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超時空娘。 Geo Brevar
- 1 名前:千賀崎 敏昭 投稿日:2003年01月04日(土)22時24分22秒
- はじめまして、千賀崎敏昭と言います。
娘。小説を書きたいと思います。
あまり書いたことがないから、稚拙ですけど。
最後までお付き合い頂けると、嬉しいです。
ジャンルは、アンリアルのファンタジーモノです。
- 2 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月04日(土)22時27分11秒
- これは西暦2022年の未来を舞台に、それぞれの道を生きるモーニング娘。達と、その子供達との交流と成長、そして冒険の物語です。
- 3 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月04日(土)22時28分19秒
- 第一部『昨日を生きる僕たち。明日を生きる私たち。〜carpe diem〜』
第零話「キ・オ・ク〜beautiful world〜」
この世界で生きるしかないとしても。
このまま生きることが楽だとしても。
その先に何も無かったとしても。
知らない方が幸せだとしても。
そこに自由が無くても。
この世界が偽りだったとしても。
たとえ世界を壊してしまうとしても。
私は貴女に…、
『生きていて幸せと思える瞬間、それが君の天国なんだよ。』
逢いたい!!
- 4 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月04日(土)22時29分26秒
- ―21世紀初頭―
一つのアイドルグループが存在した。
国民的アイドルと呼ばれた彼女達は、数々の記録と神話を残して、ある日突然人々の前から姿を消す、溢れる様な笑顔の記憶を起こして…。
彼女達の名前は、〈モーニング娘。〉
激動の時代を駆け抜けた少女達である。
- 5 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月04日(土)22時33分42秒
- 今回はここまでにします。
訂正
×→起こして…。
〇→残して…。
- 6 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月05日(日)13時29分36秒
- 第一話「硝子の世界〜fragile〜」
―〈環太平洋特別行政都市群 エンディレナ〉とある家の寝室 ―
『ヒカル君…』
うぅ〜ん…?
『ヒカル君…』
うぅ〜ん…?
誰かが…僕の名前を呼んでいる…
『ヒカル君…私の声が…聞こえますか…』
気が付くと、ベッドで寝ていた筈の僕は…
何処だか解からない草原の中にいた。
見渡す限りの草原には、色取り取りの花が咲き乱れ、遠くの方からはせせらぎの音が聞こえて来る。
もしも天国が在るとするならば、多分こういう所なんだろうな…
- 7 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月05日(日)13時32分26秒
- そんな事を思いながら、草原を当てもなく歩いていると…
不意に後の方から、僕を呼ぶ声がする。
『ヒカル君、私の声が聞こえますか?』
先程よりもハッキリと聞こえて来る声に、僕は驚き振り返ると…
眩しい光を纏った綺麗な女の人が立っている。
この人…何処かで会った様な気がする…でも思い出せない…
『あなたと、あなたの大切な人に危機が迫っています。』
危機…?
その女の人は、聖母の様な慈愛に満ちた表情で僕に語り掛けて来る。
『ヒカル君、時間が有りません。私に残った最後の力をあなたに…』
そう言うと女の人は僕の方へと両手を翳し、そして何か呪文の様な言葉を発すると太陽の様な眩しい光に包まれた。
あまりの眩しさに僕は、思わず目を閉じてしまった。
その時僕の周りの空間が、一瞬だけ歪んだような感じがする。
暫らくして目を開けると、僕はまだあの草原にいて、目の前にはあの女の人が微笑みながら立っていた。
この時僕の頭には一つの疑問が浮び、意を決してその女性に訊いてみた。
“こんな事をしてくれる、あなたは一体誰なんですか?”
するとその女性は、また聖母の様な優しい表情で僕を見ながら…
『私は………』
その女性が何かを言おうとした時…
急に目の前が真っ暗になって、そこで僕の意識は途切れてしまった…
- 8 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月05日(日)13時34分40秒
- ジリリリリリ…
うるさいほど鳴り響く目覚まし時計の音に…。
「ふぅあ〜ッ、うぅ〜ん…。」
加護ヒカルはゆっくりと手を伸ばし目覚まし時計のベルを止めると、まだ眠い目を擦りながら短く欠伸をする。
チュンチュン…
窓の外から射し込む穏やかな朝の陽射しが、寝惚けた頭を次第に覚醒させて行く。
「ふぁぁぁぁぁ…」
再び欠伸をするヒカル、そして時計を見るとスッと立ち上がり、顔を洗う為に洗面所へと向かう。
“夢だったのかな?それにしても、何であんな夢を見たんだろう?”
