ツジノコイ

1 名前:木琴 投稿日:2003年01月07日(火)20時47分23秒
初めて小説を書くので、どうなるのかわかりませが、
よろしくお願いします。

題名どおり、辻が主人公です。
2 名前:木琴 投稿日:2003年01月07日(火)20時49分30秒
「安倍さん」
「どうした、のの?」
「相談があるんだよね、、、」
「なになに?何でも安倍さんに相談してみ」

珍しく真剣な表情の辻。
辻は恋をしていた。別に恋をしたのは初めてじゃないし、付合った事もある。
でもモーニング娘。になってから真剣に恋をしたのは初めてなのだ。
しかも、相手は友達の友達でいわゆる芸能人ではない男の子。
そんな、関係も辻の考えを臆病なものにしていた。
2人だけで、デートのような事もしたが、それからどうして良いか分からなくなって
しまったのだ。
そこで、今一番話しやすくて、モーニング娘としても長い安倍に相談してみたのであ
る。
3 名前:木琴 投稿日:2003年01月07日(火)20時51分09秒
「そっか〜。急にモーニング娘であるののに告白されたらあっちも、ビックリしちゃ
うかもねー」
「そうなんですよね。どうしていいかわかんなくて」
「いやーののも恋で悩むようになったか〜。この前まで、食べ物に夢中で焼そばで泣
いてたのにねー」
「それは言わないで」
「ごめん。ごめん」
そう言うと、安倍は腕をくんで、う〜んとうなった。
ようやく真剣に考えだしたようだ。
「そうだな〜なっちだったら、まずその人と友達みたいになって、なっちの事を良く
知ってもらってそれから、告白するかな〜」
昔の事を思い出しながら話してるのか安倍の顔はちょっと嬉しそうだ。
「他の人には相談してみた?」
辻はふるふると顔を横に振る。
「加護にも?」
「あいぼん、何かこの前、彼氏と酷い別れ方したみたいで、『男なんて、もう信用で
きひん。うちはよっすぃーがいればそれで十分や!!』って凄い荒れてて、今恋の話
を相談できる状態じゃないんだよね。」
「そうだったの?なっち全然知らなかったよー」
「でもなっちだけじゃなく、いろんな人に相談してみるのもいいかもよ。結構みんな
上手くやってるみたいだし。でもスタッフの人には絶対相談しちゃだめだよ。事務所
とうして相手に会わないようにって根回しされちゃった子もいるからね。まあ辻の場
合は大丈夫か、普通の人だし」
4 名前:木琴 投稿日:2003年01月07日(火)20時52分41秒
「とにかくがんばんなよ。何かあったらまた相談しにきな。安倍さんが細かく指導し
てあげよう」
「うん、ありがとう。いもっ」
辻はぺこっと頭をさげてその場をあとにした。


ー数秒後ー
「いも、言うなー!!こら−!もう相談のってあげないんだからー!!」
あやうく追い掛けられそうになったので、辻は急いでスタジオをでた

5 名前:木琴 投稿日:2003年01月07日(火)20時53分55秒
横には真剣に自分の顔を見ているののがいる。
自販機でジュースを買っていたところをののに声をかけられたのだ。
そして近くのイスに二人ならんで座り、ジュースを飲みながら話していた。
石川は相談を受けるというこの珍しい状況がとても気持ちよかった。
どちらかというと、石川の場合自分が相談する事が多く、
加護に慰められたりすることも多い。
しかしこの状況に酔いしれているからと言って彼女にステキなアドバイスができると
はかぎらない。

6 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)15時45分38秒
辻へのアドバイスでそれぞれの個性が出そう。あと、加護の『男なんて、
もう信用できひん。うちはよっすぃーがいればそれで十分や!!』
にヤヤウケ。ホントに言ってそうです(w 頑張って下さい。
7 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)14時48分00秒
さっそく、レスありがとうございます。

この小説は
普段はこんな感じなんだろうなあ、という想像と
こんなだあったらいいなっていう、妄想のもと
かこうと思っているので、けっこう淡々としてるかもしれません。
8 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)14時54分29秒

「ん〜そ〜だな〜。私の場合はだいたいあっちからだから、そんなに悩まなかったけ
ど、とかいって、スキスキ光線出しまくったんだけどね。キャッ、恥ずかしい!」

いろんな人の意見を聞いてみるのがいいと言う安倍の提案から、たまたま暇そうにし
ていた梨華ちゃんに声を掛けてみたものの。辻の中には後悔の嵐が吹き荒れていた、
しかし、梨華ちゃんはなおも続ける。

「そうだよ!ののも、スキスキ光線だしちゃいなよ。これで成功間違いなし!ねっ?」
辻は聞くのを少しためらっていた、しかしなんというか恐いもの見たさ、聞きたさ?
で、思わず聞いた。

「その、、、スキスキ光線って何?」
「スキスキ光線って言うのは〜、例えばじっーと相手を見つめるとか〜、
いつもその人の右手を占領するとか?かな?2人でデートの時はこれで決まり!」

そんな梨華ちゃんみたいに、あからさまなぶりっこなんてキショくて私には出来ない
と思たがそのことは口にださなかった。

9 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)14時56分06秒
「これは、私がごっちんから伝授してもらった方法だから、大丈夫だよ〜。」
不安そうに見つめる辻に気付いたのだろうか、、、
梨華ちゃんは眉をハの字にしている。

辻は思った。
ごっちんとアゴンの、スキスキ光線は全く違うものなのではないか
ごっちんのそれはもっとさり気ないものなのではないだろうか。
アゴンが勝手に解釈を間違えて行動してしまっているのではないのだろうか
しかし、それでアゴンは成功している、なんだかんだ言っても、アゴンには常に彼氏
がいる。アゴンにはその方法が合っているだ。
でもやっぱり、私には出来ない。ここは一つその伝授した師匠に聞いてみた方が良さ
そうだ。

「ありがとう、後でごっちんにも聞いてみるよ」
「そうだね、でもごっちんとは来週まで会えないよ」
「あっ」
そうだった、ごっちんは卒業したんだった。今度会うのは来週のハロモニ収録の時だ。
辻は少し寂しい気分になった。
10 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)14時59分37秒
辻は控え室にもどってきていた。
そこにはなにやら真剣に雑誌を読む紺野ちゃんと愛ちゃん、
そして、あほっぽそうにはしゃぐあいぼんとよっすぃーが時間を潰していた。
そう、この前まで自分もあの二人の中に一緒に入って遊んでいた。
というより、むしろ自分が先頭にたってあほ三昧していた。
でも今はそんな気分になれない。

そこで、目に止まったのは紺野と高橋だった。
(やっぱり、相談するなら年上よりも同年代の方がいいよね。)
そう思った辻は二人の側に行った。

「何読んでんの?」
「あーこれですかー?秋の食べ物特集なんですよ。色んなお店が載ってて」
「辻さんも〜見ますか〜?」

秋の食べ物という言葉に惹かれ辻もその雑誌を覗いてみた。
何やら色んなお店やそこで出している料理が紹介されている。
11 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)15時01分46秒

「ここも行ってみたいんですよねー。でもこっちもいいなー」
紺野はいつもに増して真剣な顔をして悩んでいる。

「どれどれ?」
辻は紺野の指をさした所を見た。そこにはほんっとに美味しそうな、焼き魚の写真が
載っていた。

「紺野ちゃんも渋いね〜でも、美味しそうー!!」
「そうだ。今度一緒に行きましょうよ辻さん」
「うん、行こう行こう。次に、仕事早く終わる日っていつだっけー?」
「たしかー」

高橋が予定表を取り出して確認している。
「あさってやて」

12 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)15時03分19秒
「あさってかー。じゃあ、あさって仕事終わったらいこうよ。あいぼんも行くかな?」
「あいぼんも行くー?」
私はアフォコンビに聞こえるように大きな声で言ったのだが。

「きゃはは、よっすぃ−やめてーきゃはは!!」
「やーめなーいーぞー」

まったく、効果がなかったようだ。

「全然聞こえてねーよ。まあ後でいいや」
「じゃあ私も後で真琴っちゃんとかさそってみます」
「うん。そだね」
「はい!完璧です」

ちょうどその時、保田さんが控え室に入ってきた。
「つじー、かごーあんたたち次だって、」
「はーい。私行くね。」

「あいぼんも、もうすぐだかんねー!」

返事は最初っから期待してなかったので、
答えを待たず、控え室をあとにした。

13 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)15時04分31秒
スタジオへ向かう途中辻ははっとした。
私は花より団子をもう卒業したはずだったのに、
紺野ちゃんのペースに乗せられて恋の相談をするのをすっかり忘れていた。
あの彼は私の中で焼き魚に負けたのだ。
私はそのことに少なからずショックを受けた。
もちろん彼に対してではなく自分に対してである。

そんな時
向こうからさっそうと歩いてくる、飯田さんの姿を見つけた。
こうやって見るとまるでモデルさんのようだ。
飯田さんにも相談してみようか?辻は一瞬そう思ったが、
急いでその考えをかき消した。

14 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)15時13分42秒
ああ見えて、飯田さんは恋多き女性だ。
まあ、たくさん恋するのはよいのだか、毎回深く入り込んでしまって
仕事にも影響がでていた。目を腫らして仕事場に現れた事もしばしばだ。
きっと交信の半分は恋愛のことだろう。
その姿を見ていた辻は、この人には恋の相談はしないでおこうと心に決めていたのだ。
それにあの彼は今さっき、焼き魚に負けたばかりではないか。

「おー、のんちゃん、次?」
「うん」ただそれだけで、すれ違うはずだった。

飯田さんは、リーダーになった時、
「やっぱりリーダーはみんなに平等じゃなきゃいけないとおもう。カオリがのんちゃ
んばっかり、可愛がってたら、みんなずるーい。ってなっちゃうでしょ?」と言って、
それまでのように、いつも一緒ってことはなくなったんだけど。

最近ではどうも、それもつまらなくなってきたらしく、飯田さんからは、かまいたい
モードまんまんな雰囲気がにじみ出ている。

15 名前:木琴 投稿日:2003年01月10日(金)15時16分31秒
「恋の相談ならカオリがいつでものるよ。
なんてったってカオリは恋い多き女だからね」

だから、相談できないのだ。と思ったが、ふと気がつく。
「なんで飯田さんそのこと知ってんの!?」
「えーだって、石川がいってたんだもん。ののが悩んでるって。
上手くアドバイスできなかったかも(石川の真似)、、、ってまたネガティブ入って
たから、大丈夫カオリ姉さんにまか」
「ちょっとりがちゃ〜ん!!!」辻は飯田の話を最後まで聞かないうちに走り出した。

「おーい辻〜まだ話し終わってないよ〜!いいの恋の相談はー?」


16 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時21分34秒
「ちょっとりかちゃ〜ん!」

いそいでスタジオに入り、
人の多いスタジオの中からりかちゃんを探す。



居たっ!

なにやら、メイクさんと楽し気に
話しているりかちゃんの後ろ姿を見つけた。

標的を絞った辻は、そもままスピードを落とさずに
背中からりかちゃんに突っ込んだ。
「うげっ」

普段は絶対に出さないような低い声が反射的に石川の口から出でていた。
これはとても貴重だ。
17 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時22分59秒
「ちょっ、ちょっとののなにすんのー!!」
石川はまだ起き上がれずに腰を押さえている。


そして、石川の隣にいたメイクさんはこの衝撃的なハプニングに
ただただ目を見開いていた。
きっと、この人はこんな事を考えていたであろう、


「私モーニング娘。じゃなくてよかった、、、」


そう、こんなところにもモーニング娘。であるがゆえの苦労があるのだ。


18 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時24分14秒

辻は石川の手を掴むと強引に立たせて、スタジオの隅に連れて行った。
「痛いな、のの放してよ」
「なんで、あの事言っちゃうの!」

「・・・・。」

「私には何の事かさっぱりわかりません。
みたいな顔してもだめだかんね。 飯田さんに言ったでしょ」

「だって〜、私上手くアドバイスできなかったから、、、
ののちゃんの為を思って相談したんだよ」

「相談は自分でするから、いいの!もう、
他のメンバーに言ってないよね。あいぼんとか」

「言ってないよ〜。」
しかしその声はちょっと弱々しい。



「いったんでしょ!」
「メンバーにはいってないよ。」
この時辻はとてつもなく嫌な予感がした。

19 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時25分17秒
「もしかして、、、」
「メイクさんに、、、けど大丈夫だって、あの人私も色んな事相談してるから」

「りかちゃんさー前、急に彼と連絡取れなくなったとかいって、
騒いでなかったっけー?」
「えっ?それって、もう半年も前の話でしょ。よく覚えてるねのの。
それがどうしたの?」
「なんでもない。もういいや、このこともう他の人には言わないでよ。」

「言わないよー、言って欲しくないなら初めからそういってよー。」

「辻さーん、お願いしまーす」
スタッフの呼ぶ声が聞こえるどうやら私の順番が来たようだ。

「梨華ちゃんもさ、あんまり自分の事、スタッフの人に話さない方がいいよ」

私はそれだけ言ってスタジオのまん中へ急いだ。



「えっ?なんで、ねえ、ちょっとのの!」


20 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時26分43秒
いつのまにかあいぼんはすでにスタンバってて、私をまってた。


今日もあいぼんと私二人で、スチール撮り、
いったい私達は何回このコンビで撮影をしたんだろう。
何百回、いや何千回だったりして。

まあ、そんなだから、なにも言葉に出さなくても
お互いどんなポーズをするかもわかるし、勝手に体を動かしても
なんとなく合っちゃうんだよね、

あーあ、そういえばメイクさんに知られちゃったんだよね、
どうしようかなー。私の相手は芸能人じゃないから、
向こうに言う事はないかな

私の監視とか厳しくなっちゃうのかな。注意とかされるのかな。
親に言われたらやだなー。
うちの事務所っておかしとか体系には厳しくないんだけど、
恋愛の事となるとうるさいからなー。急に和田さんとか出てきたらどうしよう。

もう、ほんとに梨華ちゃん余計な事して、
まあ自分の事も気がついてないくらいだから、悪気はないんだろうけど。


、、、おっといけない、今は撮影中だった。
すっかり遠い所へ行ってしまった。

21 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時27分51秒
でも、大丈夫。
頭でどんなことを考えてても、顔だけは笑えるようになっちゃってるから。
まあ、娘はみんなそうだと思うけど。

きっとあいぼんだって、どうせ、これ終わったら何食べようかなーとか考えてるはず。

なんて考えてあいぼんを見るとふと目があってしまった。
「てへへ」
「えへへ」
なんてお互いごまかし笑い。
もしかして図星かな?

「はいok。お疲れ様」
急にカメラマンの声がしてちょっとびくっとなってしまった。

「次は石川と吉澤なんだけど、、、」
と言いながらスタッフはスタジオを見回して二人を探した。
するとスタジオの隅に膝をかかえて小さくなって座っている石川が目に入る。
ネガティブモード全開だという事が遠くからでもわかった。

しかし、そこは娘。スタッフ。あせったりはしない。
最近はそんなに頻繁ではないが、石川の落ち込んでる場面には何度も遭遇している
どうすれば、元に戻るかも心得ていた。

22 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時28分49秒
辻、加護もなんら気にも留めない。
辻に至っては原因が自分にあるにも関わらずだ。
「石川はいるね。吉澤はいないみたいだから、
吉澤呼んできて、次だから。その間にあれどうにかしとくからさ」
とスタッフからお願いされて。

「あーい!」
と元気よくこたえ、
二人ならんで、楽屋へ向かった。

「ねえ、あいぼん撮影の時、ごはんの事考えてたでしょ?」
「あー、ばれてたー?」
「カメラマンの目は騙せても、のんの目はだませないぞー」
「なんやとー、そういうののこそ、考え事してたやん」
「!」
「よっすぃーの目はごまかせても、うちの目はごまかせませーん!」

なんでそこによっすぃーが出てくんのか分からないけど、さすがあいぼん。

「何か悩みでもあるん?」
「。。。。」

23 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時30分12秒
あいぼんに話してしまおうかと思ったけど、
なんかやっぱり気が引けてどうしようか迷ってたら

「なんや、うちには、話せないん!」
なぜか、あいぼんは怒り口調で、
そんなあいぼんに私はちょっとカチーンときてしまって、、、

「別に、全部あいぼんに話さなきゃいけない決まりとかないじゃん!」
 なんて言ってしまった、

「まあ、うちに話したくないんなら別にいいけど」
そういうと、あいぼんはてってってっと走っていってしまった。

「あいぼん、、、」

独りおいてかれて、辻はとぼとぼと楽屋への廊下を歩いていた。
はーあ、あいぼん怒らせちゃった、
でも今のあいぼんに好きな人がいるなんていったら、

「うちがこんなに辛い思いしてる時に、独りでうかれちゃって、
そんな人、友達に持った覚えないわー!」
とか言われちゃったりして、、、、やっぱ言えないよね。
24 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時31分34秒



「のの、のの!」
「ふぇ?あっ、よっすぃー」
「「あっ、よっすぃー」じゃないよ、大丈夫?」心配そうに辻の顔をのぞく。

その顔を見ているうちに辻は思い出した。
「よっすぃー、次だって」
「それもう、加護から聞いたから。だからここにいるんじゃん」
「あ、そっか」
「ねえ?まだ加護に悩みは聞いてもらってないの?」
「えっ、どうして」

