次の授業まで後5分しかない。
暖かな陽射しを浴びていたせいか、今回の授業はいつも以上に眠たかった。
っていうかこの講議の後に実習なんて言われてもなかなか身が入らない。
・・・でも次の実習って安倍先生なんだよね。
昨日、わざわざ埼玉まで届けものをしてくれた先生の授業。
それを眠気眼で受けるワケにはいかない。
僕は両の頬をぺちんと叩いて眠気を覚ますように気合いを入れた。
鞄の中に教科書やノートをしまって、それを肩にかけるとずっと座っていたせいで
固まってしまった足をぐっと伸ばす。
- 297 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時42分52秒
- まだ成長期なのかなぁ?
関節が何だか痛い。
立ち上がって教室を移動しようとしていた僕の身体を、
ポケットに入れておいた携帯がぶるぶると揺らす。
『次の授業は5Fのデッサン室に変更だってさぁ。
急がないと遅刻になっちゃうよぉ』
石川さんからだ。
時計をちらっと見るともう次の授業まで3分くらいしかなかった。
僕は温かいこの席に分かれをつげて講義室からデッサン室へと向かった。
階段を1つ飛ばしで登る気持ちは何だかとてもいい感じだった。
- 298 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時44分59秒
- はぁ〜綺麗な歌声だぁ・・・。
私は今、吉澤くんからかりたCDを聴いている。
今日の放課後、クラスメイト達がぞろぞろと教室を出て行くなか、
吉澤くんはCDを2枚かしてくれた。
『ひょっとしたら聴いたことあるかもしれないですけど、これも名曲ばっか入ってるんで』
と言いながら渡してくれたのだ。
お部屋のベッドに座りながら、テレビもつけないで静かに音楽に耳をすませる。
外からは時たまトラックが走る音や車のクラクションが聞こえてくるけど、
そこまでひどい騒音じゃない。
一人暮らしして1年。
どういうワケかあまり料理は上達しないけど、それなりに作れるようになった。
自分で適当に御飯作ってお腹一杯になったところでこの音楽。
・・・最高。
- 299 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時45分52秒
- まぁ1人っていうのが何だか寂しいけどね。
ジャージ姿で布団に寝転がる。
吉澤くんの部屋みたく天井に星があるわけでもなくて、ただそこは真っ白なだけだけど、目を閉じて
この音楽を聴いているとそれだけであの時の部屋が浮かんでくる。
ブーッブーッブーッ
思いでの世界に浸っていたら、携帯のがメールの到着を私に告げてきた。
誰だろう?
柴ちゃんかなぁ?
ぱかっ
・・・吉澤くんからだった。
- 300 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時46分28秒
- いつもは私からメールを送っている。
吉澤くんの方からメールが届を送ってくれるなんて初めてのことだ。
『CDどうでしたか?
ちょっと歌詞カードとかなくしちゃって
あんまり歌の内容分からないんですけど、
綺麗な歌じゃないですか?
夜に聴くと気持ちよく寝れると思いますよ
(僕はですけど(笑))
それじゃあおやすみなさい』
・・・保護決定。
可愛い。
メールだけ見ると年下の子からみたい。
1人にやけて返事を打って送信する。
- 301 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年03月20日(木)15時47分07秒
- 『ありがとう☆
本当綺麗な曲だね。
今日はぐっすり眠れそうだよ。
おやすみなさい』
本当、今日はぐっすり眠れそう。
まだお風呂入ってないけど、明日の朝は入ればいっか。
私はコンポをスリープモードにしてお布団の中に潜り込んだ。
睡魔はすぐにやってきて、私のことを眠りへと誘って行った。
- 302 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月20日(木)16時12分43秒
- 更新しました。
風邪じゃなくて身体の中にばい菌入ってるそうです。
そんなワケでお家のお布団の中にくるまっています。
バイトにも行けず暇です。
ので、連日更新できちゃいました(苦笑)
余談ですが・・・
小さい頃って他の子が風邪ひいてるのを見て『自分も風邪ひく!』とか頑張って
本当に風邪ひいて『自分ばかぁ〜辛いじゃん』ってよく思っていました。
>クロイツ様
こんちゃぁです☆
うおぉ〜クロイツさんだ〜←小さい頃テレビ局で有名人に会った時の気分。
こんなにもなかなかくっつかないいしよしを面白いと言っていただいて・・・(照)
今後まったり2人は近付いていく予定なんです。
そう、まったりと・・・(汗)
あいぼんは何かと他人の恋愛に首をつっこみたくなる人みたいです(w
(小学校の頃、自分が先生の恋愛についてからかったように←まだ悪気はない頃です)
本当まったりですがよろしかったら見守ってて下さい(w
>サイレンス様
体調大丈夫ですか?
PCなので水はお届けできませんが、代わりに小説を更新してお届けします。
自分はけっこう早い時間に学校に行く人で、抗議室とか誰もいない空間が好きだったんで
そんなことを思い出しながら描きました。
気に入っていただけてよかったです(w
そして心配をかけてしまったみたいで・・・申し訳ないです。
そしてありがとうです。
- 303 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月20日(木)16時13分17秒
- >きいろ様
何か微妙に甘いですよねぇ(苦笑)
吉澤くんの中では『クラスメイト』と『友達』の境界線はかなぁり大きいので
優しさ度数も数段違うらしいです(まぁ単に素が出せるってことだけみたいですけど)
石川さんの『吉澤君優しさグラフ』確かにうなぎ上りです。
早くくっつけと思いつつもなかなかくっつかない・・・悲しいです。
頑張ります!
>ななしのよっすぃ〜様
癒しですかぁそう言っていただけると何だか照れくさいけど嬉しいです。
あいぼん&ののコンビは自分の中で一押しなんで、これからも活躍していただきます。
やっぱり石川さんは辻加護コンビにはいじられキャラでしょ(w
困った顔がまた可愛らしい☆
- 304 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月20日(木)18時36分31秒
- 頭痛は治って変わりに胃が痛い…。最近昼夜逆転のせいで
不摂生でして。自分も今日は1日布団の中でした。
作者さん、健康って大事ですね〜!
う〜ん確かに癒しの小説ですね。梨華ちゃんとよっすぃー
の関係いいですね。ここでもよっすぃーに惚れました。
自分は梨華ちゃん好きのはずなんですが…。
次回の更新も期待です。
- 305 名前:きいろ 投稿日:2003年03月20日(木)21時32分15秒
- 大丈夫ですか?そんな状態で更新なんて…
もし作者さんの病気が悪化してこの小説が読めなくなったりしたら…!!
…と、ゆーわけで連日更新お疲れ様でした(笑)
次も期待してまっせ。
- 306 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月21日(金)20時29分05秒
- 作者さま、更新お疲れさまです&病も気からといいますお大事に。
いや〜初々しい二人、最高に可愛いです。
借りたCDを聴きながら吉澤君のことを想う梨華ちゃん。メール保護もほのぼのした感じが〜、叫びたくなります。(笑)
二人の仲が徐々に進展しますように祈りつつ、更新を楽しみに待ってます!
- 307 名前:Dream in Dream・・・ 投稿日:2003年03月23日(日)22時52分58秒
- 夢、それはとても不思議なものだと僕は思う。
ありえないことが起きて、自分でもつっこみを入れたくなるような行動をとったり、不可解なことが沢山おこる。
世界は奇妙な形に歪み、浮遊物は惑星であったり、それはまた見たようなアニメのキャラクターであったり、
紗耶香だったり、ごっちんだったり、安倍先生がったり、矢口さんだったり、
2人の中学ちびっ子組みだったり、名前も知らない誰かだったり、石川さんだったり。
表れては消え、表れては消え。
皆の口は何かを喋っているようだったけど、それは僕には聞こえない。
瞬きをすると目の前にいたはずの人は消え、さっきまで立っていたはずの所はすでにもう違う所へと代わる。
- 308 名前:Dream in Dream・・・ 投稿日:2003年03月23日(日)22時53分45秒
- アンリアルな景色に、どこか妙に冷めた頭で『これは夢』なんてことを理解する。
覚めない夢にも思える何処までもはてしなく続く世界に存在する木製の扉。
開ければそこはカラーの世界からセピアの世界の入り口へと続く。
振り返れば扉は消え、何処か昔じみた記憶を探るようにそっと見なれた壁に触れてみる。
感覚はない。
痺れた指先に触れた壁が柔らかいのか・・・僕の指先がおかしいのか・・・。
そんなことなんて分からない。
視界に広がる世界は全て昔の映画のようなセピア色。
- 309 名前:Dream in Dream・・・ 投稿日:2003年03月23日(日)22時55分00秒
- 『夢』と『現実』の違い。
リアルとアンリアルの境目。
境界線を引くのは僕。
僕自身。
誰もいない世界。
扉を開けた瞬間からそこに人の気配はしなかった。
僕は1人。
僕はひとり。
僕は独り。
・・・違う。
僕は独りじゃない。
ひとりじゃない。
1人じゃない。
その証拠にほら、この香。
- 310 名前:Dream in Dream・・・ 投稿日:2003年03月23日(日)22時56分17秒
- 振り返れば皆がいる。
これは『夢?』それとも『現実?』
境界線を引くのは僕自身。
さらばこれはきっと『夢のようで夢でない現実。でも、これは夢』
その証拠にほらまた扉が見えた。
さっきと同じ木製の扉。
後ろを振り返れば皆がいる。
僕の背中を押すように皆がいる。
『扉』
その奥に皆はいるの?
躊躇する心。
- 311 名前:Dream in Dream・・・ 投稿日:2003年03月23日(日)22時57分43秒
- 向き合う扉は僕の人生そのもの。
躊躇する心は今までの僕。
そして・・・
手を引くのは
・・・誰?
でも温かい。
それにこの手は僕の知ってる人の手。
綺麗に開いた扉は重く、硬く、冷たく、そして温かく・・・
先の世界はモノクロで・・・
この先の世界を塗っていくのは自分なんだと思った。
- 312 名前:Dream in Dream・・・ 投稿日:2003年03月23日(日)22時59分49秒
この世界、きっと人でいっぱいにしよう。
沢山の綺麗な色で埋めつくそう。
『夢なら覚めてもかまわない。
繋がれた無数の手が絆の証拠だから。
夢でも現実でもかまわない。
君がこの手をつないでいてくれるなら。
・・・君は誰?』
光りのせいか、何なのか。
君の顔が見えなかった。
でもすごく温かかった。
『夢なら覚めてもかまわない。
ここは僕がつくるから。
君がそばにいてくれるから・・・』
- 313 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月23日(日)23時11分56秒
- 妄想のような更新終わりました。
改行多くてすみません。
ちょっと分かりににくいあもしれませんが、これは吉澤くんが見た夢です。
そして作者が妄想し、とりつかれた話しです。
う〜ん微妙でごめんなさいです。
明日またできたら更新します。
>サイレンス様
自分は昨日20時〜7時まで寝ました←寝過ぎ
おかげで健康な身体に戻りました(w
今回はめっちゃ吉澤くんだけの登場でございますた。
癒しにもならずで・・・(汗
>きいろ様
只今『ルパン3世』のCDがかかった部屋の中にて更新しました。
う〜ん落ち着かない。
体調、本当に皆様に心配かけてしまったようで・・・。
もう本当にごめんなさい。
すこぶる元気です。
>ななしのよっすぃ〜様
いや〜御心配かけました(反省)
もう本当ばっちりです。
メールって『その人』が表れますよねぇ。
吉澤くんはこんな感じでちょっとお子さまちっくな感じです。
『いや〜こんなメールあんまし無いよなぁ・・・』そんなこと思いながら書きました(苦笑)
- 314 名前:Rain Day 投稿日:2003年03月24日(月)09時24分07秒
夢を見た。
夢の中にはアンパンが出てきて、私のことを思いっきり殴った。
・・・ちょっと泣いた。
でも温かい手で慰められた。
癒された。
この話しを柴ちゃんにしたら『吐き気がする』って言ってトイレに駆け込まれた。
失礼しちゃうよ。
- 315 名前:Rain Day 投稿日:2003年03月24日(月)09時25分07秒
- 外は相変わらず雨ばっかり。
いくら梅雨とは言ってもこんなに雨ばっかだといい加減うんざりしてくるんだよねぇ。
ざーざーって音も最初は心地よかったけど、今はちょっと聞き飽きた。
降水量はすでに1年間で降る量を突破。
例年以上の雨に気象予報士も真っ青だ。
日本のお天気を調べる力っていうのは世界でもトップレベルだというのに、
こうも天気を読みにくい国だとそんな力もあまりあてにならないらしい。
「大変なのねぇ〜」
他人事みたいに呟いてみた。
柴ちゃんはまだトイレから戻ってこない。
だから私につっこんでくれる人もいない。
「ハ〜リ〜ポッタァ〜」
ちょっと英語っぽい発音で小さく素早く呟いてみる。
- 316 名前:Rain Day 投稿日:2003年03月24日(月)09時25分53秒
- ・・・。
「梨華ちゃん、熱でもあるの?」
待ってましたよ柴田あゆみさん。
「いや、こう雨ばっか続くと嫌だよねぇって思ってさ」
「ハリーポッターと何も関係ないじゃん」
「日本の天気は大変なんだよ」
「帰るよ」
「ごめんなさい」
柴ちゃんが私の目の前の席にどかっと座る。
呆れた顔は予想通り。
「梨華ちゃんってこんなキャラじゃなかったのにねぇ。
一体今日はどうしたのよ?」
「それは雨のせいだよ」
「はいはいそうですねぇ。それより本当もう帰らない?
ついでにお茶でもしていこ」
そう、今は放課後。
- 317 名前:Rain Day 投稿日:2003年03月24日(月)09時27分02秒
- ついに卒業制作を本気で取り組む体制になってきたので、私と柴ちゃんは放課後自らに気合いを入れるべく
『卒業制作に向けてやる気をいかに出させるか計画』を練っていたのだ。
もちろん脱線ばかりで何も計画なんて立てられていない。
柴ちゃんは開始1分くらいでもう帰りたそうにソワソワしていたし、私も言ったはいいが具体的な案なんて
思い浮かばなくて途方にくれていたから。
そしてそれた話しはどんどんと歪んでいき、どういうワケか私の夢の話しになった。
そして今さっきの話しになり、今こうなっているのだ。
既に席から立ち上がった柴ちゃんは傘も持って帰る準備万端。
残すは私の離陸のみといった感じだ。
こうなったらもう帰るしかない。
『帰らない』と一言言ったら、この雨の中誰もいない講義室に取り残される。
- 318 名前:Rain Day 投稿日:2003年03月24日(月)09時27分53秒
- 「そうだね、もう帰ろうか」
柴ちゃんは嬉しそうに笑った。
卒業制作に就職活動。
ついでにバイトに残りは課題。
こんな私達の生活にちょっとした一時というのは大切なのかもしれない。
私は言葉にしないで、心の中で『ありがとう』を送ろうと思って
じっと柴ちゃんを見つめていたら『きしょい』と言われた。
雨降り放課後。
親友は優しいけどちょっといじわるです。
- 319 名前:矢口と矢口となっちです。 投稿日:2003年03月24日(月)09時28分53秒
- とんとんとんとん
包丁は一定の間隔で軽快なリズムを刻み続ける。
包丁を握っているなっちは鼻歌まじりで御機嫌よろしく腰をフリフリ真っ最中。
「矢口と矢口は何食べたい?」
「オイラは焼肉」
「ニャー♪」
オイラの腕の中で丸まっているぬくい子猫と一緒に元気よく返事をする。
頻繁にになっちの家に出入りするオイラはすっかり子猫の『矢口』とお友達だ。
黄色くてぬくいこいつは何だかちょっとミルクくさくて、フワフワしていて抱いてて気持ちがいい。
慣れたもんでこいつの『矢口』って呼び名もあまり違和感なく聞けるようになった。
「だめだよぉ〜♪今日はなっち特製オムライスの日なんですよぉ」
「なら始めから何が食べたいなんて聞くなよ!」
「 ニャー!!」
- 320 名前:矢口と矢口となっちです。 投稿日:2003年03月24日(月)09時31分35秒
- オイラとこいつはすごく気が合う。
名前が一緒だと似るのかな?
ともかく子猫の『矢口』はオイラと同じで元気一杯だ。
よくミルク飲むし、よく鳴く。
さらに言うならばよく暴れる。
「そういえば昨日のラジオ聞いたよ。矢口のことべた惚れって感じのやつ」
そうそう、オイラは今ラジオのパーソナリティーをやっている。
れっきとしたお仕事でね。
けっこう評判がいいらしくてもう何年もやらせてもらってるんだ。
で、昨日読んだ葉書の中に『ネコの名前で悩んでる』っていうのはあったから
ついついこいつのこと話しちゃったんだよねぇ。
「だってこいつ可愛いじゃん。なんかオイラの子供って感覚なんだよねぇ」
むにゃむにゃっと顔を撫で回すと、こいつはくすぐったそうに目を細める。
何だか癖のある笑いかたまでオイラに似てるよ。
- 321 名前:矢口と矢口となっちです。 投稿日:2003年03月24日(月)09時32分21秒
- 「ダメだべよぉ〜矢口はなっちの子供なんだからさぁ。
矢口にはあげませんからねぇ」
戯けながらもなっちは器用にフライパンをひっくり返す。
炒められた御飯が空中を踊るように回転して見事フライパンに着地をする。
・・・ぐぅ
「・・・お腹鳴っちゃった」
「・・・んにゃぁ」
オイラも矢口もけっこう腹ぺこ。
こんな時に犬に待てをする主人に対する犬の気持ちを考えたりする。
おあずけは辛いのよ。
ぐでーっとテーブルに顎を乗せて、頭の上に矢口を乗せる。
矢口の2重層。
視線だけでなっちに御飯を催促して、ひたすら待つ。
「はい!出来たぁぁぁ☆☆☆」
待って出来上がってきた御飯は最高で、オイラも矢口も空腹の獣のようにかぶりつく。
そんなオイラ達を見ていつもなっちは嬉しそうに笑うんだ。
- 322 名前:矢口と矢口となっちです。 投稿日:2003年03月24日(月)09時33分45秒
- 『おいしそうに食べてもらうのは嬉しいもんだべ』っていつか言っていた。
『おいしいもんはおいしいんだからおいしそうに食べるのはおかしなことじゃない』
そう言い返したらなっちはケラケラと笑った。
何だか家に帰るのも面倒なので、このままなっちの家に泊まらせてもらうことにした。
ってかそんなことが多々あるので、なっちの家にはオイラの歯ブラシがばっちり用意されてるんだ。
第2の我が家という感じ。
矢口専用お布団もばっちりあるから布団の取り合いもしないですむし、安眠できる。
オイラと矢口となっちはお腹一杯になって、幸せな気持ちで眠りにつく。
ミルクの匂いのする矢口と、お日さまの匂いがするなっちはオイラを素敵な夢の世界へ連れていってくれた。
何でもない日常、それは気がつかないけどとっても幸せがつまっている。
いつか誰かが言った言葉が、夢に落ちる寸前に聞こえた気がした。
- 323 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月24日(月)09時34分51秒
- 更新しました。
う〜んいしよしはどこに行ってしまったんだろう?
- 324 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月24日(月)10時42分31秒
- 昨日のやつなんか好きです。
幻想的ってゆーかなんかいい話。
いしよしないですけど作者さんの話
好きなんで楽しく読ませてもらいました。
自分のを更新もせず読ませてもらってばっかり
いる。自分はダメダメです。
- 325 名前:きいろ 投稿日:2003年03月24日(月)13時58分21秒
- 更新乙です。
昨日のなんかいい雰囲気ですね。矢口と矢口両方好きです(笑)
今回のはやぐなち(?)といししばを堪能させていただきました。
次も楽しみに読ませて頂きます!
- 326 名前:ケメ子参上 投稿日:2003年03月27日(木)21時58分46秒
- 「・・・はい、じゃあまた御連絡させていただきます」
パタンと閉じた携帯をポケットにしまう。
今までの疲れをごまかすようにすーっと大きく息を吸い込む。
「日本最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
空港中に響き渡る程の大声。
当たり前だがその視線は1人の男性にそそがれる。
一瞬にして人々の注目の的となったその人物。
会社の同僚はこう呼ぶ『global KEMEKO』と。
- 327 名前:ケメ子参上 投稿日:2003年03月27日(木)22時00分26秒
- 怪しい文法に怪しい発音。
身ぶり手ぶりで相手に言葉を伝え、一気に契約まで取り付ける凄腕サラリーマン。
多少の強引さはあるものの、取り引き先では信頼を勝ち取り、着実にその実績を伸ばす。
ネコのように釣り上がった目が何とも特徴的な、現在独身無駄に金持ち彼女いない歴25年。
名前を『保田圭』という。
「やっぱ日本よ!最高よ!!そして休暇よ!!!最高級よ!!!!」
*たまに『おかま』なようなところが出る。
しまったばかりの携帯を取り出して電話帳から昔からの友人の名前を呼び出す。
- 328 名前:ケメ子参上 投稿日:2003年03月27日(木)22時01分17秒
- 『・・・はい、市井です』
「・・・日本に降臨」
『圭ちゃん!!!!おぉ〜ついに帰ってきたんだ!!
んだよ、非通知とかマジ止めろよ、誰か分からねぇじゃんか!』
「相変わらず元気みたいだねぇ、ってかあんた仕事中じゃないの?
そんなでかい声出して平気なの?」
『今外。
丁度取材終わったところなんだよ。だからちょっと人の視線が痛いだけ』
「相変わらずだね」
『まぁね、それより今何処?もう家着いたの?』
「いや、まだ空港なんだ」
『じゃあすぐ車出すよ。どうせ今日はもう何も仕事残ってないしさ』
「そお?じゃあよろしく」
後は適当に言葉を交わして電話を切った。
しばらく時間が空くので、大きな荷物を引きづりながら航空内にある喫茶店へと入る。
運ばれてきたコーヒーの苦さが妙に懐かしい。
日本にいるからだろうか?
いつも飲んでいたはずのモノだが違った味に感じた。
ネクタイを少し緩めて、もう1人の昔からの友人の名前を携帯から呼び出した。
- 329 名前:ケメ子参上 投稿日:2003年03月27日(木)22時02分22秒
- 『お掛けになった電話番号は現在使われておりません・・・』
何度かコールした後に聞こえてきた機械的な声。
そういえばメールで携帯が壊れたとか言っていたのを思い出した。
とりあえずPCの方に到着のメールを送っておく。
「何だか日本に帰って来たって感じ」
コーヒーを飲みながら眺める新聞記事の活字が日本いることを納得させる。
ぱらぱらを新聞をめくりながら記事を読む。
一応海外でも仕事をしながら日本のことについてはPCでチェックしていたが、
事細かなことなど日本の新聞にしか載っていなモノなどを見ると
ここが日本なんだということを納得させられる。
コーヒーのお代りを頼み、しばらく時間を潰す。
椅子にリラックスして座っていると自分がどれだけ疲れていたかが分かる。
何だか動くのも面倒なので、店には悪いと思うがこのまま紗耶香が来てくれるまで
ここで時間を潰させてもらった。
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- 330 名前:ケメ子参上 投稿日:2003年03月27日(木)22時03分51秒
- 久々に会った悪友幼馴染みは何も変わっているところなんてなくて、
相変わらず市井紗耶香という感じだった。
仕事帰りらしいスーツ姿、片手をポケットにつっこんでニヘラニヘラと
笑いながら歩み寄るその姿、紗耶香は自然体でいることが一番自分に
似合っていることをよく知っている。
かざらないその姿は男の自分から見ていても格好良いと思うことがある。
「で、今回は日本にどれくらいいれるんだ?」
さして渋滞に掴まるわけでもなく、車は軽快に進んでいく。
「まだよく分からないんだよね、一応今回の仕事がやっと一段落ついたところだから休暇もらった。
分かってるのはそれだけ」
「ったくいい加減なやつ。本当計画性あるのかないのか分からなくなる時があるよ」
答える代わりに笑って流した。
しばらく適当な雑談なんかを交わしていたら、紗耶香の携帯が鳴った。
- 331 名前:ケメ子参上 投稿日:2003年03月27日(木)22時04分45秒
- 「はい、あぁお前か。
何?どうしたの?・・・あぁ、うん・・・ごめん今日は無理
・・・うん・・・はい、じゃあね」
簡潔に話しをまとめて電話を切る紗耶香。
これも日本を発つ前と代わりなどなかった。
『女?』と聞くと『一応ね』と答える紗耶香の横顔は何処か感情が読めない。
昔と同じだ。
「あんたまだそんなことやってんの?」
曖昧に笑う紗耶香はやはり昔と代わりなんてなかった。
「・・・まだ忘れられない?」
この質問に紗耶香は大分時間を置いて答えた。
「・・・まぁな」
人生なんて何が起きるか分からないものだ。
自分は紗耶香とこの会話をする度そう思う。
- 332 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月27日(木)22時14分00秒
- 更新しました。
旅最高です。
2泊3日でしたが最高でした。
>サイレンス様
夢みたいな作者の妄想気に入っていただけたみたいで(照れ)
ここの話し好きって言っていただけるなんて嬉しいです☆
今後もそう言っていただけるように精進します!
そして・・・あんまり飛び交わないもので分からないのですが、
よろしければサイレンス様が書いている所教えてもらって良いでしょうか(汗)
失礼な質問ごめんなさい。
>きいろ様
いや〜ありがとうございます。
妄想しやすい私の脳みそ。
褒めていただけると何だか安心します(w
そしていしよしメインとか言っておきながらも出てこないいしよし。
多分きっと今度の更新くらいにはいしよしが来るはず・・・(汗)
やぐなちはとっても書きやすいのでお気に入りです☆
- 333 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年03月28日(金)07時22分05秒
- 作者さま、更新お疲れさまです&旅からの無事の帰還、おめでとう?ございます。
いよいよ、ケメコ登場ですね!よっすぃ〜&梨華ちゃんにどんな影響が、でるんでしょう?楽しみです。
そしてついに明かされるんでしょうか?市井さんがタラシをしつづける理由が。
次回更新も楽しみです。
- 334 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月28日(金)11時47分01秒
- 更新お疲れ様デス。旅ですか、いいですね〜
行きたいな〜。
ケメ子だ〜。さてケメ子はどんな人なのかな?
楽しみです!
自分の書いてるところは…もう見つかったみたい
ですね。わざわざ見ていただいてすいません。
作者さま、次の更新もお待ちしてます。
- 335 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月31日(月)16時02分08秒
- ケメ子さん素敵過ぎます…!!
そしてそのノリについて行ける市井さんも素敵(笑)
更にタラシな市井さん、すごい好みです。
梨華ちゃんとヨッスィーがこれからどうなるのかも楽しみですね〜♪
がんばってくださいね〜♪
- 336 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時38分19秒
- 放課後、久々におとずれたデッサン室は人が誰もいなくて、
やっと今まで通りの生活に戻ったことを実感した。
金曜日の午後、向かうキャンバスは真っ白で鉛筆を持つ僕の手は
期待と不安で少し震えている。
卒業制作に本格的に挑むことになった。
課題は自由。
自由と言われれば逆に悩むというものだ。
描きたいことなら沢山あるが、絞り込むのが難しい。
頭の中で踊るイメージを捕まえて腕の動くままに描く作業。
気分は最高だが、無から有をつくり出す時に感ずる緊張感。
震える手が僕の気持ちをあらわす。
真っ白なキャンパスに向かってひたすらに腕を動かす。
時間も空間も飛び越えた世界。
- 337 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時39分22秒
・・・だけど
僕の腕は今宙ぶらりん。
動かしていた鉛筆もキャンバスに着く寸前で動き続けていたからやっぱり
キャンバスは真っ白のまま。
走った鉛筆は空気に落書き。
違う。
下ろした腕から思わず鉛筆を落としてしまった。
カラカラと軽快な音をたてながら転がった鉛筆を、腕を伸ばして捕まえる。
あ〜あ、鉛筆の芯折れちゃったよ。
椅子に座り直してゴミ箱代わりの缶の大きいやつを引き寄せる。
カッターを使って鉛筆削り。
描きたいっていうよりはどうしようって気持ちが強い。
震えていた手はあっと言う間に動きが平常通りになるし、頭にあったイメージなんて
シャボン玉の丸が弾け飛ぶようにぱんぱん消滅していく。
- 338 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時40分31秒
- 「吉澤くん」
鉛筆を削る手がぴたりと止まる。
顔を上げると僕の方に向かってぱたぱたと走ってくる石川さんが視界に入る。
「よかった〜、多分ここじゃないかって思ったんだ」
そう言いながら鞄をごそごそとあさって紙袋を取り出した。
それを僕に向かって差し出す。
「CDありがとう」
「あ、どういたしまして」
紙袋を受け取って自分の鞄の中に入れる為にかがんだ時に、イーゼルに触れてしまい
またしても乾いた音が床に鳴り響いた。
何で今日はこうついていない日なんだろう。
さっきからどうも間抜けなことばかりしている。
思わずため息がもれる。
このため息が石川さんに聞こえてしまったらしく、石川さんはちょっと小さく笑った。
- 339 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時41分17秒
- 「何ため息なんてついてるのよ。こんなこと私しょっちゅうだよ?
はい、お姉さんが一緒に拾ってあげるからそんな暗い顔しないのよぉ」
ちょっと芝居がかった感じのおどけた調子で石川さんは僕と一緒に鉛筆を拾ってくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ、それよりもひょっとしてそれ卒業制作の為の?」
鉛筆を僕の手に渡しながら、真っ白なキャンバスを指差す。
僕の横に並んだ石川さんからかすかに香る香水の匂い。
その女の子の匂いにちょっとドキリとした。
「はい、でも何だかどうしてよいかわからなくて・・・」
「う〜ん卒業制作だもんねぇ・・・」
「はい・・・」
ちょっと指でキャンバスをなぞってみる。
でこぼこした表面。
まだ何も描かれていない真っ白な布。
「あのさぁ・・・」
指を止めて腰をかがめている石川さんのことを見上げるように顔を上げる。
- 340 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時42分07秒
- 「別に焦らなくてもいいんじゃない?
描けない時があるように描ける時が来ると思うんだよね」
そう言って僕に笑顔を向ける。
確かに焦る必要は無い。
それは分かっているつもりだった。
でも、分かっていても描けない自分に対しては落ち着かない気持ちがある。
「ほら、そんなに眉間にシワよせてないの」
ぐいっと人さし指で僕の額を押すよう眉間によっていたらしいシワを伸ばされる。
・・・子供扱いされてる感じ。
「吉澤くんさ、ちょっとは生き抜きしたら?
絶対に日光に当たっていない生活してるでしょ」
腰を曲げている体制が疲れたらしく、石川さんは伸びをしながら腰を叩いた。
「そうだ、明日とか明後日晴れだったら散歩でも行かない?」
「えっ?」
「散歩、お散歩だよ。それとも何か予定でも入ってる?」
「い、いや何も特に用事はないですけど・・・」
「なら決定!明日行こう!!ほら、今日はもう片付けて帰るよ」
- 341 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時43分10秒
- その行動力に唖然としていた僕を差し置いて、石川さんはせっせと片付けを始めた。
イーゼルを片されて、白いキャンバスをしまわれる。
ぼけーっと座っている僕の服の袖をつかんで立つように促すと、椅子すらも
手早く片付けてしまった。
何が石川さんをここまでやる気にさせるかが僕にはさっぱり分からないけど、
まぁ片付けられてしまったものはしょうがない。
そのうえ散歩なんて久しぶりだから何だかちょっとワクワクしてきてた。
「じゃあ何処行きましょうか?」
窓を閉めていた石川さんが僕の方を振り返った。
「散歩ですよ。やっぱり落ち着く所の方が良いですよね」
「そうだねぇ、芝生とかにがばって横になるのがいいねぇ」
「じゃあ土手にでも行きますか?僕良い所知ってるんですよ」
「本当?じゃあ私何かお弁当作っていくよ」
- 342 名前:真っ白&桜色 投稿日:2003年03月31日(月)22時44分08秒
- 気持ちは何だか遠足気分。
沈んでいた気持ちも一気に回復。
僕はいつも石川さんの力で助けられている。
彼女はすごいと本当に思う。
冷静になって思ってみれば、ちょっとくらい描けないなんてどうってことない。
とんでもなく簡単な答えだ。
散歩かぁ、久しぶりに休日を外で過ごすのか。
本当楽しみになってきた。
今日は何年かぶりに『てるてるぼうず』を作ってみよう。
何だかこんなことを考える自分がおかしくて笑ったら、石川さんが不思議そうに僕を見てきた。
石川さんには感謝感謝だ。
「楽しみですね」
この言葉に石川さんはすごく爽やかな笑顔で頷いた。
- 343 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年03月31日(月)22時51分37秒
- 更新しました。
春らしいお別れのイベント続きでちょっと悲しくなっていました(涙)
分かれもあれば出会いもある。
でもやっぱりお別れって悲しいですよね。
皆頑張れよぉ!
>ななしのよっすぃ〜様
ケメ子出てきました。
市井くんの過去はもうちょい先に明かされそうですね。
ケメ子はしばらく日本に滞在させる予定なので、今後も沢山暴れていただきます。
>サイレンス様
旅は素敵ですよ。
人間には生き抜きってものが必要だと強く感じました。
ケメ子には私も今後期待してます(w
>クロイツ様
いしよしがあまり出てこなかった最近の更新。
やっとこさ今回登場です。
まったり進む物語の中、2人はどうやってくっついていくのかなぁ←オイ。
- 344 名前:名無し香辛料 投稿日:2003年04月01日(火)03時13分13秒
- お!デートだデートだ!
まああんまり本人達は意識してないようですが(w
実際今は桜も満開、あったくなってきていい季節ですもんね。
私も散歩にいこうと思います。 更新頑張って下さい。
- 345 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月01日(火)12時14分53秒
- 積極的な梨華ちゃん!!素敵!!ポジティブポジティブ!!
かぁぁ〜わぁぁ〜いぃぃ〜いぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜!!!
なんだかもう、ときめきすぎて胸が痛い…(笑)
土手でデート!!お弁当もって!!くぅぅぅぅ〜〜〜〜!!!楽しみです!!
次回も楽しみにしております!!
- 346 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月01日(火)22時11分08秒
- で、デートですか。
ついにここまで…。
しかも石川さんの手作りの弁当つきで。
気になる、続きがすごーく気になります。
次回めっちゃ期待です。
- 347 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時10分28秒
- 天気は最高!風は最適!!
今日はすごくお散歩日和。
家で作ったお弁当を鞄に入れて、待ち合わせてある駅に向かう足取りはすごく軽い。
「お、梨華ちゃん」
「あいぼん、おはよう」
「おはよう。何や楽しそうだね」
あいぼんはニコニコしながら私に向かって走ってきた。
そしてジャンプ一番ぎゅっと抱きついてくる。
あいぼんはふかふかの良い匂いがした。
子供らしいと言ったら怒られるかもしれないけど、大人っぽくなくて自然の匂いがする。
「あいぼんはこれから何処か行くの?」
よいせよいせと身体から降りて両足着地。
ピンクのぼんぼんがカラッと軽快な音をたてる。
- 348 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時11分40秒
- 「ウチこれからののの家行くんや。
おばあちゃんが上手い和菓子作ってくれてな、ののに電話で話したら即答で頂戴って」
何だかののらしい。
私とあいぼん、2人顔を見合わせて思わずクスッと笑ってしまった。
「で、梨華ちゃんは何処行くん?」
「私は吉澤くんとお散歩だよ」
「吉澤って、あのでっかい兄ちゃん?」
「うん」
あいぼんはちょっと考えたようなそぶりを見せてから意味ありげにニヤリと笑った。
・・・な、何よ・・・何よその目は・・・。
怪しく光るその目。
・・・恐いじゃないの。
「何や、やっと梨華ちゃんにも遅〜い春が来たんやね」
「・・・ちょ、違うわよ!!吉澤くんは友達だって言ってるでしょ!!!」
「そんなコウモリみたいな高周波ださないでよぉ〜照れない照れない」
- 349 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時12分24秒
- かぁ〜ちょっと間違った標準語がどうにも憎たらしく聞こえてしまうわ!
あいぼんは怒った私を置いて『ののに早速報告や!!!』と言ってもうスピードで駆け抜けて行った。
まったく、本当に人をからかうのが好きなんだからぁ。
ぷぅっと頬を膨らませていると、空で鳥がちゅんちゅん鳴いた。
ちらっと腕時計を見てみる・・・大変!!
もう約束の時間まで5分しかない!!!
私はあいぼんへの復讐を誓って駅までの道のりを自分の持てる体力の続く限り走り続けた。
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- 350 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時13分25秒
- 吉澤くんはもう来ていた。
ジーパンにTシャツ、その上にはおったカジュアルな感じのシャツ。
鞄を肩から下げて、本を読んでいる。
ぱたぱたと音をたてて走って行くと、この騒々しい音に気がついた吉澤くん(その他大勢)が顔を上げた。
照れたように笑顔を向けて片手を上げる吉澤くん。
格好良いくせにそういうところがいやに可愛い☆
「おはようございます。って大丈夫ですか?」
吉澤くんが焦るのも無理はない。
だって私頭クラクラしてるもん。
これは酸欠というものでしょうか?
おろおろと手を出したり引っ込めたりしている吉澤くんの姿が横目に入る。
「お、おは、よう・・・ちょっと・・・ま、って、てね」
木に手をついて、息を整える。
ひえ〜苦しい、そして暑い・・・。
「これ、よかったら飲んで下さい」
そう言いながら差し出してくれたのはまだ口も空いていないペットボトル。
- 351 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時14分59秒
- ありがたいことです。
本当ありがたいことです。
私は遠慮もせずにソレを受け取ると、3分の1くらいを一気に飲んだ。
・・・最高。
「ふ〜ありがとう、後で買って返すね」
「そんなこと気にしないでいいですよ」
そう言って私の手からペットボトルを受け取ると、吉澤くんはそれを
自分の鞄の中にしまい込んだ。
この後、私の回復を少し待って、私達は電車に乗り込んで目的地である土手に向かった。
やっぱり吉澤くんは大きい。
大きい大きいとは思っていたけど、こう電車に乗って立っていると、
他の人よりも頭1つ分は飛び出ている。
何だかモデルさんみたいだ。
そして何度か乗り換えをして目的地の駅についた。
都心から離れた所にあるこの駅は、私の住んでいる駅よりも
吉澤くんが住んでいる駅の方が近いだろう。
そのことを言ったら吉澤くんは笑ってそれを流した。
- 352 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時15分58秒
- 時刻はちょうどお昼時。
土手では子供連れの家族やカップルが楽しそうに食事をしている。
私達はしばらく他愛もない話しをしながら歩いて、あまり人がいない木陰に座り込んだ。
川の水面は太陽の陽射しを浴びてキラキラと輝いていて、上を見上げたら葉と枝の隙間から
暖かな陽射しが差し込んできている。
穏やかな風も気持ちが良くて、何だかこのままお昼寝をしてしまいたい気分だ。
「晴れてよかったね」
「そうですね、僕昨日久しぶりにてるてる坊主作っちゃいましたよ」
・・・可愛い
その照れた笑い方、てるてる坊主・・・お姉さんもニヤけてしまいます。
「吉澤くんって可愛らしいよねぇ、何か最初持ってたイメージと全然違う」
「か、可愛いって・・・そんなことないですよ。
でも僕に最初持ってたイメージってどんなでした?」
真っ赤になってる吉澤くん、ちょっと前ならきっとこんなこと言われたら
私みたいにネガティブ一直線だったのかも。
やっぱり思ったけど、吉澤くん変わったね。
- 353 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時16分38秒
- 「そうだなぁ、最近まで話したことってなかったでしょ?
それまでのイメージって何かちょっと暗そうって感じだった。
誰もよせつけない、誰も深い入りさせないみたいなオーラがあった気がする」
「やっぱそう見えちゃうんですかね?
僕あんまり人付き合いとかしないし、紗耶香にも『お前って根暗だよな』って言われたし」
「でも代わったよね、本当良い意味で。
すごく話しやすい人だったし、何だか可愛いし」
こう言った後、吉澤くんは本当に恥ずかしそうに真っ赤になって指を指で弄んだ。
やっぱりその1つ1つの仕種は可愛いとお姉さんは思うよ。
「ぼ、僕なんかよりも石川さんの方がよっぽど可愛いですよ」
蚊の鳴くような声、そんな感じで吉澤くんはぽつりと言った。
何だかその照れよう、聞いてる私の方が恥ずかしくなってきてしまう。
- 354 名前:晴れた日は君と共に 投稿日:2003年04月03日(木)19時17分18秒
- 「な、な、なぁに言ってるのよ、私だって花の20歳よ。
そりゃ可愛くて当たり前よ」
ばしっと吉澤くんの肩を叩く、吉澤くんは苦笑いを浮かべながら私の顔を見て来た。
「ちょ、何か言ってよぉ、恥ずかしいじゃんかぁ」
今度はばしばしと吉澤くんの肩を叩いたら、吉澤くんは笑い声をあげながら
この私の些細な攻撃を受けた。
梅雨晴れの陽射しの中、私達はそれからお腹をかかえて笑いあった。
私、石川梨華現在20歳。
何だかとっても楽しいです!
- 355 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月03日(木)19時31分21秒
- 更新しました。
まったりですが近付く2人?
こんな感じで書き続けてるんですが・・・ゆっくりすぎてもどかしいです。
>名無し香辛料様
まったくもって2人は意識してません(w
あくまでも『お散歩』なんだそうです。
そして今私の地元はちょうど桜が見ごろです。
晴れた昼の桜も夜桜も最高級。
美しい季節です。
>クロイツ様
だ、だ、だ、だ大丈夫ですか(0〜0;)←眼鏡よし子
石川さんが積極的にならなきゃどうにも動かないのがここのいしよし(汗)
それも最初よりも石川さん、性格変わってきました(大汗)
土手のデート(?)はもうちょい続きます。
少しでも2人が近付きますように(祈り
>サイレンス様
確かに長かったです・・・。
しかしあんまり時間経過がない感覚なんですよねぇ(大大汗)
石川さんははりきりやさんです。
お弁当は朝の6時に起きて作りました(無駄に早起き。その後もう一眠りしたようです)
- 356 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月03日(木)21時17分03秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
可愛すぎます!反則ですよ、石川さん。
仕事の疲れが一気に癒されていきます。
このほんわかした雰囲気が大好きです。
続きも頑張ってください。楽しみに待ってます!
- 357 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月03日(木)21時20分11秒
- 土手デート最高…!!!
梨華ちゃ〜ん!!ああ、梨華ちゃぁぁぁぁぁぁ〜ん!!!
石ヲタ魂刺激されまくりです…!!
胸が痛いの…!!(笑)
最 高 で す 。
すごいですよ〜!!もーなんか萌え尽きそう…!!
しかも吉澤君!!
>「ぼ、僕なんかよりも石川さんの方がよっぽど可愛いですよ」
っかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やってくれたぜ!!!
君に『燃え尽きたで賞』を差し上げます(爆笑)
次回も楽しみにしてますね!!
- 358 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月03日(木)21時22分34秒
- 更新お疲れ様です。
てるてる坊主ってなんかここのよっすぃーに
あってる気がしてすごくかわいいです。
とある事情で睡眠時間3時間。
うーん眠い。でもここのいしよし
見てたら眠気吹っ飛びました。
- 359 名前:晴れた日は君と共に2 投稿日:2003年04月05日(土)00時01分36秒
- 「これおいしいですねぇ」
石川さんが作ってきてくれたお弁当。
その中に入っていたべ−グルサンド。
僕はべ−グルが大好きである。
石川さんはこのことを知ってか知らずか、ゆで卵の挟まったべ−グルサンドを
作ってきてくれていた。
シャキシャキレタスにゆで卵。
最高の組み合わせだ。
「よかった喜んでもらえて。
今日のことごっちんに言ったら『よし子は無類のべ−グル好きだよぉ』って
教えてくれたんだ」
そっか、ごっちんが教えたんだ。
ならば納得だね。
石川さんは僕に並んでべ−グルサンドを食べている。
う〜ん小さい口だなぁ。
何だか女の子って感じ。
ってあれ?
- 360 名前:晴れた日は君と共に2 投稿日:2003年04月05日(土)00時02分47秒
- 「石川さん」
「ん?」
やっぱり。
「口の横、マヨネーズ付いてますよ」
「え、どこ?どこ?」
「あ、おしい。もうちょっと横です」
石川さんは鏡を出そうとしてか、持っていたべ−グルサンドを何処に置こうか悩んでいる。
何だかごっちんを見ているみたいだ。
ごっちんもよく食べ物を口の横につけている。
それも無邪気に笑いながら食べているものだから指摘しにくくて、
僕はいつもごっちんの代わりに取ってあげているのだ。
だから石川さんにもごっちんと同じことをしてあげた。
あたふたしている石川さんの口元に指を近付けて付いていたマヨネーズを
すっと拭ってあげる。
「はい、もう付いてませんよ」
そう僕が言うと、石川さんは真っ赤になって『ありがとう』って言った。
あれ?何か僕そんな赤くなるようなことした?
・・・ま、いっか。
- 361 名前:晴れた日は君と共に2 投稿日:2003年04月05日(土)00時04分24秒
- この後、2人して石川さんが作ってきてくれたお弁当をすっかりたいらげると、
他愛もない話しをしながら僕達はこの時間を楽しんだ。
少し会話が止まったところで腕時計を見てみると、針はもう4のところを指していた。
ちょっとだけ空気を感じようと思って目を閉じる。
風はだんだんと夏っぽくなってきていて、肌寒さなんかよりも心地よさを運んでくる。
しばらくこのまま陽射しや風を感じる。
今日は外に出て来てよかった。
石川さんに感謝だよ。
お礼をしなきゃいけないかね、夕飯でも御馳走しようかなぁ。
そんなことを考えながら石川さんの方を向くと、石川さんは
芝生に横向きになるようにして眠っていた。
芝生の緑に柔らかくて細い髪が溶けこんでいて、何て言うんだろう?
自然と溶け込んでいるとでも言うのかな?
何だかとっても神秘的なモノに見えてしまった。
そしてちょっと僕はそんな石川さんに見愡れてしまったのも事実だ。
その寝顔に思わず鞄からスケッチブックと鉛筆を取り出してデッサンをはじめる。
輪郭や眉毛、通った鼻筋や薄い唇。
僕はこれらを描きながら石川さんが目覚めないことを祈った。
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- 362 名前:晴れた日は君と共に2 投稿日:2003年04月05日(土)00時05分43秒
- 「・・・ん、う〜ん」
それからしばらくして、石川さんは目を覚ました。
こんな外で爆睡する石川さんは何だかとってもすごい気がする。
「おはようございます」
「ん、おはよう・・・あれ?私ひょっとして寝てた?」
「ええ、けっこうぐっすり寝てたんで起こさないでいたんですよ」
まだ目がしっかりと覚めていないのか、ぼうーっとした様子で石川さんは
目を両手でごしごしと擦って大きく伸びをした。
「あれ?これ・・・ありがとう」
そう言って僕に渡してきてのは、石川さんがぐっすりと寝てしまっていたので、
上からかけといてあげた僕の上着。
寝冷えするといけないからね。
「今って何時くらい?」
もう一回大きな伸びをして身体をぐ〜っと伸ばして、服や髪にくっついた芝を払う。
- 363 名前:晴れた日は君と共に2 投稿日:2003年04月05日(土)00時06分25秒
- 「今ですか?え〜っと・・・6時くらいですね」
「6時!?」
「え、あ、はい」
「そんなに寝ちゃったんだぁ・・・ごめんねぇぇ」
激ハの字眉毛。
両手を顔の前で合わせて深々と頭を下げるその姿に思わず苦笑いしてしまう。
別に僕としてはそんな気にすることでもない。
ゆっくりとした時間も過ごせたし、内緒だけど石川さんのデッサンもじっくりできたし。
「そんな顔しないで下さいよ。僕気にしてないんですから」
「う〜でもぉぉぉぉ・・・」
この顔を世では一般的に泣き出しそうな顔というんだろう。
可愛らしいというか、何というか・・・。
「ほら、だからそんな顔しないで下さいってば」
そう言って昨日石川さんが僕にしたように眉間のシワを人さし指でぐいっと押す。
何だか僕に妹がいあたらこんな感じなのかと思ってしまう。
- 364 名前:晴れた日は君と共に2 投稿日:2003年04月05日(土)00時07分43秒
「・・・吉澤くんは優しすぎるんだよぉ」
「そうですか?」
「そう。人間優しくされすぎるとつけ上がるか、泣きたくなるか、惚れちゃうかだよ」
「じゃあ石川さんはどれですか?」
「私は〜・・・泣いちゃうかな?」
「じゃあ今泣いてみますか」
そう笑っていうと石川さんは『ばかぁ』って言いながら僕の額をベチンと叩いた。
・・・ちょっと痛いねぇ。
でも石川さんは泣かなかったよ。
代わりに楽しそうに笑った。
それからは2人して川の水面に写る夕日と幻想的な空の色を言葉少なめに眺めた。
キラキラと光る水面は、柔らかい風になびかれてその光りを幻想的に写し出す。
空は夕方から夜に写る為の境目で、オレンジ色と青色と、そして暗い色と、
様々な色を何重にも重ね合わせたような色だ。
気持ちがよかった。
僕は本当に今日この場に来たことを心から嬉しく思った。
- 365 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月05日(土)00時23分58秒
- 更新しました。
外は雨〜『花冷え』ってやつですかね。
最近は寒いので皆様風邪なんかには御注意を・・・。
>ななしのよっすぃ〜様
仕事の疲れをふっとばす程の威力を持っている石川さん・・・すごいですねぇ。
いや、そう言っていただけると嬉しいです。
何だか褒められることにあまり慣れていないので照れが(W
ほんわか雰囲気が続くように作者頑張ります!
>クロイツ様
♪デートは続く〜よ〜ど〜こま〜でも〜(ちょっと嘘)
甘いいしよしが書きたかった時期なのでこんな感じに微妙な砂糖が加わってます(w
ハリーを意識した眼鏡にチェンジ!→(*○〜○)『燃え尽きたで賞』ばっちりいただきました。
賞をもらった吉澤くんはかな〜り照れてるようです(w
ありがとうございます☆
>サイレンス様
身体大丈夫ですか?
自分も研修時に徹夜が続き、夢の中でも仕事をしている時は『末期だぁ』って思ってました(苦笑)
睡眠っていうのは大切ですよねぇ(しみじみ)
てるてる坊主の顔は市井くんだったそうです(理由は雨とかに嫌われそうだとか・・・)
今回も睡眠の邪魔をするような内容になったんでようか(w
- 366 名前:きいろ 投稿日:2003年04月05日(土)11時29分59秒
- いつの間にかデートしてるうぅ!!!なんてこった。
自分が楽しみにしているいしよしにまた一歩近づいたわけですね…(にやり
と、ゆーか石川さんも吉澤さんも可愛すぎですよ!
あぁー、続きが気になる…更新お疲れ様でした。
- 367 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月05日(土)16時59分09秒
- ひと言、最高です。
本当にここのいしよし特によっすぃー最高です。
なんか絵に描いたような2人にマジ感激。
更新お疲れ様でした。続きも待ってます。
疲れが吹っ飛びました。作者様のおかげで!
- 368 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月06日(日)06時43分42秒
- 作者さま、行員お疲れさまです。
よっすぃ〜の何気ない仕草の1つ1つが優しくてカッケ〜です。
真っ赤な顔になった石川さんも可愛いです。
ほんとに初々しさを失わない二人です。
吉澤くんの卒業作品はもしかして...。
次の更新も楽しみに待ってます!!