今朝見た不思議な夢の事を思いながら、ヒカルは洗面所で顔を洗い廊下を歩いていると、台所の方から彼の母〈亜依〉の作る朝食の音と鼻唄が聞こえて来る。
トントントン…
ジャ〜ッ…
「フゥ〜ン、フフッ、フフフ、フンフフゥ〜ッ♪」
台所を覗いて見ると、ヒマワリ柄のエプロンをした亜依が、楽しそうに料理をしている。
- 9 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月05日(日)13時37分53秒
- 「おおッ、ヒカル。起きたんか?」
ヒカルに気付いた亜依が声を掛けて来る。
「うぅんあぁ〜ッ。おはよう、母さん…。」
半分寝惚けていながらも、返事をするヒカル。
「あぁ、おはよう!もう直ぐ朝ご飯やから、出来るまで待っててなッ。」
そう言って再び鼻唄を歌いながら、作業を再開する亜依。
そんな母の姿を見て、「何か手伝おうか?」と訊いてみるヒカル。
「うぅ〜ん。それじゃあ…。」と、暫らく考える亜依。
そして、「テーブルを拭いて、食器を並べといてくれるかッ?」と答える。
「うん。分かった。」
そう言いながら、取り敢えず近くに在った布巾でテーブルを拭きだすヒカル。
何時もと変わらぬ朝の風景だ。
- 10 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月05日(日)13時41分47秒
- 少しだけ更新しました。
何か他の人よりペースが遅い気がしますが…。(w
私は自分のペースで遣って行こうと思います。
- 11 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月06日(月)18時40分36秒
- 暫らくして…
ヒカルが食卓に、食器を並べ始めていた頃。
ピンポ〜ン
狙い済ました様に、チャイムの鳴る音が聞こえて来る。
「は〜い。今日も時間ピッタリやなッ…。」
亜依は一瞬だけ時計を見ると、料理を作る手を一時中断して玄関の方へと歩いて行く。
ヒカルの家の台所から玄関までは少し距離が離れていて、しかも玄関へと続く廊下が90度曲がっている為に、壁が死角となって台所からは玄関の様子を見る事が出来ない。
そんな状態の中で、ヒカルはある事を考えていた。
“フフフッ…、まぁ〜毎朝決まった時間に訪ねて来る様な奴は、アイツらしかいないなッ…”
どうやら一連の出来事は、ヒカルにとっては日常の事となっている為に、今更見に行かなくても大体の想像はついてしまうようだ。
ガチャッ
亜依が玄関の扉を開けると、そこにはふたりの可愛い女の子が立っている。
「おはようございますぅ〜!!おば様ッ。」
最初に八重歯の可愛らしい女の子が、満面の笑顔で元気良く挨拶をする。
「亜依さん、おはよう御座います。」
続いて青い眼の美しい少女が、礼儀正しく深々とお辞儀をする。
「おはよう!来夢ちゃんにノエルちゃん。二人ともよう来たなぁ〜。」
そう言うと亜依は、ふたりを家の中へと招き入れる。
- 12 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月06日(月)18時53分43秒
- 無邪気な悪戯っ子の様な表情で、亜依の顔を見ている八重歯の女の子〈辻来夢〉。
「おば様ッ。今日もお美しいですわねッ!」
そう言って亜依に笑顔(通称、天使の微笑み)を見せる来夢。
この笑顔には同性さえも、魅了する可愛さがある。
二人の様子を後で見ていた青い眼の少女〈高橋ノエル〉が声を掛けてくる。