だってさっき、ののが楽屋から出て行った後に、加護がさ、、、

「ねえよっすぃー、なんかのの今日元気なくない?」
「そーかなー、私にはいつもの食いしん坊ののにしか見えなかったけど」
「ねえ、紺野ちゃんも、そうおもわん?」加護は吉澤にだっこされながらも、
 真剣な顔つきだ。
「私も特には、、、」
「何か悩んでるように見えたけど、うちには言えん事なんかな、、、」

25 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時32分35秒
「って言ってて。しかも今も私に気付かずにぼーっと歩いてたからさー。
やっぱり加護の言ってた事は正しかったのかなって思ってね」
あいぼん、そんなこと言ってたんだ。


「吉澤さーん!ここに居たんですか。今ちょうど、石川さんの調子がいいんで
今のうちにお願いします。」
スタッフが焦った感じで走ってきた。

早く早くと言わんばかりの態度でスタッフは吉澤を連れて行こうとする。

吉澤は一瞬頭の上に?マークを付けていたが、「あぁ」と納得すると
スタッフと走ってスタジオの方へと行ってしまった。


「また梨華ちゃんネガティブだったんですか?」
と笑いながら言う吉澤の声が聞こえた。
26 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時34分38秒

そして色々考えているうちに、私は楽屋のドアの前まで来ていた。
でも、まだあいぼんになんて言おうかかんがえてなくてはいりずらい。

そんなことをドアの前でモジモジ考えていたら、

「おーい辻ー何ぼーっとしてんだよー!あぶないじゃんか!」
勢い良くドアが開いて誰かとぶつかってしまった。
矢口さんだ。

「矢口さんがちっちゃすぎて見えなかったんですよ」
ちょっとイライラしていた私は聞こえないくらいの小さな声でぼそっと言ってみた。

「何?今なんかちっちゃいとか言わなかったか、ちっちゃいって言ったよな
ちっちゃいって、もー加護といい辻といいなんなんだよ!」

「矢口、さっきから、なにちっちゃい連呼してんのよ」
矢口さんの後ろに居て楽屋から出られずにいる保田さんがしびれを切らして
口を開いた。

「だって辻がこの場におよんでおいらの事ちっちゃいとかいうんだもん!」
「辻言ったの!」
保田さんが「きっ」と音が鳴る位の眼力で私を見た。

27 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時35分35秒
ちっちゃいと言った事はたいして悪いと思わなかったが
あの眼に圧倒されてつい私は嘘をついてしまった。
「い、、、ってません」

「ほら、言ってないってよ、あんたの聞き間違いでしょ。
いつも、気にしてるから何でもそう聞こえちゃうのよ」
「えー、なにそれー!」
「もう、わかったから早くそこ退いてよ」
「わかったって何がだよー」
矢口さんはすっかり私の事など忘れ、
「加護だって絶対さっきちっちゃいっていってたもん!」
とか言いながら、ケメコ、じゃなくて保田さんの後を付いて行ってしまった。


私はそーっと、ドアから控え室の中を覗いて、あいぼんの姿を探す。

居た。

28 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時36分41秒
背中しか見えないけど、明らかに機嫌がわるそう。周りも、
触らぬ神にたたりなしといった感じでそばには行こうとしていない。
あの愛ちゃんでさえも。
私はとりあえず、安倍さんの所に行くことにした。

安倍さんは私を見つけるとちょとちょとと手招きをして小さい声で聞いてきた。
「ちょとのの、加護となんかあったの?」
いきなり確信をつかれてしまったようだ。

「いやーちょっとねー」
「ちょっとねー、じゃないでしょ、さっきから部屋の空気がピリピリ
しっぱなしだよー。みんなにも迷惑になるんだから、、、喧嘩でもしたの?」
「どうしよう?」
「どうしようって、そんなの、何にも聞いてないのになっちに分かるわけないっしょ」

「そうだよ、のんちゃん喧嘩はよくない!」
急に飯田さんが二人の後ろからぬっと出てきた。
29 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時37分24秒
「ちょっ、圭織びっくりさせないでよ」

「ここはお仕事する所なんだから、みんなに迷惑かけちゃだめ」
飯田さんは安倍さんの言葉が全然耳にはいっていないご様子。
「喧嘩してたら良い仕事も出来ないよ、ファンのみんなには分かっちゃうんだよ」
飯田節が調子づいてきたその時

「もー圭織、ののにはなっちから言うから、圭織は加護に言ってきてよ」
「えー、だって、あ−ゆー時の加護めっさ恐いんだもん」
「ちょっと、それでもリーダーなの?」
「リーダーだって、出来る事と出来ない事があるの!」
「この前までタンポポでも、一緒だったでしょ」
「タンポポんときは加護、良い子だったもん」
「あーあ。こんなリーダーだから、ののとあいぼん喧嘩しちゃうんだよねー」
「そんなことないよね。のんた、、ってあれ?」
「「辻は?」」

30 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時41分06秒
私はというと、あまりに居心地の悪わるかったのでみんなには悪いが控え室から
逃げ出していた。ごめんなさい。

「もーどうしよう。あいぼんそーとー怒ってるよ」

私は、今後の傾向と対策を練る為に自動販売機で買ったジュースを持ち廊下の椅子に
座ってその廊下の先を見つめた、いかにも何か考えているような顔をしているが実際
は何にも頭に浮んではいない。

「あれー辻さん。一人で何やってるんですか?」
「まこっちゃんに、お豆ちゃん」
二人を見るとなにやら、お菓子を手一杯にもっていた。

「楽屋いずらくって」
私はそのお菓子から視線をはずさず答えた。


「あー加護さんですか?」
小川は私の視線に気付いたのか、何も言わずに持っているお菓子を一つくれた。

「そういえばさっき、なんかごきげん斜めだった!」
新垣はぽっんと手をたたいて
 小川の言葉を聞いて、思い出した という風なべたな仕種をした。
31 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時42分35秒
「加護さんおこるとこわいですよね」
心底困った顔で小川がそう言うと
「そうですよねーホテルでよっすぃーに逆切れ事件は伝説ですよねー」
新垣が昔の事を思い出すかのように遠くを見つめている。

「一度怒っちゃうと、あいぼんはね」
私もあの時の事を思い出しながらうなずく
「たんぽぽの衣装がいやだって怒っちゃったときも1時間くらい押しましたしね」
新垣はまだどこかにいってしまっている様子

あれ、そん時って、お豆ちゃんってもう娘だったっけ?
私の頭に素朴な疑問が浮ぶ、、、

「まあ、加護さんを、どうにかできるっていったら、
後藤さんくらいしかいないですもんね、、、」
「はー」っとため息混じりに小川がつぶやいた。
32 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時44分52秒
「そうなんだよね、でも、ごっちんには来週まで会えないし、
どうしたらいいかな」

「そんな私達にきかないでくださいよ、
小川達より加護さんとの付合い2年も長いんですから。」

「そうですよ、寺子屋合宿から始まって、ミニモニ、ついには娘史上に残る伝説のユ
ニットぶりんこうんこ結成。私達には入る隙間もないですよ」

「お豆ちゃん詳しいね」
「ファンなら常識です。」
「そ、そう」

33 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時46分04秒
「でも、わかりすぎても、上手くいかな言っていうのもあるんだよね」

すると、突然、新垣は辻の肩を掴んで
「そんなこと言わないでくさい!辻さんと加護さんは、いくつもの困難を乗り覊えて
きたじゃないですか。1つのオーバーオールをめぐって争ったり、髪型真似したしな
いで喧嘩したり、中澤さんの卒業特番の中ですら2人して怒られたり、でもみんな2
人で乗り覊えてたじゃないですか!」と大熱弁。

「ちょっと、里沙ちゃん!」
急に変な事を言い出した同期をとめに入る小川。

しかし、新垣はそんな小川を振払い、
「私はモーニング娘。ファンとしてこんな簡単なことで、辻加護コンビが終わってし
まうはずがないと言いたいんです。そうでしょ辻さん?」

「そ、そうだね」
その迫力に押され辻は素直にうなずいた。
34 名前:木琴 投稿日:2003年01月14日(火)13時46分36秒
「すいません、気にしないで下さい。里沙ちゃん、最近おかしいんですよ、」
小川がかわりに謝る。

そんな小川をよそに、新垣はまだ強気だ。

「娘を思うファンなら当然です」

「わかったから、もう。里沙行くよ!
    娘ファンっていっても前はこんなじゃなかったんだけどな、、、」

新垣はずるずると小川に引きずられていった。

そして、また辻は一人になった。
結局あの二人は何のアドバイスもしてくれなかったわけだが、

35 名前:6 投稿日:2003年01月21日(火)10時43分44秒
アゴンにアフォコンビ、お豆ちゃんやいいらさん(交信中)など、
それぞれに愛が注がれていて作者さんホントに娘。が好きなんだなと感じます。
辻が過度に子供っぽくデフォルメされていないのもイイ感じです。
やはりここは加護がキーパーソンになるのでしょうか?極個人的に、
ひたすら甘かったり痛かったりする作調が少しおなか一杯だなと感じていた頃だった
ので(何様 ここの淡々とした雰囲気が好きです。でわ、また潜らせて頂きます。。
36 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時14分39秒
>6
そう言っていただけると
嬉しいかぎりです。
37 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時15分51秒


何で、ののにあんなこと言ってしまったんやろ、、、

ここは娘の控え室。部屋の隅のいすに座ってぼーっとしている。
もちろん、機嫌悪いビームは放ちっぱなしだ。

加護は別にののが隠し事していることに、怒っているわけではなかった。
加護にだってののに言わない事の一つや二つはある。

まあ、気にならないと言ったら嘘になるねんけどな。


しかし、加護が本当に気にしているのは、
最近ののが、どんどん大人っぽくなっていることだった。
38 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時16分33秒

加護は自分の体がどんどん大人になっていく反面、
大人になりたくないと思っていた。
自分みたいな子供の顔色を窺うような大人にもなりたくないし、
同じように努力してんのに自分ばっかり優先されるこんな状況も嫌になっていた。


それなのに、
辻は自分の成長を素直に受け入れていた。
何かあると誰かに相談したり頼ったりして前に進もうとしているのだ。
まあ、それは昔からだったが、
ののもそのうち自分みたいな考えになると思っていた。

「ののはきっと何も考えないから、あんな風にできんのや」
加護はそんな風に最近思っていた。

そこにきて、またののがなにやら、
みんなに相談しているのを見て、
加護はなぜかイライラしてしまったのだ。

あーあ、うちどうしちゃったんやろ、、、、


39 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時17分45秒
「つじー、つーじー」
頭の中聞き覚えのかる声が響いていた。

なんかよく知っている人な気がする、、、、誰だろ?
なんかごっちんの声に似てるような、
まさかねーごっちんはもう娘を卒業したんだから、
居るはずないよね。

じゃ誰?

じゃあもしかしてユウキ君?そうだそうだきっと、あの兄弟似てるからねーって
どう考えても、ユウキ君の方がいる確率すくないだろ、だってあいつは(ry
てことは、、、もしかして私の妄想?てゆか生き霊?

「おーい、つじーそんなとこで寝てると風引くぞー」

40 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時19分36秒
未だ頭の整理がつかない私だったが、だんだん視界がはっきりしてきた
目の前には、私の顔の前で手を振っているごっちんらしき人間が、、、
「ごっちん?」
「そうだよ、他に何に見える?」

いや、色々、ユウキとか魚とかsakanaとかサカナ?みたいな?
「ちょとーそこでだまんないでよー。辻元気してた?」
「あんまり、、、」

どうやら、私は知らないうちに寝てしまったようだ。

「あんまりってなにそれ、何かあったの?」
「なんでもない。それより、なんで今日ごっちんここに居るの?」
「あー今日ね、たまたま娘とスタジオ一緒だったの。私はこの後だけど。だから
みんなに会いに来たの。で、みんなは控え室?」
「うん。」

「じゃあ、控え室行こーっと。辻も一緒にもどる?」
「のんはいいや」
あの部屋に戻るのはちょっと、、、
41 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時20分46秒
「何ー?もしかして、またスタッフにでも怒られたか?」
ニヤニヤした顔でごっちんは私の顔を覗いてくる
「違います」
「じゃあ何さ」




「まったく相変わらずだねー」

ここでごっちんに会うなんて、なんといいタイミング!
とやっと今頭に浮んだ(寝てたからすっかり忘れてたんだよー!)
で加護の師匠であるごっちんいいアドバイスを貰おうと
あいぼんとの事を話したのだ。


「わかった、ここはゴトーがひとはだぬいであげよう」
ごっちんはなぜか満面の笑みでそう答えた。

以前だったら、ごっちんは絶対こうゆうごたごたには
あんまり関わらなかったのにどうしてだろう?
やっぱり、娘を離れるとなにか変わるのかな。

「いつまでも、世話がやけるねー」
なんて言いながらごっちんは私を連れて楽屋に向かった。
42 名前:木琴 投稿日:2003年01月26日(日)18時23分01秒

私達は控え室の前まできた、
もちろん、ごっちんはなんの躊躇もせずドアを勢いよく開ける

「加護ー!」

加護は急に名前を呼ばれびっくりしていたが、すぐに表情がパーッと明るくなり
声の方に駆け寄った。
「うんこどうしたのー?」
「うんこって言うなって言ってるでしょ!」
憎まれ口を叩きながらも加護は後藤にぴったり抱き着いている

周りからも
「どうしたのゴト−」
「あれ?ごっつあんじゃん」
「後藤さんだー」
などと色んな声が飛んだ。

「んーちょっと加護借りるねー」
「何かようですか?」
「まあ、いいから、いいから。すぐ終わるから」
43 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時18分01秒

メンバーとの挨拶も早々に、加護を連れて控え室を出る。

「!」

そこには、申し訳なさそうに、立っている辻が待っていた。
まさか、辻がいるとは思っていなかった加護は驚いて後藤の顔をみた。

「また2人で喧嘩したんだって?」
加護の顔がまたちょっと不機嫌になる。

「喧嘩っていうか、、、」

「ゴトーも、あんま時間ないから、さっさっと終わらせるからね。
辻の話は聞いたから加護の言い分を聞かせてくれる?」

加護の顔は完全にふてくされていて、、、
普通この顔の時は何にも話さない。

しかし、後藤は加護の目をまっすぐ見つめて加護が口を開くのを待った。
「ののが隠し事するから、、、」

小さな声で加護は答える。
「加護にだって辻に話せない事くらいあるでしょ」

「・・・・」
44 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時20分58秒
「でも他の人には何か相談してたやん」
加護は辻の方を見る事なく言葉を投げかける。
そんなことホントはどうでもいいんやけど。。。

「それは、、、」
本当の事なので辻はなにも言えなかった。

「加護は、辻が隠し事してることに怒ってるみたいだけど、
なんで辻が言わなかったかわかる?」


加護は、その質問には何も答えずただじっと、
後藤のことを見つめるだけだった。

「加護さー。この前、彼氏と別れたって言ってたじゃん?」
こんどは不思議そうな顔で後藤を見つめる加護。
きっと急に彼氏の話が出てきてびっくりしたのだろう。

「ごとーはあんまり、詳しい話はしらないけどさ、辻はそのこと気にしてたんだよ」

「何で?」
思わず加護は聞いていた。
45 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時24分34秒
「辻の悩みっていうは、恋愛の事だったの。だから、
辻は別れたばっかりの加護にこの相談はできなかったんだよ。
加護が傷つくと思ったから、でしょ?つーじー。」


「そうなんかのの?」


「だって、好きな人の話しとかしたら、あいぼん怒っちゃうと思ったんだもん。。。」
そう言った辻は申し訳無さそうにうつむいたままだった。

加護はそんなことなら、言ってくれればよかったのに、と思う反面、
今の自分だったら辻が心配していたとうりの態度をとってしまっていた
かもしれないと思いもあり、何も言えなかった。
でも、遠くにいってしまったような気がしていた辻が
なぜか、また近くに感じられた。

「加護はさあー、結構プライド高いところがあるかねー。
まあ、辻はそのことを一番よく分かってたってことだね。」

「お互いの気持ち、わかったでしょ?よし!なかなおりの握手。」
後藤は辻と加護の手をとり、なかば強引に握手をさせた。

「これでよしっと。じゃあ私は先に控え室にもどってるかんね〜。
よっすぃーに会うの久しぶりだな〜。2日ぶりかも〜」
と手をひらひらさせながら行ってしまった。

46 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時27分02秒
それから、なんとも言えない気まずい空気が漂っていたが、
それをやぶったのは加護だった。

「ごめんなのの。ののが気を使ってたなんて、全然気付かなくって」
「いいよ、隠し事みたいにしてたのんも悪いし」
2人の顔に笑顔がもどる。

「じゃあさ、あいぼんも、和食屋さん行く?紺野ちゃん達と行くんだけど」
「行く行く!でも、その前にやらなあかんことがあるやろ」
「?」
「こういうときは大人になってもええよな」
「なんのこと?」

あいぼんはその事には答えず、辻の手を引いてづんづん歩き出した。

47 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時28分47秒
「ゆーみーちゃん」あいぼんは満面の営業スマイルで話し掛ける。
「何あいぼん?」

「さっき、梨華ちゃんからののの話し聞いたよな?」
「!」ゆみちゃん(メイクさん)はあからさまにびくっとしている。

「わかっとんねん、そっちの立場も分かる、
 でもまた合コンの話があったりすんねんけどなー」
「えっ、まじ?」
「うん、しかも元ジャニーズとかなんやけどなー。」
「ホントに?したい、したい!」
ゆみちゃんの目がキラキラ輝き出した。