- 369 名前:チャリは進むよどこまでも。 投稿日:2003年04月07日(月)08時55分02秒
- シャコシャコシャコシャコ
ジーパンにトレーナー姿の男とジーパンにカジュアルなジャケットを着た男を乗せた
自転車は軽快なリズムでぐんぐんと土手を走って行く。
「ったく何が悲しくて男とチャリの2ケツなんてしなきゃいけねーんだよ」
「いいじゃないのぉ、1人で買い出し行くよりも楽しいでしょ」
市井紗耶香と保田圭である。
ちなみにペダルをこいでいるのは市井の方だ。
前の篭には向かう途中で立ち寄ったスーパーで買った酒類やおつまみや野菜が入っている。
- 370 名前:チャリは進むよどこまでも。 投稿日:2003年04月07日(月)08時56分57秒
- 「それにこのチャリ小さすぎんだよ、やぐっちゃんサイズのチャリ
普通にこげるのなんてなっちぐらいなんじゃないのか?」
「あんたそれ矢口に聞かれたらあの鉄板が入ってるんじゃないかと思える
厚底で思いっきり蹴られるよ」
「・・・言うなよ」
「あぁそういえば久しぶりに帰ってみたらウチにある
巨大水槽が大分汚れてたんだよねぇ」
そう、保田の家には無駄に大きな巨大水槽がある。
しかし海外などへの出張が多い保田、水槽の中には魚などはおらず、
水や草や石などを置いているのだ。
「・・・俺の親友回すよ」
「1人?」
「・・・じゃあそいつとそいつの友達」
「黙っといてあげる」
市井は心底ほっとした表情を浮かべると、さっきよりも早いスピードで
ペダルをこぎはじめた。
- 371 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月07日(月)09時16分02秒
- ちょっこり更新です。
また後で更新します(多分今日中には・・・)
>きいろ様
世間一般には『デート』というモノですが、ここの2人にとっては『お散歩』です(苦笑)
>自分が楽しみにしているいしよしにまた一歩近づいたわけですね…(にやり
近付けていたら良いのですが(汗)
純な2人の物語りはまだまぁだ続きまぁす☆
>サイレンス様
>ひと言、最高です。
て、照れてしまうのれす・・・(恥)
『目指せ疲れを癒すいしよし』で、頑張ります!
今日も一日頑張っていきまっしょい!!
>ななしのよっすぃ〜様
卒業制作ですかぁ〜ちょっと考えてはいるんですが、あんまり具体的にはまだ・・・(焦)
でも良い意味で期待を裏切れるようなモノを考え出せたらとは思ってるんですが、
どうなることやら自分もあまり分かってません←オイ。
そこにいきつくまでにはいしよしがくっつくといい〜なぁ〜(遠い目)
- 372 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月07日(月)09時44分29秒
- ちょ、ちょっと来れなかった間に!!でぇとが!!
つーか吉澤君…萌 え 殺 す 気 で す か ?
やばいれす。萌え尽きそうです。口の端のマヨネーズ!!マヨネーズ!!
ぐああああ!!!
梨華ちゃん、超可愛かったです…。くそぅ!!かわれ、吉澤君!!
デート、最高でした…
そしてヤッスー。最高ですヤッスー。
鉄板入ってそーな厚底のキック…矢口さん最強ですね(笑)
次回も楽しみです!!
- 373 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)11時59分59秒
- 「そろそろ行きますか」
辺はすっかりと暗くなってきていた。
同じ姿勢でずっと座っていたものだから身体の節々がちょっと痛い。
石川さんは僕の言葉に頷くと、立ち上がってスカートについた芝を両手で払う。
「何だか疲れがとれたって感じですよねぇ」
「うん、私こんな良い所はじめて来たよ」
「じゃあまた来ますか?今度はごっちんとかもさそって」
「うん!そうだね!!」
暗くなってきたせいで石川さんの表情は見えにくくなってきているけど、
その顔をすごく笑顔だ。
僕達はさしてない荷物をまとめると鞄も持って立ち上がった。
「そうだ、よかったら帰り車で送りましょうか?」
「え!吉澤くん免許持ってるの?」
「はい、高校の夏休みに取ったんですよ」
「でも、悪いよ・・・」
「何言ってるんですか。気にしないで良いですよ」
- 374 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時01分12秒
- 石川さんは少し悩んで、しばらくしてから『じゃあ、お願い』って言った。
そういうワケで僕達は一路家へと向かう。
母に簡単に用件だけ伝えると、嬉しそうに『気をつけるんだよ』と言い、
玄関まで見送りにきてくれた。
前に一度だけ簡単に挨拶がしたことがあった石川さんは母と楽しそうに会話をしていた。
母も母でとても楽しそうだった。
ついでにごっちんにも顔を出しに行く。
石川さんはごっちんとメールのやり取りはしていたみたいだけど、
会うのはあの嵐の日以来だから嬉しそうだ。
「こんばんはー」
ガラガラと扉を開けると、ごっちんのお母さんが大きく手を振って答えてくれた。
すでに何人かお客さんがいておばさんは忙しそうに動いている。
「真希今2階の自分の部屋にいるわよ」
「ありがとうございます」
階段を登ってごっちんの部屋に向かう。
石川さんも僕の後に続いて階段を登って行く。
- 375 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時02分15秒
- トントン
「んぁ?おかぁさん?」
「違うよ、僕だよ僕。入って平気?」
返事よりも早く扉が開く。
ごっちんは寝癖頭のままで、着ていたモノは寝間着というか部屋着というか、
ともかくそんな感じのモノだった。
「・・・今日梨華ちゃんと遊ぶんじゃなかったの?」
「何怒ってるの?ひょっとしてごっちん誘わなかったから?
でもそれはごっちんが『無理』って言ったんだよ」
「違うよぉ、鈍感間抜けでかでかよし子」
「・・・何それ」
「何で梨華ちゃん一緒にいないのぉ」
ごっちんは膨れっ面だ。
なぁんだごっちんは石川さんに会いたかったのか。
って石川さんは一緒にいるはずじゃ・・・。
「ごっちん!久しぶり!!」
「あれ?梨華ちゃんの声だ。何処にいるの?」
「ここ、ここ」
- 376 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時03分14秒
- そう言いながら石川さんは僕の背中からちょっと顔を出した。
・・・僕の真後ろに立ってたから見えなかったのか。
「梨華ちゃ〜ん☆」
「うわっ!!」
そう言ってごっちんは僕のことを思いっきり横に突き飛ばして石川さんに抱きつく。
あれま、頬ずりなんてしちゃって。
よっぽど石川さんに会えたのが嬉しいんだね。
「大丈夫?よし子に変なことされなかった?
よし子あんまりにも無知で無神経だから変とかそこら辺の境目が無いんだよねぇ」
「ちょっとそれ酷いんじゃないのぉ」
「けぇ〜っだ。何だよ鈍感よし子のクセに」
んな・・・何だよ舌まで出してべ〜ってすることないじゃないか!
それに鈍感鈍感って・・・
「僕の何処だ鈍感なんだよぉ」
「後藤の言ってることが理解できてない時点で鈍感だって言うの」
「分かるわけないじゃないか」
「ちょ、ちょっと喧嘩なんてしないでよ〜って言うかごっちん・・・く、くるし〜よ〜」
- 377 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時04分38秒
- !!
ごっちん・・・石川さんの首にしっかり腕が決まってるよ。
まだぷんすか怒っているごっちんに急いでジェスチャーでこのことを伝えると、
ごっちんはちらりと石川さんのことを見て、大慌てで腕を離した。
ドサリという音と共に石川さんは床に膝をつく。
「大丈夫ですか?」
屈んで石川さんの背中をゆっくりとさする。
けっこう本気で決まっていたらしく、石川さんはケホケホと咳き込んで『びっくりした〜』と
ごっちんを気づかうように冗談混じりの声を出した。
「ほら、ごっちん、ちゃんと謝らなきゃダメでしょ」
「う〜・・・ごめんねぇ梨華ちゃん」
僕と同じように屈んでごっちんは石川さんの頭をよしよしと撫でる。
その顔はかなりマジで凹んでいる感じだった。
ごっちんは自分の馬鹿力に気が付いていないのかな?
僕もごっちんに関節技とかかけられると真面目に痛かったりするんだけどなぁ。
- 378 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時05分33秒
- 「あれ?よし子携帯鳴ってるよぉ」
そう言って僕のジーパンのポッケから携帯を取り出して通話ボタンを勝手に・・・押す!?
「もしも〜し後藤はよし子の一応幼馴染みの後藤で〜・・・あうっ!!」
「ちょっと人の電話に何勝手に出てるんだよ!
はい、もしもし」
『・・・後藤が出た。吉澤の携帯に後藤が出た』
「あ、紗耶・・・」
「hぁぁ〜ん!!梨華ちゃん!よし子が後藤の頭ペチンしたよ〜」
『梨華ちゃん!女か!吉澤の周りに後藤以外の女がいるのか!!
お〜い皆〜吉澤が女のたぶらかしてるぞぉ〜』
紗耶香は多分今紗耶香と一緒にいるであろう人達にこんな勝手なことを言った。
電話越しからは様々な声が聞こえてくる。
そして僕の斜後ろでは石川さんに頭を撫でてもらって僕をぎっと睨んでいるごっちん。
・・・僕何か悪いことした?
- 379 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時07分04秒
- 「・・・変なこと言わないでよ。で、何?どうしたの?」
『おぉ!肝心な用事を忘れるところだったよ。
なぁ今からなっちの家来ないか?もちろんそこにいる人達も誘って良いからさ』
「なっち?なっちって安倍先生のこと?」
『そうそうお前のところの安倍先生の家。
今圭ちゃんのお帰りパーティーしようと準備してるとこなんだけどさ、
こういうことって大人数の方がいいじゃんか、んでなっちも吉澤とか誘おうって言っててさ』
「ちょっと待って、すぐかけなおすから」
電話を切ってちらっと斜後ろを向く。
ごっちんはまだ不機嫌そうな顔で僕を見ていて、石川さんは困ったようにまだ頭を撫でている。
はぁ、こりゃ何とか御機嫌とらないと何されるか分からないな。
ごっちんと紗耶香を会わせるのは嫌だけど・・・。
ちょっとごっちんに近付くと、ごっちんは石川さんの陰に隠れるように身を交わす。
それでもかまわず近付いて同じ目線になるように膝を曲げる。
「・・・凶暴男女」
ぐっ・・・
- 380 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月07日(月)12時08分58秒
- 「・・・叩いたのは確かに悪かったけど、ごっちんも何も言わずに
人の電話とかに出るからいけないんでしょ?」
「よし子のけちんぼ」
「ごっちんだって僕とかに勝手に電話出られたら嫌でしょ?」
「・・・うん」
頷きはしたものの、今だ膨れっ面で石川さんの服の袖を掴んで離さないごっちん。
本当に僕よりも年上っぽく見える時もあれば、今みたく小さな小さな子供に見える時もある。
まったくもってほぼ20年間付き合いをしている僕でもまだ理解しきれないところがあるよ。
「ほら、そんな顔しないで。
それよりさ、ごっちんも石川さんもこれから時間ある?」
「「時間?」」
「そ、時間」
- 381 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月07日(月)12時19分36秒
- 更新しました。
多分どころか朝一更新からほんの数時間で更新できてしまいました(w
今回の『晴れた日は皆と共に』は何だかとっても長くなってしい、どこで区切ったら
良いのかが分からず、こんな所で区切ってしまいました(中途半端ですが)
ので、次も早いうちに更新します。
>クロイツ様
東京、今日はかなぁり良い天気です。
こんな日にいしよしはお散歩に出かけました。
今回萌どころがなくてごめんです。
ヤッスーは陰の支配者です。巨大水槽にはいつか登場してもらおうと思ってます(w
岡女での矢口の登場シーンの感想『すげー厚底』でした(w
次回も楽しみです!!
- 382 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月07日(月)12時22分22秒
- ぬが〜!!レス返しの為のコピペがちょっと残ってしまった・・・。
クロイツさん、ごめんなさい。
>次回も楽しみです!!
これ消しモレです・・・あぁ反省しにお散歩行ってきまぁす。
それではまた明日にでも・・・
- 383 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月07日(月)23時06分45秒
- 更新お疲れ様です。
いやー本当にいいですね。こんな2人。
いしよしにからむ後藤さん好きです。
次は全員集合ですかね。
続きも楽しみにしてます。
- 384 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時07分23秒
- 今さっき紗耶香からあった電話の内容を伝えると、石川さんは少し恥ずかしそうに頷いて、
ごっちんは大喜びで頷いた。
ごっちんが着替えもせずに下に行っておばさんに許可をもらいに行ったら、
まずはその格好に怒られて、お客さんからは可愛い可愛いと笑われたらしい。
でも必死のごっちんの頼みにおばさんは『いつも手伝ってくれてるから
特別有休をあげるよ』と言ってくれたんだって。
そして大急ぎで戻ってくると『着替えるから先車乗ってて』って言って
僕と石川さんをぐいぐいと押し出して行った。
僕はもう一度家に戻って今日は帰りが遅くなること、ひょっとしたら
明日帰るかもしれないということを母に伝えてから、紗耶香にもう一度
電話をかけ、安倍先生の家の場所を聞いた。
ちなみにごっちんも行けるということが分かると紗耶香は大喜びをした。
まったく幼馴染みを守るっていうのも楽なものではない。
- 385 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時08分56秒
- ごっちんは寝癖を直さないまま、着替えて僕と石川さんの前に現れた。
身体のラインにあったぴっちりとしたTシャツの上から薄手のジャケットを羽織って、
ジーンズというシンプルな、でもとてもよくごっちんに似合っている格好だ。
僕が運転席に座って、石川さんとごっちんが仲良く後ろの座席に座り込む。
「それじゃ行くよぉ」
「「おぉ!」」
車は軽快に走る。
音楽は夜のお共に最適な感じの『ケツメイシ』。
ちなみにごっちんセレクションだ。
後ろでごっちんが大声で歌えば、石川さんは隣で楽しそうに笑う。
たまにバックミラーで目が会うと微笑みあったりなんかして。
それを視界に入れたごっちんは嬉しそうに笑って運転中の僕の頭を
がしがしと撫で回す。
- 386 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時10分35秒
- やっぱり車は軽快に走る。
渋滞なんて言葉があるのだろうかと思う程に軽快に。
車内は絶えまない笑いに包まれて、運転なんて疲れにならない。
不思議なものだ。
やっぱり1人というのがいけないのかな?
黙々と運転するのは疲れる。
今はもちろん違うけどね。
「よし子〜携帯鳴ってるよぉ」
「あぁごめん代わりに出て」
「いいの?」
「うん」
聞き返してきたのはさっきのことを反省しているからだろう。
ごっちんのこういう素直なところは昔から代わっていなくて、やっぱり微笑ましいものがある。
「ねぇねぇ『後どのくらいで駅着く?』だって」
「う〜ん5分くらいかな」
「はいよぉ〜」
ごっちんは『後5分くらいだって〜』と言って、適当に言葉を交わすと電話を切った。
- 387 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時12分04秒
- 「駅でいちーちゃんが待っててくれるってさぁ」
「いちーちゃん?それ紗耶香のこと?」
「うん、今『俺のこと市井さんとかって呼ばなくていいよ』って言ったからいちーちゃん」
「・・・そっか」
僕のため息の意味が分かったのか、石川さんは後ろの席で僕と同じような顔で笑っていた。
まぁ石川さんも被害者といえば被害者だからね。
軽傷だけど。
「ねぇごっちんは市井さんと会ったことあるの?」
「ううん、ないよぉ〜。今日が初めて」
ふにゃ笑いごっちんの表情は本当に新しく人に会うのが楽しみだという感じだ。
「梨華ちゃんは会ったことあるの?」
「あ〜まぁ、会ったことがあるといえばあるのかなぁ・・・」
苦笑いをミラー越しに僕に向けてくる。
僕もそれを石川さんんい返す。
「そっかぁ、じゃあ後藤だけが会ったことないんだ。
どんな人なのかなぁ〜。
あ、でも何でいちーちゃんは後藤のこと知ってたんだろう?」
このごっちんの質問に石川さんも『そういえば』という顔をする。
そしてその視線はもちろん僕に向けられる。
- 388 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時14分03秒
- 「紗耶香が僕の家に来た時に勝手に僕のアルバム見たんだよ。
もちろんそこにごっちんも写ってるワケでしょ?
んでごっちんの存在を知ったんだ」
そんなことを話しているうちに車は事故を起こすわけでもなく駅に到着。
道路のワキに車を停車させて紗耶香に電話をかける。
以外と近くにいたらしく、紗耶香はすぐにやってきた。
「うっす、早かったな」
「まぁ渋滞もなかったからね」
挨拶も手早に紗耶香は助手席に滑り込む。
そして後ろを向くと、ごっちんと石川さんに簡単に自己紹介をした。
石川さんは2度目ということもあって曖昧な笑顔を浮かべて紗耶香と握手をして、
ごっちんは初めてというのに思いっきり笑顔で紗耶香と握手をする。
そんなごっちんに紗耶香はちょっと面喰らった顔をしてから、何とも爽やかな笑顔を返した。
「何か買って行くものとかある?」
「大丈夫だろ?今さっき俺と圭ちゃんで買い出し行ったばっかだしさ」
「そっか、じゃあ直接でいいんだ」
「ん、じゃあそこ右曲って」
- 389 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時15分52秒
- こんな感じで適当に話しをしながら車を住宅街に走らせていく。
安倍先生の住んでいるマンションは、駅から車で5分くらいの所にあった。
そのマンション専用の駐車場に車を止めて4人でぞろぞろと安倍先生の部屋に向かう。
「おぉい着いたよぉ、ここ開けてくれ〜」
紗耶香の返事の代わりに扉の奥からどたどたという
けたたましい足音がして、勢い良く扉が開く。
「待ってたよ〜!!」
奥から出てきたのは矢口さん。
すでに飲んでいるらしく、顔をちょっと赤くなっている。
「お〜来たべなぁ。あれ、梨華ちゃんも一緒だったべかぁ」
フライパンを片手に持った安倍先生は、矢口さんの身体の横から顔を出すように
ひょこっと出てきて、僕らを家に招き入れた。
部屋の中はお酒や料理や煙草の匂いが充満してい、ちょっと煙たかった。
紗耶香はずんずんと家の中に入っていくと、煙草を片手に挟んだ男の人の横に座り、
どうして良いか分からない僕らを手招きで呼んで自分の近くに座らせる。
- 390 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時17分17秒
- 「初めての奴もいるだろう?簡単にお互い自己紹介しろよ」
そう言うと隣の男の人の煙草から火をつけて、ベッドの横に寄り掛かりながら
両足をだらしなく伸ばした。
ぐでーっと全身の力を抜く紗耶香が促すように手を振る。
しかし自己紹介の前に口を開いたのは石川さんだった。
「あ、飯田さんじゃないですか」
「あれ?石川じゃん」
石川さんと飯田さんと呼ばれた人がお互いに驚いた顔をしている。
「何だお前ら知り合いなのか?」
「うん。石川はカオリの店でバイトしてるんだよ」
「へ〜意外に世の中ってのも狭いんだな。
ま、それでも吉澤とか後藤は初めてだろ?とりあえずは挨拶挨拶」
そこまで興味がないのか、紗耶香がさくさくと話しをきると
さっきと同じように手を振った。
「そうだね。カオリは飯田圭織。
なっちと地元が一緒で昔っからの友人なんだ」
「私は保田圭。
紗耶香と矢口の幼馴染みっていうか悪友っていうか、まぁそんな感じかな」
「あ、圭ちゃんたまぁにオカマ言葉出るけど気にしないでね。
昔っからの癖なんだ」
最後の言葉は紗耶香だ。
- 391 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時19分35秒
- 僕らは飯田さんと保田さんに代わる代わる簡単に自己紹介をした。
そして真っ赤になって子猫にじゃれついている矢口さんが、
安倍先生に首根っこをつかまれるようにしてここにやってきた。
「ほら、矢口もちゃんと挨拶しなきゃダメだべ?」
「ふぁ〜い。矢口です。矢口真里です。
こっちの小さい毛玉も矢口で〜す」
「んにゃ〜」
矢口さんと、子猫の矢口(さん)はそろって頭をぺこりと下げる。
何だかこの1人と1匹はとっても似ている。
ごっちんも僕も(僕は一度会っているけど)頭を下げて簡単に自己紹介をした後、
石川さんを見たら、石川さんは目を大きく見開くと、口をぱくぱくとさせて
矢口さんの方を見ていた。
「ど、どうしたんですか?」
「んぁ〜梨華ちゃん?」
僕もごっちんも石川さんの目の前で手をひらひらと振ってみる。
ついでに矢口さんと子猫の矢口(さん)もひらひらと振ってみる。
「や、矢口真里さんって・・・あの『日の丸放送のラジオ』の
パーソナルティの矢口さんですか!?」
「うん、そうだよ〜梨華ちゃんだっけ?聞いててくれてるんだぁ。
どうもありがとう」
- 392 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月08日(火)20時22分35秒
そう言って矢口さんは子猫の矢口(さん)・・・(ややこしいから子猫の方は矢口でいいや)
を石川さんの頭の上にぺとっとのっけて今だに口を開けて立ちすくんでいる石川さんの手を握って
にこやかに握手をした。
そうだったんだ。
今度こっそりラジオ聞いてみようっと。
「なんだ〜矢口ってけっこう有名人なんだな」
「ってかすごいね、声と名前だけで気付いちゃうなんてさ」
これは保田さんと紗耶香。
2人はお酒をちびちび、いやがばがばと飲みながら感心したように頷く。
「お前ら〜気付くの遅すぎるんだよぉ〜矢口はこれでも売れっ子有名人なんだぜ〜」
べろべろ矢口さん。
ふらりふらりとしながら紗耶香や保田さんの方に倒れそうになるのを
安倍先生が必死になって押さえている。
今さらながらだけど机の上や床にはけっこうな量の空の缶やビンが転がっていた。
ちょっと冷静になって全体を見てみると、普通なのは安倍先生と紗耶香くらい。
・・・何だか小さい宴会場みたいだ。
「おい、吉澤。 お前も飲めよ」
「そうだよ、吉澤こっち来なさい」
「そうだよよし子〜こっちおいでよぉ」
あれ?ごっちんいつの間に紗耶香の横に移動したの?
ってか何だそんな普通に溶け込めるの?
気が付けば石川さんは矢口さんと矢口と安倍先生と一緒になって楽しそうに喋っていて、
僕は1人きりで突っ立ていた。
「ほら、早く吉澤おいでよ」
そう言って飯田さんは自分の横をぽすぽすと叩いて僕を呼んだ。
- 393 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月08日(火)20時27分24秒
- 更新しました。
場面転換が多かったので、何だか店鋪悪いような内容になってしまいました(鬱)
ごめんなさい。
もっと文章力を磨きます。
>サイレンス様
今回は地味に絡みがあったものの、あんまし絡みがなかったいしよしです。
ここの2人にごっちんを投入すると、どうにも石川さんが放置ぎみになるみたいです(苦笑)
でも、これからもごっちんには活躍していただきましょう☆
- 394 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月08日(火)23時04分43秒
- いいですね〜こういうの。
なんかみんなでワイワイ、ガヤガヤってゆーの。
いしよしのデートもよかったけどこーゆーの
も大好き。
更新お疲れ様でした。続きも期待してます!!
- 395 名前:きいろ 投稿日:2003年04月09日(水)17時46分28秒
- 更新乙です(w
なにやらごっちんと市井さんがいい感じ…。
後藤さん、市井さんみたいな人は嫌うかと思ってました(w
男4人と女4人集まりましたねぇ。はてさてどうなるのでしょうか…
- 396 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月10日(木)14時29分56秒
- 更新前にちょいと人物紹介。
私の文章力の無さの為に、登場人物の性別等々伝わりきれてないところがある
ようなので、今まで登場した人達をここに乗せたいと思います。
名前:吉澤ひとみ
年令:20歳
生別:男
備考:色白眼鏡の背い高のっぽ。
名前:石川梨華
年令:20歳
生別:女
備考:ひとみのクラスメイト(友達)
名前:後藤真希
年令:20歳
生別:女
備考:ひとみの幼馴染み。
名前:市井紗耶香
年令:23歳
生別:男
備考:矢口、保田の幼馴染み。女ったらし。
新聞記者。
名前:矢口真里
年令:23歳
生別:女
備考:なつみの親友。
紗耶香と保田は幼馴染み。
日の丸放送のラジオのパーソナリティ。
名前:保田圭
年令:25歳
生別:男
備考:紗耶香と矢口は幼馴染み。
海外を飛び回るエリートサラリーマン。
コンピューター関係の仕事をしている。
名前:安倍なつみ
年令:24歳
生別:女
備考:ひとみ達が通う専門学校の先生。
飯田とは地元(北海道)にいた頃からの親友。
名前:飯田圭織
年令:24歳
生別:女
備考:雑貨屋(梨華のバイト先)の店長さん。
名前:柴田あゆみ
年齢:20歳
生別:女
備考:梨華の親友。
名前:辻希美
年齢:18歳
生別:女
備考:舌ったらずな高校生。
かなりの食物を摂取する。
名前:加護亜依
年齢:18歳
生別:女
備考:辻の親友。
名前:矢口(ネコ)
性別:メス
- 397 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月10日(木)14時31分49秒
- かなぁり簡単に説明しましたがこんな感じです。
多分間違えてはないはずです・・・(汗
それでは更新します。
- 398 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時34分58秒
- 飯田さんが安倍先生の昔からの友人だったのにも驚いたけど、
それよりも驚いたのは矢口さん!
すごい、いつも聞いていたラジオのパーソナルティの矢口さんが
私の隣にいるなんて!!
はぁ私ってば何だかすごい所にいるのかも。
でも緊張する程の場所にも思えないんだよねぇ。
矢口さんもすっごく気さくで話しやすくて良い人だしさ(ちょっと酔ってるけど)。
「うわっ!ちょっと吉澤って綺麗な顔してるのねぇ〜」
「あ、ちょ、ちょっと、眼鏡返して下さいよ!」
後ろ姿しか見えないけど、吉澤くんは保田さんから眼鏡を取り戻そうと
必死になっているようだ。
それを見てごっちんも市井さんもげらげらと笑っているし、
飯田さんはそれを見てとてもにこやかに微笑んでいる。
誰もが簡単に溶け込めてしまう素敵な空間。
皆がとっても温かくてとっても優しい。
「ちょっと変わってるけど皆いい感じの人達だべ?」
安倍先生はにこにこと笑いながらお酒をついでくれた。
「あ、ありがとうございます」
「あ!オイラも飲む!!なっちオイラにもついで〜」
「はいよぉ、でも後ちょっとだけだよ。
明日打ち合わせなんでしょ?」
- 399 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時37分18秒
- ぐいっと安倍先生に詰め寄る矢口さんのことを安倍先生は片手で制して、
もう片方の手でお酒をめいいっぱい遠くに離す。
矢口さんはぶ〜たれつつも楽しそうに安倍先生とじゃれあっていて、何だか2人は
とても仲が良いんだなってことを感じさせた。
「ほれ、梨華ちゃんは飲んでいいからどんどん飲んじゃいなさい」
私は遠慮なく、そのお酒を安倍先生からいただいた。
矢口さんは子猫の矢口さんと一緒に部屋の隅でいじけている。
「石川さんでいいんだっけ?」
いじける矢口さんとそれをなだめる安倍先生と、いつの間にやら溶け込みまくってるごっちんや、
無理矢理お酒を飲まされそうになっている吉澤くんを見ながらちびちびと注がれたお酒を飲んでいたら、
膝をついてずりずりと保田さんが隣によってきた。
「あ、はい。あの呼び方は石川とかそんなでいいですよ」
「じゃあ石川。あのさ・・・」
ぴたっという言葉がまさにぴったり。
密着しまくるように保田さんは私の横にびちっとくっつく。
そのあまりの密着度に思わず身体を引いてしまった。
- 400 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時38分58秒
- 「あら、失礼しました。
そんな警戒なんてしなくたって別に取って食ったりしないよ」
「は、はぁ・・・」
にこやかに笑ってはいるけど、何だかちょっと恐い。
男の人がこんなに近くにいるっていうことに慣れてないせいかしら?
う〜でも〜・・・吉澤くん、助けて(涙)
「あ、ちょっと保田さん何してるんですか!?」
心で願った瞬間に聞こえてきたのは吉澤くんの声。
あぁ何てぐっどたいみんぐなのかしら。
無理矢理飲ませようとする飯田さんを丁寧に、そしてちょっと力強くなだめると
ずんずんとこっちにやってきた。
「もぉ、僕の友達に変なことしないで下さいよ」
「あら、別に何もしてないじゃない。
それとも何?ひょっとして妬いちゃった?」
「馬鹿なこと言ってないでほら、離れて下さいよ。
飯田さんが向こうで睨んでますよ」
「カオリが?」
私も一緒になって飯田さんの方を覗き見てみる。
飯田さんはちょっとこっちを見ていたが、すぐに視線をそらして
体育座りをしながらおつまみに手を伸ばした。
「ちょっとカオリ、それ私のお気に入りのやつ〜」
保田さんはそのおつまみがお気に入りだったらしく、すぐに私の横を離れると手を伸ばしていた
飯田さんの手を制して嬉しそうにそれを口に運んでいる。
- 401 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時40分08秒
- 「圭ちゃんばっかずるよぉ〜!カオリそれまだ1つも食べてないんだからね!」
「あら?じゃあ口から出そうか?」
「馬鹿!も〜何言ってんの!!ちょっとなっち〜」
泣きそうな顔で安倍先生に向かって手を上げる飯田さんに、その横で嬉しそうに
口をもぐもぐとしている保田さん。
何だか小学生の喧嘩を見ているみたいだなぁ。
飯田さんって働いてる時はしっかりもののお姉さんって感じなのに、随分と感じが違うや。
「大丈夫ですか?何かまだ顔に力入ってますよ」
長い足を器用に曲げながら吉澤くんは私の横に座った。
「ありがとう。
男の人があんなに近くにいたいたことないからちょっと焦っちゃった」
「僕も上手いことお酒から逃れられたことだし、お礼なんていいですよ」
「そっか、でもありがとう」
「こちらこそ」
私達はちょっと笑い合って、私達は静かに乾杯をした。
- 402 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時41分19秒
- 吉澤くんはお酒が弱いらしくて烏龍茶を、私はさっき安倍先生に注いでもらったお酒で。
乾杯の後に他愛もない話しで盛り上がっていると、眠そうの声を出して温かい身体を吉澤くんに
すりよせながら矢口がやって来た。
「んにゃ〜」
「あ、矢口じゃん。どした?眠いのか?」
ひょいっと矢口を持ち上げて胸元で抱き締めるように吉澤くんは矢口を抱え込む。
「・・・みゃ〜・・・・・」
あれま、矢口ったらあっという間に寝ちゃったよ。
それも吉澤くんの腕の中ですっごい気持ちよさそうに。
「可愛いね」
「そうですね。
こういうの見るとやっぱり子供なんだなって思っちゃいますよね」
寝ている矢口の頭をちょっと撫でてあげたら矢口は気持ちよさそうな声を上げた。
あぁ何かこういうのいいなぁ。
昨日私が吉澤くんと一緒に散歩に行こうなんて言わなかったらこんな風な気持ちは味わえなかっただろうし、
もしあの時、吉澤くんが送ってくれるというのを断っていたらこの場にいれなかったんだよねぇ。
私は矢口の頭を撫でながらそんなことを思った。
- 403 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時43分16秒
- 「なぁなぁ、あそこの2人って付き合ってるのか?」
「よし子と梨華ちゃんのこと?」
「あぁ」
「違うよぉ、2人も仲の良い友達だよ〜」
小声で真剣に話しをしているのは市井と後藤である。
飯田と保田がじゃれあって、いじける矢口を安倍がなだめて、ひとみと梨華が子猫の矢口を
見守っているのをベッドにお互い肩を並べるようにして眺めているのだ。
「何だかお前とは今日会うのが初めてだって気がしないよな」
「何?ナンパ?それは後藤には利かないよぉ」
ひょいひょいっとあしらうように後藤は市井に向かって手を振る。
ちょっと面喰らったような顔をした市井だったが、すぐに顔を笑顔に変えて
『ごめん』と言って煙草を口にくわえた。
酒を持っていない方の手で火をつける前に後藤がさり気なく火を市井に近付ける。
- 404 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時45分14秒
- 「気が利くねぇ」
「褒めたって何も出ないからねぇ」
「ったく素直に褒め言葉は受け取ればいいんだよ」
「じゃあ一応受け取っておいてあげるよ」
後藤はそう言うといつものようにふにゃりと顔を歪めて視線を皆の方に向けた。
お互いに何を口にするわけでもなく、ただ無言の時間が過ぎる。
決して気まずい空気ではなくて、とても自然な空気だ。
そしてそんな空気をはじめ破ったのは後藤の方だった。
「あのさ、いちーちゃんは何で笑わないの?」
突然の質問。
しかし、その質問は市井の心の棘に触れるには十分すぎる質問だ。
「・・・何だよ、突然」
自然口調もきつくなる。
言っている本人ですら気付いているのだが、止めることなんて出来ない。
「ん?いちーちゃんって笑ってるんだけど、いつも目の奥の方が笑ってないなって思ったから」
「会って間もないのにそんなこと分かるのかよ」
「分かるよ。後藤は家の手伝いとかで接客してるからね。
色々なお客さんが来るからそれくらい見抜く力はあると思うよ」
- 405 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時46分10秒
- 後藤は相変わらず市井の方に視線は向けず、何処を見ているか分からないような表情でビールを口に運ぶ。
そんな冷静な後藤の姿に市井の心の奥に刺さった棘は大きく揺さぶられた。
こんなにも簡単に人を見抜き、こんなにも簡単に踏み込んでくる。
何年たっても抜けきれない棘をガーゼ無しでダイレクトに触られ、傷は上下左右に広がっていく。
棘はその隙間から抜けるわけでもなくて、むしろその大きさに合わせるように大きさを増す。
無意識のうちにビールの缶を持った手に力が入って、カチャッという音と共に缶の形が少しだけ変型する。
1つ1つの小さな動作が市井の今の心の状態を計るメーター。
「灰、落ちるよ」
そんな市井の心情を知ってか知らずか、後藤はすっと自分の少しだけ残った缶を市井に近付けて、
市井の手から落ちそうになっていた灰を見事その中に納めた。
- 406 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月10日(木)14時47分06秒
- すっかり短くなってしまった煙草を市井の手から取り上げると、それも灰の入った缶の中に入れ、
代わりに自分の煙草に火をつけてそれを市井にすっと差し出す。
市井はその煙草を無言のまま受け取った。
「ごめん、後藤今から20秒間だけ寝る」
そう言って後藤は静かに目を閉じた。
市井は後藤から渡された煙草をじっと見つめてそれを口に運んだ。
加えた煙草には後藤の唇に塗られていたグロスが少しだけついていた。
「・・・寝るのは10秒だけでいいよ」
市井の言葉に後藤は小さく心の中で頷いた。
- 407 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月10日(木)14時56分52秒
- 更新しました。
『晴れた日は君と共に』長いです。
でももう少し続きます(理由:何処で切ってよいか分からずだらだらと続いて
しまった為←阿呆)
>サイレンス様
いやはや、自分で登場人物増やしておきながらも、1つの場所にキャラが沢山
集まるとなかなか上手く動かせないので、更新しまがらもかなり焦ってます(苦笑)
でも頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
>きいろ様
結構いちごま好きなんです(w
ごっちんの場合好き嫌いというよりはまず相手を知る!って感じですかね?
>男4人と女4人集まりましたねぇ。
文章力なくてごめんなさい。これ男3人女5人なんです(汗)
- 408 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月10日(木)14時58分16秒
- ぬが!・・・間違えました。
『晴れた日は皆と共に』がもうちょい続くです。ごめんさい。
- 409 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月10日(木)15時26分43秒
- 助けに入る吉澤君、素敵…!!
子猫といしよし…ううぅ〜ん、想像するだけで萌え尽きそう…(笑)
イイですねぇっ!!メチャメチャ良いです!!
そしていちーちゃんとごっちん!!なんだか良い感じ!!
うわ〜、超わくわくして来ました。
次回も楽しみにしてます!!
- 410 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月10日(木)20時45分47秒
- みんなそろって飲み会かぁ。
いいですね〜。いしよし以外にもいろんな
CPが出てきてなんか楽しそう。
石川さんの人物紹介の備考の
ひとみのクラスメイト(友達)がひとみの恋人
になる日が来るのも楽しみです!!(ダメ?
- 411 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)16時52分31秒
- 「あれ?矢口寝ちゃったのかい?」
こう言ってきたのは安倍先生。
片手を矢口さんに封じられている為か、額には大粒の汗が浮かんでいる。
そりゃいくら小さいとはいえ、大人の女の人。
重いというのは失礼かもしれないが、多少は重いだろう。
「ま、今日はしゃあないね。
沢山人が来たからこの子も浮かれちゃって動き回って疲れちゃったんだべ」
そう言うと安倍先生は僕の腕の中にいる矢口の柔らかい毛をそっと優しく撫でた。
「なっち〜オイラももう寝るぅ〜」
「はいはいそうかい、じゃあベッド行こうかぁ。ほい、じゃあ矢口もあずかるよ」
「え、でも」
「だ〜いじょう〜ぶ〜。矢口は一度寝たら何したって起きないからさ」
矢口さんを無理矢理振りほどいて優しく包み込むように矢口のことをだっこすると、
安倍先生は先に矢口のことをベッドに連れて行き、その後に体育座りをして眠りに
つこうとしている矢口さんの手を握った。
力無くヘタる矢口さんを矢口をだっこしたように抱きかかえると『うんせうんせ』と
言いながら足で紗耶香とごっちんを蹴り倒して、コアラみたいに抱きついている矢口さんごと
安倍先生はベッドに倒れこんむ。
- 412 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)16時53分20秒
- 「ほれ、矢口腕退けて退けて」
「う〜ぬ〜なっちも一緒に寝るのぉ」
「何わがまま言ってるべさ」
隣で寝ている子猫の矢口を上手いこと避けながらの攻防戦。
本当に矢口は起きない。
何ともすごい睡眠力だ。
「ちょっと、ヤルなら私もまぜてよぉ」
「hぁ!ちょっと圭ちゃんまで何してるべさ!!」
「何だ何だ!?4Pか!?俺もまぜてくれぇ」
「紗耶香!!ちょっとあんた邪魔だべさ!ごっつぁ〜ん助けて〜」
「んあ?後藤の事?」
狭いベッドの上に折り重なる4つの身体。
・・・蒸さッ苦しそう。
- 413 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)16時54分13秒
- 「よし!梨華ちゃんも行こう」
「へっ?」
何とも間抜けな声を出して石川さんは飯田さんによって連れ出された。
酔っぱらいの力の凄さを痛感していたら、僕の腕もごっちんによって掴まれ
強制的に人で溢れるベッドに投げ飛ばされる。
「きゃっ!」
僕の下には下敷きになった石川さん。
さらにその下には・・・沢山。
これ人死んじゃうよ。
「ご、ご、ご、ごめん!!!」
大急ぎでベッドから飛び下りると、その勢いでテーブルの足に自分の足を思いっきりぶつけて
さらにベタな展開のようにテーブルと僕の頭の相性がよくなる。
素敵な音と美しいお星様のこらぼれ〜と。
僕の視界は暗くなって、最後に見えたのは石川さんの間の抜けた顔だった。
- 414 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)16時55分48秒
- --------------
--------
-----
「あれだよね、吉澤って間抜けっていうか何というか」
「う〜ん顔はいいとは思うんだけどね」
「背も高いしそれなりに性格もいいとカオリ思うよ」
「でもさ」
「・・・決まらないんだよね」
「「「「その通り」」」」
「は、ははははは・・・・」
目が覚めた時に聞こえた会話はこれだった。
皆(寝ている矢口さんを除く)が僕の顔を覗き込んでいるという何とも不可解な画だ。
テーブルに頭を打って気を失った僕を起こしたのは紗耶香だったらしい。
その起こし方っていうのも僕のおでこにデコピンの連続技というもの。
荒々しいったらありゃしない。
- 415 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)16時58分27秒
- 「はい、これ目覚めるから飲むといいべ」
「あ、すみません」
安倍先生に差し出された水を受け取るとそれを一気に喉の奥に流しこむ・・・。
「だはっはっはっはっ!!!!!!馬鹿だぜこいつ!
酒飲めないくせに日本酒一気飲みしやがった!!!」
「紗耶香も悪ねぇ」
「ちょ、ちょっと何してるんですか!?」
「いや〜見事な一気だったべ」
「カオリは感動したよ」
「後藤も感動したよ」
・・・皆の声がぁ・・・ほへ〜・・・
- 416 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)16時59分39秒
- あぁ〜吉澤くんの目が変になってるぅ〜!!
皆ゲラゲラ笑ってるけどこれってあんまり良くないっじゃないの?
「ご、ごっちん・・・」
「いや〜よし子もやるねぇ、後藤は本当感動したよ」
ご、ごっちんがあまり焦ってないから平気なのかしら。
「後藤!てめぇ人の酒飲むんじゃねぇよ」
「だって何処にもいちーちゃんの名前買いてないじゃんかよ」
「いちいち1本ずつ名前なんて書いてられっかってんだ」
いつの間に仲良くなったのかしら?
ごっちんと市井さんはまだまだあるのに何故だか1本のお酒を取り合っている。
安倍先生は楽しそうに台所で料理を作ってるし、保田さんは何故だか飯田さんの
肩を揉まされている。
- 417 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)17時00分52秒
- 「いしかぁさん。僕の眼鏡知りませんか?」
「へ?あ、吉澤くん・・・」
「眼鏡がないんですけど・・・」
「いや、普通にかけてるじゃない」
「あれ?本当だ。石川さんありがとうございます」
きゃっ!ちょっと吉澤くん酔っぱらいすぎよ!!!
何抱きついてるのよぉ。
何よ何よ可愛いじゃないの・・・って違うわよ!
「あ!すげーぜ吉澤が石川に抱きついてるよ!!」
「あれま?何だいよし子赤ちゃんみたいだね」
- 418 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月11日(金)17時01分45秒
- 皆さん私の周りにぞろぞろ集まる集まる。
吉澤くんは気持ちよさそうに・・・寝てる。
「はいよ〜この毛布。使っていいよ」
「・・・何で私ごと包むんですか」
「ん?だってこんなでかい人どけるの大変でしょ?」
間違っちゃいないけど、間違いだらけだよね・・・。
そんなお日さまみたいな笑顔向けられたら否定できないじゃないですか。
「ん〜ましゅまろ〜・・・」
ま、こんな吉澤くんが見れるなんてきっとこの先ないかもしれないし良しとしますか。
ちょっと周りのにやにやした視線は痛いけど、今だけは我慢だ。
あんなに素敵なお散歩場所や、こんなに素敵な仲間の所に連れてきてもらったんだ。
「おやすみなさい、吉澤くん」
- 419 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月11日(金)17時13分24秒
- 更新しました。
連日更新・・・スットクが・・・(汗
ならするなという声も聞こえてきそうですが、勉強いきずまり更新しちゃいました(w
>クロイツ様
いや〜こうやって連日更新をしてみるとクロイツさんの凄さが身にしみて分かります。
何だかかんだで吉澤くんは自分の友達を守りたい!みたいな意識があります。
(保田くんをちょっと怪しい人物に見てしまった模様(爆笑))
いちごま、いしよし王道ですが大好きなCP何です♪
>サイレンス様
いしよし以外にもCP生みたいのです。
なのでどうにかしてくっつけようと頑張ってたりしてます(苦笑)
>ひとみのクラスメイト(友達)がひとみの恋人になる日が来るのも楽しみです!!(ダメ?
んなこたぁありません。
目指せ恋人です!!
- 420 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月11日(金)17時23分08秒
- ちょうど来てみると更新が。
酒の力とはいえよっすぃと梨華ちゃんが…
「おやすみなさい、吉澤くん」ってかわいい。
1歩1歩恋人に近づいてるみたいな2人に感動。
毎日の更新お疲れ様です。作者様のペースで更新期待です!!
- 421 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月11日(金)17時56分34秒
- おいコラ!!吉澤君!!なにしてるんですか!!うらやましい!!
思わず本音が出てしまいましたが(笑)
てゆーかナイスですよ!!なっちナイスですよ!!イッキかっけ〜!!
つーかニオイでわかってよ、吉澤君(笑)
うあぁ〜、先が楽しみだぁぁぁぁ〜!!!
>いや〜こうやって連日更新をしてみるとクロイツさんの凄さが身にしみて分かります。
いや、私なんぞすごくないですから(汗)
更新速度が速いだけで、内容がないですからね(大汗)
- 422 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月12日(土)18時52分01秒
- ちゅんちゅんという爽やかな鳥の鳴き声とは正反対の僕の身体。
ガンガンしてて、気持ちも悪い・・・。
とりあえず水を飲もうと起き上がろうとして、僕は今誰かに身体をあずけている
ことに気が付いた。
「い、石川さん・・・」
小さくこぼれた声を思わず押さえるように息を止めた。
石川さんは今ぐっすりと眠っている。
昨日も見たけど、美しいと思える寝顔。
薄い唇からもれる石川さんの寝息を感じ、僕は今さらながらだがこの体勢が
恥ずかしいことに気付いた。
僕は石川さんを起こさないようにそっと身体を離すと、ずれた毛布を
石川さんの肩にかけてあげた。
やはりふらふらする。
昨日は途中から記憶が全く言って良い程無い。
だから何で石川さんに身体を預けたまま眠っていたのかも覚えていない。
- 423 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月12日(土)18時54分11秒
- テーブルの上に置いてあった飲みかけの水を口に含んでから部屋を見渡す。
一言で言うならば『汚い』だ。
そこら中に皆が飲み散らかした酒の空き缶や空き瓶が転がっていて、それと一緒に
料理が乗っていたであろうお皿が点々と置いてある。
ベッドの上では矢口さんと矢口が気持ちよさそうに寝ていて、安倍先生は飯田さんの
肩に頭を預けて寝ている。
保田さんにごっちんに紗耶香は何だかよくわからないけど、ごちゃごちゃと折り重なるように
寝ていて、ごっちんと紗耶香の足を胸らへんにのせられた保田さんは変なうめき声まであげていた。
皆熟睡しているし、多少のことじゃ起きなさそうだったから僕は散らかった缶や瓶や
お皿の片付けを始めることにした。
- 424 名前:あみだくじ 投稿日:2003年04月12日(土)18時55分11秒
- ここは辻の部屋である。
昨日加護が辻に家に和菓子を届けに行った後、2人は夜な夜な『日本御菓子歴史』という
よくわからない話し合いをはじめた。
その話しが一向に終わらず、一夜を明かして今ここに眼を充血させながら座っているのだ。
そして辻の『少し休憩をするのれす』の一言で2人は向き合って正座をした。
そんな2人は今共真剣な面持ちで床の一点を見つめている。
その先にあるもの、それは辻が一生懸命書いたあみだくじだ。
「ええな、恨みっこナシやからな」
「がってんしょううちのすけれす」
「ウチは右、ののは左で間違いはないな」
「へいっ」
「・・・いくで」
2人の喉が同時にごくっと鳴る。
加護は緊張して震える指で辻の方からあみだを辿って行く。
右に左にじょじょに下の方に下がりながら加護の指は進む。
あまりの緊張のせいで加護の顔からその紙に汗が一雫垂れる。
辻はもう一度喉を鳴らした。
- 425 名前:あみだくじ 投稿日:2003年04月12日(土)18時55分54秒
- 折った紙に指が当たり、ぴたっと加護の指が止まる。
「うらみっこなしやで」
辻が神妙に頷くのを見届けると、加護はゆっくりと折り曲げられた紙を広げていった。
「「・・・。」」
最後の1折り、加護がゆっくりと折り目を伸ばしていく--------------
「やったぁぁ!!!!!!!!!!!!」
「hぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「これでこの最後のレアチーズケーキはウチのもんや!」
「うぅ、ののはこの小さな飴れすか・・・」
最大の緊張から解き放たれた2人。
その表情は喜びと悲しみに満ちあふれている。
青春のすばらしさ。
青春の美しさ。
青春の苦さ。
2人はそれぞれに感じていた。
- 426 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月12日(土)18時57分17秒
- 「ん・・・う〜ん・・・」
「あ、梨華ちゃん起きたべか?」
私が目を覚ました時にはもう他の人(矢口さんは除く)は皆起きていた。
昨日はあんなに汚かった部屋も今ではすっかり綺麗になっている。
空けられたカーテンからは暖かな陽射しが差し込んでいて、今日も昨日同様気持ちのいい天気
だということを告げていた。
安倍先生は私の目の前に水の入ったコップを置くと、外のお日さまみたいな笑顔を向けて
矢口さんを起こしに向かった。
「あ、石川さん。おはようございます」
ペコリという効果音がつきそうなくらいに吉澤くんは丁寧に頭を下げる。
半袖のTシャツから見える真っ白な肌に水滴がついていて、よく見ると額に
うっすらも汗を浮かべている。
きっと私が起きる随分前から片付けをしていたんだろう。
そう思うと何だか最後の方まで寝ていた自分が恥ずかしくなってきてしまった。
急いで立ち上がると肩にかかっていた毛布を丁寧に畳む。
- 427 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月12日(土)18時58分30秒
- 「おはよう、私も何か手伝うよ」
「あ、じゃあ最後その毛布しまってもらえますか?」
「場所はこっちだべさ」
安倍先生に案内されるままにえっちらおっちら毛布を運んで行く。
「そこに力強く思いっきり叩き付けるように置いてくれる?」
「え・・・でも・・・」
だって安倍先生が指差す所は矢口さんが寝ているベッド。
(ちなみに矢口は安倍ごっちんと一緒になってじゃれあっている)
ベッドの上では矢口さんが毛布を足に挟んで抱きかかえるように眠っている。
「ほれほれ早くやるべぇ」
「じゃ、じゃぁ・・・・・・えいっ!!!!」
ぼふっ
「「・・・。」」
お、起きない。
これでも力を入れたんだけどな。
ちらっと安倍先生を見ると、安倍先生は呆れたように両腕を腰にあててため息をついて、
矢口さんの寝ているベッドによじ登った。
両足で矢口さんのことを挟むようにしてまたがると、寝ている矢口さんの耳をぐいっと持って
小声で何かぼそぼそ喋った後にぐいっと矢口さんの顔を自分の方に向けて、自分の両頬に手を当てる。
- 428 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月12日(土)18時59分22秒
- 「あっちょんぶりけ!」
・・・What?
何をしてるんですか??
何で寝ている矢口さんに向かってそんなこと・・・あれ?矢口さん??何だか目が・・・。
「かっわゆ〜い!!!!」
そう言うと寝ていると思っていた矢口さんが突然安倍先生に抱きついた。
表現するなら赤いモノ(安倍先生)につっこむ闘牛(矢口さん)といったモノだろうか。
柔らかそうな安倍先生の頬にすりすりと自分の頬をすりつけて、何とも幸せそうな表情をしている。
「まったく、けっこう前から起きてたんでしょ?」
「あ、やっぱばれてた?」
「矢口の考えることぐらいわかるっしょ。どうせ片付けが嫌だったんでしょ?」
「へへっ大当たりぃ〜」
- 429 名前:晴れた日は皆と共に 投稿日:2003年04月12日(土)19時00分33秒
- 全く悪びれた様子もなく笑う矢口さんを安倍先生は呆れたように見つめてから
ぼそっとこう言った。
「今日のお夕飯、牛乳飲まなきゃ食べさせないからね」
この言葉に矢口さんは大袈裟と言ってもいい程に口をあんぐりと開けて
ベッドをぼすぼす叩いた。
皆思わずこの矢口さんの姿に笑ってしまった。
「さぁて皆、すぐ朝御飯作るからちょっと休んでてねぇ」
この安倍先生の一声に皆は声をそろえて返事をした。
もちろん子猫の矢口もね。
飯田さんは台所に消えた安倍先生の手伝いをする為か、後を追い掛けるようにして
台所に向かって行った。
- 430 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月12日(土)19時10分18秒
- 更新しました。
そんでもって無駄に長い『晴れた日は皆と共に』も本日更新分で終了です。
よっすぃ〜はっぴーばぁすでぃ☆☆☆
↑
これが言いたいが為に更新しました(w
>サイレンス様
じょじょ〜にじょじょ〜に仲良くなってきております。
というよりも吉澤くんが石川さんに慣れてきたというか(苦笑)
でも自分的には近付いているという意識でいるんです(大汗)
>クロイツ様
これ結構実体験に近いものだったりするんです(苦笑)
小学生の頃に辛い物食べて大慌てで水飲んだらそれ日本酒で小2ながらに2日酔い(爆笑)
同じコップに同じくらいだけ入って並んでる日本酒&水を恨みましたよ(w
- 431 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月12日(土)21時39分04秒
- 安倍さんの「あっちょんぶりけ!」はかわいかった。
うちんとこでは放送昨日だったんですけどやばかった。
そしてそれを真似した石川さんのかわいさにしばらく
ぼーぜんとしてました(w
いつもながら作者様のいしよしは最高です。
更新お疲れ様です!!