「ウフッ、来夢ちゃんは調子が良すぎます。亜依さん、あまり信じちゃ駄目ですよ…。」
笑顔でツッコミを入れるノエル。
青い大きな瞳が、とても楽しそうに輝いている。
「ホンマ、二人は仲がええなぁ〜。まるで昔のウチらを見ているみたいやでッ。」
親友の娘達の可愛さや礼儀正しさに感心をしつつ、若き日の自分達の事を思い出している。
“そういえば…。最近、ののや愛ちゃんに会ってへんなぁ〜。まぁ〜お互い仕事が忙しいから、しゃあないか…。”
そんな事を思いながら物思いに耽っている亜依。
「グッヘヘヘヘ…」
傍から見ていると半笑いで少し怖いものがある。
「どッ、どうしたんですかおば様ッ?少し様子がおかしいですよ?」
半分顔を引き攣らせながら、来夢が亜依の様子を心配している。
ノエルに至っては、完全に退いてしまっている。
「うぅんあぁ、大丈夫やでぇ。ところで来夢ちゃんとノエルちゃんも一緒朝ご飯喰ってくか?」
二人の様子に気付くと、亜依が少し恥ずかしそうに顔を赤らめて、照れ隠しなのか二人を朝食へと誘う。
- 13 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月06日(月)19時26分33秒
- それを聞いて、先程まで固まっていた来夢だったが、急に態度を変えると、
「エッ、良いんですかぁ〜?ヤッタ〜!!」
と、本当に嬉しそうな顔の来夢。
こんな時に彼女は本当にいい笑顔をする。
それにこの食い意地が張っているところは、やはり彼女の血を引く娘と言うべきか…。
来夢の食に対する拘りと純粋さは、若き日の希美にソックリである。
そんな食欲魔人来夢を横目で見ながら…
「それでは私もお言葉に甘えて、お邪魔致しますね。」
こちらはあくまでも、優雅に礼儀正しくそれでいて、確固たる意志を持った返事をする。
それに来夢程ではないが、嬉しそうに微笑んでいる様子をみると、其れなりに喜んではいる様だ。
因みに、この時彼女の顔が少しだけ赤かった事に、本人を含めて誰一人として気付く者はいなかった。
2人の顔を交互に見ては、亜依は少し笑いが込み上げて来る。
“来夢ちゃんの食欲はのの並みやなッ、年頃の娘がこれで良いんやろか?ノエルちゃんは相変わらず優等生や、ヤッパリ愛ちゃんの教育やろなッ。”
「そじゃあ〜、決まりやなッ。」
そう言ってダイニングルームへと案内する。
「お邪魔しまぁ〜す。」
「お邪魔致します。」
来夢とノエルは亜依の後をふたりでダイニングルームへと、付いて歩いて行く。
- 14 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月06日(月)19時39分02秒
- また少しだけ更新しました。
それにしても作中での加護亜依の関西弁が、少し変な気がしますが…。
あくまでも、私が思う関西弁のイメージで書いているので、違った表現でもご容赦ください。
一応今回で、メインキャラの三人(ヒカル・来夢・ノエル)が出せました。
第一部はこの三人を中心に展開すると思います。
ではまた…
- 15 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月07日(火)22時06分23秒
- 二人がダイニングルームの前まで来ると、丁度ヒカルが食器を並べ終えてひと息ついているところだった。
ヒカルを見つけると、真っ先に天使の微笑み(対ヒカル仕様)で挨拶をする来夢。
「おはよう、ヒカル。今日も元気にハッピーしてる?」
幼馴染みにまで笑顔を振り撒いてしまうのは、既にそれが体に染み付いているからなのだろうか…?