「じゃあ、さっきの話は、、、」
「聞いてないから私。大丈夫だよ辻ちゃん、
私はなーんにも聞いてないからねー」
ちょっと恐い笑顔でゆみちゃんは私を見た。


「じゃあ詳細はのちほど、と言う事で」
あいぼん何かキャラがかわってるよ

「うん、こういう相談ならいつでものるからねー、よろしく」
そういうと、ゆみちゃんは
まるで5cmくらい浮いてるかのような身軽なスキップで去って行った。
48 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時30分03秒
「これで、安心やな、のの」
「うん、ありがとう。でもあいぼん、いつのまにそんな約束を、よく連絡とれたね?」
「へっ?約束とかしてへんけど」

「はっ???」

「いや、だからまだ約束とかしてないし、かってにうちが今決めた」
「えー大丈夫なの、そんな勝手に話し進めちゃって」

「そんなん言うて、のんびりしてたら、
先に上に話が行ってしまうやろ、こういうのは
先手を打ったもん勝ちやねんて」
「な、なるほど、、、」

「大丈夫。こういうことはみんな大好きだから、
すぐにメンバーなんて集められるって」
「そういうもんなの?」
「そうゆうもんなんです!(カビラ風)」
49 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)14時32分10秒
「なっ?だから、ののも勇気を出して告白してみれば?」
「あっうん、でもねー、、、」
「もーそんなんだから、ののは太っちゃうんやで」
「むー、全然関係ないじゃん、それにあいぼんに言われたくない!」

「うちはいいんだもん、今彼氏おらんし!」
「のん、ちょっとやせたもん!」
「だから又太る言うてるやろー」
「あいぼんとよっすぃーは全然痩せてないじゃん」

「あー!!今、ののが言うたらあかん事言ったー!
 放送禁止な事言うたー!よっすぃーに言ってやろー」
「あいぼんが先言い出したんだろー!」
「なんやとー!!」
                          END、、、less?
50 名前:木琴 投稿日:2003年02月08日(土)15時06分56秒

すみません。
辻に恋をさせる事ができませんでした。

空板なのに結局短編で、終わってしまって、、、
あんまり、好きでもだめなもんですね。

スレッドが中途半端になってしまったので、
もう一個書きたいと思います。

もし板違いのようでしたら、忠告してください。
移動します。

              

             今度は長くつづけ、、、
51 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月08日(土)15時15分34秒

いつもとなんら変わり無い一日を過ごし、夕食を食べ終えた私は
ボーっと食後のコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。
テレビには歌番組の司会者と笑顔を絶やさずトークをする
一人の女性アイドルが映しだされている。

「あら、この娘。ひとみの学校の生徒の子でしょ?」
後片付けを終えた母が私の隣にくるなり聞いてきた。


「あー、でも、すぐ学校辞めちゃったよ。」
「そうなの、アイドルも色々大変なのね。
 それにしても、すごいわよね、こんなに有名になっちゃって、
 ひとみこの子と話した事あるの?」
なぜだか母は興味津々といった感じで私に聞いて来くる。

「部活が一緒だったんだけど学年も違うし、あんましゃべんなかった、
それに中学の時のことだしね」
「なんだ、そうなの?つまんないわね。仲良くなっとけばよかったのに」
何がつまんないのか私には解らなかったが
その疑問を解く事はせず、私は視線をテレビにもどした。
52 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月08日(土)15時18分03秒
『松浦は、初恋はいつ?』
『え〜と、中一の時ですかね?』
『オレに聞いてどうするんだよ。知らないよそんなの』
とつっこみつつも司会者の男はどこか嬉しそう。

『でも、中一ってことは、けっこう最近だよな。』
『そうですね。二年前ですからね』
『どんな人?』
『え〜と〜、吉澤先輩は〜、、、

「ブッ!」
「ちょっと!なにやってんのよ、あんた汚いわねー!!」
 あービックリした。急に「吉澤」なんて言うから
思わずコーヒー吹き出しちゃったよ。

「もしかして、、、吉澤ってみとみの事じゃないわよね。」
「そ、そんなわけないじゃん。どうせ同じ名前の別の人でしょ。それに私、女だよ」
「それもそうね。だったらそんなに驚くことないじゃない」
「そうだけど。。。」
53 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月08日(土)15時19分51秒
『あっ!!名前言っちゃった〜!ここカットして下さい。カット。』
おそいよ。

『できないでしょ。これ生だよ。大丈夫、大丈夫、今頃テレビの前で
その先輩喜んでるよ』
いや、迷惑だろ。

さっきの「驚き損」で機嫌の悪くなった私はいちいち、心の中で突っ込んでいた。

『そうですかね。じゃあ、』
『『吉澤先輩見てますか〜』』
などと言いながら、松浦亜弥は司会者も巻き込みカメラに向かって
のんきに手を振っている。

あーあー。誰かしらないけどその吉澤って人かわいそー。
『あれ?でも松浦って女子校じゃなかったっけ?もしかしてその人って女の子?』
『そうですけど、』
へっ?
『あれですよ。憧れみたいなかんじで。
部活の先輩だったんですけど。その人、凄く人気あったんですよ。ファンとかいて』


んぁ゛ーーーーーー!?


54 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)16時15分43秒
面白そう。期待。
55 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)22時06分11秒
同じく、期待してます。
56 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月09日(日)00時01分39秒
ツジノコイから見てますた。
がんばってくらさい。
57 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月09日(日)18時28分45秒
巧いなぁ。
娘。が好きだというのが伝わってきます。
これからも頑張ってください。
58 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月10日(月)18時23分02秒
( ´_ゝ`) フーン 
59 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)19時53分18秒
>>55,54
期待に答えられるか分かりませんが、
読んでみてください。

>>56、57
ありがとうございます。
読んでもらえて、嬉しいです


60 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)19時56分59秒

見逃してもらえたようなので
続けます。
61 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)19時59分12秒

「お父さーん!ちょっと大変!!今テレビにひとみが出て、、、」
なんて叫びながら母が走ってお父さんを呼びに行く。

落ち着けひとみ!
お母さんがかなり間違った情報を流そうとしているが、落ち着くんだ!!
ゆっくり考えよう。
えーっと、あの子がいた時のバレー部員に同じ名字の人いたっけ?

「・・・・・」

思い出せん。思い出せない!!!ってあたりまえか。
今まで部活で同じ名字の人なんていなかった。
分かってったけど、ちょっと現実逃避したかったんだよー。
62 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)20時00分50秒

そりゃー、少しは後輩からファンレターみたいなのもらった事はあったけどさっ、
ジーンズはいてた時に男に間違わられたこともあったけどさっ、
あー、そういえばバレンタインデーにチョコ10個くらいもらったっけ、
そうそう、こないだなんか

「アイドルの初恋の人なんて、すごいじゃないか!」
「ほんとよねお父さん。私達もここまで育てて来たかいがあったってもんよねー」

その声で我に帰った私、、、、
ふとテレビを見ると
トークはすでに新曲についての話題に変わっていた。

63 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)20時04分04秒

「いってきます」
「いってらっしゃ〜い、初恋の人〜」
「もー!しつこいなー!!」
母は、昨日からこんな感じで、もういい加減やんなってくる。

それにしてもテレビの影響力って凄いんだな〜とつくづく感じた。
昨日はあれからずっとケータイが鳴りやまなかった。
ほとんど中学の時の同級生で、
よく連絡してる子から半年くらい連絡が途絶えてた子まで、、、

はぁ、お陰で今日は寝不足ぎみ、、、、
まあ夜中の2時位にはもう無理だと思って、
さすがに電源切って寝たけどね。


ほとんど喋ったことないから分からないっていってんのに、「性格良い?」とか、
違うって言ってんのに「付合ってたの?知らなかったよー」とか
連絡先もしらないって言ってんのに「今度会わせてよ」とか

あーあ、眠い。
64 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)20時05分57秒

「すぃー、よっすぃー」
「あっ、梨華ちゃん。おはよう」
「はあ、はあ。もうっ、後ろから何度も呼んでたのに、どんどんいっちゃうんだもん。」
「ごめん、気付かなかった」


この子は私と同級生の石川梨華。
ちょっと肌は黒いけど(「地黒ではなく日に焼けただけ。」本人談)
女の子っぽい顔に高い声。
松浦亜弥には悪いがひょっとすると梨華ちゃんの方がアイドルっぽいかもしれない。

「元気ないね?なんかあった?」梨華が心配そうにひとみの顔を覗き込む
「何って昨日、、、あっ、いや、ちょっと寝不足でさー」
「なんだ」
そうだった。梨華ちゃんってテレビ全然見ないんだった。
なんでも親の教育方針で見せてもらえないらしい。今どき珍しい家だ。
それに今はもうあんまり見たいと思わないんだって、
私はテレビのない生活なんて想像つかないけど。
まあ見て無いならわざわざ言う必要もないよね。
65 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)20時12分48秒
「あー!噂のよっすぃーみーっけ!!」
「げっ!」

どう考えても高校生には見えない小ささの少女(でも金髪)が
叫びながらこちらに向かって走って来た。

こういう時に一番会いたくない人。
先輩の矢口真里。
前に話の流れで、松浦亜弥と同じ学校だったって、いっちゃったんだよねー
悪い人じゃないんだけど
この人、噂とか大好きなんだよな〜

なんて思ってたらそのまま飛びつかれた

ボフッ。「よっすぃーおはよー」
「グエッ」
あまりに勢いよく飛びつかれたためバランスを崩した私は
倒れ無いように悪戦苦闘。

「矢口先輩おはようごさいます。」
ヨレヨレしている私を気にする事なく梨華ちゃんがあいさつ。
「おう石川、おはよう。」背中に抱き着いたまま矢口先輩があいさつ。
「あのー重いんですけど、、、」

「よっすぃー。昨日見たよー。」
無視かよ。
「やっぱり昨日なにかあったの?」
梨華ちゃんまで、、、(涙)

66 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)20時15分09秒
「えっ?石川、見てないの!?マジで?『Mばん』だよ?」
「『えむばん』ってなんですか?」
「『Mばん』も知らないの?ミュージック番組。略してMばん。」
と矢口はあきれた顔で答える。
「で、テレビ番組とよっすぃーに何の関係があるんるですか?」

「・・・・」

「ねえ、ねえ。付き合ったりしたの?吉澤先輩ってよっすぃーのことだよね?
 今でも会ったりしてんの?」

やっとひとみから降りた矢口は、
梨華に付合ってると話が進まないと判断したのだろう。
梨華の質問には答えず、自分の質問を並べる。

ムッ。
明らかに無視され、松浦亜弥って誰ですか?としきりに聞く梨華ちゃん、、、
梨華ちゃんとは中学も一緒だったんだけど部活も違った為全然面識がないらしい。
もちろん中高生のカリスマ的アイドルとしての松浦亜弥も知らない。
67 名前:木琴 投稿日:2003年02月13日(木)20時16分35秒
その後は昨日と同じような質問に
昨日と同じようになんの広がりもなく答えていた。

「もーつまんないなー、よっすぃー
もうちょっとさー絡どいてよ
これじゃあ話が広がらないよー」
身体は人形みたいに小さいくせに口は達者だ。

そんな事言われても
ほとんど話した事もないんだからしょうがない


それにしても、こんな会話を当分するのかと思うと
憂鬱な気分になった。

「はぁ〜」
68 名前:木琴 投稿日:2003年02月14日(金)16時38分13秒

从‘ 。‘从<名前の所が題名じゃなくて木琴になってるよ
从VvV从<これだから、とーしろはやなんだよとーしろは
从‘ 。‘从<み、美貴たん?
从VvV从<こんなんだから1ウゼーとか言われるんだって
从‘ 。‘从<それにAAも初めて貼るから、ずれてるかもしれないしー。
从VvV从<そーなの?しょうがねーなーまったく

はずかしながら、間違えました。
69 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月14日(金)16時40分00秒
それから2週間が経ち、
みんなも私からは何も聞きだせないと分かったのだろう
また平穏な日々が戻って来ていた。。。
はづだった、、、、

それは部活もないのでいつもよりはやく梨華ちゃんと帰った時のこと

「吉澤ひとみさんですよね」

私は新手の勧誘かと思い、とうり過ぎようとしたが、
その顔を見て私は思わず立ち止まってしまった。あまりに綺麗だったから。
この時はそう思ったんです。まさかあんな恐、、、

「私こう言うものなんですが」その女性は私に名刺を差出しだした。

ハロプロテレビジョン
Mばん プロデューサー 中澤裕子
70 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月14日(金)16時42分29秒
そしてそのまま言葉巧みに
近くの喫茶店に連れてこられていた
もちろん梨華ちゃんも一緒に、、、

簡単に言うとこうだ、
音楽番組の中で、松浦亜弥がゲストの時に初恋の人に御対面
というコーナーをやるので是非出演して欲しい、というものだった。

いったい最近の音楽番組はどんな構成をし
ているのか、歌と全然関係ないし、、、

なんでもこの前、あの話をした時の視聴率がかなり良く、
事務所的にも初恋の人で男が出てくるよりも女の方が都合がいいらしい。

そんなものなのだろうか
「あー、でも良かったわー。これでほんまに男みたいな奴だったら
 どうしよー思ってたんや。しゃれんならんからな、、、」
そうこの人、顔は綺麗だが、しゃべりはバリバリの関西弁。
最初ちょっとびっくりした。
71 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月14日(金)16時44分54秒
「ということで、これに収録日とか細かい事書いてあるから。
 ちゃんと遅れんようにきてな。」と言って封筒を差し出した。
「はっ?ちょっと、何勝手に決めてるんですか。出ませんよ。そんなの」
「そうですよ。よっすぃーはそんなの出ませんよ」
「なにゆーてんの、天下の松浦亜弥やで。Mばんやで?
 えーやないの、記念に一回くらいテレビ出ても。人気もん間違いなしや」

ただでさえ2週間前から変な目立ちかたしてんのに、
これ以上目立ってどうしろというのだ。
「帰ります」

「ちょっとまちー!!」
一瞬だけ見せた中澤P(私の中ではこう呼んでいる)の鋭い眼光に
私達はおもわず腰をおろす。

こわっ。この人、元ヤンキーかなんかだったんじゃ、、、
72 名前:シャボンダマ 投稿日:2003年02月14日(金)16時49分43秒
「だっても〜う松浦と約束してもうてん。こんど出る時に絶対つれてくるって
 ほら、御機嫌斜になって、もう番組出ないなんて言われたら大変やん?一大事やん?」

すぐに甘えた声に変わったが、そんな声だされても、
さっきの目を見てしまった私には脅されているとしかおもえなかった。

しかし、私だってそんな脅しにまけるわけにはいかない。

「松浦、会いたがってたで〜」
「それなら向こうが会いにくればいいじゃないですか」
「わかってないな〜よっすぃーは、だから天下の松浦亜弥はプライベートな時間なん
てこれーぽっちもないんよ。だからこうやってせめてうちの番組に出てる時だけでも喜
んでもらおうと思ってよっすぃーにお願いしに来てるんやん。」

いつのまにかよっすぃ−とか言ってるし。

「ほらちょっと同情したやろ。そらよっすぃーも血の通った人間や
こんな話し聞いて断るわけがないわー。なっ?」

「だいたいテレビ出演なんて学校が許可しませんよ。」
「そうですよ、よっすぃーが退学にでもなったらどうするんですか?」

うちの学校は私立なので、テレビなどの出演は一切禁止されている。
この前も、ファッション雑誌のスナップ写真に載った子が呼び出されていたくらいだ

学校と聞いて
諦めたのか中澤Pは腕を組んで黙ってしまった。

私達はほっとした表情で顔を見合わせ
やっと諦めてくれたと判断して席を立とうとした。

「わかった。テレビにはでんでもええ。
ただ、会いにだけきてや。
そうしないとうちの、、、、」
73 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時42分10秒
結局、あの日私達がこの喫茶店を後にしたのはそれから一時間後だった。

そして中澤pの説得に負け、私、もとい私達は今テレビ局のロビーにきている。
しかも学校の帰りなので制服のままだ。

テレビ局に一人で行くのは心細いので梨華ちゃんについて来てもらった、

「よっすぃーも頑固だよねー。出ちゃえばいいじゃんテレビくらい。」
そしてなぜか矢口先輩も

「やですよ。普通の番組ならともかく初恋の人ですよ。それが全国に流れるんですよ
それに、退学にでもなったらどうす」

「あっ!SMOPだ。」と吉澤の説明を遮ぎる矢口。
「ちょっとー、聞いてます?」
「あーごめん、ごめん、って、あれモニング娘のゴトウじゃん!」
「えっ!?どの人ですか。矢口さん!」
梨華ちゃんまで顔も知らないくせに、かっこいい、かわいいと感動してるし。

「それにしてもよっすぃ−凄いよね。アイドルの初恋の人なんて。」
「あたりまえじゃん石川。オイラのよっすぃーに向かって何を今さら!」
「ちょっ、いつから矢口先輩のものになったんですかー!!
私の方が付合い長いんですからね。よっすぃー中一からクラス一緒だもんねー」
「長けりゃいいってもんじゃないの!オイラとよっすぃーはなー」


74 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時44分08秒
あーこれから再会するであろう松浦亜弥と私はいったいなにをはなせばいいのだろう。
そんなことを思うと気が重くてしかたがないというのに、この二人は、、、


事前に送られてきた関係者証明書があったので、局内にはすんなり入れたものの
このあとどこに行ってよいのかわからず、私達はきょろきょろしていた。

「吉澤さんですよね。」どこかで聞いた事があるフレーズ。
でも今回は少し、声に自信がない感じ。
「そうですけど」
「やっとみつけた。中澤プロデューサーから吉澤さんを連れてくるように
言われたんで、、、こっちです。」

「はあ」
TシャツにジーパンといういかにもADといった格好のその男は
年齢的には若いはずなのにその顔は疲れきっていた。
75 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時46分17秒
私はそのADの後ろを無言で付いていった
その後ろを梨華ちゃんと矢口さんがさっきの続きと言わんばかりに
芸能人とすれ違ってはミーハー全開で楽しんでいる。

エレベーターにのり、いくつもの角を曲がって、
同じようなドアが幾つもならぶ廊下を永遠とあるいて、

いったいどこまで行くんだよ、
これ一人で帰ろうとしても絶対玄関までいけないだろうなー
なんて考えているとADが少し大きなドアノブに手をかけた。
「ここです」

大きく重そうなドアがひらかれる。



「あと30分くらいで本番始まるんですけど、
始まったらできるだけ話す時は小さい声でお願いします」

矢口さんにそんな無理なお願いを、、、
「そんなこと分かってますよー」って、でかい声で答えてるけど
そんなこと矢口さんが出来るわけないのに
「あと携帯も切っといて下さい」
それだけ言うとADは走ってどこかにいってしまった。
76 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時48分16秒
周りを見渡すと十数人ものスタッフとあと私達と同じように
見学してるだけのようなぼーと突っ立ってる人とがいる。
まあ見学といっても局の人なのだろう、私達のようなお子さまはいない。

「すごいねーこうやってるんだね」
私達はセットをみながら感心してすっかりスタジオ見学の気分。

そこに、忘れもしないあの声の主がやってきた。
「よかったわー、来てくれて。これでうちの首も飛ばんですみそうや」
松浦ってそんな権限あるのかな、もしやすっごいわがままなのか!?