- 432 名前:夏は来てます。もう来てます。 投稿日:2003年04月14日(月)12時52分14秒
- 賑わう教室。
只今時刻は13時。
昼休みの時間である。
「もうすぐ夏休みだねぇ」
「そうだねぇ」
そう、もうすぐ7月。
専門学校生の私達の夏休みは目の前なんです。
隣にいる柴ちゃんは嬉しそうに目を細めている。
何やら夏休みに彼女と一緒に旅行に行くとかなんとかで、すっかり浮かれモードなのだ。
「また斉藤さんのことでも考えてたんでしょ?」
「うん。早くこないかなぁ〜夏休み〜♪」
「浮かれてばっかで卒業制作とか就職とか平気なの?」
「あぁそれなら問題なしだよ。卒業制作も就職もね」
右手でVサインをして私の前に突き付けてくる柴ちゃん。
卒業制作はともかくとして・・・就職も決まってたんだ。
自分よりも1つ前を行く親友の姿に何か軽くショックを受けてしまう。
「服飾デザイナーの助手するんだ。
まぁデザイナーって言っても瞳のことなんだけどね」
「でも斉藤さんって今売り出し中のすごいデザイナーさんじゃん」
- 433 名前:夏は来てます。もう来てます。 投稿日:2003年04月14日(月)12時53分35秒
- 柴ちゃんは『まぁね』と嬉しそうに笑ってからまた空を見上げた。
季節というのは当たり前だが変わっていくものである。
日本という四季のある国は春夏秋冬様々な風景を私達に見せてくれる。
真っ青な空には薄い雲が流れていて、その雲はゆっくりと左の方に向かって動いていた。
たとえ私が何もしなくたって時間はあの雲と同じように流れていく。
今の私は『流れる雲』ではなくて『流される雲』だと思う。
自分の未来すら見据えられず、何も手に掴むことが出来ていない。
絵が好きで通い始めたこの学校。
あわよくばデザイン関係の仕事につければと思っていたけど、
デザインなんて一言でいっても幅はとてつもなく広い。
さすがに絵で食べていこうなんてことは思っていないし、
そんなことが出来るのは一握りの人だというのも分かっている。
・・・これじゃあ言い訳つくって逃げてるみたいか。
高校の時、進路を決めろと言われて『何で18歳くらいで自分の
将来を決めなきゃいけないのよ』と強く思った。
そして今20歳になって自分が決めた道でさらなる選択をせまられている。
私は常に甘い気持ちでいた。
行けば行ったで何とかなるだろうと
楽観的な考えで、ここまで来てしまった。
このことは否定はできない。
- 434 名前:夏は来てます。もう来てます。 投稿日:2003年04月14日(月)12時54分18秒
- 「あ〜私どうするんだろう?」
不安だから思わず声に出してしまった気持ち。
この声は高い高い空に届くはずもなくて、私の目の前でぽんっと音をたてて消えていく。
「迷ってるなら色々な人に話し聞いてみれば?ちょっと道が切り開けるかもよ」
・・・確かに。
うだうだ悩んでてても私はどうにもなれない。
柴ちゃんの言う通りだ。
「うん。そうしてみる」
私達は窓枠に腕をぶらぶらとかけながらしばらく空を見上げた。
東京の夏には湿気が付きまとう、それはまるで去り行く梅雨をなごり惜しむよう。
私の心にひっかかる重い固い鍵は夏の湿気のように体中を支配している。
『動きださなきゃ何も始まらない』
「いっちょやってみますか」
「ん、だね」
「だな」
夏、早足で過ぎて行く季節に負けないように私は走り出そうとしている。
- 435 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月14日(月)12時55分35秒
- 突然だけど、僕は指令(命令)を受けたのは夜の11時。
卒業制作で何を描くかが決まっていない状態でやきもきしていて、頭を掻きむしって
ベッドに倒れこんだ時刻は夜の10時55分。
そして今は夜の11時5分。
僕の目の前には紗耶香がいる。
普通に考えておかしい。
何で僕の寝間着を紗耶香が着ているんだ?
これもまたおかしな話しだ。
何で紗耶香が僕の枕を抱えているんだ?
さらにおかしい。
何で紗耶香が僕のベッドに座っていて、僕が床に正座してるんだ?
「んな難しい顔したって何も出てこねぇよ」
持っていた枕を僕に投げ付けて紗耶香はベッドにごろりと横になった。
「やっぱここは気持ちが良い空間だな」
「・・・何かあったの?」
天井を見上げながらぽつりと呟いた紗耶香・・・違和感がある。
紗耶香の様子がいつもと違う。
何だろう、何処となく暗いというか気持ちに落ち着きがないというか・・・。
「ん?いや暇そうな奴がお前しかいなかったからちょっとお邪魔させてもらっただけ」
- 436 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月14日(月)12時56分18秒
- 違う。
そんな嘘くらい僕にだって分かる。
「言いたくないんだったら別にいいよ。
でもその代わり明日ちゃんと会社行くんだよ」
僕は誰か来た時用布団を引っ張り出すと、ベッドのすぐ横に並べた。
紗耶香と同じように天井を見上げるように仰向けに寝転がる。
お互いが特に何を喋るでもなく、ただ天井を見つめ続ける。
「・・・電気」
「へ?」
「電気消してもらってもいいか?」
「あぁ、うん」
何かを押し殺したような紗耶香の声。
自分の感情を表に出さないように必死に奥歯を噛み締めているような声。
僕の知らない紗耶香の一面。
それでも土足じゃ踏み込めない一面。
- 437 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月14日(月)12時56分52秒
- 電気を消すと、部屋は輝く星の海へと変わる。
紗耶香はどんな気持ちでコレを見ているんだろう。
僕には分からない。
「・・・吉澤さ、ここに石川来たことあんの?」
「うん、一度だけね」
紗耶香は『そっか』と小さく呟いた。
そのまま布団の中に潜り込むと、僕に背中を向けるように体勢を変えた。
長い沈黙が続き、僕もそろそろ眠ろうと思った時紗耶香が言った。
「大切にしろよ」
それがどんな意味だったのかは分からない。
でも、この言葉はとても重く僕の胸の奥に響いた。
そしてこの言葉に対して僕が返せる言葉なんて今の僕には何もなかった。
- 438 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月14日(月)13時03分38秒
- 更新しました。
『市井紗耶香』シリーズは後1回か2回の更新でおしまいです。
短いです。
詳しいことはまたいずれ何処かでってやつですね。
>サイレンス様
いつもレスありがとうございます。
いや〜私的には『ぶらっくちゃっく』にもやられましたねぇ(w
それを見て笑う石川さんにもWパンチでやられました(ww
いしよしは次の次の更新かその次くらいに出てきます。
無意味にダラダラ長いお話ですが、見捨てずついてきてやって下さいです。
- 439 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月15日(火)00時35分02秒
- 市井さんなんかあるんでしょうか?
気になります。
なんかどんな番組でも石川さんってよっすぃの
行動とかにオーバーリアクションな気がします。
(やばい、末期症状か?
更新お疲れ様でした。いしよしも気になりますが
いちーさんも気になりました。
- 440 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月17日(木)09時40分31秒
- なんつーかんもぅ!!!
吉澤君!!あんたうらやまし過ぎですYO!!(石ヲタですから…。)
青春を謳歌する辻加護…なんだかほのぼのとさせて頂きました。
そして市井さん!!
か、過去に何があったんだ!?
すっごい気になります…てゆーかすごい素敵です!!
あ〜、次回も楽しみデス☆
がんばってください♪
- 441 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時38分06秒
- 朝起きると、僕の眼鏡にセロハンテープでベタッとくっつけられていた紗耶香のメモがあった。
ジーパンにくっつけて粘着性を落としたわけでもなく、端を折られていたワケでもなく、
ただ普通にペタッとくっつけられていた。
ちなみに・・・
『お前の寝顔はなかなか可愛いかったよ』
・・・だ。
何だかなぁ。
時計の針は7時を指している。
階段を降りてリビングに入っていくと、母がすでに起きていて朝食を作っていた。
「おはよう、ひとみちゃん」
「おはよう。母さん今朝何時くらいに紗耶香帰って行った?」
「市井さんなら6時30分くらいかしら?
丁寧に挨拶して帰って行ったわよ」
母さんは結構紗耶香を気に入っているらしい。
どういうワケかは分からないがお気に入りなんだそうだ。
- 442 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時38分50秒
- 「朝御飯もうすぐ出来るからもう少し待っててね」
「分かった」
新聞受けから新聞を取り出して目を通していると、ズボンの後ろポッケに入れておいた携帯が震えた。
表示されているのは僕の知らない番号。
「・・・はい、もしもし」
『吉澤?私、保田だけど』
「あ、保田さんですか」
『ごめん番号分からないからなっちに聞いたんだ。
それよりも今紗耶香そっちいない?』
「紗耶香なら少し前に出て行きましたけど・・・」
『ちゃんと仕事に行ったんだね。
よかった。昨日私が急に仕事入っちゃったからどうしてるのか心配だったんだよ。
ありがとう、吉澤』
「ちょ、ちょっと待って下さい。
紗耶香がどうかしたんですか?」
『・・・紗耶香から何も聞いてない?』
「何もって・・・何がですか」
- 443 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時39分49秒
- 保田さんは電話の奥で少しの間黙った。
きっと昨日の僕みたいに難しい顔をしているんだろう。いや、もっと難しい顔をしているはずだ。
しばらくの沈黙が続いた後、保田さんは静かに切り出した。
『多分これは俺が言うよりも紗耶香本人から聞いた方がいいと思うんだ。
俺から言うのも何なんだけど、無理に聞こうとしないでおいてやってくれないかな。
絶対にいつか話してくれる時がくるからさ。
だからそれまでは、深く追求しないでやってほしいんだ』
その口調はいつものちょっとしたオカマ口調ではなくて、大人の男の人らしい重たくて、
しっかりしたモノだった。
昨日の紗耶香といい、今の保田さんといい、ただの好奇心だけでは首を突っ込むべき
問題ではないということは痛い程分かった。
僕は紗耶香のことを親友だと思っている。
だからこそ、核の部分を教えてくれない紗耶香に僕は少しだけねじ曲った心を持ってしまった。
紗耶香がそんな奴じゃないことくらい分かっているのに。
- 444 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時40分54秒
- 『俺、今の吉澤の気持ち分かるよ。
何でもっと頼ってくれないんだろうって思ってるだろ?
俺も昔そうだった。
幼馴染みじゃないのか?って思ってたよ。
でも、紗耶香はそんなやつじゃないって分かってたからさ。
いつかはきっと話してくれるって思ってた。
吉澤も同じでしょ?
だから待っててあげてくれないかな・・・これは友達としてのお願いなんだ』
きっと保田さんは今電話越しに頭を下げていることだろう。
大人の保田さんの姿が目に浮かぶ。
僕と違い、大人の男の人。
「大丈夫ですよ」
『・・・ありがとう』
保田さんはまた少し話しの間を空けると、いつもの口調に戻り、『朝早く悪かったわね』と言った。
- 445 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時42分08秒
- 後藤はその日、珍しく早く目が覚めた。
いつもならぐーすかぴーすか深く深く眠っているはずの時間に目覚ましもなしで目が覚めた。
カーテンを少し開けてよし子の部屋を覗いたら、窓越しにいちーちゃんの姿が見えた。
たしか今日は平日のはずなのにいちーちゃんはよし子の部屋にいて、よし子のパジャマを着ていた。
働かない頭でいちーちゃんのことを眺めていたら、窓越しにいちーちゃんと目が合った。
その時のいちーちゃんの姿はとってもとっても儚気で、見ていられなくて、後藤は思わず
カーテンをひっぱって自分の視界からいちーちゃんの姿を消した。
後藤はすぐに布団の中にもぐりこんだけど、結局眠りにつくことなんて出来なくて、
ずっとお母さんが起きて後藤のことを起こしにくるまで布団の中で寝たフリをし続けた。
とっくに昇っているはずの太陽は後藤には見えなかった。
- 446 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時44分54秒
- 「早いね、もう10年だっけ?」
矢口は湯気を漂わせるコーヒーをスプーンでぐるぐとかき回しながら呟いた。
その隣では携帯のストラップに指をひっかけて携帯をぐるぐると回転させる保田が座り、
その問いに答えるように首を一度だけ縦に振る。
その拍子に携帯は遠心力という力をつけて指からスピーディーに飛んで行く。
乾いた音を響かせて携帯はフローリングの床を滑り、壁にぶつかってその動きを止める。
「皆大人になったよ」
「そりゃ10年も経てば年くうさ」
「そのおばちゃん臭いところは10年前から変わってないけどね」
「私これでも男だよ。せめておじちゃんって言ってよ」
「変わらないよ」
ふーふーっとまだ熱そうなコーヒーを吹いてから恐る恐るカップを口に運ぶ。
まだ少し熱かったらしく、矢口はすぐに口を離すと顔をしかめてから舌を出して
それを手であおいだ。
- 447 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時45分53秒
- 「圭ちゃん、今日仕事無いの?」
「自宅でやる仕事がてんこもり」
「休みって感じじゃないね」
「この方が落ち着くのよ。矢口は今日打ち合わせじゃなかったっけ?」
「うん、もうちょっとしたら出る」
「早いんだね」
「ちょっとなっちの所寄ってくから」
そう言ってから矢口はもう一度カップに口を近付けると、少量だけコーヒーを口に含んだ。
温かさは丁度良くなっていた。
保田は矢口がコーヒーを口に運ぶのを見てから、自分の指から飛んで行った携帯を取りに立ち上がった。
拾い上げた携帯には少しだけ傷がついていた。
「・・・掃除しなきゃだめか」
「色々とね」
保田の呟きに矢口は視線をカップに向けたまま言葉を付け足した。
- 448 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時47分11秒
- カツカツと響く靴の音が静まり返った廊下に響き渡る。
光りを多く取り入れようと考えた設計者はかなり気の利いた人だ。
今朝、矢口が家に来た。
これから打ち合わせだというのに化粧もせずに天パ−丸出しでやって来た。
高校で矢口と出会ってから早いものでもう8年も経つけど、毎年この日の矢口は
見ていられない程に辛そうな表情をしている。
本人は隠しているつもりらしいが、分かる人には分かってしまう。
人一倍泣き虫で人一倍寂しがりやのこの娘は顔に出さずに心で泣くことを覚えてしまったようだった。
紗耶香は昔その理由をカオリとかと一緒に飲んでいる時に話してくれた。
お酒の力でもないと話せなかったんだろう。
ほとんど酔うことのない紗耶香がその日はベロベロにに酔っぱらっていた。
「あ、安倍先生おはようございます」
いつの間にか職員室の近くまで来ていたらしく、同僚から声をかけられた。
- 449 名前:市井紗耶香 投稿日:2003年04月17日(木)20時48分59秒
- 「あれ?どうしたんですか?
何か元気ないみたいですけど・・・」
気持ちを切り替えなくちゃいけない。
仕事場に私生活を持ってくるな。
「そんなことないですよぉ。
ちょっと考え事してただけです」
学校にはバラバラと生徒が集まり始めた。
それぞれに廊下で挨拶を交わしたり、本を読んだりと思い思いのことをしている。
「もうすぐ職員会議始まりますよ」
「あ、はい。すぐに行きます」
もう少しだけ見ていたかった。
あと半年もしたら巣立って行く生徒達のことを。
なっちの大事な生徒達のことを。
- 450 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月17日(木)20時59分14秒
- 更新しました。
何だかスっきりしないかもしれませんが、『市井紗耶香』シリーズはおしましです。
でもまた『市井紗耶香』シリーズやります。
続編っていうよりは解答編みたいな感じですかね←まだ書けてないので(汗)
>サイレンス様
何だかシコりが残る感じですよね・・・申し訳ないです。
でもちょっと書くには早すぎるかと・・・(汗)
石川さんはやっぱり吉澤くんのこととなると気になってしょうがないんですかねぇ?
っていう自分も結構目につくので、私も末期症状(w
次回いしよしです。
甘いことないかもしれませんがいしよしです。
>クロイツ様
やっぱ青春素敵でしょ♪って気持ちで辻加護のは書きました。
ガス抜きっていうか生き抜きっていうかほのぼのっていうか。
クロイツさんは石ヲタですか、自分は結構吉ヲタです(ww
市井くんには謎が残ってしまったような感じにしました。
ので、皆様が忘れた頃にきっとまた出て来ます(w
- 451 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月17日(木)22時41分05秒
- 更新お疲れ様でした。
市井さんになにがあるんだろう?
まったくわからないですが、その訳が
わかる日まで待ってます。
次回はいしよしですか。すごく楽しみです。
なんせ、いしよしヲタなんで(w
次回もがんばってください!!
- 452 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月19日(土)14時46分01秒
- >『お前の寝顔はなかなか可愛いかったよ』
見たんか市井さん!!うおおおお!!うらやましい!!(爆笑)
…でも梨華ちゃんにもたれて眠ってた上、梨華ちゃんの寝顔を見ちゃった吉澤君のがうらやましいかも…(笑)
そして男言葉圭ちゃんかっけー!!
市井さんの謎も気になりますが…次回のいしよしも超気になります!!
がんがってくださいませ☆
- 453 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時47分35秒
- 昼間のデッサン室というのもなかなか良いモノだ。
誰かに勧めるワケじゃないけど僕はそう思っている。
ここでかじるべ−グルサンドはかなり良い味を出していると思う。
遠くで聞こえる電車の走る音や、鳥が鳴く声は聞いていて不快にならない。
もうすぐ夏休み。
約2ヶ月という長い休み。
そして僕の学生生活最後の夏休み。
去年の夏はほとんど外にも出ずに、バイトと絵を描くことに時間を費やした。
貯まったお金も使い道がなくて、僕の貯金通帳をほくほくと温めていってくれる。
今年はどうなるんだろう。
去年よりも少しワクワクする気持ちはきっと勘違いなんかじゃないよね。
食べ終わったべ−グルの包み紙を丁寧に畳んで紙袋にまとめる。
紙袋の入り口を折って閉じてから数メートル先にあるゴミ箱に向かってシュートを放つ。
紙袋は綺麗な放物線を描きながらゴミ箱に向かって飛んで行く。
カサッという音をたててゴミはその近くの床に転がった。
「おしかったね」
僕がゴミを取りに行こうとして立ち上がると、いつから見ていたかは分からないけど、
石川さんがデッサン室に入ってきてそのゴミを拾い上げてゴミ箱の中に入れてくれた。
- 454 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時49分03秒
- 「ありがとうございます。
今日は柴田さんと一緒じゃないんですか?」
「柴ちゃんは銀行行ってるんだ」
近くにあった椅子を僕の近くまで寄せて 『よっこいせ』というかけ声と共に座り込む。
曲げた膝の上にピンと伸ばした腕を乗せて、その手を握りしめるように組む。
何だか石川さんから発せられる空気がいつもと違うように感じた。
僕だけ立っているのも何なので、今まで座っていた椅子に腰掛ける。
壁に背を向けて入り口に目を向ける。
誰かが入ってきたらきっと驚く程の変な構図だろう。
そんなに広いワケでもないデッサン室の隅の方で2人肩を並べるように座りこんでいるんだ。
「あのさ、吉澤くん」
視線は前で組んだ手に向けたまま石川さんは口を開いた。
「吉澤くんは卒業したら・・・どうするの?」
「就職のことですか?」
「・・・うん」
組んでいた手を少しだけ解いて指先をクルクルと回すように動かしはじめる。
「石川さんはどうするんですか?」
「・・・私、私どうしたいか分からないんだ。
絵で食べて行こうなんて思ってないし、でも自分から今目の前にあるもの
取り上げちゃったら何が残るかも
分からないし・・・」
- 455 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時50分45秒
- 空気が少しだけ止まる。
思いつめた顔の石川さんの指の動きは止まっていて、代わりに力無く組み直されている。
「・・・僕の小さい頃の夢は、一番輝いている星を捕まえることでした」
「・・・え?」
「石川さんの小さい頃の夢って何でしたか?」
石川さんの顔が上がった。
ハの寺眉毛のまま僕の顔を見つめて、やがてゆっくりと視線をまた指先の方に戻す。
「私の・・・小さい時の夢」
呟く程に小さな声でぽつりと言葉をこぼす。
「・・・お店。
色々な人が自由に出入りできる小さな可愛いお店」
「お店?」
「そう、小さいんだけどアンティークなモノや可愛いモノが沢山置いてあるの。
ちょっと時代感じさせるようなお店で、色んな人が集まって
私のお店で笑顔になっていくの」
力無く組まれていた指先に力が戻る。
「今やってるバイトもそういう感じのお店なんだよ。
店長は飯田さんで、飯田さんは自分の描いた絵をお店に飾ったり、
本にしたりして並べているの」
石川さんの顔にいつもの笑顔が戻ってきた。
バイト先のことを色々と話す石川さんの表情はすごく楽しそうで、
きっと本当に仕事が楽しいんだなと感じさせられる。
「じゃあ飯田さんに話しを聞いてみたらどうです?
きっと力になってくれると思いますよ」
「・・・でも」
きゅっと口を横一文字に結んで、考えるように僕を見つめる石川さん。
考えていることが伝わってくるようだ。
- 456 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時52分10秒
- 「今進んでいる道と離れていくのは恐いですか?」
石川さんは首を縦に振った。
きっと僕でもそうするだろう。
僕だって恐いと思う。
でも・・・
「2年間学んだ事と全然違うことをするっていうのは恐いことだと思いますけど、
僕は夢が見えているのならその方向に進む方が絶対に良いと思います」
石川さんに後悔してほしくない。
「今学んでることだって全部自分の財産になると思うんですよね。
やっらずに後悔するよりはやって後悔する方が良いと僕を思うんです」
僕が代われるように背中を押してくれたのは石川さんだったから・・・
「近くに夢が見えているのなら、手を伸ばした方がいいですよ」
今度は僕が背中を押してあげる。
- 457 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時53分34秒
- 吉澤くんは笑顔で私の胸につっかえていた棘を抜いてくれた。
私は恐かったんだ。
少しでも自分が進んできたレールを反れてしまうのが。
目の前に続く道を反れて違う道に進んで行く一歩を踏み出すことが。
夢なんて夢でしかないと思っていた。
年齢を重ねるにつれて現実を見るようになり、自分の持っていた夢をただの夢だと思い込み、
今自分のいる現実に一番近いモノに手を伸ばそうとしてきた。
私は卑怯者だった。
全てを無にしてまで、走る勇気がなかった。
けど・・・
私、走ってみていいのかな。
今あるモノを一度置いて、『夢』の為に走ってみてもいいのかな。
こんな疑問を抱えて吉澤くんを見てみたら、さっきと変わらない笑顔で私のことを見ていてくれた。
眼鏡の奥に輝く茶色い瞳が私の背中を押してくれてた。
力強く、そしてとても優しく。
こんな瞳を見たら走ってみてもいいんじゃないかと思えてくる。
夢の為に動いてもいいんじゃないかと思えてくる。
- 458 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時54分32秒
「きっと道はまた続いて行くんです。
石川さんが歩いた分だけ後ろにも前にも横にも道が続いていくんです」
吉澤くんは私にも、そして自分にも言い聞かせるように1つ1つ言葉を紡いでいった。
それは私に『勇気』という力を与えてくれる。
だから私の中でまた新しい道が生まれた。
「・・・うん。
私ちょっと走ってみる。
『夢』の為に走ってみるよ」
吉澤くんは本当に嬉しそうに笑ってくれた。
この笑顔を見るたら、本当に私は吉澤くんと知り合えて良かったと思った。
私の話しを真剣に聞いてくれて、とても力強くとても優しく背中を押してくれる。
「ありがとう、吉澤くん」
心の底から言えた感謝の気持ち。
ちゃんと届いたかな?
きっと届いたよね。
だって吉澤くんは照れたように笑っているから。
いつものように白い肌を桜色に染めて。
- 459 名前:君の背中と僕の背中 投稿日:2003年04月20日(日)23時55分17秒
- 「そう言えば吉澤くんはどうするの?」
さっき流されそうになってしまった質問をしてみる。
吉澤くんは恥ずかしそうに鼻の頭をかいてから口を開いた。
「僕、ここのTAになろうと思ってるんです。
前のTAが来年の春に先生になるから1つ席が空くんですけど、それで前先生に声をかけられて。
まだ絵の勉強もしたいし・・・僕何かを教えるってことに興味があるんですよね」
小学生が自分の秘密をバラすような仕種。
見ているだけで自然と頬が緩んでしまうような雰囲気。
どれもこれも初めて見る吉澤くんの姿。
ちょっと新鮮で、また一歩近付けた気になる。
「前までは人前にでるなんて考えられなかったんです。
正直、始めに話しをもらった時は断ろうと思ってですよ。
就職活動を目の前に僕はかなり悩みました。
それでも・・・それでもこういう風に思えるようにったのは、僕のことを石川さんが変えてくれたから。
僕も誰かの背中を押してあげるようなことをしたくなったから」
吉澤くんはグッと長い腕を上に伸ばして思いきり伸びをする。
「やってみなきゃ分からないですよね」
「そうだね、うん。
私、応援するよ。吉澤くんのこと」
こう言ったら吉澤くんは照れたように笑って頷いてくれた。
明日は7月。
夏は目の前。
学生生活最後の夏休み。
沢山遊んで、沢山悩んで道を作っていこうと心で思った。
- 460 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月21日(月)00時02分31秒
- 更新しました。
気が付けばもうすぐ4月も終わりですねぇ。
もっと早く進むように頑張りたいと思っております。
>サイレンス様
何だか甘いんだか甘くないんだか分からないいしよしです。
申し訳ないです。
でもここまでまったりと来たので、もう少しテンポアップしていきたい今日この頃。
自分もいしよし大好きなので、もっと先書きたいです(鬱)
>クロイツ様
期待させてしまったのに、こんな上がり・・・(汗)
最近忙しいせいか、キーボードを長時間打てないです=ストック少な!!
まぁ言い訳はこんぐらいにしておいて、頑張りやす。
早くくっつけいしよし音頭を踊りながら・・・←阿呆。
- 461 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月21日(月)13時40分40秒
- 更新お疲れ様です。
それでも・・・それでもこういう風に思えるようにったのは、僕のことを石川さんが変えてくれたから。
僕も誰かの背中を押してあげるようなことをしたくなったから」
なんかこの1文『僕と君との物語り。』のいしよし
の関係を象徴してる気がしてなりません。
いっつも言うんですが自分ここのいしよしと作風が本当に
大好きです。
今のいしよし2人の関係が抜群に好きです。
続き期待して待ってます。
- 462 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月21日(月)22時12分06秒
- 作者さま、更新お疲れさまです&お久しぶりです。
お互いを意識しながら、そして、それぞれにお互いを成長させるように背中を押す二人の関係、大好きです。
ある意味では、一番、甘く切ない時間が続いているように感じます。
仕事で疲れた心を、よっすぃ〜&梨華ちゃんの初々しさが癒してくれます。
では、続きも楽しみに待ってます!
- 463 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月22日(火)21時29分27秒
- そんなにあまあまな会話をしてないのに、なんだかすごくあまあまに感じてしまうのは何故なんでしょうか…。
なんだか心があたたまりました♪
ナイスです。ナイスいしよしです!!
すごいなー吉澤君。カッケー!!ですよ!!
ああ、次回も楽しみです♪がんばってくださいね〜♪
- 464 名前:夏を知らせる微妙な手紙 投稿日:2003年04月23日(水)21時15分32秒
- 今日で夏休み前最後の授業が終わる。
去年もあっという間に過ぎたけど、今年は去年よりももっと早く過ぎた日々。
陽射しが強い今日この日に、僕は先生に来年度からまた新たにお世話になりますと言った。
先生は笑顔で僕の手を握ってから肩を2回叩いてくれた。
相変わらず卒業制作には手がつかないままだけど、夏休みはやってくる。
両腕をめい一杯空に向かって伸ばしてみたら、太陽の光が指の隙間からこぼれて僕の顔を少し照らした。
時計の針は13時10分。
屋上を抜けて教室に向かう時間だ。
僕はもう一回空を仰いでから教室に向かった。
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「さぁて明日からは夏休みだべ!
皆就職活動とか卒業制作とかあるけど、太陽の下で沢山沢山遊ぶだよぉ〜」
安倍先生は必要事項を簡潔に伝えると、片手を大きく振って皆を教室から送りだした。
皆は友達と話しながら安倍先生に挨拶をしたりしながら教室から出て行った。
教室に残っているのもあと少し。
- 465 名前:夏を知らせる微妙な手紙 投稿日:2003年04月23日(水)21時16分36秒
- 僕はノロノロとしまっていたプリントを鞄の中に押し込むと席を立ち上がった。
まだニコニコと笑いながら生徒達に手を振っている安倍先生に頭を下げて教室を出ようとしたら、
その安倍先生に声をかけられた。
「これ、紗耶香からの預かりもの。
梨華ちゃんにも見せておいてだってさ」
そう言って僕に握らせたのは折り畳まれたB5くらいの白い紙。
少し透けて見える文字は紗耶香のだと思える筆跡。
「朝なっちの家来て渡してくれって頼まれたんだ」
渡された手紙をひらいてみると、そこには紗耶香の文字と小さな地図が書かれていた。
- 466 名前:夏を知らせる微妙な手紙 投稿日:2003年04月23日(水)21時17分17秒
- 『親愛なる吉澤&石川(後藤も♪)
突然だが君達に指令を与える。
それは保田家にある巨大水槽の掃除という名誉ある仕事だ。
話しによれば君達は今日から夏休みらしいではないか。
子供が遊んでばっかいたらいかん。
ので、優しい優しい市井紗耶香様がわざわざこんな責任ある仕事を与えてやる。
感謝したまえ。
その地図の場所に7月10日に行ってくれ。
道に迷ったら 090-××××-○○○○(保田圭)まで電話でもしてくれ。
俺かこれから7月11日までプライベート用携帯の電源を切り、寝泊まりは家以外の適当な
所にするので連絡を取りたかったら何とかあがいて頑張ってみろ。
じゃあなぁ。
あ、ついでにその日は車で来てくれってよ。
皆の心の恋人 市井紗耶香 』
- 467 名前:夏を知らせる微妙な手紙 投稿日:2003年04月23日(水)21時18分42秒
くしゃっ
思わず手紙を握りつぶしてしまった。
そんな僕を見て安倍先生は苦笑いを浮かべている。
これはどう考えても紗耶香が僕達に押し付けた仕事じゃんか。
僕だけならまだしも、石川さんにまでこんなこと頼むなんて・・・。
何考えてるんだよ!
まったくもぉ・・・それも何だよ巨大水槽の掃除って。
何で水槽(巨大)何だよ・・・。
「安倍先生〜。用事って何ですか?」
僕がぶつぶつと小さく文句を言っていたら、さっき先に帰ったはずの石川さんが戻ってきた。
「あ、梨華ちゃん」
「『あ』って何ですか・・・帰ろうとしてた所を鈴木さんに『安倍先生が呼んでたよ』って
聞いたから戻ってきたのに・・・」
先生という権力を存分に使って何してるんですか・・・。
呆れた顔をしている石川さんを先生は手招きで呼んで、僕の持っている紙を無言で指差す。
僕は思わず握りつぶしてしまった紙を丁寧に伸ばして、それを石川さんに渡すと、
まだ苦笑いを浮かべている安倍先生と目を合わせて同じように苦笑いを浮かべた。
「・・・巨大水槽?」
その疑問、間違えてないです。
僕も同じ所で同じ疑問を持ちました。
- 468 名前:夏を知らせる微妙な手紙 投稿日:2003年04月23日(水)21時19分44秒
- 「あ、あの・・・吉澤くん・・・これって・・・」
「・・・僕もよく分からないんですけど、とりあえず行かないとまずいのではないかと・・・」
紗耶香のことだ。
断った後のことなどを考えて様々なことを考えているはずだ。
こんな不幸の手紙みたいのをもらってしまった以上、受けないワケにはいかない。
「すみません、何かこんなことに石川さんまで巻き込んでしまって」
「い、あ、べ、別に楽しいんじゃないかな?
ほら、巨大水槽なんてめったに掃除できるもんでもないし・・・」
明らかに必死のフォロー。
そりゃそうでしょ。
僕が石川さんの立場だったら普通に焦る。
そして困る。
「・・・とりあえず帰りますか」
「・・・ですね」
「だべな」
石川さんからもう手紙を受け取ると、僕は迷わずそれをもう一度握りつぶして鞄の中に放りこんだ。
- 469 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月23日(水)21時38分08秒
- 更新しますた。
ハロモニを見てやられてから、甘々が書きたくてしょうがなくて、只今執筆
途中の話しが微妙に甘め(w
早くそこまで行かないかなぁ・・・でもそうしたらストックなくなちゃくねぇ。
>サイレンス様
いやはや、ここまで距離を縮めるのにどえらく時間がかかってしまいました(苦笑)
『モチツモタレツ』というよりも『お互いがいたからこそ』みたいな関係を目指しております。
だもんで成長過程を書くのに時間かかってます(汗)
>いっつも言うんですが自分ここのいしよしと作風が本当に
大好きです。
ありがとうございます。
嬉しくて普通に涙が出そうでし。
これからも頑張ります!!頑張れちゃいます!!
- 470 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月23日(水)21時39分25秒
- >ななしのよっすぃ〜様
お久しぶりです。
そしていつも保存ありがとうございます(ぺこり)
そうですねぇ、甘く切ない時間。きっとそうなんでしょうねぇ。
気付かないからこそって感じですかね(w
ちょっと話しが代わるんですが(ここのスレで失礼します)自分はストックで話しの
途切れとか人物視点が代わる時に『=====』っていうので区切ってるんですけど、
あえてここでは外してるんですが、保存の時↑あった方がしやすいですかね?
その方が保存しやすかったら『===』入れようと思うんですけど、どうでしょうか??
本編と関係なくてごめんさい(他の連絡手段がいまいちよく分からないもので・・・)
>クロイツ様
いやはや甘いあんみつorおしるこのようなモノを書くのは難しいのですね(汗)
でも書いてる時は結構頑張って甘くしたつもりなのです(大汗)
ので、少しでもそう感じてもらえたなら幸せてす♪
>なんだか心があたたまりました♪
えがったです、本当にえがったです。
嬉しいです。本当に嬉しいのです。
こう言っていただけると、とても力になります。
これからも頑張るです!
皆様本当にレスありがとうございます。
まじで励まされます☆
- 471 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月24日(木)13時22分11秒
- 更新お疲れ様です。
本当に市井さんあんた何やってる人だよ。(w
巨大水槽の掃除に何の名誉があるんだろう?
と、次から次へとつっこみたいことが…
でも、思うんですけど、きっと2人が掃除してるのも
いい絵になるんだろうな〜と。
(あかん、本当に末期症状かも…
>『モチツモタレツ』というよりも『お互いがいたからこそ』みたいな関係
うん、いいですよね。ちょっとむずかいですけど
その違いを作者様ならば、きっと見事に表現なされるのだと。
作者様、次回の更新もパソコンの前で寝ないで待ってます(w
- 472 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月24日(木)20時54分25秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
圭ちゃんの家の巨大水槽、どれぐらい巨大なんでしょう。モー大変でしたの峰さんの家の水槽サイズですかね?
よっすぃ〜&梨華ちゃんの友達以上恋人未満な関係、ほんとに読んでいて楽しいです。次回更新も楽しみです。
PS:===について
保存順調に進んでおります。また、保存へのお気遣いありがとうございます。(ぺこり)
えっと、人物の切り替わりなどに===ということですが、現状のままでも保存には支障はありませんので、お手間が増えるようでしたら特に無くても平気です。
保存についての連絡は、http://kuni0416.hp.infoseek.co.jp/text/index.html 内の掲示板でお知らせいただくか、
kuni0416@infoseek.jp までメールをいただければと思います。
では、次回更新も楽しみに待ってます!!!
- 473 名前:夏夏夏大計画!? 投稿日:2003年04月26日(土)22時12分06秒
- 「あ!梨華ちゃんによっすぃ〜」
学校を後にした僕達が駅に向かってテクテクと歩いていると、反対側の方から御団子頭×2が走ってきた。
それはかなりのスピード。
突撃は避けられない-----------
ぼすぼすっ!!!!
「んぐっ!」
超スピードで走ってきた小さい娘2人組みは僕のお腹めがけて飛びついてきた。
その衝撃で思わず口から空気がもれる。
「よっすぃ〜久しぶりやな」
「久しぶりなのれす」
「う、うん」
お久しぶり挨拶は嬉しいけど、この体勢で言われるのはちょっと苦しいよ・・・。
2人は木を降りるようによいしょよいしょと言いながら僕から降りると、同時に地面に着陸をして両手でハイタッチ。
そんな2人を見て微笑ましいけど、今だお腹に軽い痛みを覚えている為作った顔を苦笑い。
僕のこの痛みに気付いた石川さんは2人に聞こえないように口だけで大丈夫?と聞いてきてくれた。
その問いかけに頑張って作った笑顔で答えを返す。
「何ややっぱ2人は付き合っとるのか」
「そうなんれすか!?」
- 474 名前:夏夏夏大計画!? 投稿日:2003年04月26日(土)22時13分15秒
い!?な、何を突然・・・
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ!!
吉澤くんが困ってるでしょ!!!」
「梨華ちゃん、そんな超音波みたいな声出さんといてくれる?
ウチらの耳デリケートなんやねんから」
「本当れすよ〜」
あ〜あ、石川さん完璧にこの2人に遊ばれちゃってるよ・・・。
2人は僕達の目の前でおしりをぺちぺち叩いて喜んでいる。
「ほら、ほら石川さん困ってるだろ?」
低い2人の背に合わせるようにして腰をかがめると、おしりをぺちぺちと叩いていたのを止めて
僕の背中に辻がジャンプを1つ。
それを真似するように加護が石川さんに抱きつくようにジャンプをする。
男の僕はまだいいけど、石川さんは結構きつそうだ。
「なぁなぁ梨華ちゃん達は夏休みいつからなん?」
石川さんの腕の震えを感じとったのか、加護が地面に着地して石川さんの手を握りながら
上目使いで問いかける。
そんな加護の行動を見て辻も僕の背中から降りると小さな手で僕の手を握った。
「私達は明日から夏休みだよ」
「まじで!?ええなぁ〜ウチらも早く夏休みになってほしい〜」
「でも夏休みって言ってもあいぼん達は受験勉強しなきゃいけないんでしょ?」
「へい、れものの達はもう進路決まってるのれす。
らからばっちしなのれす」
- 475 名前:夏夏夏大計画!? 投稿日:2003年04月26日(土)22時14分11秒
- 満面の笑みで答える辻に、同じような笑顔で頷く加護。
石川さんと僕はちょっと顔を見合わせてから2人に向かって笑顔を向けた。
正直、2人がもう進路を決めて動きだしていたということに驚いてしまった。
多分それは石川さんも一緒だったのだろう。
だから僕達は(失礼だけど)目を合わせて一瞬だけ驚いた顔を作った。
「あ!今ウチらがもう進路決めてると分かって驚いたやろ!!」
「そうなんれすか!?まったくもって酷いことなのれす。
こりゃ夏休みに海につれていってもらったり、おいしいモノをたらふく
食わせてもらったりしなきゃ気が治まらないのれす!!!」
「「・・・え」」
空気の止まる僕達に向かって2人は何やら怪しい笑み。
辻も加護も僕達の手を握って離すことなんてしないぞというくらいに僕らの手を掴んでいる。
僕は石川さんと目を合わせた。
石川さんは何だか少し照れたように頷いた。
「・・・分かったよ」
この一言が欲しかったんでしょ?
その証拠に辻も加護も大喜びではしゃいでいる(人目を気にしないで)
本当に高校生か?と思う程に。
「やったでのの!!これでウチらの夏休みも楽しくなるで!!」
「お〜いえ〜なのれす!ののは梨華ちゃんもよっすぃ〜も大好きなのれす!!!!」
「うわっ!」
「きゃっ!!」
- 476 名前:夏夏夏大計画!? 投稿日:2003年04月26日(土)22時15分51秒
- 辻と加護は僕と石川さんを向かい合わせになるような形にして僕らの背中に抱きついて
お互いに手を握りあった。
ってことで僕と石川さんとの距離はほぼゼロcmになり、僕よりも背の低い石川さんは、
ちょうど僕の胸らへんに頭をくっつけることになる。
人生のうちでここまで誰かと密着なんてしたことのない僕。
いくら友達といえどもそりゃ緊張もする。
緊張もするってことは心臓の鼓動も早くなる。
そして僕の胸のあたりに頭のある石川さんには絶対にこの胸の鼓動の早さは伝わっているはずである。
・・・は、恥ずかしい。
ちらっと目線を下げたら石川さんの頭が見えた。
ちょっと香る石川さんのシャンプーの匂いが僕の胸の鼓動をよりいっそう早くさせる。
落ち着け落ち着けと自分自身に言いかけて、大きく息を吸い込んだら、よけいに石川さんから
漂うほのかな甘い香が僕に飛び込んで来てさっきよりも早い鼓動になってしまった。
辻も加護もそんな僕の気も知らないでまだ騒ぎ続けている。
この後、僕は何とも恥ずかしくて辛い時間をしばらく味わうことになった。
- 477 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月26日(土)22時24分01秒
- 更新しますた。
いや、最近忙しくてスットクがなかなか溜められなくて・・・更新量少なくて
ごめんなさい(ぺこり)
>サイレンス様
更新に時間が空いてしまいましたがちゃんと寝ましたか(w
距離が縮まる過程をきちんと書けるようにがんばりますです。
はは、自分で言っておきながらもプレッシャーですね(汗)
しかし市井くんはどんどんあふぉキャラになっていきますなぁ・・・(遠い目)
>ななしのよっすぃ〜様
保田家の水槽ですねぇ、それはちょいと言えません(w
いや書き上がってるんですけど・・・へへっ
水槽話しは次の次の更新かその次の更新ですかねぇ?
ちょっと分からないです←オイ。
でも待ってて下さいです☆
- 478 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月27日(日)15時07分31秒
- 更新お疲れ様でした。
いやー寝てないんできついですw(嘘ですが
今回の辻加護に拍手。吉澤くんに梨華ちゃんが
ぴったりと。そりゃ〜吉澤くんでなくとも心臓どきどき
しますよ。辻加護でかしたって感じです(w
2人の仲がどんなふうに進んでいくのか?
まさにこの作品のタイトルですね〜
更新って大変ですよね…よ〜くわかります(汗
お互いがんばりましょうね!!
自分のレスが作者様のプレッシャーでなく
プラスになることを祈って次回の更新に期待してます。
- 479 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月27日(日)15時54分50秒
- 作者さま、更新、お疲れさまです。
夏!海!食い倒れ!、さすが、辻・加護です。
でも、海っていえば、水着。梨華ちゃんの水着と言えば、黒ビキニ!?
しゃいな、吉澤君は、耐えられるのでしょうか?
やばい、考えるだけでにはまりそうです。
では、更新、楽しみに待ってます!!
- 480 名前:それぞれの想い 投稿日:2003年04月29日(火)08時25分38秒
- いつものように鍵を開けて、ドアのぶを回して家に入る。
鍵をいつもの場所に置くと、私は思いっきりベッドに身を投げ出した。
スプリングの利いたベッドが上下に揺れて、私の身体もそれに合わせて上下する。
吉澤くんの胸の鼓動がまだ耳に残って離れない。
ののとあいぼんの攻撃で、私は吉澤くんの胸らへんい顔を埋めるような形になってしまった。
吉澤くんは友達だけど、柴ちゃんとか女の子とは違った匂いがして・・・私は自分の顔に
血が昇っていくのを感じていた。
恥ずかしくて顔が上げられなかったけど、耳が赤くなっているのバレなかったかな・・・。
絶対に普通の心臓の鼓動よりも早いペースで動いていた吉澤くんの心臓。
その音はすごく暖かかった。
夏の陽射しや、道行く人々の視線で恥ずかしくて熱くなった私の体温じゃなくて、吉澤くんの暖かさ。
「やばいな〜何だろコレ?」
扇風機のスイッチを入れて首を振らせる。
まだ熱い頬に両手の甲をくっつけて天井を仰いだ。
- 481 名前:それぞれの想い 投稿日:2003年04月29日(火)08時26分17秒
「夏バテでも起こしちゃったのかな」
・・・。
こういう時にはアイスでも買いに行こう。
そうだ、きっと熱さでやられちゃったんだ。
そうしか考えられない。
つけたばかりの扇風機のスイッチをすぐに切ってお財布を持って、乱れた服装を直す。
鍵を掴んで扉を開けて、扉を閉めて鍵をかける。
夏っぽい空気を吸って、息を1つはくとほら元通り。
とっても普通で身体の体温も下がって行く。
「・・・日射病?」
よく分からないけど、その時私の頭に出てきた漢字は『日射病』の3文字だった。
- 482 名前:それぞれの想い 投稿日:2003年04月29日(火)08時27分35秒
==============================================
いつのもように鍵を開けて、ドアのぶを回して家に入る。
鍵をいつもの場所に置くと、僕は階段を登って部屋に入ってベッドに身を投げ出した。
あまりスプリングの利かなくなったベッドが上下に揺れて、僕の身体もそれに合わせるように少し上下する。
投げ出した鞄から飛び出たぐしゃぐしゃになった紙がベッドからフローリングの床に転がった。
何て自己主張のある紙なんだろう。
『絶対に忘れさせないからな』という意思がひしひしと伝わってくる。
これは紗耶香の呪いなのか・・・保田さんの呪いなのか・・・
どっちにせよかなり恐い。
ベッドから身体を半分出して手紙に手を伸ばす。
それを掴んだ瞬間に僕の携帯が震えた。
そのタイミングの良さに----------
ドサッ
----------思わず残りの身体がベッドから落ちてしまった。
「って、ててて・・・」
ずれた眼鏡を直しながら携帯を開く。
- 483 名前:それぞれの想い 投稿日:2003年04月29日(火)08時28分55秒
- 『保田よ。保田よ。保田圭よ。
あんたのアドレスは保田ネットワークをくしして探り出したわ。
巨大水槽掃除よろしくね。
私も一応手伝ってあげるわ。
もし逃げようものならば・・・ふふふっ♪
あなたの身体はわたしの も の よ 。』
携帯が壊れるんではないかという程に勢い良く僕は携帯を閉じた。
腕を見ると夏だというのに鳥肌が立っている。
僕は携帯を持っていない方の手に握っている手紙をベッドの下に押し込むと、
急いで石川さんにメールを打った。
『絶対に遅刻しないように掃除行きましょうね』
石川さんからの返事はすぐに返ってきた。
『そうだよね!やっぱり遅刻とかすっぽかしとかはよくないよね!!
10分前には着くように行こうね!!!』
・・・きっと石川さんのところにも保田さんからメールが届いたんだ。
僕はこの日悪夢を見た。
その夢の内容とは、まっぱになった保田さんが変な走り方で僕に詰め寄って
ベッドに押し倒すというものだった。
次の日の朝の僕の寝間着は汗でびっしょりだった。
- 484 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月29日(火)08時36分39秒
- 更新しました。
せっかくの久々の休みなのに予定いりも1時間30分も早く起きてしまった・・・
さらにもう一回寝ようとしたのに寝れない罠。
まいったねぇ・・・。
>サイレンス様
辻加護ぐっじょぶ!!
無邪気すぎる2人に悪気なんてもなぁございません。
ただひたすら楽しんでます(w
いつもレス感謝です。かなりの力になってます!
>ななしのよっすぃ〜様
黒ビキニいいですよねぇ。
自分もあれ初めて見た時には同性ながらやられましたよ(w
あやうく吉ヲタが石ヲタに代わるところでした(ww
これからも頑張ります!レス感謝です!!
- 485 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月29日(火)19時51分53秒
- 更新お疲れ様でした。
>その夢の内容とは、まっぱになった保田さんが変な走り方で僕に詰め寄って
ベッドに押し倒すというものだった。
怖。そりゃ〜吉澤君でなくとも、恐怖ですよ。
さ、寒気が…(w
次回も待ってますね。
- 486 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月29日(火)22時00分21秒
- 更新乙です!
どんどん展開が速くなってきてはらはらしております。
海での二人がどのような展開になっていくのか目が離せません。
それに辻加護がどうからんでいくのか・・・
大・大・大期待しております。更新待ってマース!
- 487 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年04月29日(火)23時12分44秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
日射病じゃないよ!鈍いにも程があるYO!梨華ちゃん!!!
でも、その鈍さが可愛いんですよね!。
梨華ちゃんの黒ビキニ、やられちゃいました。(泣)
ずっと、よっすぃ〜一筋だったのに…。あの写真集あたりから節操のない推しになってしまいました。(苦笑)
でも、いつでも、よっすぃ〜&梨華ちゃん大好きです!!
では、大好きだよ〜と叫びつつ更新を待ってます!