そんな来夢を、半ば呆れながら、
「あぁ、おはよう…。まぁ〜ボチボチかな。」
などと、適当に答えるヒカル。
どうやら来夢の事が苦手らしい。
「なによぉ〜ッ!それが可愛い幼馴染みに対する態度な訳…?もう失礼しちゃうわ!!」
余程ヒカルの態度が気に入らなかったのか、来夢は少しむくれてしまう。
でもそんな姿さえも何処かしら可愛らしく見えてしまうのは、多分彼女の生まれ持った天性の美貌と才能が成せる業なのだろう。
- 16 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月07日(火)22時11分39秒
- そんな二人のやり取りを見ながらノエルは、俯いて今にも消え入りそうな声で挨拶をする。
「おはよう…、ヒカル君…。」
先程までの元気の良さは見る影も無くなり、どこか様子がおかしくなっている。
「おはよう!!ノエルちゃん。なんか元気が無いみたいだけど、どうしたんだい?」
元気の無いノエルを心配して、ヒカルが声を掛けて来る。
先程までの、来夢に対する態度とは雲泥の差だ…。
ヒカルの視線に少しビクビクしながら、
「うぅん、なんでもないの!そう…、何でも無いから、別に気にしないでッ!!」
そう言いながら、青い眼に涙を溜めて必死に否定している姿は、何処か儚げで男だったら守って上げたくなる光景なのだろう。
ヒカルは訳が解からないという顔をしてノエルを見ていると、それまで黙って見ていた来夢が、何かを察した様に二人の間に割って入る。
「ヒカル!!女の子を泣かせちゃ、駄目じゃない!!ノエル、チョット良いかな…?」
そう言って、ノエルと一緒に部屋を出て行く。
- 17 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月07日(火)22時13分07秒
- ダイニングに出て、廊下の隅まで来ると、来夢がノエルの顔を見ながら優しく語り掛ける。
「どうしたの、ノエル? なんか変だよ?何か心配事でもあるの?」
こんな時に来夢は、意外と役立ったりする。
ノエルは恥ずかしそうに来夢を見ながら、
「あのねッ、来夢ちゃん。実は…………。」
耳元で囁く様に話す。
「な〜んだ、そんな事…。それなら、私に任せて!」
そう言って胸を叩くと、来夢はノエルに微笑み掛ける。
ノエルも来夢に相談出来てホッとしたのか、少しは元気を取り戻した様だ。
「もう、用事は済んだんか?」
事の成り行きを見ていた亜依が声を掛けてくる。
「えぇッ。まぁ〜、大丈夫です。」
そう言って笑顔を見せる来夢。
後でノエルも、コクリと頷く。
「そうかッ。なら飯にするでぇ。」
そう言って、二人と一緒にダイニングへ戻っていく。
- 18 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月08日(水)15時05分01秒
- ダイニングでは、一人取り残されていたヒカルが憮然としている。
「話し合いは終わったのかい?それで、どうだったの?」
ヒカルは、二人が帰ってきた事に気付くと声を掛けてくる。
「どうって、訊かれてもねぇ〜ッ。」
「そうです。こればかりは、女の子だけの秘密です。」
そう言って二人は顔を見合わせると、お互い笑顔になった。
「チッ…。」
一人だけ仲間外れにされたヒカルは、軽く舌打ちをしたが…。
これ以上突っ込むのは止めておこうと思った。
何故なら、ここに居るのは母親の亜依を含めて女が三人、それに対して男は自分一人だけ…。
比較的大人しいノエルは別として、関西系マシンガントークの亜依や意外に毒舌の来夢と口喧嘩をした場合、十中八九敵いそうに無い事は非を見るより明らで、精神的ダメージを受けるのは容易に想像できてしまう。
そう言った状況を考えて、朝から憂鬱に成りたくは無いので、舌戦を避けようと判断した様だ。(『君子危うきに近寄らず』と言うヤツである。)
- 19 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月08日(水)15時20分12秒
- 「それえじゃ〜、冷めない内に朝ご飯にするでぇ…。」
辺りを見回して、全員がテーブルに着いた事を確認すると、亜依の号令で食事が始まる。
「「「「いただきま〜す。」」」」
ヒカルはまだ先程の事が、少し気になっているらしく。
“ノエルちゃん、どうしたんだろう?”
などと密かに思いながら、ノエルの方をチラチラと見ている。
この様子では多分朝食も、あまり美味しくはないだろう。
さて、来夢はというと…。
ノエルに相談された事など、すっかり忘れているのか、
“何から食べようかなぁ〜?”
と、考えながら凄い勢いで食べている。
もう頭の中は食べ物の事で、一杯で周りの事など眼中に無いようだ。
ノエルはそんな二人の様子を見ながら、ヒカルの視線に気付き…。
“どうしよう、ヒカル君がこっちを見てる…。来夢ちゃん、さっきの事……。本当にお願いね!”
と、一人でオロオロとしている。
本当に何処までも、真面目で純な女の子である。
亜依の方はというと、三者三様の反応を見せる子供達に、半ば呆れているようで、
“まったく、この子達を見いると飽きへんわッ。中澤さん達も、ウチやののを観てる時は、こんな気分やったんやろか?”