「えっと石川さんやったっけ」
「どうも」
「なんやこのちっこいのは」
「あっ、この人は学校の先輩の矢口さんです」
ちょっとむっとしながらも矢口先輩がちょこんと頭をさげる
「先輩!?この大きさで?」
あ、、、中澤Pそれ以上言うと矢口先輩がぶち切れちゃいます
「でも、よう見るとマスコットみたいでかわいいなー自分」
おもちゃ扱いされる事をなによりきらう矢口先輩を
むぎゅーと抱き締める
「ぐ、る、し、い」
もがく矢口先輩
77 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時50分14秒
「あっそうや。こんなことしてる場合やなかったわ。もうすぐ本番だった。


不意打ちであっけにとられている矢口先輩をよそに
中澤Pは何ごとも無かったかのようにあっさりはなれた。

そして「じゃあまたあとでなー。今日は楽しませてもらうわー。
そうそうあそこに椅子用意いといたからあそこに座っといて。」
それだけいうと、どこかへ行ってしまった。

「楽しませてもらうわ−って、楽しんでってなーの間違いだろ、なにいってんだか。
あの人ホントにプロデューサーなのかよー」とかなり御立腹の矢口さん

しかし、吉澤達がこの中澤Pの発言が言い間違いではなかったことに
気が付くのは少し後のことである。

そして番組は始まった。
78 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時55分06秒
スタジオ全体に緊張がはしる。私も出演するわけでもないのに、
なぜか緊張してしまう。

番組は順調に進んでいった。
次々に現れる有名人と次々と変わっていくセットにすっかり圧倒されてしまって
私達三人はずっと黙ったまま、ただ番組の進行を見守っていた。

「は〜い!つづいてのゲストは松浦亜弥ちゃんで〜す!」
あっ松浦、、、
「あやや、出たよ、あやや」矢口先輩もやっと我に帰った感じで
私に話しかけてきた。
「あの人があやちゃんなんだ〜。かわいいねー」
って梨華ちゃんいまだに顔見た事なかったの!!おそるべし梨華ちゃん


「こんどの曲はですねー。また凄いんですよー」



何かこうやって見てると、あの時の松浦と同じ子とはやっぱり思えないよなー

79 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時56分03秒
〜2年前の夏〜

私はいつも一緒に帰ってる友達がたまたま部活を休んだ為
一人で帰ろうとしていた、、、

「吉澤先輩」
「ん?なに」
振り向くとそこには一人の女の子が立っていた。
部活の後輩だっていうことはわかるんだけど、
名前が思え出せない。なんて名前だっけ?

うちの通っていた中学はバレーボ−ルで結構有名な学校だった為
1学年だけでも、そうとうな人数がいた。
その一人一人の名前を覚えるのは至難のわざなのだ。

「これ、、吉澤先輩のですよね」
そう言った彼女の手には私のお気に入りのスポーツタオルが握られていた

「あっ、あっそうそう、よくわかったね〜。これ気に入ってるんだよね、ありがとう。」
ってタオルを受けとったのはいいが、その後なんとも言えない気まずい空気が流れてしまった。

その子は下を向いてしまって動こうとしなくて。
もしかして私怖がられてんのかな〜。練習の時、結構どなったりしてるし、、、

「あのさ、私もう帰るんだけど、今日一人だから一緒に帰らない?」
私はこの気まずさをなんとかしたくて、そんな提案をした。
「えっ?」
その子はびっくりしたように顔をあげると、私と目があったとたん
はっとして又すぐに俯いてしまった。
「いや、嫌ならいいんだけど、、、」
あまりに、露骨に目をそらされた私は少しショックを受けつつ
一人で歩き出したのだった。

そうこれだけ、
私が覚えている松浦の事はこれだけなのだ。
あの子が松浦だったってわかったのはそのあとすぐ
転校していってからだった。

あの時、松浦は私を怖がってたんじゃなかったのかも、、、。
80 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)14時58分05秒
そんな事を考えていたら、いつのまにか番組のエンディングテーマが流れていて

もう終わりか、あっという間だったな、、、


「今日はどうでしたか?」司会がまとめに入る。
「はい!楽しかったですよ」
「そういえば前回、出た時、初恋の人の話したよね」
「えっ、あっはい、しましたね」

急にそんな話しがでたので私達三人はおもわず顔を見合わせてしまった。

「えー、なんと今日はその方に来ていただいてます」
一斉に私に視線が集まる。
はぁーーーーーーー?!ちょっとなにーーーー!
松浦とばっちり目が合った。
向こうもそうとうびっくりしてるみたい。

その直後に「CM入りましたー!」っていうADの声が聞こえた。
それから「お疲れ様でしたー!」とう声がいろんな所からきこえる。

動けないままでいる。松浦と私。もちろん付き添いの2人も。
いったい何がおこったのか私達4人とも誰も理解できないでいた。
81 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時00分34秒
そこにどこからともなくあの声が聞こえてて来た。
「いやー良い画とれたわー。やっぱ連れてきて正解やなー
 松浦のあの顔を撮るなんてなかなかできひん」

なんて言いながらいまだ放心状態の私をこれまた方針状態の松浦の側に連れていった。


松浦の目の前にきて我に帰った私は、
中澤Pにどういうことなのか説明して下さいとつめよった。

「そんな心配せんでも、後ろからよすぃーなめで、
パッーンでいってこう松浦の顔アップ。みたいな感じだから大丈夫やって」
手ぶり身ぶりで説明する中澤P

「全然意味わかんないんですけど。」
松浦なんかはいまだに方針状態。
「だから〜。こうやってあのカメラでな。
まあとにかくよすぃーの顔は写って無いから大丈夫やって」

ホントかなー?でも今さらどうこう言ったってこの番組生だし
流れちゃったもんはしょうがないかと諦めてみたものの、
でもやっぱり納得いかないとまた中澤Pにつめよると

今度は松浦と私2人の手を掴み


「まあ、後は若いもん同士で。それじゃ、あやちゃん、
時間になったらマネージャーが呼びにくると思うから。
それまでゆっくり2人で楽しんでや。」

とか言いながら私達を、誰もいない控え室に押し込んだ。

「ちょっ、ちょっと梨華ちゃんと矢口先輩は???」
急いで、ドアを開け、廊下に出てみたが、すでに中澤さんの姿はなくなっていた。
82 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時02分09秒
「久しぶり、、、だね」
「あっ、お久しぶりです」
さっきまでのハキハキしたトークはどこえやら、
松浦は大人しい。



「すごくビックリしました。中澤さん何にも言って無かったから、、、」
「そうだったんだ、、、」
なんだよ、中澤P、約束やぶったら首にさせられるとかいってた
あの涙ながらの訴えは嘘かよ。


「おぼえて、ませんよね」上目ずかいでちらっと私の顔をみる。
「覚えてるけど、あんまり話さなかったしね。」
「そうですよね、、、」
って話し終わってるよ!


「あっあっ、でもあの後、ほら松浦、さんが辞めた後、
歌手になったって学校大騒ぎだったんだよ。
だから、すごい印象に残ってるし。」
83 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時04分57秒

松浦がくっすっと笑った
なんで笑ったのか考えているとその思いが伝わったのか

「なんか、全然変わって無いなーと思って」
「えっ?」
「そうやって凄く気を使うところとか。いいですよ、松浦ってよびすてのままで」
あっ、ばれてた、、、
「でも、あれだね、テレビと印象違うね」
「なんか緊張しちゃって」
「そんな〜だっていつもテレビ出てるじゃん」
「でも、こんな風に吉澤先輩と話すの初めてだし」
そう、そうなんだよね。だから何話していいか全然わかんないだよね。


その頃、となりの控え室では、、、、

「ちょっと、押さないでくださいよ、矢口先輩」
「オイラは押して無いって、こいつが押してくんだよ」
「そんなん言ってないで、年上のうちに譲れっちゅうねん」

コップに耳をつけ壁の向こうの会話をどうにか聞こうとしている、べたなかっこの
三人が場所とりで争っていた。

「それにしても全然聞こえないですね」
「あの部屋結構広いからな〜。あっちの小さい方にすればよかったわー」
「ったく使えねーなー。それでもプロデューサーかよー!」
「あっ?今なんかいうたか!」
ぎろりと中澤が矢口をにらむ。
そう矢口はこの時、初めて中澤Pのあの鋭い眼光を体験したのだった。
その後、矢口が借りてきたプ−さんの様に大人しかったのはいうまでもない。
84 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時10分39秒
もどって
吉澤と松浦のいる控え室では、、、

「あのーですね。吉澤先輩って、今付合ってる人とかいるんですか?」
「えっ」
「ほら、吉澤先輩ってモテたから。いるのかなーって思って」
「い、いないけど」
「ほんとですか?」

私はもう好きにならないって決めたんだ、
好きにならないって

「いないってー。バレーが恋人って感じかなー」

「松浦こそどーなのよー、付き合ってる人とかいるんでしょ」
「今は、、、いません」

松浦がその言葉を言い終わるか終わらないか位で
コンコン!
「あやちゃーん、次の仕事行く時間になったから」
マネージャーらしき人がドアから顔を出した。

「はい、今行きまーす。すいません吉澤先輩、私、もう行かないと、、、」
「あ、うん」
「あのーメールとかしてもいいですか?」
「うん。もちろん」
私は鞄からメモとペンを取り出すと携帯番号とメルアドを書いて渡した。

「私のアドレスもあとですぐに送り返しますから。今日はありがとうございました」
松浦は、あのテレビで見ている通りの笑顔をした。
そしてマネージャーにせかされながら松浦は部屋を出て行ってしまった。

私はあの衣装のまま移動するんだーなどと、どうでもいいことを考えながら
ぼーっと松浦の出て行ったドアを眺めていた。


85 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時12分04秒
「今日は楽しかったね。よっすぃー」
「えっ。うん」

今はタクシーの中、
あれからすぐ、控え室には梨華ちゃんと矢口先輩と中澤Pが現た。
まるで待っていたかのように。

そして私達は出演料として中澤Pからタクシーチケットをもらい
三人で一緒のタクシーで帰ることになったのだ。
なんか矢口先輩が妙に静かだが、気のせいというこにしておこう。

チャッチャララ〜♪
そんな静かな車内に突然なんとも間抜けなメロディーが流れた。
私の着メロ(アンパンマンのテーマ)だ。
私は急いで学生鞄から携帯をとりだしメールを確認した。

 件名 *マツウラアヤ*
 
 アヤです。
 今日はありがとうございました。
 すごいビックリしたけど、
 吉澤先輩にまた会えて嬉しかった。(^^*)
 また近いうちに会いたいな〜なんて
 これが携帯番号です
 090-****-****
86 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時13分19秒
松浦からだ、、、
なんて返そうかな〜

 

 件名 こちらこそ
 
 私も今日は楽しかったです。
 松浦はテレビで見るよりすごい可愛かったよ。
 そうだね、また会いたいね。
 それじゃあ、仕事がんばってね。


送信っと。

 
気付くと車内の2人は眠ってしまっていた。

話す相手もいないので流れる景色をぼーっと眺めていると
チャッチャララ〜♪
突然また手に持っている携帯からアンパンのメロディーがなりだした。
起こしてしまったのではないかとあわてて二人を見る。
寝返りはうったっものの二人ともまだねているようだ。


 REがんばりま〜す!

 ホントですか。約束ですよ
 じゃあまたメールします
 これからラジオの収録なんで

私はそのメールを読むと
そっと携帯をしまって、また流れる景色をただ見ていた。
87 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時16分33秒
「なんか、亜弥ちゃん機嫌いいねー」
マネージャーが隣で携帯をいじっている亜弥にはなしかける。

「あったりまえじゃん。だって、2年ぶりに吉澤先輩と会えたわけだしー、
あんなにしゃべったのも、始めてだったしー、」

久しぶりに会った吉澤先輩、かっこよかったなー。それに綺麗だったなー、
なんか大人っぽくなったっていうか〜。
でも、全然話しできなかったよ、なんか吉澤先輩の前だと
引っ込みじあんだった自分にもどっちゃった。
だいたいあんな急な再会なんだもん。
心の準備ってもんが出来なかったんだよ〜。もー!

さっきまで、ニコニコだった顔が急に膨れっ面になる。
「な、なんだよ」
「なんで教えてくれなかったんですかー」
「だって、中澤さんから教えないでって言われてたから」
「番組プロデューサーと自分とこのタレントどっちがだいじな
あっ!メール返ってきた、、、、」

携帯がなったとたん話を中断し指をせかせかと動かす。
「そのせいで、上手く話せなかったんだからねー」
と独り言のようにつぶやきながらも視線は携帯に向けられている。

88 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時17分38秒
「よし! で、何の話だっけ?あーそうだ、いつから知ってたの?」
「もーいいじゃない、そのことは。『会いたい、会いたい』
 って言ってたから会わせたのに」

「それは、嬉しいけどー。そーだ、美貴たんにも報告しよっと」
 再び携帯をいじりだした。

「それと亜弥ちゃん、明日から一週間くらい忙しくなるからね。
結構前に撮ったドラマの番宣の仕事、来月のはずだったんだけど早まったから。」

「うーん」

聞いてるのか聞いてないのか
まあ、多分聞いてないとおもうが、、、、
松浦は画面を見たまま生返事をした。

松浦はまだ知らない、これからの一週間が怒濤のスケジュールだと言う事を。
89 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時18分54秒
あれから一週間、その後すぐに中間テストだったこともあり
私からメールすることもなく松浦からメールもなかった。

私がテレビに写ってしまった件も
後でビデオをみなおしたら私達の後ろ姿が写ったのはほんの一瞬で
あとは全部松浦の驚いた顔だけ。
しかもうちの学校の制服がごく一般的な
ブレザーだったせいもありどこの学校かはホントに良く観察
しない事にはわからなく学校からはなんのおとがめもなかった。

しかし今日は朝からなんか変な気分だった。
中間の最終日ということもあり寝不足は寝不足なんだけど
それだけじゃなくて、、、そう昨日見た夢のせい。

それは
松浦と私が妙になかよく
手を繋いで街を歩いてるという夢だった
まるで恋人の様に。
そして、キスする直前で目がさめた。

何で、こんな夢見ちゃったんだろう、、、
90 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時23分03秒
チャッチャララ〜♪
あまりに、ぼーっと考えてたので聞き逃す所だった。
誰だろ?こんな朝早く。

携帯のディスプレイをみるとそこには松浦亜弥の文字
へっ?松浦?