- 488 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時37分58秒
- その日、保田はかなりの御機嫌だった。
そんな保田の姿を飯田はかなり呆れた様子で眺めている。
保田は今何故かうすピンクのつなぎを着ている。
そしてテーブルの上には自分と同じつなぎが2着。
ちなみ飯田も同じつなぎを強制的に着せられている。
「圭ちゃん、何度も言ってるけどカオリは掃除手伝わないからね」
「大丈夫!カオリにはもっと重大な役目を用意してあるから!!」
ぐいっと親指を立てて飯田にウィンクをすると、保田はまた鼻歌を歌いながらあれこれ掃除用具を揃えはじめる。
そう、今日はひとみと梨華が保田宅の無意味にデカイ巨大水槽を掃除する日なのだ。
飯田はそんなことも知らずに、ただPCのことについて保田に聞きにきただけなのに、その場で掴まり
『予備を用意しておいてよかった』と言う保田に強引にうすピンクのつなぎを着せられて家に閉じ込められた。
「さぁて約束の時間まで後20分。準備は万端。
カオリ、ちょっとこれから打ち合わせするわよ」
「はい?」
「だから打ち合わせよ」
「・・・何の?」
「・・・掃除に決まってるじゃない。」
「・・・。」
口を開けてウィンクをかます保田に思わず飯田は凍り付いた。
そしてそんな飯田を保田は半ば強引に立たせてテーブルの近くに座らせて掃除の打ち合わせをはじめた。
=================================================
- 489 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時39分32秒
- 「多分ここらへんのはずなんだけど・・・」
私は今吉澤くんの運転する車に乗っている。
手には何度も握りつぶされたのであろう、一番始めに見た時よしもぐしゃぐしゃになった手紙。
「あ、多分次の交差点を左だよ」
「了解です」
慣れた手つきでハンドルをぐるっと回す吉澤くん。
車はそのまま住宅街に入りちょっと細めの道をひた走る。
地図に書かれていた目印のコンビニを見つけると、一度そのコンビニの駐車場に車を止めて
吉澤くんが携帯を開く。
「あ、どうも吉澤です。
・・・はい、そうですコンビニにいます・・・」
吉澤くんは電話で保田さんと話しをしながら何かを探すように身体や首を伸ばす。
私は吉澤くんの邪魔にならないようにちょっと身体をずらすと、吉澤くんは笑って口だけで
『すみません』と言った。
車内の冷房が止まった状態。
開けられた窓からは微かな風が入ってくるけど、その風は涼しいよいうよりはちょっと熱い感じだ。
普段真っ白な吉澤くんの肌もほんのり赤くなっている。
「あ〜あの白いやつですか。
はい、見つけました。じゃすぐに行きます」
携帯を切ってそれをポケットにしまい、すぐに車のエンジンをかける。
吉澤くんは指で1つの建て物を指して、あそこに保田さんが住んでいるということを教えてくれた。
---------------
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- 490 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時40分16秒
- インターフォンを人さし指で押す。
聞き慣れた音が扉の奥で響いて、しばらくしてから保田さんが扉を開けてくれた。
「「・・・。」」
「よし!時間10分前!!あんた達いい感じだわ。ってどうしたのよそんな2人して口あけちゃって」
「普通そうなるよ。
カオリだっていきなり出て来て圭ちゃんがピンクのつなぎ着てたら驚くもん」
飯田さん、あぁ飯田さんもいらしてたんですね・・・。
ごめんなさい、でも今はそれよりも保田さんのその服ほ方が気になるんです。
(飯田さんはいいんです。だって可愛いですもん)
ほら、吉澤くんの顳かみから汗が一雫流れ出てきた。
絶対に間違いを正してあげるべき。
「まぁいいわ。
とりあえず入りなよ。外よりは涼しくしてあるからさ」
私達は保田さんに促されるままに家の中に入って行った。
家に入る前に目が合った吉澤くんの表情は・・・その、何ともユニークで・・・うん、何でもないや。
- 491 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時41分32秒
- =================================================
僕らに渡された服。
それは保田さんの同じピンクのつなぎ。
石川さんは女の子だし(似合うと思うし)良いんだけど・・・。
悩んでいる時間は僕らに用意されていなかったらしい。
僕はバスルームで、石川さんは寝室で強制的に着替えをさせられた。
寝室から着替えて出て来た石川さん。
そりゃ普通に可愛かった。
今日の三つ編みのおさげと良く合っていて問題無し。
で・・・僕。
「吉澤あんた可愛い〜わね〜。」
「あぁこりゃ圭ちゃんいい仕事したよ。
カオリも予想外に可愛いと思う」
「・・・吉澤くん」
いや、全員頬を桜色に染めないで下さいよ。
そんな目で見られたら普通に恥ずかしいですって。
「・・・はっ!そうよ、吉澤なんかに見とれてる場合じゃないわ。
掃除をさくさく始めなきゃ!!吉澤にちょっとこっち来なさい。
石川はカオリと一緒に動いて。
カオリ。石川と一緒にさっき言ったもの作っておいて」
「はいよ〜。ってかそれだったらカオリこんなの着る必要ないじゃん」
「大事なのは統一感よ」
- 492 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時42分33秒
- 飯田さんは呆れながらもキッチンの方へと消えて行った。
その後を追い掛けるように石川さんもキッチンへと消えて行く。
保田さん家は妙に豪華だ。
1人暮らしでまだ20代半ば。
なのにこの家の広さは保田さんの仕事っぷりの表れなんだろう。
ピンクのつなぎを着ているが、そんな保田さんを僕は少しすげーと思った。
「ほら、吉澤早く来なさい」
「あ、は〜い」
保田さんにつれられて来たそこには、本当に巨大な水槽があった。
その中には魚などはいなくて、代わり珊瑚みたいなのとか草みたいなのがある。
何でもこうやって家にいる事が少ない為、魚などは飼うつもりがないようだ。
「掃除ってこの水槽のことですよね・・・」
「そうよ、それがどうしたの?」
「いや、掃除の前に水とかってどうやって出すんだろうって・・・」
この僕の質問に保田さんはニヤリと笑うと、長めのホースを大きめのタンクみたいなのを持ってきた。
脚立に腰かけ、ホースの片っぽを水槽の中に入れて、もう片方を自分の手で握る。
「ホースを少し吸って、一度勢いがつけば、あとは水圧で水が出続けるから。
まず私がやるからそれを見てて」
- 493 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時43分33秒
- 保田さんは手慣れていて、簡単に水を出すことが出来た。
何だ結構簡単そうじゃん。
僕も保田さんを真似するように脚立に座るとホースの片方を水槽に入れて、
もう片方を手で握ると口に含んだ。
・・・スイッ←(ホースを吸った音)
・・・・。
「おえ〜!!」
っだ〜!!!思いきり吸い過ぎて口の中に水槽の水が飛び込んできたよ!!!
思わずよだれと共に水槽の水を吐きだしてしまう。
「うぶへへ〜いや〜〜〜〜〜〜!!!ホッホッホッホパッ」
自分でも何言ってるか全く分からないんだけど、口から不思議な単語が沢山出てくる。
げっほげっほと咳き込んでホースを離した瞬間に水槽から出てきたホースが床に
びちゃっと落ちて、辺りに水がばらまかれる。
- 494 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月02日(金)00時44分36秒
- 「ばぁか」
自分の家の床をビシャビシャにされたのに、そう言いながらも保田はげらげらと豪快に笑っている。
ぐえ〜何だこれ生臭い(泣)
口の中変な味するよ〜・・・。
僕のこの奇怪な声を聞き付けた石川さんと飯田さんがキッチンから飛び出してきた。
保田さんは2人に今のこの情けない顔の説明をすると、飯田さんは保田さん以上に大笑いをして、
石川さんはそれ以上に涙を浮かべながらお腹をかかえて笑った。
何とも情けない・・・。
口からはよだれと水槽の水がまだちょっと出ている。
それを悪いと思ったけど、保田さんから借りてるこのつなぎで拭こうと思って腕を上げたら、
石川さんがまだ涙を浮かべたままの状態で、ポッケから自分のハンカチを出して僕に貸してくれた。
ありがとう、ちゃんと洗ってアイロンかけてから返すからね・・・。
- 495 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月02日(金)00時56分04秒
- 更新しました。
かなぁりの距離を歩き、その前の前の日とかに筋肉痛になる程運動をし、さらに
ちょっとほろ酔い状態です。
次回はこの続き書きます。
とりあえず前半部分を更新しました。
>サイレンス様
圭ちゃんは本当においしいキャラですよねぇ。
だもんで卒業悲しいです(涙)
前回の更新をしながら『今夜夢に出て来そう』と本気で思いました(w
>486 名無しさん様
海は次スレになりそうですねぇ(汗)
辻加護にはまだまだ活躍していただきますよぉ♪
まったり展開に焦りを感じ、こんな具合に早い展開になってきてます(大汗)
>ななしのよっすぃ〜様
>モー大変でしたの峰さんの家の水槽サイズですかね?
前いただいたレスの答えは見事大当たりです☆☆☆
だもんでかな〜り焦りました(w
ネタがかなり古いですが勘弁して下さいです(苦笑)
- 496 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月02日(金)12時35分00秒
- 更新お疲れ様でした。
本当にお疲れのようで…ご苦労さまです(ぺこり
吉澤君も大変ですね。がんばれ〜!!
石川さんと吉澤君がそろってエプロン着てるのかぁ〜
(自分が見たら倒れるかも…(w
モー大変でしょうが続きも期待してまっとります!!!
- 497 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月03日(土)00時40分36秒
- 更新お疲れです。
石川と吉澤の微妙な関係がとってもいい感じですね!
お互いの気持ちに気づくのは次スレあたりから?ですかね?
早く見たいような見たくないような‥こちらも微妙です。
更新期待して待ってます。大変でしょうががんばってください。
すっごく楽しみにしてます。
- 498 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年05月03日(土)20時53分30秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
>モー大変でしたの峰さんの家の水槽サイズですかね?
>前いただいたレスの答えは見事大当たりです☆☆☆
>だもんでかな〜り焦りました(w
すみません。巨大水槽って言うとそれぐらしか思いつかなくて...
ネタが古いとか気になりませんYO。だって、あのときのよっすぃ〜、最高でした!!
なによりも、ピンクのつなぎを着た石川さん♪ほんとに可愛いいに違いないです、見た〜い!!
最近はあやゃよりのはずなのに、ここでよっすぃ〜&梨華ちゃん読むたびに、よっすぃ〜ファンになったころを思い出します。
では、次回更新も楽しみに待てます!
- 499 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月04日(日)23時00分20秒
- 新スレ行く前にレスのお礼させていただきたいと思います。
>サイレンス様
すいません、何か気使わせてしまったみたいで・・・(汗)
更新出来ない日でも、ちょくちょく除いてレスを楽しみにしている私ですので元気です(w
こう、ほのかに甘い匂いを放ちつつも、次スレは荒波がたってみたりしなくなかったり。
これからもよろしくお願いしますです(ぺこり)
>497 名無し様
ほのぼのは自分も書いていて楽しいのです。
だもんで、次スレのちょっと荒波部分で自分は今スランプ中で〜す(爆笑)
ドラマの華は喧嘩と恋愛と言いますように、ここも華をそえなきゃいけないかなぁって
思ってるのです。こんな感じですがこれからもよろしくお願いしますです(ぺこり)
>ななしのよっすぃ〜様
謝らないで下さいYO!
多分自分が読み手だったら同じこと思い浮かべてますもん(w
昔のビデオに偶然残っていたこの映像には本当やられました。(くしゃみがまたたまりません♪)
次スレはテンポアップを計りつつ、頑張りますのでよろしくお願いしますです(ぺこり)
- 500 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月04日(日)23時02分57秒
- ってなワケで皆様のおかげで新スレ突入できます。
ありがとうございます。
住み慣れたこの空板でまたお世話になろうと思ってますので、今後もちらっと
見にきてやって下さい。
- 501 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月04日(日)23時46分39秒
(;0〜0)荒波って何でしょうか・・・。
↑
久々眼鏡よし子。
次のスレでは物語りが少しでも進展しますように(祈り)
ここのスレ読んで下さって、さらにレスまでつけて下さった皆様本当にありがとう
ございます。
重ね重ねお礼言わせて下さい。
かなりの励みになってます。
今後も頑張りますYO!
圭ちゃ〜ん!!←卒業寂しいよ〜(涙)
- 502 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月05日(月)01時56分11秒
- 空板は1000レス576KBまでOKになってますよ?
- 503 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月06日(火)19時11分35秒
- >502 名無し様
わざわざありがとうございます。
知らないかったもので新しくスレを立ててしまいました・・・。
このスレの残りの使い方も考えたのですが、どうしても上手い使い方が思い
浮かばなかったので、新しく立てた方に削除以来出そうと思ってます。
そして小説は引き続きここのスレを使わせていただこうかた思っております。
本当にありがとうございました。
無知な自分を攻めに逝って来ます。
- 504 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月06日(火)20時36分36秒
- 吉澤くん最高!!!
久しぶりにこんな泣くくらい笑ったよ。
吉澤くんは情けなさそうに貸してあげたハンカチで口元を押さえている。
はぁ可愛いねぇ〜。
このピンクのつなぎといい、吉澤くんはどうにも可愛い系が似合うみたい。
普段はもちろんカッコイイんだけど、こんな感じの女の子っていうのも良く似合う。
ほけ〜っと微笑ましい気持ちで吉澤くんを眺めていたら、吉澤くんを目があった。
吉澤くんは恥ずかしそうに顔を赤らめて、それをごまかすようにまたホースを口に含んだ。
今度は上手いこと成功したみたいで、安心したように胸をなで下ろしていた。
「そうだ、ほら石川早くカオリ達も作業に戻らなきゃ」
「はい、じゃあまた後でね」
私が手を振ったら、吉澤くんは両手が塞がっていたので、頷いて返事を返してくれた。
キッチンに戻ってもう一度火をつけて私達に与えられた仕事であるお料理を再開する。
「ねぇ、石川」
包丁をかたかたと鳴らしながら飯田さんは野菜を切っていく。
その慣れた手つきをちょっと見愡れながら自分も負けじ地と手を動かしながら飯田さんに返事を返す。
- 505 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月06日(火)20時37分30秒
- 「この前の話しだけど、カオリの店で働くかい?」
「え・・・?」
「最近前よりも忙しくなってきたからちょっと人で欲しかったんだ。
新人さん雇うよりも、前から働いてくれてる石川の方がいいしさ」
そう言って飯田さんは手の動きを止めると、包丁を置いて私の方を向いて笑いかけてくれた。
そう、私は夏休みに入ってすぐに就職の悩みを飯田さんに聞いてもらっていた。
自分の夢、これからのこと。
そうしたら飯田さんは少し考えてから『じゃあ今度までに色々調べてきてあげるよ』と言ったのだ。
その時は一体何を調べるのだろう?という疑問を持っていたんだけど、どうやら飯田さんは自分の店の
売り上げや色々のことを調べていてくれたらしい。
「どうする?やるのもやらないのも石川次第だよ」
「ほ、本当にいいんですか!?
私のこと雇ってくれるんですか!!?」
思わず手に力が入りすぎてしまい、手に持っていたトマトをぐしゃっと握り潰してしまう。
飯田さんは驚いた顔をしながらも、引き出しからタオルを取り出して(握り潰してしまった
トマトをまな板の上に置いてから)私の手を拭いてくれた。
- 506 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月06日(火)20時38分21秒
- 「カオリに二言はない!」
「飯田さん・・・」
「ほら、すぐに泣きそうな顔しないの」
飯田さんは私の頭をよしよしと撫でてくれる。
・・・だって、だって本当に嬉しいんだもん。
「このトマトはスープにしちゃいますか。
ほら、石川も手伝って手伝って」
まな板の上に置かれたトマトは飯田さんの手によってあっという間にお鍋の中に。
私は自分の横に立っている飯田さんにを見ながら涙がこぼれてしまった。
飯田さんは私の頭をもう一度撫でてからぎゅっと抱き締めてくれて、その後に
『これからもよろしくね』と言ってくれた。
- 507 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月06日(火)20時39分17秒
- ===========================================
掃除は15時までかかった。
お昼のちょっと前から始めて、休憩ナシで手や足を動かし続けてだ。
掃除も終わって、中の水を入れ替えて、伸びた海草などをカットし終わって水槽に電気をつけた
瞬間は感動的だった。
借りたつなぎとかはびしょ濡れになってしまったけど、達成感とかが僕にグワッと押し寄せてきて
思わず泣きそうになってしまった。
そんな僕に保田さんは『何ごとも一生懸命やるってのが大切なのよね』と言って笑いかけてくれた。
『まぁ泣く程のことでもないんだけどね』という言葉も忘れずにつけて。
そして掃除の後の御飯!!
石川さんや飯田さんが作ってくれてたんだけど、もう最高。
ほっぺが落ちそうとはまさにこのこと!
ゆで卵最高〜♪
僕も保田さんもテーブルの上に乗せられた料理を次々と平らげていく。
だってこれおいすぃ〜もん♪♪
マジおいすぃ〜もん♪♪♪
「こんなおいしそうに食べてくれると嬉しいねぇ」
「そうですよね、作ったかいがありました」
「あ、ちょっと圭ちゃん汁飛ばさないでよ」
- 508 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月06日(火)20時40分17秒
- ぼ、僕にも飛んでくるんですけど・・・。
保田さんはトマトスパゲティ−の汁を激しく飛ばしながら麺を口に運んでいる。
「圭ちゃん仕事で出来ることを家でもやりなよぉ」
「ぬゎ〜にいっふぇるのよ(なーに言ってるのよ)
いえふぇれらんかきぃふはってられるかっへ〜の(家でなんか気ぃ使ってられるかって〜の)」
「あぁもう分かったから食べながら口ひらかないで」
この言葉を聞くと保田さんは満足そうに笑ってまた食事をがっつきはじめた。
う〜ん・・・いいのかなぁ。
とりあえずボーッとしてたら保田さんの手によって全て平らげられてしまいそうになるので僕も手を動かす。
いやしかし本当にこれおいしい。
料理も上手いんだけど、やっぱり労働の後の食事というのがいいよねぇ。
もう1つゆで卵もらっちゃお〜っと。
「吉澤くんは本当ゆで卵すきだよね」
両ほっぺの中にゆで卵を入れてハムスターの頬袋みたいに膨らませてゆで卵を満喫していたら、
石川さんは目を細めながら僕の頬を指でつついた。
「ゆで卵ほっぺに溜め込んでる顔見てると吉澤の年齢と性別が分からなくなるよ」
これは飯田さんだ。
僕は言い返すにもほっぺにゆで卵が入ってるもんで言い返せない。
だから一生懸命に口を動かして卵を喉の奥へと送り込む。
- 509 名前:つなぎはピンク。掃除色 投稿日:2003年05月06日(火)20時40分59秒
- 「あれだね、何かやることがガキってか、幼いんだよね」
ごくっとゆで卵を飲み込んで石川さんがつっついている方とは反対のほっぺと突いている保田さんの手を捕まえる。
「僕よりもスパゲティ−の汁飛ばしながら食べる保田さんの方が幼いんじゃないですかねぇ」
「ほほ〜言うわね〜。
ま、石川にほっぺを突かれてじゃ説得力にかけるけどね」
「それだったら飯田さんにほっぺ突かれてる保田さんも同じですよ」
そう、どういうワケか女の子チームはほっぺに夢中。
ぷにぷにぷにぷに突っ突いてとっても楽しそうに笑ってる。
「吉澤くんのほっぺは気持ちいい〜ね〜」
「圭ちゃんのほっぺはちょっと固いかな」
「文句があるなら触らないの。
私の頬は高くつくわよ」
「げーむしろ触ってあげたんだからお金くれるんでしょ?」
げらげらと笑う飯田さんを、保田さんはネコみたいに『シャーッ!!』って叫びながら威嚇する。
2人にとってこういうのが普通の会話なんじゃないかと思う程にそれは自然で、見ていてこっちも笑いたくなる姿。
多分それは石川さんも同じだろう。
(僕のほっぺをまだ突きながらだけど)僕と同じように2人のやりとりを見て笑っているから。
紗耶香に押し付けられた掃除だったけど、結構楽しかった。
お礼を言うのは変な感じだけど、後で携帯にでもメールを送っておこう。
おいしい御飯も食べれたしね。
- 510 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月06日(火)20時53分14秒
- まずは更新というよりも削除していただいたスレ分の更新しました。
本当に間抜けな作者でごめんなさい。
>サイレンス様
なんとリアルタイムでしたか(驚き)
せっかく新スレおめでとうコメントいただいたのに・・・すみません。
こちらの方で続けさせていただきますので、よろしくお願いしますです。
>名無しさん様
削除していただいた方にもカキコしていただいたかたでしょうか?
普通に500以上書き込める時点で疑えばよかったのですが・・・。
わざわざありがとうございます。
>11(削除していただいた方の)名無しさん様
祝コメありがとうございました。
阿呆作者、反省のまっただ中でございます(鬱)
海は甘くを目標にしておりますです。でもその後は・・・
>クロイツ様
祝電ありがとうございました。
無知とは恐ろしいものでし・・・(鬱続き)
陽だまりだなんて・・・(照)荒波起きますが、目指せほんわか小説でいきたいと思っております。
祝電下さった皆様本当にありがとうございます。
そしてごめんなさい。
引き続きこちらのスレ使わせていただくことになりました。
よろしくお願いしますです。
そして更新します。
- 511 名前:summer time 投稿日:2003年05月06日(火)20時57分09秒
- 「ついに・・・ついに・・・」
「・・・来たのれす」
「「夏休み特別企画!お出かけお出かけ海海たいか〜い!!!!!!!!!!」」
ジャンプ一番ハイタッチ。
この日の辻加護はとっても元気だ。
こんなにも熱い日だというのに2人にはそんなの関係ない。
お天道様だって恐れおののく程のハイパワー。
「そんなに動いて今のうちにバテちゃったって知らないからね」
「そうだよ、ほらちゃんと帽子冠って」
ちびっ子2人のありあまるパワーはどうにもこうにもひとみと梨華の手を焼かせた。
日射病になるといけないからと冠らせた帽子はすぐに脱いでしまうし、車に乗せようにも
テンションが治まり切らない2人はなかなか言う事を聞かない。
「もう、行く気がないなら2人も置いていっちゃうよ」
このひとみの一言で辻加護の動きはぴたっと止まる。
文字通り止まる。
まるで鑞人形のように。
「のの、車の後部座席はウチらが確保しよう」
「らじゃぁなのれす」
- 512 名前:summer time 投稿日:2003年05月06日(火)20時58分43秒
- 梨華が持って来た御菓子の袋をポんッと音をたてて開けると、それを合図のようにして
辻と加護は走り出す。
持ってきた大量の荷物は道路へ置き去り。
目指す先は後部座席。
広げるモノは御菓子達。
鍵の空いていた車の扉を同時に開けて動じに乗り込み、同時に扉を閉める。
おいてけぼりを食らったのはひとみと梨華で、2人は揃って辻加護の荷物を拾い上げて
トランクへ押し込む。
車の中はお天道様の力によって蒸し暑い。
黒いハンドルは熱をめちゃ吸収していてさらに熱い。
冷房をつけるのもいいのだが、やっぱり夏は風の方が心地よい。
ってなワケでひとみはハンドルを握ってアクセルを踏む。
目的地は海。
車内の音楽は引っぱり出して来た、何を言ってるのかがよく分からない
輸入の洋楽。
- 513 名前:summer time 投稿日:2003年05月06日(火)20時59分40秒
- 時たま渋滞に掴まりながらも快調に進む車の中では、辻と加護によってひらかれた
御菓子パーティーが終わることなく続けられている。
一応気を使ってか、ひとみや梨華にもおすそわけという感じに御菓子を差し出してくれる。
「もう少しで着くから少し片しておきなよ」
「チョコとか車の中に置きっぱにしてたら溶けちゃうからね」
「その心配はないのれす」
「チョコは先に全部食べてしもうたんや」
「「・・・。」」
そうか、心配するのはお腹の方だな。
こう思ったのはひとみも梨華も同じだ。
しかし、それは大きな間違いで、お腹の方も全く心配ないのである。
その証拠に辻も加護も片し始めた御菓子に手を伸ばしていた。
- 514 名前:summer time 投稿日:2003年05月06日(火)21時02分21秒
======================================
やっとの思いで車を停めれる所を発見して駐車をする。
車から降りて、曲がりきっていた足や身体をうんと伸ばす。
太陽は肌に突き刺すように照っていて、空は雲一つない真っ青な空。
手を伸ばせば僕の手のひらは、昔歌った歌のように赤く見えた。
かけていた眼鏡も妙な熱を受けていて、早くもうっすらと鼻に汗をかく。
もう一度ぐっと伸びをしてから後ろを振り向いたら、辻と加護と石川さんは
トランクから荷物を取り出して着々と海へ出かける準備をしていた。
「梨華ちゃんはこれ以上太陽あびたらもうあかんちゃう?」
「ちょっとぉ、あいぼんそれどういう意味よぉ」
「どんな意味でしょう?
ほ〜らほ〜ら怒ってないで早く行きましょ〜♪」
「行きましょ〜♪♪」
- 515 名前:summer time 投稿日:2003年05月06日(火)21時03分33秒
- 加護は石川さんの手を握って、辻は僕の手を握って、辻と加護はお互いの手を握りあって
熱く湯気を放つようなコンクリートの地面を蹴り出す。
砂混じりの地面がじゃりじゃりと音をたてて、履き替えたサンダルの踵の部分から
細かい砂が飛びこんでくる。
駐車場を飛び抜けて砂浜へ。
こんな天気がいいと、やっぱり皆考えることは同じらしくて、海は人で大にぎわい。
さらに砂浜も大にぎわい。
想像はしていたけども、夏にこんな屋外に出て、それも沢山人がいるところに来るなんて
ほとんど経験のなかった僕は、熱さだけではない汗を一つかいた。
「すっごいねぇ、やっぱり夏は人だらけだね」
「うん、想像はしてたけど・・・すごいね」
呆然とする僕のことを石川さんは『ま、楽しみましょっ』て言って笑って手をぱたぱた振った。
辻と加護はもうどうしようもなく海に入りたいらしくて、地団駄を踏んでついでに僕らの腕も振り回す。
すれ違う人達はそんな辻加護も見て、微笑ましく笑ったり・・・かなり恥ずかしいです。
そんなワケで早く早くと石川さんも僕も更衣室のある海の家へと直行です。
もちろん男の僕は男の着替える方だよ。
- 516 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月06日(火)21時11分16秒
- 更新しました。
『summer time』は後2回くらいに分けて更新したいと思ってます。
だもんで今回更新は中途半端な終わり方になってます。
>503にも書いたのですが、空板に500以上書き込めると知らずに新スレを
立ててしまい、管理人様に削除していただきました。
削除していただいた方とこのスレと平行して物語りを書いていこうとも考えたのですが、
それは自分の力量じゃ不可能だと思い、立てたスレは削除していただき、引き続きこちらの
スレで書かせていただくことにしました。
書いていることが>503と重なってしまいましたが、こちらの方で引き続きよろしく
お願いいたします。
- 517 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年05月06日(火)22時18分21秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
ついに海ですね!梨華ちゃん、どんな水着を着るんでしょう?吉澤君、貧血で倒れないといいですけど...。
想像するだけで、鼻血が出そうです。(笑)
ある意味で、辻&加護は、梨華ちゃんとよっすぃ〜のデートをコーディネートしてますね!海!水着!イカ焼き!焼きそば!カキ氷!って、後半食べ物ばっかでした。
では、二人の前途を祈りつつ更新を楽しみに待ってま〜す!
- 518 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月06日(火)22時27分57秒
- 更新お疲れです!
海!海!海がついに来ましたね!
お互いがお互いの水着を見たとき!どんな感じなですかね!
今からすっごく期待してますよー。
どきどきしながら待ってます!
- 519 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月06日(火)23時31分27秒
- 更新お疲れ様でした。
梨華ちゃんの水着ですか…(ドキドキ
吉澤君が日焼けしたらど〜なっちゃうんでしょう?
(ワクワク
こりゃ気になって寝れませんね(w
ところで吉澤君のメガネって普通のやつなんでしょうか?
サングラスとか、かけちゃったら…(ドキドキ
続きもドキドキ、ワクワクで待ってます(w
- 520 名前:クロイツ 投稿日:2003年05月08日(木)11時31分05秒
- み、水着…!!梨華ちゃんの水着ッ!!
楽しみですねぇ!!ねぇ、吉澤君!!!(爆笑)
ああ、テンションの高い辻加護が、なんだかいしよしの子供に見えます(笑)
おとーさんもおかーさんも頑張ってくらさい。
それにしても水着ッ!!(←しつこい)
次回も楽しみにしております!!
- 521 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時10分57秒
- -----------------
------------
-------
「なんや、よっすぃ〜Tシャツなんか着て。
色も白いしもやし男みたいになるで」
ふらふらして下手にはぐれてしまうのもあれなんで、僕は海の家の入り口でぼーっと立っていた。
じろじろ見られるのはやっぱりまだ苦手だけども、俯いてれば視線を合わせなくてすむから
平気といえば平気なものだ。
そしてぼーっとそこに立っていたら、首にどさっと重みがかかって、
頭上から加護の声が聞こえてきた。
首にかかった重みは辻と加護の荷物で・・・何がはいってるかは知らないけど、
その重みに思わず腰ぐっと曲った・・・。
「そうなのれす。よっすぃ〜は背も高くて男前なんれすから今年の夏は色黒になるのれす」
「色白なうえに白Tシャツで水着も色気もなんもないもんかい。
こう競パンみたいのでもはいたらええやん」
「・・・競パンって」
別に僕自分の水着に色気も何も気を使わないよ。
膝上くらいまでのハーパンみたいなのでいいじゃん。
ずれた眼鏡を直して、着ていたTシャツを伸ばすようにひっぱっていると石川さんの声が聞こえた。
「ほら、あんまり無理言わないの。
吉澤くんを困らせないようにしなさいって何度も言ってるでしょ?」
- 522 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時12分37秒
- 僕が首を上に向けると、辻と加護の首根っこを掴まえた石川さんが楽しそうに笑ってた。
辻の水着は青色のギンガムチェック。水着の上にはキャミソールみたいのを着ていて、
下にはスカートみたいなのをはいていた。
加護はピンク着の色違い。
ピンク色のギンガムチェックがおだんご頭できゃぴきゃぴとはしゃぎ回る加護によく合っている。
石川さんはさっきまで着ていた真っ白なTシャツを水着の上から着ていた。
夏の陽射しが石川さんの健康的な肌の色と、対照的なTシャツの白色を綺麗に浮かび上がらせている。
何だか皆の視線が(もちろん僕達以外の)集まっているような・・・。
「ほら、海行くんでしょ?
早くあいぼんもののも行こうよ」
石川さんに手をつないでもらったせいか、2人は嬉しそうに頷いた。
階段をジャンプで降りると、加護が空いている方の手で僕の手を握って『早く行こう』と促しはじめる。
僕は首から辻加護の荷物をぶら下げて、何とも情けない姿で砂浜を一緒に駆け出した。
時間は丁度お昼頃といったところだろう。
太陽は真上に来ていて、陽射しが容赦なく照りつけてくる。
辻と加護は石川さんの手から離れていくと、お互いに手を握りあって海の中に飛び込んで行った。
僕は人込みをかき分けるようにして適当に空いている場所に荷物を置いて、とりあえすは荷物番をする。
そんな僕に気を使ってか、石川さんも僕の隣に腰を下ろすと、水をかけあって遊ぶ2人を楽しそうに眺めた。
- 523 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時13分36秒
- 「石川さん、2人と一緒に海行ってきていいですよ。
荷物は僕が見てますから」
「ううん、きっとののもあいぼんも最初は2人で遊んでたいと思うんだ。
それにきっと飽きたら引っ張りまわされると思うもん」
肩をすくめながら笑う石川さん。
「・・・たしかに」
同意します。
させて下さい。
今2人はプロレスごっこでもしてるんだろうか。
辻は加護の腰を後ろからかかえこんでそのままバックドロップをかましている。
「僕、逃げてもいいのかな・・・」
海から浮き上がってきた加護も負けじと辻のことを投げ飛ばしている。
「・・・考えた方がいいのかもね」
石川さんは冷や汗を浮かべながら頷いた。
-----------
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しかし、予想と反して辻も加護も2人で永遠と遊び続けている。
今はもう15時くらい。
ここに来て3時間もぶっとおしで遊び続けている辻加護の体力には
頭が下がるというか・・・何というか。
- 524 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時14分41秒
- ちょっと呆れた感じで辻と加護を見ていたら、この視線に気付いたのか2人がびちょびちょと
海水を垂らしながら僕らの方まで歩いてきた。
「なぁなぁおとんにおかん」
「「違います」」
「お、おおう・・・すまん」
「のの達お腹すいたのれす」
ちょっと後ずさりをした加護はおいといて、お腹の方だが、あれだけ遊べば当たり前だ。
そういえば僕も少しお腹がすいた感じ。
「私、今日お弁当作ってきたよ」
「のの達も御菓子持ってきたのれす!」
「・・・まさかこの重い鞄の中身は」
「食い物や」
僕の腰を曲げる程の重み。
それが御菓子・・・ありえない。
- 525 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時15分19秒
- 「ほら、吉澤くんんも食べなよ。
べ−グルサンド(生物抜き)作ってきたんだよ」
「いただきます。是非」
即答は当たり前。
石川さんの作るべ−グルサンドは天下一品。
逃すなんてただの馬鹿だ。
しかしここには辻と加護がいる。
-争 奪 戦-
そう、戦が始まるのだ。
僕は石川さんに少し近付くと、自分でベストポジションだと思う場所を確保した。
- 526 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時16分56秒
- ============================================
すごかった。
ののもあいぼんも吉澤くんも。
かなりの量を作ってきたつもりだったのに、ものの5分でなくなってしまった。
こんな吉澤くんを見たのは初めて。
料頬をおもいッきり膨らませて口元にマヨネーズをくっつけて、ののにもあいぼんにも
負けないようにべ−グルを口元に運んで、喉につまらせて急いで水を飲む。
それでもまだ涙目だったもので、私が背中をさすってあげたら涙目になりながら顔を真っ赤にして、
それを見たののとあいぼんが大笑いをする。
その2人をもっと顔を真っ赤にして怒る吉澤くんは、何だか本当のお父さんみたい(若め)
・・・ってことは私がお母さん?
「石川さん?どうしたんですか?」
「梨華ちゃんがへんなのれす」
「そんなん昔からやん」
「へ?そうなの?」
「気付かんかったん?」
「よっすぃ〜は鈍感なのれす」
ってことは子供がののにあいぼん?
・・・食費が。
- 527 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時18分20秒
- 「鈍感って・・・別に石川さんは変じゃないよ」
「恋は盲目って言うのれす」
「お、のの言うこというなぁ」
「えっへんなのれす」
「別に僕は誰にも恋なんてしてません。
石川さんは友達だって言ってるでしょ」
吉澤くんがお父さんってことはあいぼんが色白なのはお父さんゆずりってことだよね。
あ、でも今2人共今18歳だっけ。
「はいはい、説得力のない言い訳ありがとございましたぁ」
「加護!お前人の前でおしりぺんぺんするなよぉ。
砂がべ−グルに入っちゃうだろ」
「大丈夫れす。砂が入っちゃったてゴミが入っちゃったてののがそのまま食べてあげるのれす」
「ゴミとかちゃんと払わないとお腹こわしちゃうでしょ?
もう18歳なんだからそんなんで病院担ぎ込まれたら恥ずかしいじゃん」
ってことは2歳の時の子供?
え!そんなのじゃ私まだ子供宿せる準備できてないじゃない。
- 528 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時18分58秒
- 「よっすぃ〜は本当にお父さんみたいなのれす。
のののお腹は大丈夫なのれす」
「はいはい、分かりましたよ。
でも気を付けないとダメだからね。
辻にもしものことがあったら皆すごく心配するよ」
「ウチは?なぁウチにもしものことがあっても心配してくれる?」
「当たり前じゃん。
加護も辻も大切な大切な人なんだから」
「じゃあ梨華ちゃんだったらどうなのれすか?」
って飯田さんの交信技術が私に乗り移ってるじゃないの。
ダメダメ。
戻りなさい梨華。
ほら、吉澤くんとののとあいぼんが待つ現実世界に!!
「考えたくないけど・・・
心配とか通りこしてきっと悲しくてしょうがなくなっちゃうかもね。
ほら、2人共そんな心配してないで。
もし辻や加護や石川さんに何か起きそうになっても、僕が絶対に護ってあげるから。
そんなこと起きないように頑張るから」
「何を頑張るん?」
「ののも良く分からないのれす。
れも・・・ののは嬉しいれす」
- 529 名前:summer time 投稿日:2003年05月09日(金)08時19分45秒
- な、何かしら・・・この家族の一コマみたいな画。
それに吉澤くん『護る』って何?
ののやあいぼんや私を護って何の事?
私さっぱり意味が分からないんだけど・・・。
「あ、石川さんが帰ってきた」
「れも何かよく分からない顔してるのれす」
「海にでも放り投げたらいつも通りになるんじゃん?」
「お〜い石川さ〜ん。大丈夫ですか〜?」
吉澤くんが私の目の前で手をひらひらと振っている。
大丈夫です。
もちろん大丈夫です。
だから私に皆の会話の内容を教えて下さい。
「教えて下さい!」
「「「はへ?」」」
交信から戻ってきた私を、3人は何とも間の抜けた顔で見てきた。
そして私はあいぼんとののの手によって見事海に放り投げられました。
- 530 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月09日(金)08時30分42秒
- 更新しました。
大変で〜す。遅刻しそ〜で〜す(焦)
『summer time』あと1回の更新でし。
>ななしのよっすぃ〜様
いや・・・水着あうぅ・・・次回にちらりとのせたいなぁって・・・。
でもTシャツを着るあたりの石川さんの照れぶりは自分で書いていて楽しかったどす。
辻加護はデートコーディネーターですね。というか遊びたいざかりです(w
>518 名無しさん様
いや〜なんとも反応少ない2人でした(大焦)
だって2人もTシャツ着ちゃうんだもんYO!
しかし次回は少し甘めを用意しております。多分、きっと甘めです(w
>サイレンス様
いや〜吉澤くんはあまり陽に焼けないようです(苦しい言い訳)
>ところで吉澤君のメガネって普通のやつなんでしょうか?
見事に普通のですね。縁無しです。太陽にあたってキラリと光りそうなくらい眼鏡です。
サングラスかぁ・・・似合いそうだなぁ(ちょっと書きたくなってきました)
>クロイツ様
うあぁぁぁ・・・・水着こんなでごめんさいぃぃぃぃ。
隠してます。隠しまくってます(汗)
次更新のテーマは『家族って素敵ね』です(ちょっと嘘←オイ)
- 531 名前:クロイツ 投稿日:2003年05月09日(金)13時33分36秒
- 水着…まぁ、ちょっと隠された方が逆にエロいとゆーか(←オイ)
それにしても吉澤君。素直になりなさい吉澤君。つーか梨華ちゃん聞いてなくて良かったね吉澤君(爆笑)
>ってことは子供がののにあいぼん?
>・・・食費が。
ここが学校だと言う事も忘れて、爆笑しそうになりました…!!く、苦しい…!!
次回は『家族って素敵ね』…うおあー!!楽しみ〜!!
がんばってくださいねっ!!
- 532 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月09日(金)21時32分19秒
- 更新乙です!
甘め!次回は甘め!ですか!むふふふふー
なんかこの4人の絡みってすっごくいいですね!
梨華ちゃんの妄想も今後は習慣化していくのでしょうか?なんか楽しみです。
・・・・ニヤニヤニヤニヤにやけながら読んでます・・・・がんばってください!
- 533 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月10日(土)00時31分37秒
- 更新お疲れ様でした。
>「なぁなぁおとんにおかん」
「「違います」」
このフレーズめっちゃ好きです。
なんか、家族を意識しちゃってる梨華ちゃんがものすごく
かわいいです。
しかも、最後に落とすのはお見事です(w
海の最後すごく楽しみですよ。
- 534 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時27分02秒
- 太陽はぐんぐんと沈んで行く。
海はオレンジ色に染まり、空を走る雲は真っ白な身体をオレンジ色に変えて
伸びる空と同化を果たす。
あんなにも沢山いた人は車や電車に乗って帰宅しているのだろう。
海岸にいる人の数は随分と減った。
「結局吉澤くん海に入らなかったね」
砂浜に優しく吹く風が僕のTシャツを優しく揺らして、隣に座る石川さんの
Tシャツも同じように優しく揺らす。
辻と加護は波のすぐ近くで今砂遊びをしていて、あのちびっ子2人によって
海へと投げ込まれた石川さんの髪はまだ濡れていて、その濡れた髪が夕日に照らされて
キラキラと美しく輝いてる。
「何だか皆が楽しそうにしているのを見る方が楽しくて」
「そっか、でも私もあの2人が楽しそうに遊んでるのは見てるの楽しかったな」
風は何処までも優しく、太陽は何処までも暖かく、僕らのことをそっと見守っていてくれている。
きっとこの時間は何にも代えられない。
僕の中の宝物の一つ。
「でもさ、せっかく海に来たのに海に触れないのはもったいないと思わない?」
- 535 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時28分44秒
- そう言うと石川さんは立ち上がって着ていたTシャツを一気に脱いだ。
真っ白なTシャツが音を立てずに砂浜に舞い降りて、僕の手の上にそっと乗っかった。
Tシャツはまだ少し湿っていたものの、石川さんの体温を確実にそこに残している。
健康的な肌の色に合った黒色のビキニがオレンジ色の夕日を受けて独自の色を放つ。
それは決して厭らしいという感じではなく、彼女自身が持つ独自に可憐さのようなモノを引き出していた。
僕は目のやり場に困るというのではなく、ただ見愡れてしまった。
「吉澤くん」
石川さんに差し出された手をそっと握って僕も立ち上がる。
砂の中に足が埋まっていく感覚と僕の感覚がリンクをした。
何かに埋もれていくような、でもとても心地が良いような感覚。
服やTシャツについた砂を払ってから、先に海へと向かって歩きだした石川さんに追い付くように
着ていたTシャツを乱暴に脱ぎ捨てて柔らかな砂浜を蹴る。
そのまま石川さんに追い付くと、その小さな手を握って一気に海まで引っ張って行った。
久しぶりに触れた地球の水はとても気持ちがいい。
海には夕日の道が出来ていて、僕はその夕日の道まで石川さんを導くように連れて行く。
- 536 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時29分31秒
「石川さん」
海と夕日の恩恵を受けた石川さん。
その姿はすごく綺麗で----
「なぁに?」
僕はこの人と出会えて、こうして知り合えて、こうして今ここにいることを----
「・・・ただ呼んでみただけです」
「変な吉澤くん」
「かもしれませんね」
「でも私、吉澤くんのそういうところも結構好きだよ」
----幸せに思った。
- 537 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時32分56秒
=============================================
予定では暗くなる前にのの達を家に送ってあげようってことだったんだけど私達はまだ海にいる。
すごく綺麗な夕日も見れたし、吉澤くんともののともあいぼんとも沢山遊んだし、
文句の無い一日になった。
夏だけど吉澤くんの肌は羨ましいくらいに真っ白で(本人はちょっと気にしてたみたいだけど)
線が細い人だから体つきも?って思ってたら意外に多少の筋肉ついていてビックリみたいな。
そんな発見が沢山あった一日で、私のお腹は満足でいっぱい。
でも『星見たいのれす』この、ののの一言で残留決定みたいな感じになって、私達は急遽買ってきた
黒地で赤いラインの入っているフリースを身に纏いながら砂浜に寝っ転がって空を見上げている。
きっとこんな空を見て、吉澤くんは部屋を空にしたんだなって思う。
周りに街灯があまり無いせいで、空は星の光りだけで輝いていた。
吉澤くんの部屋でもそうだったんだけど、この大きな空に吸い込まれて
いってしまうのではないかという不安。
そんなのが襲ってくる。
だから隣にいた吉澤くんとそっと手を繋いで、その隣にいるあいぼんとも手を繋いだ。
きっと吉澤くんも私と繋いでいる方と反対の手をののと繋いでいるはず。
予想だけど、きっと間違ってないと思うよ。
だって絶対にあの時よりも吉澤くんは近くにいるはずだから。
- 538 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時35分28秒
- 少し自分の言葉に確信を持ちたくなって、吉澤くんと繋いだ方の手にぎゅっと力を入れる。
吉澤くんはすぐに私の手をさっきよりも少し強く握り返してくれた。
「今日は本当に楽しかったよね」
「はい、僕こんなに楽しい気持ちで過ごす夏ってあまりなかったから、
今日こうやって皆といるのがすごい幸せですよ」
「ウチも楽しかったわ」
「ののもれす」
背中に感じていた砂が少し移動をして、隣にいたあいぼんが私に抱きつくように転がってくる。
それを見たののも同じように吉澤くんに抱きつく。
「よっすぃ〜は暖かいのれす」
「梨華ちゃんも暖かいで」
繋いだ手が少し動いたからちょっと気になって横を向いたら、抱きついたののが楽になるように
腕を回して支えてあげているのが見えた。
さりげない優しさを決して忘れない吉澤くん。
きっと今ののはすごい安心感に包まれてるんだろうなぁ。
じっとその綺麗で整った横顔を見ていたら、あいぼんが私のフリースをくいっくいっと引っ張った。
あ、そうか。
少し拗ねた顔をするあいぼんのことを吉澤くんと同じようにぎゅっと腕を回して抱き締めてあげる。
「あいぼんは甘えん坊だね」
「そんなことないもぉん」
「じゃあののは甘えん坊だね」
「へい、そうなのれす」
私達は4人並んで都会じゃあまり見えないような星空を見上げた。
流れ星が一つ、星の海を走って行くのが見えた。
- 539 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時37分29秒
============================================
僕はこの時、この幸せが何の前触れもなく崩れるなんて思ってもいなかった。
そう、ずっとこんな風に過ごせると思っていた・・・。
- 540 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時39分31秒
- ◇◇◇◇◇◇
- 541 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時40分04秒
- ◇◇◇◇◇◇
- 542 名前:summer time 投稿日:2003年05月11日(日)14時40分39秒
- ◇◇◇◇◇◇
- 543 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月11日(日)14時52分37秒
- 更新しました。
ハロモニ見て号泣・・・早くDVD出てくれぇ!!!
ってか出るよねぇ・・・?
>クロイツ様
そうです。チラりずむの美学というものです。
でも今回梨華ちゃん大胆です(?)
次回からちょっと波が立ちます。
そしてそのおかげで見事スランプです・・・(鬱)
>532 名無しさん様
これ、甘かったんですかね・・・(汗)
今出来る自分の中での精一杯の甘々なんですが(ちょっと不安)
>梨華ちゃんの妄想も今後は習慣化していくのでしょうか?なんか楽しみです。
きっと暴走した時に出てくるでしょう(w
書いてて楽しいからきっと出てくるかも(ww
>サイレンス様
海の最後こんな感じになりますた。
どうなんでしょうか・・・良かったんですかね・・・(汗)
自分4期メンバー大好きなんです。
だから書いててかなぁり楽しいですYO!
- 544 名前:クロイツ 投稿日:2003年05月11日(日)15時58分18秒
- 『家族って素敵ね』…まさに!!まーさーにー!!そんな感じれすねッ!!!
そして大胆ッ!!梨華ちゃん大胆ッ!!しかもビキニ!!更に黒!!
は、鼻血が…!!!(爆笑)
良かったです…すげぇ良かったれすぅ!!
次回から波風…は、ハラハラどきどきって感じです…(汗)
ああ、どうなっちゃうんだろうっ!!
楽しみにしております☆
P.S.ハロモ二…私も泣きました…。ケメ子さぁぁ〜ん!!!私も買いますYO!!絶対!!
- 545 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月11日(日)22時37分12秒
- うおー更新されてる!
乙です!ハロモニ俺も見ましたっていうか、ライブ行ったんで・・・
すっごくよかったですよ!もう涙!涙!とまりませんでした。
ってなわけで、今回も甘甘な感じで癒されました。
この幸せが崩れるって・・・・どーなっちゃうんですか・・・?
あんまり辛いのは・・・ああ!更新が待ち遠しいです。
毎日このスレ覗くのが習慣化しています。楽しみに待っています。
- 546 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月11日(日)23時15分10秒
- 更新お疲れ様でした。
めっちゃ良かったんで3回も読み直させて
もらいました。甘かったです、今の2人にとって
一番の甘さだったんじゃないですか?
はい、4期メンバー大好きに激しく同意です。
自分も大好きってゆーか4期ヲタです(w
えっ、何が起きるんですか?
うっわ〜今日も気になって寝れないです(w
- 547 名前:気持ち 投稿日:2003年05月12日(月)21時43分41秒
- =それは何の前触れもなく訪れた=
「あぢ〜よ〜・・・」
「あんたさっきからそれしか言ってないじゃない」
「だってあぢ〜んだぼ〜ん」
「だったら何でクーラー壊れてる私の家来んの」
「いいじゃんかよぉ〜ケチケチすんなよぉ〜」
市井紗耶香は今保田圭の家にいる。
自分の家のクーラーがぶっ壊れてしまい、アポ無しで保田の家に行って、チャイム一つ鳴らし、
扉が開いたら保田が腰にタオル一枚巻いて汗ビッショリになって表れたのだ。
そう、保田の家のクーラーも見事ぶっ壊れていたのだ。
「ったくそれにしても扇風機もないのかよ」
「あんたに言われたくないわよ。
そんなに文句ばっか言うならいつものように女の所にでも行けば?」
「俺今彼女いないもん」
「あら、めずらしい」
うちわをぱたぱたと動かしながら男2人は一瞬黙り込んだ。
「・・・こんな暑い時はキムチ鍋でもしますか」
「男2人で?」
「違うわよ。華を連れてくるのよ」
- 548 名前:気持ち 投稿日:2003年05月12日(月)21時44分55秒
- --------------
---------
-----
「吉澤早くしてよぉ」
「後少しですから待ってて下さい」
で、呼び出されたのがこの3人。
ひとみと梨華と後藤である。
仕事のあるなつみと矢口と飯田は残念ながら今回不参加だ。
料理担当はジャンケンで負けたひとみ。
こんな暑い中、台所に立ってひたすら料理を続ける。
はっきり言って拷問である。
梨華は保田にがっちりと掴まり、後藤は市井にがっちりと掴まり、ひとみはただ黙々と料理を続ける。
イジメではないかと思えるような画。
それでもひとみは手を動かし続ける。
それもちょっと複雑そうな顔で。
「吉澤〜こっちにビール持ってきてくんねぇ?」
「そんなの自分でやってよ」
「俺今足の骨折れたから無理〜」
こんな調子である。
ひとみが冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出して部屋に向かって投げ飛ばす。
不機嫌丸分かり。
でもそんなことで動じる市井でもない。
指令は次から次へと飛んできて、ひとみの着ていたシャツは見事に汗で身体にくっついている。
やっと料理が出来て皆のいる所に持って行くと、4人は何ともだらけた姿で(梨華を除き)
ぐでーっとしながらそこら中に転がっていた。
「キムチ鍋、出来たよ」
このひとみの一言に皆はただ黙ったまま首を縦に動かした。
- 549 名前:気持ち 投稿日:2003年05月12日(月)21時46分24秒
- ============================================
ありえない。
何でこんな暑い部屋の中でこんなにもくっついてキムチ鍋なんていうものを食べているのだろう。
誰だ?こんな日にキムチ鍋をしようなんて言いだしたの・・・。
「吉澤くん、白菜いる?」
「あ、はい。いただきます」
「いちーちゃんも野菜食べなきゃダメだよぉ」
「大丈夫。俺の代わりに圭ちゃんが食ってくれてるから」
「石川〜私にも野菜取ってぇ」
丸いテーブルを囲んでの食事。
汗をかいていない人なんて誰もいない。
皆身体から湯気が出てるんではないかと思う。
僕の隣には石川さん、その隣には保田さんで、続いて紗耶香にごっちん。
紗耶香と保田さんの所だけ異様に温度が高そう・・・。
「吉澤、悪いビールくれ」
「もう切れちゃったよ」
「じゃあ買ってきてくれぇ」
「そんなの自分で行ってよ」
「俺今足首の骨にヒビ入ったから無理」
・・・最低だ。
何でこの人はこんなにも簡単い嘘がつけるんだろう?
良心が痛むとかいうことがないのか??
でもきっと何を言っても無駄なんだろうなぁ・・・。
仕方ない。
- 550 名前:気持ち 投稿日:2003年05月12日(月)21時48分57秒
- 僕は紗耶香の説得を諦めると席を立った。
汗で椅子とくっついていた部分が湿っている。
「あ、じゃあ私も行こうか?」
僕が財布の入っている方のポケットを叩いて、そこにきちんと財布があるか確かめていると、
石川さんが箸を止めて顔を上げてくれた。
優しい人だなぁ。
「ありがとうございます。
でも大丈夫ですよ。
そこのコンビニまでですし」
石川さんは『そっか』と言って笑顔を向けてくれた。
う〜んこの優しさが紗耶香に少しでもあればなぁ・・・。
まぁそんなことを思っていてもしょうがないのでとりあえずさっさかと家を出て近くのコンビニに
行って適当にビールを買いあさった。
------------------
----------
------
「はい、これだけあれば十分でしょ」
「お、悪いな」
僕がコンビニに行っていた時間は往復で10分少々。
皆それなりに知り合いだし仲も良いんだけど、この10分ちょいの間に出来上がった空気に
僕は付いて行けなくなっていた。
ごっちんと紗耶香は酒を飲みかかわしながら楽しそうに笑いあっているし、石川さんと
保田さんは席も近くなって、何だかすごく楽しそうに話しをしている。
- 551 名前:気持ち 投稿日:2003年05月12日(月)21時50分04秒
何だろうこの感覚。
石川さんやごっちんが誰とどう話していたっていいじゃないか。
誰と仲良くしたっていいじゃないか。
でもじっと席に座っているのが何だか息来るしい。
「僕ちょっとおつまみでも作ってくるよ」
きっと誰も聞いていないんだろうけど、それだけ言って席を立った。
逃げ出したくなった。
- 552 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月12日(月)22時07分49秒
- 更新しました。
ちょっと高校時代を思い出して書いてます。
突然なんですよね。
自分の中で変な気持ちが生まれるのって。
>クロイツ様
は、鼻血大丈夫ですか(大焦り)
大変です!!量鼻に早くティッシュ詰めて詰めてぇ!!!!!!!