なんて事を思いながら、顔色一つ変えずに黙々とご飯を食べている。
流石は加護亜依、かなりの大物っぷりだ。
こうして、淡々と食事の時間は過ぎていく。
余談だが、この様な光景が毎日の様に繰り返されている加護家では、在る意味娯楽には事欠かないらしい。
- 20 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月09日(木)16時37分41秒
- ヒカル達が楽しく食事をしていると、時計の針が午前七時四十五分頃を差している。
「ホラホラ、早よう食べ終わって準備せんと…。学校に遅れるで!!」
いち早く食べ終わった亜依が、まだ食べ終わっていない子供達を急かす様に追い立てる。
「うぅんあぁ…。分かってるよ、母さん。今準備する…。」
ヒカルは食後のコーヒーを飲みながら、気の無い返事をすると自分の部屋へと戻り、学校に行く準備をする。
その横では来夢が、凄い食欲で黙々とご飯を食べている。(もう五杯目だ)
今の来夢には食べる事しか頭に無いらしく、周りの事などまるで頭に入っていない様だ。
それを見かねたノエルが、心配そうな顔をして来夢に声を掛ける。
「ねぇ〜、来夢ちゃん。そんなに食べてばかりいると太っちゃうよ。」
すると来夢は、丁度五杯目のご飯を食べ終わり、
「あぁ、大丈夫。私はパパ似だから太らないの。」
そう言って、亜依から六杯目のご飯を貰い食べ様としている。
確かに来夢は太らない体質らしく、いくら食べてもスタイルが崩れる事が無い。
“それにしてもこの子、チョット食べすぎやで…。どういう胃袋をしてるんやろか?”
亜依がそんな事を考えていると、準備を終えたヒカルがダイニングへと戻ってくる。
- 21 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月09日(木)16時42分31秒
- 「それじゃ、かあさん…。行って来ます。来夢、早く食べ終わんねェと置いてくぞ!」
「ヒカル君待って…。では亜依さん、私も行って来ますね。」
そう言ってヒカルとノエルが共に玄関の方へと歩き出す。
それ見て来夢は、急いでご飯を口の中に入れると、
「チョット、待ってよ。今行くから、置いて行かないでよ〜!!」
そう言って慌てて、ヒカル達の後を追って行く来夢。
「それじゃおば様、ご馳走様でした。行って来ま〜す。」
亜依に挨拶をして、玄関へと走っていく。
「あぁ、お粗末さん。それじゃあ、三人とも気を付けて行くんやで…。」
そう言って、玄関に出て笑顔で、子供達に手を振る亜依。
ヒカル達が、段々と小さくなって行く。
プルルルル……
三人を送り出して、直ぐに亜依の携帯に電話が掛かって来る。
「ハイ………そうです。……ハイ………解かりました。………問題ありません……ハイ………では、後ほど…………。」
そう言って携帯を切ると、どこかへ出掛けて行く亜依…。
時計の針は、午前8時頃を差そうとしていた。
- 22 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時43分48秒
- ― メテオグランド〈NOT-RL本部〉―
ドアに《 第三課第八研究室 》と書かれた薄暗い部屋の中で、一人の女性が黙々と何かをしている。
「ふぅ〜ッ…」
客員教授の辻希美は、掛けていた眼鏡を外すと一人溜め息をつく。
口許にチラリと見える八重歯が、実年齢より幼い印象を彼女に与えている。
“今日も、帰れそうに無いな…”
そんな事を思いながら研究資料を纏めていると、不意に誰かが訪ねて来る。
トントン…
「お呼びですか?辻博士。」
希美が後を振り返ると、モデルの様に美しい長身の女性が立っていた。
「フフフッ、飯田さん。二人きりの時は、昔の様に『のんちゃん』って呼んで良いんですよ。」
そう言って長身の女性〈飯田圭織〉に笑顔を見せると、自分の隣にある椅子を指し示して、
彼女に座るように催促をする。
- 23 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時45分41秒
- そんな希美の様子に少し安心したのか、圭織はプライベートな話し方に変わる。
「それで、のんちゃん。私を呼び出したのには、何か訳でもあるのかな?」
少し怪訝な顔で希美を見ながら、考えを巡らそうとしている。
希美は、黒くて深い闇の様な瞳で圭織の事を見ている。
ゾッとするほどの美しさだ。