『もしもし、亜弥ですけど、今大丈夫ですか?』
「大丈夫、だけど、、、どうしたのこんな朝早く?」
『あのー今日暇ですか?夕方からなんですけど』
「えっ今日?」
『やっぱダメですよね。』
「ん〜?学校終わってからなら大丈夫だよ、今日で中間も終わるし」
『ホントですか!今日急に午後からの仕事がなくなって、
久しぶりに時間が空いたんですよ』
「そうなんだ。じゃあどこで会う?渋谷とか〜。あっだめだよねそんな人集まる所」
『大丈夫です。私、見つからない自信あります』
「そう?うちも今日はテストで早く学校終わるから。松浦仕事終わったらメールしてよ」
『分かりました。』
「それじゃあ、後で」

私、松浦亜弥とまた会うんだ。。。
なんか、こうやって、気にしてみると
街は松浦亜弥だらけ。外を歩いても看板に松浦亜弥
テレビをみても、CMに松浦亜弥。
ほんとに、すごい。
しかも通学路の途中にでっかい松浦亜弥の看板があり
毎日のようにその顔を見ているのだ。

でも話してるとついアイドルってこと忘れちゃうだよね。
やっぱり何か後輩と話してる感じがしちゃう。
91 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時24分32秒
「は〜あ、やっとテストおわったよー」
ホームルームが終わったというのに、りかちゃんは机に体を預けぼやく。
そして、いつもより機敏に帰り支度をしている私をぼーっとながめ
「ねえ、よっすぃー何いそいでんのー?」
案の定尋ねてきた。
「今日、ちょっと用事があるから先に帰るね」
「うーん」
しかし、もはやまともな返事をする気力も残ってないようで、
あっさり終了。

私にとってテストはたいして重要じゃない。
なぜなら私の専門はバレー。そっちで良い成績をとってれば
テストの方はよっぽど点数が悪くない限りなんにも言われない。
むしろ、いつもより授業も早く終わるし部活も休みなのでかえって気が楽なくらいだ
92 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時27分57秒
私は足早に学校を後にして、待ち合わせ場所に向かったまではよかったのだが。

はずかしいことに私は迷子になっていた。
待ち合わせ場所は渋谷。でも、まさかハチ公前というわけにはいかないので
松浦指定のcafeの前で待ち合わせになったんだけど、どこかわかんなくて、、、

一応、道順はメールで教えてもらったんだけどね。
平日だっていうのに、人は多いしごちゃごちゃしてるし、

「ここどこだよ、あーあ待ち合わせ時間5分も過ぎちゃった、、、」
とうとう私はギブアップして、松浦に道を教えてもらうべく携帯に電話をかけた。

んー?松浦なかなか電話でないな、、、
私は松浦が電話にでるのを待ちながら、
ここがどこか説明する為に辺りをきょろきょろとみまわしてみた。

そして、その視線の先になんとも異様な光景が目に入ってきた。
それは2人の男性(というより男の子)にからまれてる
女の子(帽子をかぶってメガネを掛けてしかもマスクをしている)
の姿である。

私はついその光景を凝視してしまったのだが、
はっと気が付いた。
あれって松浦じゃ、、、
それにしてもあの格好はいったい
93 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時29分00秒
私より華奢な体つきの二人の男
あれなら、なんとかなるかな、、、
などと、安易な事を考えて私はその3人に近付く。

「ねえ」
一斉に3人がびっくっとして私に顔を向ける。
ていうか、松浦までそんなにびっくりしなくても、、、

「先輩、、、」
やっと松浦は私に気付いてくれたみたい。
「その子ににかまわないでくれる?」
いつも後輩に説教する時よりも、1オクターブ低い声

おっちょっとびびってる?
「なんだお前?」
びびりながらそんな言葉いわれても全然恐くないですけど
94 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時30分11秒
「まあ、いいからその子から離れなよ」
と、私は男の子の一人の肩をとんと押した。それがいけなかった、、、
そいつは急に怒りだして、場違いなでかい声できれはじめた。
「オレにさわんじゃねーよ、この凶暴女!」

カッティーン!
今言ったよね?私に言ってはいけない一言をいったよね?
私の中の何かが一つ切れた音がした。
私にはもう手加減の文字はない。

あの言葉を発したやつにバレーのスパイクよろしくの平手をかます。
ばちーん!!
そいつの体が転がるのがわかった、
まあちょこっとだけだけどね。ほんのちょこっと。

びびって立ちすくむ二人(松浦含む)。
95 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時31分04秒
あれ?松浦引いちゃった、もしかしてやっちゃった?

すると、通りすがりの人達も何ごとかと、集まりはじめてしまった。

私は思わず叩いた方の自分の手をみる。
やばい、、、
そして、視界の端方に見える、ブレザーの袖。
あっ私、制服じゃん。


身の危険をを察知した私は
とりあえずいまだ唖然としている松浦の手を引き、
急いでその場から離れる事にした。


ここまでくれば、大丈夫かな。。
何回か角を曲がったところで、私は歩く速度を落とした。
96 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時32分43秒
すると、急に右腕に何かが絡みつく。
何かと思いそっちを見てみると、そこにはしっかり松浦の腕があった。

「どーしたの?」
「だめですかぁ?」

まあ、いつもりかちゃんや矢口さんにやられ慣れてるから、
「別にだめじゃないけど」
ただ、松浦は2人とは何か違っていて、
その、まっすぐな笑顔は、初めて見る笑顔なのに、私をどこか懐かしい気持ちにさせてた。

「これから、どこいきましょーか?」
「どうしようっかねぇ」
「そーだ、吉澤先輩、うちにしません?」
「え?何で?」
「だって、またあの二人に会ったらやだしぃー」

それもそうだ、またこの辺をフラフラしてたら、いつ会うか分からない。
東京は広いなんて言うけど実際、そうでもない。
97 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時34分40秒
「そうだよね、また会ったらやだしね。でも、急に行って大丈夫?」
「ぜーんぜん、平気です。私、両親とは別に住んでますから。」
もともと中学の時から東京にいたからてっきり、
実家だとばっかりおもっていたが、違ったようだ。

「なら、そうしよっか」
「じゃあ、ちょっと待ってて下さいね」
そう言うと、松浦は手慣れた手付きでタクシーを止めた。
私はその手際の良さに感心しながらタクシーに乗り込んだ。

「そういえば、さっきのナンパみたいの、よくあるの?」
「あーあれですか、あれナンパじゃないですよ」
「そうなの?」

聞くと二人とは顔見知りで実は有名事務所のタレントで
テレビにもでたりしてるらしい。
りかちゃんほどじゃないにしろ私もそこまではわからなかった、
てっきり、ただのナンパかと、、、
顔殴っちゃって悪い事したかもと反省
98 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時37分02秒
「ごめんね。私全然知らなかったから」
「いいんです。あれくらいやってもらえば、彼も諦めるとおもうし」
「諦める?」
「私達、付合ってたんです。昔の話しですけど」
「まじで!?」
やばっ!付き合ってたとは

松浦は私が殴ってしまった子と付合っていたが
1ヶ月くらい前に別れたらしい。昔って、、、
でも、最近復縁を迫られていて、会わないようにしてたんだけど
たまたまそこでばったりあってしまい、
さらになんにも知らない私が登場しなぐってしまったと、、、すいません

「でも、最近、メールとか電話とかすごいかかってきて、結構恐かったから、
 これで、彼が止めてくれるといいんですけど」

「そうだったんだ、、、」
少しだけ安心。
私の暴走は一応良い方向にころがった。


私は松浦に彼氏がいたという事実を知って、実は少しほっとしていた。
私は再会した場所があの番組なだけに心のどこかで
松浦が私の事をまだすきなのではないかと思って、
もしそうなら私はどんな態度をすればいいのか心配していたのだ。
しかし、それは私の考え過ぎだったようだ。
なんか私だけそんな風に考えていたかと思うと少し恥ずかしくなった。
そりゃそうだ、2年も前のことだし、周りにはかっこいい男の子が沢山いる。
好きな人ができて当然だ。
99 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時39分56秒
タクシーはあっというまに目的地についた。
私はタクシーを降りて目の前の建物を見上げる高級そうなマンションだ。
オートロックのエントランスをぬけ、私たちはエレベーターで上にあがった。


「ただいまー」
さっきの発言から、独り暮らしだとばかり思っていたのだが、
松浦は玄関でそうさけんだ。

「おじゃましまーす」
私も一応言ってみる

リビングに行くと
小学生位の女の子がアイスを食べながらテレビを見ていた。

「今日は、はやかったねー」
「うん、急に仕事がキャンセルになったから」
その子はテレビを見たままこっちを見ないで会話をしている。
というかこの子は私に気付いているのだろうか?
100 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時41分14秒
「妹?」
私は何故か小さな声で松浦に聞いた。
「まあ、そんな感じです。」
「へー妹いたんだー何歳?」
「中3ですけど」
「中3!!!」
思わず私はでっかい声を上げてしまった。

私の声に驚いて、その子が勢い良く振り向いた。アイスを口にくわえたまま。
やっぱり気付いてなかったんだね、、、


「希美ちゃんっていうんだーでも見えないねー中3には」
「よく言われます、、、」
希美は恥ずかしそうにソファーに座ってうつむいている。
「あれ、松浦、じゃなかった亜弥ちゃんって今中3じゃなかったっけ?
えってことは双子?まじでー!?全然似てなくないー?」
私は希美ちゃんと向かい合うソファーに座って横に座っている松浦の顔と見比べた

すっかり興奮してしまった私だったが、二人を見ると動きが止まっていた。
やばっ、もしかして私変な事言ったかな、、、
101 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時42分02秒
一瞬、この空間に静寂が訪れた。
しかしそのすぐ後

グ〜

へんてこな音がなって、

みるみる希美の顔が真っ赤になっていった
「ちょっと、のの変な音ださないでよー」
「ののちゃん面白すぎだから」
おもわず私も吹き出した。


「だって、腹へっちったんだもんしょうがないじゃん」
「じゃあさー今日は何かとっちゃおうか、夕食」
「おおいいねー」
亜弥の提案に希美ものりのりだ。

「先輩もそれでいいですか?」
「うん、いいよ」
102 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時43分22秒
希美は、どこからか持ってきたのか
さっそくデリバリーピザやラーメンなどのメニューをながめている。

「何がいいですか〜、えーっとー、、、」
希美は明らかに吉澤の方を向いているが一向にその続きが出てこない
「そうだ、まだ自己紹介してなかったね。吉澤ひとみっていいます。」
「よしざわ?」
「そう、吉澤」
すると希美はじーっと私を見てそのあと、
「ほー」
とだけいって


「何にしますか〜?」
元にもどった。

そしてこの夜は、結局ピザバーティーになり
楽しいうちに幕を閉じた。
103 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時45分55秒
吉澤も帰り、後片付けを終えた亜弥と希美は
2人でまったり、テレビを見ている。そのうちの一人はすっかり浮かれモードだが


「まさか、本当に連れてくるとはねー、」

「だーから、いったでしょー」
松浦はプーさんのぬいぐるみを抱きながら満面の笑顔で答えた

「はじめ、あれが吉澤先輩って気付かなかったよ」
ののは本日3本目のアイスをたべはじめた。

「えー?だってこの前、ののに写真見せたじゃん」
「あれのこと?だって、あの写真、隠し撮りみたいで、よく顔わかんなかったし」
「でもさー、ちょーーかっこよくない?」
「ん〜確かに、顔はきれいだしー、背も高いし、
まあ憧れた気持ちはわからなくもないけど」

「それにすんごい、やさしーんだってー。今日なんか友也をさー」
「だれ?友也って」
「だから、一個前のカレシじゃん」
「あー、電話すごい掛かってくる人」
「そう、それ。それをさーこうバチーンって叩いちゃってー」
そう言いながら、亜弥はプーさんをパチーンと叩く真似をする。

104 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月17日(月)15時46分35秒
「すごっ、それってやさしいというより、、でその人。大丈夫だった?」
「それは、わかんないけどー。でも、私やっぱりこの人だーって思ったわけですよ」
そして亜弥はキラキラした目で斜上をながめている。

「わけですよ、、、、って、それって何?もしかして」
「そう!」
「吉澤先輩のこと好きになっちゃったの?」
「そう!」
亜弥はずずっずっと希美の目の前までつめよる。
「だからさーののも応援してくれるよね」
「えー!?」

「してくれるよねー」
亜弥は希美の両方のほっぺをつまみグリグリとまわしながらあややスマイルで、
もう一度尋ねた。もちろん答えはきまっている

「じ、じばず、おうでんざぜて、、いだだぎまず」
105 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月19日(水)00時01分42秒
先が読めん。。どのように話が進むか楽しみ。
106 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月21日(金)17時40分31秒
「では、さっそく!コホン。
 吉澤先輩の心を掴め!あややのラブラブ作戦会議〜!!いえ〜い」
一人でどなりをし、盛り上がる亜弥。

「なにそれ」
怪訝なまなざしの希美。
「はい、そこ意見のある人は手を挙げて発言するように」
亜弥はすっかりその気だ。

希美はしぶしぶ手を挙げた
「ほい、ののちゃん」
「意味が分かりません」

そんな身もふたもない質問でも亜弥はめげない。
「はいそれでは、説明しましょう。
吉澤先輩の心を掴むにはまず、その人のことを良く知らなくてはなりません。
そして、それをもとに、色々作戦をたてなければ、上手くいくものも、
上手くいきません。アイドルのお仕事もこういうリサーチなど地味な努力をしてこそ、
良い仕事ができるのです。国民的アイドルにはこんな秘密があったんですねぇ〜
よく覚えといてください。」

「では、さっそく今日分かった事からまとめましょう。
書記の方はちゃんと記録してくださいね」

この部屋には、明らかに亜弥と希美しかいない。
しかたなく、希美は近くにあるメモとペンを持った。
こうやって希美は亜弥の押しの強さに毎回負けてしまう。
107 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月21日(金)17時41分58秒
「まず〜、高2である。でしょー」
「そんな基本的なことから始めんの?」
「あたりまえでしょー」

「バレー部である」
「バレー部っと」
希美は言われたことをそのままメモにとった。


「しかも、月曜〜金曜まで練習がある」
「月曜〜金曜っと」

亜弥は人差し指をあごに当て真面目な顔で進める。

「そうそう、石川先輩といまだに仲が良い」
「石川先輩と仲が良い」

「実家である」
「じっか」

「これ最重要ポイント!恋人がいない」
「恋人なし」
108 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月21日(金)17時43分26秒
「亜弥にメロメロである」
「....」
「それも書いてよ」
「真実しか書きません」
希美も書記としてのプライドがある。
「ケチ」


「あとなんだろ」
「あんだけ、話してこれしかわからなかったの?」
「うっさいなー」
「で、分かった事挙げたとはどうすんの?」
「作戦立てる」

「どーやって?」
「それをこれから考えんじゃん」

とは言ったものの、すぐには何も思いつかなかった。


「あっいいこと思い付いた!」

どこからか、スケッチブックを持ってくる希美。
109 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月21日(金)17時46分53秒
「こんな吉澤先輩はやだ」
「あ゛っ?」

 ぺら
「自分の呼び方がひーちゃんだ」
(○^〜^○)<ひーちゃんねー、ひーちゃんねー
「かわいいじゃん」

 ぺら
「実は石川先輩とラブラブだ」
(○^〜^(^▽^)<ハッピー
「本当っぽいから、嫌」

 ぺら
「1年おきにぶくぶく、ぶくぶく太っちゃう」
( ○ ^〜^ ○ )<また太っちゃった。
「あーそれもやだなーでも吉澤先輩ならいいかな?」

 ぺら
「痩せている時は男がいる時だ」
(○^〜^○)<ダーリン
「一番嫌」

「どーですか。お客さん」
希美はなぜか自信満々だ
「全然作戦じゃないし、ていうかいつ描いたのさ!」
そのわりにすっかり、ネタに食いついていたが。

「えーせっかくがんばったのに」
110 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月21日(金)17時48分07秒
「そうじゃなくてさー。もーいいよ、美貴たんに相談するから!」
「自分から始めたくせにー!!ムキー!」

亜弥は希美と喧嘩(じゃれあいとも言うが)をおえて
自室に戻り自分のベットに ばふっ とうつ伏せになった

あ〜作戦って言ってもどうしたらいいんだろう?
大体、物理的にも時間がなさすぎるるんだよね
今なんて、月休2日位だし。

ありえないよー
改めて考えると自由な時間がすくなすぎる
でも、まあ今までは、別に嫌だと思った事もないけど、

やはり、この歳で仕事をしてるのは不便である。
はーあ、今度吉澤先輩に会えるのはいつになるんだろー。

亜弥は気付いていない
いままで、男の子と付き合っていた時にはそんなこと考えもしなかったことを
111 名前:木琴 投稿日:2003年02月21日(金)17時56分00秒
>>105
レスありがとうございます。
読んでくれてる人がいるのかと不安だったので、うれしいです。
この先は、私もどうなるかまだわかりません。


こんな感じなので、更新は不定期になると思いますが
よろしくお願いします。
112 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月21日(金)23時54分30秒
辻が年相応の女の子って感じでイイっす。そういやあやゃと同い年なんだっけ。。
113 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月25日(火)16時59分51秒
「もしもし美貴たん?」
『亜弥っぺ、今どこ?』
「TXの控え室ー」
『もう、着いてんの!?』
「そう、前の仕事意外に早く終わってさ。美貴たん今どこ?」
『私はまだ移動車の中だよ』
「早く来てよー、相談したいこともあるしっ」
『なんか、声うかれてないか?』
「やっぱり、わかるー?わかっちゃうー?」
『なんだよー、もったいぶらないで、いいなよぉー』
「えー、なんとぉ、昨日吉澤先輩が家に来たんでーす!」

ここはテレビ局の控え室。
今日は1週間ぶりに美貴と一緒の仕事だった。
もうすぐ会うというのに、予定より早く入ってしまった亜弥は待切れなくて
美貴に電話したのだ。
114 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月25日(火)17時01分53秒

『でもさー、あんだけ男を手玉にとってた亜弥っぺが女に走るとはねー』
「手玉って言い方、しつれいでしょ」
『だって、そうじゃん、あんなにころころとっかえて、』
「あれはー付き合ってたっていうか、その。探してたんだよ!」
『何を?』

「吉澤先輩!」

『はぁ?』
携帯ごしでも美貴のあきれ顔が手に取るようにわかる。
「だからー吉澤先輩と再会するための準備」

『私という女がいながら、亜弥っぺは』
「吉澤先輩と美貴たんは全然次元が違う!
美貴たんは親友で、吉澤先輩はー、、、、」
『何よ?』
「何だろ?」
『なんじゃそら』

それから、30分位後に美貴はテレビ局に到着した。
とはいっても、ずっと2人で電話していたが。
115 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月25日(火)17時04分05秒
「美貴たんおそーい」
ぷくーと頬を膨らました亜弥は、
すでに準備ばんたんでいつでも撮影を始められる状態である。