(;○〜○)オロオロオロオロ
荒波来ました。
もう後には戻れません←頑張れ自分!
>545 名無しさん様
ライブ行ったんですかぁ〜いいなぁ(自分一度も行ったことないんですよ)
ヤスラスコン行きたかったです・・・。
いや自分も辛いの好きくないんですけど、新たな展開を求めようと(汗)
>毎日このスレ覗くのが習慣化しています。楽しみに待っています。
ありがとうございます。もうめっちゃ頑張ります!!
>サイレンス様
4期メンは最強ですよね。
こんな家族がいてもいいじゃないか〜!!って思って書きました。
>めっちゃ良かったんで3回も読み直させて
>もらいました。甘かったです、今の2人にとって
>一番の甘さだったんじゃないですか?
こんなベタ褒めされてしますと恥ずかしいですね(w
ありがとうございますです。
ちょっとこんな感じになってしまいましたが、しっかり寝て下さいね(w
- 553 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年05月12日(月)23時45分16秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
ようやく自分の気持ちに気づきかけているよっすぃ〜。まだ鈍感なままの梨華ちゃん。
好きな人が他の人と仲良く話していると妙にイライラしたり、いたたまれなくなったり、でも、自分の気持ちに正直になって!よっすぃ〜!!
はるか昔のことを思い出しました。(遠くを見る)
では、昔を懐かしみつつ次回の更新も楽しみに待ってます!
- 554 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月13日(火)13時18分00秒
- 更新お疲れ様でした。
よっすぃーが自分の気持ちにちょっと気付き始めている
んでしょうか?う〜ん、なんかちょっとうれしいような
哀しいような。(この2人の関係も大好きだから
でも、きっと2人にとっていい方向に向かうことを信じてます。
>誰だ?こんな日にキムチ鍋をしようなんて言いだしたの・・・
わかる、わかるよ吉澤君。似たような行事が毎年開かれるんですよ。
(強制参加で、しかも1晩中。今年もあるのかな〜嫌だ〜w
はい、じゃあ次の更新まで寝て待っています(w
- 555 名前:クロイツ 投稿日:2003年05月13日(火)15時21分33秒
- あ、荒波だ…!!来てしまった…!!
ああ、でもなんだかわくわくするのは何故なんでしょうかっ!!
吉澤君!!気付きかけてるのね、吉澤君!!
…これで、紗耶香さんへの愛に気付いたらどうしようとか思っ(ry
ああ、楽しみです!!次回も楽しみにしてます!!
P.S.キムチ鍋…辛いモノ苦手なんで食べられない私…(号泣)
- 556 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月14日(水)04時57分43秒
- ついに来ましたね!今までの関係はどうなってしまうんでしょうか?
吉澤君は自分の気持ちをどう表現していくのか、ハラハラしてます。
ああ・・なんとなくその場の雰囲気がとっても伝わってきて、
次はどうなるのか、どんな展開になるのかすごく楽しみです。
がんばってください!
- 557 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年05月14日(水)22時02分49秒
- 人間には仮面というモノが何枚か存在すると思う。
その枚数は人それぞれで、その種類も人それぞれ。
きっと僕の仮面の枚数は多くもなく少なくもないのだろうけど、厚さだけは人一倍厚いだろう。
過ごしてきた環境から作られた仮面。
ヒビが入ったって自分で修復することが出来る。
どんなに粉々にに砕けたって前よりももっと丈夫に作れる。
どんなに心が泣いていたって---------
-------笑うことが出来る。
- 558 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年05月14日(水)22時03分52秒
- 夏休み、僕はどうやっても進まない卒業制作にやきもきしていた。
最近は携帯の充電もさぼっているから多分電源は切れてるだろう。
それが証拠のようにここ数日、携帯は一度だって鳴っていない。
なら充電すれば良いという話しなのだろうが、僕は少し恐かった--------
-----もし、切れていると思っている携帯の電源は実は入っていて、ただ誰からも
連絡がこないだけだったのならと思うと。
昔よりも臆病になった自分がすごく嫌だ。
石川さんともあの日以来会っていないし、連絡もとっていない。
ごっちんはたまに家に来ることがあるみたいだけど、丁度僕がバイトをしている時だったりと
時間が合わなくて石川さん同様、しばらく会っていない。
去年と同じような夏。
違うのは絵が描けなくなったのと、今まで体験したことのないようなこの感覚。
8月の暑い陽射しは僕の肌に良く突き刺さった。
- 559 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年05月14日(水)22時05分21秒
- ============================================
「ったくあんたも暇人ねぇ」
「保田さんに言われたくないですよ」
「私は良いのよ。
ちゃんと仕事してるんだから」
煙草の煙りが宙を舞い、ゆらゆらと彷徨うように昇りそして消えて行く。
周りにははしゃぐ若者達の声や、楽し気に話すおばさん達の声。
ここの喫茶店に来るのは、保田さんと会った時の決まり事のようなものになっていた。
「良い年の若いもんが、どうしてこうも私みたいなのと一緒にいたがるのかがどうにも分からないわ」
これも聞き飽きた台詞。
でもそれが本心ではないのくらい分かっている。
「何だか保田さんって師匠って感じなんですよねぇ」
「ワケ分かんないわよ」
煙草を灰皿に押し付けて笑いながら保田さんは私のこの言葉をいつも上手いこと流す。
あの鍋パーティーの日から、私と保田さんはありえないくらい急激に仲良くなった。
始めは恐かったけど、話してみると凄くいい人で、凄く大人の人だということが分かった。
保田さんも言っていたけど、何処か似た所があるという感じもする。
私はもっと保田さんのことが聞きたくて、もっと保田さんのことが知りたくて、
時間を見つけてはこうやって保田さんと会っている。
- 560 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年05月14日(水)22時06分10秒
- 「そういえばまた仕事で海外とか行くんですか?」
「まぁ、それが仕事でもあるしね」
「・・・そっか」
「何寂しそうな声出してんのよ。
別に私がいなくたってあんたの周りには後藤とか紗耶香とか圭織とか吉澤がいるでしょ?」
新しい煙草に火をつけて、保田さんはおかしそうに笑う。
その笑顔は別に悲しそうとかそういうものではなくて、ただ幸せそうな笑顔。
きっと素敵な仲間に囲まれているから出来る笑顔。
「それに私にばっか構ってると吉澤に逃げられちゃうわよ」
「何でここで吉澤くんの名前が出てくるんですか」
「ん?だって何だか2人よくいるからよ」
「はぁ?あまりよく分からないんですけど・・・」
「ま、分からないならそれはそれでいいんじゃない?」
何でそんな苦笑いを浮かべるのだろう。
こういう時に大人はずるいと思う。
いつも自分よりも一歩上を歩いていて、ずっと落ち着き払って物事を観察している。
追い付きたくてしょうがないのに肩を並べる所までたどり着けない。
「そんな顔したって何も出てこないわよ」
煙草を持った方の手で私を簡単にあしらう保田さんの姿はやっぱり格好良いと思ってしまう。
「保田さんこそ、私なんかとずっと一緒にいたら飯田さんに逃げられちゃいますよ」
「カオリに?
何言ってんのよ。
カオリは逃げ出すも何も私の手に納まるような奴じゃないわよ」
「どういう意味ですか?」
「今言った通り。
まぁ酒のついでにでも今度語ってあげるよ」
『乾杯』と言って半分くらいに減った紅茶の入ったコップに自分のコップをぶつけて保田さんは笑った。
- 561 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年05月14日(水)22時07分42秒
- ====================================
「いちーちゃん何やってるの?」
「そんなの後藤に会いに来たにきまってんじゃん」
「違うよ。
後藤が言いたいのは何でいちーちゃんが後藤の家の前に座り込んで煙草加えて
道に水まいて花を耳にかけてるのかってことだよ」
「あんまり一気に沢山のこと喋られても俺馬鹿だから答えられない」
それではと後藤は市井と同じ目線になるように、同じようにしゃがみ込むと、
買い出してきた野菜等を自分の影に置く。
「じゃまず1。
何で後藤の家の前に座り込んでるの?」
「さっきも言ったじゃん。
後藤に会いに来たの」
「・・・。」
後藤はちょっと身体をずらして座り直すと、市井の方に向き直り膝に顎を乗せた。
「じゃあ次。
何で煙草を加えてるの?」
「禁煙できないから」
さも当然と言った風に市井は座りながら胸を張る。
- 562 名前:それぞれの日々 投稿日:2003年05月14日(水)22時08分46秒
- 後藤はそんな風に言う市井の口から煙草を引っこ抜くと、ぐちゃっと握り潰してソレを市井に返す。
返された市井は情けない顔でそれを携帯灰皿の中に押し入れた。
「3番目。
何で道に水まいてたの?」
「暑いから」
その水は何処から持って来たのかという質問を喉まで出しながらも、後藤はその言葉を飲み込んだ。
「最後。何で花を耳にかけてるの?」
「それは・・・」
市井はちょっと身体を起こすと自分の耳にかけていた花を取り---------
「後藤にあげるため」
-------その花を後藤の耳にかけてあげた。
その時の市井の無邪気な少年のような笑顔に顔をちょっとだけ後藤は驚いてしまう。
『この人はこんな笑い方もするんだ』と。
「後は、後藤の声が聞きたくなった」
さっきととは打って代わって真面目な顔。
後藤は胸の鼓動が早くなる自分に気が付いた。
ちょっと風が変わった。
- 563 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月14日(水)22時30分19秒
- 更新しました。
荒波航海中。目指せ晴天。
船はゆらりゆらりと進んでいきます。
>ななしのよっすぃ〜様
いしよし共に鈍感というかなんというか・・・。
きっかけですよね。必要なものって。
風向きが少し変わると気付かなかったものに気付いたり気付かなかったり(w
石川さん、吉澤くんにとってこれがまた風向きの変わるきっかけになるといいなぁって
思ってます←無責任発言??
>サイレンス様
この荒波を起こす為の風を吹かすか吹かさないかは随分悩みました。
読んで下さってる皆様がここのいしよしの関係を好きって言って下さるし、このままでも・・・
って思ったんですけど、これからまた良い様に変わっていければいいかなぁって思って
風を起こしました(w
キムチ鍋がきっかけっていうのもまた微妙でしたかな・・・(汗)
- 564 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月14日(水)22時30分50秒
- >クロイツ様
来ました。それも突然にでした。
お正月に凧上げをしていたら突然突風が吹いて大焦りした気持ちっていうんですかねぇ?
↑
たとえが悪い。
にぶちん×2はこの先どうやって進んでいくんでしょうか(またしても無責任発言?)
でも目指せ晴天です。雲の切れ間から覗く太陽の光りを目指して頑張ります。
追伸:自分も昔キムチ鍋食べれなくて、でもキムチ鍋大会強制参加で食えるようになりますた(w
>556 名無しさん様
来ましたYO!この先の2人の関係ですかぁ・・・
自分で書いていてもここのまったり関係が結構好きなもんであまり崩したくはないんですよねぇ。
しかし自分で立てた荒波に翻弄される毎日です(苦笑)
ありふれた日常で起こるちょっとした事が自分を変えるって時を前々から書きたかったのですが、
キムチ鍋・・・ありふれてない?
- 565 名前:Silence 投稿日:2003年05月15日(木)01時23分46秒
- 更新お疲れ様でした。
確かに、海の時のいしよしとはだいぶ違う感じです。
なんか吉澤君の視点がすっごく胸に響きました。
ってゆーか吉澤君すっごくネガティヴですね。
いい方向に…。そう願って止まないです。
うっわ〜すっごく続きが気になる〜。
- 566 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月15日(木)18時08分17秒
- 更新お疲れ様です!
なんか吉澤くんがかわいそうな感じですね・・鈍感なのが悪いんでしょうが
小波乱のまったりもいいかんじですね!ただ吉澤くんに誰かが急接近!
なんてのは・・・ってなんか妄想入ってきちゃってます。すいません
ただ吉澤君と石川さんがうまくいってくれることを願うのみです。
この後、どんな展開になるのか・・もーれつに楽しみです。頑張ってください
- 567 名前:台風と携帯。 投稿日:2003年05月15日(木)21時17分11秒
- 台風がやってきた。
そこまで勢力の強くない台風だった。
それでも台風にはかわりなくて、僕は何を思ったかそんな日に外に飛び出して凄まじい
暴風雨を身体に受けた。
大声で叫べばすっきりすりと考えてのだもしれない。
こんなに雨風が強い日なら人はあまり歩いていないだろうし、僕のこんなちっぽけな声は
自然の力にかき消されてしまうから。
そして僕は見事に風邪をひいた。
当たり前といえばそうなのだが、情けないと思った。
しかし風なんてすぐ治るだろうと踏んでいたのだが、現実はそんなに甘くない。
僕がひいた風邪はかなりタチが悪かったのだ。
「よし子大丈夫?」
僕が風邪をひいてからというもの、忙しい母に代わってごっちんがほぼ毎日のように
家に来てくれるようになった。
お粥を作ってくれたり、着替えを用意してくれたりとまるで母のように。
- 568 名前:台風と携帯。 投稿日:2003年05月15日(木)21時18分55秒
- 僕の熱はもう3日ほど下がっていない。
それも38度台キープという何ともタチの悪い日々で、夏だというのに僕は布団に寝たきり状態。
着ているTシャツは汗ですぐぐっしょりなって気持ちも悪い。
せっかくごっちんが作ってくれる食物も胃が受け付けてくれない。
申し訳ないとは思うけど、いつも作ってもらった3分の1も食べられないのだ。
「ほら、もうちょっと食べたら薬飲みなぁ」
ごっちんが僕の身体を起こしてお粥の乗ったスプーンを口に近付ける。
いつものふにゃふにゃ笑顔じゃなくて、とっても真剣。
だから一生懸命食べた。
そんで薬飲んですぐに横になった。
「そういえば梨華ちゃんが最近よし子の携帯に繋がらないって言ってたよ」
「・・・充電してないから」
風邪のせいかどうか分からないけど声が掠れてしまった。
「お見舞いにでも来てもらうかい?」
「いいよ・・・。
風邪、移すのも悪いしさ・・・」
「・・・そっかぁ」
「・・・そうだよ」
身体がさっきよりも重くなった気がした。
ごっちんは僕の額に濡れたタオルを乗せると、食器を持って下に降りて行った。
寝返りを打ったら身体の節々が痛んだ。
- 569 名前:台風と携帯。 投稿日:2003年05月15日(木)21時20分13秒
====================================
『吉澤の調子どうだ?』
電話越しのいちーちゃんの声はとても優しい。
普段はタラシで馬鹿だけど、時たまこうやって優しい声を出す。
だからずっこい。
後藤はいちーちゃんに倒れてしまいそうになる。
いちーちゃんが突然後藤の家の前に座り込んだあの日から、後藤といちーちゃんは
前よりも仲良しになった。
時たま、本当の一瞬だけあのすごく儚さ気な表情が見えるような気がするけど、
時間が経てば経つ程それは少なくなっていっていた。
「あんまし良くなってないんだよねぇ」
『あいつ何だかひ弱そうだもんなぁ』
「それに最近ちょっと変」
『前からじゃなくてか?』
「ふざけないでよぉ」
『・・・ごめんなさい』
- 570 名前:台風と携帯。 投稿日:2003年05月15日(木)21時21分22秒
- よし子が風邪で倒れてからもう4日。
あぁ見えてもあまり風邪とかひかなかったよし子がぐだぐだになっている。
その姿は見ていて何だかとっとも苦しいものだ。
幼馴染みは確実に弱っていた。
何だか様子もおかしな感じ。
『で、おかしいって何が?』
「・・・態度。
何だか無理してる感じがするの」
後藤はよし子の幼馴染みだからそういうことが分かる。
今のよし子は昔のよし子だ。
大丈夫、大丈夫と言いながら奥の奥では砂の中心に立っている棒を倒さないように
必死で支えている。
『お前の考えすぎとかじゃなくてか?』
「後藤はよし子の幼馴染みだよ。
昔っから知ってるんだから何となく分かるんだよ」
『・・・そっか』
いちーちゃんは電話越しでつまらなさそうに呟いた。
- 571 名前:台風と携帯。 投稿日:2003年05月15日(木)21時22分11秒
- 「何それ?よし子心配じゃないの?」
『んな怒るなよ。
心配に決まってんじゃんか』
「じゃあ何でそんな声出すのさ」
『それは・・・』
一瞬間があってからいちーちゃんはさっきよりも小さく呟く。
『・・・。』
だから全然聞き取れなかった。
「いちーちゃん・・・ワケわかんないよ」
『俺も』
声はいつも通りになってた。
後藤はその声が心に染み渡っていくのを感じて、目の前にいちーちゃんがいなくてよかったと思った。
- 572 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月15日(木)21時31分28秒
- ちょいと少ないですが更新しました。
自分を追い詰めるように、そして喝を入れるように・・・頑張れ自分。
決して荒波のせいでスランプなワケではないです。はい。・・・はい。
>Silence様
いやはや、何に急いでいるのか・・・海からすっとばしてこんな展開になって
しまったんですよねぇ(苦笑)
ネガティブ吉澤は何だか書きにくいような・・・書きやすいような(w
繊細なんです。すんごく。多分。きっと。
早く甘いの書きたいです。もうこれまぢで(w
>566 名無しさん様
いや〜もうここまで堕ちていくとは最初考えてなかったんですよねぇ(苦笑)
だもんで書いていながらも焦りまくり。
実際もっと時間の経つのが早い話にしようとしていたので、こうなってきて作者
あたふたしてます(w
私も吉澤くんと石川さんがうまくいくのを願うのみです(作者願望)
- 573 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月15日(木)23時38分56秒
- うわ…ちょっと目を離したすきにこんな切ない事態に…
クックル先生…じゃなくて石川さん、助けてあげて!
気付いてあげてほすぃ…
吉澤君も作者さんも(w ガンガレ
- 574 名前:名無し香辛料 投稿日:2003年05月16日(金)02時27分26秒
- ううむ。目が離せない展開になってきましたねえ…。(いや、今までも離してたわけではないですが)
どきどきします。石川さんはいつ気がつくのだろう。
あああー早く続きが読みたい!(w
がんがれ!作者さん!!
- 575 名前:Silence 投稿日:2003年05月16日(金)23時32分20秒
- 更新お疲れ様です。
う〜んなんかどんどん深みに嵌っていく吉澤君。なんかちょっと
せつないです。石川さん、早く彼を救ってあげて。
スランプ。怖いですよね。うん、うん。でも、それを
感じさせない作者様がすごいと思います。
スランプに負けないでがんばってください!!
(でも、自分が言える立場じゃないんですよ(w
- 576 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月17日(土)00時27分15秒
- 更新お疲れ様です。
吉澤君がかわいそすぎです。ただこのまま吉澤君だけが
つらいままでは・・・なんか石川さんにも少しは辛い目にって・・
なんか吉澤君サイドについてしまいそうな・・ってやっぱりうまくいってほしいなあ
なんか微妙な感じです。
- 577 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)00時55分26秒
- 風邪もやっとよくなり、僕は今までさぼり続けていた携帯の充電を行った。
充電をしている間に今までずっと看病し続けてくれたごっちんに何かお礼をしようと思い、
靴に足をつっこんで買い物に出かけた。
久々に浴びた夏の陽射しは暑いという感情を出させる前に、気持ちの良さを押し出してくれた。
商店街ですれ違う人達が手を上げて僕に声をかけてくれたり、久々に顔を出したバイト先の店長の
おじいさんが(ちょっと痩せた?)肩を叩いて僕の回復を喜んでくれる。
地元ならではの暖かさをすごく感じて、僕の心は今の天気のように晴れ晴れとしてきた。
商店街にある花屋に入って、顔見知りのおばさんに理由を説明して花を作ってもらう。
サービスだと言って何かの花の種までもらい、その種をポケットにつっこんで花を抱えてお店を出た。
帰り道、抱えた花束を顔なじみのおじさんやおばさんになじられながらごっちんの家へと向かって歩く。
すっかり伸びた前髪が汗で額にくっついて、何だか懐かしくなった。
ぽんぽ〜ん
呼び鈴を鳴らして、抱えた花束を持ち直す。
ちょっとしてからごっちんがいつものような間延びした声を出しながら家から出て来た。
「おはようごっちん」
「んぁ・・・よし子まだ熱下がってないの?」
ちょっと、それどういう意味?
こういう悪気のないのがごっちんの悪い所だ。
「おかげさまですっかり良くなったよ。
だからお礼にこれ持ってきたの」
- 578 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)00時56分21秒
- ぐいっと花束を押し付けるように渡すと、ごっちんは驚いたように目を見開いてから受け取ってくれた。
「ありがと〜。これちゃんとお店に飾っておくねぇ」
「こちらこそありがとう。
母さんもお礼言ってたよ」
「んぁ。おばさんによろしく言っておいてねぇ」
ごっちんはこの後お店の準備があるので、僕らはすぐに分かれた。
そのまま何処に寄るでもなく家に向かい、靴を脱ぐと部屋に向かって携帯の電源を数日ぶりにONにする。
・・・留守電3件にメールが・・・10件?
何これ?悪戯メールとかか??
とりあえず留守電から聞いてみることにした。
『お〜いよし子〜。
梨華ちゃんが携帯繋がらないって言ってたからかけてみたよぉ。
本当に繋がらなかったぁ。ばいば〜い』
・・・まずはごっちんね。
流し決定。
『ののれす。ついでにウチもおんで。
この間は遊んれくれてありがとうれした。
また遊んれくらせい。
またよろしゅ〜なぁ』
辻に加護か。
ちょっと頬が緩む。
短い言葉だけど気持ちが沢山こもってるの分かったよ。
『あ、あの石川です。
携帯ずっと繋がらなかったから心配になって・・・。
あ、あのね。
保田さ・・・』
高めの声。
少しの間聞いていなかっただけなのに、どうしてか酷く懐かしかった。
- 579 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)00時57分08秒
- でも、その口から保田さんの名前が出た瞬間に僕は電源ボタンを強く押してしまった。
どうしてだろう。
走ってもいないのに息が切れる。
胸の辺りに爪を立てられたように心臓が痛む。
思わず床に膝をついてしまった。
どすっという鈍い音が静かな部屋に響き渡る。
不安な気持ちが僕を支配して、大事な友達・・・いや、親友をとられてしまったような気持ちになる。
ずっと友達だと思ってた。
でも僕の中ではもっと大切な人になってた。
この春から僕はずっと石川さんと一緒にいた。
あの日、デッサン室で話してからずっと一緒にいた。
ごっちんのように近くにいる存在。
僕の近くにいた存在。
それが突然、何の前触れもなく離れて行ってしまう。
恐い。
不安と恐怖が僕を支配する。
近くにいすぎたのだ。
僕と石川さんは近くにいすぎたのだ。
別に僕以外の誰かと一緒にいたって構わない。
それがごっちんであろうと紗耶香であろうと矢口さんであろうと安倍先生であろうと保田さんであろうと。
でも近くにいた石川さんが突然遠くに感じた。
僕は石川さんにとって沢山いるなかの友達の1人にすぎないのは分かっている。
脳はそのことを理解しているけど、心はそれを受け入れようとしない。
- 580 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)00時58分42秒
昔、僕がまだ小学生だった頃。
僕はイジメの的だった。
何を言われても反攻なんてしなくて、告げ口なんかもしなくて・・・
いや、出来なくてずっと泣いていた頃。
僕の隣にはごっちんがいた。
情けない話しだけど守ってもらっていた。
僕にはごっちんしかいなかったから。
いつでも、何処に行くでも一緒にいた。
僕はごっちんに依存しなければ生きていけなかったから。
そんなごっちんとクラスが離れた。
5年生の時だ。
僕には誰もいなくなった。
人が恐くて近付けなくて、人を拒絶していた。
椅子に座って両手でズボンをいつも掴んでいた。
人の目を怯え、先生から当てられることに恐怖を感じながら僕が教室で
算数の授業を受けていた時、ごっちんのいたクラスが外で体育をしていた。
僕はたまたま窓側の席に座っていて、そこからは校庭が良く見えたので黒板から視線を外して
校庭をちらっと一瞬だけ見た。
ごっちんが僕の知らない子と楽しそうに話していた。
僕は自分の唯一の存在だったごっちんが急激に遠くに感じた。
苦しくて苦しくてしょうがなかった。
授業中だというのに、僕の手はぴたっと動かなくなり、春だというのに背中から汗が吹き出してきた。
独りにしないでと心の中で強く叫んだのを覚えている。
独りで立てない僕は、とても弱っちい僕は不安と恐怖に怯えた。
- 581 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)00時59分22秒
- でももう小さな子供じゃない。
そんな感情を表に出してごっちんを束縛することなんて出来ない。
だから僕は仮面を冠った。
どんなに恐くても、どんなに不安でも僕はごっちんの前で平気ぶって笑ってみせた。
それが当たり前になってきて、それが普通になってきて、僕は自分を偽るようになった。
そして紗耶香に出会った。
紗耶香は僕の仮面にヒビを入れた。
そして僕は石川さんに出会った。
石川さんはヒビの入った僕の仮面を粉々に砕いた。
こぼれ落ちた仮面の欠片は日々の中で風に流され彼方へと消えて行き、いつしか僕は仮面が必要無くなった。
でも、今のこの気持ちは小学校の頃に感じた気持ちにとても似ている。
近くにいた人が自分以外の誰かと一緒にいる。
宝物を奪われたような気持ちだ。
僕は自分のこんな醜い気持ちが大嫌いで、こんな自分が大嫌いだ。
強く握りしめていた携帯が手の中で汗ばむ。
それは今僕が心にかいている汗よりもずっと綺麗に見えた。
- 582 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)01時00分51秒
====================================
吉澤くんは、メール見てくれたのかな?
ずっと連絡がとれなくなって、電話かけても繋がらなくて、留守電入れたけど
聞いてくれたのかなぁ・・・。
私の携帯の履歴はほとんど保田さんでうまっていた。
その隙間に入り込むように表示された『吉澤ひとみ』の文字。
台風が過ぎた後ら辺から繋がらなくなった携帯。
まるでその台風にさらわれてしまったように吉澤くんの存在が私のすぐ側から消えた。
ごっちんに携帯の繋がらない理由を訪ねてみたけど、ごっちんは『ずぶらよし子』と言うだけで
詳しいことを教えてくれなかった。
ねぇ、何がいけなかったの?
私何かしたのかな?
どうして何も言わずに私から遠ざかっていくの?
それは・・・私が離れたから?
よく分からないよ。
私どうしたらいいのか分からないよ。
鳴らない電話。
拒絶されるのが恐くて会いに行けないこの身体。
- 583 名前:からまる糸はカタムスビ 投稿日:2003年05月18日(日)01時01分41秒
- 私は吉澤くんの何なんだろう?
友達?親友?それとただの知り合い?
ねぇ、分からないよ。
座り込んで抱えた膝が震えた。
何でか分からないけど涙がこぼれそうになった。
分からないことだらけの私は一体どうすればいいのだろう。
何をすればいいのだろう。
それすらも分からない。
海で私は吉澤くんにもっと近付けた気持ちでいた。
それは私だけじゃなくて吉澤くんだって同じだと思う。
だけど、あの日保田さんの家に行ったらへんから吉澤くんは音もたてずに私の横から消えてしまった。
・・・明日また海外に出張に行く保田さんの元に、私はまた出かけることにした。
弱い私はこうやって人に頼ることくらいしか出来ない。
でも、それでも私は助けて欲しかった。
大切な人を失いたくなかった。
吉澤くんを失いたくなかった。
- 584 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月18日(日)01時05分33秒
- 更新しました。
全く本編と関係ないんですが、ついこないだ思いきってFLASH MXを購入。
難しいけど、夢中です。
もちろんこっちの小説を書くのも夢中です。
・・・勉強しなきゃ。
>573 名無し読者様
はう・・・何だか暗すぎですよね・・・。
まったり雰囲気を志していたのに、こんな泥沼に・・・。
(0T〜T)何だかよく分からない気持ちです・・・。
(T▽T)吉澤くんと連絡がとれないのぉ(泣)
早く前みたいな空気に戻って欲しいです(作者願望)
>名無し香辛料様
吉澤くんはもう少し痛い状態続きそうです(苦笑)
でも、この荒波がないと物語りがきっと進まない・・・と信じてますです。
(T▽T)←自分の気持ちについてあまり考えない人(きっかけがない)
(0T〜T)←ぐちゃぐちゃで何も考えられない人。
もうすぐ大波来ます。その後は・・・晴れるといいなぁ。
>Silence様
もう自分でも書いてて切ないんです・・・。
だけど石川さんはにぶちんです。
ただ悲しい気持ちになってるんです。
(T▽T)梨華わかんない・・・。
(0T〜T)ぼ、僕がいけないんだYO・・・。
うあぁ・・・早く甘めが書きたいYO!!!!!!!!
>576 名無しさん様
今回も痛くてごめんなさい。
吉澤くんのブレーキ(激ネガ防止)が壊れてしまいました。
(0T〜T)何だかもやもやするYO・・・。
(T▽T)・・・どうしていいのか分からないの。
私もうまくいって欲しいんですよねぇ・・・石川さん、突然離れていってしまった吉澤くんに、
どうしていいのかが分からないみたいです(汗)
- 585 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月18日(日)09時34分59秒
- 更新お疲れ様です!
まだまだ二人の関係は修復しそうにないですねえ。
保田がどういう風に絡んでくるのでしょうか?
吉澤くんにはあんまり傷付いて欲しくないんだけど、先に進むには
波乱も仕方なしって感じですかね。
毎回作者様の文章・展開にはハラハラさせられっぱなしです。なんか
すっごく感情移入してしまって自分で恥ずかしいくらいです。
更新期待してますのでがんばってください!
- 586 名前:Silence 投稿日:2003年05月18日(日)14時14分50秒
- 更新お疲れ様でした。
痛い、痛すぎです。これは読んでいて本当に胸がしめつけられます
吉澤くん悲しいよ。石川さん、助けてあげてと思いきや石川さんも
ネガティヴモードですか。
自分もここまで感情移入してしまったのは久しぶりです。
(特に石川さん視点のところで
2人の関係が元に戻る日はくるのでしょうか?
次回も固唾を呑んで見守ってますよ。
- 587 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時33分38秒
- 紗耶香から突然電話がきた。
懐かしく思える電話の呼び出し音。
その奥から聞こえる声もまた懐かしく思えた。
『やっと繋がったよ。
おい、ちゃんとメール読んだか?』
「・・・まだ見てない」
『ったくまじかよ。
じゃあ簡単に説明してやっからよく聞けよ。
明日また圭ちゃんが出張で海外行くんだ。
で、明日朝早く出ちまうみたいだから、もし顔出しにいくんなら今くらいしかねぇからな』
「・・・出張?」
『んだよ。出張。
今頃荷物のチェックでもしてんじゃねぇの?』
「あ、ありがとう」
勢い良く携帯を切った。
そしてすぐにメールを見た。
後半に入っていたメールは、ほとんどが保田さんの出張に関するモノだった。
そしてそのほとんどが石川さんからで、石川さんは一日おきにメールをくれていたのだ。
僕は携帯を閉じるとすぐに家を出て保田さんの家に向かった。
車は母が使ってしまっているから電車で乗り継ぎながら目的の駅を目指す。
- 588 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時34分34秒
- 僕は僕のことだけしか考えていなかった自分に蹴りを入れたい気持ちだった。
今石川さんがどんな気持ちでいるのか、どんなに不安になっているか考えもしなかった。
あんなに親し気に話しをしていた保田さんが海外に出張。
石川さんが寂しい思いをしないはずがない。
石川さんが誰と仲良くしていようと、僕の中では友達に変わりはないんだ。
だったら少しでも許される限り近くで支えてあげなきゃ。
いつまでも支えられてばかりの僕でいちゃいけない。
僕だって誰かを支えてあげれるような強い人にならなきゃいけない。
駅に着いて改札を飛び出し、保田さんの家へと向かう。
会って言うんだ。
保田さんがいない間は僕が石川さんの支えになりますって。
帰ってくるまでは僕がしっかりと守りますって。
切れる息を落ち着かせるように歩調を緩めて歩く。
そして今頃保田さんに何も連絡を入れてなかったことに気が付いた。
しかし場所ももう近いので、得に連絡する必要もないかと考えて僕はそのまま歩き続けた。
角を右に曲がれば保田さんの住むマンションだ。
- 589 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時36分07秒
===================================
「ったく急な呼び出しで何かと思えば・・・手みやげの一つもないの?」
「・・・。」
保田さんのマンションの前。
目の前には赤いジャージの上下を着て腰に手を当てて立っている保田さん。
陽は大分傾いていて、空は青色からオレンジ色に変わっていっている。
「黙ってたって分からないでしょ。
何か言いたいことがあったから来たんじゃないの?」
保田さんが一歩近付いた。
腕を伸ばせば届く距離に。
ほのかに香る保田さんの香水の匂いが涙をさそって・・・
こらえていた涙がいっきに流れはじめた。
- 590 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時37分33秒
- 保田さんは何も言わずに私のことをそっと抱きしめてくれた。
優しい腕の中で私の涙は止まるどころかその勢いを増して流れ出る。
「んぐ・・や、保田ざん・・・私・・私・・・・どうしたら、いいか・・・分からないよ」
涙とかでぐちゃぐちゃになった私は上手く喋ることが出来なくて、そんな私を落ち着かせるように
保田さんはしばらく私の髪を撫でていてくれた。
しかし突然髪を撫でていてくれるその腕の動きがピタリと止まった。
不思議に思って保田さんから身体を離して、その視線の方に自分も顔を向けると------
-----吉澤くんがいた。
- 591 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時39分14秒
久しぶりに見た吉澤くんは前よりも少し痩せていて、海で少し焼けたはずの肌も
すっかり今まで通り白くなっていた。
遠くにいる吉澤くんの足はぴたりと止まっていて、立ちすくむという言葉がぴったりのように
その場に立ちすくんでいる。
「・・・吉澤くん」
懐かしいはずじゃないのに懐かしいその響き。
自然と口から零れた言葉は私の涙を再び流しはじめる。
何でかな?
理由なんて分からないけど・・・涙が止まらないよ。
吉澤くん、聞きたいことが沢山あるんだよ。
話したいことだって沢山あるんだよ。
私の気持ちは言葉にはならない。
言葉を紡ぎだそうとしても出てくるのは熱い空気だけで、私の言葉は
自分の胸の中だけでぐるぐる周り続ける。
立ちすくむ吉澤くんと、私の間に1台の車がゆっくりとしたスピードで通りすぎた。
一瞬、ほんの一瞬だけだけど私の視界から吉澤くんが消える。
そしてもう一度私の前に表れて吉澤くんは、顔に笑顔を浮かべていた。
・・・何だろう?
違和感がある気がするよ。
こんな私の気持ちを知ってか知らずか、吉澤くんはこっちに向かって歩いて来た。
- 592 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時40分50秒
- そして私と保田さんの少し離れた所に立つと、深く頭を下げた。
「吉澤、もう体調はいいの?」
保田さんの言葉。
体調?一体どういうことだろう。
「はい、御心配おかけしました」
久しぶりに聞いた吉澤くんの声。
これだけ近くにいるのに、何故かその声が遠くに聞こえた。
「すみません。明日出張だっていうのを今さっき紗耶香に
聞いたもので、挨拶遅れちゃいました」
「そんな変なこと言う為にここまで来たワケじゃないでしょ」
保田さんが吉澤くんに一歩近付いた。
赤いジャージのズボンに手をつっこんで、吉澤くんを見上げるように頭を上げる。
「いや、そういうワケでもないですよ。
しばらく会えなくなるっていうのに顔見せないのも嫌なんで」
「そう?まぁいいけどね」
吉澤くんが私の方をちらりと見る。
一瞬だったけど、その瞳はすごく優しく、すごく切なくて、眼鏡の奥で茶色の瞳が
揺れているようだった。
- 593 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時42分41秒
- 「保田さん、僕保田さんがいない間しっかりと守ります」
「・・・私がいない間だけ?」
「・・・僕の許される限り」
この2人は一体何を話ているんだろう?
私には分からないけど、確かに2人は分かりあって通じあって会話をしている。
言葉の駆け引きのような会話。
押し過ぎず引き過ぎず。
丁度良い距離をとってコントロールの良い球を投げ付ける。
「どう返事をすればいいのかしらねぇ」
「別に返事はいりません。僕はただ言いたかったんです。
伝えたかったんです」
ぎゅっと拳を握りしめて、その握りしめた拳をゆっくりと解いていく。
その動作を何回かして、吉澤くんは力を抜いたように腕をだらっとさせた。
「じゃあ身体に気をつけて下さいね」
吉澤くんは自分の腕を保田さんに差し出し、保田さんの手を自分の手に握らせた。
保田さんはため息をつきながら腕を振る。
「吉澤------」
「今度、保田さんが帰ってきたらゆっくり話しましょう」
- 594 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時44分06秒
- まるで保田さんの言葉をかき消すように吉澤くんは保田さんの言葉を自分の言葉で被い込む。
そして風のような笑みを浮かべると私に『じゃあまた今度』と言って
私達の前から遠ざかって行った。
突然表れ、突然離れて行った吉澤くんの残り香を感じさせるように私の耳には
別れ際に言われた言葉が残っている。
『じゃあまた今度』それはまた一緒にいてくれるってことなのかな?
また近くで話しても良いってことなのかな?
「ったく・・・」
吉澤くんが消えて行った方をボーッと見ていたら隣から保田さんの呟きが聞こえた。
頭をがしがしと掻いて足下の小石を蹴飛ばす。
「石川、あの勘違い野郎のことが気になるんだったらはっきり言わなきゃダメよ」
「・・・気になるって」
「どういう意味でもいいの。
まったくカオリとなっちといい、あんたと吉澤といい、出張前夜に手間ひまかかるヤツラだね」
保田さんは苦笑いを浮かべて私をもう一度抱きしめた。
そして耳元で『頑張んなさいよ』と呟いた。
- 595 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時45分29秒
=======================
走った。
僕は走った。
夏の夕暮れの中、信号待ちをするのももどかしい気持ちで走り続けた。
電車の中で荒れた行を整えて、地元の駅に着くといつもとは違う帰り道を歩く。
久しぶりに会った煙草屋のおばちゃんが不思議そうに、でもすごく嬉しそうに
縫い物をしている手を止めて僕に挨拶をしてくれた。
このおばあちゃんに会うのもすごい久しぶりだ。
僕は煙草も吸わないし、この道も家から一本外れているから普段使わないから。
「お久しぶりです」
「ちょっと見ないうちに随分大きくなったねぇ」
確かに。
前に会ったのは僕がまだ高校生の時だ。
そう思うと自分も、おばあちゃんも少し年をとったんだと感じる。
「しかしどうしたんだい?
ひとみくんがこっちに来るなんて珍しい」
「あ、えっと・・・」
おばあさんが不思議そうに僕を見る。
僕はこの質問に正直困った。
上手く自分でも説明できないから・・・。
「あ、ちょ、ちょっと煙草を買いに来たんです」
- 596 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時47分18秒
- 嘘をついた。
生まれて始めて買った煙草をポケットにつっこんで、何も言わずにニコニコと笑うおばあちゃんに
挨拶をして急ぎ足で家へと向かう。
これ以上嘘を重ねる前に、誰にも会わないうちに家に帰りたかった。
「ただいま」
この一言を母に告げると急いで、だけどなるべく普段通りに自分の部屋に飛び込んだ。
まだ頭の中がぐちゃぐちゃしてる。
乱暴に眼鏡をはずすとそれをベッドの上に投げ付けた。
それと一緒に外れた僕の仮面が音を出さずに消える。
押さえ付けていた感情が一気に溢れ出した。
壁にもたれかかって崩れるように床に座り込む。
全身の力が何処かに消えてしまったようだ。
抱えた膝が微かに震えている。
激しい感情に心のコントロールが追い付かなくて、僕は両手で震えている膝を思いきり叩いた。
何度も、何度も。
僕の頭の中にはさっきの石川さんと保田さんの抱き合っている場面が
何度もフラッシュバックのように蘇る。
涙の痕を残した石川さんの顔も、僕を見た時の保田さんの顔も。
色々なことを考えさせる無音の世界が嫌で、僕は足下に転がっていた
リモコンに手を伸ばしてCDを再生させた。
- 597 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時48分46秒
- 一緒にいて当たり前。
否、いることが当たり前。
そうだと僕は思っていた。
出会ってからまだほんの数カ月。
それでも石川さんは僕に誰よりも近付き、誰よりも僕の側にいた。
僕が心を許せる人。
僕が心から護りたいと思う人。
僕が何よりも幸せを願う人。
でも僕の今の気持ちはぐちゃぐちゃだ。
僕はこの手で石川さんを護りたい。
他の誰かじゃなくて、僕自身で。
だから泣くなら僕の所で泣いて欲しかった。
他の人の元で涙を流さないで欲しかった。
静かに流れ出した曲、それは僕の心を深く深く貫いていく。
『I will always love you
I will always love you・・・・・
If I should stay
I would only be in your way
So I'll go,but I know
I'll think of you every step of the way
And I will always love you
I will always love you
- 598 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時49分38秒
- I hope life treats you kind
And I hope you have all you dreamd of
And I wish you joy and happiness
But above all this
I wish you love
And I will always love you
I will always love you
I will always love you
I will always love you・・・・・ 』
僕は気付いてなかったんだ。
気付くきっかけがなかったから。
何でこんなにも胸が苦しいのか。
何でこんなにも涙が零れそうになるのか。
何で石川さんと保田さんが抱き合っていたのを見て、その場から逃げ出したくなったのか。
『いつまでも君を愛しているよ
いつもずっと君を・・・・・』
僕は気付かないうちに石川さんのことを想い続けるようになっていたのだ。
あまりにも一緒にいすぎて、近付きすぎて気がつかなかった。
友達という言葉で覆い隠した僕の気持ち、空気みたいなその存在に僕は慣れてしまっていたのだ。
僕はこの日、部屋の中で新たな仮面をつくり出した。
- 599 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時50分36秒
- ◇◇◇
- 600 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時51分24秒
- ◇◇◇
- 601 名前:夏のある日の出来事 投稿日:2003年05月20日(火)21時51分55秒
- ◇◇◇
- 602 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月20日(火)21時53分51秒
- 更新しました。
何処できったらいいのかが分からなくて、ちょっと多めの更新です。
はぅ〜・・・ストックためなきゃねぇ。
>585 名無しさん様
保田さん、こんな感じに絡んできました(汗)
書いた後の感想としては、『やっちゃたよぉぉぉぉぉ(泣)』みたいな(w
>毎回作者様の文章・展開にはハラハラさせられっぱなしです。なんか
>すっごく感情移入してしまって自分で恥ずかしいくらいです。
こんな風に言っていただけるなんて私、かなりの感動です。
これからも頑張らせていただきます!!
>Silence様
今回も痛たいッスね・・・・(0T〜T)
書いてる時、何だかとっても辛かったです(涙)
>自分もここまで感情移入してしまったのは久しぶりです。
本当にもう感動真っ最中です。教習所でずっと辛く指導されてた教官に
突然優しい言葉をかけられた時なみに感動してます。
早く痛い所抜けるように頑張ります!!!
- 603 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月20日(火)22時37分48秒
- うぅー(T〜T)吉澤くんが・・・切なすぎです・・
なんか男役のせいなのかはわかりませんが、吉澤君に感情移入しまくりです!
痛いところを抜けるのはいつなんでしょうか。ただここまでいっちゃったら、
もう少し痛いところも見たい・・って。二重三重の勘違いをくぐり抜けた
二人の今後は・・・期待してます。
ただ・・引越しでDSL再契約しなきゃなんで、その間このスレ見れないのが
一番辛いです。早く再契約して見ますんで、がんばって下さい!
- 604 名前:Silence 投稿日:2003年05月20日(火)23時15分12秒
- 更新お疲れ様でした。
切ない、すっごく。もう、なんて言ったらいいのか、わからない
んですが、保田さんに会いに行って石川さんと抱き合っている
のを見てしまったときの吉澤くんの気持ちを考えると涙すら
浮かんでしまいます。石川さんも石川さんで苦しんでいる。
>だから泣くなら僕の所で泣いて欲しかった。
他の人の元で涙を流さないで欲しかった。
感動する映画を見ても全然泣かない自分が見て涙してしまった
『天使達が荒野を往く』。それ以来の感涙でした。
長々と申し訳ないです。次回の更新も待っています。
- 605 名前:クロイツ 投稿日:2003年05月21日(水)13時29分13秒
- ・・・・・・よっ、吉澤君!!!
あああ、なんて表現し良いのかわからない…!!
なんか今すごく、胸をぎゅっとつかまれたような感じです…!!
切ないし悲しいし、でも吉澤君が気づいたって事が嬉しいような気もするし…あああっ!!言い表せないのがもどかしい!!
すごい、先が気になります!!
どうなっちゃうんだいしよし!!
続き、楽しみにしています!!
- 606 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年05月23日(金)21時45分17秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
泣くほど好きななのに…吉澤くん!何で仮面を!!
一歩踏み込みなって!幸せにいたるにはちょっとの勇気が必要なんだYO!
頑張れ、よっすぃ〜&梨華ちゃんってことで。次回更新も楽しみに待ってます!!!
- 607 名前:夏の日〜それぞれの日・それぞれの時〜 投稿日:2003年05月24日(土)09時03分52秒
- 「カオリとこの部屋に2人でいるなんて何だか久しぶりじゃない?」
なつみは紅茶を用意しながらいつもの笑顔で飯田に話しかけた。
飯田となつみは、保田出張前にそれぞれ保田に言われていることがあった。
「そうだね、2人っきりってあまりなかったよね」
出された紅茶に口をつけて、飯田はじっとなつみが自分の前に座るのを待つ。
2人は保田にもっとお互いに話し合ってほしいと言われていた。
昔からの知り合いだからこそ、なかなか腹をわって話せないことがあったのだ。
もちろんお互いに仲が悪いわけでもないし、避けあっているワケでもない。
ただ何か踏み込めない存在がそこにはあった。
「・・・何だか」
「・・・うん」
2人は照れくさくなってお互いに笑った。
言葉なんてなくても伝わるものはある。
しかし、言葉じゃなければ伝わらないものだってある。
- 608 名前:夏の日〜それぞれの日・それぞれの時〜 投稿日:2003年05月24日(土)09時04分36秒
- お互いにタイミングを探していたのだ。
もっと話すようなタイミングを。
ただ日常生活の中でそんな時間をわざわざ作るというのも出来ない事だ。
数年間、それが続いてきたのだから。
「もっと、早くこういう風にすればよかったね」
「・・・うん」
「圭ちゃんには何だか助けられてばっかな感じだよ」
「なっちもそうかも。
知らないうちに何か助けられて、自然と背中を押してもらってる」
紅茶を飲む音と、呼吸をする微かな音だけがここの部屋に響く。
今までとは違ってとても穏やかで、本当の昔に戻ったように静かに時間は流れていく。
「圭ちゃんは不思議な人だよね」
「なっちもそう思う。
本当に不思議な人だよ」
2人は夕方近くまで、まったりと過ごした。
その時間は2人の間に流れていた、空いた空間を少しずつ埋めていった。
- 609 名前:夏の日〜それぞれの日・それぞれの時〜 投稿日:2003年05月24日(土)09時06分25秒
==========================================
ぼふっという音をたてて小さな身体はスプリングの利いたベッドの上で飛び跳ねた。
両腕に抱えられているのは大きな大きなぷーさんのぬいぐるみ。
矢口が仕事でもらったものだ。
仕事帰りで疲れ身体に癒しの効果抜群のぽふぽふ感。
ごろりと寝返りをうって部屋を見回す。
前よりも身体の大きくなったネコの矢口が身体を丸めて部屋の隅で寝息をたてていた。
洗面台に行けば歯ブラシは2本ある。
食器棚には同じお皿やコップとかがある。
まだなつみのモノが大半を占めているがこれもじょじょに変わっていくのだろう。
「矢口〜布団敷いておいてって言ったべ?」
「いいじゃ〜ん今日は久々に一緒に寝ようよぉ」
矢口となつみは一緒に暮らし始めていた。
理由としてはあまりにも矢口が家に帰らなくて、それは家賃の無駄だということに今さら気付き、
ならば家賃も安くなる、前から住み着いていたような場所であるなつみの家に
一緒に住んでしまおうというものだ。
話し合いの時間はわずか数十秒。
ぽろりと『家賃が無駄な気がする』という矢口の一言になつみが『なら一緒に住むべか?』と返した。
これが一緒に住むと決まった時の会話だ。
何とも簡単である。
「ならそのぷーさん退けるべ。
それじゃあなっちが寝れないよぉ」
「・・・じゃあなっち抱っこする」
- 610 名前:夏の日〜それぞれの日・それぞれの時〜 投稿日:2003年05月24日(土)09時07分49秒
- ぷーさんを丁寧に床に置くと、空いた両腕を広げてなつみを呼び寄せる。
なつみはそんな子供っぽい仕種をする矢口に苦笑いを浮かべつつも、ジャンプをして
その腕に飛び込んだ。
「う〜んやっぱりなっちはお陽さまの匂いがする〜」
頬をすりすりと合わせて矢口が何も幸せそうな声をあげる。
なつみはべたーっとくっつく矢口のことを同じようにぎゅっと抱き締めると、少し顔を上げて
矢口の頬にチュッとキスをする。
「ほれ、矢口は明日も仕事なんだから早く寝なさい。
それと裸で寝るの今日は禁止だかんね」
「え〜別にいいじゃんかよぉ〜。
裸はシーツの感触とかすごい気持ちいいんだよ〜」
「だ〜め。矢口はそれでこの前お腹壊したばっかっしょ?
もう少し寝相良くなるまできちんと服を着てなさい」
ちぇっと小さく呟くと、矢口はしぶしぶ布団の中に潜り込んだ。
なつみもそれに続くように布団に入る。
お互いに身体を寄せあい、ぎゅっと手を握る。
「明日の朝御飯は豆腐入り味噌汁ね」
「なっち最高」
「なっちは前から最高だべ」
- 611 名前:夏の日〜それぞれの日・それぞれの時〜 投稿日:2003年05月24日(土)09時09分03秒
- にこにこ笑うなつみの顔を矢口はじっと見つめた。
こりゃ反則なくらい可愛い。
悪い狼がいたらぺろりと食べられてしまいそうだ。
「ねぇ、オイラが狼になってもいい?」
「ん?よく分からないけど矢口が狼なのかい?
じゃあなっちは熊になるべ」
「・・・それじゃあ食べられないじゃん」
「食べる?なっちをかい??
矢口お腹壊しちゃうよ。なっちはおいしいけどきっと毒がテンコモリだからさ」
するりと矢口をかわしてなつみは矢口の膨れた頬を指でつつく。
ぷっすという音と共に空気が抜けて、膨れたほっぺは元通り。
それでも残念そうな顔が納まらない矢口の頬に、なつみは自分の唇を軽く落とした。
「ほれ、もう寝るべ寝るべ。
おやすみのちゅーしてあげたから、きっとすぐに眠れるよ」
「う〜ん・・・」
矢口はくるりと身体を回転させてなつみの上に自分の身体を持ってくると、素早くなつみの唇を奪う。
突然のことで真っ赤になるなつみを置いて、矢口はさっさか布団にもぐり直す。
「それじゃあおやすみなさぁい」
矢口はそう言うとすぐに眠りにおちた。
代わりになつみはしばらく眠りにつくことが出来なかった。
- 612 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月24日(土)09時11分17秒
- 痛み抜けの為にちょっといしよし以外の更新しました。
明日はいしよし書く更新します。
きっとします。多分します。
そして内容はなっちのエッセイからちょっとアイディアもらったりしました。
>603 名無しさん様
はいなぁ〜・・・痛いのがこんな続くとは思ってもいなかったんですよねぇ(汗)
自分が痛いの苦手なせいで、自分では痛いの書かないか書いても短くってずっと思ってたんですけど、
気がつけばこんな・・・。
終わりが見えてないワケじゃないんですけど、長々続いてます。
お引っ越しですか、頑張って下さいね。
自分は人生の中で一度も引っ越しというものをしたことがないんでちょっと憧れたりしてます。
名無しさん様が戻ってこられる頃には痛いの抜けれれば良いです(w
>Silence様
自分がもし吉澤くんの立場だったらこんな風に思うのかなぁって思って書いたんです。
だからこの文は自分の気持ちがそのまんま出たみたいな(w
私も基本的に泣けない人間なんですよね。
映画見ても通っていた学校のせいもあってか、ストーリーにあまりのめり込めなくて
カットのつなぎが気になるタイプです(苦笑)
泣いていただけるような文が書けたのは何と言ってよいのか・・・本当嬉しいかぎりです。
ありがとうございます。頑張っていきます!!