「project NOA。人類を新たな可能性へと導く、次世代の技術…。」
希美は瞳を輝かせると、意味深な言葉を発する。
「圭織には何の事だか、イマイチよく解からないのだけれど…。」
圭織はそう言うと、少し不満そうに希美の顔を見ている
「まぁ〜、その内解かりますよ。」
希美はそう言うと、圭織の前を横切っていく。
「それで天才科学者の希美さん!!私は一体何をすればいいのですか?」
圭織は少し皮肉を込めながら、希美に自分の役割を訊く。
「飯田さんには、人を集めて欲しいのです。」
「人?」
「はい、このリストに書かれている人達を…。」
そう言うと希美は、一つのファイルを出して圭織に手渡す。
そのリストを受け取った圭織は、一瞬だけ戸惑った顔をするが直ぐに表情を整え。
「………解かったわ……。」
そう言って部屋から出て行く。
「それじゃ、飯田さん。頼みましたよ。」
圭織を見送る希美…。
圭織が出て行った部屋の中で、希美が一人呟く。
「動き出した運命は、もう誰にも止める事は出来ないか…」
― 第一話 「硝子の世界 〜fragile〜」 終―
- 24 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時46分53秒
- 次回予告
何時もと変わらぬ朝、繰り返される日常。
しかし少年たちは、まだ知らない。
世界に忍び寄る影を…
NEXT EPISODE
第二話「学園天国〜Let's get ready for our departure. 〜」
- 25 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時47分44秒
- 舞台設定と人物紹介(第一話)
―環太平洋特別行政都市群 エンディレナ―
加護亜依や辻希美達が住んでいる町。
西暦2006年に国連を発展させた組織〈地球圏統一連合〉の海上移民化計画の一環として、日本近海の太平洋上に建設された都市の集合体で、地球上の様々な最新技術がつぎ込まれた海上要塞都市。
人口の増加に苦しむ今の地球においては革新的な発明となっている。
エンディレナは連合政府の主要都市の一つとして、日本が加盟国を代表して管理をしている。
―メテオグランド―
エンディレナの都市の一つで、主に工場や研究施設が密集している。
NOT-RLの本部や連合軍の軍事研究所が在る。
最近、新型兵器が造られていると言う噂が流れている。
―NOT-RL―
Next Over Technology a Research Laboratory(次世代超技術調査研究所)の略。
軍事・医学・商業等の、あらゆる分野で調査・研究をしている民間の団体で、エンディレナの建設にも、深く関与している巨大企業という一面もある。
本部はメテオグランドに在り、世界各地に支部を持つ。
- 26 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時57分01秒
- 人物紹介(第一話登場者分)
加護 ヒカル(カゴ ヒカル:2007年11月3日生まれ・15歳・蠍座・AB型・男の子)
加護亜依の息子で、モーニング第二世代。
私立翔耀学園中等部3年D組の生徒。
色白の肌・キャラメルブラウンの髪・黒目の大きい瞳・幼く見える中性的な顔・しなやかで無駄の無いスタイル・男の子にしては低い身長(157p位)など、一見すると華奢で女の子(娘。時代の加護亜依に似ている)に見える程の美少年。
だが、本人はその事をコンプレックスに思っているらしく、「可愛い」と言われる事を内心で嫌っている。
性格は真面目だが少し内気なところがあり、その場の空気に流されては様々な災難(特に来夢絡み)に巻き込まれる不幸な少年である。
幼馴染みの来夢やノエルとは、幼い時に結婚の約束を両方にした間柄。(しかしヒカル自身は、その事をあまり憶えていない。)
最近、不思議な夢を見る。
輝く女性
ヒカルの夢に出てきた美しい女性で、何かしらの力を与えてくれた全てが謎の存在。
ヒカルの口振りから、ヒカルの身近にいる人物と思われる。
- 27 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時58分01秒
- 加護 亜依(カゴ アイ:1988年2月7日生まれ・34歳・水瓶座・AB型・女性)
元モーニング娘。四期メンバー
愛称「あいぼん」