「亜弥っぺが早いだけじゃんよー」
美貴は荷物をおろすと、テキパキと準備を始めた。




「そのあと、吉澤先輩がさー」
「どーでもいいけど、それ、さっき電話で聞いた」
すっかり、準備が出来て亜弥の相手をする余裕がでてきた
美貴はいままで思っていた事をやっと口にした。

「あれっ?話したっけ?ごめん、ごめん。
でもさ、つくづく思うわけよ。時間がたりないって。
亜弥の魅力を出す機会がないって」

「なるほどね。亜弥っぺが凄い早さで好きになったから、
むこうは亜弥っぺのことまだなんにも知らないしね。
アイドルとしては知ってるかもしんないけど」

「でしょ。これじゃあ、なぁんにも、進まないよ」

亜弥には、珍しく弱気な発言である。
そんな、亜弥の言葉にうーんと腕組みをして、美貴は思いめぐらしている。
派手な衣装なので、なんとも不釣り合いな仕種だが、2人とも気にしていないようだ。

116 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年02月25日(火)17時06分26秒
「それより、その吉澤先輩っていうのは、女の子OKなわけ?」
「それは、わかんないけど、、、まあ、そこは私の魅力でカバーみたいな?」
「そのへんは、前向きなんだね」
「まあ、それが売りなんで〜」
そう言いながら、亜弥は瞳をパチパチさせて、ぶりっこをして見せた。
そんな、亜弥に慣れている美貴は特につっこむことはせず、スルーする。

「やっぱりさー、これは、メル友作戦しかないかなー」
「メル友作戦!?」
「そう、ほら出会い系とかでさ、顔も見た事ないのに、メールしてるうちに
好きになっちゃったとか、聞かない?」
「なんか、テレビで見た事ある」
「メールの方が、かえって自分らしさを出せるっていうのもあると思うんだよね
まあ、いままでの亜弥っぺには必要無かったかもしれないけどさ。実際あんまり
会えないみたいだし、それしかないでしょ」
美貴はなんだか得意げに語っている。

「なるほどねー。メールかぁー」
117 名前:木琴 投稿日:2003年02月25日(火)17時16分37秒
>>112
レスありがとうございます。
こりずに、また辻さん出しちゃいました。

私も、辻さんと、松浦さんは同じ歳だと思い込んでたんですけど
どうやら、実際は松浦さんの方が1歳年上ぽっいです。
118 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時32分13秒
そういえば、この前私が殴っちゃった人どうした?
あれから何かされてない?、、、、送信

松浦家に行った次の日から、松浦から毎日、というか1日なんども、メールがくる。
そしてなぜかののちゃんからも。

すっかり、松浦姉妹とのメールのやり取りが日課になってしまった私。
「また亜弥ちゃん達とメール?」
「そう。なんか、あの二人のメールって面白いだよねー
 息が合ってんだか、合ってないんだかわかんないけど。」

「ふ〜ん」
「何、りかちゃん、ふ〜んって」
「べっつにー。」
なんだか梨華は嬉しそうだ。

「それより、りかちゃんみんなにこの事言わないでよ。また周りがうるさいから」
「あ〜亜弥ちゃんとラブラブだってことー?わかってるって、もう。」

梨華はふざけた感じに言ってみたが、ラブラブという言葉に少し緊張していた。
あの時から、りかはこういった発言をよっすぃーになるべくしないようにしていた。
でも今のよっすぃーはこれまでのよっすぃーと違う感じがしていて、
少しだけ期待を込めて言ったのだった。

またよっすぃーに好きな人ができることを。

「なんでそーなんだよ、違うってだから、松浦とメールしてること」
119 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時33分17秒
Re;
そういえば、あれから友也何にもしてこないですね。
やっぱり、吉澤先輩のパンチが効いたからかな。 ハート






そんなメールをやりとりした、数日後。

きつい練習をおえ、部員達がぞろぞろ更衣室に向かう。
外はすでに暗くなり、一日の終わりをつげようとしていた。

「疲れたー!」「あちー」

日課になってしまっているそんなセリフ、
梅雨から夏への変わり目が私達の疲れを増幅させる。

ひとみも、着替えるのがめんどくさくて、ついついベンチでぼけーとしてしまっていた。
「よっすぃー、まだそんな格好してんの?はやく着替えないと先に帰っちゃうぞー」
「まっててよー、今着替えるから」

同じバレー部で同級生の柴田あゆみにせかされ、仕方なく重い腰をあげる。
「まってるから、早くしてよー」

120 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時35分26秒
案の定、私達は更衣室から出るのが最後になってしまった。
「よっすぃーが遅いから、カギ返しにいかなきゃいけないじゃん」
校門を出る時には、ほとんどの生徒が帰ってしまっていたようだった。
「ごめんて」
うちの部は最後に更衣室を出た人が責任をもってカギを職員室に
返しにいくことになっていた。


私達は、最寄りの駅までの道をのんびりと
今日の部活の事、ではなく、あの先生がどーだとか、テストがどうだったとか
そんな事を話ながら歩いていた。

そろそろ、学校と駅の中間にさしかかろうかという所で、
やけに、めだつ若者が3人でたむろしているのが見えた。

いかにも、渋谷や池袋にいそうな今どきの格好をしている。
住宅や会社のビルしかないこの辺りでは場違いな存在で、、、
まあ、関わりたくないと思うのに十分な雰囲気をかもしだしていた。

「なんだろ、あの人たち」
あゆみは、不振そうな目で彼等を見ている。
「どーせ、暇ですることないでしょ。」
私は対して興味もないので、そっけなくこたえた
「なんか、こわー」

そのうち、彼等との距離は縮まり、
私達は、なるべくそっちを見ないようにして、、、、

すれ違う。
「よお!」
121 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時36分33秒
初め、まさか自分に声をかけてきたのだとは、思いもしなかったので
その声を無視して、そのまま駅の方向に向かった。

「ねえ、聞こえてる?吉澤先輩」
その、言葉に私達は反射的に立ち止る。

すると、3人の少年が私達の目の前にやってきた。

こんな知り合いは私にはいない。
でも、あっちは私の顔を名前を知っている
私は色々思い出してみようとしたが
そいつらが、誰だか全く検討がつかなかった。

3人のなかでも一番小柄な少年が
グラデージョンがかかったゴーグル仕様のサングラスをずらした。
「忘れちゃった?俺のこと?」

「!」

あいつだ!名前は忘れたけど、
松浦と渋谷に行った時に、私が殴っちゃったアイドル(らしい)。

「思い出した?」
3人ともやにやしてる。

なんで、こいつが居るの?
もしかして、仕返しでもしにきたのか?
私の頭に色々な考えが浮かぶ。
どうやら、別のお友達も連れてきてるし
もしそうなら、、、
122 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時37分34秒
「柴ちゃん、待っててもらったのに悪いんだけど、先に帰ってて」
「えっでも、、、」
「いいから」

「え〜、そっちのかわいい子、帰っちゃうの〜?」
ニット帽をかぶってるやつがへらへらと笑っている

私は柴ちゃんの背中を無理矢理押して、駅に向かわせた。
柴ちゃんは何度もこっちを見ていたが渋々、駅の方へ歩き出した。

「じゃあね〜、柴ちゃ〜ん」
180センチ位はありそうな、少年が今知ったばかりの
あだなを使い、手をひらひらさせる。


「亜弥の初恋の人なんだってな」
グラサンが真面目な顔でそんなことを聞いてきた。

しかし、そんな事はお構いなしに二人は会話を始めた。
「友也がなぐられたっていうから、どんなやつかと思ったら
すげえかわいいじゃん、ひとみちゃんって」
「でも、レズだぜ」
「そしたら、亜弥ちゃんもレズってこと?」
「えー、俺レズでもいいけど」
「おまえ、まじでいってのー」
「まじ、まじ」

私の胃はその言葉に反応し、きりきりと痛んだ。
そして、私の頭にはその言葉だけが、繰返された。
123 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時38分26秒
「俺の顔殴ってただで済むとおもってのかよ。おまえ
 、これでもこの顔で仕事してんだよね。知ってるかもしんないけど」
友也はそんな二人にはかまわず続ける。

私はその言葉で、私は我に帰えった。
やっぱり、根にもってたんだ、、、まあ当たり前か。
私も訳も良く知らないうちに殴ちゃったし、



「顔殴っちゃったのは、悪いと思ってる、知り合いだって、知らなくて。ごめん」
「俺だって分かってたくせに」
「いや、知らなかったし。」
その言葉に友也は少し顔をゆがめる。

「用事ってそれだけ?それなら、私もう帰るけど」

「はっ?なんだよそれ、一般人のくせに、ほんとは俺と仲良くなりたいんだろ?」

何を言い出すんだこいつは
「女なら誰でも自分に興味あると思ってんの?そりゃあ、松浦にも振れるわ」

しまった。これじゃあまた怒らせせてしまう。
向こうは一応3人だし(なんかあまり、まとまりはないが)この前よりがたいもいい。
どう考えても今日のメンツにはかなわない。

「もーいいじゃん友也、」
ニット帽から思いもよらない発言。実は結構常識人なのか?
124 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時38分58秒
「こんなとこで話してないでさーひとみちゃん俺達とあそぼー、」
「やっぱさー男の方が大好きだよねークラブ行く?ホテルでもいいけど?」
「それ、いいねー」

前言撤回。

「渋谷に行こうぜ渋谷」
「いや袋だろ。」
「ねー、ひとみちゃん渋谷の方がいいよねー」

私を無視した会話。しかも
あらぬ方向に話が進んでいる。

「まあ、どっちでもいいんだけどな」
「そうだよな」
しかし、二人の意見は一致したようだ。

「俺の話しまだ終わってないんだけど」
一人、置いていかれている友也が主張してみるものの

「そんなん、あと、あと」
「後でゆっくり」
「じゃ、いこっか?」

「ていうか、行かないから」
やっと喋れた。
だいたいなんで、
今初めて会ったこんなやつらと一緒に行かなきゃなんないんだよ
125 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時40分21秒
「ね、行こうよ」
「お前らは、なにしにきたんだよ、今日はそんなことしにきたんじゃ」
「友也はだまってろって、お前にはいつも女が寄ってくんだから。
いいじゃん、一人くらい譲ってくれたって、なー?」
「そーだよ」
「俺はそんなつもりで、いってんじゃねーよ」

「ちょっと、何かってに話しすすめてんの」
「ごめんごめん、ひとみちゃん、じゃあどこいくか決めよっか」
「だから、そうゆうことじゃなくて」

ニット帽の顔がすこし鋭くなる。
「ひとみちゃんもさー、俺らがこんだけさそってんだからさー」
さっきの、友也との会話で機嫌がわるくなったのか
いままでとは違う苛立った言い方になった。

「もう、渋谷とか行くのめんどくさいから、この辺のラブホでいいんじゃない?」
180センチが素敵なアイデアと言わんばかりに提案をした。
「そうだね、みつからなければ3人でも大丈夫でしょ」

そういうと、友也のお供だったはずのニット帽が私の腕をぐっとつかんだ。
「ちょっ、なにすんの」
私は腕から手を離そうとするが、まったく力がおよばない。

「健治、いいかげんにしろよ」
「だから友也は、だまってろっつってんの」

126 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時41分11秒
そんな時
「お前ら何やってる!」
突然の怒鳴り声。私達はは一斉に声の方をみた。

そこには、バレー部のコーチとその後ろにはあゆみがいた。
学校にもどってコーチを呼んできたようだ。

「何あれ?」
「部活のコーチ」

コーチはづかづかと私達に近寄ってきた。
「お前らどこの学校だ、名前はなんていうんだ?おい!」

「なんで、そんなこと聞くんだよ。
 あんたんとこの生徒と仲良くしちゃいけねーのかよ」

「いいから、名前と学校名言え!」
「おめーに、関係ねーだろ、プライバシーの侵害だよ」
「何訳分からん事言ってる!吉澤こいつらと知り合いか?」
「うっせーな、もういいよ、めんどくせえから行こうぜ」

2人は意外にもあっさりと、逃げるようにその場をはなれ、
その後を友也が追った。

「大丈夫だった、よっすぃー?」

「うん。ありがとう」
もし柴ちゃんがコーチを連れて来てくれなかったら、
私はあの3人から逃げられなかったのだろうか

「誰だ、あの3人はどーゆー関係だ」

「全然知りません」

「そうか、吉澤もあーゆうやつらと付き合ったりすんなよ、わかってると思うが
問題起したら吉澤だけじゃなく部活にも迷惑がかかるんだからな」

「、、、はい」

私は久しぶりに女だってことを思い知らされた気がした。
あいつの腕さえ振払う事が出来なかった。
なぜだか、そのことがショックだった。
127 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時41分49秒
次の日、私は昨日の事もあり学校に行くのが何となく嫌だったが、
休む理由も見つからず、私はいつも通り学校へ向かった。

学校の最寄り駅に着き、改札を通る。
自然と昨日の事が思い出される。

そんな、私の憂鬱な瞳に映りこんできたのは、あいつ友也だった。

顔はまだはっきり見えない距離だったがすぐにわかった。
洋服は違えどもスタイルは昨日とまったく一緒で、
あの特徴的なサングラスもかけていた。

また居る。今日は一人だけど。

どうやら、向こうはまだ私の存在に気付いてないようで、
私は、他の生徒やサラリーマンに隠れ、顔が見えないようにし
あいつに見つからないようにして
その場をやり過ごそうとした。もう関わりたくない。

しかし、そんな私の願いは届かなかった。
「おい」
今度は明らかに私に向かって言っているとわかっていたが
私はそのまま無視して、歩いた。
「ちょっとまてよ」
あいつが私の横まで駆け寄って来る。
しかし、私はそれでも、前を向いたまま歩き続けた。
128 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時42分31秒
「昨日の事は悪かったと思ってる。あいつらには、もうお前に
近付かないように言っといたから」

不意打ちの言葉に思わず私は友也の方を見てしまった。
友也は私と目が合ってニカッと笑った。
それは、普通の女の子ならコロっといってしまうのではないかと
思わせるそんな笑顔だった。



・・・・・・・・・・・・・



「いつまで付いてくんの。用がないなら帰ってよ。」
友也はああ言った後、なにも話さないくせに私の横にぴったりくっついていて
まるで一緒に登校しているような形になっていた。

「いいじゃん。まだ学校に着いてないし」
「何で、あんたと一緒に登校しなくちゃいけないんだよ。」
友也は私服、私は制服。朝の登校時にそんな2ショットは見た事がない。
それに、なんとなく、周りの生徒の視線も感じる。

「俺さ、亜弥に振られたんだ」
私の言葉は全く無視して友也は話し出した。
そのかわり、私もその言葉に何も答えなかった。
「結局、何もさせてくれなかったし」
そういう事は何も聞いてなかったが
私はそのまま聞き流した。
129 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時43分11秒
「俺、諦めようと思うんだ亜弥の事」
本日2度目の意外な言葉。
私はまた友也の方を見てしまった。
そして、友也はまた二コっと笑う。

「それは、いいことだね」
私は素直に言った。
「だろ?でさ、俺、お前にした。」
「ふーん」
それは、良かった。これで松浦も安心するでしょ。
でも、どこか違和感があるんだけど。
今のトークの中に何か変な部分があったような。

「俺さ、女に殴られたの、初めてだったんだよね。あん時は、すげーむかついたけど、
昨日のお前見たら、何かお前も女なんだなって思って。なんつーか、俺と付き合ってくれ」
友也は普通の会話と同じトーンだった。

「!」
本日3度目の意外な言葉。
なに言い出すんだこいつは。

「だから、俺お前の事」
「私、全く、付き合う気、全くないから。」
私は走って校門へ向かった。
びっくりした。まさかあいつにそんな事言われるとは思わなかった。
遠くにやってしまったはずの気持ちを少しだけ思い出したが、
私はあわてて、それを押し込んだ。
130 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時43分51秒
「ねえ、よっすぃー、朝、男と一緒に登校したってホント!」
矢口さんは私を見つけるなり第一声がこれだった。
もう情報が広まってるみたい。

「しかも、○○事務所のJrの友也だったって」
やっぱり、気付かれてたんだ。
だったら、誰か声かけてくれれば、良かったのにそうすれば、あんな話には、、、、

「あー、あれですか、あれは、、、」
まさか朝から告られたとはいえず友達というのも仲良くしてるみたいで嫌で
「あれは、あれですよ、親戚なんですよ。と、友也とは」
矢口さんにこう言っておけば、この嘘の情報が正確に流れる。ごめんなさい矢口さん。

「マジでー!!よっすぃー、そんなこと今まで言ってなかったじゃん!」
「だって、聞かれてませんし」
「いや、そうだけどさー。でも何で親戚が、わざわざ朝会いにくるの?」
「いやそれは、ちょっと家の事情で、、用事があって、、、、」
「なにそれ」
「ちょっと、詳しくは言えないんですけど」
もごもごと吉澤はくちごもる。
131 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時44分24秒
「ふーん。ねえねえ今度会わせてよ」
「会ってどうすんですか?」
「別になにするってわけじゃないけどさー」
「たいしたことないですよ、あいつ」
ていうかストーカーぽいし

「よっすぃーは親戚だから、そう思うんだってー」
「でも、無理です」
「けち」

友也はなぜか私の携帯番号を知っていて、
それから良くかけてくるようになった。
まあ、出ないけど。
それにしてもなんで、あいつはアイドルだというのに
こうストーカーちっくなのだろうか。
132 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時45分09秒
「なにー!!友也が吉澤先輩をねらってる!!」
「あんた、声大きいから」
今日も、亜弥と美貴は一緒のお仕事。
そして今は控え室でまったり休憩中、、、でもないようだが