- 613 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月24日(土)09時12分00秒
- >クロイツ様
何だか胸を掴まれた時のような感じって妙に気持ちが悪かったり、でもどうしていいのかが分からなかったり
、気持ちがごちゃごちゃしていて言葉に出せない感じっていうか(あってるんでしょうか?)
私もあまり言葉を知らないせいか、こんな時気持ちを代弁できる言葉がありません(苦笑)
吉澤くんはしばらくこんな気持ちだったんでしょう。
イライラ大爆発で気がついちゃいました(w
この先のいしよしに私自身期待です。自分で書きながらも期待何です(w
>ななしのよっすぃ〜様
吉澤くんは自分の気持ちに気ついた後の一歩が踏み出せないようです(苦笑)
こんな気持ちのままで今までのようには付き合えないと思い、気持ちを隠す為の仮面装着です。
微妙にヘタレです。あ、微妙じゃないか。
完璧にヘタレです(w
進化や未来を求めずに現状維持派ってところでしょうか。
きっとこれが今の吉澤くんですね。
私も吉澤くん、そして石川さんをかなぁり応援してます!頑張れ〜!!
- 614 名前:Silence 投稿日:2003年05月24日(土)16時42分43秒
- 更新お疲れ様でした。
おお、甘い、なちやぐ(やぐなち?)だ。何かこの2人の関係
好きです。(いしよしの2人もこんな関係になる日が来るので
しょうかね?)
実は見事に夏風邪(まだ夏じゃないかな?)になってしまって。
喉の痛み、熱と戦いながら読ませて頂いていました。
作者様も夜に出かけるときは暖かい服装でお出かけになった
方が良いですよ。それではまた寝ます(スース←寝た音
- 615 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月25日(日)00時59分21秒
- 連載当初から読んでますよ〜。
吉澤感情移入モード全開のまま見てみると今回は文章のテンポも軽快であれま。
ほんわかムードのなちまりにまたまたやられてしまいますた。
でも…やはり次のシーンはとても期待してしまうわけなのれす。
ゆっくりじっくり納得のいく作品が出来るまで待ってますよ
吉澤が湿布臭いジジイになるまでお付き合い致しますぜぃ!
- 616 名前:ユレルハグルマ 投稿日:2003年05月25日(日)01時33分47秒
- 吉澤くんはまた前のように吉澤くんになった。
そういう風に見ようとして私は見ていた。
携帯がずっとつながらなかったことについて私に謝り、『心配かけてごめんなさい』と言った。
保田さんが出張してから、私達は前のようによく連絡をとり、メールをしたり会って
話しをしたりしていた。
それでも私は何だかやっぱり吉澤くんのことが遠くに感じられて、会話をしていても
何処か落ち着かない気分でいた。
今私は吉澤くんと一緒に前に訪れた土手に来ていた。
8月も後半になると少しだが陽がおちるのが早くなる。
風はまだ少し暑く感じられるが、それももうすぐ終わりを迎えるのだろう。
季節が巡るように私達の間に流れる時間も巡る。
保田さんからはたまに手紙が届く。
大人の字で書かれた文には毎回必ずと言って良い程『それ以上黒くなるなよ』と書かれていた。
同じように吉澤くんの元に届く手紙には『それ以上白くなるなよ』と書かれているらしい。
それを初めて聞いた時、何だかとても保田さんが近くに感じられて思わず笑ってしまった。
吉澤くんは一緒に笑っていたけど、どうしてか眼鏡の奥に見える瞳が揺れているように私には見えた。
- 617 名前:ユレルハグルマ 投稿日:2003年05月25日(日)01時35分50秒
- 「少し座りましょうか」
前と同じ場所に来ると吉澤くんは足を止めて芝生に寝転がる。
それ座ってるって言わないじゃんというつっこみを心の中に寝かしつけて、
私は吉澤くんの横に腰を下ろした。
少し離れた所で子供達の楽しそうに笑いあう声が聞こえる。
体中に芝をつけて身体を地面につけてごろごろと転がって、それを何度も何度もくり返す。
「吉澤くんもこうやって遊んでたの?」
「僕は・・・遊ぶっていうよりはここに座って空とか川眺めてたんですよ。
気が向いたら絵を描いて、お腹がすいたら家に帰って御飯食べて。
たまに父と遊ぶこともあったんですけど、父は仕事が忙しかったから」
顔を上げずに話す吉澤くんの横顔は、夕日のせいか、何だか寂しそうだった。
吉澤くんのお父さんについては聞いたことがあったから、それ以上深く聞くことが出来なくて、
ごまかすようにもう一度子供達の方に頭を向けた。
流れる時間はゆったりでも、ここを支配する空気は重く、そして硬いものだ。
それは私が感じる距離感のせいなのかな?
あと横に少しでもずれれば埋まるような距離でも、それが出来ない私。
前みたく手を伸ばせば引いてもらえる?
それとも伸ばした手は空を切って、ただ吉澤くんの存在の痕を握るだけ?
何処かでずれた私達の歯車。
私はどうしたいのだろう?
歯車を正常に戻してまた同じように時を過ごして行きたいのだろうか。
私は何を望んでいるの。
吉澤くんに何を望んでいるの。
- 618 名前:ユレルハグルマ 投稿日:2003年05月25日(日)01時37分46秒
- 夏の夕日は何も教えてはくれない。
熱を残すこの風も答えを運んできてはくれない。
芝に身体を埋める吉澤くんは、目を閉じて口を結んでいる。
前は嫌じゃなかったこの沈黙も今は恐い。
これが続けば歯車は粉々に砕け散って二度と元には戻らない気がしてしまう。
歯車が無くなると私と吉澤くんのこの関係も終わってしまうの?
・・・今の私達の関係って何だろう。
「石川さん」
私の思考を途切れさせるように吉澤くんが口をひらいた。
自然に、だけどその言葉は震えているように聞こえた。
返事の代わりに吉澤くんの閉じられている瞳の方を向いた。
「夏の夕暮れって何だか切ないですよね」
突然の言葉。
その言葉の意図が掴めなくて私は無言で吉澤くんを見つめ続けた。
見れば見る程に整った美しい顔。
長い睫も薄い唇も透き通るようなその肌。
吉澤くんの目が開いていたらずっと見つめていることなんて出来ないだろう。
今だけ、ほんの一時だけ与えられた私だけの時間。
私は吉澤くんのことを記憶するように、じっと見つめ続けた。
だけどそれもほんの一瞬。
- 619 名前:ユレルハグルマ 投稿日:2003年05月25日(日)01時39分09秒
「色々なことを考えさせる」
吉澤くんはそう言うと身体を起こした。
服についた芝もそのままに、吉澤くんは座って川を眺めている。
吉澤くんの伸びた髪が風を受けてなだらかに揺れて、表情を覆い隠す。
「・・・吉澤くん」
今まで見た中で一番切ない背中。
捕まえておかないと消えて無くなってしまうような-----
これを抱き締めることが出来るのは一体誰なんだろう。
私が抱きしめてもいいのかな。
それとも私以外の誰か?
答えが欲しかった。
でもきっとだれも知らない。
私は何色々なモノを求めすぎなのだろうか。
やっぱり夏の夕日は何も教えてくれなくて、私はその背中を見つめ続けていた。
- 620 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月25日(日)01時46分59秒
- 更新しました。
次回からがまた妙に長めなので、どうやって切ろうか考えてたら短くなってしまい
ますた(苦笑)
何だか小出ししてるみたいで申し訳ないです(本当にすみません)
眠り方を忘れてしまい、夜寝れなくて、さらに明日忙しそうなんでこんな時間の
更新になりました。
いしよし修復作業の始まりです。
痛めはもうすぐ抜けるはずです(今から手直し)
>Silence様
時間経過を上手い事書けないことやら、重すぎる空気にキーボードを叩く手が止まったりやら、
作者も読者様も生き抜きできればと思い甘めのやぐなち(なちまり?)書いたんです。
結構王道が好きな自分はこういうの書いてて楽しいです(w
風邪大丈夫ですか?我が家でも父が先日まで苦し気な咳をずっとしてましたよ(T〜T0)
早く良くなることを願いつつも、重めな更新でした(苦笑)
(^▽^) お体お大事にです(0○〜○0)
>615 名無しさん様
初めまして。でいいんでしょうか?
前回更新分は良い意味での生き抜きになればよかったんですが・・・どうだったんでしょう(汗)
今回は石川さん視点での痛い系更新ですた(T▽T)カナシイネ
次回から歯車の噛み合わせを調節していこうと思ってます。
>ゆっくりじっくり納得のいく作品が出来るまで待ってますよ
>吉澤が湿布臭いジジイになるまでお付き合い致しますぜぃ!
ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします(ぺこり)
私的目標が定期的な更新なので(すでに破られてたりしてますが)頑張ります☆
- 621 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月25日(日)12時18分40秒
- …切ないね。大人になるって、切ないよね。
無邪気にいろんなモノを欲しがる子供に戻りたい。
早く甘々にしてやってくださいよぉ。頼むよぉ・゜.(ノД`).゜.
- 622 名前:Silence 投稿日:2003年05月25日(日)17時14分21秒
- お忙しい中で更新お疲れ様です。
>いしよし修復作業の始まりです。
待っていました。いや、痛いのも感情入れて読んでしまえる
ほどはまるんですが、やっぱり読んだ後にどこか暗くなるん
ですよね。特にこの作品には甘い2人が似合うような気がし
ます。(勝手なこと言ってすいませんです
風邪は1日で治しました。ご心配おかけしました。(ぺこり
次回の更新も楽しみに待っています!!
- 623 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月25日(日)18時46分20秒
- 明日からみれなくなってしまいますーー
切ないよー。明日契約きるんで・・・
今回も目に浮かぶような描写がとっても切なく心に響きます。
石川さんは自分の気持ちを行動に移せるのでしょうか?
次回は二人の距離感が狭まることを期待しつつ更新お待ちしています。
再びこのスレ見たときどんな展開になっているかどきどきしつつ雌伏の
時を過ごします。作者さんがんばってください!!!
- 624 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時39分29秒
- その日、何故だかいちーちゃんが家の手伝いに来た。
夕方で開店の準備前で忙しい時間に、ジーパンにTシャツといったラフな格好で。
突然来て、まだ準備中という札を無視して店の入り口をノックして入って来た。
後藤は料理の準備をしてる最中で、驚きのあまり包丁を落としてしまった。
「うっす!」
「い、いちーちゃん・・・。どうしたの?」
いちーちゃんは包丁を拾い上げると、その包丁を眺めて洗ってからまな板の上に置いた。
「俺も手伝おうかなって思ってさ」
・・・ふぇっ?
「んな陸に上がった魚みたいな顔すんなよ」
・・・失礼である。
固まる後藤とそれを見てニカニカしているいちーちゃん。
調理場で馬鹿みたいに見つめあっていると、買い物から帰って来たお母さんが
腰に手を当てて一声放った。
「まだ開店じゃないんですけど」
このおかげで後藤は解凍された。
「で、あんたは誰かね?」
「あ・・・あぁ、いちーちゃ-----」
「初めまして。市井紗耶香って言います」
どもる後藤の言葉を遮っていちーちゃんはお母さんに向かって頭を下げた。
あれだ、営業すまいるってやつだ。
だって後藤が見た事ないような笑顔してるもん。
- 625 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時41分22秒
- 「はぁ・・・市井さんですか」
「今日は真希さんのお手伝いをしたいと思いまして、お伺いさせていただきました。
挨拶が遅れてしまいましてすみません」
ちょっと面喰らったような顔をしているお母さんだったけど、いちーちゃん独自の
オーラというか、雰囲気というかそんなモンを受けて(何も反論しなかった後藤のせいも
あるんだろうけど)何かあっという間に打ち解けちゃって、今はすんごく楽しそうに話しをしてる。
・・・後藤のけもの?
「じゃあお手伝いさせていただきます」
「わざわざありがとうねぇ。
真希、市井さんと料理の準備よろしくね」
お母さんは楽しそうに奥へと消えて行った。
言われなくたってやってたもん。
ちょっとデレデレしたお母さんの顔が気に入らなくて、返事の代わりに頬をぷってさせたら
いちーちゃんが隣で苦笑いを浮かべた。
「ほら、もうあぶないから包丁落とすなよ」
後藤の頭をぽふぽふと叩くいちーちゃんの笑顔は、さっきの営業スマイルとは何か違っていた。
背の高さはあんまり代わらない(ってか後藤の方が・・・)けど、いちーちゃんの手は大きく感じる。
いつも余裕の表情をするいちーちゃんがちょっとずるく思えて後藤はあっかんべーをしてやった。
「・・・お前今いくつだよ」
んぐ・・・。
いちーちゃんは笑うと後藤の頭をぐゎしぐゎしして手を洗い始めた。
「早く開店準備しよ〜ぜ〜」
全くもって後藤はいちーちゃんがよく分からない。
でも鼻歌うたいながら後藤の横で料理をするいちーちゃんは後藤は気に入ってしまった。
- 626 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時42分47秒
=======================================
昔の僕は『偶然』という言葉も『運命』という言葉も信じてはいなかった。
でも、たまに信じたくなる時がある。
今もそれだ。
「ごっち〜ん、カオリビール飲む〜」
「あ!いいらさん!!そのお肉ののにくらさい!!!」
「すごいで!もう保田さんって人からからメール返ってきたわ!!
何やこの写メール!!梨華ちゃん見て〜☆おばちゃんや〜♪」
「本当だ!矢口さんも見て下さいよ♪」
「きゃはははははは!何この圭ちゃん!!強烈すぎるよ〜」
「何だべ?何だべ?・・・うわはははははっ圭ちゃんバスローブ着てるべさ〜」
「あ、俺にも見せて」
「ダメ、いちーちゃんはちゃんと仕事しなさい」
石川さんと土手にいたら僕の携帯が鳴った。
相手は矢口さんだった。
『よっすぃ〜今日紗耶香がごっつぁんのお店の手伝いしてるって本当?』
こんな話しを突然された。
当然のことながら僕は普通に驚き、そして不思議と納得をした。
とりあえず矢口さんが『さっきごっつぁんからメールあってさぁ・・・』といった内容を聞き、
どうせ近いんだから確かめに行けばいいじゃんということになり、一緒にいた石川さんと共に
ごっちんの家(店)まで行ったのだ。
- 627 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時44分31秒
- 準備中の札を無視して店の中に入ると、矢口さんの電話の通り市井紗耶香が店の手伝いをしていた。
最近女の人絡みの噂が全然なかった紗耶香が僕の幼馴染みの隣で料理をしていた。
紗耶香にワケを訪ねて簡単に『手伝いに来た』と返され、妙に納得をして僕と石川さんが
椅子に座って4人で話しをしていら次は石川さんの携帯が鳴った。
相手は加護だった。
『ののとウチが緊急なくらい暇なんや。
梨華ちゃん、一緒によっすぃ〜の家に乗り込もう』と言われたらしい。
そして今すでに僕と一緒にいるということを伝えると、すぐにここに来ると言って
一方的に電話を切られた。
って石川さんが言っていた。
お互いに苦笑いを浮かべていたら狙ったかのように僕の携帯が再び鳴った。
矢口さんからだった。
・・・結果を教えるのをすっかり忘れてた。
- 628 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時46分05秒
- で、どうせなら皆で一緒に御飯を食べようということになりこうしてこの店に皆集まってきたのだ。
ちなみに一方的に電話を切った加護は場所を知らないということにその後気付いたらしく、
慌ててまた石川さんに電話をかけてきた。
加護らしいと言えば何とも加護らしい。
辻に説教されている画も何だか想像できてしまった。
電話があってから大体1時間くらい。
丁度開店して少したったくらいに皆は集まった。
久しぶりにこんなに大勢集まったなぁって思う反面、あの日の記憶が呼び起こされた。
この場に保田さんがいないけど、辻加護もいるけど、僕はあの日のような不安に襲われそうになった。
皆が来たことに対してごっちんは大喜びだった。
辻と加護ともすぐに仲良くなり、今はカウンター越しで楽しそうに話しをしている。
手を休めているごっちんの分をカバーしているのはもちろん紗耶香だ。
僕は紗耶香のその一生懸命さに思わず目を反らしてしまった。
自分には出来ないことだから。
やけ酒というワケじゃないけど、僕は飲めないお酒を無理に喉の奥に流し込んでいく。
ビールの苦味が僕の子供さを強調している気がして、それを認めたくない僕がさらに多くの
お酒を喉の奥へと導いていった。
- 629 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時47分28秒
「兄ちゃん、酒っちゅうもんはもっと旨そうに飲むもんやで」
3杯目のビールを飲んでいる時、座席一つ空けて座っていたOL風な女の人が僕の腕を揺さぶった。
加護とは少し違うイントネーションの関西弁に少し恐怖を感じながら、それでもお酒の力を借りて
その女の人の方に視線を移した。
「何やその死んだような目。
まだ若いのにそんなんじゃあかんで」
矢口さんと似ている金髪・・・。
僕は油断した。
そしてお酒の力の強さに驚いた。
僕の隣には加護がいて、その隣には石川さんがいたというのに僕は(小声でだけど)今日初めて
会ったこの人に石川さんに対する気持ち以外を全て吐き出してしまったのだ。
- 630 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時48分15秒
- 言い終わった後に隣の様子が気になった。
今さらかよと自分に突っ込みをいれつつも様子を伺うように隣をチラ見した。
隣にいる加護は少し酔っぱらっているらしく、顔を赤らめてぽけっとしている。
この小声が聞こえたとは思えないくらいにぽけっとしている。
加護の隣の石川さんもお酒をちびちび飲みながら物思いにふけったような顔をしてた。
「そうか〜、少年も悩んでんねんなぁ。
分かるわ〜ウチにもそんな時があった」
女の人はウンウン頷いて僕の背中をばしばしと叩いた。
「そうや、自己紹介っちゅうのをすっかり忘れてたわ。
ウチは中澤。中澤裕子や」
「あ、ぼくはよしざわひとみって言いますです」
あぁ呂律が回らなくなってきた・・・。
「そっか、吉澤か。
よっしゃ!吉澤、今日は裕ちゃんのおごりや、めっちゃ飲むで〜!!!」
中澤さんと言ったその人は、ごっちんにビールを追加で頼むと意味ありげな顔をして僕の方をちらりと見た。
「何かが起きる時には、荒波がたつことがあんねん」
ごっちんからビールを受け取った中澤さんはそれを一気に喉の奥に流しこんだ。
中澤さんの行動につられるようにして僕はまたビールを喉の奥に流し込む。
今度のビールは少し美味しいと感じた。
- 631 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時49分53秒
=====================================
ねぇ、吉澤くん。
今隣で一緒に喋ってお酒を飲んでいるのは誰ですか?
さっき聞こえたけど自己紹介してたよね。
ってことは今さっき初めて知り合ったんだよね。
・・・そんなに年増の人がいいの?
「石川、ちょっとペース早くない?大丈夫?」
矢口さんがののとさり気なく場所を代わるようにして私の隣に移動してきてくれた。
「何だか最近のお前とよっすぃ〜変じゃない?」
不意打ち攻撃の先制パンチ。
カウンターを見つめながらビールを口に運ぶ矢口さんが、突然の右ストレートを
顎に向かって放ってきた。
さっきから全然酔えない私の頭が今まで以上に冴え渡る。
「圭ちゃんが出張に行っちゃう前から何だかよっすぃ〜が変だとは思ってたけど、
圭ちゃんが出張に行っちゃってから無理して前みたく振る舞おうとしてない?」
- 632 名前:言葉 投稿日:2003年05月27日(火)14時51分02秒
- 反論なんて出来るはずがなかった。
何一つ間違えてなんかない。
そっか、やっぱり他人にもわかっちゃうもんなんだね。
ってことはののやあいぼんにも分かっちゃってるのかな。
「石川さ、誰にも相談しないで1人で抱え込んじゃってるんじゃない?
オイラでよければいつでも相談のるからさ、もっとウチらのこと頼ってよ」
「よく言うべ、矢口だって1人で溜め込む癖あるくせに」
ひょっこりと私達の間に割り込むようにして安倍先生が顔をのぞかせてきた。
矢口さんを椅子から退けて、その椅子に自分が座ると自分の膝の上に矢口さんを座らせる。
「ちょっと、オイラは子供じゃないんだから」
膝の上で反論する矢口さんを放っておいて安倍先生は続ける。
「石川達の問題は石川達で解決するしかないんだと思うんだけど、それでもなっち達は友達でしょ?
なっちは達は問題を解決してあげることは出来ないけど、それを手伝ってあげることとかは出来るんだよ」
安倍先生のお日様みたいな笑顔。
久しぶりに見た。
というか久しぶりに皆の顔を見た気がする。
吉澤くんは・・・皆の顔見てるのかな。
「・・・ありがとうございます」
自然に声が出て、自然に頭が下がった。
そうだよね、私もっと皆のこと頼っていいんだよね。
吉澤くん・・・。
吉澤くん。
- 633 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月27日(火)14時56分51秒
- 更新しました。
『言葉』は後2回くらいに分けての更新になるかと思います。
本編と何も関係がないのですが、昨日路上ライブでピアノを弾いているいる方が
いました。その音色の優しさと美しさに思わずCDを購入。
500円でこんな素敵な音楽が聴ける幸せをかみしめています。
音は自分に言葉を運んできてくれます。
この音楽もまた、言葉を運んできてくれそうです。
>>621 名無し読者様
大人になりたくないと思っていた自分も、今じゃすっかり社会的に『大人』と呼ばれる
年になってました。
昔のように駄々をこねればどうにかなるようなことも少なくなり、考えることも沢山出て来ました。
石川さんも吉澤くんも、きっとこんな気持ちなんでしょう。
修復作業の段階に入りましたが、今回も少し痛めです(苦笑)
私も早く甘いいしよしが書きたいです(かなり切実な願い)
- 634 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月27日(火)14時57分31秒
- >Silence様名
そうですよね、やっぱり暗すぎるのはいけないですよね(といいつつもまだ暗い今回の更新・・・)
修復作業が始まりましたが、あまり甘めの2人を書いていなかったので、今までのように
書けるかはかなぁり心配です(汗)
ここの2人を暗く痛くすると、立ち直れないんじゃないかと思う程に落ちてく罠有り。
ここまで書いてやっと気付きました(苦笑)
風邪直ってよかったです。
しかし1日で直してしまうとは・・・驚異的な回復力ですねぇ。かっけーです☆
>623 名無しさん様
石川さんも妙にヘタレなもんで・・・(T▽T)だってぇー
次に見ていただける時までには修復作業が完成してると私的にも嬉しいです(苦笑)
痛いのは書きやすいんですが、書きにくいです。
書いてても痛いです。
だから頑張ります!
石川さんも吉澤くんも頑張って〜!!!!
- 635 名前:Silence 投稿日:2003年05月27日(火)19時28分47秒
- こーしん乙です。
『緊急なくらい暇』このフレーズ気に入りました。普段
使わせてもらっていいですか?(w
>そうですよね、やっぱり暗すぎるのはいけないですよね
いえ、すいません。自分が勝手なこと言ったせいで。(汗
どんな展開になろうとも最後まで追っかけますんで。
風邪治ったんですが、まだちょっと喉痛いです。
次回もがんばってくださいね。
- 636 名前:クロイツ 投稿日:2003年05月27日(火)20時07分32秒
- すごいです。あったかくて切ないです。すっごい癖になる感覚です。
コレがこの作品の『味』なんですね!!と、勝手に納得しちゃってるんですが(汗)いかがでしょうか…?
ヨッスィーの気持ちも梨華ちゃんの気持ちも、どちらも私の心を揺さぶっちゃってどーしよーもないですぅ〜!!
つまり、大好きです。この作品。
これからどうなるのでしょうか…わくわくどきどき。
続きがすっごく楽しみです!!がんばってくださいねっ!!
- 637 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時42分27秒
- 「なぁ、そりゃ吉澤が悪いで」
「ふへっ?」
この店の常連だという中澤さんは何杯目になるか分からない分からないビールを飲み干すと、
机に肘をついて何本目になるか分からない煙草に火をつけた。
だんだんと酔っていく中澤さんを見ていると、僕の酔いが冷めていく。
それ程までに中澤さんはすごい量のお酒を飲んでいた。
「後藤、酒のおかわり」
「ちょっと裕ちゃん飲みすぎだよぉ」
「つべこべ言うなや。今日は飲みたい気分なんや」
「今日もでしょ」
そう言うとごっちんは『これで今日はラストだからねぇ』と言って冷えたビールを中澤さんに渡した。
「あんたさ、自分自分って言うてるけど、その娘のことは考えたことあったんか。
お前が独り殻に閉じこもっている間にその娘がどんな気持ちでおったのか考えたことあったんか」
黙り込む僕を横目に入れながら中澤さんがビールを口に運びながら続ける。
その横の一瞬の視線が僕に深く深く突き刺さる。
- 638 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時44分00秒
- 「いくら外面だけ気にして人と付き合ったって、そんなん逆に人を傷つけるだけや。
嘘、うわべ、自分を偽りながら人と付き合って一体最後に何が残る」
「・・・そんなこと言ったって」
「言い訳なんてもんはいくらでもできるんや。
吉澤がここでどんな言い訳を積み重ねようと何かが変わるわけやない。
そんなん分かってるんやろ?」
分かってる。
そんなの分かってる。
でも、僕の気持ちは石川さんに会えば会う程に募っていってるんだ。
こんな気持ちを抱えたままで僕はどうやって石川さんに向き合えばいいの?
真直ぐに向き合うことなんて出来ないよ。
会えばあう程惹かれていく。
側にいればいる程僕の心は石川さんを独占したくなっている。
だから普段でも心の距離を取ろうとしていた。
石川さんの幸せの為に。
それが僕にとっても石川さんにとっても幸せだと思うから。
「大事なのは自分の気持ちに正直にってことや。
それがどんな気持ちでも。嘘つくことなんてあらへん。
吉澤は吉澤の気持ちのままにその娘に向き合えばええんちゃう?」
でもそれが石川さんのことを傷つけてたのかな。
僕が勝手に石川さんの幸せを願って、勝手に距離をとって、不細工に傷をつけた。
- 639 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時45分32秒
- 「不器用だってええねん。
ゆっくりだってええねん。
一歩づつ、たまに足踏みして進んでいけばええねん」
中澤さんのビールは残り4分の3くらいに減っていた。
僕は残っていたビールを中澤さんに注ぐと、自分の手の中で弄んでいたグラスを口に近付けた。
「考えたって始まらん。
行動してみないことには分からないことだってある。
吉澤、お前の場合はもっと話すべきなんやないかな。
いつまでもこんな状態でいれるなんて思ってるわけやないんやろ?」
その通りだ。
僕だってこのままの状態で少し離れた位置でもずっと側にいれるなんて思ってない。
保田さんがいない間だなんて僕の都合のいい言い訳だ。
自分の中で『保田さん』という言葉を掲げてその影に隠れて、それを口実に石川さんの側にいる。
石川さんと一緒にいたいと思ってるくせに。
自分の気持ちだって気付いたのに、それを隠そうとするのは無理をして前みたいな
関係を壊したくないからだ。
でも、今僕はその関係ですら壊していた。
上手く距離を取ろうとすれば取ろうとする程、僕の感じる溝は深くなる。
このままの状態だったら保田さんが帰ってくる頃までなんて持つはずもない。
・・・違う。
ここでまた誰かの名前を出すのも間違いだよね。
僕はずっと石川さんといたい。
どんなカタチであれ、今の僕の気持ちは『石川さんの側にいたい』だ。
ならば今何をするべきだ?
- 640 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時46分30秒
- そんなの分かってるだろう。
まずは謝れ。
そして話し合え。
中澤さんの言う通りだ。
僕は僕の中で話しを進めすぎて石川さんを沢山不安にさせて傷つけてきたんだ。
そして絶対に周りにいる人達にも気を使わせていたんだ。
・・・でもどうやって話しをきりだそう。
・・・また間違いだ。
悩むな。
こんなことで悩むな。
僕以上に石川さんはもっと悩んできたんだ。
僕が悩ませたんだ。
僕が不安にさせたんだ。
絶対にそうに決まっている。
もし仮に違ったとしても、その理由の元は僕にあると言わせたい。
僕が君を傷つけた。
それがたとえ違ってたとしても僕が石川さんを包むんだ。
今まで通りだっていい。
僕は僕に出来ることをしたい。
何度心の中で誓ったか分からないこの気持ち。
ことあるごとに破ってしまっていたこの誓い。
その理由は自分が傷つくことが恐くて距離を置いて、僕は僕を傷つけないようにしていたからだ。
- 641 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時47分46秒
- 弱虫、卑怯もの、ヘタレ
まだまだ言葉は足りないけれど、そんなの後でいい。
今僕のすべきことは自分を叱り、へこむことじゃない。
「あの、中澤さん」
「ん?」
「もっと大勢で飲みませんか?」
僕が横を見る。
辻も加護も一時は眠そうにしていたが、今はすっかり上がってテンションで皆の周りを
ちょろちょろと動き回っている。
石川さんも矢口さんも飯田さんも安倍先生もカウンターにいつごっちんや紗耶香と
話しながらお酒を飲んだりおつまみをつまんだりしていた。
「そうやな。たまにはこんな大勢で飲むのもいいかもな」
僕は久々に皆に声をかけた。
きちんと目を見て。
もちろん石川さんのことも。
これが今僕に出来る中澤さんに対してのお礼だと思った。
そして僕の素直な気持ちとして、ここにいる皆と同じ時間を過ごしたいと思った。
- 642 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時50分20秒
===================================
中澤さんという人が私達と一緒に飲み始めたことをきっかけに、
このお店は貸しきりという状態になった。
ごっちんのお母さんが提案してくれたのだ。
ちらちらといた他のお客さんを上手い事言い包めて外に出して、のれんを外しておばさんは
私達に気を使ってか2階へと消えて行った。
私の隣には今吉澤くんが座っている。
『ちょっと一緒に飲みませんか』と吉澤くんに変なナンパのようなことを言われたからだ。
ずっと私の話しを聞いていてくれた飯田さんや矢口さんや安倍先生は私達に気を使って
席を外してくれていて、今は中澤さんと一緒に楽しそうに飲んでいる。
ののやあいぼんも夢中になって御飯に食い付いているからあまり私達の方を気にしていない。
というかそういう風にごっちんと市井さんがしてくれた。
私達の前には枝豆と飲みかけのビール。
カウンターの一番隅で私は壁に身体をくっつけるようにして座っている。
暑いこの室内で、左半身がくっついているこの壁の冷たさはとても心地が良かった。
「石川さん」
吉澤くんの言葉から逃げるように壁によりかかっていた私に、吉澤くんは
落ち着いた声で呼び掛けてきた。
懐かしい。
そんな声色。
今まで聞いてきた声には変わりないんだけど、その一声は私の左半身を
壁から離すのに十分だった。
「僕、石川さんのこと沢山傷つけちゃってましたよね・・・」
- 643 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時51分20秒
- 私を呼び、その後かなりの間があいて、大きな手でビールの入ったグラスを包みながら吉澤くんは呟いた。
伸びた前髪が相変わらず邪魔で、私に吉澤くんの表情は読み取れない。
私が見えないんだから、吉澤くんも私の顔見れないかな?
今はそっちの方がいい。
今の私の顔は、涙を我慢している状態だから結構酷いはずだから。
だって私のことを心配している吉澤くんの方が傷ついたような声してるじゃない。
そんな辛そうな声聞いちゃったら泣きたくなっちゃうじゃない。
・・・お願い、そんな辛そうな声を出さないで。
私は君のそんな声を聞きたいんじゃない。
私は君のそんな顔を見たいワケじゃない。
その手でグラスを包まないで。
その手はもっと違うものを握って。
「ちゃんと話しもしないで、ちゃんと石川さんのこと見ないで・・・
僕は酷いくらいに石川さんのことを傷つけてた」
「吉澤くん・・・」
「・・・本当に、ごめんなさい」
吉澤くんはグラスを握りしめて深く頭を下げた。
そんなの私だって同じだよ。
私だって手を伸ばせば届くはずだった吉澤くんの背中に届こうとしなかった。
怯えて、いつもと違ってた吉澤くんのこと理解しようとしてなかったんだよ。
- 644 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時52分23秒
- 「私こそ・・・ごめんね」
「石川さんは何も謝るようなことしてないですよ。
だから謝らないで下さい。
謝られると余計に僕が謝りたくなります」
吉澤くんは顔を上げて、少し笑いながら泣き出しそうな表情を作った。
その少しの笑顔が、私は何だかすごく嬉しかった。
「そんなに泣きそうな顔しないで下さいよ」
そんなの無理にきまってるじゃない。
だってやっと前みたいな吉澤くんが戻ってきてくれたんだよ。
「・・・今度前髪切ってあげるね」
私は泣きそうなのを我慢して、やっと言葉を出した。
『今度』という未来につなげる言葉を。
吉澤くんは嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑ってくれた。
私達の間に流れていた時間をうめるのにそんなに言葉はいらないんだと思う。
言葉は少ないけど、何かのきっかけとなる言葉があって、その笑顔があって、
私はそれだけで十分だと思った。
だから今までの時間に比べたら短かすぎる程短いこの時間だけで、私は十分だと思った。
おかえり、吉澤ひとみくん。
- 645 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時53分01秒
- ◇◇◇
- 646 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時53分33秒
- ◇◇◇
- 647 名前:言葉 投稿日:2003年05月29日(木)08時54分16秒
- ◇◇◇
- 648 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月29日(木)09時02分12秒
- 更新しました。
『言葉』は後1回の更新になります。
昨日、ビデオ整理をしていたらミスムン時代のビデオが出てきました。
あれはいしよしの宝庫です。
そんな風に思いました。
>Silence様
『緊急なくらい暇』気に入っていただけてなによりです☆
もうがんがんに使っちゃって下さいです(w
>自分が勝手なこと言ったせいで。(汗
いやいや私ももう暗いの嫌だったんで、Silence様のせいじゃなですよ。
そのうえ、下書きの段階ではもう今みたいな展開を書いていたんで、私のレス返のせいで
気を使わせてしまったのならすみません(大汗)
風邪は直りかけ要注意なんで、気をつけて下さいね。
最後まで追っかけていただけるように頑張ります!!
>クロイツ様
青春のまっただ中という感じでしょうか。
年齢的に子供扱いもされないけど、大人になりきれなくて、でもやっぱり昔のようにただ純粋に
素直になるなんてことはすごく難しいことで、2人共揺れる動く気持ちを表現出来ない、
というかどう表現していいのかが分からないんですね(と思いながらここら辺(痛い辺)は書いていました)
>すごいです。あったかくて切ないです。すっごい癖になる感覚です。
ありがとうどざいます。もう嬉しいです!そんな風に納得しちゃってOKです☆
これからも『大好き』と言っていただけるよに頑張ってきます!!
- 649 名前:REDRUM 投稿日:2003年05月29日(木)11時16分27秒
- 初めまして。
最初から読ませて頂いてましたが初レスです。
毎回ワクワクしながら読んでます。
今、一番お気に入りなんですよー、この作品が!
ついに動きだしましたねぇー!
がんばった吉澤君えらい!
次回も楽しみにしています!
- 650 名前:Silence 投稿日:2003年05月29日(木)19時27分19秒
- 更新お疲れ様です。
よかった、二人が仲直りしたみたいで。この作品の読者として
これほどうれしいことってないですよ。(w
『未来につなげる言葉』これめっちゃかっこいいです。
温かい言葉、感謝です。もうだいたい治りましたんで。
自分がこの作品を途中で見なくなるなんてことはいしよし
嫌いになるくらいありえないと思います。(w
ん?メルアドかっけ〜。今度メールさせてもらいますかも(w
- 651 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年05月30日(金)22時07分17秒
- 作者さま、更新お疲れさまです。
言葉にしなければ、伝わらない想い。言いたくても言えない言葉。
ほんとに好きになればなるほど、失いたくなくて現状維持でいようとする気持ち。
怖いけど、勇気を持って一歩踏み込めば、伝わる想い。届く気持ち。
二人がお互いの気持ちを受け入れて恋人同士になっても、切ない思い出として終わるのにしても、最高の二人だと思います。
頑張れ!ひとみ君&梨華ちゃん。
『I WISH』を聴きながら、更新を楽しみに待ってます!
- 652 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月01日(日)10時11分01秒
- おかえり、と言う言葉に、すごくじーんっとしてしまいました。
と言うより、台詞一つ一つにすごい温かみがあって…すごいです!!
いしよし命と言う視点からでなくても、読んでいて楽しいです!!
…でも、二人にはくっついてほしいなぁ、とか思ってるんですが(笑)
つーか中澤さん、カッコ良過ぎます…!!
吉澤君がこれからどうするのか、すごく気になります。
次回も楽しみにしておりますねー!!
- 653 名前:言葉 投稿日:2003年06月01日(日)21時47分47秒
- 「んぁ!そういえば今何時!?」
後藤のこの一言が突然店内に響き渡った。
皆の動きが一斉にぴたりと止まる。
吉澤の膝の上によじ登ってぽふぽふと飛び跳ねていた加護も、飯田の目の前にある生姜焼きを
狙って身をかがめていた辻も、そんな辻のことを横目で見ていた飯田もなつみも、矢口にキスを
迫っていた中澤も、それを必死にかわしている矢口も、加護のおだんごの中身を覗こうとしていた
ひとみと梨華も、そして後藤の隣で自分の作った料理を満足そうに食べてビールを
飲んでいた市井も全員が一斉にぴたりと動きを止めたのだ。
「・・・いちーちゃん」
「・・・24時40分」
・・・。
「「「「「「「あ。」」」」」」」
- 654 名前:言葉 投稿日:2003年06月01日(日)21時49分56秒
- 終電よさらば。
さようなら。
辻加護を除く全員がそれを酔った頭で理解した。
「なんや、皆知ってて飲んでたんやないの?」
「へ?違うんれすか?」
辻加護のこの発言に皆の視線は一気にこの2人に注がれる。
酔って目がすわっている人もいれば、驚きで目を見開いている人もいる。
加護はこの視線が少し恐くなって吉澤のシャツをきゅっと握りしめて吉澤に抱きつき、
辻はてけてけと走ると梨華の影に隠れた。
「え、あのさ、ひょっとして辻も加護も何処かに泊まるつもりでいたの?」
「当たり前やん」
「ののもあいぼんもお家には連絡入れてあるのれす」
「・・・泊まる所ってまさか」
「「よっすぃ〜の家に決まってるやん」れす」
胸をはる辻加護にひとみは思わず額に汗を浮かべた。
せめて一言声くらいかけて欲しかった。
何もお泊まり準備なんて出来ていないのだ。
- 655 名前:言葉 投稿日:2003年06月01日(日)21時51分03秒
- 「まぁウチらはごっちんの家さえ平気ならここでずっと飲んでてもいいんだし」
「そうだよね、別に始発で帰ればいいだけだもんね」
飯田の発言に矢口が中澤を引きはがしながら同意する。
矢口から引きはがされた中澤はつまらなそうに酒を口に運ぶ。
「んぁ、後藤の所は別にへーきだよぉ。
明け方までやってる時だってあるしねぇ」
「じゃあ辻と加護はよっすぃ〜の家で寝かして、後はここで飲んでくべか」
「あぁ!今安倍しゃんのの達のこと子供あつかいしたれしょ〜」
そう言って梨華の背中から飛び出た辻がなつみに乗りかかって背中をぽこぽこと叩いた。
しかしそんな事を言いながらも辻も加護も眠たそうに目をこすっている。
「まぁ別にいいんですけど・・・。
どうする?2人共もう寝るかい?」
膝の上に座っている加護となつみの背中に乗っかっている辻をひとみは交互に見た。
辻よりも加護の方が眠たそうにうつらうつらしている。
そんな加護の様子を見た辻がちょっと考えてから首を縦に振った。
「それじゃぁ僕2人を連れて行くんで、先に失礼します」
ひとみは自分にくっついている加護をだっこするようにして抱える。
「じゃぁののは私と手つないで行こう」
辻の羨ましい視線をもろ浴びていた梨華が、辻に歩み寄るとその小さな手をしっかりと握った。
- 656 名前:言葉 投稿日:2003年06月01日(日)21時52分13秒
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小さな身体をベッドに沈ませると、辻も加護もすぐに眠りについた。
夏と言えどもお腹を出して壊してしまったのではとんでもないのでお腹にタオルケットをかける。
2人が息をする度に薄いタオルケットが上下して、静かな寝息が静かな部屋の中に溶けていく。
ベッドの隅に腰を下ろして2人の髪を交互に撫でている石川さんの手と横顔が月明かりに照らされて、
星が輝くこの部屋で神秘的に浮かび上がっていた。
「はしゃぎすぎちゃって疲れちゃったんだね」
高いその声が僕の頭に直接語りかける。
答えは求めていないのだろう。
石川さんは手の動きをとめることなく穏やかな表情をしている。
「あ、あの・・・」
「もうこれ以上は謝らないでね」
僕の言葉を塞ぐように石川さんはこっちを向いた。
動かし続けていた手を止めて、身体の向きを僕の方に変える。
- 657 名前:言葉 投稿日:2003年06月01日(日)21時52分51秒
- 「今は何も理由を聞かない。でもいつか話して」
「・・・はい」
「あ、でも今一つだけ聞かせてもらえるかな?」
石川さんがベッドから立ち上がって、僕の目の前に座り込んだ。
距離にして30cmくらい。
平静を装っていても僕の心臓の鼓動は早くなる。
石川さんの香りが微かに香るお酒の匂いと共に僕の身体に流れ込んでくる。
薄暗いこの部屋に感謝をした。
僕の顔が赤くなっているのを石川さんに見られたくないから。
「あのさ、携帯が繋がらなかった時吉澤くん体調とか悪くしてたの?」
「え?」
「いや、あの久しぶりに吉澤くんい会った時、保田さんとそういう会話してたから」
石川さんはあきらかに僕の前で保田さんの名前を出すことをためらっていた。
理由は僕に気を使ってか、それとも石川さん自身が遠く離れた所にいる保田さんを思ってのことか。
それは分からないけど、もし僕に気を使ってならそれは辞めてほしい。
僕は今までのように石川さんと一緒に接したいのだ。
卑怯なようにも聞こえるけど、僕はそう、今までのように・・・一緒にいたいんだ。
「じゃあ先にまず一つ、お願いしてもいいですか」
「あ、うん」
「僕に気を使わないで下さい。僕の前で、気を使わないで下さい」
- 658 名前:言葉 投稿日:2003年06月01日(日)21時53分45秒
- 石川さんは驚いたような顔をしてから、気まずそうに頷いた。
前まで僕がネガティブ一直線だったけど、石川さんは元祖ネガティブなのかもしれない。
瞬時に陥るそのスピードは見ていて驚異的だ。
「いや、でも元は僕が悪いワケだし・・・むしろ僕が悪すぎるわけで・・・」
「・・・そんな慌てる程、私堕ちているように見えた?」
「え?」
「ほら、それよりも教えてよ」
目の前に表れた石川さんの満面の笑み。
それは僕がまんまと騙されたことを意味していた。
・・・素直に悔しい。
だから少し話しに嘘を含ませておいた。
まんまと騙された石川さんにその事を言ったらいたって普通に頭をはたかれた。
素直にじゃれあえる関係も悪くない。
自分の気持ちに素直になるの悪くない。
それでも上手い事こうやって出来るもんなんだ。
ちょっと自分が一歩進んで気持ちになった夏の夜だった。
- 659 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月01日(日)21時58分58秒
- 更新しました。
私嘘つきました。
『言葉』は後1回更新あります(汗)ので次回は『言葉』+@という感じになり
そうです。
ごめんなさい。
台風にびっくり。
そして小田原駅浸水というニュースにもびっくり。
私は夜出歩いている時に、強風の為に傘がひっくりかえってしまい、
ひらきなおってそのまま小学校の時遊んだように傘の上に雨をためて無邪気にも遊んでみますた。
懐かしくて何だかとっても楽しかったですYO!
>REDRUM 様
こちらこそ初めましてです。
いや〜何だかちんたら進んでて申し訳ないです(汗)
やっとこさ動き始めました。←当初の予定よりもカナーリ遅いですが。
長かったなぁ・・・。
>今、一番お気に入りなんですよー、この作品が!
あ、ありがとうございます(照れる照れる)
いやー取り留めのない話しが続くかもしれませんがこれからもよりしくお願いしますです。
>Silence様
自分も2人が仲直りしてくれてよかったです(かなり嬉しい)
頭の中にあった話しよりも随分長い痛い話しが続いてしまったので、本当に嬉しいですYO!
昔はあまり歌詞を聴かずに音楽を聴いていたんですが、最近じっくり歌詞を読むようになり、
改めて言葉の大切さとか凄さを知った感じあんですよねぇ(しみじみ)
メルアドは一度入力してみたかったんです(w
>自分がこの作品を途中で見なくなるなんてことはいしよし
>嫌いになるくらいありえないと思います。(w
ふは〜恥ずかしいですがそれより何いより嬉しいです。
頑張ります!!!
- 660 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月01日(日)22時00分36秒
- >ななしのよっすぃ〜様
そうなんですよね。
言葉ってとても大切で、とても難しくて、とても優しくて、時にはとても傷つけるようなモノになるんですよね。
近くにいすぎると、大切さに気付かなかったり、それ以上近付けなくなったり。
人と人との距離は難しいと日々感じております。
勇気っていうのは言うは簡単でも実際勇気を出すのが難しかったりするんですよね。
ここの2人のこれからは自分で書いていても楽しみだったりしてます(w
この先2人はどうなることやら(ワクワクです)
>クロイツ様
『ただいま』『おかえり』何気ない言葉だけど、言われると嬉しい言葉なんだなぁって思ってます。
>台詞一つ一つにすごい温かみがあって…すごいです!!
そ、そんな(大汗)無知ってこともあって日本語を上手く扱うことげ出来ない自分はいつも四苦八苦です(苦笑)
ずっと痛いのが続いていたので、これからは温かい話しをお届けできればと思っています。
でもあまりスットクがない現実(爆)
中澤姉さんはごっちん家の常連客です。
設定は決まってたんですが、やっとこさ登場しましたYO!
これからもここのじれったい2人を見守ってやってて下さいです(w
- 661 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月01日(日)22時01分35秒
- 更新お疲れ様です。
- 662 名前:Silence 投稿日:2003年06月01日(日)23時03分37秒
- 更新お疲れ様でした。
自分のとこにはあんま台風こなかったみたいです。
(ってゆーか台風きたことないんですよ北海道 (w
おお、石川さんとよっすぃーが2人に。気になりますね〜続きが。
次回もご自分のペースでがんばってください。
- 663 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月04日(水)21時09分06秒
- ちゅんちゅんという鳥の鳴き声と共に朝が訪れた。
飯田も矢口もなつみも中澤も梨華も皆飲み潰れて机の上でつっぷしている。
梨華はひとみと辻加護と一度店を離れた後にここに戻ってきた。
ひとみは辻加護の2人っきりで部屋の残すわけにはいかないので、あのまま自分の部屋に残り、
梨華だけがひとみに背中を押されて戻ってきたのだ。
そして皆に飲みつぶされた。
「んぁ〜やっと片付けが終わったよぉ」
ゴミを捨て終えて帰ってきた後藤が大きな伸びをしながら戻ってきた。
一晩中飲み食いをした、この痩せの大食い軍団の料理等々で後藤はかなぁりのお疲れモード。
そしてその後藤の隣で慣れない店の手伝いをした市井はもっとお疲れモードだ。
後藤がゴミ出しをしている間にやっとこさ終わった洗物を目の前に爽やかな朝というよりも
ぐったりとした朝を迎えている。
「いちーちゃんもお疲れさまねぇ。
いつもはこんなに凄くないんだけどねぇ」
- 664 名前:言葉 投稿日:2003年06月04日(水)21時10分18秒
- ちらりと視線を移したその先には情けない程に潰れた皆の姿。
納得をした市井は答える代わりに苦笑いを浮かべて頭に巻いていたタオルを取り去った。
「後藤、俺何だかお腹すいてきたよ」
「んだねぇ、後藤もお腹すいてきた」
市井と向かい合うように座ると、後藤は机の上に伸びる。
拭いたばかりの机の上に後藤の明るめの髪が音をたてずに落ちる。
「拭いたばっかなんだからよだれ垂らすなよ」
「後藤そんなことしないもぉん。それよりもお腹すいたぁぁぁぁ」
「っし、じゃあ俺が今何か作ってやるよ。ちょっとだけ材料もらうな」
そう言うと市井は後藤の頭に手を置いて勢いよく立ち上がり調理場へと向かって行った。
慣れない仕事をしたせいで、絶対に自分よりも疲れているはずの市井の行動が不思議で
後藤はぬべーっと頭を上げた。
市井は楽しそうに包丁を振るって料理を作っている。
そんな姿を見た後藤はふにゃり笑顔を浮かべた。
「いち〜ちゃ〜ん、おいしいの作ってねぇ〜」
この言葉に市井は片眉を持ち上げた。
『言われなくたって最高の作ってやるよ』その言葉を込めて。
- 665 名前:言葉 投稿日:2003年06月04日(水)21時11分13秒
=================================
「「おはよーございまぁす!!」」
朝だっていうのにかなりのテンション。
朝6時30分頃に起きた辻と加護によって床に寝ていた僕は無理矢理起こされた。
そして無理矢理朝食を作らされ、ここに連れられてきた。
まだ寝癖だって直していない。
服だって昨日のままだ。
「・・・おはようございます」
ごっちんの家についたのが7時ちょっと過ぎ。
こんなにテンション上がらないよ。
「あ〜よし子おはよ〜」
「あれ?ごっちんもう起きてたの?」
「違うよぉ、後藤寝てないのぉ」
嘘・・・ごっちんが寝てない?
あの何処でも寝れるごっちんが寝てない??