モーニング娘。解散後に直ぐ結婚してヒカルを生むが、その二年後に夫が行方不明となり、現在はヒカルと親子二人で暮らしながら、エンディレナで私立探偵をしている。
相変わらず黒目勝ちな瞳と大きな胸は健在で、外見的には背が伸びて多少は大人っぽくなってきたが、元々童顔で実年齢より若く(二十代半ば位に)見える為に、初対面の人には子持ち(中学生)の人妻だとは思われていない。
性格は細かい事に気が付く気配りの人で、友人(希美)に言わせると、「アイボンは、明るく元気に関西弁を話すお茶目な人気者よ。(笑)」らしい。
昔は色々あって傷付き易かったが、今は大人になって精神的にも強くなっている。
ヒカルや友人達に隠している秘密が在り、時々怪しい行動をとる謎多き女性。
- 28 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時58分44秒
- 辻 来夢(ツジ ライム:2008年2月14日生まれ・14歳・水瓶座・O型・女の子)
辻希美の娘(第一子)で、モーニング第二世代。
私立翔耀学園に通う生徒で翔耀学園のアイドル。(因みにヒカル達と同じクラス)
老若男女問わず人気があり、本人非公認のファンクラブ〈辻来夢ちゃんを愛でる会〉まで存在する。
ヒカルやノエルは幼馴染みで、ヒカルとはよく喧嘩をしている。(でも嫌いな訳ではない。)
透明感のある白い肌・艶のある漆黒の長い髪・奥二重のパッチリとした大きな目許・紺碧の瞳・端正な作りの鼻・淡い桜色の唇・口許にある小さな八重歯・しなやかに伸びた手足・均整の取れたスタイル・天使の様な微笑み等のまさに絵に描いた様な美少女。
性格は天真爛漫だが意外と世渡り上手で抜け目が無く、頭の回転も速いので自分の事を如何に可愛く演出するかを心得ている。
また好奇心が強く何にでも首を突っ込みたがるので、トラブルを起こしては毎回の様に友人達(特にヒカル)を困らせている。
趣味は食べる事でかなりの大食いだが、肥らない体質らしくスタイルの良さを維持している。
因みに母親の希美と違って普段は確りした喋り方をしているが、興奮するとやっぱり舌っ足らずになり少し滑舌が悪くなる。
- 29 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)21時59分20秒
- 高橋 ノエル(タカハシ ノエル:2007年12月24日生まれ・山羊座・A型・14歳・女の子)
高橋 愛の娘で、モーニング第二世代。
日系フランス人クォーター(父親は日系フランス人のハーフ)
私立翔耀学園中等部の生徒で常識派の纏め役、中等部の生徒会長でもある。
ヒカルや来夢とは生まれた時からの親友で、何故か三人一緒になる事が多い。
白人系クォーター特有の白い雪の様な肌と赤みを帯びた金髪に、母親譲りの大きな瞳(碧眼)と鼻筋の通った高い鼻や濡れた桃色の唇・スラリとした長い手足等の、フランス人形の様な抜群のスタイルを誇る美少女。
大和撫子タイプの来夢とはまた違った魅力があり、翔耀学園での人気を二分している。
また母親の影響で幼い頃からバレエを習っており、姿勢の美しさと柔軟さ・音感には天性の才能を感じさせる。
性格は礼儀正しくて、人一倍責任感が強く真面目で頑固、何でも仕切りたがる為に気が強いと思われ勝ちだが、実際は涙脆くて傷つき易いナイーブな一面も持った年頃の女の子である。
- 30 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)22時00分25秒
- 辻 希美(ツジ ノゾミ:1987年6月17日生まれ・双子座・O型・35歳・女性)
元モーニング娘。四期メンバー
愛称「のの・のんちゃん」
NOT-RLの客員教授。
モーニング娘。解散後、猛勉強をして理系の大学に進み機械工学や量子物理学などを専攻、在学中に数々の博士号を取得して天才科学者と呼ばれるまでになる。
相変わらず口許に八重歯があり、緊張すると舌っ足らずの独特の喋り方になるが、普段は白衣に(伊達)眼鏡の知的な風貌をしたクールな才女で、加護亜依と同様に実年齢より若く(二十代半ばに)見えるが、幼さも抜けて娘。時代とは180度イメージが変わっている。
因みに加護達、元年少メンバーとは今でも良き友人として付き合っている。
基本的に性格は昔と変わらずおっとりしているが、眼鏡を掛けると頭の回転が速くなり少し高飛車(自分の理論には絶対的自信を持っている科学至上主義者)になる、軽い二重人格者だが本人はその事に殆んど気付いていない。