「マジで、マジで、マジで?」
「美貴も、友達に聞いただけだから、よくわかんないけど、
どうも、そうらしいよ。会いに行ったりもしてるみたい。
この前までは、亜弥亜弥うるさかったのにね」

亜弥はおもむろに立ち上がり、

「私がこんなに地道にメールで愛を深めようとしてるというのに、
あいつは、仕事がないのをいいことに会いに行ってるなんて、ゆるせない!」
とこぶしを振り上げる。

「なにげに毒舌だし」
「で、まだ吉澤先輩はOkしてないんだよね」
「たぶん、狙ってるって言う位だからね」
「もうこうなったら、私もっと積極的にアタックする!
恋のライバルにしたくないタレントNo.1の実力見てやるー!」
133 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時47分46秒
ピンポーン
「はーい」
「吉澤ですけど」
「あーい。今開けま−す」
一階のエントランスでも行われたやり取りをもう一度繰返す。
ぱたぱたと足音が聞こえた後、玄関のドアが勢いよく開かれた。
「いらっしゃーい」
ののちゃっんが満面の笑みでおでむかえ。
「おじゃまします」


「あれ?松浦は?」
リビングを見回しても見当たらない。
「まだ、帰ってきてないよ」
「そーなの?」
「うん。もうちょっとで帰ってくると思うけど。
まあそれまでに私が夕食つくっちゃうんだ」
そう言うとスタスタとキッチンに向かう

「えーののちゃんが料理担当なの?」
「えーってなんだよ!のんはこれでも料理とくいなんだから」
「ごめんごめん」
「何か手伝おうか?」
「いいから、いいから、お客さんはそっちで待ってて下さい」


私はキッチンから追いやられ、大人しくソファーに座って待つ事にした。
134 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時48分37秒
「そういえば、ののちゃんって学校とかで大変じゃない?」
「えー何がー?」
トントンと何か切りながらも、大きなお返事。
「だって、アイドル松浦亜弥の姉妹でしょ、私なんか1回テレビで私の名前呼ばれた
だけで、大変な目にあったし」
「あーだって言ってないもん。友達に」
「あっ、、、」
そうだよね、その方が良いよ。ののちゃんは賢いね。
「そんなに大変だったのー?」
「まあ、そこそこ」
しらないうちにテレビでちゃったりとか、変なやつに付け回されたりとかまあそれは
私の所為だけど、、、

「たっだいまー!」

なんか松浦さんテンション高くない?
「おっかえりー!」
ああ、松浦家はいつもこうなんだね。
135 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時49分17秒
「あー吉澤先輩もう来てたんですかー」
荷物も置かずに私に駆け寄り、無防備な笑顔で見上げた。

「だったらもっと早く帰ってくればよかった。
 最近マネうるさいんだよねー反省会とかいって話し長いし」

「まあまあ、その話は後で良いから着替えてきなよ、
もうすぐ御飯できるから」
美がお母さんのように亜弥にいった。

「はーい」

亜弥が着替えをおえてリビングに戻ってくる頃には、
ダイニングテーブルに食事の支度が整えられていた。

「「「いただきまーす」」」
テーブル一杯に並べられたお皿の上に色んな料理がのっている。
「のの、きょう、なんか豪華じゃない?」
「あたりまえじゃん、今日はよっすぃ−が来るっていうから、
のんのスペシャルメニューにしたの」
「ありがとう。凄く美味しい」
「ホント?いえ〜い」
「松浦はいいね、こんな料理毎日食べられて」
「でも、のんびりしてると、全部ののに食べられちゃって結構大変なんですよ」
「何?ののちゃんは自分で作ったのに全部自分で食べちゃうの?」
「のんがつくったんだもん。のんが全部食べて何が悪いんだー」
「「なにそれー」」
136 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時50分17秒

御飯も食べおえ今は、ソファーでまったりモード。
「あれ、ののは?」
つのまにか、いなくなってる。

「たぶん、部屋じゃないかな〜?友達と電話でもしてるんですよきっと
あれで、長電話だから。」

「そっかー、中3だもんね。そういえばさー、
何で、松浦はののちゃんと二人暮しなの」

「本当は私達、双児でもなんでもないんです。」

亜弥は少しだけ間をおいたあと、いつもよりキリっとした表情で話し出した。
「私達、お互い連れ子なんですよ。うちのパパとのののお母さんが再婚して。
私が芸能界入って、独り暮し始めたのと同じ時期だったんですけど、
たぶん、ののはお母さんがお父さん以外の人と仲良くしてるの見てるのが辛くなった
んだと思うんです。いつのまにか私の家に泊まるようになって、で今は一緒に暮して
るんですよ」

「そうなんだ」
私はそれしか言う事が出来なかった。

松浦は仕事だけではなく、15歳にしては、重すぎる色々なものに
真正面から向き合っている。
私は逃げてるだけなのに
137 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月08日(土)14時52分44秒
「でもそのおかげで、私は寂しくないですけど」
「そうだね」

「それで、本題なんですけど」
「うん」
「あのー吉澤先輩ってー、今好きな人とかいるんですか?」
「はっ???」
「吉澤先輩って今付合ってる人いないんですよね?」
「そ、そうだけど」
てっきり、さっきの話のつづきかと思っていた私は
話の展開にまったく付いていけてなかった。

「付き合ってる人がいないってことはー、やっぱり好きな人がいるとか?」
亜弥はライバル心であえて友也の名前は出さなかった。

「い、いないよ」
吉澤はこの部類の話をされると、一気に思考が停止する。
頭の中が真っ白になってしまうのだ。

「ホントですかぁ〜?」
亜弥はキラキラした目で吉澤をのぞきこむ。
「いないって」
「じゃーぁー、私が恋人になっちゃおうかなー」

亜弥はもしここで、凄い嫌がられたらどうしようと心配しながら、
冗談ぽくそういい、吉澤の肩に寄りかかった。

「何言ってんの。」
「えへへ」
吉澤の口調は優しかった。それに、寄り掛かかるのを嫌がったりもしなかった。


もし、女の子を受け付けない人だったら、完全拒否されるに違いないと
亜弥は考えていたので内心ほっとしていた。
ただ、こんなことは、美貴にもしょっちゅうしてることだから、
まあこれでだけでは判断できないけど。

138 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)19時24分57秒
だいぶ進んでいてびっくりしました。
ここのまつよし大好きです。
恋のライバルにしたくないランキング圧倒的でしたね。
2位の福山と比べても・・・
139 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時42分37秒
132と133の間に

美貴からの情報を聞いて次の日曜日、
さっそく松浦家で夕食を食べようと吉澤を誘った。
亜弥はなんとか仕事を早く終わらせることで時間を作ったのだ。

この3行入れ忘れました。
140 名前:木琴 投稿日:2003年03月10日(月)19時46分02秒
>>138
ありがとうございます。

確かにあややはライバルにしたくないですよね。
でも、ここのあややはまだそこまで積極的ではないかも
141 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時48分53秒

そんなことを冷静に考えている一方で、
亜弥はもうこのまま、時間が止まってしまえばいいと思ってしまっていた。
しかし、のんびりもしていられない、亜弥には友也というライバルの存在を
無視できない。
友也だって、ああ見えて一応アイドルだ。
普通にしてる分にはやっぱりかっこいいとは思う。
ただ行動に問題があるけど。

「吉澤先輩はー、どーゆー人がタイプなんですか?」
「タイプとかは、特にないけど、、、松浦はどうなのよ?」

「松浦はー、やさしくてー、かっこよくてー、笑うと可愛くてー、
色白でー、スポーツが得意な人かなー」
亜弥は隣の吉澤を思い浮かべながら項目を並べた。

「ずいぶん、多いねー。そんな人なかなかいないでしょー」
「いますよー」
「いないってー、そんな人いたら、私が会いたいよ」
 
どんかん、いつも会ってんじゃん。
ていうか、自分だし、亜弥は心の中で毒づく。

「ここにいるもん」亜弥は小さい声でつぶやいた。
「ん?なんか言った?」
「なんでもない」
亜弥はプクーと頬を膨らませ不満を主張する。
ただ吉澤は同じ方向を向いているので見えてはないが

142 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時50分37秒
一方吉澤も、
実はすごく意識していた
亜弥が寄り掛かっている方に神経が集中してしまって、
嫌がるのも意識してるみたいで変だし。
そんな事を考えて、実際は一ミクロンも動けなかった。
松浦はなんにも感じて無いんだろうと
私が女だから油断してるんだと。
だから自分がどんな人間か気付かれてはいけない。

「先輩、吉澤先輩。聞いてます?」
「ごめん、聞いて無かった。なんだっけ?」
「だから〜、もしー誰からか告白とかされたらどうします?」

ついこの間、友也から告られていたので、吉澤はドキリとした。
「どうしますっていわれても、、、」
「OKとかしちゃいますか?ていうか、したんですか?」
おもわず、亜弥は寄り掛かっていた頭を上げて吉澤の方を見る。

「えっ?」
「あっ」
言っちゃった。友也の事は聞かないようにしてたのに。
もういいや。

「友也に告られたんですよね」
「何で知ってんの?」
私誰にも言ってないよ。

143 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時53分35秒
「美貴たんから、、あの友達から聞いて」
「そう。。。。それなら私、断ったよ」
まだ、たまに電話かかってくるけど

「じゃあ、付き合う気ないんですね!」
「まあ」
「そっか、そっかー、なんだー付き合わないのかー、へへへ。
友也ってーしょーうがないやつですよね、気が多くて」
自分のことは棚に上げている亜弥
「あのさ」
吉澤はすごく言いにくそうな顔をしていて、
その真剣な表情に亜弥はごくりと息を飲んだ。
「はい」

「もうすぐ、終電なくなっちゃうから、うち、帰るね。」
「ええっ、もうそんな時間ですか?」
慌てて、家の時計を見ると、すでに11時を回って居た。
亜弥は吉澤との会話に夢中でついつい時間を忘れてしまっていた。

「じゃあ、松浦下まで送ります」
「えっいいよ別に」
「いえいえ、吉澤先輩に何かあったら、大変ですから」
「じゃあ、のんも」
帰ると聞いてどこからか現れた希美がそう言いうと、
亜弥はすかさず希美に鋭い視線を飛ばす。
「でもやっぱ、のんは部屋で待ってよっかな〜」
希美はスタスタとまた自分の部屋へ入っていった。

「じゃあ、行きましょうか」
「あ、うん」

絶対自分の気持ち伝えるぞ!亜弥はこの時決心していた。

144 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時55分20秒
そして二人だけでエレベータに乗っているという最高のシチュエーション。
しかし意識すればするほど、何も言い出せない。
「松浦は明日も仕事?」
「へっ?あ、明日ですか、明日はなんだっけかなー、えーと」
「別に詳しく言わなくてもいいんだけど、どうせ聞いてもわかんないし」
「そう、ですよね。」
もはや、普通の会話もできていない。

そうしている、うちに、
あっさり、エレベーターは1階についてしまい。
「そのまま乗って上がる?」
まだ名残惜しそうにエレベーターに乗っている亜弥は
とっくに降りた吉澤に言われてはっと我に帰る。
「ええ!いや、降ります」
しまる直前に慌ておりた。


エントランスを出たところで
亜弥は何か言い出そうとするが、
変な沈黙がながれて
「あの、じゃあ、帰るね」
「え!」
「な、なに?」
「あの!、、、気を付けて、暗いから」
「あ、ありがとう」
そうして、何とも変な空気のまま別れることとなった。

な〜にやってんだー亜弥のバカバカバカ。
あれじゃあ、変な人じゃん。

そのあと、亜弥が希美にも手につけられない程の
どんよりぶりだったのは言うまでもない。
145 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時56分24秒
『今日のラジオタウンのゲストは松浦亜弥ちゃんです!』
『よろしくお願いします。こんにちは〜松浦亜弥でーす。』
『今日は新曲を持ってきてくれたんですよね。どんな曲ですか?』
『今回は、彼氏を思う純情な女の子のかわいー曲になってまいます。』
『なるほど、亜弥ちゃんもやっぱり気になちゃったりする?相手のタイプとか』
『やっぱり、もしー好きな人がいたら、気にしますね』
さすがに、ガードは完璧である。

『でも、相手の趣味って案外わかんないよね』
『そうなんですよねー。タイプがないとか言われちゃうと
 困っちゃいますよね』
『なんか、妙に具体的じゃない?もしかして、今好きな人いるんじゃないの?』
パーソナリティーが上手く話を持っていった。
『へへへ、いますよ』
『えっ、本当に!?』

『はーい、ファンのみんなが、だーい好きで〜す』

なんで、仕事の時はこう上手く話せるのか、自分でも感心するときがある。。
吉澤先輩には上手く気持ちが伝えられないのに。

それから、また吉澤先輩と会う時間をつくれないまま時が流れた。
146 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時58分24秒
「ちょっとあやー!」
「どーしたんですか、保田さん」

この人は保田さん。デビュー当時から、1年間くらい私のマネージャーを
していたひと。今ではチーフになって、普段は一緒じゃないんだけど、
大きな仕事や、大事な時には保田さんが担当になる。

「どーしたじゃないわよ、ちょっとこっちきなさい」
保田は事務所の中の応接室にいま来たばかりの亜弥をひっぱりこんだ。
ソファーに座ると、机の上に数枚の大きめなモノクロ写真が目に入った。
「これはどういう事!」
保田はその写真を一枚掴むと亜弥の目の前にもっていった。
「何ですかこれ」
「良く見なさい」
亜弥はその写真にいっそう顔を近付けた。

全体的に暗いその写真には2人の人間が映っていて、
その二人はぱっとみ男女のようで、その写真は熱愛報道で
週刊誌に載っているやつによく似ていた。

「あんた、まだわかんないの?」
ぼーっと写真を眺めている亜弥にしびれを切らしたのか
保田はもう一枚の写真に取り替えた。

「じゃあ、これは!」
147 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)19時59分59秒
その写真の方はさっきよりも、はっきりしていて、その背景はどこかで
見た事あるような、ていうか、うちのマンションのような、、、

亜弥はいそいで、視点を2人の人間に合わせた。
「これ私じゃないですか!」
「そんなこと、分かってるわよ!この男が誰だって聞いてんのよ!」
保田は今にも、キーと叫び出しそうな勢いだ。

もう一人は後ろを向いてしまっていて顔は見えないが、
亜弥よりも10センチは背が高く、スレンダーで髪は少し長めのオトコノコ、、、、?
「これって」
「誰かわかったの」
「たぶん、これ吉澤先輩、、です」
これって、あの時だ。私が吉澤先輩に告白しそびれた時。
玄関まで送ったのにもかかわらず、、、
あの時のどんより気分が蘇ってくる。
でも、あの時だれかに見られてたなんて全然気が付かなかった。

「先輩?何、○○事務所のタレントじゃないのね!」

セーーフ!!
あそこの、タレントと噂になって、そこの事務所の力で干されたアイドルを
保田は何人も見てきている。そんなことで、亜弥を潰したくない、
保田はそれを一番に心配していた。

しかし、安心はできない。一般の奴だからこそ、お金につられて、
あることないことベラベラしゃべったり、写真を流したりしてしまう事もある。
そうなる前に話をつけなければならない。

148 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)20時01分55秒
「で、誰なのよ。吉澤先輩って、今、行ってる定時制の?それとも昔行ってたやつ?」
「中1の時同じ学校だった先輩です」
「中1ね。まあ、亜弥がまともに学校行ってたのは中1までだし。
でも亜弥今までこんな写真撮られたことなかったのに」
保田はそうとうショックのようだ。

「だって、今までは家によんだ事無かったかし、、、」
ごにょごにょと亜弥は口の中で呟いた。
「で、名前は」
「だから吉澤」
「そうじゃなくて、フルネームよ」
「吉澤ひとみ」
「吉澤ひとみね。なんだか女の子みたいな名前ね」
そういいながら保田はせっせとメモをとっていた。さながら事情聴取の刑事のようだ。

「女の子ですけど」
「女の子ね、あーどーりでって、それ先に言いなさいよ!そう言えば亜弥の中学って」
「保田さんも知ってますよ?この前Mばんの企画で出てくれた。
会った事はないと思いますけどー」
「あの、吉澤?」
「そうです」
149 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月10日(月)20時04分27秒
保田は今まで力を入れていた肩をふーと下げた。
「なーんだ、そうなの?私はてっきり、男かと思っちゃった。
ケメピョン失敗、えへっ」
「や、保田さん?」
「亜弥もう、仕事戻っていいわよ。」
「いいんですか?」
「いいわよ。吉澤ひとみちゃんなんでしょ。私も仕事あるから、はい出る、出る」
「は、はい」
「SLASH編集部にさっそく電話しなくちゃ。なにが、それ相応の金額を払わないと載
せますって。ガセネタつかまされてるのもしらないで。いいきみよ、まったく。」
亜弥はなんだか、ふに落ちなかったが大人しく部屋を出た。

部屋を追い出された亜弥はその時初めて、意識した。
女同士は疑いもされないことを。まあ、まだ恋人でもなんでもないけど、
世間はそんなもんだって、今まで気にしたこともなかった。