- 666 名前:言葉 投稿日:2003年06月04日(水)21時13分05秒
- 「んな顔してんなよ。寝癖頭男女」
「紗耶香もずっと起きてたの?」
「流しやがったな。んだよ。
だってこいつらすげー飲むしすげー食うんだもん」
あきれ顔の沙耶香の先にはもそもそと動きだした集団。
・・・春先の昆虫みたいだ。
「石川なんて戻ってきて速攻で潰されたからね」
・・・石川さん、よだれが。
「お前戻ってこなくて正解だったかもな」
そう言うと沙耶香は大あくびをしながら外に出て行った。
多分煙草を吸いに行ったんだろう。
ごっちんはその沙耶香の背中を見送ると、机に頭をべちゃっとくっつけた。
「あれ、もう朝だべかぁ」
「あぁ・・・うあぁぁぁぁぁ」
「・・・ちょっと朝一で変な声上げないでよ」
「ちょっとなっち、肘のっけてるのカオリの頭だよぉ」
- 667 名前:言葉 投稿日:2003年06月04日(水)21時13分49秒
- 春先の昆虫軍団がもそもそと起き始めた。
皆、顔に服の痕が付いてる・・・もったいないなぁ、皆普通にしてれば美人さん達なのに。
「朝御飯作ってきたんで、よかったら食べて下さい」
あぁ・・・近付くと何とも酒臭い集団だぁ。
辻も加護も鼻を押さえて、眉間にシワを寄せている。
「・・・皆さん、帰る時はシャワー浴びるか着替えるかした方がいいですよ」
そのままではかなり他の人に迷惑です。
「「「「車出して」」」」
・・・僕に迷惑です。
石川さん、そこで小さく手を上げないように。
- 668 名前:夏の終わりに 投稿日:2003年06月04日(水)21時14分29秒
- 僕は残りの夏休み、全力で卒業制作に取りかかった。
せっかく学校から内定をもらったのに、無様な作品を出すわけにはいかない。
広がる僕の世界に溶け込む僕の思考。
融合するようにぐるぐると周り、拒絶するように離れていく。
その掛け橋をつくって混ぜあってイメージを描き出す。
想像の世界。
でも現実の世界。
僕は今の僕の気持ちを素直に絵に込めていっている。
そうすることでもっと自分に素直になれる気がした。
絵で嘘はつけない。
僕のその時の気持ちが素直に写し出されるから。
悩んだ時に描いたモノも一つの作品だけど、僕はこの卒業制作、自分の本当の素直な気持ちで描きたかった。
下書き不要。
むしろ不可。
失敗も成功もカタチとして全てここに刻み込もう。
そう思ったから。
- 669 名前:夏の終わりに 投稿日:2003年06月04日(水)21時15分50秒
- 夏は過ぎていく。
時間の波に乗って太陽が沈み、時間の波に乗って月が浮かび上がる。
太陽と月が共にする時間をゆっくりと過ごし、動かす聿に全神経を集中し、それを楽しんむ。
僕は今充実した日を過ごしている。
胸を張って言える。
8月中に僕は前髪も切り、何度か石川さんと土手に座ってただ静かな時を過ごした。
『沈黙』という言葉は気にならない。
別にそれでどうこうなるワケじゃないってお互いに分かっているから。
そう僕は思ってるから。
石川さんが僕のことをただの友達だって思っているのは知ってる。
だからどうだっていうんだ。
僕は僕で、この気持ちに嘘はない。
だったらこのまま暖め続けたって別にいいじゃないか。
- 670 名前:夏の終わりに 投稿日:2003年06月04日(水)21時16分46秒
- 言い訳を作って逃げ出すよりも、僕はそれがいい。
たとえ石川さんの心が保田さんい向いていようと、僕はこの気持ちを持ち続けるだろう。
もちろん苦しいけど、僕はそれを言い訳に逃げたくないから。
普通に振る舞うんじゃなくて、普通でいる。
『普通って一体どんなだろう?』
それは僕が僕でいることなのかもしれない。
『Be not Nobody』
誰でもない人になってはいけない。
僕は僕でい続けたい。
『吉澤ひとみ』でい続けたい。
僕は逃げないよ。
昔みたいにもう俯かない。
顔を上げて、胸を張って、いつか・・・いつかきっと君を振り向かせてみせるから。
- 671 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月04日(水)21時30分19秒
- 更新しました。
今日の天気は『雨は降ってもぱらつく程度』という予報だったので、いつも通り
原付きでバイト先へ向かい、見事帰りに大粒の雨にうたれました。
雨の日が続きますなぁ・・・。
皆様風邪には十分注意して下さいね。
といいつつ自分も注意。
>661 名無しさん様
ありがとうございます。
更新ペースが落ちてきている感じなんですが、ある程度定期的に更新していけるように
頑張りますので、気が向いたら読んでやって下さいです。
>Silence様
北海道に住んでるんですかぁ。
いいですねぇ。私まだ一回も行ったことないんですよ。
(今年あたりには行きたいなと思ってるんですが)
結構私台風好きなもんで、傘をささずに外に飛び出して雨に打たれて楽しんでます(w
2人っきりになった吉澤くんに石川さん、何もアクションが起きなくて・・・
期待して下さったなら申し訳ないです(ぺこり)
何故だか忙しくて、さらにFLASHとか作るのに夢中になったりしてたら更新ペースダウン(汗)
御心遣いありがとうごじます。
なるべく定期的に、そしてマイペースで頑張らせていただきます。
- 672 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月04日(水)21時46分18秒
- 沈黙が怖くない二人が素敵っ!!
ちょっぴり手ぇあげてる梨華ちゃんが可愛いッ!!!
素敵ないしよしをありがとうございます!!
だんだん前向きになって行く吉澤君を見てると、なんかすごーく心があたたまります♪
『いつかきっと君を振り向かせてみせるから。』って言う言葉に、目頭が熱くなりました。
ゆったり流れて行く時間が心地よい感じです♪
次回も楽しみにしております!!
- 673 名前:Silence 投稿日:2003年06月05日(木)16時13分16秒
- 更新乙でございました。
う〜ん、書こうと思っていた感想がほとんどクロイツさんとかぶって
しまうんですが。吉澤君の最後のセリフ本当にかっこいいです。
『僕は逃げないよ。』っか〜。最高ですわ。(w
>期待して下さったなら申し訳ないです(ぺこり)
いえいえ、何もなかったのが逆に今の2人らしくていいと
思っていましたよ。(いい意味で
更新は自分のペースでやるのが一番ですよ。お忙しいなら特に。
(自分も気楽に更新していますから(w
- 674 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時12分37秒
「柴ちゃん久しぶり〜♪」
「梨華ちゃ〜ん!また黒くなったでしょ♪」
登校日。
久しぶりに柴ちゃんに会った。
夏休み入ってから電話もメールもしてなかったから、2ヶ月近く(大袈裟かな?)音信不通な状態だった。
だって柴ちゃんったら夏休みの頭からラストまで仕事のアシスタントというかたちでず〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと海外行ってたんだもん・・・たまに戻って来た時もあったみたいだけど、
薄情なことに連絡の一つもよこさなかった。
理由は『携帯を持って帰るのを忘れて、番号が分からなくて、家に直接行って
いなかったらだるいから』だそうだ。
「もう夏休み過ぎるの早すぎ。もっと休みがほし〜よ〜」
「贅沢になって帰ってきたんだね・・・」
「何言ってんのよ。遊べるのなんて学生のうちだけよ。
ならば遊ばなきゃ損じゃない」
- 675 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時14分34秒
- ぐっと握り拳を作って、鼻息荒く立ち上がる柴ちゃん・・・周りからは小さな拍手が起こっている。
・・・恥ずかしいなぁ。
学生と休みについて熱く語る柴ちゃんを軽く放置にしておいて、ぽけーっとしてたら最高の笑顔を貯えて、
麦わら帽子を冠った安倍先生が教室に入ってきた。
麦わら帽子は北海道で自分で買ってきて、何だか気に入ったから冠ってきたんだそうだ。
あれで電車に乗ってきたのかなぁ・・・まぁ安倍先生似合うから違和感とかなさそうだなぁ。
・・・あるか。
「ちょっと、梨華ちゃん口空いてるよ」
・・・んなこたぁない。
「ほれ〜石川、ぽけーっと口空けとらんでさっさと課題提出するする〜」
・・・んなこたぁある。
- 676 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時15分59秒
初日なんてあっと言う間に学校が終わるわけで、夏休み御報告会が私の家で開かれた。
柴ちゃんはほとんど90%がのろけだったから流し。
んで、私の夏の報告をしたら・・・。
「梨華ちゃん、あんた何やってんのさ」
怒られた。
顔面に枕を思いきり投げられた。
手加減しなかったでしょ、痛いんだよ。
今だって涙出そうだったんだよ。
「結局のところ梨華ちゃんは何もしないで、ただ時間に身を委ねて誰かが解決しくれるの
指加えて待ってただけだっていうの?」
「・・・だって、どうしたらいいか分からなかった」
「だったらどうして聞きにいかないの。
梨華ちゃんがそれするだけでも絶対に吉澤くんは救われたはずだよ」
・・・だって。
だって、だって、だって、だって・・・。
「・・・恐かったんだもん」
「はい?」
「恐かったんだもん!」
- 677 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時18分43秒
- 突然大きな声を上げたものだから柴ちゃんは相当驚いた顔をした。
「だってさ、突然吉澤くんから連絡なくなったと思ったら次は電話かけても繋がらないし、
メール送ったって返事返ってこないし、会いに行っても会いたくないとか言われたら
どうしていいのか分からないもん!!
そしたら学校とかで会ったらどんな顔していいのか分からない。
普通に笑うことなんて出来ない!!
拒絶されたらって思うと行きたくても身体が動かなかったんだもん・・・」
「・・・梨華ちゃん」
涙が出た。
ずっと吉澤くんと連絡が取れなかった時の気持ちを、ずっと溜め込んできた気持ちを
言葉にしたら涙が溢れてきた。
柴ちゃんの前で、私はみっともない程に泣きじゃくった。
あの時の気持ち、すごく不安な気持ちを思い出すと、涙が止まらなかったんだ。
- 678 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時20分03秒
「・・・だがら、っく・・・よ、よがっだどぉ・・・」
何とも醜い姿だろう。
しゃべれないし、化粧は落ちてるし、鼻水もずりずりと出て来そうになるし。
「まだ、よじざわくんと・・・なか、よぐっなれ、て・・・よがったのぉ」
20歳にもなった女の子がこんな状態で泣いてるんだもん。
じっと柴ちゃんに見られていることが恥ずかしくて、私は柴ちゃんの胸に顔を埋めた。
ついでに涙や化粧、色々なもんをくっつけてやった。
柴ちゃんはそれでも私の頭を撫でてくれた。
そして、帰り際にきっちりと『洗濯しろ』とその服を渡されて、『センス悪っ』という
捨て台詞を吐いて帰って行った。
- 679 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時22分04秒
==================================
夏休みなんてあっという間に終わるもんで、だけど今までのような生活に
身体を戻すのも大変なもんで・・・
バイト中の僕はかなりの睡魔と戦っています。
相変わらずそんなに忙しくないこのお店。
そのうえもうすぐテストです。
カウンターに座って動かす手とは裏腹に、頭の中は結構真っ白。
さらに・・・
「ふぁぁ〜」
かみ殺そうとしても無理だったりするあくびが出たり
「ふぇっくしゅっっっっ」
突然くしゃみが襲ってきたり
「あ、そうだメールの返事送ってないや」
と、沙耶香から送られてきたどうれもいいような内容のメールに返事を打ってみたりと、
全くといっていい程集中できてなかったりする。
- 680 名前:学校スタート。普通な1日。 投稿日:2003年06月07日(土)17時23分11秒
- 「すみませ〜ん」
そして突然のお客さんの襲来を受けてかなり焦ってたりもする。
前期後期せいの学校だと、この夏休み空けのテストというのがかなりやっかい。
そう僕は思っている。
他の皆はどう思ってるか分からないけど、僕はそう思ってる。
「ありがとうございました」
ペコリと頭を下げてお客さんをお見送りして、座っていた為固まってしまった腰をぐっと動かす。
辺は大分薄暗くなってきていて、早い夏の終わりを実感させられた。
季節はあっという間に巡っていく。
夏の終わりは秋が訪れ。
風はこれから涼しくなっていくんだろう。
こうやって地球時間は巡ってく。
そしても僕の時間も巡ってく。
「吉澤くん、今日はもうあがっていいよ。お疲れ様」
この店長の一言で僕は家路につく。
こうして夏の前のような生活リズムに戻っていくんだろうな。
さて、これから帰って絵の続きにとりかかりますかね。
- 681 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月07日(土)17時26分07秒
- 更新しました。
まったくもって普通の1日ってやつですね(苦笑)
しばらくまったりが続いた後はかなりのテンポアップにしていきたいと考えています。
>クロイツ様
いや何だか無理矢理まとめてしまった感じもあるんですけどねぇ(大汗)
どうやって前のように戻していこうかと思っていたらこんな風になってました。
ここでは吉澤くんの成長が少しでも書けたらいいなぁって思ってたんで、やっぱりシメは吉澤くんです。
吉澤くんはこれからカッケくなって行ってもらえるような願望を込めた前回更新でした(w
>Silence様
クロイツさんへの返事とかぶってしまうんですが、やっぱり吉澤くんの成長を書いていて、
ここらで『ちょっと成長したぞ』っていうのが分かればいいなぁって思うようなことを書きたかったんです。
伝わったみたいな感じで私的にはOK牧場&安心です(苦笑)
今後も更新は不定期になるかもしれませんが、よろしくです。
- 682 名前:Silence 投稿日:2003年06月08日(日)14時54分08秒
- 更新乙様(お疲れ様)です。
まった〜りした雰囲気がすごく出ていますね。石川さんが
ぽけーっとしているのを想像してなぜかつぼに嵌って
笑っていました。(w
>今後も更新は不定期になるかもしれませんが、よろしくです。
はい、この作品が完結するまで引き続き追い続けさせてもらう
つもりです。(w
- 683 名前:電話 投稿日:2003年06月09日(月)11時26分21秒
- 進む日付けに追われる気持ち。
夏休みが空けても全く進まないのは私の卒業制作。
学校が始まって、さりげなく皆に聞いて回ってみたら、皆以外にも手をつけ始めていた。
普通に焦るのさ。
こんな高い声だけど普通に焦るわけさ。
そして結構暗くなったりすわけさ。
だから・・・
「吉澤くん!!!!!」
『ふへっ!?』
吉澤くんに思わず電話。
理由なんて分からないけど、ともかくかけちゃった。
電話の奥ではかなり驚いた顔をしているであろう吉澤くんの姿が簡単に想像できたりするんだよね。
『な、何ですか、突然大声出すからびっくりしたじゃないですか』
予想通りだね。
ここまでぴったりだと嬉しくなっちゃうってものさ。
「いや、ちょっと聞きたいことがあってさ」
『どうしたんですか?何かあったんですか??』
「ん?そんなたいしたことじゃないんだけどね」
『そうですか。良かったです。
突然大声だすから何かあったのかと思ったじゃないですか』
- 684 名前:電話 投稿日:2003年06月09日(月)11時27分22秒
- ・・・優しいのね。
吉澤くん、とっても優しいのね。
私何だか大声出したのが悪いように思えてきちゃったわ。
ごめんね吉澤くん。
よし、これでいいかな。
『・・・石川さん?』
あら!大変。
一瞬交信状態になっちゃった。
これじゃ本当に飯田さんになっちゃう!!!
でもあのスタイルのよさとかはうらやましいなぁ。
あんなに背が高くて、スタイルがよくて・・・
『石川さ〜ん』
ってなれるワケないじゃない。
私は石川梨華よ。
飯田圭織にはなれないのよ。
もう、梨華ったらダメじゃない。
『・・・あのぉ』
は!しまった。
軽く吉澤くんを放置ぷれいしてしまったわ。
- 685 名前:電話 投稿日:2003年06月09日(月)11時28分01秒
- 「へへっごめんね」
『あ、帰ってきたんですね。お帰りなさい。
それよりどうしたんですか?』
「あ、そうだ。私から電話したんだったよね」
『石川さん大丈夫ですか?』
「それどういう意味で?」
『すごく普通の意味でです』
吉澤くん明るくなった。
こんな冗談じみたことまで言えるようになったんだよね。
何だかちょっと感動。
別に私が何したワケじゃないけど、すごく感動するわ。
「ありがとう、何だか吉澤くんの声聞いちゃったら元気出てきたよ」
『え?あ、そうですか。そりゃ良かったです、はい』
ん、本当元気出てきた。
不思議。
そう、不思議だわ。
何だか一気に元気になっちゃった。
「吉澤くん、今時間平気?」
『別に大丈夫ですよ』
「そっか、じゃあもうちょっと話さない?」
『あ、全然OKです。OK牧場です』
- 686 名前:電話 投稿日:2003年06月09日(月)11時28分54秒
・・・何今の。
『・・・放置禁止でお願いします』
・・・。
『あのぉ〜・・・石川さん?』
・・・。
「ぶわっはははははははははは!!」
よ、吉澤くん!!!
それ反則。
やばいわ〜ちょっと微妙なツボ押されちゃった。
吉澤くん、最高だよ☆☆☆
こうして私達はそれからずいぶんと話しこんだんだ。
本当にありがとう、吉澤くん。
- 687 名前:幼馴染みの変化。 投稿日:2003年06月09日(月)11時30分25秒
- テストも無事終わって、僕はまたバイトと卒業制作の作業に集中的に取り組みはじめた。
手を動かすよりもイメージを組み立てる方に時間を沢山取られているから中々思うように進まない。
最近じゃデッサン室にもいかないで、すぐ家に帰って家で作業してるから石川さんと
直接会って話す機会も少なくなった。
でも、メールや電話でたまに話してたりしてるし、そんなに寂しいと思うこともない。
学校に行けば石川さんの元気な姿を見ることができるし、直接会って話すようなことがなくたって
僕は石川さんとの繋がりが切れるなんて思ってもいない。
そして僕自身のこの想いが代わることなんてなかった。
膨らむ想いは筆に込めて、僕は僕自身のバランスを保っている。
それもごく自然に。
決して無理をしているワケでもないし、強がっているワケでもない。
石川さんと会えば前のように自然と会話も生まれてくるし、ちょっとした仕種で
前みたくどきどきだってする。
でもそれは本当に前からあったことだから、今の石川さんとの関係は
嘘で作り上げたものじゃない。
不思議だ。
僕はこの気持ちを持っていても、石川さんといるとすごく普通になっていられる。
緊張して喋れなくなることもないし、意識して接するようなこともない。
時たま本当に石川さんのことをどう想っているのかが分からなくなる時だってある。
でも、ぐるぐる回っていきつくのはいつも同じ答えなんだ。
- 688 名前:幼馴染みの変化。 投稿日:2003年06月09日(月)11時31分39秒
- 僕の筆を止めるのはきっとこんなことを考えてたりするからだ。
おかげで一向にはかどらない卒業制作は困ったもんなのだが・・・。
って思いきり今も筆が止まっていて、筆先についた絵の具が乾き始めていた。
こりゃいかんと思って筆をじゃぶじゃぶと洗ってついていた絵の具を落としていたら、隣の家の窓が
ガラッと勢いよく開く音がして、ぱじゃまを着たごっちんが突然叫んだ。
「よ〜し子〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
と。
普通に考えれば近所迷惑なんだが、昔っからこんなことをくり返している僕らは周りの家から
それを黙認されているらしい。
気にするなと。
吠えるのは犬くらいだ。
「よし子〜今からちょっとよし子の家上がり込むからねぇ」
言いたいことだけ言うと顔をひっこめたごっちんが窓をぴしゃりと閉めた。
・・・。
とりあえず僕は描いていた絵や画材を片付けることにした。
- 689 名前:幼馴染みの変化。 投稿日:2003年06月09日(月)11時32分47秒
- ------------
-------
---
「で、どうしたの?珍しいじゃんか」
ごっちんはいつも抱えているクッションをがっちりと掴んでいつもみたく胡座をかいて
僕の前に座って左右に身体を揺らしている。
一定のリズムで、ヤジロベイのように。
「ねぇねぇ、後藤とよし子は幼馴染みだよね」
「うん」
「後藤、相談があるの」
ぴたっと動きを止めると、クッションに顎をのせてごっちんは視線を床に落とした。
ごっちんから何か相談をもちかけるなんて珍しい。
「後藤、ふぉーりんらhなの」
・・・。
「はい?」
- 690 名前:幼馴染みの変化。 投稿日:2003年06月09日(月)11時33分34秒
- 僕の耳には藻でもつまってしまったのだろうか。
ごっちんの言葉があまりよく聞こえない。
ってか勝手にモザイク処理された。
「後藤はいちーちゃんにふぉーりんらぶみたいなの」
モザイク処理終了。
強制的に外されました。
今はとてもクリアな音で聞こえます。
「いちーちゃんはよし子の親友で、よし子は後藤の幼馴染みでしょ。
黙ってるのはダメな気がしたのよ」
・・・それ相談じゃないじゃん。
報告じゃん。
「つっこみは言葉にしないと後藤分かんないよ」
「・・・それ相談って言わないよ」
「あはっ、そうとも言うね」
- 691 名前:幼馴染みの変化。 投稿日:2003年06月09日(月)11時34分17秒
- そんなふにゃり笑顔出されたら何も言えなくなっちゃうじゃんか。
それ反則だよ。
石川さんの上目使いばりに反則だよ。
「とりあえず報告。でもまだいちーちゃんは後藤の大事なお友達」
それだけ言うと、ごっちんは風のように去って行った。
多分だけど、ごっちんは誰かに聞いてもらいたかったんだと思う。
きっと自分の溢れる想いを1人じゃ閉じ込めきれなくなっちゃったんだと思う。
何気ないような雰囲気でいつものように話すごっちんだったけど、それはごっちんなりの最高の照れ隠し。
僕よりも男っぽい所あるけど、やっぱりごっちんは女の子なんだなって思うよ。
いい顔してんじゃん。
本当にさ。
その夜、僕はごっちんにメールを送った。
内容は秘密だけど、返信メールの内容は『よし子頑張れ』だった。
- 692 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月09日(月)11時39分44秒
- 更新しました。
もうすぐ梅雨入り。
今の天気を見ていると、何だかそれが信じられませんねぇ。
>Silence様
石川さんがぽけーっとしてる姿は自分もすごく想像しやすかったんです(w
そしてネガティブに陥った時の表情も(苦笑)
逆に吉澤くんの場合はネガティブ状態の表情が想像しにくいんですよねぇ・・・。
>この作品が完結するまで引き続き追い続けさせてもらう
>つもりです。(w
ありがとうございます(ペコリ)
めちゃめちゃ嬉しいですYO!
これからも頑張りますでのよろしくお願いしますです。
- 693 名前:Silence 投稿日:2003年06月10日(火)13時48分00秒
- 更新お疲れ様です。
石川さんおもいっきり交信しちゃってますね(w
なんか石川さんは飯田さんに近づいたっていうかヤッス〜キャラ
になってきたような…。
>逆に吉澤くんの場合はネガティブ状態の表情が想像しにくいんですよねぇ・・・。
う〜んたしかにネガな吉澤くんって想像むずかいですね〜。
それじゃあ次回の更新も待ってますんで。
- 694 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月11日(水)10時41分42秒
- ごっちん…!!!そうかそうか、ごっちん!!
ごっちんの可愛さに加え、吉澤君のOK牧場の素晴らしさに癒されております。
そして梨華ちゃんの豪快な笑い声も素敵ッ!!
爽快感溢れるストーリーが、私の心をとらえて離しません!!ああ、続きが楽しみだ〜!!
がんばってくださいっ!!
- 695 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時22分42秒
- 時間なんていうのは勝手に過ぎていく。
いくら時計の電池を抜いて針を止めたって、陽は昇り、そして沈んで夜が訪れ、また陽が昇る。
無意味な行動だ。
目に見える時間を止めるなんて。
「あれ?石川さんじゃないですか」
時計の針を元通りに直していたら、頭上から吉澤くんの声。
逆光で顔は見えないけど、見間違えるはずもない。
「ほんとなのれす」
「こんな所で何してんの?」
吉澤くんの陰がら表れたのは何故かののとあいぼんの名コンビ。
背の高い吉澤くんに隠れて見えなかったんだ。
身体を起こして時計を鞄の中にしまいこんだ。
今さらだけど、何だか見られるのが恥ずかしかったから。
私ががさごそと鞄の中をいじくっているうちに、吉澤くんはののとあいぼんを連れて私の横に静かに座った。
「これどうぞ。まだ冷たいから不味くはないと思いますよ」
そう言いながら渡してくれたのは冷たい缶ジュースのお茶。
買ったばかりなんだろう、缶はその冷たさを維持していて、周りには水滴がついている。
ののとあいぼんは自分の持っていたジュースを吉澤くんの横に置き、他の子供達がやっているように
ごろごろと芝生を転がり始めていた。
- 696 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時24分00秒
- 「吉澤くん達こそどうしたの?」
「辻と加護から連絡が突然入ったんですよ。『大地と触れあいたいから遊んでくれ』って。
で、場所とかあんまり思い付かないからここの土手に来たんです」
そう、私は1人で吉澤くんの家がある方の土手に来ていた。
住んでる所の近くに公園とかもあるんだけど、私は何故かここで来たんだ。
部屋から持ち出した時計と一緒に。
「石川さん」
「ん?」
「最近何だか元気ないみたいですけど・・・」
「え?そ、そう??」
私の答えに、吉澤くんは苦笑いを浮かべた。
曲げていた膝を伸ばして、ののとあいぼんのジュースをさけるように両手を地面にべったりとつけ、
芝だらけになって遊ぶのの達の方に視線を向ける。
「前の電話の時も何だか様子がいつもと違ってたし、今日もこんな所で1人でいるんですよ。
心配になりますよ。元気ないのかなぁって」
「・・・そっかな」
「そうですよ」
静かに流れる風に身を委ねながら、吉澤くんは風のような優しい言葉を私に届ける。
風の音がそっと私の耳に届く。
吉澤くんの声と一緒に。
- 697 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時24分47秒
- 「あんまり力にはなれないかもしれないでど、僕でよかったらいつでも相談して下さいね」
そんなことないのに。
吉澤くんはいつだって私の力になってくれている。
私はすごく助けられてる。
「・・・私さ、何だか行き詰まっちゃってて」
「卒業制作、ですか?」
「うん」
がさっという音と共に吉澤くんは芝生に寝転んだ。
足を投げ出して頭の下に手を敷いて、空を見上げて突然大声をあげた。
目立つことが嫌いなはずの吉澤くんなのに、突然の雄叫び。
土手いた人達全員がこっちを見た。
大声を出した本人である吉澤くんは、何ごともなかったように芝生に寝転がって空を見ている。
それと同じようにこっちに集まっていた視線もすぐになくなり、何ごともなかったかのように
それぞれの人達はまたそれぞれの行動を開始した。
「・・・どうしたの?」
「何となくですよ。何となく。
大声だすのもいい気分転換になるんですよ」
気分転換ねぇ。
それでも突然の雄叫びなんてすごいよ。
それってすごく勇気のいることなんだよ。
- 698 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時26分08秒
- 「よく平気でいられるね。あんな目立つようなことして」
ののとあいぼんだったら分かるけど・・・。
「平気に見えますか?」
「すごく」
吉澤くんは突然私の手を掴むと、自分の心臓のある所に私の手を持ってきた。
ようするに胸だ。
吉澤くんの胸だ。
それも・・・かなりドキドキしている。
「へへっ、全然平気じゃなかったりするんですよね」
そっと私の手を離してまた頭の下に手を敷く。
私は手を離された後も、自分の手を動かすことが出来なくてしばらく吉澤くんの胸に
ずっと右手をその心臓の上に置いていた。
その間中、吉澤くんの心臓の鼓動は治まることなんてなくって、それと同じように
私の心臓の鼓動は早くなっていっていた。
-----------
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「・・・梨華ちゃん、不潔や」
「・・・のの達は見てはいけないものを見てしまったんれしょうか」
私の心臓を今まで以上に早くさせたのは、ちょっとだけ存在を忘れてしまっていたののとあいぼんだった。
「何よっすぃ〜の胸に手置いてぽーっとしとんねん」
「よっすぃ〜も何ひたってるんれすか。
突然大声出したと思えば梨華ちゃんに胸触られてうっとりしてるし・・・」
「うっとりなんてしてないよ」
即答。
吉澤くんかっけ〜。
「ふ〜んそっかぁ。ま、ええわ。
のの、ジュース飲んだらまた遊び行こう」
「もちろんなのれす☆」
- 699 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時27分05秒
- ののとあいぼんはあっという間にジュースを飲み干して、また前進で芝生の上を転がり始めた。
これで2人共18歳というんだから驚きだよ。
「元気ですよねぇ。2人も」
「本当。私が高校3年生の時ってあんなじゃなかったなぁ」
「僕もですよ」
吉澤くんは相変わらず芝生に気持ちよさそうに寝転がっている。
それを見て私も芝生に寝転がりたくなってきた。
だって本当に気持ちよさそうなんだもん。
と、いうことで私もごろりと芝生に横になる。
あぁこれは気持ちがいいや。
熱のひいた風と、夕暮れの太陽の暖かな陽射し。
背中からは緑の良い匂い。
吉澤くんがずっとここで過ごす気持ちがよく分かる。
「吉澤くんはさ、さっきみたくよく叫ぶの?」
「まさか。さっきみたいに叫んだのは人生で2回目ですよ」
「1回目は?」
「・・・ついこないだです。そんで風邪ひいちゃいました」
- 700 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時27分42秒
- ちょっとバツが悪そうに吉澤くんは笑いながら教えてくれた。
行き詰まった時に叫ぶことっていうのも良いことなのかもしれない。
私はまだやったことがないけど、きっとやったら気持ちよくなれる気がする。
「・・・私も気分転換でもしようかなぁ」
「え?」
「気分転換。叫ぶのは恥ずかしくて出来ないかもしれないけど、
思いきって髪を切るとか、染めるとかそういうことでさ」
「切っちゃうんですか?そんな綺麗な髪なのに」
がばっと身体を起こした吉澤くんが、突然真っ赤になってすぐに芝に身体を埋める。
「そっかぁ、じゃあそんな風に言ってくれるならちょっとだけ染めようかな」
「あ、ぼ、僕・・・あのぉ・・・」
「ん?」
「ぼ、僕も染めてみよっかなぁ・・・って」
「ふへっ!?」
次は私が身体を起こす番だ。
いや普通にびっくりするでしょ。
でも・・・
- 701 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時28分13秒
- 「案外似合うと思う」
「・・・本当にそう思ってます?」
「あ、何その目。私が嘘ついてると思ってるでしょ」
「はははっ、違いますよ。もう本気で取らないで下さいよ」
けたけたと笑った後に吉澤くんは大きく伸びをした。
風が冷たくなり始めた。
もう陽が沈もうとしている。
夏があっという間に通り過ぎようとしているんだ。
「そういえばもうすぐごっつぁん誕生日なんでしょ?」
「はい。来週ですね」
「皆でパーティーとか出来たら楽しいのにね」
「そうですよねぇ、絶対にごっちんも喜ぶと思うんですよね」
吉澤くんも同じこと考えてたんだ。
だったらさ・・・
- 702 名前:時計 投稿日:2003年06月12日(木)10時28分53秒
- 「私達で企画してみない?」
吉澤くんは顔を私の方に向けた。
何本かの草を挟んで吉澤くんの目が優しく微笑んでいるのが見えた。
「僕も石川さんにそれを言おうって思ってたんです」
「じゃあ決まりだね」
「ですね」
誕生日パーティーを開くなんて久しぶり。
ワクワクが抑えきれなくて思わず吉澤くんの胸のあたりをぱしぱしと叩いてしまった。
吉澤くんは大袈裟に痛がりながらも、それを払うことなく笑っていた。
私達の声に反応したののとあいぼんも混ざって私達はしばらく笑いあった。
1人落ち込んできたはずだったのに、私の周りに吉澤くんやののやあいぼんがいてくれるとすごく元気になれる。
私はこんな素敵ば人達が周りにいる幸せを、こうやって再認識することがあるんだ。
秋の訪れが迫ってきていたこの日、私はまた自分の幸せを噛み締めた。
- 703 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月12日(木)10時36分54秒
- 更新しました。
高校時代、卒業制作が思うように進まなかった時を思い出しました。
・・・あれは辛かった。
でも今では最高にいい思いでですけどね。
>Silence様
そういえば・・・(汗)最近石川さん視点で書くと交信状態になってた(大汗)
何だか書きやすいんですよね。
Silenceさんの言う通り、飯田さん+保田さん=石川交信状態な感じです(w
今回は交信状態じゃない石川さんってことで書いてみました。
・・・たまにはいいかなぁって思いまして(W
>クロイツ様
そうです。ごっちんは登場人物設定時からこんな風にしようかと考えておりますた。
そして『いちごまSP』を何処かで設けたいと思案中なんです。
今回の吉澤くんは少し頑張りました。
そして自分でやりながら最高級に照れました(W
>爽快感溢れるストーリーが、私の心をとらえて離しません!!ああ、続きが楽しみだ〜!!
はいや〜照れるですYO!でも嬉しいですYO!
- 704 名前:Silence 投稿日:2003年06月12日(木)12時11分50秒
- 更新お疲れ様です。
やっぱこの2人が一緒にいるとなんかすごく温かい空気を
感じます。なんか吉澤くんかっこいいな〜。
>『大地と触れあいたいから遊んでくれ』って。
ひ、久々の辻加護名言来た〜。これもぜひ使用許可を…(w
次も更新期待してますね。
- 705 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月12日(木)21時26分46秒
- なんか吉澤君が!!吉澤君がすっごく大胆に!!(笑)
>「切っちゃうんですか?そんな綺麗な髪なのに」
この台詞なんてもー、びっくりしちゃいましたYO!!
だんだん、ちょっとずつ変わっていく吉澤君を見守るのがすごく楽しいです♪
18とは思えない辻加護も素敵ッ!!
次回も楽しみにしております!!
- 706 名前:名無しくん 投稿日:2003年06月14日(土)22時03分43秒
- あぁ!いつのまにか紆余曲折の中、吉澤君がこんなに大胆に
なってるなんて!やっとでつなげたのでまた読ませていただきます。
誕生日パーティーはどんなハプニングがあることやら・・・
すっごく期待してます!つなげない間はどーなってんだろうって
気になって気になって・・・ がんばってください!
- 707 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月15日(日)05時52分48秒
- 初めまして!!
夜な夜な読ませて頂いたのですが、完全に
この作品の世界に引き込まれました!!
今のこの気持ち、何とお伝えすれば良いのやら・・・
言葉足らずの当方で申し訳ないです・・・
では、頑張ってください!!
- 708 名前:吉澤くんの気分転換? 投稿日:2003年06月15日(日)20時29分31秒
- 休み明けの月曜日。
休みの次の日っていうのはどうしてこんなにもだるいのだろう。
身体がまだ寝ると駄々をこねているから困りものだ。
昨日、私は吉澤くん達のおかげでずいぶんとリフレッシュすることが出来た。
そしてついでに少しだけ色も染め直した。
そう、気分転換というやつだ。
柴ちゃんは何と会った瞬間にそのことに気付いてくれて、せっかくセットした頭をぐしぐしとしてくれた。
で、もうすぐ授業開始何だけど・・・いつも来てるはずの吉澤くんの姿がまだ見えないんだよねぇ。
今日の1限目は講議だから受講カード取っておくことは出来るんだけど。
とりあえずメール送っておこうっと。
で、返事はすぐに返ってきた。
『エレベーターに乗る寸前です。数十秒でつきます』
その言葉通り、吉澤くんはすぐに教室の中に入ってきた。
思いきり深く帽子を冠って。
教室の中は授業が始まる寸前で、空いている席があまりなくって、あっても前の方だけだった。
きょろきょろとする吉澤くんと目があうと、私は自分の鞄を退けて吉澤くんを呼んだ。
「おはようございます」
「おはよう」
- 709 名前:吉澤くんの気分転換? 投稿日:2003年06月15日(日)20時30分56秒
- ふぅと息をついて吉澤くんは席に座った。
どうやら学校まで走って来てたらしい。
息をする背中が上下に動いている。
「おはよう、吉澤くん」
「おはようございます、柴田さん」
「あれま。名前覚えててくれたんだ」
「だって1年半くらい同じクラスなんですよ。普通覚えますよ」
柴ちゃんは『そりゃそうだ』という顔をしてから笑った。
で、ちょうど良い感じでのチャイム。
皆がざわざわしながらも席に座って、受講カードが配られるのを待ちだした。
吉澤くんも息が治まってきたみたいで、肩から鞄を下ろすと、深く冠っていた帽子を脱いだ。
・・・。
「吉澤くん」
「はい?」
「頭・・・」
「あ、昨日ごっちんがやってくれたんですよ。・・・変ですかね?」
- 710 名前:吉澤くんの気分転換? 投稿日:2003年06月15日(日)20時32分06秒
- いやいやその反対ですがな(何処出身だよというツッコミはしまっておいて)
元から色白で目が大きくて日本人離れしてる綺麗な顔つき、金髪にあってますがな。
カッコイイですがな。
「あらぁ、目いっちゃってるよ」
「石川さん、ちょっと瞬きして下さいよ」
「それにしても思いきってやったねぇ」
「あ、やっぱりそう思いますか」
ちょっとまた人気上がっちゃうんじゃないの。
また吉澤くんが困りはじめちゃうんじゃないの。
「あ、受講カード。どうぞ」
「ありがとう。梨華ちゃんのはそこらへん置いといたら大丈夫だよ」
「そうですね、戻ってきた時に分かる所置いておいたらいいですよね」
でもそんなことになったら私ちゃんと守ってあげるんだからね。
そうよ、梨華なんて頭良いのかしら。
だったら余計な心配なんてする必要ないわ。
って余計って何が余計な心配なのかしら。
- 711 名前:吉澤くんの気分転換? 投稿日:2003年06月15日(日)20時33分14秒
- 「吉澤くんさ、今度コンタクトにしてみたら?」
「へっ!?」
「今でも十分カッコイイけどさ、絶対にコンタクトにしたらもっと格好よくなるって」
「いや、でも・・・」
「梨華ちゃんだって絶対に落ちるよ」
「そんなこと別に・・・」
まぁあれよ。
答えはあれよ。
私はずっと、そうずっと・・・
「梨華応援する!!!」
ビックッとなった吉澤くんに柴ちゃん&講議室中の皆。
一瞬シーンとなった講義室に講師の先生の冷たい一言。
「・・・君、静かにしたまえ」
こうして私は見事講義室中の笑いものになった。
- 712 名前:吉澤くんの気分転換? 投稿日:2003年06月15日(日)20時34分31秒
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「しかし吉澤くんすごいねぇ」
「何がですか?」
「髪のことだよ」
今は放課後。
私の予想通り、髪を切った直後のように吉澤くんは周りから騒がれた。
その気持ち分からなくないけどさ、ちょっとは吉澤くんのこと考えてあげなさいって。
まったくもう。
こういうワケで、学校じゃあ落ち着かないし、喉も乾いたから私達は駅近くの喫茶店で
ごっちんの誕生日会の企画をたてながら話そうということになったのだ。
あれ?何だか日本語おかしいかな?
ま、いっか。
「あれですよ、気分転換ってやつですよ。
一回やってみたかったんですよね。金髪」
「ふ〜ん、でもすごく似合ってるよ」
「そうですか?」
「うん、でも以外だった」
ストローと口に加えながら吉澤くんは顔をあげた。
何とも間抜けな表情。
それが逆に可愛い。
- 713 名前:吉澤くんの気分転換? 投稿日:2003年06月15日(日)20時35分04秒
- 「吉澤くんって目立つこと嫌いだと思ってたから」
「そりゃ嫌いですよ。昔よりは見られることに慣れましたけどね」
金髪の頭をかきあげながら吉澤くんは笑った。
自然な笑顔。
やばいよそれ、可愛いって。
「でも石川さん気分転換したいって言ってたじゃないですか」
「うん、言った」
「だから、それに合わせて僕もちょっと気分転換です」
・・・ひょっとしてそれって私の為?
私の為に髪の色変えたの?
「さ、それじゃあごっちんの誕生日の企画考えちゃいましょ。
それで準備して、卒業制作頑張りましょう」
「あ、うん」
そうだよね、早く考えて皆に連絡しなきゃいけないんだもんね。
卒業制作もあることだし、ちゃっちゃか決めちゃわなきゃ。
吉澤くんの真意はわからないけど、とりあえず私達はごっちん誕生日計画を練り始めた。
- 714 名前:めーるふろむやすだけい 投稿日:2003年06月15日(日)20時36分43秒
- ぴろぴろぴろぴろ〜♪
何とも味気ない機会音。
それが僕の携帯にメールが着いたことを知らせる着信音だ。
ベッドの上で震える携帯に手を伸ばして届いたばかりのメールを読む。
『久しぶり!保田圭よ!!
この間もらったメールの返事なんだけど、
やっぱスケジュール的にも無理があって
後藤の誕生日の日に帰れないんだわ。
悪いわね。
そういえばあんたと同じメールが石川からも届いたわよ。
御丁寧に『吉澤くんからも来てると思うけど』って書いてあった(w
メールで言うのも何だけど、正直安心したのよね。
石川と吉澤が仲良くやってるみたいで。
出張まぎわに何だか気まずい空気作っちゃったみたいだからさ。
吉澤も頑固に私の言葉聞こうとしないし、石川は黙り込んじゃうし、
私に出発前に胃壊せって言ってるようなもんよ。
ったくあんたとは早いとこ話しをつけないとね。
嫌がったって無理矢理椅子に縛り付けてでも話しするからね。
覚悟してなさいよ!!』
- 715 名前:めーるふろむやすだけい 投稿日:2003年06月15日(日)20時37分21秒
- 保田さんらしいメール。
こう言っている画が簡単に想像できる。
ちょっと前までの僕ならそれを笑うことも出来なかったけど、今の僕は笑ってかえせることが出来る。
最後の台詞には宣戦布告までしてしまいたいくらいだ。
まぁ返信メールには書かないけどね。
とりあえず椅子に縛りつけるのは勘弁してもらおうっと。
ぴこぴこと文を打って送信。
役目を果たした携帯を充電器に挿して布団へダイブ。
ごっちんの誕生日はもうすぐ。
準備もちゃくちゃくと進んでるし問題無し。
石川さんも卒業制作にとりかかりはじめたって言ってたし、時間は順調に周り始めたみたいだ。
緑に色付いていた木々がもうオレンジ色に変わり始め、季節は秋の訪れを知らせている。
最近よく思う。
時間が24時間じゃ足りないって。
夏よりも陽が短くなったせいもあるのかもしれないけど、前よりも1日が短く感じる。
それも年を重ねる事に時間は過ぎるのが早くなるんだ。
充実してる証拠なのかもしれないけどね。
窓から入ってくる風が少し冷たくなってきて、僕は開けていた窓を少し閉めた。
さぁ今日はもう寝よう。
明日はバイトもあることだし、布団に入って良い夢を見よう。
僕は目を閉じながら『良い夢が見れますように』と呟いた。
- 716 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月15日(日)20時42分16秒
- 更新しました。
ちょっといつもより多め(?)の更新です。
気持ちは多めです。
そして次回あたりは『なんちゃっていちごまSP』とかになる予感。
でもまだ書いてなから何とも言えませんがそんな予感です。
ってなワケでこれからストックタメにれっつらごーです←父の昔の口癖(恥)
>Silence様
吉澤くんは辻加護にとって良い兄貴ってやつですね。
身体全体からかまってくれオーラを出しています(w
>なんか吉澤くんかっこいいな〜。
頑張っちゃいましたよ吉澤くん!!成長しました。
まさ自分もこんな展開になると思っておらず、意外な格好よさを出した吉澤くんに拍手送ってまいました(w
『大地と触れあいたいから遊んでくれ』どうぞどうぞ使っちゃって下さいです☆
人間には自然が必要ですから(w
>クロイツ様
きましたよぉ〜吉澤くん。岡女風に言うならば『ひじょうによくきてます』です♪
知らず知らずのうちに大胆になり、それに気付いてまっかになる吉澤くんは
自分の中ですばらしい成長をしたと思っていますYO!
書き始めを読む勇気があまりない自分ですが、書いていても吉澤くんの変化が分かります☆
だから書いてても楽しいんですねぇ♪♪
いしよしマンセー☆☆☆
- 717 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月15日(日)20時42分51秒
- > 名無しくん様
おかえりなさいです♪
色々なことがあって吉澤くんはこんなにい成長しました(涙)
背筋をピンと張って胸はって歩けるようになってきたんです。
(何故かヒナ鳥を見守る母鳥の気持ち)
いや〜吉澤くんと石川さんの間が修復してよかった〜。
と、改めて思う私です。
帰ってきて下さって嬉しいですYO!
これからもよろしければ『よろしくお願いします☆』
>ぷよ〜る様
こちらこそ初めまして(ぺこり(正座つき))
微妙に不定期更新な作品を読んでいて下さってありがとうございます(ぺこり(土下座つき))
>夜な夜な読ませて頂いたのですが、完全に
>この作品の世界に引き込まれました!!
はりゃ〜恥ずかしく、そして最高に嬉しいかぎりです(赤面)
書き始め当初、この設定はどれくらいに人に受け入れられるのかが不安だったもので・・・。
言葉足らずだなんてとんでもないです。
レスありがとうございます!!これからも頑張ります!!!
- 718 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月15日(日)22時50分32秒
- 更新お疲れ様です!!
吉澤君、イメチェンですか!!
梨華ちゃんを釘付けにさせるなんてまた一段と
カッコよくなったんですね!!
当方は根っからのいしよしヲタですが、
『なんちゃっていちごまSP』も期待してますよ♪
では、頑張ってください!!
- 719 名前:Silence 投稿日:2003年06月16日(月)09時58分40秒
- 甲乙(更新お疲れ様)でした。
自分的には吉澤くんの金髪よりも石川さんの交信の多さにびっくり
です。(石ヲタなもので…(w
でも、吉澤くんもすごいっすね〜、ちょっと気分転換にゴールド
を選ぶとは…。
『なんちゃっていちごまSP』いいですね〜。なんせいしよしの次
にはいちごまっていうくらい王道CP好きなもんですから。
(特に5期が絡むCPは正直苦手なんですよ(苦笑
それじゃあ次回も期待大でお待ちしています!!
- 720 名前:名無しくん 投稿日:2003年06月16日(月)20時03分03秒
- うぉー更新お疲れ様です!
来ました来ました!金髪!相変わらずの石川さんの妄想が
パワーアップしてますね!イメチェンした吉澤くんと石川さんが
今後どうなっていくのか期待してます!次は後藤さんの誕生日会ですね。
さて二人の距離は更に縮まるのか・・・・はぁー更新が待ち遠しいです。
がんばってください。
- 721 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月17日(火)15時27分35秒
- きゃー!!吉澤君!!すげぇよ吉澤くん!!
吉澤くんの変化にもかなりビビらされましたが、石川さんの反応にもすごいどきどきしちゃいました!!
なんか、ゆっくりとだけどしっかりと育って行く気持ち、みたいなのが最高ですー!!
これから鬱〜な授業があるんですが…すっごいやる気出ました(笑)
次回も楽しみにしています!!それでは行ってきますー!!
- 722 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月18日(水)18時03分54秒
- 「♪午前0時を過ぎたら〜一番に伝えよう〜」
鼻歌るんるん、本日の後藤さんはかなりの上機嫌の模様。
すっきぷしながら回転をするという高度な技を見せてみたり、
腰を振りながら洗物をしていたりと、サービス精神も旺盛だ。
「いちーちゃーん、そんな所でメモ取ってないでこっち手伝ってよぉ〜」
「俺の仕事はこういうのなの」
「あんまり嘘ついてると閻魔様に舌引っこ抜かれちゃうよ」
おっと後藤さん、こっちまで走ってきま----
「はい、もうメモ取るのはおしまい。
早くいちーちゃんも着替えて着替えて」
今日は後藤の誕生日である。
そして何故後藤と市井が着替えをしなくてはいけないかというと、ひとみ達が考えた企画の中に
『誕生日だけど高校時代の制服を必ず着てくる』というものが含まれていたからだ。
さすがに家から制服を着てくるのが恥ずかしかった市井は、鞄に制服をつめこんで後藤の家まで着た。
さて、何故市井が今後藤の家にいるのか。
それはとても簡単な理由だ。
- 723 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月18日(水)18時04分39秒
- 1:誕生日会の会場がひとみの家ということ。
2:ひとみ&梨華の指令により、後藤を連れてこいと言われたから。
3:隣といえども、制服で歩く後藤が何ものかの手によってつれ去れるのを防ぐ為。
はっきり言って『3』はめちゃくちゃな理由だ。
これを聞かされた時、市井はこれを考えていた時のひとみと梨華の心理状態が気になってしかたなかった。
「後藤部屋で着替えるから、いちーちゃんは下の洗面台の方で着替えてきてねぇ」
笑顔の後藤に背中を押され、市井はのろのろと高校時代の制服に袖を通した。
いつも着ているスーツとは違うブレザーの感覚に、市井は少しだけ懐かしさを感じた。
高校の時が一番荒れていた時代だろう。
ズボンの裾のほつれ方を見て思わず苦笑いを浮かべてしまった。
だらしなくネクタイを絞めて鏡に写った自分を見つめてみた。
あの頃からあまり背丈は変わっていないが、顔つきは少し変わった。
顔が変わるのと同じように少しずつ自分も変わって来た。
- 724 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月18日(水)18時05分24秒
- もう絶対に人を好きにならないと思ったあの日。
自分の全てはそこにあると信じて疑わなかったあの夜。
あの時の想い出の制服は火をつけてチリに変えた。
荒れた自分。
自分を偽るように遊び続けていた日々。
笑っていても笑顔は嘘っぱちで、誰かに心を触れさせたくなかった。
偽り。
それがこの制服につまっている気がした。
10年。
随分と時間が過ぎた。
そして自分も叙々にだが変わってきた。
「俺、絶対にお前以外の人を好きにならないと思ってたんだけどな・・・」
呟きは空気に溶けて、そのまま空へと広がっていく。
市井の言葉を運ぶように高く高く、空高く。
「・・・どうしてだろうな。こんな気持ち久しぶりなんだよ」
鏡に写る自分は何も返さない。
同じようにじっと自分も見続けている自分がいるだけだ。
「あいつ、全然お前と似てないんだぜ」
そっと想い出を確かめるように自分の胸に拳を当てる。
心臓の音はどきどきと鳴っていて、今ここに自分が生きてるということを確認させられた。
「・・・忘れないから。俺、お前のこと忘れないから」
- 725 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月18日(水)18時06分06秒
- 忘れるわけがないから。
ずっとこの先も一生。
確かに過去の話しになるが、生き続ける思いでは、自分の命が続く限り自分の心に残り続ける。
思えば今まで他の彼女達に対して酷いことばかりしてきた。
その想いを受け取りきれず、いつも横に横に流し続けてきたのだ。
少しでも近付いてこうようのもならすぐに捨てた。
境界線を越えさせることを絶対にさせなかった。
本気にならせないうちにさっさと終止符を打ち、追い掛けてくるものを激しく拒んだ。
もう、終わりにしよう。
そういう生活。
後藤はきっと俺のこの今の想いも思いも受け入れてくれるだろう。
思い込みなんかじゃなくて、何となくそれが分かるんだ。
お前に似ているようで全く似てなくて、だけど俺の心を掴んで、どんどんと俺の中を埋めていく。
初めは軽い気持ちだった。
でも気がつけば必死で後藤のことを振り向かせようとする自分がいた。
久しぶりに本気になった。
今まで恐かったくせに。
本気で人を好きになるのが恐かったくせに。
そして何よりもお前とのことを過去にするのを怖がっていたくせに。
- 726 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月18日(水)18時06分54秒
- 今なら分かるよ。
きっと今までの俺の方がお前は見て辛かったんだよな。
俺が逆の立場だったらそうだから。
お前はそういうやつだったもんな。
鏡に写った自分に笑いかけてみた。
鏡に写る自分もにやっと笑った。
時計の針は7の所を指している。
パーティーの時間だ。
愛しのあの娘を連れていこう。
赤い絨毯は無いけれど、その手をとって歩いて行こう。
「後藤、行こうぜ」
さぁ一歩を踏み出す時間だ。
- 727 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月18日(水)18時11分12秒
- 更新しました。
ちょっと短かめでごめんなさい。
ここがちょうど区切りがよかったもので・・・(汗
『9月の夜』は全部で3回に分けて更新しようと思ってます。
ので後2回。
流れ的には『市井SP』→『なんちゃっていちごまSP』→『いちごまSP』かな。
書いててよく分からなくなってまいりましたが、とりあえず本日の更新終了で〜す。
>ぷよ〜る様
見事イメチェンしました(w
この方が頭の中で吉澤くんが想像しやすいかなぁとも思います。
前回の更新もいつか吉澤くんのことを金髪にしようしようと思っていた
ところに訪れたチャンス!!!