現在、〈project NOA〉と言う謎のプロジェクトに関与している。
- 31 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月14日(火)22時01分05秒
- 飯田 圭織(イイダ カオリ:1981年8月8日生まれ・獅子座・A型・41歳・女性)
元モーニング娘。の初期メンバーで、二代目リーダー。
愛称「カオリン・いいらさん」
NOT-RLの関係者で、辻希美の上司らしい。
モーニング娘。解散後に画家として世界各地で名を上げるが、ある日突然引退を表明してNOT-RLに入社、希美の上司となりプロジェクトを手伝う事となる。
茶色に染めた長い髪と目鼻立ちのハッキリした顔、モデル並みのスタイルと美貌を誇る妙齢の女性で、元メンバー達の憧れとなっている。
性格は本人曰く癒し系らしいのだが、友人達には天然ボケだと思われている。
人生経験を積んで交信する事も少なくなってきたが、一度考え込むと暫らくは思考が飛んでしまい、周囲の人に心配される事も多い。
希美の事を実の妹の様に可愛がっている。
- 32 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月22日(水)02時26分57秒
- がんがれー
- 33 名前:名探偵( ‘д‘)と天才( ´D`)のコーナー 投稿日:2003年01月24日(金)14時29分56秒
- (‘д‘)<はいっ、突然始まった。名探偵(‘д‘)と天才( ´D`)のコーナーなんですが…。
( ´D`)<作者!!下らん事遣ってないで、早く続き書くのれす。
(‘д‘)<まぁ〜、言うたりいなや。作者も次回予告をしたは良いが、なかなかアイディアが浮ばんで悩んでるらしいで…。
( ´D`)<それで、場繋ぎのこのコーナーれすか…。
(‘д‘)<そういうこっちゃ。
( ´D`)<全く、役に立たないふにゃ◎◎れすね。
作者(T_T)<ヒドイよ…。ののたん。
(‘д‘)<ところで、のの。何かうち等、大人に成ってるみたいやな。
( ´D`)<そうれすね。子供まで居ますし…。
(‘д‘)<そうそう、ヒカルと来夢ちゃんやな。
( ´D`)<自慢の娘れす…。
(‘д‘)<ウチのヒカルだって、負けへんで…。
( ´D`)<二人とも、可愛いのれす。
(‘д‘)<そうやな。フフフフッ…。
( ´D`)<そうれす。てへてへへへへ…。
- 34 名前:名探偵(‘д‘)と天才( ´D`)のコーナー 投稿日:2003年01月24日(金)15時16分59秒
- (‘д‘)<そう言えば、のの。さっきから漢字で喋ってるが…。お前、喋れたん?
( ´D`)<もう、どこまでも失礼なアイボンれすね…。
○-○
( ´D`)ノ サッ
( ○D○)<私は天才科学者、辻希美。天才の私に、不可能は無いわ!!
(;‘д‘)<そッか…。それは良かったな…。(汗)
( ○D○)ノ<私の理論は、宇宙一〜ッ…(恍惚)
(;‘д‘)<もしも〜し、ののちゃ〜ん…。戻ってきてぇ〜な。(焦り)
( ○D○)<ふふふふははははは…。(陶酔)
(`д´)<いい加減にせい。
(`д´)≡○(TDT)<痛いケロ、痛いケロ。
(‘д‘)<ところで〈project NOA〉って、何や?
(;´D`)<ウッ、それはまだ言えないのれす。(逃)
(`д´)<オイッ!コラ待てや!!
(‘д‘)<ヤレヤレ…。ののも逃げてもぉ〜たし…。それじゃ〜あ、また来るで!
- 35 名前:千賀崎敏昭 投稿日:2003年01月24日(金)15時25分45秒
- 取り敢えず、場繋ぎに(‘д‘)と( ´D`)の雑談を入れてみました。
本編の更新は今月中、遅くても来月頭にはしたいと思います。
>>32さん
ありがとうございます。
なんか、初めて自分以外のレスが付いて、正直嬉しいです。
これからも、応援して頂けると、幸いです。
それではまた…。
- 36 名前:名前無いよ 投稿日:2003年01月26日(日)22時22分06秒
- 設定からとてもしっかりしていてストーリーもおもしろいです
頑張ってくださいね
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月07日(金)16時36分23秒
- 放置なんてしないよね?
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