保田は亜弥が部屋をでたのを確認すると。携帯を取り出した。
はー安心したら、喉乾いた。
でも、、、まさか亜弥に限ってそういうことはないわよね。


150 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月10日(月)23時42分00秒
いいなぁ、ここのよしあや。吉澤の素っぽいヘタレ振りとか
松浦の普通っぽい積極ぶりとか、全体的にキャラが自然なかんじで。
吉も松もなんかいろいろ含んでそうで気になる
151 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月15日(土)14時30分37秒
うわー。何気にちょーオモロイ。
続きが早く読みたいです。
152 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月30日(日)18時07分10秒

「亜弥も今回の事でわかったと思うけど、あんた狙われてんだから注意しなさいよ、
一応うちは恋愛禁止なんだから、そんなにうるさく言うつもりはないけど」

あの後、応接室から出てきた保田にそんなことを言われて、
急いで、亜弥は吉澤にメールをした。
もしかしたら、吉澤の方にSLASHがもう取材に
行ってしまっているかもしれないと思ったのだ。

すぐにメールは返ってきた。

re:亜弥
今の所、そうゆうことはないけど。
でも、男に間違われる私も私だね(^^;)




153 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月30日(日)18時08分43秒


「よっすぃー」
梨華は吉澤を見つけると小走りで近づいた。
「梨華ちゃん。今、部活終わったの?」
「そうだよ。よっすぃーも?」
「うん、今終わり」
「あれ柴っちゃんは?」
今日はいつもひとみと一緒に帰っているあゆみの姿がなかった。
「風邪で休みだって」
「そうなの私、知らなかった」
あゆみと結構仲の良い梨華は少し寂しそうだ。

「ねえ梨華ちゃん、今日どっかよってかない?」
吉澤はあゆみとよく部活帰りに寄り道をしていたが
今日はあいにく一人でどうしようかと思っていた。

154 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月30日(日)18時10分05秒


「私さ、男に間違われたんだって。この前、松浦に言われちゃった」
そういいながら吉澤はポテトを一本、口に運ぶ。

「でもよっすぃーよく間違われてるじゃん」
「うん、ただ最近はあんま間違われてなかったんだけどね。
見る人が見ればわかちゃうのかな?そういうのって、」

「よっすぃー、、、そんなの気にすることないよ」
「ありがと」
吉澤はなんだかすまなそうにジュースを飲み視線を落とした。

「そのピアス」
梨華は吉澤の髪の間から小さくてシンプルなピアスを見つけた。

「。。。うん」

そのピアスは吉澤が、まだあの人を
忘れられないという事を物語っていた。




155 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月30日(日)18時12分02秒
「もうすぐ、夏休みだけど
亜弥ちゃんはなんかやりたいこととかある?」
音楽雑誌記者のその質問を聞いて、亜弥の頭に吉澤の顔が浮かんだ。

吉澤先輩に気持ちを伝えたい。

「気持ちを、、伝えたいんです」
どこかを見つめながら、亜弥はぽつりと呟いた。
「気持ちっていうと?」
「いややっ、あのやっぱりー、夏のコンサートツアーで
みなさんに、松浦の気持ちを伝えたいかなーって」
すぐにいつもの調子にもどった亜弥だったが、
その日、吉澤の事が一日中頭から離れなかった。




「亜弥ちゃん、お疲れさま。今日はなんかサクサク仕事終わったね」
「そうですね」
亜弥のモヤモヤした気持ちとは裏腹に今日はなぜだか仕事が順調に進み
予定より早く仕事が終わった。

「じゃあ、明日も午前中からだからね。今日はこれで解散」
「お疲れさまです」

スタッフと別れ、携帯の時計を見るとまだ7時。

なんとなく携帯の電話帳の画面をいじり
なんとなく「吉澤ひとみ」のところで止める。
156 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月30日(日)18時14分41秒
だた吉澤ひとみと文字が書かれているだけなのにドキドキして、
この通話ボタンを一度押してしまえば
吉澤と繋がってしまうと思うと亜弥の鼓動が高まった。

そんな事を考えながらぼーっと携帯を見つめていると
その携帯がいきなり動き出した。

「うわわわっ」
亜弥はあわてて携帯を落としそうになりながらも
携帯を確認すると、発信者の名前は吉澤ひとみ。

「うそ」
はっきりいって吉澤から連絡があることは今までほとんどなかった。
まさか願いが通じたのかと一瞬考えてしまったが、
そんなことよりも、切れないうちに出なければと
亜弥は急いで電話にでた。

「もしもし」
「あっ、亜弥ちゃん?」

しかし、携帯から聞こえてきた声は吉澤とくらべたら高い、
というかくらべなくとも高すぎる声だった。
157 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年03月30日(日)18時15分52秒
「あのー、どちら様ですか?」
「ちょっ、なにやってんの梨華ちゃ」
電話の向こうでは吉澤らしき声が小さく聞こえる。

「あのー、もしもし?」
「ごめんね。よっすぃーが邪魔するから、私のこと覚えてるかな
石川梨華。Mばんの時、一応一緒にいたんだけど、、、」
「石川先輩ですか?」
「そうそう。中学も一緒だったんだよね。亜弥ちゃん今、仕事中?」
「今日は、もう終わりましたけどー」
石川の意図がまったく見えなくて亜弥はすこし困惑していた。

「ホント!じゃあさ、一緒にお茶でもしようよ。
今よっすぃーと二人なんだけど、だめかな?」
「ぜんっぜんダメじゃないです!」

158 名前:木琴 投稿日:2003年03月30日(日)18時52分08秒
かなり更新が遅くなってしまいました。

自分の文章読み返してみたんですけど、
結構、誤字脱字が多いし文章も読みづらいなと思いました。
これからは気を付けたいと思いますが、
間違える事もあるかと思いますので
そのときは、脳内で自動修正していただければと
思ったり思わなかったり、
他力本願ですいません。


>>150
ありがとうございます。
基本的にモーヲタなんで、
実はあんまりあややの事知らないんです。
だからあややっぽくない事とかあるかもしれません。
でも、それで普通な感じなのかも

>>151
続きが早く読みたいと言っていただいたのに、
こんなに遅くて、しかも更新少なくてごめんなさい。


これからも、あんまり更新は早くないと思いますが
よろしくお願いします。
159 名前:名無しののぞみ 投稿日:2003年04月03日(木)23時44分43秒
毎回楽しく読ましていただいてます。
これからもがんばってくらしゃい。
160 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月05日(土)00時46分35秒
なんだろう。なんかわかんないけどあなたと友達になれそうな気がする(w
161 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時28分21秒

「ねえ〜」
「ん〜?」
「何で吉澤先輩は人を好きにならないって決めたのかな〜?」

「....」

「ねえ、美貴たーん」
「あんたは何回、同じ事聞けばきがすむのよー!
 だから前に何かあったんでしょ!」

衝撃の事実を知ったその夜。亜弥は何の許可も取らずに美貴のうちに押し掛けた。
ショックはそれほど大きくなかった。
それは、自分が吉澤を救ってあげたいという使命感のようなものからかもしれない。

162 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時29分16秒
石川さんに呼び出され、いそいで待ち合わせ場所にいってみると。
そこにはもう、石川さんはいなくて。吉澤先輩だけが申し訳なさそうに待っていた。

「ごめんね。梨華ちゃん用事思い出したとかいって帰っちゃったんだよね」

昔からの梨華の世話焼き癖。おせっかいとも言えるが、、、、
今頃、梨華は一人で帰りながら良い事をしたと満足しているに違いない。


それでも、二人でするたわいない会話は楽しかった。
吉澤の学校の事や亜弥の仕事の事、今日のあった事、、、
そう今日あったこと


『気持ちを、、伝えたいんです』
自分でも気付かずにライターに言ってしまった一言。
吉澤先輩に気持ちを伝えたい。

163 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時31分42秒
しかし、その気持ちは言い出せないまま、また別れる時が近づている。

「松浦は何で帰る?私は電車で帰るけど」
「私は、タクシーで」
ホントは吉澤先輩と一緒に電車で帰りたいけど
事務所には夜はタクシーで移動しなさいといわれてるし、
まあどうせ方向も違うし。

タクシーが拾えるまで、吉澤先輩は待っていてくれるということで
2人でタクシーが来るのを待っているんだけど、
なかなか空きタクシーはつかまらなかった。

「こないねタクシー」
「そう、ですね」

吉澤はなかなかタクシーがつかまらないことを心配してくれているようだったが、
亜弥は、『お願いだから、タクシーこないで!』と願っていた。
164 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時34分34秒

そして、『今言わなきゃ』『今しかもうない』と何回も心のなかで呟いていた。

ふと、この前言えなかった時の事を思い出す。
『このままだと前と同じ、こんなんじゃ松浦らしくない!』
そう思ったとたん亜弥の目に力が入る。

「吉澤先輩!」

「な、なに?」

「私、」

亜弥はしっかりと吉澤をみつめ

「私、2年ぶりに再会して分かったんです、私はまだ吉澤先輩が好きだって。」

「!」
吉澤の心臓がドクンと一度大きくなる
165 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時35分53秒
「だだって、この前まで、友也と付合ってたんでしょ?」
「そうですけど、でもいつもどこか吉澤先輩の面影がある人と
付合ってた気がするんです。どっちかっていうと小さい人ばかりだし、
すぐ嫌いになって別れちゃうし」

「あのー、私が女だってこと知ってるよね」
「分かってます」

また吉澤の思考が停止する。
次の言葉を出そうとするが、頭には何も浮かんでこなかった。

しばらく沈黙が続いた。

「私じゃダメですか?」

もう誰も好きにならない。
吉澤の頭の中にあるのはそのセリフだけ

「ごめんね。私、もう好きならないって決めてるんだ。」
166 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時36分35秒
少しだけ吉澤の本心が出る。
好きになる資格なんてないから、、、  

「だから、松浦の思いには応えられない」


「・・・・・」


「松浦は私なんか好きになってないでさ、素敵な彼氏みつけなよ。
周りにいっぱいかっこいい男の子いるじゃん」

ちょうどその時、松浦ごしに空きと書かれたタクシーが見えた。
吉澤は手を上げて運転手に合図をする。


「私が女の子だからですか?」

「・・・・」

「私が男の子だったら、付き合ってくれたんですか?」

「ごめん」
吉澤は俯いている
167 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時37分36秒
「そっかぁ〜だめかぁ〜少しは自信あったんだけどな〜。」
亜弥の緊張していた顔が緩み、少しだけ笑ってみせた

「でもいいですよね?」
「え?」
「私、吉澤先輩のこと好きなままで」
「それは、、、」
「これからも、、会ってくれますよね。」
しかし、吉澤の顔をのぞき込む亜弥の笑った顔からは涙がぽろぽろと流れていた。
そして亜弥自身、初めて気が付いた、ここまで吉澤先輩を思っていると言う事に。

タクシーが二人のそばに停止し、ドアが開かれる。

吉澤は少し困った顔をした後、
「じゃあ、、、、またメールするね。」

その言葉を聞いて亜弥は素直にタクシーに乗り込んだ。

タクシーの中で亜弥は泣いていた

吉澤先輩は凄くやさしい。
一緒にいると包みこんでくれているようなそんな感覚になる。
そんな人が人を好きにならないなんてことがあるのだろうか?
何かが原因でそうなったのだとしたら、、、、
そう考えると亜弥はとても悲しくなった。

そのことが悲しくて、悲しくてしかたなかった。

168 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時38分49秒
「だから前に何かあったんじゃないの?」

亜弥が何の連絡もなく家に押し掛けてきて始めは怒っていた美貴も
今までの男の子との押した引いただのそんな問題とは違う亜弥の雰囲気から
話を聞いていたのだが、こう何回も懲りずに同じ質問をされると、
さすがの美貴も困っていた。

「やっぱそうだよねー、何があったのかなー?」
「わかるわけないじゃん、だいたい、毎日吉澤先輩の話し聞いてるけど、
一回も会った事ないんですけど私」
さっきまで、ベットの上でゴロゴロしていた亜弥が急にがばっと起きる。
何ごとかと思い美貴は目を見開いた。

「ねえ、美貴たん!今度吉澤先輩と一緒に会ってよ」
「えぇー!私がですか?」
「あんなふうに言われた後だし何か気まずくて会えないよ」
「亜弥っぺのセリフとは思えませんねー」
「もー真剣なんだからねー」
「はいはいわかってるって、でも私がついっていいの?
吉澤先輩取っちゃうかもよー」

「それはないし」
「なんでよ」
169 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年04月06日(日)19時42分51秒
なんかあやや告白しちゃったんですけど
大丈夫かな?

>>159
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

>>160
それは趣味が同じっていうことですかね?
170 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月08日(火)09時15分19秒
よっすぃ〜の過去に一体何が?
あややはどうするのか。
171 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年05月08日(木)12時54分07秒
一緒に会える日を探す為に、2人はスケジュールとにらめっこ
「みきたんこの日は?」
「ダメ、ダンスレッスン」
「じゃーこの日!」
「レコーディング」
亜弥は美貴の手帳に指をさしていく。

「もー、なんで私が空いてる時にかぎって美貴たん空いてないのかなー?」
「しょうがないでしょ、亜弥ちゃんがレッスンない日は
 私がレッスンの日なんだから」
また2人はスケジュールに視線をおとす。
何回見ても変わるモノではないはずなのだけれど

「それまで、一人で会わない気?」
「えー、だって恐いもん」
「ののちゃんは?ののちゃんがいるじゃん!」
「あーののねー。でも、吉澤先輩から聞き出してくれるかなー昔の事」
「えーー!ちょっと亜弥っぺ、私にそんな重大な事任せようとしてたの」
「あれっ?そうじゃないの?」
「自分で聞きなさいよー」
「だって恐いもん」

まあ、吉澤の予定はあっさり無視しているわけだが。

172 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年05月08日(木)12時56分04秒

「ねーじゃあさ、保田さんにお願いしてみよっか?」
亜弥が美貴を覗きこむ。
「えー無理だろー」
「でも、私達こんなに仕事してんだよ、一日くらい2人一緒に
休みもらってもよくない?」
「まーねー、うちら未成年なのに働き過ぎだよね。
一日とはいかなくても半日くらいはどうにかしてほしいよね」
「えー半日ー」
亜弥は頬を膨らませて抗議する。
「とかいって、亜弥っぺだって一日なんて無理って思ってるくせに」
「そーだけどーさー」


173 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年05月08日(木)12時56分50秒
吉澤はぼーっとテレビを見ている。
そしてテレビには時折、松浦亜弥のCMが流れていた。

「吉澤先輩みてますか〜?」
あのセリフを聞いてからたいして時間はたっていないが
ずっと昔のような気もして
でもなぜ、そんな短期間で私の事を好きになったのかもわからない
恋人には困っていないだろうに

実際、会ったのはまだ、数回。
でも、私は毎日のようにその顔をみていた。
通学路の途中にでっかい松浦亜弥の看板があったからだ。


私は恋愛とかそういうことをなるべくさけて生活してきた。
なのに、、、

松浦の存在が私の心を揺さぶる。



174 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年05月08日(木)12時57分33秒
「よっすぃー大好き」
「私も、、、好きだよ」

太陽みたいに笑う人だった
まっすぐで嘘をつくことがきらいで

でも、私は言えなかった、誰にも言えなかった。
付き合ってるって
親にも友達にも
恐かった、変な目でみられるのが
気持ち悪いって思われるのが

私はその頃、バレーやってたせいもあって、
後輩の女の子から、よく好かれていたけど、
私は分かってたんだ、その子達が私に向ける視線は
ただの憧れだってこと、
私じゃなくても誰でもいいって
ただ、男の子の代わりになる人ならだれでも
いつか本当の恋をしたときの為の準備だってことも。

だから、言えなかった。
本気だったから言えなかった。

175 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年05月08日(木)12時58分23秒
でも、彼女は違った
ちゃんと親にカミングアウトをした。
女の子と付き合ってるって

彼女が親にカミングアウトした後
彼女と両親の関係は、特にぎくしゃくした様子もなかった。
私はそれをみて、自分もしてみようかなって少し自信もでてきていた。

しかし、それから数カ月した頃


彼女の様子がおかしくなった
連絡がとれなかったり、
会っていてもどこか不安げな表情だった。
しかし、そのことを尋ねても何もこたえてくれなかった

そして、突然別れを告げられた
「もう、よっすぃーのこと好きじゃなくなったから」って

私は何も出来なかったんだ、何も

チャッチャララ〜
間の抜けた電子音が私を現在に引き戻す
携帯を確認すると
メールが届いていた。
176 名前:しゃぼんだま 投稿日:2003年05月08日(木)13時00分04秒
タコ焼きパーティーin松浦家!

今度うちで、タコ焼きパティーをすることになりました!!
吉澤先輩、参加してくれますよね
私の友達も来るので。
よかったら石川さんもさそって来て下さいね。

アヤ


この間の事はまるでなかったような
ハイテンションなメール。

こないだ、あんなこと言っちゃったから
ホントは気が進まないんだけど
でもそれじゃあ、あからさまに避けているみたい
梨華ちゃんに行くか聞いてみようかな、、、
177 名前:木琴 投稿日:2003年05月08日(木)13時02分47秒
>>170
ありがとうございます。
レス頂いていたのに、一ヶ月も間を空けてしまって、すいませんでした。
178 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月02日(月)01時03分23秒
179 名前:しー 投稿日:2003年06月28日(土)22時02分20秒
ほぜん
180 名前:つみ 投稿日:2003年07月16日(水)12時03分29秒
書かぬなら書くまでまとうホトトギス
181 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月15日(金)00時18分00秒
182 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/02(木) 14:25
183 名前:あやみき信者 投稿日:2003/11/26(水) 20:17
ほ〜たる来ぃ

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