とか思って書きました(w
突然の金髪もすごいことですが(苦笑)
『なんちゃっていちごまSP』はもうちょい続きます。
というか今回は『市井SP?』だった感じもしますが(苦笑)
>Silence様
確かに石川さん、 激しく交信量増えてますね(苦笑)
でも書いててとっても書きやすい罠(w
吉澤くんも思いきったことしましたよ。本当←まるで他人事のよう
私も『いきなり金髪もなぁ〜』とか思いましたが、現実世界のよっすぃ〜と
上手いことリンクさせるにはやはり金髪!!とか思いまして・・・(というかもうこの時点で
リンクも何もあったもんじゃないんですが)
私も王道CP大好き人間で、いしよしの次にいちごまが好きだったりします☆
- 728 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月18日(水)18時11分56秒
- >名無しくん様
来ましたよ〜。金髪妄想金髪妄想のwです。
一番の書き始めからくらべると徐々に徐々に距離が近付いているんではないかと思います。
本当じれったいくらいに(苦笑)
『なんちゃっていちごまSP』というよりは『市井SP?』だった今回の更新。
いかがだったでしょうか?
次回こそは『なんちゃっていちごまSP』だったらいい〜なぁと思いながらキーボードを打つ私です(w
>クロイツ様
やはり今回の吉澤くんの行動はすげーですよねぇ。
真っ黒な黒髪が突然の金髪。
普通に驚きますよね(苦笑)
石川さん、自覚症状0ですがつねに吉澤くんを気にかけている模様。
ここまでくるのに随分な時間がかかったなぁ〜なんて思います。
最初は本当書いててじれったい!!とか思ってましたからね(苦笑)
>これから鬱〜な授業があるんですが…すっごいやる気出ました(笑)
へへっ嬉しいです&ちょっと照れくさいです(w
ありがとうございます。頑張ります!!
- 729 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月18日(水)18時59分30秒
- 更新お疲れ様です!!
市井くんも何かいい感じに心の中が
変化してきてますね!!
どうでもいい話ですが、制服っていいですよね☆(w
当方は生粋の制服フェチなんで・・・(w
では、次回も楽しみにしてます♪
- 730 名前:Silence 投稿日:2003年06月19日(木)15時03分00秒
- 更新お疲れ様でした。
いち〜さんすっごくかっこいいっぽいんですけど。(w
(いや、実際かっこいいんですけどね
でも、最近なちよしも…いえ、なんでもないです。(いしよしヲタ失格w
ということは次回は『なんちゃっていちごまSP』ですね。楽しみです
- 731 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月20日(金)15時32分56秒
- 市井さんかっこいいー!!!
ごっちんへの想いが、すごーく伝わって来て…じーんとしてしまいました!!
そしてヨッスィーと梨華ちゃんは何を考えているのか(笑)
いちーちゃんを引っ張り出す理由に、すごく感心してしまいましたー!!素敵!!
次回も楽しみにしています!!
- 732 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時16分05秒
- 玄関に並ぶローファーの数々。
それは皆後藤の誕生日を祝う為に集まった仲間達の靴。
市井が後藤を連れてひとみの家につくと、入り口には赤い布が敷かれていた。
『赤い絨毯』は無理だから『赤い布』という発想なんだろう。
思わず見た瞬間に噴き出してしまったものの、後藤は嬉しくてしょうがなかった。
市井の腕に自分の腕をからめて赤い布の上を歩いて行く。
布の終わりにはリビングに通じる扉があり、扉には2枚のはり紙がしてあった。
1枚目は『入る前にトイレに行っておいて下さい』というモノだ。
何のことだかさっぱり分からないが、とりあえず書いてあるのだから行った方がいいのだろう。
後藤は首をかしげながらトイレに向かった。
そしてすぐに戻ってくると、扉の前で立ち止まって市井の顔を見つめた。
「いちーちゃんは行かなくていいの?」
「俺、行っても出ないと思うから」
苦笑いを浮かべながら言う市井に後藤は納得という表情をつくって頷く。
そして少しだけ恥ずかしくなって顔を赤くした。
2枚目のはり紙はこういう内容だ。
『扉のノブを掴んだら目をつぶって下さい。
そして扉を開けて部屋の中に入り、扉を閉めて3秒たったら目を開けて下さい』
- 733 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時17分07秒
- これも素直に受け取り、後藤は目をつぶってノブを掴んで目を閉じた。
がちゃりという音がしたのを確認すると、後藤は扉を引いて部屋の中に入る。
後から続く市井の気配を感じてから扉を手探りで閉めると、心の中で3秒を数えた。
そっと目を開いて頭の中で予想しておいたことがおこる覚悟をする。
が、目を開いても何も見えない。
物音も聞こえない。
後藤は目を開けた瞬間に皆がクラッカーとかを鳴らして自分を驚かせようとしているものだと考えていた。
が、実際目をあけるとそこは真っ暗で、待っていると思った皆の姿が見えなかったのだ。
まだ目が慣れていないせいで、後藤は見えない世界に不安になって隣にいる市井の方に手を伸ばした。
「・・・あれ?いちーちゃん??」
しかし掴むのは空気だけ。
側にいると思っていた市井の腕は手を伸ばした所になかった。
自分の呼び掛けに市井の返答もない。
・・・普通に恐い。
そして不安の中、そこに立っていることしか出来ない後藤の足を突然誰かが思いきり掴んだ。
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!」
後藤の叫び声と同時に部屋の電気がつく。
「「「「「「「ごっちん、誕生日おめでとー!!!」」」」」」」
そしてやっと後藤が頭の中で想像していたように皆がクラッカーを鳴らした。
後藤の驚き方に満足した面々はかなり嬉しそうに後藤の頭を撫でたりしている。
- 734 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時17分57秒
- 「ほら、絶対トイレ行っておいて良かったでしょ」
ひとみが嬉しそうに後藤に話しかけているが、当の後藤は軽く放心状態だ。
そして遅れること数秒。
パンッという乾いた音が1つだけした。
音のした方に視線を移すと、後藤の足元で小さくなっていた市井が照れくさそうに笑っていた。
「は、はは、俺だけ出遅れちゃった」
市井は後藤の足を掴んだ犯人。
掴むということに夢中でクラッカー鳴らすタイミングを逃す間抜けな犯人。
まだ驚いて固まっている頭でそれを理解する。
皆が騒ぐ中、後藤はゆっくりと右手を高く上げた。
手が頂上でぴたりと止まると、それにあわせるように皆の会話もぴたりと止まる。
「はぐっ!!!」
降り下ろされた手は見事に市井の脳天を捕らえた。
びくっとなって少し引く後藤&市井以外の面々。
大きく息をすった後藤の一言。
それは・・・
「いちーちゃんのドジっこ」
だった。
いじける市井をよそに、後藤は少し怯えているギャラリ−達に満面の笑顔を向けて『ありがとー』と言った。
- 735 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時19分07秒
テーブルにはすごい量の料理が並べられていた。
さっきまではしゃいでいた辻加護はすでにテーブルの前に座ってヨダレを飲み込みながら待ち構えている。
きっと何度もつまみ食いをしようとしては我慢していたんだろう。
その目は食べ物を前にした獣にそっくりだった。
『・・・高校生に見えない』
これが素直な後藤の感想だった。
席に着こうとすろると、待っていましたといわんばかりに市井が後藤の為に椅子を引く。
皆の視線もあり、後藤は少し恥ずかしかったが素直にお礼を言って席に着いた。
全員が全員制服姿。
はっきり言えば変な集まりみたいだ。
金髪の頭さえ除けば、ぴちっと制服を着て、ネクタイを絞めた眼鏡姿のひとみは生徒会長のようで、
セーラー服姿で髪を下ろしている梨華はクラスにいる優等生。
梨華とは少し違うデザインのセーラー服を着た飯田はおとなしい感じの可憐な少女、なつみはいつも
笑顔を絶やさない何処か素朴な感じな可愛い少女。
そしてネクタイを緩めて結んでいるブレザー姿のギャル矢口。
普通に考えてこういった面子は同じクラスになった時に同じグループにはならないだろう。
後藤は不思議な気持ちでここに集まった面々を見つめた。
「ごっち〜ん早くいただきますしよ〜」
- 736 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時19分56秒
- そして辻のこの一言で現実世界に引き戻された。
目の前にいるのは飢えた狼達だ(2人限定)
これ以上待たせると何だか後が恐い。
後藤は来ていたブレザーをきゅっと掴むと、グラスを手にもって立ち上がった。
「皆本当にありがとう!!
あんまし喋るとののとあいぼんに噛み付かれそうだからさっさと乾杯しちゃいま〜す。
せ〜の-----」
「「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」
-----------
-------
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「あ、ちょっと辻こぼしてるよ」
「あいぼん口の周りにソースつけすぎだってば」
ひとみと梨華に挟まれるように座っている辻と加護。
2人を挟んでいるひとみと梨華はさっきからこんな感じで2人の世話をやきっぱなしだ。
「吉澤も石川も大変だねぇ〜」
「いいらさんもこれ食べますか?」
頬杖をつきながら喋る飯田に、辻はフォークに刺したハンバーグをぐいっと飯田の口元に近付ける。
近付けた瞬間にハンバーグのソースは見事ひとみの制服の上に落下。
悪気はない。
むしろ優しさ。
- 737 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時20分52秒
- ・・・。
クリーニング行き決定である。
飯田はソースの行方を見つめながらも、辻が運んでくれたハンバーグを口にぱくっと納める。
幸せそうに笑う辻を優しい瞳で見つめた後に、飯田はちょっと苦笑いを浮かべていたひとみに
口ぱくで『ごめんね』と謝った。
「しかし2人共本当よく食べるよねぇ」
「ウチよりもののの方が・・・」
「ごっちんもあいぼんもぐずぐずしてないで早く食べるのれす!!
安倍さんや矢口さんのつくる料理は天下一品なんれす!!!!」
すさまじい食料消費量。
それをつくり出している辻&加護。
否、ほぼ辻。
準備されていた料理は凄まじい勢いでその量を減らしていく。
矢口もなつみもフルスピードで料理を作っているのだが、あきらかに辻の食べるスピードの方が早い。
「あぁ!矢口腕つった〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「無理するからだべ。ほれ少し休んでなぁ」
「あぅぅぅ・・・ごめんカオリバトンタッチ」
誕生日パーティなのに軽く負傷者発生。
「石川さん、スカートに人参が・・・」
「あ、後藤!それ俺の肉だろ!!」
「名前なんて書いてないも〜ん」
「あぁ!!!食いやがったなぁあああ!!」
- 738 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月21日(土)09時22分06秒
- 食べ物のことでどたばたと走り回る大人発生。
「吉澤くん!!ブレザーにケチャップついてるよ!!!」
「のの、それはウチのジュースや」
「じゃあのののあげるのれす」
「石川さん、人参2号発見です」
・・・どたばたである。
簡単に言うとまとまりがないのである。
しかし食事も終わり、一段落つくと皆が思い思いのプレゼントを後藤に渡して、
最高の時間を演出した。
ひとみの母が今日は後藤の家に泊まることになっていた為、時間なんかを気にしないで
皆が自由に騒ぎまくった。
料理を作っていたなつみや飯田や矢口は大役を終えた開放感からおおいに飲み、
あっという間に潰れた。
矢口はなつみの背中に、なつみは飯田の肩に頭を寄せて、制服姿でいびきをかいている。
制服姿のままテーブルで潰れている画は何だかとっても辺な感じだ。
辻も加護も後藤や梨華達と騒ぎすぎたせいで今は眠りの中。
ひとみは散らかった台所やテーブルの上をせかせかと片付けながら、ずれ落ちそうになる
毛布や上着を皆に掛け直している。
途中まで一緒になって片付けていた梨華も今はソファーで眠りの中だ。
投げ捨てられたブレザーや、片方だけの靴下を見るだけで、ここの荒れ方が痛い程分かる。
時折梨華の方に視線を向けるひとみの姿に後藤は目を細めて静かに微笑んだ。
- 739 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月21日(土)09時40分11秒
- 更新しました。
かなり『なんちゃっていちごまSP』(苦笑)
『ほとんどなんちゃっていちごまSP違うじゃん!』ってつっこみは勘弁して下さい(汗)
次は完全に『いちごまSP』ですから(大汗)
それにしても・・・最近暑いなぁ。
>ぷよ〜る様
そうなんですよ。市井くんの心の変化がやっとこさ書けました。
随分放置したりしてましたから(苦笑)
制服ですかぁ、私が行っていた高校はちょっと特殊な科だったので、男子が6人しか
いなかったんですよ。
んで私の友達の発言・・・
友達『夏っていいよねぇ〜』
私『何で?』
友達『女の子の制服の着方が解放的になる』
ちなみにこれ女の子です。
この娘もきっとなんちゃって制服フェチですね(w
(わ、私は違いますYO!)
- 740 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月21日(土)09時40分46秒
- >Silence様
今までの市井さんがどうもかっこいいとこなかったですからねぇ(w
実際こうやってかっこいいところ書こうとすると、意外に難しく、意外に書きやすく。
なちよしですかぁ。
私はやはり根っからのいしよしヲタみたいです(w
(昔はよしごま押しだったんですが・・・)
『なんちゃっていちごまSP』こんななっちゃいました(大汗)
いちごまなんていっても本当さわり部分だけ(苦笑)
次回はちゃんと『いちごまSP』にしますYO!
>クロイツ様
よかったぁ、市井さん今まで馬鹿ばっかやってたから『こんなん似合わない!』とか
言われたらどうしようかと思ってたんです(苦笑)
市井さん、蓋を開ければ本当に素直な人なんです。
蓋にかかった鍵の量が半端ないんでなかなか開けることが出来なかったんです。
>そしてヨッスィーと梨華ちゃんは何を考えているのか(笑)
この時、2人の精神状態はピークでした。
多分何考えてたんだか分かりません(爆笑)
- 741 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月21日(土)10時01分49秒
- 書き忘れました(大汗)
分類板でこの小説を紹介して下さった方へ。
ありがとうございます。
何だか恥ずかしく、そしてかなり嬉しく♪
自分が好きで書き始めたモノをこうやって色々な方々に読んでいただいて、さらに
こんな風に紹介していただいて、嬉しいという言葉では表現しきれない気持ちです。
これからも頑張ります!
本当にありがとうございますです。
- 742 名前:Silence 投稿日:2003年06月21日(土)13時34分58秒
- 更新お疲れ様でした。
>「石川さん、人参2号発見です」
ど〜ゆ〜状況やねん(w 笑いました。
こ〜ゆ〜ドタバタが大好きです。いや〜マジで楽しかったです。
いや、でも、やっぱいしよしですわ。いしよしが一番です。(w
(特にここのいしよしは最高です☆
次回の『いちごまSP』めっちゃ期待してます。がんばってください。
- 743 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月21日(土)16時23分21秒
- 更新お疲れ様です!!
実は裏タイトルは『なんちゃってののSP』
じゃないですよね?(w
次回の『いちごまSP』楽しみにしてます♪
>『女の子の制服の着方が解放的になる』
ここに夏の制服の全てが集約されてる気がします(w
高校時代は学校で見ることが出来なかったん
ですけどね・・・ガックシ・・・
では、次回も楽しみにしてます♪
- 744 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月21日(土)19時22分45秒
- いしよしのほのぼのとした掛け合いも、すっごく素敵だったんですが…
それよかののたんの食べっぷりの方が気になってしまった私(笑)
でも、脳内で画を思い浮かべながら読むと鼻血モンですねッ!!
制服!!みんな制服!!きゃー!!!
特に梨華ちゃんの可愛さ、ヨッスィーのかっこよさにヤラれそうです(爆笑)!!
一歩一歩、みんな前に進んでるんですね♪
次回も楽しみにしています!!
- 745 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時12分36秒
- 今後藤と市井は冷たい風が吹く中、外をふらふらと歩いている。
制服の上にジャンパーを着て、2人共ポケットに手を突っ込んで。
知らない人が見たらたちの悪い不良に見えることだろう。
「今日は楽しかったねぇ」
「そうだな。しかし色んなこと考えてたんだな吉澤も石川も」
「んぁ。ビンゴゲームやらジェスチャー大会やら『何故?』っていうのばっかっだたけどね」
「ま、あの2人らしいっちゃらしいけどな」
ポケットの中から煙草を取り出して市井は火をつける。
暗い世界に赤い光が灯り、吐き出す息が白く見えた。
「高校生は煙草吸っちゃいけないんだよ」
後藤の言葉に答えるように市井は一言『ばーか』と言った。
会話もないままテクテク2人は歩き続ける。
別に目的があって出てきたワケでもないから何処かに行こうなんて思ってない。
ただ市井が外を歩きたかっただけなのだ。
それに後藤がついてきた。
それだけのことだ。
- 746 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時13分48秒
- 「後藤」
「ん?」
「寒くないか?」
「ん〜、ちょっと」
後藤の言葉を受けて市井は自分の手を突っ込んでいた方のポケットの口を広げる。
頭の上に『?』マークを浮かべる後藤に市井は悪戯ッ子のような笑顔を向けると、煙草を消して
携帯灰皿に突っ込み、後藤の手を取って広げたポケットの中に引き入れた。
「手、こっちの方が温かいだろ」
自分のポケットの中でぎゅっと後藤の手を握って、ちょっと放心状態にある後藤を
促すように歩きはじめる。
さっきと同じように会話もないままテクテク2人は歩き続ける。
後藤はポケットの中でぎゅっと市井の手を握り返した。
「・・・後藤」
「・・・ん?」
「誕生日おめでとう」
「・・・今さらどうしたのさ」
- 747 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時14分30秒
- 歩く足を止めて市井はすぐ隣にいる後藤の方に顔を向けた。
市井の髪が風に揺れて、同じように後藤の髪も風を受けて横に流れる。
ポケットから手を取り出すと、外の冷たい空気が2人の手に突き刺さった。
「友達として最後の『誕生日おめでとう』メッセージ」
「・・・へ?」
つないでいた手を解き 、向かい合うように立つと市井は後藤の身体を抱きしめた。
突然のことで何も出来ないでいる後藤を、隙間が出来ないくらいに強く抱き締める。
「俺、お前のこと好きだよ」
永い永い時間をかけて囁きにも近い市井の声が後藤の心臓に直接響く。
動けないでいる後藤の髪に市井は唇を落とすと、少し身体を離して後藤の顔をじっと見つめる。
離れた身体と身体の隙間を冷たい風が通りすぎ、そこにあった体温を溶かしていく。
本当に突然のことでただ呆然とするしか出来ない後藤の頬に市井はそっと手をかけた。
外気に触れて冷たいはずの市井の手の内側が、後藤の頬の暖かみで熱を持つ。
そこに風の侵入は受け付けない。
- 748 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時15分09秒
「・・・いちーちゃんはいいの?」
しばらくじっと市井のことを見つめていた後藤は呟くように、だけど強く言葉を放った。
気持ちに流されないように、流れてしまわないように。
「いちーちゃんの心をずっとずっと捕まえている人がいたんでしょ」
吐く息が白く溶けていく中、 そっと自分の手を市井の手に重ねて後藤は言葉を続ける。
「いいの?後藤その人の代わりなんか出来ないよ」
「代わりなんかじゃない」
「後藤はその人じゃない。後藤は----」
「聞いて」
頬を伝う温かな涙を包んでいる方とは違う手でそっと拭う。
重ねられて手が震えていて、結ばれた口が泣くのを我慢している子供のように歪んでいる。
- 749 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時15分46秒
- 「・・・確かにそうだったよ。俺はずっともう人を好きになることなんて無いと思ってた。
でも、それはもう終わり。
俺が今ずっと一緒にいたいと想うのは後藤、お前なんだ」
「・・・いちーちゃん」
「俺の側にいてくれ」
「いちーちゃん・・・」
「ずっと側にいてくれ」
「いちーちゃん!!」
後藤は市井の胸に顔を埋めた。
子供のように声をあげて泣いた。
そんな後藤を市井は静かに抱き締める。
側にいるその存在を確かめるように。
「・・・すき」
やっと出た言葉は市井の心を満たして行く。
心の気持ちを外に伝える為に紡がれた言葉が溶けて市井の心を満たして行く。
後藤が泣き止むのを待って、市井は後藤の肩をそっと掴んで涙の痕が残るその顔を
ニヤッと笑って覗き込んだ。
「誕生日おめでとう」
「・・・付き合って初めてのおめでとうだね」
「だな」
2人は冷たい風が吹く中で口付けをかわした。
時計の針は23時47分を指していた。
- 750 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時16分17秒
- ◇◇◇
- 751 名前:9月の夜 投稿日:2003年06月23日(月)10時17分02秒
- ◆◆◆
- 752 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月23日(月)10時20分43秒
- 更新しました。
短いうえサクサク行き過ぎかなぁなんてことも思いましたが、これにて『いちごまSP』
終了でございます。
『いちごまSP』は機会があればまた行おうかとも思っておりますです。
>Silence様
何か登場人物多すぎると上手いはなしを回すことが出来ないみたいです(苦笑)
結果ドタバタみたいになったりして。
まぁ書いていて楽しいんですけどねぇ。
4期って自分もすごく愛着があるみたいです(w
書くなら一緒みたいな意識が自然とあるらしく、気が着けばセットになってます。
結構漫画を読んでても、ひねくれたりせずにまっすぐ読む自分は王道大好き。
今回のはいかがだったでしょうか?
- 753 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月23日(月)10時21分50秒
- >ぷよ〜る様
自分で読み返してみて、確かに『なんちゃってののSP』になってると思いました(苦笑)
のほほん空気に周囲は皆飲み込まれるようです(w
いい意味で変わらないでいてほしいと願うのは自分だけでしょうか?
私は昔かなりの制服嫌いでした。
小学校から中学校にあがる時も何が嫌だって『スカートはくの嫌!!』って
心の底から叫ぶような人間でしたから(苦笑)
最近はあまりにも着るなさすぎて後悔してたりするんですけどねぇ。
だから前回の更新は私のやってみたい願望って感じです。
>クロイツ様
やっぱりここの2人にはほのぼのとした空気が似合う感じがします。
そしてその空気に必要なスパイスを辻や加護は持っているんです。
隠し味は沢山ありますが(w
しかし本当見てみたいですよねぇ。
全員制服での食事会。
随分前の『部屋着着用』っていうのもかなりおいしかったんですが、
自分としてはこういうのも見てみたい(w
>一歩一歩、みんな前に進んでるんですね♪
そうですねぇ、随分と時間をかけて書いてきた分、そう思います。
- 754 名前:Silence 投稿日:2003年06月23日(月)14時04分18秒
- 更新お疲れ様です。
本当に。市井さんかっこよ過ぎ。これは後藤さんでないとも
惚れますわ。(w
>4期って自分もすごく愛着があるみたいです(w
いや、自分の場合4期が好きすぎて5期6期を認めないくらい
なんですよ。(w
いや、いつも通りよかったです。流石って感じです。
次回も期待してお待ちしてますね。
- 755 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月23日(月)16時24分29秒
- いちーちゃん!!!いちーちゃんいちーちゃんいちーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!
ぶはぁ!!(←鼻血)げふぅ!!(←吐血)
・・・・・・すみません。ちょっと取り乱しちゃって…。
言いましたね、いちーちゃんってば!!!かっこ良過ぎ!!!ごっちんも可愛いー!!!
なんか心臓がバクバク言っちゃいましたYO!!よかったね、二人とも…!!
お二人の幸福を、心のそこから願ってます!!
次回も楽しみにしておりまっす!!
- 756 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月23日(月)18時32分14秒
- 更新お疲れ様です!!
市井さんカッコ良過ぎます!!
反則です!!(w
いちごまはあまり好きではないのですが、
このいちごまはかなり気になりますね。
是非とも『いちごまSP2』を見たいです!!
あと、『制服SP2』も機会があれば・・・(w
ののには変わらずにいて欲しいですね。
いや、変わってはいけないのです!!(w
では、次回も楽しみにしてます♪
- 757 名前:名無しくん 投稿日:2003年06月23日(月)20時59分40秒
- いいですねぇ!
このふたりがくっついたってことは、次は・・・・
くぅぅーー、モニタにへばりついて更新待ってます!
- 758 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時27分20秒
- 「すっかり寒くなりましたねぇ」
「本当。夏が終わったと思ったら秋もなくなって一気に冬になっちゃったみたいだよ」
放課後の帰り道。
もうすっかりお馴染みになった道を、吉澤くんと私は肩を並べて歩く。
気がついたらよく一緒に帰るようになっていた。
授業を受けるのも隣で受けるのも当たり前になっている。
何がきっかけというワケでもないが、二人でいることが何故か自然だと感じているのだ。
駅までの数分間、下り坂をゆっくりと降りて行く。
だって急ぐ必要は何処にもないから。
「そういえば保田さんからの定期メール来た?」
「や、多分来てなかったと思うんですけど」
「私もなんだよね。どうしたんだろう?」
てくてくてくてく歩き続ける。
下り坂はもうすぐ終わり。
もう少し歩けば駅の改札。
「石川に吉澤〜〜〜〜〜〜!!!!」
ぎょっとする程大きな声で、馬みたいな足音をさせて、その人は走ってきた。
手には大きな旅行用鞄。
身を包むのは大人な感じの黒のスーツ。
数分前に話しに出て来た保田さんだ。
- 759 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時28分16秒
「・・・あれはスキップか何かですかね」
「・・・『ケメ子走り』でいいんじゃない?」
私達以外の人達は皆見てはいけないモノを見たかのように、ちらっと保田さんを見ると
目を反らしていく。
あの走り方を見ればその気持ちをよく分かる。
多分飯田さんだったら奇声をあげながら逃げていくだろう。
私も目では保田さんだと認識してるけど、身体が自然に吉澤くんの後ろへと動いてしまう。
「あら、石川も少し見ないうちに随分失礼になったじゃない」
「保田さん、髪、乱れてますよ」
「あら。私のナイスなオールバックが・・・」
スーツの胸ポケットからクシを取り出して丁寧に直していくその姿は、
はっきり言ってコメディーだ。
「吉澤、あんた髪すごいことになってるね」
「カッケ−ですか?」
「ん?カッケ−??・・・あぁカッケ−カッケ−。
よく似合ってるじゃない。私好みの男の子になってきたって感じよ」
「・・・髪黒く戻そうかな」
「あんた返しが早いわよ」
- 760 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時28分56秒
- 私って基本的に放置されやすいのかしら。
前に市井さんにここら辺で合った時も、後半私放置されてたのよね。
陰薄いのかなぁ・・・。
「わざわざなっちに電話までして、吉澤と石川の下校時間を推理して来たのになぁ」
「僕は頼んだ覚えないですよ」
「冷たいわねぇ」
「そんなことないですよ」
今だって吉澤くんと保田さんに私は見事放置されてるし・・・。
っていうか話しに加わらない私がいけない?
あ、吉澤くんの後ろに隠れてるからいけないんだ。
「ってかさ、吉澤今日家来て飲まない?」
「・・・変なことしないですよね」
「私を鬼畜みたいに言わないでよ」
でも何だか会話の空気に入っていけないような・・・
テンポについていけないような・・・
「石川、ちょっと今日吉澤借りてもいい?」
・・・私呼ばれた。
放置じゃなかった?
- 761 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時29分32秒
- 「石川?」
あぁやっぱり幻聴じゃない!
私も忘れられた存在じゃないんだ!!
「・・・私放置されてる?」
「石川さんがなかなか戻ってこないだけですよ」
梨華よかった!!!(握り拳つき)
って私の肩を揺らすのは誰?
私今勝利のうたげを歌ってる最中なのよ。
「石川さん、早く帰ってきて下さいよ」
あら、吉澤くんの声じゃない。
そしてこの大きな手も吉澤くん?
・・・そうだ、私呼ばれてたんだ。
「あ、え〜っと・・・私呼ばれた?」
「はい。思いきり」
「・・・石川、あんた変に変わったわね」
・・・どういう意味かしら。
ま、いっか。
- 762 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時30分14秒
- 「んでさ、石川、これから吉澤ちょっと借りるから」
「え?あ、へっ??」
「だから吉澤くんとはここでバイバイ。
石川は1人家路へ向かいます。私と吉澤は男同士のお話合い」
・・・放置じゃないと思ったら、私は1人のけものですか。
・・・人間って悲しいね。
「ちょっと、そんな悲しい顔しないでよ。
別に取って食ったりするワケじゃないんだから」
「当たり前です。そんなことしたら私怒りますからね」
「・・・いや、そしたら僕逃げるし」
「だから私そんな飢えてないから」
ぎゃーぎゃー続く会話のまま、私達は改札に到着。
ホームが違うからここでさよなら。
普通に話しをしてる吉澤くんと保田さんに安心感を覚えた。
普通に見えたのは私だけかもしれないけど、私は安心したんだ。
そして 久しぶりに見た保田さんの印象は『飢えてる狼』だった。
- 763 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時32分23秒
============================================
僕らはコンビニに入って適当なお酒類と食べ物を買ってから保田さんの家に向かった。
保田さんは大きな鞄を持っていたから、僕が買ったモノを持つ。
結構な量を買ったものだ。
それも全部支払いは保田さん。
半分払うという僕の言い分はあっけなく却下され、『大人の言うことを聞きなさい』と丸め込まれた。
「とりあえず掃除はカオリに頼んでおいたから散らかってないと思うわ」
「・・・飯田さんも大変ですね」
その言葉通り、保田さんの家は綺麗に片付いていて、冷蔵庫の中にはちゃんと食材まで入っていた。
保田さんの帰国に合わせて飯田さんが買っておいたモノなんだろう。
珍味や野菜や健康ドリンクなど様々なモノが入っていた。
「向こうでの仕事はいいんですか?」
「すぐに戻るわよ。今回はどうしても会社に戻らなきゃいけなかったから来ただけなんだ」
「・・・そうなんですか」
微妙な心境だった。
石川さんは保田さんが好きで、僕は石川さんが好き。
保田さんの気持ちは分からないけど、こっちに戻ってきてる時はなるべく石川さんの
側にいて欲しかった。
『本当の気持ちは?』って言われたら分からないけど、僕は石川さんに喜んでほしかったし、
幸せな時間を過ごしてほしい。
僕は2番目でもいいから。
- 764 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時33分15秒
- 「とりあえず座りなよ。私は適当につまみでも作るから」
言われた通りにソファーに腰を下ろした。
保田さんは大人だ。
僕なんかじゃかなわないくらい。
そんな保田さんに僕は立ち向かおうとしてるんだと思ったら、何だか不安になってきた。
自分よりも全然大人で、自分よりも石川さんのことを守れる力を持っている。
仕種も行動も全部が及ばない。
僕はどうしたら石川さんの心を向けることができるんだろうか。
「ったく何辛気くさい顔してんのよ」
目の前に置かれたビールには水滴がついていて、手にかいている僕の汗とリンクした。
冷たさも・・・か。
「とりぜず乾杯しよう。話しはそれからだ」
カツンと乾いた音がしてから、僕らはビールを口に運んだ。
もとからお酒が飲めない僕は、その苦味に思わず顔をしかめてしまった。
やはり慣れない。
この前のごっちんの家で飲んでいた時が嘘のようだ。
「ほら、あんまし飲めないなら無理なんかするんじゃないの」
「そ、そんなことないですよ」
- 765 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時33分55秒
- 何も勝てない保田んに、僕は一つでも強いところを見せたかった。
というよりも子供扱いされたくなかった。
一生懸命背伸びして、僕は保田さんに追い付きたかった。
せめて肩を並べるくらい成長したかった。
「別に私に対抗意識なんて持ったて何も変わらないわよ」
苦笑いしながらビールを飲む保田さんはやっぱり格好良い。
無理しても届かないくらいに。
「あのさ、この前メールでも言ったじゃんか。ちゃんと話しをつけようって」
「あ、はい」
ビールをテーブルに置いて、前屈みになると保田さんは手を前でくんだ。
一つ一つの動作が絵になる人。
僕から見ればずっと遠くの大人の人。
「率直に聞くけど、吉澤は石川のことどう想ってる?」
「・・・僕、ですか」
「そう、俺と吉澤の間にあるしこりはそこから始まってるんでしょ?
だから今は石川のことは置いといて、俺と吉澤のことだけの話しをしよう」
真面目な話しをする保田さんは電話でしかしらないから、口調の変わった保田さんが別人に見えた。
僕は持っていたビールを同じようにテーブルに置くと、心の中で大きく息を吸った。
ごまかしちゃいけないから。
ごまかしたら僕は一歩も前に進めないから。
- 766 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時34分35秒
- 「僕は・・・僕は石川さんのことが好きです」
そう、本当に好きなんだ。
一緒にいることが当たり前のようになってしまい、感情が生活の中に埋もれてしまいそうになるけど、
この気持ちは僕の心の奥底にずっと根をはっている。
「そっか、じゃあ次は俺だね。俺が好きなのは石川じゃないよ。石川は俺にとって妹みたいな存在。
矢口とかと同じ妹みたいな存在だよ」
「・・・でも」
「多分石川も俺には恋愛感情は抱いてないと思うよ。
たとえ抱いていたとしても、俺は石川を彼女として見れない」
何て真直ぐな人なんだろう。
そして真直ぐすぎて恐かった。
「生半可な優しさなんて相手を傷つけるだけじゃんか」
それは僕も思い知った。
僕が勝手に石川さんの幸せを決めつけて、距離を置いて傷つけてたから。
「吉澤は何で俺と距離を置こうとした?
それは石川がきっと俺のこと好きだと思ったからだろ?石川の気持ちも知らないで」
- 767 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時35分31秒
- ・・・確かに聞いたことはない。
でもあの日、石川さんが保田さんの胸で泣いていたのを見てしまってから僕の中で
『石川さんは保田さんが好きだ』という風に思った。
「そこだよね、俺達の間に流れてる深い川ってさ。
吉澤は人が良すぎるから石川と俺がなるべく側にいさせようとする。
でも自分は石川のことが好きだから俺とは自然と距離を取ろうとする。
ダメじゃんそんなん。俺は石川のことを大事な妹だと思ってるし、お前のことも大事な弟だと思ってる。
俺は2人の幸せを願うんだよ。お前が石川の幸せを願うように。
俺自身本当の石川の気持ちなんて知らないよ。
でもさ、もし石川が俺のこと好きだったとしても、吉澤には石川を振り向かせるくらいのことして欲しいな。
吉澤はもっと踏み出してもいいと思うよ」
言葉は簡単に出てこなかった。
出すことが難しかった。
いつまでも子供なのは僕の方で、ずっと大人だったのは保田さんだった。
数分前まで僕は保田さんに追い付こう、そして追いこそうとしていた。
でもそれは違う。
違うんだよね。
『僕は吉澤ひとみでありつづけたい』そう思ったはずだったのに、いざ保田さんを目の前にしたら
そんなことすっかり忘れてしまっていた。
- 768 名前:けいちゃん。 投稿日:2003年06月25日(水)10時36分08秒
- 長い長い空回りをし続けて、僕はここにたどりついたんだ。
その経緯は決して無駄だったとは思わないけど、僕は自分自身の思い込みのすごさに思わず笑ってしまった。
自分の中で決めつけたことを本気にして、いつしかそれを現実世界に置き換えてた。
身勝手もいいところだ。
「で、今の俺に対して吉澤の答えは?」
石川さんの気持ちは確かに分からない。
保田さんのことが本当に好きかもしれないけど、本当は誰も好きじゃないかもしれない。
何も分からないけど、僕の気持ちは決まっている。
「たとえ石川さんが保田さんのことを好きでも、僕は石川さんを振り向かせますよ」
にやっと笑った保田さんは一気に喉にビールを流し込んだ。
だから僕も笑いかえしてやった。
「じゃあ俺の可愛い弟と、俺との川が浅くなった記念に乾杯しなおそうぜ」
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保田さんはまた海外に行ってしまった。
話しの途中で出てきた保田さんの好きな人を聞いたけど、保田さんは笑ってごまかすだけで教えてくれなかった。
大人のずるさを感じつつも、僕は始めて出来た兄のような存在の人に憧れを抱いた。
あんなかっこいい大人になりたいと思った。
- 769 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月25日(水)10時49分02秒
- 更新しました。
自分の中での大量更新。
やすラスコンのDVD見て涙が止まりません。
今日の更新は下書き時はよしSPのはずだったんですが、やすSPです。
誰が何と言おうとやすSPなんです!!
しかしすごい雨・・・。
梅雨ですなぁ。
>Silence様
前回は市井先生のかっけーところ見せてみたんですが、今回のやすはいかがで
しょうか?
『大人な圭ちゃん』裏裏裏テーマです。
あぁ〜やばい。
もう圭ちゃんのパワーに私やられました〜。
>クロイツ様
だ、大丈夫ですか(汗)
と心配しつつ、レス読みながら爆笑してしまいました(w
気がつけばここの人達誰もくっついてなかったんですよねぇ〜。←今さら気付くなって。
>お二人の幸福を、心のそこから願ってます!!
ありがとうございます。と、2人の代弁をしてみる私です。
- 770 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月25日(水)10時55分00秒
- >ぷよ〜る様
市井くん大好評みたいですねぇ。
タラシキャラだった分、『お前いきなりどうなのよ』とか言われたらどうしようかと
思ってました(苦笑)
>このいちごまはかなり気になりますね。
どうか温かく見守ってやってて下さいです(ペコリ)
『いちごまSP』『制服SP』もしあった時にはよろしくお願いしますです。
>名無しくん様
めでたしめでたしです。
市井くん&ごっちんおめでとぅーです。
>このふたりがくっついたってことは、次は・・・・
はい、ここの小説のメインは『いしよし』。
なのに気がつけば一番距離が遠いのもいしよし・・・。
あう〜早くくっつけ〜くっつけ〜と私もオーラを送ってる人間の1人です(苦笑)
- 771 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月25日(水)13時59分15秒
- 更新お疲れ様です!!
大丈夫です!!誰がどう見てもやすSPです!!
保田さんには大人の男ってものを見せ付けられた
気がします。市井くんとはまた違うけど、やはり
かっけーです!!
では、次回の更新も楽しみにしています♪
- 772 名前:クロイツ 投稿日:2003年06月25日(水)17時27分40秒
- ぎゃああああああああああ!!!や、やられたー!!
保田さんのカッコ良さにマジやられましたYO!!
そして吉澤君の気持ちにも…学校なのに叫びそうになりましたYO!!!
だけどそれよりも何よりも。
放置&おいてけぼりの石川さんにドッキンコ。
最高にときめきました(爆笑)
あああ〜、この二人がどうなるのか!!すっごい楽しみですー!!
次回も楽しみにしてます!!!
- 773 名前:かふか 投稿日:2003年06月26日(木)05時16分07秒
- はじめまして。いつも楽しく読ませてもらってます!
ここのいしよしが大好きです!
「ケメ子走り」に恐怖し、吉澤くんの後ろに
隠れる石川さんが、めちゃくちゃ可愛いっす!
ちなみに、自分の周りでは髪が乱れる事を「与謝野ってる」と言います(w
梅雨でジメジメしてますが、頑張って下さい。
次回も楽しみにしてます!
- 774 名前:Silence 投稿日:2003年06月26日(木)11時59分43秒
- 更新お疲れ様です。
保田さんもかっこよ過ぎ。どうして匿名さんの書くキャラは
こんなにもかっこいいんでしょうか?
少しはこの2人を見習いたいもんです。(まぁ、無理ですけどw
東京の方は梅雨ですか?う〜ん、こっちには無いから一回
梅雨ってものを体験してみたいと考えています(w
それじゃあ、次回も期待してます。
- 775 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時31分39秒
- 講議というのはどうしてこうも頭の中に入っていかないのだろう。
右から入って左に抜けるとはまさにこういうこと。
別に隣に座っているのが石川さんで、肩を並べて勉強をしているからというワケでは決してない。
そう断じてない。
「吉澤くん、何いぶつぶつ言ってるの?」
肘で僕のことをつついて小声で話し掛けてくる石川さんに、苦笑いを浮かべながら『何でもないです』と
言うと石川さんは笑いながら『変な吉澤くん』と言った。
石川さんの隣では柴田さんが爆睡・・・。
とりあえず板書をしようと思って手を動かしていると、石川さんがまた僕の肘をつついてきた。
「そういえば吉澤くん今日ってバイト?」
「はい。そうですけど・・・」
「じゃあバイト先行くかもしれない。
ちょっと本探してるんだけど、私の家の辺の古本屋さんに無くてさ。
それで場所どここら辺にあるか教えてもらえないかな?」
断る理由なんてものもないし、僕自身来てくれるなら嬉しいし、喜んで僕はバイト先の地図を描いた。
そしてどいういうワケだか、僕はさっきとは逆に講議がすいすい耳に入るようになった。
- 776 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時32分56秒
- ------------
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「吉澤くん!」
「あ、石川さん」
バイトを始めて3時間くらいたった頃。
時間でいうと閉店まぎわの7時45分頃だ。
何でも卒業制作をやり始めたら止まらなくなってしまい、やっとこさきりが良い所になったら
こんな時間になってしまったんだそうだ。
ずっと悩み続けていた石川さんを知っているから、この話しは聞いてすごく僕は嬉しかった。
簡単に挨拶をかわすと、時間もあまり無かったので石川さんは早速本を探し始めた。
少したつと、店長が腰に手を当てながら店にやってきた。
閉店の時間だからだ。
まだ目的の本が見つからないらしく、石川さんは必死に探していたので、僕が理由を店長に説明すると、
店長は嬉しそうに笑って『もう少し待ってよう』と言ってくれた。
「あった!!」
8時を少し回ったくらいだろうか。
石川さんがとても嬉しそうに声をあげた。
どうやら戸棚の一番上にあったからなかなか見つけられなかったらしい。
- 777 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時33分45秒
- 会計を済ませてから店長に挨拶に行く。
お礼が言いたいと言う石川さんも一緒だ。
カウンターの奥にいる店長は、僕達が行くと嬉しそうに目を細めて『気をつけて帰るんだよ』と言ってくれた。
それから石川さんは何度か僕のバイト先に訪れてくれた。
店長ともすっかり仲良くなった石川さんは、よく店長とも話しをした。
そんな石川さんが店に来る時間は45分。
恒例となった7時45分。
僕のバイトが終わる間際。
その間は本を読んで、たまに一緒に肩を並べて本を読んだり話したり。
バイトが終わったら一緒に駅までの道をふらふらとゆっくり歩く。
他愛もない話しで、すぐに今何を話していたかなんて忘れてしまうけど、僕には貴重な時間に思えた。
- 778 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時34分41秒
- 石川さんがバイトの時は僕が石川さんのバイト先に行って、同じように時間を過ごす。
そのバイト先で、店長である飯田さんがよくお茶を入れてくれる。
寒さで凍えている身体に染み渡るお茶に何度か僕は今自分が置かれている幸せを噛み締めるんだ。
石川さんのバイト先には辻や加護がよく遊びにくる。
辻や加護がいる時は、僕らは一緒に御飯を食べたり散歩をしたりする。
飯田さんも誘うんだけどその度に飯田さんは笑って丁寧にそれを断る。
理由を聞いても『大人には大人の事情があるのよ』と。
僕が保田さんに憧れを抱くのと同じように、石川さんは飯田さんに憧れを抱いてるようだった。
そのことを前教えてくれた。
今日もまた、石川さんは僕のバイト先にやってきてくれた。
本を一冊買って閉店時間までふらふらと店の中で過ごす。
カウンター奥にいる店長に2人して挨拶を済ませて店を出ようとすると、その店長が僕を捕まえてそっと耳打ちをした。
僕を捕まえたその手は明らかに前よりも細くなっていて、何故か店長の身体のことをすごく心配した。
- 779 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時35分26秒
- 11月を回り、外はすっかり寒くなった。
僕らは遠回りをして駅への道をゆっくりと歩く。
両手で掴んだ缶の紅茶が、冷えた身体を温めてくれる。
いつもと違う道を歩いて、駅まで向かう。
何故違う道かと言ったら、その日は自然と足が駅から離れてしまったからだ。
石川さんも特に何も言わずに僕の隣を歩く。
商店街から少しはなれると、街灯も少なくなる。
空を見上げたら寒空に輝く星がいつもよりも明るく見えた。
どうしてか胸騒ぎがした。
「吉澤くん、どうしたの?」
「あ、いや何だか変な胸騒ぎがして・・・」
いつもと違う店長の姿を見たからだろうか。
今日の星は輝きすぎている。
見ていて涙が出そうになるくらいに。
「吉澤くん、ちょっと座らない?」
石川さんは僕の袖を掴んで、近くのガードレールに腰かけた。
吐く息は白く、時折通りかかる車のライトが僕達のことを照らした。
近くで聞こえるサイレンの音に耳を塞ぎたくなり、思わず顔をしかめると、
隣に座った石川さんが心配そうに僕の服の袖をつかんだ。
胸騒ぎが大きく身体を包みこんだ。
- 780 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時36分12秒
ガードレールに腰かけて、ただ一点を見つめる僕。
お互いに会話のないまま、時間だけが流れる。
石川さんの手に持たれた缶も、僕の手に持った缶もすでに温かさを消し、逆に冷たさだけを僕らに運んできていた。
治まることのない胸騒ぎは、僕に答えを教えるように携帯の音でそれを運んできた。
店長が倒れた。
- 781 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時36分53秒
- ◇◇◇
- 782 名前:冬の出来事 投稿日:2003年06月28日(土)11時37分26秒
- ◇◇◇
- 783 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月28日(土)11時41分52秒
- 更新しました。
一応隠す程のことじゃないと思いつつもやってしまう私・・・(苦笑)
前にも書いたことがあるんですが、私の書く文章はその時の音楽によってかなり
方向性が決まっていきます。
音楽は私になんらかの言葉を自然と運んでくるんですねぇ。
そんな感じで今日と次の更新は重めです。
たまにこういうのを書くと止まらなくなる恐れもありますが(苦笑)
>ぷよ〜る様
よかった〜。やすすSPに見えてたんですねぇ(w
何かヤスラスコン見てからかっけー保田に目覚めやした。
って目覚めるのおせーっ!!というつっこみはなしの方向で(爆笑)
でも保田さんは本当にかっけー大人だと思いました。
はまったら抜けだせない罠ですね。
私はもう虜です。
>クロイツ様
私も保田さんのカッコよさにやられたうちの1人です。
私の中で吉澤くんと保田さんの間にあった問題解決をしようとしたら
見事やすの罠にひっかかりましたね(w
石川さんってどうしてこうも報知が似合うでしょうか(爆笑)
まったり進む時間の中でここの2人がどうなることやら私も楽しみですYO!
- 784 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月28日(土)11時42分43秒
- >かふか様
こちらこそはじめましてです。
いや〜こんな不定期更新の作品を楽しく読んで下さってるなんて(恥)
ありがとうございます。へへっ(0○〜○)うれしいですYO!
>自分の周りでは髪が乱れる事を「与謝野ってる」と言います(w
すげー初めて聞きましたよ。今度使ってみようっと(OKですか(笑))
さっぱりしない天気ですが、こんな梅雨を楽しんでみようと思います(w
>Silence様
やすすブーム到来ですね(私の中限定でしょうがw)
本当かっけーですよ。いしよしヲタでよしヲタの私ですが、
今回はやすの毒牙(失礼)に見事ノックアウトです(w
しかしここまで男性勢が頑張った中、吉澤くん・・・(苦笑)
北海道って梅雨ないんですか?知らなかった・・・。
私は馬鹿みたく雨に打たれるのや、台風の日に傘ささずに外出るのが
好きな人間なんで結構楽しんでたりしてます(w
- 785 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月29日(日)10時40分10秒
- 27時間のいしよしに激しく萌ていた私(現在進行形?)
そしてちょっと覗きに来た今気付きました。
『容量ひょっとしていっぱい?』
と。
とりぜず次回更新は新スレ立てなきゃ考えつつ、とりあえず書き込めるかチェック。
もしこれ以上無理そうだったらの予告。
『住み慣れたここの空板で続き書かせてもらおうかなぁ』と思案中。
あまり気にせず流して下さい。
とりあえずチェックです。
- 786 名前:Silence 投稿日:2003年06月29日(日)12時32分45秒
- 更新お疲れ様です。
おおうっ。これは久々シリアスな展開ですねぇ。う〜ん、
大丈夫かなぁ?
>しかしここまで男性勢が頑張った中、吉澤くん・・・(苦笑)
いやいや、よっすぃもかっこいいですよ。なんせ金髪ですから(w
まぁ、北海道には梅雨の変わりに大雪がありますから。本当に
毎年冬は大っ嫌いです。まぁ、子供の頃はかまくらとか作るのが
楽しみでしかたなかったですけどね。
あと、本当に27時間のいしよしさいこ〜っすよね。(爆
- 787 名前:かふか 投稿日:2003年06月30日(月)02時17分07秒
- 更新お疲れさまです。
吉澤くんと石川さん、付き合ってる自覚が無いだけなんじゃ…、
なんてPCの前で一人呟いてしまいました(w
>>自分の周りでは髪が乱れる事を「与謝野ってる」と言います(w
>すげー初めて聞きましたよ。今度使ってみようっと(OKですか(笑))
どうぞ、こんなのでよければ使ってやって下さい(w
それでは次回も楽しみにしてますね♪
- 788 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月30日(月)17時10分06秒
- 初めまして。
ずっと読んでました。
いつもはROM専なんですが、ついつい初カキコ♪
続きがすっごく気になります♪♪
これからも応援してるんでがんがって下さい!
- 789 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月30日(月)21時21分03秒
- 更新お疲れ様です!!
って、容量ヤバいっスよね・・・
では、次回も楽しみにしてます♪
- 790 名前:クロイツ 投稿日:2003年07月01日(火)15時03分22秒
- なんか吉澤君かわいい…。
などと思っていたら…て、てんちょぉぉぉぉぉぉぉ!!!
ああ、でも、なんかいしよしすげぇ進展してるし!!
でも店長ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
先がすっごくすっごく気になりますっ!!ああっ!どうなっちゃうんだろうっ!!
がんばってくださいっ!
- 791 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年07月01日(火)19時14分52秒
- 容量やばいみたいなんで、お先にレスへのお返事です。
>Silence様
ふい、久々にシリアス展開です。
自分でも大丈夫かどうか心配でった(苦笑)
吉澤くんのカッケ−さとは何処かと考えること小1時間。
・・・あれ?
みたいな(w
でもきっと吉澤くんのよさは優しさとかなんかんぁって無理矢理思うようにしましたYO!
27TVは萌どころ満載で私はさらにいしよしヲタになりました。
生放送最高!!べぇ師匠〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
>かふか様
2人見事に付き合ってません。
だけど何も知らない人がみたらそんな風に見えるかも(w
心の距離感の難しさってやつですかねぇ。
ただ一緒にいるってだけなんですよね。
いしよしの熱冷めることなくさらに強化!!
これが今の私の状態なんで、いつかはくっつくといいなぁと他人事のように
呟いてます(爆笑)
どうぞ見守っていて下さい。
そして使わせていただきます!!
- 792 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年07月01日(火)19時24分12秒
- >788 名無しさん様
初めまして(ぺこり)
ずっと読んで下さっていたみたいで・・・(恥)
ありがとうございます。
これからも楽しみにしてもらえるように頑張りますので、どうぞよろしくお願い
いたしますです。
>ぷよ〜る様
御気づかいありがとうございます。
そうです、何だか容量がやばいです。
だもんでお先にここのスレでお返事を返させていただきますです。
こうやって書きながらも大丈夫かなぁと心配する私ですが、次のスレでも
どーぞよろしくお願いしますです(ぺこり)
>クロイツ様
きっかけというモノがあれば少しは進展するんではないかと思って書いたら
とんでもなくいしよしが進展しました(苦笑)
まぁ、私的には書いてて楽しいし嬉しいんですけど、こんな時間の経過方法で
皆様納得してくれるかなぁ〜なんて心配してたりしてました(苦笑)
店長編の方は途中で容量一杯になってしまうのも何だか格好悪いので新スレの方で
書かせて頂こうかと思ってます。
ので、今後もよろしくお願いいたしますです(ぺこり)
- 793 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年07月01日(火)19時37分59秒
- 新スレを同じ空に立てさせていただきました。
これからもどーぞよろしくお願いいたします(ぺこり)
新すれ:http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/sky/1057055686/
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